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1978-05-25 第84回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     竹内  潔君      浜本 万三君     村田 秀三君      渡辺  武君     山中 郁子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 林  ゆう君                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 斎藤栄三郎君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 山中 郁子君                 森田 重郎君                 秦   豊君    衆議院議員        内閣委員長代理  村田敬次郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        農 林 大 臣  中川 一郎君        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        人事院事務総局        任用局長     今村 久明君        人事院事務総局        給与局長     角野幸三郎君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        農林大臣官房長  松本 作衛君        農林省構造改善        局長       大場 敏彦君        農林水産技術会        議事務局長    堀川 春彦君        食糧庁次長    戸塚 金郎君        林野庁長官    藍原 義邦君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山地  進君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        大蔵大臣官房地        方課長      宮原  翠君        厚生省年金局企        画課長      山本 純男君        運輸省港湾局防        災課長      寺尾  健君        運輸省航空局監        理部監督課長   松村 義弘君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       山本 直巳君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君        建設省道路局日        本道路公団・本        州四国連絡橋公        団監理官     加藤  優君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君        日本国有鉄道環        境保全部長    杉浦  弘君        日本国有鉄道共        済事務局長    川野 政史君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十一日、中村利次君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。また、五月十二日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。
  3. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事井上計君を指名いたします。     —————————————
  5. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川農林大臣
  6. 中川一郎

    国務大臣中川一郎君) 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  第一は、農林省省名農林水産省への変更及び水産庁組織整備強化についてであります。  わが国水産業は、農林業と並ぶ重要な第一次産業であり、また、水産物は、国民動物性たん白質食料供給源として重要な地位を占めております。  しかしながら、二百海里時代の急速な到来等わが国水産業を取り巻く諸情勢はきわめて厳しいものとなっており、これに対処して、わが国水産業の発展と水産物安定的供給確保を図ることは、現下の重要な政策課題となっております。このため、わが国周辺及び遠洋海域における水産資源の開発、増養殖推進漁業外交の強力な展開等二百海里時代に即応した施策充実強化に努めているところでありますが、水産行政を担う組織の直におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るようその整備強化を図ることが必要となっております。  このような事情にかんがみ、農林省省名農林水産省に改め、国家行政組織における水産行政組織位置づけを明確にするとともに、わが国漁業水域内における漁業振興を担当する部局として、水産庁振興部を設けることとしたものであります。また、今後の政策課題に即応した試験研究拡充強化のため増養殖についての基礎的研究を行う養殖研究所及び漁場造成漁船等についての研究を行う水産工学研究所を設けることといたしております。  第二は、林野庁組織整備についてであります。  最近におけるわが国の森林・林業をめぐる情勢は、木材需要の伸び悩み、木材価格低迷等により国内林業活動が停滞する等きわめて厳しいものとなっており、民有林国有林を通じてその現状の打開が強く迫られております。  このため、林道造林等生産基盤整備、担い手の育成確保を初めとする民有林対策充実強化とともに、国有林野事業自主的経営改善計画的推進及び財政援助措置強化が必要となっている一方、行政組織の面におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るよう民有林国有林を通ずる行政統轄機能強化を図るとともに、国有林野事業自主的経営改善措置一環として、その組織簡素合理化を図ることが必要となっております。  このような事情にかんがみ、林野庁次長を新設する一方、北海道にある五営林局を再編整備することとし、札幌営林局北海道営林局に改めるとともに、他の四営林局北海道営林局支局とすることとしたものであります。  第三は、食糧庁組織等整備についてであります。  最近、食品に関する物価、流通対策充実要請はますます強くなっており、これにこたえるためには、よりきめの細かい行政推進が必要となってきております。  このため、全国的な組織を擁し、かつ米麦及びその加工食品のほか野菜の流通業務にも経験を有する食糧事務所食品全般価格流通対策充実のために活用することとし、食糧事務所食品全般について、その流通改善等のための事務を行い得ることとしたものであります。  また、食糧庁内部部局につきましては、行政機構簡素合理化趣旨を踏まえ、その再編成を行うこととしたものであります。  第四は、本省の内部部局及び付属機関組織等整備についてであります。  近年における土地及び水に関する農業的利用動向を踏まえ、その必要とする土地及び水の確保を図るためには、土地及び水に関する施策長期的見通しのもとに計画的に推進することが必要となっております。このため、構造改善局農政部所掌事務である農業振興地域整備計画及び農業水利制度にかかわる事務同局計画部へ移管し、土地及び水の計画的な確保に関する事務を同部において一元的に処理することとしたものであります。  また、沖繩県農業におけるサトウキビ重要性にかんがみ、その生産対策一環として、優良種苗生産供給体制の確立を図ることが必要となっております。このため、沖繩サトウキビ原種農場を新設することとしたものであります。  さらに、試験研究機関のうち農業技術研究所、畜産試験場、蚕糸試験場、家畜衛生試験場及び食品総合研究所の五機関につきましては、五十二年度に移転した試験研究機関に引き続き筑波研究学園都市への移転を行うこととしております。このため、その位置が東京都または千葉県と規定されているのをそれぞれ茨城県に変更することとしたものであります。  なお、その他所要規定整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  7. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 本案衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理理事村田敬次郎君。
  8. 村田敬次郎

    衆議院議員村田敬次郎君) ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につきまして、その内容を御説明申し上げます。  修正の第一は、営林局支局の新設について、政府原案では、営林局所掌事務を分掌させるため所要の地に支局を置くこととし、その名称位置管轄区域及び所掌事務等農林省令で定めることとしておりましたが、これを林野庁地方支分部局として位置づけることとするとともに、その名称位置等についても法律規定することとしたことであります。  第二は、営林署について、政府原案では、営林局または支局所掌事務を分掌させるため所要の地に営林署を置くこととし、その所掌事務農林省令で定めることとしておりましたが、その位置づけ及び所掌事務現行どおり法律規定することとしたことであります。  第三は、この法律施行期日について、政府原案のうち「昭和五十三年四月一日」を「公布の日」に改めたことであります。  そのほか、所要規定整備を行った次第であります。  以上が修正内容の概要であります。
  9. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  10. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 和泉照雄

    和泉照雄君 私は、公企体職員共済年金改正に関連して質問を申し上げますが、近年公的年金成熟に伴いまして、国民年金を初め、各種年金財政が悪化していることは御承知のとおりでございますが、本日は、その中でも運輸省所管公共企業体共済年金国鉄年金に関して、現状と今後の問題点等についてお伺いしたいと存じます。  そこで、まず第一点は、現在の国鉄年金受給者数年金成熟度並び退職年金平均受給額について御説明を願います。
  12. 山地進

    政府委員山地進君) いまのお尋ね年金受給者数は、昭和五十一年度末におきまして二十五万二千五百三十三人でございます。それから第二点の成熟度でございますが、同じく五十一年度末で五八%でございます。第三点の退職年金平均額でございますが、同じく五十一年度末で百二十四万三千九百三円でございます。
  13. 和泉照雄

    和泉照雄君 次にお尋ねをしたいことは、現在の国鉄職員年齢構成、そして今後十年間の退職予定見込み者数について御説明願います。
  14. 山地進

    政府委員山地進君) ただいまの年齢構成でございますが、四十五歳未満の者は、職員四十三万五千九百五人のうち二十一万二千人、約四九%でございます。それから、四十五歳以上五十歳未満の者は約十万八千人、二五%でございます。五十歳以上の者は約十一万六千人、約二六%になっております。このような四十五歳以上の者が全体の過半数を占めている現状から見て、今後の新規年金受給者数は大量に発生するだろうと、こういうふうに予想されております。
  15. 和泉照雄

    和泉照雄君 次に、国鉄年金財政現状についてお尋ねをいたしますが、昭和五十一年度決算と、昭和五十二年度推定決算によって、国鉄年金長期経理収支状況並びに過去五年間の積立金の推移についてはどのようになっているのか御説明を願います。
  16. 山地進

    政府委員山地進君) 五十一年度決算におきまして、収入は約二千二百九十六億、支出は約二千三百八十五億でございまして、五十一年度赤字は八十九億円でございます。  五十二年度推定でございますけれども、これはまだ決算が終わっておりませんが、収入は約二千五百億円に対し、支出が約二千八百八十億円、同じくこの年度赤字でございまして、三百八十億円の赤字を出しております。  五十三年度見込みでございますが、五十二年度におきまして国鉄収支計画策定審議会でいろいろ御検討いただき、財源率アップを試みた結果改善されまして、一応見込みでございますが、収入が三千五百九億、支出が三千二百八十億でございまして、収支残といたしまして約二百二十九億円を見込んでおります。  それから、第四番目のお尋ね積立金状況でございますが、四十七年が三千四百二十一億ございましたが、これが逐次五十年まで純増いたしまして四千四百六十七億に達しておりましたが、いま申し上げましたような五十一年並びに五十二年の赤字によりまして取り崩しを来しました結果、五十一年度末におきましては約四千一億円の積立金になるものと予想されております。
  17. 和泉照雄

    和泉照雄君 国鉄年金は、昭和五十一年度決算で初めて当該年度に八十八億五千万円ほどの当期不足金を生じて、五十二年度予定では、いま御答弁がありましたが、大体三百億円ぐらいの当期不足金を生ずる見込みとなっているようでございますが、この点についてその原因というものを運輸省当局はどのように分析をしておられるのか。私どもは、年金受給者増加あるいはまた年金額改定に伴う支出増が大きな要因ではないかと思うんですが、そのほかに何か分析をされるところがありましたら御説明願います。
  18. 山地進

    政府委員山地進君) 主な原因といたしましては、先生指摘年金受給者数増加年金改定による給付額の増大があったことはそのとおりでございますが、そのほかに考えられますのは追加費用、つまり過去の債務で国鉄が払わなければならないものというものを、国鉄財政の状態を勘案いたしまして若干低目に抑えておりました。それが過去二年間の赤字に若干の影響があったと、かように考えております。   〔委員長退席理事林道着席
  19. 和泉照雄

    和泉照雄君 その傾向は、いま御答弁がございましたが、一番大きな要因というのは、要するに先ほど答弁があった四十五歳以上が過半数以上を占めておると、こういうことで、今後この不足金の生ずる傾向というのはいよいよ著しくなってくるのではないかと、このように思われるわけでございますが、特に国鉄年金昭和五十一年度から二回目の財源率改定を実施されたにもかかわらず、当該年度赤字を計上して積立金の減少を招いていることは大きな問題だと思います。これは国鉄共済にとっても、また国鉄経営にとっても看過できないものではないか、このように指摘をしたいわけで、早急にその抜本策を考えることが必要ではないかと思いますが、国鉄当局、特に監督官庁としての運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  20. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま御指摘の点は大変大事なことであり、その必要もございますので、お話のありましたような考え方で私どもも進みたいと思っております。
  21. 山地進

    政府委員山地進君) いま大臣の申されたことに尽きると思うのでございますが、若干詳しく申し上げますと、五十一年の財源率改定である程度の見通しを立てていたところが、若干、経済的な変動等に大幅な見込みの相違が出まして、五十一年、五十二年と引き続き赤字が出たわけでございます。そこで、そういった与件の変動につきまして改めて収支策定審議会で計算をいたしまして、掛金率アップ、つまり組合のメンバーの方方の掛金率アップしまして千分の六十二にする、国鉄負担金も上げる、それから追加費用については実額で払う、対俸給の比率ではなくて実額で払うというような改善措置をした結果、五十五年まではどうやら黒字が計上できそうだという見通しを得ているわけでございます。したがって、五十四年以降におきましてこれをどういうふうに改定をするかというのは、国鉄収支計画策定審議会の御判断を得たいと思っているところでございますが、いずれにいたしましても、国鉄職員の逆ピラミッドの構成等から考えて、今後は非常にむずかしい問題が起こるということは想像にかたくないわけでございますが、これは今後の年金の国の全体のあり方というものと整合性を保ちながら、各方面と御相談をしてこの難局に対処してまいりたい、かように考えております。   〔理事林道退席委員長着席
  22. 和泉照雄

    和泉照雄君 今後、この赤字国鉄年金財政をどうするかということは、公的年金の一元化でもしない限りはなかなか解決しにくい問題ではないか、また、当面国鉄年金財源となる収入をふやすか、あるいはまた支出を減ずるか、そういうところにしか解決策はないんじゃないかと思うのですが、問題はその方法でございますけれども既裁定年金改定を据え置いたり、あるいは新規年金受給者支給開始年齢を急遽引き上げる、こういうことは私はあってはならないと思うのですが、当面年金支給に必要な財源確保する方法を見つけ出さなければこの急場は通り抜けることはできない、こういうふうに思うわけで、ですから、昨年の三月十六日に国鉄共済組合収支計画策定審議会、これに共済組合長期給仕に関する収支計画を諮問をされたものだと思いますが、同審議会から九月二十二日に答申が出されたわけでございますが、この答申では、昭和五十三年度から当面三カ年間の短期見通しに立つということで、掛金等はすでに本年四月分から答申どおり実施されていることでございますけれども国鉄当局はこの答申を受けて今後どのように国鉄年金財政を立て直していく考えであるのか、また、この答申は当面三カ年ということでございますが、昭和五十六年以後はどのような見通しを立てておられるのか、あわせて具体的にひとつお示し願いたいと思います。
  23. 川野政史

    説明員川野政史君) 先ほど運輸省からもお答えいただきましたとおり、先生の御指摘どおり五十五年度までは今回の措置によりまして暫定的に見通しが立っております。しかしながら、五十六年度以降につきましては、ただいま御指摘のとおりに必ずしも見通しが立っておりませんし、また非常に厳しい状況にあると私どもは思っております。したがいまして、この対策につきましては、給付内容でございますとか、あるいは水準の問題、そういった問題につきましては公的年金制度全般の今後の動向と申しますか、そういったものを十分私どもも見据えながら、また関係個所ともよく御相談をしながらやっていかなきゃならない問題だと思っております。しかしながら、現在私ども国鉄共済組合年金受給者が約二十五万人おりますが、この方たちは、ほとんど全部が戦争中とかあるいは戦後の混乱期に輸送をやってくださった方々でございまして、まあこれに対しては、従来からの年金というものをどうしても支給してまいっていかなければならない、そういう立場のもとに、今後の問題といたしましては、企業経営の問題でございますとか、あるいは要員構成が、御承知かと思いますが、かなりいびつになっておりまして、今後十年間にかなり大量の退職者が出る。それから退職制度がまたいろいろ、今後客観情勢の変化によりましてかなり変わっていくんではないかと、そういったことも考えていかなきゃならない。いずれにいたしましても、この問題は私どもなりに努力をしてまいるつもりでございますけれども、何せ公的年金制度全般とのかかわりが非常に大きい問題でございます。各般、各方面とも御相談をしながら、今後論議の動向を見ながら慎重に対処していかなきゃならないと思っております。
  24. 和泉照雄

    和泉照雄君 いま御答弁があったとおり、単なる計数上に基づくそういうような考え方では、国鉄年金財政の立て直し、これが限界に来ていると、こういうふうに言っても過言ではないと思います。特に今回の答申では、所要財源率で対俸給の一四・七%と、このように答申がなされておって、その答申どおり実施されているので、国鉄職員方々短期掛金と合わせると毎月俸給の一割以上が天引きをされているということになります。これでは、長期掛金だけを見ましても他の共済組合員掛金よりも飛び抜けて高くなり、もはや被保険者個人負担としては限界を超えていると言わざるを得ないと、このように思います。  それで、今回の審議会答申で、国の社会保険代行部分と国の戦後処理の代行部分は国の財政負担が必要であることを指摘しておるわけでございますが、この点政府は従来から総合助成主義ということで、ストレートな助成を行っておりません。昨年の公企体共済年金法改正案の審査のときにも、わが党の峯山議員の方からこの点を強く指摘したところでもありますが、国鉄にとっては現在ほどストレートなこの国の助成が必要ではないかと思うんですが、きょうは大蔵大臣が出ていらっしゃいませんが、運輸大臣としてこの問題をどのように大蔵の方に強く要請をするつもりか、大蔵省の方来ておられますか、その答弁とあわせて御答弁を願います。
  25. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま御指摘の問題につきましては、単に大蔵大臣と限らず、関係閣僚等ですでにある程度の協議等もいたしておるところでございますが、いかんせん御指摘のように大きな問題であり、容易ならざる問題でございます。だからといって、どうにもならぬといっているべきものではございません。ただいませっかくそうしたことについてのある程度の進めをいたしてはおりますものの、まだ決して十分とは言えないと思います。国鉄全体についてどう思っているかということと関連しつつ審議会等でも御検討をいただくとともに、関係閣僚等でその種の協議をする実は組織はつくったのではございますが、まだ十分にその成果を発揮するに至っていないことを残念に存じます。これから、いまお話しのようなことを念頭に置きつつ鋭意進めてまいりたいと、かように考えております。
  26. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) ただいま運輸大臣の方からお答えがございましたとおり、国鉄共済財政内容というものが大変悪いという状況でございますけれども、これに対しましては、一応昨年九月の国鉄収支計画策定審議会答申を受けまして、五十五年度までは何とか赤字を出さずに済むような財源率の引き上げ、あるいは国鉄当局実額負担方式というものを取り込んでいったわけでございます。しかし、将来どうあるべきか、あるいはその内容がどのようになっていくかという問題につきましては、多々御議論もありますし、非常に大きな問題と私どもも考えております。ただ、先生ただいま御指摘ございましたような、国がストレートに国鉄共済に対しまして助成を図るという点につきましては、従来から国鉄当局が事業主であると同時に公経済の主体と申しますか、そういう立場で、いわば国に準ずる形で共済の方に対しまして助成を図っているわけでございます。そういう仕組みのもとに従来から運営されてきた中で、国がストレートに国鉄の共済に対しまして助成を図るというのは、現在の考え方といたしまして、私どもといたしましてなかなかとりにくいことでございます。ただ、ただいま運輸大臣からお話がございましたとおり、これにつきましては審議会あるいは運輸省に設けられることになっております公企体に対するいろいろな共済組合の関係の審議会、そういうもので今後どうあるべきか御検討をなされると思いますので、そういう点を含めまして、私ども関係者間で十分慎重に検討はいたしたいと、かように考えております。
  27. 和泉照雄

    和泉照雄君 この問題は非常に重要な問題でございますので、いま御答弁があったとおり、特に運輸大臣の方は自分の足元でございますので、慎重にひとつできるだけ早目にこの抜本的な対策を樹立されるように強く御要請しておきます。  次は、運輸省関係のことでこの際質問をしておきたいことがございますので、二、三質問をいたしてみたいと思います。  運輸省は、昭和四十八年から昭和五十五年まで八年計画で海岸環境整備事業、いわゆる人工海浜造成事業として鹿児島県の指宿市魚見地区に、事業費約三億円を投じて南九州滞在型観光レクリエーションリゾートの海浜と海岸プロムナードという性格づけで、海水浴客を一日最高一万五千人、年間三十一万人を収容できるよう養浜階段護岸等の工事が行われ、養浜は十八万平方メートル、十万立米を養浜する計画のようでございます。この養浜計画の近くで九州縦貫道等の骨材として産地指定をされて砂採取が昭和四十八年より昭和五十三年一月まで約三十二万立米という膨大な砂採取が許可されているという事実を御存じであるかどうか、それが第一点でございます。また、同地区の近くの運輸省所管である指宿港湾区域の中にある、世界でも有名でございます指宿の砂蒸し温泉の砂の流出が著しく、同温泉が衰微しようとして、砂の流出防止に懸命な事業を県はしておるという、この事実を知っていられるかどうか、この二点をお答え願います。
  28. 寺尾健

    説明員(寺尾健君) 御説明いたします。  まず、魚見港の海岸についてでございますが、これは先生がいま申されましたような事業を実施しております。それで、その近くで砂が採取されておるんじゃないかということでございますが、これにつきましては、鹿児島県からの報告によりますと、指宿市知林ケ島灯台の南約二千四百メートルの付近で砂が採取されているという事実を承知しております。それから、指宿港の海岸でございますが、これにつきましては現在浸食対策事業を実施しております。
  29. 和泉照雄

    和泉照雄君 砂蒸しの温泉があるところの砂の流出ということについては御承知ですか。
  30. 寺尾健

    説明員(寺尾健君) はい。これにつきましては、あそこが海岸の浸食があるということで海岸浸食対策事業を実施しておるわけでございます。
  31. 和泉照雄

    和泉照雄君 次は海上保安部の本庁の方にお聞きしますが、来ていらっしゃいますか。
  32. 山本直巳

    説明員山本直巳君) はい。
  33. 和泉照雄

    和泉照雄君 いま申し上げ、また御答弁もありましたとおり、知林ケ島南地区の砂採取が行われておることは事実でございますが、この砂採取を指定をされた業者が、過去に、許可区域外の特に海浜養浜計画の近くの砂を盗掘をして検挙された事実があるやに聞いておるんですが、その日時あるいは罰金額等について明示していただきたいと思います。
  34. 山本直巳

    説明員山本直巳君) お答えいたします。  知林ケ島付近で最近検挙した砂利事犯としては昭和五十年に一件ございます。それで当該事犯は、先ほど先生も言われたように許可区域外で操業しておったものでございますけれども、具体的には知林ケ島から二百六度、距離にしまして千六百七十メートルのところで、要するに区域外で採取していたものを検挙したものでございます。日にちは昭和五十年の六月の二十日でございます。それでその処分結果でございますけれども、同年の十二月に当該違反船の船長と、それから船の所属する会社に対しまして、おのおの罰金五万円が科されております。
  35. 和泉照雄

    和泉照雄君 次は道路局にお尋ねをしますが、ここの砂はほとんど日本道路公団が建設をした九州縦貫道の骨材として使われておるわけでございますが、この九州縦貫道が、特に鹿児島の北インターから空港のインターまでできまして、県民は大変便利な思いをさしていただいておるわけでございますけれども、鹿児島湾内の有限の砂骨材が相当に使われたと、特に使われるときには産地指定ということがなされておる、摘要のところに指宿の知林の南地区という指定がなされておるということでございますが、大体砂というのは同じような粒質、少しは違うと思うんですけれども、同じような粒質で市販をされておるわけでございますから、道路の骨材としては特殊なそういうことはないと思うんですが、こういうような産地指定というものを道路局の方ではするように指導していらっしゃるんでしょうか。
  36. 加藤優

    説明員(加藤優君) いまお話がありましたように、九州縦貫自動車道鹿児島線につきましては、すでに溝辺と鹿児島空港あるいは鹿児島北、この三十一・六キロぐらいを供用してございます。で、現在、溝辺、鹿児島空港とえびのの間三十三・五キロございますが、これを建設中でございます。  そこで、お話しの道路公団で知林ケ島沖合いの砂利を指定材料として産地指定しておるかというお話でございますが、こういう産地指定をした事実はないと公団から聞いております。と申しますのは、道路公団が工事を発注する場合に、契約書類に通常一般仕様を決めてございますが、この砂に関しては共通仕様書ということで規定をしてございます。で、具体的には、海砂の使用の場合を考えて、当該区間の共通仕様書では、一般的に品質規定に合格するという条件のみを付してございます。で、この規定によって、品質規定に合格した材料を購入して使用することというふうにこの共通仕様書で定めてございます。で、実際、ではどう使われておるかということを見ますと、舗装材とかあるいはコンクリート材として御指摘の知林ケ島の南地区から一部が合格材料として採用されておるというふうに聞いてございます。長々申し上げましたが、結論は産地指定はしてございません。
  37. 和泉照雄

    和泉照雄君 ところが、この注文書には明らかにこの摘要のところに「指宿南産」という産地指定がしてあるわけです。
  38. 加藤優

    説明員(加藤優君) それは共通仕様書でございましょうか。
  39. 和泉照雄

    和泉照雄君 これは、要するに道路公団が組ました大成道路株式会社、世紀建設株式会社、九州自動車道鹿児島舗装工事共同企業体という事業体で、こういうようなふうに産地指定をしてあるわけです。だから、こういうような産地指定を、あなたの方でそういうような特別な指導があってさせられたのかと、こういうような質問をしたわけでございます。
  40. 加藤優

    説明員(加藤優君) ジョイントベンチャーの業者の方々が——先ほども、公団としては共通仕様書で一般的にこういう品質に合格するものと指定してございますが、請け負ったジョイントベンチャーが、今度はこういう砂、たとえば知林の沖合いの南というふうな産地指定をして、そこのやつが合格するからということで、業者の方で、そういうたとえば海砂の採取業者に指定をしておる事実はあるかと思います。ただ、指導しておるかどうかということになりますと、一々そういう請け負ったジョイントベンチャーに、そういう産地指定しろとかするなとかいう指導は一般的には考えられないわけでございます。
  41. 和泉照雄

    和泉照雄君 いまあなたが御答弁の中で、ベンチャーのところでそういうようなことがあるかもしれぬと、こういうような御答弁でございましたが、そのあるかもしれぬことが大変なことでございますので、しっかりした指導をしていただかないと。というのは、五カ年間にこの知林ケ島の南地区、特に運輸省が養浜地域として、終戦当時アメリカの魚雷攻撃で相当深く掘れたそこに砂を持ってきょうと、そのためには護岸をやらにゃいかぬということで、三億円近い金を入れて護岸をやって、いよいよいまから養浜をしようと、養浜というのは砂を持ってきて埋めるわけでありますから、そういうところの近くに五年間も三十二万立米もとらしておるということは、一つはこういうような業者の、あるいはベンチャーとのいろいろな話し合い、とりやすいところ——先ほど検挙されておるという事実もございます。そういうところで、一方では運輸省の方が養浜地域を国費を投入してどんどんつくろうという、一方の方で建設省の方はそういうふうな産地指定等が下部の方で行われてどんどん吸い上げられていく、本当に縦割り行政の、ここは横の連携が非常にまずい一つの例ではないかと、こういうふうに思います。一方では国費を投じ、他方ではそれを業者が吸い上げていく、こういうようなことをどうお考えになりますか。
  42. 加藤優

    説明員(加藤優君) この調整は、恐らく指宿の県の土木事務所あたりで——仮に養浜地区というのが運輸省の方であって、砂を突堤かなんかで砂つけしやすいような工事をやっておられるかと思いますが、この知林の南地区が、距離的に砂の移動がまさに一方の指宿港なりあるいは魚見港なりに非常に影響があるということであれば、許可はされないだろうと思います。その辺の調整は、私直接担当ではございませんが、恐らく因果関係が相当あって、それで高速道路に使う砂が養浜地区あたりに非常に影響があるということであれば許可はされないだろう、縦割りというお話でございますが、その辺は具体に県の地元の指宿土木事務所あたりで調整を十分考えた上の許可処分をしておるんだと思われます。
  43. 和泉照雄

    和泉照雄君 現地の方は、そういうことを考えて実際土木事務所にはおかしいじゃないかと、両刃の非常に矛盾したことをやっておるじゃないかと言ったら、はっと気がついたような状態で、砂蒸しの温泉の砂がどんどんどんどん流出しておると、そっちの方の流出防止のことは一生懸命やっておりながら、そういうところをなぜとらしておるんだと、五年間に三十二万立米といったら膨大な砂です、これは。そういうことが一つの原因じゃないかと、こういうような指摘をしたら、考えてみましょうということになったわけでございますから、あなた方がおっしゃるような、やはり末端の方でとりやすい砂ということで、産地指定ということがあったがためにこういうことが行われておるということは、私はこれは建設省の方としては、せっかく運輸省の方が国費を投じてやっておるわけですから、その近くで、決まったところでやっておるんじゃなくて、また対岸の方にぐっと近くに来て盗掘をして、そして検挙をされておるということがあったわけでございますので、建設省あたりでは、こういう問題は現地等をよくもう少し精査して中止をされることが私は大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 加瀬正蔵

    政府委員(加瀬正蔵君) いまのお話につきまして、私ども早速県に照会をいたしましたわけでございます。鹿児島県では、一般的には海岸線から五百メーター以上の距離がなければ海砂の採取の許可をしない、あるいは水深四メーター以上のところで許可をしておる、あるいは海岸保全施設とか、港湾施設とか漁港施設あるいは保安林施設等に影響のない区域で許可をするような規則を定めまして許可の運用をしておるということでございますが、御指摘の、たとえば砂蒸し海岸等につきまして、県の報告によりますと、昭和三十年ごろから一部砂蒸し海岸の砂流出の事実はあったようでございますが現在の許可しております区域は北東約四キロくらい離れておる区域でございまして、この区域が砂蒸し海岸の砂の流出に影響するというふうには考えられないので許可をしておったと、こういうことを言っております。ただ、いずれにしましても、御指摘のように、せっかく片方で護岸工事をやっておる、養浜工事を行っておるということに影響があるようでございますといけませんので、なお慎重に調べまして、もしそういうような影響があるようでしたら慎重な対処をするように県に指導をしたいと思っております。
  45. 和泉照雄

    和泉照雄君 私が言いたいのは、一方では国費を投じながら、一方ではそういうふうな連携がうまくいかないということで、どんどんどんどん国民の財産を、ある業者が違反を犯して、営利行為で採取しておるというその矛盾点を早く是正をして、特に国民のためのそういう養浜計画でございますので、影響のないようによく県を指導していただきたいと要望申し上げておきます。  次は、航空局の方に最後に御質問を申し上げますが、成田空港が五月の二十日に農民の御心配の中で開港はしたものの、いまでも厳戒態勢にあるということで大変なことかと思いますが、これに関連をしまして、前の決算委員会のときに、私は鹿児島空港のダブルトラックの問題と幹線空港のことについて質問を申し上げましたが、四月に入って東亜国内航空がダブルトラック、鹿児島−大阪あるいは鹿児島−東京の直行便の申請がなされたようでございますが、また明けて五月に入りましたら、日本航空の方で、鹿児島空港を幹線空港にして、そして鹿児島−東京間の直行便も申請をされたようでございますが、この新規免許のおりるのは大体いつごろになるのか。県民としてはもう非常に苦労しておるのがお盆の前後あるいはお正月前後ということで、まあ近く来ますお盆の前にこういう新規免許の許可がおりればと、こういうような要望を持っておるわけでございますが、運輸審議会にかけられた状態とか、あるいは今後の見通し、そういうことについてはどういうふうになっておるのでしょうか。
  46. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私に対しましてのただいま御質問の点、重大関心を持っております。ようやくにいたしまして成田がああいうようなことになりましたし、そうしますと国内線、国際線ともに、この二つの空港が能率的に機能していくように考えていかなければならぬことは当然でございます。また同時に、いろいろなことを考えて、余り急いでそれをやってやり損なってもいけませんので、その辺が大事なところだと思いますが、ただいまお話しの鹿児島と関連するダブルトラッキング等につきましては、すでに申請も行われており、運輸省としましては、運輸審議会にかけて結論を出したいということでございます。いま事務当局から、お盆に間に合うかどうか、その辺は私自身ではまだよくわからないのでございますが、いずれにいたしましても、できるだけ早くそうしたことに結論を出して一般国民の皆さんの利便を考えていくと、こういうふうにしたいと考ええております。
  47. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 東亜国内航空から鹿児島−東京、鹿児島−大阪の二路線につきまして四月十一日に免許申請がございました。早速われわれ東亜国内航空からいろいろ事情を聞いて事務的にはこなしております。成田開港後直ちに運輸審議会に諮問をするという方針で準備を進めております。近々諮問をいたす予定にしております。  それから、鹿児島−東京につきまして日本航空の方から意見書が出ております。これは免許申請ではございませんで、日本航空としてはこの路線を将来の日本の幹線として扱うようにしてもらいたいという要望書でございます。これにつきましても部内でいろいろ検討をしておりますが、具体的な免許申請が出てまいりません。運輸審議会に諮問をしてその意見を待って処理することになると思いますけれども、まだ免許申請出ておりませんので、日本航空のことについては部内で検討をする段階にとどまっております。いずれにしても、大臣のお言葉にもありますとおり、われわれは全力を挙げて処理をしていきたいと思っております。
  48. 和泉照雄

    和泉照雄君 一番県民が困っておるのは、お盆前にその悩みが解消できるかどうかと、概略の見通しで結構でございますから。
  49. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) ただいま運輸審議会事務当局とわれわれ航空局と打ち合わせをしておりますけれども、六月早々に運輸審議会に諮問をするつもりでおります。それから後は運輸審議会の方でもって取り扱いを決めるわけでございますが、過去においてこういう事案の処理に要した時間を考えますと、大体三十日から四十日ぐらいの審議の期間が必要なのが過去の例でございます。したがいまして、もし順調に審議を進めていただけるならば、七月の初めぐらいには答申をいただけるのではないかと私たちは考えておりますけれども、いずれにしましても運輸審議会事務局とよく御相談しまして、手続を早目に進めてまいりたいと思っております。
  50. 井上計

    井上計君 ただいま和泉委員から、国鉄共済組合財政状況等についてはいろいろと御質問がございました。まあそれにつきまして、当局側さらに大臣からもいろんな御答弁があったわけであります。お聞きしておりますと、五十五年以降の財政計画については大変憂慮すべき状態であるので、抜本的な対策をひとつ検討してまいりたいと、こういうことを理解をいたしました。その和泉委員の質問の中に、それらの毛のを考えるときに、職員負担率はもう限界に達しておると、そこで何らかの方法収入増加を考えるべきだと、こういうふうなことの御質疑があったわけでありますが、それらに関連をする問題もありますけれども、私幾つかの点を国鉄当局、さらにはひとつ運輸大臣の御所見も承りたいと、こう考えますのでお願いをいたします。  まず最初に国鉄当局から御説明願いたいんですが、現在の国鉄財政状況、大体わかっていることでありますけれども、改めてお聞きしますが、五十二年度赤字、それから従来のトータル、すなわち累積赤字、それから借入金、これは長短合わせて結構でありますが、借入金のトータル、それから現在のこの借入金に対する支払い利息、それから一般会計からの助成、五十三年度は一般会計からの助成が幾らであるか、以上の点等についてひとつお伺いをいたします。
  51. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御質問の件でございますが、まず五十二年度赤字でございますが、これはまだ決算終わっておりませんので予測でございますが、いま予定されておりますのは七千八百五十九億純損失を予定いたしております。それから、さらに累積赤字額等でございますが、五十三年度の予算で予定いたしておりますのは、五兆千百十二億が五十三年度末に累積赤字として計上されるであろうと。で、五十三年度末に予定されております借入金は十兆九千九十六億でございます。支払い利子は七千四百九十二億、助成金は五千四百一億円ほどいただくことに……
  52. 井上計

    井上計君 これは五十二年度ですね。
  53. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 五十二年度予定でございます。  以上でございます。
  54. 井上計

    井上計君 そこで五十三年度赤字見込みですね、先般から報道されておりますが、七月一日の運賃の値上げを実施するということを前提としての五十三年度赤字見込みはどのようになっていますか。
  55. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 八千百七億でございます。
  56. 井上計

    井上計君 いま承って改めて感じますことは、国鉄の再建まことに容易ならざるものがあるというふうに感じます。  そこで、これらの問題をまず前提としてひとつお伺いをいたしたいと思いますが、私が発言すると、たびたびこういう発言をするのであるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、依然として繰り返されておりますところの国労、動労の違法ストについての問題であります。五十二年の四月、すなわち昨年の四月以降の違法ストの回数と、それについての処分等の状況等についてひとつお伺いをいたします。
  57. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 昨春闘では、正確に何波何時間というふうに覚えておりませんが、感じで申しますと、約七十二時間ぐらいのストライキが昨春闘は行われました。これに対しましては九月十日に処分を行いました。
  58. 井上計

    井上計君 去年の春闘以降は七十日間……
  59. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) いや、昨春闘の規模は約七十時間前後のストライキが、違法ストが行われました。それに対しましては九月十日に処分を行っております。それ以後は十一月の四日と二十四日に早朝の二時間の時限ストが二度ほど行われました。それ以降は時折、例のいわゆるサボタージュ行動が行われまして、いわゆる組合用語で言っております順法闘争とか減速闘争とか、これがちょいちょい行われております。そのほかに行われましたのは千葉の関係で、例の成田の燃料輸送問題で千葉地区に限りまして二度ほどストライキが行われておりますが、全国的な規模のものは本春闘に至るまで行われておりません。
  60. 井上計

    井上計君 どうも職員局長、大変御答弁がむずかしいのか、あるいは十分的確に把握しておられないのか知りませんけれども、どうもいまの御説明聞いておりますと、その程度しかおわかりにならぬのかなという実は大変気がいたします。これは追及しません。  そこで、いま御答弁の中にありましたけれども、順法闘争という名のサボタージュですね、これは合法とお考えなんですか、違法とお考えなんですか。
  61. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 当然違法であります。
  62. 井上計

    井上計君 当然違法だというお答えを聞きました。私もそういうふうな見解を持っておりますが、そこで運輸大臣にお伺いしたいんですが、成田の開港につきましてはもう大臣大変な御苦労をされておるところについては心から敬意を表します。感謝しておりますが、先般反対同盟の代表とテレビでの対談も、実は私も見ておりまして、大臣の限に実は涙が浮かんでおるというふうなことも拝見して、本当に心から御苦労に感謝、敬意を持っておりますが、ところで、せっかくようやく成田が開港され、これからいろんな運航上の問題等について大変問題がおありだと思いますが、いま職員局長答弁にありましたけれども、動労が燃料輸送についてやはり順法闘争という名の違法サボタージュ闘争をやっておるし、またこれからも計画をすると堂々と発表をしているわけですが、それについて大臣どのような対策をお考えでございますか、また職員局長としはどのようにすでに警告をしておられるのか、この対策をお考えになっておるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  63. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 成田の問題につきましては、大変皆様に御心配をおかけいたしました。申しわけなく存じております。人によってこれに対する御批判もいろいろであろうかと思いますが、この上とも一生懸命にやってまいりたいと考えております。  ただいまお話しの燃料輸送と動労との関係につきましては、これまた前々からある問題であり、成田の問題の頂点に達したころには、ややこれについてはいろいろ論議されるところがなかったのでありますが、引き続き重要な問題であることに変わりはございません。労働組合二十幾つかの関係の人たち、特に総評その他の人たちとも何回かいろいろの話し合いを持ったのであります。ごく最近、なかなか燃料輸送についてめんどうだというように新聞等ではかなりそういう考え方、見方の報道等があったのであります。私は私なりに、私自身もある程度の接触がございまして、何とかうまくいってくれることをと、強く念願をいたしておりました。ごく最近の二十四日が、ああいうようなことでついにあの一日はうまくいかなかったが、二十五日からは輸送を始めるということにようやくなったわけでございます。これまた大変見方がいろいろあって、そういうことがけしからぬと言う人と、事情事情だけにまあまあだなと言っていただける人と両方あると思うのでございます。それだけに、これから後の問題については私はかなり頭を痛くしておるわけでございますが、いろんな事情をよく関係者に理解をしてもらって、そうこれからいろいろごたごたがないようにということをひたすら念願しておるし、私はそういう念願からそういう見方が出るのかもしれませんが、何とかいくんじゃないかというこれは望みが半分かかっております。そういう次第でございます。  なお、詳細等につきましては係の方からお答えさせることにいたします。
  64. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御指摘の点につきましては、私どもストに限らず、サボタージュにつきましてもストのときと同様厳重な警告書を発し、かつ組合の幹部を呼んで説得に努めておるのでありますが、残念ながら私どもの誠意が十分に——現実にはこういう違法な行為が行われているというのが現状であります。
  65. 井上計

    井上計君 いま伺いましても、これは私どもが従来から感じておりますこと等からいって、たび重なるそのような違法スト等によって、名目はどうありましょうとも、あるいはスト権を禁止しておるからストをやるんだというふうな、先ほどからちょっとこちらの方からお話があったようですが、要するに法律がある以上は守ることはこれは当然であります。法律を守らないということは、実は私は忠実なる義務を果たしていないということだというふうに思うんですが、そこで当然のことながら、従来、ストによっていろんな問題が起きておりますが、処分がなされておるのはこれまた当然だと、処分は、実は私どもが見ますと大変甘過ぎると、処分らしい処分ではないというふうなことも思いますが、そこでそれはまあ一歩譲りまして、従来ストによっての処分、特に解雇処分ですね、解雇処分をされた人が相当いるわけでありますが、この解雇処分者に対して国鉄当局は退職金の支払いはどうしておられますか、いままで。お伺いいたします。
  66. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 国鉄の場合の退職手当につきましては、退職手当を規定する法律としては国家公務員等退職手当法という法律によってやっておりまして、この国家公務員等の中に国鉄、専売公社並びに電電公社が入っておりまして、これは第二条に規定してございますが、これによりまして、懲戒免職の処分については支払わないということになっておりまして、これを受けまして私どもの部内規定であります退職手当支給事務基準規定におきましても同様の規定がございまして、支給いたしておりません。
  67. 井上計

    井上計君 退職手当は支給をしていないということですからこれは当然のことですが、そこで、それらの退職者に対する退職年金の支給でありますが、これは支給しておられると聞いております。その支給は二〇%のカットをして支給をしておるということですが、それに事実相違ないかどうか、だとするならば二〇%という制限の根拠は何かということをひとつお伺いをいたします。
  68. 川野政史

    説明員川野政史君) 御説明いたします。  いま御指摘のとおり懲戒免職になった者に対しましては二〇%の年金のカットをいたしておりますが、その根拠は、公共企業体職員等共済組合法、これは国鉄、電電、専売、三公社の共済組合共通でございますが、この法律の第二十条によりまして制限をしております。  それから、二〇%という数字の根拠は何かという御質問でございますが、これは私ども国鉄共済組合運営規則というのがございまして、総裁の達でございますが、その規則の中でそのような二〇%という規定をいたしております。これは従前から、新しい共済組合法になります前からそのような割合で制限をいたしております。
  69. 井上計

    井上計君 法律によって制限することが定められておる、第二十条で定められておる、したがってそこでカットしておる、二〇%の根拠は運営の規則によって以前からということのようです。踏襲のようです。これはわかりました。  そこで、私は一つ疑問をぶつけたいと思うんですが、先ほど来いろいろと和泉委員からもお尋ねがあり、また御説明がありました。私のちょうだいをしておる資料からいきますと、国鉄共済組合の危機を打開をするために、当局側の負担追加費用というものが増額をされて五十五年度までは何とかかっこうついておるということでありますけれども、ところが現在でも、私のいただいた資料で計算をしますと、五十二年度職員掛金率は全体収入の一九%なんですね、それから五十三年度は一六・五%なんです。五十五年度になりますと一五%なんですね、本人の掛金率は。そこで、五十五年度は当局負担負担金並びに追加費用を入れますと約三千三百億です、三千二百九十五億。それから五十四年度が三千億、それから五十三年度、今年度が二千五百九十一億と、こういう、言えば莫大な金額を当局が負担をし、あるいはまた追加費用として財政窮乏についてのやっぱり援助をしているわけでしょう。本人の掛金率というのはわずかこれだけであるということです。これは大変やはり国民的な感情からいくとおかしい、ということは、先ほどからずっとお伺いしまた申し上げているように、大変な損害を国民に、あるいは国に、あるいは国鉄当局に与えて、それで法律を破ったストをやってそのために懲戒免職した人に年金を支給をする、それがいままでの規則であるから二〇%カットしている、カットは当然ですけれども二〇%ぐらいのカットで渡しておるということは、事実上、言えば国民の出しておるお金が、国に、国民に大変な迷惑、損害をかけた人に対する、言い方悪いですがどろぼうに追い銭だと言われてもこれは仕方がないと思うんですね。これらについてひとつどうお考えでしょうか。
  70. 川野政史

    説明員川野政史君) ただいまの先生の御指摘でございますが、まあこれ理屈はいろいろあろうかと思いますが、共済組合が、もともと国鉄が国の経営でありました時代に、雇員傭員と申しますか、官吏以外の者を対象につくられた年金制度でございまして、これも御承知のとおりでございますが、その場合に官吏よりもはるかに高い本人の負担割合のもとに運営されておったといったようなことから、何と申しますか、一種の生活保障的な年金だというような解釈が当時から行われておったようでございます。そういった考え方も背景にあったと思いますが、沿革的にただいま申し上げましたとおり、これは国鉄のみならず三公社大体同じだと思いますが、全部たとえば停止とか、あるいはもっとたくさんとかという考えもあろうかと思いますが、一種の共済、相互扶助的な考えから沿革的にそういう給付割合と申しますか、二割程度というものが出てきたものと思います。ただ、いま御指摘の非常にたくさんの当局の費用負担のもとに行っておると、さらに国庫の負担もあるではないかと、これはまことにそのとおりだと思いますし、先生のおっしゃる御趣旨もよくわかりますが、まあいままでの経緯もございますし、それと共済組合はまあ国鉄だけではございませんので、その辺のバランスもございますし、いきなりこれを全額ストップしたらどうかというふうな考え方をちょっといま直ちにとるわけにはいかないのではないかと思っております。
  71. 井上計

    井上計君 私はいま全額それをストップしなさいと言うわけじゃないんです。ただ、いまお答えのように、従来からそうなっておるから、いわば惰性としてあるいは慣例としてそういうふうにしておるんだということで、全くいままで疑問をお感じになっていないとすると、私はこの際、いま一度そういう考え方、見直しということが必要ではないかという一つ提言といいますか、提議を申し上げているわけなんですがね。だから、それはいままで慣例がそうであると言われても、以前これらのものができた当時と現在とは、国鉄の違法ストという問題については大きく違ってきておるわけですね。だから、そういうふうにやっぱり周辺の、あるいはそういうふうなスト行為によって国民がいかに莫大な損害をこうむっておるかということがこれほど明白になっている時点においても、なおかつ古い慣例に従って私はこういうふうな優遇ということはすべきでないと、こういう考えなんです。だから、国家公務員法の百七条に「職員が、相当年限忠実に勤務して退職した場合、」云々ということが、要するにこの恩給あるいは年金趣旨になっているわけでしょう。だから、忠実にした人については私は財源が許せばやはり老後の保障という意味でたくさん出すことは結構だと、何もそれを反対しているわけじゃないんです。別の問題についてまたいろんな官民格差等言われておりますから、そういう問題とこれは関連することはありますけれども、それは一応別にして、だから現在私自身国鉄のこの退職年金の支給について特別の異議を言うわけじゃない。ただ、そういう人にまで慣例だとかどうとかということで、わずか二〇%程度のカットで支給をしておるということは、事実上田がそういう人にまで相当額のいわば追い銭をして払っておるということになるわけですね。毎年負担率あるいは追加費用をどんどん出しておる、もし仮に五十三年度の二千五百九十一億、そのうちの追加費用の千八百億がなければ、まあ単純に言ってですが、一般会計からの今年度の、先ほども説明がありましたが、今年度七千何百億というふうな一般会計からの助成はこれだけでも実は減っていいわけですからね、理屈から言いますと。そういう意味で、これは国民的感情としてやはりこれはこの際考えるべきではなかろうかと、こういう提言を申し上げているんですが、運輸大臣どうお考えでしょうか、ひとつ所感を、これはもうむずかしい問題でお答えにくいかと思いますけれども
  72. 福永健司

    国務大臣福永健司君) なかなかむずかしい問題でございますが、まあ違法のものに対して目をつぶるということは、これは責任者として慎まなければならぬことであると重々思うんです。そこで、ただいまのお話の点でございますが、いろいろお話もございましたように、昔からいわば伝統的ないし半分伝統的に考えてきたことはそれなりにまた意味がございましょうが、同時に、最近の情勢についてこれはこれでさらに考えるというような意味での御発言につきましては、私も拝聴しながらそういうことであろうというように存じます。ただ、考えた結果、結論はこうだというようなことは一方的ににわかに申しがたいところでありますが、お話しの点等については、いろいろわれわれがもって参考とすべきことがあると、こういうように存ずる次第でございます。
  73. 井上計

    井上計君 まあ、大臣にはお尋ねすることはお気の毒かなと思いましたけれども、やはり今後、そういうこともあわせてこの国鉄共済組合——これはきょうは国鉄だけの問題ではありませんが、たまたま国鉄共済組合をやり玉に挙げてどうもお気の毒でありますけれども、やはり今後将来の問題をお考えいただく中であわせてそういうことをぜひお考えをいただきたい、これはひとつ強く要望をしておきます。  そこで、引き続いてストに関連する問題でありますけれども、違法ストによって生じた損害賠償の請求がいままで行われておるということをお聞きいたしました。昭和二十四年六月のストによって生じた損害三千五十七万円のうち、とりあえず二千万円を国労に対して国鉄が請求訴訟をした事件がありますが、これは二十七年の七月に第二審の東京高裁で和解が成立をしておる。その和解の条件として、金銭の請求は棄却をする、ゼロにする、ただし、自今このような損害を与えるようなストはやらない、こういうふうなことによっての和解が成立したと聞いておりますが、橘高局長、そのとおりですか。
  74. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) そのとおりであります。
  75. 井上計

    井上計君 じゃ、そのときの和解の覚書があるわけですね。
  76. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ございます。
  77. 井上計

    井上計君 ところが、そのときの昭和二十七年の和解の覚書があり、そのような約束がなされておるのに、それも踏みにじって、従来、それ以降もう数十回にわたる、要するに違法ストが繰り返されておるということですが、これは大変な問題だと思います。要するに、法律を破ったスト、さらにその裁判所の和解勧告によって正式に和解が成立をし、自今やりませんという約束をしたそのストをまた繰り返しておるということについては、私は許すべきでないというふうに考えますが、これは大臣にお伺いするのはお気の毒ですから、局長、もう一度、どうお考えでしょうかお伺いをいたします。
  78. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 全く仰せのとおりでございます。
  79. 井上計

    井上計君 余り追及するとお気の毒で、追及することが目的じゃありませんで、事実関係を明らかにするということが私の質問の目的ですから、それ以上追及しません。  そこで、それ以降一回請求が、訴訟が行われておりますね。五十年の十一月二十六日から十二月三日にかけて行われた八日間のいわゆるゼネスト、これについて、当局側が二百二億四千八百二十七万円の損害賠償請求訴訟を国労、動労を相手として提訴されておりますが、それは現在でもまだ審理中であるということですね。としますと、昭和二十四年のこの請求訴訟が和解をされたそれ以降、いままで約三十年近くにわたって何十回という違法ストが繰り返されておるのにもかかわらず、わずかに一回だけ、五十年の十一月のストだけしか損害賠償請求訴訟が起こされていないという理由は何なんでしょうか、それをお伺いをいたします。
  80. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 御指摘のとおり、スト権ストに対する損害賠償は現在やっておりますけれども、それ以外のものでやったケースはないわけでございます。これにつきましては、まあ簡単に申しますと、行為と損害との相当因果関係というものにつきまして明確な立証が必要になるということから考えました場合に、なかなかその辺が明確にしがたいという問題もございまして今日まで損害賠償請求いたしておらないわけであります。
  81. 井上計

    井上計君 スト行為と、それから損害との因果関係が立証しにくいから訴訟を実はいたしていないと、こういうお答えでありますが、私はそれは余りにも、言えば遠慮し過ぎているというかおかしいと、因果関係が、この昭和二十四年以降現在まで約三十年間にわたって何十回というストの中で、わずかに五十年のスト以外に訴訟に持ち込むようなそういう立証がされないということはあり得ないと、こういうふうに、これは私の考えですけれども、そう思うわけですね。事実いまのお答えからいくと、じゃ昭和二十四年のストは、要するにどういう方法で因果関係を立証されたのか。そのときに因果関係立証されたという前例を考えれば、それ以降の、何十回のその全部とは言いませんが、少なくとも大部分のストのときには、私はやる気になれば因果関係立証できたと思うんですね。それを因果関係が立証できない、なかなか訴訟に持ち込んでも勝訴というふうなことについての見込みが薄いということで遠慮されたとするなら、私は余りにも国労、動労に対しての遠慮があり過ぎたというふうに思うんです。これは遠慮される理由もわかります。労使関係を円滑にしていこうというふうな意味でも遠慮されたんだと思いますし、あるいはまた、余り刺激をしてそのためにさらにいろんなものを繰り返しておるということでは、というふうな遠慮もあったと思いますけれども、しかし、見方によっては、あのストは労使なれ合いだというふうなやはり世論の批判もあるわけですけれども、やはりなれ合いストだと言われても仕方がないと思うんですがね。どうお考えでしょうか、この点については。
  82. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 確かに御指摘のとおりの問題があるわけでありまして、スト権ストの損害賠償請求をいたしておりますのは、このケースの場合は八日間にわたりまして、大変長期にわたって違法ストが行われた、しかも政治目的のストであったというようなことで、損害の算定もわりに簡単にと申すとあれでありますが、いま裁判で争われているわけでありますけれども、時折断続的に行われたケースよりも八日間ぶつ続けに行われたというようなことで損害の算定がわりにやりやすいという面がございます。その他の一般の場合には、なかなか、一日ストがありましたときにお客さんが先に乗っちゃう、予定を繰り上げる、あるいは後に繰り下げられてお乗りになった数がどの程度なのかということが、なかなか技術的にむずかしいというような面もありまして現在まだやっておらないわけでありますけれども、確かに御指摘のような点もありまして、私どもいろいろとその点は勉強いたしておるのでありますが、この問題は各所で取り上げられておりまして、基本問題会議等でもこの損害賠償部会でこれをどうすべきかという、近くこれは答申が出ると思いますけれども、その辺の議論も積み重ねられておるようでございまして、私どもも今後の問題として勉強しなければならないとは思っております。
  83. 井上計

    井上計君 いまの橘高さんのお答えでは私は大変不満なんですけれども、これ以上追及しません。  そこで、もう一つお伺いしますが、先ほどもお伺いし、またお答えいただいたように、昭和二十四年の損害賠償請求訴訟についてこれは国鉄が勝訴、そして、勝訴であったけれども二十七年七月に東京高裁で和解が成立しておる、それで覚書はあるということですね、今後ストをやらないという覚書がある。ところが、それを踏みにじってストをやっているわけです。それについて、要するに和解条件不履行ということで裁判所からスト禁止の命令出せるでしょう、どうなんですか。専門的にどういうふうな、その点についての御研究がされていないんですか。
  84. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) まことに申しわけないんですが、その辺の勉強まだいたしておりません。
  85. 井上計

    井上計君 私も法律の専門家でありませんから、できるかできぬか、いま隣の山崎委員はできないということですが、和解条件の要するに完全不履行ですからね、もう一〇〇%不履行なんです。そういう面からもひとつ御研究をされて、違法ストについてのやはり対策等については今後ともやっぱり毅然とした姿勢をおとりいただきたい、これは要望をしておきます。  そこで、リストをちょだいをしましたが、四十八年以降国鉄の違法ストによって、国鉄当局並びに国労、動労等を相手取って、民間の企業あるいは民間の団体あるいは個人が八回の損害賠償請求訴訟を各地の裁判所で起こしていますね。どれも結審になっているものはどうもないようであります。これらについては大体相被告、共同被告になっていますね、当局側も国労、動労も。これについてはどういうふうに対処しておられるんでしょうか、お伺いします。
  86. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 先生指摘のとおりの状況でございますが、これに対しましては民法の原則によりまして、当方の原因があるかないかということで、当方としては直接にはないということで臨んでおります。
  87. 井上計

    井上計君 じゃ当局側には責任がないと、それらによって生じておる損害、民間からのこの賠償請求については挙げて国労、動労にある、こういう方針だということですね、わかりました。  そこで、この中の一つに、五十年の十一月二十六日からの先ほどから申し上げた長期ストによって大変な損害を生じた。これはもうはっきり言うと損害額が立証されていますけれども、愛媛県の青果連のミカン訴訟、俗に言うミカン訴訟がありますね、請求金額五千四百八十六万円、これは定形貨物運送約款に基づく運送がストップしたためにトラック輸送に切りかえたことによっての運賃の損害ですね、これは明白だと思うのです。これらのものがなされております。これについても国鉄の考えはわかりますが、ただそこで、私はお聞きをしたいというよりもむしろその当時から大変憤慨をしていることを一つ申し上げたいと思いますが、この請求訴訟は、たしか翌年の五十一年の二月ごろ実はこの訴訟がなされたと思うのです。その訴訟をなされた直後、四月であったかと記憶しておりますけれども、動労の四国地本の大会でこの問題が取り上げられたんですね、そのときに動労の四国地本の大会においては、われわれが長いこと犠牲を払って愛媛県のミカンの運送をしてやっておったのに、そのようなわれわれの好意、功績を無視して労働運動を阻害するようなこういう訴訟を起こす愛媛県の青果連は許せぬ、だから、この訴訟を取り下げなければ自今愛媛県のミカンの出荷は拒否すると、こういう決議をされたというふうに当時実は聞いておりますけれども、その事実御存じでしょうか。
  88. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 伺っております。
  89. 井上計

    井上計君 じゃこのことについて、動労の四国地本でそういう大会で正式決定したことを御承知だとすると、それについての警告なり対策なりということは特におとりにならなかったんでしょうか。
  90. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) この問題につきましては、当方もいろいろと間に立ちまして努力いたしまして、円満というとオーバーでありますが、解決いたしたわけであります。
  91. 井上計

    井上計君 解決をしたということを、私も実はその当時承知しておりますが、私はこの一つ取り上げても、これは民主主義の大変な破壊であるし、これはもう事実こういうことは、たとえ自分たちに不利な、あるいは自分たちがやったことがいいか悪いかは別にしても、訴訟を起こしたからそういうふうな決議をするということは私は許すべきでないと、こういう決議を堂々と大会でするような労働組合の存在を、そういう人たちを正規のやっぱり相手とされておるということにも、やはり何か当局側の遠慮、甘さがあると実はその当時からそういう気がしておるんです。だから、今後こういうことについては十分ひとつ対処していただく、そして十分なる指導をしていただく、これは特に要望しておきます。  いろいろと申し上げると切りがありませんけれどもね、この一つだけ申し上げて、大変なことが行われておったなあと、これはもう本当に憲法違反だ、ほら何だ、もうすべてに全部通じておるわけですよ。民主主義の大変な冒涜であるということね。そして民業の圧迫、いろんなこれについての問題を挙げればもう切りがないほど、広範囲にわたった実は問題だというふうに当時私も考えて大変憤激したことがありますけれども、今後そういうふうなことが絶対起きないように、ぜひひとつ当局側としても十分なる監督指導をひとつお願いをいたしたいと思います。  いろいろとストの問題、ストによって生ずる問題等についてお伺いしました。ほかにもまだお伺いしたいことはあったわけでありますけれども、余りお答えしにくいようなことをたくさん申し上げてもどうかと思いますので、この辺で遠慮しますけれども、ただ、いま私が申し上げたようなこと等からずっとお考えいただいて、やはり国民は、こういうふうな事実を知れば知るほどますます不信感を持って国鉄離れを起こす。したがって、国鉄がいま膨大な累積赤字、あるいは一般会計からの膨大な助成金、そのようなことで幾ら再建をしようとされても、国民の協力がなければ再建できない。もちろん労使双方の努力は必要でありますけれども、労使双方の努力だけでは解決できない問題が国鉄再建にはいっぱいあるわけですね。そういうふうなことをお考えいただいて、やはり国民が認めるような、国民が理解できるような、そういう今後の国鉄行政、特に労働組合指導対策というものをお考えをいただきたいというように思うんです。私から申し上げると、また隣からあるいは怒られるかもしれませんけれども、鉄道労働組合、鉄労がありますね、鉄労の人たちは一切こういうことをやってないわけですよ。同じ国鉄の中で絶対にストをやらない、そうして国鉄の再建のためには生産性の向上をやろう、民主的な労働運動を進めようという労働組合があるのに、そのような労働組合の実は正常な、健全な労働運動を、私は現在の国鉄当局のあり方というのは逆に抑えておるというふうなケースがたくさんあると思うんですね。だから、もっとやっぱり健全な、正常な国鉄再建に努力しておる労働組合をさらにさらに育成をして、そして間違った、しかも、先ほど愛媛県のミカンのことで申し上げましたけれども、このような、全く不当きわまりないようなそういう決議を大会で堂々とやるような労働組合に対しては、もっと毅然たる態度をおとりいただきたい。これは私は国鉄当局だけじゃありませんで、監督の任におられる運輸大臣にも、運輸当局にも強く要望しておきます。これはもう御答弁は要りません。  そこで、最後にもう一つお伺いしたいんですが、これは橘高さんにお伺いした方がいいかと思うんですけれども国鉄共済組合が、先ほどからお伺いしておる財政的な問題を解決する一助——国鉄共済組合だけじゃありません。国鉄当局もそうですが、国鉄の所有地、まあ遊休地等をこれから当然いろいろと開発し、あるいは利用される、それによって財政収入を得ようという、これはもう当然だと思いますけれども、そういう中で共済組合国鉄等が、実はいろんな、何と申しますか会館、駅ビルだとかいろんなものをつくりますね。ところが、そういう中に旅館、宿泊設備をする。まあホテル事業をやるとか、あるいはいろんな事業をやることによってその土地の民間業者を大変圧迫しつつある、これからまた大いに圧迫するというふうなケースがあるんです。憂慮されておるわけですけれども、これについて、もちろん具体的なものをどうとか指摘はいたしませんけれども、十分配慮していただいて、やはり国民の協力を得て国鉄を再建をするためにはそういう面まで十分配慮をしていただきたいということを、最後にこれは質問でなくて、これまた要望にしておきますが、ぜひひとつお考えいただいて今後も善処していただきたいと思います。  終わります。
  92. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後は一時三十分から再開することとし、いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  93. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 山中郁子

    山中郁子君 国鉄共済年金の問題について伺いますが、午前中にも若干触れられておりましたが、国鉄共済財政状況が非常に悪化しているという問題に関して、初めに現在の国鉄共済年金の受給者の総数、それから、これはふえていくわけですけれども、十年後の見通しはどのくらいになると推定されておられるか伺います。
  95. 川野政史

    説明員川野政史君) お答えいたします。  現在の受給者数でございますが、五十一年度末で二十五万二千五百三十三人でございます。五十一年度末でございます。さらに十年後の見通しでございますが、正確度はちょっとどうかと思いますが、大体十年間に退職見込み者が約二十万人でございますので、したがいまして年金受給者は、すべてがこれ年金受給者とは言えないわけでございますが、大方その見当ではないかと思います。
  96. 山中郁子

    山中郁子君 大体の見通しとしては十年後四十五万になると、現在の二十五万にそのまま上乗せすればですね、ということになりますね。  それで、財政問題についてなんですが、一つは掛金の率がアップしていくということがありまして、現在は、私の理解ですと組合員の負担が千分の六十二、当局負担が千分の八十五で千分の百四十七ですか、というようになっていると理解をしておりますが、それは間違いないでしょうか。
  97. 川野政史

    説明員川野政史君) そのとおりでございます。
  98. 山中郁子

    山中郁子君 それで、この負担率がことしたしか引き上げられたと思いますが、その前は組合員の掛金の率は何%で、千分の幾つであったのか、ちょっと教えていただきたいということと、このアップ法律事項でないと理解していますが、どういうような仕組みでもってアップしているわけですか。
  99. 川野政史

    説明員川野政史君) 今回のアップ率は、御承知のとおり千分の二十、二%上げたわけでございまして、したがいまして五十三・五が六十二になったわけでございます。で、その上げる仕組みでございますが、国鉄共済組合の中に収支策定審議会というのがございまして、そこに財政長期見通しを策定していただきまして、その答申に基づきまして、われわれの共済組合の中で今度は運営審議会というのがございますが、職員の代表とか管理者側の代表、いろいろ集まってやるわけでございますが、その中で相談をして決める、そういう手順になっております。
  100. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、運営審議会で決まればそのまますぐ実行できるということですか。
  101. 川野政史

    説明員川野政史君) そうでございます。
  102. 山中郁子

    山中郁子君 で、現在の国鉄共済組合年金財政上の悪化の原因を、大きくいうとどのように把握をされているか。
  103. 川野政史

    説明員川野政史君) 財政悪化の原因は幾つかあると思いますが、第一番の一番大きな原因と思われますのは、先ほど言いました年金受給者の数が非常にふえてきたということだと思います。これはよく成熟度という言葉を使っておりますが、要するに対組合員数と年金受給者の数の比率でございますね、こういうものを見ますと、国鉄共済組合では昭和四十年度に三五%、約三人に一人、組合員三人で年金者一人を抱えておったというものが、現在では成熟度が五八%ということでございますので、すでに二人に一人を割っておる、一一六になりますか七になりますか、一・七人で一人の年金者を抱えておる、そういう状態になっておるわけでございます。これは御承知のとおり、国鉄共済組合の発足の歴史が非常に古いということが非常に大きな原因であろうと思います。  それから、これに関連しまして、御承知のとおり戦後国鉄共済組合では、職員の数、要するに国鉄職員の数を合理化等で減らしてきたということも一つの大きな原因になっておると思います。それからもう一つは、戦後軍人の期間とか、あるいは過去の満鉄あるいは朝鮮鉄道——鮮鉄でございますね、こういったところに勤務しておられた方々を大量に受け入れました関係で、その期間を国鉄共済組合員と同様の期間として通算しております。したがいまして、この負担がかなりな額になっておる、これが一つの原因であろうと思います。それからさらに挙げますと、他の公社と違いまして女子職員の比率で非常に少のうございますので、女子職員はまあ御承知のとおり回転率が早うございまして、そういった関係も財政悪化の原因の一つかと思います。
  104. 山中郁子

    山中郁子君 きょうは短い時間でございますので、いまお答えのありました旧軍人、満鉄関係者の通算問題について一つお伺いをしておきたいと思うんですけれども、これはもし国鉄の方がおわかりいただければお答えいただくということなんですけれども、他の公社ですね、電電、専売、それも同じですか、国鉄と。つまり通算した分は当局で持ち出しをしているということになっておりましょうか。
  105. 川野政史

    説明員川野政史君) これは制度は同じでございます。
  106. 山中郁子

    山中郁子君 国鉄の場合に、この満鉄あるいは軍人関係の通算対象者が現在何人いるかということが一つと、それからもう一つは、これは後ほど大蔵大臣が見えてから国家公務員の関係についてお尋ねをする予定にしておりますけれども、いままだお見えになっておりませんので、国家公務員の場合には国がその分については全部出しているというように私は聞いておりますけれども、その点がもしおわかりでしたらお答えをいただきたい。
  107. 川野政史

    説明員川野政史君) 前段の方の御質問でございますが、現在年金受給者が約二十五万おると申し上げましたが、その中で軍人であった期間を持っておる者、過去に軍人であった者、あるいは満鉄、鮮鉄等からの引き揚げ者の数は約十万人程度ということでございます。  それから、後の方の国家公務員の方は私もちょっと定かでないんでございますが。
  108. 山中郁子

    山中郁子君 十万人ということは、二十五万のうち十分ですから相当なやはりウエートを占めているということが言えると思います。それでまた十万人の方の年金が、すべて旧軍人ないしは満鉄の時期に総合するものではないということもわかりますけれども、その十万人分のうちのかなりなやはりウエートを占めているということは容易に推察されるわけで、私はこの点について、国家公務員の場合には全額かあるいは何%というふうになっているのかは定かでないので後ほど大蔵省に伺うつもりでおりますが、何らかの形で国が負担をしているということは確かな事実です。その点についてぜひ国鉄の方としても、まあ国鉄だけでなくて三公社の場合に共通するわけですけれども運輸大臣の姿勢としては、ぜひともこれは国家公務員の場合と同様に、この分も含めて国鉄ないしは公社が持ち出すということでないような、政府に対する、大蔵省に対する要望の姿勢をお持ちになるのが妥当ではないかと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  109. 山地進

    政府委員山地進君) 国家公務員の場合、大蔵省からの正式のお答えは後でということで、私仮にお答えさしていただきますが、国家公務員の場合に出している国の性格というものは、公務員の使用者としての国というものでお出しになっているというふうに私どもは解釈しておりまして、それは国鉄負担金を出しているというのと同じでございます。したがって、追加費用、満鉄とか、それから恩給公務員等について出している金というものにつきましては、追加費用の観念は国鉄の場合と国とは同じである。ただ、国から出しているか、国鉄から出しているかの違いは、会計上違いはございますけれども、観念的には使用者として出しているというふうに理解しております。
  110. 山中郁子

    山中郁子君 私は、それは一つの理屈として成り立つのかもしれません。しかし問題は、いま国鉄の共済が、これは共済だけではありません、国鉄財政そのものが大赤字でいろいろな問題をつくり出しているわけでしょう。そこへもってきて国鉄共済赤字がさまざまな形でいろいろ矛盾をつくり出してきているもとになっているわけですから、結局国鉄がしょい込んでいる十万人分のうちの何年かですね、かなりの部分に当たる軍人ないしは旧満鉄の時代の通算の分については、目下そういう国鉄状況にあるもとで、国に対して負担の要望をするという姿勢は当然あって私はいいと思っておりますので、そのことは大蔵省の考えを伺うこととあわせて後ほどまた運輸大臣お尋ねをすることにいたしたいと思います。  そこで、基本的にこの共済年金財政危機をどういうふうに打開していくか一というお考えをお持ちか、これをお聞かせいただきたい。
  111. 川野政史

    説明員川野政史君) 御承知と思いますが、五十五年度までは掛金率その他財源率アップ追加費用負担等によりまして財政はちょっと見通しをつけておるわけでございますが、五十六年度以降が必ずしもそういうわけにまいりませんので、目下関係方面相談をしている最中でございますけれども国鉄共済組合といたしましては、共済組合独自の努力と申しますか、検討をする事項といたしましては、自分たちでどれぐらい負担ができるかという問題が一つございます。これは午前中も話が出ましたと思いますが、現在すでに今回の財源率アップによりまして、ざっと申しまして他の共済組合よりも三割以上高い負担組合員にさせることにしておりますが、これ以上絶対負担はできないかという問題はございますけれども、かなりの負担になっておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のような、過去の軍人でございますとか、鮮鉄、満鉄の問題でございますとか、そういった問題を含めまして年金制度全般の、これは国鉄共済のみでございませんで、いわゆる公的年金制度と言われております年金制度全般の検討が現在いろんな角度から行われておるようでございますので、その辺の動向をも考えながら、まあ政府運輸省大蔵省関係個所ともよく相談をしながら今後の動向を見て検討していくということで、現在のところこのようにすれば万全だという具体策は残念ながらまだ見出していないわけでございますが、今後の検討にまちたいと思っております。
  112. 山中郁子

    山中郁子君 今後の検討、公的年金制度全般の問題というお話ですが、私はもう少ししほった形で、いまの旧軍人、満鉄関係の通算の問題なんかは認識されてよろしかろうと思っておりますけれども、それらの点も含めて、ちょっと余り定かでないというか、自信がないというか、そういう方針を持つに至ってないと、こういう状況だというふうに伺いました。  それで、私はこの問題について運輸大臣に最後にお約束をぜひいただきたいと思います。これはこうした問題の打開のために、現在の組合員への年金の支給条件を制限していくというか、悪化させていくというか、改悪していくといいましょうか、そういうことはするべきではないということが一つです。それから、先ほど国鉄もいろいろ合理化などをして職員の数を抑えてきたというお話がありましたけれども共済年金の問題の財源状況が絡んで、国鉄職員の首切りだとか合理化だとか、しわ寄せをそこへ持っていくということもするべきではないと思っております。いずれにしましても、組合員に犠牲を強いるという形での財源問題の対処ということはしない、そして、組合員の条件をむしろよくしていくということこそ必要だということについての基本的な運輸大臣のお考えとお約束をいただいておきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  113. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私、余り詳しくは存じませんが、よくよく特殊の事情なき限り、ただいま仰せのようなことであるべきだと私は思います。
  114. 山中郁子

    山中郁子君 運輸大臣並びに国鉄当局においでいただく機会が余りないので、この機会に新幹線の騒音公害の問題について若干お尋ねをしておきたいと思います。  これは、具体的に私は住民の方たちから陳情をいただいているという関係で、具体的な場所についての質問になるわけですけれども、横浜市港北区の大倉山地区ですね、町名で言いますと、太尾町、菊名町、大豆戸町というところになるわけですけれども、いま国鉄が騒音調査を完了していると聞いております。いつごろをめどに、その結果、つまり防音対策をするというのが何戸ぐらいあるのか、そして、それがいつごろ実現できるのかということについてお聞かせをいただきたい。
  115. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) お答え申し上げます。  横浜地区につきましては、いま先生もおっしゃいましたように、大部分のところが、八十ホン対策の防音工事の対象戸数を確定させるための一戸一戸の調査をただいまやっておりまして、大部分のところが終わったように聞いております。今後の手順といたしましては、その戸数の確定の後、住民の方々国鉄の方と個々に契約を結びまして、そして一戸一戸の防音工事を仕上げていく、かような段取りになるわけでございまして、いま先生のおっしゃいました地区につきましても、いろいろ戸数を確定するためのいまデータ整理等やっておりますので、時期的には若干ずれるかとも思いますが、いずれも年内ぐらいにはお話し合いができるようになっていくということになっております。
  116. 山中郁子

    山中郁子君 調査が済んで、ここの町に限って言うならば、何戸の住宅が対象となるのかということはおわかりになっていますか。
  117. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) 最終的に何戸になるかというのを決めるために、と申しますのは、一戸一戸家の前で八十ホン以上あるかどうかという調査をやっておりますので、その辺の整理をただいまやっておりますので、一応いま大体目見当をつけておりますのは、横浜市全体で千戸余りになるのじゃないかと思っておりますが、これはただ想定でございまして、それを確定するのは一戸一戸の調査のデータを整理した後と、かようになるわけでございます。
  118. 山中郁子

    山中郁子君 それではお願いですけれども、ある程度確定した段階で、横浜市全体ももちろんでございますけれども、いま私が具体的に申し上げました町名に関しても資料をいただきたいということでよろしゅうございますか。
  119. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) いまの資料とおっしゃいますのはどういうものですか。
  120. 山中郁子

    山中郁子君 その数字です。結果、確定戸数です。
  121. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) 確定戸数ですか、はい、わかりました。
  122. 山中郁子

    山中郁子君 問題は、もし仮にそういうことで、確定しました、それで契約が済んだと、それで実際に工事ができるようになったとしますね、だけれども、いま時間がありませんので詳しくは私の方からは申し上げませんけれども国鉄の方で対象が決まっていますよね、たとえば寝室と居間だけだとかね、それから一人の場合にはそのうちでも一つだけだとか、いろいろそういうふうに決まっていますね、そういうことでお金が出てくるわけなんですけれども、実際問題としては、新幹線の振動その他でもって、防音工事だけをして防音の効果が上がるというふうにならない場合があるわけです。何がしかのお金をかけて防音装置の工事をするならば、ゆがんだ柱も直さなければいけないし、土台も直さなければいけないような事態になっているというお家だってたくさんあるわけです。そういうふうな問題は助成の対象にならないようないま仕組みになっていて、これは大変不合理だと思いますので、基本的には、私はやはり防音のために国鉄がいまの基準の中でこれは防音をする必要があるんだというふうに認めた家に関して、既定の防音の工事だけやっていたんじゃ、もとのところががたがきているからだめだというふうなケースがありますから、そこのところも含めてやはり助成の対象にすべきだと、してほしいと、これは切実な要求でもあるんですが、私もそのことはぜひ要求を申し上げて、善処をしていただきたいと思ってきょう取り上げているわけですが、いかがでしょうか。
  123. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) 先生も御存じのように、騒音の問題のほかに、環境庁の方から振動に対する勧告もいただいておりまして、それに基づきまして、同時に騒音とあわせて一戸一戸の振動等も測定いたしております。ただ、振動に関しましては、いま技術的にいろいろ勉強しているんですけれども、まだいまの段階でこれという非常に決め手のいい工法がないものですから、ただそうは言いながらも、非常に振動の大きいところ、そういった方で移転を希望される方なんかは移転していただいた例もございますし、それから、先生のおっしゃるように、騒音のほかにもある程度振動の面は、考慮できる問題は個々に御相談しながらこれはやっていくことを考えております。
  124. 山中郁子

    山中郁子君 それで、次の問題なんですけれども、実際にいまここに私が挙げました町で、現地で国鉄説明されているところによりますと、契約後六カ月以内に工事をせよと、こういうことになっているようなんです。中には、六カ月といったってもとから直さなきゃならないようなこともありますし、それから、一年後に退職をするから、その退職金でもって全体のとにかく家を建て直したいという構想を持っていらっしゃると、そうした場合に、それがわかっていて六カ月以内にそれだけは先に工事をする、大変むだなことになるわけですわね。余りそう機械的なことは、考え方としてはお持ちになっていないとは私は思いますけれども、下へ行きますとやはりかなりそれがきつい国鉄の意向になってきているという面がございますので、その点のお考えと、柔軟な対応をなさるおつもりだと思いますが、お約束をいただいておきたいと思います。
  125. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) いまの点につきましてちょっと申し上げます。契約は、先生も御存じのように本人対国鉄ということで契約書を取り交わすわけでございますが、あくまで、先生もおっしゃいましたように、これは住民の方の御都合に合わせてということを優先的に考えてはおります。したがいまして、若干舌足らずかなんかでもし誤解をいただいたようなことがあれば、これはおわびいたしますけれども、そういうことが優先でございまして、したがいまして、半年ぐらいと言いましたのは、これはちょっと私の想像でございますけれども、全線に非常にたくさん防音工事を急いでやろうということもございますので、できましたらということで、これはその辺たくさんの数を円滑にやろうという気持ちから、できましたらという御希望を申し上げたんではないかと思っております。したがいまして、あくまでこれは先生のおっしゃるようなことで十分今後考えていけるんじゃないかと思います。
  126. 山中郁子

    山中郁子君 先ほどの振動の問題との関連での御答弁で、それが機械的に防音だけでということじゃなくて、考慮すべきものは個別にも相談をして考えていきたいという御答弁がありました。で、これが契約書の第六条に私はかかわってくると思っているんですが、第六条は「新幹線鉄道の列車走行に伴う騒音により生ずる障害の防止については、助成金の支払い完了と同時に解決したものとする。」と、こうなっているんですね。だから、一たん助成金を払うともうそれで騒音問題は未来永劫解決をしたと、後はとやかく言うなと、こういう関係になってきているわけで、私は一たんそれで出されても、また振動その他でもってがたが来てということだってありますし、防音の効果がなくなると。それはどこもかしこもすべてがそうだということでなくて、結果的には例外的なケースかもしれないけれども、そういうことは容易に考えられると思いますので、先ほどの御答弁とあわせてこの第六条の中身も幅を持った対応をしていただけると理解してよろしいですか。
  127. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) いまの契約書の第六条の問題は、これは防音工事だけについて、防音工事に必要なお金をお支払いしたことによって防音に対する助成工事が終わったと、こういうことのために設けました項でございまして、これは通常の場合、振動によってすぐにがたがくるとかいうものではございませんで、かなりいろいろ勉強いたしまして大体大丈夫なようにつくったわけでございますが、その後の状況に応じまして、もし万が一そのようなことがございましたら、これは疑義条項もございますので、これはちゃんとその都度御相談を申し上げることになっております。
  128. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、最後に防音壁の問題でちょっとお尋ねをしたいんですが、新幹線ずっと走っていまして、もうかなり防音壁がつくられています。だけれども、これは大分悪評でして、ブロックを積み上げてその上にスレートか何かで建てているわけでしょう。で、やっぱり実際上は防音壁になっていないと言うんですよね。なっていないというのは、つまり、それでもって音が防げていないというのが住民の方々の意見です。それで、いつまでも最初の段階でのああいう措置になっておりますけれども国鉄としても大いに技術開発もされて研究もされていらっしゃるところだと思いますけれども、これは何らかの前進的な見通しがありますか、もう少しちゃんとした防音壁ですね、有効な。どんどん新しい技術なり開発がされているんじゃないかと思いますけれども、何かいい展望はありませんか。
  129. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) 防音壁につきましては、いままで新幹線の騒音の問題についてかなり勉強をしてまいりまして、いまの防音壁の構造並びに高さが現段階では一番いいということが出ましたので、それでほとんど全線にわたりまして設けたわけですが、ただ、研究はその後いろいろなタイプのものについて続けておりまして、これはもちろんりっぱなものができれば、たとえば構造物の強度とか、それから場所の問題さえ許せばこれはもちろん考えていけるのではないかと思います。ただ、いまの段階で精いっぱい勉強した中で一番効果があるのがいまの防音壁であると、かような状態でございます。
  130. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、現在の防音壁に関して住民の方たちからどういう意見が出ているのか、ないしは国鉄の方でより積極的にどういう状況かなんてことは、当然お調べになっていらっしゃるというふうに思うんですけれども、満足すべき状態であると、こういうふうに理解をしていらっしゃるのかどうかということが一つですね。それから、新しい新幹線の建設が進んでいるわけですけれども、たとえば東北新幹線などでも、いまと同じ防音壁でおやりになるのかどうか、その二点をお伺いしておきたいと思います。
  131. 杉浦弘

    説明員(杉浦弘君) 最初の満足すべきかどうかという点でございますが、いままでの全般的ないろいろな各種のテストでは、いまの高さ並びに構造で非常に大きな効果はございます。しかしながら、音が出るのも各個所から出ておりますので、そういったものを一斉に下げるようにというようなことでいろいろな勉強はいたしておりますけれども、満足すべきとは申しませんけれども、いまの段階ではいまのようなスタイルが一番の効果があるということで考えておりまして、したがいまして第二点でございますが、今後の方式でも大体同じようなことでただいま敷設いたしております。
  132. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ、最後に私は要望を申し上げておきますけれども、必ずしも非常に大きな効果があるというようには住民の方々の声はなっていないと私は理解をしております、実際上聞いておりまして。それで、大いにそのことについては、先ほどの御答弁で今後もさらに研究をしていくというお話でございましたから、ぜひやっぱり、もともと静かなところに住んだつもりでいたらそばに無法にも新幹線が走る、こういうことになってしまって、全く一生これから先、いやな思いで過ごさなければならないみたいな被害を受けるわけですから、根本問題については私どももいろいろ意見を持っておりますが、きょうはそういう場ではありませんので、ぜひとも実際の住民の方々の生活している中での声ですね、それから調査、そうしたことを綿密におやりいただいて、防音に関する開発研究を積極的に進めていただきたいと思います。住民の方々は何ておっしゃっているかといいますと、運輸大臣ぜひ聞いていただきたいんですけど、一週間でいいからここへ来て住んでくれ、泊まってみてくれ、その部屋をお貸しするからと、こう言っておりました。そのぐらい切実に騒音に悩まされているということを、いろいろお聞きになっていらっしゃると思いますが、ぜひ積極的に、前向きに、誠意を持って努力をされたいと思います。運輸大臣からお答えがいただければ一言どうぞお願いをいたします。
  133. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 山中さんのいまのお話よく伺っておいて、今後善処いたしたいと存じます。
  134. 山中郁子

    山中郁子君 終わります。
  135. 秦豊

    ○秦豊君 予算委員会が終わりますとなかなか運輸大臣にはお会いできない。きょうはせっかくの機会ですから、成田に関連した問題を短い時間大臣局長ほかにただしたいと思うのですが、運輸大臣ね、お世辞でも何でもなく、私が三月以来予算委員会で申し上げた、例のイソップで言うなら北風ではなく太陽だと、第一ボタン以来のかけ違いをどう是正するかという問題について、少なくとも運輸大臣と航空局長の受けとめ方は、いまの福田政権から聞こえてくる成田問題についての声の中では一番やわらかい、少なくとも。十全に太陽路線を貫いていただいているとはなかなか思えないけれども、しかし、少なくともいまの政権の中では一番にやわらかい、したがって、接点がつながっていると、こういう認識をお世辞でも何でもなく持っています。それで、現実にもう貨車輸送も始まったし、やや本格的な国際空港的な装いにはなっているけれども、しかし、やはり成田問題というのは新たに始まったんだというとらえ方が必要ではないかと思うのです。  私、基本的に考えておりますのは、成田問題を考える場合には、当然首都圏においては羽田空港とのユニット、ワンセットでの運用というものを考えなければならないし、それから今後数年の航空需要の予測を運輸省側がどの程度に把握していらっしゃるのか、たとえば五年、十年というタームで物を考えるべきではないかという基本的な認識、視点を私は持っているわけです。とにかく成田市的な巨大プロジェクトというのは、プランニングをして、リサーチをして、合意を得て、そうして確定をして建設に入る、運用するというのは、少なくとも八年以上の長い時間が必要だと。いままで日本政府が巨大プロジェクトを進める上には、行政として当然持つべきシステムも十全ではなかった、成田がその典型ですけれども。したがって、その愚を繰り返してはいけない、そういう観点できょうは伺いたいと思うのです。  最初に、首都圏では国際空港というのは私は二つどうしても要ると思うのだけれども、一体運輸省はどう考えていらっしゃいますか。
  136. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 成田開港と関連いたしまして、いろいろ御心配をおかけいたしました。まあ御批判はいろいろでございますが、いろいろ御心配いただいておりますことにつきまして衷心感謝を申し上げる次第であります。  ここしばらく前から今日に至る間よりも、さらに一層これから航空ということと関連いたしましては、昔の考え方で対処していたのではいけないという事情が顕著にありますので、ただいま秦さんお聞きの首都圏としては二つとおっしゃいましたが、二つもよほどいいやつを二つでないと、最近までの羽田の離着陸回数等にしても十七万回がせいぜいだというようなことを言っておった。現在シカゴでも六十六万回ぐらい可能なことになっておるし、ニューヨークが四十何万回とかというようなことを考えますと、これは本当は、現在これからしばらくの間、成田は開港いたしましたけれどもそう急速に離着陸等を急激にふやすというようなことは、これは慎むべきであろうと思います。そういうようなことをいろいろ考えてまいりますと、羽田は必ずしも現在のままという意味でなくて、これに何らかの改善を加えていくということ、そして成田もさらに能率的に運営していくというようなこと等を考えたとしても、これは当然二つだが、二つだけではよほどうまくやらないとそれをもって足れりとするわけにはいくまいと、ますますもって空の時代ということに世界はなっていく、しかも、世界における日本の地理的位置等、それから特に陸続きでなくて海の中にある日本を考えたような場合、こういうことを考えますと、ただいまのお話、少なくともりっぱなものが二つで、場合によったらもう少しさらに考えなきゃならないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  137. 秦豊

    ○秦豊君 私もそうだと思うんですよ。つまり、ぼくたちが手元にある資料で仮に試算をしてみましても、成田が仮に反対同盟側とパイプがこう全開しまして、いわゆる狭義な意味の、狭い範囲の意味での第二期工事が開始されたと仮にします。そして、いまのA滑走路、プラスBはもう完全にやめてCランだと、C滑走路三千二百だと、いま現実に千メーター近くできているからあとプラス二千二百だというふうなことが仮に実現したとしても、いま大臣も言われたように、シカゴ並みとは言わないまでも、ニューヨーク並みとは言わないまでも、一定の予測される需要予測を当てはめてみると、AランとCランだけだと昭和五十八年には早くも頭打ちになる。限界になる。これはもう見えているわけですね。恐らくこれはどの専門家にお聞きになっても同じ答えが大臣に返っていくでしょう。だから、ぼくが申し上げた成田と羽田をワンセット、ユニットでという運用は非常に常識的な把握だと思うんですよ。大臣もそのことは否定していらっしゃらない。むしろ二つで足りるかどうかとアクチブにおっしゃっている。そうだと思うんですよね。  そこで伺いたいんですけれども、そのためにも、いまもう大胆に成田問題を語るということは羽田問題を語ることだとぼくは思うんですよ。それは行政の配慮として、成田五月二十日なんだと、こう言っているときに羽田問題を語れば当然マイナスな政治効果しか生まない。それはわかる。いまや昭和五十八年というもの、AプラスCでも行き詰まることが予想されている空港、どうしようもない。ならば、当然大胆に率直に羽田問題と直面しなければならない。  そこで、順を追って伺いますけれども、じゃ、まず成田をどうするかという場合に、ひとつ大臣率直にB滑走路はもう着手しない、取りやめる、ただし横風対策を含めて国際空港の機能上もう最低限とにかくC滑走路だけは何が何でも必要なんだからということを、非公式じゃなくて公式にしかるべき場所で反対同盟側にアプローチをして、そしてその要求を出す。ただし、いま限界にある補償問題等は現在の時点で誠実に行政が受けとめるなど、ひとついろんな多重多層のパイプは三里塚に届きつつあり、届いておるのもあり、ふさがれつつあるのもある、かえって複雑な問題になっているのもありますけれども福永運輸大臣になってから、ようやく霞が関と三里塚がつながってきたわけですから、成田の機能だけを考えても、ぼくはいま言ったぼくの条件ぐらいは早く着手しないと先が思いやられると思いますが、もう反対同盟側に対して、すでにそのようなアプローチはなすったのか、あるいはこれからなさるおつもりがあるのか、お差し支えない範囲で伺わしていただきたい。
  138. 福永健司

    国務大臣福永健司君) なかなかその辺が実はむずかしいわけではございますが、一言にして申しますと、私自身は、従来よりはやや弾力的に物事を考えようかと、考えるに至っておりますと言うことはまだちょっと早いんでございます。たとえば、そういうことにしようと思いましても、この種のことはやはり関係住民との話し合いその他と関連しつつ申さないと、幾らいいことでも、これ先に言うてしまったらたいていはおかしくなるということにもなります。そこで、私は努めてこれに対しましては慎んではおりますが、第二期工事ないしこれと類似のようなことについて、過去に伝わっておりましただけで全然動かないんだと。まあ正直に申しますと、もともとの方針でございますと、成田が開港すればすぐ第二期工事着工ということですから、きょうあたりぼつぼつあっちこっちで新しい工事もということでございますが、私は過去久しきにわたる経験等からいたしまして、局部的に急いだようなことでありながら全体としてはいろいろで、かえっておくれてしまうというようなことになってもこれはまずいと思いますので、よく総合的にも考えて臨まなきゃならない、こういうように私は思っております。  そこで、いま具体的にB滑走路、C滑走路等についてどれがどうというようなお話でございますが、この種の話はどっちの方をやめておくとかなんとかというようなところまで考えること自体実はいっておりません。これはもう既定方針どおりというつもりでございますが、しかしそれはそれといたしまして、いろいろのことが急速に進歩しつつある今日でございますから、少しぐずぐずしておりますと非常に新しい物の考え方等も出てまいります。そういうことも考え、ワンセットというお話でございましたが、私は前に東京都知事などとも若干の話をいたしましたし、また関係の区の方々ともお話ししましたが、これがそれじゃこうしましょうというところまでいっていないことを残念には思いますが、これらの話もいたしつつ、羽田もこの間うちまでは何にも言いませんでしたが、もうここへまいりますと前進する姿勢でこれをどうするかということを進めていきたいと、こういうように思っております。ただ、これもまたすぐ一月か二月でばたばたといくというわけにもいきますまいと思いますが、せいぜいこういうことについては私どもの方でも積極的にやりたいと思います。だがしかし、何しろもう話し合いで進めなきゃならないことでございます。そういう種類のことは思うようになかなかいかない場合もあるし、まあしかし話がわかってくればまた別だと思います。せいぜい努力をいたしたいと考えております。
  139. 秦豊

    ○秦豊君 なかなか苦心されているというのはいまの答弁でもうかがえるわけですが、私が申し上げたい一つのポイントは、当初から運輸省、空港公団にあった、まあ本格開港したら第二期工事があるんだと、二期工事というのはBプラスCだと、それでA、B、Cで一〇〇%だというのを整整として行おうとすると必ず事態は前に進まない。行政がある程度譲るという配慮を見せないと完全主義と完全主義が対決をするということで、これはまた五年かかります。そこで最後の接点は、ぼくはBは廃止、Cランのみと、あとは補償問題等、千葉県や成田市や芝山町に対して行政として約束をしている項目、数十項目、多項目の要求をどうするか、騒音コンターをつくり直す問題を含めてですね、そこまでいくと思うんですよ。だから、それはきょうこの場で運輸大臣が、いやこうしましょうという種類の問題でないことは私も十分わかりますから、成田のこのことに関連してのことはよしましよう。  そこで、航空局長ね、この間いつでしたか、二、三日前でしたか、一部の日刊ジャーナリズムが、いわゆる「羽田再生計画まとまる」というふうなかなり大きな報道をして、それは運輸省の正規の案なんだという報道がありました。たとえば三千メーター滑走路を新設するというふうな大きな見出しで、あれは運輸省としては本当にオーソライズされた案なんですか、それとも航空局にちらっと浮かび上がっているただの非公式なプランニングの中のその一つなんでしょうか、どうですか。
  140. 福永健司

    国務大臣福永健司君) これは大変大きな問題でございますので、私から先にちょっと申させていただきますが、この間新聞に出ましたのは、私自身もそれじゃそうしようということで決めたというようなことではございません。アイデアとしてはまあいろいろございますが、そういうことでございますので、航空局長はその立場においてお答え申し上げますが、運輸省の責任者といたしましてあれがオーソライズされたプランであるということではないということを申し上げたい。
  141. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 羽田空港は、現在まで一年間に十七万五千回の発着能力を持っておりまして、そのうち国際線の約五万回が成田へ移ります。そうしますと一日に直しまして約百五十回程度の余裕が出るわけでありますが、いま非常に東京と全国各地を結ぶ輸送需要が高うございまして、特に裏日本等熾烈な要請がございますので、そういう県民の方々の御要望にこたえるために逐次増便等をしてまいりまして、一日百五十回のあいた余裕を埋めていくわけでありますが、私どもの基本的考え方としては、すぐに埋めてしまいますとまた羽田の過密状態が戻ってしまう。そういうことでこれはもう小出し小出しにいたしまして食い延ばしていきたい、そういたしましても輸送需要の伸びから見まして、どんなに抑制的に考えても、六十年ぐらいになりますと十七万五千回になってしまうだろう。そこで、どうしても羽田にはもう一本欲しいと思っております。したがって、私どもは現在の羽田空港の沖合いに埋立地がありまして、あそこにいまの空港を移すという考え方が東京都の方から示されておりますけれども、同規模移転では、やはりいま申し上げました将来の輸送需要に対処し得ない。したがって、どうしてももう一本増設した形で移転をしたいと思っております。増設の形につきましてはいろんな案があります。新聞に出ましたのはそのうちの一つにすぎません。これはどういうルートを通じてかリークしたわけでありますが、運輸省としてはあれに決めたわけじゃございません。別の案もたくさんございまして、どれが一番いいかはこれから大臣の御決裁をいただきまして決めるわけでございます。そういった経過にあります。
  142. 秦豊

    ○秦豊君 確かにワン・オブ・ゼムだと思いますよね、いろんな発想をしていいわけですから。そして、そのかわり今度やったらもうUターンがききませんから、かなりベターな案をやはりつくり上げるというこの発想が必要だと思うんで、その場合に、あの読売報道がいま言った経緯であり、大臣局長のお答え聞いてわかるんですけれども、私どもからしますと、同じ羽田と取り組むならば、あの伝えられたような三千メーターでなくて、最低四千メーターを一本と三千メーターを一本、空間的には可能なんですから。こういうふうに思い切ってつくっておくと、そのことの方が、もうあの西の空域を見ましても、大臣二つ以上欲しいかもしれないとちらっと言われたけれども、実際には米軍という存在がいまの行政のシステムの中では、日米関係の中では牢固としている。ぼくらが主張しているように、それをどけるというなら発想は自在なんですが、東京の空域、首都圏の空域はほとんどもう極端に言えばミリ単位になっている。そういう状態を前提にする限り、もう成田、羽田、二つせいぜい使うのが精いっぱいだというのが現実の与件ですよね。その中でなおかつ問題を硬直させないためには、羽田再生結構、ぼくは大賛成です。やるべきだと。成田のいわゆる狭義の二期工事もやらねばならぬが、同時に羽田を思い切って再生する。そのためには東京都の案も、これは何だか腰だめで中途半端、これつくったらすぐ行き詰まる。それから、伝えられる航空局長の話によれば、どこからかリークされた運輸省の中にちらついている案も、これも三千メートルがベースになっている以上私はこそくだと思う。思い切ってやると。もう一つは、やはり内陸空港、羽田の場合ちょっと別だけれども、この際内陸空港というのは、日本じゅう四つの島で、国際空港を発想する場合に、もう頭からどけておくというぐらい思い切ったことをしないと、また内陸空港をどこへかつくるというのではぼくは同じことをまた際限もなく繰り返すと思うから、今後は羽田沖は思い切って拡幅するじゃなくて、新しい空港をつくるぐらいの気持ちで大胆に取り組む。  それからもう一つは、五年、十年先を見られて、航空需要の予測も後ほど伺いたいが、一体日本がますます国際化するというのは私は運輸大臣と同じとらえ方をしています。そうすると、日本という三十七万平方キロメートルのこの空間の中に一体どれぐらいの国際空港が必要なんだろうかということを、二〇〇〇年なら二〇〇〇年を貫いてやはり発想しておくことがいまの行政の一つのあるべき姿ではないかとも思っているんで、そのことをあわせてお伺いしたいと思います。
  143. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろ問題があるわけでございますが、いま秦さんおっしゃるようなこと等も、ある程度私は頭に置きまして、最近ほかの用もあったんですけれども、羽田を初め東京湾等をヘリコプターで飛んでみたり、また、これまたほかの用でございましたが先般海上保安庁の船、飛行機等を観閲するような形におきまして海へも出てみました。素人なりに、まあある程度見かつ認識をしたわけでございますが、お説のごとくかなり思い切ったことをしなければならないと思っております。それと、私が先ほど二つではまた足りまいと言ったのは、かなり先のことを含めて申し上げているわけでございますが、その場合におきましては、私も素人でございますけれども、いままであるのによく似たような内陸の飛行場をという考えは私は持っておりません。そういう場合には、いままでああいうところにああいうものをつくるなんていうような構想があるのかという、むしろ意外性を人が指摘するような、そういうのでかなり大きなことを考えた方がいいんじゃないかと。それとこれとは関連しておりませんけれども、私が空港について日本のような狭いところだと海上に浮くようなのを考えると、それがまた公害対策上も必要であろうというようなことで、大阪等についてもある種のことを申しました。これは最終結論じゃもちろんございません。国土の狭い、人口の稠密しているわが日本としては、そういう観点から、余り外国が考えないような、しかも後になるとなるほど日本だと言われるようなことを考えていく必要がある。そういうようなことを考えますので、いまいろいろお話がございました点については、いろいろ政府としても痛い経験等も経ておるんですから、この経験が生きるように大きく将来にそういうことを生かしていくようにと、こういうことで臨みたいと考えております。
  144. 秦豊

    ○秦豊君 航空局長ね、たとえばいま福永大臣が言われたことで、ぼくは非常におもしろいと思いましたのは浮き構造という言葉を使われたんですよね。海上空港をつくる場合は、埋め立ても干拓もあれば、くい打ちもあれば浮き構造もあって、日本でも現実に長崎なんていう小さな例がありますね。ロサンゼルスはたしか浮き構造だとぼくは思うのですよ。羽田は一種の埋め立て空港だと思うんだが、日本のいまの先端技術からすると、いわゆる大臣も言われた騒音対策等を含めても浮き構造による海上空港構想というのは、ぼくはわりと日本に適合性のある構想であり、必ずしも荒唐無稽ではない、そういう技術の未開拓な分野を生かすという意味でも、ぼくはおもしろい——おもしろいと言っちゃあれだが、関心が非常に大きいと私自身も思っているのです。  そこで、時間のようですから、最後に航空局長の方から、少なくとも昭和六十年を見据えた内外の航空需要の予測はどの程度にしていらっしゃるのか。それから、いまは成田、羽田を論じていますけれども、プラスアルファ泉州沖はやがて浮上する問題、じゃほかに国際空港というのをどのように考えればいいのか、つまり、日本ではあるべき総合構想として日本における国際空港はいかにあるべきか、いかにの中にはつくり方を含めてどれぐらいのキャパシティー、つまり数という問題が当然伴ってまいりますので、その辺高橋さんのお考えを伺っておきたい。
  145. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 需要予測につきましてはいろいろの数字がございまして、五十年代前期計画とか、あるいは三全総等の数字があります。それらによりますと、おおむね国内線では六十年に六千万人ぐらい、国際線で二千五百万人ぐらいという数字がありますが、実績値としては当然これと変動してくると思います。この辺を大きなたたき台としながら空港整備計画を練っているわけでございますが、いま先生お尋ねの国際空港機能の分散化の問題につきましては、現在成田の計画をやっておる最中でございまして、いずれ関西新空港の計画も進めております。これは大臣の御指示でいま浮体構造ということで研究をいたしております。結論はまだ出ませんけれども、その東京周辺及び関西、この二つでとても受け切れるものじゃないというふうに考えます。また、日本の国土の全国的な機能分散という観点からいたしましても、国際空港機能を全国的に分散することは結構なことであります。国土庁でつくりました三全総におきましても、約十ぐらいの国際空港を、北は北海道から沖繩まで分散配置するという案もございまして、私ども賛成いたしております。しかし、その前提としては、これは因果関係相伴いますけれども、空港だけつくってもしようがないわけでありまして、それに伴って都市機能も分散するということで、総合対策の中で国際空港機能が分散する、大変結構でございまして、私たちもそういった物の考え方でいきたいと考えております。
  146. 秦豊

    ○秦豊君 あと二分少々あるようですから満たしたいと思いますが、これは航空局長、いまこの場ではなかなか答えられないかもしれませんが、いままでの成田問題の交渉の経緯の中で、千葉県との二十八項目とか、それから成田市との四十五項目、地元の芝山町とは十一項目というふうなペンディングな課題がありますね、懸案と言ってもいいと思いますが、これは一体どの程度進捗をしているのか。また、すべてを一挙にばさっというわけにいかないと思いますが、どういう優先順位で解きほぐしつつあるのか、それともめどは全くついてないのか、この辺を念のために伺わしてください。
  147. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いまお挙げくださいました成田市及び芝山町の要求がございまして、これを集約する形で千葉県の二十八ができているという仕組みになっておりますが、これらにつきましては、昨年の十一月の段階で全部それぞれの主体に対しまして返事をいたしました。やりますという返事をいたしました。また、できないものにつきましてはできないということを御説明して了解をいただいております。できますという御返事をいたしたものにつきましては、その後逐次実現の努力をいたしております。すでに済んだものもございますが、まだ手をつけた段階のものもございます。これらをちゃんとすることが地域住民の信用をかち得るゆえんでございますので、いま八方督励をいたしましてこれを進めているところであります。なるべく早くこれは実現いたしたいと思います。
  148. 秦豊

    ○秦豊君 最後に、じゃ局長の方からどの程度整理ができたか、これはもう解決済み、これはいま実施中、細目、デテールを後ほどで結構ですからお届けいただけませんか、それで終わります。
  149. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お届けいたします。
  150. 山崎昇

    ○山崎昇君 きょうはもう時間縮められてしまいましたから、技術的なこと、二、三聞いて質問にしておきたいと思いますが、   〔委員長退席理事原文兵衛君着席〕 まず大蔵大臣にお聞きしますが、新聞報道等によりますと、公務員や議員の年金の見直しをやるために、国家公務員、地方公務員、三公社関係の共済組合の担当者で何か協議会のようなものをつくって検討をしておると聞いておるんですが、そういうものがあるとすればその協議会の目的、メンバー、それからどういう内容が検討されておるか、大体今後どういうスピードで審議をしていくのか、まず一括してその協議会の内容について聞いておきたい。
  151. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) ただいまお尋ねがございました国家公務員共済、それから地方公務員等共済、それから公共企業体職員等共済組合、その三グループでございます公務員関係の共済組合でございますが、この三つの共済組合、制度面でまいりますと、その発足の時期だとかあるいは制度の仕組み、財政基盤というふうな面で、ごくわずかながらと申しますか、若干の相違はございますけれども、基本的にはほぼ同一の制度内容になっておるわけでございます。  ところで、これまでこの三つの共済組合制度に関しましては、国家公務員の場合と、それから地方公務員の場合におきましてはそれぞれ審議会がございまして、その審議会審議をもとにいたしまして各省の担当部局が調整をしてくるというふうなことをやってきたわけでございますけれども、現在までこの三つの共済制度を通ずる制度全体の問題として一緒に検討するというふうな機関、そういうチャンスというものは実はございませんでした。しかし、現在の共済制度が発足いたしましてから約二十年経過いたしております。その間におきまして社会経済情勢もかなり変化しておりまして、やはり現行の共済制度ももう一度新しい観点から見直してしかるべきではないか、こういう御指摘もございますし、私どもも見直すべきものは見直していきたいなと、かように考えておる次第でございます。また、御承知のとおり、年金制度全般につきましては、昨年の十二月に社会保障制度審議会あるいは厚生省の厚生大臣の諮問機関でございます年金制度の基本構想懇談会等からも、いろいろ長期的な観点での御意見が実は出ております。そういう機運にございます現段階におきまして、やはり私ども共済年金制度というものが、そういう年金制度全般の中にどのように位置づけられ、それにまたどのように対応していくべきかということは、やはり私どもといたしましても慎重に今後検討すべきことであろうと、実はかように考えたわけでございます。そういう趣旨から、密接な関係にございますこの三共済の関係者が一堂に会しまして、それぞれ問題点を持ち寄り今後どうすべきかを検討するということは意義のあることであろう、こういうことで始めたような次第でございまして、それがいわば協議会といいますか、懇談会の設置の目的でございます。  それで、その構成でございますけれども、それぞれ三組合から六名ずつという形で合計十八名という方にお集まりいただきまして、これから検討を進めてまいりたい、かように考えております。ただ、第一回は三月の終わりにいたしまして、これからどういうふうな問題を検討していこうかということを相談いたしましたが、次回できるだけ今度は早くいたしたいと思っておりますが、それまでにそれぞれ各共済組合で抱えております問題点、個別でも共通の問題でも、そういう問題点を持ち寄りまして、そしてどういうふうな問題を今後この三組合の懇談会で取り上げていくかということを決めていきたいと思っておりまして、したがいまして、まだ現在具体的にどういう問題をどういう方向で検討するとまでは至っておりませんが、やはり三共済がある意味で平等の立場で問題点を持ち出してお互いに相談していこう、こういう考え方でございますので、そういうふうな問題点を持ち寄りまして今後鋭意検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
  152. 山崎昇

    ○山崎昇君 メンバー等を後で資料でもらえますか。
  153. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 結構でございます。あるいはいま手元にございますから、いますぐ差し上げても結構でございます。
  154. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは大変恐らく実務的には重要な協議会になっていくだろうと思いますから、できたら私ども、その都度どういう点が問題になったのかもひとつ国会の方にもお知らせ願いたい、こういうふうに思っているわけです。これは要望しておきます。  それから、次いでお聞きをしたいんですが、いまお話ございましたように、昨年の十二月九日に年金制度基本構想懇談会から答申が出されております。あわせまして社会保障制度審議会から昨年の十二月の十九日にこれまた中間的でありますが答申が出ております。そして少しさかのぼりますが、昭和五十年の八月の十六日にいわゆる今井メモというのが出されております。で、私もこの内容は見ておりますが、それぞれ多少違います。そこで、時間ありませんが、大ざっぱにこの内容の概要について説明を願いたいと思います。
  155. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) ただいまお話がございましたとおり、第一に昨年の十二月九日付をもちまして厚生大臣の私的諮問機関でございます年金制度基本構想懇談会、これのいわゆる中間意見というのが出ております。これは大変多岐にわたります量も非常に多い中間意見でございまして、一言で御説明申し上げるのは大変むずかしゅうございますが、これまでの年金制度のわが国の沿革、諸外国との比較、将来を踏まえましてどういうふうな問題が起こり、それに対してどういうふうなたとえば方策が考えられるかというふうなことを、非常に網羅的にデータを駆使して出された中間意見でございます。それで中間意見ということもございまして、明確にこうすべきだとかいうふうなことはございませんで、こういう問題も十分検討しろ、しかしこうやった場合で、またこういう問題が出るからこういう点にも十分配慮しろとかいうふうな非常に多岐にわたる御意見、それが出ております。項目だけを申し上げますと、たとえば経過的年金の水準の問題、それから制度間の給付水準の格差の問題、あるいは単身者と夫婦者の給付水準の分化の問題、あるいは支給開始年齢の問題とか、それから年数加算制の問題、その他非常に多岐にわたりまして種々分析を加え、問題点を提起しておられる、かように考えております。  それからなお、昨年の十二月十九日付で出されました社会保障制度審議会の御建議がございますが、これは「皆年金化の新年金体系」という表題がつけられてございます。その概要を簡単に申し上げますと、まず現行の年金制度とはおよそ別に、新たに基本年金制度を創設すべきである。で、支給開始年齢はその場合には六十五歳といたしまして、当面単身者が月三万円、夫婦五万円と、こういうふうな基本年金を一律に支給すべきである、それからこれに伴いまして、現行の各年金制度は現在の国庫負担部分というものを除いた部分、それを基本年金の上乗せといたしまして給付して、もうこれについては一切国庫負担を行う必要はないんだと、いわば社会保険年金と、こう言っておるようでございます。しかし、このためには膨大なる国費が全体として要りますので、これに対しましては基本年金の費用を賄うために年金税、付加価値税でございますが、その年金税を新設すべきである。それから、基本年金の発足、それからその年金税の導入は昭和五十五年中にもやるべきではないか、そして経過期間が要りますので、全部ができ上がるのは昭和六十五年にしたらどうか、こういうふうな非常に抜本的な御意見をちょうだいいたしておるような次第でございます。  それから、さきにお話がありました昭和五十年に出ましたいわゆる今井メモでございますが、これは共済年金のあるべき位置と申しますか、そういうものに関しまして、それをまずどのように位置づけるかというふうな問題から入りまして、これも実は大変多岐にわたっております。給付に関する事項、それから退職年金、減額退職年金に関する問題、遺族年金、廃疾年金に関する問題、掛金及び給付の基礎となる俸給に関する事項とか、財政に関する事項とか、非常に基本的な考え方とかなり技術的な問題等織りまぜて、いろいろ検討すべき事項、いわゆるたたき台ということで国共審の今井会長が出されたメモでございます。
  156. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大ざっぱに説明ありましたけれども、とてもこれをここで短時間でやるわけにいきませんし、私自身もこれは一つ一つ相当な議論せねばならぬときだと思っておりますが、きょうは一、二点だけひとつ伺っておきたいと思うんですが、私も特に昨年の十二月に出されました社会保障制度審議会答申を見まして、この中で一番私が、いま当面して公務員の関連するのは何かと言えば、定年制の問題と関連をしてくるんではないかというふうに考える一人です。それからもう一つは、すでに人事院では五十五歳過ぎた者を定期昇給を延伸したりしておりますから、給与体系の問題と密接に絡んでくるんではないんだろうかと考えます。で、これもいま説明ありましたように、昭和六十五年を目標で中間的な問題でありますから、当然これからそれぞれの共済組合でも、あるいはそれぞれの省でも検討されると思うんですが、ただ世間一般では、官民格差という問題もあり、支給の時期の問題でありますとか、多くの課題を抱えておりますが、特にこの中で私が重要視をしておりますのは、「日本の高齢者がヨーロッパなみの「働く」生活と結び付くことの可能性を展望したうえでの結論である。」、言うならば、雇用というものをきちんと充足をするといいますか、その前提の上に立って六十五歳支給だとか、いろんなことが組み立てられておるようであります。そこで、この雇用ということになってまいりますと、いま公務員には定年制ございませんが、しかし勧奨退職その他等で事実上は五十七、八歳になっている。民間は、これは後で労働省が来ておれば聞きたいんですが、民間の定年制というのは、六十歳まで延ばしたいとは言っているようでありますが、きわめてこれまた低い五十五歳というのが大体多いように私ども聞いています。そういう意味で言うと、平均余命が延びて、首を切られるのは五十五歳から五十七、八歳で、受給期間が物すごく延びて、その間収入がなくなっていくわけでありますから、当然年金というものがウエートが大きくなってくる。で、どういう現象が起きるかと言えば、一口で言うと、もらう期間が長くなるのに物価等が上がってきますから貨幣価値が下がってくる。長くなればなるほど、長生きすればするほどもらう側から言うと貨幣価値が下がってくる。それから、もし六十五歳で支給というようなことに統一されていくということになって、五十五歳で首切られたらこの十年間何で生活するのかという雇用の問題とかかわってくる。それから、給与体系にもよりますけれども、年とったらなかなか給与が上がらない仕組みになってくるというと、年金そのものが低く最終場面で抑えられてくる。言うならば、働く者の犠牲の方が多いような内容に私はなってくるんじゃないかという気がしているんです。しかし、わけてもここで指摘されておりますように、雇用との関係が重要になってきておるんですが、さてそこで、この雇用ということになりますと、まだできておりませんが、あるいは人事院でも検討していると言われておりますが、ひとつ人事院からいまの定年制の現状についてどういうふうに考えられるのか、それから、この年金と関連してどのような見解をいまの段階で持たれておるのか聞きたいと思うんです。
  157. 今村久明

    政府委員(今村久明君) お答えいたします。  ただいま定年制の関係につきまして、まず定年制の現状というものについての考え方、それから年金との関係の問題という二点の御指摘がございました。  まず、第一点の定年制の現状関係でございますけれども、これは私から申し上げるのは釈迦に説法になるので恐縮でございますけれども、御承知のように、現在の国家公務員につきましては、大学の先生であるとかあるいは検察官であるとか、特別職の関係で申しますと裁判官であるとか、そういう方々に定年制が、これはもう明治時代からあるわけでございますがそれ以外の者にはないという条件がございまして、ただいま御指摘のように、退職勧奨ということで実際に高齢者の離職関係の管理が行われているという状況があるわけでございます。実は私ども、昨年あたりから非常に定年制の問題が世上をにぎわしてまいりましたのでずっと勉強してまいったわけでございますけれども、これを勉強してまいりまして、この問題が大変根の深い問題であるという認識を持っております。  これは簡単に申し上げますと、従来は定年制の問題というのは、高齢者の離職促進ということに重点が置かれましたいわば人事管理上の能率増進策というところに重点があったわけでございます。ところが、ただいま先生からも御指摘がございましたけれども、近年におきまして高齢化社会という状況が出てまいりまして、高齢者の雇用あるいは福祉の問題ということで、むしろ高齢者の活用といいますか、雇用の安定とか継続というものが大事な問題じゃなかろうかという問題認識が出てまいったわけでございます。したがいまして、高齢者の離職促進という一つの要請と、もう一つは雇用の安定といいますか、福祉の考慮という二つの要請、この調整の問題がきわめてむずかしい問題であります。あるいは、これは私いつもちょっと大げさな言い方をしていろいろ言われるのでありますけれども、私は一つの国民的な課題に今後なるのじゃなかろうかという認識を持っておりまして、そういう観点からこの問題に関しまして取り組んでまいっておるわけでございます。ただ、現実的な問題としましては、各省庁の年齢構成の問題等、戦後の大量採用によります大体四十八、九歳のところに一番人数の多いところがあるわけでございますが、中ぶくれ、大変言葉は悪いのですがそういう状況が一つございまして、その人事管理の問題というのが大変各省庁の人事担当者の頭の痛い問題になっておりますので、そういうものとの関連も考えながらこの問題を検討していかなければならないということで、現実の問題としてはきわめてむずかしい問題に認識しております。  それから、ただいま御指摘のございました退職年金とかあるいは高齢者の給与のあり方の問題、当然これも重要な関連事項でございまして、これらの問題を無視して定年制だけ考えるというわけにはまいらない、やはりこれらの問題を総合的に検討しなければいかぬというふうに思っております。
  158. 山崎昇

    ○山崎昇君 労働省に聞きますが、民間の定年制の状況についてちょっと説明してください。
  159. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 民間の定年制の状況でございますが、最も新しい調査が昭和五十一年の調査でございますけれども、その時点におきまして、定年制を実施している企業が、全企業の七四%定年制を決めておりまして、その定年年齢を見てみますと、定年年齢は、昭和四十三年にその調査を始めたころは五十五歳定年が六三・二%という状況でございましたが、調査のたびに五十五歳定年は減ってまいりまして、昭和五十一年の状況では五十五歳定年が四七・三%と初めて五〇%を割っております。それから五十六歳定年が三・一、五十七歳定年が六・九、五十八歳定年が五・七、五十九歳が〇・二、六十歳以上の定年はまとめまして三五・九%という状況で、定年制は徐々に年齢が引き上げられてきているという状況にございます。
  160. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま説明がありましたように、民間でも大体大ざっぱに分けますとまだ五十五歳定年というのが約五割近い。六十歳以上というのがひっくるめまして三五%前後、そうすると、これは中間報告でありますが、仮に六十五歳説をとるとすれば、一体この間どうするのだろうか。それから、労働省で私どもいろいろ聞いてみますと、中高年齢層の再雇用などほとんどできない。法律でこの事業所で五%以上やれとかいろいろ言いますけれどもほとんどできない。言うならば、首を切られたら切られっ放し。そうすると、この人の生活をどう保障するかということがきわめて重要だからこの中間報告でも雇用が前提となると、こう書いてある。そういう意味で大蔵大臣、簡単に年金の官民格差という名前だけで年金の支給年齢だけ是正をしようということはなかなかむずかしい問題が私はあると思っています。そういう意味では、大蔵大臣として、この中間報告を踏まえまして、雇用と年金の受給年齢というものと、あるいは平均余命という関係と、どういうふうに政治的に判断されようとするのか、これはこれからの検討ですけれども、一応あなたの見解をこの場で聞いておきたい。
  161. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃるとおり、この問題は非常にむずかしい問題だと思っています。高年齢社会を迎えようとしておりますし、したがいまして、私たちの子供のときには、あの年になればもう働かないという人がぴんぴんとして働いているわけでございます。そしてまた働くことに生きがいを感じておるわけでございます。にもかかわらず、民間でいまやはり五十五歳を中心とする退職制度があるというのは、多分に年功序列型の給与と関係しているのではなかろうか、能力と給与との関係があるのじゃなかろうか。ですから、全体の方向から申しますれば、できるだけ生きがいのある、働いていただくことはその人にも幸せであり、企業にとっても幸せであろうし、またそれは国民経済的に見てもその人の能力を生かす道であろうと思うわけでございますが、そのためにはどうしても給与というもののあり方を考えなくちゃいかぬ。民間を見ておりますと、やむを得ないものでございますから子会社に出すという形、同じところにおりまして給与をどんどん上げていきますと、これはなかなか大変でございますので、給与体系の違う子会社に出してその間つないでいるようでございますが、これにはおのずから限界があるのじゃなかろうか。だから、その間の大勢としては、長く働いていった方が国民経済的にもまた御本人にとりましてもあるべき方向だと思っておるのでございますが、その間給与をどうつないでいくか、それと関連して一体年金というものをどう考えていくのか。いま保険集団がたくさんあるわけでございます。そういたしますと、現在は原則として当該保険集団から離脱しないと年金は出さぬ、こういう仕組みになっております。そこは今度は、もしそういう形で給与水準がある合理的なものに是正されていきますと、年功序列型賃金ではなくなってくるのじゃないだろうか、その場合には、それとの見合いで保険集団から離脱しなくても、まあ減算するかどうかわかりませんけれども年金を支給するという道も一つ考えられていいのじゃないか。全般的にはそういう非常にむずかしい問題を含んでいるし、のみならず、御案内のように官民格差の問題があるとか、あるいは、それぞれの年金のいきさつによりまして、国民年金、厚生年金、さらにはいわゆる共済年金があるわけでございます。共済年金だけをとりましても、非常に従来の経緯がございましていろいろ違っております。しかも共済年金の方は、かつての恩給期間がございまして、これはまたこれでそれなりに一種の合理的の説明がなされているわけでございます。こういうものを全部踏まえまして何らかの抜本的な改正をやっていくということになりますと、これは大変むずかしい問題になってくるのじゃなかろうか。年金だけを切り離して見ましても非常にむずかしいのでございますが、高齢化社会の、いつまで働いていただくのか、それと給与体系との問題、それとの年金関係を考えるときに、これはまさに、先ほど人事院からも、労働省からもお話がありましたように、全くこれから日本が解決しなければならない最も困難にして最もむずかしい大事な問題の一つであろう。こんなふうに、解決策は持ちませんけれども、問題意識としてはそういう問題意識を持っているのでございます。
  162. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま答弁ありましたように、私どももそうなまやさしいとは思っておりませんが、ただ私は、何か議論されるとすぐ新陳代謝という言葉とか、財政論だけが横行して、定年制ということだけが先行してくる、これは私はやっぱりいけないんじゃないだろうか。そういう意味では大蔵大臣も、また、総理府総務長官まだおいでになっておりませんが、あるいは人事院も、少なくともそういう人事行政を扱うところは、そういう一面だけからこの問題議論せずにやってもらいたいということだけ、きょう時間ありませんから申し上げておきます。なぜかというと、これは昨年の七月に労働省が行いました世論調査でありますが、この中に幾つかテーマあります。テーマありますが、私が目を引きましたのは、いまの賃上げを望む理由という中に特徴的なのがある。それが、年齢が四十五歳過ぎますと、一番賃上げをしてほしいという理由は何かというと、その中心は老後の生活に備え、こういう項目が一遍に五〇%近くになってきます。だから、いかにいま元気で四十四、五歳で働いている人であっても、自分の老後に対して全く不安を感じている。だから、賃上げそのものについても、老後を見てこの四十歳前後からの人は一番中心に置いている。こういうことを考えるときに、あなたは一生懸命いま働いてもらっております、しかし五十五歳になったら首切ります、年金は六十五歳以上でなきゃだめです、こんなシステムになったんでは、これはとてもでありませんが、公務の能率も上がるわけではありませんし、生活不安だけが残りますから、どうかそういう意味で定年制という問題は慎重に扱ってもらいたいし、年金あるいはその他の問題と十分ひとつ検討されてやってもらいたいと思うんです。一面だけからのみこの定年制ということをやらぬようにだけきょう指摘をしておきたいと思うんですが、代表して大蔵大臣どうですか、結構ですね。
  163. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ただいま御指摘がありましたし、私も素人考えでございますが述べさせていただいた問題でございまして、非常に関係する方面が深いと思っております。ただ、いまお言葉でございましたが、財政負担もまた大きいことは御承知のとおりでございまして、各国にその比を見ないほど財政負担が大きいことも事実でございます。それらの問題を一体どういうふうに考えていったらいいか、財政問題だけでこれは決めるべき問題でないことは当然でございます。財政問題もまた一つの問題であると、そういう問題を総合してどのような結論を出すのか、こういう問題意識で取り組んでまいりたいと思っておるのでございます。
  164. 山崎昇

    ○山崎昇君 次に、大蔵省に聞いておきますが、来年は再計算の年になっておりますね。そこで、さっきも聞きました協議会でも議論になるんでしょうし、あるいは中間報告に基づいて、これに基づく計算もされると思うんですが、あと一年後でありますが、一体来年の再計算というのはどういう方針でやられようとしておるのか、いまの段階でまだ不明と言えば不明かもしれませんが、ある程度の考え方があればひとつ聞いておきたいと思います。
  165. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 来年の十月がちょうど再計算の時期に当たるわけでございまして、私どもこれから制度内容で見直すべきものは見直しをして、それを織り込みながら再計算に取り組みたいと、かように考えておりますが、まだそういう点の再計算に取りかかっておりませんし、それからどういう点をどのように改善を図っていくかということも決まっておりませんので、いまここで申し上げる段階には至っておりません。ただ、四十九年に再計算をいたしましたときに、一部後代に負担を残したとかというふうな問題もございます。そういう問題も踏まえながら、私ども長期的な観点に立ちまして、長期に年金財政が安定するような、そういうふうな方向を見出しながら再計算に取り組んでいきたいと、こういう気持ちはございます。
  166. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、これからもちろんいろいろ検討されると思うんですが、いまの段階では一応現行法に基づいて計算をするという以外に私はないと思う。ということは、詰めた言い方をすれば、やはり支給開始年齢が五十五歳ですから、五十五歳を前提としてあなた方計算をされるというのか、あるいは協議をやった結果六十歳ぐらいまで延ばして、その上で計算をされるというのか、これによってはかなり違ってきます、結論が。そこで、いまの段階でなかなか言いにくい点もあるかもしれませんし、先ほどお聞きした協議会でもそれらのことが検討されるのかもしれませんが、私どもいまの段階で理解をしておきたいのは、とりあえず現行法で来年は計算されるんじゃないだろうか、こう思っているんですが、間違いでしょうかね。
  167. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 現行制度のままで再計算をやるかどうか、あるいはどういうふうな改善内容を織り込んで再計算をするか、現段階ではまだ何とも申し上げようがございませんが、もし仮に関係審議会その他関係方面方々の御了解が得られまして、たとえば支給開始年齢を引き上げるというふうなことに相なりますと、計算上はその辺を織り込んだ、現行の制度とは違う計算をいたさなくてはならない、かようになろうかと思います。ただし、仮にそういう制度の改善をいたしましても、これはかなり高齢者等にとりましては大変大きな問題でございまして、非常に期待権を持っておる事柄でもございますので、何か改善をするといたしましても、相当なたとえば経過措置というふうなものも織り込んでいかざるを得ないであろうと、したがいましてその経過措置内容のいかんによりましてはまた計算が変わってくるわけでございます、そういうふうな問題もひっくるめまして、私ども長期的な観点で再計算には取り組みたいと、かように考えております。
  168. 山崎昇

    ○山崎昇君 私が再計算の問題についていまお聞きをしているのは、もちろんいろんな答申がございまして、年金の統一だとか制度の調整だとか、いろいろあることは承知いたしておりますが、具体的には、きょうは公務員の共済組合でありますから、公務員の諸君から言わせれば、来年の再計算で一体掛金がどういう形で再計算されるのか、これは自分のふところから出ることですから、これがやっぱりいま一番問題に当面なってくるんではないだろうか、こう思うものですから、したがってひっくるめていま現行法で再計算をされるんですかと、こう聞いているんですが、詰めて言うならば、この掛金率についてどういう見解をとりますか。これも短期と長期があります。できたら短期と長期の実情と、それについての見解をひとつお聞きをしておきたいと思います。
  169. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 先ほど申しましたとおり、来年の財政再計算に当たりましてどういう要素を織り込んでやるかはまだ決まっておりませんけれども、もし仮に四十九年度と同じ前提に立ちまして再計算をいたしますと、実は四十九年以来給付改善等がございまして、それによりまして積立金の不足も生じております。これは計算上出てまいります。そういうものを勘案いたしますと、仮に四十九年度の前回の再計算時と同じような方式で計算をいたしましても、やはり財源率は若干上がらざるを得ない、こういうことには相なるわけでございます。さらにいろいろな要素を加味いたしました場合にどうなりますか、それは今後の内容によるわけでございますけれども、仮にそういうことでやりましても、やはり五年間の給付改善等による負担の増と申しますか、財源率アップというものはこれはどうしても避けられない面があろうかと考えております。
  170. 山崎昇

    ○山崎昇君 健保と共済ではシステムがもちろん多少違いますから、私一概に言いませんが、たとえば健保の場合は千分の三十から九十までの弾力条項になっておりますが、これが労使折半やりますから、一番上でも千分の四十五ぐらいしかならない。ところが、私が調べた各省の共済組合ずっと見ますと、たとえば短期の掛金にいたしましても大変なばらつきがある。まあ一番高いのが林野の五十を超えるもの、低いのは三公社で言いましても電電の三十六・五、あるいは国家公務員で高い方は農林の四十九・五というようになる。こう考えてみますと、これは個々の組合員から言えば、法律によって支給される方は何もそう差はないわけでありますから、これだけの掛金のばらつきがあるということになってくると生計にも私はかなりな影響が及んでくると思うんですね。そういう意味では一体大蔵省として、共済組合を担当する大蔵省としては、掛金というものについてどういう見解をお持ちになるのか、とりわけまあ短期、長期はそんなにばらつきがあるわけではありませんが、短期についてもう一回あなた方の見解だけきょう聞いておきます。
  171. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 共済組合組合員に過重な負担がかかるということは避けていくべきであろうと、こういう御指摘は、その点に関しましては私も同感ではございます。ただ、たとえばいまお話がございました短期の問題に限ってまいりますと、確かに現在高い掛金率になっております林野庁その他というものは、非常に扶養家族の数が多い、あるいは年齢が高いわりあいには給与の水準が相対的に低いとか、そういう事情に基づくものでございます。これに対しましては、私どもは基本的には、やはりこういう短期の医療給付は事業主である国の負担と、それから組合員の負担と、それが両々相まちまして、そして医療給付に遺憾のなきを期していくように、その年その年で解決を図っていくべきものであろうと思っております。やはりそれぞれ各共済組合が分かれておりまして、その内容掛金等に差があるのは事実でございますけれども、特にやむを得ない林野庁等の共済組合につきましては、その短期のものにつきましては内容の改善に御努力を願うことは当然のことながら、五十二年度、五十三年度と若干の措置を特別会計から講じておるのも御存じのとおりでございます。そういう措置は講じてございますけれども、やはりこういう保険相互扶助の組織というものは、そういう例外的な措置をとるのはできるだけ避けまして、過重な負担にはならないことも十分配慮しながらみんなで助け合っていく、こういう仕組みで基本的にいくべきものであろうと思っております。ただ、先生指摘のとおり、各共済組合によりまして短期の掛金率にかなりの差があることも事実でございます。これをどう扱うかというのは、大変共済制度の基本にもかかわるむずかしい問題でございますけれども、やはり私どもこういう問題を解決する場合に考えなくてはなりませんのは、これからの検討事項ではございますけれども組合がそれぞれございますけれども、やはり事業主は国という点では全く同一でございます。したがいまして、何らかの措置をするという場合に、まず一体各共済組合の間で何か財政調整をする可能性はないものであろうかと、またそういうことをやることがどの程度可能かというふうな点も十分検討すべきだと思いますし、あるいは非常に小さな組合、あるいは財政力の非常に基盤が弱いような組合等を考えてまいりますと、共済組合をその面に関して再編成するということはどうであろうかというふうなこともやはり今後検討すべきではなかろうかと、かように考えております。
  172. 山崎昇

    ○山崎昇君 私もかつて共済組合を担当したことがありますから、そう一概なこと言うつもりはありません。これは職員構成も違うでしょうし、あるいは病気になる罹患率も違うでしょうし、いろいろあると思うんですよ。あると思いますが、それでも一番高いところと一番安い、たとえば私の資料で言うと外務省の本庁なんかは三十六ですね。ところが、これは警務関係と、こうなっておりますが、そういうところでは四十九・五、あるいは総理府でも四十八、言うならば十二ぐらい違います。これは違うにしても私は余りにも違い過ぎるんじゃないかと思う。そういう意味では少しこういう点は検討を私は願っておきたい、こう思います。  それから、だんだんだんだん健保の改正に伴いましてこの短期の掛金は、やがて私は五十を超えていくんじゃないんだろうか、これは地方公務員でもそういうところはずいぶん出てまいりましたが、この割合が五十を超えていくということは、これはまた大変なことですね。したがって、そういう点も含めまして、大蔵省ではひとつ十分この点は、職員の健康上の問題でもありますから検討願っておきたい、こう思います。  それから、長期の掛金も来年再計算になるわけでありますが、これも四十九年のときの計算方法いろいろ私も承知いたしております。そこで、大蔵省としてはいまどうこうするということはお答えできないという話もありましたが、しかし、あと一年後の話ですからね、言うならばそろそろどういう方向で計算をしていくかということがなければ、こういう事務というのはそう簡単に一日や二日でできるわけではありませんので、そういう意味では、長期の掛金についてももう一遍ひとつあなた方の考えを聞いておきたい。特に、後代負担と言われます二〇%の扱いなんかをどうしていくのか聞いておきたい。
  173. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 大変、現段階で明確な私どものまだ方針というのが固まっていないだけにお答えができなくて恐縮に存じますけれども、確かに四十九年の長期の再計算時には、大体標準保険料を八〇%程度に修正いたしまして、大体二割を後代に送ったわけでございます。これにはそれなりの事情があったわけでございますが、この辺を今度の再計算のときにどういうふうにやっていくのか、大きな私は検討課題であることは十分頭にはございますけれども、それを具体的にいまどうするかということを申し上げるわけにまいりません。これから十分検討をさしていただきまして遺憾ないようにやっていきたいと思います。ただ基本的に、さっきから申し上げておりますとおりに、こういうものはやはり長期的な見通しの上に立ちまして、そして後代にどの程度の負担を送っていいのか、あるいはどれ以上のものを送ってはならないのか、そういうふうな問題もひっくるめまして十分検討さしていただきたい、かように考えております。
  174. 山崎昇

    ○山崎昇君 次に、大蔵省に聞いておきますが、最近官民格差の問題に端を発して、俗に言う整理資源というのが大変議論になっています。私は、昭和三十四年に国家公務員の共済組合法に移行して、したがって、昭和五十四年以降になるとそのときの採用者は整理資源なんていうことはほとんどなくなってくると思うんですね。それまでの者はやっぱり恩給法とこの年金法との合算になりますから、そういう意味ではこの整理資源というのは、かつての恩給時代職員がいなくなるまでの間は、どういう形にしろ私は存在すると思うんです。したがって、この問題をきちんとした見解を示しておきませんと大変誤解を受けるんじゃないかと思っているわけです。そういう意味で、あの二条の二にございますように、調整資金、言うならばかつての恩給納金に該当する分は当然国が持たなきゃならぬわけですから、恩給部分については国が負担しなきゃならぬのですね。そういう意味では、この整理資源というのは、これは何もやみでもありませんし、あるいは公務員だけ特別優遇している資源でもありませんし、その点はこういう公の機会で私は大蔵省としてきちんとしてもらいたい、こういう考え方からいまお聞きしているんですが、この整理資源についてひとつあなた方の見解を明確にここで示してもらいたい。
  175. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 整理資源につきましては、   〔理事原文兵衛君退席委員長着席先生指摘のとおり、これは公務員の年金制度が従来の恩給から共済年金に切りかえられました際に、その恩給公務員期間に見合う積立金が恩給制度には存在しなかった、そのために積立金の不足が生じたわけでございます。この追加費用、正式には追加費用と申しますが、その追加費用を償却するための財源と、こういう性格を持つものでございまして、何も別に公務員に対して特別手厚くするとか、そういうふうな性格のものでは何らございません。これはもう先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、これにつきましては、その性格からいきまして全額国が負担すべき性格のものでございますので、いわゆる整理資源というものは恩給公務員期間を有する退職者、あるいはその遺族等が存在する限り残るものと、かように考えています。
  176. 山崎昇

    ○山崎昇君 次に、本当に時間がありませんので国鉄にひとつ聞いておきたいと思うんですが、国鉄共済組合収支計画策定審議会というのがありまして、そこから一応の答申が出ているわけなんですが、これによりますと、当面は赤字積立金で崩しているわけですが、この計画の中でいうと単年度は黒字になっていくという計画になっているんですね。そこで、いまお話ありましたように、国鉄共済も来年は再計算の時期になるわけですが、一体この再計算をどういう形でされていくのか、それから、あわせまして、ことしもまたかなり長期の掛金率なんか上がっているようでありますが、それとの関連について国鉄はどうお考えなのか、まずこの点をお聞きをしておきたい。
  177. 山地進

    政府委員山地進君) 共済年金の再計算の時期は国家公務員より若干おくれまして五十六年四月でございます。だだ、この収支策定審議会答申は五十五年までを規定してございますので、五十六年度以降どうするのかというのは、国鉄の特殊な年齢構成、あるいはその給与体系等から非常に重要な問題である。その点から、ことしは当委員会の去年の附帯決議等に沿いまして、国鉄の共済問題を特別に審議する大臣の懇談会、私的な諮問機関というものをつくりまして、長期的な視野に立って国鉄共済をどう見るのかということを検討してまいりたいと考えております。なおその審議会の運営につきましては、先ほど先生の御指摘のございました各共済の懇談会の議論というものを十分踏まえて、それから、国鉄以外の各公企体共済組合動向等も踏まえまして十分検討してまいりたい、かように考えます。
  178. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで国鉄にお聞きしますが、私の調べでは、現在短期が四・二ぐらい、長期が六・二ぐらい、合わせて一〇・四ぐらいになる。言うならば共済組合で一割以上のものが俸給から取られる。今後減るという見通しは余りありませんでふえていくという見通しだけになっているんです。これは私は俸給生活者からいえば大変な負担増になっていくんじゃないかと思うんです。したがって、この長短合わせまして一割を超える負担というものについて、どういうふうにこれを考えるのか。それからあわせて、この答申によりますと、いままで修正賦課方式をとっておりましたが、今度は実額負担方式に変えると、こう言われておりますが、さてこれが、この掛金負担増というものとどういうふうに関連をしていくのか、この二つについて見解だけ聞いておきます。
  179. 山地進

    政府委員山地進君) 共済組合の原則と申しますのは、これは先生承知のとおり、組合員が積み立てた金を持つ、それから事業主が同額の金を負担する、さらに国鉄公企体の場合には、一五%のそのほかの負担金についても持つということになっておりますが、追加費用につきましては、先ほど来御説明のございましたように、過去の恩給公務員と、あるいは満鉄等の引き揚げ等で積立金のない方々給付をする場合に当然必要な金、本来ならその方々が積み立てておるべき積立金に見合うようなものの利子を従来は補てんいたしまして、積立金に見合う金を凍結して一応計算してきたわけでございます。ところがそれでは実際の支給ができない。赤字が五十一年、五十二年出たということによりまして実額負担方式に変わってきたわけです。したがって、過去の追加費用につきましては掛金率に影響はない、こういうふうに御理解いただいていいんだろうと思います。ところが、それじゃ掛金率は上がらないのかというと、先生の御指摘のとおり六十二というような数字になって今後の財政を見るとこれが上がらざるを得ないだろう。しかし、これは組合員が負担して共済組合を運営するという基本的な原則にかかわってくる問題だと思うんです。しかし、先生の御指摘のとおり、短期と長期と合わせて一割を超えていくのはどうなんだと、これはもうおっしゃるまでもなく非常に重要な問題だと思うんです。そこで急激な増加というのは避けながら、ほかの年金制度というものと調和を保ちながらどうやって運営できるのだろうか、そういう点を今後検討してまいりたい、かように思います。
  180. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは本当に重要な問題ですから十分検討してもらいたいと思うんですが、たとえば三公社五現業の私は長期の掛金一つ見ましても、これまた相当差があるんですね。たとえば国家公務員の非現業では四・六五だ、そして電電公社が四・八、専売が四・八五、国鉄が六・二、こう考えてみますと、やっぱり組合員の方から言えば、仮に〇・一、〇・二といっても相当な開きになってくるわけです。そういう意味で、ぜひ国鉄には十分なひとつ御検討を願っておきたい、こういうふうに思います。  共済組合については本来なら技術的なこともいっぱいありましてもっともっと聞きたいのですが、私の時間があともう七、八分しかございませので、最後に、先ほど来議論になっております成田空港の問題でひとつ運輸大臣にお聞きをしておきたいと思うんです。  実は私は、いま過激者のやっておることいいというわけじゃありません。ただ、三月二十六日に大変不幸な事件が起きた、管制塔がやられた。しかし、こういうことによって初めてこの成田空港の持っておる問題点が何かということが全国民のものになって、ある意味で言うならば全世界に伝わっている。それまでは関係者と政府との間にはいろんなことがあったかもしれませんが、余りわからないできた。政府の方は、これまた政府が直接あなたになってから関係者、農民に会うとか、あるいはテレビでありましても反対同盟の石橋さんと話をするとか、そういう態度になってまいりましたが、いままではすべて代執行代執行で、空港公団がほとんど権力的にだけやってきた、あるいは都合が悪くなるというと自治体に全部おっつけて政府は知らぬ顔でやってきたというところに私は悲劇があったと思うんです。しかし、これは幾らいまこれから述べても返ってくる問題ではありませんが、しかし、あなたがいま大変いろいろないいことを言われながらも話し合いの姿勢をとっているということについては私も評価をしてもいいと思う。しかし、この姿勢はぜひ崩さぬでもらいたいということを前提にしまして一、二点お聞きをしたいのですが、私は今週の日曜日でありましたか、細川隆元さんがテレビでやっておりました。いまの成田の問題の悲劇は何だったのかというと、かつて、いま亡くなりましたけれども運輸大臣の一人に中村寅太という人がおったそうでありますが、この人が川島さんにやられて泣きべそかいたということをテレビでやっておりました。言うならば政府部内でそういう形で権力的にやったところに実はこの問題の発端があるし、あわせて総理大臣が四人かわって、運輸大臣が十七人も変わって、そしてほとんどその間に話し合いらしいものがなくてやってきたところに問題があると思うんです。これは過去の反省でありますが、そういう上に立ってあなたがいまいろいろ話し合いの機運をつかみながらやっておられますが、ぜひその姿勢を貫いていってほしいと思うんですが、さて、この成田空港の問題に関連しては欠陥がまだまだ多く指摘されております。パイプラインの問題もあります。騒音の問題もあります。第二期工事の問題もある。あるいは輸送の問題もあります。そういう点は、運輸大臣としてどういうふうに考えられてこの成田の空港というものを今後やっていかれるというのか、まずその点ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  181. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まあお話しのように総理大臣もかわったし、運輸大臣はさらに大ぜいかわった。こういうことがよかったか悪かったか、一貫していいことのみ行われればいいんでございますけれども、一貫したけれども、一向にうまくいかなかったということでもまずいんで、いろいろやっているうちに福永健司もあらわれてきたというようなことかもしれませんが、これは私もずいぶん各方面からいろんな批判を受けております。それはそのいろいろしかられてもそれを苦にするものではございません。だれかが何かしなきゃいけない。いま幸いに幾らか御理解ある言葉をいただいて大変幸せに思うわけでございますが、私はただいまお話がございましたように、私なりのことをやっておりますが、こういうことは姿勢を崩すなと、こういうお話でございました。これからいろんなこともございましょうし、いつでも同じことではもちろんいけませんけれども、率直に申しまして私は私の信念を貫いてまいりたいと、こういうように考えております。これも誠心誠意そういうことでありたいと、こういうように考えております。具体的にパイプラインの問題だとか、あるいは騒音の問題だとか第二期工事の問題、さらに輸送の問題等についても言及されました。いずれもなかなかめんどうな事情にありますが、これらを急いでなるほどというところへ持っていきたいと、そういうように考えておりますし、問題によりましては対話をするような姿勢の中から結論を見出す必要のあることもございます。したがって、腹の中には考えておりましても、もう少し機の熟するを見てというか、表向きであろうとなかろうと気持ちが通じ合った上で進めたいということも若干ございます。そこで、そういうようなことについては、おおむねもうやってもよさそうじゃないかというんでじれったい感じを持たれておられる方々等もございます。私自身もそういう感じもないではございませんが、いずれにいたしましてもそういうことを、私もわりあいに、余り慎重な方でないんで、物事はてきぱき進めたい方でございます。なかなかそういうわけにもいかぬこと等もございまして、それらのことをよく考えつつ進めたいと思います。何としましても長い間のことでございますし、先ほど川島正次郎、中村寅太両氏の例をお挙げになりました。どちらも友人でございますが、これはどっちがどっちとも言えぬと思うんでございますけれども、後でいろんなことがいい意味で話題に出るのはいいが、後でまずいということで例に挙げられるようなことであってはいかぬと思います。私もまあ将来になるとぼろくそに言われるかどうかわかりませんけれども、一生懸命にやってまいりたいと思いますので、どうぞいままでも大変御心労を煩わして恐縮に存じますが、何かと御助言、御鞭撻等を賜りたいと存ずる次第でございます。
  182. 山崎昇

    ○山崎昇君 これ以上言いませんが、ただ私、心配は、あなたが運輸大臣の間はしんぼう強く話をしようと、こうなるかもしれません。しかし、これはいずれまた明らかにしますが、いまの内閣というのはもう大臣の粗製乱造でして、一年もたてば人心一新なんていうことでまたかわっちゃう。あなたがかわっちまうというとまた違ったやり方になると、これは当然ですが、私はできればやっぱり内閣としてきちんとした方針を持って最後までこういう問題についてはこの処理をしていってもらいたい。そういう意味では、あなたの運輸大臣のときに少なくともだれがどうかわろうとも、内閣としてそういう方針でいくんだということぐらいはこの機会にひとつ確立をしておいてほしいということだけ要望しておきたいと思います。  それから、最後にもう一点あなたに聞いておきたいんですが、実は私の手元に旭川管理局が計画している貨物の集約合理化ということで、大変、反対の電報がいっぱい来ます。いま私のところに来ている電報は紋別商工会議所会頭、農業協同組合長、紋別市長、紋別市議会議長、この連名で来ておるわけですが、また本人はおいでになる、そのほかも関係者がおいでになります。そういう意味で、こういうものを一方的にあなた方やろうとするのか、計画は計画だが、この地域住民の電報を見ますと、企業の存亡にもかかわる、こういうようなことも述べられておりまして、私は単に労働者が合理化で首切られるなんていう問題じゃありませんで、自治体から言うならば、地域の産業にかかわってくる、そういう意味で言うならばひとつこの点は再検討されるのかどうか、この機会にこの点だけお聞きをして、私の時間参りましたから質問を終えておきたいと思うのです。
  183. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 貨物の集約合理化につきましは、一方において国鉄がどうも赤字が出てしようがないから何とかもう少し赤字を減らすことをと、こういう要請が当然にございます。これはこれなりに意味があると思いますが、国鉄が急遽赤字をなくしてというようにはなかなかいかないので、これまた非常にじれったい話ではございますけれども、相当期間がかかろうと思います。ことに貨物集約等につきましては、全国的にもそういうことをやっておりますが、北海道あたりではこれを集約いたしますと、そうでなくても人口が比較的少ない、したがって駅と駅との間が長かったと、そういうような情勢のところで貨物についてこれをまたうんと遠くまで一カ所に集めるというようなこと。なるほど赤字を出さないという見地からは、それはそれなりの考えではございましょうが、国鉄というのは一面において国民全体から非常に重宝がられ、愛され、信頼されるという存在にならなければならぬ。そういう意味においては、少なくとも合理化ということと部分的には必ずしも一致しないところがあると思います。  そこで、私も北海道の問題等については、私自身も伺っておりまして、ただいまもお話しのように赤字を少なくすることだけでというわけにもいかぬと思います。国鉄というものの性格上国民全体の国鉄である、こういう観点から、できるだけ赤字は出さぬようにしてはもらいたいが、同時に国民の多くの人々から、まあまあだと言って喜んでいただけるようなことにもしなきゃならぬと思いますので、私はあれは最終的なものと必ずしも考えていないわけでございまして、いま皆さんに案を示してお話もしていると。なるたけあれでやりたいということには違いありません。なお、私といたしましては、先生からいまお話がありましたことによりまして国鉄とも話してみます。きょう国鉄が来ておりますから一緒にお答えさせます。私の前で何と言いますか、どうぞひとつお聞きになった上で、その上で私も申し上げることにいたします。
  184. 山崎昇

    ○山崎昇君 じゃ国鉄答えてください。来てないでしょう。  なかなか、これはあなたの答弁政治的でしてね、頭だかしっぽだかちょっと私も理解に苦しむんだけれども赤字という点からだけは判断いたしません、それから最終的なものとは考えておりませんと、こういうものをつないで判断しますと、一応の案は出したが、これは地元の影響度、地元との協議等々十分考えてやりますと、こうなると思うんです。場合によりましてはこれはやらない場合もありますと、こういうふうに私きょう理解をしておきたいと思うんですが、いいですか。
  185. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほども申し上げました中に、そういう考えで私はおりますが、国鉄の方ではなるたけ自分が示したようにしていただきたいという気持ちでお聞きしておるだろうと思いますと、こう申しました。そうだろうと思うんですが、そこで、国鉄もお答えすれば両方聞いていただけば何とかまあまあそうかと御理解願えると思ったのでございますが、いずれにいたしましても、国鉄の問題もこれはもうなかなか頭の痛い問題で、私の所管いたしますものは大体そういうものばっかり集まっておるようなわけでございますが、どうせ私もそう長くやるとは必ずしも考えておりませんが、だから、いる間は何かうまくどうにかやればといった、そういうつもりではおりません。私ももうすでに三十年余も国会におりますし、やめたらやめたで、その立場で自分がかつてしたことについて責任を感じつつその後も協力するということでなければならぬと思っておりますので、十六、七人おったら十六、七分の一だけであってはならぬと私は考えております。したがって、ただいま御指摘の点等につきましては、もちろん現在は責任者でございますからお気持ちのほどを国鉄にもよく伝えて検討をいたします。それはまあやめたときのことまでどうかですけれども、やめたって、やめたから全然そういうことに役に立たぬということではないし、そうであってはならぬと私考えております。せいぜい努力をいたしたいと存じます。
  186. 山崎昇

    ○山崎昇君 もう大変、決意のようなそうでもないような、なかなか微妙な発言されるんですが、かつてやっぱり三Kといって、国鉄と健保と米価というのはなかなかむずかしい問題であることは私も承知しています。しかし、少なくとも地域の存亡にかかわるなんということになってまいりますと、これは大変なことでありますから、きょうは国鉄呼んでおりませんが、監督する運輸大臣の方から、この問題については地域の住民の意向が実現できるようにひとつ御努力いただくことを重ねて要望して私の質問を終わります。
  187. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 運輸大臣退席いただいていいようでございます。
  188. 野田哲

    ○野田哲君 まず最初に一つだけ、人事院の給与局長は見えておりますか。——これは給与局長の直接の所管事項ではないと思うんですが、また人事院の直接の問題ではないんですが、情報として承知をされていると思うので伺っておきたいと思うんですが、人事院に長くおられたあなたの大先輩の尾崎さんが、たしか四月ごろであったと思うんですが、公務員の共済年金制度の問題、あるいは定年制度の問題等について何か提言を出されたというような報道を見たわけですが、承知されておればその内容をちょっと説明してもらいたいんです。
  189. 角野幸三郎

    政府委員角野幸三郎君) 四月ごろでございますが、日経新聞だと記憶いたしておりますが、いま先生お話しの、そういう年金制度を含む定年制の将来、それに伴う給与問題、生活保障問題という観点で記事がございまして、それについて、六月ごろというように記憶いたしておりますが、提言をするというように新聞は伝えておりました。で、現在までのところと申しますか、そういう提言は全然まだ受けておりません。ただ、大変個人的な、情報といいますよりも個人的なことを申し上げるようでございますが、いつどういう提言をするというような具体的なお話は、個人的にもまだ伺ってはおりません。
  190. 野田哲

    ○野田哲君 新聞に出た限りでは、あれはたしか年金の支給を六十五歳からスタートさせる、そこへ至るまでの公務員の身分をどう扱っていくか、給与をどう扱っていくか、そんな内容のようであったと思うんですが、大体局長承知されておるのもそういうことですか。
  191. 角野幸三郎

    政府委員角野幸三郎君) そのとおりでございます。
  192. 野田哲

    ○野田哲君 いまその日経新聞を私もここには持っておりませんが、日経新聞の報道では、尾崎さんのやっておられる仕事、これは直接人事院とはかかわりはないんだけれども、なかなか重要な問題であるし、そして人事院として直接物の言いにくいような点を尾崎さんの方で提言というような形で世間に発表して、年金問題あるいは定年制問題、そして公務員の給与の見直し等の問題について、一つの条件づくりをしていくような役割りをあの提言によって果たしていくということで、実際はあなた方の方とあうんの呼吸を持ってああいう形で尾崎さんの方から提言をされる、こういうようなニュアンスを私は感じたわけですけれども、その辺はいかがですか。
  193. 角野幸三郎

    政府委員角野幸三郎君) 大変うがった御意見を伺っておりますが、尾崎元給与局長につきましては、いわば給与局長と申しますよりも給与の専門家でございまして、したがいまして、給与局長あるいは事務総長を卒業なさってからもその辺について一家言のある方であることは間違いないと思います。ところで、現在高齢化といいますか、平均寿命の延び、それから、民間を含む全体の高齢化という中で、大変その辺が今日的問題になっておるということも事実でございます。現在尾崎さんがおやりになっております研究所は、そういう意味で今日的問題に対して、公務員といいますよりも官民を含めた全体の問題点に対する一つのアプローチということでおやりになっているんだと私は思っております。もちろん私どもは、たとえば定年制あるいは年金、そのつなぎ方、先ほど来議論がございましたような支給開始年齢との間隙の問題とか、いろんなことが全部やはり官民を通じての大変今日的な問題であろうと思っておりますが、それについて、現在私どもも、公務員のものをどうするかということで検討しておる最中でございまして、それにつきましては、何も尾崎さんのところのということではありませんで、いろんな方の御意見を伺っておりますが、したがいまして、そういう関係といいますか、感覚で耳にしておるということでございまして、いま先生お話しのように、こちらで打ち出しにくいものをサウンドするというような、そういうやましいところは全然ございませんので御了解いただきたいと思います。
  194. 野田哲

    ○野田哲君 もう結構です。  大蔵省に伺いますが、いま国会でいろいろな角度で議論をされ審議をされている行政機構改革の問題について、昨年の十二月二十三日だったかと思うんですが、閣議決定がされているわけですが、大蔵省にかかわる問題、特に大蔵省の地方機関にかかわる問題については、どういう内容のもので、現在それをどういうふうに大蔵省では取り扱っておられるか、この点をまず伺いたいと思います。
  195. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) お答え申し上げます。  大蔵省地方支分部局といたしましては、まず五十三年度に一財務部を整理いたします。それから、なおもう一つの財務部を整理するというのが一つ閣議決定になっております。それから出張所につきましては、五十三年度以降五カ年の間に現在ある出張所の三割、五カ所の出張所を整理するということが閣議決定になっておりまして、この決定に基づきまして、いま実行案を検討しておるところでございます。
  196. 野田哲

    ○野田哲君 いまの説明による一財務部を廃止をすると、こういう問題については検討中ということであるわけですが、実際はこれは北海道の小樽の財務部を廃止をするということ、これがかなりもうコンクリートされていると、こういうふうに聞いているわけですが、現在その点はどこまでの作業が進んでいるわけですか。
  197. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 先ほどお答えいたしましたのは、全体について実行案を検討中と申し上げたわけでございますが、五十三年度に廃止する一つの財務部につきましては、ほぼ私どもといたしましては北海道の小樽の財務部を廃止いたしたいというふうに考えて具体的な検討を進めております。
  198. 野田哲

    ○野田哲君 小樽の財務部廃止という意向については、組合の方、私も北海道行政機構改革の問題調査に行ったときに話を承ったわけですが、組合との交渉で、住民の納得を得た上でというような意味のことを当局の方では答えておられるというふうに聞いたわけですが、そういう理解でいいわけですか。
  199. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 地方に所在いたします財務部を一つ廃止するという問題につきましては、これはまあ当然いろいろと派生する、生ずる問題がございます。一番私どもが考えますのは、地域住民に対するサービスが低下するおそれをできるだけ少なくしなくてはいけないという観点を最も大事な観点として取り組んでおるわけでございます。したがいまして、当然小樽財務部管内の、いろいろ地方公共団体とか金融機関とか、そういうところには十分にお話をいたしまして、この行革の趣旨を御理解願って、私どもといたしましては事を進めていきたいというふうに考えておりまして、現在そういうふうな努力を続けておるところでございます。
  200. 野田哲

    ○野田哲君 あなたの方の言う地域住民の納得をというのは、これは具体的に言えばどういうことなんですか。この財務部と直接かかわり合いのある関係機関あるいは諸団体、これが直接のあれだし、それから、大体この行政機関で地域住民の意向の反映として受け取れるのは、市町村長あるいは市町村の議会の動向、こういうもので代表されると思うんですが、大蔵省の方では、地域住民の納得が得られるという形はどういう形が整えば納得が得られたと、こういうふうな判断をするわけですか。
  201. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) ただいま先生がお話しいただいたと全く同じような私ども考え方でおりまして、ただいまもっぱら接触いたしておりますのは、小樽市を初めとする市長、それから市の議会の議長さん、それから町村それぞれの長、それから議会の長、そういう方々からいろいろ陳情も受けております。で、そういう接触をしたり、こちらからも出かけていきましてお話をしておりますけれども、まずそういう方面方々に御理解を得ることが先決でございまして、また、そういう議会にございましては、当然住民の方々の御意思もそこに反映されるものと思っておりまして、そういう形を通しまして努力をいたしたいと思っております。
  202. 野田哲

    ○野田哲君 小樽の財務部の管内というのは、これはいわゆる北海道の道庁の機構上の管轄から言えば、後志というところに該当するんじゃないかと思うんですが、大体そういう理解でいいんですか。
  203. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 結構だと思います。
  204. 野田哲

    ○野田哲君 そこは地方公共団体、まあ市町村の数は幾つあるわけですか。
  205. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 私どもがつかんでおりますのでは二十カ所だと考えております。市町村でございます。
  206. 野田哲

    ○野田哲君 私の承知をしているところでは、まず、直接の所在地にある小樽の議会でも存続の要望が決議をされている、さらに管内の十九カ町村の議会で存続の要望の決議がされている、こういうことになると、いま言われた二十市町村というのは、つまり全部の市町村、管内全部の市町村で存続の要望がされている、決議がされている、こういうふうに理解をされるわけですが、あなたの方にそれぞれのそういう管内の市町村あるいは議会等からは、そういう形で要望がされているということは承知をされているわけですか。
  207. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) それぞれの市長あるいは市議会、町村議長の方々から陳情がこれまでございまして、その陳情となっておりますのは、やはりそれぞれの議会で議決をなされたことに基づく陳情でございます。数字を申し上げますと、ただいままでのところ大蔵大臣あてに八通、事務次官あてに二通、官房長あてに一通というふうなものが参っております。
  208. 野田哲

    ○野田哲君 まあ書面が届いておるのはいまお話があったわけですが、私の承知しておるところでは、この小樽市、それから十九カ町村すべての議会で存続の決議がされている、こういうふうに聞いているわけですし、それから、管内の信用金庫についてもそれぞれの信用金庫から存続の要望がされている、こういうふうに聞いているわけですが、状況としてはそれに間違いありませんか。
  209. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 私どもいまつかんでいる情報では、先生おっしゃったすべてのところで反対決議が行われたということを情報としてちょっと正確にはつかんでおりません。陳情書で承っていることの基礎となっているという、そういう反対の決議という点では承知いたしておりますが、すべてということにはちょっと承知しておりません。
  210. 野田哲

    ○野田哲君 信用金庫はどうですか。
  211. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) 信用金庫につきましては、直接私どもの方にはそういう陳情はいただいておりません。
  212. 野田哲

    ○野田哲君 これは一遍現地の方へ照会をしてみてください。たしかそういうことになっていると思うんです。そういう状況にあるということは、つまり、いま地方課長の言われた地域住民の納得を得るという状況には至っていないというふうに判断をしてもいいと思うのです。  それで問題は、大蔵省としてこれらの関係機関、関係諸団体が納得を得られるようにこれからもやっていこうとされるのか、あるいは適当なところで見切り発車をするのではないかという懸念もあるわけですけれども、先ほど来の課長答弁からすれば、私は見切り発車という形はない、合意が得られるようにこれからも努めていくと、こういうふうに承ったわけですが、これは大蔵大臣に聞きたいと思うんですがね、見切り発車はないでしょうね、いかがですか。
  213. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 行政改革につきましては、もう御案内のように、各国民からできるだけやはり簡素化を図るべきであるということでございまして、内閣の一つの大きな柱として取り上げたわけでございます。大蔵省につきましては、いま財務部の廃止という問題がございまして、全国いろいろ決まりました方針について検討をいたしたのでございますが、いろいろの角度から申しまして、やはり小樽あたりが一番影響度が少ないんではなかろうかということになりまして、目下地元関係の説得を精力的にやっておるところでございます。この種のことは、もういつでもそうでございますけれども、設けるときはそれほどではございませんけれども、一たび廃止するということになりますとこれはまあどこでも大変な問題を起こすことはよく承知いたしておるのでございます。私たちはそういう意味で、いま現地の局長その他が何遍も足を運びまして、関係の機関行政改革でこういうやむを得ないということ、それからできるだけ不便をおかけしないという意味で事実上出張所を設けようと、そして、それによりまして従来の機能が落ちないようにと、こういうことを考えておるわけでございますので、私は何らかの形で、最後には、賛成はできないけれどもやむを得ないというところまで何とか持っていきたいものだと、こう思っていまやっているところでございます。したがいまして、私たちは最後には何らかの意味で、消極的な意味でも御理解をいただくところまでこぎつけたいと、こういうことを考えているのでございまして、いま見切り発車をするとかしないとか、そういうことをいま考えている段階でございませんで、全力を挙げているというふうに御理解賜ればありがたいと思います。
  214. 野田哲

    ○野田哲君 いろいろ検討されて小樽に白羽の矢が立てられたということですが、これは大蔵大臣ね、今度の行政機構改革の問題は、小樽の財務部の問題だけで判断をしてはいけないと思うんです。いま北海道行政にいろいろかかわりを持ち、あるいは関心を持っている北海道でどういう議論がされているかと言えば、なぜ北海道だけ集中的にねらわれなければいけないのか、こういう議論がされているんです。この後の、けさほど来提案趣旨説明のあった農林省設置法についてもそうなんです。あそこに農林省の文書課長も見えておりますが、とにかく北海道営林局を四つつぶすということになっています。これから審議をする行政管理庁の場合にも北海道に集中をしているわけです。大蔵省の場合も北海道に集中をしている。北海道だけが集中的になっているわけです。その北海道がなぜそういう形になるか、これは結局は北海道というところが、行政区分ではいわゆる道府県という形であの広い面積の地域が一つの都道府県の区域になっている、道の区域になっている。そういうことから、北海道の中に幾つもあるのは多過ぎるではないか、こういうことで単純にそこにメスが入れられている。しかし、これは地図で見てもはっきりしておるように、北海道の面積というのはこれは九州よりも広い面積になっているわけです。人口からいっても小さい県を五つ六つ合わしたぐらいの人口規模になっているんですから、したがって、そこには一つの県に一カ所設置をしてある国の機関が、五つあるいは六つあったって、人口割りからいっても面積割りからいってもちっとも不自然ではないわけなんです。それを単に北海道は一つの道だということで都道府県の一単位として扱われて、単純に扱われているところに私は問題があるんじゃないか、こういうふうに考えているんです。その点、全体の行政機構改革の問題としても私はやはり少し政府の扱いは粗雑過ぎはしないか、こういうふうに感じているんですが、その点はいかがですか。
  215. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 農林省、それから行政管理庁の話は私は知りません。事財務部に関してだけ申し上げますと、全国にわたって検討いたしたのでございますが、やはり何といっても私は距離の問題が一番大事な問題ではないであろうかと思うわけでございます。まあ人口その他で申しますとほかのところよりも小樽の方が大きいということもございますけれども、何といっても地元の人の利便ということを考えますと、そのかわりにどこに行くのかという問題が最大の問題だと思っているのでございまして、その意味から申しますと、たまたま札幌と小樽の間は非常に交通の便がよろしゅうございますし、所要時間を見ましてもまあごしんぼう願えるんじゃなかろうか。特に出張所を設けるとすれば、日常の事務は片づくわけでございますので、よほど大きな、県債についての許可事務であるとか、こういった大きな問題というものはそうしばしばはないわけでございますので、小樽を対象にした場合は公平に見て一番不便のかけ方が少ないんじゃないだろうか、こんな観点でやっているわけでございます。いずれにいたしましても、何らかの形で出張所等を設けまして、地元の方々に従来に比べて不便がないように最善の努力を図ってまいりたい、かようないまつもりでおるわけでございます。
  216. 野田哲

    ○野田哲君 距離が近いということは、たまたま札幌と小樽というのが近いということであって、所管をしている管内ということになれば、これは札幌と小樽とが距離が近いということとは別個の問題なんです。距離が近いからということになればほかにもいっぱいそういうところはあるわけですね。県庁所在地と県庁所在地が非常に近いところは幾つもあるわけです。東京と横浜、あるいは東京と浦和というふうに、距離だけで物差しにすればそういうふうな類似のところはもっとほかにもたくさんあるわけです。問題は、いま大蔵大臣も言われましたけれども、見切り発車するとかしないとか、いま結論を出す段階ではないというふうな意味のことを言われたわけですが、いずれにしても地方課長が言われたように、行政機関としては住民の利便を図るというのが最大の任務でありますし、そして管内の市町村、あるいは信用金庫などすべてがこぞってこの存続を要望している、こういうことでありますし、大蔵大臣は、後は出張所を設けて実際は変わりないようにするんだというふうなことを言われているんだけれども、この出張所がまたこれから数を減らしていくと、こういう計画があるわけでありますから、先先の保証はないわけでありますから、そういう点からすれば、何回も繰り返すようでありますが、途中で関係諸団体、住民の理解の得られないままに見切り発車をしてしまう、こういうことのないようにぜひこの問題については要望をしておきたいと思いますが、いかがですか。
  217. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 御趣旨の点を十分承りまして最善の努力をいたしたいと思っております。
  218. 野田哲

    ○野田哲君 次に、また大蔵大臣に伺いますけれども、村山大蔵大臣は、毎年暮れに、あるいは年によっては年を越すこともあるんですが、予算の内示が各省に行われるこの段階で、大体普通は暮れの押し迫った時期なんでありますが、場合によってはもう正月早々ということもあるんですが、そういう大変な時期に、毎年毎年、年金の受給者の方々が東京へたくさん、寒空で復活要求の陳情に来られて、毎年毎年大変な苦労をされている今日までの状態というのを承知をされておりますか。
  219. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私も前の大蔵大臣でありませんとき、ずいぶん大ぜいの方々から陳情を受けておりますのでよく承知しております。
  220. 野田哲

    ○野田哲君 結局、問題は、恩給にしても共済年金にしても、公務員の給与改定にスライドする、こういう原則がある。その原則を大蔵省が内示の段階で削減をするところに、やはりそういう年金受給者、お年寄りの方たちの、毎年暮れに東京まで陳情に出てこなければならないという状態が続いているわけなんです。で、準じるということになれば、これは率だけを準じても、実施時期が準じてなければ準じたことにはならないわけなんです。そういう意味からすれば、昨年初めて四月からということで、これで受給者の方たちはほっと一安心をされたわけですが、去年の暮れになってみると、また、五十二年度で四月実施した減税との見合いのあれは特例だということで、またまた大蔵省の手によって赤鉛筆で落とされた、まだ昨年の暮れに陳情に来られていろいろ折衝の結果やっと四月でおさまった、こういう経過になっているんですが、二年続いたわけですから、もうことしの暮れには村山大蔵大臣、そういうことはないでしょうね、いかがですか。
  221. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 先生に御指摘をちょうだいいたしましたが、一般的に申しまして、私ども予算を編成いたしまして、そして最後の政府原案にまで持ってまいりますまでには、政府部内におきましていろいろ調整をやはりせざるを得ないことが多うございます。   〔委員長退席理事林道着席〕 いま先生からお話がございました恩給なり共済の改善の実施時期の問題でございますが、この改善時期は、御承知のとおり五十一年度は七月から行うとなりまして、五十二年度政府の案では六月でありましたものが修正で四月ということになったわけでございます。この年額改定の実施時期については、昨年が四月だったのでことしも四月からやればいいじゃないかという御指摘がございますが、いろいろ恩給その他の面におきましても、単に年額改定の実施時期ということだけでなく七、いろいろそれ以外に恩給等におきましても改善の内容、いろいろ御要求がございます。そういうもの等全体を見ながら最終的に政府原案を決定しなくてはならないと、こういう立場にもあるものでございますので、おしかりをちょうだいしたような、私どもの一番初めの内示は六月でいかがであろうかということをしたわけでございますが、政府といたしましては最終的に四月ということでいこうということになったわけでございますので、ひとつ最後に決まりましたその政府原案、それをもとに御了承願いたいと、かように考えております。
  222. 野田哲

    ○野田哲君 最後決まったのは無論政府原案ですけれども、私が言いたいのは、年金受給者がポケットマネーを使って何で毎年毎年東京へ大ぜいの方々が見えて、事情のわからない東京で恩給局へ行ったり大蔵省へ行ったりして御苦労かけなければいけないのかということなんですよ。もう恩給とか共済年金とか改善の具体的な内容は、それはいろいろ大蔵省でも全体の見地から検討されるでしょうけれども、公務員の給与改定にスライドするという原則、つまりいつから恩給あるいは共済年金の額を改定するかというこの問題については、私はもうここで二年続いて四月からということになったんだから、ことしの暮れに行われる来年度の予算編成の中では、この点についてはもう年金受給者の方が安心しておられるような答えが出てもいいんじゃないかと思うんですが、これは次長の答えよりも、大蔵大臣の私は政治的な判断の問題だと思うんですが、大臣いかがですか。
  223. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃるように、何しろ財政当局でございますからあれでございますが、一般論で申しますれば、もう二年続けて実施になったわけでございますので、そう変更することはまず普通は考えられないのではなかろうかと、これは私は個人的の立場でそう考えておるのでございます。財政当局でございますので、何分にも財源問題という大きな枠はございますけれども、全体との関連でございますけれども、やはりある程度定着したのではなかろうかと、こう思っておるのでございます。
  224. 野田哲

    ○野田哲君 これは村山大蔵大臣ね、私はここで——ここは参議院の内閣委員会で、大蔵大臣として出席されているわけですが、あなたの個人的な見解を承っても何の意味もないんで、これは大蔵大臣としてもう一回、その扱いは定着させるということで答えていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  225. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 大蔵大臣としても大体定着したのではないかと、そのように考えております。
  226. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ食い足りないんだけれどもいいです。  それからもう一つ、実は準じるという方式について、公務員の給与に準じると、スライドするという方式について見解を承りたいと思うんですが、毎年公務員に対する人事院の勧告の率がよりどころになっているんですが、公務員の場合は、昨年の約七%にしても、年間を通じてはその七%は十七カ月分にほぼなっているわけなんです。期末勤勉手当、夏の手当、年末の手当、年度末、合わせて十七カ月分が支給されているわけなんですね。年金受給者の場合には十二カ月分ですから、これは厳密に言えば準じているというふうには言えないと思うんです。で、端的に言えば、準じ方について公務員の年間の所得のアップ率、これを対象にするという方向の検討はされる意思はありませんか。
  227. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 共済年金のスライドは、御指摘のとおり現在本俸の改善率、その指標を用いているわけでございます。こういうふうに本俸の改善率だけを取り上げてその指標といたしておりますのは、現在の制度で給付されるべき共済年金の計算というものは、退職時に前一年間の平均の本俸というものを実は基準にいたしております。それから第二点と申しますか、掛金の率の計算も実はそういうボーナス等入れてない本俸の額、これを基準にして計算をいたしておるわけでございます。全体から申しまして、年金の計算体系が本俸をもとにしてやっておるわけでございますので、そういう現行体系の中で、ボーナス分を支給の面だけで加味するとかというふうなことに相なりますと、保険修理の上から成り立たないような状態に相なってくるわけでございますので、現在私どもそれを変えるという気持ちは持っておりません。
  228. 野田哲

    ○野田哲君 それは現行制度は私も承知をしておりますし、数理の立て方も承知をしているんです。あなたの方も、この年金の問題で私がこういう質問をすればいまのような答えが返ってくるんですが、時と場合によっていろいろ使い分けをされているわけですね。たとえば掛金についても、健保の場合においては、手当からも掛金を対象にするようなこともあなた方の方では考えておられるわけです。これは政策の問題として現行制度の私は説明を求めたんじゃないんです。今後の問題として、特に私は昨年の場合にも、ここで人事院あるいは労働省の政府委員の方にも出席を求めて最近の勤労者の給与のあり方、傾向等についても私の見解を述べ、政府の方で調査をされている状況についての報告も受けたわけですが、最近の状態を見ると、ことしの春闘の妥結の状態を見ても、あるいは民間企業の状態を見ても、いわゆる本俸、基準内賃金というのをできるだけ据え置いて、そして一時金等の手当によってカバーをしていく、そういう傾向がずっと顕著になってきているわけなんです。これは当然人事院の民間給与実態調査を受けて公務員の給与体系にも反映をしているんです。公務員の場合を考えてみても、昭和三十年代の公務員の給与の状態を見ると皆さんもおわかりだと思うんですね。大体、夏冬合わせて年間二カ月分ぐらいしかないような状態のころがあったわけです。そういう状態からすれば、いまは約年間五カ月、こういう形で年間所得に占める夏期手当とか年末手当、いわゆるボーナス部分の比率というのが非常に高まってきておるし、これからも高まっていく傾向にあるわけなんです。そういう傾向がずっと進んでいけば、いまの制度によって退職時の本俸だけを基礎にして公務員の本俸のアップ率に準ずるということでは不合理が出てくるんじゃないか。いわゆる在職中と、それから年金を受けるようになったときとの間の格差というものがもっともっと大きくなっていく傾向になっていくんじゃないか。そういう民間の給与の中に占める手当の比率がだんだん増大をしていくという傾向について、やはり年金の体系についても再検討をしていく時期にきているのではないか、そういう立場から私は指摘をしているわけなんで、そういう検討は全然必要ないと考えておられますか、大蔵省の方では。
  229. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 私どもの所管いたしております国家公務員共済組合について考えますと、本俸というものを基準としてやっております現在の体系で特段の支障といいますか、というふうなものはないかと現在考えております。ただ、これから将来の問題といたしまして、公務員の給与の形態が、その本俸の部分あるいは諸手当の部分あるいはボーナス、そういうものが非常に大きく変動をしてくるというふうな事態に相なりましたような場合には、現在のやり方だけでいいのかどうか、これは掛金の問題もひっくるめまして総体的に検討をしなくちゃならないことがあるいはあるかもしらぬと、こういう感じはいたしますけれども、少なくとも国家公務員につきまして現在の本俸基準ということで、特に現段階で支障を来しておるとは考えておりません。で、長い将来の問題として、給与の体系が著しく変わってくるというふうな場合には、掛金、いわゆる拠出と、それから給付という間にどのようなバランスをとらせながらやっていくのか、それからまた退職年次による格差が生じないようにどういう工夫が必要なのかとかいうふうなこともあわせ考えながら検討をする必要があろうかと、かように考えております。
  230. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ伺いたいと思うのですが、年金については、恩給についてもそうだし、共済年金についてもそうなんですが、四半期ごとの後払いという形態をとっておられますね。つまり三カ月経過してこれを後払いする。これは今日の状況の中では、これが私は妥当な措置とはどうしても思えないわけです。仮に現職の公務員や働いているいまの勤労者に賃金を三カ月固めて後払いだというようなことを言ったら、これは日本国じゅうストライキが起きます。年金受給者だけが三カ月固めて、三カ月ごとに後払いという制度がずっと続いて、何回かこれは恩給や共済年金審議の際にも指摘をされているのですが、これはもう少し改善の余地はありませんか。
  231. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 最近年金が逐次充実してまいりまして、確かに国民の老後の所得保障という点で非常に重要な地位を占めてきておることは事実でございます。それとの関連におきまして、私どもも現在年四回の支払いをもう少し回数をふやしてくれないか、できれば毎月支払いをしてくれないかという御要望があることは、実は承っております。この点につきまして、私ども、あるいは共済組合あるいは連合会でもいろいろふえておりますその事務処理、それを円滑に行うために機械化を行うとか、各種の合理化を図ってきておるわけでございますが、何分にも年金新規の裁定事務とか、あるいは毎年の改定事務、それから支払い事務というものがございまして、それに実は追われておるというのが現在の状況でございます。そういう現在追われております事務をできるだけ迅速化し、誤りなきを期していくということで、年金受給者のサービスに努力しておるところでございます。これを年四回を六回とか八回とか、あるいは十二回とかいう支払いに改めるということに相なりますと、これは大変な事務処理能力の膨大な拡大が必要でございますし、それから他の厚生年金国民年金等でも、いま現在年四回の支払いということでやってきておりまして、そのバランスもございます。厚生年金等におきましては、あるいは国民年金等におきましても、年年受給者の数が百万人もふえていくと、こういう中で、その円滑な処理に実は追われているようなわけでございます。何とかその年金受給者に御不便をおかけしないようにと思って、厚生省初め私どもも一生懸命実は努力をして、コンピューター化とか、いろいろかなりの費用を投じて、その不便あるいは間違いの解消に努めておるような次第でございます。そういう中で、共済年金だけ一気にそのバランスを無視して、しかも大変な人員と金とをかけましてこれを毎月払いというふうに持っていくというのはなかなか実際上困難でございます。私ども共済組合の関係につきましても、他の公的年金とのバランスは十分考えながら、少なくともそれにおくれはとらないように、全体のバランスを考えながらできるだけ改善の方向には持ってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  232. 野田哲

    ○野田哲君 しきりに他の年金とのバランスということを気にしておられるようですけれども、それは各種年金すべてが、もっとこの支払い方法が、いままで三カ月ごとにというのが二カ月ごとにとか、一歩でも前に出ればいいわけですけれども、そうはできないところがあるからほかとのバランスでこういうふうにしておくんだということでは、私はこれは生きた政治、国民に対する行政としては受けとめられないんです。だから、改善することによって、できる部分からでもやはり一歩ずつでも前に出ていくという、そういうもっと血の通った、特に年金受給者ですから、そのことを退職した後生活の大きなよりどころにしておられる方たちのことですから、これはぜひ具体的な方法について検討をしていただきたいと思うんですが、大蔵大臣いかがですか、その点は。
  233. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃることはよくわかります。やはり毎月もらった方が確かに安定しますし、特に年金受給者でございますのでそのことは大事なことだと思いますが、実際問題といたしまして、大変な事務量と恐らく人員の大変な増加を必要とするんじゃないかと思いますので、その御趣旨の点を踏まえまして将来に向かって検討してみたい、かように思いますが、なかなかそう簡単なことではないなという感じがいたしておるのでございます。検討はさしていただきます。
  234. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ、これは行政機構の問題で大蔵大臣に伺いたいんですが、国家公務員の共済年金の業務、これはどうしても大蔵省でやっていく必要がありますか、どうですか。
  235. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これはまあ言ってみますと、大蔵省と申しますか、財政当局としてやっているというよりも、大蔵省の所管としていまやっているわけでございます。そういう意味で申しますれば、地方公務員につきましてちょうど自治省がやっていると同じような意味の所管省としてやっているわけでございます。従来からいろいろわれわれは国会の議論も拝聴しているわけでございますが、恩給局との関係が種々出てくるわけでございますが、御案内のように、恩給の方は長期給付だけの問題でございますし、そして国家公務員の方は短期給付、医療も、またその他の福祉関係含んでいるわけでございます。そういう意味で、ちょうどいま現行の制度で言いますと、恩給並びのものと厚生年金並びのものと両方入るわけでございます。その他地方公務員との関係あるいは公共企業体との関係等がございますので、私はやはりいまの大蔵省が所管省として、いろんな問題を扱うときには、口はばったい話ですけれども不都合はないんじゃなかろうか、むしろ一番検討しやすい立場にあるんじゃなかろうか、こういうふうにいま考えているところでございます。   〔理事林道退席委員長着席
  236. 野田哲

    ○野田哲君 恩給局との関係というふうな話も出たんですが、まず総理府に人事局があって、現職の公務員の給与とか、退職金とか、こういう問題を扱っている。公共企業体、三公社の退職金も総理府の人事局で扱っている。それから、共済年金以前の恩給については恩給局で扱っている。共済年金については大蔵省で扱っている。こういう形で、公務員の給与、退職金、年金、それぞれいろんな沿革があるんだと思うのですけれども、いろんな個所で扱っておられるんですが、これは行く行くは、将来的にはやはり総合的に扱っていく、こういう形が行政機構のあり方としても私はいいんではないかというふうに思うわけなんです。この点はここでこれ以上のことは申しませんが、行政管理庁の法案審議の際にも、この問題もあわせてひとつ議論をしていきたいと思うんですが、やはりそういうところに行政の、いろんな理屈はついておりますけれども、しょせんは国民の目から見ればなわ張り意識というものが目に映るわけなんで、こういう点はやはりいままでの沿革等にそうこだわらずに、一元的に給与、退職金、年金、こういう形で扱っていくという方法についても私はやはり思い切った検討が必要なんじゃないかと思うので、これは意見として述べて、私の質問を終わりたいと思います。
  237. 和泉照雄

    和泉照雄君 私は、今回提案をされておる国家公務員の共済組合等の年金改定に関連をして、大蔵大臣にまずお聞きをいたしますが、共済年金は、五十一年以来現職公務員の給与改善傾向分析をした、その結果に基づいて引き上げを行う方法がとられておることは御承知のとおりでございますが、消費者物価が給与改善率を上回る昨今では改善指標の見直しが必要と思われるわけでございますが、既裁定年金の実質的な価値を保全するためにはどのようにしたらいいとお考えか、まずそのところを御所見をお伺いしたいと思います。
  238. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 物価スライドと、それから給与スライドと両方あるわけでございますけれども、私は年金制度としてはやっぱり所得スライドが本格的ではないであろうか。もともと所得保障をするわけでございますし、そしてまた、掛金ももちろんその所得を基準にしているわけでございます。ただ、給与をどのように決めるのかという問題はまた別個の問題でございまして、人事院の方で御案内のように民間給与とのバランスをとりながら決めておるわけでございます。したがいまして、年金制度として物価スライドがいいのか、給与スライドがいいのかということになりますれば、私は給与スライドの方がいいと、制度としてはそのように考えておるわけでございます。
  239. 和泉照雄

    和泉照雄君 五十四年度年金改定についてお伺いしますが、五十三年度の人事院勧告が将来どのようになるかは、これは現時点では予測ができませんけれども、基本的な考え方を聞いておきたいわけでございますが、仮に人事院勧告による給与改定が行われない、そういうようなことがあったとしても、少なくとも現職公務員の定昇相当分あるいは物価上昇分は既裁定年金の引き上げが行われると、こういうふうに理解してよろしいかどうか、お答え願います。
  240. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 本年の夏に予定されております人事院勧告、これが出るのかどうか、あるいはその内容がどうなるかということは、これはきわめて重要でかつ非常に微妙な問題でございますので、それがどうであるかという仮定の上でお答えするというのは大変実はむずかしいと申しますか、私どもといたしましては差し控えたいところでございますが、あえて仮定の問題として申し上げますと、ただいま大臣からお答え申しましたとおり、年金というものは基本としてはやはり賃金スライド、給与スライドがいいと。特に私は国家公務員の共済組合年金の場合には、やはり給与スライド、それでいくのが一番合理的だと考えております。そういう点からいきますと、もし仮に本年度人事院勧告でベースアップなしだということになりますれば、やはり共済年金もそれに従った方法でいかざるを得ない、それがやはり現在の仕組みにおきましても最も合理的なところであろうと思います。  ちょっとお触れになりました現職公務員の定期昇給、せめてその分はというお話がございますが、やはり退職公務員につきまして現職の公務員に行われますところの定期昇給という考え方を取り込むということは、ちょっと異質の問題でございますので、これは年金改定の基礎に現職公務員の定期昇給分を織り込むということはちょっとむずかしいといいますか、適当ではないと、かように考えております。
  241. 和泉照雄

    和泉照雄君 次の問題御質問申し上げますが、総理府の統計局が四月の二十八日に五十二年度の全国消費者物価指数を発表したわけでございますが、年度平均上昇率を六・七%と、このようにしておるようでございます。そうしますと、五十三年度六月分からは退職年金のいわゆる相対的最低保障額は幾らになるのかお答えを願いたいと思います。
  242. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 六・七%ということでまいりますと、相対的な最低保障額は退職年金の場合六十一万八千百円になろうかと考えられます。
  243. 和泉照雄

    和泉照雄君 また、いわゆる絶対的な最低保障額というのは恩給の改定にならったものでございますけれども、その前提は五十二年度の物価上昇率を七・六%として算出をしているわけでございますが、そうなりますと、先ほどの上昇率との事実上の〇・九%分、お金に換算をしますと三千八百九十八円ぐらいになりますが、この誤差があることになります。この分は五十四年度改定のとき、どのように取り扱われることになるのかお伺いいたします。
  244. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 先ほどお触れになりましたいわゆる相対的最低保障額というものは、そういう仕組みを設けておりますのは、これは厚生年金とのバランスということを考えてやったものでございまして、その最低保障額のアップは五十二年度のCPIの確定数字、これをもとにしてやっていくというルールでやってきているものでございます。これに対しましていわゆる絶対額の保障の方は、これは恩給とのバランスということを考えまして、予算編成時に見込まれますところの当該年度のCPIの上昇率、これを用いざるを得ないというところでしたわけでございまして、その結果、御指摘のとおり相対的最低保障の方は六・七%のアップ、絶対額の保障の方は、予算編成当時、昨年の十二月末で見込まれた七・六%という数字を使わざるを得なかったわけでございます。この間の差と申しますのが当該年度へ一部出るといたしましても、これはこれとして技術的に私どもできる最大限の努力をしたといいますか、その時点においてやむを得ずと申しますか、ほかによる指標がない結果やりましたところでございますので、これはこれとしてやらざるを得ない。それを翌年度においてまた調整をする、それをまた翌年度において調整するというふうなことは大変繁雑でもございますし、またCPIの確定数字と見込みの数字が年によりましては上下かわることもございますので、これはこれなりに決まったルールとしてやっていきたい、かように現在考えております。
  245. 和泉照雄

    和泉照雄君 確認をしますが、やり過ぎたからといって引き下げは絶対にやらないと、こういうふうに確認してよろしいですか。
  246. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) そういうことに相なります。
  247. 和泉照雄

    和泉照雄君 では、改定実施時期の短縮という問題で先ほどからいろいろと論議になっておるようでございますが、共済年金改定実施時期は、昨年の与野党合意の予算修正によりまして二カ月繰り上げられて四月実施となっておりますが、本年もまた同じように四月実施が踏襲されておりますけれども、それでもやはり現職公務員からするとまだ一カ年おくれということになりますが、昨年のこの内閣委員会では附帯決議も行ったところでございますが、さらにこれを短縮するためには、具体的には方策はどのようにお持ちなのかお伺いいたします。
  248. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 年金改定実施時期が五十三年度四月と予定しております。それから、昨年も四月ということでありましたが、その前五十一年は七月でございましたし、五十年は八月、四十九年は九月ということで、年々実施時期が早まって、昨年からは年度当初の四月ということに相なったわけでございます。それでもなおかつ一般の公務員、現職公務員に比べて一年おくれではないかという御議論のありますことは私も承知いたしておりますが、やはりこの共済年金給付水準というものをどうするかというふうなことともこれは関連する問題でもございます。これをさらに早めるということに相なりますと、大変多額の実は財源が必要でもございますし、他の公的年金との均衡もございますので、これを現在さらに早めていくというふうな考え方はなかなかとりにくいわけでございます。もしこれを早めるとすれば、大変その財源をどうするか、あるいは現職の組合員にどれだけのまた負担増をお願いしなくちゃならぬかとかいう問題にもつながる問題でございますので、現在考えておりません。将来、こういう問題につきましては長期的に慎重に検討しなくちゃならない事柄であろう、かように考えております。
  249. 和泉照雄

    和泉照雄君 昨年のいまごろは衆議院の方におきまして年金の官民格差ということで相当問題が大きく取り上げられておりましたけれども、これはいろいろと調査の結果はかなりの誤解に基づく点もあったやに聞いておりますが、しかしながら、年金支給開始年齢等の問題については正しい指摘もあったように思います。その意味では、公的年金制度間の形式的な格差については手直しをした方がよいものもあると、このように私は思うわけでございますが、今回のこの改正点では、制度的な改正、たとえて言いますと、支給開始年齢とかあるいは在職支給制限などのそういうような改正は全然含まれておらないようでございますが、この点はどのようにされるおつもりか、今回含まれなかったその点についてもお答え願いたいと思います。
  250. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 御指摘のとおり、本年度共済組合法改正の私どもの案の中には、制度を大幅に見直しをするとかというふうな点は含んでございませんで、もっぱら、従来どおり年金の公務員給与スライドとか、それから恩給の改善にならいました改正とかというものだけを予定いたしているわけでございます。ただ、いろいろ共済組合の制度につきまして各方面から御議論があることも事実でございます。それからまた、現行制度が発足しまして約二十年を経過してきて、その間社会経済情勢も変わっておる、こういう点で私ども共済独自の観点からもやはり見直すべき事項がありますし、他の年金制度との関係においても見直すべき事項があるということは否定できないであろうと、かように考えております。ただ、こういう制度の改善と申しますのは、そう一朝一夕にはなかなかやりにくい問題で、やはり長期安定的な面を要請されるのがこの年金制度でもございますので、国家公務員共済につきましては、来年の十月がちょうど財政再計算の時期にも当たります、そういう時期をとらえまして改善をすべきものは改善をしていくということで、これから鋭意検討いたしまして、関係の審議会あるいは関係の共済組合等とも十分相談をしながら、改善すべき事項は五十四年度に見直しを試みてみたいと、かように考えておるような次第でございます。
  251. 和泉照雄

    和泉照雄君 現在政府では、厚生大臣の私的諮問機関であります年金制度基本構想懇談会、あるいはまた総理大臣の諮問機関でございます社会保障制度審議会公的年金制度のあり方を検討をしておられるようでございますが、年金制度基本構想懇談会の方からは、五十二年の十二月九日に中間報告が出されております。また、総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会からは、五十二年の十二月十九日意見書が出されておるところでございますが、それを踏まえて現在政府はいろいろと検討をしておられるようでございますが、どのような検討をしていらっしゃるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。また、国家公務員共済組審議会、これは大蔵大臣の諮問機関でございますが、そこでも共済年金の抜本的見直しに着手したと、このようにお伺いをしておるわけでございますが、ここでの検討状況についてお聞かせを願いたいと思います。特に今井メモというのはどのように検討されているか、お伺いいたしたいと思います。
  252. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 第一番目にお話がございました年金制度基本構想懇談会の中間意見、それから社会保障制度審議会の御建議というものは、大変綿密な検討を加えられいろいろ問題点を指摘されておりますほかに、特に社会保障制度審議会におきましてはかなりドラスチックな新しい年金制度の創設を打ち出されておられます。私どもこれは大変今後の年金制度を考えていきます上に貴重な御意見と思っておりますが、この辺につきましては、厚生省が大体主体となりまして十分検討をこれから加えていかれるところであろうかと考えております。その過程におきまして、私どもまた御意見等を承りながら種々検討は進めてまいりたいと思いますが、ただ、年金制度全般ということに相なりますと大変これはむずかしい大きな問題でございまして、なかなかそう簡単に政府として結論を見出すということは困難な多くの事柄がございます。財政的な面一つをとりましても大変なことでございます。社会保障制度審議会で言われております新しい税を創設してやったらどうかという御意見に対しましても、これもいろいろ各方面からもまた検討を加えていかなくちゃならないことであろうかと考えております。したがって、一朝一夕には結論は出ないと思いますが、鋭意厚生省等とも連絡をとりながら私どもも検討を進めてまいりたいと考えております。  それから、国家公務員共済組合の審議会に出されました、いわゆる今井メモにつきましては、これは五十年から共済独自のいろいろの問題点を持ち出しまして実は検討を鋭意進めておるところでございますが、先ほどお話ございましたような年金制度全般にわたるいろいろの問題も出されております。その中で、共済組合制度がいかにあるべきか、こういうことも十分踏まえながら具体的な問題についての検討をこれからしなくちゃならない、かように考えておりますが、今井メモで言われておりますのは、たとえば支給開始年齢が現行のままでいいのかどうかとか、あるいは減額退職年金の受給資格あるいは減額率というものを現在のままでいいのかどうか、あるいは退職一時金の取り扱いをどうすべきかとか、かなり具体的な問題も出ておりまして、それらはまた共済独自の問題でもございます。私ども、先ほどお答えいたしましたけれども、国家公務員共済だけでなくて、こういう問題は地方共済にもあるいは公企体共済にも共通の問題でございますので、そちらの方とも十分連絡協議を重ねながら、改善すべき事項があるならば一緒になってそういう問題に取り組んで検討を進めていきたいと、かように考えておるのが現状でございます。
  253. 和泉照雄

    和泉照雄君 厚生省の年金局の方にお伺いしますが、先ほども大蔵省次長からも、大体五十四年度からいろいろ見直してみたいと、また中間報告の年金懇の方からも出ておるようでございますが、要するに、五十四年度から抜本的にやる、そういう姿勢のようだと、このように了解してよろしいでしょうか。
  254. 山本純男

    説明員山本純男君) 私ども大臣の方から仰せつかっておりますのは、一年程度の間に厚生省としてのこういう問題についてのあり方についての考え方をぜひ明らかにしたいので、事務局としても大いに努力をしなさい、こういう指示をいただいておりまして、また先ほど御指摘のございました懇談会の中間意見の中では、いま現在私どもが当面しておりますたくさんの問題を一つ一つ細かく分析、洗い出していただきましたし、また幾つかの改革の構想といったものについても、それを御指摘の上一つ一つの考え方について利害得失などをかなり立ち入って御指摘いただいたわけでございます。それと同時に、その懇談会において五十三年度も引き続きそういう問題を十分に審議をすることとする、さらにまた、政府の方も懇談会の審議と並行してそういう具体的な改革に向かっての作業を進めなさい、こういう御意見をいただいておるわけでございます。そういうところから、私どもも一昨日から懇談会をまた再開していただいたわけでございますが、事務局の方も、また懇談会の先生方の御意見を伺いながら、またあわせて、こういう性質の問題でございますので、関係の所管庁とも十分に連絡をとりながら具体的な作業を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  255. 和泉照雄

    和泉照雄君 その抜本的な改正の方針についてちょっとお伺いしますが、公的年金制度の一元化を図る方向なのか、あるいは各公的年金の格差を是正をする、それにとどめる範囲なのか、その方針はどうなんでしょう。
  256. 山本純男

    説明員山本純男君) 懇談会の先生方の御意見を伺いましても、いまございます八つの法律に基づく諸制度というものを、完全に一本の年金に統合することには大変無理があろうという御指摘でございまして、そういう状況を踏まえまして、考えられる方向としては、ちょうど社会保障制度審議会でもそういう御意見をいただいておりますように、年金制度の一部分を統合して、その限度で非常にすっきりとした公正なものをつくるという考えはどうだろうか、もう一つは、そういう具体的な制度の改廃というものを大々的に行うのではなくて、いま行われております制度を基本としては存続させ尊重しながら、不都合な点についてこれを修正していく、そういう考え方と両方あるということが御指摘でございまして、いずれの方向でこれからの改革を進めていくべきかは、むしろこれからの御審議にまつというのが現在の状況でございます。
  257. 和泉照雄

    和泉照雄君 次は、国家公務員共済年金制度の成熟に伴いまして、年金財政が非常に逼迫していることは御承知のとおりでございますが、そこで、この国家公務員共済年金制度の過去五年間の積立金の推移はどのような推移になっておるのか、お答え願いたい。
  258. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 国家公務員共済組合の長期給付関係の方は、二十共済組合が入っております一つの連合会と、それから五つの単位共済組合、これで運営されておりますけれども、便宜この全体につきましてその積立金の推移を申し上げますと、四十八年度末の積立金が一兆七百三十六億円、四十九年度末が一兆二千六百一億円、五十年度末が一兆四千五百四十四億円、五十一年度末が一兆六千五百九十六億円、五十二年度末が、これはまだ決算ができておりませんので見込みでございますが、大体一兆八千七百五十億円ぐらいということに見込まれます。したがいまして、年々大体千五百億から最近では約二千億円の増加ということに相なっております。
  259. 和泉照雄

    和泉照雄君 次は長期給付に要する費用についてでございますが、少なくとも五年ごとに再計算を行うことが国家公務員共済組合法の九十九条で決められておりますが、前回は昭和四十九年度に行われております。したがって来年度が再計算期に当たるのでございますが、今秋には具体的作業に入ることと思われるわけでございますが、現時点での見通しについてお伺いしたいと思います。特に後代負担、後輩の人たちが負担を約二〇%ぐらいされておるということ、この後代負担の割合をどうするかについての基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。  また、年金財政の逼迫も、いまのお答えを聞きますと非常に蓄積がよろしいようでございますけれども、ほかの年金財政は相当に逼迫しておるようでございますが、国庫負担率を厚生年金並みに二〇%とすることが必要ではないかと思われるわけですが、この考え方についての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  260. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 第一の来年度年金財政の再計算の場合の財源率見通しということでございますが、現在これはまだ実は作業いたしておりませんのでお答えができないわけでございますけれども、前回昭和四十九年に再計算をいたしましたときには、大体、算出されました平準保険料率、それを約八〇%に修正いたしまして、二割程度を後代に回したわけでございます。これには一応の理由があるわけでございますけれども、その際算出されました平準保険料率というものを、その計算の数字だけを申しますと、大体これが千分の百三十七から百四十ぐらいであろうと、こういう計算が出たわけでございます。これはもちろん衛視等組合員だとか自衛官等除いたものでございますが、大体千分の百三十七から百四十、こういう数字が出たわけでございます。来年度の点につきましては、先ほど申し上げましたとおりまだ計算いたしておりませんけれども昭和四十九年にいたしました再計算を基礎としてざっと試算をしてみますと、その後年金改定とかあるいは給与改定等がございまして、その関係の不足責任準備金というものができたわけでございます。その増加部分に例をとってみますと、計算上はこれが大体千分の十五程度アップになる計算になります。こういう計算には一応なりますけれども、来年度の取り扱いをどういうふうにしていくかということは、これから十分計算もしてその数字を見、諸般の制度も改善すべきものがあるならばその辺のところも織り込んで計算をしなくちゃなりませんので、何とも申し上げようがございませんけれども、基本的には、前にもお答えいたしましたとおり、私どもやはり長期的な見通しを立てながら、しかも一時的に急激なやはり負担増加というものは避けなくてはならないであろう、そしてできるだけ合理的な範囲内において組合員にも負担を願い、後代にも負担をしてもらうべきものは負担をしてもらう、こういうふうな観点に立ちまして、そういう点で慎重に今後検討をしてまいりたいと、かように考えておるのが現状でございます。  それから、それに関連いたしまして、共済組合の国庫負担割合、現在一五%でございますが、これを厚生年金並みに二〇%にしたらどうか、こういう御意見でございますけれども、一般的に申しまして、やはり社会保険に対します国庫負担のあり方ということにつきましては、これは種々御議論はあるところでございますけれども、やはり私どもといたしましては、そういう国庫負担というものは、保険料だけではどうも適当な給付水準が確保できないとか、あるいは被保険者の範囲が非常に負担能力の低い方面にまで及んでしまうとか、あるいは事故の性質上被保険者や事業主だけにその費用を負担させるということが必ずしも社会的に見て適当でないとかいうふうな、そういう真に必要がある、あるいは合理的な理由があるような場合、そういう場合に必要な限度で国の補助と申しますか、国庫負担は行われるべきものであろうと考えております。確かに現在厚生年金で二〇%の国庫負担共済組合については一般的に一五%、物によりましては一八%というものがございますが、そういう公的な負担割合にはそれぞれのいま申し上げましたような理由もありますし、沿革的な事情もございます。さらには、各制度におきます年金支給開始年齢とか給付の水準とかいうふうな諸般の事情を考えた上で、全体として不均衡を来さないようにという配慮のもとにそういう国庫負担率の差というものができ上がってきておるわけでございますので、私ども現状におきまして、国家公務員共済組合について一五%の国庫負担をしておりますのをここで引き上げるとかいうふうなことは現時点では考えておりません。
  261. 和泉照雄

    和泉照雄君 最後に、再計算問題についてはいろいろお尋ねをしましたが、これは国家公務員共済年金制度の抜本的改正と非常に綿密な関係があると思います。たとえて言いますと、給付をよけいしていただこうとすると掛金をよけい掛けなければならない、こういうような簡単な図式でもそういうことになると思いますが、この関係性をどのように考えて対処されるおつもりか。
  262. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 法律上もこの共済年金の再計算は、少なくとも五年目ごとにやるようにというふうなことに相なっております。他方におきまして、今度は年金制度を改正するということに相なりますと、その制度の改正の程度にもよりますけれども、その程度によりましてはやはり財源率にそれは影響するということも出てまいります。したがいまして、私どものいまの気持ちといたしましては、制度の大幅な見直しというものは財源の再計算時期に合わせてやるのがやはり適当ではなかろうかと、かように考えているような次第でございます。
  263. 山中郁子

    山中郁子君 初めに大蔵大臣お尋ねをいたしますが、先ほど国鉄の共済問題でお伺いをしたところですが、国鉄の共済関係財源が非常に逼迫をしていると、五十五年度ぐらいまでの見通しはあるけれども、その後はなかなか大変だということで御答弁がありました。それで私はその中の一つの要因として、運輸省も挙げられました旧軍人、満鉄関係者の通算措置ですね、これがかなりの人数に上っていて、現在の国鉄共済年金受給者約二十五万人のうち十万人に達しているという御答弁がありました。十万人の方々の受給額がすべてその旧軍人ないしは旧満鉄関係のものではないことは当然ですけれども、相当なウエートを占めておることは容易に推察できます。それで私は、基本的な考え方として国鉄共済現状がいま申し上げたとおりであるし、国鉄財政そのものが大変大きな国としてのまた国民的な問題にもなっているという状況のもとですから、政府として何らかのこの部分についての負担ということを考えるべき時期ではないかと思っておりますが、いまそれほどはっきりとした御答弁がいただけないとしましても、何とか積極的に前向きの形で御検討をいただくというお約束が欲しいところでございますので、大蔵大臣のぜひ御努力をお願いしたいと思っておりますが、御答弁をお願いします。
  264. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 国鉄が現在負担いたしております旧満鉄の職員あるいは旧軍人等の期間に係ります整理資源等につきまして国が負担すべきではないかと、こういう御指摘でございますけれども、先ほどもございましたとおり、国が追加費用と申しますか、いわゆる整理資源ということで国共済で負担しておりますのは、事業主としての国が負担をしているわけでございまして、たてまえは国庫側としての国というものが負担をしているわけではないわけでございます。それから、国鉄等の三公社におきましても、共済組合に対しますところの整理資源は、やはり国鉄当局あるいは電電公社当局とか、あるいは専売公社当局とかというふうなものが事業主としてやはり負担をすべきものであろうと考えておりまして、これは特別会計の職員についても同じでございますし、地方公務員共済についても同じような形でやっておるわけでございまして、現在それについて国がその整理資源を負担するというふうな考え方はとりにくいところでございます。ただ、国鉄共済財政内容が大変よくないということは事実でございまして、私どもも重大な関心は寄せておりますけれども、やはり国がストレートにそういうものの助成を行うというよりは、やはりこういう年金制度のたてまえからいきまして、そういうことを行うのではなくて、国といたしましてはやはり国鉄の経理全体と申しますか、財政全体というものを総合的に見て、国鉄当局の御努力をまちながら総合的な観点からこれに助成を図っていくということが適当であろうかと、かように考えております。
  265. 山中郁子

    山中郁子君 国公の場合との関係を詰めていきますとちょっと時間もかかりますので、私はいま現在はちょっとそれを横に置いてお願い申し上げておりますけれども大臣ぜひ、いま次長もお認めになりましたように、国鉄財政状況が非常に困難であるということは一つあります。それで二十五万人のうち十万人が軍人、満鉄関係にダブっているわけですから、それはやっぱりその問題は明らかに国の責任の問題でありますし、そういう点に照らして、いまおっしゃったような大変漠然とした、しかも先行き長い話ということではなくて、何らかの特別な措置を国としてぜひ工夫もしていただき、検討もしていただく必要があるのではないかと、こういう観点からお尋ねをしておりますので、大臣の所見をお伺いしておきます。
  266. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この問題は古くから論議されたところでございますが、いま次長がお答えしましたように、その問題は事業主が本来やるということでずっと通してきているわけでございます。しかし、国鉄につきましてはこの問題に限らずいま財政がきわめてもう危機に瀕しておることは御案内のとおりでございまして、今度いわゆる法定制の緩和をさせていただきまして、また業務範囲も拡張させていただいているわけでございます。そのようなことで、いま国鉄を中心にいたしまして、運輸省、それからまた財政当局でございます私たちも知恵をしぼりまして、何とかひとつ再建さしたいものだということで鋭意勉強しているところでございます。しかし、この問題は非常にむずかしい問題であることはもう当然でございますが、何と申しましても、やはり国の税金を多額に使い、あるいはまた場合によりますと返済の見込みのない、国の貯蓄をどんどん使っているという状況はなかなか放置できないわけでございますので、いまわれわれ関係者全力を挙げましてこの問題に取り組んでいる事情にあることを御理解願いたいと思うわけでございます。
  267. 山中郁子

    山中郁子君 法定制緩和の問題とか、その他いろいろ大いに意見があるところですけれども、それはきょうはおきますけれども、何とかいま私が申し上げました具体的な問題に関して、ひとつぜひ一歩進める形での善処を引き続き努力をされるように重ねて要望をしておきます。  次に、旧従軍看護婦の方たちの恩給適用の問題に関連してお尋ねをいたしますが、御承知のように、ここ数年旧従軍看護婦の方たちへの恩給法の適用の問題が国会でも重ねて取り上げられてきております。それで四月の二十五日の当委員会におきましても、私、総理府総務長官にお尋ねをいたしまして、総務長官からは何らかの形で——その何らかの形というのは、内容としてはほぼ交付国債か、あるいは新しい年金制度をつくるということで実現をしたいと。細かく申し上げますといろいろまだ問題が残っておりますけれども、大まかな柱としてはそのように総理府としては対処をしたい、概算要求までにその仕組みについても練り上げて概算要求へ持っていきたいと、こういう御答弁がございました。それで私はぜひ大蔵大臣に、この問題はやはり国としての重要な問題です。単に一つの省庁からの要求をどこまで大蔵省が認めるかとか、切るかとか、そういう問題ではなくて、総理府総務長官が明らかに、当然従軍看護婦の方たちも女性兵士として従軍されたわけで、国としての責任があるんだということから、こういう形で問題が前進してきているわけですから、概算要求の事態になりました暁に、大蔵省として前向きに積極的にこれを保障していく、実現していくという姿勢で対応をしていただきたい、このことのお約束をぜひしていただきたいということで大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  268. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 日赤の従軍看護婦の処遇問題につきましてはいろいろ議論があることは承知しております。ただ、まだ総理府の方の所管でございますけれども、総理府の方からも具体的なまだお話を伺っておりません。したがいまして、総理府から御相談を受けましたら、いま委員からもお話がありましたように真剣に検討してみたいと、かように思っておるとごろでございます。
  269. 山中郁子

    山中郁子君 真剣に検討されてだめだなんてことになると困るんで、私が申し上げたいのは、ぜひとも、総理府から正式にまだお話がないとおっしゃるものの、政府として総務長官がどのような約束を、国会でも、あるいは該当者である従軍看護婦の方たちにもされているかということは先刻御承知のところだと思いますので、この実現のために大蔵省としても前向きに受けとめるということでぜひお考えを伺っておきたいと思います。
  270. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 日赤の従軍看護婦の問題につきまして、基本的な大蔵省のあれはいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、ちょっと私は技術的なことで補足させていただきたいと思いますが、その日赤の従軍看護婦に対する措置が、具体的にどういうふうなやり方でやってほしい、こういうことでやろうじゃないかというふうな協議がまだ実はないわけでございますので、それにつきましてまだとやかく申し上げる段階でございませんが、きょうは共済組合法の関係の審議ということで、その点だけにしぼって申し上げますと、なかなかいわゆる雇傭人相当の看護婦さんにつきましては、現在の共済組合の制度の上にはなかなかこれは乗りにくいわけでございます。現在一般に現行の国家公務員共済組合制度では、いずれの年金制度——恩給とかあるいは旧共済とかいうふうないずれの年金制度の適用も受けていなかったいわゆる雇傭人、そういう方で、その期間が新法の施行日に引き継いでいない者は、単に年金の支給資格を与えるいわゆる資格期間としての取り扱いを一般にやっているわけでございます。そういう点を考えますと、日赤の従軍看護婦さんで雇傭人相当の方、それをこれとのバランス上やはり資格期間として取り扱っておるわけでございまして、共済の上でその取り扱いを改めるということはそのバランス上なかなかむずかしい、そういう点だけをちょっと念のために申し添えておきたいと思います。そういうこととは別に、いろいろ総務長官が国会で御答弁なさったことも私存じておりますし、衆参両方の内閣委員会の御決議があることも承知いたしておりますので、それを踏まえまして総理府等からどういう御要求が出てまいりますか、それを受けとめまして十分検討さしていただきたいと、かように考えております。
  271. 山中郁子

    山中郁子君 それはこの次に質問しようと思っていたことなんですけれども、その前に大臣にもう一つ、私先ほど申し上げましたけれども、そう細かいことを別に言質をとらえて、あなたこう言ったじゃないかと、そういうふうには申し上げるつもりは毛頭ありません。旧看護婦さんたちの心情や国民的な世論や、政府がいままで約束してきたことの上に立って積極的にその実現を図る方向で受けとめるというように理解をしてよろしいですか。
  272. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) しばしばの御発言でございますので真剣に受けとめまして、そして可能であれば実現する方にやりたいと思っております。
  273. 山中郁子

    山中郁子君 それで、いま次長さんがちょっと先回りして言ってくださったことをもう一つだけお伺いをしておきたいと思いますが、その件につきまして、そういうことで新たな何らかの措置が旧従軍看護婦さんについて可能になってくるとなりますと、いまおっしゃった婦長さんでない方たちの通算の問題が国公共済の問題と関連して出てくるわけです。それで、私はその点に関しては、やはり一定の過程を置かなければなりませんけれども、旧従軍看護婦の位置づけですね、位置づけが新たな制度の中でどのようにされるかということともかかわってきますけれども、私どもがかねてから申し上げている通算を実現していくということは、大蔵省としても国家公務員の共済を預かる立場から、これもひとつそれを受けとめる方向で御努力をいただく、これをお願いをしておきたいということでございます。
  274. 禿河徹映

    政府委員禿河徹映君) 総理府等でいろいろ検討されまして、どういう御要求がといいますか、御協議が来るのかまだわからない段階でございますので、確定的なことを現段階で申し上げるわけにはまいりませんが、先ほどちょっと申し上げましたとおり、現在の共済組合の制度に乗っけて、いわゆる婦長さんと同じように普通の看護婦さんが実のある期間といたしましてその従軍期間を年金給付算定の基礎にしたらどうかという点につきましては、ほかの方とのバランスがありまして、共済制度の上では大変むずかしいということだけちょっと申し上げておきたいと思っております。
  275. 山中郁子

    山中郁子君 二十五日の委員会でも私は例を挙げて申し上げたんですが、大臣ちょっと聞いていただきたいんですが、満州に同じように当時行って働いておられても、旧日赤の従軍看護婦さんの場合は通算されない、満州国政府関係の方たちはそれが通算される、保健婦さんの場合ですけれども、大体同じような条件のもとで年金額が年に四十万円も違ってくると、こういう格差が生じてくるわけです。それでいま次長さんは共済組合法の上では大変むずかしいということを繰り返しおっしゃっているわけですけれども、いままだ細かいいところまで私は詰める時間はありませんですけれども、この矛盾ですね、しかもこの矛盾があってなおかつ今後旧従軍看護婦さんの問題、旧赤看護婦さんだけでなくて、陸海軍の看護婦さんのことも含めていろいろ問題はありますけれども、それが軌道に乗って何らかの手当てがされるというような事態になった場合に、この通算されるされないによる格差もやはりなくしていく方向で研究もされ、実行もしていただかなければならないと思っておりますので、最後にその点についてぜひ大臣から御所見を伺っておきたいと思います。
  276. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 問題はよく承知しておるつもりでございます。資格年限としてしかいま認めていないで、実期間としては通算されていない。それがいわば前の身分に関係する問題から来て、それがもし日赤の従軍看護婦にやった場合にほかにどこまで波及するのか、そこがうまく切れるのか、それからどういう理由づけがあって国民が納得できるのか、そういう点について多分総理府の方でも知恵をしぼってくると思います。われわれも協力いたしまして、そのような可能性について十分検討してみたい、かように思っておるところでございます。
  277. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会      —————・—————