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1978-03-28 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十八日(火曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員異動  二月二十二日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     宮本 顕治君  二月二十四日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     神谷信之助君  三月二十七日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     安武 洋子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君     委 員                 衛藤征士郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 成相 善十君                 小山 一平君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 安武 洋子君                 向井 長年君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君    政府委員        警察庁長官    浅沼清太郎君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁交通局長  杉原  正君        警察庁警備局長  三井  脩君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       砂子田 隆君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        厚生省医務局指        導助成課長    岸本 正裕君        厚生省社会局老        人福祉課長    末次  彬君        厚生省社会局老        人保健課長    竹中 浩治君        厚生省保険局国        民健康保険課長  黒木 武弘君        農林省農蚕園芸        局農蚕企画室長  下  壮而君        資源エネルギー        庁公益事業部水        力課長      伊藤 謙一君        運輸省航空局監        理部監督課長   松村 義弘君        運輸省航空局管        制保安部長    飯塚 良政君        運輸省航空局新        東京国際空港開        港推進本部副本        部長       上田  浩君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君        建設省河川局開        発課長      堀  和夫君    参考人        新東京国際空港        公団副総裁    町田  直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (新東京国際空港侵入事件に関する件)  (新東京国際空港警備問題に関する件)  (自治省所管及び警察庁所管にかかる諸施策に  関する件)  (昭和五十三年度自治省関係予算及び警察庁関  係予算に関する件)  (昭和五十三年度地方財政計画に関する件) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。     —————————————
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  まず、一昨二十六日の新東京国際空港侵入事件について国家公安委員長から報告を聴取いたします。国家公安委員長
  4. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 一昨二十六日、成田空港におきまして、極左暴力集団の一部が管制塔侵入し、機器類破壊した事件を惹起いたしましたことは警察といたしましてもまことに遺憾に存じております。  この事案概要警察措置並びに今後の方針につきましてその概要を御報告いたしたいと思います。  空港反対同盟極左暴力集団等空港反対派は、三月二十六日午後零時三十四分から三里塚第一公園で極左暴力集団約四千五百人を含む約八千人を集めて三・二六三里塚空港開港阻止全国結集集会を開催いたし、その後二つのコースに分かれてデモ行進を行い、午後三時四十五分に終了いたしました。  一方、前記集会デモとは別個に、第四インターの日本支部を中心とする極左暴力集団約千五百人は、午前十時三十分ごろから同十一時四十七分ごろまでの間、菱田小学校跡地で結集し、三グループに分かれて同所を出発し、午後零時四十二分ごろから約一時間の間に  (一) 午後零時五十分ごろ、空港内に位置する京成新空港駅前マンホールから、火炎びんを所持した約二十名のグループがあらわれ、空港管理棟警備に当たっていた空港署員及びガードマンに火炎びんを投げつけました。この二十人のうち五人は一階において逮捕いたしましたが、他の六人は十六階の管制室侵入し、飛行場灯火制御装置等の諸機材破壊し、また四人は十四階のマイクロ通信主侵入し、マイクロ波集計装置等破壊いたしました。  (二) また午前一時十五分ごろ、第九ゲートから九人のグループトラック二台に分乗し、折から警戒警ら中のパトカー一台に追随接近の上、火炎びんを投てきしながら空港内に侵入し、一台は空港署の門柱に衝突して停車。さらに一台はターミナルビル一階南ウイング入り口停車の後、それぞれの車両に火炎びんを投てきして炎上させました。  (三) さらに午後一時四十五分ごろ、約三百人のグループ鉄パイプ火炎びんを所持し、小型トラック二台を先頭にして八ゲートの二から火炎びんを投てきしながら空港内に侵入いたしました。これら十一件に上る不法事案を同時多発的に敢行し、火炎びん鉄パイプ等により警察官三十一人に軽傷を負わせました。  二、警察措置千葉警察では、三月二十二日正午から空港警察署警察本部長を長とする警備本部を設置いたし、三月二十六日当日は県外支援部隊一万人を含む警察官一千三千人を動員して警戒警備に当たり、公務執行妨害罪凶器準備集合罪建造物侵入罪火炎びん使用等処罰に関する法律違反暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等で、合計百十五人、内訳は男九十六人、女十九人を検挙いたしました。  三、今後の方針といたしましては、今回の極左暴力集団行為は、無法きわまりないものであり、断じて看過し得べきものではございません。警察といたしましては、当面現在の体制を維持いたしますとともに、今回の事案問題点を十分に反省検討いたし、部隊のきめの細かな指揮運用装備資器材の効果的な活用等についても十分配慮し、今後の警備に万全を期してまいる所存でございます。     —————————————
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、自治省所管及び警察庁所管に係る諸施策に関する件並びに昭和五十三年度自治省関係予算及び警察庁関係予算に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 小山一平

    小山一平君 まず最初に、ただいま御報告のありました成田空港事件関連をしてお尋ねをしたいと思いますが、運輸省の方ではこの成田問題に対応する必要上できるだけ早くこの質問を済ましてほしいという、たっての要望がございますので、警察庁関係はその後にいたしまして、まず最初運輸省お尋ねをいたします。  この二十六日の成田空港事件は、国民の間にも大きな衝撃を与えておりますが、マスコミの報ずるところによれば、運輸省は三月三十日の開港、四月二日の運航開始という予定を延期することに決定したと報じておりますが、今日まで主要機材破壊実態調査もかなり進んでいると思いますが、その状況と、それから予定変更、さらには復旧、開港等見通し、こういうようなものについての説明をお願いいたします。
  7. 上田浩

    説明員上田浩君) 小山先生の御質問お答え申し上げます。  一昨日、二十六日の日曜日の午後に、不幸にしてあのような襲撃事件が惹起されたわけでございます。その後運輸省といたしましては、同日の夜の十一時に第一次調査団現地に派遣いたしまして、管制塔内部管制室破壊状況調査いたしました。その結果現地に参りました時期がちょうど真夜中でございましたのですが、管制機器等破壊されていたのでございますが、まあ電気の回線等が切断されております。そういう関係で、電源を入れますとショートを起こす、火災のおそれ等もあるということから、電源を切っている関係から、暗がりの中で懐中電灯を頼りに調査をせざるを得なかった。それから警察の御当局が排除するためにお使いになりましたガス弾の残りが、まだその時点におきまして残っている関係から、調査団もなかなか詳細な調査ができなかったという関係もございまして、約二時間ほど現地調査したわけでございますが、その結果を持ち帰りまして、とりあえずの被害状況の結果の報告を受けました。その被害状況の結果に基づきまして、昨日の九時から開催されております成田関係関係閣僚会議報告いたしまして、その後の政府措置というものを御検討いただいたわけでございますが、いかんせん一昨日深夜から昨日の未明にかけまして行いました被害状況調査結果をもとには、詳細な判断をするというわけにはまいりませんので、引き続きまして昨日の朝から第二次の調査団を派遣いたしまして被害状況をチェックいたした次第でございます。その結果判明いたしました被害状況をここで御報告申し上げますと、専門的な機器名前等が出ましておわかりいただきにくいかもわかりませんが、かいつまんで申し上げますと、まず外見からどういう被害状況があったかということを申し上げますと、管制塔窓ガラスが、これ五角形の形になっております。その五角形の形それぞれの面に三枚のガラスが入っておりまして、計十五枚。そのうちの十三枚が破損をいたしております。それから内部の、十六階の管制室内部でございますが、管制官管制業務を行います管制卓、これには送受信のための……
  8. 小山一平

    小山一平君 簡単でいいですよ。
  9. 上田浩

    説明員上田浩君) 受信装置がございます。それが全損をいたしております。そのほか空港敷地面の探知いたしますレーダー、これはASDEと呼んでおりますが、これも全損いたしております。それから飛行場灯火制御卓、これも全損と。それから十四階に設置いたしていますマイクロ回線用機器、これは筑波向け山田向け二つあるわけでございますが、そのうちの筑波向けの方につきましてはかなりの被害があると。それから外部パラボラアンテナ空中線もそれぞれ被害を受けておりますが、これは送受信には大した影響はないという報告を受けておるわけでございます。こういう被害状況もとに、帰りまして検討いたしました結果、外見に比べて内部の、内部と申しますのはいわゆる回線部分が設置されております内部被害でございますが、内部被害はさほどないと、外部だけであるという関係から、まあ比較的短期間に修復可能であるというような技術的な報告が出ております。こういう被害状況もとに、けさの八時半から再度関係大臣会議を開催願いまして、報告いたすと同時に、今後の措置というものを御検討いただいた次第でございます。私はここに参る時点においては仄聞いたしました情報でございまして、必ずしも正確ではないと思いますが、とりあえずは、政府といたしましては三十日に予定いたしておりました開港を延期するというように決まったという報告を取けております。以上の状況でございます。
  10. 小山一平

    小山一平君 すると、いまの段階では延期することは確定的であるけれども、いつになれば開港できるかという点については今後の検討結果だと、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  11. 上田浩

    説明員上田浩君) 私の受け取ります報告では先生のおっしゃるとおりでございます。今後の検討を待つというような形であるというように伺っております。
  12. 小山一平

    小山一平君 今回の破壊部分が復旧して、そしてやがて開港運航開始というところへこぎつければ、成田空港問題は解決したということには私はならぬと思いますね。第二期工事の問題、燃料輸送体制の問題、関連交通機関の整備、たくさん残されている懸案事業がございますが、恐らくこれらの見通しについてはお先真っ暗だと見ていいと思いますね。そういたしますと、果たして成田空港名実とも国際空港の名に値するような姿に建設できる見通し可能性、こういうようなものは運輸省ではあると考えていらっしゃいますか。
  13. 上田浩

    説明員上田浩君) 先生の御指摘お答え申し上げます。  現在、成田空港におきましては、四千メートル滑走路、これ一本、これが完成いたしておりまして、それに付帯いたします誘導路、それから着陸帯と、それから旅客ターミナル等施設が完成いたしております。これをもちまして、われわれといたしましては、現在の羽田空港に離発着いたしております国際航空の便数、一日離発着約百五十便程度ございますが、これを十分に成田において賄えるというように考えております。もちろん最終的には横風用滑走路、三千二百メートルございますが、この横風用滑走路、さらには現在の四千メートル滑走路の東側に二千五百メートルのB滑走路をつくりまして、これに対応する諸施設というものを第二期工事として考えているわけでございます。  現在、第一期の完成いたしました四千メートルの滑走路で、現在の羽田の需要は十分に対応できるとわれわれは考えておる次第でございます。
  14. 小山一平

    小山一平君 当面対応できるということはわかってますけれども、これから先、いまのような状況の中で、皆さんがおつくりになっているような計画どおり空港にすることができる自信があるのかないのかということをお聞きしているわけです。
  15. 上田浩

    説明員上田浩君) 私たちといたしましては、第二期工事につきましては、地元方々の御協力をいただきまして、できるだけ速やかに完成いたしたいと考えておる次第でございます。
  16. 小山一平

    小山一平君 もちろん、これは地元協力という基礎に立たなければ、成田空港の全体計画は進捗しない、これは明らかなところでございますが、成田空港問題がこうも困難な事態を招いた一体原因はどこにあるのか、こういうことを私は考える必要があると思うんです。  私は、わが国の高度成長が謳歌される中で、飛行機がその高速性大量輸送、利便さなど、すぐれた交通機関として登場してきて、急速に交通輸送需要が増大するのに対応するに当たりまして、空港建設優先性が先走って、親代々土に生まれ、土に生きてきた農民魂農民生活感情に対する認識を欠いて、その理解を得る努力を怠って、あたかもブルドーザーで押しつぶすような姿勢で、権力的、高圧的に工事を強行してきた。ここに今日の成田問題の一番重要な原因があると思うんですよ。恐らく農民としては、農民基本的権利とその人権を無視されたと、憤激を招いたものだと思うんです。こういう点でどのような反省をいたしておりますか。
  17. 上田浩

    説明員上田浩君) 昭和四十一年の七月四日の閣議決定によりまして、新東京国際空港三里塚に位置するということを決めてから十二年の星霜がたっております。この十二年の年月と申しますものは、われわれ成田担当者にとりましては非常に苦難に満ちた年月でございますが、同時に貴重な教訓というものをわれわれに示していただいた時期でもございます。この十二年間にわたるとうとい教訓というものを今後の指針にいたしまして、第二期の工事というものにわれわれは取りかかっていきたいと考えているわけでございます。  先生の御指摘のように、過去の空港用地取得等につきましては、必ずしも地権者である農民方々に対して十分なる誠意を持って十分なる御説明をできなかったと、ある面においては国の事業である、理解しろというような一方的な面もなきにしもあらずというような面がわれわれといたしましては、深く反省いたしておる次第でございます。したがいまして、現在第二期工事内部には約四十ヘクタールの農地が残されております。これらの農民方々は、いま先生の言われましたように、土地に生き農業を愛しその土地に今後とも定着していきたいといういわば篤農家方々でございますので、私たちといたしましては、これらの人々の土地に生きるという心情は十分理解できるところでございます。したがいまして、今後のこの二期工事の残されました未買収地取得につきましては、これらの農民方々と十分に話し合いをいたしまして、たとえば代替地提供等につきましても、これらの方々の今後の生活設計の成り立つような形で話し合いを通じてやっていきたいと、このように存じておる次第でございます。
  18. 小山一平

    小山一平君 今日まで十年余にわたってのやり方については大いに反省すべき点が多々あったと、こういうお答えでございますから、私はなぜこの認識工事着工のときから持ち続けてこなかったのか。ようやくこの段階にきてそのことに気がついた、全くこれは遺憾なことだというほかはありません。私はどうも成田空港反対闘争というものが、アメリカのベトナム戦争に似たような様相に感じられてならないわけですよ。政府がメンツにこだわって、一方で反対闘争を憎むような気持ちだけで受けとめて、いまのような反省というものをおろそかにしたり、いちずに警察官を大量動員して警備体制を強化する、こういうことではとうていこの困難な成田空港問題というものの解決はできない、こう考えるわけです。  そこで、この成田問題は、いま運輸省で述べられたような認識姿勢に立って、改めて関係農民陳謝の意を表するぐらいな態度はどうしても前提として私は必要だ、その上に立って誠意ある話し合いを進めていくべきだ、こう思います。いかがですか。
  19. 上田浩

    説明員上田浩君) お答えいたします。  いま先生の述べられました御意見に対しましては、われわれといたしましては全くそのとおりでございまして、御趣旨の線に沿いまして今後誠心誠意農民方々とも話し合いを通じて問題を解決していきたいと存じております。
  20. 小山一平

    小山一平君 私の指摘したように、この際十年余の過去を深く反省をして、至らなかった点については関係農民陳謝の意を表する、これだけの誠意を示して今後話し合いを進めていくということでございますから、私はぜひそう願いたい。決して、この問題を警察力をもって解決するなどということを考えれば、ますます重大事態が起きることは間違いないと思います。そして重要なことは、なるほどあの過激派グループ暴力行為というものは許さるべきもありませんけれども、これが多くのあの闘争を支持する幅広い国民の中に、あの過激派にはくみしがたいけれども、これが一つのこの闘争の枠の中にあれが存在をする、こういう点を深く考える必要があると思うんです。農民皆さんに、あなた方の誠意努力によって理解をしていただくことができるならば、あの過激派グループなどというものは、これは全く一握りのはね上がり分子でございますから、孤立をしてそう重大な役割りを演ずるようなことはできなくなるだろう、こう考えるわけです。ひとつ大臣にもよく御報告をいただいて、いまあなたがお答えになったような認識姿勢に立って、誠意を持って、原点に返って関係農民との円満解決に全力を尽くす、こういうことをもう一度念を押させていただいて、運輸省は帰っていただいてよろしゅうございます。もう一度決意のほどを述べてください。
  21. 上田浩

    説明員上田浩君) ただいま私が申し述べました方針と申しますのは、私の個人的な意見ではございません。運輸省の前大臣も、運輸省は近火お見舞いばかりやって失火お見舞いをやってないじゃないかと、地元農民というものに対して十分その心情に立って今後の対策を進めていくべきであるということを言われております。現大臣も同じような方針でございます。したがいまして、私たちといたしましては、農政担当ではございませんが、県当局とも十分にこの点につきましては話し合いまして、農業政策というものを展開していきたいと存ずる次第でございます。先生のいま御要望いただきました線につきましては、再度上司に報告いたしまして、今後の指針としていきたいと存ずる次第でございます。
  22. 小山一平

    小山一平君 運輸省、結構です。  それでは、警察当局の方にお尋ねいたしたいと思いますが、私は正直を言って、あんまり警備そのものの責任とか、そういうことを言う気持ちはないのです。しかしながら、一万三千人に及ぶ警察官動員をして、アリも漏らさぬ厳重な警備体制もとで、過激派が悠々と空港内へ侵入をした。しかもその心臓部である管制塔を占拠して、機器類のすべてを破壊した。これはどう考えても遺憾なことでございますが、こういう警備体制問題点というようなものをどんなふうにお考えになっておられますか。
  23. 三井脩

    政府委員三井脩君) 今回の三月二十六日の警備に当たりましては、全国から一万名の警察官動員を求め、千葉警察三千名とともに、いわば大規模な警察の総力を挙げての警備に従事したわけでございますが、そしてただいま御指摘管制塔への侵入という事態を招きましたために大変遺憾な事態になったわけでございますけれども、極左集団の行動は大変暴力的でありまして、それをすべて抑え、先ほど大臣からも報告いたしましたが、十一件の火炎びん攻撃ゲートヘの侵入企図等を行ったわけでありますが、それぞれこれを排除しあるいは検挙いたしまして、この管理棟周辺だけをとってみましてもほぼ同時に三件の侵入行為をいたしました。そのうち二つはそれぞれ処理をし、この一件がついに漏れたという点は残念でありますが、空港侵入したことで百十五人を当日検挙いたしましたけれども、そのうち六十人は空港に入ったところで検挙をし、六十人のうちの十五人が管理棟に入り、そのうち五人は入り口で一回逮捕したわけでありますが、六人が管制塔に入ったということで、この点は大変残念であったというように考えておるわけでございまして、どういう点に問題があったのかという点についてよくただいま検討を進めておるところであります。ただ私は、大変な警備体制で、水も漏らさぬというような形の中で、結果の被害の大きさから見て、大変な欠陥があったのではないかという印象を与えておるわけでありますが、原因は単純であるというように私は考えておりますので、その単純な原因を、その穴をふさげば、簡単にはマンホールの穴をふさげばよかったと、そこに落ち度があったというだけのことであると、こういうふうに警備技術的には単純なことであると思っております。
  24. 小山一平

    小山一平君 まあ単純と言えば単純でしょうね。そこをふさげば何でもなかった、それには違いありませんが、私は今度の事件を見ましても、反対同盟の戸村委員長が燃料輸送の貨車を転覆させること、これこそが実力阻止であるなどと大変物騒なことを述べていると新聞などが書いておりましたけれども、私はああいう広大な空港、そして開港ともなればもう旅客が大変大ぜい出入りをする、こういうことでございますから、一体今後警察当局が、成田空港の安全の確保を将来にわたってできるだろうか、こんな状況であったらできるんだろうか、こういうことを非常に心配するわけです。万が一にも多くの人命を犠牲にするような事件が起こされたとか、あるいはもっと重大な破壊事件が発生するようなことがあれば、これは国内的にも国際的にもゆゆしい結果を招くことは間違いがありません。この空港反対闘争というのは、一部の反対農民とはね上がりの過激派だけではないんですね。まあ過激派の暴走には抵抗を感じながらも、この反対の集会には万を数える人たちが結集をすることでも明らかなように、かなり幅広い国民から同情と支援を受けているこの反対闘争というものは、まあここにこの成田空港問題というものの深刻さがあると思うんですよ。それで恐らく今度の事件でもかなり過激派の検挙も行われたようでございますけれども、このままいけば、さっき運輸省が答えたように、関係農民と話し合って誠意を示して円満解決ができれば別ですけれども、それができないとすれば、この反対闘争というものは長期化することを覚悟せざるを得ない。一体これから先成田空港の安全そして成田空港の管理、こういうものをいまの警察力をもってして保障することができるのかどうか。私は大変危惧の念を持たざるを得ません。ひとつ率直な見解を聞かしていただきたいと思います。
  25. 三井脩

    政府委員三井脩君) 問題が大変多岐にわたっておると思いますが、これを簡単に整理をして申しますと、第一に、反対運動をしておる人は農民と言われますけれども、あの農民で第二期工事についていまだに土地を売ることに同意しておらない人というのは十七戸だけなんですね。最初は三百戸もあったわけです。という意味でいきますと、この農民が反対であるという当面の当事者はほんの一部の人にいまやなっておるんじゃないかと。それからまた反対運動そのものは、それぞれ今日わが国の社会として自由でありますから、これはもう自由におやりいただいて結構ですと、こう思うわけですけれども、しかし暴力行為に出る、違法な破壊活動に出るというようなことは、反対しておるからといってそれが許されない、こういうことが基本でありまして、三月二十六日の事案について言いますと、これは地元反対農民とは全然違う別種のグループがやったものというように考えるわけでありまして、当日八千人集会に出たという中身を見ましても、地元反対同盟に属する人はわずかに八千人中百二十人であります。最初の三百戸何千人とおった時期から見ましても、いまや反対をそういう暴力的な手法によってやろうという人はほとんどいないのではないかと、こういう事態認識を明確にすることが必要であると思うわけでありますが、したがいまして、今回の事件は、反対連動とは関係なく、反対運動に籍口して反体制を叫ぶ過激な連中、つまり極左暴力集団破壊行為をしたものであると。さっき申しましたが、十一件の火炎びん攻撃は、この八千人集めた集会デモのうち四千五百人が極左暴力集団でございまして、これが二つのコースのデモに分かれたときに、そのデモコースの中でフェンス等に対し、あるいは警備に当たっておる警察官に対し火炎びんを投げておるわけであります。その中におった百二十人の農民が投げたとは考えられない、また現にそういうものではないということであります。  それからまた、それとは別個に大臣から報告がありましたが、千五百人の第四インターを中心とする極左暴力集団、これが菱田の小学校跡地に集まりまして、三手に分かれて公団に突入するという企図のもと火炎びん攻撃をかけてきたわけでありますが、これをもうほとんど全部撃退をいたしまして、わずかにさっき言いました三件の事案があり、一件がああいう結果になったということでありますので、そういう点から考えましても、ただいまこれから先のことはどうかということでございますが、およそ反対連動でありましても、法律に従っての反対運動はもう自由にやれるということでありますが、それを越えての違法な反対運動、反対闘争と称するものは許さるべきではない。私はそういう意味におきまして、そういう世論がもっと厳しく極左暴力集団を中心とした暴力行為を糾弾をする、批判をするというようなことがひとつ行われれば、この点については大変今後の見通しは明るいのではないか。  それからそれと同じことでございますけれども、社会秩序、法秩序を維持するというのは、警察に任しておけばいいというようなものでありませんで、みんなが法律を守るべく努力をするというような気持ちを、各界の関係者、その他一般の方がもうちょっと持っていただければ、この点も大変将来への明るい展望につながるであろうと。  それから三番目には、ただいまの空港そのものの安全の問題ということでございますので、空港はまず公団あるいは運輸省その他の人が、主として公団でございますけれども、自分がつくり自分で管理をし運用するということでありますから、物を単純化して申しますと、公団の人たちが自分のところは自分で守る、そのためにはどういうふうな心構えで毎日を勤務すればいいのか、あるいはそういう襲撃がないように、物的にはどういうような施設をすればいいのか、あるいは日常中に出入りするときに、めんどうでも空港の安全ということから、ガードマンあるいは職員によるチェックをすると、こういうような諸般の手が打たれれば、われわれ警察も大いに全力投球をいたしますので、将来十分安全性についても治安についても明るい展望があるというように考えておる次第でございます。
  26. 小山一平

    小山一平君 おっしゃるとおりまさか私も、反対農民が何百何千とたくさん存在して、これが主力となってああいう過激な反対闘争を続けているなどと考えているわけじゃないんですよ。しかし三百あったものがだんだん少なくなって、数少なくなったとしても、この農民成田空港建設に対する、さっきの話でも明らかなように、いろいろやり方について批判、不満が高じて、反権力的な姿勢を強めてきたと思うんですが、これが過激派グループの乗ずる課題となった。そしていろいろ現地の記録などを見ますと、かなり過激派グループとはかかわり合いのない広範な人々がこの農民の反対連動というものに、さっきも言ったように深い同情と支援をしている、これをやっぱり私は軽視をしてはいかぬと思うんです。そこで警察とすれば、暴力行為や違法行為を放置するわけにいきませんから、これは断固排除されるのは当然の任務でございますけれども、しかしいまのような状況とすれば、それじゃこれから先いつまで続くかわからないのに、毎日、日夜一万人もの警官を常にあそこへ張りつけて警備体制を維持していくなんていうことはできますか、実際問題として。
  27. 三井脩

    政府委員三井脩君) 現地の反対農民の反対運動を極左が利用して、他の目的のためにこれを活用しておるという実態でありますから、そういう活用されるような原因をできるだけなくしていくということについては、大いに努力関係のところでしておるわけで、私たちもそれに期待をするわけですが、一方、具体的な問題といたしまして、現在の一万人の応援体制というものをどこまで維持するかということにつきましては、先ほど申しましたような自主警備といいますか、自己防衛といいますか、そういうような点をいままでよりも徹底をしていただく。また世間も農民の反対運動というものを利用して、暴力行為をやるというものは、これはまた全然別であるという点について厳しい批判の姿勢を示していただくというような諸条件の充足とともに、一万人の動員ということは、われわれが情報等を判断いたしまして、具体的な状況を見ながらこれを調整していくということで処理してまいりたいと考えるわけでございます。
  28. 小山一平

    小山一平君 警察当局といたしましても、やっぱり成田問題というのがこういう深刻な事態に陥ってきた、これが極左暴力グループによって便乗されていよいよ問題を重大化した、このことは間違いないことでございますが、やっぱり余りそれだけに狭く認識をいたしまして甘く見ていくと、思いがけないことになるのではないかというのが国民一般の心配なんですよ。ですから、警察の分野は、法律に反する行為を断固取り締まり排除をするというのは当然でございますけれども、この成田空港問題という困難な事態は、警察力だけではとうてい処理のできない深刻さを持っている。こういうことで各省庁など、特に関係当局がもう少しこの問題の土台になった、原因になったそのことをできるだけ早い機会に解決する、こういうことをあわせて進めていかないと、この問題はさっき言ったように、ベトナム戦争みたいにますます深みにはまる、そろそろここらで和平交渉をやるべきじゃないかというのが私の考え方なんですよ。だから、そういうことで警察も余りに警察力に過信をして成田問題に対応をされない方がいいんじゃないかと。もちろんそれも必要ですけれども、そういう複雑な要因というものを総合的に判断をしてやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。
  29. 三井脩

    政府委員三井脩君) 違法行為はその動機、原因のいかんを問わずこれを取り締まるというのが私たちの立場でございます。もとより情状等はその中にあっていいわけでございますけれども。  ところが、動機がよければもう相当な暴力行為も許されるというような風潮があるとすれば、これが今日の事態を生んだ一番大きな原因ではないかと私は思うわけでありまして、先ほどお話しのように、空港建設の具体的な問題について円満解決、できるだけ不満を残さないようにということについての努力関係のところでそれぞれ大いにやっていただくということが、事態を円滑に運ぶために、そしてまた、警察的取り締まりをそう多くやらなくても事態が進展していくということにつながるものとして、私たちは常にそういうところに要望もし、また私たち意見も言いということでやってきておるわけでありますから、今回の事件教訓といたしまして、一層そういう面を推進するとともに、取り締まりにつきましても一層十分にやってまいりたいというように考えるわけでございます。
  30. 小山一平

    小山一平君 それじゃ成田関係は以上で……。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連して。  あの下水道、トンネルですね。トンネルのあったことは承知していたんで、それで事前に一度でもこういうものがあるなということを気にとめていたことがあるんですか。
  32. 三井脩

    政府委員三井脩君) その点についてはただいま調査しておりますが、千幾つマンホールがあるというわけです。それをその個別にどういうようなチェックをしたのかということについては目下厳密に調査をいたしております。その結果を待ってというように考えております。
  33. 小山一平

    小山一平君 大分これで時間を費やしてしまいましたが、少し今度はピッチを上げてお尋ねをしていきたいと思いますが、自治大臣、同和対策事業特別措置法が五十三年度をもって十カ年の期限が切れるわけですが、政府は今日まで衆参両院の予算委員会の質疑などを通じて同法の期限を延長すると、こういう方針を明確にしていると、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  34. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 予算委員会を通じまして衆参両院何回かこの問題の議論がございました。私個人といたしましては、残事業も相当あることでありますし、かつまた地方団体といたしましても、非常に強く要望いたしておりますから、当然延長すべきだと、かように考えておりますけれども、しかし十年前にこの特別立法がなされましたいきさつを振り返ってみますと、各党の間におきまして周到な論議がなされたと、かようないきさつがある法律でございますから、やはり政府が一方的に決定いたすというよりも、やはり各党間の論議をもっと進めていくべきだと、かように考えておりまして、政府といたしましては延長いたすべきだという考え方は、公的には決定はいたしておりませんけれども、総務長官もさような考えでありますし、私もまたそういう考えを持っておる次第でございます。
  35. 小山一平

    小山一平君 そういたしますと、各党間で相談をして一つの一致点を見出すということを前提として延長をいたしたい、こういう考えだと了解していいわけですね。
  36. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 結果としては同じことになるかもしれませんけれども、私どもは十年前のいきさつを振り返ってみまして、やはり各党間の周到な協議が先行いたしておったようないきさつもございますので、私どもはさような各政党間の論議を見きわめてその後に決断をいたしたい。政府が決断をしているんだから、後皆さん方相談をなさいということではございませんで、むしろその逆の形が好ましいと、こういう考え方を持っております。
  37. 小山一平

    小山一平君 このことだけはっきりしておいていただきたいんですが、政府といってもそこで一つの結論を出しているということでもないようですが、関係大臣はそれぞれ、関係大臣としては延長すべきであると、こういう考え方であるということは間違いありませんね。
  38. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 関係大臣相互間の意思疎通の会議はまだ持たれてはおりませんけれども、私はいま申し上げたような考え方を持っており、また総務長官もそういう考え方を予算委員会で表明いたしております。他の関係閣僚につきましては、公の発言はございませんが、大方の閣僚はやはりそのことには異論がないだろうと思うのでございますけれども、しかし形は、いま申しましたように各党間で鋭意話し合いを進めていただく、そのことには政府も異論がなく、結果としては同じことになろうかと思うのでございますけれども、手続的な点といたしましては、政府が独走いたすと、かような姿ではないことの御理解をいただきたいと思います。
  39. 小山一平

    小山一平君 総務長官も自治大臣もそれぞれのお立場で延長すべきだという、その基本的な考え方だけははっきりお聞かせをいただきました。  それから、この法律の対象地区の存在状況というのは全国的に大変アンバランス、千差万別で、事業の内容もあるいは事業量も大きな差異を持っておりますね。対象地区と対象人口がたくさんある自治体もあれば、全くない自治体もある。したがって、この事業全国共通的な事業というわけではない。そこで私は、この同和対策事業のために特定の自治体が特別の財政負担を生じて財政全般にそれがしわ寄せされるというようなことがあってはいけないと思いますが、こういう考え方で自治省も御賛成だと思いますが、いかがですか。
  40. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、同和対策事業は全団体一律というような事業でないことはそのとおりでございますが、同和対策事業につきましては、特別措置法の趣旨にのっとりまして、これは原則として国庫補助事業として実施する、そうして、その地方負担については地方債を充てる、その地方債の元利償還金は交付税で措置をする、こういうのが一番の基本原則というように存じているわけでございます。このような観点から、私どもといたしましては、地方団体の実情に即した国庫補助負担制度の充実ということと関係予算の拡大ということを常に政府の各省に対しても要望し、主張をいたしているところでございまして、年々の所要額というのは次第に増加をいたしておりますが、現在のきわめて厳しい環境下にある地方財政の現状からいたしますと、まだまだ国の方としての持ち方が少ないんじゃないかというような気持ちでいるわけでございまして、まずそちらの方の拡充、強化ということによって、同対法に決められておりますシステムに沿って地方財政対策ができるようにというような考え方で努力を重ねているところでございます。
  41. 小山一平

    小山一平君 自治省では、全国の自治体がこの同和対策事業を一体総体的にどのぐらいの事業をやって、そしてその事業に対して国庫補助金がどのぐらいついて、何十%ぐらいになって、地方債がどのぐらいになって、一般財源はどのくらい持ち出されているかなどという調査をされたことがありますか。
  42. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 同和対策事業の実施状況は、地方債の充当という手続を通じまして私どもとしては総体の姿を把握をいたしているところでございまして、昭和五十一年度の同和対策事業の実施状況を地方債の充当結果から見てみますと、総額は約一千九百五十四億円で、その財源の内訳は、国費が約八百十七億、総額に比しますと約四一・八%という数字でございます。地方費は約一千百三十七億、総額の五八・二%という数字が一応把握をいたしているところでございます。そうしてこの地方費の一千百三十七億につきましては、一応全額地方債をもって充当するというようなことに相なっております。
  43. 小山一平

    小山一平君 いまの数字をお聞きをすると、法律と施行令に規定されている補助金の率、これがそのとおりには支出されていないようですね。しかし、これは予算の範囲内でという文句があるわけですから、これが違法というわけではないということになるでしょうが、地方債の元利償還、あの法律の第十条で基準財政需要額に算入して地方交付税として措置される。これ、地方債すべてそういうふうに扱われていますか。そこから漏れているものありませんか。
  44. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 同対法第十条の事業債は、国庫補助負担金を伴います事業に対する地方負担につきまして許可された地方債についての元利償還金のみを対象にすると。これは同対法ができましたときのいきさつからいってそういうような取り扱いにいたしているわけでございまして、いわゆる単独事業に充てられました地方債については、その中に入ってこないというようなことでございまして、御指摘のとおり全部ではないと、こういうことでございます。
  45. 小山一平

    小山一平君 これ、局長ちょっと問題があるんですよ。私もそういう経験を持っておりますが、この事業をぜひ補助対象にしてくれ、いや、補助対象にすべき事業であるけれども、こっちに財源がことしのところはもうないから、全額起債でみるからそれでがまんしてやってくれないか、こういう事業があるわけですね。そうすると、これは補助金をもらわなかったから交付税の対象にならないということにこういう場合はなるわけですか。
  46. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 先ほど申し上げましたように、同対法の十条債というのは補助対象になったものの地方負担についての地方債である、これは最初からの、立法の当時からの国会答弁等におきまして確認されている事項でございまして、そのたてまえが変わらない限りは御指摘のとおりであるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、いま御意見のございましたように、本来補助対象にすべきものじゃないかという事業そのものが補助対象になっていない、建設そのものが補助対象になってないということでは、非常に地方財政として困るわけでございます。補助対象の拡大、要するに国庫補助負担金の事業分量の増加ということにつきまして各省に対して強く要請をいたしていると、こういう態度でいっているわけでございます。
  47. 小山一平

    小山一平君 これは大変自治体にとっては過酷なことなんです。たとえばことしこれだけの対策事業を実施をしようと計画を持ち、約束をし、いよいよ手続をとったら、ある部分は補助対象になったが、ある部分は財源が不足のために金がない、そこで国の方では、まことにお気の毒だが、本来ならば対象にすべきだが全額起債でやってくれと。こういうのは、やっぱり補助金をもらえば補助金の分だけ地方債が少なくて、それがまた財源措置がされるのに、補助金の分まで含めて補助対象となるべき事業が地方負担になるというのは、これはちょっと残酷な実態なんですがね。これはかなりあると思いますよ、この数字から見ましても。こういうのはやっぱり自治省何とか改善をしていただかないと、やむを得ずそういう措置をとった自治体にとっては大変厳しい。何かこういう点についてもう少し改善をして公平にみれるような方策を講じていただかなきゃ困りますな。何か法律があっていけなけりゃ法律の一部を改正をやれば済むことですから、ひとつ考えてください。どうですか。
  48. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 確かに国庫補助負担金そのものが少ないという事態が問題の根本でございます。それの増加によりましてさような事態がなくなるように、やはりそういうかっこうでの措置をすることが、同対法の国としての責任というものからいきましても最も適合したことではないかということで、その努力を自治省といたしましては常には続けていることはいま申し上げたとおりでございまして、十条債というのも、率としては、国の補助事業の予算が伸びると、他の事業に比べて伸び率が大きいというようなことから次第に伸びてきているとは思いますけれども、なお十分ではないのでございますので、私どもといたしましては、同対法の考え方が国の責任というものははっきりしたかっこうでとってもらうということからいきまして、やはり国庫補助負担金というものをふやす、国の関与する事業分量をふやすということによって解決していきませんと、地方債だけで、その措置というものを取り上げるというのは非常に困難じゃなかろうか。まずその国費の方の増額の措置というものをわれわれとしてもさらに一層強力に推進してまいりたいと、こういうような考え方で対処さしていただきたいと思います。
  49. 小山一平

    小山一平君 自治省、それはそれが一番望ましいし、当然そうなければならないけれども、関係各省がそういうふうに実際問題として現実に対応していないでしょう。いないために、自治体は、いま言ったようにいろんな約束事あるいは計画、こういうもののために補助金をもらってやるべき事業を全額起債で実施をするということをやむを得ず泣き泣きやっている。この自治体を守ってくれる自治省が、あなたの言うように、各省が必ずそういう計画には補助金がつくような財政措置をやってくれるなら、そういうことを保証してくれるならいいけれども、それをやりもしないで、努力する。努力してもそれはうまくいかなかった。それじゃどうしてもやらざるを得ない状況下にある自治体はまるっきり過酷な財政負担となって不公正じゃないですか。そこで、今度の国会でできるのか次になるのかわかりませんが、いろんな条件がそろってこの措置法が延長になるというときには、こういうような問題も十分検討していただいて、そして地方が不公正な負担をやむなくせざるを得ないというようなことのないような内容の整備というものがどうしても私は必要だと思うんですよ。大臣どうですか。
  50. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私は、法体系そのものに問題があるのではございませんで、国家予算がどのように同和対策事業につけられていくか、このことに問題があろうかと思います。ですから、今日までも補助対象の範囲を広めてまいりますことや、補助率を高めてまいることに努力をいたしてきておるところでございまして、今回仮に延長が決定いたしました場合にも、私はむしろそのことは法体系それ自体の問題としてではありませんで、予算的な措置の問題であろうと、かように考えておりますが、しかし、延長のこういう機会に法を洗い直してみるということは一つの方法であろうかと思いますから、各省庁とよく連絡をとってみたいと、かように考えます。
  51. 小山一平

    小山一平君 いま申し上げたように、現実的には地方がすいぶんこの事業をやっていくために自己負担というか、超過負担というかさまざまなこの負担をしょい込んで苦しんでいる、こういう実態が現存するわけですから、ひとついま大臣お答えのように、この内容についても十分検討をしていただいて充実したものにしていただくと、こういうことをお願いしておきます。  時間もだんだんなくなってきましたが、先般の自治大臣の所信表明の中で、今日の地方自治は大きな転換期に直面している。こういうふうに指摘をされたわけです。一体何がどのように転換すべき時期なのかということを、大変これ抽象的で恐縮ですが。
  52. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御承知のように、わが国経済は数年前はいわゆる高度成長段階でございましたけれども、昭和五十年以来石油ショックで経済の不況低滞が続いていることは御承知のとおりでございます。そして、やがてわが国経済は安定成長段階を迎えなければならぬのでございますけれども、いわば新しい段階を迎えますまでのいま変動期だと、過渡期だと、かように言えようかと思うのでございます。そこで、地方団体におきましても税収の激減等が生じまして、財政的にも非常に苦労いたしておりますのは、さような経済的な過渡期であり、また変動期である、このことが大きな原因であろうかと思うのでございます。片や地方団体のやっておりますることを見てみましても、高度成長段階におきましては少々機構膨大いたしましてもこなれてまいったでございましょうし、また事務事業等につきましてもできるだけ地元皆さん方の要望に沿っていこうと、かような態度が行政的にもこなし得た状況であったかと思うのでございますが、最近はそうではないのでございまして、したがって、行政機構等につきましても見直しが必要でございますし、また事務事業等につきましても、不要不急のもの等はこれをカットしていきますような根本の考え方ではないだろうかと、かように思っておりますことと、さらに定数の点から見てみましても、税収がどんどん入ってまいりまする段階では、少々人をふやしてまいりましても十分にこなし得た段階でございましたが、最近ではそういう状況ではないのでございますから、私は、かような行政面や財政面、両面にわたりましての過渡期であり、そしてそれにふさわしい体制を地方団体が早くとっていかなければならぬ、かような考え方を大きな転換期と、かような意味で表現したようなことでございます。
  53. 小山一平

    小山一平君 ただいまの点については、きょうはちょっと時間なさそうですが、また後で具体的な問題として少し議論をさしていただきたいと思いますが、それから今日のような財政危機が長期化している現状からすれば、本来ならば昭和五十三年度の予算編成に当たっては地方団体は緊縮財政をもって対処するというのが、これは常識だと思いますが、そうでしょうね。
  54. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 経済が安定成長の段階に入り得ており、景気の回復もなだらかではありますが順調に推移をいたしており、かつまた雇用不安等が余り濃厚ではない状況下におきましては、いま御指摘のような考え方も一つの考えではあろうかと思うのでございますけれども、実際の景気の状況は御承知のとおりでございまして、また多数の失業者を抱えておる、かような状況でございます。かつまた貿易収支の黒字幅も大変なことになっておりますような昨今の情勢でございますので、そこで国におきましてはいわゆる七%成長を達成しなければならぬ。そのためには公共事業を中心にいたしましての大型の予算を編成せざるを得なかったいきさつは、これまた御承知のとおりでございます。そこで、かような状況下におきましては、地方財政もまた相当の起債をいたしながらも大型の予算を組まざるを得ない、かような客観情勢の御理解がいただきたいと思うのでございます。
  55. 小山一平

    小山一平君 私は、たとえば私が地方自治体の責任者であるとすれば、そして地方自治体の任務をその自主性に基づいて果たしていくという基本に立つならば、これは緊縮財政という道をとらざるを得ない。しかし、昭和五十三年度の地方財政計画三十四兆三千三百九十六億円は地方債を大幅にふやした大型借金財政ですね。積極財政です。緊縮財政と反対ですが、これはいま大臣の言われるように、経済成長七%、不況脱出、これも国が政策目標として、その政策目標を実現する手段として公共事業を最重点としたところの国の五十三年度予算案、そしてその政策に地方団体を全面的協力させるというこれは国の方針で、地方財政も緊縮財政をとるのでなくて積極財政をとるという形になっているわけですよ。膨大な地方債は国の方針で地方が背負うことになることは間違いがないわけです。もちろん地方が国の予算や政策と全く別の立場に立ってできるわけではありませんけれども、しかしこの七%成長、不況脱出、これは国が立てた方針です。そしてこれがうまくいけばいいけれども、まずくいったときには、自分の意思でなしにしょい込んだ地方債、地方が将来自分の責任で処理しろと言われても、これは無法ではないか、ですから、ことしのような地方財政の大型借金政策ということに対する国の責任というものは非常に重い、そういうことを私は申し上げたいわけです。そうでしょう。
  56. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 小山委員も地方の実情はよく御承知のとおりでございまして、地方といたしましては、国と両輪の姿において発展を遂げていかなければならぬし、また地域住民の福祉の増進に努めていかなければならぬのでございまして、国が経済成長を安定的に遂げしめる段階の過渡期であり、そして現況を克服してまいりますには、七%程度の経済成長を遂げていかなければならぬ、そのことが結果としては雇用不安の解消にもなる、かような考え方でございますが、ところで地方の立場からいたしますと、労働不安を解消いたしますことも非常に重要なことでございますし、かつまた、公共事業の七〇%を超えますものが、いわゆる補助事業として地方がやっていくのでございますから、地方といたしましては生活に関連をいたします道路でありますとか、あるいは学校の建てかえでありますとか、あるいは下水道その他の生活に密着をいたします施設でありますとか、かような社会資本の充実が可能なのでございますから、これは地域の皆さん方の福祉や安定と非常なつながりを持ってきておるのでございます。ですから、国がやるから地方もそれにいやいやながらついていくという気持ちではございませんで、こういう機会に生活関連等の施設を伸ばしていこう、社会資本の充実をやっていこう、これが地方の気構えであろうと思うのでございます。ですから、そのためには相当の起債をも充当いたさなければならぬのでございますが、この起債につきましては、国もまたある程度の責任を持って対処いたすのでございますから、ですから、地方としてはいやいやながらの体制ではございませんで、まさに車の両輪としての体制づくりだ、かような御理解をいただければありがたいのでございます。
  57. 小山一平

    小山一平君 私は車の両輪論というのを別に否定するものでもないし、そうあるべきだと思いますが、しかし、片方の車の意思で一方の車は自動的に動いていくというのが今度のこの予算でしょう。その一方の車が間違いない軌道を走ればいいが、パンクすれば一方の車もパンクのおつき合いをしなきゃならぬと、こういう仕組みなんですね。  いま自治大臣は、地方団体は国のこの公共事業をたくさんやっていくということに、国と同じような考え方で対応しているとおっしゃいますけれども、そうでもないんですよ。まあ大臣も経験のおありのことで、仲間もいらっしゃるからお聞きになるとよくわかると思いますが、知事などで、ことしのこの予算に従って公共事業を消化をしていけば景気がよくなるだろうなんと余り思っていませんよ。しかしいまおっしゃるとおり、国が起債をつけて、どうせやらなくちゃならぬ事業をこの際やることができるということだから、まあよろしいと、国の責任で地方債をたくさん認めたんだから、その返済には国も責任を負うことだろうから、まことに自分が組んだ予算に自分が責任を負わなければならないという、こういう姿勢に実は欠けている点があるんですね。  そこで、ひとつ自治省も大分ことしは地方に対して公共事業の完全消化という点でハッパをかけているようでございますし、地方も恐らくできるだけの対応はするものと私も思います。そこで大臣、ことしの公共事業がこれはだんだん実行されていく中で、いい効果が上がって不況脱出ができる、こういうふうに確信しますか。
  58. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 不況克服をいたしまして経済の安定成長を遂げ得ますような体制をつくってまいりますには、単に公共事業だけでなし遂げ得るものではないのでありまして、公共事業はいわば牽引車の役目を務めていくようなことになろうかと思うのでございまして、そこで旺盛な内需が呼び戻されて、そしてそのことがまた投資の意欲を高めていく、かような循環現象が生じていかなければならぬのでございまして、私は、単に公共事業のみでなし遂げ得るとは考えてはおらないのでございますけれども、公共事業を軸にいたしながら諸施策を総合的に進めてまいりますれば七%成長は不可能ではないと、かような考え方を持っております。
  59. 小山一平

    小山一平君 もう時間があと一分になってしまいましたが、とうていこれは一分や十分や二十分ではきょうは済まない御質問をしようと思っておりましたから、余り半端になってはいかぬので、この辺できょうは打ち切らしていただいて、またの機会にこの残った点について十分また論議を深めさしていただきたい、こういうふうに思いまして、これで終わります。
  60. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  61. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  地方行政改革に関する調査のため、本日の委員会に新東京国際空港公団副総裁町田直君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  63. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 私はけさの小山委員質問に引き続きまして、冒頭、成田空港事件につきまして若干質問を申し上げたいと思います。  まず、けさほどの小山委員に対する三井警備局長の発言というものは私も全く同感でございます。そこで、国務大臣としての加藤大臣に伺いたいわけでありますけれども、私は、こういう事件が基本的に法治国家に対する挑戦であると。しかしこれに対応するのに、従来から「よど号」事件を初め各種のハイジャック事件を通じてこういった勢力を甘やかしてきたということを率直に反省しなければいけないのではないか。まず、こうした事件に対する取り組み、姿勢の問題、この点について加藤大臣の御所見を伺いたいと思います。
  65. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 戦争後三十数年を経過いたしまして、わが国経済が高度成長を遂げてまいりまして、そして、それもみずから国を守るという体制は必ずしも十分ではございませんで、日米安保条約によって支えられておる、かようないわば甘い環境下に置かれておるわけでございまして、そのことが国内で少々のことはやってもと、かような機運が醸成されておったことは事実であろうと思うのでございますが、警察はしかし、違法な行為のあるところ断じてそれを見逃してはならぬと、かような基本の考え方でまいってはおりますものの、しかし世間全体といたしましては、いまおっしゃるような甘えの構造が各面にあろうかと、かように思うのでございまして、今日の極左暴力集団のあのような無謀なやり方にいたしましても、その背後には、まあこの程度なら世間が許してくれるであろうと、かような甘えがあることも予想されるのでございますけれども、しかしさようなことは断じてならぬと。ことに成田反対闘争の歴史を振り返ってみましても、最初はなるほど農民方々が農地を奪われることに反対だと、かような考え方を基本にしました反対闘争段階もございましたけれども、いまは全く質的に変わってしまっておりまして、農民皆さん方が反対したことを奇貨おくべしとなして許されざる今日の闘争体制でございますから、かような体制に対しましては、私どもも断じて容赦をしない、かような基本の考えで臨まなけりゃならぬ、このことを痛感をいたしておるところであります。
  66. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 ぜひそういうことでお願いしたいわけでありますが、そこで若干立ち入った質問をするわけですけれども、けさの朝日新聞の報道によりますと、今回の事件を起こした勢力として、第四インターを中心とする幾つかのグループというふうな指摘があるわけでありますけれども、さらにこの記事によりますと、この組織は内ゲバを否定しているが、同時に国際組織とのつながりが深くて資金も比較的豊かだと、こういう記事があるわけであります。一体どういう国際組織と、それはどういう性格の組織なのか、資金的に豊かだということなんですけれども、それはどういうところにあらわれているのか、この辺をひとつ御説明いただきたいと思います。
  67. 三井脩

    政府委員三井脩君) 第四インターが今回の成田闘争におきまして主役的役割りを演じておるという意味におきまして、私たちもこれを重視しておるところでございます。  まず第四インターが——極左暴力集団全体、私たち五流約三十派、三十のセクトと見ておるわけでございますが、その中で占める地位といたしましては、一番大きいのが中核派、そして革マル派、それから革労協——反帝学評、学生部分は反帝学評でございますが、それに次ぐ第四番目のセクトということで、全国的に見ますとその数も二千名を超える数を擁しておるわけでございます。この主義主張は、極左全体がそうでありますが、すべてマルクス主義から出ておるわけでございまして、時にトロツキストと言われるようなはね上がり分子でございますが、いずれも共産主義社会、共産主義革命というものを目指しておるわけでございます。そういう彼らの闘争成田闘争とがどういうふうに結びつくかという点については、論理的にははなはだわかりにくいのでございますが、いずれにいたしましても、先ほどお話がございましたように、成田闘争というものを利用して反体制なり社会に混乱を惹起しようというのが彼らの当面の目標であることは明らかでございます。名前が第四インター日本支部と言っておりますように、極左全体の中では外国の組織の一部分であるということを自分で言っておるわけでありまして、日本のほかのセクトはわりあいに、外国とは連帯はするけれども、自分は独自の組織だという中で、これだけが外国の第四インターの日本支部だと、こういう言い方をしておるわけでありますので、外国の組織とのつながりというものが一番密接なものでございます。したがいまして、これの責任者が時にパリの彼らの本部へ出かけるということも過去にはしばしばあったわけでございます。そういう意味で、ただ外国の彼らの本部との連絡、あるいは世界のそれぞれの国の支部との連絡につきましては、ただいまのところは文書的な連絡、あるいは本部にはキャップも行きますけれども、それ以上に、つまり成田の具体的な暴力的闘争について彼らは外国の支部あるいは本部と密接な関連を持っておるというような状況は見受けられないわけでございます。ただ一般的に外国と連携を持っておるという意味におきまして、日本支部の活動一般についての資金的援助というものはあろうと思いますけれども、それが特に成田闘争ということについて特定の援助というものについては明確にわかりませんけれども、私たちは余りないのではなかろうかというような感じを持っておるところでございます。しかしいずれにいたしましても、第四インターは成田の現場における闘争におきましては、いわゆる新興勢力でございまして、昨年の鉄塔撤去いたしましたが、あのころから——あのときにも彼らは全国動員をかけて集めろというようなことを指令しましたけれども、ついに実現はいたしませんでしたが、他のセクトよりはわりあいに主導的役割りを果たしておるという意味で重視しておるセクトでございます。三月二十六日の場合もデモには参加するという中に名前は入っておりましたけれども、実際には別行動をとって、彼ら独自の行動をやることによって、彼らの仲間の中でその地位の向上を図るというような動きが見受けられたものでございます。
  68. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 私はもちろん成田事件だけを取り上げて言えば、そういうことになろうかと思うんですが、しかし同時に、これが主として学生等を予備軍にしておるということから見ましても、日本の他のいわゆる極左暴力集団ときわめて似通った面を持っておりますし、世界的に見ても、現在ドイツやイタリアで大変な事件を起こしておる。かつてアメリカにおきましても大変な都市ゲリラというような形で激しい運動を起こした。その中に共通するのは、国際的な組織あるいは資金その他の連絡、援助というようなことを通じてなかなか警備の目をくぐり抜けるというようなことをやる。それで、こういうことを考えますと、警備をする側も国際的な連帯といいますか、国際的によく手をがっちり組んでやっていく必要があると思いますし、また警備局長も、けさほどの質疑の過程で明らかにいたしましたように、その根を絶つ、根絶をするという構えが必要だと思うわけであります。その意味で私はこの闘争に参加し、そして大きな被害を与えた連中が、単に刑事上の追及だけではなくて、あれだけの被害を与えたわけでありますから、徹底的に民事上の追及もする、こういうことをして、一時、擦過傷的に若げの至りでこういうことをやったけれども、反省をすれば、また社会に復帰できる、そしてそれを何か甘い目で見ている、こういう風潮を絶たなければいけないのじゃないか。むしろ徹底的に、もうだれが機械を壊したのかはっきりしているわけでありますから、民事上の責任も徹底的に追及すべきではないか。警備局長にこの質問をするのは不適当かもしれませんが、場合によっては国務大臣としての公安委員長に御質問をした方がいいかもしれませんけれども、過去こういう事件に対してどういうふうに対応したかということを含めてひとつこの点について御所見を伺いたいと思うわけであります。
  69. 三井脩

    政府委員三井脩君) 私から先申し上げますが、先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、甘えの構造というのがもう基本にあるわけでございまして、ただその甘えてやっておることが大変危険な遊びでありますが、それに胸をかしておる警察官は命がけであるというようなことであるというのが現在の実相だと思います。したがいまして、この事件を起こした者は徹底して検挙をし、裁きを受けるということでございますので、いま御指摘のように、第一は、刑事的な責任を明確にするということが非常に大事だと思います。いやしくも本人の幼稚っぽい子供っぽいことで走ったことでありましても、それの与える影響を身にしみてそれについての責任を感じるということが大事でございます。最近はそういうことをやりますと、起訴になりますと、それの保釈金が最近は相当上がっておりまして何十万と、こうなりますと、それをまた親に出してもらうというような甘え方でありますが、こういう点は明確にしなきゃいかぬだろうと思います。  それから二番目には、民事的責任も、そういう犯罪行為を犯すと、それは民事的側面からいいますと不法行為でございますから、当然法律的責任を負わなきゃいかぬと、そのために経済的な賠償をしなけりゃならぬというたてまえになっております。  御存じのように、現在は、付帯私訴という昔流の刑事事件が起これば、それに付帯して民事上の賠償責任を求めるという制度がありませんので、一応切り離されておりますから、それぞれ追及する立場にある人が、つまり損害を受けた人がその損害賠償を求めるという風潮というものは大事だと思いますが、この種事件につきまして、過去におきましては羽田空港昭和三十五年の一月十六日であったと思いますが、岸総理が渡米されるというときに、やはり学生が阻止闘争をやりまして、最後には空港の食堂にこもりまして中で乱暴し、相当のものを破壊し、まあ全員検挙いたしましたが、これにつきましてその空港の食堂から損害賠償請求の訴えを起こしたというように聞いております。ただ、ああいう学生のことでありますから、いまの学生は多くのセクトに属しておりますから、セクトとして御存じのようにある程度金を持っておりますが、当時はそれほどでありませんでしたので、損害賠償請求そのものが実ったという結論を得なかったようでありますが、そういう点ございます。  それから、わりあい最近では、四十四年の東大安田講堂事件、あの籠城事件で中が大変壊滅状態にされました。これについて東大当局はつかまった犯人である学生に対して損害賠償の請求をしたということを聞いておりますが、その結論がどうなったのか私つまびらかにいたしておりませんが、つまり民事、刑事の責任を負うべきものであるということが、一般的な暴力行為に対する世間の批判のみならず、具体的な責任追及と、それがまた同時に彼らに対する啓蒙的、教育的効果を発する、また本人のためでもあろうと、こう思うわけでありますが、私たちはそういうふうに感じておりまして、羽田の例、大学の例、結果はともかくといたしまして適切な措置だったんではないかというように考えております。
  70. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 ただいまの御答弁の中にもありましたように、そこで根絶をするということが大事になるわけですけれども、矢玉に当たってその胸をかす側の警官というものについては、何の事件もそうなんですけれども、まるでやくざ映画じゃないですが、徹底的にやられてもうがまんがならないというところまでやらないと、警官の側は反撃を許さないという風潮があるように思うわけであります。火炎びんを投てきして車に乗って突っ込んでくる、明らかにもう殺人の意思があるとしか思えない。そういうようなものを前にしてがまんにがまんを重ねると、こういうようなやり方ではとうてい私は根絶をすることはできないというふうに思うわけでありますが、そこでこの問題について法務大臣が破防法の適用云々という御発言も一時されたと伺いますが、この新聞報道等によりますと、事務レベルでの検討段階では、破防法の拡大適用といったのは現実的に有効ではないと、こういう指摘もあるし、また昨日の予算委員会での三井局長の御発言もそうだったように私は承知しておるわけでありますけれども、破防法の適用がなぜ現実的有効な措置ではないのか。また新規立法というものが検討されているというわけですけれども、これも難点が多いというわけですが、なぜ難点が多いのか、またその事務的なレベルでは現行法を弾力的に運用する方策を検討することになったと、こういうことなんですか、一体何をどう弾力的にやるのか、この警備体制を確立する上において何が一番必要なのかという基本的な視点に立って、いまの三点につきましてひとつ明快な御説明をお願いしたいのであります。
  71. 三井脩

    政府委員三井脩君) まず破防法の適用問題で、私が昨日予算委員会で答えましたのは、大変時間がなくて、簡単に結論だけ言えとおっしゃるので適用を考えていないという趣旨を言ったんですが、実は破防法には御存じのように団体規制と罰則とあるわけです。団体規制は公安調査庁の仕事、私たちの仕事でないと。そうすると、罰則はどうかといいますと、あの罰則は三十九条、四十条の二つあるのですが、政治的な目的で殺人とか内乱とか、放火だとかということを教唆扇動、それからその予備陰謀と、この四つを罰するというものでございまして、つまり第一に政治的な目的でないといかぬ。それから次は予備陰謀、教唆扇動というのは予備的段階なんですね。ところが、連中は現実に予備的段階を超えてもう実行行為をやっているわけです。火炎びんによる放火だとか殺人行為——未遂ではありますが、やっておる。したがって、その予備段階を超えておりますので適用の余地がないからばっちり刑法でいきますと、こういう意味であの適用の問題ではないという意味でございましたので、そこがちょっと言葉があるいは足りなかったかと思います。  そこで、破防法の団体規制適用ということになりますと公安調査庁の問題でございますが、しかし私たちも、同じ治安機関といたしまして十分その点については平素から連絡をしております。そこでこれをどう踏み切るかという問題は、公安調査庁でお考えになることでございますけれども、警察意見はと仮に言われますと、いつも連絡しておりますから、公安調査庁も同じ考えかと思いますけれども、団体規制というのは組織ががっちりしておりまして、組織での綱領もあり規約もあり、しかも一番大事なのは役員とかなんとかがはっきりしている、こういうことでありますから、これが破壊暴力行為をやった場合に、また将来もやりそうだというときに解散とか、活動してはならないとかという規制を加えるわけです。  ところが、外国の例でもそうでありますように、この日本の極左暴力集団というのは、組織が世間的マスコミ的にはわかっているようでありましても、いざ本当に突き詰めてみますとだれが本当のキャップなのか、だれが責任者なのかというのはよくわからぬところがあるわけです。しかし社会的実態としての一応のことはわかっておりますから、それを対象にわれわれ警備活動等をやらなければいかぬ、あるいは捜査活動をやらなければいかぬわけですが、規制となりますと輪郭を明確にしなければいかぬわけですね。そうするとなかなかわかりにくい、綱領だって自分で必ずしも発表しておりませんから、われわれは仮にそれを入手しますと、そんなのはうちの綱領ではないと向こうが言えば、おまえたちのやつだと言うのはなかなかむずかしいというような細かな技術論が出るわけでございます。したがって、同じようなことをフランスとかなんかでよくやっておりますが、たとえば第四インターを団体規制で解散とやりますと、翌日には第五インターだ、こう言って、こうやると、そうすると第四インターと第五インターは単に名前を変えただけで実体は同じだということを証明しないと、またこれ解散かけられないというような手間を食っておるというようなこともありまして、なかなか規制をする場合にそれだけの実効が伴うかというような点が問題だと、しかしそれはそれといたしましても、そういう問題があっても、この際団体規制をするということの大きな、もっと高度な意味というのは私はまたあると思うのです。その辺のところは公安調査庁において検討されるというように承知しておるわけでございまして、事務的にはそういう問題はあるが、しかしまたそれの意味合いというものも大きく考える必要もあるだろうということであろうと思うわけでございます。  それから二番目に、新しい立法としてどういうものをやるかというと、私はこの極左暴力集団が、成田の問題に限定いたしますと、極左暴力集団一般の問題にいたしますと、なかなかとらえどころがなくなる、焦点が決まりにくいということになりますので、成田問題だけに限定をいたしますと、御存じのように、あの地区では彼らは団結小屋を三十三持っておりまして、常時百六十人から百八十人前後、増減いたしますが、これが常駐して住んでおるわけです。何かこういうような連続闘争の場合には、われわれの見込みでは三千人毎日こう来るだろうと思っておりますが、現在二千六百人ぐらいおりますけれども、というような状態が可能であるということは、そういう施設なり土地や家、利用できるものがあるというところに一つの問題があるだろうと。したがって、そういうものを何か根こそぎなくす方法というのはないんだろうか。ところが、現行法の問題ではございません。現行法ですとその土地を買わなきゃいけません。売りません。そうすると、収用法で収用する。そうすると、あれは収用できる地域であるのかないのかというような問題とかいろんなことがありますので、そういう意味での新規立法というものを検討する余地はあるだろうというように思っておるわけでございます。したがいまして、それにいたしましても立法ということになりますと、それだけの時間がかかるわけでございますから、一番手っ取り早くできることというのは現行法の運用ということでございますが、現行法の運用は、私たちに言わせますと、もう最大限の運用をしておるということでございます。  たとえば昨日——けさになりますけれども、いわゆる横堀要塞の上に建てた鉄塔をけさの午前零時半ごろまでに撤去いたしましたが、あれは法的に言いますと、下のいわゆる要塞と称するものは、航空法違反の進入角度から言う進入表面の違反にならないわけです。上に乗せたものだけが違反になるというようなことですので、これを——二回目ですが、一回目上をとりました。二回目また建ったということで、あれがある限りは何回でもできるということになるわけでございますから、根こそぎ下の鉄筋コンクリートのあの建物まで排除あるいは撤去できないのかという点が問題でありますけれども、それができない。私たちは、それができないなら、上のやつはどうするかということはあるわけですけれども、これにつきましては法を活用いたしまして、航空法四十九条、罰金ということでありますけれども、違法行為をこれは許さない。しかも彼らが、これを単に航空法違反以上の目的、暴力行為の足場、拠点として使っておるというようなことでありますので、土台をなくせないのは残念でありますけれども、裁判官の令状を得まして上の鉄塔部分を撤去したと、こういうことで、あの鉄塔を倒すにはなかなか手間がかかるわけでございますけれども、そういう努力を、いわば現行法のフルの活用という点については頭をしぼっておるわけでございますが、さらにもっと適用の余地はないかというようなこともあろうと思いますので、こういう点についてはまたこの連続八日間闘争が続いておりますのであれでございますが、この間にも現地関係者と十分打ち合わせをいたしまして、そういう点について検討を進めてまいりたいと考えております。
  72. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 この記事によりますと、たとえば空港反対同盟の戸村委員長は、飛行妨害の戦術に科学的な兵器が開発されつつある、こういうことを言っておりますし、また小山委員指摘されたように、燃料列車を転覆するというようなことまで口走っておる。もう全く許せないと私どもは思うわけであります。そういう意味で、現行法の中で苦慮し苦闘しているということは大変よくわかるわけでありますけれども、技術的な問題点はあるにせよ、あるいは新規立法の可能性をも含めてとにかくこうした問題を根絶するんだという構えで、これはもう警備局長に対するよりは、私は国務大臣としての公安委員長にぜひ閣内でも堂々と発言しがんばってもらいたいし、また将来に向かって、さきの冒頭の御発言にあったような趣旨、姿勢、構えというものを国民に訴え、周知徹底させ、そして、仮にも法によって定められた合理的なルールのもとで行われたものについてはこれを守るんだと、こういうことを国民に確信を持たせるようにぜひ努力してもらいたいことを御要望申し上げて、この質問につきましては一応終了さしてもらいまして、他の質問に入らせてもらいます。  時間が限られておりますので簡単に御質問申し上げるわけでありますが、地方財政の問題、ことに低成長時代を迎えまして、大変厳しい内容になっている。もちろん国も借金だし地方も借金だと、こうした点についていろいろ問題点があることは、すでに衆参両議院の各委員会、本会議等において繰り返し指摘されたことであります。またさらに、これについてきょうは時間がございませんので突っ込んだ質問は、同僚委員皆さん方がこれから場を変えて質問をしていくことになると思いますので、私は一つだけ。この大変苦しい地方財政とは言いますものの、この財政の赤字の根本原因はいろいろあります。国の側からの責任もあるでしょうし、いろいろな原因がありますけれども、ここでは地方財政あるいは地方行財政というもの自体の基本的な反省というものも必要じゃないかという意味で質問を、議論を取り上げてみたいわけであります。  その第一点といたしまして、地方財政赤字問題としてよく人件費の問題が取り上げられるわけであります。予算委員会におきまして荒舩行政管理庁長官も指摘しているわけでありますけれども、地方の方は、地方の場合、人件費の問題というのは非常に問題があるということを指摘しておりますけれども、この点につきまして自治大臣はどんなふうにお考えになっておるのか。私はこれはいろいろな各種の計画あるいは自治省が出すいろいろな文書におきまして行財政を効率化するというような観点から、標語的には、スローガン的には繰り返し自治省自体もその構えを示しているわけですけれども、一番足りない点はこの人件費、これはもう給与水準の問題もありますし、人間、定員、機構という問題もあるわけですけれども、これを合理化し効率化するための物差しというものが足りないんじゃないか。また警察官、教員というのは増員が非常に安易に行われている点はないだろうか、もっと工夫が必要ではないだろうか、こうした感じもいたします。余り具体的で細かな問題に突っ込みたくないものですから、この人件費による赤字の問題について、もう少し自治省がリーダーとなって、共通の物差しでおのおのの地方自治体が努力する目標というようなもの、あるいは自分たち努力すると、それがここまでうまくいけるというような目標というものをつくる必要があるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、この人件費の問題についての基本的な取り組みを含めてひとつ御所見を伺いたいと思います。
  73. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 経済が高度に成長いたしまして自然増収等がどんどん入ってまいります段階では、地域住民皆さん方の無限の需要にできるだけこたえていこうと、かようなことで機構の面でも大きくなってまいりましたし、また人もどんどん増加をしてきており、また数の点ではそうふえないといたしましても、給与水準が非常に高くなってきておる。ところが、こういうぐあいに税収が落ち込んでまいりまして、財源不足が生じてまいりましても、なかなか一挙に人を減らすことが困難であり、また高い給与水準を一挙に下げてしまうことが非常にむずかしいのでございますけれども、しかしそういう中におきましても、地方団体はいろいろ努力をいたしております。たとえばラスパイレスで見てみましても、数年前は国家公務員を一〇〇といたしました場合に、地方公務員の場合は一一〇を超えるような指数が出ておったのでありますけれども、ごく最近は一〇七%台にどうにかダウンをすることができた、かような数字でございますが、これは地方がそれなりに努力をしてきている証左でございまして、私どもは行政改革の主要な一環といたしまして、昨年暮れ地方に通達を出しました。その通達は三項目に分かれておるのでありまして、一つは機構の点で徹底した見直しをしていかなければならぬ。それから事務事業の見直しをしていかなければならぬ。三番目が定数の適正な管理を行っていきなさい。この三点を中心に通達を出したのでございますけれども、地方はかような趣旨を体しましてこれからも努力をしてくれようかと思うのでありますが、そこで、国といたしましてもしかるべき物差しを示していかなければならぬのでございますから、それは基準財政需要額の算定に当たりましてはさような物差しを示しておるのでございますが、ただ地方団体を財政計画によって徹底して束縛をするということは困難でございますから、あくまで地方団体の自覚に待っていかなければならぬ。そして自治省といたしましては、それを強力に指導してまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  74. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 確かに地方自治体をぎりぎり縛るということは問題があるかもしれませんけれども、ただ地方自治体に属する今度は市民、町民、村民の立場に立ちますと、私はその自分のところの自治体の経営、やり方というものが、やっぱり一人一人の国民から見ると膨大になっていて、そういう点についてうまくやっているかどうかということは実ははっきりしない。そういう意味でコンサルタントとしての自治省がぜひそういう物差しをわかりやすく明示的に出してもらって、そして自治体間の競争が起こるぐらいに誘導していただきたいという意味で御質問申し上げたわけでございます。  次に、この赤字の問題の中で、医療関係が地方自治体に国民健康保険の運用をめぐって、あるいは自治体が経営をする病院の赤字の問題、これは地区によっていろいろ格差があるようでございますけれども、すでに自治省で報告をまとめられているこの地方財政の状況の中でも、その問題が決して軽視できないということがうかがわれるわけでございます。この辺についてどういうふうに認識されておられるのか。そしてこの国民健康保険の問題というのは、もちろん国の財政にも非常に大きな負担になっているわけですけれども、もっと前向きに長期にわたって医療費をなるべくおかしなことにならないようにするための努力というものが、いまようやくとられようとしているわけですけれども、その点も含めて、この医療関係の赤字について自治省と、それから厚生省からそれぞれ御所見を伺いたいと思います。
  75. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、国民健康保険あるいは自治体の公立病院なり、非常にいろいろと問題点を抱えていると存じます。国民保険関係事業は保険税あるいは保険料と、それと国庫支出金というもので賄うことがたてまえでございますし、厚生省関係の方での御努力によりまして、国庫支出金の方も次第に増加はいたしておりますけれども、実態といたしましてはなかなかそれだけでできない。やはり地方団体の一般会計の方から相当程度の繰り入れがなされているというような状況でございまして、こういうような問題につきましては、やはり国保制度としての抜本的な制度の問題というものもあると存じますので、この点につきましては、関係省庁に対しまして自治省として大いに抜本的な改善と、施策というものをとっていただくように要請をしてまいりたいと思っております。  また、公立病院につきましても、これは御案内のとおり、たとえば看護婦の養成あるいは救急医療、僻地医療、こういったような関係のものにつきましては、とても病院自体の診療報酬ではできない、こういうものについては一般会計で持つものを原則としてやっていただきたい、こういうようなことになっているわけでございますが、それから病院施設の建設改良につきましても、実情に応じて一般会計で持つ、その一般会計で持つ分につきましては適宜な額を交付税措置をする、こういうようなたてまえでいたしているわけでございます。自治体病院の機能というのは、なかなかその地域におきまして重要な意味を持っていると思うわけでございまして、やはり経営自体の努力というものも病院の経営でございますから、いろいろと各団体によって違いがあるように見受けられます。相当数の自治体病院におきましてはだんだんと経営はよくなっていっているというようなことも見受けられるわけでございますが、特定のところにおいて非常に大赤字を抱えているというような病院も見受けられるわけでございまして、そういった各団体におきます経営の努力自体というものと、それともう一つは、やはり収入面はこういった医療費でございますので、別な観点から決められておりますので、それにつきましての病院としての合理的な改善というものがなされますように、やはりこれまた関係省庁に私どもとしては要請を続けていかなきゃならぬ、こういうような立場であろうと思っています。
  76. 黒木武弘

    説明員(黒木武弘君) お答えいたします。  国民健康保険制度の財政につきましては、御案内のように五十年度相当悪化を見たわけでございますが、五十一年度あるいは今年度若干なりとも好転をしてきておると承知しております。  ただ、こういうように国保財政が非常に窮屈なのは、本質的には老人の割合が非常に高いこと、あるいは低所得者層を抱えた制度であるという構造的なところに起因しているものと承知をいたしております。これを今後どういうふうに改革をしていくかということがお尋ねだと思いますけれども、基本的には老人医療が国保の四分の一を占めるという形になっておるために、老人の別建て制度ということを考えておりまして、次の通常国会には老人医療保険制度についての新しい方向を国会に提案をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、来年度予算におきましてはそういう国保の非常に弱い体質に着目いたしまして、社会保障費の四分の一に当たります一兆七千億の巨額の予算を計上いたしておるわけでございまして、当面はそういう予算的な対応で乗り切りたい。今後長期的には国保の体質を、特に老人医療保険制度問題を解決することによって乗り切ってまいりたいと思っております。  さらにまた医療費の増高ということが大きな国保財政の圧迫要因になっておるわけでございますけれども、医療費の適正支出の問題あるいは薬の問題等々、医療保険全体についての見直し作業をいま厚生省でやっておるわけでございまして、これについても成案を得次第国会に提案をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  77. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 自治体病院の問題につきましてお答えいたしますが、自治体病院の現況は昭和五十一年度の決算によりますと、単年度で四百十一億の赤字でございます。収支率といいますか、これ総収益に対する比率で見ますと四・七%の赤ということでございます。累積は二千百七十五億円の赤字ということに上っておりますけれども、最近の状況を見てまいりますと、年々この赤字の幅というのは縮小してきておりまして、改善の方向に向かっているということが言えるかと思います。  病院の赤字、黒字の数で見てまいりましても、たとえば最近の三年間を見てまいりますと、黒字病院の比率が四十九年が三二%、五十年が三五%、それから五十一年が五一%、細かく言いますと五一・七%でございまして、半数を超える病院が黒字病院であるということになってきているわけでございます。私どもこの自治体病院の経営改善のための努力をしていかなけりゃならないと思っているわけでございますが、当面の対策といたしましては、何といたしましても一番の収入の大宗でございます診療報酬の適正化ということだろうと思います。これは本年の二月から平均いたしますと九・六%の引き上げを行ったところでございまして、中心といたしましてその技術料を適正に評価をする、こういうことでこの適正化を行っているところでございます。そのほか公的使命からいわゆる特殊高度医療に対します国の助成ということで、たとえばがん医療であるとか、小児医療であるとか、リハビリテーションであるとか、または不採算地区に設置している病院に対するものというようなことで建物、医療機械に対する国庫補助並びにこれらの運営に要する赤字に対してのまあ補てんということを行ってきているわけでございます。  長期的な観点から見た対策ということになりますと、私どもは、これは地域の実情に即してそれぞれの病院が機能を分担するといいますか、そういうことで効率的な対応をしていくということを考えていかなければいけないんじゃないかと思います。そのためにはそれぞれで体系的な整備を図っていくということで、その中では国立病院でありますとか、自治体立病院というものは地域の基幹病院としての役割りを高めていくような方向で私ども持っていかなければいけないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  78. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 時間が大変限られておりますので、最後に山村の問題についてごくしぼった形で質問をしたいと思います。  低成長時代ということで、確かに地方財政あるいは地方自治体というのは非常に厳しくなっているわけでありますけれども、中でも高度成長時代にいわば取り残された山村自治体は、低成長時代を迎えて二重の意味で呻吟し、コミュニティーの崩壊すら迎えかねないような状況にあるように思うわけであります。林業についてはまた別の機会に質問することにいたしまして、林業も非常に大きな問題を抱えている。進出企業もだんだん減るどころか、一番先にばっさり切られて撤退をしてしまう。  こういう中でいろいろ問題があるわけですけれども、私はきょうは時間がありませんので、山村地域特有の水力発電所の問題を取り上げたいわけでありますが、水力発電所は山村に特有にあるわけですけれども、このダムは減価償却が進んで固定資産税はどんどん減ってくる。いいところは全部ダムの下に沈んでしまった。ところがその出てきた電力というのは非常にいまになって見れば大変コストの安い電力であるにもかかわらず、皆実は地元に使われるんじゃなくて遠いところに使われておる。ところが最近できる発電所は電源三法を初めとして非常に優遇された措置がくるために、そういう意味での格差感、差別感というのが非常に強いわけであります。この山村地域のダムの周辺に対してもう少し還元する道がないだろうか。こういう点について自治省、それから資源エネルギー庁の御意見を伺いたい。  それからもう一つ、水力発電所、ダムの特有の問題ですけれども、建設省に伺いたいわけでありますが、これも全国で潜在的な大変大きな問題を抱えているように思います。特にこのダムの土砂堆積いたしまして、そうして下手をするとダム機能がある日ある時もうだめになってしまう。現実にまた土砂がたまってまいりまして水位が上がって、そしていろいろ洪水のような問題を起こす。また従来流れていた砂がダムによってとまってしまったために、海岸地域におきましては海岸が非常に削られてしまって莫大な公共投資をして海岸を守らなきゃいかぬというようなことをやっておる。こうした点について真剣に調査をし、検討をし、対応策を講ずるよう建設省がリーダーとなってがんばってもらう必要があるんじゃないか。また逆に考れば、こうしたダムの土砂というのは公共事業等でいま非常に土砂が——土砂といいますか、砂が足りないという問題が一部に伝えられるわけですけれども、長い目で見れば一つの資源としても考えられるのじゃないだろうか。こうした点について再検討をし、新しい政策をとる体制を整えてもらいたいという要望を込めて建設省の御意見を伺いたいと思います。
  79. 堀和夫

    説明員(堀和夫君) お答えいたします。  先生指摘のように、ダム堆砂問題につきましては非常に水資源あるいは治水上重要でございまして、私どもとしては毎年その状況調査して実態の把握に努め、河川管理上必要な場合には積極的に除去する等の対策を講じております。  で、基本的には上流からの土砂流入でございますが、この対策についても建設省としては大いに意を用いておるところでありますが、さらにダムの機能を確保するため積極的に土砂を除去するということがきわめて重要であります。しかしながら、水中で貯水池の土砂を除くということは技術的にも必ずしも容易ではありませんので、これらの問題を解決するためにダムから自然に土砂が洪水時に排砂されるというような方法もないか、この辺も含めまして総合的な堆砂対策を検討しております。  それからさらに今後堆砂が骨材資源としてきわめて重要でありますということも認識しておりまして、関係機関と十分調整をしながら必要な調査を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  80. 伊藤謙一

    説明員伊藤謙一君) 山村に立地いたしております水力発電所の件につきましてお答えいたしたいと思います。  わが国のエネルギー事情は今後とも厳しい状況先生御存じのようにあるわけでございます。石油への過度の依存からの脱却を図り、エネルギー源の多様化を推進するためには国産エネルギーである水力発電を積極的に開発していく必要があるというふうに考えております。  こういった観点に立ちまして、今後の水力開発につきましては、既設発電所の再開発の問題、中小水力の開発、河川総合開発への発電参加といった三つの柱によりまして今後進めていく必要があるというふうに考えております。中小規模の水力の開発につきましては、電源三法に基づく交付金の増額等の措置を講ずることに現在いたしておるわけでございますが、既設発電所の問題につきましては再開発を促進する、これによりまして電源三法の交付金の対象にしていく、それによりまして地元の要望に沿って財政的な交付金を支出していく。そういったような開発の方向で考えていくべきではないだろうか、そういうように考えておる次第でございます。
  81. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 山村の人口の減るような地域に対します地方財政対策といたしましては、御案内のとおりいま過疎債あるいは辺地債、こういうものの増強を図ってまいっておりますし、また交付税の計算上人口が減るところについては人口急減補正というようなものをかけて財政需要の落ちないように努力する、あるいは農業行政費といったような農山村的なところの行政費を比較的普通交付税の計算上手厚くいたしまして、そういうものによって必要な行政水準が保てるように努力すると、こういうことで一般的に対処をいたしているところでございますが、特に水力発電のダムというような観点からは、ただいま通産省の方から御答弁がありましたようなかっこうでの対策が行われまして、それによって現在御指摘のとおりに新しいものについては非常な交付金が出たり、国庫補助率のかさ上げがあったりするのに、昔のものにないんじゃないかというような点についての御指摘であったと思いますけれども、そういうものも含めまして通産省ともよく相談をしてまいりたいと思います。
  82. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 深刻な地方財政の危機の中で、地方自治の問題についての基本的な課題を私も時間をかけて自治大臣とちょっとお話し合いをしたいと思うんですけれども、きょうは全く時間が余り割り当たっておりませんので、改めてまた大臣ととっくりと今日の地方自治がどうあるべきか、この問題について地域住民の幸せのためにひとつ勉強したいと思っておりまするけれども、きょうは時間ありませんから、本当に限られた問題ひとつ申し上げたいと思うんですが、いま農村地帯を歩いてみますと、農林省が施策として決定しました米の生産調整の配分割り当ての問題で、地方自治体は全くどうもてんやわんやの状態でいるようでございます。この政策は全国知事会を中央に招集して、自治団体の力をかりながら進めていこうと、こういうことをやっているわけでございますが、どうもこのやり方に私は納得ができないんです。こんなことがまかり通っていたのでは、本当の意味の地方自治の振興にはならぬじゃないかと。この問題は非常に未解決の問題が数多くございまして、この問題については全国知事会の中でも大分問題が出されたようですけれども、ことし中にどうしてもやらなくちゃならないという、こういうやり方の中で、見切り発車をしたというような問題だと思いますが、食糧庁か農林省かどっちかわかりませんが、この配分の消化の状況ですね、現時点でどのくらいこれは配分が消化されているものか、ひとつ御返答いただきたいと思います。
  83. 下壮而

    説明員(下壮而君) 水田利用再編対策の目標数量の配分状況でございますけれども、昨年の十一月十九日に農林省としての内定配分を各都道府県に通知申し上げたわけでございます。都道府県ではこれを受けましていろいろ積極的にお取り組みをいただきまして、大体本年の一月末までに大多数の県で市町村別の配分を終了しておられるわけでございまして、現在それを受けまして市町村段階の推進に入っておるわけでございます。市町村から直接あるいは集落を通して間接に生産者に配分をされるということになるわけでございますが、私ども三月十五日現在で御報告をいただいたのを取りまとめた結果を見ますと、直接農家に配分されたもの、あるいは集落を通じて農家に配分が終わっておるもの、それからまだ農家にまでは行っておりませんけれども、集落なりあるいは農協の段階で、そこまでおりまして、その段階で調整をされておるもの、これを全部合わせまして、市町村から何らかの形で下におりておりますものが、大体市町村数にいたしまして全国で八割ちょっとという数字になっておるわけでございます。
  84. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 まあこれは農林水産委員会のときも問題になったようですけれども、農林中央金庫の農業部が二月の十五日に実態調査なすったようでございますが、この実態調査で言うと、ここにあらわれた数字は大体四一・五%というような数字があらわれているわけですけれども、ただいまのおっしゃったのは三月——二月から一カ月の間に八〇%、そういう数字に上がったと、こういうことですか。
  85. 下壮而

    説明員(下壮而君) いま先生指摘ございましたように、二月十五日現在で農林中金が調査いたしました数字でございますが、これは農林中金が農協系統を通じまして把握いたしました数字でございまして、二月十五日現在で、先ほど申し上げましたいろいろな配分形態がありますうちの、集落を通じて配分したのがどのくらいかというのを把握した数字でございます。それによりますと、いま先生指摘ございましたように、四一・五%でございました。ちなみに、その二月十五日現在の私どもの調査でも、大体集落へ配分した数というのはほぼ四一%でございまして、大体同じ数字になっております。私が先ほど申し上げましたのは三月十五日現在の数字でございまして、二月十五日から三月十五日までの一月の間にそれだけの進展があったというふうに御理解をいただいてよろしいんではないかと思っております。
  86. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 自治大臣お尋ねしたいんですけれども、この生産調整という、いわば米をつくりたいという農民のその要望にこたえないで、米をつくらぬでたんぼを遊ばしておけと、こういうようなことを農林省が配分の割合を決めて、そのまま何もあとはない。机の上で配分の割り当てを決める。そこに今度全国知事会を招集して、その割り当てを知事会に今度は伝える。知事さんは帰っていって、県内市町村長さんに集まってもらってその割り当てを示達する。市町村長さん方はこれを地域に持っていってやるということになると、何か農林省のこの政策の推進の仕方が、国の政策を地方自治体の上に押しつけていくような、そういう形で進んでいるんではなかろうかと思うんです。地方自治法に自治の本旨というふうなことがうたわれているわけでございますけれども、いろいろ事情があるわけでございましょう。一軒一軒の農家にも、あるいはその地域の自治体の中にも山あり川あり谷ありですから、その中で米を生産している農村の皆さんの住民の幸せを考えなくちゃならない自治体は、やっぱり私は住民の方を向いた姿勢でなければ、地方自治というものは進展しないだろう。そしてその住民を国の方向に向けていくとか、あるいは協力を要請するとかという形の中で、納得のいく中で進まないような地方自治体は、これは直接住民と接しておりますから、ぼくは存在しないというふうに思うわけであります。  この農林省の決定しました今回のやり方を見ますと、とにかく上から下にずうっとおろしてやったものを、やらねばならないような状態に押しつけているわけでありますね。これを甘んじて受けていくということになりますと、あらゆる国策がそういう状態でいっても自治体は黙って聞くのか。少なくとも米の生産調整というふうな仕事が、自治体の私は国から命令されてやらなければならない機関委任事務だとはどうも考えられないし、自治体の中で考える場合も、あくまでも住民の意識に従った農業振興という、地域の住民の幸せのためにそれを考えるという立場での、そういう中で問題が提起されてくるべきだと思うんですよ。言うこと言わせず上からだんとおりていって、全国の知事から市町村長から動員されて、地方自治体という組織を利用して国の政策を進行させようとするやり方は、民主憲法の中ではどうも認められていないんではないかというふうに思うわけでございますけれども、地域住民のいろいろな条件の中でのこの不満と不安との中での混乱状態に対して、自治省としてはやっぱり地方自治を守るという立場からこの点はやっぱり考えていただかなければならぬじゃないかと思うんですけれども、お聞きするところによりますと、全国知事会の招集は自治省とはあんまり相談がなかったのではないか。結果的には招集して決まってしまった後で大臣さんというようなことになったというような話をちらと聞くわけですけれども、少なくとも過疎、過密という課題の中で、いま一生懸命苦しんでいる地方自治体の、過疎地帯の農業の振興という問題について、自治大臣が大きなやっぱり発言をもって農林行政の推進のやっぱり中心の役割りを果たさなければ、この高度経済成長の落とし子というものを改めていく力にはならぬじゃないか。その自治大臣をそっちのけにしてこのことを決めて、知事会を招集してやらなくちゃうまくないんだと言って罰則規定までつくって、上の方から下の方にだんとおろしてやるということを、私はどうも認められないというふうに思うわけでございますけれども、自治大臣のひとつ御所見を承りたい。
  87. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 最初に、誤解があってはいけませんので、農林大臣はたしか農林部長会議を招集いたしまして、そこでいわゆる生産調整、この言い方は正確ではありませんで、水田利用の再編成というのが正確だと思うのでございますけれども、このことについての協力の依頼をしたと聞いておりますけれども、知事会を農林大臣が招集したという事実はございませんで、あるいは知事会みずからが集まった席に農林省が出てまいりまして協力のお願いをいたしたことはあろうかと思うのでございますけれども、その点はそういうことであることの御理解がいただければありがたいと、まずもって思います。  そこで、水田利用の再編成は国といたしましても大変な事業でございますと同時に、また地方にとりましても、きわめて短期に見ますと、さほどの労力を使用せずして相当の収益をもたらす米の生産が短期的には農家の皆さん方に非常なプラスであることは、他の作目と比較をいたしまして言えようかと思うのでございますけれども、他の農作物の多くは国内で自給できない体制にあり、ただ米だけが余っておる、かようなことでございます。そこで、年間百七十万トンの生産調整を行いながら水田利用の再編成を相当の年月をかけてやろうと、かような決意を政府はいたしたのでございますけれども、このことは、地方の利害と同じ立場に立ち、地方もまた長い目で見ました場合には、米が余ってどうにもならぬような状況が生まれますと食管の維持が困難になってき、ひいては大変な混乱が起きる。そのことは農家といたしましても、農村といたしましても、また地方といたしましても大変に困ることでございますから、ですから、国の考え方と地方の利害とは私は一致するものだと、かような判断をいたしております。そこで、農林省からの協力の依頼もあり、かつまた地方といたしましてもその必要でありますことを痛感をいたしまして協力をいたしてまいっておる、かようなことでございますから、ですから長期的に見ます場合には、決して水田利用再編成に協力をしてまいりますことが地方のためにならないのではございませんで、私は地方のための将来を思いますときにやはり協力すべきではないであろうか、かような考え方を持っておるのでございます。
  88. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私のお聞きしましたのは、国の政策が罰則規定などもつけて下の方に上からどんどんいくものに、その地域の各種の条件を無視してこれを進めていく。いまの大臣のお話で言うと、自治省としては協力するとこう言っているわけですね。できないところもあるし、できるところもあるだろう。すべてそれだけで一本にしてずっとやるわけにはいかぬと思うのですけれども、国が困っているというその政策のそれに共鳴してやれるという立場でやっていくというやり方については、私は大里の言うことはわかると思うんですけれども、それが画一的に全部おりていって、これだけの割り当てを消化してもらわぬと困るというような言い方でいきますと、これは協力ではなくて強制なんですね。こういう国のあり方というものが、自治というものの中で認められるかどうかについて大臣のお話を承りたいんです。強制的な上から押しつけていく、そうなっていると思うんですよ、結果は。
  89. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 水田利用の再編成をお願いをし、また米の作付面積を調整してまいります具体的処置は、自治省ではございませんで、もとより農林省のなされたことでございますけれども、公平を期してまいりまする上では、おれのところは協力しないぞと、かようなところが出てまいりました場合に、ああそうですかというのでは、これはエゴイスティックな者だけが利益を得る、かような結果になろうかと思うのでございますから、それに対して何らかの歯どめを設けなければならぬ、かような考え方を農林省は持っていらっしゃるのに間違いがないと思うのでございますけれども、ただそのことは、罰則を科するとかいうようなことではございませんで、ペナルティーなどという言葉がしばしば使われました。ペナルティーがなるほど罰金であるかもしれませんけれども、それは通常の日常の用語において使ったものでございまして、いわゆる罰則を科けますような、そういう仕組みにはなすっておらぬと私は理解をいたしているのであります。
  90. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 時間がありませんから大臣との議論はやってもあれですが、ただいま大臣は、こうしたことの国の政策に、自治体が考えて、これは地方自治のためにも必要であるという、そういう解釈の成り立った地方自治体が協力するということについての指導はしていくと。その納得がやっぱり得られないような場合には、これを無理に押しつけていくというようなことについては、協力という言葉の中ではないと私は考えたいと思うんですがね。で、私はやっぱり自治省も、農林省が進めていることを各省の間の申し合わせの中で言えば、一概にこれを否定していま言うことはできないと思うんだけれども、一般的に言ってやっぱり協力する、協力体制の中で進めているんだと、こういうことになっていると思うんですがね。  農林省の方にお聞きしたいんですけれども、あなた方のやっていらっしゃることの中で、まことに地域住民の中に大きな混乱を起こしていると。米の余っているのはわかるわけでございますけれども、しかし地域の中における大きな混乱がある。それにいま罰則でないとおっしゃいましたけれども、達成しなければ後でまた来るぞというような言い方で、そしてこれをやっぱり下に示達している。勢い、皆さんの言うことに全自治体が、実はやりたくはないんだけれども、まあやむを得ないわという状態に国民を追いやっていくということは、やっぱりぼくは成田を思い出さざるを得ないんですね。始末に負えなくなった今日の成田原因は、先ほど小山委員指摘しましたけれども、もう少しうまいやり方をやらぬと、この種問題は非常に困ってくることが多くなってくるんではなかろうか、こういう考え方をいたしますと、あなた方のやっていらっしゃることがやや上から押しつけ的なかっこうに見えているわけですけれども、これは強制ですか。それとも自治体に対する協力をお願いしたんですか。いずれでございますか。
  91. 下壮而

    説明員(下壮而君) この水田利用再編対策の進め方の問題でございますけれども、ただいま自治大臣から御答弁がございましたように、私ども、これはあくまでも農家あるいは自治体その他関係者の御理解と御協力を得ながら進めてまいるものでございまして、法律をもって強制をしていくというような性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。ただ、そういう性格の対策でございますだけに、その対策に御協力をいただいたところといただかなかったところとの間の公平の確保という問題につきましては、それだけに一層意を用いなければならないわけでございまして、端的に申しますと、この目標の達成に御協力をいただけなかったところにつきましては、国の過剰がそれだけふえるわけでございますから、国全体といたしまして翌年度その調整規模をふやさなければならない。国全体として調整規模をふやすと申しますことは、具体的に申しますればどこかの都道府県、どこかの市町村にこれを御負担をいただかなければならないということになるわけでございますが、その際、昨年はきちんと目標をやったところにそれを御負担をいただけるかということになりますと、それはやはり公平確保上いかがなものかということになるわけでございますので、そういう意味合いから私どもこの措置は、きちんと目標を達成していただいた地域あるいは農家、そういうところにほかの地域の未達成分が加重されるという結果になることのないようにするためには、これはどうしても必要な措置であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味での公平確保措置というふうに理解をしておるわけでございます。
  92. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 過剰米の処理の対策というのは農林省やっているんですか、これは。ことしこれだけ余ったということについて、つくった農民だけが悪いんだということではないでしょう。その余った米があったらそれを何か処理するような方向をやっぱり出すべきだと思うんですけれどね。また、これが水田の再編だとすれば、大麦をつくらせるということも奨励金だけの問題ではなくて、これに二千二百億もの金をかけて奨励金を出すと、こんな金があったら麦の価格の補償をした方がいいんじゃないかとぼくは思うんだけれどね。今年度も減反、買い上げ数量がまた減らされたようですね。何か農林省のやっているのは、国の予算の中から米に払っている金をだんだん少なくしていこう、そういう財政上の問題としてこれを扱っているような感じきりしないわけです。しかし私は、米が余ったことの責任は農林省も負うべきだと思うんですよ。もしこれが国の財政的な措置の中で行われるとすれば、一方的に地方自治体を通じて農民の上にのみかぶせていくというやり方はおかしいじゃありませんか。公平の原則なんというものをそんなところで振り回すべきではないではないですか。つくりたいという、そう皆さんの言うとおりに従いたいと思いながらも、山の中のたんぼをやっている人にはなかなか従えない場合があるわけですよ。後で具体的には申し上げますけれども、それがそこでやらなければほかに負担になるというこういう言い方は、まさにおまえはやらなかったら、私どもの国策に従わない人間だということになるじゃありませんか。それが本当に国民のための農政ということになりましょうか。大体私はいまのお話でもって、ずっと御答弁なすっているようですけれども、答弁用の言葉で国会の中審議していたんではだめですよ。現地に行って農民の前に立ってごらんなさい。先祖伝来のたんぼをこれからつくられなくなると言ってその前に立った。それは広いたんぼのあるところは別でしょう。山合いの小さいものを先祖以来掘り起こして地球のこの皮っぺ、表面を生産力化してきた農民の長い歴史的なそういう努力の中にあるものをいま荒らしていかなければならぬかと思ったときの——それを引き受けなけりゃ公平の原則に反する。その分をほかに持っていくんではなくって、やれなかったらやらなけりゃいいじゃないですか。何で農林省は一〇〇%やらないと、農林省のメンツが立たないみたいなかっこうになるんでしょうかね。それが協力ですか。俗に言われる官僚主義というのはそういうことじゃないでしょうかね。自分の決めたことが一番いい、これに従わない者は公平の原則ではみ出し者であると、こういう言い方でやっぱりやっていくやり方にぼくは疑問があるんですが、農林省側も協力だとおっしゃる、お願いしてやっていると。そこはよくわかりました。だから、やれないところがあったらこれは温かくまた考えてやると、こういうことに、協力のはね返る反語はそうなるでしょう。それを公平の原則で上から縛っていくということはこれは強制でしょう。言葉だけ協力なんて言っても、実際は農林省は強制しているんじゃありませんか。どうも私はあなた方のやっていることそうだと思うのですよ。今度の生産調整は政府買い上げ数量、予約限度数量を決めて配分しましたね。この予約限度数量の中には生産調整六十万トン分が組み込まれてこの予約限度数量はあるわけですよ。おまえのところの米はこれきり買いませんよと、それ以上つくったものは買い上げないという、こういうあり方の中で、私は逆だと思うのですね。米が余って困るから、一部農民の方にもひとつ御協力願いたいというならば、まず生産調整の配分をすべきではないでしょうか。そして、その配分の上に立っていわゆる限度数量というものを決めていくということでなければ、それはあなた方の考えているよりも半分くらいに終わるかもしれません。しかし、その後の半分は農林省の責任において何とか過剰米をやっぱり解消していくような方向になるべきではありませんか。これを自分の責任はちっとも果たさないでおいて、下にばっかり向かって、そうしてこれだけやってもらわないと困るんだみたいな言い方で進めていくことについては、どうも疑問を感ずるんですけれども、言葉では協力などとおっしゃるけれども、実は農林省は農民に向かって鋭い強制の姿勢で臨んでいられると。自治大臣、この辺はいかがでございますか。
  93. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほどもお話がありましたように、やはり減反面積をそのとおりに苦労はございましても実行いたしてまいりました地域と、そうではない地域の差があっはならぬという考え方は私もそのとおりに思うのでございます。そこで目標が達成されなかった場合にはみ出したものがそのまま生産をされて次年度へ送られるようなことになりますと、百五十万トンの減産が目標を達成し得ないことになるのでございましょうから、やはり去年は御協力は願えなかったですけれども、ことしはどうぞ前の分も御一緒にお願いをいたしますよと、かようなことをいたしますのはやむを得ない措置ではないであろうかと、かように思うのでございますし、また地方といたしましても、自分だけのことを考え、自分の県や自分の町や自分の家だけのことを考えますと、おれだけはやらなくてもという気分が起きがちであろうかと思うのでございますけれども、しかし社会連帯の立場に立ちますとやはり御協力を願わなければならぬし、それがまた社会であり世間であろうと思うのでございますから、水田利用の再編成はそれは大変でございます。いままで水田として米をつくっておりましたものを、あるいは麦にかえ野菜にかえ果物にかえ、あるいは大豆をつくりということで工夫をこらしながら作付の転換をやっていかなければならぬのでありますから、ことになれておらない方は大変であることはよくわかりますけれども、しかしそれをやってのけなければならぬ日本の農業事情になっておりますことをどうぞ皆さんがよく御理解をいただきまして、そのことが長い目で見れば地方のためにもなると思うのでございますから、いま野口委員の御指摘のことは私はよく観念的にはわかります。わかりますけれども、どうぞひとつまた私どもの申しますことも御理解をいただきまして御協力が賜りたいと思うのでございます。
  94. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私の話、観念的だというような話ですからね。これ現実に地方に行って、大臣も行っているだろうと思うのですが、これ農林省というのは全く楽なことやっているなと思うんですよ。何か配分決定して下におろしさえするともうあとはどうでもいいみたいになっていると思うのです。ですから、農林省が配分を、ことし米過剰の対策というのは全く手が打たれてない、私どもから言うと。この前の本会議質問のときに申し上げましたが、今年度の百七十万トンは、工夫すればこれは余らないとわれわれは考えているわけです。そういうことを皆さんにも公表しております。これは一つもやってないで、そしてこれを下におろす。知事さんはこれを町村長さんを集めて今度は割り当てる。知事もまた直接的にはこの生産調整の具体的な場面には触れない。これが市町村長にいきます。市町村長も、おまえのところの米のつくることをやめてくれということを直接住民に言うことは、選挙されておる立場からなかなかむずかしい。結果的には区長さんというのを集めまして、最後にはおまえのところにこれだけの割り当て来ましたよと、これやらないと知事さんから予算がもらえないと。これをやらないと自治省から怒られるから、まあ何とかみんながまんしてやってくれないかということで、一番具体的にいくのは区長という部落の長さんのところにいくんですよ。この中での話し合いがどんなになっていくかというと、全く村八分的になってくるということであります。おれのところでやっているのにおまえのところはやらねえのかということで、本当にネコの額のようなところを持っているところの農民にまでこの配分の一部をしょってもらおうと。泣く泣くこの部落の中でこれに従っていかなければならない庶民の苦労というものがその中にあるわけですよ。私は自治大臣のような方が物をお考えになるときには、国のために、全体のために、連帯のためにという言葉もわかりますけれども、しかし国民が現実に当面しているその地域の中の農民の実態から言うと、これは区長さんを通じて行われる何か村八分的なかっこうになって、私どもはその点でずいぶんこういう無理な押しつけ方をするんでしょうかねと聞かれます。私はその際、これは国会で議論して決めたことではありません。農林省というお役所が、行政上こういうことをしているだけであって、あなた方に御賛成を求めているはずですから、できないものはできないと言うてくださいと、こうお話をして帰してやりますと、あそこのうちはこれに協力しないと、あそこだけだわということで、何か残されたものとして部落じゅうからこうやられているのが現状でしょう。私はそのことをなぜこんなに押しつけるんだろうか。もう少し長い目で、余り米の始末を私たちはこうやりました、あなた方のつくった転作物の価格はこのように補償いたします、だから喜んでやってくれないかというような、農民の希望と喜びとを持った生産調整というようなことになぜなれないのかということですよね。村八分になっていった者の心の中に残っているものは何ですか、成田だと私は思うんですよ。だれも聞いてくれない、だれにも言いようがない。何か押しつけられて、私は先祖伝来の土地を離していかねばならぬという、この中にわいてきた気持ちというものは、深刻なものを持つと思うんですよ。そういうあり方というのは、ぼくはどうも自治大臣のおっしゃることは、そういう住民のものと触れ合いながらどうよい政策を進めていくか。地方自治の水準の向上をどう図っていくかというような自治の本旨の中での物の見方としては若干疑問があるんですね。そこに触れて、なおかつあなたに生産調整に協力してほしいんだということの言い方が最後までどのようになっていくだろうか。区町さんにはその力はありませんから、上から言われたんだ、仕方ねえ、あなたも聞けと、あなたが聞かなければほかの人が困るんだと、こういう言い方になってくるわけですね。ずいぶん私は村八分的に扱われている零細な農民皆さんの姿を見ておるわけでございまして、そういう点からいう自治の発展、はっきり言うて私は成田の現状を見まして、いま何が一番大事かと言ったら、地方自治の尊重だと思っておりますね。何か暴走していくあの若い人たち、この行為に私は賛成するものでありません。しかし、この若い青年のやるあのような危険な秩序破壊行為に一緒になっていく日本人があるということを考えた場合、これをどうして一体防いでいくんだろうか。私はそれは地方自治法によって守られた市長さんを中心とし、知事さんを中心とする地方自治の水準の向上の中から、そうしたことの批判を持つ住民をつくり出していくという、戦後三十年続けてやってこなくちゃならなかった地方自治発展のこの筋道というものが、ぼくは今日の成田解決する基本的な課題じゃないかと思うんですよ。どうも国会は、これ福田総理にも聞いたんですけども、福田総理は私の話よく聞いてくれませんでしたけど、いま一番の問題は、間接民主主義といわれるものの欠陥なんですよ。住民と私たちの間、投票した国民との間に何年か過ぎるうちに間隙が出てくるわけです。そのために一生懸命国会ではやっているんだけれども、住民の中の不満というものは吸い上がってこない。そうしてそれが反対行動、住民闘争というものになってくるわけでございましょう。それを地方自治体の長が地域の中でまとめて、おまえたちの不満は何なんだ、それをおれは上に持っていって言うわいと、こう言って地方自治というものを通じて、間接民主主義の一つの不足部分である直接民主主義というものを、合法的な秩序の中で守っていくという姿をつくらない限り、成田の問題は解決しないんじゃないですか。   〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕 あれだけの成功しますと、あの人たちはもう赤い旗下げた途端に拍手をしてこれは万歳ですよ。それでこの次の集会のときには、なおかつよけい集まるんじゃないですか、ああいうことを許してしまったら。それを地域自治体という一つの組織的体制の中で住民の願いを聞きながら、その理解もとに民主的な日本の秩序を守るというこの原点どこにあると言ったときに、私は地方自治にあるんじゃないかと思うんですよ。まことに地方自治体の持っている仕事というのは、日本の民主主義の危機と暴力によっての危機の中で、最後のとりでとして地方自治があるというふうに私は考えざるを得ないわけです。とてもあの区長さんの苦労、その前に立った農民の村八分的なかっこう、これを許しておいて、地方自治の推進とか民主的な日本の行政の推進というものは生まれてこないのではないかというふうに思いますがね。  大臣にお聞きしますが、時間がありませんで、区長さんというのは一体どういう立場なんですか。地方自治行政の中で、区長さんというのはどんな位置づけになっているんでしょうか。それは局長でもいいですよ。
  95. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 御承知のように、現在の地方自治制度上は法的には区長、部落会長、そういったものは置かれておりません。戦争中に部落会、町内会といったようなものが戦争遂行の目的上組織されたことはございますけれども、御承知のように、終戦直後これは全面的に廃止されて現在に至っております。したがいまして、区長さんとか部落長さんとかというのは、いわゆる通称でございまして、その地域の意見の取りまとめ役というような方であろうと思います。
  96. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 この区長さんが、これはいまおっしゃったようなもんじゃないんですね。まあ時間が全くなくなってしまいまして、いまお答えになったことから言うと、区長さんというのは、戦前におけるいわば全体主義の末端機構として国民のスパイ活動をやったり、あるいは全体主義の末端機構になったり、——いや、やったんだよ。あんた何年生まれだい。もうちゃんとやったところがあるわけよ。そういう点が指摘されて、しかし、いまその区長さんというのはもう全国にあるんでしょう。いかがですか。
  97. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 法的な地位ではないということを申し上げたわけでございます。事実上の呼称であろうと思います。
  98. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 幾つぐらいあるんですか、区長、区というのは。三千何ぼか自治体がある。その下に区というのが幾つぐらいあるんですか、区長の数。
  99. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) いま御質問の区長というものが戦争中の隣組長、そういったものと同じであると私どもは思っておりませんけれども、この部落会、町内会といったようなものは、御承知のように、市制、町村制施行のときに七万幾つございましたところの市町村が約二万五千に大合併をいたしました。その後終戦直後までに約一万五千程度までに町村合併が行われたわけでございますけれども、明治、大正、昭和のその時代を通じまして、事実上旧町村の区域といったようなものが、部落会あるいは町内会といったような地縁的な関係で一つの事実上の組織があったわけでございまして、これがたしか昭和の初め選挙粛正運動などの関連におきましてある程度組織化され、それが昭和十五年に戦争遂行の目的のために隣組、町内会といったような形に内務省によって組織され、それが先ほど申しましたように終戦直後、昭和二十二年だったかと思いますが、占領軍の命令により廃止されたというような経過をたどっております。したがいまして、現在の町内会あるいは部落会、区長と申されておるようなものは事実上のものでございますので、現在私どもとして全国で幾つありというような数は正確には把握しておりません。
  100. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 自治省、それは怠慢なんですね。朝日と河北の新聞にずっと前に出たんですけれども、いまや区長の仕事は市役所の出張所のごとき観あり、何とかその措置を仕事の整理と待遇の面から検討し、適当な結論を出すべきであるというような新聞論説もあるんですよ。大体自治省とは全く関係ないと言うんだけれども、地方行政の末端機構としてやっていらっしゃる仕事というのは大変なものですよ。交通安全協会の仕事から警察の仕事から募金委員会の仕事から。それが、市当局と区民との間に立っているものですからね、大体一週間に二十時間くらいはこの業務に割かれているというんですね。所得税の確定申告書の配付などまで来るんだそうですからね。これは自治体の仕事でしょう。それを知らない人に渡してやるわけだ、あなたは。何のあれもない人に所得税などやらせたりして、市町村は区長なくなったらもう仕事できませんよ。この末端機構の区長さんが、町村合併して広くなればなるほど、町村合併で町村の数が少なくなったからと言うけれども、町村合併したことによってなおこういうものがふえてきているんでしょう。その区長さんというのは自治省では戦前のとがめを受けてこれはなくなってしまったはずでございます、いまは存在しませんと言うんだけれども、うそだよ。地方自治体の仕事はこの区長なくしては進まない。それで一週間に二十時間ずつもやっている、区長さんが一生懸命地方自治のためにやっているわけですね。そこにこの減反などを持っていくわけですよ。そうして中で今度けんかをやって村八分なんというふうなことになるわけです。いやいやとてもこれは自治省としてはそういうことは全然考えなかったではおかしいと思うんだな、私は。大体選挙などで盛んにこのごろ利用するね。これは自治大臣、ひとつあなたは選挙の方の神様でしょうから、隣組の回覧板というやつで、特定候補者を推薦してくれみたいな、回覧板なんというものを盛んに回すときにやるのは区長さんですね。これは大した勢いで回しますね。あれは選挙違反じゃないですか。いかがでございますか。
  101. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ポスター、はがきその他の文書の回覧は公職選挙法が禁じておるのでございますから、区長さんであろうとだれでありましょうとそれはまさに違反でございます。
  102. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 もう時間が来てしまいまして、これからがいよいよ本論であったんですけれども、残念です。しかし自治大臣、いまの答弁は現実に全く合っていませんね。これが日本の選挙の実態の一部ですね。大臣がそういうふうに言ったってだめですよ、下ではもう回していますよ。だからやっぱりどうですか、もう少し検討してもらって——この区長さんに与えられている手当があるんですよ。この手当は全く微々たるものであるわけです。さればというてこの手当を自治体が出しておったのではちょっと困ると思うんですがね。それは公務員として年金その他も支給しなければならない地方公務員になってきますからね。だから民主的な地域住民の願いの中で出てくるということを——使ってはならない自治体が使っているという今日的の中で区長さんが一生懸命やって、地域の自治体の仕事を進めているという場合は、やはりこの区長手当というようなものも十分ひとつ考えていかなくちゃならぬのじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、大臣いかがですか。
  103. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほどの件でございますけれども、御承知のように、町内会、部落会等が廃止されましたのは、「昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く町内会部落会又はその連合会等に関する解散、就職禁止その他の行為の制限に関する政令」というのでございまして、「遅くも昭和二十二年五月三十一日までに解散しなければならない。」として、「又、特に国会が承認した場合を除く外、当該事務所の後継的事務所又は組織を設けてはならない。」というふうに定められたわけでございます。したがいまして、私ども現実問題といたしまして、そういった区長、町内会長というような方々が存在しているということは承知いたしておりますけれども、先ほども御指摘ございましたように、これはもちろん法的なものではございません。したがって、市町村の公務員というような性格のものでもございませんので、公費をもっていろいろな手当等を支給するということは許されないというふうに思っております。ただ現実問題といたしまして……
  104. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 わかった。もういいです。時間ないんだ。いいたいことわかった。そう言って、やっているんだ実際は。あなた方の指導すべき自治体の地方町村ではそれをやっているわけ。さっき言ったように、年金の問題とか所得税のあれとかというようなことをみんなやっているわけですよ。一週に二十時間もそのことのために区長さんは仕事を割いてやっていると、これが現実なんです。やって——そういうことをこれからやらないということならそれでいいけれども、やっているのだということです。これはちょっと時間なくて終わりましたから、区長問題改めてまたやります。終わります。
  105. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最初に、国家公安委員長成田空港のこのたびの空港管制塔乱入破壊事件につきましてお伺いしたいと思います。万全な警備体制をしかれまして、あと一歩で開港というところまでいったのにかかわらず、過激派によって一番大切な管制塔心臓部分と言えますが、それが破壊されたことはまことに遺憾だと思います。今回のこのような事件に対して、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  106. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警察といたしましては、いままで例のない警察官動員を行いまして、実に一万三千名という警察官警備もとに置かれておったのでございますけれども、御承知のような広大なあの成田の地域でございますし、私どもとしては万全の体制と、かように考えましたが、結果といたしましては、一部の暴徒に近い形で乱入をされまして、あのような機器破壊されたことは本当に残念至極なことでございます。ただ、先ほども申しましたように、成田空港反対闘争の初期の段階におきましては農民方々が中心でございましたが、現在はすっかり質が変わってしまいまして、きわめて過激な、それも暴力集団的な極左のグループがあのような行為に出ておるのでございます。そこで警察といたしましては、今後も違法は断じて許さない、かような考え方のもとに徹底して取り締まりを行うことによりまして社会の秩序を保っていかなければならぬと、かような決意を新たにいたしておるところであります。
  107. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 警察当局に続いてお伺いしますけれども、今後の対策いかがなさるかということでございますが、今回の事件も、当局では機動隊を一万三千人ですか、動員されて万全の警備体制をしかれたと、にもかかわらずこのような事態になったわけでございまするけれども、今後も空港開港に反対する人たちがあらゆる戦術を使って阻止活動を行ってくる、こう考えられまするけれども、それに対応する対策として当局の考えを伺いたいと思います。
  108. 三井脩

    政府委員三井脩君) 今後の警備対策でございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、これは地元反対同盟というのがございますけれども、これも形骸化した、空洞化した反対同盟でございまして、戸村委員長の言っておることも、内戦であるとか、合法非合法を超えたことをやるとかと言っておるような状態でございます。これともう一つは、極左暴力集団が、これが中心になって破壊活動をやっておるわけでございますので、私たちとしては、あくまでも法秩序を守るという立場におきましてこの取り締まりに当たってまいるわけでございますが、今回の闘争におきましても、先頭に立って違法行為を行った過激分子、これをけさまでに百六十六名検挙いたしました。三月二十六日当日、極左は全部で六千名集まりましたけれども、その中枢的あるいは戦闘的に先鋭な分子を逮捕したわけでありますから、これ自体ある程度あるいは相当の抑止効果を持つかと思いますけれども、今後とも今回の事案教訓といたしまして、すきのない、漏れのない警備体制をつくり上げてまいりたいと思います。あるいは具体的に一万応援体制をどうするかというようなことでもあろうかと思いますけれども、これは相手方の出方というようなこともあるわけでございますので、こちら側の警察官の数というような点は、事態に応じて数の方はよく考えてまいりたいと思います。ただ午前中にもちょっと触れたわけでございますけれども、この場合は、問題は空港、彼らが攻撃する対象は空港というふうに特定されております。それからもう一つは、そのために彼らが準備活動をするのは空港周辺ということでありますので、まず空港公団を中心とした空港関係者自身が、今回の事件にもかんがみまして自主警備といいますか、安全という角度から見てすきのないような措置等講じていただくということも、よく話し合ってこれは進めてまいりたいと思います。もとより警察権のない人たちについての自主警備的な心構えの問題、安全上の心構えの問題でおりますので、それは、たとえば管制室に入るのはキャッツオフという小さな窓があるんですが、これさえロックしてあれば入れなかったというようなきわめて簡単なことでありますので、そういうような点について必要なときに必要な措置がちゃんと行われるように向こうも訓練していただきますし、私たちもそういう点についてすきがないかというような指導といいますか、連絡といいますか、こういうことをやってまいりたいと思うわけであります。  それから、空港周辺につきましては、団結小屋等でこういう破壊活動の準備をしたり画策をしておるものと、あるいはこれに利用されておるものというように考えられますので、これを排除するといいますか、撤去するといいますか、こういうような方法について何かいい方法はなかろうか。いままでも法的手段等あらゆる方法を考えてまいりましたけれども、いままで以上に有効な手段がないものかというような点について研究をしてまいりたいというように思っておる次第でございます。
  109. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま局長のお話を承りまして、短期的にはと申しましょうか、これから半月あるいは一月開港がおくれるかしれませんけれども、開港してしばらくの間といいましょうか、その対策としては私いまのような対策を講じられることについて一応は納得できるわけでございますけれども、しかし、これは局長の御予想と多少違うと思いますが、私はもっと非常に長期的にわたるんじゃないかという心配もしております。そうしますると、やはりこの警備体制そのものも、いつも一万三千人の警備をさせるということはできないことでございますので、それはこれから、いままで成田闘争が数年にわたったように、今後開港してからもやはりいろいろな手段を講じて妨害して、何といいましょうか、開港させるなというような意図を持った人たちがいる間はやはり安心できないんじゃないかと思います。そうすると、やはり非常に長期的な構想のもとにこの警備体制というものを確立しなきゃならぬと思いますけれども、このようなことを想定してどのように対処されるか、もう一回お伺いしたいと思います。
  110. 三井脩

    政府委員三井脩君) 長期的あるいは抜本的対策ということでございますが、これは何よりも私は世論の批判ということが一番大切かと思います。極左というのもそれなりの考え方を持ってやっておるわけでありまして、一般の国民から支持されないことを承知の上でやっておるはね上がり行動というのが現状でありますけれども、彼らなりにはね上がった行動が国民の多数ではない一部の人には支持されておる、あるいは支持されることを期待するというようなところが彼らの頼りであろうかと、こう思うわけでありますが、空港に反対というねらいや意図は、これはまあ自由の範囲でございますからいいわけでございますけれども、それを実現する手段、方法が国民の支持を得ない違法な暴力行為ということについては、国民が例外なくこれを厳しく批判をするということが、私は抜本策としての第一でありまして、そういうことについての盛り上がりといいますか、これを期待をいたしたいと思うわけであります。  それから第二につきましては、やはりこの空港が速やかに開港されまして、国民生活と切り離せないものであるという空港の持っておる意味というものについて極左自身も理解をする、理解せざるを得ない、彼ら自身も利用するわけでありますから。そういうような意味で、空港自体が正常に運営されていくという事実というものが大事だと思うわけでありまして、それを促進するためにいろいろの手段、方法があろうと思いますが、それには、効果を早く上げるためには新たに立法をした方がいいというようなこともあるいはあるかもわかりませんけれども、そういうような点も含めまして、狭い意味の警備措置に必要な、あるいは極左に対する根源対策に必要なそういう手段とともに、もう少し広い方法というものがないかというような点につきましても関係のところと相談をして、研究してまいりたいと思うわけでございます。
  111. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 対応策の中で、今度の事件にかんがみましてやはり法的措置が必要であるというふうにはお考えになっておられますか、どうですか。
  112. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法的措置をできればした方が、そしてまたその法的措置をすることが世論の支持を得られるならば、そういうことは効果的なものというのもあるだろうと思います。具体的にどういうことかというとまた研究をしなきゃなりませんけれども、いま申しましたように、だれからも支持されないような、彼らの仲間内だけしか支持されないような暴力的破壊行為と、これをもっと適確に取り締まる手段としての法的規制というものがないかという点が一つでございます。  もう一つは、直接警察の取り締まりに絡む問題でありませんけれども、もっと、彼らがそういう活動をやる根拠とか、それに便宜になっておるというような諸条件をなくしていくための法的手段というものもあり得るのではなかろうかと、こういうふうに思いますけれども、これは広く関係のところと研究しなきゃならぬということでありますので、いま直ちにどういうものかということがイメージに浮んでおるわけではございませんが、あり得ると考えております。
  113. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今後このような事件が起きないようにひとつあらゆる努力をお払いになって万全を期していただきたいと、こうお願いする次第でございます。  成田のことはこのくらいにいたしまして、自治大臣に少々所信の内容につきましてお伺いしたいと思いますが、大臣、この所信の中で「地方公共団体が自主と責任を基本とし、」てとお述べになっておりますけれども、私は、このことにつきまして、四年間連続して地方財政の危機という状況もとで、財政危機というものを引き金にして地方自治の自主性、独立性ということがだんだんと形骸化されているのではないかと、こう思うわけでございますが、地方自治体が自主性、独立性を持って行政を行うためにはどのようなことが必要であるか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  114. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 戦後新しい自治がスタートいたしまして三十年以上経過いたしてまいりました。だんだんに自主性が強まってきており、また地方団体も責任を持って自分の仕事を処理をしてまいると、かような体制が逐次できておるとは思うのでございますけれども、原則的には地方団体は自分の団体の身近な仕事を自分でやる、これがたてまえであろうかと思います。そして、自分の事務をやってまいりますにはどうしても財源を必要といたしますことは申すまでもないのでございまして、そこで自治省といたしましては、できるだけみずからの手で仕事がやりいい環境をつくっていくということ、これが務めであろうと思うのでございます。私が所信表明の中で、地方団体の自主と責任を基本としなければならぬと、かような言い方をいたしましたのは、いま申したようなことでございます。が、実際問題といたしましては、国全体をながめてみまして各地方に財源が均てんするような状況ではないのでございますから、財源不足の団体に対しましては剰余税なりあるいは交付税交付金等交付いたしましてその均てん化を図ってまいっておるのでございます。そこで、その財源なるものがここ四年間連続をして不足をいたす、かようなことでございましたから、不足財源につきましてはこれを完全に埋めまして地方財政に支障のないような体制をとってまいる、かような努力をしてまいっておるところであります。
  115. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 来年度の地方財政計画大臣の所信どおり「国と同一の基調」により策定されておるわけでございますが、これはともかくも公共事業を消化して景気の回復を図るということに尽きると思いますが、結果的には国の政策を押しつけられたものになってしまっているんじゃないかと思います。こうした国の政策に対して地方が協力をさせられるといいますか、「同一の基調」ということで地方財政計画が決定されるということは地方の自主性、独立性とは反するのではないかという気がしますけれども、この辺についてもう一度承りたいと思います。
  116. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方といたしましては、地域住民皆さん方の要望にこたえましてなしていかなければならぬ仕事が無限にあろうかと思うのでございます。その中におきましても、たとえば生活道路の整備でありますとか、あるいはまた下水道の整備でありますとか、かような身近なものや、あるいは学校の改築や幼稚園や保育園や、さようなことが無限にあろうと思うのでございまして、なるほど結果としては中央と同じ基調でございますけれども、しかし、そのことは地方もまた喜んでおることだ、かような見方を私どもはいたしておるのでございます。いままで道路の改良をやらなきゃならぬのがなかなかできなかったけれども、国が公共事業を大幅にやる機会にぜひあの道路を直そうではないか、あるいは下水道の整備が遅々として進んでおらぬのに、こういう機会に下水道を大量にやることができる、かようなことで、むしろ地方といたしましてはこういう機会にやりたかったことをやっていきたいんだ、かような基本の考えで対処してくれておると思うのでございます。協力させられるという御表現がございましたけれども、私どもは、仮に協力という言葉を使うといたしますならば、地方は喜んでこういう機会に社会資本の充実をやると、かような体制であろうと認識をいたしているのであります。
  117. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方がいまの国の政策なり、あるいは自治省のお考え方なりに非常に感謝して協力しているかどうかということにつきましては、これは意見の相違だと思いまするが、地方が本当に協力できるようなことにつきましては非常に結構だと思いますが、地方にはいわゆるありがた迷惑、地方の負担になるというようなことも相当多多あると思いまするので、この辺については実は十分な御検討が必要じゃないかと、このように思うわけでございます。  もう一つ付言しますけれども、景気政策は国が行うものであって、経済をどうするかということは本来国の施策そのものであると思います。その景気政策に対して地方は地方の立場で協力していくといっても、それなりに協力することは意味あることでございましょうけれども、おのずから限界があるのではないかと思います。いま好まない、余り希望しないという点もあるんじゃないかと思うわけでございます。来年度の計画を見ますと、これはもう一〇〇%の国の施策に一致させられる、こう言っても過言じゃないかと思いますが、国の施策に密着させられたものになっていると断言しても差し支えないと私は思うわけでございます。こういった地方財政の運営のあり方が果たして本当なのかどうか。地方には地方の財政運営の長期的な計画があってしかるべきであるし、その計画にのっとって、たとえば社会資本をどう充実していこうか、そのためには公共事業をどう進めていこうか、こういうようなのが本来の地方自治のあり方ではないかと考えるわけですけれども、先ほどの大臣のお話では、大体地方の要望に沿っていくんだというようなお考えですけれども、そうとばかりは私感じられませんので、もう一度その点について御説明願いたいと思います。
  118. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 自治省といたしましては、もとより地方財政計画を策定いたしまして地方団体の指針といたし、かつまた財源を保証いたしておるのでございますけれども、しかし、このことは地方団体のみずからの計画を束縛することではないのでございまして、自分のところは本年度はこれとこれとこの仕事をやろう、しかしこのことは次年度以降に延ばそうと、かような判断は地方団体みずからがしていいことでございます。そして、ただいま国に一〇〇%密着しておるのではないか、かような御指摘でございました。なるほど国が公共事業を推進いたしまして、そして景気をよくしなきゃならぬ、そのことが労働不安の解消にもつながってくるし、結果としては七%成長を達成することができるんだ、また失業者の救済にも役に立つんだ、かような考え方で対処しておりますけれども、このことは地方といたしましてもまた非常な関心を持つことでございまして、景気がよくなることによって地方税の増収も可能になってまいりますし、かつまた旺盛な内需の喚起にも役立ち、同時にまた失業者の吸収にも役に立ってき、所得もふえてくるのでございますから、私は密着をしておりますことが決して地方のためにならないという判断はいたしておらないのでございますのと、いま一つ、昭和五十三年度の地方財政一画の特徴は、地方でみずからの判断でこの仕事とこの仕事はやりたい、かような希望を持たれました場合には、できるだけそれに沿ってまいりますように、単独事業の枠の幅を大きくとりまして、そしてこれは国が補助はくれないけれども、おれたちの団体としてはやっていかなければと、かように考えます場合には、幅広い選択と実行が可能なような、さような仕組みをいたしておるのでございますから、ですから、地方財政計画なるものが何もかにも国とぴったりの体制ではなくて、やはり地方の特殊事情に応じましてそのことが十分生かされるような仕組みにいたしておると、かように思っているところであります。
  119. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 財源というこの量の視点からいろいろ地方自治の本来あるべき姿というものをお伺いしたわけでございまするが、構造体質という質の視点からも自治のあり方をお考え願いたいと思うのでございます。地方の自主性、独立性ということを考えますると、現行の機関委任事務、超過負担、それから直轄事業の負担金など、こうした制度の見直しがない限りは、やはり自治の確立からほど遠いものではないか、こう思うわけですけれども、この点につきましては大臣の就任期間の間にぜひこれらの改革を断行していただきたい、こうお願いする次第でございますが、御決意のほどをお伺いします。
  120. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御指摘のように、今日の地方団体は、地方団体の長なり、あるいは地方団体自体に対しまして国が機関委任をいたしているものも多いのでございますけれども、もとより機関委任の必要なものもございますが、しかし国みずからがやってしかるべきものまでが機関委任をされていると、かようなこともございますから、機会を得ましてその基礎となる法令の改廃等について努力をいたしてまいらなければならぬと、こういうぐあいに思っております。  それから、超過負担は地方財政を乱るものでございますから、私どもはできるだけ早期に解決を図っていかなければならぬと、かような努力をいたしておるのでございまして、五十三年度の予算におきましても、超過負担につきましては事業ベースで九百三十億円、国費で五百五十億円の超過負担の解消をやったのでございますけれども、今後もさらに努力をしていかなければならぬと、かように考えております。  それから、最後に御指摘になりました直轄事業の負担でございますけれども、これはわが国の現在の制度の根幹にかかわる問題でございます。国の仕事はすべて地方に負担をささずに国みずからがやりなさいと、この議論を貫いてまいりますと、地方の仕事には国の補助を受けずして地方みずからがおやりなさいと、このことにもつながってくるのでございますけれども、国と地方を通じましてのさような補助金制度とも非常な深い関連があることでございますから、この点につきましては今後も慎重に検討してまいりたい、かように思っております。かような事項を一つ一つ解決をしてまいりまして、そして地方団体がみずからの力で、みずからの努力で幅広く仕事がやっていけますような自主性の確保のために今回この上とも努力をしてまいろうと、かように思っております。
  121. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 自治の確立という視点から考えまして、私は地方財政をめぐる場合、基本的な政策決定の場に全国の知事会や、あるいは市長会などの地方六団体が積極的に参加していくということを考えるべきではないかと思いますが、たとえば外国の例ですけれども、イギリスでは関係大臣、それから地方の組織の代表、関係省庁、それに自治体の役人の代表などで地方財政協議委員会なるものが組織されて、財政運営が決定されていくようになっておりますと聞いておりますが、自治大臣と大蔵大臣との交渉の成り行きを地方はただ見守るだけということではなくて、やはり地方の代表も政策決定に参加できるようにすべきだと考えますけれども、この辺についての御所見を承りたいと思います。
  122. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御承知のように、地方行財政の基本的な問題を御審議いただきます組織といたしまして地方制度調査会がございまして、   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕 地方制度調査会の中には、地方団体の代表者も委員として加わっていらっしゃるのでございますから、十分に御意見を述べ得ておるのでございますのと、いま一つ地方財政審議会というのがございまして、五名の委員が審議会の委員に御就任願っておるのでございますけれども、五名の委員のうち三名は地方団体の推薦なさる方をお願いをいたしておると、かようなことでございます。私も英国の制度を何がしか承知はいたしておりますけれども、日本のかような制度の方がむしろ実際的ではないであろうか、かように考えておりますが、しかし外国の事例等もしんしゃくをいたしながら、今後地方団体のお考えをどのように中央へ反映さしていくか、このことにつきましては十分に検討してまいりたいと、かように考えております。
  123. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 自治省の五十三年度予算要求として交付税率を六・五%引き上げること、石油新税を交付税の対象税目に加えること、公営企業金融公庫を地方公共団体金融公庫に改組すること、法人事業税を外形標準課税方式に改めること、この四つを重点項目として要求をされておったわけでございますが、これらはいずれも実現を見なかったわけでございます。大臣の非常な御努力にもかかわらず実現を見なかった事情といいまするか、経過についてひとつ御説明願えればと思いますが、なおこれらの項目につきまして今後どのような方法でもって、実現を図っていかれるか、あわせてお伺いしたいと思います。
  124. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) いずれも実現を見なかったとおっしゃいますと、私の立場からいたしますと、いやそうではございませんで、相当程度がんばって努力をいたし、ある程度の成果はございましたよと、かように実は言いたくなるような気分でございます。いま交付税率の引き上げ以下四項目についての御指摘がございましたが、私どもどうしても六・四%の交付税率の引き上げを実現いたしたいと、かようなことで大蔵省と交渉をいたしたのでございますけれども、結果的には近く御審議をいただきますような当分の間の制度改正を行う結果になったのでございまして、五十三年度の財源不足は三兆五百億円に達したのでございますけれども、そのうち起債で充当いたしますものが一兆三千五百億円、交付税特会で処置をいたしますものが一兆七千億円、かようなことでございます。そのうち臨時特例交付金として国が交付いたしますものの一千五百億円を控除いたしますと、交付税特会で借り入れをいたしますものが一兆五千五百億円、かようなことになりますけれども、この一兆五千五百億円の借り入れは五十三年度限りではございませんで、五十年度にまで遡及いたしまして、その半分を国が見ると、かようなことになったのでございますから、この半分を計算いたしますと、交付税率の六・五%の引き上げと対比いたしますと、遜色のないことに相なる、かようなことでございますから、名を捨てまして実をとったと、かような考え方でございます。  それから、石油新税が国税として創設されますならば、国税三税ではなしに交付税交付金の対象税目を広げる、具体的には国税四税にしなさい、かような要求をしてまいったのでありますけれども、結果といたしましては、エネルギーのために使いまする目的税的なものにならざるを得ないようなことでございますから、国税の一般財源という形にはなりにくい性格的に石油新税でございますので、したがって、対象税目には入り得なかったのでございますが、しかし石油基地等に交付いたします交付金を大量に地方に交付しなさいと、かような折衝を半面でもいたしまして、このことも予算化ができたのでございますから、これまた目的は若干方向は違いましたけれども、ある程度の成果はあったと、かような見方をいたしております。  それから、公営企業金融公庫の改組でございますが、これもまた法案に盛り込みまして御審議を願うのでございますけれども、なるほどパーフェクトな形においての改組は不可能でございました。また、公営企業金融公庫の名称の変更もできなかったのでありますけれども、私どもの念願いたしておりましたことは、地方団体の普通会計債に公営企業金融公庫が融資をし得る、この道を開くことを目標にいたしたのでございまして、結果といたしましては、すべてのことにということにはまいらなかったのでありますけれども、道路や河川や高等学校に対しまして処置ができたのでございますから、この点は改組ができたと、できると。皆様方の御審議をいただいて法案を可決していただきますならば改組ができる、かような見方をいたしております。  それから最後の、法人事業税におきまする外形標準課税の導入でございますが、ここ数年来の課題でもございましたが、残念なことに五十三年度では実現を見なかったのでございまして、できるだけ早い機会に実現をいたしたい、かような考えでございます。そこで、国税段階におきます一般消費税の議論と絡まっておるものでございますから、地方だけで切り離して処置をいたしますことがなかなか困難でございましたが、いま申しますように、なるべく早い機会に導入をいたしたい、かような考えでこれからも努力をいたしてまいりたいと考えております。
  125. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ただいま触れましたこの公営企業金融公庫の改組につきましてですけれども、道路、高等学校、河川、この三事業だけについて前進を見たと、こういうようなわけでございまするけれども、これらの三事業に限られたのはどういう理由なのか、お伺いします。  さらに、臨時事業になっておりますが、この臨時というのはどのように考えればいいのか。さらに、当初の計画では地方公共団体金融公庫への完全改組であったわけでございますけれども、この改組については今回の措置が終着と考えておられるのかどうか、これ改めてお伺いします。
  126. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 公営企業金融公庫の融資対象事業を今回普通会計債に広げました際に、臨時地方道整備事業など三事業ということにいたしたわけでございますが、これらの地方単独事業は、各団体非常に幅広く実施されている事業でございますし、特に社会資本の充実整備のために、これらの事業を積極的に鋭意促進する必要があるというような事業でございますので、公庫が初めて普通会計債につきまして融資対象にする場合の対象事業としましてきわめて適切ではないか。まことに各団体、個々の市町村に至りますまでそういった事業の対象があるというような点も考慮いたしまして、そういった事業を選んだ次第でございます。  また、御案内のとおりこの改組の際には完全改組というような主張であったわけでございますが、それに対しましては非常な抵抗があったのも御案内のとおりでございまして、その際実質的に第一歩を踏み出すというときには、各団体が融資を受ける対象になり得るような事業を選ぶことも非常に必要であったわけでございまして、また明年度普通会計債に対しまして、これら三事業に対しまして公庫の融資事業は約二千億を予定をいたしておるわけでございますが、この三事業すべてでは五千五百億の事業分量があるわけでございまして、そういった点も考え合わせまして、この三事業で足りるのではないかということを一応いたしたわけでございます。  また臨時という言葉がついておりますが、この法律の御審議の際に御検討いただくことでございますが、当分の間これをやるというような意味ではございませんで、臨時というのは、事業そのものが目下必要であるという意味での臨時でございまして、期間を限ってというような種類のものではない。やはりまだいろいろとこれらの事業についてもおくれているわけでございますから、それを臨時に積極的にやる必要があるという意味での臨時というように私どもは思っているわけでございます。したがいまして、そういうような意味から言えば、当面のところはこの三事業でもって公庫が普通会計に融資する道というのはカバーをされるわけでございますけれども、将来の問題といたしましては、なおやはり地方団体の意見というようなものも、全面改組してという意見もあるわけでございまして、その辺は十分踏まえて対処していく必要があろうと、こう思っておるところでございます。
  127. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 地方財政計画の(2)のところでは、「地域住民の福祉の充実、住民生活の安全の確保等に財源を重点的に配分する。」とありまするけれども、具体的にどのように配慮されておりますか、簡単に御説明願いたいと思います。
  128. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 生活環境施設なり教育施設なり社会福祉施設、住宅等の整備事業につきましては、これらの事業費を相当大幅に増額計上いたしているところでございます。たとえば一、二申し上げますと、下水道等をとりますと、前年に対比いたしまして三四・六%という大幅な増を計上する、あるいは公園事業費その他ただいま申し上げましたような事業等におきまして非常に大幅な額を計上し、それにつきまして国庫補助負担金あるいは地方債計画におきます地方債の増額、そういったような措置をそれぞれの部分についていたしているわけでございまして、内容といたしましてはただいま申し上げましたような各事業に重点を置いていると、こういうことでございます。
  129. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 定員管理の適正化ということが述べられておりまするけれども、具体的にはどのようなお考えをお持ちなのかお伺いをしたいし、あわせて地方事務官の問題についてはどのようになっておりますか伺いたいと思います。
  130. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 定員管理につきましては、御案内のとおり国家公務員につきましても第四次定員削減計画というのをやっているわけでございますが、五十三年度の地方財政計画におきましても、この国家公務員の削減計画に準じまして削減すべき部分は削減をする。その数字は都道府県の一般職員、それから警察の事務職員及び市町村の一般職員合わせまして五千八百二十四人という数字でございますが、これだけの削減計画をやる。また同時に、その職員につきましても必要とする事務事業に伴いまして増加させるべき部分もあるわけでございますので、それらの辺のものにつきましては必要最小限度でございますが、やはり増員を図っていく、こういう差し引きをいたしているわけでございます。財政計画上においてはそういうような計算をいたしているところでございますが、言うまでもなく地方団体におきましての事務の整理統合あるいは事務処理の合理化、それに伴います職員の配置の合理化というようなことにつきましては、地方財政運営の一環といたしまして強力に指導もいたしており、私どもといたしましても地方団体がそういった考え方で対処してもらうということを期待をいたしているところでございます。
  131. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 地方事務官問題につきましては、昨年の十二月の二十三日に閣議決定をいたしまして、政府としての一応の方向を出しておるわけでございます。御承知のように、地方事務官には三つの種類がございますが、そのうち陸運事務所の関係につきましては、そこで行っております車検登録の事務についてはこれは国の方に引き上げると、それから陸運行政の事務については何を地方団体に機関委任するのが適切であるか、運輸、自治両省の間で十分話し合いをする、そういうような形で地方事務官制度を廃止するという方向が出されております。なお、厚生と労働の両省関係につきましては二年以内に廃止するということで、その間で各省間で話を詰めるということになっておるわけでございます。したがって、とりあえずの問題といたしましては、陸連関係につきまして運輸省との間で話を詰めておるわけでございますが、現在の段階ではまだ話はついておりません。自治省といたしましては、陸運行政について地域の実情が十分反映されるような方向で解決をみたいということで努力をしておるところでございます。
  132. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 交通企業の経営健全化についてでありまするけれども、「交通及び病院事業の再建を推進する」と述べられておりまするけれども、どのような具体案をお持ちでお考えになっておりますか。再度の不良債務のたな上げをすべきではないかと、こういうふうに思いまするけれども、たな上げの措置を考えておられませんかどうか。あわせてお伺いしますけれども、公営企業の企業環境の悪化等を考えると一般会計の負担区分の見直しについても考える必要があるのではないかと思いますが、あわせてちょっとお考えを承りたいと思います。
  133. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 交通なり病院の事業につきましては、実は四十一年と四十九年の二回にわたりまして不良債務のたな上げをいたしてきたわけであります。しかも、現在引き続きその健全化のために努力をいたしておるわけでして、各団体におきましては経費の節約なり、あるいは料金の適正化、さらには企業環境の整備等によりまして体質の改善を図っているところであります。国におきましても、国庫補助の制度の拡充なり、あるいは交付税の拡充措置によりまして企業の健全化を図る意味で努力をいたしているところでもあります。自治省といたしましては、今後とも交通事業につきましては現在行われております再建の計画が完全に終わりますように、しかも、この計画自身が着実に実行されるということを願っておりますし、病院事業につきましては、自主的な再建を行っております関係上、その経営の健全化がなお進められまして、不良債務の解消が図られますように今後とも図っていくことが大変大事だろうと思っております。  なお、御質問にございました今後の債務たな上げの問題でありますが、まだ期間が十五年ということでございまして、その期間もありますので、いまのところ再度の債務のたな上げについては考えていないところであります。  さらに地方公営企業につきましても、一般会計の負担区分の問題でありますが、地方公営企業におきましては、一つは経営に伴います収入をもって充てることが適当でないと思われております経費あるいは能率的な経営を行いましても、その経常費に伴う収入のみをもってしては企業が行えないということが客観的にわかりますような場合には、一般会計等においてこれを負担をするということがなされておるわけであります。それ以外の経費につきましては、企業経営の努力に待つほかないという形になるわけでありまして、これが独立採算制をとっているゆえんでもあります。実際には各経営体を見ましても、この負担区分のルールが必ずしも守られているというわけではありませんので、今後ともこの負担区分あるいは一般会計からの繰り出しにつきましては、十分に適正に行われますよう今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  134. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 時間がなくなってしまいましたので、最後に地方税についてちょっと二、三問お伺いしたいと思いますが、地方税については、大臣は今後中期的には国民の租税負担の増加を求めざるを得ないではないか、こういうふうに述べられているわけですが、どのような形を考えておられるのかお伺いします。
  135. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 今日の地方財政を考えますときに、やはり地方財政健全化の観点からいたしまして負担の増を求めざるを得ないと思うのでございますけれども、ただ具体的に現在の税目をどのように拡大をしていくか、あるいは新税をどのように導入してまいりますか、このことは地方制度調査会や税制調査会の御審議の状況を踏まえながら対処していかなければならぬ、かように考えております。
  136. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この法人住民税の均等割の税率と都市計画税の制限税率の引き上げを行うとありますが、どのようになりますか、一言御説明願いたいと思います。
  137. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 明年度の地方税法の改正案は後日御審議いただくわけでございますが、景気対策に矛盾しない範囲内におきましてできる限り地方の財源を増強いたしたいということで、いま御指摘のように、まず第一に法人住民税の均等割の税率の引き上げをお願いしたいと考えております。現在は資本金一千万、一億という段階を区切りまして三段階の均等割の税率を定めておりますが、資本金一億円超の法人につきましては、さらに十億円及び五十億円という段階も、いわゆる大法人につきましてさらに負担の引き上げをお願いしたいと思っておるわけでございます。初年度五十五億円、平年度七十七億円の増収を期待しております。  第二の都市計画税でありますが、住環境の整備あるいは都市施設の整備が大変急がれておりますが、都市計画税は都市施設整備のための目的税であります。その課税をいたしますかどうか及び税率の決め方は、市町村が自主的に条例で決めるものでありますので、法律では制限税率を百分の〇・二と定めております。市町村の財源確保についての選択の幅を広げたいということで、この百分の〇・二の制限税率を百分の〇・三にいたしたいということで御審議をお願いしたいと考えております。増収額につきましては、市町村の判断によりまして条例税率がどうなるかということにかかっておりますが、一応地方財政上はおおむね五百十一億円程度の増収を見込むことにいたしております。
  138. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後に地方税の減税についてですけれども、残念ながら見送りになっておりまするけれども、その理由として地方財政を取り巻く厳しい諸情勢ということを挙げられております。この見地からいきますと、地方財政が赤字な限り地方税の減税は不可能ということになりますが、五十四年度以降の見通しをどういうふうにお考えになっておりますかお伺いいたします。
  139. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 明年度の住民税の課税最低限につきましては、御指摘のように地方財政の苦しい状況等を勘案いたしましてごしんぼういただくことにお願いしておるわけでございますが、五十四年度以降どう考えるかという問題につきましては、しばしば指摘されておりますように、まず課税最低限は所得税とは開きがございますけれども、先進諸外国に比べましてかなりな水準にまで達しております。また住民税、所得税合わせまして個人所得に対する課税の負担水準はわが国の場合かなり低いというのが現実でございます。そういう観点から申しますと、今後一般的な租税負担の増加をお願いしなければならないという課題を一面抱えておりますので、率直に申しまして個人住民税の減税については慎重な態度で臨むことが必要ではないかと考えておる次第でございますが、国民の生活水準あるいは経済情勢等も考え合わせながら五十四年度以降いかに対処するかを税制調査会の御審議も経ながら検討してまいりたい、かように考えております。
  140. 安武洋子

    安武洋子君 私は、まず一番最初大臣の政治姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。  大臣国家公安委員長で公職選挙法違反の取り締まりをなさるお立場ですが、大臣は公職選挙法違反については公正で厳正な態度でお臨みでございましょうか、まず最初にお伺いいたします。
  141. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 御指摘のように国家公安委員長も兼ねておるのでございまして、したがいまして、違反の取り締まり等につきましてはまさに厳正でなければならぬ、このことをみずからに戒めておるところであります。
  142. 安武洋子

    安武洋子君 実は、昨年の十一月の二十八日、大臣に御就任なさったときに、大臣地元秘書が大臣就任祝いとして特級酒五本入りの詰め合わせを関係者に配ってなさいます。一箱一万円もするというふうな物なんです。これには「参議院議員加藤武徳」と、こういう名刺が張ってあります。これは明らかに公職選挙法で禁止されている寄附行為だというふうに思いますけれども、大臣は、何があったか知らないけれども熱心な支持者がうれしさの余りやったことだろうと、一支持者の問題というふうになさって、あわててお酒を回収なさったということで公職選挙法違反ということを免れてはおられますけれども、こういうことをやられたということについて、大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  143. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま御指摘がございましたように、昨年の秋、私が入閣をいたしました際に、地元の秘書が公職選挙法を心得ずして報道機関の一部に対しまして酒を配付したのがわかりましたので、直ちにこれを中止せしめたのでございます。私自身が知らなかったとは申せ、地方の秘書がさようなことをいたしましたことはまことに残念なことでございまして、直ちに陳謝いたしたところであります。
  144. 安武洋子

    安武洋子君 そういうふうに大臣は、これは報道機関によりますとチョンボであったというふうなことを言われながら、さらにことしの二月の二十四日岡山市のグリーンガーデンサンですね、ここの開店祝いに、私はここにきょう写真を持ってきておりますけれども、「加藤武徳」とずいぶんと大きなこういう名前の入った花輪を贈っておられます。これは私は公選法で言う寄附行為、第十四章の百七十九条の四項に該当すると、こういうふうに思いますけれども、大臣はいかがお考えでございましょうか。
  145. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 私はいま御指摘のことは全くの初耳でございますから、事情をよく調べてみたいと思います。
  146. 安武洋子

    安武洋子君 では、事情をお調べになって、私の申し上げている——ここにちゃんと写真がございますから、こういうふうな行為をなさっていらっしゃることが明らかになれば、大臣はどういう政治責任をおとりになりますでしょうか。
  147. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 調査をしてみなければその真相がわからないのでございますけれども、私が全く関係いたしておらず、かつまた私の地方事務所の諸君にも厳に戒めておりますので、さようなことをやったとは私は考えておらないのでございますが、しかし、なお真相をよく調査をいたしてみたいと思います。
  148. 安武洋子

    安武洋子君 くどいようですけれども、これは二月の二十四日、岡山市雄町、ここのところにちゃんと「加藤武徳」として「祝開店グリーンガーデンサン栄」というふうになっております。お調べいただきまして、私は公選法違反の取り締まりの責任を持たれる大臣として、この点はっきりすれば、政治的にやはり私は責任をおとりいただきたいと、このことを強く申し上げます。  次に、私は成田事件についてお伺いをさせていただきます。  にせ左翼の過激派集団によるこの成田空港管制塔襲撃事件についてのけさからの論議でございますけれども、彼らは成田開港実力阻止、これを豪語しております。で、当然、空港そのものの機能、これを破壊するということをねらっていたということはわかっているわけなんです。当局もこのことは予想なさっていらしたと思うんですけれども、付近の人たちの話では、暴力集団は、二十六日の午前中に第二要塞に機動隊を引きつける、こういうふうに宣伝をしたり、あるいは機動隊を鉄塔に引きつけて空港に突入するんだというふうなことを芝山町周辺で口頭で宣伝したりというふうなことがされておりますし、また農民の間でも、暴力集団が空港に突入したら管制塔を攻めると言っていたというふうにうわさが流れているわけです。で、空港機能を破壊する上で最も効果的だという場所は、これはもうだれが考えても、心臓部だと言われる管制室、レーダー室、こういうところであることは当然なんです。当局は一体、管制塔が一番心臓部であると、空港が麻痺すると、こういう位置づけをお持ちだったのでしょうか。そのことをまず最初にお伺いいたします。
  149. 三井脩

    政府委員三井脩君) 持っておりました。
  150. 安武洋子

    安武洋子君 では、そういうふうな心臓部であるなら、ここにどういうふうな体制をしかれていたのでしょうか。
  151. 三井脩

    政府委員三井脩君) そういう心臓部でございますので、その心臓部を所有し管理しておる公団自身が、まずもって物理的にも絶対に入られないという措置をしておりますということであり、われわれもしばしば本当にそうかということで念を押しました。絶対に入られませんと。ここからどうだ、あそこからどうだといろいろやりましたが、絶対に入られませんということで、私たちは全く安心をいたしまして他の方面に力を注いだということでございます。
  152. 安武洋子

    安武洋子君 空港公団の言われることをうのみになさって、御自身では検証もなさらずにおられたと、そして全く安心をされたと、こういうことでございますか。
  153. 三井脩

    政府委員三井脩君) 先ほどもほかの先生お答えいたしましたが、それで大丈夫かということを念を押し、何回も念を押したと。大丈夫ですと、なるほどとわれわれは納得したわけでございます。ところが、結果的には入られたのは何かというと、さっき言いましたように、絶対あけないというキャッツオフがあいておったと、大事なときに。そこが問題であったと。そうすると、大事なときに、公団が言うことでは安心できないから、公団の言うことを疑ってかかって、警察官を公団の人とは別に置くべきであったかという問題点がまた出てくるでしょうけれども、それは自分の施設を自分で守るというように公団自身がやることでありまして、それに対して警察がバックアップするといいますか、さらに前面に出て極左暴力集団に対処するという方の任務をわれわれが担当すると、こういうようにしたわけでございます。しかしながら、御存じのような結果が出ましたので、その辺については今後はどうするかということをさらに検討いたしたいということでございまして、決してうのみにしたわけではありません。たとえば電子ロックがありましたから極左暴力集団といえども入れなかったわけです。それから入った後におきまして、われわれ部隊がこの中にこもっておる極左暴力集団を検挙するために行きましたけれども、電子ロックだからあかない、エンジンカッターで切ろうかとしましたけれどもそれもだめだということで、結局何をしたかといいますと、極左が侵入したと同じコースをたどって極左のおるところへ入っていったと、そのために時間がかかったということでございます。
  154. 安武洋子

    安武洋子君 私が最初に、空港が麻痺するのは管制塔を押さえればいいんだと、それほど重要な位置づけを持っているのかとお伺いしたわけなんです。そういう一番重要なところの認識を持っていると言われながら、空港公団の言いなりに、一番大事なときに一番大事なところがあいていたんだと、そういう御答弁なんですよね。  じゃあ心臓部の方はおきますとして、突破されたゲートですね、このゲート警備体制というのは一体どうなっていたんでしょうか。
  155. 三井脩

    政府委員三井脩君) ゲート体制は適切でありましたから、突破されましたけれどもその場で検挙し排除をしたと、これは任務の範囲内の措置でございます。突破されないで、物理的に一歩も中に入れないで検挙せいというようなこともありましょうけれども、それをするためには空港の外にもう一つへいをつくって、二重三重にへいをつくらにゃいかぬわけでありまして、さようなことは今日のわが国ではできないわけでありますから、その程度突破されるということは計算の中に入っておりまして、部隊の任務の遂行としてはりっぱにやったと考えております。
  156. 安武洋子

    安武洋子君 心臓部管制塔も突破された。ゲートも突破された。ゲートの突破はこれは計算に入っていたからやむを得ない。しかし、両方ともこれじゃ警備が不十分だったということになるじゃありませんですか。というのは、ゲートの突入に際して暴力集団は待機していた数百人の機動隊、放水車、装甲車、こういう遮断するものがあるにもかかわらず、まるでパトカーに導かれるようにゲートを突入しているということが言われているわけです。パトカーがやはり逃げていくと、その後について半開きになったところから入るというのは、これはさっきおっしゃったように、当然突入が予想されていたというお答えに当たるんじゃないかと思うんですけれども、わざとおあけになって、わざとパトカーで導かれたんですか。そういうふうにもとれちゃうんですけれども、いかがなんですか。
  157. 三井脩

    政府委員三井脩君) パトカーが外部状況を、彼らの動きを、情報をとらなきやならないということで、パトカーが外で活動をしておったわけでございます。これは前回の二月六日のときにも私服の要員が同じように覆面パトカーで警戒中、火炎びんで襲われ、二人とも重傷を負ったという事案がありますが、今回は制服のパトカーで、一見してパトカーとわかる白黒塗りでやったわけでございます。つまり極左暴力集団が行動、デモをやり、あるいはデモを外れて行動するわけでありますから、その状況を把握しなきゃならない。そうすると何百人とおる極左暴力集団のところに近づかなければならない。それにはおのずから危険が伴うわけでありますけれども、その危険をあえて冒して情報をとらなければ適切な警備はできないということで、パトカーが出かけておりましたが、これが相手方の、トラックに乗り火炎びんを持った二台のトラックに後を追われた。したがって部隊のおるゲートから中に入る。中にパトカーが入るわけでありますから、閉めておった門を開く、そしてすぐ閉じるという動作をいたしましたけれども、そのときに物理的に間に合わないということはあり得ることではあります。したがいまして、そこにおった部隊がこれを包囲して逮捕した。入った中の大部分を、いまパトカーに追われたという事案については車二台に乗っておった六名でございますが、これは全員逮捕いたしました。その後八の二ゲートから三百名近くの集団が入ろうとしたやつにつきましても、これは三十六名を現行犯逮捕し、あとをゲートの外に排除しておるということでありますから、それはちゃんと任務を果たしたものというように私たちは考えております。ただ、一歩も入れないで、しかも全部検挙すると。一歩も入れなければこれは検挙できないわけです。端的に言いますと、侵入になりませんから。入って初めて建造物侵入になるわけでありますから、この場合は火炎びんを持っておるとか、いろんな他の罪名で捜査的に検挙するということはまた事後捜査としてはあり得ると思いますけれども、現場では目の前で入ってはならないところに入ったと、その現象によって逮捕するわけで、入らなければ逮捕できない。入れて逮捕したということは、当該部隊、配置された部隊は任務をりっぱに果たしたものと私たちは考えるわけでありますが、その入り方が十メートルのところで逮捕すべきであったとか、あるいは百メートル入ったのはいかぬとかという点につきましては、当該状況の中におけるその部隊措置の上手下手ということは評価としてはあり得ると思いますけれども、警察部隊としてなすべき犯罪の制圧、検挙という任務はりっぱに果たしておるというように考えておりますので、突破された突破されたといろいろ言われておりますけれども、私たちは突破されたものとは思っておりません。突破されたのは先ほど、朝も言いましたが、マンホールから入ってきたあの一件でございます。この一件が上まで入ったと。あれもマンホールへ入って一階の管理棟のところで、エレベーターのところで五名逮捕しましたが、あれを五名じゃなくて十五名とも逮捕しておれば、りっぱな任務の遂行だと思います。ただ五名逮捕してあと十名上へ上がられたという点が失敗であったと、間違いであったと、これが遺憾だというように考えておるわけでございます。
  158. 安武洋子

    安武洋子君 先ほど私への御答弁の中で、二台の彼らの車に追われてパトカーが逃げてきたから門をあけて中へ入れたんだ、こうおっしゃった。前にも火炎びんを投げつけられたことがあるんだと、こうおっしゃったんですね。危険だからパトカー逃げている。危険を感じて逃げているんでしょう。相手追っかけてきているんでしょう。そんなものが中へ入らないと逮捕できないんですか。そういう危険な目に遭っているのに、警官がいるのに逮捕できないんですか、パトカーが彼らを。
  159. 三井脩

    政府委員三井脩君) これは物理的に計算の問題でございまして、こちらは二名でございます、パトカーは。
  160. 安武洋子

    安武洋子君 中へ入らないと逮捕できないと言われたんですよ。
  161. 三井脩

    政府委員三井脩君) 中には、後ろについておりますのは、この場合は六名。六名が二台のトラックに乗り、火炎びんを持って襲撃をしてくる、こういう状態でありますから、二名対六名で、しかも向こうは火炎びんを投げる、こういう状態の中で、火炎ぴんというものは一発これを食らいますと大変なものであります。そういう無用の犠牲を払わないで、この二人は先ほど申しましたように情報収集が目的なんです。したがって、情報をとって中に入るというのは、これまたりっぱに任務を果たしておるわけでありまして、追尾して、この二人に情報をとられてはいかぬと思って相手方は攻撃してきたわけでありましょうけれども、この六名は全部門の中へ入ったところで検挙しておるということでありますから、これはりっぱに任務を果たしておるというべきだと思うわけでございます。
  162. 安武洋子

    安武洋子君 いま先ほどは中に入らないと逮捕できない、外では逮捕できないと言われたんですよね。しかし、自分が追われていて危なかったらなぜ逮捕できないのかという私の質問に対する御答弁にはいまはなっておりませんですよ。それで、そういうふうにそこは突破された、そして管制塔の中だけが心配だった、こういうふうに言われるんですけれども、管制塔の中は大事なところがあいていたと。一番大事なときに一番大事なところがあいていたと。そしてあなたたちは犯人を追っていかれたけれども、結局、犯人の通ったところしか行けなかったと。不思議でしょうがないわけなんです。大体管制塔に入った暴力集団というのがエレベーターで七階まで上がっている。そしてそこで職員用のエレベーターに乗りかえて十三階まで上がっている。そして今度は運用管理室に上って、それから十四階の非常口のベランダに出て、パラボラアンテナを伝って中央管制室侵入しているわけなんです。そうすると、こういうことが本当に敏速にできるということは、そしていかにあなたたちがお探しになってもこの道しかなかったということは、彼らがこのことを、こういういう経路があるということを事前に知らなければ、こんなに敏速に行動とれませんですよ。そのことを不思議にお思いになりませんですか。
  163. 三井脩

    政府委員三井脩君) 私たちも大変不思議だと思っております。
  164. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、不思議に思われたらどういう捜査を進められますか。
  165. 三井脩

    政府委員三井脩君) その点、捜査中でございます。
  166. 安武洋子

    安武洋子君 捜査中って、どういうふうに捜査なさるんですか。彼らがこんなに詳しいということは、だれか通報する者があるのか、手引きをした者があるのか、彼らが事前にそういう地図を持っていたのか、何だとかいって、疑う範囲というのは決まってくるわけでしょう。だから、どういう捜査をお進めになるんですかということを伺っているんです。
  167. 三井脩

    政府委員三井脩君) そういういまおっしゃったような角度から疑いを持っておりまして、捜査をしておるところでございます。
  168. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、この管制塔に入ったときに、私はまず素人でも疑問に思うのは、エレベーターに飛び乗ったと。そうしたらエレベーターをとめるというふうなそういう装置、ないんですか。それから、ロックがいろんなところにしてありました——私は羽田に行きました。なかなかいろんなところに通じられないというふうに厳重なロックなんですよね。そういうふうなものがこういう経路を通っていくどこかの段階であるんですか、ないんですか。そういうものを設けてないということは、これは欠陥の建物になる、警備上。そういうふうにお考えでしょうか。たやすく侵入できるということになれば、今後に大きな問題を残すわけなんです。というのは、開港しても、いつだってこういうところを犯人に占拠されて空港そのものが麻痺するということは、国民に大きな不安を与えますし、国民だけでなくって国際的にだって大きな不安を与えるという重大な問題を含んでいるんですけれども、警備当局としては、こういう建造物自体に大きな警備上の欠陥があるというふうにお考えなのでしょうか、どうなんでしょうか、その点お伺いいたします。
  169. 三井脩

    政府委員三井脩君) 二面あると思います。一つは物的施設的な面、もう一つはそこで働く、あるいは勤務する人、あるいは管理する人、この物的、人的両面から今回結果的には侵入され、破壊されたと。事前の対策としては大丈夫であるというようないろんな措置が講じられておりましたけれども、そういう結果を生んだ原因はどこにあるのかというような点について十分調査検討の上、対策を講ずるということにいたしております。この点につきましては、運輸省、公団も同じ意見でありまして、むしろ公団自身があそこに入れないと絶大な自信を持ち、われわれが念を押しても大丈夫ですと、胸を張っておったのが入られたという点については、公団自身が大変反省をされておるというようなことでもありますし、われわれの意見等をも十分に反映をして物的な点で施設を改善、強化をする、またそこに勤務する人たち等の人的観点から、せっかくの電子ロックがありましてもいざというときにあいておるというようなことでは、これは何にもならない。どういう場合にどういう措置をするのかと、こういうような点について十分な訓練といいますか、心構えといいますか、そういうような点について問題はなかったかという点での検討、対策というものを進めていただくようにいたしておるところでございます。
  170. 安武洋子

    安武洋子君 物的にはもっと具体的にどこに欠陥があるのですか。電子ロックがあいていただけのことなんですか。その点をお伺いいたします。
  171. 三井脩

    政府委員三井脩君) その点は、詳細は目下検討中でございますので、ただ一つであったのか、いろいろな不運なミスが重なったのか、そういった点もいろいろありますので、これは目下十分に検討中でございます。
  172. 安武洋子

    安武洋子君 内部に非常に精通しているとしか思えない人たちの犯行ですよね。そうすると、私がもっと不思議に思うのは、これは壊されたら数カ月はかかるであろうと言われる、空港関係者が指摘している七階のレーダー室、ここを破壊すると、これはもう数カ月空港が麻痺するわけなんです。ここでわざわざエレベーターを乗りかえて、ここへは行かないでそしてほかのところに行っているというのは、これは不思議とはお思いになりませんか。
  173. 三井脩

    政府委員三井脩君) したがいまして、先ほど内部に精通した人がやったんではないかと、こういう疑いがあると、疑いが考えられるとおっしゃいましたけれども、いまのような点から言うと、またそうでもないというようなこともありますし、また考えようによってはコントロールタワーは外からも見える、見晴らしもいいというところなので、コントロールタワーというのは、レーダー室とかそういう名前で言うよりは、空港心臓部であるというような印象が一番ぴったりするので、そこをもっぱら——終始そこをねらったということであるのか、こういうような点はいろいろな角度の見方もありますので調査をしておると。また本人は逮捕された被疑者でございますので、捜査という観点からも調べておるということでございます。
  174. 安武洋子

    安武洋子君 警備の御専門家なのでしょう。だから、私たちが、素人が考えてもこれだけの大きな疑問を提出しているわけなんです。警備の御専門家が、非常に精通しないと入れないと、こんなもの、ロックがあって、そしてパラボラアンテナまで伝わっていろいろ行っているわけなんですよ。警備の専門家がその後を追ってしか中に入れなかったと、こうおっしゃるぐらい、それぐらい精通している人たちが、いまおっしゃったように、見晴らしがいいところだからそれが心臓部だろうと、そんなことがあり得ますか。やはり私はとっても不思議だと思わざるを得ないわけなんです。そして、やはり先ほどからのいろんなお話を聞いておりますと、管制塔への攻撃、これを援護するために空港ゲートでの突撃劇が行われたのではないかというふうに思わざるを得ないわけなんです。といいますのは、前日には水素ボンベを積んだトラックが押収されておりますね。当日にも突入に使用された改造トラックや、それからドラムかんを積んだトラック、一目で異常とわかるようなトラックが周辺を走っているわけなんです。一目で異常とわかるような車がなぜやすやすとゲートに近づけたのか、だれでも疑問に思うのですけれども、この点いかがなんでしょう。
  175. 三井脩

    政府委員三井脩君) そういう状況を把握するために、パトカーがいわば単機出陣をいたしまして、危険を冒して状況を把握しておったが、そのトラックに襲われた、追いかけられたと、こういう状況でありまして、状況を把握するために努力をしておった。で、彼らが来たのでその部隊がこれを制圧し、検挙したということですから、ただいまおっしゃるように、もっと、たとえばトラックがどこかの車庫から出てくるなら、その車庫から出てくるところを押さえたらどうかとかというような処理の上手下手という点については、私たちは今後も研究の余地があると思いますが、先ほど、話はあるいは違うかもしれませんが、こちらが失敗して突破されたとかというような問題ではないということでございますが、先ほどそれを申し上げたわけでありますが、いまの問題についてはそういうことでありますので処理をいたしました、検挙をいたしましたということでございます。
  176. 安武洋子

    安武洋子君 とんでもございません。あなたたちはそんなに情報の収集が、わずかパトカー一台がうろうろ出て行ってしなければ情報収集ができないというふうなことではなくて、もっと優秀に情報をお集めじゃないですか。と言いますのは、警備当局の中でも、第二要塞のああいう開港に直接関係のないところに勢力を集中すれば、たやすく彼らの術中に陥ってしまうんじゃないかという、そういう討議が交わされたということも聞いているわけなんですけれども、これじゃまるでやすやすと彼らの術中に好んで陥ったというふうな感じさえするわけなんです。パトカーがうろうろしなければ情報収集できないというようなものじゃなくて、前から彼らの動きを察知し、それに備えていろいろ警備体制をおしきになるわけなんでしょう、そうじゃないですか。
  177. 三井脩

    政府委員三井脩君) 情報には二つございまして、警備体制をどう組むかというような大きな意味での相手方の出方とか、相手方の動員数に関する予測に必要な資料だとかという情報は、何もそばへ行って会議を聞かなくても、見なくてもわかることでございます。そういう情報収集の方法は私たちは持っております。ところが、現実にこれを逮捕したり、あるいは措置をするというような具体的な警察措置をとるためにはそんな情報では役に立たない。現実にそれはどこを動いておる、何に乗っておる、したがって、二台ならそれを押さえるためにはどの場所でどういうブロックの仕方をして、これをどういうふうにやるか、それ自身陽動作戦であるかもしれないというようなことをよく見るためには、現実にこの目で見なきゃならぬ、それにはおのずから危険を伴うということで、あえて危険を冒しても、その種の、これをわれわれは現場情報と言っておりますが、現場情報活動をやらなければならぬと考えるわけであります。  また、先ほどのいわゆる横堀要塞は向こうの陽動作戦であって、これに警察部隊を引きつけて空港突入の守りを薄くすると、こういうようなことは私たちは向こうがそういうことを考えるであろうということは、もう先刻私たちの方で計算済みでございます。したがいまして、一万四千、一万三千というような部隊動員し十分な余裕を持ってやったわけでありまして、横堀に部隊を——あの最中は横堀を囲んでおればいいわけでありますから、横堀の部隊はあそこで横堀の要塞を囲みつつ、同時にこれは誘導部隊の任務を持っておったわけでありまして、第七ゲート等に入ろうとする者、これは横堀におった部隊によって措置をいたしておるということでありまして、陽動作戦に向こうはひっかけるつもりでありましたけれども、こちらはひっかかっておらないということでございます。
  178. 安武洋子

    安武洋子君 ひっかかっていないのに管制塔をやられてしまったわけね。付近の人の話では、当時の主要道路での検問というのはほとんど行われていなかったということが言われているわけなんです。で、機動隊は空港内にいたとさえ言われているわけなんです。一体、当日の検問体制はどういうふうな検問体制だったんですか、それをお伺いいたします。
  179. 三井脩

    政府委員三井脩君) 検問体制と言えますのは東関道の検問、つまり成田から遠く離れたところでの検問これが第一でございます。これは主たる検問の、当日の検問はそれに意味があるわけです。したがって、三月二十六日当日に至らないもっと前の段階では空港に近いところと遠いところと両方でやるわけでありますが、当日は遠いところでやる。いわば、当日は先ほど言いましたように彼らが集会をやり、デモをやると、一方それとは別のところに菱田小学校跡におってこれが千五百名が数隊に分かれて行動する、こういう状態の中でありますから、彼らの動きをわれわれはキャッチをいたしまして、空港を守るという第一任務を達成するというために行動しておったわけでありますから、もう相手方がいわば戦闘体形を組んで出てくる、そんなものは検問の必要はない、検問では間に合わないと、逆に言えば。という状態でございますから、部隊によって措置をする、入ってきた者は検挙すると、こういう措置をとったわけでございます。
  180. 安武洋子

    安武洋子君 当日こそ遠いところ別に要らないわけでしょう。近くを一見不審な車がうろうろしているのを検問もやらないで、そうして放置するということが不思議だと言っているのです。なぜそういうことをなさるのですか。
  181. 三井脩

    政府委員三井脩君) 検問は、彼らがいわゆる成田周辺の団結小屋等を中心とした拠点にいろいろのものを運び込んで、そこで不法な攻撃の準備をする、そういうたとえばガソリンであるとか、あるいは空きびんであるとか、その他いろいろなものを持ち込ませないということを検問によって発見し、押さえるというのが主たるねらいでございます。したがいまして、当日はもう彼らはさっき言いましたように、菱田におる、後でもおるという状況はわかっておるわけです。また、彼らがもう出てくるときには火炎びんで武装したり、あるいは鉄パイプを持ったり、もうすでに準備をしたものを持って身につけてくると、これはもう検挙しかないわけです。検問では間に合わない。検問というのは、わずかの警察官で相手方が集団を組まずにばらばらにぱらぱらと来るやつを、一般人に紛れて来るやつを、一般人の中から選別して、それで検問するというのがあれでありますから、もう彼らが集団を組んでくると、これはもう悪いことすれば全員検挙、した段階で検挙と、こういうことでございますので、検問の問題じゃなくて逮捕の問題、つまり警備実施の問題。となりますと、どこで警備実施をやったら一番彼らを検挙でき、かつ、彼らは空港に入ろうとするわけですから、空港に入れないで、彼らを制圧するというにはどこがいいかと、こういうような戦術的観点というものを加えて、全体的な情勢判断の中から措置をするということでありますから、大変単純化して、大ざっぱに申しますと、検問の段階はもう過ぎておると、そういうところの措置でございます。
  182. 安武洋子

    安武洋子君 いまのお話でも、第四インターの暴力集団が菱田小学校跡で集結している、それでゲート付近に大量の火炎びんを持って大挙して近づいてくる、こういうことわかっていると。じゃ、なぜそれを有効に防ぐということがおできにならなかったんですか。その原因は何ですか。
  183. 三井脩

    政府委員三井脩君) 菱田を三隊に分かれて出たわけでありますが、これは第五ゲート、第七ゲート等に一隊が来る、これは先ほど申しましたそのゲート警備に当たっておる部隊並びに横堀要塞におる部隊、これによって処理をいたしましたので彼らは突破はできませんでした。五から七へ行くということで彼らは移動したわけであります。ということで次々に移動いたしまして、第八ゲート、第八の二ゲート、それから九ゲートというところにやってきたわけでありますが、そのときに、さっき言ったように中に入りましたので検挙できたと、第七、第五では中に入りませんでしたので検挙に至らずということでございます。
  184. 安武洋子

    安武洋子君 何だかりっぱに警備をしたというふうな、しかし結果的には管制塔がやられてしまっているんですよ。それで、けさ方の御答弁の中では、マンホールの穴さえふさいでおけばよかったんだと、こういう御答弁がありましたですけれども、警備をするときにどこだってマンホールを点検するというのは、これは警備の初歩の初歩じゃありませんか、そうはお思いになりませんか。
  185. 三井脩

    政府委員三井脩君) 全体の警備の中で、けさほども申し上げましたが、大きなゲリラ行動が十一件ありまして、そのすべてについて犯人を検挙しておるわけであります。ただ一件だけマンホールから入った連中が、措置が十分でありませんでしたので、これをまた、二十名入って五名は門から逃げて、あとの十五名が中に入ったと、これの追尾がうまくいかずに、結局管制塔の中に入られ、あれだけのダメージを受けたと、これがいかにも残念だということを申し上げておるわけでありまして、結果が大変なことになったということについて、われわれ大変遺憾に思っておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げたように、このマンホールから入られたという件を除きましては、それぞれ任務を達成しておると思うわけでありまして、一つでもああいう被害を出したから、全体としては任務を果たしてないと、こういうことになるわけでありますから、その点については遺憾だと申し上げておるわけでありますが、マンホールにつきましても、千近い、数百あるわけです。それについてはみんなそれぞれ措置しておるわけです。ところが、あの一件だけがそういう措置がされなかったと、一カ所だけが。それがどういうことなのかということは、われわれにとっても大問題でございます。したがいましてこの点については、一件一件詳細にどうなったかという調べの中で、そこがなぜああいう欠陥マンホールといいますか、警備上の欠陥の個所になったのかということを重大な問題としていま調査をしておるということでございます。さようにけさから申し上げておるわけでございます。
  186. 安武洋子

    安武洋子君 一番大事なマンホールのところを抜かして、そしてほかのところは防ぎとめたから警備体制はほかのところでは成功したと、こうおっしゃる。しかし私は、ほかのところで陽動作戦で、彼らにやすやすとマンホールから入らすというふうな警備体制が組まれていたのではないかと、こういう疑問を持たざるを得ないわけです。私は、疑問をやっぱり挙げていくと、枚挙にいとまがないと思うんですよ。これは世間でもそういう疑問をたくさん持っているわけです。ですから国際的にも非難が集中しておりますし、私はこの問題、徹底的にやっぱり厳正な態度で厳重に彼らを逮捕し、そして取り締まるということをやっていただかないといけないと思うんです。断固として捜査をされ、そして取り締まりをされ、措置をされますか、そのことを私は大臣にお伺いいたします。
  187. 三井脩

    政府委員三井脩君) 大臣の前に私からお答えいたしますが、全体につきまして、私たちが一生懸命これを制圧し、捜査をしておる、取り締まっておるということはるる申し上げておるところでございますが、いま特にマンホールから侵入管制塔に入ったあのグループの捜査ということでありましたら、二十名のうち五名は警察官に誰何されて火炎びんを投げて八ゲートから逃げました。十五名は全部検挙いたしました。したがってあとの捜査は、さらに彼らの共犯等を捜査するということでございますが、この点については当然の捜査として進めておるということでございます。
  188. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 警察といたしましては、警備の万全を期したつもりではおりましたけれども、きわめて残念な事件が起きてしまいました。関係者を検挙いたしまして、徹底的に糾明をいたしますと同時に、今後かような事件が惹起いたしませんように最大の努力をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  189. 安武洋子

    安武洋子君 警備局長は一生懸命警備したと、こうおっしゃいますけれども、では伺いますけれども、いままで過激派の集団が彼らの機関紙で、たとえば千葉県の佐倉のVORに火炎びん闘争をしかけたと、こう言っているわけです。それで、いままで空港とか、それから空港保安設備とか、それから航行援助設備、こういうものが彼らの攻撃の対象にされた事例がいままであるのかないのか、このことをお伺いするのと、それから被害の程度は一体どういうふうな程度なのかということ。それと、これは未遂事件も含めてお伺いいたします。そして、私はこういう資料をお出しいただきたいと思います。まずお答えください。
  190. 三井脩

    政府委員三井脩君) 空港関連施設を攻撃し破壊すれば、空港開港を物理的におくらせることができるということは、彼らはかねて考えておるところであるというように私たちも見ております。したがいまして、そういうものについては十分体制をとっております。いままでのところ、それを襲ったのはありますけれども、そのためにその機能が損われるような被害を受けたものは一つもございません。警備もやっておるし、また個々の、これは航空局であったり公団であったりするわけでありますけれども、そういうところがみずからの施設としてこれについても物的強化をし、必要なところにはガードマンを配置するというような措置もとっておりますし、私たちもまた、そういう中で警察警備的な観点から必要な措置をとっておるということでございます。
  191. 安武洋子

    安武洋子君 私の質問お答えにはなっておりません。私は、いま言った空港とか、それから航行援助施設とか、こういうものが彼らの攻撃の対象にされた事例があるのかないのか、こういうことをお伺いしているわけなんですよ。そしてそれが被害の程度はどれぐらいであったのか。何も空港が麻痺して機能が破壊されたかどうかと、そういうことをお伺いしておりませんです。未遂事件も含めて。先ほどお伺いしてあります。
  192. 三井脩

    政府委員三井脩君) いま申し上げましたように、襲われた事例はありますけれども、大した被害はありませんでしたということを申し上げておるわけであります。大したことのない被害の中身はどの程度かというあるいは御質問かと思いますけれども、それはいま直ちに承知いたしておりません。
  193. 安武洋子

    安武洋子君 その事例は何件ほどあるのかということもお伺いしているわけですよ。
  194. 三井脩

    政府委員三井脩君) 相当数あります。相当数ありますが、一々我が覚えておらない程度の被害ということでございます。
  195. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、覚えていらっしゃらなければ、資料を後でお出しいただけますか。
  196. 三井脩

    政府委員三井脩君) よく検討して、資料の提出の件については検討の上処理いたします。
  197. 安武洋子

    安武洋子君 なぜそういう資料ぐらいさっさとお出しになれないのでしょう。未遂事件も含めて、被害の額も含めて、私はそういう資料ぐらいはさっさとお出しいただきたい。そういう資料もさっとお出しいただけないと、やっぱり何かあるのかというふうに思っちゃいますからね。  私、けさからの御答弁を聞いておりましたら、彼らに対して社会の構造の中に甘やかしがあるんだ、こういう御答弁なんです。しかし私はそうじゃないと思うのですよ。こういうにせ左翼の暴力集団が大手を振って蛮行に蛮行を重ねている背景には、彼らが依然として日常的には学園を根拠にしてここで勢力を温存している、こういうことがあると思うのです。内ゲバが行われる、暴力行為を繰り返している、こういう事件、彼らはもう本当に無法状態、やっていることとこの成田の問題と密接な関係があるわけなんです。  それで私はお伺いいたしますけれども、昨年の十二月の九日に発生している東大の内ゲバ殺人事件、それから一月の二十七日に水戸市で発生しております茨城大の内ゲバ殺人事件、これはどう捜査をされて、そして検挙を含む被疑者数などの事件概要、これをお聞かせ願いたいのですけれども。
  198. 三井脩

    政府委員三井脩君) いまの事件はいずれも内ゲバの結果被害者が死亡した事件であったと思いますけれども、目下捜査中でございます。したがいまして、捜査の程度その他については、個々の事件については捜査中でございますので申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、鋭意捜査中でございますのでその点については御安心をいただきたいと思います。
  199. 安武洋子

    安武洋子君 甘やかしの構造が本当に社会的にあると人ごとのようにおっしゃいますけれども、私はそういう御姿勢の中にあると思うんですよ。彼らが学園を根拠にして内ゲバ事件とかそれから破壊行為、これを繰り返しているにもかかわらず、一般の刑事事件とは異なって被疑者数に対する検挙人員の低さ、それから捜査のおくれ、さらには送検後も起訴人数が低い、こういうふうなことの中にも彼らの暴力に対して断固たる処置が行われているとは思いがたい。私はここに重大な原因があると思うのです。  さらに、甘やかしているということについては、もうたくさんの証拠があるわけですけれども、一九六七年の十月には、当時の木村官房長官が、羽田事件の対策には強硬な対策はとらないことにした、こうおっしゃっている。あるいは一九六七年の十一月には、保利茂氏が、三派全学連は泳がせておいた方がよい、こうもおっしゃっている。あるいは一九六九年の八月には、坂田文部大臣が、非常識な学生のおかげで大学法案を通すことができたとおっしゃっている。あるいは中曽根元幹事長が、一九六九年の五月に、彼らの暴走が市民層を自民支持につなげる役割りを果たしている、こうおっしゃっている。こういう言動の中にはっきりとあらわれているように、彼らの暴走を許して彼らを甘やかせている私は政府の責任は重いと思うのです。こういう点について大臣にお伺いいたします。大臣、こういうことについてどうお考えなんでしょう。
  200. 三井脩

    政府委員三井脩君) 事実関係をちょっと申し上げますが、いまのお話ですとわれわれが甘やかしの一人であるような印象を与えますけれども、私たちはそんな甘やかせなどということとは全く無縁でございまして、厳しく取り締まっておるという点は事実問題として十分御認識をいただきたいと思うわけであります。たとえば彼ら極左暴力集団を取り締まるために警察官は大変な、命まで落とすぐらいの努力をしておるわけでございます。また、これをもっとほかの数字で申しますと、たとえば、ただいまお挙げになりました内ゲバ事件というのは、最近では昭和四十九年が最高でありまして、昨年は昭和四十九年の十四分の一の発生ということでありますから、これは世論の批判もありましょうし、また何よりも第一線で彼らの違法行為を取り締まっておる警察努力の結果ということも大きくあずかっておるという点を御認識をいただきたいと思う次第でございます。
  201. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 学園の自治は尊重されなければなりませんけれども、治外法権では断じてないのでございますから、私どもは学校当局と緊密な連携をとってまいりながら学園の紛争等にも厳正に対処していかなければならぬ、かように思います。  それから、先ほど、何名かの方の発言をとらえてのことでございましたが、政府なりあるいは自由民主党が極左暴力集団に対して甘い考えを持っているとは断じて思っておらないのでございまして、今後も厳正な態度で対処していかなければならぬ、かように考えております。
  202. 安武洋子

    安武洋子君 私は、現場の個々個々の警官のことなんか言っておりません。現場の個々個々の警官は一生懸命やっておられるでしょう。しかし、警備に当たられる責任者の方がいままでどういう態度をおとりになったかということを、私はいろいろ挙げて言ったわけなんですよ。本当に彼らに対して厳正な警備をやられたか。やっぱりおかしいじゃないかという疑問点を幾らも挙げた。やはりそこの中に、彼らに対して政府にも、いろいろな言動に見られるように甘やかしがある。そして警備の中にもうんと手抜かりがある、おかしいということを言っているわけです。  ですから、私は重ねて申し上げます。厳正な取り締まりをして再びこういうことの起こらないようにやっていただきたい、このことを強く申し添えまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
  203. 向井長年

    ○向井長年君 大臣初め関係者に私はまずお聞きしたいのですが、この成田問題について昨日から昨晩にかけて、どのテレビのチャンネルをひねっても、御承知のようなあの状態が国民に知らされております。一方においては、火炎びんを投げる、そしてレーダー初め管制塔に上ってハンマーで破壊している、この姿。一方においては、警察当局警備に当たられて、放水並びにガス弾の発射。こういう状態を見たときに、国民はこれに対してどう考えるか。あなたたち、どう見ているのですか。恐らく近代民主国家でこんなことがあっていいのであろうかという感じです、国民気持ちとしては。非常に不思議ですよ、これは。赤軍過激派の行動に対してはもちろん怒りの眼で国民は見ていると思います。しかしながら、あの現状を見たときに、わが国がこういう状態でいいのであろうかという一つの問題、あるいは国際的に見た場合に、いま円高なり国際収支のあの状態の中でわが国に対する批判が強い、これにあわせて、今後できるであろうわが国の玄関、不安で、わが国に諸外国からはそう簡単に来られないぞという感じですね。いわゆる批判とそれからまたそれに対する不安と、これが国際的にもつのっておると思うのです。いま学内の内ゲバ等の問題が出ましたけれども、これはこれなりに一つの問題として提起しなければならぬけれども、今回の問題は国際的に大きな波紋を投げたと思います。  私は、これに対して、なぜこういう問題が起きてきたか、過激派の行動は別としましても、まず考えられることは、一つには、政府の取り組みが全く十分じゃないということですよ。政府運輸省に任しておる、運輸省は公団に任しておる、そして公団は警察に依存しておる。この状態が一昨日の状態であらわれたんじゃないんですか。こういう点について、まず私は自治大臣初め公団あるいはまた運輸省にお聞きしたい。本来これは総理初めあるいは各大臣に聞くことでありますけれども、きょうはこの地方行政委員会でございますから、担当の皆さん方がこれに対して十分な取り組みをしたと考えられるのかどうか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  204. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 向井議員がおっしゃいますように、国民の眼から見ますと治安のいい日本だ、また、とんでもないことは余り起きない日本だと、かような気持ちを持っておるにかかわらず、あのような事件を目にいたしまして、これで本当にいいのか、かような心の底からの怒りを国民が感じておるのに間違いがない、かように思うのでございます。かつまた、国際的にも威信を失墜いたしまして、本当に残念至極な事件でございます。ただ私どもは、その立場、立場におきまして最善を尽くしておる、かようなつもりでおるのでございまして、ただいま運輸省や公団のことにもお触れになられたのでございますけれども、私はさようなことはあってはならぬことでございますし、少なくも警察におきましては最善を尽くしてきたつもりでございますが、今後もまた同様の決意をもって臨んでいかなければならぬ、かように考えているところであります。
  205. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 空港問題につきましては、運輸省といたしましては航空法で公団は管理しておりますし、それから公団は、公団法に基づきまして新空港の設置、管理等は一元的に所掌しているところでございます。そしてこの新空港の問題につきましては、これは国家的大事業でございますので、騒音対策その他各種法制面につきましては運輸省当局といたしましては、鋭意その対策には努力してきたところでございますし、また公団とも十分連絡を密にしてきまして十分努力をしてきたつもりでございます。また警備方面につきましては、最近の情勢判断から、空港あるいは航空保安施設警備等につきましては、警察当局とも十分連絡を密にしてきたところでございますが、今回のような事件管制塔に暴徒が侵入いたしまして、機能が麻痺、これから修復作業を現在すでに始めておりますが、残念な事態であったと思っております。
  206. 町田直

    参考人(町田直君) 開港を目前にいたしまして極左暴力集団によりまして管制塔被害を受けましてまことに残念でございますし、また申しわけなく存じておる次第でございます。先生御承知のとおり、成田空港は大変長い歴史がございまして、十二年間かかりまして用地の買収あるいは施設の建設ということを進めまして、やっと開港ということにこぎつけたわけでございます。その間にいわゆる農民の反対運動というものも引き続きございましたけれども、それが現時点におきましては、農民の反対運動というものに名をかりたと申しますか、逆に——逆にと申しますか、反権力闘争というものが中心になって、あらゆる開港に対する妨害を行ってきたわけでございます。これに対しまして、私どもとしては、農民対策というものは当然積極的にまた熱心にやるということを考えると同時に、いわゆる反権力闘争を進めておる人たちに対しましてはこれはもう話し合い、説得という余地はないんじゃないか、こういうことを考えまして、こういう人たち暴力行為に対しましては、公団といたしましてできる限りの施設、あるいは私どもとしてはガードマン等を雇いまして防備をするということと同時に、警察治安御当局にお願いをいたしまして、そういう極左暴力行為に対しましては治安当局の御努力によりまして防いでいく、こういう形でまいったわけでございます。こういう状態が依然として続いておることは事実でございますけれども、かと申しまして、現在のわが国の内外の国際事情から申しまして、成田空港開港せざるを得ないという状況にございますので、一方ではそういう極左暴力行為というものを十分に治安御当局のお手をかりまして排除しつつ、世界の玄関として恥ずかしくない、また危険でない空港にしたいということを念願いたしておった次第でございます。たまたまというか、今回こういう事故が起こりました。開港の日にちも延期せざるを得ないということになりましたけれども、しかし政府、治安当局あるいは関係方面の御指導を得まして施設の復旧さらに警備対策の強化ということに努めまして、鋭意努力いたしまして一日も早く開港にもっていきたいということを考えておる次第でございます。
  207. 向井長年

    ○向井長年君 それぞれの立場でいま御答弁がございましたけれども、それはそれぞれの立場で努力し任務を果たしておる、こういうことでありましょう。しかし、これはやはり、いまも一日も早く開港して正常にこれを運用したい、こういうことでございますけれども、そう簡単なものじゃないと思うんですよ。今後の警備を考えても警察当局の。したがってこれは、私はもう少し掘り下げて国民にもっとわかりやすくしなければならぬ。そして国民の世論に訴えるという先般の話もございましたが、私はこれは非常に大きな重要な問題であろうと思います。ということは、これははっきり言うて羽田空港がああいう狭隘で一日も早く新空港を開設しなければならぬ。これは国民全部が考えることだと思うんですよ、そうでしょう。それに取り組んだこの政府姿勢というものについてもう少し掘り下げて考えなきゃならぬ。いまもお話しありますように、農民の悲痛な叫び、これは一つの悲痛な叫びとして評価しなければならぬと思います。あるいはまたイデオロギー闘争に便乗した反対闘争これも別に一つある。それから破壊に導こうというあの赤軍派の過激闘争がある。これ三つに分かれるんですよ。この三つに分かれる状態をそのままにして公団は急いだ。運輸省もそれに急がなければならぬというかっこうをとってきた。警備警備の中で要請されれば治安上やらなければならぬということ。ばらばらですよ、これやり方が。本来これに対して私たちは考えるのは、恐らく国会の中でもそうじゃありませんか。各党が本当にコンセンサスができておるかと私は言いたい。私は、一日も早く開港しなければならぬと思っていますよ。しかし、各政党の中においても本当に成田一日も早くやらなければならぬ、そのためには急ごうではないか、国民には理解をしてもらおうではないかという各政党が皆一致しておりますか、していない。この状態の中で進めた、急速に早くということをやってきたというところに大きな問題が起きたと私は思うんです。それに対して赤軍過激派がここへもっていけというので便乗した。こう分析しなければならぬと思うんですよ。そういう問題についてやはり私は、政府姿勢というものが、総括的な取り組みができていない。たとえば建設省にも関係あり、農林省にも関係あるはずですよ。それが公団に任せきり、あるいは運輸省に任せきり、こういう中から不満がつのってきている現地の情勢、それに便乗されたのが今回の問題ですよ、恐らく。農民の諸君が反対ではあるけれども、ああいう暴力的な破壊行動に対しては決して農民皆さん賛成していないと思うんです。そういうことをまず頭に置いて取り組まなければならぬのが皆さん方の姿勢ではなかろうかと思いますが、いかがでしょう。自治大臣、どうですか。
  208. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 向井議員から御指摘がございましたように、早く開きたいという考え方が先に立ったきらいはあろうかと思うのでございます。それでも政府内部におきましてはよく連絡ができておったと思うのでございますが、しかしいまにして振り返ってみますと反対運動にいたしましても、初期の段階におきましては農民方々の、それも合法的な反対であったのでございますけれども、極左暴力集団がまさにこれに便乗いたしまして、今日のような許されざる闘争を展開してきたと、かように思うのでございますから、反省をいたしますと、いろいろ反省さるべきことも多いのでございますけれども、さような反省に立ちながら、今日といたしましてはやはり万難を排しまして一日も早く開港をいたさなければ、内外にまことに相済まぬ状況になってしまっておる、かような感じを深ういたしておるところであります。
  209. 向井長年

    ○向井長年君 それで、先ほど警備局長からるる述べられましたけれども、今回の事件に対しては、それぞれの立場においての任務は果たしておると思いますよ。現地において、警察官初め機動隊の皆さんが果たされたことは私たちも一応の評価はいたしますけれども、しかしながら不十分であったと。警備の不十分、取り締まりの不十分、これは私は反省してもらいたいと思う、今後に備えて。大いに今日までの行動について、努力はされたけれどもああいう状態が起きたということは、やっぱりこれは警備が不十分であったと国民は思っておりますよ。あるいはまた取り締まりの不十分、これは私は国家公安委員長初め警察当局反省をしてもらわなきゃならぬと思います。それと同時に、公団の皆さんなり運輸省皆さん、いま、きょうの閣議で一応延期ということが決まったようでありますが、この時期はまだ決めておらないようでありますけれども、本当にできますか、開港できますか。私たち不安なんです。それは不安というのはなぜか。一つには、先ほど言ったような警察当局の考え方、これは私たち、けさ法務省の関係者呼んでいろいろ討議したんです。現行法で全部取り締まれると言うんですよ、法務省は。そういう食い違いが警察当局と法務省にもうあるんですな。いわゆる一つの団結小屋にしてもあるいは鉄塔にしても、あらゆる問題に対して現行法で取り締まりできるんだということを言っている。しかし、警備局長の先ほどの話では、いやこれは外だからできないんだとか、ああだとか言っておられますけれども、これはやはり政府意思統一して、目的を持ってやろうとする問題については、一つには航空法もありましょう、あるいはまた建設法もありましょう、あるいはまたあれですか、道交法もあるでしょう。いろいろな法律の中で、最悪の場合は破防法もありましょう、いろんな形の中で取り締まることができるにもかかわらず、警察当局は本当の自分の、後からいろんな問題が出たら困るというので、部分的な解釈をして、そういう問題が、先ほど私は言われたような感じがするんですよ。政府の統一見解としてはこれはばらばらですよ。法務省がそういうことを言っていますよ。現行法でこういう問題も取り締まれる、あるいはまた鉄塔もこれは撤去できる、あるいは団結小屋も撤去できるんだと、こう言っているんですよ。どういうことなんですか、これは。だからそういうところに自治大臣、やっぱり食い違いがあるんですよ、われわれ素人から見ても。だからもう少し、新法をつくるのもいいけれども、現行法で、目的を持ってやろうとする行動あるいは施設、これに対する取り組みというものはもう少し研究されればできるのではないか。そうしてもうはっきりしておるのにもかかわらず、それを、ここは入らなければおれのところは逮捕できないとじっと手をつくねているようなことありますか。国民そんなことで承知しますか。そういう点を、私は今回の警察当局警備の不備とか取り締まりの不備と言うたのはそういうところにあるんですが、この点いかがでしょう。
  210. 三井脩

    政府委員三井脩君) 法務省のことをお挙げになりましたが、法務省とそういう点について特に意思疎通をしておりませんので、私が理解しておるところでは、法務省の見解と私たちの見解とは相違ないというように平素からよく連絡しておりますので考えておりますが、あるいはいまの前提条件が違ったのではないかとこう思うわけです。と申しますのは、警察的取り締まりの方法として、違法行為を取り締まるという意味で特に足りない法律があるかという意味におきましては、私はありませんと。しかし、今回のような結果が生じたということにかんがみ、そういうことがないか、新たに立法すべき余地はないかということについては、研究はいたしませんといってその問題を捨てるんではなくて、その点については研究いたしますと、こういう姿勢で、何かもっといい知恵はないかと、いま思いつく知恵はないけれどもということが一つでございます。  それともう一つは、警察以外の、直接警察の問題じゃない、たとえば土地収用法、土地収用する手続というのは、いまは緊急収用の手続ありますけれども、もっと簡便な手続がないか。つまり成田空港だけに限定してもっと簡便な、簡便というのはいいかげんという意味じゃありませんけれども、成田空港の国際的重要性といいますか、国家的なその性格にかんがみ、もっと適切な方法はないかということは、警察取り締まりの問題でないけれども、そういう点がちゃんとできれば、たとえば空港周辺五キロ以内は国が場合によっては収用できるということができれば、五キロ、百メートルでもいいんですけれども、あの三十三の団結小屋はほとんどなくなるであろう。しかし、なくすためにはまた警備実施をやって、血を流さにゃいかぬというような問題はまた別個あろうと思いますけれども、そういうことは、着想なりアイデアとしてはいろいろありますけれども、そんなことは実行可能かどうか、またよく検討してみなきゃならぬ問題でございます。ただ、いままでも十分現行法を活用してやっておって、なおああいう結果が出たことについて、立法的な観点で問題がないかどうか、警察当局検討する意思がないかと言わわれば、それはわれわれ検討してみましょう。また、それは狭い意味の警察だけじゃなくて、ほかの省庁に、こうやったら取り締まりの上でも効果があるとか、あるいは反対運動の根源対策として、これがうまくいけば警察的な事犯は少なくなるわけですから、警察の立場でほかの省に注文することないかと。こういう観点からの御意見に対しましては、それはいま思いつくことはないけれども、いろいろ研究してみたい、こういうことでございまして、狭い意味の取り締まりに限定すれば、取り締まり法規が欠けておる、不十分だということは特にないと思いますけれども、ただ、それとちょっと離れますが、けさほど撤去したいわゆる横堀要塞、あれは上に乗っておる部分だけは撤去できるんでありまして、下の大きなトーチカみたいなやつ、あれは現行法で撤去できないわけです。それを撤去できないと言った意味は、私たちが現行法でと言うのは、刑事手続ではできません。それなら民事ではどうかということになりますと、あれは反対派の土地ですから——公団の土地ならできるんですけれども、公団の仮処分ですぐ申請できますが、そういう手続はすぐにはできない。しかし航空法違反ということで、あれが、あの建物を仮処分によって撤去する、こういうことが可能かどうかということはひとつ問題あるんです。ただ、私たちは法解釈としてはあれは民事手続によっても撤去できないものというように考えております。と言いますのは、岩山鉄塔は、あれはずうっと航空法違反ですけれども、また反対派の土地にあるんですけれども、これは全体が一本のものだったわけですね。したがって刑事手続でやれば上だけちょん切れと。そんなことできませんということで、民事の仮処分手続で、反対派の自分の土地に建っておるものですけれども、航空法違反だから根こそぎからそっくり倒した。これは民事手続で、その民事手続は公団が起こされたわけであります。それをわれわれが援助したというにすぎないわけでありますが、今度のやつは、いま建っておるやつは合法の範囲内です。その上にちょっと乗せるというわけですから、分離できる、分離できるから、したがって航空法違反の部分だけ分離して持っていけ、仮処分、それだけ撤去すればいいじゃないかという法律解釈が通常でありますと。それを大変がんばって、ウルトラC的な解釈を出して仮処分やってみると、どうなるかわからぬけれども一発やってみようかということをお考えになるのは自由でございますけれども、私たち法律の常識からはそんなことはできないと、こう思っておる。そういう点についての、あるいは見解の差がありまして、それはできると。状況によって、こういうふうに条件がもっと差し迫ってくればできるとかというようなことは、あるいはこれから、法律そのものじゃなくて、状況というか事情の変化、条件の変化によってできる場合もあろうと思います。つまり、実際にB滑走路ができてくるとあれはもうちょっと危険だと。なるほど航空法四十九条違反にならないけれども、大変あれは心理的影響があってパイロットにとっては危険を感じる。それはいわゆる業務妨害的な構成要件に該当する、こういうような状況が出てくれば、それはまたその段階でということはありますが、そういうことも含めて言いますと、法律上特別の緊急性はないと。こういうことでありまして、それは、あれほっておいてもいいという立場に立てばそうですし、あれをなくせばという立場から言うと不十分だと、こんなことかと思います。
  211. 向井長年

    ○向井長年君 警備局長いろいろ言われますけれども、われわれも素人だからこれは一応研究しなけりゃならぬということで、けさから一応法務省も呼び、いろいろとこの問題について討議をやった。あるいは質問もし、聞いた。聞いた中では、法務省はそういう見解をわれわれに言っておるわけですよ、いろいろな法律の要素を挙げて。しかし、あなたたちから言えば必ずしもそうではない。いろんな民事の問題もあるでしょう。しかしそれは、政府部内の意思の統一をしてもらわなければ、われわれとしてはそうでしょう。だから、その点が取り組みが私は十分じゃないということは、そういうことを言ってるんだ。あるいはまた公団に対しても注文あるでしょう、警察当局も恐らくや。こういう問題、こうあらねばならぬではないかと、警備上これは必要じゃないかという注文もあると思うんだな。その中では不備な点もあったと思う。そういう問題もほとんどやらずに、自分の立場で自分だけの任務を果たそう、それぞれそういう立場をとっておるために、こういう問題が起きたんではないかと、こう私は言っておるわけなんですよね。これは十分ひとつ考えていただきたい。だから私は警察当局すべてがいかぬとは言いませんよ。しかし、やっぱり不備だということは国民は感じてますよ。あるいはまた取り締まりの不備の問題も、やっぱり素人が見りゃそう見えるんですから、法律がどっち向いておるだけの問題じゃないんだから、ああいう事件を起こしたという総括的な問題から考えて、そういう感じは皆さん方も横の連携、政府部内の連携を取りつつ一つの方針を立てて、今後に備えなけりゃならぬのではないかと、こう私はまず言っているわけです。  そこで公団、運輸省、一日も早く開港してということを言われておりますが、実際問題としてこれは延期がいつまでされるか、一カ月されるか何日されるか知りません。そういう現状の中で、警察当局協力を得て彼らが今後どういう戦術をとり、どういう行動をしてくるか、これは疑問ですよね、まだまだ。油断できない。しかもわが国の玄関である。諸外国から国賓初め各国の要人が来られる。あるいはまた一般国民が来る。こういう中で一万名の警備を毎日しなけりゃならぬような状態で実際開港できますか。できないでしょう。そのためにはいかにするべきかということがまず疑問として起きてこなければいかぬと思う。たとえば一つには、輸送路一つにしましても、少なくとも燃料の輸送をしなけりゃならぬ、人の輸送をしなけりゃならぬ。それに対してこれで万全であるかどうか、開港してですよ。こういう問題も皆さん方はどういま考えられておるか。恐らくいま直ちに開港しようとしたんだ。ところでこれが恐らく何日延ばされるか知りませんけれども、そういう中でこの事件が起きて、今後再びこういう事件が起きないとはだれも保証できないですよ。それに対応できる状態が生まれるかどうかという問題、これを私はお聞きしたいんですがね。これは公団もあるいは運輸省、それから警察当局も今後どうかと思うんですが、いかがですか。
  212. 町田直

    参考人(町田直君) ただいま御指摘ございましたように、いまのような暴力集団が何をするかわからないと、こういうことを考えますと、おっしゃいますように、まあ極端に申しますと、あの暴力集団があの地域から消えてなくならない限り、もう大変危険でしょうがないじゃないかと、こういうことになるわけでございます。またしかも、それが非常に一番望ましい形ではあると思いますけれども、そういうような方策が、これは空港公団だけではもちろんできませんので、政府全体として何らかの方法でもおとりいただければということができますれば、これは一番望ましいわけでございますけれども、しかし、そういうことができない限り、成田空港というのは開港しないんだということも、私どもとしては大変耐えられないことでございまして、たとえその暴力集団というものがあの地域にいるとしても、それに対するあらゆる面から考えた、われわれの考え得る万全な措置をとりまして、そしてただいま申し上げましたように、一日も早く開港するということが私どもとしては望ましいわけでございます。それは何かということになりますと、この事件を契機といたしまして、また開港延期いたしました本日から、それに対する対策を早速立てなきゃいかぬということでございますけれども、簡単に申し上げますと、空港というものの心臓部あるいは制限地域と申しまして、飛行機そのものが入ってくる地域、こういうものに対するハード、ソフトのあらゆる防備体制というものを至急に考える。いままでも私どもとしてはもう相当考えておったつもりでございますけれども、まだまだ不十分でございましたのでああいう事件になったわけでございますから、これに対する万全な対策を考える。あとは一般大衆に対するいわゆる暴力行為というものに対しましては、これはアクセスにつきましてもそうでございますし、あるいはターミナルビルのような、これはもう町の駅、町と申しますか、鉄道の駅と同じことでございまして、一般の大衆の方がそこに入って、平穏に切符を買って飛行機に乗る、こういう場所でございますので、そういうところに対して、たとえばこの間のような無謀な連中が入ってきて火炎びんを投げたり人を殺傷するということは、これに対してももちろん警備員を置きましたり、あらゆる目を光らして防止しなければいけませんけれども、それまで絶対に起きないように措置を講ずるということは私はなかなかむずかしいのではないか。したがって、そこに対しましては、彼らがそういうことをしないだろうという期待を持つことは大変甘いと思いますけれども、しかし、それに対する対策もできるだけ講じまして、そして開港せざるを得ないのではないかと考えておりますけれども、この点は当然これから関係各省、関係方面との御相談の上で決めていくということになるのではないかと考えておる次第でございます。
  213. 向井長年

    ○向井長年君 気持ちはわかりますよ。気持ちはよくわかるんだが、やはりこれは自治大臣大臣一人しかおりませんが、きょうは。一つにはそういう警備体制も完備しなけりゃならぬということと、それに対するやはり治安当局のあらゆる措置を考えなけりゃならぬ。これはただ単に今日までの一般的な問題じゃなくて、現状こういう中でこういう問題が起き、将来に備えてのもろもろの対策を考えなけりゃならぬと思いますよ、警備上の問題も含めて。と同時にもう一方は、やっぱり国民にもっと知らしめる。そして国民世論を喚起して、赤軍派のこの行動についての国民の怒りというものが本当に一致してぶつかるという状態を私はつくり上げなければいかぬと思うのです。ただ、成田空港設置反対だという期成同盟がある。こういう諸君は、農民の諸君ですね。これについてはやはりそれなりの、まだまだ納得してないんだから、これに対する行動も自治大臣、やはり地方公共団体等を通じ、もっと積極的な政府姿勢が必要ではないか。純粋に生活権を奪われて困る、こういう諸君に対してはやはり説得をし、了解をしてもらう対策、ただ口だけではなくて、あらゆる方策がそこに生まれてくるのではないか。だから、一つにはやはりまじめな悲痛な叫びの諸君と、そして過激派の諸君、こんな連中は切り離して物を考えなければならぬのじゃないかと思うのですよ。これは私は、先ほどだれかの質問の中で、そういう諸君がそれ見たかという拍手を送っていると言うが、私はそうじゃないと見ているんですよ。そんな無謀なことは日本の国民考えないと思う。ああいうむちゃな、国民の税金を、あんなハンマーで壊して違法性をやったあの行動に対して、人を人と思わない、殺人も平気だという人に対して、純粋な叫びを持っている農民の諸君が賛同を送っておると私は思わない。そういう諸君をもっとやはり地元において県知事初め市町村長なり、あるいはまた自治省を中心に政府みずからがこれに対するやはり十分な理解、あらゆる方策、ここでああいう人たちに対する一応の了解に達するような努力はいまなお、これからでも必要じゃないか。あわせて、一方においては国民世論にやはり政府みずから訴える、あるいはまた各政党もそれに対しては真剣に取り組むということが私は必要じゃないかと思います。これは国際信義にもかかわる問題ですから、ただ国内だけの問題じゃないんですよ。こういう問題を私はこの際必要ではないかと思いますので、自治大臣、閣議の中で——いつかやるんでしょう、近く。この閣議の中で私は徹底していただきたいと思う。あすは両院において緊急質問が本会議であるようでありますが、やはり最終的にはそこへいかなきゃならぬのじゃないかという感じがいたします。そういう中で関係者はそれに取り組んでいただく。そして、ただ自分たちの任務だけ果たしていたらいいんだということではなくて、空港を安全で、そしてこれが開港できる状態をつくり上げるためにいかにあるべきかということは、各関係省等でともにやはり検討しなきゃならぬと、こう私は思いますので、この点を私は強く要望いたしまして、自治大臣に、租税問題いろいろ質問たくさんありますけれども、時間が余りないようでございますから、きょうはこれでやめます。ひとつ閣議でその問題を自治大臣提起されて、そして今後に備えていただきたい。そう簡単に一月延ばして直ちにできるという状態じゃなくなると思いますよ。また、強行すればどういうことになるかという問題も考えなきゃならぬと思いますから、それを強く要望して私の質問を終わります。
  214. 前島英三郎

    前島英三郎君 運輸省の方いらっしゃいますか。  一昨日の成田事件に対しましてきょうはいろんな委員皆さんから御質問があったわけでありますが、私はこの際、成田国際空港をもう本当にやはり世界の国際空港として、日本の表玄関としてふさわしいように、抜本的に見直す必要があるのじゃないかということをまず申し上げたいわけであります。と申しますのは、警察警備の問題もさることながら、私は、先般この成田国際空港へ行ってまいりましたのですけれども、とにかく運輸省のいわゆる車いすに対する、ハンディキャップを持った人たちに対する配慮というようなものも、これはもう本当にむちゃくちゃな形で配慮という名のもとに、航空と申しますか、空港の中の整備がなされているわけですね。それにつきまして、まず引き続き成田の問題からということで運輸省の見解を伺いたいわけでありますが、車いすあるいはハンディキャップを持った人たちに対する運輸省成田空港に対する配慮はどの程度皆さん方は指導のもとにおやりになったのですか。その辺からまずお答えいただきたいと思います。
  215. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 成田空港の旅客ターミナルを設計する際に、いろいろ身体障害者の皆様方の利用の便宜を図るためにいろんな考慮をいたしたのでございますけれども、設計当初においてはまだそのような配慮は不十分であったということは否めないと思います。  その後四十九年に至りまして、身体障害者の利用を考慮した設計資料作成委員会の委員の皆様方による御指導を仰ぎまして相当の手直しをしたのでございます。それで著しく改善がなされたと私どもは考えておりますけれども、実は三月の十四日にまた身体障害者の方が実際に車いすを御利用になってターミナルのビル内を御視察いただいたわけでございますけれども、その際二、三相当の、まあ二、三というよりも幾つかの改善点を指摘されております。これらの改善点につきましては可及的速やかに手当てを行いまして、何とか開港までに間に合わしてしまいたいと考えております。それが基本的な考え方でございます。
  216. 前島英三郎

    前島英三郎君 ですから、その十四日もそうですが、十六日に私は実際運輸省昭和四十九年に身体障害者の考慮に基づいた成田空港の設計という形で文書をいただいた、その文書で見ると非常に配慮されているようにとられがちであって、これは見ると聞くとは大違いでございまして、私が実際成田空港へ行ってまいりました。しかし、とにかく二、三改善をされたといまおっしゃいますけれども、まず車いすの人たちがエレベーターを使う、これがまず入りまして一番右側の角に車いすが入るエレベーターが一基取りつけてあるわけです。これは車いすがターンできませんよ。ターンできないような形で、車いすでまず下におりまして、それから一番左の端のもしゲートから搭乗というようなことになりますと、あの広い成田の中でこれは大変な労力ですよ。私、一日三時間ほど視察しましたが、この三時間視察しただけでもうヨーロッパへ行きたくないというふうな、全くむちゃくちゃな、私は国際空港として今後全く恥ずべきできばえだということをまず申し上げたいと思うわけです。その辺に対しましても、まず成田空港へ行くにもおよそ距離的には七十キロ以上もあるわけですし、羽田のようにたとえば十何キロというような距離的な問題は全然解消されていないわけでありますし、乗り物にいたしましても一体あの成田まで車いすの人たちはどうやって行くのだろう、あるいはハンディキャップを持った人たちはどうやって行くのだろう、これは燃料輸送の問題にいたしましても、高速道路の交通緩和の問題にいたしましても、いっぱい問題を抱えておりまして、一昨日のああいう一つの事件によって延期がどのくらい先まで延びるかわからないわけですけれども、この際やっぱり成田国際空港の中の整備を抜本的にすべての人たちが利用できるようなりっぱな、国際空港として恥ずかしくないようなものをやり直すというような気概を、この際運輸省は指導の中に十分決意を述べていただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  217. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 三月十四日に、日本身障運転者協会副会長の中川さん初め御視察いただいていろいろ御指摘を受けたわけでございますけれども、その際全部で七項目の御指摘を受けたと私は聞いております。ちょっと細かくなりますけれども、一項目ずつお話ししていきたいと思いますけれども、まず第一に、無料の専用柱車場四台から五台分を確保することという御要求を受けておりますけれども、これにつきましては無料というのはいたしかねますが、ただ車をおりた方がターミナルビルになるべく早く近づけるように、一番いい場所に専用というか、優先的に駐車できる場所を確保するように手配するつもりでおります。  それから二番目に、身体障害者の皆様方のために、専用のエレベーターについて多少装置の手直しをしてもらいたいという点が出てきております。そのまず第一点は、エレベーターを操作するためのボタンがちょっと高いので手が届きにくい。それから開閉のスピードが十五秒以内で終わってしまうので非常に危険である。もう少しこれを延ばせという話がきております。これにつきましてはボタンが高い、使用が非常に不便であるという点は早急に直すように手配しております。それから開閉スピードを十五秒以上とるようにしまして、安全に乗りおりできるように、これも直すように手配してございます。  それから第三番目に、専用トイレの改善をしてもらいたい。まず第一点は、結び目のついたロープを設置してもらいたい。これはそのように取り計らうつもりでございます。それからドアを改善してもらいたい、特に下の部分が少しすき間が大きいので問題ではないかという御指摘を受けたんですけれども、これにつきましては余りすき間をぴっちりなくしてしまいますと、中で何か事故が起きたときに問題が起きるという意見もございますので、これはちょっと検討さしていただきたいと思います。それから使用中という表示が出ないかっこうになっておりますので、これを何とかしてもらいたいという要請がきておりますが、これはごもっともな話ですので、使用中という表示が出るように取り計らいたいと思います。  それから第四点が、松葉づえを使用している方方のために、床が滑りやすいのではないかという点がきております。これは床全面に対して特殊加工をしますと、また一般のほかの方々に対する利用の問題が起きますので、これはちょっと検討さしていただきたいと思います。  それから第五番目に、専用待合室を確保してもらいたいという要請がきております。これは専用待合室をつくることがいいという意見もありますし、また専用待合室といったようなものはつくらなくてもいいのではないかという意見もございます。したがいまして、この点については目下検討中でございます。  それから六番目に、空港公団において相当数の車いすを確保するように、こういう御指摘でございますが、航空旅客の皆様方に対する車いすのサービスは航空会社が提供することになっておりますので、特に空港公団が必要になる事態は起きないと思っております。ただ問題は、見学の方に対してちょっと配慮する必要があるんじゃないかなという感じがしております。これは目下検討中でございます。  それから七番目に、建物全体的に盲人の方に対する配慮が欠けているんじゃないかという御指摘がございました。これについても、普通の床のリノリウムのところに、誘導するような少しでこぼこのついたタイルを張るとか、そういうことも目下検討しております。  以上七項目の御指摘をいただいたわけでございますけれども、これらにつきましては、もうすでに空港公団に指示をいたしまして、可能な限り開港までに間に合わせてしまうつもりでおります。
  218. 前島英三郎

    前島英三郎君 そして、それはまあ早速やっていただきたいのはもちろんでありますけれども、成田国際空港まで行く手だてという段取りは、これは京成にいたしましても国鉄にいたしましても、全然車いすの配慮ということはなされていないわけで、一体車いすの人たちはどうやって成田へ行けばいいというようにお考えになっているんでしょうか。
  219. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) いろんなルートがあると思いますけれども、二、三典型的な例をとって御説明したいと思います。  まず第一のルートは、人形町に東京シティ・エアターミナルというエアターミナルがございます。そこまでタクシーで来ていただければ、タクシーをおおりいただければ、そこから先チェックイン・カウンターまでは自動ドアを通って入れるようになっております。で、チェックイン・カウンターでもってチェックインを済まして荷物を預けていただき、そのまま入って右手の方に進行していただきますとエレベーターがございます。エレベーターを御利用いただいて階上の方に行っていただいて、それからバスに乗っていただくという、そういう手はずになっております。この際、バスの入口が狭うございますので、車いすの方を車いすのままお乗せすることはできませんので、バス会社の職員がちゃんとお世話して座席まで御案内するようにいたします。それから車いすは折り畳みましてバスにちゃんと収納するようにしております。それからバスは進行しまして成田空港に行きます。成田空港に来ましたらば、おおりの際はやはりバス会社の職員がお世話することになっております。そしておおりいただくと、やはり斜路を昇っていただいて自動ドアを通過してチェックイン・カウンターまでお進みいただければ、そこでお申し出いただければ、エアラインの人が全部お世話することになっております。  それから、二番目の方法としましては、京成上野駅へ来ていただいて、やはりタクシーか何かでいらっしゃると思いますけれども、その際タクシーをおおりいただきますと斜路がございます。斜路を伝わって駅員のおります改札口まで来ていただければ、駅員の方がお世話してプラットホームに御案内いたします。スカイライナーの中には車いすのまま御乗車できませんので、駅員の方が座席まで御案内いたして、車いすは折り畳んで収納することになります。それからスカイライナーが駅に着きますと、やはり駅員が出迎えまして、車いすにお乗せして地上のバスターミナルまで御案内いたします。地上のバスターミナルからは、今度はバス会社の職員がお世話しまして空港ターミナルまで御案内することになっております。  以上のほかに……
  220. 前島英三郎

    前島英三郎君 結構です。御承知のように、いまおっしゃられますと、言葉では非常に解決していくように、スムーズな段取りのようになっているんですけれども、あなたも車いすに乗って箱崎のインターから成田まで一度やっぱり体験をしていただきたいと思うんです。これは身障者にとっては、海外旅行をするなという無言の圧力でしかないというようなことを私は当事者として先日十六日箱崎から上野の京成あるいは総武線、すべてを拝見いたしまして、身障者は海外旅行してはならぬというような姿勢が本当にありありとうかがえるような感がいたしまして、非常に悲しい思いをしたわけでありますけれども、それにつけましても、最近車いすの一人乗りはいけないというような形のものが、先般大分県で吉永という車いすの市会議員が鹿児島まで参りますときに、車いす一人では搭乗させるわけにはいかないというふうなことが航空会社から業務通達として出されておったということで、搭乗を拒否された、それによってトラブルが起きた事件が、運輸省も御承知だと思うわけでありますが、それらいろいろ聞きますと、これがハイジャック問題で規定が厳しくなったと、あるいは博田のさる航空会社、これは私が体験した事例でありますが、たとえば機内まで車いすに乗ってまいりますと、あるいは機内に置いたりするようなことになると、これがつまりハイジャックの武器になるというような非常にお笑い的な解釈のもとに、車いすの人たちが一人では搭乗できないというような打ち出し方をなされておりまして、これはひょっとしたら警察の方でむしろそういう指導を航空会社にやっておるのではないかと私は思ったりするんですが、その辺は警察の方ではそういう指導を関係航空会社にあるいは運輸省におやりになっているのでしょうか。——それじゃ結構です。恐らくそんな御指導していないというお答えが返ってくるはずでございます。その辺はいかがですか、運輸省は。
  221. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 現状を申し上げますと、エアラインのチェックイン・カウンターのところでエアラインが提供申します車いすに乗りかえていただいて、そしてお客様の御使用いただいている車いすはそのままエアラインがお預かりする、そして機内にはエアラインの提供した車いすで御案内するという取り扱いになっております。これは国際線におきましては、IATAという国際航空会社の民間機構がございまして、そこで一応取り扱いを統一してございまして、そこで車いすは機内に持ち込まないで、むしろお預かりしてしまう、しかし身体障害者の皆様方の旅行に御不便をかけないように、エアラインが車いすを提供して、エアラインの職員が機内まで御案内する、こういう取り扱いを決めております。それを準用しているわけでございます。
  222. 前島英三郎

    前島英三郎君 一人では乗せないということは、その大分のトラブルの一件に対して、運輸省はどういう指導を航空会社にやったでしょうか。
  223. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 車いすを御利用している方は一人では航空会社は運送引き受けをしないという取り扱いが、三月の十二日までそうなっておりました。先生指摘の事実はございます。私どもとしましては、その事件を聞き及びまして、これはやっぱり非常に不公平である、改善を急ぐべきであるという観点から、三月の十三日以降、航空会社を指導いたしまして、身体障害者の方お一人で来られても飛行機にお乗せするように手配してございます。ただ、これはもし万一事故があった場合に緊急脱出を可能ならしめるために、その搭乗者の数については一応の制限を設けてございます。
  224. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう点で、車いすの搭乗への三月十三日にそういう通達が出されたということは、大変喜ばしいことだと思うわけでありますが、どうも身障者の運用という方法が、特殊運用というような形で航空会社は考えておりまして、つまり身障者の割引というような形で、いま国鉄では一人でもお乗りくださいというような非常に前向きな姿勢であるにもかかわらず、航空会社は一人では乗せるわけにはいかないというようなむしろ逆行するような形で、先般それが一つの原因となりましてトラブルが生じたわけでありますが、身障者の割引などを見ましても、つまり一人では割引はしないんだ、ただし、その人間に手数がかかるから、同伴者が来た場合にはひとつ二五%の割引しましょうという、非常に何か身障者に対して物的な感覚で対処している姿勢というものを見ましても、何か非常に悲しい感じがするわけでございますが、今後成田のいろんな不備の問題、あわせて今度は国際線が成田へ移行した場合には、国内線は羽田一本になるわけでありますから、羽田の場合には本当に車いすの人たちがみんな航空会社の人たちにおんぶしてもらわなければ乗れないというような、非常に物理的不備な点が多々ございますので、あわせましてこの際、国内線がかえって航空会社の皆さんに手数がかかるのを私たち自身が忍びない。したがって、そういう整備をもあわせてやっていただきたいと思うんですが、それはいかがでございましょうか。
  225. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 成田開港いたしますと、国際航空の大部分は成田へ移ります。羽田は、国内が重点に運営されることになると思いますけれども、その際、ターミナルの構造その他について手直しをする必要が出てきます。こういう整備をするとき、よく先生方の御指導も仰ぎまして、身体障害者の方々の御利用が少しでも便宜になるように取り計らってまいりたいと思っております。
  226. 前島英三郎

    前島英三郎君 今後ともひとつよろしく御検討いただきたいと思います。  ところで、昨年のこの委員会で駐車禁止除外車両に関しまして運用面で御便宜を図っていただくということで、大変温かい御支持をいただいたわけですけれども、まだなかなか全国でそれが徹底されている部分が少のうございまして、私たちは何か基準の統一マークみたいな形でおやりくださって、ますます障害者が自立というふうな面で、車はもう補装具の一つという感覚を私たち持っているものですから、その辺の駐車禁止除外車両につきましての今度は道交法もいろいろ変わられるというようなことを伺っておりますので、身障者への配慮に関しまして警察の御見解を伺いたいと思うわけですが。
  227. 杉原正

    政府委員(杉原正君) まず一点は、身障者の方の使用なさいます車の駐車の問題でございますが、これは前回当委員会で先生から御質問がありましたことに答えました線に沿いまして、その後ありました全国会議等で、この問題を末端で他県の駐車の許可証を持っている人について当県で取り締まりをすることのないような措置を、これは徹底を現在さしておりますが、ただ免許証などと違って様式が違うものですから、若干その面でトラブルの出てくる可能性があるということで、現在証票を、許可証を一つの全国一律のものにしよう、これは法改正は必要でございませんで、これはごく近日中に警察庁の方から様式を示しまして、これと同じ様式でやりなさいということを都道府県の公安委員会に示達をして証票そのものを変える、統一するということでこれは近日中に措置をいたします。  それから、先ほど道交法の改正の御質問がございましたが、この中で、これも身障者の方に対する保護規定について何を考えているかということでございますが、三月十六日に道交法の一部改正を国会に提出をいたしましたので、この法律案につきましては、当委員会において後日御審議いただくことになると存じますけれども、身体障害者の通行の保護に関する規定につきましては、次のような点を考えております。  まず現行法におきまして、目が見えない方につきましてはつえを携帯して通行しなければならないことになっておりますのを、つえにかえまして盲導犬を連れて通行することができるように、盲導犬を連れておればつえは要らないということにいたした。次に、身体障害者の方の車いすでございますが、この車いすが通行している場合及び目が見えない方が盲導犬を連れて通行しておられる場合においては、車両等の運転者は徐行または一時停止をいたしまして、その通行を妨げてはならないようにするということを内容にいたしております。
  228. 前島英三郎

    前島英三郎君 いろいろ御配慮に対しては感謝するわけですが、障害者だからといって余り甘えた姿勢で向かわれては非常に困るわけであり、私たちはハンディキャップは持っておりますが、社会の中でいわゆる健常者と言われる皆さん方と伍して社会参加をしていきたいというのが本当に願う心でありまして、その辺でもいろんな意味で道交法の中にも特別な配慮がされることはありがたいのですが、かえってれんびんというような形でお考えになっていただきますと、それはかえってまた社会参加へのブレーキになるのではないかという気がするわけでありますが、そこで大臣にちょっとお伺いしたいわけですけれども、最近地方財政の危機ということがよく取りざたされておりまして、地方自治体における福祉ばらまきがその一因であるというふうなことをも言われている部分があるわけでございますが、その地方財政の危機の要因について特に福祉ばらまきが大きなウエートを占めているというふうに大臣もお考えになっていらっしやるかどうか、お伺いしたいと思います。
  229. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ばらまきと申しますのは、非常に抽象的過ぎまして、その内容は区々にわたっておりますけれども、地方財政が逼迫をいたしております原因には幾つもございまして、ことにわが国経済が高度成長段階で地域住民の皆さん方の要望に基づきましてあれもやりたい、これもやりたいということはいっぱいありまして、その中で福祉の面を選択をしてやってきたことは事実でございましょう。そこで、ばらまきというのは国の基準を超えましての処置をいたしておりますものや、あるいは国でやっておらないものを地方で率先してやっておりますものがいわゆるばらまきと、かように言われるのかもしれませんけれども、これはおのおの地方団体の判断によってやっておやりになることでございまして、決してこれが悪いということではございませんで、むしろ国がおくれておれば地方が先導役を務めるような役目も今日までしてきておりますし、私は好ましい傾向だと、かようにも思っておりますが、ただ、財政との見合いを考えていかなければならぬのでございまして、その辺の選択は非常に重要であろうかと思います。そこで、国の基準を超えましたり、あるいは国でやっておらないことをやっておりまするそのことが、財政事情にそう大きくは響いておるとは考えませんで、厳密に数字ははじいてはおりませんけれども、今日の財政危機の大きな原因の一つだと、こういう理解は私はいたしておらないわけでございます。
  230. 前島英三郎

    前島英三郎君 そういう点からは、地方自治の中で育てられました福祉というものが、これはまだまだようやく産声を上げたというような段階でございますが、いま、いずれにしましても地方財政の危機ということがいろんな面で論じられておりまして、政府の対応策というようなこともいろんな意味で高度経済成長の中で非常に税のひとつの徴収が安易にできた時代と、いま非常にむずかしい時代とのそういう点での政府のひとつの税制に対する姿勢ということをもあわせてやっぱり私たちは考えなければならないと思うんですけれども、その点自治省が五十三年度の重点施策の中で掲げたものの中に、地方交付税の引き上げ、あるいは事業税の外形標準課税の導入とか、あるいは石油新税の交付税対象への組み入れとか、当面実現すべきものというものはいっぱいあるわけですが、これはどうも何か大蔵省とかいろんな兼ね合いの中で自治省の意見が何かただ一応アドバルーンを上げて、それはすぐ周りのいろんな力によってアドバルーンはおろさせられてしまうというような現状を感ずるのですけれども、大臣の決意をお伺いしたいと思うわけであります。
  231. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 先ほども阿部議員でございましたか、御質問お答えをいたしたのでございますけれども、私どもは五十三年度の予算編成に当たりましても、真剣に大蔵省と話し合いをいたしました。欲目で見れば限りはございませんけれども、私どもは私どもなりに努力をしたつもりでございますし、また大蔵省も筋の通っておることにつきましてはそれなりの理解を示してくれた、かように判断をいたしております。  いま三つの点をお挙げになりましたけれども、なるほど、交付税率の六・五%の引き上げを要求いたしましたが、結果的には交付税率の引き上げという形では実を結びませんでした。一兆五千五百億円という大量の買い入れをしなければならぬのでございますけれども、その半分は国が見ますよ、かような措置をとってくれたのでございまして、これを国税三税に対比いたしますと相当のパーセンテージを引き上げたと同じような効果を見ることができる、かような見方をいたしております。  それから、外形標準課税の導入はぜひ五十三年度でやりまして地方財源の安定的なまた発展性のある体制をとろう、かようなことで努力をいたしましたが、結果としては見送られました。それも先ほど答弁をいたしましたように、国が税の増徴を考えていかざるを得ない具体的なものといたしましては一般消費税が論議の中心になっておるのでありますけれども、一般消費税と地方で考えております法人事業税の外形標準課税とは、最終的に負担をいたしますものが消費者だ、かようなことで共通の点がございますし、またどのような方法で、どのような姿での課税を行うか、かような点からいたしましてもきわめて共通をいたしておるのでございますから、両者を同時に決着をした方がよろしい、かような税制調査会等の判断でございましたので見送らざるを得なかったのでありますけれども、できるだけ早い機会に実現をいたしたい。  それから、石油税につきましても、先ほど答弁をいたしましたように、エネルギー問題がきわめて重要な段階でございますから、その方面にもっぱら向けられる目的税的なことになってしまいましたから、国税三税と同じような扱いができない結果になりまして残念に思っておりますけれども、しかし反面地方への交付金が創設をされましたので、これはやはり石油新税が創設されたことの関連がある、また私どもの主張の一部は通った、かように判断をしておるのでございまして、さようなことでぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
  232. 前島英三郎

    前島英三郎君 次に、身体障害者の雇用に関しましてお伺いいたします。  福祉の増進の本来の姿というのはだれもが自立するということが鉄則だという気がするわけですけれども、その点身障者の雇用促進というのはきわめて重要であるのです。それには国とか地方自治体が率先して身障者の雇用ということに力を注いでいただかなければならぬわけでありますが、現実には雇用率の数字が上がればそこで終わりというような風潮とか、あるいは民間企業におきましては納付金さえ納めればいいんだというような考えが非常に多うございまして、何とも残念であるわけです。まず、自治省における身体障害者の雇用状況というのをちょっとお伺いしたいと思うのですけれども。
  233. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答えいたします。  自治省で現在勤務しております障害者は七人でございます。法に基づきます御案内のとおり率でまいりますと百分の一・九でございますが、本省職員の、去年の六月の調査では職員数三百七十六に対しまして一・九を掛けますと七名でございますので、一応現在の段階では法定雇用数に達しておるという状況でございます。
  234. 前島英三郎

    前島英三郎君 身障者の雇用を促進するためにいろいろな形で採用ということが考えられていくわけですけれども、なかなか重度の障害者が非常に雇用がなされていない。中には、企業などにおいてはいろいろ、むしろ企業サイドで納付金も納めるのは御免だ、じゃひとつ身障者をわが社でつくり出そうじゃないかというような風潮がありまして、無理やりに障害者手帳を社員につくらせているなどというようなケースも非常にありまして、その辺、それぞれの都道府県の単位における自治省でいろいろな障害者の雇用という面での統計はとっていらっしゃるのかどうか。もしその統計がとってあるとすればいま都道府県のいわゆる雇用状況はどんな現状であるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  235. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 身体障害者雇用促進法を労働省の方で所管いたしておりますので、私どもの方で調べております。昨年の六月現在の状況報告をとってまとめたものでございますが、都道府県の雇用率は、現業的な部門、水道局とか交通局でございますが、これは法定雇用率が一・八%に対しまして一・九九%となっておりまして、平均的には達成しております。それから非現業の機関、事務部門でございますが、この部門につきましては、法定雇用率が一・九%に対しまして一・五三%、かなり下回っておりまして、個々の機関については達成しているところもございますが、未達成の機関もかなりございます。
  236. 前島英三郎

    前島英三郎君 特に都道府県の場合には、法定の一・九%、一・五三%という状態なんですね。この辺はやっぱりもっともっと率先して労働省、自治省が指導すべきだと思うのですけれども、労働省はその辺はいかがでございますか。
  237. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 私どもも、昨年の六月の状況が判明いたしました後におきまして、こういうことではいけない、特に民間企業におきましては不況の中でなかなか雇用が進まないという状況もございまして、国、地方公共団体等は率先してそういう県民の福祉の向上を図るべき立場にあるということで、昨年十二月に職業安定局長から都道府県知事あてにも通達しているところでございますが、法定雇用率未達成の地方公共団体に対する指導を一層強化して早期に雇用率未達成機関がなくなるように指導するようにという通達もしておりますし、全国の職業安定課長会議等で、主管課長会議でも労働省としては強く指示しているところでございます。
  238. 前島英三郎

    前島英三郎君 時間が大変少ないものですから、幾つか御質問をちょっとスピードアップでやらせていただきたいと思うのです。  いま特別養護老人ホームが現在全国で六百二十七カ所、約五万人の収容能力となっているわけですけれども、しかし待機中の方も相当いるわけで、寝たきりのお年寄りは一説には三十万とか三十五万とかいろいろな数字が取りざたされているわけですが、そこで特別養護老人ホームの増設というようなことは当然行政の中で考えられていると思います。特にそれぞれの自治体では、いろいろな形で国に働きかけをしながらも老人ホームの問題というものは大きなウエートを占めているように思うわけですけれども、たとえば市部と町村部でのいわゆる老人ホームの建設の比較ですね、どのようになっているか。あるいは五十三年度の計画の一端で構いませんので、ちょっと数字的にお知らせいただければと思います。
  239. 末次彬

    説明員(末次彬君) 市部、町部、村部に分けました整備状況、五十一年四月一日の数字でございますが、それで御説明いたしたいと思います。五十一年四月一日現在での立地状況でございますが、市に立地いたしておりますのが三百六十二カ所、町に立地いたしておりますものが二百四十一カ所、村に立地いたしておりますのが二十七カ所ということでございまして、パーセントで言いますと、市に立地しているものが五八%、町村部が四二%、こういうふうになるわけでございます。したがいまして、一概に言えないわけでございますが、高齢者人口の分布から見まして相対的に町に立地しているものの比重がやや高いんではないかと、かように考えております。
  240. 前島英三郎

    前島英三郎君 これは老人医療費の問題になるわけなんですけれども、地域による医療費の不均衡という問題が当然生じてまいりまして、つまり老人ホーム、お年寄りのために老人ホームをつくりましょうと、まあ町を挙げて、村を挙げてという傾向が非常に強いわけでありますが、しかし小規模な自治体に大規模な老人ホーム、特別養護老人ホームなどがつくられるというようなことになりまして、非常に小さな自治体はそれによって医療費の負担が大きく感じられますし、現に私もふるさとで、小さな町で特別養護老人ホームをやっているわけでありますが、町の皆さんの御理解でつくった老人ホームが結局は医療費の高負担につながってまいりまして、お年寄りがたとえば一つの村に百人つまり入ってこられる、そうなると、百人の寝たきりのお年寄りのためにその自治体は大変な医療費負担で苦しめられてしまうわけであるんですけれども、その辺でこれは非常にそういう点では老人福祉という面で何か自治体の負担ばかりかさんでしまって、非常に不公平ではないかというような気がするんですけれども、その辺は厚生省ではどういう見解を持っておられるでしょうか。
  241. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) ただいま御質問がございました現行の老人医療費の支給制度でございますが、これは御承知のような地域の老人一般に対します措置でございまして、それからまた現行の制度が健康保険の自己負担分を支給するというような仕組みになってございますので、国民健康保険と同様に当該老人の居住地の市町村長に実施をしてもらう、つまり御質問の場合でございますと、他の市町村から別の市町村の老人ホームに入るという場合には、老人ホーム所在地の市町村長が公費負担をするというような仕組みになっておるわけでございます。しかし、現在いま御質問のような、御指摘のような点もございますので、実は今後その新しい老人保険医療制度をつくりたいということで厚生省でいまいろいろ準備をいたしておりますが、その際には、御指摘のような点も加えまして国民全体が公平に負担できるような形の費用負担を考えていきたいと、このように考えておるわけでございます。
  242. 前島英三郎

    前島英三郎君 本当に小さな村が一生懸命お年寄りのために老人ホームをつくる、そこにお年寄りが五十人百人と結局入ってこられる、おのずとその町では村では大変な負担になっていくわけで、何としても、そういうことでかえってこれから老人ホームはお断りというようなことになって、ますます寝たきりお年寄りの皆さんに対する配慮が欠けてくるような気がしますので、これはぜひともひとつ実践の方に御努力をいただきたいと思うわけでございます。身体障害者もそうでありますが、いろいろハンディキャップを持った人たちがこの社会には大勢いるわけで、一生懸命皆生きているわけでございますけれども、実は何といいますか、私はいわゆる一級でございますから自動車税に対するいろいろな減免措置が講じられているわけでありますが、いまたとえばハンディキャブというような形のもので運動が随所に全国的に行われているわけです。つまり地域の人たちが募金をし合って車いすでも乗れる、あるいは寝たきりのお年寄りたちがちょっとショッピングに行けるようなそういう車をみんなで善意でつくろう、ただし、これがどうしても地方税の中で、非常に税金の面で実はそういう車を維持していく面で大変負担になっているという部分があるわけですけれども、実はそういう改装された車、いわゆるリフトつきの車みたいなものにひとつ減免、免税措置などというようなことを地方財政の中で御検討いただけるというようなことはできないものか、ひとつ自治省に伺いたいと思うんですけれども。
  243. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 現在は御承知のように身体障害者等の方が所有しあるいは取得されます自動車などにつきましては、自動車税、軽自動車税、自動車取得税の減免の指導をいたしております。いま御指摘のリフトバスあるいはハンディキャブというふうな形態の車が最近大変利用に供されてきておるというふうに私どもも伺っておりますが、率直に申しますと、まだその具体の利用の状況とか、そういう点についての調査が私ども十分行き届いておりません。御質問ございましたので、早急に実態を調べさしていただきたい、もっぱら身体障害者の利用に供され、必需的なものでありますならば、適切な指導をしてまいるように努力をいたしたい、かように思います。
  244. 前島英三郎

    前島英三郎君 いろいろほかにも、たとえば在宅投票の問題とか幾つかございましたんですが、四十六分までが私の時間でございますので、残念ながらその関係の方お呼びしながら御質問もせずに大変に申しわけないと思いますが、以上質問さしていただきましたことにひとつ前向きで善処してくださるよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  245. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。     —————————————
  246. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、昭和五十三年度地方財政計画について、政府から説明を聴取いたします。加藤自治大臣
  247. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 昭和五十二年度の地方財政計画概要について御説明申し上げます。  昭和五十三年度の地方財政は、昭和五十二年度に引き続いて厳しい状況にありますが、国と同一の基調により歳入面におきましては、地方税及び受益者負担の適正化等による増収措置を講ずるほか、昭和五十二年度に引き続き予想される財源不足に対しましては、これを完全に補てんする等地方財源の確保を図るものとし、一方歳出面におきましては、一般行政経費の節減合理化に努めるとともに生活関連社会資本の整備と景気の着実な回復に資するため、投資的経費の充実を図る等、財源の重点的配分と節度ある財政運営を行うことを基本といたしております。  昭和五十三年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下、その策定方針及び特徴について申し上げます。  まず第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、法人住民税均等割の税率及び都市計画税の制限税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、料理飲食等消費税の基礎控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等を行うとともに、特別土地保有税の合理化のための措置を講ずることといたしております。  第二に、最近の地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、  (一) 昭和五十三年度以降、当分の間、毎年度の交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金については、当該年度以前の借入金償還金のうち地方負担とされた額を控除した額の二分の一に相当する額を国の負担とする旨を法定するとともに、昭和五十年度及び昭和五十一年度における同特別会計の借入金についても、毎年度の償還額の二分の一に相当する額を国が負担することといたしましたほか、  (二) 昭和五十三年度の地方財源不足見込額三兆五百億円については、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、一千五百億円の臨時地方特例交付金を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるとともに、同会計において資金運用部資金から一兆五千五百億円の借り入れを行うことによって、合わせて一兆七千億円の地方交付税の増額を図ったほか、一兆三千五百億円の建設地方債の増発措置を講ずることといたしております。  (三) また、地方債資金対策として政府資金の大幅増額を図るとともに、公営企業金融公庫の融資対策を拡大することにより同公庫の機能の拡充を図ることといたしております。  第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉の充実、住みよい生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、公共事業及び地方単独事業を大幅に増額するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域及び過疎地域に対する所要の財政措置を講ずることといたしております。  第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮するほか、地方財政計画を実態に即して策定するため、その算定内容について所要の是正措置を講ずることといたしております。  以上の方針もと昭和五十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、三十四兆三千三百九十六億円となり、前年度に対し五兆五千三十一億円、一九・一%の増加となっております。  以上が昭和五十三年度の地方財政計画概要でございます。
  248. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に補足説明を聴取いたします。山本財政局長。
  249. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 昭和五十三年度地方財政計画概要につきましてはただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。  明年度の地方財政計画の規模は、三十四兆三千三百九十六億円で、前年度に比較いたしまして五兆五千三十一億円、一九・一%の増加となっております。  次に、歳入について御説明いたします。  まず、地方税の収入見込み額でございますが、道府県税五兆三千七百九十三億円、市町村税六兆二千六十二億円、合わせて十一兆五千八百五十五億円でございます。  また、地方譲与税の収入見込み額は、三千七百七億円となっております。  次に、地方交付税でございますが、国税三税の三二%に相当する額に昭和五十一年度分の精算額を控除した額五兆三千四百九十八億円に臨時地方特例交付金二千二百五十一億円及び資金運用部からの借り入れ一兆五千五百億円を加算、さらに五十年度借入金償還金八百五十億円等を控除いたしまして、総額七兆四百億円を確保いたしております。  国庫支出金につきましては、総額八兆八千百三十七億円となっております。  次に、地方債でございますが、普通会計分の地方債発行予定額は四兆百六億円でございまして、このうちには地方財源の不足に対処するための建設地方債一兆三千五百億円が含まれております。なお、地方債計画全体の規模は六兆二千百九十七億円で、前年度に対しまして一兆一千六百三十五億円、二三%の増加となっております。  次に、使用料及び手数料等につきましては、最近の実績等を考慮いたしまして計上いたしております。その結果、歳入構成におきましては、地方税が三三・七%となり、これに地方交付税及び地方譲与税を加えた一般財源は五五・三%と歳入構成比率が低下し、反面、地方債は若干そのウエートを高めております。  次に歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費の総額は十兆六千八十六億円となっております。職員数につきましては、教育、警察、消防、社会福祉、清掃関係の職員を中心に約三万三千二百人の増員を図ると同時に、国家公務員の定員削減の方針に準じ、五千八百人の定員合理化を行うことといたしております。なお、職員数につきましては、二万五千人の規模是正を見込むことといたしております。  次に、一般行政経費は、総額七兆五千三百六十五億円となっておりますが、このうち国庫補助負担金等を伴うものは三兆七千八百一億円、国庫補助負担金を伴わないものは三兆七千五百六十四億円となっております。  公債費は、総額二兆二千三百八十二億円となっております。  次に、維持修繕費につきましては、四千七百十三億円を計上いたしております。  投資的経費につきましては、総額十二兆六千五百九十四億円であり、前年度に対しまして二兆六千二百十億円、二六・一%の増加となっております。  また、公営企業繰出金につきましては、総額六千二百五十六億円を計上いたしております。  その結果、歳出構成におきましては、給与関係経費は三〇・九%で、前年度に対し二・一%の減少となっておりますが、反面、投資的経費は二・一%増加し、三六・九%となっております。  以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。     —————————————
  250. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤自治大臣
  251. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  明年度の地方税制につきましては、地方税負担の現状と地方財政の実情とにかんがみ、地方税負担の適正化及び地方税源の充実強化を図るため、法人の住民税均等割の税率及び都市計画税の制限税率の引き上げ並びに電気税の非課税等の特別措置の整理合理化を行うとともに、料理飲食等消費税の基礎控除額及びガス税の免税点の引き上げ、特別土地保有税の課税の合理化のための措置を講ずる等の必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由でございます。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。法人の道府県民税及び市町村民税の均等割のうち、資本の金額等が十億円を超える法人に係るものにつきまして、税率の区分を新たに設け、その税率の引き上げを図ることといたしております。  次に、個人の道府県民税及び市町村民税につきまして、肉用牛の売却による農業所得の免税措置等の特別措置について国税における取り扱いに準じてその適用期間を延長することといたしております。  また、円相場の高騰に伴う当面の緊急中小企業対策の一環として国税において繰り戻し還付の期間の特例が認められた個人または法人の純損失または欠損金につきまして、道府県民税及び市町村民税における繰り越し控除期間を延長することといたしております。  また、この繰り越し控除期間の延長につきましては、事業税におきましても同様の措置を講ずることといたしております。  その二は、不動産取得税についてであります。海上災害防止センターがその業務の用に供する家屋に係る非課税措置を廃止する等の整理合理化を行う一方、日本住宅公団、宅地開発公団等が行う利便施設等の用に供するための土地取得を非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  その三は、料理飲食等消費税についてでございます。負担の軽減を図る見地から、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除の額を二千円に引き上げることといたしております。  その四は、自動車税及び軽自動車税についてでございます。昭和五十一年度排出ガス規制適合車及び昭和五十三年度排出ガス規制適合車に係る税率の軽減措置をこの適用期限の到来に伴って廃止する一方、電気自動車に係る税率の軽減措置の適用期間につきましては、これを昭和五十三年度まで延長することといたしております。  その五は、固定資産税及び都市計画税についてでございます。  固定資産税につきましては、自動列車停止装置に係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行うとともに、窒素酸化物対策のため、燃焼改善設備を非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  次に、都市計画税につきましては、住宅環境の改善等都市施設の整備に充てる財源の充実を図るため、その制限税率を百分の〇・三に引き上げることといたしております。  その六は、電気税及びガス税についてでございます。  ガス税につきましては、負担の軽減を図る見地から、免税点を六千円に引き上げることといたしております。  次に、電気税につきましては、純鉄等四品目に係る非課税措置を廃止する一方、繊維製品及び紙の製造用電気に係る軽減措置の適用期限を延長することといたしております。  その七は、特別土地保有税についてでございます。課税の合理化を図るため、建物、構築物その他一定の施設で恒久的な利用に供するものとして定められた基準に適合するものの用に供する土地で、土地利用に関する計画に照らしその地域における計画的な土地利用に適合することについて、一定の手続を経て市町村長が認定したものにつきましては、納税義務を免除する等の措置を講ずることといたしております。  その八は、自動車取得税についてでございます。地方道路財源の確保を図るため、自家用の自動車の取得に係る税率の特例措置等の適用期限については、これを二年間延長することといたしております。  その九は、軽油引取税についてでございます。自動車取得税の場合と同様の趣旨により、税率の特例措置の適用期限につきまして、これを二年間延長することといたしております。  その十は、事業所税についてでございます。中小企業者が公害防止事業団から譲渡を受けた共同利用建物において行われる事業については、一定期間、事業に係る事業所税を非課税とする等の措置を講ずることといたしております。  その十一は、国民健康保険税についてでございます。被保険者の所得水準の上昇等を勘案して、課税限度額を十九万円に引き上げることといたしております。  このほか、地方税制の合理化を図るための所要の規定の整備を行おうといたしております。  以上の改正により、昭和五十三年度におきましては、五百四十五億円、平年度におきましては、七百七十七億円の増収が見込まれることとなっております。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  252. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、補足説明を聴取いたします。森岡税務局長。
  253. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、主要な内容を補足説明申し上げます。  まず、道府県民税の改正であります。  第五十二条の改正は、法人等の均等割のうち、資本の金額等が十億円を超え五十億円以下である法人及び資本の金額等が五十億円を超える法人について新たな税率区分を設け、その標準税率をそれぞれ十万円及び二十万円に引き上げようとするものであります。  次は、不動産取得税の改正であります。  第七十三条の四第一項第八号の二の改正、第七十三条の四第一項第九号から第九号の三までの改正及び第七十三条の四第一項第二十九号の改正は、それぞれ農業共済組合等が取得する損害認定の用に供する不動産、日本住宅公団、宅地開発公団または地方住宅供給公社が利便施設等の用に供するために取得する土地、高圧ガス保安協会が取得する液化石油ガス消費者保安センター附属研究所の用に供する不動産について非課税としようとするものであります。  第七十三条の十四第六項及び第七十三条の二十七の二第一項の改正は、地域振興整備公団に公共事業の用に供されることが確実であると認められる不動産を譲渡した者が取得し、またはあらかじめ取得していた代替不動産について、課税標準の特例措置又は税の減額措置を講じようとするものであります。  次は、料理飲食等消費税の改正であります。  第百十四条の三第一項の改正は、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除額を二千円に引き上げようとするものであります。  次は、市町村民税の改正であります。  第三百十二条の改正は、法人等の均等割のうち、資本の金額等が十億円を超え五十億円以下である法人及び資本の金額等が五十億円を超える法人について新たな税率区分を設け、事務所等の従業者数が百人を超えるものにつきましてはその標準税率をそれぞれ八十万円及び四十万円に、事務所等の従業者数が百人以下であるものにつきましては八万円に引き上げようとするものであります。  次は、固定資産税の改正であります。  第三百四十八条第二項第二号の五及び第三十二号の改正は、一定の公共の用に供する飛行場の区域及びその周辺の区域における鉄軌道用トンネル並びに高圧ガス保安協会が液化石油ガス消費者保安センター附属研究所の用に供する一定の固定資産を非課税としようとするものであります。  第三百四十九条の三第七項の改正は、鉱工業技術研究組合法による承認を受けた機械及び装置に係る課税標準の特例措置を縮減しようとするものであります。  次は、電気税及びガス税の改正であります。  第四百八十九条第一項の改正は、純鉄、石油、ケトン及び無水マレイン酸に係る電気税の非課税措置を廃止しようとするものであります。  第四百九十条の二第二項の改正は、ガス税の免税点を六千円に引き上げようとするものであります。  次は、特別土地保有税の改正であります。  第六百三条の二及び第六百三条の三の改正は、建物、構築物その他一定の施設で恒久的な利用に供するものとして定められた基準に適合するものの用に供する土地で、市町村に係る土地利用に関する計画に照らしその地域における計画的な土地、利用に適合することについて、市町村長が特別土地保有税審議会の議を経て認定したものにつきましては、納税義務を免除することにしようとするものであります。  次は、都市計画税の改正であります。  第七百二条の三の改正は、都市計画税の制限税率を百分の〇・三に引き上げようとするものであります。  次は、国民健康保険税の改正であります。  第七百三条の四第四項の改正は、課税限度額を十九万円に引き上げようとするものであります。  次は、附則の改正であります。  附則第四条第二項、第八条第二項、第九条第三項の改正は、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法の認定中小企業者に係る道府県民税、市町村民税及び事業税について、昭和五十二年または昭和五十三年において生じた純損失のうち還付を受けた所得税の額の計算の基礎となった純損失、または、昭和五十二年六月一日を含む事業年度開始の日から二年以内に終了する事業年度において生じた欠損金に係る法人税額の還付金についての繰越控除の期間を、個人にあっては三年から五年に、法人にあっては五年から七年に延長しようとするものであります。  附則第六条の改正は、個人の道府県民税及び市町村民税について、肉用牛の売却による農業所得の免税措置の適用期間を昭和五十八年度まで延長しようとするものであります。  附則第十条第三項の改正は、海上災害防止センターがその業務の用に供する家屋に係る不動産取得税の非課税措置をその適用期限の到来に伴い廃止しようとするものであります。  附則第十一条第十一項の改正は、自動車航送船の係留に係る特定用途港湾施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の算定上控除する額を引き下げるとともに、その適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第十二条の二の改正は、昭和五十一年度排出ガス規制適合車及び昭和五十三年度排出ガス規制適合車に係る自動車税の税率の軽減措置をその適用期限の到来に伴って廃止する一方、電気自動車に係る税率の軽減措置の適用期間を昭和五十三年度まで延長しようとするものであります。  附則第十四条第三号の改正は、窒素酸化物対策のための燃焼改善設備に係る固定資産税を非課税としようとするものであります。  附則第十五条第二項から第十五項までの改正は、固定資産税につきまして自動列車停止装置及びコンテナー埠頭の用に供する固定資産に係る課税標準の特例措置を廃止し、電子計算機に係る課税標準の特例措置を縮減するとともに、外国貿易用コンテナー、原油備蓄施設及びカーフェリー埠頭の用に供する家屋及び償却資産に係る課税標準の特例措置の適用期限をそれぞれ二年延長しようとするものであります。  附則第十五条第十六項の改正は、一定の地方路線に就航する航空機以外の国内航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置を縮減するとともに、その適用を昭和五十五年度までに新たに固定資産税が課されることとなるものに限ることとしようとするものであります。  附則第三十条の二の改正は、軽自動車税の税率の特例について、先ほど御説明いたしました自動車税に係る附則第十二条の二の改正と同趣旨の措置を講じようとするものであります。  附則第三十一条の改正は、繊維製品及び紙の製造の用に供する電気に対して課する電気税の軽減措置の適用期限を、三年延長しようとするものであります。  附則第三十二条第二項及び第四項の改正は、自家用の自動車の取得に対して課する自動車取得税の税率及び自動車の取得に係る免税点の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第三十二条の二の改正は、軽油引取税の税率の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第三十二条の三第一項の改正は、中小企業者が公害防止事業団から譲渡を受けた共同利用建物において行う事業について、法人の事業にあっては昭和五十七年四月一日以後に最初に終了する事業年度分まで、個人の事業にあっては昭和五十七年分までに限り、事業に係る事業所税を非課税としようとするものであります。  以上でございます。     —————————————
  254. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤国家公安委員長
  255. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における猟銃または空気銃を使用する犯罪及び猟銃または空気銃に起因する事故の実情にかんがみ、新たに猟銃を所持しようとする者について猟銃の操作及び射撃の技能に関する技能検定を実施し、猟銃または空気銃の所持の許可の基準を整備し、並びに猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間を短縮し、あわせて猟銃または空気銃の保管委託制度を新設することとするほか、銃砲または刀剣類の所持に関する規制を合理化すること等をその内容とするものであります。  まず第一に、所持の許可の基準の整備について御説明申し上げます。  その一は、覚せい剤取締法違反事件の急激な増加傾向及び覚せい剤中毒者の社会的危険性にかんがみ、覚せい剤中毒者には銃砲または刀剣類の所持の許可をしないことを明らかにいたしたことでございます。  その二は、この法律の規定に違反したため所持の許可を取り消された者との均衡上、銃砲の保管義務または銃砲もしくは刀剣類の譲り渡しの制限に違反して罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して三年を経過していないものには、所持の許可をしないことができることといたしたのであります。  第二に、猟銃または空気銃の所持の許可の基準の特例並びに猟銃の射撃等の技能検定及び射撃教習について御説明いたします。  猟銃または空気銃による事故は依然として多発しており、その内容を検討しますと、猟銃または空気銃を所持する者がその取り扱いについての基本的な知識、技能等に欠けることに起因するものが多い実情にあります。  そこで、まず、猟銃または空気銃の所持の許可を受けている者は、三年ごとに猟銃または空気銃の取り扱いについての基本的な知識等に関する講習を受けなければならないこととし、猟銃または空気銃の適正な取り扱いに関する自覚を喚起することにより事故の防止を図ることとしたのであります。  次に、新たに猟銃を所持しようとする者に対しては、都道府県公安委員会が行う猟銃の操作及び討撃に関する技能検定に合格した場合または都道府県公安委員会が指定した教習射撃場において教習射撃指導員が行う射撃教習を受けて教習修了証明書の交付を受けた場合等でなければ、狩猟、標的射撃等のための所持の許可をしてはならないこととしたのであります。  また、ただいま御説明いたしました技能検定または射撃教習を受けるために猟銃を所持しようとする者には、政令で定めるところにより期間を定めて技能検定または射撃教習を受けるために必要な猟銃の所持の許可をすることとするとともに、技能検定、射撃教習の実施に必要な教習射撃場、教習射撃指導員等に関する規定を新設し、この制度が円滑に運用できるようにいたしたのでございます。  第三に、許可証の合理化について御説明いたします。  現在猟銃または空気銃の所持の許可は、所持している猟銃または空気銃ごとに許可証を交付しているのでありますが、一人について一の許可証を交付し、現に猟銃または空気銃の所持の許可を受けている者にさらに猟銃または空気銃の所持の許可をする場合においては、現に交付している許可証にその猟銃または空気銃の許可に係る事項を記載すれば足りるものとする等許可証の合理化を図ることといたしたのであります。  第四に、許可の有効期間の短縮について御説明いたします。  猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間は、現在は五年となっているのでありますが、最近における猟銃または空気銃による犯罪及び事故の発生状況にかんがみ、猟銃または空気銃を所持させることが適当でない者の発見の機会を多くする等のため、許可の有効期間を、許可を受けた日または許可の有効期間が満了した日の後のその者の三回目の誕生日が経過するまでの期間とすることといたしたのであります。  第五に、失効し、または取り消された許可に係る銃砲または刀剣類の仮領置について御説明申し上げます。  失効し、または取り消された許可に係る銃砲または刀剣類による危険を防止するため、銃砲または刀剣類の所持の許可が失効した場合において、他人の生命若しくは財産に対する危険を防止するため必要があると認めるとき、または五十日以内に、みずから許可を受けて所持し、若しくは所持しないこととするための措置をとらないときは、その銃砲または刀剣類を仮領置するものとし、許可が取り消された場合においては、その取り消された許可に係る銃砲または刀剣類を仮領置することとしたのでございます。  第六に、猟銃または空気銃の保管の委託について御説明申し上げます。  現行法におきましては、許可を受けて猟銃または空気銃を所持する者は、当該猟銃または空気銃を堅固な保管設備にすべてみずから保管しなければならないことになっておりますが、これを改め、盗難の防止その他危害予防上必要がある場合には、猟銃等販買事業者または指定射撃場もしくは教習射撃場の設置者であって、都道府県公安委員会に届け出て、委託を受けて猟銃または空気銃を保管することを業とするものに猟銃または空気銃の保管を委託することができることといたしたのであります。  第七に、教習射撃場等への立入検査等についてでございます。  都道府県公安委員会は、教習射撃場または猟銃等保管業者に対し、その設備または保管の方法等が総理府令で定める基準に適合しているかどうかを調査する必要があると認めるときは、その業務に関し、報告を求め、または警察職員に立ち入り、検査させ、もしくは関係者に質問させることができることといたしたのであります。  その他手数料の額の改定、罰則の整備等所要の改正をいたすことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略でございます。何とぞ、慎重御審議の上、速やかにご賛同賜らんことをお願いいたす次第であります。
  256. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、補足説明を聴取いたします。浅沼警察庁長官
  257. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、主要な点について補足して御説明申し上げます。  第一は、猟銃の射撃等の技能検定及び射撃教習制度の新設であります。  その一は、最近の猟銃または空気銃による事故の実情にかんがみ、新たに第四条第一項第一号の規定による狩猟、有害鳥獣の駆除または標的射撃の用途に供するため猟銃の所持の許可を受けようとする者は、都道府県公安委員会が行う猟銃の操作及び射撃に関する技能検定に合格し、または都道府県公安委員会が指定した教習射撃場において行う射撃教習の課程を修了した場合でなければ、許可をしてはならないことといたしたのであります。  なお、海外旅行等のやむを得ない事情により猟銃の所持の許可の更新を受けることができなかった者で、その事情がやんだ日から起算して一月を経過していないものについては、技能検定を免除することにいたしております。  その二は、技能検定または射撃教習の用途に供するための猟銃の所持の許可の特例を第五条の五として新設したことであります。  この許可は、技能検定または射撃教習を受けようとする者に対して行うものでありますが、所持に伴う危険性という点では、狩猟、有害鳥獣駆除または標的射撃の用途に供するための所持と異なるところがありませんので、これとほぼ同様の基準によって許可することといたしております。  また、この許可は仮許可的性格を持っておりますので、その有効期間は、政令で定めるところにより都道府県公安委員会が定めることといたしたのであります。  その三は、射撃教習を実施するために必要な教習射撃場の指定等に関する規定を第九条の四として新設したことであります。都道府県公安委員会は、指定射撃場のうち、その施設を管理する者及び管理の方法が総理府令で定める基準に適合し、かつ、射撃指導員としての資格を有する教習射撃指導員が置かれているものを教習射撃場として指定することができることとするとともに、教習射撃場を管理する者は、政令で定めるところにより、射撃教習の課程を修了した者に対し、教習修了証明書を交付しなければならないことといたしたのであります。  その四は、射撃指導員の指定に関する規定を第九条の三として新設したことであります。都道府県公安委員会は、猟銃または空気銃の射撃に伴う危険の防止及び射撃の指導の適正化を図るため、猟銃または空気銃の操作及び射撃に関する知識、技能等が総理府令で定める基準に適合する者を射撃指導員として指定することといたしたのであります。  第二は、猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間を短縮するための第七条の二の改正であります。  これは、許可を受けた後に精神病者、暴力団員等の許可の欠格事由に該当することとなった者による犯罪及び事故を未然に防止するため、更新の期間を短縮し、現に許可を受けている者が許可の欠格事由に該当することになっていないかどうかの審査の機会を多くし、これを早期に発見する必要がありますので、他の立法令を参考として現在五年となっている猟銃または空気銃の許可の有効期間を改め、許可または更新を受けた後のその者の三回目の誕生日が経過するまでの期間といたしたのであります。  第三は、第四条第一項第一号の規定による猟銃または空気銃の所持の許可に係る許可証の合理化に関する改正であります。  現在、猟銃または空気銃の所持の許可は、所持している猟銃または空気銃ごとに許可証を交付しているのでありますが、今回の改正では一人につき一の許可証を交付し、現に猟銃または空気銃の所持の許可を受けている者に、さらに猟銃または空気銃の所持の許可をするときは、現に交付を受けている許可証に、その許可に係る事項を記載すれば足りることといたしたのであります。なお、これに伴い、猟銃もしくは空気銃の所持の許可が失効しまたは猟銃もしくは空気銃を猟銃等販売事業者に譲り渡す場合における許可証の措置について、その合理化を図るため所要の改正をいたしたのであります。  以上が、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案の主な内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  258. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十二分散会      —————・—————