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1978-06-06 第84回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月六日(火曜日)    午前十時三十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     山中 郁子君  六月六日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     岩上 二郎君      加藤 武徳君     鈴木 正一君      森田 重郎君     野末 陳平君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 岩上 二郎君                 岡田  広君                 源田  実君                 斎藤栄三郎君                 鈴木 正一君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 村田 秀三君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 山中 郁子君                 野末 陳平君                 秦   豊君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)      稻村左四郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君    政府委員        総理府人事局長  菅野 弘夫君        行政管理庁長官        官房審議官    加地 夏雄君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林大臣官房技        術審議官     川田 則雄君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林省農蚕園芸        局長       野崎 博之君        農林省食品流通        局長       犬伏 孝治君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        食糧庁次長    戸塚 金郎君        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁長官    森  整治君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        環境庁水質保全        局水質管理課長  林   亨君        国土庁大都市圏        整備局筑波研究        学園都市建設推        進室長      石川  允君        大蔵大臣官房地        方課長      宮原  翠君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  秋山 雅保君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  山口 健治君        文部省大学局医        学教育課長    五十嵐耕一君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  岡部 祥治君        農林省畜産局審        議官       佐野 宏哉君        水産庁研究開発        部長       山内 静夫君        建設省計画局参        事官       関口  洋君        会計検査院事務        総局第二局上席        調査官      沢井  泰君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○職員団体等に対する法人格付与に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、北海道管区行政監察局分室設置に関し  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案及び職員団体等に対する法人格付与に関する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。稻村総理府総務長官。
  3. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村左四郎君) ただいま議題となりました国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  国家公務員及び地方公務員等労働関係基本につきましては、政府としてかねて慎重に配意してきたところでありますが、昭和四十八年九月に内閣総理大臣諮問機関である公務員制度審議会から答申をいただきました。自来、政府としては、この答申趣旨を実現すべく、検討を進めてきたのでありますが、制度改善を要する事項のうち成案を得たものにつき、このたび国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案提案した次第であります。  次に、この法律案内容につきその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、従来、国家公務員法及び地方公務員法におきまして一般の職員と同一の職員団体を組織することのできない管理職員等範囲についての規定がきわめて簡潔でありますが、これを労働組合法第二条の規定に準じて整備することといたしております。第二に、従来、職員団体登録取り消しは、直ちにその効力が発生することとなっているのを改め、裁判所へ出訴できる期間内及び訴訟係属中は、効力を生じないものとすることといたしております。  なお、この法律案は、公布の日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました職員団体等に対する法人格付与に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  国家公務員及び地方公務員等労働関係基本につきましては、政府としてかねて慎重に配意してきたところでありますが、昭和四十八年九月に内閣総理大臣諮問機関である公務員制度審議会から答申をいただきました。自来、政府としては、この答申趣旨を実現すべく、検討を進めてきたのでありますが、制度改善を要する事項のうち、成案を得たものにつきこのたび職員団体等に対する法人格付与に関する法律案を提出した次第であります。  すなわち、この法律案は、公務員制度審議会答申におきまして、職員団体の「法人格は、登録制度とは切り離して、付与するもの」とされておりますのを受け、現行国家公務員法または地方公務員法においては、登録を受けた職員団体のみに法人格付与の道が開かれておりますが、これ以外の職員団体等に対しても法人格付与する制度を創設しようとするものであります。  次にこの法律案内容につきその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、この法律案は、国家公務員地方公務員中心とする職員団体等に対し、これらの団体財産を所有し、維持運用する等その目的達成のための業務運営に資するために法人格付与することを目的といたしております。  第二に、この法律案法人格付与することのできる職員団体等は、現行国家公務員法または地方公務員法では、法人格付与されない国家公務員または地方公務員が主体となって組織する非登録職員団体あるいは国家公務員職員団体地方公務員職員団体との連合団体、さらにこれらの団体労働組合等が一部混合している団体といたしております。第三に、法人格の取得の手続については、職員団体等がその規約につき認証機関認証を受け、その主たる事務所の所在地において登記することにより法人となることができることといたしております。  第四に、認証手続及び要件等についてであります。  認証を受けようとする職員団体等は、申請書及び規約認証機関に提出しなければならないこととし、認証機関は、認証拒否事由がある場合を除き、規約所定要件に該当するときは、当該規約認証しなければならないことといたしております。  認証要件については、規約に名称、目的業務等所定事項が記載されていること、規約規約変更等重要事項が民主的な手続によって決定される旨の規定が定められていること、規約所定会計報告規定が定められていることを要するものといたしますほか、認証機関は、規約に法令の規定に違反する事項が記載されているとき、または当該職員団体等認証を取り消され、その取り消し効力が生じた日から三年を経過しないものであるときは、認証を拒否しなければならないことといたしております。  なお、認証機関は、右の認証に関し、当該職員団体等職員団体等でなくなったときその他認証要件に適合しなくなったときには当該認証を取り消すことができることといたしております。  第五に、認証機関は、職員団体等の区分に応じ、人事院、最高裁判所、人事委員会または公平委員会といたしております。  その他、民法及び非訟事件手続法準用等所要規定を設けております。  なお、この法律案は、公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。  終わります。
  4. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  5. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山中郁子

    山中郁子君 三点にわたってお伺いをいたします。  第一は、今回の法律改正北海道の函館、旭川、釧路の行政監察局廃止して、それぞれ分室を設けるというものでありますが、まあいわゆる格下げということになると思います。そもそもが、地方行政監察局を置く趣旨というのでしょうか、目的というのでしょうか、そういうものはどのように規定されておりますか。
  7. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) 監察局仕事は、大きく言いまして監察仕事行政相談仕事、この二つというふうに考えていただいてよろしいかと思いますが、地方局を置く趣旨は、やはり行政運営改善ということをやるためには、現地状況、実情を知らなくてはならない、調べなくてはならない、それから行政相談等につきましては、住民行政に対する苦情、そういうものを直に把握するために、やはり地方局を置いておる、こういうことに考えております。
  8. 山中郁子

    山中郁子君 本法律案審議に当たって、衆議院での質疑も含めて政府が述べておられますことは、分室に格下げしたとしても、住民に対するサービス行政内容について低下は来さないものである、まあ御心配なく、こういうことを言われておりますけれども、いまお答えがありましたような趣旨地方行政監察局が置かれていて、そのような業務がされていたとすれば、それが分室になることによって何らの変化もないということは一般的には考えられないし、私は、具体的にもそういうことは考えられないので、したがって、行政サービス低下を来すおそれがあるということが何回か指摘をされてきたのだと考えます。私もそういう立場に立って指摘を申し上げるわけですけれども、それでは、新たに設けるという分室制度、これは新しい制度で、いままで分室があったというわけではないと理解しておりますが、そのことも含めて御答弁をいただきたいのですが、新しいこの分室は、どういう権限と、どういう内容所掌事務とするのかということのお考え、これはこれから訓令などのようなものでお決めになるという手続になるのかどうか、その辺も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  9. 加地夏雄

    政府委員加地夏雄君) 当庁の出先機関におきまして分室をつくるのは、御指摘のとおり今回が初めてでございます。  いま監察局長から申し上げましたように、現在の地方局でやっている仕事を大きく分けまして、行政相談と、それから行政監察の問題です。分室設置考える一事大きな問題は行政相談でございまして、ただいま申し上げましたように、これは住民行政に対する苦情処理とか、きわめて住民サービス関係があるものでございますから、今回の改正によりまして三局を廃止いたしましても、分室という形で、どうしてもそういった行政サービス低下さしちゃいけないということでお願いをしているわけでございます。  この分室は、御承知のように、組織法上のたてまえから申し上げますと、たとえば支局とか出張所のあれと違います点は、北海道札幌にあります管区のいわば内部組織になるわけでございます。そういう意味で、御承認をいただければ、設置形式は、これは訓令と、こういう形になろうかと思っております。
  10. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、やはり地方行政監察局が持っている権限ないしはいままでの、いま先ほど御答弁のあった業務内容に比べて変わることは事実であるし、住民サービス行政改善について低下を来すという危惧は少なくとも考えなければならない問題としてあるのではないですか。
  11. 加地夏雄

    政府委員加地夏雄君) 今回の改正に当たりまして、いま御指摘の点は十分考えたわけでございますが、行政監察仕事は、御承知のように行政客体と申しますか、監察対象になる機関は、これは国の出先機関でございますとか、あるいは自治体でございます。従来から北海道でやっております行政監察の実態を十分検討いたしまして、少なくともこれを札幌中心にして道一体的にやっていってもそう大きな問題はなかろうと、こういう判断をしたわけでございます。むしろ問題は行政相談関係でございまして、これは、いま申し上げましたように、従来地方局でやっておりました行政相談関係はそのまま残すわけでございます。しかも、これを全体を管区分室にいたしますので、従来地方局長がやっておりました権限の問題が実はこれは管区局長に移るわけでございます。そういう意味で、行政相談関係北海道全域にわたって管区局長がやります場合に、そういった意味サービス低下をしちゃいけないということで、実は管区に新しく行政相談部というのを設けていただきまして、管区局長行政相談部長が道内の行政相談関係中心にしたいろんな行政事務を処理していくと、こういう形にしておるわけでございます。
  12. 山中郁子

    山中郁子君 行政監察年報の五十一年度版によりますと、地方監際局での処理状況が出ておりまして、受理件数百八十四件中所見表示百六十七件ということで、行政改善について現地での一定の効果を上げているということを行管庁自体が評価をする立場報告も出されております。私は、いま御答弁がありましたこの監察業務に関しまして、結局北海道全体としてやるという形になるわけですわね、一元化というのですか。そうすると、その地域ごとのいままでの体制できめの細かい行政監察基づ行政改善、こういう点については、より規模が一元化されて、どうしてもきめの細かさという点では問題点が出てくるということは常識的に考えられると思うんです。その権限管区局長のところに来るということになりますと、その地域ごとの、北海道的な共通したものでなくて、各地域の特別な、特殊な問題というものも十分あるわけですから、そういうことについてのきめの細かさに問題が出てきて、結局それは行政硬直化をもたらす要因になるということは十分言えるのではないかと思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  13. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) 地方局がございますれば、地方局長権限地方監察というのを施行することができるわけでございますが、今回このような措置になるとしますれば、これは全部管区局長権限地方監察をやることになるわけでございます。それで、監察には、私ども本庁の方で計画して出先に流す、中央計画と私ども言っておりますけれども、そういうやり方と、いま申し上げました管区地方で発意してやる地方監察というのがございますが、大体私どもは国の行政を見ていくというのが主眼でございます。その国の行政がやはり委任事務あるいは補助事務等として都道府県等に行くわけでございますので、都道府県の単位でこういう行政が行われているというケースが非常に多いわけでございます。でございますので、北海道の場合には、道が一つでございますので、地方局をもしなくしましてもその辺は十分やっていけるんじゃないか。それから、いま先生の御指摘監察についても、きめの細かい点が欠けるんではないかという御指摘でございますけれども分室にもやはり監察に関して情報を収集し調査をやる、必要に応じてはそういうことをやるということを若干残すわけでございますので、そういうきめの細かさのなくならないように努力してやっていくというふうに申し上げたいと思います。
  14. 山中郁子

    山中郁子君 それはやっぱり理屈が通らないと思うんですよね。行政監察年報の中でも、「基本方針」に続いて「監察業務重点事項」として、「地方監察は、現地において行政改善を必要とする具体的事項について積極的に実施し、その効果の確保に努めることとした。」と、こうなっておりまして、そして北海道の場合には、都府県段階と比較してその地域的な広さその他も含めていままで地方監察局を置いていたわけですよね。そういう趣旨で置いてたわけでしょう。そして、それに基づいて地方行政監察を行ってきた、行政を行ってきたわけですから、いまここへ来て、いままで全然要らないものを置いといてやってきたということではないはずですから、行管庁報告でもちゃんとその実効を上げてこういうふうにやっていますという報告がされているわけですから、そういう点では必要的にサービス低下につながるということは私は明白だと思います。これはいま読み上げました行管庁監察行務の基本方針にももとるものであるし、多くの問題点を持っているということを重ねて指摘せざるを得ませんけれども、この問題の最後に長官から一言この問題についての見解を伺っておきたいと思います。
  15. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) いままで監察をやっておりました経験上、地方公共団体に流れていく国の行政、こういうものを把握する方法、いろいろ私ども検討しているわけでございますけれども、それはやはり、その地方公共団体自身行政のレベルの向上とか、あるいは交通機関の発達とかいう意味で、北海道の場合に、今後は地方監察というものは管区一本になるわけでございますが、もちろん先ほど申し上げましたように分室が置かれるわけで、そこで種々の情報を収集し、当然管区から出かけていって地方監察を部分的なものであればやるというようなことになるわけでございます。それで先生指摘監察の上においても十分遺漏のないように期しているわけでございます。さらに、行政相談につきましては、これはその分室にほとんどいままでの機能がそのまま残るわけでございますので、国民と密着した行政相談につきましてはサービス低下はもちろん来さないように努めていくと、こういうふうに考えております。
  16. 山中郁子

    山中郁子君 長官から御答弁をいただきたい。
  17. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま局長から御説明を申し上げたとおりでございます。     ―――――――――――――
  18. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 質疑の途中ですが、委員異動について御報告いたします。  本日、竹内潔君が委員辞任され、その補欠として岩上二郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  19. 山中郁子

    山中郁子君 問題点指摘をいたしましたので、いまおっしゃっている内容が具体的に保証ができるのかということは多分に問題があるところだと私は思っておりますので、その点からも指摘をしておきたいと思います。  で、次の問題ですが、小樽財務部廃止の問題についてこの機会を得て若干質疑をしたいと思います。  これは昨年の十二月二十三日に閣議決定された「行政改革の推進について」の中で、北海道小樽財務部廃止するということを決めております。若干の議論がすでにされているところですけれども廃止理由ですね、それからまた、廃止に当たって行政地域住民支障が生じないのか、この点に関して初めに伺います。
  20. 宮原翠

    説明員宮原翠君) お答え申し上げます。  昨年十二月の閣議決定趣旨に従いまして、大蔵省といたしましては、五十三年度に小樽財務部廃止整理するという方針を固めまして、ただいま準備を進めているところでございます。この小樽財務部廃止するということの考えを定めますにつきましては、いろいろと総合的に考えまして、たとえば小樽が非常に交通の事情が札幌本局と便利になりまして、車で四、五十分の距離であるというようなこともあります。また、管内の地方公共団体の数とか、あるいは人口、いろいろ行政対象の数等も勘案いたしまして、小樽財務部につきましては整理いたしてもそう特に重大な住民の利害に支障を及ぼすということはない、そういう考えに立ちましてこの整理を決定いたしたわけでございます。ただ、この問題、非常に地元にもいろいろと反対の機運があることも存じておりますが、この住民の利便に支障を来さないという点に関しましては、これを仮に整理いたしましても現地に何らかの形で事務処理機関を残すというふうな考えで、ただいま対策を練り準備を進めておるところでございます。
  21. 山中郁子

    山中郁子君 これも、先ほどの監察局分室との関係と共通するんですけれども財務部出張所になって、当然業務内容は違うわけですよね、大蔵省自身が決めている出張所というのは何をするのか、財務部は何をするのかということはおのずと違うわけね。違うようなものにしておいて中身が変わらないで済むということは、これは私はどうも強弁にすぎないという気がしておりますけれども、具体的に出張所と、それから財務部業務内容というのは、それぞれどのように規定をされており、それぞれどのように大蔵省としては理解をしておられますか。
  22. 宮原翠

    説明員宮原翠君) 財務部出張所仕事内容に関しましては、大蔵省設置法基づきまして大蔵省組織規程に定めがございますが、財務部におきましては金融行政、それから地方公共団体に対する融資の行政、あるいは国有財産管理運用の問題等々を所掌いたしております。次に、地方出張所につきましては、これは財務局の出張所財務部出張所と二通りございますけれども、主として国有財産仕事を担当いたしておりますのが出張所でございます。
  23. 山中郁子

    山中郁子君 だから同じじゃないわけですよね、することがね。いまの御答弁中身ですけれども組織規程によると、第七十五条で、出張所においては第十条の十八、十九、二十、二十二、二十三、二十六に掲げるものを分掌すると、こうなっています。当然具体的には国有財産事務が主になるという御答弁のとおりだと思いますけれども、そうしますと、財務部は実際には金融、財政、会計法に基づく管理、地方債の許可、国有財産等そうした多岐にわたった業務内容を持っているということになりますと、出張所にすることによって、いままで財務部でやっていたと同じような内容仕事ができて、同じようなサービスが保持できるということにはならないんじゃないですか、どう考えたって。
  24. 宮原翠

    説明員宮原翠君) 先生指摘の点ごもっともでございますが、私どもその点は非常に重要に考えまして、先ほど御答弁申し上げました現地事務処理機関として仮に出張所を置きます場合にも、出張所中身について相当密度の高いものを考えたいと思っておるわけであります。  具体的に申し上げますと、現在の制度のうち金融機関の検査等の事務につきまして、これは局に集中いたしたいと考えておりますけれども、たとえば金融機関に対する住民苦情の受け付けであるとか、地方団体に対する融資の問題であるとか、それから、国有財産の問題は従来どおりというようなことで一応考えております。したがいまして、金融機関の検査等の事務を除きましては、現在の実態がそのまま残るような仕組みで出張所の姿を考えたいというふうに考え準備を進めておるわけでございます。
  25. 山中郁子

    山中郁子君 法律をこういうふうに変えるときに、たとえばこの問題ならばサービス低下するじゃないか、そういう危惧があるじゃないかということでただしていきますと、必ずそのようにおっしゃるわけですわ、政府はね。いやそういうふうにしないようにいたしますと、同じ出張所でも密度を濃くしてと、だけれどもこれは何ら保証がないんですよね。密度を濃くしていままでと同じことをやるというなら同じだけの人数が要るんだし、だったら何も変えなくたっていいわけで、何らかの形で合理化を図ろうとするからこうした提案をされるのであって、そしてそのことによって実際問題として中身は変えませんて幾らここで何回おっしゃったって、じゃどういう保証があるのかと、いま本当に、たまたま答弁なさっているあなたは誠心誠意そう思って、変えちゃまずいと思って答弁されていらっしゃるかもしれない。だけれども、これがだんだんだんだん月日がたっていけば、同じ人がおやりになっているわけじゃないから、結局は出張所というのはそもそもどういう仕事をするのだ、財務部というのはどういう仕事をするのだ、こういうことに仕事がなっていくことは、これは火を見るより明らかなんですよ。そういう趣旨で、これは労働組合の方たちも反対していらっしゃるし、住民の方たちからもいろいろ意見が出ている問題ですので、いま御答弁の中でも、主観的にはサービス低下はさせません、密度を濃くしてやりますというふうにおっしゃっていることは、百歩譲って認めるとしても、それはあくまでもいまの時点でのそういうことであって、必ず行政サービス低下につながる要素を含んでいるものであるという点は私は否定できないと思いますが、この点については行管庁いかがですか、行政改革の一環として出されていらっしゃるわけですけれども
  26. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 今回、地方出先機関の整理統合を行うに当たりまして、社会経済情勢の変化でございますとか、交通事情でございますとか、そういうものを勘案をいたしましてケース・バイ・ケースに検討をして決定をいたしたわけでございます。その過程におきまして、行政サービス低下をできるだけ来さないようにするということは御指摘を待つまでもなく当然のことでございますので、先ほど来御答弁申し上げておりますように、私ども出先の場合でございますと、分室を設けるとか、あるいは行政相談も設けるとかいう措置をとっておりますし、大蔵省の場合でございますと、大蔵当局からお答えを申し上げましたように、現地事務処理機関を置く、あるいはその他いろいろ工夫をいたしておるわけでございます。ただ、全くそれでは行政水準が一%も低下しないかとおっしゃれば、それは見方によっては必ずしもそう言えないところはあると思います。その点は行政改革による全体のメリットと総合いたしまして御判断をいただくほかない問題ではないか、かように考えます。
  27. 山中郁子

    山中郁子君 行政サービス低下することもある程度やむを得ないと、こういう御所見のようですけれども、そもそも小樽財務部の管轄区域が、これは調べたところによりますと京都府と変わらない広さがあるんですね。それで全国の十五の府県よりも広いという、そういうかなり広大な地域で、だからこそ財務部ができていたわけですから、北海道にはまた国有地の問題だけとってみましても、全国の国有地の四〇%以上が北海道にはあるという状況で、国有地の仕事だけでもかなりな問題があるわけで、これらを管理しているのが財務部仕事であるし、先ほど最初の御答弁の中に、なくしても、つまり出張所にしても余り支障はないという御趣旨がありましたけれども、私は実態としては決してそうではないと思います。だからこそいろいろな陳情も出されていますし、小樽市長とか小樽市議会の議長からとか、それから後志管内の十九町村長からも出ておりますし、信用金庫などからも出ているし、先ほど申し上げました労働組合、全財務小樽支部からも陳情が出されている、こういう事態になっているのだと思います。それで、当然私はこういう方々の意見を十分聞いて合意を得ておやりになるという姿勢でおられると思いますが、そこは念のため伺っておきたいのですが、つまり五十三年度末までに一つ減らすという閣議の決定の延長として小樽財務部廃止すると、こういうことをうたっておりますが、その点の基本的なお考えはいかがですか。私は五十三年度末というふうに決めたからといってこれを強行するということは避けるべきだし、十分な合意を得て、できるものならするんだけれども、そういう合意を前提にしなければこうした強行をすべきではないと考えておりますが、その点はぜひひとつそれぞれ担当の方からの御意見いただいても結構ですけれども長官からは最終的に御意見を伺っておきたいと思います。
  28. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) お答えをいたします。  これはおっしゃることよくわかりますが、やっぱり行政改革ということは、いまのおっしゃるようで、総論では行政改革には皆さん替成ですが、各論になるとみんないろいろ陳情もあるし、これをなくしちゃ困るというような意見等もあります。そういうことの判断を総合して、そしてこういう改革をするわけでございます。しかし、あくまでも国民のサービス機関でありますから、支障のないように全力を挙げてやろうと、こう考えておるわけでございます。
  29. 山中郁子

    山中郁子君 関連しますが、先ほど幾つか申し上げましたその他にも多くの陳情、反対意見が出ていることは御承知のとおりだと思います、行管庁としましても。私はまず一つは、十分にこうした方々の意見も聞いて合意を得るような姿勢を行管庁として持つべきであるということを申し上げました。その点についてははっきりした御見解を伺いたいと思います。  それからもう一つは、合意が得られない場合だってあるわけですわ、五十三年度末というふうに政府の方で決めていらっしゃるけれども。私はそういう状況のもとでは強行すべきではないと思っておりますが、その点についてもあわせて見解を承りたいと思います。
  30. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) なるべくいろいろな御意見も承り、なるべく摩擦の起こらないように考えておりますが、行政改革というのは、しばしば私が申し上げるように、行政の簡素をして、そうして税金のむだ遺いをしないように、行政のいわゆるコストダウンをしなけりゃならない、こういうつもりでやっておるわけでございます。しかし意見を、全然陳情があったのを聞かない、何も反対が多いのを押し切ってやる、こういう姿勢でもございません。十分承り、また支障のない限りなるべく改革を断行していくと、こういう姿勢でございまして、聞く耳は持たぬと、反対があっても構わずやっちまうというようなことは絶体考えておりません。
  31. 山中郁子

    山中郁子君 そこはしっかりと堅持をしていただかなければならないと思います。  それで、いろいろやはり問題が出てくるんだという一つの例としてもちょっとただしておきたいことがあるんですけれども、具体的な事例ですが、北海道の場合には特殊な国有地として、いわゆる脱落地と言っている地域が非常に広くあると。伺うところによりますと約八万ヘクタールあると理解しております。これはどのくらい調査されているんですか、大分前から問題になっていますよね。それで、三十七年の行政監察の結果及びその概要及び勧告という中に、この脱落地だけの問題ではありませんけれども行管庁としても指摘をしている問題点の中に含まれているわけですけれども、これはどのくらい調査がされているか伺っておきたいと思います。
  32. 山口健治

    説明員(山口健治君) お答え申し上げます。  北海道における脱落地、いわゆる国有脱落地と俗に称しているわけですけれども、それがどのくらい調査が行われているかという御質問ですけれども、これは従来から国会等でも御指摘を受けまして一生懸命やってきておるわけでございます。最近における把握の状況、これは調査をいたしまして実際に国有地であるということを確認して国有財産として処理したものですが、これを申し上げますと、昭和四十五年から昭和五十一年度までの七年間ですけれども約六千件、面積にいたしまして約三千四百ヘクタールを把握して国有財産として処理しています。
  33. 山中郁子

    山中郁子君 八万ヘクタールあるというふうに推察をされているこの推察は、当然財務部の推察としてすでに言われているところですね。そういうものがまだ三千四百ヘクタールしか明らかにされていない、三十七年以降ですよね。それはずいぶん遅過ぎる、遅々として進んでいないということだと思いますが、これは特別に対策が必要で、当然財務部仕事としてもっと力を入れてやらなければいけない問題だと思っておりますけれども、どういう対策をお持ちですか。
  34. 山口健治

    説明員(山口健治君) 国有脱落地というのは、明治維新のとき日本の施政が北海道に及んだ際に、国有未開地というものが存していまして、それがいろいろな経緯を経て民間に払い下げられたりあるいはされなかったりしたわけですけれども、その中で、農耕地として不適格であって払い下げられなかったものとか、あるいは道路予定地であったけれども道路として使わなかったものとか、一たん払い下げられたけれどもその後使えないということで返ってきたものとか、いろんなものがあるわけでございます。それで、その経緯が非常に古くかつ複雑であるということがありまして、なかなか調査をして把握するのは大変なのでございますけれども、いままでのやり方としては、だんだん北海道におきましても地域開発が進みまして、脱落地、へんぴなところの国有地についても有効に活用すべきであるということになって、現に開発が行われた場合には、そこのところを中心に調査を進めてきて把握に努めているわけでございます。これは一生懸命もっとやらなければいかぬということをよく認識しておりまして、今年度昭和五十三年度から、いままでの調査を一層拡充しまして鋭意努力していきたいと考えております。
  35. 山中郁子

    山中郁子君 拡充してというのは具体的にどういうふうになさるんですか、なかなかいままでの調子でやっていたのじゃとてもできないですね。それで三十七年、行管庁の先ほど申し上げました勧告、長官、ここには国有未利用地の運用についてということで行管庁がちゃんと勧告しているんです。十分確保について配慮すること、その他いろいろ勧告しておられるわけですわ。もうちょっと具体的な対策を聞かせてくださいませんか、あるならば。
  36. 山口健治

    説明員(山口健治君) 五十三年からもう少し力を入れてやりますという内容ですけれども、これは先ほど申しましたように、従来は国有脱落地のある地域の中で地域開発が進んで、たとえば宅地になったりあるいは工場用地になったり、あるいはその他の用地として開発された場合に、そこを使いたい、あるいはそこに関心を持っておられる方から届け出あるいは申し出があった場合に、そこを中心にして調査をして国有地であることを確認した上処理をしてきたわけなんですけれども、こういうやり方のほかに、今年度から簡易調査をやって、全体を、とにかく十年間の中でどういう状況になっているかを簡単に把握しておこう、こういうことでございます。具体的にどうやるかということは、実際にいままでのように地域開発等によっての申し出がない地域についても、国土調査法に基づいて、国土庁が中心になって、市町村が執行機関になるのですが、地籍調査を行った場合に、その各市町村で地籍簿とか地籍図が保管されることになりますので、それらを見せていただいて、旧国有未開発地と認められるものについて一応記録カードをつくっておく、一応、現地の調査まではできないけれども、いつでも問題があったら着手できるようなそういう体制を整えておくということを今年度から新たにやる予定にしております。
  37. 山中郁子

    山中郁子君 行管庁にお伺いしますけれども、こうした指摘した内容でもあることが遅々として進んでいないという状況ですけれども、こういう問題は行管庁としてどのように考えていらっしゃいますか。
  38. 佐倉尚

    政府委員佐倉尚君) 脱落地の問題でございますけれども、私ども国有財産の管理とかその他について監察をやったことは、御指摘のとおりでございます。それで、国有財産の未利用地の利用を促進するようにというようなことも申し上げたことがあるわけでございますが、脱落地は脱落しておってわからないわけでございますので、ここで指摘しているのは、どっちかというと、はっきりわかっている未利用地の利用がされていないものを勧告しているというのが従来の私どもの勧告のやり方だったわけでございます。ただ、脱落地といえどもこれは国有財産であることは確かだと考えております。でございますので、そういうものは鋭意把握して、さらにその利用を考えていくということが国有財産をいろいろと生かす道であろうと考えておりますので、大蔵省の方で、一時的に脱落地をいろいろと把握なさる、その推移を見て、必要とあれば私の方でもいろいろと検討したい、こういうふうに思います。
  39. 山中郁子

    山中郁子君 たとえば、未利用地の問題として、行管が、直接私が知る範囲監察されて提起をされてから十年以上たっているわけです。そういうことについて問題意識を持たれて調べた結果、大まかな推定でしょうけれども八万ヘクタール北海道には脱落地があると推定されるというのが出されていて、十年以上の経過を経てなおかつ三千四百ヘクタールしかそれが発見されていないという状況は、私は大変問題があると思いますが、この点については、会計検査院がお見え制なっていましたらちょっと見解を伺いたいと思います。
  40. 沢井泰

    説明員(沢井泰君) お答えいたします。  北海道の脱落地につきましては、八万ヘクタールあってということは私ども存じております。そして、それらの脱落地の実態につきましては、大蔵省の方では、先ほど説明がありましたように、最近では大体年間千ヘクタールといったようなぺースでもって実態を調査しまして、国有財産台帳に載せ、そして貸し付け、処分等の措置をとっているということを私ども存じております。  で、この点につきましては、一昨年の国会でも御指摘がありましたようなことから、私ども北海道財務局及びその管内の財務部の検査におきましては、脱落地の台帳登載あるいはその後の処理といったような問題につきましては、重大な関心を持って検査を実施してきているところであります。しかし、脱落地という問題は北海道全域にわたっておりますし、それから、八万ヘクタールと申しましても、その中には相当未開の山林や原野もございます。それから、先ほども話がありましたように、調査といたしましては相当の時間と経費がかかります。この点をあわせ考えまして、現在までのところ、私どもの検査報告には、この脱落地の問題について掲記したような事態はございません。以上でございます。
  41. 山中郁子

    山中郁子君 結局、大蔵省にも伺いますけれども、いま会計検査院も同情的に言われておるような気もしたのですけれども、お金もかかるしいろいろ人もかかると、こういうことでしょう。で、今年度から鋭意本格的にやっていきます、こうおっしゃるわけだから、当然必要な予算や人員を適切に配置して対策を強化しなければならぬというふうに私は考えておりますけれども大蔵省としてもそういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
  42. 山口健治

    説明員(山口健治君) 国有脱落地についてその処理体制が十分でないんではないかと、大蔵省どう思うかということですが、まあ率直に申しまして、現在のような体制では、短期間内にこの国有脱落地の調査を終えて国有地であることを確認して国有財産台帳に載っけて登記をするということは、ちょっと現体制のもとではもうほぼ不可能に近いと言っていいと思います。ただ、御指摘のように、行管庁中心となって行政改革ということが進められておる折からでもあり、大蔵省としては限られた人員、予算を効率的に使ってできるだけ御期待に沿うようにやるつもりなんですけれども、ここで予算についてちょっと申し上げますと、五十二年度は大体約九百万円ぐらいこのための予算をいただいているわけですけれども、先ほど申しましたように、五十三年度から新たに力を入れてやるということで、これの三倍以上、約三千万円今度は今年度予算をいただきまして、予算面ではかなり配慮をいただいていると、こういうふうに考えております。
  43. 山中郁子

    山中郁子君 長官、お聞きいただけたと思うんですけれども、この脱落地の問題一つとってみても、北海道財務部にはやっぱり特別な任務があるわけですわ。これは国の全体の利益にかかわる問題なわけですよ、国有地の発見、確定、それの利用ということで。それも膨大な国有地です。そういう点からも、私は財務部を五十三年末に一つ廃止するからということで小樽を廃止するということを強行すべきではないということを、一つの例としてもまたあわせて申し上げておきたいわけです。  で、先ほど国民の意見がある中で、合意が得られないのに強行をするという考えはないという御答弁がございましたので、その上に立ちまして、この財務部、いま私が具体的に提起をいたしました脱落地の問題一つとってみても、財務部仕事が大変大きなものとしてあるんだということをぜひ理解をされたいと思っておりますが、その点いかがでしょうか。   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
  44. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 理解をしてないわけじゃない、十分理解はしております。
  45. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、実情としてもそういう大きな仕事があると、また現地住民あるいは労働組合、関係者の方々も反対し、切実な陳情をされている上に立って、閣議で決めたからといって強行するというような姿勢をとられないように重ねて私は指摘と要望をしておきたいと思います。  三点目の問題でございますけれども、同じく閣議決定行政改革の中で提起をされております宅開公団の問題です。で、これも建設委員会等で宅開公団法成立時点以来いろいろ問題になってきていたわけですけれども、まず、なぜ「日本住宅公団及び宅地開発公団については、できるだけ速やかに所要の条件整備を行った上、日本住宅公団の宅地開発部門を宅地開発公団に移管する。」と、こういう閣議決定になったのか、ここをちょっとひとつ初めにお伺いしておきます。
  46. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘ございましたように、今回の行政改革におきまして、「できるだけ速やかに所要の条件整備を行った上、日本住宅公団の宅地開発部門を宅地開発公団に移管する。」ということにいたしたわけでございます。御承知のように、現在住宅宅地の供給につきましては、住宅公団と宅地開発公団と両公団双方で行っているわけでございますが、いろいろと検討いたしました結果、日本住宅公団には主として住宅建設を行わせる、宅地開発公団には大規模な宅地の開発を行わせる、このように機能分担をいたしまして両公団を専門化してまいる、それによりまして業務の効率的執行を図っていく、このような趣旨で、先ほど申し上げたような行政改革の一環といたしまして住宅公団の宅地開発部門を宅地開発公団に移管するという決定を見た次第でございます。
  47. 山中郁子

    山中郁子君 私は宅開公団法が成立した時点からのいろいろな議論の上に立ってみると、なおさらいまよけい痛感するんですけれども、まだ二年と数カ月しかたっていない時点で、もうそれが機構改革の整備の対象になるということ自体大変問題があると思っておりますけれども、なぜ宅開公団に土地部門を吸収することが機能的なのか、それはどういうことから言えるんですか。つまり、宅開公団に土地の方を吸収すれば土地は安く供給できるんですか、実際上。   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
  48. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま申し上げましたように、要するに大都市圏におきます宅地開発の効率化と申しますか、そういうようなためには宅地開発の一元化を図った方が適当ではないか、したがいまして、宅地開発公団に大規模な宅地開発をもっぱら行わせるというような体制の方が効率的ではないか、このように判断をいたしたわけでございます。
  49. 山中郁子

    山中郁子君 それの私根拠を伺っているんです。なぜ一元化した方が、どういうふうに効率的になるんですか、どういう根拠で。宅開公団が土地を買った方が安く買えるんですか、そういうことを伺っているんです。
  50. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、いまの体制でございますと、両公団でそれぞれ住宅宅地の供給を行っているわけでございますけれども、機能的に見まして、業務を効率的に行いますためには一元化した方が適当ではないかと考えたわけでございます。それから、もちろん一元化に伴ういろいろな節約効果というのも生じてくるわけでございます。先ほども申し上げましたように、条件整備をいたした上で移管するわけでございます。これから条件整備の過程におきまして具体的な措置を詰めてまいるわけでございますので、ただいま具体的な節減効果がどのようなことであるかということを申し上げる段階にはございませんけれども、一元化いたしますならば、当然それに伴いますもろもろの経費の節減効果も出てくるんではないかと考えております。
  51. 山中郁子

    山中郁子君 だから私は最初にこの閣議決定の文章を読み上げてお尋ねしたんです。なぜ一元化するのに宅開公団の方へ一元化することが効率的であるし、いいんだというふうに判断されたんですかということを伺っているんです。宅開公団法の成立のときに私ども反対いたしました。屋上屋を重ねるものではないかということで反対をいたしました。だから、いまそういうことで行政改革の一つとしてこれを認識するならば、むしろ日本住宅公団に吸収するということの方が道理もあるしはっきりしていると思うんですよ。それでなくて、宅開公団に土地部門をわざわざ切り離して吸収するというのは、同じ一元化ということの中でなぜそのようにした方がいいという根拠があるのですかということを伺っているんです。
  52. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 先ほども申し上げましたけれども、要するに両公団それぞれ専門化した方が仕事として効率的にいくのではないか。住宅公団のただいまの機構なり業務を見ましても相当膨大になっているわけでございますので、再三申し上げるようでございますけれども、住宅の建設については住宅公団、大規模な宅地の開発につきましては宅地開発公団と、こういうように分化をいたした方が適当であると考えたわけでございます。
  53. 山中郁子

    山中郁子君 だから、なぜその分化をした方が適当なのかということを私聞いているんですよ。そういうふうにした方が土地が安く買えるんですか、いい土地が提供できるんですかということを聞いているんです。
  54. 関口洋

    説明員(関口洋君) 閣議決定先生たびたび引用されておりますので内容については触れません。ただ、実際の問題としまして、大規模な宅地開発を担当しておる者の立場から御答弁をさしていただきたいと思います。  大規模な宅地開発をする場合に一番私どもの念頭にありますことは、とにかく宅地開発をする、予定されている地方公共団体との折衝を非常に精力的にかつ具体的に詰めておかないと、後でいろいろ問題が生ずるということでございます。その点が一つと、それからまた、先生も御案内と思いますが、大規模な宅地開発をするところは、いわゆる社会資本が整備されてないところが多うございます。その社会資本の中には、道路だとか川だとか水道、公園、こういう建設省所管のものはもとよりでございますが、そのほかに、私ども特に足の問題と呼んでおりますけれども交通輸送機関の整備とあわせて行うということが一番必要でございます。それで宅開公団の場合には、そういうことを考えまして、それ相応のメリットがあるように法制度上も御配慮をいただいているような次第でございます。先ほど来辻局長から御答弁がございますのは、その辺の実態を踏まえた上での御答弁かと、こういうふうに解釈しておりますので、御了承のほどお願いいたします。
  55. 山中郁子

    山中郁子君 やはり、なぜその部分を切り離して宅開公団の方に吸収するのがよりいいのかということについての御答弁にはなっていないんです。私は、それじゃもう一度具体的に伺いますけれども、「条件整備を行った上、」となっておりますが、先ほど辻局長が条件整備の内容についてはまだ不分明なところがあるという趣旨答弁があったように伺いましたけれども、もう一度この点をはっきりしておきたいんですが、条件整備というのはどういう内容のものが想定されるのでしょうか。
  56. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 当然のことでございますけれども、移管の対象となります業務範囲を具体的に確定する必要があるわけでございます。それから、行われております宅地開発事業につきましての地元関係の調整と申しますか、そういう問題もあろうかと思いますし、また住宅公団の宅地開発部門の職員の身分上の取り扱いの問題もあるかと存じます。それから、御承知のように住宅公団につきましては、ただいま家賃問題あるいはいわゆる空き家問題という基本問題がございますので、そういう基本問題との関連も考えられるわけでございます。そういうような具体的な条件整備を行った上で移管という措置を行いたいと、こう考えておるところでございます。
  57. 山中郁子

    山中郁子君 一点目におっしゃいました業務範囲というのは、ちょっともう少し具体的に教えてください。たとえば土地、宅地の部分をということは業務範囲なわけでしょう。それがもう少しさらに条件整備をしなきゃ、いけないというのは、もう少し細かく決める必要があるという趣旨なのかどうかを教えていただきたいということと、これは私は、余り法律の方はよくわからないんですけれども、法改正というのは必要でないんですか。
  58. 関口洋

    説明員(関口洋君) 法律改正は、ただいままでの検討では必要なかろうというふうに私ども考えます。  それから業務範囲についての条件整備とは具体的に何を指すのかということでございますが、まあ実は住宅公団も多摩、この近くですね、多摩ニュータウンのように非常に大規模な宅地開発と申しますか、いわゆるニュータウンの整備を行っておるわけでございます。それで、仮に多摩ニュータウンを宅開公団が引き継ぐことがいいのか悪いのか、こういう問題等もございます。というのは、かなりな程度住宅公団の手で整備を進めておりますので、そういうものを主体的に宅開公団に引き継ぐということについては、私どももそういう必要があるかどうか、これはもう少し詰めていかなくちゃならぬだろうと。また一方、まことにいろいろ諸先生方に御心配をおかけしておる問題といたしまして、ただいま辻局長がお話しございました、要するに家賃の格差是正と相並んで、住宅公団が保有しております未利用地の問題がございます。この未利用地の現状等については説明を省略さしていただきますが、そういう問題等については一体どうすればいいのかと、その中間にいろいろの過程がございます。そういうわけで、住宅公団の進めております個々の団地の開発条件、さらに先ほど来たびたびお答えさしていただいております地元との折衝状況、地元の御意向、こういうようないろんな問題を多角的に詰めてまいらなければならないのであります。もう少し時間をかしていただきたいと、かように考えておるような次第でございます。
  59. 山中郁子

    山中郁子君 私は余り時間がなかったもので、この点は具体的に質問はしなかったんですけれども、宅開公団ができてからした仕事というものはほとんど見るべきものがないんですよね。竜ケ崎と千葉といま厚木の問題が出ているということでそれ以外ないですよ。それはそれぞれ内容は私も知っています。だから、時間の関係もありますので一つ一つ問いただしませんけれども、その宅開公団が、もうすでにいま行政改革の中の一つの問題として認識されているということ自体、当時屋上屋ではないかということで議論されたことをまさに事実をもって示していると私は言えると思うんです。それで特に触れなきゃいけないのは、いま宅開公団は理事が十一人おられるわけですね、たしかそうだと思います。十一人の理事を抱えている。日本住宅公団の宅地部門の関係の理事は二人です。で、理事の給料が七七年、去年で六十九万、総裁が百万五千円、そういう事態のもとで十一人用の理事を抱えて、一千万を超える年間給与を支払うという結果に私はなると思いますよ、正確に計算したわけじゃありませんが、それは本当に経費のむだ遣いもいいところだと思います。そういう内容の宅開公団が、まさに行政改革対象として議論されるならば、当然のことながら、むしろ日本住宅公団にその部分は吸収されるということの方が本来の趣旨に照らして正しいし、だれもが納得できる問題だということは当然のことではないでしょうか。行管庁いかがお考えですか。話に聞きますと、最初の案は宅開公団を日本住宅公団の宅地部門に吸収すると、こういう考え方もあったということは漏れ聞いているところですけれども、それは私はむしろ素直な当然な考え方だと思いますけれども、いかがですか。
  60. 関口洋

    説明員(関口洋君) 初めに、失礼でございますが建設省の担当者としての御答弁をさせていただきます。  宅開公団、仕事をしてないじゃないかと、それから具体的にいま三ヵ所の名前を挙げられました。私どもからあえて弁解をさせていただければ、先ほど冒頭に先生も申されましたように、宅開公団は設立後わずか二年九ヵ月でございます。その間に三ヵ所ということは、このことはまた考えようによっては、先ほど申しましたように、地元との折衝その他複雑な問題を比較的短期間の間にこなしてきたのではないかということも注意しなければいけない問題でないかと思います。この点は御意見のいろいろ分かれるところでございます。あえて固執はいたしません。  ただ、ここで申し上げたいことは、宅開公団法をいろいろ御審議いただきます場合に、現実の大規模な宅地開発を円滑に進めるための制度としては、どういう制度が一番いいのかという観点から非常に御審議をいただいております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、大規模な宅地開発が、たとえば交通輸送機関との同時施工が必要でございまして、いままで、たとえば多摩ニュータウン等につきましては、それがうまくいかないということでおしかりを受けたわけでございます。そういう経験に徴しまして、宅開公団の場合には、公団みずからの手で鉄道部門等も同時に整備できるようにして、大規模な宅地開発の円滑な進行を図るように制度として仕組んでおります。また、公共施設の整備につきましても、現在のいわゆる日本住宅公団等で行っております一般的な立てかえ制度、これではやはり限介がございます。そういうところもよく御審議をいただきまして、宅開公団法では、必要の公団施設につきまして公団みずからが直接施行ができるように相なっております。そういう意味から見ましても、一つの制度、仕組みとしては、宅開公団というものは、私ども担当しておるからそう申し上げるんじゃございませんが、よくお考えをいただいて非常によくできた公団だというふうに考えております。こういう考えでおるということだけ御了承い、ただきたいと思います。
  61. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま建設省からお答えを申し上げましたように、宅地開発公団の設立されたのが五十年でございます。何分にも行います事業が大規模でございまして、事業着手までに相当期間がかかるというようなこともございまして、発足当初は余り活動が活発ではないのではないかという御批判のございましたことは承知をいたしておりますが、ただいま建設省から申し上げましたように、最近ではいろいろな事業を相当活発に行っているわけでございます。行政改革として取り上げるに当たりまして、もちろんいろいろ各方面の御意見、御議論がございましたし、政府部内でもいろんな点につきまして検討いたしたわけでございますが、その結果、先ほど来申し上げておりますような結論に達したわけでございます。  なお、役員についての御指摘もございましたけれども、御承知のように五十一年の閣議了解によりまして、特殊法人の役員の縮減措置についても実行を進めている段階でございますし、給与につきましても、いろいろと御批判のあることにもかんがみまして、今回の行政改革の一環といたしまして、全体的に五十二年度の役員給与の改正を抑制ぎみに行うということにもいたした次第でございます。
  62. 山中郁子

    山中郁子君 最後になりますけれども、当然条件整備の中の主要な問題として職員の問題があります。この職員の方たちが意見を持って、いろいろ意見もそちらに出していらっしゃることはよく御存じだと思いますけれども、これは大変大きな重要な問題です。この点についても労働組合の意見を十分に聞くということは当然のことだと思いますし、それは否定なさらないと思いますけれども、それだけでなくて、先ほどから申し上げておりますように、いま辻局長からお答えがありましたし、建設省のお答えがあまましたけれども、にもかかわらず、私はやはり宅開公団それ自体の問題として、いまここで行政改革対象として何らかの検討を加えるならば、当然のことながら、いままでの経緯から見ても、それから実態から見ても日本住宅公団に吸収するという方向の方がより正当であるし、道理もあるし、必然性もあるということは否定できないと思いますので、きょうはもう時間がありませんからこれで終わりますけれども、この点は引き続き解明することとはいたしますが、その点は十分にお考えになった上で、この閣議決定そのものを見直し、方向の転換を図るということをすべきだということを強く主張いたしまして質問を終わります。
  63. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。討論は両案を一括して行ないます。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。  まず、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  66. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、荒舩行政管理庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。荒舩行政管理庁長官
  67. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件の両案を、それぞれ可決、承認をいただきましたことはまことにありがとうございました。御審議の間におきまして貴重な御意見を拝聴いたしました。われわれ行政管理庁の業務運営につきましても一層御趣旨の点を努力いたします。まことにありがとうございました。御激励感謝申し上げます。
  68. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午前の審査はこの程度にとどめます。  午後は一時から再開することにし、休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時十三分開会
  70. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は、ただいま提案になっております農林省設置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  本法の改正案は、行政管理庁がよく言う定員増を抑えるための簡素化、そう私はとっておるわけでありますが、そういう意味よりも、二百海里時代を迎えてそれに対応する日本水産の再建、あるいは山を守るために事業の拡充強化が必要であるという、積極的な意味目的が存在すると思うのでありますが、中川農林大臣はいかがお考えになっていますか。
  72. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 今回の改正は、最近における国有林野事業が非常にピンチである、これに対して改善計画を立てます法律を設定いたしますと同時に、これに見合った機構に改善したいということが第一点でございます。また、水産行政が、御承知のように二百海里時代を迎えまして大きく転換をしなければいけない、その場合、内部部局の設置もさることながら、農林省では水産外交をやるに当たりまして非常に迫力に乏しい、あるいは説得力に欠けるところが多いということで、この際農林水産省ということで、長年続きました省名の変更をお願いする。そのほか、試験場等々多くの細かい部分にわたっておりますが、それらについても、この際強化すべきものは強化し、統廃合すべきものは統廃合する、こういうことで、全体として水産、林業その他全般の政正をお願いしたのが今度の設置法の改正案でございます。
  73. 村田秀三

    ○村田秀三君 昨年の七月に本会議で、総理質問の中で、私も漁業省を主張した経過がございます。関心があるわけでございまして、それにも触れたいわけでありますけれども、きょうは時間が限られておりますから、主として林野行政について質問をいたしてまいります。  今度の改正の要点は、北海道の五営林局を一つにまとめて他を支局にするということ、それから、予算上九つの営林署を廃止するということのようであります。しかし、これだけを見る限り、どうも、改善と言いますけれども、その改善意味は、省の考え改善とわれわれが考え改善と、改善という表現の限りにおいてはあるいは差があるかもしれません。私が先ほど積極的な意味と申し上げましたのは、今日の山を守るという課題は地球的な規模で物事を考えなければならぬし、とりわけ日本における山の荒廃というものはまさに目に余るものがある。子々孫々に優良な山を残さねばならぬという立場に立つ、山を守るという積極的な意味改善を私はもとより考えておるわけでありますが、しかし、この機構だけを見てまいりますと、むしろ後退の方向をとっておるというふうに受け取れるのであります。その点いかがでございましょうか、農林大臣にお答えをいただきたいと思います。
  74. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 林野関係の今度の法案でお願いしておりますのは、北海道における営林局が五つございます。道行政あるいは他の行政とのバランスにおきましても、五つあることが今日いかがかと。むしろ、統括的な営林局を北海道に一つ置きまして、事業実施の支局としての四つを設置するならば、むしろ林野経営を行なう上において前進ではないか、こういうことから、北海道における営林局五つのうち札幌北海道営林局とし、他の四つの営林局を支局とすることにしたわけでございます。  なお、御指摘のございました、営林署を九つということでございますが、これは改善計画において、現在たしか三百五十一ございます営林署を約一割ぐらいは、今日通信あるいは交通網が非常に発達した段階においては整理統合することが事業運営上いいのではあるまいか、こういう考え方から、十カ年で約一割を目標にして統合をしてまいりたい、その初年度として、北海道を除く九つの営林局について、一営林局一署をひとつ整理できまいかなということでいまお願いをしておるというものでございます。
  75. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまの答弁を聞いていますと、北海道の局を支局にすることが何かしら前進だというような理解の仕方をしているようです。それから、三百五十一営林署を十カ年で一割を削減するというようなことですね、まあお聞きもしないものを御答弁になったようでありますけれども、いずれにいたしましても、その方が事業運営に好ましい結果をもたらすんだという理解、これは全くもってけしからぬ考え方、どうしてもわれわれ理解できません。とにかく後退の方向に行っているんじゃないかと、こういうことを言ったのはそこにあるわけでありますが、いずれにいたしましても、きょうは一部修正もされました、その点についてはいまここで積極的な議論はするつもりございません。いずれ日を改めて、あるいは場所を変えてでもやらねばならぬと思います。その中身はどうなんですか、中身は、事業の中身です。だから、その事業の中身をいろいろとお伺いして、その計画を見て、そしてその上に機構をどうするという話になるならば、あるいは反対といえどもときにやむを得ざるものありと、こういうことになるかもしれませんが、機構の改革だけが、つまりは他の機構とのバランス上という、そういう表現で前につつっと出てきているところにやっぱり今回の改正の一番問題があると、こう私は見ておるわけです。  しかし、その議論はさておきまして、その事業の内容について伺ってみたいと思いますが、いまここで事業計画、対応してどうするのかというお話になりますと、これまた延々として多角的な議論をしなくてはなりませんからその時間もありません。ただ、これまでの経過の中で、やはり事業推進の上にかなり疑問がある、そういう点について幾つか質問をしてみたいと思います。  三十八年策定の木材増産計画を見ますと、五十年代の計画伐採量は単一な数字ではございますけれども、二千四百五十二万立方と計画されておる、しかし五十一年の伐採量は実績千五百四十八万立方、かなりこれは計画よりも下回っておりますね、かなりなどという表現では言い尽くせないと思います数字でございます。五十二年も予定といたしましては千五百六十万立方、そして、四十年代を見ましても、四十年、四十一年ころはほぼ計画どおりではあったけれども、それ以降急激に減少しておる、これはどういう理由なのか、これを一つお伺いいたします。
  76. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 冒頭、先ほど大臣からお答えいただきましたけれども、私どももこれから国有林の改善計画を改善をするに当たりまして、改善しなければならない問題が多々あるというふうに考えております。その内容としては、仕事のあり方その他もあろうと思いますけれども、その中には、やはり組織の改善合理化という問題も入っておるわけでございまして、そういう改善計画の一連として組織の問題、ただいま御審議いただいておるようなことを御提案申し上げておるわけでございますし、そういう意味で、組織問題につきましては改善計画の一環であるというふうに考えておりますが、事業実行の問題につきましても、国有林といたしますれば、七百五十万ヘクタールの国有林地を管理、経営いたしておりますので、これを国民の期待にこたえるような国有林に仕立て上げていかなければいけないというふうにその責任を感じておるわけでございます。そういう意味で、これからの国有林の改善という大きな問題があるわけでございますが、いま御指摘になりました木材増産計画と最近の伐採量の問題でございますが、木材増産計画、これは昭和三十八年に立てたわけでございますけれども、御存じのとおり昭和三十五年、六年、そのころはまだ日本に外国から木材が余り入ってまいりませんでした。ほとんど国産材で日本の需要を賄うという事態でございます。そういう事態のときに、日本の経済の成長あるいは国土の復興、こういう問題から非常に木材の需要が多うございまして、そのために木材価格も高騰し、非常に木材が不足するという事態が出、それ以来徐々に外材が入ってきたわけでございますけれども、そういう過程がございまして、その当時やはり国有林野、木があるではないか、国有林はもっと増産しろ、非常に批判を受けたわけでございます。それに対応する中で国有林の将来の管理、経営を考え、なおかつ国民の要望にこたえられるための国有林の生産計画はどうしたらいいかということで木材増産計画というものを計画したわけでございます。これによりまして数年実行してはいたわけでございますけれども、その後外材も大分入ってまいりまして、日本の国内におきます木材の需給関係もある程度だんだんと緩和傾向になったわけでございますが、一方御存じのように、昭和四十年代の中期以降になりますと、国土保全なり自然環境保全なり生活環境保全ということで、森林の持ちますいろいろな公益的機能を発揮する要請が非常に強くなってまいりました。そういうこともございまして、従来やってまいりました増産計画というものから、やはり国有林はこの辺で、木材需給についても外材が入ってくるために国有林が背伸びをしてがんばらなくても一応国民の期待にこたえ得るというような観点から、国有林といたしましては、昭和四十四年度から経営基本計画というものを樹立いたしまして、それによって経営をいたすことにしておりますけれども、そういう経営基本計画の中で、特に昭和四十八年、御存じかと思いますけれども、そういう自然保護の非常に空気の強かったころ、そうしてまた、あわせまして国土利用というふうな問題から乱開発規制というふうな問題も出ております。そういうような時期に、いま申し上げました経営基本計画の中におきまして新たな森林施業というものを取り入れたわけでございます。これは、増産するためにはどうしてもできるだけ皆伐、全部切りまして材を出すことが増産には非常に手近なわけでございますけれども、森林の公益的機能を発揮するという面から考えますと、余り大きな面積を一挙に切るということには非常に問題があるわけでございます。さらにはまた、高山地帯の森林につきましてはできるだけ保存してほしいという国民の要望もございます。そういうようなことから、大きな皆伐というものをやめまして、できるだけ小さな皆伐を取り入れる、あるいは、従来皆伐でやっておりましたところを択伐に切りかえる、こういうふうな形で新しい森林施業というものを取り入れまして、森林のこれからの伐採計画というものを見直したわけでございます。その見直しによりまして国有林の伐採というものが大幅に変わってきたということでございますし、あわせまして、一時に余り大幅に下げますと問題ございますので、徐々に下げるという方向でこの計画を立て、現在それにのっとって国有林の伐採計画を運営しておる次第でございます。
  77. 村田秀三

    ○村田秀三君 これは外材の問題が一つ出てまいりました。それから、あと自然保護の要求が非常に強いと、主としてそれに影響されているというふうに聞きました。そうしますと、四十四年に基本計画を策定したといいますけれども、その際には三十八年の増産計画というものは根本的に変更になっておるということですか。
  78. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま先生指摘になりましたように、増産計画というものは、まずその基本計画を立てた時点からこれに乗り移ってきたと、そういう形で経営をいたしております。
  79. 村田秀三

    ○村田秀三君 その基本計画なるもの、私も見る機会なかったわけでありますが、そうすると、ではそれに基づいて伐採は今後どういう計画でいくということは明らかにされておるわけでありますか。
  80. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 数字を申し上げますと、経営基本計画によりまして、昭和四十四年度から四十七年度までは一応二千百万立方という計画になっておりまして、それから四十八年から五十一年までは千五百万立方という形で経営基本計画では伐採量を決めております。
  81. 村田秀三

    ○村田秀三君 自然保護の要求が強いので伐採量を減少させねばならぬ、あるいは択伐という方針に変更したと、こう言うのでありますが、三十八年の増産計画の際には、つまり五十年代二千四百から二千五百切っても山は循環されていくという計画というのは明らかだったわけですか。
  82. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 御指摘になりましたように、その当時、そういう形で造林地を今後つくってまいりますので、その時点ではそういう計画で将来とも国有林が経営できるという計画を立てております。
  83. 村田秀三

    ○村田秀三君 そういう詳細な資料を見ることはなかなかわれわれにはできないわけでありますが、まあ機会ありましたらもう少し突っ込んでいろいろと検討させてもらいたいと思いますけれども、それに関連いたしましてお伺いいたしますけれども、このたびいただいた資料の中で、林齢別蓄積の状態、この資料をちょうだいいたしました。それを見ますと、十年単位の林齢階層別の面積と蓄積、まあ人工林に限ってでありますが、それを見てみますと、一年から十年、これが八十万ヘクタール、十一年から二十年が七十八万ヘクタール、二十一年から三十年二十五万ヘクタール、それ以上の経年はごくわずかな面積と、こういうことになっておりますから、いまのお話とあわせ考えましてかなり理解できるわけです。しかし、いま基本計画に基づいて千五百万立方ですか、そういうような計数でいきますと、今後人工林の新植面積というのはこれは減少されると思うのでありますが、そういう計画なんかもあるわけですか。
  84. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) ただいま数字ちょっとあれでございますけれども、国有林の場合は伐採計画とそれから伐採の仕方、たとえば従前でございましたら、皆伐の面積をどのくらいにしておくか、それを、皆伐の面積を今回どのくらいにしようというような形、そういうこと、それからそれに伴いまして造林面積をどうするかという形、そういうものを全部計画として盛り込んでおります。たとえば皆伐につきましても、昭和四十四年前は皆伐面積約四百七万ヘクタールをやっていこうという計画を立てておりましたけれども、ただいまではこれを二百八十五万という形で考えております。こういうふうにそれぞれ伐採の仕方、それからそれに伴いましての切る量、それからそれに伴っての造林量、こういうものも計画を組んでおりまして、当然造林につきましても将来、造林面積、いわゆる新植の造林面積というのは減ってくるという数字になるわけでございます。
  85. 村田秀三

    ○村田秀三君 この中で天然林ですね、面積四百八十万ヘクタールで蓄積は六億四千四百万立方、こう出ておりますが、この面積と蓄積の比率を見ますと、大体三十一年から四十年程度のものと概見したわけです、私は。そうしますと、この天然林の面積、四百八十万ヘクタール、この中で切ってはならない保安林であるとか、そういうような面積であるとか、それからいまおっしゃいました、つまりは択伐方式にしたと、こういうようなことで蓄積六億四千四百万立方のうち伐木可能な蓄積量というのはどれくらいあるのかということなんですがね。
  86. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先ほど御説明申し上げました経営基本計画に基づきます計画の数字をちょっと申し上げますと、人工造林面積は五十一年度で二百六十四万ヘクタール、国有林七百六十五万ございますけれども、そのうち二百六十四万ヘクタールを人工の造林地にしようというふうに考えております。したがいまして、これに従った造林計画を立てるわけでございます。それから伐採量でございますが、伐採量につきましては、一応千四百二十万立方メートル、これを基準にいたしております。  そういうことで考えますと、人工造林面積については年に大体四万九千ヘクタールぐらい造林地を仕立てていくという形になるわけでございますが、そういうことで考えておりまして、いま先生が御指摘になりました経済林としてどのくらいあるかという御質問だと思うんですけれども、面積的にちょっと申し上げますと、先ほど申し上げましたように、皆伐の面積は二百八十五万ヘクタール、それから択伐、いわゆる抜き切りでございますが、これをやるところが二百八十一万ヘクタール、それから禁伐のところ百三十五万ヘクタール、それから除地でございますが、これは木が生えてないところも一部ございますし、草地的な、山の高いところに行きますとそういうところもございますが、そういうものが五十八万ヘクタールという形で、大体全体七百六十五万ございますけれども、そのうちの三分の一強がいわゆる皆伐で仕事をするところというふうに御理解いただけばいいんではなかろうかと思います。
  87. 村田秀三

    ○村田秀三君 もう少し詳しい資料に基づいていろいろと検討してみたいと、こう思うんですがね。まあ実際に切っちゃならないということになるのか、私自身それは検討してみないとわかりませんから、いまここで特に言及いたしませんけれども、この計画、これだけの資料に基づいていろいろと思ってみますことは、とにかく外部の圧力といいますか、外部の要因によってこれほど大きく変化されるものなのかどうかということが一つ疑問に私は思っております。細かな資料で、やむを得ないということに判断できるのかどうか、これは後日に検討させていただきたいと、こう思いますが、いずれにいたしましても、山というのは私が申し上げるまでもなく五十年、六十年の仕事であるわけでありますから、だとするならば、伐採、新植、保育、そして蓄積、伐採、これが循環されていくというのが素人でもわかるわけです。だとすれば、国有林の中でどういう角度から検討されるかは別にして、毎年そう大きな変更というのはあり得ない、こう思っております。だから四十四年にさかのぼっていろいろと議論をするというのはあるいはおかしいかもしれませんけれども、これほど、外部の要因があったからといって急激に変更させねばならないという要因というのは、いや率直に申し上げまして、私も二岐山の木を切るななどと要求をいたしまして、かなり実現した経過はありますけれども、いずれにいたしましても、そう大きく変化されるというふうには事実上できないですね。だとすれば、これは計画的に、それこそ安定的に健全な事業遂行が可能であるという、そういう前提が必要であり、そのことをなさねばならぬと実は思っておるわけです。そういう点から見まして、この四十四年に策定した基本計画、これの変更というのは将来あり得ないということでしょうか。
  88. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 国有林につきましては、御存じのとおり森林法に基づきます全国森林計画に即しまして国有林なりのそれぞれの施業計画を立てております。これはそれぞれの地域によりまして五年に一遍めぐってまいりまして、五年ごとに検討し、立てておるわけでございますが、基本的な考え方につきましては、いま先生が御指摘になりましたように、ただいま現在、われわれ経営基本計画に基づいて実行いたしておりますが、これもそれぞれの年度が来ますと、一応見直しはいたしますけれども、大きな狂いは私はこないというふうに考えております。そこで一例を申し上げますと、たとえば禁伐の面積でございますけれども、冒頭申し上げました増強計画時代には大体七十四万ヘクタール程度のものを禁伐というふうに考えて、相当標高が高いところにつきましても伐採していこう、あるいは川に沿ったところ、海に沿ったところも、利用できるものは国民の期待にこたえるようにできるだけ利用していきたいということから、禁伐面積を約七十四万ヘクタールに抑えておりましたものを、先ほど申し上げましたように、今度の基本計画、昭和五十一年に立てたわけでございますが、これではその約倍に近い百三十五万ヘクタールという形で禁伐の面積を非常にふやした。これは非常に大きくやはり伐採量に影響するわけでございまして、これらは国有林が、従来外国から材が入ってこないときには、やはり国有林が中心になって何とか国民の木材需要にこたえたいという気持ちがあった時点と、それから、外材が大分入ってまいりますし、さらには国民から公益的企業の要請が強いという時代では、これからの国有林の経営のあり方はこうであるべきだという観点から、いま申し上げましたような形で、伐採の仕方、経営の仕方を変えて対応したわけでございまして、そういう意味から、その考え方は、こういう安定経済なり外材が相当入ってまいります時代については、私どももこれから国有林の経営についてはそう変わるものではないと思っておりますし、国有林の使命といたしましても、一応計画的、安定的に材を供給するという大きな使命がございます。そういう意味からも、安定した形で今後国有林の経営がなされるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  89. 村田秀三

    ○村田秀三君 この問題は別途また議論をしていきたいと思いますが、非常に不良造林地が多いということを聞くわけであります。私自身も実態調査に赴いたこともございますが、いままでの衆議院等の議論の経過を聞きますと、われわれの調査と林野庁の調査ではかなり違いがあるように思いますけれども、林野庁はその不良造林地というものについてどう認識されておりますか。
  90. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) ただいま御指摘になりましたように、ただいまわれわれが造林いたしております造林地につきまして、必ずしも成績が十分でない個所があるということは私ども十分理解いたしておりまして、林野庁が昭和五十三年四月一日現在で押さえております面積といたしましては、生育が不十分な造林地は一万五千ヘクタールあるというふうに把握いたしております。これは、ただいま造林地が約三百三万ヘクタールございますから、そのうちの約〇・七%というふうに踏んでおります。それから、造林いたしましたその後、保育が必ずしも十分でなかったために、早く保育をしませんと造林地が悪くなるというふうに考えられる面積が約三万ヘクタールございます。これは全造林地面積の約言・五%でございまして、こういうものにつきましてはできるだけ早く対応するべくその計画を立てまして、逐一実行中でございます。
  91. 村田秀三

    ○村田秀三君 われわれも調査といいますか、それこそ全国航空写真で撮ってみたわけじゃございませんから推計ということになりましょうが、いま長官がおっしゃったような数字とはかなりかけ離れておるわけでありまして、一口で四十万ヘクタールあるのではないかと、こう指摘をするのでありますが、これほどの違いというのは、これは議論になりませんので、不良造林地と、こう言いましても、観念的に物を考える場合と、それから基準を設けてこういうものは不良なんだという場合と、さまざまありましょうけれども、これをもう少し徹底的にひとつおやりになってみませんか、いかがでしょうか。
  92. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先ほども申し上げましたように、私ども、これは五十二年四月一日で一応把握したわけでございますが、先生も御存じのとおり、国有林では毎年、五年に一遍地域を全部区切っておりますけれども、それぞれその地域の造林地がどうなっているか、それから、これからの収穫計画をどうしたらいいかという調査が、毎年、五年に一遍それぞれの地域別に回ってまいります。そういう時点でも十分この問題を把握していかなければいけないと思いますし、いままでも把握してまいりましたけれども、さらに精度高く把握していく必要があろうというふうに考えております。  また一方、国有林を管理するために営林署担当区がございます。担当区は相当の小面積の中に配置されまして、自分の受け持ち区域の森林を、造林地を含めまして管理している責任があるわけでございますから、そういう担当区の経常業務の中におきましても十分把握できる問題でもございます。私どもも国有林が、いい造林地をつくり上げることが一番大きな使命であるというふうに認識もいたしておりますので、造林地を適格な造林地に仕立てるような努力につきましては、今後とも十分対応してまいりたいというふうに考えております。
  93. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうもそれだけの答弁じゃまことに私は不満足であります。不満足ではありますが、いま長官がおっしゃった数字をもとにして議論するほかないわけでありますが、なぜ不良造林地が多いかという問題でありますが、不良造林地というのは、民間の方であればすぐに改植をするとか補てんをするとか、ほうってはおかないと思うんですね。そういうことをやらないから、ということと同時に、植えては見たけれども、きわめて重要な初期の段階における保育というのが不十分である。松でも杉でも、大きくなれば余り灌木は生えませんけれども、むしろ灌木とか、カヤとかつるとかに絡まれて幼木が枯死をするという例が多いわけです。私も昔下刈りなんかやったことがありますが、そういうことを考えてみますと、農林省の林家経済調査報告書に造林保育に要する労働投下量、これが出ております。民有林の場合は最近の統計で一ヘクタール当たり百八十二人目と、こうなっておるわけでありますが、林野庁では平均どの程度に見ておられますか。
  94. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま先生が御指摘になりました林家経済調査報告でございますけれども、これは御存じのように、林地と申しますのが樹種が違いますとそれなりに投下の仕方も違ってまいります。それから、林道からの距離あるいは地形、傾斜等々によりまして、また民有林の経営目的から来ます植えつけ本数が、たとえば北山杉というようなところは非常に密植をいたしますし、そういう関係からくる仕事のあり方の違い、そういう問題もございます。したがいまして、私どものこの林家経済調査報告、これも一つの参考資料ではございますけれども、これがどんぴしゃり国有林そのものとはなかなか比較にならないんではなかろうかというふうに考えておりますけれども、国有林の実績を本当の直接作業だけで計算してみますと、ヘクタール当たりでは大体八十二人ぐらいになるというふうに考えております。ただ、これはいま申し上げましたのは直接経費ということでございますので、さらにこの林家経済調査を見ますと、その内容といたしましては立木調査とか保護管理その他の問題も入っておりますので、そういうものを含めて計算してみますと、大体国有林の場合、ヘクタール当たり百十人ぐらいになるというふうに考えております。片やいま先生指摘になりました百八十二人目でございますが、これは全国を一本にして計数整理をいたしておりまして、御存じのとおり、杉あるいはヒノキ、エゾマツ、こういうもの、樹種別によりまして相当違いがあるわけでございます。したがいまして、民有林のいまの調査を、国有林が杉、ヒノキ、松あるいはカラマツとございますので、それと同じ比率で分けてみますと、その労働投下量も百十一人ぐらいになりますので大体似たところではなかろうかというふうに理解しておる次第でございます。
  95. 村田秀三

    ○村田秀三君 まあ百八十人と百十人、大した違いはないじゃないかと言う、これは考え方の問題にしてはずいぶんずれがあるんじゃないかと、こう思います。やっぱり人をかけてないというふうに言わざるを得ないと思うんですね。  これは、せんだって私の方の猪苗代営林署の職員が持ってきて見せてくれた資料ですが、恐らく長官ごらんになっておるんじゃないかと思いますが、もうこういうつる草あるいはチガヤ、灌木に絡まれて放置されているという、そういう地域というのは福島県でも数限りなく存していますよ。だから、そういう意味から言えば、国有林と民有林は違いがあると、こうおっしゃいますけれども、その違いが不良造林地を生んでおるし、一万五千と、つまり〇・七%とこう言ってみても、かなりな面積ですからね、これを放置しておくところに問題があると思うんです。とにかく、学生のころ私なんかも年寄りから聞いたことがありますけれども、さなきだにうっそうとした自然林であっても山奉行を置いて樹木はよく管理したということを聞いております。林野庁はこれは山奉行ですよね、はっきり言えば。その山奉行が、とにかく木を育てよう、育てることが治山治水に十分な効果をあらわし、国土の保全につながり国民経済を潤すという、そういう観点に立って、本当にこれは保育というよりも撫育ですわな、なでて育てるというような感情でやっておったと私は思うのでありますが、民間じゃ、早く育てたい、早く売ってもうけたいという、それもありましょうからでありますが、とにかく、余りにもいまの林野の山のつくり方というのは、本来民間林業の指導をすべき立場にある国有林野に、もう習うものは何もないと、こういうようなことを林家が言わざるを得ないというふうな、そういう状態だろうと思うんですね。だから、人手をかけないのが問題である、こう言わざるを得ないと思うんです。ここで、それを民間並みにやったら幾ら人手を要するかなどという問題は、これはいま申し上げません。いずれにしても人がかかることは間違いない。私ども指摘をしている四十万ヘクタールもあるんだという前提に立つならば、これはもう営林署を十年間で一割減らしますよなどという理屈は、中川大臣、これ出てくるはずもないと私は思う。別にきょうは答弁もらっておきません。  そこで、次の問題ですが、一言で言って、今度の機構をいじるというのは赤字だから機構を縮小せざるを得ないというふうに私は受け取っております。あるいは議論になるところかもしれませんけれども、そういう前提に立って物を申し上げるわけでありますけれども、今年度、確かに治山事業にかなり一般会計からも繰り入れられるということにはなっておりますけれども、国立公園、あるいは保安林であるとか、そういう公益機能を有するところの森林、国有林で管理をしなくてはならぬという、そういう山というのはかなりあると思いますね。この間妙高に行ってまいりましたが、妙高なんかもあれは管理をしておるはずであります。しかし収益はございません。そういう経費というのはどのくらいあるものでしょうか。
  96. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま先生指摘になりましたような、いわゆる、俗に言えば経済林でないところということになろうかと思いますけれども、国有林の場合、保安林など法令で指定されております公益的な機能をよけい発揮しなければいけない、重視される森林でございますけれども、これを第一種林地という形で押さえておりますけども、それが大体国有林野面積の約五三%に当たります四百四万ヘクタールございます。これが保安林だとか、その他国土保全上の問題を重視する森林でございます。その中身といたしまして、いま申し上げました保安林が約三百五十三万ヘクタール、あるいは自然公園法に基づきます自然公園でございますが、これが約二百四万ヘクタール、そのほかレクリエーションの分というものが約五十九万ヘクタール、こういう形で公益的機能をより発揮するような使命を持っております森林があるわけでございます。  それで、いま先生がおっしゃいましたように、それではそういうものに対してどの程度のいろんな経費があるかということでございますけれども、森林のこういう公益的機能というものが、やはり経済機能とある意味では一体になって発揮されるという点がございます。これは、たとえば普通林地でありましても、むやみやたらに切ればやはり水資源の涵養が非常に不十分になるし、環境保全も悪くなるというような問題で、やはり森林そのものにそういう木材生産機能とあわせて公益的機能、両面を持っておりますので、森林経営というのはどうしてもその両方の調和を図らなければいけないということがございます。いま申し上げましたような森林につきましても、重点としては確かに公益的機能的なものを発揮する面が強いわけでございますけれども、その中にも一部やはり経済林として利用できる面もございますので、当然択伐等森林施業をやる場合もございます。したがいまして、これを経費的に分けるというのは非常に技術的に困難であるというようにわれわれ考えております。
  97. 村田秀三

    ○村田秀三君 世の中、厳しくなってきておるわけでございまして、特別会計ですね、金がないから、これ率直に言って、行政管理庁や大蔵省の言うことを聞かないと金を出してくれないと、まあ物の言い方は適切かどうかは別にして、おたくはそういう言い方はできなかろうと思います。しかし、そう厳しく考えてまいりますと、何も山がつくっておる空気代までひとつ予算化しろと、こういうことは言いません。しかし、現実問題として妙高高原に地すべりがありました。治山の経費は、建造物代ぐらいはあるいは出るのかもしれないけれども、これだって一〇〇%ではございませんね。設計はする、工事の監督はする、現に三次崩壊を警戒をして徹宵無線連絡をしてみたりやっているわけでしょう。しかしあそこからは収益はございません。あそこに登山した方から登山料を取るなどということもないわけでありますから当然管理費はかかっているわけですよ。そういう管理費を計算することはむずかしいと、こう言ってみても、妙高一つをとってみても、私はあそこに営林職員が何人いるかわかりませんが、そのうちの一割はそこにかかっておるとかという概括的なことは出るはずです。そういうところまでやはり物を言わなくちゃならぬ時期に来ておる、私はこう思うんですよ。つまりは、人をかける、よい山ができる、よい山をつくるためには金がかかる。その金ですから、金がないからいわゆる施業一部切り捨てをしてやらざるを得ないという発想になってくるはずでありますから、それはもうきちんと整理をして、この際は一応計算をしてみませんか、いかがですか。
  98. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生から、いま妙高の地すべり等のお話ございましたけれども、治山事業につきましては、本年度におきまして約六八%強の経費が一般会計から導入される形になっておりまして、これは民有林の治山事業のあり方と大体似たような形になっております。さらに、ただいま国有林野改善特別措置法案を農水で御審議いただいておりますけれども、その内容といたしまして、保安林内の造林事業あるいは公共的な性格の強い林道の開設事業、こういうものには一般会計から導入していただこうということでいま御審議を農水の方でいただいておるわけでございますが、私どもも、そういうふうにやはりある面で国有林そのものがそういう性格もございますので、公益的な機能も発揮しなければいけないし、さらには公共的な性格もあるという観点から、いま申し上げましたようなものにつきまして一般会計からの導入を図っていただいて、国有林の経営の健全性、そして国民の期待にこたえる国有林の山づくりをしていこうという姿勢をとっておりますので、そういう意味からは先生のおっしゃることと同じような形で私どもも国有林の経営をやる考え方であるというふうに私ども考えております。
  99. 村田秀三

    ○村田秀三君 私の言っているのは、治山とか治水とか目に見えるところはいいですよ。目に見えないもの、理論上そうだけれども計算はかなりむずかしい、これはわかりました。わかりましたけれども、わかるものもありますよ、いまは妙高の例を申し上げました。ということで、一度それを試算してみませんかと、こういうことを言っているのです。
  100. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生の御指摘のような問題も検討すべき問題かと思います。ただ、国有林の場合には非常に現在財政事情も厳しい問題がございますが、これからの国有林をより健全なものに導くためには、まず私どもやらなければいけないことは、国有林自身の身の引き締めであろうと考えております。そういう意味では、いろいろな面の自主的な経営努力、こういうことをやりまして、なおかつ、いろいろな問題が出た場合にはさらにまた検討する事態がくるのかもしれませんし、あるいは自主的努力によりまして国有林が本当に健全な方向に向かうのかもしれませんし、これはこれからの私どもの国有林経営に対する姿勢によるというふうに考えておりますし、そういう意味から、自主的努力といま申し上げましたような国有林の改善特別措置法案に基づきます改善計画によりまして、私ども二十年間の改善計画を立てることにいたしておりますので、そういう経営の考え方の中で国有林のこれからの改善合理化を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  101. 村田秀三

    ○村田秀三君 経営努力もわかりました。言っていることはわかるんですよ。しかし、私が申し上げている意味もわかるわけでしょう。ここではなかなか答えにくいということなんですか。その妙高、収益事業じゃない、山を管理するためにかかっている経費幾らなんだか出しなさいと、こう言われていて、それをわからないとか、計算がむずかしいと言うことは、これはもうだれが見たってちょっと変ですよ。だから試算をして、それを要求するかどうかは別にしても、それを出してみないと、ただ単に赤字だ赤字だと言われながら働いている職員はこれはどんな気持ちでありますか。本来であれば、民有林の山火事を防止するために林野庁がヘリコプターくらい持って、いざ山火事というときに出動していって、日本全国の山という山を守るくらいの機能を持っても一向差し支えないわけですよね。だからそういうことを考えれば、つまり純然たる意味の木を切って、売って、その経費で生活をするという、単にそれだけのものではなくて、それ以外に国家的、社会的な目的のためになさねばならない役割り、その役割りを果たすための諸経費というものは当然出るはずだと、土どめをするとか、護岸をするとか、目に見えている話ばかりじゃございませんよ、これは。それを私は言っているんですよ。だから試算ができないということはないと思うんですよ。試算するくらいのことは言いなさい、要求をするかしないかは別にして。中川大臣、どうですか。
  102. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生指摘のような、どのくらいそういうものに経費がかかっているのかということは非常にむずかしゅうございますけれども、森林がどういう機能を持っているかということにつきましては、過去におきまして森林の持ちます公益的機能というものを計量化いたしまして出した例がございます。十二兆八千億という全国的な数字が出ておりまして、それは当然国有林も入っておるわけでございまして、そういう考え方からいけば、森林全体としては大体そのくらいの機能を森林が一年間に果たしておるという森林の機能としては把握いたしておりますけれども、実際の費用として、いま先生が御指摘になったような問題について、それを資料としてつくるということは非常に私どもも困難ではなかろうかというふうに考えております。
  103. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうもおかしいですよね。その森林の持つ機能の経済的換算、これは私も聞きました。言ってみれば、国有林野がどの程度役割りを果たしているかは別にして、一年間に十二兆も働いているんだから、七百億や九百億、メじゃないんじゃないかという気持ちになってもいいんじゃないかと思うんですよ、はっきり言えば。それは少し飛躍し過ぎています。いますが、私の言っている意味がよくわからないんですかな、私はずいぶんわかるように言っているつもりなんですが。いいですか、妙高の山崩れがありました。行ってよくわかりました。国有林であります。その国有林の林分は何かといったら、これシラカバくらいなものですね。これは売っても大したことないです。だから山自体経済性はないわけだ。しかし、その山を守るために地すべり防止を行い、まあ地すべりが起きましたら、それの防止工事をまたやるわけですね。だから、その治山のための工事費は六八%出るようになったと、これはだんだんふえていくのは結構でございましょう。まるまるもらっていいんですよ、これは一般会計から。林道をつくる。これも林道全部じゃなくて、これまた特定の林道の六八%、これもいいでしょう。だけれども、そこに管理のために張りつけられる職員の経費はだれが持っているんですか、一般会計から出るんですか、これ。どうですか。身近な話をしてもいいと思うんですよ。いま何人、徹夜であそこに監視に行っていますか。仮に、一昼夜二人交代、こういうことはなかろうと思いますね、恐らく昼夜交代であれば七、八人じゃないかと想像しますが、その七、八人、じゃいつからやっていますか、先月の十七日ですかな、もうすでに二十日経過しているわけだ。そうすると、八人分の二十日分の賃金といったら幾らになりますか、すぐ計算できるでしょう。まことに卑近な例でわかりやすい例で、その経費をどこが負担するのかと、こう言っているわけです。だから、それは試算すれば出るじゃないかと。何も妙高、突発的でありますから、常態としてそういうことがあるわけじゃございませんでしょうけれども、そういう例が全国かなりあるはずです。まあ防潮林なんか、山があるためにやはりその営林署の定員は二、三人必要とされて配置される。しかしそこからは何の収益もないわけですね。ということをずっとトータルしてみたら、かなりの額に私はなるんじゃないかと思うんですよ。だから、それをすべていま一般会計から出せということは無理であったとしても、その経費は当然やはり今日のような厳しい状態の中では、計算をして、そして措置をしなければならぬ。山を守れという国民の要求があるとするならば、国民はそのための負担は当然すべきである。そういう観点に立って試算はできませんかと言っているんですよ。試算してみますと言うことが、それほど何か遠慮しなくちゃならぬことなんですか。話はこんなにわかっていると私は思うんですが、どうなんですか。
  104. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生のおっしゃることは私もよくわかるわけでございます。たとえば、治山事業につきましては、現在約千五百人分については一般会計からいただいております。そういうふうに、私どもも数量的にわかるものについてはそういう考え方をとっておりますし、それから、先ほど申し上げましたような造林事業、林道事業、こういうものも保安林内の造林だとか、あるいは公共的性格の非常に強い民間の林道あるいは国道と結ぶような基幹林道、こういうものについても補助をいただこうということで、現在御検討いただいておるわけでございまして、はっきり計量できるものについてはいま申し上げましたような形で考えておりますが、たとえばいまおっしゃいましたような、そこで管理している人間ということになりますと、そこにいる人間は常時その仕事ばかりやっているわけでございませんで、やはり一般的な国有林の経営、たとえば担当区であれば、治山事業も場合によればやりますし、それから造林事業もやるし、場所によりましては林道の監督もやるというような形になりまして、非常にくるくる回るような形になります。そういうことで、なかなか計量的につかみがたい問題でございますが、私どもも将来の問題としては、こういうものについては十分その手法等については研究してまいりたいというふうに思います。
  105. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうもまだぴんときませんね。大分遠慮なさっておるようでありますが、いずれにいたしましても、同一の人間が造林にも当たる、運搬にも当たる、管理、巡視にも当たる、これはわかりますよ。ではもう少し砕いて言いますよ。わかっていても恐らく答えたくないんじゃないかと、こう思うんですが、妙高のいま第三次崩壊を警戒するために臨時に人をあそこに雇ったとしますか、その経費は林野庁で出すわけでしょう。臨時で雇ったと仮定する、それは林野庁で出すわけでしょう。それは収益事業じゃないんですよね、収益事業じゃない。つまり妙高という観光地帯を守る、観光客、登山客に危害を加えないように守る、崩壊をすれば下流の住民に被害を与えるからこれを守る、こういう目的なんでしょう。木を切って、売って、売ったお金で生活をするというのとは違うわけですから、だからそこは、何も同じ人が造林もする、あるいは巡視もする、運送もする、そんなことはわかっていますよ。しかし時間区分すれば明らかに別なものがあるはずなんだから、そのものを経済的に見て、これはいわゆる公益事業に奉仕する経費じゃないかと、それを積算しなさいと、こう言っているんですからね、わからないわけないですよね。検討に値する――本当に検討してみますというなら、きょうはそれまででとどめておきますよ。しかし、話がわからないからというんじゃ、これはまだ続ける以外にないんですがね。
  106. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生おっしゃること、よく私もわかるわけでございまして、いまおっしゃいましたように、たとえば治山事業の場合でございますと、いま現実には定員内の職員が張りついてやっておりますから、現実問題はそういう形になりますが、もしいまおっしゃったように、臨時に何人かの人を何日間か雇えば、それは治山事業の中で経費整理できるわけでございまして、治山事業については、先ほど申し上げましたように一般会計から金をいただいてやる面があるわけでございますから、そういう対応はできるということになります。  それから、一般論、全般の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろむずかしい問題なりがございますけれども、その辺どういう手法でやったらいいかということについては、十分私ども検討してまいりたいというふうに思っております。
  107. 村田秀三

    ○村田秀三君 しつこいようですがね、いま臨時を頼めば治山事業費からもらえる、こういうことですな。そうすると、治山費の中に臨時費が入っている、その六八%くれると、こういうことでしょう。これは一般会計からくれるということでしょう。正規の職員を使ったから、林野庁で賃金を払っているから、だからその分は一般会計からもらわないと、こういう意味ですか。やはり職員の分も、職員が監視をしていたその分も治山事業費の中に含めて請求もし、その六八%を一般会計から繰り入れられる、こういう意味なんですか。
  108. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生非常に、個々の妙高のことを御質問でございますけれども、そういう経費整理については、全般的な問題として国有林全体で六八%という形でいただいておりますので、そういう全体経理の中で、今回の場合はどういう経理をするか、それはその営林署なり営林局の対応で考える問題だと思いますし、全体としての経理の整理としては、六八%という金を一般会計からいただいておるわけでございまして、今回の妙高のやつをどういう整理にするかについては、ちょっと私もいま細かいことは存じ上げない次第でございます。
  109. 村田秀三

    ○村田秀三君 妙高の話は一つの例として出したわけでありますが、ひとつどういうことになるのか検討してみると、こういうことでありますから、その結果を待つ以外にありませんが、私はどう考えてみても、その額というのはかなりの額になると、こう思っているわけでありまして、今後とも言及をしていきたいと、こう思います。  それから、まことに簡単で結構でございますけれども、やはり販売方法ですね、これはいままでもずいぶん議論されてきておるところであります。とにかく一般競売と、それから随意契約、大別すればこれが主体でありますけれども、いろいろ細かい議論しなくては、ここで結論が出る問題でもないと思いますけれども、随意契約を一般競売にした場合にどれだけの増収になるかということ、これは関係者が試算をした目の子でありますけれども、とにかく一年間に百七十三億増収になると、こう言っております。だから随意契約、これを一度に転換しなさいという話も無理があろうかと思いますけれども、本当に改善計画ということであるならば、とにかく予算は入るをはかって出るを制すと、こういうわけでありますから、入ることを第一に考えなけりゃならぬわけでしょう。ということからするならば、この随意契約を一般競売に転換をしていくという一つの考え方に立つ必要があると、こう思いますし、同時にまた、まことにこれ異なことを聞くわけでありますが、販売委託というのがあるそうであります。販売委託されている地域というのは九州が主であろうと、こう言われておりますし、その販売委託の材積も五年間で約二十万立方、委託料が八億円だというんですね。営林署が直接販売すれば、これは聞くところによると市場に出すんだそうでありますけれども、営林署が市場に入って販売することがいけないということに法律でもあるならば別でありますけれども、営林署が直に市場に行って売ってもよいんじゃないかという感じがいたします。何も八億円も払っている必要はないと思うんですね。  それと同時に、もう一つ聞きますけれども、委託販売が行われておる年というのが、毎年一定数量、一定程度なされているのかどうかわかりませんが、私の聞くところによれば、特徴的に四十五年、四十八年、五十年、五十一年にこれは偏っていると、こう言うんですね。これはどういうわけなんだろう、こう思うのでその点お伺いいたします。
  110. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま二点御指摘になったと思いますので、順々に御説明申し上げたいと思います。  まず冒頭、国有林の販売でございますけれども、これにつきましては公売あるいは随意契約という形で売り払っておりますが、考え方とすれば、できるだけそれは一般公売、競争入札でやった方がいいという考え方もあろうかと思います。ただそこで、反面、先般来の不況事態には一般公売で売りましたものがほとんど不落になってしまうという事態も出るわけでございます。そういう時点も考えますと、やはりある意味での地元を中心にいたしました、地元の中小企業等々を中心にいたしました国有林材を使う業界の方々、そういうものを安定的にやはり育てるということも国有林の売り払いの中には必要ではなかろうかという問題もございます。それやこれや考えまして、いま林野庁で考えております大きな分け方でございますけれども、銘木等の局品質材あるいはパルプ用材等の原材料については、原則として一般競争入札でやる。それから一般材につきましては、これは製材工場で使いますような一般材でございますが、これは国有林材の依存度等地域的な特性を考慮しながら、一般競争契約による販売割合の拡大に努める。地元の工場でございますから、全部公売でやりますと地方の人が持ってってしまう、そういう場合に地元に本当に材が落ちないということもございます。そういうことを考慮しながら、できるだけ一般競争契約ができるようなことは考えております。それから、これから需要を開発しなければいけない材――間伐材あるいはカラマツ等々の問題については、主として随意契約でやろうというふうな基本的な考え方で対応いたしておりまして、たとえば立木販売でございますけれども、これは四十七年に一般競争契約が一九%でございましたのが、五十一年には二九%に伸ばしておりますし、それから丸太の販売でございますが、これは四十七年に三七%でございましたのを五十一年には六二%という形で、大幅な一般競争入札の増加を図っておる次第でございます。  それから、委託販売の問題で御指摘になりましたけれども、主として熊本方面につきましては、民間の杉、ヒノキを中心にいたしました林業が非常に盛んでございます。そういうものの売買という形で市場というものが非常にたくさんできておりまして、こういう市場に国有林材もあわせて材を出しまして委託して売るということが、売り方においても非常に有利な場合がございますし、また逆に市場価格を把握するという面からも非常に役に立つという点があるわけでございます。そういう関係で、まずどのくらいの数量を出しているかということでございますが、熊本営林局でつくっております素材のうちから、いま先生は年次別に御指摘になりましたけれども、私どももそういう形でこの販売をある意味ではふやそうという姿勢もございまして、昭和四十六年二万三千立方、四十七年三万一千立方、四十八年三万五千、四十九年三万六千、五十年三万三千、五十一年四万一千と、傾向としてはだんだんふやす傾向で対応しておるわけでございますが、年別に数字はありますけれども、傾向としてはそういう形で考えておりまして、これは熊本営林局が売り払いいたしております素材量の大体四十六年が三%、四十七年三%、四十八年七%、四十九年七%、五十年八%、五十一年一〇%と、大体そういう形で年間の売り払い量に対しての比率というものを見ながら対応しておるというのが実態でございます。  それから、そういう形でございますので、いま八億ぐらいの手数料を払っているではないかというお話でございましたけれども、これは一般の民間の方々が出される場合も大体六ないし八%の手数料を出してそこの市場で売ってもらうという習慣になっておりまして、国有林もその一般の商取引の例にならっておるわけでございますが、これを売り払いました量が、いま申し上げましたように材積にいたしまして約六%でございますけれども、今度はこの販売いたしました結果上げ得ました収入は、全体の収入の一五%になっております。したがいまして、確かに七億八千万の手数料を払っておりますけれども、売り方としては決して不当な売り方ではないし、私どもとすれば、やはりこれからのこういう木材の売り払いは、国有林が独立してやるという問題もございますけれども、その地方に民有林があれば、民有林も売り方になかなかむずかしい問題もございますので、お互いにタイアップしながらやっていくという姿勢もあっていいんではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  111. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまお答えをいただきましたが、私の申し上げることがそのまま通りそうもないのはわかりました。いずれにいたしましても、別途機会を改めて詳細に検討してみたいと思います。それだけの答弁では素直にそうですがと言うわけにもなかなかまいらぬ節もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、私がいま、つまり、公益森林の管理に要する経費の負担の問題、それからあと販売の方法等にも多少触れたわけであります。専門的に同じ一つの問題を一時間、二時間かけてもいいくらいの問題であろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、どうやって収入を上げるか、赤字だ赤字だと言いますが、収入を上げる方法をもっと細かに検討を加えて、そして増収をする、この改善も当然考えてよかろうという立場で実は申し上げたわけであります。  それから、前段申し上げましたのは、とにかく施業方法とでも言いますか、事業計画、本当に細かな点について申し上げることはできなかったわけでありますし、また私もいろいろと知らない面があったようであります。いずれにいたしましても、手をかけねばならぬ、非常に国有林はいま荒れておるということが一般にも言われているし、私自身もそう思う。だとすれば、その事業を拡充強化するということは、収支の面だけをとらえてそして予算上この程度きりできないんだなどというような物の考え方ではなくて、とにかく山を大切にして十分なる保育もする、よい森林をつくる、そして経済性を高めるということと同時に、つまり収入を図ってやっていくという、そういう方向が確認されないままに、何となく赤字で、大蔵省から金をもらうためにはどうも営林署の十や十五はつぶしても仕方ないんだというようなことが先行しているように見られていたし方がないわけでありまして、そういう意味で、いままで一連のものを申し上げてきたつもりでありますけれども、中川農林大臣、どうですか。
  112. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) まず、国有林は国有林の持つ使命というものがあるわけでございます。それは、一にしっかりした国土保全ということと、国民に必要な木材の生産を上げていく、その経営のあり方は、これは特別会計をもってやるという仕組みになっておるのでございます。ところが、最近は御承知のように、木材価格の低迷等、林野を取り巻く情勢は非常に厳しいものがある。しかも、国鉄のように運賃値上げ等によって改善できるという安易なものではなくして、非常に厄介なものでございます。そこで、体質をしっかりしたものにすると同時に、合理化もできるものはしなければいかぬし、機構の簡素化ができるものもぎりぎりのことはしなければならない。同時にまた、公的機能でもございますから、治山等については一般会計から入って、おりますけれども、さらにこの際、財投資金等の融資の措置のみならず、林道あるいは造林等についても一般会計から入れていかなければならない、こういうことだろうと存じます。ただ、その場合収入等についてももう少ししっかりしたものにせよ等々の御意見、あるいは公的機能についてもっとしっかりしたものを考えて、国有林の持つ意義というものをはっきりし、そこに一般会計から直接入れる入れないは別としてもという御指摘もございましたが、そういった点については十分検討してみたい、こう思う次第でございまして、十分の案とは思いませんけれども、できるだけのあらゆるところに工夫を使って、国有林の再出発には林業の再出発とも言えるぐらい非常に厳しいところがございますので、御指摘の点は十分承りまして、ぎりぎりの努力をして国有林野を再建をさせたい、こう思っております。この上とも御指導賜りますようお願い申し上げます。
  113. 村田秀三

    ○村田秀三君 一番地域住民が気にしておりますのは、この営林署の廃止問題ですよね。北海道へ私も冬行ってまいりました。農林大臣の地元にも行ってまいりましたが、とにかく、局を支局にするということは、よほど勉強していなさる方でないと理解が不十分な面がありました。しかし、営林署がなくなるんだぞという話になりますと、これは町を挙げて大騒ぎというのが現実ですね。これはもう本当に、騒動が起きるのじゃないかと思うくらいですよ。営林署が、職員が何ぼいる、これの収入が何ぼだ、山で働く賃金が何ぼだ、木を売ったのが幾らだ、こういうのを全部細かに資料をとりまして、それは町の経済の何割に当たる、もしも営林署をなくされたならばそれこそこの町はますます過疎化してしまう、こういうことであります。それから、私の福島県でも一カ所、猪苗代というところがありますが、何か前橋の局長が町長を訪問したというようなことで、もうおれのところに目をつけられたんじゃないかということで、これまた町じゅう大騒ぎの状態ですね。これはそう簡単になくすべきじゃなかろうと思いますし、この廃止の問題は、予算上計上されたからこれ実行しないとというようなことではなくて、まさに、その地域の実態を踏まえて、その管内の事業計画というものを詳細に検討して、仕事をやればやれるわけですから、やるところはたくさんあるわけですから、何も切るのばかりが能じゃないのですから、大体国有林ずっとこれまでは山をつくるというよりも切る方に精力を注いできた傾向というのがあるわけですから、山をつくるのが主体だという観念に立つならば、これはそうそう営林署廃止などという議論は出てこないし、地域住民が本当に納得しなければこれを廃止をしてはならぬ、こう実は思っておるわけでありますが、その点について中川農林大臣ひとつお聞かせをいただきたいと思います。  同時にまた、事業計画ですね、新たなものが出てくると思うのでありますが、これは国民の関心は相当高いと思いますし、そうしてその衝に当たっている皆さんももとよりでありますけれども、その衝に当たって現場を預かっている皆さんも、自分の管轄の領域の中での判断かどうかは別にして、現場を見ているだけに、手にしているだけに、事詳細に検討をし実態も把握して、こうしたならばよろしいのではないかという意見というのはかなり持っているようであります。そういう意味から言いますならば、これは地元の人の意見を十分に聞く、あるいは組合の意見は十分に尊重する、こういう立場が必要ではなかろうか、そんなふうにも思いますので、その点要望もし、また皆さん方の対応について所信を伺って私の質問を終わります。
  114. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 営林署の統廃合につきましては、決して単に一割切ってというようなことではなくして、やはり国有林も合理化、特に最近は交通網なり通信網なり、他の省庁においても広域行政ということが行われているところでございまして、それに対応すべきものでございます。御指摘のように、従来は伐採が中心であったやにも思われますし、特に施業造林地等もありますから、これからは育てる、つくるということにも力点を置かなければなりません。そういう点も配慮しながら、いかに統廃合があるべきかということについては慎重を期してまいりたいと存じます。中でも、町村の過疎と直接結びつきますので、町村においては非常に関心の強いことは私も承知をいたしておりますので、十分われわれの意のあるところを御説明申し上げ、そしてまた相手の大方の納得を得た上でするようにしていきたい、こう思っております。何が何でも、もう決まったんだからいかなる反対があろうとも押し切ってやるんだというような強圧的なことでこれは対処すべきではないと、こう思っております。また労働組合の皆さんに対しても、これは協議決定するような事項ではありませんけれども、十分また組合の皆さんの理解も得たいということで話し合いを十分にいたしたいと、こう思っております。どうか、われわれも厳しい国有林の前途、働く皆さんの将来も考えながら、ましてや国家の大事なこの国有林というものをしっかり守っていきたい、こういう意味で対処してまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  115. 野田哲

    ○野田哲君 ただいま村田委員の質問に対して、山の問題でそれぞれ質問があり、最後に労使間の問題に、あるいは地域との関係についても大臣からも見解の表明があったわけですが、重ねて二点ばかり山の問題に関連して伺いたいと思います。  今度の農林省設置法、これは農林省の所管事項について、言うならばスクラップ・アンド・ビルド、こういう方式でやられようとしているわけであります。いわゆる山のスクラップ、そして海の方のビルド、こういう印象を受けるわけです。山の問題について言うならば、先ほど村田委員の質問、やりとりで触れられているように、いわゆる国有林野事業の独立採算制、ここから一つの考え方が出ているように思うわけであります。そこで私は、この問題について北海道に行きまして関係職員あるいは営林局の管理職の皆さん、そして地域の市町村長あるいは議会の方、あるいは林業関係事業をやっている方、多くの方とお会いをしたわけですが、その中で感じたのは、一つは、農林大臣は今度対象になっているこの北海道の方にかなりにらみをきかしている方なんですが、林野庁の職員で構成している労働組合について、かなり予断と偏見を持っていらっしゃるんじゃないか、こういう印象を受けたわけです。それを言葉どおりここで表現をすると血の気の多い農林大臣を挑発をして、また私も血の気が多いわけですから、やりとりがほかの方へ、派生的な問題を起こす懸念もありますので、私も抑えて質問をするわけですが、先ほど来のやりとりでありましたように、この国有林野事業というのは、国民の非常に貴重な財産でありますし、それは単に山に植林をし、育てて、それを切って売る、こういう形の独立採算制による経営を維持していくという役割りだけではなくて、治山とか、あるいは治水とか、こういうふうな国土の保全、あるいは国民に対して貴重な緑のレクリエーションの場を提供する、環境の保全、それからさらに、僻地における林道とか、あるいは森林鉄道等による国民に対する交通の手段を提供する、これらの維持等についての非常に大きな役割りを果たしておるわけでありますし、この役割りというのは、これからももっともっと重要になってくると思うんです。そのような役割りをあわせて持っている林野庁のそこで働いている職員で構成をされている全林野労働組合に対して、大臣やあるいは林野当局が、予断や偏見を持って対応をする、そして独立採算制ということに固執をして労働問題に対処していく、こういうことでは、山の荒廃とあわせて林野庁における労使関係もやはり荒廃をしてくるという懸念を私は持つわけです。  そこでまず第一に、先ほど村田委員の質問にお答えがありましたけれども、この林野庁の職員で構成をされている全林野労働組合――ほかの組合もあるわけですけれども、この林野庁にある労働組合との団体交渉、これを尊重していく、労使関係改善を図っていく、こういう点について農林大臣の見解を伺っておきたいと思うんです。特に、いま先ほど村田委員の質問を最後に聞きますと、事業のあり方とか機構のあり方等については交渉事項ではないが意見は十分聞くと、こういうふうなお答えがあったわけでありますけれども、機構の問題ということになると、これは恐らく当局の方、政府の方では、管理運営事項だから交渉事項ではないんだという認識を持っておられて先ほどの発言があったんじゃないかと思うんですけれども、やはりこの機構ということが変わっていけば、そこに勤務をしている職員、労働者の勤務の態様も変わってくる場合が往々にしてあるわけでありますから、   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 そういう面ではやはり交渉事項でもある分野として考えなければいけないと思うんです。そういう点をどういうふうに考えておられるのか、私はこのことも含めて農林大臣の基本的な考え方をまず伺っておきたいと思います。
  116. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 全林野労働組合に対する私の基本的な考え方ということの御質問でございますが、私は農林大臣になる前から、決して全林野労働組合に偏見や予断は持っておるつもりではないので、こよなく山も愛すれば、人間であります労働組合の皆さんに対して愛情を持っております。ついては、しっかりお互いにやっていきませんと、やがて国有林がなくなったときには、これは労働組合もなくなってしまうことであるので、団体交渉、労働条件の改善ということはもう当然の権利でございますから結構でありますけれども、たとえば交渉能力のない営林署長と単に交渉のための交渉をするようなことが間々ありがちであったと、そういうことでは署長もかわいそうだし労働組合もかわいそうなんじゃないか。もっと、私で言うなら農林大臣のところに、基本的にこういう誤りがあるというようなことは、堂々と毎日でも言ってらっしゃいというぐらいに門戸を開いて実のある交渉をしたらいかがですかというような気持ちでの意見を申し上げたことがありますが、これを敵対視して、予断と偏見によってこれに対抗しようという姿勢でないことだけは、もうはっきり申し上げておく次第でございます。私も役人をやって労働組合やったこともありますから、皆さんの気持ち、働く苦しみ、また希望等、またあるいは生きがいというようなものを総合して職場で働くことにまた生きがいがあるんだろうと、こう思いますので、そういう予断のないことを申し上げておきたいと存じます。  したがいまして、今回の国有林野の改善計画、農水の方でお願いしておりますものも、働く皆さんの職場を失わないということからいっても避けて通れないことだと思いまして、まあ大蔵省と財政当局が一般会計から入れるのにはなじまないという抵抗もありましたが、公益的な機能も大いに果たしておるんだということから今回改善計画というものを立てることにいたしました。中身はいろいろありますけれども、目玉としては一般会計から資金を導入すると、こういうことになってございます。そのほか交通手段の提供であるとかいろいろございます。したがいまして、国有林は今後健全に発展していくことが資源を大事にするだけじゃなくて治山治水の国土保全あるいは環境保全、国民へのサービスと、これはもうまさに国家的大事な事業だと存じます。したがいまして、今後とも労働組合の皆さんにも、そういった認識に立って御協力いただくところは御協力いただくし、また皆さんの御要望があるならばこれには十分こたえていくように門戸を開いて十分話し合うというふうにしていきたいと思っております。  先ほど御答弁申し上げました、労働組合との協議決定事項でないと言ったのは、組織の改廃について、営林署をやるときにどうこうということじゃなくて、それに関連をして労働条件その他については十分納得のいく話し合いはいたさなければなりませんという基本的なことを申し上げたまででありまして、もちろん生活の場が変わるわけでございますから、十分皆さんの意向も聞くと、そしてまた話し合っていくと、こういう姿勢は守り続けていきたい、こう思う次第でございます。
  117. 野田哲

    ○野田哲君 この今回の法案については、私どもも当初の政府の原案ではいかなることになるかかなり懸念を持っていたわけですが、幸い提案をされた後、与野党の話し合いによって一定の修正が行われることによって、林野庁の労使間の問題につきましても対立的な場面は一応回避をすることができた、こういうふうに考えているわけですが、しかし、考えてみるとこれから先、先ほど来の議論にもありましたように営林署の統廃合という問題が予定をされております。先ほど来の議論にありましたように、国有林野事業というのは、私も北海道へ行って認識を新たにしたわけですが、特に行きましたのは農林大臣の選挙区の方大分回りましたが、やはり地域の社会経済関係と非常に大きなかかわり合いを持っているという認識を新たにしたわけです。そういう点から、やはり営林署の所在する自治体の関係者あるいは経済界、非常に関心が強いということを痛切に感じたわけです。さらにまた、先ほど村田委員からも指摘がありましたように、林野事業に働いている労働者は、それぞれの当該地域の人が働いておるわけでありまして、親の代、おじいさんの代からそこにずっと家を持って住んでいた人が山で働いている。こういう関係にあるわけでありまして、それらの地域でもうずっと定着をしている。だから、一般の商社のサラリーマンが大阪から東京に転勤になる、社宅を簡単にかわるというような状態にはいかないという実情も私はつぶさに承ってきたわけです。そういう点からして、やはり国有林野事業が果たしているそのような僻地における雇用の確保という点でも、非常に大きな経済的な、あるいは社会的な役割りを果たしていると思うんです。そういう面から重ねて、先ほど来村田委員の質問もありましたけれども、営林署の統廃合についても、やはり地域住民の意向、経済界の意向等を十分に勘案をして、事前にそれぞれの関係地域のコンセンサスを得るように、あるいはまた、当然統廃合ということになると、そこに働いている労働者の勤務条件についても大きな変更を生ずるということになるわけでありますから、そういう点について十分な配慮を払われるべきであると考えますけれども、重ねて農林大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  118. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 野田委員指摘のように、営林局の統廃合につきましてもいろいろ議論はありましたが、衆議院における野党の皆さん方との話し合いにおいて、営林局をさらになくしてしまうのではないかという、まさに予断と偏見ではないかと私は思うんでございますが、御懸念もあったようでございますので、そういうことではないということの御修正もいただきまして、支局としての地位と任務を明らかにするということで、まずまず地元の皆さんも、あるいは働く皆さんも御納得十分ではないにしても、まあまあの御理解をいただいたのではないかと存じますが、営林署につきましてはまだまだ心配される向きがあることは私も十分承知をいたしております。御指摘のように特に北海道のようなところでは、もう営林署が町の中心的役所である。しかも、これは役所というだけではなくて経済行為が非常に多岐にわたっておると、これはもう食堂経営者にもあるいは文房具屋さんにも、あらゆるところに関係をいたしますし、特に御指摘のように働く労働者の皆さんが地元の方々であるというところから、非常に関係は密接になっております。したがいまして、この統廃合については、これは最大の関心を持つことはもう当然のことだと思います。したがいまして、これらを行うに当たりましては、十分地元の皆さん、各界、町役場とか議会とか町長とかというだけではなくして、全般の皆さんとの話し合いも得て、そして大方それならばというようなところまで持っていってやりたいと、こう思っております。もちろん労働者の皆さんとも御納得のいく十分な話し合いをしてこれは進めなければ、ただこれを権力だとか、力づくでやり得るものではないということは十分認識いたしておりますので、営林署のあり方についてはかなり時間をかけてやることにいたしておりますし、十分意のあるところをくんで対処していきたいと、こう思っておりますので、またわれわれの意のあるところも、ただもう統廃合には一切耳はかさないということではなくして、考えておるところはどこであるかぐらいのこともまた関係の皆さんに御協力いただきたいなと、こう思っておる次第でございます。
  119. 野田哲

    ○野田哲君 私も公務員の生活を長くやってきておりまして、そういう面から感じたんですけれども、本当に、この営林署の問題について北海道へ行って各地域を回って、官公庁、官公署の存在についてこれほど関心を地域の人が持たれたということは私も初めて経験をしたわけで、ぜひひとつ、先ほど来の説明のように十分配慮いただきたいと思います。  海の問題について伺いたいと思うんです。これは主に水産庁の方に伺いたいと思いますので、大臣最後に所見を伺いたいと思うんですが、昨年東京都の消費生活モニターのアンケートの結果が発表されているわけですが、「魚の購買行動等について」、こういう統計が手元にあるわけです。それからまた、水産庁でも昨年動物性たん白質の摂取量についての調査をやっておられるわけですが、国民一人当たり、一日当たりの水産たん白食糧の摂取量は、昭和五十一年には十七・九グラム、畜産物は十八・四グラム、こういう形で、昭和五十一年からついに水産物によるたん白の摂取よりも畜産物による摂取量が上回った、こういうような状態が発表されているわけですし、先ほどの東京都の消費生活モニターのアンケートによる「魚の購買行動等について」の状態を見ましても魚離れという傾向があらわれているんじゃないかと思うんです。農林大臣はことしの予算委員会で、国民の米離れという問題について、どうか皆さん米を食べてください、酒も飲んでくださいと、こういうことで議会を通じてお願いがあったわけなんですが、今度はまたこの状態でいきますと、皆さん魚を食べてくださいと、こういうふうなことを言わなきゃならないような状態になりつつあるんじゃないかと思うんですが、さりとて畜産の方も、これも少なくていいというわけにいかないし、農林大臣もことしはアメリカとの交渋でかなり畜産の問題で奮闘されている経過もあるわけですが、魚離れという傾向について、現状を水産庁ではどういうふうに認識をされていらっしゃるのか、またそれに対して対応策としてどんなことを考えておられるのか、まずその点を伺いたいと思うんです。
  120. 森整治

    政府委員(森整治君) 確かに先生指摘のように、五十一年に国民の食生活におきます動物たん白質、これの畜産物と水産物が大体半々というのが常識でございますが、厳密に言いまして五十一年に逆転をした、要するに畜産物の方が、若干ですが多くなったということは御指摘のとおりでございまして、これがしかし、たまたま昨年の、いろいろ二百海里の水域に端を発しました魚価の高騰という、そういう事態が発生いたしました、それがどのようにこの現象に影響を与えているかということにつきましては判定が非常にむずかしゅうございます。確かに、そういう問題につきまして私ども大変意識をしておりますが、概して申しますと、昭和の四十年代の前半までは非常に畜産物の割合が急激に増加しておりまして、四十年代の後半に至りまして、水産から畜産への変化というのはかなり鈍化をしてきておったわけでございますが、五十一年に先ほどのような事態になったということでございます。そこで私ども、これは白書にも出ておりますけれども、需要面ではわが国の伝統的な魚の嗜好がまだ依然強いという私ども認識は持っております。そういうことと、それから水産物の供給面におきまして、わが国の周辺の水域におきます水産資源の開発なり増養殖ということを推進していく、あるいは海外の漁場をいろんな手段で確保していくというようなことで、食糧水産物の確保、これにつきまして最大限の努力をするということを考えておるわけでございます。そのためにいろいろな予算的な措置も講じてまいるという所存でございますが、こういうことを考えてまいりますと、今後とも動物たん白質に占める水産物と畜産物の比率というのは大体現状どおり、まあ半々ということをめどに見ていって、そうこれ以上大きな変化はないのではないかというふうに私どもは予測をしておるわけでございます。
  121. 野田哲

    ○野田哲君 わりに水産庁の方では、そうこれから大きな変化はないんだというふうな楽観的な気持ちを持っていらっしゃるようですが、これは魚価の問題とかだけではないと思うんです、魚離れというのは。これはいろいろ背景があると思うんですよ。まず言われるのは、一つは国民の食生活の洋風化という傾向がだんだん進んできております。それから学校の給食問題についていろんな議論があります。中川農林大臣も学校の給食に米を食べてくれというようなお話をされたこともあるし、何かいま日教組が北海道で大会をやっている中で、学校給食のあり方についての検討を始めるというふうなこともあるわけですが、いまの学校給食の状態を見ておると、これも一つはやはり魚離れの要因になっているんです。これは話は余談になりますが、学校給食では非常に手間がかかるから先割れスプーンというのを使っているわけですよ。スプーンの先が割れたようなもの、それだけで食べるわけです。ああいう道具を使っていたんでは魚は食べられないんですよ、サラダとかスープとか、ああいうものしか食べられないんです。学校給食で、幼稚園、小学校通じて十年近くも、そういうことから、動物性たん白質と言えばハムとかソーセージとかいうようなものしか使わないような仕掛けになっておりますから、そのことがやはり嗜好をだんだん変化させている、こういう状態を起こしているんです。それから一つは、やはり石油ショックのときの魚価の高騰、それから二百海里のときの魚価の高騰、こういう背景もあると思うんです。それだけではなくて、やはり国民の嗜好の変化、このことをやはり考えてみなければならないんじゃないかと思うんです。  そこで、私はもう一つ、余り時間もありませんから見解を承りたいと思うんですけれども、最近非常に海外からの輸入の水産物が急増している。そして、本来輸入水産物の急増の中で魚価安定対策として建設をされた冷蔵庫が逆の作用を果たしているんではないか。つまり、冷蔵庫に格納することによって魚転がしに利用され、価格の操作に利用されている。そういう面での魚価の高騰が心理的に消費者の魚離れを誘発をしているんではないか。このことについては、ある冷蔵庫の業界の大手の代表の方もそのことに触れられているわけでありますけれども、いま水産庁の方でお答えになった魚離れの原因について、私は少し楽観的じゃないか。いまの状態が横ばいで続くんじゃないかと言われたんだけれども、一つは、これから戦後に育った国民がもう日本の総人口の中では多数を占めるような状態になり、それがだんだん比率がふえていく、こういう人口構造の変化、こういう面での嗜好の変化の増進、こういう面と、もう一つは、やはり魚の、特に冷凍品についてかなり投機的な動きが出ているんじゃないか、そういう認識は水産庁では全然持っておられませんか。
  122. 森整治

    政府委員(森整治君) 私先ほど、水産と畜産のウエートが半々ぐらいでいきたいと、いきたいということも一つ入っておりまして、一応そういう確かに嗜好的な面あるいは手間のかかるものが敬遠されておるというか、あるいは非常に若い世帯で魚の消費が少ないとか、米と同じですが、そういういろんなデータがございます。しかし、それらが本質的に、何かここで今後変わっていくという要素になるかどうかという判定は非常にむずかしゅうございますが、私どもといたしましては、そういうむしろいろいろな魚の消費形態を変えていく、あるいはサバなりイワシなり、そういう安いものも、いろいろ調理等につきましての解説普及を図るとか、そういう努力をした上で、ともかく魚の従来の地位というものを確保していきたいというふうに申し上げたつもりでございます。  それから、先ほど輸入水産物の増加に絡みまして、いろいろ冷凍技術がそれに影響をし、魚転がし等につながっておって、それが先ほどの原因になっているのではないかという御指摘がございました。確かに冷凍の技術の向上によりまして、非常に豊漁による貧乏といいますか、産地の魚価の暴落、暴騰、こういうことを避けることができて、安定的に季節物を周年的に供給できる、そういう体制が一応全国的に整備されたということが事実でございまして、そういうことを通じまして何か価格的にいろいろ操作が可能になった、そういう御指摘だと思いますが、昨年のそういう一時の現象というようなものも、実は振り返ってみますと、全体の何といいますか、需要と供給、そういうものに結局左右されてくるということでございまして、基本的には、価格は生産なり需要の状況によって最終的には決定される。したがいまして、昨年一時高騰いたしましたが、その後鎮静化されまして、現在はむしろ非常に冷え込んだ状況が続いていろいろ逆に問題が起きておるというのが現状であろう。そういう意味から申しますと、私はその冷凍という問題は、やはり価格の安定化というものに役立っておるわけでございまして、一時、先生が御指摘のようなそういう悪い方に使われるという問題につきましては、私ども十分監視もし、また消費者も、消費者といいますよりも、業界も昨年非常に痛い目に逆に遭っておるわけでございます。私ども今後ともそういうことのないように十分指導してまいりたいというふうに思う次第でございます。
  123. 野田哲

    ○野田哲君 時間が来ましたから終わります。
  124. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は農林大臣に、アメリカの農産物の輸入の問題、これに関連して質問をいたしたいと思います。質問したいことがいろいろあるわけでございますが、時間の関係がございますので簡潔にいたします。  まず初めに、アメリカ農産物の輸入が大きな問題となっておりますが、近年、日本の対米貿易収支の大幅黒字ということが問題になって、日米間のこの大幅黒字を解消するということで、一月にストラウス米大統領通商交渉特別代表が来日をされて、政府首脳と協議をされたことは御承知のとおりでございますが、また、先般の福田総理訪米の際にも、米国議会から日本の対米貿易の黒字拡大が強く批判をされて、対日保護貿易立法の提案も辞さない、このような強い姿勢が打ち出されていることは御承知のとおりでございます。特に最近、米側から日本に対して牛肉及びジュース各三千トン、生オレンジ四万二千トンというふうに、従来の実績の三倍に相当する農産物の輸入拡大を要請されたようでございますが、政府は、農林水産物関係の輸入についてはどのようなことを協議をしておられるのか、現在懸案となっているものはどんなことがあるのか、その内容を担当官庁として把握していらっしゃると思いますので、御説明を願います。
  125. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 私が昨年暮れ農林大臣に就任しました際、ただいま御指摘のアメリカとのドルの関係において、もっと農産物を輸入してもらいたいという宿題があったわけでございます。そこで一月、ストラウス経済担当大臣との間で話し合いをし、向こうの関心でありました牛肉については約一万トンを目標にして需要開発を行うという約束をいたしました。ミカンにつきまして、関心のありますオレンジについては、季節枠を二万二千五百トン、向こうは季節自由化ということを要望してきたのでありますが、季節自由化も、これは温州ミカンに、あるいはタンカン類に影響があるというので、これをお断り申し上げて、六、七、八月の三カ月に二万二千五百トンを入れて、通年分と合わして四万五千トンの輸入を行う。ジュースについては千トンであったものを三千トンということで、それにグレープフルーツ千トンを合わせまして四千トンということで調整を終えたわけでございます。そしていまそれの実行段階に入っておるわけでございますが、その後、東京ラウンドの解決がありまして、この七月には国際的に解決をしたい、ついてはアメリカから、またさらに牛肉なりあるいはオレンジなり、あるいはジュースなり木林等について前向きのことができないかという宿題が来ていることは事実でございます。  そのほか関税の引き下げ等があることは御承知のとおりでございますが、関税の引き下げ等はまあまあ何とか対処できますけれども、いまお話し申し上げました牛肉、オレンジ、果汁につきましては、わが国にとっていま非常に大事な農産品でございまして、これ以上農村に影響を与えるような調整はできかねるということで、わが国としてはこれを大きく変えることはできないということでお断り申し上げておるところでありますが、向こうは向こうとして、できるだけのことをしてもらいたいと。今後、対米あるいは対EC全体会議を通じてどう決着するか、非常にむずかしい問題でもありますが、私としたしましては、米からほかの農産物、畜産物に変更している時期でもありますので、そういった水田利用再編成に支障を与え、あるいは農家経済に大きく影響を与えるようなことはしたくないということで、いま鋭意話し合いを進めておる次第でありまして、先ほど御指摘のように何が何千トン、三倍のような数字の要求は、いまのところ向こう側からは出ておらないわけでございますが、前向きにという要望があることは事実でございます。
  126. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回のアメリカの農産物の輸入要請ということは、結局アメリカの石油とか、再軍備のいろいろなことで生じた赤字の打開に、日本にそういう要請をしてきたというのが真相のようでございますが、私も昨日は郷里の鹿児島で、新聞等で見たわけでございますけれども、店頭には生のオレンジがはんらんをして、もう相当に安売りをされて、しかもオレンジというのはそう温州ミカンみたいに腐るしろものじゃないので、これが貯蔵されると相当わせに影響があるのじゃないか、こういうようなことを心配をしておる向きの報道もなされておるようでございますが、今回のアメリカの農産物の攻勢が、わが国の脆弱な畜産農家あるいはミカン農家に与える影響は大きいものがあると思いますが、今後も、いま御答弁があったとおり、いろいろとまた向こうから要望があると思いますけれども、今後どのくらい向こうからの要請があるんじゃなかろうかという、そういうような情勢の把握というのはどのようにしていらっしゃいますか。
  127. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) オレンジが鹿児島にはんらんしているという話でございますが、確かに関税率の関係もあって、この六月相当入ってきたようでございます。しかし、総枠は決まっておりますから青天井で入るわけではありません。しかしかなり入ってきていることは事実でございます。ただ、言えることは、もう温州ミカンはいま一粒もないということで、一番問題になりますミカン農家に影響を与えない時期に入れたということが一つ。それから、貯蔵がききますから、相当先々までもつんではないかということでございますが、これも貯蔵をするような人には輸入しない、正規の販売ルートに乗せるということの条件づきでございますので、店頭にありますものはそれほど長くもつことはないのではないか、こういった点からも、ミカン農家には影響を与えないという配慮を加えての調整を行ったところでございます。  そういうことで、牛肉につきましても、総枠をストレートでこのためにふやすというのではなくして、アメリカの関心の深い良質といいますか、高級牛肉についてできるだけ努力しましょうという調整を行ったものでありまして、これまた畜産農家に影響を与えませんし、特に牛肉については、御承知のように価格安定法がありまして、卸売価格というものをきちっと決める、そして、畜産振興事業団が放出したり、あるいは輸入したり、放出を制限したり等によって価格をコントロールする仕組みになっておりますので、畜産農家には影響を与えない。また、ジュースについても、ブレンド用として、国産のものの消費の拡大ということに限定をしての輸入でございますので、先回行いました調整は、農家に影響を与えないぎりぎりの配慮をしながらやつたつもりでございます。しかし、今後もこういった線を貫かなければなりませんが、いま向こうから具体的に何をどうしろということは来ておりません。まだ、前向きに何とかならないかとか、オレンジについて言うならば、長期的に自由化ができないだろうかとか、長期的に季節自由化が研究できないだろうかと、ことし何ぼどうしろというようなことではなく、いま向こうとにらみ合いっこをしているところで、向こうが何が何ほ、こっちが何が何ぼというところまではいっておらない。いずれにしても、わが方としては農家に不安を与えたり、水田利用再編成に支障を与えるような調整はしたくないという方針で臨みたい、こう思う次第でございます。
  128. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 特にミカンは、ハウスミカンとか、あるいはわせの場合はあと二カ月もしたら国産が出てくるわけでございますので、そこらあたりはよく配慮して、ひとつ打撃を与えないように要望しておきます。  次は、牛肉のことでございますが、この牛肉の問題については、農林省は、国内においては消費者あるいはまた大蔵、通産、外務といった輸入派といいますか、輸入促進派に孤立無援な状態で、非常に御苦労されていることはよくわかっておりますけれども、いまの現状と今後の見通しということについては、知っておる範囲で結構でございますが、御説明願いたいと思います。
  129. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 先ほどは魚の話もありましたが、肉についても国際的にも非常に消費量が少ない。主にこれは値段の問題であろうと。ヨーロッパの三倍、アメリカの四倍、豪州の五倍と言われるような面もありますので、価格についてできるだけ安くする仕組みを考え、そして消費の拡大を図る、よってもって消費者にこたえると同時に、外国のそういった希望にもこたえたいということを基本といたしておるわけでございます。その場合、そのことによって国内畜産農家に影響を与えてはならないということもこれまた忘れてはならない大事なことでございます。  そこで、そういったことをまず貫く第一の問題は、輸送コストが高いということが言われておりますので、輸送なり、流通コストですか、流通コストを下げるという意味で産地流通センターあるいは部分肉センターというような流通コストの改革を行うということで、消費者にも生産者にも恩恵のある仕組みをひとつ考えたい、こういうようなこと、あるいは肉については生産対策費、子牛に対する手当等ことしも肉の値段決定に対しましていろいろと配慮をいたしたところでございます。こういったことで、生産費を安くする仕組み、こういうものも十分考えたい、こういうようなことを通じて消費の拡大が行われ、そのことがわが国の国内生産者に希望を与えるということが一つ、それでなおかつ足りない分については外国から輸入をする。こういうことをやっていくならば、生産者にも消費者にも、また外国の期待にもこたえられるんではないか。こういうことを基本として万般の施策を講じていきたい、また講じつつある、こういうことでございます。
  130. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回の円高で相当に輸入肉の円高差益といいますか、それが生じておるんじゃないかと、このように言われておるんですが、ホテル用の輸入肉にはこれが還元をなされておるようでございますけれども、一般の消費者まではこれが差益の還元がなされていない、これが実情のようでございますが、一体農林省は、円高による輸入肉の為替差益というのは幾らぐらい生じておるというふうに把握していらっしゃるのか、そしてこれを消費者の方まで還元をしようという、そういうお考えがあるのかどうか、お答え願います。
  131. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  昭和五十二年度で、これはまあ最終の決算の締めをいたしておりませんが、畜産振興事業団で牛肉の輸入差益が発生する金額は恐らく三百九十億ぐらいではないかというふうに見込まれております。それでこの三百九十億につきまして、仮に、たとえば昨年の三月ごろの為替相場であったとすればという金額と、現実に発生した差益の額というのを円高差益であるというふうに考えますと、約三十億円程度でございます。  それで、この円高の差益を消費者に還元できないかという問題でございますが、御高承のとおり、畜産振興事業団は国内価格の安定のために輸入牛肉を安定価格帯と見合った水準で売り出すということをその本来の任務といたしておりますので、畜産振興事業団が放出をいたします牛肉の価格を通じて差益を消費者に還元するというのが、どうも制度の本旨とそぐわないということになっておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、この畜産振興事業団で発生をいたしました輸入差益の使い方の中で、これは生産者ももちろんのことでございますが、消費者の皆様方にもその効果が及ぶような方法で差益を使うということをできるだけ努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  132. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 民間の方では、その差益の把握の仕方は約二百億円、こういうふうに聞いておるわけでございますが、やはり消費者の方にもその差益の還元がいくような努力はひとつ惜しまないでやっていただきたい、こういうふうに思います。また、先ほど大臣の方から答弁がございましたが、日本の肉の高いということは流通機構に非常に問題点があるという御指摘がございました。牛肉が生産者から消費者の手に渡るまでの価格は、アメリカが二倍であるのに対して日本ではその約四倍にはね上がっている。その原因は迷路のような流通の重層構造によるものが主であって、これが近代化、機械化のそういうおくれが牛肉の高値を増幅しているというのが実態である。その一例を取り上げますと、一般の流通経費マージンは、枝肉から小売店に届くまでに百グラム約百円かかるとされているけれども、しかし生協あたりではその六分の一以下の十五円程度と、こういうふうになっておるようであります。だからといって、生協やアメリカの流通機構に急に改革をせよということは難題でございますが、しかし、困難であろうともこの流通機構は、何とかして農林省や畜産振興事業団あるいは審議会において検討をされなければならない問題ではないかと、このように思うわけでございますが、この牛肉価格機構の改善策、今後の価格の推移等についてはどのような御見解をお持ちなのかお答え願います。
  133. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) お答えいたします。  牛肉の流通機構の問題につきましては、私どももかねてよりいろいろ努力をしておるところでございますが、確かに先生指摘のとおり、まだ今後に待つべきところは多いと存じております。それで、私どもがいま食肉の流通改善に取り組んでおります主要な課題は、一つは、産地における食肉流通の合理化を推進するために基幹となるべき食肉センターの整備を大幅に促進することによりまして、生産者団体中心とした集出荷体制の整備、それを通じまして消費地への枝肉、部分肉の出荷を促進するという事業に取り組んでおります。それから、もう一つの問題は、枝肉と精肉との間をつなぐ部分肉の流通について、その拠点となります部分肉の流通センターを設置して、部分肉の価格形成を明確化することによって卸売価格と小売価格が連動するようにすると、そういうところに重点を置いているところでございます。さらに小売段階におきましては、標準食肉販売店の育成事業、これによりまして、部位別等の表示の適正化を進める、あるいは牛肉の小売価格の引き下げのために値下げルート新設事業という食肉の小売店の共同組織によりまして、流通段階を短絡化して、しかも安定的な価格で売り出していくという仕組みをつくっております。それから、国産の大衆肉を一定の値引き価格で販売する特別販売事業、あるいは食肉小売店の共同処理加工施設に対する助成、こういうことをやってまいっておるところでございます。  それで、先生お話のございました畜産振興審議会におきましても、こういう措置につきましては昨年末以来御論議を賜って、エンドースしていただきながら進めてまいっておるところでございます。  それで、私どもとしてはその効果が決して十分なものであるというふうにはまだ思っておりませんが、しかしながら、逐次その効果はあらわれてきておるわけでございまして、たとえばことしの五月の東京都区部の消費者物価指数におきましても、一般物価が前年同月比四・三%上昇しておる中で、牛肉だけは百グラム当たり前年同月比七円でございますけれども値下がりをするということになっておりまして、それなりの効果は逐次上がってきておるというふうに考えております。
  134. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 大臣にお尋ねをしますが、同じ福田内閣の中で牛場無任所大臣というのですか、輸入拡大を非常に叫んでおられるんですが、同じ内閣の中におって、中川農林大臣はその拡大を阻止するというような立場にお立ちになると、何となく同じ内閣で意思の統一が乱れておるように感ずるわけですが、ここらあたりの御見解いかがでしょう。
  135. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 牛場大臣も決して輸入拡大の論者ではございません。ただ、対外折衝をやっておりますから、向こうの言い分なり気持ちを国内で説明する場合があります。ありますけれども、積極的に輸入した方がいいんだという議論は持っておらないで、私の立場を十分理解してくれて、あるいは日本の農業の実態を十分勉強して、彼は彼なりに日本の事情を説明して、余り無理なことを言わないようにということで最大の努力を払ってくれているものと私は評価をしているところであり、ましてや意見の不一致というようなことはない、こう思っておるわけでございます。
  136. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 これも大臣にお聞きをしますが、本年度の畜産物の価格を凍結をするというのは、これは大臣の所論のようでございますが、上げないと。これ以上畜産農家に犠牲を求めることはできないと、こういうふうにおっしゃっておることはもう承知しておりますけれども、民間では、現在の水準の生産量と農業所得を完全に保障するという不足払い制度、これの導入論があるわけでございますが、これに対して農林省の方では、そんなことはできない相談だと、こういうふうに一蹴しておられるようでございますが、これは検討にも値しないようなものなのかどうか、大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  137. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ことしの牛肉の生産費価格を据え置きましたのは、据え置くために据え置いたのではなくして、飼料作物、飼料作物というか飼料価格が非常に下がったというところから、むしろ昨年並みの計算をいたしますと若干ではありますけれども引き下がっても、若干下がっても生産意欲は落ちないという数字が出ましたのを据え置きまで引き上げた、と言ったら言い過ぎかもしれませんが、据え置いても生産意欲は落ちない、生産は償えると、こういうことで据え置いたわけでございます。同時に、生産農家が意欲を持ってやれるようにということで、畜産導入資金に対する手当であるとか、あるいは子牛育成に対する手当であるとかというような、かなり前向きの、若干値上げするよりはむしろ有利な手当もいたしまして生産農家に対処したわけであります。  なお、御指摘の不足払い制度はどうかということでございますが、不足払いをやりますに当たりましてはなかなか技術的に困難がある。肉の値段というものはほかの農産物、いまやっております不足払いのものに比べまして非常に品質、種類等々に差がありまして、どの部分を不足払いするかという技術的な問題もありましてなかなかなじみ得ないものであるというので苦労をいたしておるところでございます。
  138. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 大臣も最近の話で御承知と思いますが、オーストラリア、ここの牧畜業者組合という、CUAというのが日本などへ生きた牛の輸出を認めるという方針を決めて、今後一年間に毎月千六百頭の輸出を認めるという協定を結んだようでございますが、一部日本の経済界ではこれを受け入れて推進する動きもあるやに聞いておりますが、実施の予定地域、受け入れ計画、いままでの生きた子牛を輸入をするというこの経緯、農協、特に子牛の生産農家に与える影響等についての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  139. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) 先生お話のございましたCUAが、従来生体での牛の輸出は、これは家畜処理場の労働者の就業確保という見地から対日輸出を行わないことにしておりましたものを、お話のございました月間千六百頭に限り輸出禁止を解除すると、そういうことにいたしたということは承知をいたしております。しかしながら、その牛を日本で受け入れて肥育をするという計画が進んでおるという話は私どもの方ではいまのところ承知いたしておりません。
  140. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 たしかこの提唱者は、九州の方で一応提唱をしてそれを受け入れたというような形になっておるようでございまして、たしか宮崎県か長崎県あたりでは、すでに何千頭か導入をしたというような話もあるようですが、私のところの鹿児島県は過去にもそういう導入をして失敗をした経験があるわけで、まあ六ヵ月、あるいは七ヵ月まで広い原っぱで、それこそ草だけで飼育をして二百キロから二百四十キロぐらいにまでなった、そういう子牛を日本に輸入をして、狭い畜舎で濃厚飼料でというようなことで、非常に牛が精神状態のアンバランスを起こしまして暴れると、そういうようなこと等があって失敗をして、それから、急に濃厚飼料をもって養うということで眼病――目の病、あるいは皮膚病を起こすと、こういうようなことがあったように聞いておりますけれども、その辺の事情、非常に子牛の値段は安いそうでございますから、簡単に計算をすれば相当それを飼育される農家は残るというようなことになるんですが、果たしてそれがそのとおりになるものかどうか。政府としてはこういう案を支持をされ、推進をされるおつもりであるのかどうか、その辺のところをお聞かせ願います。
  141. 佐野宏哉

    説明員(佐野宏哉君) 子牛の輸入につきましては、農業団体を通じて国内の農民が肥育をするために子牛を輸入するという場合には、六千頭を限って無税のタリフクォータを設けておるわけでございます。ですから、その範囲では生産者団体がやるわけですから、生産者団体がおやりになるんならまあよろしかろうということにしておるわけでございますが、しかしながら、従来の実績を見ますと、先生お話のございましたように、どうも広々とした大自然の中で育っておりましたものですから、どうしても性質が荒っぽくて管理に多大の労力を要する、あるいは環境の急変によって事故、疾病が発生しやすい、あるいは日本式の飼養方式になじみがたいというふうな、そういういろんな難点がございまして、現実には生産者から余り歓迎をされておらないというのが実情でございます。そのために、たとえば五十二年について申しますと、六千頭の無税のタリフクォータを設けておりますけれども、実際に入ってまいりましたのが百二十一頭ということでございます。それで、そういう事情でございますので、先生お話のオーストラリアの動きに呼応して、いっときそういう動きは確かに国内にもございましたけれども、どうも生産者団体の方が乗り気じゃないものでございますから、生産者団体が乗り気でないときに無理やりやるとしますと、非常にこう高い関税がかかる。その場合にはそろばん上もとても合いにくいという形で立ち消えになっているというふうに私は承知しております。
  142. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そういう問題は、実際商業ベースでいろいろやりますと、簡単にもうかるんだというようなことで、話が突拍子もない方向に進むようでございますので、ひとつ情報をよくキャッチをして農家の方々に実害が及ばないように、よくひとつ指導していただきたいとお願いしておきます。  次は、わが国の食糧の自給体制について大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。  農業は民族の生存の基盤産業として見直して、将来の世界の食糧事情の不安定に備えて農産物の自給率の向上を図るべきであるということは最近とみに言われたことでございますが、特に最近のわが国の食糧自給率は非常に低く、食糧の約半分は海外からの輸入食糧で賄われているのが実情でございます。食糧の安定確保なくして国の自由、独立、平和と安全が守られない。したがって、たとえ長期間を要しても国民生活の安全保障を確立するため新しい日本農業の再構築を着実に進めなければならないと、このように思います。しかるに、現在わが国には国民食糧を将来にわたってどう安定的に確保するかという確固たる計画もなければ法律もないのが現状でございます。政府昭和五十年五月に農産物の需要と供給の長期見通しということを閣議決定いたしましたが、これによりますと、昭和六十年を目標として総合自給率を七五%に、穀物自給率を三七%と、現状は四十数%でございますが、現状よりさらに低い自給率に、このように抑えておるのが現状でございます。しかし、このような安易な目標では国民は安心はできません。政府を初め、一般にわが国は国土が狭小で自給率向上は困難という、こういう先入観があるようでございますけれども、わが国は太陽エネルギーや、光量においては欧米よりはるかに恵まれた自然条件を持っております。しかも、現在ですら多くの遊休農地が散在をしております。そしてまた国民は他国に類を見ない勤勉さがございます。そういうことから、努力をすればこの食糧の自給率は上げられると考えるのが当然ではないかと思うのでございますが、政府のわが国の食糧自給策についてどのような御見解をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  143. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおり、現在わが国の総合食糧自給率というのは、現在大体七三ぐらいでしょう、七〇%でございますか。六十年の長期見通しにおいてはこれを七五%程度へ持っていきたい。その場合、穀類の自給率が下がっておるではないかということでございますが、これは何といっても濃厚飼料、肉類の自給率が上がってまいりますから、その分はどうしても海外に依存せざるを得ないということではありますが、全体としては七五%になりますし、私としては、これだけ国土の狭いわが国においてはかなり自給率はよくなっておるんではないかと。まず主食のお米が十分にある、あり過ぎるぐらいあるわけでございますし、それに野菜、果物、魚といったものを見れば、まずまずそう心配は基本的にはないのではないか。しかし自給率というものは、これはもうわが国の平和と安全を確保する上において欠けてはならない重大な問題でございますから、少々コストが高くても未利用地をできるだけ利用するのみならず、生産性を上げるということについて最大の努力をし、図っているというわけでございまして、決して食糧の自給率について等閑視しているわけではない。特に福田総理がアメリカへ行って申し上げましたように、単なる、農業というものが、食糧自給率ではなくして一定の農村人口を確保するということにおいても非常に大事なことでございますので、農政の基本としてこういつた自給率の向上と、そして農村人口の確保と、そしてまた農家経済の安定、そして生きがいと誇りを持つ若手の担い手を育成していく。こういう基本方向でやっております。食糧自給率の向上は農政の大きな柱であるということを申し上げる次第でございます。
  144. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やはり食糧の自給というのは、世界的に不足になったときに、わが国ではどうしても、たとえて言いますと終戦当時のあのカロリーぐらいはどうしても確保するというためには、主要な穀類、大豆、牛乳ですね、こういうところの自給率はとりあえず確保するような施策が大事ではないかと思います。そういう意味合いからいきますと、閣議決定昭和六十年目標のこれをもう少し上げていく必要があるのではなかろうか。世界的に食糧は足らない状態になるわけでございますから、どうしても足らないときによその国というわけにいきませんので、自前でやっぱりある骨幹になるものだけは確保するという、そういうふうな施策が必要じゃないか。特に牛乳の場合は、乳牛等は山間酪農というのをわが党がいつも提案をしておるわけでございますが、山はだのそういう国有林等の間を利用して、山間酪農ということ等も大いにひとりお考え願ったらいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。
  145. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) まさにそのとおりでございまして、今度の水田利用再編成もそういう方向でやっておるわけでございます。第一は大豆であり、もう一つ、穀類に入りますか、麦、それから飼料作物、これは穀類までいけるかどうか、これはなかなかわが国のこの狭い土地柄で穀類まではいきませんが、穀類の代替飼料でございますいわゆる牧草類の飼料作物というものを最重点を置いて転換せしめるように、奨励金も上乗せするというようなことをやっておりますのもいま御指摘があったような点に着目したからでありますし、さらには山間僻地等におきましても、こういった方面に重点を置いて、自給率の低い、いま御指摘のあったようなものについては自給率を高めるために最善の努力を払っていきたい。穀類――トウモロコシとかコウリャンといったようなものをわが国で自給率を高めるまでにはどうも土地の余裕がないのではないか。しかし、その点も大事な点ではありますから、可能な限りはやりたいと思いますが、思い切ったことをやれと言われてもなかなかでき得ない現状でございます。
  146. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、減反政策についてお尋ねをしますが、昭和四十五年以来六・六%の幅で続けてこられたわけでございますが、その後における消費の減退や生産の伸びに対して、われわれにしましては何ら農林省としては手をお打ちになった形跡がないと、このように指摘をしても間違いでないと思いますが、今回急遽一三%という大幅な減反を、二千億円という膨大な国費を代償に今後十年間実施しょうとされておりますが、この農政は、農業政策というよりは、世間では、英語のノーという、農業の政策がないというノーではないかと、こういうような皮肉たっぷりなことも言われるようなことでございますが、余りにも無策ではないかと、こういうような感じがいたします。私もアメリカに行かしていただいたときに、あの広大な土地をやはり有効に使うということで、休ましたところに休耕の補償をすると、そういうような政策を打ち出しておられましたけれども、その政策の結局輸入版ではないかと、こういうような感じがするわけで、もう少しこういうような一三%という大きな減反をする前に手を打つべきじゃなかったかと思うんですが、御所見いかがでしょう。
  147. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 結果的に言われてみれば政策はなかった、ノーだと言われてもいたし方ないと思いますが、一つは、弁解ではありませんけれども、消費が非常にわが国の高度経済成長とともに減退をしたということが一つでありますし、二番目は、やはりほかの農産物に比べて米価が非常に割り高であるというところから、   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 せっかく昭和四十四、五年ごろ据え置きというようなことで他に転換する政策をやっておりましたが、その後需給のバランスがとれたというところからまた価格に非常な熱が入ってかなり高いものとなり、国際価格の数倍、他の国内農産物に比べても割り高だったというところから生産意欲も非常に強い。特にまた、米は省力化ということが進みまして、非常につくりやすいというような幾つかのことが重なって過剰傾向となったわけでございまして、もう少し早くやればよかったということについては率直に認めますが、なかなか米の問題というのはむずかしい問題であると、おくればせながら今度水田利用再編成によって一三%というものではありましたが、幸い農家の皆様と関係機関、農業団体都道府県知事、市町村、各界の皆様方の理解と協力によって、初年度であります今年度は、まずまず一〇〇%の生産調整ができそうであるということでございますので、これを土台にして過剰傾向が起こらないように、今後ともこの土台を十分育てていきたいと、こう思っておるわけでございます。
  148. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 もう一点お尋ねをしておきますが、この百七十万トンに相当する大幅な減反と、それから消費拡大のためにパン業者とか、あるいはめん業者が反対をし、あるいは婦人団体も反対しているようでございますが、小麦粉の中に米の粉をまぜるということですね、これもやはり実行される予定なんですか、減反と、この二点だけどうされる予定なのか。
  149. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 初めはたしか二%ほど入れていただいて十万トン程度の米をそちらで代替したいという計画でありましたが、消費者の皆さんから強制的に入れるのは困ると、割り高であったり品質が悪くなったりしては困るということでございましたので、消費者やあるいは生産メーカーの方々が納得のいく分については御協力をいただくと、こういう姿勢で、それぞれ玄米パンであるとか、あるいはまたライスワインであるとかいうようなものとともどもに、できるだけの御協力を願うと、こういうことでやっておるわけでございます。
  150. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、有機農業の取り組む姿勢についてお尋ねをいたしますが、現在の農法というのは、増産や省力化を重んずる余り、農薬や化学肥料を非常に重視をして依存度が非常に高いようでございますが、地力の減退、自然破壊、食品汚染、農作業中における農薬中毒事故の続発と、こういうようないろんな問題を起こしておりますが、最近国民の中では、この有機農業、無農薬という農法を尊重する、そういう運動がほうはいとして起こっておるようでございますが、これについての経営の可能性について、経済的あるいは技術的な観点から、農林省の方ではこういうふうな検討を進めていらっしゃるかどうかお聞かせ願いたいと思います。
  151. 川田則雄

    政府委員(川田則雄君) いま先生からお話がございましたが、やはり土地の生産力を高めて反収を上げるということは農業の基本だと思っております。そのときには、やはり有機物というのはどうしても欠かすことのできない重要な資材でございまして、特に畑においてはその効果が大きいということから重視しなければいけないというように考えております。そういうことで、経営の中で有機物が回転するような農業の仕組みをつくるか、あるいは地域として有機物が回転するような農業の仕組みをつくることが非常に重要でないかと思っております。  ただ、先生承知のように、日本の農業は非常に経営面積が狭いものでございますから、どうしても反収を上げるということになりますと、やはり化学肥料というものも相当の位置づけを持ってやっていかないといけないんではないか。それから、特にもう一つの問題は、日本はモンスーン地帯でございまして、温度の高いときに雨が多い。したがって、病気、害虫の発生が恐らく世界的に見てもこれほど多いところはないんではないかというふうな気がいたしております。そういうことで、やはり農薬というものも、農薬万能ということではなくて、最近は生態的な防除だとか、いろいろ農薬を節減して作季を動かして防除するだとか、いろいろなことを考えており、そういうことでございまして、現在も土づくり運動というようなことを全国的にやっておりますが、やはり有機物と化学肥料、農薬というものの調和のある使い方をするというのが農業の基本であって、そのような方向に向いて指導もいたしたいと思っております。
  152. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最近の新聞で、淡路島のモンキーセンターのサルの奇形が依然として、少なくなるのじゃなくて多くなっておるということの原因も、農薬、あるいはその新聞の記事によりますと、マツクイムシの防除の空中散布による農薬の被害等、そういうようなこと等も強く言われておるようでございますので、やはり人間の体力をつくるためには有機農業が大事であるという医者の提言等もございますので、そこらあたりを研究していただいて、やはり助成をして進めていくようによろしくお願いをしておきたいと思います。  次は、法案の中で、今回農林省の省名を農林水産省に変更するということになっておりますが、この理由についてでございますが、省名についての過去の変遷を見てみますと、明治十八年には農商務省でスタートをしておるようでありますが、大正十四年に農林省へ変更しております。しかし、昭和十八年には農商省に改められ、二十年八月に再び農林省に変更して今日に及んでいるわけでございますが、そこでその当時、省名を変更した背景と理由を参考までにひとつ伺わしていただきたいと思います。
  153. 松本作衛

    政府委員(松本作衛君) ただいま御指摘ございましたように、農林省の省名は従来四度ほど変わっております。最初の明治十四年に農商省が設置されました時点におきましては、伊藤博文、大隈重信等の建議に基づきまして、殖産興業に資するため大蔵、民部の両省にまたがっておりました農林商工関係の事務を統一いたしまして農林商工行政専管の中央官庁を創設いたしたものというふうに承知をいたしております。それが大正十四年になりまして農林省として商工省と分離をいたしました経過につきましては、第一次世界大戦を経ましてわが国の産業、経済が飛躍的に発展する中で、農業、商工業関係の事務内容も非常に広範かつ複雑なものになりましたので、農林水産業を一本にまとめた行政機関が必要であるということで商工行政担当者と分離をしまして、いわゆる農林省を設置をした、農林省に改めたというふうに承知をしております。戦時中の昭和十八年に農商省という形で商工省と統合いたしましたのは、この時点に軍需関係を担当する役所といたしまして軍需省を設置いたしましたので、このような戦時体制下におきまして一つの行政機関として処理をしたというふうに承知をしております。最後に、昭和二十年に再び農林省として商工省と分離をいたしましたが、これは戦後、軍需省が廃止されまして、いわゆる戦後の状態において商工行政と農林行政を分離し、農林行政を再び単一の役所として推進をするということでこのような措置をとったものというふうに考えております。
  154. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回の省名の変更に至る経緯の中では、農林水産省というよりは農林漁業省という発想も出てきておるようでございます。一般的な使われ方からすると、水産庁という所在がありますし、また、国会においては農林水産委員会、民間においても大日本水産会という水産の名前を使っておるところが多いので農林水産省にした、こういう理由づけもうなずけないわけではございませんけれども、今日の情勢からしますと、水産という商品的な認識よりも、日本の漁業の将来は漁獲、魚の養殖という考え方の方が強いのではなかろうか、このように思います。二百海里以前は、魚は何の規制もなくて比較的とりやすい、そして漁業というよりは水産物、水産品という、そういうウェートが重かったようでありますけれども、今後はそのような商品的な感覚よりは、魚は育てていかにしてとるかという、そういうような漁業的な観点の方が国民の直感的なじみにも沿うものではないか、こういうように思うわけで、農林漁業省の方がよかったんじゃなかろうか、こう言う人が非常に多いようでございますが、この点についていろいろと御所見があろうかと思いますが、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  155. 松本作衛

    政府委員(松本作衛君) 漁業という表現がいいか、水産という表現がいいかという点につきましては、ただいま御指摘がありましたように考え方はいろいろあるかと思います。ただ、従来からの設置法等におけるいわゆる漁業水産関係の名称といたしましては、水産庁を初めといたしまして、ほぼ水産という形で研究機関、大学校その他の名前も呼んでおりますので、この水産という名前、用語は、漁業を当然含むより広い概念であるというふうにわれわれ理解をしております。御指摘のように水産の中心はいわゆる漁獲であり、漁業であることは当然でございますが、漁業活動を含めたいわゆる水産物の生産なり流通なり加工なりというようなことを考えてきますと、水産という概念は決して単なる商品的な概念ということではなくて、漁業も含む包括的な概念であろうというふうに理解をしておるわけでございます。
  156. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 補足させていただきますが、実は農業省あるいは林業省、漁業省に対抗すればそういう言葉もあるんですが、最近農林省なりに要求されているのは農業省、林業省、漁業省であってはならぬ、やはり加工、流通、消費者も考えなくちゃいかぬということからいけば、食糧省にしたらどうかというくらいの声もあるところでありますので、漁業とか農業とか林業という小さなものではなくして、やはり食糧を国民に与えるという幅の広い意味では、農産あるいは林産というようなことと並んでやっぱり水産、こういくのが今日の国民にこたえるぴたっとした名前ではなかろうか、こう思うわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  157. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、沖繩にさとうきび原厚種農場が今度初めて設置をされることになって法案に出ておるわけでございますが、これはもう沖繩が復帰されてから数年になるわけでございますが、沖繩の農産物に占めるサトウキビの生産のウェートは約七割七分でございます。そしてこのサトウキビ生産に従事する農家の数は約農家の四分の三でございますが、このような重要な基幹産業であるサトウキビについて、厚原種農場が設置されるのが非常に遅かったような感じがするんですが、ここらあたりの理由ですね、認識が農林省は少し薄かったんじゃないか、こう思わざるを得ないんですが、その理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  158. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 先生いまおっしゃいましたように、サトウキビは沖繩の中心作物でございますし、それの生産振興の基本はやはり優良種苗の確保ということでございますので、われわれといたしましても、復帰前からいろいろそういう御要望も聞いておりましたし、当然設置する必要があるというふうに考えておったわけでございますが、そういうことで機会あるごとに農場用地の確保ということでいろいろ努力をいたしたわけでございます。四十四年から四十七年にわたりまして、ほとんど毎年といっていいぐらい農場用地の確保ということで調査をいたしまして、四十七年に至りましてやっと一ヵ村候補地が選ばれたわけでございますが、たまたまそのとき海洋博等がございまして、非常にまあ土地ブームとか、あるいはその村の中へハイウエーが通ると、そういうようなことがございまして、残念ながらその農場の用地が確保できなかったという事情があったわけでございます。それで、その後県も地元もいろいろ努力をされまして、五十二年の二月に沖繩県が用地の選定調査をいたしまして、同年に至りまして国頭郡の東村宮城地区というところでございますが、ここが地元も非常に望んでいるし適当であると、まあそういうような話を受けまして五十三年度予算に計上いたしたという次第でございます。
  159. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次に、今度の改正案によりますと、北海道の営林局の設置、四営林局の支局への変更と、こういうような措置がなされるわけでございますが、この措置をするについて地元の経済面、また人口の流出による山林の荒廃等に与える影響、あわせて局が支局になることによるメリット、デメリット、こういうことの検討はどのようにされたんでしょう。
  160. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先生御存じのように、北海道に営林局が五つございます。そして、その営林局が設置されております都会が札幌、函館、旭川、北見、帯広と、北海道では比較的大きな都会に設置されておるわけでございます。したがいまして、北海道の営林局の今回の措置によりまして、まず経済的な問題あるいは人口上の問題、こういう問題には基本的にはほとんど影響はないというふうにわれわれはまず判断いたしております。  そこで、北海道の営林局についてはどういう形にするかということでございますが、札幌にございます札幌営林局を北海道営林局といたしまして、まず北海道におきます国有林野事業の経営方針の作成等の事業実行上の基本となる問題につきまして北海道営林局で担当させようというようなこと、さらには他省庁の諸計画等々の調整が必要でございます業務、あるいは北海道営林局、それから支局の幹部職員の人事に関すること、さらには監査、研修、広報、こういう事務の一部、こういうものを全道的に対応するという形で北海道営林局で所掌させるという形にしておるわけでございます。一方、支局の方でございますけれども、支局につきましては、その支局の管轄区域については変えることは考えておりませんし、その管内につきましての経常業務については幅広い権能が従来どおり与えられるという形で対応し、したがいまして営林署あるいは営林担当事業所、こういうものを指導監督いたしまして従来どおりの業務を執行するということを考えております。また、地元に非常に関係ございます木材関連に対する販売その他、こういう問題につきましても従来どおり地元の繁栄を十分考えながらそれぞれの営林署が担当し、支局においてそれを監督するという形をとっておりますし、また国有林の活用のような問題、これらにつきましても従来どおりの形で対応していこうというように考えておりますので、地元に対します過疎化の問題あるいは行政サービスの問題、こういうものが低下することは私どもはないというふうに考えておりますし、また一方、林業としての中心でございます森林の造成という問題につきましても支障を来さないということで考えておる次第でございます。
  161. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回こういう改革で職員の方々は、先ほどもいろいろ質問がございましたが、若干配置転換等の処置をなされると思うんですが、その職員の方々の配置転換に対する御意見の参酌というのはどのようにお考えになっておるのか、それが一点ですね。  それから二点目は、昭和四十七年の林政審議会の国有林野の改善答申ということによりますと、林野関係職員を、約七万名のうち約三万人の人員削減を予定しているようでございますが、この人員削減の概要と今後の計画について、まあ人員の削減ということになりますと、これは首切りということと理解をするんですが、これは大変なことだと思いますが、この点についてお答え願いたいと思います。
  162. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 今回、ただいま御審議いただいております法案に基づきまして、北海道の四営林局を営林支局にする場合に、当然人員の異動が少々行われるわけでございますけれども、現在考えて大体試算いたしてみますと、数十名程度ではなかろうかというふうに考えております。こういう職員につきましては、私ども十分その職員の希望等々も誠意を持って聞きまして、対処していきたいというふうに考えております。  それから、次に御質問なさいました林政審答申基づきます改善計画によって相当人が減るという計画を立てたではないかというお話でございますが、これにつきましては、私どもその林政審答申をいただきましたときにいろいろな試算はしたことはございますけれども、最終的にどうするというところまでは決定いたしておりません。まあ今回この改善計画によりまして、これからのいろいろな改善を図るわけでございますけれども、当然定員内職員につきましては、ある意味での管理部門の肥大化という問題もございますので、伐採量なり事業量に見合った定員というものを私どもとしては今後考えなければいけないというふうに考えておりますが、まあこれらにつきましても、現在考えておりますことは、決して生首を切るという形ではなくて、ただいま、先般組合との話し合いがつきまして、退職勧奨制度というものも設けております。そういう中で、高齢者の方々の御勇退、さらには新規採用の抑制というような形で適正な人員配置になるようなことを考えていきたいというふうに考えております。また、定員外の職員につきましては、御存じのように、昨年末常勤制度化というものをつくりまして、基幹作業員につきましては通年雇用を図っていこうという形で、通年雇用体制をとりながら今後の労務の安定というものを図っていきたいというふうに考えておりますが、これも先ほど申し上げましたように、今後の事業量のあり方、さらには生産性の向上、能率化等々いろいろな要因を考えなければいけませんが、これらの対応につきましても、高齢者の退職の促進ということを中心にいたしまして、経営改善の進展の中に合わせながら対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  163. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に、私は鹿児島湾内の水銀汚染魚の調査結果についての質問を若干いたしたいと思います。  湾奥部の水銀汚染問題が表面化したのは、御承知のとおり昭和四十八年十一月でございますが、その後鹿児島県環境局と環境庁の依頼で、小坂東京工業大学教授ら学者グループが深海潜水艇「はくよう」を使って鹿児島湾奥の海底噴気孔を調査をいたしました。実は、私もこの「はくよう」に乗船をして調査を見守ってきたわけでございますが、去る五月の十日、この調査グループが中間報告を行い、海底の噴気孔は火山性のもので、この火山から大量の水銀が噴出していることがわかったと述べ、水銀汚染魚と密接な関係があると見られる湾奥の酸性水塊についても火山ガスの二酸化炭素が原因と発表し、湾内の水銀汚染源は海底噴気孔との見方が確実となったと報道されておりますが、この説について政府はどのように受けとめているか、調査結果を少し詳しく説明をされ、御見解をお伺いしたいと思います。
  164. 林亨

    説明員(林亨君) お答え申し上げます。  鹿児島湾の水銀汚染につきましては、ただいま先生申されましたように、四十八年の十一月に鹿児島湾内でタチウオに魚介類の水銀の暫定規制値を非常に超えますものが発見されまして以来、いろいろな面からの調査がなされてまいりました。ただいま先生もおっしゃいましたように、五十年の四月の時点で、いろいろと汚染原因につきましてそれまで調べたのでございますが、これといった汚染原因がないということで、桜島に伴います海底火山活動によるものではないかと疑われるということでございましたが、学術的な根拠はまだ薄いということで、火山学者にも加わっていただきまして、五十年以降、文部省の計らいによりまして、そういった学者グループの参加を得て調査が進められてきたわけでございます。で、先ほど先生がおっしゃいましたように、本年五月十日にその学者グループによります中間報告といたしまして、昨年の九月に行われました深海潜水艇「はくよう」を使いましての海底噴気の確認と、それから水その他ガスの採取を行いまして、またその分析を行いました結果を中間的に取りまとめて発表されたものでございます。これによりまして、先ほど先生がおっしゃいましたとおりでございますが、噴気というのは以前からある程度わかっていたんですが、それが火山から出るものであるかということについては、もぐってみなけりゃわからないということで、幸いに昨年の九月にわずか一週間ではございましたけれども、七十八メートル地点あるいは二百メートル地点までもぐりまして、それが海底火山の噴気であるということの確認及び採取いたしましたガス、それから水質、それから底泥、そういったものの分析によりまして、先ほど先生おっしゃいましたように、鹿児島湾内への水銀の主な供給源は海底火山の活動によるものであるということは、火山学者等の学者グループの調査研究から一応の結論が出たというふうに承知いたしております。  なお、今後の問題といたしましては、しからばその水銀が鹿児島湾内の魚にどのようにたとえば蓄積されているか、それから、魚の中に有機水銀がございますが、無機水銀がどのようにして有機化するのかという調査について、今後なお調査検討を進めていかなければならないというふうに私ども考えております。
  165. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまおっしゃいました無機水銀がどうして有機に変わるかと。これは水産庁の方にお尋ねをしますが、実は鹿児島県の水産試験場でいまやっておる過程でございますけれども、県議会に報告をされたのでは、この無機水銀をバクテリアが食べて、それからの過程において有機化してくるということを発表をなさっておるようでございますが、また地元の新聞等でも大きく取り上げておるんですが、そこらあたりはどういうふうに御認識をしていらっしゃいますか。
  166. 山内静夫

    説明員(山内静夫君) ある種のバクテリアの作用によりまして無機水銀が有機水銀に転換する、こういうことは世界の学者からある程度定説になっているわけでございます。鹿児島県の水産試験場におきましても、こういう定説に基づきまして実験をやったところ、やはり無機水銀から有機水銀に変わった、こういう報告が出ているわけでございます。しかし、魚体内におきまして無機水銀がどういうぐあいにして有機水銀に変わるかと、こういう問題につきましては、現在そのレポートもなくこれからの研究課題であると、こう考えておるわけでございます。
  167. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 公害については日本は非常に敏感でございますし、その基準値の撤廃や緩和というのはなかなか困難かと思いますが、また一部のそういう漁民の方々のために、基準値を緩和するということもかなりな危険なことかとは思いますけれども、しかし、西海区の水産研究所の調査報告では、疑わしきは規制するという公害への対応姿勢は正しい、しかし、正しいが原因を規制する手段がないまま利用面のみを規制せざるを得ない現状を早く脱却をしなければならないと、こういうようなことを述べておられます。まさに現在鹿児島湾の水銀汚染魚に対する行政側の態度は私はこのとおりではないか。漁民を五年間も置き去りにして、この先原因が不明確なまま、原因の究明には相当また日にちがかかると思いますが、将来も魚がとれないとなったら、漁民は路頭に迷うことになるわけでございますが、ここらあたりを、そのバクテリアの作用ということの究明を早くされて、そして天然の水銀汚染というような状態に究明をされたとしたら、厚生省としてはどのような措置をおとりになるおつもりなんでしょうか。
  168. 岡部祥治

    説明員(岡部祥治君) 先生ただいま御指摘になりましたように、無機水銀が有機化しておる、この由来が天然であるかあるいは人工であるかという問題でございますが、しかしながら、現在までの化学的な知見では、このメチル水銀というものの毒性が、天然の由来がバクテリアその他あるいは魚体内でメチル化したというものと、あるいは人工汚染によるメチル水銀というものとの毒性が、現在の化学的な知見では差がないと言われておるわけでございます。したがいまして、先生指摘のような問題がございまして、これらの由来によりますメチル水銀あるいは有機水銀の毒性の解明ということが必要ではないかと思っております。したがいまして、これらの毒性の解明というものがはっきりいたしません限りにおきまして、現在のところこれだけを特別扱いするというのは若干まだ検討の余地があると考えております。
  169. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 自然界の中で、バクテリアがそういうふうに無機から有機に変える何らかの作用をする、そういうような経路がはっきりしてきて、そうしますと天然汚染ということになると、もう皆さん御承知のとおり、自然界にはセレンという重金属があって、この拮抗力でその毒性が消されたようなかっこうで発病しない、こういうようにも言われておることでございますので、その辺のところは、早くバクテリアがそういうふうに無機を有機に変えるという自然界の動きをキャッチすることが私は一番大事じゃないかと思います。そして、韓国のマグロ漁船の方々やら、鹿児島県の口之島の漁師の方々が、頭髪に物すごい、阿賀野川の住民の方々以上の頭髪の水銀の濃度を持っていらっしゃるということがあっても発病してない、こういうような天然汚染の不思議さということを、早く厚生省あたりは力をひとつ入れて解明していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  170. 岡部祥治

    説明員(岡部祥治君) 天然の由来のメチル水銀というものと、人工由来というものの区別というものが毒性学的に非常に区別がつきにくいという問題がございまして、これをどういうふうに解明するかという問題でございますが、この解明の方法等につきましても、現在関係省庁とも打ち合わせながら考えておるところでございますが、なかなかその解明の方法というものがむずかしくて、現在先生指摘のような考え方で進んでおるところではございますけれども、もう少し学問的に詰めさせていただきたいと考えております。     ―――――――――――――
  171. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 委員異動について御報告いたします。  本日、森田重郎君が委員辞任され、その補欠として野末陳平君が選任されました。
  172. 山中郁子

    山中郁子君 農林省設置法の一部改正審議に当たりまして、私は法案関連を含めまして、具体的に五つの問題について政府にただしたいと思います。  その第一は、法律案要綱によれば、第五の二に当たりますが、「水産庁の組織の整備」の中の養殖研究所の問題でございます。で、三重県の玉城町に淡水部門、内水面、南勢町には臨海部門の養殖研究所がつくられるということになるわけですけれども、完成予定年度はそれぞれどのようになっているか、初めにお示しをいただきたい。   〔委員長退席、理事片岡勝治君着席〕
  173. 森整治

    政府委員(森整治君) 養殖研究所の施設整備につきましては、内水面部門につきましては、五十一年度から五十三年度の三カ年計画で三重県の玉城町に建設中でございます。海面部門につきましては、同県南勢町に五十三年度からおおむね四年を目途として整備にかかっておるわけでございまして、五十三年度に施設の用地の買収を行うということといたしておるわけでございます。
  174. 山中郁子

    山中郁子君 臨海部門は、そうすると完成予定は何年になるわけですか。
  175. 森整治

    政府委員(森整治君) 四年でございますから、五十六年度ということに相なります。
  176. 山中郁子

    山中郁子君 これはたしか衆議院内閣委員会でも、水産庁長官が施設整備の予算の獲得についても最善の努力をするというふうに言われておりますので、五十六年度までに臨海部門を含めて養殖研究所の整備ができるという御答弁でございますけれども、これに関連いたしまして、いままで内水部門と臨海部門の一体化ということで一つ問題が残っておりますのは、三重県玉城町と南勢町の臨海部門を結ぶ道路の問題ですわね。これをもちろん一体化という観点からも整備をしなければならぬということになっていますけれども、これも一応両研究所が整備完成できる五十六年までには同様に完成できるという見込みだと理解してよろしゅうございますか。
  177. 森整治

    政府委員(森整治君) 両方を結びます道路の整備が問題でございまして、農林省の広域営農団地農道と建設省の関係の道路、この二つでつながるということになっておるわけであります。この道路の早期完成につきましては、私ども関係方面、農林省もちろん、建設省にもよく連絡をとりまして、一体化につきまして問題のないように努力したいというふうに思っております。
  178. 山中郁子

    山中郁子君 この点につきまして、まあ農林省で御検討いただいている資料なんかによりますと、こういう表現になっているんですね、それぞれ五十六年度に完成しようという場合には年度事業費が九億円から十二億円かかると、したがって多大な工事量となり機構的には無理があると、こういう判断をされている。また、五十七年度に完了させようとする場合には、やはり基本的には五十六年度完了と大差ない問題が生じて機構的にまあ無理であると。五十八年度になった場合に若干ニュアンスは変わりますけれども、工事の実施は予算措置ができれば不可能ではないと、大体こういうような見解、検討の結果を持っていらっしゃると私は耳にしておりますけれども、いまの御答弁によりますと五十六年度完了ということで、まあかなりはっきりした見通しを持っていらっしゃるとすればその点については心配はないわけですけれども、そういう点はいかがでしょうか。
  179. 山内静夫

    説明員(山内静夫君) 先ほど長官がお答えいたしましたように、目標といたしましては五十六年度と、こういうことを目標にいたしまして現在鋭意整備中であるわけでございます。しかし、今後の臨海部門等の施設整備に当たりましては、現在の国の財政事情とかあるいは将来の研究のあり方、こういうものを勘案いたしまして予算獲得には万全の努力を払いたいと、こういうことが水産庁の考え方でございます。希望条件として、あくまでも五十六年度を目標として何とか予算獲得に努めてまいりたいと、こういうことでございます。
  180. 山中郁子

    山中郁子君 ぜひ農林大臣にもお考えいただきたいんですけれども、この点はやはり、いま農林省の方が、何とか努力をして水産庁の方が予算獲得に努めてまいりたいと言われておりますが、ぜひ国としてこの設置法に基づく養殖研究所の設立の問題を実効あらしめるための一つの主要な条件になりますので、農林大臣としても、ぜひその実現のために御努力をなさると思いますが、所見を伺っておきたいと存じます。   〔理事片岡勝治君退席、理事原文兵衛君着席〕
  181. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 最善の努力を払って五十六年にはできるようにいたしたい、そして水産試験に支障ないようにいたしたいと存じます。
  182. 山中郁子

    山中郁子君 同じく法案のやはり水産庁の組織の整備に関連いたしますが、有明海漁業調整事務局の廃止とその後の措置の問題に関して次にお伺いいたします。  これは有明海のノリの養殖が最近多くなっておりまして、福岡県も漁業振興に力を入れているという、そういう業種でございます。こういうときに有明海漁業調整事務局が廃止されるということは、私どもは問題視をしている一つなんですけれども、地元の方たちが一番心配されているのは、いまでも不法漁業ですね、こういう形で問題があるのが、調整事務局廃止によって一層この取り締まりが不十分なものになってノリの養殖の振興に影響を及ぼすという心配をされているわけです。農林省の資料によりましても、水産庁からいただいた資料ですけれども、立入検査とか、指導、検挙についてこの三年間を見せていただきますと、それぞれ五十一年は四十件、立入検査、指導、検挙の合計が四十件、五十二年は三十二件、五十三年に入りましてすでに六件起こっている、これはやはり余り軽視できない数字だと思っておりますけれども、調整事務局が廃止になった後の措置として、こうした有明海の漁業振興についての従来の行政上の中身をもちろん後退させてはならないし、また漁業振興の立場から一層改善充実させなければいけないと思いますが、その辺のお考えと、それから対応ですね、具体的にお聞かせいただきたいと存じます。
  183. 森整治

    政府委員(森整治君) 確かに有明海における漁業取り締まり問題につきましては、数字的には先生指摘のような状況に相なっておるわけでございます。このために現在職員が五名交代でいろいろ取り締まりを行っている、そのほかに福岡県の海上保安部あるいは熊本の海上保安部あるいは熊本、福岡、佐賀、長崎の各県警本部といろいろ連携をとりまして、違反のないように努力をしているわけでございますが、今回の措置は、名前も変わりますが、九州の全体の漁業調整事務所ということに相なるわけでございまして、そういう面からいたしますと、御指摘の御心配の点につきましては、まあむしろ現在の取り締まり船の基地であります大牟田には、そのまま取り締まり船を配置するということと同時に、ほかの取り締まり船も活用できるという利点はあろうかと思います。  それからもう一つ、実際の運用面におきまして、有明海の現在の事務局の職員が四名で交代でやっておるわけでございますが、今後は九州全体の事務所といたしまして、取り締まりの業務を移管し、新設される漁業監督課というものの中で、専門の漁業監督指導官十一名ということで取り締まりが行われるということで、そういう意味ではメリットが出てまいるというふうにわれわれ承知いたしておるわけでございまして、したがいまして、有明海の漁業調整事務局の廃止によりまして、今後移管されます九州の漁業調整事務所、ここで行う取り締まりの事務ということにつきましては、従来以上の成果を期待し得るものと考えておるわけでございます。私どももまたそういうふうに努力いたしてまいりたいというふうに思っております。
  184. 山中郁子

    山中郁子君 御答弁ありましたように、有明海の漁業調整事務局の廃止が、いささかも行政上の後退をもたらさないようにさらに一層の前進が図られるようにぜひとも進めていただきたいと、重ねて要望しておきます。  第三の問題でございますが、これは同じく設置法の一部改正法律案要綱によりますと、第二の二に入っておりますが、試験研究機翼の移転の問題ですね。実際上は筑波への移転です。今回の法改正で農業技術研究所、畜産試験場、蚕糸試験場、家畜衛生試験場、食品総合研究所を茨城県に移す、まあ筑波学園都市に移すということですけれども、いろいろな問題点はありますが、すでに移転した中でも起こってきている移転による職員の勤務条件ですね、こうしたものがかなり問題が出てきているということで、この際、ひとつぜひ改善方のお約束もいただきたいし、そのようにお進めいただきたいと思って取り上げるわけですけれども、第一はバスの問題です。  すでに、林業試験場へ行く場合ですね、宿舎などからですと、具体的に私、バスダイヤその他取り寄せて調べてまいりましたけれども、学園の竹園というところの竹園発というバスが林業試験場へ行く場合、これは一つの例として申し上げるわけですけれども、朝の勤務時間を対応しますと、八時五分発というのが一本しかないという状況です。学園並木というところ、やはり通勤のバス停になるわけですけれども、これから林業試験場に行く場合も七時四十五分と八時十二分の二本しかないと、こういう実態です。一方、電車通勤者で牛久駅から林業試験場に行く場合も、朝の八時八分と八時五十五分の二本しかない。実際上乗り切れない人たちが出てきて、そのときはマイクロバスで迎えに来るというような状況のようでございますけれども、帰りは帰りでまた大変で、牛久駅へ行く場合には一時間に一本しかありません。で、林業試験場から宿舎へ帰る場合も、五時台が二本、六時台からは一時間に一本しかない。細かいこといま申し上げましたけれども、実際上山間僻地のダイヤ並みのこういう状況で、これは一刻も早く解決をしなければならないと思っておりますけれども、まず第一に、初めに筑波研究学園都市の全体との関連で国土庁にお伺いいたしますが、これらの実態の改善の展望をどのように対応されていらっしゃるか、ひとつお考えを伺いたいと思います。   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
  185. 石川允

    説明員(石川允君) バス路線でございますが、先生承知のように、昭和五十年に実は国費をもちましてバス会社の方にバスを三台貸与いたしております。これを土台にいたしましてバス会社が漸次路線の拡大をやってくれておるわけでございますが、先生指摘のように、現在系統的には二十二系統という非常に大幅な系統数が筑波の町を走っておるわけです。しかしながら、まだ人員が余り移転していないという実情とか、あるいは移転機関がまだ全部移転していないというような実情がございまして、頻度もしくはさらに拡大を要するような点があることは十分承知をいたしております。今後とも関係当局と十分折衝いたしまして、できるだけ先生の御要望に沿えるように努力してまいりたいと思っております。
  186. 山中郁子

    山中郁子君 あわせて私、バスダイヤいただきましたので、御紹介もして、ちょっと注意も喚起したいと思うんですけれども、昼間の場合、いま私は通勤時の朝と夕方のを申し上げましたけれども、たとえば家族の方たちが昼間ですね、牛久駅なら牛久駅まで出かけようというような場合にどういう状況かと申し上げますと、八時台が一本でしょう、それで九時台が一本、あとは十二時台が一本、一時台が一本、三時台が一本、四時台が一本、五時台が一本、六時台が一本と、これだけしかないんですよね。これだけのバスしかないんですわ。そういう状況でいつまでもいると、結局次々と、今回も幾つかの研究所が農林省関係だけでも移るわけです。そして、すぐにでも移る方たち、移るというか、実際上もう移っている部分も多いわけですけれども、そういう方たちの実際の通勤なり生活上の大きな阻害がもたらされるわけなので、私は国がやはり責任を持ってもう少し力を入れて何らかの早急な解決を図るべきだと思いますし、いま室長からはそういう趣旨の御答弁がございましたけれども、もう少し具体的な計画がぜひあってしかるべきだと思いますし、伺っておきたいと思いますので、重ねてお尋ねをいたします。  あわせて申し上げておきますけれども職員の方たちからの要望としても、結局自動車の免許を取って、しょうがないから自動車で御自分で使うと、こういうことになるんですけれども、後から転勤していく人たちには車庫がないというふうな問題もまた出てくるということですので、バスダイヤの充実ですか、増発ですか、そういう関係のもう少し具体的な対応をぜひともお聞かせもいただき、お約束もいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  187. 石川允

    説明員(石川允君) 先生の御指摘のようなことは事実であることは十分承知いたしておりますが、現在ちょうど移転の最中でございまして、したがって、この移転人員との見合いでこのバスの増発その他をやっておりますので、さらに正確な人員を把握いたしまして、調査いたしまして、その上で関係機関と十分調整を行っていきたい。すでに、現在もあらゆる面で関係機関と折衝いたしております。
  188. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、もう一つ伺いたいのですが、そうすると、大体いつごろをめどに把握もされるし、整理もできるというようになりましょうか、移転との関係で。
  189. 石川允

    説明員(石川允君) 移転が五十四年でございますので、五十四年にはもちろん把握できるはずでございますが、できるだけ早期にということを申し上げる以外にちょっといまのところ……。というのは、各移転者の調査が実際まだ完全にできていない部分もございますので、そういうものを把握するのにもう少し時間をかしていただきたいと思っております。
  190. 山中郁子

    山中郁子君 全部が完了しなければできないという性格のものでないことは申し上げるまでもないと思いますので、御答弁にありましたように、それでも順々に動いていくわけですから、その実情になるべく早目に見合った形での改善策を進められるように重ねて要望をしておきます。  同じく筑波学園都市の問題に関しまして、寮問題について次にお伺いいたしたいと思います。  職員の独身寮、これは各省一緒の独身寮だと思いますが、現在入寮者が約七十名ぐらいおられるというように聞いております。問題はここに食堂がないんですね。食堂がないために、職員の方たちは自炊をするか、あるいは職場の食堂で食事を済ませてくると、こういう以外にないということで、たとえば病気をなさったというときには、もうちょっと食事の手だてがない、こういう状況だそうですので、なぜ食堂をつくらないのか、これはどうも私は不思議なんです。各部屋にはおふろもついていてそれなりに設備が充実してしているという面がなきにしもあらずなんですけれども、それにしても食堂がないというのはちょっと考えられませんし、ちょっと外へ行って食事してきますというわけにはいかない場所でございますから、これはいずれお考えになっていらっしゃるんだとは思いますけれども、この点についてはぜひとも早急に食堂をつくってほしいという職員の方々の要望はもう当然のことだし、常識的に考えてもこれは最初からつくっておかなければならないことだと思いますので、これは大蔵省がおやりになっていらっしゃるんだとすれば大蔵省からお答えいただくんで結構なんですけれども、いかがでしょうか。
  191. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 先生おっしゃるとおり、筑波研究学園都市の独身用宿舎につきましては、実は各室に炊事の施設がついてございます。これは従来の独身寮に比べまして施設の上でも特段の配慮をしている、一応はそういうことが申し上げられると思います。したがいまして、一応形式的に申しますと、食堂までつくるのはぜいたくではないかということは一応は言えるわけです、一応はですね。しかしながら、ただいま先生がおっしゃいましたように、炊事ができないという場合もございます。これに対しましては、たとえば独身宿舎の周辺に商店街を誘致――商店と申しますか、飲食店と申しますか、こういうものを誘致するなり、あるいは別途食堂をつくるなりというようなことを考えていかなければならないと思います。これにつきましては、国土庁を中心にいたしまして、移転する各官庁相互間それぞれ相談いたしまして検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
  192. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、断固として食堂をつくらないというわけですか。これは理解に苦しむのですけれどもね。
  193. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 私ども、実は宿舎をつくるのが目的でございます。その宿舎の一環として食堂をつくるということはもちろんできます。ただ問題は、食堂の運営をどこがやるかということでございます。ですから、そういう問題も含めましてこれから検討をしていきたいと、かように考えております。
  194. 山中郁子

    山中郁子君 検討するのね。自炊設備があるということはいいけれども、自炊できる方ばかりいるとは限らないし、いま申し上げましたような状況もありますから、管理はどこがするかといったって、それは考えれば幾らだってどこが管理するか考えつくことでありますし、今回たくさんの研究所が移転するわけですので、農林省にもお考えを伺っておきたいと思っておりますが、ぜひ食堂をつくると。いろいろな設備が完備されていらっしゃるということで自負されていま御答弁がありましたけれども、そうすると残念ながら画竜点睛を欠くのではないかと思いますので、農林省としてもぜひその辺の御努力をいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  195. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 現在農林省関係の独身の移転職員につきましては、いまも大蔵省からお話がございましたが、自炊施設を使って用を足しておられるほか、筑波の事務所に共同利用の食堂がございます。これは大体キャパシティーとしては、何回転もしますと千人以上利用できるというふうに思います。それより規模はちょっと小さいんですが、林業試験場にも食堂がございます。こういったものとか、民間の食堂を御利用になっているというのが実態だと思いますが、先生指摘職員の方から独身宿舎に食堂を設置してほしいというような要請がございます。これにつきまして、私ども移転職員の生活環境変化に対します一つの対応として考えられることではあるということで、これはしかし農林省一省だけでできることではございませんので、共通の関心を持つような他の省庁とも寄り寄り協議をしてまいったわけですが、いまも大蔵省からお話ございましたように、独身宿舎に当初ガス設備等がついておらなかったのを、後に改造をしてガス施設をつくり炊飯ができるようにしたと、あるいは建設途中のものにつきましてそういった施設を設計変更をして特につけたというような経緯もございまするし、またこれもいまお話がございました食堂の運営方法等、これは民間の食堂に対します影響とか、そういうようなこともいろいろ考えなきゃなりませんし、まあ利用計画もしっかりしませんと、せっかく店開きしたけれども運営が成り立たないといった問題もございます。大変むずかしい問題がありますので、そういったことについてどうするか、これについて先ほども関心を持っておる省もございますから、十分真剣に相談をして検討をしてまいりたいと、現在の段階では結論は得ていないということでございます。
  196. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つ大蔵省にお伺いしておきますけれども検討されているというお話ですが、やはり必要な方たちから見れば急ぎの要求ですよね、病気して寝ていたというときに何にも食べるものがないと、近所に商店ないわけですから。なるべく早くそれはやっていただかなきゃいけないんですけれども、いつごろまでにというふうに考えていらっしゃいますか。
  197. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 一般的に職員の生活上の利便の問題でございますので、主として国土庁が中心になるお話かと思いますけれども、国土庁ともよく相談いたしまして決めたいと思います。ただ、私の方から直接いつということはちょっと申し上げかねると思います。
  198. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ国土庁の方から、もし御答弁いただけるならば……。
  199. 石川允

    説明員(石川允君) これもはなはだ申し上げかねる点でございますが、やっぱり移転者の問題を正確に把握いたしませんと、どのぐらいの規模のものをどこへどうつくっていいかという問題がございますので、寄り寄り大蔵、農林、通産その他省庁と話し合っておりますが、それを正確に把握した上でしかるべく方法を考えようということで話し合っております。できるだけ早期にやりたいと存じます。
  200. 山中郁子

    山中郁子君 ぜひ早期に実現できるようにお進めをいただきたいと思います。  筑波問題に関しまして、あと一つ医療問題でお尋ねをいたします。  まだ記憶に新しいところですけれども、筑波で一人独身寮で飛びおり自殺なすったという事件がありましたわね。それで新聞報道によりますと、何か十カ所も病院をたらい回しされたと言われております。私は筑波のこの研究学園都市に救急医療体制がないというのは全く理解できないことだと思っておりますけれども、筑波大学病院があるわけでしょう。この救急医療体制は、当然この筑波学園、筑波大学病院を含めて早急な救急医療体制をつくられる必要が、これこそ本当に緊急の問題だと思います。先ほどの独身寮の問題じゃありませんけれども、幾ら完備されていても自炊をして一人でそこに閉じこもって、こういう都会の生活の中からほんとそういうところに行くわけですから、若い方たちがそういうノイローゼ的な状況になるとかということはもう十分考えられることで、そしてこうした事故まで出ているわけですから、この点はとにかく救急医療体制を早急に確立しなければならないと思っておりますが、いかがでしょうか。
  201. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) お答え申し上げます。  全国どこの地域におきましても、先生の御指摘のような救急医療体制が必要であるということであると思います。ただ、救急医療体制を実施していきます場合には、これは厚生省の方でいま御指導なさっているわけでございますが、比較的軽度の患者を扱います第一次救急、それから少し高度な専門医療を担当いたします第二次救急、それから、より高度な救命救急的な第三次救急というものの三つのネットワークが必要であるということでございます。それで、私どもの所管しております大学の付属病院といいますものは、教育、研究のほかに高度の診療をやるということが基本でございます。したがいまして、そういう大学の病院を生かしていく場合には第三次救急が適当であるということで大学を指導しております。したがいまして、筑波におきましてもそういうネットワークの整備と合わせながら大学が協力していくということで指導しております。
  202. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、筑波での救急医療体制というのは具体的にどうなるんですか。どういうふうにいつできるんですか、ちょっといまの御答弁じゃよくわからなかったんですけれども
  203. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) ただいまちょっと申し上げましたように、救急医療体制全部の整備ということは大学病院だけの仕事ではないと思っております。その救急医療体制のより高度な部分につきまして大学病院も協力し、分担をしていくというかっこうであるということでございます。
  204. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、筑波大学病院で救急医療体制は受け入れる条件をつくると、そのようにやりますと、こういうことですか。このような場合です、自殺者が出て、落ちたときはまだ生きていらしたわけですわ。それでもう病院がなくて、十も病院を駆けずり回ってとうとう死亡されたと、こういう状況が生まれたわけですね、この筑波学園でですね。それは筑波大学病院で救急体制に応じると、こういうことですか。
  205. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) ただいまのことはこういうことと御理解いただければよろしいと思いますが、大学病院でも当然救急医療をやらなくてはいけないということはございますが、ただ大学病院だけが救急医療をやるということではないわけです。そういうたらい回しをなくす体制というものもあわせてつくっていかなくちゃいけない。それは大学病院だけでできる話ではないということでございます。
  206. 山中郁子

    山中郁子君 私は大学病院の救急医療体制の一般論をいま言っているんじゃなくて、筑波の問題で伺っているんで端的なお答えいただければいいんですけれどもね。そうしたら室長から伺ってもいいんですが、筑波学園都市の救急医療体制の対策ですね、計画どうなんでしょうか、いつ解決するのでしょうか。
  207. 石川允

    説明員(石川允君) 先生、これは厚生省が所管いたしておりますので、私の方が正しくお答えできるかどうかちょっとわかりませんが、現在筑波の六カ町村の中に、救急医療機関といたしまして病院が一、それから医院、診療所は四カ所ございます。これは旧来の六が町村対象のいわゆる救急医療機関でございますので、新たな機関が人口が張りつくに従いまして、当然先生指摘のような医療体制というものをさらに見直さなければならないということは事実でございまして、これをいま早速やらなきやならぬわけでございますが、その中心として、いま文部省の方からお話がございました筑波大学というものが一応は爼上に上っておるわけです。そこで、筑波大学の方でそれを中心にいま検討を加えておられる状態でございまして、これ以外にも周辺の医院とかあるいは診療所、こういったものを漸次初期の救急医療体系の中へ組み込んでいきたい。それから、第二次救急体制として筑波大学であるとか、あるいはまた別途考えなければならぬかもしれませんが、そういったものを考えていくということを県がいま検討いたしておりまして、第三次、つまりいろんな問題が起こりましたときの一つの情報センターといたしまして、救急医療情報コントロールセンターというものを、大体県がことしの夏に稼働させる所存のようでございます。これができ上がりますと、必ずしも十分とは申し上げかねますが、ある程度先生の御指摘のようなことがうまくいくようになるんではなかろうかと考えております。
  208. 山中郁子

    山中郁子君 そうしたら、文部省に最後にもう一度だけ伺っておきますけれども、筑波大学病院が救急病院としての役割りを果たすというようには検討すると、それは第一次から第三次まで全部とかということじゃなくて、ほかにもいろいろお考えにならなきゃいけないんでしょうけれども、大学病院だけがそれを担うということではないでしょうけれども、そういうように理解してよろしいですか。
  209. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) 先生の御指摘のとおり、そういうネットワークの整備とあわせながら筑波も引き受けていくということでございます。
  210. 山中郁子

    山中郁子君 次に、直接法案の関連と離れまして、当面する農業行政問題について二点お伺いしたいと思います。  一つは、タマネギの問題です。非常にいまタマネギが値崩れするというか、暴落しているということで、生産者の方たちが大変切実な要望を出しておられます。これはいろんな背景があるわけですけれども、まず農林省として実情をどのように把握されているか、お聞かせいただきたいと思います。
  211. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 最近におきますタマネギの需給及び価格の動向でございますが、タマネギのことしに入りましての価格の動向は、一月から三月の上旬までは堅調に推移してまいりました。三月の中旬から価格が軟化し始めまして、四月、それから五月を前年に比較いたしますと、かなりの低い価格で推移をしてきておるわけでございます。四月から本格的に新タマネギが出荷されるのでございますが、このタマネギの作付面積は前年よりか若干多い状況でございますが、作柄が前年と比べまして上回りまして、収穫量、出荷量ともやや増加をした、このために価格が低迷を続けておる、同時に輸入タマネギの在庫及び放出ということもその状況の上に加わったというのが現在の状況でございます。ただ最近、先週後半以降ややタマネギの価格が回復してまいっておりまして、このままでまいりますと、市場関係者の話等を総合いたしますと、六月中旬以降は価格が回復するのではないかというふうに考えられておるところでございます。
  212. 山中郁子

    山中郁子君 余り楽観できない状況もあると私は思います。  それで、いま御答弁もありましたんですけれども、卸売価格、中央卸売市場での動きを見ますと、四月中旬には昨年の三割ですね、三割のキロ当たり四十九円まで急落している。五月に入ってもまだ前年比で半値という状況です。御承知のように、千葉県の白子町ですか、あそこはタマネギの主要な産地ですね、これは農林大臣も大いに関係があって、タマネギは北海道が主産地ですからね、お考えいただかなきゃいけないと思うんですけれども、もう本当に野積みですよ。売れないわけですわ、全然。そういう状況のもとで、本当に生産者が苦しんでおられるわけですから、何とか私はここで行政の的確な手を打つべきだと思います。  いま御答弁ありましたけれども、一つの要因のようにおっしゃっていますが、実情を調べますと、この輸入の急増というのは大変な大きな値崩れの要因になっているわけですよ。で、一つお伺いしたいんですけれども、四十九年から五十二年の輸入実績ですね、それぞれどのようにふえてきて――ふえてというか、どのくらいになっているか、それをちょっと教えてください。
  213. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) タマネギの輸入につきましては、例年主として国内産のタマネギの供給が不足いたします二月から四月の端境期におきます供給を目的として輸入をされております。これまでの輸入の数量といたしましては、四十九年が六万五千トン余、それから五十年が三万トン、五十一年が六万二千トン強、それから五十二年が三万九千トン、約四万トン弱ということで、これは暦年でございますが、そういう輸入の状況になっております。
  214. 山中郁子

    山中郁子君 それが、ことしはすでに輸入された分量がどのくらいになっているかと比較したいわけですけれども、一月から四月までの輸入実績、五十三年ですね、暦年の五十三年ですが、これはどのくらいになりましょうか。
  215. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) ことしの一月から四月までの輸入は約六万四千トンということでございます。
  216. 山中郁子

    山中郁子君 農林大臣、ぜひお考えいただきたいんですけれども、一月から四月までの四ヵ月間で六万四千トン輸入してるんですわ。それで、いまさっきお示しいただいたように、四十九年から四年間の数字を見せていただくと、最高が四十九年の六万五千トンですね。その次が五十一年六万二千トン。ほぼこれと同じ量のタマネギを一月から四月までにもう輸入しちゃっているわけです。それで、時期的にはこの時期に集中するようなことをおっしゃっていたしまけれども、私はそのほかに全然輸入がないかと言えばそんなこと絶対ないんであって、細かい数字出していただければわかるわけですけれども、それでやっぱり何らかの実質的な規制措置、制限措置、こんなふうに輸入されたら、それは国内生産者が買いたたかれるのはあたりまえで、本当に涙も出ない状態だと。農林大臣に私がそんなことを言うのはどうかと思いますけれども、よく御承知だと思いますが、北海道の皆さんもおっしゃっているはずです。それで、ぜひともそうした規制の措置を考えていただかなきゃならないと、緊急にと思っていますが、まずことしのこの四カ月の六万四千トン、これの主な大手輸入業者がどこであるのか、そしてそれぞれがどのくらい輸入しておるのかということを教えていただきたいと思います。大手輸入業者につきましては農林省から資料をいただきましたので、それがそれぞれどのくらいかということでお答えいただいて結構です。
  217. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) そのお答えの前に、ことしの一月から四月の輸入数量が例年に比べて多いという点につきまして若干御説明をさしていただきたいと思うんでございますが、これは昨年秋以降暖秋暖冬でございまして、秋冬の野菜が相対的に前進出荷されまして、三月ないし四月の野菜の端境期には品不足が出るんではないかと、それに伴って価格の高騰が懸念されたということが一つございます。それからもう一つ北海道産のタマネギ、これは昨年の秋とれるものでございますが、その収穫状況を見ますと、前年に比較いたしましてこれが減少をしておるということから、昨年の十月末時点でことしの春のタマネギの需給状況を推算いたしましたところ、ことしの三月には必要入荷量に対して供給量が約一割程度不足するのではないかという見通しが立てられ、このために、やはり従来から端境期に入れております輸入タマネギを入れる必要があるという見通しを立て、それらの要因が重なりまして結果的に輸入量が増加したということがあるわけでございまして、結果的に見まして、まことに生産農家に申しわけない事態になっておるのでございますが、輸入の場合は、必要だからすぐ入れるというわけにはまいりませんので、あらかじめ先の見通しを立てて、それを業界等に指導して入れるというような状況もございますので、その点について御理解をいただきたいと存じます。  それから、直接お尋ねの輸入商社についてでございますが、有力な商社といたしまして資料を御提出申し上げましたけれども、正確にこの商社ごとの取り扱い金額、取り扱い量、これは通関統計のもとになります税関での資料による以外には正確な数字はつかみにくいのでございますが、御承知のように税法関係の守秘義務がございまして、残念ながらわれわれといたしましてもこれを正確に掌握するということがいたしかねる次第でございまして、その点御容赦をいただきたいと思います。
  218. 山中郁子

    山中郁子君 そんなはずないでしょう。主な大手として十社挙げられました。伊藤忠、丸紅、三和実業、西日本青果その他十社挙げられたんですよね。それがそれぞれどのくらい輸入したかわからないなんて、そんなはずないじゃないの。わかるからこそこれが主なところですと言って出していらっしゃったんでしょう。私はそんないいかげんなことはないと思いますよ。大臣いかがですか。
  219. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 確かに有力な商社ということで、業界の中で一般的に言われておる商社としてこの十社が挙げられるわけでございますが、これは、台湾からのタマネギの輸入につきましては日本蔬菜類輸入組合という輸入組合をつくっておりまして、その構成員約二百社ございますけれども、その中での有力な取り扱い商社ということで提出をいたしました関係でございまして、それぞれの商社が幾ら、どのくらいということを掌握して提出をしたわけではないということを御理解いただきたいと存じます。
  220. 山中郁子

    山中郁子君 結局そうしたら、こうした農産物の輸入について、どの商社がどのくらい輸入しているのかということを農林省知る手だて全然ないということないでしょう。そうしなきゃ全然把握できないじゃないですか。私はだから、いままだお調べになってないというんだったら、そこら辺はまた調べていただいて、見当で結構ですよ、そう厳密でなくても結構ですから資料としてお知らせいただきたいと思いますが、その点は全然農林省はそういうことを知る手だてがないし、知る気もないということではあり得ないと思いますが、農林大臣いかがですか。
  221. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) これは仮に知れましても、どの貿易商社がどのタマネギを何トン輸入しているかということは、会社のやっぱり営業の秘密に属することであって、政府が国民の前に公開をするというわけにはいかぬことだろうと思います。したがいまして、調べられるとしても公開するわけにはいかぬ趣旨内容であろうと、残念ながらそう思うわけでございます。
  222. 山中郁子

    山中郁子君 そうしたら、大臣ちょっと伺いますけれども、先ほど私申し上げましてお尋ねをしているんですけれども、こういうふうに輸入がすごくふえちゃって、先ほどお答えもありましたように、見通しが間違ったということについては確かに問題があるとおっしゃいました。そういうことについては、じゃ商社が勝手に輸入する分には輸入させておいてよろしいと、それで国内の生産者がどのように買いたたかれようと、それは農林省としては構わぬのだということじゃないでしょう、そこのところはどうなんですか。私は実質的な何らかの制限、規制、そして価格の保障ですね、暴落を防ぐと、こういうことをしなければ、まさに国内生産者を保護できないと思いますけれども、いかがですか。
  223. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 残念ながら、原則的には昭和二十六年に自由化いたしておりますから、どの業者が何ぼ入れようともこれは規制できないというのが貿易の自由化原則でございますから、規制するわけにはまいりませんが、その辺のところはまた指導でもって、ことしはこういう見通しで品不足になりそうです、あるいは品が余りそうです、ですからことしはひとつ余り入れないようにしておいた方がいいですよ、そう協力してくださいと言うことは業界を通じて指導できるし、またそういうことを通じて生産者に不安のないような行政のできる、ぎりぎりの、指導とまで言えぬですか、要請といいますか、そういった措置を講じて生産者に迷惑をかけない措置を講ずる、こういうことをやっておるわけでございます。ことしは若干そういったことで見通しを誤ったために、かなり入り過ぎて迷惑をかけておるということについてはまことに申しわけないことだな、こう思っておるわけであります。
  224. 山中郁子

    山中郁子君 きょうは自由化品目の問題の根本的な議論をしている条件も時間もありませんから、いま当面、とにかくタマネギが困っているという状態で、それはもう農林大臣自身がよく御存じのはずです。ですから、一袋二十キロ、これを商社は加工業者に二百円で投げているんですよ。とても太刀打ちできない。それはあたりまえだと思うんですよね。ですから、いま言われましたけれども、もうちょっとしっかりした姿勢で、いまの自由化論争は別に置きまして、自由品目であるなしの問題はかなり基本的な問題にも関連しますから、私は緊急にやはり政府として、こういう事態になったら、とにかく国内生産者を保護するためにそういう措置をすぐにでもとるべきだ、そういうことが主要な農林行政の問題だ、柱だと思っておりますけれども、それにしましても、もう少ししっかりした立場で生産者の利益を守る、保護するということに立っていただきたいと思います。それはもちろん否定なさっていらっしゃるわけではないから、重ねて強く申し上げておきます。  関連をいたしまして、こういう状況になりますと、ことしのタマネギの問題で言うならば、一つは暖冬のために品物がよくなくて、一般的にA、Bといって、普通はみんなA製品ができるんだけれども、Bが多くなってきているということが生産者の方たちの悩みです。結局これはもう売りに出せないみたいになってきているんだけれども、実際上それが多いですからもちろん売るわけです。だけどBだからということで買いたたかれる。で、買いたたかれた場合に、Bの場合には価格補償がないわけですね、これをやはりこういう緊急のそして特別な場合ですからぜひとも柔軟に考えていただいて、B級品であっても価格補償の対象にしてほしいと、これまた大変切実な要望なわけです。この点は何らかの柔軟なお考え方でもって対応ができるのかどうか、それをお伺いいたします。
  225. 犬伏孝治

    政府委員(犬伏孝治君) 価格補てんの問題につきましては、先生承知だと存じますけれども、あらかじめ補てん予約契約を行いまして、そのための資金をあらかじめ造成をいたしまして、その後価格低落という不幸な事態が発生した場合にその造成された資金から補てんを行うという仕組みになっておるわけでございまして、その場合の価格補てんの対象になりますのは、市場で通常取引される正常な品質のもの、規格品ということにならざるを得ないわけでございます。規格外のものを対象にして考えるといたしますと、規格外のものについて品質がいろいろ区々でございまして、それに応じてどのような基準価格を設定するかというような技術的な非常にむずかしい問題がございます。先生の、ただいま、ことしそういう問題が発生しておるのをどうするのかということでございますが、これは価格補てんの問題として仕組むということについては、ただいま申し上げたような非常にむずかしい問題がございます。やはり災害によります農家経営が受けた損失、影響をいかに緩和するかというようなことで、災害金融対策等を考えてまいるということで考えざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  226. 山中郁子

    山中郁子君 私が直接つかんだところでも、先ほど申し上げました千葉県の白子町、それから愛知県の碧南市なんか集中的にタマネギ生産している地域です。ほかにも全国的にあります。で、農林大臣ぜひ考えていただきたいのは、たとえば白子町の場合でもそうなんですけれども、減反政策との関係で転作の対象としてタマネギをずっとしてきたという経過があるんですよ。それぞれありますね、これはタマネギだけじゃありませんけれども。ですから、全農なんかでも言っているんですけれども、そういうことで国の減反政策から転作を考え、そしてひとつタマネギで成功していく、タマネギで転作をしていくと、こういうやり方をしてきているわけですね。これは国の農政の要請にこたえた形でやってきているわけですよ。それが、だけど今度輸入がそういうことで膨大になってきて、それでもうどうしようもならないという事態になってくる、しかしそれは自由化品目だからしようがないんです、価格補償はこうこうこうなっているからしようがないんですということじゃ、余りにも冷たいじゃないかということを私はいま申し上げておりますので、全農でも、転作によって国内需要は大体賄えると、タマネギの、これからですね、そういう見通しを立てておられます。それは全農がそういう見通しを立てているからといって、もっと十分な慎重な調査も必要だということは私は否定はしませんけれども、そういうところに基本を置くならば、先ほど申し上げました輸入の問題、それから、いま重ねて要求をいたしました価格補償の対象の問題ですね、また価格補償を拡大していく問題、こういうことについて、ぜひ今日のこの窮状に照らして農林省としてとにかく生産者を救済する、保護するという立場から、積極的な工夫もされ、指導も強めていただきたいということを最後に農林大臣から伺います、この問題に関して。
  227. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) タマネギのみならず野菜は、減反政策との関係で過剰生産になりますとたちまち価格の問題で大変なことになります。したがいまして、減反政策をやるに当たりましては、特に需給関係を十分考えて、県なり町村なり市なり、そしてまた国全体としても過剰にならないように計画的な生産が行われるように指導して、国内的な過剰あるいは外国からの輸入による過剰でもって価格が暴落を来さないように、過去においても十分指導してまいりましたし、今後も十分指導してまいりたいと存じます。ただ、輸入問題は特に大きな影響を与えますので、今後そういった無理な輸入がないように、その点はさらに指導してまいりたいと思いますが、品質の悪いものについての価格補償というのは、これは技術的に非常に困難、制度、仕組みの問題でございますから、検討はいたしてみますけれども、今回これに対してどう処理すると、いま御希望のような返答はできないことは残念でございますけれども、研究はさしていただきたいと存じます。
  228. 山中郁子

    山中郁子君 価格補償の性格からいって、結局私が申し上げているのは生産者に責がある問題じゃないわけですね。暖冬だとか天候の問題なんかは農産物特にそうですけれども、そこのところをやはり価格補償という政策の精神からいって、ぜひ御検討いただく中身の問題だと思いますので、重ねて申し上げておきます。  最後に一つだけ簡単にお考えとお約束をいただきたいことがございます。それはかねてから問題になっているんですけれども、お米のイネミズゾウムシ、害虫ですね、これの問題でだんだん被害が広がっていくということで、愛知県の知多半島では一割減収というところまで来て大変困っていらっしゃいます。で、半田市だけでも約一千万円の減収だということが伝えられておりますけれども、ぜひともこれの把握と、それから処理ですね、処理というか解決のための国としての、いまから研究するんじゃ遅くて、いろいろ手当てはしていらっしゃるんだと思いますけれども、その対策と、それから現在の薬品代の補助をぜひふやして、駆除のために必要なだけの薬の費用を国が持ってほしいというのは農家の方たちの切実な要望ですので、調査と、それから対応の早急な検討、それから必要な薬品についての補助、この点についてのお約束をいただきたいと思います。
  229. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 御承知のように、愛知県で五十一年度から発生したわけでございますが、本年愛知県に対しましては約一億くらいの金を出しまして防除を進めておるわけでございます。同時に、この発生地減に隣接をいたします三重、岐阜、静岡の三県につきまして、本虫の進入を警戒するための調査を実施いたしております。今般これらの三県でやはり被害が相当出たという報告がございまして、三重県については係官も現地に行って調査をいたさせたところでございます。三県の発生市町村を見ますと計二十九市町村ということでございますが、今後これらの発生市町村につきましては、蔓延防止を図るため、発生密度の高い地区に対しまして経済的被害をもたらさない、減収をもたらさない、そういう対策といたしまして防除対策等に積極的に前向きにひとつ取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  230. 山中郁子

    山中郁子君 補助金を出されていることを否定しているわけではなくて、農協なんかでもかなり負担になっているという面もありますので、いま御答弁がありましたので、当然積極的に前向きにそうした補助金の増額などについてもお考えいただくということで理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。
  231. 野崎博之

    政府委員(野崎博之君) 前向きにそういう方向でひとつ検討をいたしたいと考えております。     ―――――――――――――
  232. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 委員異動についえ御報告いたします。  本日、加藤武徳君が委員辞任され、その補欠として鈴木正一君が選任されました。     ―――――――――――――
  233. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議でございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  235. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、原君から発言を求められておりますのでこれを許します。原君。
  236. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 私は、ただいま可決されました農林省設置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農林水産行政の重要性にかんがみ、次の事項について配慮すべきである。  一、農林水産省への省名変更及び水産行政機構の整備強化に伴い、二百海里時代に対応した施策を更に強力に推進するため、水産行政の充実強化を図ること。  一、食品全般の価格、流通対策の充実に努めるとともに食糧の総合的な自給力の向上を図るため、農業行政を一層充実強化すること。  一、森林・林業をめぐる厳しい諸情勢にかんがみ、森林・林業の当面及び長期の安定振興対策を講ずるとともに国有林野事業の経営については、公益的機能を重視し、活力ある国有林づくりを基本とすること。  一、営林署等の再編整備を図る場合には、地域住民の十分な理解と納得をうるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。どうぞ御審議の上御賛成願いたいと思います。
  237. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいま原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  238. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 全会一致と認めます。よって、原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中川農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川農林大臣。
  239. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ただいま農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果御可決いただきまして、まことにありがとうございました。私といたしましても、本委員会における審議内容を十分尊重いたしまして、農林省に与えられた任務の遂行に全力を尽くす所存であります。  また、ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと存じます。
  240. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十二分散会      ―――――・―――――