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1978-07-04 第84回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月四日(火曜日)    午前十時二十二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 村田 秀三君                 相沢 武彦君     委 員                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 村沢  牧君                 吉田 正雄君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 三治 重信君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        大蔵省主計局主        計官       古橋源六郎君        農林政務次官   初村滝一郎君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省畜産局長  杉山 克己君        食糧庁長官    澤邊  守君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和五十三年産米価等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 村沢牧

    村沢牧君 生産者米価を審議する米価審議会を目前にいたしまして、農林省諮問内容検討しているというふうに思いますけれども、本年度生産者米価決定するに当たりまして、農林省の基本的な考え方、さらには、米審諮問をする内容が固まっておるとするならば、その骨子についてここで明らかにしてください。
  4. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 六日、七日に米価審議会を開催をいたしますので、その意見を聞いた上で、政府といたしまして今年度生産者米価につきまして食管法の規定に基づきまして決定をしたいということで、種々検討を進めておるところでございますが、ごく近く出ます昨年の米の生産費調査がまだ最終的に固まっておりません。もう近く出ると思いますけれども、それを見た上で、最終的な作業で具体的な数字を詰めることになるわけでございます。  したがいまして、具体的なことについて現在申し上げる段階にない点につきましては御理解をいただきたいと思いますが、本年の米をめぐります事情は、その需給が過剰の度合いを著しく強めておりまして、需給均衡化を図るということが食管制度を今後長くその根幹を維持していくために必要であるというようなこと、そのためもございまして、本年度から、水田利用再編対策というものを今年度を初年度といたしまして十年を目途として開始して、速やかにこれの定着化を図らなければたらないという、また需給均衡化対策の一環といたしまして、米の消費拡大につきましても、さらに一段と国民理解も得ながらやらなければならない、それらの事情も、需給事情を十分考慮しながら検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 ことしの生産者米価要求の起こる前から、農林省据え置きのキャンペーンを張り、特に最近は、いま長官説明のありましたように、まだ算定基礎の決まらないうちから、きょうの新聞を見れば据え置きだとか、あるいは一、八%なんということが出ているわけなんです。また、五十二年度農業白書は、今後は農産物価格の上昇は余り期待できないということを指摘をしているわけでございますけれども、その後畜産物価格据え置き、さらにまた、麦価を低価格に押さえ込んで生産者米価抑制の私は地ならしをしてきたというふうに思うのであります。また、大蔵省も米の過剰や逆ざや解消を宣伝いたしまして、生産者米価据え置きをPRしているわけなんです。こうした動きの中から、政府は初めから据え置き方針を決めて、つまり結論を先に決めて、それにつじつまを合わせるような米価算定をしようとしているのではないでしょうか。その辺どうですか。これは政務次官から答えてください。
  6. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) いま村沢委員がおっしゃるように、私どもが前もってPRをした事実はないわけでありまして、大体ことしの生産者米価については、先ほど長官が申し上げたとおりに、現在最終的な算定作業に入っておるわけでありますから、それで、いまこの結論づけつつあるのであって、まだ決まっておりませんわけでございますから、それを言う必要もなし、また言うはずもないわけですが、決して私どもはそういうことをやったということじゃありません。けさ何か新聞に一・八云々というような新聞の情報があったようでありますが、これもまた私どもが関知したいことでありまして、決してそういうことをやったことはありません。  その他のことについては、長官から答弁いたします。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 農林省の方では、そのような新聞発表もした覚えはないということであります。  そのことはそれといたしましても、それではこれから生産者米価のいろんな資料に基づいて算定をするということでございますから、本日のこの委員会なり、あるいはまた衆議院でも委員会も開かれるようでございますけれども、この委員会で出された意見だとか、あるいはまた要求だとか、そういうものについて皆さんは十分これを参考にして米審に対する諮問案を出す、あるいは検討する、そのような用意を持っておられますか。
  8. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 皆さん方の御意見があれば、それはもう意見は十分聞かなきゃいかぬ。そうして私ども算定した方式と隔たるというような場合もあるだろうし、あるいはまた、その要求に近いという場合もあると思う。出てみなけりゃわからぬということでありますけれども意見は十分聞く用意があるということであります。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 聞くのは皆さん当然聞けるでしょうけれども皆さん意見と食い違いもあるというふうに思いますけれども、いまの切実な要求なり、あるいは私たち指摘をすることが、これは米価算定に当たってこれは至当なものである、皆さんがそのようにお考えになれば、その意見十分諮問の中へ、諮問案をつくるときに参考にされるかどうか、その辺について重ねてお聞きをしたい。
  10. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) まあなににしたところで、皆さん方意見を聞きっ放し、何も考慮しないということはこれはできないと思う。だから、そういうものは恐らく参考にして諮問資料にしようというような考え方であります。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、以下きょうもいろいろ論議をされますし、私も指摘をしますから、十分皆さん聞いていただくように、また米審諮問案をつくる参考にしてもらいますことを要求して、いろいろ質問に入ってまいりたいと思います。  私は、最近要求米価実現や、あるいは農業再建各地の大会や対話集会出席をして、農民皆さんから切実な要求訴えを聞いておるわけなんです。私自身は、この日本農業の置かれている現状なり、あるいはいまの農政の欠陥については承知をしており、さらにまた、日本社会党農業再建方針を出しておるところでございますけれども農民訴えというのは素朴であり、現実的であり、それだけに切実さがこもっておるというふうに思うんであります。日本農業を守って、それから農民の生活というものを守っていくという農林省が、あるいは農林大臣が、なぜこんな切実な要求を聞くことができないのか、こたえようとしないのか。私は、最近の米価をめぐるいろいろな新聞などを見まして、残念というか、ある面においては怒りすら惑じるわけなんです。農林省が本当に農民とひざを突き合わせて話し合いをするというようなことは、最近ではできない。  そこで、次官に率直に私はお伺いをいたしますけれども、こういうことを農民は言っているんですね。農林省大蔵省も米が余った余ったという宣伝をしているわけですけれども、おれたちはいままで政府の言うとおり減反もやってきたし、それからことしも大幅な生産調整にも協力をした。特にことしは、政府目標よりも多い一〇四%も生産調整を達成したんではないか。米が余ったのはおれたち責任ではない、米を余らせるようにしたのは一体だれであるか、こういう率直な意見各地訴えられるわけなんですけれども、これについて次官はどのように判断されますか。
  12. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 米が余ったということは、私ども年間幾らという数字目標を立て、しかも在庫は月五十万トン程度、四カ月分二百万トン程度あればいいのだというようなことが理想的ではなかろうかと考えておるわけでありますが、なかなか国民が米に対する米離れといいますか、これが一時は一・八%程度になっておったのですけれども、最近三%以上になるというふうな傾向があるわけであります。したがって、ことしからそういうことを踏まえ、政府備蓄が非常に余ると。それじゃ困るから何とかしてこれを立て直さなければいけないということで、水田転作、これを特にまげてお願いをして減反政策をし、さらに調整をやってもらった結果、一〇〇%以上の協力を得た。これは非常に多とするところであります。  そこで、大体農民は素朴であり、現実的な訴えをしておるのだがというようなことのお話もありましたが、それも十分わかるわけであります。したがって、私どもも果たしてこの在庫した米を整理するにいたしましても、やっぱり一兆円近くのものを何年度で整理していくのか、非常に困るわけであります。そういうことを考えて、本当に国民から農業というものが見捨てられたいようなやり方、需給そのものが、食糧安定を期するために他の必要なものに転作してもらいたいという考え方から、今度の減反政策等もやっておるわけでありますから、その点はひとつよく農業者政府との間に疎通を欠くことのないようにやっていきたいという考え方でございます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 次官は、米は余ったという原因ですね、一体どうしてこういうふうに余ってきたのかということについてへ質問に残念ながら答えていただいておらないというふうに思うんであります。余った米をどうするのではなくて、なぜこういうふうに余ってきたのか、そのことについて私は質問をしているんです。
  14. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 米の余ってきた原因についてのお尋ねでございますので、私からお答え申し上げたいと思いますが、最近におきます米の生産力が土地改良なり、あるいは品種改良なり、その他技術改善によりまして非常に進んでまいってきておりますし、さらに収益性につきましても、他の作物と比べてこれまで有利性が非常に高かったというような点から、農家稲作意欲生産調整下におきましてもとかく強まるということによりまして生産が伸びてきたということが一方にあります。他方、米の消費について見ますと、食生活が一言で言えば多様化する。副食が非常にふえてくる。あるいはまた簡便化する。簡単に朝食をとるとよく言われますようなこと。  特にまた、最近問題になりますのは、年齢層によりまして米の消費量かなり差がございます。よく言われます若年層米離れ現象、こういう問題が重なりまして、オイルショック、その後の狂乱物価のときに、一時一人当たり消費量減少率がやや鈍化をいたしまして、先ほど政務次官から一・八%と申されましたが、その程度まで下がって、私どもとしてはやや安心をいたしたわけでございますが、最近の傾向を見ておりますと、またそれ以前の三%ぐらいまで一人当たり消費量減少率が返りつつあるのではないか。人口が一%ぐらいふえますので若干それは相殺される面がございますけれども、そのように生産面消費面両方から過剰が相まって、結果として出てきておるということでございます。  それからまた具体的な問題といたしまして、今年度十月末には五百三十万トンぐらい古米持ち越しになるということを、これまでいろいろな機会に私ども申し上げておるわけでございますが、これの直接のふえました理由を申し上げてみますと、これは五十二年産につきましては九十万トンの調整をしたわけでございますが、その際千二百十万トンの需要があるであろうという見込みを立てたわけでございます。私ども、若干意欲的に背伸びしたといえば結果的にはそういうことだと思います。消費拡大にも努力をしていただいて少しでもふやしたいという意欲もございますし、千二百十万トンに需要を置きまして、それに合わせて生産を単年度需給均衡するために九十万トンの調整をしたということでございますけれども生産が御承知のように豊作のために千二百十万トンが約千三百十万トン、百万トンふえたわけでございます。  他方消費需要につきましては千二百十万トンが、私ども見通しでは、これは十月末までの見通しでございますので、必ずしも一分一厘違わぬという意味での正確さはないと思いますけれども、千百五十万トンぐらいではないか。そこで六十万トン、生産の面で百万トン、合計百六十万トンの過剰ということになりまして、結果的に、九十万トン農家に非常に御努力いただきまして達成していただいたにかかわらず、気象条件消費両面でそのようになってきておるわけでございます。  私ども、今年度も現在のところ一〇四%という実施達成見通しを県から報告をいただいております。これは最終的には例年若干減る傾向がございますけれども、一〇〇%を超すのではないかという見通しを持ち、農家の非常な御苦労に対しまして感謝の気持ちでいっぱいでおるわけでございますが、その意味では、今年に限らずこれまでも、長い間生産調整につきましてほぼ一〇〇%農家方々に達成していただいたということにつきましては、にもかかわらず過剰が出てきたということは、天気のこともございますけれども政府としても私どもの見方が誤ったという点につきましては、率直に責任は感じておるところでございます。
  15. 村沢牧

    村沢牧君 長官説明を聞いておりますと、米が余ったことは気象条件消費の減退によることである、そのことが主要な原因であるというふうに言われておりますけれども、五百三十万トン余る見込みであるといういまお話があったように思うわけです。ところが、昨年はどうかというと、昨年の米価決定の時期には、十月までには三百三十万トンの過剰が見込まれるという説明があったわけです。ところが、十月になりますと、実は三百六十万トンが過剰になったのだと、またこれも発表しておるんです。ことしの場合はどうかというと、いま話がありましたように、三百六十万トンに約五十二年度豊作部分を百万トン加えて四百六十万トン余ると、こういう発表をしておったわけでありますけれども、この米価決定の時期になると、いや実は五百三十万トンになったんだということで、政府見通しはいつも狂ってきておるんですよ。  これは、何もことしと昨年に限りたことではなくて、四十五年以降米の生産調整農民協力してきた。そして、一〇〇%達成したにもかかわらず、いつも政府のこの需給見通しは狂ってきたんです。したがって、こういう見通しの狂ったことについてどのような反省をしておるのか。そのことは農民責任ではないんです。皆さん方需給見通しの誤りなんです。どういうふうに思いますか。
  16. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいま私の申し上げましたように、結果的に需給見通しが甘かったということにつきましては、率直に私ども政府責任というふうに感じておるところでございます。したがいまして、さきに四十六年から本格的な生産調整が始まったわけでございますが、四十六年ごろから、その前からでございますが、四十九年にかけまして、七百数十万トンの過剰米処理をいたしました。これは、在庫といいますのは通常の場合なら供給量の中に加えて次の年の生産考えるというのが通常だと思いますし、諸外国の農業政策の面でもそのようなことをやっておるところもあるわけでございますけれども、これは単年度需給という私ども日本の場合にはそのような考え方に立ちまして、過去の過剰米につきましては政府責任において処理をするという形で、農民方々生産面減少量に反映をさせないというような考え処理をしてまいったつもりでございます。  今後五百三十万トンとなりますと、これは先ほどもいろいろお尋ねございましたけれども、私ども追加がずっとふえるじゃないかという点につきましては、一つは豊作の要因でございますので不可避という面もございますけれども、反面、私どもがやや希望的な、消費拡大もし生産も他の農産物により力が入るだろうと、こういうようなことを期待しながらはじきますので、どうしてもやや希望的な数字になります。  その両面からの結果でございますけれども、五百三十万トンになりますと、意図的にやったことでございませんけれども、そういうような見通しが現段階で立てられるということになりますと、先ほど政務次官申し上げましたように、古米の正常な持ち越し量は二百万トンというふうに考えておりますので、三百三十万トンいわゆる過剰になる。これは持てば持つほど、最近金利はやや低下いたしましたけれどもトン当たり二万円か若干それを切った経費がかかりますので、これを計画的に処理をしていくと。四十六年ごろから四十九年ごろにかけてやりましたような対策を、本格的に考えていかなければいけないというように考えておりますが、これらにつきましても現在まだ案を固めておりませんけれども、そういう過剰があることを来年度供給量の中に入れてその分生産調整数量をふやすとか、そのような意味での農家へのしわ寄せといいますか、そういうようなことはやるべきではないというように私ども考え検討をしていきたいと思っております。
  17. 村沢牧

    村沢牧君 政府側に要望しておきますけれども、私の時間も限られておりますから、答弁質問に答えて簡潔にひとつお願いをしたい。  そこで、いま食糧庁長官、米が余ったということは政府見通しの甘かった点もあると、率直に反省しておったわけであります。と同時に、過去においても余った米については政府責任において処理をしてきた、そういう答弁があったわけですけれども、五百三十万トン余って、備蓄米を二百万トンぐらい考慮する、あと三百三十万トンについては政府責任においてこれを処理していくと、そういう気持ちは変わりないわけですね。
  18. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私どもこれから予算編成にかかりますので、その間に財政当局とも十分相談をしながらやっていかなければならない問題でございますので、ここではっきりしたことを申し上げる段階ではございませんけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げたような考え方で具体的な処理の方法を考えてまいりたいというふうに思っております。
  19. 村沢牧

    村沢牧君 政府責任において余った米を処理することは当然のことだというように思いますが、それならば、ことしの生産者米価決定に当たっても、米が余ったんだ余ったんだということを先ほど次官も言っておるし、長官も言っているんですが、そんなことをあえて誇張して宣伝する必要はないと思うのですよ。いままで米が余ったということですね、五十二年度の米の在庫数量がふえたことと、それじゃ五十三年度米価と一体どういう関係があるんですか。米が余ってくれば、それだけ五十三年つくる米の生産費は安くなるんですか。どういう関係があるんですか。
  20. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ことし百七十万トンの生産調整をやっておりますけれども、これは生産調整を全くやりません場合の実力と申しますか、潜在生産力は千三百四十万トンあるというのを前提にいたしまして百七十万トンの調整をしておるわけでございますけれども先ほどもいろいろ申し上げましたような最近の需給の動向からいたしますと、百七十万トンでは単年度需給につきましても過少ではないかというような感じを実は持っております。率直に申し上げまして。  したがいまして、そのことは別にいたしましても、千三百四十万トンを前提にいたしまして百七十万トンやりますにも、農家方々に非常な協力を得ておりますけれども政府といたしましてもできる限りのことをやっておるつもりでございまして、他の農産物への転作が円滑に進みますように、転作奨励金の交付を初め各種対策関連対策をできるだけこれに集中をするというようなことによりましてやっておるわけでございまして、ほっておって需給均衡ができそうだとかいうような話ではないわけでございます。いわば構造的な過剰の現実があるわけでございます。そのための需給均衡化対策といいますのは、一年で終わるというものではなくして、今後も十分これを長期に続けなければいけない、こういうような需給事情を念頭に置いて価格を決めていかなければいけない、かように考えております。
  21. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことを聞いているんじゃないのですよ。米が余ったと。余ったということと五十三年度生産者米価とどういう関係があるかと、それを聞いているんですよ。いままでの米が余っていれば五十三年度の米は安くできるんですか、それを聞いているんですよ。
  22. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 実は、米の生産の増減に対してはいろいろな条件が影響すると思いますけれども、直接的、短期的に一番影響するのは、私は価格だというように思います。価格を上げてまいりますれば、それが生産を刺激をするという関係が一番直接的だと思います。そういう点から言いまして、ただいま申しましたような需給の現状からいたしますれば、私どもはその事情を十分考慮しながら、何もそれだけだと申し上げるつもりはございませんけれども生産費所得補償方式の範囲内においてそれらの事情も織り込んで決定すべきものだと、かように考えております。
  23. 村沢牧

    村沢牧君 長官のいまの答弁の中で、重要なことを言っているわけですね。農林省は本年度生産調整について百七十万トン、四十万ヘクタールの減反政策を打ち出したわけです。これはすでに一〇四%の目標を達しておる。だけれど、単年度においては百七十万トンが、この需給均衡とれるかどうかがきわめて危ぶまれているかのようなことを言われておりますけれども、これは生産調整をするときに、水田編成をつくるときにしつこく質問したのですけれども、百七十万トン生産調整をすれば五十三年度については余り米はないと思う、これで需給均衡は保たれるということを、大臣もあなたも答弁しているじゃないですか。いままでの見通しは誤った。五十三年度これだけ、一〇四%協力してもなおかつ余り米が出てくるんですか。そんな見通しがいま立っているんですか。
  24. 澤邊守

    説明員澤邊守君) これは先ほど米の過剰になった理由について御説明した中でも触れましたけれども、本米穀年度、昨年の十一月からことしの十月までの需給見通しをこれまでの政府の米の売却実績、それから農家消費に関する各種調査、それから家計調査等から見ますと、最近再び一人当たり消費量の減り方が大きくなっておるというように見ざるを得ないというふうに思うわけでございます。それら各種資料を、現在とれますものの最近のものから十一月までを推定いたしますと、今年度のわれわれが計画を立てました場合の前提といたしました千百七十万トンという需要目標は過大ではなかったかと、私どもとしては千百五十万トンぐらいになるのではないかと、かように見ておるわけでございます。
  25. 村沢牧

    村沢牧君 この新生産調整を審議したのは、わずか何カ月ばかり前ですよ。そのときにあなたは、百七十万トン生産調整をしていただければ単年度では米が余ることはないというふうに思いますと、余り米はないとはっきり言ったじゃないですか、大臣も。それをすぐここで、またことしやってもらってもまだ余るようなことを言っているんですよ。これこそ全く農民農業団体、議会を無視したものですよ。一体どういう見通しを立てているんですか。
  26. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私ども需要見通しを立てます場合に、これまでの過去の傾向とそれから消費拡大による効果というものも織り込みながらやるわけでございますが、実際に五十三米穀年度のデータをつくります際には、二年前のデータのほか正確な一年間データはないわけでございます。それをもとにしながら、ただいま言いましたような過去の傾向それから消費拡大の効果、特に消費拡大の効果をどの程度織り込むかということにつきましては、率直に申し上げましてどの程度になるか、何万トンふえるということは、正確に申すことは非常に困難でございます。そういう意味で、当時千百七十万トンぐらいの需要に、消費拡大にも大いに努力をすればそれくらいになるのではないかと、かように見通したわけでございますが、その後昨年の豊作というのが予想以上になりましたこともございますし、政府米の売れ行きも非常に悪いというようなこと、それからまた、先ほど申しましたような米離れの現象が依然として続いておるというようなことから、ごく最近での見通しとしては千百五十万トンというふうに申し上げておるわけでございます。
  27. 村沢牧

    村沢牧君 質問に答えてくださいね。  昨年、単年度米の需給均衡させるということで、生産消費のギャップを埋めるということで九十万トンの生産調整を行った。その結果は、百万トンもまたオーバーしちゃったんですね。私が聞いているのは、ことし、五十三年度農民農業団体は政府の言うことを聞いて、率直に言って一〇四%の生産調整をした。そのときに政府は、米は余らないと言った、単年度では。しかし、今日になってくればまた余りそうだなんということを言っていることは、一体どういう需給見通しを持っているんですか、どういう責任を感ずるんですか。次官答弁してください。
  28. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 長官答弁したとおりに、役所としては計数の実績をはじいていくわけです。これは御承知だと思いますが、なぜ去年言うておきながら、ことしになったらすぐもうこれは米が余るようになったじゃないかと、その見通しはどうかということでありますけれども、それらの見通しは甘かったということを率直に長官も申し上げている。ただ、私が先ほどの、やっぱり米の一人当たり消費量が減少傾向である、これが強まったということ。買う人がおらぬのですから、食べる人が少なくなったと、これが一番原因ではなかろうかということが一つ。もう一つは、豊作関係から若干の買い入れですね、これをやらざるを得なかったというような点もあったかと思います。そういう点で御了解願いたいと思います。
  29. 村沢牧

    村沢牧君 消費見通しを立てる場合には、米の嗜好がどうなっているのか、消費がどういうふうになっているか、そんなことを見込んで見通しを立てるわけですね。そういう立てた見通しが甘かったと、また五十三年度中についてもすでに甘いんだと言っているわけですね。そうしてみれば、先ほど指摘をしておりますように、この米が余ったということは農民責任ではないんだと、皆さん見通しが誤ったからだと。したがって、そのことが米価決定の重要な要件にはならないと私は思うんですが、どうですか。食管法に照らしてどうですか。次官答弁してください。次官要求しているんだ。
  30. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 食管法は、御承知のように生産費、物価その他経済事情を参酌して再生産の確保ということで、経済事情もいろいろあると思いますけれども、現段階需給事情のもとにおきましては、何としても需給均衡を図っていくということが最大の考慮すべき経済事情だというふうに考えますので、私どもはこれを率直に反映させるようなことを考えながら算定をしてまいりたいというように思います。
  31. 村沢牧

    村沢牧君 米の消費は年々減少しているわけですけれども、小麦とその小麦の加工品は消費量がふえているわけなんです。米が余った余ったと言いながら、一方では小麦の輸入量は減っておらない。増加しておらないにしても、安定しておるわけですね。ふえておるわけです。増加してないけれどもふえておるということはないけれども、減っておらないわけですね。そこが私も理解に苦しむし、一般の農民理解に苦しむところだと思うんですね。国民消費の動向が変わったと言いますけれども、小麦の輸入が多くなったから、政府が輸入を多くしたから国民は小麦なり小麦加工品を選ぶようになったわけなんですよ。  農林省は、小麦の輸入と米の消費拡大についてどのように考えていらっしゃいますか。言われるように、小麦の輸入を百万トンぐらい減らして米の消費拡大に持っていったらどうか、こういうふうに誘導したらどうか、そのことについて考えたことはありますか。
  32. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 米の消費拡大を図るために小麦の輸入を減らすという御意見は、私どもたびたび伺っております。農業団体の方々もその点を強く昨年以来お話し合いの席でも主張されるわけでございますが、私どもといたしましては、米の消費拡大をいたしました結果として麦の輸入が少なくなる、また国内の麦の生産がふえるということの結果として麦の輸入が減っていくというようなことを誘導をしていきたいという気持ちは持っておりますけれども、これをいわば強制的にといいますか、あるいは規制をするとか無理強いをして、需要があるにかかわらず需要を窮屈にしていくことによって消費を減らしていくというやり方は、食生活にかかわる問題として現在の社会情勢の中で果たして許されるかという点につきまして、私どもとしては否定的に考えざるを得ないというふうに思っているわけでございます。  確かに粉食、小麦の消費はおおむね横ばいということで、でん粉質の中では米が減っておるということでございますが、これは輸入がふえておりますのは、その大部分は国内の小麦生産が減った部分の代替部分が半分以上でございまして、その他えさの部分の輸入というようなことでございまして、一人当たりの小麦の消費量がふえたことによる輸入の増というのは、非常にわずかな比率しか占めておりません。それにいたしましても私どもとしては、結果としてそういう方向に誘導していく方法、無理のない形で誘導するということについては、努力をしてまいりたいというように思っております。
  33. 村沢牧

    村沢牧君 小麦なり小麦加工品の非常に需要が多いから輸入がふえた、必要なものを輸入したというふうに言っているんですけれども、小麦粉を輸入するのは決定権は政府なんですね。政府が輸入をしたから加工品が、小麦が多くなったんですよ。輸入をふやすから多くなる。これを抑制をして米の方へ向けていくというような努力をしてないから、そういうことになったんです。ただ、国民だけにしわ寄せするんじゃなくって、国民責任にするんじゃなくって、政府自身がそういう態度をとらなかったからこういうことになったんですね。その辺はどういうふうに考えておりますか。
  34. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私どもといたしましては、製粉その他の小麦の実需者からの需要に応じて供給をしていくと、そのための必要な輸入を実施をするということをやっておるわけでございまして、したがいまして、お耳に入っておるかと思いますけれども、昨年夏ごろから米の粉を小麦粉に入れるというような話を食糧庁でいたしました際に、国民消費者あるいは実需者から相当な反発を受けまして、強制的にやるのはけしからぬ、こういうようなお話もあったほどでございます。  私どもといたしましては、無理のない形でそういう小麦製品の中に米の粉を利用するとか、そう他小麦の需要が減り米の消費がふえていくというような方向に誘導していくことは必要だと思いますが、ここで需要があるにかかわらず政府が輸入を減らすということになりますと、それこそ買い占めなり売り惜しみ、それからパン屋の前に行列が並ぶというようなことになりかねない、切符制度を復活するということでなければ公平な配分ができないというような事態にもなるおそれがあるというふうに思いますので、私どもとしては国民理解を得ながら、何分食生活という嗜好にかかわる問題でございますので、国民理解を得なければ何もできませんので、理解を得ながらそういう方向に無理のない形で誘導していく、こういう方法で減らしていく方向に持っていきたいという考えてございます。
  35. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、率直にお伺いしますけれども、小麦の輸入は今後拡大をしない、そういうことでいいですか。簡単に答弁してください。
  36. 澤邊守

    説明員澤邊守君) そのような方向で努力をしてまいりたいと思います。
  37. 村沢牧

    村沢牧君 さて、次は生産者米価決定ですけれども、これは食管法によって、申すまでもなく、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」というふうに規定をされておるわけなんですが、だから、私が指摘をしたように、いままでの米が過剰であったから据え置くというような理論は、成り立たないというふうに思うんですよ。現に、昨年の国会で米価の審議をする際にも、前鈴木農林大臣はこういうことを言っている。米が過剰基調であるからといって、米価を据え置くというようなことは全然考えていない。このことを再三国会でも明らかにしているわけですけれども、この方針農林省変わりはないというふうに思いますけれども次官、どうですか。
  38. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 前の大臣答弁をされたことをとらえて言われるわけですが、前の大臣は、あくまでも去年の米をめぐる事情を参酌して答弁をされたものと考えております。したがって、ことしの米をめぐる事情はその過剰の度合いを著しく強めており、需給均衡を図ることが最も重要な課題であろうと、したがって、昨年に倍する水田利用再編成対策の初年度当たりますので、その定着化を図っていく必要があること。また一方には、米の消費拡大を一層積極的に進める必要があることなどの事情を十分考慮していく必要がありはしないか、かように考えます。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 次官、前の大臣はそういう答弁をした、前の大臣は前の大臣で、今度は大臣がかわっているから必ずしもそういうふうにならないというふうな、聞き方によればそういうことになるわけですけれども農林省は組織によって動いているわけですね。大臣がかわったからといって、その方針がすぐ変わるわけなんですか。私がお聞きしたいことは、少なくとも昨年の米価決定の際には、大臣が国会においてそういう答弁をしており、明らかにしているわけです。その方針が変わったのかどうか、変わり得るんですか。
  40. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 決して方針が変わるということはないわけであります。そのときそのときの事情で、すべてのものを総合していくわけでございますから、そのときそのときの大臣気持ちで、答弁の言葉遣いも若干ニュアンスが変わると思いますが、方針は変わらないということでございます。
  41. 村沢牧

    村沢牧君 それでは、食管法に照らして米の価格決定するには、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情」というのは、これがくせ者ですけれども、その他の経済事情を参酌して再生産を確保するように決めていくのだと、この基本は変わりはないわけですね。米の需給によって決めるのではない、そういうふうに認識していいですか。
  42. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいま政務次官からお答えいたしましたように、鈴木大臣農林水産委員会におきます御発言の趣旨は、昨年度事情を踏まえての御発言でございます。私ども当時同席したわけではございませんけれども、昨年は一昨年と同じように九十万トンの調整目標ということで、その間の需給事情に大きな変化はなかった、むしろ政府の公式の調整数量は同じであったと、そういう情勢のもとでの御発言であるわけでございます。  したがいまして、本年度需給事情は昨年の場合とはがらりと様相を異にしておりますことは、先ほど来申し上げているところでございますので、基本的な考え方政務次官が申し上げたとおり変わりませんけれども、やはり需給事情というものを食管法に基づきます生産費、物価その他の経済事情の中で考慮するのはこれまでもやっておりますことでございますし、今後もそのようなやり方をしなければいけないわけですけれども、今年度は特に需給均衡を図るということが喫緊の最重要課題になっておりますので、それを十分考慮に入れて検討してまいらなければいけない、かように考えておるわけであります。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 昨年と需給事情が違ったから米価に対する考え方も変わってきたというふうな答弁ですけれども食管法に照らして、それじゃ需給事情というのは、これはどこへ入るんですか。
  44. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 食管法の「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ル定ム」ということになっておるわけでございますが、この「其ノ他ノ経済事情」という中に、いろいろなことがございますけれども、米の需給事情というものは当然入っておるわけでございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 この米価決定について今日まで裁判問題、訴訟問題まで発展したこともありますね、御承知のとおりです。これは昭和四十八年五月二十三日の東京地裁の判決及び昭和五十年十二月二十三日の東京高裁の判決では、経済事情の範囲についてこういうふうに言っているわけですね。「「その他の経済事情」の範囲は、およそ米穀の生産に直接、間接に関連する経済上の諸事情を含みうるものと解され、」、しかし具体的には「「各時点における具体的な経済政策上の配慮、たとえば稲作農家の状況やそれがわが国農業に占める地位、国際価格を含め他の農産物価格の動向、米穀め政府買入価格の水準がわが国の経済一般、とくに農業経済に与える影響、さらに財政負担等の諸事情」を考慮し、適切な水準に決定されなければならないのであって、これらの事情は、生産者米価決定にあたって参酌されるべき「その他の経済事情に含まれる」」と、例を挙げて言っているわけですね。この中で需給均衡ということが一言も、かなり具体的にほかのものは挙げておるんだけれども、言ってないわけですね。これはどういうふうに理解されますか。
  46. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいまの御指摘の解説書の中に引用されておる点をお読みになっての御質問でございますが、私ども全文見ておりませんので、ここで見た限りでの御答弁をさしていただきますけれども、この「米穀の生産に直接、間接に関連する経済上の諸事情を含みうるものと解され」という点は、価格というものは、先ほど申し上げましたように、「直接、間接に関連する」と、その中で直接関連する面が一番強いわけでございます。米の生産なり需給に一番関連するものがございますので、当然のこととして――ここに確かに先生の御指摘のように、「等の諸事情」までのところに具体的には書いてございませんけれども、当然のことだというように考えます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 次官、法治国ですから、やっぱり法律は守らなければいけないし、特にこういう判例が出ていますからね。いままで皆さん食管法をずいぶん拡大解釈をしておるんですけれども、この判例の中では、具体的にたとえばこういうものだということを具体的な例を挙げて言っているわけですよ。その中には需給なんということは一言も入ってないんですが、これはいま長官答弁でよろしいんですか。
  48. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) いま長官答弁でいいのじゃないかと思います。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 そうですか。
  50. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) はい。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 自信持っていますか。それでは、後ほどまた指摘いたしましょう。  そこで、大蔵省見えていますね。――大蔵省、私はここに「生産者米価及び消費米価について」、この冊子を持っているんですが、これは大蔵省の正式見解として受け取ってよろしいですか。
  52. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) これは、大蔵省におきまして私ども米価を勉強いたします場合に、いろんなその事実関係について文書を整理いたし雷して関係者に配付するものでございます。さらにまた、新聞記者の方々からいろいろなことを聞かれてまいりますので、これを一々その方々に御説明するというのでは大変でございますので、そういう文書にまとめたものでございます。正式の文書というわけではございません。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 役所に正式の文書と正式でない文書がどんなにあるか私はよく知りませんけれども、そのことはまた、後から指摘しますけれども。  そこで、ここにもやっぱり書いてあるわけですね。大蔵省は「本年の生産者米価については、米が著しく過剰な状態にあり、米の需給均衡させるために、今後、長期にわたり、水田利用の再編成を進めていかなければならない状況にあることを十分考慮して決定する必要があります。」と、「なお、かつての過剰米時代には、四十四年以降三年間、生産者米価について据置きの方針をとつています。」と、こう書いてあるわけですね。これは農林省のこの過剰に対する考え方と若干は違っておりますけれども、まさに大蔵省は、過剰だから据え置くことにするという、そういう方向を明らかにこれは示しておるんですね。これはこの食管法に照らして大蔵省はどのように考えますか。
  54. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 生産者米価決定につきましては、食管法の規定に照らし適正に決定をしていくということが必要であるということはもちろんでございます。しかし、その際いま御指摘がございましたように、物価その他の経済事情を参酌していくということでございます。  なお、いま御指摘の、そこに過去四十四年から四十六年まで米価を据え置いたということは事実でございますので、これはただ事実関係として書いたわけでございまして、大蔵省据え置きをしなくちゃいけないということを書いたということではございません。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 事実関係はそうかもしれませんけれども、この書き方はまさにこういう形だと誘導しているんです。あなた方は。そんな弁解要らないですよ。  それから、大蔵省にお聞きをしますけれども大蔵省が言われるように、米の需給米価決定の重要な要件とするならば、大蔵省は今後米の需給がどのような状態になったら生産者米価を上げてもいいというように思うんですか。たとえば単年度需給均衡するような場合になったらいいのか、あるいは古米も含めて需給均衡するようになったら生産者米価を上げていくというむか、どういうふうに考えますか。
  56. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 米というものは、わが国の過去ずっと歴史始まって有史以来の非常に大きな主食というものでございます。したがいまして、米というものを考えるときに、単年度とかそういうふうなことで私どもは決して考えておりません。長期的な観点から、そしてそれがわが国に適した気象条件、あるいは国民の嗜好、そういうものを考えた上でその需給というものを決定していかなければいけないということでございます。しかし、現時点におきまして、最近の傾向を見てまいりますと、国民の一人当たりの米の消費需要がだんだん減ってきておると。農民方々も、つくっていただいたものがそれが食べられないということでは、本当に逆に農民意識としても非常にぐあいが悪いことになるだろうと。この際、そういうものにつきましては、できるだけ転換をしていただけないだろうかと。  したがいまして、長期的に米が不足をするというような事態になれば、その際におきましては生産価格というものにその需給事情というものを参酌すると、こういうふうになるのではないかと思っております。ただし、現時点におきましては、まだまだ米の需給につきましては供給が過剰であるという事態が続いております。したがいまして、この際には大変恐縮でございますけれども、そういう需給事情というものを大いに参酌しなければいけない、こういうふうに考えております。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 次は、米の流通についてお伺いしたいんですけれども食管法は御承知のとおり米の流通についてはかなり詳細に、また厳しく規定をしておるわけですね。ところが、米がだぶついたり逆ざやが大きくなれば、逆流が起こってくるんではないかということを言われる。長官よく開いてください。それは、政府の売却した米を卸売業者から買い入れて、それを生産地に送って農協などを通じて再度政府に売り渡して逆ざやをかせぐと、こういうことが起こり得るんではないかということを言われる説もあるんですけれども食糧庁長官、現在の食管法でそのようなことができるというふうに思いますか。また、同時に、農林省はそのようなことを許すんですか。過去においてはそういうことがあったんですか。長官、簡潔に答えてください。
  58. 澤邊守

    説明員澤邊守君) いま具体的にいつあったかということをへちょっと記憶ありませんので申し上げられませんけれども、過去においてそういうことがございまして、その逆流で取り締まりの対象になったことがございます。私どもは現在予約限度制というやり方をしておりますので、農家が買ってきて政府に売るといいましても、本人がその限度を超えて申し込みをしてきましても買いませんので、その意味では、逆流は出る可能性は非常に少ないということは言えると思います。まあほかの人の名前で、たとえば非常に作柄の悪かった人がやろうと思えばできなくはない。その辺は、なかなか正碓にどの程度そういう逆流現象が起こっておるかということを数量的に把握するということは困難でございますが、全くないとは言えませんけれども、そう大幅にあるともまた思っておりませんけれども、しかし、そもそも制度の仕組みとして、そういうようなことが起こり得るような関係を維持していくというのは、食管制度の運用上正常ではないし健全ではないと、かように思っておるわけでございます。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 また大蔵省にお聞きをしますが、この資料を見るとこういうことが書いてある。「特に、末端逆ざやの存在するような価格体系は、消費地等のやみブローカーが政府売却米を卸業者等から買い入れて産地に逆送し、農協等を通じて再度政府に売り渡して不正にサヤをかせぐといういわゆる不正逆流の誘因」となる。いま食糧庁長官は、制度上絶対そんなことはできないと言う。大蔵省はどういうふうに考えるんですか。
  60. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ちょっと私の発言について、制度上できないというふうには申し上げませんでした。現在あり得るけれども、それほど大量にはできないであろう。これは産地と消費地と、いろいろなまた場所によって違いますので、一切いま制度上できないということを申し上げたわけではないし、予約限度数量ですから、まともにはその限度を超えて自分の生産したものじゃなしに、買ってきてそれを加えて申し込んできましても私どもは買いませんので、その意味では制度上できないのですけれども、これはたとえばほかの人に譲渡して、その人が限度数量の範囲内において売るということはあり得ると。そういう意味で、制度上全く正しい姿じゃもちろんないわけですけれども、そういうことがあり得ないということを申し上げているつもりはございません。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 長官、私はここに書いてあるように、政府の売却米を卸売業岩からやみブローカーが買い入れる、制度上できるんですか、そういうことは。できるかできないか、答えてください。
  62. 澤邊守

    説明員澤邊守君) もちろん、それは制度上は許されないことで違法でございます。違法であるけれども、そういうことをやる余地があると思ってやられることもあり得るということを言っているわけです。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵省
  64. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私は、性善説、性悪説ということではございませんけれども、そこに利益の発生する誘因、原因がある場合においては、人間そういうことをやりたくなるという気持ちが起こり得ると。したがいまして、そこに誘因というふうに書いてあるわけでございます。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵省、制度上こんなことはできないですよ。制度上、食管法上絶対できないことですね。また、かつてだってそんな例があったわけじゃない。例があったら、じゃ示してください。こんなことまで書いて、逆ざやを解消するというようにPRしなけりゃならないんですか。これでは、こんなことができるという不正を、まさに大蔵省が誘導しているようなものだ。これが大蔵省の姿勢ですか。
  66. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 食管のその執行を適正に図っていくということは、行政府責任でございます。しかし、それに違反をして利益を得ようという人がまた決してないというわけにはまいりません。そういうような誘因になるような、不正者が出るような誘因になるような事態を排除していくということが必要なのではないかと、こういうことでございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 かつてそういう例があったり、法上許されたら、そういう見解が成り立つでしょうけれども、絶対法律上許されないこと、余り例のないこと、そとまで取り上げて生産者米価を抑えなければならないという、その要因は何ですか。具体例を示してくださいよ。
  68. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私どもはそういう誘因があると申し上げておるのでございまして、具体例があるかどうかにつきましては、食糧庁の方から調査いたしまして御答弁いただきます。
  69. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 関連。  村沢委員の発言に関連をして重ねて聞きますが、じゃそういうふうな誘因があるとするならば、当然政府機関としてはそれを防いでいかなければならぬ対策が必要だと思う。大蔵省はどういうふうに対策考えておられますか。
  70. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 各省各省その所管がございまして、そういうことにつきまして、一つは食糧庁がまさにそういうことのないように指導をするということでございます。
  71. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 食糧庁。
  72. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私どもといたしましては、検査する場合によくチェックをするとか、あるいはまた限度数量を厳正に守らせるとかいうようなこと、その他いわゆる違法にくぐってやるのをどこまで具体的に干渉していくかということにつきましては、われわれとしてでき得る限りのことで防止をしていかなければいけないというふうに思います。
  73. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 結局、逆ざやがあるからいま大蔵省指摘をしているような誘因があるというわけでしょう。そうすれば、いまの長官答弁で、数量ははっきり押さえておればそういう余地がなくなるという答弁とは、まるっきりこれはすれ違いになるんじゃないですか。それで防止ができるんですか。私は、そんなことではこれは防止ができないと思うんですよ。いわゆる二重米価制を解消する以外にこの問題はなくならないんじゃないですか、大蔵省指摘からいえば。その辺は、一体これは大蔵省としましてもどういう立場からこのことを指摘をしておるのか、再度、私はいまの答弁では納得できませんから、明確にしてください。
  74. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) その法律というのはございますけれども、法律というものが本当に適正に守られていくか守られていかないか、それは各人のまたそれを受ける方々のセラルの問題もあるかと思います。しかし、そのモラルに期待するということでもできないような場合がある、あるいはそのモラルをもっと徹底するために、すごい金をかけて、人員をかけて徹底的な調査をするということが、国民経済的に見て得ではないというような場合があるわけでございます。したがいまして、そういうような誘因がある場合におきましては、できるだけほかの要因によってそれを排除していくということが必要なのではないか、こういうふうに私ども考えております。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 その問題については、事例があるかどうか食糧庁に聞かなきゃわからないということでございますし、大蔵省答弁納得しませんから、委員長お願いしますけれども、後ほどはっきりした資料に基づいて答弁していただくように、私も若干時間を残しておきますから、要請しておきます。よろしいですか。
  76. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 理事会において協議いたします。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、食管法生産者米価は再生産を確保することを旨として決める、消費米価消費者の家計の安定をすることを旨として決定されている、こういう規定ですから、これは当然二重米価制を私はたてまえとすると思うんです。仮にたてまえとしなくても、食管法をとる限りにおいて逆ざやが生ずるということは当然のことである。したがって、逆ざやを解消するために生産者米価を抑えたり、あるいは消費米価の値上げをするというようなことがあれば、今後食管法のこの本質も誤るものであります。現に農林省も、昭和三十八年以降逆ざやを認めておるんです。したがって、この二重価格制、二重米価について、次官のひとつ見解を改めて問いただしておきたいと思うんです。
  78. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 先生おっしゃるとおりに、食管法政府買い入れ価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨とするということで決められておるわけであります。具体的には生産費所得補償方式によって生産費、物価、米の需給事情等の経済事情を参酌して適正に決定するところでありますので、逆ざや解消との関連で生産者米価を決めるということは絶対あり得ない、さように考えております。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 また大蔵省にお聞きしますけれども大蔵省資料によれば、「食糧管理法は、元来、二重米価となることを建前としているものであるとの意見もあります。しかし、生産者米価消費米価のいずれも同法第一条に掲げる食糧管理制度の目的にてらして、総合的、統一的に考えるべきものであり、食糧管理法が当然に二重米価を建前としているものとは考えられません。」、こういう記述があるのですが、これはどういうふうに解釈しますか。
  80. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 食糧管理法の考え方は、私どもはこういうことであるというふうに従来から国会において御答弁しております。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 それではお伺いしますけれども食管法で言う国民経済の安定に照らしてということは、何を指しているというふうに考えますか。
  82. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 国民経済の安定ということは、物価の安定というようなことが特に入ってくると思います。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵省答弁は全然なってないですよ。あなた、食管法なりいままでの判例を勉強してくださいよ。国民経済の安定ということは、生産者経済と消費者経済の二面を指しているんですよ。その安定を図るためには、二重米価になって当然じゃないですか。特に食管法では生産者、販売業者あるいは消費者などに一定の義務を課している。特に生産者にとっては、財産権を公共のために制限なするという、このことは憲法二十九条三項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という、これすらこの法律においては該当してくると言っておるのですよ。あなたの言っているような国民経済の安定なんていう、そんなあいまいな解釈じゃだめなんですよ。どういうふうに考えますか。
  84. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 国民経済の安定と申しますのは、経済の一番それがあらわれてまいりますものは物価でございます。したがいまして、物価ということが私は国民経済の安定という場合においては非常に大きな要素を占めてくる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 食管法で言う国民経済の安定、そのことを聞いているんですよ。どういう解釈なんですか。
  86. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 食管法におきましても、それは何も生産者米価消費米価ということを具体的にここで言っているわけじゃございません。国民経済の安定ということでございます。その中の物価の要因として、一つの生産者米価あるいは消費米価とあるかもしれません。しかし、ここに言う国民経済というものは、日本経済全体としての経済の安定というふうに指しておるとも考えております。
  87. 村沢牧

    村沢牧君 その解釈は違いますね。ここに食管法の解説なんかあって、いろいろ判例なんか出ていますけれども、あなたのいまの解釈は違うんですよ。これも後ほど正確に答えてください。  次に、大蔵省は、逆ざやが大きいということを盛んに宣伝しておるのです。これは逆ざやがあるということは認めますけれども、逆ざやの中でもコスト逆ざやですね。すなわち、食糧庁の人件費だとか、あるいは金利、保管料、これは食管法にょって当然政府が負担すべきものまでも逆ざやだと言っておるのですね。これはどういうふうに考えますか。
  88. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 逆ざやにつきましては、末端逆ざや、売買逆ざや、コスト逆ざやがございます。私どもは当面食糧庁がやっております人件費であるとか、そういうものにつきましても、できる限りそれは節減、合理化ということが必要であると思いますけれども、しかし、コスト逆ざやまでについては申しておりません。そういう面につきましては政府で負担するとしても、しかし、売買逆ざやについてはできる限り縮小していただきたいというふうに考えております。
  89. 村沢牧

    村沢牧君 過去二年間、逆ざやを解消することによって農林予算に占める食糧管理費の割合は、当時四〇%から五十三年度は二七・六%になっているわけですね。これは資料の示すとおりです。昨年の米価逆ざや解消について、食糧調整勘定繰り入れが九百五十億減少しておる。したがって、農政費が伸びたというふうに大蔵省は言っているわけですね。  お聞きしますけれども、一般会計に占める農林省の予算の割合はすでに二、三年前から一〇%を割り、昨年は九・八%、五十三年度、本年は八・九%というように農林予算は、一般会計の中に占めるシェアは低下しているんじゃないですか。逆ざやを解消すれば農林予算がふえる、事実が物語っておらないんですよ。これはどういうふうに説明しますか。
  90. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私ども考えておりますお金というものは、その使い方の目的によりましてその生き方が違ってくると。食糧管理費の中のものにつきましては、できるだけそういうものを排除して、もっと私どもは子孫が将来喜ぶようなもの、子孫のためにもやってくれたというようなもの、あるいは基盤整備費であるとか、あるいは構造改善事業であるとか、その場限りにならないようなもの、そういうものが私は本当に生きた金の使い方だと考えております。したがいまして、食糧管理費の割合は減ってまいります。その分をその他の農政費、前向きの経費、そういうものに向けるということが私どもの主張でございます。  したがいまして、確かに農林関係予算の割合はいま八・九%でございます。減ってはきております。しかし、全体の中で後ろ向きの、いま現時点で食糧管理費は赤字国債対象経費でございますから、それはいまわれわれが食べてしまう。子孫は何らその利益を受けない。そういうものを減らして、私どもは子孫が後になって役に立つようなものに金を回すということが必要なのではないか、こういうのが私ども税金を預かっている大蔵省の立場である、こういうふうに考えてお力ます。
  91. 村沢牧

    村沢牧君 食管の逆ざやが解消してくれば、それは農林予算に回して農林予算をふやしていく、一般会計に占める農林予算の率もふやしていく、そういうふうに理解していいですか。
  92. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 予算はそのときどきにおきます全体の割合をどうするかと、社会保障費もございましょうし、その他のいろんな教育もやらなくちゃいかぬ、そういうものの中で逆ざや解消ができた金をできる限り農政費の中でも確保していくという方向は、私ども努力したいと思っております。
  93. 村沢牧

    村沢牧君 二重米価制の解釈まで拡大解釈して生産者と消費者に負担をかけて、しかもまた、大蔵省が例で指摘しておりますように、逆ざやが解消すれば学校が幾つ建つんだとか、何が何だとか、そんなことまで言っているわけですね。一体あなたの説明では、それじゃ逆ざやを解消すれば農林予算がそれだけふえるなんていうことは立証づけられておらないじゃないですか。そのことはまた指摘をしておきます。  次に、この資料大蔵省農家所得についてもこういうことを言っているんですね。「農家の所得は、五十一年度においては、世帯当たりでみても、一人当たりでみても、勤労者世帯の所得を上回つています。」、「五十一年度における農家の所得は一世帯当たり三百八十四万円、世帯員一人当たり八十五万円で勤労者世帯の所得、一世帯当たり二百八十六万円、世帯員一人当たり七十六万円を、いずれも相当上回っています。」というふうに書いてあろんですね。あなたは単純に平均しただけであって、農家の就業というのを知らないんだ。農家は家族で就業している。こういう農業の性格からして、就業者一人当たりで割り出さなきゃ比較にならないんですよ。就業者一人当たりで勤労者所得と農家所得を比べてみてどういうふうになりますか、答えてください。
  94. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私どもは、客観的な五十一年の数字を出したわけでございます。そういうような御意見がありますればそういうような御意見といたしまして、今後とも検討するというふうにいたしたいと思います。
  95. 村沢牧

    村沢牧君 これも後ほど大蔵省答弁してもらいますけれども、じゃあそういう意見がありましたから、就業者一人当たりの所得と勤労者所得との比較ですね、これをこの数字の中で書いてください。よろしいですね。要求しておきます。  そこで、大蔵省にちょっとお聞きをしますけれども、いま米を一町歩つくる、まあ百俵とるのはかなりいい農家ですけれども、百俵とれたら一体いまの価格で言って幾らの収入があるというふうに思いますか。
  96. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 食糧庁の方から答弁していただきます。
  97. 村沢牧

    村沢牧君 食糧庁じゃないですよ、大蔵省ですよ。
  98. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 生産者米価は一万七千二百三十二円でございます。
  99. 村沢牧

    村沢牧君 それが百俵とれたら、幾らになるんですか。
  100. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 百七十万でございます。
  101. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、百七十万とれますね。その中から、この農林省資料によっても、物財費等を引いていわゆる労賃に回るもの、これは七十三万ぐらいにしかならないですね、百七十万とれても労賃に回るものは。ところが、高校出ていま、大蔵省にも新しい新規採用者もあるでしょう。高校出て新しく就職した人が、年間十五カ月やっても百二十万の収入になるんですよ。十八カ月になれば、百五十万の収入になる。農家は全家族で働いても、労賃は七十三万ぐらいにしかならない。高校卒業した人一人でも、百五十万にもなるんです。との現実をどういうふうに考えますか、大蔵省
  102. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) いま現在の日本の経済の中において、一町歩の水田だけで一年間の労働を消化させるということは、御指摘のとおりきわめて困難な状態にあると思います。したがいまして、そういうような中において、農業だけで一年間の労働を消化させるということのためには、それ以外のその地域に適した畜産であるとか、あるいはその地域が山村であれば林業であるとか、そういういろんなもの等の複合のもとにおいて、農家の一年間の所得というものを計算していくべぎじゃないか。それによって一次産業の中で、その地域の中において責任ある地位を築いていっていただけないだろうか、そういうような地域ごとの農家の経営というものがどうあるべきかということを、ひとつ真剣に御議論いただけないだろうかと、こういうふうに私ば考えております。
  103. 村沢牧

    村沢牧君 それでは重ねてお伺いしますが、いま農家所得の中で農業所得と農外所得の比率は、全国比どうなっておりますか。
  104. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 五十一年度におきます農家所得は、三百六十六万二千円でございます。そのうち、農業所得は百十五万でございます。
  105. 村沢牧

    村沢牧君 パーセントは。
  106. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 三一・六%でございます。
  107. 村沢牧

    村沢牧君 主計官が先ほど来言っておりますように、農業生産は発展をさして国民食糧を確保していくんだと。そうなれば、農業所得を高めていかなければならないでしょう。価格が安いから農業だけでは生活ができないから、出かせぎをやったりなんかしてそれだけの農家所得になるんですよ。したがって、農業所得を高めるというそういう立場に立つならば、大蔵省の言うような据え置きだとか、あるいはこんな比較の表は出てこないというふうに思いますが、農業所得を高めるということについて、大蔵省はどういうふうに考えておりますか。
  108. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) これからの日本の長期的な展望を考えていくときに、農家所得の拡大ということは確かに必要でございます。しかし、農家所得というものを考えていくときに、それを価格によって上げていくということじゃなくて、価格はもし同じだったとしても、それによる労働生産性の向上によって農家所得がふえるということがあるわけでございます。私どもは都市と農村というものがけんかをしないように、長期的に日本の国家の中において両者が相携えていくということのためには、価格引き上げということによってそれが消費価格に転嫁されるのではなく、構造政策によって、規模拡大によって農家所得ができるだけふえていくという方向が長期的に必要なのではないかと、こういうふうに考えておりまして、そのためにいろいろと農林省に対して御意見を申し上げているところでございます。
  109. 村沢牧

    村沢牧君 食管会計の赤字だけに目を奪われた政府は、昭和五十一年から五カ年間でこの売買逆ざやを解消するという計画を立てた。そして、現在の逆ざやを三年間で解消することを、この大蔵省資料にも言っているわけですね。三年間で解消するためには、生産者米価を据え置くか、上げ幅を少なくするか、あるいは消費米価を引き上げなければ解消することはできないんですね。食管法の規定に基づいて積算をして、その結果として逆ざやが解消するならば理解はできるけれども、最初から逆ざや解消のためにこういうことをしなければならないという、その見解はどういうところからお持ちになっていますか、大蔵省
  110. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私どもは両米価につきましては、食糧管理法の規定に従い、適正に決定をしていくという考え方には変わりはございません。
  111. 村沢牧

    村沢牧君 変わりはなくても、見解の相違がずいぶんあるわけですよ。ですから、私は大蔵省が一体何でこんな資料発表したのか。先ほど指摘をしておりますように、何とかして生産者米価を抑えよう、消費米価を高めよう、そのねらいしかこれはないじゃないですか。その発想に基づいてこういうものを出した。したがって、大蔵省に対しては、後ほど私の質問の中で残しております逆流の問題、あるいは国民経済の問題、あるいは就業者人口と勤労者所得の問題等々、また後から、委員長お願いしますけれども、理事会で相談をして、明快な答弁になっていませんし、また農林省との見解も違っておりますから、答弁をしてもらうように要請しておきます。  次に農林省、この農業問題、食糧問題一の基本は、国民の食糧を確保する、そのためには自給率を高めなければいけない、自給率を高めるためには農業生産を発展させることが一番重要だというふうに思いますけれども、この自給率は、私も何回かこの委員会指摘をしておりますように、穀物自給率はすでに三七%を割って、先進諸国に脂いてはまさに最下位なんです。この自給率が低下した原因は何か。皆さんに聞くまでもないですけれども、私は農産物価格が低いんだと、すなわち農業の労賃が低いと、それと同時に、農産物の輸入が非常にふえている、このことが一番原因だというふうに思うんです。米価農業政策の基本でありますし、また農家経済全体の安定につながるものでありますけれども、こうした中で米は優遇されている、こういうことを、こういう資料やどこかにもあるわけですが、言っているわけでございますけれども、私はとんでもない話だと思う。米は優遇されているんじゃないんです。米も安いが、他の農産物ももっと安いんですよ。一体自給度を高めるためには、生産量を確保するためにはこの価格を保証しなければならないけれども、米は本当に優遇されているのか、その辺について、これは次官答弁してください。
  112. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) まあ、米が一番安いのじゃないかというような質問のようでありますが、すべての生産体制から見て、いまでは米をつくれば一番無難であるというような考え方から米をつくるわけでありますから、やっぱり農家の所得をふやすには、いろいろな面で十分政府としても前向きで価格の問題その他も考えねばならない、かように考えておりますので、一概に米は一番安いということばかりも言えぬのじゃないかなというふうに考えます。
  113. 村沢牧

    村沢牧君 次官、米は一番安いなんて言っているわけじゃないんですよね。米は優遇されている、他の農産物が安いと、そういうことを盛んに宣伝しているでしょう、皆さんは。米は安過ぎるんじゃない、他の作物の価格が低過ぎるんだと、そのことを私は言っているんですよ、あえて答弁は要りませんが。  そこで、今度は輸入問題についてちょっと聞いていきたいんですが、過日NHKが「輸入食糧ゼロの日」というドキュメント番組をやったわけですけれども、これを見ると、結論は、七〇%食糧輸入が減れば三〇%の国民が餓死をするというものであって、多くの国民は戦慄を感じたわけですね。世界的に食糧が不足をしているとき、しかも世界の人口が増加している中から、国の安全保障としても食糧の自給率を向上しなければならないわけです。ところが、最近の農林省の政策なりあるいは現状はどうかというと、生産調整をして他の作物に誘導して、特定作物として決めたものに至るまで輸入をふやそうとしているんですね。こんな食糧政策をとっているんですね。こんなまた輸入政策をとっているんですね。  そこで、大臣は後から来るようですけれども、この際農林省の見解だけ聞いておきたいんですけれども、近く先進国首脳会議で東京ラウンドの決着がつくようですけれども、これまた農産物の輸入枠の拡大が迫られているんです。一体、農林省としてはどういう見解を持っていますか。
  114. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 近く東京ラウンドがあって、日本の一番痛いところをついて、自由化をせよとか、もし自由化ができなければ輸入枠の拡大をせよとか、こういうふうに迫られてきておるわけでありますが、農林省としては、現段階では絶対拡大をしないということで考えておるわけであります。
  115. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、米の再生産を確保するためには、生産費所得補償方式生産者米価決定をする、こういうふうに言っておりますけれども、これは算定方式のいかんによっては、大きく一口に皆さんの言う生産費所得方式農業団体や農民団体の言う生産費所得方式とは違うのであります。算定方式によってはうんと違ってくるわけですね。この生産費所得補償方式なり算定方式については、後ほど坂倉委員が時間をかけてじっくりやりますけれども、ただここで伺っておきたいことは、農林省が本年度米価算定するに当たって、去年と全く同じ方式算定方式を用いるかどうか、その辺について簡潔に答えてください。
  116. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 最終の生産費、昨年の生産費調査がごく最近出ますので、それを見て算定をし、しかもどのように政策的な判断を加えるかという最終作業にこれから入るところでございますので、現段階で、どのような考えでどのような具体的な方向でということを申し上げる段階にございません。
  117. 村沢牧

    村沢牧君 米審が六日、七日に開かれますね。いつ農林省の案は決まるんですか。きょうは四日ですよ。まだその算定方式も決まってないんですか、考え方が。
  118. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 政府として具体的に決めたものはございません。
  119. 村沢牧

    村沢牧君 農林省としてどうですか。
  120. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 農林省として決めたものはございません。これは例年直前に決めますので、生産費調査自身が出ますのが直前でございますので、それを見て算定をした上、さらに政策判断を加えまして、本年度米価はいかにあるべきかということを決めて、急遽それこそ徹夜作業諮問案を印刷して、審議会に間に合わせるというようなことをいつもやっております。そういう現状でございます。
  121. 村沢牧

    村沢牧君 そんなことは子供に言うような話です。そんなことはどうなっているか、そのくらいのことは質問しなくたってわかっていますよ。  そこで、組織でありますから、去年国会の中で約束したことなんかについても、十分考慮に入れて算定方式をつくりますね。――じゃ、答弁できないなら、こっちでやりますから。  去年、鈴木農林大臣はこういうことを言っているわけですね。「学問的にも科学的にも、また国民全体が納得するような米価算定方式、それに取り上げる諸要素、そういう問題について十分検討をしていただいて、そうして新しい算定方式国民皆さんからも納得されるような算定方式を確立をして、それによって今後は皆さんから見ても、賃金なりあるいは物価なりあるいは金利なり、いろいろな諸要素が間違いなく反映しておるようにこの米価というものが決まっていく。」そういうことで、大ぜいの農民皆さん方が押しかけていろいろ言われないように、私の在任中必ず新しい算定方式考える。これは去年の国会の答弁ですよ。私も昨年この委員会質問した。前大臣はそういうことを言っているんですよ。こういう生産者にも国民にも納得いくような新しい算定方式考えていますか。
  122. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 御質問の趣旨わかりました。大臣がそういうような趣旨の発言をされました。それに基づきまして昨年の秋以降、米価審議会におきましてもこの問題を取り上げまして、この四月までたしか五回ぐらい生産者米価算定方式について懇談会形式において議論をされました。種々議論が行われましたけれども、何らか客観的な算定方式はできないものかというような意見と、言葉をかえて言いますれば、安定した算定方式というのと、やはり法律にあるとおり、需給事情その他のそのときどきの経済事情を的確に反映させながら流動的に算定すべき面と両論ございまして、何か算定方式につきまして、要素のとり方についての固定部分と可変部分と分ける方法はないであろうかというようなところまでは何となく――何となくと言っては失礼ですけれども、大勢として御理解が一致に近づいたのではないかと思いますが、それ以上さらに固定的な部分をどの要素にするか、あるいは可変的な部分をどの要素にするかにつきましては結論を得ませんでした。したがいまして、今後引き続き検討していくべきである。  ただ、今年度の問題といたしましては、需給事情を十分織り込んで考えていかなきゃいけないであろうという意見が多数を占めたという情勢はございますけれども、報告といたしましては、ただいまのような結論についての報告が出まして、今後なお引き続き検討を深める必要がある、かようなことでございますので、残念ながら米審で御議論をいただきましたけれども、結論を得ておりませんので、当面従来のやり方でやるのがやむを得ないのではないかというのが大勢であったというふうに私ども理解をいたしておりますので、これまでの考え方ということは、個々の算定のとり方がこれまでどおりという意味ではございません。これまでもいろいろ動かしておりますので、そのようなやり方で続けざるを得ないというように思います。  なお、申し落としましたが、生産費所得補償方式でいくべきだという点につきましては、皆さん意見が一致をいたしました。
  123. 村沢牧

    村沢牧君 算定方式のとり方によって大きく変わってきますから、これはまあ私時間ありませんからこれ以上触れません。いずれにしても、この生産費所得補償方式をとるにいたし寒しても、食管法で言う「再生産ヲ確保スル」、そのことは、簡単に言うならば現実の生産費にプラス剰余がなくてはならないものであり、現在の米価にプラスアルファがあってこそ再生産が保たれるというふうに思うんですけれども生産費所得補償方式といっても個々の生産に要した費用、これを補てんするとともに、その生産に要した自家労賃をこれを都市勤労者並みに評価したもので補償しなければならないというふうに思うんです。  そこで、農林省は、この資料によると、最近物財費の上昇率等が前年と比べて安定をしている、あるいは米の生産の単位当たり労働力が多少少なくなってきたと、こういうことを言っておるわけですけれども、このぐらいのことでもって米価を据え置くなんてことは、常識的に言っても私は出てこないというふうに思うんですけれども、この生産費を補償し再生産を確保するということをどのように理解して、どのように誘導していこうとされるのか。  昨日、農協の一万人集まった大会で、自民党の大平幹事長は、あすへの希望をつなぐ米価の実現なんていう、でかい演説をやっておったわけですね。一体、あすへの希望をつなぐには、再生産が伴わなきゃ希望は出てこないんですけれども、これはどういうふうに考えますか。
  124. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私ども考えといたしましては、「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」という第三条第二項の規定の解釈といたしまして、第一条の目的に即して解釈すべきものだというふうに考えております。その目的は、いまさら申すまでもないことでございますが、「国民食糧ノ確保」ということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、再生産を確保するというのは、単純に過剰な再生産をそのまま続けていくというような意味ではない、潜在的過剰であることは間違いないわけでございますので、そういうのを続けていくということではなくして、第一条の目的に即しまして国民の食糧を確保していくと。これは何も短期だけではありませんで、長期のことも考えて確保していくのに必要な再生産を確保していくというような趣旨で、第三条第二項を解釈し運用していくべきものであるというふうに考えております。
  125. 村沢牧

    村沢牧君 与党の皆さんもいらっしゃいますが、皆さん与党の幹事長が、あすへの希望をつなぐ米価を決めるということで農民の前で約束したんですから、そのことは尊重をして再生産を確保する米価をはじき出していきますね。次官、どうですか。
  126. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) きのう、自由民主党の幹事長が基本米価について、あすへの希望を持てる米価を決めるようにしなければいけないというような意味と思いますが、いやしくも自由民主党の責任者ですから、まあ答申がどう出るか、農林省の積算がどう出るか知りませんが、それを諮問する。諮問して、果たしてあすへの希望を持てる米の価格になるのかどうか。これは、もう私ども農林省考え方以上に進むのじゃなかろうか……。
  127. 村沢牧

    村沢牧君 どういうことですか、それは。
  128. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) あるいは、ある線を引いた場合に、大平幹事長がそういう発言をした、しかも一万人の農民の前で胸を張ってやった。農民はそれに希望を持つだろう。そういう政治的判断は、やっぱり上の方にしてもらわなければなりません。私どもとしては、素直に出た数字をもって諮問をし、さらに答申を得たもので決めようと。そのときに、やはりもっと上げろとか、率直な話、責任政党でございますから、党の方でこういうふうにしなさいと、こうなって大蔵省その他が全部話し合った結果よろしいとなればそれでいいのじゃないかと。だから、私どもが、責任者が発言したことを悪いとかいいとかと言うことは差し控えたいと、かように考えます。
  129. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、農林省食管法に基づいて積み上げをしていくと。しかも与党ですね、責任政党のもとの与党なんですから、積み上げたものが途中でどこかへいって、また、あえて言えば、政治家判断とか何とかということじゃなくて、もっと自信を持って出したらどうですか。それ以上プラスになれば、また結構なことである。どうですか。
  130. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 私どもはあくまでも食管法に基づいたいろいろな積算を出してやるわけでございますから、大平さんがそういう発言をしたから、この点をこういうふうに上げて、もっと食管法以外に積み上げて諮問すべきじゃないかというふう底御意見でありますが、そこまでも私どもは権限を与えられておりませんので、やっぱり食管法に基づいて素直な気持ち諮問したいと、かように考えております。
  131. 村沢牧

    村沢牧君 食管法に基づいて諮問することは当然のことですけれども、いままでの諮問の実態を見ておりますと、そのときの経済事情だとか、あるいは政治的な目的、政策によってかなりいろいろな面も動かされてくることも、これは事実だというふうに思うのですよ。そういう点から政策的に誘導をしていくということも、一面では与党としては考えなければいけないでしょう。そうだとするならば、ことしの農業農民を取り巻く実情はどうか。  具体的にお聞きをしますけれども、七%経済成長を政府の最大の課題としておるのですけれども、七%経済が成長するためには農民の所得だって上がってこなければだめだというふうに思うのです。あるいは購買力の拡大ということを言っておるのですけれども、国内需要を高めるということを言っておるのですけれども、そのためには地域においては農民の所得が上がってこなければだめだと思う。それから、さらにことしは大幅な生産調整を行って、これは農民は一〇四%も協力しているのです。それに対しても、やっぱり政策的な考え方をしなければならない。さらにはまた、雇用の安定だと言っていますけれども皆さん方は農村の青年がUターンが多くなって農業見直しなんて言われておりますけれども、帰った農村の青年を雇用の安定をするためには、やっぱり価格を上げなければならないじゃないですか。こういう政策的に見て、農業を取り巻く現状と日本政治の現実から見て、米価をどのように判断されますか。次官答弁してください。
  132. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 経済成長を七%にするについては、国民所得なり、あるいはまた、農家経済の所得を上げていかなければならないということは当然なことであります。また、国民の購買力もなければ、それだけの経済の成長もしないわけでありますから、当然私どももその線に沿って経済成長を政府がやるわけでありますから、米についてはやはりそういうものを一応加味する要素はありましょうけれども、やはり食管法に基づいたことで積算をしていく必要があるという考えでございます。
  133. 村沢牧

    村沢牧君 よく政策価格だとか、政策米価ということを言われるわけですね。したがって、私は政策的に、政治的な判断でそういうことをやれと言うわけじゃないですけれども、あくまで食管法に基づいて再生産を確保するための米価を正確に、しかも算定基礎皆さんのいままで従来やっている基礎じゃなくって、これを変更してひとつ変えなさいということを言っているわけです。しかし、そうは言っても、こういう農業が置かれている現実の中から、いま私が申しました七%経済成長にしても、米の生産調整に皆協力したんだということからしても、あるいは雇用や需要拡大していく面から見ても、どうしても皆さん新聞で言われた――皆さんが言ったというわけじゃないですけれども新聞で言われているような据え置くなんということは、全然私は考えることはできないというふうに思うんですけれども皆さんまだ数字をはじいておらないと言っていますけれども次官どうでしょうね、あなたも農林政務次官としてどのように考えますか、この農民要求に対して。   〔委員長退席、理事青井政美君着席〕
  134. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 政策的に政策加算、政策加算といいますが、これは農家の大所高所から実入りのあるようにするのがいいと思いますけれども、やはり私どもといたしましては、生産費所得補償方式あるいは物価の事情等を考えて適正に定めていくことが一番いいのではなかろうかと、かように考えるわけであります。そこで、食管法の法の精神に基づいていろいろな事情を総合的に判断して決めていくのであって、政策米価で真っ向から、初めから農林省として決めるべきであるとは考えておりません。
  135. 村沢牧

    村沢牧君 時間が参りましたから、最後に一点だけお聞きをして質問を終わりますけれども、いまの米価の問題については、次官答弁されておりますように、農林省としては数字を出す、それ以上、上の段階でもってこれ以上もっと上げなさいということになれば、それも従いますという話だったんですね。したがって、私どももそういう国会議員として政治的な行動をしますが、きょうは与党の先生方もいらっしゃいますからぜひ与党の方でも努力をしてもらいたい。そして、大平幹事長が言ったような、あすに希望が持てるような米価をひとつ出してもらいたい。出してみてくださいよ。そのことは要望しておきます。  同時に、最後に一点だけお聞きをしておきますけれども生産者米価も七日、八日までには決まるでしょう。しかし、それと同時に、いま農業団体が強く要求していることは、価格を補償するということよりも、日本農業のあるべき姿、基本農政をぜひ農林省としても政府としても確立してもらいたい、こういう要求がきわめて強いわけであるし、そのことは当然のことだと思う。社会党も、いまの農業の現状の中から、米価だけにとらわれずに農業再建の方向を出して、具体的な施策も出しておる。米価農民要求するように決める。基本農政確立に対してはどういう見解を持っていますか。
  136. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 最近における農業を取り巻く諸情勢の変化等にかんがみて、農業基本法を含め農業の位置づけ及び農政全体のあり方を見直すことが必要であると考えて、農政審議会等においてこのような見地から検討してまいりたいということを、大臣もこの前申し上げておったようであります。  そこで、農業基本法の改正問題については、同法には国民食糧の安定供給等のための農業の発展と農業従事者の地位の向上を図る観点から、農政の基本的考え方が広い角度から織り込まれており、その基本的考え方は現在においても十分適合性を持ったものと考えており、いま直ちに農業基本法を改正することは考えておりません。
  137. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから、終わります。
  138. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 午前中、同僚委員からいろいろお話がございましたが、私も公明党を代表いたしまして、二、三の問題について御質疑をいたしたいと思います。  きょうは大臣が午後でなければいらっしゃらないということで、話がちょっととぎれるようなことになりますので、主要な問題につきまして、また核心に触れるような問題につきましては、午後の大臣のいらうしゃったときにまた詰めさしていただくといたしまして、基本的なことをまずお聞きしたいと思います。  ここ数日、各地方におきまして農民方々の大会が開かれまして、米価をめぐります厳しい諸情勢についての討議が行われ、討論が行われ、そして今回のこの米価についてのそれぞれの決定をなされているわけであります。各県、それぞれ市町村から積み上げてきたものがいろんな討議がなされ、また昨日は中央での大会があったわけでありますが、そこの中でいろいろ論議になっていることは、やみくもに米価を上げろというだけではなくして、やっぱり基本的には、農業の基本問題にかかわる重要問題についての政府の今日までの手だでのなさというものに対する厳しい批判というものも、一つはあったろうと思うんであります。それは長々申し上げるまでもなく、もう農林省としても十分にその辺については御存じのことと思うんでありますが、先ほども同僚委員からお話ございましたように、やっぱり農業の基本政策をまず確立せよというお話がございますが、これは私ども公明党といたしまして、宮城県で大体千世帯の方々を抽出いたしましていろいろアンケート調査をことしの春行いましたが、そのときにいろんな問題の提起がありました。  わずかの時間でありますから、あのことこのこと余り触れるわけにいきませんが、一番この米価と密接な関係があるというのは、私どもはこれは忘れてはならないことは、本年から始まりました生産調整、向こう十年ということのようでございますが、四十三年から三年間行いましたこの生産調整の失敗のために、再び長期にわたる新しい強力な生産調整対策をしなきゃならぬということで、本年からこれはスタートしたわけでありますが、これとこの米価との関係、そして、このために農家が一体どういう立場に追いやられるのかという、このあたりのことが一番大事な問題だろうと思うわけであります。今度の新しい米価算定当たりましても、いままでと違って、いろいろな算定方式の中で算定されるということじゃなくして、新しい生産調整対策を実施するという、厳しい過酷なこの生産調整対策農民に実施させるという中での米価決定というこういうことでありますから、これは農林省といたしましても従来の踏襲という算定方式ではならぬだろうと思うんですが、この間のことについては政府は基本的にどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、まず、この点ひとつお伺いしたいと思うんですが。
  139. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 生産者米価については、生産費及び所得補償方式によって生産費及び物価その他経済事情等を参酌して決めるのでありますが、ことしの米をめぐるいろいろな事情というものは、その需給が過剰の度合いを著しく強めておるということが、一番頭の痛いところであります。したがって、需給均衡を図ることが最も大事な問題であり、そのために、水田利用再編成対策の初年度でありますから、この定着化を図っていくことは十分考慮していく必要があるということをまず考えております。  なおまた、最近の経済情勢が農業経済や農村地域の経済情勢に与える影響等についても、米価を決める場合に考慮すべきではないかという点については、今日の情勢において米の需給均衡を図ることはきわめて重要であるし、経済成長の達成や農業経済の浮揚のための対策については、経済全体、農政全体の対策の中で解決していく必要がある大きな問題であると、かように考えておるわけであります。
  140. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林省は口を開くと過剰傾向にある、過剰傾向というか、過剰の現状の中での米価、こういうことを言うわけですが、これは本年につきましては、農民方々は過酷な条件の中でありながら生産調整対策を実施しようということで、全国的にもこれは目標達成ということになっているわけですね。やらないというなら問題ですよ。米が過剰であるということは、農民もよく知っておる。そういうことで、それは全部農業経済、農家の経済に響くとであるけれども、しかし、国全体の中でこれは見過ごすことのできないこととして、われわれもやっぱし一端は担わなきゃならぬぞということで、この過酷な条件を、生産調整対策をのんでこれを実施するわけですから、そういう農民の努力というものは二の次三の次にして、とにかく米の過剰ということだけを前面に押し立てて、そしてこの米価決定については、さらにまた価格面で農民に押しつけるような、こういう姿ではいけないじゃないかということを私は申し上げているんです。  そういうことで、この政府方針に対して、これはもう目標に達し得ない、こういう減反政策が達成しなかったというならいざ知らず、わずか半年そこそこの間、数カ月の間に政府がつくり出した減反政策に対しましても、涙をのんで実行しようという段階で、数量的にも価格的にも両面農民に犠牲を強いるということがあっては、これは余りにも過酷過ぎるんじゃないか。こういうことで、今度の本年の米価算定というのは従来のパターンだけではなくして、こういう農民の経済情勢という中で、厳しい生産調整をのんでそれを実施したという中での今度の米価決定ということなんで、その辺はどういうふうに政府としては考えておるのかという、これをお尋ねしているんです。ひとつはっきりした御答弁をいただきます。
  141. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 今年度から始めました米の需給均衡化対策につきまして、現在のところ一〇〇%を超える達成見込みを持つに至ったことは、まことに私どもといたしまして、関係農民方々の御尽力に対し感謝にたえないところでございます。  本委員会におきましても、種々御議論などがございましたけれども、私ども政府といたしましては、あのような政策を続けざるを得ないということでお願いをしたわけでございますが、農家の方方にあれだけ御協いただきましたのも、やはり食管制度の根幹を守っていく、それが稲作農家のためには必要である。そのためには、まず過剰問題というものを解決しなければ、食管制度の根幹を守ろうとしても守られないというような点について、私ども趣旨についてよくお願いしたわけでございますが、御理解をいただいた結果ではないかというように思います。  したがいまして、私どもといたしましては、一〇四%のような数字もあるくらいの御努力に対しまして、今後いろいろな面で報いていかなければいけないと思いますけれども、ただ今回の需給均衡化対策水田利用再編対策といいますのは、御案内のように、ことしで終わるものではございませんので、十年間ぐらいかけて苦しみながら経営転換をしていただくという必要があるものであるというふうに私ども思っております。したがいまして、今後、ことしだけではなしに、農家のために、非常に御苦労をしながら前向きの経営転換をされていきますことに対しましては、政府といたしまして、今後、長期政策におきましても短期政策におきましても、農政面でできるだけの援助をしていかなければいけない、かように考えております。
  142. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 できるだけ援助するのは、これは当然のことだと思います。本年、第一年で非常に憂慮されておったわけですね。この政府発表があって半年そこそこで実施しなければならぬということで、当初は相当の混乱があったわけでありますけれども、しかし、いま長官のおっしゃるように、これは農民としても食管制度を守るためにせざるを得ないことだという、そういうことになって、これは実施をだれも喜んでやった人はいないだろうと思いますけれども食管制度堅持のためにはやろうということになったわけですね。そうして第一年度がスタートした、第一年度は一〇三%、一〇四%という達成率に至ったわけですね。これが政府発表も、決してことしだけの目標を定めたわけではなくして、これからの十年にわたる、まあ十年といってもさしあたり三年間の目標、そうしてまた、具体的な問題についても提起をしているわけでありますから、ことし実施してこれだけのことだということじゃなくて、やっぱり農家方々食管法を守るためにということですから、ことしだけはやるけれども、来年は知らぬぞということじゃないわけでしょう。  それでまた、まあ向こう三年間につきましてはやっぱりともにひとつ考えていこうという、このぐらいのお気持ちは皆持っているわけですね。ですから、ことしできたかもしれないけれども、十年先まであるんだから、ことしちょっと目標達成したから、それはそれとして長い先のことの初年度だからというそういう考えじゃなくて、やっぱり農民の真意というものは、この三年間の計画であろうが、十年先のことであろうが、やっぱり政府のやっていることにもそれ相当の説得力があり、そしてまた食糧、米を取り巻く諸情勢というのは非常に厳しいという認識があればこそ、本年度目標達成があったんではないでしょうか。こういうことを十分に配慮をした上で、今度の米価というものはこれはもう全然無関係であってはならない。  数量的な面については減反政策で押しやられ、今度は米価価格面で押しやられるということになりますと、そしてまた、高度成長時代と違って農外収入が著しくいま狭められている今日におきましては、この米価決定というのは、非常に農林省としてもこれは諸条件を各方面あらゆる角度から検討して、農家のやっぱりある程度の納得を得るものが算定されなきゃならないんじゃないか。  生産費所得補償方式とか、いろんな食管制度を基本といたします諸問題についてのいろんな論議が先ほどございましたから一々私は申し上げませんけれども、こういう現在農林省サイドから見れば過剰米というものに対する問題、しかし、農民の立場からすれば、本年から始まりました、そしてまた、これから向こう十年間続くであろう生産調整対策、こういう両者の厳しい情勢の中でどう決定するかということについては、これは慎重でなきゃならぬということとともに、農民意見というものもこれは相当にやっぱり情状酌量といいますか、こういう主張というものについては謙虚にやっぱり耳を傾けるべきじゃないかというふうに私は強く感ずるわけでありますけれども、その間のことについて、長官ひとつ御答弁ください。
  143. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 御指摘の点は、よくわかる点でございます。ことしから始めました十カ年計画の初年度、本委員会におきまして種々御指摘もございましたけれども条件について一〇〇%整ったし、達したと言えない面も確かに残っておったと思いますので、私どもといたしましてはこれを実績を見直しまして、次年度以降さらにただいま御指摘ございましたように、続けて一層円滑に進むように、あらゆる対策を講じていく努力をしなければいけないと思います。  そこで、当面の価格につきましても、せっかく百七十万トンやっていただいたわけですから、それがまた逆戻りするような価格決定ということについては慎重でなければならないというように思います。先ほど申しましたように、経営転換をされるに対しまして、それの条件を整備していくということにつきましては今後一層努力する、足らない点は反省をいたしまして直すべき点は直す、強化すべき点は強化するという方向で考えていきたいというふうに思います。
  144. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 長官の話を聞いていると、米価を上げると農家方々減反をやめてまた米をつくり出す、そういう憂いがあるのだというようなニュアンスにとれるんだけれども、そういうことなんですか。前国会におきましても、米作中心の今日までの共済制度とかそのほかの諸問題につきましても、これは鋭意改善をしなければならぬということで法案の提出がございました。いろんな論議がなされて、必要なものについては法案の成立を見たわけでありますが、私どものアンケート調査によりましても、やっぱり賛成する多くの方々意見というのは、米以外の農作物には価格保証がないという問題、これについてもいろんな論議がありまして、今日までも法案提出とか、農林省も何もしていないとは私は言いませんけれども、それなりの条件整備はしただろうと思います。しかし、これで完全であるわけでございませんで、また米とほかの作物と比較して価格保証ということを私も単純に申し述べる気もございませんけれども、しかし、長い今日までの農業政策というものは米に偏重しておったということはもう紛れもない事実でありまして、それを半年やそこらで簡単に補えるものではないだろうと思います。  足りない点はこれはさらにまた改善の対策を講ずべきだろうと思いますが、二番目に反対の理由は、農業収入が減少するということについて、やっぱりこの減反政策に対しては非常な反対――農家方々にお聞きしますと、大体今度政府でいろんなめんどうを見てくれたとは言いながら、補償とかいろんな措置をしてくれたとは言いながら、この減反政策によっておよそ一割から三割ぐらいは減収するだろうというのが農家方々の一様な声です。それは畑作面積が多い少ない、その環境条件によっていろんな差があろうかと思いますけれども、それから作付面積とかいろんなものによって農外収入が得られるかどうか、そういう諸条件があろうかと思いますが、やっぱり条件の悪いところだと、今度の減反政策によって少なくとも三割からは減収と見なければならぬ、それでその三割を補うために私どもは日夜苦慮しておるんだという、こういう話もいたしておる方がおりました。  これは、こういう方がいたんだから、そんなことはないって首かしげているけれども、実際数の上ではたくさんではないかもしれませんが、そういう悪条件の方ばかりだとは私言いませんけれども、とにかく政府がいろんな措置はしたとは言いながら、減反政策というのは決して農家にとってプラスであるわけはないんで、ある程度の犠牲は強いる問題だろうと思いますけれども、特に農業収入の減少に大きく影響するというこういうことと、それから田畑の転換ですね、たんぼから畑に転換するという転換作物、またその土壌自体が、基盤整備ということについてもこれまた非常な問題もございますし、私ども去年政府がこの減反政策発表したときに、確かに過剰であることも事実わかるけれども農業の大転換という、農地法以来の大改革をするようなこういう大転換なのに、半年やそこらでこういう大きな問題を転換しようというのは非常に問題があるんじゃないか。少し時間をかけてそういう条件整備をし、そうでないと、やっぱり今日までもいろんな過酷な条件の中で苦闘してきた農家方々にさらにまた追い打ちをかけることになる、しかし、政府としては一年も待たれないというこういうことで強行したわけですが、そういう条件整備もせずにやったわけですから、それならばそれらしい対策がやっぱり講じられなければならぬ。迅速かつ十分とはいかなくとも、農民のための対策が講じられなければならぬ。  そういう点で、この減反政策を進めながら、後の整備というものが非常におくれているという、まだまだ進んでいないという、こういうことを農家の方が訴え、そして減反には本当に賛同しかねる、しかし、食管制度維持のためには何としてもこれは考えなければならぬことだということが大勢を占めているという、私どもこういうふうに見ているわけですが、今度の米価決定当たりまし七も、昨年の減反政策発表以来短期日の中で、条件整備が完全でない中での今回のこういう問題ですから、こういう農民の立場の上に立った十分な配慮、考慮というものをなすべきである。  いま新聞等で言われておりますように、今日のこの過剰の中で据え置くべきだというようなことがまことしやかに報道されているわけですけれども農林省としてはこういう諸情勢を十分にひとつ勘案して、やっぱり農民の納得のいく価格決定、こういうものを諮問決定すべきだ、私はこう思うんですけれども、今後の米以外の農作物等に対しての対策について考えていること、また農業収入が著しく減少するということに対しての現在農林省として試算したところでは大体どのくらいになっているのか、現在の農家方々減反政策を推し進めた中で非常に心配している問題について農林省としてはどういうふうに考えているか、その辺、ひとつはっきりしてください。
  145. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいま藤原先生が御指摘になりましたように、転作によりまして収入が三割減った農家があるという御指摘でございます。個々の具体的に申しますれば、確かに先生のおっしゃったような事例も少なくはないというふうに私ども理解できるところでございます。と申しますのは、転作作物の転換の難易度もございますし、作物に応じまして御案内のように奨励金の差も設けておりますし、転作作物の収入も地域により、あるいは作物によって違うわけでございますので、一律にまいりません。地域、農家によって差が出てくるわけでございます。  そこで、個々には先生の御指摘のような向きもあるいはあろうかというふうに思うわけでございますが、私ども現在マクロの計算として、減反政策をやった場合どの程度の減収になるかということを、これは五十三年産米価を決める前でございますので、五十二年産で大ざっぱな見当をつけて見ておるわけでございます。したがって、五十二年産米の政府買い入れ価格を基礎にして生産調整百七十万トンをやりますと、ラウンドで失礼でございますが、おおむね五千億になるわけでございます。で、この所得率といいますのは、農家によって違いますけれども、常識的に六割と言われておりますので、所得として減りますのが、稲作をやめることによって減りますのが五千億の六割でございますので約三千億と、こういうことになるわけでございます。  一方、それを埋め合わせるものといたしまして転作等の奨励金が約二千億ちょっと切っておりますが、まあ二千億出ておるわけでございますので、そうしますと、転作奨励金を除いて約千億かせぎ出さないと減になるという全国べースでの話になるわけでございます。そこで一千億を、転作面積三十九万一千ヘクタールでございますので、それで割ってみますと、十アール当たり二万五千円という数字に、ラウンドでございますが、なるわけでございます。そうしますと、いまの話を要約いたしますと、奨励金のほかに反当たり二万五千円の所得が得られれば昨年のべースで考え減反による収入減はなくなる、こういうことになるわけでございます。  ところが、私ども比較的特定作物として重点を置いておりますけれども収益性においては低い大豆や麦の場合もこれも経営によりまして差がございますので、あるいは作柄によってもちろん差がございますので、計算の仕様はいろいろあると思いますけれども通常の作柄で平均的に見まして大体二万五千円から三万円ぐらいの所得があるのではないか。地域差、経営差はあるという前提はもちろん置きます。けれども、それくらいあるのではないかというふうに思いますので、計算が普通でございますならば、まあまあ埋め合わせができるのではないか。  それから、御案内のように、野菜だとか花だとか、たばこだとか、イグサとかいうような特殊な作物につきましては、反当の収益、所得におきましては米よりはかなり高いものがございます。そういうものもございますし、その辺実際どういう作付が行われるかいかんにもよりますけれども、それらを総合して考えますと、大筋の議論として、マクロで見る限りでは、昨年ベースを基準にして計算した限りでは、転作によって所得が下がることはまずないのじゃなかろうかというような感じを持っておるわけでございます。  繰り返して恐縮ですが、個々の農家は、奨励金も違いますので、減っているところはあるということは先生のおっしゃるとおりだと思います。
  146. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 おしなべて、統計的に見ますと、いま長官のおっしゃるようなことになるだろうと思います。それはもう私どももいろんな資料の中から十分承知しておるわけです。農林省という立場から言うと、マクロに物を見るへそういうことでしょうが、しかし、そういう見方だけでいいのかということになりますと、もう少しかゆいところに手の届くような行政ということも、行政上それがどういう形になるかは別といたしまして、いろんか条件の問題についてお考えいただかなければならぬだろうと思います。  作付面積が比較的少なかったり、また耕作面積の少ない農家とか、条件の悪い農家というのはやっぱり山地の方でして、転作するといってもなかなかおいそれとそれに適応するものがなかったり、また、今日までのいろんな議論の中で麦がどうだ、大豆がどうだといいましても、品種とか、また今日までの技術がしばらくとだえていたということ等もありまして、農林省がそろばんをはじいているような条件のところというのはなかなかこれはむずかしい。私ども各地を回っていろんな状況を見ますと、そういうことを痛感するわけです。そういうところだけを見ているわけじゃ決してないのですけれども、おしなべて東北、北海道、そしてまた条件の悪いところは――平たん地の耕作面積の大きいところは、減反いたしましても何をいたしましても、消費地に近いとか地理的条件がいいというようないろんなことからできるかもしれません。そういうものを平均してのマクロの数字が出るわけですから、そういう点でもう少しきめ細かに現状を見ていただきたい。  そこで、今度の転作につきましては、農林省もいろいろ指導して、また奨励金等についてもいろいろ考慮をしたようですが、現実的には、転作というのは何がどれだけつくられたでしょうか。農林省としては減反転作についていままでの統計は大体お調べになっていらっしゃると思うのですけれども、その結果をちょっと教えてください。
  147. 野崎博之

    説明員(野崎博之君) 五月十五日現在の市町村からの集計でございますが、これははっきり確定したわけでございませんが、総体では四十万五千ヘクタール、目標に対しまして一〇四%という数字になっておるわけでございますが、実際問題としては、最終的になりますと数%ダウンをするというような傾向も例年見られるわけでございます。とにかくまあまあ一〇〇%可能な線じゃなかろうかと思っておるわけでございますが、作物別に見ますと、これもはっきりした最終的な数字でまだもちろんございませんが、現在見ますと、特定作物で二十二万六千ヘクタール、これは飼料作物、麦、大豆、てん菜、ソバでございますが、二十二万六千ヘクタール。それから、野菜が約七万九千ヘクタール、永年作物が約九千ヘクタール、その他が約四万三千ヘクタールで、そういうものを入れますと十三万ヘクタール。それから、管理転作が、これは非常に予想しておったより少なくて二万二千ヘクタール、それから通年施行が二万六千ヘクタール。合計しまして約四十万五千ヘクタール、そういう見方をいまいたしております。
  148. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 五月十五日現在ということですから、今後の数字もある程度また動くだろうし、まあ余り動きはないかもしれません。また、これによる収量とか実際農家の手取りがどうなるかということ等についても、今後また私どもはこういう問題については厳しく見ていきたいと思いますが、いずれにしましても、農民にとりましても、生産調整の第一年度政府米価決定ということについては非常に関心を持ち、今後の日本農政に対して農林省がどういう姿勢で臨もうとするのかということに対しての厳しい眼を向けているのじゃないかと私は思うのです。そういう点で、協力してもらうことはしてもらうこととして、やっぱり農林省もしなければならないことはするということで、農業問題については真剣な取り組みが必要だろうと思います。そういう点、十分にひとつ要望いたしておきたいと思います。  次は、過剰な米の問題が大きくクローズアップをされて、その面だけが何か大きく取り上げられておるわけですが、日本の経済も必ずしも安定したわけではございませんで、現在も大きな問題を抱えていることは私が長々申し上げることもないだろうと思います。そういう中で、米価決定に直接関係することとしては、消費者物価指数の動向ということもこれまた米価決定の一つの大きな要因であろうかと思うのです。消費者物価指数も、一とろから見れば鎮静化したということはわれわれも十分認めるところでありますが、非常に低い水準になっていることは事実だと思う。しかし、これはいろいろ変動していることは御存じのとおりで、五十三年の一月、対前年同比で四・三%、二月が四・二%、三月が四・五%、四月が三・九%というような低い水準ではありますけれども、上昇傾向をたどっておることは御存じのとおりです。  それから、毎月の勤労統計調査、勤労者の賃金は四月で、産業全体として対前年同月比八・七%の上昇を示しておる。製造業でも八・五%。消費者物価の上昇率が非常に低いということでありますけれども、勤労者の実質賃金、これは前年同月に比べて四・六%の上昇というように、労働省や各省のいろいろな資料等を見て私どもが調べたところによるとこういうふうになっておるわけであります。勤労者の実質賃金が前年同月に比べて四・六%、こういう他産業の労働賃金の上昇下の中にあって、これはいままでの大幅な上昇の中では農林省としてはかつてない低いべースだとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、日本の産業経済全体がこういう環境の中にあることを十分に考え合わせますと、決して無視できる数字ではないだろう。こういう消費者物価指数とか勤労者の実質賃金の動向とかいうことについては、農林省としてはどういうふうにお考えになっているか、見解をお伺いしたいと思うのですが。
  149. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいま先生の御指摘になりましたような数字は私どもも把握しておるわけでございます。米価を決めます場合の算定方式は、生産費所得補償方式でずっとやっておるわけでございます。これは法律に直接書いてあるわけでございませんけれども、そこの方式でやるということで今年も考えておるわけでございますが、生産費所得補償方式と申しますのは、もちろん賃金のこの一カ年間の上昇率というものは、農家の自家労賃を製造業賃金に換算をいたします場合に考慮いたしますので、当然その一年分が入ってくるわけでございます。その前の一年との比較しての上昇率分は、当然考慮されるわけでございます。また、生産費所得補償方式でございますので、生産財の価格の動きというものもごく最近まで、昨年の例で申し上げますと、十一月から五月までのたしか価格をとって物価修正をいたしております。生の生産費ではございません。そういうようなことをやっておりますので、それぞれ反映はさせる方法を用いてやっておるわけでございます。  ただ、よく農家の方など言われますように、物価が幾ら上がったから、あるいは賃金が幾ら上がったからそのとおりに上げろと、こういうようにおっしゃられるのはこれは問題の御理解が不十分な点があるのではないかと、そういうような申し上げ方をしているわけです。感情論としてはわからないわけではないわけでございますが、物価スライド方式あるいは賃金スライド方式という方式ではなくして、あくまでも生産費所得補償方式でございますので、その限りの中でただいまのような修正なり評価がえはいたしますけれども方式が違うという点でストレートに比較をして賃金がどうだから、消費者物価がどうだからということだけでお考えいただかないようにしていただきたいということで、御説明を申し上げておるところでございます。
  150. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは生産費所得補償方式ですから、ストレートで比較するなんということはだれも考えていません。要因の一つであることには間違いないだろうというそういうことで、こういう低成長の時代でありますから高度成長のときのような数値、数字の大幅な変動、それは現在は見られないかもしれませんけれども、しかし、それだけで消費者物価にいたしましても、勤労者の労働賃金にいたしましても、こういう動きがあるということはやっぱり一つの何か決定に際しての重要な要素になることは事実なんで、そういうことについて、十分なそういう点の動き等についても農林省としてはどう把握しているかということをお聞きしているので、何か一生懸命弁解していますけれども、そんな単純に物事を考えているわけじゃ決してないんで、そういう点は私ども理解しておる、農民方々もそういう点は十分に勉強していますからわかっているはずです。  ただ、先国会におきましても減税ということが叫ばれたわけでありますが、何といいましても公共投資によって大きな景気浮揚策をすると同時に、現在はどうしても消費拡大というか、こういう面の施策も相伴わなければいけないということで、減税ということが前国会で大きな課題になって政府もついに踏み切ったということでありますが、先ほど長官お話ですと、農家の経済には今度の生産調整対策というものもさほどの影響がないような大ざっばなお話がございました。これは先ほど長官お話の中にも、地域によっていろんな差があるんで一概には言えないけれども、マクロ的に見るとというお話前提条件がもちろんあるんですけれども、いまそれは即また私どももそういう条件のもとで見るわけなんですが、どうしても山間僻地といいますか、耕作面積もそう何町歩というような大きいところでない、立地条件の悪いところで一生懸命農業にいそしんでいる方、これはなかなか先ほど長官のおっしゃったようなマクロ的な数値の当てはまらない方々だろうと思います。また、そういう集落はやっぱりこの米価に大きく依存している。  ですから、減反生産調整対策協力したその農家の実態、それから米価決定、こういうものによってその部落の経済というものが非常に大きく左右される。これは、一昨年冷害で大変な農家方々、特にこの山地といいますか、山間部におきまして被害が多かったわけですが、そういう立地条件の悪いところの農家方々は非常に苦しむと同時に、農家だけではなくして、やっぱりその地域に及ぼす影響というものが非常に大きかった、こういうことで、農業というのは一つのマクロ的な見地の上からだけではなくして、こういう地域経済に及ぼす影響というものも同時に考えなければならぬ。  それは、米価なんかをどういうふうに見るかなんていうやぼなことを私は言っているわけでは決してないんですけれども、しかし、これは農家個個にとると同時に、地域経済、過疎化に及ぼす影響等についても非常に大きな影響力を持つという、それだけに、この地域性ということが今度のこの生産調整当たりましてもいろいろ論議になったところでありますが、今後の米価決定、そしてまた、これからの米以外の農作物に対する価格、そのほかのいろんな補償制度、対策、こういうものを講ずるに当たりまして、やっぱりそういう地域の問題等についてもう少しきめ細かに配慮をなすべきではないか、そうして農林省としてはこういう問題について、前国会でもいろんな法案の提出がございましたが、今後の問題として農業全体の中でそういう地域性とか、そういう山間部等において一生懸命農業にいそしむ方々等、こういう方々といいますか、その地域の農業振興ということのためにどんなことが考えられておるのか。  これは、どこの地域でどうというふうに具体的なお話を申し上げれば一番いいのかもしれませんけれども、そういうことじゃなくして、たとえば先国会におきまして共済制度が米作だけではなくして、畑作についてもひとつ広げていこうということで非常に積極的な取り組みがあったわけですけれども、それと同じようなやっぱり米作以外のものについても今後の取り組みというのは非常にこれはなければならぬと思いますし、奨励作目等についても昨年決めたものがこれでいいということじゃございませんで、今後また三年、十年続くわけでありますから、今後のことについてはどうするか、こういうこともあわせてやっぱりお考えいただきませんと、米価は抑えられるは、減反はさせられるは、その後の手だては何もないはということでは、八方ふさがりということになるのじゃないかと思うんですが、農林省としてもこういうことについては十分に御検討なさっていると思いますけれども、ありましたら、ひとつお話をいただきたいと思うんですが。
  151. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 担当の局長が参っておりませんので、私からお答えできる限りのことを申し上げさせていただきます。  私もマクロの話を先ほど申しましたが、ミクロの問題は決して軽視すべきではないというのは、先生の御指摘のとおり身にしみております。したがって、私どもといたしましては水田利用再編対策を進めるに当たりましても、そういう地域ごとの差を十分考えて円滑に進むような条件整備を進めていく必要があるというふうに考えております。全体を強化する中で、特にそういう地域差も考慮していかなければいけないというふうに思っています。また、一般論でございますけれども、先生もうすでに御承知のように、地域農政というようなことを農林省も一昨年から申しておるわけでございます。これは霞が関農政と言われるような画一的な農政ではだめで、やはりそれぞれの地域の立地条件、経営条件にあわせて、しかも農家から盛り上がった経営改善といいますか、地域振興といいますか、そういうのを国が援助すると。国が決めた企画に従ってやってもらうのに援助するというだけではなしに、できるだけ自主的な考え方に基づいた案を話し合いの中から積み上げていただいて、それに対して国が援助していくと、こういうような考えで地域農政という手法を進めておるわけでございまして、これは農林省として大きな柱にしておりますので、ことしも強化いたしましたけれども、今後とも一層強化してまいりたいというように思っております。  そのほか、一般論で申し上げまして恐縮ですけれども、山村振興の問題あるいは過疎対策の問題、各省とも関連いたしますけれども、それらを含めて私どもといたしましては画一農政から地域農政へというのは一つの農政のスローガンとして掲げて、きめ細かい対策を今後続けていく必要があるというように考えております。
  152. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いろいろ御検討になっていらっしゃるようなんで、それはもちろん農林省としてはきのうきょうの問題じゃないわけですから、重要な課題として御検討いただいていると思うんですが、やっぱり生産調整対策、こういうのは半年も待たずしてすぐ農民には実施を迫る、そして、農林省のやることはじっくり検討していろいろな角度から考慮をした上でという、私はこのたびの生産調整対策農林省が何もしなかったなんということは決して言いませんけれども、しかしこれは、これだけのことを強いるには強いるだけの農林省にも努力がなければならぬだろうと思います。  この地域農政ということも唱えられてから久しいわけでありますけれども、具体的なことになりますとなかなか推進というのは進んでないのが現状でして、こういう点で政務次官米価決定当たりまして、何も米価決定のときだけ私どもは問題にしているわけじゃ決してないんですけれども、やっぱり農業全体の問題としてこれを農業振興の、農業のあり方ということを基本的な問題として、こういうふうな地域振興とかこういう現状というものをぜひひとつ御検討いただき、そしてまた、農民に大きな負担をかけるというからには、やっぱり農林省としてもそういう問題については一つ一つ早急に結論を得て推進をするということで積極的に取り組んでいただきたいと、こう思うんですけれども、どうでしょう。
  153. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 農は国の基であるということは私ども考えておるわけでございますので、いま先生おっしゃるとおりに、わずか半年足らずの計画で相当な減反政策を強いられて、しかもこれを忠実に農家が守っておる、それにはやはりそれだけのこたえるべき努力を農林省としてすべきであるということも、十分考えておるわけであります。したがって、いまお話がありましたように、山村僻地の問題とか、いろいろな地域それぞれにいろいろ事情はありますけれども、やはり農業全体が希望の持てるような、しやすい農業、それにはやはりいろいろな公共事業等もあると思う、構造改善事業その他もあると思いますが、前向きでそういう点を十分考慮して、農業がずっと続いていけるように今後さらに努力していきたい、かように考えております。
  154. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 こういうことから、米価の問題というのは、ただこれを生産者米価決定消費米価決定ということだけではなくして、食糧全体という観点から見なきゃならぬ、農業全体ということなんでしょうけれども、そこでわが党が主張しておりますように、食糧基本法といいますか、食糧というのは他国に多くを依存するというわけにはいかぬ、そういうことで、やっぱりいままでのように米だけに偏重するような政策ではならぬわけですから、食糧全体という問題について、基本的な基幹産業としての位置づけの上に立っての強力な施策というものがございませんと、ときにより右往左往するようなことになってしまって、米が余ったと思うとほかの作物はみんな輸入しておるというような、こういう現状になってしまう。  こういうことで、同じ轍をひとつ踏まないような基本的な考え方というものをきちっと確立することが大事だと、そういうことで、農業団体でも米穀政策の確立とか、それから農業基本政策の確立とか、いろんなことを主張しておりますけれども、私どもはやっぱりこの食糧というものについての基本的な政策、考え方というものをきちっと確立しておかなければ、いつの時代になったって、人口の増加に伴う食糧の確保というのはこれは変わらざる課題であるわけでありますから、こういう点についても十分にひとつ御検討といいますか、早急に策定をいたしまして、やはり食糧の安定確保という、世界的にいろんな二十一世紀を目指しましての提言があるわけでありますけれども、こういう現実的な米価決定のときにこんなのんびりした話はどうかと思いますが、しかし長期的なこと、現実的な問題、こういうものもあわせてひとつ農林省では積極的な取り組みをお願いしたいと思うんです。これは、政務次官に要望として一言申し上げておくわけでございます。  それから、次の問題でありますが、米価決定当たりましての細目については、また大臣が参りましたときにいろいろ申し上げるとして、今回の米価を取り巻くいろんな推移を見ますと、異常に感ずる。異常といいますか、これは私だけじゃないだろうと思うんですけれども、マスコミを中心といたしまして米価据え置き論というものが大きく、これは農林省から放送されたやつがそれぞれ紙面をにぎわすのだろうと思うんですけれども、それぞれの立場で所感を述べるということはこれは言論の自由として何ら差し支えないことだと思いますが、いろいろ新聞紙上を見ておりますと、米価据え置き諭というものが大勢を占めるその中で、ちょっと異様に感ずる点があるわけです。  これは、行政官庁としてはしかるべき手続を経た上で発表するといいますか、公表するというか、その所見を述べるというのは、これは大臣が何かの折にまたお話があったというたら別ですけれども、行政官庁が据え置きのムードをあおるようなことがあるというのは、これはちょっといささか問題だろうと思います。いまだ米価審議会諮問しているわけでもない、答申が出ているわけでもない、そういう段階で、行政官庁のあり方というのは非常にこれは慎重でなければならぬと、私はこう思うんですが、これは一般論として政務次官どうでしょうか。
  155. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) ただいま先生おっしゃったとおりに、やれことしの米価は据え置くのだとかなんとか、特にことしはマスコミ関係のアピールがひどいようであります。先ほど村沢先生がおっしゃったように、大蔵省あたりがいろいろな資料までつくっておるのじゃないかというようなことをおっしゃられましたが、やはり大蔵省大蔵省の立場として一応ああいうものを公式ではないけれども出したようでありますけれども農林省としては絶対そういうことをやったこともないし、当然やるべきではない。したがって、米価というものは食管法に基づいてそれぞれの積算もずっと重ねていって、その積算に基づいて、法に基づいて米審諮問していくわけでありますから、今後行政官庁としてそういうような事前にいろいろなアピールをするということは行き過ぎではなかろうかと私は思います。したがって、決してそういうことを農林省としてやったこともございません。
  156. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 政務次官お話の中にございましたが、大蔵省がということですが、大蔵の人は来てないのかな。  この米価審議会というのは、これはどういう性格のものですか、政務次官米価審議会
  157. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 米価決定は、政府責任を持っておるわけでございます。その際に、各界の学識経験者の意見を承った上で、慎重を期して適正を期したいということで法律に基づきまして設置せられておる機関でございまして、私ども毎年できるだけ答申をいただくようにお願いをいたしまして、無答申ということもこれまで御案内のようにございますけれども、できるだけ一本答申をいただいてそれを尊重して最終決定をしたいと、かように考えておるわけでございます。
  158. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 審議会というのは、国家行政組織法の第八条に定められたもので、付属機関という名称で、米審農林省の付属機関ということになっておるわけですね。米価の審議会というのは、これは何か私的なものではなくして、公的な、法にのっとったものである。そこで諮問をし、答申を得て決定をするというこういう手続を踏むわけですね。例年この米価決定当たりましては、農民の死活問題ということで非常に論議を醸すわけで、この決定当たりましては相当慎重に各大臣農林大臣も心を注いでいらっしゃるだろうと思うんですが、それはマスコミのそれぞれの評論または社説なり、それぞれの立場の方々がいろんなことを発表になるのはそれはそれとして、行政官庁の大蔵省が、まだこの米価審議会に提出もしない、諮問もしない以前に米価据え置きを示唆するような問題を、「生産者米価及び消費米価について」という表題ではありますけれども、こういうものを発表するというのは、一体意図はどこにあったんでしょう。大蔵省どうですか。
  159. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私ども米価というものを考えます場合に、ただその米価水準ということのほかに、広くその米価を取り巻く環境がどうなっておるのか、それからこれについて国民全体としてどういうふうに考えていったらいいのかと、そういうことは常に考えなければいけないと思っておるわけでござります。その場合に、国民として、それは食糧を食べる国民の立場もございますし、税金を納めている国民の立場もございます。そういうものが、この米をめぐります情勢につきましてよく過去の事情であるとかそういうものを理解する必要がある、そういうことでございますので、これを取り巻く事実関係につきまして、便宜のために私どもパンフレットをつくって公表したわけでございます。
  160. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それじゃ主計官、国民の判断の材料として提供したということですか。いま重要な米価審議会が目前に迫って、そして農家方々については、この決定先ほど来いろんな論議があったように、今後の農政全般に対しての、農政の行く末を占うといいますか、また農家の経済の今後の死活を決定するといいますか、非常に重要な意義を持つこういう低成長時代での米価決定ですから、農林省でも非常な心を砕いて、配慮をしていろんな角度から検討しておる。一般市民の方々に対してそれぞれの認識を与えるということは、大蔵省がこの段階でこういうものを発表しなくなって、十分にそれはいままでも周知徹底されておることではないでしょうか。過剰ぎみだということについては農林省当局も、これは米が過剰であるということ、そのことのために減反政策を行わなきゃならないということで去年協力をいただいたことであって、大蔵省が何もこの時点でこういう分厚なものをつくって発表しなきゃ国民に周知できないということじゃないでしょう。これはどういう性格なものか、この発表というものは。そのあたり、びとつはっきりおっしゃってください。
  161. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 米価を決めます場合、私どもも非常に税金を使う立場から関心があるわけでございます。したがいまして、それを取り巻く情勢について私ども部内でも検討しなくちゃいけない。部内で検討するときに、過去に公表されております資料をどうまとめるということが必要でございます。さらにまた、農林省におきますいろんな情報につきましては、農林省の記者クラブを通じてもいろいろと出されますけれども、私どもの方には財政記者クラブというのがございますし、そこの方々からいろいろそういう関係について教えてもらいたいということが私どもの方へ参ります。これにつきましては、それじゃまとめて出しましょうということでこれをまとめて出したと、こういう性格のものでございます。
  162. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは大蔵省のどういう立場の方がどういう――公的なのか私的なのか、そうしてただ新聞記者の方々の求めに応じて出されたのか、そういう立場はどういうことになりますか。
  163. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) 私、主計官といたしまして、これを新聞記者の方々の勉強会という形で断りましてそこで説明を申し上げたというものでございます。
  164. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この文章の中にも、私ども大蔵省がここまでと思うようなこともあるわけですが、「本年の生産者米価については、米が著しく過剰な状態にあり、米の需給均衡させるために、今後、長期にわたり、水田利用の再編成を進めていかなければならない状況にあることを十分考慮して決定する必要があります。」、これは三十ページにありますね。それからなおかつ三十三ページのところには、「本年の生産者米価については、米が著しく過剰な状態にあり、米の需給均衡させるために、今後、長期にわたり、水田利用の再編成を進めていかなければならない状況にあることを十分考慮して決定する必要があります。なお、かつての過剰米時代には、四四年以降三年間、生産者米価について据置きの方針をとつています。」、こういうことを、農林省がさもそれを示唆するみたいなことは、これは農林省で、これから米価審議会で決まるわけでしょう。ここまでのことを、いろんな資料、データ、そういうものを発表するのはいいですよ、こういう言葉で国民の、納税者の判断を仰ぐなんということは、少し先に出過ぎているんじゃないか。  そうでなくたって、いま農林省から去年以来この過剰米問題について、農民に対しての過剰米対策に対する施策ということでいろんな論議を醸してきているわけですから、それはもう消費者も十分に周知していることであって、これは大蔵省がこういうこの時期に、七月一日の農業新聞に出ておるわけですけれども、この時期に発表するというのは、いささか時期としては私は配慮が欠けているんじゃないか。内容の点については、きょうは時間もありませんからもうこれで終わりますけれどもね。さっき政務次官からちょっとお話あったけれども、遺憾といいますか、適切でないというような意味の御発言がありましたが、大蔵省としましても、これは十分にそういう問題については慎重にひとつやってもらいたいと私は思うんです。これは大臣いませんから、政務次官ひとつ御検討なさいまして、出てしまったものを引っ込めるわけにいきませんから、今後の問題としては慎重な取り扱いをひとつ厳しく要望しておきたいと思うんですが、どうでしょう。
  165. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 大蔵省大蔵省という立場で、公式なものでなくして勉強会というようなことで、ただいま答弁があったように出したと思います。そこで、私どももことしですね、水田転作をする場合の予算につきましても、二千億という財源をやっぱり御承知のとおり大蔵省と合い議をして決めたわけであります。そういうことで、大蔵省大蔵省で、それは立場立場もありましょうけれども、今後行政官庁で行き過ぎというか、そういうようなことのないように私どもとしても話し合いを進めていきたい、かように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  166. 下田京子

    ○下田京子君 いよいよ二日後に米価審議会に対する諮問がなされる時期に来たわけですけれども、これに対して政府が基本的にはまだその諮問及び諮問についての説明というものは現時点でも固まっていないというふうなお話がございましたが、方向としては、第一にお尋ねしたいんですが、昨年、五十二年度に出された諮問及び諮問についての説明、これと同方向であるかどうか。  すなわち、諮問については昨年度は「米穀の需給関係を勘案するとともに、生産費及び所得を考慮して定めることにつき米価審議会意見を求める。」と、こうなっておりますし、諮問についての説明の中では、特に「米穀の政府買入価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。」と。その次、最近の米穀の需給の問題等言っておるわけですけれども、方向としてはこういう方向でやるのかどうか。
  167. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 先ほど村沢先生にお答えをいたしたところでございますが、現在ごく近く生産費調査が五十二年度分が出ますので、それを見て早急に試算をして、それに政策判断を加えて諮問をし、その際御承知のように試算というものも出すわけでございますので、それらが最終段階にこれから入るわけでございますので、諮問の仕方なり諮問説明についてもそれらとの関連で考慮すべき問題でございますので、現段階において、ただいまのせっかくの御質問でございますけれども、的確にお答えする段階にございません。
  168. 下田京子

    ○下田京子君 試算についてはいま出せないということはわかるんですけれども、基本的な方向として五十二年度でこういう諮問をした、また諮問についての説明もなされていると。的確でかくとも方向としてどうなのかということでもって質問しているわけたんですが、再度いかがでしょう。
  169. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 方向という言葉の理解の仕方いかんによって誤解を招くといけませんので、私、諮問そのもの、あるいは諮問説明についてどうこうということについて直接お答えいたしかねるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり現在の米をめぐる事情が、需給が過剰の度合いを著しく強めていると、需給均衡を図ることが喫緊の農政の最大の課題である。水田利用再編対策のそのための対策の初年度であって、早く速やかにその対策を定着させる必要があると、あるいはまた片や需給均衡化のためには消費拡大させなきゃいけないと、それらの需給事情というものを十分考慮して検討したければいけないというような気持ちを持っておることだけは申し上げます。
  170. 下田京子

    ○下田京子君 農政の重要な課題として、米の需給均衡ということならわかるわけです。米価算定するに当たっての重要な問題がお米の需給均衡というふうなことになると、その諮問並びに諮問についてのいままでの説明の中で特に押さえてきた、いわゆる生産費及び所得補償方式によって米価算定するのかどうかというふうな問題であるとか、その絡みで食管法第三条第二項の規定をどう見るだとかいうふうなことが一体どう位置づけられるのか、再生産の確保はどうなんだろうというふうなことが、米価決定諮問二日前という状況の中では、こういったところがむしろ心配なところだと思うんですが。
  171. 澤邊守

    説明員澤邊守君) そういうような趣旨の御質問でございますればお答えができるわけでございますが、もちろん食管法第三条の規定に基づきまして、生産費、物価、その他経済事情を参酌いたしまして、再生産を確保することを旨として決めるという、その規定にのっとって決定をするということは当然でございます。さらに具体的には、種々議論はありましたけれども米価審議会の懇談会におきまして、昨年の秋以降、種々算定方式について改めて議論をしていただきましたけれども生産費所得補償方式によって具体的には算定をしていくという点につきましては、全員が賛同されたということでございますので、私どもも従来どおり生産費所得補償方式にのっとって算定をしてまいりたいと、かように考えております。
  172. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、生産費所得補償方式によって算定したいと、このことについては確認できたわけですが、そういう立場からこれはマスコミ等に流されたのかどうか、先ほどもやはりそれは新聞等で勝手に書かれたみたいたお話がありましたが、再度具体的にお尋ねしたいのは、きょうの七月四日付の読売新聞、「生産米価一・八%(実質)上げ」「調整協力金新設などで」とついていまして、その下に「政府・自民方針」と、こうなっておるわけですね。さらに読みますと、「五十三年産生産者米価を最終段階で実質一・八%引き上げる公算が強まってきた。これは、基本米価据え置き基調にとどめるものの、従来からの良質米奨励金を積み上げるほか、新たに生産調整協力金を新設して実質手取りを引き上げようというもので、六、七日の米価審議会のあと八日に行われる政治折衝で正式決定する。」と、こう読売新聞は報道しているわけなんです。  これは、もう勝手に新聞社が書いたものであって結果はこうなりませんと、もっとその生産費所得補償方式により農家皆さん方考えるような、といいますのは、前の委員会大臣皆さん意見を聞いて、据え置きというようなことは一言も言ってないんで、その上で決めたいと、こうおっしゃっているわけですから、少なくともこの一・八%なんていうものではなくって、新たなものが出るというふうに解釈してよろしいんでしょうか。――ちょっと待ってください。これは次官に聞きましょう。
  173. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) けさの新聞は、全然農林省は関知しておりません。それから、どの筋から出たかという検討も加えてみたのですが、まあこれは新聞社がそれぞれの立場からいろいろな方に、党の実力者とか、いろいろなところを回ってその感触を書いたと思いますが、私どもはあくまでもこれに関知しておりませんので、念のために申し上げたいと思います。
  174. 下田京子

    ○下田京子君 まあ再度確認したいことなんですが、情報はそういう形で書かれただろうと、農林省は関知してない、それはそうおっしゃっているんですから認めたにしましても、確認をしたいのは、生産米価一・八%の引き上げというふうな結果ではないということだけは言明できますか。
  175. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) まだ計算をしなければわからないわけでございまして、決してこれが一・八すぽっと当てはまるかどうか、上がるか下がるか、その点は一応計算をしてみなければわからないということでございます。
  176. 下田京子

    ○下田京子君 計算してみたら一・八になる場合もあり得るというふうにとらえられるわけでしょうか。
  177. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) たまたま一・八に合致する場合もこれはないとも言われないと思いますが、それはやってみなければわからぬことですから、ここで改めて先生から一・八に終わった場合にはどうするのだと、こう言われても、私どもにはそういうことはあり得ないということだけ七かいま言われないわけであります。
  178. 下田京子

    ○下田京子君 とにかく二日後に諮問を目前にしての質問ですし、いただいている答弁ですが、現在の時点で新聞報道についてはとにかく否定はされているわけですね。これは確認した。そして、もう一つ確認いただいたのは、先ほどのように生産費所得補償方式、これはきちっと守りたい、こう言っているわけです。  そこで問題なのは、生産費所得補償方式をとっても、しかしかつて昭和四十四年、四十五年、四十六年ですか、三年間連続して据え置いてきているわけですね。これは、生産費所得補償方式というものはきちっとうたってあるにもかかわらず、据え置かれていたと思うんです。あの当時は、いろいろ労働費や物価や他の経済も変わっていました。しかし、そういう事情の中でも、なおかつ生産費所得補償方式といいながらも米価については据え置いていた。この要素のとり方によって、生産費所得補償方式というものがいろいろ変わってしまう。農家皆さんが、再生産を確保できるような安定したものでないというふうなことになるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょう。
  179. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 最初に申し上げておきたいと思いますのは、法律上は申し上げるまでもなく食管法第三条の第二項に書いてございますように「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之7ヲム」、これに政府はのっとって、これを基本として決めるわけでございます。生産費所得補償方式というのは、法令上は一言もそういうことが決められておりません。ただ、三十五年以来生産費所得補償方式という方式を基本として続けてきたという事実がございますし、私も先ほど申しましたように、今年におきましても生産費所得補償方式を基本にして決めていく、まさにそういう方向で検討をしたいと、しておる、こういうふうに申し上げたところでございます。  そこで、生産費所得補償方式で四十年代に据え置いたことがあるのじゃないか、あるものは物価が上がったにかかわらずという点についての御指摘でございますけれども、私ども生産費所得補償方式といいますのは、たとえばパリティ方式のごとく計算機だけ回せば必ず出てくる、客観的な数字をもとにして計算機を回せばすぐ出てくる、このごろは回すのじゃなくてたたくのですが、そういうものではないというある意味では弾力性のある方式でございます。法律にございますような生産費なり物価その他の経済事情を参酌して決めなきゃいけないわけですから、きちっと固定した、一切動かせない、経済事情を参酌できないような算定方式というのは、法律違反になってとれないわけです。  したがいまして、生産費所得補償方式といいますのは、もちろん方式でございますから何でもできるというそういうものではないことは当然のことでございますけれども、一定の幅のあるものである。したがって、生産費を補償し所得を補償するのは、そのときどきの経済情勢も参酌しながら決めていくと、したがってきわめて機械的に答えが出てくると、だれが計算しても同じ答えが出てくると、こういういわばパリティ方式のごときものとは違うという点を、御理解いただきたいと思います。
  180. 下田京子

    ○下田京子君 その生産費所得補償方式の解釈が大変幅があるんだという御意見ですけれども生産費所得補償方式の基本的な理論ですか、原理といいますか、これをどう見るかというところに大きな議論の分かれ日があるかと思うんです。そのようにいろいろ幅があるというふうなかっごうでいきますと、安定的に農家皆さん方の再生産を確保する、食管法の第三条二項に定められているこの解釈、これが勝手に幅があるということでもってそのときどきの状況で変えられるというふうな問題になると思うんです。それではやはり問題でありまして、昭和三十五年から生産費所得補償方式が採用されて、そしてその後、いま答弁のように、基本とするだとかいろいろなことがくっついてきました。だけれども、大事な問題は、生産費所得補償方式がどうして出てきたのかという基本的な考え方ですね、ここのところを押さえていただきたい。  特に、昭和二十七年に食管法の改正で議論されたときの中心点がこの再生産を確保するのにどうなのかということ、これだったと思うわけです。それは、当時の委員会議事録に詳しく載っております。昭和二十七年の四月三十日、これは衆議院の農林水産委員会の中で特に麦の問題で出されました。この麦の方で小林委員という方が、「麦の自給度を高めるには、まず第一に政府が買い入れる買入れ価格は、生産者が納得する、再生産を保障する価格でなければならぬと考えるのであります。」、同時にいろいろ申し上げて、その中で「政府は往々にして法律の解釈をかつてにきめまして、政府の都合のいいようにいたしまして、農民を苦しめるというようなことが多々ありますので、この際私は特にこの点を政府並びに諸君にぜひわかつていただきたいと考えるのであります。」、そういうふうなことから修正が出されているんです。その修正の中で、抽象的な言葉ではいけないということで、再生産確保問題が実はきちっと出されてきた。御承知でしょうか。
  181. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 麦の法律の改正、食管法の改正に関連しての議論でございますので、私そこまで勉強しておりませんので、いまの御指摘の点につきまして存じませんでした。いま御指摘のようなことが当時あったということであれば、事実だと思います。
  182. 下田京子

    ○下田京子君 その当時の状況がわからないというお話なんですが、これは問題の一つだと思うんです。麦だからわからないと言いますが、昭和二十七年の場合には食管法改正の問題、そういう時期なんです。だから、麦のことだけを取り出して言ったんじゃない。同時に、それが参議院におきまして、お米の方でもこの再生産確保のことが実は委員会で議論になった。昭和二十七年の五月二十一日付、そのときの参議院の農林水産委員会、ここでも具体的に主食としての米麦は同列に取り扱うべきであるという米麦一体論を尊重して、そしてそういう中で政府における買い入れ価格及び売り渡し価格決定するに当たって、衆議院の生産者の麦の価格決定したときと同じような形でやるようにというものが出されているんです。これは御承知でしょうか。   〔理事青井政美君退席、理事山内一郎君着席〕
  183. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 具体的な事実なりあるいは表現につきまして、私詳しく存じておりませんけれども、現行法で米の場合も麦の場合も「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」ということ、あるいは麦の場合には「麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」ということの規定があることは十分念頭に置いて価格を決めておるわけでございまして、その場合われわれといたしましては、食管法の目的に即しましてその「再生産ヲ確保スル」ということの意味を解釈をしておるわけでございます。第一条の目的にありますように、「国民食糧ノ確保」をするために食管法というのは定められておるわけでございますから、私どもといたしましては、ここに書いてございます「再生産」といいますのは食糧を確保するために必要な再生産を確保すると、余ってどうにもならないような米の再生産を確保すると、そういうような趣旨ではないというような考え方で読んでおるわけでございます。  よく言われます単純再生産拡大生産といろいろなことを言われますけれども、私どもとしてはそのような意味で第三条を解釈し、米価決定に臨んでおるわけでございます。
  184. 下田京子

    ○下田京子君 再生産の確保ということについて、再生産の確保は生産費を償うことと、それから経営の赤字が出てもいいというふうなかっこうにはならないと思うんですけれども、逆にいまの答弁の真意を確かめたい意味質問するんですが、この点いかがですか。
  185. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私どもとしましては、法律はただいまのようにいろんなことを参酌した上で「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」と、これが最優先するわけでございます。ただ、具体的に三十五年以降は生産費所得補償方式という方式にのっとって価格を決めると、それを基本として決めるというやり方をこれまでしてきておるわけでございます。したがいまして、いろいろ過去の生産費を使いますので、ことしの生産費は使いようがございませんので、過去の生産費を使ってそれを換算をしたり修正をしたりすることは当然必要になるわけでございます。そういうことをやりながら生産費を償い、所得も他産業と比べて均衡するようにというような大原則のもとで運用をしておるわけでございます。
  186. 下田京子

    ○下田京子君 確認ですけれども、その再生産の確保という大前提としてもちろんこれは生産費を償うと。それからさらに、赤字になっても経営が大変でもいいということではなくって、それはもちろんもう経済のいまの状況の中で農家の経営状況というものが保障されるような、そういうものをきちっとまず基本にして決めるんだと、この点については確認いただけるわけですね。
  187. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 生産費所得補償方式を基本にしてやっておりますので、生産費所得を補償するということでございますけれども、それはあくまでも経済事情を参酌をいたしまして、生産費所得補償をその範囲内において、範囲内といいますか、そういう経済事情を参酌をした上で、どの程度生産費所得を補償するかということは考えていかなければいけないというふうに思います。
  188. 下田京子

    ○下田京子君 いや、私が質問したことについて答えていただきたいのは、いまの日本の経済事情であるとか農業をめぐる経済事情であるとかということよりも、むしろ生産費所得補償方式の大前提として、まず再生産の確保という点で農家生産費を償うということ、これは補償するんですねと。それから第二番目に、農家の経営が極度にもう悪くなっても何でもいいということじゃなくって、農家の経営というものを、農家の経済事情というもの、これを補償するんですねと、そのことがあってこれは再生産というものが成り立つわけですから、まずこのことだけはきちっと据えてことしの米価決定されるんですねという質問です。
  189. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私の答えがやや不明確な点があったかと思いますが、はっきり申し上げたいと思いますが、(先ほど来申し上げましたように、再生産意味は私どもは必要な数量の再生産と、こういうふうに申し上げておるわけであります。したがって、国民食糧の確保のために第一条の目的の、それに必要な米穀の生産費を償うということは必要だというふうに思っております。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 私は全体じゃないんです。質問答弁してください。  農家が再生産を確保する上で、繰り返しになりますけれども、必要なものをきちっと置いて決定しますねと。
  191. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私の申し上げましたのは、国民食糧の確保のために必要な米の生産費を償うということでございますので、それは先生のおっしゃっている意味と違う面があろうかと思います。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 違う面があるかと思うんじゃなくって、私はお米を生産する上で大事なことは、とてもじゃないけれども食管法の第三条の規定は何といっても再生産を確保するということを目的にしているわけですから、その再生産前提になるのは、お米をつくるのは農家皆さんですから、その農家皆さん生産費を償わない、あるいは経済事情考えない、それでは再生産というのは補償できないでしょうと、そこのところは確認できますねと言っているんで、これは次官にひとつ頼みましょう。
  193. 澤邊守

    説明員澤邊守君) くどいようで申しわけありませんけれども、第一条の目的は「国民食糧ノ確保」ということでございます。これは、そのために必要な再生産を確保することを旨として三条において価格を定めろと、こういうふうに書いてあるわけであります。その場合の参酌事項として生産費が入っているわけで、それを生産費は参酌しなさいと、こういうことが法律の趣旨でございます。したがいまして、現在やっております生産費所得補償方式におきましては、国民食糧の確保のために必要な米の生産費を償うように検討していくと、こういうふうに申し上げているわけです。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、逆に言って農家はどうでもいいんだと。お米さえどんどんできるというならば、第一条との関係でいって、これは再生産確保ということで米ができてくるということで、お米がたくさんできたということでもってこれは再生産ができたというふうに、そういう解釈でしかないのですか。お米ができるということ、再生産というか、お米を生産するという意味では農家の人がつくるんですから、つくる農家の人の生産費を償うことと、それから農家経済を考えないでは再生産というのはこれは出てこないわけですよ。これが基本であることは認められるんでしょう。そこをお認めなんですか。余っているから、もう何でもとにかく出てきたんだからというかっこうで見られるわけですか。
  195. 澤邊守

    説明員澤邊守君) これは例を申し上げて、いわゆる極端なことを申し上げてあるいはおわかりいいかと思って申し上げるわけですが、たとえば米が非常に有利だからということで千五百万トンつくりますというような場合、そういう千五百万トンもつくるに必要な平均的な生産費を全部カバーしていくというようなつもりはございません。現在の需給状況から見て、国民食糧を確保するために必要な生産量の再生産を確保していくために必要な米穀の生産費と、こういうふうに考えております。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、生産費所得補償方式という、再生産というその考え方そのものが、幅があると言いながら、幅どころでない、片や農家の経済はどうであっても、お米が出てきたということを見てこれは再生産が確保できていると、極端な話、そう見ているというふうに解釈できるじゃないですか。そうですか。
  197. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ちょっと御質問の趣旨必ずしも明確に理解しがたい面があるわけでございますが、私どもといたしましては、とにかく食糧を確保するために必要な米穀の生産費を償うというようなことを現在やっておるわけでございまして、第三条の趣旨はまさにその意味であるということでございます。
  198. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、またもとに戻らなきゃならないんですが、どうもそういうことになりますと、お米の算定についての生産費所得補償方式についてのその考え方、歴史的な経過も踏まえての考え方がきちっととらえられてないんじゃないでしょうか。勝手に途中で変わってきているというふうに思えてならないわけなんですが。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  199. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 生産費所得補償方式というのは、先ほど申しましたように一定の幅のある方式でございますので、経済事情を参酌をいたしましてその運用を具体的に毎年決めていくわけでございますので、その意味では、固定的でない、という意味では、そのときの経済事情に応じて運用が変化しておるということは、そのとおりでございます。
  200. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、生産費所得補償方式とこう言っているけれども、その中身がとにかくそのときどきによって運用という点で変わってきている。その変わってきたことが、言ってみれば農家生産費を償うとか、あるいは農家の経済事情考えるとかというのではなくて、農政全体の中で米の需給均衡がどうなのかという点で、お米がたくさんできているということは再生産が補償されているんだというふうに政府は勝手に解釈されている、こういうことですね。
  201. 澤邊守

    説明員澤邊守君) それは違うのでありまして、生産費所得を補償するという大原則の中での運用の問題であります。運用によってその程度の差はもちろん出てくると思いますけれども、あくまでも米穀の必要な再生産を確保するというために必要な米穀の生産費を償うと、こういう考えでいくのが第三条の考え方だと思います。それを固定的に考えると、経済事情を参酌する余地がなくなってしまいます。そういうのは、本来第三条の趣旨に即さないものであるというふうに思うわけでございます。
  202. 下田京子

    ○下田京子君 どうしていろいろこう一緒にしちゃうのか。生産費所得補償方式ということと再生産ということとは、それ自体でしょう。「其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」云々というのは、それは米価決定の際の要素のとり方でしょう。私が言っているのは、第三条の精神の再生産が補償されると、その再生産を補償するという点で言うんだったならば、この基本になるのは農家皆さん生産費を償うことと、それから農家皆さんの経済状況がどうでもいいというんじゃなくって、農家皆さんの経済事情というのは考えると、こういうことは大前提にしているんでしょう。
  203. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 農家の経済を考えるということは、所得補償方式というのはそれは一つの考えでございまして、自家労賃を製造業の現在は五人以上九百九十九人以下で換算をしておるという去年のやり方、あれも農家の所得をできるだけ都市の製造業にバランスをとるようにという考えに基づいてやっておることでございまして、所得を確保するという観点が生産費所得補償方式の中に入っておるわけでございます。  しかしながら、経済事情の中にはいろいろな事情ももちろんございますけれども需給事情というものもきわめて大事な経済事情の一つでございますので、それがまた非常に深刻なとき、非常に不足なとき、逆にまた、非常に余って困っておるときといろいろな事情がございますから、それらはそのときどきと実情に合わして要素のとり方を変更することによりまして適正な価格算定をしておると、かようなことでございまして、別に農家の所得を一切考えないとか無視しておるとか、こういうようなことではないわけであります。
  204. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、逆に、農家生産費を償うということについて全く考えないということではないけれども、むしろそれよりも、農業全般とか日本の経済だとかというのが優先するというふうに現在は幅を持って政府は見ているんだと、こうおっしゃっているんですね。
  205. 澤邊守

    説明員澤邊守君) そうではなくして、先ほど申しましたような必要な米穀の生産費を償う、それから所得も都市と均衡をとるようにというような、大きな考え方の中において運用をしておるわけでございます。  なお、つけ加えて申し上げておきますと、先ほども申しましたように、法律はあくまでも第三条でございまして、生産費所得補償方式というのはその法律のもとにおいて、規制のもとにおいて運用をしておる現段階での価格決定方式でございますから。
  206. 下田京子

    ○下田京子君 とにかく問題が一つ明らかになったのは、再生産を確保すると言いながらも、農家皆さんの本当に生産費を償い、しかもまた、農家の経済をしっかり守るという立場が基本ではなくて、そのときどきの状況によって変わっていくというふうなことがもう明らかになったわけですけれども、しかし、これは真の意味での生産費所得補償方式の基本的な考え方からいったらば問題であると、この点は指摘しておきたいわけです。  特に、昭和三十五年のときに、本格的にこの生産費所得補償方式が取り入れられた。その際に、この問題が特に議論になって、生産費及び所得を補償する農家は適正な限界の農家とすることというふうなこともうたっているわけです。そして、ずうっとこれがやられてきたわけですね。その過程で、いまのようないわゆる販米農家というか、五俵以上供出している農家の平均生産費を見るなどということではなくて、生産の要素としては、マイナスワンシグマですか、こういう方式でもってやったり、反当収量でもってできるだけ多くの農家皆さん方生産費を見られるような、そういう計算がやられてきたという経過もあるかと思うんですが、この点どうですか。
  207. 澤邊守

    説明員澤邊守君) そういう経過があることは事実でございます。したがいまして、先ほど申しましたように、私どもといたしましては、三条の精神にのっとって具体的に生産費所得補償方式という一定の幅のある方式を運用をしておると。したがって、要素のとり方等につきましては、需給事情その他経済事情に応じて年により変化があることはこれは当然であると、こういうふうに考えております。
  208. 下田京子

    ○下田京子君 またことしのものに戻りますけれども、今年度においてはお米が余っているということでもって、再生産が補償されているというふうに一方では見られているわけでしょうけれども、基本的には農家皆さんの経済事情や、あるいは今後の農業の発展や、あるいは自給率向上とか、とういった点も考慮しながら、決定の方向で皆さん意見も聞くというための作業を続けられているんだというふうにこれは理解してよろしいですか。これは次官の方に伺いたい。
  209. 初村滝一郎

    説明員(初村滝一郎君) 大体そういうことでございます。
  210. 三治重信

    ○三治重信君 大分昼時間を過ぎて申しわけないんですが、少しだけ伺います。  よく農林省諮問される米価の案、またはそれによって米価審議会が答申されるその米価について、後で自由民主党と政府との折衝とかいうことで、よく政治加算がされるというようなことが新聞で過去に何回か例があったと思うんですが、その政治加算された米価というのは、次の年の生産費所得補償方式を計算するときには、その政治加算された米価を基礎にして上積みされて次のやつが計算されるんですか。そういうことじゃなくて、また別の統計数字でこの諮問米価というのは毎年農林省が案をつくるのか。
  211. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 結論的に申し上げれば後者でございまして、前年幾らで決定したからということが基礎になって今年度価格を決めるということじゃございませんので、一定のルールに従った生産費所得補償方式に基づいて新たなデータに基づいて算定をして決めると、こういうことでございます。
  212. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、具体的に毎年最終的に決められる米価は、翌年度政府諮問する米価には直接その計数は何も利用されない、新しく諸統計のいわゆる生産費のデータで諮問米価は決まると、こういうふうに理解していいわけですか。  それで、いま非常に問題になっております貯蔵米のことなんですが、前にも一度この貯蔵米、いわゆる米の過剰についてちょこっと備蓄のことについて質問をした。そのときに、私はもみで相当備蓄をすることを政府考えるべきじゃないかということを申し上げたら、いや、もみは余り効率的じゃなくて、むしろいわゆる低温倉庫の方がいいんだと、こういうふうなことを言われておるんですが、米価のやつの資料にも倉庫の状況の中で、低温倉庫が五十三年五月一日現在で二百四十八万トンの収容力があると、前年に対して二十四万トンの増加になっている。そうすると、一年間で一割余の低温倉庫の収容力の増加と、政府のいわゆる貨物在庫量から見ると約二割の収容力を持っていると、こういうことなんですが、将来低温倉庫というものを農業倉庫の、米穀倉庫の主体にする考えか。  また、こういうのと、政府指定倉庫というので、いま現在千四百八十七万トンの政府指定の倉庫の収容力があると、こういうようなふうに資料としてなっているわけですが、こういう中だと、これは何といいますか、低温倉庫はどういうところが持っているのか、または、この政府指定倉庫というのは、政府自身がつくって持っている政府所有の倉庫と、それから農業倉庫とか、それからいわゆる倉庫会社、また個人の会社とかそういうものがいろいろあるだろうと思うんですが、そのいわゆる政府の指定倉庫の各倉庫の所有別と申しますか、その業態を御説明願って、今後のこの余剰米処理――余剰米ばかりじゃありませんが、米の品質を落とさぬで長期管理する体制というものについての御見解をひとつ。
  213. 澤邊守

    説明員澤邊守君) お米は十月なり十一月ごろ生産されるわけでございますが、秋から春先にかけては、御承知のように寒い時期でございますので品質の低下がそれほどございません。ところが五月ごろから、早いところは四月の後半から夏にかけて、梅雨を越し夏にかけ温度が上がりますと、急速に品質が低下をいたします。したがいまして、おおむね十五度ぐらいの低温で保存をするというのが、現在の低温倉庫の考え方でございます。  そこで、低温倉庫のお尋ねの業態別の所有状況でございますが、先ほど先生がおっしゃった二百四十八万トンというのがそれが一番新しい数字でございますが、トン数でございますが、農業倉庫、これは農業協同組合が持っている倉庫というふうに見ていただいてほぼ間違いないわけでございます。それ以外にも若干ございますが、それが六九%。それから集荷商人倉庫が四%、それから一般の都市等にあります営業倉庫、これが二四%、それから政府倉庫が三%というようなシェアになっております。  私どもといたしましては、おおむね千五百万トンの政府指定倉庫だけでの収容力があるわけでございますが、そのうちでいま二百四十八万トンで、これをどこまで低温倉庫化していくかというようなことについてのあるいはお尋ねもあったかと思いますが、私どもといたしましては、いま申しましたように、四月の半ばか後半ごろまではそれほど品質は低下しませんので、低温倉庫に入れる必要がないわけでございます。これは、低温倉庫というのは、やはりそれだけ施設の経費もかかりますし保管経費もかかりますので、それほど低下したければわざわざ金をかけて保管する必要がございませんので、当年産米のといいますか、新米の梅雨から秋にかけての、古米になる前までの品質低下をなるべく防いで、良質米を供給するために倉庫を低温化するということと、二百万トンの古米を新年度に持ち越すということを現在計画を立てて、まあそれ以上のオーバーになっているわけでございますけれども、一応計画はそうなっているわけでございます。  したがいまして、そのうちで、主食以外も入っておりますので、大体百七十万トンぐらいを主食として、古米を翌年新米が出てから出すということでございます。これも全部低温米である必要はないので、西の方等で生産が非常に遅いところがございますから、そういうところは常温米でもずいぶん消化されますので、経費との関連も考えまして、大ざっぱに言いまして、現在の二百四十八万トンというのは全国べースの収容力といたしましてはおおむねいいところの線に来ておると。もう少しもふやす必要ないとまでは申しませんけれども、総量といたしましては大体いいところへ来ているのではないかと、かように考えております。  ただ、地域間にかなりアンバランスがございまして、先ほど申しましたように、農業倉庫というのはほとんど産地でございますので、産地に非常に偏っておると、それをたとえば夏、都市へ、東京へ持ってくるといたしますと、暑い貨車の中で蒸れて持ってくると、せっかく低温で品質を保持したものがまた悪化しちゃうというようなことでございますので、そういうことのないように、なるべく地域間の配分といたしましては、消費地の低温倉庫をもっとふやす必要があると、産地によりましても地域間のアンバランスはございますが、全般的には産地はややオーバーぎみであると、もうこれ以上原則としてふやすのは好ましくない、地域間のアンバランスはもちろん残りますけれども。特に消費都市の低温倉庫がなお足らない。全体はまあおおむねいい中でそのような情勢にございますので、今後そのような基本方針でこの建設の促進といいますか、余り促進されても困る面がございますが、指導してまいりたいというふうに思っております。
  214. 三治重信

    ○三治重信君 ほぼ満足、必要な低温倉庫は確保されているというようないまのお話ですけれども、こちらの質問の問題は、余剰米の品質を確保するにはこの倉庫がいいとおっしゃるから、そういう持ち越しのやつの確保ではなくして、むしろ古々米とかいって、いわゆるだんだん品質が悪くなって市場にも出さなくちゃならぬと、こういうようなことが言われみ場合に、農林省とすれば、こんなものすごい高い米を飼料なんかには出さぬでちゃんと品質を保持して食糧として使えるように対策をとりますと言うのに、こういう対策がとられるべきじゃないかと、こういう見地で聞いているということを頭に入れておいてください。  その年や翌年の、まだ品質がそれほど下がらぬ米の、特に絶対的に品質が下がらぬためにそういう低温倉庫を利用しようということではなくして、むしろ純粋余剰米を品質が悪くなるために、また米の保存がうまくいかぬために飼料とか食糧以外にやらなくちゃならぬと、こういうことは国民から見ると非常に何と申しますか、経済的なむだをやっているみたいに思われるというのと、もう一つは、いわゆる食糧の自給率確保、こういうことになると、五年、十年の長期にわたって食糧を絶対安心だと、完全な備蓄という体制というものをとっているんだという備蓄体制にもぜひ入ってもらいたいと、こう思うわけなんです。その備蓄体制としての低温倉庫というものを考えてほしいと。こういうことをしないと、二百万トンあればいいということは国民にわかっていても、備蓄ということからいけばどこまでいいか、どういう問題があるかということはまた一つ別の問題になるわけなんで、備蓄対策としての食糧の長期保存と、こういうことをやはり農林省農業倉庫で考えるべきではないかと、こういうことでございます。  それから、後で農林大臣にも聞きますけれども、事務当局としてもう一つ答弁していただきたいのは、麦が円高で輸入価格が非常に安くなりますですね。しかし、それをなかなかいままでの新聞情報やその他だと払い下げを安くしようとしない。それには、いわゆる消費米価との関連が出てくると思うんです。一体麦の輸入で、円高でどれぐらい予想よりかいわゆる円高差益が食糧管理会計で出てくるのか、それをどういうふうに利用しようと考えておられるのか、あったらそれを答弁願いたい。
  215. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 麦の円高差益の処理の問題についてのお尋ねでございますが、五十二会計年度で申し上げまして、麦は円高によりまして百七十億の益が出ております。円高だけの分でございます。これを消費者に還元しろというような意見もございまして、具体的な消費者に還元する方法といたしましてよく言われますのは、政府の売り渡し価格をそれだけ安くして、最終消費者までパンなりうどんというものがそれだけ安くなるというようなやり方で還元しろというようなことだと思うのですが、そういうような御趣旨の御意見がかなり強かったわけでございますが、私どもといたしましては、考え方としてはなくはないという気もしますけれども、種々問題がありますけれども、現実問題といたしまして、百七十億の円高メリットを最終製品まで還元するといたしますと、これは私どもの試算では、正確じゃございませんかもしれませんが、大ざっばな試算ですが、パンの場合一斤当たり百二、三十円から四、五十円のものがあるわけでございますが、たしか一円二十銭安くなる、政府の売る小麦も百七十億円分だけ安くして売った場合ですね。  そういうような計算が成り立ちまして、それは現在の自由経済のもとにおいて、一斤一円二十銭というような程度のものを末端まで確実に安く売るというようなことは、技術的にも不可能であるということで、そういうような直接的に消費者に製品安という形で還元するよりは、食糧管理特別会計に対しましては税金から膨大な繰り入れを一般会計からお願いしているわけでございますから、その分をそれだけ減らしていく。百七十億分だけ減らしていくというのが、間接的ではございますけれども納税者たる国民に還元するゆえんではないかというような考え方処理をしていくのが適当であるというふうに考えておるわけでございまして、そのようにしておるわけでございます。  なお、ことしのことにつきましては、最近のような円高の傾向がまた一層強まっておりますので何とも申し上げかねるわけでございますが、仮に二百二十円――いまそれ以下に下がっておりますけれども、で見ますと、仮定の話でございますからそういう前提を置いてお聞きいただくならば、あえて申し上げれば、二百二十円ぐらいで――というのは、これは四月から六月の平均でございますが、いくとすれば、百五十億ぐらい出るかなというようか見込みでございますけれども、これは円高の今後の推移いかんにもよりますし、なおそれとは別個の問題といたしまして、国際穀物の相場自体の変動の問題もございますので、年度始まったばかりのところで年間を見通すのは必ずしも適切ではないだろうと、こういうふうに思います。
  216. 三治重信

    ○三治重信君 どうぞ食糧庁長官、結構です。ひとつ経営の問題でお尋ねをいたしますが、いろいろ農家皆さん方お話しをしておると、米の収益、稲作の収益が基準になってほかのところへ転作しろと、こう言い合い、またほかにいろいろ稲作と同じような収益を持つ作物を指導してほしい、こういう議論が非常に出るわけなんですが、こういうことに対して、確かに私も細かい各作物ごとの収益の比較の表は持っておりませんけれども、何と申しますか、特定の野菜とか果樹とかいうごく限られた特産物ぐらいしか稲作収益にまさる労働報酬並びに土地の収益というものはないように思うわけなんですが、こういう農民の議論に対して、農林省はどう対処されるのか。  また、それは水田というものが一番有利になってはいるわけなんで、そのために今度転換対策をやる場合に、稲をやめてほかのものをつくれというときには五万円からの補助金を出す。こういうことでいつまででもやっていていいものだろうか。こう考えると、耕地の高度利用のためにやはり稲作収益に近づける作物の指導といいますか、適地適産をやらなくちゃならぬようなんですが、そういうことについての考え方をひとつお聞きしておきたいと思います。
  217. 野崎博之

    説明員(野崎博之君) いま先生おっしゃいましたように、確かに稲作との所得の均衡と、そういうことは十分考えなきゃいかぬと思っておるわけでございます。今回の転作の推進につきましても、そういう面からいろいろ配慮を加えまして、奨励補助金についても稲作との均衡ということに非常に重点を置いているわけでございますが、先生いまおっしゃいましたように、野菜とかイグサとか、そういうものについては稲作よりもはるかに十アール当たり収量の高いものもございます。  転作作物の中で比較的収益性が低いと見られております麦とか、それから大豆等につきまして具体的に例をとりますと、まあ年によって違いますけれども、十アール当たり所得を見ますと、米との所得格差が平均して大体七万円程度ということになっておるわけでございます。これは年の豊凶によりまして大分差がございますけれども、平均的には大体七万円前後と見ておるわけでございます。したがいまして、これらの特定作物に対します奨励補助金につきまして、従来四万円のを五万五千円、それに計画加算ということで通常の場合一万五千円、転作率の高い場合は二万円ということになっておるわけでございまして、それらを加えますと大体七万円ないし七万五千円というところにまいりますので、稲作と大体均衡がとれる所得になるのではないかと、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  218. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  219. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記を起こして。
  220. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 大臣にお伺いをいたしますが、ことしの農林省広報一月号、この中に大臣が年頭所感を書かれておるわけですが、ここでは農林水産行政の基本についてごく短いところでありますが、述べられておるわけであります。読んでみますと。   私は、農林水産行政の基本は、農林漁業者が誇りと働きがいをもって農林水産業にいそしめるようその体質の強化を進め、総合的な食糧自給力の向上を図るとともに、国民生活の安定を図ることにあると考えております。   このために、農林漁業者はもとより消費対策に配慮する等幅広く国民理解を得ながら進める必要があると考えております。こう述べられております。  この行政の基本は、私もきわめてもろ手を挙げて賛成をするところでありますが、ととしの一月でありますし、もうすでに真夏であります。寒いときと暖かいときとでこの所感が変わるというふうには思いませんが、この基本姿勢について確認をしてよろしゅうございますか。
  221. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) それから半年たっており、寒い時期が暖かくなったことも事実ですし、あるいはその間ソビエトに参ったり、あるいはニュージー、豪州等に参っておりますが、いまお述べになりました私の気持ちは、全く変わっておりません。
  222. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 さらに確認をいたしたいんですが、前の委員会だったと思うんですが、農家に対する基本姿勢というこういう立場で、農家の味方であるし、農家のためにならないことはやらない、こう中川大臣が御答弁をされたというふうに記憶をしておるんですが、これも間違いないでしょうか。
  223. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 間違いございません。
  224. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまのこの基本姿勢は、生産者米価決定当たりましてもその姿勢が貫かれると、こういうふうに思うんですが、これはいかがでしょうか。
  225. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 当然のことでご言います。
  226. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 さらに、六月の二十三日にこの委員会の中で吉田委員が質問をいたしておるわけですが、その吉田委員の食管制度に関する質問の中で、大臣は自給率の向上が重要なものだと、こういうふうにお答えになっておるとともに、たとえ経済効果が悪くとも食管制度は断固堅持していぐ、こういう旨の答弁があったと思うんですが、これも再確認できるでしょうか。
  227. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) その点も確認いたします。
  228. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それからさらに次の問題ですが、米価の算出の基礎といいますか、諸要件といいますか、積算をしていくそれぞれの要素の問題ですが、これがその年によりまして今日まで相当変化をしているわけですね。昭和の二十年代から三十年代あるいは四十年代、相当長い間食管制度の中で今日までこの米価決定についてその年その年に幾つかの経過を踏まえながら今日来ているんですが、いまだに米価の適正ないわゆる算出要素というものが定まっていない。で、このことについて、大臣は一体どういうふうにお考えなんでしょうかね。  要素というものについては、非常に長い間経過をしているわけですから、明確に一つの私は物差しがあっていいんじゃないのか。ただ米価は政策米価と、こう一面言われているわけですから、計算は計算として、政策的にどこで調整するかということが、だれの目からも適正な評価はこうだと、しかし今日の経済情勢等でいわゆる政策的にこの問題はこういうふうに調整をするんですと、調整をしたいわゆる政策的要素が加わった分と、それから適正にはじいた分というものが明確にわかるようにすべきであるというふうに基本的に思うのですが、いかがでしょう。
  229. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、生産費所得補償方式のもとにおいて計算をし、その場合でも経済事情を参酌するということがうたわれております。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 経済事情とは何かといえば、自給の問題なども非常に大きな問題であれば、消費の動向等々あるいは他の農作物との関係等々配慮しなければならない。そこで、戦後ずっと昭和四十五、六年ごろまでは増産をしたきゃならぬということでございましたので、何とか米が上がるように、上がるようにと、新しい要素あるいは要素の中でも上積みをするという仕組みをして生産を刺激してきた。ところが、四十五、六年になりまして七百万トンが余るというので、これはもう刺激的な要素は抜いていかなきゃいかぬというのでかなり抜いてきた。そして四十八年ごろになってまた物価狂乱等もあり、七百万トンの生産調整も終わったというところから、またプラスの要素を次々と取り入れて、そして生産を刺激してきた。そして、今日になってまた五百万トン、それだけがもちろん原因とは申しませんけれども、過剰になってきた。そこで、もうこういった刺激的なことが続けられるんだろうかどうかといういきさつになっておるわけでございます。  御指摘のように、何かきちっとした物差しがあったらいいなあと、こう思います。審議会あたりでも、米審でも、そういう何かいい物差しはないかということの議論はありまして、固定的なものど可変的なものに区分してもっとわかりやすくしたらどうかという議論はありましたが、さて、それではどの部分を固定化し、どの部分を可変化するかということになってくると、なかなか一致した意見が出てこない。米審でも出ないように、われわれとしてもなかなかその辺きちっと整理をすることができかねておる。御指摘の点は確かに一つの意見でございますので、これからも努力はいたしたいと思いますが、現段階においてはそれが定着しないと、残念ながらお断りせざるを得ないわけでございます。
  230. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そうしますと、いまの御答弁からいきました場合に、いわゆる米が不足をするというふうに見込まれる時代というのはこれは政策的に刺激をする。言うならば、不足を取り戻すために能動的に農家の人々が参加のできるようないわわゆる政策価格というものを持っていくと。言うならば、正常に評価をされるよりもさらに上積みのものがあって、そしてそれが生産の刺激になるだろう、こういう考え方ですね。  そうしますと、余ってきたときは当然つくり過ぎなんだからそこに集中してもらっては困る。つくり過ぎて困るようなことになったんではこれはたまらぬから、だからむしろ生産を手控えるように、こういう話になるわけですね。そうしますと手広くやろう、あるいは手狭にやろう、こういう言い方も換言をすると出てくることになると思うんですね。そうすると農家というのは、そういうふうに政策によって一農家米価が高いから能動的に増産をしようということが自由になったり、あるいは米価が低いからだから米をもうつくらないでおこうというふうになったり、そういう自由がきくものだというふうに大臣はお考えなんでしょうか。
  231. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 言ってみれば、人間で言うなら寒い時期にはシャツを着せ、綿入れを着せというようなことで体温を保存しよう、体を大事にしようと。暖かくなってくれば、やはり綿入れを脱ぐのかセーターを脱ぐのか、こういうような操作があるのと同じように、生産が過剰になってくれば、やはりそれに見合った経済事情参酌という範囲内においてどう対処するかということが行われ石のはやむを得ないのではないか。ただ、生産しておる農家がもう生産がいやになったというようなことは断じてあってはなりませんが、自力開田がどんどんと一万五千町歩も年間ふえるような価格というものはいかがなものであるか。  いま四万円から七万円差し上げてもほかの農作物には行きたくないというぐらい、お米が収益性のある、まあ収益性だけじゃありません、これは土地条件その他伝統的なこともあればいろいろあるからではございますけれども生産調整をやらなければならないときに、自力開田が年間一万五千町歩もできてくるような需給の動向というものを見逃しておくような価格決定することが、真に誇りといいますか、生きがい、働きがいというか、農家として誇り高き生産と言えるのだろうか、その辺のところをどう判断するかが食管法で決められた範囲内での政策判断だと、こう思うわけであります。
  232. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ところで、大臣の選挙区というのは米はどれぐらいおつくりになっておられますか。
  233. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私のところも、実は帯広、十勝の付近と北見方面と数千町歩はあるかと存じます。
  234. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 北海道のいわゆる稲作の分野からいきますと、失礼ですが大臣のところは全体から見まして非常に少ない方ですね、水田としまして。それで、だからというわけじゃありませんけれども、私はやっぱり農家の実態からいきまして、いま大臣の言われている形とは、全体の調整という立場でわからぬわけではないんですが、やはり理解が不足をしているんではないか、こういう気がするわけでございます。確かにいま自作といいますか、自分で開田をする、そういう形が、大臣指摘をされましたように一万五千町歩も出てきたということは、これは数字から見てはっきりそうですね。ところが、なぜ米に集中をするのかということにつきまして、農家の実態というのは、確かに他と比較をしたときに、同じ農作物と比較をしたときに、米に集中をするという形はとっているけれども日本の全産業構造から見て、じゃ米に集中をしておるのかどうか。  このことを考えてみたときに、私は大臣指摘をするような状況ではなかろう。少なくともいま米作農家へいきましても、おやじは苦労しているけれども自分の息子には苦労をさせたくない、農業の跡継ぎはもうごめんだ、こういった傾向は依然としてやっぱりなくなっておりません。私は、それがいまの農家の現状ではないか。結果的に、他の農産物が低いから米がよさそうに見える。それは、そこに重点を当てて今日までやられてきたからそうなっただけの話で、そこの観点を抜きにして私は情勢の判断をしていくということについては、先ほど大臣農民のためにという、農民の味方なんだという表現からは、少しほど遠い感じがするわけであります。  農民皆さんは最近は青嵐会農政というふうに言っているし、その青嵐会の中でも切れ者の中川大臣がおるわけですから、これはおやじでもありおふくろでもありと、こうながめている。おやじやおふくろだと思ってながめていて、はたへ寄っていったら、これはやっぱりお釈迦さんに説得をされる前の鬼子母神みたいなもので、はたへ寄っていったら食われちゃったというのでは、たまったものじゃないのですね。そこの問題を、私はもう少しきっちりと農林大臣が文書でも表明をし、委員会の中でも言明をされているように、農家の本当の実態の立場を踏まえて私は当たるべきだ、こういうふうに思うんですが、考え方としてはどうでしょう。
  235. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 農村が決して恵まれた社会だとは思っておりませんし、農村を大事にしたいという気持ちはありますが、いま御指摘の、あなたのところには水田がないから水田理解がないと言われますと、実は畑作農家から見れば、これはもう公平に見てあらゆる意味で米偏重の農政であったと。品種改良から言っても、共済制度から言っても、土地改良から言っても、これほど畑作に比べて水田がよくてということは、これはもう否定し得ない事実だと思うのです。しかし、それじゃ畑作が悪いから米も比較的に余りよくないのだ、もっと畑作をよくしたらいいじゃないかという議論が一つあるわけなんですが、じゃ、北海道あたりの畑作を国際価格に、牛肉でいつも言われますように三倍だ四倍だ、五倍だと言われろと、なぜこういう高いものを食わなければならぬのかという消費者のことも考えなければいかぬ。  これをさらに米並みに、恐らく米の地帯でこれからビートをつくったり、大豆をつくったり、麦をつくりますと、畑作でつくったよりもさらに倍近くの奨励金をもらえば価格で買い上げると。ですから、いまの価格の倍ぐらいにすりゃ自然に畑作にいきますよという議論もありますが、確かに農村は大事だから、単なる経済問題だけでは解決できないにしても、いま国際的に麦にしても五倍、六倍、恐らく生産者から買い上げる値段では七倍、八倍になるでしょう、麦は。アメリカで買い上げているのはたしか千三百円程度と聞いておりますし、わが国では約一万円程度をお支払いしているということからすれば、これは農村が大事だからこそそこまで消費者の人も理解してくれているし、われわれもまた政策判断として国民の前にやっていることであって、何か私が青嵐会で冷たくてなんていうことじゃなくて、私ほど温かく温かく、ただ言いにくいことだけはざっくばらんに言うけれども、だれよりもだれよりも農村を愛していると、こう思っている次第でございます。
  236. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの大臣答弁を信頼をするとして、温かいかどうかはやっぱり具体的に温かいと感じなきゃこれはどうにもならぬわけでして、大臣一人が温かい温かいと言っていましても、ほかの人が見てあれは冷たいじゃないかと、こう言ったんじゃ、これはやっぱり政治になりません。少なくとも大臣がおれは温かいんだと言う限りは、側の者がやっぱり温かいと、こう感じるような具体的な形にあらわれるように、ひとつぜひともお願いをしたいと思うんですよ。  そこで、米価決定権の問題です。米価の最終決定というのは、これは生産者米価消費米価もそうなんですが、これを決定するのは農林大臣なんですか、あるいは内閣総理大臣なんですか。
  237. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 政府がこれを決定する、担当大臣であります私が責任を持って決定をすると、こういうことでございます。
  238. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 担当大臣責任を持つんだけれども決定政府だと、こういうことになりますと、政府関係のたとえばきょう大臣が御出席になった経済閣僚会議ですか、これはきょうはなかったんですか、そういうたとえば経済閣僚会議でもいいんですが、そういうところで相談をして最終的に決めるということであって、共同責任なんですか、その辺ひとつ。
  239. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 農林大臣決定したもめを閣議で了解を得て正式決定となると、こういう順序でございます。
  240. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 農林大臣決定をするまでの経過としまして、農林省以外に米価に介入する権限を持つ省庁というのはあるんですか。
  241. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 権限はありませんけれども、物価その他の問題から言えば企画庁のやはり意見も聞いてみると、財政当局にも影響してまいりますから財政当局とも相談をすると、こういう過程はあろうと存じます。  それからもう一つ、温かい温かくないという話がありましたが、短期的に温かいのと長期的に温かいのとありまして、たとえば親切に言う人の方が案外あやしい人が多いと。やさしく言っている人の方が案外長期的にはこわいと。女房のようなのが、一番厳しく言うけれども、長期的に見れば一番温かい者であると。言葉は厳しく親切のようであり、たとえば酒についてもあんまり飲んではいけないとかいろいろ厳しく言うが、長期的には温かさの方がむしろ大事な場合があると、こういうつもりで対処しておるわけでございます。
  242. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 まあ温かい温かくないは、それで論議しかけるとまた相当一問答やらなきゃならぬことになりますから、時間の関係で差し控えますけれども、結局、先ほども同僚委員の質問にこれは次官が御答弁になっておるんですが、米価諮問案ですね、これは一つの計算基礎であり、そしてこれが審議会に諮問されるわけですね。審議会で答申が出てくる。これは、きわめて科学的データに基づいて出されそうなニュアンスの御答弁がありました。ところが、それにこだわらないで、これは昨日大平さんが一万人集会の中で表明をされたことに関連をしましての質問でありますから、そこで、それとはかかわりなしに、諮問あるいは答申にはかかわりなしに、政治的にもう少し高いところで決められるんではなかろうかという、そうだとは言い切られなかったんですが、そういうニュアンスのように私は受けとめられたんですが、そういう御答弁がございました。これはまあ私は政策米価といいますか、政治米価といいますか、その正味が私は隠されずに答弁をされたというふうに理解をするのです。  さらにまた、私自身が直接きのう耳にいたしましたが、私どもの出身の前の幹事長の木村さんです。木村俊夫代議士です。この方は、農家の期待に沿って党としては据え置きにはさせない。と同時に、八日午後あたりに最終的に生産者米価は決まるだろうけれども、この決まるに当たっては政府・党、政府と党です。言うなら政府と党で決定をすると、こういうふうに言われております。そうしますと、この最終決定権というのは、先ほど大臣が言われましたように、形の上で農林大臣が閣議に提案をして、そうしてそれが了承されたものが政府決定として出るんだけれども、その根回しといいますか、最終決定段階では政府と党の最高幹部、ここで決定をされるのであって、農林大臣が直接これに差しかかわるのかどうか。ここの関係を私は少し具体的に説明をいただきたいと、こういうふうに思うのであります。
  243. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 米価決定当たりましての政府与党である自民党との関係でございますが、自民党の中にもいろいろ御意見がございます。そこで、正式には党の中にも総合農政調査会あるいは農林部会という正式の政調会の中の担当する部門がございますので、その方と十分連絡をとりながら、党の正式の意見を聞きながら最終判断をしたい。過去もそのようにやってきておりますし今回もそうなるであろうと、こう思うわけでございます。
  244. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま米価据え置きをめぐる動向とでもいいますか、新聞等によりますと、おおよそこういうふうな形になっていると思うのです。生産過剰の基調であるということが一つですね。それから、物価は鎮静ぎみである。したがって、米価の引き上げの要因がない。二つ目は、生産調整推進のための助成が必要ではあるが、四十六年以来今度は七年ぶりに据え置き諮問になるであろうと。しかも、それはなかなか全体としてはおさまらないであろうから、奨励金の増額あるいは生産調整協力助成、こういったもので大体上限としては二%程度の公算になるだろうと。そして、けさの新聞では、先ほど下田委員から指摘をされましたように、一・八%は基本米価じゃなくってそうした形で積み上げが確実である、こういう報道がされておりますね。そして、五十二年産生産費、これの調査結果というものは本日四日食糧庁がまとめるんだと。で、米価は五十年、五十一年、五十二年、三年間の平均生産費、十アール当たりの平均収量、これを基礎とする生産費所得補償方式に本年もいくだろうと。  そこで、物財費の主要項目というものが前年より低下をしておるということ、労働時間が減少をしているということ、あるいは十アール当たりの反収量が増加をしている、いわゆる生産向上があったということ。そうして、金利負担はいわゆる金利の引き下げによって軽減をしている。そうして生産過剰になり、さらに消費が減退をして五十三年の米穀年度古米持ち越しはいわゆる五百三十万トン、これは修正されたものですね、五百三十万トンにもふえるであろう。したがって、とてもじゃないけれども基本米価は引き上げることができないから据え置き諮問になることは確実だと、こう言っているわけですが、これは勝手な新聞の予測でしょうか。
  245. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 米価は、どうするか、いろいろ議論はありますが、まだ最終判断をしておりませんで、新聞にいろいろ出ておるようでございますが、その方については私は関知いたさないところでございまして、また生産費の方もできるだけ早く発表したいとは思っておりますが、まだ私自身も知っておらないところでございますので、新聞には私どもの知らないことも多く出ておることは事実のようでございます。新聞の人はいろんなところから聞いてこうなるであろうと、こう思って書かれるのかどうかわかりませんが、新聞に私たちがわれわれの持っているものをコメントして、出ておるというような性格のものではございません。まだ手持ちがない段階でございます。ましてや、でき上がりについて、米審にも相談しない前からそのようなことが決まろうはずがないと、こう思う次第でございます。
  246. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 米審傾向からいきまして、いわゆる諮問内容がきわめて大きなウエートを占めます。農林大臣諮問したものが、まるっきり要素を変えられまして答申されたといういきさつは私知らないんです。これは知りません。したがって、知らないということは、農林大臣諮問の意向、いわゆるデータの与え方、あるいは打診の仕方、諮問の仕方ですね、これがその年の決定米価に大きなウエートになっていることだけは否定ができないと思うんですね。そうなりますと、今日の米をめぐる大体の情勢は、数字がどうあろうとこうあろうと、大臣としてはおおよそ理解をされておることは間違いない。いわゆる事務官僚の方からまないたに乗りました数字をぱっと当てられて、じゃあこうしましょうという中川大臣の性格ではなかろう。言いたいことはずばりずばり言うが、口は固い方ですから、なかなか答弁でずばり言うことはむずかしかろうというふうに思いますが、大臣のひとつ今日この現在におけるいわゆる諮問に対する態度というものを、ちらっとでも答弁ができませんでしょうか。
  247. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 事務当局から出たものそのままではないことは事実でございます。私は私なりに、いろんな党の皆さんや、またこうして委員会皆さんの御意見を聞いた上で最終判断をしたいと。まるっきり何もないと言ったらうそでもありますが、固まったものがあるかというと固まったものもない。まあ、いま半熟程度であるということで一応答えておきます。
  248. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 半熟の内容もどうもお聞かせをいただけないようでありますから、時間のむだになりますから、次に進めます。  主管の大臣の立場から、先ほど質問にも関連をするんですが、財政当局生産者米価及び消費米価について、これは午前中も藤原委員やあるいは村沢委員の方からも問題になったんですけれども、これをお出しになっていることは御承知でしょうか。
  249. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私はさっき質問要旨で聞いた程度でまだ見てもおりませんし、聞けば、毎年そういうような米価をめぐる周辺の資料というものを出しておるように聞いておりますが、正直言って見ておりません。
  250. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 中身は後で当然ごらんになった方がよかろうというふうに思いますが、大変重要な問題が実は大蔵省から出ております。中身の問題は私きょうは余り触れようとは思わないんですけれども、実は、大蔵省が印刷していることはもう確認ができておるわけです。ところが、実は、大蔵省という発行の責任証明も何もないんですね。「五十三年六月」と、ぱっとこう置いてあれば、一体どこでこんなものをつくったのかという話になるんですが、もし、これで大臣新聞が世論づくりのために記事をつくり宣伝しているということになりますと、これは一体大臣としてはどういうふうな御見解に立つんでしょうか。
  251. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私の聞いたところでは、新聞社といいますか、クラブからの求めに応じて出したものであるというように聞いております。新聞国民に向かって正しいいろんなことを報道することが必要なことでございますから、中身が違っておったり悪意があったりすればこれはもう問題でありますが、正しい内容のことをレクチュアするといいますか、求めに応ずるということは、これはそう御批判をいただくようなことではないのではないかと。中身が違っておったり、悪意があったりというような点があればこれは改めてもらわなければなりませんが、悪意があるかあるいは間違いがあるか、そういう点があれば大蔵省にも改めてもらうようにいたしますが、まだ中身を読んでおりませんが、出たものがすべて悪いというふうにはわれわれは考えておらないわけでございます。
  252. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ただ、生産者米価及び消費米価ということで、しかも時期は六月です。きわめてこれが、国を挙げての大変重要な問題であり基本政策の課題なんですね。しかも、それが、新聞社から求められたとは言いながら、発行の省庁もこれを書かない。しかも、午前の質問でいきますと、それは確認をしているんですから責任は持つんでしょうけれども、しかしこれは省としての公文ではない、公のものではない、こういう話に実はなっています。  そこで、私は大臣に明確に御答弁いただきたいんですが、少なくとも新聞記者クラブという、いまマスコミのいわゆる世論誘導のためにはきわめて重要な役割りをしておること、これは私が説明するまでもないと思うんですね。そういう新聞記者の諸君を前にして、しかも、大蔵省が求めに応じて出すというんなら、きちっとした責任を持って、記者クラブだけに、私は政府見解として統一したものを出し得るようにしなければおかしいんじゃないのか。少なくとも、生産者米価あるいは消費米価について、所管が農林省の基本的な所管のものであるということは、大蔵省も百も承知ですね。財政の立場だけで説明をする問題じゃないんです。これは。  そうした問題に、しかも発行の大蔵省の証明もつけない、しかも公文ではないという、そういう立場で、一番社会的に影響力を持つ新聞社の諸君にこれを出すということについて、これはむしろ、農林大臣という立場もあるけれども、内閣、政府大臣の一員として、一体そのことをどう考えるのでしょうか。私は大変問題だと思うのです。大蔵省が、農林省のとっている言行に対して、実は基礎はこうなっています。予算的には私どもはこうこうですよという補足的な話の問題じゃない。少なくとも提起をするに当たって、社会の重要な問題なら、大蔵省が出すに当たって、農林省と相談をし政府見解として統一をするなり、大蔵省が明確に責任を持ちますよという立場で省名を明示するなり、きちっとすべきじゃないんでしょうか。私は、この辺の取り扱いについてきわめて暗い問題がある、こうしか受けとめられません。この辺は、大臣一体いかがでしょうか。
  253. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 求めに応ぜられれば、なるべく米をめぐる事情というものは、やっぱりマスマミを通じて国民に知ってもらうということが必要であって、まあ出せないということにはいかないのだと思います。ただ、クラブから大蔵省にあったのであって、農林省に来たならば農林省でも出せるものは出すわけでございますが、ただ、出し方について、なぜ大蔵省と書かなかったとかいうような点について、改善するところがあったら改善したらいいと思いますけれども、それほどマスコミを誘導して悪意にしようといったものではなかろうと。よく読んでみまして、どういう意図であるか、少し研究してみたいと思います。
  254. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 研究をされると言うのですから、研究をする材料の問題として、私、意見を申し上げておきますが、少なくとも大蔵省に対して記者クラブの方から照会があれば、消費米価あるいは生産者米価は当面の課題であり、その所管は農林省なんで、少なくとも農林省の方の見解を聞いてくださいと言うのが、私は政府機関の一員の役目じゃないのか。ただ、農林省の基本見解が出まして、それに対して大蔵省は一体どういうふうに判断をするかというなら、私はわかるんです。ところが、そういう順番になっていない。しかも、先ほど大臣言われますように、例年から、この米価決定段階になると、大蔵省はそういうふうなことを慣行としてやってきた。それは私も承知をしています。しかし、本年のこの中身と、従来行ってきている大蔵省のいわゆる中身とは相当質的に違うということを、私は申し上げなければならぬと思います。  ここに私は、大臣、これはまた重ねてというような話になりますが、本年の畜産物価格を決めるこの段階から、いわゆる消費米価の値上げと、それから生産者米価据え置きというのは、そこからもう出発をしまして、政治的に外堀をずっと埋めてきているのじゃないのか。畜産物価格の問題、それから次は麦価の問題、麦価の問題も、これは予想をはるかに下回りました、残念ながら。私どもで試算をして、少なくとも五%ぐらい上がるんじゃないかというふうに期待をしておったんです。諮問はされるだろう、結果がどうなるか見ておったんです。これはまた二・一%、ずいぶん下がりました。これはひとえに、食管の中でいま一番予算を食っているいわゆる生産者米価について、据え置き前提とする政策的なそれぞれの値段の決め方じゃないのか。こういうことを不信感としてみんな持っておる。  私は、少なくともそれが、先ほども申し上げましたように、政策的に今日の経済情勢としてはこうなんだから、実際にはじいてみたときに従来の形からいくとこうなるけれども、この辺は今日の経済情勢でがまんをしてくださいよという要素が明確になるんなら、それはまた考え方はあるんです。しがし、大体の基礎をもう頭に置きながら、それに理論づけを無理にしていって、理論づけを後から考えていってやっていくようなやり方に見える、こういう米価決定なり麦価の決定なりということについては、私は基本的に改めるべきじゃないのか、こういうふうに考えるのですが、これは当事者はそうは思っていないかもしれません。外から見ていると、明らかにそういう要素が濃いですね。この辺の不信感は、これはやっぱり大臣、きちっと払拭をする最大の努力というものはやってもらわなきゃならない、こう思うんですがね。
  255. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) そういうふうに見られるとすれば不徳の至すところでございますけれども、われわれとしては、全くそういう据え置きのために根回しをしてきたつもりはございません。畜産物価格については、御承知のように、計算をいたしますと生産費からいっても上げる要素はないということが数字の上できちっと出たものであって、しかもなおかつ消費拡大というところからいくならば、やはり生産費を低める、そして畜産農家も長期的に安定的に生産ができるというのがよかろうというので、生産対策としての助成を行って円満に解決したところであり、また麦価につきましては、これは去年から決まったことで、奨励金を価格に織り込んで当分の間はパリティをもってやる。  先ほど指摘あったように、ときどきによって余り変化することはいかぬというようなことから、米と乳製品を除いてはパリティをもって行う。麦、大豆、甘味資源作物というものは昨年から決めたことであり、特に麦価については米審も満場一致で決まったことをことし踏襲しただけであって、しかもことしの麦価の審議会におきましても、一、二の同調の得られない方はありましたが、大多数がこれで結構であるということで決まったのであって、米価を決めるために操作をしてやってきたことではない、これだけは信頼をしていただきたいと思いますし、農家の米を据え置くためにいろんなからくりをやっているようなことを思われたら、これはもう本当に心外なことであって、われわれも姿勢は改めてまいるところは改めてまいりますけれども、そういう誤解のないように、麦価の決め方も、畜産酪農製品の決め方もしかるべき機関と十分相談して、まあまあよかろうというところで決めたことでございます。  米価をめぐる情勢は、これは厳しいことだけは国民皆さんにも知っていただきませんと、第一回目七百万トンの生産調整をやったときに農政不信が起きるぐらい大変だったわけです。そして水田を休ましておったと、こういう農政はあるのかという非難があった。その後また米が意欲的になって、さらに五百三十万トン余るということになれば、これは大変なことであって、財政上からいっても約一兆円という国民皆さんの血税をお使い申して処分をしなきゃならぬということですから、これはもうあらゆる機会を通じて国民に知っていただくことが必要なことであって、単なる意地悪をして据え置くというのではなくして、実態はあらゆるところを通じて知っていただきたい、そしてどう対処するか、正しいものをベースにして判断をしていかなければいけない。  農家皆さんにはまた農家皆さんの言い分もありますから、それぞれ農家事情訴えられる、財政当局は財政の厳しいことを訴え農林大臣としては長期的に農政が農家のためになり、しかも国民皆さんの批判を仰がない、こういう方向で責任を持ってやっていることであって、何か農民をわれわれが敵視して、抑えて抑えてというようなひきょうな考え方は持っておらないことは、本委員会を通じて国民皆さんにはっきりと申し上げる次第でございます。
  256. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 時間の関係がありまして困っているんですが、いまの大臣のそういう答弁からいきますと、私ども心からこの要求の立て方の問題について賛成をしておるわけではありませんが、ただ全中がことしの米価要求について、従来の八〇%バルクライン、これをひとまずたな上げをしまして、そして同じ政府と土俵を合わせてやろうじゃないか、こういう形に本年は変化しましたですね。これはもう御承知のとおり。その中で、同じ土俵には乗ったんですが、たとえば企画管理労働の評価の関係、これは四十二年採用しておったものが途中でなくなっちゃった。これは事実ですね。それから小作地のいわゆる地代の評価の問題も、これまた同じ土俵に乗ったと言いながら、統制小作料とのかかわりの中で実納小作料と大きな開きのままで食い違いになっている。さらに、家族労賃の評価の問題も、労働時間を含めましてこれまた問題になっている。言うなら、土俵を合わしたと言いながら、現実問題としては政府が採用をしようとし、あるいは今日まで採用をしてきたことと、いわゆる農協の主張しておる要素というものは大きく食い違いがあるんですね。  せっかく同じ土俵に乗ろうじゃないかという話になり、政府もその主張については一時そのことを採用しておったものばかりですね。たとえば八 〇%バルクラインの問題にしても三十年米審で明確になり、それをとるかとらないかで大変迷いながら今日まで来た実績がある。そうした状況からいきますと、少なくともいま農協が要求の次元についても政府の立場に立ってやってみようと、こういう話の中で、少なくともこれだけは他との一般労働者その他と比較をしてみてもこれは不公平じゃないのかという立場の主張は私はきちっと耳を傾け、政府もそれに近づけるべき努力というものは明確にすべきである。  私は時間がないんで、細かくやるつもりでしたけれども、余分なことでやってしまいましたのでありませんけれども、この辺だけはぜひともひとつ取り上げておいてもらいたい、十分にその点を含めて私は諮問についての態度を決めてもらいたい、こういうふうに要望をしておきたいと思う。  それから、ちなみにこれはお聞きをいたしますが、ことしの先ほど取り上げたやつですが、この一月号の中に「農林大臣談話」ということで、昨年の十一月十九日大臣が談話発表しています。これの一番最後に、「公務員諸君に一言要請を申し上げたいと思う。」ということで、これは実は水田転作の課題なんです。「既に申し上げたように、水田利用再編対策は、日本農業の新しい展開のためにくぐり抜けなければならない試練であり、農業に生きようとしている生産者が、各地域において真剣に取り組もうとしているものである。水田を所有している公務員におかれては、本対策の趣旨を十分理解の上率先対処されるよう期待する。」と、こう結んであるんです。談話に。あなたの談話ですよ。  そこで、これは事務当局にお聞きをしますが、大臣がこういう談話を発表している段階で、たとえば公務員の中で水田を持っている、このことははっきりしている、私も知っています。その公務員が所有をしている水田の総面積というのは一体どれだけあるのか。それから、この再編対策の中で、公務員労働者がこの転作協力をしたいわゆる面積というのは一体どれだけあるのか、これをひとつ発表してください。
  257. 野崎博之

    説明員(野崎博之君) いま先生おっしゃいました前の十一月十九日の談話は承知いたしておりますが、公務員がどれだけ水田を持っているかということについて、直接はっきりした調査はいまのところございませんので、はっきりした数字はちょっと申し上げられませんし、その中で特に公務員がどれだけ転作をやっているかという問題についても、ちょっといまのところ把握をいたしかねる状態でございます。
  258. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は、これはきちっと調べて資料として出してもちいたいのが一つです。これは委員長お願いしたい。  同時に、少なくとも大臣が再編対策の一番さなかに談話として発表をし、重要なポイントでこれを指摘をしているんです。大臣の談話を事務局が受けとめて、具体的にそれがどれだけあって、どういうふうにやるかということを具体化をしない事務当局があるかというんです。何のために大臣が話をするんですか。マスコミ対策ですか、それとも。内容のあるものにするためには、少なくとも大臣の発言について明確に事務当局が責任を持って、そのことについてぴしっとやっぱりやり切るというその腹構えがなくて一体何とするんですか。私はこれはきちっと反省を求めたい。そういう形では、私は農政なんて今日の重大な段階に進まなくなりますよ、はっきり申し上げて。その辺を私は強く申し上げて、ちょうど時間が来ましたから、質問を終わります。
  259. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 昭和五十三年産米の生産者米価諮問を目前に控えてのこの当委員会でございますが、政府は私どもから見ますと、とりわけ米の生産過剰という状態を強調し、またPRし、生産者米価抑制のための地ならしを非常にことしは強力にやっているというように受けとめられます。これまでのどうして米が生産過剰になったかという点に対する深い反省、また、これからの農政に対する政府のまた特に米作農家に対して将来に対する展望というものを明らかにしないまま、米過剰をもたらした政府みずからの責任を回避するような姿であっては、非常に米の需給均衡のための生産調整に現在大きな犠牲を払いながら協力をしているこの生産農家の苦境を、ますます窮地に追いやるものではないかと非常に残念に思うわけでございます。  農林当局は、財政負担の軽減ということを図るために、五十一年度から米の逆ざやを五カ年間で全面解消するという既定方針を進めていらっしゃるわけなんですが、そういうことから考えますと、ことしの生産者米価は据え置くと。また、一方では七%なり五%の消費米価の引き上げを図って、食管会計の赤字を解消するんだと、こういう強い意図はこの財政至上主義に陥らないか。また、特にこの将来展望もなく、また大きな犠牲を払いながら生産調整協力している農家に対して余りにも片手落ちになりはしないか。財政中心のこの米価決定の方法というものは、食管法の基本に反するんじゃないかという気がしてなりませんが、この辺に対する大臣の御見解はどうですか。
  260. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 生産者米価生産者米価決定方式があり、消費米価消費米価決定方式があるわけでございます。したがいまして、直接連動はありませんけれども、売買逆ざやと言われるものが長期にあるということは、これはどうも食管制度そのものを堅持していく上において不健全なものである。もちろん財政に振り回されてはなりませんけれども、国の政治を預かる者として国家財政というものを無視してやるわけにはいかない。とするならば、これは短期的に解消することは無理としても、長期的に解消するということを念頭に置くことは、これはまた当然のことだろうと思います。  ただ、ことしどういうふうにということになりますと、これまた、来月末いろんな方の御意見を聞いた上で消費米価は判断したいと思いますけれども、こういう性格のものはなるべく長期的に食管法を堅持すると、健全なものにするというところからいけば、解消すべき方向に政策的に努力をするということは決して間違ったことではない、こう思う次第でございます。
  261. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 食管会計は維持しなけりゃならぬというのは、大臣おっしゃっているんだと思うんです。その意味で、長期的に赤字を解消しなきゃならぬという考え方はわかりますが、五年というのは長期なのか短期なのかということでまた意見が分かれると思うんですよね。いま農家は苦境に置かれている現状として、やはりこの五年間で逆ざやを解消するために米価決定というものは大きく左右されるということならば、この五年間で解消というのは余りにも短期的過ぎないか、こう思うんです。  それから、食管特別会計の一般会計からの繰り入れの問題ですけれども農家の所得と生産費の補償及び消費者の家計を安定するという両面から見ればこれは当然不可欠なものであろうと思いますけれども、ただし、これまで何回も言われてきたように、食管会計の管理経費、これについて事務費の節減であるとか、あるいは米のバラ輸送の促進、こういったコスト軽減のための施策はぜひこれは積極的に促進しなきゃならぬと思うんですが、これについてどのような努力をされ、今後またどう取り組まれるのか、その辺ひとつはっきりしてください。
  262. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 食管の管理経費の軽減につきましては、種々の工夫をいたしておるわけでございます。政府全体として進めております行政改革の一環といたします定員削減の問題につきましても、農林省、特に食糧庁関係は膨大な下部組織を持っておりますために一番高い率でやっておりますし、その中におきまして新しい行政需要に即応する農産物の物価流通対策の方に人を振り向けていくというような努力をしておりますし、また、検査の合理化ということで今回等級の整理をいたします。簡素化整理、五等級制度を三等級制度に直すというようなこと。その他輸送につきましても、あるいは保管につきましても、できるだけむだのないように、あらゆる努力をいたしまして合理化に努めてまいりたいというように思います。
  263. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ことし生産される米の必要諸経費の問題なんですが、五十二年産米と比べて一体何%上がっていると農林当局では数字的にとらまえておられますか。
  264. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 直接的なあるいはお答えにならぬかと思いますが、私の持っておりますいま手元の資料で見ますと、五十三年度予質におきまして五十二年度見込みに比べまして政府管理経費は、これは六十キログラム当たりでございますが、三千七百二十円を三千四百七十四円というような算定基礎に基づいて予算を編成をいたしております。
  265. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣、五十二年産米と比べて今年度生産のために必要な諸経費というものが上昇しているとするならば、その分はことしの産米のアップ率の計算対象として当然考えられることになると思いますが、その点はいかがですか。
  266. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ちょっと失礼を申し上げましたが、もう一回御質問をお述べいただきたいと思います。政府管理経費でございますか。
  267. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いやいや、農家生産のために必要な諸経費、これが五十二年と比べてどれぐらい諸経費がアップしているかということです。生産
  268. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 大変質問を誤解いたしまして間違った答弁をいた七ました。  五十二年に比べて五十三年はという御質問でございますけれども、これは現在ごく近く公表いたします生産費調査といいますのは、それによって経費がわか有わけでございますが、これは五十二年産米のことでございまして、昨年産米でございまして、五十三年産米については目下進行中でございまして、どの程度の機械を使い、どの程度の肥料、農薬を投入したかということはわかりませんので、一年先のことはわからないという意味では何ともお答えのしようがないわけでございますが、感じといたしますれば、やはりこれまでの傾向からいたしまして機械費ですね、これはだんだん高度な機械を使っておりますので、償却費が上がってくると。それから、資材費は比較的落ち着いておりますから農薬だとか肥料等はそれほど上がらないのではないか。それからまた、人件費といいますか賃金につきましては、上がり方は、もちろん米価のときには製造業労賃に換算をいたしますけれども、原生産費における賃金の上がり方は、例年に比べれば小さいのではないかというように思います。
  269. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ごとし米価の基本米価を据え置いて、その他もろもろの名目をつけて一・八%ぐらい上がるんじゃないかというように、マスコミ等ですでに数字が報道されておりますが、大臣は私は関知していない、関知してないところだと、こうおっしゃっておりますけれども、この数字を聞いて、要するに生産農家の再生産を償うに足りる数字である、妥当な数字であると、いいところいっていると、あるいはそのぐらいで抑えるのだという考えなのか、いやもっともっとことしは厳しいんだから抑えなきゃならぬというお気持ちが強いのか、あるいはこんなものじゃ本当に農家生産意欲が減退してしまうと、農政の柱が壊れてしまうというようにお感じなのか、その辺のところ、ひとつお感じを聞かしてべださい。
  270. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 私も新聞は拝見いたしましたが、何と言われましてもまだ申し上げられる立場にはありませんで、米審等の意見また当委員会意見政府・与党の意見を幅広く聞きまして、また生産者の皆さん意見米審で十分出るでありましょうから、それらを聞きまして最終決定をいたしたい、こう思います。
  271. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ここで若干米の流通問題についてお尋ねしたいと思うんですが、事前米審が先月二日間にわたって開かれたんですが、審議会に資料として「米穀の集荷・配給の現状について」というのが提出されました。この中で米の流通問題について何点か触れられているんですが、この資料が提出された目的それから内容の全体的なねらい、これはどこにあったのか、ひとつ御説明いただきたい。
  272. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 私どもといたしましては、現在の米の需給の現状から申し上げまして、需給均衡化を図るためには一方で水田利用再編対策によります生産調整をやるということとあわせまして、積極的に米の消費拡大を図ってまいりたいという気持ちを持っておるわけでございます。そのためには学校給食の問題あるいは新製品の開発の問題、良質米の生産の問題等、多々なすべきことが多いと思いますけれども、その中の一つといたしまして、流通関係の業者の方にも積極的な販売努力をお願いしたい。これは食管制度という一種の統制のもとでございますので、一〇〇%の自由競争というわけにはまいりませんけれども、何といいますか、俗に言う統制の上にあぐらをかいているというような面がなきにしもあらずで、やはりそこに現行制度の根幹を守る範囲内におきまして、競争関係を入れていきたいというような気持ちで流通関係者の消費拡大、販売努力もお願いしたいと。  そのためには、現在の集荷、卸、小売それぞれの段階におきます流通なり販売のあり方等について競争の条件を導入し、販売努力をし、それが消費拡大につかがるような観点から見直しし、必要な場合手を加えていくという面があるのではないかということで検討を始めておりまして、現在各業界に問題を投げかけて、それぞれ検討もし意見も出すということで進めておるわけでございますが、若干時間はかかっておりますけれども、ぜひそういうような考え方で進めてまいりたいと思っておりますので、それに関する資料を提出したわけでございます。
  273. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 流通機構の改善についてなんですが、これは昭和四十七年当時も合理化案の提起はあったんですが、卸段階での改善案というのが出されなかったんですね。しかし、今回すでに新聞報道でもありますように、集荷、卸段階で農協と卸業者の相互乗り入れを認めるんだと、こういうことなんですが、そこでこの卸に対する農林省考え方、現時点の腹づもりといいますか、これについて明らかにしておいてください。
  274. 澤邊守

    説明員澤邊守君) これは現在検討中でございますので、まだここでこういう考えで、進めたいというふうにはっきり申し上げる段階に至っておりませんが、問題点といたしましては、ただいま先生の御指摘ございましたように、卸の段階生産者団体が一部すでに入っておりますけれども、全面的に必ずしも入っておらない点がありますので、卸業界に進出する、いま以上にできるようにするというようなことの可否、それから逆に卸売業者が集荷面において集荷業務に参加できるというようなことの可否、さらに小売との関係におきましては、現在は卸売業者と小売業者の間は一対一でつながっております。いわゆる単数のつながりになっておりまして、小売屋さんは特定の卸屋ざんから以外買えないという実態になっております。  もちろん、登録変えは三カ月ごとにできますから、いやな卸屋さんからは別の卸屋さんに変わるということはできますけれども、一応変わった限り三カ月間は複数のどの卸屋さんからでも仕入れができるということになっておらないという意味で、競争が制限されている面が見られますが、それらについてどこまでできるかというようなこと。あるいは新規参入を新たにどこまで認めるか、あるいは営業区域を現在の県単位でいいのかどうか、隣県まで延ばせるようにするのがいいかどうか、これはいずれも既存の商権にかかわる問題で、それぞれの業界としては大問題でございます。したがいまして、私どもも現在結論を出しているということではなくして、無理のない形でどこまでできるかという、問題点としてはただいまのようなことを念頭に置きながら業界にも検討を頼んでおり、私の方としても独自にやっておるところでございます。
  275. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 卸段階における自主流通米についてなんですけれども、現状ではルートが限定されているために生産地から県の経済連を通し、全農、卸商、小売商、それから消費者というように流通経路が非常に何段階もくぐるんですね。流通コストがそれだけ割り高になるわけですが、自主流通米について流通経路の合理化や競争原理の導入ということで、生産者それから消費者ともに合理化利益の還元を図るべきじゃないかと思いますが、この点について、大臣、ひとつ御所見を聞かしてください。
  276. 澤邊守

    説明員澤邊守君) まだ大臣に詳しいところまで御相談するところまで至っておりませんので、私から答えさしていただきたいと思います。  自主流通米につきましての御質問でございますけれども、自主流通米もこれはいわゆる自由米じゃございませんので、食糧管理の規制のもとにおいて一定の秩序ある流通をしておるということでございますので、完全に野放しにいたしまして買い手と売り手と勝手につながって自由に流れればいいというものではございません。全体での販売計画といいますか、流通計画、配給計画の中において、いわゆる正規の政府が買う場合のルートを通じて、ただ政府だけはこれに介在をしないという形で流れるようにいたしておるわけでございます。  御承知のように、全国の指定法人、具体的に言えば全農が圧倒的なシェアを持っておりまして、単協から県連、それから全農というように上げていきまして、卸と流通数量なり、あるいは取引数量なり、取引価格決定をいたして私どもがそれを認可するということでやっておるわけでございますが、いろいろな議論がございまして、そういう三段階まで、上まで上げてやらずに、県連と卸が直接つながるようにしたらどうかとか、あるいは極端な場合には卸が単協と直接取引できるようにしたらどうかと、こういうような御意見があることも承知しておりますけれども、余りこれは野方図にいたしますと、全体の配給計画といいますか、流通計画を乱すことになりますので、競争という面では確かに一つの案だと思いますけれども、それがどこまでできるかという点は非常にむずかしい問題がございます。  また、食管制度そのものの問題とは別個な問題といたしまして、農協の共販のあり方として単協段階でとめるのか、経済連まで上げるのか、全国連まで上げるのかというところは、農協の共販事業のあり方としてもやはり議論になるべきところであるという両面を持っておりますので、慎重に検討をいたしておるところでございます。
  277. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一面においては米が余りぎみ、そして生産者の農家については、やはり再生産を償う生産者米価というものを考えてあげなければならない。一方、米の消費拡大も図らなければならない。しかし、逆ざやを解消するためには消費米価を上げなければならない。それがまた、消費者のお米に対する米離れということがあっては心配だ。いろんな点から考えて、非常にむずかしい問題ではありましても、この流通問題とやはりこの機会に意欲的に取り組んで、合理化されたメリットというものを、生産者にも消費者にも還元できるという方向で、やはりこの段階で思い切った取り組みが必要と思いますので、その点はひとつしっかりやっていただきたいと思うんです。  それから、自主流通米に対する助成措置についてお尋ねしておきますが、ことしの助成措置についてはどういうふうに考えているのか、それから良質米奨励金の扱い方がどういうふうになるのか、この二点について。
  278. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 自主流通米を円滑に流通させるために従来から各種の助成をいたしておりまして、五十二年度では集荷促進のための融資措置なり、通年販売を促進するための経費の交付、それから出回り期における玉ぞろえ保管のための金倉の助成とか、それから目標達成奨励金、流通促進奨励金とか、それにただいま申された良質米奨励金というような各種の措置を実施しておるわけでございますが、本年度具体的にどのような措置をとるかということにつきましては、基本米価決定後に、例年のことでございますけれども、各般の事情考えてから決定してまいりたいということで、現在まだ具体的な検討を進めておらない段階でございます。  さらに、良質米奨励金についてのお尋ねでございますが、生産と流通を奨励するということは、消費拡大にもつながることで望ましい方向だということで、自主流通米を中心にいたしまして良質米の奨励をしておるわけでございますが、今年度正確ではまだございませんけれども、良質米奨励金が出ているのはウルチ米で二百三十万トンあるわけでございますが、そのうちでA銘柄のものが五十二年産では約百万トンであったのが、五割程度ふえるのではないかというふうに見ております。その逆にB銘柄、というのは奨励金の安い方でございますが、これは若干減るのではないかということで、全体としてふえろ傾向にございます。  そういたしますと、良質米は消費拡大に結構なことでございますけれども、やはり量がふえればふえるほど価格がなかなか高く売れないというのは、これは経済の原則でもございますので、需給関係からいたしますと、全国ベースにおきましても、特に地域間におきましてもかなり売るのに苦労するのではないかというような、やや限界に近づく現状にございます。西の方の各県は良質米は比較的少ない県でございますけれども、どうしてもやはり自県産の米を消費するという一種のモンロー主義的な考えがございますので、いい米だから必ず全国をまんべんなく流通するということはございませんので、そういうような問題もございまして、数量につきましても価格についても限界に近づきつつあります。  したがいまして、これをさらに先ほど申しましたような各種の奨励金をどうするかという非常に微妙な問題がございますので、基本米価とあわせて慎重に検討したいというふうに考えるわけでございます。
  279. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大臣、ニュージーランドの政治会談からお帰りになって初めての委員会なんで、若干ちょっとお聞きします。  かなりいろいろ御苦労されたと思うんですが、一応の解決を見てお帰りになりましたけれども、まだまだ残された問題も多いわけですが、漁業問題ですね、ニュージーランド二百海里沿岸では十六万六千トンの漁獲高をこれまで揚げていた。特にカツオ・マグロの好漁場であって、今回解決したのは喜ばしいんですが、いつから再開されるのか、この時期ですね、それから入漁料の問題は一体どうなるのか、それから漁獲高についてはどれぐらいの額でこの交渉がまとまったのか、この点を明らかにしてください。
  280. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) おかげをもちまして、今回懸案でありました農産物の輸入問題と関連をして、ニュージーランドにおける二百海里の日本漁船による操業の話し合いがついたわけでございます。その話し合いの時期は、七月の早い機会にということで、何日とは決まっておりませんが、なるべく早く交渉を再開したい。入漁料あるいは漁獲高につきましては、まだ一切触れておりません。ただ、漁獲高については、会談の際、過去の実績が確保されるように、早い機会に話がつきますようにということを基本的にお願いしてまいりました。それに対しては、日本の分はとってあるつもりですから、そうむずかしくなく解決できるものと存じますというのがマルドーンさんの回答であって、漁獲高が幾らとってあるのか、入漁料をどうするのか、すべてこれからの交渉で決まるわけでございます。
  281. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今度の漁業問題に関してニュージーランド政府は、日本が牛肉や酪農製品をどれだけ買うのか、その輸入量に応じて漁獲割当を増減するんだと、いわゆるリンク方式というものをとるんだということなんですが、どうもニュージーランドの方に分がある決め方といいますか、そういう気がしてならないんですが、これに対して農林省は一体酪農製品輸入についてはどのように案をいまのところ考えていらっしゃるのか。まとまっていればその中身を、まとまってなければ、いつまでにその中身を決定するのか、明らかにしてください。
  282. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) ニュージーランドとの交渉に当たりまして、酪農品については、現在わが国では過剰傾向にあって輸入できる状態ではない、しかし、ニュージーランドが酪農品の重要か、つ信頼に足る供給国であるという考え方を表明したにとどまっておりまして、今後わが国に向けて輸入をするという約束はしておらないところでございます。ただ、新聞等にもございますように、わが国は買えませんけれども、海外協力物資として申し出があればニュージーランド製品のものをわが国が買って、現物で途上国等に援助をする、こういう形での対応はいたしたいということでございまして、わが国がニュージーランドから何ぼ何ぼ買う、買わないから魚とどうだこうだと、リンクされておるようなことはない交渉の内容であったということを、申し上げておく次第でございます。
  283. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 交渉の中で、牛肉の問題ですね、輸入の拡大に努力するということはおっしゃってきたんでしょう、大臣は。それも合意の中身だというふうに聞いているんですが、具体的には一体どうなっているのか。
  284. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 牛肉につきましては、これはニュージーランドも豪州も同じであり、また、アメリカに対しても同じ考え方でございますが、特にこれは二国間よりは、MTNの多国間の問題でございます。私が農林大臣に就任以来の考え方、すなわち消費拡大を図る、そのためには生産コストを安くする、そして流通経費等の節約を図る、合理化を図る、こういうことによって安定的に消費がふえる、そして国内の生産で追いつかない部分はこれは安定的に輸入をする、こういう基本的な考え方を申してきたのでありまして、単に外国のものだけを入れていくのだというのではなくして、そういった背景のもとにそういう努力をしていきたい、そしてまた、そういう結果になるであろうという見通しを持っておる、こういうことで対応してまいりたい。これはニュージーランドだけとの話ではなくて、全体としての、グローバルとしての基本的な考え方は、国内でも申し上げておりますし、外国に行ってもそういう立場で発言をしでおる次第であります。
  285. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ニュージーランドの牛肉の場合は、値段がオーストラリアの牛肉よりも高いと思うのですが、輸入が決定した場合、政策的に何らかの方策は立てなきゃならぬだろうと思いますが、この点についてはどんな準備をされておるのか。それから、国内畜産農家との調整についてはどのようにおやりになるお考えなのか。
  286. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) わが国の牛肉の輸入は、畜産振興事業団がその大部分を一元的に扱っているわけでございます。その場合、わが国の国内で需要される種類、品質、規格のものをこれを発注するわけでございますが、その発注に応じて輸出する各国が入札をするということになるわけでございます。この場合の価格条件、これは輸出する側の生産事情なり、あるいは需給事情によってそのときどき変動はあるものでございます。一般的にいま競争条件からいくというと、ニュージーランドよりオーストラリアの方が比較的強いのではないかというふうに従来見られておりますが、必ずしもそうばかりではなく、特にことしに入りましてからは、オーストラリアの価格が上がったというようなこともありまして、ニュージーランド側はかなり競争し得る状況にあるわけでございます。  それから、入れた牛肉につきまして、これを国内的にどう扱っていくかということになりますというと、これはチルドとそれからフローズンによって異なりますが、チルドの場合は、いわゆる瞬間タッチということで、あらかじめ定めた定額の調整金をこれに加えて、国内価格とバランスのとれた価格にして売り渡すということにいたしております。フローズンの牛肉の場合は、国内価格、同等の品質のものと見合う価格でこれを競りに出す、あるいは入札で売りに出すというような方法でもってこれを放出いたしておるわけでございます。グローバルでございますから、特別にニュージーランドのものを幾らで幾らの数量を買うというようなそういうことをあらかじめ決めるものではない、やはり経済的な競争条件の中で、いま申し上げましたような方法をもって買い入れ、方法をもって売り渡すわけでございます。
  287. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間が来たので、終わります。
  288. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、いよいよあと二日後に諮問ということですが、午前中から事務当局の皆さん方に繰り返しお尋ねしていたところなんですけれども、ことしの米価算定に当たっても、食管法の第三条の二項に基づいてまず考えると、それからその際には、生産費所得補償方式というふうなことを基本に置きつつも、いろいろとお米が大変な過剰ぎみであるというふうな経済事情考えながら決めたいというふうなお話もございましたが、その過程で、再生産確保ということについてどうなんだといろいろ議論をした。その議論については、いま私、大臣に聞くつもりはありません。  議論が分かれているけれども、しかしはっきりさせておきたいことは、食管法の第三条の二項の中に、いわゆる「政府ノ買入ノ価格ハ」云々という中で、再生産確保という問題が入ったのが昭和二十七年のときであったということだけは、これは大臣は知っていると思うんですが、そのことを確認いただいた上で、いろいろ議論は分かれているけれども、しかしことしも生産費所得補償方式ということでいくならば、その基本である生産費を償うということが一点と、もう一つは、都市と農村の所得の均衡、格差是正というふうなことは、もちろんこれは基本にあるというふうに大臣考えだと思うんですけれどもいかがか、お尋ねしたいわけです。
  289. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 生産費所得補償方式によって米価決定するということは間違いございません。ただ、いろいろな経済事情の中でございますから、いろいろなことを考えなければならないと思います。特にことし考えなければならないのは、需給のバランスがこんなに悪くなっておったということでは困りますので、   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 需給のバランスをとる方向ということも相当有力な大きな参酌事項として、どう配慮をするかということで、いま非常に頭を痛めておるところでございます。いろんな事情を参酌して決めたいと存じます。
  290. 下田京子

    ○下田京子君 需給の問題は、直接私はいま尋ねておりません。需給のバラレスをどうこうするかということは、これはどうでもいいなんていうむちゃくちゃなことを言っているんじゃなくて、それは考えなければならない一つの柱であると。日本の農政のあり方、あるいは日本の経済の根本的な見直しをどうかという点でこれは議論すべき問題であると、それはわかるんですが、私がいま申し上げたのは、生産費所得補償方式によるというふうな際の押さえどころの一つとしては、生産費を償うということが一つであり、もう一方では、都市と農村のいわゆる所得格差の是正ということも一つの柱に入っているでしょうということを御確認いただきたいために申し上げたわけなんです。  その点から次に移りたいんですけれども、これはもちろん生産費所得補償方式をとるということになれば大前提で入ることだと思うわけなんですが、その都市と農村のいわゆる所得格差の問題について、一体現在どうなっているかというふうなことなんですけれども、これが年々拡大してきているんじゃないかというふうに言えるわけですね。特にその一つなんですけれども、米の販売農家の一日当たりの家族労働報酬と、それから十アール当たりの稲作農業所得とのこれを比べてみた場合、特に一日当たりの家族労働報酬費と、それから五人以上の製造業男女の一日当たり賃金、こう昭和三十五年から見ていった場合の数字なんです。  これは農林省の方から「米生産費統計調査結果」と「毎月勤労統計調査報告」ということでいただいた資料なんですが、確認の意味で事務当局の方から最初に御答弁いただきたいんですけれども昭和三十五年の場合にそれを見てみますと、一三五・三%あった。ところが昭和四十年になりますと一四二・九%、それが昭和四十五年になると一日当たりの家族労働報酬が二千四百九十三円で、片一方五人以上の製造業の男女込みの一日当たりの賃金を見ますと二千八百四十三円九十二銭というふうなかっこうになって、これは逆転していわゆる製造業の方がはるかに高くなって、お米販売農家の一日の家族労働報酬が八七・七%、こう下がってきた。それからまた、五十一年になるとそれが七五・八%というぐあいに大変下がってきている。これは事実だと思うんですが、間違いございませんね。
  291. 澤邊守

    説明員澤邊守君) ただいま私も、資料が途中から手に届きましたので見ておりましたのですが、ただいまおっしゃったのは私どもから出した数字でございますので、間違いないものと思います。
  292. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、そこでまたさきに戻るわけなんですけれども、こういうことで五人以上の製造業男女込みの一日当たりの賃金、これが米の販売農家の一日当たりの家族労働報酬と比較してみたときに、米販売農家の方の家族労働報酬費が非常に低くなってきているという問題が、具体的に五十一年度までの数字ですが指摘できるわけです。こういったことについて、生産費所得補償方式というふうなその基本として、都市と農村の所得均衡、格差是正というふうなことは基本として改善のためにこれは考えられるべき要素だというふうに私どもも思うんですけれども大臣、その点はいかがでしょうか。
  293. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) この労賃のとり方が、どこの工場で働く人の労賃を補償するかということがいつも議論になるところでございます。五人以上青天井ということになりますと、いわゆる物価も高い、いるんな経費もかかる都市工場労賃までの面、労賃を報酬として差し上げるのがいいのか。やはり農村地帯に考えられる五人以上九百九十九人という程度の労賃が確保されれば、まずまず労賃としては所得が補償されるのではないか。  米が足りないときには、ひとつたくさんつくってくださいということで、先ほど申し上げた綿入れを着せるという意味で、かつて昭和四十二、三年ごろまでは確かにそういうことで工場労賃よりも高いとか、それに近いとかということがありましたが、四十六、七年ごろにそういう刺激的なことでは過剰生産になって困るというところから、そういう着物を脱いだ、その結果、五人以上の青天井に比べれば下がっておりますけれども、五人以上九百九十九人までの工場労働報酬は確保されておる。こういう結果でございます。今回、農協等からもこれはひとつカムバックしてくれということではありますが、いまのような生産事情からいって、そういったことができるかどうか議論の分かれるところでありますが、なかなかむずかしい問題を持っておるところでございます。
  294. 下田京子

    ○下田京子君 大臣のい童のお話の中で、製造業をどの規模でとるかということで、五人以上青天井でとるのか、九百九十九人以下までかというふうなことでの議論が分かれてはおるけれども、まあしかし、基本としては都市の、あるいはまた農村の所得の均衡格差の是正というふうなことを基本に置きながら、米価問題というのは考えていく一つの要素としているということは、これは確認できますね、念のために。
  295. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) そういったことを議論しながら、どうとったらいいかということでございますから、頭の中にいっぱい入っておるところでございます。
  296. 下田京子

    ○下田京子君 これは、とても大事なことだと思うのですね。どこでとるかというふうなことの議論があると同時に、農家の本当に減反をやってきた、今度の第二次減反調整についても超過達成と言われるぐらいに協力もしている、いま現在ですね。そういうふうな状況の中で、一方大変不況が長引いていて出かせぎに行きたくとも行けないというふうな状況もございますね。ですから、お米の価格がいかに農家の経済にとって重要であるかということと同時に、農家のそういうふうな経済事情を決める米価がどう決まるかということが、また全体として日本の経済にもつながっていくというふうな大きな意味を持つものであると、そういう性格のものであるというふうに思うわけなんです。  そういう中で、製造業のどこをとるかという議論がいろいろあるんですけれども農家全体の所得が、とにかく現不況下においては大変厳しくなってきているというふうな状態も見ていただかなければならないと思うのです。特に、その点でいけば、ずっと農業所得の割合の中で、いまさっき言ったのはお米の方ですけれども農家全体の所得ですね、農家全体の中で、特に農業の所得ですね、その比率をずっと見ていきますと、やっぱりこれもかなり落ち込んできています。これは農林省と労働省の調査であり、ことしの農業白書の中で指摘されている数字でございますけれども、三十五年当時に一日当たり農業所得、これは製造業を一〇〇として見た場合に、五人以上平均で見ているわけですが、その際ですと六二%、四十年だと七八%、四十五年が六〇・八%、五十一年になると五七・一%ということで、これはまた三十五年以前ですか、そのころまでに逆戻りになってきているということで、農家全体の中での農業所得の占める割合が、都市に比べて非常に落ち込んできているというふうなことが言えると思うんですね。  これは、逆な意味で言えば、景気をよくしていくという点で購買力を高めて長引く不況を脱出していく上で重要な一つの問題であると思うし、同時に、お米の価格を決めていく上で、都市と農村の所得格差是正ということを基本に置いている大臣におかれましては、十分に考慮して今年度五十三年産米の米価決定をいただけるかどうかというふうなことでお尋ねしたいわけなんですが、この点どうですか。
  297. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 下田委員御承知のように、わが国は戦後見られない高度経済成長、世界からきらわれるぐらいの高度経済成長をしたわけでございます。したがいまして、一人当たりの収入というものもいまやアメリカに追いつくというぐらい勤労者の所得も上がってきた。これに比較して農業がついていけなかったということは、事実だろうと思うのです。工業部門は合理化が進みまして生産性が非常に高くなるというところから、そういった所得もたえられる。ところが、わが国の農業は御承知りように土地に限界がある。そのきわめて集約的な農業の中で生産性を上げることができないというところから、非常に対応がおくれたということは、全体的に言えることだと存じます。  したがいまして、高度経済成長は、ドルの問題だとか輸出入の問題だとかいろいろありますけれども、あるいは資源の問題がありますけれども、私は政治家として農村とのアンバランスということがこれ以上続いてはならない、もうそろそろバランスをとるためにも安定成長というものがいいのではないか。したがいまして、今後はそういった格差が大きくなるのではなくして、むしろだんだん縮まってきて、農村がいいのだということで、青年がすべて都市に出た時代とは違って、農村に若干なりともUターン現象が出てきたということでございます。  そういう全体的なことはありますが、さてそれじゃ米価をどうするかということでございますが、米価だけで農村を考えるのではなくて、米価以外にも価格政策とか共済制度とか金融制度とか、いろいろなことを総合的にやって血のにじむ努力をしながら農家経済をよくしていきたいということで対応してまいりたいと思うわけでございます。
  298. 下田京子

    ○下田京子君 全体的な議論はおきまして、米価のことについて大臣は、とにかく繰り返し確認いただいた点は、都市と農村の所得の格差是正ということでもって、米価ももちろんだけれども、その他のことを含めていまいろいろ頭を痛めているというお話かと思うわけです。  その点で米価に戻るわけなんですが、とすれば、いま目の前に米価決定ということでどう諮問するかと、諮問内容はといったら、まだ半熟だから当委員会で明らかにはできないと、こう言われているわけです。ただ、皆さん意見は十分に聞くというお話だったので、ぜひ聞いていただきたい点をあと一、二お願いしたいわけなんですが、その一つが、言ってみれば企画管理労働の問題です。家族労働時間の問題です。いわゆるいまさっき話しましたけれども、労働報酬費で都市と農村でこんなに差があるという差を認められた。その差も格差是正していきたいと認められた。そうすると、労働というものを正しく見ていくという点で大臣がいろいろ努力されていること、その努力の具体的なあらわれとしてこの企画管理労働というものを見ることができないだろうかという問題なんです。  これは具体的に申しますと、かつてこれは付帯労働ということで、共同作業等の打ち合わせ、簿記記入、技術習得及び資金調達等にかかる時間ということでもって二・六時間、昭和四十二年のときに見たことがあると思うんです。ですから、こういう状況が一度あるわけですから、ぜひ今回の米価決定に当たってこれらを考えていただけないかという点でございますが、この点どうですか。
  299. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 昭和四十二年ころ採用したことが確かにございますが、下田委員御承知のように、当時は米が非常に足りないときで、うんと増産してもらいたいという要請にこたえてそういった措置をとったものであって、その後過剰傾向時代になってはということで、それは採用しないことになって今日に至っているわけです。今日、二回目の生産調整をしなければならない現段特において、そういったことを採用できるかどうか、まあ研究はいたしますが、非常にむずかしい状況にあるということだけは、はっきり申し上げざるを得ないわけでございます。
  300. 下田京子

    ○下田京子君 当時、米が大変な状況だったのでその企画労働費を見込んだというふうなことでございますが、お米の生産にかかわる労働時間として、これは当然逆な意味で言えば、簿記の記帳であるとか技術習得及び資金調達等にかかる時間というもの、これはもう必要なものである。正当な労働時間として見なきゃならないものである。それは認めるけれども、しかし、今日のお米をめぐる状況の中では、即これを織り込むということについてはどうかなあというふうなお話でしょうか。
  301. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 昭和四十二年ごろそういったことをやりましたが、当時も何かふやすものはないかということで非常に苦労してやったのです。われわれも当時やりましたが、たとえば移動便所というものがコストにかかっておるじゃないかというようなことで、そういったものも米価に入れられないかどうかというようなことをいろいろと考えて、若干擬制的なものではあつてもひとつということで入れたものであって、今日過剰の傾向の時代に、しかもここ数年間それで定着をして、なおかつ生産意欲が強くて年間一万五千町歩も自力開田、いままで生産してきた人だけじゃなくて、新しく水田をやろうと、こういうようなときにこれが採用できるかどうかということについては、これはちょっとむずかしいと、こう申し上げざるを得ないわけでございます。
  302. 下田京子

    ○下田京子君 状況が違って、お米な生産する際にかかる労働の評価が変わるというふうなことについてのその御説明はわかるんですが、そのことがわかったというわけにはどうも納得できないわけです。正しくお米を生産する際に一体何が労働なのかという点で、これはきちんと織り込むべき内容であるというふうなことを御理解いただきたい、御認識いただきたいということが一点。  それから、昨年の米価算定に当たって、これは公課諸負担の問題がいろいろとずっといままでも議論になってきたんですが、昨年の場合を見てみますと、農協や農業委員会要求している内容によれば、共済の掛金なんかも含めましてこれは十アール当たり四千三百六十四円見ている。ところが、政府の場合ですと千二百六十三円しか見てない。この間に約三千円の差がある。とっても大きいと思うんです。この共済の掛金ですね、こういったものも当然見込んでいただいて、盛り込んでいただいて、考えていただいて、検討いただいて、きのう自民党を代表しまして政府の大平幹事長が武道館の大会に出席されて、あすに希望の持てる米価を決めたい、そういうお話があったんですけれども、そういう方向で大臣いま諮問の準備を進められているか、最後にお尋ねをしておきます。
  303. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) その企画管理労働については、いろいろ議論があるのです。じゃ、公務員が八時間働いた分だけに給料をもらっておりますが、公務員とても、さてあしたはどんなことをしようかこんなことをしようかという、働いた分も超過勤務に入れてくれということの議論ではないのだろうかというような議論もあって、生産が足りないときならば無理してもいいが、いまの段階でそれを入れることは多くの問題があります。  共済掛金等につきましては、これは長官から答弁させます。
  304. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、あすに希望をつなげる問題は、どう思いますか。
  305. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) あすに希望をつなげるという問題は、二通り解釈があるようです。きょうはなかなかむずかしいけれども、あすはひとつよくなるのだろうという見方もありますし、あるいは今回どういう決まり方をしますか知りませんが、少なくとも米はもう間尺に合わないからやめたと、希望のないものにはいたしたくない。今日決めますものも、必ず来年も米をつくってやろうという希望の持てる米価にはいたしたいと考えております。
  306. 澤邊守

    説明員澤邊守君) 共済掛金を公租公課の中に入れておらないという点につきましては、共済賦課金の方は入れておりますけれども、掛金自体は入れておりません。  その考え方はいろいろございますけれども、簡潔に重点だけをお答えいたしますと、農業共済掛金は掛けますけれども、総体としては結局農業共済受取金として返ってくる。これは米の収益には普通見ておらないわけでございますが、共済受取金として返ってくる、それで大体相殺されるというふうに見ておりますから、負担として残らないということでございます。三年間の四十九年、五十年、五十一年を見ますと、生産費調査農家五俵以上私どもでやっていますから、それで見まして、十アール当たり七百七十一円掛けまして、三カ年平均で一千百六十九円返ってきております。掛金よりよけい返ってきておると、そういうことでございますので、掛金を負担の中に入れない、こういう仕組みで考えているわけでございます。
  307. 下田京子

    ○下田京子君 共済受け取りは外しているでしょうが――時間ですからやめます。
  308. 三治重信

    ○三治重信君 いわゆる農村議員と新聞、マスコミなんかで伝えられ方の、いろいろのテレビや新聞なんかによく出る言葉に、春闘、春の賃上げで賃金を引き上げると米もその率だけ上げるべきだ、それがいわゆる町の労働者の所得と農家の所得と均衡を保つゆえんだと。したがって、都会で、都会といいますか、労働者が賃金を毎年引き上げられれば、その率までぐらいは米価を引き上げられるべきだと、こういう主張が非常によく耳に入るわけですが、私はこういう問題について、それは農民方々には所得ということからいくとそういう感じが非常に強く出るけれども、片方は生産費所得補償方式というので米価を決めるという問題がある。やはり米なんですから、賃金と違うわけですから、その点を余り関連づけるということは、やはり米価農民に期待さす上において、この関連の仕方は非常に俗耳には入りやすいけれども、これは価格決定、所得の方向が違うんだという説明をしっかりわかりやすくする必要があると思うんですが、それについて大臣、どう思いますか。
  309. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) なかなかむずかしい問題でして、都市労賃が上がったのだから、その分は米価そのもので上げるべきだという議論も一方にあることは事実でございますが、米価は労賃だけで決まるものじゃなくて、いろんなものの総合的な仕組みでございますから、労賃部門はべースアップされた分は当然見る。そして、全体としてどうなるかということであって、米価そのものが全体が労賃である、ベースアップだというとらえ方は、これはとるのは間違いではないか、一見とりやすいようではありますけれども、これはぜひとも農家皆さんにも御説明をしてより理解を求めていきたい、こう思っておるわけでございます。
  310. 三治重信

    ○三治重信君 大体どうなんですか、米の生産費の中で労賃として米価決定のときに入れているのは何%、おおよそのところ米価決定の中の賃金部分というのは大体どの程度。そうすると、その労賃部分に対して賃金引き上げ分は当然これは見るから、その分だけは当然米価として上がる要因が出てくるわけなんだけれども生産費の中が、先ほどおっしゃるように全部労賃じゃないわけなんで、生産費の中の主要な部分が労賃でもあるでしょうが、その労賃は毎年の賃金引き上げで上がってくると、上がったとすれば、その分の反映は十分これはしなくちゃいかぬけれども、しかし、それは一面労働時間が減り、生産性が上がればそれだけ割引される。  しかし、労賃以外のほかの要因で資材の値上がりなり地代の値上がりというようなことがあれば、そこでそれは賃金とは別に上がる要因で上がるということを、やはりもう少し米価決定について、ことに農村議員の方々にもわかるような説明というのを、これはまあわかりやすいから御承知で言っておられることだと思うんですけれども、やはり農民にとってみればそういう主張がもっともじゃないかと、こういうことになるわけですから、生産費及び所得補償方式だからどちらか有利な方を、両方とも有利な方ということにも考えられる。この点を、やはりこういうふうに非常に米価決定の困難な場合に、そういう議論に対してやはり説明がしっかりできるようにひとつやっていただきたいと思います。
  311. 澤邊守

    説明員澤邊守君) お尋ねございました賃金の評価でございますが、ウエートでございますが、評価がえをいたしまして、年によって若干異同がございますが、五三%強ぐらいでございます。約半分ということでございますが、先生が御指摘になりましたように、生産性が上がりましたらその分は逆に相殺される面が出てくる。反収が上がります。そういうことによりまして反当の生産費じゃなくて一俵当たり生産費を出しますので、生産性向上ということで、それがそのままのウエートで反映するわけではないという面を持っております。
  312. 三治重信

    ○三治重信君 この生産費ということからいけば、当然労賃がその生産費の中で半分占めるというのは、生産価格価格構成から言えば、労賃部分は非常に多いわけですわね。農作物として、米という生産費の中で労賃部分が非常に多いと、ほかの商工業の労賃部分、いわゆる生産、流通のコストからいっても五〇%というのは最も高い部分だと、それが賃金の引き上げについては十分反映される生産方式をとっている、こういう御説明で、ひとつぜひこういう一般に俗耳に入りやすいけれども、そこに誤解を解く明確な方式を、こういう困難なときに特にお願いしたいと思います。  次に、この資料の中には入っていないんですが、これは言い古されてなかなか困難だと言われておるんですけれども、私は余剰米を飼料にまでするぐらいだったら、何とか食糧不足国へ食糧援助といいますか、そういう体制がとれないか。食糧を販売すると、農業国の輸出が削減されるとかいろいろの問題があるかと思うんですが、これを贈与の形にしてやり、その贈与で相手国の政府が売り上げたものは、食糧不足国ですから農業改良に使うとか農業資金に使うとかいう、回って最終目的としては、やはりその当該国の生活あるいは農業開発に使えるような食糧援助というような形でも、いろいろもう少し工夫できないか、こういうふうに思うんですが、そういう方向を余剰米の処理として、いかにも余ったものを投げ捨てるというようなことでは困るわけなんですけれども、不足国があってそこに需要があるならば、そういう特別な措置をやはり諸外国の農業国の了解をとってやる努力があってしかるべきだと思うんですが、そういうことの研究努力をされるお気持ちがあるかどうか。
  313. 中川一郎

    ○国務大臣(中川一郎君) 確かに、現在余っておりますものをそういった方に活用するということは、一つの使い道でございますから、外務省等とも連絡をとって処理をしたいと思います。  ただ、今後毎年百七十万トン余ってくるものは生産を続けて、そしてこれを外国に出すということは、これはもう財政上から言っても、六万円分差し上げて一万円分しか御協力にならないとか、あるいはまた品質の問題があるとかいうことで、これが恒久的にやられるということについては問題が多うございますけれども、緊急避難としてそういったことを頭に置く、こういう意味でありますなら、その点は前向きに外務省とも相談をしてみたいと思います。
  314. 村沢牧

    村沢牧君 私は、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の共同提案による昭和五十三年産生産者米価等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     昭和五十三年産生産者米価等に関する決議(案)   政府は、昭和五十三年産生産者米価決定当たり、わが国農業へり内外圧がいつそう強まりつつある現状に対処して、この際、農家の生活を守り、農業を再建して食糧の自給体制を確立する立場をつらぬき、次の事項の実現に努めるべきである。  一、昭和五十三年産生産者米価は、八十%バルクラインによる「生産費及び所得補償方式」で算定した価格とすること。  二、食管制度を強化拡充し、買入れ制限を撤廃して全量買上げを行うとともに、二重米価制を堅持すること。  三、米の消費拡大を図るため、米を基本とする国民食生活の改善、米飯学校給食の拡大、純米酒奨励など抜本的措置を講ずること。  四、現行の米価決定方式を改め、当面、米価審議会の委員構成を均衡のとれた三者構成にするとともに、今後は生産者団体との協議を制度化するなど再検討すること。  五、外麦など農畜産物輸入を抑制し、田畑輪換を可能とする土地条件の整備、主要農畜産物価格保障制度の充実など食糧自給度向上のための抜本的施策を講ずること。  以上でありますが、委員各位の全員の御賛同をお願いいたします。
  315. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいま村沢君から提出されました決議案の取り扱いにつきましては、理事会において協議いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会