運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-06-29 第84回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月二十九日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員の異動  六月十六日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     熊谷太三郎君      村田 秀三君     川村 清一君  六月十七日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     竹内  潔君   出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         塚田十一郎君     理 事                 林  ゆう君                 原 文兵衛君                 片岡 勝治君                 井上  計君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 斎藤栄三郎君                 竹内  潔君                 堀江 正夫君                 野田  哲君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 山中 郁子君                 森田 重郎君                 秦   豊君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省欧亜局外        務参事官     加藤 吉弥君        水産庁長官    森  整治君        郵政大臣官房電        氣通信参事官   白井  太君        郵政大臣官房電        気通信参事官   米沢 允克君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  国の防衛に関する調査を議題といたします。  この際、金丸防衛庁長官から発言を求められておりますのでこれを許します。金丸防衛庁長官
  3. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、六月二十日に米国ブラウン国防長官を訪問し、会談をいたしましたが、この機会に六月十三日から二十六日まで二週間にわたり、ヨーロッパ及び米国を視察してまいりました。  ここに、その結果について御報告申し上げますが、その前に、私の出発が訪問先都合等から、さきの国会開会中とならざるを得ず、本委員会委員長初め皆様方に多大の御迷惑をおかけいたしましたことを、深くおわび申し上げる次第であります。  さてヨーロッパでは、ベルギー西独においてルンスNATO事務総長ヘイグ欧州連合軍最高司令官アペル西独国防大臣等の要人とひざを交えて意見交換を行いました。先方からはこもごもに、ソ連軍事力増強を憂慮していること、通常兵器の面での西側の劣勢をカバーするため、NATO長期防衛計画の決定が行われた旨の説明がありました。  また、ルンス総長は、日本がいまや太平洋、ひいては世界安定勢力となり、かつ防衛努力を強化していることに称賛の意を表明しておりました。  ヘイグ司令官は、自由世界の安全をグローバルにとらえると、NATOの問題も太平洋の問題も一緒にとらえるべきだとの意見でありました。  アペル大臣は、西独防衛努力NATO全体の安全保障に大きく寄与しているが、米国経済力を強化し、欧州を守る能力を維持し、欧州に駐留し続けることが重要であり、このため米国との友好関係の維持が不可欠であるとの見解でした。  私は、NATOの現況、米国NATOとの関係等につき認識を深めるとともに、各国が平和と安全を守るために払っている真摯な努力に対し深い感銘を受けてまいりました。  米国では、ブラウン国防長官を初め、ブレジンスキー大統領特別補佐官等政公関係者並びにプライス下院軍事委員長、ウルフ下院アジア太平洋問題小委員長及びグレン上院東アジア太平洋地区小委員長ら議会関係者と懇談し、世界及びアジア軍事情勢日米相互に関心を有する安全保障上の諸問題等について率直に意見を交換し、相互理解を深めてまいりました。  特にブラウン国防長官と私の会談においては、私から日米安全保障体制重要性を強調し、同体制信頼性をより向上させるため両国が相互に密接な接触と率直な対話を進めることが必要であると述べたのに対し、同長官は強く賛同の意を表するとともに、今秋予定されている訪日をぜひ実現したいとの意向を表明しました。  また、ブラウン長官は、いわゆる米国アジア離れを明確に否定するとともに、日米安全保障体制重要性を再確認し、アジアにおける軍事的プレゼンスについては、計画されている在韓米地上軍撤退を除いては、現在水準が維持され、在韓米地上軍撤退は、朝鮮半島の安全を維持し得るスケジュールによってのみ行う旨述べました。  なお、駐留軍経費の問題については、私から思いやりの立場地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたいと考えており、現在具体的数字を挙げて約束することはできないが、ブラウン長官訪日までに防衛庁考え方をより詳細に説明できるよう努力する旨述べたところ、ブラウン長官はこれを高く評価し、特に米側から要望はありませんでした。  さらに、沖繩日本人従業員の雇用の確保についてブラウン長官米側の配慮を要望したところ、これに対して同長官はできるだけの努力をする旨約しました。  また、この間のベルギー西独及び米国において、各種の軍事施設を訪れ、欧米各軍の現状をつぶさに視察してまいりました。  私の見るところ、各国部隊練度は高く、上級指揮官から一兵卒に至るまで、自由と平和を守るため、真剣に任務に励んでいる姿が印象的でありました。  また、いずれの国においても、軍事施設教育訓練環境は、わが国をはるかにしのぐものがあり、これらの面でのわが国の立ちおくれを痛感した次第です。  以上、簡単ではございますが、私の訪欧訪米報告を終わります。
  4. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山崎昇

    山崎昇君 いま防衛庁長官から、訪欧訪米報告がありました。きょうこれを論ずるには余りにも時間がありませんし、また同僚の野田君から後ほど質問さしていただきまして、私は一、二点だけお伺いをしておきたいと思うんですが、あなたの行ってこられたことを総括して言えば、どうやって日本軍事力をふやすかということにすぎない。そこで一番問題として出てきますのは、ちょうど国連で軍縮会議等特別総会が持たれている。将来この軍縮との関係をあなたはどう認識されるのか。  それから第二点は、一番最後にも述べられておりますが、もし外国並み日本軍事力が持たれたとすれば、平和憲法との関係が矛盾をしてまいります。一体平和憲法との関係をどのようにあなたは認識をされていかれるのか。  第三点は、政治的に長期の見通しを持たなきゃならぬことはそうでありますが、私ども米ソ関係等を見ても、幾つかの局地的な問題はあるとしても、総括で言えば、これはデタントの方向に向かうであろうという認識を持つ。そのときに、どうして日本は一連の軍事力というものをあわてて増強をしなけりゃならぬかという長期展望との関係についてあなたの認識をきょうは聞いておきたい。  第四点は、なるほどヨーロッパではいろいろなことがあるでしょう。しかし、日本とは置かれております地理的要件から国情が違います。そういうものをどう考慮されてあなたは見てきたのか。私が一番気になる文章は、一番最後の、いずれの国においても、軍事施設教育訓練環境は、わが国をはるかにしのぐものがあって、わが国が大変立ちおくれている、急いでこれらの国に追随をしなきゃならぬという趣旨のことが結論として述べられておる。これは短い言葉でありますが、きわめてこれからの防衛問題を論ずるときに、私は重要な言葉だと思っておりますが、きょうはそう時間ありませんので、後で、二、三具体的なことを聞いて終わりにしておきたいと思いますが、いま申し上げました四つほどの点について、とりあえずあなたの見解を聞いておきたいと思うんです。
  6. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私はただいまの御質問に対しまし七、いつも申し上げておるわけでありますが、われわれは平和憲法を踏まえて、それが最大考え方でなければならぬことは当然でありますし、また戦前の日本にしてはならぬということも当然でありますし、そういう意味で、この世界情勢はいかであろうとも、われわれはこの世界情勢に対応してどんどんエスカレートしていくというような考え方は、私はさらさら持っておりません。また、軍縮等の問題は、私は平和憲法を踏まえている日本である以上、当然軍縮ということは大賛成であります。できることであれば、世界各国、軍備がないような国家にお互いがなることが、民族の永遠の発展になるだろうという私は考え方を持っておる。しかし、そういう中で、座して死を待つという、日本は絶対侵されることがないと証明することはできないということは、過去の歴史の上から見ましても私はそういうようなことになるだろう。そういう意味で、日本防衛というものはあくまでも侵されない抑止力であるべきだという考え方であります。そういう意味で、私はこの長期展望につきましても、いわゆるヨーロッパへ参りまして、ソ連と国境を一にしているドイツ等を見ますと、日本は海に囲まれている、この状況から見ましても緊張感は違います。私は、もし小競り合いが起きるというようなことがあるとするならば、私は日本よりヨーロッパの方が可能性は強いんじゃないか。しかしヨーロッパ諸国におきましても、この小競り合いも、戦いも起きないようなことを考えておるところに、私はみんな真剣に努力している姿を、はだで、あるいは言葉で聞いてまいったわけでありますから、私は、日本のいわゆる防衛問題につきまして、エスカレートして、長期計画等につきましてもどんどんやればよろしいというようなことは考えておらぬ。それは国民のいわゆる経済も考えなきゃ、調和のとれた防衛でなくちゃならぬことは当然であることは、私がしばしば委員会でも述べているとおりでございます。
  7. 山崎昇

    山崎昇君 余り的確な答えでないんですがね。ただ、最近しばしばあなた方が使う言葉に、一朝有事だとか、あるいはいまも述べておりましたが、座して死を待つと、こう言う。一体こういう状況にあるんだろうか、これはもう素朴な疑問ですね。そして委員会等で聞けば、日本をめぐる脅威はないとあなた方は分析をする、片っ方では座して死を待つ、過去の例があると言う。しかし、いま世界をながめてみて、どういうところが局地的な戦争が起きているかと言えば、それは簡単に言えば、たとえば国家が二分されておってその統一のためとか、あるいはイデオロギーの対立によるものだとか、多少のそういうところはありますけれども、その以外の理由によっていま戦争が起きているなんという事態はないと、そう判断するときに、なぜあなたは座して死を待つと。日本をめぐる状況というのはそんな状況ですか、そうではないんじゃないでしょうか。これはいずれ私どもも組み立てた議論をしなきゃならぬと思いますが、余りにもあなた方は、こういう言葉を使って、あたかも何かいま日本はすぐ戦争でもなるような世論づくりみたいなことをやられる。そして、あなた自身があちこち回ってきて述べられておることは、先ほど報告されたような内容になってくる。どうも私どもとしては納得いきませんが、そういう点だけ指摘をして、私は二、三いま起きております具体的な問題についてきょうは質問をしておきたいと思います。  第一点は、施設庁長官に聞きますが、六月の十五日の夕方に起きたあの川崎燃料事故について、その概要と、それから、それに対して今日までどういう処置をとってきたのか、まず報告かたがた説明を願いたい。
  8. 亘理彰

    説明員亘理彰君) お答えいたします。  去る六月十五日の午後の四時ごろに厚木基地を離陸しました米海兵隊所属のA6型イントルーダー機が、着陸装置故障疑いを生じましたために厚木基地に帰投するに際しまして、着陸の際の安全措置としまして、燃料川崎市高津区の上空約六千フィートのところで放出したわけでございます。この点については、幸いに現地住民からの被害届はございませんけれども市街地上空燃料放出でありましただけに、住民の方の不安を招いたということははなはだ遺憾に存ずるわけであります。  この件については、早速六月十七日に、横浜防衛施設局長から在日米海軍司令官及び厚木米海軍航空施設司令官に対しまして、こういう事故によって市民の不安を招いたことははなはだ遺憾である、この種事件再発防止に万全を期するよう申し入れたところでございます。今後ともこの種の事故のないように最大努力をいたす所存でございます。
  9. 山崎昇

    山崎昇君 川崎市役所からも米軍に対する抗議が行っておる、それに対する態度等を見ますと、一口で言えば全くけんもほろろの態度である。こういう住民の不安の問題は、その前にすでに主翼が落ちるだとか、あるいは昨年の横浜事件だとか、大変な問題か相次いで起きている。特に住民密集地帯であります人口の多いところに問題が集中して生じている。こういうことを考えると、ただあなたの方から申し入れした、向こうは何か答えた、それで、はいそうですかというだけでは済まされないじゃないでしょうか。たとえば三日前のテレビ見ましても、昨年の横浜事件、まだあの被害者は入院していて子供の死んだことすらまだ教えられない。こういうことを考えるときに、なるほど今度の事件被害はなかったかもしれない、しかし相次いでこういうものが起きないとはやはり私どもは断定することはできない。そう考えるときに、いかに安保条約によって私ども基地を提供しているといえども、この種の問題にもう少し私は政府は本腰を入れてやるべきではないだろうか、ただ向こうの回答だけ聞いてきて、そうですかということだけで済ますということは許されないじゃないだろうか。これは防衛庁も抗議しているでしょうが、一体外務省は外交的にどういうふうにやられているのか、外務省からもひとつ見解聞いておきたい。
  10. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) 事故状況につきましては、ただいま施設庁長官から御報告申し上げましたとおりでございますが、その際に、とりあえず横浜防衛施設局長から米側当局にいま申し上げたような申し入れをしたということでございます。外務省といたしましても、この種の基地から生じますところのもろもろの市民生活への影響という問題が非常に重要な問題である、ことに安保体制の安定的かつ効果的な遂行という点から見ても、基地周辺住民の方々の御理解をいただく必要があるという態度を持って従来この種の問題にずっと対処してきているわけでございます。  今般の事件につきましても、市街地上空でそのような放出が行われたということをはなはだ遺憾というふうに考えております。とりあえずは防衛施設局長からその申し入れをいたしておりますので、その様子をながめまして、また必要に応じまして日米合同委員会の席上、しかるべきところで取り上げるなり、適切な処置をとってまいりたい。とりあえずはいまのような状況事態をながめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 山崎昇

    山崎昇君 四月の六日にP3Cの主翼が落ちたときにも大変問題になりまして、当時防衛庁あるいは外務省等も、仮に被害がなくても事故調査委員会等設けて対処してまいりますと、あなた方はこう答弁されていると私ども考えていますが、一体今度の問題でどういうふうに、この事故というものについて調査をして具体的に対処をするというのか、前の答弁とも関連してあなた方の態度を聞いておきたい。
  12. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 現在の合同委員会下部機構であります事故分科委員会におきましては、日本側の人的あるいは物的な被害がありました場合に合同委員会の指示を受けて活動する、こういうたてまえになっておるわけでございますが、仮に被害がなくても、一歩間違えば大きな被害につながるおそれのあるというふうな場合には、やはり事故分科委員会日米合同検討をするという必要があるのではないかという御質問か先般ございまして、これについては、大臣からも前向きに検討したいという御答弁がございました。私どももその方向で、これは米側と協議を要することでございますが、鋭意その方向検討をしておるところでございます。  それから、本件の油の放出は、類似の事例が前にも二件ほどあるわけでございますが、いずれも故障によって万が一の大事故につながってはいかぬ、とにかく緊急に安全に基地に戻った方がいいという判断で油を放出したと、そのことがいけないと、こう申すわけにはまいらないと思いますけれども、何分にも市街地上空であり、JP4、5という油でございますので大半は気化するわけでございますが、ときには一部落下して衣類を汚すというふうなこともあり得るわけでございます。そういうことで、市民に不安を与えるということがあってはならないということで、これは着陸装置故障があるのではないかという疑い放出したようでございますが、まだ確認いたしておりませんが、そういうことはなかったようでございますけれども、万一の安全措置としてそういう措置をとった、こういうことでございます。そもそもそういう何かトラブルが生じないように、事前の整理点検を万全にすることが何より大事でございますので、その点については、いままでも申しておりますが、今後とも機会あるごとに米側に対しては厳重に申し入れをしてまいるつもりでございます。
  13. 山崎昇

    山崎昇君 いま施設庁長官から前にも二件あったと。私ども調査して、昭和四十九年に綾瀬町の上空で行われた。五十一年には大和市の上空で同じことが行われた。ただ、現実に被害がなかったからそのまま済まされておる。今度も川崎で、被害がないからあなた方のんきなことを言っているけれども、これがまた被害があったら大変な政治問題化していると思うのですね。したがって、いま前向きで検討しますとか、そういう答弁だけで、具体的にこの事故防止について何にもされてないと言った方が早いのじゃないだろうか。私はやっぱり幾ら安保条約基地を提供しているといえども、見ているともう傍若無人ですな。アメリカの軍隊のやることなら何でもしょうがない、簡単に言ってしまえば。ただ、起きたら日本が、それは遺憾でありました、今後気をつけてくださいという程度で終わっている。これでは、軍事基地のある限りこの種の問題は終えていかない。それはどんなに気をつけても、事故ですから起こる場合もあり得るでしょう。あり得るでしょうが、日本態度としては私はまことにお粗末だと思う。この点はひとつ防衛庁外務省も腰を入れて私はやってもらいたい。特に、この人口密度の多い首都圏の周りに軍事基地のあるということ自体が問題なんだけれども、いまそれをすぐあなた方に撤回せいといってもできないとすれば、少なくとも、アメリカのこの態度については私どもとしては許されないと思っている。そういう意味で、ひとつこの傍若無人なアメリカ態度に対して、もっとあなた方強い態度なり具体的に迫ってもらいたい。事故調査委員会にいたしましてもおざなりです。前向きに検討しますと言っているうちにどんどん同じことが繰り返されて起きてくる。こういう点を私はきょう強くあなた方に指摘をしておきますから、今後再びそういう同じ答弁しないように、これは長官の決意を最後に伺ってこの問題の質問を終えておきたいと思う。
  14. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、山崎先生のおっしゃることは全く同感であります。実は今回私はアメリカへ参りましても、言うべきは言ってまいりました。むしろ言うべきことを言わないところに私は問題がいままであったのじゃないか。言うべきことは言いますから、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 次に聞いておきたいんですが、国会を終わりましてから、私も機会ありまして北海道を少し回っておりまして、そこで異口同音に出ました一つ問題点は、択捉島ソ連演習の問題が出されました。私ども、もちろん情報はそうあるわけでありませんから具体的な内容はわかりませんが、今日まで私どもの得ている知識として言えば、防衛庁内部でも見解が違うように承っている。外務大臣答弁もまた防衛庁と違うように聞く。一体択捉島の上陸演習と言われますソ連軍演習の実相は政府としてどういうものなのか、改めてひとつ統一見解まででもないでしょうけれども聞いておきたいと思います。
  16. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 択捉島周辺におきますソ連艦艇航空機動きから推定いたしまして、現在までの状況は、私どもが前から御説明いたしております状況と大きな変化はないわけでございます。御承知のように、五月の二十日ごろから約二週間にわたりましてソ連輸送機あるいは揚陸艦輸送艦でございますか、そういったものがぼつぼつと択捉島周辺に動いていったという事実を把握いたしております。  これがどういう意図のもとになされたかということでございますが、一つには、何らかの訓練あるいは小さな演習、そういったために移動していったということが考えられます。それからまた、その択捉島地域に対する部隊の配備のために移動していったということも考えられるわけでございます。さらにはまた、何らかの基地建設のために要員、物資そういったものが送られていったということも考えられるわけでございますが、現在までのところ、その後特異な動向がございませんので、この三つのうちどれというふうに確認できる状況にはないわけでございます。しかしながら、一方航空機艦艇動きからいたしまして、集中的に行動したという事実はございません。したがいまして、大規模な統合作戦といいますか、上陸作戦といいますか、そういった大きな演習が行われた可能性というものについては少ないだろうというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 そこでお聞きしますが、いまあなたの答弁防衛庁認識だとすれば、一体統幕議長栗栖さんはどういう情報に基づいて上陸演習と断定的な言辞を吐いたのか、大変な北海道ではこれは不安な状況にあります。そうすると、いまあなたの答弁が正しいとすれば、この栗栖発言というのはわれわれ国民はどういうふうにこれを理解するのか、勝手に情報をとって勝手に物を言えばいいという立場ではないと思う。そういう点については一体防衛庁長官はどういうふうに認識されるのか。たびたび問題を起こす人でありますが、しかし、私もその都度は、強弱に従って処置してきたつもりであります。しかし、今回は北海道の道民にとりましてはまことに不可解です。不安感でいっぱいです。とりわけあのオホーツク沿岸なり、あるいは釧路、根室なり稚内なり、ここら辺の住民については、大変なこれは不安感を持っているわけですね。あなた方の述べる一言一言によって、とりわけ軍事力の問題になってまいりますと、そうでなくても神経がぴりぴりしていますから、あるいは直接的には漁業にまた影響してくるんじゃないかという生活上の問題も関連してきますから重要だと思うんですが、一体防衛庁長官は、この栗栖さむの発言というのをどういうふうにあなたは考えるんですか。
  18. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 統幕議長という立場で、発言というものは国民に及ぼす影響が重大であることは先生の御指摘のとおりであります。また、稚内、根室、その方面でいろいろそういう問題について心配しているという話も私は耳にいたしました。きのう北海道の箕輪代議士が知事に会ったら、その問題について非常に北海道民、その方面に住まいする道民の心配というものは大きいという話も承りまして、発言の重大性というものを私も痛感をいたします。  ただ私は、情報等非常にあいまいな情報だという結果になったわけでありますが、一つ立場判断ということよりほかに的確な方法はない、その判断の間違いというものがこの問題を起こしたということであるわけでありますが、私はアメリカへ参りましてこの話も聞いたんですが、本当にアメリカも的確な情報というものは持っておらないというように私は聞いてまいりました。そういうことでございますから、あの判断をしたところに北海道の皆さんに非常な心配をかけた、この点については重々おわび申し上げなくちゃならぬか、本人も私の判断の違い——しかし、判断というものはまあすべて一〇〇%であるということを求めることは、判断が一〇〇%に判断できれば結構ですが、生き身の人間のことですから、判断というものは一〇〇%にいかない場合もあるということで御理解をいただきたいと思うわけであります。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 そう簡単にあなた、判断の違いだけで済まされる問題ではありませんよ。何のどういう情報に基づいてああいうことをじゃしゃべるわけですか。これは単純にいまの長官言葉で私は納得するわけにはいかない。もし本人がそれだけ謝ったというなら、みずから進退を決めさせなさいよ。これだけ国民不安感を与えて、これだけ直接北海道の道民に不安感を与え、それが一片の判断の誤りでしたと、これだけでは済まされる問題ではないと思いますね、少なくとも。そして、私は新聞報道しかわかりませんが、それを見ても、あなたはそういう報告があったのは失念しておったと言う、内局はそんなことならぬと言う、外務大臣は、これを国会で正式に言えばSLBMの発射にすぎないでしょうと、こう言う。全くぱらぱらもいいところですね。こういうことで一体一国の防衛問題を扱っていいかどうかの問題もありますが、少なくとも私は栗栖議長の発言というのは、これは許されない、長官においてしかるべく処置をとってもらいたい、こう思うんですが、どうですか。
  20. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、栗栖君の判断の中にいわゆる可能性というものがあるということもあったという考え方を述べたと思うのですが、責任をとらせろという問題につきましては、相当重大な問題でありますし、十分私も検討はいたしますが、ただ情報を完全にとるためには、現在の情報システムというものが果たしてこれで完璧かというところにも問題があるわけであります。しかし、それが完璧であるとかないとかは別問題として、北海道民をいろいろ心配さしておるという亡とについては重々これはおわび申し上げなくちゃならぬし、また判断も、そういう発表をするときは、絶対間違うことのあるような判断というものはやってはならぬことは当然だと、こういうふうに思うわけであります。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 あなたが検討さしていただきますと言うのですからそれを信用しておきたいと思うんですが、いずれにいたしましても、いまの防衛局長答弁政府統一見解だとすれば、これは上陸演習のような可能性はなかった、まあいろいろなことはあったでしょう。したがって、重ねてお聞きしますが、日本に対するこれらの影響についてどのように判断をされるか。たとえば中身、これは外交問題もあるでしょう、それから北海道で言うならば漁業の問題もあるでしょう、いろいろ私、きょう時間ありませんからひっくるめまして、日本への影響という問題が起こっておるのか、起こるとすればどういうものなのか、その点についての見解だけ聞いておきたいと思います。
  22. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 日本に対する影響という御質問でございますが、私どもといたしましては、その軍事的な面についてお答え申す以外にないわけでございますが、軍事的に見ますと、御承知のようにソ連の極東海軍力というものはきわめて増強されております。そして行動というものが活発になっております。さらには、極東におきますソ連基地の建設というものにきわめて力を入れているということも事実でございます。そのような背景の中で、私ども北海道の安全というものに対して、自衛するために今後真剣に考えていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 この問題について、一説には日中平和友好条約との関係があるとも報道されておる。外務省はこの日中条約との関係について影響があると判断するのか、あるいはそれはない、こう判断されるのか、その点だけひとつ外務省態度を聞いておきたいと思います。
  24. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 事実関係はただいま防衛庁の方から説明があったとおりでございまして、私どもといたしましては、今回の軍事行動、演習であるかあるいは輸送であるかわかりませんが、そういう動きが何らかの政治的な意図と結びつけられているというような証拠は全然持っておりません。したがいまして、世上伝えられるようないろいろな憶測は憶測と申す以外はないと思っております。
  25. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃ日中平和友好条約との関係については全く影響ないんだ、関係がないんだというふうに理解をしておきたいと思います。  最後に、きょう水産庁においでいただいておりますが、日ソ漁業共同事業の問題について、これもまた水産庁と外務省見解が少し違うようにも思うんですが、一体いま、現状がどうなっておって、それから今後それがどういう見通しになっていくのか。それから第二点は、特に具体的に言えば貝殻島のコンブ問題等についても、これが七月いっぱいが漁期になっておりますが、本年はまだ返事がありません。したがって、こういう問題がどうなっていくのか、まず水産庁の見解を聞くと同時に、外務省もこれらに関連してどういうふうに水産庁と協力してやられておるのか、その点をお聞きをしておきたいと思います。
  26. 森整治

    説明員(森整治君) ただいま御指摘の日ソの共同事業でございますが、ソ連から提示がありましたのが六件でございます。とりあえず、国内の関係漁業者間の調整を終わりました五件につきまして、日本政府として承認をするという旨を伝えました。関係漁業者が訪ソをいたしまして、ソ側との間で最終的な協議を一応了しておるという段階でございます。しかし、本件が外貨、輸出の問題が絡むということから、ソ側においては財務省及び外国貿易省とも協議をする必要があるということで、ソ側内部の調整がなお手間取っているというふうに承知をいたしております。私どもといたしましては、この間大臣からも督促をいたしまして、できるだけ早く話が進むように要請をいたしておるわけでございます。  それから、貝殻島のコンブにつきましても、一昨年と大体同様な内容で、大日本水産会とソ連の漁業省との間で話ができておりますが、入漁料の問題につきましてなお折衝をするという段階で、この扱いにつきましても先ほどの共同事業と全く同一のものというふうに理解をいたしております。要は、本件に関しましては入漁料の話と、先ほどの共同事業の全体の取り扱い、そういう問題がなお未解決である。ただ、これにつきましても、早く私どもとしましては実際の漁業が間に合いますように、現在督促をしておる最中でございます。  なお、一応六月、七月、まあ九月までというふうに理解をしておりますが、最盛期は確かに七月まででございますので、なるたけ早くコンブ漁が再開できるように、今後なお努力をしてみたいというふうに思っております。
  27. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 本件共同事業につきましては、水産庁と外務省、密接に協議しながら進めております。政府見解といたしましては、このような民間の共同事業が、日ソ間に結ばれております政府間協定、日ソ漁業暫定協定に悪い影響を与えてはいけないという点が第一の条件として出されております。第二に私どもが考えておりますのは、でき上がった共同事業の内容が、日ソ双方にとり、均衡のとれた適正なものであり、かつ互恵的なものでなければならないということ。それから第三点といたしまして、漁業関係者の利益が均衡され、調和されることが必要である、かように考えております。  事実関係はただいま水産庁の方から説明があったとおりでございますが、私どもとしても、一刻も早く本件が妥結を見るために、水産庁と協力をしつつソ連側の回答の督促に努めているところでございます。
  28. 山崎昇

    山崎昇君 これもぼやっとしていてさっぱり内容がつかめないんですが、重ねて水産庁に聞きますが、あなた方の見通しを聞いておきたい。もちろんこれは相手があることですから、何月何日なんということを聞くつもりはありません。しかし、少なくとも、折衝に当たっておられます皆さん方は、どの時期ぐらいまでにどうだというようなある程度の見通しがなけりゃならぬと思いますから、今後の見通しについて重ねて聞いておきたいと思います。  それから、私は北海道で道の水産部長にも会いました。関係業者の人にも会いましていろいろ状況は聞いているつもりです。したがって、何もわからぬであなたに聞いているわけじゃありませんが、それにしても、いま貝殻島で申し上げると、向こうから要求されているのが大体九千万ですね、こっちの回答が六千万ぐらいで言っているそうでありますが、いずれにいたしましても、これはこのままでは調整つかないんじゃないだろうか。したがって、水産庁としてはどの程度のことでこの入漁料の問題についても話をつけようとするのか、そういう点、もし発表して差し支えなければ、その範囲内で結構ですが、見通しの問題として聞いておきたいと思います。  それからもう一点は、これは新聞報道だけで私ども中身はわかりませんので、中身の説明を求めておきますが、北洋サケ・マス漁獲の見返り資金の運用について、新聞では八億程度政府が支出するというふうになっているようでありますが、その内容についてひとつ説明を願っておきたいと思います。
  29. 森整治

    説明員(森整治君) 第一点のコンブ交渉がいつになるかと、こういう御質問でございますが、いま私ども、ごく最近に受けておる話では、早くても七月の下旬というふうに連絡を受けておるわけでございます。これは、要するにソ側の内部の調整問題で手間取るという見込みから、そういう判断をいたしておるわけでございます。まあいずれにせよ、私の方はなるたけ早く、できるだけ早く入漁できるように交渉いたしたいと思っております。  それから、入漁料の件でございますが、先方の申し出は実は一億一千万を超す額でございまして、まあ約一億一千万、で、わが方が最大出したのが六千万ということでまだ折り合いがついていないということでございます。ソ側の主張は大体一五%という、そういう考え方からきておるようでございますが、いずれにいたしましても相当な額に上るわけでございます。私どものコンブ漁は零細漁民の手によるものでございますから、その事情をよく相手方に説明をいたしまして、できるだけ安い金額で入漁できるように交渉をさせたい。これはまあ民間の話し合いでございますから、私どもそういうふうに指導をいたしたいというふうに思っております。  それから、サケ・マスの例のいわゆるコンペンセーションと言われているものでございますが、これにつきましては、いろいろ今後の財務当局との話によりますが、まあ半分に近い額を何とかめんどう見てもらえないだろうかということで精力的にかけ合いをしてみたい、また現在そういう努力をしておるわけでございますが、ちょっとまあ半分まではなかなか無理かもしれませんが、できるだけ負担のかからないようにわれわれとしても努力をしてみたいというふうに思っておるわけでございます。
  30. 山崎昇

    山崎昇君 これで質問を終えたいと思いますが、そうすると長官ね、いま七月の下旬に、まあ向こうの都合もあるんでしょうけれども、やれば、最盛期が六月の一日から七月三十一日ぐらいというんですね、そうすると、ことしのこのコンブ漁は事実上できないというふうにあなた方踏んでいますか、それでも見通しとしてはやるというふうにお考えですか、この一点だけ重ねて聞いておきます。これはいつでもいいという問題ではありませんので、その点だけ一点重ねて……。  それから、二番目にお答えのありましたサケ・マスの関係でありますが、これはまあ新聞報道でありますからよくわかりませんが、この「二十七日夜明らかにしたところによると、」というんで、ある程度金額まで述べられていますね、これは新聞が想像して書いたのかどうか知りませんが、もしこれが本当だとするなら——これは北海道新聞に出ているわけでありますが、これが本当だとすればここである程度明確にしてほしいと思う。いまあなたの答弁聞いていると、ぼやっとしていて何がどうだかさっぱりわけわからない。この報道が正しいとすれば、ひとつここで明らかにしてほしい。
  31. 森整治

    説明員(森整治君) コンブ漁は九月までで、最盛期を過ぎてもやるかと、こういう御質問でございますが、できれば、ともかく去年だめだったわけですから、再開できるということだけでも私ども一つ意味が思っておりますので、そういうことで努力してみたいと思います。いずれにいたしましても、それによりましてコンブ漁が事実上大打撃を受けるということになりましたことが明らかになれば、融資等の措置を、昨年、同様に融資措置を行っておりますから、そういうことで対応もしてまいりたい。  それから、コンペンセーションの十七億六千万円の話でございますが、これについて国庫でどのぐらい出すかということはまだ決めておりません。もし新聞等で数字が出ているとすれば、推測記事というふうに御判断いただきたいと思います。先ほど私が申し上げましたのが現在の折衝中の私ども態度ということでございます。
  32. 山崎昇

    山崎昇君 いや、それはあなたね、推測記事にしては具体的に細かな数字が挙がっていますよ、これによると。そして最後には、次期国会で予算措置をしたいと考えているということまで述べられている。私は不思議なんだね、政府のやることが。われわれ国会議員は新聞報道でしかわからない。あなた方に聞くとまだ決めてない、それは推測だと言う。中身を見ると何が幾らで何が幾らでと詳細に書いてある。こんなばかなことはないと思う。もうすでにあなたの方ではある程度のことができ上がっているんじゃないんでしょうか。だから、すべて私はきょうここであなた方に述べろと言うつもりもありませんが、少なくとも、この報道にありますように八億程度と、こうなっておりますが、その程度のことは、これは助成も含めての話であります、あるいは融資も含めての話でありますが、一体やるのかどうか、その点だけ重ねて聞いて私の質問を終えておきたいと思います。
  33. 森整治

    説明員(森整治君) サケ・マスの減船の救済対策で、一昨日政府の交付金を予備費使用をすることにつきまして閣議決定を行いました。これは先生御承知のように、四百五十四億の交付金を出す、そのほかに共補償を行う、それからスクラップについて金を出す、それから、いろいろ離職者対策を講ずるということを一応私ども説明をいたしました。ただその場合に、コンペンセーションにつきましては、最終的に折衝の額が決まっておりませんから、私どもはあるいは解説の場合にそういう今後の話ということでしたかもしれませんけれども、額につきましては私どもまだ決めておるわけではございません。ですから、恐らく全体の中の一つ関連がございますから、そういうことで新聞がさらに突っ込んだ報道をしたものというふうに理解をいたしております。
  34. 野田哲

    野田哲君 今度の金丸長官の海外出張は、出発の前には防衛庁の方ではオリエンテーションツアーだというような煙幕を張っておられたようですが、オリエンテーションツアーにしては、かなりこれは重要な荷物を持って帰られたというふうな感じがするんですが、まずお伺いをしたいのは、先ほどの報告にもありましたけれどもブラウン国防長官との会談で、防衛分担金の提供を行うというような意味合いの約束をされたようでありますが、この報告では、「思いやりの立場地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたいと考えており」と、こういうふうに言っておられるわけですが、この「思いやりの立場地位協定の範囲内でできるだけの努力を払いたい」という金額は一体どのぐらいのことを考えておられるのか、そしてそれはどういう性質の金であるのか。出発前には、いろいろ長官は三百億ぐらいというようなことをあっちこっちで言っておられたようですが、その点は一体いかがなんですか。
  35. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 今回のブラウン長官の話の中で、日米関係は不可欠である、不可欠であるならば不可欠であるようにするにはどうすべきだ、信頼性を高めるということが必要である。その信頼性を高めるということは、いまドル安円高という状況の中で、こういう問題についてアメリカからいろいろ言われる筋はないと、しかし日本側としてこれに考えてやるということが思いやり、それが信頼性を高めるゆえんだと、こういう私は考え方を申し上げたわけであります。  先ほどの帰国報告の中でも申し上げているわけでありますが、私はそういう意味で、その中でも金額等について申し上げることはできない、それは日本の予算編成のあり方もそうでありますし、各省との連携もあるということであります。ですから、できるだけの努力をする旨私は申し上げたわけであります。ただ、野田さんのおっしゃられる三百億という問題は、私は三百億という話は申し上げたことはない。たとえて言えば、信頼性を高め不可欠にするということであるならば、戦闘機五、六機を買うか、こちらの方に対処するか、こういうことであれば、私は戦闘機を五、六機買うよりこちらへ対処することの方が、信頼性を高め日米関係を不可欠にすると、こう申し上げましたが、多分三百億という数字が新聞に出たのは、戦闘機が五十億であれば三百億という勘定も出たかもしらぬ。しかしまあ戦闘機も高いのも安いのもある、こう私は言っておるわけであります。
  36. 野田哲

    野田哲君 三百億ということは言ったことはないんだけれども、戦闘機の五、六機というような——これは高い飛行機もあるし安い飛行機もあるということですが、長官は出発の前に、六月の九日だったと思うんですが、たしか今回の出張の問題について、総理なりあるいは園田外務大臣との間で協議をされたというふうに伺っておるんですが、そこではある程度の目安は出ているんじゃないんですか、金額的に、あるいは金の性格について。いかがですか。
  37. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 国会中の委員会におきまして私は申し上げたんですが、福田総理にも申し上げました、あるいは園田外務大臣にも申し上げました。それはいわゆる思いやりという話をいたしました。そういう話の理解は得たわけでありますが、あとは事務的な折衝の中で、また地位協定等もあることでありますから、地位協定を踏まえながらできるだけの努力をするということで、私は金額的な話はいたしません。
  38. 野田哲

    野田哲君 問題は、地位協定の解釈の仕方、運用ということになってくると思うんですが、伝えられるところによると、いまの報告でもありましたが、ブラウン長官が秋に日本に来られる、それまでには具体的なことが言えるようにしたいと、こういうふうなやりとりであったようですが、そういたしますと、金の問題でありますから予算措置を当然伴ってくる。これはいずれにしても早晩目鼻をつけなければならないと思うんですが、長官としての腹案というものがなければ外務省あるいは大蔵省との煮詰めはできないと思うんですが、腹案はどのぐらいのものをお持ちですか。
  39. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、その金額的な問題につきましては、いわゆる地位協定というようなもの——私は法律家でもありませんし、事務屋でもありません。ただ、思いやりということで地位協定というものを解釈しながらできるだけの努力をしてみる、そういう中で、多分事務当局は外務省ともあるいは大蔵省とも折衝する中でおよその話し合いが出てくるんだろう、その出てくるときの状況によって私もそれを判断し、あるいはこれをいま少し何とかする方法はないかとか、いやこれは多過ぎるとか、そういうようなことになるんじゃないかと、こう思っておるわけでありますが、そのような状況ですから、私は金額的なものはいま頭の中にはありません。
  40. 野田哲

    野田哲君 外務省に伺いたいと思うんですが、いずれにしても、いまの長官の話というのは地位協定の運用ということになってくるわけですけれども、当然外務省の所管事項に最終的にはなってくるわけでしょう。外務省では、いまこの問題についてどういうふうな検討をされているわけですか。
  41. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) ただいま防衛庁長官からもお話がありましたように、今度の訪米に当たりまして、長官米側に対する思いやりの気持ちを持って、地位協定の枠内でできる限りのことを日本側として自主的に考えていきたいと、こういうことで対処されたというふうに私どもも伺っているわけでございます。したがいまして、いま具体的にこの問題について米側から正式の要請があったとか、防衛庁長官の中に具体的な案がおありになっての話ということではないわけでございますから、私どもは、いま金丸長官からもお話のありましたような思いやりの態度を持って地位協定の枠内で対処するということ自体につきましては、何らの異論のあろうはずがございませんので、今度防衛庁の方からいろいろの案をお立てになられて御相談があるというふうに考えられますので、その過程におきまして、私どもも思いやりの気持ちを持ちまして地位協定の枠の中で何ができるかということを検討していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 野田哲

    野田哲君 いろいろ伝えられるところによると、衆議院の内閣委員会の議論の経過等も考えてみますと、結局はこの地位協定に基づいてということは、施設費あるいは労務費こういう問題にかかってくると思うんですけれども地位協定のどの部分をどう解釈すれば金が出せるんですか。私は、昨年の六十一億の労務費の、日本政府が使用者としての負担分ということで処理されたこの経過も承知をしておりますけれども、労務費については、もうあれが目いっぱいの措置であり、あれ以上は地位協定の枠の外に出てしまうんではないか、こういうふうに考えますし、あるいはまた施設費については、四十八年の当時の大平外務大臣が予算委員会政府統一見解を述べている経緯があるわけです。一体地位協定の枠内でということをしきりに言われるわけですけれども、現在の地位協定の枠内でどういう費用が出せるんですか、これを具体的に説明をしてもらいたいと思うんです。
  43. 亘理彰

    説明員亘理彰君) ただいま大臣からお答えがございましたとおり、私ども地位協定の範囲内でできるだけの在日米軍の駐留が円滑に行われるように考えてまいりたいと、こういうことで大臣からの事務的な検討の御指示も受けておるわけでございます。これは最終的には、何らかの措置をとるということになりますれば、防衛施設庁の予算の一部として五十四年度の予算に計上して国会の御審議をお願いする、こういうことになるわけでございますが、現在私どもは、大臣のお気持ちを受けまして検討を始めたところでございますが、具体的にどういう費目についてどの程度どうするというふうな具体案をまだ持ち合わせるに至っていないわけでございます。で、しかるべき具体案を得ましたならば、この地位協定との絡みについては外務省の御意見も十分に伺う、それから、当然金のかかることでありまするから、財源事情との関連もありますから大蔵省とも相談しなければならない、こういうことでございますが、現在の段階では、まだ具体的な検討が進んでいない、腹案は特に持ち合わせていないということでございます。最終的には、次の通常国会で来年度予算の一環として御審議を願うということでございますが、その前にも、私どもの考えなり関係省庁との協議の筋があらかた固まってまいりましたならば、できるだけ先生方の御意見も伺いながら対処してまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  44. 野田哲

    野田哲君 外務省の中島局長に伺いたいんですが、いまの施設庁長官説明ではこれから検討するんだということですが、私が聞いているのは、地位協定の枠内でいまやっている以上に金が出せる取り決めがどこにあるのか、これを聞いているんです。
  45. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) 米軍関係の経費の問題につきましては、取り決めと称すべきものがあるとすれば基本的には地位協定しかないわけでございます。具体的には、地位協定の二十四条ということになると思います。したがいまして、地位協定の枠内ということになれば、具体的な問題が、地位協定に照らして、ことに地位協定の二十四条に照らしてそれが日本側で負担し得るべきものであるかどうかということを検討すると、こういうことになるかと思います。とりあえず、そのとおりでございます。
  46. 野田哲

    野田哲君 地位協定の二十四条というのは、これは一九六〇年の安保改定以前の行政協定の条項を引き継いだわけですけれども、行政協定当時は確かに一億五千五百万ドルの防衛分担金を提供する、こういう条項があったわけですけれども、これについては、地位協定に変わるときにこれは削除されておりますね。この削除されたときの趣旨説明で、当時の藤山外務大臣は、行政協定当時は一億五千五百万ドルを分担をしておりましたけれども、新たに地位協定になってこの条項は削除いたしましたと、したがって、これからは防衛分担金という性質の金は出さないことにいたしましたと、こういう説明をしているわけですから、当然つかみ金的なものは出せないという取り決めになっている。二十四条でといういま説明があったわけですが、具体的には二十四条のどういう費目を考えるということになるんですか。
  47. 亘理彰

    説明員亘理彰君) ただいまお話しのとおり、現在の地位協定では、旧行政協定当時のようないわゆる防衛分担金という規定はないわけでございます。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいましたつかみ金的な支出というようなことは私どもは全く考えておりません。いずれにしましても、具体的な費目に即して必要な措置をとるということでございますが、二十四条の範囲内でどういう費目を取り上げられるか、この辺はこれから十分に検討いたしまして、御納得をいただけるものとして五十四年度の予算に、もし成案を得ますれば措置をして御審議をお願いしたいと、こう考えておる次第でございます。
  48. 野田哲

    野田哲君 二十四条の二項というのは、「日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。」と、こういうことになっているわけですが、この二十四条の一項で、「日本国に合衆国軍隊を維持する二とに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、」と、こうなっておるわけですから、したがって、日本側が負担すべきものというのは、2に定めている「施設及び区域並びに路線権をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、」と、つまり、これは施設費ということになるわけですか、二十四条でやろうとすれば。そういうことなんですか。
  49. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 同じ答弁を繰り返してまことに恐縮でございますが、私どもまだこれから具体的に検討を進めていくということで、いま具体的に、何が入る、何が入らないということを申し上げられる段階でないわけでございます。昨年十二月の合意におきまして、法定福利費等を負担することにいたしたわけでございますが、これは私どもが、長年のいろいろな経緯がございまして、日本人従業員の雇用、生活の安定を図るという見地から、雇用主の立場でなすべきことであると、かつ、これは地位協定には抵触しないということで予算をお願いし、成立いたしたわけでございますが、今後も防衛施設庁の予算になるわけでございますので、まず第一次的には私どもが案をつくらなければいかぬわけでございます。その場合に、やはり第一には、日米安保体制重要性ということから考えまして、在日米軍の駐留が円滑に行われるようにできるだけ協力していくと、こういうことが私ども最大の関心の一つでございます。それからもう一つは、日本人従業員がいま二万二千人働いておるわけでございますが、この方々の雇用と生活の安定が確保されるように考えていかなければならない。私が施設庁立場において仕事をしていく上について、常に頭を離れないのはこの二つの点であるわけでございます。はなはだ抽象的な物の言いようで恐縮でございますけれども、そういうことを念頭に置きながら、あくまで地位協定の範囲内でできることをやっていくと、こういうつもりで検討してまいりたいと思います。
  50. 野田哲

    野田哲君 施設庁長官は、衆議院の内閣委員会で施設費の問題について、四十八年三月十三日に衆議院の予算委員会で当時の大平外務大臣地位協定二十四条の解釈について政府統一的な見解を述べられているんですが、これを今回はかなり踏み外したような答弁をされているんじゃないかと思うんです。私も当時の議事録を念を入れて読み返してみましたけれども、   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕 当時の大平外務大臣政府統一見解として述べられているのは、施設について、住宅等の問題ですけれども、「代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する」と、こういうふうに述べておられるわけです。あなたの衆議院の内閣委員会での答弁というのは、新築の場合もあり得るんだと、こういうふうな意味のことを述べておられるようですが、その点はいかがですか。
  51. 亘理彰

    説明員亘理彰君) ただいま御指摘の点は、四十八年三月の衆議院予算委員会におきます楢崎弥之助議員の御質問に対する当時の大平外務大臣の御答弁に関連することでございますが、私も当時・の議事録を詳細拝見いたしたわけでございます。それで、この当時の予算委員会における論議の経緯から見まして、いわゆる大平答弁というのは、これはその予算委員会の論議は、岩国、三沢の老朽隊舎の改築に関する問題の論議であったわけでございますが、したがいまして、このいわゆる大平答弁というのは、リロケーションあるいは老朽施設の改修、改築等の関連で、既存の施設区域内に追加的な施設区域の提供を行う場合の運用指針を述べたものだと、こう理解されるわけでありまして、一般的に新規提供、追加提供について述べられたものではないというのは、私が当時の論議を読ませていただいて感じました、考えました大平答弁意味合いでございます。これについては、外務省にも私はそう思うがいかがかということを照会いたしまして、私の答弁で誤りはないと、こういうことになっているわけでございます。
  52. 野田哲

    野田哲君 長官ね、いろいろやりとりしても、具体的なことはこれから検討するということで、金額的にも、どういう費目についてか、こういうことも具体的な説明がないわけですね。結局、今回長官が行かれて、ブラウン長官と会って、日本に駐留している米軍の経費の問題についてできる限りのことをやりますよという、つまり、簡単に言えば日本で金を分担しましょうと、こういう趣旨をあなたは長官に伝えられたわけです。そして、秋に日本に来られるときまでには具体的にもっと詳細に説明できるように努力をいたしますと、こういうことになっているわけですね。つまり、経過から考えれば、金を上げますよということを先に向こうに意思表示をして、さあ金を出すについては金額をどうするか、出す出し方についてはどうするかということで、いま施設庁なりあるいは大蔵省、外務省等で出し方をいろいろ検討されている。そういう過程の中で、施設費等の問題についても、いままでの国会での地位協定二十四条の解釈についての統一見解を踏み外したようなところまで金を出す方法について検討されている、こういうことなんです。つまり、これは経過からすれば、金を出すことを先に決めて、そして地位協定でどうやったら金が出せるかということでいま一生懸命に検討されている。明らかにこの措置というのは、これは地位協定を踏み外したやり方じゃないですか。いまの状態の中で、そういうふうに先に金を出すということを決めて、後から出し方を検討するということは明らかにもう私は地位協定を踏み外した——枠内と言っておるけれども枠内ではない、   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕 こういうふうに考えざるを得ないんです。だから、そういうやり方ならば、地位協定を変えなければ金が出せるはずはないじゃないですか。この点はどう考えられますか。
  53. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、地位協定を改定するというような考え方を持ってこの話をしておるわけでなくて、いわゆる地位協定を踏まえてと、こういうことでございますが、私はそういう面に−あまり堪能ではありません。事務屋に任せるより方法がない。で、事務屋にひとつ頭をひねれと、こう言っておるわけでありまして、地位協定を改定するという考え方は持っておりません。
  54. 野田哲

    野田哲君 地位協定について、この枠内で出すにはどうすればいいか頭をひねれと、こう言われているということだけれども、いま私が施設庁外務省に、現行地位協定の枠内でどういう費目でどういう金が出せるんですかという質問をすると、いまいろいろ検討しているんだと、具体的に金を出す状態が、この二十四条の中でどういう形で出し得るのか明快な答えはないんでしょう。あるんならもう一遍明確に、こういう費目については現行地位協定の中でも出せますということを言ってください。
  55. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきましては、いま検討中ということで、答弁としてはまことに不的確な答弁だと、満足いかぬと私は思うのですが、いましばらく時間をかしていただきまして、先生方の御理解いただけるようなことにいたしたいと、こう考えておるわけであります。
  56. 野田哲

    野田哲君 施設のどういうところにどういう建物を建てるのかと、計画があるのかということで私は聞いているのではないんですよ。地位協定という文書になったものがあるわけですから、地位協定の二十四条でどういうものに金が出せるのですかと、こういうふうに聞いているんですよ。どこをどう読めば金が出せるのですか、いかがですか。
  57. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 先ほども申し上げましたように、私どもは何を申し上げるかということの成案を得ますれば、五十四年度の予算の事項として概算要求をし、国会の審議をお願いするということでございます。したがいまして、いまの段階で、来年度予算の問題について具体的に述べろと、こう仰せられても、まだ私どもはその準備がないわけでございます。いろいろ私どもは幅広く検討しまして、ぎりぎり地位協定で許される範囲ということは十分念頭に置いて考えていくつもりでありますが、まだ検討を始めたばかりのところでございまして、いま具体的にお答えできないのはまことに申しわけない次第でございますが、ただいま大臣も申されましたように、これは非常に重要な問題でございますので、私どもも慎重に検討して、御答弁のできるときには自信を持って御答弁できるというだけの時間的な余裕をいただきたいと、こう思うわけでございます。
  58. 野田哲

    野田哲君 重ねてしつこいようですが、聞きますが、真田法制局長官、あなたの方でもいろいろ、あれだけ報道されているんですから検討されていると思うのですが、いまの地位協定の二十四年で具体的にどういう金が新たに出せるのか、検討されておればお答えいただきたいと思うのです。
  59. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 経費の分担につきましては、先ほど野田委員がお読み上げになったとおりの第二十四条があるわけでございまして、これの一般的な原則が一項、二項と分けて書いてございます。で、ただいま御質問の、じゃ法制局としてどういう費目が二十四条の適用として出せるのかというお尋ねでございますけれども、私どもでは、所管庁の施設庁がまだ御検討中でございます段階でありますので、私の方でこういう費目がいいだろうとか、こういう費目は出せませんとかいうようなことを先走って申し上げるような立場じゃございませんので、施設庁なり外務省の方で御相談の上、御検討の結果、こういう費目を出したいのだがと、二十四条に違反しないだろうかというような形で御相談をお持ちかけになれば、それは私どもの方で検討して御返事をするという段取りになるわけでございまして、この場で私が具体的な費目を挙げてお答えするという段階ではございませんので、御了承を願いたいと思います。
  60. 野田哲

    野田哲君 これは了承できないですよ。これは行政協定当時は一億五千五百万を出すと、こういう取り決めがあった。これを地位協定に変えて、その後取り決めはなくなったわけです。先ほども言いましたように、当時の藤山外務大臣は、これからは、もうこの条項がなくなったわけですから金を出すことはなくなりましたと、こうなっているわけです。そうして現在の地位協定の中では、日本側が負担する範囲については明確に規定をしてあって、それはいま現にやっておるわけでありますから、負担をしておるわけでありますから、いま負担をしている以外に負担できる金の出し方というのは、一体この二十四条をどう読めば出るのですかと、こういうことですから、具体的に私はどこそこにどういう施設をつくるとか、こういうことを言えと言っておるのじゃないんで、地位協定の解釈として、いま以上に出す取り決めがあるのかないのか。私はいま以上に出す金が地位協定の取り決めではないと、こう言っているんです。あなたの方は出そうと言っているのですから、出すのだったらどうするのですかと、こういうふうに聞きますとそれは検討中だと、こう言う。結局、長官、これは先に金を出しますよ、金を出しますよと、秋には具体的な金額を示しますよという趣旨をあなたはアメリカに約束をしてきて、帰ってきてから一体どういうふうに名目をつけて出せばいいかということでいまいろいろ検討されている。だから、これは経過からすれば明らかに地位協定の踏み外しということになりませんか、どう考えたってそうでしょう。そこのところを明確に説明してもらいたいと思うんです。
  61. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 地位協定に原則的な方針は規定されておるわけでございますが、従来からも在日米軍の駐留に関連して、私どもはいろいろな経費を負担しております。たとえば、米軍基地周辺住民に対するいわゆる周辺対策というふうなものをいろいろ講じております。あるいは駐留軍従業員の健康保険組合に対する補助金等も長年計上いたしております。あるいは本年度から法定福利費等の計上をいたしております。これはその都度地位協定との絡みにおいて格段の問題はないということで予算措置をお願いしてきておるわけでございますが、いろいろの広範な経費、費目があるわけでございますので、現在の段階ですべての費目についてこれはいい悪いということを悉皆検討してお答えできるだけの準備はないわけでございます。具体的に何らかの予算措置をとる、その審議を国会でお願いするという場合には、地位協定との関連においての意味合いを十分に御説明をしなければならないと思うわけでございますが、これから、われわれとしましては幅広くいろいろな可能性について検討していく、そして、これはもちろん来年の予算の問題でございますので、財源との絡みもございます。そこで、具体的にこういうものをお願いしたいという場合には、十分御納得のいくように、地位協定との関連についても関係省庁とも十分に協議して御説明できるようにいたしたい。こういうことでございますので、しばらく時間の余裕をいただきたいということを重ねてお願いする次第でございます。
  62. 野田哲

    野田哲君 いま亘理さんが説明された基地周辺対策費とか、あるいは駐留軍労働者の健康保険組合に対する補助金というのは、これは国内的な措置としてやっているので、いまやろうとするのは、いままでアメリカか負担をしておったものを——地位協定に基づいて日本側が負担すべきものと、アメリカ側が負担すべきものが地位協定で取り決められているわけでしょう。それを、いままでアメリカ側が負担していたものをこれからは日本が肩がわりをして負担をしていこうと、こういうことなんですから、これは地位協定の新たな負担ということになるわけでありますから、これはいまのそういう説明では納得できない。もう地位協定を変えるのか、変えないのであれば、いままでアメリカが負担しておったものを日本が肩がわりするのには法律的にどういう根拠があるのか、これを明確にしてもらわなければわれわれは納得するわけにいかない。これ以上、私はこの場ではこの問題は打ち切りますけれども、改めてまた、具体的な説明があった段階でもう一回この問題は指摘をいたしたいと思います。  それから次に、四月二十四日に第十四回の自衛隊の高級幹部会同というのが開かれておりますね。この高級幹部会同の状態を資料でいろいろ見ると、金丸長官の訓示の中では、中央指揮所の整備とか、あるいは統合運用体制の整備、有事関連施策の検討、すでに指示している事項について急げという意味のことが述べられている。それから、丸山次官の説示の中では即応体制の整備、こういう項目が挙げられている。そして、栗栖統幕議長のあいさつでは有事的考慮の必要性、これが強調されている。  こういうふうに見ると、この第十四回自衛隊高級幹部会同というのは、まさにこれは開戦前夜の大本営の会議のような印象を受けるんです。一体こういうようなことを高級幹部会同で検討しなければならないようないま情勢にあるのかないのか、この基本的な認識を伺いたいと思うんです。
  63. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  先ほども山崎先生からもそのような質問がございましたんですけれども、われわれといたしましては、現在の国際情勢はわが国に対して差し迫った危機感があるとは思っておりませんし、一方では軍縮会議等も開かれております。われわれ防衛を扱っておる者が、いたずらに国民の危機感をあおるような言辞があってはならないということは十分に戒めておるところでございます。  たまたま今回の幹部会同等で有事即応体制という話が出たわけでございますけれども、これは部内の若干恥を申すようでございますけれども防衛庁、自衛隊発足以来すでに二十有余年たっておるわけでございますが、いままで装備等の充実といいますか、そういう面に力を入れてきておりますけれども、内部体制を考えてみますと、いかに平時でありましても、あるいは危機が差し迫っていない時期でありましても、あるいはわれわれいたずらに危機感をあおるつもりはございませんけれども防衛庁、自衛隊といたしまして、やはり自分たちの使命から言いますと、いつでも戦える態勢に部内は常に勉強しておかなければならぬということは、これはわれわれの使命だと思うのであります。そうしますと、いまの内局、統幕、陸海空の幕僚監部でございますけれども、特にこの狭い国土で、もし一たん緩急のときに陸海空ばらばらで戦うわけにはいきません。そういうことから言いますと、現在われわれがやってまいりました統合幕僚会議の運用というものは、もっと事実に即してその権限を、各三幕に対します指揮権なりそういったもの、あるいはそれの統合運用、情報の一元化等、こういったものは、平時にありましてわれわれいままでそれを怠っておったんじゃないか、こういう面をこの際強化しておくことがわれわれの防衛庁の使命であると、このように思ってこの話が出たわけでございます。  仮に内容といたしますと、やはり現在の内局、統幕、それから各幕僚監部の権限問題等の調整、あるいは現在の統幕会議の統合運用の能力といいますか、そういったものをもう少し強化する必要があるであろう。あるいは情報体制が各幕ばらばらではいかぬ、やはり各幕、内局、統幕一緒になってどのように一元化を進めていくか、あるいは中央指揮所というもの、何もこれは差し迫った問題ではございませんけれども、しかし、自衛隊といたしましては、そういうことは一たん緩急の場合にどういう指揮系統でやっていくんだと、こういう中央指揮所、こういうものもいまあわせて勉強しておくことがわれわれの使命であるということで、いままでは怠っておったと申しますか、そういった面の再検討を進めておるわけでございます。  たまたま新聞等に出まして、いかにも危機感をあおるような感じを与えておるかもしれませんけれども、これはわれわれ決してそういうっもりではございません。従来の懸案をこの際できる限り詰めていくことがわれわれの使命ではないかと、このように考えるわけでございます。
  64. 野田哲

    野田哲君 あなたの方では、最近の新聞によると、そのために有事に備えた基本問題を検討するためのプロジェクトチームを発足をさせる、こういう報道がされているわけですが、このプロジェクトチームというのはどういう形で構成をされ、これからどういう課題を検討していこうということなんですか。
  65. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) この問題もやはり先ほどとの関連でございます。前に私、かつて読んだ有事立法の勉強というようなことも言いました。これもいま差し迫った危機があるわけではございません。いままでと同じような私は国際情勢だと思いますけれども防衛庁の使命といたしまして、平時そういった勉強をしておく必要があるということで事を進めたわけでございますが、いま先生がおっしゃられました有事の防衛研究という問題でございますけれども、これも従来から各幕僚監部では内局の防衛局と一緒になりまして、もし一たんこういう事態が起こったならばどのようにして部隊を運用するかという勉強は進めておるわけでございますけれども、これも統合運用という立場から、各陸海空の自衛隊がばらばらで戦うわけではございません。そういった意味から言いまして、もっと統合運用といった面から一種の作戦研究といいますか、こういうものを統合運用の面から詰めていく必要がある、しかもこの問題は内部の一種の作戦研究のようなもので、運用研究でございますけれども、やはりシビリアンコントロールというたてまえから、防衛庁長官の指示をこの六月に受けまして、そして内局の防衛局が中心になり、それにあわせまして統合幕僚会議事務局がこれに加わりまして、各幕から大体二十名ぐらいの制服スタッフと、それから内局の防衛局の関係部員、こういったものを中心にして一種の統合運用的な作戦研究を詰めていこう、このように考えてのプロジェクトチームをつくったわけでございます。  繰り返すようでございますけれども、いま差し迫った危機があるからあわててやらなきやならぬという問題ではないわけです。従来から防衛庁が当然やらなきやならぬという問題を長官の指示のもとにおいてやっていこうというプロジェクトチームでございます。
  66. 野田哲

    野田哲君 まあ一言で言えば三矢研究のようなものを公認で今度はやろう、こういうことですよね。長官承知の上で三矢研究をやっていこう、こういうことですが、その検討課題というのはどういう課題があるんですか。
  67. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 検討課題につきましては政府委員から説明させますが、三矢研究というような考え方は、当時国会でも問題になりましたが、あのときはいわゆる制服がそういう研究をしたというところに問題がある、しかし、いわゆる自衛隊というものがある以上、自衛隊がどのように対処していくか、そういう考え方は、全然何もしておらぬということでは国民の負託にこたえられない、こういう意味で、いわゆる私の指示で、あるいは内局も、そうして制服も一緒になって研究する、こういうことでございますから、三矢研究というような考え方とは全然違うと私は考えております。
  68. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) いま三矢研究との違いという御指摘がございましたが、三矢研究の際には、いわゆる朝鮮半島におきます紛争が日本に及ぼしてきた場合に、日本としていわば総力戦体制といいますか、いわゆる制服が部隊を運用するというだけではなく、全体としての戦う体制ということを念頭に置いてやったというのが当時大変指摘されまして問題になった点でございます。今回の防衛研究というのは、これは部隊の運用研究でございまして、従来ともこの部隊の運用研究につきましては、それぞれの自衛隊あるいは統幕等においてやっているわけでございます。しかしながら、この部隊の運用の問題というものは、従来ともすればそれぞれの運用研究をやりながら防衛力整備の面においてどういう点に力を入れていったらいいかというような点がどうしても念頭にあったわけでございます。したがいまして、防衛力整備との関連における運用研究というものが主になっていたわけでございますが、現時点におきましては、一応防衛計画の大綱というものによって防衛力の一応の規模というものが私どもの見通しとして持てる状況になってきているわけでございます。したがいまして、そういったわが国防衛力の規模の中で、どういう運用をやっていくのが一番効果的に直接侵略、間接侵略に対処できるであろうかというような観点からの研究でございまして、実は昨年来、日米防衛協力の問題、あるいは統幕機能の強化の問題、ただいま御説明いたしました中央指揮所の整備の問題等を通じましていろいろ研究を重ねておりますが、やはり総体的に、いま官房長から御説明いたしましたように、統合運用という観点から部隊の運用研究を進めるに当たっては、やはり集中的にある期間を区切って衆知を集めるのが適当であろうというのが私ども検討の結果でございまして、この研究の課題といたしましては、いろんな侵攻態様というものが考えられますが、それに対応する自衛隊の防衛の準備としてはどういうことをやらなければならないか、あるいは部隊の展開というものはどういう観点から行われるべきものであるか、あるいは指揮調整、そういった点につきまして、各種の侵略態様を考えて対処の方向を研究してまいりたいということでございます。  やや具体的に申し上げますと、たとえば、私どもの自衛隊として考えております武力行使といたしましては、着上陸侵攻、これは陸上部隊による侵攻が主体になるわけでございますが、そういったときの対処の方法、それから海上交通破壊が主体となるような侵略、あるいはまた航空攻撃が主体となるような場合、さらにはまた、その侵略の態様につきましては、ある程度の侵略勢力の行動を早くキャッチして早く準備に着手できる場合もございます。それからまた、非常に短い期間しか準備の期間がなくて対処しなければならない場合もあるわけでございます。それぞれの場合を総合的に研究しながら運用研究、いわゆる自衛隊の体制といいますか、そういうものをとっていきたいというのが私ども考え方でございます。
  69. 野田哲

    野田哲君 そこで、いま挙げられたような武力による侵攻、具体的にはどの国がどの地点を武力によって攻撃してくると、こういうことを考えておられるんですか。
  70. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) これは、どの国がどの地点ということは私どもとしては具体的には考えてないわけでございますが、わが国防衛を考えますときには、どうしても周辺諸国というものが当然中心になるわけでございます。そういたしますと、地理的な環境からいたしまして北と西というものが中心になるということは考えられるわけでございますが、対象の国としてどこだということは考えていないわけでございます。
  71. 野田哲

    野田哲君 まあ周辺諸国ということになれば、まず中国とはいま日中平和友好条約を締結していこう、こういうことでいろいろやっているわけでしょう。韓国との間はいろいろ経済的にも、私どもはかなり批判を持っておりますけれども、いまの政府は非常に密着しているわけですからね。そうすると、やっぱり北と西というのは、ソ連、それから朝鮮民主主義人民共和国、これが武力による脅威の対象国、こういうふうになっているんですか。何か伊藤さんは衆議院の内閣委員会では、日本防衛力の整備の対象としてはソ連を対象に努力をしているんだと、こういうことを述べられたような報道があるんですが、いつも慎重な伊藤さんにしてはこれはずいぶん思い切った発言だなと思って、そこまで慎重な伊藤さんが発言をされるということは、もう防衛庁の中は対ソ、これにもう認識は集中しているのかなと、こういう認識を持つんですが、どういうことなんですか、これは。
  72. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 私が衆議院の内閣委員会で御説明申し上げましたのは、ソ連が対象であるということをはっきり申し上げたわけではございません。ただ、私どもが自衛力を整備してまいりますときには、どうしても周辺諸国の軍事力というものを参考にいたさなければならないわけでございます。したがいまして、たとえば優秀な兵器を持つというその必要性ということになりますと、周辺諸国の中の軍事力、軍事技術の趨勢、そういうものを考えなければならないわけでございますが、日本の置かれております地理的環境からいたしまして、日本の隣国にはソ連という世界で超軍事力を持っている国があるというのも事実でございます、ということを申し上げたわけでございます。したがいまして、当然のことながら、日本の自衛というためには周辺諸国の侵略ということに備えるわけでございますから、いろいろな意味軍事力というものを把握し、それを参考にしながら必要な防衛力というものを整備してまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
  73. 野田哲

    野田哲君 これはちょっと長官に伺いたいんですがね、周辺諸国の軍事力を対象に防衛力を整備していくということなんですが、やはり防衛庁が有事に備えての基本問題を検討していくということになれば、一体有事とはどういう状態で起きるのかということが国民に納得のいくような説明がなければ、これは国民は了解がなかなかできないと思うんです。  周辺諸国のことを考えてみたときに、政治体制の全く違う社会主義の国の中華人民共和国と平和友好条約を結ぼうということでいま鋭意努力をされているわけですね。ソ連との間においても、国交の上ではいろんな課題が山積をしておるわけですよ、平和的に外交手段で解決をしていかなければならない課題、漁業問題とかあるいは北方領土の問題とか、いろいろ山積をしているわけです。こういう形で、それぞれの周辺諸国との間に、北朝鮮との間はまだそういう状態になっておりませんけれども、それを除いてはそれぞれ外交手段によって懸案事項について努力をしているわけです。そういう状態のときに、さも近く武力侵攻があり得るんだというような形のプロジェクトチームを発足させるということは、国民にもいたずらに不安を与え、危惧の念を持たせ、やっぱりきな臭い煙硝のにおいを感ずるようになってくるわけですがね、そういう状態がこれからの日本の外交展開に得策なのかどうか、こういう点で、金丸防衛庁長官防衛立場だけやっていればいいんだということにはならないと思うんです、これは政治家ですから、閣僚の一員としては。いまのような形での軍事力をどんどん拡大をしていく、そして武力脅威に備えてのプロジェクトチームによる検討を図っていくという状態が、これからの周辺諸国との外交交渉に果たして得策なのかどうなのか、これはどういう認識をお持ちですか。
  74. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 日本は自分の国の力で日本を守ることはできない、また平和憲法というようなものを踏まえて絶対戦いはしてはならぬということは国民すべての人が理解いたしておるところであります。  話は変わるんですが、私は先般保利衆議院議長といろいろ話をしたわけでありますが、日中関係が正常化してくる、この次は日ソ関係を、平和外交というものを強く進めるべきだという話をいたしましたら、保利議長も、全くそのとおりだ、できれは私は——保利議長が言うのです。私はソ連へ今回行きたいというようなことを言っておりましたが、少なくも政治家たるもの、そのことは考えなくちゃならぬことは当然だと、私も全く同感であります。ただ、ただいまそういうような状況の中で平和外交を進め、そういう中でいわゆるその研究をするということは、少しくうらはらの逆なでするようなことじゃないかというお話もありますが、私はそういうことでなくて、戦争はしてはいけない、向こうもまた、どちらの国から日本を侵略するかしないか知らぬけれども、侵略されぬためにも、いわゆるそういうときの用意だけすることは国民の負託にこたえるゆえんだと、むしろそれを全然ほったらかして、自衛隊が毎日寝転がって何にもしておらなかったら、国民からどのような批判を受けるかということも考えてみなくちゃならぬと私は思っておるわけであります。
  75. 野田哲

    野田哲君 このプロジェクトチームによる検討の結果というのは、これは公表はしない、こういうふうなことを発表されておりますが、公表しないということは、手のうちを見せるわけにいかないと、こういうことだろうと思うのですが、それにしても、私は検討課題の中には予算を伴うものや法律を伴うものが幾つかあると思うのですよ。官房長は有事立法が必要なんだということで、この発表のときにも、このプロジェクトチームの検討結果については有事立法の立案にも参考にして反映させると、こういうようなことを言っておられるのですが、たとえば、ことしの四月二十四日の幹部会同で言われた中央指揮所の問題についてもそうだと思うのですが、法律を伴うものや予算を伴うものを発表しないというのは、これはどういうことなんですか。そういう形では、これはわれわれはシビリアンコントロールという点を非常に重視をしておるわけですけれども、予算を伴うものや法律を伴うものまでもひた隠しに隠しておいて、一挙にさあやれと言ったってそんなものはできないですよ。シビリアンコントロールの機能を発揮できないと思う。一体法律や予算を伴うものをどう扱おうとされているんですか。
  76. 金丸信

    国務大臣金丸信君) シビリアンコントロールということは政治優先ということであります。政治優先である以上、予算や法律を伴うものは、それは当然説明をしなくちゃならぬ、そう考えております。
  77. 野田哲

    野田哲君 ただその説明の仕方が問題なんですよ。そうすると、われわれがこれから必要に応じて、内閣委員会でどういう法案を予定しているのか、こういうようなことで質疑をしあるいは資料の提供を求めればそれは出すということですか。
  78. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 私、記者会見でも申し上げたのですけれども、プロジェクトで防衛研究を続けていく、防衛研究というのは一つの作戦研究でございますから、運用研究ですから、これだけの部隊をどこからどこへ回します、こういうことを勉強しておりますと、そういう、一々その部隊運用の結果がこうなりますということまで公表するというのはいかがなものだろうか。一種の手のうち、さっきも先生言われたように、作戦の手のうちを見せるようなことはいかがなものか。しかし、そういう作戦研究をやっていきました場合に、たとえば中央指揮所なんかやっぱり要るだろうということになりますと、その中央指揮所をつくる時期はまたいろいろあろうと思うのですけれども、もしつくるようなそういう施策、いろいろこういう施策が必要だということになりますならば、それが仮に予算が伴いあるいは法律改正が伴うものならば、それを出す時期は私は何もいまあわてる必要はないと思っております。そう差し迫ったわけではございません、われわれ部内で研究するわけですから。しかし、そういう施策が必要になり予算措置が要る、あるいは法律改正をやるということになれば、当然こういう理由でこういう予算を要求いたします、こういう内容の予算をこういう理由で要求いたします、こういう法律改正いたしますのは運用上こういう問題がありますから、われわれ検討しました結果、こういう観点からこういう改正点を持っておるんでございますというようなことを、当然国会でその経緯を御説明し、その立法を考えておる理由、予算を要求する理由は、当然皆さん方に御理解をいただくべく公表する必要があろうと思っております。内部の作戦、運用研究の細かいことまで一々公表ということはいかがなものかと。これは当然どこの国も、自衛隊なんかの運用については当然なことだと私は思っておりますが、先生御指摘の予算関係あるいは法律関係、その経緯につきまして必要な理由は、当然この運用研究の結果必要な施策としての説明はする予定でございます。ただし、時期は、いつするかは、まだわれわれはそうあわてる必要もないし、国民のコンセンサス、そういうものを見つつ考えていくべき問題だろうと思っております。
  79. 野田哲

    野田哲君 昭和五十四年度に向けて予算的にはいま作業を進めておられると思うんですが、これと関連をして、五十四年度に向けての、つまり次の通常国会へ向けての法案の提出の予定がありますか、何か。
  80. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  五十四年度というと来年度でございますから、すると、ことしじゅうにということになりますけれども、いま私たちが考えておりますのは、先ほども申しましたように、どこまで法律改正が要るかどうか、たとえば統幕機構の強化も、いろいろ研究してみますと、内部の自主的なわれわれの協力体制だけでも相当いける問題がございます。しかしながら、統幕議長の統幕会議を代表するような、そういった権限とか、これは確かにまだ法律上ございません。内部の統幕機構の強化、内部体制の一種の統合運用的な問題、こういったものが法律改正が伴うかどうか、これはまことに申しわけないですが、やはりまだ検討中という段階で法案まで考えておりません。ただし、もし必要ならば、従来からも二十何年の経緯がございますので、それ以外にも法律改正が伴うような問題、若干細かいものでもあろうと思います。そういうものをいま集めまして、防衛庁設置法あるいは自衛隊法の改正点を詰めまして、五十四年度は私はいまの段階では無理だと思っております。五十五年度に、そういった内部体制の問題を含めまして、出すならば五十五年度に出すべきではなかろうか、このように考えております。それは当然また、従来からの海空の定員の問題、これもございますので、こういうものもあわせまして私はできる限り五十五年度に提出して諸先生方の御批判を仰ぎたい、五十四年度は少し無理ではなかろうか、このように思っております。
  81. 野田哲

    野田哲君 前後いたしますが、金丸長官アメリカで弾薬を買って、アメリカに備蓄をしていくというような構想を持っておられるんだということをちょっと情報で読んだことがあるんですが、これは事実ですか。
  82. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、防衛というものの基本は、自分の国は自分の国民のいわゆる英知と努力と、そういうものによってやるべきだと、そういうことでございますから、確かにアメリカの弾等は日本でつくるより安いということだけは確かだと私は思います。しかし、そういうことはなかなか困難なことでありますし、また防衛上から考えてできるだけ国内で生産することが適当だという考え方で、備蓄という問題については私はまだ考えてはおりません。
  83. 野田哲

    野田哲君 兵器の命題研究というのを始めるんだということを聞いたんですが、これは事実ですか。
  84. 番匠敦彦

    説明員(番匠敦彦君) お答えいたします。  先生おっしゃいました命題研究と申しますのは、五十四年度の業務計画といいますか、それに関連いたしまして防衛庁で研究開発を担当しております技術研究本部でいろいろの作業をしておりますが、その段階で使われている言葉でございまして、防衛庁全体としてオーソライズされたというようなものではございません。
  85. 野田哲

    野田哲君 日経に全文が載っておりましたね、研究開発に関する防衛庁資料というもの、あれはそのとおりなんですか。
  86. 番匠敦彦

    説明員(番匠敦彦君) 先般の日本経済新聞に載りました内容でございますが、ただいま申し上げましたように、五十四年度予算の要求に関連いたしまして、防衛庁長官の方から業計に関する指示を出しております。その一部といたしまして、いずれにしても研究開発は重視すべき事項であるので、その推進するための一つ内容といたしまして、技術研究に関しましては、技術基盤を効果的に育成するために将来予測される新技術等を配慮して幅広く実施するとともに、むしろそれにプラスして、将来の装備品に関して積極的に提案できるような技術研究をやりなさいということは防衛庁長官の方から指示をしております。そういうことを受けまして、技術研究本部の方でいろいろ作業はやっておったわけでございますが、その過程の資料に関して記事が出たものと考えております。しかし、現実的にまだどういうような命題、いわゆる命題研究と、いうような形で要求するかということもまだ決まっておりませんで、技術研究本部の部内で審議されている段階でございます。
  87. 野田哲

    野田哲君 私は、きょうの審議の参考にしたいために、いま説明があった研究開発に関する防衛庁資料というのを要求をしたんですが、出してもらえなかったんですが、この程度のものがわれわれに要求しても出せないんですか、出せない理由を聞かしてもらいたいと思うんです。
  88. 番匠敦彦

    説明員(番匠敦彦君) 先ほども申し上げましたように、あの内容を推定いたしますと、技術研究本部で部内で検討中の非公式のものであろうとまあ想像されるわけでございますが、そういう段階のものでございますので、いずれ予算の形あるいは防衛庁としての概算要求の形というまとまりました段階では十分御説明できると思っておりますが、いまはその作業をやっている段階でございますし、まだ技術研究本部の非公式の検討段階でございますので、差し控えさしていただきたいと考えるわけでございます。
  89. 野田哲

    野田哲君 われわれはその過程を知りたいから資料を見せてもらいたいと、こう言っているんですよ。ぜひその過程は過程として資料として要求いたしたいと思いますので、しかるべく計らってもらいたいと思います。  そこで、その過程の文章を読みますと、「最高水準の兵器を生み出し得る研究開発力を育成」していくんだ、こうなっているんですが、これは防衛局長、いま最高水準の兵器というのはどういうものが考えられますか。
  90. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) これは一般的に申しまして、通常兵器におきましては命中精度の高いいわゆる精密兵器、それから破壊力の大きなものといったようなものが最高水準のものだというふうに考えております。
  91. 野田哲

    野田哲君 つまり、今日の世界の常識としては、最高水準の兵器というのは、私はやはり核ミサイルだと思うんですね。だから、これを読むといよいよ防衛庁もこの研究に踏み込んだかという印象を受けるんです。しかもそのねらいとしては、日本がいつでも保持し得るためにその研究開発力を持っておくんだということと、もう一つは外国との間のバーゲニングパワーにするんだ、つまり外国が持っている兵器で日本に欲しいもの、これをなかなか外国で譲ってくれない、これに対して、それとの引きかえのものとして使うんだと、こういう構想が出ているわけですが、そういうものに使えるということになれば、しかもこれが最高水準の兵器、これをねらっているということになれば、いま防衛局長も言われましたけれども防衛局長は端的には言われなかったけれども、やはり破壊力が大きくて命中精度の高い、こういうことになれば核弾頭を持ったミサイルということだと思うんですが、いよいよ今度の命題研究というのはこれをやろうということなんですか。
  92. 番匠敦彦

    説明員(番匠敦彦君) 現在防衛庁あるいは技術研究本部におきまして核ミサイルの研究開発をやろうなんということは全然考えておりません。先ほどおっしゃいました一流のものといいますか、各一流の技術水準を得たいというのが願望でございまして、それは個々の兵器ではございませんで、たとえば電子関係では電子関係の最高レベル、あるいは車両の関係ではそのトップをいけるような技術開発能力を持ちたいと、そういうようなことを言っているわけでございまして、特定の兵器の最高のものの核ミサイルというようなことを考えているわけではございません。
  93. 野田哲

    野田哲君 時間がなくなりましたから、最後に、ちょっと気になる報道があるので、最近アメリカに行かれた長官なり防衛局長に伺い、あわせて外務省にお願いをしたいと思うんですが、ことしの二月にアメリカの下院の歳出委員会の国防小委員会、ここでブラウン国防長官がいろいろ説明をやっている。その議事録を見ると、一つは、P3Cを日本が配備をするようにしたことについて、これはアメリカの海軍力を補完をするという立場で評価をしているんだということがあるわけですが、もう一つは、日米の軍事レベルでの協議内容について議事録で証言が削除されている部分があると、こういうくだりがあるんです。アメリカの議会で証言が削除されるような協議内容がこれを見ると行われているということの裏づけになっているわけですが、こういうものがあるんですか。
  94. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) このブラウン長官の証言の中で、P3Cの採用に伴って運用そのものを検討するというようなことが書かれておりますが、これはいわゆる日米防衛協力の中で、現在まで持っておりますP2JというのがP3Cにかわっていくわけでございます。したがいまして、日本防衛のための運用面における検討というものを当然その日米の担当部局でやるということでございます。  それから、その削除されている内容ということでございますけれども、これは恐らく運用研究等におきましての運用面の検討ではないかと思うわけでございまして、実は自衛隊におきましては、この自衛隊の運用関係につきましてはできる限り公表しあるいは御説明する努力をいたしておりますけれども米軍におきましては、運用面につきましてはいかなる場合にもきわめて秘匿している場合が多いわけでございまして、そういった意味航空機あるいは艦艇の運用関係のことに触れられているのではないかというふうに想像されるわけでございますが、私どもがやっております、たとえば防衛協力小委員会の部会等におきます運用の研究の問題、そういったものもございますし、また、それぞれの幕僚レベルにおきます研究の問題等もございますが、そういうものを総称して言っているのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  95. 野田哲

    野田哲君 最後外務省にお願いしたいんですが、いまのアメリカの下院の歳出委員会の国防小委員会ブラウン国防長官が証言をしたこの議事録をぜひ取り寄せて資料として提出を求めたいと思うので、そのことをお願いして終わりたいと思います。
  96. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後は一時二十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時二十七分開会
  97. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国の防衛に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  金丸長官
  98. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 午前中の山崎委員に対する私の答弁について説明いたします。  択捉島周辺におけるソ連軍動きに関する栗栖議長の発言は、可能性一つとして演習が行われている旨述べたと聞いていますが、この発言が、現実に演習が行われているかのような誤解を与えたとすれば遺憾であるという意味で申し上げたものであり、防衛庁として事実関係を確認し得る段階には至っておりません。
  99. 井上計

    ○井上計君 私は、今回の長官訪欧あるいは訪米につきまして、いささか当時疑念を持っておりました。といいますことは、時期的な面からその必要性がどうであるのか、この時期を選ばれることについては妥当かどうかというふうなことについての、率直に申し上げて当時疑念を持っておったわけであります。特に長官出発されますときには、例の宮城地震の対策、それについての自衛隊の救援という問題もあったと思いますし、あるいは、けさほどからいろいろと問題になっておりますが、すでに言われておりますところの択捉島における、ソ連軍演習なのかあるいは基地増強なのかということ等につきましての統幕議長と防衛局長とのいわば見解といいますか、説明の食い違い、そういうふうな問題、さらには当委員会の理事会で問題にいたしましたけれども、いわば国会開会中に、特に当委員会長官の出席を求めておりましたのに出発をされるということ等について、私も——私もというか、私でさえ実はかなり疑念を持っておったことは事実であります。しかし、先ほど長官の御報告を承りまして、それなりの成果といいますか、目的を果たされたというようなことで、これはもう了といたしますけれども、ただ、そこでひとつお伺いいたしたいと思いますが、今回長官に随行された方々が、全部とは言いませんが、ほとんど内局の方であって、制服組の方がいなかった、あるいは少なかったというふうに聞いておりますけれども、そのようなことについて、御報告によりまして、また今回のヨーロッパあるいはアメリカでの長官の視察等の内容からすると、制服組をもっとやはり多く連れていかれた方がさらに効果があったんではなかろうか、こういう実は感じもいたすわけであります。済んだことは済んだことといたしましても、今後ぜひひとつ制服組の人たちに、大いに実地に見聞を広めていただく、それが先ほど長官の御報告最後にもありました、「私の見るところ、各国部隊練度は高く、上級指揮官から一兵卒に至るまで、自由と平和を守るため、真剣に任務に励んでいる姿が印象的でありました。」、こういうふうな御報告がありますが、そのためにも制服組がもっと実際に実地見聞をされる必要がさらにあるんではなかろうかと、こう考えておりますが、このことにつきまして、長官のひとつお考えを承りとうございます。
  100. 金丸信

    国務大臣金丸信君) まず私は、先ほども帰国報告を申し上げる中で、国会開会中に海外へ出発するということにつきまして、皆様方に非常に御迷惑をかけましたことをおわび申し上げたわけでございますが、実は、私も国会対策とか議運の委員長をやりまして、会期が三十日延びるとは私も考えておらなかった。いかように延びても二週間か、せいぜい二十日だろうという考え方でおったわけでありますが、たまたまあのようになりまして、先さんの方との連絡等もありまして日が決まっちゃった。えらい御無理を言って外国へ出かけましたことをまずもっておわびを申し上げる次第であります。  また私は、そのような状況の中で、内局をということでありましたが、内局と十三日に一緒に行くということにつきましては、これは常識として判断いたしましても、国会開会中だから遠慮した方がいいだろう。そこで私は、岡崎参事官、外務関係を担当いたしておるわけでありますが、参事官と秘書を連れて、それに、実はできるだけ若い者の将来のためにも、まあ将官はいままでも行っておるでしょうし、先も短いことだからと、そういうようなことで、防大一期生の航空一佐政狩君というのが一緒に行ったわけでありますが、仰せのとおり、そういう面で、井戸の中のカエル大海を知らずでは将来のためにもいかぬと思うわけでありまして、できるだけそういうことは考えなくちゃならぬと思っておりますが、今後、御趣旨の点につきましては十分生かしたいと考えております。
  101. 井上計

    ○井上計君 長官の御説明で了といたします。  そこでお伺いいたしたいわけでありますが、西ドイツで長官御一行は第十四機甲旅団の演習を視察をされて、金丸長官は、さすがに強そうだなと感心されたということを新聞報道で私承知をいたしたわけでありますけれども、そこで、西ドイツとわが国とを比較されまして、特に何を感じ、どんなことを学ばれたのか、あるいはまた、両国の防衛力の格差をどう感じられたか、また、西ドイツ国民とわが日本国民との間の防衛に対する考え方の違いということについてもお感じになったんではなかろうか、こういうふうに私察しておりますけれども、それらのこと等につきまして、むしろこれは、長官はさすがに強そうだなという感想を漏らしておられますので、随行されました参事官からそれらの点等について、どういうふうな感想をお持ちであるか、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
  102. 岡崎久彦

    説明員(岡崎久彦君) お答え申し上げます。  わずか二日間の滞在でございまして、日本の自衛隊と西独国防軍との装備、練度全般にわたりまして比較する印象を得ることは不可能でございました。  ただ、まずお話のございましたコブレンツにおける機械化連隊の視察におきましては、訓練状況など拝見しておりましても、戦車、装甲車を展示するに当たりましても、全速力をもって通過する、そして停止すると同時に実弾をもって目標に向かって射撃する、その精度がきわめて高いというようなことをつぶさに見てまいりました。  その他、これはもう御存じのことでございまして、西独防衛経費の絶対額、それから一人当たりの負担が日本に比べましてはなはだしく高い、これはもういまさら御説明するまでもないと存じます。
  103. 井上計

    ○井上計君 防衛に対する国民認識考え方の違い、感じられましたら、それもひとつ……。
  104. 岡崎久彦

    説明員(岡崎久彦君) アペル大臣金丸大臣との会談がございました。そのときにアペル大臣金丸大臣説明されたところでございますけれどもアペル大臣自身社民党の出身の方でいられますけれども、政治生活ももうすでに二十五年していられまして、当初は反戦運動ということを政治のスローガンにしておった、しかし、その後自由社会というものを守る責任の重大さを感じるに至った、現在はドイツの国防大臣といたしまして自由社会を守るという責任を通感しておる、いまやドイツは自由社会における——自由社会と申しますよりも世界最強の陸軍の一つを擁している、これは一つドイツを守るための目的でなく、NATO、ひいては自由社会全部を守るためのものであると、そう確言をされました。
  105. 井上計

    ○井上計君 どうも十分なお答えでないので若干わかりにくい点もありますが、いまお答えの中で重要なことは、ドイツ国防大臣が、過去においては反戦運動を強力にやっておった社民党の党員であったのが、現在ではそのような考え方に変わっておるということについては、ドイツの置かれておる状況というものから当然だと思いますけれども、やはりわが国としても大いにそれらの点については、今後さらにひとつ勉強をしなくてはいけない、こういう感じがいたします。こういうことにつきまして、今後の問題でありますけれども長官初め防衛庁当局におかれても、ひとつ十分そういう面について、やはりある意味での啓蒙ということもお考えいただく必要があるのではなかろうか、これは希望しておきます。  そこで、やはり新聞報道でありますけれども金丸長官とアペル国防相との間で合意がなされた。すなわち、西ドイツと共同において兵器の開発研究を行おう、こういうふうなことが新聞報道でなされておりますけれども、これについてはどのように、具体的にどういうことをお考えになっておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  106. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その話は、アペル国防大臣の昼食会に御招待いただきまして、ドイツの国防総省の中で昼食をいたしたわけでありますが、その昼食会の中で、四、五年前に日本防衛庁から参りました局長が、いわゆるお互いに技術の交流とか研究とか、そういうことをしようという話もあったけれども、それはナシのつぶてになってしまったという話がありました。たまたま私は防衛庁の基本の予算を見まして、非常にスズメの涙のような予算だと、防衛の基本はここに相当思いをいたすべきだという私は考え方を持っておりました。しかし、アメリカのように、相当大きい予算の中で研究費というものはできない、まあお互いに助け合いながら一つのものを研究するということは必要だろう。しかし、われわれが研究する範囲というものは、先ほどの前質問者からもいろいろお話がありまして、核兵器の研究なんということは毛頭考えておるわけじゃありません。しかし、情報の問題とか交換等をするについても、また、日本は電子あるいは電波というような関係については他国よりもすぐれている技術も持っているというような面をより一層研究を詰めていくというようなことも、これは私は素人ですよ、素人ですから素人なりの考えしか持っておらないわけでありますが、そういうことならばそれは結構でしょうと、そして、お互いに予算の少ない中でよりよきものができ上がるということはやるべきだと、しかし、それについてはお互いに事務的にこれを詰めてみましょうと、それはそうだと、アぺル国防大臣も全くそのとおりだから事務的に詰めましょうと、こういう話になっておるわけであります。
  107. 井上計

    ○井上計君 まあこれからの問題のようでありますけれども、ただ単に、これは兵器のみの技術の研究開発ということだけでなくって、私は西ドイツとわが国との間で、そのような点についての共同開発研究が進むことは、民間の技術の向上にも大変役立つというふうに考えます。大いにひとつ期待をいたしておりますので、具体的にそういう方法をひとつ今後進めていかれるように、これは大いに期待し、要望いたしておきます。  そこで、先般やはりわが党の佐々木委員長を団長とする訪米団がアメリカ訪問をいたし、それぞれの要人と会談をいたしておるわけでありますけれども、実はアメリカ政府当局者が、安保廃棄をするというふうな意向を実は述べておるわけで、これは新聞報道で御承知だというふうに思います。二度とアメリカ人の血を国外で流したくないと、これはやはりアメリカ国民の感情としても無理からぬことだというふうに思いますけれども、だからといって、日米安保条約の廃棄を近い将来真剣に検討する、せざるを得ないであろうということになりますと、実は私どもとしては大変なショックというふうなことでありますが、ところが、一方金丸長官は、先ほどの御報告にもありましたけれどもアメリカアジア離れの不安は解消したと、こういうふうにおっしゃっておられますが、とすると、国務省側と、あるいは国防省側との間に日米安保についての今後の考え方、あるいはアジアの平和維持ということについての考え方等について若干の隔たりがあるんではなかろうかと、こういう印象を受けるわけでありますが、これについて長官、どのようにお考えでありましょうか。
  108. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私はワシントンへ参りましてブラウン長官あるいはブレジンスキー、あるいは軍の制服組の方々、また国務省は、国務長官国会に出なければならぬということで残念だけれども国務次官にということで、向こうから非常に丁重にお断りをしてきておったわけでありますが、この人たちといろいろ話をしまして、ブラウン長官もブレジンスキーも、ほかの人たちも、いわゆる日米関係は不可欠であると、それを再確認するということを歯切れよく明快に答弁されたわけであります。そういう意味で、なおアジアの安全という立場からいろいろ話を承りまして、アメリカが本当に真剣にアジアの平和という問題について、安全という問題について考えてくれていると私はこのはだで感じてきた。非常に力強く私は思っております。
  109. 井上計

    ○井上計君 長官の得られた感触あるいは認識というふうなものが正しいと実は私も期待をいたしたいというふうに思います。そうでないとするならば、アメリカ日米安保廃棄の方向を真剣に検討するというふうな世論が強くなるとすると、わが国防衛計画等についても重大なやはり変更をなさざるを得ないというふうに考えますので、それについては、長官のいま御説明を大いにひとつ期待をし、また信じてまいりたいというふうに思います。  ただ、そこでもう一つ、米中正常化がかなりのテンポで今後進むであろうというふうに考えます。そこで、アメリカについてもいろいろと論議されておるようでありますが、その場合、米台相互援助条約をどうするか、あるいは台湾の防衛についてどうするかということについて、アメリカの変化が起きるであろうかどうか、そういうことについての感触はどう得ておられますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  110. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、この問題はブラウン長官とブレジンスキー特別補佐官とに、また上院、下院の議員にもお伺いをいたしたわけでありますが、皆さんの考えていることは同じのようであります。いわゆるアジアの安定ですね、台湾問題を無視してかかるということは、アジアの安定に大きな阻害を来す、アメリカは台湾との約束は絶対守ります、こういうことを言っておるわけであります。
  111. 井上計

    ○井上計君 いろいろとお伺いしたいことがたくさんあるんですが、時間がありませんので、あとこれは、むしろお尋ねしてもなかなかお答えいただきにくい問題があるんではなかろうかと思いますので、私の意見ということでひとつお聞き取りいただいても結構でありますが、ある新聞の実は報道であります。制服と背広の震度五の内紛という見出しで、いろんな現在の防衛庁内部における問題が実は報道をされました。どの程度事実であるのかどうかわかりませんけれども、しかし、俗に言うところの火のないところに煙は立たないということから考えましても、まあまあこういうことがあるのかなという実は私どもそういう感じがいたすわけであります。これについてどうとかということを私はいま意見を言いません。しかし、こういうふうなことが報道されるような、そういう状態にもしあるとするならば、国民に対して日本防衛、そのためには自衛隊をもっと理解をしてもらい、あるいは愛される自衛隊というふうなこと等から考えて、実は大きな支障が起きるというふうに思います。そういうこと等につきましては、ぜひひとつ長官が十分御配慮いただきまして、事実がなければ結構でありますけれども、そういう事実が少しでもあるとするならば、早くそういうふうなことのないように、文字どおり制服と背広が一体となって、さらに日本の自衛力を高めるような努力をされるようにひとつ特に長官に要望しておきたいというふうに思います。  それからもう一つ、これもお答えなかなかしていただけないかと思いますけれども、午前の長官の御答弁の中で、択捉島問題等に関連をして防衛庁内部情報システムに問題があるというふうな御答弁があったと思います。情報のあいまいさ、あるいは的確な判断がどうもできなかったというふうな御答弁であったと思いますが、やはり防衛ということを考えた場合、もちろん装備も必要であります。しかし、同時にやっぱり質的な防衛力というふうな中に、どうしても見落とすことのできないのはやはり情報システムの完備ということだというふうに思います。どうも聞くところによりますと、防衛庁情報収集システムがかなりおくれておる。特にいろんな諸外国のいわば暗号等傍受して、そういうことについての解読技術というものがわが国は大幅におくれておるというふうなことも実は聞くわけであります。先般尖閣諸島に対する中国漁船団の侵犯のときに、あの漁船団が中国本土と盛んに交信をしておる、それについての傍受——あるいは傍受されたかどうか知りませんけれども、それについて傍受の結果、解読等についても何か全くわが国ではなされていなかった。アメリカの方ではいち早く解読したというふうな、これまた新聞報道でありますけれども、そういうことも聞きました。そういうことに事実やはり欠陥があるとするならば、今後の防衛力を高めるという意味で、ぜひそれについても十分配慮すべきではなかろうかと、こう考えます。そういうふうなやはり情報の収集、あるいは分析あるいは判断、解読ということになりますと、なかなかお答えにくい問題があろうと思いますが、当然お考えになっておると思いますけれども、ひとつ今後の問題としてさらに一層御配慮いただきたいと、こう思います。  それから、最後にもう一つ、これは希望であります。防衛大学の学長の猪木先生が近く勇退をされるかに、実はこれも新聞報道でありますが聞いております。その後任の問題がいろいろと論議されておるようであります。これはまあ風聞でありますけれども、後任の校長としてさきの土田警視総監が話題に上がっておると聞いております。私、個人的には土田さんという方は大変りっぱな方だというふうに聞いておりますし、よく存じ上げませんけれども、これは申し分のないあるいは適任者であるということについても、私自身よくわかりませんが、異議をはさむものではありませんけれども、ただ、ここで私自身が懸念をするのは、最近警官の不祥事件が相次いでおります。土田総監が辞任をされました表面のといいますか、直接の理由はあの不祥事件の責任をおとりになった、こういうことであります。そうすると、この際やはり土田総監が、もし仮に後任の防衛大学の校長に就任をされるとしますと、やはり国民感情からして、せっかく自衛隊に対してかなり国民理解を示し、自衛隊の必要性というものが世論調査の結果でも非常に高まっておる中で、そういうものが何か支障となりはしないかというふうに、実は私個人的にそういう懸念を持つわけであります。こういう点につきましても、ひとつお考えをいただいたらどうであろうかというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、長官の御報告の中に、やはりヨーロッパ、特に西ドイツあるいはアメリカ等と比べてわが国のかなりうらやましいというふうな、指揮官から一兵卒に至るまでの練度その他についてうらやましい意味の御報告がありましたけれども、そうなりますと、これで警察予備隊からすでに三十年近くになるわけでありますから、やはり優秀な方が防衛庁内部にもたくさんもうおられると思いますので、むしろ防衛大学の校長は部内から就任された方が、もっとやはり自衛隊そのものについての認識が高まるんではないか、これは個人的な見解でありますが、そういうふうに思うわけであります。時間がありませんので特に御答弁をいただきたいと思いませんが、もし長官からお答えいただければ大変ありがたいと思いますが、以上ひとつ意見をつけ加えて私の質問といたします。
  112. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 情報等の問題につきまして、あるいはまた対立というような問題があるんじゃないかというようなお話がありました。まあ人間社会のことですから、全然そういうようなトラブルなしに平穏にいくというわけにもいかぬと思います。しかし、それは私は機構がうまくいってないという面もあるんじゃないかという面で、そういう面についても再検討しなくちゃいかないというような考え方で、先ほど官房長官からも説明したような考え方を持っておるわけであります。  また、情報等につきましても、尖閣列島その他の問題について、私はアメリカへ行きまして、非常に、いまのこの時点における世界の情勢というものが、どこに飛行機があって、どこに潜水艦がおって、空母が、自分の方も相手国その他世界各国のそういうものが、すぐその前に出てきておるというようなものを見まして、こういうものがあってこそ対策というものは講じられる、こういうようなことを思いましてうらやましいと。しかし、日本のいまの経済力あるいは状況からして、こういうものをつくり上げることはなかなかむずかしいが、しかし努力はしなくちゃいかぬ、情報というものは私は一番大切だと考えております。  また、防大の校長の問題につきましては、自衛隊の将来のいわゆる背骨をつくるわけでありますから、こういう人間をつくるその指導者というものは人格者でなくてはならぬ、この人の教育を受けた、そして祖国のためには、もし相手が日本を侵すときは命もささげられるという教育があってしかるべきだと私は思う。それには義理も人情も、あるいは愛情も考えなくちゃならぬ、そうしてそれが、校長からいわゆる防大の学生の心に刻みつけられるような教育というものが必要だと思うわけです。問題は、私は警察であるとか、あるいは防衛庁とかあるいは学者であるとか、そういうことを問わず人の問題だという私は感じがいたしております。
  113. 井上計

    ○井上計君 終わります。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 駐留費の増加につきましてもっと詳しくやりたいんですけれども、単なる思いやりから二百億とも三百億ともうわさされております国民の税金を使うというようなことでもないと思うんですよ。施設庁長官地位協定で、個々とか金額とかはこれから検討するにしても、防衛庁長官が行く前には、当然地位協定の中で駐留費の増加ができるということは前提になって、やっぱり思いやり、さらには向こうに対する発言、約束となったのでしょうね。まさかその地位協定の中で、全くこれから増加ができるかどうかまでを含めて検討するんだ、こういうことじゃないんでしょうね。
  115. 亘理彰

    説明員亘理彰君) この駐留米軍の経費の問題につきましては、大臣は思いやりの気持ちを持って最近の諸情勢に照らして地位協定の範囲内でできるだけのことを考えたいということを申されたわけでございますが、この大臣のお考えは、アメリカへ行って初めて申されたわけではございませんで前々から申されておることでございます。私どももその大臣のお気持ちに従って検討をいたさなければならないわけでございますが、午前中にも御答弁申し上げましたように……
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 細目じゃなくて、範囲はまだあるんだろうと。
  117. 亘理彰

    説明員亘理彰君) これは何らかやる場合には、五十四年度予算の問題でございます。そうして現在でも、先生よく御承知と思いますが、在日米軍の駐留に関しては、あるいは借料でありますとか、あるいは周辺対策でありますとか、あるいは従業員の健康保険組合の……
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと、質問外だから結構結構、質問外のことだから。その答えは午前中聞いたことだ。三回も聞いているから結構結構。  大臣、それじゃ聞きましょう。すでに地位協定の中で、細目とか金額別にしましても、出せるという範囲はあると、これを検討して約束されたんでしょうね、まさか、これから全く出せるかどうかから検討を始めるということじゃないんでしょう。
  119. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いや、私はお言葉を返すようでございますが、いわゆる日米関係の不可欠、不可欠には思いやり、向こうがいまドル安円高で困っておる、これは向こうから要求されるよりこちらが考えてやるべきものである、そういう問題について園田外務大臣あるいは大蔵大臣あるいは総理に、このことについて私は考えるべきだと思うと、それは理解をすると、こういう話を得まして私も向こうへ行って話をしたわけでありますが、金額等の問題については今後各省で詰めなければ、日本の予算の方式もアメリカは御存じでしょうというような中で、いずれブラウン長官が来るころにはなお詳しく御説明できるでしょう、こう言って帰ってきておるわけでありまして、私は事務屋でありませんし、そういうなかなかむずかしいことはわからぬ方でございますから、ぜひ優秀な局長長官にお任せしてひとつ何とか考えろと、こう言っておるわけであります。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、総理の許可を得ていると、運用する外務大臣にその話はしてあると、運用面については。それから、予算を持っておる大蔵大臣とは話はしてある、政府部内の調節はしてあると、こういうことですか。
  121. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その程度の調節はいたしております。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただし、根本になる日米間の地位協定、これを踏まえて、この範囲ということを再三繰り返しましたが、その範囲で出せるかどうかはまだ検討もさせてないし、感触も握ってないと、これから全く出せるかどうかを含めて検討させるのだ、こういうことですね。
  123. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その検討の問題につきましては、私は先ほど来から申し上げておりますように、もう出かける前からそれを検討してほしいと、それはしかし防衛庁だけでやれることじゃありません。まず外務省との話し合いの中でこれを検討しなくちゃならぬ。そういうことですから、私はこの問題につきましては、これは将来の問題だと、こういうように御理解いただければ結構だと思います。
  124. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと、午前中と違うんです。まあいい、進めましょう。休み中ですからね、お互いに休んでぱっと会ったから何かトーンがすれ違ったような感じがしますけれども。  そうすると、その長官の思いやりの中には、向こうは相当評価したというのはマスコミ、新聞で出ていますけれども、いまの日米関係経済問題、ぎくしゃく、ストラウスさんなんかこの前相当強硬なことを言っていましたです、もう限度だと。そういうことについても、向こうはこちらの思いやりを理解して受けとめてくれましたか、そういうことも含めて。
  125. 金丸信

    国務大臣金丸信君) それにつきましては、ブラウン長官も非常に感謝をいたしますと。しかし、私が、それはアメリカが考えることでなくて、思いやりというものはこちらが考えてやることだと言うんですから、向こうは何も申さなかった、こういうことです。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから要するに——どうぞお座りくださいよ。ぼくのペースがちょっと早過ぎるから、もうちょっとゆっくりしましようか。  だから、いまの日米間の問題というのは、要するにその思いやりというのは一方的なもので、向こうから要求のあったものじゃない、むしろ向こうから要求のあるのはビーフを入れてくれ、オレンジを入れてくれと、これはもう大変なことですね。それで、まあ二百億、三百億一応うわさされておりますけれども、一億ドルですよ、一億ドルのもし金があったらどのぐらいビーフが輸入できると思いますか、オレンジがどのくらい輸入できると思いますか、大変な量になるんですよ、これは。たちまちに、具体的にいろんな人が、日本政府が苦慮してきたこの日米関係というものの相当の部分が、要するに向こうが、完全に理解できるということになるんですよ、向こうが。それで私は全面的にこのことがいいか悪いかということは、この一時間の中で判断下せるかどうか疑問なんですけれども、いま言うように国民の税金、しかも全く地位協定で出せるか出せないかわからないと、もしこうならば、それに先行しちゃっている、しかも臨時国会あるか通常国会なのか予算編成出す、衆議院では与野党逆転予算委員会ですよ、こんなものはといってもしこれがパスしなかったらどうなりますか、日本政府の公約、それこそ長官の進退問題にも発展するんじゃないですか。そういうところまでも当然私は考えての思いやりではなかろうかと。簡単に、長官は太っ腹な人ですから、思いやりというようなことの中には、そういうものも含めて、思いやりということに含まれているんじゃなかろうかと。その中のいま言っているのはこちらの思いやり、向こうに対して。向こうの感謝、そうすると、向こうが結局要求しているものがあるわけです。それに対しても含めて向こう理解してくれなければ、ただ単に日米関係というのは防衛だけじゃないのですから、安保ただ乗りというのが全面のアメリカ国民意見じゃないんですから。いまのアメリカ意見は、むしろ経済問題で対日攻勢かけている、言うまでもない。それについて、総理があるいは政府が対処しているのに、その方は全く何かこちらの裏っ側の圧力でなかなか結論が出せない、うやむやしている、向こうの指導者はもう限度があるなんと言っている、来年春になったら保護立法ができるだろうと。私もそう思いますよ。いまになってその思いやりなんというようなことで、そんな莫大な金を出そうという決意があるならば、それはいまの日米経済関係までも含めて向こう理解させなければ損だという政府、総理の考えが前提だろうと、外務大臣。だから、向こうはそういうことについて理解しているんでしょうね、長官はさせるつもり、させてきたんでしょうねと、こう言うんです。
  127. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、大統領官邸へ参りましてブレジンスキーに会いました。ブレジンスキーとその話をいたしましたところが、ブレジンスキーは、そういうようなお話は日本経済、貿易に相当な影響を持つと思いますと、こういうことを言っておりました。
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 思いますぐらいですと、これは国会審議というのはなかなかむずかしいですよ。二百億円あるいは三百億円だったら、昨年の五十二年度中小企業対策百四十億ですから、莫大な金になるんですよ。しかも、いま言いましたように、端的に向こうからこれを入れればといって具体的に示されているのは、そんな何千億、何兆という金額じゃないんですよ。いまの二百億、三百億あればビーフの問題解決しちゃうんですよ、いいですか。それについてただ感謝しますぐらいのことですと、いま防衛問題ですから経済閣僚おりませんですけれどもね、全体の日本日米経済というものの中で、あるいは経済収支の中でこれは当然論じなきゃならない、それで予算編成されるんですから。そういうところまで考えて手を打っておかなければ、ただ単なる思いやりというのは、この場であるいは糊塗されるかわかりませんけれども、この次の場面においてはそんなことは許されませんよ、これは。そこで、ブレジンスキーがただ単に感謝するというようなことじゃだめで、これを契機にして、日米経済関係までも完全に、安保ただ乗り論、これも含めまして、まああるかどうかわかりません、もう過去のことだと思います、これも。日本戦争に巻き込まれる論が過去のもののように、向こうもただ乗り論は過去のようなことになっていると思いますよ、そんなことは。そこまで長官日本政府としても対処すると、そういう日米経済関係までも善処する、アメリカ理解させる、そういうものならば、百歩譲ってわれわれも検討の余地があると、こう思うのです。そうじゃなければ、全くこれは検討の余地さえもないと、こう思うのですが、その点は長官、自信を持ってこれを思いやりとしてアイデアを出し、総理あるいは関係大臣に説得し、今後もやっぱり予算編成を目指して対米折衝をやる気はありますか。
  129. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきましては、いわゆる感謝という言葉の中に、いろいろ貿易や経済の問題も、あなたのような考え方、これはそういう問題を吸収するでしょうと。しかし、私はそういう思いやりという問題が、貿易や経済の問題まで、こう大きくこれは包含して考えなくちゃならない一また思いやりということはこちらも思いやりをするけれども向こうも思いやりをしてもらわなくちゃならぬ問題もたくさんあるわけであります。そういう意味で、相互に思いやりというような問題を出して、まあ向こうは出さないんだけれども、こちらはひとつ思いやりをね、それは黒柳先生ね、物には先手という問題もありますし後手という問題もありますから、そういうことも御理解をいただいて、苦労していることだけはひとつ御理解いただきたい。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 私、だからいま言ったでしょう。そういう点が、私たちはいままでの野党の姿勢で全面的によかったと思っていません。改める点は改めようと、こういう姿勢をとりつつあるんです。ですから、何でもやっていることはおかしいぞと、こう言うつもりはないんですが、少なくとも民社党の先生だって行かれたときはおかしいぞとおっしゃった。私たちは、行かれた時点含めて非常におかしな問題だらけだと、こう思うのです。その中においてすらも、いまのこの日米経済関係がこれによって善処されるならばと、まず何とか話し合ってさらにベターなもの、ベストの方向にできるならばそういう話し合いは応じてもという気持ちはありますよ。だけど、それはそれなんだと、こちらの思いやりなんだと、なかなかアメリカの人は東映の映画見たってわかりませんよ。金丸さんあたりがびんと見て義理人情ったってなかなか向こうはわからないんです、合理的ですから。イエスかノーかですから、言うまでもなく。それまで努力すると、こういう約束で……  官房長官、済みません、お忙しいところ申しわけありません。十分の予定でしょう、十分から二十分ですね、まだ一分三十秒ぐらい早いですね。いまのこともひとつ聞いといてください。二百億円、三百億円、まあ金額はまだはっきりしていませんね。それから、防衛長官の話ですから、だからそれは出すわけ。それについては、いまの日米経済のトラブルまで含めて、駐留費の負担増ということについて解決する、それまで含めると、こう言うんです。アメリカもそれは前提だろうと、こう言うんです。これは防衛庁長官、いまのお言葉はちょっとやそっとの約束じゃありませんよ、いいですか。これから臨時国会、それから通常国会、この間に日米経済というものは解決しませんよ。二百円割りますよ、いいですか、ますます向こうは石油をストックしているんですから、ドル防衛なんかしてませんから、ますます経常収支というものはバランスとれなくなりますよ。その中で向こうは完全に攻勢をかけてきますよ。来年は保護貿易立法化、間違いありませんよ。その中で、防衛庁長官は、いま向こう理解してくれるだろうと、こちらはそのつもりだと、こう約束したんですから、これはもし思いやりというものが簡単なアイデアだとして、その地位協定でできるかできないかこれから検討だなんていうものとは全く違います。ひとつ官房長官政府としましても、これから臨時国会あるいは通常国会目指しまして、いまのまあ金額は二百億円か三百億円とうわさされております。わかりません。駐留費の増加、どの項目に増加するかわかりません。だけど、それはいまの日米経済日本が攻撃を受けていると、それを今度は向こうに善処してもらう理解も含めてで、駐留費の増ということに政府は、総理は納得しているんだと、こう言うんです。官房長官よろしいですね。官房長官、話し合いしたと言うんです、そういうふうに。
  131. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は先ほど来から申し上げておりますように、いわゆるドル安円高というような問題もある、またいろいろの経済、貿易の問題もある、何でもかんでもいがみ合っていくようなことでは——日米関係か不可欠であるというのにもかかわらず、これからだんだんお互いがいがみ合っていくようなことがあったんじゃいかない、それには思いやりというものが必要だ。それに対して総理は、その思いやりは必要だと、理解すると、こういうことでございます。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 だからさ、その理解するというのは、国民の莫大な税金使うんですから、いまの日米関係経済問題、一番理解させなきゃだめなんでしょう、官房長官ね。それも理解させることを含めてやらなければ、国民は納得するわけないじゃないですか、野党だって納得しないじゃないですか。それに対して防衛庁防衛庁立場があるでしょう、結構ですよ。総理を補佐する官房長官として、そのことは肝に銘記して、これから予算編成についての防衛庁の駐留費の増額というものについていろいろ検討して決定してもらいたい、こういうことですよ。
  133. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 金丸防衛庁長官が帰国されましてからの、日米間で防衛問題について話し合われたという内容については、総理もよく承知しておりますし、私も聞いております。これからの問題でございますし、防衛庁長官考え方というものをこれから十分政府としても承りながら、全体にこれから予算編成の準備等に入るわけですから、どういう点で予算編成の中にそれを生かしていけるか、いろいろと法律問題等もあるわけですから、そういうものも踏まえて善処してまいりたい、こういうふうに思います。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの日米経済関係も含めてですね。
  135. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん日米経済関係、これは日米首脳会談等でもいろいろと問題が、出ておりますし、サミットも行われるわけですが、非常に問題も横たわっておりますから、何としても、日米間は外交の基軸でもありますし、経済関係も含めて全体的にこれを高めていくという立場に立ってやっていきたいと思います。
  136. 黒柳明

    ○黒柳明君 それじゃ長官、まだこれから、今後のいろいろな問題があって一生懸命やられることを前提にしますけれども、少なくとも意欲的に、何とか駐留費の負担増をやろうという考えがあるわけですから——そうでしょう、検討するんですから。それとともに、再びビーフやオレンジのことで向こうから要するに攻勢をかけられないように、ひとつこの問題はバーターというか、それを絶えず念頭に置いてやってくださいよ、長官。同じようなあれですけど、もう一回言ってください。
  137. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私も担当大臣ではありませんから、明確にそういうことをこうだああだとは言えませんが、ただ私も福田内閣の閣僚であります。防衛を担当しておるけれども、すべての全般にわたってわれわれは閣僚として協力することは当然でありますし、あなたのおっしゃられるような考え方を持って対処したいと考えております。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官、済みません、お忙しいところ。  アジア局長、七月三日——あっ、アジア局長とこへ行っちゃった……。  官房長官、きのう記者会見されまして、それはまあ記事で認識したんですが、もう七月三日というのは完全に断念したんですか、交渉再開は。
  139. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 交渉再開につきましては、わが方としては七月三日から行いたいと、中国側としては七月の初旬に行いたいということでございまして、七月三日ということで申し入れたわけでありますが、向こうの方の交渉の当事者といいますか、団長であります韓念竜次官が病気等の理由もありまして七月三日は困難である、こういうふうに判断をせざるを得ない情勢になりましたので、七月三日はあきらめたといいますか、これからいつそれではするかと、いつから始めるかということについては、両国間で話し合ってなるべく速やかに交渉再開にこぎつけたいと、こういうことです。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 正式返事は来てないんですね。
  141. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 七月三日が困難であるという向こうの方の正式といいますか、感触はこちらとしては得ております。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 それじゃ正式返事は来たんですか。
  143. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 正式な返事というふうには聞いておりませんが、七月三日はむずかしいという向こうの感触は得ておるわけです。
  144. 黒柳明

    ○黒柳明君 なるほど。その理由というのは、要するに、団長であるはずのその韓念竜外務次官が病気だということが最大の理由なんですか。
  145. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうふうに聞いております。
  146. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、聞いているんじゃなくて、当事者が、当人が来なきゃいけないんだけれども、どこへ行っちゃったの、これ。聞いている人じゃしょうがないんだけど……。  総理としましては、ポリャンスキーさんがこの前相当強硬なメッセージ持ってきましたですね、要するに、対日路線の修復を考えている、変更を考えていると。総理としては、完全に締結がない交渉はないと、こんなことも繰り返してきましたし、たとえ何物があっても排除して、交渉、締結ということは、もう腹は完全に固まってるんでしょうね。たびたび、反面、交渉は話し合いだから、両国間の話だからと、こういうようなこともありますよ。だけどこういうことと、この国会終盤から最近にかけては、交渉があって締結がないものはないんだと、あるいはその中間で休むことはいやだと、一気かせいにと官房長官も言ってますね。いわゆるソ連からそういうものがあったにせよ、日中は日中、日ソは日ソと、こういう腹はもう完全にかたく固まっているんでしょうね。
  147. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは総理もしばしば言っておりますが、交渉をするということは締結をするために交渉をするわけですから、締結をするために交渉再開を行って何としても締結にはこぎつけたい。これは両国ともそういう熱意を持ってこれに対処しておると、こういうふうに思うわけです。ですから、わが方もあくまでも交渉再開は締結を前提とした再開であると、こういうことです。
  148. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまのソ連のポリャンスキーさんのソ連政府のああいう強硬姿勢に対しても、政府は微動だにもしないということでいいですか、理解して。
  149. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) あのポリャンスキー大使の政府声明といいますか、外務省の事務次官に対する申し入れば、私たちは日中の平和友好条約を結ぼうとするわが方の態度を十分理解していない、こういうふうに思っておりますし、そういう意味ソ連側にさらにその誤りは認めてもらわなきゃいけない。ソ連側はわが方の立場というものを理解していないというふうに、あの声明を見て判断をしておるわけで、ソ連側にはなお理解を求める必要があると思うわけですが、私たちの政府としては、あくまでも日中は日中であるし、日ソは日ソであると、こういう原則には変わりないわけであります。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、向こうから再開がいつになるか、このあれを待つと、全くいまのところ向こうの出方待ちというのがいまの状態ですか。今週中に何か結論出すなんという新聞報道ありますけれども、その点どうですか。
  151. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 向こう側の出方待ちではなくて、こちらの方と向こうの方と話し合って、早ければ今週中にでも、いつから交渉再開できるかと、交渉再開をするということをきっちり決めたいと、こういうふうに思うわけです。
  152. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官としまして、三日再開、それから首脳会議以前に外務大臣の訪中、できれば仮調印と、これは政府が決めたのかマスコミが先行したのかわかりませんが、これが三日がずれるだろうと、あと四日しかありませんからね。そうすると、その後になった場合のスケジュールはどのように考えていますか。
  153. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 交渉再開について、交渉再開の日取りを何日にするかという話し合いをこれから早急に行って決定するわけでございますが、まあいままで私が聞いております情報等からすれば、恐らくまあボンの先進国首脳会議、それ以後に交渉の再開が始まる可能性が強くなった、こういうふうに判断しておりますが、もちろんまだこれは日中間で日取りは決めなきゃならぬけど、全体の情勢としてはそういう方向可能性が強まったというふうに思っております。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、いままでですと交渉再開、二、三日、四、五日で今度は外務大臣、できればそこで仮調印というようなことが、政府内部かあるいはマスコミ先行か出ておりましたが、そうすると、ボンの帰ってきて二十日以後に直ちに交渉再開に持っていきたい、外務大臣。そうすると、その間というものは、今度は総理の政治日程もないわけですね、総理の。あるいは九月あたりアラブということが出ておりますね、中旬に。そうすると、七月下旬から、八月、九月初旬までは少なくとも総理の政治日程はないと。そうするとその間に、要するにサミットの後に交渉再開、外務大臣、総理という、一気かせいな、こういう流れも完全にあり得ると、こう理解していいんですか。
  155. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまのところは、日中間でいつ交渉再開を行うかという日取りについては話をこれからするわけですから、まだ明確な御返答は申し上げられませんが、全体の情勢から見まして、可能性としてはボン・サミット以後になる可能性があるんじゃないかと。そうした場合においてわが方の立場としては、交渉を再開する以上は、やはり締結ということが目標でありますし、その間に余り切れ目があってはよくないんじゃないかというふうに考えております。これは政府統一した考えでございまして、したがって、そうした交渉が再開をされれば、その交渉再開において佐藤特派大使と中国側との交渉が行われる、その状態を判断をしながら総理が外務大臣の訪中等も考慮していくわけでございます。ですから、いつ外務大臣が訪中というようなことについては、もちろん交渉再開の日取りもいま決まっていない段階ですから言えませんけれども、交渉が始まればそういうふうな事態にもちろんなってくることは当然予想されるわけです。
  156. 黒柳明

    ○黒柳明君 わかりました。そうすると、もう一回繰り返しますが、交渉再開になったらば締結までストップしないで一気かせいにやっちゃいたいと、これはもうはっきりしていると、こういうことですね。
  157. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そういうふうに心から期待をしております。
  158. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうも済みません。お忙しいところありがとうございました。  それから、施設庁長官、要するに細目、金額につきましては、これからいま言ったように大変な日米経済問題までも含めて考えなければならないということになるわけですけれども地位協定の中でやる、そうすると、地位協定二十四条一項、二項、一項は労務費、二項は施設区域費ですか、やるとすればこの範囲でやるわけですよね。そうすると、労務費一項、この労務費は、私言うまでもなく、昨年一年間かかって十三項目ですか、いろいろあった中から、いわゆる五項目と八項目分けて、六十一億の社会保険料を中心にして日本が負担できるものを決めた。これは昨年十二月の問題ですが、まだ半年しかたっていない。これから検討される金額、何に使うかということですけれども、少なくともその第一項の労務費地位協定の枠の中で第一項の労務費にこれを使えるという可能性はあるんですか。
  159. 亘理彰

    説明員亘理彰君) また同じ答弁をいたしますとおしかりを受けるわけでございますが、私どもはあらゆる可能性検討いたしたいと思っております。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、あらゆる可能性というのは、昨年一年かかって詰めに詰めて、私たちもこの根拠がはっきりわからないんですけれども、要するに社会保険等を中心にして日本政府、いままでアメリカが負担していたのを負担した。それで、ここにはっきりと、この経費以外の経費については、もう地位協定じゃアメリカが負担するんだと最終的に書いてありますね、これ、「五三、一、一〇 在日米軍の労務問題について」、さらにそれが半年たつかたたないうちに、あらゆる可能性というのは、この第一項の労務費、これまでもまた検討する、変える可能性があるというんですね。
  161. 亘理彰

    説明員亘理彰君) まだ十分に検討しておらないものですから、労務費とおっしゃいますが、労務費に限らないわけでございますが、その労務費の中にもいろいろな項目がございます。昨年も検討いたしたのは、この法定福利費等でございますが、あらゆる費目について十分に吟味して、これは地位協定上持てないと、あるいは持てると、こういう検討をいたしたわけではございませんので、これから十分に五十四年度予算の編成決定までに検討をしまして、御納得のいただける予算の計上をいたしたいと思います。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この基本給、諸手当、旅費等、それから訴訟経費、求人広告、これはもう基本的に地位協定の第一条でアメリカが負担するものであると決めたわけですよ、一年間検討して。これまでも確定的なものじゃなくて、また変更することも含めてその可能性を考えると、こういうことになりますね、いまのお言葉。そんなことをやるんですか、これから。そういうものを出そうとするんですか、金丸長官、その中に。
  163. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は事務屋でないし、そういうことはまことによく存じておりませんから、みんな任しておるのであります。
  164. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはおかしいよ。
  165. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いや……。
  166. 黒柳明

    ○黒柳明君 その答弁はおかしいぞ。もしそれが議事録に残るんだったらおかしな答弁だよ。もうここまで来て、私は事務屋じゃありませんからこんなことは任せる。これはすでに昨年のことよ。
  167. 金丸信

    国務大臣金丸信君) それは可能性を——昨年の話ですか。
  168. 黒柳明

    ○黒柳明君 五年前でも結構、十年前でも結構よ。
  169. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いやいや、六十一億の話ですか、それは十分心得ておりますが、これからの問題については任してひとつ検討をさしておると、こういうことであります。
  170. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、長官よく聞いてよ。私はそんなにむずかしいことを言っているんじゃないと思うんですよ。その六十一億は一年かかってやっとまとめたわけです。その前までは米軍が負担していたわけでしょう。それがさらにまた、半年たたないうちにもし長官が言った思いやりが労務費に充てられると、またこの行政協定を変更しなきゃならないでしょうと。ここまでしてやらなきやならないものですかと、長官の思いやりはと、こう言ったんですよ。だから、それを含めて可能性可能性と言うから、責任者の思いやりがある長官に、そんなことまでするんですかと。そうしたらそのときそのときによってそういう地位協定、行政協定なんというのは、くるくる目玉みたいに変わっちゃうじゃないですか。そうしたら全く私たちは、こんなものに乗っかって思いやりなんていうものはもう検討する余地なくなっちゃいますよ。何のためそれじゃ一年かかってこの労務費、米軍が負担していたのを日本が六十一億負担すると決めたんですか、それが半年かかったかかからないうち、それもまた変えようなんて、それでも長官の言う思いやりの一環に入っているんですか、これも。検討しようと言うんですよ、それも。
  171. 金丸信

    国務大臣金丸信君) いま黒柳先生は、労務費  の分担という問題に限定してお話しになっておりますが、私は労務費とかその他……
  172. 黒柳明

    ○黒柳明君 労務費だけいま言ってるんです。その他はいま一言っていません。
  173. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、労務費と限定をして思いやりと言っておるわけじゃないのです一
  174. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、労務費だけいま言ってるんです。
  175. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この労務費の問題は検討しているという、私にこうなったという報告もまだないものですから、ぜひひとつその辺は……。
  176. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官、だからこう言うの。この次は施設区域費、言うんです。いいですか、一項労務費、いま言ってるの。二項は施設区域費をこれから言うの。いま労務費の問題。労務費の問題に、もし長官の思いやりがいくとすれば、もうこれで三回目ですよ。一年かかって検討して、米側負担だったものが日本が負担した、六十一億出した。それが行政協定また変更するようになるのですよと言うの。そこまでしてアメリカに思いやりをかけなきやならないものですかと、労務費だけですよ、いま。長官は、それが変更可能だったら可能で、そういう思いやりを労務費に充てるのだと、こういう意見ですかね、いいんだと、それは。変更してもいいんだと。
  177. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきまして、私は変更してまでやれと言っておるわけじゃありません。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 言ってない。よし、わかりました。  長官、いまの答弁聞いてください。変更してまでもやれと言ってないと、いいですね。変更しなければできません。ここで言質をとらなければ、こういう委員会というのは非常に、何となくすうすうとすき間風が吹き抜けますので、事によると何となくふわふわと終わっちゃう。いいですか、私は変更してまでもやれとは言ってませんと。これは変更しなかったら出せませんよ、労務費は。それじゃ、労務費は出せないことですね。施設庁長官、労務費は出せない。
  179. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 変更という言葉は改定という言葉でしょう。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 地位協定の……
  181. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 改定ということでしょう。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 改定ということであれば、行政協定も含めてですよ、行政協定改定しませんね。
  183. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 変更ということは改定ということで私は言っているわけです。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 この行政協定変更しませんね。
  185. 金丸信

    国務大臣金丸信君) はい。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 施設庁長官、この行政協定は変更しない、防衛庁長官の確約ですよ、これ。
  187. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 地位協定——行政協定とおっしゃるのは地位協定だと思いますが、地位協定を改定する考えはないわけでございます。私どもは、あくまで現行の地位協定の枠内において可能なことを追求すると、こういうことでございます。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 昨年のこの行政協定ですよ、これを基本に言ってるんじゃないですか、十三項目をあれしたということを、六十一億の。
  189. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 昨年の日米の協議は、これも御承知のように……
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 十二月二十二日。
  191. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 従業員の給与改定が難航をきわめたということに端を発しまして、日米双方でいろいろな問題を詰めたわけでございます。その結果、法定福利費等の六十一億円を日本側で負担するということを決めたわけでございますが、あらゆる問題について全部検討を了したということではございませんので、これから私ども検討いたしましょうということは、この地位協定の範囲内で、大臣の言われる思いやりの精神で何をなし得るかということでございまして、何をできる、できないという結論を出しているわけではございません。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから長官、この十二月二十二日の行政協定、これは変えるという可能性を示唆したわけでしょう。そんなことまでやるんですか。一年かかってこれだけのものをつくって、大臣の思だ、長官、何だか二人長官で困るね、長官長官で。一人夕刊としましようか。  防衛庁長官、論理的には入るんです、全部。射撃場から弾薬庫からレーダー施設から、全部入るんです。長官が言う思いやりのお金が施設費として使われるとすると、理論的にはそういうものを全部米軍基地の中で新設できることになるんですよ、どうですか、長官防衛庁長官の方、施設庁長官じゃなくて防衛庁長官
  193. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 黒柳先生、機関銃に竹やりのようで、ぱっぱとやられて私もたじたじしているんですが、ただいま亘理長官が言った、そのことで理解をしていただきたいと私は思います。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 施設庁長官、これから検討することをわれわれタッチできないんです、いいですか。われわれはいわゆるシビリアンコントロールの場、ここしかないわけでしょう。それで、論理的にはこういうものも含まれると。これをまさかつくる意思はないんじゃないかと思いますけれども、思いやりが先行して、労務費だって合意書をまた変えようという意思がある。そうなると、その思いやりという中で何をやるかわからない、やれる可能性があるということははっきりしているわけですから。いいですか、もう一回それだけははっきりしてくださいよ、冗談じゃなくして。論理的にはこういうものもつくれるんだと、ただし、そういうものについては、これからさらに検討の中でつくるなんということは考えられないんじゃないんですかと。ぼくが施設庁長官になって答弁した方がいいくらいですよ、どうですか。
  195. 亘理彰

    説明員亘理彰君) お答えいたします。  施設区域の提供という中で、御指摘のような事項が理論的には入り得るということでございますが、ただ、私ども取り上げる場合には、皆さんの御納得のいただけるようなものを取り上げていくと、こういうことで常識的に考えてまいりたいと思います。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから長官、相当慎重にしなきゃだめだというんです。それじゃ、そういう米軍基地にいままで日本が負担して新規の工作物つくったことありますか、施設庁長官
  197. 亘理彰

    説明員亘理彰君) ただいまもずっとやっておりますリロケーションでございますが…
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、新規、新規。
  199. 亘理彰

    説明員亘理彰君) その実例はあるとしても……
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 ない、ない。ここに来ているんです、ありませんと来ているんですから。
  201. 亘理彰

    説明員亘理彰君) ああそうですか。それはこちらから差し上げたものですか。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうそう。
  203. 亘理彰

    説明員亘理彰君) それでは間違いないと思います。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 閉会中だって防衛庁長官、もうちょっとぴちっとさせなきゃだめよ、もうちょっとしっかりさせないと。もう閉会中だから皆さん方、わははわははで済むんだけど、私だって閉会中という気の緩みがあるかわかんない、だめだ緩んじゃ、きちっとしなかったら。いいですか、ないんです。いまだかつてアメリカが駐留して三十二年間、旧安保については別だ、新安保になってから一こういう防衛負担のときは別です。こういう行政協定をつくられてから、四十八年三月の大平外相の答弁、新規はだめだ、あれはよく検討してみるとそういう趣旨じゃない、これはある程度納得できる可能性あります、勉強してみますと、私たちは。ただし、一回も日本の負担によって米軍基地の中で施設費という名目で新築の新しい工作物、構築物がつくられたことはないんです、いまだかつて。いいですか、それを労務費ないしは施設費で長官の思いやりがいくと、金丸長官の代にして初めて天下未曽有、三十数年してなかったことが行われるんですよ、米軍基地の中で。いいですか、こんなばかなことがあっていいですか、こんなばかなことが。それは私たちだっていろんな面で今後の防衛政策というものを論議しなきゃならないと思っているんです。一生懸命米軍基地ども点検しました、よかれということで、悪かれということでなくて。ところが、いま言いましたように、何回も言いますように、労務費、施設費のこの一項、二項の中でどっちみち使われる可能性を模索する、片っ方の方は、一年がかりで検討したものを改定しても労務費をさらに増額しようという意思がある、またそうしなきゃできない。施設費の方で使われるとすると、いまだかつてなかったものをこれから金丸長官米軍基地の中でつくろうというんですから、これはいかに円高ドル安、思いやりの精神があったとしても、別の方向でこれは向けられるんじゃないですか。国民感情をくすぐる、野党の非難をいたずらに招くような一もし言葉が悪かったら許してくださいよ、さっきから長官がおっしゃっているように、おれは素人だから知らない、事務屋に事務屋にと言っていたことが、こんなことは本当は知ってたのかわかりません。だけど、もし余り理解してなかったら、これは大変なことになるんですよ、これが施設費として使われたら。そんなことはまさか長官としては、検討しろ、検討して結果として報告あるいは実現するという気はないんでしょうね。それでもあるんですか、検討させますか、まず長官、これは政治的判断だ。
  205. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私の思いやりという言葉をいろいろにお使いくださっておるわけでありますが、私は日米関係は貿易、経済、こういうような中で非常にいまだかつてない時代だと思うんです。そこで日米関係が不可欠だという考え方アメリカは要らない、アメリカへ帰れ、こういうことであれば話は別でありますが、そこら辺でひとつ野党の先生方にも思いやりを持っていただいて、できるだけの配慮を私たちはいたしたいと、こう考えておるわけであります。
  206. 黒柳明

    ○黒柳明君 全然答弁になってない。私の話とは全然食い違っている。いいですか、考え直してくださいよ。考え直せとは言いません。だけど、使い道については、要するに労務費と施設費しかない。これはおわかりでしょうね。労務費を出すとすればそういうまた合意書を書いて、施設費に出すとすれば、いまだかってないことを長官の代にやると、こういうことになる。これがもうはっきりわかっていて、さらに思いやりなのか、それともそういうことを知らなかったと、そういうことを知った時点においてはこれはちょっとということなのか、そこらあたり防衛庁長官、どうですか。
  207. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 先ほど先生に施設庁がお出ししました資料で、いままで新規提供した例はないという資料を差し上げたということでございますが、これは正確に申しますと、「米軍の要求により、日本側において既存の基地内に新規物件を建設した例はない。」と、こういうふうに書いてあると思います。米軍の要求によってやったものはない、しかし基地対策上の見地等で日本側でやったものはあるわけでございます。
  208. 黒柳明

    ○黒柳明君 同じことですよ、言っていることは。米軍の要求でやったことないんですよ、いままで。同じことですよ。  もう時間がありませんから、防衛庁長官ね、そういうことで、ひとつここはここでうまく逃げたつもりですけれども、これはこれから概算要求出すときに細目が出てくるわけです。そのときにこんなつまずきをやったら、これは大変なことになりますよ。政府防衛庁長官の個人のためにも、当然日米関係にもこれは非常に憂慮すべきことですよ。私たち野党はこんな問題に対して乗っていくわけにいきません。これが是なんということはもう絶対考えられませんよ、こんなものに対して。いいですか、いまだかつて米軍要求で新規住宅、まあ住宅にしても何にしてもやったことない、それをやろうというんですからね。やる可能性があるんですから、あなたの思いやりの中には。そういうことについては、これはもう何とかやっぱり考え直してもらいたいと、これは私の要望です、最後に。私たちの日米関係の考えとはこれは全然違います。日米関係というものは、これはもう外交の基調だと私たちも考えていますよ。その問題とこの駐留費の増額の問題とは全く違う観点から論じなきゃならないわけでありまして、ひとつ最高の思いやりの出どころである防衛庁長官が、これ何とか考え直してもらいたいと、こう思います。  それから防衛庁長官、この前アメリカへ行きましたとき、第七艦隊の増強について何か話ありましたですか。
  209. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ブラウン長官会談におきまして、ブラウン長官の方から、極東におきます軍事情勢についての説明がございました。そのとぎにアジア離れを否定するという観点から、いわゆる在韓米地上軍撤退以外に引き揚げる計画がないというようなことを説明がございました。さらには、米ソの軍事バランスについての説明がございましたときに……
  210. 黒柳明

    ○黒柳明君 第七艦隊増強だけでいい。
  211. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 第七艦隊の増強につきましては、ブラウン長官説明は、ソ連太平洋艦隊を中心とした海軍力の増強というものに注目しておると、したがって、それに対抗できるように、いわゆるアメリカでは海軍の予算が三軍の中で一番多いんだけれども太平洋における米軍艦艇については質量ともにふやしていく計画であるということを述べたわけでございます。したがいまして、第七艦隊は重要な任務を持っているというような説明もございましたので、そういったことを勘案いたしまして質量ともに第七艦隊もふえていくというふうに考えたわけでございます。
  212. 黒柳明

    ○黒柳明君 航空機を、何かF14やA10にするというのをマスコミの報道で知ったんですけれども、そういう話もあったんですか。
  213. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) いま申し上げました質量ともに強化するという中に、いわゆる質の面で艦艇の新しいものをつくる、それから航空機については、航空母艦に載せているファントムをF14にかえていく、それから空軍の戦闘機はファントムをF15あるいはF16にかえていくという説明がございました。
  214. 黒柳明

    ○黒柳明君 ミッドウェーですけれども、第七艦隊のエンタープライズとミッドウェー、私も関心を持ってずっと追っているのですけれども向こうの議事録ないしはいろいろなことで。一九四五年に就航して三十三年目、一九八〇年には三十六年になると。それで向こうの上院でも審議して、当然局長は知っていると思いますが、いまだかつて三十年以上使った空母はない、二回修復していますね、大修理を。ですけれども、もう八〇年になると、要するにミッドウェーの飛行機ですね、その離着に耐えられなくなる、当然三十年以上という古いものはないんだから、だからかえなきゃいけない。こういう発言がたびたびあります。これは一度二度じゃありません。そういう向こうの上下院における発言と、いま言った質的の変化、いわゆる艦載機ですな、それの変更。そうなると、当然七九年になるか八〇年になるかわかりませんけれども、かねてからかえるかえると言ったミッドウェーがかえられるんじゃなかろうか。そうすると、いま就航している十二隻のうち、建造している新しいのは原子力航空母艦、まあ原子力航空母艦になったら、当然エンタープライズと同じように日本寄港ということは不可能になると思うんですけれども、このミッドウェーの老朽化、それと八〇年代当初におけるミッドウェー搭載の飛行機の離着に対して不可能だというそういう問題、そういうことについてどのような情報を持って分析しておりますか。
  215. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ただいまの具体的なミッドウェーについてどうこうするという話はございませんでした。しかし、航空母艦の建艦計画というものを進めていって、太平洋におきます艦艇をかえていくという説明の中から私どもが考えますのは、当然のことながら、ミッドウェーも将来変更されるというふうには理解したわけでございます。しかし、具体的にミッドウェーをいつの時期にどういう船にかえるというような説明はございませんでした。
  216. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはもうアメリカ国会で相当前から先行しております。八〇年にはかえざるを得ない、三十六年目なんて古いものはだめだ。だから私は、そうなった場合——これは先国会で核の問題もあったのです。原子力潜水艦なり原子力空母——施工母というのはわが国では全く考えられないのですが、原子力潜水艦というのは法的にはどうなんですかね、憲法上はこれは持てるんですか。この前の一連の核論争のときには出てこなかった。四十年ですか、一般船舶が原子力で推進するようになればということがあったんですけれども、潜水艦だけをとってみれば、これはもう米ソは原子力推進なんというのはあたりまえですな、これ。当然民間と軍事とは分けざるを得ないと思うのですけれども、どうなんでしょう、原子力潜水艦、原子力推進だけですよ。ポラリスとか核ミサイルなんというのは別にしまして、これはどうなんですか、憲法上は。
  217. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 原子力潜水艦、つまり原子力によって生ずるエネルギーをもって潜水艦の推進力に使う、ミサイルとか、そういうものじゃなくて、そういう意味の原子力潜水艦は、それは憲法上は別に抵触するものではないと思います。ただ、従来問題になりましたのは、例の原子力基本法の、原子力の利用は平和に限るという規定との関係で、その原子力潜水艦、つまり推進力として原子力を用いる潜水艦も、それは遠き将来一般の船舶が原子力で動くというような時代が来ればそれは格別、それはまだ夢物語のようなものであって、現状においては原子力基本法の規定に照らして言えば、それは持てないだろうということで御議論が進んでおったというふうに記憶しております。
  218. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官、直にはミッドウェーの話は出なかったと思うのですけれども、新聞報道では。ですけれども、いま言ったように、ミッドウェーは間もなくかわる可能性防衛局長が言ったようにあるわけです。そのときにかわり得るというのは、通常型を持ってくる可能性よりも、いま建造中の、何という名前になるかわかりませんけれども原子力空母の可能性が非常に強いです、いまの対ソ戦略から見ても。これはもう通常型を持ってくるなんて考えられない。そのときに、なし崩しにこの寄港を許すとかなんとかというようなことは当然あり得ないと思いますけれども、これはもっともっとグローバルな問題で論議しなきゃならないのですけれども、その点ひとつ頭へ入れておいてくださいよ。  それともう一つ、通常国会、臨時国会になるかわかりません。自民党の方からも防衛問題の特別委員会をつくろうと。これは野党若干相違がありますけれども、もうつくらなきやならないということでは合意できるんじゃなかろうかと、そうしてもらいたいと、そのときに、特別になるか常任になるか、防衛委員会にやっぱり制服も出てこないと、さっきの栗栖さんの話じゃありませんけれども、問題にならない。防衛庁長官としては、そういうところに制服を出さして、これはいろいろ限度があると思いますよ、出る人についてもね。だけれども、それについても抵抗するというような委員会ですと、ちょっとやっぱり内局とだけ話していますと、問題が真偽のほどがわからないままに何のための防衛特別委員会かわからない。そういう面については当然内部で検討していると思いますが、最高責任者の防衛庁長官としては、やがてできるであろう、いままでもできていなければならないそういう防衛特別委員会に、制服を出させるということについてどういう見解を持っていますか。
  219. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私はたびたび申し上げていることでございますが、シビリアンコントロールというようなこと、それは政治優先で、政治家が判断するということが一番大切であるということだと私は思っております。そういう中で、衆参両院に、常任委員会であるか、特別委員会であるか私知りませんが、そういうつくろうという状況になっていることも承知いたしております。そういう中へいわゆる制服も出したらどうだと、こういうお話もあります。その判断は私は国会でやるべきだ、国会判断によって私は制服を出すことも可、そして国会判断によっては制服を出さないことも可、私はそれはいかようにも対応いたしたいと考えております。
  220. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう時間ですから、法制局長官最後に、さっきの地位協定に戻るのですけれども地位協定の二十四条の一項二項で労務費と施設区域費、これは出せると。労務費の場合には、労務基本契約いろいろあるのです、こんな膨大に、一項の方は。二項の施設区域費というのは、施設区域とは何かという定義すらない。ましてその施設とは何であるかということは、一般の国有財産に準ずるよりほかにない。だから金丸防衛庁長官の時代になって、思いやりで先行して、こういうものもできるのだできるのだという新解釈がそこでつけ加えられてくるのです。私、本来条約とか法律というのはそんなものじゃないと思うのですよ。もうできるだけ微に入り細に入るものが細分化されていて、それでもなおかっ人間がつくって人間が運用するものですから、そこで意見の食い違いがあって、しかるべき筋がこれを決定するということなんです。ところが、いまから論議される施設区域費については、全く地位協定上は施設区域の定義もなければ、施設とは何であるかという細目もなければ、全くいまの時点において、これもこれもと理論的には言えるけれども、これから検討してみなければわからないというような、こういう地位協定なんです。こういうものは本来あるべきじゃない。第一項の労務費の場合には膨大なものがあるのです。二項については何にもない。どうですかね、やっぱりそういうものについて、こういう問題が起こる前から日米間で合意した行政協定みたいなものがあってしかるべきじゃないかと、こう思うのですが、法の専門家からどのように判断しますか。
  221. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) 地位協定運用の問題になりますので、私から一言お答えをさせていただきますが、いま先生のおっしゃられるように、「施設及び区域」の細かな定義が地位協定上にないということはおっしゃられるとおりでございます。他方、施設区域が「建物、工作物等の構築物及び土地、公有水面」を言うという政府見解につきましては、かつて統一見解として委員会にもお出ししたことがございますし、この点についての日米間の考え方にぶれはないわけでございます。  ただ、ここで一つお断りしておきたいのは、施設及び区域というものはあくまでも具体的なものでございます。したがいまして、そのあらかじめ具体的なものを、こういうものはいい、こういうものはだめというようなことは一般的にその事柄の性質上立てにくいと、それをまさに先生のおっしゃられる下部の取り決めがないじゃないかと。この点はまさに合同委員会におきましてアメリカ側の要求なり希望なりを徴して、これが日米安保条約の目的に照らしてわが方が提供することが適当であるかどうか、それからわが財政負担上これが適切であるかどうか、わが経済社会情勢上適当であるかどうかと、そういうようなもろもろの尺度からこれを検討いたしまして、そして合同委員会の中での取り決めをつくって提供すると、こういう仕組みになっているわけでございまして、したがいまして、合同委員会の中での提供の取り決めが、先生の言われるような地位協定の下での具体的な取り決めと、こういう形になるものと考えております。
  222. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうですか、長官は。
  223. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 私もいま外務省の中島局長がおっしゃったことに異存はございません。
  224. 黒柳明

    ○黒柳明君 わかりました。  防衛庁長官、もう時間が三分、四分ばかり過ぎておりますけれども、ひとつ先ほどから何回も繰り返しております、結局長官の思いやりが、政府全体の思いやりとしてアメリカの公約になっているわけですから、いいですね、今度は国民全体のやっぱり野党を含めて防衛庁長官政府に対してこれが反米にもなっていくんですよ、長官の思いやりのために、下部の事務当局に思いやりで全部ひっかぶせますとね。これは長官個人のことじゃなくて、日米政府間の問題になり、これが国民が、何だ、またアメリカ基地が、こうなるんです。その点だけはくれぐれも考えてもらいたい。と同時に、もう一つは駐留軍の労務費、これは私も十何年間駐留軍の中で働いていたんです。必ずしもいままで恵まれてなかったとは言えないんです。相当恵まれていたんです。時代とともに、これは公務員と同じように、あるとき公務員が悪くて一般がよかったのが、いま公務員の方がよくなったと。いろいろ転変があるんです、社会は、いろいろ賃金の格差でも。ですから、それだけにこだわって労務費労務費なんてやると、これは全体の国民の感情とはバランスがとれなくなりますよ。何も駐留軍労務者に対してやれることをやっちゃいけないということはないです。当然やることはやるべきです。沖繩の千人の首切りなんかうまくないです。だけれども、やっぱりそれは相当恵まれた賃金の格差がかつてあったんですから。いまはそれはなくなりつつある、いまはあるいはマイナス、恵まれない点もあるかと思いますけれども、そこらあたりは世の中全体のバランスの中で絶えず動いているんですから、それをいまここで、思いやりの中で労務費が六十一億、さらにまたと。向こうの取る金は変わりありません、日本だってアメリカだって関係ない。だけれども、こうなけなしの日本国民の税金、予算からまたいくんですから、その点だけをひとつ十二分に考えて、またこの次の場において皆さん方の具体的案が出て論争というよりほかないと思うんですが、これは最後の要望を忠告も兼ねて一言つけ加えまして、済みません、時間長くなって。
  225. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 まず初めに金丸長官、先般の訪米訪欧、大変御苦労でございました。  私は、まず初めに長官訪米、これによって大きな問題になったと思いますアメリカアジア離れの問題につきましてお尋ねしようと思います。   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕  先ほど黒柳議員の方から七艦隊の増強のお話が出ておりました。新聞等でも、長官アメリカにおられる時期だったと思いますが、米当局によって示された七艦隊の増強が強く強調され、それが大きく新聞等にも出ておったわけでありますが、私はこの七艦隊の増強、これはわれわれが懸念をしておるところの一九七九会計年度の国防報告、これでもって生じたそのアジア離れの懸念というものを否定する一つの要素にはならないという気がするわけです。というのは、長官アメリカがいま言っておるのは、従来の計画に基づいて建造しておった、従来の計画に基づいて配備を予定しておった、それが大体就役をする時期に今度なってきた、そういうことによる七艦隊の質的な変化あるいは増強であって、われわれが心配する七九会計年度国防報告による将来のアメリカの政策としてのアジア離れ、これと別個のものじゃないか、こう思うわけですが、いかがでございましょうか。
  226. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 新たな意味増強ということではなくて、現在国防総省が持っております今後五年間の建艦計画、これについてはいろいろ批判もあるようでございますけれども、その一つには、三軍の中で海軍の費用が余りにもかかり過ぎるというようなこともあるかと思いますけれどもソ連の極東におきます海軍力の増強に対応するためには、現在持っているこの五カ年間の建艦計画を推進していくと、その結果太平洋に配備されている艦艇は数もふえるし、また質的にも向上する、その中で航空機もかえていくんだというような説明であったわけでございます。
  227. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、いま申しましたように、従来持っておった計画の現実化であって、したがって、新しいこの一九七九会計年度の国防報告に示したところの国防方針、計画、これを変更してこのようにしたという性質のものじゃないと、こう思うわけです。  もう一つ、私はそういったような問題に関連をしてお尋ねしたいのですが、新聞報道によりますと、ブラウン長官と同席をされたハロウェー海軍の作戦部長が有事の来援計画を示された。その内容がそのものであるかどうかは、私は判断する資料も何もないわけでありますが、仮にこの新聞で報道されたような内容に似た計画があったとしても、これは当然今年度現在の計画なんである。したがって、将来もそうであるかどうかといったようなことは全く別のものじゃないかと、こう思うのですが、その辺はどのように了解をしておられますか。
  228. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ハロウェー大将の説明というのは、いわゆるソ連の海軍力の増強に対応いたしまして、これに対抗するためのアメリカの今後の努力というようなことを説明したわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、これが直ちに発動されるかどうかということは別問題だろうと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、日本の安全を守るために、いわゆる米軍軍事力の総力を挙げてという言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、極東といいますか、太平洋に配備されている軍事力をもって対抗していくという決意は十分述べていたというふうに理解いたしております。
  229. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、さらに何もほじくり出すようにして、アメリカ日本に対する安全保障の強調を否定をしようと思うわけじゃございませんが、しかし、将来の防衛力の整備、あるいは日米関係を考える上においては、この問題はやはり正しく認識をしなければならぬ問題じゃないかと、こう思うわけであります。間違って認識をしたらこれはもう大変な問題である。こういう認識に立って二、三の問題を質問をいままでしたわけでありますが、もう一つ、私は、これはことしの四月の二十日です。ある新聞の特派員が、ホノルルから出しておられるところの記事が載っておりましたのを見ました。これは米国の本土中央部の空輸空軍あるいは戦略空軍及び米太平洋統合軍等、五カ所十司令部をアメリカの招待によって新聞記者の方たちが視察をされた、そのときの視察をされた記事であります。これによりますと、総合印象としては、努めて対アジア有事対処能力の保持に全力を尽くすべく努力をしている、けれども、現実的にはアジアから着実に後退が始まっておる、こういったような印象で具体例をいろいろとこの記事では挙げてありました。  二、三の例をここで申し上げますと、たとえば、ハワイにおるところの二五師団、あるいはヘリコプターの部隊、この訓練内容が、従来は朝鮮半島の地形に基づく訓練であった、ところが、最近はそれと並行して西独の地形を訓練の中に取り入れておる、こういうような記事も載っておったわけであります。  また、戦術空軍の訓練司令部、ここでのいろいろな資料あるいは勉強されたことによって、訓練の重点は欧州の方に明瞭に転じておるのだと、このことは、昨年は欧州での訓練が五回あった、太平洋地域での訓練が三回あった、ところが今年は欧州での訓練は九回に上っておる、太平洋は依然として三回である。あるいは海外の展開の回数から見ても、昨年は欧州が十五回に対して太平洋が六回である、アラスカが四回である、この四回というのは前の年の二倍である。こういつたようなことでございまして、具体的な米軍の、特に太平洋地域に対するところの関心あるいはこれに対するところの何といいますか、訓練の実情等は、明瞭に従来よりもアジア正面を薄く見ておる、こうこの記事では報道しているわけですが、それらに対してはどのようにお考えでございますか。
  230. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) アジアに対する比重が減っているというふうには必ずしも考えないわけでございまして、たとえば、在韓米軍撤退というようなことを計画する一方、チームスピリットというような演習を、いまだかつてないような大きな規模でやったり、たとえば、先ほども指摘がございましたが、ハロウェー大将の太平洋におきます米海軍の行動の説明等々からいたしまして、私どもは必ずしも軽視しているというふうには考えていないわけでございますが、御承知のように、アメリカのいわゆる戦闘能力といいますか、これが二カ二分の一から一カ二分の一に減っているというような事態から見まして、アメリカ軍事力というものは世界のいずれの地域においてもこれが有効に発揮できるような訓練をしているということは事実だろうと思います。そういった意味で、二カ二分の一時代に比べまして、いわゆるアメリカ軍事力というものがある地域に張りつけになっているというものではなくって、必要な地点に重点的に行動できるような訓練を広くやっているというのが実態ではないかというふうに考えているわけでございます。
  231. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 どうも奥歯に物のはさまったような御答弁でございまして、ずばり言っていただけないわけですが、私はいまの一カ二分の一戦略、これは確かに、一の中には、あるいは二分の一以上のものの中には日本が入っておるというふうに確信しておった。ところが、本年の少なくも初めの国防報告を見る限りにおいては、それがそのようにどう受け取ってみても受け取れないようになったということから、日本を含むアジア諸国のアジア離れの懸念というものが大きく出てきたんだ、私はこう思うわけです。確かに、アメリカ長官もお感じになりましたように、日本に対する安保条約の確保を強調し、あるいは日本重要性というものを強調する、その考え方は変わらないと思うわけですね、私は。しかし、変わらないとしても、力が相対的に減った現在において、やっぱり西ヨーロッパを重点とすれば、もう物理的にアジア正面がいろんな形において薄くならざるを得ない。これがいわゆるアジア離れだと思うわけです。それが、日本にとってもアジアにとっても大きなショックだった。このショックが余りにも大きかったものだから、私は、先ほども言いましたように、ことしの国防報告によるところのアメリカの基本的な計画、方針を変えたんじゃなくて、当面このショックをやわらげるためのいろいろな施策を講じておる。在韓米地上軍撤退の計画の変更、これもその一つだと思います、私は。だからといって、私は長い目から見た場合に、大局的に見た場合に、在韓米地上軍撤退はこれ以上そう心配せぬでいいなんて思いません。また、先ほど言われました米韓の合同演習にしても、本当にこれがどういう目的であったかというものはアメリカ以外にはわかりません。いずれにせよ、そのショックを鎮静する措置を講じておるのは明瞭でございますけれども、私はいまの七艦隊の問題、そのほかのいろんな最近のアメリカの責任ある人たちの動きの中には、当面アメリカがやろうとしていることと、将来こうなんだということを、故意か意識的かわかりませんけれども、何か誤解をこちらが生ずるようなことをやっぱり言っておるような気がしてならないわけです。確かに、当面はいままでの計画によってやるわけでしょう。けれども将来は変わってくるんです、やっぱり。私はそう思いますね、大きい流れは。その辺を私は踏んまえながら、今後のわれわれの自主防衛力の整備の問題、あるいは日米安保をいかにして強化するか、こういったような問題と取り組まなければいけないと思う。  で、金丸長官防衛費の分担の思いやり論が先ほどからいろいろ出ております。私は防衛という観点からも必要だと思います。また、全部の日米関係を改善するという意味からも、この問題は私は非常に積極的な御提案であり施策だと思っておるわけですが、その辺の大きな流れを、私はやっぱり正しく把握しなければならない、国民に誤解を与えたらかえってぐあいが悪いんだ、こう思うわけですが、もう一度ひとつ……。
  232. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) いま先生は大きな流れということをおっしゃっておられましたが、私どもも、アメリカという国は世界戦略をやっている国でございます。したがいまして、ヨーロッパの同盟国というのが、いま先生がおっしゃったような意味ヨーロッパ離れというものを不安がっていたということも事実であろうと思います。といいますのは、御承知のように、アメリカはベトナム戦争にかかりっきりの間、ヨーロッパに対する軍事力増強という面ではどうしても手を抜かざるを得なかった点があったと思います。一方、核戦力というものは、その間にソ連努力いたしまして、アメリカの絶対優位というものが崩れていっております。均衡がとれたパリティの状態にあるというのも事実でございますが、その中でヨーロッパにおきますワルシャワ軍の通常兵力の軍事力増強ぶりというものがきわめて大きかったわけでございます。しかし、アメリカはベトナム戦争をやっておったためにそれにこたえられるような措置というものがなかなかできなかったというような状況があると思います。したがいまして、そういったものを踏まえまして、昨年のNATOの首脳会議あるいは国防相の会議におきまして、とにかく、ふえにふえているワルシャワ軍に対抗するためにアメリカも力を入れるし、またヨーロッパの国々も実質三%以上の国防費を増強してこれに対抗するというようなことを合意を見ているわけでございます。それの実行として、アメリカは七九年の国防報告におきましてその実行というものをうたっていると考えられますが、その情勢の判断の中に、一つには極東におきます情勢というものが、ヨーロッパに比べて対立状態というものが必ずしも明確でない。そしてまた、従来からのアメリカ太平洋における軍事力というものの増強計画に従っていくということによって、極東の平和の維持に貢献できる、寄与できるという判断のもとに、七九年の国防報告のような形が出ているわけでございまして、現実にいま対処するやり方としての説明であろうと思います。したがいまして、大きな流れとしてはいわゆるヨーロッパ、それから極東、東アジアの安全の確保というのがアメリカの国益にかなうものであるという点を認識しているだろうと思います。したがいまして、今度大臣が行かれましたときのブラウン長官初め政府の要人たちの説明というものは、その中の特に北東アジアにおける日本重要性、また日米安保の重要性というものを中心に説明がなされたというふうに理解しているわけでございます。
  233. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 重ねて私申し上げますけれども、確かにアジアというものに対して、日本というものに対して、アメリカは重大な関心を持っておることは明瞭である、またアメリカにとって重要な国であるという認識を持っておることはもう間違いない事実だと思います。けれども、そのことと、私は、去年の暮れまでのカーター大統領のそういう見解と、少なくもことしの初め出た、その一年後の国防報告によるところのヨーロッパとの比重、こういうものは大分差が出てきたんだと、こうあの文面を見る限りとらざるを得ない。その辺を、私はこの軍事力の面においても正しくとらえる必要があるんだと、先ほどからくどく言いますように、当面の問題と将来の問題と混同することがあってはならないんだと。特に将来の問題は防衛力の整備という問題と結びつく問題でありますから、防衛力の整備は数年先を見通さなきゃいけないということになりますと、当面の事態、こういうことだけで、またアメリカが気持ちの上で、方針としてアメリカ日本は大事だと言っていることと、実際と違う、力がそれだけなくなってきていると、こういったようなことを見通す必要があるんじゃないか、こういうことを重ねて申し上げまして次に移ります。  次は、五十四年度の業務計画の長官の指示について御質問したいと思います。  私、いま「防衛アンテナ」の六月号をここに持っておりますが、この十七ページには、「五十四年度業務計画の作成に際して指針とすべき事項に関する長官指示」というのがございます。この長官指示を出されるに当たって、その前項となる情勢、これは示されたのかどうか、それだけをひとつまずお聞きしたいと思います。
  234. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 長官指示を出す場合には、情勢の判断というのは当然入るわけでございますが、この情勢の判断というものは特に大きな変化がない。したがって、計画の大綱に示されている防衛力の整備というものを着実に進めていくということが現在自衛隊にとって最も正しい行き方であろうという判断をしたわけでございます。
  235. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私それ自体に、先ほどから申し上げますように若干の思想の食い違い、意見の違いもあるわけであります。数年先を見通さなきゃならないその防衛力整備において、その情勢判断というのはやはり相当重きをなすことは明瞭であり、また大きい流れから見るならば、私は本当におととしの十月決められた新防衛計画の大綱のときの情勢と同じような情勢と踏んまえてやっていいのかどうかということについては、多大の懸念を持つわけであります。しかし、現実的にもう長官指示出しておられるわけであります。私は、今後具体的な計画をつくられる場合において、その中にこういった情勢に対する認識というものを当然織り込んでいただかなきやならないんじゃないかと、このようなことを強く思っておるわけですが、この中に、「「防衛計画の大綱」に準拠して」と、こういうことがございます。この「準拠して」というのは、まあ準拠は準拠でしょうけれどもどのように理解をして出しておられるか。
  236. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 業務計画の指針は、防衛庁長官の指示でございます。防衛計画の大綱というのは、これは政府として決められております指針でございます。したがいまして、この政府防衛計画の大綱の指針を変えなけりゃならないほどの大きな情勢の変化はないという判断から、その防衛計画の大綱に示されている指針の中で必要な防衛力整備をやっていくという意味でございます。
  237. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 さらにその後の方に、「その際、昭和五十四年度は、大綱に準拠して防衛力整備を行う第三年度目であることにかんがみ、」云々と書いてありまして、「欠落している機能の整備を急ぐこととする。」、こういうことがございますですね。そして特に留意すべき事項が書いてあるわけです。この意味を、何といいますか、具体的に言いますと、現在の情勢等も踏んまえて、また新防衛計画のその精神から考えても、たとえば五十二年度、それから五十三年度計画、これはもう防衛庁だけの計画でございましょうけれども、計画の積み残しが相当あるわけであります。たとえば護衛艦等の建艦計画についてもこの大綱で示されておるところの六十一隻ですか、これを保持するためには、毎年三隻ずつつくっていかなければならないんだと、三隻ずつつくっていっても昭和六十何年ですか、八年ですか、までかかるんだと。それが実際には二隻ずつしか入っていないと、だからこういったような積み残しを五十四年度分の計画に上積みをして要求をする、戦車なんかでも同じでございますね。たとえば六十両ずつ計画した、これが実際には四十八両ずつしかついていない。これを十二両分の二年分を上積みをして要求をする。さらにたとえば備蓄弾薬の問題でも、確かに備蓄弾薬が初めて認められたもう記念すべき年だと思いますが、しかし、それにしても計画から見るとその量は微々たるものである。これらはもうやっぱり現情勢下、新防衛計画の目的を達成するためには相当馬力をかけて要求して達成していかなきゃいけない、こういうことだと思うのですが、その辺は具体的にみんな含んで防衛庁としては取り組もうとしておられるのかどうか、その辺ひとつお聞きしたいと思います。
  238. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 基本的な考え方といたしましては、この防衛計画の大綱をお決めいただきましたので、早くその勢力に達し、しかも厚みのある防衛力にしたいというのが基本的な考え方でございます。しかしながら、毎年度の予算におきましては、財政事情等を勘案しながら決まってまいるわけでございますから、必ずしも防衛庁が希望するようなテンポで進んでいないというのもまた事実でございます。したがいまして、五十四年度におきましては、ここに書いてございますように三年度でございますから、いままでの取り残し分を全部積み上げて、これを確保した上で次のステップにいくというのはもちろんその基本的な考え方ではございますけれども、同時にまた、この生産の面あるいは取得の方法等々考えますと、一挙にそういったものを拡大しておくということが、今後の整備の計画上どういう影響を与えるのか等々も考えまして、防衛庁といたしましては、いま申し上げましたように防衛計画の大綱で示された勢力をなるべく早く、そして厚みがあって意味がある防衛力にしたいという観点から、いま先生がおっしゃられましたようなことを踏まえまして、今後業務計画を策定し、概算要求を作成してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  239. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 四次防までの防衛力整備の方式と、新防衛計画大綱では方式を変えられたわけであります。四次防までは一応年次別の計画までつくっておった。けれども、それがいろんな事情から結局達成できないで今日まで来たんだと、その辺の反省もあって、情勢の変化あるいは財政事情、その辺にも十分に柔軟をもって対処できるように年次割りは政府としてつくらなかった、これも一つの大きな目的だったと思うわけですが、その辺を五十二年、五十三年度、両年度の結果を見ますと、結局同じような轍を踏んでいるんじゃないか。その辺はやはり基本的に新計画の精神に立ち返って、防衛庁、腹を決めてやる必要があるんじゃないかと、私はそのように思っておるわけであります。  特に私思いますのは、もちろん防衛だけが政治でない、行政でないことは明瞭でございますが、総理がことしの一月の施政方針演説で、初めて防衛国家存立の基本であり、政府が果たさなきゃならない最大の責務であると言われたこの年の予算が、政府の各種予算の中に占めるウエート、これが去年から比べればまたことし減ってしまったと。私こういうようなことの繰り返しは、言っておられることとその内容とが伴っていないじゃないかと、こう実は思うわけです。そう簡単に言える問題でないことは明瞭でございますが、その辺、主務官庁である防衛庁として、やはり国民に対して、腹を据えた要求というものを、また防衛力の整備の達成というものを期していくということが大変大事なんじゃないかと、こう思うわけです。これはもうこのくらいにします。  有事の研究の問題につきまして次に御質問したいと思います。  有事の研究につきましては、先ほど野田委員からも御説明があったわけですが、もう一度私お聞きしますが、今度の研究の目的であります。これは新防衛計画の大綱によって整備の目標が大体はっきりしてきた。その新防衛計画の大綱でできる防衛力、これを基礎にして各種場面に応ずるところの部隊運用、これを研究する、そしていろんな教訓を得よう、こういうことですか。
  240. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 先ほども説明いたしましたが、先生も御承知のように、従来からこの防衛研究といいますか、運用研究というものはそれぞれにやっていたわけでございます。しかし、一応運用研究につきましては、陸海空がどうも自分の実力といいますか、そういったものをどのように運用するかということが主でございまして、これを統合的にどういうふうに運用していくかという点が必ずしも十分でなかったという反省がございます。したがいまして、一応この防衛計画の大綱によっていわゆる防衛力の水準というものが確定した段階におきまして、こういった陸海空を統合的に運用するやり方というものを研究する必要があるということが一方にございます。  同時にまた、日米安保体制そのものも、私は、過去二十年間を通じまして内容そのものが変わってきたというふうに理解するわけでございます。といいますのは、日本におきましても、防衛努力が足りない足りないと言われながらも、航空機におきましてはやはり世界最高の水準の航空機というものを整備してまいりましたし、また艦艇、陸上の装備におきましても、数というものは必ずしも十分ではございませんけれども、この兵器の水準というものはかなり高いところをねらって実力をつけてまいったわけでございます。したがいまして、従来の日米安保体制というものは、すべてアメリカに寄りかかっているというような考えのもとにこの運用計画というようなものもなされておったわけでございますが、いまやアメリカ軍事力そのものも、従来のようなスーパーパワーといいますか、そういったものではなくなってきている。したがって、日本の安全を守るためにも、日本が、自衛隊がやるべき分野というもの、その質、運用のやり方というもの、そういったものもおのずから変わってきていると考えられるわけでございますので、一応この段階において、集中的にそういった運用研究をやってみたいということで計画をしたものでございます。
  241. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、この演習を通じて、いまおっしゃいましたようにいろいろな教訓が出るだろうと思うわけですね。私なんかもよく承知していますが、たとえば年度の防衛計画なんかでも、大きな前提をいろいろと置かなければ計画それ自体ができない。また統合的な運用をしっかりやらなきゃいけないけれども、統幕の機能、権限、こういつたものに限界がありますから、なかなか一致した、統一した統合的な計画ができない、こういったような問題もありますし、本当にこれがいざというときに使える計画かなといったようなことを懸念を持ちながら私どももやった経験がありますから、問題点がたくさんあります。したがって、これらの場を通じて、こういつたいま防衛庁がやっておられます有事法令の研究にも大いに資するだろうし、あるいは統幕の機能の強化、あるいはそのほかのもろもろの、まだ国としてほとんど何もできていない国家体制の整備、その他防衛庁自体の中の整備の問題にも資する、十分に資する、こう思うわけですが、そのように信じて差し支えございませんか。
  242. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) いま先生もおっしゃいましたように、私も過去二十年間いろいろ運用の問題については制服の方々と議論をしたこともございますし、またその計画等を検討したこともございますが、やはり、どうもいままでは陸海空がそれぞれ別個に自己の部隊の運用計画というものをつくっておられたようでございまして、そういった意味では真の意味の統合運用というのがなかなか実施できなかった、計画できなかったという難点があっただろうと思います。いま先生が御指摘になりましたが、統合運用をやるための統幕の機能の強化というものも、一面におきましては陸海空の自衛隊が、やはり自分が持っているその権限というものを吸収されるということをきらうといったような面も確かにあったわけでございます。したがいまして、そういった点を内局と制服が一緒になって研究をしながら、大臣の御裁断を仰いで、どういう形に持っていくのが防衛力を最も効果的に運用できるのかということを、本当に虚心坦懐に話し合って研究を進めてまいりたいというのが現在の私どもの気持ちでございます。
  243. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 この研究は、もう大臣の御決心により、大臣の御指示によって、文官と制服とが一緒になってやられる、こういうことでございますが、大変私は必要なことであり結構なことだと思いますが、先ほどの官房長の御説明の中で、内局が中心になってやるといったようなお言葉があったように思うんですが、この種の研究は、私は中心はやっぱり統幕じゃないかと思うんですがね。おのずから防衛庁の中には、もちろんシビリアンコントロールですけれども長官のもとに制服と、それから内局との担任分野があるわけでして、したがって、研究そのものは主体は制服がやり、それに内局がもちろんタッチし、特に政策面なんかを分担しなきゃならないでしょうし、そのほかタッチしなきゃならぬ面がある、こう思うわけですが、その辺はどうでございますか。
  244. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、このプロジェクトチームも、統幕を中心にいたしまして各幕僚監部から四人程度、十人程度を派遣いたしまして、それがグループになって運用研究を中心にやるわけでございます。その際に内局として措置しなければならない事項も当然出てくるわけでございますが、そういった点におきまして^内局のやるべきことというものをその中に加味しながら運用研究を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、決して内局が中心になってすべてをやるというようなものではございませんで、内局は内局のサイドでやるべきことをやり、それから制服のサイドは統幕が中心になってやりまして、その結果を大臣に御報告して御決裁をいただくという形になろうかと思っております。
  245. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 この研究の問題が竹岡官房長によって記者会見で発表されますと、大変大きく取り上げられております。その解説を見ますと、まあいろいろでございますね、新聞の評価もいろいろでございまして、どうも本当のこの研究の趣旨を若干誤解をされているものもあるんじゃないかと私なりに読んだわけであります。情勢がこういう情勢になったから、押せ押せムードでこれまでもやるのかといったように、国民から受け取れるような記事もなきにしもあらずだと思いますが、ひとつこの点積極的に、誤解であるとするならば理解を求めて、正しく理解してもらった上で、やはり国民の私は協力、理解のもとにこういうものはやらなければだめだと思います。そして正々堂々とやってもらいたいと、こういうことを強く思うわけでございまして、その点をお願いしてこの問題は一応終わりといたします。  次に、防衛白書の問題についてお聞きしたいと思います。  まだ防衛白書をつくっておられるのかどうか、どういう段階か、こういうことを私よく知らないわけですが、去年、おととしの例で見ますると、もうそろそろ具体的につくっておられる段階じゃないかと、こう思うわけでございまして、作成の現状あるいはいつごろになったらこれを発表されるのか、その辺をひとつお知らせ願いたいと、こう思います。
  246. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  五十一年、五十二年に続きまして五十三年度、いま防衛白書、大体防衛庁の事務的な案ができ上がりまして、そして第一回の参事官会議で皆さんの意見を聞きまして、さらに、それで事務案をまとめた結果をまず外務省とか関係省庁といま調整中なんです。これで、最終的にまた参事官会議にかけまして、長官決裁をもらいまして七月の下旬ごろには公表できるのではなかろうかと、このように考えております。
  247. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 そうすると、これがやはり情勢判断その他で、防衛庁としての来年度の予算要求等の一つの基礎にもなろうと思うわけであります、それだけじゃないことは明瞭でございますが。そうすると、昨年あるいは一昨年と比べて、昨年と一昨年では防衛白書、ずいぶんその編集の基本的考え、違っておったと思いますが、この両年に比べてどのような基本態度でことしはつくろうとしておられるのか、差し支えなかったら答えていただきたいと思います。
  248. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) これ毎年出すわけでございますので、そう変わりばえというものは、余り大きなものはないかもしれません。ただし、毎年出すものでありましても、その毎年度のものが、新たに最初に読まれる方をわれわれは前提にいたしまして、五十一年度、五十二年度と重複する部分がありましても、大事な部面は重複させてやっております。  三部から今回はつくりまして、第一部が国際軍事情勢、これは五十一年、五十二年のまま出しております。その後、ことし五十三年度になりましてからの変わった国際軍事情勢を追加して概括したい。  それから第二部は、わが国防衛政策ということで、これも従来からやっておりますけれども防衛政策の基本なり、あるいは防衛力整備の推移、防衛計画の大綱、こういったものを中心に書くことにしております。  それから第三部が防衛の現状と問題、わが国防衛力の整備、それから日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用体制の整備、防衛問題を取り巻く国内環境、こういうものにしておるわけでございますが、特に五十三年度版で力を入れましたのは、まず第一点は、やはり今回のP3C、F15をめぐりましての憲法問題というのが、やっぱり相当あったと思うんです、憲法の歯どめ論とかいろいろ。そういう国会の討論、それを中心にしまして、やはり憲法と防衛問題、それからP3C、F15の問題点、こういったものを、今予算委員会あるいは内閣委員会等で問題になりました論点を中心にして書いております。  それからもう一つの特徴点は、米軍基地、それから自衛隊基地も含めまして基地問題、わが国におきます防衛関係基地問題の持ちます課題それからわれわれの悩み、こういったものを取り上げておるのが一つの大きな特徴ではなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
  249. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、特に去年の防衛白書を見ましていろいろ奇異な感じを持ったところがあるわけであります。たとえば、在韓米軍撤退の問題に関連しまして、米国はこう言っている、こういうことだけでありまして、日本のそれに対する判断は、防衛力整備という段階において防衛力整備計画を変更するような変化とは思わない、こういうことであって、日本独自の在韓米軍撤退に対するところの判断というようなものは載せられておらなかったような気もするわけであります。やっぱり国民がもうだんだん防衛白書を注目をしております。私は、防衛庁が本当に防衛白書を通じて防衛庁の本音というものを知らす、また知りたい、こういうことだと思うわけでございまして、アメリカはこう言っているというようなことは、ぜひともことしの防衛白書からはやめてもらいたいという希望があるわけであります。  もう一つ私は、先ほどからアジア離れの問題で、伊藤局長とも若干の問題について話しただけですから、とことんまでとても話しておらないわけですが、アメリカが言っておるところの極東軍事情勢、これはアメリカなりにもちろんグローバルな点から判断をしておるわけですが、しかし同時に、アメリカの国防報告の性質からしましても、やはり国防報告の方針、これを理由づけるための一つの情勢というものがあるわけですから、アメリカだけの立場で見ている。それが日本アジア諸国の立場で見るとまた違ったものがそこには出てくるものも当然あるわけですね。したがって、この情勢を見られるときに、これは希望ですけれどもアメリカの情勢判断を、まさかそんなことはないと思いますけれども、うのみにされたんでは困るじゃないかと、こう実は一つ思っておるわけです。  もう一つ、こんなことはもちろんないと思いますけれども、新しい防衛計画がおととしの十月にできたと。防衛庁見解によれば、防衛力整備上大きくこれを変更しなきゃならないというような情勢ではないと、こういうことですが、その後のいろんな情勢を見ますと、当時考えておらなかったような情勢もだんだんとクローズアップしてきておる、あるいはぼやっとしておった情報が逐次確認をできたものもあるだろうと思います。そういったような場合に、まあこれは新防衛計画の大綱とは関係ない、あるいは新防衛計画の大綱でこういうことを出すとどうかなというようなことで、ネグレクトしてしまうというようなことは、まさかないと思いますよ、ないと思いますけれども、その辺をやっぱり国民が知らなきゃならないものはちゃんと知らす必要があるんじゃないかと、私はそう思います。いままでは、たとえば上着陸にしても、船団を持って来る能力というようなものはなかなかないんだと、このような観測が支配的でしたけれども、その後の情報では相当の兵力を船団でもって上着陸する能力も出ておるんだと、こういったようなこともだんだんとあるだろうと思うんです。そういったようなやっぱり知らしむべきことは、国民にはっきり防衛白書を通じて知らしてもらいたい。そのことを防衛力整備計画とどのように結びつけるかはまた別個の問題だと思います。その辺のことを特に私はお願いをするわけでありますが、何かありましたらひとつお答えください。
  250. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) まず情勢判断について、防衛庁判断というものを中心にやるべきであると、そのとおりだと思います。ただ、私ども日米安保体制のもとで、情報につきましてもアメリカとは常時情報の交換をいたしているわけでございます。そしてまた、情報の収集の能力というのは、やはりアメリカの方がわが国よりははるかにすぐれているという点がございます。したがいまして、決してうのみにしているというわけではございませんけれども、いろいろ情報交換の中で一つの情勢判断というものを出しているのが実情でございます。  それから、もう一つの実情を国民に知らせろというお話でございますが、私どもそういった点については努力をいたしておりますが、いわゆる防衛計画の大綱の情勢判断というものは、やはりわが国防衛構想でございます一番重要な点は、侵略の未然防止でございます。すなわち、平和が維持されるためにはどういうことをやらねばならないかということ、そしてその平和が破れたとき、すなわち侵略があったときにどう対処するかというのが防衛構想の中心になっておりまして、また、対処能力がないということがまた未然防止をも危うくするという考え方に立っているわけでございます。したがいまして、私ども防衛計画の大綱の前提条件を左右するほどの大きな情勢の変化はないということを考えておるわけでございまして、去年おととしと全く情勢が変化したというふうには考えていないわけでございます。
  251. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 短い時間ですから、なかなか情勢認識についてかみ合わないところがあるわけですが、もう時間でございますから、最後に私は長官にお願いをしようと思います。  長官、御就任以来いろんな面で大変意欲的にやっていただいています。国民に対するいろんな理解も、周囲の軍事情勢、国際情勢ももちろんでございますが、長官の御努力も大いに私は評価すべきじゃないかと思っておるわけですが、今日の自衛隊が抱えている問題というものは、もう御勉強いただいておりますように、本当に国家体制の基本的な問題から、自衛官の一人一人の抱えている悩みまで大変広範にわたっておるわけでございます。私は、最近全国いろんな方に会って話してみますと、現情勢の厳しさというものを心ある国民の皆さんの方がむしろ先行して正しく理解をしておられる。で、それに対して、政治家が最近だんだんとその重要性というものを認識してきて、逐次この心ある国民の線にまで接近しつつある、こう思います。防衛庁ももちろん努力していただいていますけれども防衛庁もよっぽど勇気を出してやっていただかないと、長い間のやはり歴史がございます。今日まで国民のコンセンサス、あるいは支持を得られない、こういうことで今日までずっと来ておりますから、積極的な施策、発言、なかなかむずかしいような雰囲気で今日まで来ておりますから、その辺をひとつ長官の御指導、さらに防衛庁一体となったところの情勢認識に基づいて、私は抱えておるところのもろもろの問題を勇気を持って解決をしていただくように、これはもう当面予算の問題にかかってくると思います。御努力願いたいものだと、こう熱望してやまないわけです。最後長官のお考えを承らしていただきたい、こう思います。
  252. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私はしばしば委員会で申し上げておるわけでありますが、防衛という問題は政治の原点であります。二十七万の自衛隊だけで日本の国を守ることはできない、あるいは自民党だけで日本防衛をするわけにはいかない、一億一千万国民のコンセンサスを得る中で防衛という問題はやっていかなければならぬと私はいつも考えておるわけでありまして、ただいま国民考え方も変わってきたと、変わってきたから何でもかんでもやればいいということでなくて、正しい考え方の中に、国民理解を得ながら、自分の国は自分の力で、自助努力をするというようなことを今後とも一層努めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  253. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 それじゃ終わります。
  254. 山中郁子

    ○山中郁子君 けさほどからの議論を踏まえまして、私は三つの問題について質疑をいたします。  第一は、防衛研究の問題に関してですけれども、初めに竹岡官房長のさる記者会見で、統合運用のための防衛研究ということで議論になっておりますお話があったわけですけれども、現在でも防衛庁は陸上、海上、航空、各自衛隊のそれぞれの防衛計画があって、また当然のことながら統合防衛計画もあるというように理解をしておりますが、いま改めて、こうしたものが提起されるということの理由は何か、まずお伺いいたします。
  255. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、改めてここで出すことが遅きに失しておる。しかし、当時三矢研究というようなことで国会でも問題になった。それが防衛庁をして、そのようなことをちゅうちょ逡巡さしておったと思うのですが、それは制服だけでそういう研究をするということ、それはシビリアンコントロールの上から見ても好ましくないというような当時の考え方であったと思うのですが、いわゆる自衛隊がある以上、そういう問題について常に研究するということは必要だという考え方は、また、それが国民の負託にこたえるゆえんだという私は考え方を持っておるわけであります。
  256. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は日米防衛協力小委員会での問題との関連についてお伺いをしたいわけですけれども、これは作戦、情報、後方支援の三部会で研究協議を行っていると。それで、しかも武力攻撃がなされた場合、またはそのおそれがある場合について研究協議をしているということがすでに明らかになっておりますが、このこととの関連が今回の防衛庁の表明とどういうものになっているのか、そこをお尋ねいたします。
  257. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 先ほども説明いたしましたが、今度この防衛研究をやるに当たって、従来から私どもはこの運用研究というものはやっていたわけでございます。しかしながら、昨年来特にこの統幕の機能の強化の問題、あるいは中央指揮所の整備の問題、あるいはまた、日米防衛協力の部会の研究等を通じまして、広い意味防衛研究、そういったものをやる必要があるというふうに考えました。その背景には、一つには自衛隊の勢力というものが、防衛計画の大綱によって一応大きな情勢の変化のない限り、この勢力というものが維持されていくということが前提でございます。それからもう一つは、従来日米の協力体制というものは全くアメリカの強大な軍事力というものに依存するという形でございましたが、防衛協力の研究を進めていく過程におきまして、日本の自衛隊として、いわゆる憲法の枠内で自衛力を行使するという、枠の中でならなければならないというようなこともはっきりしてきている段階におきまして、そういうものを踏まえまして日米防衛協力の問題、あるいは現実に持っている自衛隊の能力、そういったものを最も効果的に運用するのには、ある期間集中的に研究するのが効果的であろうということで長官の指示が出たわけでございます。   〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
  258. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、お聞きしますけれども日米防衛協力小委員会での検討事項ですね、きょうは大変時間が限られておりますので、内容に立ち入れないのが残念なんですけれども、少なくとも結論、形としては中間報告というふうになるのではないかとも判断されますけれども、これはいつごろ出るというように考えておられますか。
  259. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) この各部会におきましての研究というものは一応終わっております。いわゆる協力小委員会としてガイドラインをいまつくっている段階でございまして、これができました段階で防衛協力小委員会を開きまして、そしてまたそれぞれの政府に持ち返ってこれをまた検討するという期間もあろうかと思いますが、秋ごろまでには一応そのガイドラインというものが発表できるのではないかというふうに見通しておるわけでございます。
  260. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほどの、そしてただいまの御答弁でも明らかになりましたように、今回の防衛庁防衛研究というのは、結局日米防衛協力小委員会と対応した形で、そしてアメリカの作戦に自衛隊が一層深くかかわっていくという、そういう危険な側面を持っているということはその点でも明らかだと思います。私はまず、防衛研究の問題に、問題の一つとしてこの点があるということを指摘し、しかるべき場所で引き続きこの問題については、防衛協力小委員会の結論なども含めた上で追及をしていくということを明らかにしておきたいと思います。  それから、この問題についての二つ目の問題ですけれども、先ほど長官は三矢研究の問題の経緯をお話しになりました。それで、これは制服組が独走、先行したので問題になったけれどもという御答弁がしばしばございますけれども、私はより本質的には、三矢研究の内容の問題だという理解をしておりますし、だからこそ大きな問題になったし、当時も政府がこれについてろうばいもしたし、取り消しもしたり、さまざまな経過があったと思います。まずこの点について、憲法違反にわたる数々の問題を提起をした三矢研究の内容的な問題があったということはお認めになりますか。
  261. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) この三矢研究の際には、朝鮮半島で起きました紛争というものが波及してきたときに、いわゆる部隊の運用と同時に、国家に要請するいろいろな点、面、そういったものにつきましての研究をやっておったわけでございます。したがいまして、いわば総力戦的な考え方のもとに研究が進められておったということでございますが、今回の防衛研究におきましては、部隊の運用というものを中心に研究を進めていくというものでございます。
  262. 山中郁子

    ○山中郁子君 御答弁の仕方がやっぱりすりかわっています。そのことは、それで問題だというふうにあなた方が判断していらっしゃるのは、それはそれとしてお聞きしておきます。  具体的にお尋ねいたしますけれども、三矢研究の中には、法制面で見ますと、一般労務の徴用とか、防衛徴集制度の確立とか、防衛庁専門の法廷の設置だとか、あるいは官民の研究所、研究の防衛目的への利用とか、戒厳とか、これはかつての戒厳令に当たるわけですけれども、こうした八十七件もの立法を短期間に成立をさせると、こういう内容のものであって、ここが本質的に問題になったわけで、こういう点については異質なものであるということで明言されますか。
  263. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) その点が、私はいま御説明申し上げましたように、総力戦的なものを制服の側でいろいろ研究を進めておったということだったと思います、三矢研究におきましては。今回は部隊の運用ということが中心でございますから、そういった面におきますその八十七項目にわたるようなことを直ちに要請するというような内容のものではないわけでございます。現在持っております自衛隊の勢力でどういうふうに対処できるかという運用の問題が中心になるわけでございます。
  264. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、防衛研究とおっしゃいまして、それで数々の研究をするのは当然のことであると、長官のお言葉をかりれば遅きに失しているんだぐらいのことまでおっしゃる。しかし、三矢研究のときに問題になったことは、いま私が申し上げましたことが一番本質的な問題として議論になったわけですから、そういうことでいま伊藤防衛局長の方から御答弁がありました。つまり、こうしたいま私がたとえばということで二、三の例を申し上げましたけれども、そうした憲法に違反する事項、国民の基本的人権の制限にわたる事項、こうしたものについては一切研究はしないんだということの明言を長官からいただきたいと思います。
  265. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この問題につきましては、部隊の運用等の問題でありまして、先生のおっしゃられるようなことは全然考えておりません。
  266. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、この問題が、単に憲法違反のことはしないんだというあなた方の言葉は、いまそれは肝に銘じておいていただきたいと思いますけれども、それだけでなくて、部隊の運用それ自体が、いままでの多くの議論の中、私自身も時間をかけて議論をしたこともございますけれども、そこに必然的に結びついてくる大きな問題点があるんだということの指摘をしたことを再度申し上げておきます。それと、先ほど申し上げましたアメリカの極東戦略、日本でのアメリカ軍の行動との深いかかわり合い、そのことから非常に重要な問題を含んでいることであるということを重ねて指摘をしておきまして、この点は引き続き別な機会に議論をいたしますが、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、これもけさほどから議論がされておりますことですけれども防衛費の分担の問題です。それで私は端的にお尋ねをいたします。まず長官に。  結局、長官アメリカに思いやりの意思表示をされてお約束をされてきたけれども、それは現行地位協定でできるかできないかはわからないけれども、まずは言ってきたと、それでできるのかできないのか、どうやってするのかをいま検討をさせているんだと、こういうことでよろしいんですか、それははっきりしてください。
  267. 金丸信

    国務大臣金丸信君) けさほど来からその問題につきましては申し上げておるわけでありますが、私は日米関係は不可欠である、不可欠である以上、不可欠であるようにしておくということは必要である。そこで、その不可欠とするにはどういうようにやっていくか、そのためには日米関係というものを本当に維持していくために思いやりというようなことがなければならぬ。それは、いまドル安円高というような問題アメリカ世界のいわゆる同盟を結んでいる国々と非常に困難な問題が幾つかあるわけであります。そういうとき、向こうから要求されるということでなくて、不可欠である以上日本側が考えてやるべきだという考え方の中で私は申し上げておるわけでありまして、その問題は、外務大臣あるいは大蔵大臣あるいは総理、こういう方々とも話し合って、その思いやりというものは必要だと。そこで、施設庁長官にも、この問題についてひとつ地位協定の範囲内で考えられることがあったらぜひひとつ考えてくれないかと、政府筋もそのように言っていることだと、こういうことで亘理長官に指示をいたしておるわけであります。
  268. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、地位協定でどういうふうにできるのかはわからないけれども、とりあえず約束はしてきた、思いやりを示してきたと、こういうことですね。そこだけ、そうならそう、違うなら違うと言ってください。
  269. 金丸信

    国務大臣金丸信君) そうだと言えばそうであります。しかし、その辺にはまた言葉のあやもありますし、いろいろ政治的な含みもありますし、その辺は御理解いただきたいと思います。
  270. 山中郁子

    ○山中郁子君 とても理解できないことで、じゃ具体的に伺いますけれども、先ほどからこのことに関して亘理長官も盛んに検討するんだ検討するんだ、幅広くと、こうおっしゃっていますけれども、それでは、検討した結果できないということになったらこれはできないわけですね、どうなんですか。
  271. 亘理彰

    説明員亘理彰君) できないということになったらできないと思います。
  272. 山中郁子

    ○山中郁子君 そういうことはあるということで、私がこれを申し上げるのは、いままであなた方、合意するまで何も言わない。いまもそうですよ、合意するまで何も言わない。どういう条項で何をどういうふうに解釈して出すんだということを何も言わない。昨年だってそうでしょう、合意した後でそういうことを言うわけなんです。だから、問題はこのことがちゃんとしかるべき検討をして、また国会でも問題になりましょう、そういう上で、できないということがあれば、防衛庁長官アメリカへ行って先走って思いやりを示してきたけれども、それはやっぱりできませんでしたということになるんだなということをはっきりしておいていただきたいと思います。  具体的な問題についてお伺いいたしますけれども、労務費の問題だけしかきょうは時間がないので触れられませんけれども、二十四条第一項で米側負担と決められているということははっきりしていると思うんですけれども、まず給与の問題です。基本給はこういうことで問題ないわけですね、対象にはなり得ないわけですね。
  273. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 私ども具体的に検討しまして予算措置を講じます場合には、十分地位協定との関連について御説明を当然申し上げなければならない、こういうふうに思っております。先般も給与の一々の項目について、これはどうか、あれはどうかと一々お尋ねがあったわけでございますが、そのあたりについては給与の内容も項目もたくさんございます。それから内容もいろいろ給与の規定は複雑でございますので、私どもはこれについて十分勉強をいたしまして自信のある答弁をいたさなければならないと思っておりますが、それには時間の余裕をいただきたいということをお願いいたします。
  274. 山中郁子

    ○山中郁子君 基本給もですか、基本給で聞いているんだから。
  275. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 具体的に給与のどの項目がどうと、こういうところの検討はまだ進んでいないわけでございますので、いまの段階で一々の、労務費なら労務費の中の費目についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。
  276. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、退職金とか諸手当も当然そのようにおっしゃるわけですけれども、じゃ、私は一つだけここではっきりさせていただきたいと思いますのは、これは昨年の八月二日の衆議院の外務委員会です。わが党の寺前議員の質問に対しまして当時の鳩山外務大臣が「御指摘のように、地位協定では維持的な経費は米側の負担と、このように定められております。駐留軍の労務者の給与は維持的な経費であるというふうに私どもは考えております。」と、こう明言していらっしゃる。これが変わるんですか、外務大臣の言明が変わるんですか。
  277. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 私、その外務大臣の御答弁は存じませんけれども、いずれにしましても地位協定に反するようなことは私どもは考えていない、それから地位協定を変えるようなことも考えていないわけでございます。いまでも、午前中も多少申し上げましたように、駐留米軍のためにはいろいろな経費を日本側が負担しております。その具体的な費目を予算化する場合において、地位協定との関連について十分な検討をすることは当然でございますが、万般の費目、その複雑な内容について吟味してふるい分けをいたしておるということではございませんので、私ども実務レベルにおいて必要なりと、こう考えます場合には、当然地位協定との関連は十分踏まえて対処していくというふうにお答えいたしておきたいと思います。
  278. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、外務大臣答弁といま施設庁が言っていらっしゃるのと違うんですよね、だからこれは政府としての統一した見解を出してください。長官、よろしいですね。外務大臣がちゃんとそういうふうに言っているんだから、給与は維持的経費であると国会でちゃんとそういうように言明しているんですよ。それをいま給与も含めてこれから研究するんだとおっしゃっているわけだから、統一見解出してください。いいですね。
  279. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) ただいまの外務大臣の御答弁は、私は御引用になりましたのはいま直ちには記憶に戻らないわけですが、いずれにせよ……
  280. 山中郁子

    ○山中郁子君 見ていいから、これ、ここ。
  281. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) ここで鳩山外務大臣がまず言っておられることは、前段でその地位協定二十四条に基づくところの米軍の維持に伴う経費は米側の負担とすると、二十四条の第二項の問題は別といたしまして、第一項においては米軍の維持に伴う経費は米軍の負担とするということを念頭に置かれてそのルールを述べられたものだというふうに理解いたします。そして、他方、後段の「労務者の給与は維持的な経費であるというふうに私どもは考えております。」と言われた場合の労務者の給与と、また維持的な経費であるという意味の労務者の給与が具体的にいかなる項目であるかという点につきましては、別に外務大臣は、その具体的な項目の洗い出し、その結論を踏まえて言われていたものとは考えられないわけでございます。と申しますのは、おっしゃられるように、これは去年の八月の二日の御答弁でございますけれども、八月の二日におきましては、いまだ日米両国間で合同委員会の場で労務費の問題について議論を重ねている段階でございます。したがいまして、外務大臣が、ある労務費と称せられるもののうちの特定の項目が給与であり、特定の項目が給与でないというような明確な認識を持ってこの答弁をされたものとは考えられないというふうに存ずる次第でございます。
  282. 山中郁子

    ○山中郁子君 冗談も休み休み言ってくださいよ。給与というのは基本給、退職手当、そのほか諸手当のほかに何があるんですか、何かあるんですか、あるなら言ってくださいよ。ないならいいですよ、答弁しないで。
  283. 中島敏次郎

    説明員中島敏次郎君) 私も、大変申しわけないんでございますが、いま駐留軍の労務者が取得しておりますいろいろな給与項目が、具体的に何と何であり、先生のおっしゃられるものがそのうちのどれであるという明確な認識を持っておらないものでございますから、ちょっと先生の御質問に対してお答えするのは控えさせていただきたいと存じます。
  284. 山中郁子

    ○山中郁子君 でたらめにもほどがありますよ。どなたが聞いたっておわかりになると思いますけれども政府のきちんとした責任あるこの問題についての見解を求めておきます。  それから、私は次に第三番目の問題として、日台間の海底ケーブルの問題について伺います。  端的にお尋ねいたしますけれども、郵政省お見えいただいていると思いますが、沖繩と台湾間の海底ケーブルの敷設工事が近く着工されると聞いておりますけれども、その計画はどういうものでしょうか。
  285. 白井太

    説明員(白井太君) お答え申し上げます。  沖繩——台湾間約六百八十キロにわたります海底ケーブルを、日本側日本アジア海底ケーブルという株式会社が当事者となって五十二年の暮れころから準備その他に取りかかっておりまして、一年余くらいの予定で完成を目指して現在作業その他が進められておるというふうに承知しております。
  286. 山中郁子

    ○山中郁子君 いつから始まって、具体的な計画についてはどうなっているか、多少具体的に御答弁いただきたい。
  287. 白井太

    説明員(白井太君) 私ども郵政省が承知いたしておりますのは、五十二年の暮れごろから始まりまして、当初の計画では一年ちょっとかけまして完成をするということで作業等が始まったと聞いておりますが、予定どおり完成するかどうかとか、あるいは作業の進捗状況で多少のずれもあり得ようかと思いますけれども、具体的な作業の進捗状況については郵政省としては特に承知いたして「おりません。
  288. 山中郁子

    ○山中郁子君 それはまた大分無責任なお話で、私は後ほどまた触れますけれども、これは大変重要な問題なんです。  それで、私ども調査によりますと、KDD丸、つまり国際電電のですね、この船が七月一日に横浜から台湾に向けて出航する予定になっている、これはKDDでもお認めになっておられました、私が伺ったところ。きょうは残念ながらKDDの方がどうしても会社の総会でお見えになれないというお話なのでやむを得なかったわけですが、確認をいたしました。七月五日には基隆に入港する予定です。で、基隆または台北で台湾側の工事関係者と打ち合わせを行うことになっている。ここにはKDDの職員も参加するようになっています。そして二週間かけて、これ頭城というんですけれども、ここが台湾側の陸揚げ地点です。この頭城での陸揚げ工事を行うことになっている。そして七月十九日には下関へKDD丸が戻る、秋には台湾−沖繩間海洋部——海の下のところの工事を済ませる、そして十一月から来年初めにかけて、今度は沖繩ですけれども、具志頭村の港川の陸揚げ地点、ここが陸揚げ地点になるわけですけれども、この工事を完了する、こういう計画がもうはっきり決められているんです。そういうことを郵政省全然御存じないんですか。
  289. 白井太

    説明員(白井太君) 一般に電気通信設備を設置いたします場合には、法律に基づきまして所要の手続等をとらなければならないというようなことがそれぞれ定められておるわけでありますけれども、そのような必要な手続を踏むということに関しましては私どもも関知をするわけでございますけれども、そうした法律に基づきます手続以外の点につきましては、これは全く民間ベースで進められております計画でもございまして、国としてと申しますか、あるいは郵政省といたしましてこれに直接タッチをするというような仕組みにはなっておりませんものですから、ただいま先生お話ございましたようなことにつきましては、実は私どもとしては何ら承知いたしておりません。
  290. 山中郁子

    ○山中郁子君 その仕組みにも問題があります。それで、重ねてお伺いしますけれども、これも私ども調査によって今回確認されたところなんですけれども、これは昨日瀬長副委員長沖繩で記者会見で発表もした内容でございます。この海底ケーブルは、米軍当局が沖繩−台湾間に安定した軍事通信網を確保したいと、こういう要求に基づいて行われているもので、そして開通後は米軍の軍事回線用として六十回線を確保したいと、こういうことがもうすでに日本側にひそかに申し入れられているということが事実としてはっきりいたしました。これは、日台海底ケーブルを米軍優先の準軍事ケーブル、つまり軍事ケーブルに準ずるもの、準軍事ケーブルとして機能させることを前提に建設するというきわめて重大な問題であるということを私どもは問題にしております。郵政省は、こうした事実関係と、それからいまのこの準軍事ケーブルとして行われようとしている、建設されようとしている海底ケーブルについて、どのような見解をお持ちなのかをお伺いいたします。
  291. 白井太

    説明員(白井太君) お答え申し上げます。  本件ケーブルの設置につきまして、米軍から要請があったとか、あるいは米軍から特にそうした施設の設置方につきまして要望があったとかというような事実は全く承知しておりません。私どもが聞いております限りでは、あくまでも台湾との間の通信の需要に対しまして適切な通信手段を用意するということに本件の計画はほかならないものと聞いております。また、米軍からの利用の要請が内々あったというお話でございますけれども、少なくとも郵政省である私どもは一切そういうことは聞いておりませんし、あるいは国際電電の方についてもそういう申し込み等があったというようなことは全く耳にしておりません。
  292. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、米軍の軍事的利用はさせないんだということで考えているとお約束いただいてよろしいわけですか。
  293. 米沢允克

    説明員(米沢允克君) お答えいたします。  このケーブルが完成いたしまして、KDDが、国際電信電話株式会社でございますが、このケーブルを使用しましてサービスを提供する場合のことかと存じますが、その場合におきまして、国際電信電話株式会社のサービスにつきましては広くお客の利用に供しているところでございます。したがいまして、外国政府であるとか、あるいは外国人であるとかということによって提供しないということにはなっていないところでございます。
  294. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、当然のことながら、米軍が六十回線優先使用を前提にしてこの建設を迫ったということの結果、六十回線の米軍使用を認めるということを郵政省はおっしゃるわけでしょう。だったら、軍事回線としての機能を前提としているではないかということに有効な反論はされてないと言わざるを得ないと思います。  そこで、私は重ねてお伺いいたしますけれども、これは一九七一年の六月でしたけれども、わが党が、米軍がベトナム侵略戦争遂行のために、沖繩台湾−フィリピン−南ベトナム間に急遽軍事用海底ケーブルを敷設したと、これを暴露いたしました。その一環として沖繩のハンビー飛行場付近と、それから基隆の米軍のモー・クリー基地付近をつなぐ海底ケーブル、この問題が大きな問題になりましたけれども、この回線が何回線あったのか、当然これは当時関係政府の方たちは知っていらっした、知っていらっした上で隠していらっした。KDDも知っていらっした、それで隠していたということははっきりしているのです。ここの回線がいま切れちゃっているのですよ。切れちゃっていて、それで米軍は回線がなくて、欲しいからKDDにそうした仕事をさせる、実際はKDDのダミー会社を使っているわけですけれども、そういう事態になっているのですが、このことは御存じですか、そしてこのケーブルが何回線あったのかということは御存じですか。
  295. 白井太

    説明員(白井太君) 回線容量は六十回線だったと記憶しております。なお、その後の状況等につきましては郵政省としては存じておりません。
  296. 山中郁子

    ○山中郁子君 六十回線でしょう。ちゃんと照合するじゃないですか。それが使えなくなったから、米軍は今度日台ケーブルを引いて、そしてそのうち六十回線を優先使用させろということで申し入れてきているということの私ども調査の裏づけになるのです、それが。  それで問題は、そういうふうにして隠し立てをして、国民に重大な背信行為をしているということが問題で、その本質が何かということなんですけれども、このケーブル工事をするのがKDDじゃなくて、日本アジア海底ケーブル株式会社だということになっております。NASCというふうに言っておるようですけれども、なぜNASCにやらせるのか。これは郵政省が認可したわけですね。当然のことながら、有線電気通信法によって郵政省の認可が要るわけですから、基本的にはこれはKDDがしなければならないということになっているのです。なぜKDDでないNASCがこれをやるのか、それを郵政省が認可をしたのか、そこを明らかにしていただきたい。
  297. 白井太

    説明員(白井太君) 最初に、先生冒頭におっしゃいました、隠しているのじゃないかというような御指摘もございましたので一言だけ触れさせていただきますが、私どもとしては、特にこうしたものについて秘密にするとか隠すとかというようなつもりは全然ございません。ただ、あくまでもこの計画というものが民間ベースで進められておるということのために、細かな点につきましては、立場上郵政省として特にそうした状況を知り得るというような立場にもございませんものですから、細かい点については知らないことが多いわけでございますが、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。なお、日本アジア海底ケーブルをつくるために国際電電が出資をいたしますために、国際電電の事業計画を変更いたしますとか、あるいは会社が設立されたとかというような非常に大きな出来事の場合につきましては、それぞれ関係のあるところから新聞発表などもなされておりまして、特に秘密にしているとか隠しているとかというようなことは、先生のお話ではございますが、私どもとしてはそういうつもりは全くございません。  それから、日本アジア海底ケーブルが当事者となって何で建設をするようになったのかというような御趣旨の御質問だったかと思いますけれども、私どもといたしましては、台湾地域との間の通信需要だとか、あるいは通信手段の現状だとか、あるいはそのほか本件のケーブルをめぐりますさまざまな特殊な事情というようなものをいろいろ総合的に勘案をいたしまして、日本アジア海底ケーブルというところが、本件ケーブル等の建設に当たりたいということでこの有線電気通信法に基づきます申請を行ってきたことについては、やむを得ないものがあったのではないかというふうに判断した次第でございます。
  298. 山中郁子

    ○山中郁子君 有線電気通信法の第八条に、「本邦内の場所と本邦外の場所との間の有線電気通信設備は、公社又は会社でなければ、設置してはならない。」、この会社というのはKDDのことです。「但し、特別の事由がある場合において、郵政大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」、こうなっております。しかし、どういう特別な事由かということをお尋ねいたしましたが、さまざまな事由と、こういうことで何だかわからない。それでは明らかにこの法律をねじ曲げたものであるというふうに言わざるを得ないと思います。  重ねてお尋ねをいたしますが、私がKDDに確かめたところによりますと、この海底ケーブルは、完成した暁にはそのままKDDが全面的に貸与されるというか、使用権を借りるという形になるというお話ですが、その際は当然のことながら公衆電気通信法の百八条、つまりこれについても郵政大臣が認可をしなければいけないとなっておりますから、KDDがこの日台ケーブルの営業をするときには改めて郵政大臣が認可をしなければならない、そういう手続は当然されるというように理解してよろしいですか。
  299. 白井太

    説明員(白井太君) 有線電気通信法八条は、先生が御指摘になりましたように、本邦外にわたります有線電気通信設備の設置につきましては、原則として電電公社または国際電電が行うということになっておるわけでありますけれども、しかし反面、ただし書きで例外があり得ることをまた法律も明定しておるわけでございまして、やはり本邦外に設備がわたるという特殊な事情から、この原則だけではまいらないケースもあり得るだろうということを、法律があらかじめ想定したものと考えるべきであろうかと存じます。したがいまして、本件のような場合につきましては、先ほど申し上げましたように、通信需要だとか通信手段、あるいはその他の本件に限りますさまざまな特殊な事情もございますので、そうしたものを総合的に判断いたしまして設置を許可したというような次第でございます。  なお、公衆電気通信法百八条との関連につきましては、米沢参事官の方から御答弁をさしていただきます。
  300. 米沢允克

    説明員(米沢允克君) 国際電信電話株式会社が、このケーブルを使用しまして通信回線を開設いたすために外国の通信事業体と協定を行うという際には、公衆電気通信法第百八条の認可が必要でございます。
  301. 山中郁子

    ○山中郁子君 では、時間が参りましたので、最後に申し上げておきますけれども、さまざまな理由によってとおっしゃるけれども、どういう理由かを明らかにされないわけ、これが一つは私は脱法行為だと思います。で、そういう脱法行為を働いて、そしてダミーですよ、実際のところダミーでしょう、をこのためにつくって、それで実際はKDDが営業するんですから、そのダミー会社が、国法に違反して、国の法律に違反してそういうことを行うということは、今後どのようなケースが出てくるかわからないという問題に照らしてみれば、重大な問題だということをまず一点指摘をしておきます。  それから、これも私の調査で、KDDにも確かめたところによりますと、いままでそういう形で海底ケーブルをKDD以外がやったことはないんです。これははっきりしているんです。そういう重大な問題です。それから最初に申し上げましたように、これは結局はアジアにおける米軍の軍事戦略に不可欠なネットワークとしての役割りを果たすと、そういう要請に基づいて行われているものだということで、米軍の戦略的通信拠点としての沖繩の地位、これを一層重大化しようとしているという、そういう本質的な問題を含んでいることだということを指摘をいたしまして、私どもはそういう海底ケーブル、そして軍事通信としての機能を前提とする日台海底ケーブルの建設などということは、法をくぐったやり方も含めてとうてい容認できるものでないということを申し上げ、明らかにして質問を終わります。
  302. 森田重郎

    ○森田重郎君 時間も大変限られておりますので、さらに委員の諸先生からほとんど尽くされたような質問もございますので、若干重複するところがあろうかと思いますが、重複するところは簡単で結構でございますので、そういう形で御答弁賜りたいと、かように思っております。  実は、これも先ほど来各委員の先生からちょっとお話に出ておりますけれども、今回長官訪米訪欧なさったと。当初われわれが仄聞するところによりますと、単なるいわゆる研修旅行であって、視察の城を出ないというようなふうに私どもは感得をいたしておったわけでございますが、二週間の訪欧訪米、これはある意味では、期間的に見ますれば、大変現地で御苦労なさったとは思いますけれども長官がいらっしゃる、しかもその二週間の間、ある意味では大変貴重な二週間であったかと思いますが、どうも私ども考えまして、それが単なる訪米訪欧というふうには若干理解できない何か当初から一つの目的があったというふうに私なりに感ずるわけでございますが、その辺につきまして長官の簡単な御答弁をもう一度賜りたいと、かように思います。
  303. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 本朝も帰国報告をいたしましたので、簡潔にということですから簡潔に申し上げたいと思いますが、私は欧米の軍事情勢を視察するため十三日の日に出発いたしたわけでありますが、ヨーロッパに参りまして、まずヨーロッパNATO、ワルシャワ、あの関係がどのようになっておるか、またアメリカを中心にしたNATO関係はどのような対応をしておるのか、こういうようなものを、この目で、はだで知りたいというような意味、またアメリカに渡るについてはNATOを十二分に、もちろんいろいろ内容等は違うけれども、人間と人間との対応はどのような対応をしておるのか、そういう状況を察知したいというようなことでヨーロッパへ参りました。  ヨーロッパへ参りましてNATOの事務総長、あるいはヘイグNATO司令官、あるいはアベル西独国防相等と会いまして、ひざを変えて率直な意見交換ができたことは非常に有益だったと考えております。また、アメリカに参りましてアメリカの国防次官とも十二分に話し、あるいはブレジンスキーその他下院議員等とも、あるいは上院議員等とも話しまして、いわゆる日米関係の不可欠ということについていろいろ話し合い、そしてまたアメリカ側の考え方を十二分に聞くことができた。また、私と一緒に行をともにした人たちと、アメリカ世界軍事情勢や、あるいは施設等見せていただきまして非常に参考になったと私は考えておるわけでありまして、今回の旅行というものは、私はわが防衛庁にとりましても非常に大きな参考になったと、このように考えておるわけであります。
  304. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は現在、この中ソ国境の緊張の問題、ベトナム問題、あるいはまた世界全般を取り巻く中で防衛問題というふうな問題は、これは単に、いわゆる装備の問題であるとか、あるいはまた施設の問題であるとかということとは別に、もう総合的な意味での国家保障的な見地から、大変これは現下喫緊の問題であるというふうに感得をいたしておるわけでございますので、むしろ長官が、今回訪欧あるいは訪米をなさったそのこと自体につきましては、率直に申し上げまして、ある意味では大変な快挙であるというふうに私自身は考えておるわけでございます。しかし、先ほど来当委員会でのお話をいろいろつぶさに伺っておりますと、長官よくおっしゃるような意味での円高ドル安、その信頼性を高めるために日本側からあえて防衛費負担の問題を、金額は出さぬにしても、こういった問題を提起、提案されたということ、このこと自体が、実はタイミングなりあるいはまたそういった出し方の順序等において若干の問題があったというふうに感じますが、このこと自体が、実は目的はないとおっしゃっておられますけれども、目的ではなかったのであろうかというふうに私は感じたわけでございますけれども、当初から、そういう意味米側との折衝、交渉というふうなものを予測されておったんではなかろうかどうか、その辺につきましてもう一度長官の御答弁を賜りたいと思います。
  305. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は、その問題につきまして、日米関係の不可欠というような中で思いやりというようなことを考えなくちゃならぬだろうということは、出発のときも十分に考えておるわけでありますが、そればかりの問題ではありません。アメリカアジア離れというような問題、あるいは在韓米軍撤退というような問題等も含めまして、またヨーロッパにおいても、ヨーロッパ自体は、アメリカヨーロッパ離れをしているというような話も私は耳にいたしたわけでありますが、ヘイグNATO司令官等の話を聞いてみると、非常に最近正常化してきておるというような話、またNATO関係各国が、ことに英国等は軍事費を削減しておるというような中で、NATO首脳会談においては来年度予算等から三%アップする、そういうような話等も承りましてアメリカへ行ったわけでありますが、そういうアジア離れというような話、私この問題が一番重大な問題点だという私は考えがし、もし日本からアメリカが、きょう現実の姿の中で日本から去っていくということになったら、日本の安全とアジアの安全はどうなるんだ、これが重大な私は目的で出かけたわけでありまして、もちろん、ただいま御指摘のありました点につきましても、私も考えの中にありました。あるいは駐留軍の労務者のいわゆる雇用問題等もあったわけでありますが、そういう問題につきましても、十分な話し合いをすべきだというようなことも私の頭の中にはあったと御理解いただきたい。
  306. 森田重郎

    ○森田重郎君 わかりました。  ちょっと話題を変えさせていただきます。  長官ブラウン長官との会談の席上、ハロウェー米海軍作戦部長から示されたと言われております日本有事の際の支援計画と申しましょうか、あるいはまた、むしろ来援計画という言葉が当たるんでございましょうか、この辺につきまして、重ねての御質問になろうかと思いますが、もう一度その辺の状況を御説明賜りたいと思います。
  307. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ブラウン長官との会談におきましては、ハロウェー作戦部長も出ておりましたが、その場面で説明があったわけではございません。ハロウェー作戦部長とはその後お会いいたしました際に、極東に配備されておりますソ連の海軍力の増強状況というものの説明がございました。それに対して、有事の際には日本の自衛隊は自衛隊としての行動をとるだろうし、また米軍としてはこれに対する支援計画というものを持っているということを説明いたしましたが、具体的な数字を挙げて説明したのではなくて、このオペレーションとしてわれわれはこういうことを考えているんだというような説明であったわけでございます。その中で私どもが非常に強く感じましたのは、昨年日本の自衛隊がP3CとF15というものを採用を決定いたしました。そのことによって日本の防空能力あるいは対潜能力というものを高めるということが、いわゆる有事の際に日本防衛米側との協力関係においてきわめて有効な措置であったということを印象として受けたわけでございます。
  308. 森田重郎

    ○森田重郎君 また、ひとつ話題を変えさせていただきたいと思います。  先ほど、この問題につきましても野田委員の方からちょっと御説明があったようでございますけれども、昨夕の日本経済新聞でございますが、「米海軍力を補完」というふうな意味で大変耳新しいニュースが載っておったわけでございますが、いろいろ書いてありますが、この中で「米国日本のP3C導入を西太平洋における米海軍力の補完という観点から重視していること」云々、こういう記事になっておるわけでございますが、こういつた解釈からいたしますと、何か、むしろ日本米国をあたかも支援するような態勢がここ数年内に来るのではなかろうかというふうな形で、若干この記事をそういう意味で判読をいたしたわけでございますが、この辺についての所感でございましょうか、感懐の一端でございましょうか、そういったものをちょっとお聞かせ賜りたいと思います。
  309. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ソ連軍事力増強されている中におきまして、アメリカ軍事力というものが以前のように絶対的な優位を保っていないというのは米側自身も考えているようでございます。そしてまた、この日米安保体制のもとで共同対処する際に、日本の対潜哨戒機がP2JからP3Cというものにかわってまいります。そのことは対潜能力が飛躍的に海上自衛隊で上がってくるということになるわけでございます。したがいまして、日米共同対処しながら日本の安全を守る上では非常に有効な手段であるというふうにハロウェー並びにブラウン長官判断しているようでございます。そしてまた、私どもが過去の日米安保体制の中で考えてきましたところでは、アメリカの絶対的な優位に立っております軍事力を駆使して、日本の自衛隊の力というものは余り期待しなくても対処できるというような、きわめて差のあるというような感じでございましたが、やはりアメリカ自身がヨーロッパ諸国に対しても期待しているように、日本のような経済力の豊かな国に対しまして、やはり自助の努力といいますか、防衛力整備の面で、憲法の許されている範囲の中においてそれぞれの努力を期待しているという感じが出ていたような印象を受けたわけでございます。
  310. 森田重郎

    ○森田重郎君 また、実は話題を変えたいと思います。  実はこの防衛問題のとらえ方でございますが、私は、一国の防衛問題のとらえ方と申しましょうか、また防衛理論と申しましょうか、防衛論争とでも申しましょうか、こういう問題は、あくまでその国のやはり総合的な、先ほどもちょっと申し上げました国家安全保障的な観点、見地から横断的に相関関係の中で論じられなければならないというふうな感じを強くしておる者の一人なんでございますけれども、本日の当委員会におきましても、論点と申しましょうか、そういった質疑の中心というのがどうしても装備力、施設の問題、自衛力、自衛隊、こういった一連のこの問題にどうも終始しておるような感が非常に強いわけでございます。御承知のように、昭和四十八年の例のわずかな期間のオイルショックでもあれだけ日本経済が右往左往しなくちゃならぬ。このオイル問題一つとってみましても、これはやはり防衛には欠くことのできない物資である。同時にまた、仮にまた食糧一つとってみても、恐らく穀物ベースで六〇%ぐらいは輸入しておるんじゃございませんか。こういった食糧問題というようなものを、われわれが無視、等閉視して防衛の問題というふうなものを考えることはできない。そういうような意味から考えますと、いわゆる装備であるとか、あるいはまた施設であるとかというふうな、こういつた一連の問題は、やはり総合的な大きな、要するに防衛政策と申しましょうか、そういうふうな中での一つのある分野にすぎない。すぎないという言葉を使っては大変これは語弊があるかもしれませんが、そんな感じが非常に強いわけでございますが、長官いかがでございましょうか。これから世界構造の仕組みというのも非常に多様、多次元の世界になってくる、そういった感覚の中で、将来を展望しながらこれからの新しい自衛力、防衛というふうな問題につきましてひとつ長官のお考えをお聞かせ賜りたいと思います。特に長官からひとつ御答弁賜りたいと思います。
  311. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 大臣が御答弁申し上げます前に、いま先生がおっしゃいましたことは私どもまさにそのとおりだと思っております。私どもは、いわゆる国防の基本方針の中で、防衛力の分野におきます担当部局といたしまして、いろいろ装備の問題あるいは施設の問題を申し上げているわけでございますが、御承知のように軍事力の国の安全保障に果たす役割りというのが、いわゆる二次大戦以降というものは以前のような絶対的なものではございません。しかし、私どもは現実の国際情勢を見ますると、国の安全保障の中で軍事力が果たしている役割りがゼロだというふうには考えられないわけでございます。したがいまして、そういった意味の総合的な施策というものが、わが日本におきましても国防の基本方針になっているわけでございまして、その第一には、外交による国連を中心とした外交努力というものがございます。二番目には民生安定といいますか、国民の生活を安定させるということが重要であるというふうに方針ではうたってございます。そして三番目に、必要最小限の自衛力、この必要最小限というのが、まさにいま先生がおっしゃったような意味で、世界軍事力の枠組みの中でいかに果たしていくか、必要な最小限の自衛力を持つということが国の安全保障に役立つというふうに考えているわけでございます。そして最後のところで、国連が完全に平和維持機能を果たすに至るまでの間は、日米安保体制というものによって軍事面というものは安全を確保していく、同時にまた、日米安保条約による経済協力その他によって生活の安定その他を確保していくというような考え方が国防の基本方針になっているわけでございます。
  312. 金丸信

    国務大臣金丸信君) ただいま防衛局長が申し上げたわけでありますが、私は防衛局長考え方と同じでありますが、しかし、防衛も最小限の防衛が必要であることは当然でありますが、それよりきょうの日本は平和外交というものを推進していくところにいわゆる日本防衛というものもあるというように私は承知いたしておりますし、あるいはエネルギー問題や食糧の問題、当然考えなくちゃならぬことはもちろんだと考えておる次第であります。
  313. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は、米軍の駐留費負担増の問題を云々する気持ちは毛頭ございませんし、これはむしろ賛成派の一人でございますし、同時にまた、防衛費そのものにつきましてもGNPの一%以内でそれを抑えようというふうな気持ちはございません。したがいまして、そういう意味では今後の防衛のあり方というふうなものは、これまでいろいろ討議されましたそういった装備なり施設なりそういう中で、また支援体制の中で、むしろ賛成派の一人でございますので、そのこと自体につきましては別にどうこうというふうなことを申し上げているわけではございませんけれども、ただいま長官からも御説明がございましたが、日本経済が現在黒字である、外貨がたまる、ある意味では経済大国というふうなことを言われておりますが、しかし、一方その背景、その基盤というふうなものを見ますと、ただいま申し上げましたように、石油の問題一つとってみても、あるいは食糧の問題を一つとってみても、ある意味では大変脆弱な経済基盤の上に成り立っている。そういう意味から考えました際に、やはり国民生活のある意味ではもろさの上に立った防衛力というふうなことではいかぬというふうな考え方の中から、実はただいま御質問を申し上げたようなわけでございまして、再三同じようなことを申し上げるようなことになろうかと思いますが、あくまでも各省庁横断的に相関連連動する中で、この防衛問題というふうなものを、そういう考え方の中で位置づけをお願いしたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  314. 秦豊

    ○秦豊君 防衛庁長官はまだ時間がたっぷりだろうと思いますが、伊藤防衛局長は、あるいは本日の委員会がお別れ答弁と、また夏目さんがそろそろお忙しくなるのではないかという的外れな観測を持っていますけれども、最初にちょっと確認をしておきたいんですが、長官ね、午前中から伺っていると、統幕議長の責任問題ですね、択捉ケース。さっきは検討するというふうに答えておられたんだが、これは責任をとらせるとか、処分に値するというふうな判断認識が現にあなたの脳裏にあるのかどうか、あるいは七十五日ぐらいはずっとそのままにしておけばなだらかに忘れてくれると、こういう印象なのかどうか、その辺どうなんですか。
  315. 金丸信

    国務大臣金丸信君) きょうその問題について、やめさせたらどうだというような御意見がありました。私は、この問題につきまして検討するという話、検討という問題は国会答弁要領だと私は考えておるわけですが、(「答弁用語」と呼ぶ者あり)その問題を、議員さんから言われたことでございますから検討する、こう言ったわけでございます。
  316. 秦豊

    ○秦豊君 とにかくその場はそう答えておいた、答弁用語の定形の一つという程度ですか。  それから、あなたはきのう自民党の、これは何ですか、国防部会、安保調査会の合同会議に出られましたですね、択捉問題について、あなたはさっきはアメリカははっきりした情報はどうも持ってなかったようだと答弁されながら、自民党のその席では、ソ連軍択捉島については、アメリカは新たな部隊が移駐した可能性が強いと判断しているようだとあなたは述べておられる。それは何に基づくか、それはウィズナー・アメリカ太平洋軍司令官の言だと。これはどっちが正しいのですか。
  317. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきましては、そのように言っておりましたが、しかし私が自民党の部会でお話をしましたのは、ウィズナー司令官自体もその辺がはっきりしないと、しかしそうじゃないかという程度の話を部会でいたしたわけであります。
  318. 秦豊

    ○秦豊君 とにかく、委員長にもこれは計らっていただきたいんだが、この統幕議長、そのパーソナリティーは別ですよ、これ。北東アジア安全保障に絡んだ問題、対ソビエト情報、これについて統幕議長、内局、こんなに四分五裂では話にならない。そこで、きょう伊藤さんの補充答弁もおありになったが、ひとつアメリカにこういう判断があるのであれば、仮に新たな部隊ならば、空挺部隊なのか、対地支援戦闘機部隊なのか、偵察部隊なのか、海なのか、その辺を含めて、ひとつこの択捉島問題とは一体何であったのか、現状をどう締めくくるか、こういう新しいのをまとめて出してくれませんか。あっちこっちあっちこっち、いかにもぶざまだと私は思うが、委員長にもお願いしますけれども、やっぱりまとまってこれが択捉問題です、防衛庁のきわめつきの見解ですというのを出してくれませんか。この程度ではどうも国会で児戯に類する質疑を繰り返して終わりと、はなはだ不本意だと思いますがいかがでしょう。
  319. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) この択捉島の問題については、いま先生がおっしゃいましたように、結論というのは出ていないわけでございます。いま大臣も御説明いたしましたが、当然のことながら、この択捉問題というものは私ども関心がございましたので、ウィズナー大将との懇談の際に、われわれは、五月の二十日ごろから散発的にあの島に飛行機あるいは艦艇等によって要員、物資等が移動しているように思うと、で、その目的が何であったかというのがどうもわれわれわからないので、一つには小規模の訓練ということも考えられるし、また部隊移動あるいは基地建設のための人、物資の輸送ということも考えられると、で、アメリカとして何か情報を持っていないかということを言ったわけでございます。それに対するウィズナー大将の回答が、いま大臣が申し上げましたように、実のところわれわれもそういった散発的に物が、人が動いていったというのはつかんでいるけれども、その目的が一体何であったのかというのはどうもよくわかっていないんだと、しかし、どうも航空機艦艇動きから見ると、演習というよりは部隊移動のため、あるいはそれに必要な基地建設のための移動という方が、強いて言えば可能性があるのかなあというような程度のことであったわけでございます。したがいまして、きわめつきの判断というものがこういうものであるということを出せる状況ではないわけでございまして、その後艦艇航空機の特異な行動というものもつかんでいないのが現状でございます。
  320. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカが言うように、新しい部隊というけれども、同じ質と量の、同じ規模の部隊が移駐したならば交代だ。しかし、その後輸送艦の往来が激しいならば、あなたがちらっとどこかで言われたように、たとえば飛行場の滑走路を厚くするとか延ばすとかいろいろあるでしょう。それならば一過性の演習よりもむしろ対日脅威は、日本から見た脅威の量ですね、これはふえる。当然ですね。だから、そういう点について、これからはみだりな混乱を起こさないように努めてもらいたいし、そのためにも統幕議長の問題には、七十五日フェードアウトじゃなくて、きっぱりけじめをつけるというお考えに立つべきではないかと思いますが、長官どうでしょう。
  321. 金丸信

    国務大臣金丸信君) その問題につきましては、まことに重大な問題であります。検討させていただきます。
  322. 秦豊

    ○秦豊君 それから、統合作戦研究ですね、皆さんが新たになさろうとする。これは三矢と比べて結局侵略態様の、つまり想定シナリオに、バラエティーがあると、厚みがあるということのほかに、直接には長官がオーダーをした、内局がかんでいる、したがってシビリアンコントロールには万遺憾なきを期せると、こういう答弁が繰り返されているんだが、一つだけこれは伺っておきます、今後のことがあるから。  これは、あなた方がなさるこれからの統合作戦研究というのは、何から何までがマル秘扱いなのか、全部マル秘扱いになさるつもりなのか、あるレベルの、ある方向の、ある部門のものは国会に明らかにされる用意があるのかないのか、きわめて大事だから伺っておきたい。
  323. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 先ほど来申し上げておりますように、この防衛研究は部隊の運用研究を主体にしているわけでございます。そして各種の侵攻態様といたしまして、着上陸の侵攻があったときに、どの場所で行われたときにどのように陸海空の部隊が運用されるかというような問題、あるいは海上交通破壊が主体として行われる侵略に対しては、海空がどういう協力体制でこの侵略に対処するか、あるいは航空攻撃があった場合の航空自衛隊の対処のやり方、そういったものが中心になるわけでございます。したがいまして、この研究自体というものは、きわめて技術的な運用上の問題を含んでいるわけでございまして、これはまさに手のうちといいますか、能力あるいは対処の仕方といったものが中心になるわけでございますから、このこと自体は公表するような性質のものではないと思います。しかし、これをやるに当たって、それがあるいは予算面あるいは法制面あるいはその他の施策の面でこういうことが必要になるということは、当然この国会において御説明しながらその必要性というものを御理解いただく、御審議いただくという手続が必要になろうかと考えております。
  324. 秦豊

    ○秦豊君 伊藤さんね、ちょっと答弁足りませんね、残念ですが。つまり、こういう運用は有事の際に行われる。そうすると、有事を前提にした非常立法はすでにあなた方作業を始めている、作業始めたんです。それで、いま陸海空ばらばらで統合戦略はないんでしょう、統合運用もなかった、それはいけない、やろうと、金丸さんになって大いにハッスルしていると、これが実態ですよね。それならば、国会はそのときどきにシビリアンコントロールのいわゆる最高機関であると一応言われるならば、それはこちらの能力に関係します、それはこちらの意図が明らかになります、それはマル秘ですというふうな対応では、むしろあなた方が考えていらっしゃる防衛についての少なくとも永田町次元での合意とか、あるいは広く国民の皆さんにざっくばらんに訴えて、迫力を持って、そうして合意を吸引するというあなた方の方向とは背馳しますよ、離れますよ。一方ではそういう願望を持ちながら、一方では相変わらずマル秘主義だと、これはあなた筋道が違いますよ、そうはお思いになりませんか。
  325. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 必ずしもそういうわけではございませんで、構想とか何とかで御説明できるものは十分したいと思います。しかし、たとえば対応するときに、航空自衛隊の飛行機何機をここに集めてこういった運用をするというようなことになりますと、これはもう全く全部裸になったようなものでございますから、そういうものに対する侵略というものは、当然のことながらそれ以上のものを持って、それに負けないようなものを持ってくるということになりますから、そういった具体的な運用そのものについては、これは公表すべき性格のものではないというふうに考えているわけでございます。
  326. 秦豊

    ○秦豊君 少し違うんですね、やっぱり。やはり有事の際というのは、たとえば非常立法が発動される、物資の調達から交通運輸系統から、管制から艦船の徴用から含めてね、いわゆる昔用語で言って。こういう国民生活をすべて拘束する非常立法をベースにして、つまり日常の法体系が全部変わってくるわけだ。そうでしょう。だからそういう非常立法なんという問題については、防衛庁の竹岡官房長のところで作業が煮詰まるその都度都度、内閣委員会ないし当該委員会で、関連委員会報告があり、われわれはチェックしなければならない。本来ならば、防衛白書だって素案の段階でわれわれが勉強でき、チェックできるような配慮をあなた方はすべきなんだ。ところが、素案の段階ではソビエトは明らかに仮想敵になっているはず、恐らく。ところが、本編で完了されたものには、刺激を恐れて今度も落ちるというふうに作業すると思うんだが、万事国会は、だから影を踏むようなデータをしか与えられない。これではいけないから、防衛長官ね、できる限り今度の統合研究においても、伊藤さんの答弁のある部分はわかるが、ベースがわからない。私は納得できないから、極力国会にその都度明らかにするというお約束をしていただきたい。
  327. 金丸信

    国務大臣金丸信君) ただいま伊藤防衛局長が申し上げましたような点につきましては、それは御説明申し上げることはできないという面もおわかり願えると思うんですが、できる限り、いわゆる最高機関である国会に、これがシビリアンコントロールであります、われわれは当然できる限りのことは御説明を申し上げたいと、こう考えております。
  328. 秦豊

    ○秦豊君 亘理長官ね、ちょっとあなたに伺いたいんですが、私、実は皆さんとは入れ違いにうちの田英夫とワシントンに入った、あなた方が出られた二日後ぐらいだと思いますが。それで私たちは、ペンタゴンで言うとトーマス・C・ピンクニーという空軍の准将に会ってきたんだが、これはペンタゴンの国際安全保障局で東アジア太平洋担当局長です。それで国防次官補代理でもあるんだが、それに少し聞いてみた、時間が余りなかったんですがね。それで亘理さんに伺いたいんだが、朝からいろいろなことを言われましたね。ところが、アメリカがはっきりこう言っているんですよ、防衛庁が隠そうとするものはワシントンからあぶり出してみるとよくわかると、情けないがね、こういう実態があるのでちょっと一つだけ伺っておきたい。  経費分担について、彼は自分の責任範囲だから、この問題はこう言っていますよ。つまり、在日米軍の施設はいま更新、更改期に差しかかっていると、たとえば兵員の住宅等を含めてですね、その場合に、もし伝えられるように、金丸さんが二百億とか三百億とか言っておられるようだが、仮に百五十億円程度の原資が日本政府理解国会の了解のもとに支給されるとしたらどういう優先順位を考えているかと聞いたら、もし百五十億円くらいなら、岩国とか横田、沖繩等の住宅建設、建てかえを希望すると。たまたま一高官がそう言ったんだからあなた方はあずかり知らぬという答弁もあり得るわけだが、たまたまこう言った。そうすると、朝から議論しているようにリロケーションに関係のない費用をすでにアメリカ側は明らかに期待している、こういうことになるんですよ。そこで、この問題は法制局長官まで答弁に動員されておったようであるが、これはもう地位協定を踏まえる限り無理です。拡大解釈なんというものではなくて歪曲以外にない、これは無理。無理に無理を積み重ねてもだめ、そんな知恵は出るはずがない。だから、一ころは、この報道がされた早い時期に、丸山さんが、地位協定ではなくて何と言ったかな、新しい取り決めというふうなことをちらっとコメントされたことがあるんだが、しょせんは新しい取り決めが必要になるわけですよ。それ以外はすり抜ける方法はないというのが私の印象と私の結論。だから、あなた方はアメリカ側がすでにそういう期待感でうずうずしているんだから、初めに結論ありきで、初めに防衛庁長官発言ありきだ。あなた方は、後は強引に法解釈とか新しい取り決めとか、思いやりとか、何とかかんとか言いながら来年度予算を期待すると、こういう筋道になっているんだが、無理ですよそれは、亘理長官。やっぱり新しい取り決めを堂々とっくりなさいよ。われわれは大きく力強くそれに反対するから。そうすべきではありませんか、違いますか。
  329. 亘理彰

    説明員亘理彰君) 大臣がかねて申されておりますとおり、米軍の駐留経費の問題については、米側の要求によってどうこうする問題ではない、あくまで日本が自発的に地位協定の範囲内でできることを、なすべきことをやっていくんだと、こういうことを言われておるわけでございますが、この辺は米側もよく承知しておりまして、私もいまお話のピンクニー准将にはワシントンで会っておりますけれども、要求というふうなことは一切受けておりません。これは事実でございます。ただ、前々から申し上げておりますとおり、米軍の住宅事情が非常に困窮しておるというふうなことは聞いております。聞いておりますが、これは要求というようなものではないと思います。いずれにしましても、私どもは、これは繰り返しになりますが、地位協定の範囲内でなすべきことを考えていこうと、こういうことで検討に入っているところでございます。
  330. 秦豊

    ○秦豊君 やっぱりあなた方は、それはいろいろなスタッフを抱えているし、いろんな知恵が、悪知恵が伝統的におありだけれども、今度のケースは無理ですよ。だから新しい取り決め以外にない。だからそれは時日の経過とともにその都度国会で論戦しましょう。あなた方は非常な無理を冒そうとしている。アメリカは、もちろんピンクニー氏も要求なんという言葉は一切使いませんよ。もしあり得るケースとして、日本国会並びに政府において御配慮をいただけるならば、それは大いに評価に値するしありがたいことだと、こういう間接叙法で言っているんだから、それはわかり切っている。だから、あなたは日米間のこういう問題をさえきわめてウェットに処理されようとする、これは非常に危険な方向です。なし崩し路線、あなた方は非常に間違ったことを積み重ねようとしている。この点は申し上げておきたいと思います。その都度今後の展開に合わして議論する必要があると思います。  もう一つペンタゴンで聞いた話の中で気になるのは、夏目さんのいつかの答弁でも、伊藤さんの答弁でもあったんだが、航空自衛隊のアメリカ本土での訓練問題です。今度も話し合わなかったと言えばもう二秒で終わるんだ。ところが、ピンクニー氏はこれについては、紙に書いたものはまだありません、ありませんが、基本的な合意と了解に達していますと、こういうことを私に語っているんだが、今度この問題はどういうふうになったんですか。
  331. 夏目晴雄

    説明員(夏目晴雄君) 御承知のように、わが国訓練空域の環境といいますか、非常に制約されているという状況の中で、私ども事務的に、航空自衛隊の訓練が可能なような、たとえばシミュレーターの活用を図るとか、あるいは訓練空域の増設、あるいは時間差、高度差の分離等について種々検討しているわけでございまして、そのアメリカ行きの件につきましても、われわれ事務的な検討の一環として検討していることは事実でございます。ただ、この件を検討しますに当たりましても、アメリカ一体こういったことを受け入れる余地があるかどうかというのが一番基本的な前提になるものでございますから、そういう意味で非公式にアメリカ側の意向を打診している、それに対してアメリカ側は、基本的には可能であるが、ただ、具体的な派遣規模、派遣の態様、そういった細かなことについては今後十分検討し、調整しなければならないだろうと、こういうのが現在の実情でございます。
  332. 秦豊

    ○秦豊君 あのね、何もかもそんなに覆い隠す必要は私ないと思います。もっとその都度明らかにした方がフェアな態度ではないかと思う。長官もネバダ州のネレス空軍基地をごらんになったでしょう。もしあなた方がパイロットを派遣して訓練をするとすればそこなんですよ、そこしかない。それでアメリカはすでに、ピンクニー氏によると、たとえばF4を日本は使いたいのか、やはりイーグル15なのか、持ってくるのか、レンタルかと、そこまで話を出しているのに、夏目さんによると、事務としては、日本でできない訓練があるんだから当然次のことを考えます、硫黄島はまだまだだから話にならぬと、すれば完備しているアメリカというのはそれはあたりまえの話じゃないですか。そうでしょう。しかも国防総省は基本的に了解し、合意はできていると、紙に書いたものだけがないんですよ。サインみたいなものでね、それは後の話なんですよ。かなりやはり両方のコーディネート、調整が進んでいると思う方が常識ではありませんか。たま航空自衛隊としては、このネリス基地であれば、たとえばできる訓練科目がありますよね、のどから手が出るほどやりたいと思うのはユニホームとしては常識じゃありませんか。内局がそれを受けて、漫然と日を過ごすのじゃなくて煮詰める努力をするのもこれは当然じゃありませんか。その辺はもっとフェアに答弁されたらいかがですか。ネリス空軍基地が大体具体的な目標で、話がもっと進んでいる、来年度の概算要求ぐらいには顔を出すのではないかとさえ私は思うが、それはきわめて間違った観測でしょうか。
  333. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 私は今回ペンタゴン、あるいはネリス空軍基地も参りました。その問題は出ておりません。しかし、ただいま答弁したような話は防衛庁長官として聞いておるわけでありますが、ただ私は行ってみて、空域は広い、そして訓練内容を見せていただいて、日本にはとてもこんな訓練ができるものじゃないと、練度の高い訓練をしている。こういうところでやれればいわゆるりっぱなパイロットができ上がるなという私は感じはいたしました。
  334. 秦豊

    ○秦豊君 ちょっと防衛局長ね、日本でできない訓練というのは何ですか、この場合の。この場合に限定してですよ、ちょっともう一回なぞってください。
  335. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 一通りの訓練というのは日本でできるわけでございます。ただ、空域の問題がございますので、反復して同じような訓練を一回のフライトでやるというのはなかなかむずかしい問題でございます。それからもう一つは、訓練をやった結果の評価の問題、そういった機材がそろっているというふうに聞いております。
  336. 秦豊

    ○秦豊君 できない訓練、やりたい訓練、言いかえれば。対地攻撃がありますね、違いますか。
  337. 夏目晴雄

    説明員(夏目晴雄君) ただいま防衛局長答弁にありましたように、一通りの訓練はできますけれども、先ほど申したとおり、訓練空域が遠いということから、まあたとえば飛行機の航続時間というものが限定されている関係から、往復に非常に時間がかかるという意味で、中身の濃い訓練ができにくいというふうなこと、それから夜間訓練が、これは基地との問題で、いろいろやかましい基地ごとの条件がございますので、そういう面が若干の制約がある。それから対地攻撃訓練についても、射場の制約その他からなかなか厳しい環境にあるということは事実でございます。
  338. 秦豊

    ○秦豊君 少しその辺でかみ合ってき始めたんだが、いまネリス空軍基地には、たとえばレッドフラッグとかブルーとか含めてフラッグシリーズがあるでしょう。社会主義圏のソビエトと同じような町並み、ソビエトと同じような戦車あるいは基地をつくっておいて、それを目標に対地攻撃をし、伊藤さんも言った効果の判定をすると、こういうことをやっているんだけれども、これは日本の航空自衛隊にとっては本当に渇望してやまない訓練科目じゃありませんか。しかも、夏目さんがいみじくも言われたように、日本じゃどうもしんどいと、やれないと、十分にやれない。ならば、もうかねがねこの話はあるんだから、ネリス空軍基地ならばすべての設備が整っている、アメリカは基本的に合意しているという材料がある場合に、恐らく航空自衛隊は早ければ来年度ぐらいからでも、早ければですよ、遅くとも明後年ぐらいまでにはネリスに赴いた訓練を想定し準備しているのではないかと私は思っているんですが、重ねて、じゃ来年度の概算要求には航空自衛隊パイロットのアメリカ本土での訓練費用は入らないと明言できますか。
  339. 夏目晴雄

    説明員(夏目晴雄君) 先ほども申し上げましたように、私どももネリス空軍基地というのが非常に完備した基地であるということは承知しておりますけれどもアメリカ側からその基地でやる云々というようなことを一切まだ聞いておらないわけでございまして、どこの基地でやるのか、飛行機の手当てはどうするのか、そうしてその経費の分担はどうなるのかという、一切はこれからということでございまして、したがいまして、私どもできるだけ早くこの問題を詰めたいとは思いますけれども、この後数カ月の間にこの話が結論が出まして、果たして来年から派遣できるかということになりますと非常にむずかしいんではないかというふうに考えております。
  340. 秦豊

    ○秦豊君 夏目さん、きょうは仕方がありませんでしょう。けど、実際私が一つ申し上げておきたいのは、一応ファントムも外した、対地攻撃用の爆撃照準装置。今度イーグルはつけている。ファントムは一応外している。しかし、対地攻撃はF1に任せまして実はF15は空対空ですと、空対地は使いませんというふうな運用はこれは実態的でないので恐らくそれは無理、詭弁。そうなると、パイロットの高度な訓練のカリキュラムを組んでいくと対地攻撃というのは重要な科目になってくる。日本でできない。だからこれはネリスを借りようと、こういう話にだんだんなっていきます。そうなった瞬間に、テクニカルにはそれでいいかもしれないが、政治的にはきわめて大きな問題であなた方があえてそれに挑戦することになるということを申し上げておきますが、いまは青図だにないという段階だからこの議論はこれだけにします。  そこで、もう一つ長官、西ドイツへ行かれまして、西ドイツと何か技術協力の話がちらっと一部のマスメディアに載っていましたですが、これはどういうことなんですか。防衛庁向こうの国防省当局の技術協力協定みたいなものを結ぶんですか、それとも防衛庁の技本と向こうの国防監というのですかね、あれは、とが交流するんですか、あるいは第三のケースとしては、川崎と西ドイツのメッサーシュミット・ベルフあたりが、たとえば武装ヘリコプターの問題、空対地ミサイルの問題を含めて共同開発のテーブルに着くんですか、どういうおつもりでああいう発言されたんですか。
  341. 金丸信

    国務大臣金丸信君) この問題につきましては、午前中の質問にもお答えいたしたわけでありますが、私がちょうどドイツの国防大臣昼食会に臨んでおりましたら、防衛庁の装備局長とか、四、五年前に見えて技術協力という話が出たがナシのつぶてになったと、こういうことでありました。そこで技術協力という問題について、実は防衛庁の技術研究というものが、研究費自体がスズメの涙ほどであるということ、しかし私は防衛の基本というものは、この日本防衛日本国民の英知で解決するということが原則だという私は考え方を持っています。日本の予算の少ない中で、共同研究なりあるいは情報交換なりできるということは、これは目的を同じうすることであるからひとつやりましょうという話をいたしたわけでありますが、しかし、その問題は事務的に詰めなければならぬ。いま先生が三通りばかりのお話がありましたが、その問題はどれでやろうとか何をやろうということでなくて、事務的に詰めて、やれるのであればやろうと、こういうことでありまして、まだ不確実であることは確かであります。
  342. 秦豊

    ○秦豊君 あとまだ少し残っておりますが、ときに伊藤さんはともかくとして、防衛大学の校長は一体どうなったんですか。防衛大学の校長というのは非常に、一教育機関の校長なんだけれども、すでに卒業生一万、一期生は一佐、ワシントンにも行っている、駐在武官で。各一線指揮官になっている。この防衛大学の校長というのは並みの校長を選ぶというのではマイナスイメージを与える、効果は上がらない、非常に大事なポストだと私は思っているんです。一体内定されたのかどうなのか、ポスト猪木は。つまり警察畑の既得権益だから警察畑というふうなんじゃなくて、幅広く選ぶ、民主主義をたっぷり備えた教養の豊かな思想性を持ったそういう方が学生の教育効果も上がる、防大を見る目も違ってくると私は少なくとも思っている。警察の金ピカの肩章のイメージのあるそういう人ではなくて、もっとやわらかい、もっと時代や歴史が語れる人、民主主義を語れる人、そういう人を据えるぐらいの気持ちがおありでないのかどうか。  それで、最後に装備局長に。今度調印されたようだが、FXのサインされましたね、P3Cを含めて。あれはわれわれ国会に提供をしていただく用意があるかどうかを伺って終わります。
  343. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 防衛大学の学長の選定ということは非常に重大な問題であると私は心にとめております。現在におきましてはまだ決定されておりません。しかし、私は防衛大学の学長というものは、いわゆる自衛隊の根幹になるべき、あるいは幹部になるべき人だと思います。そういう意味で、いわゆる学長は学生に本当に精神的にもあらゆる面で尊敬される人でなくちゃならぬ、あるいは教授連からも尊敬される人でなくちゃなるぬ。しかし、それは警察だとかあるいは学者だとか、あるいは文化人だとか、いろいろ人はあろうと私は思うんですが、その職業のいろいろを問わず問題は人だと私は考えていますから、その人の問題について十二分に検討しながら決定してまいりたいと考えておるわけであります。
  344. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 私どもが調達を予定しております戦闘機、P3Cについても同様でございますが、これの取得、生産というものに関して合意が成立いたしまして、その基本的な覚書といたしまして、園田外務大臣とマンスフィールド大使との間に書簡が交換されております。これはF15を百機日本政府が取得しまたは生産し、米国は必要な技術の提供等に協力することに同意するという大筋のものでございまして、その実施細目といたしまして、いわゆるMOUというやつがサインされたわけでございますが、そっくりそのままお出しするということはアメリカとの話し合いでコンフィデンシャルということになっておるわけでございまして、差し控えさせていただきたいと思いますが、できるだけその詳細については御説明を申し上げたいと、こう思っておるところでございます。
  345. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  346. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 速記を起こして。  金丸長官
  347. 金丸信

    国務大臣金丸信君) ただいま、検討という言葉国会用語だというようなことを申し上げましたが、私は慎重に検討するということで、前段のお話につきましては取り消しを願いたいと思います。
  348. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会