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1978-03-23 第84回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————    委員異動  三月一日     選任          前田 勲男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 長田 裕二君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 小澤 太郎君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 高橋 圭三君                 前田 勲男君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵政大臣     服部 安司君    政府委員        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省貯金局長  高仲  優君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    参考人        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      川原 正人君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会専        務理事      橋本 忠正君        日本放送協会理        事        反町 正喜君        日本放送協会経        理局長      渡辺 伸一君        新東京国際空港        公団環境対策室        長        長井 弘之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本委員会は二名の欠員となっておりましたが、去る三月一日、新たに当選されました前田勲男君が本委員会委員に選任されました。(拍手)  なお、一名につきましては欠員のままでございます。     —————————————
  3. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会新東京国際空港公団環境対策室長長井弘之君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。服部郵政大臣
  6. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十三年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ五十三億五千万円増の二千百六十一億六千万円、事業支出は前年度に比べ二百二十億二千万円増の二千百九十一億円となっております。この結果、事業収支における不足額は二十九億四千万円となっております。  資本収支におきましては、昭和五十一年度及び昭和五十二年度からの繰越金百十八億三千万円を資本収入に計上し、このうち、二十九億四千万円を事業収支における不足額補てんのため、八十八億九千万円を債務償還に必要な資金不足額補てんのために使用することとしております。  また、テレビジョンラジオ放送網建設放送設備整備等のための建設費として、二百七億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送全国普及を図るため、放送網建設を行うこと、視聴者意向を吸収し、共感を呼ぶ魅力ある番組編成を行うこと、視聴者生活態様に即した営業活動を積極的に推進し、受信料の確実な収納に努めるとともに、受信料免除について見直しを行い、その免除対象の一部を廃止すること等となっております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配布されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどをお願いいたします。
  7. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長
  8. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十三年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  昭和五十三年度における協会事業運営は、昭和五十一年度を初年度とする三カ年間の経営計画最終年度としての課題を果たすべく、受信料収入の確保と経費の抑制に最大の努力を傾注するとともに、建設計画につきましても重点的に実施することといたし、社会経済情勢に即応して、極力業務の合理的、効率的運営を推進しつつ、視聴者意向を吸収して、これを事業運営に的確に反映し、放送全国普及番組充実刷新に努めることといたしております。  また、受信料免除につきましては、ここ数年来の協会予算承認の際に付せられました衆参両議院逓信委員会附帯決議趣旨等を勘案いたしまして、このたび、免除実施対象見直しを行い、当面、昭和五十三年度以降、職業訓練所等項目受信料免除を廃止することといたしております。  次に、昭和五十三年度の主な計画について御説明申し上げます。  建設計画につきましては、テレビ難視解消を、より効率的に推進することとし、中継放送局建設及び共同受信施設の設置を行うとともに、FM放送局建設などを行うことといたしております。  また、老朽の著しい放送設備の取りかえ整備実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、テレビラジオ放送ともに、視聴者意向を積極的に受けとめ、視聴態様に対応して、共感を呼ぶ魅力ある番組の一層弾力的な編成を行うこととし、また、ローカル放送についても番組を一層充実することといたしております。  国際放送においては、国際間の理解と親善に寄与するため、番組刷新を図ることといたしております。  広報及び営業活動につきましては、視聴者会議運営などの諸活動を通じて幅広い視聴者意向を積極的に吸収して、これを事業運営に的確に反映させ、また、視聴者生活態様に即した営業活動を推進して、受信契約増加受信料の確実な収納に努めることといたしております。  調査研究につきましては、放送番組放送技術向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすことといたしております。  以上の事業計画実施に当たっては、全般にわたり、経費の節減と業務効率的運営を一層徹底することといたし、要員数は前年度どおりに据え置き、給与等につきましては適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支においては収入総額二千百六十一億六千万円を計上し、このうち、受信料収入については二千百十二億円を予定しております。これは、有料契約者の増減について、カラー契約八十五万件の増加普通契約二十五万件の減少、契約総数においては六十万件の増加を見込んだものであります。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息などにより総額二千百九十一億円を必要とするため、事業収支において二十九億四千万円の支出超過を来たすこととなりましたが、これについては、三カ年の経営計画考え方に基づき、昭和五十三年度財政を安定させるための財源として、昭和五十一年度及び五十二年度から使用を繰り延べてまいりました繰越金により補てんすることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費二百七億円、債務償還に百五億四千万円、総額三百十二億四千万円を計上し、収入には、財政安定のための繰越金受け入れ、放送債券借入金等を合わせ総額三百四十一億八千万円を計上いたしております。  以上、昭和五十二年度日本放送協会収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、国民生活向上放送の果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の協会事業運営に当たっては、一層視聴者理解と支持を得るよう努め、協会全体の力を結集して、業務全般にわたる合理均運営と改善に不断の努力を傾注し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞ速やかに御審議承認賜りますようお願い申し上げます。
  9. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大森昭

    大森昭君 服部郵政大臣は、就任以来大変精力的に活躍をしていますが、しかし所管であります業務内容の中では、いろいろ不祥事も出てまいりましたし、いろんなことがあるわけでありますが、各省共通とは言いながらも、郵政審議会などは、従来ともすればお手盛りでありますし、なれ合い的な答申がしょっちゅう出ていますが、そういう問題についても、委員刷新をしたいという新しい姿勢業務に携わっておられますけれども、電波行政について、新しい角度でどのような方針と、そしてまた方法をお持ちですか。
  11. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 電波は貴重な有限資源であるとともに、私は国民唯一共有財産であると、そのように理解をいたしております。したがいまして、この唯一国民共有財産である電波を、当然国民のために有効に活用してまいることが私の行政基本姿勢であると考えております。大森先生も御承知のとおりに、近年わが国における電波利用は著しく増大してまいりました。利用の形態も一段と多様化してまいったことは御承知のとおりでありまして、こうした高度化してまいりましたこの電波利用に伴いまして、電波放送行政も多くの課題に直面いたしておりまするが、私はさきに申し上げましたとおりに、あの基本的な考え方に立ちまして、今後は積極的に国民本位の各種の施策を強力に推し進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  12. 大森昭

    大森昭君 そこで、大臣、いずれにいたしましても、大変今日の社会というものは多様化をしておりますし、そしてまた国民価値観の変動といいますか、情報の需要動向も変化をしていると思うんです。それで、とりわけいま大臣もおっしゃいましたけれども、電波行政に対する問題について、新しい視点に立たなきゃいけないわけでありますが、先般、大臣がこの委員会におきまして、電波行政については適時適切にやっていきたいという所信が述べられましたけれども、私から言うまでもなく、その点ではまだ私より大先輩がたくさんおられますが、いわゆる電波放送法両案の問題が、過去国会の中でいろいろ議論されたようでありますけれども、私が素人目で見ましても、今日制定をされております放送法にいたしましても、電波法にいたしましても、あの当時から見て改革をしなきゃならないんじゃないかと思いますが、その取り扱いについて大臣はどのような見解をお持ちになっておりますか。
  13. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘どおりにこの電波法放送法改正につきましは、たしか昭和四十一年第五十一国会に提出されまして、残念ながら改正案が廃案になったことは御案内のとおりでありまするが、以来引き続き検討を進めてきたところでありまするが、私は正直申し上げて、この電波法放送法が制定されてからもうすでに三十年近くなると考えまするが、現在の電波放送技術開発、目覚ましい発展、しかも衛星放送など新しく発生してきた問題など考えますると、これは端的に申し上げて、ちょっとずれがあると考えておる次第でございます。したがって、おのおのの立場で各党がこの問題をお取り上げいただいて、現在のそういった電波放送行政にふさわしい内容検討をいただいていることも私はよく存じております。したがって、できれば、皆様方の御理解を得るならば、こういう問題にひとつ真剣に郵政省も取り組んで、最終的な成案を得て御厄介になりたいと考えているところでございます。  ただ、法改正の問題は、わが国電波及び放送体系の将来をも左右する重要な事柄であることは申すまでもありませんが、世論の動向、また国際的規律動向を見きわめつつ、急ぎ成案を得るための努力を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  14. 大森昭

    大森昭君 どの問題を取り上げましても大変むずかしい問題でありますけれども、しかし、やはり今日置かれている状態の中で、それを逃げるような形で行政を行っていくというわけにいかないと思いますので、いずれ何か委員同士でも非公開でフリートーキングしようという話もあるようでありますから、私ども自身も少しお互いに、まさに党派を超えてやらなきゃいかぬなあと思っていますが、ひとつ大臣、冒頭に言われましたように、もうこの法律ができた経過が今日の状態でないわけでありますから、積極的に問題点を出し合うという立場でひとつ——大臣しゃっちゅうおかわりになるんですが、どうも大臣の任期というものは短いものでありまして、そういう意味ですと、どうもどなたが大臣やってもということになりますから、やっぱり服部郵政大臣がやっているときはなかなかむずかしい問題もいろいろ提起をしてやってきたわいというふうに、後世に残すようなことをひとつやっていただきたいと思いますね。  それで、実は予算審議でありますから予算の問題に入りますが、私も、正直申し上げて初めてですからよくわからないんでありますが、この放送法の三十七条第二項の規定により郵政大臣意見をと、こうなっているんでありますが、どうも各年度予算に対する意見を見ましても、毎回同じような意見が付されておりますし、同時に、今回の場合でも、郵政大臣から出されたこの意見書を見ましても、非常に協会に対しまして問題のあるような——問題があるというのは、協会自身がこれを受けたら、国会審議の場でももっと能動的に問題を提起しなきゃいけないんじゃないかと思う分野があるんであります。さっき会長から趣旨提案がありまして、言葉としては大変一生懸命、とにかく国民生活に及ぼす影響もあるから全員が努力してやりますという言葉になっていますが、一つの例をとりましても、たとえば今日の厳しい状態の中で経営責任を全うするために、長期的展望に立って事業運営刷新しようというわけです。これはいろいろな意見がありますけれども、郵政大臣協会に対して大変厳しい意見だと思うんですね。過般、私のところにも何か経営見通しというのを持ってまいりまして、こういうのは経営見通しかどうか私にはよくわかりません。五十三年度の数字をおしなべて五十四年、五十五年にしたらどうかなんというのは、おおむね中学校の生徒でもできるようなことじゃないかと思うんでありますが、こういうものが今日、協会の中ではつくれないということに立ちますと、私は、まさに大臣が言うように、厳しい情勢の中で長期的展望に立って事業運営をしなければいかぬじゃないかという意見が出されることは当然だと思うんでありますが、一体、大臣意見として四項目にわたって出されていますが、まさに協会の今日あるべき姿を十分検討されまして意見書を出されたと思うんでありますが、いわゆるこの位置づけといいますか、それとも役割りといいますか、法的に見て、また実態的に見て、どのように意見というものに協会側は拘束されるのか、見解をちょっと伺いたいんです。
  15. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ただいま御指摘のいわゆる大臣意見書の問題でありまするが、率直に申し上げて、私も就任以来、こういった問題に法的に、現実的にいろいろと真剣に取り組んだつもりでございます。この意見書がどれだけの今後の日本放送協会運営位置づけをされるのかという点については、私自身も正直申し上げて疑問を持っております。  しかしながら、法律の定めるところでこういった制度がとられておりまするが、私はまた違った立場から率直に意見を申し上げて御理解と御批判を仰ぎたいと思うのであります。  と申しますのは、この意見書をつけるにつけても、かなり私の省内でも問題がございました。厳し過ぎるとかどうだとかいう意見がありましたが、私は、行政の最高の責任者として、強引にかくあるべきだという意見を主張いたしました。  まずその第一の理由は、御承知のとおりにNHKテレビ放送が開始されてからちょうど本年で二十五周年を迎えるわけでございます。今日まではテレビの成長とまたカラーテレビ普及日本で開かれたオリンピック、ああいった機会で、大変な勢いで、まあ順調にNHK経営にも推移をしてまいりましたが、しかし、最近の状況は、先生も御承知のとおり、収入の伸び悩みの反面、相当な支出増要求される時代に相なりました。言うならばきわめて厳しい情勢下において経営を続けねばならないという事態でございまするから、私はやはり、ただ一つ公共放送を育てるためにも、経営者以下、すなわち会長以下全職員が心を引き締めて企業努力を払って、この公共放送が在来以上にすばらしい内容の健全な運営を図ってもらいたいという立場から、長期計画のない事業は非常に危険であるというので、あえて長期ビジョンに立ってという言葉を入れるとともに、NHKが今日までのように安易な考え方経営を続けてまいりました——まあ赤字、値上げを繰り返しまするようなことがあれば、国民NHKへの批判は高まりまするし、NHK離れ並びNHK必要性自体が疑われる結果を招くようなことがあれば、これは大変なことだと、かように考えて、先生指摘のとおりにきわめて厳しい意見書を付したような次第でございます。  私は、経営者というのは、これはもう放送協会だけではありません、すべての企業はやはり企業努力、徹底した企業努力があって初めて安定基盤のうちに事業運営が図れるというこの基本的な考え方から、私はあえて過去にない厳しい意見を付したのでございます。私は、こういったことを経営者を初め職員各位が認識いただくことができたならば、NHKのいわゆる経営基盤の確立が必ず達せられて、国民の期待にこたえられるNHKづくりができるというふうに考えたからでございます。
  16. 大森昭

    大森昭君 大臣ね、財政収支の問題での議論なら、むだを省くということから効率的にという言葉が使われてもいいと思いますが、これはそういうことじゃないんですよ、この内容は。この三項なんかにいきますと、全く協会は、大体放送の果たすべき役割りを十分認識していないというわけですからね、これは大変な指摘なんですね。これはどういう意味かわからないんです。たとえばいまの放送番組を、もう少し娯楽をふやせと言っているのか、今日の不況下の中だからもう少し国民をきりっとするように、少し締まるようにやれと言っているのか。  いま大臣は、もっぱら財政の問題で言われていますが、財政はむだがあってはいけませんし、とりわけ受信料の問題などについても滞納者がふえているという状態ですから、そういう意味合いでの話はどんなに厳しい指摘があってもいいんだろうと思いますが、どうもそういう意味じゃなくて、この三項にあるような問題、とりわけまた四の難視聴解消なんかは、これは前回の国会でも指摘をしたんですが、郵政省がやっていることが、大体今日次から次へと起きてくる難視解消になっているのかどうなのか、むしろこのNHKに対して、協会に対して指摘するよりかも、郵政省みずからがとらなきゃならないことがあるんじゃないかというのを、協会側にどういう意図があるかわからないんですが、何か意図があるのかないのか、なきゃないでいいんですけれども。大臣自身も、この意見についてはいろいろ自分でもどうもすかっとしないんだというお話ですから、意図がなきゃいいんですけれどもね。大変はたから見てみますと、どうもある意味では、とりようですけれども、どうにでもとれるような協会に対する意見なんで、ちょっと聞いておるわけなんです。
  17. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は、まず長期ビジョンに立ってという点の御質問と考えて、あとの点のお答えをあれしたことはまことに申しわけありません。この「放送の果たすべき役割を十分認識し、」という第三項については、もう端的に申し上げて、私は公共放送使命というものを十分認識してもらいたい。ということは、民法はこれ商業放送だから言うまでもございません。公共放送国会全体の負担においてといういわゆる法律的な制度もあるわけでありまするから、私は教養を高めるために、文化向上に、もちろんそれには娯楽番組も必要でありまするが、そういった公共放送使命を十分認識しなさい。役割りを果たすために、たとえば一つ番組を制作するに当たっても、莫大な金をかけてやるドラマは決してぼくは悪いとは言いませんが、こういう問題を個々に指摘するのじゃなくて、全体的に考えて、いわゆる厳しい財政事情のもとで、今日までの安易な考え方経営ではなく、公共放送使命というものはどこにあるかということを考えて、これは財政に関連してまいりますが、十二分にそういったことを認識して経営をやってもらいたいという私の考え方であります。  四の難視聴解消について、郵政省に対する御指摘がございましたが、私はこれは意見書でありまするから長く書けませんが、今度こういった構想を打ち立てました。この難視聴地域解消並びに今度は新しく最近の高層ビル建設に伴う都市の難視聴問題、電波障害、こういった問題も、私はもう端的に申し上げてこれは国の責任である。国の責任において解決を図る努力をせねばならない。予算もつけまして、私は五十四年度には新しくこういった問題の徹底した調査費要求をいたしまして、年次計画を立てて、すべての国民がどの地域に住むも一般の方々と同様のいわゆる文化を亨受できる体制に持ってまいりたい。しかし、国で全部やるということは、これはもう財政的にも技術的にも大変困難であるから、国が中心になっていろいろな資料を集める、また調査を実施する、それによって今度は技術的に財政的に、NHKも民放もともに協力をしていただいて、いわゆる長期計画、たとえば五カ年計画とか十カ年計画とか、こういったもの、調査結果、実態に合った制度を設けて難視聴地域解消の徹底を図ろう、図るべきであるという点について、四にそういった意見を付したような次第でございます。
  18. 大森昭

    大森昭君 大臣が言われた問題は、後、また各項でそれぞれ具体的に——いま総論部分でお伺いしていますから——質問したいと思いますが、そこで会長予算ができた、三十七条二項によりまして郵政大臣に報告をしました、そしていま大臣が言われたような意見が出てまいりました。そこで、当初考えて国会の中で審議をしてもらうという状態が、郵政大臣意見書を見て、やはりもう少し具体的に、新しい視点に立ってとにかく国会の中で議論をしてもらわなければいかぬなという立場会長が立ったのか、郵政大臣意見書をもらったけれども、まあ従来とこれは何ら変らぬわと、まあこの調子なら大したこともなかろうというので国会へ出しまして承認してもらおうという意識なのか、一体、先ほどから言いますように、大変厳しい大臣からの意見書をもらって、会長予算を報告してどのような心境になったか、御見解を承りたい。
  19. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 五十三年度予算は、五十一年度受信料改定をお願いいたしまして、その際に三カ年間の事業計画を資料として提出いたしまして、ともども御審議賜りまして、私としてはそれなりに——御承知のように五十一年度年度におきましては、例の国会の空転等がございまして、二カ月ほど暫定予算を組まなければならないというような事情がございまして、当初の見込みから百十二億というような目減りを背負いまして事業計画がスタートしたわけでございますけれども、ともかくわれわれ経営努力をいたしまして、五十三年度までは御審議いただきましたような形での努力をしたつもりでございますが、しかし、だから言うところはないのだというようなそんな不遜なことは毛頭考えておりませんで、先生指摘協会経営の厳しさ、環境の厳しさというようなことにつきましては十分認識しておるつもりでございますし、大臣意見書を拝見いたしまして、その点について、より一層われわれ身を引き締めて経営に当たらなければならないというふうに考えた次第でございます。  そして、赤字になったから値上げをお願いするというようなそういう簡単な環境でない。まず第一に、われわれがどういうふうにこれを解決できるかという努力をすべきであろう、こう思いまして、それぞれ担当に命じまして、現在、今後の長期展望ということについての作業を命じておりますので、幸いにして今国会でこの予算が御承認いただけますれば、早速五十四年度以降の問題について真剣に取り組んで、また御報告できるような形にしたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 大森昭

    大森昭君 どうも会長の認識は甘いんじゃないかと思うんですよ。というのは、五十一年、五十二年、五十三年、トータルで確かに収支はとんとんになるということなんですが、五十三年度自身は、契約の上昇からいって、いろんな業務内容からいきまして、まさに五十三年は五十一年、二年の続きがなければ大変な年なんですね。そうでしょう。ですから、当然そこには、五十四年度がこのままいったらどうなるのか、五十五年度このままいったらどうなるのかというのは、予算は単年度予算ですから、五十三年度だけの話をすればいいということにはならないんですから。各社一斉でしょう。NHKが、あっと驚く為五郎じゃないけれども、八百億赤になるというのが出ていますね。それも、しかも五十三年の予算編成に当たって、いろいろ五十四年、五十五年見通したんじゃないんでしょう。  新聞記事によれば、十五日の逓信委員会の席上でこれが配られたというわけです。私が手に入れたのは二十日ですけれども、新聞見まして、ああ私どもわからないことが衆議院の段階で発表されているなというふうに思ったわけですが、いずれにいたしましても、五十二年というのはそういう状態なんですね。にもかかわらず、いま会長が言うのには、何か五十一年、五十二年トータルで収支とんとんだから、五十三年は何とかこれでいいんですというだけでは、やはりそれは郵政大臣じゃありませんが、少し経営責任者として、最高の責任者として一体どうするかという立場に立てば、やはり厳しい指摘を受けなければいかぬわけなんですからね。だから、少なくともこの予算郵政大臣に提出をして、この意見書が出たときに、あなたがやっぱり何の感情もわかないというところに、私が先ほどから質問をしていますように、放送法三十七条二項というのは有名無実のものであって、単に郵政大臣に報告をする、郵政大臣から意見書が来る、どんな意見書が来たって郵政大臣郵政大臣だと、協会協会でやっていけばいいんだという、あなた自身とは言いませんが、協会経営者自身がそういうなれといいますか、そういう権威といいますか、少なくとも郵政大臣意見をもとに国会審議をされるという状態なら、あなたがこの意見書をもらっただけで身の引き締まる思いをしなければいけないし、もっと言えば、具体的に先ほどもちょっと質問をいたしましたけれども、放送役割りを果たしていないというなら、郵政省としては、郵政大臣としてはどのような見解をお持ちですかと、協会はかくかくしかじかの計画を持っておりますという討論がなければ、意見書をいただいて、その意見書に対して国会の質問の中でもいまのような答弁では、納得できませんよ、あなた。
  21. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私の申し上げ方があるいは誤解を招いたかもしれませんけれども、正直申し上げまして、先生指摘のような点について十分認識した上で今後の経営に当たりたいというふうに考えておるわけで、現実に郵政大臣とどういう対話を交わしたかというようなことにつきましては、申し上げる中身はございませんけれども、しかし身の引き締まる思いという点につきましては、おっしゃるとおり私もそういう覚悟でおる次第でございますので、その点はぜひひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  22. 大森昭

    大森昭君 いや、ですから具体的に私は立証してもらいたいわけです。五十三年の状態がそういう厳しいのにもかかわらず、これは二十日の新聞を私のところに持ってきたんですが、経営見通しですか、大体これは。こういうものを、正直に申し上げまして、少し先の話をしなきゃいろいろ協会も不見識だと言われるし、経営責任もないと言われるから、何か出しておかなきゃいけないんじゃないかということでお出しになったかどうかわかりませんが、私どもが従来から、少なくとも長期とは言わぬけれども中期ぐらいの計画を持たなきゃだめですよということを四十九年の決算のときも私指摘したはずですよ。出しますとあのとき言ったんじゃないですか。完全なものはなかなかできないでしょう、むずかしいでしょう。しかし、できないからといったってこれじゃあんまりですよ、この経営見通しですね。これは見通しじゃないでしょう、これは。羅列しただけじゃないですか、ただ数字を引き伸ばして。  だから、こういうことを出しますと今度は逆に言いますと、いまの五十三年度のやつでずっといくと、とにかく早いところ受信料値上げをしてもらわなければ協会というのは成り立たないんですよということをあなたは宣伝しているというんなら、それでまた正直にそう言ってもらえばいいんですがね。それでは私どもは取り扱いについてまた別な視点でもって協会の皆さん方に言わなければいけないんですけれども、正直申し上げてどういう気持ちでこういう経営見通しを出されたんですか。
  23. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま申し上げましたように、それはその注記にもございますように、現在の規模で現在の情勢で考えまするとそういう財政的な見通しの数字になりますということでございますので、事業計画等につきましては、いま申し上げましたように、今後さらに効率的な運営その他を図りまして、改めて事業計画として御審議願えるような形に整えたい、それは現在各担当に命じていろいろなプロジェクトをつくって精力的に検討しておりますので、いましばらく時間的な御猶予をお願いしたい、こういう趣旨でございます。
  24. 大森昭

    大森昭君 そうすると、これは経営見通しじゃなくて、五十三年度状態ですね。いや、実は私はこういうのを心配しますのは、たとえば私、これちょっと自分で個人的に意見があるんですが、それは別にいたしまして、免除の問題ですね、免除の問題というのは、一部今回手直ししましたね。そうすると、この計画でいくと、この免除のやつは今回の一部手直しだけで今後はもう免除しないで、そのままの計算規模になってるんだろうと思うのですね、一つの例ですけれども。そうなってきますと、少なくともこれは全くの試案で、経営見通しと書いてありますけれども、全くそんなものはないんですということになれば、それでそう理解しますけれどもね。そうすると、これで出されますと——一つの例ですよ、免除はもう一部今回やったから、五十四年、五十五年はやらないと。それから、増収の対策でもいろいろなことが言われています。しかし、そういうものを協会としては一生懸命やっているわけだから、こうなった基礎は契約している者の八二%程度、この八二%程度も、私はこの総体の数字についてちょっとごまかしがあるような感じがするのですが、しかしそういうものを基礎にしているわけですね。そうするとあらゆるものが、五十三年度予算の置かれている状態の中で、五十四年、五十五年試算したということでしょう。  そしたら、むしろ私は、今日受信料の問題をめぐって、あるいは番組編成の問題をめぐって、あるいは一体国際放送の問題にいたしましても、いろいろな問題について、何かこういうものが出されることによっていま検討していると言われる。検討しているんだったら、こういうものは麗々しく五十三−五十五年度経営見通しなんという表題なんかつけずに、五十三年の状態のままで仮に五十四年がいった場合、五十五年がいった場合はこうなりますよぐらいな話でいいんですよ、大体。こんなもの出されれば、五十三年度が置かれている状態が最大の努力過程であって、そのまま五十四年、五十五年いくみたいに理解されますと、一体協会の今日の置かれている厳しい情勢というのを本当に身をもって認識しているかどうかということについて疑問になるというのが私の私見で、いや、それは少し言い過ぎですよと、そういうことじゃないんですと、たまたま五十三年からの問題をやっただけであって、五十四年はもっと積極的に、五十五年はもっと積極的にいろいろな方策を考えておりますからということかもわかりませんがね。  一般的には私みたいなことが理解されるだろうし、とりわけいま協会の問題というのは、もう大臣が冒頭言われましたように、大変これは重要な役割りを持っているわけです。ですから、そういう意味合いからいきますと、少しこの経営見通しなどという出し方は軽率じゃなかったかというふうに考えます。しかし一回出たものですからね、余りそういうことを言ってもよくないと思いますので、出したものばかり非難してちゃいけませんが、いま会長が言われますように、早急に肉づけをして出すというわけですから、いつかわかりませんがね、早急といっても。大体いつごろなんですか。
  25. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 現状でいまいつということをお約束するのはなかなか困難でございますけれども、できるだけ早く検討して御報告できるような状態にしたいというふうに考えております。
  26. 大森昭

    大森昭君 いろいろおもしろおかしく新聞にも出てますから、週刊誌などにそういう話の種にされているようなことでは余り愉快じゃありませんので、ひとつ早急に検討して出していただきたいと思います。  そこで次ですが、何回か説明受けていますから事新しく聞く必要もないんでしょうけれども、どうも会長提案理由を聞きましても、大変きれいに提案されているんですけれども、最近大変民放が激しい競争をしていますね。もちろんこれは民放ですから同じ同業の立場で激しく競争されるのは当然なんだろうと思うのですが、ただNHKもどうもこれに巻き込まれましてね、視聴率を高めなくちゃいけないとか、あるいは大河ドラマというのですか、よくわかりませんが、何かそういう大型なやつで、NHKがまさに大変な企画をして、これが見られているというような、何かこう民放の巨大化と言っちゃおかしいんですが、——というような意識があるんじゃないかというふうに思うのですが、ないのかもわかりませんが、どうもそういうように思いますので、たとえば受信料の問題などからもくるのかどうかわかりませんが、番組編成などに当たって少し変化が五十三年度は起きてるんですか。
  27. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKといたしましては、公共放送としてその果たすべき役割りを十分認識して創意工夫をこらしてやれという郵政大臣意見書もございますけれども、かつて昭和三十九年ごろでございましたか、テレビ一億総白痴化というような世論の批判がございました。その際に、NHKといたしましては、総合テレビの午後七時半のところに、御承知のように報道教養番組編成いたしまして、そしてその見識と申しますか、そういう点を高く評価されたわけでございます。けれども、それから以後、やはり十数年の経過を経まして、視聴者生活態様等もかなり変化してまいりました。ちょうど昭和三十九年というときは、東京オリンピックの年でございまして、大体テレビ受信契約世帯数が千五百万ぐらいだったかと思いますが、それがいま二千七百万というような膨大な契約数になりまして、視聴者価値観多様化等々から言って、やはりNHKとして果たすべき役割りを認識しつつ、なおかつ皆様に愛され、理解され、お役に立つ番組編成をすべきじゃないか。それには、その視聴者生活態様に即応して番組編成がえと申しますか、そういうことを考えるべきではないかという指示をいたしまして、四月一日からその手直しが行われるということでございまして、なお詳しいことは担当から説明いたさせますけれども、基本的な姿勢としては決して娯楽優先、娯楽番組優先というようなことで、いわゆる視聴率競争をするというような、そういう姿勢での改編ではございませんので、その点はひとつ先生にも御理解賜りたいと思う次第でございます。
  28. 大森昭

    大森昭君 いやどうも、私の質問が下手なのかもわかりませんが、一つ二つの例ですけれども、たとえば私どもよくわからないのですが、放送、大河ですね、それから相撲なんかの番組見ますと、いままで四時から二時間だったんですね。何か知らぬけれども三時からやるのですね、今度は。確かに国技ですから。初めから終わりまで見るのかどうかわかりませんがね、正直申し上げまして三時間もこれ見て、野球の好きな方はいいでしょうけれども、こういうのなんかは国民生活に即しているわけですか。
  29. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答え申し上げます。  来年度から、御指摘のように三時から相撲を放送する予定でございますが、これは現在でも、たとえば中入りのときとかあるいはその前後、十両及び幕下の好取組を紹介しております。ところがその後、それについて、もうちょっと早く、ことに有望な郷土力士を持っているところでは、なぜ十両の取組を全部紹介してくれないかという声が、電話、投書等、あるいは視聴者会議等で数多く寄せられております。そしてそのやらない場合は、大体三時ごろ、私たちは再放送の時間にこれを充てておりますので、それよりは視聴者の要望にこたえて三時から十両の取組を紹介したらいいじゃないかという結論になりまして、その予定でございます。
  30. 大森昭

    大森昭君 あなたは視聴者の建議と言いますが、ここで大体問題が重要な場面になるわけですがね、正直申し上げますと、経営委員会があったりいろいろな委員会がありますね、番組編成委員会だとか、いろいろな委員会がありますが、いまあなたが言う——それは電話かかるでしょう、相撲の好きな人がいるんですから。野球の始きな人だっていますから。野球だって練習しているときから映してくれ、そうすればきょうは王選手が調子がいいか悪いかわかるから。いますよ、いろいろな人が。いるけれども、いまあなたが言われたのですが、確かにそういう人はいるでしょうけれども、じゃ、そういう形をどうやって集約してあなた、番組編成するのですか。
  31. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 番組編成の手順は、大きく言いまして二通りに分かれております。局内の意見の集約、そして基本的な編成考え方説明、局外についての集約というものでございますが、これは大体ことしの場合は五月の中旬からこれを行いました。それからそれに並行して番組審議会の意見でございますが、来年度番組に対する希望を、各地方の番組審議会及び中央の番組審議会で大体九月ごろから意見をお伺いいたしまして、十月に全国の番組審議会の委員長会議を開催いたしまして、大体そこで来年度番組に対する御意向を集約するわけでございます。そしてその後、その御意見に基づきまして局内で取りまとめておりました意見と突きまぜまして、十一月に中央番組審議会に来年度番組の基本的性格について文章にしたものを諮問いたすわけでございます。そして実質的討議をそこで終わっていただきまして、それに基づいて具体的な来年度番組編成の作業に入りまして、そして大体これをことしは一月の段階でほぼ決定いたします。  その間、局内におきましては、それの編成計画に基づいて各種の試作番組を行うと同時に、番組審議会に先立ちまして理事会、経営委員会の議を経まして、そして最終的決定を一月に行い、そして二月にこれを公表するといった手順になっておりまして、この手順は例年大体性格的には同じでございますが、ことしは少し早目に始めて、番組編成はもう少し早目に行ったということです。すなわち二月の終わりに新しい番組計画を発表することができる予定であります。
  32. 大森昭

    大森昭君 いや、誤解があるといけませんが、私、番組一つ一つについてあれがいいとかこれが悪いとかという意味で言っているんじゃありませんので、ひとつそういうふうに理解してもらいたいんです。なぜこれを言いますかというと、先ほど、私冒頭に申し上げましたけれども、公共放送ですからね、協会は。民放とおのずと独自な立場があるだろうと、しかし今日の民放もなかなか競合していますから、いろんなことがあるでしょう。それに少なくとも巻き込まれているようなことがないでしょうねという話が出発ですよ。  そこで、私はどうも正直に申し上げまして、相撲が三時間などというこの問題は、どういう手続で、どういう形で——それは確かに審議会にもかかったんでしょう。きのう私、記念式典に呼ばれまして、ある番組編成委員の方にお話しましたら、うんかかったよと、まあしかし言われているから異議なしと言ったけれどもという状態で、かかっていますよ、それはあなたの言うように、手続は。しかしそういうように単純に、三時の時間に一時間延ばして、十両でもいい相撲取りがいるから将来楽しみだ、そんな単純なもので番組編成をしているんですか、あなた。そんな単純なものでやっているんなら、私は何もこの国会の中でこんな貴重な時間にこんな質問をしていませんよ。ですから、私はきょうこれ以上あなたをいじめてもしようがないんですけれども、端的に申し上げまして、少し経営委員会だか番組審議会だか何だかわかりませんが、そんなでたらめなことをやってたってこの世の中通りませんよ、はっきり申し上げまして。  そこで、私は一つの例で問題を提起したわけでありますが、これも従来からいろいろ問題になっているんでありまして、どういうことになっているかよくわかりませんから質問するんでありますが、たとえば公共放送という立場になりますと、少なくともいろんな民放との関係があって、これは民放の方にまた怒られるのかどうかわかりませんが、たとえばオリンピックの問題ですね、これなどはいろいろ金で買われて売られてというのも業界としてはあるんでしょうけれども、しかし、協会がオリンピックの放送はいまできないことになっているんですか。どうなっているかよくわかりませんが、どういうことになっているんですか、このオリンピックは。
  33. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 現段階では、テレビ朝日が独占的放送権を持っておりますので、現段階ではできないという見通しでございます。
  34. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) オリンピックのような国民的な行事につきましては、やはりNHKとして放送する責任があるというふうに認識しておりますけれども、御承知のような経過で、現状ではテレビ朝日が放送権を独占しておりますので、私どもの方は放送することができないという状態でございます。しかし、その状態でいいかどうかという御批判は当然あろうかと思いますので、それなりの努力はしなければいけないというふうに考えております。
  35. 大森昭

    大森昭君 そういう取り扱いになるわけですか、御批判があればということで。そのオリンピックを努力しているけれども、協会が取れない場合にはもうしようがないんだと、御批判があるだろうけれどもと、その程度なんですか。
  36. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) やはり相手がございますので、その相手の方も納得し、なおかつ私どもの立場といたしましては、NTV、TBS、フジテレビの委託を受けて交渉に当たったという前提がございますので、それらのテレビ朝日を除く他の民放さんとのいろいろなお話し合いも同時にしながら解決に当たらなければならないという現状でございますので、現状としてはいま申し上げた点で御理解賜りたいということでございます。
  37. 大森昭

    大森昭君 ですからね、いまの場合はそれで話を打ち切らざるを得ないんでしょうけどね、公共放送とは一体何かという原点に振り返りませんと、さっきの相撲の話だってそうなんですよ。いろんなこと言われているのですよ、私どもが週刊誌だとか新聞見ますとね。たとえば高校野球の問題だってそうじゃないですか。もう熱狂的なファンがたくさんおりますし、とりわけ高校野球というのは、これは正直申し上げて、プロ野球とまた違った意味でそれぞれの地域、自分の母校、県、そういう形で、ああいう問題でも、とにかくNHKというのは、金でたたかれてと言うと語弊がありますからね、余りそういうこと言いたくないんですが、いはゆる民放と競争して負けたらやむを得ないという立場NHK運営を図っているんですか。
  38. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 負けたらやむを得ないというような、そういう甘い認識ではございませんけれども、しかし契約その他内容等において、やはり視聴者の皆様に御納得のいくリーズナブルなものでなければならないということで、そういう点についての検討もあわせてしながら事に当たらざるを得ないかと思いますので、そういう点についての立場というのも御理解賜りたいと思う次第でございます。
  39. 大森昭

    大森昭君 ですからね、きょうこれ以上余り詰めませんけどね。やはり少なくとも公共放送立場ということになれば、やはりどうしても民放さんがそういうことで占有権というんですかね、やられても、何とかやっぱり協会として分けてもらうものは分けてもらうと、しかし、それは相対的な状態の中で一体協会は、民放の方々の言い分というのをどうやって受け入れていくかという問題も当然あるでしょう。そういう立場をきちっと堅持をしてこれから努力をするというんならいいんですけれども、そういう考え方があるんだかないんだかわかりませんがね。現状はやむを得ないんですと。これでは公共放送任しておけないでしょう、会長。もうちょっときちっとした見解を述べて、できることとできないこととありますよ。しかし、あなたは協会の最高の責任者なんですから、決意を述べてくださいよ。
  40. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私といたしましては、公共放送としては放送すべきテーマであるという認識に立っております。ただし、やはりその結論がリーズナブルなものでなければならないということもあわせてあろうかと思いますので、そういう立場を御理解賜りたいと申し上げている次第でございます。
  41. 大森昭

    大森昭君 だから、そういうふうに言ってくれれば誤解をしないんですよ。そう言わないから、あなたの基本的な放送編成に当たって私は疑問を持つんでありまして、やはり何といっても受信料をもらってやっているわけですから、金で競争するというんなら、受信料どんどんどんどん上げてそれで競争する方法もありますよ。しかし、そんなことは許されないわけですからね、協会というのは。ですから、当然そういうように民放の皆さん方と争って、それでNHKはとりわけ視聴率を高めてなんという状態じゃなくて、やはり視聴率が上がらなくても、公共放送としてやらなきゃならないものがあるでしょう。それはそれでいいんですよ。別に何チャンネルを五時間も六時間も見たからいいなんて考えているのはどだいおかしいんですよ、私に言わせれば。そうでしょう。人間の能力なんというのはある一定の限度でいいんです、テレビなんというのは。外国なんかへ行ってごらんなさい、あんた、しょっちゅう朝から晩までやってませんよ。とまってますよ。福田総理は、口を開けば有限時代、何かといえば有限時代、テレビなんか朝から晩までついているじゃないですか。だから、もう少しNHKがある意味でやっぱりリードする立場というとおかしいですけれども、そう言うと今度は民放の方に怒られますからね。そういう意味じゃなくて、やはりひとつ相互に理解し合って、とにかく金なんかで競争したって勝てませんよ、NHKは。ですから、どうかひとつそういう意味合いで、いま会長が言ったように、もちろんできることとできないことがありますから、あなたの責任を問うという意味じゃなくて、ひとつ精力的に、とにかく公共放送としてだれが考えてもオリンピックの放送NHKがやってないなんといったんじゃ、とてもこれ、受信料なんて払う気しませんわ、正直申し上げまして。まあ努力していただきたいと思います。  次の問題へいきますが、難視聴の問題なんですが、これ、大臣、先ほど大変歯切れよく言われたんですがね、具体的にはどうなっていますか。
  42. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 難視聴は、最近の傾向で二つになるわけです。いままでは僻地、離島という問題に重点を置いてまいりましたが、御承知のとおりにビルの建設で、電波障害、都市難視聴という問題も起きておりますので、まず都市の問題から御答弁いたしまするが、これは先般私が櫻内建設大臣に、きょうまで正常な状態テレビを見ることができていたのにもかかわらず、今日突然、というのはちょっとオーバーですが、ビルが建って、その周辺、また各地域で、映像に大変な支障があるということは、私は現在政府がとっている原因者負担の原則にのっとって、できればひとつ建築基準法の改正をしてもらいたいと。たとえばここに三十階のビルを建てる、これを確認する場合に、どういった電波障害が起きるだろうかということをまず事前にできれば技術的に解明をする努力を払う。これにはもちろん郵政省の地方の電波監理局も全面協力をいたしまして、こういったことで原因者が、ビルができるまでに並行して今日の技術の許す範囲の最高の努力を払って、迷惑をかけないように事前に措置すべきであるという要求をいたしましたところ、建設大臣も非常に好意的な態度で、現在この都市の難視聴問題については、いま郵政省電波監理局と建設省の住宅局とで鋭意会合を持ってこの対策の協議を進めている現状でございます。  いま一つの僻地の難視聴の問題でございまするが、これは大変多岐にわたるわけでありまして、郵政省を中心に、NHK、民放各社も御協力いただいて、精力的にこの解決のための技術開発、また新しいミニサテの開発、いろいろとやっているわけでありまするが、正直申し上げて効果を上げることはなかなか困難な状態でございます。しかし、だからといって、先ほどお答え申し上げたとおりにこのまま放てきすることは許されません。そこで私は、五十四年度には必ず思い切った調査費をとりまして——というのは、先般来関係機関と緊密な連携をとりつつ、私の大臣就任のときの一番重要施策の一つにとらえた難視聴解消問題でありまするから、検討いたしましたところ、残念なから完全な資料がまだ整っておりません。そこで、私はまず資料の作成に着手すべきである。これにはNHKも全面的に協力してくれることを約束してくれましたし、また民放関係とも緊密な連携をとりつつ、少なくともこの地域はこの方法によると難視聴解消する、またこのB地域はこういった施設をつくれば完全に難視聴解消がつくという一つ計画を立てて、これに見合う予算化、またNHK、民放の協力、これにおいてできるだけ早い機会に解決を図りたい。  あわせて、御承知のとおりに、近く放送衛星を打ち上げるわけでございます。放送衛星を打ち上げて実験に入るわけですが、私は、この難親聴の解消にもかなり役立つものであるというふうに技術的な面から理解いたしておりますので、この実験を精力的に推し進めて、三年後によい成果を上げて実用衛星であわせて解決を図りたい。両々相まって国民の期持にこたえたい、かように考えている次第でございます。
  43. 大森昭

    大森昭君 いま大臣言われましたように、実用衛星の段階でおおむね消化される問題もあるんだろうと思うんですが、そこで、いま大臣考え方からいきますと、電波局長、五十一年の三月の六日に出しております「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」というものは、もう改正されますか。
  44. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘の指導要領は、そのまま現在も生きております。
  45. 大森昭

    大森昭君 いや、いま生きているのはわかるんですけれども、いま大臣の、もちろんいま建設大臣と折衝中のようですけれども、これが具体化していけば、当然この指導要領は書き直しになるんじゃないですか。
  46. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほど大臣から御答弁いたしましたように、ただいま建設省の方と詰めておりますのは、建築基準法を改正をいたしまして、建築確設申請が出てきた段階で、建築確認をいたします段階で原因者負担主義を貫くと申しますか、対処することが可能かどうか、その結果によりまして、詰めた結果によりまして建築基準法の改正をいたしたい、こういう考え方でございます。  なお、指導要領は、先生すでに御承知のように、各種の紛争が起きることをあらかじめ予防するために必要な、先ほど大臣からもおっしゃいましたように、建物が建ちます前と建築中と建築後の、いわゆる難視聴環境を調査をいたしまして、主として妨害源となる建築主が中心になりまして話し合いをしていただく、話し合いによる解決に持っていっていただく、ただし、原因者負担主義の精神は貫くというものでございますので、先ほど先生おっしゃいましたように、もし建築基準法の改正というような場合には、それに対応した形になろうかと思っております。
  47. 大森昭

    大森昭君 時間があんまりありませんからあれですけれども、どうもこの前の国会の——私だけじゃなかったんですけれども——難視聴の議論では、指導要領が問題になっているわけですよ、しり抜けみたいだというんで。あれだけ議論していて、私は、いま大臣ちょっと言われたんですけれども、実態調査するというんですけれども、これによりますと、もうとっくにその実態はわかっていて、対処しなくちゃいけないことになっているんですね、この指導要領は。でもまだこの指導要領では少ししり抜けじゃないかという指摘があるんでありましてね、何か大臣の話だと、もう一回この調査をしなければ実態が把握できないとか、それからいま進めている話が一歩前進しても、この指導要領はこのまま残っているんだと、改正する必要がないんだということになってくると、ちょっとわからないんですけれどもね。
  48. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ちょっと私の説明の不備で御理解をいただくことができなかったと思いまするが、調査というのは僻地の難視聴対策でございまして、現在私は精力的にやって、いろいろ検討しましたが、まだ地域別の対策がわからないわけですから、これをやりたいと。  それから、現在、御指摘の高層建築物の問題は、いわゆる建築基準法、まあ指導要領はありまするが、なかなかこれでは——これで解決つくようならばいま紛争は起きないはずなんですが、なかなか解決つきそうにもございませんので、一歩進めて、いわゆる建築基準法に基づく建築確認の段階で原因者負担の責任を明確にする方途を私はいま考えているわけでございます。したがって、この点、建設大臣と一致点を見出すことができました。いま事務的にいわゆる住宅局と電波監理局と積み上げているわけですが、もちろんこれができ上がるまでは不備ながらこの指導要領で措置するよりほかに方法がないというのが現状の姿でございます。
  49. 大森昭

    大森昭君 前回もちょうど国会で議論をするときにサンシャイン60の問題が出たわけですけれども、またこの予算審議に参議院が入る段階で、成田空港の問題が出ているんですけれども、どうも新聞記事だけでよくわかりませんので、今日どのような実態になっておるのか御説明をしていただきたいと思います。
  50. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。  成田空港開港に伴いまして予想いたされますテレビジョン放送に対する受信障害の問題でございますが、新しい東京国際空港公団におきまして、ことしの一月、同空港開港に伴う慣熟飛行の際に、空港周辺百三十六カ所につきましていわゆるフラッター障害発生状況について調査を行っております。その結果によりますと、約百カ所におきましてテレビ障害が発生しておるということが判明しておるわけでございます。しかしながら、空港公団におきましては、今回の調査は慣熟飛行という少ない飛行回数の際に行われたものでございまして、開港後は飛行回数も増加いたしますので、障害発生状況も相当変化するんではないかということを予想いたしておりまして、開港後できるだけ早い機会に再度調査をいたしまして必要な対策を講ずるというふうに承知をいたしております。
  51. 大森昭

    大森昭君 いや、そういうまるっきり素人みたいな話をされるんですけれども、少なくとも成田空港を開港するということになれば、これはテレビ障害が出るということはわかっているんでしょう、空港公団は。
  52. 長井弘之

    参考人長井弘之君) いままで、各国とかあるいは国内の空港を見ておりまして、航空機の離着陸に伴いましてフラッターの障害が出るということはあらかじめ予想はされておりました。
  53. 大森昭

    大森昭君 予想されていたものを、この三月三十日開港だというのに、何で一月ごろ調査をして、今日の段階で明らかになるなんという状態で処理をするんですか。
  54. 長井弘之

    参考人長井弘之君) 実はテレビのフラッターにつきましては、今度の調査でもさようでございますが、たとえば少し地点が変わりますと良好な像が出たり、少し動きますと像が悪くなったりということで、非常に実際の航空機を飛ばしてみないと調査状況が明確になりませんような状況でございましたので、たまたま十二月の末から初めて慣熟飛行という形で実際の飛行機が離発着を始めましたので、そのときを利用して初めて実態の調査に入ったというような次第でございます。
  55. 大森昭

    大森昭君 そうすると、新聞に出ておる七千戸ですか、この数字は、あなたの答弁からいくとどうなるかまだわからぬわけですな、これ以上ふえるか……。
  56. 長井弘之

    参考人長井弘之君) 今回私どもが調査いたしましたのは、空港の周辺の滑走路から大体東西に幅五キロ、それから北側に十五キロ、南側に二十三キロの矩形の範囲内を一キロメートル四方の升目に切りまして、その中で調査を行ったわけでございまして、その結果が大体先ほど申されましたように、約八割程度のものに障害があったということでございますので、これは先ほども申されましたように、今後飛行機のコースにもよりますし、それから飛行機の回数と申しますか機数にもよりますし、それから高度の関係でも変わりますので、今後さらに具体的に各集落等についてもっと細かい調査をやって実態を把握していきたいというふうに考えております。
  57. 大森昭

    大森昭君 この種の障害というのはそんなに特異的な現象で起きるのじゃないんじゃないですか。大体、飛行機が飛べば着陸、高度、どのぐらいで来ればどういう状態になるというのはおおよそ想定されておってこの障害の状況が計画をされているのじゃないのですか。そうしませんと、これは飛ばしてみてそのときの状態でどうなるかわからぬなんという状態でやっていれば、そういう状態でやるならやるということを前もって明らかにして対処してくださいよ、あなた。じゃなければ地域住民は、少なくとも開港すれば、飛行機が飛べば——日本で初めて飛行場ができるのじゃないんですよ、あなた。そうでしょう。当然そのような対策が立てられていると考えることが常識なの、普通の人は。運輸省だとか公団はどうかわかりませんが。そういう常識を破るようなことをやるのならば、地域の人たちに、少なくとも飛行機が陸着陸をして、そういう状態の中でテレビ障害が起きます、起きたら申告してください、直ちに直しますという広告でも出しなさいよ、あなた。そうでしょう。それと同時に、一体、どのぐらいたったらこの障害というのは克服できるのですか。
  58. 長井弘之

    参考人長井弘之君) ただいま先生が申されました第一点の地点でございますが、地元の住民の方々に対しましては、これはもう以前から成田空港の開港に伴ってフラッター障害というものは生じます、そういうときには、これは私どもがこの障害の軽減の措置を講じますということは、もう地元の住民の方々と常にお約束をしてまいっておった次第でございますが、先ほど申し上げましたように、その実態がどこに出るかは非常にわかりにくいものでございますので、今度の調査の結果を見ましても、少し離れたところには全然出ない。あるところには出る。大体傾向的に、成田に参ります電波の強い弱いとか、あるいは位置が高いとか低いとかいうことによって出方が非常に変わっておりますので、それでその範囲というものをいままで住民の方々に申し上げることはできなかったわけでございます。  それから第二点でございますが、これは大体四月の初旬ぐらいから本格的な飛行が始まりますので、その際にいち早く調査をいたしますと同時に、住民の方々からの申し出も受けまして、これに基づいてフラッター防止アンテナの取り付けだとかあるいは共同受信アンテナの取りつけだとか、あるいは銚子にございますUHFのサテライト局を利用いたしまして、この電波によってこういうようなフラッターの障害を軽減していくというような対策を考えておる次第でございます。
  59. 大森昭

    大森昭君 いずれにしても迷惑する人がいるわけですから、より積極的にひとつ解消をしていただくことをお願いをいたしまして、私も余り専門家じゃありませんから、成田空港の問題はこれで打ち切りたいと思います。  そこで受信契約と未契約の——受信料NHK運営しているわけですから、この状態というのは先ほどもちょっと触れたんですが、少し私は協会の皆さん方と見方を異にしているのでありますが、一体受信契約と未契約の最近五、六年の動向といいますか、それはどういう状態になっているんですか。
  60. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 未契約というのをどういうふうに私どもが見ているかということでございますが、一番もとに全体の世帯の数がございます。で、この全体の世帯の中にはテレビをお持ちでない世帯が当然ございます。そういうものをどういうふうに見るかということでございますが、この全体の世帯の中には単身の世帯と、それから二人以上の世帯、そういうふうに私どもは分けて考えておるんです。で、昭和五十二年度で見ますと、大体一七%の単身世帯がございます。この単身世帯については、私どもはテレビをお持ちになっている率が五〇%、それから二人以上の世帯では九八%というふうに見ております。これは経済企画庁の調査の結果の数字を利用しているわけでございますが、そういうふうに見ております。したがって、全体の世帯の中で当然テレビをお持ちになってない方がある。したがってそういう計算の方法をとりまして、全体の世帯の中からテレビをお持ちになっている世帯の数をはじき出しまして、それに対して現在の世帯の契約数はどれだけあるか、その差を私どもは未契約というふうに言っているわけでございまして、これはここ数年の経過は大体三百万前後の未契約の数字でございます。
  61. 大森昭

    大森昭君 私はあなたが言われる数字がどうも理解ができないんです。協会受信料で成り立っているわけですからね、ですから経済企画庁の数字だとかなんとかというんじゃなくて、もうちょっときちっと、たとえば九十カ所ですか営業所があるのは、そういう状態の中で、もう少し的確に、一体テレビというのは何台あるのかと、国勢調査じゃないですが、五年に一遍ぐらいやっていますけれどもね、もっときちっとしたものを把握されておらなければ、私はどうも——もちろん私は協会自身が一軒一軒くまなく一〇〇%契約を結ぶといったって、そんなことばかりやっていたんじゃ、これはとてもじゃないけれども協会成り立たないと思いますよ、これは一〇〇%やるために一切の人を動員していたんじゃ。しかしそうかといって、いまあなたが言うようにあんまり大ざっぱに、契約していないのは三百万世帯ですと、何かこうさらっと言われますと、一体契約して受信料払っている人の立場はどうなのか。少なくとも年々、しかも未契約者というものが減少しているならいいんですけれども、減少してないんでしょう、これ、どうなんですか。
  62. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) ここ数年の傾向は大体横ばいでございます。
  63. 大森昭

    大森昭君 横ばいというのはあれですか、いまあなたの答弁はもっぱら世帯と言っていますから、いわゆる事業所除いての数字を言われているのかですね、一体事業所の関係はどうなっていて、世帯の関係はどうなっていてという状態で両方とも横ばいということですか。
  64. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 未契約の世帯で申しますと、昭和四十九年度が二百八十六万、五十年度が三百万、五十一年度が三百十万、五十二年度の見込みでございますが、三百万、それから五十三年度はこれを二百九十九万というふうにしたいというふうに考えております。これは世帯の未契約の数字でございます。  で、先ほど先生おっしゃいました、私どもが現実に契約を取り次ぐ活動をいたします場合には、これは全戸訪問ということでやっているわけでございます。現場の第一線の集金取扱者には契約者のリストを持参させております。この契約者のリストに載っていない家庭、これは一応未契約の世帯であるという前提でその家庭を全部訪問させる。で、テレビをお持ちであるかどうかということを確認をして、お持ちであれば契約を取り次ぐというやり方、それから転入者——転居してこられた方、そういう方の情報をできるだけ早くつかんでそういう転入者の世帯を訪問するというやり方、それから転出された場合、これは後に必ず後住者というのがあるわけでございますから、転出された後を必ず訪問させる。そういうやり方で、原則といたしましては、とにかく現場の第一線の集金取扱者が全部の家庭、全戸を訪問すると、そういうやり方をやっているわけでございます。  先生おっしゃいますように、各営業所で各家庭のテレビの所有の有無というのを確かめておくべきではないかということはごもっともでございますけれども、世帯というのは常に移動をいたしております。転居というのがずいぶんあるわけでございますから、そういうところの後をどういうふうにして捕捉するかということが私どもの一番の泣きどころと申しますか、そういうところをどうして捕捉するかということにつきまして、先ほど申し上げましたようないろいろな市区町村役場からの情報をもらう、そういうやり方で転入者をできるだけ早く捕捉する、あるいは転出された場合には、その後の居住者の捕捉をできるだけ早くやるというやり方をやっているわけでございます。
  65. 大森昭

    大森昭君 転居の問題なんというのは、水道でも電気でも郵便でもみんなあるんであってね、協会だけじゃないですから、転居によって受信料の徴収が芳しくないなんというのは余り理由にならぬし、同時に私は、契約をしないという状態の中で、NHK放送見てないから私は払わないんだという部分があるというのですけれども、そういう契約に行って、契約をしない理由を言ったらどういうふうに説得するのですか。
  66. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) NHK放送を見ないから払わないという方がおられることは確かでございます。しかし、そういう場合に私どもが現場に指導いたしておりますやり方は、日本放送体制というのはNHKと民放の二本立てになっている。民放はコマーシャル、電波料で成り立っている。NHKというのは受信料だけで成り立っている公共放送である。日本放送体制としてはそういう二本立ての放送体制がいいということでそういう形になっている。で、NHKというものは、日本のこの社会において必要な存在である。それを維持していくのは受信者の皆さん方からいただく受信料でのみ成り立つものである。そういうやり方が一番いいやり方なんだ。したがって、NHK放送を見ることのできる受信機を設置した場合には契約をしなければならないということが法律では決められている。したがって、受信者の方からは、契約をしていただいて受信料を支払っていただかなきゃならないのだというふうな説明、説得をさせているわけでございます。
  67. 大森昭

    大森昭君 中塚さんに何かおちゃらかしたみたいな質問をして申しわけないのですが、私はそういう意味じゃなくて、いま中塚さんが言われたようなことならば、やはりNHKを見てないから払わないのだというんじゃなくて、払わない理由が別に角度が変わってくるというふうに私は見るわけなんです。いや、大抵なものじゃないよと、幾ら説明したってやっぱりそうはいかないんだと言うかもわかりませんがね。私は少なくともいろんな方がいるから、先ほども言いましたように、一〇〇%受信料取るなんてなかなか困難ですよ。それは認めます。しかし、少なくともNHKを見てないから受信料を払う必要がないなんということがまかり通っておったんでは、これは協会だけの問題じゃないんですね。まさに放送というのは豊かな人間をつくるという使命を持ってやっているわけでしょう。同時に、集金に行っても、人に接する場合にも、やっぱり協会の人たちというのはそういう番組を通じてだけの問題じゃないですよ。歩いている家庭の中で、やはりその人が下らない考え方を持っていりゃ、仕事を通じて積極的にやっていいと思うのです、私は。ですから、そういう意味合いでいま実は言ったわけで、大変失礼な質問になっているかもわかりませんが。  そこで私は、日常たとえば意識的かどうかわかりませんが、受信料の未納者がふえているとか、新聞記事に出ますね、見たことがあるでしょう。そういうことに対して、私は新聞社なら新聞社に対して、あなたがいま言うのは横ばいだというんですから。そうでしょう。横ばいということは、数で言えばふえているんですから、総体的に数は。核家族の状態もふえているんだから。ですからパーセンテージは横ばいという意味ですから。そうすれば、未納者がふえているなんという新聞記事に対しては、断固として協会は、いかなる仕儀に基づいてそういう記事を出すのか抗議を申し込まなければいけないし、同時にNHK自体がもっと良心的に——いまあなたが説明されたように、受信料を払って皆お互いにテレビを見ているんだということを宣伝しなければいかぬと思うんですよ。とりわけ、いま問題になっている、アメリカ軍との関係で、新聞記事で読みますと、中塚さんが冗談じゃないと、黙って引っ込んでおられるかということになっていますがね、一体この見通しはどうですか。
  68. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 米軍司令部の方から、NHK受信料は一種の税金であると、したがってこれは日米地位協定十三条三項によって税金は免除されているんであるから、アメリカの軍人軍属等は支払わなくてもいいんだという趣旨見解を出したわけでございますが、それに対しまして二月の二十日付で、この通告に対して抗議をいたしますと同時に、これを撤回し、かつ受信料支払いの協力を要請する文書を出しました。これに対しまして司令部の方から、再三の督促をいたしました結果、三月十四日付の文書で回答をしてまいりました。これは前と全く同じ見解を述べたもので、これは個人の所有物に対する一種の税金というふうに解釈して、したがって支払う必要はないという従来の考え方を全く変えておりません。  で、これに対しまして、私の名前で三月二十日付で、再度米軍司令官あてに文書を発送いたしまして、アメリカ側の見解を重ねて否定いたしますとともに、具体的に、私どもはこれは地位協定十三条三項によって免除されるものではないという解釈、かつまた郵政省、外務省の見解も同じであるから、NHKとしては受信料を支払ってもらわなきゃならない。したがってその具体的な支払いの方法等について直接会って話をしたいというふうに申し入れました。それに対してまだ先方からの返事は参っておりませんけれども、この問題はいままでのところ、受信料の性格をめぐって平行線をたどっているという状況でございますが、私どもはさらに今後とも郵政省、外務省の御協力も得まして、さらに問題解決のために努力を重ねていきたいというふうに考えております。
  69. 大森昭

    大森昭君 私は正直申し上げまして、どうも横ばいというのは余り信用できないんですけれども、横ばいだと言われているのにそうじゃないというのも余り失礼ですから、あなたの答弁で議論を展開しているんですが、こういう状態のときに、受信料制度というものは変革する気はないわけでしょう。とにかくこのままの状態で、どんなに努力しても受信料を集めて協会運営していきたいというのなら、こういう段階の中で、従来からいわゆる受信料制度、一体税金なのかなんて問題提起してくれたんですからね。一般の人はわかりませんよ。われわれが少し勉強して、ああそうか、それはいろんな説があるんだなと、受信料をただ集めるのも学説的にはむずかしいんだなというのがわかるんでありまして、一般の人はわかりませんから。ですから、そういう意味合いからいけば、雪少し——別に、米軍との兼誓いという意味じゃないんですけれども、積極的にやっぱり受信料制度について論理の展開をしてやりませんと、何もないときに、NHK受信料をいただかないとやっていけないんですなんて話をしたって、これはどうにもなりませんから。ですから、いろんな、カーラジオから金を取ったらどうかとか、まあいろんな事業所も、小さい事業所も含めて取ったらどうかとか、いろんな議論があるようですけれども、余りいま協会はそういう問題に入るんじゃなくて、従来どおり、とにかく受信料収納を図ってやっていきたいというのなら、もっと積極的に機会をとらえて問題の展開を図るようにぜひひとつしていただきたい。  同時に私は、もう各論部分、やっていりゃ切りがないんでありますが、もうちょうど昼飯の時間ですからあれですけれども。総体的に質問いたしまして感じたんですけれども、冒頭、大臣に少しお世辞を言いまして、審議会の話をしたんですが、どうも話を聞いている中で、経営委員会のメンバーの刷新の話も出てこないし、それから放送番組審議会も、まさに形骸化していますよ、まあ、ほんとの話。きのうもいろいろ話聞きましたけれども、全く放送について意見を闘わして、けんけんがくがくなんという状態じゃないんですよ。皆さん方が提案したやつを、異議なしでもってやっているだけですよ。ですから私は、そういう意味からいけば、制度をつくっても、その制度を活用する皆さん方が最大の努力を払わなければ、事はそのまま流れるんですよ、正直申し上げて。しかし、そういうことを言えば、正直に言って、また野党の議員というのは人のいやみばかり言っているのかと言うから余り極端な言葉は使えませんが、もう一度、もう一回、あなた方が、もう国会予算が通るとか通らないじゃなくて、振り返ってみていただきたいんですよ。相撲の問題だってそうですよ。ああいう答弁でもって国会の中は通るかもわかりませんが、そんな状態じゃないでしょう。  とりわけ私は、いま何といっても問題になりますのは、内部の中の人たちとの意思の疎通ですよ。それは部外の人たちとのもちろんそういう何とか委員会も大いに聞かなきゃいけませんけれども、仕事に携わっている方々も、相当な受信料の行き先の問題、赤字の問題、郵政省郵政大臣じゃないけれども、効率的に経費を減らせなんと言ってんですからね。言っていることはちっとも私わからないんですけれどもね。経費を減らせということは、これは意欲というのは非常になくなるんですよ、働いている人たち見ると。経費はたくさん出してやるからいい番組つくれと、そのかわりむだはだめだよと言うんならいいんですけれどもね。経費節減して、それでもってやれなんと言うと、やっぱりこれは芸術の分野ですからね、われわれと違いますからね、正直言って。それはもう金をかければいい番組ができることははっきりしているんですよ。と思うんです、私は素人ですからよくわかりませんがね。  ですから、そういう意味からいきますと、今日の協会を見まして、非常に暗い話もあるし——日本全体が不況ですから、いろんな暗い話が多いんですけれども、少なくともテレビぐらいは楽しい、そしてまた教養が高まるテレビを大いに見してもらえませんと、「日本丸どこへ行く」になっちゃいますから。どうかひとつ、そういう意味合いで、部外的にも部内的にも多くの意見を開かれたNHKをひとつやっていただきまして協会運営を図っていただくこと等を最後にお願いをいたしまして、少し時間も余っているようでありますが、質問を終わらしていただきます。
  70. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分に再開することとして、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時二十三分開会
  71. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  72. 最上進

    ○最上進君 まず、坂本会長にお伺いをしたいのでありますが、五十一年度を起点といたしましたこの中期経営計画もいよいよ本年度最終年度に入るわけであります。現時点におきますいわゆる中期経営計画実施見込みが、計画に比べてどのような状態になっているか、まずお示しをいただきたいと思います。
  73. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 具体的数字の経過につきましては担当から御説明させていただきたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、経営計画の当初において、百十二億の見込み収入減がございましたけれども、それはいろいろ努力いたしまして、現在御審議いただいておりますような形に集約した次第でございますけれども、その経過の数字につきましては山本専務からの御説明をお許し願いたいと思います。
  74. 山本博

    参考人(山本博君) ただいま会長から基本的なことを申し上げましたけれども、五十一年度から五十三年度の三カ年計画と申しますのは、国会でその当時御審議をいただきまして御承認を得た計画でございますが、内容といたしまして、今日の時点で振り返ってみまして、どういう点にそごが来ておるのかと申しますと、第一には受信料収入、こういう点が一番大きなそごを来した内容でございます。この点はどういうふうに推移をいたしておりますかと申しますと、第一年度は、これは二カ月の暫定予算という事態がございまして、その当時計算をいたしまして約百十二億円の減収であるという事態が起こったわけでございます。しかしながら、決算をいたしましてみますと、百十二億円の収入不足だけではなくて、その後の受信料徴収の状況というものが必ずしも順調にまいりませんで、第一年度だけで申しますと、約二十三万件ぐらいの契約純増が達成いたしておりません。したがいまして、第一年度におきましては相当大きな減収ということを引き起こしたわけでございます。  それで五十二年度になりまして、これは当初の見込みでございますと収支相償という予定になっておりました。しかしながら、第一年度がその当時の見込みで約百八十億の黒字を出して、それが二年目に収支相償になって、第三年目にその百八十億が持ち越されまして、第三年度の赤字百八十億を補てんをするという計画で御承認を得たわけでございますが、第二年度は、いま申し上げました第一年度が百八十億ばかりの黒字になる予定が九十億足らずの黒字にしかなりませんということによりまして、第二年度は何とかして収支相償よりももう少し努力をしようじゃないか、これは企業努力をもっとしなければ、このままの推移では非常に大きな危機がこの三年度内に来るであろうということで努力をいたしまして、五十二年度は、これは五十二年度予算で御承認を得たときに出しました数字でございますが、二十億黒字を出すと、こういう計画にいたしておりまして、これは目下予算進行中でございまして、決算が済みませんと最終的な数字は出ませんけれども、この点につきましてはなお現在NHKの内部で企業努力をいたしまして、との二十億以上にさらに黒字の額を上げようということで鋭意努力中でございます。  で、五十三年度予算が現在御審議をいただいておりますが、これが先ほど来お話がありました二十九億の赤字になっております。これは支出充当も入れますと百十八億の赤字になりますけれども、これを第一年目と第二年目とのいまの九十八億と、それから二年目の二十億と、これを合わせまして百十八億の持ち越しによって補てんをして、第三年目といたしましては、数字の上では完全に三カ年間の初めに予期をいたしました三カ年間のサイクルで収支を相償するということは一応できております。なお五十二年度の決算、それから五十三年度予算の執行過程においてさらに企業努力という面では努力をして、この点の改善方を図りたい、こういう気持ちでございます。  で、支出の方でございますけれども、支出の方は当初二二%でその当時計算をいたしました。これは石油ショックがありました後でございまして、物価の上昇率あるいは人件費の上昇率、その他もろもろの支出増の要素がございまして、特に五十一年度以前は約八カ年にわたりまして受信料改定ということをいたしておりませんで、たとえば建設計画なんかは償却費の範囲内で抑えていくということを三カ年ほどやってまいりましたので、いろいろな意味で老朽施設などが改善されておりませんので、この点を少し五十一年度以降において改善をしようというような計画もございましたので、五十一年度から五十三年度までは平均いたしまして約一三%の支出増ということで見込みましたけれども、いま、午前中からもお話がありましたように、現在の経営状況から見ますと、なおいろいろな節約をしなければならないということで、計画見直しその他をいたしまして、たとえば一三%の支出増のものを一二%まで落としまして補正の計画をつくりました。その結果、先ほど申し上げました中で、建設計画の部分につきましては、多少暫定予算のしわを解消するために、建設計画も、一般の事業予算のほかに相当の計画を繰り延べました。  したがいまして、事業支出の中では、建設計画の部分において、当初予定した計画というものが多少五十四年度以降にずれなければならないというもの、地方の会館とか研修所とか、そういうものにつきましては建設をおくらしております。あるいは大電力の問題につきましても、五十四年度以降にずれ込ませるというような手だてをとりまして、建設計画につきましても二カ年間で二十五億円落とすという措置をとったわけでございます。  それから難視解消につきましては、これは三カ年間でほぼ当初の計画どおり実施をすることができる見込みでございます。いわば、計画全体の中に緩急と軽重というものをつけまして、総合的に当初立てました実態的な計画というものはほぼ予定どおりできるんではないか。  最後に、そういう措置をとりましても、最終的に受信料の欠損というものが響きまして、三カ年間の総合的な赤字というものは、事業収支で約百五十億円ばかり発生いたしました。いまの百十二億の暫定予算分も入れてでございますが、その百五十億ちょっとの金額のうち、約三十億をこれは資本収支の部分の改善によって賄いました。後、百二十億ばかりがどうしても事業収支の中でNHK自身努力でこれを解消しなければならないという金額として出てまいりました。これを、三カ年間に百二十億につきましては、これは経済情勢——いろいろ物価の上昇が、当初見込んだよりも結果として低くなりましたし、それから金利の問題も大分低くなりました。また、NHK企業努力というものも、その期間において相当節減計画を厳しくいたしまして、この百二十億の事業収支というものも賄い切ったわけでございます。それで総合的に、三カ年間の最後の五十三年度においては収支相償、で、計画におきましては、ほぼ順調に推移をいたしまして、建設計画の一部において五十四年度以降にずり込ませなければならなかったというのが大体の内容でございます。
  75. 最上進

    ○最上進君 大体大まかな御説明をいただいたわけでありますが、確かにいま御説明のとおり、収支の均衡というのは、大体まあ皆さん方が公約をしてこられたとおり実現できる趨勢にあると見ていいと思うんであります。しかしながら、事業収入の大半を占めている受信料収入というものが、例の五十一年度の暫定予算編成に伴ういわゆる受信料改定時期のおくれ等による減収を考慮したにしても、やはりかなり落ち込みをしているということは私は事実であろうというふうに考えているわけであります。これは、受信契約増加目標件数が、当初計画に比べて三十二万件、補正に比べて十二万件の減となっていることから見ましても、容易に推察できることであります。さらに受信料のその滞納件数も、受信料改定を契機にして、かなりやはり増加をしているようでありますが、NHKはこうした事態に対してはどのような分析をされておられるのか、この点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  76. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 確かに先生指摘のように、五十一年度におきましては、先ほども山本専務から申し上げましたように、当初の七十万の目標に対して四十七万という増加しかなかった。約二十三万の落ち込みがございました。また滞納件数にいたしましても、五十一年度だけで約十六万件の滞納数の増加ということになりました。五十一年度がその前年度あるいは前々年度等に比べてこのように契約総数増加が悪く、かつまた滞納数が急激にふえたということの一番の原因は、私はやはり受信料の改定、いわゆる値上げというものの影響が一番大きいというふうに思っております。それと、やはり価値観多様化と申しますか、そういうことによるNHKに対する批判的な意見をお持ちの方がふえているということ、それから生活態様による不在世帯の増加というふうなものがあるであろうというふうに分析をいたしております。
  77. 最上進

    ○最上進君 まあ五十三年度収支予算を見てまいりますと、事業収入の対前年度伸び率が大体二・五%であるというふうに出ているわけであります。それに加えて事業支出のパーセンテージは一一・二%となっているわけであります。この結果、単年度収支では二十九億三千六百万円の赤字となっているわけでありまして、この赤字は五十一年及び五十二年度からの繰越金の一部で補てんをしていく。残余の繰越金、大体八十八億九千四百万円は、これを全額資本支出充当、つまり債務償還のために使用するということでございます。この資本支出充当はかねてからの計画であるとはいいながらも、今日のようないわゆる低金利時代に入った、こうした状態が続いております中で、しかも昨年見直し財政計画の規模から二十億円も多額の債務償還をしなければならないという積極的な理由が私どもには見当たらないというふうに思えるわけでございます。むしろ、五十四年度以降の事業安定化資金として当然活用するために、その使用を保留をしておくべきではないかというふうにも思われるわけでありますが、この点についての御当局のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  78. 川原正人

    参考人(川原正人君) 結論から申し上げれば、私どもとしてはやはりこの債務償還は、財政の健全化、ひいては聴視者の利益ということのために予定どおり実施をいたしたいというふうに考えております。  多少内容について申し上げますれば、御指摘のとおり、五十三年度予算において八十八億九千万円を債務償還の必要な財源といたしまして、五十一、五十二年度から繰り延べてきました繰越金の中から八十八億九千万円を債務償還の財源に充てることにいたしております。ただ、これは中身は御承知のとおり、このうち実は放送債券償還に関するものが十七億九千万円ございまして、これは放送法の定め並びに償還期限の来るものの財源の不足という点から、どうしても償還をいたさなければならない金額でございます。したがいまして、もし政策的な判断を加えるとすれば、その残りの銀行からの借入金の返済を考えております七十一億円であろうかと思います。これは私どもが銀行から借り入れをいたします場合に、原則といたしまして、翌年度から返済期限十年という前提で借り入れをしております。そういうことと、そのための借入金の返済五十五億あるわけです。さらに五十年度協会財政が赤字財政を組みましたときに、やむを得ず借入金で賄ったものがまだ返済いたしておりませんので、その分の返済すべきものが約十六億円、こういう内容になっているわけでございます。  いずれにつきましても、この借金につきましては、五十一年度料金改定をいたしますときの経営計画において、国会の御審議あるいは視聴者の御理解を得て、これは返還をすると、それを前提としまして現行の受信料額も計算してあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、やはりNHK財政を健全化していくためには、これらの借金はきちんと返しておいた方が私どもとしては将来のためになる。この方がまた視聴者の利益にもつながるというふうに考えておりますので、これは計画どおり返還をして財政の健全化を図りたいと、かように考えておるわけでございます。
  79. 最上進

    ○最上進君 一応理解できないこともないんでありますけれども、先ほども指摘しましたとおり、昨年見直し財政計画の規模を二十億円も上回る多額の債務償還をここでどうしてもしなきゃならないんだといういまのお話を聞いていても、積極的な理由というものは見当たらないという、私はまさに指摘に尽きるような気がするわけでありますけれども、この辺についてもう少しひとつ詳しく御説明をいただきたいと思います。同時に、参考に、いままでの銀行からの借り入れの条件等についてもひとつ御説明をいただきたいと思います。
  80. 川原正人

    参考人(川原正人君) 昨年の計画見直しのときに、確かに債務償還をこれほど考えておりませんでした。これは当時の私どもの財政状況の見通しの中で、なかなかそれだけのゆとりが出てこないと、やむを得ずそのような補正の見方をいたしたわけでございます。その後、先ほど山本専務から申し上げましたとおり、協会もいろんな努力をいたしまして、支出の方をさらに圧縮することが可能になってまいりました。そういう全体の財源の中でもって債務償還の可能性も出てまいりました。これはやはりきちんと返しておくべきだ、財政健全化のためには可能な限り借金はやっぱりきちんと返しておかなければ、将来に禍根を残すと考えてこのような措置をしたわけでございます。  現在、銀行からの借り入れでございますけれども、今年度末で約二百五十四億円ぐらいになる予定でございます。この借り入れにつきましては、かなり協会といたしましては銀行から優遇措置を受けておりまして、一番安いプライムレートで借りております。
  81. 最上進

    ○最上進君 一番安いプライムレートでお借りになっているということでありますが、参考にひとつお聞かせをいただければありがたいと思います。
  82. 川原正人

    参考人(川原正人君) 現在四・五%の金利でございます。
  83. 最上進

    ○最上進君 わかりました。  五十三年度予算における収入支出の伸び率から見ましても、五十四年度事業収支は相当大幅な赤字が避けられそうにもないというのが私ども憂慮している一つの現象であります。五十四年度以降の収支見通しは一体どういうふうになっていくのか、先ほど来質問に対するお答えもあったわけでありますけれども、今後の財政健全化施策としてどのようなことを考えているかを含めて、ひとつもう一度御説明いただきたいと思います。
  84. 山本博

    参考人(山本博君) 五十四年度以降長期的に物を考えなければいけないという御指摘は、いろいろな角度から受けておりまして、ごもっともだと思います。ただ、現在のNHK財政健全化という角度から考えてみますと、現在、NHK財政というものは、現在の放送法のたてまえから申しまして、全く受信料に依存するという形になっておりまして、今後三年なり五年の見通しを立てますと、相当な赤字というものが——収入はただいまお話がございましたように、どんなに大きく見積りましても、現在もう世帯の増加率というのが非常に低くなっておりまして、たとえば五十三年度予算の中身におきましても、六十万世帯という計算になっておりまして、これは従来考えておりました七十万世帯よりさらに十万世帯落として計算せざるを得ないという状況になっておりまして、ここ数年の先行きの傾向といたしましては、延び率はほぼ二%台、こういうことが避けられないと思います。五十三年度が二・五でございますが、五十四、五十五という線で考えましてもやはり二%台、しかも二%のだんだん下降線を描いた二%台ということに見込まれます。一方、支出の方は、これもいろいろな物価の上昇あるいは人件費の適正な確保、こういうような点から見ますと、二%台の範囲内でおさまるということは不可能でございます。  したがいまして、財政の健全化という角度からいいますと、私は今後五十四年度以降どこかの機会におきまして、やはり受信料というものについての何らかの措置を考えなければならない時期がこざるを得ない。五十四、五十五の傾向といたしましては、ほぼこれは先ほど申し上げましたけれども、従来の五十一年から五十三年度計画ですと、支出は約一三%台で計画をいたしましたけれども、今度の見通しといいますか、試算といたしましては一〇%台ぐらいに何とか抑え切れないだろうかということで試算をいたしまして、相当内容的にも効率化、節減というようなものも織り込んで考えてまいりましても約一〇%台というものはこれは見込まざるを得ない。となりますと、どうしてもそこにいろいろなギャップが出てまいります。しかし、それはけさ方も会長が申し上げましたように、ただNHK側のいろいろな努力、そういうものを総合的に、これは全協会を挙げて総合的な努力をいたしますということと結びついて考えなければならないことであって、直ちに受信料値上げということに直線的に結びつくという方策にはなりませんけれども、いずれにいたしましても五十四以降の収支というものは相当な支出収入との間のギャップというものが出まして、ほぼ一年間の事業支出におきまして一〇%台で、細かい計算はなおいろいろなもので詰めなければなりませんけれども、一〇%台ということで試算をいたしますと、二百億ちょっとぐらいの事業収支上の収入不足というようなことが見込まれるということに考えております。
  85. 最上進

    ○最上進君 大変るる御説明いただくんでありますけれども、いまもちょっとその本音がお出になったような感じがするんですが、それだけの、二百億にも及ぶような大幅な赤字が出そうであるという中で、直線的に値上げにつながるということではないけれども、五十四年度以降、何か受信料に対して何らかの措置をもって解決の一助にするような御説明で、大変回りくどくてわかりにくいんでありますが、要約して、五十四年度以降かなり早い時期に、要するに受信料の値上げをする可能性というものがあるのかどうか、その辺ひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  86. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま山本専務から御説明申し上げましたように、NHK収入というのは受信料以外ないわけでございますので、どうしても受信料改定をお願いしなきゃならないという事態があるということは、これは避けられないことかと思います。ただし、赤字になりましたから値上げしていただきたいというような安易なことでは、なかなかその理屈は通らないと、そういう実態でございますので、そこら辺のところ、まずわれわれが経営努力を示して、なおかつどうしてもNHKの存在を保つためには、あるいは受信料制度を守るためには、これだけの不足を受信料改定によってお願いしたいというふうに持っていって視聴者の御理解を得なければ値上げはできないんじゃないか。その前提となる経営努力と申しますか、そういうものをまずお示しする必要があるであろう、そう申し上げている次第でございますので、その点はいましばらく御猶予願いたいと思う次第でございます。
  87. 最上進

    ○最上進君 私は、受信料が改定された後のNHK経営努力というものに対してはかなりやはり関心を持って見てまいりましたし、それなりの努力をされたという点では評価をしている一人でございます。しかし、やはりNHKはきわめて厳しい経済環境下にあるということも事実でありまして、郵政大臣意見書の中で、「国民生活に及ぼす影響を考慮し、受信料の改定を極力抑制するよう努めるべきである。」というふうにも指摘をされているわけであります。私もこの点についてやはり同感でありますが、現在の社会経済事情から見ても、受信料の安易な改定が許されるような状態でないということもまた事実でありまして、協会当局に一層の経営努力をお願いをしなければならないわけでありますが、この点について、先ほど来意見書でお話をしましたとおり、郵政大臣指摘をされておりますが、いまの会長のお話を伺っておりましても、これはやはり受信料の改定によらざるを得ないという趣旨のお答えと私はとったわけでありますが、この点につきましては、郵政大臣、どのようにいまお感じになられたか、お伺いしたいと思います。
  88. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私は意見書には、正直申し上げて、もう前段階では、絶対値上げは認めないということを打ち出したわけです。が、結果的にいろいろ話し合ってこういう意見書になったわけでありまするが、なぜ私が、料金で、国民の公平な負担で経営しているいわゆる公共放送NHK収入、ただ唯一収入源である料金を上げないかというと、私は現在のNHK経営そのものに非常に危機感を持っております、所管大臣として。やっぱり一万六千数百人の職員も擁しておるわけであります。いかに節減しろと言ったって、これやはり年々、現時点では多かれ少なかれ給与の改定も行われる。これはとめるわけにはまいりません、生活がかかっているわけでありますから。だから、私ははっきり申し上げて、会長以下、幹部はもちろん全職員が一丸となってひとつ静かに見きわめてくれ、見きわめなさい、過去の経営のあり方を。言うならば、自覚をしてもらいたいと。  先ほども大森先生から、君、値上げを抑えてどうやっていい内容のものをつくれるんだという御指摘がありました。私は素直にその御意見も認めたいと思いまするが、しからば創意工夫というものはどこにあるのかと。やはり経営者は創意工夫を図り、経営の基本は最低の経費で最高の効果を上げるという努力をするべきである、こういった考え方からあのような意見書をつけたわけでありまするが、現在も、私は、今後監督官庁の立場から、皆様先生方にこの予算をお認めいただいて経営に入っても、厳しくその経営のあり方を見きわめつつ、値上げは認めない、認めるべきではないという考えには変わりもございません。しかし、大きく状況が変われば、これは私もそれを最後まで固執するわけにはまいりません。  と申しますのは、私は、この意見書を書けば、後はもう先生方にいろいろと御審議いただいて結果を出してもらうわけでありまするから、私の意見書が間違っておれば、これはおしかりも受け、また時によっては是正をせねばならない場合もあると思うのでありまするが、国民が納得のいく状況のもとに値上げというものはやるべきであるという考え方をできる限り堅持したいというのが現在の郵政大臣としての心境でございます。
  89. 最上進

    ○最上進君 昨年、たしか会長の諮問機関としてNHK経営問題委員会、これが設置されたわけであります。協会運営のあり方に関する基本的な事項について検討を続けておられるはずでありますが、この委員会におけるこれまでの審議がどのように行われてきたか、またその内容等についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  90. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) お答えいたします。  先生のおっしゃいましたように、昨年の六月に経営問題委員会、発足いたしました。この趣旨は、先ほど申されましたように、この際、NHK業務のあり方を基本的に少し洗って、将来の長期展望に立った公共放送のあり方を御議論願いたいという趣旨で、そういう趣旨から、NHK経営に非常に造詣の深い先生方十一人を御委嘱申し上げまして、大体六月から毎月一回ずつ御審議をお願いしている状況でございます。  最初は、五十三年度NHK予算との関連もございまして、国際放送の問題でありますとか受信料の免除の問題でありますとか、御審議いただきましたけれども、現在ではNHKの基本業務のあり方、あるいは経営財源の問題、あるいはNHKに対します公共的規制のあり方等を逐次御審議をフリートーキングの形で現在行っている次第でございます。したがいまして、時期はいつまでにということではなく、かなり時間をかけてやってまいりたいというぐあいに現在考えている次第でございます。
  91. 最上進

    ○最上進君 時期の問題なんですけれども、これはもういつまでにということでなくて、 フリートーキングを中心にしていま御論議をいただいているということでありますが、そこで私ども大変感じておりますのは、NHKは当然、その次の中期計画あるいはまた長期計画の構想を練っておられるはずでありまして、そのいわゆる構想の策定と経営問題委員会との関係というふうなものを、どういうふうに私ども考えていったらいいか、その点についてお示しをいただきたいんでありますが、たとえばこの答申を待って策定をしていくのか、あるいはまた審議段階の状況を踏まえて策定をしていくのか、この委員会意向がどういうふうに今後の中期計画とかあるいはまた長期計画に反映をされていくのか、その辺のいわゆる関係を知りたいわけでありますので、ひとつ御回答いただきたいと思います。
  92. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 五十一年度の料金改定の前の五十年度におきまして、実はNHK基本問題調査会というのがございました。この場合のやり方ですと、私どもでテーマを決めまして御諮問を申し上げまして、御答申をいただいて、それを参考として長期経営構想並びに来年度予算編成の資料にさせていただいたわけでございます。今度の場合には、それとちょっと異なりまして、先ほど申し上げましたように、やや基本的なところから入っていただこうというのが一点でございます。  それから、当然のことながら、先ほどから会長申し上げておりますように、ただいま精力的に今後の長期経営構想を策定する検討をしているわけでございますけれども、したがいまして私どものいろいろな問題点を、毎月一回開かれます経営問題委員会にもお示しをいたしまして、そこで御講論を願いながら、そういう意味におきまして並行してやってまいりたい。要するに今度できます長期経営構想の策定と並行しながらこの審議も続けてまいりたいというぐあいに考えております。したがいまして、大体第一回の、これもただいまの予測でございますけれども、先ほど申し上げましたNHKの基本業務のあり方あるいは経営財源の問題等、第一回目の御審議、年内には大体一巡いたします、フリートーキングでございますけれども。そのような予定でいま経営問題委員会の方の御審議のスケジュールもやってまいりたいというぐあいに考えております。
  93. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 関連して二、三伺わせていただきたいと思います。  いろんな思い出を残しましてテレビが二十五周年を迎えて、これは個人的なことで失礼かもしれませんが、実験時代から二十八年二月の本放送のころへかけまして、あのころを思いまして私も感無量でございます。同時にまたこの非常にニーズあるいは価値感の複雑、多様化に対応しまして、私の経験で申しましても、NHKというのは非常に批判されやすいと言ったらいいですか、非難されがちな体質を持っていると思います。世の移り変わりに対応しまして今日を迎えたということはまことに御同慶の至りだと、まずおめでとうを申し上げたいと思っておりますが、同時に、テレビジョンというのは国民生活に密着していることは論を待ちませんし、かつまたその本質としましても、人間形成あるいは生活への影響というものを思いますと、NHKの今後の公共放送としての健全な歩みというものは、心ある国民は等しく願っている点だろうとこれは思います。  そこで先ほどから論議されております五十三年度の単年度の赤字を初めといたしまして、五十四年度、五十五年度見通し、二年度で八百九億という数字を私、耳にいたしまして、こういう大きな数字にはなれておりません私は、正直なところどきりといたしました。問題は、やはり続いて将来のこの赤字傾向と申しますか、郵政大臣も触れられておりますが、この危機感をどういうふうに受けとめるか、これはあるいはおのおの受けとめ方は違うとは思いますが、私は容易ならざる事態ではないか、まあ数字は違うかもしれませんが、第二の国鉄にならなきゃいいがというような気持ち、国民の何人かはそういうふうに受けとめている方もいらっしゃるのではないかという私は受けとめ方なんですが、そうした危機感としてのまず認識、これをちょっと伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 高橋先生指摘の点につきましては、当委員会でもたびたび申し上げましたように、私といたしまして御指摘のとおり、安易に値上げできるという状況でない中で試算するとそういう数字が出るということでございますから、これは容易ならざることであるという意味合いの危機感というのは私を初め担当役員を初めとして持っておるつもりでございます。ただ、それをどう解決するかということが私どもに課せられた使命だというふうに思って、しばしば御説明いたしておりますような方法、方針で現在検討しておるということで御理解賜りたいと思う次第でございます。
  95. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 いかがでしょうか、この二年の予測数字ですが、これは増減ですけれども、余り変わりないというお見通しでしょうか。この数字は。
  96. 山本博

    参考人(山本博君) その資料にもちょっと触れておきましたけれども、現在の時点でいろいろなものを基準にいたしまして試算をいたしましたので、たとえば物価の上昇というものは政府見通しを基準にして計算をいたしております。政府見通しの計算どおりまいればそのとおりに、政府見通しも必ずしも——五十三年度の分については非常に正確に出ておりますけれども、それ以後の分についてはこれはやっぱり試算という形になっております。それから、勤労者の所得の部門も、私の方も一応はそういう社会的な水準というもので試算をいたしておりますけれども、これが政府見通しというものもまだはっきり出ておりませんので、私の方だけで決めてまいるというわけにまいりません。  それから、その他は、もう今後二年なり三年の間の社会情勢がどういうふうに変動していくか、こういうものも完全にまだ見きわめておらない、また見きわめ得られない要素も中に入っておりますので、増減をするか、増になるか減になるか、いま定かにどちらになるというお答えがちょっとできかねますけれども、いずれにいたしましても、現在の時点におけるいろいろな基準を試算して計算をいたしましたので、将来いろいろな状況の変化によってそれなりの変動というものはお許し願いたいという程度の数字でございます。
  97. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 これは私が感じていることなんですけれども、この一年ばかりといったらよろしいでしょうか、私はNHKの現場、ことに制作現場は、失礼な表現かもしれませんが、久しぶりに燃えているというような感じを私は受けております。これは大変喜ばしいことで、よく視聴者意向を吸い上げるとかあるいは反映させるとか申しますけれども、やはりこれは現場が意欲を持って初めてできることだと私は思いますのですが、同時に、この燃えている意欲を消さないためにも、それに伴う経営の健全化というものは絶対必要なことで、これが一番ぼくは放送業務では大事なポイントではないかと実は思うのでございます。  そこで、企業努力だけでこれが解決する、受信料の値上げということもさることながら、企業努力、その企業努力が従来の経費を節減しあるいは受信料収納を進めるということ、従来のやり方だけで果たしてこの危機感、赤字傾向の危機感に歯どめがかけられるかどうか、何かここに創意工夫、一つのもう知恵を出すべき時期ではないのかというように私は受けとめますし、同時に何かそういう知恵、お考えはないだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  98. 山本博

    参考人(山本博君) 御指摘がございましたとおり、今後五十四年度以降、NHK財政状態というものは、現在の仕組みからまいりますと、いま御指摘がありましたような数字を完全に受信料以外で解消するということはいまの法律のたてまえからいっても困難でございます。したがいまして、これは意見書その他で大臣の御意もございますので、これは私は、まことに全NHK、上から下まで、いまのNHKの危機的状況というものを十分認識し、今後どうNHKのあり方を全うしていかなければいけないかということについて、努力すべき点は大いに努力をしなければならないと思います。しかし、他にそれでは現在の仕組みの中で赤字を受信料以外で解消する道があるかというお尋ねであるといたしますと、これはきわめて困難である。ですから、最大の努力をし——国民に御理解を得るための最大の熱意を持って努力をいたさなければなりませんけれども、数字の上で直ちにその収支のバランスをとる、五十四年以降の財政状態のバランスを直ちにとるための可能性が現在の状況においてあるかと言われますと、非常に困難だと、むしろ不可能に近いんではないかと思います。  ただそのためには、繰り返し申し上げておりますように、NHKとして許される最大限の誠意と努力というものが裏づけになければならないと思いますので、その点については当然いたさなければなりませんけれども、収支の面だけから直ちに即効的に収支のバランスが現状の受信料制度あるいは現在の受信機の普及状況の伸びの鈍化、こういうようなものから考えまして直ちに対応策が即効的にあるかと聞かれますと、これは単にNHKだけの努力というものではなくて、もっと全体的な問題としてつかまえて考えなければならない。その点についても、NHKのあり方というものと受信料制度のあり方というものを、NHK自身でも現在勉強を内部的に続けておる状況でございまして、そこでどのような最終的な結論が——目下作成中、検討中でございますけれども、それをまた各方面にお願いをしたりというようなことも出てくるかと思いますけれども、現状においてお答えをいたしますということになりますと、五十四年度以降の財政の不均衡というものを直ちに解消するということはきわめて困難であるというお答えでお許しを願いたいと思います。
  99. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 非常に重要な——高橋先生の質問の相手でないのでありまするが、私は料金値上げはいまやる意思はありませんと言った関係から一言お許しを願いたいと思うのでありまするが、山本専務理事から、料金収入以外に求める財源がないので、努力はするが非常に困難だという見通しの御答弁がありました。私は、しからば服部郵政大臣NHKと緊密な連携をとらないで、ただ勝手気ままな意見書を書いたということにつながるわけですが、それではなかなかぼくにも大きな責任があるわけです。はっきり申し上げて、企業努力とは一体何ぞやという認識を会長以下皆さんしているのかどうかということ、これを私は指摘したい。まるで大臣が野党の質問のようになるかもしれませんけれども、これはっきり申し上げて、一体企業努力とは何ぞやという認識をされているかどうか。私は高橋先生と同様、第二の国鉄にしてはならないという強い悲壮な決意で、何も限られた任期に、ごもっともだ、至極そのとおりだと言ってさっさと、いい大臣だったと去って行った方が利口かもしれないけれども、第二の国鉄にならしては大変だという立場から、心を鬼にして毅然たる態度で取り組んでいるわけです。  一つの例を挙げると、これは参考にしてもらいたいが、いま、国民の負担において公共放送使命を果たすというのはこれは基本なんです。片やでいわゆるまじめに視聴料を納めている人と、まあ一説には五十億と言う人もあれば、またとんでもない百億を超すんだという、数字の魔術だといういろいろな意見もあります。これをこのままで余り意欲的な施策を講じないと、ここに不公平が現在生じているんです。そのうちの〇・〇〇〇何%であれば、これはまあいろんな事情があるのだろうと考えられるが、一説にはいわゆる二分の一、または三分の一・五が料金を納めていないという説もあるわけであります。私は、これは確認はしていません、未確認情報ですが。  なお、もう一つの問題は、先ほども大森先生の質問がありましたが、駐留米軍人及び家族、軍属の料金は取れるのか取れないのかという問題なんですね。これ、いま大きく問題になっているのです。先ほどの説明では、二度文書でやったとこういうことなんです。私は就任まだ三月半です。防衛施策庁長官を初めアメリカ局長、関係者に、恐らく十回以上会っていますね。最後には、君、何を言っているかと、もしこういう文書が来て——文書も見ました、拒否の文書も。このようなことをやられたならば、NHKはどのような手段でアメリカ当局と折衝するんだと、少なくとも防衛庁の施設庁の君の方が責任を持って国家予算NHKに代払いしなさいと。残念ながら、駐留軍といえども日本人の感覚からいけば侵すことのできないような状態にあって、なかなかできないじゃないかという強談判も私はやっているわけなんです。言うことは言うけれども、できるだけのことはしたいということは、先ほど来申し上げている基本的に健全経営に移したい。いままでのように安易な気持ちでやられたならば大変なことになると。これは三十三年間放てきされていたじゃありませんか。きのうきょう突然に始まったように大騒ぎが起きているわけですから、これまで企業努力を払ったと言えるかと私は言うわけです。  まことに厳しいようなことではありまするが、高橋先生の御指摘どおりに、在来のようなNHKのあり方では大変だ。あわせて私は、さらにもっと検討していますが、物の買い方にももう少し注意を払うべきではないか、物の買い方にもう少し注意を払うべきである。私はここであえて指摘はしません。私はこう言って自分の信念どおりにこういう答弁をやって、決して対抗意識を持ってやっているんじゃないんです。だから、そういう点の企業努力を払いなさいと。この企業努力の結果、どれだけの成果が上がって、しかもどうにもならないからと言うのならば、私は国民に訴えて、皆様方にお願いを申し上げて、ここまでやったけれどもどうにもなりませんからひとつ考えていただけないかと。先ほど来申し上げていることを総括するならば、これ以外に私は何も考えていないわけですから、どうぞひとつ誤解のないように。余りにも関係が深過ぎたので、私に対する質問ではございませんでしたが、あえて発言を求めて事情を申し上げておきたい、かように思います。
  100. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 それもこれも現在のNHKの存在というものが、国民生活に非常に貢献度もあるし、やはり健全に今後もNHK使命を果たしてほしいという願いから、ぼくはすべてが出ていることだろうと思います。  ですから、たとえばよく言われることでございますが、これはあるいはNHKの御専門の関係者から言えばナンセンスなことかもしれません。ただ、研究というものは何でもやってみていいんだろうと思いますし、立ち入ったことかもしれませんが、たとえて言えば、いま世間では宅配あるいは集金というものの人件費なりこういうものが非常に問題になっております。これは国際的には日本の大きな特色だとも言われたんですが、しかし経営努力ということから言えばこれは再検討すべきときだと、それに関連した業界はみんな取り上げているじゃないか。それを考えますと、やはり受信料徴収方法の検討、あるいはそのための経費の節減というようなものは取り上げるまでもないことなのか、私も専門家じゃないからここはよくわかりませんが、あるいはこれは私見ですが、民放では成功例もありますし失敗例もありますが、業務の関係団体への分割というようなことも、とにかく生き延びるために試行錯誤もありましたがやっております。こういう点のお考えはあるのかどうか。私は、これは複雑なことです、大変いろんなことが絡んできますから単純には言えませんが、しかし検討してもいい課題ではないかなあとも思うんでございますが、ちょっとその辺のところはどんなものでしょうか。
  101. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) おっしゃるとおり、案外灯台もと暗しで気がつかないというようなことが多々あろうかと思いますので、そういう点、やはりわれわれとしたら謙虚に反省するところは反省して手をつけなければいけないんじゃないか。先生指摘受信料の問題につきましても、できるだけ口座等をふやす、そういうことによって、ある意味では収納の確実性あるいは合理化というところにつながるんじゃないかと思いまして、口座前納というようなことについてもかなり営業目標を立てて努力しておる次第でございますし、その他いろいろな面につきまして当然知恵を出していかなければならないんじゃないかというふうに考えておりますので、今後いろいろなことがございましたら、御示唆賜れば幸いだと思う次第でございます。
  102. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 いずれにいたしましてもこの赤字傾向というのが大問題だろうと思いますし、何とか歯どめをここでかけたい、抜本的な施策を講じたいというふうに私なども考えますし、ぜひ御研究をいただきたいとお願いする次第でございます。  それからもう一つ、この四月番組の新編成の一覧表というのを拝見いたしましたが、私なんかが拝見いたしまして、これは三十九年の改定以来の大変な私は改定だと見ます。今回の改定なんですが、教育テレビや音声放送はこの際一応おいておきまして、総合テレビジョンというもので相当思い切った形をとっていらっしゃると、こう思うんですが、そのよってきたる基本的な考え方と申しますか、これをまず伺いたいと思います。
  103. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  基本的なNHK番組自体につきましては、公共放送使命達成という大きな柱のもとに、内容的に大きな変化はないわけでございますが、今回の改定は、視聴態様の変化に伴って改定したというのが基本的な問題でございます。と申しますのは、私たち国民生活時間調査を五年ごとにやっておりますが、この前の調査で、十年前に比べて人の眠る時刻が約一時間おくれたということがございまして、かつ、それに呼応するかのごとくテレビのゴールデンアワーが夜間に広がったということもございます。そして、番組向上委員会等でも、すべて六時から十一時までをゴールデンアワーにしているということでございます。それから同時に、社会情勢の変化に伴いまして、都市の通勤時間が長くなっておるということも一つの注目すべき社会的変化だと思っております。そして、その結果、視聴態様というものがずいぶん変わりました。そして、それに合わせるように、見やすいように、番組編成がえを行ったということでございます。  形式的に一番大きく変わりました点は、解説の時間が十時から十時三十分に移ったということでございます。一番変わらない点は、ニュースの時間がそのまま伝統的に引き継がれたということでございます。それから、内容的に一番変わってきた、変わるだろうと思いますのは、子供の時間を強化をしたということでございます。それが大きな変化と思います。  なお、海外取材番組、特派員報告等、従来七時半台でありましたものにつきまして、先ほども申しましたように、通勤時間の延長等を考えまして、これをNHK特集の中に形としては繰り込みまして、八時からの五十分間、この中で新たな決意をもって番組制作をしていただくということになっております。  なお、その結果、七時半台が、いわゆる子供さんのチャンネル権というものがほぼ確立しておりますので、それに合わせるように娯楽性豊かなファミリーアワーとして定着を図りたいということでございます。もちろん子供だけの時間ではございませんで、ファミリーアワー、視子楽しんでいただける時間にしたいと、こういうことでございます。
  104. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 言ってみれば、視聴者公的時間の拡大に合わせたということも言えるだろうと思いますが、いまのお答えの子供のチャンネル権に合わせた娯楽性豊かなファミリーアワーというのを、一覧表ここにございますが、拝見しまして、とかく世間では、娯楽といいますと即、低俗化につながるんではないか、あるいは大衆路線といいますと、直ちにNHKまでが視聴率競争に参加するのかととられがちでございますよね、これが。その点を、NHKとしての娯楽のとらえ方、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか御説明いただきたい。
  105. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  ここ数年来、あらゆる調査で、テレビに求めているものは、一に報道、二に娯楽、これはもう確立いたしております。したがって、国民に豊かなあすへの労働力といいますか、勤労意欲を増すための娯楽番組というものは私は非常に貴重なものだというふうに考えております。しかし、視聴率競争に走る余り、低俗かつ国民のひんしゅくを買うような娯楽番組は、私たちはこれは公共放送というたてまえと申しますか、あらゆるテレビ業者の社会責任として避けるべきものだと思います。  したがって、心豊かな娯楽番組というのはきわめて重要な番組だと思いますし、そして娯楽番組につきまして、あらゆるテレビ番組がそうでございますが、世界じゅうの放送局の制作者が一番ねらっているのは、よい番組をいかに多くの人に見てもらうか、一見相矛盾する二つのテーゼといいますか目標でございます。そして、娯楽番組につきましても、よい番組をより多くの人へというふうに考えております。娯楽番組につきましては、やはり見てもらえるかどうかというのにかなりのウエートをかけるべきものというふうに思いますし、制作者もそのつもりでやっております。したがって、視聴率競争に走るというつもりは毛頭ございませんが、娯楽番組本来の目的を達成するように努力をいたしている次第でございます。
  106. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 いまの御説明では、質の伴う視聴率競争といいますか、途中当然切磋琢磨といいますか、そういうものはあっていいと、ただ、そのために質が低下するというのはこれは避けなければいけない、こう解してよろしゅうございましょうか。
  107. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 私はそう考えております。
  108. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 さっきのお答えのように、まさにテレビジョンの本質というのは一がニュースで物事あるいは事件を知り、二は大部分が楽しむものだと。勉強したり知識を得るものではない。これは総合テレビジョンの場合でございますけれども、非常にそういう価値観は薄くとらえられているということは私も事実であり、テレビジョンというもののこれは本質だろうと思いますし、それだけにこの前も私、私の意見として申し上げたんですが、大衆の感性に訴えているこのテレビジョンというものの影響力というものは大変大きいし、それは娯楽番組においてことに大きい。ですから、これは私見でございますが、そういう意味での娯楽番組というのは、ある意味で広く考えて教育番組であると私はとらえております。ですから、非常に慎重を期さなければいけないし、娯楽番組こそむずかしいんだと、私はそういうふうに解釈しておりますし、大体いまのお考えで、どうやら私とその意見は同じでいらっしゃると思ってよろしゅうございましょうか。
  109. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 私としても高橋委員のお考えのとおりに承知いたしております。
  110. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 これは最後でございますが、いずれにいたしましても、テレビジョンというのは新聞などとも本質的に異なりまして、全く十人が十色の意見が言えるのがテレビジョンだと思います。この価値観、ニーズの複雑多様化に適応していくということはますます困難になっていくんではないかと私も思います。ただ、スポンサー、番組一つ一つのスポンサーがない。言ってみれば国民全体がスポンサーと解すべきですが、NHKの場合には一つ一つ番組への注文はないはずでございまして、そういう意味では編成というものは非常に柔軟な姿勢がとれるはずでございますし、弾力性も持てるはずですし、これが日本放送界におけるNHKの最も大きな特色であり、武器だろうとも思います。そういう意味で、ぜひいまおっしゃいましたような内容と、それから弾力性ある編成と、調和ある編成と申しますか、これらを含めましてぜひ御努力をいただきたいとお願いいたしまして、私の質問終わらせていただきます。
  111. 最上進

    ○最上進君 NHKは、国民放送局として、視聴者意向をもっと的確にとらえてこれを反映させていく、いわゆる視聴者との結びつきというものを一層強めるということが非常に大事なことではないかというふうに考えているわけでございます。特に先ほど来指摘をしておりますとおり、滞納者が激増しておりますのも、どういうところを契機にしているかといいますと、やはりこうした受信料の値上げ、改定、こういうようなものを契機に先ほど御指摘したとおり大変ふえているわけでありまして、そういうことを考えますと、これからの値上げが予測される中で、私どもやはり痛切に感じますのは、NHKが民放以上にNHKとしての特徴を踏まえて国民との結びつきというものをもっとより強固にしていくということが大事だというふうに考えております。坂本会長は、従来視聴者意向の吸収とかあるいはその反映施策を積極化してまいりたいというような、そういう御発言をされてきているわけでありますけれども、いままでにこれに関してのどのような施策を講じてこられているのか、また今後、その強化施策としてどのような具体案を持っておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  112. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘の点について、当委員会でも御報告いたしましたように、一昨年から全国の視聴者会議というのを各放送局別に設けまして、その地方地方の代表となるような有識者の方々に御参集いただいて御意見を承るというようなことを新たに実施いたしまして、そしてこれにつきましては、その出た御意見を全部東京に集約いたしまして、場合によりましては私も地方にお邪魔して、直接視聴者会議出席して御意見を承るというような努力も続けてまいっておる次第でございます。  その他、当然のことでございますけれども、生に直接受信者の方にお目にかかっていろいろ御注文を承るという懇談会、その形式のもの、これは現在でも各放送局別に実施いたしておりまして、これはいわゆる有識者という形ではございませんで、直接御契約いただいている受信者、団地に伺うとか、あるいは学校へ行って、そこにお集まりいただいて御意見を承るというような努力もいたしておる次第でございます。  その他、当然のことでございますけれども、モニター、これはモニター制度で全国にモニターをお願いいたしまして、番組についての御批判もさることながら、そこでいろいろな御意見があればそれも承らせていただくというようなこともいたしておりますし、御承知の世論調査所におきます世論調査というようなことで、世論の集約等も努力いたしておる次第でございます。今後、これらできるだけ生の視聴者の声に触れる努力と、さらに、従来多少御指摘もいただきながら十分でなかった放送そのものを通じてのPRというようなことも、私はもっと積極的に行いましても必ずしも視聴者のひんしゅくを買うということではないんじゃないだろうか。まあ、われわれ自分で電波を持っておるものでございますから、自分の電波を使って自分のことを言うということに多少憶病になるような傾向もなきにしもあらずでございますけれども、NHKそのものをやはり御理解いただく、正しく御理解いただくということのために電波を使うということは、これは視聴者に御理解賜れる手段ではないだろうかというふうに思いまして、そういう方向への努力も新年度以降続けたい。これはむしろ新たに続けたいと申し上げた方がいいのかもしれませんが、そんなような感じを持って現在現場を指導しておるつもりでございます。
  113. 最上進

    ○最上進君 もう一つNHKが重点施策の一つに数えておりますいわゆる受信料収納の確保の問題でございますが、やはり総体的に見て受信料収納率は漸次低減、低下の趨勢にあろうかというふうに考えております。これを裏づける受信料滞納件数というのは、昼間の不在世帯あるいはまた受信障害世帯の増大等に伴ってかなりの数に上ってきているわけでございまして、特に受信料改定後は、先ほどもお話しましたとおり、契約拒否や意識的な不払い者が増加しているという、こうした現状の傾向に対してどのようにお考えになり、また対策をお立てになられているのか、お伺いをしておきます。
  114. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 確かに全体の滞納契約者の中でNHK番組を見ていない、あるいは番組が気に入らない、あるいはNHK経営姿勢に対して批判的であるというふうな理由によって受信料を支払わないという方の比率、全体の滞納契約者の中における比率が高くなっているということは事実でございます。で、先ほどからも会長その他から申しておりますように、NHKの性格、NHK使命というものを十分御理解をしていただくような施策、これを進めることは当然でございますし、またNHK番組が見られるような番組にしなければならないということも当然でございます。  そういういわゆるNHK理解を促進するということが大前提でございまして、あと営業の現場といたしましては、特別の対策要員、これを昨年の十月から発足させまして、で、このような滞納者が多いのは東京、大阪等の大都市並びにその周辺が一番多いわけでございますので、東京周辺、いわゆる首都圏と近畿圏にそれぞれ五十名ずつの対策要員を配属いたしまして、三月現在ではすでに両方ともそれぞれ五十名になっております。これを本格的に活動いたさせまして、そういう個々の滞納家庭、そういうところに直接お伺いをして説得に努めるという活動を従来以上に強めるということをやっていくつもりでございます。
  115. 最上進

    ○最上進君 その不払いの中でいわゆる本当の意識的な契約拒否というものがどのくらいあるのか、その実態についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  116. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) NHKと契約をして、そして払わないという方の中で、そういう意識的に支払わないという方は、五十二年度の上半期、ことしの九月現在でございますが、その時点で全体の滞納者約八十二万の中で二十万でございます。そのほかに契約をどうしても締結をしない、先ほどと同じ理由によって契約を拒否するという方が、これは推定でございますけれども、大体八万ぐらいあるというふうに私どもは見ております。
  117. 最上進

    ○最上進君 二十万、八万人、こういう数字は一口に片づけられないぐらい私は大変な人数、世帯数だというふうに思うわけです。これはやはり先ほども御説明のとおり、大都市周辺に大変発生をしているということでありますけれども、これは全体の契約した不払いの中の、全体八十二万の中の二十万というのも、これはまた大変な率だと私は思うのでありますけれども、この辺についてはこのまま放置しておいてよいということはないわけでありまして、しかも恐らく地域的によっては、集団的に何か運動が展開されているところもあるのではないかというふうに私は推測するわけでありますが、こうした不払い運動というものの実態について、もう少し詳細に御説明をいただきたい。
  118. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 不払い運動を指導と申しますか、そういう形でやっておられるのが東京では小金井にございます。それから大阪の寝屋川にもございます。それからそのほかに北海道にもございます。しかしこれによる、いわゆる集団として、この運動に同調をして集団として不払い運動をやっているという数は約二万程度というふうに見ておりまして、その数そのものは私はそんなに大きな影響力はないというふうに考えております。
  119. 最上進

    ○最上進君 まあ、二万が、数ではさほどのものでないというふうにどうもお片づけになる。巨大なNHKでありますから、そういうお答えが返ってくるのかもしれませんが、どうもやはり私は、こういういまの段階では、小さなこうした運動であっても、たとえば今後先ほど来指摘しております受信料の改定等の問題を契機にして、さらにやはりその輪が広がりつつあることだけは間違いないんではないかということを感ずるわけです。そういうことを考えますときに、やはり小さな運動だとか、数が少ないということで片づけるんでなくて、東京でも大阪でも北海道でも、実際にこうした運動が展開をされているなら、やはりそのもとを断つような努力、皆さん方のねばり強い努力というものも私は必要だというふうに考えるんでありますけれども、この点はやはりいまのままほうっておいてよいとお考えなんでしょうか。
  120. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) もちろんほうっておいていいというふうには考えておりませんで、そういう運動を主唱している本人そのものに対しても、当然私どもの現場の責任者が直接会って説得を続けておりますけれども、正直申し上げまして、そういう主唱者はなかなか説得に応ずる様子もございません。したがって、現在やっております対策は、それによる影響が周囲に広がらないように、そういう主唱者が孤立するようにその周辺を固めるというやり方で現在やっております。  で、先ほど数が二万だから大した影響力はないというふうに申し上げましたけれども、決してそれを私どもは無視しているわけでございませんで、そういう方の主張に同調をして、それにまあ籍口してと申しますか、同調して、同じ理由によって払わないという方があっちこっちに出てくるということは、私どもこれは絶対に軽視できませんので、そういうことに対する私どもNHKの説得ということは常に続けておりますし、これからもさらに強めていくつもりでございます。
  121. 最上進

    ○最上進君 何かいかにもこうした運動が民主主義の社会一つの新しい形であるとか、是認されるような傾向というものも一部にあろうというふうに私は感ずるわけでありますが、しかしやはり正直者がばかを見るというような、そういう社会的風潮が少なくとも助長されるようなもとになるような、こうした一つの問題でありますけれども、ひとつぜひ格段の御努力をいただいて、何とかしてひとつこういう不払い運動等が展開をされないようなひとつ努力もしていただきたいというふうに感じております。  受信料滞納者や意識的な不払い者の増加に対して、負担の公平を期するという、あるいはまた受信料制度そのものをやはり今後維持していくためにも、私はぜひひとつただいま申し上げてきたことに対する適切な措置を講じていただきたいというふうに感じているわけであります。  先ほども出てまいりました、新しく設けられた特別営業対策要員の問題でありますけれども、こうした対策要員が行動する中でどの程度回収対策というものが現実に進んできたか、その辺についてひとつお聞かせをいただければと思います。
  122. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほども申し上げましたように、これを発足させましたのが昨年の十月からでございまして、人数も当初は東京、大阪両方合わせまして約三十名ぐらいでスタートをいたしまして、その後逐次充足をいたしまして、現在大体両方とも五十名ずつになっておるわけでございますので、まだ現在までのところでは、所期の私どもの目標と申しますか、そういうところにはいっておりませんけれども、十月から一月末までで、滞納契約者、それを訪問いたしました数は、十二万一千軒ほど訪問いたしております。その中で——この対策要員は夜間等あるいは休日、そういうところを重点的に勤務させておりますが、それでも十二万軒ほど訪問いたしました中で、面接できましたのが四万五千軒ということでございました。四〇%にならない、三七%ぐらいの面接率でございます。それで、収納いたしました数は一万件の収納数というふうになっております。  先ほども申し上げましたことを繰り返すようでございますけれども、人数が大体充足できましたので、これから本格的な活動に入りたいというふうに考えております。
  123. 最上進

    ○最上進君 受信料の免除の問題でお伺いをしておきたいんでありますが、防衛施設庁から受け入れる資金として、基地周辺受信者あるいはまた射爆場周辺受信者に対する受信料免除制度があるわけでありますけれども、先ほども大森委員指摘をされました、いわゆる飛行場周辺の電波障害、こういうものに対しても、本来でありますれば適用されてしかるべきだというふうに感じるわけでありますが、特に先ほど大臣が、電波障害に関する対策の質問の中で、建築基準法の改正の問題にお触れになったわけでございます。もともと私ども感じますのは、これからやはり社会がどんどん発展をし、また国土が開発されていきます中で、こうして飛行場の問題だとか、あるいは新幹線の問題だとか、あるいは高速道路の問題しかり、こういう中で当然やはり原因者負担を明確にした、たとえば公害対策基本法のような、ああいう法整備というようなものが、事この電波障害に関しても私は整備されてしかるべきではないかというふうに感じているわけでありますけれども、この点については大臣はどのようにひとつお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  124. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 御指摘の高層建築による電波障害は先ほど御説明申し上げたとおりでございますので、よく御理解をいただいたと思いますが、高速道路、それから公共事業に伴う電波障害には、いまその調査会を設置いたしまして、大体結論が出たと理解いたしております。それは公共事業ですから建設省の中で——高速道路またはそれに準ずるいろんな公共事業電波障害の場合には、いま補償基準の内容に入っていると聞き及んでおりまするが、私は先ほど来御指摘のありました、いわゆるそういった電波障害による受信者がNHKの聴視料の納付拒否、これは私は当然だと思います、見れないものに金を出せということば、これは言えるものじゃありませんから。はっきり申し上げて、たとえば新幹線でそういう障害があれば、原因者がそういった迷惑をかけている方々に、極力見えるような状態にしながら、やっぱりかわって、新幹線走らなかったら当然収納になるわけですから代納させるべきだと。またいま一つは、飛行場周辺はそのとおり。また、米軍関係は施設庁がそういった仕事をやっていると。  なお、先ほど御指摘のあったいわゆる放送料免除の見直しという点についても、厚生省所管であれば厚生省でちゃんと予算化して、そういうふうにしてあげねばならない立場の人であれば、母子家庭とかまたは身体障害者とかそういった方に、NHKが健全経営、潤沢な時代にとった措置が、いま大変苦しくなれば当然ぼくは国が、関係省が予算化をされてNHKに納付すべきだという姿勢をとりまして、先般も厚生大臣に強くそのことを申し入れいたしましたし、またいま職業訓練所も免除の対象ですが、これは労働省でやるべきだと。最上先生、そういった姿勢で進んでおります。  いま御指摘の公共事業とか新幹線について、ちょっと私つまびらかでございませんので、調査をいたしまして、適当なときにひとつお答えいたしたい、かように思います。
  125. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 関連、郵政大臣、関連して申し上げますが、これは別の機会に申し上げようと思ったんですが、かねてから郵政省でも調査会をつくったり、さっきお話しの指導要領みたいなものを出して、なるべくトラブルを最小限度にしようという努力をしておられることは、非常にこれは結構だと思うんですよ。ただ、法制的に言いますとね、原因者負担とおっしゃっても、原因者負担であるというようなことを義務づけているような法制は全然ないんですよね、いま。水質汚濁とか大気汚染につきましては、御承知のように公害基本法がありまして、水質汚濁防止とか大気汚染の防止についてのそれぞれの法令がもう出ているわけです。だから、そこには原因者負担ということがはっきり書いてあるわけですよ。いま電波の公害につきましては、どこにもそれがないいんです、具体的に。ただ、まあこれは私の非常に乏しい法律の常識ですけれども、それを裏づけるようなものは民法の不法行為なんです。民法七百九条の不法行為です。故意または過失によって他人の権利を侵害した者については、賠償しなければならぬという、それだけだと思いますね。そこから裁判になりますと、裁判所が一つ一つの事例、ケース・バイ・ケースで、これはこの程度の補償をしなければならぬとか、これはこうだとかいうことを裁判所に持っていって初めて両方の折り合いがつくわけです。  ですから、ここまで電波の公害が広がってきますとね、法秩序を守るために、やはり法律をもって基本的な姿勢を示しておかないと、事ごとに裁判所に持っていかなければならぬ。裁判所もこれは非常に困ると思うんですよ、別にどの程度の責任を持っているかということを法制的に義務づけてないんですから。そういう意味で最上さんも言っておられると思うんです。  これはなかなかむずかしい問題ですから、ただ建設省の建築基準を変えたとか——これはまあ一方的なんですね。別に原因者に対して法制的な義務を負わしているわけじゃないですよ。電波の場合ですよ。ですから、新幹線とか、さっきお話があった飛行場問題、それから高速道路。それから、民間の施設でもそうだと思いますね。そういった電波の障害になっているような施設ができると思います、建築物じゃなしに。  そういう問題をしっかり総合しまして、何かやっぱり郵政省としては基本的に電波のそういう公害を防除するような法制的措置を確立しておかれないと、これはもう裁判にばかりなりまして非常に秩序を混乱させるもとになると思うんですよ。そういう意味で、私も最上さんの言っておられる趣旨には賛成なんです。すぐにはいきませんが、ぜひこの問題に——まあ調査会とかいろいろ結構ですけれども、法制的な裏づけをした調査会にして、根本的に安心して国民がこれに取り組んでもらえるような制度をつくっていただくように、特に私からも要望したいと思うんです。御答弁は別に要りません。
  126. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 非常に重要な問題でありますから。御指摘の問題、私はこれから多岐にわたっていろいろ問題も起きると思いますので、ひとつ真剣に事務当局に検討をさせたいと思います。また先生方の御協力も願いたいと思いますが、ただ、先ほどの高層建築による電波障害は、これは法的規制をしたい。これは建築基準法という法律で確認の事前に電波障害の実態を把握し、原因者負担で保護措置をしなければならないという、これだけがちょっとまともなかっこうになっているんですがね。あとは電波障害に対する補償基準を八月まで出すと、建設省でも話し合うといって、国会と所管の官庁が出し合うていまやってもらっているんです。仰せのとおり、非常に多岐にわたってくるわけですから。運輸省もあり、いろいろありますから。ただ、かなり法律をつくるというのは容易じゃございませんので、これも進めながら、いま御指摘の問題も並行をしながら、先ほど申し上げたとおりに、事務当局に十分検討させて先生方のひとつ御理解を得たい、かように考えておる次第でございます。
  127. 最上進

    ○最上進君 話題は変わりまして、モスクワ・オリンピックの実況中継の問題についてお伺いしておきたいと思います。  これについては、巷間伝えられるところによりますと、ラジオの放送権は朝日放送に移譲され、朝日放送が在京ラジオ三社の協力のもとに全国ネットすると言われております。またテレビにつきましては、テレビ朝日の独占権のもとに同社系列の基幹八社にオールネットしていく。これによりますと、大体全国世帯の八七%をカバーできると言われているわけでありますが、さらに加えてクロスネット十数社へのネットを予定しているほか、ほかのローカル民放社に対しては、番組販売方式で臨むということさえ言われているわけであります。そして放映時間は、一日平均で大体十六時間十五分、延べで二百二十九時間十五分。これはちなみに申しますと、モントリオール大会におけるNHKの放映時間七十二時間四十五分の約三倍の時間に相当するというふうに言われておりまして、大変膨大な計画であるというふうに私どもは考えているわけでありますけれども、この報道につきましては、郵政当局はすでに確認をされておられるのかどうか、まずお伺いをしておきます。
  128. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のございましたテレビ朝日が獲得をいたしましたモスクワ・オリンピックの放送権をめぐりまして、現在テレビ朝日と民放各社との間で契約交渉が行われておるというふうに伺っておるわけでございます。最終的に何社がこれを放送するのかはまだ確定をいたしていないわけでございまして、テレビ朝日及びテレビ朝日と契約をいたしまして放送を行う民放各社によって、どの程度の世帯をカバーすることができるかどうかは現段階では明確にいたせませんけれども、仮に、現在テレビ朝日をキー局として放送いたしておりますANNニュースというのがございますけれども、このニュースを放送しております十八社がオリンピック放送を行うとすれば、全国世帯の八十数%をカバーすることができるであろうというように推定をいたしております。
  129. 最上進

    ○最上進君 そうすると、いま私がお聞きをした、最終的には膨大なこの放送計画放送時間の問題については、これは確認をしていないという回答として受け取っていいわけですか、いまあなたがおっしゃったことは。
  130. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 御指摘いただきましたテレビ朝日が同社系列の基幹八社のオールネットによって全国世帯の八十数%という点につきましては、ほぼ御指摘のとおりというふうに考えておるわけでございます。この件につきましては、先ほど先生指摘のとおりの放送計画が立てられておるというふうに承知をいたしております。
  131. 最上進

    ○最上進君 昨年来、この問題で種々論議がされてきているわけでありますけれども、私どもやはり国民立場に立って考えますときに、やはり民族の祭典ともいうべきこのオリンピックの実況というものは、少なくともやはり国民の前に最良の状態視聴ができるというおぜん立てをしていかなければならないというふうに考えているわけであります。そこで、このような膨大な放送計画をまず満たすに足るだけの国際中継回線の設定が、一体可能なのかどうかということが基本的にやはり私ども脳裏を疑問としてかすめるわけでありますけれども、この点についてどういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。  あわせて、テレビ朝日系列局によるネットで全世帯のいまも出ました八七%前後のカバーの問題でありますけれども、この点については、郵政当局は実際にできるというふうにお考えになっておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  132. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) まず、第一点の国際中継回線の設定の問題についてお答え申し上げますと、現在、東京−モスクワ間には、西独経由及びフランス経由の国際テレビジョン電送回線が設定されておるわけでして、回線構成といたしましては、東京と西独またはフランスとの間は、御承知のインド洋上のインテルサット衛星、西独またはフランスとモスクワとの間は、いわゆる地上回線が利用されておるわけでございます。で、モスクワ・オリンピックの際のテレビジョン電送のための回線の確保につきましては、現在国際電電とソ連当局との間で協議が進められておるというふうに承知をしておるわけでございます。なお、インテルサットのインド洋衛星におきまして、テレビジョン電送回線のために割り当てられております回線は、現在のところ一回線というふうに聞いておりますが、さらに一回線を割り当てるべく、インテルサット当局において検討中というように承知をいたしております。  なお、八十数%という問題でございますけれども、もし仮に先ほど申し上げましたANNニュース加盟十八社が全部テレビ朝日とネットをするということを前提にいたしますと、私どもといたしましても八十数%のカバーは可能であろうというふうに考えております。
  133. 最上進

    ○最上進君 先ほど私がお話しを申し上げましたその報道記事によりますと、そこではラジオ、テレビともにNHKとの協力関係というものは一言も触れていない。非常に奇妙な感じがせざるを得ないわけでありますけれども、NHK当局としては、モスクワ・オリンピックの実況中継に対して、現段階で、ここまで推移してきている中でどのような考え方で臨んでおられるのかお聞きをしたいと思います。
  134. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  NHKといたしましては、公共放送といたしましてオリンピックの中継をラジオ、テレビともいたしたいという気持ちに変わりはございません。しかし、その経過等がございまして、できるだけ国民の納得する形での中継をやりたい、この二つで、いま表へ出していくわけにはまいらないような事情がございますが、折々努力を続けている次第でございます。  なお、表に出した努力といたしましては、たとえば同じ年にレークプラシッドで冬季オリンピックが行われますが、これについてはNHK、民放、一緒になって、日本放送機関として共同で取材また放送計画を立てようということで話し合いがまとまりまして、多分きょうかあした現地で正式調印をいたすことになっております。そういうふうに、われわれといたしましては、モントリオール・オリンピックの際にとりました方式がやはり最高の、日本としては一番国益にも合い、国民の皆さんにも納得していただける方式と思いまして、できるだけその条件を満たすように鋭意努力中でございます。
  135. 最上進

    ○最上進君 いまの御答弁でわかりますとおり、NHKはやはりオリンピックの放映をしたいという意思がまさにおありであるわけであります。確認がされたわけでありますが、前小宮山大臣委員会の場でもお述べになられましたことでありますが、場合によっては、やはり民放とNHKとの間の仲介の労をいとわないという積極的な姿勢をとられてきたわけでありますが、大変おとぼけの強い、私ども期待をしております服部郵政大臣としては、やはりこれを踏まえて、さらに仲介の労をおとりになるお気持ちがあるかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  136. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 前小宮山大臣は仲介に入ると言ったので、私はその後任者だから意思を継がねばならないと思うのでありまするが、しかし、厳密に法的に、この放送権というのはこれはなかなか微妙なものでありまして、本来は放送事業者の自主的な措置を持つべきものでありまして、かりそめにも政府、しかも主管大臣がそれに介入するとなると、これはなかなか容易ならざる事態だと私は思います。こういうときにもやっぱりぼくは一言申し上げたいのは、もっとしっかりしなさいよ、NHKは。何やったんですか。逆に今度は、これは内輪だからね、そういうことは言えると思うんですよ、どうやったんですかと。しかし、もう言ってもすでに遅いので、私はみずから飛び込んでいくことはいろいろと私なりに調べてみると少々難点があります。  しかし、なぜこうなったかということを私はかなり知っております。それは、私は一人の国民としてなぜこうなったかを知る権利があるわけですから、ひとつ参考のために、なぜこういう結果になったんだろうか。これは常識的に考えても考えられないことなんですね。ところがその事情も知って、いよいよもってこれはもう全く困ったことだ。しかし、御指摘のとおりに、これは民族の祭典、国際的行事でありまするから、われわれも、かつて東京オリンピック、またはメキシコ・オリンピックを通じて、大変な喜びと興奮を感じた経験があるわけですから、現在の青少年にもそういった気持ちを与えてやりたいわけですから、私はすべての国民が必ずその立場で見れるように、飛び込んでいく勇気はありませんが、最終的にはすべての国民がその与えられた居住地で、テレビを通じてその祭典を見、感激を覚えるような措置をとることをはっきりお誓い申し上げたい。だから、介入はちょっと御勘弁を願いたい。しかし、日本の皆さん全国民が見ていただけるように最善の努力を払うことをはっきりお誓い申し上げておきます。
  137. 最上進

    ○最上進君 期待をしていた答弁がどうも得られなかったようでありますが、仲介の労はおとりにならないということでございましょうか。
  138. 服部安司

    国務大臣服部安司君) そうではございません。私がみずから進んでいくちょっと勇気はございませんが、求められるならば喜んで入ってまいりたい。したがって、先ほど申し上げたとおり、必ずすべての国民がと、こう言った中に含まれていると御理解いただければ大変ありがたいと思います。
  139. 最上進

    ○最上進君 最後に、NHK当局にお聞きをしておきたいんでありますが、やはり何といいましても、わが国放送の歴史を見ましても、公共放送商業放送との並立という基本的な体制のもとで今日まで発展をしてきたということだけは間違いないと思うんです。ところが、やはりどうもこのモスクワ・オリンピックの放送問題から、NHKと民放との間あるいは民放各社間において、何かあつれきが生じてきているというような感じがしてならないわけでありまして、こういう点については多くの方々が憂慮しているわけでありますので、どうかひとつ、このNHK、民放関係との協調維持あるいはまたその公正な競争という点で、ぜひひとつ格段の御努力をいただきたいというふうに考えているわけでございます。この点に対する会長の御所見を伺って質問を終わりたいと思います。
  140. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘のように、番組を通じて公正な競争をするということは当然あってしかるべきだと思いますけれども、同時に、協調するところは協調するということであるべきではないか、そういう意味ではかなり民放と私どもとの間の協調状況というのは前向きに現在まで処置してきたんではないかと思っております。ただ残念なことに、モスクワ・オリンピックにつきましては、どうも先生方に御心配をかけ、国民にも御心配をかけるような経過になったこと、これは深くこの席をかりておわび申し上げますけれども、その後の、いま堀専務が報告いたしましたように、冬季オリンピックについては従来のモントリオール方式というような形での協調が再び生まれたという、そういう時点からもう一つ前向きに考えられるポイントができたんではないだろうかというふうに思っておりますので、そういう意味で、いたずらに競合するということなく、お互いに助け合ってしかるべきところは助け合うというつもりで今後処置していきたいというふうに思っております。
  141. 最上進

    ○最上進君 終わります。
  142. 大木正吾

    ○大木正吾君 きょうのNHK予算に関する問題の前に、大臣せっかくお見えですからちょっと伺っておきたいんですが、それは、けさのこれは新聞でございますけれども、公定歩合の引き下げに絡みまして郵貯の金利が下がる、こういう記事がございますんですけれども、まだ最終確定ではないようでございますが、新聞報道によりますと、普通預金が大体〇・四四%、定額でしょうけれども。定期が〇・七五%マイナス、こうなっておるわけですが、これについて、目減りですね、目減りがどの程度生ずると郵政当局お考えでしょうか、そのことをひとつ伺いたいと思います。
  143. 服部安司

    国務大臣服部安司君) このたびの公定歩合の引き下げに連動いたしまして、預貯金の金利引き下げが大蔵大臣の発議で日銀の政策委員会で諮られて、同時に私に、大蔵大臣からこの協力方の御要請があったわけであります。私が今日までとってまいった態度は、公定歩合と預貯金の金利引き下げとは関係はないんだという態度をとってまいりました。ただ、こういった厳しい経済情勢のもとで、同じ一つの国内で貯金体系、預金体系、金利体系という大きい狂いがあってもこれはまた経済運営にも大きな支障がありましょうが、ただ一般の公定歩合、預貯金はこれはもう日銀の政策委員会で即座に決められて即座に日時指定で公布ができるわけですが、郵便貯金の金利はそう簡単にはまいらないのであります。政令で定められるわけでありまするが、政令で定められる前に郵政大臣郵政審議会にお諮りをせねばならないというきわめて庶民預貯金者を別の法律でガードしているわけなんです。言うならば決定原則というのが法律で示されているわけでございます。  ただ、郵政大臣という立場からいたしますると、いわゆる雰細預貯金者、金利を目当ての貯金者を守ることに心一ぱいの気を使っているわけですが、片や国務大臣という立場になりますると、国の経済政策、いろんなことでいろんな機関からいろんな連絡があるわけでございまして、現在私は正直に申し上げてもう苦悶状態であると言っても言い過ぎでないと思うのでございます。したがいまして、そういった発議があり、私の方に大蔵省から連絡がございましたので、昨日、郵政審議会に御通知を申し上げて、いよいよこれからこの郵便預貯金の金利をどのように扱うか諮問をするわけですが、この諮問も、在来はこの程度に下げたいがいかがですかという諮問でありましたが、今度、また私が変わったことをやるとお思いかもしれませんが、私は額を指定しません。こういう立場に追いやられたわけでありまするが、郵政審議委員各位意見を聞きたいと、こういった諮問をしたい。したがって郵政審議会も、きのう付でお集まりを願ったような状態でありまするから、まだその答えもいただいておりませんので、いまどの程度の目減りかということについては、ちょっと申しわけありませんが、私が申し上げられない立場を御理解いただきたい、かように思う次第であります。
  144. 大木正吾

    ○大木正吾君 本議題じゃありませんから、この問題につきましては要望だけ二つ申し上げておきます。  一つは、やはりせっかくとらの子の零細預貯金でございますから、貯金してもつまらぬというような風潮になりますと、この資金が財投資金に多く使われている関係なども考慮されまして、大蔵省などに押し切られぬようにひとつ大臣の御奮闘をお願いしておきたいことが一つでございます。  もう一つは、これは予算委員会におきまして、大臣がいらっしゃらないときに私申し上げて、大蔵省主税局長の御発言をちょうだいしておるわけなんでございますけれども、村山さんも御承知なんですが、実は高額預金者の要するに預金する対象が違っている場合がたくさんございまして、なかなか全部寄せて捕捉ができないという問題につきまして、大蔵省、九月の末ごろに、金融機関でございますから郵便局、銀行全部入りますが、御協力をいただいて、調査の経過を私たちにお示しいただく、こうなっておりますので、この二つはお答え要りません。大臣としてぜひ、その前に解散はないでしょうから、ひとつ何とか御協力をいただきたい。このことをお願い申し上げておきます。
  145. 服部安司

    国務大臣服部安司君) できるだけ御趣旨に沿うようにいたします。
  146. 大木正吾

    ○大木正吾君 それじゃきょうの議題に関連したことに入りますが、一つはFM放送に絡む記事が最近新聞にも多く出るわけでございますが、これ、大臣の強い指示という表現が新聞等にございますけれども、この問題の扱い方は、最終的に大臣、どういうふうにされるおつもりでございましょうか。
  147. 服部安司

    国務大臣服部安司君) ここ二、三日、FM、多重放送についての私の記者会見やら、電波理局長の記者会見の内容が報道されております。静かに見てみますと、なかなかこう決まった意見でなくて、かなり違ったような意見もありまするが、それは別にいたしまして、私はきわめて早い時期に免許に踏み切りたいと、これはもう基本的な姿勢であります。ただ、かなり及ぼす影響がありまするので、こういった問題を免許の前に処理をせねばなりません。その処理の仕方をどのようにするかということも、衆参の予算委員会の総括が終わりましたので、ひとつある程度の時間も得られる状態になりましたので、事務当局と、また平素委員会を通じての先生方のいろいろな御意見を参考にいたしまして、真剣に取り組んでまいりたい。  で、なぜそこまで踏み切ったかと申しますると、現在民放ではFMは東京、名古屋、大阪、福岡だけであります。これは非常に国民の関心も強うございまするし、また大変音楽放送がすばらしいものであるということで、実験放送が終わってもうすでに本放送に入っておるわけですから、私はこの四つの地域だけにこういった喜びを与えるべきではないと、もういよいよ実験放送が終わったのならば、いろんな弊害を除去しながら、広く国民に供用を開始すべきであると、これがすなわち電波国民唯一の共有の財産であるという立場から、いつまでもロッカーに入れてかぎかけるべきじゃない、もうかぎをあけて渡しましょうという見解をとっているわけでございます。ただし、その時期についてはしからばいつかと、記者会見で求められるんですが、これはそう軽々に扱うべき問題でなくて、先ほど来申し上げているもう詰めていかねばならない問題、また中波で障害を受ける地域がかなりあるわけですから、近隣国の放送の影響で。そういったものの解決もどうやるべきかという問題も考えねばならないために慎重に検討してまいりたい。  あわせて多重放送で、これは音声多重でありまするが、これはもう先生方もよくごらんになったと思いまするが、これ、大変すばらしいものであるわけでして、私もNHK電波研究所で実際に見たわけでありまするが、それはとてもすばらしいものでありまするから、これだけは郵政審議会からももう答申も得ておりまするし、技術的にも完璧であるという確認もとれておりますので、こういったすばらしいものはどんどん国民に供用を開始すべきであるという立場を現在とっておるところでございます。
  148. 大木正吾

    ○大木正吾君 これに絡んでもう一問だけ伺っておきまするけれども、これも新聞の記事でございますから、私も監理局長等に伺ったわけじゃございませんのではっきりは申し上げませんが、十一月二十三日に国際的な中波の再編があるという話もございまして、これから関連いたしますと大体年内というような感じで受けとめるわけでございますけれども、それについて大臣どうでしょう。
  149. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 私はこういう男で、物事をはっきり言うので先生誤解しないようにしてくださいね。私は十一月のことは余り重きを置いておりません。私も国際会議にしょっちゅう出ますけれども、そういうものにあんまりこだわり過ぎないで、どんどん国民立場に立ってそういう行政を進めていきたいというのが私の信条でありまして、新聞では十一月二十三日には国際何とか、電波何とかのあるんですが、周波数移行何とか、こんなもの近隣の国がいわゆる戦略的に電波を使っているんです。日本は平和的に使っているんです。話が合う理由がないわけですから。私はその会議のことは認めまするけれども、仕事を推し進めるには余り関係を持ちたくない、かように考えております。ただ、先ほど申し上げたそういう国柄で、戦略的に使っている地域のいわゆる強烈な電波のために迷惑を受ける地域が生ずるんです、近隣の国だから。こういうところにもやはりFMで手当てをし、国民がすばらしい条件のもとで日常楽しんでいただける、こういうことも考えねばならない、かように考えている次第であります。
  150. 大木正吾

    ○大木正吾君 FM問題について、まだ新しく局をつくるかとか、いろいろサイクル問題等聞きたい点もございますが、一応まあきょうはNHK予算でございます。その方に話を移してまいりまして、伺います。  会長に伺いたいんですが、今回のこの予算なり、特に私注目いたしますことは、番組編成問題が相当大きな問題だと思っておるわけでございますけれども、これについてはあれですか、経営委員会なりあるいは番組編成委員会でございますか、この議論は何回ぐらいやったんでしょうか。
  151. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 番組の改定につきましては、編集の基本計画、それによります具体的なスケジュール、それを両々相まつわけでございますけれども、大体十一月の中央番組審議会に諮問をいたしまして、それから経営委員会に報告し、具体的には約三カ月にわたって継続審議をしていただいたわけでございますけれども、諮問案を作成する以前に、実は各地方の番組審議会の委員長にお集まりいただきまして、そこでまた御意見をいただいたわけでございますから。したがいまして、具体的にいろいろな形で審議会ないしは経営委員会等に御報告をするような形になりましたのは、たしか九月以降ではなかったかと思う次第でございます。もし間違っていたら……。
  152. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) ただいま会長が申し上げたとおりでございますが、正式に各地方の番組審議会、中央番組審議会で来年度番組についての意見をお聞きしたのは九月の八日からでございます。そしてそれに基づきまして中央番組審議会に原案を討議していただいたのが十一月の二十一日でございます。
  153. 大木正吾

    ○大木正吾君 済みません坂本さん、それ、特徴的な意見がもし伺えたら、資料手元にないもんですから、番組編成委員会におきまする特徴的な意見をちょっと聞かしていただけませんか。
  154. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まあ私どもの方で口火を切りました考え方が、当委員会でも、先ほど申し上げましたようにNHKの存立の基本は何といっても番組であると、番組視聴者に御理解いただき、支持されなければNHKの存立ないしは受信料制度そのものにかかわる問題であるということから発想がございまして、昭和三十九年以降の編成をこの際視聴者態様に応じて変えたいということで、話を切り出して諮問したわけでございますが、それに対して各審議委員先生方から出ましたのは、いわゆるNHKとして、公共放送としての使命を逸脱するようなことになってはいけない、そういう点については配慮すべきであろう。それからNHKはどちらかと言うと東京中心、全国放送中心というような印象を持たれがちであるから、やはりローカルの充実というようなことについても配慮すべきではないかというようなことが具体的な御意見等の一、二の御紹介になるかと思います。
  155. 大木正吾

    ○大木正吾君 ちょっと話題を変えますけれども、実は昨年の九月の末でございましたか、大蔵省の税制調査会が長期答申を出しまして、そしてその際に、NHKの経済番組が組まれまして、日曜の日に私ちょっと拝見をしたんでございますけれども、一般消費税問題についての何人かの賛否の方とゲストの方が出られたのですが、ゲストが二名おられたんですが、二名とも実は一般消費税の導入に賛成という学者の方でございまして、おやっと思ったんですけれども、こういう問題については坂本会長はごらんになってなかったでしょうか。
  156. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ちょっと具体的番組について的確な御返答ができかねる点がございますので、担当をもってお許しいただきたいと思います。
  157. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。先生指摘になった番組は、十月二十三日日曜日に九時から十一時二十分まで、二時間二十分にわたって放送されました政治討論会「安定成長時代と高福祉・高負担」の問題というタイトルの番組だったと思いますが、それについてゲストが、慶応大学の加藤先生と力石先生でございました。したがって、この安定、高福祉・高負担の問題につきましては、加藤先生と力石先生はやや違った立場をお持ちでございました。一般消費税、この中に取り扱われました一般消費税についてどういう立場にお二人がおられるか、まあいまのところ私としては実はつまびらかでないところでございます。
  158. 大木正吾

    ○大木正吾君 そういうことを言われると、私も実は少し声を大きくしたくなるわけなんでございますけれども、当時、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、全部の新聞が、解説を見ていきますと、一般消費税導入については前提条件として税の公平化問題とか物価に対する影響とかたくさんの問題があって、賛否が、新聞はむしろ一般的にはその前に不公平税制をやるべきだということの方の論が多かったんですよ。坂本さんね、会長でもいい、いまの方でもいいんですけれども、とにかくどう考えたってこの議論を伺っていますと、当時の録画あるでしょう、見てもらいたいんですけれども、一般消費税、あれだけ大きな国民的話題を呼んだときに、ゲストを選ぶときに若干違うということでは困るんですよ。やっぱりはっきりこういうときには賛成、反対という方を呼んでいただきまして、そして国民理解を深めていくということがやっぱり大事な問題でございますから、余り話をそらさずに、私はもっと正しくやっぱり当時のことをよく知っているようですから答えてもらいたいと思うのですよ。
  159. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。前半については先生指摘のとおりで、これはゲストとしてお二人をお呼びいたしましたが、御承知のように、自民党から山下先生社会党から武藤先生、公明党、坂口先生、民社、栗林先生、それから共産党から荒木先生、新自由クラブ柿沢先生、それにゲスト二人で長時間にわたる討論を展開したわけでございまして、したがいましてゲストの二人が一般消費税についてお話しすることもさることながら、政治的立場が明確な人たちがかなりはっきり議論をいたしました。確かにこのゲスト二人は一般消費税に関してでなくて、経済の安定成長時代における高福祉・高負担についての総括的な立場をそれぞれ代表するという意味で呼んだわけでございますから、一般消費税——そのときの一つの問題でありました一般消費税についてはどういう立場をとったか、率直に申し上げて先ほど申し上げたとおりでございますが、そのほか各党の意見の中で、十二分にこの問題が討議されたように記憶いたしております。
  160. 大木正吾

    ○大木正吾君 堀さん、話をそらしちゃ困るんですよ。これは大臣見解も聞きたいんですが、新しい問題を提起するときには賛成、反対あるのはこれはあたりまえですがね。理解を深めるためには、やっぱり議論が違う立場の方がディスカッションすれば一番理解が深まるわけでしょう。私は、それはもう政府なり自民党の代表なり——山下さんもよく知っていますけれども、ただ社会党なり野党の立場というものと、自民党なり政府立場、これはわかるわけですからね。NHKがゲストを選ぶときのことを堀さんに聞いているんですからね。もう少し慎重であっていただきたいという気持ちがあるんですよ。私自身がいまはバッジつけちゃったけど、前にもっと自由に物を言えたときには、何回かおじゃましたときに、ゲストが全部同じ意見で集中砲火浴びたこと何回もありましてね、岡村当時の司会者にも電話でもって直接お話をしたんですけれども、岡村解説委員はちゃんと謝っておりましたけれども。同じ傾向の人でもって、やっぱり国民が見る目というのは、政府・自民党はむしろこれは賛成でしょうと。しかし、野党が反対することは当然でしょうと、度合いは違いましてもね。そういう目で見ていますから、ゲストがどういう意見を持つかということは、これは非常にやっぱり関心が深い問題でございますから、堀さん、そういう問題についてこれから改めるお気持ちがありますか、ありませんか。
  161. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  今後、ゲストの問題につきましても、十二分の配慮をいたしまして公平を期するようにしたいと思います。
  162. 大木正吾

    ○大木正吾君 具体的な問題でもう一つだけちょっと、これは私も言いにくいんですが、むしろ自分がある意味じゃマスコミの被害者ということもございまして、それでお許しいただきたいですが、「総理と語る」、これ私は結構だと思うんですがね。野党の党首と語るという番組が私はNHKにあってもいいと思うんですね。  それから同時に、もう一つ別の角度から伺いますが、衆議院のあるいは参議院の予算の総括質疑ですね、大臣もずっと大変なごしんぼうだったと思いますけれども、あれ三日間で切っていくわけなんですが、大体一週間で終わるわけでございますから、私は、NHKというものは公共性ということがあり、不偏不党ということもあり、いろいろございますけれども、相撲の番組の方がいいのか、あるいは高校野球の場合にはチャンネルを教育テレビにかえてまで放送するということもございますけれども、国会予算審議でもっていろいろやり合っているところはわりあいに見ている方も多いわけです。単なる視聴率のパーセンテージだけでもってこの辺の問題について御判断されるのかどうか、その辺について、素人っぽい意見でございますけれども、見解ありましたら大臣なり、会長等から伺いたいんです。
  163. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 国会中継につきましては、非常に私どもは積極的な姿勢で取り上げさせていただいておるつもりでございます。ただ、これも御承知のように、先ほど先生から御指摘がございましたような各党の公平の原則等につきましては、格段の配慮、注意をいたさなければなりませんので、そういう点について、いろいろと細かな点についてはあるいは御指摘いただくところがあろうかと思いますけれども、私どもは少なくとも姿勢として国会中継というのは優先して考えたいと思って努力しているつもりでございます。
  164. 大木正吾

    ○大木正吾君 これはぜひ会長なり大臣に対する注文だけでなしに、逓信委員会理事会でも御相談願いたいんですけれども、やっぱり一週間程度の番組でございますから、これからの新しい番組編成の方向としまして、高橋先生先ほどおっしゃっておったんですが、まあ娯楽番組——確かに私ども、夜家へ帰ったら疲れますからね、余りむずかしい番組ではこれは困る。ですから、娯楽番組結構なんですけれども、私はやっぱりいま例を挙げたのは「総理と語る」「野党党首と語る」こういったものを入れてもらいたいし、同時に国会のせめて予算の総括質疑の場合等は、これは大臣なども、大臣遠慮して第二列目でございますからわりあいにあれかもしれませんが、しかしびっしりですから、眠くなることもありますよね。そういったところ映っちゃったらこれは大変ですからね。そういう点はお気の毒でございますけれども、私はやっぱりこういった問題についてはもう少し会長、時間をさいていだだきまして、各党公平、私は自分の党が不公平に扱われたからというけちなことを申し上げているわけじゃないんです。要するに、今後の番組編成の方向としまして、やっぱりこういったことはもう少し、高校野球とかお相撲等の例を引いたんでございますけどもね、どうしても時間的に入らなければ夜の録画でも結構なんですけれどもね、もう少し、三日間という短時間に終わらせないで延ばす方向でもって御検討いただきたいし、逓信委員会の理事の方々にも少し御検討願いたいということをお願い申し上げておきたいんです。
  165. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  高校野球や相撲と国会とを同列に考えてあれするつもりは毛頭ございません。したがって、相撲中継中でも、国会中継の場合は、私の記憶で間違いがなければ、五時半まで国会中継を行って、わずか三十分相撲を中継したこともございます。それからプロ野球日本シリーズの場合には、国会中継を優先して行ったこともございます。そのような次第で、私たちの番組編成の基本的な態度は先ほども申し上げたとおりでございますが、なお、国会予算委員会の総括質問の放送につきましては、種々の経緯がございまして、現在の状況でほぼまとまっているわけでございます。しかし、過般来予算委員長その他との会合がございまして、今後、今国会中に来年、次の予算委員会を中心とする中継についての具体的な案をまとめてさらに話し合うことになっておりまして、私たちは広げる方向で草案をつくって、そして各党の御了解を得て、また予算委員会の許可を得まして善処したいというふうにいま考えておりまして、具体案をつくりつつある状況でございます。
  166. 大木正吾

    ○大木正吾君 これ以上この話はもうやめますけれども、ぜひ委員長、理事の方の中で御協議をちょうだいいたしたいことをお願いしておきます。  次に、先ほど高橋先生意見の中で、私も感じておったんですが、やっぱり経営基盤が相当これから変わっていくという問題も絡みまして、確かに会長以下経営の方々の御苦労はわかるのでございますけれども、今度の番組編成の場合に、立場を変えまして少し見ていきますと、実は海外番組が、先ほどちょっと話がありましたけれども、特集の中に入ってしまうのですね。そうしますと、朝、新聞なら新聞でどこを見ようかという、うちの家内などが見た場合、海外番組からこういろいろありますわね。そういうときに、今度これがこれに入ったんだということが特派員報告とか海外の特集とか、こういったものが、いままでの時間帯で大体三十分程度でございましょうかね、こういったことは守られていく状況になるでしょうか、どうでしょうか、この番組は。
  167. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  番組編成面におきましては、先ほどお話申し上げたように、特集の中に入るわけですが、具体的な番組発表の段階では、かつて評判のよかった番組でもございますので、特派員報告あるいは海外取材番組とわかるような形で番組発表いたしまして、視聴者に御迷惑なり、あるいは選択に迷うようなことのないように心がけたいというふうに思っている次第でございます。
  168. 大木正吾

    ○大木正吾君 手元に資料がございますけれども、日本の海外放送の時間は、先進国の中では決して長い方ではないと考えていますが、堀さんどうでしょうか。これ、いままでの時間でも日本の海外放送時間は年間通じて長い方ではございませんね。
  169. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) NHKが現在実施しております海外向けの短波による国際放送は一日二十七時間の放送でございます。これは先生指摘のように、諸外国、特に欧米、ヨーロッパあるいは社会主義国等に比べますと、放送時間からまいりますと決して長い方ではございません。
  170. 大木正吾

    ○大木正吾君 社会主義国の場合には政策、政治キャンペーンが多いですから別にいたしまして、最近の日本経済なり政治動向がきわめて海外との関係の深い時代に入ってまいりましたんで、まあ予算で大蔵省なり政府側が非常に厳しいということもわかるんですけれども、私はこういうときにこそこの種の番組の時間はもっと長引かせるということがなければ、音痴の日本人というものはやっぱり永久に音痴でもって終わっちまうと思うんですよ。  ですから、そういった点につきまして、いま急にここで時間を何時間延ばすなんと言ってもらうことはないんですけれども、ぜひこれは会長も、従来の番組の時間は当然守っていただかなくちゃいけませんし、同時に、大臣以下全部が、委員もこれ、協力し合いまして、やっぱり日本のいまの時代が、何かちょんまげと何とかでもってあるような形がスペインとかあっちこっちの宣伝に載っているとかね、そんな残念なことでは、私はやっぱりいまの日本の政治経済社会動向というものについては、国際理解が非常に不十分だと思いますよ。ですから、この辺の問題について、新しい時間の延長等についてお考えいただけませんでしょうか。
  171. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 御承知のように、海外放送NHKが自主的にやりますものと、命令によってやるものと渾然一体として実施しておるわけでございますが、まあ時間の延長もさることながら、受信状況の改善等もあわせてやってまいりませんといけないんではないかということで、そこの点にいささか力を入れたいというふうに考えておりますけれども、あわせて短波による海外放送のみならず、番組の交換あるいはテレビ番組の輸出等々について、格段の努力をいたしまして、日本の、先生指摘のような姿を相手国に知ってもらうという努力は引き続きしたいと思います。ただ、時間延長等につきましては、将来の企業事業計画の中で検討させていただきたいと思う次第でございます。
  172. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは大臣へのお願いだけは申し上げておきますけれども、大臣予算委員会の方で大分がんばっておられるわけだし、確かに国の出費は若干かさみましても、逆に、受けるメリットはきわめて大きいと考えますから、そういった点ではぜひ会長大臣の方にもお願いしていただきまして、これからこの番組、恐らく何年間か続くんでしょうから、そういった中で逐年ごとに海外関係の放送の量も質もよくなるように、ぜひ御努力を願いたいと思います。
  173. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 国際放送は、わが国の産業、文化等の事情を紹介して、わが国に対する正しい認識を培うことによって国際親善の実を上げると、また、海外に居住する同胞に適切な情報を提供するというきわめて重要な役割りを持っておりますので、私も大変この問題に関心を持つとともに、かつて海外で同胞に会ったときに、簡単な機械で日本のあれが聞こえると、まあ非常に喜んだ話も聞きましたので、ことしは郵政省予算の伸び率は〇・七%でありまするが、この国際放送は二四・五%の伸び率の予算を獲得をいたしました。さらに加えてこの番組の交換を各在外公館を通じて強力に推し進めて、予算の足らざるところは交互に交換をいたしまして、かなりの国とのテレビ、ラジオのいわゆるビデオの交換でやっております。今後もこの問題はきわめて重大であることを認識いたしておりますので、大いに進めてまいりたい、意欲的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  174. 大木正吾

    ○大木正吾君 会長の小野さんに、テレビ番組につきまして、お孫さんが番組見たいと言ったときに、説得されて、この番組余りよくないからこっちを見ろよということでもって納得させることができますか。
  175. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まだ私の孫は三つだもんですから、ちょっと説得に応じるあれではございませんけれども、しかしやはりやや日本の場合、少しく子供に任せ過ぎているんではないだろうかという反省をする——まあ私自身の体験ではございませんけれども、私を取り巻くあれで、なくはございませんので、そういう点での指導というのは、ある意味ではしなければいけないのではないだろうかというふうに、私見でございますけれども考えております。
  176. 大木正吾

    ○大木正吾君 大変ぶしつけなことを申し上げて失礼いたしましたけれども、高橋委員が先ほど申し上げたことと関係ございますけれども、NHKが大体夜の時間を延ばし、子供の時間を少し延ばしていく、こういう話、番組内容が民放のどたばたから見てすぐれておれば私たちは言うことはないんですけれども、ただ日本人の平均のテレビ視聴時間が三時間と三十六分と、あるNHKの外郭団体の雑誌で拝見をしたんです。ということは、大臣とか私とか会長とか、まあ恐らく一日に五十分から一時間、ニュース番組ぐらいしか見ないだろうと思うんですけれども、そうしますと、子供さん方が見る時間というのは、私はまあ中・高校生まで見ていきますと、五時間、四時間というのはざらだと思うのですよね。それで、学校へ行って先生の話を聞きながら、頭の中では、早く飛んで帰ってきょうはあの番組あるから——これは民放の場合が多いと思うのですがね、テレビにしがみつくという、こういう学校の先生の話を聞きながら、番組が頭にあるということは、もう一日のうちで八時間もテレビのことぽっかり考えていると、こういう傾向に走ってしまうんですよね。ですから私は、娯楽番組って言葉自身、確かに先ほど最上委員のおっしゃったように、非常にNHK大変な経営状態ですからね、わかるんでございますけれども、そういったことを考えていきますと、やっぱり娯楽の中にも文化、教養というものが仕組まれているような番組でなければならない、こう考えておるんですが、どうでしょうか。
  177. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まあお言葉を返すようで恐縮でございますけれども、娯楽娯楽として徹するものがあってしかるべきではないか。ただし、それが低俗になったり俗悪になったりするということは避けるべきではないか。ただし、子供に視聴させるというような娯楽番組の場合は、やはり先生のおっしゃるような、そういう心づかいというのは当然あってしかるべきだろうというふうに考えております。
  178. 大木正吾

    ○大木正吾君 私はむしろ会長、例として申し上げたのは、子供さんのことを申し上げているのでございまして、本当は成人の番組にいたしましても、娯楽とは言いながらも、コメディアンが出てきた中におきましても、やっぱり人生の中の一つの生き方の問題を教えていくという、まあ言い方はちょっと気張って申しわけないんですけれども、やっぱり娯楽番組だけれどもその中から何らかのものを身につけることができる。そういうふうにやっぱり番組編成NHKは考えていきませんと、日本の将来について——それは服部さんと私とは恐らく思想的なものは違うかもしれませんよ。しかし、日本の未来を考えた場合には、やっぱり物質文明、金もうけ主義、そういったものよりかもっと物の考え方を大事にする、歴史を大事にする、文化を大事にする、そういったことについては、それはイギオロギー的なものは違いましても、やっぱり共通したものを持っていると思うんですよ。ですから、私はどうも今度の編成の中で、民放との視聴率競争ということが前面に出まして、そして料金収納状態がどうもこれから思わしくないという問題が頭にこびりつき過ぎまして、そうして娯楽番組という方向に行ったとしますればちょっと問題が重要なんで、その辺の議論の経過などありましたら伺いたいと思っておるのです。
  179. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  子供番組につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、非公式ではございますが、NHKその他で調査いたしますと、お母さんが子供に見せたい番組は大体一からずっとNHK番組でございますが、実際子供が見ている番組は逆でございまして、非常に私たちとしては寒心にたえないところでございますが、そういう点を検討いたしまして、ひとつ子供の現在話題になっているものをニュースとして取り上げて、そして掘り下げる生番組を提供したならば、これはお母さんにも子供にも見てもらえるのじゃなかろうかということで、今度の番組改定で実質的に一番変わります番組が、六時から約二十分間の子供番組でございまして、月曜日から金曜日まで、いままで作り物を出しておりました時間に、生でそういう子供番組を提供する予定でございます。なお、七時以後の三十分につきましては、御指摘のとおりで、健全なフャミリー・アワーとういことで努力をするつもりでございます。  なお、視聴率を気にし過ぎたのではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、よい番組をできるだけ多くの人に見てもらう、しかも見やすいように配列するというのは、これはもうテレビ放送をする者の側の責任でございまして、それを充足したいということでやったわけでございます。したがいまして、いたずらな視聴率競争に走った覚えは毛頭ございません。その証拠といたしまして、番組編成内容を評定いたしますと、六時から十一時まで、いわゆるゴールデンアワーにおける番組比率はほとんど変わっておりません。たとえば、一日、大体五分程度教養番組が減りまして、三分程度報道番組がふえて、そして一分ちょっと娯楽番組がふえるという程度で、番組編成の骨格に何らの変化はございません。そういう点からもわれわれがいたずらな視聴率競争に走ったというふうには私たちは考えておりません。
  180. 大木正吾

    ○大木正吾君 先ほど高橋先生の御質問に対してお答えがあった中で堀さんがおっしゃった、まず第一は報道であります、第二は娯楽ですと、高橋先生のおっしゃった気持ちをくみ取られてそこで合意ができた感じがしたんですが、私はそこのところを念を押したかったものですからあえて申し上げたわけなんですけれども、いまの話でもって大体見当はつきましたけれども。  そこで、先ほど堀さんの御回答の中に、十一月から番組編成委員会での議論が始まったと、こういうふうにお話がございました。それでよろしゅうございますか。
  181. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  NHK内部といたしまして番組編成の議論を始めたのは五月でございます。対外的に外部の審議会の先生方から来年度番組について、フリーディスカッションの形で御意見をお聞きした一番最初が九月でございまして、それに基づいてわれわれが基本計画案をつくりまして諮問申し上げたのが十一月でござ、います。
  182. 大木正吾

    ○大木正吾君 大筋のものはこの手元にございますし、また、長い表のものもございますけれども、内容をどうするかということは、まだまだ恐らく全部ビデオとか俳優、出演者の方が決まっておるわけじゃないと思いますので、そこでお願いがあるわけでございます。  これはむしろ委員長と理事の方にお願いなんですが、いいものをつくる、あるいはよく見られるものをつくる、豊かなものをつくる、開かれたNHK、こういうお話があちこちから出てくるわけでございますけれども、そういうものをつくるためには、これは工場の製品でも同じなんですが、やっぱりディレクターの方なりあるいはそれに協力する方々や、さらにまた裏方の方々など含めて、そのNHKの中で働く一万五、六千の方々の気持ちが渾然一体とならなければなかなかいいものはできないわけですね。そこでお願いいたしたいのでございますが、衆議院の逓信委員会におきましても若干の参考人等について、この種の問題の意見を聞いている事例を私、伺ったのでございますが、会長どうでしょうか、この委員会、あと日にちは何日間もないのでございますが、短時間でも結構ですから、番組編成委員会の代表の方一名、さらに従業員代表の方一名とか、そういった形で、これは十五年ぶりにこの番組を変えるんですからね、大臣、相当これ大事な問題でございますから、あらゆる方の意見を聞いていいものをつくっていくということをいたしたいがために私はお願いしているわけでございますけれども、やっぱり制作担当の従業員代表の方々や番組編成委員会責任者なり代表の方々、そういった方々を参考人としまして、この番組編成についてどういう所感をお持ちか聞く機会を持つように、ひとつ委員長にお取り計らいを願えないでしょうか。
  183. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 後ほど理事会で御相談をいたしたいと思います。
  184. 大木正吾

    ○大木正吾君 それじゃ番組問題は以上で終わりまして端折りますが、経営問題については、先ほど詳しく最上先生の方から出ておりましたから私の方ではなるべく簡単にいたしますが、この見通しの根拠でございますけれども、これは建設省その他の住宅建設見通し、大体住宅等については、これは大臣も御承知でしょうけれども減ることはないわけで、きわめて需要は大きいですから、潜在的にも顕在的にも大きいわけで、問題は、厚生省等から取った資料か総理府かわかりませんが、世帯数がどう伸びているかという問題ですね。そういったこととの整合性がこの計画の中には盛られているわけでございますか。
  185. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) お答えいたします。  厚生省の人口問題研究所、ここにおきましては、五年ごとの国勢調査の結果、それをもとにいたしまして先行きの世帯数の増加を推計するという作業をやっておられまして、で、それを私どもは原則として世帯数の増加と見ておるわけでございますが、厚生省の人口問題研究所では、昭和五十年の十月に行われました国勢調査の結果が、その前の四十五年の十月に行われた結果から推計した数字と約九万ほどの誤差がございました。で、厚生省の人口問題研究所では、昭和五十年から昭和五十五年までの五年間の世帯数の増加を約三百七十万というふうに推計いたしております。したがって、各年に平均いたしますと約七十四万の世帯数の増加というふうに推計をいたしております。それから、建設省が昭和四十九年度から五十五年度までの住宅の建設の必要戸数を算定いたします基礎として、世帯数の増加はこの五年間で四百五十九万、約四百六十万というふうに見ております。で、これを年平均にいたしますと約六十五万六千ということでございます。  で、私どもは五十三年から五十五年にかけまして、各年七十万の世帯数の増加というふうに見たわけでございます。これは厚生省の先ほど申し上げました年平均七十四万の増加に対して、私どもは七十万と見たわけでございます。その理由は、最近これは自治省から発表されております各年の住民基本台帳による世帯数の増加、これは鈍化の傾向にございまして、昭和四十九年度では前年度比六十八万の増加、それから五十年度が六十万の増加、それから五十一年度は対前年度で四十七万の増加というふうに、非常に鈍化の傾向になっております。で、そういう傾向を加味いたしまして、厚生省の人口問題研究所で発表しております各年七十四万を、各年七十万というふうに私どもは推計をして、五十三年、五十四年、五十五年、それの世帯契約数の増加計画するためのもとにしたわけでございます。
  186. 大木正吾

    ○大木正吾君 まあ大体わかりましたけれども、先ほど最上委員も盛んに質問しておられたんですが、結局、料金収納見通しがだんだんむずかしいという、納めりゃ損だという、こういう雰囲気ですね、これについては中塚さん、何か調査なりあるいはアンケートなり、そういったことはされたんですか。
  187. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 私どもは営業基本調査というのを大体毎年やっております。それは、ある特定の地域を決めまして、そこでサンプリング調査をやりまして、どういう理由で払わないとか、それから、どういう時間帯に行った場合に不在が多くて、どういう時間帯に行った場合に面接率が高いかとか、そういうサンプリング調査を毎年やっております。そういうことでまあある程度の傾向と申しますか、それをつかみまして、それに応じて対策を全国的に進めていくということをやっている次第でございます。
  188. 大木正吾

    ○大木正吾君 ちょっと話題変えますけれども、この非世帯の、たとえばホテルとかあるいは会社とか官庁、そういうところに対する大体収納状態についてはどういう見通しなんですか。
  189. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 私どもといたしましては非世帯、これは事業所、全国で五百九十万、約六百万近く事業所というのはあるわけでございますけれども、その中で世帯と事業所が一緒になってるというふうなもの、それからその事業所、非世帯の契約の対象になるけれども、テレビを設置しておられる割合がどれぐらいあるかと、そういうことを計算をいたしまして、それで、この非世帯契約の対象になるテレビの設置台数は大体どれぐらいあるだろうかということを計算をいたしております。で、そういうやり方で計算いたしまして、現在の非世帯契約が約七十二万でございますから、大体八五%ぐらいの契約率になってるという計算をしております。まあ大きなホテル等でございますと、たとえば東京の主な一流のホテルでは、ほとんどが一〇〇%の契約率になっている。まあ中には八〇%ぐらいのものも若干はございますけれども、ほとんどは一〇〇%の契約になっております。  ただ、私どもが、客室が幾つあると、それによっておたくにはこれだけのテレビがあるはずであるということで参るわけでございますけれども、先方でこれだけしか置いてないということを言われますと、それ以上立ち入って調べるというすべはございませんので、先方が申し出られる数、それだけは契約をすると。だから、一〇〇%と申し上げましても、じゃあ絶対に正確に一〇〇%かということを言われますと、まあそこは若干の誤差もあるかと思いますけれども、東京の一流ホテルではほとんど先方の言われる数の契約はできているということでございます。
  190. 大木正吾

    ○大木正吾君 まあホテルの部屋の中に、たとえば一泊して七千円なり一万円なりというところでテレビのない部屋はまずないでしょうね。そうしますと、先ほどの、東京都内の状態の話は多かったんでございますけれども、五百八十万の事業所、それに対して百四十万、個人経営を除きましてですね。八三、四%と見ているという中塚さん、この見方は少し甘過ぎるといいますか、関係の非世帯に対する徴収の度合いが寛大に過ぎませんか。極端に言いますと、一時間百円入れてそして見てくれというところがありますわね。仮に三百日間これを使えば、年間三万円です。三年間使ったら十万円ですから、黙っていてもテレビは減価償却されるわけですね。ですから、そういう点等について考えますと、やっぱりこういった新しい要するに開拓分野というものについてもう一工夫あっていいんじゃないか、こういう感じがするんですが、どうでしょうか。
  191. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほど約八五%ぐらいの契約率と申し上げましたが、確かに世帯に比べてこの契約の率というのは悪いわけでございます。で、ただいま先生おっしゃいましたように、やはり私どもとしましてはこの非世帯の契約ということにさらに力を入れなきゃならないというふうに考えておりまして、いま管理職を中心にいたしました特別プロジェクト、これで今年度も一月以来東京、横浜、この辺の非世帯を中心に活動を展開させまして、一月から現在までで約二千五百件ぐらいの契約を非世帯、まあ独身寮も入っておりますけれども、そういう契約を締結したという実績もございますので、さらにそういう活動を強化させていきたいというふうに考えております。
  192. 大木正吾

    ○大木正吾君 最上先生とちょっと違った角度から、私、不払いという問題ではないんでございますけれども、ちょっと伺いますが、リースですね。たとえば一千室あるホテルに対しまして全部テレビをつけてしまって、所有権だけ私が持っているといった場合には、これはその旅館なりホテルの方では、自分のものじゃありませんと、こういう理屈が出てきますわね。そういったものが仮にあったとしたらどうされますか。
  193. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) もしそういうことがございましたら、直ちに契約をしていただくということをそのホテルなりそういう経営者と折衝をいたします。
  194. 大木正吾

    ○大木正吾君 私はこういうことを考えて一つ提起をいたしたいんですけれども、たとえば電気、ガス。まあ私の母体でございました電電公社、これは大臣、電話料払わないと黙っていてとめるんですね。やっぱりこういうやり方というのは余りいまの世の中に合わないですよね。そこで、これ経営上の問題では少し問題が起きるという御心配があるかもしれませんけれども、NHKの場合には、法律的には納入の義務があるけれども罰則を科することはできないんですね、実際に。また、それがNHK独自の、国際的にもユニークな経営上のあり方と、こう考えてもいいわけでしょうね。これ自身日本自身国際的に持っていって、日本NHKというのはこういういわば料金の体系を持って経営しているんだということは、私は胸を張っていい問題だと思いますけれどもね。そこで問題は、ガスあるいは電気等はメーター調べが来るわけでございますけれども、そのときにおかみさんなり家庭の主婦の方が検針員の方に対して、うちのガスのここが悪いとか、あるいは電気の場合に、どうもたまにショートするとか、そういった話などはできるわけですよ。  一番大事なことは、先ほど最上先生もおっしゃったんですが、要するに、不払い運動をやるグループに対して、こっちは罰則で臨むのか説得でいくのか。私は、むしろいまの時代に集金人の方々ですね、そういった方々が、もっとも、ノルマですから、十軒ぱっぱっと地域回ってしまって、そのうち何割か収入があるわけですから、その心理はわかりますけれども、むしろそういった、いま集金人の方何人いるか私わかりませんが、そのうちの仮に一割の方に対しましてテレビに関する基礎的な知識を、教育を、訓練をするといいましょうか、夕方の五時ちょっと前に二分か三分、テレビがこうなってここが悪いときはこういう原因ですがと、こういう話やっておったって、あれ見ている方そんなにないですよね。だから私は、こういったユニークな経営状態を貫徹するとしますれば、やっぱりそういった新しい工夫ですね。要するに、NHKの方が来られた、もちろんNHK職員でないことは知っていますけれども、来られたときに、民放の方なんか全然もちろん来ないわけですから、NHKらしく、まあ常識的なことで、近所の電気屋から買ったけれども、その電気屋もひとつも修理に来てくれないんだといったときに、そのテレビを見て、そうして、大体このテレビはここが悪いですよという話ぐらいできるようなサービスなどについてお考えになったことはないでしょうか。また、そういったことを考える必要が今後の問題としては生じないでしょうか。
  195. 服部安司

    国務大臣服部安司君) 実は、私は就任いたしまして、いろいろ検討をいたしました結果、料金収入以外に財源の確保のできない企業体でありまするから、この料金収納を一〇〇%できる状態にするためにはどうすればよいかということについて、まずNHK経営委員の方に一堂に集まっていただいて、きょうまでのそういった対策をどのようにされたかということを私はお伺いいたしました。その中で、約二時間半ばかりの短い時間でありましたが、今日までのいろんな、権威者が集まってどうやるかということの検討された内容もお聞きいたしました。私はもちろん現在のあり方は、もうこの法律が制定されてからずいぶん長い話で、日本国民の物の考え方もかなり変わってまいりましたし、余り罰則を設けるということは決して好ましいことではありません。人を信じて生活するということは非常にすばらしいことであることも万々承知いたしておりまするが、しかし、このように経営状態が悪化してまいりますることと、先ほど申し上げたとおりに、視聴料の収入が、いろいろとデータは出ているがなかなか、本当は半分ぐらいしか入っていないんだというお話を聞いたりいたしますると、所管大臣として非常に大きな問題であると。なお、ことしは国がいわゆる住宅金融公庫を通じて建てる家でも四十万戸なんですね。民間入れればかなりの伸びがあるはずなのに一向に伸びないというところにも一つの大きな問題点があるんじゃなかろうか。そこで、私が向こうを向いて言うのと、こっち向くとしっかりやれ、企業努力しろと、こうやっているわけですが、この問題も、いま私がここでどのようにしたいというお答えはできませんけれども、皆様方の御理解と御協力を得てひとつ真剣に検討をしたいと、かように考えている次第でございます。どうぞその節はひとつまた新しいいいお知恵を拝借いたしたい、かように存じている次第でございます。
  196. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣も御承知のとおり、大変なこれ世の中なんですね、状態が変わってきておりまして、最近ですと、皆さん全部個人の生活は自分でもってやっぱり守るという意識が高まってきておるわけですね。そうしますと、最も悪いのは、これは町の刑事事件などを起こすのは一番悪いし、窃盗なんかは問題でしょうけれども、可能な限りやっぱり自分の支出を切り詰め、可能な限り出費を同時に防ぐ。  あるいは最近の事例ですと、これはちょっと例として適当でないかもしれませんが、医療費を五万円以上払った場合に、税務署に申告をしますればという話で、野末陳平委員が出された本がベストセラーという話もございまして、野末さんの本をちょっと拝見したんですが、決して——税金の問題につきまして、私も本を書いたことございますけれども、中身がすぐれているかというと、先生におこられますけれども、きょういらっしゃらないからようやりませんが、決してすぐれているわけじゃないんですけれども、ヒントを与えているわけですね、結局。それは税務署に税金の還元を要求する、また、それが法的にはできるし、税務署の方はと、こう見ていきますと、源泉徴収票の裏に二、三項目ありまして、そしてたとえば住宅を新築したときには税金が返ってきますとか、病気で家族を含めて五万円以上払った場合返ってきますと書いてあるのですね。ただ、失業した場合に返ってくると、こんなことは書いてございません。これは残念なことなんですがね。ですから、やっぱりそういった世相の変化に対して、従来どおりの形での私は議論をしておったんでは、これはやっぱりどうにもならぬと思います。  さっきの番組編成問題とも関連をするんでございますけれども、やっぱりNHK自身がサービスをどういうふうな分野で開拓するか。その辺、坂本会長なり、所見がありましたら伺いたいし、なければぜひこれは検討をしてもらわぬと困ると思うのですが。
  197. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHK視聴者とのパイプと申しますか、つながりと申しますか、そういうのは、番組は当然でございますけれども、一軒一軒回って受信料をちょうだいしてくれる集金の方、これがはだで視聴者と直接お会いする機会でございますので、その機会を利用してできるだけNHK理解を深めてもらうという努力をやはりすべきであろうと、そう私は考えております。ただ反面、効率化、経営の合理化というようなことになれば、反面やはり口座の拡大とか前納の拡大とかということもあわせて考えなきゃなりませんので、その場合にはそういう口座あるいは前納等でNHK受信料をお支払いいただく方々へのコミュニケーションということはまた別に考えなきゃいけないんではないだろうかというふうに思っておりますので、そこら辺のところはなかなか具体的な問題になりますとむずかしい点がございますけれども、しかし何といっても視聴者とのつながりのポイントでございますので、これは大木先生の御指摘のようにきめ細かに努力していきたいというふうに考えております。
  198. 大木正吾

    ○大木正吾君 ここのところは一般的なお答えではなしに、具体的に検討していただきたいのですけれども、私もその道三十年で、同じような、似たような仕事をしてきた立場におりますが、最近NHKが朝の一〇二ですか、なんかで放送されました東京都の清掃職員の募集に対しまして、百四十人募集に対して三千人応募されて、二十倍という報道がございました。ああいったことを見ていきましても、やっぱりわれわれから考える以上に雇用問題などは深刻だと私は思うんですね。それから同時にそういうことを考えれば考えるほど、私たちは新しいやっぱり番組でもって視聴者と、もちろんこれはいい番組だから見たいという気持ちを、NHK絶対いいぞと、こういう話もいいでしょうし、それから同時にいろいろな番組編成とか視聴者意見を聞く機会を持つこともいいと思います。しかしやっぱり最近の主婦の気持ちなど、ぼくらもお茶飲みながら座談会なんかしていきますと、やっぱりすぐ目の前でもって何か具体的にサービスをしてくれるということを非常に期待し、希望しているわけですね。私はだから電電公社なんかに対しても言いたいんですけれども、料金が滞納された、最近コンピューターでもって計算の間違いが大分出たという話もございますがね、ぴしゃっと一言でもって電話を切ってしまうんですね。あれなんか、きょうは電電の方おりませんですけれども、やっぱり私はまずいと思うんですよ。ですから、中塚さんにもお願いしたいんですけれども、ぜひそういった——NHK職員じゃありません、この集金の方々は。ありませんが、NHK関連の仕事をしておることは事実なんですから、ですから若い中堅の方々は、一週間ぐらい基礎的なことでいいですから教えれば、うちのテレビはどうもちらちらしていけないとかあるいはどうもこの番組の出が悪いとか、色がどうもはっきりしないとか、そういった基礎的なことぐらい教えてあげまして、そうして料金をいただきに行くときに、ちょっと一声でいいですから、テレビは奥さんどうですか、ぐあい悪くありませんかということぐらいあれして——自分で何も直すことないんですから、多分原因はここですから、電気屋さんへ行って相談しなさい、こういう話をしますと、機微に触れたまさしく生の対話ができるわけですから。それから会長あれですよ、たとえば東京都内のほんの二、三千軒しかできないとしましても、恐ろしいものですよ。大臣が当選したときなんか、みんなこれは口コミでもって当選しているんですからね。そういうことなんで、NHK変わったなと、こういったイメージを出すことを考えたら、私は決してそういうことは損な投資じゃない、こう考えているんで、ぜひ具体的にこれは検討していただきたいんですよ。
  199. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 現在でも委託の集金取り扱いの方々に常時受信相談カードというのを持たしております。で、こういう人たちには最小限のそういう教育はいたしております。そういうカードを持たせまして、その受信相談について記入をいたしまして、その場で答えられるものは答えますし、まあ専門家ではございませんので、それを各営業所へ送付いたしまして、回付いたしまして、それで専門の営業技術の者がそこへ行くというやり方をやっておりますし、それから番組が新しく変わりますような場合には、新しい番組のセールスポイントというふうなものを教育いたしまして、それで話をさせるというふうなことはやっておるわけでございますが、先生指摘のように、まだ私どもといたしましては十分とは考えておりませんので、今後もさらにそういう教育を進めて強化してまいりたい、このように考えております。
  200. 大木正吾

    ○大木正吾君 最後になりますが、番組編成の大きな大幅な変更と同時に、これは大臣にも伺いたいのでございますけれども、五十年にこれ、NHKは基本問題調査会でやっておられるわけですね。これをずっと上の方、表の方、先の方だけ拝見したんですけれども、当時もこの経済動向の変化という問題については受けとめた記述が若干散見されるんですけれども、私が感じますには、先ほどいろいろな意見が出ておりました中にもあったんですけれども、やっぱりNHK経営問題の先行きを心配している意見がきょうはずいぶん出ておるわけでございますね。そうしますと、大臣の方は料金値上げ問題については極力抑制と、こう出ておりまして、先ほどの最上委員の御質問に対してのお答えでも、大体感触はつかめたんですけれども、極力抑制でございますから、これは凍結でもありませんし値上げをするなでもないわけです。まあ値上げをやる時期が近い将来にあるのかなと、こういう感じでもって私は読ましていただいているわけですがね。ですから、こういうときにはむしろ私は相当国家経済なり国際経済も変わってきているし、また、番組も変えたこと自身も、ある意味ではNHK自身が市民なり国民価値観とかニーズにこたえるという立場でやっぱりやったと思うんですからね。だから、逆になりますけれども、こういったものをもう一遍やって、そして、どうしても、極力抑制だけれども、どうにもならぬときにどうするんだという問題について、ぼちぼちこれは手がけてまいりませんと、私はやっぱり立ちおくれるといいましょうか、遅まきになってしまって、ひゃあっと上げました、国鉄みたいにお客さん減りました。さっきの最上先生じゃありませんが、集団的に今度は不払い運動が起きる、そういった心配がございますので、大臣会長に最後に伺いたいのですが、NHK自身経営の基盤をやっぱりしっかり固めていくために、方針を決めて結構ですからね、結構ですから、この問題について、五十三年度予算の問題決めて結構ですから、私はやっぱりこういったものについてもう一遍やっぱり会議を起こして、そして、もっと広範な方の意見を聞きながらそういった事態に備えていくべきではないかと、こう考えていますので、この辺のことについて大臣会長から最後に御見解をちょうだいいたしたいのです。
  201. 服部安司

    国務大臣服部安司君) いろいろとNHK経営について御心配をかけて、また、貴重な御意見、大変私は喜んで受けとめております。私は、創意工夫という言葉はあえて大木先生の当初の質問に答えたわけでありまするが、大体その武家の商法をやっているのは現代のNHKなんです、私から言わせると、したがって、きょうまで、私は限られた時間しか幹部の方とも会っておりません。就任と同時に予算に入って、予算委員会の総括、まあやっと総括が終わって一般に入りましたので、これから時間をかけて忌憚のない、胸襟を開いてひとつどのような運営をするかということについて真剣に取り組みたい。そこで、まあ創意工夫といった言葉は、いま大木先生が御指摘になった集金人がちょっとした心遣いで、現行法では電信電話や、それから電気、ガスのようにいかないんだから、やっぱり人と人とのつながりを持つ必要があるのではなかろうかと、私はそれなんですね、言いたいのは。たとえば、今日、電気のともるところにテレビのない家はありませんよ、もう、現代の日本は。だから、私は創意工夫と、テレビでも、ぼくらは持っていても一日三十分か五十分ぐらいしか見ないけれども、やっぱり一番家に帰るのが楽しい相手はテレビなんです。スイッチ入れると私は10チャンネルはカラーが出ないんですね、それを持ってどっかに修理に行く時間はないわけです。宿舎にいますから、朝出るとなかなか人を呼んで頼めない。こういうときに、私はこの機械に、これは一つのアイデアですが、NHKの年々のマークをぽんと張る。サービスカーが回って、その地域でもしテレビでお困りの方は持ってきてくれとか、また、見てやるとか、そのときにNHKのマークが入っていなかったら、これはいま電信電話料金かガスみたいにおたくはだめですと、こういうことも一つのアイデアでしょう。そしてサービス業務に徹しながらいわゆる心と心のつながりを持ち、触れ合いのもとに料金収納を進めていく方途を考えることも一つのアイデアではなかろうかと。いまのようにきわめて慎重にこうやって答弁しているけれども、決して、待ったなしや、あんたとこ入らぬかい、何やね、金出さにゃだめじゃないか、こう言って何やっとるんだと、こうやってるのを見ているのだから、国会で答弁していることと現実は違うわけですから。やっぱりそういうことも、私は時間ができれば経営者に、あんたたち武家の商法でこうやっていばってる、だめだよ、こうやらなければだめだよということも話し合いをしたいと、まあ非常に就任と同時にこういう状態になって皆様方にこういうことも相談の上で、こういう方針を立てましたということを言えないことは残念に思っておりますが、今後はお互いにそういう機会をつくって、本当に国民から愛されるNHKに仕上げるために、皆様方の御協力、御理解を得て仕上げてまいりたい、かように考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  202. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 毎々申し上げておりますように、受信料の改定というのがそう安易にできる状況でないということは認識しているつもりでございますけれども、しかし、財源としては受信料以外にないわけでございますので、経営の安定を図るというためにはいずれのときにか受信料の改定をお願いせざるを得ないであろう。ただし、それは国民的なコンセンサスを得るということが前提にないと、上げたけれども払ってもらえない方が激増するというようなことではこれは全くナンセンスなことになりますので、先生が御指摘のような、そういう国民的なコンセンサスを得るいろいろな方法、手段を講じなければならないであろうというふうに考えておる次第でございます。
  203. 大木正吾

    ○大木正吾君 答弁は要りませんが、私の希望として申し上げておきたいのは、これ実は拝見いたしますと、ちょうど五十一年、五十二年、五十三年。五十一年にNHK料金値上げをやっておるのですよ。それでこれをやったのは五十年の十一月なんですよ。ですから最上先生も盛んに心配しておられましたけれども、私の見通しでは、もう二、三年後になるか、来年になるかわかりませんが、料金値上げ問題に手を触れないわけにいかないという私は判断を腹の中で持っています。賛成するか、反対するかは別の問題でございます。ですからちょうどこれを、こんな分厚いものは要りませんから、起こして、そうしていまの経営委員会プラス何人かの方々に入っていただいて、経営問題こうなっていきますよということを、いまのうちに会長、やっておいた方が、ぶつかったときにばっと上げた、今度不払い運動起きちまった、大変ですよ。  ですから私は助言的に申し上げておきますが、いまのうちに、ちょうど三、四年前に経験したことがございますから、やはり新しい事態に即応した調査会等設けていただいて、そうして、よく今後の経営方向を見定めて、そうして、そのことをこの委員会でもいいですし、いろいろなたんびに国民にキャンペーンして、こういったことをぜひ考えておいてもらいたい、こう考えます。
  204. 服部安司

    国務大臣服部安司君) まことに適切な御指導をいただいて、大変私も力強く思います。と申しますのは、そういった制度も先ほど申し上げたことを含めて考えておりまするし、私は料金は絶対上げたくない。企業努力国民理解を得ることができたならば五年でも七年でも上げる必要ないのですから、現代の不払いとか未納とか、いろいろな理屈をつけてやっている方々に理解を得る、これは法で結わえてもだめなんですから、その創意工夫、また法律的な問題の検討もあわせてし、いろいろなことを総合的に企画、計画を立てて、これが実現することができたならば、私は五年も七年も十年も値上げなんて、おととし上げてまた値上げだと、とんでもない、国民から大変なおしかりを受けますから、私は料金値上げは絶対認めない。本当はこの意見書に、料金値上げいたしませんと書いて持ってこい、それじゃなかったらおれ意見書を書かぬというところまでやったんですが、そうもいかぬというわけでこういうかっこうになったわけですから、まことに微力な者ですが、とても公共放送としてはやはり日本に必要であることは全国民認めていてくれているところでありますから、私はそういう姿勢で今後も進めてまいりたい。ひとつ御協力のほどを重ねてお願い申し上げて答弁といたします。
  205. 大木正吾

    ○大木正吾君 終わります。
  206. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 本件に対する本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会      —————・—————