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1978-04-20 第84回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員の異動  四月十九日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     丸谷 金保君  四月二十日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     浜本 万三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 坂元 親男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 浜本 万三君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農林大臣臨時代        理        安倍晋太郎君    政府委員        農林政務次官   初村滝一郎君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        林野庁長官    藍原 義邦君        林野庁林政部長  石川  弘君        水産庁長官    森  整治君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員       林野庁指導部長   須藤 徹男君       通商産業省貿易       局農水課長    篠浦  光君       労働省労働基準       局安全衛生部労       働衛生課長     林部  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○森林組合法案内閣提出衆議院送付) ○農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を政  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  森林組合法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、前回の各委員からの質問に重複をする部分が相当数あろうと思いますが、もう少し掘り下げて政府見解をただしていきたいと思います。  質問の具体的な形に入ります前に、どうしてもただしておきたいことがあるわけでありますが、質疑の中にも出ておりましたように、四月の十四日、今月十四日ですね、閣議報告をされまして了承をされたところの林業白書、この白書は、さきに成立をいたしました森林組合合併助成法あるいはいま審議を続けております森林組合法、さらにまた、今後予定をされます国有林野にかかわる法案、こうした内容について白書自体は無関係なんですか、関係があるんですか。まず、その辺からお聞きをしたいと思います。
  4. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ことし提出いたしました白書とこの法案とは、先生指摘のとおり関係は十分ございます。
  5. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 関係があるとするならば、四月の十四日に閣議決定が行われておって、そして各新聞にももうすでに概要報告をされておるわけですね。なぜ審議を行う関係の私どもに対して、白書あるいはそれを要約したものが配付をされないんですか。その辺の関係について、私は態度の問題として、ぜひひとつその辺の見解を具体的に説明をいただきたいと思います。  私は、この前の合併助成法にいたしましても、さらにはまた、この森林組合法にいたしましても、提案理由説明の中にこの白書にかかわる分野について一切説明がない。私は、これこそ、これからの方針あるいはそれを審議するに当たってきわめて重要なこの白書の位置づけが軽視をされていることと、同時に、そういうものができ上がってマスコミに報道されておるにもかかわらず、これが手元配付をされないというのは、明らかにこれは国会軽視じゃないのか、こういうふうに思うんですが、いかがですか。これは大臣答弁をひとつ。
  6. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘のように、白書を毎年度国会に御報告いたすことになっておりまして、政府で案を決定いたします。その後、国会に正規に提出をいたします期日国会の方でお決めいただきまして、その期日に各農業林業水産ということで白書をお出しする形になっております。  ただ、御指摘のように、政府決定いたしました段階でその概要等マスコミ等に公表いたしておりますので、私ども製本そのものは、まだ実は印刷等やっておりますものですから手おくれになっておりますけれども、簡潔な要約版等を、御要望ございますれば差し上げましてお読みいただくということをいたしておるわけでございます。
  7. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 林業白書閣議決定をして国会提出するわけでありますが、提出するに当たりまして、もちろん議員の皆様に御配付をいたす、そういうことになっておりますけれども、いま林政部長からお答えをいたしましたように、また林野庁長官からもお答えをいたしましたように、この白書内容につきましては、これから講じようとする施策についてももちろん書いてあるわけでありますので、この森林組合法とはもちろん関係が非常に深いわけでございます。  そういう意味におきまして、やはり審議の御参考に供するために、御要請があれば国会提出前といえどもその要約等について御配付をするということは当然のことであろうと思いますし、そういう面で政府として積極的にその内容等につきましてお話しをしていなかったということになれば、今後は気をつけて、法案との関係もあるわけですから、できるだけ審議の御参考に供するように取り計らいたいと、こういうふうに思います。
  8. 川村清一

    川村清一君 関連。  関連してちょっと申し上げますが、いまの質問に対する御答弁ですが、これは仰せのとおり、農業白書の方は農業基本法林業白書の方は林業基本法、それから漁業白書については沿岸漁業等振興法法律に基づいて国会報告されるものですね。で、報告される前に閣議決定されることは、これは当然なんです。それで、これは前々からですが、われわれがどうもはっきりせぬことは、それがもう新聞に報道されて新聞がそれを論評しているわけですね。ところが、それがこちらの方には全然出ない。いまの答弁では、要求があれば閣議報告した程度のものは出しますと、そういう軽々しく取り扱うべきものでは私はないと思う。  ですから、もっとはっきり、国会に出すとすればきちっと印刷をしたものを出さねばならぬとか、印刷をするのに相当時間がかかるといったようなことをはっきり言うとか、あるいは新聞にあれだけの論評——ただ新聞白書を報道されるならこれは承知しますわ。しかし、相当内容的にきちっと論評されているんですからね。論評されるということは、相当の資料が新聞社の方に出ているわけです。だとすれば、きちっと印刷したものは国会報告されるんですから体裁を整えなければならないけれども新聞社に渡した程度のものは、言われるまでもなく当然当該委員会には出すべきだと思います。それが当然じゃないでしょうか。その点は、はっきりここで言わなければだめですよ。そういう逃げるような答弁でなくして、これは間違いでしたと、今後はこうしますということをここではっきり言うべきです。
  9. 石川弘

    政府委員石川弘君) 閣議決定をいたします際に、国会提出をいたします日を予定をいたしておりまして、林業白書については二十日に国会提出するようにとお決めいただいておりますので、実はきょうが二十日でございますので、きょう御提出することになろうかと思っております。
  10. 川村清一

    川村清一君 もう一度言いますが、それはそれでいいんです。私の言っていることは、先ほども出ましたように、閣議報告して決定されたと、それを新聞社の方に渡したと、それからマスコミがそれを論評している、その程度のものは、新聞社に渡すと同時に少なくとも先に当該委員会には出すべきでないかということを言っているんですよ。印刷できましたからきょうは正式に国会報告します、ボックスに入れておきますなんというようなことではないんですよ。
  11. 石川弘

    政府委員石川弘君) 不完全なものになろうかと思いますが、極力早くお手元に届くようにいたしたいと思っております。
  12. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まだ私も納得できないんです、いまの答弁ですとね。それは、例年の私は白書じゃなくて、ことしは五十三年度から六十八年までの十五年間のいわゆる森林計画、これが提出をされる年なんですね。しかも、先ほどから私申し上げておりますように、民有林関係については、合併助成法とともにこの森林法、片や国有林の方は、これは国有林野にかかわる再建特別措置法、これが準備されているわけでしょう。言うなら、日本森林政策そのものについて、全体がこの国会の中に集中的に審議をされる年なんです。そのときに、今日までのいわゆる状況、さらにこれからどうしようとするかという基本的政策部分にかかわるものが、これが事前に説明もなしに、あるいは配付もなしに、そういう形の中で部分的に法案だけが提案理由として説明をされて審議をされる、ここに私は一貫した姿勢というものがないんじゃないのか。そのことを私はきちっとすべきである。  農業関係についてはきのう私どもいただきました。いわゆる五十二年度の実績と現況ですね。さらに、五十三年度に農業関係について何をするか、各部屋まで御持参をいただいているんです。林業関係、現にこれは法案審議をしておって一切それがない。どう思いますか、これは。私はそこに、たとえばこの農林省関係部分を見ましても、畜産の問題あるいは果樹の問題あるいは畑作、こうした各分野施策と考えあわしてみたときに、この森林関係がきわめて、年数でどういうふうに評価をするか別にいたしまして、一番手おくれになっている部分が私はここだと思うんですよ。その現状を踏まえて、私はいまあなた方がとられておる姿勢の問題について指摘をしておるわけでありまして、この辺の反省を明確にしていただかないと、私はこれは論議をやっていることが無意味になる。これはぜひもう少し明確に歯切れよく、しかもこれからの大道を踏まえての問題でありますから、再度御答弁をいただきたいと思います。
  13. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 閣議決定をしてそれから国会提出をするわけでありますが、形の上では国会提出をするまでは、やはり国会皆様方には、国会提出する場合に当たってはきちっとしたものにしなきゃなりませんから、形としてはやはり二十日なら二十日、十四日閣議決定、そうして二十日ということできちっとしたものを御提出申し上げなければならぬわけでありますが、いま御指摘のように、やはり法案審議が先に行われておると、そうしてその法案との関係は非常に深いということになりますれば、やはり国会審議関係もございますから、そういう際には政府として閣議決定した内容について公表をすると、内容についてレクチュアをするという以上は、国会皆様審議の便に供するために、これは積極的にその抜粋等については御提示をしても差し支えないことでありますし、またその必要もあるかとも思うわけでございますので、この点は今後十分気をつけて、国会の御審議に大いに参考となるように、便に供するために積極的な態度で取り組んでまいりたいと、こういうふうに考えます。
  14. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひ実質的にそれが役に立つように私はお願いしたいと思いますし、それからもし国会提出とのかかわりがあるとするならば、先ほど川村先生の方からも御指摘がありましたように、マスコミ関係、これは国会提出しそのことが公にされる前に、私は閣議決定だからといってマスコミに発表すること自体をむしろ考えてもらうべきだ。そうした具体的なものが何もかも、それはどこからどういうふうに掌握するか、ニュースソースの問題は知りませんけれども、少なくともそれに対して、たとえば関係をする方々意見等も踏まえて幾つかの報道がこう展開をされるわけでありまして、私はもってのほかじゃないかというふうに思う。したがって、私はぜひともそうした具体的な手段も含めて、国会審議が十分に尽くせて、しかもそこで正確に論議が行われ評価が行われて、そして何といいますか、この取り扱いがされていくようにぜひとも注意をいただきたいというふうに思います。  なおかついまの問題は、林業基本法の第九条あるいは第十条、これらにかかわっての問題でありますから、しかも森林法の四条も含めての関係でありますから、そうした根本的な課題について疑惑を持たれたり、あるいは国会軽視というふうに私が言わざるを得ないような形にならないように、ぜひとも御留意を賜って取り扱いを願いたいと思います。  そこで具体的に、前回論議の中にも出ておりましたが、林業基本法の第十条に定めております森林資源に関する基本計画、同時に林産物需給に関する長期見通し、これと森林法の第四条の一、二、三項とありますが、この各項に定める全国の森林計画というものについては、その見通しにおいて食い違いがあるというふうに認識をされますか。あるいは食い違いはない、おおむね予測をしたとおり進行しておるというふうに考えてみえますか。さらに、それと実態とのいわゆる関係、こうしたことについてどう認認をされ評価をされておりますのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
  15. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま御指摘になりました森林資源に関します基本計画、それから林産物需給長期計画につきまして、その見通しとそれから現実の問題はどうなっておるかという御質問でございますけれども御存じのとおり、最近伐採あるいは造林というものが、この立てました長期見通しとかなりの乖離をしておるということは、私たちも認識をいたしております。  その主な原因が何であるかということでございますけれども、ちょうど資源基本計画を立てました時期、四十八年でございます。四十八年というのは、木材関係のいろいろな動向を見ましても、林業関係動向を見ましても、一応戦後のずっと成長してまいりましたもののちょうどピークになっております。そういうものと、日本全体の経済がやはり安定成長に移行していくというような形の中に、ちょうどその変動期にもぶつかってまいりました。そういう観点から、ちょうどこの計画を立てました時期とそれ以降の日本全体の経済あり方推移、それに関連いたしました林業関係推移、指向、そういうものがある程度変わ  ってまいりましたために、いま申し上げましたような乖離が出ておるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  16. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、この基本法の九条あるいは十条の計画、これはそれぞれの条文の中に、そうした立てた計画見通し変化をした場合に手続を踏まえて修正をするということが法の趣旨として義務づけられているわけです。これは私は義務だと思うんですよ、法律としての。その辺の変更措置は一体どうなっているんですか。
  17. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先生十分御存じだと思いますけれども、この基本計画なり見通しというものでございますが、林業の場合には、やはり森林をいかに日本全体の国土からながめて資源的にいい森林に仕立てていくかという一つの非常に長期の目標というものを立てるわけでございます。これは、ですから考え方とすれば、経済的な問題をある意味では無視したいわゆる資源的な考え方、こういうものから長期見通し一つ立てていく、それとあわせまして一部その中に経済的な問題というものも加味せざるを得ないというふうに考えております。  そういう点で、四十八年に立てまして以降、たとえば経済計画変動、改定もございました。それから、三全総というものが昨年の暮れに出てまいりました。そういうような国全体の経済なり政策のいろいろなこれからの見通し、こういうものが立てられてきたわけでございまして、私どももいま申し上げましたように、四十八年がピークになりまして、それから部分的な確かに乖離があるというふうに認識はいたしておりますけれども、そういう全体の国のいろいろなあり方長期的な見通し、こういうものとのやはりある程度相関関係なり総合性というものは考えなきゃいけませんので、そういうものとにらみ合わせながら、どう対応していくかということを現在まで検討は進めておったわけでございます。  一方、御存じのように、冒頭申し上げましたが、森林のこういう計画というのは長期的なやはり大きな見通しの中に立てなきゃいけませんし、短期的ないろいろな変動はあるにしても、それが長期的にどうなっていくかということはある程度見きわめなきゃいけない、こういうような観点から、従前からこの問題についてどう対応するかいろいろな検討を進めておりましたけれども、いま申し上げましたように、中期の経済計画あるいは三全総というものも出てまいりました。そういう観点を踏まえまして、私どもはいま関係方面、いろいろな方面方々に御意見を伺いながら、どういうこれからの処置をしていったらいいか、所要検討は進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 検討は進めてまいりたいというのは、前回もたびたび出ているわけですね。私は、そうじゃないと思うんです。それはどういうことかと言いますと、いま長官言われますように、非常に息の長い問題を相手にしているわけです。したがって、原則的には資本主義経済のいわゆる変動の問題に左右をされないで見通しをしていくということは、本来は経済に動かされないような対策というものが、具体的にそこにきちっと打ち出されてこないと対応できないわけですね。だから、そこに私は、林業政策としての政策的価値が問われていると思う。  だから、一般的な経済に大きく左右されて、それに携わっている人がその経済に追いまくられて、一時的には大いにもうかるけれども、一時的にはもう生活も支えられないというような状況にいって、そのことによって山が荒らされたりいろいろするような形にならないように、そういう立場が私は長期基本的な見通しの立てられる原則だと思うんですね。そうして、そういう経済に左右されないような施策というものがその中に一貫して流れていかないと、私は森林政策そのものが生きてこない、原則的に。そういうふうに考えるわけですね。そういう立場でこの法案を、今日までの法案を仮にながめていきますと、私はこれは先見の英知であろうというふうに思いますが、きわめてこの林業関係についてはそういう意味では私は整っていると思う。いま言いましたような非常に長期にわたった基本計画がある。しかも、その次には十五年間の一定の期間を見通しをしながら森林計画が立てられる。しかも、その森林計画は五年ごとに見直しを必然的に迫っていくようになっているわけですね。しかも、なおかつその過程で計画変更を加えなきゃならぬような幾つかの要素が出た場合、これは手続を得てさらに変更を義務づけているわけです。  したがって、大きな基本計画に沿いながらその現状に合わせて沿っていけるような立場を、その都度その都度の幾つかの動きに見合わして修正をしつつ近づけていこうという、こういうことがこの法案の中に組み入れられている基本であろうと思うんですね。ところが、これ検討検討中で、現実変化をして大変動して大変な状況になっている。にもかかわらず、具体的にこれはこれこれこうなりますよという指摘が全然ない。私は、これは明らかに怠慢だと思うんですよ。言うなら、その責任を、全体的な経済動きに向けて逃げちゃっている。それに責任を転嫁しちゃって、本来のいわゆる山の政策というものについて放棄をしている、私はこういうことだと思うんですよ。その辺について大臣、ひとつ明確な私は政策的なところを踏まえて態度表明をいただきたい。
  19. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先に私の方からちょっと御説明申し上げておきたいと思いますが、いま先生指摘のとおり、林業は確かに長期的な見通しというものを立てまして、それに基づいて計画的に施業するなり森林経営をしてまいりませんと、木材資源としてのいろいろな問題も発生いたしますし、国土保全なり環境保全なりいろいろな問題がございます。したがいまして、御指摘がありましたとおり、やはり長期のものを見通しまして、そういう一つの大きな長期ビジョンに立ってそれぞれ計画を立てていくということが筋であろうというふうに考えております。私どもそういう意味から先ほど申し上げましたように、この計画というのは、非常にそういう意味から資源的なこれからの日本森林をどう仕立てるかという大きな昭和九十六年までの見通しを立てまして、これはある意味では経済的な問題あるいは財政的な問題を無視した一つ資源的な施策として立てておるわけでございます。したがいまして、そういうものが本来現実の問題としてやはり経済的な経済変動なり国全体の政策変更変動なり、そういうものでどうしてもその辺がぶれてくる場合がございます。  その場合に、いま先生から、私どもの非常に怠慢であるという御指摘を受けたわけでございますが、私どももこれをただ傍観しておるわけではございませんで、やはりこういう九十六年までの施策を盛りましたときには、やはりそれぞれの森林のたとえば切り方は何年ぐらいにしたらいいだろうかとか、あるいは造林はどう進めたらいいだろうかという、そういう大きな基本的な考え方から成り立っておるわけでございますが、現在のように、日本木材需給そのものが当分の間やはり外材によらざるを得ないという事態もございます。それから、日本全体の最近の木材の価格が木材住宅建設量によりまして短期的な変動を非常にするというような問題、これも過去においてはそうつかみ得ない問題でもございました。  そういう点を踏まえまして、さらには先ほど申し上げましたように三全総は昨年の秋に出てまいったわけでございますし、そういうもろもろの国の施策をその中に織り込みながら、林業基本的な先生が御指摘になりました考え方の上にやはりある程度そういうものを盛りまして、計画というものは立てていかなくてはいけないであろうということから、ただいま申し上げましたように私ども所要検討を進め、これに対してどういう基本的な考え方でこの長期見通しというものを考えていくかということに真剣に取り組んでおる最中でございます。
  20. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私、まあ前回村沢委員の方からも指摘をされていますように、いまのこの日本森林の保続培養というこういう観点からいきますと、いま長官が言われましたような形が具体的に反映を、直接責任を持ってやれるというのはこれは国有林ですよね。ただ、そういう全体の方針に対しては、いわゆる民有林ですね、いわゆる民間協力を具体的に得ていかなきゃならない。その民間協力を得ていくという立場からいきますと、各県が具体的な県に見合った計画、これを林野庁のいわゆる林業政策に基づいて計画が提起をされる、そして協力体制というのは一致して進んでいくんですね。そうしますと、少なくとも直接それを指導し、山にぶち当たってそうして見てきた感覚と、民間のこの協力を求めていく統一した形というのは、これはもう大変な私は責任を持っている。直接どうしろという話は、これは指導としてはできても動かすことはできませんね、協力を得ないと。こういう形になっているわけですよ。  それだけに、基本的な私は計画施策、こうしたものが重要視をされる、こうなっておると思うんですね。それが、いまいろんなむずかしい条件があるから検討するんだ検討するんだと、こうなっているわけでして、少なくとも私は政治あるいは行政という立場からいきますと、幾ら頭の中に描いて、あるいは口で物を言っておりましても、具体的なあらわれ方としてそのことが示されていかないと、あるいは実行されていかないと、私はこれは政治ではないし、あるいはまた行政ではないと思う。そこが、こうやって論議をしていますと、基本的にそう食い違わないし、考えていることについてそう間違ったことはないと思うんですね、私ども。ところが、実際行われていく形からいきますと、そこまで一貫したものになっているかどうかという、大きな食い違いを私は意識をせざるを得ません。その辺をもう少し重視をした形で、ただ考えている、検討していると言うんじゃなくて、早期に私は実施に移せる措置というものを明確に約束をしながら進めていってもらいたいというふうに思うんです。その辺はいかがでしょう。
  21. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先生の御指摘のとおりだと私も思います。そういう意味から私ども先ほどいろいろ御説明申し上げましたけれども林野庁におきましても、これからの林業をどうあるべきかという基本的な問題を検討する場を、本当にそれは林業専門家ばかりでなくて、いろいろな各界の方々に広くお集まりいただきまして、林業基本問題の検討会議というのを昨年末に開くことにいたしまして、昨年の秋以来すでに四回でしたか、実行いたしております。そういう中で、いま先生の御指摘になりましたようなことを含めて十分検討し、できるだけ近い機会に方向を見出して対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 確かに、いまいろいろと御指摘を受けましたような問題が存在していることは事実であろうと思います。林野庁長官先ほどからも御答弁申し上げましたように、やはり長期見通しというのは、資源的な立場に立って長期的な計画を立案するわけでございますから、その基本的な形というものは、私は路線というものは変わらない。  ただ問題は、経済情勢の変化に応じまして、やはり経済、財政等の制約というものがおのずから短期的には生じてくる。そういうことがやはり林業施策の上にもいろいろと問題が生じてまいりまして、路線そのものの大きな流れというものは変わりませんけれど、短期的にはいろいろの変化というものが起こってくることはやむを得ないと思うわけでありますが、そうした点につきましては、いま長官から申し上げましたように、やはり林野庁としても十分検討を加えて、調整すべきところは調整をして、そして長期見通しというものが最終的に実現をしていくということに対して力を尽くしていかなきゃならぬと思うわけで、決して責任をなおざりにしておるということではなくて、林野庁林野庁なりに全力を尽くして、そういう長期的なものと短期的なもののギャップをどういうふうに調整をしていくかということでいろいろと検討を加えておるわけでございまして、いろいろと御指摘された点は十分踏まえてこれからも善処してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  23. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひ先ほど長官からも、あるいは大臣からはどうもはっきりしたお答えをいただけなかったようでありますが、出ておりましたように、原則として経済変動に目を奪われて、そしてそれに対応することに余りにも急で、基本が置き去られてしまうことのないように、ぜひその辺を整理をし、そういう形に林業政策は何があるかという視点を、集中的に私は御論議いただけるような形に持っていってもらいたい。そうでなかったら山はだめです。  山が荒れてしまう問題が提起をされるというのは、もういまから十五年も前から論議をされているわけですね。大変危ないという指摘はありました。先ほどピークは四十八年だと、こういうふうに言われておりますが、私はそうじゃないと思う。予測をされておったんですが、されておったことが急激に来ただけです。それだけに、私はもう少しきちっとした基本的な何といいますかね、発想をぜひとも転換をさしていただいて、見直してもらいたい。経済に振り回されることのないようなそういうものが基本に据えられていかないと、私は大変なことになるという御指摘を申し上げておきたいというふうに思うんです。  そこで、五十二年の十二月の五日、森林組合制度等検討会、これが提出をいたしました報告書、これを見せていただきましたが、この中に指摘をされておる事柄を私なりにきちっと理解をいたしていきますと、森林林業現状というものは今日重大な危機に直面している。この前の質疑の中でも、長官みずからの口に危機という言葉も私は聞いております。そういう危機に直面をしているという判断というものは、政府全体として共通の、いわゆる山に対する危機意識というものを政府全体共通して認識をされておるんだろうかどうだろうか、ここを大変私は心配をするわけです。政府全体ということになれば、これは予算にかかわる大蔵省も含めて、当然これは一番最初の質問に返ることになると思いますが、林業白書報告をされて、そしてそれが閣議決定されたということは、私はすでに政府全体の山に対する認識というのは統一をされた、こういうふうに見るわけでありますが、その辺を再度確認をしておきたいというふうに思うんです。そして、そういう危機意識というものについて受けとめるとするならば、危機を招来をしたいわゆる主要因、これは一体何なのかという点について、もう一度柱を立てて、整理をして説明をいただきたい。
  24. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林業の戦後推移してまいりました過程を見ますと、戦後非常に復興いたしました森林、山が荒れておりましたので、非常にそのために災害も出ておりました。そういう意味から治山治水緊急措置法等も制定され、そして林政の中心課題は、早く山を緑に包まれた健全ないい山にすることであるということで、積極的な造林に取り組んできたわけでございます。そして、その造林が非常に進んでまいりました一方、今度は経済の復興という形で木材の需要というものが非常に年々ふえてまいりまして、三十年代から四十年代の初めにかけまして、木材の需要というものが非常に急激にふえてまいりました。  ところが、御存じのとおり、日本の山は非常に気候、風土的に造林に適している国土でございますし、造林は相当進んでまいりましたけれども、やはり戦後植えたものが中心だということで、国産材で国民の需要を満たすわけにいかないという大きな事態が出まして、木材価格が非常にその時期には高騰したこともございます。そういうことの対応のために外材を輸入するという施策がとられまして、三十年の中期以降外材が年々増加して入ってまいったわけでございまして、これによりまして、やはりある意味での国民の住宅建設等には相当私は役に立ってきたというふうに考えております。ところが、四十年に入りまして、御存じのとおり今度は環境保全あるいは自然環境保全、生活環境保全というような問題が出てまいりまして、森林の持ついろいろな機能というものをより以上発揮しなければいけないという問題がございました。そういう木材生産と森林の公益的機能をより発揮できるような森林林業施策というものが要求されてまいりましたのは、四十年代の中以降であろうというふうに考えております。  そういう中で、一方山村の状況を見ますと、山村はやはり年々林業労働力が減ってまいりました。そういう関係で、山村におきます林業労働力の減退というのはずうっと続いてまいったわけでございますが、最近に至りまして、その労働力もある意味では質的な変化は大分ございますけれども、二十数万という形で一応ここ数年推移しておるという実態でございます。こういう観点の中で、今度は日本経済がやはり安定成長という形で大きく変わってきた。それに対しまして、やはり木材需要というものがそんなに伸びてこない。ところが、外材は従来どおりの形で入る傾向にあると。この辺に、大きなやはり問題が発生いたしております。  一方、戦後植えました造林地がちょうど間伐時期にまいっておったということ。昔は間伐材というのは、御存じのとおり、丸太のままでいろいろなものに利用されておったと。最近は代替材が出ましたので、そういう利用が非常に不可能になった、むずかしくなった。これをどう対応していくか。やはり間伐をしないと真に活力のある山ができない、これが非常にやはり大きな問題であると。そのたどってくる原因を見ますと、やはり木材の需要が、冒頭申し上げましたような経済の安定からそう大きな伸びが今後は期待できない。安定的な伸びに対してどうしていくか、それに対して輸入をどうしていくか、こういう需給の問題。需要供給の関係をどうしていくかという大きな一つの問題と、一方、山をよくするために間伐なり保育をしていかなければならない。そして利用できるものは利用しなければ山村の経済の一助にもならない、この辺をどう利用開発をしていくか。そしてまた、担い手対策をどうしていくか。これらの問題が私は一番大きなこれからの課題でもあろうと思いますし、そういう観点から、やはり現時点では非常に困難な局面に現在当面しておるというふうにわれわれは理解しておるわけでございます。
  25. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 今日の現状の問題を、戦前あるいは戦後を通じてながめてみたときに、一番主原因というのは、これは戦中にあるわけでございますが、いわゆる木の成長ということを無視をした乱伐、これが第一ですね。したがって、いま御説明がありましたように、戦後の植林によってそうして日本森林をこれからむしろよくしていくと、こういう形になっておる。ところが、資本主義の法則が働いて、今日の経済事情の中でその目的がうまくいかない、こうなっておると思うんですね。これにはいわゆる山村の経済的な問題、労働力の問題、こうしたことが一貫して取り巻く状況として悪影響しておる、こういうことに相なろうというふうに思うんですが、そうした主要因に加わって外材の問題が提起をされてきた。したがって、今日の状況では、それを具体的に修正をし直していくような形に最大限の努力というものが払われていかなきゃならない、これは今日の時期ですね。もちろん、いまお話しがありましたような間伐材の問題等もあります。  私どもの方でも、間伐材の問題でいきますと、たとえばいまから大体十五年、二十年ほど前に、三十円ないし四十円で苗木を植える。植えたのが、今日間伐をしなきゃならぬほどに育っている。ところが、間伐材は一本切ってきて、切り出して町まで持っていって千円なるかならないか。しかも、少し先が曲がっているだけで、これはもう質が悪いということではねられてしまうという状況がある。一体その間何をしてきたんだろうかというのが、現実に携わっておる人々の感覚としてあるわけですね。  そういう状況を今日引き起こしておるわけですが、それらについて一つずつ詳しくお聞きをしていく時間はありませんが、この前の十八日の当委員会の質疑の中に、これは代理大臣の御答弁の中にあったんですが、秩序ある外材輸入という、これが行われればという話であります。これを行うという表現になっていないというふうに私は見ておる。まだ議事録が出ておりませんから、正確には申し上げられないと思いますがね。したがって、その辺の歯切れは、行われればということで、どっかでそれを行ってくれればということで主体性がない、これが一つ。しかも秩序ある外材輸入というのは、一体この秩序とはどういうことなのか、この具体性が全然わからぬわけです。だから、そういう点からいきますと、この問題をひとつ明らかにしてもらいたいというふうに私は思うのです。これは林野庁としての責任立場で、この辺を明確にしていただかないと私は困ると思う。  で、統計的に見ていきますと、四十年の段階では外材の輸入率というのは二八・六%、これが四十五年になりますと五五%に一挙にはね上がっている。四十八年には六四・一%、こういう数字になっているわけでございます。五十二年の見通しはたしか六五・八%、もうこれは結論が出ていると思いますが、こういう状況下にあるわけでありまして、しかもこの質疑の中では、大体三五%程度にしたいというふうな表明があったというふうに思うんですが、これは需要拡大で調整をしていこうというのか。パーセントですから、数字が具体的にあらわれていませんから私はお聞きをするんですが、たとえば需要拡大によって外材の占めるパーセントを下げようということなのか、あるいは需要見通しから、この需要供給の関係からいきまして、外材の輸入数量自体をこれを減らしていこうとすることなのか、この辺をひとつ明らかにしていただきたいと、こう思うのです。
  26. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) まず最初に、秩序ある輸入が行われればということに対して御質問ございましたけれども、これはまあたとえば五十二年の外材の輸入状況を見ますと、五十二年冒頭ある程度景気が回復するのじゃなかろうかという先行き見通しがあったために、前半、上半期は外材の輸入がふえております。ところが逆に、景気がそう十分回復しなかったということもありまして、五十二年の下半期になりますと、その辺がずうっと鎮静化されまして、年間を通してみますと、前年度とそんなに違わない外材の輸入がされております。こういう短期的にある意味で秩序がないと言っては語弊がございますけれども、もう少し安定した輸入の仕方、そういうものが考えられるべきではなかろうかということ、そういうものがあれば、昨年の価格の変動あり方ももう少し変わってきたであろうというような気がいたします。そういう意味で、これからの外材輸入については、私どもは秩序のある外材輸入ができるような行政指導を強力に推してまいりたいというのが、私たちの現在の考え方でございます。  そういう考え方に立ちまして、じゃあ外材輸入と国産材との比率を三五%とすることについてはどう考えるのかというお話でございますが、現在の私ども見通しておりますのは、これからの需要と申しますか、五十三年を見ましても、需要につきましてはそう大きな変動はないであろう。したがいまして、それに対応します国産材がどのくらい出てくるかということ、これを都道府県で調査いたしました数字がございます。そういうものから、国産材がどのくらい出てくるであろうということを想定いたしまして、全体の需要量からその国産材を引いた残り、これを外材で賄うべきであろうということで、外材の輸入量というものの見通しを現在立てておるわけでございます。したがいまして、私どもとすれば、そういう見通しに立って外材の輸入が適正に行われ、必要あるような形で輸入されれば安定していくというふうに考えておりまして、そういう指導を今後してまいりたい。  さらには、短期的ないろいろの変動もございますので、いままでは主として一年間の見通しを年に一遍程度改定しておりましたけれども、その辺については、さらにきめの細かい対応をしてまいりたいというのが私たちの考え方でございます。
  27. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、外材のいわゆる輸入規制もあり得るというふうに私受けとめたのですが、そうすると、今日のこの仕組みの中で外材の輸入を規制をするそうした措置、法的な措置でありますが、これはどこにあるのですか。
  28. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 私がただいま御説明いたしましたのは、一応立てました需給計画に対して外材輸入がそれに見合った形で輸入できるような行政指導をしてまいりたいということを申し上げましたので、いま先生が御指摘になりましたような調整的な一元輸入をしようということではございません。と申しますのは、十分御存じのとおり、現在ガット等を中心にいたしまして、世界では貿易拡大という方向に動いておりまして、アメリカ、カナダ等々を中心にいたしまして、日本に対して木材の買いつけという姿勢も強いわけでございます。そういう世界情勢の中で一元輸入を図るということは、これはきわめて妥当ではない、適切ではないのではなかろうかというぐあいに考えております。  しかしながら、それではどうするのかということでございますが、先ほど申し上げましたように、従来は一年間の見通しの中で年に一度程度見通しの改定は行っておりましたけれども、もっとそれを四半期の単位ぐらいな需給計画を、さらに情報を細かくとりまして、そのための情報の収集ということにつきましてさらに密度の高いものを考える。さらには、在庫がどのくらいになっているかということ、この在庫の問題についてももっとメスを入れていくということ、こういうことから需要との関連をにらみ合わせまして、四半期の需給的なものをもう少しきめ細かくつくり、そして今度は、輸入されたものがどうなっているかという把握の中で、次の四半期なり四半期のあり方等について強力な行政指導をしていく、こういう形で業界の御協力も十分得なければいけませんし、最近の情勢を見ておりますと、やはり全般的にはそういうものの中で、すべて調和のある中で木材産業というものは生きていく方がベターであるという考え方が一般的になってきておりますので、十分御協力はいただけるというようにわれわれは考えておりますけれども、そういう指導の中で対応してまいりたいということでございます。
  29. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 どうも少し歯切れが悪いんですが、いま何も措置はないわけですね。そうすると、林野庁として輸入業者に対してのこの程度にしてもらいたいという願望ですね、これが行政指導と、こういうことになるんです。ただ、農林省の場合は、米の生産調整じゃありませんけれども、行政指導でもペナルティーを科すことを平気でやるわけですから、これは林業につきましてもその辺のことをやるならやるということになるんでしょうけれども、この強い行政指導というのはどれだけの効果があるとごらんになるのですか。商業ベースで全部取引を国際的であっても行われるわけですから、もうかりさえすれば商社は遠慮なしに入れてくるんでしょう、もうかりさえすれば。いまその辺が国際的にもいろいろ問題があって日本が攻撃をされている、これが現実じゃないですか。そうしますと、いまの強い行政指導という問題がどこまで具体的に実効が上げられるのか、こうした点についてきわめて私は危惧を感ぜざるを得ないのです。この辺いかがでしょうか。
  30. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) これはこれからやる問題でございますから、先生指摘のように、絶対大丈夫かと言われますと、この辺は必ずしも絶対と私ども申し上げるわけにはいかないと思います。  ただ、過去におきまして、アメリカから非常に素材丸太が入ってまいりまして、アメリカとの関係が非常に問題があったことがございます。そのときにも一応一千万立方という一つの線を引きまして、林野庁が中心になりまして対応した事態もございます。そういうことで、いまアメリカとの丸太の輸入というものは、大体一千万立方が基準になりましてアメリカから入ってきておるという実態がございます。そういう過去の経緯もございますけれども、私どもはこれからはやはりそういうことをやりませんと、これからの林産業はもちろんのこと、日本林業そのものにも大きな影響があるということは重々頭に置かなければいけない。そういう気概えで対応いたしますので、私どもとしてはもうできる限りの対応をしながら、需給が秩序あり安定的に外材輸入がされるような努力を積極的にしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 関連してお伺いしますが、農林省は昭和四十八年に木材の備蓄機構をつくったですね。この備蓄機構というのは、その後どういう機能を果たしているんですか。この当時は木材が不足したから、こういうふうに備蓄機構をつくったけれども、最近はだぶついているわけですね。一体どのくらいだぶついているのかというのを把握していないでしょう、外材なら外材が。一体木材備蓄機構というのは、なるほど足らないときには備蓄するけれども、余ったときにはどういうことになりますか。あるいはそのときの価格はどうなんですか。
  32. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のございましたように、四十八年から九年にかけての大暴騰を機会に穀物——これは飼料用穀物でございますけれども、大豆、木材について備蓄をやったわけでございます。木材の場合は、その後、実はむしろ価格低迷期に入っておりまして、備蓄がそのまま高騰時に働くという形では一度も動いていないわけでございます。ただし、ある種の更新をせざるを得ませんので、これは例の米ツガのベビースクエアというものでございますが、これの若干の更新売買等をやっておったわけでございますが、最近の事情を見ますと、材価低迷にさらにそういう拍車をかけるおそれもないわけではないということもございまして、実は最近は売りをとめております。売りをとめまして、むしろ備蓄機構が極端に、これは価格安定機能と申しましても、逆に値を冷やし過ぎては何にもなりませんので、更新売買もとめまして、何と申しますか、備蓄機構が逆目に働かないようにということをやっております。合板等につきましても若干持っておりますが、合板も同様の事情でございますので、これは更新の販買等は可能であろうかと思いますけれども、備蓄機構が材を放出することによって、かえって国内における材価を低迷させ過ぎないようにという配慮をむしろ払いながら運用しているわけでございます。  ただし、この問題は、こういう住宅着工が非常に急増をする可能性があります場合には、やはり過去の経緯から考えましても全く心配がないと言い切れるものではございません。御承知のように、四十七、八年の大暴騰のときには、やはりその前の四十六年あたりに在庫を非常に減らしておりまして、在庫が急減したところで住宅着工が急増してきた。それで一挙に放出できなかったということがございますので、やはり備蓄機構はそれなりの機能を果たすべきものと思っておりますが、ただ、大豆あるいは飼料作物と違いまして、いわゆる大豆、飼料作物は流動混合保管という方式をとっておりまして品質低下の心配はございませんが、木材につきましては、やはり余り長期に保存いたしますと品質低下をする。そのために大きな負担があってもいかぬという問題がありましたり、あるいは外国産の木材、これは大量に入れられるというと、外材しかありませんが、外材を原料とした国内びきのものを備蓄しておるわけでございますが、そういうものへさらに国産材というようなものも加えられないかどうかとか、いろいろ過去の二カ年の経験によりまして反省すべき点もございますので、五十三年度の運用からは、そのようなことも含めた新しい備蓄のやり方をどうしたらいいかということを現在検討している最中でございます。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 いま林政部長答弁があったんですけれども、いわゆる木材備蓄機構は価格の高騰したときに作用するだけでなくて、むしろ外材が入って下がったときもやはり何らかの作用をする、あるいはいまお話しがあったようなことですね、四十八年にこの機構をつくったけれどもその後作用しておりませんから、新しいこういう視点に立って、備蓄機構がせっかくあるんですから何かやるべきだと思いますが、やりますか。
  34. 石川弘

    政府委員石川弘君) 備蓄機構が果たしております中で、いま一番実は評判がいいと言うとおかしゅうございますが、期待されておりますのは情報機能でございます。非常に外国における情報等についても的確に把握をしておりまして、私は現段階ではこの情報機能の充実というのがまず第一に考えられると思います。  それから、いま御指摘のたとえば余ったときに買って保管をしたらというようなことがございますが、これは何しろボリュームが大変バルキーなものでございますから、一定のもの以上のものを持ちますには、大変な財政負担が要るというような事情もありまして、たとえば下がりましたときの買い出動というようなのは、なかなか実はむずかしいわけでございますが、そういうことも検討の課題とはなっておりますけれども、実現するには相当の問題があろうかと思います。特に、品質低下問題をよくこなしておきませんと、ほかの要するに大豆だとか飼料穀物のような流動混合保管方式がなかなかとりにくいものでございますから、その辺の検討をさらに詰めました上で、このせっかくの機構でございますから、もっと動きができますように十分検討していきたいと思っております。
  35. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ぜひいまの関係は、さらに効果的になるように、期間的なものもありますから、先ほどのお話じゃありませんが、いつまでも検討じゃぐあい悪いですから、ぜひひとつ十分に充実をしていってもらいたいと思います。  そこで、少し視点を変えて御質問を申し上げるわけですが、林業関係の労働者といいますか、就業人口の推移を見ていきますと、三十年にはおおむね五十六万人。これが、外材輸入が急激に増加をしてまいり、そしてまた、それによって市場が混乱をし始めました四十六年になりますと、おおむね十七万人。いまやっと持ち直しておおむね二十二万人ですか、というふうに数字を見ておるわけですが、これはもう間違いありませんですね。——肯定をされていますから、大体それでいいんだろうと思うんですが、これからの就業人口の推移についてどう推定をされていますか。もしその推定があれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  36. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林業労働人口数でございますけれども、これは総理府の労働力調査、これによりまして私ども統計をとっております。これは三十年代ではそれらが余りございませんでしたので、大体三十七年からとっておりますけれども先生いま御指摘になりましたように、三十七年から四十六年の間、十年間に三十八万人から十七万人に確かに減っております。それからその後十七万で大体下げどまりまして、いま先生がおっしゃいましたけれども、二十万、二十万、二十一万、二十二万という形で一応横ばいなり微増といいますか、そういう形で推移してきております。こういうことを考えますと、ここ当分の間はある意味では、内容的には老齢化が進むかもしれませんけれども、大体このくらいの数字で推移するのではなかろうかという気はいたします。ただ一方、新規参入者が非常に少ないという問題もございます。したがいまして、遠い将来のことを考えてみますと、傾向としては少々減少ぎみに推移するのじゃなかろうかというふうな推測を立てております。
  37. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、これからの就業人口を大体二十二万ないし二十三万ぐらいで推移をしていくとして見ましたときに、民有林の占める保続培養というこういう課題に対して、これで十分だというふうに御判断をされますか。いかがでしょうか。
  38. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 正確な数字を私どもいまのところまだ出してはおりません。しかしながら、いまこれからの林業を考えますときには、やはり基盤整備を相当していかなければいけない。たとえば林道が非常についてないところもございますから、したがってそういう林道投資あるいは集材機その他を使いました機械化、それから作業仕組みの改善、こういうものを盛り込みまして、これからの民有林の行政の中でこういうものが、こういう労働力でこれからの造林なり伐採なりやっていけるような考え方で、私どもとしても対応してまいるというふうに考えておりますが、問題なのは、やはりこれからこういう林業労働力を安定的にそれぞれの山村に定着させ、そしてまたあわせまして後継者を養成するということは、これからの林政推進の一番大きな柱の一つでもあるというふうに考えておりますので、さらにこの問題につきましては重点的な課題としてとらえ、私どもとしてもこれに対する施策については十二分な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  39. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、その労働力をいずれにしても定着をさしていく、こういうことが大原則になるわけですが、そのときに、今日の社会情勢の中でそれを定着をさせていく一番大きな課題が私はあろうと思いますね。で、今日この労働力の現状をながめてみたときに、この山林、さらには林業労働者がきわめて高齢化の現象をたどっておるわけですね。これは国有林でも一緒のことです。これはまあ定員法その他の問題がありましょう。ところが、それに縛られない民間でも、私はやはり高齢化の現象というのはどこへ行っても目につくわけです。そうしますと、森林を抱えておる今日の状況は、おおむねその地域全体が山で飯が食っていけるのかどうか、ここに大きな基本がある。ただ単に、労働者をよそから連れてきてそこで働かせるということではないはずでありまして、そこで家族を含めて生計を立てられるのかどうか、このことが基本的な私は問題になろうと思うんですね。そうしますと、いまの山林あるいは林業の形で果たして一家が支えられていくのかどうか、ここの手当てはこれでいいのか、この辺についてのお考えはいかがなものですか。
  40. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生が御指摘になりましたように、林業労働力というのが量的にはある意味で横ばい傾向ではございますけれども、質的に非常に高齢化しておるということは先生の御指摘のとおりでございますし、私どももこの辺については十分関心を払わなければいけないというふうに思っております。  そこで、林業のこれからのあり方でございますけれども、やはり私どもとすれば、これからの林政を進める観点に立って、長期的な視点に立ちまして、成長力の高い活力ある森林資源をまず着実に整備しなきゃいけないということ、それから先ほども申し上げましたけれども、国産材供給力の強化を基本としながら安定成長経済の中で木材需給の安定を図るということ、これが大事であろうというふうに考えておりますし、それから先生もいま最後に御指摘されました、地域の特性というものをやはり十分生かしまして、それぞれの林業経営の育成とその近代化を図っていかなければいけないだろうというふうに考えております。  そういう意味も含めまして、五十一年度から中核林業振興地域の対策事業というのを進めております。これはやはり、これから林業の中核的な地域になるであろうという地域を町村単位に少し広目にとりまして、数カ町村まとめてとって、そこを、林業を中心にし、あるいは他産業との絡み合わせを含めたこれからの林業施策計画を町村中心に立てていただく、その中には人の問題も考え林道の問題も考えた、それぞれの地域のこれからの林業の行き方というものの計画を立てていただく、こういう中で、いろいろな現在国が考えております助成策を集中的に投資していこうと、こういうことで地域の実態に合った林業の中核的地域を育てていこうというのを進めております。こういうことによりましてそれぞれの地域の特徴を生かした林政の推進、林業の推進ということは先生の御指摘のとおり必要だろうというふうに考えておりますので、こういう問題については私どもも真剣に取り組んでおり、今後とも対応してまいりたいというふうに考えております。
  41. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いま、わが国の国土のおおむね六〇%、これが森林山野、そのうちこの森林の六八%、大体これに当たります千七百二十万ヘクタール、これがまあ民有林ということになっているわけですね。その民有林の特徴というものは、国有林と対比をしてみたときほとんどが里山ですね。私はここに大きなポイントがあると思う。したがって、いま長官が言われましたように、労働力の確保、同時にそこで生計ができていくような施策というのは、里山であるがゆえにその特徴を生かし切って、言うなら地域全体がそれでもって生活のできる、町村全体がそれでもって発展ができる、こういう対策というものがぜひ講じられていかないと、私は幾ら口で労働対策だとかいろんなことを言ってみたって役に立たないと思うんです。  そこで問題になりますのは、今日の社会情勢でありますから、少なくとも経済性がその施策によって支えられるという原則がなければ、いわゆる現金収入も含めてそこで得ていける、ここにおれば一家を含めて生活ができる、こういう現状にならなきゃならぬと思うわけです。ところが、今日の具体的にあらわれておる形は、依然としてまだ過疎化の現象というのはとまっていないわけですね、山林部においては。学校は閉鎖をされて、そして併合されてしまう。学校がかわっていけば、それにつれて親も二緒についていく。こういう形にどんどんどんどん変化をしているわけです。これを食いとめなきゃ、私はこれは山の対策にならないと思いますね。そうしますと、そういうような重要性あるいは具体的な今日の日本の全体のあり方の問題からながめていって、私はここに大きな責任というものを林野庁は抱えていると、こう思うんです。  しかも、これは林野庁で抱え切れるものじゃない。全体の協力がなければ、そうした課題については達成ができないだろうと思います。もちろん当該市町村は真剣です。ところが、真剣な要請その他が、これが予算事情で幾つかぶっちぎられていくという今日の状況です。ぜひその辺につきましては、もっともっと私はこれは農林省が——農林省の内部ででもけんかしておってもらっては困るんですから、全体がやはり協力をし、関係の省庁にも働きかけをし、その辺の実情については政府全体の統一した見解のもとに対策が総合的に組み立てられていくように、ぜひ私は努力をしてもらいたい。この辺はひとつ初村次官にお聞きをしたい。
  42. 初村滝一郎

    政府委員(初村滝一郎君) ただいま非常にごもっともな林業に対するお考えのお示しがあり、また林業の部落に対する考え方と、特に子供が学校を余儀なく転校すれば当然家族も引っ越していかなければならないという実情を切々と訴えられたわけであります。  そういうことを考えますときに、最近においてわが国の林業というものは非常に厳しい情勢下にあるということは無論わかっておるわけであります。したがって、林業生活の活発化を通じて、森林の持つ多面的機能の高度発揮に対する国民的要請にこたえる必要がありはしないか。そしてまた、林業者の生活の安定と、社会的、経済的地位の向上を図る必要があるというような考え方を持っております。  そこで、長期的視点に立って成長力の高い活力ある森林資源を着実に整備することが必要である。また、国産材供給力の強化を基本とし、かつ安定成長経済に即した需要の安定を図らなければならない。あるいはまた、その地域地域の特徴を生かして、林業経営の育成とその近代化を図ることが絶対必要である。そのためには、何はさておいても造林計画的な推進、林道網の整備と林業生産基盤の整備を図る必要があります。またあわせて治山事業の推進、保安林の整備等公的機能の拡充を図る必要があります。そして林業構造の改善と、これまた担い手の対策の強化を図らなければならない。そして、あわせて木材需給、価格の安定と流通、消費改善対策の強化、全般にわたる施策を強力に推進していくという心構えを、国全体が考えていかなければならないと確信をするものであります。
  43. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 その辺は、いま言われたことは、強力なぜひひとつ体制で進めてもらいたい。  この前の委員会の際にやりとりがありましたことに関連をしてもう少しただしておきたいんですが、人工造林面積の関係であります。里山薪炭林が、今日、統計でいきますと七百万あるいは八百万ヘクタール、これが放置をされたままに実はなっておるわけですね。もし違っておりましたら、指摘をいただきたいと思います。これは労働力不足、資金不足、こういう形であるわけであります。ところが、放置をされたままになっておる形の中で、今日人工造林面積、これは民有林だけ入っていますから、そういう形の中で造林面積が三十六年、この一年当たりの面積なんですが、二十三万三千ヘクタール。ところが五十年になりますと、十七万ヘクタールにざあっと下がっているわけですね、一年間の人工造林が。森林計画でいきますと、大体年平均二十四万六千ヘクタールぐらいを平均の造林面積として認めているわけですね。そういう状況の中で人工造林を進めていくのには、私は大変今日無理があるんじゃないか、この森林計画というものがですね。しかも、先ほどの御答弁にありましたように、労働力といいますか、これはまあまあおおむね横ばいの状況になっております。  こういうことから考えていきますと、前の委員会の際に、全国でこれから人工造林の可能な土地は全体で幾らかという質問に対しまして、おおむね三百万ヘクタールという御答弁があったと、こう思っております。そうしますと、年間の人工造林をやっていく能力と、それから、これからの三百万ヘクタールに達する予定のところとのつり合いを考えていきましたときに、ちょっといまの形のままではなかなかこれは不可能であるし、そのままに放置をしておくと、経済的にも、あるいはまた森林の持ついわゆる公共の立場からいきましても問題があり過ぎるんじゃないだろうか、こういうふうに思うんです。これは何らかこれを解決していく手段というものをお持ちなんでしょうか。
  44. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 最初に、日本のいわゆる里山薪炭林七百万ヘクタールというお話ございましたが、これはいろいろな統計のとり方によりまして厳密な把握がむずかしいわけでございますが、実は私ども森林計画の面で把握いたしておりますのは、約四百万ヘクタールというふうに把握いたしております。その中には、今後天然林のままで施業するものもございますし、保安林もございますし、その中で先般の御質問に答えましたのは約三百万ヘクタールが技術的に造林可能地であるということを申し上げておるわけでございます。  そこで、御指摘のとおり、大変これらの地域に対します造林がむずかしい状況になっておるわけでございまして、先般も申し上げましたとおり、造林しやすいところはほとんど造林が終わって、いろいろ問題のあるところがむしろ残っておるというのが実態でございまして、やはりこれらの造林可能地をいかに造林をしていくかというのが非常に大きな課題でございます。この前も申し上げましたように、やはりこれらの対象林地に対しまして林道網の拡充でございますとか、あるいは作業道を拡充するとか、いろいろな基盤整備をまずやっていく必要があるということでございますし、また入会林野等で非常に権利がふくそうしておるところにつきましては、権利の近代化をやっぱりやっていくということがまず必要でございます。  また、私どもがいま強力に推し進めております、いわゆる個人の森林施業計画、むしろ零細な所有規模に対しましては、一流域を団地といたしました団地共同施業計画というようなものを作成をしてもらいまして、そこに強力なてこ入れをしていこうということも一つの方法でございますし、またいまの造林補助制度を十分に活用していく、たとえば作業道を入れるとかいろいろな方法がございますが、そういう方法も活用していく、あるいは現在林分改良事業というのをやっておりますが、これも低質広葉樹林地帯を対象にしてやっておるわけでございますが、いわゆる将来とも広葉樹で残す山については択伐等によって広葉樹の山を仕立てていこう、あるいは早急に人工林に変えるべきものについては林分改良事業の作業道を入れたり、機械を使ったり、そういうものに助成をいたしまして進めていく。そして、人工林化を図っていくというようなこと。それから、労働力の問題につきましては、ただいま御審議いただいております森林組合法案森林組合の中の作業班の育成強化というようなことを進めていかなければならない。  もう一つ重要な点は、これらの薪炭材が利用されなければこれは伐採ができないわけでございますから、最近のようにチップの市況が非常に軟化をしておりまして、なかなか利用できないということではこれは困るわけでございまして、やはりそういう利用の対策を今後強力に進めていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  45. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大体構想としてはわかるんですが、実現可能であるかどうかという立場からいきますと、いまの御答弁について大変私はやはり危惧を感ぜざるを得ないのです。たとえば一番最後にお答えになりましたこの利用拡大をどうやっていくんだろうか、口で利用拡大というのはたびたび出ますんですが、具体的には一向に進んでいない。これはもう大変なことなんですよね。ですから、それらについて専門的に私は今日の産業構造を抜本的に見直して、そういう形の中での具体策を早急に堅持するなんというような、そういうところまでお考えはないでしょうか。たとえば、そういう考え方が提起をされながら私はいまの説明を聞けば、まあまあ納得ができるんですね。しかも、先ほども提起をしますように、統計のとり方その他の問題もあるでしょうが、いずれにしても、三百万というこれから人工造林をやっていかなければならぬという点では一致をしておる。  そうしますと、いままで民有林で人工造林をやってまいりましたのが、これは政府資料によりましても七百九万ヘクタールですから、そうすると三百万を置きかえてみますと、まさに四二%にも当たるわけですよね、これからやろうとしていることはいままでやってきたことに対して。そうしますと、私はそうしたいろいろな施策の問題もあるけれども、これは民間に任しておいて果たしていいんだろうかどうだろうか、ここにひとつ基本的なものとしてやはり考えざるを得ません。これは先般村沢委員の方からも指摘をしましたように、民有林造林の推進という立場からいきましたときに、いわゆる国営の分収造林制度というものについて、もう少し強力にこれを導入をしていくという形というものがやはり加わってこないといかぬのじゃないかというふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  46. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま指導部長から御説明申し上げましたように、民有林につきましてただいま拡大造林そのものが、過去に比べますと量的に減ってきておるということは事実でございます。  それにはいろいろな原因があるわけでございまして、その原因を私どもとしてもやはり取り除くことを考えていかなければいけないと考えております。また、取り除くための必要な施策というものを私どもも講じなければいけないというふうには考えておりますが、一方、現在の造林の推進状況を見ておりますと、いわゆる保安林につきましては公団によります保安林の水源林造林、こういうものが量的にこれも少しずつ落ちたことは落ちてまいりましたけれども、ある一定の量計画的にこう進められておる。一方、都道府県に御存じのように公社というものがそれぞれ設置されておりますけれども、公社造林というものもある程度計画的に進んできておるというふうにわれわれ見ておりますし、全体的にこういう分収林によります造林推進というものが、分収造林法律ができまして以来、当時考えました計画に対しまして、その計画に対しては相当な進度で進んできておるという実態がございます。  そういう意味で、これからの民有林造林の推進につきましては、いま先生もいろいろ御指摘ございましたけれども森林組合の作業班を強化することによりまして森林組合のそれの経営の発展と同時に、やはり地域の産業の発展あるいは労働する方々の地位の向上というものを、やはり私どもとしては図っていく必要があるであろうというふうに考えておりますし、そういう観点から造林というのは進められていくのが中心になるのじゃなかろうかというふうに考えております。そういう意味から見まして、いま先生がおっしゃいましたような国営の分収造林制度でございますけれども、ただいま衆議院の方で御審議いただくことになっておりますが、これについては私どもとしてはもう少し慎重な検討が要るのじゃなかろうかという気がいたしております。
  47. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、いま長官お答えになりました中でも、いわゆる作業班の強化、これはもうもちろんこの森林組合法に絡んで論議をされるところですが、この作業班の強化をしていくという立場は、先ほども少し御質問申し上げましたように、非常に高齢化をしている現象の中で、具体的に挙げていきますと、むしろ後継者づくりをどういうふうにしていくかに道筋というものが、ちょっと短絡的に私申し上げておりますが、なると思うのです。そうしますと、後継者をつくっていくのに今日まで余りいい成果が出てないというふうに私は評価をするんです。その辺の後継者づくりを具体的に促進のできるような施策というものは、今日一体何と何があるのでしょうか。
  48. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 後継者の問題でございますけれども、御指摘のように、これからの林業を推進するためには、やはり人づくりなり担い手の確保というものが大きな問題であることは先生の御指摘のとおりでございますし、私どもといたしましても、やはり後継者の養成確保ということを一つの命題にいたしまして、過去におきましてもそれぞれの対応をしてきたわけでございますが、その一例を申し上げますと、まず基本的には、林業の知識の普及なり技術の向上ということを中心にいたします都道府県に置いております林業専門技術員あるいは改良指導員というのがおりますけれども、こういう者が中心になりまして、それぞれの地域の技術林家の育成あるいは林業の組織化、共同化というものに対応する推進をやっておるわけでございます。  こういう普及組織を中心にいたしました林業経営者、従事者の育成ということに対応いたしまして、昭和四十七年度からは、各都道府県に林業技術実習指導施設というものを設けております。こういう整備を促進することによりまして、それぞれの林業技術の向上、あるいは合理的な林業経営の推進ということを図ってまいろうということでこの助成を進めておりまして、これからの林業を担います後継者の養成確保のためには、またそのほか一方では、青年の山というものの山づくり、これも昭和四十三年度からやっておりまして、そういうことを通じまして、後継者が林業に対する意欲増進を図ってくるような施策を講じておりますけれども、さらに五十三年度からは、中央、県あるいはそれぞれの町村で、それぞれの立場で後継者対策をするような対策も講じております。こういうことを、いままでも努力してまいりましたけれども、いま先生の御指摘もございましたように、やはりこれがこれからのそれぞれの地域におきます林業の担い手でございますので、こういうものにつきましても、私どもも従来に増して、この面については鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  49. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私は、第一の課題というものは、森林事業が持ちますいわゆる公益性の問題をきちっとやっぱり認識をする人ということが、まず第一の条件であろうと思います。しかし、公益性といいますか、社会的使命感、これだけで飯が食っていけませんから、そのことを十分認識をし、それにこたえ得るようないわゆる経済性、まずこの条件というものが満たされてこないことにはいけないと思うんです。もちろん、技術もこれは当然大切な要素であります。これは先ほども申し上げましたように、私は、そういう意味から言って、家族の生活も支えて、しかも一般の労働と比較をしたときに大変な労働にもなってまいるわけです。そうしたことにこたえ得るような一元的な経済性を保障していくということが根本にありませんと、私は後継者は、幾ら後継者後継者と言ってみましても育ってこないんじゃないかと、こういうふうに思うんです。  しかも、このことは、ちゃんと法律的に明確に国の責任として決められているわけですね。たとえば、基本法の第三条にはっきり出ているわけです。一項から六項までありまして、特にいまの問題に直接かかわるということになりますと、五の技術的林業経営と技術を身につけた者の養成確保、こういうふうになっていますが、この者を養成をしていくのにきわめて重要な要件というものが必要になる。これが近代社会の問題であろうと思うんです。ですから、そういう意味幾つかの施策をされるのはいいんですが、形の上での問題じゃなくて、具体的に飯の食えるようなそういう経済性というものについてさらに焦点を当てて、私はやっぱりやってもらわなきゃならぬ。この辺はどうでしょう。自信がおありでしょうか。
  50. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほど来御説明申し上げておりますけれども林業の実態を見ますと、それぞれの地域で現在の山の構成状況は大分違っております。したがいまして、たとえばすでに伐採可能な森林から植えたばかりの山、われわれは法正林と申しておりますけれども、それに近い一つの形をなした森林が、山がその地域にあるところは、いま先生がおっしゃいましたような公益的な機能を追求しながら、経済性をやはり備えつつ、それぞれの形でそれぞれの地域の林業振興、地域振興がなされておると思います。  これから問題なのは、戦後植えましたまだ若齢の森林が非常に多いところ、こういうものを中心にこれからどうしていくかということ、これが伐期な森林になるまでの問題が非常に私どもとしても問題ではなかろうかと思います。そういうところにつきましては、ただいま、たとえば入会林野等でございますと、その近代化のために農林業を一体にした近代化ができる方途も考えておりますし、また特産につきまして、ことしは相当予算的にも充実したつもりでございますし、そういうところでは、毎日毎日の日銭と申しますか、現金収入があるような特産事業をあわせて振興していく方途、こういうことも考えておりますし、それからもう一方、農林一体開発というようなこともいま農林省全体では考えております。地域によりましては、やはり農業林業が一体になってこれから経営していく、地域の産業として維持されるということもございます。  そういう施策も農林省全体では考えておりますし、そういうやはり単発的ではなくて、いま先生もおっしゃいましたけれども、総合的ないろいろなものをまとめてそこに集中してやっていくと、こういうことが必要ではなかろうか。そのために、先ほど説明いたしました中核林業振興地域、そういうものは、そういうところに指定されたところに国のいろいろな助成策を集中的に通していこうという形で今後この地域の成長を図ろうというふうに考えておりまして、御指摘されましたとおり、そういう振興について私どももやはり重点的な一つ施策として今後これをさらに進めることに努力してまいりたいというふうに考えております。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 関連。  いま坂倉委員の後継者問題についての質問に対して、長官、いろいろな施策を行っているという答弁があったのですけれども林政部長にお伺いいたしますが、後継者育成のために林業改善資金の後継者資金がございますね。これが、なかなか内容が厳しくて適用がしにくいんですよ。たとえば、御承知のとおり、これは後継者グループの構成員でなくてはいけない。しかも、このグループは五人以上だと。研修を受けるのも、三カ月以上は出なくちゃいけない。複合経営ですか、これも五人以上で、同時にやらなければいけないというわけですね。グループというのはありますけれども、しかも、広範囲なブロック別のグループはないわけですね。小さな村においてグループをつくったけれども、五人以上でなくちゃ講習を受けても金も貸せないとか、複合経営も同時に五人以上やらなければいけない。いろいろやりたいと思っても、実際この規定の対象にならない。そういう問題がたくさんあるんです。  私もそのことで陳情を受けておりますけれども、もっとこんなのを緩和して、せっかく貴重な後継者をつくるのですから、全部が利用できるようにすべきだというふうに思いますが、どうですか。
  52. 石川弘

    政府委員石川弘君) 後継者資金、御承知のとおり、無利息の資金であるということから大変要望の多い資金でございます。御承知のように、農業改良資金等につきましても、できましてからいろいろと制度の内容を充実しまして、貸し付けの対象なりあるいは運用の仕方を緩和してきておるわけでございますが、まだ、できまして非常に短い期間を経過しているものでございますので、いま先生から御指摘のような個別の運用としまして、地域の実態から見て必ずしも十分じゃなかろうという御指摘のものもあろうかと思います。  内容等につきましてはよく考えさしていただきまして、そういう真に後継者を育成するのに必要な場合には、貸し付けを受けられるようにやりたいとは思っておりますけれども、何せ資金枠等に相当制限がありまして、思い切って伸ばしてきてはおりますけれども、どちらかと申しますと、要望の非常に強い資金でございますので、無利息資金にありがちな何といいますか、利用面で乱に流れるということがあってもいけませんので、その辺のこと等も十分勘案しながら考えさしていただきたいと思っております。
  53. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 四十三年の森林法改正のとき、それから四十九年の同じく森林法一部改正のときに、このときにそれぞれ附帯決議が行われているわけです。この附帯決議の中で見ていきましたときに、いまお話の出ています後継者含めてでございますが、いわゆる林業労働者の労働環境についてこれを改善を図っていくように特に注文がつけられておりますですね。これについての施策というのは、今日まで具体的にどう行われてきておるでしょうか。また、これから残されておりますいわゆる改善すべき重点課題というのは一体何だというふうに柱をお立てになっているか。この辺、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  54. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま御指摘になりました法律の改正のときの指摘事項でございますが、その中の林業労働に従事する者の福祉の向上、養成及び確保という御指摘がございます。  これにつきまして、四十年代からやってきたことをちょっとかいつまんで申し上げますと、四十年につきまして、まず労働力の需要動向を調査いたしております。この調査をもとにいたしまして、これからの林業の労働就業者対策をしていこうということで、まずその調査を始めております。そして、四十二年には、安全衛生関係の施設の取得に対します助成を内容といたします林業就男体制整備促進対策という事業を始めました。それから、四十五年からは、一定の日数以上の就労者に国、県、市町村等の助成によって森林組合作業班員等に奨励金を交付いたします林業労働者通年就労促進対策、俗にもち代と言っておりましたけれども、こういうものを四十五年からやりました。それから、四十九年には、模擬訓練施設等の導入を促進いたします振動障害緊急対策を始めております。それから、五十年度からは、安全点検パトロール事業というものを設けまして、安全点検を十分にして安全対策を講ずることをいたしております。それから、五十一年度からは、主要対象地域につきまして労務改善推進員を配置するということにいたしまして、労務の改善促進を図るということに努力いたしております。それから、チェーンソーの作業時間を二時間以内にするための合理的な作業仕組みを策定いたし、そしてそれを普及するための作業仕組み改善促進事業というものをその年にやっております。それから、五十二年からは、チェーンソーの作業員に対しまして特別教育訓練の促進事業というものをやっております。さらに、御存じのとおり、ことし、五十三年には、予算に林業の就労実態に適応いたしました特別退職金共済制度というものが適用が早目にできるような対応をするということで、その促進対策を実施することにいたしております。  以上、いままでやりましたものを具体的に列挙したわけでございますけれども、こういうことで、昭和四十年から五十三年度までの林業関係の労働関係の予算を見ますと、四十年度に千二百万でございましたものが五十三年度では四億六千万という形で、相当私どもとしては努力したつもりではございます。
  55. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 なお、重要性にかんがみてぜひとももっとやはり強化をしていただかないと、具体的にはまだまだ困っていますよね。この現実といいますか、実態はやはり的確につかんでもらいたいというふうに、私は特にこの問題について要望をしておきたいと思います。そういう形が、先ほどから論議をしております後継者づくりに対して大きなウエートになってくるというふうに思います。使命感から言って当然魅力が持たれるような事業分野ですね、労働の分野、これを達成をしていけるように、ぜひともお願いをしておきたいと思います。  そこで、いままでずっと質疑を続けてまいりました現状認識の上に立ちまして、今回提案をされております森林組合法、これは前回成立をいたしました合併助成法の中で、現在の森林組合の基盤自体が非常に強弱が多いし、格差があるし、しかも他の産業と比較をしたときに、大変今日見劣りがしておくれているということは事実です。そういう状況からこの基盤を大きくしていこう、強大なものにしていこう、こういう形になって合併助成法があり、それが相当な私は効果を上げてくるだろうというふうには期待をするわけですが、そういう期待は持ちつつも、政府としてこの森林組合法が今日の状況に合わせて施行されていったときに、どれほどの価値観といいますか、法案自体に期待をするものか。この辺のポイントはどうなんでしょうか。ちょっと御説明をいただきたい。
  56. 石川弘

    政府委員石川弘君) 森林組合の単独立法問題につきましては非常に長い経緯がございまして、関係なさっておられる森林組合関係者の方も大変期待が大きかったわけでございます。こういう法案の成立ということと同時並行的に、組合としましても刷新運動をずっと続けられておるわけでございますから、そういうことと今回の法制度の改正というもの、これは単に法制度だけではございませんで、制度の改正に対応した組合関係施策、あるいはその背後にあります森林林業のための国のいろいろな施策と相まつということになろうかと思いますが、私はやはりこういう制度を改善をいたします機会に、組合自体がその持ちます使命の重要性にかんがみまして、組合における活動を十分やっていただくということ。われわれもそれに対して積極的な援助をやるということによりまして、やはり相当の効果を期待しているわけでございます。特に大変苦しい時期ではございますけれども、逆に申しますと、七割の幼齢林を持っているということは、仕上がり途中の資産を持っているわけでございますので、これからの過程で、かつての先進的な組合が歩いた道を今後歩く可能性があるということでございますので、そういうことを期待しながら、十分法制度の実施に努力していきたいと考えております。
  57. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そこで、そういう期待をしつつということになりますが、森林組合のいわゆる形態といいますか、他のたとえば農協だとか漁協等と比較をしたときに非常に基盤が弱いわけですから、これを匹敵をするような形にまで上げていく、こういう一つの期待があるわけですね。そういう期待で大体農林省あるいは林野庁がながめてみまして、現在現存をするいわゆる森林組合の中で、大体この程度のところまではやってほしいな、言うならばこれは青写真といいますか、これがあるだろうと思います、想定されるものが。そうすると、現在ある森林組合の中で、たとえば天竜の方のいつも模範だというふうにされております森林組合、これ等と比較をしまして、現在満足をすべき大体基盤を持っているなと思うのが、今日ある森林組合の中で何%ぐらいになるのだろうか。しかも、それに近づけていくのに指標として出されていくいわゆる指導の方針なんですがね、この辺と、到達をしていく課題についての描き方、この辺をちょっと御説明をいただきたい。
  58. 石川弘

    政府委員石川弘君) 合併助成法の際に、非常に形式的ではございますけれども一つの形としまして、森林の面積で約一万ヘクタール、あるいは払い込み出資の一千万、あるいは役職員の七名ということを申し上げましたですけれども、これはあくまで一つの形式的基準でございまして、いま先生の御指摘のたとえば竜山の森林組合のような、これは支配面積自身はそう大きくございませんが、あの組合の場合は人工林化がたしか九〇数%、九二、三%まで進んでおりまして、しかも林齢が非常に平均化しまして、法正林とは申しませんけれども、非常に形の整った林業を背後に持っている。その形の整った林業を背後に持ちまして、それに対してあの場合は特にいわゆる森林組合労務班を巧みに活用しまして、しかも林業以外にもその労働力を配分をいたしまして、非常に周年的な雇用ができる形であの経済活動をやっているわけでございます。  私どもやはり模範と考えておりますのは、そういう仕事が断続するような形、これは人工林化のプロセスでは当然あることでございますが、そういう仕事が間断なくあるような、そのためにはその地域で行われます林業の生産活動を一貫して扱えるようなこと。それからもう一つ大事なことは、やはり組合と組合員との関係で利用関係が円満な、したがって基本的には組合利用をみんなしていただくという形、さらにそのもとをなします組合員の労働力が完全燃焼できますような、これは林業だけに限りませんで、今度も法案にお願いしていますようないろんなその他の仕事も含めまして仕事が円滑に回転できるようなもの、そういうようなものを一つの理想の姿と考えておりまして、いま先生どれくらいあるかという御指摘でございますが、残念ながらいまの人工林化がこういう段階ではなかなか一〇という台には申し上げにくくて、数%の組合がようやくそういうものに達しているということしか言えないわけでございます。  たとえば、販・購買でも、五億を超えるという水準になりますと一割ないわけでございますから、非常にそういう点では数は少のうございますが、そういう先進林業地域にはすでにそういう模範があるわけでございます。山の状態によりまして里山の組合あるいは奥地の山村の組合というので形態も違いましょうから、私どもいま申し上げました幾つかの先進的な事例をよく分析いたしまして、それを似通った地域あるいは似通った発展段階のところに示すことによりまして、一日も早くこういう先進的な組合に比肩できるようなものを数多くつくっていくというように指導していきたいと思っております。
  59. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 昭和五十年の統計しか私手元に持っていないんですが、森林組合のこの動き方が一体どうなっているだろうかという立場で調査をしたものがあるわけですね。それによりますと、たとえば常勤役員、それから専従職員、これのない組合というのが相当数あるわけですね。多いところでも一人−三人、こういうふうになっているわけでありまして、大変いま言われておりますように、きちっとしたひな形が見やすいところにないというのが、今日の一番問題点だろうと思いますね。そうしますと、少なくとも森林の多い各県の中で一つぐらいはやはり見本になるようなものが、これは先ほど長官のお話じゃありませんが、政府あるいは県の援助を集中して効果的に、がんばればこうなるんだという、それはもちろん指導者も見つけ出さなければなりませんし、それに頼れるような人も配置をしなければならぬと思いますが、そういう形というのは今日急がれておるんじゃないでしょうか。  全国的にながめまして、まあまあ大丈夫だなと思われるのが六つぐらいの組合では、規模の大きい少し基盤がしっかりしているなと思う組合が六つぐらいしかないというんじゃ、これはちょっとやっぱりなかなか見本にならないというのが現実じゃないでしょうか。その辺に、私は大きな一つの手段というのをやっぱり見つけてもらって、それの実現に向かって最大の努力をしてもらいたいなと、こう思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  60. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先ほどから申し上げておりますように、三十年ごろからの人工林化が戦後の人工林の主力でございますものですから、どうしてもそういう地帯ではなかなか継続的な形で業務を拡大するという余地が少なかったという事実がございます。その後、御承知のように、合併その他の形でそういう仕事の場も通年的にずっとあるような形の指導もしてきたわけでございますが、御指摘のように、約三分の一の組合については非常に弱体だということをかねがね申し上げているわけでございます。いま私が二けたないと申しましたのは、かなり有名な組合でございまして、結局、有名な組合にはそういうモデルということになりますか、非常に見学者も殺到するというような現状は、そのモデルの数が少ないということの一つの見本かと思います。  御指摘のように、各県におきましてもやはりそれなりの発展の可能性を持った組合があるわけでございますので、極力そういうものの数を多くしまして、その地域地域で、あの組合をモデルにしていこうじゃないかということが言えるように、そういうものの数をふやすように、先ほど長官が.申し上げました中核林業振興地域などもそういうことを考えてつくったわけでございますので、そういう努力を続けていきたいと思います。
  61. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 私どもの県をながめてみましても、今日森林関係で町あるいは村全体が生活をしていかなきゃならぬというのが相当数あるわけですね。ところが共通して言えることは、そういう町村につきましては、ともかく町財政自体が今日の状況の中で大変もう苦しい状況になっている。実際には町を支えている、村を支えているその産業基盤はそれしかない。ないにもかかわらず、現実にそこでの収益が上がってきませんから町としての財政がもたない、村としての財政がもたない、こういう結果になるわけです。それが各人にはね返りまして、先ほども話が出ましたように、どんどんと都市部の方へ人口までも移動してしまう。ますます困ってくるという状態。  かてて加えて、代表的なのは、私どものたとえば紀和町というところがございますが、ここなんかでは、いままで石原産業の紀州鉱業所という鉱山の関係がございましたので、辛うじて森林とその鉱山によって町が運営されていた。それが最近の経済事情が影響しまして、その鉱山自体が銅の鉱山ですから、国際銅価が低落をするということで採算がとれなくて閉山をする。閉山をいたしますと、たちどころにそこに働いておった労働者、家族、またそれを相手にしておりました町の商店自体が全部閉鎖をしなければならない。結果的には、そこで生活ができませんから町へ出ていくという運命をたどっていくことになる。そうしますと、残されました林業自体も、あるいは山林労働者自体も、そこに生活ができないという現状に立ち至っている。こうなりますと、自分の生活の問題が出てまいりますから山どころの騒ぎじゃない。しかも現金にすぐならない。こういう状況になりますと、もうそこはまるっきり死の町になってしまう、こういう状況がたちどころに想定をされてくるわけですね。  しかし、現実にそこがダウンをしてしまったら、その下流地域の町村にどれだけの被害をもたらすのかということを考えますと、そこに今度は鉱山が仮になくなったにしても、今度は森林を中心にした町づくりというものが急がれていかなければならない、こういうことになるわけです。そうした社会的なウエートというものが現実問題として、今日の厳しい経済情勢であるがゆえに特に問題が提起をされてきているわけでありまして、ぜひともそうしたかかわりの中でこの森林組合法が急速に生かされていくための、さらにこれを盛り立てていくだめの、政府のいわゆる施策というものが具体的に行われていかなければ効を奏さないんじゃないか。しかもそれは、大体言いますように、いま検討していますとか、いま相談をしていますとか、こういう形じゃなくって、一つ一つ具体的に、生き物ですから、直ちにこれだと思われる手当てについてやはり思い切ってやっていく必要があるだろうと、こう考えているわけでございます。ぜひその辺の態度も含めて、ひとつ決意のほどを最後にお伺いをいたして質問を終わりたいと、こういうふうに思います。
  62. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生から現実の生々しいお話を伺いまして、私どもも確かにそういう地域があろうというふうに思います。そこで、ただいま御審議いただいております森林組合法を中心にいたしまして、それぞれの地域の林業なり、あるいは地域の発展というものが図れるような私どもも努力をしていかなければいけないということは痛切に感じておる次第でございます。  ただいま林政部長の方から御説明申し上げましたいろいろな地域の実態がございますが、たとえば静岡県では、昨年全国の森林組合の方々に集まっていただいてシンポジウムを開催しております。そういう形で、非常にいい効果をあらわしていると私は思っております。したがいまして、先生も御指摘になりましたけれども、今後そういう各県の森林組合の役員の方々あるいは林業を経営する方々が、それぞれその地域においてどうやったらその地域の林業なり地域振興に役に立つかということの御努力を精いっぱいしていただくと同時に、私どもも国の立場でやるべきことにつきましては十分な対応をしながら、これからやはり日本国土の三分の二を占めます森林の維持、管理、経営については十分な対応をしていく必要があろうと思いますし、また、それによりまして、国土の保全なり環境の保全が十分に図れるような努力をしてまいりたいと考えております。
  63. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  64. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  森林組合法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  65. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最初に、提案理由説明の中から二点お聞きをしておきたいと思いますが、説明の中に、「森林林業の果たす役割りに対する国民的要請は、今後とも一層増大するものと思われる」、また「その広範な役割りへの制度的対応を図るとともに、」とありますけれども、この「広範な役割りへの制度的対応を図る」ということは、具体的に言ってどういうことなのか。現状説明と今後の施策について御説明をいただきたいと思います。
  66. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合につきましては、先生十分御存じだと思いますけれども森林所有者の共同的な協同組織としてのあり方として、農協やあるいは漁協と同じように、組合員の共同の利益の増進を指向するものであるということは、これは言うまでもないわけでございますけれども森林組合の場合には単なる協同組合という、協同組織ということだけではなくて、森林が持ちますいろいろな公益機能でございます国土の保全とか、あるいは水資源の涵養とか、さらには環境保全、保健休養、こういうものに対します公益的な機能を森林が持っておりますから、そういうものに対します森林資源の維持増進の担い手としての役割り、これがまた森林組合に課せられた一つの大きな役割りでもございます。こういう二つの大きな役割りを持つというところで、森林組合の役割りは非常に広範な役割りになっているというふうにわれわれ理解いたしておりまして、こういう情勢の中で、ただいま森林あるいは林業を取り巻くいろいろな情勢というものが厳しくなっておりますし、また、山村の労働事情というものが変化いたしております。  こういう中で、個別の森林所有者自身によります施業がますます厳しくなってきている、困難になってきているという状況でございますし、これから適切な森林施業というものを推進するために、国民的な要請にこたえながら民有林林業の一層の発展を確保するためには、森林組合が、先ほど申し上げましたような協同組合的な機能と公益的な機能とを有機的な連係のもとに総合的に発揮することが何よりも必要だろうというふうに考えておりますし、今後ともこれがますます強く要請されてくるであろうとわれわれ理解いたしております。こういう中で森林組合は、森林一つの結合の母体といたしまして、協同組合原理に基づきます森林所有者の協同組織として、所有者の経済的、社会的地位の向上を図るということをやってまいりますと同時に、それぞれの時代の経済的、社会的要請に即応いたしまして、森林の保続培養と森林生産力の増進にも積極的に寄与していかなければいけない、そういう総合的な役割りを担っていく必要があるであろうというふうに考えております。  そういう意味で、今回御審議いただいております森林組合法というものを森林法から分離いたしまして、単独法としての制定をすると同時に、協同組合的機能の充実の要請に対応いたしまして、林業に関します共済事業に関する規定の整備等を行うと同時に、また、公益的機能の発揮を要請することに対応いたしまして、受託施業等にかかります員外利用制限を緩和する、こういうような措置を講じまして、森林組合が、冒頭申し上げましたその期待されている広範な役割りにこたえていけるような制度の改善を図ることとしておるわけでございます。
  67. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 広範な役割りを持っていることはもう前々からこれはわかったことであるし、また、特に時代的要請としてそれは強まってきていたわけですけれども、これまで林野庁の取り組みとしては制度的対応というものが十分であったという御認識なのか。あるいは総合的な対応としては非常に不備な点があったので、やはりそれを相当強化しなければならぬということで、今回抜本的な取り組みをするという意欲でこの法案を単独立法で提案をすると、こういうことになったのか、その辺のところはどういうお考えですか。
  68. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合の系統の方々から、前々から単独法をつくってほしいという御要望があったことはわれわれも知っておりますし、それからまた、国会におきましても附則で森林組合の制度については十分検討するようにということを言われてまいっておったわけでございます。そこで、私どもは過去二年間森林組合のあり方につきまして、関係者の方々にいろいろな御検討をいただき、その結果、森林組合の過去のいろいろな歴史的な経過の中、それから時代の流れ、こういうものを十分踏まえて、やはりこれからの森林組合の育成強化のためには、現在森林組合が位置づけされております森林法から独立いたしまして、森林組合法として脱皮し、それを根拠法規にして今後森林組合が発展していくことがより望ましいという私どもも判断をいたしまして、ただいま御審議をいただくような形をとりまして単独法としたわけでございます。
  69. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 もう一点、提案理由説明の中で、先に読んだ文章に続きまして「森林組合の事業及び管理運営体制につき一層の改善強化を図る」と、こう述べられているんですが、その現状における問題点と、今後の施策について具体的にひとつ説明してください。
  70. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま行っております森林組合の事業でございますけれども、前々から申し上げておりますように、約三分の一の組合につきましてはある程度の事業活動が活発である、三分の一程度の組合につきましては非常に不活発な状態、あとの三分の一がその中間というようなことを大体御説明申し上げてきたと思いますけれども、その背後にはやはり組合員の持っております日本森林全体がまだ若齢の人工林が多いということもあるわけではございますけれども、そういう事業を組合の事業としてどの程度取り入れ、あるいはどの程度活発化しているかによって、先ほど申しましたような大体三分割されるような態様があるわけでございます。  合併助成法の際にも申し上げましたように、そのような弱小組合につきましては、広域の合併等を進めてまいりまして、事業の基盤をつくるということを申し上げてきたわけでございますが、林業構造改善事業その他林野庁が持っております各種の林業生産を活発化するための施策というようなものを、そういう不活発なところにもつぎ込んでまいりまして、組合の背後にあります林業自身が活発化するということが必要であろうと思っております。また、そういう不活発な組合につきましては、非常に組合の管理運営体制も弱体である。これも御指摘があったと思いますけれども、約三分の一、七百を超えます組合につきまして常勤いたします役職員が一名以下と、こういう形では、とても組合の管理運営が十分できないわけでございます。  したがいまして、私ども合併の際にも申し上げましたように、そういうものについて合併推進その他によって、相当な管理ができますような人が置けるような形の組合にしたいということを申し上げたわけでございますが、現に役職員がおります組合につきましても、組合事業を活発化させますためには、やはりそういう役職員のいろんな組合経営に対する努力が必要なわけでございまして、そのためには組合の役職員研修とか、そういう形での資質向上を図るための措置もとってまいりました。今後ともそれを充実したいと思っております。  また、それから今回の法改正の中にも組み込んでございますけれども、組合内における監事による監査のほか、あるいは常例検査というような行政庁の検査のほかに、組合系統の中でやはり指導監査をさらに進めたいということで、監査士の制度等もお願いをいたしておりますけれども、そういうものもこの管理運営体制の強化の一助になろうかと考えております。
  71. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いまお話なかった特に組合員の自主的な努力ですね、それから工夫、そして資質の向上を図るための研修制度というのは、相当これは力を入れなきゃならないものだろうと思います。  それから、監査士のお話ありましたんで先にちょっとお尋ねをしておきたいと思うんですが、この監査士制度を設けるということなんですが、これは監査業務だけでなくて、経営指導なども行っていくという考えも含めているのかどうかですね。監査士の具体的な役割りについて明らかにしてください。
  72. 石川弘

    政府委員石川弘君) 監査のやり方につきましてはいろいろございまして、たとえば不正の発見というような形でのこともございますけれども森林組合の場合は、先ほど管理運営の実態を申し上げましたように、そういう事業の執行自身にまだまだ問題がございます。したがいまして、事業運営をどのようにやっていくかというような、いわば指導的役割りを含みました監査、こういうものにかなりの比重をかけていくべきではなかろうかと思っております。そういうことで事業が活発になりまして、その事業の成果としましていろいろな会計事務その他を監査することも当然ではございますけれども、まだまだそこまで至っていない組合も相当多いわけでございますから、そういう事業のやり方、あるいは管理運営体制をどのようにつくっていくかというような、組合運営としては比較的初歩的な指導業務も含めました広範な監査を監査士に期待しているわけでございます。
  73. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一応曲がりなりにも森林組合として活動しているのは三分の一ということですから、相当これは初歩的な、監査というよりは指導面を重点に置いた制度であろうと思うのですが、この監査士制度というのはいつから発足させる予定でございますか。
  74. 石川弘

    政府委員石川弘君) 法案を御審議いただきまして可決いただきました際に、この法を施行いたしますのを大体ことしの十月以降の時点を考えておりますので、もちろんその法施行後でございます。しかしながら、できるだけ早くこういうものを出発させたいと思っておりますので、法施行と同時に、そういう監査士をつくり出しますための種々の行政的な手続ができますように早目に内容は周知をさせておきまして、法施行になりましたら極力早い手続で監査士制度が設けられるように考えております。
  75. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 法案施行後できるだけ早い時点で制度を発足させたいと。そうすると、諸般の準備はもう進めていると思うのですけれども、この監査士制度を発足するにはまず試験が行われなければならないと思うのですが、試験はいつごろを予定されておりますか。
  76. 石川弘

    政府委員石川弘君) 試験をやりますことと、それから試験を前に予算の面でも実は監査士を養成いたしますための研修の予算も持っております。したがいまして、法施行を十月と仮定をいたしますと、ほぼ十月の時期にこの研修なりあるいは研修をした上での試験を十月の下旬あたりから十一月の下旬ぐらいまでほぼ一カ月ぐらいの間にその種の手続をやりまして、極力早く監査士が生まれるようにやっていきたいと思っております。
  77. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ちょっと細かいことになって恐縮ですが、この監査士は監査業務や経営管理など幅広い知識が当然要求されると思うのですが、試験項目として必須課題、こういうものはどんなものを予定されておりますか。
  78. 石川弘

    政府委員石川弘君) 他の農協中央会とか、あるいは全漁連でもこういう監査士のための試験をいたしておりますので、そのあたりともある程度試験の項目等も合わせて考えなければならないと思っておりますけれども、普通考えられますものとして、当然簿記がございます。それから会計学、それから監査につきましてのこれは理論的な面あるいは実務というようなものが言えようかと思います。それから、これは法令でございますが、今度のたとえば森林組合法その他関係法令というようなもの、それから協同組合の監査でございますので、一種の協同組合論というようなもの、そのほかに、先ほど申しました森林組合の監査士の場合に、経営指導というようなことにかなりの比重をかけたいと思っておりますので、一種の経営論といったようなものもこういう項目に含めるべきではなかろうかということで、現在検討中でございます。
  79. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 林野行政に関する法律的事項としては林業基本法それから森林法とあったわけですが、今回森林法から取り出して森林組合法を単独立法されるんですが、そうなりますと法体系上この三法の関係についてどうなっていくのか、林野庁としてはどういうふうにとらまえておりますか。
  80. 石川弘

    政府委員石川弘君) 現在、法令として、森林の一般法規といたしまして森林法がございます。したがいまして、森林法の一条の目的の中では森林の保続培養を中心にしました法の規定がございまして、その一つの章の中で実は森林組合の目的という形で森林組合が置かれたわけでございますが、現行森林法の体系で申しますと、保続培養を中心としました法律の物の考え方の中に、組合員の共同の利益を守るという森林組合が位置づけられたわけでございます。森林関係法令のもう一つの体系は御承知の林業基本法でございまして、これは林業の発展、林業従事者の地位の向上というようなことを主力にしました法令でございますが、実は、森林組合の持っております二つの性格のうちの一つであります林業従事者の地位の向上的な観点、協同組織としてみずからの組合員の地位を高めるという思想は、どちらかと申しますと、林業基本法林業従事者の地位の向上というそういう概念に近い何と申しますか、施策分野に属していると考えたわけです。  したがいまして、分離をしますということを決断いたしますことは、森林組合というものがいままでは森林法にどちらかと言うとその主軸を置いていたものを、林業基本法森林法の両側に足をかけると申しますか、両方に基礎を持った法制にするという意味でございまして、私どもの感じで申し上げますと、林業基本法に片足を乗せ、片足を森林法の上に乗せて森林組合という制度が組み立てられる、そういうように御理解いただければ結構かと思います。
  81. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 どちらにしても、森林組合の今後の発展という点については、いまおっしゃったような、林業基本法、それから森林法の上に両足を乗せての単独立法の方が有効に働くんだと、こういう点に自信を持って提案されていると思うのですが、その点どうですか、長官
  82. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のように、いままで何回か単独法化の問題がありましたのは、実はそういう点に問題意識を持ってのいろいろな御要請であり、院においてもそういうようなことをお考えの上での法の一部修正であったと思います。私ども、現段階で考えますれば、それが最も法の体系としても望ましい姿ではなかろうかと考えまして今回の提案をいたしたわけでございます。
  83. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 森林組合法民有林が対象になるわけなんですけれども森林林業行政というのは、国有林野事業と民有林事業と総合的に推進していかなければならないと思うのです。今回の森林組合法がこうした要件の中でどのような位置づけに置かれるのか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  84. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 日本森林を大きく分けておりますのは、いま先生指摘になりましたように、民有林国有林大体二対一ぐらいの割合で分布しておるわけでございますが、そういう意味におきまして、日本林業なり森林行政というものは、それらを合わせた一体的な管理の中にあらねばいけないというふうにわれわれも考えております。その基礎になりますのは、いまございました森林法なり林業基本法であろうというふうに考えておりますし、これは国有林とてもやはりこの両法に基づいて国有林なりの経営をしていかなければいけないというふうに考えております。  そういう観点から、いま森林計画制度では、全国森林計画をつくりまして、その中で国有林国有林の持ち分を、民有林民有林の持ち分をそれぞれ遂行することにいたしておりますし、全国森林計画をつくる場合もただいまブロック別にそれぞれでまずやっております。そのブロックも国有林民有林を合わせた一本の形でつくり上げて、そして国有林はその中の国有林分を遂行していく、民有林はそれを指向しながら対応していくという形をとっておりまして、そういう意味では国有林民有林基本的には一体の施策の中で今後とも遂行されると思いますが、それの中で森林組合はこの森林組合法に基づきまして民有林の分についてその持ち分を果たすというのが森林組合の役割りであろうというふうに考えておりますし、そのために森林組合法そのものが森林所有者の組合であるというような形をとっておりますし、また、仕事をやります中に必須事業というものを設けまして、それぞれ森林組合が当然行うべき仕事というものを一応法律の中に読み込んでおるわけでございますし、そういうことで森林組合が公益的な機能と、それからいわゆる協同組合的な性格のものと、両々相まって、民有林のこれから中心的な役割りを果たしていかなければいけないというように考えております。
  85. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いただいた資料によりますと、森林組合の中で施設組合数が五十年の時点で二千百三十九組合、生産組合数も同じく五十年度時点で千七百六組合、このようになっておりますけれども、この中でいわゆる休眠組合と言われている実際に活動を行ってない組合、これはそれぞれどのぐらいになっていますか。
  86. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先生指摘のその休眠という状態でございますが、いろんな姿で見れると思うのですが、一つはたとえば森林組合の方、いままでの施設組合でございますが、販売とか林産とか造林といったようなそういう経済的な事業を実施をしてないという形でとらえますと、七百十九でございます。それから常勤の役職員が一人以下、そういう意味で管理運営部門が弱体という形で仕事が非常に不活発じゃなかろうかと見ますと、七百五十八という数字がございます。それからもう一つ森林組合の中で非常に大事な作業班をいまだに組織をしてないという形で見ますと、七百二十五ございます。いずれにしましても、約三分の一ぐらいのものが非常に不活発ではなかろうかと思います。それから生産森林組合でございますが、販売とか保育といったような事業活動の不実施という姿で見ますと六百九十四、それから組合員が、これは常時従事の義務がございますけれども、組合員の事業従事実績という形が出てきてないもので見ますと四百一、まあ粗っぽく申しましてこれも約三分の一ぐらいが非常に不活発ではなかろうかと考えております。
  87. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 およそ三分の一がほとんど実際活動をしていない休眠組合という範疇に入ると思うんですが、主にどういう理由からそういうことになっているのか。
  88. 石川弘

    政府委員石川弘君) やはり何と申しましても、基盤となりますその林業自身が不活発ということが一つの要因でございます。それから、そういうものは端的に見ますと、大変組合員の持っている森林の面積が小さいという姿にあらわれておりましたり、あるいはものによりましては、面積はありますけれども、まあこれは一斉人工林にいたしますとどうしてもそうなるんですが、いわゆる何と申しますか伐期に達していないもの、しかもある程度手入れをしますとしばらくはそういう林業生産活動不要の時代がございますが、そういうことが考えられることでございます。それからもう一つは、資本的に非常に寡少な資本で、何か事業をやるにもそういう元となります自己資本あるいは金を借りてまいりますにも必要なそういう資本がないというようなこと、したがって事業活動がなかなか興せないと。そのほか、たとえば先ほど申しました常勤役職員がいないとか、あるいはそれに人を得ておりませんで、組合活動というのはやはり相当人的な要素の強いものでございますから、すぐれた指導者に欠けるとか、あるいはそういう人の活発な活動を期待できないといった、そういうものが不活発の非常に大きな要因ではなかろうかと思っております。  それから、生産組合につきましては、御承知のように、生産組合の非常に多くの部分は入会林の分解の過程で生まれてきておるものでございますから、これが単に権利の名目的近代化に終わっておりまして、いわゆる何と申しますか、旧入会地の高度利用のために人工林化するとか、あるいはその他の利用をするとかいうような形の利用が進んでいないというもの、それから、ある程度そういうもので人工林化をしましても、そこの面積自身が非常に小さいような場合にそこでの事業が断続してしまっている、そういうようなものがいまの不活発なものの幾つかの態様になろうかと思います。
  89. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 すでに事業活動をやっている森林組合の経営についてなんですが、午前中の質疑の中でもありましたけれども、他の組合の模範になるような組合数は五つか六つぐらいだろうということですから、きわめて全体的な経営の現状というのは非常に貧困なんだろうと思いますが、林野庁から見て経営の現状、全体的な点、それから経営のうまくいっていない主な理由はどういうところにあるのか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  90. 石川弘

    政府委員石川弘君) 事業の平均的な活動の状態から申しますと、先ほども申し上げましたように、販売でございますとか、あるいは購買あるいは造林といったようなもの、あるいはその造林の主力は作業班の活動でございますが、そういうものがある水準以上いっておると言えますのは先ほど申しました約三分の一でございます。模範的と申しますか、かなりよくやっているということになりますと、一けたというような数字になろうかと思いますけれども、そのうまくいかないというのは、何と申しましても、いまの日本の人工林が非常にまだ伐期に至らない幼齢林の比重がうんと高いという、したがいまして一生懸命植えてきたわけでございますが、これを回収する時期に入っていないものが比較的高い。  結果的に、優秀組合と言われるものの非常に多くの場合は、そういう林齢の齢級配置が比較的うまくいっておりまして、要するに切る山があってそれで順な回転が始まるというようなものが、竜山その他比較的優秀組合と言われておりますものには、そういう何といいますか、山の状態がいい状態のものにすでになっているということでございますが、そういうことのほかに、やはりその種の優秀組合ではいずれも非常にそれを構成します組合員あるいはその指導者というものに人を得ておりまして、そういうものが単に山がいいというだけではなくて、そういう人たちの積極的な林業生活活動がある。その場合に、竜山もそうでございますが、多くの場合は必ず森林組合労務班を比較的早い時期に組織をいたしております。そういう人たちが周年働けますように、山における生産活動のほかに、たとえば竜山でございますと縫製工場等まで持ちまして、山に働いている方が周年何らかの意味で収入が得られるような形になっているということ。それから、その種の優秀組合は大体におきまして林業構造改善事業等を巧みに利用いたしまして、そこで各種の林産のための生産活動とか、あるいは山菜を加工をするとか、いろんな意味でそういう仕事をその土地に持ってきているということ。そういうようなことが、大体優秀組合と言われるものの共通したところでございます。  さらには、そういう生産活動を通じましてその土地土地の生産物、木材等についてもある種の信用を得られるようなブランドをつくり出してきているということがございますので、いまの段階で森林組合の非常に多くの分を急にそういう段階まで持ち上げることはなかなか困難でございますけれども、人工林の相当なものが今後伐期に入る段階で、この種の優良事例がたどりましたようなそういうようなたとえば資本装備の近代化の問題とか、あるいは優秀な役職員を置くとか、あるいは組合の団結を強めるといったようなことを進めまして、比較的優秀なものの数を少しでもふやしていくというような方途を考えていくべきではなかろうかと思っております。
  91. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま答弁の中に出てきました静岡県の竜山村の森林組合ですね、それから和歌山県の竜神村の森林組合も比較的経営がうまくいっているようなんですけれども、この二つの森林組合の概要ですね、事業量とか発展の経緯、また非常に順調に経営が進んでいるその内容をかいつまんで御説明願いたいと思います。
  92. 石川弘

    政府委員石川弘君) 竜山村の森林組合は主力が民有林でございまして、地区内の森林面積が約六千六百ヘクタールぐらいございますけれども、そのうち民有林が五千三百ヘクタールぐらい、国有林が千三百ヘクタールという圧倒的に民有林の多いところでございます。森林組合員の持っております森林面積自身は四千八百ヘクタールぐらいでございますから、これは全国の森林組合の平均値よりもむしろ低いぐらいでございますけれども、これは圧倒的に人工林でございまして、九三%がすでに人工林化され、しかも齢級配置が非常にバランスがとれておりまして、若齢の人工林ばかりという形ではございません。したがいまして、仕事があるわけでございます。組合員は八百人をちょっと上回っておりますけれども、地区内の森林所有者は全員組合に加入しております。そういう意味で、組合の団結が強いと言えるかと思います。払い込み出資は二千九百万でございますけれども、常勤の役職員は二十三名おりまして作業班は百十四名、まあ非常にこの作業班の編成が早かったことが特徴であろうと思います。  事業の内容で申しますと、販売事業は二千百万程度、決して大きいものではございませんけれども、林産事業では地区内の木材生産の四分の三を実はこの組合がやっておりまして、生産販売高では約四億になっております。そのほか、山行苗を購買をいたしておりましたり、それから造林事業等につきましては地区内の新植の八割はこの森林組合労務班がやっております。そのほか、五百ヘクタールを超えます森林の保育も一手に引き受けているというわけでございます。  うまく活動しています主力は、やはり何と申しましても、山の状態がそういう非常にバランスのとれた山づくりがしてあるということと、それから先ほど申しました労務班の編成、これが非常に早い時期に行われております。三十年代の後半にはすでに労務班組織を完全に持っていたと。その労務班を抱えましたことによって、その労務班が周年的に雇用ができるようにということから縫製工場をつくりましたり、あるいは花木の栽培をいたしておりましたり、製材の協同組合をつくりましたり、いろんな形で素材生産あるいはその流通部門にまで投資をしまして、そこで働く場を得ているということが典型的ではなかろうかと思います。  それからもう一つ、和歌山の竜神でございますが、これは全体の面積では二万四千ヘクタールぐらいの中で民有林が二万二千ヘクタールぐらいでございますから、ここも圧倒的に民有林の地域でございます。組合員の所有森林が地区内の民有森の八五%ございまして、約一万九千ヘクタールございます。組合員は全体で七百五十人ばかりでございますけれども、これは地区外の森林所有者が実は全員組合に加入をしております。地区内の方が半分ぐらいでございます。これは、比較的森林の所有自身は小さいわけでございます。で、払い込み出資が二千百万、常勤職員は二十八人、作業班員が九十五人ということでございます。販売事業では約五億円ぐらいでございます。それから、林産事業では生産販売高で五億八千万というぐあいに、事業量は相当多うございます。それから、造林につきましても、地区内の新植の約八割を組合がやっておりまして、管理につきましては一千ヘクタールを超えますものを保育をしていると。このように、いずれも事業が活発でございます。  この組合の場合も、先ほど申しましたように、林齢の配置が比較的順調、うまくいっているということもございますけれども、これは四十年に実は組合合併をいたしまして三組合を一組合に合併したところでございまして、その後一次の林構等を使いまして資本装備を相当高度化させているというようなこと、それからこの組合の場合には非常に地元で素材共販をやっておりまして、それを通じまして竜神材というここの材木の販売の一つのブランドも得ておりまして、そういう面で販売でも有利な活動をしていると。  いずれの組合につきましても、こういう一定の資本あるいはもとになります山等の条件はようございますが、それにも増して、やはりこれらの地区においては組合員の方の組合利用とか、あるいは組合役職員の活動というものが大変活発であると、そういう特徴があろうかと思います。
  93. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま説明あったように、経営が順調な森林組合はもともと林地の条件がよいこともありますけれども、事業の多角化それから生産流通体制の整備とか、素材の共販を地元で行うことによるところの素材の有利販売とか、自森林組合のブランドの定着化が非常に効果を上げています。さらには低質材の有効利用、こういったことで、経営の体質を改善させることで非常に経営を好調化させているんだと思います。全般的に森林組合の経営が弱体だというのは、森林組合の体質がもともと経営に対して未熟というか、林業経営に対しての意識が非常にまだ低いために、もう少し工夫、努力すれば何とかなる点がなかなか効果を上げていない、みずからその経営をさらに悪化させている面が非常に多いんでないかと思うんですが、この点についての林野庁見解はどうでございますか。
  94. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘のように、森林の状態自身がまだそこまでいってないということが大きな原因の一つではございますが、やはり組合でございますので、組合員が組合をどのように盛り立てるかという意欲とか、あるいはそれを引っ張ってまいります指導者の努力というものが相当大事ではなかろうかと思っております。組合につきましても、森林組合の新生十カ年運動というのをやっておりまして、そういうものも一つのこういう組合活動の士気を向上しますために必要なものだと思っておりますが、私どもも大いにそういうものを応援をしまして、そういう組合員の組合に対する何といいますか、参加といいますか、組合を盛り立てるための努力とか、あるいはそれを引っ張ってまいります指導者の活動を大いに援助していきたいと考えております。
  95. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 日本林業は現在非常に不振なんですけれども、また森林組合の経営もなかなか順調にいっているところは数少ない。これの原因の一つを外材の輸入、国内需要の低下、こういったいわば外的要因を挙げている面も強いんですけれども、経営に関する限り、意識を高めただけで実際に順調な成績を上げている組合もあるわけですから、林野庁としても推進運動は計画されているようですけれども、さらに模範的な組合の実態を全国の森林組合が参照にするような普及指導の手を、もっともっと手厚くする必要があるんじゃないかと思いますが、この点についてはどうですか。
  96. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま林政部長の方から、比較的経営が順調にいっている森林組合につきましての事例を御説明したわけでございますが、先生指摘になりましたように、森林組合の活動の仕方につきましてはいろいろまだレベルの差がございます。そういう点、私どもといたしましても、十分個々の森林組合がそれぞれのレベルアップをいたしまして、皆どの森林組合も同じようなレベルで今後発展していただくことが望ましいというふうには考えております。  また、森林組合が非常に最近いろいろな意味で財政が厳しい面の一因として、いま先生が御指摘になりました外材の問題もあるかもしれません。これは森林組合ばかりではなくて、日本全体木材が緩和基調になっておるという事態の中で、林業、林産業が非常にいろいろむずかしい局面に遭遇しておるわけでございまして、そういうものはそれなりの対応としてこれから日本全体の林業あり方の中で対応していく必要があろうと思いますが、いま先生が御指摘になりましたように、森林組合として今後どうやってこれを伸ばしていくかという問題につきましては、たとえば昨年静岡県で森林組合の県の連合会あるいは県の林業会議所、こういうものが中心になりましてシンポジウムを開催いたしております。これには全国の森林組合からお集まりいただいて、それぞれこれからの森林組合のあり方を、静岡県のいい例を中心にしてシンポジウムの中で皆様方が切磋琢磨していかれたということでございます。  こういうのも一つの例だと思いますし、そういうものがおいおい見られるということは非常に私どももいいことではなかろうかと思います。そういうことを通じまして、森林組合が今後みずからの手で伸びることを御努力されると同時に、林野庁といたしましても、人の問題につきましてはそれぞれの場での研修に対して助成をするとか指導をするとか、そしてまた構造改善事業におきまして資本装備の近代化を図るとか、それぞれの方法を通じまして、森林組合が先ほど事例がありましたような組合にそれぞれなるような御努力に対しての助成もしてまいりたいというふうに考えております。
  97. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 優秀組合の実際の経営状態というものを、広く全国の森林組合に参照させるということは当然必要なことだと思うんですが、地域によって相当いろいろ条件も違うし、そのまま参考にならない、実施できないという点もありますので、やはり気候とか気温とか立地条件、そういうものが大体似通っている地域ごとに、模範になるようなそういう森林組合というものを今後数をふやしていくと、地域ごとにそれを目標にしながらやっていくということが非常に大事だと思うんですが、特に林業関係では北海道は非常に条件も本州と大きく違っているわけですし、また林業の実態も非常に立ちおくれている立場なんですが、北海道の林業に対して特に今後力点を置かなきゃならない点があればお伺いしたいし、それから各ブロック単位といいますか、まだまだ優秀組合、模範になるような組合のないそういうブロックの地域に対して、特に林野庁として選定してモデルケースをつくっていこうというような方針で進めていくお考えがないかどうか、この二点お伺いしたいと思います。
  98. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生から北海道の民有林についてのお話あったわけでございますが、北海道の民有林は、北海道の場合、東の方、西の方、北の方、それぞれ相当違っております。それともう一点、北海道は国有林、道有林が相当大きな面積を占めておりまして、そういう意勝方ら言いますと、民有材の占めるシニアが内地の一般的なところに比べますと非常に少ないという問題、それから北海道の木材需給状況を現在見ておりますと、日本全体ではいま外材が約六五%入っておりますけれども、北海道ではそれよりも少ないということ、そして北海道材が大体北海道で、特殊なものは別といたしまして利用されておるということ。そういうことで、本州を中心にいたしました内地全体の林業とある意味で私ども形態が違うだろうという気がいたします。したがいまして、北海道には北海道なりの民有林業というものを進める必要があろうかと思いますが、この問題につきましては北海道庁あるいは北海道の森林組合連合会、こういうものと私ども十分今後連絡を取りながら、北海道らしい民有林が育っていくような努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから後段の、それぞれの地域にモデル的なものをつくる意思はないかという御質問でございますけれども、これにつきましては、当然森林組合自身でもそういうことをお考えになるだろうと思います。それから私どもといたしましても、これからの民有林の行政は当然森林組合自身がそれぞれ考え、御努力されると同時に、市町村が相当な認識を持っていただかなければいけないだろうということも考えております。そういう意味から、中核林業振興地域というものをつくりまして、ここに対しましてただいま国がやっておりますいろいろな助成策を集中的に投資するという方途を考えております。そういうことを通じまして、いま先生が御指摘になりましたような、それぞれの地域の模範となるような林業地帯あるいは森林組合というものが育っていくような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  99. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ここで、十四日の閣議報告して了承されました五十二年度林業白書についてちょっと伺っておきたいんですが、この中で、国際経済環境を配慮しつつ秩序ある適切な輸入を確保するための措置を講ずる必要がある、こう述べられているのは、外材を中心に供給が需要を上回る基調があることから輸入抑制の行政指導が必要なことを指摘したんだろうと、このようにとらえてよいのかどうか。それから、もしそうだとすると、昨年来ニュージーランドがわが国に対して木材の輸入拡大を求めてきておりますし、また諸外国から農産品の輸入拡大要求というものが強まっているときだけに非常にむずかしいと思うんですけれども林業行政としてはこの点具体的にどういうふうに取り組むのか、それをひとつ大臣から。
  100. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 外材の輸入につきましては、秩序ある輸入ということを政府としてもしょっちゅう申し述べておるわけでございますが、これまで各種協議会等の場におきまして、年間の木材需給見通しを策定するなどの施策を通じまして関係業界に指導をしてきておる。これは輸入を制限するといいますか、規制をするというわけにはまいらぬので、やはり行政指導によって秩序を保たしていく以外にはない。こういうふうに基本的に考えるわけですが、五十二年前半の木材輸入量は景気回復への期待感等もありまして増加はいたしましたが、景気の回復がおくれまして住宅建設も伸び悩んだことから、五十二年後半に入っても木材需給の回復が見られず価格の低迷が続いたので、これらの実態を踏まえて指導もしてきたわけでありますが、秋以降外材の輸入量は減少する傾向に転じております。  年間を通じた実績でほぼ前年並みと、こういうふうになっておるわけでございまして、木材貿易は、わが国の木材の需要が住宅建設の動向によりまして大きく変化をしておるというわけでありますが、一方におきましては、現地での生産からわが国への入荷までに相当期間を要するということなどから、ある程度見込み輸入にならざるを得ない面も有することなど、行政指導の効果があらわれるというまでには相当やはり期間がかかってきておるという実情ですが、今後さらに情報の機能の強化、あるいは短期的な需給見通し等を十分行って、関係業界に対する指導等にはひとつ全力を費やしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外材輸入の適正化を図ることが非常にこれは大事なことなんですけれども、力を入れて行政指導に取り組んでいただきたいと思うんですが、この外材輸入問題で見落としてならない一つ観点は、外材輸入がここまで拡大されてきたのは単に価格が安いという点ばかりじゃなくて、国内林業の未成熟さというものがみずから引き入れてしまった一面もあるのではないか、こういうことなんですね。たとえば販売面から見ましても、国内材の場合は注文しても需要者の希望する時期に所望する材がきちんとなかなか入荷されないという実例が多い。そのために、微妙な需給ギャップというものが生じてしまいますし、そのギャップを埋めるために外材で補ってきたということも言えるんじゃないかと思うんですね。外材の場合は電話一本で決められた時期に入荷されるし、手形決済で済むので便利だと、こういう声もあるようですし、それからまた外材といっても製品化の仕方によって価格差を生じておりまして、一括して論じられない点もあるのじゃないかと思うんです。  たとえば、アメリカ材で有名な田辺とか、あるいはアラスカ材を扱っている天竜ですか、この場合は内材を扱うと同じようにきめ細かい製材をしているので、〇〇製材という表示をして市場に出荷しますと、他の製品とは歴然とした価格差をつけている、こう言われております。また、販路に対しましても、内材を基軸にして外材を補完的に添えながら一軒の家が建つんだというようなPRも非常にしている。そういうことで、内材と外材というものを単に対立的にとらえて日本林業の繁栄を論ずるというだけでは、真の打開策にならぬじゃないかと、こういうように見られるんですが、この点についての林野庁の御見解を求めておきたいと思います。
  102. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生が外材の問題について数点御指摘になったわけでございますが、外材の問題が、国産材の流通の問題から外材の方に指向されるということもあるのじゃなかろうかというお話、また外材については、それぞれの木取りの仕方によってやはり利用価値が大分違っておると、そういうことでやっておるのだから、日本の国産材についてもそういうことを十分考えていけば、逆に外材と日本材という対立的な考え方でなく対応できるではないかという御趣旨だろうと思います。  ただいま外材が相当入っておりますのは、いま先生がおっしゃいましたように、国産材のやはり流通体系と申しますか、流通のあり方と申しますか、そういうものが必ずしも近代化されてないという面も一部あろうかと思います。しかし、一面、また日本の需要に対しまして供給量が、絶対量が足りないということ、これがやはり一番大きな原因であろうと思います。そういう意味から、私ども需給計画を立てますときには、やはり国産材がどのくらい出てくるかということを都道府県で毎年調べておりまして、それをもとにして国産材の出てくる量を押さえ、その不足分を外材で補うという形で需給計画というものを見通しております。  そういう意味から、先生指摘になりましたように決して対立的に扱うわけではなくて、やはり量は多いにしても、基本的には補完的に扱うという考え方でわれわれとしても対応しなければいけないというふうに考えておりますが、あわせまして、やはり一方、外材につきましては製材品がよけい入ってくるという問題もございます。いま先生おっしゃいましたように、木取りがうまいというところが日本一つの大きな技術でもございます。そういう意味で、丸太の輸入というものがある意味では確保できるような努力もし、そして国産材の足りない分を外材で補って国民の需要にこたえるような方途をしていくということが、これからの大きな私どもの課題でもあろうというふうに考えておりますし、そういう意味から国産材のいい点は国産材のいい点を伸ばす、また外材のいい点は外材のいい点を伸ばす、そういう両々相まちまして日本林業も振興できる、そして林産業も進展できるということを私どもは考えていく必要があろうというふうに考えております。
  103. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次に、間伐材の販売につきまして若干お伺いしておきたいんですが、間伐材の売れ行きがよくないということで非常に関係者は困っているというんですが、これも関係者の努力がこれまで非常に足りなかったという点を厳しく指摘する声があるわけですね。以前間伐材がよく売れたという時期は、足場丸太の需要が大量にあったときでして、材木なら何でもいいというような木材窮迫的な需要期だったと。そこで、林業経営者はただ座っていればよくて、売ったんじゃなくて買いに来ていただいたんだと、こういうような実情だったと思うんですね。そのときの夢をいまだに追っているだけでは、経済状況のこのように変わった現在売れるわけはないわけでして、また一面、原木市場の人の声の中には、現在だって間伐材の需要は全く消滅したわけじゃないんだと、まだまだ土建業にも間伐材需要というものは根強いものがあるんだし、また土建業以外にこの間伐材の需要というものはあるはずだと、そういう点を非常に見落としているんではないかという指摘があります。  これまで間伐材を集積して仕分けをする、それを需要に応じて配給するという基本的な機能が余りにも弱いという点を突かれて、そのかわりにアメリカ材の細物というものが入り込んでしまったんじゃないか、こう言える一面があると思うんですね。そして、こうした点を放置しておきますと、全く市場の中にアメリカ材の細物がビルドインしてしまって、間伐材の入り込む余地がもう全くなくなってしまうおそれがあるんじゃないか。  そこで、間伐材の集積、配給、販路開拓、こういう面について林野庁としてはどんな指導と対策をこれまで講じてきたのか、またこれからされようとするのか、この点を明らかにしていただきたいと思うんです。
  104. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 間伐材の利用方法につきましては、ただいま先生指摘になりましたけれども、過去におきましては、いわゆる間伐いたしましてそのまま、丸太のまま利用されるという形態が非常に多かったと思います。足場丸太あるいは稲のかけ穂丸太、そういうもので利用されるのが多分七割くらいあったのじゃなかろうかとわれわれ考えておりますけれども、近年に至りましてそういうものの代替材が非常に出てまいりまして、販路がそちらの方に押されてしまったということ、そういう意味で、間伐材が丸太のまま利用する利用面というのが狭められたというのが一番大きな原因であろうと思います。  そういう意味から、間伐材のこれからの利用につきましては、当然そういう面での利用開拓をしなければいけないということは言えますけれども、あわせまして、間伐材をさらに加工してこれを利用するという方面、これにやはり鋭意努力をする必要があろうというふうに考えております。  そういう意味から、過去におきましてもそういう未利用資源といいますか、間伐材等の高度化利用の事業だとか、あるいは間伐材を利用いたしました展示事業、こういうものをそれぞれ国の助成のもとに行いまして、間伐材の利用を推進するPRをするなど、また、その間伐材を利用いたしましたいわゆる小さな一つの家でございますけれども、私ども俗に新校倉式住宅と言っておりますけれども、そういう家をつくりまして一般の国民の方々に見ていただくと、こういう建築方法もあるぞと、そして間伐材を利用していただきたいというPRをいたしておりますし、そのための技術開発ということも進めておる次第でございます。また、昨年、日本住宅・木材技術センターというものを建設省とともども創設いたしまして、ここで主としてそういう問題の利用開発それから普及等々を行い、これからの間伐材が、いま申し上げましたように丸太のままで使われると同時に、あわせていろいろな面で加工されながら利用されるという方法を研究開発いたしまして、その普及に努めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 その件と関連して、林野行政として木材の流通機構、これが合理化されて国産材の価格が安定されますと、かなり林業関係者の経営も有利になると思われるんですけれども、この木材の流通機構の合理化、国産材の価格安定対策、これについてどのように今後見込まれるか、大臣からひとつお聞きします。
  106. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 最近、住宅産業が相当発展をしてきたわけですが、この発展によりまして需要が大型化する、あるいはまたそれに伴って外材輸入が増大をする、あるいは国内材の生産の停滞等木材流通を取り巻く諸情勢というものは変化をしており、また素材、製材等の流通合理化の要請もそれに伴って強く出ておりますが、これに対処をしていくためには、まず第一には、木材住宅供給のための共同体組織の育成強化を通じ、木材生産から住宅建設に至るまでの流通コストの低減といったものをやらなきゃなりませんし、あるいは使用部材の単純化、流通の合理化等を目的とした在来の工法、住宅の部材の流通消費改善対策事業、さらにまた、素材及び製材の流通のあるべき姿を描くことを目的とした木材市場整備対策調査を行うとともに、わが国素材生産の八割を担っておるのが素材生産業者でありますから、これを対象に素材の生産流通の円滑化、近代化を推進することを目的とした素材生産流通近代化対策事業等を行っておるところでありますが、今後ともこれらの諸施策を充実強化をして木材流通機構の合理化を図ってまいる。木材流通機構というのが一番大事でございますから、この合理化を図ってまいりたいと考えております。  それから、国産材の価格を安定させるために一は、まず木材の需要サイド及び供給サイドでの安定を図ることが基本でるというふう政府として考えておるわけでして 需要サイドにおきましては、住宅建設の安定化が必要であるわけであります。特にわが国の林業が在来工法住宅用資材の供給を中心に展開されておることから、代替工法住宅建設の伸長を図るとともに、昭和五十二年十月に設立をいたしました財団法人日本住宅・木材技術センターを活用して住宅用木材の技術開発等を行うこととしておりまして、今後とも合理的なこの木材需要の安定を図るように、あらゆる角度から努力をしてまいりたいと考えております。
  107. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 先ほど御紹介いただいた優秀組合ですね、それから事業内容の成熟した地域林業経営、こういうものを見ますと、生産、加工に創意工夫しているし、たとえば木材にもファッション性があるんだと、こういう観点から高級品化を図って、りっぱに外材に対抗して利益を上げているところもあるし、積極的に市場開拓を行っていると。それに反して事業内容の立ちおくれておるところは、特に市場情報の的確な把握さえも満足に行われていないというところもあるようですので、林業の場合はどんなに技術が高くてもある程度低資材が発生することは避けがたい、そういう事業でありますので、その低資材を全く放棄してしまうか、あるいはそれを巧みに有効利用して販売するか、それによって個別の経営、さらには地域全体の経済、こういうものに雲泥の差が出てしまうというふうに思うのですね。  日本林業というのは、程度の差はあっても分散的多種目少量生産、こういう形態が大部分を占めているようなわけでして、地域林業を充実そして確立するためには、いまもいろいろお話ありましたように、生産の集約化と流通機構の高度化を同時に推進していかなきゃならない、こういうことなんですが、これは単に林家が単独でできる仕事ではなくって、地域林業を牽引していく事業体、これがあって初めてできると思うんですが、そういったところに森林組合の持つ一つの存在意義といいますか、そういうものがあると思うんですが、それについての御見解を求めたいと思うんです。
  108. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) これからの地域林業の中心をなしますものは、いま先生が御指摘になりましたように、やはり私は森林組合であろうというふうに考えております。そういう意味で、これからの森林組合の使命と申しますのは非常に私も大きいし、また高いものであろうというふうに考えておりますけれども、ただしまた、森林組合自身がいろいろ御努力されると同時に、私ども先ほど説明申し上げましたように、国の助成でいろいろなものにつきまして森林組合を中心にした助成策というものを従来も講じてまいりましたし、またそういうことを考えていかなければいけないというふうに思っておりますが、あわせまして、先ほど来御論議のございました外材の問題に対抗するためにも、やはり生産コストの引き下げ等々の問題を考えますと、基盤の整備ということ、林道を含めましたそういうものも非常に必要であろうというふうに考えております。そういういろいろな総合的な施策森林組合を中心にして施行していく中で、森林組合がその地域の地域林業にふさわしい林業として育成する努力をしていただくということ、これが必要かというふうに考えております。  ただいまの状況を見ましても、森林組合が大体民有林造林事業の四割ぐらいを新植事業についてはやっておられますし、そういう面からも、森林組合は今後その担い手としての使命は非常に高いと思いますが、一方、流通の問題でございますが、これにつきましては、いまのところまだそう高くはございませんけれども、やはり先ほど事例もございましたような優秀な森林組合はその辺まで手がけておるわけでございますから、今後それぞれの地域におきましてそれぞれの地域のいろいろな実態に合わせた形で、加工流通まで森林組合は取り込むという姿勢が私は必要であろうというふうに考えております。そういうことの中で森林組合が育成されるように、私ども努力してまいりたいと思っております。
  109. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ここで、山村における労働力の維持と雑草木の有効活用化につきまして触れておきたいと思うのですが、林業では資金それから労働力の大部分を下ごしらえ、それから植えつけ、下刈りといった初期作業に投下されてしまうわけでして、その後長期間資金が寝てしまうために非常に経済的負担が重たい。そして、林業労働というのは季節や天候上の制約から断続的であるという特殊性を持っておりまして、作業の種類によっては必要な労働力に大きな差がありますから、定常的な就労というものは非常に不可能だというのですね。したがって、ほかにも収入源があって、しかも林業が必要とするときには出動してくれるというこういう仕組みがどうしても必要になってくるわけですが、そういうことから、山村の目下最大の問題点とされている労働力の維持、人口流出防止策、こういうことに対して、かつては薪炭生産が行われて、現在ではシイタケ栽培ですか、こういうもので補っているということなんですが、こういったことを含めてもっともっとさらにさまざまな植物や林野利用法ですね、全面的に積極的に活用してやっていくということが必要じゃないかと思いますが、これについて何らかの具体策を林野庁としては講じておりますか。
  110. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 山村の山の実態は、先ほど来御説明申し上げておりますように、地域によりまして非常に違っております。すでに伐期に達した林分からまだ若い林分まで含めた地域もございますし、また手入れが終わってしまって、当分の間いわゆる現金収入的な仕事のない森林を抱えている地域もあろうかと思いますし、目下その手入れの最中であるというところもあろうと思います。そういういろいろな状態がそれぞれの地域にあろうと思いますけれども、やはりこれから林業を推進するためには担い手でございます山村の労働力というものの確保、これはゆるがせにできない問題でございます。  そういう意味から、私どもも今後先ほど来御説明いたしましたような諸般の施策をそういう山村に投入していくことによりまして山村の振興を図っていきたいと考えておりますが、特に現在低質広葉樹と申しますか、前生樹といいますか、そういう昔は薪炭材に利用されました広葉樹が現在主としてチップ等々を中心に、あるいはシイタケ原木ということで利用はされておりますけれども、シイタケ原木につきましては、最近のシイタケ生産量の増大等から原木不足という声も一部の地方においては言われておりますし、この総合的なあり方についてはいま林野庁でも検討を進めておりますけれども、チップ等がある意味では需要不振でもございます。そういうものの対応をどうしていくか、これはわれわれとしてもこれから検討し、関係業界にも十分その辺の要請をしていかなければいけないというふうに考えておりますが、そういう形の中で山村の仕事が維持でき、そしてまた、いま先生も御指摘になりましたような特産物も含めましていろいろな山村地域における特徴をつかんだ産業の発展と申しますか、産業の推進と申しますか、そういうものをあわせた中で林業というものは推進していく必要があるであろうと思います。  林野庁におきましてもそういう観点から、本年度特産の対策費というものを特別に設けまして、特産につきましてさらに今後強力な施策を講じるような努力をしておるわけでございますが、山村におきますこれからの産業として、林業とあわせまして特産あるいはその他その地方の特殊な、独特な産業というものを進展させながら、その地域の山村が進展、発展できますような方途は、われわれとしても十分考えていく必要があるというふうに考えております。
  111. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 具体的にちょっと申し上げたいと思うのですが、東大農学部の助手の村尾行一氏はこういうように提案されているのですが、林野利用法の例だけれども造林した後にソバを栽培すると。ソバは二カ月ほどで収穫ができると。ソバがらは枕になるし、花からはハチみつがとれるし、その後に豆類、根菜類、和紙原料のミツマタ等を栽培すると。そうしているうちに間伐期が訪れる。こうした方式は、林業に対する直接的なプラスになると思う。しかも、とりわけ問題の地こしらえた下刈りがソバ等の栽培作業によって自動的に行われるから、林業自体の作業として行われなくても賄える。こういう方式は近年まで全国各地の山村で実行されていたことなんだから、これをもっともっと力を入れるべきではないかということを言っています。  それからさらに、活用したい植物の例を挙げておるんですが、竹類、茶、それからクズ、シキミ、ベニバナ、ムラサキ、クチナシ、山桃、クロモジ、漆、葉は食器に、材は木版材料にもなるホオノキ、それからすりこぎになるサンショノキ、木蝋のハゼ、コケ、こういうものは無数に近くあるんじゃないか。しかも、こういった用途は道具、食品、染料から始まって薬用、装飾用に至るまで、生活のほぼ全域をカバーしている。確かにこれは個々の所得効率というのは低いかもしれないけれども、これを一つのシステムをつくってやれば、かなり地域としては活用できるんじゃないか。しかも、ソバ、漆、ベニバナなんというのは大量に輸入しているんだし、また昨今手づくりブーム、民芸品ブーム、自然食ブームといわゆる本物志向といった社会現象が起きている。こういったことを考えますと、こういった産物に対する需要は今後きわめて旺盛になるのであって、現代社会の体質から発する需要だから根強い需要であろうと、こうも言っているわけですね。  これが地域で活用されますと、世代間それから男女の間での協業というものが可能であるし、いまのところ非生産力化せられているお年寄りや御婦人、子供、こういった人たちも地域社会の重要な成員とすることができるだろうと、こういう提言をされているんですが、ぜひともこれを参照されて、ひとつ地域でそれを活用されるように力を入れていただきたいと思います。  最後に、大臣に御決意を承りたいんですが、わが国林業の衰退の原因を単に外に求めるだけでなくって、持っているこれまでの日本森林林業の内部的弱点といいますか、そういうものを打開するために、ひとつ実効性のある林業。プロパーの政策というものを、もっともっとさらにきめ細かく打ち出して粘り強く指導をしていただきたいと思うんです。そして、山村地域に今後次々と模範的な林業事業の形態ができ上がっていく、それがその地域全体の経済のレベルアップにつながるような方向へぜひとも進めさしていただきたいと思いますが、それについてのひとつ大臣の御決意を承って、質問を終わりたいと思います。
  112. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 林業をこれから積極的に振興するということは、私もかねがね申し上げますように、何としてもこれは国策とも言うべき課題だと、こういうふうに考えております。  そういう意味で、総合的な林業政策というものを推進をいたしまして御期待にこたえなきゃならない。森林組合法を御提案をいたしておるのも、こうした林業の振興というものを一層有機的に進めたいという考えでこれを提案をいたしておるわけでありますが、この森林組合は、広く森林を結合の契機としつつ、協同組合原理に基づくところの森林所有者の協同組織として森林所有者の経済的、社会的地位の向上を図るとともに、時代の経済的、社会的な要請に即応して、森林の保続培養と森林生産力の増進にも積極的に寄与すべき総合的な役割りを担う必要があるというふうに考えておるわけであります。  こうした見地から、今回森林組合制度を森林法から分離をして単独法によるところの制度をするとともに、協同組合的な機能の充実の要請に対応して、林業に関する、共済事業に関する規定の整備等を行って、また同時に、公益的機能を発揮するに当たりまして、その時代的要請に対応いたしまして、受託施業等にかかわる員外利用制限を緩和するなどの措置を講じて、森林組合がその期待されておる広範な役割りにこたえていけるよう制度の改善を図ることといたしておるところでございまして、これが森林組合法基本的な考え方でありますが、この森林組合法を通じて、その他の施策もあわせて行いながら、林業の振興をこれからより一層図ってまいりたいという政府は決意を持って、今後積極的に取り組んでまいる考えでございます。
  113. 下田京子

    ○下田京子君 安倍農林大臣臨時代理が途中で退席なさるというお話なので、大きな基本的なことについては代理大臣の方で端的に御答弁いただきたいというふうに思います。  第一に、るるお話がなされておりますけれども、現在の林業そして木材をめぐる情勢というのはひとしく厳しいという御認識にこれは皆さんお立ちになっております。ところで、この厳しい林業あるいは木材情勢を切り開いていく上でどのようなことがそのネックになるかという点で、まとめて言えばいろいろあると思うんですが、二つに集約されるかと思います。その一つは、やはり何といっても国内における体質の強化ということで、適切な森林施業の推進を図っていくということだと思います。それから二つ目には、秩序ある外材の輸入というふうに思うわけですが、大臣、この御認識についてお伺いいたします。
  114. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまおっしゃるように、私も、現在の林業を取り巻く情勢はきわめて厳しい、これは全く同じ認識でありまして、このことは林業白書にもわれわれのその認識を明らかにいたしておるわけでございます。そうした厳しい林業の実態を打破してこれから振興発展へというふうに進めていくためには、いまお話しのように、やはり国内的な林業の体質というものを強化していくことがもちろん最も大事なことであろうと思うわけでありますが、同時に林業について、一つ林業不振の原因と言えるものが、やはりいま輸入材が増加してこれが木材需給関係に非常な影響を与えておると、こういうことであろうと思うわけで、こうした点につきましては、かねがね申し上げておりますような秩序あるところの適切な輸入を確保するということが必要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、認識も同じでありますし、考え方もそう変わってないわけでございますから、あとはこれから総合的な施策を強化して林業の振興を図っていかなきゃならぬと思うわけでございます。
  115. 下田京子

    ○下田京子君 考え方認識も全く同じだということですが、具体的な施策というか、これからの解決策がやはり重要かと思います。  そこで、具体的に入る前にちょっとお尋ねしたいんですけれども大臣日本木材備蓄機構の調査課長さんは、現在佐藤淳一さんという方でしょうか。
  116. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) そのとおりでございます。
  117. 下田京子

    ○下田京子君 確認のためにお尋ねいたしますけれども、この日本木材備蓄機構というところは、政府・農林省とも連絡をとりながらいろいろと何よりも情報を集めていくということにたけている機関だというふうに認識してよろしいですね。
  118. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 備蓄機構におきましては、当然木材の備蓄を一定量やっておりますけれども、あわせましてやはり木材需給状況の情報把握というものも大きな使命でございます。
  119. 下田京子

    ○下田京子君 そこでお尋ねしたいんですけれども、実は昨年の十一月の十八日でございまして、第五十一回林業経営教室というものをこの方を講師にして開かれました。そのときに、こういう御指摘をされているんですね。  どういう指摘かと言いますと、輸入外材問題の中で、特に米材、アメリカ材の日本への影響ということでもって二つのことを指摘しております。その一つというのは、アメリカの国内需要の丸太の価格が日本向けの丸太の価格に比べて非常に差があるということが一つですね。日本向けの場合には、アメリカ国内よりも相当高く買わされているというのが一点の指摘。  それから、もう一つ目の指摘の問題では、特に今度は製材品の問題なんですけれども、カナダから輸入されている製材品が四インチ角で円高ドル安の影響もあって立米当たり約二万八千円見当で入ってくる。ところが、アメリカから丸太を買ってきてそして今度は製材にすると、どんなに努力しても立米当たり三万四、五千円になってしまうというふうなことで、その影響が非常に日本の製材界に対して大きなはかり知れない不安を与えているという御指摘をしているわけです。  同時にここで、その他の外材でソ連材のことなんかも触れているんですけれども、そのソ連材との関係で実は米材の価格にソ連材がくっついて上がったり下がったりしているということもあって、値段の動きも結果として米材が動かしているというふうな御指摘がまたあるわけです。同時にまた、韓国のみがきN製材というものを取り上げまして、韓国でアメリカから丸太を買ってきまして、日本向けにサイズをみがいてそして出しているわけですね。韓国はときどきいろいろと論議を呼ぶ国でございますが、人件費が相当安いというか、低賃金で劣悪な労働条件の中でつくり出された製材品が今度は相当数安い価格で入ってくると。これが昭和四十八年ごろから急速にふえていって、特に関西方面ではこの韓国との問題で大変な打撃を受けているという御指摘をしているわけなんですが、この御指摘御存じありますでしょうか。
  120. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生が急にお話しをされましたので、私もそれは読みましたが、ただ細かいことにつきましては現時点ではちょっと記憶いたしておりませんけれども、私も読んだ事実はございます。
  121. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、そこでいま担当の長官が読まれたけれどもよく記憶にないというお話なんですが、こういう大事な情報を握っている調査室長というか、調査課長さんがこういう形で講師になって話されていることですから、非常に重要な問題だと思います。そういうことをやっぱり林野庁政府も皆さんきちっと把握をしまして、そうして具体的に今後どうあるべきかという対処を真剣に考えなければならないと思うんですが、その御認識はどうでしょうか。
  122. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 私、その内容の具体的な細かいことをちょっと記憶してないと申し上げたわけでございますが、いま先生がおっしゃいました一、二の例の中でも、確かに私どもはそういうことを十分把握しながら木材需給あり方需給計画というものを立てておりますし、また、一般的な指導につきましても、そういう面を踏まえながら業界指導ということをやってきたわけでございますが、ただ、業界の指導のあり方あるいは木材需給のつかみ方、こういうものが必ずしもきめ細かい形で十分いままで行われたかということになりますと、この辺につきましては、私どもとしても反省はしていかなければいけないと思っておりますが、今後そういうものをさらにもっときめ細かく、特に備蓄機構におきましては先ほど林政部長もちょっと御説明申し上げたことがありますが、需給の情報把握というものが非常に大きな備蓄機構の仕事にもなります。そういう意味から、こういうところでつかみました情報につきましては、今後ともさらに的確にそれを分析いたしまして対応していく姿勢でおります。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 的確に情報を把握して、そして具体的な実効ある対処をしたいというお話ですけれども先ほど来から論議になっております秩序ある外材の輸入に対していろいろと意見があるけれども現在のところは打つ手としては行政指導しか見当たらない、その行政指導の一つとして、前の森林組合合併助成法のときに私が質問しましたときに、検討すると言った、例のアメリカに対してかつて話し合いしたこともあるからという話でしたが、先ほどどなたかの御答弁で、そういう事例もあるから今後それらも含めてやっていきたいということなんですが、どうでしょう大臣、そういうふうにアメリカとの話し合いでもって秩序あるような、そういう輸入ができるようなお見通しでしょうか。
  124. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもちろん対外折衝は大事なことでして、アメリカあるいはカナダ関係閣僚間でも話すこともありますし、あるいは事務当局間、外交ルートを通じましてもそうした外材のアメリカからの輸入、カナダからの輸入、その場合に丸太あるいは製材——アメリカやカナダ等はむしろ製材で輸出をしたいというわけでして、日本の方は丸太で輸入をしたいという傾向が非常に強いわけですが、そういう問題についても向こうは向こうで注文があります。こちらはこちらでこちらの考え方がありますので、そういう点は外交交渉は丹念にやっておるわけです。同時にまた、国内の関係業界からの協議会等とも林野庁は十分接触して、そういう上に立って、先ほどもお話がありましたようなそうした意見等も重要な参考になるわけですが、そういうものを踏まえてこれは秩序ある輸入という方向で努力をしていると、こういうふうに考えております。
  125. 下田京子

    ○下田京子君 お気持ちとそれから姿勢のほどはわかったんですが、具体的に先ほど林政部長さんだったでしょうか、アメリカの例をお出しになりましたから、秩序あるということで本当にそういうものが見通しとして確保できるんだろうか。特に丸太はまあまあとしても、製材品の製品の輸入ということでは、皆さん異口同音に不安を訴えておられますね。これらについては関税もかけられておりますけれども、どうなんでしょう、ストラウスさんとの日米通商交渉の際には関税も外せ、それからもっと木材の輸入量もふやせ、そんな要望もあったかと思うんですけれども、こういう中で確固たる姿勢でもって本当に国内の木材林業振興という点から、秩序ある輸入という点で奮闘いただけるんでしょうか。
  126. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 木材の輸入の問題、秩序ある輸入あるいは関税をどうするかという問題は、実は日本とアメリカとの間でも大きな交渉事項になっていることは事実であります。丸太につきましては関税はゼロということでありますが、製材品については一〇%、それをアメリカ側はもっと下げろということで強い要求が出ておるわけです。これが今度の関税交渉でどういうふうになっていくか、わが方としてはわが国の木材関係業界をやはり守っていかなきゃならない、こういう立場があるわけですし、アメリカはアメリカなりにまた黒字減らしその他の強い要求があるわけですから、そういうことを十分踏まえながらわれわれとしても適正なところで交渉を妥結しなきゃならぬ、わが方の立場は守りながら妥結しなきゃならない。全体的には、非常に強い諸外国からのわが国に対する圧力といいますか、要請が加わっていることはこれはもう事実であります。
  127. 下田京子

    ○下田京子君 一つは、国内の事情を踏まえて交渉に臨むとおっしゃられておりますが、適正なところで妥結をしなければならないというところがどうもひっかかります。心配です。皆さん不安に思うんじゃないかと思います。本当に国内のまず生産とか、あるいはいまの特別な不況業種というふうな点を見まして、一体どこにその主眼を置いてやるかという点で対処していただきたいわけなんですが、ただいまの関税の問題につきましても、そのこと自体がいますぐどうかということは別にしましても、皆さん国内には木材引取税があるんじゃないかと、それはもう価格のつり上げになってきていると、逆に言えば。なのに、外材輸入については全然関税がかかってないじゃないか。それは特別なものですと、合板なんかで二〇%とかかっているのもありますけれども、丸太全体はもう無関税ですね。だから、むしろ関税かけろという要求まであるぐらいですね。そういう状況の中で、やはり確固たる国内産業の発展と、林業木材の発展という点から大臣がんばっていただきたいというふうに思うわけです。  それと、もう時間がありませんようですから、もう一点決意のほどをお伺いしたいんですが、国内においてやはりもっともっと木材の消費を伸ばしていくというかなり大きな要望がございます。具体的にこれは秋田県の林務部で出されている要望なんですけれども、「木材需要量の拡大を図るよう配慮されたい」ということでもって「公営住宅の新築には木造住宅も認めるとともに、一般住宅及び学校等の公共建築物に木材の使用を拡大するよう図られたい」、こう言っております。で、いろいろ御要望があるようですが、官房長官という立場もあるので、ひとつここは農林大臣の臨時代理という立場だけじゃなくて、本当に政府責任を持って建設省なりあるいは通産省なりあるいは大蔵省なり、各省庁とも折衝して、五十一年の林業白書にも指摘しておりますけれども、秩序ある輸入とか国内の体質強化とかと言われているこの点から、ぜひ音頭をとって具体的なお見通しを立てていただきたいと思うんですが、その決意のほどをお伺いいたします。
  128. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 木材の需要を喚起しこれを拡大していくということは、林業の振興にも直接つながるわけですから、これはどうしても必要だと思うわけでありまして、われわれもそうした見地でこれまでも努力を重ねてまいったわけでございますが、御指摘の点は当然のことでありますし、政府としても、これは政府全体として建設省とも十分な連携をとりながら、いろんな住宅関係木材をこの中に取り入れるという方向に努力をしてまいりたい。日本住宅・木材技術センターというのがありますが、ここで国産材の活用を含めた住宅用木材の利用技術の開発、普及啓蒙を図っておるわけでありますが、そうした機能等もさらに充実をしてまいりたいと、こういうふうに存じております。
  129. 下田京子

    ○下田京子君 大変具体的な、以前よりちょっと具体的な御答弁をいただきましたので、今後は実効あるような形での御協議とそれから施策をお立ていただきたいというふうに思います。  それでは、今度はいまの輸入問題との絡みで、さらに各界の要求等も踏まえて、細かなことであと二、三お尋ねしたいと思います。  すでに皆さんのところでもおわかりだと思うんですけれども、ただいま私がお願いした輸入問題というのは、全国森林組合連合会でも要望書という形でもって出されております。この全森連の場合ですと、輸入に対しては一元輸入機関の設置あるいは調整政策をというふうな形までお出しになっております。それから、その前にはまず何と言っても、全国的視野に立って木材需給計画を樹立するということが大事だというふうに指摘されておりますけれども、この点についての御見解はいいかがでしょう。
  130. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほど大臣の方から御答弁いただいておりますとおり、私どももこれからの日本木材需給というものを安定的なものにするためには、やはり木材需給計画というものを的確に把握してつくり上げること、そしてそれによる指導をできるだけ強固にやること、これが必要かと考えております。そういう観点から、需給計画を実のあるものをつくり上げるということにつきましては、私どももそのような考え方で今後対処するつもりでございますが、一方、一元輸入あるいは調整と申しますか、そういう問題につきましては、先ほど大臣からもお話ございましたが、ただいまの世界情勢がやはり非常にガッドを中心にいたしまして貿易拡大という方向を向いております。その中で、また日本におきましてもそれなりの対応をしていくということになりますと、やはりいまの段階でこれを一元輸入というある意味では強制的な方法をとるということは、必ずしも適切でないというふうにわれわれ考えておりまして、そういう意味からも、前々から申し上げておりますような実のある需給計画を立てまして、それによる指導を行っていくということに重点を置いていきたいというふうに考えております。
  131. 下田京子

    ○下田京子君 需給計画の樹立ということでは必要だという御見解だったと思うんですが、輸入の一元化ということについてはいろいろまた問題があるという御答弁かと思います。  そのことなんですけれども、これも御承知だと思います。一月の十七日に結成された山村振興・木材需給対策協議会という団体、全国のいろんな関係六団体ほどでつくられていて、一月二十三日に中川農林大臣の方にいろいろと需給計画を中心とした申し入れを行っているわけですね。そのことも踏まえて、今後やっぱり輸入問題等についてはいろいろと考えなければならないような時期に立たされていると思うんですけれども、具体的にいま考えられているのはどんなものでしょうか。
  132. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 輸入につきましては、先生十分御存じだと思いますけれども、やはり米材ありソ連材あり、あるいは南洋材あり、いろいろな種類がございます。そういう形で、それぞれ輸入のあり方が少々違ってはおります。しかしながら、やはりわれわれといたしますれば、貿易という面から考えて、これはやはり国内全体の木材需給計画をきちんと立てて、そしてその不足分を外材で補うという考え方、こういうものに立脚し関係業界を指導していくということ、そのために、まず従来年間の需給計画というのを立てておりまして、それを年に一度程度手直しをいたしてはおりました。しかし、木材の最近の状況を見ますと、短期的な変動が非常に多い。それからまた、住宅建設がどうなるかということ、これによって非常に支配されるということ、この辺をやはりつかむためには四半期ぐらいの一つの期間でさらに的確なものをつかみ、それによって指導していくということがベターではなかろうかというふうに考えております。  そういう意味から、四半期単位の需給計画というものを情報を十分つかみまして対応していく。さらには、従来もやってはおりましたけれども、さらに精密に在庫量を把握するというふうなこと、そういう観点から、従来やっておりました需給計画というものをきめの細かい需給計画にいたしまして、それをもとにした行政指導をしていこうというのが現時点で考えておる私ども考え方でございます。
  133. 下田京子

    ○下田京子君 それだけですと、かなりやはり具体的ではないと思うんです。なぜなら、三月の委員会で私が、いまのその調査にしても年一回ではとても足りないじゃないかと、せめて四半期ごとの見通しをお立てになれないかという質問をしました際に、あのときの答弁では、それも含めて検討いたします、こういうことでした。ちょうど一カ月ですけれども、一カ月たったら今度は四半期ごとの見通しを含めて検討したいということですが、その見通しを幾らお立てになっても、見通しは大事ですよ、だけど見通しを立てるだけでは、秩序ある輸入ということでもって実際に効果あるそういう輸入がなされるんでしょうか。しかも相手があることですから、そこが一番問題なんですよね。同時に、行政指導とおっしゃいますけれども、その行政指導の中身というのはどんなものが考えられるんでしょう。
  134. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 木材の輸入につきましては、それぞれ北米材を対応される方、あるいはソ連材を対応される方、南洋材の方々、それぞれおられます。そしてまた、そういう団体ができ上がっております。私どもはそういう方々を中心にいたしまして従来も指導をしておったわけでございますけれども、今後さらに、やはり南洋材は南洋材関係のそういう業界の団体を中心にした行政指導、米材についてはそういうものを中心にした指導、こういうふうに、地域別、材種別にそれぞれの業界の団体ございますから、十分そういう業界の方々と連絡調整をとるということによりまして、私どもはいま先生がおっしゃいましたような需給計画に対するそれぞれの業界の実行状況、あるいはこれからの計画というものに対する指導は行い得るというふうに考えております。
  135. 下田京子

    ○下田京子君 いまの御答弁の中で、米材、南洋材、北洋材それぞれ事情が違うということは全くそうだと思うんです。ですが、行政指導の中身の問題とか秩序ある輸入の問題というのは何もきょう突然出てきたことではなくって、さっきも私話しましたように、五十一年度の林業白書の時点から言われていることですよね。しかも、秩序ある外材の輸入という言葉がなぜ生まれたかと言えば、昭和四十九年当時のころまでの状況と違って、それ以前はとにかく木材が足りなかったから入れるという方が必死であったわけですね。現在の状況というのは、いろいろ外材が、入ってくる先は異なるけれども、そのことによってむしろいろいろと需給均衡を乱したり、価格操作も大変な状況に追い込まれていると。だから事情が違うわけですよね。ですから、どういうふうな実効ある行政指導をなさるおつもりなのかということなんですよ。  たとえば、具体的にお聞きしますと、私今度の森林組合法の単独立法化に当たりまして各地域の皆さん方の生の声を聞いてまいりましたが、特にいま出したいのは北海道の例なんです。これはお持ちかと思いますが、北海道森林組合連合会でもって一月の二十五日札幌市で会合を開いております。これは、全道の森林組合長さんがお集まりになっていろいろ審議された資料でございます。その中で北海道の状況が詳しく出ております。お持ちのようですからお開きいただけばわかりますけれども、二十四、二十五ページにこういうふうに出ているんです。全国的に見ますと、外材輸入の量で南洋材が一番多いんですね。次いで米材なんです。その次北洋材と、こうなっていますが、北海道の場合ですと第一に米材なんです。第二番目に南洋材、そして三番目に北洋材、こういうふうになっているわけです。しかも、その米材が五四%と圧倒的に多いという指摘をしているんです。  なぜこういう指摘をしているかと言うと、実は北海道の場合には全国的な外材依存率とちょっと傾向が違います。傾向は違うんですけれども、その傾向が違うということは、逆に言えば、北海道には豊富な森林資源があり、しかもまた北海道の森林資源を活用していままではやってきたわけですね。ところが、その傾向がどんどんどんどん変わってまいりまして、五十二年度で実に全体では五百七十六万立米入ってきておりますね。そしてその中で問題なのは、チップ材が三百六十四万立米入っているんですよ。米材を問題にしているのはここなんです。北海道の森林組合の皆さんも、それから木材関係の皆さんも、みんな口をそろえて、外材輸入の、特に製品輸入の、アメリカ材の問題がということをおっしゃられているわけですね。  ここでお尋ねしたいんですが、これは非常に具体的で地域的な特別なケースでもあります。こういった場合には、どういうふうな行政指導をなさるおつもりでしょうか。
  136. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ただいま先生指摘になりました、北海道の外材輸入の傾向が米材が非常に多い、その米材の中で特にまたチップが多いという御指摘でございますが、北海道の場合、御存じのとおり、北海道には相当大手のパルプ会社がございます。したがいまして、従来から北海道はパルプ材というものが非常に使われておったという実態がございます。ただ最近、御存じのように、国有林等々伐採量が非常に減少してまいりました。そういう関係で、チップ材必ずしも北海道から十分でないという問題、さらには外材チップが安いという問題、そしてまた外材チップが非常に大量的に輸入できるというような利点、そういう点から外材チップが北海道を中心にしてやはり入ってきたということは事実でございます。  したがいまして、チップの問題ということになりますとこれは主体がやはりパルプ業界でございます。私ども先ほどそれぞれの団体があると申し上げましたように、そういうチップにつきましてはパルプ関係の業界、そういうものと十分連絡をとりながら、チップの輸入についてそれぞれの需給計画に見合った形で輸入していただけるようなことを、私どもとして今後努力して対応していきたいということで申し上げておるわけでございますが、先ほど私が申し上げました需給計画をどうやって指導するかという点でございますが、これは現在やはり実のあるものをやろうということで検討しておる最中なものでございますので、最終的な私どもの考えを申し上げる段階にはまだ至っていない。ただ、できるだけ早い機会にこれをまとめていきたいということで、先ほど説明もいたしましたけれども基本問題検討会議等々でもその点を御検討いただいておるわけでございまして、その辺は御理解いただきたいと思います。
  137. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお話の中で、外材のチップ材が安いということなんですが、これは全く安いだろうかという点ではちょっと実態が合わないので、数字的に見てみたいんですが、これは西暦になっていますけれども、アメリカの輸入チップですよ、一九六五年を一〇〇とした場合に、一九七〇年で一二一・八になっています。そして七五年で二八一になっています。それから七六年で二四三・六とやや下がったというふうな状況ですけれども、ここ十何年問の間にもう三倍まではいかなくとも大変上がっているということが一つと、それから、北海道のチップ材をなぜ私が問題にしたかというと、私が問題にしていると同時に、これは北海道の森林所有者、それから森林組合、それからそれに関係する業界の皆さんにとって死活問題なんです。  というのは、御承知のように、農林省でも林野庁でも、北海道については、特にエゾ、トドなどありますね。あれはもう百年から二百年という長い年月を要する。で、カラマツを植えなさいということでカラマツを大分こうやってきているわけです。ところが、そのカラマツ、がどうも思わしくないんですね。思わしくない理由としては、間伐がやられないんです。なぜやられないかというと、カラマツ自身の値段も問題であるし、それから間伐材としての利用の範囲も限られているし、何よりチップ材として使っていただければいいんだけれども、それが米材と競合してしまってもう売りたくたって売れないという、そこに大変深刻さがあるわけなんです。  ですから、そういう特殊な深刻な状況に追い込まれているという御認識をいただいてそして業界とやりませんと、業界と話し合い話し合いと言いますけれども、それはもうなかなか実効あるものにはならないんじゃないかと思うんです。どうでしょう。
  138. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 北海道のカラマツ材についてただいまお話ございましたけれども先生も十分御存じかと思いますが、北海道は従前カラマツ材を植えた地域が北海道の民有林には確かに多うございます。それは北海道の郷土樹種と申しますと、どうしてもエゾマツ、トドマツになります。エゾマツ、トドマツという樹種につきましては、やはりその幼苗期間が非常に長いとか、また成長も非常に時間がかかるとか、いろいろな問題がございまして、やはり北海道にそのほかの適種樹種はないかということで道庁を中心に検討されて、カラマツというものが導入されたというふうに私ども理解いたしておりますが、カラマツにつきましては、過去におきましては、たとえば間伐材等については、北海道は昔炭鉱がございました。そういう意味で、炭鉱の坑木等には相当利用もされておったという実態もございます。そういう観点からカラマツを取り入れたところ、最近炭鉱におきましても坑木の利用量というのは確かに減ってまいりました。  そういう点で、逆に、その間伐材をチップ等に利用するという方途がふえてきたわけでございますが、いま先生指摘になりましたように、チップ材については、パルプ業界が安いということとあわせて、私申し上げましたように大量に一時に入るというこの利点、この両方から外国から船でチップを持ってくるという事態になったと思いますが、それに対応して北海道に植えてあるこういうカラマツ材がなかなか利用できないという問題、私どもも十分認識はいたしております。そのために、北海道に現在カラマツその他の利用のためのいろいろな研究開発というものを進めるような対応をいたしておりますし、また国全体でもカラマツ材に限らず、全体の間伐等の材についての研究開発なり利用促進というものを対応しておるわけでございまして、そういう個々の地域地域の問題につきましては、中央と都道府県等が十分連絡をとりながら今後とも私は進めていく必要があろうというふうに考えておりますし、今後とも林野庁といたしましても北海道については、カラマツを中心にしたそういう間伐材のあり方については、十分北海道と連絡をとりながら対応していくという姿勢を今後ともとっていくつもりでございます。
  139. 下田京子

    ○下田京子君 今後とも対応するということは、もう委員会のたびに聞くわけですよね。それで重要なことは、その対応が具体的にどういうふうに結果としてあらわれるかということであるかと思います。いまのお話の中に、大量に船でもって入ってくるんだと、そういうことで値段だけじゃなくて大量に活用できるという魅力があってとおっしゃられました。事実なんですよね。  だけれども、そのことによって大変な事態になっているということで、これは帯広と本別の木材関係の業者の方と懇談した際なんですけれども木材がいつの間にかお魚になっちゃったというわけですね。本来ならそこに山があり森林組合があり、そしてそこに林業で働く労働者がおり製材工場や加工場があって、そして何人かの労働者がそこで働いている。だから地域が成り立っているわけです。それが山村振興なんです。そして、しかも昔はその間伐材というのが薪炭利用にもされたと、あるいはおっしゃるように炭鉱のくいにも利用されたと。いろいろあるけれども、いまはそれが全部崩れていっているわけなんです。こういう実態の中で、真剣にそこに住んでいる人たちのことをどうしていくかということをお考えの上で対処なさらないと、これはもう委員会のたびに私ども対処します対処しますって何度聞いても、これは事態がよくならないわけです。  そして言われているのは、北海道の場合ですと、この帯広や何かですと、苫小牧と釧路に揚がりますね。ですから、港湾関係にいわゆる木工関係の製材所が建ち並ぶわけです。全国的な数字、これは間違いでないと思うんですが、およそこの木材関係で、林業労働者じゃなくて木材加工関係で働く労働者は実に五十万人というふうに言われております。しかも、港湾関係で働いている人たちがそのうちの六割です。こういう実態で、いま港湾にあるのが即悪いとかなんかというんじゃなくて、現実さっき申しましたように、山があるところにやっぱり関係する何といいますか、仕事に発展させていくという振興策を考えなきゃならないと思うわけですね。そういう御認識の上で本気になってそのチップ材の利用の問題、いわゆる間伐材の利用問題というものをお考えいただかないとならないということなんです。単にそれはもう道庁の問題であるとか、そこの森林組合の問題だとかじゃないんです。それから個々の問題じゃないんです。全国的な問題なんです。そういう御認識にお立ちになって、農林省なり林野庁なりが責任を持ってこれをどうするかということで詰めていかないと、問題の解決にはなりませんよということなんです。いかがでしょう。
  140. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 間伐材の対応の仕方、これがこれからの林政の大きな課題であることは私どもも十分認識し、そのための施策を従前からやってきたわけでございますが、それが必ずしも現時点で十分でないということは、私ども認識いたしております。したがいまして、さらにそれを進めるために、先ほど大臣から御説明ございましたような建設省とタイアップした日本住宅・木材技術センターというものをつくりまして、さらに間伐材の従来と変わった利用の仕方がないだろうかというような対策を進めることにもいたしておりますし、また間伐の生産性を高める、コストを下げるためにも間伐林道というものを今年度は前年度の二倍の延長距離にいたしまして対応しておるということも、この辺の姿勢のあらわれと御理解いただきたいと思いますが、今後はやはり間伐問題については、これは地方的にはいま申し上げましたようにカラマツの間伐の問題がある。利用の仕方がそれぞれ樹種によって違う場合もございますから、地方地方で研究しなきゃいけない問題と、間伐という一般論から全体、国全体で対応しなければいけない問題と両方あろうと思いますから、その両方につきまして十分私どもも対応していくつもりでございます。
  141. 下田京子

    ○下田京子君 いまの間伐材のことで具体的な提案でもって御検討いただきたいんですが、いまお話しの中に二つありました。間伐材一般的な利用問題ということで、確かに林野庁はアイデア募集なんということで、大学生や高校生を対象にしましていろいろやられております。それはわかります。しかし、一般的な利用と同時に、もう一つ北海道の場合には、具体的にチップ材として利用できないかという御要望があるわけですね。これはもう即刻具体的に連絡をとって、大量にどうなんだろうかというふうなことも御検討いただけないかということです。
  142. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 絶対量の問題はどうか、ちょっと私もいま記憶いたしておりませんけれども、いま先生指摘になりましたカラマツ材をチップに使いパルプ用に使うということ、これは技術的にもうできておるはずでございますし、今後その点については積極的に指導してまいりたいと思います。
  143. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、さらに具体的に尋ねたいんですけれども、間伐材とチップの場合ですね、チップ材に利用するとなったときに恐らくまた価格がひっかかってくると思うんです。量もひっかかってくると思うんです。その価格の問題についてなんですけども、消費者にもしわ寄せさせないで生産者の意向も聞きながらということで、政府が五十三年度の予算の中身で間伐材安定流通促進。パイロット事業費補助金ということで二億七千六百万円予算計上されておりますが、こんなものを具体的に使いまして、流通コストの問題である、あるいは輸入材との差額問題だとかいうふうな、具体的な予算的な裏づけも含めた御検討をいただきたいと思いますが。
  144. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘の事業は、森林組合が集中的に間伐材を集めまして、いままで零細分散的な出荷ということで非常に能率が悪かった。組合、これは連合会でございますが、連合会がそれを一種の基金を持ちまして、その基金の運用の中でそういう大量な集荷あるいは順調に安定的に出していくということを事業化いたしますために新しく起こしまして二年目を迎えているわけでございますが、これは先生のおっしゃる価格差補給的なものではございませんけれども、そういう一つの大量流通という形で将来の安定販売の道を開くということで考えたわけでございます。  木材は、御承知のように、どちらかというと生産費から接近したり、あるいは所得補てんというような意味から接近しにくい商品でございますので、御指摘の価格差補給的なものでこういうものを伸ばしていくということには大変困難があると思いますし、なかなかそういう面での接近はむずかしいとは思いますが、いま現にこういう一つの大量流通をします場合の組合の危険負担を分散するという姿で援助の道を開いたわけでございますので、そういう手法をさらに拡大する方途等につきましては検討をさせていただきたいと思っております。
  145. 下田京子

    ○下田京子君 具体的に検討をというお話がありましたが、ぜひ検討いただきたいわけなんです。といいますのは、再度申し上げますけれども、北海道の場合には、本州とまたちょっと違って、国有林よりも民有林の方が非常に山の荒れがあるんですね。それはどうしてかと言うと、いまのような特殊的な事情と相まって、木材の価格も思わしくないし、間伐をしなければいい森林が育たないでしょう。だけれど、その間伐の利用も思わしくないというふうなことでありますから、どうしてもこの間伐の問題というのが一つのネックになっているのですね。そういう間伐材の利用だとか、あるいは具体的な援助というものが出てまいりますと、また違った形で道の森林連合会にしても森林所有者にしても造林意欲もわいてくるでしょうし、そういうふうな具体的な裏づけがないと、森林組合法を単独立法化して、協同組合的な性格をもう第一義的にやって、森林所有者の経済的、社会的地位の向上、安定というのをばんと目的に打ち出しても、そういう具体的な裏づけがないとどうにもならないんじゃないかということなんですね。  ついでに申しますと、他の農産物というのは、ほとんど価格対策とそれから不十分であっても需給対策というのはあると。ところが、木材に関してはこれらがないと。そこにもやっぱり魅力がない原因があるんだと、こういうところを総合的に考えてもらいたいということを皆さん口をそろえて言われていました。だから、現在ではむずかしいとおっしゃっておりますけれども、間伐関連事業ということで、政府から私も資料いただいておりますが、林道の問題であるとか、いま言ったパイロット事業にしても、あるいは促進特別対策事業にしても、流通問題にしても、あるいは木材技術センター事業のことについても、あるいは木材チップ取引改善対策事業というものもあるわけですから、どこかになじめないかという形でもって、具体的な検討を再度お約束いただきたいと思います。
  146. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 先ほど来申し上げておりますように、木材需給の問題は、ひとりチップ材、パルプ業界の問題だけではなくて、やはりいろいろな問題ございます。そしてまた、間伐材を中心にいたしまして、この間伐材の利用の仕方、またそれをどうやって出してくるか、またそれをある意味でロットを大きくして流通に乗せるか、いろいろな問題ございます。そういうものをもろもろ含めまして、いま先生も御指摘になりましたようないろいろな施策をやっておるわけでございますが、そういう施策をわれわれ総合的に判断し、それぞれの地域の実態に合うような形で指導はしてまいりたいというふうに考えております。
  147. 下田京子

    ○下田京子君 この次は、具体的にこういうふうなものが出たという御報告がいただけることを期待いたします。  それで、同時に、間伐材の問題とあわせまして、先ほどから大きな問題になっています輸入材と、もう一方の柱であります体質強化のことで、国産材の利用をもう少し優先的にということで具体的にまたお願いしたいと思うのですが、先ほど安倍代理大臣の方から、木材の住宅については今後具体的に何らかの形でこたえられるように検討を進めていくというお話が一点ございました。  その点で、こちらで具体的な提案なんですけれども、お話ちょっとお聞きしますと、住宅金融公庫から融資を受ける際に、木材住宅を建てるという場合に現在の限度額よりも上乗せして借りられるとか、そういう検討がちょっとなされているようなお話も聞いたんですけれども、実はそれは話として終わらないように、その辺のことも含めてひとつこれは建設省サイドに、ぜひ農林省、林野庁として提案をいただけないかということが一点。  それから、住宅問題で、ぜひ国産材の利用というか、その見直しを大いにアピール、宣伝する必要があるんじゃないかと思うのです。外材は、安いということでどんどんいままで入ってきました。確かにものによっては安いと思います。しかし、南洋材なんかですと、非常に木目が粗いですね。ということは、耐久度が落ちるということですね。となれば、結果としてそれは高くつくことになります。ですから、消費者に安定的にいいものを使っていただくという点で、外材ではなく、むしろ木目の密度のある——これは競合するものですよ、もちろん選ぶのは消費者ですけれども、そういうことでの宣伝というのも必要じゃないか。  それから、あといま考えなければならないのは新建材だと思います。新建材は、第一にまず便利であって大量に入ると、二つ目には大変宣伝が行き届いているし、三つ目に生産が少数の企業に集中していますからいろいろと流通が簡単ですね。また、これには外国資本が非常に大きく絡んでいますし、同時に、流通の問題ではスーパーなんかが新しく乗り込んでいる。おまけに添加物が有害というふうにきているわけですから、そんな点なんかも含めまして、大いに国産材の見直しということを訴えていくべきじゃないかと思います。この二点。
  148. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 前段で御指摘されました、建設省に住宅を建てる場合のいろいろの融資等々について何か申し入れをする意思はないかということでございますが、これは事例でございますけれども昭和五十年度におきまして住宅金融公庫融資住宅工事共通仕様書というのがございますけれども、この仕様書に材料指定をカラマツ材について特にしていただいたことがございます。従来、カラマツ材はそういう材料指定がなかったため使ってもらえない。しかし、軸組みの中にカラマツをたとえばはりだとか、あるいは太びきですか、主としてはりその他でございますけれども、そういうものにカラマツを使っていただくことをお願いいたしまして、その仕様の中に組み込んでいただいたことがございます。したがいまして、いま先生の御指摘の問題につきましても、十分研究はさしてみたいと思います。  それから二番目の、もっとPRをしろというお話でございますけれども、これは私ども先生に御指摘されるまでもなく、やはりまず木材を使うことをPRしなければいけない。その次に、木材でも外材と国産材の違いというものをやはり十分国民に理解していただくことが必要であろうということで、こういう問題についても今後とも十分対応をするつもりでおりますし、またその必要性は十分感じておりますので、今後ともその姿勢を堅持してまいりたいと思います。
  149. 下田京子

    ○下田京子君 今後も具体的に研究するということですが、となれば関連法ですね、消防法の見直しだとか、いろんな関係法があると思うので、その点もぜひ手抜かりなくもちろん検討されると思うんですが、お願いしたいと思います。その中には、たとえば学校の建築なんかで問題になりましたが、各地域で体育館が、トップといって、コンクリートの上にゴム張りのようなのが入ってきたと。とんでもないということで、秋田なんかでは秋田大学の専門的な大学の先生に研究してもらったら、成長盛りの子供にはよくないということでもって、県全体としても張りかえる問題がいま進んでいるというふうなお話が出ていますし、ついせんだって、私、文部省の方にその話をしました折には、文部省としても見直しをしたいというふうなことをしておりますので、そういう特に公共事業なんかでやられるようなところにはどんどんもう見直しをし、そしてまた、国産材の普及というふうなことを図っていただきたいというふうに思います。  それで次に、全体的な長期的な見直しの問題なんですけれども木材需給の見直しという点で、先ほどもどなたかの委員さんから御指摘がありましたが、いまのような情勢でいきますと、やっぱり四十八年のこの基本計画で出されております森林資源計画そのものを全体として見直してみる必要がいま迫られているんじゃないかというふうに思います。さっき長官は見直しを図りたいと言いましたが、大臣は最後にはっきりしないようなお話をしていましたので、私もこれは大事な問題ですから再度御質問したいわけなんですが、必要に応じた見直しと、あるいは同時に、四十八年に出した基本計画に基づいて最終的には国内の木材資源の活用が一〇〇%近くにまずいくような方向で努力されるということは大事ですが、見誤りがありますとやっぱり問題が大きくなりますので、必要に応じた見直しというものはやっぱり検討されるべきかと思います。
  150. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 長期需給計画あるいはいま先生がおっしゃいました基本計画でございますけれども、これにつきましては、私どもこの委員会でも御説明申し上げましたとおり、現時点では確かにいろいろな意味乖離が生じているところは、私ども認識いたしております。ただ、林業というものを本来の性格から申し上げまして、日本の山をどういう目標でどういうふうに仕立てて、資源を保続的な形で維持していくかという大きな目標、これについては、私どもある意味でそういう線からこの長期計画というものを基礎にして物を考えていく必要があるであろうと。ただし、やはり日本経済状況なり日本全体の国の施策なりが、そういうものが大きくある意味で変わってきております。そういうものとこれをどう整合性を持たせるかという問題につきましては、私どもとしてもその辺をどう踏まえていま立てられておりますこの計画を見直していくべきであろうか、また見直す必要があるのだろうか、どういう点を見直すべきだろうか、そういう点を総合的に検討し見直す必要性があるかどうかということ、その辺を現在十分検討を進めておる段階でございます。
  151. 下田京子

    ○下田京子君 見直しのための検討を営々と続けているというふうな感じのお話なんですが、検討することは非常に重要だと思いますね。ただ、昨年五十二年度の例で、木材需給見通しを見てみますと、ずいぶん過程でいろいろあったように思います。これは、やっぱり木材の消費で第一番目と言われる住宅建築との関係から出てくると思うんですね。五十二年度の三月で当初百六十万戸の住宅を建てようというふうに言っていたのが、五十二年九月になると百五十五万戸になって、途中でまたそれが百五十一万戸に減った。最終的には今度の十五カ月予算なんというようなことも絡んで、実績百五十五万戸というお話を伺っておりますが、そういう過程で、私が皆さんの方からいただいた資料そのものも、昨年の九月にいただいた資料と今回いただいた資料では、木材の需要の見込み額が変わっているわけですね。こういうふうにわずか半年足らずの間に変わりますから、そのために四半期ごとの検討も必要だというふうに御判断になったんだと思うのですが、やはりこういうことも含めて基本計画も見直し、同時に計画だけじゃなくて、その計画に基づいて山づくりの問題とそれから外材との関係というものも対応していくことが必要かというふうに思いますので、それら全体を踏まえてぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。  次に、この前質問した点で、長官と私の間で数字的なずれがありまして、後で委員会終了後長官の方から、先生のお話しの数字が正しいという御指摘いただきましたので、改めてここで確認をいただきたいんですよ。  私問題にしましたのが、会津のキリ材の問題です。この会津のキリ材なんですが、これは林野庁からいただいている資料ですが、アメリカからのキリ材の輸入は四十八年に三百九十六立米、四十九年が三百三十二立米、五十年が八百二十八立米、五十一年が五千三百三十八立米、ここで一挙に六・五倍に輸入がふえています。それから五十二年が一万五千七百九十九立米、五十一年対比で二・九倍になっています。まず、この数字間違いないかどうか、御確認ください。
  152. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生がおっしゃいました数字は、間違いございません。
  153. 下田京子

    ○下田京子君 もう一点の数字の確認でございますけれども、五十一年全国の桐連合会で調べたこれは数字ですが、輸入量が十万三千五百六十二立米、国産の生産量が一万九千百四十四立米、これがいわゆる生産量及び輸入量。そして、五十一年のキリ材の消費動向ですが、これが十万三千三百立米。この数字でいくと、在庫は別として五十一年単年度で国産材と輸入量合わせて、片一方の消費量を見ますと、ちょうど国内生産量分が過剰になっているという単純計算ができるわけですが、この点御確認いただけますか。
  154. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま先生がおっしゃいました数字は、確かに数字としてはそのとおりでございます。  ただ、そのいまの五十一年度の国内生産量と輸入量の問題でございますけれども、これで消費量との関係を見ますと、大体国内生産量に近いものが差し引き残として残っております。ただこれは、先生もこの表をお持ちだろうと思いますが、四十七年から五十年までを見ていただきますと、逆に供給量が消費量より少ないという事態が出ております。したがいまして、この辺の関係が結局在庫の問題だとかいろいろあろうかと思いますので、いま先生がおっしゃいましたように、五十一年度分の国産生産量がそのまま残ったということにはつながらないのではなかろうかというふうにわれわれは理解いたしております。
  155. 下田京子

    ○下田京子君 その解釈についてはここでは私触れないことにしますが、ちょうどそういう実態になって、現地、いわゆる福島の会津ギリ生産地域では、いまキリ材が売れなくて困っているという実情があるんです、現実に。  そこで、価格の問題もこの前ちょっと触れましたが、アメリカのキリ材の場合には、国産の会津ギリと比べた場合には差がない、それから質でいっても差がない、こういう状況で、市場に出回った際に大変競合する分野なんです。その具体的な対策について、今度は新たにお願いしたいわけですが、実は会津ギリの生産をなさっている皆さん方が、森林組合としてあるいは連合会を通じて共同出荷、共同販売というふうなかっこうのものをつくりたい、いまそれを準備しているというお話なんです。その際に具体的に、国の施策の中で特産物の林業振興の事業がございましたね、それに乗せていただけないかという要望です。
  156. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま林野庁では特用林産物の生産流通改善対策というのをやっておりますけれども、いま先生の御指摘の問題については私どもも細かい話を聞いておりませんので、具体的な話があれば、それについては十分検討さしていただきたいというふうに思います。
  157. 下田京子

    ○下田京子君 これは、具体的に対応できるという答弁と理解させていただきます。  次に、国内の森林組合の強化という点での中間収益制度というものが考えられないかという御指摘があるんですが、これはどういうものでしょう。
  158. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 中間収益制度というのを、先生がいまお考えになっておられるものがどういう中間制度なのかちょっとわかりませんので、その辺御説明いただければ、私どもがいまやっておりますものと合っておるのか——実は私どもがいまやっておりますのは、中間分収といいますか、やはり木を植えましてから主伐にかかるまで、一部間伐等で収入もございますけれども、中間的で非常に収入がなくなる、そういうものの対応のために中間で分収契約をやるという形、そういうものをとったらどうだということで、ただしこの方法にはいろいろなむずかしさがございます。中間で分収する場合、その場合のその森林の価値をどのぐらいに評価するか、あるいは最後の分収歩合をどうするか、そしてまた、途中でもしいろんな事故が起きた場合にはどうするか、そういうことがございますので、主として町村有林を対象にいたしまして五十一年度から実行に移っております。ただこれも、ある意味で研究的な形で移っておりますので、年間に実行いたします個所は二カ所ないし一カ所程度でございますけれども、そういう形のもので、ただいま町村有林を中心に半分研究的な対応、そして半分実質的な対応という形で進めておりますが、先生が考えておられるものとそれが同じであれば、そういう形で私どもはいま進めておるということを申し上げたいと思います。
  159. 下田京子

    ○下田京子君 中間収益制度については、具体的にこうだといま私の方で提案するということではなくて、いろいろと私も聞いてまいりましたけれども、問題は、どういう制度であれ皆さんがなじむということですね、そして実効があること。特に青年後継者問題です。森林というのは、杉なんかで早いのだと二十五年、三十年でありますけれども、やっぱり五十年とかというふうに長いでしょう。そうすると、北海道なんかですと、親さんが植えたのを孫さんのときになってもらうみたいなかっこうになって、とてもなかなか造林意欲にはつながらないということになりますので、そうした地域的なことも考えながら、何か後継青年対策等も含めた中間収益制度というものを考えられないかということなので、実験的にやられているということですが、早急に実験のみならず全国の森林組合、特に不活発森林組合が二千百幾らのうちの約三分の一あるというわけですから、そういったところに力を入れていっていただきたいというのが一点です。  それから、次に造林の問題なんですけれども、委託者別造林事業の状況を見てみると、個人の割合というのが五〇%ぐらいで非常に落ち込んでいますね。これはこういう個人部門のやつについても、もう少し何といいますでしょうか、森林造成事業ということで、手続を簡単にして受けられるようなかっこうにならないかというような御意見もあるんです。いかがでしょうか。
  160. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) いま御質問意味がよくわからなかったのですが、森林組合が個人の造林を受託するのに手続を簡単にしたらどうかという御質問でございましょうか。
  161. 下田京子

    ○下田京子君 国の補助の問題であるとか、具体的にもっと進むような手だてがないかということです。
  162. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 森林組合が受託して行う場合、いままで諸掛かり費も補助の対象としておりますし、今後もその方針でまいりますので、別段問題はないというふうに解釈しておりますが。
  163. 下田京子

    ○下田京子君 この個人の委託造林というのについては、非常に予算的な点で弱小でありますので、もう少し促進できるような方向でできないかという希望を聞いているんですよ。
  164. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) どうも御質問の趣旨がよくのみ込めないものですからもたもたしておりますが、現在も森林組合が受託して行う造林につきまして、個人の場合でも、先ほど申し上げましたように諸掛かり費を補助の対象にしているとか、あるいは拡大造林についても実質補助率の引き上げをやっているとか、あるいは保育事業におきましても、森林組合が受託してやる場合には特に助成を強化しているということでやっておりますから、先ほど私申し上げましたように、特に個人の分を優遇してないということじゃないわけでございますから、問題ないのじゃないかと、こういうように思います。
  165. 下田京子

    ○下田京子君 私もその点については、再度要望いただいた方とも協議をして、また機会があったら伺うというふうにしたいと思います。  次に、林業労働者の問題でお尋ねしますが、白ろう病対策です。この白ろう病の問題ですけれども、これもやはり北海道の場合なんですが、具体的な例が幾つか出されまして、第一次健診の助成として国が見ている場合、最低基準額が四千五十円ということなんですね。ところが、最低でも四千三百円かかる。それから、高いところでは八千八百五十六円もかかっているというふうなお話です。白ろう病の健診を受けたくとも地方にはそういう施設がなかなかございませんで、急行で片道四時間半もかかるというようなところが大変多いというんです。そうなりますと、往復の交通費だけでも五千円とか六千円とかという形になって、一回健診を受けると一万を下らないというふうな実態で、一つは健診できる施設ももう少しふやしてほしいというのが一点と、それに絡んで巡回健診車みたいなものを回してもらえないかということですね。  それから第二点目には、健診の費用の助成をもう少し実態に合わせて上げられないかという、この二点です。
  166. 林部弘

    説明員(林部弘君) いま先生のお尋ねの後ろの方から先に御説明いたしますと、おっしゃるように、白ろう病を起こすような事態の発生するような事業場というのは山奥でございますので、確かに医療機関がなかなか右から左にというわけにいかないという実態はございます。そういうようなことで、私ども実は四十八年から巡回委託健診方式というものをとりまして、林業労働災害防止協会に、そういういわゆる巡回方式の委託健診というものをお願いをいたしまして、四十八年からそういう方式がとられておりまして、少しずつ成果が上がってきているわけでございまして、ちなみにその実態を申し上げますと、当初は年間五千四、五百人程度の健診実績でございましたものが、五十年には六千人、五十一年には一万六百人程度にまで実績が伸びてきておりますし、五十二年度につきましてはまだ最終的な集計が出ておりませんけれども、恐らく一万三、四千人にはなるだろうというふうに考えておりますので、健診そのものにつきましては、非常に特別な事情にあるということを考慮いたしまして、巡回方式というものに強い力を入れておるという現状でございます。  それからもう一つ健診の費用の問題でございますが、私どもいま申し上げました巡回委託健診は、いま先生から御指摘ございました約四千五十円の二分の一相当程度のものを事業主の方に、いわゆる健診の実施率をより一層上げるための呼び水的な助成ということで、その二分の一程度のものを助成いたしておるということでございますが、この一次健診費用の金額と申しますのは、実際に林業労働災害防止協会の方に委託をいたしましてお願いをしております実際にかかる健診費用の積み上げ的なものをベースにして出しておるものでございまして、その中には実際の健診のために必要な人件費とか、物件費とか、そういったようなもの、あるいは実際に車で回るような問題もございますから、そういうようなもろもろの費用を積み上げてはじいたものということになっておるわけでございます。  ただ、いま先生指摘の点につきましては、いわゆる一次健診、これはすべての労働者が健康診断を受診する場合に受けるであろうというふうに考えられる項目がすべて含まれておるわけでございますが、二次健診と申しますか、精密健診ということになってまいりますと、これはすべての労働者が受けるわけでございませんで、何らかの所見と申しますか、よりさらに精密な健診を要するような方について、さらに健診を行うという場合がその精密健診になるわけでございます。実は現実に行っております健診の実態から申しますと、二次健診的な要素も含めて同時に行っておるというような事例もございますから、あるいは実際にかかる健診の費用について金額がかなり上回った方が出てくるという事例もあるかと思いますが、おおむね全国的にながめまして、先ほど申しました巡回委託方式の健診の単価としてはおおむね積み上げ資料から四千円程度と見込みまして、その二分の一程度を事業主側に助成をすると、こういう考え方をとっているという状況でございます。
  167. 下田京子

    ○下田京子君 いまの答弁の中で、第一には巡診車が回っているということですが、実態として、長距離自分で受診しなければならないというようなことを訴えておるわけです。  それからもう一点は、山形でも同じようなことが出されまして、山形県全体でもっていわゆる民有林の伐採作業員ですね、言ってみれば、一人親方的なチェーンソー一台であるというそういう人たちに聞いてみたら、四割方が異常を訴えてきているというようなお話なんです。山形の場合には県議会でも問題になりまして、実態調査をするというふうな話まで出ておりますけれども、労働省としても、あるいは林野庁としても、特段に一人親方も含めたいわゆる民間のこうした林業労働者の白ろう病対策という点にいままでも相当力を入れてはおるでしょうけれども、まだまだ実態にそぐわない点がありますので、今後とも調査をして対処していただきたいというふうに思います。
  168. 林部弘

    説明員(林部弘君) 私ども考え方といたしましては、健康診断といいますのは、本来職域における労働者の健康管理というのは事業主の責任において行うということが原則でございますので、いま先生おっしゃいました一人親方というふうに表現をされました方々をどういう形でとらえるかということになると思うのでございますが、先生のおっしゃる俗に一人親方というふうに呼ばれておる方の場合には、実態としては労働者を持っていない自営業種であるという面もございましょうし、また現実に契約を結んで労働するというようなこともあるということで、私ども実はそういう意味では事業主団体つまり先ほど林業労働災害防止協会というようなことを申し上げましたが、そういう事業主の団体としてとらえることのできる形での場合には、現実にそういう方が健診を受けるという道もないわけではございませんけれども、そういう方の場合にはなかなかいろいろむずかしい問題もございまして、現実には先生さっき御指摘のような点もあろうかと思いますが、何分にもたてまえとしては、私どもは健診そのものはやはり労働者の健康を守る責任が事業主の側にあるという前提で助成その他の措置を講じておるということはございますので、その点では必ずしも健診の費用がすべての場合にはかばかしくいかないという事態もあるいは発生してくることもあろうかと思います。  それからもう一つ先ほど非常に遠距離のところへ行く場合の問題もございましたが、恐らく私は、それは一次健診の問題というよりは二次健診と申しますか、特殊健診で遠くへ行く場合があると思うのでございますが、私どもといたしましては、健康診断に必要な費用は事業主の負担を原則としておるのだということで指導をいままでもいたしてきておりますし、これからもそういうようなことで対処してまいりたいというふうに考えております。
  169. 下田京子

    ○下田京子君 ですから、認識にずれがあるわけですよ。それから原則だとおっしゃいますけれども、一人親方も含めて民間森林労働者が白ろう病にかかっているわけです。それを原則だけ振り回していったんでは、具体的に対応できないでしょう。そこに行政が必要ではないですか。そこのところで、林野庁も含めて労働省と協議をして対応していくことが必要ではないでしょうかということを言っているわけです。  これは午前中にもありましたけれども林業労働対策事業概要ということでいろいろやられておって、五十三年度の場合には新規に二つほど入っておりますね。特に、リモコンチェーンソーの定着化をやるということで、これは九地区についての試験実施なんかもやられていると。そのほか、いろいろと労働省とも対応しながら事業もやられておるわけなので、そこのところ現在はこうでありましてというたてまえ論だけじゃなくて、具体的な現実から対応していくような形でもって、一人親方も含めたいわゆる森林労働者の問題ということの対応を今後検討していくという前提のもとに、まず調査が必要じゃないかということを言っているわけです。
  170. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林業従事者の振動病の問題につきましては、私どもも発生が最近民有林に多いということでは非常に遺憾に思っております。したがいまして、林野庁並びに労働省さらには厚生省と、関係省庁と十分連絡をとりながら、いまそのための協議会も設けております。そして、林野庁はその持ち分として、発生しないような予防対策、これに重点を置いておりまして、いま先生が御指摘になりましたようなことも五十三年度考えておりますし、今後とも予防対策には十全を期してまいりたいというふうに考えております。
  171. 下田京子

    ○下田京子君 次に、今度森林組合事業の中に共済事業が入るわけですが、その点についてお尋ねします。  現在、民間の保険とそれから森林国営保険及び森林災害共済事業というものは現実的にはやられているわけですね。これはやられていることを、今度は法律的に、森林所有者の側にとってそういう災害のときにきちっと補償しましょうということでできた事業だと思います。その点で具体的にお尋ねしますと、第二十条の中にこれは責任準備金の問題が出てきておりますが、この責任準備金については、取り扱いとしては、その際にこの準備金そのものについては免税になるのかどうか、その点どうでしょう。
  172. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今後の問題でございまして、来年度の税制改正の際にわれわれとしても努力をしたいと考えておる分野でございます。
  173. 下田京子

    ○下田京子君 わかりました。  次に、これまた問題になっている問題ですが、国営保険の問題と森林災害共済ですね。これは引き受けの実態からいけば、齢級でいけば二齢級までが大まか国営保険で見ているというのが実態です。それで、森林災害共済の方が三齢級以上、だからそこを分けて何か一本化できないかという話がある。だが、いまいろいろと検討中だというわけですが、いろいろ検討中にしましても、とりあえず国営保険の分野に国庫補助導入ということを進められないでしょうか。
  174. 石川弘

    政府委員石川弘君) 共済事業全体の問題でございまして、実は御承知のように、他の農業あるいは漁業の共済事業と最も異なっておりますのが、強制を伴うような形に実はなってないわけでございます。われわれ国庫の助成をいたします場合には、一定の範囲内での加入強制というのが、他の制度等とも比べてみますとまず必要ではなかろうかというようなことがございまして、現時点で森林組合の行います共済あるいは国が行っております保険につきまして、直ちに国庫の負担的な意味での援助ということは考えていないわけでございます。ただ、国営につきましては、御承知のように、人件費の部分等につきまして国費で持っておりますものですから、そういうことを含めましてある種の助成はないわけではございません。  いずれにしましても、他の農業あるいは漁業の共済制度との大きな違いが、国が負担をしたり、あるいは国が再保険で裏を見るとか、あるいは基金をもって援助するという方法がございませんので、これはかねがね申し上げております両者の機能調整を図ります段階で検討をしていきたいと考えております。
  175. 下田京子

    ○下田京子君 今後も調整の段階でいろいろと検討をということですが、事業そのものは法律の裏づけに基づいての出発をするわけです。いままでもうすでにやられていることなので、速やかに回答をいただければというふうに皆さん期待していると思います。  で、最後になりますが、通産省おいでいただいているかと思うのですけれども、ずっと問題の議論の一つに輸入問題を指摘してまいりました。今後行政指導という形でもってケース・バイ・ケースで個々の地域の問題も含めて対応していきたいというふうな話が一点確認されておりますし、それから今後官房長官としても通産省並びに関係するところと具体的に協議をして、国内の森林資源の振興あるいはそれに関係する業界の発展というふうなことを重点にしながら輸入問題を対応していきたいという御答弁はいただいているんですが、遅産省としてのお考えですね、農村省と話すれば大変物がわかるんだけれども、通産省はどうもというのがよく聞かれることなので、その決意のほどをお聞きしたい。
  176. 篠浦光

    説明員篠浦光君) ただいま御質問の点につきましては、先ほど林野庁長官の方から御答弁いただいたとおりのことを通産省としても考えておるということでございます。
  177. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) この際、午後四時三十分まで休憩いたします。    午後三時五十七分休憩      —————・—————    午後四時四十二分開会
  178. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  森林組合法案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
  179. 三治重信

    ○三治重信君 森林組合法を今度新しく従来の規定から独立して組合をつくると、こういうことでございますが、その一番大きなねらいはどういうところにあるんですか。
  180. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 森林組合につきましては、従前からその位置づけが森林法の中に位置づけられておりました。ところが、国会においてもいろいろと御議論いただき、先般の国会におきまして森林法の改正のときに、その附則で森林組合のあり方については今後検討すべきであるという改定をいただいたわけでございますが、それに基づきまして林野庁といたしましては専門家の方々にお集まりいただきまして、約二年間森林組合のあり方等々含めまして検討を進めてまいりました。その結果、森林組合につきましては現在の森林法から抜き出しまして、単独法として森林組合の位置づけをするということが妥当であるという御意見をいただきました。  その理由といたしましては、森林法の中にあります森林組合とすれば、四十九年の改正のときに森林資源の培養なり生産力の増強という問題とあわせて、森林組合が、その組合員が社会的地位の向上等々を図るべき協同組合的性格を帯びるような性格に変わってはおりましたけれども、さらにこれを単独の法律にいたしますことによりまして、いま申し上げました公益的な側面と、それからもう一つは、組合員の福祉向上という面からの両面を、やはり協同組合的な性格を持つという形の両面を備え、はっきりとした形で森林組合を今後管理運営させ、そして森林組合の発展を図るべきだという見解をいただきましたので、そういう趣旨にのっとりまして今回単独法として森林組合の根拠法として明定いたしまして、御審議をいただくことにしたわけでございます。
  181. 三治重信

    ○三治重信君 二つの部面というお話ですが、そのうちの中の協同組合的な部面というところで、特に民有林関係、まあ林業に特別な性格としていわゆる不在地主があると。そういうものを配慮して、いわゆる員外利用を従来のこの森林組合から緩めたと思うわけなんですが、協同組合的なものの性格を強くするとなれば、そういう不在地主の方をこの協同組合にもっと強力に編入していく対策というものが、こういうのはほかの農業や漁業にはないんだから、特別にその不在地主、ことにこれはいわゆるわりあいに金持ちで経済的な負担力もあるし、またこういう不在地主が民有林としてはわりあいに大きな森林所有者である。  そうすると、これはまた後でもう一遍質問しますけれども、公益的な林業の部面をこれから今後強調していくならば、それと相まっても、そういういわゆる森林所有者というものをもっと強くやって、不在地主は特別その在村地主の方の決めたやつについては余り文句を言わぬような規定をむしろ入れていく方がいいと思うんですが、それをむしろ外して自由加入だというのはどういうわけですか。
  182. 石川弘

    政府委員石川弘君) 実は、今回の員外利用を必須事業につきまして若干緩めているということでございますが、これは森林の持ちますやはり公益的機能を考えますと、組合員の林地と一体として施業いたしますことが森林の保続培養上どうしても必要だと、その場合に先生のおっしゃいますように員内に入ってこれが協力してやるのが一番望ましい姿であると思っております。ただ、その場合に、現実に平均でいいますと約一〇%ぐらいの不在の方がいるということと、それから非常に所有する森林が零細なために、組合に入りましても直接すぐメリットがあるという感じがなくて入ってないという員外者がいることもまた事実でございますので、私どもそういう人たちを、まずそういう員外利用でございますけれども、一体として森林施業の中に入ってもらうということで、現実にそういう組合を通じて仕事をしてもらうそのメリットと申しますか、そういう利益を享受させまして、そういうことを手がかりにしまして員内にさらに入ってきてもらおうというように運用したいと思っております。  実は、優良な組合と言われるものにはやはりいま御指摘のように、たとえば和歌山の竜神でございますが、こういうところでは地区外の人も全員組合に入っているというような形で、やはり優良な組合はむしろそういう形で土地に住んでない方も組合員になってもらって、その林地を使って森林組合労務班等が仕事をやっていくというかっこうでやっていますので、私ども、いま御指摘のように今回の規定の改正が組合員を、組合員といいますか、員外にいまいる人を将来とも員外であってもいいという形に運用するのではなくて、むしろ員外利用をさせますことを契機にして組合に加入させるようにと、そういう行政指導を強めていきたいと考えております。
  183. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、組合の加入脱退の自由、いわゆる自由主義のもとにおける協同組合主義だからその原則をむしろ強めて、しかし実際の組合の運用では自主的な加入を促進するようにして、そして不在地主の方も組合の中へできるだけ入れるようにしていくと、また、それをある程度特別規定を設けて、不在地主を特別参加さす特別な規定を設けるには、員外利用者といいますか、不在地主でも零細業者が多いからちょっと酷ではないか、そこばかり特別に半強制的に入れさすというのも酷じゃないかと。そうすると、員外利用の方で特に不在地主の中で零細企業がまだ非常に余りにも多いから、その組合のいわゆる加入脱退の自由の原則から余り離れることを規定からやるというのも自己矛盾を来すと、こういうことであるわけですか。
  184. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のように、組合の大原則でございます加入脱退の自由をこれを変えますことは、組合制度自身の基本に触れることでございますので、これはなかなかやりがたいわけでございます。しかし、そうかといって、員外に放置し、かつ員外の利用自身で何ら組合活動と関連をつけないでおくということは、山を守るという立場からはなかなか問題がある。したがいまして、御承知のたとえば造林の助成でも共同施業等、団地共同施業等をやります場合に手厚い援助をしておりますが、これなんかはまさしく共同してそういう事業をやることにメリットを認めておるわけでございます。  そういうことをやります場合に、たとえば員外利用制限の規定がひっかかってそれができないということになりますと、組合の事業の発展にもマイナスになろうかと思ってこういう改正をいたしておりますけれども、御指摘のように、員内に入って事業をやられることが最も望ましいわけでございますし、かつ優良な組合はいずれもそういう形をとっているわけでございますから、行政指導のあり方としましては、いま御指摘のとおりの形でやっていきたいと思っております。
  185. 三治重信

    ○三治重信君 その点はひとつ、今後の場合、第二番目の森林組合の公益的な性格を強めていくということの関連で、いまの御答弁だと、造林とか共同作業とか、経営の委託とかいうことについては、非組合員であっても共同作業的にやらぬと経営ができないんだから大体入ってくるんだろう、またそういうふうに指導していくということであるわけですが、私はこれが一番問題だと思うんです。山の所有者はやはり財産保全的なことが主になって、森林のいわゆる公益的な性格の部面を、零細所有者が多ければ多いほど、そういうような配慮をしろといっても、やはりそれは財産の維持管理、増殖ということを考えて、経費の節減また費用の出し渋りというものは私は非常に強いんじゃないかと思う。  私は、むしろ森林組合というものを独立さすからには、そういう不在地主にこそ、公益的側面を強調されるならば、そういう側面から特にこの森林のいわゆる公益的側面を損なわないように、せっかく森林組合ができて共同作業なりいろんな計画をやっていく場合には全面参加をすることをやった方がいいのじゃないかと思うんですが、そこを余り強くいくと協同組合的な性格が非常におかしくなるという部面でちょっとジレンマがあるかもわかりませんが、その点をひとつ今後私は問題点として特に指摘をしておきたいと思います。  林野庁がことに公益的側面を強調し、そして山のやはり国民的資源として非常に良好な保全、維持管理が行われるためには、私はそういう部面において何か部分的な、また重要な作業に限っても、そういうものについてはいわゆる半強制的な当然参加さすというふうな、作業部面に限ってもそういう不在地主の森林の自然の維持管理に要するものや生産関係においても、特別その個人の利益に反しない部面に限って実質上半強制的な全加入するような、森林組合の面積全部をカバーするような対策をぜひ検討して進めていただきたいと思うんです。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕  それが、この森林組合法をせっかくつくって、そして日本の林野を単に生産の場としてだけでなくして、これだけ密集した日本国土の非常な天然資源として維持管理をしていくという部面からいくと、私はそこらが非常に重要な問題が必ず出てくるし、そう指導だけではなかなかいかぬ部面が出てくると思うんですが、そういう面について、今後、実際の森林組合の運営指導の場合の員外者の利用の部面を、法律等の規定からいくというと、実際の運用は何か逆のようなことになるわけですが、そこは特に林野庁長官に運用の部面の配慮をひとつもう一度はっきりしていただきたい。
  186. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) いま林政部長からも御説明申し上げましたし、また先生が御指摘になりましたけれども、私どもも当然そういう形で森林組合はあるべきだろうと思います。したがいまして、行政指導の面で十分に森林組合の意義というものを森林所有者が認識していただきまして、できるだけ森林組合に加入していただけるような行政指導をしてまいりたいというように考えております。
  187. 三治重信

    ○三治重信君 それから農村ばかりでなく、ことに農村よりかもつといわゆる山村においては労働者の不足が叫ばれる。しかしながら、それが叫ばれるのは、そこにおっても就業条件あるいはそれに対する労働報酬というものが自分の働き価値から見て低いからほかのところへ流れるというのが、経済的な問題だと思います。したがって、森林組合法を独立さして、また、ことに森林生産組合とか、それからこの中のいわゆる作業班とか労務班というような、いわゆる森林組合に経営部面を重点的にやらすということになってくると、林業労働者の問題が非常に重要に出てくると思うのですが、林業労働者と森林組合との関係を、森林組合部面から、新しい森林組合から林業労働者に対する対策、林業経営の対策をどういうふうに考えていますか。
  188. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 林業労働の問題につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたように、これからの林業を経営していく場合のやはり担い手として中心的な存在だろうというふうに考えております。  ただいま私ども林業労働につきましては主として森林組合の作業班、これを中心にいたしまして林業労働従事者の社会的地位の向上、あるいはその他労働条件の改善というものを含めまして、中心的にはこの作業班を中心にして、林業労働の労働条件の向上というものに鋭意努力をするような施策を講じておるわけでございますが、今後とも、やはり林業労働の中心でございます森林組合の作業班に対しましていろいろな施策を講じながら、林業に働く方々が社会的な地位が向上されるように、私どももせっかく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  189. 三治重信

    ○三治重信君 この林業森林組合のそういういま言われた作業班に働いているという人が大体五万七千人ぐらい、六万人弱というふうに承知しているんですが、こういう人たちと森林組合の山の地主、所有者との割合はどの程度になっているか。大体、山の在村地主が作業班の主力をなしているのか。その割合が、純然たるいわゆる日雇い労働者だけで作業班に加入している人の割合をひとつ教えてください。
  190. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 作業班の内容を見ますと、約七割の方が森林組合員であるか、あるいはその家族で構成されております。
  191. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つ、これは単純なことなんですが、五万七千人のうちで国有林の作業に入る人、いわゆる森林組合の作業班の五万七千人のうち、国有林の作業にどのくらいの割合が入りますか、大なり小なり。
  192. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) ちょっと人数につきましては現在把握いたしておりませんけれども造林につきましては約四%国有林の仕事をしておるというふうにわれわれ調査いたしております。
  193. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、国有林の方で作業員の人たちが三万人おるというのは、これは国有林で直接雇っている方なんでしょう。それから、実際これは一番初めのときもちょっと御答弁になったんですが、この森林組合の作業班で、いわゆる国有林では四%程度ということになると、ほとんど重複というんですか、この森林組合の作業班の人は国有林の仕事というものはほとんどしていないと、こういうふうに考えていいわけですか。
  194. 藍原義邦

    政府委員藍原義邦君) 部分的に細かいことはちょっと把握いたしておりませんけれども、総体的に見ますと、やはり森林組合員の作業班の方は森林組合を中心にした仕事、そして先ほど申し上げましたように、造林等につきましては、森林組合の仕事のうちの全体の四%ぐらいが国有林の仕事を一応やっておられる。したがいまして、国有林の約三万六千人ばかり作業員がおりますけれども、この方々森林組合の作業班とはほとんどダブってはいないとわれわれは考えております。
  195. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、約五万七千人程度林業労働者、森林組合でつかんでおられるのがその程度だと。こういう人たちを今後の民有林国有林を除いたいろいろの林野の維持管理に充てていくという場合のこの労働条件について、ことし初めて退職金制度の新規予算が入っているわけですが、この退職金の新規の予算のねらいと、今後の退職金の方は森林組合の作業員、作業班の五万七千人だけを対象か、もっとほかにどういうのを見込んでいるか。まあ大体のつかみ方ですな。退職金制度をやっていこうという、使う範囲の労働者のつかみ方。
  196. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のように、民有林の労働者に対します社会保険制度はいろいろとございましたけれども、その中で雇用保険も適用になりまして、残るところがこの退職金になったわけでございます。退職金制度がなかなかできませんでしたことは、御承知のように非常に間断雇用であるというようなこともございまして、よく御承知のあの特例的退職金共済制度を、中小企業制度の中に建設業とかあるいは酒造業等がございまして、それに比較的似たものであるということでことしの予算から、この退職金共済制度への円滑な移行のために三カ年間国が掛金の四分の一について助成をするということを始めたわけでございます。五十三年度の予定では二万五千人程度を想定をいたしておりますが、三カ年後にはそれが四万五千人程度にまでいくようにということでどんどんふやしていきたいわけでございますが、主力はあくまで森林組合の労務班というようなものが中心になろうと思いますが、そのほかにいわゆる伐出業を営んでおりますそういう業界の人も、その労働者についても入り得るという可能性は持っておるわけでございます。
  197. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、これは林業の労働者だけの退職金を特定業種として、一業種として独立して林業労働者のグループとして退職金制度をつくっていこうと、それの準備的な段階で始めていくと、こういうふうに理解していいわけですか。
  198. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御指摘のとおりでございます。
  199. 三治重信

    ○三治重信君 この考え方といいますか、林業労働者を確保をしていく上において、やはり一般の民間の常用労働者は社会保険制度から退職金制度もある。ところが、こういう林業労働者ではいわゆる一般的な日雇い労働者的あるいは期間を定めた雇用の労働者ということで、社会保険の適用並びに常用雇用のような退職金の制度もないということで始められていると思うんですが、こういうことについての考え方というものが、私は非常に、ただ退職金を渡すから——これを林業労働者がどう理解するかということを特に考えてやらぬと、まあまあ金は取られるけれども、いつもらえるんだと。それから、いつになるかわからぬのにそんなに保険料を出して——保険料と言うんですか、積立金を出してかなわぬというふうなので、途中でなかなかまとまりにくい部面も出てくるかと思うんです。そうすると、考え方を相当しっかりしていかぬと私はうまくいかぬじゃないかと思うんです。この点は、いわゆる特定業種の退職金共済制度は私が中小企業退職金制度の中へ特に後から加えたやつなんですけれども、その中核体がないとこの仕事はうまくいかぬと思うんです。  一つの経験から申し上げますと、特によく研究していただきたいのは、いわゆる酒造組合のああいう杜氏さんみたいに、非常に徒弟制度をやっていたのが徒弟制度が崩れて、そしてああいう非常に高い技能の集団というものが崩壊しかかった。それを何とか頼むと、こういうことでこの制度を考えたわけなんです。したがって、非常に杜氏さんの賃金単価なんかも高いわけですね。ですから、非常に技能職的なので、普通の人にはちょっと出入りができないわけなんです。したがって、ある程度この特定業種で一つまとまって退職金制度等やるということには、ある程度その業種に長く、一人の使用者には使われてないけれども、その林業労働者としては大体年間の半分以上、林業労働者で大体年間の主だった収入なり仕事を得ているんだと、こういう労働者を対象にしていかないと、ただ林業労働者に入ったからそこですぐこれだと、こういうことにはいかぬと思う。  したがって私は、この退職金制度をやっていかれ、またこういうふうにして最後は全国的に特定業種としてまとめていきたいと言われる場合には、常用雇用者まではいかぬけれども林業というのは季節労働ですね、そのために、こういう期間を定めて雇用というものの特性を生かしていくわけですから、しかしながらこの業種に非常に出入りが激しい不安定な人まで余り入れると、ぼけるわけなんです。その点の、いわゆる作業班の中でも臨時的な人とそれから常時的な人と、それから森林組合として作業を年間通じてどれぐらいの作業の実態があるかを見て、よくこの実施の指導体制をつくっていただきたいと思うんです。  いずれこれをつくられて、まあとやかく言っても実態がわからぬから何とも言わぬですが、いずれ後でまたこれは一、二年たって実施状況はお伺いしますけれども、いま私が申し上げましたようないわゆる一つの指導とか入る基準、こういうもの、それからまた、現実に主事になって入った人は保険料を取られる、積立金を取られる、入らぬ人は全額金はもらえると。そこに、いかにも入らぬ方が得みたいなかっこうになる。そういうものの指導を、慎重に説明をしてやっていかないと、途中で崩れる可能性があるということを特に一つ意見を申し上げておきます。やはり建設業の方も初めは普及しなかったですが、いまかなり普及してきたわけですが、中身は私はまだ非常にあいまいもことしていると思っているんです。林業の方は、そういう意味からいくというと、地域が固定していると労働者の移動がわりあいに少ないのじゃないかと思いますが、そういう部面もこういうところで、林業労働の実態というのはこれをやっていくことによってずいぶん実態がわかってくるだろうと思うのです。それがわかるようなひとつ計画樹立を特にやっていただきたいと思うわけですが、この退職金制度をやっていかれることについての特別ないま考えておられることがありましたら、簡単にお答え願えればありがたいと思います。
  200. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま制度の発足の当時からのお話がございましたのですが、私どもは、先ほどもちょっと申し上げましたように、この制度をやります前に、実は、失業保険につきましてこれと非常に似通ったことを、これはもち代とこう言っておりましたですけれども、国、県、雇用者等が若干の金を積み立てまして年末のときにもらうという制度をやっておりまして、それが実はある程度実りまして、あの雇用保険の強制適用につながっていったわけでございますが、それと同じ意味で、この退職金についてもこういう過渡期的措置、まあこれは建設業なりあるいは酒造業の場合はなかったものではございますけれども林業の場合、雇用者の負担能力等もいろいろあると思いまして、こういう制度を考えたわけでございます。  いま御指摘のように、非常に短い、したがって断続雇用というよりも、雇用期間は断続的であっても、今後もずっと林業をやるということでない方が入りましても、実は余りメリットのある制度ではございませんので、積算の基礎ではございますが、現在百八十日ぐらいの林業に就労するということを前提にしました積算を実はいたしております。これはやはり裏側にあります農業等と、あるいはその他の仕事と結びつきまして、相当林業に重点を置いて仕事をやってくださる方というような感じでこの程度の積算をいたしておりますが、やはりそういう意味では将来とも林業に従事をしていく、しかも雇用の期間も、そのこと自身が断続的であっても、林業に従事するという面ではかなり長くなる。先生よく御承知のように、これはかなり長くなりますとメリットがありますが、非常に短い期間でございますと、ほとんど預金をしているに等しいぐらいでございますが、そういうような形で、いま御指摘のありましたようなことを十分頭に置きまして、制度が円滑にいくように努力してまいりたいと思っております。
  201. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つ、この予算の中に、それとも関連して「林業生産基盤の整備」の項の第三項に「林業集落基盤総合整備事業」というのが今年度新しく入っておって、そうしてこれには「林業従事者及び後継者の定着と育成を図り、健全な山村社会の建設に資するため、」云々と、こういうふうになっているわけですが、これは山村の移転世帯や何かで、いわゆる部落として、集落としていままで十五戸なり二十戸あったのが三戸とか七戸になってしまったと、それをさらに移転して集落を新しくつくるという部面のことを考えているのか。単にそのいまある現在の林業集落をさらに住みよくし環境を改善して、よくしてやるための集落基盤総合整備事業か。このどちらなんですか。  私は、何といいますか、これからだんだん林道をつくり、それからガソリン税の方で道路をつくっていけば、山村集落というものはむしろもっと山からできるだけ里へ入って、そして作業は、林道なり道路の改善によって交通機関を利用して作業に出かけていく。そして、やはり林業従事者や後継者が定着、育成をするためには、むしろ山村集落をやはりできるだけ分散していったのを新しい集落へ再編成していく対策の方が、私は非常に必要じゃないかと思うのですが、そういうことではこれはないような気もするし、そのどちらなのか。
  202. 石川弘

    政府委員石川弘君) 実は、この事業は全く新しくやっておりまして、農業の場合に、御承知の総合パイロットその他農業基盤整備事業に付帯をいたしまして、たとえば集落内の用排水を直すとか、あるいは共同利用施設の敷地をつくるといったようなことをやってきたわけでございますが、農村集落よりもさらに条件が悪いと思われます林業集落なり漁業集落についてこの種の事業はございませんでした。したがいまして、五十二年度にいずれも十五地域ずつでございますが、そういう集落再編を伴うような基盤整備事業、林業の場合は主要な公共事業は林道でございますので、林道の改修等に付帯しまして、そういう集落の用排水問題とか、あるいは集落の中のそういう公共施設敷地というようなものをつくり出していくといった事業、漁村の場合も漁港事業に付帯してやる事業でございますが、そういうものを計画いたしまして、たしか十五地域ずつだと思いましたが、それのうち十カ所について実事業を始めるということでございます。  いま先生のおっしゃいました、集落移転を伴うというようなことをその十五の地区の中にどれか入っていたかどらかというのは、ちょっと私記憶がございませんが、別に制度としましてそういうことを全く否定しているものではございません。考え方とすれば、たとえば農村集落整備の中にかなり大規模な集落道整備なんかをやります際に、公共用地といいますか、集落の共同施設用地をつけかえるなんという事業をやっておりますから、そういうこともあり得るのかもしれませんが、具体的ないまやっておりますものの中に、そのような集落移転的な大規模なものが想定されているかどうかは、私ちょっと記憶がございませんので、そういう事例が、本当にそういうことまでするような事業体が、これは市町村の事業でございますので、そういうのが出てきているかどうか、そういうことを考えました上で、またそこまでやれるような制度にまで大規模にやれるかどうか検討してまいりたいと思いますが、主力は、現在あります集落内における環境施設その他の再整備というのが主力ではなかろうかと思っております。
  203. 三治重信

    ○三治重信君 この文章や予算の説明だけから見ると、いまおっしゃるとおりだろうと思うんですが、非常に改善するように書いてあるから、それが集落として改善をしようにも余りにも山家が少なくなり過ぎてしまって、そこへ大量の金をつぎ込んでも、集落としての生活条件というものは実質的にはよくなったかもしらぬけれども、精神的にはむしろよくならぬ、こういうふうなことも考えて、私はやはり森林組合というものをこれからやっていかれる場合に、山村の集落にこういうふうに特別な配慮をしていくなり、またこういうところまで入っていくならば、私はやはり再編整備ということを、強制的にということでなくて、やはり集落としての資格を失った山村、山の中の部落について、これは誘導的にできるだけ便利なところへその集落の再編成をしていくのが、森林組合の経営から、また作業班の編成の上においても私は役立つんではないかと、かように思っておりますが、そういう山村の再編といいますか、日本人は一軒一軒離れてやるよりか、部落をつくって共同生活をやった方が何事につけてもいいんじゃないかと。そういう方向を、ひとつぜひこういうことで、ただ現在あるところの部落の中を改善するということでなくして、できればそういう部落の中でもどのぐらいの部落がやはり大体の集落として効率がいいのか、生活環境がいいのか、またそれが二つ、三つ離れたやつを一つにするというのもこれでやれるようなことも研究をしていただきたいと思います。  それから、森林組合の連合会の方の事業として間伐材の集積販売、こういうのに助成すると、こういうふうなことが書いてあるわけなんですが、間伐材というのは、森林組合が出していっても組合当たりそうたくさんないと思うんですが、森林組合連合会となると、少なくとも県単位になるんですが、これはどういう集積販売を考えておられるか。また、その目的は何ですか。
  204. 石川弘

    政府委員石川弘君) 間伐材販売の場合に一番指摘されておりますのは、売れない売れないという声がある一方、あるとき需要がありますと、今度はなかなかその現物がないというふうな批判もございまして、ある程度恒常的に間伐材を集積しまして、かつそれが恒常的に出荷できるような体制をつくるべきではないかということがいろいろと議論されておりました。現に森林組合の系統でも、これは連合会と申しますか、単協なんかの段階でも、ある程度間伐材を恒常的に止揚に集荷をしておって、それに対してある程度恒常的な買い手がつくというような事態もございましたので、これをひとつ実験的にやりますために連合会——連合会といいましても、何と申しますか、県から全部材を一カ所へ集めるという性質じゃございませんで、連合会が経営しますようなそういう土場に集積をさせるということでございますから、そしてそういう間伐材を大量に出荷できるような地域ということになりますが、そういうところに、これは方式としましては委託というような形とか、買い取りとか、いろんな形があるわけでございますが、そういうことをやりますと、どうしても連合会はある程度安定的な資金が要る。そういう資金を国、県、連合会等が持ち寄りまして、それを原資にしまして販売をしていく。販売にはおのずとある種の危険負担も伴いますものですから、そういう場合の信用の原資にもなるわけでございますし、資金を調達いたしますときの元金ということにもなるということで、実験的に始めたわけでございます。  これにつきましては、やはりそれなりの事業としてのやはりある種の危険性と申しますか、商売でございますのでそういうこともありますので、あくまで組合が自分でそういう計画を立てて、間伐材を集中的に有利販売していくという体制ができたところに援助をしていくという体制をとっておりますので、まだまだそう広範に広げるという形にはまいりませんが、こういう助成事業をやっておりますことから、それなりの成果はその地域地域では出ているように伺っております。     —————————————
  205. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま吉田正雄君が委員辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。     —————————————
  206. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、こういうような連合会がそういう間伐材にしても、また用材にしても、またチップ材にしても、自分のところの森林組合が出しているものを経済行為として取り扱っているのが、全国各森林組合連合会はそういうことを何らかの形でほとんどみんなやっているんですか、そういう材の集配や販売の関係のことを。どの程度の連合会は活動を、またいまの話だと、どうもこういうことは全体の民有林の生産のパーセンテージにも余り入らぬぐらいしか扱っていないような口ぶりなんですが、そういうふうに理解していいんですか。
  207. 石川弘

    政府委員石川弘君) 連合会は、大半のものにつきましては、何らかのこういう販売施設を持っておるわけでございますが、こういう間伐材を相当数扱うというものはまだまだそれほど多いとはなかなか言えない状況だと思います。それから、木材の販売につきましていわゆる系統が持っておりますシェアは、他の農産物等が共販等に占めますシェアに比べれば、これははるかに低いわけでございますけれども、地域地域の組合によってはそれなりに共販の事業は行っているわけでございます。
  208. 三治重信

    ○三治重信君 それから、森林は単に木材の生産ばかりでなくて、いわゆるこういう公益的といいますか、自然保護またはことにこれから人のレクリエーション、休養の場所として注目をされ出してきたわけです。したがって、この自然休養林とか、あるいはいろいろ人間の保健、保養地として利用するという体制が大分できてきたわけですが、これを森林組合とか連合会が、特別そういうこの何といいますか、経済行為として、自分たちのその組合員のそういう施設ということでなくて、むしろ工場、一般の労働者、サラリーマン等をそういう山に呼び寄せて自然を楽しんでもらう、そのためのいろいろの施設をやる。これは国有林では自然休養林として特別対策も国有林の中にとっておられるわけですが、民有林でそういうことを計画し、またあるいは実施しているようなところがどの程度あるか。また、そういうことについて森林組合並びに森林組合の活動が研究開発をされているのかどうか。それは国有林や県がいわゆる行政機関としてやっているんで、そういう森林組合連合会の方が動いているかいないか。
  209. 石川弘

    政府委員石川弘君) 御審議いただいております森林法の中でも森林組合の行います事業としまして、「組合員が森林所有者である森林で公衆の保健の用に供するものの保健機能の増進に関する施設」というのが事業としても認められております。したがいまして、私ども林業構造改善事業の中でこの種の保健、休養の事業を行うことも考えておりまして、現在何らかの意味でそういう事業を行っておりますものが森林組合で二十一ぐらいございます。これは森林総合利用促進事業計画ということで計画を出しまして、そういうことをやっておりますものは組合で二十一、生産森林組合で二つばかりございます。まだそういう意味で数としてはそう多いものではございませんが、これはあくまでもこういうものをやっているというものでございまして、その他自主的にやっているものも含めればまだ数は多いかと思いますが、これはちょっと私どもいま手元に数字は持っておりません。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  210. 三治重信

    ○三治重信君 それから、こういういわゆる町の人たちに自然を味わわすために山へ呼ぶと、こういうようになってくると、火災やそれからいろいろの自然破壊が行われる。これは特別な植物が持っていかれる。したがって、国有林も国民に開放するのはいいんだけれども、その自然の維持または山としての機能を十分維持していくためには、やはりいままでの国有林の従業員は山の資産的な価値ですか、この盗伐とかその地域の境界の変更とか、そういう資産的な維持、保全のために主に人を使ったけれども、人がそういう山へいろいろ入って、またいろいろ山で都会の人が楽しむということになってくると、その自然を維持、涵養していくためには、いわゆるその森林パトロールが必要だということが国有林野の中では言われ、またそういう体制を早くつくるべきだ。  それはなぜかと言うと、いま申し上げたように国民に山を開放する。その一面においては、そういうものに対するいわゆる災害防除あるいはそういうものの盗難防除というもののためにパトロールが必要だと、こういうことだと思うんです、が、これは民有林においてもそういう国有林との関係林野庁は考えておられるのかどうか。また、こういう問題はどういうふうに現在処理されておりますか。まだ民有林はそこまでいかないんだと、国有林からだと。いずれ国有林の方で森林パトロールの方をやってみて、そうして民有林野のこういう場合に市町村にやらすか、あるいは森林組合にやらすか、それは考えていくというふうなことになるのか、どちらの方に考えておられるのか、どの程度のことを考えておられるのか。
  211. 石川弘

    政府委員石川弘君) いま御指摘のようないろんな山をいろんな方々が利用するということから、そこで自然破壊とか、山火事とかというようなことが起こるようなことになっておりますので、そういうような民有林、もちろん国有林以外の民有林につきましても保全管理が必要ではないか。そこで保安林とか、あるいは森林レクリエーション地域といった、どちらかというとそういう災害を受けやすい地域につきまして保全遵守のための事業を実施をいたしておりまして、その他山火事対策等もあるわけでございますが、いま申しました森林保全管理事業ということで約一億四千万ばかりの経費を予算的にも計上いたしております。
  212. 三治重信

    ○三治重信君 それはあれですか、この森林組合の方の関係国有林から一わかりました。  それであともう一つ、山の高齢者に対して、何というんですか、山村高齢者林業園の整備及び特用林産技術の緊急改善普及につき助成する、山村高齢者に対していわゆる副業的なことをやるということだろうと思うのですが、こういうこれは高齢者の方にやるのと、それからもう一つは、どこかにあったと思うのですが、林業の林産以外の関連のそういうものを増産対策に特別経費をやるというのがあったと思うのですが、これはテスト的なのか、それとも今後いわゆる山村一帯として部落的にそういう高齢者の多いところでは特別な林業園というのですか、こういうものをつくっていくという、こういうような林業園の考え方というのはどういう考え方なんですか。
  213. 石川弘

    政府委員石川弘君) 高齢者の林業園の概要でございますけれども、どうしても山村は高齢者の比重が高いわけでございますし、その方々の生きがい対策と申しますか、手に仕事を持っていらっしゃってある程度生産も上げながらその地域で生活していただくということから、昭和五十年度にパイロット事業として始めた事業でございます。  中身は、老齢者の方でも適当な運動を兼ねてできるようなお仕事ということでございますので、食用キノコの栽培とか、あるいは手に職を持っていらっしゃるということで緑化木の生産、それから山菜とか薬草の採取あるいはその加工といったようなものでございまして、五十三年度予算で申しますと全国五十カ所、総額にいたしまして五千百万円くらいの予算でございますが、これを林業改良普及員の普及活動の中で現地へおろすことにいたしておりまして、非常に好評を得ておる事業でございます。今後もこういう仕事をどんどん進めていきたいと考えております。
  214. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、これは山村のそういういわゆる副業関係のものを主に高齢者にやらしていこうと、こういうことなんですか。そうすると、これは特別作業班とか、森林組合の中の高齢者に特別そういうことをやらすとか、森林組合とかいうことでなくして、これは市町村を通じてやるのか。むしろ私としては、そういう作業班を育てていく対策からいけば、そういうものを森林組合の方の経営の中へ入れていくことができぬものか。また、そういう高齢者対策というものを考えていくと、森林組合の作業班との関連を考えた方が発想法としてはスムーズじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  215. 石川弘

    政府委員石川弘君) これも一人一人の個人の方の対策ということではございませんで、要するにグループ活動の助成でございます。したがいまして、森林組合の労務班とか、そういう形でグループ対策として考えておりますものでございますから、森林組合が持っております労務班あたりがそういう事業——これはこういう事業と申しますのは、年間通じてずっと仕事を持つというためには大変役立つ仕事でございますから、こういう事業も、いわゆる労務班のいろんなお仕事の一つとして取り上げていただくことは結構なことであろうと思っております。
  216. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、もう一つまた、これは初めのときに質問しておけばよかった問題かと思うんですが、森林組合の作業、森林組合がいろいろの林業の経営の受託をする。経営委託を受けて、地域の林業の経営を作業班を使って森林組合がやっていくと。その中に生産組合がある。そうすると、生産組合に働く人たちとこの作業班とはやはり当然これはダブるということを考えていいわけですね。それから、退職金共済組合も、だから生産組合としていわゆる自分たちの自家労働として働くのも、そういうものは評価で入っていくというふうな考え方、生産組合の作業もその中に入っていくというふうに考えていいわけですか。
  217. 石川弘

    政府委員石川弘君) 生産森林組合はそれ自体林業の生産者でございますけれども、その場合に、生産組合の活動は、組合員が一定の割合常時従事義務を持っているわけでございます。そういう人たちがまた森林組合の組合員であるということは十分あり得るわけでございまして、そういう意味では重なることは十分あり得ますし、森林組合に対する各種の施策は、そういう意味では、森林組合の組合員であってしかも生産組合の組合員である者に及ぶということは十分あり得るわけでございます。
  218. 三治重信

    ○三治重信君 先日森林組合の合併法ができて合併促進をやっていく、今度はそれでさらに森林組合法というものが新しくできる、こういうふうになっていくと、結局森林組合の法が新しくできて、実際のいまの森林組合が合併をして強化をされていくということになっていくわけです。これは合併法の中でいろいろ議論されたことだろうと思うんですけれども、私はこの中で、結局森林組合を大きくしていくと、町村の二つないし一・五の地域で一森林組合ができていく。そうすると、町村よりか森林組合の範囲が広くなっていく。しかし、実際いろんな予算も見ていくというと、県、市町村で森林計画やいろんなものをつくっていくと。計画はつくっていく、実施は森林組合がこうやる、森林組合の方が末端の計画者よりか地域や範囲が広いという場合が、この合併法との関係で出てくるんじゃないかと思うんですが、その点はどういうふうに計画と実施の部面で、市町村とその森林組合との調整をするのか。  合併がどんどん促進されていくと、その実施者の方が計画者よりかこう範囲が広くなる。これは二町村にまたがる場合に、各市町村ごとに県からおりるその地域ごとの森林のいろんな補助金のこなし方については、いろんな計画をやっていくと、こういう問題をどう調整するのか。計画は県、市町村、いわゆる行政機関がやり、その実施が林業関係では森林組合並びに連合会だ。こういうことで、一応は理解はできるわけですが、一番末端の実施の部面になってくると、そこにちょっと、森林組合の方はある程度大きくって財政から何から強化された方がいいと思うんですが、そうすると貧弱な市、町のそういう林業の新しい指導計画、指導体制というものが逆転をする可能性がありゃせぬか、また逆転すればそれに対してどう  考え対処していくか。
  219. 石川弘

    政府委員石川弘君) 市町村とのかかわり合いも大変重要でございます。したがいまして、合併をいたしますときの各種の協議会等には、そういう広域になります場合、特に関係の市町村の意向も十分踏まえまして、そういう関係市町村の御意向も十分聞きながら実は合併をやらせるわけでございます。でき上がりましてからの各種の経済活動その他のほかに、いまおっしゃいましたような行政庁からのたとえば補助とかいろんな形で行政機関とかかわりがあるわけでございますけれども、現在もたとえば二次構造改善事業等いたします場合にも、数市町村にまたがるような事業というのはかなりございます。  そういう場合には、関係の市町村寄り寄り集まっていただきまして、そういう関係市町村が一体となりまして、そういう組合の大きさと申しますか、広域の場合には、そういう広域の関係組合と、それに関係します数市町村が一緒になりましてプランニングもし、また援助等につきましても、その地域地域に応じて市町村も協力していただくという形で運用をいたしておりますので、今後ともそういう広域の合併をしました組合に対しますいろいろな行政指導等につきましては、関係市町村間の連絡も十分とりながら、決して区域が大きくなったことによって市町村とのつながりが薄れることのないようにやっていきたいと思っております。
  220. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  森林組合法案を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  221. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  村沢牧君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
  222. 村沢牧

    村沢牧君 私は、ただいま可決されました森林組合法案に対し、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    森林組合法案に対する附帯決議案   わが国の林業は、木材需要の減少、価格の低迷、外材の圧迫などにより林業者の生産意欲が減退し、造林、間伐、伐採ともに停滞を続けており、このまま放置すれば林業の衰退だけでなく国土の荒廃を招くことにもなり、極めて憂慮すべき状況である。   森林組合の健全なる発展は、林業生産活動の向上と、国、地方公共団体の林業施策の充実がなくては達成することができない。   よつて政府は、森林組合制度の単独立法化を契機として、森林組合が真に協同組合的機能、公益的機能の充実を図り、地域林業活動の中核的担い手としての役割を果し得るよう次の事項の実現に努めるべきである。   一、森林資源に関する基本計画及び重要林産物需給見通し、ならびに全国森林計画は、わが国林業状況に照らして再検討するとともに、林業生産活動の拡大、森林資源の充実に努めること。   二、近年における木材需要の動向にかんがみ、国内森林資源の保続培養と国産材の需要拡大のため、消費増進、流通改善、試験研究等の措置の充実に努めること。   三、国産材をベースとした適格な木材需給計画を樹立し、行政指導を強化して外材の秩序ある輸入を図り、需給の調整と木材価格の安定のための積極的な対策を講ずること。   四、造林不振の現状を克服するため、造林補助の強化、森林組合及び地方公共団体の造林事業拡大に必要な施策を行うこと。とくに、分収造林の推進に努めること。   五、間伐の現況とその必要性にかんがみ、森林組合が行う間伐事業に必要な施設に対する助成、間伐材の用途開発、流通、価格安定など施策を講じ需要拡大に努めること。   六、林業労働者の確保、雇用の安定、労働条件の改善、林業労働災害及び振動障害等職業病の発生防止について特段の措置を講ずること。また森林組合作業班の育成強化、退職金等社会保障制度の拡充、福利厚生施設の増強に努めること。   七、林業後継者の育成を図るため、学習研究体制の整備、林業試験研究機関の強化、グループ活動の活発化、林業後継者養成資金の改善等の施策を充実すること。   八、信用事業を行い得るような森林組合の体制の整備を図るとともに、信用事業についての調査検討を早急に進めること。   九、病虫獣の被害の防止については、生活環境及び自然環境の保全に留意し、その対策を強化するとともに、森林保険の事故対象の拡大、共済加入の拡大、共済運営団体の強化、森林災害共済と国営保険との調整の検討を行い、共済加入者の保護と共済事業の健全な運営を図ること。   十、教育指導事業をたかめるため、森林組合役職員の人材確保、技術向上等に必要な措置の充実に努めること。   十一、生産森林組合の事業運営及び執行体制の強化を図り、かつ森林組合系統組織の一環としての総合力が発揮できるよう育成、指導するとともに、入会林野等の整備促進の対策を充実すること。   十二、連合会の指導力をたかめ、監査事業の実施については、指導監査に重点をおき、森林組合の自主監査、行政庁の検査との相互補完に十分配慮するよう指導するとともに監査士の活動に必要な助成を行うこと。   十三、森林組合及び生産森林組合が総代会制を採用する場合には、特に慎重を期し、全組合員の意志が十分に反映されるよう指導すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  223. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま村沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  224. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 全会一致と認めます。よって、村沢提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安倍農林大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。安倍農林大臣臨時代理。
  225. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。
  226. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  228. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案並びに漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から両案の趣旨説明を順次聴取いたします。安倍農林大臣臨時代理。
  229. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につき、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業災害補償制度につきましては、制度創設以来、農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことはご承知のとおりてありますが、最近における農業事情の変化に対応して、すでに本制度の対象とされている麦、果樹等以外の畑作物及び園芸施設について農業災害補償の制度を創設することが関係方面から強く要請されております。  政府におきましては、このような事情にかんがみ、昭和四十九年度以降畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法に基づいて畑作物共済及び園芸施設共済の制度化のための試験を行ってきたのでありますが、その実績等を踏まえて、昭和五十四年度から恒久的な畑作物共済制度と園芸施設共済制度とを創設することとし、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、畑作物共済及び園芸施設共済の実施体制でありますが、農作物共済等の場合と同様に、農業共済組合または市町村の共済事業、農業共済組合連合会の保険事業及び政府の再保険事業により行うことといたしております。  第二に、畑作物共済の事業の内容であります。まず、対象は、バレイショ、大豆、小豆、いんげん、てん菜及びサトウキビ並びに政令で指定する農作物といたしております。次に、共済金は、気象災害、病虫害等による対象農作物の減収量が一定割合を超えた場合に、その超えた部分の数量に応じて支払うことといたしております。  第三に園芸施設共済の事業の内容であります。まず、対象は、温室等の特定園芸施設とし、このほか、これにあわせて暖房施設等の付帯施設または施設内農作物も対象とすることができることといたしております。次に、共済金は、気象災害、火災等によりこれらの対象につき生じた損害の程度に応じて支払うことといたしております。  第四に、畑作物共済及び園芸施設共済の加入は、農業者の任意といたしておりますが、事業の安定的な運営ができるよう、農業共済組合等がその旨の議決をした場合には、関係農業者が加入義務を負うこととする道も開いております。  第五に、共済掛金の国庫負担でありますが、農家負担の軽減を図るため、畑作物共済については共済掛金の五分の三を、また、園芸施設共済については共済掛金の二分の一を国庫が負担することといたしております。  第六に、農業共済基金の業務範囲の拡大でありまして、基金は、畑作物共済及び園芸施設共済の共済金等の支払いの円滑化に資するため、必要な資金の融通等ができることといたしております。  なお、以上のほか、農業共済団体等の家畜診療施設の法的位置づけの明確化を行うとともに、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  漁船積み荷保険制度は、漁船に積載した漁獲物等の積み荷について生ずることのある損害を適切に保険する制度の確立に資するため、漁船積荷保険臨時措置法に基づき、昭和四十八年十月から五年間の予定で試験的に実施しているものであります。  同法は、昭和五十二年九月三十日にその期限が到来しますが、最近のわが国漁業をめぐる情勢を見ますと、昨年来、各国の相次ぐ二百海里漁業水域の設定により新たな海洋秩序の形成が急激に進展し、漁船積み荷保険の主な対象である沖合い・遠洋漁業は、減船、漁場の転換等操業形態の変更を余儀なくされるに至っております。このような操業形態の変化は、保険料率算定の基礎となる危険率等に大きな変動をもたらすと予想されますが、現段階でこの変動を予測することはきわめて困難であり、適切な保険制度の確立を図るためには、今後さらに五年間試験実施を継続し、新たな漁業事情のもとにおける保険設計を行う必要があります。  この法律案は、このような事情にかんがみ、漁船積荷保険臨時措置法の効力に関する同法附則第二項の期限を五年から十年に改正しようとするものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  230. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      —————・—————