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1978-03-23 第84回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 林  ゆう君                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 岡田  広君                 斎藤栄三郎君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 村田 秀三君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 山中 郁子君                 森田 重郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    政府委員        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁長官官房        審議官      石渡 鷹雄君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        環境庁企画調整        局環境保健部長  山本 宜正君        環境庁自然保護        局長       出原 孝夫君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   山本 貞雄君        大蔵大臣官房審        議官       大場 智満君        通商産業省基礎        産業局基礎化学        品課長      児玉 幸治君        中小企業庁指導        部指導課長    鬼塚 博視君        自治省財政局調        整室長      小林  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○環境庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 片岡勝治

    片岡勝治君 環境庁設置法の一部を改正する法律案審議内容は、国立水俣病研究センター設置するということであります。御承知のように水俣病公害病の原点と言われておりますが、すでに発生以来二十有余年経過をいたしております。しかし、その水俣病実態は今日なおかつきわめて深刻な事態になっておるわけであります。私たち本当にこの問題について心配をしているわけであります。遅まきながら研究センター設置できるということについては私ども大いに賛成をする。むしろ遅きに失した感があるわけでありますが、これに関連して二、三の問題について質問したいと思います。  この研究センター設置に当たりまして、まあこの十月から活動が開始されるということであります。当初でありますから規模もきわめて小さい。私どもが想定したよりもはるかに小さいような感じを受けるわけでありますけれども、聞き及ぶところによると、これは将来、もちろんこの機能、人的な組織、機構、そういうものも逐次拡大をして所期の目的を達成するという方向にあるというふうに聞いておりますけれども、当面開所をする時点における活動の様態といいますか、その内容、そして将来どういうふうにこれを拡大していくのか、そういう構想がありますればこの際お伺いしたいと思います。
  4. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) お尋ねのように、現在五十三年度におきまして開設いたしますときには、定員が八名でございまして、所長一名、部長二名、室長二名、課長一名、その他二というようなことでございます。開所を十月一日といたしておりますが、今後の運営方法等につきましては、その成り行きを見ながらさらに必要に応じまして定員充実強化を図ってまいり、かつ事業内容拡大も必要に応じて考えてみたい、かように考えておるわけでございます。
  5. 片岡勝治

    片岡勝治君 これは何か年次計画的なものはないのですか。まあ人数が少ないから研究機能が貧弱だと一概には言えませんけれども、常識的に言って、わずか八名ということでありますから、これはまだまだ大いに拡大していかなければならない点があると考えるわけであります。そういう将来計画というものがあれば、そうか、将来そういうふうに大きくなっていくのならばということで、関係住民にも何といいますか、期待といいますか、安心感を与えると思うのでありますが、そういう将来計画について、もしいまできておればこの点ひとつお示し願いたいと思います。
  6. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 現在、年次計画という形では私どもまだ持っておりませんけれども建物構造等を設計いたします段階では、約三十人ぐらいの所員を抱えて研究業務ができるように考えておりまして、これをなるべく近い将来に実現したい、かように考え、かつ努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  7. 片岡勝治

    片岡勝治君 せっかくできたセンターでありますから、なるべく速やかに、人的にもあるいは機能的にも充実強化して、文字どおり水俣病研究センターとしての役割りを果たしていただきたいと思うわけであります。  それから、この設置過程でありますけれども昭和四十八年の五月ですか、当時の三木環境庁長官現地へ行って、現地においてこうした要望を受けた。そして三木長官設立についての検討をする、そういう指示を行ったということでありますけれども、これも率直に言って水俣病に対する対応というものが、今日までもいろんな角度から相当厳しい批判が寄せられております。このセンター設立についても、私は端的に、何といいますか大変スローモーであるということを感ずるわけなんです。四十八年五月でありますから、今日五十三年三月、五年間かかっているわけですよね。これだけ緊急な、また地域住民や各方面から強い要求、要望がなされ、そして水俣病研究、そしてその治療、そういうものが非常に緊急な課題であるにもかかわらず、四十八年三木さんがこうした構想を出してから五年の歳月を要しなければこういうものができ得ない。もちろん私は怠けておったとは思いません。思いませんけれども、非常にその対応が遅々として進んでこなかった。こういう問題こそ、もう緊急に突貫工事でも何でもやって期待にこたえていく、そういう行政的な姿勢が必要なのではないか。五年かからなければできないという、そういう行政的な対応に私は今日の国の水俣病に対する対応、そういうものの何か政治姿勢を見るような気がするわけなんです。一体どこにその隘路があったのか、これは後の祭りでありますけれども、今日までの設立過程の中でどこに隘路があったのか、問題点があったのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  8. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 四十八年の五月に、当時の三木環境庁長官現地におきましてこのセンター設立趣旨発言を行いました後、ちょっと経緯を申し上げますと、四十八年の十月に学識経験者及び関係行政機関の代表によりまして、水俣病治療研究センター設立準備懇談会というような一つ機関設置いたしまして検討お願いいたしました。それに引き続きまして、昭和五十年の十月から、その懇談会中間報告をいただきました後、建設準備検討会というのを開きまして、基本的な構想につきまして具体的な検討を始めました。その後五十年の十二月から建設準備ということで具体的な建設内容検討をいたしました。五十一年になりまして基本設計ができ上がりました。五十一年の八月に用地を取得したというような経緯がございまして、いろいろな角度からの検討に時間を要したというようなのが先生の御指摘のような遅延の一つ経緯でございまして、そういったような、いろいろな関係の知恵をおかりして検討するのに時間がかかったということのように見受けられるわけでございます。
  9. 片岡勝治

    片岡勝治君 まあ普通の病院と違って初めての構想ですから、一体どういうものをつくっていったらばいいかというようなことを、あらかじめ慎重に検討すること自体非常に大切だろうと私は思うんであります。しかし、私の手元にあります建設準備検討会報告書報告内容を見ましてもそう膨大なものじゃないわけですよ。ほんの半ページか一ページ程度構想であります。ですから、そういう検討は、もちろん関係のお医者さんやなんかが真剣に検討したと思いますけれども、やっぱりそういう検討期間というものをなるべく縮めて、スピーディーにやっていくというような行政姿勢が、私はちょっと欠けていたのではないか、そういうふうに考えるわけなんです。したがって、私たちが常識的に考えて、この程度の施設に、私も県会議員をやっておりましたけれども、まあ五年もかけなければできないというのはちょっと考えられないんです。用地取得等について都市部では若干むずかしい点がありますけれども、あるいは設計等についてもそう膨大な建物であるわけではないんで、なおかつ相当の日時を要しなければならない、この点私はせっかくつくるわけでありますから、なるべく早くつくって関係者期待にこたえるというような行政姿勢がぜひ必要である、このように考えるわけであります。したがって、これからこの十月から発足するわけでありますけれども、これを逐次整備拡大をしていくということについても、できればいままでのような、のんびりという表現は語弊がありますけれども、なるべくスピーディーに期待にこたえるような機能、そういうものをぜひ発揮していただきたい、このように考えるわけであります。  まだ正式に設置が決まったわけではありませんから具体的にお答えができないかもしれませんけれども、今度発足する八人の職員、まあ単なる事務的な方についてはいざ知らず、臨床研究とか基礎研究、そういういわばお医者さんといいますか、専門家を確保することが大変むずかしいと思うんですが、この点については見通しはどうなんですか、ついておるのですかどうですか。
  10. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 現在のところ、所長につきまして関係大学あるいは関係研究機関の方にお願いをいたしまして、現在推薦をしていただいていこうと思っております。まだ私の方の内部で決定はしておりませんが、各方面からの御推薦お願いしているわけでございまして、内部的な専門技術者につきましても、そういったような手続を経て人材を登用したい、かように考えておるわけでございます。また一つ研究促進方法といたしまして、将来におきましては、流動研究員と申しまして、ほかの研究機関あるいは大学等方々一つのプロジェクト的な研究テーマにつきまして一定期間御来所願って、研究協力いただくというような形の方式も採用いたすことによってこの研究成果の発展を期したい、かように考えているわけでございます。
  11. 片岡勝治

    片岡勝治君 ぜひひとつそうしたりっぱな方々に御協力願う、そういう体制をつくり上げていただきたいと思います。入れ物はできたけれどもそこで働く人が見つからない、適当な人材が得られないということであれば、これまた大変なことになりますので、この点御努力をぜひお願いをしたいと思うわけであります。  次に、これもいままでずいぶん、何度か公害対策委員会やその他で質問なり議論されておった問題でありますが、検診状況、いまどういう状態になっておるのか、その概要を御説明いただきたいと思います。検診体制あるいはその実績、そういったものについて御報告お願いしたいと思います。
  12. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 若干詳細に申し上げますと、水俣病認定業務は、御承知のように新潟県及び新潟市、熊本県及び鹿児島県の三県一市において行われております。昭和五十三年二月末現在におきまして、認定申請件数は、このすべて合わせまして九千百七十三件、処理済み件数が三千四百八十件、うち申請取り下げ九十六件を含めております。未処理件数が五千六百九十三件となっております。特に熊本県におきまして認定申請件数が六千八十五件でございまして、そのうちの約四分の三に当たります四千六百二十七件が現在未処理となっております。  政府といたしましても、水俣病認定業務を推進いたしまして、患者の円滑な救済を図る必要があるということから、昨年六月二十八日の関係閣僚会議におきまして、政府としての対応策について申し合わせを行ったわけでございまして、環境庁といたしましては、この申し合わせ趣旨に基づきまして対応策中心施策であるところの月間百五十人検診、百二十人審査という体制を、関係各省及び熊本県の協力を得まして整備に努め、昨年の十月から熊本県におきましてはこの体制のもとに認定業務促進が図られているわけでございまして、十月以降におきましては明らかに認定促進がなされているような資料が出ております。このほか、五十三年度におきましては、熊本県の検診体制を整えるために、検診機能強化するということで、現在熊本県の市立水俣病院の中にございます水俣病検診センター整備、拡充、機器の整備促進ということを図っていくように予算措置お願いしているわけでございます。また、水俣病に関する医学的研究を総合的に推進するため、現在御審議いただいておる研究センター設置するとしておるわけでございますが、そのほか認定審査会におきまして判断の困難な事例につきまして症例研究というようなことをいたしまして、検診審査促進のための助成、手助けというような形をしております。まあ、これらの施策充実強化によりまして、今後の認定業務の円滑な推進が図られるものと期待しているわけでございますが、さらに今後とも一関係各省協力を得まして、かつまた熊本県と一体となりまして、認定業務がより一層促進されますよう格段の方式を取り入れてまいるよう現在検討を進めているところでございます。
  13. 片岡勝治

    片岡勝治君 環境庁資料、私の手元には五十二年八月末現在の一覧表がございます。それから、調査室で調べて私どものもとに審査資料としていただいた資料の中に、五十二年十二月末現在の数字が載っているわけです。八月末から十二月末までの期間認定申請者、あるいは取り下げ、認定したもの、棄却したもの、未処理件数、こういう数字が出ておりますけれども、ちょうどこの八月から十二月までの期間というのは、いま説明のありましたとおり、十月から検診体制強化して毎月百五十人の検診を行う、そういう業務を行うという方針に基づいて行われた期間です。細かく私まだ数字は当たっていませんけれども、この数字を見ると、当初予定した百五十人診療という数字が出てこないように見受けられるんですが、実態はどうなんですか、これは。
  14. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 昨年の六月末の時点におきましては、当時滞留しておりました未処理件数が三千六百件ほどございましたので、それを三年間で解消するということから現在の百五十人検診、百二十人審査という体制を組んだわけでございますが、御承知のように、その後も申請者が月々ふえております。そういったようなことから、さらに一層の促進を考えなければいけないと思っておるわけでございます。  なお、現在私ども手元に持っております五十三年二月末現在の熊本県における状況を申し上げますと、申請件数六千八十五件、取り下げたもの四十件、そのうちで処理済みのもの、認定が千百六、棄却が三百十二、未処理件数の全体四千六百二十七というような数字になっております。なお、十月以降におきます認定の員数というのは、まあ九月を境といたしまして処理件数が急激にふえておりまして、私どもが昨年十月からとりましたことによる促進の効果は一応出ておるわけでございます。さらに一層の促進方についての方策を考えていかなければならないのではないかということで、鋭意検討中でございます。
  15. 片岡勝治

    片岡勝治君 いまも説明がありましたとおり、十月から毎月百五十人の検診を行うということですよね。したがって、その数字が統計的にここに出てきてしかるべきでありますけれども実態はここまでいっていないんでしょう。もしおわかりであれば、毎月どれだけやったのか発表していただきたいんです。いろんな事情で百五十人を目標にしたけれども、その線まで実態はいってないんでしょう。ですから、この引き算をすれば、九月までよりは若干上がっていますけれども、とても百五十人体制というものは実態としてはできていないんじゃないんですか。
  16. 信澤清

    政府委員信澤清君) さっきの部長の御答弁に多少先生お尋ねと食い違っている点がございますので私から申し上げたいと思いますが、おっしゃるように、十月から百五十人検診、百二十人の患者認定審査会で御審査いただくと、この体制はできているわけでございます。問題はその百二十人について処分確定していないと、ここにあるわけでございます。若干数字を申し上げますと、十月、百二十人認定審査会で御審査をいただきましたが、その結果認定判断されましたのが二十九名、それから棄却した者が十名、つまり全体の三分の一しか処分が行われていないと、三分の二はいわゆる保留者という形で、つまり審査会の方で知事に対して答申ができない、つまり判断しがたいということで審査会手元に残っておると、こういう者が約三分の二残ってしまっておるわけでございます。その後十一月、十二月に進みましても、また最近の一月を見ましても、その傾向は若干改善されつつはございますが、やはり多数の保留者というものが出てきておる。したがって、先ほど申し上げました熊本県の四千何名のうち千名近くがいわゆる保留という形で審査会手元判断ができない、こういう形で累積していると、こういうことでございます。
  17. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、検診体制は大きく前進をしたと思うけれども、三分の二が保留されてしまっているということになると、何かまだ根本的に解決していないような気がするんですよ、旧態依然として。むしろこの保留というか、そういう多数の方々保留ということが問題になっているわけでありますから、昨年の六月二十八日の閣僚会議における決定、百五十人検診、百二十件の審査、その結果としては大変大量の保留者が出ておるということですから、当初の見込んだ診療体制というものが依然として大変大きな問題を抱えておると、今日なおかつ。そういうことが言えるわけですか、これは。
  18. 信澤清

    政府委員信澤清君) 昨年の七月に新しい検診体制整備を決めたわけでございますが、その段階における熊本県におけるいわゆる保留者を含めまして処分が未確定の方が約三千七百名程度だったと記憶いたしております。この数字、間違えましたら後で申し上げたいと思います。したがって、毎月百二十人ずつ処分をしていけば、機械的に申して三年間でほぼ完了すると、こういう見通しであったわけでございます。ところが、いまお話しのように、保留者という形で処分が未確定のままの方が逐次ふえてきている。したがって事務が進捗していないということが一つございます。それからもう一つ熊本県におきましては、八月以降にわかに申請者の数が毎月百名ないしはそれ以上ふえてきておるわけでございます。したがって、こなす件数よりも申請者の数がふえてきていると、それから審査会にかかっても保留へ回ってしまうという形で、結果的に先ほど申し上げたように四千数百名の方が未処理と、こういうかっこうになっているわけでございます。したがって、この保留とされている内容でございますが、これは医学的判断に属することで私どもとやかく申すわけにまいりませんが、判断困難であると、医学的に。現在の時点判断困難であるという形で審査会では手元保留されていると、このように承っております。
  19. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、当初計画をいたしました昭和五十五年じゅうに滞留申請者処分を終了するという計画は、これは現状でいくと大きく先にずれるということになりますか。確かに申請者が若干ふえるということは、これはやむを得ないと思いますね、新たに発病するという者が出てきますから。現時点確定をするということがこれは不可能だろうと思う。そういう点で若干の狂いはこれはまあ物理的に出てくることが考えられます。しかし、いま申し上げました、あるいは指摘されたように、大量の保留という数字が出ておりますと、五十五年度じゅうに一応めどとして終了するということが、今日のいまの計画あるいは実施状況では相当先にずれるということが心配されますね。そういうふうに考えていいんですか。
  20. 信澤清

    政府委員信澤清君) まあ細部は部長から申し上げたいと思いますが、この問題は実はいまに始まったわけでございませんで、昨年認定促進を決めました際にもかなりの保留者があったわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、先生方判断困難ということでございますから、何かそれを促進する方法はないかと。しかし、お医者さんの判断でございますから、それに対してとやかく言うのもまたいかがかということでございまして、そこで、昨年の七月のいろいろな認定業務促進の一環といたしまして症例研究班というものをつくっていただいたわけでございます。この症例研究班構成員は、熊本県のみならず、鹿児島県、新潟県、新潟市、ここの審査会専門先生方を全部網羅していただいているわけでございますが、そこに各県からそれぞれ判断困難だという症例を持ち寄っていただきまして、そして、一つ一つのことについて具体的にとやかく申すのは問題がございますので、いわば類型的に研究をしていただくと、その結果そのことが即認定その他に結びつくわけじゃございませんが、そういう形で研究成果を御利用いただくことによって、いま保留されている方々についての認定促進、あるいは処分促進というものにつながっていくだろうということを期待しているわけでございます。ただこの発足が、これはまた先生方のいろんな御事情もございまして十一月末に発足をいたしております。その後何回か御研究をしていただいておりますので、いま申し上げましたように、個々の判断をするんじゃなくて類型的に考え方を決めていくということでございますので、その結果がどう出るか、いましばらく様子を見さしていただきたいというのが私どもの現在の心境でございます。
  21. 片岡勝治

    片岡勝治君 その年数の計画
  22. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) ただいまの局長答弁に補足をいたしますと、昨年の七月以降、判断条件を示しました関係処分率は上がっております。また、十二月以降症例研究班で、ほぼ一月あるいは二月に一回ずつ開く予定で今後進めていこうと思っておりますが、これによりまして、熊本県の審査会判断の一助になっておりまして、それによっての促進が今後図られていくと思うわけでございます。
  23. 片岡勝治

    片岡勝治君 もうちょっと具体的に言ってくれませんかね。百二十人のうち三分の二がこの保留ということですからね。当初昭和五十五年までに完了するということが、そういうような実態では相当おくれるんじゃないですかということなんですよ、単純に数字をとらえてみればね。いまその症例研究班というお話がございましたけれども、これをつくったからといって、この保留者が大部分認定とかなんとかということじゃないんでしょう。それほど数字上から見れば促進されているとは思えないんです。そうすれば、五十五年までに終わるということは大きく先に延ばさざるを得ない、こういうふうに判断されるわけですよ、この点はどうなんですか。
  24. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 先生御指摘のように、昨年の七月の時点での見通しは、その後の保留が多いということと、さらには申請者がふえているということからいたしますと、当時の計画と現状を分析いたしますと、五十五年までに全部を終了することは大変むずかしいと判断しておりまして、したがいまして、先ほども申し上げておりますように、もう少し検診体制を整えるような施策を五十三年度予算でいたしておりますし、また、その検診センターに現在常駐医が一名おりますが、これもふやしたいと思っております。また、審査体制につきましても何らかの形で審査促進されるようなことをやっていこうと、こう考えているわけでございまして、そういったことをあわせいたしまして、現状よりもさらに促進される方向を出してみたい、かように思っているわけでございます。
  25. 片岡勝治

    片岡勝治君 なかなかこの検診そのものが普通の病気と違ってむずかしいということを私どもも素人ながらわかるわけでありますけれども、しかし、大変深刻な事態でありますから、過般の、まあこれは後で質問もしたいと思いますけれども、座り込み等の抗議というか、要望というか陳情というか、そういうものも、やっぱりいまのそういった体制に対する大きな不満があると思うんですよね。このままでいけば、私は相当先に延びるだろうということを心配するわけなんです。  それで、これは五十二年九月三十日付の環境庁の文書、「水俣病検診体制整備について」という、大きく一、二、三と項目があって説明書きがありますね、これこれこういうことをしたいという。この実施状況はどうなんですか。五十二年九月三十日付の私の手元にある文書は、水俣病検診体制整備について、これこれこういうことをします、こういうことをやります、こういうことをしたいというふうな、項目的に具体的に書いていますけれども、今日時点でこれは実施されているのかどうか。なければこの文書をお貸しします。
  26. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 五十二年九月ですか、七月では……
  27. 片岡勝治

    片岡勝治君 九月三十日。これ、あなたの方でつくった文書じゃないの。
  28. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) これは私どもが県に対しまして説明をしたときの資料だと思います。  実施状況につきまして、その問いの中の(1)でございますが、神経内科につきましては、水俣病検診センターに常勤医一名を配置する、これは配置いたしております。それからさらに、熊本大学協力体制を倍増するということで、国立別府病院熊本労災病院というようなところの医師の協力を得ると、これも実施しております。  それから、眼科及び耳鼻科につきまして、熊本大学が実施することとしたと、これは熊本大学において促進の方向を協力してもらうことにいたしました。  三番目の神経精神科については、当面熊本大学及び富合病院により実施する、これもいたしております。  それから二番目でございますが、申請状況の推移に適切に対応し得るような常勤医の確保に努めるということで、必要に応じ他の大学、国立病院等の協力が得られるよう努めるということでございますが、現在常勤医を一名といたしましたが、これをふやすという方向でいま関係方面と詰めておりますが、なかなか水俣病専門先生方を得ることがむずかしいのでございまして、これにつきましては現在まだ果たしておりませんが、現在の常駐医をさらに一名ふやしたいという方向では関係方面との協議をいたしておるわけでございます。  県外の検診問題でございますが、これにつきましては近畿地域、東海地域の関係の医療機関との協議をいたしております。現在、その地域の検診業務につきまして関係医療機関お願いしたいという方向でやっておりますが、具体的に申しますと、熊本県に検診の申請をいたしております人たちの順番待ちの関係がございまして、その順番待ちの関係から、逐次地方における検診の受付をしていくという形をとっていこうと思っておりますが、具体的に県外在住者の申請についての検診がまだ行われておりませんが、体制づくりは一応つくってあるわけでございます。
  29. 片岡勝治

    片岡勝治君 この六月二十八日の関係閣僚会議決定をされた認定業務促進、この方針に基づいていまお答えのあった検診体制整備するという数項目が上がっているわけです。これが全部この文書のとおり行われて初めて百五十人検診、百二十件の審査、こういうこの目標が達成される、そういうふうに私たち判断できるわけでありますが、いまお答えによると相当部分関係の皆さんの努力によって実現しておりますが、まだ若干残っておりますね。ですから、こういう点がやっぱり整備されていませんと当初の目標に達し得ない、そういうことになると思うわけでありまして、いまお答えがあった点でまだ実現できていない点については、ひとつ早急に実現できるように御努力お願いをしたいと思います。  それから、いままでのお答えの中でも、大変保留が多い、こういうことをお答えになりました。これまでもずいぶんこの点についていろんな角度から検討されておりましたけれども、これは昨年ですか、公害対策特別委員会の方でこの問題の質問があって、石原長官がこれについてお答えになっております。その内容は、ちょっと引用いたしますと、「一つの非常にまぎらわしい病像というものの判定の仕事でございますので、裁判とは違いますけれども、一種の最終審といいましょうか、幾つか検査を重ねる、審査を重ねることで、それだけされ尽くして、そこで判定が出たものはやはり手続の中で患者さんたちに納得をしていただく、申請者に納得をしていただくと、そういう意味で地域性を越えた形で、そういう専門家の権威を集めまして、そういう最終的な審査の機会というものをつくってほしいという県の依頼でもございますが、同じようなアイデアがすでに環境庁の方にもあったようでございまして、できればそういうものをつくりたいと思っております。」、こういう石原長官の答弁があったわけであります。さらに、それに補足して保健部長さんから、その部分だけちょっと読み上げますと、「やはり県の認定審査会判断が困難な事例が生じてくるということにつきましては、何らかの対応方法があるんではないかというふうに検討をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。」、そういう点の補足があるわけですね。つまり、裁判ではないけれども、一審とか、その上級審というものがあっていいんじゃないかという一つのアイデアだろうと思うんですが、これはその後環境庁で具体的に検討されたことがあるんですか。
  30. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 現在の制度からいたしまして、上級審に当たるものをつくるわけにはまいらないということでございます。したがいまして、熊本認定審査会先生方、それから新潟鹿児島認定審査会先生方に集まっていただきまして、それで症例研究班というのを組織いたしまして、その中で個別事例というよりも、むしろ類型的に判断困難な内容を集めまして、それについての御議論をいただきまして、それをひとつ熊本県の審査会の方にフィードバックして審査の一助にするという方式をとりましたのが現在の症例研究班でございまして、十一月以降、その機能をしておりまして、それによる判断促進ということがある程度図られておるわけでございまして、したがいまして、現在私どもの方で上級審査機関というものの設置につきましては考えておらないところでございます。
  31. 片岡勝治

    片岡勝治君 特別委員会の方でそういう答弁がありましたのでお聞きしたわけでありますが、その後、環境庁の方の文書を見ましてもそういうものをつくるというような考えはないということであります。この問題はまた他日質問をしたいと思いますが、そこで、大変保留が多いというこの点について、何か救済の方法がないかということ、これもこれまでずいぶんいろいろな角度から論議をされましたけれども、三月十八日の新聞に準認定制度というものを、関係省庁がそういう方針を決めたということで、相当新聞に大きく取り上げられております。この構想について御説明お願いしたいと思います。
  32. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) そのような新聞報道があったわけでございますが、私どもの内部におきましては、準認定というような考え方のものは、現在の制度の中では具体的に検討したこともございません。現在の認定業務の推進という方向でその促進の方途を講じていきたい、かように考えておるわけでございまして、そのような考え方につきましての検討は現在いたしておりません。
  33. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、この報道というのは全くこれは誤報なんですか。これだけの記事が出る以上、しかも関係省庁の方針ということで出ておりますから、全く火のないところに煙立たず、これだけの報道がなされれば、私はどこかで何か検討されたんじゃないかというふうにとるのが常識なんですが、全くそういうことはなかったのですか。
  34. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 私どもの内部では現在全くございません。
  35. 信澤清

    政府委員信澤清君) 新聞報道のニュースソースその他については私ども承知はいたしておりません。しかし、先ほど来部長が申しておりますように、準認定というような非常にあいまいな概念を持ち込むことは、私どもとしてはとるべき策ではないというふうに考えているわけでございます。ただ想像でございます。想像でございますが、これに相応するような考え方が過去なかったかと申しますれば、一つだけ考えられるものがあるわけでございます。これは熊本県がいろいろ認定促進について御要望をお持ちになっておられるわけでございますが、その時期時期によって御要望内容が変わってきております。しかし、たしか昨年の五月か六月ごろに県の持ってこられました御要望の中に、現在、処分としては認定か棄却の二つしかないと、したがって第三の範疇とも言うべきものを考えることはできないかと、こういう御要望なり御意見があったわけでございます。したがって、準認定という言葉は私は適切だとは考えておりませんが、そういうような、処分として新しい範疇を設けるという御意見は県にもあったわけでございますから、当然私どもとしても内部的に検討していると、ただし現行の法の枠内ではこれはできないということがいままでの私どもの結論でございます。  なお、この機会にちょっと訂正させていただきたいと思いますが、先ほど申し上げました百五十人検診、百二十人審査体制で毎月百二十人認定をしていけば三年間で解消すると、こう申し上げましたけれども、私どもの案でも若干の保留者が出るということで、毎月百名ずつ認定あるいは棄却の処分をしていけばと、こういう前提で三年間という計画を立てたということでございますので、この際訂正をさせていただきたいと思います。
  36. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、この百二十人というのはいままでの文書にはずっと出ておりますね、それを百人というふうに訂正されるわけですか。
  37. 信澤清

    政府委員信澤清君) 百五十人検診、百二十人認定審査と、これは変わらないわけでございます。ただ、その結果従来の例から申して若干の保留等が出るであろうと、それを見込んで、百名については認定なり、あるいは棄却なりの処分について審査会の御意見が出るだろうと、こういう考え方であったわけでございます。その前提といたしましては、先ほどからのお話に出ておりませんが、御案内のように昨年の七月に判定条件というものを各県にお示ししているわけでございます。これは医学的にそれぞれの御専門家の御意見を聞いて決めたわけでございますから、そういう判定条件をお示しすることによって従来の保留というものはかなり減ってくるんではないかと、こう考えたわけでございます。
  38. 片岡勝治

    片岡勝治君 わかりました。しかし、いままでもずっと質問しておりましても、依然として大変保留が多いということでありますから、これは検診体制あるいは認定体制そのものを充実強化する以外にその道はなかろう、こういう点で、ひとつ真剣にこの体制強化のために御努力お願いをしたいと思います。  それから最後に、過般水俣病患者さんたち環境庁の前に座り込みをしたわけでありまして、まああの人たちにしてみればよくよくのことであろう。みずからのその悪い体にむち打ってここまで陳情し、座り込みをするということでありますから、私たちは深く同情するわけであります。これに対して、環境庁が警官隊を動員して排除したということが新聞、テレビ等で大きく報道されまして、大変悲しむべき事態と私たち感ずるわけでありますけれども、このいきさつについて御説明お願いをしたいと思います。
  39. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 今回の水俣病患者さん、一部の患者さん及びその支援グループによります陳情につきましては、環境庁といたしましてはできる限り正常な話し合いの道を求めて努力を続けてきたわけでございますが、陳情者の言い分といたしまして、みずからの要求いたします抜本策というものが受け入れられない限り退去しないと、こういう態度であったわけでございます。三週間余にわたって座り込みを続けて、ときによりましては庁舎内におきまして集会を開くと、こういったような正常な陳情活動を逸脱したような経緯があったわけでございます。
  40. 片岡勝治

    片岡勝治君 これに対して長官も談話を出しておりますけれども、この際長官の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いま部長からちょっと経緯、御説明いたしましたとおりでありまして、われわれといたしましては、いま御指摘になったような水俣病のことでございますので、したがってこれはいま申しましたように、患者の一部、それから支援グループの陳情という形のものでございまするけれども、しかしながら、ああいうような形にいくことはわれわれの方としても一番これを避けたいと念じていたところでございます。ただしかしながら、抜本策というようなことで三週間余もそのままずっと居座りを続けるということで、いわば実力を背景にしての要請というような形でございますので、われわれとしては、この話し合いは正常な形ではいつでもやりたいと、やる用意がある。しかしながら、ああいうような形のものでやるということは、これは患者自身の健康という点から見ましても、それからまた、それがいろいろ四囲に与えるいろいろな問題等から考えてみても、ひとつそういう形はぜひ解いてやめてほしいと、そしてもう普通の形でということを、これは繰り返しわれわれの方として要請してまいったわけでございます。三週間余にもなりまして、たまたまそのときにいろんな特別の集会などがございまして、それでまた環境庁の方に、つまり合同庁舎の方にその集団がやってくるというような状況でもございました。そこでやむを得ずあのようなことになったことでございまして、私非常に遺憾だと考えております。ただし、これは実力行使の居座りというような形での、ああいういわゆる陳情活動を逸脱したような形のものをわれわれはやめてほしいということで終止符を打ってもらったわけでございまして、正常な形ということではいつでもわれわれの話し合いをやっていこうという態度にはちっとも変わりないわけでございます。いま申し上げましたように、この問題は非常に大事な、私なんかも何とかこれに対処する方法をという立場で、いわばいろいろ苦慮して対策を考えているわけでございまして、検診促進といういま御指摘になった問題も、実はいろいろ医師の数その他の関係から事実上なかなか制限というものを受けるのを余儀なくされておる。そういう意味では、何かほかに全般的に促進していくような方法がないだろうか。いろんな問題を加味して、いまもわれわれとしては、これに少しでもこたえられるようにという方法を、関係方面とも相談して、ひとついい結果を導くように努力をしたいということで考えている、それが今日の状況でございます。
  42. 片岡勝治

    片岡勝治君 この問題について新聞の論調あるいはテレビ等の報道の姿勢を見ると、やっぱり患者さんの方にこれは同情的ですよ。これはこれまでの環境行政にも大きく関係があると思うわけでありますけれども、ある新聞の報道等によれば、これまで環境庁といえば、どちらかというと国民や住民の側について健康を守るために前面に立ってがんばってきてくれた、しかし最近はどうもおかしくなってきた、石原長官の発言等もそれに影響したと思うわけでありますけれども、あるいは自動車の排気ガス規制、あるいはアセスメント法なども、アドバルーンは上げたけれども、一年、二年たってもその姿は国民の前に出されない、そういう環境庁のこれまでの政治姿勢といいますか、行政の姿勢というものがあるものですから、今回のこの問題についても、もちろんああいうことをやらなければならない、そういう点ではまことに残念ではありますけれども、そういう人たちに対して本当に粘り強く話し合いをしていくというような姿勢が、もう二週間たったから、三週間たったからということではなかろうと思うわけでありまして、そういう点は環境庁の行政の姿勢そのものが基本的にこういった問題の解決を図ると思うわけであります。あの座り込みの陳情運動によって何がしかの前進があったのかどうか、私どもつぶさにわからぬわけでありますけれども、具体的にこれはどうなんですか、患者さんといろいろな点で交渉されたわけでありますけれども、何か一定の前進といいますか、そういうようなことがあったんですか。
  43. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 患者さんの方の一番初めに出されました要求書というものの内容を見てまいりますと、第一番目には、国が水俣病についての全面的な責任を認めよということ、それから抜本策を打ち出す、そういったような答えが得られない限り話し合いが続けられないというようなことでございまして、私どもその経過の中では、小人数の向こうの代表と私どもとでもいろいろと話し合いをしてみたわけでございますが、なかなか話の根本論に立脚しております点が多うございまして、また私ども時点におきまして予算の御審議を願っているような点がございますので、いまの段階で具体的な内容についてなかなかお答えができない状況経緯しているわけでございます。
  44. 片岡勝治

    片岡勝治君 患者さんにしてみれば、先ほどからいろいろ論議されておりますように、まだまだ認定には数年かかる、一体自分たちの生活はどうなるんだ、そういう心配の余り、具体的にそうした問題点の解決が示されない、そういうことでああいう座り込みということになったと思うわけであります。そういう事態が発生しないで問題の解決を図り得るということがもちろん一番いいわけでありますけれども、やっぱりわれわれとしては、そうした患者さんの気持ち、置かれた条件、そういうものについて温かい気持ちで見守ってやる、そうした要求にこたえていくということが基本になければならぬのではないか。そういう点で、私は警察官まで動員して実力行使で排除する。言ってみれば、あなた方は実力行使で座り込みをやったんだからという弁明をされるかもしれませんけれども、それを排除するにはやっぱり同じようなことをあなた方だってやっているわけですよね、警察官動員して実力で排除するという。私は問題の根本的な解決にはならぬだろうと思う。どうかそういう点で、まあ今後とも話し合いをぜひ進めていくという基本的な姿勢には私は変わりないと思うわけでありますが、どうぞ患者の皆さんの立場、置かれた条件というものに対して、本当に守っていく、それが環境庁の仕事である、そういう政治姿勢に立ってこの問題の対処をお願いをしたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わりたいと思います。
  45. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私はまず、設置法に関連をする質問の前に、いまもいろいろお話がありましたが、患者方々が座り込みをおやりになって、そしてまた環境庁が強制排除をした、このことについてお尋ねをしてから質問の中に入っていきたいと思います。  川本委員長のおっしゃるのには、座り込みを二月の二十四日からずっとやっておったけれども、あなた方の方が十六日の午前中に患者側と話し合いをするということを言ったまま、そのまま何の話もなくて、十九日に警備員の方々を行使しての強制排除が始まった、こういうような主張が新聞の報ずるところでございますが、また事後の談話としても、やはり昨年の行政怠慢を認めた不作為の判決を無視をする環境庁こそ違法行為であるから、環境庁と交渉をするわれわれは義務があるんだと、だからここで待たしてもらっておるという、そういうような主張に対して、いままで認定業務が非常におくれておるという反省も含めて、環境庁は、患者方々が実力行使をされたということは一応おきまして、あなた方の反省の点はどのような受けとめ方をされて反省をしていらっしゃるか、この点を長官にひとつお伺いいたします。
  46. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 私は、先ほど来いろいろお話がございました、具体的には、この認定業務というものをどうやって促進したらいいかというその具体的な手段、方法だろうと思うんです。この点については、水俣病というものが特殊な病気でございまするので、非常な専門的な知識を要します。先生の数も非常に限られておる。したがって、そういう中においてできるだけこれを動員してそして促進してやっていきたい。それに先ほどお話がございましたように、なかなか認定困難と言われている。留保のものも常にある。したがって、こういう事態に対して、いわば認定促進業務は昨年十月から始められて、いまいわゆる不作為という問題について、これにこたえて促進に入ったので、ひとつせいぜいこれをという考え方でやっているわけですけれども、また新たなる事態においていろいろわれわれの方として考える点、こうやったら、ああやったらという案、これは環境庁限りでできないいろんな問題もありますので、この点については一生懸命になって努力してやっていきたい、こう考えているわけでございます。むろんチッソの問題についても同様でございます。しかしながら、先般の居座りによる話は、結局根本問題を繰り返しているだけで、初めはわれわれに会わないと言っていたのに、話し合いそのものを拒否するのはおかしいじゃないかということで、むしろその点を強く訴えてそれで私自身も会いました。ただしその会った話というのは、いわば非常に政治的といいますか、静かに物を検討し得るようなそういう環境のものではなかった。その後において私の方の事務当局が、非常にああいう圧力のもとというようなかっこうでありましたけれども、少しでも前進するようにということで話し合いはしましたけれども、しかしながらああいう形においては結局実りのあるような話はできない、長い努力の結果であったけれども、そういう結果ではなかったかと残念ながら思わざるを得ないような状況でございまして、いわばこのまま推移することは、患者自身の健康の問題から考えてみましても、またあそこの合同庁舎の正面に居座っておられるというようなことで、他に与えるいろんな影響から見ても、もはやこういうことでは——そういう形は解いて静かなそれこそ話し合いという形でやってくれという繰り返しに対しても、とうとうそれに応じられないというままに、結局正常な話し合いに入るきっかけをつくるためにやむを得ずああいうような結果になったということで、残念ながらああいう形において実りあるものが私は出なかったというような判断に立たざるを得ないんじゃないかと思います。にもかかわらず、一方においては、いま私が申し上げましたように、いろんな問題を考えての点は、これは関係方面努力してやっております。ただ、これをいま具体的に公表し得るような段階にはまだ到達しておりません。しかしながら、この点はやっておりますし、そういう点についても私は静かないろいろな意見、実情、そういうものを聞いて、促進させるのに手助けになる、そのような私は環境のもとにおける、またそのような実態のもとにおける話し合い、このことをわれわれ一同も強く念じておるわけでございまして、そういう道は最初から言い続けてきた道だし、いまもちっともそういうものを打ち切りもしなければ閉ざしてもいない。このことを申し上げてひとつ御理解を得たいと念じております。
  47. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 患者側の方々要望されておる問題は、長官が言われた根本的な問題でなかなか早急に解決し得ないということはあったにしても、私は当然の要求かと思います。そしてまた、体が不自由な方々が、熊本あたりからこの寒い東京に、しかもコンクリートの上に座り込みをするという、その苦衷というものは私は察するに余りあると思います。いま長官が言われたとおり、静かな中でとおっしゃるけれども患者側はそういう心境になかなか立ち至らなかったということも私は理解を示されることが必要ではないかと、こういうふうに思うわけです。で、まあ警察官まで導入をされて、あのようなけいれん状態を起こしておる患者を、当然起こるだろうということはあなた方も予測はできると思うわけでございますが、そういう中でああいうような排除をされるということは非常に残念な思いがいたすわけでございますが、今後はこういうような障害があったにしても、前向きでよく責任者の方々と話し合いの場を持つということを、心を開いてひとつ処理をしていただきたい、このように思うんですが、いかがですか。
  48. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 実りある話し合い、これこそわれわれが最も念じているところでございます。いろいろ不徳の点、われわれも非常に残念に思っておりまするけれども、この点いささかでも御理解いただければ非常に幸せと思っております。
  49. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、水俣病と、それからチッソの問題に関連して質問をいたしますが、もう先ほどもお話がありましたとおり、水俣病は発生してから約四半世紀を過ぎようとしておりますが、完全な治療法がないまま、患者はもちろん、水俣病認定申請患者はさらにひどい状態に置かれていることは御承知のとおりでありますが、そこでお伺いしたいことは、水俣病認定申請の処理状況処理体制、これが熊本鹿児島新潟、おのおのどのようになっておるか、簡単に御説明願います。
  50. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 水俣病認定業務につきましては、新潟県、新潟市、それから熊本県及び鹿児島県の三県一市において行われているわけでございます。それぞれの県の状況を見てまいりますと、新潟県、新潟市等におきましては、現在申請の数もそう多くございませんが、ほとんど毎月、あるいは月によりまして休んでおりますけれども、一応五十二年の一月から十二月の間におきましては、新潟県におきましては百五十九の審査をいたしまして、一〇〇%の処分をいたしております。それから、新潟市におきましても同様九十件の審査をいたしておりますが、処分率は一〇〇%でございます。しかしながら、熊本県におきましては五十二年の一月から十二月の間に九百十四件の審査をいたしておりまして、そのうちの約三〇%程度処分をしておりますが、七〇%程度処分保留になっている。鹿児島県におきましては三百七十名審査いたしておりますが、やはり処分が平均いたしまして三〇%程度でございまして、しかしながら、熊本県におきましては昨年の七月以降特に処分の割合が高まってまいりまして、五〇%以上の処分をきちっとしているような月もございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、特に熊本県におきましては申請者がその後もふえているという実態でございまして、そういう意味での処分保留者がふえる傾向があるわけでございます。
  51. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほども質疑の間でいろいろ問題になりましたが、新しい認定申請者というのが大分出てきていらっしゃるようで、いままでの処分保留のそういうような申請者等含めまして処理をされるのには時間が相当かかるのではないかと、こういうふうに思うわけで、いままで認定業務を県だけに任しておられたと、特に熊本県の場合は相当な負担で、県議会の方でも返上というようなことで御意見も述べられておるようでございますけれども、国がこのような状態に追いやったということは私は大きな責任じゃないかと、ここらあたりで国が認定業務をすることについては考え始めていいんではないかと、こういうふうに思うんですが、その点についていかがでしょう。
  52. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 御承知のように、この水俣病認定業務と申しますのは、地域住民の福祉に深くかかわることでございますので、住民と密接な関係にあります地方公共団体の長が行うという形で制度が組み立てられているわけでございます。さらに、水俣病だけをとりましても、認定申請者の大半が県内の在住者であるということ、それから水俣病に関する臨床的な専門家が、主として熊本大学等を中心といたしまして大ぜいおられるということ、そういった実態を考慮いたしますと、この認定業務は今後ともやはり引き続きまして県が実施することが適当と考えているわけでございます。このような考え方につきましては、昨年の六月二十八日の関係閣僚会議におきましても申し合わせがなされたところでございまして、環境庁としては、現行の方法の中で業務を着実に推進するということが最も肝要だと考えておりまして、この点につきましては、熊本県とも一体となりまして、その認定促進が図れるような方途を協議をし、最善の努力を図っていきたいという方向で考えているわけでございます。
  53. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ことしの初めごろだったと思うんですが、熊本の澤田知事が、判定の非常に困難なそういう申請者だけでも国が認定業務をしてもらえぬだろうかと、こういうこと等が、非常に認定業務が遅延をしておるということに関連をし、また認定業務に関する県の費用の負担ということ等から、そういうような御意見をお出しになったと思いますが、これについてはいかがお考えですか。
  54. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) ただいまお答えいたしましたような方向でこの制度ができておりますが、判断の困難とされている事例につきましては、昨年、判断条件というものを示しましたし、その後環境庁が三県一市の審査会先生方を一堂に集めまして症例についての研究をするという症例研究班を設けております。これは症例の類型的なものを持ち寄りまして、その判断についての討議をいただきまして、その討議の結論を踏まえて地元の審査会判断の手助けにする、こういうことをしているわけでございます。これによる認定業務促進というものも昨年の十一月からしておりまして、これまた関係閣僚会議でも申し合わされた趣旨にのっとってやっているわけでございます。私ども、そういった方法期待するという方向で、現在その推移を十分見詰めてまいりたいと、かように思っているわけでございます。
  55. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いずれにしましても、認定業務促進をされて、その努力は認めますけれども、現実に焼け石に水のような状態でなかなか遅々として進んでいない、その間に申請者はもう本当に生命の危険にさらされておるのが実態でございますが、県だけにこの認定業務を任しておるということは、私は国にこれは大きな責任があるんではないかと思いますが、そこで、県と抜本的にこういう問題について話し合ったことがあるのかどうか、今後そういうような気持ちがあるかどうか、また、現行の認定制度を何とか抜本的に変えるというお考えはないかどうか、その辺のところをお答え願います。
  56. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 当然のことながら、昨年十月以降の実施状況あるいは申請状況というものを踏まえまして、しばしば県の事務当局と会議を持ちましては方法論についての議論をいたしております。まだ、先ほども説明申し上げましたように、この検診にいたしましても審査にいたしましても、全国どこの大学、どこの医療機関というところにもこの水俣病専門家がいるわけでございません。やはり熊本鹿児島あるいは新潟というような特定の地方に専門家が多いというようなことから、なかなかその先生方の本来業務に支障を来さない限りにおいて促進を図っていこうということには困難性がございます。しかしながら、関係方面協力をなるべく仰ぐようにいたしておりまして、昨年十月からの促進がなされたわけでございますが、今後さらにその第二弾、第三弾の促進という方向を現在検討しつつあるわけでございまして、そういった方向で今後の解決を求めたいと、かように思っておるわけでございます。
  57. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、認定業務促進一つとしては、検診センター充実強化ということが私は一つの大きなテーマじゃないかと思いますが、現在、検診センターには常駐のお医者さんはお一人のようでございますが、この常駐医の増員配置ということについてどのようなお考えでしょうか。
  58. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 現在御審議を願っております五十三年度予算におきましても、検診センター機能向上並びに施設の拡大ということで、施設の拡大についての県に対する補助金あるいは内容の機器等の整備による検診促進ということでの機器整備の助成金を計上さしていただいているわけでございますが、そのほか、御指摘の常駐医による検診というものが非常にその能率向上に役立つということがわかっておりまして、昨年から一人常駐医を確保することができましたが、今後さらにこの常駐医をふやすという方向での問題は、関係熊本大学そのほかの大学等から水俣病専門先生を仰いで常駐医をふやすという方向で、現在折衝を進めております。ただ、なかなかいろんな意味での条件の折り合いの問題等がございまして、今日までさらに二名以上にすることについての実現を見ておりませんが、これは強力に私ども進めてまいりたい、かように思っております。
  59. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほども、県外の患者検診窓口の整備ということについて御答弁があったようでございますが、水俣病患者は、熊本関係の方で全国的に約二十数カ所、鹿児島で十数カ所の都道府県に移住をしていらっしゃるようでございますが、こうなりますと、一地方の認定業務をやるということでは、その地方自治体も、あるいはまた患者の方も大変だろうかと思いますが、そういう意味から、特に患者には体の不自由な方が多いわけでございますから、住んでいる地元でやるというふうな、そういうようなことを考え、またそういう措置をするお考えはないかどうか。
  60. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) お尋ねの点でございますが、従来は、かつて水俣に住んでおられてその汚染された魚を食べたということで、その後居住地を変えておられる方々につきましては、従来熊本県に申請をいたしまして熊本へわざわざ出向いてまいりまして検診をされる、その後審査に付するという形をとっておりました。東海地方、近畿地方、それから関東の東京付近というところにかなりの申請者がおられます。数百名でございますが、おりますが、その中で特に東海地域あるいは近畿地域につきましては、私どもその地域の申請者方々とも数回話し合いをいたしました。また、関係の医療機関におきまして検診をしていただくという方向についての協議も、私ども現地へ参りまして医療機関の長並びに医療機関の担当医の先生方と相談をしております。東海地域、近畿地域におきましてはほぼできる方向になってまいりましたが、しかしながら、その地域に住んでおられる方々熊本県における検診の順序待ちというふうなことがございますので、熊本県からそういった順序に応じての検診の依頼を事務的に受けるということになりますならば、他の地域における検診もできるというような体制にまでほぼこぎつけてまいりました。これは県からの要望もあった点でございます。現在その整備が整いつつあるというぐあいに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  61. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、新聞紙上で取り上げられております補償の母体のチッソの問題について、通産省の方来ていらっしゃいますか。——お伺いしたいと思いますが、いままでのチッソの累積赤字の額とか収支状況など、経営状態はどうなっているのか、また、チッソの現在の補償の月額、年額についてお知らせ願います。
  62. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) チッソの経営状況についてのお尋ねでございますが、チッソは昭和四十年の上期から無配会社になったわけでございますが、自来この五十二年度までずっと無配でございます。最近では、御承知と思いますけれども、チッソの主力製品は塩ビ、化学肥料、ポリプロの三つでございますけれども、そのいずれの商品につきましても市況が非常に悪うございまして、そういうことで大変苦境に陥っているわけでございます。昭和五十一年度、昨年の三月末の決算を見ますと、売上高が八百四十四億円でございますが、経常利益一億円でございました。ただし、これは経常ベースの収支でございますから、特別損益を加えますと大幅な赤字になっております。それから、五十二年度の上期には、これは中間決算でございますけれども、売上高四百二十七億円に対しまして経常ベースで八億円の損失を出しているわけでございます。これに特別損益を加えますと、チッソの累積の赤字は三百十二億円に達しております。  それから、補償金の支払いでございますけれども、これは五十二年の上期までに二百六十八億円の補償をいたしております。最近の数字で見ますと、五十年度は三十一億円、五十一年度は四十六億円、それから五十二年度には上期だけで二十二億円を払っております。お尋ねの月々の支払いはどうかという点でございますけれども、これは月ごとにいろいろ変化いたしておりますけれども、多い月は、たとえば最近でございますと昨年の十一月に七億円、十二月には四億円、ことしの一月は五億円、こういうような数字になっております。
  63. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今後認定患者がふえてくることは、これは当然でございますし、補償の金額も大幅にかつ急増することも当然かと思いますが、世間ではチッソの倒産もささやかれるなど非常に苦しい立場に立っていることは、これはもう理解ができるところでございますが、そこで、熊本県やあるいは水俣という地元では、チッソの救済のため——ということは、補償金の支払いかとまりますと患者の救済ということが大きな問題になりますので、そういうことも含めまして政府資金を導入することを要望しているわけでございますが、政府としてはこの点をどのようにお考えか。
  64. 信澤清

    政府委員信澤清君) 御案内のように、現在水俣病患者に対する補償金の支収いというのは、チッソと患者さん方の間の民事上の補償協定というものに基づいて行われておるわけでございます。したがって、私ども法律に基づく認定をいたしますと、現在の補償法の体系の方の給付を受けるのではなくて、民事上の補償協定の方の給付を受ける、補償を受ける、こういうたてまえになっておるわけでございます。そこで、仮にチッソについていまお話しのような事態が起きますと、一つは補償金の支払いがどうなるかという問題、同時に、水俣にございます工場が仮に閉鎖等の事態になりますれば、その地域における雇用その他の社会的、経済的諸問題というものが深刻になってまいるという事態が想定されるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、いろいろこれに対する対応はございますが、やはりチッソを存続させながら、いま先生お話しのように、補償協定に基づく補償を十分に履行させる、こういうことでいくことが適当ではないかと、こういう判断をいたしておるわけでございます。ただし、その場合に公的な措置としてどのようなものがとり得るかということにつきましては、これまた御案内のような汚染者負担の原則というものがございますから、そのたてまえを貫きながら、いま申し上げたように最終的にはチッソを存続させ、そうして補償協定に基づく補償金の支払いを円滑に行わせる、その兼ね合いをどう考えるかということ等につきまして、目下通産省初め政府部内で御相談をしておる、こういう段階でございます。
  65. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 一月二十四日だと思いますが、村山大蔵大臣が水俣病閣僚会議で、開発銀行等の融資等を含めまして国や政府機関による特別融資は筋違いだと、——大蔵の方来ていらっしゃいますか。——このような御発言があったようにお聞きしておるんですが、ではチッソの救済についてはどのような考え方、どのような基本方針をお持ちなのか。仮にまたチッソが倒産をし、そして補償金の支払いが不能になった場合に予測される事態、それに対応する処置を政府はお持ちなのかどうか、患者救済を含めまして。また、通産の方にも同時にお伺いしますが、チッソグループや日本興業銀行によるチッソの自主的再建に対して行ってきた政府の行政指導と今後の方針はどのようなものをお持ちか、お答え願いたいと思います。
  66. 大場智満

    説明員(大場智満君) まず最初に、去る一月の閣僚会議の際におきます大蔵大臣の発言でございますが、大蔵大臣は、開発銀行の資金は産業開発等に要する設備資金に限られており、補償資金、補償融資と申しますか、補償金の支払いのための融資は法律上できないという趣旨を申し述べたというふうに聞いております。  次に、チッソに対する救済の問題でございますが、先ほど環境庁からも御答弁がありましたように、この問題につきましては、まずチッソ、いわゆる原因者負担の原則との兼ね合いをどうするかというのが重要であると考えております。ただ、仮にチッソが補償金支払いに困難を感ずるような場合には、先ほどからるるお答えがありますように、地域振興の問題あるいは雇用の問題のみならず、何よりも患者の救済という点で非常に大きな問題がございますので、私どもとしましても、できるだけそういう事態にならないように対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、具体策につきましては、現在関係省庁が頻繁に集まりまして知恵を出し合い検討しておると、そういう段階にございます。
  67. 児玉幸治

    説明員(児玉幸治君) チッソ、チッソグループ、その他金融機関等でチッソを支援するためにどういうことをしているかというお尋ねでございますけれども、チッソ自身につきましては、かねがねその企業内におきます合理化、徹底的なコストダウン等につきまして企業自身の努力を大いに期待しているわけでございますが、金融面におきましても、先生承知と思いますけれども昭和四十九年以来金融機関からの借入金につきまして、元本の返済のたな上げでございますとか、金利の軽減でございますとか、そういうふうなものがずっと現在も続けられているわけでございます。  それから、当面何をしているかということでございますが、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、いずれも非常に不景気な分野に属する商品の生産をいたしております。そういうことでございますので、たとえば、塩ビの場合には不況カルテル、これは現在も行われておりますけれども、そういうものの中で市況を何とか立て直そう、それからポリプロピレンの場合には、昨年の秋以来新規参入の動きがございますけれども、これを説得いたしまして新規参入をこの際思いとどまってもらうというふうな形で、市況の維持、確保を図っているわけでございます。なお、経営健全化ということになりますと、当然新しい商品、新しい収益性の高い商品の開発というものを考えなければならないわけでございまして、これはすぐれて会社自身が考える問題でございますけれども、会社の方から案が出てまいりました場合には、私どもといたしましてはこれを積極的に支援してまいりたいというふうに思っております。
  68. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 たしか二月の二十四日の新聞だったと思いますが、内閣官房がチッソに対して、三月末をめどに今後の補償金の見込み、収益などの長期見通しの提出を求めたということが掲載をされておるようでございますが、この事実の有無、もし事実であるとするならば、政府資金導入の前提とする意図があるのかどうか、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
  69. 信澤清

    政府委員信澤清君) 先ほど来頻繁に出ております関係閣僚協議会の事務を、内閣官房で当然のことながら扱っておるわけでございますが、内閣官房が独自でそのような資料を要求されたという事実は私どもは存じておりません。
  70. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次の問題に移りますが、あと二問ほどで一応区切りますが、現在クローズアップされておる県債方式の救済方法でございますけれども、もしこの方法をとるとすると、こういった起債が適当なのか、また償還能力の判断はどうするのかを含めて、この方式に対する自治省の見解をお知らせ願いたいと思います。
  71. 小林実

    説明員(小林実君) 県債発行の問題につきましては、県の方から私どもの方に要請がございませんのでお答えするのはどうかと思いますが、一般的に地方債の扱いにつきましてお答えをしたいと思います。  従来、転貸債の発行につきましてはいろいろ要件がございますが、一つには、当該対象事業につきまして地方公共団体が何らかのかかわりを持つ、行政責任のようなものがあるというものに認めると、こういうことを一つの原則としております。それから二番目に、転貸先の償還能力に不安がないということもポイントの一つでございます。また、転貸債の場合におきましても、これは三番目になりますが、主として建設事業を原則としているわけでございます。御質問のチッソ救済のための県債発行につきましては、いま申し上げましたような点につきましていずれも問題が多いわけでございまして、私どもといたしましては、困難である、こういうふうに考えております。
  72. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 現在の公害健康被害補償法では、現実に加害企業であるチッソの支払い能力というのが非常に問題になっておるわけでございますが、もしもこの支払い能力を喪失した場合の対応措置がないようでございますが、この補完措置はどのように考えていらっしゃるのか。たとえて言いますと、この補償法を抜本的に改正をするとか、あるいはまた大気汚染疾病に対して、企業が連帯責任で汚染賦課金を拠出をして全国の患者に補償金として支払っているという、こういうような制度を、水俣病という特定な病気でございますけれどもとり得るのかどうか、こういうことも含めてどのようにお考えなのか。
  73. 信澤清

    政府委員信澤清君) お話しのように、現在の公害健康被害補償法で、お話しのような事態が起きた場合にどうなるかということについて、この法律制定当時想定をしておらなかったという事実は御指摘のとおりでございます。したがって、法律上認定をされ、都道府県知事が補償金の支払いをするという義務は形式的には残るわけでございますが、その財源となるべきものが、チッソから公害健康被害補償協会に納付されない。つまり財源がありませんから事実上この法律は動かなくなる、こういうことでございます。このような形で制度が発足したにつきましては、こういう事態を想定したら、もともとこの法律がいわば民事上の責任を行政的な仕組みによって補てんをするという考え方をとっているわけですから、民事責任を負うものがなくなるという事態を想定すること自身が、この法律のいわば立脚点を失ってしまうというようなことからこのたてまえをとっているわけでございます。しかし、現実問題としてそのような事態が起きました場合にどうするかということは、これからの研究課題ということになるわけでございまして、さような意味を含めまして、先ほどの民事上の補償協定に基づくものであれ、仮に補償法による給付を行う場合であれ、チッソを存続させておきたいというのが環境庁の考え方であるわけでございます。  それから、財源に第一種の疾病と同じようにいわば連帯責任というような考え方が入らぬかというお話でございますが、第一種の疾病と申しますのは、大気汚染、水質の汚濁等の相当広範囲にわたる環境汚染がある、それから疾病の内容が非特異性疾病と申しまして、通常あり得る、つまり環境汚染がございませんでもあり得るぜんそくでございますとか、こういう疾病を対象にしているわけでございます。したがって、何と申しまするか、四日市判決等に見られますように、企業の共同責任というものをバックグラウンドにいたしましてあのような制度になっているわけでございます。水俣病の場合には、これはもう汚染をした原因者と被害を受けた方というのが特定しているわけでございますから、その中に法律的に共同責任を持ち込むというのは、現在の段階ではなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、いろいろチッソの問題を今後考えます場合に、国がどうこうする、あるいは地方公共団体がどうこうするというほかに、やはり先ほどもお話に出ておりましたように、経済界全体としてチッソにどう対応していくのか、こういう点もやはり私どもとしては十分見きわめる必要があると思いますので、そういう全体をおいた上であと何ができるかということを、やはり行政的に考える必要があるんじゃないかと、このように考えております。
  74. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いずれにしても、このような問題でPPPという、こういう原則を将来も踏まえていくということになりますと、経済界の好不況によって非常に左右されるこういうような個人企業というものに補償の負担をさせるということは、非常に不安定な、そういうような問題が起こると思います。そういうことで、こういうような考え方を国としては変更する、そういう抜本的な考え方の変更をお考えになってはいないのか、そういうことも含めて御答弁お願いします。
  75. 信澤清

    政府委員信澤清君) いわゆる第二種、水俣病あるいはイタイイタイ病、これは先ほど申し上げたように原因者がはっきりしているわけでございますので、共同責任という考え方をこの仕組みの中に持ち込むことは大変むずかしい、したがって無理であろうと、せっかくの御提案でございますが、さように申し上げたいと思います。ただし、一般的に公害の被害を一企業ではなくて、企業の連帯責任によって補償することも考えるべきじゃないかという御提言は、これはこの法律の制度とはまた別の問題として十分研究しなきゃならぬ問題だと、このように考えております。
  76. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  77. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 午前の質疑に続きまして、今回は設置関係の質疑をいたしたいと思います。  国立水俣病研究センター設置する理由づけとしては、提案理由の中で、「水俣病については、いまだその治療方法が確立されていないことなど未解明の分野が多く残されている」「現状にかんがみ、国において水俣病に関する医学的調査及び研究を総合的積極的に実施することが必要である」と、このようにございますが、この構想は、午前中もお話がありましたとおり、三木長官昭和四十八年の五月に水俣に行かれたときに、現地でこの構想を打ち出されたわけでございますが、やっと五年をけみしてこのようなことが実現をされるという、少し遅過ぎたんじゃないかと、こういうふうに思うわけでございますが、その辺の経過について御説明を願いたいと思います。
  79. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) お尋ねのとおり、昭和四十八年の五月に、当時の環境庁長官三木先生現地におかれまして本センター設立する旨の発言を行ったわけでございます。その後四十八年の秋になりまして、この設立につきましての検討をいただく懇談会発足いたしました。その後、五十年になりまして、建設の準備検討会から基本的な構想についての報告を得たわけでございます。この基本構想に基づきまして、国が直接設置することといたしまして基本設計検討を行ったわけでございます。五十一年に水俣市に建設用地を取得いたしまして、五十一年十二月から工事に着手したわけでございます。水俣病はいろいろ早くからこういった基本的な研究をなすべきであったと思われるわけでございますけれども、いろいろその構想なり目的等につきましての検討に時間がかかったというような形でございます。
  80. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その際に、水俣市で三木長官が住民の方々患者方々に公約をされたことがございますが、それは、この総合センター建設するについては患者を加えた委員会をつくるということをおっしゃっておるようでございますが、いままでいろいろと調査したところでは、この患者が加えられた形跡がないわけでございますが、この辺の事情はどのようになっておるわけでしょうか、その理由等について御説明願います。
  81. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この水俣病研究センターと申しますのは、御承知のように国で行わなければならないような基本的な研究をやっていこうと、こういう考え方でございまして、地元の人たち、あるいは患者さん方の意見というものはひとつ参考に徴したいという形を考えておるわけでございますけれども、特に運営委員会の場の中に患者さん方を入れるかどうかについては、いまのところ考えておらないわけでございます。
  82. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまあなた方は考えていらっしゃらないというわけでございますが、その当時患者方々に長官が約束をされ、患者を加えた委員会をつくるということをおっしゃったわけでございますが、それが結局実行されなかった。どういうわけで実行されなかったのか。
  83. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 今日までこの設立につきましていろいろと構想を立てる段階では、地元におきまして、患者さんのグループを集めまして御意見をいろいろお聞きいたしまして、それを踏まえて計画がなされているわけでございます。
  84. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、三木長官患者を加えた委員会をつくるとおっしゃったのは、そうじゃなかったわけですか。   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
  85. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 患者を加えた委員会設置するという形ではなしに、計画段階では、患者さん方のグループに検討委員会方々がお会いして御意見を伺うと、今後運営の段階でもそのような形で患者さんなり地元の人たちの意見を反映するような方法をとっていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  86. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、水俣病の医学的調査と研究ということについてお尋ねをしますが、いままで国としては、この医学的研究調査ということはそれなりに取り組んできていらっしゃると思いますけれども熊本大学医学部、あるいは水俣市における研究のそういう規模からしますと、国の段階では非常に小さいような感じがするわけでございますが、どのような研究をしてこられたのか、お聞かせ願いたいと思います。
  87. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この水俣病研究センター現地につくった理由でございますが、これは御承知のように、水俣病が公害の原点であり、水俣地域におきますその水俣病の態様というのは、他の新潟等に比べますと大変症状も多彩であり、かつ重篤な者もあるというようなことでこの地域に建てることとしたわけでございますし、その中でいろいろ今後の研究を進めてまいろうと、そういったような理由でございます。
  88. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 余り大した規模の研究をやっていらっしゃらなかったというふうに理解せざるを得ないわけでございますが、今度の設置される水俣病センターには、治療部門が設けてないのはどういう理由なのか。私たちの素人の考え方としては、一貫しておやりになった方がいいのではないかと思うわけでございますが、その辺のところはどうなのか。そしてまた、将来この治療部門という部門を設ける、そういう計画があるのか、また患者方々からは治療部門を設けてもらいたいという要望はなかったのかどうか。この辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  89. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この研究センターにつきまして、構想といたしましては、国が国でなければ行うことのできないような医学的な調査研究を総合的専門的に行う、こういう趣旨のものでございます。当時計画段階におきましては、地元におきまする医療需要、水俣病も含めまして医療に対してどのような需要があるかというようなことを調査をいたしました。御承知のように、現在水俣には水俣の市立の病院あるいは明水園あるいはリハビリテーションセンターというような、いろいろな治療、収容、リハビリテーションの施設がございます。こういったことを勘案いたしますと、このセンターにおきましては、臨床研究といたしましては、その地域の他の医療機関との有機的な連携を保ちながら、研究目的に必要な範囲での医療行為をやっていこうと、こういう構想になっておるわけでございます。また患者方々個々の過去の診療経緯とか症状の推移、こういった点につきましては、むしろそのような施設におきます主治医の先生がよく把握しておられますし、適当だと考えておりますので、それらの先生方との連携研究というような形におきます臨床的な研究を進めてまいろう、こういう構想に立ったわけでございまして、そういう意味で、入院の施設は現在設置をすることを考えておらないわけでございます。
  90. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 患者の方からは、先ほど質問した要望はなかったかどうか、その辺のところは。
  91. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 患者さんの中からは、一部の患者さんから治療施設を、特に入院収容施設をつくってくれ、こういう要望はあったそうでございますが、これにつきまして、地域の医療需要の調査あるいは地元の医療機関あるいは医師会と相談いたしましてつくらなかった、計画しなかった、こういうような経緯でございます。
  92. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ですから、先ほど三木長官が行かれたときに患者を加えての委員会をつくるということから、大分いろいろ組織の面とか定員の面からしましても相当後退しておるんではないか、国のこの水俣病に対する取り組みの姿勢というものが、このセンター設置のいろいろな事情からもよく私は理解できるような感じがしてならないわけでございますが、ではこのセンターの組織、それから定員、これはどういうようになっているのか、それから定員の内訳、どういう職種でどういう地位なのか、また、組織の管掌事務、つまりどういうことをやるのか、そういう点を御説明願いたいと思います。
  93. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 昭和五十三年度におきまして十月から仕事を開始する、こういう計画になっておりますが、その昭和五十三年度の六カ月におきましては八人の定員が認められているところでございます。その内訳といたしましては、所長が一、部長が二、室長が二、課長が一、その他二というぐあいになっております。仕事の分担といたしましては、所長のほかに臨床研究に携わる臨床研究部の部長、それから基礎研究部の部長、その基礎研究部の中には、疫学的な研究と病理学的な研究とそれぞれ持ちます。それからさらには、総務あるいは庶務的な系統の事務部門、こういうような三つの部門に分かれております。これは、将来におきましてはさらに約三十名程度ぐらいまでに人員の充実を図りまして、さらには部門ももう幾つかふやしてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
  94. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、将来どのような組織にして、どのぐらいの定員を予定していらっしゃるのか、そのめどもあわせてひとつ御説明ください。
  95. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) いまの段階におきます将来の予想でございますが、全体で約三十人ぐらいの定員を考えておりまして、内容といたしましては、臨床的な部分、すなわち診断あるいは治療についての研究をする部門、それから基礎的な研究部門の中では、いわゆる病気の原因を探る意味での病理的な研究部門、あるいは生化学的な研究あるいは疫学的な研究、さらには水俣病の過去におけるいろいろな調査資料等を収集整理するというような部門、こういった部門をそれぞれ考えておりまして、おおよそ三十名程度の全体構想に基づいた建物にいたしているわけでございます。
  96. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その時期は大体いつごろをめどにして考えていらっしゃるんですか。
  97. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) いま直ちに三十名にいつごろということははっきり申し上げにくいわけでございますが、三年なり四年ぐらい後にはそのぐらいにしたいと、かように考えておるわけであります。
  98. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、この水俣病センターの場合は水俣市に設置されるわけでございますが、新潟水俣病あるいは鹿児島の出水の患者、こういう方々に対する対応の仕方、またこの関係性というのはどのように考えたらよろしいんですか。
  99. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 御承知のように水俣病につきましては、水俣が原点でもありますし、かつまた症状の重篤な人たちも出ておったわけでございます。そういった意味で、この地域に設けることが適切だと考えたわけでございますし、御承知のように新潟における水俣病もございますが、これらにつきましては、将来新潟あるいはそのほかの大学研究所におきまして、水俣病に関する研究に熱心な先生方をこの施設に来ていただくなり、あるいは流動研究員というような形で、ある研究プロジェクトに一定期間参加していただく、このような方法をとることによって研究成果を上げたいと思っております。研究と申しますのは、新潟鹿児島熊本というふうに分散するよりも、むしろ集約的にやった方がよろしいのではないか、こういう考え方で、現在のところ新潟あるいは鹿児島等にそれぞれ置くということについては考えておらないわけでございます。
  100. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほど、将来計画について、三十名ぐらいの定員で三年ないし四年ぐらいかけて拡張をしたいというようなお話がありましたけれども患者と接触をする臨床研究とか、病気の原因と発生過程に対する理論の研究、そういうようないろんなこと等で、いま医療職が一人、研究職が大体四人ということで、この膨大な資料対応することは非常に大変であろうと思うんですが、この将来計画をもう少し縮めて、そして対応していくという考えは部長お持ちではないのかどうか。
  101. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) まず本年度の後半から事業を開始するということにつきましては、建物はこの三月末で一応竣工するわけでございますが、こういう研究をいたす場合には、当然内部に必要とするいろいろな機械器具等の設置をいたさなければなりません。したがいまして、そういったことにある一定の時間がかかる。それから、研究は一どきに人をふやすという形よりも、むしろ逐次ふやしていって内容の拡充を図っていく、国立公害研究所あたりにつきましてもそのような形をとっているわけでございまして、そういう意味で、この研究所もそのような方向で逐次漸進的な拡大を図ってまいりたい、かように考えているわけでございます。また、先生御指摘のように、なるべく早い時期にそういうことをした方がよろしいではないかという御意見はもっともでございまして、私ども明年度以降の予算折衝の過程で、そういった点につきましては努力はしたい、かように思っているわけでございます。
  102. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、昨年の十一月でしたか、熊本県議会から出された水俣病認定業務促進に関する要望書、この中に「国立水俣病研究センター検診できる態勢を早急に実現する必要がある」と、このように要望されているわけでございますが、この点はどのようにお考えでしょうか。  それから、建設準備検討会報告という五十年十二月十六日になされた報告の中で述べられている流動研究員制度を導入するかどうか、これは確認をしておきたいと思います。
  103. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この研究センターにおきまして検診業務をしてはどうかという御要望があったのは存じております。私ども五十三年度予算の中では、県とも打ち合わせをいたしまして、現在水俣病院の敷地の中にございます県の検診センターを、建物につきましても国から補助をいたしまして広くする、それから、内容的な検診に必要とする機械器具等の設備につきましても、補助金を出して内容充実を図るという方向でこたえているわけでございまして、この検診センターに勤務するお医者さんが検診業務に御協力をするという形はあろうかと思いますけれども、一応現状の県が有する検診センターの拡充という方向で考えておりまして、この研究センターの中で検診業務をやるということにつきましては、そのような整理で考えているわけでございます。
  104. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行管の方は来ていらっしゃいますか。——来ていませんね。じゃ、今度の設置法に関して、提出の時期ということについて環境庁の御所見をお聞かせ願いたいと思います。  このように三月に大体研究センター建物はでき上がるそうでございますが、こういう建物ができ上がる寸前になって、この設置法がこういうふうに内閣委員会にかけられていろいろ審議をされるということについて、たしか八十国会でも運輸省の設置法改正案に関しまして、わが党の峯山議員の方からいろいろとこの問題について質疑がなされております。やはり五十年度に予算を計上されたこの用地買収のときに、こういう問題は、将来こういうようなセンターをつくります、内容はこういうようなことでございますと、そして建物はこういう状態のやつをつくる予定ですということ等を含めて提案をされて、そこで審議をされることが私は一番いい状態ではないかと思います。こういうふうにもういろいろ入るべき内容とか建物が決まって、そしていよいよ三月には竣工するという間際になってこういう設置法改正案が出されるということは、当委員会は事後承諾の委員会にすぎないと、こういうような感じがするわけでございますが、この点について八十国会では、官房副長官は改善をするというようなお話があったんですけれども、その改善をするということが、一年たっていまになってもやはり環境庁は同じような状態で出されたということについて、閣僚間のそういうような会議等ではこういう問題は議題にならなかったんでしょうか。
  105. 金子太郎

    政府委員(金子太郎君) 御説のとおり、このような何年かかけて設置いたします国の付属機関の新設に当たりましては、用地買収ないしは建設着工の段階で、設置法改正について国会にお願いするのが一つの筋道であろうかと私どもも思っております。  で、この水俣病研究センターにつきましては、五十年に用地買収いたしましたときも、全体計画について行管及び大蔵省と話がつかなかったという実情がございます。実は、私ども環境庁におきましては、国立公害研究所という非常に大きな研究所をつくっておりまして、その施設及び定員がまだ十分に充足されていない。それをいかにして毎年確保していくかということは喫緊の急務になっておりますが、その中にありまして、水俣病の重要性にかんがみまして、この水俣病研究センターを新たに独立の付属機関としてお願いすると、こういうような事情もございまして、その関係で最終的な全体計画はなかなか決まらなかったという事情一つございました。  もう一つは、このセンターの性格づけにつきまして、最終段階まで関係省庁と意見の調整がつきませんで、関係機構担当の関係省庁では、国立公害研究所の支所でいいではないかということを最後まで強く言われました。私どもとしては、この研究センターを実りある施設として運用していくためには、どうしても独立の付属機関としてもらいたい、五十三年度の予算折衝におきましては大臣にお出ましいただきましてやっとそれを認めていただいた、いわば時間切れで関係省庁に認めてもらったと、こういうようないきさつがありまして、設置法の改正を提出するのがこのような時期になりましたという、このような特殊事情もございましたので、その辺も御勘案の上お許しをいただきたいと思います。
  106. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 行管の方がお見えでございますので、質問の要旨は答弁をされるのをお聞きになって大体おわかりと思いますが、もう五十三年になって、建物ができる寸前になってこういうような設置法の改正案が当委員会にかかるということは、行政管理庁としては、やはり土地取得のときにこういうような内容まで含めての審議をするような、そういうようなやり方の方が私は望ましいと、こういうふうに思うわけで、行政管理庁としてはこの点をどのようにお考えになるかと、こういう質問でございますので御答弁願います。
  107. 山本貞雄

    説明員山本貞雄君) お答え申し上げます。  政府部内におきまする各省庁の機構、定員等の管理方針といたしましては、あくまでも次年度の政府の事業計画に確実に組み込み得ることが明らかになった時点におきまして、各省庁が具体的な事業計画内容を添えまして、行政管理庁及び大蔵省に対して要求を提出することになっておりまして、その所与の調整を終えまして、次年度予算の編成の一環として機構及び定員についての政府全体としての最終的な意思決定が形成されることになっておるわけでございます。  施設の整備が機構等の新設に先行しておるのではないかという御指摘でございますが、施設の整備自体につきましては、それぞれ当該年度の予算審議におきまして御審議を願っておるところでございます。なお、機構等のあり方につきましては、施設の物理的な整備とは切り離しまして、別途法律案をして御審議願うという要旨は、行政機構としての国の行政組織の基準法である国家行政組織法の規定に照らしまして、どのような組織形態とすべきか、あるいはどのような所掌事務をこれに与えるべきか、こういった観点から御審議を願うべきものと理解しておりまして、国会におきまして、施設整備に関する予算の問題とは別個の角度から、国の行政組織の重要事項につきまして御審議を願うことは、それなりに意義があるのではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  108. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、当委員会委員長から、口頭ではございましたけれども、この問題についてはこのようなことが言われておるわけでございます。   政府は、行政機関の新設又は移転にあたり、  従来より、まず予算措置により、その施設の建  設等を先行させ、施設等が完成し、業務開始の  段階に至って、関係省庁設置法の改正案を提出  し、国会にその議決を求めるという措置をとっ  てきているが、この措置は、国会に設置又は移  転の追認を求めるに等しく、国会の審議権を著  しく軽視するものであり、これらの機関を法律  をもって設置するという現行法制度のもとでは  当を得たものではない。   本問題については、当委員会において従来し  ばしば論議されてきたところであるが、その後  改善措置かみられず、去る三月二十四日——と  いうのは昨年の三月二十四日——の当委員会に  おける「運輸省設置法の一部を改正する法律案」  の審査においても、再び指摘が行われ、塩川内  閣官房副長官より「改善案を提示するよう努力  する」旨の答弁がなされた。   よって、政府は、今後行政機関の新設又は移転  のための関係省庁設置法の改正案の提出時期に  ついで検討の上、早急に意見をまとめ当委員会  に提示されたい。  こういうような申し入れがなされておるにかかわらず、同じようなことが、この水俣病センター設置には私は賛成でございますけれども、この改正案の提示の仕方が旧態依然として改められないことについて反省を促しておきたいと思いますが、長官の御決意を、今後含めて御披瀝願いたいと思います。
  109. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いろいろ御指摘、また適切な御鞭撻いただきましてまことにありがとうございます。  本設置に限らず、こういう問題に対する対応の仕方の問題でございまするけれども、特に水俣病、非常に早くできるだけの対応をしなければならぬ現段階でございまするので、その点、不十分であった点、遺憾の点があったかと存じます。今後できるだけ趣旨に沿うようなことで、ひとつわれわれとしましては尽力してまいりたいと思います。
  110. 山中郁子

    ○山中郁子君 環境庁設置法の一部改正案の審議に当たりまして、水俣病問題ほか二、三の環境行政に関係する問題について質問をいたします。  初めに、水俣病の問題ですが、けさほどからの審議の中でも明らかになってきたといいましょうか、さらによくわからないということが明らかになったという面もあるんですけれども、まず初めに現在の水俣病での最大の問題は認定行政が進まないと、したがって病気で苦しんでいる方たちが当然の救済を受けられないままにたくさんたまっていって、そして切実な要望となって先般の環境庁での行動、そして、それをまた環境庁が実力で排除するというふうな問題点が出てくる。この点については後ほど触れますけれども、初めに私は、まず環境庁が昨年の十月から百五十人検診、百二十人審査ですか、そういうことで、検診審査体制強化して認定業務を推進するということで言われているわけですけれども、実際にはなかなかこれは見通しが立たないというのが現状だというのが、けさからの論議の中で明らかになったわけです。それで、率直に言ってこのぐらいの規模で幾ら努力をしても、逆に昨年の八月ごろから申請もふえてきているという現状もあるとするならば、全然見通しが立たないと言っていいぐらいじゃないかというふうに思うんですけれども、もっと抜本的な業務の推進を図るということを真剣に考えなければならない重大な段階にすでにもうなっているんですけれども、さらにいまそれが迫られていると思いますが、その辺の基本的な認識と見解をお伺いをしたいと思います。
  111. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 昨年の七月に、当時の状況におきまして今後の検診審査というような認定業務促進計画を立てたわけでございます。先生御指摘のように、その後申請者がふえてくる、あるいは処分の予測が、処分率と申しますか、認定、棄却の促進の割合が必ずしも当初の計画どおりでないという点は、率直に私認めるわけでございますが、しかし、十月以降の状況を見ましても、従来よりもかなりの促進がなされているということでございます。ただ、計画どおりに必ずしもいっていないということと、その後の申請者がふえているという実情はございます。したがいまして、幾つかの方策によってこれを促進したいということで検診センター充実予算措置お願いしているわけでございますし、また、医師の確保あるいは審査促進ということにつきまして県と相談をしながらやってまいりたい。十月以降の状況をさらにまた拡充していかなければならないという感じがいたしますが、それにつきましては、御承知のようになかなか専門医が得られない、そういったような点がございますので、現在鋭意関係筋との協議を進めているということで御理解いただきたいと思います。
  112. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこはなかなか理解できないところでしてね、私はやはり行政の責任という観点からお尋ねをしています。  それで、ここでちょっと環境庁長官に所見を伺っておきたいんですが、いまのスピード、テンポでは、多少努力をしたとしても、また仮に百五十人とか百二十人とか、そちらで出されている目標を達成されたところで三年かかる、百人の処分ができれば三年だ、しかし申請者はふえるという傾向にあるということで、私が申し上げているのは、本当に抜本的にやっぱりもう早くそうしたものを促進して患者を救済するという手を打たなければならない、これはまさに行政の責任だと思いますけれども、その点はお考えはいかがでしょうか。
  113. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いま御指摘のようなことで、われわれもそういう点については、実はいろいろとこう頭を悩ましている点だと思うんです。一つは、この病気そのものが、御承知のように非常にむずかしい病気のために、いまこの検診業務をやっておりまして、しかしながらこの決定ができないでいる人数というものが非常に多くなってくる。これはいろんな事情があると思うんです。一つは、むろんむずかしい病気だからということなんですけれども、しかしながら、その他のいろんな配慮もあろうかと思いまするけれども、基本的には、やはりこれを取り扱っていく医師の数の問題というのも、どうしてもそこに一つの制約がある。そこで、その制約があるけれども、これを単に数という以外に、やはりなかなかこの医学の方の事情というのはわれわれのにわかに簡単に断定できないいろんな事情もあって、それでお互いの相互協力というものが必ずしもうまくいってないというような、実際上のいろんなネックをどうやって除くかというようなことは、実際問題として、現地の県当局その他お医者さん自身の中で、本当の意味の積極的な意欲というものを起こしながら、そうして、いい、つまり総合的な協力というものをもたらすということは、単なる図上とか口だけの問題じゃなくて、それだけの非常に頭を使わなければならぬ事情があるようです。そういう点については、事実県当局あたりといろいろ、ちょっとむずかしい折衝といいますか、そういうこともやっているようでございます。それで、やってみるというと今度は認定ができないでひっかかっている、そういう問題についてどうするか、それから、いまも御指摘のように待たされるということ、そのこと自身からいえば確かに行政が何をしているんだと、こういうことはよくわかると思うんです。さりとて認定そのものについては、やはり認定をしないでこれはもう補償のたてまえから申しましても、認定をしないでというわけにはいかない。認定をしようという段になってきますというとそういう問題にぶつかってくる。そうするというと、いわばほかの問題として、認定を待っているそういう方について、次善の策としてどうするかということで、一年以上待っている方についての処置、あるいは今度予算が通ってみたら場合によってそれを六カ月というようなことの処置で対応していくと、それに加えて、実際この認定ができないでいる方に、それじゃどういうふうにして、さらに対応していくような方法があるか、これあたりの実は口だけでは割り切れない問題について、われわれも何とかしてと、にもかかわらず、その点が促進するいろんな方法というものを関係者の間で地元とも連絡しながら実は悩んでいる問題でございまして、私はその点については率直に申し上げまして、まあある種のこれは打開の道があると思っていま一生懸命になってやってはおりまするけれども、同時に非常に苦慮している問題である、これは率直にわれわれも認めなくちゃならない。しかしながら、解決しなきゃならないということで、まあいろんなあれこれと実は方策というものを、現地、中央でやりながらこれに取っ組みたいということでやっているわけでございます。ちょっとなかなか了解困難なような点があるのは、私自身も全く非常に恐縮しているんでございまするけれども、実情は大変やっぱりむずかしいいろんな事実関係の問題があるものでございまするから、にもかかわらず、いま一生懸命になって努力を払おうといたしておりますし、それなりのきっと私は成果は出てくるというふうに考えておりまするけれども、実情はそういうような状況でございます。
  114. 山中郁子

    ○山中郁子君 どうもやっぱりよくわからないんで、具体的にいろいろ詰めて伺いたいんですが、まあ時間の制限もあることですので。  一つ医師がいないと、足りないということが隘路になっているというお話でした。それで、現地の民間のお医者さんの中にもふさわしい方はいらっしゃるし、それから、当然そういう方たち協力も得て検診センターの医師体制診療体制充実ということを進めていってしかるべきだというふうに思っておりますが、その点はいかがでございましょうか。
  115. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) ただいま大臣からお答えいたしましたように、なかなか水俣病の診断というのがむずかしいわけでございますので、専門医に乏しいわけでございます。私ども、広く他の大学にもこういった疾病に対して御協力をいただける人を探して、いろいろと話をかけ合ってみているわけでございますが、急には水俣病について自信を持った診断をしていただけるという方がいないわけでございます。私ども、広く専門先生方を求めたいという気持ちは持っておるわけでございます。
  116. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま私が、それじゃ現地の民間のお医者さんの方たちの中にもふさわしい方がいらっしゃるはずだし、そういうところから広く一刻も早く医師体制充実していくということについては、鋭意努力をなさるということに伺っておいてよろしゅうございますか。
  117. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) それらも含めまして広く専門の人は求めたいと考えております。
  118. 山中郁子

    ○山中郁子君 で、先ほどから、昨年の十月からの体制強化で前進はしているんだというふうにおっしゃっていましたので、ちょっと数字を教えていただきたいんです。けさほどの片岡委員の御質問の中にもあったんですけれども、十月からそういう体制になりましたというお話でしたので、十月、十一月、十二月、ことしの一月、二月と、まあ五カ月過ぎていますね。このそれぞれ検診数字ですね、具体的にどのぐらいになっておりますでしょうか。
  119. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 検診数につきましては、十月以降百五十人の検診を目途といたしまして、ほぼそれを達成しておりますが、問題はやはり認定審査会審査をする数でございます。で、昨年の一月から九月までの審査、各月の審査状況を見てまいりますと、少ない月で三十五、多い月で八十というような数字であったわけでございますが、これが十月、十一月、十二月、一月におきましては百二十人あるいは百二十二名程度審査をいたしております。二月につきましては百名で若干落ちておりますが、一応審査の数がふえております。  それから、七月に判断条件を出したわけでございますが、それ以前に比べまして、六月以前におきましては二〇%前後ぐらいの、いわゆる認定なり棄却なりを合わせました処分の率でございましたが、七月にはそれが五〇%、八月が三六%、九月が四五%、十月が三二%、十一月三七%、十二月が三四%、それから一月が二四%、二月が四〇%というような形で、一応審査数に対しまして認定なり棄却なりの処分を決めた割合は最近高まってはきております。まあ、そういった意味で、昨年の六月の関係閣僚会議の終わった後でいろいろ打ち出しました処置につきましての一応の何といいますか、促進の傾向は見られるわけであります。しかしながら、これで私ども十分と思っているわけでございませんので、さらにこの促進についての方途を考えてみたいと、かように思っているわけでございます。
  120. 山中郁子

    ○山中郁子君 被害者の会の方たちが、具体的に合計二百四十人以上を毎月審査すると、そのぐらいのテンポでやってほしいということを陳情もされておりますし、県に要望もされているんですけれども、いま部長のお答えで、いまのままで十分だとは思っていないので、さらにテンポも上げたいというふうにおっしゃっておられますが、こうした要求のこの二百四十人、大体約倍加していきたいと、してほしいということですね、その辺のことは、もちろん当面の目標として努力をしていただけるめどだというふうにお考えでしょうか。
  121. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 昨年の九月、十月というところを境といたしまして、それ以前に比べまして審査件数が倍加されたわけでございまして、これをまたさらに二百四十人にまで倍加するというのには、いろいろ専門の医師の御協力ということをきわめて大きくお願いしなければなりません。一つには、私ども検診センターに常駐医をふやすという方向が、かなりその検診能率の促進に役立つと考えているわけでございまして、御承知のように昨年から常駐の検診医が一人ふえたことによりまして、ずいぶんと検診体制はふえたわけでございますが、まあこういったことを一つのめどに考えておりまして、関係者の協議を経ながらぜひ常駐医をふやしていこうと、こういうぐあいに考えております。それによりまして検診体制は少なくともアップされるわけでございますが、審査件数のアップにつきましては、現在の審査会先生方がそれぞれ本務を持ちながら、一月に日にちを限って審査をしておられますので、これにつきましてもまた何らかの具体的な方法による審査促進体制をつくらなければならない、かように考えておりまして、現在具体的な内容をまだ決めておりませんけれども、その方向で関係者との間の相談は進めてまいりたい、かように思っております。
  122. 山中郁子

    ○山中郁子君 被害者の要望にこたえて何とか前進させたいというお話だというふうに理解をいたしますが、まあ申請がふえてきているということは、やはり潜在的な患者さんですね、そういう方たち水俣病の場合も大変重要な問題になっているんですが、一つは被害の実態を正確につかんで、そしてその上に立った住民の健康管理を正しく進めるということのために、不知火海沿岸全域にわたって調査をする、まあ疫学調査とでもいうか健康調査ですね、こうしたものを実施すべきだということをかねてから主張しているわけですけれども、これは前環境庁長官が、たしか昨年の四月、現地調査に行かれましたね。いろいろ新聞の報道もありましたけれども、このときに中央で考えていた以上に問題は深刻だ、まず汚染の実態調査を急がなければならないというふうに言明されています。しかし、いまだにまだ地域住民実態調査は実現されていないと思いますが、この点を早急に実施をしなければいけないと私ども考えておりますが、その用意、計画、また所見、お伺いをいたします。
  123. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 環境庁といたしましても、熊本県が、従来、四十六年度以降、水俣湾周辺の地域の住民の健康調査等を一応いろいろしているわけでございます。その状況を申し上げますと、四十六年から四十九年にかけまして水俣湾周辺の地区の住民の健康調査、約五万五千人を対象といたして、いたしております。それから、有明海沿岸の住民の健康調査というものを、四十八年から四十九年にかけまして約二万六千人ほどを対象にしていたしております。それから、四十八年から四十九年にかけまして八代海沿岸の住民健康調査というようなことをいままでもしております。しかし、これにつきましては、非常に多数の専門的な技術者を投入しなければならないわけでございまして、簡単ないわゆるアンケート調査とか何とかという形ではなしに、これにつきましては、たとえ質問をいたすにいたしましても、相当な医学的な、専門的な知識を持った、たとえば保健婦さんとか、そういったような人を動員しなければなりませんし、はたまた、それの中でスクリーニングされてきた人たちにつきましては、いわゆる高度の医学的な検診、診断をしてまいらなければならないわけでございまして、そう簡単にやるわけにいきません。したがいまして、私ども現在の認定業務促進という中で、専門の人たちをふやしながら、やがてはこういったような地域全体の実態把握ということをしていかなければならないと思っておるわけでございますが、一応現段階では、そのプランはいま少し先にしていかなければならないのじゃないだろうか。特に専門技術者の獲得なり、多数の人的資源投入という点で現在直ちには考えていないわけでございます。
  124. 山中郁子

    ○山中郁子君 長官、それはね、私はちょっと余りにも、先ほどから申し上げました行政の姿勢の問題があり過ぎると思います。すぐには考えていない、いつになってできるのかわからない、だけど、いずれはやらなければならない。そうしている間にも、その潜在患者の方たち、あるいははっきりしないままに命を奪われていく。患者の方たちが悲痛な叫びを上げておられるのは、死んでから、解剖をされてから、それで初めて認定されるというふうなことで何なのだと、私は本当に切実な叫びだと思います。一刻も早く政府の責任で、行政の責任で実態調査を、石原前環境庁長官も直ちにそれはしなければならないということを言明されているわけですから、いまの部長の御答弁じゃいつになってできるんだかわからないですよ。やることは必要だということは認めていらっしゃるようだけれども、実質的にはやる気がないということです。長官、ぜひともその点につきましては、いま細かいことを長官から伺わなくても結構ですけれども患者のそういう悲痛な叫びに対して行政が責任を持ってこたえると、そういう立場でのお約束をしていただかなければならないと考えておりますが、御答弁お願いいたします。
  125. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) いまの患者に対する考え方、われわれもいま御説のような点ではいろいろなことをひとつ検討したいと思っています。ただ認定申請の方のおくれについては、私もいまのような御趣旨からこれを促進することに一生懸命にやらなくちゃいかぬと思っておりますが、前半の健康の問題は、前の長官が言われたということなので、私もその点については事務当局の方にその可能性というものをいろいろたたいてみました。いまちょうど部長の方からもお話がございましたけれども、これはむろんそのこと自身がもうやればいろんな意味でいいことには違いないけれども、しかし大変な医師の数を要してくる。したがって、やはりいまの申請者というものに対する処理の方をやっぱり重点に置いていくということが、いろんなことで必要があるんだというようなことで、そういうような説明で、なかなかこれは実際の可能性の問題でございますので、私も考えさせられたわけでございまするけれども、そういう面についても、いまお話しでございまするので、なお私としてもひとつ患者のみならず、その調査ということについてもひとつ検討させていただきたいと思います。
  126. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは今度の国立研究センターも、そうした仕事の上で役割りを果たすという機能を当然持たなければいけないし、持てる内容だというふうに思っております。ぜひとも早急にそうした仕事を、どちらが大事ということじゃなくて、本当に全面的にやはりそれを実施していかなければならないという重要な問題として受けとめて進めていただきたいと思います。  それで、その関連ですけれども、具体的に対岸の御所浦の汚染地域指定の要求が大変強く出ているということは御存じだというふうに思いますけれども、御所浦だけに限らないと思いますけれども、いま非常にそうした申請患者が出てきているところですので、このところだけでも早急にそうした点での改善を促進していただきたいと思いますが、この御所浦の汚染地域指定の問題についてはいかがお考えでしょうか。
  127. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 地域指定の拡大の問題でございますけれども水俣病の場合には、水俣病という特異な疾患を対象としているわけでございまして、その疾病が指定地域にかかる水質汚濁の影響によって生じたということを明確にするわけでありまして、いわゆる大気汚染による一種地域の指定とは性格を異にするところでございます。したがいまして、現行の制度におきましては、水俣病に係る認定申請者の指定地域に現に居住していなくても、当該申請者の症状あるいは有機水銀に汚染された魚介の摂取状況、こういったことを個別に審査いたしまして、いわゆる水俣の現在指定地域の汚染によって起こっているということが、個々に審査内容としてわかりますならば認定される仕組みになっておりますので、特に現行法の中で地域拡大を指定しなければならないという必要はないわけだと考えられます。
  128. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、汚染地域指定はなぜするんですか。
  129. 信澤清

    政府委員信澤清君) 若干法律的な問題でございますから私から御説明させていただきます。  先生お話しになりました第一種の疾病と申しますのは、私ども非持異性疾病と、こう呼んでおりますように、公害あるいは環境汚染がなくても現に起きている疾病でございます。たとえばぜんそく等はその適例かと思います。したがって、第一種疾病については、同じぜんそくでありましても、地域を指定いたしまして、そういう汚染が非常に著しい、また患者が多発していると、こういう地域を指定して、そこに一定の居住歴を持つというような方々を対象にして患者認定をすると、こういうことをいたしておるわけでございます。ところが、第二種は、これは特異性の疾患でございまして、そういう疾病、たとえば水俣病について申し上げますれば、水俣病という疾病がチッソが流した有機水銀によって生じていると、この因果関係の広がりを特定をすれば疾病というものが特定できるわけでございます。つまり二種の方は、認定を受ける、あるいは救済をするという地域ではございませんで、こういう地域で起きた疾病、これを水俣病と呼ぶのだと、こういう意味での地域指定でございますから、そこで、指定された地域外であっても水俣病という病像に合致する、あるいはそこに住んでおられて同じように汚染された魚を多食されているという事実関係があるということでございますればそれぞれ認定をしていくと、こういうたてまえをとっておるわけでございます。したがって、先生のお話しのようにすればベターであるということは、これはあるかと思いますけれども、地域指定の意味が一種と二種とは全く違っておりますので、そこで、先ほど部長から申し上げたように、あえて御所浦あたりを地域指定する必要はないんですという御答弁になったわけでございます。
  130. 山中郁子

    ○山中郁子君 いや、私はそれは違う、違うというか、地域指定というのは、結局水俣、不知火海の沿岸ですね、沿岸がそれで汚染をされて全体的に水俣病が出てきて、そして御所浦でも最近集団申請が相次いで起こってきているという問題があるわけでしょう。それで地域指定してほしいと。それでいま局長ですか、言われた、よりベターであるというお考えもあるならば、地域指定の拡大について一切考えないんだという姿勢、そういうことが出てくる根拠が何なのかということは、私は法律上の問題じゃ理屈にならない問題だと思いますよ。ベターならば、そして、そこに実際に患者か出てきて要求かあってそういう方向を——いまここで地域指定廃止しますと言えと私は言っているわけじゃありませんけれども、その拡大の要求その他について積極的に検討すべきだということになるんじゃないですか。
  131. 信澤清

    政府委員信澤清君) 私は、法律的に申せば現行のたてまえで少しもおかしくはないと、これでいけるというふうに考えております。ただ、お話しのようにいろんな事情を考えた場合に、水銀汚染が一般的には認められるという地域が他にあるならば、地域指定をすることはそれなりに意味があるという意味でベターだということを申し上げたわけでございますから、したがって、先生のおっしゃることを一概に否定するつもりはございませんので、いまの法律の体系からいって間違っているとは申しませんが、検討をさしていただきたいというふうに考えます。
  132. 山中郁子

    ○山中郁子君 それから、先ほど大臣がちょっと触れられましたけれども、居住五年、そして申請後一年の方たちには、認定がおくれているから医療費の支給で救済をという点について触れられましたけれども、五年居住してなくちゃだめで、それで申請してから一年たって初めてそうした救済措置がというふうなことでは私はやはり大変遅いと思います。やっぱりあくまでも行政の責任で、いま現在とにかくそんなにたくさん待たされているわけですから、もう申請後一年などと言わずに直ちにその救済措置をとるべきだというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
  133. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 五十三年度予算におきましては……
  134. 山中郁子

    ○山中郁子君 六カ月というお話でしたね。
  135. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 六カ月に短縮するような形で、一定の症状条件をつけておりますけれども、症状の条件の整う者につきましては六カ月に短縮するというような予算を現在組ましていただいているわけでございます。
  136. 山中郁子

    ○山中郁子君 新潟の場合は、申請と同時にそれが措置がとれるということになっていると存じておりますけれども、六カ月、しかも症状というふうな一つの制約があるということでなしに、申請と同時にそうした救済措置をとるというふうにやはり大きく前進をさせるべきだと思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  137. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 新潟県におきましては、新潟県単独の予算で申請者についての医療費の自己負担分を見ているわけでございますが、私どもの方の制度といたしましては、それを五十三年度から症状に応じて六カ月に短縮するという形をとっているわけでございまして、前進をした方向をとっているわけでございます。
  138. 山中郁子

    ○山中郁子君 国の援助、私も自治体も大変だと思うんです。ですから、そういう点でいろんな国に対する要望も自治体から来ていると思いますから、国の力で一刻も早くそういう方向へ前進できるように御努力をいただきたい。これはぜひとも、長官でも局長でも結構ですがお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  139. 信澤清

    政府委員信澤清君) 申請即治療費を支給するあるいは救済するということは、いまの申請があくまで御本人の申請でございますから、したがって、申請したら直ちに医療についての特別な措置を払うということについてはなおよく検討しなきゃならぬ問題があろうかと思います。ただ、実際問題として困っておられる方についての救済でありますから、お話しのような方向でなおよく検討してみたいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、今回の予算で若干の改善について御審議をいただいているわけでございますから、その結果を見ながら十分検討さしていただくということにさしていただきたいと思います。
  140. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つ五年間居住してというのが条件になっていますね。これはやはり、かなりシビアな条件になりますので、この救済との関連でもう少し、私いまそれで何年に縮めろというふうに具体的には申し上げませんけれども患者さんや住民の要望にこたえた形で短縮をしていくという方向もあわせて取り組んでいただきたい、この点はいかがでしょうか。
  141. 信澤清

    政府委員信澤清君) 五年間の居住歴と申しますのは、水俣病の原因があの近辺でとれる魚を多食したと、こういうことになっているわけでございますから、そこで、そのほぼそういう原因に当たるであろうという一つの条件として五年という居住歴を医療費支給の要件にしているというのが実情でございます。したがって、いまお話しのように、それが三年でいいのか四年でいいのかということについては、これは医学的な問題でもありますから、なおよく専門家の御意見も伺いながら検討さしていただきたいと思います。  なお、この際、先ほどの御答弁に関連して申し上げさしていただきたいと思いますが、御所浦について地域指定のお話がございましたが、現実に御所浦から申請されている患者さんについては、居住歴五年という要件はもちろんかぶるわけでございますが、現在医療費の支給をいたしております。事実上同じように扱っているという意味であえてつけ加えさしていただきたいと思います。
  142. 山中郁子

    ○山中郁子君 逆に、だから五年、魚食べてなければ水俣病にならないということがはっきりしているわけでも何でもないわけでしょう。私は、だからいまここで医学的な論争するつもりもありませんし、で基本的な問題はいままでもそうだったんだと思うのです。私は環境庁の皆さんとこうした問題についていろいろ議論するのは初めてでございますけれども、とにかく認めまい認めまいとする。端的に言いますよ、率直に言いますよ、なるべく認めないようにする。これはもう環境庁の問題だけじゃないですわ。職業病の問題でもそうです。国会でいろいろ議論していますけれどもね。口では本当にその患者の方たち国民の方たちを救済しなくちゃいけないし償わなくちゃいけないんだということを言いながら、実際の審査とか認定だとか、そういうことになると、一から十までのちょっと不分明なところがあるとしますでしょう。そうして、こっちがノーだとしてこっちがイエスになるとするとね、もうノーのぎりぎりのところを一生懸命考えるわけですよ、おたくの方は。だから、魚食べてね、五年でも三年でも、両方ともこの期間に、この三年から五年の間に医学的に言えば可能性があるんだと、そのぐらい食べていれば、と仮にしますでしょう。そうすると五年をとるわけだわ。そういう姿勢というのが私は問題だと。もともとが、やっぱり本当に何にも責任もない、にもかかわらずそういう大変悲惨な状態に追い詰められて、そして被害を受けている住民の人たちを、本当に積極的に救済するという姿勢に断固として立たなければ、そうした問題解決しないんじゃないかと、これはもう私はほかの問題でも痛感しているんです。この問題でもそうです。認定の問題でもいろいろそうしたことでの隘路が出てきていると私は思います。ですから、そういう点では本当に患者の立場に立って、被害者の立場に立って、申請者の立場に立って、その方たちをどうやったら救済できるのか。どういうふうにすればそれを水俣病と認めないで済むかみたいな、そんなふうなことでなくて、ちゃんとしっかりとやっていただかなければ困ると、これがきょうの短い環境庁の御答弁を伺っても私は痛感をいたしました。その点は長官どうですか、本当に被害者の立場に立ってやっていただくと。
  143. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) われわれはこの水俣病という、こういう病気の立場に立ってできるだけやりたい、そういうことで、いま足りないところは、それは国家の金ですからいいかげんに使ってはならぬということもあるでしょうけれども、しかし、ひとつ患者の立場に立ってそういったやれることはやるという立場で考えていきたいと思います。
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 水俣研究センターの運営の問題なんですけれども、これは患者さんあるいは被害者の方たちからは、ぜひとも検診治療、そうしたものをやってほしいということが強い要望として出されているということはすでに御存じだと思います。これは衆議院の審査に当たりましても、柴田議員がその点について触れました中に、これは山本さんの御答弁なんですが、「検診あるいは治療についての基本的な研究をしていただくとともに、場合によりましては、検診についての御協力をいただくというような方向も考えてまいりたいと考えているわけでございます。」というふうにあります。この点は、こうした患者さん、被害者の方たち、地元の要求、治療その他についてもこの研究センターが当たるということと理解してよろしいか、もう一度はっきりお伺いをしておきたいと思います。
  145. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) この研究センターというのは、あくまでも国の手で直接研究をするという考え方でございます。御承知のように、現在患者さんの中からも、治療もしてほしいという意見あるいは検診もしてほしいという県からの御要望がございます。しかしながら、御承知のように現在検診につきましてはその機能強化を図る、県の検診センター強化を国からも助成したいと思っております。また現実には、現在治療につきましては地元のリハビリセンターあるいは明水園、それから市立病院というようなところで現に行っているわけでございまして、このセンターを新しくそこにつくるというのは、それらの実情にさらにプラスして、何らかの形での水俣病研究促進ということを念頭に置いているわけでございまして、従来からございます施設と同じことをやっていたのでは進歩はないのではないだろうか。したがって、それらの地域におきます医療機関との連携による治療研究をしていこう、こういう思想を新しく組み込んだわけでございます。また検診につきましては、この研究センターに医師として勤められる方もおられるわけでございますので、そういった人たち水俣病の知見を持っておられる医師として検診センター業務協力をしていく、こういう形は考えているわけでございます。
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは、そうした方向を充実していく研究センター業務体制や、業務充実と切り離しては考えられないことだと思いますので、その点は強く要望しておきたいと思います。  それからもう一点、繰り上げ申請の問題についてですね、いまの対象の枠を外してほしいと、保留者やなんかの中でも、高齢の方あるいは重症の方たちの繰り上げ申請を認めてほしいというか、対象にしてほしいという要求が、やはりかなり強くあると存じますが、この点については積極的にお答えいただけるかどうか。
  147. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 先生お尋ねは、繰り上げ申請ということよりも繰り上げ検診ではないかと思います。現在申請者の中で、特に症状が重篤な方、あるいは特に高齢な方につきましては、検診を早めて、何といいますか、たくさんおられますので順番待ちをしておるわけでございますが、その順番を繰り上げて先に検診をして差し上げるということの措置はしておるわけでございます。
  148. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃそれは、別に対象者が新しく申請された方だからということで制限は設けてないということで理解してよろしいですか。
  149. 山本宜正

    政府委員山本宜正君) 最近の申請者方々は比較的症状の軽い方が多いようでございまして、しかしながら、やはり重い方につきましては、当然従来どおり繰り上げて検診をして差し上げる、こういった方法はとっているわけでございます。   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 この問題の最後になるのですけれども、いま水俣湾のヘドロ工事ですね、処理の工事が行われようとしていると、その計画がされていまして、これがいろいろ問題になっております。それで、ぜひとも、いきなり工事をしてさらにまた湾内に新たな二次公害を生むということのないように安全性を確かめる試験工事ですか、そうした方法をとってほしいと、そして住民の不安をなくした上でやってもらいたいという、もっともでもあるし切実な要求が出ておりますけれども、この問題についての環境庁のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  151. 二瓶博

    政府委員(二瓶博君) お答え申し上げます。  水俣湾の堆積汚泥の除去事業でございますが、これにつきましては運輸省の認可もおりまして、熊本県知事の免許もおりておるわけでございます。したがいまして、現在仕切り網の設置もいたしておりますが、仮締め切り堤をつくるという段階になりまして訴訟等も出ておりまして、現在工事はしておりません。  そこで問題は、この堆積汚泥の除去事業につきましては、二次公害を絶対に起こさない。二次公害、二次汚染でございますね、これを起こさないという考えのもとに、事業主体であります熊本県、これが監視委員会等も設置をいたしまして、慎重に工事は進めるという考えでいろんな計画をいたしております。したがいまして、今後、まだ工事はやっておりませんが、工事を進めるに当たりましても事業主体である熊本県が委託をいたしております運輸省の第四港湾建設局、こちらの方とも十分連絡をとりながら、念には念を入れたそういう工事を進める。ただいま先生からお話もございましたような試験工事といいますか、そういう面等におきましても、十分その面も配慮しながら工事を進める、このように事業主体の県の方からはわれわれ伺っておるわけでございます。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 関連してですけれども、いまお話のあった監視委員会ですね、この監視委員会の中に、漁民の代表者や患者の代表者や、そういう人たちもやっぱりちゃんと入れてほしいという要求も強く出ております。私はこれはもっともなことだし、それでもちろん専門家の方たちが不可欠であることは確かです。その点についてのお考えはいかがですか。
  153. 二瓶博

    政府委員(二瓶博君) 監視委員会は、これは熊本県が県条例に基づきまして設置をいたしております委員会でございます。したがいまして、これの委員の任命につきましても県の方で任命をされるということでございますが、この面につきましては、関係の行政機関の職員の方とか、あるいは学識経験者の方とか、それから住民代表という観点もございまして、議会の委員の方等々を選ばれまして監視委員会はスタートをすでに切っておるわけでございます。したがいまして、この人選につきましては、県がそういう諸般の事情先生おっしゃいますような観点も十分配慮に入れて適正に人選が行われたと、かように考えておるわけでございます。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 いや、必ずしも適正でない部分があるからそういう要求が出ているという面があります。お考えとしては、私がいま申し上げました住民の要求は妥当なことであるし、当然のことであるというふうにお考えになっておられるならばそれで結構です。よろしいです。そういう当然その住民の代表、漁民や患者の方たちの代表も含めた監視委員会によって、本当に二次公害を生み出さないような慎重な実験工事なども含む工事として進めなければいけないと、私どもはこういうふうに考えておりますけれども、その点は御異存がなければよろしいのですけれども、いかがですか。
  155. 二瓶博

    政府委員(二瓶博君) ただいま御答弁申し上げましたように、この監視委員会は県の方で設置をいたしております。したがいまして、県の方で委員の方を任命するということでございますが、その際に、ただいま先生からお話がありましたようないろんな御要請等も、現地の方からも多々県に対してあったようでございます。したがいまして、県の方ではその辺のことも十分念頭に置いて慎重に人選をやられて、現在監視委員会はスタートを切っております。そういうことでございますので、その面は十分配慮された上で県の責任において人選をされたと、かように理解をいたしておるわけでございます。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 水俣病関係の問題はそのほかにもありますけれども、時間の制約がありますので、最後にこれは長官に要望しておくわけですが、先ほどちょっと触れました例の行政の怠慢の結果の患者さんたちのさまざまな要求や行動に対して、実力で排除するというふうなことは全く本末転倒もはなはだしいと思います。そういう事態を生み出したのはまさに政府の責任で、環境庁の責任なわけですよ。そこのところは本当に肝に銘じて受けとめていただかなければならないと、このことについては重ねて答弁はいただきませんけれども、強く申し上げておきたいと思います。  次に、中公審の大気部会の二酸化窒素の専門委員会の答申の問題に関して一、二お尋ねをしたいと思うんですけれども、簡単に言って、政府がこれを諮問した立場、この点はどこにあったのかということをちょっとお伺いをしたい。
  157. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 諮問した立場はどこにあるかという御質問でございますが、現在告示されております環境基準は、四十七年六月までのこの専門委員会が取りまとめた知見に基づいて四十八年五月に決めたものでございます。四十七年六月までの時点というのは、まだ非常に実は資料が不足しておったと、特に実験の方はわりにございましたが、疫学のデータに至ってはきわめて不足をしておった段階でございまして、よく、あれだけ乏しい中で決断をしてあれだけのものが決められたということは、これは国民の健康を守るために思い切ってやられた決断だというぐあいに解しておるわけであります。ただ、不確かさが高いということにおきましては、これはやっぱり自然科学的な立場からはもっともな論争点でございまして、それ以降、約五年有余たちまして、その間に新しい研究、新しい知見がいろいろできてきまして、より新しく、より豊かに、より確かになってきたということは事実でございます。  そこで、公害対策基本法の第九条三項というこの条文の中に、適切な科学的な点検を加えて必要な改定をすると、こういう法律条文がございます。ですから、不確かでも大きな安全率をもって決めてしまった、これはそれでいいわけでございますが、あと科学的な点検ということはやはり必須の問題でございまして、五年たちましたちょうど去年の三月に中公審に対しまして諮問したわけです。その諮問はあくまでも科学的な内容に限った諮問でございます。四十七年のときの専門委員会に対しましては、環境基準についてのストレートな諮問でございます。今回の昨年三月の諮問は、NO2にかかわる判定条件等についてということでございまして、環境基準を専門委員会に聞いたという形は一切とっておりません。これはやはり科学的な知見を点検してみることが基本だということでございます。そういう点に違いがあるということでございます。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、これは国会の答弁では、昨年の五月の衆議院の公害特別委員会ですけれども、長官も環境基準を云々するということは基本的に絶対にないと、それから橋本局長も環境基準を動かす気はないというふうにおっしゃっていますし、いまの御答弁もありました。当然、今回の答申は環境基準には連動しないということで理解をしてよろしいわけですね。
  159. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 昨年の五月の時点は、あくまでも告示が現存するわけでございまして、私は局長でございますが、告示に基づいてきっちり施行するということが私の責任でございます。そういうことで、その当の責任者がふらふらしたようなことでは、これは行政はできないということでございまして、まず科学的な点検を加えるということをしたわけでございます。そういうことで、科学的な知見が出ればそれに基づいて九条三項の後段の必要な改定を加えなければならないということについて、必要な改定とは何かという点で、変えるか、いまのままか、変えるとしたらどうなるか、ということは新たな時点に来たというぐあいに考えているわけでございます。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこに問題が出てきます。時間がなくなってしまいましたので、また私はこれは次の機会に究明をしたいというふうに思いますけれども、問題は答申そのものについて私はいまとやかく言うつもりはありません。答申でも幅があるわけです。要するに政府の環境行政を後退させない、そこのところの確固とした環境庁姿勢、この点が確立していなければ、先ほどの水俣病との関係もあります、そこについてだけのお約束をいただいた上で、いまの局長の御答弁を含める問題については、また引き続き追及もしていく機会を得たいと思っておりますが、その点はいかがでございましょうか。長官からお答えをいただければ結構です。
  161. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) われわれは、国民の健康、これはもう基本的な問題であると考えております。したがって、健康を守るというこの基本的立場に立って、そうして科学的に答申されたデータ、これをよく見て、それで検討してまいりたいと思っております。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に、中小企業庁においでいただいていますでしょうか。——円高救済法か成立して百八業種十七地域が指定をされました。それで、この中で私は実際に山梨県の甲府にある宝飾研摩の業者の方たちから調査もし、また大変強い陳情もいただいてきているんですけれども、ここでは有害薬品を使用するのでその処理ですね、その設備に多額のお金がかかる、一千万円近くかかるというふうに陳情されておりました。それで、こうした点で不況円高救済法で指定しなければならない業種になっているわけでしょう。だから、そうした公害処理の問題ですね、設備、その上でも一定の助成なり援助なりということがされなければ、実際に公害関係での、この業者の方たちが設備もつくれないというところに追い込められているという事態ですので、ぜひともこの点について前向きの助成の道を打開していくということを考えていただきたいと思っておりますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  163. 鬼塚博視

    説明員(鬼塚博視君) 先生承知のように、中小企業の公害防止対策につきましては、すでに金融上、税制上、それから診断指導上も含めましてかなりの措置を講じておるところでございます。たとえば、中小企業だけに限った金融では、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫から各種の運転資金、設備資金の特利融資をやっておりますし、それから中小企業振興事業団からも共同公害防止資金等について融資をいたしております。また、都道府県を窓口といたしまして設備近代化資金につきましても、公害については特段の長期の貸し出しをいたしております。また、いま御指摘のように、今回の円高緊急対策の一環といたしまして、公害防止に要する資金を含めまして、中小企業関係金融機関の新規の貸出金利の低減あるいは既往の貸出金利の引き下げ、それから返済猶予等の措置を講じております。ただ、先生おっしゃいましたように、特段の措置でございますが、補助金的なものを交付するというふうなところまでまいりますと、御承知のように汚染者負担の原則、PPPの原則というのがございますので、かなり困難な点があるのではないかと思われますけれども、中小企業の公害防止策につきましては大変に重大な問題でございますから、今後ともになお勉強させていただきたい、かように存じております。
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に、いまの件ですけれども、長官、実態を中小企業の方から直接お話を聞く機会がおありかどうかわかりませんが、お聞きになってみると本当にもっともです。その日のやりくりに追われて、もう本当に大変な状況で、必死になって営業されているところに、一千万円からの設備をつけなければいけないということがどんなに大きな負担であるか。しかし、それはやはり国民の環境をよくするという観点から進めなければいけない問題で、私どももそういうことで主張もし、訴えもし、国の施策も進めていかなければならないと思っております。ですから、そういうことを進めていく上では、やはり中小業者の方たちのそうした環境をよくする行政に積極的に協力もするし、自分たち努力をするということを、その意思はあるけれども、とにかくそういういま不況の現状のもとでこういう状況だということに対しては、国が、いま中小企業庁が言われましたけれども、ぜひとも環境庁としても、いま具体的にどうこうということまでお答えいただかなくてもいいんですが、そういう点も大きく配慮をして進めていただくということは、ぜひおやりになっていただきたいと思っておりますが、最後に、環境庁の長官にそのことについての御答弁をいただきたいと思います。
  165. 山田久就

    ○国務大臣(山田久就君) 関係方面ともよく連絡をとりまして、中小企業のいろんな立場、しかしながら必要性、そこをうまく調整していくような雰囲気で、これからまたひとつ検討していきたいと思います。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 終わります。
  167. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時一分散会