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1978-01-30 第84回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年一月三十日(月曜日)    午後五時五十二分開会     —————————————    委員異動  十二月二十二日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     小山 一平君  一月十二日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     大森  昭君  一月十三日     辞任         補欠選任      大森  昭君     野口 忠夫君  一月三十日     辞任         補欠選任      園田 清充君     山本 富雄君      衛藤征士郎君     戸塚 進也君      熊谷  弘君     真鍋 賢二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 志苫  裕君                 神谷信之助君     委 員                 金丸 三郎君                 鈴木 正一君                 戸塚 進也君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 真鍋 賢二君                 山本 富雄君                 小山 一平君                 佐藤 三吾君                 野口 忠夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 向井 長年君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣  加藤 武徳君    政府委員        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省財政局長  山本  悟君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        大蔵省主計局主        計官       足立 和基君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨五十二年十二月二十二日、和田静夫君が委員辞任され、その補欠として小山一平君が選任されました。  また、本日、園田清充君、衛藤征士郎君及び熊谷弘君が委員辞任され、その補欠として山本富雄君、戸塚進也君及び真鍋賢二君が選任されました。     —————————————
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事志苫裕君を指名いたします。     —————————————
  5. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤自治大臣
  6. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま議題となりました昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算において所得税及び法人税減収並びに酒税の増収が歳入に計上され、国税三税の合計額において八千三百七十億円減収になることに伴い、地方交付税においても、その三二%に相当する二千六百七十八億四千万円の落ち込みを生ずることとなりました。  しかし、現下の地方財政は、すでに決定された地方交付税総額を減額できるような状況ではありませんので、昭和五十二年度分の地方交付税については、地方交付税法第六条第二項の規定による額及び交付税及び譲与税配付金特別会計法第四条の規定による一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入金の額の算定について特例を設けることにより第一次補正予算に計上された地方交付税総額を確保することとし、また、後年度において、昭和五十二年度分のこの地方交付税については、国税三税の収入決算額の増減による精算を行わないことにしております。  以上が、昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案提案理由及びその要旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  7. 金井元彦

    委員長金井元彦君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 志苫裕

    志苫裕君 私は、この特例法案にしぼって質疑をするつもりでありますが、ちょっと気になっていることを一つ二つだけ最初に申し上げて、見解をただしておきたいと思います。  それは、この補正予算でも新年度予算でもそうでありますが、景気浮揚と称して公共事業等がずいぶんたくさん計上されるんですが、その際どうもこの景気浮揚のために公共事業をやるという言葉ですね、非常にぼくはこれいやなんですよ。  本来、自治体は、公共投資をして住民の環境整備都市施設整備をするのは、それが本来の任務なのであって、それがいろいろおくれておるから、こういう機会にひとつ大いに踏ん張ってやろうじゃないかと。その結果としてそれが景気浮揚につながるのもよし、私は非常に結構なことだと思うのですが、どうも価値観が逆立ちをしているのではないかという気がしてならぬのでありますが、その点を大臣、いかがですか。
  9. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) わが国の社会資本の立ちおくれは御承知のとおりでございます。その中におきまして、特に地方社会資本の立ちおくれは著しいものがあるのでありますから、景気いかんにかかわらず、社会資本充実のためには努めてまいらなければならぬのでありまして、で、社会資本充実のために、具体的には公共事業等を大量にやることによって、その結果としましては景気回復につながってくると、かように理解をいたしておるところでございます。
  10. 志苫裕

    志苫裕君 これは鶏と卵のように見えますけれども、実は、自治体を預かる者としての心構えとしては、いまやっぱり自治大臣が答弁をされたことが筋道なんです。何か景気回復等に特に必要がないときには、同時に都市施設整備環境整備も怠ってしまうということにもなってしまうわけでありまして、この際、きちっとした観点を定めておいてほしいということが一つです。  もう一つは、前倒しだ、早くやれと、切れ目もなく仕事をしていこうということのために、私は、ルールなり手続がおろそかにされているのではないかという点の指摘です。早くやるには早く内示をして、地方自治団体ではもうすぐに内示があれば直ちに首長専決をして——それで国の予算はいま国会審議しているんですよ。極端なことを言えば、決まるか決まらぬかはまだわからないんですよ。にもかかわらず、その内示に基づいて地方自治団体はすでに予算専決をして、執行するに至っては言語道断だと。そういう事例があります。私は、公共事業も結構、景気浮揚も結構だけれども、公共事業とか景気浮揚といえば予算フリーパスであって、それにいろいろクレームつける者は何かつまはじきをされるような雰囲気のもとでルール無視をされる。無理無体無法が通るということは認められない。こういう点についてはしかとした監督等があってしかるべきものと、こう思うのでありますが、いかがですか。
  11. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 今回の予算編成は、いわゆる十五カ月予算と、かような考え方を背景にしておりますことは御承知のとおりでございます。とは言いますものの、年度区分からいたしますと、第二次補正分はもとより五十二年度分であって、そして十二カ月は五十三年度、かようなことでございます。そこで私どもは、本年度補正予算に当たりましては、余す日数がそう多くないのでありますから、年度内の消化を図ってまいりますには、なるべく早く補助金額等決定を願い、また事務手続等につきましてもできるだけ簡素化を行い、また地方におきましても、なるべく早くその受け入れの体制をとっていただきたい、かように要請をいたしておったのでございます。ただ、地方によりましては、いろいろ事情があるようでありまして、多くの公共団体の中には、きわめて慎重な構えを持っていらっしゃるところもありますし、あるいはある市町村におきましては、専決をいたしておりますような事例も間々聞いておるのでありますけれども、しかし急ぐの余り違法な手続をいたしてはならぬことは申すまでもないわけでございますから、ただ専決が不可能であるということは言い得ないのでありまして、やはりその団体の特性に応じまして、たとえば首長議会等とようく話し合いをいたしまして、全員協議会等を開きまして、ここで改めて臨時議会等招集の必要はなくて、首長専決にしておきなさい、事後承認いたしましょうと、かような例も間々あろうかと思うのでございますけれども、それは、その公共団体自主性に任してまいってきておりますのが、いままでの例でございます。が、しかしおっしゃいましたように、事業執行を急ぐの余り違法な手続等があってはならぬのでありますから、その辺はしかと心得ていただきますように指導いたしておるようなことでございます。
  12. 志苫裕

    志苫裕君 私も急ぐときですから専決するなとは言いません。しかし、専決するんなら国会で、一院でも二院でもいいですが、通ったその日に専決だってできるわけでありまして、何かまだ国会審議をしているのに、これ見よがしに、もう半月も前に専決をしているというのは、何かわれわれの審議権というようなものを非常に軽視をしているという気がするわけでありまして、申し上げたわけであります。  で、私は本題に入るのですが、実は公共事業自治体追加予算でも本予算でもそうですが、自治体執行能力があるかないかと言って、よく議論していますね、本会議でも予算委員会でも。これについて、あるような、あるいはできるだけ努力をするような返事で、いかにも抽象的で、実際に能力があるのかないのかは、終わってみないとわからないというふうなことになりますので、私はこの次、この委員会が、まあ年度の総括的な問題等についてただす場があると思うので、それまでにこういう資料を用意してください。これだけ申し上げておきます。  たとえば事業費総額、これは補助事業単独事業を含めまして、事業費総額伸びぐあい高度経済成長時代からでもいいし、まあ四十年ごろからでもいいですよ。そして技術者一人当たりの事業費の量ですか、それから事業費だけではだめなので、工事の個所数、すなわち件数ですね、件数のこの推移、さらに今度は手続等簡素化するというのでありますから、公共事業執行等事務手続簡素化具体的事項、以上の点について、それぞれ検証をした上で、本当に執行能力があるかどうかの議論もできますので、自治省当局で集められたら集められる分をひとつ整理をしておいてほしい。このことだけ要望しておいて、それの上でひとつ議論をしたいと思います。大体当初予算及び第一次補正を含む既決予算執行状況だって一つ出ていないわけでありますから、これがずいぶんまだ残っておるのに、第二次補正やれます候と言ったって、これは言葉の上の議論だけなので、本当はそういうものの議論をしたいのですが、きょうは時間がありませんから、資料整理の要望だけしておいて、この交付税特例措置に移ります。  一々持って回った発言をしておると時間が長くなるんで、ひとつずばりと聞いておいて議論を集中いたしますが、五十二年の第二次補正によって、国税三税の減収に伴って交付税が二千六百七十八億円が減る。減るべきところだが、この特例法によって減らさないということを書いてあるんだから、まあ結構なことだというふうに思います。ところで、どうやらそう一人合点もしておれないのであって、この減額されない分は当然国においてめんどう見るんだろうと思っていたところ、きょう配られておりますこの両相覚書によると実はそうじゃない。第三項に返せと、一口に言うと返せという表現じゃありませんけれども、結局は返せと、第二項によって金をくれると思ったら、三項で相殺するぞというんだから、事実上半分取り上げるということがあるので、これは結構な法案とばかりも言っておれないというのが、われわれが非常に強く感じておるんでありますが、ところで審議を促進する意味で、この問題について衆議院地方行政委員会等自治大蔵等協議をした結果、統一見解のようなものが示されたそうでありますので、それをまず発表していただけませんか。それに基づいて質疑を進めます。
  13. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま志苫委員がおっしゃいましたように、衆議院におきまして、この法案審議いたします段階で自治大蔵両省統一見解ができておりますので、それをまず朗読をいたします。「覚書は、本来、政府部内の合意事項を確認したものであって、法律のような拘束力をもつものではない。したがって、昭和五十四年度以降の各年度臨時地方特例交付金については、法律規定によるものは別として、覚書に基づいて自動的に当該年度臨時地方特例交付金の額を決定するものではなく交付する年度における国及び地方財政状況等を総合的に勘案して自治大蔵両省協議の上、真に必要とされる額を政府案として決定し、予算及び所要の法改正のかたちで国会の御審議を経て最終的に確定するものである。」以上でございます。
  14. 志苫裕

    志苫裕君 で、私は公式にこの昭和五十三年度地方財政対策関連をした覚書と、それからなお、この覚書を敷衍をする意味政府統一見解なるものが発表になったことを議事録にとどめた上で、以下質問をしますが、まず、この法律の裏にといっちゃあれでありますが、法律に書いてないところにこの種の覚書というふうなものがあって、この覚書というのは政府統一見解にもありますように、政府部内の約束事だと、役所約束事だと、内部の出来事ですな。この法律の裏に覚書という役所内部約束事があって、これが事実上将来出てくるであろう、あるいは事実上われわれが審議して決めるであろう法律拘束をするということになっているわけです。御審議いただきますと言ってわれわれに法案を出しておる、その法案をいずれかに決めるわけでありますが、決めたらそれよりも役所内部約束事がさらにこの法案効力拘束するというんですね。こういう手続きというのは私はまずいかがかと思うんですよ。これはやっぱりいささか国会無視でもあり、法律無視でもあり、行政優位、まずこの点は大臣いかがですか。
  15. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) ただいま御審議願っております法案は、五十二年度におきまする措置決定いたそうと、かようなことでございまして、いわゆる減額補正は行わない、かような趣旨でございます。そこで、減額補正は行わないものの、このままの、地方で言えばいわゆるもらいっきりでいいのかどうかはまた別個議論に発展をいたしたのでございまして、そこで覚書の第三項に相当長文の文言を入れておるのでございますけれども、その内容についてはいま私が朗読をいたしたようなことでございまして、それで昭和五十四年度以降昭和六十年度までに、順次その年その年におきまして毎年毎年両省協議いたしまして、その年度財政状況等を勘案しながら決定をいたすべきものだと、かような取り決めをいたしたようなことでございます。
  16. 志苫裕

    志苫裕君 じゃこれは私中身のことは聞きますが、法律の裏に覚書という役所内部取り決めがあって、それが、そのでき上がった法律の将来も含めて、その効力拘束をするというやり方はいかがなものかと。もしこの法律効力を将来にわたって拘束をするのであれば、そのように法律に書きゃいいんであって、審議するときにはいわば法案審議し、役所の方がその後ろで別のことで拘束力を持っているというやり方は、これはやっぱり民主的でない。国会軽視。そういう意味じゃ法律無視だ、行政優位のおごりだ、そうじゃないかと、このことを聞いているんですが、まずいかがですか。
  17. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) さっき申しましたように、御審議いただいておりまする法案は、五十二年度におきまする処理の方法を法定いたそうと、かようなことで処置をいたしてまいっておるのでございますけれども、ただ、地方が二千六百七十八億四千万円をこのままの形で受け入れて、そのままでよろしいのかどうかはまた別個議論になったわけでございますから、この辺のことはどうぞひとつ御理解をいただきたい、かように思う次第でございます。
  18. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、これは事務的なことで局長でもいいですが、覚書というものがなくて法律ぽっきりであったら、この金、返さなくてもいいのでしょう。
  19. 山本悟

    政府委員山本悟君) 覚書はあくまでも政府部内のことでございまして、それによりまして全くの法律と同じような意味での義務地方財政として負うことではございません。その意味におきましては、覚書があろうとなかろうと、そのときどきにおきます、各年度におきます臨特というのはどれだけ必要か、今回の措置の場合も御案内のとおり五十三年度以降の臨特につきましては法律でもって二分の一負担ということ、それから五十年度につきましては、当初におきましては御案内のとおりの一定の金額臨特としてもらうということを書いたわけでございますが、五十年、五十一年両年度につきましては、交付税特別会計で大幅な借り入れをいたしておりますが、これにつきましては覚書でもってそのときどきの地方財政状況を考えて配慮をするということだけで、形式上は返さなければならない、こういうようなかっこうになっておりました。その後五十年、五十一年度借り入れにつきましても、その覚書の第二項では将来実質的に半分は国が持ちましょう、こういうことに決めたわけでございますが、それとの関連等もございまして、今度の自然減収に伴います交付税の減というものについては、五十年、五十一年度の分を半分国が負担をするというのと同様な意味で、やはり半分方式、現在の国税地方税との相互の負担関係からいきますと、やはり半分程度が適当じゃないかということで、半分ということを政府部内の内部のこととしてやったわけでございまして、決してこの覚書があることによりまして今度各年度におきましての、五十年、五十一年の臨特、それと今度の五十二年度のこの減収分臨特の分との差し引き、それにまた、その年度におきまして本当にそれだけで臨特が足りるのかということまでも加えた上での、各年度におきます臨特というものを予算で計上し、また法律でもって交付税特例としてお願いをする、こういうかっこうになるわけでございますから、これによりまして地方財政として正確な意味での、法律と同じような意味での義務を負うというようなことにはなってこないと思うわけでございます。
  20. 志苫裕

    志苫裕君 あなた、いろいろ答えているうちにわからなくなっちゃっうんですがね。ぼくはきわめて単純に聞いてるんだね。この交付税法特例法によりますと、本来であれば二千六百幾らは減るべきところだが減らしませんよという法律国会の意思によって決めるわけですよね、この法律が通るということは。減るべきところが減らない。しかも、ごていねいに将来過不足調整もいたしませんと、あれがあったから返せとかなんとか、そういう過不足調整もしませんというふうになってるでしょう。ですから、この法律をそのまま国会が決めれば、読んでみれば、減るべきところが減らさないで済んだ、将来よこせとか、なんとかしろということもないわけでありますから、この分については自治体側から見れば、減らされるとか、よこせとかと言われる筋合いのないものでしょうということを聞いてるんです。
  21. 山本悟

    政府委員山本悟君) 今度の法律でお決めいただいておりますことは、今年度交付税の法の第六条第二項の額につきましてはまさにおっしゃるとおりでございますが、将来の臨特というものを各年度においてどうするかということにつきましてはこの法律では触れていない、おっしゃるとおりに触れていないわけでございまして、各年度におきまして予算と、それから法律によって交付税の額を決めていただくときに御議論を賜ると、こういうことになる系統のものであろうと存じます。まあその辺は、五十年度におきましての大幅な税収減に伴います交付税借り入れ、これはまあ形式的には全部地方財政が返さなきゃならないと一応は読めるわけであります、借り入れだけ書いてありまして、国がどう持つということは書いてないわけでございますから。それにつきましては、今度の覚書の二項によりまして、半分は国が持ちましょうと、こういうことを言ってるんで、それと同じような考え方になるわけでございまして、その意味におきましては、この法律そのもの交付税の額を決めると、本年度の額を決めるということをしなきゃならない法律でございまして、これから後年度におきます臨特というものの額がどうなるかということにつきましては、それぞれの年度において国会としては予算法律によって御議論を賜りたい、こういうことになろうと思います。
  22. 志苫裕

    志苫裕君 何だかくどいようなことを言ってあれですが、たとえば五十四年度以降地方財政、まあ財源が不足をするとかいろんな状況が起きて、財源対策財政対策どうしようかというようなときに、まあひとつ幾らかを臨特でお願いしますわ、という立場がありますね。そういうことが起きたときでも、そのときに、いや、五十二年のあの第二次補正のときに、減るべきところを減らさなかったんだから、あのときの分は今度差っ引きますよ、というふうなことを将来因縁つけられる筋合いはないじゃないかと、この法案だけであれば。ということを聞いてるんですが、どうなんですか。覚書があるから因縁つけられて将来残る、話の種が残るわけ。しかし、この法案ぽっきりであったら、このことが少なくとも原因にならないでしょう、あのときよけいやり過ぎてるから今度減らしてください、という種にならないんじゃないですかということを聞いてるんですよ。
  23. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のようなまあ見方もあるわけでございますが、同時に、そのまあ五十四年なり、五十五年なり、そこのときにおきましてどれだけ交付税が必要か、どれだけ臨特が必要かということは、またそのときどきでも決める、この点が、真に必要な額をそのときに決めて国会で御審議いただくんだ、ということを統一見解でも言ってるわけでございまして、そういう意味ではこの覚書が、それはあるのとないのとで違いがあるというお見方もあろうかと思いますけれども、これがあることによって当然に臨特というものが計算されてくるというものではないということは、この統一見解というのは触れていると思います。
  24. 志苫裕

    志苫裕君 何だかわからぬ。これは法制局でも呼ばんとだめだな。  そこで、覚書とこの統一見解についてお伺いしますが、私素直にこの統一見解というのを読みますと、どういうことが書いてあるかというと、覚書があるからといって、覚書の項目を自動的にやるのではない、そのときどきの国と地方との財政状況を勘案するんだと。一番目が、自動的にやるんじゃないと、二番に、国、地方の財政状況を勘案していくんだと、三番目に、そして真に必要な額を決めて、必要な措置をとるんだということを書いてあるんですが、ということになりますと、国なり地方の財政状況によっては、まあ今度は少し地方財政景気がいいから少し返す頻度を早めろとか、よけい返せとか、あるいは財政は依然として苦しいから、少し返すテンポを延ばそうかとか、あるいは帳消しにしようかとか、こういうさまざまな状況があり得るというのがこの統一見解ですか、その点はひとつ自治省と大蔵省と両方で答えてください。
  25. 山本悟

    政府委員山本悟君) 確かに臨特やり方といたしまして、五十二年度は当初に決めました四千二百二十五億を各年度法定をしていただきました。それから五十三年度以降の交付税会計の借り入れの分につきましては、この覚書でいけば第一項で、これから法案を御提出を申し上げる明年度以降の交付税法の改正、この分におきましては一定のルール化をいたしまして、五十三年度以降の交付税会計の借り入れについては、それぞれの償還年度におきまして実質二分の一を国庫が臨特として持つと、こういう制度化を図ろうといまいたしているわけでございます、覚書では第一項に書いてあるわけでございますが。これらの五十二年度のように金額を書いたと、あるいは五十三年度以降のように法律によりましてこういうルールを書いたと、これはもう明らかにそれらの規定によりまして、当然に臨特の額というのがその部分については適用されてまいる、かようなことになると思います。法律によりまして当然に各年度におきます償還額が決まってくれば、実質その二分の一は国が臨特として交付税会計へ入れてくれるということでございますから、これは非常にはっきりと法律に基づきまして臨特の額というのが決まってくる、こういう部分が臨特のうちで相当部分今度は出てくるわけであります。ところが、それまでのように覚書でもって、五十年、五十一年度借り入れの部分のように、覚書でもって将来考えましょうと言っておりまして、今回はこの覚書の第二項によりまして、五十三年度以降の措置と同じようなことをこの覚書の二項は書いているわけでありますが、この部分につきましては、法律によりまして当然に計算されるというわけではない。それと同じような意味におきまして、この第三項も法律によって当然に計算されるものではない、こういうようなことになってまいるかと思います。その意味では、法律でもって五十二年度の当初で書いたもの、あるいは五十三年度以降についてこれから法律改正をお願いするもの、こういったものによって計算されるものは、その臨特がまさに法律によって自動的に計算されて額が決まってくる。それに対しまして、覚書によるものというのは、この統一見解としてお出ししましたところでございますように、いろいろな事情を勘案して決めていきましょう、こういうことであるわけでございます。なお、たとえばでございますが、これから御審議をいただくことで恐縮でございますが、五十三年度臨特は、千五百億というものを一般会計から交付税特別会計に入れてもらうようになっておりますが、この千五百億の中身といたしましては、五十年度分の交付税の特別会計の借入金の償還金が八百五十億あるわけでございますが、これの半分の四百二十五億と、それからその他の事情のをいろいろと入れまして、概要数字で千五百億国が入れる、その地方財政状況も勘案いたしまして千五百億を入れていると、こういうことになっているものでございまして、そういうようなことを考えますと、法律によって当然に出てくる臨特の額というものと、それからいろいろな諸状況を考えた上で決まってくる臨特とういもの、こういうものが同じ臨特という中にでも出てまいるわけでございます。その辺は、ここにございますような中身を大急ぎで書いてまいりますと、こういった各種の事情を勘案いたしまして、その年々の臨特が決まってくる、こういうように申し上げていいと思います。
  26. 足立和基

    説明員(足立和基君) 統一見解にございますが、「昭和五十四年度以降の各年度臨時地方特例交付金については、法律規定によるものは別として、覚書に基づいて自動的に当該年度臨時地方特例交付金の額を決定するものではなく」云々とございます。この「法律規定によるものは別として」というのは、たとえば、五十二年度臨時地方特例交付金四千二百五十五億円の返し方というのはきちっと決まってございます。そういうものは法律に書いてございますから、その臨特はいわば自動的に法律規定によって決まってまいりますが、そういうその他のものにつきましては、その自動的に臨時地方特例交付金の額というものは決定されるものではございません。ここにございますように、交付する年度における国及び地方財政状況等を総合的に勘案して自治大蔵両省協議の上、真に必要とする額を決定いたしまして、そして予算、それからまた法律、こういうことで国会で御審議をいただくわけでございます。したがいまして、覚書ですべてが決まっているというようなことは全くございませんで、覚書というものは法律のような拘束力を持つものでないということが統一見解でございます。
  27. 志苫裕

    志苫裕君 山本さん、あなた丁寧に説明するのはいいけれども、丁寧というのとわかりやすいというのは別のことで、本当にわかりにくいんで困っているんですがね。私はちょっと勘違いしていたような気がします。前提を整えますが、この統一見解というのは、私は、直接的にはこの覚書の第三項に減らさないことに法律上するけれども、その額の半分は二項の五十年、五十一年、それに半額ずつめんどうを見ますね。そのとき操作しますよということをこの三項に書いてあるわけね。それじゃ困るというので議論になって、衆議院ではこういう統一見解が出たというふうに承知をして聞いているわけなんです。だとしますと、この第三項に基づく、覚書第三項のこの統一見解だとしますと、ここでは、この覚書に基づいて自動的に当該年度の額を決めるのではないと、まず全体に言っているわけですよ。ということは、この覚書そのものによれば、「五十四年度以降各年度臨時地方特例交付金の額に応じて行うものとする。」というので、皆さんが計算をしたところによると、五十四年度百二十八億、五十五年度百四十六億、五十六年度百六十五億という、この三項の覚書を具体的にした表がありますね。このとおりやるとすれば自動的に覚書に基づいてやることになるわけ。統一見解に基づいてやるとこのとおりの額にはならないわけ。こういう覚書があるけれども、この統一見解では、額を決める年度における国及び地方財政状況等を総合的に勘案をしてもう一遍協議をするんですから、覚書にはこういう額は書いてあるが、統一見解だとそれは弾力的に扱う、そのときどきの国及び地方の財政状況を総合的に勘案をしますということになるんじゃないですか。その関係を聞いているんですよ。どうですか。
  28. 山本悟

    政府委員山本悟君) したがいまして、ここにただいまお持ちになっております表のような金額の、たとえば五十年度分の臨特としてもらう額、五十一年度分の額、それから引いた額、その残りの金額というのが当然にその年度臨特として上がってくるというものではなくて、その額の総額が決まる際にはいろいろな事情が勘案されまして決まってまいります。その決まってきました点は、予算法律でもって御審議をお願い申し上げますと、こう申しておるわけです。
  29. 志苫裕

    志苫裕君 主計官の方は……。
  30. 足立和基

    説明員(足立和基君) 財政局長の答弁したとおりでございます。
  31. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、たとえば、覚書第三項によると、それを数字であらわせば、五十四年度百二十八億。五十年と五十一年分で千十億円おたくに上げることになってましたが、五十二年度の第二次追加分のときの分を百二十八億円削りますよ、というのが覚書第三項の中身なんです。ところがそれを統一見解では、そういう覚書があるけれども、それはそのまんま自動的にやるんじゃあない、そのときの状況によって考えますよ、ということを統一見解で言うたわけでしょう。その点、大臣にもう一遍確認します。
  32. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 非常に回りくどい議論になってしまっておりますから、山本局長も主計官も専門家なものですから、専門的に言い過ぎましてやや御理解しにくい点があったかと思うのでありますけれども、覚書は第一項、第二項、第三項とずうっと書いてございまして、第一項には……
  33. 志苫裕

    志苫裕君 第三項でいいです。
  34. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 第三項だけでいいですか。
  35. 志苫裕

    志苫裕君 三項とこれの関係を……。
  36. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) そうしますと、五十二年度の当初におきましては、二分の一返すということが法定されておったわけでございますね。それから、この国会に上程を予定しております法案は、五十三年度以降のことにつきましてこれまた法定をお願いすると、こういう運びになろうとしておるわけです。ところが、五十年度、五十一年度交付税特会で借り入れをしたものにつきましては何ら取り決めがなかったわけでございますから、それを臨特で見て上げますよと、これが覚書の第二項なわけです。  そこで第三項は、今回減額補正をするのが筋でございましたけれども、減額補正しないことにした。そこで、まるきり地方に来てしまうのかといいますと、そうではなくて、やはり五十年度、五十一年度と同じように今回の補正しない分については半分は見てあげましょうと、こういう考え方覚書の第三項でございます。ただし、それは五十二年度や五十三年度以降のようにかちっと法定したものではありませんで、その年度年度、五十年度、五十一年度及び今回のこの法案、この三者についてはよく相談をしながら臨特金額を決めていきましょうと、これが統一見解趣旨でございます。
  37. 志苫裕

    志苫裕君 そう書いてあるのは覚書の方なんであって、五十年、五十一年のものと五十二年の今度のものが言うならば相殺をされます、ということを書いてあるのがこの覚書なんですよ。統一見解の方は、そう書いてあるが自動的にそうやるというわけでもないと、そのときの国、地方の財政状況を見てさらによく考えますということを言うているんでしょう。
  38. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) そのとおりです。
  39. 志苫裕

    志苫裕君 そのとおりですね。とすれば、事実上この統一見解というのは覚書を修正したものではないか、覚書効力を修正しているじゃないか。覚書というのは役所内部の出来事、統一見解というのは国会において大臣が約束したこと。とすれば、われわれは統一見解の方を聞いているわけですよ。覚書は皆さん両方の内側の約束事だ。審議に当たってわれわれに述べたこと、大臣が述べたことは、あるいは政府が述べたことは、この五十二年度の減額しない部分ですね、減額されるべきところをしなかった部分は、将来、国、地方財政状況等を総合的に判断をしながら必要な法案等出していきますということを言っておるのであって、やれ五十年、五十一年分と差っ引くとか、八年間で勝負をつけるとか、そういうことは統一見解では何も言っておらぬのですから、弾力的に将来、国、地方の財政を勘案をしながら、この扱いについては将来考えていきますということしか言ってないのですから、事実上覚書第三項の効力は修正されているじゃないか、失われているじゃないか、そう思いますが、いっそのことあっさり覚書第三項は、むしろ撤回されたらどうか、あるいは修正されたらどうか、そっちの方も。この統一見解にむしろ見合うように覚書がなっとりゃ、これは統一見解覚書が一致しておる、覚書統一見解で修正しているんです。そうじゃないですか。
  40. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 統一見解の前段で申しましたように、覚書はあくまで政府内部におきましての合意事項でございまして、そこで法律のように拘束力を持つものではないわけでございますから、あくまで覚書覚書であると、そこで政府内部におきましての合意事項を基本にしながら、その年度その年度において話し合いをいたします場合には、協議をいたします場合には、この統一見解の後段で示しておりますような考え方でやってまいりますと、かようなことでございますから、矛盾はいたしておらぬと、こう判断をしております。
  41. 志苫裕

    志苫裕君 たとえば覚書ね、昭和四十年のときのように、四十年のときは国税三税等の当初予期をしない経済状況のために減収になっちゃったと、それは別に地方自治団体の責任じゃないから、交付税減らさない、減収分は減らさない。ただし、将来ひとつ景気でもよくなったりして、自治体が出世をしたら返しなさいよという趣旨の中身でしたね、あの四十年のときには。この統一見解というものをさらに私は弾力的に考えると、法案で減らさないというふうにしたけれども、将来国、自治体等の財政を見ながら、自治体の方に余裕が出たらやっぱりそれは返しなさいよという、出世払いで返しなさいよということを言っているのと同じ意味じゃないですか。とすれば、四十年のときと同じ種類の覚書なり、そういうものがある方が状況にふさわしいんじゃないですか。その点はいかがですか。
  42. 山本悟

    政府委員山本悟君) 四十年のときの措置につきましては、ただいま先生おっしゃいましたような、いわゆる出世払いの覚書と称せられたものがあるわけでございます。またしかしながら、同時に五十年度の大幅な借り入れの際には、これは返すということが原則になっておりまして、借入金の返還については協議の上、必要があると認めるときには負担の緩和につき配慮を行うという程度のものにとどまっていたわけでございます。これは五十年度の同じような事情の場合の、約一兆何がしかの借り入れでございます。こういうようなこと、それから五十一年度の当初の財政対策におきまして、借り入れをいたしましたときも同じような覚書になっていて、これはすでに御提出をしているところであろうと思います。そういうような両年度、いろいろな年度におきまして考え方があるわけでございますが、今回は最近の大幅な借り入れでございました五十年度、五十一年度の両年度におきます交付税会計の借り入れの返還につきましても五十三年度以降と同様に、実質二分の一方式というのを当てはめることにいたしたわけでございます。それでこれがさっき申し上げましたように、第二項の覚書に書いてあることでございますが、それとの見合いにおきまして、あるいは関連ということにおきまして、この今回の五十二年度補正減に伴います分についてもやはり半分持ちというような考え方を同時にとったわけでございます。  そこで、第三項にございますように、そのことずばりと申しますよりも、昭和五十四年度以降の臨特を決める際に、差し引きをしたものをもとにして考えますよということを一応覚書としては書いたわけでございます。しかしながら、その額を決めるといっても、それは一応のもとでございまして、本当の臨特の額が幾ら必要であるかということは、まさにこの統一見解にございますように、いろいろな事情を勘案して、財政状況まで含めまして勘案をいたしまして政府案を決める、そしてそれを御審議いただくと、こういうことにするということを、この統一見解ということは申しているわけでございまして、実際に出てまいります臨特の額というのは、覚書によって自動的に決まったものを、はい、これだけでございますということで、他の事情を考慮せずに、それだけでもってお願いをするというものではございませんということを、この統一見解は申している。したがいまして、五十四年度以降の各年度臨特につきましてはということで、その臨特というのは、法律によって当然出てくるものは別といたしまして、それ以外のものというのは、五十年度の分、五十一年度の分、それから五十二年度の今回の分、これらを全部ひっくるめまして、さらにその上に地方財政状況までひっくるめまして、必要とする臨特予算化してお願いを申し上げたい、こういうような考え方をとっていることをこの統一見解は言っているわけでございまして、決して覚書によってその金額だけがばしゃっと決まってきて、それ以外のことはもうないというようなしろものではないということをこの統一見解は言っているというぐあいに御理解を賜りたいと思います。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、覚書があって、実際はそのときどきの状況によって勘案をしていきますよというふうになっていることはわかっているんです。わかっているんですが、しかしいろいろこう答弁をしているのを見ると、何かうるさいから弾力的なことを返事をしているようだけれども、実際はちっともその根性は変わってないと、やっぱりこれは差っ引くんだということがありありだから、そういうもとになる覚書というのは、統一見解まで弾力的になってきたんなら、覚書の方も出世払いにでもしますわというぐらいの内容になっておれば、この統一見解と論旨一貫をしていますから、まあ幾らか評価をできるんですが、どうもそこのところが余りいい返事が出ない。それほど皆さんの方、まあこれは大蔵省の方もそうですが、どうしても二分の一方式というのを何か金科玉条にして、私はなぜ二分の一かというのは、きょうやりたいんですが、改めてこれは本予算のときがあります。皆さんは二分の一、二分の一と言うけれども、もともと足りない分の半分は借金で、起債でやっちゃってるんですよ。残りの半分のうちの半分なんだから、これ四分の一じゃないか、これ本当のことを言うと。何か全部取ったようなことを言っているけれども、これはとんでもない話だと、こう思っているんですが、この議論はいずれやるとしても、皆さんの言うように二分の一に合理性があるんなら、今度の分だって、たとえば法律で、二千六百八十億円を全部減らさないと言わないで、そんなら法律のところに半分返すとか、半分めんどう見るとか、こういう形でいわゆる二分の一方式を書いたっていいわけでしょう。法律にそのことを書かないでうれしがらせて——何か「うれしがらせて泣かせて消えた」という歌あったけれども、うれしがらせてしばらくたったら泣かせるというような形でしょうが、これ。何で法律にそんな——ぼくはそれがいいと言うんじゃないですよ、全部めんどう見るべきだという主張だけれども、このめんどうのやりとりをせぬでもいいように、どうして法律で書かなかったか、これはちょっと両省で答えてください。
  44. 山本悟

    政府委員山本悟君) 確かに書くというやり方もあろうかとも思うわけでございますが、まあこれから、交付税法の御案内のとおり六条の三の第二項、あの問題との関連におきまして、あれに該当するような制度改正というようなものに当たるようなものにつきましては、もちろん法律で書かなければならない、これはもう明らかなところでございまして、五十二年度の当初の措置につきましては、いろいろ御批判あったわけでありますが、一応そういうかっこうでやらしていただいた、五十三年度以降につきましては、今後の法律改正でその将来に向かっての法律ルールを書いていきたい、こういうことにいたしているわけでございますが、年度途中におきますところの税の自然減収というものに伴いますようなものにつきまして書いていくのがいいのか、あるいは書かないでこういった覚書、あるいはそれに対する統一見解のようなやり方でその年度年度において必要とするものを確保していくのがいいのか、いろいろ考え方もあろうかと思いますが、少なくとも交付税法六条の三第二項というような関連のものではなく、今回の場合にはない税の自然減収だけなんだからと、こういうような気持ちもございまして法律には特に書かないで、しかも、今回五十年、五十一年度の借入分の措置についても法律に書かないで実施していこうということにいたした関連もございまして、特に法律に書かないでやらせていただいたということでございます。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 時間もあれですからそろそろ私やめますけれども、私、いずれにしても、まあわれわれがきょう法案審議していずれかの答えを出すわけでありますが、自治体は、この部分を将来返す責任なんか背負っていないというふうに思いますね。全額返す必要はない、そういうふうに解しておりますが、百歩譲って、何か内側でそういう操作があるのであれば、百歩譲っても出世払い、後に自治体財政が好転したときに返せばいい。だから、やはり八年間で割り勘で返していくとか、そういうことにそんなに強くこだわらないで、まあそれこそ統一見解をもっと弾力的に扱うべきだというふうに思っています。しかし、それは将来そのような内容で法案が出てくるものと、そういう財政対策が講じられるものというふうに期待をし、注文もつけておきたい、このように思います。  で、最後でいいですが、これはこれで注文だけつけまして、地方税減収も当然出てくるはずですが、国が八千億も減れば地方税も千五百億から二千億ぐらいは減ると思うんですが、これの不足の対策の方はよろしいですか。
  46. 山本悟

    政府委員山本悟君) 確かに法人関係税につきまして地方税もある程度の金額のものが減収になるんじゃないかというように予想をいたしております。まだ金額的にはっきりはいたしませんが、千三百億前後になりはしないかというような事務局の算定もあるわけでございますが、法人関係税でございますから、特定の団体にかたまって起こるというような事情がありまして、財政運営上問題がございますれば、やはり、減収補てん債というようなものによって対処をしていく必要が起こるんじゃないかというように存じます。どの程度の団体がどの程度減収補てん債を必要とするかは、これから計数的に詰めてまいりたい、こう思っております。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 原則としてはその減収補てん債でめんどうを見るのですか。
  48. 山本悟

    政府委員山本悟君) さようでございます。
  49. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私も問題点は一つしかないと思うんです。いまいろいろと論議が交わされたわけですけれども、はたで聞いていてわかったようなわからないような、何となくすっきりしないんですよ。  そこで、いまも言われたんですけれども、法律案では今度手当てした分については精算をしない、こう言っているわけでしょう。ところが覚書ではやると、この覚書を見てください、最後の締めくくりは全部断定的じゃないですか、余裕なんかないじゃないですか。このとおりやりますよとしか、そのようにしかだれが見ても、読んでもそうしか感じられないんじゃないですか。だから誤解と言えば誤解がそこに招かれるわけですよ。それでそういうふうに言うと、あなた方は、これはいわゆる統一見解ですか、これは決して法的な拘束力のあるものではない、覚書は。こう言っているわけですよ。これは逃げ口上だと思いますよ。なるほど、両大臣が話し合って決めたこと、覚書、これは確かにそれ自体は法的な拘束力はないでしょう。しかし、少なくても、自治大臣と大蔵大臣がこれからの地方行政のあり方についてこういうふうにすべきではないかという、それは基礎になるものじゃないですか。そんなものではないというんですか。その点どうですか。
  50. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおり覚書でございますから、両省間の合意という意味におきましては、ただいまおっしゃいましたようなことになろうと思います。やはり一応の両省間としての基礎になる。しかしながら、その基礎になった上で、その基礎のものがそのままのかっこう臨特というようなもののすべてになるわけではないということを申し上げているわけでございます。これは両省の一応の合意を見たこの暫定的に書いてあるという御指摘でございますが、これは両省間の行政レベルの問題でございますからこういう書き方になっておりますけれども、それが直ちにすべての基礎で、それだけが臨特というかっこうで出てくるものではない。その必要とする臨特が毎年度やはり必要とする額を、その基礎がこれだけで決まるわけじゃございませんで、その上にいろいろな各種の事情を勘案して必要とされるもの、その中には国、地方を通ずる財政事情と、そういったようなものまでも含めての必要とする事情、それを勘案した上で臨特というものの総額は決めてまいりましょう。こういうことを申し上げておるわけでございます。その意味では、この確かに行政的な覚書でございますから、暫定的に書いてございますけれども、本質はそういう意味であって、実際の臨特というものはいろいろな事情を加えたものとして御審議を賜ると、こういうかっこうに持っていくということを申しているわけでございます。
  51. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、この覚書の三項、ここが問題ですよ。今度の法律案に特に関係がある。だからこれはその五十四年度からいわゆる臨特で操作するという、そういったことがその時点でいろいろと検討されて、そういうふうになるかもしれないし、ならないかもしれないよと、こういうことになりますか。
  52. 山本悟

    政府委員山本悟君) 三項あるいは二項というものは一応の計算はするだろうと思います。しかし、その上で総体のものはどうするのかと、臨特といたしまして。臨特と言っても法律で決まっている臨特はこっちに置いておきまして、別に。これはもう法律で決まっておりますから、はっきりとこれだということで出てまいります。この部分が大きな部分があることは御理解いただけると思いますが、それ以外の部分としての臨特といたしましては、中にはいろいろの二項で足す金額あるいは三項で引く金額、あるいはほかのものも合わさってまいりまして必要とされるものになるということでございまして、法律でもって書かれたような意味でのぴしゃりとした計算というものをいたすわけじゃございませんということでございます。  たとえば、引かなければそれじゃ臨特総額がふえるのかと言えば必ずしもそうでもないし、引いたから臨特の額が総体として足らない金額になるのかというとそうでもない。国の財政事情、地方の財政事情、すべてを勘案して総合対策として真に必要な臨特というものを決めてまいりましょうということでございますので、ただしこの二項と三項との差し引きをしたものより低くなるということはとてもあり得ないことだろうと私ども思いますけれども、全体としての臨特というのは、各種の事情を入れた上で決めますよということを申し上げているわけでございますので、ここに文書に書かれましたように暫定的にぴしゃっと計算だけで出すというようなものでないということは申せると思います。
  53. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 何を言っているのかさっぱりわからない。そんなことを聞いているんじゃないですよ。私はあなたの言う専門的な臨特の説明を聞かしてくれと言っていま頼んだんじゃないですよ。この問題は法律案に精算しませんよと、こう書いてある。いわゆる大臣提案理由の説明の中にはっきり言っているじゃありませんか。だから、しかし覚書によるとこういうことが書いてある、三項には。だからその点を矛盾じゃないかと言うと、あなた方は法的拘束力はないんです。これは内輪の話し合いですよ。こう逃げているわけです。それならば、法律でもって、今度の法律案でもって精算しないと、こう言っているのですから、地方財政も大変だから全部あげましょうと、こう言っているわけだから、そうでしょう、法律案だってそうでしょう。提案理由の説明にはっきり書いてあるじゃないですか、うたっているわけですから。だから、矛盾を生じているわけなんですから。これは、こう言ったんでは、覚書で言っているとおりになった場合にはまことに矛盾ですよね。だけれども、決して法的な拘束力があるんじゃないと、こう言っているわけですから、そうなると、こういうふうにいわゆる精算をしないと言っているけれども、場合によっちゃ精算させることもあると、場合によっちゃいまの今度出た法律案のとおり精算しませんと、しないということになるかもしれないと、どっちになるかまだわかりませんと、こういうことになるわけですね。そこを聞いているんですよ。
  54. 山本悟

    政府委員山本悟君) 今回の法律は額を確定をいたすわけでございますから、そういう意味での精算という問題は、問題起こらないということまで書いているわけでございますが、ここで実質論でおっしゃいますから、いかにもその精算をするというようにお感じになるかと思いますが、この二項、三項というのは、合わせまして、五十四年度以降におきますところの臨特の額の基礎をどうしようかという書き方をいたしているわけでございまして、その臨特というもののときには、一応こういうものは行政当局としては考えますよと。しかし、その他の事情も考えて全体として決めますと、こう申しているわけでございますので、今度の法律そのものとはまあ矛盾はしないんじゃなかろうかというように思います。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その辺の説明がはっきりしないんですよね。われわれはもっと常識的に物を言っているんですよ。専門的な話をしてごまかそうみたいなしゃべり方よくないよ。だから、提案理由の説明に、いわゆる「昭和五十二年度分のこの地方交付税については、国税三税の収入決算額の増減による精算を行わないこととして」いるというんですよ。これは後年度、「後年度において」と、こうあるわけですからね。後年度というのは、五十四年度は後年度にならないんですか。ぼくの言っていることはまことに常識的なんですよ。後年度というのは、五十四年度も後年度でしょう、じゃないですか。もしその五十四年度に、この両大臣覚書のように、二分の一相当いわゆる操作されるようなことがあれば、この法律と全く違うことになるじゃないかということを言っているのですよ。そんなに法律案というものは権威のないものですか。また大臣の発言というものは権威のないものなんですか。どうですか、その辺。
  56. 山本悟

    政府委員山本悟君) 法律論になりまして恐縮でございますが、今回御提案申し上げております法律は、交付税法の本則の六条の2の「交付税総額」、これにつきましては、今度この分で確定をいたしまして、精算いたしませんと、こう申し上げているわけでございます。  それから、ただしこういう現在のような地方財政状況でございますから、御案内のとおり、五十年度以降といいますか、五十一年、五十二年ともに大幅な借り入れによっている、臨特というようなものももらっていると、こういうようなことは、附則の八条以降のところで、それぞれの年度特例措置として規定をいたしているわけでございます。ここでは臨特ということが出てまいるわけでございます。で、本則の方のいわゆる国の国税三税の三二%の方は、六条の2という方で、本則で書いてある。それにつきましては、今度の確定をいたしましても精算もいたしませんと。ただ将来におきますところの、こういう状況下におきますところの臨特を含めましての交付税総額特例措置、これにつきましては、まあそれぞれ年度のことが、年度でもって附則の方で総額特例、それから臨特の繰り入れと、あるいは返還というようなことをそれぞれ規定をいたしているわけでございますが、そちらの方の臨時のそういった状況下におきます措置としての臨特考え方としては、この覚書であり、また同時に覚書をもとにいたしまして、さらにその上に各種のそのときどきの財政状況までも含めましての臨特というものを考えていきますと、こういうことを申し上げておりますわけで、交付税法の本則の三二%の系統の方につきましては、もうまさに確定してございます。ただし、地方財政状況を踏まえての財政措置の方は、覚書を含めまして考えてまいると、こういうような二段構えに実際のところなっているわけでございまして、その意味では、この本則の方の国税三税に対します三二%という本当の交付税そのものの方はこれによって決まると、こういうことで、多少、大変申しわけございませんが、この今度の特例法は本則の方につきまして確定をすると、各年度におきますところの交付税特例総額特例臨特の額といったようなものにつきましての考え方は、覚書も含めましてこの統一見解のような処理の仕方をすると、こういうようなことになっていると思います。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、もっと私が聞いていることを、何を聞いているんだということを一応よく頭で考えてくださいよ。むずかしく言ってくれといって頼んでいるんじゃなくて、志苫理事も言ったこと、これはたとえば今度落ち込み分二千六百七十八億四千万円でしょう、これを手当ていたしましょうということで今度法律が出てきたわけでしょう。そうでしょう。その分については後年度これを精算しないと、こう言っているわけでしょう。その分は、いわゆる後年度において精算しないというんだから、この覚書によると何か精算される場合もあるんだというふうに感ずるわけですよ。だから、この二千六百七十八億四千万円については、これは覚書でそうあるけれども、それは全然覚書と関係のないことですと、これはあくまでもこの法律趣旨に基づいてその二分の一減額なんということは、この分については絶対ありませんと、こういうことなんでしょう。それならわかるんですよ。
  58. 山本悟

    政府委員山本悟君) 本年度分の交付税ということといたしましては、減額することはないと……。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからこの部分についてはないと。
  60. 山本悟

    政府委員山本悟君) 精算もすることはないということでございます。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だからもう一遍念を押しますよ。この法律ではっきりしているわけですから、二千六百七十八億四千万円だ、これについてはいわゆる後年度精算ということはあり得ないんだということなんですね。この点はっきりしてください。これがはっきりすればいいわけです。
  62. 山本悟

    政府委員山本悟君) 交付税としての二千六百七十八億については精算することはございません。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それならばね——だからこの三項でこんなことをあれするとみんな関連あるように思うんです。だれだってそう思うんですよ。これよっぽど頭のいい人か、よっぽど間抜けがやったみたいな、わからぬ。——それはわかりましたね。  そこで、さっきから聞いていると、これは決して法的拘束力を持ったものじゃありませんよと、そういう言い方は私はどうかと思う。少なくても自治省の最高責任者、大蔵省の最高責任者が二人がん首並べて、そして相談をした。やっぱり物事というのはいろいろと——会社であれば社長からずっと重役いろいろあるわけだ。そういう上層部でもっていろいろと議論され討議されたことが、それが基礎になってそして何かの形であらわれてくるのが当然じゃありませんか。それ順序でしょう。それを言うと、そうなんだから、だから少なくても国の両大臣が話し合ったこと、それは法的な拘束力がありませんよというだけでもって済ましちゃおうというような考え方は、私はそれはだれが聞いても納得できないと思いますよ。やっぱりこれからのいわゆる大変な地方行財政、この運営に当たって、そのあり方についてどうあるべきかということを最高首脳があなた検討したんじゃないですか。それはこれからの行財政の運営に当たって大きな基礎となるものだということを言っても過言ではないんでしょう。それにもかかわらず、そんなものは、こういったのは内部的な申し合わせですよ。そんな権威のないものだったら、こんなことをやるなと私は言いたい。こんなことをやるからかえっていろいろな、あれじゃないですか、混乱を招くということじゃないですか。大臣どうですか、私はそんな権威のないものだったら話し合いはやめてもらいたい。かえって委員会を混乱さすだけだ。だから、もしそうだとするならば、この五十三年度以降のことなんかはとやかく言わないで、またそれは別個の問題としてあれすればいいんだけれども、この委員会に出てきたんです、この覚書が。その覚書がこの両首脳の覚書でしょう。それが全くあなた方自体が、われわれの言っていることは、それは権威のないものなんですよみたいな言い方をしているわけです。それは逃げ口上という以外にないんで、そんなものだったら私は混乱の種になるから今後やめた方がいいじゃないか、こう思うんですよ。それと同時に、あれですよ、こういう覚書はなかったものにした方が、これはよほどすっきりするんじゃないかと、こう思うんですが、大臣どうですか。
  64. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 覚書はただいま御議論がいただけておりますような第三項だけではございませんで、第一項から第二項、そして第六項までを取り決めておりますようなことでありまして、何回も申しておりますように、覚書なるものは、あくまで両省間におきます合意事項を、かように文書にいたしておりますものが覚書であることは申すまでもないことでございます。  そこで、覚書に記載してあります事項は、法律のように拘束力を持つものではないのでありますから、何遍も申しておりますような、その年度、その年度におきまして両省で話し合いをいたしまして具体的な金額取り決めてまいるのでありますけれども、しかし、話し合いの際のたてまえは、やはり第二項や第三項に定められておりまする数字が基礎になっての話し合いになることは間違いないと、かように思うのでございます。  そこで、具体的に話し合いをいたします場合に、法律に決めているようにかちっと四角四面な数字を出してくるのか、それを取り決めてしまうのかと、こう申しますと、それはそうではありませんで、いまの両省合意事項というか両省統一見解にございますように、その年度、その年度の財政事情等も勘案しながら話し合いをいたしてまいると、かような統一見解でございますから、いわば統一見解なるものは、覚書を基本にしながら具体的に話をしてまいりまする話し方の取り運びと、かような御理解をいただければ一番よくおわかりいただけるんじゃないかと、かように思う次第でございます。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから私はさっきからの議論、私もしました、また志苫理事もやりました。何かあなた方の話を聞いていると、両大臣で話し合っているそういった話し合いというものは全く権威のないものだと、法的拘束力がないということで、そういうふうに逃げ口上みたいなそんな感じを受けるわけですよ。そんなんでなくて、もっと自信を持って、これは両首脳が話し合ったことですから、全く権威のあるものですという、そのくらいの自信を持ってぽんと言ってくれるならばまだこれは話は別だ。だけど、一生懸命であなたそう言うけれども、これは法的な拘束力ないですよ、大したもんじゃないですよというような、はっきり言えばそういうような感じなんです。そんな引っ込み思案みたいなあれですよ、逃げ口上みたいなことはやめた方がいい。これは苦言かもしれませんけれども一言言っておきたいんです。  それから、一歩譲りまして、五十三年度以降の覚書の問題が出ているが、五十年、五十一年と問題がありますね。で、二分の一という問題が出ているわけです。それで、その二分の一というこのいわゆる基本的改革、いわゆる地方行財政の基本的な改革ができるまでは、いまどうこう言っても地方も大変だろう、だから二分の一という、こういうものが含まれていることはわかる。そういった地方を考慮した上で二分の一、いわゆる言うならば国の方で見ましょうというわけでしょう。全額返さなくちゃならないのを二分の一見てあげましょう、二分の一でいいですよと、非常に地方に対しては温かい措置だと、こうとれるわけですね。そこでその二分の一——さっき話したかもしれませんけれども、二分の一と決めた根拠はどこにあるのか。
  66. 山本悟

    政府委員山本悟君) 二分の一の根拠でございますが、こういった制度、すなわち交付税法六条の三第二項に該当するものでどういうぐあいに向き合うかというようなことを決めていきます場合に、現在国と地方の一般財源の配分、国税地方税合わせまして租税総額をとりまして、そのうちの国税から地方譲与税なり地方交付税なりというものを地方に渡す、要するに国全体としての、国民負担全体としての租税の総額、これを一般財源として国と地方とどう分けているかという計算をいたしてみますと、たとえば五十年度、五十一年度、五十二年度、各とってまいりますと、租税総額に対しまして地方の一般財源の額が大体五一、二%ぐらいのところでございます。まあ、ほぼ半々、要するに全体の国民の持っております、国税なり地方税なりとして取っております税金全体のうち国税として取られますものが多く、地方税の方が少ないのは御案内のとおりでございます。そのうちから譲与税と交付税というかっこう地方に渡す、差し引きいたしますとほぼ半々というのがこの最近の実態でございまして、そういうような状況から考えますと、やはり税収入が減少する、伸びないというようなための影響というのは、国も地方も半々ずつ受ける、こういうような状況がございます。そういう事実をもとにいたしまして、まあ二分の一といいますと、いかにも半分に分けたというだけのように思われますけれども、根拠といたしましては、その国、地方の一般財源の持ち方あるいは収入の仕方というものが実質半々である、このところをとりまして交付税の減少というような事態も、やはり税金の減少をもとにいたしているわけでございますから、その影響を受けるのも半々でやむを得ないんじゃないか、こういうような考え方のもとに、この二分の一というような率をとったわけでございます。
  67. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点はわかりましたけれども、そこで、いまのお話ですと、あくまでも計算づくでこうこうこうこうだからちょうど半分だと、こういう感じ——感じというよりも事実そうだと、で、理屈や計算でもって割り切れない問題が地方にありますね。それで、いわゆる二分の一にしたという、二分の一は国も泣きましょうと、こういうことですよ。その理由はいま私が言った、ここにも書いてある、この提案理由にも書いてありますね、地方大変だということ。そうでしょう。だから、二分の一必ずしも妥当とは私は言えないだろうと思うんですね、計算づくでいえばそうなるかもしれないけれども。ですから、そういうふうにした理由、根拠というものはこの提案理由にもはっきりうたわれているわけですよ。だから私は、これはいわゆる地方財政がもっと豊かになってくる、そういう見通しのつくまではやっぱりそういうものについては、その全額国で見てやろうという、今度の法律に出てきた二千六百七十八億四千万円、これを国で見ましょうと、こう言っているわけだから、ですから、そういうような考え方に立てないものかなという、それでなくても地方交付税の税率のアップだとか、もう根本的にもっともっと見直さなきゃならないというふうに言われている時代ですから、財源不足で。だからそういう中で、やはり二分の一という一つの根拠はあるにしても、そういう計算づくだけでなくて、ぜひ地方財政がもう少し何とかなるまでは、国が思い切ってその援助をしましようという考え方、そういう考え方は持てませんかね、どうですか。これはやっぱり最高責任者は大臣だから大臣の答弁の方がいいですね。
  68. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 地方の立場だけから考えてまいりますと、おっしゃいますように不足財源は全額交付税で持てと。そのためには三二%は適当ではないからうんと引き上げろ、かような議論になろうかと思うのでございます。ですけれども、五十三年度の不足財源は、御承知のように三兆円を超えますような金額でございました。これを直ちに交付税率にはね返しますと大変な引き上げになりますことは御承知のとおりでございますから、国も大変な財政状況であることも御承知のとおりでございます。  そこで、いわゆる制度改正によりまして処置をいたさなければならぬと。かようなことで、しかし、それも全額を臨特と特会の借り入れということではございませんで、一兆三千五百億円は起債によらざるを得ないと、かような解決方法に至らざるを得なかったようなことでございます。理想といたしましては御指摘のとおりでございますけれども、実際問題といたしましてはなかなかそうは参らなかったというのが、また参り得なかったというのが実情でございます。
  69. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大体もうこれでもって結構でございますが、一言言っておきますけれども、いま大臣のお話ですと、国も大変だと、こういうわけですよ。大変な中でもって大変な借金して景気浮揚をやるんだと、その主体はいわゆる公共事業であると、こう言っているわけです。で、どの県でもいままでずっと継続された事業というものはあるわけですよ。これ、一例挙げるんですよ、その事業がある。だからこれはもう自治省直接の関係じゃないかもしれませんけれども、一例として申し上げるんですが、あるんです。そこに今度公共事業やるということでもって予算がぽんとつくわけですよ。ところがいままでの工事の進行状況、それは七〇%かそこらしかいっていない、とても間に合いませんと、そこへまたばかんと今度予算がつく、とってもそんな予算つけられてもできるものじゃありませんよというので、結局その金はどうなんだというと、そのほとんどの全額の半分くらいは用地買収なんというようなことになる。それで景気浮揚だとかなんとかいう、そういったことは、もっともっと私は考える必要のある問題じゃないか。もっと有効的に、ただ金がないのにこうやって思い切って借金までしてやっているんですよと、そんなみえ切ったってそれは通らない問題です。だからそんなことを、矛盾したいわゆる国の投資の仕方、ということから考えるならば、国も大変なんです大変なんですというようなことは言っていられないと私は思うのです。もっともっと細かく見ればむだなところがいっぱいあるよと、金だけ出せばいいというものじゃないと、こんなものも現地から私聞いていますよ。これはもう全県的な問題であると思う。ですから、いま大臣が答えた、国も大変だなんて、それは大変じゃないとは言いませんよ。それだけで私の答弁にしていただいたんでは、ちょっと納得できないなという、こんな感じがするんです。  それはそれとして、もうこれ一問だけで。全国市長会の調査の総果、五十年度かな、からいわゆる国の方針に従って公共事業やった。その起債、地方債を起こす、その地方債の内容は何かというと、どうかというと、ほとんど縁故債にいわゆる頼らざるを得ない。それでもっていろいろなトラブルもある、なかなか借りにくい、非常に苦労しているわけです。そういう苦労があるわけです。パーセンテージもわかりますけれども、それは私が言わなくたって、そっちは専門ですからよくわかることでしょうから言いませんけれども、そういうふうに縁故債が多いということは地方が非常に困る。いろいろと難儀をする。ですから、今度のこの補正にしてもそういった点、いわゆる地方債の内容、これについてはどんな考え方を持っているのか、この点ひとつお答え願いたい。
  70. 山本悟

    政府委員山本悟君) 補正予算公共事業の増に伴います地方負担額の増に対しましては全額地方債を充てる。そのうちで、ただいま御指摘のように、なるべく良質な資金という意味で八〇%までは政府資金を充てる、こういう措置で対処いたしたいと存じます。
  71. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。結構です。
  72. 神谷信之助

    神谷信之助君 端的にお聞きをしたいと思います。  提案理由の説明の中で、後年度においてはいわゆる国税三税の収入決算額の増減による精算は行わない、こういうように大臣提案理由の説明で明言をされました。ということは、もう後年度の精算はやらぬということですから借金はない、貸し借りはないと、こういうことだと思うんですが、どうですか。
  73. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のとおり、交付税法第六条第二項に規定する額につきましては、これは確定でございまして、六条の二項によりますところの精算、いわゆる三税収入の三二%という意味での精算はこれによっていたします。
  74. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと奥歯に物のはさまったような答弁ですな。  そのほかの意味の借金はこれはあるんですか。
  75. 山本悟

    政府委員山本悟君) 覚書で書いておりますのは、後年度におきますところの交付税総額をどうするかという際に問題になります臨特の額をどうするかということについての問題でございまして、この法律で書いておりますのは六条の2による額の確定、それから覚書は後年度交付税総額に影響いたします臨特の額をどうするかという問題である。こういう意味で、奥歯に物のはさまったようなと申しますか、正確を期する意味で六条の2というものについての額の確定はこの法律によってでき上がりまして、それの意味での精算はいたしませんと申し上げているわけでございます。
  76. 神谷信之助

    神谷信之助君 臨特は別でしょう。
  77. 山本悟

    政府委員山本悟君) ええ。
  78. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから国税三税の減収に伴う普通の精算、これはもうやらない。だから借金はない、貸し借り勘定はない。そういうことだけで、別にそれを、ないものを何で返さにゃいかぬということになりますね。そうすると、臨特をどうするか。それは臨特は、臨特を出さにゃいかぬ、そういう条件があればね。たとえば配当、利子の総合課税の問題とか、分離課税の問題とか、あるいは住民税の減収とか、いろいろありますわね。それから、いままでの借入金の返済についてめんどう見よう、これらもある。そのほか臨特として特別に交付をする必要があるという場合、それは臨特は出てくるでしょう。それは必要に応じて臨特を出すのであって、臨特から控除するというようなことはどうして起こるんです。貸し借りがないわけでしょう。
  79. 山本悟

    政府委員山本悟君) 貸し借りという意味ではございませんが、臨特そのものをどうするかというときに、そういうものを考えますということが覚書の内容になっておるものでございますから、それで申し上げておるわけでございます。
  80. 神谷信之助

    神谷信之助君 それをなぜ考えなきゃならぬのですか。臨特をどれだけにするかというときに、なぜそれを考えなきゃならぬのか。考える根拠がないでしょう。借金がないのに、なぜ考えなきゃならぬのですか。
  81. 山本悟

    政府委員山本悟君) そこは先ほど来申し上げておりますように、覚書でいきゃ第二項の五十年、五十一年度措置につきまして書きましたのと同様の意味におきまして一緒に今回の分も解決をしたわけでございまして、二項と三項はその意味では連動をしておるわけでございます。
  82. 神谷信之助

    神谷信之助君 五十年、五十一年、五十二年、これは精算をしない、いわゆる貸し借りなしという措置になったものですか。そうじゃないんでしょう。借入金でしょう。一般会計あるいは財投資金からの借り入れ交付税会計への借入金でしょう。それについての返済はどうしようか、それは臨特でこれだけの措置をしましょう。これ出てくる、これは借金だから。今度の措置では、これ借金じゃないでしょう。臨特措置をせなけりゃならぬというその原因自身が発生しないでしょう。
  83. 山本悟

    政府委員山本悟君) 形式的にはいろいろ考えられますが、やはり過去の交付税の会計の借入金、借金の分につきましての措置と、それから今度は確かにもうこういったつまり年度の最終の段階でございますから、いまさら額を動かすということも事実上もうできないので、その額を法律によって確定をするという立法措置をとっていただくことにしたわけでございますが、ことしの交付税の額といたしましてはそれによって確定をすると、御指摘のとおりでございますが、実質的に将来の臨特を考えるときにどうするのかと、これは地方財政臨特間の財源の入り組みの関係でございますので、その際にはやはり同じ二分の一交付方式というものを当てはめるのもやむを得ないんじゃないかと思った次第でございます。
  84. 神谷信之助

    神谷信之助君 大体どんぶり勘定みたいになっておるんですね、そうでしょう。一般会計で、たとえば財源があれば、それは一般会計から繰り入れをして、しかしその場合は返す必要はないんだけれども、しかし何とか将来すると。しかし一般会計に回すだけの財源がない場合には、財投資金から交付税会計に借り入れる。それでこれは借金、借金。形式は二つに分かれているけれども中身は一緒ですと、実際上の、事実上の問題は。したがって今度は精算をして借金という、形式的には借金はないけれども、財投資金なりその他から借り入れたのと同じ実質的処理をせざるを得ないと、そういうことでこういう処置になってきたんじゃないですか。
  85. 山本悟

    政府委員山本悟君) 一つ年度末でございまして、すでに普通交付税といたしまして総体の九四%は配分済みでございます。そういった事情もございますが、やはり実質的には先ほど来申し上げますように、五十年来以降の貸し借りといいますか、借りというのはおかしいかもしれませんが、貸しと、それから本来ならば黙っていけば減額されるべき額との差し引きというものを同じたてまえでやむを得ないんじゃないかと思った次第でございます。
  86. 神谷信之助

    神谷信之助君 交付税法の六条は、何も精算を当該年度に一遍にやらにゃいかぬという規定ではないでしょう。後年度でも精算をしようと思えばできる。そういう規定があるわけです、ちゃんと。それをあえて読みかえて、精算はもうなしと、こういうようにしたわけでしょう。私はこれは非常に前進だと思う。われわれはそういう政府の見込み違い、言うなれば政府の経済政策の失敗によってそういう思わない税収不足が起こったと。しかし地方団体の方はもう予算化されていますから、それで事業していますから、返せと言われたってたまったもんじゃない。ですから、交付税法では翌年なり後年度において精算をする、そういう措置も開いてある。しかし来年度、再来年度とずっとながめてみても、実際問題として地方財政について交付税率の引き上げその他の措置で来年度からやれるとかどうとかいう確定的見通しがない。したがって、そういう措置をとらないで、精算はもう済んだことにすると一方でしながら、やっぱりしかし五十四年度以降からは返してもらいますよと、こうなっているのですね。だから、いままでのようなそういう落ち込みなり何なりをやったときに、交付税会計が借り入れをして、そして元利償還は後で自治体の方が責任を持たにゃいかぬという、そういうやり方よりは私は一歩前進だと思うのです。われわれは一般会計から繰り入れるなり、あるいは借り入れをしても、それは一般会計の責任で借り入れをして、政府が責任を持って処理すべきなんだ。それを自治体の方に負担を転嫁するのはけしからぬという主張をしてきた。今回のこの法案そのものは、われわれの主張どおり返さぬでいいと、もう精算済みですということになった。ところが、実際には半分は返せと、こうなるのですから、だから、そこはペテンになるわけですね。全部返すよりは半分返すようにすると、しかもそれは五十年度から半分になったんだと、それでも大きな前進ですと言いたいんだろうと思うのですけれども、どうもつじつまが合わぬのですね。借入金の場合には、確かに借り入れをその地方財政状況を考えてどういうように返すか、半分にまけてやるかと、あるいはもう全部御破算にしてやるかという問題はそのときどきで起こるでしょう。いや、今度のは借り入れじゃないんだと、それを借り入れと同じような方式で五十四年度から返せというところに、どうも納得のできない、ペテンではないかというところが感じられるのですが、この点いかがですか。ひとつ大臣どうですか。
  87. 加藤武徳

    国務大臣加藤武徳君) 仮に、いま提案しておりますように減額補正を行わないというのじゃなくって、行わざるを得ない場合を想定いたしますと、いま局長が申しましたように、すでに九六%の交付税は交付が終わっておりますようなことでございますから、二千数百億円のものを何らかの形で調達をしなければならぬ場面が予想されるわけでございます。そういう場合と比較をいたしますと、いま一歩前進だという表現がございましたが、私もそういう感じを持っておりますようなことでございます。ですけれども、減額補正をやらないことのみにとどまり得ておりますならば、地方としては万々歳でございますが、国の財政もなかなかそうはまいらぬ状況でございますから、そこで覚書によって処置をしなければならなかったと、かようなことでございますから、百歩前進ではなくって、何歩かの前進だと、かような理解をいたしているようなことであります。
  88. 神谷信之助

    神谷信之助君 従来のいままでの自治省あるいは政府のやってこられた手法ですと、これは減額補正をして、逆に減額分を交付税会計が借り入れをすると、そしてそれの償還は措置するというような大体やり方をとっているんですね。だからそういう意味ではもう借金なしというんですから、よろしいというんです。しかしそうはいかぬと、そういう形式的にはそうやってうまいこといったけれども、万々歳というわけにいかぬのでやっぱりむしり取られると、こうなってますね。これが一つ問題だと思うんです。ただこれは先ほどからも議論ありますように、これは法律としては確定はしておりませんから改めて折衝をされるだろうし、その結果どういう法案が出てくるかということによってわれわれはまた議論をする、そういう問題でありますから、本来筋が通らぬわけです。借金がないのに何で借金を返さなければならぬのか、単純に言ってしまえばね。だからそんな借金を返さなくてもいいように、自治省としては今後の大蔵との折衝でその点をひとつ主張してもらうということが一点。  その次ですが、これたとえば二千六百七十八億四千万円の半額を五十四年度以降から返す。だから千三百億余りですね。これは五十四年度から返すという予定に覚書でなってますが、いつまでの間に返すということになっていますか。覚書でその点は明確になってないんですが、その点はいかがですか。
  89. 山本悟

    政府委員山本悟君) 覚書で書いてございますように、前項の臨特で計算される臨特と相殺すると、こうなっております。大体五十年度借り入れましたものは六十年度までに返すことに従来のルールで、ルールといいますか、従来の考えで言えばなりますので、ただいまおっしゃいました千三百三十九億も、五十四年から六十年度までの間に、このままでいけば、私たちの事務的に考えさしていただければ、その間で一定の率でこう延ばしながら返していくというような、返していくといいますか、相殺していくというようなかっこうになろうかと思います。
  90. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、さらにそれが衆議院段階で詰められて統一見解が出ました。この統一見解は、その年度年度当該年度で国、地方の財政状況その他総合的に勘案をして協議の上、真に必要な額を決めると、こういうことになってます。このことは、そうすると返済総額の二分の一、千三百三十九億、これも動くのか。それから毎年度返済をする額、これも当然自動的に決まるんじゃないと書いてますから、これも動くのか。あるいは六十年度を一応めどというんですが、これはさらに状況によっては六十五年にも延びることもあり得るということなのか、この三つの点はいかがですか。
  91. 山本悟

    政府委員山本悟君) どういうぐあいに説明したらあれかと思いますが、たとえば五十四年度で申し上げますと、五十四年度の返す予定額というのが千九十億、五十年の分が一千億、合わせて二千九十億でございます。そうしますと、この第二項の方からいけば、その臨特は一千十億、臨特として五十年、五十一年の返す額の半分ということになりますと一千十億であると。それに対しまして、先ほどの方がおっしゃいましたように、五十四年度にわれわれの事務的にあれいたしましたものは百二十八億この第三項の分があると。そうしますと、千十億から百二十八引きました八百八十二が臨特ということに単純にいけばなるわけでございます。そういうものではございませんということが、この統一見解で申しているわけでございます。これに、そのときにおきます財政事情もありますし、先ほどおっしゃいましたが、税の問題もございますし、いろいろな事情を勘案をいたしまして真に必要な臨特の額にしてもらう。決して八百八十二が当然に出てくるものではございませんと、こういうことを申しているわけでございます。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 ですから、たとえば五十四年度、一応現在の皆さんの予定で百二十八億を想定していると。実際に協議をしたら、たとえば五十億なら五十億になったと、返すのがね、五十四年度に控除する額は。五十億なら五十億になれば、そうすると残りの七十八億は翌年度以降に持ち越されると、こういう状況でずっといけば、たとえば六十年が六十二年になり、あるいは六十五年まで延びるという場合もあれば、あるいはもう二分の一にはなっておらぬけれども、もうこれで帳消しにしようという場合もあり得ると、そういう意味を含めて統一見解というのが出ているのか、それとも二分の一返すというこの総額は、千三百三十九億というのはこれは動かないのかどうか、この点はどうですか。
  93. 山本悟

    政府委員山本悟君) たびたび申し上げて恐縮でございますが、実は第二項と第三項ともあわせてお考えいただきますと、五十年、五十一年の分でもらう方の額もこの覚書によるわけでございまして、実を言うと同じような意味で不確定。そういう状況を全部あわせましてもああいうものを考えているわけでございます。第三項による額というものをずっと追い送っていくということになった場合に、そういう考え方をとるということになるのか、あるいはもらうべき額というものが考えられることになるのか、あるいは財政状況全体としてもっと足してやらなきゃならないということになるのか、それはやはりその年度年度におきまして臨特総額を決めるときの話になるというように持っていかれるものだと思います。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう少し端的に聞きます。千三百三十九億というのは、これは覚書三項でもう決まっている、それは動かないと、こういうことですか。
  95. 山本悟

    政府委員山本悟君) 覚書でございますから、そういう意味でわれわれといたしましての一応の基礎というものは、こういうものから出発をいたしまして、そうしてそのうちで一体足りるのか足りないのかという議論を上に積み重ねてやるということになろうかと思います。
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 だとすれば、千三百三十九億が減る場合もあれば、ふえる場合もあると、こういうことですか。ふえる場合はないと、しかし減る場合はある。どういうことですか。
  97. 山本悟

    政府委員山本悟君) 額といたしまして千三百三十九で議論をするのか、臨特総体の額として議論をするのかという私どもと大蔵省と予算折衝の段階におきましてはそういった問題になるんじゃないかと思います。これはこれといたしましても、なおかつ額といたしましては一体臨特というのは幾らなければ困るんだという話は別にあるわけでございます。そちらの方の話に持ち込まれるような場合も起こり得るというように思います。
  98. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、第三項で二千六百七十八億の二分の一ということになれば、額は固定するんですがね、第三項では。しかしそれは、この統一見解にもあるように、そのときの臨特の必要の状況を国、地方の財政状況、これらに応じて振幅があり得ると、少なくもふえるんじゃなしに減ることもあり得るという意味で、いまの局長の答弁理解をしていいんですか。
  99. 山本悟

    政府委員山本悟君) 千三百三十九が減るか減らないかということよりも、もう臨特そのものの総額がいまのように財政状況を勘案したら減らせないということに、あるいは相当の額を出さなきゃならないということになれば、この千三百三十九は減らしたけれども、なおかついっぱい足さなきゃならないという状況なのか、その場合にその千三百三十九は減らさなかったと見るべきなのか、まあいろいろなことは言えるだろうと思います。それは本当にその年度年度において臨特のこういった関係の五十年、五十一年あるいは五十二年の今度の分の臨特の関係、それに各種の需要を足したものというのがどう総額が決まってくるかということによって御判断をいただくことになろうと思います。
  100. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は、先ほどから問題になっているのは、この第三項でいわゆる金額が固定して決まってしまうという問題ですよね。それで、これはまだ法案が提案をされていないのに、両省間の合意でそういうものが特定をされて、それを基礎に後年度地方財政計画が立てられるということになれば、国会軽視ではないかという問題が起こる。だから、統一見解で、決してそれは法律拘束するものではないと、そのときの条件に応じて変化をすると、こういうことになるわけですね。だとするならば、第三項に言う二分の一に相当する額を控除するという、この控除する額を特定をする、これは単年度じゃなしに、いまの六年か何年かにわたって、いわゆる第二項の臨特が出る範囲内、期間ですね、額と期間に応じて控除するんだと、こういうようにおっしゃるのでしょう。そのやり方は別にして、総額がそうやって固定をされるということになれば、これは統一見解出ても、国会との関係ではやっぱり問題が起こる。しかし、いまの話を聞いていると第二項の額、これがそのままスムーズにちゃんと全部もらえるような国の財政状況になるかどうかもわからぬと、ここが動けば三項も動くと、こういう説明でしょう。だから、そうなれば控除される額の二分の一というのも、その辺では固定をしているようでありながら、実際はまだ固定をしていないといように受け取るわけですが、それでいいですか。
  101. 山本悟

    政府委員山本悟君) 行政レベルの合意といたしましては、ただいまも申し上げたようなことでございますが、いずれにいたしましても、総額としての臨特というのは状況を見て決まるわけでございまして、その際にどういう言い方をするか、と申しますのは、こういう差し引きをしてこれになって、これに財政需要として幾ら足しましたと言うのか言わないのかというようなことになってくるだろうと思います。そういたしますと、まあ広い意味でいけばこの計算したものよりも臨特という総額が実際に多く国が出すという場合も幾らでもあると私どもは思っておるわけでございまして、そういう状況を見れば、この額がこれによって決まったと言うべきなのか、まあ行政レベル同士の事務レベルの問題といたしましては、一応の計算基礎はこうだということでございますが、国会に御審議をいただくときの臨特としては、単にそれの足し算なり引き算なりというものだけで御審議を願うわけではないというようなぐあいに思っておるわけでございまして、詰めてそれを動かしているのか、動くと言うのか言わないのかと、こう詰められますと、一応まあ何しろ覚書というものが現在あるわけでございますから、その辺はひとつ御勘案を賜りたいと思います。
  102. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  104. 佐藤三吾

    ○佐藤三吾君 私は、ただいま議題となりました昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案に対しまして、日本社会党を代表し反対の討論を申し上げます。  昭和五十年度以来地方財政は三年越しの危機に見舞われ、打開の見通しもないまま今日に至っている一方、政府の一次、二次にわたる補正予算によって公共事業執行に追われ、まさに火の車の状況にあり、住民生活にも深刻な影響を投げかけております。こうした状況下で今回第二次補正予算案に伴い地方交付税特例措置が講じられているわけでありますが、本改正案は政府地方財政対策の根幹にかかわる重大な問題を擁しており、わが党はこれに反対せざるを得ません。  すなわち、第一に、国税収入の見積もりについて政府は責任を持っており、見込み違いが生じたからといって、そのツケを軽々しく地方財政に回すことは断じて許されません。本年度国税三税の収入減に伴う地方交付税の減額を政府の責任で措置することは当然の義務であり、これを昭和五十四年度以降順次控除するとの大蔵・自治両相聞の覚書は、五十四年度以降において自動的に発動するものではないということがただいま確認されたところでありますけれども、断じて認められるものではありません。  第二に、法改正のないまま行政府内部覚書地方財政拘束するやり方は、法律国会審議権を否定し、ひいては地方自治地方財政を行政府の私物化するものであります。これまで幾たびか地方財政対策に関し、政府覚書によって措置してきておりますが、覚書法改正案の内容が全く異なっていることは初めてであり、このような覚書行政の横行を許すことはできません。  以上の理由から、私は政府の強い反省を促し、本改正案に反対の意を表したいと思います。
  105. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、日本共産党を代表いたしまして、五十二年度交付税総額に関する特例法案について、賛成の立場から、その理由を明らかにしたいと思います。  国税三税の落ち込みによる措置一般会計によって措置をしたという点について、われわれはこれを評価するものであります。従来から交付税会計の借入金などの措置によって後年度自治体負担をもたらすというやり方が一歩前進をしたとわれわれは考えます。  ただ、自治・大蔵の覚書が明らかになりました。これは、審議の中で明らかになりましたように、国会審議権にかかわる重大な問題であります。ところが、これに対して統一見解が出されまして、法律拘束するものではないというのは当然な見解でありますが、このことが明らかになりました。したがって、われわれは、後年度に借金をしたのでもないのに、自治体負担をもたらすようなことは絶対に許すことはできない。したがって、そういうことは今後政府において十分考慮されて、そういうことのないような措置、すなわち覚書は単なる覚書でありますから、法的拘束力もまた権威も持っていないわけですから、この点を十分に強調をして、われわれは今回の措置について賛成の態度を明らかにしたいと思います。
  106. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十二年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  108. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十九分散会      —————・—————