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1978-04-13 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)    午前十時三十三分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      前田 勲男君     園田 清充君      秋山 長造君     小山 一平君      小谷  守君     佐藤 三吾君      沓脱タケ子君     神谷信之助君  四月十一日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     伊江 朝雄君  四月十二日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     金丸 三郎君      神谷信之助君     渡辺  武君  四月十三日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     山崎  昇君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 山崎  昇君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 渡辺  武君                 前島英三郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁警備局長  三井  脩君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        法務省民事局第        一課長      藤井 正雄君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        大蔵省主計局主        計企画官     公文  宏君        国税庁調査査察        部調査課長    五味 雄治君        厚生省公衆衛生        局地域保健課長  辻林 嘉平君        資源エネルギー        庁公益事業部業        務課長      上杉 一雄君        運輸省航空局監        理部監督課長   松村 義弘君        郵政省電波監理        局放送部業務課        長        志村 伸彦君        日本国有鉄道旅        客局総務課長   須田  寛君        日本電信電話公        社営業局長    西井  昭君        日本電信電話公        社業務管理局長  浅原 巌人君    参考人        丸紅株式会社秘        書室秘書課長   荒井  孝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (政治資金に関する件)  (選挙に関する件)  (地方行財政に関する件)  (新東京国際空港の警備問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月三十一日、前田勲男君、沓脱タケ子君、秋山長造君及び小谷守君が委員辞任され、その補欠として園田清充君、神谷信之助君、小山一平君及び佐藤三吾君が選任されました。  また、昨十二日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任され、本日、野口忠夫君が委員辞任され、その補欠として山崎昇君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行政改革に関する調査のため、本日の委員会に、参考人として丸紅株式会社秘書室秘書課長荒井孝君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  なお、参考人には御多忙のところ本委員会に御出席をいただきましてありがとうございました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 志苫裕

    志苫裕君 最初に、政治資金につきまして少しお伺いをいたしますが、まず本題に入る前にちょっと事務的なことを二、三伺っておきたいと思います。  まず国税当局、どなたがおいででしょうか、国税当局いらっしゃいますか――の法人政治献金寄付金として損金に算入される。言うてみれば税金がかからないという仕掛けになっておるわけでありますが、具体的にどういう取り扱いをなさっておられるかどうか、特に税務調査は、皆さんのことですから手落ちなく法人について目を配っておると思うんでありますが、本当に寄付金であるかどうか、ほかに紛れ込んだりしていないかどうか、そういう諸点について正確に調査をなさっておるかどうか、お伺いいたします。
  7. 五味雄治

    説明員五味雄治君) お答えいたします。  法人が支出いたしました寄付金は、税法上どのように取り扱われるかということでございますけれども、法人が支出いたしました寄付金税法所定損金算入限度額というのがございますが、それを超えた金額損金に算入されない、その範囲内であれば損金に算入するということになっております。この損金算入限度額と申しますのは、原則といたしまして法人当該事業年度所得金額の二・五%と資本金と――これは資本金プラス剰余金でございますけれども、資本剰余金でございますが、それの〇・二五%の合計額の半分、つまりその二つの要素の総価平均ということになっております。  それから、寄付金について調査をしているかということの御質問でございますけれども、これも一般的に調査はやっております。  以上でございます。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 手落ちなく調査をしておられる。当然のことながら寄付明細等にも目を配っておりますね。
  9. 五味雄治

    説明員五味雄治君) 一般的に申し上げまして、そういうものについても調査いたしております。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 大きい企業、小さい企業があるんですが、いろいろ皆さんの手の配り方もあるんでしょうが、たとえば丸紅のようなこういう大きな企業ということになりますと、毎年手落ちなく目を配っておるということですね。
  11. 五味雄治

    説明員五味雄治君) はい、そのとおりでございまして、たとえば丸紅のような大企業につきましては連年調査を、毎年調査をするということで、まあしんのある調査をやっているということでございます。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 当然のことだと思うのですが、台帳とか領収証の整備とかそういうものも整っておると、領収証なども整っておるというのが普通ですね。
  13. 五味雄治

    説明員五味雄治君) 一般的に申し上げまして、そういったものがあると思われます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 五十年に政治資金規正法改正になりまして、五十一年からいわゆる現行法新法になったわけでありますが、新法旧法との間で税務調査の方は変化がないですね。
  15. 五味雄治

    説明員五味雄治君) はい、そのとおりでございまして、その法人の支出した寄付金取り扱いに関しましては、いま先生御指摘改正の有無に関係なく、税務取り扱いは同じでございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 次に、自治省当局にお伺いいたしますが、政治資金のうちその収支公開部分ですね、この部分に関してお伺いいたしますが、旧法新法との違いはどこにあるのか。
  17. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) お答えいたします。  政治資金規正法は御承知のとおりさきに幅広い改正が行われまして、五十一年の一月から施行されたわけでございますが、その改正点のうち、ただいま御指摘のありました収支公開、すなわち収支報告書記載公表の面にしぼりまして申し上げてみますと次のとおりでございます。  まず、旧法時におきましては、寄付以外の収入というものは、その収入金額をすべて一括いたしまして、その総額だけを記載するということにされております。これに対しまして、改正法におきましては、寄付以外の収入も、個人の党費会費とか機関紙誌の発行その他の事業収入とか借入金とかその他の収入とか、こういったふうに区分をいたしまして、その明細記載するものとされ、それに基づきまして公表を行うと、こういうふうになりましたこと、これが一つでございます。  次に、さらに旧法時におきましては、会費として受けられましたものにつきましては、寄付以外の収入といたしまして、先ほど申しましたとおり一括して総額のみを報告することとされておったわけでございますが、改正法におきましては、法人その他の団体からのものにつきましては、会費であれ党費であれ、これを寄付とみなしまして規制をすると、したがいまして、一定額を超えるものにつきましては、その明細、すなわち寄付金額寄付した法人の名称、所在地、代表者など、こういったものを記載しなければならないと、こういうことにされまして、そのような区分公表も行われると、こういうことに相なったわけでございます。  以上でございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、旧法では、寄付と、会費のような寄付以外の収入があって、この会費のようなものは一括記載をくくってしまうし、寄付明細を付すると、新法では、それが一括して限度額を超えた場合に明細を書けと、こういうことになったということがわかりましたが、私が問題にするのは、旧法時代のことですのでお願いしたいんですが、この寄付と、たとえば会費等のその他の収入ですね。これはどういうことで区分けしていましたか。
  19. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 旧法、すなわち改正前の政治資金規正法の第五条に、収入とか寄付とかいうものの定義があるわけでございますけれども、「収入とは、金銭物品その他の財産上の利益収受、その収受の承諾又は約束をいう。」とありまして、そしてそのうち「寄附とは、金銭物品その他の財産上の利益供与又は交付、その供与又は交付約束」、以上の中で「党費会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。」と、こういう定義がございますので、この定義に従って記載され届け出られると、こういうふうに承知しております。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 党費とか会費とかというようなものは除いたものだというふうにわかりやすく、俗にガラス張りとか透明度とか言われておったのは、この寄付明細をなかなか報告がされないので、とかく問題になったわけでありますが、従来その透明度を増すためにどんな措置を講じておられたのか。あるいは虚偽報告といいますか、不十分な報告と言ってもいいですが、虚偽あるいは不十分な報告をした場合に、それの是正措置とかペナルティーのようなものがあったのかどうなのか、この点はいかがですか。
  21. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 収支報告の、何と申しますか、真実性の問題と申しますか、それに対する自治省あり方ということについてお答え申し上げますと、政治団体収支報告につきましては、これは政治団体自体の自覚と良識にゆだねるという考え方に立っておりまして、その内容につきましては、これを自治省公表することによりまして、主権者である国民の批判に待つと、これが政治資金規正法基本理念といたすところでございます。そのようなことでありますので、収支報告内容につきましての自治省あり方といたしましては、虚偽とか真実とか、そういうものにつきましての調査とか審査というようなものをする権能あるいは責務というものは法律上与えられておりませんで、ただ収支報告書に形式上の不備と申しますかがあるとか、あるいは記載すべき事項記載が不十分であるとか、こういったような一見して不備であることが明瞭な事柄につきまして形式的な審査を行う、こういうこととされておったわけでございます。で、このことにつきましては、実はこのような権能とか責務につきましては基本的には改正後の現在も同様であるわけでございますけれども、さらに改正法におきましては、このような形式的な審査によりまして判明をいたしましたものにつきましては訂正命令等措置がとられるというような明文規定改正法では設けられております。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 旧法では訂正命令はなかったですか。
  23. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 明文規定はございませんでした。しかし、非常に明確なものについては是正を命じたこともございます。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 先ほど言いましたように、金残の授受がありまして、党費とか会費というようなもの以外は寄付金と、わかりやすく言えば。党費とか会費とかというようなものは、その政治団体に会則のようなものがあって、党費幾ら、あるいは会費幾らと書いてあるのが普通ですよね。ですから、それ以外のものはこれは寄付金というふうになるのが論理的にも当然なのであって、自治省の方で容易にそういうものは本当は見ることができるはずだと思うんでありますが、そのことはいずれ後刻またお伺いするとしまして、五十一年二月二十八日に衆議院予算委員会に対して、いわゆる丸紅政治資金報告をいわば政府国会に対して行ってます。これは事実に基づくものですか。
  25. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 御承知のとおり、政治団体収支報告書の要旨は官報公表されておるわけでございます。ただいま御質問になりました資料は、当時の衆議院予算委員会からの資料提出の御要求によりまして、いま申しました官報によって公表されたものにつきまして政治団体からの収支報告書記載事項をもとに作成をして提出をいたしたものでございます。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 国税当局自治省当局への事務的なお尋ねは以上にいたしまして、ちょっと丸紅荒井さん、お忙しいところどうもありがとうございました。  ちょっと委員長資料を見てもらっていいですか。
  27. 金井元彦

    委員長金井元彦君) はい。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 いまごらんをいただいておるその書類でありますが、これは荒井さんあれでしょうか。丸紅経費台帳――もちろんこれそのものじゃない。これはコピーですが、経費台帳の一部をコピーしたものだと思うのでありますが、お認めいただけますか。
  29. 荒井孝

    参考人荒井孝君) お答えいたします。  私自身当時秘書室秘書課におりませんでしたので、このコピーを見たことはございませんし、また原本と照合することもできませんので、この場でこれがそうだというお答えはいたしかねます。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 三二二三六の経費台帳寄付金勘定ということになるようなんでありますが、そういうものはかつてなかったんですか。
  31. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 当社の場合、寄付金勘定ナンバー三二二三六、現在もございます。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 三二二三六、これは現在も続いておる丸紅寄付金勘定経費台帳であるということがわかりました。  なおもう一つ確認をするためにお伺いしますが、四十七年当時は政治献金事務ですね。これは丸紅さんはどこで、何課でおやりになっておりましたか。
  33. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 当時の社長室秘書課が主に……。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 このお手元書類判こで、副島という判と、それからずっと後ろの方へ、一番最後のページになりますと、四十七年の十一月に入りますと中居という判こがありますね。この副島さんという人、中居さんという人は丸紅秘書課におられましたか。
  35. 荒井孝

    参考人荒井孝君) おりました。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 副島さんが課長ですね。
  37. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 副島が四十七年の十月まで秘書課長をしておりました。それから中居が四十七年の十月一日付の発令で秘書課長になり、たしか十一月から赴任したと聞いております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと話は符合いたします。前半副島さんの判こうで、四十七年の十一月から中居さんの判こに変わっておりますから、課長交代のときに判こも変わるという書類になっておりますので、このコード番号もあるというし、そういう判この人は実在をしたというし、交代時期に合わせて判こも変わっておられるということですから、私は、あなたは当時おらなかったので見たことがないということでも、これは丸紅のもののコピーであろうと、このように思います。で、丸紅ぐらいの企業になりますと、寄付金はもちろんのこと、この経費台帳等記帳はもちろん正確に行われておるというふうに理解してよろしいですか。
  39. 荒井孝

    参考人荒井孝君) いま見ております資料はあくまで秘書室補助簿的なものだと思います。正式なものは経理部が常々持つことになっております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 これは補助簿と思われるというお話でありますが、もちろん補助簿といえども、おたくぐらいの大企業でありますから、どこを押されても記帳漏れとか不正確な事実はないというふうに理解してよろしいですね。
  41. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 一般的にはそうだと思います。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 この補助簿で、ここに「寄付」と書いてあるんですが、いまはどうなっているんでしょうね。寄付のほかに、たとえば会費というような別の勘定、別の経費とでも言うんですかね、というようなものがあるんでしょうか。
  43. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 当時のことは存じませんが、現在は、政治資金関係組合会費という項目で支出をいたしております。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 現在は組合会費だけで、寄付という勘定はないんですか。
  45. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 政治献金関係寄付金というのはございません。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 ございません。
  47. 荒井孝

    参考人荒井孝君) はい。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、それはいつからですか。現在は政治資金関係寄付金という勘定はなくて、組合会費一本ですね。念を押します。
  49. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 私が秘書課長になりましてからは、すべて組合会費で計上しております。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 差し支えなかったらでよろしいのですが、普通この政治団体等組合会費をお払いになるわけでありますが、普通、会費というのは一団体どれくらいのものですか。
  51. 荒井孝

    参考人荒井孝君) 一般的なお答えとしまして、月一万とか二万とか、そういったものでございます。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 ありがとうございました。月一、二万が会費。そこでちょっとこれはまあ丸紅のものであるかどうかについて、補助簿だろうというお話ありましたから、御確認をいただいたんですが、ちょっと法務当局いらっしゃいましたかな。
  53. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) はい。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 お願いしますが。  五十三年三月六日ロッキード裁判の第四十三回公判で、甲二の二四四号証というのを証拠申請しましたか。
  55. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ただいま甲二の四四四でございましょうか。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 二四四。
  57. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) という御指摘がございましたが、公判廷におきまして検察官が関連証拠物提出しているという報告は受けておりますが、具体的にいかなる証拠物についての証拠申請をしたのか、詳細な報告は受けておりませんので、明確なお答えはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、ちょっとあなたには聞きにくくなっちゃったな。これは、私がいま手元に、東京新聞という新聞があります。これは裁判公開ですから新聞記者が適当にメモされる、適当というか、正確にですね、これの記事の中に、ちょうどこの日の小林検事副島さんに質問をしておる記録の中に、「丸紅越山会に、四十五、六年は二百万円ずつの政治献金を行い、四十七年には上半期に三百万円、下半期の十一月二日に五百万円の政治献金をしていますが、」云々という記録がありますが、正確でないにしても、大筋こういう公判記録はありますか。
  59. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいま新聞記事等記載されておりますような内容公判立証が行われておるという報告は受けております。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 ありがとうございました。  それは私が読み上げた公判記録は、実はいま丸紅さんから見てもらっておるこの資料に載っておるわけでありますから、公判で言うておる中身とこれも符合をしておる。だから丸紅のものにはますます間違いがないと思うのでありますが、そこで実は私はきょう総理、村山蔵相安倍官房長官宮澤経企長官の四方においでをお願いしたんですが、後ほど村山大蔵大臣おいでになるそうでありますから、村山さんにはその際にお尋ねするとして、自治大臣お尋ねをいたします。ちょっとこれを自治大臣にやってくれませんか――委員長もこれを一つどうぞ、これを見ると私の質問もよくわかると思いますので。委員皆さんに配ればよろしいんですが、ちょっときょう全部用意がありませんので御勘弁いただきます。  自治大臣、お手元資料お上げしました一番上のページですね、これは便宜私がまとめたものです。その二枚目から後ろの「三二二三六(経費寄付金」という、この先ほどの荒井課長さんのお話しですと、補助簿かもしれないというそのいましばらくやりとりしました台帳コピー、ここにずっと各種の政治団体が書いてあります。これは四十六年の九月下期から四十七年いっぱい――上、下ですね、四十六年の後半と四十七年いっぱいというもののこれが記録であります。そこで実はここに載っております分、私が便宜、全部言うわけにいきませんので、申し上げましょう。千代田経済懇話会というのは、まあわれわれ承知しておるところでは、福田派政治団体、あれは何かそういう政治団体というふうに聞いておるんですが、これは四十六年十二月に三百五十万円、四十七年に上期、下期で六百万円。それから新財政研究会、新産業政策研究会、ともに俗に大平派政治団体、こう言われておるんでありますが、これは四十六年に二百五十万円、四十七年に七百万円ですね。以下、越山会、四十六年に二百万円、四十七年に八百万円――四十七年は、御存じ、総選挙のあった年です。以下、新政治調査会中曽根派、百五十万、二百万。橋本登美三郎さんの近代化政策研究会及び西湖会で四十六年が百三十万円で、四十七年が三百八十万円。以下、大臣いま見ておられるとおりです。選挙部長、ちょっとあんた見てないからあれかもしれませんが、自治省がこのうち、先ほどの答弁で、届け出があるものとして衆議院に、いわゆる国会政府報告をしたのは、新産業政策研究会大平派の四十七年三月二十五日、現金百万円、これは自治省政治資金として届け出があります。それからずっと下の方へいきまして、相武政経研究会河野洋平、これは金額は違いますが、同じ日付で丸紅から政治献金を受けたということの届け出自治省提出した資料にございます。それは全部合わせまして、大平さんの方で百万、もう一方の方で正確には、百二十万でしか届け出てないんでありますが、二百二十万円、ところが昭和四十六年のこの丸紅の帳簿の下期だけで二千八百七十万円、四十七年の上、下期で五千四百三十万円、両方合わせると実に八千万を超すわけでありますが、そのうち二百二十万円しか届け出がないという事実がこれで明らかになるわけであります。政治資金の所管大臣、どう思いますか。
  61. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 大臣御就任前のことでございますので、先に私の方からお答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げましたとおり、予算委員会からの資料の御要求によりまして提出いたしましたのは、やはり当時の資料要求の御趣旨といたしまして、自治大臣所管の政治団体収支報告書についていつも官報公表しているわけなんだけれども、その収支報告書記載されている株式会社丸紅からの寄付というものがあろう、それを取りまとめて出すようにと、それは昭和三十五年から昭和五十年上期までということで御指摘が、資料の御要求がありましたので、自治大臣所管の諸帳簿を点検をいたしまして、提出をいたした次第でございます。官報による調査資料であるということ、それから昭和三十五年上期から昭和五十年上期までのものであるということを申し上げまして提出をしているような次第でございまして、私どもの手元にあるものについては正確に提出をしているというつもりでございます。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 大臣いかがですか。
  63. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) いま担当部長が説明をいたしましたように、昭和五十一年二月の衆議院予算委員会に、昭和三十五年から五十年上期までの間の報告をいたしておることは事実そのとおりでございまして、そして当時報告をいたしましたものの控えは手元にございまして、昭和四十六年下期、昭和四十七年上期、昭和四十七年下期と、かように各期の報告をいたしております。その報告金額はいまお示しのございましたような丸紅株式会社が政治団体に出したと言われます金額、この間には相当の乖離がある、このことは事実でございます。  ただ、いま部長が説明いたしましたように、自治省といたしましては、政治資金規正法に基づきます届け出を受理はいたしておるのでございますけれども、果たしてその内容が正しいかどうか、かような審査の実質的な権限はございませんで、したがって、届け出を受理いたしましたものの中から抜粋をいたしまして正確に報告をいたしておる、かようなことでございます。  そこで、自治大臣のこのことに対する考え方はどうか、かようなことでございますけれども、御承知のように政治団体は政治的な活動をいたしており、そしてその収支報告は政治活動をいたしておることの自覚に基づいてなされなければならぬのでありますし、また公明正大になされなければならぬことが当然なことでございまして、もし乖離があるといたしますならば、その間の事情がどのような事情にあるのか、このことは自治省といたしましては、つまびらかにはいたしておらないのでございますけれども、しかし、そのことが直ちに私どもの虚偽報告であるとか、許しからざる報告であるとか、かように結論を出す立場にはないことの御了解をいただきたい、かように思います。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 関連。いまお話を聞いておって、非常に私は疑問に思うんですが、大蔵省おりますか、国税庁おりますか。――ちょっと国税庁に質問しますが、先ほどあなたの答弁を聞いておりますと、まあ志苫議員の質問に答えて、寄付金台帳含めて政治資金丸紅についてという前提の上で毎年精細に行っておる、こういう御報告があったんですけれども、そういうことでよろしいんですか。
  65. 五味雄治

    説明員五味雄治君) はい、そのとおりでございます。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、この場合、いま問題になっておる内容についても調査をしておるわけですね。
  67. 五味雄治

    説明員五味雄治君) 調査はいたしたものと思われます。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 関連中済みませんが、大蔵大臣、大蔵委員会でお忙しいのにどうも済みませんでした。大臣、よろしゅうございますか。きょうは大蔵大臣としておいでいただいたよりは、衆議院議員村山達雄としてお伺いすることになりますので、御了解いただきます。  山紫会というのがございますが、これは大臣のいわば政治団体ですか。
  69. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 私の後援会でございます。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 それは政治資金規正法届け出をした団体ですね。
  71. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いまはっきり私はそっちの方は余り関係しておりませんのでわかりませんが、政治資金規正法改正後は間違いなく出ておると思います。その前は出ておったかどうか、私ちょっと不明でございます。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 もう一つ大臣は山水会という団体もございますね。これは両方とも同じ事務所にある団体ですね。
  73. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) そのとおりでございます。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 四十七年もそうですし、四十六年もそうでありますが、四十七年に限定しましょう。四十七年に丸紅から政治献金を受けたことはございますか。
  75. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 私にはわかりません。
  76. 志苫裕

    志苫裕君 それでは、わからないというのは、全然あなたは見てないで別の人がやっているからという意味ですか。
  77. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 私自身は直接何もタッチしていないということでございます。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 それではちょっと大臣にもこれをあげてください。――大臣手元でごらんいただいておりますのは、先ほどあなたおいでになる前にいろいろやりとりをしたんでありますが、丸紅経費台帳寄付金課長さんのあれによりますと補助簿だろうと言うんでありますが、に載っておるものでありまして、一番上のページ四十六年十二月二日に山紫会五十万円、後ろの、これは小切手かなんかの番号でしょうかね、三七七六というのがございます。一番最後のページの真ん中よりちょっと下あたりに山紫会百万円一八一二という番号、これはあなたわからぬのに聞いてもあれでありますが、この前後は全部政治団体なんですが、これはあなたの後援会と言われる山紫会かなというふうに考えますか。
  79. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 山紫会というのは私の後援団体だと思います。
  80. 志苫裕

    志苫裕君 実はあなた知らぬと言うんだから、これ以上のことはちょっとお聞きしませんが、実はこれが届け出をしてないわけですよ、自治省選挙法の。このことについてあなたは知らぬと言っても、あなたに密接不可分の団体なわけですが、どのようにお考えですか。
  81. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いま記憶は確かではございませんが、私のところの山紫会というのは大体会費制度でやっておったと思っております。したがって、会費がいわゆる政治献金であるということが初めてはっきりいたしましたこの前の改正のときからは、たしか届け出たんじゃなかったかなあと覚えておるのでございますが、それまではやはり会費だから恐らく会計責任者は、寄付金、いわゆる政治献金として扱わなかったのではなかろうか、このように想像しているわけでございます。私は一切タッチいたしませんで、会計責任者がやっているのでございます。
  82. 志苫裕

    志苫裕君 大臣ね、確かにこの当時は会費だと届けぬでも、明細書かぬでもよかったんです。寄付金だと明細を書かなければならなかったわけです。  そこで、あなたがおいでになる前に、前のことはわからぬが、現在もずっと続いているわけでありますから、会費というのは大体いかがぐらいなもんでしょうかと言って丸紅さんにお伺いしたら、一、二万円ぐらいですと、こう言った。五十万とか百万という会費はちょっと会費とは考えられないですね。だから、大ていそう言うんですよ。なぜ届け出ないのと言うと、これ会費だと言う。しかし、それなら会費上半期五十万円とするとか、年百万円とするとかという規約があるわけはない、こんなものは。山紫会の会費は百万円だと、そんなあんた、ほいほいして入ってくる会員なんかいやしませんよ。ということになりますと、これはやっぱり寄付金だったんじゃないですか。届け出を怠ったということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  83. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) いま深く覚えておりませんが、当時は会費制度のものは恐らく政治献金という考えがないから、会計責任者の方で政治団体届け出をしておったかどうか、私もちょっと不明でございます。
  84. 志苫裕

    志苫裕君 政治団体届け出をしてなければ、これはまた別のですね。それは国税、あなたの部下なんかに聞いて悪いが、国税当局かな、政治団体でないかどうか。政治団体でないとこれはどうなる。
  85. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 山紫会は当時政治団体でございまして、私どもの方に届け出ございます。
  86. 志苫裕

    志苫裕君 これは大臣おわかりにならぬというのですから、私はそのためにきのうあなたのだれかおいでいただいたときに、事前にこういうものを言うのは余り質問者としてはおもしろくないんだけれども、四十七年に丸紅から山紫会という後援団体寄付を受けていると思うのだが、ひとつその辺返事できるようにしてくれぬかというて申し上げておいたんですが、おいでになると、わからない。しかし、うろ覚えで会費だったような気がするとか、政治団体でなかったんじゃないかとかいうようなことで、何かすっかり話はわやくちゃみたいになってしまいましたがね。で、これは四十七年は特にふえているんですけれども、これ見ましてもね。選挙のあった年ということになるんでしょうが、これは丸紅と何かあなた特に親しい関係でもありますか。
  87. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 丸紅というわけではございませんが、亡くなりました市川忍という社長とは昔から非常に懇意でございます。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 いつごろから丸紅とのこういう会費寄付金を受ける関係になったという記憶がありますか。
  89. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 私が恐らく政界に出る前に後援会をつくった最初からではなかろうかと思っております。  それからなお、私、いまちょっと選挙部長の方で山紫会は初めから政治団体だと言ってくれましたので、どうも政治団体のようでございます。その点は改めて申し上げておきます。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵委員会との約束もありますから、大臣を長く引っ張ることはできませんが、実は、あなたのおいでになる前に私は、自治大臣にこういうことを聞いておったんです。寄付をした丸紅の方では、寄付金としましてね、四十六年の下期に二千八百七十万円、それから四十七年の上下で五千四百三十万円、両方合わせると八千万という、実は大きい金額です。これがいろんな、約四十幾つの団体寄付が行われておるんだけれども、自治省の方に届け出のあったのは二件、二百二十万だと。あとの九九%ですかね、それが届け出がないということは、これは何とも言葉も出ないような状況なので、大臣、あなたの所感どうだということを自治大臣に求めておったところへ、いまあなたにおいでいただいたわけですが、閣僚の一人として所感がありますか。
  91. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 一切会計責任者に任しておるわけでございます。片方は寄付金として、山紫会の方はどういう経理をしましたか、臨時会費にしたのか、私にはちょっとわかりかねるわけでございます。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 そういう事務的なことを聞いているんじゃない。いずれにしても、それはそれなりにみんなあるんでしょうよ。会費でないものを会費と言ったり、いろいろあると思うんですよ。百万のものを五十万と言ったり、いろいろ事情はあるにしても、ちょっとマクロの言い方をしますと、八千万もあるのに届け出はわずかその二百万そこそこじゃないか、こんな政治資金てあるかということを、私は、国民の側に立っても腹が立つから、言うているわけですね。で、政治資金の扱いとか、そういうものについては、やっぱり閣僚は範を垂れなきゃならぬというふうにも思うんですが、たまたまいまあなた福田内閣の閣僚の一人ですから、閣僚の一人として、こういう状況にあったことをどう、何か所感がありますかと聞いている。
  93. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) 政治資金というものは、やはり私は政治資金に使わなければいかぬと思っているのでございまして、一番大きな問題は、やはり公私の混淆をしてはいかぬ。これがもう第一だと思います。それからやはり経理は透明でなければならぬと思っておるわけでございます。私の問題でこういう問題がありましたことはきわめて遺憾でございますが、どういうことでそういうことになりましたか、今後は厳正に、やはり閣僚の一人といたしまして、政治家の一人といたしまして厳正な取り扱いを命じてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ、あなたに関するこの山紫会の分については、あなたはどうもわからない、憶測で間違ったことを二、三お話しになっておりますので、実際にこのときの経理がどういうことであったのか、どういう名目であったのか、それをひとつ調べて報告いただけますか。
  95. 村山達雄

    ○国務大臣村山達雄君) できるだけ調べて御報告申し上げます。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣結構です。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 先ほどお聞きしますと、あなた、調査をやっておるという確認をいただいたんですが、丸紅の方も先ほどの論議の中のやりとりで、大体この三二二三六の台帳については丸紅のものだという確認をされたわけですね。これ、国税庁としてもこれに相違ないということで、あなたの調査の結果はどうなんですか。
  98. 五味雄治

    説明員五味雄治君) 個別具体的な問題でございますので、その辺の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま、もうこれはロッキード公判の中にも出されて、公開審理の中でやられておるわけでしょう。ですから、守秘義務の問題、いろいろ言うすべのものではないと私は思うんですが、この確認はできますか。
  100. 五味雄治

    説明員五味雄治君) 税務調査の結果でございますので、答弁は非常に個別具体的な話でございますので差し控えさせていただきたいと思います。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は非常に遺憾に思うんですが、さっきあなたのおっしゃった経緯から言いましても、しかもすでにこの資料が出されておるという実態から見ましても、ここで公表できぬということはないと思うんですが、そういうことでどうしてもあなたの方で固辞するなら、自治大臣の方にちょっとお聞きしたいと思うんですが、大臣の先ほどの御報告の中で、五十一年の二月二十八日に衆議院予算委員会提出した資料ですね、この資料の中で、あなたの方が自治省届け出た中身としては正確に報告した、それで先ほどの回答をいただいたわけですが、たしか、この五十一年の二月の二十八日の予算委員会というのは、ロッキード問題の審議の過程の委員会で、したがって、丸紅については政府資料として提出せよ、こういう要求に対してこたえた資料じゃなかったかと私は思うんです。そのように確認していいですか。
  102. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 大臣御就任以前のことでございますのでお答えさせていただきます。  先ほども申し上げたんでございますけれども、私どもといたしましては、当時、そのような調査をしたいということで御論議をされました結果といたしまして、予算委員会からは、自治省の所管の方にそういう資料があろう、それの中をまとめて出すようにという御指摘があり、自治省が出したものというふうに承知をいたしております。
  103. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういう経緯があるなら、いまあなたがおっしゃったように、政府資料という形で出したというなら、これは当然国税庁の方は調査をしておる、把握しておる。そうすれば、報告については、先ほど出された丸紅のこの資料、これは政府としては一貫して把握しておるわけですから、その問題を報告するのが妥当じゃないんですか。
  104. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) お言葉を返すようになりますけれども、いま私が御答弁申し上げましたのは、政府ということで御指摘があったというふうには承知しておりませんで、自治省政治資金報告を所管しているではないか、その関係資料があろう、それをまとめて三十五年から五十年までのものを出すようにという御指摘で、むしろ自治省資料の御要求があったというふうに理解をしているわけでございます。
  105. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 参考人、どうも御苦労さまでございました。お帰りいただいて結構です。
  106. 志苫裕

    志苫裕君 いま佐藤委員が関連をしましたが、守秘義務の壁があるとはいえ、政府全体としては丸紅からの政治資金がいかようなものであるかということは、遺漏なく税務調査をしておった大蔵省が片っ方におるわけでありますから、全部知っていたわけですよ。知っていたわけですが、国会報告を求められたら、その上辺だけの自治省届け出た分しか国会には報告がなかった。いまこうやって丸紅の帳簿が出てみれば、あの当時に丸紅からこれほどの政治資金が出されておったんだということがありのままに八千何百万、二年間でですね、報告があるのと、二百二十万の報告があるんじゃ、これ全然響きが違いますわな。そういう意味では、その間に政府の怠慢だか、政府の作為だか、ロッキード隠しか、そういうものがあったと見られてもしょうがない。これはいずれロッキード委員会や、あるいは本元でありました衆議院予算委員会等でいずれ追及があるでしょう、お尋ねがあるでしょう。  大臣にもう一度お伺いしますが、先ほどどうも、大臣、これは少しね、いままで事務的に事務当局に尋ねてきましたが、これは政治のレベルの話ですよ。まことにもって、これでは政治資金とか政治についての国民の信をつなぎとめるようなていたらくじゃないじゃないですか、この状況は。いまからでも遅くない。調査するものは調査をして、ペナルティーがあるとかないとかの問題じゃありません。やっぱり絶えず解明する。旧法でそういうごまかしが行われており、その精神は新法をどんなものを書こうと、絶えず法の裏をかこうという軌跡に通ずるわけでありますから、そういう道を封ずる意味でも、過去にあったことではあるが、調べるものは調べて、明らかにするものは明らかにすると、この点いかがですか。
  107. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 昭和五十年に政治資金規正法改正が行われたことは御承知のとおりでございます。そこで、改正を行いました際に、従来会費として収入いたしておりましたものは、他の収入と一括いたしまして計上すればいいと、かような形になっておりました点にメスが入れられまして、五十一年一月からの施行されました新しい政治資金規正法は、会費一定額以上のものはすべてこれを計上いたさなければならぬと、かようなことであったのでございますから、したがって、過去の反省に立っての新しい政治資金規正法改正であったと、かように承知をいたすのでございます。ただ自治省といたしましては、形式的に届け出のございましたものが正しいかどうかと、かような点の審査権能は持っておるのでございますけれども、しかしその中身が果たして正確なものかどうかと、かようなことにつきましては、自治省といたしましてはさような審査をいたす権能を持っておらないことの御理解をいただきたいと、かように思う次第であります。
  108. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、いままではわからなかったんですよ。いま丸紅台帳寄付金勘定の帳簿が、整理簿だと思うというお話がありましたが、整理簿でもいいでしょう。これが明らかになって、寄付金としてわかっている分だけでも両年度にわたってこれだけ膨大なものが明るみに出たわけであります。これは自治省とすれば思ってもみない、何だそんないままでの未報告があったのかと、あなたの言葉の中でもそれは会費というふうに逃げておったんじゃないかというお話があるでしょう。あったようですが、会費というものはそういうものでないということが一方で丸紅さんから証言があったわけですよね。会費というのは、一、二万。とすれば、ここに載っているものは全部寄付金ですよ、寄付金。これ法務省に聞けばわかることでありますが、会費は別にある。これは寄付金だということを公判でも明らかにされているんですよ。これは後ほどまた法務省に聞きますけれども。だから寄付金の無届けだったんですよ、これ。そういう事実が明らかになった上で、大臣として何とか、じゃ古いことではあるけれども、政治の姿勢を正す意味で調べるものは調べて、明らかにするものは明らかにするという御返事はできないかということ。
  109. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 先ほど来何回も繰り返して申しておりますように、自治省といたしましては、政治団体収支の状況の報告を受ける立場にはございますけれども、そして審査に当たりましては形式的な審査は可能でございますが、しかし、それが果たして虚偽のものであるかどうか、かような実質の審査をいたす権能は与えられておらないのでございまして、したがって、さような反省に立ちまして五十一年一月からの改正の際には、間違った報告であった場合にはそれを訂正することを命ずることができると、かような訂正命令を出し得ますような明文が設けられたようなことでございますから、自治省といたしまして果たして五十一年二月に報告したものが実際と一致しているかどうか、かような審査の権限は自治省にはないものと判断をいたしております。
  110. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私はきょう資料提出をして、お目にかけて、若干のやりとりもして、傍証を固めて意見を述べているわけです。だから別の観点で聞きますが、この四十六、七年について言えば、そして丸紅政治資金関係について言えば、かくも虚偽報告がこれらの政治団体によってなされていたということについてはどう思いますか。ひどい報告をしておったものだなというふうに思いませんか。
  111. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 丸紅が支出いたしましたものが寄付金であったのか会費であったのか、そのあたりは私には定かにはわからないのでございますけれども、政治団体収支を正確に報告をいたしますことは、その政治団体の自覚に待たなければならぬし、また正確に報告する義務がある、かように考えております。そしてその収支報告は、御承知のように官報に登載いたしまして国民の批判を仰ぐと、かような形でございますから、したがって、いま志苫委員が御指摘のように、実際の収支報告をいたしましたものの間に違いがあるといたしますならば、それはきわめて遺憾なことでございます。
  112. 志苫裕

    志苫裕君 調査をして報告をせよという問題は自治省には権限ないという、自治大臣のからを出られないようでありますから、これだけついておってもあれでありますが、大臣ね、いまそれが寄付金であるとすれば、届け出なさっていないわけで非常に遺憾であるというお話ですが、これは寄付金なんですよ。ここに寄付金とまず書いてあるし、先ほど、古いことはわからぬが、会費というのは一万円か二万円だ。これは七八年三月六日、全日空ルート第四十三回公判副島証人に対する小林検事記録の中にある。経費台帳を示して、経費台帳、この経費台帳の中に組合会費という勘定と、それはどれぐらいだとか西湖会について例を引いて聞いている。これは六万円ぐらいだと、会費は。寄付金勘定の方はと言ったら、これは五十万だ、百万だ、二百万だというふうにそれぞれ答えている。三月六日の公判記録によると、明らかに組合会費勘定寄付金勘定とは別のものであって、いま私が提示をしたものは寄付金勘定である。で、組合会費勘定というのは、たとえば橋本さんの西湖会について言えば六万円ですとかいうふうに答えておるという記録があるんですが、法務省、それはそう確認していいですね。
  113. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ただいま問題になっております副島証人の公判廷におきます証言要旨でございますが、概略申し上げますと、丸紅組合会費と特別会費という二つの名目で政治団体政治献金していた、組合会費は不定期に銀行振り込みで行う、特別会費は毎年二回時期を決めて小切手で行っている、西湖会――これは橋本被告人の後援会ではなかろうかと思いますが、西湖会に対する四回にわたる組合会費の支出が記載されている、特別会費については西湖会に対して四回、等々の証言でございまして、この信憑性につきましてはいずれ裁判所におきまして判断されることでございますが、副島証人は特別会費という言い方をしておるようでございます。
  114. 志苫裕

    志苫裕君 ついでに法務省にお伺いしますが、ロッキード事件のいわゆる三十ユニットと俗に言われておるんですね。この公判で――ずっと進行しておるんでありますが、この公判で三十ユニットの授受について明らかとなった事実関係報告をお願いしたい。
  115. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 三十ユニットの問題につきましては検察官が御承知と思いますが、冒頭陳述におきまして、全日空側がトライスター導入に関する謝礼として、現在公判を提起しております橋本、佐藤両被告人を含む計六名の国会議員の方々に計三千万円を供与するという計画を立てまして、その実行を丸紅側に依頼したということでございまして、この関係を立証するために検察官といたしましては各関係資料提出する、並びに証人として大久保証人、伊藤証人、副島証人等々を尋問いたしましてこの事実関係を明らかならしむべく努力しておるという段階でございます。
  116. 志苫裕

    志苫裕君 四十七年十月三十日トライスター導入決定、四十七年十月三十一日から三千万円がそれぞれ副島あるいは伊藤の手を通じて政府高官に渡される、こういうことですね。
  117. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 検察官の公訴事実並びに冒頭陳述によれば、ただいま御指摘の事実でございます。
  118. 志苫裕

    志苫裕君 検察官の陳述と同時に、すでに過去の公判で伊藤証人、副島証人等が証言をしておる内容もそうですね。
  119. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 検察側としてはそのとおりの確信のもとに立証活動を続けておるわけでございますが、いずれにいたしましても最終判断は裁判所において下されるということに相なるわけでございます。
  120. 志苫裕

    志苫裕君 四十七年十月三十日トライスター導入が決まって、十月三十一日、すでに四名の者に二百万、三百万、それぞれが配られる、さらに十一月の初旬に至って一番遅い田中角榮に一千万円が料亭「木の下」で渡される、こういう筋書きになっておるわけでありますが、大臣、この丸紅寄付秘書室において支出が決定した日が十月三十日であります。公判廷の証言等によりますと、同じ日に、同じごろに一方は寄付金、一方は全日空からの預りものとかなんとか、預かりものかどうか知りませんが、いわばロッキード資金というふうなものがまさに同じ人の手で――金庫も同じだったかどうかはわからぬが、別々に置くわけない、大体同じ金庫の中に入れたんじゃないかと思うんでありますが、同じ日にそういういわば政治資金の配分が丸紅によって決められて、そしてこの三十日以降財政課というんですか、どこかで小切手が切られていくわけであります。そして、この政治資金をそれぞれの政治団体の人が領収書を持って丸紅へ秘書だか本人だかがもらいに行くわけであります。これは三十日以降になるわけであります。ロッキード資金三千万円も三十日にトライスターが決まって三十一日以降配られるわけであります。一遍に二つ配らなきゃならなかった副島さんはてんてこ舞いだと、こう公判で述べているわけであります。まあきょうは総理にその辺のところを所感をお聞きしたかったわけでありますが、私のこの報告、この書類を見ての驚きは、まあ丸紅というのは確かに大企業だけれども、それでも五千万だ八千万だといえば気が遠くなるような金だ。こういうものがいとも無造作に政治家に渡された。政治家は届ける義務などもとんと忘れておる。こういう企業と政治家の結びつきなり、政治資金の持つ不純さというんですかな、あるいは無神経さというものをかいま見せられたのが驚きの一つであります。二つ目は、法律的な手続として、全くいまをときめく総理を初めとしてこの法律の諸手続を踏まないで、ガラス張りガラス張りガラス張りガラス張りと口ぐせに言うておった前総理大臣でさえも届け出もせぬでもらっておる、こういうことが二つ目の驚きである。三つ目は、時期が偶然といえば偶然ではあるが、恐らくある時期同じ金庫にあった金に違いがない。同じにおいの金だ、同じにおいの金ですよ。しかし一方は、何か全日空の預かりものというので、領収書も取らぬで帳面にも載せぬで配っている。一方は、丸紅選挙がらみだから少しよけいやれやというんで、社長の指示で例年よりよけい配った。よけい配っておるときに、あの人にはお世話になったな、あの人には口きいてもらったなということで厚味がつくわけだ、これ見れば。そのときにどういう位置にいたかということと、前年と違う厚味がついておることがわかる。そういう意味では、大臣も御存じのように、九十ユニットというのは、金のやりとりは行われたんだが、まあ犯罪性はないというんですか、時効になったとか、そういう意味で事件にはならなかった。この五千万のお金もいわゆる政治資金の枠組みに入っておるから事件にはならなかったが、九十ユニットと同じ体質の金だというふうに思えてならない、時期的に見て。大臣どうですか。いま総理大臣の犯罪が法廷であばかれておりまして、この辺の間が、いつ決まっていつ配られたかというと、たまたまそれとこれが合うわけですね。何か所感がありませんか。
  121. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 政治資金はその収支が明らかにされ、そして報告等も正確でなければならぬと思うのでありますけれども、しかし過去においては必ずしもそうでなかった点があろうかと思います。さような観点から、昭和五十年には政治資金規正法問題が大きくクローズアップいたしまして、改正が行われ、新しい規正法は五十一年一月から施行されたのでございますから、さような改正の方向づけを行いましたのも過去の反省から生じたと、かように理解をいたしておるのでございまして、政治資金規正法の受理を扱っております自治省といたしましては、実際の金の収支とそして届け出が整合性を持ったものであり、正確なものでなければならぬ、かような感を強ういたしておるところであります。
  122. 志苫裕

    志苫裕君 どうも加藤さんは、ここに載ってもおらぬし、事務的にお答えになる。それが一番無難のようで、私が政治のレベルで話を持っていっても事務お答えになるので、これは時間がロスになりますが、いずれにしても時期の符合等から見てどうも余り感心しない。企業から政治家に渡される、政治家が無神経にもらうえたいの知れない金というものが、あらゆる腐敗の温床になっておるというのがいまあばかれておるんですね。ロッキード裁判の中身になっておるはずでありまして、どうも無反省に、無神経に、届け出もせずこういう金が扱われるということは非常に遺憾である。いずれ場所を改めて――きょうは、ですから福田総理を初めおいでいただきたかったんでありますが、いろいろの都合でだめなようで、官房長官もだめだという返事がありまして、だめだからといって私は質疑をとめるようなことはしません。  そこで、これは委員長に要望いたしますが、後刻理事会で相談をいただいてもいいんでありますが、やっぱりこれは福田内閣の政治姿勢あるいは政治資金についての国民の信頼回復というレベルの問題でもあるので、機会があれば総理の出席を求めてこの辺の事実がもう少し正確になるとか、所信が述べられるとか、そういう場所が設けられるように委員長としても配慮を願いたいと思うんですが、いかがでしょう。
  123. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 理事会で相談いたします。
  124. 志苫裕

    志苫裕君 政治資金問題は、きょう、どうも来る者が来ないので、役者がそろわぬのでこの辺にしておきますが、ただ自治大臣旧法で不透明であったので、三木さん御熱心になりまして、そして新法をつくりまして透明にするということで、初めて新しい法律に基づく政治資金報告が出ました。不透明になりましたね、本当に。  一つだけ例をとっておきましょう。これはあなたの方でも検討してみてくださいよ。三木さんが一番熱心でしたから、三木さんの政治団体に政策懇談会というのがある。これは四十七年を例にとりますと、政治資金として寄付金明細で八十二件の団体、個人寄付者の名前が載っているんです。その寄付者の名前が細大漏らさず報告されるところがガラス張りと、こういうわけですね。ところが新法になりました。新法になりましたら政治資金枠というのは、これは四十七年は両方でせいぜい九千万円ぐらいなんですよ。ところが、九千万円ぐらいのときに八十二件の明細報告があった。五十二年になりましたら、二億八千百万円というふうに総枠がふくれておるのに、明細報告のあったものわずかに三件、あとどんぶり勘定幾らと載っているだけなんですよ、新法のもとで。なぜかというと、新法は細かに報告をさせるという体裁をとりながら、一件百万円以下のものは込みでよろしいという上限を定めてあるために、その百万円の枠の中に全部突っ込むために全然出てこないということになったわけですね。これは政治資金公開という当初の趣旨からいえば新法は逆行になった、事実は。ということを、これは選挙当局は改めて検討をするべきだと思いますが、いかがですか。
  125. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 御承知のように、改正されました政治資金規正法の中には附則がございまして、附則には、この新法が施行されて五年を経過した時点において検討いたすべきだと、かようなことで検討項目もございますので、収支報告の結果等を分析いたしながら検討いたしてまいりたいと、かように考えております。
  126. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろと質問の通告をしておきましたが、政治資金の問題はこれで打ち切ります。  最後に、いろいろありましたが、準備いただいた方にまことに申しわけありませんが、一つだけ。  それはテレビ――選挙、これも同じ政治のものですから。テレビのあの政見放送ですね、全国区の候補者などにしますと、テレビに出てわずか五分間の間だけが国民から見てもらう時間でせっかく訴える時間。また立会演説会とか個人演説会とかありましても、おいでになる人は、テレビを見る方から見ますと非常に圧倒的少数ですわな。このテレビ政見放送の持つ意味が非常に大きいんでありますが、そこで熱心に訴えますが、耳の聞こえない方には何にもわからぬ。それは顔ぐらいは、かっこうがいいなとか器量がいいなぐらいのことはわかるでしょうが、おっしゃっていることがわからない。そこで、ひとつあそこに手話を入れられぬだろうかというのが熱心な願いであるわけですが、一体、前からも要望があったようでありますが、問題点なり隘路はどこなのか。金なら金をつければいいわけだ。規則なら規則を変えればいいわけですね。要は、その聾唖者といえども、耳が不自由であっても政治に参加をする機会は平等に保障するという、これさえありゃ簡単に決まりつく。いかがですか。これはひとつ自治省と、電波を預かっている郵政省でしたかな、それぞれ、ひとつお答えいただきたい。
  127. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 政見放送を初めといたしまして選挙公営につきましては、できるだけ多くの方に便宜を図るということが基本理念ではございます。そして、この手話の問題につきましても、いままでもしばしば御要望もいただいているところでございますけれども、実は政見放送はきわめて短期間の間に、しかも公正に誤りなく制作をした上で放送を実施しなくてはならない、そういう非常に時間的なものと、また正確を要するという両面の要請があるわけでございます。そういうような要請を持ちました政見放送の性格上、手話通訳を全国的な制度として採用をする、選挙法上の制度として採用するということにつきましては、たとえて申しますと、録画を行います各地で手話通訳者を確保することができるかといったような問題を初めといたしまして、いろいろと検討をしなくてはならない問題があるわけでございます。それに対しまして、たとえば立会演説会などでございますと、その会場の聴衆に対して公平を期することができればいいということからいたしまして、最近各地におきまして事実上採用していることは御承知のとおりでございます。しかし、まだこれとても全国的な制度として採用することができないということは御承知のとおりでございます。ましてや、この政見放送というものについて手話通訳を世話するということを法律上の制度として採用するのにはまだなかなか問題があるということで、引き続き検討をさしていただきたいと思う次第でございます。
  128. 志苫裕

    志苫裕君 郵政当局は。
  129. 志村伸彦

    説明員(志村伸彦君) テレビジョン放送に手話放送を入れるかどうかということ、これは放送番組の編集に関することということでございまして、放送法によりまして放送事業者が自主的に定めるべきことと、こうなっておるわけでございます。ただ政見放送につきましては、公職選挙法によりまして自治省と放送事業者が協議して定めるということでございまして、この両者によって協議していただきたいということでございますが、ただ放送事業者であるNHKについて状況を聞いてみますと、先ほど選挙部長の方からお話がございましたようないろいろな問題点があるということでございました。
  130. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろな問題点があるから、言うても実現できぬのであって、私は、いつまでも問題点があるなんて言わぬで、片っ端から決まりつけて早くおやりくださいということを言っているんですが、確かに全国幾つも録画する場所がありまして、そういうところにもし取り扱いに不平等というんですか、そういうことが出ては困るとか、そいつを種にして訴えられて、選挙を無効にでもさせられたんじゃ目も当てられないとか、いろいろなことあるでしょうが、それでも、たとえば全国区のようなのは同じところにみんな来てやるんでしょう。こういうやれるものからやっていく方法はあると思うんですよ。それは鹿児島でやったのと北海道でやったのが、ちょっとかっこう変わっていたとかいうようなことで問題があるというんなら、憶病ならちょっと後へずらしても、わずか一局か二局でやるような、NHKならNHKだけの全国区の分だけとかいうふうにしてからだってやっていけるわけでありますから、そういう点は大臣、わりあいに事務当局というのは憶病なんですよ、あっちで文句言われりゃせぬか、こっちでつまづきやせぬかといって。やっぱり大臣これはやるべきだと。これはただ自治省というサイドもさることながら、福田内閣という政治の大方針としてもこれはやろうということで検討してくださいよ。
  131. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私のまだ個人的な考えの域を出ないのでありますけれども、耳の聞こえない人にも十分に政策や政見が理解願えることが理想でございます。そこで、一挙に全国的にこの制度をとりますことは、手話通訳者の確保の問題等でいろいろ問題もありましょうけれども、たとえば地方選挙等におきまして、あるいは選挙の際の、国会議員の選挙ではございましても、たとえば地方区等においてさようなことが採用でき、それがやがては全国区等にも及ぼし得ると、かようなことが可能でありますならば前向きで検討していきたい、かような考え方でございます。
  132. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ―――――・―――――    午後一時六分開会
  133. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  134. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 まず、自治省の方にお答えを願いたいと思いますが、私は、全国の市町村で、区長あるいは自治委員として自治体のまさに最前戦にありまして御苦労されているこの自治委員、そして区長の地位と言いましょうか、そういうことについてお尋ねを申し上げたいと思いますが、その前に行政局長にお尋ねしたいんでありますが、この全国の市町村でございますが、自治体に対する御認識といいましょうか、そういうことにつきましてまずお伺いしたいんですが、きょう今日現在で全国のいわゆる市町村の自治体数幾つございますか、お答え願いたいと思います。
  135. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 現在三千二百五十六市町村でございます。
  136. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 三千二百五十六ですか、市、町、村に分けていただきますとどうですか。
  137. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 六百四十五市、一千九百八十一町、六百三十村でございます。そのほかに特別区が二十三ございますので、先ほど三千二百五十六と申しましたが、特別区を入れますと三千二百七十九ということになります。
  138. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 どうもありがとうございました。  私、自治省に対しまして平素より地方自治体のために大変な御努力、そして自治体をよく理解し、大変な熱意をもって自治振興のために御努力をされていることはよくわかるのですが、総論におきましては非常にそういう感じがするのですが、全国市町村のそれぞれ個別の自治体、すなわち各論になりますと何となく自治省は冷たいと、こういう感じがずばりするわけでございまして、その辺のところをいまから私質問したいと思うのです。  行政局長、全国の市町村に自治委員とか、あるいは区長とか、こういうものが置いてあるのを御存じでしょうか。
  139. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ほとんどの市町村におきまして、名前はいろいろでございますけれども、御指摘の自治委員あるいは町内会長といったようなものがあることは存じております。
  140. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 それがどういう形で自治体の中に位置づけられておるか、御存じでございますか。
  141. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 市町村の未端の行政の、事実問題として一翼を担っておるというような形になっております。ただ、所によりましていろいろニュアンスの差がございまして、したがいまして、その扱っておる事務も市町村によりまして非常に大きな差があるというふうに存じております。
  142. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 それぞれ自治体にありまして自治委員あるいは区長の設置規則とか条例とか、そういうものを設けておることを御存じですか。
  143. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 設けておるところがあるかも存じませんが、私どもそういう形で調査したことは実はございませんけれども、事実上の形で置かれておるものが多いんではないかというふうに了解しております。
  144. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 各市町村、自治体で、この自治委員に対する手当とか報酬あるいは旅費、こういったものが支払われておるのを御存じですか。
  145. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) これも携わっております事務内容というのが非常に千差万別でございますので、所によりましてそういった事務的に要する経費について補助を行っておる団体承知しております。
  146. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 各自治体が設置規則あるいは設置条例に基づきまして、旅費なりあるいは報酬なりを支払っておるのにつきましては、行政局長どうなんでございましょうか、これは。適当である、あるいは適正であるとお考えでございますか。
  147. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まあそれぞれの市町村の考え方によると思いますけれども、たとえば町内会等におきましては、市の広報活動の一翼を担いまして、市町村が行ういわゆる広報紙などの配布、場合によりましては納税関係事務も扱っておるところもあるようでございますし、あるいは地域の街灯の管理を行っておるところもあるようでございますが、そういった内容によりましては、その部分につきまして公費を補助金の形で町内会等に支出することはやむを得ないことではないかというふうに思っております。
  148. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 やむを得ないと思うわけですね。  私は、手元に大分市、別府市の設置規則、条令があるわけでございますが、これを見ますと、別府市の場合、設置の目的というのは、「市政の円滑なる運営を図り、市事務を処理する為自治委員を置く。」と、こうなっているわけでございます。また、大分市の方は、「市民の便益並びに市政の円滑なる運営を図るため、本市に自治委員を置く。」と、このように明らかに設置規則、条例をもって自治委員の法的な地位といいましょうか、自治体における法的な地位を明確にしまして、これに基づきまして報酬なりあるいは旅費なり手当なりを支払っておると、こういうことでございますが、まあ私がお尋ね申し上げたいことは、こうした自治委員あるいは区長の、仮に災害といいましょうか、不慮の事故が起こった場合、自治省としましては、それは各市町村、自治体が勝手にやっていることだから、わが方は知らぬというような、そういう態度でございましょうか。それともこういうような問題が自治省の方に上がってきた場合、それに対しては、行政局長としてはこういうぐあいに対応した方が望ましいと、こういうようなお考え特にございましたらお聞かせ願いたいんであります。
  149. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 現在のところ、自治会、町内会というのが公法上の組織ではございませんので、自治省としてそれぞれにつきましてどうこうという指導は差し控えているわけでございます。それぞれの地方団体の置かれたいろいろな情勢のもとで、それぞれの活動をしておるわけでございますので、それぞれの団体の責任において運営していただきたいと、こう思っております。
  150. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 また後にそれは、法的地位につきましては話を詰めたいと思いますが、それでは各市町村、自治体が自治委員あるいは区長にいかほどの手当なりあるいは報酬なり支払っておりますか。大体そういうのわかりますか。
  151. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 資料がまあ古くって恐縮でございますが、四十五年に一度そういった関係について調査したことがございますが、その支払いの態様というのが実はまちまちでございます。一定額を支給しているところもあれば、事務費から包括いたしまして、一世帯当たり幾らということで計算して渡しておるところもあるようでございますし、あるいはまた、何も出していないところもあるようでございますし、全く各団体によって態様は千差万別であると申し上げるより仕方ないと思います。
  152. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 私の調査によりますと、たとえば大分市でございますが、昭和五十二年度に実に九千七百五十万五千円自治委員に旅費あるいは報酬という形で支出をしております。また別府市は四千二十七万二千円、このように支出をしているわけでございまして、行政局長もこういったその財政支出につきまして驚かれるんじゃないかと思うんですが、これが現実の姿でございます。  そこで、私はこういった財政的支出を云々というんじゃなくして、むしろ自治委員の法的地位、これを定かにしてもいいんではなかろうかという、そういう感じがするんです。  先ほど局長から、現在全国の地方自治体は三千二百五十六あるんだという御答弁でございます。私はこの三千二百五十六の市町村というのは、国づくりの最も大切な一つの行政単位であると、このように考えておりますが、この国づくりの行政単位三千二百五十六分の一の縮尺日本、その縮尺日本国を本当に大切にしていくという発想あるいはそういう理解、認識というものが自治省には強いと思っておるわけでございますが、そうであるならば、それぞれの地方自治体にございまして、第一線で活躍しておるそういう区長なり、あるいは自治委員というものについての実態の把握をもっと、四十五年に引き続き今日行ってもいいんではないかと思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  153. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まあ実態の把握には努めたいと思っております。  ただ、いま御指摘ございましたたとえば大分市のような場合には、市が本来行う事務というものを非常に大幅に委託を受けてやっておるようでございまして、たとえば転出入に関する事務、諸証明に関する事務、人口その他の調査報告、納税通知書等の配布、諸通知、市報の配布、こういった事務を扱っておるようでございます。したがってそれに伴いまして、本来市がやるべきことでございますので、公費が相当額支出されておるのだと思います。一方近くのたとえば臼杵市というようなのになりますと、これは広報紙の配布だけしかやっておらないというようなことのようでございます。  いま申しましたように、いろいろ団体によりまして、現在のところはその態様がばらばらでございますが、市町村以下のこういった一番最先端の組織というものをどういうふうにするかということは、私ども地方行政の制度を預かるものにとりましては、どうしても検討し、解決しなければならない非常に大きな問題だというふうに問題意識は持っております。  ただ、この前の当委員会においてもお答え申しましたように、戦争中の例の隣組といったようなものが解体されて現在のような形になっておるわけでございまして、かつてのような一律な、まあ隣組ということではございませんけれども、要するに法令で一律にこういうものを規制するのがいいのか悪いのか、人によりましていろいろ論議があるところであろうかと思います。で、一方、しかしながら行政も、町村合併等を経まして、市町村の規模も大きくなっておりますので、末端行政を何らかの形で円滑に行うという必要性はあるわけでございまして、現在その点につきましては各地方団体の自主性に任しておるわけでございます。ただ私ども、ここ数年来こういった末端組織と全く同じものではないわけでございますけれども、例のコミュニティーの育成の動きというものが、特に昭和四十年代の後半から各地方団体で非常に盛んになってきておりまして、最近はまあほとんどの県が県の施策としてこの問題を取り上げまして育成に努力しておるようでございます。そういった動向とも絡み合わせながら、私どもこういった市町村段階の下の末端行政組織というものをどう考えていったらいいかということをさらに検討を進めていきたいと、このように考えておるところでございます。
  154. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 まあ局長から答弁を聞きますと、こういう自治委員、区長というのは、戦前からのいわゆる隣保班あるいは隣組、そういう強制的なものから出ているんだということでございますが、私は必ずしもそうではないと思います。もし局長がそういうような御認識でありますと、この自治委員の問題につきましてもいわゆる認識を、あるいは御理解を誤るんじゃないかという感じがするんです。というのは、自治省のお考えだと、いわゆるボランティアだと、ボランティアであってしかるべきだというふうに答弁では聞こえるわけですが、一方ではそういうものだと決めつけておられますが、必ずしもそうではないということなんです。やはり報酬なり、あるいは手当なり、こういうものはきわめて些少でございます。そして実際自治委員としての仕事というのは、もう千差万別でございまして、これが過疎の町村になればなるほど、あるいは準過疎の町村であればあるほど、非常にふくそうした、しかも煩わしい、こういう仕事をボランティア精神を持ってやっておることは間違いないと思います。  そこで、今回の三全総の中にも、かつての霞が関中心から県におりて、あるいは地方自治体におりていくような、そういう国づくりはやめて、これからの国づくりは、新しい地方主義に根づいたところの国づくりをやっていこうということが三全総の中の精神だと思うんです。そのときも、私は先ほど申し上げましたけれど、全国の地方自治体の本当に手となり足となって、ボランティア精神にのっとり御苦労されておるこの自治委員のいわゆる実態というものを自治省がもっときめ細かく調査し、捕捉、把握して、そして何らかの形で私は法的ないわゆる位置づけをしてもらいたいと思うんです。それが財政的な見地からできないと、そういうものなのか。たとえばそれを法的な地位で認めると、交付税の方でそれを見なきゃいかぬと、現に大分市でこのように九千七百万円という金を支出しているんですから、こういったことが財政的に負担になるというふうにお考えであるのか、それとも先ほど局長お考えになった戦前の暗いイメージがまたほうふつとして沸いてくるので、それはいかぬと言っているのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいのです。
  155. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 財政の問題は別でございまして、行政制度としてこういうふうにするんだということになれば、それに対応する財政措置を講ずるということになるわけでございます。私、戦前のイメージどうこうというよりも、現在の段階におきまして国で一律に機械的につくる、上からつくるというような形がいいのかどうか、そうすべきだという議論もちろんございます。しかし、そうすべきでないという議論も現在ございまして、いろいろ検討しておるところでございます。  なお、ただいま先生、三全総との絡みをおっしゃいましたが、三全総の中に、御承知のように定住圏の下に定住区というのを設けておりますが、この定住区がいわば町内会、自治会でもあり、また一方では、これがコミュニティーであるというようなことも述べておるわけでございますが、三全総を推進するに当たりまして、こういったものをどのように位置づけるかということ、これは政府として解決しなければならない大きな課題でございますので、私どものみならず関係方面とも十分連絡して、こういう市町村行政の末端組織をどうするかという問題につきましては、私ども今後とも十分各方面の御意見を聞きながら検討を続けていきたいというふうに考えております。
  156. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 わかりました。それでは市長会あるいは町村会、いわゆる全国地方六団体の方からこういった問題につきまして、ぜひ法的地位を与えていくべきだというような、そういうような強い要請がございますれば、自治省としましても前向きに取り組んでいただけますですか。そこのところをひとつ。
  157. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほど申しましたように、市町村の区域というものが現在非常に多くなっておりますので、その末端行政をどうするかということは私どもに課せられた非常に大きな命題であろうという問題意識を持っておりますので、関係方面、特にいま御指摘ございました市長会、町村会などはこの問題について真剣に考えておる団体でございますので、それらの団体の御意見も聞きながら、どうしたらいいかということは検討していきたい、このように考えております。
  158. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 わかりました。  次に、交付税のことにつきましてお尋ね申し上げたいと思います。  まず、財政局長にお尋ねしたいのでありますが、この交付税の本来のいわゆる任務といいましょうか、役割りといいましょうか、そうした交付税の位置づけをどのようにお考えになっておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  159. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 交付税法の目的のところでも申しておりますように、交付税といたしましては、地方団体が自主的にその財政を管理し、事務を処理し及び行政を執行する権能を損なわずに財政の均衡化を図るという一つの目的がございますとともに、交付の基準の設定を通じまして、地方行政の計画的な運営を保障すると、こういう二つの機能を持っているというように存じております。
  160. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 二つの機能を持っている交付税法でございますが、それが有効にしかも適正に作用しておるかどうかということをお尋ねしたいと思いますし、さらに現在の交付率三二%で十分であるかどうかということもお尋ねいたしたいと思います。この二点について。
  161. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 現在の交付税の額が国税三税の三二%で足りているのかというような点につきましては、五十三年度の地方財政対策におきましても、交付税特別会計におきます一兆五千五百億円の借り入れと、そのほか臨特千五百億、要するに三二%以外のものが一兆七千億交付税特別会計に入ってきている、そういう財政措置をとらざるを得なかった、このことにつきましては、国、地方を通ずるこういった財政状況のもとにやむを得ない措置と、こういうように判断していることは御案内のとおりであろうと思います。まあ交付税は、そういう意味では、必要とする地方財政といたしまして、五十三年度の財政運営を行いますにつきまして、必要とする交付税は、三二%という率では確保できなかったが、その他の手段を動員いたしまして、必要とするものを確保した。それによりまして、その交付税七兆四百億円を有効に配分することによりまして、五十三年度の地方財政といたしましては、その運営に支障はないのではないかと、こう思っているところでございます。  また、その配分につきまして、いろいろと各団体のいろんな事情というようなものがございます。御案内のとおり、普通交付税の計算におきましては、基準財政需要額の計算においては、各種の補正係数というようなものを駆使いたしまして、なるべく必要とする各団体の実態に適合するような財政需要の計算をいたしたい。また、収入の面におきましても実績等を基礎にしながら、無理のない基準財政収入額の計算をいたしたい。こういう技術的な努力も払っているところでございまして、そのためには一層実態に適合し、かつ各団体の必要とする財政需要に見合います計算方法におきましての合理化を推進していかなければならないと思っているところでございます。
  162. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 時間がありませんので、きわめて簡単にお答え願いたいのですが、交付税の交付税率三二%、この交付税率の引き上げは、かねてより御答弁によりますと、ぜひしなければいけないという御答弁でございますが、これは間違いございませんね。
  163. 山本悟

    政府委員(山本悟君) ただいまのように交付税特別会計において借り入れるというような状況が長期に続くことは、もちろん非常に現実的といいますか、さしずめの問題としてそういう措置をいたしているところでございまして、やはり交付税そのものによって率の問題、あるいは対象税目の問題等ございますけれども、必要の一般財源が確保できるように持っていくべきであると、かように存じております。
  164. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 いままで各都道府県、あるいは自治体から交付税の改正の意見書が出ていると思うのですが、その交付改正の意見書はどうですか、どれくらい来ておりますか。
  165. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 件数といたしましては的確にはあれでございますが、各団体あるいは六団体、それぞれの立場からの改善計画がございます。中にはもちろん総額の問題も含まれておりますし、あるいは個別の算定方法の問題といったようなものにつきましても各種の御意見が寄せられております。
  166. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 意見書の趣旨、内容は、具体的にどういうものが一番多うございましたか。
  167. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 当面の問題といたしましては、やはり総額の確保という点でございますから、交付税率の問題あるいは対象税目の問題、そういったような、要するに地方公共団体全体といたしましての運営、地方財政に支障がないような交付税を確保しようというような点が最も多いのではないか、こう思います。
  168. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 種地の改正については意見がございましたですか。
  169. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 個別の問題といたしまして、需要の算定をより的確にするための問題の一つといたしまして、態容補正の係数の積算の基礎になります種地の問題についても意見はございます。
  170. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 それじゃ、種地を具体的にどのように改正をしてほしいと、こう言っているんでございますか。その点どうですか。
  171. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 態容補正の適用の基礎となります種地につきましては、御案内のように、現在の極地計算の基礎データは、昭和四十五年度の国勢調査の指標を使っております。これがことしの一月末までに昭和五十年度の国勢調査のデータがすべてそろいましたので、五十三年度の普通交付税の算定に当たりましては、五十年度の国勢調査結果による各種の指標を使いまして種地の再計算を行う時期に来ております。この機会に種地の点数配分あるいは極地区分、すなわち現在は市町村の都市化の状況によりまして、いわゆる中核都市的な市町村は甲種地というふうに位置づける、またその周辺市町村につきましては乙種地という位置づけ、それからそのどちらにも属さない、一般的に申しまして山間地の市町村などにつきましては丙種地という位置づけになっておりまして、これらの位置づけそのものについても見直すべきではないかと、このような意見をちょうだいいたしております。
  172. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 そうしますと、現行の種地の見直しと抜本的な改正、改善をする用意があると、そのように理解してよろしいわけですね。
  173. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 現在の交付税法並びにこれに基づく省令の規定による点数配分に対してそのまま新しい国調のデータを適用いたしますと、団体によってかなり変動が生じてまいります。それらの変動がその後の市町村行政の実態に照らして妥当なものかどうかという点についてはかなり検討を要する面があると思います。そういう意味で、私どもは各自治体の御意見を踏まえながらこの点数配分あるいは種地区分、両方とも五十三年度においては全面的に見直したい、このように考えております。
  174. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 現在全国で甲、乙、丙とございますが、その種地は甲が幾つ乙幾つ丙幾つと、そのように正確に捕捉していますか。
  175. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 五十三年度につきましてはこれからでございますが、五十二年度の実績で申し上げますと、甲地に属する団体が五百三十四団体であります。それから乙地に属する団体が二千二百八団体であります。それから丙地に属する団体が五百十五団体、このような区分になっております。
  176. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 私は特に丙種地の問題につきましてお尋ねをしたいと、このように考えておりますが、全国で五百十五の丙の種地があるんでございますが、どうでございましょう、この丙種地をすべて仮に乙の一の種地に格上げしたときに要する交付税額というのは大体幾らになりますか、見込みで結構でございますから。
  177. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ちょっとこれは計算しておりませんので、後刻。
  178. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 大体どのくらいなんですか。
  179. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ちょっとそれぞれ適用計数が違うもんですから、計算しませんと正確なお答えができませんので。
  180. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 わかりました。  この甲、乙、丙でございますが、特に甲地からの距離によってこの丙を乙にするというふうな、そういうのもございますが、これが以前は二十キロメートルでございましたが、それがこのたびの改正で二十五キロメートルとなったわけでございますが、この距離の特例について市町村にあっては、特に町村にありましてはどうも理解しがたいというのもあるんでございますが、しかもこの配点等を見ると、甲地からの距離につきましては五百点の配点があるんでございますが、これをわざわざ導入したという、その何というんでしょうか、行政理念といいましょうか、そういうのはどこにあるんでございますか。
  181. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 市町村の種地区分につきましては、各種の実態調査等を踏まえまして、中核的な都市と、それからその周辺都市と、それからどちらにも属さない都市と市町村と、この三つの類型ごとにそれぞれ行政需要の影響度といいましょうか、関連を検討した結果、現在の省令で定めておりますように、甲地、乙地、丙地それぞれの点数配分を決めているわけであります。ただ、一応全国的な見地に立ってこの点数配分によって算定されます各市町村の格づけに対して、特に丙市町村――丙地に格づけされます、位置づけされます市町村の行政需要というものを見てまいりますというと、点数計算上は丙地になるけれども、しかし現実に甲地の市町村からの距離が近い場合には、点数は足りなくても、現実の行政はかなり甲地市町村の影響を受けると、行政質量において差が縮小されていると、こういう実態がありまして、昭和四十五年度に初めて、一応この種地区分はそれはそれとして、甲地からの距離が十キロメートル以内の市町村についてはその種地区分にかかわらず、乙種地の格づけを行うと、乙種地の係数を適用するという特例を設けたわけであります。これは結局、道路その他の交通条件が変わってきたということ、特に道路がよくなり、自動車が普及するということで、甲地からの行政の影響というものが次第に広がってきている、そういう実態を考慮したわけであります。その後この十キロメートルにつきましては、さらに四十六年度には二十キロメートルに広げ、さらに五十一年度には二十五キロメートルまでこれを延長するという改正を行ってきております。結局、この間、道路事情の変化あるいは自動車の普及その他によりまして、行政の受ける影響というものが次第に広まってきたということを反映さしたわけであります。しかし今日の時点になりますというと、じゃ二十五キロと三十キロとどう違うんだと、こういうような議論もありまして、このような特例による救済だけでは問題が解決できないんじゃないか。最近における都市化の全国的な普及といいましょうか、一般化といいましょうか、こういうようなことから、現在の甲地、乙地、丙地というこの区分そのものについても見直すべきではないか。具体的に申しますと、丙地というものを存置することが妥当なのかどうか、むしろ中核的な都市と、それからそれ以外の市町村というような二本立てにした方が現在の市町村の行政需要の実態を反映するんではないかと、こういうような意見が大変強くなってきておりまして、私どもはこれからいろいろ分析をしてまいりたいと思っておりますけれども、でき得べくんばそのような方向で改革内容を固めてまいりたいと、このように考えております。
  182. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 いまの御答弁でありますと、その骨子とするところは、五百十五の丙種地をこの際なくしたらどうかというような、このような御答弁にとれました。ぜひとも五百十五ございます自治体のこの丙種地をなくして、甲、乙の二本立て、あるいは中核都市並びに中核都市近郊の周辺都市という二地区に分けたところの種地にしていただきたい、このように思うんであります。これにつきまして早急にその対応をしていただきたいわけでございますけど、どうなんでございましょう。大臣、これにつきまして、大体何年度の予算からこの丙種地をなくして甲、乙の二本立てにするんだというような明確な御答弁はいただけないでしょうか。
  183. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) いま政府委員からもるる説明がございましたように、中核的な都市とその周辺の都市を対比いたしてみました場合に、行政需要等に関しましても、かつては質や量ともに相当の開きがあった時代もあったのでありますけれども、だんだんだんだんその開きがなくなってまいりまして、たとえば交通上の観点からいたしましてもそうでありますし、それから衛生関係から見てみましても、かつては農村部では屎尿の処理でありますとか、あるいはじんあい焼却でありますとか、さようなことが必要でない時期もあったのでありますけれども、昨今の情勢といたしましては、山村の地域におきましてもやっぱり必要だと、かようなことでございますから、そういう行政需要等から勘案いたしまして、私は早い時期にいまの種地の変更をいたすべきだ、こういう基本の考えを持っております。  そこで、国勢調査の結果を基本にいたすのでございまして、昭和五十年国勢調査が五十三年度、すなわち本年度から使えることになっておるのでございますから、早い時期と申しますと、私はやはり五十三年度から改正すべきだ、かような考え方を持っておるのでございまして、さような考えで財政当局も作業を始めておる、こう理解をいたしております。
  184. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 ありがとうございます。ぜひとも五十三年度からその適用をお願いいたしたいと思います。  次に、法務省にお尋ねしたいと思います。  現在、法務省の方には、地方法務局の適正配置対策室なるものを設けまして、地方法務局の廃止あるいは統合に踏み切っておるわけでございますが、現時点における状況といいましょうか、具体的には昭和三十年代から今日まで全国で幾つの地方法務局を廃止してきたのか、またこれから幾つの地方法務局を統合廃止しようとしておるのか、まず、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  185. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) 昭和三十年代の市町村合併が行われた時代に三百二十三庁統合いたしました。それから昭和四十六年に登記所の適正配置計画が推進されるようになりましてから五十二年度末までに四百四十九庁統合いたしております。なお、今後さらに登記所のバランスのとれた配置を実現するために、さらに全国で百庁程度は統合を実現したいと、こういうふうに考えております。
  186. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 昭和三十年から今日まで七百六十二の地方法務局が廃止されたわけでございますが、これにつきまして当該自治体は大変な負担というものをやはり感じてきておるわけでございまして、特にこれから廃止されようとする当該市町村におきましても、議会で一々その統合廃止をしないでもらいたいという特別決議あるいは町民大会あるいは農業委員や自治委員やあるいは議会議員が大挙上京しまして、あなたのところに廃止しないでくれという陳情が再三行われたと思うんです。また、これは単に法務省だけの問題ではなくして、地方自治の振興という観点からしましても非常に大きな問題だと私は思うんです。そして地方議会で特別決議をし、町民大会を開き、大挙上京して陳情し、地元出身の国会議員を動かしてやったんだけど、結果的には、残ったものは廃止という形であって非常にむなしいものになってきております。確かに行政管理庁の方で現在それぞれ省庁の統廃合が進められていることもよく知っておるんでありますけど、しかし地方自治のかなめであるところの役場に次ぐところの、いわゆる戸籍に次ぐところの最も大切な地籍を扱うこの地方法務局、これを法務省の一定の廃止路線に沿って次から次と廃止していくということについては、非常にいま抵抗を感じるわけでございます。  そこで、私がお願いしたいことは、ひとつ、この廃止に対するところの代替措置を考えてみたことがあるのかどうかということなんです。承りますと、特に集中的に登記事務等が出てくれば出張するんだとかなんとか言っていますけど、そういうことじゃなくして、もっと前向きの対応措置を考えたことがあるかどうかということなんです。たとえば東京都内では移動郵便局といいますか、郵便自動車が動き回って、団地に入って移動郵便局なんか現に行われております。そういったことも含めまして考えておるのかどうか。くどいようでありますけど、地方自治体にとりまして、地方法務局というのは同じ役場の庁舎の中にある、あるいは隣にある、同じ敷地にあるというような、そういうようなものでございまして、そういうものがどんなに国会議員に陳情し、あるいは地方議会で特別なことをやっても一方的にそれが廃止されてしまうというところに私は問題があるような感じがしてならぬのでありますが、この点についてどうでございましょう。これから百庁廃止すると言うんでありますが、これについては再検討してみるという、そういうお考えございませんか、お尋ねしたいと思います。
  187. 藤井正雄

    説明員(藤井正雄君) 登記所が統廃合されますと、廃止されました庁の所在しました自治体あるいはその地域住民の方々にかなりの御不便をおかけする結果になるわけでございまして、そのために法務省といたしましては、廃止されます庁につきましては、そこに定期的に登記相談を行う機会を設ける、あるいは自治体が土地改良事業とか、あるいは土地区画整理事業、そのほか一般公共事業に伴いまして大量の嘱託登記をなさいます場合には、登記所の方から職員を派遣しまして、事前に指導なり相談なりに応じる、先生いま御指摘のありましたような方法で対処いたしておりますほか、その廃止されました登記所の存在しました市町村の役場に謄抄本の申請書の用紙を備えつけておきまして、郵便による謄抄本の請求に応じるといったような体制も講じまして、あとう限り住民に対するサービスの向上に努めたいと、こういうふうに考えております。
  188. 衛藤征士郎

    衛藤征士郎君 私、これから行われようとする百庁のいわゆる地方法務局、出張所の廃止については賛成しかねるわけでございまして、これにつきまして、どうしてもこうしてもやらなきゃいけないというようなことも法務省の方はお考えのようでありましょうけど、これが廃止されますと、当該自治体にありましては、いままで同じ庁舎の中で、隣で事務ができておったことが、片道一時間かけて、あるいは往復半日の事務が出てまいりますし、あるいはいろいろとふくそうしてきますと、これが一日になったりしまして、細かいことを言うようでございますけれども、自治体にとりましては出張旅費といいましょうか、そういうものを当然見なきゃいけなくなります。私はこういった細かいところまで法務省の方で考えていただきまして、自治省に対しましてこういうふうなことが起こってくると、財政的な負担は微々たるものではあるけれども、出張旅費とかそういうものがかさんでくるし、また行政機構の改革を地方自治体は進めなければいけないような財政的な締めつけの中から、そうせざる得ない中にあって半日その職員がいなくなるとかそういう問題点が出てくる、そういったことにつきましても暫時といいましょうか暫定的に法務省の方からむしろ自治省に対しまして財政的な対応を、特交なら特交でも結構でございますが、見てやるべきだぐらいのそういう温かさがなければならないと、私はこのように思うんです。しかし私が言いたいことは、一番いいことは、こういったものを廃止しないことが一番いいのでありますけれども、どうしてもというようなときには、そういうような配慮があってしかるべきじゃなかったかと思うし、過去七百六十二の地方法務局が、出張所が廃止されたのでありますけれども、そういうふうな配慮があったかどうかといいますと私はなかったように思うんですが、これからの取り組みとしまして、ぜひそういうようなきめの細かい御配慮をお願いいたしたいと思うわけであります。地方法務局の出張所の問題につきましては地方自治のかなめである市町村役場に次ぐところの大切な庁であるという御認識を持っていただきたいと思うわけでございます。特に自治大臣におかれましてもそういうふうな御認識を深くいただきまして、法務省等の方の折衝ということにつきましてもお願いしたいと思います。再度お願いしていただきたいと思うのでありますが、大臣いかがでございましょうか。
  189. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 行政改革は中央、地方を通じまして大きな命題であることは御承知のとおりでございます。国におきましても行政改革を積極的に行いまして、そして行政事務の能率化や効率化を図っていっておるところでありまして、法務省におきましてもその一翼といたしまして今日まで登記所の統合を行いまして合理化を行って能率を上げてきておると、かようなことでございますけれども、反面、地域の住民の皆さん方の立場からいたしますと、いままでなら自分の町に登記所があって、またそれは町の中心に多くはございましたから、役場などとも一緒の場所が多かったでございましょうから、きわめて便利でありましたものが、今度は数ヵ町村で一登記所と、かようなことになりますと、隣の村にやってまいりまして登記を行わなければならぬと、かようなことに相なっておる。その不便はいま御指摘のとおりであろうかと思うのでございますから、私はさような地域住民の利便と行政改革との調和がとれたものでなければならぬと、かような感じを強く持っております。いままで七百幾つ統合されておりまして、そのたびごとにいままでございました町村としてはぜひ存置を願いたいと、かような強い願望のありましたこともよく承知をしておりまして、これから予定されておるといま法務省が言われた百庁にいたしましても、やはり同じような要望を地域の皆さん方が持っておりますことが間違いがないと、かように考えるものでございますから、法務省とよく話し合いをいたしまして、仮に統合を余儀なくされるといたしましても、地域の皆さん方の利便のためには最大の配意を願いますように法務省ともよく話し合いをいたしてまいりたいと、かように考えております。
  190. 小山一平

    小山一平君 三月二十六日の成田空港管制塔占拠事件から二十日ほどの日時が過ぎました。この機会に今日までの経過と今後の対策についてお伺いしておきたいと思います。  政府が決定しました五月二十日開港に向けていま警備体制の整備が進められると思いますが、マスコミはあの事件における幾つかの警備ミスについてきわめて具体的に詳細に報道をしております。私たちはマスコミ情報だけで適当な認識を欠いてはいけませんから、警備当局から警備ミスについて率直具体的に御報告をいただきたいと思います。このことは、やはりあの事件における慎重、そして率直な反省の上に立って今後の対策を立てるために、それがきわめて重要だと考えるからです、どうぞお願いします。
  191. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 私たち自身当時の事案の経過、またそれに対する対応の仕方としての警備実施のやり方について検討を加え、これを今後の警備に生かしていくという立場でやっておるわけでございます。したがいまして、マスコミ等に報道されておるものと、私たちが反省として持っておるものと必ずしも一致しないわけでございますけれども、いま御質問の点はマスコミに出た点を中心にお答えを申し上げたら適当かと思います。  その第一の点でございますが、マンホールから出てきた犯人集団が管制塔に入ったわけでございますが、これに対する措置が適切でないために管制塔を占拠し、相当の被害を与えるという結果に至ったのではないかという点が一点であろうと思います。この点につきましては、マンホールから出てきた約二十名につきまして現場警戒中の空港署員がこれを職質等いたしまして、その結果二つに分かれて逃げたわけでございますが、そのうちの十五名が管制塔に入りました。これにつきましては管制塔の一階エレベーター前で五名を逮捕し、あと十名が上に上がったわけでございますが、この点につきましては、犯人たちが十六階の管制室に入れなくて十四階におり、十四階のベランダのアンテナの支柱の下で上に上る以前の段階で滞留しておる、そのときに追跡してまいりました空港署員を中心とした警察官が十六階の管制室に到着をし、中の様子をノック等によってうかがいましたけれども、特に異常がないというように感じましたので、その他の階に犯人がひそんでおるのではないかということで下におりてまいりました。十四階であいておるドアから外に出てベランダに出ましたところ、ちょうどこれが犯人側と反対側でございましたけれども、そこから犯人が後にやったと同様、アンテナの支柱を修理用のはしご等ございますが、これから十六階の管制塔のデッキに上がって中を見ましたけれども、管制官はいませんでしたが、異常はないと、壊されておらない、犯人はいないということでありましたので、さらに階下に犯人を求めて検索に移ったということでありますので、この時間がおおむね犯人が十六階にとりつきガラスを割り中に入る時刻よりも五分ぐらい早かったということで食い違いが出てきたということで犯人を発見できなかったわけでございますが、この点が一つの問題ではないかと思いますけれども、当時大事な十六階に異常がない。管制官の姿は見えないが犯人の姿もないということで、他の階に直ちに転進をいたしましてこれを検索するということは、当時の措置としては誤りではなかったと、こう思うわけでありますが、そのちぐはぐといいますか、すれ違いを生まないような方法というのを今後われわれとしては考えなきゃいかぬと、これが一つの問題点でございます。  それから第二は、いまのことに関連するわけでありますが、ある報道によりますと、マンホール組の犯人が管制塔の玄関から中に入ったのは、警察官が犯人に追われて、すでにその玄関をガードマンが施錠し守っておるのをあけてくれと言って中に飛び込んだと、それに引き続いて犯人が入ってきたんだと、こういうようなことがございますが、これは全く逆でございまして、これはしたがってわれわれの反省事項でも何でもないということでございますが、あえてその事情を申し述べますと、九ゲートから入ってきた犯人が自分で火をつけて車二台焼いたわけでありますが、そのうちの犯人九人全員逮捕いたしましたけれども、そのうちの二名が自分で火だるまになったわけであります。それが車をおりてふらふらと管制塔方向によろけてやってくるという二名を発見いたしましたので、空港署員が、ガードマンが警戒しておる玄関をあけてもらって、消火器を持って三人の空港署員が飛び出したと、そのときにはガードマンも約三名ほど一緒に飛び出したと、この二人を消火器によって火を消し、そして逮捕して中に連れて入ると、こういうことがあったわけであります。したがいまして、むしろ逃げ込んだのじゃなくて助けに出たと、その後はガードマンが締めておりますから、これはむしろ逆であるということが一点でございます。  それからその次は、第八の二ゲート、これから三百人の犯人の一団が改装トラックを先頭にいたしましてやってきたと、このときの部隊配置が適切でなかった、あるいはそこにおった部隊が漫然とこれを見送っておって阻止しなかったと、こういうことでございますが、これまたわれわれといたしますと、そうではないという意味で大変残念な報道だと思っておるわけでありますが、実態は、これは前にもあるいは報告したかと思いますけれども、少年院の星華学院に集まった、立ち寄った犯人七百人のグループがそこで二台の車とドッキングをいたしまして、その車を先頭に七百人が八の二ゲート方向に、必ずしもそのゲートではありません。方向としてはそちらの方向にやってきたわけであります。これを横堀待機の部隊が出てまいりまして朝日台十字路とか三差路とか言いますけれども、そこのつじでこれをとめ分断をいたしました。その結果四百名はその部隊に分断されまして、分散し、あるいはそこに滞留しということでとどまるわけでありますが、先頭部分の三百名と二台の車はそのまま八の一ゲートの方に進みました。八の一ゲート及びその手前にも一個小隊程度の部隊は配置してあったわけでございますが、その八の二ゲートのところに警察官が宿泊するための仮宿泊所、つまりプレハブの宿舎がつくってございますが、これに対して火炎びん攻撃をかけてくると、現に火炎びんを投げつけたわけでございます。そこでこちら側に転進をしてこれに構えましたところ、もう一つ分かれ道になっておりますが、もう一つの道を通りまして真っすぐ八の二ゲートに出てまいりました。で、八の二ゲートの部隊は、いま言いますようにB宿泊所と言っておりますが、そのプレハブの方に、これ百五十メートルぐらいのところにありますが、これに転進した後やってまいりましたので、そのときにゲートの警備じゃなくて、外周警備のために部隊が配置されておるわけです。部隊は、内周で守る部隊と直近の外周を守る部隊と両方で警備をいたしておりますが、門を守っておる部隊は、いま言うちょっと百五十メートルのところに転進いたしました。で、外周部隊で八の二ゲートのそばの、第三駐車場と言っておりますが、そこにおりました部隊はデモが始まる時間が近づいてまいりましたので、そちらに転進のための命令がちょうど来ておりまして、その転進の準備をしておったところに三百名がやってまいりましたので、これは隊形をとるのに間に合わなかったという事態がありますが、隊形をとってから後はこの部隊は――三百名の集団が中に入り、中で三十六名が現行犯逮捕され、その他の者は逃げて八の二ゲートから出てくるわけであります。これを規制し措置をしたということでありますから、措置の仕方が、ちょうど写真はスチールになりますから、入って来るときにこちらに部隊がおる。これは動いてないというようなことでありますけれども、たとえば放水車とか、阻止車両を転置をいたします場合も、よくその辺でちょっと前やったことありますが、これはそんなにこうすぐにいきませんので、部隊を区処をし、その車両を転置をしというように多少時間がかかりますので、その態勢をとるのに時間がかかったと、それでその態勢をとってからはその集団の処理に当たったということでありまして、その間の事態が、向こうの過激集団はやはり勢い込んでやって来るのに、こちらは何かぼうっとしているのじゃないかと、こういうような印象を与えて、その印象がああいう記事になったのかと思いますけれども、なるほど向こうがやってくるのを直ちに一歩も門の中に入れずに措置をすると、そういう観点からいうと、入られたという点は適切ではないということはあり得ると思いますけれども、それは部隊のその場の状況によりましてある程度入るけれどもこれは措置をするということも、多少のそういうゆとりといいますか、そういうことは現場の戦術的な部隊運用としてはあり得ることだというように考えておるわけでございまして、主な点としては、私たちが感じておるところでは、以上述べた諸点が主な点のように思っておるわけでございます。  以上でございます。
  192. 小山一平

    小山一平君 警備当局の見解はわかりました。  三月二十八日のこの委員会で私の質問に対する警備局長の答弁があったわけですが、過激派によるマンホールの侵入、そこからの管制塔占拠、これが遺憾な事態を招いたので開港を不可能に陥らしめた原因というものがきわめて簡単明瞭であると、こんなふうなお答えがあったように思いますが、そのとおりですか。
  193. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警備の仕方といいますか、そういう観点から見るとそのとおり考えております。
  194. 小山一平

    小山一平君 マスコミなどでもいろいろミスがあったという点を言ってはおりますけれども、そういたしますと、三月三十日開港を不可能にしたのは過激派の管制塔占拠であると、当然直接的な原因はそこにあるわけですが、そういたしますと、あの管制塔を占拠されるということさえなければ予定どおり開港はできたはずだと、こういうふうになるわけですが、そういう認識でよろしゅうございますか。
  195. 三井脩

    政府委員(三井脩君) そのように考えております。
  196. 小山一平

    小山一平君 三月二十八日の当委員会でも私が強く指摘したところでございますが、長年にわたって反対農民との話し合いや説得の努力を欠きまして、権力的と申しますか、弾圧的と申しますか、しゃにむに空港建設を進めてきた、そのために農民の徹底的な反対闘争が生まれてきた、その闘争に広範な支援運動が広がって、その中に過激派が深く入り込んできたものだと思います。このことについては運輸当局も反省をいたしまして、おくればせながら誠心誠意話し合いを行う、こういう言明をいたしております。これは当然であるし、最も重要なことだと思うんですが、私はこのような問題のよって来る根源をおろそかにして、いたずらに警察力だけに頼ったり、警備当局に対して一方的に責任を負わせるようなやり方というものは私は反省さるべきだと、こう思っているわけです。  そこで、国家公安委員長はこの際、運輸省や公団などに対して農民や関係住民との話し合いをいま直ちに積極的にやるべきだと、こういうことを強く求めるべきであるし、その成果が今後の成田空港問題解決の基礎にならなければならぬと思うんですが、国家公安委員長としてこの問題にどういうふうに努力をされておりますか。
  197. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 十二年前に開港が決定いたしました当時は、農民を中心にします反対運動であったと理解をいたしておるのでございますけれども、その後、今日までのいきさつを振り返ってみますと、今日では地元農民の大部分の方々は、もうここまで来たんなら開港もやむを得ないではないかと、かような考え方を持っていらっしゃる方がほとんどであろうと理解をいたすのでございます。  そこで、三月二十六日にあのような事件が起こりましてから、成田空港関係閣僚会議を何回も開催いたしまして、その都度運輸大臣は、地元農民の方々と積極的に心を開いて話をしなければならぬ、このことを繰り返し繰り返し主張していらっしゃるし、かつまた本会議や各委員会の御質問等に対しましても同様の見解を述べていらっしゃるのでございまして、国家公安委員会といたしましては、また警察といたしましては直接話し合いをいたすような立場ではないのでありますけれども、運輸省がそういう基本の考え方で対処いたしますことは賛成でございますし、また警察でもし何か手伝いができるようなことがありますならば積極的にお手伝いもしていくべきだと、かような考え方を持っております。
  198. 小山一平

    小山一平君 私は、運輸大臣もそういう発言をしておりますから、それに従って努力されるとは思いますけども、やっぱり警備の責任を負う警察当局として、その話し合いという大事な問題については強く要請をしていく、こういうことが警備の万全を期する大きな要素の一つだと思うんですよ。ですから、直接話し合いの場に出る立場ではないにいたしましても、なかなか話し合いの場を求めてそれを具体化することも感情的な経過もあって容易でないというふうにも言われておりますから、国家公安委員長といたしましては、そのことを運輸当局の責任において成果のあるような努力をしなさいと、こういう強い姿勢で閣議等において主張していくべきだと思うんですよ。いかがですか。
  199. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私は、今日までもそういう気持ちでおりまして、その気持ちを基本に持ちながら運輸大臣ともしばしば話し合いをいたしておるのでございまして、警察側から運輸省に注文をつけますような言い方は、施設の整備等に関しましては強く注文をいたしておりますけれども、話し合いそれ自体は当然運輸省がなさるべきことでございますから、注文らしき言い方はいたしておりませんけれども、同じような気持ちで絶えず話し合いをいたしておる、この御理解はいただきたい、かように存じます。
  200. 小山一平

    小山一平君 大臣、それは注文をすべきじゃないですか。運輸当局の今日までのやり方がまずいために、成田問題というものがこういう重大な事態に陥って、そして警備当局が大変な迷惑をこうむり、苦心惨たんしていらっしゃるわけでしょう。皆さんが何も一方的に責任をしょい込んで、その一方の責任というものを、おろそかにしているわけではないでしょうけれども、おろそかにいままでしてきたということについて、やっぱり大臣として警備の責任を負う立場から注文をつけるべきじゃないですか。
  201. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 注文と申しますと指図がましく聞こえますので、私がえんきょくな言い方をいたしたのでございますが、無事、そしてトラブルを最小限にとどめながら開港いたします上では地元農民の皆さん方と十分な話し合いをいたし、完全な了解点に達しまして、欣然開港に賛成をいたすと、かような態度に出てもらいますことが理想でございますから、さような考え方をお互いが腹に持ちながら絶えず話し合いをいたしておると、かようなことでございます。  なお、警察といたしましてはさような態度が正しいと思うのでございますけれども、自治大臣といたしましてはやはり地元の県や市町村がこの開港問題と非常な関連を持っていることは申すまでもないことでございまして、県や関係市町村とも積極的に話し合いをいたしているところでございます。
  202. 小山一平

    小山一平君 いま自治大臣として県や関係市町村、こういうものとお話し合いをされているということ、大変結構だと思いますが、そもそも成田空港建設推進の過程においては、当然地域の自治体と話し合って、理解をしていただいて、協力してもらうということをおろそかにしたんですね。全く地方自治体の意見や要望というようなものを聞かずに、どんどんどんどん建設を進めてきた。こういうことが関係自治体から率直な不満として聞いているわけです。これは大変まずいことでございまして、どんな重要な国家大事業であろうとも、その地域社会の責任を負う地方自治体の理解と協力というものを軽視をするなどということが、何の事業をやったって成功するはずがないですよ。そういう点で大臣どう思いますか、今日までの自治体に対する国のやり方について。
  203. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 国の事業ではありましても、事業が実施をされますその地方団体と密接不可分の関係を持っておりますことは申すまでもないことでございまして、地方の事業でも国が十分に協力をしてくれなければならぬし、また国の事業に対しましても地方団体は全面的に協力をし、また意見のあるところは積極的に意見を出してまいりまして、地元の意見を十分に取り入れた形において国の事業が行われなければならぬ、このことは当然のことでございます。過去におきましてもそういう考え方で対処してまいりまして、地方団体は地方団体の立場におきましていろいろ要望すべきことを要望してきており、それをまた国は受けまして最大限に評価をいたして期待に沿うと、かような唇歯輔車の関係で来ておったと思うのでございますけれども、これからもまたそういう関係を強めていかなければならぬ、かように考えます。
  204. 小山一平

    小山一平君 大臣、その認識は違うんです。成田に関する限りは、地方団体にいま大臣のおっしゃったような取り組みをしてこなかったんです。これをいい反省といたしまして、これは運輸省ばかりでなしに、通産省でも建設省でも、あるいは農林省でも大きな国家的な事業をやる場合には、成田の二の舞を踏まないように、地方自治体というものを重視をしていく、こういうことを自治大臣という立場から機会あるごとに指摘をしていただいて、今後の取り組みに遺憾のないようにしていただきたいと思います。やってくださいますね。
  205. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) おっしゃるとおりでございまして、これからもまたそういう関係を強めていかなければならぬと、かように考えます。
  206. 小山一平

    小山一平君 いま警備局長からもお答えをいただいたところでございますが、成田空港の開港が不可能に陥った三月二十六日の事件、その原因というものも簡単明瞭、反省点は反省点として踏まえて今後の対策を進めていらっしゃるわけでございますから、ああいう結果を招いた原因がきわめて明瞭であるだけに、現行法の中で対処できるんじゃありませんか。
  207. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いまの点、先ほど大臣からもお答えをしたこととも絡むわけでございますが、警察の立場は御存じのように違法行為といいますか、暴力的な行為に出ればまあそれを取り締まりはできる。その直前も含めて言うわけですけれども、そういうものが前提になっておるわけでございます。さっき大臣から御答弁申し上げましたのは、その根源また御質問の趣旨もそうだと思いますけれども、その根源をなくすことがあえて警察問題にまで事を激化させるといいますか、発展させるといいますか、そこまで来ないで問題が解決するんだと、それが大事だと、こういう御趣旨だと思いますし、私たちもそういう意味で成田問題に限りませんけれども、いろんな問題はそれぞれ直接衝に当たる人がその立場で処理するということが前提であって、それでもなおかつ暴力事件に発展するものを取り締まるんだと、こういう立場でございます。したがいまして、三月二十六日の開港警備という事態に限定して言いますと、問題ははっきりしておりますし、またそういう点を踏まえて処理をすれば、そのことはいいわけですけれども、したがって今後の開港警備自体にも現行法で十分やっていけると、こう思っております。ただ、その根源になります暴力行為をやる極左暴力集団というものが現にあって、これが成田の空港周辺におると、おること自体は、そのことは何も普通人と変わらないような顔をしておるわけですから、その段階で警察が取り締まるわけにいかない。しかしすぐ近所におりますから、すきを見て、機を見て何どきでも違法暴力行為に彼らが出れると、こういう状態を放置しておいたのでは恒久的な体制から見ますと、これはもう禍根といいますか、凶悪行為の根源をそのすぐそばに置いてあると、こういうことになりますので、そういう根源対策として新しい立法をやることが恒久対策から見ればベターだと、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。
  208. 小山一平

    小山一平君 大臣も先ほどお答えいただいたように、地元との話し合いを積極的にやっていく、これはこの問題の一番大事な基礎になると思うんですが、いま警備局長から恐らく五月二十日をめどにした開港要件については、そのことだけについては現行法の中で十分対処できると、そのほかの問題は別として、そのことだけにはね、こういうお答えでございました。政府が余りメンツにこだわったり、くやしさや腹立たしさに紛れて冷静さを失って、いたずらに特別立法を急ぐという姿勢は私は適当でないと思うんですよ。国民は挙げて過激派の徹底的排除を求めています。しかし、合法的な大衆行動の弾圧につながったり、国民の基本的権利が侵されるようなおそれのある新立法は困る、これは一致した考え方でございますね。これは民主主義国家としては当然のことだと思います。そこで、いま警備局長のおっしゃったような一面もわからないわけではありませんけれども、このような事態に新立法を急いで後に禍根を残すようなことはあってはならない、きわめて冷静に慎重にこの問題は取り扱うべきだと思うのですよ。自治大臣として国家公安委員長としての御見解を承っておきたいと思います。
  209. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 五月二十日の開港に対応いたしまして、警察といたしましては万全の処置をとってまいりまして、再び三月二十六日のようなああいう事件は惹起せしめないと、かような強い決意で対処いたしておるのでございますけれども、しかし成田空港の周辺にはいわゆる団結小屋と称せられます極左暴力集団が百数十名たむろしておる、いわゆる拠点があるのでございまして、この拠点が軸になりましての大衆動員であり、またゲリラ活動であり、反法秩序的な活動がここずっと長い間繰り返されてきておるのが実情でございます。そこで私どもは、あの団結小屋がどうにかならぬもんであろうかとこれが警備を行ってまいりまする上の頭痛の種であるのでございまして、したがって、団結小屋等が制圧できまして、あそこを極左暴力集団の拠点に使われないような体制がとり得るといたしますれば警備の上で非常な利便と申しますか、警備上そのことに非常にプラスになると、かような基本の考え方を持っておるのでございまして、そこで、関係閣僚会議におきまして新しい立法も必要なら制定してもらおうではないかと、かような結論に到達をいたしたのでございますけれども、その後、党で、各政党間の話し合いをいたすべきだ、かようなことに発展をいたしまして、ただいま国会対策委員会を中心にいたしまして各党間の話し合いがなされつつあると、かようなことでございます。ですから、少なくも現段階におきましては、政府ベースというよりも政党ベースと、かようなことになっておるのでございまして、その案を私も見たのでございますけれども、四項目にわたるものでございますが、私はあのような考え方のもとに新しい法律が制定されますならば、警備の上では非常にプラスになり、また好ましいことだと、かような基本の認識を持っておるようなことでございます。
  210. 小山一平

    小山一平君 いま各政党間の話し合いに入っておる、こういうことでございます。私もあの内容といいますか、考え方の原則みにいなものは読ませていただきました。そこで、いま私が申し上げたような立法にならないように、こういう慎重な配慮に基づいて各野党問の合意できるようなものでなければならない、こういうお考え、方針に基づくものと思いますが、そう解してよろしゅうございますか。
  211. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) いま政党ベースで話がなされておりますので、政府の立場の私がとやかく申しますことは僣越であろうと思うのでございますけれども、私は各党間の話し合いが進展いたすにつきまして、逐次法案の内容も固まってくるものと判断をいたしておるところでございまして、いわゆる治安立法的なものになることを恐れる空気もございますし、また一部には、いやそうではない、極左暴力集団は地元の農民の皆さん方の考え方とは全く乖離しておって、革命を目指す暴力集団だから、もっと強く対処しなければならぬ、かような強い意見等もあることを承知をいたしておりますけれども、ともあれ、政党間の話し合いによりまして早く案ができ上がりまして、そして国会で審議願う、かような段階になり、早期に制定願うことを期待をいたしておるところであります。
  212. 小山一平

    小山一平君 お話を聞いていると、どうも天下の大臣たるものが、もう少し自分なりの考え方、所信というものを持ってこういう問題に発言されてもいいんじゃないかというような気がするんですよ。私は、この新立法というものが各政党間で合意に達するような内容であるとすれば、これは治安立法的な性格を持つようなものにはならぬと、こういうふうに考えるわけです。そこで、ある程度の部分が意見一致したら、反対があっても押し切るんだなどというやり方はとるべきでないし、自民党政府としてもおとりになるべきでないと思うんですが、大臣はそういう立場でこれからの言動をやってほしい、私はこういうように思います。大臣の見解を率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  213. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私の発言が、いかにも自信なげな発言に受け取られたかもしれないのでありますけれども、政府といたしましては対策閣僚会議なんかを開きまして、そして法案の骨子につきましては官房長官に一任をいたしました。もとより、一任をします間に私どもも十分に意見を述べたのでございますけれども、官房長官が一任を受けて策定いたしましたものが、御承知のような四項目についてのことでございました。そこで、これが政府段階において討議をされておりますのなら、私なりの意見も申し述べるのでありますけれども、いま政党ベースで話し合いがなされておりまする段階で、私が余り出しゃばった言い方や意見を述べますのはいかがであろうか、かような基本の考え方で申し述べておりますので、いかにも自信なげな受け取り方がなされたのかもしれませんけれども、さようなことでありますことの御理解をいただきたいと思うのでございますのと、それから各政党の一致した考え方で立法いたしますのが理想ではございますけれども、しかし、このことも党段階で話し合いがなされておるのでございまして、いかような形で結論が出ますかは、まだ予知し得ない、かような状況でございますので、そのこともまた御了承願いたい、かように考えます。
  214. 小山一平

    小山一平君 それでは私の希望として、新立法を多数決で決めていくというようなことはおとりにならないように、大臣の立場で御努力をいただきたいという私の一方的な希望を申し上げておきます。  それから、あの事件で逮捕された百六十五名ですか、この身元確認がなかなかめんどうなように報道されておりますが、大体の状況は新聞等で知ることもできますが、当局の責任ある立場から現在の状況を御報告願いたいと思います。
  215. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 百六十六名逮捕いたしまして、このうち一名は入院しておりますので釈放しておりますけれども、現在まで百六十六名のうち身元が判明した者は八十六人でございます。  これを逮捕罪名で申しますと、殺人未遂、凶器準備集合罪、公務執行妨害罪、建造物侵入罪、それから暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、それから火災びんの使用等の処罰に関する法律違反、それから航空法違反でございます。いわゆる航空危険罪の点につきましても、目下捜査をしておりますので、いずれまとまりましたら追送致、追送することになる見込みでございます。  それから、この百六十六人のうち八十六人身元は判明いたしましたが、これのいわゆるセクト別の人数を申しますと、一番多いのが第四インター四十八名でございまして、次いでプロ青同――プロレタリア青年同盟、プロ青同と言っておりますが、これが九人、共産主義者同盟戦旗派が八人、中核派三人、その他赤ヘル、黒ヘル等十五人、反対同盟三人と、こういう数であります。  また、職業別といたしましては、学生が三十三人、公務員等が十五人でありまして、この十五人の内訳は郵政職員が六人、国立大学職員が一人、電報電話局員四人、国鉄職員一人、市役所職員三人であります。そのほかに高校生が二人、これは未成年でございますが、その他三十六人おりますが、その中には私立の病院職員、印刷工、それから保育所の保母等が含まれておりますが、種々でございます。  以上が今日までの主な逮捕者の内訳等でございます。
  216. 小山一平

    小山一平君 身元確認が容易でないというのは、もちろん黙秘権を行使をしているからだと思いますけれども、これはほとんどが過激派セクトに所属すると考えてよろしゃうございますか。
  217. 三井脩

    政府委員(三井脩君) そのとおりでございます。さっき申しました反対同盟三人という以外はもう全部いわゆる極左暴力集団ということでございますが、なお身元確認の点は、前に逮捕前歴があれば指紋で簡単にわかるわけでございまして、いままで八十六人わかっておりますが、そのうち大体半数程度は指紋でわかったものでございます。あとの半数はそれはございませんので初犯ということになりますが、写真あるいは親戚、友人等による面割りというようなことで身元が判明したものでございます。
  218. 小山一平

    小山一平君 おっしゃるとおり、過去に逮捕歴があれば大変簡単だと思うんですが、それがないということが困難にしているということがよくわかります。  それから、過激派セクトの構成員の実態調査というようなものがなかなかむずかしくて十分把握されていないという点もあるように感じられますが、この実態調査はどの程度に把握されているんですか。
  219. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 過激派の実態と申しますのは、平素における情報収集、それからその中には彼らが出しておる機関紙、あるいは集会での言動等、外にあらわれた彼らの活動というようなものが一番はっきりしたものでございますが、そのほか事件で逮捕されたとか、そういう調べの中でもだんだんとわかっていくということでございまして、そういうものから見ました過激派各セクトのおおむねの実態と申しますと、セクトによりましては綱領、規約をはっきり持っておるもの、それから役員などを、規約による大会その他の会議を開いて規約に決められておる手続で選任をしているものもありますし、それから選任した者を外に発表するものあり、発表しないものあり、それからまたいま言ったような綱領、規約を全く持っておらないというものもございまして、セクトとか組織とか言いますが、輪郭のはっきりしたものと、全然はっきりしないものと両種ございます。構成の中でわれわれが見て特徴的な点は、以前は学園紛争華やかなころのこういう各セクトは、いずれも学生が多くの比率を占めておりまして、八割、九割は学生で、学生以外の者が一割とか二割とかでありましたが、今日では、学生がおおむね五五%ぐらいで、あとの四五%は学生でない者が入っておると、これは学生、年とって学生でなくなった者、あるいは大学生でなくて、高校生がいきなりこれに入った者、そのまま年をとっておるとかというようなことでありまして、簡単に申しますと学生と労働者部分の構成比率が、労働者部分がずっと高くなってきておる。それでもまだ四五%程度だと見ておりますが、こういうような点が特徴ではなかろうかと思っております。
  220. 小山一平

    小山一平君 それではもう一つお聞きをしておきたいと思いますが、三里塚芝山空港反対同盟の戸村委員長、大変過激な言動が多いようですが、これに対して破防法違反の疑いがあるとして検討されているという報道がございました。どんなふうに検討されていますか。
  221. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 前にも申し上げたと思いますが、私たちは現在ある法律をフルに活用するというのがわれわれの第一のやるべきことでございますので、その活用すべき法律の中には破防法もあると、まあ破防法のうち罰則の部分がわれわれが関与するものでございますから、したがってこれも活用すべきものとして考えております。ただいま御指摘の戸村委員長が集会等で過激なことを言ったり、あるいは新聞記者とのインタビューで大変激しいことを言っているということはもう十分承知いたしております。したがって、そういう意味ではこれが反対闘争との関係、あるいはまた現行法の活用と、こういった観点から私たちは関心を持っておるところでございます。ただ、具体的に捜査を始めておるかとか、捜査もうやらないのかとか、そういう具体的なことにつきましては、具体的な人の名前を挙げてのことでございますので、これはまた明言するといいますか、いずれにいたしましても申し上げる点は差し控えさしていただきたい、こう思うわけでございます。
  222. 小山一平

    小山一平君 警察関係は以上で結構です。  もう時間が来てしまいましたから、自治省の方はまたこの次に時間を十分いただいてあとでまたお願いをしたいと思いますが、まだ三十秒ほど残っておるから、この間に一つだけ確認をさしていただきたいと思いますが、地方自治法の第九十二条の二、議員の兼業禁止の問題です。地方団体が委託費、補助金等を支出して運営されている団体というのはたくさんあるわけでございますが、その団体と議員との兼業禁止の関係は一体どうなのか。これは幾つもあるから総論でお聞きをする部分と、具体的に言えば、たとえば社会福祉協議会、これはもう予算の大部分は委託費、補助金によって賄われておるわけですが、これの会長などが、地方議会の議長などが兼任をするというようなことは違法にならないのか、妥当であるのか、この点だけ最後に確認さしていただきたいと思います。
  223. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 自治法の第九十二条の二の兼業禁止の規定の解釈でございますけれども、これにつきましては、具体的なケースについてそれが該当するかどうかということを判断するよりほかに方法はないというふうに考えております。基本的には、先ほど御指摘のございました社会福祉協議会につきましては、社会福祉協議会の役員と地方議員とが兼職していけないという規定はないわけでございまして、その意味におきましては、原則的には兼職は可能であると思います。  それから、社会福祉協議会の行っておる内容からいきまして、この条文で言う主として請負、こういったものに該当するのかどうかということになりますと、ならない場合が多いと思いますが、したがって、現実問題といたしましては、兼職されている議員さんもあるわけでございますけれども、個々の社会福祉協議会の業務内容によりまして、この法律に触れるかどうかという判定をする必要はあろうかと思います。
  224. 小山一平

    小山一平君 結構です。
  225. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 警察当局にお伺いしたいと思いますが、   〔委員長退席、理事志苫裕君着席〕 ただいまの小山委員質問に引き続いて、同じような質問になるかもしれませんが、お含みおき願います。  三月二十六日の成田空港の過激派の襲撃事件と申しましょうか、これにつきまして、今後の対策も含めまして警備当局にまずお伺いしたいと思いますが、空港管制塔への過激派乱入の際に警察官の拳銃の発砲がありましたが、どのような状況であったのか、御説明願いたい。
  226. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察官の拳銃の発砲は弾数にいたしまして十八発でございますが、ケースとしては二つでございます。  一つは、第九ゲート、つまり、空港正門に当たるわけですが、これからパトカーを追いまして過激集団が車二台に九名が分乗いたしまして九ゲートを突破し空港の管理棟、空港署、ターミナルビルに通ずる道路上を八十キロの高速で突っ込んでくるということがございました。このときに、パトカー乗務員のうち助手席に乗っております警察官がゲートを警備しておる警備部隊に知らせる意味と、それから火炎びんを投げてくる二台の車に乗っておる暴力集団に対する威嚇警告の意味で空に向け二発発砲をいたしております。その後さらに中に入ってまいりましたので、二発さらに撃ったというのがございます。これが一つのケースでございます。  それからもう一つは、第八の二ゲートから、それからちょっと三十分ぐらいたった後だと思いますけれども、入ってきた三百人を先頭にした二台の車を前に置いた集団、これはここで三十六人を逮捕し、あとを規制して門外に排除したわけでございますが、この車が火炎びんを投げながら、空港署員で編成する管理棟と中心部分を警戒しておる制服部隊でございますけれども、これに対して突っ込んでまいりましたので、それぞれの段階で警察官数名が全部で合計十四発、これも威嚇発射でございますから、特に危害を与える目的で撃ってはいませんけれども、この二つのケース合わして合計十八発というのが全体を通じての拳銃使用の例でございます。
  227. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの拳銃の使用、どっちかと言うと、わりあいに控え目にお使いになったように承ってますが、この拳銃による威嚇射撃があったのにもかかわらず、当日過激派によって管制塔を占拠されるというような事態に陥ってしまったわけですけれども、もしこの拳銃を使用するのであれば、過激派のトラックの進入を阻止する段階で拳銃を使用すべきでなかったかと、   〔理事志苫裕君退席、委員長着席〕 そのようにも考えられるのですけれども、あのような場合の威嚇射撃の効果というようなものはどの程度に評価しておられますか。
  228. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 威嚇射撃の効果でございますが、確かに効果はあったと思います。したがいまして、いま申し上げた二つのケースの犯人は恐らくそういうのがなければ管理棟にも侵入するといいますか、あるいはターミナルビルにも侵入するというようなことはあり得たかもわかりませんけれども、いずれもそういうことはございませんでした。それは威嚇射撃の効果――それだけではありませんけれども、部隊活動もやっておりますから、両方合わしてでございますが、威嚇射撃も彼らがそういう建物に侵入を阻止するには役立ったものと考えております。  ただ、先ほども申し上げたかもわかりませんけれども、マンホールから入ってきた十五名の組がありますが、これが管理棟の建物の中に入ったわけでありまして、ほかのは建物の中に入っておりません。これに対しましては、マンホールを出た段階で警察官が拳銃を発射しませんで、構えたわけです。構えるのも私たちは使用のうちに入れておるわけでございますが、相手に向けて構えた、そこで連中が二手に分かれて逃げた。こういうことでございまして、これが発射すればあるいは逃げずに、あるいはまた逃げる方向が外へ逃げて中に入らなかったかという点はなかなか即断はできかねますけれども、構えたということは発射とある意味ではそれに準ずる効果があるということでございますので、ここでは構えましたけれども、管理棟侵入を阻止できなかった、こういうことでありますが、これはまた拳銃だけの問題ではなくて、拳銃の問題ももちろん関係ありますけれども、部隊の配置とか活動の仕方、こういうものと総合して判断しなければならぬと思いますが、おっしゃるように、拳銃は威嚇射撃でありましても、それなりの効果があるということは、確かにそのとおりでございます。
  229. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その後の本会議などで公安委員長が機動隊にも拳銃の使用を認めるというような意向をお述べになっておられますが、拳銃の使用についてはもちろん当然慎重を期さなければなりませんけれども、機動隊が携帯をするということは、凶暴なゲリラ活動の抑止力には確かに有効であると思いまするが、具体的にはどのようなことで使用させるか御説明願いたいと思います。
  230. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 拳銃使用の具体的なことというお話でございますが、大変具体的なことは、またこちらの使い方を見て、あの限度は警察が使わないんだからそのもっと先をいこうかというようなこともあるいは考えるかもわかりませんので、大変具体的なことはまた別といたしまして、基本的な考え方を申し述べますと、拳銃使用につきましては、現行法及びそれに基づく内部訓令と申しますか、具体的には公安委員会規則でございますが、これによって使用の方法というのは決められております。その決められた、現行法制のもとで決められた拳銃使用のやり方でやっていける、こういう考え方でございます。  そうすると、どういうことかと申しますと、拳銃使用はあくまでも慎重でなければならないということはございます。同時にまた、これを使う必要のあるとき、使うことが効果的であるときには的確に使え、こういうのがわれわれの基本的考え方でございます。  そこで、いまお話は、警察官は拳銃を使用する場合は大きく分けて二通りございます。一つは、通常の制服勤務をいたしまして、この場合は拳銃を常に携帯しなければならぬということで、拳銃を携帯しない場合は特に定められた場合か、特に許可を受けた場合に限るわけでありまして、常に携帯をいたします。これは原則として一人一人、たとえば交番で勤務するとかというような、個々に警察官が勤務する場合ということになりますので、これが凶賊と格闘するとか、取り押えるという場合に、必要あれば使うということは今日でもすでにやっておることでございます。ただ扱いを慎重にやるということであります。  もう一つは、機動隊のように部隊に編成をした場合でございますが、編成をいたしますと、これは部隊として指揮官の命令によって行動するわけでありますから、必ずしも全員が拳銃を持たなくても、必ずしも全員持つ必要はなかろう。ことに警察官の場合には、相手方と、デモの規制であるとか、突入してくる者を体でこれを阻止するという、もみ合いになることがございますから、もみ合いの中で拳銃が取られる、あるいはなくす。なくしたものが相手方の手に渡るということも考慮いたしますと、拳銃をぶら下げて相手ともみ合うというようなことは必ずしも適当でない、こういうことになります。しかしそういう部隊であっても、拳銃を使う必要がある場合ということがありますが、いずれにいたしましても、これは多数――ある程度以上の複数の部隊編成でございますから、部隊全部が持つ必要はないので、その中で何人か持っておればいいだろう。そうなりますと、現場の状況――部隊活動は指揮官の命令でやるわけでありますから、指揮官自身が持っておるのが一番適当ではないか、こう思いますが、しかし指揮官のほかに指揮官の命を受けた何人かは持っておる、こういう持ち方も適当な場合があろう、こういうふうに思いますので、そういう部隊部隊に編成されて活動する場合には、形の上から言いますと、平素一人一人制服で勤務するときには持っておる人も拳銃を置いていく、持っているのはごく一部と、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、どういう場合に用い、どういう場合に部隊編成した場合、つまり機動隊のことでございますが、持たないかというのは、事前の警備検討、警備会議その他状況をよく検討した上で判断をして決めると、こういうことにいたしておりますが、過去の実績から申しますと、機動隊の場合は、拳銃を持つ場合が大変まれであるという、実績で申せばそういう事情はございます。しかしこれはいままで拳銃を使う必要性と、また拳銃を使うことが現場の状況から適切であるというようなケースが比較的少なかったということによるわけでございまして、今回のような事件が今後も引き続き発生するということでありますれば、これに対応しておのずから拳銃を使う場合が多くなってくるという、見込みといいますか、そういうことはあり得るというように考えておるわけでございます。  ただ、機動部隊というのは、部隊編成はしておりましても、具体的な配置の場所では、たとえば一人とか二人とか、非常に少数で警戒配置につくという場合もありますから、そういう場合には制服警察官が単独で交番に勤務しておるのと変わりがないということになりますから、こういう場合は拳銃を持つということになろうかと思いますが、拳銃というものがその相手方に危害を与えるという武器という性質上、われわれは扱いを非常に慎重にしておるということは事実でありますが、一方御指摘のように、大変凶悪な極左集団が、何をやっても大きなそういう傷害や危害を受けることはないということで、いわば安心し切って警察官に抵抗してくるといいますか、攻撃をかけてくる。こういう事態にも的確に対処していく必要があるということを、今回の事件を契機といたしまして、特に痛切に考えておるところでございますので、いま申し上げた諸点を十分に勘案しながら今後の警備に生かしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  231. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま警備局長のお話では、やはり拳銃の使用ということの主とした目的というのは威嚇ということでございますけれども、今度のようないわゆる暴力に対しましては、持っていても単に威嚇しかしないのだというふうに思わせることは、その効果を非常に減らすことになりゃしないか、こうも思うわけでございまして、そうかといって何も使わなければいけないというわけじゃありませんけれども、威嚇以外に拳銃を発射することもあるということも知らせておく必要があるんじゃないかと思うのです。その辺のところはいかがでしょうか、お考えは。
  232. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いままで一般論として、ちょっと一般論に過ぎたかもわかりませんけれども、威嚇で足る場合は威嚇、威嚇を超えて相手方に危害を与えても使用する場合が、いままでの場合はそれに当たっておりますので、当たる場合が多々ありますので、それが同時に有効であるという場合には、それも的確に行うということを検討してまいりたいと思っております。
  233. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 警備局長は、この前事件の発生した翌々日でしたか、当委員会におきまして私があなたに伺ったときには、立法措置につきまして特に必要はない、現行法だけでもってやっていけるというようなことをおっしゃっていたと思いますけれども、その後、このいわゆる事件につきまして、いろいろ詳細な調査もなされてましたし、いろいろまた前向きの検討もなさっていると思いまするが、いまもやはりそのようなお考え――要するに、何といいましょうか、たとえば一応の目標として、五月いっぱいといいましょうか、五月二十日なら五月二十日、あるいは六月いっぱいと、当分の間、このような警備上に新しい立法措置というものが必要ないんだ、なくていいんだというふうにお考えですかどうか。そこの辺のところ、あなたの御意見を承りたいと思います。
  234. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 端的に申しますと、開港自体には新立法といいますか、がなくても現行法で開港自体の警備はやれます。しかし、長期的に考えれば、恒久体制としてはあった方が、新法があった方がベターです。抽象的にはそういうことになるわけでございます。と申しますのは、私たちは、開港警備をやるために現行法をフルに活用すれば、今回の事件の教訓等にかんがみましても、そういう点を踏まえ、そしてまたこちらの体制とか戦術とか、そういうのを練ります。  一方また、空港公団が物的施設の改善、充実というものを中心に、そういった面での自衛措置と申しますか、防護体制も強化していただく、こういうことでありますから、両々相まちまして、開港警備には万全を期し得ると、こう考えておるわけでございます。しかし御存じのように、あのときにも全国から約一万人の各県警察官の応援を求めてやった、こういうことでありますので、恒久的には、そういう一万人を――一万人というのは事態の規模によるわけでありますから、固定的なものではございませんけれども、いずれにいたしましても、各県からの応援を求めてやっていくという限りにおきましてはいけるわけでありますけれども、そういう狭義の開港警備といいますか、それはいけます。しかしやや長期的、恒久的に見ますと、本来は千葉県にある空港でありますから、国家的なものでありましても、どんなものであれ、千葉県警察が自前で責任を持つというのがたてまえでございますので、応援を求めてやるというのは、異例といいますか、臨時の措置と、こういうものでありますので、これを本来のたてまえである自県の警察力、自力でやるというふうにするには、そういう過激極左暴力集団の根源を断つということが必要だ。根源を断つためには、現行法じゃできませんので、新法で、いわゆる団結小屋の撤去その他、新法がありますとそれが可能になりますので、そういう意味で、新法があることがわれわれにとっては望ましい、ベターである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  235. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの警備局長の御意見につきまして、公安委員長としてはどのようにお考えでしようか。
  236. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 先ほど小山議員にお答えをいたしたのでございますけれども、警察といたしましては、現行法をフルに活用いたしまして対処いたしますのは当然の義務でございまして、そこで、そういう体制をとりながらも、極左暴力集団が巣くっておりますのが空港周辺の三十三と数えられる団結小屋でございますから、ですから、この団結小屋を生活の基礎にしながら援農いたしましたり、あるいは資金カンパ等いたしましたり、あるいは反対集会に参加をいたしましたり、また大量の反対集会に参加する者があります場合には、この団結小屋が多数の方々の宿所になっておる、かような事象にかんがみまして、団結小屋を撤去し得ますならば警備の上で非常にプラスになる、ベターだ、こういうぐあいに考えておるのでございます。ですから、新規の立法がなければ開港が不可能だというのではございませんで、新規の立法がございませんでも、開港日が決定しているわけでございますから、断じてゲリラ活動等で再びあのような事件は起こさない、かような不退転の決意で警備体制をとるのでございますけれども、しかし、長期的な展望に立ちます場合には、ゲリラ活動の拠点であり、かつまた生活の中心にもしております団結小屋がないことにこしたことはないのでございますから、したがって、新立法によりまして団結小屋の撤去等が可能でありますならばそれはベターな道だ、かように考えているところでございます。
  237. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この三月二十六日の事件におきまして逮捕者百六十六名ですか、あったということでございますけれども、その内訳、先ほど小山委員からも御質問があったと思いまするけれども、もう一回ちょっと繰り返していただきたいと思いますけれども、状況、内訳はどうなっていますかということと、それから同時に、その中に相当数の公務員が入っておったということを伺っておりますけれども、これは、一体、現在、どのような処分をされているのか、その処分状況なんかについてあわせてお知らせいただきたいと思います。
  238. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 百六十六人のうち八十六人が身元が判明したのでございますが、そのうち、お尋ねの職業という観点から申しますと、三十三人が学生でございます。まだ職業についておらないという意味でございますが、公務員及びこれに準ずる公社職員といったものは十五名でございまして、この内訳は、郵政職員が六人、国立大学職員が一人、電報電話局員が四人、国鉄職員が一人、それから市役所職員が三人という、この十五名が一番目立つものでございまして、あと高校生が二人、それから私立の病院職員、印刷工、保育所の保母等が含まれておるというのが職業別の内訳ということでございまして、公務員十五人のうち、私たちがはっきり懲戒処分、身分上の処分がなされたということで伺っておりますのは大学職員一人、郵便局員二人、あわせて三人につきまして懲戒免職処分をしたということは関係のところから伺っておりますが、その他の公務員及び公社職員についての処分は検討中という話は聞いておりますが、やったということは聞いておりません。ところによりましては、直ちに懲戒免職ではなくて、起訴されるかどうか見た上で考えよう、あるいは起訴されたら普通の法律どおり起訴休職にして、有罪の判決があってから考えようというような意向を漏らしておるところもあるというように聞いておりますが、これは、そういう話程度でありまして、まだはっきりしたことにはなっておりません。
  239. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 その後も当局としては捜査を続けておられると思いますが、大分まだ黙秘権を使っている者もたくさんいるということでございまして、まだまだ解決までには非常にむずかしいのではないかと思いまするけれども、やはりこういった、何といいましょうか、事変、犯罪というものが起きないためにも、あくまでも犯罪に対する追及というごとは必要だと思いますけれども、追跡調査ということを徹底的にすべきじゃないかと思いますが、その点いかがお考えですか。また、どのようにして今後対処されるか、お伺いしたいと思います。
  240. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 追跡捜査の点の御指摘でございますが、確かにそのとおりでございまして、今度のような事件をやったにつきましては、事前の謀議が、どの程度の謀議があったかは別といたしまして、事前に相談をしておるに違いない。それからまた、現実に逮捕された者は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、空港の中では全部で六十人、百六十六人のうち空港内でつかまったのは六十人でありまして、第八の二ゲートから入った者も、三百人のうち全部入ったわけではありませんけれども、相当数入っておりますけれども、逮捕したのはさらにその先頭部分であるということでありますから、現実に、事前の謀議の有無にかかわらず、現実に建造物不法侵入、火炎びん法違反を犯しておるにかかわらずつかまっていない、こういう者もありますし、またつかまった者が同時に、これも含めて事前の謀議をした者があるに違いない、こういうことでありますので、この辺を取り調べ、その他を通じまして、つかまらなかった人間を被疑者として割り出して、これを事後検挙という形でどんどん逮捕していきたいと、こういう気構えでやっておりますので、いずれその辺もだんだんと実ってくるものというように考えておるところでございます。
  241. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この空港周辺の警備のために今度新しく成田空港警備隊というものを新設されると承ってますけれども、この警備隊の規模だとか、任務担当についてどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  242. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 空港警備隊の新設につきましては、例のこの空港問題の関係閣僚協議会で決まったあの安全確保の要綱がございますが、ここでも明確に決定を見ておるところでございます。で、私たちが考えておりますのは千葉県警察にいわゆる成田空港の空港警備隊を設置をする。その意味は国家警察といいますか、警察庁ではなくて、国家公務員ではなくて、千葉県の警察官としての空港警備隊というものを設置しようと考えておるわけでございます。  その規模は千五百人と考えております。この千五百人は三交代で――いまはそういう交代制勤務は三交代でございますが、他の部門も三交代でございますので、三交代。したがいまして、一当番といいますか、これは五百人ずつ三交代ということになりますから、あの空港を五百人で警備をする。一回五百人ということになるわけでございます。  これの任務は、空港を中心として空港内及び空港外、外といいましても空港に比較的近い外部でございますけれども、ここでの警備を担当するということでありまして、このほかに空港警察署というのが二百人余りですでに設置されておりますので、これは通常の警察業務、いろいろああいう大きな人の出入りのあるところでございますから、やるべき警察業務があるわけでありますが、特にこの空港警備隊は極左暴力集団を主たる対象といたしまして、彼らによるゲリラ攻撃、テロ的攻撃から空港及びそれに伴う安全を守っていこう、こういうのが主たる任務でございます。  なお、それ以上の細部につきましては、発足の時期あるいは要員の充足の仕方等は急にはまいりませんから、段階的にいかなければいかぬと思いますけれども、これは目下関係の省庁あるいは内部において検討を加えておるところでございまして、全員千五百名が全部そろう時期は多少先になりますけれども、速やかにできるだけ早く発足をさせたいということで準備を進めておるところでございます。
  243. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、この警備隊は千葉県警の指揮下に入るということですか、そうですね。
  244. 三井脩

    政府委員(三井脩君) そのとおりでございます。
  245. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この警備隊の発足はいつごろに予定されてますか。
  246. 三井脩

    政府委員(三井脩君) その点もできるだけ速やかにという方針でございますけれども、具体的時期はまだ検討中でございますので、いまの段階ではちょっと申し上げかねております。
  247. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 当局で練られた案ですから千五百名で十分だとも思いますけれども、あの非常な広い空港の警備をするということに対しては、千五百人というのはしかも三交代という、三分の一だと五百名になりますが、ちょっと非常に何か手薄のような感じが素人考えでしますけれども、その辺は大丈夫でございましょうね。いかがですか。
  248. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 大変抽象的といいますか、一般論で申しますと、千葉県の警察は現在定員が六千名でございます。その他に千五百名が空港警備隊として、別のものとして設置されるということでありますから、言いかえますと、六千と千五百で七千五百名を千葉県警察がいざというときは動員できる。もちろん全部動員するわけにはまいりませんけれども、そういう七千五百というプールの中で常時警戒に当たるのが千五百、具体的には三分の一ということになりますが、それに千葉県警察から応援ができると、こういうことになります。  なお、極左暴力集団が特別に、攻撃のためのデモや集会をやるようなときには、それ以外の各県からも応援をするということでございますので、応援体制をこれに加味してまいりますから千五百名は母体になりますけれども、それでカバーをしていく。これは事態、極左暴力集団の出方次第によるものでございまして、必要がある場合には全国から一万も動員するということになるわけでございますが、恒常的な体制としてはこの千五百名の空港警備隊で賄えるものと現在では考えておるわけでございます。
  249. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 このことに何もわれわれが余り心配する必要ないかもしれませんけれども、開港、五月二十日ですか、まではいいとして、いよいよ開港して、そうすると今度はそこへ飛行機も離着陸する、一般乗客その他等々も相当出入りするというようなことになりますと、非常にこの空港の警備そのものも質的にふえてくる。このようにも思うわけでございますが、私どもの希望としまして、特に一般の乗客等に危害、損害が起きるというようなことになっては大変だと思いますので、その辺の御配慮も十分なさっているんでしょうか、ちょっとお伺いします。
  250. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 警察は警察の立場で万全を期するわけでございますが、なお、先ほどもお話があったと思いますけれども、空港自体も物的な施設の改善強化ということのほかに、さらに人的な面といいますか、保安的、警備的なやり方ということにつきましてもいままでよりは前進、改善を加えていただくということも必要でありますし、また、空港に出入りされる一般公衆といいますか、乗客を含めた一般の方につきましても、私たちは場合によっては相当の検問をやるというようなこともありますので、そういう点についても御協力をいただく。成田空港へ行っても検問してもらってくれては困るというようなことでは困るわけでありまして、そういう各方面の協力が得られるということと、それからまた、何よりも私たちは痛感しておるわけでございますが、世論一般が空港反対はともかく、それに基づいての暴力行為は厳しくこれを批判する、こういうような世論の批判といいますか、そういう盛り上がる世論に支えられまして空港の安全を確保していきたい。私は、こういうようなそれぞれのことが盛り上がっていくということが大事だと思いますが、警察はその中でも特にわれわれとしてそういうことを期待をいたしますけれども、そういうことを踏まえた状況に対しまして、場合によっては応援によって、そしてそういうことが落ちついてくれば空港警備隊だけで、千葉県警察だけでもやっていけると、こういうように情勢が安定していくように警備を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  251. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いままでの経過を見まして、成田空港というと何かちょっとこわいな、飛行機に乗るにも成田からはちょっといやだなと二の足を踏むというような気分もないとも言えませんが、そんなことからして今後の警備についてひとつ万全を期していただきたい。そして成田空港が羽田と同じ程度に安全な空港であるというように考え方を定着できるように御努力願いたいと思います。  以上、警察関係、ありがとうございました。  自治省にお伺いいたしたいと思いまするが、今年度の超過負担の解消のためにはどんな措置がなされているか簡単に御説明願いたいと思います。
  252. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 五十三年度におきましての超過負担の解消措置でございますが、昨年度行いました各関係省庁におきます補助金等の実態調査の結果に基づきまして、外国人登録事務委託費におきます企業格付けの改善でございますとか、農業委員会費補助金に係りますところの人件費の改善、こういったようなことを行いますとともに、従来ございませんでした警察諸施設及び保育所施設につきましても標準仕様をつくる。こういうような改善をいたしまして補助基準の明確化を図っているところでございます。また、このほかにも人件費及び施設費に係ります補助負担の対象範囲の拡大あるいは公立文教施設、公営住宅等に係りますところの基準面積の改善等の措置が講ぜられまして、その結果、改善総額は事業費ベースで約九百三十億円、国費ベースで約五百五十億円の改善がなされたということになっております。
  253. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この超過負担の解消につきましては、毎年度地方から強い要望が出ていることは御承知のとおりでありますが、この地方財政を圧迫する重大な要因となっている超過負担でありながら、まだ根本的に解決したという段階に至らないのは非常に残念だと思っておりまするが、これにつきましてひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  254. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 超過負担は財政を乱るものでございまして、地方といたしましては非常に困ることでございますから、早期に超過負担の解消をいたしてまいらなければならぬ。そのためには、毎年度大蔵省や関係省庁とよく連絡をとりまして、実態調査に努めておりまして、そして予算編成期におきましては、各省庁に対しまして超過負担の解消の要望も強くいたしておるところでございますけれども、今後もその努力を続けてまいりまして、完全な解消ができますように努めてまいる、かような決意でございます。
  255. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 厚生省の方にちょっとお伺いしますけれども、保健所の職員の超過負担につきましてですけれども、保健所の職員の削減計画というのがありますね。この内容はどのようになっていますか、お伺いします。  それから同時に、全国の保健所の数はどのような推移をたどっているのか、あわせて承りたいと思います。
  256. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 保健所におきます国庫補助対象職員の定員の削減の計画でございますが、昭和四十三年度から第一次計画、第二次計画、第三次計画と実施してまいりまして、現在第四次計画の進んでいる段階でございます。四十三年度以来現在まで、二千八百六十三人の定員の削減を行っております。  また、第二点の保健所の数でございますけれども、昭和四十三年八百三十二ヵ所でございましたけれども、その後昭和四十七年に、沖繩の復帰等に伴いまして保健所の移管がございましたり、あるいはまたその間、保健所の新増設等ございまして、現在八百六十一ヵ所となっております。
  257. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話のように、保健所の数は、沖繩の問題ありましたけれども、ふえていく、それにもかかわらず職員数は計画どおり減らしていかなきゃならない、こういった非常な矛盾があるわけですけれども、これについてはどのように受け取ればいいのか。要するに、削減計画というものは一体適切なる対策なのかどうか、このことについて承りたいと思います。
  258. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 保健所におきます国庫補助対象職員の定員の削減につきましては、国の統一的な方針であるというふうに私ども受けとめまして、その横並びの措置といたしまして、他の国庫補助対象職員と同様に実施をしてきたわけでございますが、私ども、保健所の特殊性から考えまして、保健所活動の中心的な活動をいたします技術職員につきましては、この定員の削減から除外いたしまして、また削減率を低くするといったような措置も講じておるところでございます。なお、このようにして定員の削減も進めているわけでございますが、一方これと並行いたしまして、保健所が新たな対応を要請されているような問題、たとえば公害関係職員、あるいは保健婦の増員等の問題につきましては、必要な増員も並行して行っているところでございます。また、新増設等がございました場合には、所要の人員の確保も図っているところでございます。
  259. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この業務内容についても、量的にも非常に年々増加して、内容もまた多様化しているわけでございますけれども、この法令の制定や改正、それにまあ通達によって加えられたものを見ましても、五十二年度だけでも、一歳六ヵ月児の健康診査だとか、先天性代謝異常検査、それから風疹予防接種などと、こういうふうな仕事の量はどんどんふえております。これで保健所の任務というものはやはりあれですか、りっぱに遂行できるわけでしょうか、どのようにお考えですか。
  260. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) ただいま先生御指摘ございましたように、確かに地域におきます保健の需要というものは非常に高まってきているわけでございます。また、非常に多様化してきているわけでございます。当然保健所の業務もそれに合わせまして質的、量的に変わってきているわけでございます。先生いまいろいろと母子関係の事業の増加について御指摘ございましたけれども、私ども、こういうふうな保健所の業務を、従来非常に保健所の業務の大半を占めておりました結核の対策の問題、あるいはトラホーム、あるいは性病その他の伝染病の疾患等もあるわけでございますが、そういう予防対策等は一方では減少してきているわけでございますが、先生の御指摘にもありましたような、いろいろそういう母子の関係、あるいは公害関係、あるいはまた成人病関係、こういったような仕事というものが非常に増加しているわけでございます。私どもといたしましては、こういうふうな事業の増加に対しましてはその都度それぞれの事業につきまして、医師あるいは看護婦等の、その他の専門の職員の雇い上げの賃金等も予算措置も講じているわけでございますが、特に必要なものについては、先ほども申しました公害関係の職員のように、増員もあわせて行っておるところでございます。こういった点で問題もあるわけでございますが、私ども、こういう保健所の業務を今後も地域住民の方のニードにこたえられるように、保健所の業務のあり方というものも今後十分検討いたしまして、その対策を遺憾ないように実施してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  261. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、どうでしょう、このいまの削減計画というものに対しては非常にあれでしょうか、あなたの方のお立場とすれば反対といいましょうか、この削減計画とんでもない計画だというふうにお考えですか。
  262. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 先ほども申し上げましたように、私ども、この保健所の職員の定員の削減につきましては、国家公務員の定員管理計画の横並びの措置といたしまして、他の国庫補助職員と同様に実施してきているわけでございまして、そういう受けとめをいたしているわけでございまして、現在私どもはそういうふうな点から、別枠でというのはなかなかむずかしいんじゃないかというふうに思っておりますが、私ども今後、保健所のあり方なり業務につきまして十分検討いたしまして、必要な措置を講じてまいりたい、こういうふうに現在考えておるところでございます。
  263. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 自治省に伺いますけれども、このいわゆる削減計画ですね、これは四十二年からですか、実施されてきているわけですけど、その後大分社会情勢が当時と変わってきておるわけでございまして、果たして、いま私、厚生省に伺ったように、計画がいまの情勢に適しているのかどうかということも非常に考えさせるものがあるわけでございまするが、特に知事会あたりでは大変この削減計画の廃止を強く要望しておるわけでございますが、これについてのお考えを承りたいと思います。
  264. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、保健所に配置されております職員の定数の関係、国の一律の削減計画の対象になっているようなこともございまして、補助対象になります職員がだんだん減っていっているというような実態でございます。しかるに、現実に保健所に配置されている現員といいますものは、やはり業務の増加というようなことからいたしまして、徐々にでございますが、やはりふえていっているというような実態にあるわけでございまして、こういった実態を踏まえて私どもとして考えますと、やはり保健所がやらなければならない業務の実態に応じまして、国庫補助対象職員というのも決めていただかなければ、やはり合理的な運営はできないのではないかというような感じがいたすわけでございます。そういうような意味からいたしまして、自治省といたしましては、保健所の国庫負担対象職員につきましては、一律の定員削減の対象とするということはどんなものであろうか、むしろ実態に合わせて必要なものはちゃんと見てもらうように常にこの数年、たびたび厚生省には要望いたしているというような実情になっております。
  265. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 全国知事会がさきに行いました五十一年度の超過負担の実態調査を見ますと、全国の百の保健所を対象に調べた結果、国庫補助対象職員は二万五千五百七十一名いるにもかかわらず、実際補助対象となっているのは二万一千五百七十九人にすぎないで、その差の三千九百九十二人が地方の超過負担になっている、こういう数字が出ております。これについてどのように認識を持っておられるのか、補助対象職種の全職員は補助対象にすべきだと、こういうふうに思いまするけれども、いかがですか。
  266. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおりに、現在保健所運営費補助金の補助対象職種の職員でありながら、実際に対象から除外されている職員が相当あるんじゃないかというように私どもも存じております。これは保健所法の施行令の第九条の規定に基づきまして厚生大臣が定めております保健所の職員配置基準というのが、最近におきます保健所の業務の推移に伴う職員配置の実態に即応しているのかどうかと、そういった点にも問題があるんではないかと、それからいまの削減計画といったような点にも問題があるのではないかというようにも考えられるわけでございまして、自治省といたしましては、保健所業務の実態に即応した合理的な職員配置基準というものを設定されますとともに、国の定員削減に準じた一律の定員削減の対象とすることについての可否というものをよくよく考えていただきたいと、かように思っているわけでございます。
  267. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 厚生省はどうですか、いまのこれについてのお考えは。
  268. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 現在の保健所の補助対象職員でございましても、たとえば補助対象職員と申しますのは、私どもで現在二十二の職種の専門の職員を補助対象職種としているわけでございますが、その中にございますたとえば獣医師なら獣医師の方が補助対象職員になっておるわけでございますが、この方が今度は食品衛生の監視の仕事をいたしましたような場合には、あるいは屠畜検査員といったような仕事を兼務している場合が種々あるわけでございます、そういったような場合には、それぞれ食品衛生監視員というのは交付税の対象職員になっておりますし、また屠畜検査員といったような場合には特定財源、いわゆる使用料とか手数料、そういうもので措置していくというふうなことになっておりまして、その辺の兼務しているような実情はいろいろございまして、大変むずかしい問題があるわけでございますが、私どももこういった問題は非常に重大な問題と考えております。ただ、そういういろいろの事情もございまして、どこまでそういうふうな補助対象として実施していったらいいかというような問題もございますけれども、さらに慎重に検討してまいりたいというふうに現在考えておるところでございます。
  269. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの補助対象の職員についてですけれども、これが実際に補助になっていない職員の数の年度別の推移を見ますと、四十九年度が一三・三%、五十年度が一五・二%、五十一年度一五・六%と、超過負担は解消どころかだんだん増加しているわけですけれども、この原因についてはどのようにお考えになっていますか。また保健所の業務の多様化等考えますと、実態に合った事務量に見合うだけの補助職員数に見直しを行う必要があるのではないか、こういうふうに考えられるのですけれども、この辺について大臣のお考えはいかがですか、承りたいのです。
  270. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 御承知のように、経済的な社会的な条件が急速に変化を遂げてきておりまして、今日の保健所はきわめて広範な重要な仕事をいたしております。ことに最近は公害関係等にも相当の人手を食っており、その体制をとらなければならぬ地域のニードでございますし、また食品衛生関係にいたしましても、薬品関係にいたしましても、事態が急速に変わってきておる、それに対応いたします保健所の実情でなければならぬ、このことを常日ごろ考えておるのでございます。いま知事会が調査をされました超過人員のお話もございましたけれども、自治省調査いたしました数字で見てみましても、やはり三千人台の超過が現在ありますことも明らかでございますから、厚生当局にもよくこのことを説明をいたしながら適正な処理をお願いをいたしておるところでございますけれども、今後も保健所行政の重要性にかんがみまして格段の御配意を願わなければならぬと、かように考えておるところでございます。
  271. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 よろしくひとつお願いしたいと思います。  さらに単価差についての調査結果を見ますと、依然として補助単価との開きが大きく出ております。特に医療職(一)につきましては人材確保の面もあるためか一人当たり年百万七千円も開きが出ておりますが、現在の国の格づけはどのようになっていますか、厚生省にお伺いします。
  272. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) ただいま御指摘ございました保健所補助対象職員の給与費のうちの特に単価差の問題につきましては、昭和五十年度に自治省、大蔵省、厚生、三省の合同の実態調査の結果に基づきまして昭和五十一年度におきまして単価差の解消を図ったわけでございますが、さらに五十二年度におきましては一一%、五十三年度におきましても七%と、国家公務員給与引き上げに見合います単価の引き上げの措置を講じているところでございます。
  273. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 知事会の、要望としては実態に即しての格づけをということを希望して医療職の(一)を二等級十九号俸に、それから医療職の(二)は三の十四に、医療職の(三)は三の二十五に、それから行政職の(一)を六の十三にそれぞれ是正することを要望しておりまするけれども、やはりこれは実態に即した改善を行うべきだと思いますが、どうでしょう。
  274. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) ただいまお答え申し上げましたように、単価差の問題につきましては、特に年々国家公務員の基準に合わせましてその改善を図っておるところでございまして、確かに知事会の御意見等によりますと、その差もあるところでございますが、私どもそれらの実態も今後十分調べてみまして内容等検討してみたいと考えております。
  275. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、補助職員の給与のうち管理職手当、それから初任給調整手当、超過勤務手当、特殊勤務手当、それから宿日直手当、児童手当、退職手当等の七種は対象外となっていますけれども、これらは給与の一部として切り離すことができないものでありまして、これらすべてをやはり補助対象に加えて地方の超過負担をなくすべきだと、このように思いますけれども、厚生省の考えはいかがですか。
  276. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 補助対象の諸手当の問題でございますが、年々解消を図ってきているところでございます。特に五十二年度におきましては、公務災害補償費及び共済長期掛金の負担金を、また昭和五十三年度におきましては、医師等に対します初任給調整手当を新規に補助対象といたしまして、このために要します国庫補助金約六億七千万円を五十三年度予算に計上いたしておるところでございます。いわゆる対象者によります超過負担が生じないよう、逐次その解消に努めているところでございます。今後もそういう考え方で進めてまいりたいと思っております。
  277. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間が来ましたので、じゃあ最後に一問だけ伺いますけれども、補助対象外になっている保健所の問題ですけれども、全国で補助対象外になっている保健所は幾つありますか。
  278. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) 昭和五十二年度におきまして補助対象外となっている保健所は全国で五ヵ所でございます。
  279. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは厚生省とそれから大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、これらの補助対象外になっている保健所、五ヵ所ですが、この保健所の扱いについて、地方が設置せざるを得なかった実情というものを十分に認識して、一日も早く運営費に対する国庫補助を行うべきだと、こう思いまするけれども、厚生省並びに、最後に大臣のお考えを承りまして私の質問を終わらしていただきます。
  280. 辻林嘉平

    説明員辻林嘉平君) ただいま申し上げました、昭和五十二年度で対象外とした保健所は五ヵ所でございますが、この分につきましては、五十三年度のうちに国庫補助の対象とするよう努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  281. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 全国に五ヵ所も未認可の保健所がありますことは、私ども行政の実態からいたしましてもまことにおかしいと思うのでございまして、そこで、昨年も予算編成前に、厚生省に対しまして未認可の保健所をなくするように申し入れをいたしたところでございますけれども、予算的な関係もあることはよく承知をいたしておりますが、早期に極力未認可をなくしますように、自治省といたしましても今後関係向きへ強く働きかけてまいりたいと、かように考えております。
  282. 渡辺武

    渡辺武君 私は、地方財政収支試算の問題についてまず伺いたいと思います。  五十三年度の地方財政が三兆五千億円もの巨額な財源不足に落ち込んでいる、これは全く驚くべき状態だと思うんです。しかも、もうこれ四年続きの財源不足で、これは自治省の方がよく御存じですが、五十年度が約二兆二千億円、五十一年度二兆六千二百億円、五十二年度二兆七百億円、こういう財源不足が続いた上に、さらに五十三年度の異常な財源不足と一いう状況であります。地方自治体が非常に深刻な事態に落ち込んでいることは、これはまあ言うまでもないと思うんですが、まず大臣に伺いたいことは、このような深刻な地方財政の現状をどのように認識しておられるか、また将来の見込みをどんなふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  283. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) ただいま御指摘がございましたように、過去三ヵ年間は二兆円オーダーの財源不足でございましたけれども、五十三年度におきましては三兆円を超える、かような結果になりまして、まことに残念なことでございます。これは、御承知のようなオイルショック以来の不況が今日なお続いておりますので、地方税収の落ち込みが大きゅうございましたことと、それから地方の一般財源は御承知のように地方税と、そして並んで大宗をなしますものが交付税であり、さらに譲与税もございますけれども、交付税と地方税収が大宗をなしております。交付税はこれまた御承知のとおり国税三税の一定パーセンテージを特会に入れてこれを交付をいたす、かようなシステムに相なっておるのでございまして、長く不況が続いておりますことがかような結果を生じたのでございまして、まことに残念なことでございますが、しかし不足は生じましたものの、これを完全に補てんいたしまして、地方財政の運営に当たりましては支障なからしめるように努めてまいっておるところでございます。  そして、いつこれが解消できるかという見込みのことについての御発言でございますけれども、経済情勢が好転をいたしましても、かつてのような高度成長で自然増収がどんどんふえていきますような状況はなかなか短年月では不可能のように思われるのでございますが、しかし景気が好転いたしますと、それなりの税収が確保できることは申すまでもないことでございますけれども、さような措置と相まちまして制度の改正を行うことによりまして、行財政両面からの制度改正によって対処いたしまして不足財源のないような状況を早くつくってまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  284. 渡辺武

    渡辺武君 そこで、将来の見通しの問題について特に伺いたいと思いますが、ことしも地方財政収支試算が一昨年に続いて第二回目のものが発表されました。それで、国の財政についても同じように一昨年も出され、それからことしも出されているわけですが、この国の財政収支試算と地方の財政収支試算とはどういう関係になっているのか。恐らく同じ政府の発表したものですから整合性のあるものとして出されたものと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
  285. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 地方財政収支試算につきましては、ケースI、II、IIIと三つのケースを想定をいたしまして御提出を申し上げ、国の財政収支試算におきましてはケースA、B、C、D、Eと五つのものを御提出申し上げております。この両者の関係でございますが、いずれも、地方財政収支試算におきましても国の収支試算におきましても、経済審議会の企画委員会の出しました暫定試算というものにおきますところの経済についての諸指標というものを基礎にもいたしておるわけでございますが、さらに地方の収支試算におきましては国の収支試算のやり方にもはずを合わせる、こういうかっこうで出しております。  国の五つと地方の三つというものについての合わせ方で申し上げますと、地方財政収支試算のケースIは国の収支試算のケースA、それから地方のケースIIは国のケースC、それから地方のケースIIIは国のケースDというようなものに対応さしているわけでございます。国の場合におきますケースB、それからケースEというのは非常に極端な想定というものを前提にいたしました試算でございましたので、地方の場合にはそれについての作業はいたさなかった、かようなことになっているわけでございます。そういう意味で地方のI、II、IIIはそれぞれ国のA、C、Dというものに相対いたしている、かようなかっこうになっているものでございます。
  286. 渡辺武

    渡辺武君 大蔵省に問うてみますと、いまおっしゃった経済企画庁が出された五十五年度経済についての暫定試算、あれと一番整合性のあるものはケースCだというふうに言っております。いま、地方財政収支試算のケースIIが国の財政収支試算のケースCと整合しているという趣旨の発言があったわけですが、三段論法ですけれども、経済企画庁のその暫定試算、これと整合しているものがケースIIだというふうに言っていいわけですか。
  287. 山本悟

    政府委員(山本悟君) そのとおりでございまして、最もよく暫定試算と合っており整合いたしておりますのは、地方の場合で言えばケースIIの場合、ケース皿はそれよりそれぞれ歳出部門につきまして一割程度削減をいたしておる、こういうような数字になっております。
  288. 渡辺武

    渡辺武君 きょう配付されました一般財源の内訳、この中に一般財源の中身がそれぞれ書いてあるわけですが、先ほど大臣も言われましたように、この一般財源の中の大宗、これは地方交付税であることは明らかだと思うんですね。これ見てみますと、五十五年度以降は各ケースともに地方交付税の数字が違っているわけでございますが、これはどのような計算の仕方になったのか、特にケースII、これが整合性のあるものだとおっしゃったんで、これを中心にして御説明いただきたい。
  289. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 一般財源の内訳といたしまして、本日、地方税、地方譲与税、地方交付税三つに分けました中身の積算の数字をお示し申し上げたわけでございますが、その中におきますところの交付税の額でございますが、これはケースIの場合におきましては、現行税制のもとにおきます所得税、法人税及び酒税収入の三二%、全くの現行でございます。それを積算をいたしましたものがこのケースIでございます。それからケースII及びケースIIIにつきましては、国の税収入中、地方交付税に配分されます割合が変わらないということを想定いたしまして、仮に算定した数字になっております。したがいまして、ケースIIにおきましては、国の国税収入の増税というようなことが想定されておりますので、その増税されたものの現在の国税に対します地方交付税の割合というものによって地方に配分されるという想定を置きまして計算をいたしたものでございます。なおケースIIとIIIと数字が違いますのは、ケースIIと比べまして、ケースIIIの方は、国税の収入の増加見込みが低うございますので、その分だけしたがって交付税に配分される額も少なくなってくると、こういう数字になっておるところでございまして、いずれにいたしましてもケースII及びケースIIIにつきましては、国税の増税分というのが従来の割合で交付税に回してくれるものと、こういう仮定を置きまして計算をいたしたところでございます。
  290. 渡辺武

    渡辺武君 その仮定が私は非常に問題だと思うんですね。   〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕 と申しますのは、国の財政収支試算のケースCですね、これは増税依存型ということになっておりまして、五十四年度以降はつまり現行税制以外に新しい税制を採用して、そうして増税をすると、その場合の税収をずっとここへ出してあるわけです。ところが、いまの地方交付税というのはこれは法人税と所得税と酒税とこの三税の三二%という決まりになっているわけでしょう。ですから、国の財政収支試算を見ますというと、このケースCの場合でも、そうしてまた全然新税を創設しないで、現在の税制で自然増収も見込んで計算しているケースAですね、この場合もともに地方交付税の金額は全く同じ金額になっているんですよ。これは私は国の財政収支試算の方がその点で正直に書いてあるというふうに思います。  もう一回繰り返しますよ。現在の税制を基礎にして経済情勢が、経済が多少伸びますから、税収も伸びてくる。税の弾性値一・二ちょっとぐらいを想定しているようですけれども、とにかく自然増収がある、その中の三税の三二%、これで交付税を計算しているんです、国の方は。そしてケースC、つまり新税を創設してそうして財源を賄っておる。その場合でも現行税制の三税、これを基礎にしてその三二%でやはり交付税を計算している。だから五つのケースがあるけれども、すべてのケースにおいて地方交付税は金額みんなぴたっと同じですよ。国の方はそういうことになっている。ところが地方の方はどうかというと、地方財政収支試算の方は、まさに国の増税依存型、ケースC、これと整合しているというケースIIですね。国の方の地方交付税の金額と、あなた方が計算している地方交付税の金額とは大変な離れ方をしている。なぜそんなことになったかと言えば、いまあなたおっしゃったように、国の税収の一定率が交付税としてくるものだと仮定してやったと、こう言う。これは大蔵省とちゃんと話し合いついているんですか、どうですか。
  291. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 国の財政収支試算におきまして、その他の内訳といたしまして、地方交付税というものを抜き出しておりますが、これはただいま先生御指摘のとおりに、現行税制のもとにおける国税三税の三二%分だけということでございますから、各ケース全く同じ注書きをいたしましてそういう計算をいたしておりますが、そしてその他の分析の便宜上抜き書きしたものである、こう言っているわけでございますが、今後の地方交付税そのものがどう推移していくかというものを、この大蔵省の収支試算というものが示しているものではないと、私どもは大蔵省からもそう説明を受けているわけでございまして、やはり地方財政の立場から考えれば、国が各種の増税を行う、どういう増税でありますかということは、これはまだわからないわけでございますが、あるいは三税の増税でありますか、いろいろな考え方はございましょうが、いずれにいたしましても、国税といたしましての大宗をなすような税収というものがふえていきます場合には、やはりそれ相応の地方交付税というものについての配分というものがなければやっていけるものではない。やはりその分は地方財政として確保する必要は当然あるわけでございまして、そういうようなことも考慮いたしまして、従来から地方財政収支試算におきましては、地方交付税は一般財源の内訳といたしまして国税の額のうちの一定比率というものは交付税として配分を受ける。その対象が三税であるか新税まで含めるものであるか、そういうことは別といたしまして、やはり配分を受ける必要があるというような観点から、従来からも御提出申し上げております地方財政収支試算の手法を今回も踏襲いたしたわけでありまして、国の方がその他の分析の中身といたしまして従来ベースの三二%の分のみを抜き出しておりますことが、今後の地方交付税そのものを国としてそう想定しているというような意味を持つものではないというように私どもは承知いたしております。
  292. 渡辺武

    渡辺武君 これは大臣にちょっと伺いたいのですが、大臣、二月の十三日の衆議院予算委員会大臣の御答弁したところによりますと、前後はちょっと省略しますが、仮に国が新しい税目等を起こします場合に、それをも交付税対象に加えてもらいたい、この強い願望を持っておりまして云々と、こういうことを言っておられる。いまの交付税法によりますと、これは国税三税の三二%、こういうことに一応なっているわけですから、大臣、こういう強い願望を持っていらっしゃるとすれば、将来これは交付税法をそういう方向に変えるという強い確信があってのことですか。
  293. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私は、中期的な展望に立って判断をいたします場合に、国が税の増徴を求めざるを得ないという前提に立ちますならば、地方におきまして今日地方税収の拡充強化を図っていくことが喫緊の課題ではございますけれども、それのみに頼りますわけにはまいらないのでございますから、国が税の増徴を求めてまいります場合には、当然国税三税の何十%と、かようなことではないのでありまして、パーセンテージの引き上げを求めてまいりますことと同時に、また対象税目の拡大をも考えていかなければならぬと、かような考え方を背景に持っておりまして、予算委員会でもさような発言をいたしたのでございますし、また今回の収支試算におきましてもいま一定割合を確保すると、かような説明をいたしたのでございますけれども、それは国税三税のみの三二%では一定割合の確保にはならないのでございますから、当然対象税目を広めてもらうと、かような考え方を背景に持っての試算であったことは間違いがないのでございます。
  294. 渡辺武

    渡辺武君 自治省からの強い願望はわかります。  大蔵省の方はどう考えているんですか。あなた方の財政収支試算によりますと、地方交付税は国税三税の三二%で計算している。ケースCの場合でも同じように計算している。ケースAでも同じようです。ところが、まさにそのケースCと整合しているはずの地方財政収支試算のケースIIではそうじゃないんですね。税収の一定割合ということで計算していると、こういうわけですね。大変な食い違いなんだけれども、大蔵省としては、自治省側のその強い願望を、これを現在も承知しているのか。あるいは将来、自治省が要望している方向で、いま大臣が言われたように、そういう方向を考えているのか、合意の上のことなのか、これを伺いたい。
  295. 公文宏

    説明員(公文宏君) 国の財政収支試算の上での地方交付税の見方でございますが、先ほど行政局長から御説明があったとおりの考え方でございます。  私の方といたしましては、財政収支試算のうち、経常部門歳出の中の国債費及び振替支出を除いたものその他ということで一括をしておりまして、そういう考え方で推計をしておるわけでございます。  実は、そういう意味で、地方交付税そのものを今後どういうふうに見ていくかということにつきましては、財政収支試算の上では明らかにならないという形に実はなっておるわけでございます。ただ、いま先生御指摘のように、うち地方交付税という形で交付税の額を現行税制の三二%ということで表示をしてございますが、これは、交付税そのものが五十三年から五十七年にかけてどういうふうに推移するかというのを大蔵省の立場で考えたわけではございませんで、実は、その他という膨大な歳出の中にこういうかたまりが入っておるということを表示するためにやったものでございます。したがいまして、私どもとしては、地方交付税そのものが中期的な見通しの上でどういうふうに見ておるかということにつきましては、実は何も試算の上ではあらわしてないということでございます。  それでは、自治省の試算に織り込まれておりますような交付税がそういうふうになっていくかということにつきましては、これは自治省の方も一つの仮定計算だというふうに考えておられるようでございまして、今後、私どもと自治省とで、いわば慎重にこれから考えていかなければいけない問題であると、そういうふうに考えております。
  296. 渡辺武

    渡辺武君 私は、たとえ試算にしても国が責任を持って出したものだと思うんです。大蔵省は大蔵省なりの根拠を持って出したと思う。自治省自治省なりに根拠を持って出したと思う。ところが、その二つが一番肝心なところで全く食い違っている。そうでしょう。国の財政収支試算のケースC、これは経済企画庁が発表した五十五年度経済についての暫定試算と整合性があると、こう言っている。そうして、自治省の方は、やはりケースIIが整合性があるんだと、こう言っている。そのケースCとケースIIを比べてごらんなさいよ。大変な違いでしょう。  どのくらい違うか、私申し上げてみますと、このケースIIですよ、余分に交付税が来ると、つまり、国税三税以外に新税が創設されて、そのうちの一定部分が来るというふうに想定してこれは計算しているわけです。どのくらいになるかと言いますと、五十四年度で四千九百億円になる。つまりケースIIの地方交付税の収入ですね、これからケースIですね、これは新税創設されてないわけですから、現行税制で計算しているわけですから、その地方交付税の収入分を引きますと四千九百億円になる。それから五十五年度は一兆一千六百億円になる。それから五十六年度はちょうど二兆円。それから五十七年度は三兆一千百億円も違う。四年間合計すると、六兆七千六百億円もの巨額な違いが出てくる。大蔵省の方は、現在の国税三税の三二%で計算している。自治省の方は、新税が創設されても、そのうちの一定部分が来るだろうという仮定のもとに計算している。それで四年間に六兆七千六百億円もの一般財源の食い違いが生まれてきている。同じ国が発表したもので、こんな食い違いがあるのを平然として出す。私は無責任だと思うのです。そうでしょう。  大蔵省の方だってそうじゃないですか。歳入が、たとえばケースCで見ましょう。新税を創設して、歳入はこれだけありますと、それを経常経費とそれから投資部門に分けて使う、その費用はこれこれです、そうして国債はこれだけ発行いたしますと。全部、これは新税を創設してどのくらいの税収があるかということを基礎にして計算しているんでしょう。そうでしょう。国債依存度の変化もみんなそれですよ。一番の根拠になっているもの、それが自治省の計算と全く違う。七兆円近く違っている。  また、自治省の方でもそうでしょう。それだけの新しい交付税が入ってくるということを予定して、そうしていろんな計算をはじいている。一般財源が総額このくらいになる、支出はこのくらいになるだろう、全部それで計算している。根拠が食い違っているから、その結論がみんな違ってくるんですよ。  こんな財政収支試算を責任があるものとして出してきたあなた方、見れますか、こんなもの。無責任じゃないですか。どうでしょう、大臣
  297. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 地方財政の収支試算は、先ほども説明をいたしましたように、経済企画庁の暫定試算を踏まえながら、また大蔵省の提出をいたしました試算を基本といたしまして、これと整合性を保たしめる、かような考え方で試算をいたしたのでございまして、そうして先ほど来説明をいたしておりますように、国の場合はケースの五つの場合でございましたが、自治省といたしましては、極端な二つの場合を除外いたしまして、三つの試算をいたしたことは、先ほど来の説明で御承知願えているとおりでございます。  そこで、整合性を持たせ、また、踏まえました暫定試算は同じでございましても、その手法が全く同じであったとは言いがたいのでございまして、自治省といたしましては、自治省の立場におきまして試算をいたしたのでございます。  そこで、これもまた先ほど説明がございましたように、ケースCの場合は、なるほど地方交付税につきましては、その他の歳出の中に、中から抜き出して書いてはあるのでございますけれども、これはあくまで国税三税の三二%、かような試算で数字をはじいたと、このことに違いはないのでございますけれども、しかし、さらに地方に交付さるべきものがその他の中に入っておるのに間違いがないと判断をいたしておるのでございまして、さような前提のもとに自治省といたしましては試算をいたしたのでございますから、したがって、国の場合と地方の場合の整合性が欠けておる、かような御指摘は、必ずしも正鵠を得ておらぬと、こう私は思います。
  298. 渡辺武

    渡辺武君 大蔵省に聞きますが、いま自治大臣は、国の経常部門のその他のうちに、地方交付税のほかに地方交付税が入っているという趣旨のことをおっしゃった。そう考えていらっしゃるのですか。
  299. 公文宏

    説明員(公文宏君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、国の財政収支試算の方の「その他」は、いろいろな経費をすべて一つにくくりまして、そして今度の場合ですと、GNPと同率で伸ばすということで積算をしてございます。したがいまして、先ほども申しましたように、地方交付税そのものがその他の中に幾ら入っておるかということは明らかにしてないわけでございます。ただ、内書きで書いてありますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、これはそのその他の中に、現行税制における三税の三二%分を仮に取り出してみると、かたまりとして取り出してみると、これだけであるということを表示したという意味でございます。そこで、地方交付税が、たとえば五十五年とか五十七年においてある額として決まってまいりましたときに、それは財政収支試算の中で観念的にどこに入っておるかということになりますと、それはその他の中に入っているということは言えるわけでございます。しかしそのその他の積算につきましては、先ほど申しましたように、交付幾らという積算はしてございませんので、「その他」の全体としてごらんいただくという形になっている。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  300. 渡辺武

    渡辺武君 まことに奇怪きわまらない答弁だと私は思うのです。大臣もあなたも。それはそうでしょう。これは地方財政収支試算で地方交付税のことだけ書いてあるわけじゃないのですよ。そうでしょう。歳入がどのくらいあるか、その歳入のうち税収部分はどのくらいか、公債金の収入はどのくらいか、それを使って一体投資部門はどのくらいの支出になるのか、経常部門はどのくらいの支出になるのか、こういうことがそれなりの数字的な整合性を持って出されているものですよ。そうでしょう。その肝心の税収のうちで地方自治体に回すものがどのくらいあるのか、普通に見れば地方交付税と書いてあるからこの部分だろうと思う。ところが、いまやそうじゃないかのような発言がある。自治省の方もそうですよ。将来どうなるか不確定でわからないんでしょう。あなた自身が強い願望を持っているということを言っているにすぎない。大蔵省の方は、これから協議したいと思っている、こう言っている。それがもう数字になってちゃんと出ていて、そうしてその収入を基礎にして支出の方もはじき出している。こういう関係になっている。一体大蔵省が出した国の財政収支試算が真実なのか、自治省の出した地方財政収支試算が真実なのか、どっちが真実なんですか、これを伺いたい。
  301. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 今回御提出申し上げております収支試算、これは国にいたしましても、地方にいたしましても、何年度における財政計画というような性質のものではないわけでございまして、経済界議会におきますところの経済計画とその諸指標を使いまして、それぞれの試算をいたしましたものということになっているわけでございます。これらの具体的にどのケースでもってそういう財政運営がその年に行われるというところまでもお示し申し上げる段階には至っていない、これはたびたび予算委員会等でも御議論の出たところであろうと思います。そして地方財政の収支試算で申し上げれば、これらの試算によりまして、地方財政の現状の御理解をいただきますとともに、今後の地方財政の運営の適切なあり方についていろいろの御議論を賜ります場合の素材というような意味のものでございまして、これがそれぞれの将来に向かっての全くの財政計画というほどのものには遺憾ながらなっていない。したがいまして、私の方から申し上げれば、交付税の問題につきましても、国の方は大きく「その他」の中でもってどう処理されるか、それはそのときどきの決まり方ということになるわけでございまして、あそこでわざわざ交付税というものをお抜き出しになりました趣旨は、従来ベースでいってもこれだけのものであるということを国としてお示しになっただけだというように私どもとしては存じておるところでございます。
  302. 渡辺武

    渡辺武君 そんな答弁満足できますか。大臣も一番最初言われましたように、地方の一般財源の大宗は地方交付税だと、こう言うた。その大宗の計算が全く国の方の計算と狂っちゃっている。そんなものを、仮に試算であっても、国会に責任を持って出してくるという、その神経が私は疑わしい。大臣、どうですか。  私も余り持ち時間ないのだけれども、こんなに食い違いがはっきりしている、そういうものを大蔵省の方も出してきた、自治省の方も出してきた。同じ政府部内でこんな状態を私は残しておくべきでない。政府として責任のあるものを私は出してほしいと思う、大蔵省と協議して。どうですか。この地方財政収支試算、これはその協議の上でもう一回私は出し直すべきだ。
  303. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 国の収支試算の場合、先ほど来大蔵省から説明がございましたように、歳出その他の中におきまして交付税も当然含まれておるのでありますけれども、現行税制の国税三税を抜き出してみるならば、かよう、かような金額です、かようなことでございまして、その金額はその他の中に含まれておる、かような意味以外のものではないのでございまして、したがって自治省が試算をいたしましたものとの整合性を欠いておる、かようなことではないのでございますから、いま私どもの出しました収支試算を出し直すなどという考え方は持っておらないのでございまして、あくまでこれは試算であると、かような御理解をいただきたいと思うのであります。
  304. 渡辺武

    渡辺武君 あくまでも試算だと言いましても、これから先どうなるかわからぬわけでしょう。自治省はそういうつもりがあるかもわからぬけれども、大蔵省はこれから自治省と相談しましょうというような程度にすぎないのですよ。そんな責任の持つことのできないようなものを出してくるというのはおかしいじゃないですか。もう一回答弁、検討していただきたいと思うのです。どうですか。
  305. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 先ほどお答えをいたしたとおりでございまして、財政計画ではないのでございますから、文字どおり試みの試算でございまして、したがって幾つかのケースを試算をいたしているのでございますから、コンクリートされた財政計画ではないということの御理解をいただければ、いま私どもが答弁しておりますことの御了解がいただけるのではないだろうかと、かように判断をいたします。
  306. 渡辺武

    渡辺武君 仮に試算であっても、ちゃんと数字として収支整合性を持たして出してきているわけですから、その一番の肝心の地方交付税の収入の計算がまるっきり食い違っておるというようなことでは、架空の上に試算をしたというふうにしか見られないじゃないですか。  これは委員長、ひとつ理事会でこの問題を少し検討していただきたいと思うのです。  それからなお伺いたいのですが、さっきのお話ですと、このケースIですね、これは国のケースAと同じように新税の創設はない、現行税制で経済成長に応じての自然増収があるということを前提として地方税の収入を計算していると思うのですが、このケースCですね、国の方も新税制を創設して増税依存型という形になっている。地方財政収支試算のこのケースIIですね、これの地方税の増税これは現行税制でやるというふうに考えていらっしゃるのか、あるいは国と同じように何らかの新税の創設をやるというふうに考えていらっしゃるのか、これ伺いたいと思います。
  307. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国の財政収支試算におきましても、また地方財政収支試算におきましても、ケースCあるいはケースIIは、御指摘のように、租税負担の引き上げを予定しておりますが、その具体的な内容につきましては、この収支試算で明らかにしておりません。御案内の昨年十月のいわゆる中期税制に関する答申におきましては、所得税、法人税あるいは住民税というふうな既存税制の中での所得課税を中心に租税負担の引き上げを求めるか、あるいは一般消費税というような間接税を導入して、直間比率についても十分な吟味をした上で、そういう導入を図って租税負担の増加を求めるか、その辺のところは今後の毎年度の税制改正の問題として十分国民的な合意を得ながら結論を出したいと、こういうふうに指摘されておるところでございますので、その線に沿って今後検討を進めてまいると、こういう考え方でございます。
  308. 渡辺武

    渡辺武君 国の方も増税はいたしますと、新税制創設いたしますとは言っているんだが、その新税制、具体的にはなかなか言わないと、まあ一般消費税というような呼び声が非常に高い、税調の方でそう出しておるものですから高いわけですが、その点は深く追及することは時間の関係で避けまして、私きょういただいた、表を見てみまして、そのケースIが、地方税の経済成長に応じての自然増収ということであると仮定して、ケースIIの地方税収入ですね。これからケースIの地方税収入額引いてみますと、その増税というのは大変なものなんですね。五十四年度が七千九百億、五十五年度が一兆八千五百億、五十六年度が三兆一千四百億、それから五十七年度が四兆八千億円、合計しますと、四年間に十兆五千八百億円という大変な地方税の大増税になっている。しかも、これが経済企画庁の発表した五十五年度経済についての暫定試算と整合性のあるケースだというふうに言われているわけですから、今後住民の間に大変な増税がある、国税だけでなく地方税についても強行されるということがこの数字で読み取れるわけです。私、大蔵省に質問してみましたら、新税でこの四年間の増収分は二十六兆六千八百億円だという、国税の方がね。だからこれ合わせますと、国税、地方税で三十七兆二千六百億円、四年間に大変な増税が国民の前に待っていると、こういうことになるわけですよ。いまの財源不足と地方財政の破綻、いろんな要因があると思います。しかし、一言だけ言わしてもらえば、国の責任、これが最大なものだと言わざるを得ない。ところが、その財源不足の責任を、国もそうですが、地方も全面的に国民に対する増税で賄っていく。これ私は不当だと思いますね。しかも、もし仮に大臣、あなたが熱望しておられるような地方交付税、これが国の方から入らないで、依然として国税三税の三二%ということに仮にとどまったとした場合にどうなります、その不足した地方交付税の来るべくして来なかった分、これはどうなりますか。やはり地方税として住民のふところからこう吸い上げざるを得ないという感じがしますが、その点どうお考えですか。
  309. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 税の増徴を求めない場合の試算がケースIでございまして、ケースIに数値を示しておりますような、そういう状況にならざるを得ないと、こう判断をいたします。
  310. 渡辺武

    渡辺武君 ちょっとそこの御答弁、意味がわからなかったのですが、どういうことをおっしゃろうとなさっておられるのか。つまり、大臣が、予想どおりの地方交付税が来なかったとした場合にどうなさるおつもりかと。ケースIIの地方税の大増税、これにさらに上乗せした大増税がなければ、収支のつじつま合わなくなるでしょう、どうなさるおつもりかということを伺っているのです。
  311. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私どもは現段階におきまして三つのケースを想定いたしましての試算をいたしたのでございます。  いま渡辺委員が御質問の点は、恐らくケースIIの場合において、国の増徴に見合って一定割合を交付税として確保いたすと、かような計算をしておるけれども、それが確保できなかった場合はどうするのかと、かような御質問であろうかと思うのでございますけれども、私の考えといたしましては、国が大幅に税の増徴を求めました場合のような際に、地方の財政状況を大蔵省といたしましてもよく承知をいたしておりますことは間違いがないのでございますから、国の税収の確保はどんどんやるけれども、地方に交付いたします交付税はそのままでいい、さような考えを持っておるとは思えないのでございますから、具体的に増徴いたします年度におきまして、大蔵省と十分な話し合いをいたしまして、事の解決を図ってまいりたいと、かように考えます。
  312. 渡辺武

    渡辺武君 いずれにしても、まあこれから先、地域住民にとって大変な事態が出てくるだろうということは、いまの御答弁でも想像できるわけですが、一方で歳出の方を見ますと、地方税の伸びに匹敵するほど伸びているのは投資的経費、これは確かに伸びていますね。しかし同時に公債費ですね、これの伸びが非常に著しい。五十七年度で四兆三千億円の公債費になっているわけですが、ちょうどその年の税の増収額四兆八千億円ですから、ちょうどそれに匹敵するくらいのものになっているわけですね。税の増収分がほとんど地方債の元利払いでもって食われてしまうという状態になっているわけです。私はこれでは本当の意味の地方財政の健全化とは言いがたいんじゃないか。どのケースをとっても大変な状態なんですね。  で、大臣に最後に伺いますけれども、いま全国の知事会が「新しい時代に対応する地方行財政に関する今後の措置についての報告」を昨年の七月の十三日に出しておりますけれども、その中で一連の改革案を提起しているわけですね。私ども賛成できるものが非常に多いんです。こういう方向にいまの地方行財政、これを改革するおつもりがあるかどうか。私はこの方向こそが地方自治法の本旨を生かしながら、地域住民の幸せと地方自治体のこの自治権を尊重しつつ、いまの行財政を改革していく一番適切な道じゃないかと思いますけれども、その点どうお考えですか。   〔理事望月邦夫君退席、理事夏目忠雄君着席〕
  313. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 私も昨年七月の、いま御指摘報告書に目を通しておりますので、その内容はいまはすべてを正確には記憶をいたしておりませんけれども、今後の地方行財政あり方につきまして、示唆に富む条項等も多いのでございます。そこで、地方制度調査会でありますとか、あるいは税制調査会等でいろいろ御意見もあることでございますし、さような御意見をふまえながら、なおかつただいまの報告書等も参考にいたしまして対処いたしてまいらなければならぬ、かように考えております。
  314. 渡辺武

    渡辺武君 次に、地方公営企業ですね、ここで使っている電気の料金の引き下げ、この問題について若干伺いたいと思うんです。水道とか地下鉄とか、電力を非常にたくさん使っている地方公営企業、ここで電気料金を引き下げてほしいという要望が非常に強く出されております。たとえば東京都の場合で申しますと、水道事業については、電力料金がコストの中に占める割合が五十一年度が四・四%、五十三年度、これは予算ベースですが四・七%。非常に急速に高くなっているわけです。それからもちろん絶対額がしたがって五十三億円から七十七億円へ一・五倍にはね上がるという状態になっているわけです。私、調べてみましたところが、たとえば阪神水道企業団、ここではコストに占める電力料金の割合は、実に二五%を占めているという状態です。それから長岡京市をちょっと聞いてみましたところが、電力料金のコストに占める割合は一五%から二〇%だということであります。大変な負担になっているわけですね。水道だけじゃなくて、地下鉄の場合でもそうです。東京都の場合ですと、都営地下鉄の場合、五十三年度東京電力への支払い電力料金は二十一億円、経費に占める割合も六・二%になっている。こういうことで、地下鉄を使っている六大都市、これがこの支払い電力料金の値下げをしてほしいという強い要望を出しているわけです。いま電力会社が、為替差益九電力で約一千億円、東京電力だけでも、政府の計算で聞いてみましたら約四百億円だと、こういうことなんです。私どもはこういうものは全くの不労所得ですから、だから一般家庭用の電灯の料金を下げるということと同時に、こうした地方自治体の公営企業、まさにこれは住民サービスの機関ですから、営利事業でも何でもないわけですね。そういうところの電力料金の引き下げに回すべきだというふうに思いますけれども、通産省の方はどういうお考えですか。
  315. 上杉一雄

    説明員(上杉一雄君) お答えいたします。  九電力会社の五十二年度の為替差益の額、ただいま先生御指摘の程度かと存じております。ただ、これは九電力の総コストに占める割合は一・八%程度と、いわばわずかな形になっております。私どもといたしましては、今後やはり安定的な電力供給のためには、設備投資を安定的に増加さしていかなければいけないという問題もございますし、あるいは人件費とか、その他修繕費等々の諸コスト、これも基調的には増加していく傾向にあろうかと思っております。で、何よりもまず為替差益に関連いたします原油の値段、OPECの状況がどういうふうになるか、これも今後につきましてはきわめて不確定だと思っておりますし、為替レートそのものもどう推移するかははっきりしない。こういう状況を踏まえまして、この為替差益につきましては、できるだけ現行料金を長く据え置くという形で消費者の方々に還元するという方法が一番適当であるというふうに考えておりまして、この線に沿いまして一月の二十日、通産大臣から各社に指導した次第でございます。で、そういう形で消費者に還元するということでございますけれども、なお先生御指摘の、公営に引き下げてはどうかと、こういう点につきましては、御承知のように、電力料金は供給区域内ですべての消費者に対して公平でなければならないという原則がございまして、この点非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えます。
  316. 渡辺武

    渡辺武君 いわゆる公平の原則なるものを盛んにあなた方はおっしゃるんです。コストが今後どうなるかということは、これは神のみぞよく知るなんですよ。いまは国民はそんなことでがまんできないんです。とにかく不労所得ですよ、一千億円。この際、日銀総裁だって言っているんですよ、公共料金下げてみせろと。そのくらいのことを私はやるべきだと思う。その公平の原則ですけれどもね、あなた方、公平、公平と言うけれども、公平でないでしょう、電気料金は。たとえば家庭用で使っている電灯の場合は、一キロワットアワー当たり十八円八十五銭だと。ところが、大口電力の場合は十円三十六銭ですよ。全く不公平になっている。どこが公平の原則です。
  317. 上杉一雄

    説明員(上杉一雄君) 公平の原則の意味でございますが、これはコンメンタールによりまして見ますと、合理的な算定根拠に基づいて差別がつくことは公平である。むしろ逆にいいますと、料金算定上の合理的な根拠のない場合は不当な差別、こういうふうに考えられますが、先生御指摘の家庭用十八円幾ら、あるいは産業の大口用十円というのは、家庭用の場合は非常に電圧が低い、百ボルトでございますが、大口の場合は非常に高いボルトで供給しております。その電圧の差をつけるための、あるいは家庭まで配電線で引っ張っていくためのコスト、こういうものを原価計算いたしまして出てきた料金が、いま御指摘のものでございまして、私どもとしては、これは原価上の理由によってついている差であるということでございます。
  318. 渡辺武

    渡辺武君 だから、それがおかしいのですよ。いいですか。つまり平たく言えば、家庭用の電気の場合は、線もたくさん引かなければならぬと、電圧も違うからそれを調整する機械も必要だと、ところが大口の場合は、さっと引けば簡単に間に合うと。コストも安い。つまり個別原価主義なんだ。だから、その個別原価主義というのが、これがどこから出てくるのか。私、この電気事業法を読んでも、個別原価主義でやらなければならぬということは一言も書いてない。あなた方は公平の原則を生かすためにそういうふうにしたのだといういまの説明ですね。じゃなぜ、ガス事業法の方で見てみますと、ガス料金の算定のやり方、これは電気料金の算定のやり方と全く一字一句も違わない条文になっている。それなのにガスの方は、個別原価方式ではないのです。総合原価方式でやっているんですよ。大口であろうと一般家庭であろうと、これは総合して計算をしている。算定している。電力だけが同じ条文から個別原価方式という特別な方式を導き出してやっている。なぜかと言えば、大口電力の料金がそのことによって安くなる。大企業にサービスするために、そういう個別原価方式という方式をとっている。これは法に基づいたもんでも何でもない。ですから為替差益、国民は還元しろと言っている。一般家庭に還元すべきです。こういう住民サービスの地方公営企業、これの電力料金をもう少し下げる方向に使うべきだと思う。これが一番合理的なやり方だと思うのです。  なお、時間がないからもう一言つけ加えておきますけれども、あなた方のいまの議論によりますと、この電気事業法十九条の第二項の一、料金の定め方、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」こうなっている。ところが為替差益でべらぼうな、不適正な利益が生まれているのですよ。それでもなおかつ現行の料金を維持しようとしている。これこそ電気事業法違反です。どうですか、その点。質問のポイントは下げろということですから、言いわけはいいです。言ってください。
  319. 上杉一雄

    説明員(上杉一雄君) 私どもは為替差益につきましては料金を据え置くことで消費者に還元したいと、こういうふうに考えております。といいますのは、五十三年三月末で現在の料金の原価計算が終了するわけでございまして、今後のコストの増加分というようなものは現在の料金には織り込まれておりません。したがいまして、現在の料金を据え置くということで還元したいと、こういうふうに考えております。
  320. 渡辺武

    渡辺武君 最後に、大臣、いまお聞きいただいておわかりと思いますが、全く理屈にならない理屈なんですよ。だって、コストが先へ行って上がるだろうというのは、これは電気事業だけでないんです。石油会社、だってそういうことも言おうと思えば言える。石油会社がすでに市況の不安定もあって二千円下げているんですよ。電気事業だけはその独占的な地位を利用してあくまでも頑強に一銭も下げないといってがんばっている。その根拠は何もないんですよ、いま言ったように。電気事業法などを引用しているけれども、私が申し上げたとおりなんです。しかも、大臣承知かと思いますけれども、農業用電力については特別に低料金でサービスする、供給するというようなこともあるんです。ですから、こうして異常な不労所得が一千億円も出ているというそういう時期に、地方財政のこの窮迫を打開する意味でも、ひとつ自治大臣の方から通産大臣にこの点でぜひ交渉してほしいと思うんですが、この点どうですか。
  321. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 円高ドル安の状況下におきましては、輸入いたします品物につきましては原価なり仕入れ価格がそれなりのダウンをいたしますことは御指摘のとおりでございます。そして円高のこの為替差益を何らかの形において国民に還元いたしますのは当然であろうかと思うのでございますが、ただ、その具体的な方法につきましては、直接可能であります面もございましょうし、また間接に価格等の引き上げを行わないことによって還元いたす方法もあろうかと思うのでございまして、一律にはその還元の方法は論すべくもないと、かように思うのでございますけれども、ただいま御指摘のございました地下鉄でありますとか、あるいは水道でありますとか、かような面では電力の占めておりまするコストが相当のパーセンテージに到達をいたしておるのでございまして、この電力料金が安いことにこしたことはないのでございますけれども、いま通産省から説明がございましたように、直ちに電力料金を下げますことはなかなか困難な状況だと、かような説明でございます。自治省といたしましては、いや、そうではないんだと、かような言い方をいたします何らの根拠を持っておらないのでございまして、間接的には電力料金を引き上げないことによってそれなりのメリットは各面に生まれてくると、かように思うのでございますけれども、せっかく渡辺委員の御提案でございますから、通産大臣とはこの点につきまして話し合いいたしてみたいと、かように考えます。  〔理事夏目忠雄君退席、理事望月邦夫君着席〕
  322. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうも大変遅くまでお疲れさまでございます。私も最後になりましたが、もう五時になろうとしておりますけれども、どうぞお許しいただきたいと存じます。  来年は統一地方選挙ということでございますが、いまのくしくも渡辺委員の発言で、政府お答えの中に、根拠のない差別は不当の差別であるというふうなことで公平を期さなければならないということをお聞きしたわけでありますが、身障者の郵送による不在者投票というものが五十年から実施されているわけでございます。その不在者投票が実施されましてから大変多くの寝たきりの重度な方々も権利として選挙を行使しているという部分があって、これはもう当然のことのわけでありますけれども、現在の対象者数あるいは登録者数、そしてまた先般行われました選挙における――最近のもので結構でございますので、投票者数などもあわせましてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  323. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) ただいま御意見がありましたとおり、すでに御承知のとおり、身体障害者の方々の選挙権行使を少しでも拡充しようということで、昭和四十九年に法改正が行われまして、五十年から動き出していることは御承知のとおりであるわけでございます。そして、いま実績についてのお尋ねでございますが、制定の当時、厚生省の方にもいろいろとお伺いしたのでございますが、この全体の数字についてはちょうど都合のいい数値がございませんで、お伺いしました当時は、おおむね身体障害者手帳をお持ちの方で該当される方が十万人近いんでございます、九万八千人ぐらいではなかろうかと。それに対しまして戦傷病者手帳をお持ちの方でこれに該当される方が一万数千人ぐらいではなかろうかと。合わせまして十二万人程度ではなかろうかということで伺って、検討に入り、実施をいたしたということを記憶いたしております。その後どのように変わっておりますか、それからまた、さらにその後特にこれに関する調査もないようでございますので、的確な数字をつかんでおらないわけでございます。これが対象者の方でございます。  それに対しまして、これは郵便による不在者投票の手続にも入るわけでございますが、手続といたしましては、まず一番最初に、郵便投票の証明書を請求していただくということになっておるわけであります。自分は該当すると思われる方は、選挙管理委員会に対して郵便投票証明書の交付を申請していただくということになっているわけでございますが、これにつきましては、現状で三万七千人程度の方が郵便投票証明書の交付を受けておられます。で、それに対しまして、今度は実際の投票された方の数はどうかということでございますが、統一地方選挙におきましては一万三千四百九十六件、それから五十一年の総選挙におきましては一万三千百六件ということでございましたが、五十二年の通常選挙におきましては一万四千六百二十二件、こういう数字を示しておる次第でございます。
  324. 前島英三郎

    前島英三郎君 まあ十二万、実数はもっとだと思いますし、厚生省の身障者に対する数字の把握というものが四十五年以来なされておりませんし、まあ二百万とも、四十五年で百五十万という身障者の数でございますから、いま二百万――まあ厚生省が一方で薬害によって身障者をつくり、そしてまた一方では救済するというような、非常に何といいますか、おかしな部分があるものですから、当然身障者はふえているのが昨今でございます。そしてまた、それによって投票所にも行けない。したがって、しかし投票はしたいんだけれども、余りにもこの手続というものがややこしい。しかもその手続をするにつきましては自分で負担をしなければならない。たとえば簡易書留にいたしましても、何といいますか、二百五十円かかるわけでありますし、それを申請して、また返ってきて、さらに投票用紙を申請して二百五十円、さらにまたそれに許可が来て、投票して二百五十円、都合七百五十円という金がかかってしまうわけでありますけれども、これは登録をしてから四年間は有効ということになりますから、その一回は省かれたとしましても、投票しようと思うときはこれは五百円かかってしまうわけです。まあ金額はこれは非常に少ないというふうにお思いかもしれませんけれども、それなりに、寝たきりの方とか、あるいは重度の方というのは、それだけ社会の中におきましても取り残されている非常に経済的な困窮者が多いわけでございますから、この辺はたとえば郵送料の公費負担はできないものか。あるいは基本的な権利行使ができないのは何としても不満であるから、この辺はどういう形にしてもやっぱり国民の権利として金がかからずに、一般の人たちと同じような形で投票はできないものかということが非常に多くの人たちから寄せられているわけです。実際対象者数が十二万、登録者数は三万七千人ということでありますが、実際これすらも私はもっともっとふえなければいけないし、ふえてまた当然。そこにやっぱり自分でお金を出さなきゃならぬわけです。だれだって自分でお金を出してまで投票しようという人は健康な人の中にも少ないんじゃないか。そういう点では、先ほども根拠のない差別は不当の差別だとおっしゃった政府の方の御意見のように、この辺に関しましては大変な差別ではなかろうかというような気がするんですが、御意見をいただきたいと思います。
  325. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) まず一番最初人数の問題が出ましたが、ちょっとひとつ追加説明をさせていただきたいのでございますが、ただいま五十二年の通常選挙の場合でこの郵便による不在者投票の方法で投票された方々が一万四千六百二十二人の方であったということを申し上げましたけれども、実は身体障害者の方、重度の身障者の方々におかれましても、毎度の選挙で、今度の制度が生まれましたものの、今度の制度以外の方法、たとえば指定病院におきます不在者投票なり、指定病院に入院中であるという方が指定病院におきます不在者投票、あるいは親戚の方とか友人の方々の介添えによりましていままでどおり投票所に行っていらっしゃる、やはりいままでの方法に慣れておるというようなことで行っていらっしゃるという方々が相当あるということがわかりましたので、この間の五十二年の通常選挙の際に、一体どんな状況であろうかということを――一部の市でございます、結果は十七市ということになりましたけれども、重度の身障者の方々の投票状況はどうかということを抽出で調べてみましたところ、いま申し上げましたようなこの方法と、それから指定病院等の方法、それから当日投票所に出向いての投票という方法を使われまして、合わせましてこれらの抽出市におきます投票率は対象の方々のうち四〇・七%ぐらいなるということでございますということを一応申し上げておきたいと思います。しかし、全国のすべての方々の投票率が六八・五%でありましたことからいたしますと、まだまだ一層これらの方々の投票率を高める、すなわち投票していただくということのために努めなくてはならないということを私どもは痛感しているところでございます。まず、数字のことを申し上げた次第でございます。  それから次に、手続が煩雑に過ぎないかという御意見がございました。これにつきましては、四十九年に法改正によりまして創設をされましたその際に検討されたことがございますけれども、実は過去におきまして、昭和二十六年当時この制度がありましたころ、これに絡んでいろんな不正というものが介入したというようなことの経緯にかんがみまして、選挙の公正を確保しなくてはならないという非常に重要な要請があったということが一つ。それからもう一つは、当日投票主義に対する、そういう原則に対する例外であるということからして、対象の方の決め方とか手続等についてはやはりどうしても厳正なものでなくてはならない。この両面からいたしまして、先ほども申し上げました、一つは、郵便投票の証明書の交付を受けていただくということが必要である。それからもう一つは、投票用紙の提出はぎりぎりこれは郵便によっていただく、他の不正を介在させないために郵便によっていただく。この二つあたりは確かに大変と申せば大変でございますけれども、最小限の要請として手続を入れたということでお含みたいただきたいと思います。  ところで第三点の、なかなかいろいろと経費がかかるのだというお話ございましたけれども、実はいま申し上げましたことも含めまして、重度身障者の方々でこのケースに該当されます方々が実際投票をされるというためにはどういう手続が必要かと申しますと、まず第一に、いま申しました郵便投票証明書の交付を申請していただくわけでありますけれども、しかしこの交付申請は、およそ選挙などありません、言うなれば平時におきましてあらかじめ請求をしていただくことが可能でございます。しかも、それは郵便等によられませんでも、使者によって、お使いの方によって申請していただくことも可能でございますので、この辺は余裕を持って経費を節約しつつやっていただくことができるのではないかと思うわけでございます。これが一点。  それから次に、実際選挙に入りましてから投票用紙を選挙管理委員会に請求していただくということが必要になるわけでありますが、これも選挙の期日の告示前でございましても請求だけはできるということになっております。大体選挙の事由が発生いたしますと請求ができるということでございます。これもまた郵便によりませんでも、使者の方によってでもできるということでございます。したがいまして、やや余裕を見て請求をしていただくということでございます。ただしこの場合、公示前でも請求できますが、選挙管理委員会は公示された直後でなければ送ってまいりません。これが届きましたら、今度は自宅におきまして候補者の名前を投票用紙に書いていただき、そしてそれを封筒に入れまして、これは最小限郵送していただきたいわけでございます。ですから、最後のところでぎりぎり経費がかかることは私どもも承知をいたしておるわけでございます。  そこで、経費の公費負担はどうかということでございますけれども、現在の選挙法、選挙制度のもとにおきましては、一般に選挙人の方々が自分の選挙権を行使するために必要とされる経費、一般の方が投票所に行くためにバスに乗られるとか、あるいは電車に乗られるということがありましても、そういった交通費などもそうでございますし、それからまた御指摘ありましたこの郵送料もそうでございますし、およそ自分の選挙権を行使するために必要な経費については各人で御負担をいただく。こういう考え方から制度ができておるものですから、現在のところ公費負担はされておらないわけでございます。  そこで、さらに公費負担について考えてはどうかという御意見でございますけれども、私どもといたしましては、全体の制度の一環といたしまして、いままでも実は御要望がありましてお答えしておったところでございますが、引き続き検討さしていただきたいというのが私どもの結論でございます。
  326. 前島英三郎

    前島英三郎君 ほかの人は電車に乗って、車に乗って、あるいは自転車に乗って投票所に行けるわけです。しかし、御承知のように町そのものが健康な人たちを対象につくられている町でありますし、私もすぐそばに投票所がございます。これは、実は体育館でございます。階段が五段ほどございます。こうしたつまり、私も重度一級の身体障害者でありますが、全く車いすとか、あるいは目の不自由な人とか、そうした人たちが自由に自費でも何でも投票所に行って一票を投じられるという環境づくりが全然なされていない。選挙のときには公民館の二階みたいなところに投票箱を置くんじゃなくて、たとえばそこにスロープをつけられるような形のものを万端準備する、選挙管理委員会一つの義務としてそれをやるとか、あるいはだれでも投票所に行けるようなやっぱり町づくりというものがおのずとそこに生じてこなければならないわけでありますから、先ほどから根拠のない差別は不当の差別ということを私は再三申し上げておりますけれども、つまり投票所に行きたくても行けるような環境づくりではないんだ。投票所そのものが二階にあったり、ひどいところでは三階にあったりというようなケースがあるんです。たとえばその投票所へ行きましても、私の場合でも投票箱をこちらへ持ってきてくれるとありがたいが、投票箱を動かすことはできません。あるいは、だれか代理人に、私のかみさんでもいい、投票するようなことは許されるかというと実はそれもだめです。しかし、だれか人を頼んで階段を上げてもらってくださいということで、選挙に立ち会いの人だってそう暇な人たちじゃないわけですから、これは車いすが一人来れば四人五人とかかってしまう。そういうやっぱり投票所そのものの環境づくりがまずなされていないのに、ほかの人は自費でもって電車に乗って行くんだから、あなた方も在宅投票する場合にはお金を出しなさいというふうなことは、やっぱりせめてそこに何らかの救いがなければ本当に公正は期せられないのではないかというような気がするんですが、いかがですか。
  327. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) いま投票所のあり方についてお触れになりましたのですけれども、私どもの方といたしましては、投票所の設け方につきましてはできるだけ身体障害者の方々のことも考慮をいたしまして一階に投票所を設置するということを指導いたしております。二階以上のところに設けざるを得ないような場合においても、エレベーターの施設があるようなところを考えるということを特にこれは指導しておりまして、全国的には相当と申しますか、改善をされたんではないかと思いますので、まずこれを先に申し上げておきたいと思います。  で、二つ目の御負担の関係でございますが、これにつきましては、決して健康な方は自費だから皆さんもという意味ではございませんで、まあすべてを通じまして、先ほど申しましたように、現在のところ自分の選挙権行使というために必要な経費は御自分でお持ちになるということで、決して健康な方がこうだから、身体障害の方はどうという、こういう意味合いではございませんのでお含みいただきたいと思います。
  328. 前島英三郎

    前島英三郎君 ですから、たとえ一階でやろうと二階でやろうと、郵政省とお話し合いをいただいて、たとえば郵政省の方でそういう処置をとっていただくというような方策もあるわけですから、その辺今後の見通しとすればどういうものがあるのでしょうか。全くこれは自己負担という形はいまの段階では貫かなければならないということでしょうか。
  329. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) 引き続き検討は続けますけれども、現在のところそういうことであるわけでございます。
  330. 前島英三郎

    前島英三郎君 それから点字による在宅投票というようなものがまだ実施されていないわけですけれども、これはベーチェット病とか、あるいはまたスモンとかというような形の、重度でかつ視力障害という方々も大変多いわけですね。この辺はいかがでしょうか。
  331. 佐藤順一

    政府委員佐藤順一君) このことにつきましても先ほど申しましたように、さきに郵便による不在者投票におきまして、過去においていろいろと不正が介在したということからいたしまして、選挙の公正を確保するという見地から、一つは、郵便投票証明書の交付を申請するとき、それから二つ目には、投票用紙を選挙管理委員会に請求するとき、それから三つ目には、自宅で候補者の名前を書かれました後に、その投票用紙を選挙管理委員会に送付されるとき、この三つの段階におきまして署名をしていただく、その署名により御本人であることを確認すると、こういう手続を入れているわけでございます。そこで、点字による署名につきましては、どうしても画一的である関係で本人の確認ということが困難だということからいたしまして、現在は点字というものは御承知のとおり投票所、つまり投票所の現場における手続のところでは点字という方法があるわけでございますが、つまり本人を確認しながら投票していただくわけでございますから、それに対して本人を選挙管理委員会確認することのできないところの在宅投票におきましては、現在のところ点字投票を採用するところまで至ってないわけでございます。
  332. 前島英三郎

    前島英三郎君 それぞれの町や村に福祉事務所があるわけですから、   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕 もっと福祉事務所の窓口を使うとかいうふうな形でなるべく投票所に行けない場合の人たちを配慮したいわゆる投票の方法を考えるとか、あるいはまた在宅の投票をしようという人たちへのそうした軽減を図るような今後の御努力を重ねてお願いしたいと思うわけですけれども、まあなかなか実際問題として先ほどから申し上げておりますように、町そのものがいろんな意味でハンディキャップを持っている人たちには大変なわけでございますし、しかしやっぱり人間としての権利を行使したいという、それは切なる願いというものは、これは健康な人にもまさるほどの強いものを持っているわけでございますし、午前の委員会志苫委員からも手話通訳の話が出ましたけれども、たとえば聾唖の人たちにとりましては、そうした政見放送というようなものに対して、やっぱりどういう人だということが全く把握できない。公報によって、見るものによっては何となく把握できるけれども、訴えようとするその心というものが通じることができない。そこに手話がありさえすればということで、その手話通訳の人たちがどのくらいいるんだとかなんとかということが、まだ数字が把握できないから何ともできないんだというような逃げる姿勢ではなくて、いま手話をする人たちというのも本当に昨年よりもことしは倍というような形で、どんどんどんどん多く町の中に広がっている現状ですから、その辺をもっと積極的に、すべての人が選挙に参加できるという姿勢をぜひとも自治省で持っていただきたいと思うんですが、大臣いかがでございましょう。
  333. 加藤武徳

    ○国務大臣(加藤武徳君) 率直に申しまして、今日まで身体に障害を持っていらっしゃる方々への配慮が欠けたと言わざるを得ないと思うのでございまして、ことに諸外国の場合を見て回りましても、公的な施設等におきましては身体障害者に対しまする処置がずいぶん行き届いておると、こういう状況も私は見て帰りまして、日本でもそうなければならぬと、かような感を深ういたしたようなことでございますから、ことに公共施設等につきましての今後の環境づくりと、このことがきわめて重要であろうと思うのでありますし、またこの国会でも道交法等の改正をいたそうと、かように決意をいたしておりますのもさようなあらわれの一つであると、かような御理解をいただければありがたいと、こういうぐあいに思います。  それから在宅投票制度のことにつきましてのいろいろのいまの御質問やまた答弁がございましたが、いままでの経過を振り返ってみますと、昭和二十六年の地方統一選挙の際に大変なトラブルが起きまして、その数が数千件と、選挙の無効等のトラブルがありましたり、また刑事事件に発展をいたしましたり、大変なことがございました。そういうことがありましたので、昭和二十七年の選挙法の改正の際に議員修正が行われまして、在宅投票制度の門を閉ざしてしまうと、かようなことでございました。しかしその後の経緯にかんがみまして、こんなことであってはならぬということで、昭和四十九年の法改正に当たりまして在宅投票制度を復活をいたしたのでございますけれども、過去の経緯が経緯でありましただけに、きわめて厳格な手続を踏まなければならぬ、かようなことで仕組まれておりますのが現行法でございまして、ですから、在宅投票の証明書をもらいますのにもそれなりの手続が要りますし、また投票用紙をもらいましたり、また実際に投票いたしますような場合にも非常に厳格に自署しなければならぬと、郵送でなければならぬと、かような制限を設けておるんだと、さようなことがたとえば目の見えないお方の点字につきましても、点字は機械を使って打つものであって自署ではないからむずかしいんだと、かような結論にもなりがちなのでございますけれども、余りにも憶病ないまの在宅投票制度だと、かような感を深ういたすのでございますから、要は不正があってはならぬと、この配意からのいまの制度でございますけれども、しかし不正があってはならぬということのみに力点を置きまして、投票いたしたいと考えていらっしゃる方々の意欲を阻害いたしましたり、手続がめんどうでありますために、まあいいわというようなことで投票を行わないと、かようなことがあってはならぬわけでございますから、決して消極的な態度ではございませんで、今後この問題をどのように門を大きく開くかと、このことにつきまして積極的に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  334. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういうことで、各地でいろんな形で身障者の町づくり運動というものが行われているわけですけれども、まあこれとてもやはりそれぞれのみずからの立場で、町にあるいは行政側に訴えていかなければそういうものが遅々として進展しないといういまの結果というものがあるわけですけれども、まあ電電公社なども地域のいろんな町づくり運動に加わったりされておりまして、その中で特に公衆電話についての要望が大変多うございます。そこで、公社の方おいででございますか、ちょっとお伺いしたいと思いますけれども、これなかなか、たとえば車道と歩道が分離されている。そうすると、公衆電話があって、そこは確かに人は通れるけれども、車いすは通れない。あるいは車いすそのものも非常に形が大きいものですから、通常のいわゆる電話ボックスがほとんど使用できないという、あるいはまた駅に参りますと、たとえば自動販売機で切符は買ってくださいといわれますと、自動販売機そのものが車いすでは届かない。あるいは目の不自由な方々も自動販売機だといってもどうしてお金を、どこへコインを入れたらいいのかというようないろんな問題もあったりしまして、特に電話ボックスが非常に使えない、不便を来しているというようなものがあるんですけれども、それぞれの地域の中の公社の方に聞きますと、私たちは率先してやりたいんだ。しかし、これは本社の基本的な姿勢がなければ私たちはどうにもならないんです。全く私たちは皆様の気持ちはわかりますという大変御理解のあるお言葉をいただくんですが、やはり一番の頂点がその姿勢がないことには、こういうものも広がらないわけでありますので、その辺ちょっと公社の方に伺いたいと思います。
  335. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) お答えを申し上げます。  公衆電話の関連の問題につきましては、いろいろ身障者の方のお使いになりやすいような方策をとるような努力をいたしているつもりでございますが、現在お尋ねのボックスの問題につきましても、現在のボックスはかなり狭うございまして、車いすの方が仮にお使いになろうとなさいましても入れないというような状況もございますので、車いすのままで――道路の問題もございますけれども、車いすのままで公衆電話ボックスの中に入れる、大体スペースにいたしますと、展開ということも含めますと、通常のスペースのまあ三倍ぐらいの大きさが必要かということになっております。それからいすに座ったままで電話をおかけになるということからいたしますと、電話機の取りつけてあります位置が、現在のままでは少し高いようでございますので、これを低くする。それからボックスの中にお入りになりまして、車いすをお使いになります使い勝手の問題がございますので、手数料を設けるというようなことにいたしまして、たとえば駅、区役所などの公共施設でございますとか、身障者の方がたくさんお集まりになるような社会福祉施設でございますとか、そういうようなところを主体にいたしまして、逐次これらのボックスを設置するように指導をいたしております。
  336. 前島英三郎

    前島英三郎君 そこで、身障者にとりましては、電話というものがいかに大切なものかというのは当然のように、これはもうたとえば脳性麻痺でありますと歩行も困難、言語も障害がある。あるいは車いすの人間ですとちょっとすぐ街角で会おうといっても、これはなかなか会えないわけでありますから、当然電話の利用ということが非常に大きな生活の中でのコミュニケーションの場として必要なわけであります。五十一年に電話料金値上げの際に、衆参両院におきまして附帯決議がなされたわけでありますけれども、その附帯決議の中に、寝たきり老人、心身障害者などの生活維持に必要な電信電話の利用については設備料あるいは通話料の減免及び設備料の分割払いの方法を検討するなど、積極的な福祉政策の措置を講ずること、とあるんですけれども、これが昭和五十一年、二年前でございます。その二年間にどのように進行し、また実際に実施されたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  337. 西井昭

    説明員(西井昭君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたとおりの附帯決議が七十八回の臨時国会においていただきまして、これにつきまして公社は直ちに同年の十一月からひとり暮らしの老人の方、身体障害者等の方で経済的に困窮しておられる方、また生活保護を受けておられる方、そういった方を対象に、これらの方の電話の設置を容易にいたしますために設備料の分割払い、それから債券引き受けの免除の措置を行っております。  御質問の、今後どういうふうにこれを扱っていくかという問題でございますが、同じくその臨時国会におきましての附帯決議に基づきまして、電信電話に対します基本的な問題を審議するために公社総裁の諮問委員会を設置しろという附帯決議をいただいておりまして、その答申がついことしの一月にいただいたところでございます。その中での答申をいただきました答申の中では、福祉のような本来行政サービスに属する事柄は国ないし地方自治体が提供するのが原則であるというような、云々と言ったような答申になってございまして、公社といたしまして、公社がみずから公社の福祉行政とか福祉をやるというのは少しまあ本来業務を逸脱すると思っておりますので、そういうことをやっておられます厚生省とかその他関係の省庁と打ち合わせをさしていただきまして、そういった全体としましての福祉の一環として、公社に対して協力方の御依頼等がございましたら、それに公社の立場においてしかるべく御協力をしてまいっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  338. 前島英三郎

    前島英三郎君 積極的に福祉の方に、逸脱したと思わずにどんどんやっていただきたいと思うわけでありますが、やはりいろいろな、何と申しますか、身障者に対する配慮ということが叫ばれてはいるわけですが、中でもこれは通話料の減免、これが何といいましても最高の障害者に対する施策だと思うわけですね。その減免という方向に導入するお気持ちがあるのかどうか、現段階ではいかがですか。と申しますのは、私たちが五分でしゃべることが、たとえば脳性麻痺の人になりますと、これ三十分は最低かかるわけですね。私たちが三分で相手に真意を伝えるということを、やはり十倍ぐらいの時間をかけなければお互いに相手との、健康な、つまり交話のできる私たちとのやりとりができない、不可能というようなケースがあるわけです。しかしこれは通話料は通話料として、これはどの御家庭でも同じわけですから、非常にその負担が多い。しかも障害者手当などというものは月額六千五百円ぐらいの現状でございますから、いやいやもうそれでなくても生活ができない上に、しかし電話がもう最高の自分のコミュニケーションの場であるというような気持ちの中から、余りにも負担が大き過ぎるというような非常な大きな問題があるわけですけれども、いわゆる通話料の減免という形の導入は現時点、いや今後、見通しで結構ですからお伺いしたいと思います。
  339. 西井昭

    説明員(西井昭君) ただいま通話料金の減免のお話がございましたわけでございますが、現在の法律に基づきますと、法律改正をいたさない限り、身体障害者の方に対して通話料を減免するということはできないようになっておるわけでございます。これに対して、今後どのように考えておるかというお尋ねでございますが、これは現在厚生省が中心となっておられまして、いわゆる福祉電話という施策を実施をしておられるところでございます。このいわゆる福祉電話と申しますのは、社会福祉事業の一環といたしまして、国及び市町村等がひとり暮らしの老人の方等に対しまして各種の福祉相談等を行うために、これらの方の居住の場所に設置をいたしております電話でございまして、そういったいわゆる福祉電話の設置に当たりましては、私どもの承っておりますところでは、当初の設備料、加入料はすべて全額を国あるいは市町村が負担をしておられる。それから電話の基本料につきましては、これは若干市町村によって違っておりますが、大体九〇%近い市町村で基本料を全額負担をしておられます。それから通話料につきましても、大体六〇%余りの市町村におきまして全額あるいは一定限度額までの通話料の負担をしておられるところでございます。で、公社といたしましては、こういう施策がさらに推進をしていただくのが一番好ましいことだと考えております次第でございますが、これについても現行法の中でできるだけ市町村等の御負担を軽減いたしますために、従来こういう電話は市町村名義でお申し込みになっておられまして、そうしますと、現行法制上では事務用の基本料金を適用せざるを得ない、こういうことになってございますので、これは昨年、厚生省それから郵政省等と打ち合わせをいたしまして、この名義を個人名義に変更するように私の方から御要請を申し上げました。その結果厚生省では、これを個人名義に変更するということを決定されまして、昨年の十一月にそのような通達を都道府県等にお出しになりまして、指導を行っておられます。現在その手続が進行中である、こういう状態でございます。いずれにいたしましても、公社はそういうことを通じまして、今後ともそういう国の施策等について御協力を申し上げていきたい、このように考えている次第でございます。
  340. 前島英三郎

    前島英三郎君 まあそういう法律がない、そしてまたそれぞれの自治体にいろいろ御協力を仰いでいる。つまり電電公社は何の出血もないわけですね。だからやはり、電電公社として積極的に、出血するのがいやであったらば、もっともっと積極的にそのお気持ちを厚生省に働きかけるとか、あるいはそれぞれの自治体に働きかけるとかというような方向をやはり打ち出していただきたいと思いますし、自治体によって費用の負担のやり方というのも大変でこぼこしておりますし、ただいろんな形で、自治体に何でもかんでもおんぶしようというようなものが、まあ電気料金の問題もそうでしょうし、あるいはガスの問題でも電話の問題でも、いろんなものがすべて、もう私たちは関知しません、あとは自治体が、厚生省があるいは文部省がというような形で逃げられてしまいますと、こういうものはどうしても自治体が、それでなくても非常に財政的に困窮しているわけでございますから、積極的にそういう面では電電公社みずからが、やっぱり独占ですから、ひとつ誠意を示して取り組んでいただきたいと思うわけです。  大変時間が私も残り少なくなりましたので、お呼びしていらっしゃる方に一言も伺わずにお帰りいただくのは申しわけないと思いますから、ちょっと飛ばしますが、身障者問題ばかりで大変恐縮だと思いますが、国鉄の運賃割引につきまして運輸省並びに国鉄の方に伺います。  いま私たちは、百キロ以遠につきまして、つまり乗車券――急行券、特急券はもちろん割引になりませんが、それぞれ割引を願っているわけでございまして、それによって大変私たちの活動範囲も広くなりました。あるいは今度の成田の問題につきましても、先般は大変明るい御内示をいただきましたし、国鉄の東京駅のところにも車いすの待合室などもつくっていただいたりということで、非常に高く評価されているわけでございますが、いま内部障害者という人が七万五千人おります。この内部障害者というのは、御承知のように、肢体不自由ではなくて、いわゆる心臓、腎臓、いろんな形の障害者であるわけですが、この内部障害者に対して、いま割引というものがなされておりません。それからまたいわゆる心身障害者に対しての割引ということは福祉法でうたっておりますけれども、いわゆる心である、つまり精神薄弱というような形、精薄の関係の人たちには割引などはなされておりません。これも恐らく厚生省でお金を出せばとか、いま国鉄の財政は困窮しているからとかというようなお答えが返ってくることは予測はいたしておりますけれども、いま割引がいろんな形であるわけですが、その割引による国鉄のいまの負担というのはどのくらいになるわけですか。
  341. 須田寛

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。  現在、いま先生ちょっとお触れいただきましたように、割引自体につきまして、運輸省の御指導もいただきながら、いろいろ再検討をいたしておるところでございますので、あるいは公共割引の概念というものが変わることも予想されますのですが、とりあえず、いま私どもの手元に持っております五十一年度の数字で、しかも従来私どもが公共割引と申しておりましたものでございますたとえば通学定期の割引でございますとか、体の御不自由な方に対する割引等が中心でございますけれども、そういった概念で申し上げますと、五十一年度で約五百億の公共割引をいたしております。そのうちで、体の御不自由な方、いわゆる身障者に対します割引の割引額は約十九億円でございます。
  342. 前島英三郎

    前島英三郎君 大変パーセンテージから見れば十九億、わずかだと思いますが、しかし、国鉄にとってはこれは十九億は大変だと思います。しかしほかの四百億ないし五百億というものは、いろんな形で通勤あるいは通学というような形での割引だと思いますけれども、この身障者の福祉法が改正されたときに、国鉄は何と申しますか、内部障害者を除外したというのは、これはどういうことですか。
  343. 須田寛

    説明員(須田寛君) この割引を開始いたしましたのは、昭和二十五年から始めたわけでございまして、その際の一応身体障害者福祉法の対象でございましたものが、現在の第一種、第二種と言っておりますもので、その後四十二年だと私記憶いたしますけれども、先生いま御指摘の内部疾患の方々が身障者の福祉法の対象になってまいったと記憶いたしております。したがいまして、当時二十五年にいたしましたときと、四十二年のときとの当方のいろんな財政事情等もございましたし、私どもはなるべく新しい公共割引というものをお引き受けいたせるような状況が当時ございませんでしたので、そのまま推移しておる、このように理解をいたしております。
  344. 前島英三郎

    前島英三郎君 それから十年たっているわけですが、いろんな要望もありましたし、議論もあったと思うんですけれども、そろそろ決断してもいいのではないかという時期に来ているように思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  345. 須田寛

    説明員(須田寛君) これは運輸省の方ともよく御指導いただかなくちゃいかぬと思うんでございますが、国鉄の方の考え方を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、現在ございます公共割引そのものにつきましても、いろいろ政府の御指導もいただいて見直しをしまして、負担方とか、あるいは割引のあり方、まあ国鉄の営業施策との関連もいろいろあろうかと思いますけれども、そういうことでいま再検討をいたしておる段階でございますので、ちょっといま私どもの方で新しい割引を国鉄の負担におきましてお引き受け申し上げるというような資格がないと申しますか、そういう能力がないというのが正直な実情でございます。
  346. 前島英三郎

    前島英三郎君 つまりそれを割引すると収益が非常にマイナスになるという、計算上ではそういうことになりますが、いまは割引もないから乗らないというのが正直なところなわけです。むしろこれが割引になると、こぞって障害者が国鉄を使うようになる、言うなれば増収ということになるわけですね。たとえばいまいろんなローカル線を見ましてもどこを見ましても、日曜日、行楽の花見のシーズンだというのにがらがらというようなケースが余りにもありまして、ますます国鉄の経費の面でも赤字は累積されていくだろうというような予測をせずにはいられないわけですが、むしろ、かえってそういう割引をすると減収なんだというような感覚ではなくて、割引をして乗っていただいた方が増収につながるというような観点から、厚生省金を出せとか、あるいは運輸省こういう指導をよこせというような形ではなくて、やっぱり国鉄財政再建のためにも、積極的に身障者に御利用いただくという方向を私はとっていただきたいと思うわけでありますが、内部障害者七万五千人おりますので、その人たちが今後国鉄に乗れるように、ひとつ前向きの御検討を心からいただきたいと思います。  それで、最後になりますが、幾つもあったんですけれども時間がなくなって申しわけありません。  実は、航空機にもこれは身障者割引というのがございますが、運輸省ではその辺は御存じでしょうか。
  347. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 現在第一種身体障害者の方が介護者と一緒に御搭乗なさる場合には、それぞれの方について二五%の身体障害者割引を行っております。
  348. 前島英三郎

    前島英三郎君 これはいわゆる航空会社が積極的に割引しようということで始まったものなんでしょうか、あるいは国からの行政指導によって、国鉄では身障者に対する割引がある。じゃ航空会社もニードに合わせた形でやれということでの指導のもとにつくられたものでしょうか。
  349. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 四十九年の十二月からこういう制度が導入されたわけでございますが、その間の事情について私はつまびらかに承知しておりません。しかしながら、恐らく航空会社、運輸省あうんの呼吸でこれが導入されたものだと思っております。
  350. 前島英三郎

    前島英三郎君 あうんの呼吸ということのようですが、しかし、この身障者割引といって非常に大義名分で実は出ているわけです。これは国内線に限るわけですが、つまり、身障者に対する割引という形でつくられているわけですが、これ一人じゃ割引がなされないわけですね。
  351. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) そうでございます。
  352. 前島英三郎

    前島英三郎君 ということは、これは身障者割引じゃないと思うのですが、その辺はどうお考えになるでしょう。   〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕
  353. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 身体障害者の方に対する割引をしているという面では、身体障害者割引だと言えると思いますけれども、実態といたしましては航空運送事業、万一航空機に事故が起きた場合に、急いで機内から脱出していただく必要がございますが、そういったときに身体障害者の方の脱出を容易ならしめるために介護者の方がいていただいた方がよりいい。それから墜落といった不測の事態じゃなくても、万一機内の気圧が低下して酸素マスクが機内に出てきた場合には、それを口元に当てるように介護する方がいた方がいい。そういったいろいろなことを考えた上で、この制度が導入されたのが実態だと思います。
  354. 前島英三郎

    前島英三郎君 実は「身体障害者航空旅客運賃の割引について」というのが昭和四十九年十二月十日に出されているわけです。各都道府県知事あて、それには非常に、見出しではその身体障害者航空運賃割引についてということでありますが、つまり、「身体障害者が単独で旅行する場合には、本運賃の適用はいたしません。」、介護者とともに旅行する場合に限って割引をするということでありますし、いまは非常に、何といいますか、行動範囲が広くなってまいりまして、とにかく社会の形の中では北海道から九州へというようなケースもあるわけですけれども、でき得ればむしろ、身体障害者航空運賃割引ということなんですから、単独でも搭乗することは、先般大分でトラブルがありましたが、運輸省からの通達で一人でも搭乗できるという形になりまして、いろいろな形で航空会社は国や自治体から手厚い保護のもとに運営されているわけですから、身障者割引を国鉄並みに、国鉄はむしろ一人でも割り引くというような形をいま維持しているわけですから、一人でも、一〇%でも二五%でも、いま現行二五%ですが、割引をするというような指導を運輸省でやっていただきたいと思うんでありますが、その辺はいかがでしょう。
  355. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) むずかしく言いますといろいろ問題がございますけれども、前島先生の質問の意を体しまして、今後検討してまいりたいと思います。
  356. 前島英三郎

    前島英三郎君 ちょうど時間になりましたから、まだたくさんあったんですけれども、私は超過するのは好きじゃありませんので、どうもありがとうございました。
  357. 望月邦夫

    ○理事(望月邦夫君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時三十六分散会      ―――――・―――――