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1978-06-13 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十三日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  六月六日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     神谷信之助君  六月八日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     斎藤栄三郎君  六月九日     辞任         補欠選任      斎藤栄三郎君     金丸 三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君                 神谷信之助君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     金井 八郎君        警察庁刑事局長  小林  朴君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省財政局長        兼自治省税務局        長        森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第二課長    井上  基君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        厚生省薬務局監        視指導課長    伊藤 卓雄君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       野崎  紀君        運輸省船舶局検        査測度課長    辻  栄一君        運輸省船員局労        政課長      松木 洋三君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       山本 直巳君        海上保安庁警備        救難部航行安全        企画課長     渡辺純一郎君        労働大臣官房審        議官       松井 達郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政に関する件)  (消防に関する件)  (警察に関する件)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六日渡辺武君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事神谷信之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 どうやら最後委員会になりそうですから、いままでこの委員会で問題になった幾つかの項目についておさらいをしたいと思うんですが、まず最初にチッソ救済ですね、とかくいま話題になっておるわけでありますが、これがいまどういうところまで話が進んでおるのか、自治省当局はどんなところにかかわっておるのか、まず報告をいただきたいと思います。
  7. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) チッソ対策の問題につきましては、御承知のように当初熊本県におきましては、県債発行、いわゆる転貸債という形で処理することについてかなり難色を示しておられたわけであります。つい最近までは、仮に、県債発行してチッソ融資をし補償金の支払いがちゃんと行えるように持っていくと、いわばチッソ再建を図りながら公害被害者に対する補償をちゃんとやっていくということにする場合に、もし万一チッソが、融資した融資額返済ができない場合の措置を明確にしてもらいたい、その場合に国が一〇〇%責任を持つと、こういう形で処理してもらいたいという意向を強く持っておられました。しかし、最近に至りまして、ほんの少しであればこれは県も負担をしてもやむを得ないと、こういう意向が示されてきたわけであります。で、患者救済を担保いたしますためにチッソ再建を図るということはやはり大事なことでございますので、私どもといたしましても、そのような県の意向に沿いましていま政府部内で関係省意見調整を行っておる次第でございます。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 それで、その意見調整を行っておるのがどこまで進んでおるのかを聞きたいわけです。
  9. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) いろいろ転貸債による融資と申しましても、そのほかに金融機関のいろんな援助もあるわけでございますから、一体融資額範囲なりルールというものをどういうふうに決めていくのか、こういう問題がまず第一にございます。  それから第三に、もし万一の場合に、返済が行われないということになった場合にどうするのかという問題、二つあるわけでございます。両面についていろいろ詰めておりますが、現段階では関係省意見にかなり隔たりもあるわけでございますので、まだ先行きびしっと方角のめどがつくという段階まで実は至っておりません。私どもも、先ほど申しましたように、熊本県の意向に十分沿うような考え方措置して結論を得たいと思っておりますので、この段階関係省庁間でいろいろ話し合っておりますそれぞれの意見についての中身を申し上げることは御容赦願いたい、かように思う次第でございます。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 当初、新聞報道では十四、五日ごろには水俣問題関係閣僚会議を開きたい、そこで決まったことを何か文書か何かにして残すことによって熊本県もそれでオーケーをするというようなスケジュールがあったようですが、いまの局長報告によると、お話によると、まるっきりそのスケジュールには乗ってないわけですか。十四、五日といえばあしただし、でありますけれども、その辺はどうですか。
  11. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 私どもといたしましては、この件につきましては閣議了解、少なくとも閣議了解という形できちんとした結末をつけて、県がそれに対応できるような仕組みをとりたい、こういう気持ちを持って話をしてまいりました。  日程的なスケジュールにつきましては、やはり早く事柄の結論を得た方がいいという気持ちは持っております。そういう意味合いで、いまお話のありました十五日ぐらいまでに結論を得たいという気持ちでいま関係省庁間の意見を詰めておる次第でございます。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 局長、あなたは、私が一番聞きたいところは御猶予願いたいというのだから質問になりはせぬけれども、やっぱり聞きたいところを聞きたいんですよ、私は。  それで、いま融資の額の範囲をどの程度にするか、万一の場合にそのしりぬぐいをどうやるかというところが問題点になってそれぞれやっておると、こう言うんですが、万一の場合の保証というのは、万一と言われたっていまもう万一なんですよ。何らかの形で援助をしなければチッソという会社現実にもたないんでしょう。いま輸血をしておる血をとめたら、あれとまっちゃうんでしょう。でありますから、万一の場合と言わぬで、現実に万一なわけですよ、もうすでに。ですから、もしもの場合じゃなくて、まさしく債務保証は頭から決めておかなけりゃならぬ事態だと思うんですが、ちょっと細かいことを聞きますが、毎年どれぐらいの額を想定しておるんですか。
  13. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 私どもチッソが払えなくなった段階というのをいま予定しておるわけではございません。先ほども申しましたように、お話の中にございました輸血をしておると、まあそれはそうだと思います。輸血をしてやっぱり生き返ってもらわなければいかぬわけです。しかし生き返ると同時に、その輸血の代金はちゃんとチッソが支払ってもらう、これはPPP原則でありますから、そうでなきやならない。そういう基本的な考え方で対処しておるわけでございます。したがいまして、いま万一の場合になっておるということではなくて、将来においてどうしても融資した転貸債返済が行われない時点でどうするか、こういう考え方でございます。そこのところは、しかしこの段階でちゃんと決めておかなければ、県としては安心して貸付金地方債発行することはこれはできないだろうと思っておるわけです。  それから融資額をどういうふうに見ていくかということでございますが、これは先ほど申しましたように、いろいろ関係省でいま論議をしていることでございます。しかし、将来のチッソ経営内容につきまして一定想定を置いてやるわけでございますから、なかなか五年先、十年先、非常にコンクリートなことは結論はなかなか出にくいと思います。したがって、私は一定ルールといいますか、考え方を決めておいて、少なくとも五十三年度、五十四年度、それぞれ毎年度どの程度融資をすれば輸血として効果があるかということを決めていく。そのためにはチッソ経営内容についても責任を持って十分私どもも精査をさしていただくような仕組みがなけりゃいくまい、こういうことも考えておる次第でございます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 これはチッソ会社が欲しい額というのは、チッソ会社患者にそれぞれ協定や、あるいは判決や、そういうものに基づいて払わなければならぬ額、それを頭にして、自分の企業で払える分は幾らか知りませんが、それを差っ引いて、足らぬ分をみんな借りたい、こういうことになるわけでしょう。で、いま想定をされておるその額はどれぐらいなんですか。そのうちの何割を起債の対象にするしないということはこっちに置きまして、チッソの方では大体毎年どれぐらいになると言っているんですか。
  15. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) その点を企業所管官庁であります通産省あるいは大蔵省、私ども、環境庁などが相寄りまして詰めておる段階でございます。したがいまして、いまの段階でどの程度の金額になるということはまだ固まっておりません。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 万一の場合の保証、私はこの万一の場合は必ず来る。万一、チッソがばかにもうけちゃって借りなくてもいいようになるというふうなことの想定はむしろむずかしいのであって、これは返せなくなる事態が万一じゃなくて確実に来るだろう、こういうふうに見ておるから、実はどんな形の保証をするだろうかということを気にしているわけです。  それでヘドロ処理ですね、患者救済の方じゃなくて、ヘドロ処理地方債を充てているんじゃないですか。それの保証はどうなっていますか。
  17. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 水俣湾港湾区域におきましてしゅんせつ事業を現在行っておるわけでありますが、これについてはいわゆる公害事業者負担法の規定によるチッソ事業者負担部分について、県が一時立てかえ実施する、その部分についてはチッソが今後償還に応じて熊本県に相当額を納付する、こういう形で進行しておりまして、現段階では予定どおり、県の返済に応じて負担金は入っております。将来、この負担金について返済が滞った場合どうするかという点につきましては、具体的な内容は決めておりません。ただ、いずれにしても熊本県の財政に影響がないよう、国とよく、具体的には国庫当局と私どもで相談して、県当局財政運営支障のないようにしようということを確認している段階でございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 いや、審議官、ちょっと少しあいまいじゃないの。何か私聞くところによりますと、ヘドロ処理で百二十億円……額が間違ったらごめんなさい。何かそれぐらいの額が、いまお話しのように企業側負担すべきところを県が立てかえてやっているということですね。で、いま何か順調に入ってきているようなことを言っていますが、しかし少なくともその保証の仕方は、熊本県に支障のないように自治省めんどうを見るなり相談に乗っている、こういうお話なんだけれども、では熊本県に支障のないようにという具体的な中身は何ですか。
  19. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) この取り扱いを決めたときの関係省庁確認によりまして、当時におきましては、そういった事態は万々なかろうけれども、もしそういった事態が起こった場合には熊本県の財政運営支障のないようにしようということを確認しておるわけでありますが、しからば具体的にどういう形でこれを実行するかという点については、その時点で最終的な合意を見ておりません。そういう事態が生じたときに相談しようということが確認されているわけでございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 今度のヘドロ処理のひとつ前例にいまなっているわけで、いまのお話ですと、万々そういう銭を返せないなんということはないだろうと、そっちの方に少し安心感を置いて、もしものことがあったら悪いようにせぬわいという程度中身だったようでありますが、まさか今度の場合、年間それが三百億とか何百億とかいう話だそうでありますが、それもそういうあうんの呼吸じゃいかないでしょう。その点はどうなんですか。
  21. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 先ほども申しましたように、県及び県議会といたしましては万一の場合が起こりましたときにどういう政府保証してくれるのかということを明確にしてもらいたいということを強く要請いたしております。したがいまして、いま審議官が申し上げましたようなヘドロ処理事業について合意いたしましたよりもかなり進んだ的確な結論を得てほしいという要請は私どもは受けておるわけでございます。その要請が満たされるようにいま努力をしておると、こういうことでございます。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 大臣見えてないんであれですが、融資額範囲の問題はともかくとして、新聞報道によると、国の金、すなわち一般会計とそれから地方交付税、この両方で、割合のことはともかくとしまして、具体的に六、四だなんて書いたのがありますが、とにかくこの両方お金保証をすると。その細部をしからばどういう額にするんだとかというふうなことを詰めておるんだというニュアンスで報道もあるわけですが、国の一般会計交付税の両建てでめんどうを見るということの枠は決まっちゃって、中身を詰めているんですか、いまの省庁の話し合いは。
  23. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 先ほど申し上げましたように、県の現段階意向は、大部分は国がいまお話の中で引用して申し上げれば一般会計保証してもらいたいと、ほんの少しの負担が県に出るんならそれはやむを得ないと、こういう意向を示しておるわけでございます。私どもはそういう線に沿って意見調整をしておるわけでございまして、一般会計による特別の保証措置というものが中心でございます。それと並んで交付税保証措置を講ずるというふうな考え方は私どもは持っておりません。県全体の財政の状況がどうなっていくかということは、それは将来の問題として私どもは非常に関心を持っておりますけれども、しかし、一般会計幾ら交付税幾らというふうな割り振りで保証するというのは私どもは筋は通らぬと思っておりますから、そういう考え方はとっておりません。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 その点は私もいまの答弁そのまま受け取って確認をしておきたいんでありますが、熊本県の県知事の言葉の中に、実は県には迷惑がかからぬで国がめんどう見てくれればおれはまあそれでいいんだと、県側から見ればしごくあっさりした損得なしということですからいいんですが、ただ国めんどうを見るという、国の金でめんどうを見るという中に地方交付税も含まれておることは承知をできないという立場をこの間も実は小山委員も申し上げたわけであります。あれは国の金じゃないんで、地方自治体の金なんでありまして、皆さんそれは金庫番をしていろいろ勘定はしてもらってますけれども、これは国の金じゃない。そこのところを交付税は国が分けてやっているんだぞという考え方に立ちますと、その分け方の中に熊本のその分もめんどう見てやれやということになるんで、これは承服できないということを申し上げてこの間もおったわけでありますけれども、どうもそっちの方に向いておるんじゃないかという心配がしてならぬので、いまの答弁はそれなりに了といたします。  今度別にお伺いしますが、何百億になるかわかりませんが、これを、地方債を起こすとして——起こすことだけは間違いないわけであります。この地方債は、何ですか、いまの地方債許可方針運用方針というのを持っていますね、自治省。あの中にそういったたぐいのものは一項盛り込まれていくわけですか。それとも、地方債計画とも外して全く別個のものとして扱うことになるわけですか、それはどうでしょう。
  25. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 地方財政法五条、御承知のとおりでございますが、貸付金の財源、原質に充てるための地方債発行は認められておるわけでございます。チッソに対する貸付金の原資に充てるための地方債ということでありますから、従来の地方債詮議方針から申しますと、それは新たな問題あるいは課題を持ち込むということにはならないというわけでございますので、詮議方針から申しますと、この件を特に例外的な措置としてどうこうするという考えはいまのところ持っておりません。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、たとえばことしの地方債計画、私手元に持っていないので恐縮ですが、特別転貸債の枠が百二、三十億か何かあったんじゃないかと思うのですよ。港の何とかかんとかというのがありましたね、百何十億くらい。それからは出ないでしょう。したがって、この上に足すわけですね。地方債計画の改定というのですか、変更というのですか、これをまずやるわけですか。
  27. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) いま申し上げましたのは、詮議方針についてのお話がございましたので、その面から申し上げたわけでございますが、今度は資金面から申しますと、いまの地方債計画の中にこの分を予定しておるかということになりますと、それはその時点ではこういう転貸債発行するということを予定していなかったわけでありますから、その分は入っていないというのが私は正しい考え方だと思います。したがってまた、政府資金を相当部分充てるという方向に向いてきておりますが、その政府資金については他の地方団体が予定しておる、あるいは期待しておる政府資金しわが寄るというふうなことがあってはならないと思っております。ただ、地方債計画を修正するか、あるいは何らかの措置を講ずるか、その辺のところは今後の問題といたしまして大蔵省とも相談していきたいと思いますが、実質的に他の地方団体しわが寄るというふうなことは絶対にいたさないと、こういう気持ちでおる次第でございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、枠外債というような形になりますか。
  29. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) そこのところ、いま申しましたように、枠外債という扱いで処理するのか、あるいは地方債計画修正という形で処理するのか、それはこの結論が出、その規模がどうなるかによりまして適切な措置を講じたいと、かように思っております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 大体枠組みがわかってまいりましたが、これは不勉強だから聞くんでありますが、枠外債というのは通常は縁故資金ですか。
  31. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) いままでの地方債運用から申しますと縁故資金でございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、この政府資金の裏づけがあって、もし今度枠外債ということになりますと、全く初めてのケースということになるわけですね。
  33. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) そういう形をとりますればそうなると思いますが、その辺のところをどう扱うかということを、先ほど申しましたように、適切な措置を講ずるということで研究してまいりたいと思っておるわけでございます。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  あと実はこのこと自身についてはいろいろお伺いしたいんですが、これは自治省の話じゃありませんからあれですが、自治省もこの話に乗るんですから、ただ資金の問題だけでいいということにならぬのでちょっと聞きますが、PPP原則から言いますと、自治省考えでは銀行筋というのは加害者の方の仲間でしょうか。
  35. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 大変むずかしい御質問でございますが、やはりいまの公害基本法あるいは公害関係法令のたてまえから申しますと、公害原因者はその当該企業ということでありまして、その経営融資をしておる金融機関仲間になるという考え方はちょっととれないんではないかという私どもとしては気がいたします。ただ、銀行社会的責任と申しますか、そういう問題は一般論としてあるわけでありますから、公害原因となりました企業患者にあるいは被害者に対して補償していく場合についてあとう限りの社会的責任は果たしていくということはこれはもうぜひ必要なことだと、かように考える次第でございます。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 いまのこの点はいずれまたお伺いしますが、最後に、皆さんの方の事務的な作業としては大体いつごろをめどにこの話の決着考えておりますかしら。
  37. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 私どもといたしましては、熊本県の意向に沿った結論が、出し得ますならば十五日ぐらいをめど結論は得たいと。しかし、その辺の帰趨がまだ十分定かでございません。鋭意いま努力をしておるということでございます。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 大分話は詰まっていないみたいな話だったけども、十五日ぐらいで決着をつけたいといえばすぐ何か手を出せば届くところまで話は進んでいるようでもありますが、これは大臣が来たところでまた最後にお伺いをいたします。  その次に、この間小山さんからも質問がありましたが、雇用創出について、この間も社会党が提案をした雇用創出法案について趣旨説明をここで受けましたし、それにかかわっていろいろとお尋ねもいたしました。そこで、それをまとめる意味で申し上げるんでありますが、私らの主張は、いままでの行政仕組みといいますか、ルール、そういうものの枠を越えて雇用創出だけを考え資金の枠を別に用意をして、このお金をやるからこれでひとついろんな事業考えて少しでもこの雇用効果が上がるように自治体もやってくれぬかと、こういう法案をつくりたいというわけであります。ところが、残念ながら審議が進んでいませんからこれが通らない。しかし、この法律によることはできませんので、現実地方自治体あるいは自治省も含めて地方行財政運用の中でやっていきたいということになりますと、容易に考えつくのは、雇用創出をねらいにした単独事業をやって、それに起債等でいろいろと融通を図ると、こういう方法で何とかこの趣旨を貫きたいということで、自治省当局にもその辺の知恵を出してくれぬかという要望もしてきたところです。その結果、いわゆる財政運営通達——次官通達の中でも、自治体と職安とがうまく連携をとれとか、あるいは公共事業をやるにも雇用のことを頭に入れておけとか、あるいは失業が特によけいなところで単独事業でそういうことにねらいを置いた仕事をやる場合には優先的に地方債めんどうを見てやろうとかという内容が盛り込まれたわけでありまして、これは大いに多とします。  ところが、これは財政局長かわったせいかどうかしらぬけれども、この間のやりとりを聞いておりましたら、小山さんが幾つか例を挙げて、たとえばこういう事業について自治体が工夫をして、銭のめんどうを見てくれぬかと言ったらめんどうを見るかと言って幾つか例示をいたしました。そのときに、局長答弁で非常に気になりましたのは、単独事業というのはおくれておる生活環境の整備が優先されるものだと思う、単独事業起債めんどうを見るというのは、やっぱりおくれておる環境整備というふうなものが優先されていくべきであって、何か温泉引っ張って花つくるとかなんとかいうのはその話はなじまないという趣旨のことを言った。ここのところを局長私はやっぱり問題にしたいわけですよ。確かにいままでの単独事業の性格あるいは起債になじむ仕事の種類、というのは既存のルールがあります。しかし、この既存のルールを少し越えて雇用創出というところに重きを置いたひとつ新しい試みをしようじゃないかという提起、これにこたえて次官通達も工夫をしてくれたんだというふうに思っていたところ、あなたの答弁は、実はそこのところがすっかり抜け落ちて、単独事業のたとえば性格とかそういうものについては毫もいささかも変えない。ということになりますと、現状に見合って雇用創出という事業が大幅にはまり込む余地がないんじゃないかな、通達は見せかけの中身になってしまうんじゃないかなという危惧を抱いたわけです、私はあのやりとりを聞いておりまして。  そこで、改めて私の主張したいのは、少し従来の枠組みをはみ出してでも雇用効果の上がる単独事業というものに優先的な枠配分、財源的な裏づけというものを考えるべきだと、そういう内容のところまで一歩踏み出したところにあの財政運営通達の意味があるんだと、こう理解をすべきじゃないでしょうかな。いかがですか。
  39. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 前回も申し上げたところでございますが、一般論といたしまして、公共投資を通じて景気浮揚の引き金にしていきたいというのが政府の方針でございますが、その場合に、生活関連施設、福祉関連施設、各種の公共施設の整備が立ちおくれている、これは否定すべくもないところだと思うんであります。したがいまして、その面の充実を図りつつ、それでもって一般的な景気刺激を行い、さらにまた雇用機会を拡大していく、これは基本的な考え方としては、私はそういう考え方財政局長がかわるかわらないにかかわりませず同じことだろうと思うのであります。ただ、単独事業の総額をごらんいただきますと、五十三年度の地方債計画では一兆二百九十七億円。前年度に比べまして七九・七%というような大幅なふやし方をしておるわけでございます。  単独事業をどういうものを選定していくかということにつきましては、これはその際も申し上げましたように、各府県、市町村がこれから創意工夫をこらしていろんなアイデアを出してこられると思います。私は基本的な考え方はいまのような気持ちでございますけれども、その申請してこられた内容によりまして、雇用機会の増大につながるもので、かつ住民福祉の向上につながっていくというものにつきましては、これは十分御相談に応じてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 いまの答弁、雇用機会の増大につながるものでかつ住民福祉の向上に役立つものについて十分配慮していきたいということになりますと、少し内容としては前回のニュアンスと変わるわけでありますが、これ、実は四月二十七日に、私、いろいろとやがて出るであろう財政運営通達のことについて触れてお伺いをしたんです。そのときに前財政局長は、「公共事業等の執行に当たりましては、地域の実態に即して雇用創出効果が十分発揮できるように配慮すべきである」、これはその旨通達に盛り込まれました。  その次、「あるいは失業多発地帯等におきまして、失業者の吸収のために地方単独事業を補完的に実施する場合には、自治省におきましても要請に応じまして地方債を重点的に配分いたしたい」、こう言っている。これも同じ文言が盛り込まれております。おりますが、「地方単独事業を補完的に実施する場合で、当該団体から要請のあるものについては、地方債を事情の許す限り重点的に配分する予定である」、ただし、その前に「道路等の」というのが入っているのですよ。「道路等の地方単独事業を補完的に実施する場合で」ということで、言うなら仕事の例示がしてあるのですね。仕事の例示がしてあるということは、余りなじまぬ仕事は受け入れないということの文章になりますよ。これは、実は、事前に私ども皆さんにいろいろと要望をしておったときの話でも、あるいは当委員会における私の質問に答えてのやりとりの中にも、こういう仕事の例示はなかった。仕事の例示である「道路等の」という文字があるから、森岡局長は、地方単独事業は生活環境の整備が優先されるべきものなんだというこの間の答弁につながっておるのではないか、こうこの文章を読んだわけでありますが、その辺は、やっぱり何か意図があって、この「道路等の」という四文、字は入ったのですか。
  41. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 別に意図を持って「道路等」という例示をしたものではないと思います。ただ、単独事業としてやります道路というのは、生活関連道路がこれはもう中心であることは御承知のとおりでございます。市町村道はその中心でございましょうし、また県道でありましても、主要地方道でない、通勤、通学の人、勤務者やあるいは子供たちが使う道路、これはまさしくそういう道路でありますから、そういう道路の整備の需要というのは非常に多いわけであります。また、それによって雇用機会の拡大ということにもつながるわけでありますので、例示として「道路」を使ったということでございます。しかし、御承知のように、臨時地方道整備事業のほかに、高等学校の改築を進めていくというふうな事業も臨時高等学校整備事業として地方債計画に新たに計上しておるわけでございますから、何も道路だけに限っておるわけではございません。そういうことでございますので、御了解願いたいと思います。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 今度石原審議官どうですか。これ、「道路等の」というのがまくら言葉についたのは、何か意味がありますか。
  43. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) まあ単独事業といいましてもいろんな事業がありますので、量的にも一番大きいし、各団体に一番普遍的にいま実施されるであろう道路というものを例示として掲げたわけでございまして、特にそれによって単独事業範囲を道路系統のものに限定するという趣旨ではございません。単独事業は文字どおり単独事業でありまして、各団体それぞれの地域の実情に応じて選択されるわけでありますが、何も例示しないというのも文章表現としていかがなものかということで、最も普遍的な、また地方団体から最も要望の多い道路というのを例示に掲げたという意味でございまして、事業範囲をそういったもの、系統に限定するという趣旨ではございません。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 そうですけれども、たとえば私に対する答弁とこっちの答弁、これはだれが聞いてもニュアンス違いますよ。失業者の吸収のために地方単独事業を補完的に実施する場合には、自治省においても要請に応じて地方債を重点的に配分すると、こういうのと、「道路等の地方単独事業を補完的に実施する場合で、当該団体から要請のあるものについては、地方債を事情の許す限り重点的に配分する予定である」というのでは、まず「失業者の吸収のために」というこの大目的がないこと、いわゆる地方債をごく一般的に扱うのと、失業者救済のためにという、吸収のためにという、そういうふうな目的意識をはっきりさせるのとでは通達の重みは違いますよ、これは。私はこの委員会皆さんの方が真摯に答弁をしてくれたことが通達ではやっぱり水増しされている、やわらげられてしまっておるという気がして、残念でならぬわけでありますが、文言のことはともかくとして、四月二十七日に私に答弁なさった内容と理解をしていいですか、改めて確認いたします。
  45. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) 基本的な考え方はあの際の答弁のとおりでございます。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。  そこで、そうすると、たとえば地方債許可方針というのがこれ出たんでしょうか、毎月決めますね、たとえばそういうものに失業者吸収のための云々とか、そういった中身を盛り込むかどうか、あるいは先ほど財政局長は、とにかく単独事業起債枠はもう七割もふやしたんだから原資は十分だと思うという話があったが、しかしなお、地方債計画のあの単独事業の枠に必要があればさらに積み重ねると、そういう努力も今後できるかどうか、そこの点はいかがですか。
  47. 森岡敞

    政府委員森岡敞君) 地方債のいわゆる許可方針につきましては、これは府県や市町村の担当者が起債の申請をいたしてまいります場合のいわば技術的なルールを決めておるわけでございます。  基本的な考え方は、たびたび御指摘のあります事務次官通達によりまして明確にいたしておるわけでございますので、あえて地方債許可方針にまでそこは触れる必要はないという考え方で、従来どおり技術的なルールなり基準を許可方針では書いておる。しかし、基本的な考え方は次官通達で明確にいたしておりますので、十分理解されておるところと思います。  なお、単独事業起債枠を今後どうするかということにつきましては、これは一つには国民経済全体の今後の帰趨というものを見定めなければなりません。また、国のそれに対応する政府としての措置をどうするか、どうなっていくかという問題ともにらみ合わせて考えなければなりませんし、同時にまた単独事業に対する各府県、市町村の要請額、要望というものを十分把握いたしまして、それらを総合して検討していくと。私はいま先ほど申しましたように、これだけ大幅な増額をいたしたわけでございますから、現段階では地方の需要は十分満たし得るし、それによって雇用機会の増大あるいは景気浮揚というものに十分資することができるんじゃないだろうか、かような感じをいまのところは持っております。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 後段は、もう少し要望額を見てからでもできることですが、事務手続とはいっても、地方債許可方針が細々とこう書きますよね、そういうものにも、この次官通達で新しい項目が少なくとも入ったわけですから、なお親切に許可方針にも一つくだりを設けるということの方がなお趣旨徹底していいですよ。これはこれから出すんでしょうか、もう出ちゃったものなんですか。
  49. 石原信雄

    政府委員石原信雄君) これはすでにもう出しております。年度早々に例年出しておりますので、本年度も事業促進をお願いしているたてまえ上、地方債の許可をなるべく早く進めたいということですでに出しております。内容につきましては先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、地方債の許可方針は、たとえば充当率をどうするとか、あるいは起債の対象事業範囲として門、さく、へいをどこまで入れるとか、用地はどういう場合にどうするというような各事業ごとのいわば実施細目的な考え方、あるいは起債団体の制限の基準になります公債費比率をどうするとか、こういうような地方債許可制度の運用上の技術的な基準のようなものを中心に例年書いておりまして、もちろん新しい地方債の項目ができますと、その項目についてどういう扱いをするかという技術的な基準を追加しておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、各年度において地方財政運営上の立場からどういう事業にウエートをかけていくかという政策的な判断は例年とも運営通達の方に譲っておりまして、許可方針の方はもう少し事務的といいましょうか、技術的なものとしてずっと出しておるという経緯がございますので、ややなじみにくい面があるという点を御理解いただきたいと思います。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 これは先に出ちゃっているもんでありますが、ただ私は、もう少し雇用創出という仕事については自治省もいろんな面で能動的になってほしいと。この間も市町村別の失業者の実態が職安の単位では把握ができておっても、それをすぐ砕いて分析をして自治体が対策を講ずるだけの体制はできておらないというようなことでありましたから、当然のごとく職安などと連携をとって、失業者の実態を市町村別に把握をする、あるいは失業者のニードも的確につかむ、こういう作業を、一方で通達の十六ページにある職安などとの連絡調整をとってやれという内容としてさらに指導をしてほしいし、それから地方単独事業を許す限り重点的に認めるというのであれば、同じ単独事業の中にも雇用創出に対する起債の特別枠を設けるとか、それぐらいの積極性を示してもらいたいという意味でいろいろとお尋ねをしたのであります。  ちょうど大臣お見えになりました。私の申し上げる第一の点は、職安などとよく連携をとって、市町村別に失業の実態よく把握して、それがどんなことを考えているかというニードもつかめるような、そういうひとつ窓口の強化について指導する。それから後段に私申し上げました雇用創出、失業者救済のために効果のある仕事だったならばひとつ遠慮せぬでどんどん事業を持ち込んでこいという積極的な指導もする。必要があればもう起債枠は別に設けるぐらいの考え方でやってもらいたいという、この点についてはいかがですか。
  51. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) ただいまの第一点の雇用安定機関と市町村との連絡、あるいは情報交換等を強化いたす問題でございますけれども自治省といたしましても安定機関に積極的に接触をいたしまして、そしてできますことならば、雇用対策協議会のようなものも設置いたしまして、その場においてニードに応ずると、かような体制をとっていきますことが基本でございまして、そういう考え地方団体を指導いたしておるのでございますけれども、たまたま私は労働大臣臨時代理を仰せつかったものでございますから、先週登庁いたしまして、そして事務次官以下関係局長に対しまして、安定機関としても積極的に市町村と連絡をとってほしいと。そしてあなたの町にはこの程度の失業者があり、この地域ではかように多発をいたしておりますよと、われわれも一生懸命にやりますけれども、市町村としてもぜひ一生懸命にやってほしいと、かような連携を強化いたすべく安定所にさような指示をいたす、かようなことを決定いたしたようなことでございます。両々相まちまして十分な連絡をとり雇用安定に資してまいらなければならぬと、かように考えております。  それから二番目の雇用安定を図ってまいりまする上の各市町村の行います、あるいは都道府県の行います単独事業のことにつきまして、先ほど来いろいろ質疑応答がなされておりますように、自治省といたしましてはきわめて積極的に対処いたしてまいらなければならぬ、かような基本の考えでございまして、そして御承知のような地方債単独事業も五兆六千億円と、かような大きな枠を設定いたしておるのでございますから、この枠をフルに活用いたしまして、雇用の安定に資してまいる、かような考え方でございます。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 いまの点はぜひそのとおりにしてもらうように要望いたしておきます。  大臣お見えになる前に、水俣——チッソ救済策について少し事務当局とやりとりをいたしました。で、それらをまとめてお伺いをするのでありますが、要はいま話を詰めておるのは融資額範囲の問題と、万一の場合の保証の問題というふうに報告を承っておるところです。万一の場合は——万一じゃなくて一〇〇%保証が必要だというチッソという会社の状況であるというのでありますから、これはもう間違いなくしりはぬぐわなければならないという状況なわけでありますが、間違っても地方自治体固有の財源である地方交付税などを債務保証に充てるべきでないという点について、大臣の見解を承っておきます。
  53. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 第一点の融資範囲の問題でございますけれども、平たい言い方をいたしますならば、私はみずてんで転貸債を決定するようなことがあっては相ならぬと、かような基本の考えでございますし、同時にまた態本県といたしましても沢田知事から提案がございましたことは、チッソの経理分析をいたす機関を設けてほしいと、かような考え方を述べておるのでございますから、ですから、私は政府内部におきまして基本的なことが決定をいたしました暁には、なるべく早く収支を明確にいたします機関を設定いたさなければならぬ、かような考え方に立っておるのでございますから、さような処置をとりながら本年度はどの程度転貸債発行をして融資を行うか、この金額を具体的に決定していかなければならぬと、こういうぐあいに思います。ただ、この金額の余りせっかちな決定ではございませんでも、金融機関転貸債によって処置をいたすということが明確になりました場合には、つなぎ融資等が可能だと、かような考え方のようでございますから、私は熊本県議会がいま直ちに、きょうまでございます県議会へ上程いたすと、かようなことではないことになろうかと思うのでございますから、具体的な金額を決意をいたしまして議会に付議しそして申請をいたすと、かようなことの間には若干まだ時間が許される、かように思っておるのでございますから、その間に金額を決定いたしてまいるべきだと、かような考え方でございます。  それから二番目の御指摘の万一の場合にどうするかと、このことでございますけれども、私はたてまえとして国なりまたチッソと縁のある金融機関が万一の場合には対処いたすべきだと、これを基本の考え方にいたしておるのでありますが、ただそのことをとことん主張することによって、政府内部においても考え方がまとまらないような事態があると仮定をいたしますならば、患者に対してまことに相済まぬ結果になってしまう。このことを熊本県といたしましては真剣に心配をいたしまして、わずかのことなら県が負担してもよろしゅうございますと、かような考え方を述べておるのでございまして、わずかのことならということがどの程度であるか、またどの程度政府内部で考え方がまとまるか、これはここ何日かの内部における熊本県を含めた折衝によって決まってくることであろうかと思うのでございますけれども、万一の場合地元が負担いたしましたものが回収不能になりますと、それだけ熊本県の財政に影響が生じてまいりますことは御承知のとおりでございますけれども、しかし熊本県が負担をしなければならないという結果になりましたそのことに関して交付税で処置をいたしますことは筋の通らないことであろうかと思うのでございますから、やはり県の負担において処理をなさるべきだと、かような考え方でございます。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 いずれ内容が決まっていくでしょうから、その点はこれぐらいにしておきます。  最後にいたしますが、さらに次官通達でありますが、私は四月二十七日のこの委員会で、財政運営通達のうちの、たとえば給与等の改善について指導の内容が含まれている項目がとかく従来物議の種にもなっておったことを取り上げていろいろとお尋ねをし、要望もしたわけです。山本財政局長は通達の表現等については、五十二年度においてもできるだけ簡素化を図るという方針で対処してきたし、なおまあ改善をすべき点があれば鋭意検討してまいりますと、こういう答弁でありました。私は、「改善すべき点があれば検討してまいりたい」という答弁を了承をして、「たとえば給与水準等の適正化に係る指導内容について言えば、国に比べて著しく高い水準の団体に対して所要の措置を求めているのであって、それほど高くないレベルで地方団体の裁量権に基づいて行われておる団体をも一律に」ああせい、こうせいというふうに言っておるのではないと、「そう読み取れるような通達になる、こう理解してよろしいですか。」このように尋ねました。若干やりとりありましたが、「検討いたします。」ということでありましたが、さて出された通達、これ余りそう変哲もない、去年と変わらぬ文章ですが、四月二十七日の委員会でやりとりをし、「検討いたします。」と言った内容にこれなっていますか。
  55. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 二十七日の御質問に対しまして公務員部長から「検討いたします。」とお答えした時点におきましては、次官通牒そのものの文案を部内におきまして練っておる最中でございましたので、それを含めて検討すると申したんだと思います。ただ、いずれにいたしましても、この給与の取り扱いにつきましては、いろいろ内部で検討いたしました結果、昨年とほぼ同様の文章でいいんではないかということで同じような形になっておる次第でございます。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 私はそう長くやりとりをしたくないんでありますが、私が二十七日にお尋ねをし、要望をした、そういう趣旨の通達でありますと、こう理解をしていいですか、これは。
  57. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 一律に高い団体も低い団体も同じように指導するということではもちろんございませんで、高い団体、低い団体それぞれ問題の大きさというものは、これは違うわけでございます。そしてまた、通牒におきましても、この点につきましてはすべての団体について言っているわけじゃございませんで、「特に一律的な昇給期間の短縮、高い初任給の決定及び標準職務に適合しない等級への格付け等により給与水準が国家公務員のそれを上回っている地方団体にあっては、」というような表現をしておりまして、こういう団体につきましては今後とも給与の適正化に努力していただきたいということでございます。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 むしろ議論のやりとりとして私申し上げましたのは、いま行政局長もおっしゃいましたようにいろいろな渡りだとか、短縮だとかそういうもので国家公務員を上回っておる団体、これはひとつ改善してくれと、そのこと自身別に異議を唱えているわけじゃない。しかし、国と地方は違うのでありますから、地方には地方の裁量権がある。そこで出てくるのは、そういう独自のことをやって特に高いところですね。一ミリ背が高いからといって自治省別に文句をつけているわけではないんですよ。十センチも高いと高いぞとこう言っているわけですね。私はそこのところを一ミリ出ているからといって目くじら立てるのではなくて、そこは自治省自治体の裁量権というものもあるわけですから、裁量権とは言いながら少し出過ぎておると、著しく出過ぎておるというものについてこれは所要の措置を実は求めておるのだ、こういうふうに読めるようにしてくれぬかということをこの間要請をしたわけです。その結果検討しましょうと言ったことで、さしたる文言はないから、変わっていないから私はいまここで変えろとは言いませんけれども、似たような文言ではあるが、私が言うておるような解釈でいいんだということを言ってくれればそれでいいわけですよ。
  59. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 地方公務員の給与は申し上げるまでもないことでございますけれども地方団体が自主性を持って決定するわけでございますが、法に定める給与原則にのっとって定めるということでございます。そしてその結果が国のラスパイレスで、たとえば一ミリですか、いまの先生のお言葉をとれば上がっているからどうこうと私ども申し上げておるわけではございません。その給与の原則にのっとって地方団体が検討して決めたと、決めるという場合にこれはもうあらゆる面で、特に最近でございますと住民の監視等も厳しいわけでございますから、そういった給与原則にのっとって決めていただきたいということを繰り返し申しておるわけでございまして、それに反するような結果、国家公務員の給与水準よりも高いという団体がございますならば、そういう団体につきましてはやはり給与の適正化に今後とも努力していただきたいということでございます。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 行政局長の言っていることもわかるんですが、私の言っていることもわかるでしょう、大体、意味が。この辺でやめたいんですが、あなたうまいこと言わぬものだからやめられないで困っているんですがね。いいですか、「給与水準が国家公務員のそれを上回っている地方団体にあっては、所要の措置を講ずること」としてと、簡単に言いますと。こういうふうに言っているわけですよ。私の言うているのを正確に言うと、給与水準が国家公務員のそれを著しく上回っている場合には、所要の措置を講ずること、こう書いてあると、私の言うたとおりに文章はなっておったんでありますけれども、実はそうなっていないだけですがね。しかし、さっき言いましたように一ミリなら別に文句言ったわけじゃない、十センチ超えると目につくよということでぼくは例を引きましたけれども、そういう趣旨なんですねと、そういうふうに読んでいいんですねということを聞いたわけですよ。また現実自治省もそういうふうに最近は指導もなさっておるわけでありまして、だからまあそのとおりなんだと、そういうふうに読んでくださいよと言えば私もそう読んで、これ一件落着になるんですが、どうですか。
  61. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) お言葉を返すようでございますけれども、給与水準その他というものは、これは各団体によっていろいろバラエティーに富んでいるわけでございます。したがいまして、若干上回っておる団体でもそれがいろいろ、ここに書いてございますような給与決定原則に反するというようなものにつきましては、それを是正するよう私どもとして指導する必要があるだろうと思いますし、それがいいということは私どもの立場として申し上げるのはいかがかと思います。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 給与決定原則に反するとか反しないとかということを言っているんじゃないんですよ。給与水準が国家公務員のそれを上回っている地方団体では所要の措置を講じてくれと。しかし、現実にはいままでそういうことを中心にやりとりをしてとげとげしい時代もありましたけどもね、あなた自身が、あなた方の方が四月二十七日にも答弁をしてますように、自治体も大変努力してくれていますと、それは多としますと、自治体努力により大分よくなったというたぐいの文言もあちこちにありますよね。それはそれで正当に国も努力をしたし、地方も努力したんでありますから、時にトラブルあったけれども、そのトラブルも解消されて、そして、全体で給与も適正にやる、自治体の財源や権限も強化するようにやろうという合意が生まれているのは結構なことだということを前提にして、それにしても古きとげとげしき時代の名残が少しでもなくなるような通達にしてくれぬかということを前提にして、たとえば給与の問題で言えば著しく高い団体にもうしばらくやっぱりつべこべは言わしてもらいますよと、しかし、そうでないところは大分努力をしてくれたんですと、こういうふうに読めるようにしてくれとこの前言ったわけですよ。だからこのくだりを私はそういうふうに読んでおきやいいんだなというふうに聞いているわけですから、まあ大体そういうことなんですと、それでいいじゃないですか。それでいいことにしなさいよ。
  63. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 何度も繰り返すようで申しわけございませんけれども、著しく高い団体だけはこれは自治省としても特に注意しろと、それ以外の団体はそれでいいんだということは言えませんので、その内容にいろいろよると思いますけれども、そういった団体でも、先ほど来申しておりますような給与決定原則に反するような運営を行っているものはやはり給与適正化に努力していただくということが必要ではないかというふうに思っております。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 だめだな、これは。ですから、いいですよ。あなたの言うように、給与決定原則に反しているところはひとつ反しないようにやってくれと、それは一向構わない。私が言うておるのはそのことを言っているんじゃないのですよ。国の給与水準に対して適正化をやっぱり強く求めておるのは、いろんなことをやってそして国を著しく上回っておるところ、こういうところにきついことを少し言っているんだと、こういうふうに理解をすればいいじゃないですか。そうでない、いいかげんなところはそれでいいんだと別に私は言ってくれと言っているんじゃないのですよ。それはそれであなたの答弁でいいんですよ。その点どうです。
  65. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 国家公務員基準を非常に上回っておる団体はそれなりにいろいろな問題があるわけでございまして、そういったところを特に強く指導するというのは私どもの務めであろうというふうに理解しております。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 いいですわ、これでやめます。やめて昼から十分——これ以上言っていても余りいい返事も来そうもないから、これでやめることにしましょうよ。
  67. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の調査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  68. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  69. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうは時間もございませんから二、三にしぼって御質問申し上げたいと思います。  最ず最初に消防の問題ですが、昨年の五月に宮崎の北消防署ですか、勤務の松山さんがレンジャー訓練中に七メートルのところから墜落して死亡するという事件がありまして、その直後に、また六月の十三日に熊本の田上さんが、これははしごの訓練中ですか、十五メートルの上空から墜落して亡くなるという不幸な事件があったんですが、この問題について衆参両院でそれぞれこれの措置を含めましてこれまでも追及されておるわけですが、この事件に対してその後の措置というか、消防庁のとった、これをまずお聞かせ願いたいことが一つ。  同時に、五十二年度で公務中に災害、こういうこの種の事故を起こしたのは一体どういう実態になっておるのか、あわせてひとつお聞きしたいと思います。
  70. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) ただいまの御指摘の昨年の五月十七日、宮崎市の北消防署の事件でございますが、亡くなられた方は松山さんとおっしゃる方、レンジャー訓練中でございます。事故の概要を申し上げますと、障害突破訓練をやるためにロープブリッジ、綱をきつく張りまして橋みたいなかっこうにして、そこを渡る訓練でございますが、その訓練の場をしつらえようとしてその綱を投げる、これが投げたときに、その綱がこちらの柱か何か異物に当たりましたためにバランスを崩して七メートルから落ちられて、結局不幸にして三日後に亡くなったということでございます。通常、こういう訓練をするには十分安全を考えなければいけないわけでございまして、安全ネットその他を張ってやるのが常識でもございますが、この場合は訓練中ではなくて、その訓練の場をしつらえようとしておったために、まだ下に安全ネットが張ってなかったという実態であったと存じます。しかし、それにしても、場をしつらえるにしても、先にまず安全ネットから張ってということをすればこの事故は防げた。そういう意味では何と申しますか、その手順に配慮が足りなかったとも言えるわけでございます。  それで転落をされた三日後に死亡をされましたわけでございますが、その後この松山さんに関しましては、事故が五月の十七日でございまして、亡くなられたのが三日後で二十日でございますけれども、二十日に直ちに二階級特進で消防司令補に任命をされ、それで五月の二十四日に消防葬を行いました。  それで、そのあとの金銭的な面と申しますのは、まず正規の退職金が、勤務年数が三年でございましたので、これは言うに足りないが九十七万円余り、それから県の規定によります知事表彰によって見舞い金が百万円、それから市の消防賞じゅつ金が千三百万円、これは最高の額でございます。消防庁長官の方からこれは報償金で五十万円、それから公務災害補償金が八百十五万余り、合計二千三百二十九万余りの額を御遺族に対して支給をされておる。これでもちろん人の命のことでございますから十分というわけでもございませんでしょうし、何か最近伺いますと、これに関しまして賠償の訴訟が提起されておるということを伺っておりますが、それはその経過を見たいと考えております。  それから、こういう事故が起こりましたので、一般的に私の方で、六月二十九日付で消防訓練時における事故防止についてということで、私の方の消防課長から各都道府県を通じてそれぞれの消防当局に注意を促しておりまして、こういつた事故が起きたことにかんがみ、安全のネットとかカラビナとか訓練直前のこういう命綱の結着確認とか、幾つか項目を挙げまして、以後こういうことに注意するようにという通達をすでに出しております。  それから、先ほど先生もおっしゃいましたような議会での和田静夫先生あるいは野田先生、小川先生その他からもいろいろ御注意も受けましたが、その中にこの救助についてはまだ法的なタッチが余りはっきりしてないという面もありましたし、実際の社会的な需要が非常に、こういった社会経済の進歩のためにあちこち進んでおりますので、現実にはこの救助ということが消防の仕事としてすでに取り上げられ、やっておりますけれども、それに関する法的措置の明確化と、もう一つはこれに関する一つの基準でございますね、訓練をしたり実施したり実行したりする場合の技術的な基準を消防庁でつくるべきであるという御指摘を数回受けまして、私の方も全く同感でございましたので、研究を重ねまして現在この基準の原案はすでにできております。これをこれから実際にこれらの運営に当たられる第一線の方々その他の御意見を伺った上で、大体この七月ごろには確定をいたしましてそれぞれの消防当局にお流しすると、こういう予定でおる次第でございます。  それから、御質問の後段の消防職員の公務による死傷者でございますが、これが一九七五年中のは——いま五十年までの数字がはっきり手元にございませんで、それ以降のものは集計中でございますが、五十年の数字によりますと、合計が、亡くなった方が十人、それから負傷者が二千四百五十人となっております。内訳を簡単に申し上げますと、火災による死者が四人と負傷者が八百五十八人、風水害等の災害による死者が三人、負傷者十八人、救急は死者はございませんが、負傷者が百十八人、これに対して演習訓練によるものが、死者が一人と負傷者が六百六十四人、あとは特別警戒、お祭りのときの警戒とか、あるいは遭難者の救助、その他といったもので死者が二人、それから負傷者が七百九十二人、こういう数字が現在手元に来ております。
  71. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 熊本の田上さんはどうなっておりますか。
  72. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 熊本の件は実はあらかじめ伺っておりませんでしたので、現在詳細なもの手元にございませんが、すぐ調べてお届けいたします。
  73. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いまお聞きしたように、訓練中で死亡者が一件、負傷者が六百六十四件、こういう数字が——五十年度ですね。
  74. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 五十年度でございます。
  75. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ですから、五十一年、五十二年はまだわかっていないんですね。
  76. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) はい。
  77. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 出ておるという中でお二人の事件が起こったわけですね。この件で、いま四月二十一日に訴訟が起こっていますね、提起されています。この点については一体消防庁どういうふうに考えられておるのか。
  78. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) これは民事訴訟でございますので、松山さんの件につきましては大変お気の毒な事件でございましたので、県、市、それから私の方もできるだけのことをいたしたつもりではございますけれども、なおそれが十分でないということで民事的な訴訟が起こされたと聞いておりますので、これにつきましてはその経緯を見守りたいと思っております。
  79. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 安全基準については、先ほど原案ができておるということの説明であったのですが、原案の内容をちょっと概略聞きたいんです。
  80. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) どうも手間を取らして申しわけないのでございますけれども、現在安全基準の原案をつくって、それぞれの地域の意見を伺おうと思っておりますので、安全基準自体はお手元にお届けしたいと思います。あるいはここででしたらちょっとお時間いただきたいと思います。いま取り寄せるようにいたします。
  81. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはひとつ後でそれならいただきたいと思いますが、この安全基準というのがこれだけの事故があって、事故がある前はなかったわけですね。これは労働者の安全衛生法ですかね、この中では御存じのとおりに安全保障をしなきゃならないという義務づけがございますね。「事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。」この安全衛生法の趣旨から言ってそういった基準もできてない中でレンジャー訓練というものをやらしたということは一体どういう理由ですか。   〔委員長退席、理事夏目忠雄君着席〕
  82. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) この消防は御承知のとおり市町村の仕事でございますし、それからこの救助——救急救助というものの救急の方はもう法的な措置ははっきりしておりますが、いわゆる救助、レスキューにつきましては実はまだ消防法にもはっきりした根拠ができていない。いわばそういった制度としては未整備な面でございます。ところが現実には、いろいろたとえば高層建築ができる、地下街ができるといった社会経済の進歩に従いまして、そういった救助に関する需要というものが年々ウナギ登りにふえてまいったと申しますか、それに対応して主に大都市の消防から始めまして、いま相当たくさんの自治体でこの救助というのを消防の仕事として取り上げ、現実に実施をいたしておるわけでございます。実施をいたす場合にはいざという場合に備えてこういったものの技術についての訓練というものも必要でございますので、当然訓練が行われる。国全体の基準というものが実はまた私の方でいま申しましたような制度自体が未整備なために、まだ十分に統一的なものができておりませんでしたけれども、そもそもそれぞれの自治体がこの救助義務を取り上げ、そしてそれの訓練をやるにつきましては、それぞれの自治体でいま先生の御指摘のようなそういう安全を守らなきゃならないという義務からして、一定のやり方、一定の手順、一定の基準を持っており、それに従ってやっておったものと考えております。ただそれが不十分であったがために、あるいは手順自体が適当でなかったために、不幸にしてこういう事故が一件、二件と起こってきた。  そういうものに備えまして、私の方といたしましてもそれぞれの自治体でそれぞれの経験からくる基準はお持ちでございましょうが、最小限全国的にこれだけはというものをつくってお流しすることが、そういったそれぞれの自治体で訓練が行われる場合にも役に立つであろうし、またそういうことが必要だというのが国会でも御指摘ございましたし、そしてそれをいまつくりつつあり、現在原案ができているという段階でございます。ですから、それぞれの団体で訓練をされるについて基準も全くなく、安全に対する全く配慮を欠いていたというものでは私はないのではないか。それぞれの自治体それなりの基準なり安全への配慮なりは行われつつあった。でも不幸にして事故が生じたということであれば、これを絶滅するためにはさらに私の方で全体的に統一的なものをつくってお流しすることが役に立つであろう、こういう考え方に立っておったわけでございます。
  83. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いまあなたのおっしゃる内容から言えば、それぞれの自治体で安全基準ができておった。松山さんの場合には手続が誤った、いわゆる順序の手続がですね、そういうお話に聞こえるんですけれども、これは宮崎と熊本の場合にはその当時安全基準がきちっと定められておったのかどうなのか、そして定められておったけれども安全ネットを張らなかったのかどうなのか、そこはどうなんですか。
  84. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) それぞれの団体での安全基準という名前がいいかどうか存じませんが、相当危険を伴う訓練でございますので、その訓練をやるについてはどういう手順でやる、どういう安全を確保するという、それぞれの自治体での一つのやり方というものがあったであろうということは十分想像できるわけでございます。そしてこの宮崎の松山さんの事故の場合はロープブリッジを張ってそこを渡る訓練をする、渡るときに手を滑らしてロープから落ちる、その場合に下に安全ネットが張ってあればまず生命なり、生命だけじゃなくてけがもしないで済む。恐らくそういう下に安全ネットを張って、上にロープブリッジを張ってそこを渡る訓練をする、そういう手順でやるつもりであったと思うんですけれども、訓練中ではなくて訓練の場をしつらえるときの事故だったものでございますから、その安全ネットもないままにまずロープブリッジを張ろうと思ってロープを投げたのがぶつかってバランスを崩してその高い塔から落ちたということであったので、非常に御不幸なことと思いますけれども、それにしても仮にロープを投げるときにも危険があると考えて、先にまず安全ネットを張っておけば心配なかったということは間違いないことだと思います。  ですから、訓練中に起きた事故というよりも、訓練の場をしつらえるときに起きた事故で、しつらえるときにはまさかそこから落ちるなどというのは考えもしなかったというのか、それで先にまずロープブリッジを張って、それから安全ネットを張って訓練を始めようと、こうしておったその張るときに起こった事故だということだと思いますので、それで配慮が十分であったとは言えません、もちろん。その点、そういうときでも先にネットでも張っておれば、ああいう不幸な事故は起きなかったという悔いは残るわけでございますけれども、恐らくそういう状況であったのであろうと考えております。  それから熊本の場合は、はしごの登はん中、登はんを全部終了してロープを使っておりるときに、カラビナというのに結んでいる命綱が解けて十五メートルの高さから落ちられたということでございます。これは恐らく命綱を緊縛する、それが不十分であっただろう、あるいは緊縛したかどうかを十分点検するという手続が行われてなかったのではないか。やはり手続なり手順なりに悔いが残る面があったのではないかと、こう考えております。
  85. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、ちょっとあなたの言うのは私は事実と若干違うから聞いておるわけだけれども、宮崎の場合でいいでしょう。宮崎の場合には、いわゆるロープを張る前に事故に遭ったと。その事故になる前にネットを張っておけばよかったと、こういう説明だったんです。それは宮崎の安全基準というのはどういうふうになっていますか。どういうふうに規定されていますか。
  86. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) その事故の起こった現実だけは伺っておるんですが、その当時宮崎市がどういう基準を持っていたかということについては、いまちょっと手元に資料がございません。しかし、いずれにせよ相当な危険を伴う訓練でございますので、どういう手順をもってその訓練の場をしつらえ、どういう手順をもって訓練を始めるかということについての決まりは持っておったと思います。これさらに必要があれば詳細に問い合わしてみたいと存じております。
  87. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それではもう一遍聞きますが、宮崎はその当時に安全衛生委員会というのがあったんですか、労働安全衛生法に基づく。
  88. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 私自身ちょっと聞いておりません。安全衛生委員会があったかなかったかについては調べさせます。
  89. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ついでに、安全衛生委員会は現在全国的にはどうなっておるんですか。
  90. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 私の方で全国的に調査した資料は現在持ち合わしておりません。
  91. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、あなたからの説明聞いておると、非常に何というんですか、準備は完全にできておったけれども、しかし、そのときはちょっと手続を間違ったために事故になったなんていう説明にあなたの一貫した説明を聞くとそうなるんですが、そうじゃないでしょう。安全委員会もなかったんでしょう。そしてまた、さらにそういう手続もなかったんでしょう、規定も、基準も。その中に起こった事件じゃないんですか。
  92. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 安全委員会の件は、実は私も現在はっきりと御答弁する自信はございません。あるいはなかったのかもしれないと思っています。しかし、その訓練の手続につきましては、これだけの危険な訓練をするのに何ら手順なり基準もなしで訓練をしているとは、これはとうてい思えない。現在の消防が訓練をするには、それなりの安全なりそれなりの技術の向上のために、相当厳しい訓練を行うとすれば、ことさらにどういう点に安全を図るかというしきたりとか、決まりとか手順というものは、それぞれの自治体が完全に持っておるはずでございます。先生の御指摘のように、全くそんなことに配慮を欠き、ただその競技に勝ちたいために無理な訓練を強いるというような実態ではなかったということは、私は自信を持って申し上げられると思うのでございます。消防というものは、やはり人命の安全を図るがためにそれらの訓練は厳しい、厳しいがためにはまたそれぞれの団体において納得のいく安全な方法、安全な手順というものに従ってやっておるはずでございます。
  93. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いまあなたがいみじくも言ったように、訓練じゃなくて——この二つの事件というのはレンジャー大会という、それを宮崎でその年にやると、あなたいま訓練、単なる競争心じゃないという言葉を使ったけども、むしろ訓練というよりも、そのレンジャー全国大会で一位をとりたい、宮崎県で主催をするんだから。せめて宮崎で一位をとりたいという、そういう大会用の訓練で事故が起こったんじゃないですか。
  94. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 御指摘のように、そのレンジャー大会というのがここ数年何回か重ねて行われておりまして、この大会では通常レンジャーとして訓練する種目を、一つの競技として争うということが行われておるわけでございます。しかし、これはその大会は入賞し、大会に一位をとるために、消防本来の仕事と離れた全く別のものについて、何と申しますか、危険を冒して練習をしているというものでないことははっきりしておりますんで、レンジャーの技術を向上するための一つの励みとしてこういったレンジャー大会が行われておる。それを一つの目標としてまた訓練を積み重ねておる。しかし、あくまでもその目的はそういった技術の習得向上にあるんでございまして、オリンピックとかあるいは国民体育大会というようなものが仮にあると、それの一位を目指して練習するというものとは、やはり本質的に違うものでなければいけないし、ところによってそれが混同をされたり、このレンジャー大会の場合は一定の標準時間がありまして、その標準時間の中で達成できれば満点というような採点をとっているのが、オリンピックや何かの〇・一秒でも早ければ一位になり、遅ければ二位になるというのとは違うのでございますけれども、その辺を仮に運用上履き違えるようなことがあってはならないとは思いますけれども、本質的にはそういった秒を争う、かつ競技で入賞するということを最終の目的にする訓練ではなくて、それらはそれらの技術を習得するための励みの一環であって、最終の目的はやはり技術の習得向上である、こう考えておりますし、私たちが考えておるだけでなくて、それぞれの消防当局もそういう考え方のもとに安全に配慮して行っていると思うのでございますが、不幸にして起きた事故につきましては、そういった配慮が足らない面あるいは一つの不運、一つの何か偶然の競合というようなこともあるいはあったかも存じませんし、二度と起こしてはならないと存じますけれども、レンジャー訓練そのものはそういった最終的な目標はあくまでも技術の習得向上だという考え方でおりますし、それぞれの地方の消防当局もそう思ってやってくれるものと思っております。
  95. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 やっぱり私も全然訓練と別のものだとは言っていないんですよ、一遍も。あなたがそういう分け方をするんですが、しかし、この宮崎の事件というのは、レンジャー全国大会というものを控えて、宮崎で何としても地元から一位をとりたいと、そういったことにスタート切っているんじゃないですか。それはそれとしてきちっと認めたらどうですか。
  96. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) その訓練の励みとしてそういう全国大会が行われ、競技形式が行われるとなると、やはり自分の県からあるいは自分の市から上位な成績、できれば優勝出したいという気持ちになるのが当然であろうと思いますし、それがまあ一つの励みでもあろうと思います。しかし、そうだからといって安全を無視し、むちゃくちゃな訓練を強制するということがあってはならないわけでございますけれども、私は宮崎の場合もそのいま先生のおっしゃったようなことに駆られて安全を無視し、必要以上の強度な訓練をしたとは思いたくございませんし、まあ事実そうではなかったと考えております。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その大会には長官も行かれたんでしょう。はっきり答弁してください。長官行かれたんでしょう。
  98. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 毎年何か一回行われているようでございまして、現在は九回くらい——私が消防に参りましてから二回、一回は名古屋、それから二回は横浜と、二回ほど出席させていただきまして、あいさつしております。  ただ、その宮崎の事故が起きた年には、そういった事故への反省も含めて九州地区の消防の方々は参加をされませんでした。これはだから昨年の横浜のときには九州地区からの参加はなかったようです。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その協会の大会の主催者というのはだれですか、笹川さんですか。
  100. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 全国消防協会という、これは常勤の消防職員の有志と申しますか、協会の趣旨に賛同する方々の会でございまして、会長は東京消防庁の総監の味岡さんでございます。で、笹川良一さんがその名誉会長ということでその上に席を連ねておる、そういう団体でございます。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、いわゆる名誉会長かどうか知らぬけれども、笹川さんと消防協会というのは資金的にも関係があるんじゃないですか。
  102. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 笹川良一さん個人と関係あるということじゃございませんですけれども、その全国消防協会は消防職員の一人当たり四百五十円かなんかの会費のほかに、いろいろ寄付金とか補助金とかいうものを受けて活動をしている、そのうちのこの問題になるレンジャー大会、この大会につきましてはやはり同じ笹川さんが、あれは会長をしておられる船舶振興会というモーターボートの公営競技の上がりを各所に配分するという組織がございます。その船舶振興会から相当額の配分を受けて、それを財源にしてレンジャー大会を開いている、これは事実でございます。
  103. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どの程度ですか。
  104. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 一回につきまして大体一億円ぐらい——船舶振興会から全国消防協会が受けている補助金は毎年度ほぼ一億円と聞いております。で、レンジャー大会を開く費用というのは、訓練等その他会場設備で七、八千万、もう少しかかっているようでございますから、レンジャー大会自体で考えれば大体八割が船舶振興会からの補助金、残りの二割が損害保険協会とかその他の寄付金ないしは会員の会費の中から賄われているように聞いております。
  105. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題はまた時間の関係もございますから私の方で保留して今後の問題としますが、いまの松山さんの言うなら事故という問題は、そういう笹川さんのレンジャー大会に安全装置もしないまま駆り出されて、そしていまあなたの言葉じゃないけれども、できれば一位になりたいと、その結果起こった事故、こういうふうに流れから見ると出てきますね。
  106. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 解釈のしようと申しますか、いろいろのとり方があると思いますけれども、私は少なくともレンジャー大会というのは、オリンピックとか国民体育大会のような——オリンピックなり国民体育大会も同じかもしれませんけれども、それの入賞が最終目的ではなくて、やはりそれを励みとして訓練を積む、それで技術の習得向上、これが最終目的であると考えておりますし、またそうでなきゃいけないものだと思っております。したがって、そういうものに参加をするということは、励みを与える意味で決して悪いことはないんでございますけれども、参加をし、あるいは参加をするためには、訓練をする場合に安全への配慮とか手続とかいうものに十分配慮しなきゃいけない、この点に遺憾、そごがあった場合に、それが幾つか競合したりすると事故につながるというのが、この松山さんの事件あるいは熊本の事件でつくづく当事者は反省しなきゃならないものではあると思いますけれども、この事故自体がそういった配慮を欠き、もっぱら入賞、優勝というものに目標を置き過ぎたための事故とは思いたくございませんし、それから宮崎市の消防当局といえども、まさかそういう考え方で全く配慮を欠いてやったとは思っておりませんので、今後二度と起こらないようにさらにこれを反省の契機にはいたしたいと思います。
  107. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし長官、あなたが示したさっきの数字を見ても、五十年度に訓練中に一人死んで、六百六十四人けがをしているんですよ。そうでしょう。それから二年後に起こった事故がこの松山さんの事故ですよ。そうして、いま聞いてみると、安全衛生委員会はどうなっておるのかといえば、あなた自身が資料を持っていないからということもあるけれども、即答して、いまどの程度きちっと整備されてますということは言えないんでしょう。そうして、安全基準がこの当時あったのか、ないのかといえば、この問題についてもあなた自身が、あると思うということで、そのときあったということは言えないんでしょう。そのことから考えると、あなたがおっしゃることは、やはり安全が第一にスタートを切った体制をつくりながら、そうしてレンジャー訓練もしくは訓練とか、こういった発想になってないんじゃないですか。むしろレンジャーの方はこういう事故があっても毎年毎年やられてきている、端的に言うなら、安全基準があなたの方でいまつくりおるのができてないということになれば、この期間このレンジャーについてはやめると、基準をきちっとつくるまではやめると、そういう決意がないじゃないですか。
  108. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) その安全衛生委員会の方の設置状況につきましては、実は私の方も資料を持っておりません、御指摘のとおりでございますし、私の方の公務員部の公務員二課、これが自治省としてはそれに当たるところでございますけど、そこでも実は十分な調査ができておりませんので、これは早急に調査をいたしたいと思います。  しかし、これ安全衛生委員会は別として、今度はこれらの訓練のための安全を目的としたやり方、手続、手順といったようなものについては、私先ほど答弁いたしましたように、そもそも消防というのは訓練中でも数百人の事故を起こすような大変実は危険な職種でもございます。そういう意味で、通常の職務よりもことさらに安全というものを考えなければならない立場にあるものでございまして、いざというときの危険を冒す度合に、また、そのいざというときに危険を冒してでも思い切った消火活動ができるためには、通常相当厳しい訓練をやることが必然であるこの職種におきまして、先生の御指摘のように、どこでもそういうものに対する配慮を全くやらないで訓練をしているなどということはとうてい考えられませんし、それからさらに最近需要を増してまいりました救助技術等につきましては、通常の消火よりもさらに危険を伴うわけでございます。で、それらを訓練するのにそういったものの配慮をしないというはずがない、それぞれの自治体でそれぞれのやり方なり、それぞれの配慮をしているのがあたりまえであると考えております。  同時に、これらの全国的に共通するものといたしまして、今回の御指摘もありまして私の方でもその安全を目的とする基準をいまつくりつつあるというように申し上げましたが、それに先立ちまして全国消防長会というのがございます。先ほど問題になりました消防協会というのは、消防職員がみんな加入しておるんですが、消防長会というのは、それらの責任者たる消防長が全国的な組織をつくっている、これは会長は東京の消防総監の味岡氏でございますが、この全国消防長会で一応全国的に共通するような基準をつくって一つの指導をやっておりまして、それをもとにしてそれぞれの団体で特殊事情を加えた一つの安全基準というものをそれぞれ持っておったはずと思っておりますし、それからさらに今回私の方がつくりますものも、それがそのままそれぞれの市町村に適用になるのではなくて、それぞれの市町村でまたそれをさらに参考にしてより一層その安全のための配慮、手続を高めるためのよすがにしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。したがって、私の方の基準ができないうちはそれぞれの団体が全く安全に配慮しないで厳しい訓練だけやっているという実態ではございませんと思いますし、またしたがって、そのためにそれができるまでとめるということよりも、やはりより一層の慎重を期しながら訓練というものは続けていかなければならないもんだと思います。もう間もなくそれぞれの第一線の方々の意見を伺って、それらを手直しした上で全国的にも流す手配ができておりますので、いずれはそれを待ってさらにその安全に対する配慮を高めていただくよう、それぞれの自治体にお願いをするという手続をやってまいりたいと思っております。
  109. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あのね長官、あなたがさつき言った五十年の調査では、訓練中に一人死んで六百六十四人けがをしたと、訓練中にですよ。ところが、五十二年に私がいま指摘しただけでももう二人死んでいるわけだ。こういう事態が起こっておるということに対して安全衛生委員会あるのかと言うと、それはまだ全然つかんでおりませんと——ないんですよ。全国であるのは、たとえば自治体で市の安全衛生委員会というのはあるかもしれませんよ、消防にはないんですよ。そういった実態があなたの方でまだつかんでない。安全基準についてはまだ通したものができてない。訓練はやるんだと、しかもそれは訓練というよりも笹川良一のレンジャー大会、それに向けて競争するためにやるんだと、実際は。あなたはそれに向けて励みになるんだと言うけれども、やっておる本人はそれに向けてやっておるわけです。こういうことに対していまあなたの答弁というのは私非常に誠意がないと思うんですよ、人の命に対して。やはりこういう問題について一人の人間を殺しちゃならぬという、一人でもけがをつくってはならぬという、訓練中には少なくとも。そういうものがあなたの中に毅然としてなきやならぬのじゃないですか。しかも、この消防職員というのはもう再三ILOからも勧告されて、団結権を認めよと。それについて日本政府は一貫してそれを拒否してきておる。もし団結権があるなら、こういうことは当然職場の問題になりますよ、つくるつくらぬ、あなたの方が指示するせぬにかかわらず。そうしてきちっとこういうことのない保障措置が職場の段階で、職場協定でできるでしょう。団結権も認めない、交渉権も認めない、そういう消防職員に対して国が安全衛生法で義務づけた、いわゆる安全衛生委員会なり万全の安全措置をとらなきやならぬという規定を全然やられてない。こういったことについてあなた自身の答弁、私は本当に誠意がないとしか思えぬのですよ。大臣どうですか。
  110. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) ただいま御指摘がございましたように、宮崎市でレンジャー訓練中に事故を起こしまして、そして松山昌弘さんが死亡すると、かようなきわめて残念な事故が生じました。また、昨年六月に熊本におきましても田上さんとおっしゃる方がはしごで事故を起こした。このことはいま答弁はいたしておりませんけれども、恐らく御指摘のとおりであろうかと思うのでございます。  そこで、消防は申すまでもなく火災でありますとか地震でありますとか、その他の災害に出動いたしまして身を賭して活動いたさなければならぬのでございますから、したがって、十分に役に立ちますように日ごろからの訓練を重ねておりまして、そして訓練をいたしましたとおりに実戦に当たっては行動いたすと、これがたてまえであろうかと思うのでございます。ただ、大会は非常な励みになることは事実でございますけれども、大会で賞を得ようとするためのみの訓練であってはならぬことは、ただいま長官からも答弁をいたしたとおりでございますけれども、しかし、結果といたしましては励みがまた実戦にも役立つと、かようにも言えようかと思うのでございまして、ですから目的を取り違えてはならぬのでありますけれども、しかし、事故が起きたからといって訓練をないがしろにしていいと、かようなことはみじんも言えないと思うのでございます。したがって、今後の対応処置といたしましては、事故を起こさないようなきわめてきめ細かい心配りをいたしながら、訓練には一生懸命に励んでもらう、かようなことでなければならぬと思うのでございます。  松山さんの事故は、先ほども説明いたしましたように訓練そのものの事故ではございませんで、訓練の準備段階として綱を張ろうとした、それが七メーターの高いところから綱を張り損ねて墜落をして、結果としては死亡をされた、かようなことでございます。ですから、訓練自体の安全を確保いたしますために配慮いたしますと同時に、その前後の準備行為なり後始末の段階におきましても今後はきめの細かい心配りをいたしまして、事故を絶対に起こさぬ、かような決意のもとにやってもらわなければなりませんし、また消防庁としても、自治省といたしましても、そういう覚悟で今後地方を指導してまいる、かような基本の考えでなければならぬと、かように強く思う次第であります。
  111. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大臣答弁で私も了解できるわけですが、そこでその大臣答弁を受けて消防庁長官、安全衛生委員会ができてないかどうかの調査だけでなくて、できてなければ安全衛生委員会を大体いつごろをめどに組織をするという考えを持っておるのか、それが一つ。  もう一つは、いまつくっておる安全衛生基準というのが、大臣答弁のように準備段階から細かにつくっていくという決意があったわけですけれども、その決意の安全衛生基準というのは一体いつまでにつくるのか、同時にそのつくるに当たってそれまでの間のレンジャー訓練を差しとめるのかどうなのか、この問題についてひとつ大臣答弁を受けて答弁してください。
  112. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 安全衛生委員会につきましては、もう少し私の方で、仮に市町村にどういう形で義務づけられており、その内容がどんなものであるかをさらに現在の設置状況のみならず、もう少し突っ込んで研究してみたいと思っております。その結果、そういうものがどういう形で義務づけられており、義務づけられておるものであれば当然つくらなければならないものでございますので、可及的速やかにということになりますけれども、そこの法的な突っ込み方が申しわけございませんが、ちょっといま私十分自信がございませんので、もう一遍突っ込んで研究さしていただきたいと思います。  それから安全を目的とした訓練の基準というもの、これらにつきましてはいま大臣のおっしゃいましたように、こういった準備段階でも事故が起こるということを十分に配慮して、そういった点にも十分注意が払えるようなものにしたい。そして、現在原案ができていると申し上げましたが、これにも第一線で現実にこういう危険な職務に従事しておられる方々やなんかの御意見その他も伺って、できるだけ手直しして、この夏ごろまでに全国に届くようにいたしたい。ただ、それが届くまで訓練を中止するということはむしろ考えておりませんので、これらが届きまして十分な基準ができればもちろん結構でございますけれども、仮にどんなりっぱな基準ができても、その運用の面において注意を怠ればやはり危険でございますし、逆にこういった訓練は日常一日も欠かせないものであり、さらにその基準が全国に行き渡る前でも十分な注意を払って、いま大臣のおっしゃいましたようなこういう事故が起こらないような、何と申しますか、きめ細かな配慮を払っての訓練というのはやはり続けていくべきであろうし、続けていきたいものだと思っております。
  113. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いまあなたの答弁から見ると、そうすれば自治体の中で全体の安全基準をつくるというのは、八月はわかりました。しかし、自治体で消防署自体で安全基準がもうできているはずだという前提に立っていますね、それは。その安全基準ができてないところについてはレンジャー訓練は中止させますね。
  114. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 消防は市町村の事務でございますので、私の方から中止を命令するわけにはもちろんまいりませんですけれども、それぞれの消防署、それぞれの自治体でそんなものが全然なくしてと申しますか、できてないといいますか、なくして、つまり安全というものに配慮を考えないで訓練をやっているなどということは、私とうてい考えられないと思うのでございます。もしそういうことであれば、それはもう早くそういう手順その他を決めてやりなさいというようなことを言うべきであろうと存じますけれども、私が、またいまの消防が、ちゃんとした常備消防を持っておってそんなものを全くなくしてということは、ここで考えられないことでございます。なお、十分地方に対する注意は申し上げたいと思っております。
  115. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろ私の方で聞きただしたい点があるわけですが、時間の関係がございますからこの辺でとめますが、いま大臣並びに長官が言ったように、これは人の命にかかわる問題ですから、単なる行政指導ということでなくて、またそういう、何というんですか、命令をすることはできぬことはわかっていますけれども、しかし少なくとも消防庁自体で、こういう事例が次々に起こってきておるわけですから、しかもこれは引き続いて上昇しておるという実態にあるわけですから、そういった観点から、いつか約束をいただきましたけれども、そういうことを含めて万全の措置をとっていただくように要望しておきたいと思います。消防庁はよろしいです。  それから、時間がございませんから、宿日直の問題で一、二お聞きしたいと思います。  地方公務員の宿日直勤務の問題について、これは最近自治省の指導や労働省の指導等がかなり徹底をして、通常勤務のほかの宿日直というのは警備員であるとかいう形でずっと整理をされてきておるのですが、いま地方自治体の中でなおかつ宿日直がやられておるのは、事業体で大体どの程度ですか。
  116. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま御指摘のように、宿日直を行っておるところの事業数というものはここ数年の間だんだん減ってきております。現在、都道府県段階におきましては、知事部局で、事業所の数で、四十九年三月末日現在でございますが一三・六%、四十五年には四九%、約半分が宿日直をやっておりましたのが一三・六%まで下がってきております。四十八年で一八・四%、それが四十九年で一三・六%。現時点では調査しておりませんけれども、だんだん下がる傾向にあるということが言えると思います。  なお、教育委員会部局におきましては、同じく四十五年度で三七%、四十九年度で八・三%というふうに下がっております。  それから、市でございますけれども、市長部局では四十五年の二八・三%から四十九年の一六・一%、市の教育委員会部局におきましては三二・五%から八・八%と下がっております。  町村につきましては、こういった具体的な調査をいたしておりませんけれども、宿日直手当で支給された額等から見まして、同じような傾向で個所数が減ってきておるということが推察されます。
  117. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは、主として知事部局ではどういうところをやられたんですか。一三・六%の内訳ですね。
  118. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 内訳の細かい資料を持ってきておりませんけれども、恐らく出先機関等が宿日直をやっておるケースが多いと思っております。
  119. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 本庁などもやられておるのじゃないですか。
  120. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 所によると思いますが、本庁は大体警備員等になっているケースが多いのじゃないかというふうに思っておりますが。
  121. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 労働省来ていますか。  労働省は宿日直に対する通牒を最近かなり厳しくしておるわけですが、自治体の問題も含めて、どういう指導実態なのか。
  122. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) お答えいたします。   〔理事夏目忠雄君退席、理事望月邦夫君着席〕  労働基準法の施行規則の第二十三条にこの宿日直の問題を取り扱った規定があるわけでございまして、これを見ますと、「使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、」は「監督署長の許可を受けた場合は、」「使用することができる。」という規定がありまして、その解釈の通牒を出しておるわけでございます。この考え方は従来から一貫してきておりまして、具体的なケースに応じましてさらにそれを敷衍して詳しいものにしていくというようなやり方をとっておるわけでございます。それで、その基本を申し上げてみますと、私ども考え方としましては、本来の労働の継続延長というようなものは許可はいたしません。それで、定期的に見回るとか、緊急の文書または電話の使用時とかあるいは非常事態が発生した場合に備えるというような目的のものに限ってこれを許可する。それで、その際には相当の手当を支給する。さらに、宿直については、相当の睡眠設備を条件として許可するというのが基本となっておるところでございます。
  123. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 労働省の方はかなり、私も通達を見さしていただきましたが、厳重というか、規制が厳しくなっておりますが、どうですか、自治省の実態から見て、通常の労働の延長という宿日直はございませんか。
  124. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 現在地方公共団体で行っております宿日直につきましては、申し上げるまでもなく、労働基準法の趣旨にのっとり、国家公務員で行われております宿日直というようなものも参考にしながらやっておりますので、法に反するようなことは行っておらないと思います。
  125. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま、労働基準法に基づいてやっておるから法に反するものはないというごとなんですが、私のところに来ておる実態を見ると、これは香川県の例ですが、必ずしもそうじゃないのですね。たとえば、農業自営者養成高校の学寮における宿日直の実態を見ましても、ほとんどいわゆる通常業務の延長ですね。この内容を申し上げてもいいのですが、なかなか長くなりますから控えますけれども、警察の当直の実態を見てもそういう実態にありますし、学校の関係を見ても、それから県の本庁の勤務実態を見ましても、ほとんど労働基準局が出しているような厳格な意味での許可になっていない、そういう実態が出されておるのです。これは、そこら辺が労働基準法で最近きわめて狭められた通達そのものが、自治省、人事院その他をめぐって、やられていない節があるんじゃないですか。——人事院来ていますか。
  126. 金井八郎

    政府委員金井八郎君) 国における宿日直勤務につきましては、先生も御承知のとおり国家公務員法に基づきまして人事院規則一五−九というので定めております。その内容といたしましては二つの類型に分けるごとができると思うんでございますけれども、いわゆる一般の宿日直、すなわち正規の勤務時間以外の時間におきまして、本来の勤務に従事しないで行う庁舎、設備、備品、書類等の保全、外部との連絡、文書の収受及び庁内の監視を目的とすると、こういういわゆる一般の宿日直、この中には法務省の登記所におけるごとく、庁舎に付随します居室において生活をしながら常時行う宿日直もございますけれども、大体そういう一般の宿日直。  それからもう一つは、いわゆる業務当直と申しまして、公務のために必要がある場合には人事院の承認を得まして職員にやはり正規の勤務時間以外の時間において各種の当直業務を行うことを規定しております。これはいわゆる業務当直と申しまして、先ほどお話に出ましたように、たとえば警察本庁で鑑識業務がございます、警察の。これは夜間等に、正規の勤務時間以外等に事件が起こった場合に直ちに鑑識をしなければならない、指紋の照合等、そういう場合には直ちに業務に従事できるようにするために置く当直でございまして、いわば一般の勤務の延長という見方、仕事の種類につきましては同種類と言えると思うんですけれども、置きます頻度というものが全く違う、ほとんどが待機でございまして、事件が起こった場合にはそれに即時に応じなければならないと、こういう要請があるものですから、そういう形態。そのほか警察庁における事件当直でありますとか、医療施設におきまして医師法に基づいて医師を置いておかなければならない規定がございますけれども、やはり収容患者の容態が急変したような場合にすぐに対処できるようなための医師当直でありますとか、あるいは研修所、学校等の寮における学寮当直と申しますように九種類定めてございます。  これはいずれもいわゆる一般の宿日直のように、本来の業務に従事しないでというごとは言えませんけれども、そのかわりにほとんどが待機でありまして、もし必要が生じたときにはすぐに応じられるようにという意味で設けているものでございます。したがいまして、こういうものについては職員の健康なり福祉なり、過度の負担を与えてはならないということが当然要請されるところでございまして、これらの勤務を行うにつきましては人事院にあらかじめ申し出て、人事院の方ではそれを十分に以上の観点から調べまして、やむを得ない、必要であると認められたときにこれを認めるという運用をしております。で、現在のところ多くとも月に大体五回ということを限度にして承認をしておりますので、その点。それからさらに人事院規則におきましては、いまの業務当直をあわせましてすべての宿日直勤務の運用あるいは個々の職員に対する指示の際に、職員の健康、福祉、そういうようなものについて十分過度にわたらないようにという配慮をすることを各省庁の長に義務づけております。  大体、以上でございます。
  127. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうですか、労働省の方で地方公務員関係でこういう問題で相談があったり提訴がされたり、そういう件が多いんじゃないですか。
  128. 松井達郎

    説明員(松井達郎君) いまの地方公務員関係の問題でございますが、もし先生のおっしゃっておられますケースのようなことになりますと、むしろ何と申しますか、労働基準法が適用にはなるわけでございますけれども、しかしながら実際の基準法違反の問題の監督権発動の問題になってまいりますと、これは労働基準法の適用につきまして地方公務員法が特例を設けておりまして、たとえば教育、研究の業務とか一般官公署につきましては、その監督については労働基準監督官の監督権が及ばないというふうになっております。そういうような事情でございますので、私どもとしましては、あるいはそういうことでお話が来ておるのがあるかもしれませんが、正確に把握すべき申告案件とも違いますので、実は私どもとしましては直接いつ、どのくらいのケースがあったかというごとについては承知いたしておりません。
  129. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう時間がございませんから、時間があればもう少しこの問題中身を出しておきたいと思ったんですが、大臣、いま若干の時間ですけれども出されましたように、いわゆる労働基準局の監督権というのは自治体の場合には及ばないわけですね。したがって人事委員会のあるところはこれは人事委員会が許可するということになっておるわけですね。ところが市町村などはそれもない。ですからこれは言うならばあれは任命権者が持っておるわけですね。そうすると任命権者が自分でやるのに自分で許可権を持っておる、こういうかつごうになっておるわけです。ですから行政局長が言うようにはなっていないんです、実態は。そうして実態から見ると非常にこの宿日直はルーズに扱われてきておる、こういうふうに私は思いますし、この問題について行政局長はそういうことはあるはずがないというような言い方をしますけれども、私の実態から見るとそういう事例が挙がっておりますから、きょうは時間がございませんから、ひとつこの問題について早急に全国的な調査をやっていただいて次の機会にぜひひとつ委員会の方に提出してもらいたいと思いますことが一つと、あわせて大臣としてこの問題についてひとつ、先ほどのやりとりを聞きながらこの所感というか、それをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  130. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 二点についての御指摘でございました。  最初の方の調査のことでございますけれども、何せ地方団体の数が三千を超えますようなことでございますから、どの程度の期間が必要でありますか、まだ見当が私自身も立っておらぬようなことでありますけれども自治省といたしましても、地方団体の宿日直の状況はできるだけ正確に把握をいたすのがたてまえでございますから努力をいたしてまいりたい、かように考えております。  それから三番目に御指摘の点でございますけれども、おっしゃるように、地方団体の職員に対しましては、宿日直に関し労働基準法の適用がありまして、そして人事委員会なりまた人事委員会のないとごろでは市町村長が許可をいたす、かようなことでございますが、しかしこの許可に当たりましては法令上に矛盾いたしますようなことがあってはならぬのでございますから、適正な運用がなされなければならぬのでございます。この点も実態を調査いたしまして十分な指導を行っていきたい、かように考えます。
  131. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、水のシーズンを迎えまして、海上あるいは河川における船舶の航行の安全性確保という点、そういった点についてどれだけかお尋ねをしてみたいと思います。  具体例があるんですが、先般荒川で東工大のエイトが暴走ボートにぶっけられてそして不幸な事件が起きたわけですが、こんなことがあっちゃいかぬのですが、これらをなくすためにどのような対策、措置考えておられるのか、また、この事件についてどう対処したかですね、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  132. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  先生御指摘になりましたように、荒川の東工大のエイトの事故がございました。これから水のシーズンになりますのでこの種の事故が増加するであろうということは容易に推測できるわけでございます。そこでその対策といたしまして、まず第一番目に水上安全の条例を整備してもらう、こういうことについて推進を図っていく。もちろんこれらの無謀操縦等についての取り締まり関連の法律といたしましては船舶職員法あるいは船舶安全法というようなものがございますけれども、しかしながらこれだけでは十分でないわけでございますので、このような事故をなくするために条例を整備することが必要であろうということでこのような条例の促進を図るようにしておるわけでございます。  それから第二番目には、何といっても指導、取り締まりを強化していくということでございます。ただいまの申し上げました条例あるいは法律を十分に活用いたしまして取り締まりを強化していく、特に河川あるいは海上等につきましても、これを全部ということになりますと警察官の手も手薄になりますので、重点地区を決めまして特に人出の多い日を選んで警備体制を強化していく、このような考えでございます。  それからまたさらに、単に取り締まるというだけでなくて、やはりこの種の事故防止のための広報活動をしていかなきゃいけないということで、当該市町村等あるいは関係団体とよく連携をとりましてこの種の事故防止について効果的な広報活動を進めていく、こういう考えでございまして、これにつきましてはシーズンに入りましたので保安部長通達をもちまして全国の都道府県警察に指示をいたしたところでございます。
  133. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま申し上げたように東工大のあの事故がありまして、そういった事故があったので、いまおっしゃったように特に条例の整備だとか、取り締まりの強化だとかということを、これを言うならば厳しいものをつくっていかなきゃならぬと、こういうふうになったのだということなんですか。ですからいま私が聞いたのは、東工大の事故があった。で、あそこは特に大学が練習するのに最適地らしい。またモーターボートなんか遊ぶにもいいところのようですね、私行ったことないんですが。ですから、そういうことを考えますと、当然大学のそういう練習を守ってあげなくちゃいけませんし、そのほかの船舶も守らなきゃいかぬでしょうし、またモーターボートを操縦しているその人間自体もやっぱり守らなくちゃいけないでしょうし、ですから、やっぱりそういうものを含めて、あれだけの事故があったわけですから、そういう事件を踏まえてこれからこういうふうにやっていきますという答弁があったんですが、さしずめあの事故があって直ちにそういった事故防止のために何か手を打たれたのかどうか、その点ちょっと聞かしてください。
  134. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) ただいま申し上げました三つの対策につきましては、これはシーズンに入ります前に従来から指示をしてきておったところでございます。しかしながら今回の荒川本流での東工大生の事故がございましたので、部長通達をもってこの点をさらに具体的に示しまして、それぞれ促進あるいは強化をしていくように指示をいたしたところでございます。特にこの荒川本流の問題に限定をして申し上げますと、これは埼玉県警の管内になるわけでございまして、従来からシーズンに入りますと警察官を動員をいたしまして、また舟艇等についても借り上げ等をいたしまして指導、取り締まりに当たってきておったわけでございます。しかしながら、当日の荒川本流の事故現場の状況を申し上げますと、モーターボートが三隻と東工大のエイトが一隻練習をしておったということで、必ずしも危険な状態というふうな認識はなかったわけでございます。そういうところに警察官の警備力もしたがって十分でなかったというような反省をしておるわけでございます。したがいまして、これはモーターボートあるいは練習のボート等が少ないからそれで危険がないということでなくて、やはりこの水域全体について場合によっては一斉取り締まりをやる、あるいは間断なく指導取り締まりをやっていくということが必要であろうということで、事故後では、平日におきましては、これは荒川だけではございませんが埼玉県の管轄する河川につきましては、約二百名の警察官と二十五台のパトカーを動員して指導、取り締まりに当たる。   〔理事望月邦夫君退席、理事志苫裕君着席〕 それからまた日曜、祭日等についてはさらに七十名を追加いたしまして、パトカーもさらに増強をしていく、舟艇の借り上げも多くする、そういう体制で臨むようにいたしておるわけでございます。またさらに単に警察だけの取り締まりだけでなくて、やはり関係機関との連携を強化していくということで、常時連絡をとりながら指導あるいは取り締まりに当たるようにいたしておるわけでございます。
  135. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 こんなことで時間をつぶしていたんじゃしょうがないんですが、条例の整備それから取り締まりの強化その他いろいろ考えておられるようですけれども、そういったことも含めて先般通達が出たようですけれども、条例によってそういった取り締まりみたいなものをやるということはいま始まったことでなくて、前からそういったことを地方の関係機関に任してあったわけでしょう。いま改めてどうのこうのの問題じゃない。ですから、そういったものは、条例の整備だとかそういったものが全県的にいままで相当活発に進んできたのかどうかということが一つ問題でありますね。その辺はどうなんですか。
  136. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 警察庁といたしましては、単に都道府県警察を通じて都道府県に対してつくってくれ、つくってくれだけではだめでございますので、このモデル案をつくりまして各都道府県警察に流して、これを一つの基準として都道府県当局と折衝をするようにというような指導をいたしております。その結果、現在までのところ八都県で条例ができております。で、このような単独条例でなくて、これは各府県でいろいろ名称が違っておりますが、いわゆる迷惑防止条例という条例がございますが、そこに水上安全の項目を盛り込むというような改正をしておるところが三十一府県ございます。で、これではまだ十分でないわけでございますので、さらにこういう面を補足してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。   〔理事志苫裕君退席、理事望月邦夫君着席〕
  137. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この安全対策についてその責任の所管、いわゆるどこが責任を持ってやっているのか、その点はどうなんですか。
  138. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 法令違反、これは条例も含めてでございますが、についての取り締まりということになれば、これは警察の責任だというふうに考えております。またさらに広く申し上げますと、警察法二条に示されておりますように、国民の生命、身体、財産を守るというのは警察の責務でございますので、そういう面からも責任を十分感じておるわけでございます。
  139. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これから夏、水のシーズンですね。最近特にレジャーとしてモーターボートが用いられている、非常に危険なわけですよね。そういったところに事故が起きてきているわけです。で、漁業関係にも問題がありますし、それからダイバーだとかいろいろあるわけです。当然きちっとしたものがなきゃいかぬと思うので、まずどのくらいの事故が発生してきているのか、その点ひとつ参考のためにちょっと聞かしていただきたいんですが。
  140. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) これは昨年一年間に警察で認知いたしましたものは、これはモーターボート等の小型船舶による事故でございますが、二十四件ございます。それによって死者が十三人、負傷者が八人ということになっております。これを場所別に見ますと、海上で九件、それから河川、湖沼等で十五件、こういうことでございます。  それでまた本年に入りましてから五月末現在で四件発生いたしておりまして、死者が六人、負傷者が二人ということになっております。場所別には海上で三件、河川、湖沼で一件、こういうことになっております。
  141. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまモーターボートに限っての事故件数ですね。
  142. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 等でございます。小型船舶でございます。
  143. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあいわゆる全体から言えば相当なものになるわけですが、いずれにしても年々事故件数がふえてきているような感じがいたしますね。当然だろうと思います。それだけに何らかの対策が講じられていかなきゃならぬだろうと、これからますます水のシーズンを迎え、と同時にモーターボートがレジャーの一つの対象といいますかで用いられる、そういう可能性が非常に高まってきている。そういう中でやっぱり野放しみたいな状態では、これはもう全く危険がいっぱいということで、そうあってはならない、こう思いますね。  そこで、まあ小型、いわゆるモーターボートですね、これの個人所有が全国的にはどのぐらいあるのか、それをおつかみになっていますか。
  144. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 小型モーターボートにつきましては正確な統計資料がございませんので、正確な数字を申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、私ども船舶の検査ということで昭和四十九年から船舶安全法を改正いたしまして検査を実施しているわけでございます。その結果、これまで小型船舶として新たに検査したものは約二十二万隻に上っておりますが、そのうちいわゆるモーターボートと称するものは約五万隻程度に達しております。統計資料ではございませんが、一つの数字を知るよすがとしてこんなような数字がございます。その大部分は恐らく個人の所有に属するというふうに推定されます。
  145. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 モーターボートの操縦資格、これを取得するための条件といいますか、たとえば陸上の自動車運転免許の場合には教習所へ行ってこうすると、いろいろありますね。このモーターボートの場合はどうなんですか。
  146. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) モーターボートの操縦資格でございますが、四十九年に船舶職員法の改正が行われておりまして、いま話題になっておりますモーターボートの操縦資格は四級というランクの小型船舶操縦士の免許が必要でございます。これにつきましては二通りの方法がございまして、一つは試験機関が行われます試験を通った者ということでございますが、もう一つの方法として陸上の自動車免許取得の方法などにもございますが、一定期間のコースの養成を終えた者に対して、養成終了の試験合格者に対して免許を与える、こういう二通りの方法がございまして、現在およそそのランクにつきましては十五万名ほどの免許所持者がおるという状況でございます。
  147. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 十五万名ですね。それで、いまその免許取得の方法として試験と養成という問題出ましたね、で、試験の場合には全くあれですか、いわゆる試験というのは、問題があってそれに対して答えればそれで取得できるという、こういうことなのか。それと養成というのはどの程度内容を持ったものなのか。その点ちょっと聞かしてください。
  148. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 試験は、実は学科と、それからその操縦の実技と、大きく申し上げまして二つに分かれておりまして、   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕 学科等につきましては非常に細かにいろいろなその科目の勉強をしなければならないようになっておりまして、船舶の構造でございますとか、あるいは海象、気象あるいは操縦の技術に関することとか、運用に関すること、いろいろな各般にわたって筆記試験がある、同時に実際の基本、応用の操縦動作についての実技の試験を行う、こういうふうなかっこうに相なっております。
  149. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、いま私が聞いている一番根本の問題は、たとえば養成という場合ね、学科と、それから実地訓練ですよね、そのいわゆる養成、これは内容はどういうことなのかというのですよ。内容というのは、たとえばその実地の訓練はどのくらいの時間をかけてやるのか、そういった点がわからないのでお答え願いたい。
  150. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) いまの話題になっております四級の小型船舶操縦士の場合ですと、学科が最低は十五時間、それから実技は最低の場合で十二時間というふうに相なっております。
  151. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その資格審査をするところ、たとえば陸上ならば教習所でやるわけですよね。そして警察がこれは適格であるかどうかというチェックをやるわけですね。で、そのチェックはこのモーターボートの場合にはどこでやるんですか。
  152. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 試験、養成とも、運輸大臣がそれぞれ定めております要件を満たした資格を持った資格機関、指定をした機関にさせております。
  153. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それだけじゃわからない。どういうところが一そうなりますと、その養成所の資格というのは、どういう内容を持ったのがその資格保有者なのか、その点がわからないんだ。
  154. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) まことに先生恐縮でございますが、ただいま担当の船舶職員課長が国際条約会議で海外出張をしておるものでございますから、私ちょっとその担当でないので答えがもたもたしておって恐縮でございますが、ただいまのお話のその試験機関につきましては、船舶職員法の二十三条の三というのに運輸大臣指定についての規定がございまして、「職員、設備、特定試験事務の実施の方法その他の事項について」「適正且つ確実な実施に適合したものであること。」というような規定がございまして、それを受けまして実は省令等で非常に事細かに実は規定がございます。それに合った試験機関であるということを認定した上で運輸大臣が指定をすると、こういう仕組みになっておりまして、現在は日本モーターボート協会がこの指定を受けた試験機関に相なっております。  それから、養成機関としては同様の、養成機関として適格であるということを審査するための事細かな実は規定がございますが、その規定を受けまして、財団法人の日本船舶職員養成協会その他三つほどあるかと思いますが、それが指定の養成機関に相なっております。
  155. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、国がその免許を与える、最終的には運輸省がやるんでしょう。運輸大臣がやるんじゃないですか、その免許を取るときには。だけれども、免許を取るまでのいわゆる養成というのは、これが大事なんです。だから、その辺がちゃんとしてないといわゆる事故多発の原因になるということが言えるわけで、いま聞いていると、国も関与していない——極端に言えばですよ、国も関与していない、地方自治体も関与してない。何ですか、船舶何とか、そこで認められたらできるんだという、そういう資格を得られるんだと、養成機関としての資格を得られるんだと、こんなふうに聞いたんですが、そういうことなんですか。
  156. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 先生おっしゃるとおりでございまして、船舶職員法上、試験機関、養成機関につきましては指定をいたしまして、そういう機関に仕事をさせるという、そういうかっこうになっておるわけでございます。それで、国といたしましては、それぞれの機関が行います試験なりあるいは期間なり、あるいは講習の場合は講習の内容なり、講習者なりということについて事細かにいろいろな規定が設けられておりまして、それをしっかり守るような監督をしておると、こういう仕組みでございます。
  157. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そのいろいろ規定があるけれども、それを守るようにしているんだと言うけれども、それはだれが監督しているんですか。
  158. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 運輸大臣でございます。
  159. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、運輸大臣一人でそんなことできますか。
  160. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 大臣の職権を行う者として私ども初め出先の機関があるわけでございまして、それらが随時監督をいたしておるわけでございます。
  161. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 権限はそれは運輸大臣にあるでしょう。いまのあなたの話だと運輸大臣が直轄でもってそんな養成機関をどうするこうするなんということはできないです。何か言うことはできるかもしれない。それが正しく運輸大臣の意思に従って守られているかどうかというチェック機関というのがなけりゃどうなっちゃうんだ。  もう一点それじゃ言いますけれども、たとえばボートをつくっている会社、もともと、いま言ったようにそういう養成機関の資格というのは、何かモーターボート協会——そこに資格審査みたいなものがゆだねられているというふうな話だったでしょう。そうだとすると、モーターボートをつくるような機関、機関というか、会社、そういったものが養成機関に介入してないのかな。そういう可能性あるんじゃないか。そうなってくると、実に危なっかしいもんだなあという感じがするんだけれどね。どうですか、その辺のところは。
  162. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 先生おっしゃるようなモーターボートを製造する会社と、いま私が御説明申し上げております試験機関とは全く別のものでございます。
  163. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いや、私はそれはわかるよ、会社と一緒だと言うわけにはいかない。それとつながりがある、そういう可能性があるんじゃないかなという感じもするわけよ。あなた知らないんだろう。知らないのに余り知ったかぶって答えない方がいい、そこを、わからなけりゃわからないでもってね。
  164. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 補足して御答弁申し上げたいと思いますが、ただいま労政課長答弁のモーターボート協会は、これは御説明いたしましたとおり、船舶の製造者とは全く別の団体でございまして、この養成所に対してメーカー等が介入するということは全くございません。
  165. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、いいでしょう。  で、大体、免許を持っているというのは十五万名ぐらいいると言いましたね。それをチェックする機関、これはどういう方法でそれがチェックされるんですか。
  166. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 免許を所持しているかどうかは、無免許操縦者の取り締まりと申しますか、そういうところが問題だと存じますが、これにつきましてはかねてからいろいろな機会を通じて行ってまいっておるわけでございますが、基本的にはやはり警察庁とか海上保安庁の取り締まりに待つというところが非常に多いわけでございます。そのほか、いまのモーターボートの貸し渡し業者でございますとか、あるいはマリーナの管理者でございますとか、いろいろそういった関係機関がございます。そういう関係者に対しまして何度も実は周知徹底を図り、で、その、たとえば船を貸し出すとかマリーナから船が出るときに免許証を持っているかどうかということを確認してもらってから出るというようなことを実はやってまいってきておりまして、そういうところについてはかなり実は徹底してきているんじゃないかと思うわけでございますが、今回の事故を契機に、先ほども警察庁の方からも御答弁ございましたけれども、一層、警察あるいは海上保安庁の面の取り締まりを強化していただくということと同時に、私ども自身も、出先の海運局の職員によります船舶への立ち入り検査等、われわれ自身の努力も強化しなければいけないと、こういうふうに考えておるところでございます。
  167. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 海上保安庁ね、ここのところ、去年でもいいや。去年、おととし、最近ね、どのくらい無免許をつかまえましたか。
  168. 山本直巳

    説明員(山本直巳君) お答えいたします。  五十二年の例を申し上げます。  私どもマリーナとか、あるいはモーターボートの基地におきまして、入出港のときに立入検査をしまして指導、取り締まりをやっておるわけでございますけれども、五十二年でその立入検査件数が二万二千三百九十隻に対してやっております。それによります検挙件数が五千九百二十九でございます。その中で、いまおっしゃいましたいわゆる無免許といいますか、それに当たりますのは八百四でございます。
  169. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、ついでだからお尋ねしますが、いまのお話聞いていますと、もうおたくの方で完璧な体制でモーターボートを——私の言っているのはモーターボートが主体になっているわけですよ、大きな船は別として。そういったものをいざ取り締まっていく上に当たって、相当海上保安庁が活躍をしておられるようなふうに感じられるわけですけれども、この取り締まりについて海上あるいは河川、そういうところでレジャーを楽しむ人たち、いわゆるモーターボートを利用して、相当な数だと思いますけれども、そういったものをあれですか、言うならばいまの陸上においては警察が活躍していますよね、交通事故あるいは安全対策、いろんな面で。それと同じような、言うならば立場なんだけれども、立場としては。そういった徹底が図られているということですか。
  170. 山本直巳

    説明員(山本直巳君) いま申し上げました件数は全部小型船舶だけでございまして、先ほど申し上げました件数から言いましても、小型船舶の大部分について、少なくとも二隻に一隻ぐらいの割合では立入検査、指導、取り締まりをやっていると。これは私どもは主に海上でございまして、河川につきましては警察等の業務の円滑のために業務協定を結んでおりますので、警察が行っている部分が多いだろうと思いますけれども、そういう意味で指導、取り締まりはほぼ完璧というかは別としまして、私どもの精力の割ける限りで徹底的にやっているつもりでございます。
  171. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、精いっぱい私どもの立場でやっていますからということで、だから結構だと言うわけにはいかないんですよ。そこを開き違いをしないでもらいたいですよ。少なくとも事故を防止するために完璧な体制をとれるのかどうかということなんです。
  172. 山本直巳

    説明員(山本直巳君) 完璧な体制はいろいろございまして、まず制度の問題、法制の問題等いろいろございますけれども、いま私ども実態面についてちょっと申し上げたいと思います。  実態面は、先ほど申し上げましたように、大きく分けますと二つございますけれども、マリーナとかモーターボートの基地で入出港時に検査する、立入検査をして指導、取り締まりをするというのが一つでございます。それからもう一つは、洋上で実際に航走しているモーターボート等がたくさんあるわけでございます。これに対しましては、旗とかあるいはマイクで呼びかけまして停船を命じまして、そこで立入検査をし、違反があれば指導、取り締まりを行うという二つの方法がございます。  それから、特にさっきから問題になっておりますこともあると思いますけれども、海水浴場、これからの問題ですけれども、海水浴場とか人出の多いところにつきましては特に季節にはそういうところに巡視船艇を配備いたしまして、また私ども小型高速の監視取り締まり艇というのを持っておりますので、それとタイアップいたしまして、効果的な取り締まりを行ってきておるわけでございます。これが取り締まりの体制の問題でございます。
  173. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから私が言っていることは、あなた方が精いっぱいのことをやっているということはわかるんです、少なくとも。しかし、精いっぱいやっているからそれでいいんだというわけじゃないんで、だからあなたは海上保安庁としてこういうことをやっておりますと、おまえさんが言うことについて、こういう体制でやっておりますよと、それはわかるんですよ、やっていないと言っているんじゃない。だけども事故防止という最善のいわゆる対策、最善の方法、もっとこういうふうにすればもっと防げるんじゃないか、事故を。もっとこういうふうにやれば死者も少なくなるんじゃないか、いわゆる実態を踏まえてですね。それには海上保安庁に対して船がもう少し必要であるとか、そういったことを全然あなた方としては感ずる点はないかという問題、もうこれが私たちとすればでなくて、これ以上のことはできないと、こういう自信を持っておられるのか。  私が聞いているのは、少なくともそういった実態を踏まえて、事故が多発してきている、年々ふえているんだから海上保安庁も事故防止のために手をかしていることはよくわかっている、それは全国的に言って手が足りるのか足りないのか、足りなければ足りないように何とかしなければならぬでしょう。だから私たちは、こういうふうにやっているんですから間違いはございませんよという、その自分をガードするための発言ではなくて、もっと前向きに、少なくとも前向きにそういうものをなくすためにはどこに体制の不備があるのか、あるいは法的にどういったところに不備があるのか、そういったところを明らかにして、そして安全性というものを確保していかなければならぬ、力を合わせて、こう考えるからいま質問しているのであって、何もやっつけようと思ってやっているんじゃないんですから。ですから、その点間違えないようにしてください。これ、ちょっとこんなこと言っちゃったらまた切り返しがきていけないんじゃないかなんていうようなそんな考え方でなくて、本当に実態に即して手が足りるのか足りないのか。こんなことを言っていたら時間がなくなっちゃう。
  174. 山本直巳

    説明員(山本直巳君) いまの体制の問題につきましては、船艇のうち特にこういうモーターボートにつきましては、高速の監視取り締まり艇というのが取り締まりの上で非常に有効でございまして、これは数年前から計画的に整備しておりまして、今後もまだ不足でございまして、整備を計画していくつもりでございます。
  175. 渡辺純一郎

    説明員渡辺純一郎君) ただいま海上保安庁としての取り締まり体制につきましては、警備一課長から御答弁したとおりでございますが、さらに私どもといたしましてはプレジャーボート対策といたしまして、プレジャーボート関係者を対象としました講習会を開催いたしまして、運航のマナーの向上に努めているところであります。さらに、当庁の体制のほかに秩序ある海洋レクリェーションに寄与するために、四十九年より海上安全指導員制度を発足させまして、民間の有志の方々の中から海上安全指導員、安全パトロール艇というものを指定しまして、これによりまして安全パトロール活動を実施いたしまして、さらに安全指導員の活動の母体となります小型船の安全運航指導団体の育成、指導というものに努めているところでありまして、これらの体制を今後とも一層充実に努めまして、小型船の事故防止に努めてまいりたい、かように考えております。
  176. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いいことばかり言ってくれと頼んでいるんじゃないんだよ。私が言っているのは、それでもって体制がもう完璧なのか、完璧という言葉は少し大げさかもしれないけれども、その点を聞いているのであって、私たちはこうやっていますというそれだけを幾ら言ってくれたってひとつもかみ合わないの。それを幾ら聞いてもこちらの満足する答えが出ないから、これ以上あれしたって時間がなくなっちゃうので困るんですよね。だからほかの質問に移らなければならないのだけれども、本当から言えば、いまもっともらしいことを言ったけれども、試験だってわずかな期間でしょう、それで実地期間だって十二時間、たったそんなものでしょう。それでこうですとか、ああですとかと言ったって非常に危険だなあという感じがしますよ。だからそういったいろいろなことを踏まえて、これは問題になっているんですからね。問題になっているのだけれども、手がつかないというのが実情なんです。だから、何か地方自治体に通達を出して、それでごまかしているみたいな形になっているわけだからね。だから、もっとその辺のところの実態というものを明らかに言ってくれなきゃ、海上保安庁はそういう役目でやっていることはわかっているんだけれども、だけれども、それでもって手不足なのか、手不足じゃないのか、もう十分手が足りているのか、もっとこういうふうにやればこうだとかああだとかいうものはあるはずだよ。それは何にもなくて、こうやっておりますと言うだけで、私たちには間違いございませんと、そんなことを聞くためにいま聞いているんじゃないんだからね。だから、そこのところを考え違いしないように、本当は前向きで答えてもらわなくちゃ困るんですよ。  それじゃ、時間が幾らもないから、またそこのところはさておいて、この間の東工大の事故だってあれは無免許ですよ。しかも、競走用のモーターボートの払い下げでしょう。その点これからまず聞きますがね。野放しになっているんじゃないですか。だから、船舶取り締まり、またそれから資格取得に対する法律、二つの法律があるわけですけれども、それに基づいてのやっぱり一度総点検やる必要があるんじゃないですか。部分的にどうのこうのでなくて、これだけモーターボートが多く利用されるような時代が来ているわけですからね。やっぱりここでもって一斉にそういった総点検やるという必要があるんじゃないかという感じがするんですがね。その点どうですかね。
  177. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 私、船舶検査のことについて御説明申し上げますが、船舶検査の普及につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和四十九年以来運輸省といたしましても、それからこの検査を実際に国に代行して実施しております小型船舶検査機構におきましても、それの普及につきましては格段の努力を努めてきたところでございまして、先ほど申し上げましたように、当初ほぼ新しい小型船舶の検査対象としては二十万隻程度考えておりましたのが、実はこの三カ年間、昭和四十二年度までには二十二万隻の検査実績を上げているというようなことで、かなりその効果は上がってきているというふうに認識しております。しかし、このような努力にもかかわりませず、今回のような未検査船の事故が発生したということにつきましてはまことに遺憾に考えております。この際その取り締まりを徹底的に行うことが必要であると考えまして、運輸省といたしましては、五月三十日付をもちまして船舶局長及び船員局長による通達によって地方海運局及び関係団体に対し立入検査の実施その他指導監督の強化を指導するとともに、警察庁及び海上保安庁に対しまして指導取り締まりの強化を要請していたところでございました。これをもって一層これらの周知徹底に今後とも努めてまいりたい、かように存じております。
  178. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、いまあなたいみじくもおっしゃったように、いわゆる五月三十日に運輸省が暴走モーターボートの監視強化、こういうものを含めて通達を出した。その通達の内容は何点ぐらいに上ってるんですか。どういうような内容ですか。
  179. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 通達の内容につきましては、一般的な安全確保の強化ということでございまして、その内容はこれらの無免許船あるいは無検査船、こういうものがないように、なくなるようにこれらの指導普及を強化するという趣旨のものでございます。
  180. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 何ですか、無検査船ですね。
  181. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) はい。
  182. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 無検査船、船ですね。無検査船と、それからあれもあるんですか、無免許なんというのもあるわけですね。
  183. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 入っております。
  184. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それから何ですって。余りないんですね。
  185. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) そういった無検査船あるいは無免許者が運転を行わないようにその資格制度あるいは検査制度というものをもっと普及されるようにその指導取り締まりを強化するという趣旨のものでございます。
  186. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこでね、結構ですよ、それでそんなことやったってむだじゃないかなんというようなことは言いません。だけれどもね、それをいわゆる関係機関に通達を出したけれども、それを行うに当たって、さっきから完璧完璧と言うんですけれども、ぼくも余り完璧と言いたくないけれども、まあそれに近い、運輸省の通達を踏まえてそれを実施していくその体制、それは十分にできてるんですか。少なくても陸上の場合には、これは十分とまではいかないかもしれないけれども、相当なところまで進んでいる。そういう体制ができているということですか。
  187. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 私どもの直接関係のございます地方海運局におきましては、これらの指導取り締まりにつきましては各地方海運局に船舶検査官を配置してあるわけでございますが、これらの船舶検査官が随時立ち入りを行うというようなことで進めていきたいと思います。その他の海上一般取り締まりの問題につきましては警察庁及び海上保安庁の取り締まりに期待しているということでございます。
  188. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんなことを私は聞いてるんではなくて、少なくてもいわゆる陸上においては、いろいろないわゆる検査するにしても、立入検査するにしても、何するにしても、相当な体制が整えられておって、その中でばっとやるわけです。ですから、相当効果が上がるわけ。効果が上がらなければ何にもならない。だから、その効果を上げるだけの体制というものが、このいわゆるモーターボートを対象にしてやる場合にできてるのかできてないのかということなんです。だから、できてないとするならば、手薄であるとするならば、それはやっぱりそこにいわゆる穴があるわけですから、その辺を何とかしなくちゃならぬわけですからお聞きをしているわけであってね、それはこういうことで通達を出したんだから、いわゆる立入検査もやるように通達を出した。当然やるでしょう。やらないとは言ってない。だけれども、それが十分にそういったものを、そういったことを効果を上げていくだけの体制が整っているのかどうかということが問題なんであって、通達出したからそれでもって全部効果が上がるというものではないわけです。だから、さっきは海上保安庁、笑ってるけれども、何にも答えないで笑ってるけれども、実際はそういうことなんだ。ですから、その辺はどうなんだと言ってるんです。だから、正直に言わなければ、幾らここでもって口角あわ飛ばしてしゃべってみたところで何にもならぬということ。少なくとももっとこういう体制で臨まなきゃならぬと思うというようなところが出てこなければ、ここで幾ら論議したって何にもならない。通達を出した、だからそのとおりやってます。それはね、やってるでしょう。だけれども、それが十分な効果を上げることのできる体制下にあってそれが行われているのかどうかということが問題なんであって、いわゆる運輸省の通達を十分踏まえてやっていくだけの体制ができてるのかできてないのかということですよ。余りあれすると本当に時間ないしさ。
  189. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) ただいま先生御質問のように、これで完璧かどうかと言われると、はなはだ問題ではございますが……
  190. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、完璧というような言葉にとらわれなくていいんだよ。
  191. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 現在、検査の問題でまいりますれば、全国に二百三十名の検査官がおるわけでございまして、これらの検査官が集中的に立入検査を行うということによって相当の実効を上げるものではないかというふうに期待しております。
  192. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣ね、関係あるでしょう、ありませんか。
  193. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 警察に関しては関係あります。
  194. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま運輸省のあれだけど、海上保安庁ありますよね。さっきから言ったって一つも、体制もう十分だ、だから話聞いていると、こういうことやってます、ああいうことやってます。それはわかっているんですよ。それがいまのモーターボートが盛んに普及されてきて、そういう中でそれを——だからその点どうなんだということですね。だからまた大臣が、大臣はいつもそつのない御答弁なさるんで有名なんですが、また大臣から足りないところはまた補足もし、そして完璧を期していきたいなんていう答弁だと、これは何にもならない。  それじゃ、もう時間もありませんし、あれしましょう。結論を何点かこうお聞きしてみましょう。で、それじゃ現在のモーターボートについての規制ですよね。船舶職員法、これは免許に関してだね。それから船舶安全法、これは船舶のさっき話した検査の問題ですね、この二つしかないわけでしょう。その小型ボートというものは、もうどんどんどんどん普及されているわけですよね。そういうものに対する配慮というものがない。だからこの二つだととても抜け道だらけになっちゃう。だから、何らかの規制措置、法的な。こういうものは私は必要になってきている時代だろうと、こういうふうに思うんです。だからその点についての考え方をどういうふうに考えていられるか、このままでいいということか。
  195. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 警察の立場でこの種の事故防止の上で一つの問題点として考えておりますのは、これらの無免許あるいは無検査あるいは無謀操縦等についてのいわゆる規制法規が十分であるかどうかということは問題点だと思っております。で、これについては、無免許あるいは無検査についてはそれぞれ法律がございますので、これで一応は目的は達せられると思いますけれども、ただいわゆる無謀操縦をやる者についての規制ということになれば、現在のところは条例で規制しているということだけでございまして、それも先ほども申し上げましたように、まあ八つの都県でできておる。三十一の道府県でいわゆる迷惑防止条例で規定を一部設けておるというような状況でございまして、したがってこのような規制を強化するところのいわゆる条例というものをもう少し整備をしていく必要があろうというふうに考えております。この条例だけで十分かどうかということになるわけでございますが、やはり全国どこでも全部ということではなくして、それぞれ地域性というものが大変強いように思うわけでございます。したがいまして、これが必要な都道府県で全部必要な条例をつくってもらえば、これで一応目的は達せられると思うわけでございますけれども、しかし、一方ではやはり荒川の事故もございましたし、年間、先ほども申し上げましたようにかなりの事故が発生しているわけでございますから、関係機関と十分に今後の法規制のあり方等についても検討する必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  196. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 競走用のモーターボート、あれは荒川はそうですからね。競走用のモーターボートの払い下げ、それで事故を起こしているのですね。しかもそれを無免許で。さっき何と言ったんですか、四種とかなんとか言いましたね。その競走用のモーターボートというのは、これはだれでも運転できるわけですか。
  197. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 競走用のモーターボートにつきましては、その性能や構造、取り扱いが特殊でございまして、一般に愛好家が安全に操縦するには相当のモーターの知識や基礎訓練、操縦技量が要求されるという種類のものでございます。このため運輸省といたしましては、みだりに民間に払い下げないような方向で従来から指導してきてまいっておるわけでございます。今後も同様の指導を続けてまいりたいというふうに思っております。  それらの免許との関係でございますが、現在日本モーターボート協会におきましてアマチュアの愛好家のモーターボートレースが各所で行われているわけでございますが、これの出場者及び出場艇につきましては登録制度をしいております。そこでモーターボート協会が一応の乗組員の技術について試験を行いまして、モーターボート協会のモーターボート・ドライビング・ライセンスというものを出しているわけでございます。こういったもの、払い下げられたボートが船舶検査を受けにまいります場合には、そういうモーターボートのライセンスを持っている者だけに検査をして検査証書を出しているというような状況でございます。したがいまして、今後もその方針で進めてまいりたいと思いますし、それから免状を持っていない者については、今後警察庁あるいは海上保安庁の取り締まりを強化していただくという方向で進んでまいりたいと思います。
  198. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ですからね、船舶職員法による免許制度、この免許を持っていれば競走用のモーターボートを運転しても構わないようになっているわけでしょう、いまは。現行法では。そうなんでしょう。
  199. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 船舶職員法上のライセンスにつきましては、先ほど申し上げましたように、四級操縦士の、小型船舶操縦士の免許を持っておるということが条件に相なっておるわけでございまして、ただ、いまお話のようなきわめて特殊な競走用のモーターボートの扱いにつきましては、職員法上の免許だけの問題じゃございませんので、いま船舶局から御答弁申し上げたように、船舶の検査とのリンクにおいて一般の人たちは操縦しないような仕組みにしておると、こういうことでございまして、今後の問題としては先ほど警察庁の方からも御答弁ございましたけれども、特殊な船でございますから、そういう場所的な限定を、その地域の特殊性を見ながらしていただくというようなことが全体の方向であろうかと思います。
  200. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、いま聞いているのは、船舶職員法による免許制度、これで免許取ると、いわゆる競走用のモーターボートを運転しちゃいけないというものは何にもないわけでしょう。運転できるわけですよ。だからこの間の事故だって、これは払い下げの競走用のモーターボート、しかも無免許でそれで事故を起こしたわけですから、ですから、この船舶職員法によれば、何らそういう規制はないわけですよ。競走用のモーターボートは運転しちゃいけないという、ないわけ。だから、裏を返せば運転それでできるんでしょうということなんです。それとも強力な運転できないんですよと、船舶職員法による免許制度によって取得した免許では競走用は運転できないんだという何か法的なはっきりしたものがあるんですか。
  201. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) いま申し上げたようなことでございまして、船舶職員法の体系ではないということでございます。
  202. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、ないということはだれでも運転できるということじゃないですか、免許を持っていれば。
  203. 松木洋三

    説明員(松木洋三君) 先ほど船舶局の御答弁にございましたように、船舶の検査とリンクをさせて、一般の人が操縦をするようなことがないような、そういう仕組みにはしておる、こういうことだろうと思います。
  204. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その仕組みはどういう仕組み
  205. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 先ほど申し上げましたように、競走用のモーターボートの検査の申請があります場合には、競走用のモーターボートとしてのモーターボート・ドライビング・ライセンスを所有し、競走用モーターボートとして先ほどの日本モーターボート協会に登録される船舶についてだけ検査を実施しておるというようなことでございます。したがいまして、それ以外の競走用のモーターボートにつきましては検査証書を持たないということから、これを航行の用に供することができないというような関係になっておるわけでございます。
  206. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからそれはどういうことで徹底されているのか、できないと言うけれども。その法的な規制がそれは加えられるんですか。その点がはっきりしてないと、あなたの方ではそういうつもりであっても、乗る人の方はさっぱりわからぬということになりますよ。
  207. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) これにつきましては、先ほども申し上げましたような検査証書の面で規制をするというところが現在の状況でございます。
  208. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、払い下げられたいわゆる競走用のモーターボートというのはどのくらいありますか、全部で。
  209. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 昭和五十二年度分についての数字がいまここにございますけれども、五十二年度において競走用モーターボートが処分されました数が千三百八十二隻ございます。このうちメーカーへ払い下げられましたものが三百二十六、いろいろ廃棄処分をいたしましたり、あるいは碧南の訓練所に払い下げを行ったりしておりますが、その他のものが二百十五隻ばかりございます。メーカーにおきましてはこれを修理をいたしまして、輸出用に回してみたり、物によっては廃船したりいたしておる状況でございます。
  210. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから生かされているモーターボートが、競走用のモーターボートが払い下げられたということは、いま言っただけの数ある。それが実際にどのくらい一般に使用されていますか。
  211. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 具体的にどのぐらいの数字が使用されているものであるかということについては資料がございませんのでわかりません。
  212. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃあなた検査と一緒に絡めてやっているからそういう心配ないみたいなことを言っているけれども、それじゃ検査と一緒にやっているんだったらわかるはずじゃないですか。
  213. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 検査は申請主義でございますから、すべての数が検査申請が出てくるわけでございませんので、全体の数をとって的確に申し上げるわけにはまいらないわけでございまして、結局検査を受けなかったために検査証書を持っていない、こういうことによって船を航行の用に供することができないというようなことでございます。
  214. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからそれじゃ何にもならないじゃないか。少なくとも陸上の場合には車検といって二年に一回はちゃんとやらなくちゃならないし、免許の書きかえもやらなきゃならない、そうでしょう。そういった不法ないわゆるモーターボートの場合には抜けているということが言えるわけじゃないですか。そうだとすれば、やはり競走用のモーターボートを船舶法による免許だけでもって運転するということは非常に危険なわけですよ。それはあなた方認めているわけ。だからそんなことあっちゃならないわけ。しかも、にもかかわらずいわゆる払い下げされているわけ。だからそれが検査も受けないで使われているという可能性が十分あるわけ。だからそういうものをちゃんとしなければ危険がいっぱいだということ。それは法的に何とかしなきゃいかぬ。そういう競走用のモーターボートについては一般の免許では乗れないのだという法的な規制がなければ、ただすみっこの方でごちゃごちゃやっているみたいなことじゃうまくないだろうということですよ。
  215. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 法的な規制の問題につきましては、陸上の自動車等の場合と全く同じでございまして、陸上の場合も車検を受けなければこれを使うことができない。船の場合にも私どもこれを船検と言っておりますけれども、船検を受けなければ船を使うことができないということで、法制的には一応担保されている。あとはこれをどう取り締まっていくかという問題であろうかと思います。  なお、払い下げの規制の問題につきましては、先ほど私御説明申し上げましたように、払い下げにつきましてはモーターボート協会に対する指導を今後とも強化してまいりたい。したがって、無断に一般の免許を持たないような人に対する払い下げはこれを行わないように指導してまいりたいと思っております。
  216. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは行わないようにって、理屈ばかりこねていたらだめなんで、事実そうやって払い下げられているわけなんだから、払い下げないようにということは前々から言っていても、ちゃんと払い下げられているんだからどうするんだということなんですよ。ああでもないこうでもないじゃ、大臣、ちょっとその辺一つもかみ合わない、話が。何も責めているのではなくて、そういったことから事故を起こしてはならないからだから言っているので、でかい声は持ち前なんだけれども、だんだん興奮してくるんですよね、こういうすれ違いになると。だからよけいでかくなるんだけれども、その点もう少しはっきりしなくちゃいかぬだろうと私は思いますよ。モーターボートというのはこれからどんどんどんどん普及されてきますからね、ですから事故が多発するという可能性があるわけですから、それを起こしてはならないからこそ委員会で持ち出しているわけなんですから、その辺どうですかね。もうちょっと——もうちょっとじゃないや、大分話がこうやっています、ああやっています、こうやっています、ああやっていますはわかるんだけれども、だけれども実態と自分たちが言っていることと合ってないでしょう。だからこそいま聞いているわけですからね、その部分をどうするのかということですよ。
  217. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 陸上の場合と違いまして、海の場合は歴史が浅うございますので、いま御指摘がございましたようないろいろの問題があろうかと思います。ただ、私としましては、運輸省や海上保安庁も一生懸命にやっておることは事実であろうかと思うのでございますけれども、警察の立場からいたしますと、なかなか河川や海上にまで、あるいは湖沼にまで手が伸びておらぬという感じを強く持ちます。  現に先ほど説明いたしましたように、本当なら水上安全条例を海岸線を持ちます都道府県とかあるいは湖を持っている県でありますとか、あるいは大都市周辺の河川を持っているところであまねく制定しておりますのが理想でございますけれども、それが八つの都道府県にとどまっておる、かような結果に相なっておるのでございますから、ですから陸上の自動車交通につきましても、長い歴史を積み重ねながらその間に現在のような体制が築かれたのでありますから、水上につきましては、その点が歴史が浅いために、いろいろ不十分なところでありますとか、矛盾があろうかと思うのでございますが、先ほど安部長が法制化につきましても鋭意検討いたしたい、かような考え方を述べたのでございまして、やはり各面にわたりましての事故等を教訓にしながら前進を遂げていかなきゃならぬ、かような感じを深く持つ次第であります。
  218. 神谷信之助

    神谷信之助君 本日は、世界基督教統一神霊協会、略して統一協会と申し上げますが、これに関する暴行、暴力事件、その他の刑事事件に関する問題、それから福祉に名をかりるところのインチキ募金とか訪問販売、これらの諸行為についてただしていきたいというように思います。  まず最初に、統一協会に関する問題については、昨年来衆参両院でもいろいろの角度から取り上げられています。その中で特に刑事事件に関する問題でその後どういうことになっているかということの報告を数点受けたいというふうに思います。  まず第一番目は、三重県の松阪市の鎌田町朝日町四二八の浜田智恵子さんに対する五十二年三月八日統一協会本部における暴行事件及び前日三月七日の原田一三氏ら三名に対する暴行事件、これについての報告を求めたいと思います。
  219. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 御説明申し上げます。  ただいまお尋ねの事件と申しますのは、昨年の三月七日東京都渋谷区松濤にございます世界基督教統一神霊協会東京都協会におきまして、同協会の保安係をしておる佐藤と申す者が、同協会に子弟の安否等を尋ねに参りました父兄と思われる原田氏、それから林氏両名に対しまして、そのえり首をつかむ等の暴行を加えたという案件と、翌八日同じ場所におきまして、同じく父兄の浜田智恵子さんに対しまして同様暴行を加えて、約五日間の傷害を与えたという傷害事件がございまして、この事件につきましては、昨年の四月十四日東京地検におきまして警察から事件を受けて捜査の上、同年五月二日罰金七万円に処しており、この判決は確定いたしております。
  220. 神谷信之助

    神谷信之助君 五月二日に判金七万円の略式命令が出ておりますが、当人から正式裁判の申し立てがあって、そして取り下げるということで確定をしたというように聞いておりますが、その経過と理由ですね、報告していただきたい。
  221. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま御指摘のとおり、正式裁判の申し立てがありましたが、その後取り下げによって確定を見たわけでございますが、経過と申すのが、ただいま私申し上げたところで、理由は本人の申し立てあるいはまたその取り下げがいかなる考えに基づくものかは、検察当局としても把握いたしておりません。
  222. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題が国会で取り上げられましたときには、佐藤某だけではなしに同時に村越らの暴行も国会で報告されておりますが、これらについてはどういう処置になっていますか。
  223. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 実は大変恐縮でございますが、前国会でのその問答を私刑事課長でございますが、刑事課におきまして把握いたしておりませんでしたので、大変恐縮でございますが、その共犯者と思われる二、三の者に対する取り扱いがいかがなっておるか、ただいま現在把握いたしておりません。
  224. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっとその点なんですよ、いつの衆議院の法務委員会でやられたかというのは全部指摘をして調査を言っておったんですから、村越某ら数人で暴行が行われています。しかも事件として送検をされたのは佐藤公基の件に関するのみということで処理をされたということになっているわけですね。後の共同行為とか、そういう問題については、共犯関係というのは警察から送検をされたときにもうすでに問題になっていなかったということですか。
  225. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) その点につきましては、後ほど調査の上、詳細御報告申し上げたいと思います。
  226. 神谷信之助

    神谷信之助君 それではやむを得ません。  次に移りますが、次は警察の方になると思います。  同じく五十二年の二月四日の午後三時五十分ごろ、神戸市の東灘区の住吉町牛前町一の二の疎水路において、神戸女子短大二年生の加藤福美さん二十歳の他殺死体が発見をされた。で、死因は頸部圧迫による窒息死で、本人は原理運動に誘われ、修練会にも参加をしていたという。で、兵庫県警は刑事部長を長とする百三十八名の体制で捜査中であるという、そういう答弁でありましたが、この事件はその後どういう状況になっておりますか。
  227. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 事件発覚後、所轄の東灘警察署におきまして捜査本部を設置をいたして捜査中でございます。現在まだ容疑者等については判明をいたしておりません。
  228. 神谷信之助

    神谷信之助君 この原理運動との関係についてはどういう状況ですか。
  229. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 先ほどちょっとお話がございましたように、私どもで原理運動の問題で調べはいたしておるわけでございますが、この学生の上級者でございますが、これに何か原理運動に参画しておる者がおりまして、それから誘われたという事実はあるんでございますけれども、本人は原理運動についてはきわめて冷淡な態度をとっておったというようなことで、入会するとか、そういう運動を直接担当するとかいう事実は現在の調べの中では出ておりません。
  230. 神谷信之助

    神谷信之助君 当時の報告では、修練会にも参加をしていたという報告がなされております。それだけ指摘しておきます。  その次に第三番目、これは警察の方にお伺いします。  これは青森県の五所川原市字長富の上見義直氏の長男繁樹さん二十四歳の事件であります。で、福島大学一年生に在学中に入会をして行方不明になった。で、両親が統一協会に問い会わせたけれども、大阪だ、東京だ、仙台と所在を変更して、やっと三年目の四十九年に仙台で他人名で白血病で入院中の同人を発見をした。そこで本人の名前に戻したわけですが、とうとう八月に死亡されました。この事件でありますが、当時法務省は、刑法の二百十八条の保護者責任遺棄罪に当たるのではないかという御答弁をなさっておりますが、ごの点について青森県警ですかを中心にして捜査されたようですが、その状況を報告していただきたいと思います。
  231. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 上見さんは、いまお話がございましたように、六カ月ばかり国立第二病院に入院されまして加療されておったわけでございますけれども、不幸にしてお亡くなりになったわけでございます。警察の方といたしましては、病院で加療して亡くなられたということでございますので、異常な死亡ということでもなければ変死ということでもございませんので、当時はもちろん犯罪として追及するような端緒は何にもないわけでございます。そういうことで、死亡されてから問題になりまして調べたわけでございますけれども先ほどおっしゃるような保護責任者の遺棄罪というようなものにはどうも該当しないのではないかというのが現在の見解でございます。
  232. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは国立第三病院に六カ月入院されて亡くなったということですが、入院するときは一体だれと来たのか。あるいは、保証人は一体だれになっているのですか。
  233. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 先ほども申しましたように、この事案が大変古うございまして、私ども、だれとお見えになったかとかいうような具体的な事実の確定が非常に困難なわけでございます。ただ、社会保険には確かに入っておられるわけでございまして、勤務先は、当時、渋谷区の神南一丁目というところの川津ビルに幸世商事、これがありまして、そこに勤めておられたようでございまして、偽名でなくて御本人が健康保険で入院されて、そしてその料金も全部済んでおるというふうに調査の結果はなっておりますが、どうも、この点から見ますと、偽名で入られたかどうかということはちょっとわかりませんけれども、本人の名前で入られたのではないかというふうに推定ができるわけでございます。  以上でございます。
  234. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、いまの幸世商事の、職員というのですか、に勤務しておったということは明らかであったと。協会の方は、会員ではないと両親に対しては言っておったようですけれども、お通夜のときには協会の方から二、三十名ほど出席をしている。あるいは幸世商事から幸世商事名の花輪が届けられたというようなことが言われておりますが、これは事実ですか。
  235. 小林朴

    政府委員(小林朴君) これも、その花輪のことにつきましては、大変古いことでございますので、いま直ちに調査ができないわけでございますが、当時二、三十名の方が、統一協会の方の方でありますが、お葬式に参加をしておるということを、亡くなられた御当人の母親の方から聞いております。
  236. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは古い事件でありますが、いずれにしても、福島大学一年在学中に入会をして、そして行方不明になり、三年たってやっと仙台で、白血病で入院をしているという状態で両親が見つけ出すことができた。そして、ついに死亡に至るということであった。入院加療しているわけですから、それ自身どうのこうの、変死の状態ではないのですけれども、そういう状態に陥る過程はきわめて異常な状況を私は感じざるを得ないわけです。この点、指摘をしておきたいと思います。  それから、次に四番目ですが、四十五年の七月に茨木市上穂積九十番地所在の生命の貯蓄クラブで開催された原理研究会夏季合宿で発生をいたしました、山田龍雄さん十八歳の言死亡事件について、これは確定していますから、法務省の方から報告していただきたいと思います。
  237. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お尋ねの事件につきましては、全国大学原理研究会指導員でありました田口民也、当時二十三歳のようでございますが、この本人が、茨木市内において開催されました原理研究会夏季合宿セミナーにおきまして、精神錯乱状態に陥った参加者の山田龍雄氏、当時十八歳に対しまして、その状態を取り静める目的で、タオル等で両手を縛るなどして約二日間にわたって合宿セミナーホールに監禁しまして、その間医師の治療等を受けさせなかったということで、山田氏をして、全身打撲と全身衰弱のため死亡するに至らしめたという事件でございます。  この事件につきましては、警察当局から送致を受けまして、大阪地検において捜査の上、四十六年の二月二十七日、右田口を監禁致死罪で大阪地裁に公判請求いたしましたが、その後、公判の推移状況にかんがみまして、起訴状の訴因が監禁致死から監禁と保護責任者遺棄致死罪というふうに変更されておりまして、この変更後の訴因で有罪ということで、四十九年の四月三日、懲役一年、二年間執行猶予の判決が言い渡されまして、判決はすでに確定済みでございます。
  238. 神谷信之助

    神谷信之助君 本件も、田口民也のみならず、数人の指導員、あるいは世話人というのですか、これらで監禁の状態を維持をする、監視もする、そして、途中で脱走して二階から飛びおりると、後から同時にそのついておった世話人が後を追って飛びおりて、世話人の方は病院に入れられたけれども、この亡くなった山田さんというのはそのまままた連れ戻されて、監禁状態が続いてついに死亡するという事件ですね。これはもう、だから、起訴され有罪になった田口一人の行為ではなしに数人の共同行為になっているわけですが、どうして田口だけにしぼられているわけですか。その間の事情はどうでしょう。
  239. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お尋ねの事件は、四十六年というかなり古い事件でございますので、その辺当法務省に報告が詳細ございませんので詳しくはわかりませんが、一般的に申し上げますならば、いやしくも、殺人事件的な、いわゆる監禁致死、被害者が死亡したという重大事件でございますので、共同行為者的なものがありますれば当然警察あるいは検察庁におきまして所要の捜査を遂げてその刑事責任を追及するということでございますので、仮にさような追及がなされていないということになりますれば、それは、それ相応に関係証拠が十分でなかった、あるいは共同行為者等は認められなかったというふうな状況があるのであろうかというふうに考えます。
  240. 神谷信之助

    神谷信之助君 判決文がありますが、判決文の中の罪となるべき事実の中には、いまおっしゃったように、タオル、さらし、あるいは子守用ひも、これで縛った上同人を横臥させ、さらに前記世話役らが交代で常時同人の動向を監視をする、よって同人の脱出を不能にして、約三日間ですか、三日間にわたって食物もとらせずに、そして全身打撲傷なんかの結果全身衰弱のため同室において死亡ということになっていますね。だから、何人かの行為であったことは判決でも明らかなんですが、この点、一遍またお調べの上お聞かせいただきたいと思います。  もう一つ、これは警察の方になると思いますが、高知県の宿毛市平田町戸内、武田金福氏長男堀本信也の父親殺害事件について報告していただきたいと思います。
  241. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 本件は、五十年の六月の五日に高知県の宿毛市で発生した事件でございます。宿毛警察署が被害者の武田金福さん方で夫婦げんからしいという近所の人からの一一〇番の通報を受けて認知をいたしました。宿直の警察官二名と受け持ちの駐在署員一名の計三名が現場に駆けつけましたところ、午後の十時四十分ごろ、被疑者の堀本信也が父親の首と包丁それから木刀などを持って二階からおりてきたということで、直ちにその場で殺人の現行犯で逮捕をいたしたものでございます。
  242. 神谷信之助

    神谷信之助君 当時その堀本は、悪魔をやった、悪いことをしていない、人類のためにやったと、そういうことを口走っていたと言われておりますが、それはどうでしょう。
  243. 小林朴

    政府委員(小林朴君) お尋ねのとおり、被疑者は取り調べに対しまして、自分が殺したことは間違いがないが、これは父親ではない、悪魔を退治したんだというふうに言っておりまして、一見いたしまして精神異常の状態にあったということであります。
  244. 神谷信之助

    神谷信之助君 法務省でこれは送検された後どうなりましたか。
  245. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいまの事件につきましては、高知地検におきまして、五十年六月二十五日、殺人罪ということで高知地裁に公判請求いたしておりますが、公判の過程におきまして、ただいま御紹介のありましたとおり、被告人の精神状態が異常ではないかということが重大な問題となりまして、裁判所におきまして被告人の精神状態につき精神鑑定を実施しました結果、精神分裂病であるということが明白と相なったということで、五十二年五月十一日、刑法上の心神喪失中ということで無罪の判決が下り、これは確定いたしております。
  246. 神谷信之助

    神谷信之助君 この心神喪失の状態になった理由ですね、原因についてはどういうようになってますか。
  247. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 私の方では把握をいたしておりません。
  248. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) その点、遺憾ながら法務当局におきましても把握いたしておりません。いずれにいたしましても、裁判中の精神鑑定の結果さような結論が出ておりますので、当然精神鑑定の際におきましては原因、動機等につきましても詳細な鑑定が実施されておるものと考えます。
  249. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、これもひとつ後刻報告をしてもらいたいと思うんですが、統一協会の教義から言いまして、両親であろうとそれは全部サタン、悪魔であると、したがってそこからどんどん金を持ってくるのは悪魔である両親の罪をあがなうことにはなるんだという教義を持ってますからね、したがってこういう原理運動との関係があるのではないかというようにも思うわけです。そういう点でもありますので、ひとつ精神鑑定をなさったときにその理由などについても明らかになっているということであれば御報告をいただきたい。どうでしょうか。
  250. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 精神鑑定の詳細はともかくといたしまして、検察当局の報告によりますれば、この被告人はカソリック教会に出入りしていたということですが、特に洗礼などは受けていないと、なおかつ原理運動との関係を認め得るような資料、証拠は一切裁判記録にはあらわれていないということなので、原理運動の関係者であるという認定はいたされていないように思います。
  251. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、一遍また裁判記録から見ますから。どうも私ども報告調査とはちょっと違うように思います。この種のこれ以上にも昨年も国会で問題になった事件はありましたが、一応こういう事件が統一協会関係で国会でも議論になり、そして事件になったのがあるわけです。この点をまず指摘をしておきたいというように思うんです。  その次に、福祉の名をかたる物品販売活動の問題についてお尋ねをしたいと思います。  昨年の一月の二十七日ごろから二月の三日ごろにかけまして、京都の宇治市を中心にいたしまして、ボランティアをかたってペンを売るという、あるいは鈴を売るという、そういう事件が起こりました。これは地元の洛南タイムスという新聞が連日報道しております。その見出しだけをちょっと御紹介しますと、七七年の一月二十七日付では、「ボランティアかたりペン売りつける若き女サギ師宇治市内に出没」という見出しです。翌二十八日には、明星町——これは宇治市の地名ですが、「明星町で問題の女を発見、福祉を騙る、本社記者にもうしませんと謝る」、二十九日、「もうしませんはウソだった」ということで、同じく物品販売をやっている事実が報道されています。三十日、これも宇治市の地名ですが、「御蔵山と小倉に同時出没、回覧板で注意呼びかける町内会も」ということです。二月一日には「留守番の学生から金だけ取る、宇治署が事情聴取、背後関係にメス」、二日、「問題の女とうとう逮捕、背後に強大な黒い組織、福祉を喰いものに悪どい手口」、三日付には、「サギ容疑の万里川を釈放、今後も任意で取調べ」という報道があります。この事件についてまず警察の方でどういう措置をなされましたかお伺いしたいと思います。
  252. 小林朴

    政府委員(小林朴君) お尋ねの事案につきましては、昭和五十二年の一月三十一日宇治署で逮捕いたしました住所不定無職万里川豊美の身体障害者施設に対する寄付金名下の詐欺事件というようなことであろうかと思いますが、この事件につきましては、一般人の申告に基づきまして事案を認知したものでございまして、同女が市内の会社員宅を訪問し、対応に出た家人に対しビニール入り人形型ボールペン二本を示しまして、これは身体障害者の母親がつくったものです、二本で千円ですが、六百円は施設に寄付しますと申し向けまして、老人から千円を詐取いたしました容疑によりまして逮捕をいたしまして、二月の一日に京都の地方検察庁に送致したという経過のものでございます。
  253. 神谷信之助

    神谷信之助君 法務省の方にお伺いしますが、この件はどういう措置になりましたか。
  254. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま警察当局から御報告のありましたとおり、警察におきまして逮捕いたし、検察庁がこの事件を身柄受理ということで受理したわけでございますが、裁判所に検察官が勾留請求をいたしましたところ、裁判所の方でいろいろなお考えから勾留請求を却下して釈放状態になったわけで、以後在宅取り調べというふうに切り変わったわけでございます。  この事件は結論として不起訴になっておりますので、不起訴事件につきましてはその詳細を申し上げることはちょっと問題があるのでございますけれども、新聞等にも報道されたという事件の社会性も踏まえてやや詳しく御説明申し上げますと、事件送致の罪名は詐欺ということでございまして、いまお話のありましたボールペン、これ一本が五百円だそうでございますけれども、そのうちの代金、代価中三百円は福祉施設に寄付されるということで、被害者を欺いてこのボールペンを置い取らせたという事件でございます。検察当局は取り調べの上、最終的に不起訴処分に付しておりますが、不起訴の理由といたしましては、本人に前科、前歴等がなかったということ、あるいは被害金品も合計千円ということで、きわめて僅少であったということ、その後一応押し売り等はやめまして正業についたということもありますので、それら諸般の状況を総合して起訴猶予処分に付したということでございます。
  255. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはなんでしょう、一人で思いついてそういう福祉に寄付をするということで物品販売をしたという事件じゃないんですよ。その点については一体どういうようにお考え、お調べになってますか。警察でもどちらでもいいです。
  256. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 検察庁からの報告によりますれば、犯行の動機等の詳細は必ずしも明確にされていないわけで、これは本人が任意に供述をしない限り犯罪事実自体ではございませんので、なかなか検察官といたしましても詳細取り調べることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、本人はただいま問題になっております原理運動との関係は強く上否定していたということは報告されております。
  257. 神谷信之助

    神谷信之助君 この万里川という女性は滋賀県生まれですが、住所不定です。そして、伏見の信用金庫に在職をしていますね。その在職中には原理運動に参加をすることになって、そして退職をしている女性ですよ。だから、本人はまあ原理運動については否定をするけれども、仮に否定をするにしても、一人で急に思いついてね、そして売り歩くというのもおかしいわけですよ。この商品は一体どこから仕入れてきてるんですか。
  258. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) その辺の詳細は遺憾ながら報告を受けておりません。
  259. 神谷信之助

    神谷信之助君 お調べになったのかどうかという点が問題なんだ、大体。だから、この万里川という女性だけじゃなしに、この後、同じ洛南タイムスですが、二月二十四日付の新聞では、今度は鈴を売り歩く女が大久保に出現をしております。これは東北の方の出身だったと思いますが、父親の方の話もその新聞には載っておりまして、組織に利用されて困ってるんだと、うちに帰ってこないというようなことを言っています。だからこれだけでなしに、あちこち京都府下に当時あらわれてますね、出没している。したがって、一人の、このたとえば万里川という女性が思いついて、そしてペンなどを仕入れて、そして一人で売って歩いたわけではないでしょう。当然これは、そういう組織的な行為が行われているのではないかということを考えなければならないと思うんだけれども、そういう点の捜査はやられてないんでしょうか、そういう観点から。
  260. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 本件がいわゆるわれわれが組織犯罪と呼んでおります意味での組織的な犯罪であるのかどうか必ずしも定かではございませんが、たとえばボールペンについての詐欺事件でございますので、ボールペンの仕入れ価格が幾らであるか、仕入れ先がどこであるか等は犯罪事実の立証のために必要なことでございますので、その限りにおきまして検察当局は必要な捜査を遂げておるものと思われますが、法務省と検察庁との関係から申し上げまして、個々の事件につきまして詳細な報告まではわれわれ要求しておりませんので、ただいまの問題になっております点につきましては、必ずしも明快なお答えをすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  261. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 警察側の方で、私の方では当時調べましたわけでございますけれども、統一協会との関係、それから仕入れ先、そういうものについては一切しゃべっていないということでございます。
  262. 神谷信之助

    神谷信之助君 まあそういう万里川が二月一日に送検をされる、その直後二月八日には今度は別のグループがやってきて宇治で宇治茶を売るという、そういう状態も出てきている。こういう活動が頻繁に当時行われていたという点ですね。したがって、当人が否認をしているわけですけれども、われわれも調査をしても、伏見信用金庫在職中に原理運動に参加をしたというのは、同僚の女性からわれわれ直接聞いております。調べようと思えば、そういう調査もできるわけです。そういう点で、私は捜査不十分さを指摘をしておきたいと思います。  ことしの、つい最近ですが、五十三年の五月十五日、京都の機関紙協会の京滋地本に、二組千円で人形売りがあらわれました。石本和美二十一歳の件でありますが、それについて警察の方の報告を求めます。
  263. 小林朴

    政府委員(小林朴君) お尋ねの件につきましては、この石本和美を詐欺、訪問販売法第五条違反容疑で、被訪問者に、昭和五十三年の五月の十五日、京都府中立売署に同行された石本和美さんによる事案ということで、この同女の取り調べの結果からは、どうも詐欺事件にならぬのじゃないか、あるいは訪問販売の問題にも該当しないのではないかというふうなことで、この事件が表面化したわけでございますけれども、取り調べの結果、犯罪の構成要件に該当しないというふうに認められたので、事件としては立件をいたしておりません。
  264. 神谷信之助

    神谷信之助君 当日ですね、五月十五日、石本和美のほかにも、京都の府庁の中から京都府の資料館、右京府税事務所、こういうところに同じような人形を売り歩いておりますね。これは、そのうち結局売れたのは資料館で一件ぐらいですか、ぐらいしか聞いておりませんが、同じような手口です。で、この石本和美もその機関紙協会へ来たときに、住所はどこだと言うと、大阪市淀川区の東三国町のサンハイツ一一五号名取方、こういうように言っています。この名取方というのは、久美浜署管内で同じ詐欺容疑の事件で逮捕された事件がありますが、これの住所も大阪の名取方になっています。  それから、本人はことしの三月京都の精華短大英文科を卒業したというように言っておりましたので調べてみました。ところが、精華短大で調べてみましたら、五十年の四月に入学をして一年留年をして本年三月卒業と。卒業生名簿によりますと、それは左京区田中南西浦町七九の一新生ホームということになっております。これは統一協会関係者のいわゆる合宿所であります。それが精華短大の卒業生名簿ではそういうようになっておる。  で、初めは先ほどの宇治と同じように、これは身障者がつくったマスコットなんで、カンパを含めて買ってもらいたいと言っておりましたが、さらに追及していると、どこから仕入れたということになると、ある会社で仕入れたけれども、そこに迷惑がかかるといけないので言えないという状況だったわけです。そこで、中立売署に同行して渡したわけですが、なるほどこれは売る前に、売らないでそして中立売署につかまえて突き出しましたから、訪問販売法の五条にも、あるいは少なくも詐欺も、また詐欺罪も成立しない、そういう状況ですね。しかし、同様の行為が周辺で、これは機関紙協会は府庁の近くですから、府庁を中心にしてそういう行為が数人によって行われた。こうなってきますと、その事案、その行為自身が、犯行行為が、犯罪行為が完結をするしないにかかわらず、そのことが組織的にしかも統一協会関係者によって行われたという状態がわかるわけでしょう。こういった状態がわかっても、警察というのはわからないということで何ら手をつけない、放置をするということになるわけですか。
  265. 小林朴

    政府委員(小林朴君) 組織的に行われるようなことがわかってまいりますれば、当然やはりそれが一連の行為として犯罪に該当するかしないか、これは検討するのは当然だと思います。
  266. 神谷信之助

    神谷信之助君 それではこの事件ですね、京都の府庁、あるいは先ほど言いました場所、そういうところへ、大体府庁の、官庁の中でそういうものを売る販売行為は禁止されているんだけれども、実際にはこれやられました。そういった状況もひとつ含めて、そういう組織的行為であるかどうか、もしそうであればその上で警察としてしかるべき措置をとるというのが必要だと思うんですが、その点はいかがですか。
  267. 小林朴

    政府委員(小林朴君) この五月ごろの問題についてそういうふうに組織的にあったのかどうか、私いま初めてお伺いするわけでございます。方針としては、いま申すとおりいろんな状況を見まして、それが組織的に、しかも犯罪に該当するというような状況であるならば、これは当然捜査をやっていかないかぬということになろうかと思うわけでございます。
  268. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはついまだ一カ月そこそこ前の話ですから、ですからひとつその点を調べていただきたいと、こう思います。  それからその次は、昨年の暮れの問題ですが、これは高知南署で起こった問題です。高知新聞の報道によりますと、十二月の二十二日、「「恵まれぬ子供たちのために…」などと言って、サンタクロースや天使の人形を市価より高い値段で訪問販売していた県外の学生二人が二十二日、高知南署に押売防止条例、訪問販売等に関する法律違反で検挙された。同署は「年末にはよくこの種の手口の犯罪が目立つ。注意してもらいたい」と」。「検挙されたのは、大阪市阿倍野区三明町一丁目、大阪府立大三年、峯松裕幸と、岐阜県岐阜市長良若宮、岐阜大二年、相賀雅夫」こういうことで逮捕されたと。「調べによると、二人は二十一日正午過ぎ、高知市筆山町の主婦A子さん方などを訪問。「青少年健全育成のために」「身体障害者のために」「恵まれない子供たちのために」などと持ちかけ、通常の市価で三百円までのサンタクロース、天使、雪ダルマなどの人形を一個五百円で売つた。」ということで報道されているんですが、この点について高知南署の措置について報告をしていただきたいと思います。
  269. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  ただいま御指摘になられました事件は、昨年の十二月二十二日、高知南警察署で検挙した事件であろうと承知しておるわけでございますが、被疑者はただいま先生御指摘になりました岐阜県岐阜市在住の学生、相賀雅夫二十歳、それから大阪市阿倍野区在住の学生、峯松裕幸二十四歳、それと東京都世田谷区在住の無職宮島道夫二十七歳でございます。この適用法条は訪問販売等に関する法律第五条違反、それから高知県の押売防止条例第二条第二項七号違反ということでございます。犯罪事実についてはまあただいま先生御指摘になったのとほぼ同様でございまして、被疑者相賀は人形五十個、同じく峯松は十六個を訪問販売をいたしまして、法定の書面を交付してなかったということでございます。その行為がまた条例の押し売り行為になるということでございます。この二人を取り調べました結果、このリーダーは宮島という男であるということがわかりましたので、同日、本人を検挙いたしたわけでございます。現在これは捜査中でございますけれども、ただいま申し上げました法令違反によりまして近く検察庁に送致する予定でございます。
  270. 神谷信之助

    神谷信之助君 これらの学生、それからリーダー含めまして、これらが統一協会の関係者であるあるいは原理運動の参加者であるということは確認をされていますか。
  271. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 本人たちは原理研究協会の会員であるということを申し立てております。しかしながら、統一協会との関係につきましてはこの三名とも供述をしてないわけでございまして、特に宮島という人物がリーダー格ということでかなり取り調べをいたしたわけでございますが、そこら辺の自供は得られていない状況でございます。
  272. 神谷信之助

    神谷信之助君 二人の大学生が大学の原理研究会のメンバーであるということは、これは確認されているわけですか。
  273. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) これは確認されております。
  274. 神谷信之助

    神谷信之助君 これも原理運動統一協会関係者のこういう福祉に名をかたる物品販売行為といいますか、これは訪問販売法違反あるいは条例違反の問題になっていますが、こういう行為が起こっております。したがって、当時は年末ですから例の共同募金運動も行われているということで、翌日には県の共同募金会がこういう行為をするには知事の許可が必要なんで、そういうのに注意をしなさいという呼びかけをしなきゃならぬということで、善意の全く正しいそういう募金活動なり福祉活動、これに大変大きな影響を、迷惑をかけておるという事態が起こっているということも指摘をしておきたいと思います。これはまだ去年の暮れの事件で近く送検ということになる、大分長いことかかっておりますね。  それから次は、同じようなことが昨年の十二月十三日以降に起こっていますが、これは特に東京であります。五十二年の十二月の十三日ごろですが、善意銀行に預託証をもらいたいということで四万円若い女性が持ってきて、そしてそれを八人分に分けてくれと。ところがその八人分の住所が全部東京都中野区本町Nコーポ八〇一号吉田とも子方、こうなっておると。そこで善意銀行の方はその前年の五十一年夏にも「クリスチャン奉仕会」という名前で同じ方法で善意銀行に預託証をとってきて、そしてそれを使って金を集めるということがやられてそのために苦情が殺到した。それで善意銀行ではこのクリスチャン奉仕会の住所を調べてみたら、その住所は一軒もまだ家が建っていない造成地であった。そういう経験があるものですから、八人同じ住所で預託証をつくってくれと言われるのはおかしい、そういうことで気づいて娘を問い詰めますと、その四万円をまた取り返して逃亡すると、こういうことになりました。これは後で読売新聞が調査をしまして、これらが東京の銀座周辺、あるいは首都圏一体でハンカチ娘——もちろん男もおるんですが、ハンカチを売る、キーホルダーを売る、これは大体二個千円という形で売っているわけですが、同じようなやり方であります。そういう状況が起こっています。私どもの方もそれを調べてみましたが、このNコーポの八〇一号室、これには多い日で十五人から二十人ぐらいの若い男女が出入りをしている。そこには統一協会の郵便物も入っております。朝鮮ニンジンの空箱もあると、そういう状態でありました。これに対して報道では、築地署が法的な検討を開始をしたというようになっておりますが、警察の方ではこの問題についてどういう対処をなさいましたか。
  275. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) まず最初の問題でございますが、私どもも昨年の十二月十四日付の読売新聞の報道で、先ほど御指摘になりました善意銀行の問題を知ったわけでございまして、この問題についてはこれは後先になりますけれども、ハンカチ娘との関連もございましたので一応調査をいたしたわけでございます。その結果によりますと、十二月一日に谷川某の名前で一万二千円、それから同年十二月の二日飯尾某ほか八名の名前で四万円がそれぞれ預託をされておりました。その預託者の住所がいずれも吉田とも子さんという方のところになっておりました。これはやはり変ではないかということで吉田さんのところを訪ねましたところが、すでに転居をいたしておりまして、その後行方を捜しておりますけれども、現在までのところまだ判明いたしておらないわけでございます。これも引き続き一応調査をいたしたいと考えております。  それから、東京一円にハンカチ売りが非常に多いというような情報あるいは報道等もなされたわけでございまして、そこで築地署としては特に外勤警察官の巡回連絡等でそのような者の監視、取り締まりに当たっておったわけでございますが、まあこの件について昨年の十一月二十二日に、住民からの通報がございまして、そのハンカチ売りの現場に参りましたところが、女性がハンカチを売っておった。で、その人は東京都の中野区本町の前田智代子二十一歳でございました。一応任意同行を求めて取り調べをやったわけでございますけれども、具体的にハンカチを売っておった現場を確認しておりませんでしたし、またハンカチを買ったという者も、まあその周辺ちょっと捜してみたんですけれども、これはどうしても発見できなかったということでございました。しかしながら、一応道路交通法違反の疑いがあるということで誓約書を徴しまして帰したというような状況でございます。
  276. 神谷信之助

    神谷信之助君 これも調査を引き続いてやっておられるようですから、進めてもらいたいと思います。  同じ事件が五十二年の十二月十八日に横須賀市でにせ街頭募金というのがやられておって検挙されました。これについてひとつ報告していただきます。
  277. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 御指摘の案件は神奈川県横須賀警察署で取り扱った事件だと思うわけでございますが、横須賀警察署の外勤警察官が昨年の十二月十八日午後六時ごろでございますが、市内の若松町の京浜急行横須賀中央駅前の広場を警らいたしておりましたところが、小林輝美という人物が手製の募金箱を持って「歳末助け合いめぐまれない子供に愛の手を!」ということで呼びかけておりました。不特定多数の人から募金を行っておったわけでございまして、これを現認しましたので職務質問をしましたところ——社会福祉事業を行おうとする者は都道府県知事の許可を受けなければならないわけでございますが、この許可を受けておらなかったこと、それから交通の頻繁な道路において寄付を募集しようとする者は所轄の警察署長の道路使用の許可を受けなきゃいけませんが、これも受けておらないということで、社会福祉事業法第六十九条、それから道路交通法第七十七条を適用いたしまして検挙をいたしております。これはことしの三月十六日、横浜地検の横須賀支部に事件を送致いたしております。
  278. 神谷信之助

    神谷信之助君 実はこの件はちょっと事前に言ってなかったのでどうかと思いますが、横須賀支部に送致されていますから、法務省の方わかっていますか。
  279. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいまお聞きしたのが初めてでございまして、内容の詳細等を把握いたしておりません。
  280. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ統一協会との関係はどうでしたか。
  281. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) まあ私どもの捜査方針は、個々の問題、事件もさることながら、背後関係ということも十分考えながら捜査をやっておるわけでございます。で、その点につきましても一応取り調べをやったわけでございますが、否認をいたしまして供述を得られませんでした。
  282. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ住所どこになっていますか。
  283. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) いまちょっと資料が手元にございませんので、後ほど御報告申し上げたいと思います。
  284. 神谷信之助

    神谷信之助君 毎日新聞の報道によりますと、埼玉県児玉郡神川村二宮一〇五となっていますが、恐らくそうじゃないかと思いますがね。そうしますとね、この埼玉県児玉郡神川村二宮一〇五という住所、これは統一産業の神川工場の住所なんです。だから、本人は供述はしておらないかもしれませんが、これ調べればすぐわかるんです、実際に。そこまで調べがやられているんですか、どうでしょうか。
  285. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) この住所地につきましては、これは当然捜査をいたしております。で、まあ私どもはここへ居住しているというだけでは断定はできませんので、一応推定はできると思いますけれども、私どもとしては自供を得られなかった。したがって、断定できないと、こういうことでございます。
  286. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体いままでお聞きをしておりますと、この種の事件でかかりますと統一協会との関係は黙秘する、否認をするという点でずっと一致をしておるんですよね。ところが実際には大学の原理研究会に参加をしておるとか、あるいは住所は統一産業の神川工場であるとか、あるいは先ほどの石本のように卒業生名簿にはちゃんと彼らの合宿所新生ホームであるとかというように全部関係しておるんですよ、共通しているんですね。きわめてそういう点でいうと組織的な犯行、やっている犯罪行為自身は罪状としては非常にささいなように見えるけれども、しかし、国民に与えている影響というのは非常に多いわけでしょう。いろんな迷惑をかけ、それで平気でしかも日本のそういう法律を無視をする、そういう行為を大々的に組織的に繰り返している、なかなかそう簡単につかまらぬようになっている、つかまってもそれは否認をしている、個別にはそうやっていながら、そういう背景なり何なりを見なければ、これは組織的犯行かどうかというのはわからぬわけでしょう。ずっといままで最近の事例幾つか挙げましたが、まだまだあるんですよ。街頭あるいは千円程度のそういう福祉の名をかりた訪問販売、これは大体、時間がなんですからほかの、次に移りますけれども、こういうのが起こっているというんですがね。こういう状態については、ひとつ警察の方ではこういう点はどういうようにお考えになるんですか。やっぱりその辺はこれはおかしいじゃないか、同じ系統の統一協会関係の連中があちこち全国で起こしておる、そういう角度からの捜査というのはお考えにならないんですか。
  287. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 先ほどお答え申し上げましたように、警察の捜査の基本方針は個々の行為だけにとらわれないで、その背後にあるもの、そういうものを明らかにしていくということでございまして、私どもといたしましても、これはこの種の事件だけに限ったわけじゃございませんけれども、そういう方針で今日まできているわけでございます。それでただいま私の方から御説明いたしました事件あるいは一和高麗人参茶、濃縮液の事件等がございまして…
  288. 神谷信之助

    神谷信之助君 これからやります、人参の方は。
  289. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) そういう問題については全国の都道府県警察に対しましても、この背後関係を明らかにせよ、特に上部を追及するようにということを指示をいたしておるわけでございます。現在のところは必ずしも満足すべき結果ではないと思うわけでございますけれども、私ども今後捜査上の工夫等いたしまして鋭意捜査を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  290. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまちょっとお触れになりました、それでは次の高麗人参茶とか濃縮液あるいは高麗大理石のつぼですか、こういった物品の訪問販売問題についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、これは昨年の国会で問題になったやつですね、一和製薬あるいは幸世商事、これはことし三月から「世界のしあわせ」という、名前に変わっておりまして、これらの人参茶、濃縮液の訪問販売ですでに発生した薬事法違反等の事件ですが、これどうなったかという点であります。  それで、一つは昭和五十一年十二月十八日に新宿区高田馬場の天宝堂、杉並区の梅里の健康管理センター、大田区の西蒲田の八雲商事、これらについて警視庁が捜査をなさいました。そのうち八雲商事の件は鍋島和子ほか一名が五十二年の二月二十五日に送致されています。その以外は捜査中というのが昨年の答弁、状況であります。  それからもう一つは横浜でありました横浜市株式会社浜一及び同社代表取締役の小林アイ子、これは去年五月十八日に横浜簡裁で略式命令が出ているようであります。  この二つの点について警察庁及び法務省の方から御報告いただきたいと思います。
  291. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) お答えいたします。  一和高麗人参、濃縮液に係る事件でございますが、これは警視庁が住民からの苦情等に基づきまして内偵をいたしたわけでございますが、その結果薬事法違反の容疑が明らかになりましたので、十二月十八日に、先ほど先生御指摘になりました大田区西蒲田の八雲商事、それから杉並区の梅里の健康管理センター、それから新宿区の高田馬場の天宝堂、この三カ所について捜索をしたわけでございます。  この八雲商事につきましては、捜査の結果違反容疑が明らかになりましたので、八雲商事の代表者の鍋島和子ほか一名を薬事法違反で送致をいたしたわけでございますが、その結果につきましては、ちょっとこれは法務省の関係かもわかりませんけれども、鍋島和子については罰金七万円、それから松永富子については七万円の罰金、それから八雲商事、これは法人でございますが、罰金七万円と、こういう結果になっておるわけでございます。  そのほかの健康管理センターと天宝堂でございますけれども、捜索をした段階で社員が一名ずつそれぞれおりましたけれども、これは留守番程度の者で事情が全然わからないということで要領を得なかったわけでございます。したがいまして、そこの責任者というものも逃亡をして不在であるということでございまして、現在もその行方を追及しておるというふうな状況でございます。  で、これらの高麗人参の経路でございますけれども、これは幸世商事から購入したという事実についてははっきりしておるわけでございます。ところが八雲商事の取り調べの結果につきましても、これは東京幸世商事から購入する際には健康食品ということで買ったと、しかしながらわれわれのところで売る場合にその薬効をうたって販売をした、こういうふうに供述をしておるわけでございますが、この東京幸世商事につきましても、そこの営業部長の西川という二十九歳の方でございますが、この方に一応事情を、任意取り調べをいたしたわけでございますが、八雲商事の供述と同じように、やはり健康食品として売った、これは私どもはもうデパートでもどこでも売っているんで、そういう形で売ったんだと、こういうふうに供述をしておりました。そういう関係では、まあその段階で一応事件が切れたような形になっておるわけでございますが、しかしながら、この事件については、これは先生もう十分御承知だと思いますけれども、かなり全国的にわたっております。そういうことで各府県にもそれぞれ指示をして捜査をやらしておるわけでございますが、これは新潟県の北陸アナックスという会社でございますが、この関係で東京幸世商事の捜索をやったわけでございます。その結果、東京幸世商事についての立証をするという証拠物件等の押収はございませんで、全国的に見た場合でも現在のところは販売店の段階ということでございます。
  292. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう法務省の方は大体いまのは内容わかりましたから。  それじゃ、いまも全国的にそういう状態が起こっておるので警察の方も背後関係含めて捜査をやっておられるようでありますが、とにかくこの人参茶、濃縮液についての苦情というのは非常に激化をしておるわけですが、関係各省でこれに対してどういう対処をされておるのかという点をまずお聞きをしたいんです。  まず通産省ですが、消費者相談室の苦情を、もう時間がありませんから申し上げますが、昭和五十二年四月から五十三年の三月まで二十六件、実質十一件あって、お聞きをしますと、各県からの法解釈による問い合わせと直接の苦情であって、各県の消費センターにはもっとあるだろうという話でした。大体どういう苦情、問題が多いか報告をしてもらいたいと思います。
  293. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 朝鮮人参関係の苦情相談件数でございますが、二十一件ございました、五十二年度でございますけれども。そのうち九件は問い合わせでございまして、販売行為等に問題があった件数は十二件でございます。苦情の内容といたしましては、一番多いのがやはり、訪問販売法によりますと一部を消費いたしましたときはクーリングオフができないようなこともありまするので、これに対する脱法的な意味合いを持つと思いますが、ためしに飲ませてみる、それから内容確認ということで封を切らせるということを誘導するというような行為、これらに対する苦情が七件でございます。それから、書面の不交付についての苦情が三件ございます。それから、健康相談にかこつけてやってきたというような苦情二件ございます。それから、これもクーリングオフ逃れかと思いますが、現金購入を誘導するというのが一件、居座りをしてどうしても動かないというのが一件、朝鮮人参を飲んだら体のぐあいがおかしくなったというようなものが一件と、このような状況になっております。
  294. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは何ですか、一和製薬関係の人参茶あるいは濃縮液というのがそのうちどのぐらいあるのかという点と、それから、これらの苦情に対して通産省の指導はどういう指導なさっているのか、この二点ちょっとお伺いします。
  295. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 第一点のどこの製品かということに関しましては、ただいま整理を行っておりませんので、ちょっとここではお答えいたしかねると思います。  それから、第二の御質問でございますけれども、通産省といたしましては、ただいま申し上げましたように、たとえば試飲、内容確認の誘導というような苦情に関しましては、個別に業者を呼びまして相談室の方からこれはやはり適当ではないということで指導をいたしまして、その結果、消費者の納得するような方向ですべて解決をしておるということでございます。それぞれ業者とそれから消費者との間の言い分を聞きまして消費者の納得するような形で解決をしておる実情にございます。
  296. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、結局通産省の関係では、訪問販売法の罰則を適用するということにならないで、業者の方が非を認めてキャンセル料を払うとか、あるいは解約をするとか、そうしちゃうということになるわけでしょう。ひとつこの内容をちょっと整理をしてもらって、そして、どういう関係の業者、どういう人参茶あるいは濃縮液であるかというのを整理していただけますか。あるいはまた、警察の方も、先ほどおっしゃったように、そのことについてやっぱり全国的にどういう事態が起こっておるかということを知る上でもいい資料になるんじゃないかと思いますね。われわれの方も実態を知る上でもひとつそういう点整理をしていただきたいように思います。この辺お願いできますか。
  297. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 相談室の方で資料がある限りにおきまして整理をいたしたいと思います。
  298. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に、厚生省関係はいかがでしょうか。薬事法の違反の問題でいままで事件が送検され、略式命令でありますけれども刑の確定をした事件もあるわけですが、これらについては厚生省の方でどういうように対処されておりますか。
  299. 伊藤卓雄

    説明員伊藤卓雄君) ただいま御議論になっております人参茶あるいは人参濃縮茶、こういったものにつきましては、いわゆる健康食品というふうに称せられておりますものかと思いますけれども、こういったものにつきましては、これもうすでに御案内のとおり、たとえ健康食品と称しておりましても、やはりそのものの成分あるいは本質、形状、それから効能、効果、用法、用量、それの表示、そういったものによりまして総合的に判断をいたしまして、これが薬事法に言います医薬品というものに該当する場合には当然取り締まりの対象になるわけでございます。したがいまして、そういったものを無承認、無許可でつくるということは認められないわけでございまして、そういったことにつきましては、各都道府県を通じまして監視、指導、取り締まりといったことをやっておるわけでございます。
  300. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどちょっと問題になりました八雲商事などの事件があって、厚生省としては東京都の薬務部を指導して、いわゆる幸世商事、これにパンフ、薬効欄の部分は削除する、あるいは焼却方の指導をした。それから東京の幸世商事に対しても、販売指導テキストの作成を指導するとか、代理店、営業所等への徹底方を指導するとか、こういう指導をされたというように聞くんですね。それで間違いないですかね。
  301. 伊藤卓雄

    説明員伊藤卓雄君) そのとおりでございます。
  302. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう指導がやっぱり行き届いてきて、下の販売店では薬効があるかのような形をして売ると、上の東京幸世商事の方では、販売元のところでは、いや健康食品として販売をしているだけですと、こうなって、なかなかさっきの保安部長さんじゃないけれども、むずかしくなったですね、これ逆に。そういう状態が起こっているのですが、しかも、そういう指導をなさったというけれども、非常にこの高麗人参それから人参茶と濃縮液の苦情は非常に多く殺到しておるわけです。企画庁の所管の特殊法人である国民生活センターですが、この間私どもの赤旗の記者が行って、七五年の四月から七七年の十二月まで、濃縮液及び茶の訪問販売に関する苦情があった分を、コンピューターに入っているのを全部調べてもらいましたち六十三件ありました。内容は時間の関係がありますから——大体、催眠商法、それから開封して強要する、それから飲んだら発熱、下痢、しびれ、それから心臓がおかしくなる、気分が悪い、効果がない、それで返品を拒否をする。で、中身がほとんど一和製薬、幸世商事のものになっていますね。そういう状況がわかったわけですが、こういうのについて、国民生活センターではそういう個々の苦情に対してどういう対処をなさっているわけでしょうか。
  303. 井上基

    説明員(井上基君) 国民生活センターでは、ただいまおっしゃいましたような苦情を受け付けした件数を、全国でどれだけあるかというようなこと、あるいはセンターでどれだけ受け付けているかということで統計をとってございます。で、地方の消費生活センターに寄せられました苦情については、必要に応じまして、関係行政機関にこういうものがあったというような形で、統計あるいは資料という形で流してございます。  それから、地方で処理が困難なものについて、もし必要であれば、国民生活センターの方でその処理に対して援助をするというようなことでやっておりますけれども、いまの高麗人参茶等につきましては、そういう件数はございません。  それから、国民生活センターで受け付けたものにつきましては、もちろん自主的に交渉をして処理をするとか、あるいは困難なものについて、先方とセンターがかけ合って処理をするというようなこと等の処置をしてございます。
  304. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしたら、なんですか、生活センターのみならず、各県なり市町村のそういう消費者相談施設なりに苦情が入っているのは、全部あなたのところへ集中しているわけですか。
  305. 井上基

    説明員(井上基君) 統計的には全部収集してございます。たとえば全国に十五万件の苦情があるというような形で収集してございます。
  306. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、現在の状況で収集された資料ですね、統計、後でひとつ私の方に知らしていただきたいというように思います。  問題は、大臣、これはこうやって、警察は警察で、あとは厚生省は厚生省で薬事法違反にならぬように行政指導をするということだし、それで、通産省の方は訪問販売法違反にならぬように、あるいはそういうもの、問題起こったら金返してもらう、中へ入って処理をするということで、それぞれがばらばらなんですね。これ全体として総合的に、やっぱりこの問題というのは至るところに起こっておるので、ひとつ対処する必要があるんじゃないかというように思うんです、表面化しているのはほんの氷山の一角でありますから。ところが、その氷山の一角であるそれも、やっぱり調べてみると、非常にひどいことがあるんですね。たとえばこれは埼玉県富士見市にあります埼進商事、これは統一協会の事業会社でありますが、これが五月の六日から八日にかけまして、朝の八時から夜十一時まで高麗大理石壷の即売展示会というのをやりました。それのまずこの展示会に先立って、人参茶などを売り歩いて、それを買った人たちに案内状が行ったわけです。案内状売り込みの文章には、「神の山から取って造られた壷、さわれば病気が治る」というわけですね。で、その展示会へ行けば、その神の山から取った石、力があり、さわれば病気が治るというスライド、もう一つ、美術的価値の宣伝、この二木のスライドを見せて、そして、そのつぼが一個大体三十万ぐらいで売っているわけです。これは神の山から取った石で力があり、さわれば病気が治るというのだったら、これはどうなんです。薬事法違反になる宣伝じゃないの。これどうです。厚生省か、どんなような……。
  307. 伊藤卓雄

    説明員伊藤卓雄君) いま御指摘の問題については薬事法の所管の問題ではないように理解いたします。
  308. 神谷信之助

    神谷信之助君 ないの。薬ではない。それで、安産に効くとか、それからつぼをなでて頭の痛いところ、あるいは胃から足などの局部をさすると全部治って元気になる、あるいは福が舞い込む幸福のつぼ、こう言ってこの六、七、八の三日間売りさばいています。こういう状態を起こすのですが、これは警察の方、別にどうもないですか、こういう宣伝をやってこういう物を売るのは。
  309. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) いま私、初めて聞いたんですけれども、現在の私の知識で判断した限りでは、これは法令違反の問題は出てこないんじゃないかというふうに思っております。
  310. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういう人をだますような、そんな大理石のつぼさわったって病気が治るわけないでしょう。それはそういうことを言って売ってもいいわけ。そういうことなんですか。
  311. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) その程度ではまだはっきりわかりませんけれども、それがやはり詐欺的な言動によって相手が錯誤に陥って金品を交付するというような詐欺罪の構成要件に該当するということであれば、当然これは詐欺罪の疑いも出てくると思いますが、いまの金品抜きということであれば、これはむしろ信仰の問題のような気がいたしましたので、先ほどそのようにお答えしたわけでございます。
  312. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは滋賀県の日野町の中井そのさんというおばあさんの話ですが、これは私どもの共産党の方に訴えてまいりました。それは、数年前からリューマチを病んで、おぼれる者はわらをつかむのたとえどおり、高価な人参茶を次々と勧められました。また、昨年大理石のつぼを売りにきて、断っても帰らず夜遅くまでおりますので、負けてしまい二つも買わされました、こう言って訴えがありました。早速日野町の中井さんのうちを訪ねましたら、寝たきりのおばあさんですね。そして、役場に息子さん夫婦が勤めておられる、そういう家庭ですね。この一家に統一協会の会員が出入りし始めたのが五年前の春で、リューマチの特効薬だと言って人参茶を売りつけた。これが最初で、昨年秋まで押し売りされた人参茶、濃縮液は約四十万円分。加えて韓国製の大理石のつぼ二個を五十五万円で買わされた。お嫁さんの方は、お母さんの病気がようなるというものでそしてつい、なかなか買わないと帰ってくれないのでということで、結局つぼの代金の支払いでおばあさんの方の貯金は空っぽになって、不足分の二十五万円は息子さん夫婦が年末一時金を充てて支払う、こういう状態だったわけです。そこで、私ども共産党の滋賀県の県会議員が県当局に行きまして、その話をいたしまして、県当局がその「世界のしあわせ」の滋賀県の代理店の天恵堂を呼び出して、はっきりした薬事法違反、訪問販売法違反だといって追及したら、その結果、つぼや未開封の濃縮液を引き取って代金六十万円が中井さんの手に戻ったわけです。大変な被害を受けているわけですね。  これはこういうこの中井さんだけじゃなしに、埼玉県のいまの先ほど言いました富士見市の東上線みずほ台の駅前に、先ほど言いました埼進商事という、それが店を出しまして、そしていま言いました大理石その他売っているんですが、五月の五日に諏訪町の年金生活者の老夫婦宅を訪れて、それで健康調査まがいに、顔色が悪いとか、これを飲めばよくなると言って人参エキスを勧めて五万円で売りつける。これに味をしめて、翌六日には今度は四人組で押しかけてきて、高麗大理石のつぼを買わせようとして、断るのも聞かずに頭金五千円と毎月五万円ずつ四回払い、計二十万円で購入契約をつくって無理やり印鑑を押させると。その月賦の支払い日は五月十五日、六月十五日、九月十五日、十二月十五日と年金の受け取り日なんですね、全部。そういうことで、老夫婦がたまりかねて市役所の市民相談室に相談をしてきました。共産党がこれを取り上げて街頭演説でどんどんやりましたら、そうしたらあわてて埼進商事社側がこの契約を破棄をしてつぼを引き取りに来ると、こういう状況も起こっています。  それから、石巻市では、同市の水押というところでわかっただけで十五件、これは栄進商事という名前を名のっているんですが、人参液を売りつけられています。ここでは顔色が悪いとかどうとか言いながら手相を見たりしてうまく買わす、こういう事件が出ています。ですから、このようにいろんな形であっちこっち全国的に、私どもの方にはそういう話が入ってくるのはきわめて一部ですから、氷山の一角みたいなものですから。だから、大変な被害を受けている方が非常に多いというように思うんですが、こういった点は警察の方ではどういうことなんですか。そういう話、警察の方にはそういろんな相談なり持ち込みはないわけでしょうか。訴えといいますか。
  313. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 警察の関係では、違反がはっきりしている場合には被害届という形で届け出があると思いますし、またその段階まで至らない場合でも、困り事相談という形で来ているものというふうに考えておりますけれども、現在、ただいま先生が御指摘になった具体的な事件についてどうなっているかということは承知をいたしておりませんが。
  314. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまみたいな、何ですね、一たん押し売りされて契約とられて、結局騒ぎになって、そしてつぼならつぼを引き取って金を返す、それで金を返したりしたらそれはもう犯罪事件にはならないわけですか。
  315. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 犯罪を構成した後話し合いで被害回復がされたとしても、厳密な意味においては犯罪がそれによって阻却されると、消滅するということはないと思っております。
  316. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、ただいま読みました埼玉県の富士見あたりで埼進商事でそういうのが数件なら数件出てくる。で、金は返ったけれども犯罪行為自身はそういう組織的あるいは常習的といいますか、そういう行為があればこれは当然警察の捜査の対象になるということでいいですね。  その次、もうあと時間がありませんから急いでいきますが、こういういまずっと挙げましたが、街頭募金それからいろんな人形やマスコット売り、それから濃縮液、人参茶、大理石のつぼ、いろいろ売り歩く、こういう金が一体どこへ流れているというようにお考えでしょうか。
  317. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) 私どもは、犯罪を構成するものについては、これは捜査あるいは犯罪事実を立証する上に必要でございますので把握をしておるわけでございますけれども、しかしその後これがどういうふうに流れ、使われているかということについては承知をしてないわけでございます。ただいま御指摘になりました大理石のつぼとか、あるいは高麗人参茶についてちょっと資料を持ち合わせておらないんですけれども、街頭募金等についてはその範囲内において把握をしておる、資料も持っておるということでございます。
  318. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと時間がなくなってきましたからあれですが、昭和五十二年一月二十一日宣告の石井光治ら三名に係る外為法違反事件の神戸地裁における判決です。ここで実は先日神戸地検に行って立件書類をずっと見てまいりました。判決に出ている統一協会関係の組織関係、財政関係、それから関連企業との関係、これらが判決文に出ておりますから、それを立証するいろいろな証拠書類があるであろうということで先日全部見てまいりまして、一部コピーをして持って帰ってきたわけですが、それによりますと、これは証拠書類の方は法務省取り寄せまだできていないでしょう、どうですか。
  319. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 神戸地検に対しまして可能な限りの報告は求めておりますが、果たして御要望に沿えるだけの資料が来ておるかどうかは……。
  320. 神谷信之助

    神谷信之助君 それによりますと、統一協会の渉外部長で財政責任者であります石井光治、これが地裁での公判廷において「統一協会資金流動ルート」及び「熱狂グループその他石井光治扱いの資金の流動ルート」こういう表で、資金の流れというのを供述、証言をしております。それを見ますと、伝道所及び教会からの献金が、二百二十七カ所から全国の五十一地区本部教会を経て石井のところに全部入ってくると、これが全部の九五%になります。その九五%になる教会から上がってくる金の中では、一つは不特定多数の信者からの銀行払い込み、これは久保木修己名義あるいは周藤健あるいは林信子名義、これに入って坂口松三郎を通じて石井光治のところに入る。片一方キャラバン隊、全国巡回でフラワー部隊とかカンパ部隊、これが林親子名義の現金もしくは銀行振り込みをやって、そうしてこれもまた石井光治のところに入る、こういう流れを説明をしております。大体これについては間違いないでしょうか。
  321. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま先生がお読み上げになりました表は、外為法違反事件の被害事件公判におきまして、被告人側が資金の流れをより明確にしたいという観点で提出してきたものでございまして、その内容の信憑性等につきましては、遺憾ながら検察当局といたしましてあれこれする立場にはないわけでございます。
  322. 神谷信之助

    神谷信之助君 法廷でこれが提出されたことは確認できるわけですね、彼らの方から説明したわけですから。
  323. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま申し述べましたとおり、法廷におきまして被告人側が提出した資料でございます。
  324. 神谷信之助

    神谷信之助君 統一協会の方が言っている資金の流れというのは、そういう形で来ています。  そこで彼らが言う熱狂グループというのが、彼らの言葉で出ておりますが、これについて四十九年二月七日の第七回公判で石井光治のもとで財政部長をしている坂口松三郎証人が、献身者及び熱狂グループについて次のように述べておるわけです。献身者とは自分の自我、自分の肉体、そして自分の収入そういうものを神のためにすべて優先して使うこと、それに対して文句はない、そういう心境を告白した立場を言う。熱狂グループとは、勝共活動のために私と同じような献身的な立場においで、昼も夜も自分のことを構わないで勝共活動に必要なお金をつくるためにすべてを投げ出して働いてくれるグループのこと。それに対して裁判長は、熱狂的に資金をつくる人ですか。はい、そうです。熱狂グループの資金というのは勝共連合の資金ということになるんですか。勝共連合の資金、石井光治が管理している資金です。その金はどういう関係の金か。石井個人の金か。これに対して、あくまでも勝共活動並びにわれわれの活動のためにということで集められたお金で、個人のものではない。熱狂グループは勝共連合の活動のためのグループか。答えは、並びに統一協会の布教活動のグループでもあります。というような証言がなされておりますが、この点はいかがでしょうか。
  325. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 法務省といたしましては、確定事件の記録内容の逐一まで把握しておるわけではございませんので、ただいまお読み上げの個所が証言を正確に表現しておるのかどうか、明確にお答えはいたしかねるわけでございますが、ただ確定記録は御承知のとおり一般に公開されておりますので、閲覧の上でお読み上げということに相なりますれば、やはりさような趣旨の証言がなされておることは間違いない事実であろうかというふうに考えます。
  326. 神谷信之助

    神谷信之助君 そういうことであれば、証人の証言の方はそういうことになりますからなんですが。  さらにこの公判で坂口証人が、花を売る、最近は高麗人参茶を売り、そこから出てくる収益で勝共活動資金にしたと、こういう証言もしております。  それからまた石井証人は、統一協会、勝共連合、営利企業に対して裏資金を支出し、資金援助する権限を与えられた。この裏資金を集めるのは、協会と勝共連合及び賛同者から成る熱狂グループのカンパ活動、花売り、人参茶等の販売による収益でありますと。  それからさらに、四十九年九月流目の第十四回公判における石井証言は、統一協会の持つ目的、理念を中心に集まった人たちでつくった会社、創設した会社ということは言える。それから、すべての団体及び会社等は宗教法人世界基督教統一神霊協会の基盤の上にある概略団体としてと言っていいと思います。という証言をしています。  こういう証言を含めて、それらを含む多くの証拠に基づきまして神戸地裁の判決が次のように確定しておると思いますが、その点はこれは判決文ですから確認していただけると思いますが、すなわち、   統一協会と勝共連合は組織上も関連するところがあること、次に、前記熱狂グループは、統一協会の信者、賛同者や勝共連合の会員、賛同者等において一〇年以上もの以前から統一協会や勝共連合の伝道、活動資金の収集を目的に全国各地で花売り、人参茶の販売、資金カンパ等の活動をしてきた者等の集団であって、全国各地の熱狂グループの収集した右資金は、すべて被告人石井のもとに集められ、被告人石井の管理のもとで勝共連合の活動資金や統一協会関係の活動資金に使用されてきたこと、そこで、少くとも右のような熱狂グループの資金収集活動及びその収集資金の活用を見る限りにおいては、統一協会と勝共連合の間に資金面の関連も否定できないこと、更に、前記の統一産業、幸世商事、幸世自動車及び幸世不動産は、もとより法的には統一協会と別個の法人ではあるがいずれも統一協会の信者等で組織され、経営されている会社であって、統一協会から出資や事業資金の貸付を受け、他方統一協会の信者たる右各会社の役員や、従業員等はその報酬、給料の殆んどを統一協会に献金しており、また、右熱狂グループとの関係では、その収集資金の一部が右各会社事業費に流用されている事実もあり、就中、幸世商事は前記の熱狂グループの販売する人参茶の韓国からの輸入にも当っているのであって、少くとも以上の限りでは、右各会社と統一協会との間にも人的及び金銭的な関連のあることが認められる。  というように判決では言っています。これは兵庫県警並びに神戸地検の方でこれらの活動について相当お調べになり、そして法廷でそのことを証拠として明らかにしながら、それに基づいてこういう裁判長が判決の中で判断をしたと思うわけですが、判決の中にこういう点が述べられていることは、これは確認していただけますか。
  327. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 当該事件の判決書中にただいま先生お読み上げのような記載事実があることは事実でございます。
  328. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうしますと、いま読み上げました点を俗っぽく言うならば、統一協会、勝共連合、それから関連企業、これらは形態としては組織は別だけれども、しかし実際上は、中身はといいますか、一心同体のような関係にあるということを判示をしているというように理解をしてよろしいでしょうか。
  329. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 刑事事件の判決と申しますのは、検察官の提出した証拠並びに被告人の提出しました証拠を総合勘案してその事件の事実認定に必要な限りにおきまして周辺事実を認定していくということでございます。ただ、その認定事実が当該事件の刑事責任を明らかにする限りにおいてということでございますので、判決書中の認定がそのまま客観的な事実と符合しておるかどうかということまでは必ずしも一概に申し上げることはいたしかねる面もあることは事実でございます。
  330. 神谷信之助

    神谷信之助君 この裁判の判決では、そのことはこういう関係があるということの判断をしたことは事実でしょう。
  331. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) そのように御理解いただいても結構でございます。
  332. 神谷信之助

    神谷信之助君 私はずっと証言記録全部見たんですが、これらの熱狂グループ、いわゆる訪問販売などに当たっているグループであるわけですが、証言の中身をずっと見ますと、これらのグループが集めた金がいわゆる福祉活動に寄付をされたという証言は私の見た限りでは一つもありませんでした。先ほどちょっと例を挙げました、善意銀行に預けて、預託証をもって、それを証拠にというか、それを使って、そして福祉をかたる、そういう隠れみのに使うというような意味での寄付というのはあったように思うんですけれども、この神戸地裁の判決に、この事件でありました一切の証言記録及び証拠書証、これらを見た限りではそういうのがなかったわけであります。したがって、私はそういう福祉の名をかたって、そして人の善意を踏みにじるようなこういう訪問販売活動、これは許されるべきではないというように思うんですが、この点大臣考えいかがなものでしょう。
  333. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 福祉のために募金活動等をいたします場合には、もとより所定の手続が要るのでありますし、そしてまた募金をいたしました金は当然福祉に使われなければならぬ、かように思います。
  334. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが、そういう形で集めた募金が、この判決文によりますと、こうやって集めたお金は韓国の統一協会に献金をされている。この判決の中では、五十年十二月ごろまでに百四十万ドル近く、すなわちあの当時のなんで三百六十円で見れば五億円余りですか、に及んでいるというように言っています。さあ、そういうことを判決文では指摘をして、「おおむね前記の教義や思想面については韓国側が指導的立場に、その宗教的、政治的及び事業上の活動の資金面では日本側が支援的立場に立つような相互関係が維持されてきた」というように判決文では言っておりますが、こういう国民の善意を踏みにじって、福祉に使うんだと言ってだまして金を集めて、しかもそれが石井光治のところに集中をして韓国の統一協会に献金をされると。言うなれば、韓国の方に貢ぐと、こういう状況になっているわけですね。この統一協会の教義では、韓国は神の国である、男性の国である、日本は悪魔、サタンの国である、天照大神は女性だから日本の国は女性の国なんだ、だから女性が男性に結納を届けるのはあたりまえのことではないかという趣旨の教義がある。まさに何といいますか、そうやって日本の青少年を引きずり込んで、そして熱狂グループの一員に加え、そして福祉の名をかたっていろんな物品の販売までやり、あるいは恵まれない子供たちのためにというようなことでカンパをする、これが吸い上げられて、そして韓国に結納として持っていかれるという状況になってきているわけです。こういう状態が、私はこの神戸地裁の判決を含めて考えると、きわめて重大なことではないかというように思うんですが、こういう点についてはひとつ大臣どのようにお考えでしょうか。
  335. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私は、基督教統一協会の内容等につきましては、かいもくわからないのでありますけれども、ただいまお話がございましたように、韓国は神の国であって、そして日本が女性の国であり、女性は貢ぐべき国だ、結納を持っていくべき国だと、かような教義であるといたしますならば、私はさような考え方には賛同いたしかねます。
  336. 神谷信之助

    神谷信之助君 当然だと私も思うんです。  統一産業の総務部宣伝課がつくっている「特約店ニュース」というのがあります。これは、いま言いました人参茶をもっとどんどん売れということで、お互いの、何というんですか、成績を激励をし合う、そういう記事が満載をされていますが、その中で、東ブロック会議、西ブロック会議というのがやられている。そこで言われているブロック長あるいは所長に対する指示の中で、九番目には「女性国家の使命」というのがありますね。だから、日本は女性国家なんだから、その使命に応じてうんと金を集めて、そして韓国に送るべきだということを述べていますね。まさにこういう状況が生まれています。したがいまして、私は先ほど安部長さんもおっしゃっていましたけれども、ずっといま取り上げた、金額の高い事件もあれば、それから細かい事件もあります。いろんな活動を多面的にいま取り上げてみたわけでありますが、そういうのを個々にこうやって考えてみますと、取り締まるだけではなしに、そういう組織的な行動になっているわけですから、背後関係というか、その点は警察の方も非常に苦労なさっているようですけれども、そこにやっぱりメスを入れるということがどうしても必要であろうというように一つは思うんです。  それからもう一つは、政府部内で、この点関係各省庁とも連携をして、そしてお互いにどういうやり方があるかということも研究もする。それから厚生省あるいは通産省あるいは経企庁ですね、こういうところでは、そういう手口も含めて、国民に対して注意を喚起をしていく、そういうような措置をとる必要があるんじゃないかというように思うんですが、この点いかがでしょうか。まず警察それから厚生省、通産省と。
  337. 森永正比古

    政府委員森永正比古君) ただいまの御意見、十分お承りいたしまして、検討さしていただきたいと思います。
  338. 伊藤卓雄

    説明員伊藤卓雄君) 私どもも、医薬品の観点からでございますけれども、健康食品の持つ保健衛生上の問題というようなことをつとに理解を深めていただきたいと思っておりますけれども、今後またいろいろな機会をとらえてまいりたいというふうに考えます。
  339. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 通産省といたしましては、訪問販売の健全化という見地から、訪問販売法等の制度の内容あるいは訪問販売の利用上の注意等につきまして、従来からテレビあるいはパンフレット、リーフレットなどによりましてPR活動を行っておるところでございますが、被害の実情等も十分勘安をいたしまして、今後とも適時適切なPRに努めてまいりたいと考えます。
  340. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治大臣ね、先ほどから全国的にこういう問題が起こり、それから各県の相談室あるいは市町村の窓口、相談室なんかに苦情それから問題が持ち込まれておるわけですが、ひとつ自治省として、そういう各自治体に対して、彼らは福祉活動のためにやっておりますということを言っていますが、実際にそういう寄付をしているのかどうかという点と、それから苦情が実際どれだけ一体どのような問題で起こっているのか、こういう点について、自治省としてもひとつ調査をして、その結果に基づいて適切な指導をする必要があるんじゃないかというように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  341. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) ただいま十数件の事犯を御指摘になりまして、いろいろ御質問もあり、また答弁がございまして、中には詐欺的な行為と思えますような事犯等もございましたけれども、しかしさような金が地方公共団体に寄付されているとは思いがたいのでありますけれども、しかし調査をよくいたしてみたいと、かように考えます。
  342. 神谷信之助

    神谷信之助君 これで最後にいたしますが、御承知の先般衆議院の地方行政委員会で、わが党の正森議員が、特にこの勝共連合の選挙妨害問題について追及をいたしました。ところがいま立川の市会議員選挙がやられていますが、この勝共連合が同じように傍若無人といいますか、選挙妨害活動を展開をしております。しかもこれは私は非常にけしからぬ話だというように思うのですけれども、さらに私が見てまいりました神戸地検でのいろんな証言を見ますと、一億数千万円を使って某自民党の国会議員の選挙応援をしたという供述もあります。きょうはこれは触れませんが、いずれこの問題も取り上げてみたいというように思います。いずれにしてもこの統一協会の問題というのは、わが国だけではなしに、アメリカでもあるいはフランスでもイタリアでも、各国でいま問題になってきています。御承知のようにアメリカのフレーザー委員会は、この文鮮明の召喚を決定をしたら、とたんにロンドンの方に逃げ出しているわけです。自民党政府が尊敬をしているアメリカでも、この韓国の統一協会のアメリカの国政に対する干渉あるいは議会に対する汚い工作、こういったものについて徹底的に追及するという態度をとっているわけですね。したがってその点でもわが国はわが国として、政府自身もこの点ひとつ考えて、この問題について徹底的なメスを入れなければ、わが国の将来に非常に大きな禍根を残すということになりかねない、そういう危険な組織ではないかというように私ども考えております。きょうはこの点大分時間をかけていろいろ追及いたしましたが、最後にこの点を警告をして、私の質問を終わりたいというように思います。
  343. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会      —————・—————