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1978-04-21 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)    午後一時七分開会     —————————————    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     吉田 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 三治 重信君    政府委員        農林政務次官   今井  勇君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省食品流通        局長       犬伏 孝治君        食糧庁長官    澤邊  守君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        農林大臣官房秘        書課長      関谷 俊作君        会計検査院事務        総局第四局審議        官        高橋  良君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 本日、私は二つの問題について質問をいたしながら、省の態度あるいは考え方をはっきりさしていきたい、こう思うんであります。  その一つは、去る三月二十八日の日に衆議院大蔵委員会で、週休二日、とりわけ金融関係の土曜日閉店の問題が決議をされておるわけでありますが、これに絡みまして、農林省として所管の省庁あるいは関係機関週休二日に対する取り組みの問題、さらには、農林省指導監督下にある、いわゆる影響化にある民間の諸団体、これにかかわる週休二日なりあるいは土曜閉店の問題についてただしていきたいというふうに思います。  二つ目課題は、八十二国会の際にいわゆる砂糖の売り戻し特例法案が成立したわけでありますが、その審議の際に具体的に固有名詞を使いながら私自身が質問をいたしました東海精糖という企業の問題を中心にいたしまして、その後の省としての態度あるいはこれに対する考え方をただしていきたい、こう考えておるわけであります。  初めに週休二日にかかわる問題でありますが、当委員会の中で、私の誤認があると申しわけないのでありますが、余り週休二日についての質疑が行われていないというふうに認識をいたしますので、いままでの若干の経過だけまず申し上げてみたいというふうに思います。  ちょうど昭和四十九年十一月に、全国銀行あるいは保険会社、いわゆる損保も含めてこれらに結集をいたします金融機関労組といいますか、ここの労働組合と、それから自治体の職員労働組合、さらに全逓信労働組合、この三つの団体全国的に結集をいたしまして、いわゆる三団体会議というものが発足をしたわけであります。そして、その翌年の五十年二月に、使用者団体であります全銀協とこれに対応する金融機関関係労組との団体交渉といいますか、話し合いが行われまして、その中で土曜閉店による完全週休二日制を翌年の九月、すなわち昭和五十一年の上期中には実施をする、こういう旨の労使間合意が行われまして、具体的な実施についてその後引き続いて労使の間で相談開始をされていったわけであります。しかし、検討過程で、銀行法の第十八条が問題になってまいりました。これは金融機関でありますから、当然この銀行法十八条で、取り扱いの、あるいは閉店をする、こういうところが決められておるわけでありますので、これが問題になりまして、したがってこの銀行法十八条を改正するか、あるいはなくしてしまうか、したがって国の方針国会合意を必要としないと進んでいかないという、こういう問題点に到達をしてまいったわけであります。  引き続いて、同じ年の、いわゆる昭和五十年の三月に、政府並びに国会への働きかけをする大きな動き全国的にも軸になってまいりまして、したがって、関係団体共闘といたしまして、先ほど述べました三団体会議国家公務員それから地方公務員職員団体、これが加わりまして、いわゆる週休二日制土曜休日促進共闘会議、これは略しますと土休共闘と、こういうふうに一般的に呼んでいるわけでありますが、こういう運動母体ができたわけであります。その翌月の五十年四月に、この土休共闘の各方面に働きかける努力がございまして、衆議院大蔵委員会集中審議が行われたところであります。  そこで、この集中審議の結果、結論として当時の大平大蔵大臣は、各党合意を尊重いたしまして一両年中に政府としては結論を出す、こういう態度表明とともに、大蔵委員会内部金融機関週休二日制に関する小委員会が設置をされて、検討が行われることになっていったわけであります。その後、昭和五十年の五月、大蔵大臣はこの進行に合わせて、諮問機関であります金融制度調査会に、特に銀行法第十八条の問題の結論とともに銀行法全般見直し諮問をされる、こういういきさつになっていきました。ところが、この諮問がありましてから、大平大蔵大臣の言明をいたしましたいわゆる一両年中ということについては、もうすでに経過をいたしました。一年余も経過をしておるんですが、今日もなお結論が出ていない状況であります。  そこで、昭和五十二年の十二月に、制度調査会の中間のまとめといたしまして、一つには銀行法十八条の弾力的な運用を図る当面の措置、それから二つ目には、国民の合意を得るための方法も一兼ねながら月一回の土曜日閉店試行として行う、こういうことの表明にとどまって、銀行法全般見直しという問題が大変ブレーキに現実問題としてなりまして、したがって、答申は本来もうすでに行われていなければならないにもかかわらず、本年の末あるいはそれ以降になるのではないかというふうに、今日段階としては状況が変化をしておるわけであります。  ただ、この過程で、昭和五十二年の十一月に中央労働基準審議会でも、雇用拡大のために時間短縮あるいは週休二日制、これの促進をしていくことが今日非常に大切なことなんだという指摘がありますし、労働省自体二つの通達を発出をしておることは、もうすでに明らかになっておると思います。したがって、衆議院大蔵委員会あるいは金融機関週休二日制に関する小委員会の先ほど申し上げました三月二十八日の決議採択、これは、以上申し上げてまいりましたような経過を踏まえて、このままでいきますと、今日までの各党合意自体がいたずらに延びていくんではないのか、実施が大変おくれるんじゃないのか、こういう状況の中で、特に金融機関についての緊急性からここに決議採択をされた、こういうふうに理解をいたしておるところであります。  しかも、各党は、五十二年の四月六日、いわゆる土休共闘要請に対しまして、たとえば自由民主党は当時の政務調査会の主査で労務担当杉田茂美氏でありますか、この方が、この要請に対しまして、不況で二、三年ストップをした時期があったけれども、十年前から自民党としては週休二日制の方針を出しておるところであるし全体に普及をするためには銀行がポイントである、それが私たちのねらいであるという回答をなされておるところであります。また公明党は、宮地先生あるいは草川先生、共産党の場合には小林労働組合部長代理それから梁田労働組合部長、さらに民社党の場合はお名前がちょっと明らかになっておりませんけれども、いずれも社会党を含めまして各党ともこの進め方については早急にやるべきだという立場意見表明が行われておるわけであります。また本年の二月の十六日には、金融機関完全週休二日制実施中央代表者会議、こういうのが開催をされまして、その会議の中には、自民、社会、公明、民社、共産、新自由クラブ、それぞれ六党とも代表者が顔をそろえまして、そして早く実施をする、こういう立場でむしろ激励が行われておるという経過、これが今日までのざっとした概要であります。  したがって、そういう立場から、さきに出されました衆議院大蔵委員会金融機関週休二日制に関する小委員会決議内容を見てまいりますと、前提としまして名前が出てまいりますのは「郵便局」、それから「農協等関連する諸機関週休二日制」、これが大変一つのかなめになってきておるわけであります。こういう状況の中で、したがって農林省として、具体的に農協等への指導の問題について今日段階どうお考えになっておるのか、この辺をまずお聞きをいたしたいというふうに思います。
  5. 今井勇

    政府委員今井勇君) 三月二十八日の衆議院大蔵委員会金融機関週休二日制に関する小委員会におきます決議のことにつきましては、承知をいたしておりまして、直ちにその決議を受けまして農林省関係農協等系統団体に対しまして、決議趣旨を連絡をし、その周知方を依頼をしたところでございます。  農林省といたしましては、今後この決議に沿いましてその内容徹底を図ってまいりたいと存じますが、一つ問題となりましょうと思いますことは、この決議の前文にもありますとおり「消費者等金融機関利用者理解を得ること」ということが書いてございます。しかも農協は、先生御案内のとおり、利用いたしますのは農民諸君でございますし、農協信用事業のほかに販売事業等もいたしております。したがって、こういった方々に御納得をいただきませんことには、なかなかこの実施ということが困難であろうと思います。したがいまして、今後農林省といたしましては、系統を通じましてその趣旨徹底を図りたいと存じますが、なかなか御納得いただくまでに時間を要するのではなかろうかというふうに考えておりまして、端的にこれを申すならば、普通の銀行さんのようになかなかいきがたいが、今後ともさらに農協系統団体ともよく御相談をしながら検討を進めてまいりたいというのが基本的な態度でございます。
  6. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大変進めるのに納得を求めることがむずかしいという、概してそういう御説明であったというふうに思いますが、これは決議の中でも指摘をいたしておりますように、第一に大変納得のところについては重点を置いておるけれども、そのための措置としてはPR活動に全力を挙げていくんだということがあわせて提起をされておるわけであります。そこで、直接週休二日制にかかわりはありませんが、農協の今日までの労働条件の問題につきましては、ちょうど昭和四十九年度にいわゆる農協平均大体三三%の職員賃金アップがございましたですね。そして、この原資を経営内部で生み出すという立場から、いわゆる退職金支給率の切り下げをねらいとする規程改正、このための労使紛争が大変大きな課題になったはずであります。そしてまた、賃上げをめぐる紛争が同時に展開をされたわけであります。あるいはまた、あわせてそうした労働条件問題等をめぐって種々労使間の紛争、それが広範囲に展開をされるわけでありますから、当然国会の場でもそのことについて取り上げられる。しかも、国会の場では農協関係職員のいわゆる基準法違反が多いんじゃないかという指摘、あるいはまた、安全衛生規則違反が多いんじゃないのかというような指摘等が出てまいりまして、これは農協自体がそうした労働条件現状を具体的に掌握をするという調査活動というものが展開をされていったというふうに思うんです。  これが、週休二日のいわゆる社会的な動き、同時に人事院勧告に基づく行政庁のいわゆる週休二日制の導入についての検討開始、こうした時期にちょうど遭遇をするわけでありますから、そういう影響を受けながら月一回ないし二回の週休二日制について、農協みずからもこれを実施をしていこうという立場相当取り入れられてきた経過を私は確認をしているわけであります。したがって、四十九年から五十年、五十一年、五十二年とこう経過をしてまいりましたから、現実問題としては——これは金融機関の問題ではありませんよ、週休二日制そのものについて、私は農協の場では相当進行しているというふうに理解をするところですが、その辺の現状の把握はどうなっておるんでしょうか。
  7. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 農協におきます週休二日制の実施状況でございますが、都道府県の農協中央会が五十二年度に調べましたところによると、調査農協数が全体で四千四百でございますが、そのうち職員の一部が特定の土曜日に交代で休むなど、何らかの形で週休二日制を採用しておりますのが四百余りでございます。
  8. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 もっとあるのじゃないんでしょうか。私が資料として入手をしておるのは「農林金融」、これは一九七五年の四月、三十八巻の四号、この中の一つのページなんですがね。これは「農協週休二日制」ということで、「農協職員像にふれて」という全体の労働条件問題をとらえた一つ記述であります。この中に、幾つかのアンケートに基づくところの週休二日制に対する反対であるとか賛成であるとか、あるいはいま取り組みにくいとかどうとか、こういうデータ具体的アンケートから求めながら説明をしているわけであります。これでいきますと、おおむねもう農協自体としては何らかの形で週休二日制というのはやっぱり実施をしていくべきである、もちろん農協組合員理解がそうなければなりませんから、そのための理解活動をあわせてやりながらやはり職員の要望にもこたえていかないと、むしろ農協職員を確保するのにも問題があるんじゃないのかという立場が強調をされてきておるわけであります。私の持っておるデータからいくと、その当時ですら大体何らかの形で半分の数字が二日制を導入をしている、取り入れていこう、こういう形になっておるわけであります。  あるいは「農業協同組合年鑑」、これは一九七六年の発行のものでございます。これの中でも、「農協経営管理」ということで、「第三章 農協経営」という記事の中に明らかにその問題が取り上げられておるわけであります。たとえば簡単に申し上げますと、この中の三の「人事・労務管理の再点検」という項の中に、いま私がずっと申し上げましたように、「四十九年度はじめに、農協平均では三三%の職員賃金アップが行われた。」、先ほど申し上げたような形がこの中にも記述をされておりまして、そうして、  一般企業における「週休二日制」導入に触発され、また四十九年七月の人事院勧告にもとづく行政庁のこの問題に関する検討開始影響もあって、月一回ないし二回、週休二日制を実施する農協があらわれ、五十年度にはいってからは、実施に踏み切る農協が急速に増加しつつある。しかしながら、多様な業種で季節的繁閑がある総合農協での完全週休二日制には検討を要するいろんな問題があるので、全中を中心に、四十九年下期から調査研究がはじめられた。その視角は、一行政庁一般金融機関に遅れず、急がず、二組合員に迷惑のかからないように、三組合員の同意を前提導入するという点におかれているので、おそらく年中無休で「変形労働時間制」と「振替休日制」と「交替勤務制」の複雑な組合せが想定される。  と、これからの進め方について明確に指摘をしている文献もあるわけですね。  こういう状況からいきましても、もうすでに社会的な一つの趨勢の問題として、具体的に農林省指導を待たないまでも農協みずからが取り組んでいるということについては、私はよくわかる。問題は、さらにそうした動きに合わせながら農林省としても今日もう少し深くそれにかかわっていくことが必要なのではないのか、こういうふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  9. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) お話のようにこの週休二日制の推進はそういう世の中の大きな流れでございますから、私たちといたしましても、農協におきましてそういうことが推進されるという事態を踏まえまして、さらに一層の推進が図られるように所要指導をいたしたいと思います。また、全国中央会におきましても、全国中央会、それから信連協会あるいは農林中金等協議検討をさらに進めることに相なっております。そういう体制のもとにこれを進めるということにつきまして、私たちといたしましても所要指導を取り進めるという考え方でございます。
  10. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこでお伺いをいたしますが、農林省みずからの週休二日制というのはどうなっておるんですか。
  11. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) これは、官庁一般週休二日制の試行の形で、その試行農林省としましてはわりあい、若干の出先の問題もございますけれども、行うことがそう問題がある省ではございませんで、大体その方針に従いまして行われておるところでございます。
  12. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いわゆる一般公務員試行状況というのは、農林省では何%ぐらいなんですか、職員数の。
  13. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) ちょっと、調べまして御報告申し上げます。
  14. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 じゃ、いま御調査いただいて御回答いただくわけですが、農林省としては一般公務員週休二日制というものが具体的に決定をすれば、その滑り出しの段階では現場段階も含めて問題がない、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  15. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 私、直接担当部局でございませんので的確なお答えができるかどうかわかりませんですが、農林省として恐らく週休二日制を実施していきまする場合の問題部局といいますのは、一つは米の検査等の出回り期にこれをどうするかという問題と、それから動植物検疫なんかで空港なんかに動物検疫所植物検疫所がございますが、これらにつきましてどうするかと、あるいは輸出品検査につきましてどういうふうにするかというふうな部局が問題になろうかと思います。それ以外の部局でございますれば、農林省としてそう大きな問題を抱えておるところはないのではないかと。したがいまして、週休二日制の方針がだんだん前進をしていきます過程において、農林省は他省庁に劣って取り進められるということは少なくともないのではないかというふうに私は理解をいたしております。
  16. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私が心配をいたしますのは、管理部門関係についてはいま御説明があったように、さほど準備をしなくてもこれはいけることではないか。ただ、その場合に心配が起きますのは、むしろ関係の特に農民中心にしたいわゆるサービス関係が低下をしないか、仕事がどんどん遅くなっていきはしないのか、こういう心配があるわけであります。特にいま行政管理庁が中心になりまして、公務員定員削減等提起をされている。むしろ、農林省は、そのやり玉に上がっているというふうに私は理解をしております。そうなりますと、仕事との関係について二日制の移行に対する準備というのは、形態がやりやすいからということだけのとらえ方では準備が完全ではなかろう、こういうふうに御指摘を申し上げざるを得ません。  で、いまお話しがありましたような、特に現場段階について、仕事年じゅうこう回っていくわけでありますから、そこでの二日制の導入ということになれば、一斉二日制休業ということになると大変なことです。それはできないと思う。したがって、交代でその辺をカバーをしながら週休二日制が導入をされていく形態に原則的に相なろうか、こう考えるわけですね。そうなりますと、そこには現場要員としてのむしろ定員の増加を求めていかなければならない要素というものが当然加わってくるだろう。この辺の調整等も、当然事前段階準備作業としては進めていかないといけないのじゃないんだろうか。  いま一般公務員の場合に、第二次のいわゆる試行が行われているわけです。今日までの国会審議経過をたどっていきますと、三回目の試行というのはなかろうというところでは全体が一致をしている。したがって、試行が続いて次には本格実施なんだということが、一応今日段階としては常識になっているわけでありまして、その時期というのはいわゆる五十四年度と、五十四年度の完全実施に向かって、やはり相当部内自体でも努力をしていかなければならぬということが一つあろうと思うんですね。この辺についてはいかがでしょう。
  17. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のように、現場業務を持っておりますところにつきましての週休二日制の実施につきましては、それぞれの部局の実態に応じまして所要体制を整えていくべきことは申すまでもないことでございます。したがいまして、農林省としましても、そういう部局につきましての対応策につきましてはいろいろ検討を取り進めておるところでございまして、農林省定員全体の中でそういうふうなものは、まず私は処置が可能ではないかと思いますけれども、そういう定員問題も一含めまして、現在官房におきましてその問題を検討いたしておるところでございます。
  18. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと農林中金はどうでしょうか。いまのお話の中に入っていますか。
  19. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 農林中金におきましては、まあ現在大体何らかの形で週休二日制をとっておりますが、これは一般金融機関と大体同じような性格のものでございますから、金融機関進度とおくれないように処理することは私は可能であろうと思っております。御存じのような金融取引でございますから、農林中金がそれに先駆けてやるということはちょっとむずかしゅうございますけれども、一般金融機関進度とおくれないで対処していくことは、十分可能であるというふうにわれわれ考えております。
  20. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 一般金融機関進度がおくれないようにということは、足を引っ張らないと、足を引っ張ることはないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  21. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 大体そのように御理解いただいて結構ではないかと思っております。
  22. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、これは省の直接何といいますか管理運営にかかわる分野ですから、これは言われたとおりきちっとやるでしょう。問題は、この決議の中に指定をされました農協なんですよね。これは農協は、言ってみますとそれぞれの任意団体でありますから、農林省が決めたからといったって一斉にそうなるという話にはなりません。決めたからきちっといくというところでも、相当準備が必要なわけでありまして、したがって、そういう状況からいけば、直接指令指示というふうな権力でできない分野だけに、非常に私は時間と労力といいますか、合意を得、しかも、それに準備をし実施をしていくための努力というのは、私は大変なことなんじゃないだろうかというふうに思いますが、それに対して農林省はやり切っていこうという、こういう御意思は表明いただけますでしょうか。
  23. 今村宣夫

    政府委員今村宣夫君) 御指摘のように、農協段階にまいりますと、農協は販売・購買事業その他の事業をいろいろ総合して行っておりまして、たとえば、野菜なんかになりますと、野菜で卸売市場が土曜日休めば別でございますけれども、卸売市場がそうなってない段階におきましては、これはどうしても野菜の出荷というのは土曜日に行わざるを得ない。そうなりますと、まあ代金決済の問題が当然出てまいります。あるいは米の集荷販売、売り渡し時期に集中的に米が出てくるということになりますと、米の検査も土曜日にも実施をしなければいけない。そうすると、政府への売り渡し手続も同時に直ちに進めなければならないというふうな、まあ他の金融機関とはちょっと違った要素を持っておりますので、この週休二日制の実施につきましては、いろいろな困難を伴うことは御指摘のとおりでございます。  しかも、農林省が号令かけてというわけにもまいりませんので、私たちとしましては全国中央会、それから農協組織を通じましてこの問題についての対策を含めた検討を取り進めると同時に、先ほど政務次官からもお話になりましたように、農家の組織する団体でございますから、やはりそういう部面での理解と協力を得るような努力が大切でございます。したがいまして、私たちとしましては関係農業団体とも十分連絡をとりながら、今後そういう問題の検討を深めまして、同時にまた農家に対する理解と御協力を得るような努力をいたしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  24. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 問題は、幾つかむずかしい課題はありますが、今日段階としてはもうすでに車は発車をしまして、そうして一斉にこう上がるところまで来ていると。ところが、どこから上がるかということについて、大変むずかしい問題に遭遇しているというのが今日の状況だろう。公務員関係の問題、それから金融機関関係の問題、それと同時に冒頭言われましたような全体のいわゆる合意の問題、こうした課題等が残っているわけであります。ただ、とりわけ法律的に規制をされておりますのが金融窓口の関係なんですね。これはやはり銀行法の十八条の取り扱いが明確にならないと、勝手気ままにならぬという問題点にあります。ただ、農協窓口の場合に、いま説明がありましたけれども、内容的にそうした課題を踏まえて、先ほど論議ありました銀行並みにやっていくという、そこに準備の大体集中した対策というものが講じられていかなければならないというふうに考えているわけでありまして、ぜひともその辺は深くやはり農林省自体も検討をいただいて、こうすれば社会的におくれを来さないでいけるんじゃないのかという示唆が相談役としてきちんとでき上がっていくように、取り組んでもらわなければならぬというふうに思うわけです。  しかも、私の聞くところによりますと、先ほど出しましたいわゆる農林中金ですね、これが五十四年三月、来年の三月には全国のいわゆる銀行データ通信に加入をする、こういう計画で今日進められておるというふうに聞いているわけです。私も郵便局の出身でありますから、銀行窓口とのかかわりはある程度承知をしておるわけでありますが、特に今日のコンピューターを使って、いわゆるオンラインシステム化をしていこうとすれば、当然農協の窓口にいたしましても、すべてがオンラインシステムに参加をしていくことによって為替が一番問題点になるだろう。したがって、振り込む側、それを受けとめる側、この二つが共同して作業が進んでいきませんと、これはせっかくオンラインに参加をいたしましても、受け入れたところ自体が幾つか問題が発生をするということになってくるわけでございます。そうしますと、翌年の三月にオンライン化に加盟をしていくという前提は、明らかに今日の銀行の各動きから見ましても、先ほど経過の中で御報告をしたように、土曜日の閉店、窓口関係のいわゆる完全週休二日制、この動きにあることはもうだれもとめられない、こういう状況に今日来ているわけです。  したがって、そういう状況の上でオンライン化をしていくわけでありますから、必須条件に今日来ていると私は判断をするんですね。ですから、特にその面に関して強く指導をしていってもらいたいし、とりわけ各農協関係同士の話し合いというのがそういう意味で大変必要になってくるだろう、こういうふうに思うんです。したがって、そうしたことについて、いま申し上げましたように深く研究をし、そうして十分に相談役になれるという対応を示しながら、さらに行政指導でもって乗りおくれることのないように、こういう対策について具体的に進めていただくことを御約束ができるかどうか、この辺についてひとつ御回答をいただきたいと思います。
  25. 今井勇

    政府委員今井勇君) いままでの御議論を拝聴いたしておりまして、種々困難はございますが、天下の大勢としてそのような方向にいっておりますことは農林省も重々承知をいたしております。ただ、先生の御指摘もございますように、農協信用事業のほかにも農民の生活と密接な関係販売事業等もやっておりますことも御承知のことだと思います。しかしながら、こういう世間の流れに対しましては農林省農協をやっぱり指導いたしまして、よそ様の余りブレーキにならないように、と言ってよそ様より先立って行うということはなかなかむずかしいと思いますので、そこあたりの状況を踏まえながら指導をしてまいりたい、このように思います。
  26. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 足は引っ張らないという立場でいまお答えをいただいたというふうに思いますので、本日は農協関係等については今日段階としては私も一応了としておきたいと思います。  ただ、関連をして申し上げたいのは、残念ながら漁業協同組合の方で、これまた私自身が資料を持っておりますが、これは大変基盤の問題も絡みまして、それから構造上の問題もありまして、そこの職員はいま週休二日制どころではなくて、労働条件自体に長時間労働が展開をされているという実態を指摘をせざるを得ません。  具体的な細かいことは申し上げませんし、大変問題点があるわけでありますけれども、これはまたぜひその辺についてもさらに目を行き届かせながら、無理をしたのではお話になりませんし、ぜひともしかし時代おくれにならないような一つの対策というものがこれは緊要ではないだろうか。しかも、少なくともそういう団体であろうとも、労働基準法なりあるいは安全衛生規則に違反をするようなことは、これは今日どうしてもやっぱりなくしていかなければならない。これは私が申し上げるまでのこともないだろう、当然のことであります。したがって、そこまでぜひとも全体の協力が得られるように、しかもそのことによって組合員のサービス低下にならないように、こうした方策を、相反するようでありますけれども、私は道があるというふうに確信いたしますので、ぜひその辺もいまの質疑に絡みまして御注文を申し上げておきたいと思うわけでありますが、これらもやっていただけますでしょうか。
  27. 今井勇

    政府委員今井勇君) いま漁連の話がございましたが、端的に申しまして相手が魚でございまして、農協等と違いましてそこにじっとしてないものでございますし、いつあらわれるかもわかりませんし、いつなくなるかもわからないという相手を相手にしておりますので、その点は先生十分御案内のとおりでございます。したがいまして、画一的なお答えは非常にしかねるわけでございますが、これまたやはり、と言ってこれを取り残すというわけにもまいりません。したがって、困難性を重々認めながら、しかもまた対応策を個々の問題にして、特殊な性格を持ったものとしての解決策というもので努力をいたしてまいりたいと思います。
  28. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私も海岸線に住んでおりまして、魚の問題はよく承知をしておるわけであります。承知をした上でいま申し上げたようなことでありますから、ぜひとも御努力をいただきたい。  それでは、二つ目の問題の方に移らしてもらいたいと思います。八十二国会の十一月の十五日ですが、私の御質問を申し上げた観点につきまして、これは本院の会議録第四号であります。この十二ページに当時の食品流通局長の杉山さんが答弁をされておるわけでありますが、精糖企業状況について「これだけの非常事態、深刻な情勢のもとでは、企業側も働く人たちも一緒になってやはり企業の改善を図る、立ち直るということに努力すべきであると思います。その意味で一般的に各企業の間も、各企業と言うのは各企業の中における経営者と労働者の間も、それから中央団体と中央の労働組合との間の話し合いもいままで以上に持たれて、真剣に話し合いが行われることは私どもとしても必要だと考えております。」真ん中を省略しますが、「そこで、私どもは精糖工業会の幹部にも呼びかけまして、ともかく話し合いの場を持てと、そしてこれから何を取り上げて相談していくか、そのルールづくりをとりあえずやれということを言っております。今後ともそういう話し合いの場をできるだけ積極的に、定期的に持てるように指導してまいりたいというふうに考えております。」という御答弁があるわけです。  これは何を意味するかということになりますと、私は、精糖工業会が大変工業会内の調整がむずかしい状況になっておる、争いをして足の引っ張り合いをしている。ところが、それに対して労働組合の側は、中央に統一をした組織を持ちながら、全国砂糖があります。みずからの職場を守るという立場も含めて、工業会の連帯を願いながら、しかも産業が発展をしていく、永続をしていく、こういう立場に立って、少なくとも労働組合と話し合いの場を持ちながら、これらについて相談をしていくことが必要なんではないかという趣旨合いについての御答弁であります。この御答弁をいただきましてから今日まで相当の時日が経過をしておるわけですが、具体的に労働組合の側、いわゆる全国砂糖の側が工業会に対しまして話し合いの場、話し合いを行う議題等について申し入れをいたしておるんですが、実現をしていないというふうに私は聞いておるんですが、これに対して農林省としてはどう指導されておりますか、お伺いをしたいと思います。
  29. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) ただいまのお尋ねの精糖工業会と精糖工業で働いておる方々の労働組合の代表との話し合いでございますが、杉山前局長がお答え申し上げておりますとおり、その話し合いがそれぞれの場合におきまして行われることは望ましいこと、必要であるというふうに考えております。  これまでの経緯につきまして若干申し上げますと、実は精糖工業会内部の問題がございまして、ちょうど特例法の施行を控えて各社ごとの割り当て数量の配分に非常に忙殺をされておるということ、それから精糖工業会の役員の構成につきましての内部の問題等がございまして、的確な対応が必ずしもいっていない状況にあるというふうに承知しておりますが、前局長が答えましたような方針でわれわれとしては対処をしていくという考えには変わりはございません。
  30. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 考え方に変わりがないということと、具体的にそれをどうあらわしていくかということとは、相当常に開きがあるんですね。それが私は一番問題だと思うんですよ。だから、考え方があるのなら、その考え方に従って具体的に事実が進んでいくようにやっていかないことには、幾らここだけで答弁してもらったって私は話にならぬと思うんです。とりわけ農林省自体が、たとえば一番最初のこの売り戻し法案ができましてからシェア割りをするのに、工業会の中がまとまらなくて予定の時日よりも経過をしていった状況もあるわけでしょう。本来なら、農林省自体の任務すらも、今日の精糖工業会の状況の中で大変むずかしい。私が聞いてみますと、この話し合いの場については、会長が辞任をするんだとかしないんだとか、こういう話でなかなか会ってくれないという。会長が辞任したって、向こうは工業会ならそのかわりをする人だっておるんじゃないですか。それが出てこなければ、私は工業会という話にならぬだろうし、その辺まで突っ込んで、私は農林省としてはやっぱり労使の話し合い等について重視をしながらこの大変な状態の中でいわゆる砂糖産業自体をどうまとめていくのか、そのことが基本的な課題であろうと思うんです。  今日の社会情勢の中で、しかもこの先進国と言われる社会の中で労使関係が、せっかく組織がありながら中央段階で話が持てないなんていうのは私はないと思うんですよ。少なくともそういう観点で、もう少し労使の話し合いの場というものについて積極的に持たせるように、しかもこれは、好むと好まざるとにかかわらず法律的にいわゆる業界の中に介入をしたわけですから、そういう立場からいき、しかも、その法案を成立させるに当たって幾つか注文をつけているわけですから、ぜひともその課題について農林省が具体的な指導力というものを発揮をしてもらいたいというふうに再度申し上げておきたい。  次に東海精糖課題でありますが、当時から問題を提起をいたしておりましたけれども、東海精糖がいわゆる今日会社更生法に基づいて更生手続の開始決定を申請をいたしておることは、御承知のとおりだろうと思います。そこで、それに対して今日裁判所が審尋を行っているわけですね。そうして裁判所から農林省の方に、これは食品流通局長あてですからあなたあてに、いわゆる嘱託ということになりますか、文書が参って、それに対する回答が行われているわけですね。私はこの回答の内容を読ませていただいたときに、これまた八十二国会の私が質問いたしました当時の御答弁の態度とは、相当意味合いが違ってきているというふうに受けとめるわけであります。  その一例を申し上げますと、当時の鈴木農林大臣はこういうふうに御答弁をいただいているわけであります。「精糖業界が重大な局面に立っております。そして、その一つのあらわれとしまして中小企業に属するような、また系列の外に置かれておりますところの大分県の精糖会社、三重県の精糖会社等にそういう本当に憂慮にたえない事態が出てきておるわけでございまして、私は今回の立法措置を講ずることもそういう問題が他にも波及してはいけないと、こういうことでこの法律案を提案をしたということを午前中にも申し上げたわけでございますが、杉山局長から申し上げましたように商社系列等に入らない、あるいは中小の弱い立場にある精糖企業、またはそこに働く万々の雇用問題、そういう問題に私ども重大な関心を持っておるわけでありまして、そういう点に十分な配慮をしながら今後この問題と取り組んでまいりたいと、こう考えております。」という御答弁がありますし、さらに「個々の企業経営内容について、それからのその手当てについては、私はやはり経営の責任者がこれは自分の判断をもってなさるべきお仕事だというふうに思います。」と。  これは、会社の内容について当然会社の経営者が責任を持たなきゃなりませんよと、ここは杉山局長がつけ加えてはおるわけであります。しかし、この意味合いというのは、会社側の経営者がしっかりしてがんばろうというときについては、農林省としては十分にそれらの相談役といいますか、援助をしていくという立場表明であろうというふうに思いますし、さらにまた、この法案成立の際にいわゆる本院のこの委員会の中で附帯決議が行われておるわけです。その附帯決議の中でも、中小企業問題等について十分に農林省が配慮をしていく、こういうふうに、これはたしか五項であったというふうに思いますが、ついておるわけであります。そうしますと、流通局長が裁判所に、裁判官に提起をされました回答の文案、これは大変問題だと思いますが、具体的に御質問を申し上げる前に、概括的にどういう感覚でこの御回答を提出をされたのか、ひとつ見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  31. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 農林省から私の名前で、四月の七日付の津地方裁判所四日市支部に対する回答をいたしております。この回答の内容は、一つは、東海精糖株式会社に対しまして特例法による「売戻数量等」の通知を行うかどうかということは、同社が関係者の協力のもとに円滑な操業を行い得ることが確実と見込まれる段階において具体的に判断をすべきものであるというふうに言っておりますし、それから第二に、この円滑な操業実施が確実と見込まれるか否かの判断要素として例を挙げれば、一つには、同社の債権について一般債権者、関係金融機関等の協力が得られるか否か、二つには、豪州糖の引き取り問題の解決が図られるか否か、三つには、適正な更生計画が樹立されるか否か等々の点が考えられるべきものであるというふうに、その判断の内容について申し述べておるところでございまして、要は、同社か関係者の協力のもとに円滑な操業を行ない得る。ことが確実であるかどうかという判断にかかっておるものであるということを申し述べておるのでございます。
  32. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」、いわゆるもう一度言いますと、「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」、それから「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」、これは皆さんが御承知のとおりの日本国憲法第七十六条第一項、第二項の定めです。つまり、司法権の性質上これは裁判所の法的な判断に適しないと認められる特殊な事項を除きましていわゆる民事問題であろうと——刑事問題はもちろんのことでありますが、行政問題についても最終的な判断権というのはすべて裁判所にある、これは不動の原則だというふうに私は思うんです。だれも侵すことのできない原則だろうというふうに思います。司法権を裁判所に統一的に帰属をせしめている、これがこの法律規定なんですね。しかもそれを受けまして、裁判所法の第三条第一項の、裁判所は一切の法律上の争訟を裁判する、こういう規定を受けとめて認めているわけであります。この原則については私は確認をしていただけるというふうに思いますが、いかがですか。
  33. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) ただいまお話しの司法権の帰属、行政権の帰属につきましては憲法に定められておるとおりでございまして、それぞれが分立をいたしまして国家機能を遂行するということになっておることは、まさにそのとおりでございます。
  34. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 したがってそれは、行政問題につきましてもとの最終的な判断権というのはすべて裁判権、すなわち裁判所に統一をして裁判所自体が判断をすべきであると、こういうことでありまして、そうしてその裁判所の判断が何よりも優先をするんだということも、これまた言を待たないというふうに思います。そういう前提に立ちまして、このいま会社更生法に基づいて取り扱いが行われておる企業に関して、今日問題が提起をされておるわけであります。  会社更生法に基づく更生手続の開始の申し立てを受理をいたしましたら、当然これは申し上げましたように、司法がすべてを裁判をするというこの原則に基づいてそれがもう発動をされた、こういうふうに意味をするものだ、こう私は理解をするわけであります。同時にまた、受理をしました裁判所の、いわゆる申し立てのありました企業の更生見込み、この更生見込みがあるかどうかを判断をするのがこれは裁判所の職権上のいわゆる調査問題でありますし、その調査がすでに受理をした段階から発生をしているんだというふうに考えるわけでありますが、これに何か異論ございますか。
  35. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 東海精糖につきましては、ことしの二月末に会社更生法による更生手続の開始の申し立てがされておるのは御案内のとおりでございまして、その申し立てがされた後、裁判所においてただいまのところは諸調査を行っておるという段階と承知をいたしております。したがいまして、東海精糖の再建の是非及び再建されることとなった場合の具体的方策等については、裁判所の判断にゆだねられておるという理解でございますが、先ほどお尋ねのございました農林省よりの回答は、裁判所からの調査嘱託に基づきまして回答をいたしたものでございまして、裁判所のお尋ねに対してのお答えをする、その中で農林省の行政指導上参考になる事項があればそのこともやってほしいということでございますので、そのような回答をいたしたのでございます。
  36. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 お聞きをしていることについて答弁をいただきたいんですよ。私が前の質問をいたしましたのは、東海製糖はもちろんいま申請をやりまして、それに対して農林省が答弁していることは、これは百も承知です。しかし、一般的に会社更生法の規定に基づきまして、どの会社でもそれが申請をされてその申請が受理をした場合に、一般的にその受理をした段階から裁判所が更生の見込みがあるかないかを具体的に審査をする職権調査段階に入っていますよと、その辺について異論がありますかどうかということを私は申し上げた。ですから、明確に受けとめていただいて私は答弁をしてもらいたいと思います。さらに、いま東海精糖の場合に話がありましたからいいんですが、私は第一に問題点があるのは、調査嘱託の裁判所の仕方に対するあなたの回答文書というのは、問題のはき違いも大変なところじゃないかと思うんです。特に調査嘱託の第二なんです。第二の中に「その他右に関連し、農林省の行政指導上参考になる事項。」と、こう入っていますね。「その他右に関連し、」ということは、この右に書いてある問題点、右側で左側じゃないですね。「右に関連し、」と、こうなっているんです。この「右に関連」をする項目というのは、「日豪長期契約による豪州糖の」まず(イ)の点としては「未引取分の引取義務を棚上げした場合。」、「(ロ)「オーストラリア産粗糖の輸入取引に関する協定」に基づくペナルティーの支払義務を棚上げした場合。」、「(ハ)右(イ)、(ロ)両者を棚上げした場合。」、「(ニ)右(イ)、(ロ)両者を完全履行した場合。」、この場合の回答が農林省としてあって、しかも、これになおかつ行政指導として参考になる事項について述べていただきたいというのが、これが調査嘱託のいわゆる問題点じゃないですか。  ところが、あなたの方は更生の見込みがあるかどうか、こういうところまで立ち入って想定をして御答弁をされている。同じ国家の機関の中で、先ほども申し上げましたようにいわゆる会社更生法に基づいて裁判所がすべてを判断する。特に会社更生法の趣旨というのは、会社更生の見込みがあるかないか、この具体的な処理、調査をして結論を出すのは裁判所が行うんだと、こう言っておるにもかかわらず、そのために必要な東海精糖としてのいわゆる農林省が割り当てるシェアがあるかどうかということの問い合わせに対して、その会社が完全に運営ができるのかどうなのか、そういうような見通しにまで介入をして答弁をするということについては、同じ国家機関でありながら、しかもそのことは整理をされておりながら、片方ではそれに介入する、介入してはならぬところが介入をする、こういう立場というのは、私は明らかに憲法上の先ほどの規定からいっても問題があるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  37. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 調査嘱託に対する回答といたしまして、私どもは砂糖の価格安定等に関する法律の特例法の運用につきましての責任というものを当然負っているわけでありまして、行政庁としてこの特例法に基づく「売戻数量等」を通知するか否か、これはこういう立場で考えますということを、やはり行政運営の責任を負っておる行政庁として申し上げておくという必要があって回答をいたしたものでございます。  で、場合を分けての確かに照会でございますが、このようなそれぞれの場合ごとに判断するのではなくて、全体としてこういう判断で「売戻数量等」を通知するか否かということを判断するのであるということを答えた次第でございます。
  38. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 とするならば、私はもう少し明確な回答をすべきじゃないんですか。たとえばお尋ねにありました(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)というふうに区分して回答はできませんと、そういう立場ではありませんならありませんと明確にすべきじゃないんですか。しかし、現に、いままでの八十二国会の法案審議の際に私が御質問をし、これまた杉山局長がお答えをいただいていますように、東海精糖自体はこれはまだいま営業してないから現に配分を行っていないのであって、営業が開始をされれば当然シェアはありますということは明確なのじゃないんですか。シェアがあるかないかの質問に対しては、こういうふうな区分の問題は別として、農林省としては当然営業が開始されればシェアはありますということを明確に答えていただければ、いま局長が答弁したような形になるんじゃないですか。なぜこういう持って回ったような言い万をしなければならないのか、私はどうも理解ができません。  これは余りこうした委員会の場で法律論争をしたくはないんですけれども、先ほども言いますように、少なくとも会社更生法に基づいて裁判所が受理をし審尋を開始をした、調査開始をした、こういう立場について調査目的は一体何かと言えば、その会社はいわゆる更生し得るかどうかのこの裁判権によって裁判所が判断をする材料を集め、そうして判断をするということになるわけです。裁判所がかかっているときに農林省が、会社が具体的に今日正しくいくんだろうかいかないんだろうか、そういうところまでにおわせながら回答をすること自体は、私はやっぱり間違いだと思うんです。原則的な立場を答弁をすればいいんじゃないでしょうか。私は少なくともそういうふうに考えるわけであります。  これは、東京高裁での昭和三十二年十一月七日、判例も出ています。この判決が出ている文章の中でも、こういう会社更生法の申請をめぐった場合に、そういう立場の中で関係者の貸借対照表だとか、あるいは会計帳簿だとか、こうしたものを裁判所が強制的に閲覧をし、あるいはそれを見ていくんだ、それを審査をするというところまで権限が付加をされて、それはだれも否定ができないんだということを明確にしておるわけですね。そういうような緻密な、しかもある意味では厳しい形にまで裁判所が目を入れながら、最終的にいわゆる更生計画の手続を開始していいかどうかという結論を出すわけであります。少なくともそういう観点に立って、私は正確に農林省態度表明というのがやっぱりあるべきだろうというふうに思うんです。ただ一般的に、私は農林省が行政上の立場として、シェアというものはこういう場合にあるんですよ、こういう場合に農林省としては配分をするんですよと、そのことを否定をしているものではないんです。いま明らかに、一般企業と違っていわゆる更生法に基づく取り扱いをされておるところの照会であるだけに、私は明らかにその意味について明確にやっぱりすべきだろう、こういうふうに思うんです。  いまそうしたやりとりをやっていますともう時間が済んでしまいますので、具体的な課題に入りますけれども、具体的に、食品流通局長はいま東海精糖が原則としてシニアは権利として持っておるのか持っていないのか、この辺を明らかにしてもらいたいと思います。
  39. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 精糖企業に対します砂糖売り戻し特例法の規定によります「売戻数量等」というものは、御案内のとおり、毎四半期ごとに、当該四半期ごとの需給見通しに応じまして確実に供給される数量として各精糖企業に割り振られるものでございます。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 したがいまして、その四半期ごとに各企業に割り当てられる数量とは別に、いわば抽象的、一般的なシェアというような枠があるというふうには私ども考えていないのでございます。現在四月から六月までの分の「売戻数量等」が各精糖企業に配分されているところでございますが、東海精糖については、これはもちろん現在操業は行われていないのでその「売戻数量等」が与えられておりません。今後の問題として「売戻数量等」を通知するかどうか、これは先ほど来申し上げておりますように、この企業が将来にわたってきちんとした形で事業活動ができるかどうか、その見通しにかかっておると。これは、ただいま会社更生法の手続に基づいて裁判所の判断にゆだねられておるところでございますので、その更生手続の進行の各段階において、われわれとして判断をしてまいるということにならざるを得ないというふうに考えております。
  40. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まだこの回答書——その趣旨で御答弁されているんですからこれはまあ当然だろうと思いますが、じゃあひとつ聞きますけれども、いいですか、しっかり答弁してください。いま精糖企業の、しかも中小の中で、借金しないで経営している企業がありますか。あったらひとつ教えてください。あるのかないのか、時間がありませんから余分なことは言わないでいい。
  41. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) ただいまの御質問でございますが、各企業ごとにその経理内容はどうかということになると明確にはお答えしがたいのでございますが、現在の事業活動の経常的な姿としては、借入金は当然あるというふうに理解をいたします。
  42. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 その借入金を持っている中小が、今日の砂糖業界の状況の中で、将来見通して絶対安全だといって保証のできる企業があったら教えてください。
  43. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 企業活動として継続されるかどうかということについては、やはりそれぞれの企業経営者としての責任の持ち方、またそれに対する信用力というようなことが総合的に組み合わさって、できるかどうかということになろうかと思います。
  44. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 だから、保証があるかどうかにかかわってくるわけでしょう、最終的には。しかもそれは、保証があるだろうというふうに見ておったけれども、なくなった場合にはそれは倒産するんでしょう。いま業界というのは、そういうような状況に今日なっているのじゃないんですか。したがって、そういうことが想定されだからこそ、この前の売り戻し特例法を制定するに当たって、系列外の企業、中小については特に目をつけて私は質問しているでしょう。総体総体と言いながらも、その総体を形づくっているのは個々なんだから、個々の経営にまで目を向けながらその個々の対策をしないでは全体がもちませんよと、こういう立場で当時も御質問を申し上げているわけであります。みんなそういうふうな先行きを展望していったら、いま商社の系列に入って商社が赤字覚悟で抱えている、こういう系列のところは別として、そのほかのところだったら、あなたどうなるかわかりませんよ。ただ現に営業が継続をしているかどうかだけの問題じゃないんですか。  それは農林省としては、当然営業が確実に行われるというふうにならないと具体的なシェアの割り振りはできないのは、これは一般的に私はわかるんです。しかし、具体的に数字がどう出るかじゃなくて、一たん休業しておったって、そこにはシェア配分の権利はありますよと、これがいまの農林省立場でなきゃおかしいんじゃないですか。権利はあるけれども営業が開始をされない限りは具体的にその数字は動きませんよ、数字を見ることもできませんよと、これが正しい答弁じゃないんですか。ところが、あなたの方でいきますと、特例法第二条の規定に基づくいわゆる精製糖業者への「売戻数量等」の通知は、現実に操業を行っているか、または操業を行うことが確実であると認められる——だから、これは私は一般的にはいいと言うんです。しかし、具体的に、東海精糖は会社更生法の手続をとり、いま会社更生ができるかどうかの見通しを立てるに当たって、精糖会社ですから原糖が入らなかったらどうにもならぬというのは裁判所だってわかる。原糖が入る保証はありますかということについて、裁判所が農林省のシェア割り当てがありますかということを聞いてきているのが今日の問題なんです。それに対して、現に営業してないから営業の見通しがない限りはこれは出しませんと、こういう話は、明らかにこれは裁判権の中に一歩足を踏み込んでおることになるんじゃないか。私は、これは大変な問題じゃないんだろうか。  したがって、私はもう少し一般論と同時に具体的に、東海精糖に対するこれは調査嘱託でありますから、具体的な形の問題としてやっぱり明らかに態度をすべきだと思うんです。まあこれを取り消せなんていうような話には私はなりません。また、そんなことはできるものじゃないと思うんです。しかし、少なくとも、これがいわゆる裁判所として知りたいことに対するところの回答になっていないというふうには私はわかるわけであります。私自身としても、これは東海精糖の、たびたびだめを押しますけれども、いま更生をさせるに当たって、農林省が少なくともそれに対して協力をしなきゃならぬという従来からのいきさつと、同時に、裁判所が現にそれを審査をするに当たって正確に判断をしていきたいということについて誤りのないようにする立場からいっても、当然補足をし、私は説明を追加をすべきではないんだろうか、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  45. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) さきに回答いたしましたポイントは、お話のとおり「売戻数量等」の通知は、現実に操業を行っているか、現に行っていなくても操業を行うことが確実であると認められる精糖業者に通知するものである。東海精糖に関しては現在操業を行っておりませんので、今後関係者の協力のもとに円滑な操業が行い得ることが確実と見込まれる段階において、その「売戻数量等」の通知をすべきか否か具体的に判断をいたしますと、こういうことでございます。  この回答文について、意を尽くしてないとか、あるいは誤解をされるというようなことがございますれば、われわれとしては誤解のないように、今後の裁判所の照会あるいは更生手続の中で意見を求められたり、あるいはみずから意見を述べるということも手続上ございますので、そういうような場面におきましてそのように対処してまいりたいというふうに考えます。
  46. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひともいまお答えをいただきました一つの筋道に基づいて、いまの業界のあり方から見まして、ぜひとも農林省としてはこの救済といいますか、援助の措置をとってもらいたいというふうに思います。いまも御説明がありましたけれども一、同社の再建の条件というようなことで、たとえば金融機関等の協力が得られるだとか、あるいは一般の債権者の協力が得られるだとか、それら自体が私は裁判所が判断をする問題だと。したがって、これは法律によろうと何にしようと、同社の再建が確定になれば、当然農林省としてはシェアを与えますよということでいいんでありまして、その再建ということについて、さらにまた詳しく一般債権者の協力があって、金融機関の協力があって、そうして同社が再建をされるんならばと、こうなりますから、再建の条件に農林省自体が、局長自体が——再建の条件としては一般的にはわかりますよ。われわれだってわかるんですから、裁判所は当然そのことを調査しているわけでしょう、債権者の協力があるのかどうなのか、金融機関の協力があるんだろうかどうなのか。  これが全部なかったら、裁判所は決定できませんよ。そうでしょう。そのことの判断を裁判所がいま取り扱いをしているんだから、農林省があえてそのことを重ねて言う必要はなかろう。私はそれは裁判所の判断に任せる。そして更生法の申請があるのなら、更生計画の手続開始の決定が出れば、農林省としてはこの法律の運用に当たって東海精糖にもシェアを出しますよと、私はそれだけでいいと思うんですね。こういう資料は後に残るんです。それで足らなければ、内容が実はこうこうこういうことになるんじゃないですかというのを、これは口頭ででも私は説明をするというぐらいの、少し親切な御配慮があっていいんじゃないだろうかというふうに考えます。ぜひともそういう観点を明らかにしていただいて、いま正直申し上げて一番焦点に来ているわけですね。これは。この会社が生きられるかどうかという焦点に来ています。  しかも、御承知のように、今日は雇用問題で日本は挙げて大問題になっているときに、たとえ一つ企業でも救済ができるというか、そのために会社更生法があるんですから、更生法がゆがめて運用されれば大変なことでしょうが、少なくとも更生法の手続に基づいて裁判所が判断をして、そうして全体の合意が得られるとするならば、これは倒産をしようといっているところですから、債権者がどこまでがまんするかという、お互いの全部プラスを主張したら全部倒れてしまうんですね。これははっきりしているんですよ。だから、これだけおれのとことは権利があるけれども、分け前はあるんだけれども、それをとっちまったらみすみす助かるところもつぶしてしまうことになるから、だからがまんできるところはがまんをしましよう。しかも、再建のために金は要るけれども、その金はひとつ融通をしましょう。長い目で物を見て、そして助けていきましょうやというのが、更生法の手続開始をするかどうかの、更生計画をつくるかどうかのこれが問題点になるんです。全部債権者が自分の権利の主張だけやったら、これはもうおしまいなんです。  したがって、その権利の主張はあるだろう、原則的にはあってあたりまえの話ですから。あるんだけれども、ともかく今日の社会情勢に照らしてあなたのところもひとつ協力をしなさいよと。しかも、それが、農林省としてはあの法案をつくったときからそういう立場関係のところに口のきける立場にあるわけでございますから、そういう意味で私は、たとえば三井物産等に対しても農林省東海精糖の今日の状況、社会的に置かれた状況、あるいは雇用問題等を広く考えながら手のつけられるところについては、説得のできるところについてはやっぱり説得をしながら、少なくとも今日さらに地域的に結集をして雇用問題が悪化をする立場で発生をしないように、そういうことも踏まえて努力をしてもらいたいというふうに考えるわけであります。  そのためには、くどいようでありますけれども、この裁判所の判断というのは、大体豪側の態勢というのはでき上がってきて、肝心の原糖が入るのか入らないのか、再開をしたときに農林省としては割り当てをしてくれるのかどうか、こういうところへ来ているわけでありますから、ぜひその辺について温かいひとつ配慮というものを展開をしてもらいたいと思います。もし資本系列以外つぶれるところはつぶれてもいいんだというような話になったとすると、私はこれは法案の審議の際の審議上の立場からいって、まるっきりこれはねじ曲げられたことになるわけであります。ぜひその辺をひとつ十分に配慮をして取り組んでいただくよう重ねて申し上げて、その辺の最終的な、もうくどくいきませんから、決意のほどをひとつ御答弁をいただいて、時間が来たようでありますから質問を終わりたいと思います。
  47. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 農林省といたしましても、現在の社会経済情勢のもとで雇用の安定を図ることの重要性については十分認識をいたしております。特例法の運用に当たりまして、先ほど来申し上げておりますとおり、供給の確実な確保という面からわれわれ行政庁としても責任を果たす立場がございますので、その面での責任の遂行ということで対処しなければならないことも御案内のとおりでございまして、今後のこの東海精糖の再建については、われわれとしても前の特例法の審議当時の経過を十分踏まえまして、行政の許される範囲内のことではございますけれども、十分関係者の御意見等も聞きながら対処をしてまいりたい、そのように考えております。
  48. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 お願いします。
  49. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  50. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記つけてください。
  51. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 先ほどお尋ねのございました農林省における週休二日制の実施状況でございますが、これは第一回としましては、五十一年の十月から一年間、それから現在実施しておりますのが、今年の四月から一年間再試行に入っております。  実施の仕方としましては、前回は、一職員について見ますと、約三カ月、十二週間ずつ実施をするということになっておりまして、職員全体を期間ごとに四つの区分をいたしまして、その四つの区分が順次十二週間ずつやる。十二週間のうちに、四週間に一回いわゆる週休二日制の適用を受ける、こういうやり方でございます。今回いま再試行に入っておりますのは、前回よりは少し実施の仕方を密度を高めまして、職員全体を三区分に分けまして、一つ職員については十六週間の間四週間に一回ずつ休みをとると、こういうことでございます。したがいまして、一年間を通じますと、一職員が四回週休二日制の適用を受けると、こういうやり方でございます。  なお、この場合、前回も国有林現業職員については、実施の仕方は同じでございますが、若干期間がずれまして五十二年一月から一年間やっております。それから今回の再試行につきましては、国有林関係、現在まだ組合と当局でこの問題について交渉中でございまして、まだ再実施には入っておりません。  それから、お尋ねの中で、実施がむずかしい部門があるのかどうかということがあったわけでございますが、農林省の場合には問題点としましては、いろいろ幹部職員でどうしてもその日出てこなければならない場合、それから試験場その他で家畜の管理業務のようなものがある場合ございますが、これはそれぞれいろいろ自宅との連絡とか、代替の応援態勢を考えるということで、結果的には前回の実施におきましても農林本省ではほぼ九九%の実施、若干低いところでも九五%を大体超えるぐらいの実施をしております。  以上のような状況でございます。
  52. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昨年から本年にかけまして、日本の農業を揺り動かすといいますか、大きな問題になりました水田利用再編対策、いよいよ春を迎えまして具体的に施行ということで各地で、市町村、各種団体それぞれで実施のためにいろんなトラブルといいますか、問題になっておりまして、こういう問題について具体的にいろんな政府の見解というものをお聞きしたいと思っておったわけでありますが、本日は大臣初め政務次官その他の方々それぞれ所用があっておいでにならないようでございますので、この問題は後日にいたしまして、本日は麦作についていろいろお聞きしたいと思うのであります。  麦作についてもわが国の需要がおよそ八百万トン、こう言われておりますが、その供給量の大体九四%ですか、輸入という、こういうところに依存しておるということが言われておるわけでありますが、それだけに、国の施策としましても、農林省当局としましても自給率を上げようということでいろいろな計画を立て、そしてまた対策を進めている、このように私どもは理解をいたしておるわけでありますが、国内生産者に対しての対策はどういう施策を現在行っているか、その辺ちょっと御説明いただきたいと思うんであります。
  53. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 麦の生産振興につきましては、昭和四十九年産から例の生産奨励補助金というものを交付いたしたわけでございますが、五十一年産からはさらに水田の裏作の奨励金というものを出しておるわけでございます。特に五十二年度におきましては、麦生産振興奨励金、先ほど申し上げました昭和四十九年からついていたものですが、一俵当たり二千三百円、これを麦価に織り込んだということが一つの振興策の特徴でございます。それから、水田裏作の作付奨励金も五十二年度から五千円から六千円に契励金のアップをいたしました。そういうようなことで農家の手取り額の改善を図っておりますし、また高度麦作集団育成事業あるいは麦生産の基盤整備事業、これが五十三年ではそれぞれ三十六億、三十億という予算でございますが、そういう手当てをいたしておるわけでございます。そういう施策の強化もあって、五十二年産の麦につきましては十六万四千ヘクタール程度に伸びておるわけでございます。
  54. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昭和六十年を目指しての自給率の目標というのがございますね。それに対して、こういう現在農林省が計画をいたしました計画というものがどういう進みぐあいであるかという、その辺はどうですか。
  55. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 六十年の見通しは、作付面積で四十三万四千ヘクタール、収穫量で百四十四万三千トン、自給率が一七%ということでございますが、五十一年を見ますと、作付面積で十六万九千ヘクタール、自給率で五・五%ということで、これからいろいろな施策をしながら自給率の拡大を図りたいというふうに考えております。
  56. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いまお話しございました四十九年度に始まりましたモデル麦作集団育成事業、五十二年度から始まりました高度麦作集団育成総合対策事業、これの事業について、今後の六十年一七%の自給率を目指しての一つの大きな柱でもあろうかと思いますので、ちょっと具体的に御説明いただきたいと思うのですが。
  57. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) モデル麦作集団育成対策事業は大体ソフトの関係の予算が多いわけでございます。わが国の麦作の作付面積が非常に小さい、一戸当たり四十七アール、非常に小さいのでそういうような非常に小さいところを規模を拡大する、それから機械化による生産性の向上を図る、あるいは期間借地等を行いながら規模の拡大を図る、そういうところに目的がございまして、モデル麦作集団事業の中身につきましては、作付面積がおおむね五ヘクタール以上、北海道では約十ヘクタール以上と、そういうような条件をつけておるわけでございます。  助成の中身といたしましては、通常の場合は集団営農検討会費、これは会議費とか資料費、それから講師謝金、そういうものでございます。それから管理記帳手当、管理記帳を担当する人に対する手当でございます。それから期間借地あるいは作業受委託を実施した場合には、期間借地農作業受委託促進手当というものを出しまして、これは中核農家へいくわけですが、兼業農家等にいろいろ説明をする、そういう場合の手当等でございます。それからまた、期間借地の場合は機械施設の整備修理費あるいはオペレーターの賃金、そういうものを補助することになっておりますが、高度麦作集団も引き続きそういうソフトな面の経費につきましては同じような経費を組んでおるわけでございますが、そのほかに簡易な土地基盤整備あるいは機械の導入そのものも高度麦作集団事業では補助の対象にいたしておるわけでございます。
  58. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 このモデル麦作集団育成事業、これが四年間ですか、それからこの高度麦作集団育成総合対策事業に移るわけですね。これは、モデル麦作集団育成事業からこういう高度麦作集団育成総合対策事業に変えられるといいますか、事業の内容ですね、いまあらかたお話はあったんですけれども、この高度麦作集団育成総合対策事業というものに変えられてこういう形で進めようというには、やっぱりその根拠があったのだろうと思うんですけれども、どういうことでこういうふうな別な対策で、まあ総合対策ということですから、その中身についてはいろんな検討があったんだろうと思いますけれども、その辺はどうですか。
  59. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先ほど申し上げましたように、モデル麦作集団の方は大体ソフト面の経費でございますが、やはりソフト面だけでなしに、積極的にいろいろな、圃場の条件整備、そういうものがもっと必要であろうということで、営農排水の実施や機械施設の導入そのものに対しても補助すると。それから期間借地、これをモデル麦作集団時代よりももっとふやす必要があると、そういうようなことで、高度麦作集団でより濃密な指導ができるようなかっこうにいたした次第でございます。
  60. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 補助金ですね、これを五十二年度までにそれぞれどのぐらい出されているか、また補助金の申請とか実績報告書、これはどういうルートで行われるか、その辺ちょっと御説明ください。
  61. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 補助金につきましては、これは県を通してそれから市町村へ参り、市町村からその集団へ対して補助金が出るわけでございます、それから実績報告書も、市町村を通しまして県へ参っておるわけでございます。  それから、補助金につきましては、五十一年度が十一億六百八十五万円、それから五十二年度が二億五千八百七十九万円、五十三年度が約八千万円ということでございます。
  62. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 モデル麦作の事業に出された補助金と、それから高度麦作に出された補助金と、それぞれ年度別合計、これをちょっと言ってください。
  63. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 五十二年度で両方合わせまして三十四億程度でございます。
  64. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ちゃんと何団体で、モデル麦作は五十二年——四十九、五十、五十一、五十二年ですから、それから高度麦作は五十二年から始まったわけですから、何団体にどれだけ補助金として出したというのがあるわけでしょう。金額等は、これは調べりゃわかりますしあれですけれども、あなたの方では合計して三十四億だと言うけれども、六十三億六百万か、六十三億になるでしょう。これは国と県とそれぞれの負担割合があるかもしれないけれども、二分の一ずつの負担になっていますからあれですけれどもね。  昨年の十二月の十五日、これは群馬県の県議会でモデル麦作集団育成事業について、麦作振興のために出されている補助金が不正に使われているということが明らかになった。これは新聞にも出ておりますから、御存じのことだと思うんですが、その内容のことですけれども、実績報告書というこの報告書が、検討会とか研修会、さっきお話のように、ソフトの面が多いんだということですからこういうことが多いのかもしれませんが、こういうふうになっている。そして、集団の代表者や市長、そういう方々の連名で知事に報告が出されておる。ところが、実際は、それらの全部が全部全国洗ったわけではございませんけれども、私ども調べたところによりますと、こういう検討会とか研修会とかというこういう会合を開いた実績もない。また、新聞に報ぜられるところも、やっぱりこういう問題について挙げられておるわけですけれども、ひどいのは農民がこういう事業に補助金が出ていることも知らないと、こういうことですね。組合の幹部の一部の方々、農協の役員の方々が、検討会とか研修会という名目で飲み食いに使われておる。  こういうことが過日の県議会でも問題になったわけですし、また、これは県で半額持つことになっていますから、県費がこういうことで使われるということで問題になったのでしょう。しかし、これは県の問題じゃなくて、国としましてもこれは非常に重大な問題で、当然こういう県議会で問題になっただけに、農林省としてもこの実態についてはお調べになっていらっしゃるだろうと思うのです。これは目的外使用ということで重大な問題だと思うのですけれども、この問題については農林省としてはどういうふうにこれを認識していますか。これは問題になったわけですから、当然農林省も実態をお調べになったと思うのですけれども、どうですか。
  65. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) いま先生もおっしゃいましたように、この経費の中にはいろんな打ち合わせ会等の経費が入っておるわけでございますし、ある程度の茶果代も含めてもやむを得ないということにいたしておるわけでございますが、先生のいま御指摘のあったような内容の件につきまして、そういう事件もあったことは事実でございまして、その県からの報告は受けております。その実績報告によりますと、記載を他人に依頼してやってその中身がちょっと食い違っていたとか、そういうような事例としてわれわれも聞いているところでございます。
  66. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いずれにしましても、この補助金の適正な使用といいますか、目的に使われたかどうかということが一番問題になるわけですけれども、いま局長お話は記載事項がどうだこうだということですが、それだけにとどまらず、本来この補助金というのはもっとその目的達成のために有効に使わなきゃならないもののはずです。そういうことから、厳密に言いますと、これは非常な問題だと思うのです。一地方に起こった問題じゃなくて、これは氷山の一角、現在の農林省の麦作を振興しようというそういう意気込みはいいのですが、それに対する対策というのは非常に上滑りといいますか、まあ昭和六十年目指して一七%ということですから、相当な着実な、そうしてまた根の深いといいますか、建設的な施策がなきゃならぬわけですけれども、とにかくソフトな面を多くして、その話し合いというのも必要ないと私は言いませんけれども、しかし、これは非常に問題があると思うのです。  いろんな方々のお話を聞きますと、当初は、まあこれはもう私がくどくど申し上げるまでもない、昭和三十年代までは麦作というのは相当な自給率があったわけですから、これがなぜ急激になくなったか、その辺の問題等も考えあわせますと、これから何をしなければならないかということは当然出てくるだろうと思うのです。飲み食いに使われてもやむを得ないなんというようなそんな形で補助金を出すということは、それは少し軽率じゃないか。  いろんなお話がありましたが、その中で、どこのだれがということを一々国会の場で申し述べる気もないんですけれども、あるところでは、昭和四十九年に地域の指定を受けまして、補助金を各戸に平均約二千円を配付したという、こういう形で補助金というものが各戸に二千円ずつ配られたという、こういうところもあります。五十年度は九万四千円この地域に参りまして、五十一年は五万四千円、数人の代表と町役場の人と飲み食いしたというんです。あなた方の話だと飲み食いしてもやむを得ないという言い方ですけれども、これは本当に麦作の振興に役立つ話だったのかどうかというこれは大きな疑問です。これは四十九年、五十年これだけお金が来たわけですが、四十九年に指定を受けたが次の年は麦はつくらなかったという、こういうところもあるわけです。麦をつくるよりも野菜の奨励金の方が高いのである。で、監査は三年後の五十二年に県や農林省から来るから、忘れたころに来るので何をしたかわからないから、書状はひとつ適当につくったらどうかというような——あなた笑っているけれど、こういう実態なんだよ。  だから、これはこの県議会でたまたま問題になっただけで、私どもはあちこち行った場合、いろいろ話は聞いていますけれども、これは本当にしっかり実態の調査といいますか徹底的にやってもらいませんと、補助金行政というのはそれでなくてももう国会ではいろんな形で問題になっているわけですけれども、きょうは局長さんで、本当は大臣いたら本当にしっかりこれはもう腹わたにしみわたるように申し上げようと思ったのだけれども、いらっしゃらないから、余り大きい声上げて局長さんをどなったのじゃ申しわけないんで、言葉やわらに言っておきますけれども、これはこういう実態が現実にあるということを、深刻にひとつ理解していただきたいと思うんです。  で、会計検査院の方来ていただいていますが、実態わからないから局長はいろんなことを先ほど申しておりましたけれども、また報告書の作成に手落ちがあったというようなこともちょっと言っておりましたけれども、これは偽りといいますか、こういうさっきの申し上げた実態からしますと、偽りと判断せざるを得ないようなこういう実績報告書、こういうものをつくって補助金をもらっておるということになると、これは目的外使用ということになって公文書偽造ということになるのじゃないか。国民の税金が不当にむだ遣いされたということで、これは県議会でもそういう点問題になっておるわけですけれども、こういう事実について検査院としてはどういうふうに判断をするか、ちょっと見解を求めたいと思います。
  67. 高橋良

    説明員(高橋良君) 御指摘のありました事態につきましては実地検査をまだやっておりませんが、実地検査の際に十分検査、検討させていただきたいと思います。
  68. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 私は、せっかく善意で麦作振興に努めようというそういう農民の万々、その指導者の方々をどうしようなんていう気持ちはございません。しかし、国民のとうとい税金を一銭だってむだ遣いしてはならないという、こういう観点の上から、これはぜひ検査院としても——これはここだけのことじゃないんだろうと思いますけれども、とにかく問題になっておるところについては調査を進めてもらいたいと思いますが、まずこういう偽りの問題があったという、これはいま調査してだという話ですけれども、いまのような問題が偽りの実績報告書というものが使われておるということになりますと、これはどういうことになるんですか。それに対してはまたどういうふうに対処しなきゃならないか。検査院としては、こういう問題についてやっぱり厳格に見ていく立場にあるのだろうと思いますけれども、どうですか。
  69. 高橋良

    説明員(高橋良君) 具体的にどのような実態であるかということを見るのがまず先であるかと思いますので、その事態に応じまして私ども考えさしていただきたいと存じます。  公文書偽造というようなことがあれば、これは重大な問題であろうかと思います。
  70. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 当然、実態の掌握がなければ、それは判断つかないのはあたりまえです。私はいまここで提起したわけですけれども、これは私がいまここで初めて問題にしたんじゃなくて、去年の十二月に県議会で問題になっている。これは県が三分の一、国が二分の一持つことになっているわけですから、当然検査院としてもこういう問題については全然知らなかったわけではないだろうと思うのですけれども、こういう麦作問題については非常に疑義があるという感触といいますか、そういうことは検査院としては全然感じてなかったんですか、どうですか。
  71. 高橋良

    説明員(高橋良君) 私ども麦作の問題につきましては、やはり重大な関心を持って検査を実施いたしておりますけれども、いま御指摘の事態につきましては、正直に申しまして、実は最近知りましたような状態でございますので、本件につきましては、近く予定されております実地検査の際に十分検討させていただきたい、かように思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
  72. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林省にちょっとお尋ねしますけれども、昨年の五十二年からスタートしました高度麦作集団育成総合対策事業、この中でも国庫補助を受けて購入した機械、先ほどお話ございましたソフト面だけじゃなくて、機械も実効の上がる形でということで高度麦作の方は機械の購入というのはだんだん多くなっているわけですけれども、この共同利用ということになっているわけですけれども、実態は組合の一部の幹部が独占するとか、いろいろやっぱり問題があるようなんですね。それで、補助金の運用ということからいいますと、当然共同利用ということであれば、共同利用できるような形態でなきゃならぬわけですけれども、どうもやっぱりある一部の幹部の方が独占するような形で、そういう形があるということもずいぶんあちこちで耳にするわけですけれども、やっぱりこういうことについては適切な指導というものが農林省としても必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
  73. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先生いまおっしゃいましたように、確かにそういう機械が共同利用ということでわれわれ奨励いたしておるわけでございますが、一部について個人利用的な方法で使われていたという事態もわれわれ聞いております。したがいまして、そういうことのないように、県はそういう町村に対しましてある程度そういう指導をいたしまして、農協が実際上管理、収納しているということをわれわれは聞いておりますが、われわれといたしましても、国といたしましても、いま先生指摘のように、そういう実態のないように十分これから県を通じまして、市町村なり農協をそういう方向で指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  74. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは検査院の万、それから農林省にもあれですけれども、こういう実績報告書を作成するということで、その集団の中心者が市町村に提出し、それが知事のところへ来るわけですけれども、こういう実績報告書を作成して補助金をもらうというこういう形のものは、この目的外に使用したかどうか、なかなかこういうノーハウの面については実態というものが残らないだけに非常にむずかしいのじゃないかと思うんですね。一方では、補助金については目的外使用ということについては、これは厳重に補助金適正化法という法律で規制がされておる。ですから、目的外使用とか、またたとえ少額たりといえども予算執行に当たりましては疑義を持たれるようなことがあってはならぬ、こうなっているわけですね。ところが、先ほど来いろいろお話ししておりますように、このモデル麦作事業というのは当初からソフトな面でというお話ありましたけれども、そういう面が非常に多いということで、どちらかと言うと、こういう補助対象というのはそういう疑義が生まれやすい。事実なり実績なりというそういうものが残らないと、不明確だと、こういうことで非常に不正といいますか、後になって問題の起きるそういう可能性というのは非常に多いんじゃないでしょうか。  いまになって考えてみますと、そう思うわけですけれども、会計検査院としてはいままでずっと会計検査の歴史があっていろんな問題について今日まで取り組んでいらっしゃったんでしょうけれども、こういうモデル麦作事業のようなソフトな面を多くするというような事業、こういう問題は、やっぱり検査院の立場からいたしましても不正というか不明確な面が非常に多いということはお感じになりませんか。やっぱりこういう問題については、今後どうするかということについて、もっと厳密な検査の課題といいますか、取り組みというものは必要じゃないかと思うんですけれども、どうですか、見解は。
  75. 高橋良

    説明員(高橋良君) 御指摘のように、こういったソフトな問題につきましては非常に把握しがたい面があるということは事実であろうかと思います。しかしながら、私どもこういったものにつきましても、御趣旨を十分念頭に置きまして、できる限り努力をして実態の把握に努めたい、かように考えております。
  76. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 御趣旨に沿って云々じゃなくて、いろんな政策目的のために補助金は出されるわけですけれども、出されるときにやっぱりこういう不明確な形で物事が推移するというんじゃなくて、もう少しきちっと中の歯どめといいますか、何かなければ同じことが繰り返されるわけですからね。実際農林省としても飲み食いに使ってもいいと局長そういう話ししたんだから、みんないわんや実施する者ではそういう気持ちでいたかもしれませんけれども、しかし、飲み食いといったって単なる飲み食いじゃないはずだし、しかし検査院の立場としましては、形に残らないものであるだけになかなかそこらあたりの判断というのはむずかしいんだろうと思いますけれども、できるだけそういうものは、これは農政の話し合いの場をつくるという上においては必要なことなのかもしれませんが、もっと厳正に行われるような実態といいますか、実態に即した形、どういう形にするか、そういう問題について不正の起こらないようなものをお互いに話し合って定めませんと、同じことがまた繰り返されるんじゃないでしょうか。  そういう点で、御趣旨に沿って調査しますというんじゃなくて、今後の検査のあり方として、こういう形のものについては何かもっと具体的にこういう不明確なものが起きないような形に検討をすべきじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  77. 高橋良

    説明員(高橋良君) この補助金につきましては、収支関係につきまして帳簿を備えたり、あるいは証拠書類をつけたりするようなことを農林省として御指導なさっているようでございますが、そういった点が十分であるかどうか、私どもこういう手がかりをもとに検査を実施いたしまして、不十分であるというようなことであれば、なお農林省とよくお話し合いをしてみたいと、かように考えております。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林省の麦作振興のための施策、これはまずソフトな面から進めようという、それにしても三十何億という大変なお金を中心としましてこれは進められてきたということですが、それならば、今度のこの水田利用再編対策なんかは、これは各市町村で大変な話し合いの場をつくるために出費になっているんですね。各市町村では財源難というか、農林省で余りめんどうを見てくれないということで、大変いろんな問題が起きているところほど農民の話し合いのために超過負担というか、予想もしない、予算にも組まれてないお金が使われておる。  一方では、麦作のこういうことでもう飲み食いしてもよろしいのですという。そして、しかもそのとき話し合ったのが、おい大いにひとつ麦をつくろうじゃないかという話でなくて、やっぱり野菜の方が補助金が多いから野菜の方がいいなという話で終わったという。こういうことでは全く趣旨に沿わないものであって、もっとそういう形じゃなくて、もう少し農林省も地についた、実態に即した麦作の推進のあり方というものを考えるべきじゃないでしょうか。それと、先ほど申し上げました今度は高度麦作振興が始まる。高度麦作の方については機械の購入とかこういうものになるわけでありますけれども、これが本当にその地域の麦作の振興というものにもっと生きるようなこういう施策が強力に進められなければならぬ、私はこういうふうに思うのですけれどもね。  こういう観点から考えますと、現在のこの麦作振興の施策とかそれから補助金のあり方、こういう問題を考えますと、どうも適正でない、適正というよりも大いに検討しなきゃならぬ点があると。私が申し上げたのは一地方の問題でなくて、これは全国的な問題として、六〇年まで一七%の自給率にしようということであるならば、農林省としても相当な本腰を入れてやられませんと、これはやっぱり麦作に農家の目が向かないというのは、価格政策の面について余りにもほかの作物との差があり過ぎるというところにあるのではないでしょうか。その根本原因というものを覆い隠してどんなに飲み食いをしても、やっぱり水は高きより低きに流れるように、農家の人たちは自分たちの生活を助けるものの方に進むのは当然じゃないか。こういう点で、麦作に対する意欲は私どもは買うとしましても、現実問題としてこれはもっと真剣に検討しなきゃならぬことだと私は思うのです。局長どうですか。
  79. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、いろんな面で施策を充実しなきゃいかぬと思っておるわけでございますが、先ほど来いろいろ出ました飲み食いの話でございますが、これは茶菓代という、お酒じゃなくてお茶とお菓子という意味でございますが、そういう程度のものでございまして、しかもやはり期間借地等でやる場合には関係者が非常に多うございまして、そういう人たちの意見をまとめ上げるということが非常に重要な要件になってまいりますので、ところがなかなかそういうことを中核になって熱心にやってくれる人が見つからない。そういうためにやはりそういう人たちに何らかの手当、あるいはそういう集まってくる人たちを集めやすくする、説明も当然要りますし、そういう意味で集めやすくするという意味でのソフトの経費として組んだものでございます。  もちろん、先生のおっしゃるとおり、それが目的どおり使われないということがあれば非常にゆゆしい問題でございますので、われわれも十分ひとつそういうことのないように指導してまいりたいと思いますし、また先生がおっしゃいましたいろんな価格面での施策の検討あるいは生産自体の問題、そういう点につきましても、今後十分ひとつ検討をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  80. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 政務次官いらっしゃったからあれですけれども、大体お話聞いたと思いますが、麦作振興についていろんな施策がいま行われ、それに対して補助金が出されておるわけでありますが、この補助金のあり方に問題があるということが、過日、去年の十二月ですか、群馬県の県会で問題になっておるわけですけれども、この補助金が適正でないということになりますと、これは補助金適正化法ということによって非常に厳密に同法の適用を受けるわけです。私はこの麦作の振興を心から願う一人ではありますが、しかしこれが実際には麦作の振興という農林省趣旨とはうらはらに、やはり補助金の高い野菜の栽培をやった方がいいじゃないかという、麦作振興のために出た補助金で飲み食いをしながら、そこで話し合ったことは別なことだったということで、それは根本的には現在の麦作というものは農民にとっていかに魅力のないものであるかということの一つを示すものである。  ですから、こういうことから、やっぱり麦作には適した地域があるんだろうし、ほかの作物で十分にやっていけるところについては、何も補助金出してみたってやれないところはやらないわけですから、やっぱり地域指定とか、こういう問題についても十分に検討してやりませんと、千五百カ所今度は決めたんだからということで、ただそういうことだけで決められたんじゃ、やはり適地適作、野菜の方で十分に採算の合うところについてはこういう補助金出したからといって簡単にできることじゃないでしょう。そういうことで、農林省の麦作の振興策についてちょっと二十分ほどお話ししたわけですけれども、これは非常にゆゆしき問題だということでぜひこれは検討していただきたい。そしてまた補助金行政、補助金の適正な運用、こういうことでいささかなりとも不明確の点のないようにしっかりひとつ運用していただきたい、こういうことを先ほどから申し上げておるんですけれども、政務次官も異存はあるわけないだろうと思いますが、最後にひとつ政務次官から今後の対策、そしてまた今後に対する施策ですね、対処の仕方、こういうことについて一言御意見を伺って、終わりたいと思います。
  81. 今井勇

    政府委員今井勇君) 途中中座をいたしまして申しわけないことをいたしました。  補助金の使われ方につきましては、ただいま局長が答弁いたしましたとおり、まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、いやしくも国民の税金が不当に使われることのないよう、今後とも戒めてまいりたいと存じます。  また、麦作の奨励につきましては、先生御案内のとおり、かつては二けた台の自給率でありましたものがただいま一けた台に落ち込んでおります。いろんな理由があるにせよ、やはり大きな原因の一つが対米、要するに米価に対します価格というものが、やはり皆さんの納得を得られないほどであったということが、大きな問題であろうと思います。  そこで政府といたしましても、水田利用再編対策の重要な転換作目でもございますので、米価並びにそれに見合います麦価の決め方ということで、奨励金を生産者の価格の中に取り入れるなどをいたしまして、対米価比の修正と申しましょうか、向上と申しましょうか、心がけておりますものでございます。そういたしまして、生産者の方方にこれならやってみようじゃないかというふうな意欲をさらに起こしていただけますような価格の面のこと、さらにまた生産性の向上のための基盤の整備、その他もろもろの施策を講じまして、ひとつ先生の御期待に沿いますような努力をさらに進めてまいりたいと存じます。
  82. 三治重信

    ○三治重信君 きょうは、土地利用型集団営農推進特別事業の中に農作業機械化省力化対策というものと、それから広域営農団地育成対策、その中で広域米麦生産流通総合改善事業というのがあるんですが、この中で、特にカントリーエレベーターの設置についてきょうはお尋ねしたいと思うんですが、これが五十二年度では新規が四地域継続三地域となり、五十三年度で予算書を見ると十一カ所で、新規が二で継続九と   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 そうすると、五十二年度に新規が四で継続三地域で七カ所なのに五十三年度では継続九であるのですが、これはそうすると五十二年度ではやらなかった、五十一年前でまだ中途完成しなかったのが継続としてやるようになるのですか。それから、こういうカントリーエレベーターのやつは何年度から始めてどういう地域にこれが行われているか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  83. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) カントリーエレベーターにつきましては、昭和三十九年から国の補助事業で行われているわけでございます。地域といたしましてはもちろん米の集団地帯、そういうところが重点でございまして、それから建造費にやはり相当金がかかりますので、相当大型の農協でないとなかなかこれがつくれないということで、やはり団地として相当まとまっているところ、そういうところの大型農協に対しまして処理をいたしておるところでございます。
  84. 三治重信

    ○三治重信君 ちょっと済みませんが、いままでにこのカントリーエレベーターは何個ぐらいできているのか。ことに、いままでに三十九年度から始めていま現在このカントリーエレベーターが何カ所できているのか。それから、五十二年度に新規が四で継続が三と年次報告等に出ているわけです。それから五十三年度において新しく施行しようとするやつの中には、十一カ所と書いてあるわけです。そうすると、五十二年度は新規が四で継続が三でしょう、七。それで五十三年度では継続が九という説明になっているんですが、いままで何カ所であるかということとともに、五十二年、五十三年の四と三とこの新規、五十三年度の新規のはいいわけですが、そういう全体の概念と、五十二年と五十三年の事業計画の中身。
  85. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 五十二年度までに総計百七十九になっております。それから新規の指定につきましては、これはつくる団地を指定いたしますので、その団地の中でまた複数でこうある場合もございますので、ちょっとそういう先生いまおっしゃいましたような単純に足した計算にはならないというふうに考えております。
  86. 三治重信

    ○三治重信君 これだと、いわゆる集団的な能率を上げるというのと、もう一つは流通の関係の改善を図ると、こういうことなんですが、この中の中身で結局バラ出荷の施設をつくるというふうになっているのと、それから貯蔵、乾燥分というものをつくるようになっているのですが、どうも昨年山形のを見に行ったところのやつだと、いわゆる水田からもみを持ってきてそれを乾燥して、あと玄米にしてこれを出すだけの機能しかやっていないような気がするのですが、これで果たしてこういう生産流通の改善事業になるのか。これだけの金を通じてどういうところをねらっておられるのか、私は見たところでは趣旨がよくわからない。
  87. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、農家の刈り取り脱穀したもみを持ってきまして一次乾燥をやって、そこで水分を一七%まで乾燥して、それを収穫シーズン終了後にまたサイロから持ち出して第二次乾燥をやる、そういうようなシステムになっておるわけでございますが、やはり均質な米をバラで出荷するということが流通上非常に重要でございますので、そういうところをねらいといたしまして乾燥調製、それからバラもみで貯蔵をすると。従来のライスセンターは調製までの段階でございますが、そういうバラもみで貯蔵をいたしまして、出荷時にそれを均質な米として出荷する、そういうところがわれわれとしては流通上大切なところだと思っておるわけでございます。
  88. 三治重信

    ○三治重信君 一つは、乾燥をこういう機械を設置することによってうまくやって均質な米をつくる、これは一つの効果ですわね。それから、バラを出荷するということは、これはそうすると、このカントリーエレベーターの地区は、袋詰めで検査を受けなくてみんなバラ検査になっていますか、この百七十九カ所全部。
  89. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 食糧検査の場合、ハラ検査をやっております。
  90. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、このバラ検査をやって、それはあれでしょう、もみで乾燥をして、もみずりしてバラで出荷するときの検査になって、これはもみの検査でやるのか、玄米に調製したときの検査でやるのか、どちらになるのか。
  91. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) もみとして入ったときにもみの検査をいたしまして、それから玄米にして出荷する際に通常の玄米としての検査をやるという、二回やっております。
  92. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、そういうもみで一応検査をするということなんですが、そのもみでどれぐらい、何というんですか、貯蔵する計画というんですか、出荷を——普通のこれを使わない農家は、みんな玄米にして検査を受けるわけですわね。これだけの投資をしても、もみでやっていてそして検査をする、そうして玄米のときにもさらに検査する。これは、それが均質なやつですから、品質もよくて、後の検査をするときにも必要なことなんでしょうけれども、そのもみの検査についてこういうカントリーエレベーターのやつは全部そういうふうにして、何というんですか、出荷との調整の、一般のこれを使わない農家の出荷と、このカントリーエレベーターを使ってのそういうもみの貯蔵の検査、それから出荷の調整をどういうふうに考えておられるのか。
  93. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) カントリーエレベーターの場合のもみ検査は、大体十一月ごろから出荷が始まるといたしまして、五十一年産米の例でございますが、五月ごろまでに五八・二%、順次上がりまして八月に九六%ということでございまして、大体五十一年産は十月までかかったということで、通常の検査の場合は、大体年内に遅いといところでも検査は全部終わるという場合が多いわけでございますが、カントリーエレベーターの場合には出荷を調整することによって、玄米にして出荷する場合に検査をやりますので、検査の割合はただいまのようにかなり年度後半にずれてくる、こういうことでございます。——ただいま若干御説明を誤った点がありました。ただいま申し上げましたのは、玄米にする時期ということでございます。出荷は、農家の場合にはカントリーエレベーターに入れたときが出荷ということになりますので、そこで政府が保管をしているということになりますので、ただいま申し上げました比率は玄米にする時期でございます。
  94. 三治重信

    ○三治重信君 それで実情が、私の昨年山形でお聞きしたのと大体合っていると思うんです。で、私が特に申し上げたいのは、米の生産調整が行われる場合に、これは米の絶対過剰ということで非常な農民の反対や、都道府県の非常ないろんな抗謹にもかかわらず、農林省相当強硬に行われるんでしょうが、もう一つは、やはりこういう施設をやるからには、私は貯蔵の簡便化というものを相当考えてやられるのかと思って聞いたらば、いまもお話のとおり、大体これをつくってもその年度にまた全部出荷をしてしまうと。で、もみの貯蔵でいくと、うまいところ乾燥して均質化すると、そして出荷するときに玄米にもみずりしてから出すわけですから、非常に貯蔵手段としてぼくはカントリーエレベーターというものが利用されるのかと、こう思ったら、貯蔵手段としてのカントリーエレベーターの利用というのはほとんど考えられていない。  そうすると、結局これは水田地帯のいわゆる省力事業、いわゆる副業奨励事業になってしまって、取り入れもあと脱穀だけで、後はみんな農協に任せれば何も要りゃせぬ、全部農協がやってくれると、これに政府はえらい補助をしてくれると、こういうふうなかっこうになって、ますます何というんですか、米をつくるのは、農民から見れば、非常に簡便な安易な農作業で済ますことを奨励するようなかっこうになってしまいやしないかと思う。これを利用するからには、相当これだけの補助をし便益を与えるからこそ、そういうところにおいてはまた玄米じゃなくてもみで検査ができるんだから、それをそのまま余剰の米として二年でも三年でも貯蔵する一つの弾力化していく対策があと続いてとられなければ、ぼくは非常に過剰時代には効果がないと思うんですが、どうも貯蔵ということについてほとんど考えられていないと思うんですが、それについて将来考えるということなのか。  いままでの私の質問に対しては食糧庁は、いや、もみで貯蔵するよりか玄米で冷温というんですか、冷蔵庫で貯蔵した方がいいんだということになると、そうするとカントリーエレベーターの品質がよくなる、貯蔵もきくんだというやっと、冷温貯蔵というやっと全然別々のことになってしまうと思うんですが、これだけの金をかけてやるからには、どこでもカントリーエレベーターを相当やっていく場合には、これはアメリカで発達した制度だと思うんですが、私はアメリカのこういうものの実態についてよくは知りませんけれども、恐らく貯蔵と相当兼ねているのだと思うんですけれども、そういうことについていま一度食糧庁的な見地からの御説明をお願いしたい。
  95. 澤邊守

    政府委員(澤邊守君) 米の消費拡大を図りますためにも、品質の保持というごとは大事でございます。そこで、カントリーエレベーターの目的なり機能につきましては農蚕園芸局からお答えしたとおりでございますが、貯蔵をいたしまして品質を保持するという点につきましては、カントリーエレベーター、もみで貯蔵することになるわけですが、もみで貯蔵する場合とそれから玄米によって貯蔵する場合、しかも玄米を常温によって貯蔵する場合と低温によって貯蔵する場合と、いろいろこれまでも試験をしてみましたけれども、現在のところ玄米で低温貯蔵すると。大体四月ごろから夏の終わるごろまで、九月ごろまで、あるいは十月にかかるころまで十五度ぐらいの倉庫において低温貯蔵するというのが品質保持上は最もすぐれていると、このような結論を得ておるわけでございます。  もみ貯蔵した方がいいじゃないかと、こういう御議論もございますけれども、もみ貯蔵というのは害虫に冒されることが少ないという点はもちろんございますけれども、やはり脂肪酸がふえていわゆる古米臭がだんだん出てくるというようなこともございますし、また最近は、もみは収穫、乾燥が全部機械化されている、乾燥の場合は火力乾燥であるということでございまして、その過程におきまして昔の手刈り、天火乾燥の場合に比べまして損傷を受ける場合がわりと多いと、したがってもみ貯蔵中に品質が悪くなると、こういうようなことも最近の農作業の実態からはございます。そういう点からいたしますと、先ほど申しましたように、長期間貯蔵する場合に、品質をできるだけ優良に保っていくためには玄米による低温貯蔵が一番望ましい、こういう考えを持っておるわけでございます。  さらに、貯蔵の方法といたしましては、経済性ということも問題になるわけでございますが、もみの場合は、先生御承知のように、玄米に比べて約二倍のスペースが要るというような点も考え、経済性と品質保持と両面考えまして、玄米による低温貯蔵が最も望ましいと、こういうことで、その方法を進めますために低温倉庫の整備につきまして助成をしながらこれまで進めてきたわけであります。
  96. 三治重信

    ○三治重信君 そういう食糧庁の見解だと、生産を担当される方の、ぼくは何といいますか、確かに農作業の機械化、省力化にはカントリーエレベーターというのは非常に役立つけれども、しかしこの米の過剰時代にこういうことを、いままでつくった分はとにかくとして、これをさらに進めていってみても、確かに省力化、機械化にはなるけれども、貯蔵とも関連をしないし、それから非常に農民の何といいますか、米作を非常に安易に考えてしまって、それほど何といいますか、農作業をこういうふうに機械化していく効果と費用というものは私はむしろほかの作物に行われるべきであって、米のやつはしばらく再検討すべきじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  97. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) カントリーエレベーターにつきましては主に稲作団地中心でございまして、稲が中心でございますが、麦等についてもやはりこれを利用いたしますし、そういう意味で、いま先生のおっしゃいましたように省力化に非常に役に立っている、そういうようなことで、農家の所得の向上という面から見れば、やはり生産者にとっては非常に魅力のあるものではないかというふうに考えているわけでございます。
  98. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、麦にも使われるということになると、結局水田地帯なんですが、そういうカントリーエレベーターの地域の水田に対して麦の収穫にこのカントリーエレベーターを使う。裏作で麦作をやれば、このカントリーエレベ−ターをそのまま利用できますか。
  99. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 米と麦を一緒にまじらないように、いろいろ機械を何といいますか、掃除といいますか、何かそういう要するにまじらないようにいろいろ注意をしながら使っていくということでございます。
  100. 三治重信

    ○三治重信君 ひとつあとまた、きょうはここまでは要求しませんでしたからきっと資料が十分ないかと思うんですが、そうすると農作業の機械化、省力化や、米や麦の品質の向上には役立つと思う。私は、生産地で貯蔵に非常に役立つのではないかということで見ていたんだけれども、どうもそういうことについて一つも意が払われていないみたいなのと、それから水田というのは、御承知のように、あらゆる農業施策で中心点は米作が非常に有利だということで、米作を転換せいと言ったら米作の利益だけを補償しろというのが農民で、それを何とか補償しますというのがいまの農業政策の一つの転換をやるときの非常な予算を食っているわけでしょう。それにさらに稲作が非常に簡易な、便利なものになるように金を使うということについては、大した金じゃないかもしれないけれども、方向としては私は非常に考え方がおかしい。ただ、これをまた麦の裏作や米の水田の総合転換のために、水田の高度利用のために、麦やほかのものにこういうものも使って、そして水田の総合利用に使うんだということならまた話がわかるんですが、そういうものについてまたひとつ、あとどういう計画でおられるか、一遍教えていただきたいと思います。  終わります。
  101. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本日の調査はこの程度とし、散会いたします。    午後三時四十六分散会