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1978-06-01 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月一日(木曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     藤井 裕久君  六月一日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     宮之原貞光君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 藤田 正明君                 細川 護煕君                 福間 知之君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 河本嘉久歳君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        文部省大学局審        議官       大塚 喬清君        中小企業庁小規        模企業部小規模        企業政策課長   富永 孝雄君    参考人        国民金融公庫総        裁        佐竹  浩君        国民金融公庫理        事        美藤 富雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 福間知之

    福間知之君 この法案の提出された根拠といいますか、大蔵当局として背景というものについて、正確に一度ただしておきたいと思うんですが、特に郵政省のいわゆる郵便局における扱いということを含めて、大蔵当局としての、そもそもいわゆる進学ローン制度化についての基本的な考え方というものをまずお伺いしたいと思うんです。
  4. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 今度の御審議願っております国民金融公庫法改正の目的並びにその背景ということでございますが、今回の進学資金貸付測度趣旨でございますけれども先生承知のとおり、最近進学に際して学校に納付する入学金あるいは授業料等が大幅に上昇しているわけでございますので、進学子弟を持っている父兄負担が大幅に最近ふえてきているわけでございます。  そこで、進学時において一時に負担すべき資金につきまして、在学期間中を通じて平準化することによって父兄負担軽減を図ろうとするのが本制度趣旨でございます。  このような制度を御審議願うに至りました経緯でございますが、いま申し上げましたように、入学時における父兄負担が非常に増大してまいっておりますので、民間金融機関においてもいわゆる教育ローンというものにつきまして前向きに漸次対処してまいりまして、昭和五十年ごろから民側一般金融機関において教育ローン制度実施されてまいってきたわけでございます。  昨年の初めごろまでにすでに五十数行、五十幾つ金融機関においてそれが実施されるようになってきたわけでございますけれども、しかし、一方国といたしましても、民間金融機関から融通を困難とするような層に対しまして、やはり何らかの形で進学時における父兄負担軽減を図ることが必要であるというふうに考えてまいった次第でございます。  一方、郵政省関係でございますが、昨年九月の郵政審議会答申におきまして、郵便貯蓄者郵便貯金を行っている方々に対する優遇措置ということ等も含めまして、郵政省考えております進学資金貸付制度を実現すべきであるというような答申要望事項が出されていたわけでございます。それから、昨年の末におきまして、五十三年度の予算要求に関連いたしまして、郵政省から進学資金貸付制度につきましての要求があったわけでございます。  このようなことを踏まえまして、これから国として進学資金貸付制度を行うのにどのような形がよろしいかということについていろいろ検討したわけでございますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、一般民間金融機関からの資金融通を困難とするような層に対して、つまり一定所得制限を付して進学資金貸付制度を行う。それは従来の政府関係機関の中では、いままで生業資金あるいはこういう家計の資金、庶民の資金融通についての経験の豊かな国民金融公庫において扱わせることが適当であろう、こういうことになったわけでございます。  一方、郵政省からの要望でございます郵便貯金者に対する優遇措置ということもあわせ勘案いたしまして、このような一般的な貸付制度のほかに、一定の形での郵便貯金を行った者に対しましては、このような国民公庫を通ずる貸し出しについて同じように進学資金貸し付けを行うことをあわせて実施することが適当である、このように考えた次第でございまして、したがいまして、国民金融公庫を通ずる一般貸し付け郵便貯金者向け促し付け、この二つをあわせまして進学資金貸付制度としていま御審議願っている、このような次第でございます。
  5. 福間知之

    福間知之君 率直にお聞きしますので率直にお答えをいただきたいのですが、郵政審議会答申が昨年九月にあった、あるいは年末に郵政省からも進学資金貸付制度創設要請があった、こういうことでございますが、すでに郵政省では例のゆうゆうローンですか、をやって、限られた一部貸付業務というものが行われているのですけれども、いわゆる郵便局貸付業務を行うということについて、大蔵省の方は、過去あるいはまた今日の財政金融状況、あるいは今後のわが国の金融財政政策という観点から見て、郵政省郵便局におけるいわゆる与信業務、この問題については本来基本的にどう対処していくべきだとお考えですか。
  6. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) ただいま先生指摘の、郵便局で現在行っておりますゆうゆうローンにつきましては、これは郵便貯金掛保貸し出しでございまして、実質的には与信業務とは必ずしも言えないわけでございます。実質的にこれを見てまいりますと、貯金の払い出しの一つの変形のようなものでございます。ところが、昨年末におきまして郵政省から要望の出ました進学資金貸付制度は、貯金とは関係なく純粋の与信を行う制度になっていたわけでございます。このように、郵便局におきまして、そこで集められた益金を直ちに貸し出すということについてはいろいろ問題があると考えられるわけでございます。  一つは、財政投融資資金一元的運用という問題でございまして、限られた財政投融資を効率的に有効に活用するためには、財政投融資計画に乗せまして、その資金必要度緊急度を勘案しながら統一的に計画的に運用することが必要ではないか、このように考えられるわけでございます。  それから第二に、郵便局でこのような貸し出しをすることについてのもう一つ問題点といたしまして、現在国として貸し出しを行う機関といたしましては御承知のとおり銀行、各公庫等があるわけでございまして、このような貸し出しを行うそれぞれの機関を通じまして貸し出しを行うということが、国全体の貸し出しあり方として最も効率的であると考えられるわけでございます。これに加えまして、郵便局においてさらに貸し付けのための組織なり仕組みを設けることは行政簡素化という点からも非常に問題があろう、このように考えたわけでございます。
  7. 福間知之

    福間知之君 さらに、ただいまのことと関連して、いまの御答弁については一応大蔵省見解として承っておきますけれども、私は、さらに具体的にこの問題を吟味してまいりますと、財政投融資資金の一元的な活用ということについて、基本的にはそれは理解はします。しかし、先ほど質問で少し触れたように、今後どうあるべきなのかという政策方向との関係では、その一元的油川ということ、文字どおり三十数兆円の郵便貯金をすべて資金運用部資金として吸収してしまうことがいいのかどうかということは、これは私はここで即断はちょっといたしかねるわけなんで、考え方見解については留保いたします。今後のあり方については、少し何か過去のそれとは違って、一度見直してみる必要があるのじゃないのかという感じがするわけでありまして、この問題はしたがって今後の課題に少しゆだねておきたいと思うわけであります。  そこで、しかし、今回いろいろな経過で郵便貯金の積み立てを前提にした郵便局窓口による貸し付けという制度が一応考えられたわけなんですが、したがってこれは、ただいまの御答弁との関係でいきましても、何かちょっと取ってつけたような方式じゃないのかというふうな気がしないでもないのですね。一方において、いまの御答弁で、国民金融公庫を通じてやることがむしろ筋なんだ、こういう考え方があるわけですし、それは私それなりにわかるわけですけれども郵政省あるいは郵政審議会からのいろいろな要請答申もあったというたてまえで郵便局を通じた貸出制度というものを考えざるを得なかったというところに一つの何というか、妥協的な方式だというふうな印象はぬぐえないわけであります。しかも、郵便局窓口とした貸し出しの場合には、一定積立貯金というものが前提になっております。限度額五十四万円ということで積立貯金前提になっている。考えてみますと、これは貯金を奨励をするということにもつながる方式だと理解できるわけでありまして、そうしますと、なおさらこれは妥協の産物だなと、こういう印象を深くするわけであります。  さてそこで、私は、この提案理由説明にもありますけれども一般金融機関から融資を受けることが困難なものという前提でこの制度考えられているわけでありますけれども、いま申したように、郵便局窓口にして借りる場合は一定積立貯金をするということです、またできる、それだけの力のある人が借りるということですから、一般金融機関から融資を受けることが困難な人ということにはちょっと該当しない。そうしますと、国民金融公庫を通じて借りるという人が一般金融機関から融資を受けることが困難と目される人ということに該当するわけであります。そこで具体的な貸付資金条件について少し吟味をする必要があるわけであります。  先ほど銀行局長は、すでに昨年段階で一般金融機関五十数行が何らかの形で進学貸付制度というものを実施している、こういうふうにおっしゃいました。まあ手元にある資料でいきましても、都市銀行信託銀行地方銀行相互銀行、信用金庫、信用組合等々かなりの広範囲な分野において実施をされておるわけであります。その概要を見てみまして、今回の金融公庫を通じた貸し付け中身と比較しますと、少し何か考え直してもいいような点があるような気がするわけであります。  まずその金利につきましてですけれども都市銀行の場合に、確かにこれは八%から九%に近い利率になっておりまするから、今回の制度の七・一%よりは高いということは言えるわけであります。しかし、一方また貸し付け融資金額などになりますと、都市銀行地方銀行の場合はおおむね三百万円まで借りられるというふうなことで、今回の提案のものよりは六倍近い金額になっております。その他、融資期間だとかについても多少の違いがあるようであります。そうしますと、私は今回のこの制度がまさに提案趣旨である一般金融機関から借りにくいという状況方々、いわばまあ低所得者層ということになりますと、もう少し金利なりあるいはまた返済期間あるいは返済に至る据え置き期間等々についてやっぱり改善をされるべきではないかと、こういうように思うんですがね。そのあたりは私は一言この制度を設けるという場合に、本当に仏つくって魂入れなければ意味がない、大蔵省当局のいわば害意がそのまま報われない、こういう結果にもなりかねぬと思うんですがね。いま現在でも、当局金利なり返済期間なりについては考え直してみようというふうなお気持ちにはなっておりませんか。
  8. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 民間金融機関の行っております教育ローン、これは先ほど五十幾つかの金融機関が行っていると申し上げましたが、これは昨年の予算策定時の前における状態でございまして、ことしに入りましてからは、先生指摘のとおりほとんどの民間金融機関がこれを実施しているわけでございます。この条件につきましては貸出金利がおおむね八・八八%、これは保証料も含めてでございまして、これは今度の国民公庫を通ずる任し出しは七・一%を予定しておりますので、貸出金利につきましては公庫貸し出しの方がはるかにこれを下回っているわけでございます。  それから貸出期間でございますが、民間の場合には据え置き期間は通例半年でございますけれども国民公庫の場合には据え置き期間を一年以内ということで一年まで認めておりますので、その辺の条件が違っているわけでございます。  それから、実際に貸し出し実施する審査一つの問題になるわけでございますけれども、これは民間金融機関実施する場合には、当然私企業でございますし、また頭金者頭金を運用するわけでございますから、当然そこにある限界はあるわけでございますけれども国民公庫から実施する場合には、一般民間金融機関融通を困難とする層ということになりますので、その審査面についても大分取り扱いが違っているわけでございます。  このように、条件といたしましては民間金融機関よりも実質的には大きく優遇されているわけでございまして、これより金利についてさらに優遇することはどうかという御質問でございますが、国民金融公庫の原資の利回りあるいは資金コスト等を勘案いたしますと、七・一%というのはこれはぎりぎりの線ではないかと考えているわけでございます。  それから貸出期間につきましても、当初の原案は二年でございましたが、国民金融公庫で貸し出す場合にはそれは短過ぎるのではないかということで最大限四年としたわけでございまして、限られた財政資金をできるだけ多くの方に利用していただくというたてまえから考えますとこれが精いっぱいのところではないか、このように考えております。
  9. 福間知之

    福間知之君 銀行局長、いまの御答弁ではございますが、たとえば金融公庫の場合に主な貸し付け測度としては普通貸し付けというのがございますね。これはまさに貸付利率は七・一%だと承知しています。今回のこの進学ローン利率においては同じである。あるいはまた経営改善貸付制度というのを公庫で行っています。これにつきましては年六・八%の利率なんです。普通貸付制度はいま申した七・一%の利率貸付限度額は千二百万円、貸付期間につきましては運転資金で五年以内、設備資金で七年以内、経営改善貸し付けというのは利率六・八%で限度額二百五十万円、これはやや低い額でありますが、貸付期間運転資金二年半以内、設備賞金は三年半以内、こういうようになっています。  このほかに、いま実施しようとする進学ローンに匹敵するようなものとしては恩給担保促し付けというのがあるわけですね。この利率はまさに五%水準ではないかと思うんですね。結局どちらかと言えば、比較するには普通貸し入けとか経営改善貸し付けではなくてこういう恩給担保貸し付けですね、これは担保があるからということなんでしょうが、一応言うならば救済的な貸付制度だと、こういうように思うわけです。さらに環衛貸し付けというのが何かあるんですか、それの利率ちょっと私わからないんですけれども、言うならば恩給貸し付けとか環衛貸し付けとかいうふうなものと横にらみで考えてみてはどうなのか、こういうような気がするわけなんです。  なお、公庫経営画を考慮すれば利率はこれ以上は下げにくいんだと、こういう御説明でございますが、わからぬでもありません。しかし先ほど来申しているように、この制度創設趣旨というものを生かしていくということを考えますと、たとえばいま公庫が行っているいわゆる消費者金融の中で、いま申した恩給担保貸し付けとか、あるいは住宅公印における五・〇五%の貸し付けなどを考えても、もう一度一考をしてもいいんじゃないかということが一つと、それからもう一つは、経営改善資金だとかあるいはまた住宅金融公庫あるいは農林金融公庫などに支出している政府補給金というのがありますね。そういう補給金による経営収支補てんということが考えられれば、私は金利は多少下げることは不可能じゃない、たとえば七・一%を五%にしたところでわずか二%足らずの引き下げである。貸付総額は二百億円ないし沖繩入れて二百二億だと言っていますから、総額で二%下げたところで四億円ぐらいです。それぐらいの補給を他の制度と同じように考慮すれば、私は利率を下げることができるんじゃないか。いままでこの制度についていろんな評価が一部のマスコミでも行われているようですけれども、要するにそのあたりの思い切りといいますか、決断というものが私ちょっと中途半端ではなかったのかなと、こういうふうに感じているわけです。  最近の報道によりますと、これはちなみに申すわけですけれども、例の住宅ローン返済猶予制度というものをわれわれ一生懸命大蔵委員会でも審議してつくったけれども実施後わずか三ヵ月しかたってないとはいえ、余り効果上がってないという報道があるんですね。各銀行大手筋銀行の過去三ヵ月の調査では、月当たりにわずか十件ぐらいしか申し込みがないというようなことが報道されているんです。今後これはちょっとどういう推移をたどるのか、一方において住宅ローン貸し付けが大分ふえているようですから、だんだんそういうことと関連して、これは少し状況は変わるかもしりません。そういうふうなことになれば、これは制度つくった意味が余りないと思います。そうしますと、いまのうちに一番問題点金利とあるいはまた返済時期、返済期間、これが問題なんでありまして、もう少しこいつは、一応原案提出されたという立場はあるにしても、やはり私どもの疑問について真摯に一遍考え直してもらうということが必要じゃないかなと。せっかく一生懸命審議してつくりましたわ、余り効果はありませんわじゃ、何のためにわれわれは一生懸命やったのか、みずからを疑いたくなるものですからね。これは私どもだけじゃなくて、特に与党の皆さん方にも一度御検討を願いたいものだなと、こういうふうに思っているんですがね。
  10. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、確かに制度創設する以上は、これが国民に高く評価され大いに利用していただくことが非常に必要なわけでございます。その意味で、金融の問題でございますから当然金利あるいは貸付額据え置き期間貸出期同等が問題になるわけでございますが、確かに貸付金利につきましては極力低くすることが望ましいわけでございますけれども、ただこの進学資金貸付制度所得制限は設けておりますけれども、実際に進学する子弟を有している父兄に対するカバー率では、大体六判から七判程度になるのではないかと考えているわけでございます。  また、この進学対象となっておりますのは一応大学高等学校でございまして、これは義務教育ではないわけでございます。もちろん最近は非常に進学率が上がっておりますので、社会的に見ればこれは一種の義務教育ではないかという見方もあるわけでございますが、その辺で若干の違いはあろうかと考えられるわけでございます。  そこで、このような進学資金貸し付けに対しまして政策金融として政策的な低金利をつけ、あるいは国からの補給金その他を出すということにつきましては、そのような進学資金貸し付け中身、実質から申しましてやはり若干疑問があろうかと考えられるわけでございまして、そういうことを考えまして、国民金融公庫資金コストから見てぎりぎりの線である七・一%という金利にしたわけでございます。  また貸付限度につきましては、民間金融機関が三百万に対して国民公庫の場合には五十万あるいは五十四万円ということでございますが、これは最近におきます大学高校等進学時における必要な納付金等の額から勘案いたしまして、この程度ならば、若干の上下はございましても十分これで足りるのではないかというふうに考える額でございまして、現実に民間金融機関でやっております教育ローンにつきましても、ことしの二月から四月までの実績を見ますと、全国銀行で一作当たり五十三万ないし四万円程度度でございます。その意味で、この程度であれば一応十分ではないかと考えられるわけでございますが、この金額につきましては今後また大学高校等入学時、進学時における必要経費増高がありました場合には、それを勘案しながら十分検討してまいりたいと、このように考えております。
  11. 福間知之

    福間知之君 御答弁がまだ中身としては残っているようでございますが、金額の面については私ここで五十万円が少ない、百万にすべきだということをあながち申し上げているわけじゃないんです。しかしいまのお話に関連して、しからば一つ見方として、私大でも国立大でも地方から東京の大学入学するために上がってくれば七十万円かかるとか百万円かかるとか、入学までにすでにそれだけの金がかかってしまう。入れば今度は学費が大分大幅に上がって、先般大学協会まで反対の声明を出したほどですね。そういうことでございますので、五十万円が妥当なのかどうかというのは、それ自体を吟味すれば、またこれは一概に妥当だとも言えないわけであります。しかし金額をふやすということは、単にそれだけで判断するわけにいきません。だから私は、ここではあえてその金額をどうのこうのということはこれ以上申し上げる気持ちはないんですけれども、むしろ貸し付け条件ですね、育英奨学資金なんかでは無利子で二十年払いというふうな制度があるのは御承知のとおりでございますけれども、そういうことは無理にしましても、しかしいまこの制度提案されて以降、一般的な世論としても余り歓迎されてないというムードから考えましても、銀行局長も何とかもう少し改善できればしたいとお考えなんじゃないかと私は思うんですがね、なぜそれができないのか、私はいままでの御答弁では必ずしも納得ができないわけです。  それで、さらに一つお聞きしますが、いろんな要望が私ども手元にも届いておりまして、たとえば今回の制度対象になるのは学校教育法によるところの学校ですね、「小学校、中学校高等学校大学高等専門学校、盲学校聾学校養護学校及び幼稚園とする。」と、これが学校教育法第一条の条文なんですが、これが対象になるということですか。
  12. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 今度の進学資金貸付制度の仕組みでございますが、今回御審議願っております法案によりますと、進学貸し付けの定義といたしまして、進学の定義といたしまして、「学校教育法による高等学校高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設として政令で定めるものに進学することをいう。」とございまして、まあ大学その他これらに準ずる教育施設ということになっているわけでございます。したがって、法案上は短期大学大学院は当然大学に含まれるので対象となるわけでございます。それから高等学校大学の通信教育課程もこれに含まれることになります。それからこれらに準ずる教育施設といたしましては、盲学校聾学校または養護学校の高等部などを予定しているわけでございます。
  13. 福間知之

    福間知之君 そこでお聞きしますが、盲学校聾学校養護学校の高等都が含まれるということでありますが、最近は御案内のとおり職業教育機関というものの社会的な一つの重要性、必要性といいますか、そういうものが増大をしていると思うわけであります。これは教育制度としてどうあるべきか、これはすぐれて文教委員関係、文部省関係の仕事ではありますけれども、常識的に言って、大学出ても末は部長か重役かというような時代は過ぎちゃったんで、むしろ本人の適性を伸ばしていく意味では、社会的に有用な技能、職能というようなものをやっぱり身につけていくという、そういう方向が非常に重要視されていいかと思うんです。  そうしますと、最近幾つかの職種の専門学校といいますか専修学校といいますか、そういうものが比較的小さな規模のようでございますが、ふえているような気がするわけです。これは大体中学出てからの場合、あるいは高等学校出てからというふうな年齢時点の方々が多いんじゃないかと思うんですけれども、そういう専修学校的なものについて、これはピンからキリまでありますから、ピンからキリまでをどうこうせいということは私もちょっと暴論になりますので申し上げにくいんですが、一定の基準で対象にするというふうなことはお考えにならないですか。
  14. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) その他の教育施設として専修学校や各種学校を含めるべきかどうかということにつきましては、財政資金を使ってどの範囲までやるべきかということとも関連する問題でございまして、現在のところはこれを含めることは考えておりませんけれども、いろいろ先生指摘の点も踏まえまして、これは政令事項でございますので、政令制定のときまでに検討をしてまいりたい、このように考えております。
  15. 福間知之

    福間知之君 各種学校として文部省から認定を受けた学校については、私ぜひそれを一つの基準として、それ以外に何か基準があればまたそれは考えてみたらいいと思うのですが、何か考慮をしてもいいんじゃないかなあと、そうしますと、むしろそういう学校入学する人たちというものもふえていくということにも奇与しますしね。また、そういう学校制度というものが今後の社会の中で新しい展開なりあるいはまた定着なりというふうな姿も促進されていく。私はそういうふうに思うわけです。  いま、たまたまこういう制度を通じてそんなことを感ずるわけですけれども、大上役に振りかぶって日本の教育制度どうあるべきか、六・三・三制はどうあるべきかなどの議論も結構ですけれども、現実にはやはり多くの若人がそういう学校にも通っている。聞くところによりますと二千カ所ほどありましてね、三十万人以上通っているそうですよ。またその教育課程も短いもので一年、長いもので四年ぐらいあるそうでありまして、何とかそれはこれからの教育制度の一環として、放置しておくんじゃなくて少し温かい目でアプローチをしていくということが望ましいと私は思いますので、ただいまの局長の御答弁を承りましたが、あと半年余り検討期間があるようですから、ぜひひとつ好意的に考えてあげてはいかがなのかと、こういうことを要望として申し上げておきたいと思うわけであります。  それから次に、先般も参考人として組合の方をお招きをしたわけでありますが、大蔵省の方としては金融公庫の今日の業務というものの社会的な重要性という面を考えてみまして、どうですか、どうも公庫の百三十三カ所の支店があると聞いていますが、その支店における貸付業務がいささか停滞ぎみであるということはどうやら否めないような印象を受けているわけであります。もちろん人員をむやみやたらにふやすということはだれしも考えるべきではないかと思いますが、二百億からの進学ローン貸し付け実施する、しかもそれはおおむね二月から三月という限られた時期がピークになる。しかも一方そのピーク時に、いままでの金融公庫の業務のパターンからするならば、まず年度末ということで転勤が一気に出てくる。定員よりもぐんと実在人員が減るということ。さらにまた、これも業務のあり方として一考を要するようですが、業務出張と称して各支所が交互に一定の人数が交流する。まさにそのいま進学ローン貸し付けようとする場合の時期にどうも不都合なそういう業務態様が見られるわけでありまして、この点人員の増ということも含めてどのようにお考えなのか、改善するとすればどういうふうに対処しようとされるのか、これは午後総裁にお聞きをすることが妥当だと思うんですけれども、すでに先回参考人も一遍呼んでいますので、局長の方の御所見を伺っておきたいと思うんです。
  16. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 進学ローンの事務が円滑に行われることは非常に大切でございますので、この点もいろいろ配慮いたしまして、五十三年度の予算におきましては、いろいろ御説明申し上げましたように国民公庫に対しまして大幅な定員増を認めたわけでございまして、純増が六十四名でございまして、これは政府関係金融機関全体で九十一名の純増でございますから、かなり重点的な配慮をしたわけでございます。ただ何分にも進学ローンの事務はまだ始まっていないわけでございまして、今後運営の実情を見ながらまたさらに検討してまいりたいと、このように考えております。
  17. 福間知之

    福間知之君 いろいろお聞きをしてまいりましたが、最後に、開運をしてということでございますが、日本育英会ですね、本来私はこの育英会あたり資金壁といいますか、業務を拡充していく方向でこの種のものが考えられるべき事柄ではないのか。これは確信を持って私は申し上げているわけじゃないんですが、これはどうなんですかね。銀行局長はどういうふうにお考えでございますかね。  たとえば住宅の場合はこれまた住宅金融公庫というのがありましてやっている。あるいはまた事業活動資金については、特に中小企業を重点的に対象とする公庫国民金融公庫だと、そうなっていますね。進学ローンなどは、言うならば国民金融公庫で扱うというのは妥当なのかどうか。振り返ってみて、何となく取ってつけた感じがしないでもないんですけれども進学貸付資金ということだけに限定すれば、いまのような公庫を通じた方法を法律を改正してやるということも全くこれは不当だとは言いませんが、しかし、それ以外にすでに既成の奨学団体があるわけですね。そういうものの位置づけとの関連では、これは本心、銀行当局はどういうようにお考えなんですか。
  18. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 教育に関連する資金融通貸し付けにかかわる政府関係機関はいろいろあるわけでございますが、日本育英会の場合には、たてまえとして成績の優秀な学生生徒を対象にしているわけでございまして、必ずしも一般的なものではないわけでございます。その辺、教育資金をどのような機関でどのように分担するのがよいかという問題いろいろあろうかと思います。教育資金につきましても、進学時に必要なもの、あるいは入学してから必要なもの、いろいろ分かれるわけでございます。いままで実は進学資金につきましては、一部を除きましては、私学振興財団その他ございますけれども、そのようなものを除いては一般的に対象とする政府関係機関はなかったわけでございます。この点で、国民金融公庫は従来から国民大衆に対する貸し付けということを目的としてきたわけでございまして、進学時における父兄の血相を軽減するという趣旨から申しまして、国民公庫でこれを行うということもまた一つの方法ではないか、このように考えております。
  19. 福間知之

    福間知之君 いろいろ細かく検討していきますと、どうもすっきりしないという面が私は残るわけでありますけれども、これが今回提案された背景なり趣旨なりというようなものを考えますと、まあ一〇〇%満足するような制度としてこの際実施することについては多少困難な面もあるような気がしますので、余り同じことを繰り返してお聞きするのもいかがかなと、こう思っておりますけれども、これは仮に具体的には実施されるとなれば来年分からということですね。一番最近の実施ということは来年分からということになります。したがって、郵便局を通じた貸し付け金融公庫あるいはその代理店を通じた貸し付けと、この二つの系統での貸し付け実施状況というものを一度見た上で、来年度改めてその実態の上に立って改善なり加えていく、また、資金量が果たして適正かどうかということも吟味をされていく、こういうことを私はぜひお願いをしておきたいと思うんです。  何分にも初めて実施することでございます。私はこの制度が定着をしさらに拡大をしていくということであれば、これは一面大変結構なことだと思うわけでありまして、たとえばいままでの政府機関金融公庫なり中小公庫なり開発銀行なり輸出入銀行なりの資本金なり、あるいはまた貸付資金なりの実態を見てみますと、国民金融公庫は特別に大きくありません。したがって、これからはやはり産業の設備なりあるいはまた技術開発資金なりあるいは運転資金なりという産業関係資金貸し付けとあわせて、やはり国民生活に密着した関連性の強いこの種の貸付制度というものが国全体としてはもっと拡大しても私はいいと思っています。したがって、当然貸付資金量等ももっと拡大しても私はいいと思います。国民金融公庫の資本はいまわずか二百億円ですね。たとえばこれは中小金融公庫も二百五十二億円ですから、開発銀行の二千四百億円近く、輸出入銀行の九千億近くの資本金に比べますと余りにも過小であります。したがって、私はそういう観点から見ても、この種の制度というものはもっと多面的に考えてもこれからはいいんじゃないか、そういうふうな感じがしております。したがってこの制度が実現の暁には、先ほど申したように、ぜひひとつ来年度の実績を見て、もう一度私どもは真摯に考えて、より多くの国民になじんでもらい活用してもらえる、いいことをやってくれたというふうに喜ばれる制度としてぜひ育て上げていくように要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は最初に、今回施行されます進学資金貸付制度趣旨を第一にお伺いしたい。第三番目には、今度の提出理由には、「高等学校大学等への進学のために必要な資金負担の実情にかんがみ」とありますけれども大蔵省としてはこの「負担の実情」というのをどうとらえているのか。また第三番目に、現在すでに行われております日本育英会等の各種奨学資金との違いはどこにあるのか、この三点をまずお伺いしておきます。
  21. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) まず進学資金貸付制度を御審議願っているわけでございますが、この制度趣旨でございますけれども、最近において進学に際して学校に納付すべき入学金、授業料あるいは施設整備費等の金額が非常に高騰してまいってきているわけでございまして、進学する子弟を抱えた父兄進学時における資金日刊が非常に増大してきているわけでございます。これに対しては風聞の金融機関における教育ローン制度もかなり普及してまいっているわけでございますけれども、しかしながら、このような一般民間金融機関からの融通を困難とするような国民大衆と申しますか、そのような父兄に対しまして国においても何らかの制度考えるべきではないかというふうに考えられるわけでございまして、そのような見地から進学時における父兄負担在学期間中にならして、均分化してその軽減を図るということの趣旨でこのような制度を御審議願っているわけでございます。  この「負担の実情にかんがみ」ということでございますが、進学に際して、ただいま申し上げましたように、学校に納付する入学金、授業料などはかなり上昇してきているわけでございまして、私立大学入学金、授業料、施設整備費の合計額は五十二年度は四十九万三千円、五十三年度は五十八万四千円と、このように毎年大幅に増高しているわけでございます。このほか受験のための費用であるとか、あるいは地方にいる方が都会に出てきて生活するための費用とか、そのような費用もいろいろかかりますので、このような負担軽減を図りたいと、こういうことでございます。  それから、日本育英会に現在奨学金制度があるわけでございますけれども、この日本育英会の奨学金は入学してから後の教育費についての貸し付けでございます。現在これは、申し上げましたような入学の際に一時に必要となる多額の資金につきましては、この日本育英会の奨学金制度には乗っておりませんので、このようなものに対しましてこれを補完する意味国民金融公庫からの貸付制度考えたわけでございます。
  22. 多田省吾

    ○多田省吾君 この進学ローン対象校ですね、大学あるいは高校あるいは高専等の大体の対象人員はどのくらいになりますか。それぞれ明かしていただきたいと思います。
  23. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 進学者の合計、全体の数字を申し上げますと、たとえば大学では四一二万八千人、これは五十二年度でございますが、短大で十八万三千人、高専で一万人、高校で百四十八万七千人と、こうなっているわけでございます。ただし、このうちの今度は進学資金対象として考えましたその計算でございますけれども、現在日本育英会の奨学金制度の利用率を見ますと、大学につきましては在学生の全学生数の一〇%でございます。また高校においては二%でございます。したがいまして、この数字を勘案いたしまして、大学につきましては進学者、これは大学、短大合わせまして六十二万人でございますのでこの一〇%として六万一千人。それから高校につきましては、公立高校の進学に要する資金は余り大きくございませんので、私立高校を対象といたしまして、一応進学者数四十二万九千人に対して二%程度、したがって九千人というふうに考えたわけでございまして、大体合計七万人を対象としているわけでございます。
  24. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はこの制度が発足する前に、二年ほど前から福田総理が大々的に約束し、また宣伝されたような経過もございます。また、民間銀行ローンが一足先に出発しているわけでございますが、今回の法案の趣旨等から考えまして、私はその対象校をもっとふやした万がいいと思います。  先ほどの御質問にもありましたように、いま銀行局長はたとえば専門学校とか高等専修学校、こういったものは政令事項によるけれども、今後考えるけれどもいまのところ含んでないんだと、こういう御答弁もあったわけでございます。しかし私は、職業教育とかあるいは実際生活に直結した教育を行って、今度の学校教育法の改正でこのような専修学校は認められているわけですね。これをいまのところ除外しているということはどうしても納得できないと思うんです。すでに民間都市銀行等では専修学校進学ローン対象としているところも多いわけでございます。  御存じのように、昭和五十二年の九月一日現在で全国の専修学校の数は国立で百九十四、公立で七十八、私立で千六百八十七、合わせて千九官五十九校、二千校近い学校がございますし、また三十六万人が含まれております。先ほど銀行局長がおっしゃったような、一年間で進学する人員を見ますと十数万ということも考えられますけれども、こういった専修学校に進もうという人ほど私はこういう進学ローンというものがどうしても必要なんじゃないかと、このように思います。  五十三年度版の全国専修学校総覧というのが全国専修学校・各種学校総連合会から出ておりますけれども、この解説によりましても、学費というものを見ますと、大体専修学校と言いましても工業関係あるいは農業関係、医療関係、衛生関係、教育社会福祉関係、商業実務関係、家政関係、文化教養関係、まあ大体八部門に分けているようでございますが、その一つである工業分野の学校を見ますと、昼間部では進学の際入学金が十万円ないし二十万旧、授業料が月額二万二千円ないし二万円程度、その他施設費、維持費、実験学習費など年間数万円から十数万円が必要だと。初年度の納付金、これは四月の初めに一遍に納付するわけでございますが、入学金や施設費や授業料などを含めて四十万円から五十万円程度である、このように解説してあります。これは私もこの程度であろうと思います。やはりこれに匹敵する短大なんか見ますと、修学年限は二年ないし三年でございますが、こういった専修学校は短いのでは一年でございますが、ほとんど大体二年です。また、長期のは三年ないし四年というものもございます。こういったことを考えますと、これからますます必要になってきておりますこういう専門的な知識や技術を習得させる学校、しかもいま政府・文部省等では生涯教育というものを盛んに唱えておりますけれども、そういったことを考えますと、活力のある教育をするためには、こういった専修学校をもっと重視しなければならないんじゃないか、このように思います。また、こういった学校進学される方々も相当われわれのところにも入れてほしいという陳情もかなりございます。これから検討されるということでございますが、私はあらゆる実情から見まして、今後前向きに検討されて、この六カ月米満のうちに政令を出されるわけでございますから、ひとつ前向きにこの専修学校というものも対象に入れるべきだ、このように思いますが、銀行村長の御答弁を求めたいと思います。
  25. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先ほど答弁申し上げましたように、財政資金を使ってどの程度までこれを適用の対象とするかという問題でございますので、現在のところ専修学校、各種学校は入れないということで進んできておりますけれども、今後政令制定時までに、先生指摘のことを十分踏まえまして検討してまいりたいと思います。
  26. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣どうですか、いま銀行局長から、専修学校、各種学校というものはいまのところ含めていない、これから政令を出すときに当たって検討してみたいということもおっしゃっていますけれども、余り前向きの御答弁じゃないように思います。私はこういう短大等と比べましても、やはり同じような状況にある専修学校、工業関係とか農業関係、医療関係、衛生関係とか、こういったきわめて技術や専門的な問題に携わる方々も多いわけでございますし、やはり進学に際しましては一時納付金が四十万ないし五十万、工業関係ですね、こういった資金を必要とする方々でございますので、私は相当前向きに検討すべきである、このように思いますが、大臣はどう思われますか。
  27. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 専修学校につきましては、恐らくいろんな種類があるんじゃないかと思うのでございます。したがいまして、この問題はすぐれて何といいますか、考え方の方向もさることでございますけれども、実情が一体どういうことになっておって、それほどに本当に必要とするのかどうか、それらの人はいままでどういうところから一体一時金、入学金を調達しておるのであろうか、すぐれて私は実際問題だと思っているのでございます。そういう意味で、先ほど福間委員から、ただいまはまた多田委員から御質疑がございました。政令指定時まで十分検討してみたいし必要な措置をとりたい、かように思っておるところでございます。
  28. 多田省吾

    ○多田省吾君 この問題は大変重要でございますので、ひとつ前向きによろしく御検討いただきたいと思います。  それから、この貸し付け返済能力のある者ということになりますと、非常に借り手が限定されてくるんじゃないかと思います。それで現実問題として、国民金融公庫の本川、支店あるいは代理店における通常貸付手続によるとなっておりますけれども、夜間の学校等に行く学生の方々を相手に、本当に手続上融資がどの程度可能なのか、これはどういう見通しを持っておりますか。
  29. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) この進学資金貸付制度は、原則として進学者の父兄貸し付けることを考えているわけでございますけれども、勤労学生等で進学する者に対しても貸し付ける道が開かれているわけでございます。この場合には、もちろん国民金融公庫からの財政資金貸し付けでございまして、金融ベースの話でございますから、返済能力ということが問題になるわけでございまして、本人の所得その他を勘案する必要があるわけでございます。  それからまた、本人が法律上の行為能力を有すること、つまり年齢二十歳以上ということが必要になるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても国民金融公庫貸し出しと申しますのは、一般民間金融機関融通を困難とするものに対して貸し付けをするわけでございますから、審査の基準と申しますものは、一般民間金融機関よりはおのずから異なるわけでございまして、実態を十分勘案しながら運営するように指導してまいりたいと思います。
  30. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから、父兄方々対象に貸し出される場合に、年収四百五十万円以下ということでございますけれども大蔵省としてはどのくらいの所得層の方々が一番利用すると、このようにお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。
  31. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 一般貸し付けの場合には所得制限を設けることを予定しておりまして、その所得制限の基準といたしましては、日本育英会で使っている基準を参考にしたいと考えているわけでございまして、これによりますと、普通の勤労者で四人家族の場合には四百七、八十万程度の収入が一応の基準になるかと考えられますが、実際にどの程度所得者が利用するかということになりますと、これは所得の最低基準ということは特に考えていないわけでございます。ただしかし、先ほど申し上げましたように、これは国民金融公庫を通ずる国民の貴重な財政資金貸し付けでございますし、金融ベースの話でございますから、当然返済能力が問題になるわけでございまして、その資産の状態あるいは返済能力等を勘案いたしまして貸し付けを運用してまいるわけでございますので、どの程度所得回かということについては一概に申し上げることはむずかしいと考えております。
  32. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、民間銀行ローンを利用すれば年収の五〇%を限度に三百万円まで融資が受けられる、あるいは財形教育融資もある、この制度を利用できる方々もおります。ですから、今度のいわゆる政府のこの制度を利用できる方々というものは、私はたとえば六十五万人もいらっしゃる母子家庭の方々とか、あるいは百五十万人もいらっしゃる交通遺児の方々、こういった方々が十分利用できるような制度にしてこそ初めて制度実施した意味が大きくなるんじゃないか、このように思います。  ところが、交通遺児の御家雄では母親の勤労月収平均が大体八万円前後と、こういった御家庭で子弟進学ローンを利用するといたしますと、国民金融公庫として現実にこういった方々を受け付けるかどうかとなりますと、私はまず初めに非常に疑問があると思うんです。その他二、三問題がありますけれども、まずこういった方々が実際貸し付けを受けられると思いますか。それをまずお伺いしておきたい。
  33. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 交通遺児家庭あるいは母子家庭の方々に対する配慮ということは非常に必要だと考えられるわけでございます。この進学資金貸付制度をどの程度利用できるかということでございますけれども先ほど申し上げましたように、これは金融ベースの話でございますし、国民財政資金を運用する話でございますので、返済が全く明らかに不可能であるという方々に対する貸し付けということは、これは当然のことながら困難かと考えられますけれども、しかし、やはり一般民間金融機関融通を困難とする方々対象とするわけでございますから、その辺の審査に当たっては極力十分に配慮するように指導してまいりたいと、このように考えております。
  34. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま申し上げましたように、交通遺児の御家庭を見ますと、たとえば高校入学家庭、大学入学家庭の実情では、高校で世帯総収入平均十万五千六百二十一円、そのうち母親の仕事による手取りが平均七万一千五百九十円、大学では世帯総収入平均十一万三千百二円、そのうち母親のお仕事による手取り収入は平均で七万六千三百八十六円、こういう統計が出ております。このような交通遺児の御家庭のうち、九割の方々が働き手であるところの父親を亡くしております。今後の生活も非常に大変でございます。いま銀行局長もおっしゃったように、こうした御家庭こそ進学ローンを一番利用したい方々であると思います。  そのほかの制約といたしまして保証人が一人必要とございます。ところが、やはり母子家庭の方とか交通遺児の御家庭では保証人を引き受ける人は私は非常に少ないと思いますし、私が直接聞いた二、三人の交通遺児の方々のお声でも、とても保証人になってくれるような人はいませんということをお聞きします。ですから先日の御答弁でも、銀行局長は、やってみてこれから必要に応じて考えるんだということでございますが、私はやはり保証機関というものを設置していくべきだと思います。しかし、保証機関を設置すると今度は金利を高くしないと運営できないという意見もあるようでございますが、私はこの問題も含めて、金利というものも七・一%ということでございますが、もっと安くすべきだと当然考えます。各種民間銀行ローンよりは安いとはいっても、この進学ローンの性格を考えますと、厚生省やあるいは地方自治体の入学支度金のように、無利子とか利子補給、あるいはもっと低利にすべきである、これが当然と考えます。そうしてこそこの制度が大いに活用もされ、また生きてくると思うのです。この点を銀行局長はどのようにお考えなのか、御答弁願います。
  35. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) この進学資金貸付制度につきましては、現在、保証人を一人立てていただくことを予定しているわけでございます。先ほども申し上げましたように、これは財政資金貸し付けでございますし金融ベースの話でございまして、従来国民金融公庫貸し付けに際しては保証人をとることを原則としておりまして、戦後におきまして戦災者、引き揚げ者等に対して融資をした場合にも保証人を立てていただいたわけでございますが、しかし、確かに先生指摘のとおり、保証人をお願いするということは現実の問題としては非常に大変な問題があるわけでございます。したがいましてこの問題につきましては、ある程度制度を実際に運営した実情を見ました上で保証機関その他につきまして検討してまいりたい、このように考えております。
  36. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから、返還方法でございますけれども金利もさることながら返還方法も非常に大変で、据え置き期間一年を入れても卒業までに返還せよというのはどうしても納得できない。資金を回転させるためということをおっしゃりたいのでございましょうけれども、現実に利用する人にとってはこれは非常な難問でございます。その他の、日本育英会等の返済等と比べましてもこれはもう全然厳し過ぎる。もちろん両方の立場は違いますけれども、こういった低所得者の方でも利用できるという政府制度の運営の面から言えば、私は返還は少なくとも卒業後半年据え置きの五年程度の割賦返還というのがこれは当然であると思うのです。なぜそのようにできないのか。そうすべきじゃないかと思いますが、どうですか。
  37. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 返済期間の同額でございますが、この制度創設いたしました趣旨が、進学時における一時の父兄の大きな負担在学期間中にならして均分化することによってその軽減を図るという趣旨でございましたので、在学期間ということで、最長四年ということになっているわけでございます。  この制度につきましては、当初の原案が二年でございましたけれども国民金融公庫を通ずる融資ということで最長四年ということにした経緯もございますし、先ほど申し上げましたように、限られた財政資金をできるだけ多くの方に利用していただくというたてまえからもこのような期間になっているわけでございますが、しかし、現実の問題としてこのような期間ではどうしても返済ができなかった方に対しましては、実情に応じまして、返済期間延長その他の措置を弾力的に運用することを考えたいと思っております。
  38. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣に最後にお尋ねいたします。  二、三の問題点を挙げましたけれども、どう見ても現行の制度では一番利用したい人が利用できないという姿になってしまいます。保証人の問題しかり、利子の問題しかり、また返済期間の問題しかりでございます。こういう制度ではこの制度の意義も私は半減してしまうと思います。私は、教育の機会均等の立場から言って、もう一度、利用する方がこの制度の恩恵を本当に一〇〇%受けられるように内容の改善充実を図るべきである、そうしてこそ初めてこの制度の意義がある、このように思うのでございますが、ひとつ最後に大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  39. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 何分にも初めての制度で、しかも金融ベースでやろうというのでございまして、金融ベースのぎりぎりの線で一遍やらしていただきまして、多くの問題点を抱えておるであろうということは容易に想像がつくわけでございますけれども、一遍とにかく実施をさしていただきまして、先ほどの政令のときまで検討するということは別にいたしまして、ただいま申しました保証機関であるとか、さらには、一体年限をどう決めたらいいのか、これは運用でもいけるようでございますけれども、その辺のことを十分ひとつ、まずスタートさしていただきまして、利用の状況、それからどこがまずいのか、そういった点、あるいはまた学校教育法の立場から文部行政の立場でやっておるもの、あるいは厚生行政の立場でやっておるもの、それぞれたくさんあるわけでございますので、この制度をどの辺のところで定着させるか、これは恐らく実態を見ますとかなり見当がつくのじゃないか、こう思っておりますので、とりあえずはこれで発足さしていただきまして、逐次その実情に合わせまして、ただいま多出委員のおっしゃったことも頭の中に十分置きながら将来の検討事項にさしていただきたい、かように思っておるところでございます。
  40. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、前回、この進学ローン測度が総理天田のお声がかりで、いわば低所得者向けのローンだという鳴り物入りの宣伝にもかかわらず、金利は七・一%、高過ぎるのですね。いまも問題になっておりましたけれども、在学中に返さなければいかぬとか、あるいは保証人が要るとか、こういうようなことで、交通遺児などにとっては絵にかいたモチに過ぎないということを指摘して、条件改善を求めたわけです。ところが、弱者対策で考えたらどうだということだったのですが、その弱者対策で伺ったところが、これまた高校、大学、これについてはだめなんだということなんです。  そこで文部省の方に、現在行われている私立大学奨学事業の一つである入学一時金の分割納入制度について、これで低所得家庭の子供たちの大学進学がうまく保証できるのかどうかという見地から伺ったわけです。文部省の方の御答弁では、入学一時金の分割納入制度、これの適用を受けた場合、布学期間中にこれを返済しなければならぬのだという御答弁だったと思うのですが、私調べてみますと、奨学金で入学一時金の事実上の立てかえ払いができるようになっているのじゃないかと思いますけれども、どういう制度になっておりますか。
  41. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 学校法人が当該大学の学生を対象に奨学金の貸与事業を実施する場合に、私学振興財団を通じて必要な資金融資をしておるわけでございますが、この奨学金の貸与事業におきましては、入学金を一括して納入した者に比べまして、一時金を分割納入制度によって分割して納入するものにつきましては、毎年度の負担金に差がありますので貸与額に差を設けておりまして、分割納入中のものには毎年度の分別納入分を上乗せした額の奨学金を寄与しておるわけでございます。したがいまして、入学一時金分割納入制度と奨学金貸与事業をともに実施している大学におきましては、両事業の対象となった学生につきましては、入学一時金の毎年度の分納分を奨学貸与金によって納入することが可能でございます。そしてまた、その奨学金につきましての返済につきましては、卒業後十年で返済するというようなことになっております。
  42. 渡辺武

    ○渡辺武君 今回の進学ローンよりもはるかに私はよく考え制度だというふうに思うんですね。あれですか、返済条件はどうなっておりますか。利子とか……。
  43. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) これは学校法人に私学財団を通じて貸すわけでございますが、学生が学校法人から貸与を受けた奨学金の返済につきましては、在学中は据え置き、卒業後十年間で学校法人に割賦返還をすることにしておりまして、在学中は無利子、それから卒業後前期近時間は三%以内、後期五年間が五・五%以内の利息を支払うということになってございます。
  44. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは低所得の学生にとっては非常に右利だと思うんですけれども、実情を私調べてみましたところが、どうもその実施状況がよくないですね。時間がないので私の方から申し上げます。もし間違っていたら訂正いただきたいんですが、今年の一月十日現在で実施した私立大学の数、これは私立大学の総数三百七校中わずかに二十五校にすぎない。その大部分が医科系、歯科系の大学になっております。そしてこの制度の適用を受けている学生さんはわずかに百六十名だということになっているわけです。実際そうかどうか、それまず伺いたいんですが、なぜこんな程度の普及でとどまっているのか、その原因もあわせて伺いたいと思います。
  45. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 入学一時金につきましての学校数と学生数はお説のとおりでございます。これは進学奨励、奨学事業援助につきましては融資額を五十三年度におきましては前年度よりも十五億円増の二十五億旧計上いたしましてその事業の拡充に努めているわけでございますけれども、この事が実はまだ始まって間もない、特に五十三年度の入学者というようなことでございますし、まだ十分に関係学校法人に周知徹底していない向きもございますので、私どもとしては機会あるごとにその実施要請しているわけでございます。  それからまた、これを行うに当たりましては、やはり学校法人の立場におきましても事務が新しく加わるというようなこともございますので、そういうものについての補助も行うわけでございまして、今後とも積極的にこの周知徹底方に努力してまいりたいと思っております。
  46. 渡辺武

    ○渡辺武君 制度は私非常にいい制度だというふうに思いますが、これは学校がやるということで踏み切らないとできないという点が最大の弱点になっているんじゃないかというふうに思うんですね。  そこで、なぜ一体この医科歯科系がやってるのにそのほかの大学でできないのかということで、私立大学関係の方に伺ってみたんです。そうするとそれなりの弱点があるんですね。一つは、この入学一時金の分割納入制度の場合も、それから普通の奨学金貸与の場合も、原資の一割は大学自身が持たなきゃならぬということになっているわけですね。だから、普及しますと大学のいわば持ち出しがふえるという条件がありまして、いま財政的に非常に困難になってる普通の私立大学ですね、なかなか実施が困難だという点が一つあると思うんです。  それからもう一点は、融資及び資金の回収、取り立ての事務ですね、この経費、これはまあいま補助を考えているということでありましたけれども、特にこの回収不能分ですね、これが大学のしょい込みになってしまう。これも一つの大きな弱点になってるようです。  それからもう一点、この奨学金の返済免除それから猶予ですね、こういう規定がないもんですから、奨学金を貸与された者が死んだり不具廃疾などになってそれで返されないということになると、これまた大学がその損失をしょい込むということになるわけですね。  それからもう一点、一人でも奨学金を借りる学生が出てきますと、私学振興財団に学校として担保を出さなきゃならぬというような点もありまして、いまの財政上から考えて、医科歯科大学のようにいわば財政的にも比較的豊かだという大学を別にしたほかの大学ではなかなか踏み切れないという実情があると思うんです。私はこういう点もなお改称して、低所得の学生が十分利用できるように、一般大学でもこの制度創設に踏み切るという方向を文部省として検討していただきたいというふうに思いますが、どうですか。
  47. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 先ほど申し上げましたように、五十二年度から入学一時金の分別納入制度実施する学校法人に対しまして、私学振興財団を通じて融資するというようなことで、始まって問もないものでございますので、種々検討いたしまして、今後そのような問題につきましてスムーズにいくように努めてまいりたいと考えております。
  48. 渡辺武

    ○渡辺武君 とにかく医科歯科系以外の大学――私立大学ですね――の当事者の人たちにとっては、この制度は案外評判悪いんですよ。いま行ったようなところで財政的に非常に困難だと、やりたいんだけれどもなかなかできないという点で、せっかくいい制度ができていながら、これが特に低所得の学生に適用できる機会がいわば奪われているという状態にあると思うんですね。  そこで、私つくづく考えるんです。せっかく低所得者向けだといって進学ローンができた。その状況を改訳してくれという要望が出てるんだけれども、これは金融だからだめなんだというふうに突っ放された。先ほど大蔵大臣は、これは厚生行政の面からも考える必要があるという趣旨の御答弁ありましたけれども、私この前伺いましたその世帯更生貸付資金、それから母子福祉費の就学資金ですね、この制度でも高校、大学はだめなんだというのがこの前の答弁なんですよ。だから弱者対策で何とかやれといったって、そういう制度すらできていないという状況です。  それで、いま伺いました私学の場合、これでも大学当局がしり込みしていてせっかくの制度が活用されない。こういう状況では、一体低所得で父親も交通事故で奪われたと、母子家庭で、先ほどもお話が出ましたけれども、一生懸命お母さんが働いても大体月の収入は八万円程度というような家庭の子供さんですね、大体まあお母さんが働ければ結構な方でして、三分の一のぐらいの家庭ではお母さんは病気か病弱だと言われてるわけですね。そういう家庭の子供たちが青雲の志を持って大学に行きたいということで入ろうとすると、まず最初の障害物として非常に高い入学金あるいは設備費の負担というものがあって、入りたくても入れないという状態に置かれているわけですね。ですから交通遺児育英会ですか、あの玉井さんの投書を見てみますと、交通巡見の大学進学率は普通の子供たちの三分の一程度にすぎないんだということなんです。私は交通事故で父親を失った家庭の子供さん、これはそれだけじゃありませんが、さっきもお話のありました母子家庭、それからそのほかの遺児ですね。こういう人たちこそ、いまの学歴社会ではどうしても上の学校へ行って何とか収入のいいところに就職したいという希望は特別に切実だろうと思うんですね。教育の機会均等という面からしても、まさにこういう人たちが大学に行くことのできるように障害を取り除いてやると、あるいは適切な援助をするということこそ国の行政の一番重点に考えなきゃならぬ点じゃないかというふうに思うんですが、一体どういう制度考えるべきですか、どういう制度がありますか、これは文部省に伺いたいと思うんです。
  49. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 文部省といたしましては、前にも申し上げましたように、日本育英会の事業を拡充することによりまして父兄負担軽減を図るというようなことに努めておるわけでございます。さらに、先ほど申し上げましたように、四十九年度からは私大奨学事業援助の事業も創設いたしておりまして、この日本育英会の事業を拡充することにより対象の人員もふやし、それから貸与月額もふやし、そういう中でこれを充実することによって、成績優秀であり、しかも進学するのに経済的に困難な状況にある者に対してめんどうを見ていきたいというふうに考えております。
  50. 渡辺武

    ○渡辺武君 日本育英会の事業は私もそう考えているんですよ、率直に言いましてね。しかし、日本育英会の現在の事業では、入学一時金について貸与するという事業はないわけでしょう。私はやはりそうおっしゃるなら、この日本育英会の事業の中に入学一時金の貸与、こういう事業を追加して、そうして低所得の学生さんの進学の意欲にこたえるべきだというふうに思いますが、その点どうですか。
  51. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 先ほどから申しておりますように、まあ入学一時金等、入学時に要する経費の高いものは主としてこれは私立大学関係するものでございますので、私どもとしましては、入学一時金の分割納入制度実施する学校法人に対して融資するという事業を始めたところでございますので、当面はこの事業を拡充いたしまして、学生の負担軽減に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。  それでまた、ただいまも申し上げましたように、日本育英会の奨学制度の中に一時金を対象とする貸与制度を導入するということにつきましては、一つの検討課題であると考えるわけでございますが、先ほど申し上げたように、そういう私大奨学事業も出てきたところでございますし、日本育英会につきましては、私立大学の貸与人員をもっとふやすようにするというようないろんな要望もある現状でございますので、当面は貸与月額、貸与人員の拡充というものを図っていくのが緊急の課題であろうかと考えておるわけでございます。
  52. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、それではだめだから、私は私立大学の問題についてまず最初に伺ったんですよ。とにかく大学当局がやるというふうに踏み切らなければ、せっかくできた制度も医科歯料程度のところでもってとまっているわけですわ。三百七校あるうちでほんのわずかしかやっていないという実情はそのことを私物語っていると思うんですね。ですからそこを改善していただくことはこれは結構です、大いに改善してほしい。しかし同時に、大学当局がいましり込みしているというその現実を考えなきゃならない。  で、とにかく交通遺児を含めた母子家庭の方々、全国たくさんいますね。数で言いますと約百五十万の遺児がいると、こういう人たちは年々高校を卒業して大学へ行こうということなんで、非常に緊急の問題なんです。この人たちを一日も早く大学進学できるような条件をつくってやること、これが必要だと思うんですね。制度が発足したからもうちょっと待ってくれといったって、子供たちの年齢はそれだけ一年たてば一つ年は食うわけですからね、早くやる必要があると思う。そういう意味で、私はやはりこの日本育英会の中に入学一時金についての貸与制度というのを設けることが非常に適切じゃないかと、これは日本育英会の創立の趣旨からしてもそうだと思うんです。明治時代につくられた制度なんですけれども、しかし低所得の学生さんに教育の機会を与えるというのが一口で言えばその根本の趣旨だと思う。明治時代には入学一時金が高くて入れないなんという事態はなかったわけですよ。まさに現在、まず最初のバリケードとして入学一時金という問題があって、それでぽんとはねっ返されているというのが実情なんです。ですから、現在の実情に合ったように日本育英会のこの事業の中に入学一時金の貸し付けということを含めさえすればいいわけですよ。そうすれば私は私立大学進学者だけでなくて、まさにこういう低所得の家庭の子供こそ私立大学よりも国立大学で、授業料その他も安いわけですから勉学できるような条件にしてやる必要があると思うんですね。そういう意味では、私学だけでなくて国立大学についてもやはり育英会の貸与事業の一つとして入学一時金というのを私は含めることを早急に検討してほしいと思うんですが、重ねて伺います。どうですか。
  53. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) お説につきましてはよく検討いたしますが、入学一時金につきましては、やはり私立大学の一部のものが中心でございますし、また、私学のそういう今後の経営問題につきましては、私学振興対策として非常に力を入れておるところでございます。日本育英会の方は国公私立を通じまして広く学生を対象として、しかも成績優秀で進学が経済的に困難な者に対して行おうというものでございまして、特に多くの者からその毎月の月額を引き上げるように、さらに私学の対象者をもっとふやしてもらいたいという要望が非常に強いわけでございますので、私どもとしては現在の日本育英会の奨学制度の拡充にもっぱら努めてまいりたいと考えている次第でございますので、御了承をお願いいたします。
  54. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、私の申し上げている趣旨は、その私学はもとよりどんどんおやりくださいということなんです。しかし同時に日本育英会の貸し付けの事業ですね、融資の事業の中に入学一時金についての貸与の制度を入れてもらって、国立大学へ入る場合でもやっぱり入学一時金六万円くらいは取られましょう。そういう負担もこれは十分考えてやる必要要があるんじゃないか。とにかく月八万円くらいのお母さんの収入しかないという家庭の子供たち考えてごらんなさいよ。この交通遺児育英会で家から仕送りが来なくてもいいような制度をつくってやっているのにもかかわらず、子供たちがことしも進学はあきらめて就職の方にずっと行っているというんでショックだったというふうに玉井さんも投書の中で言っているわけですね。これはやはり考えてやらなきゃならぬと思うんですね。私学の高いことはもとよりです。だから、それについての改善もこれは考えなきゃなりませんが、同時に国立、私学通じて日本育英会として入学一時金についての貸与制度、これを検討してほしいと思うんです。文部大臣とも相談してぜひ検討してほしいと思いますが、重ねて伺います。
  55. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 先ほどから何度も答えておりますような線で私どももまいりたいと思いますが、先生の言われます、その奨学制度の中に入学一時金を対象とする貸与例度導入を考えろということは、確かに一つの検討課題であると思いますので、これは検討させていただきたいと思います。
  56. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問だけ。  大蔵大臣、日本育英会が事業拡大する場合に、やっぱり財政資金の問題が絡んでくるんですね。これは一般会計からお金が出ているわけです。出しっ放しじゃなくて、これは返ってくる金ですけれども、私、大まかな計算してみたんです。もし入学一時金の貸与制度を日本育英会がやった場合にどのくらいの予算が必要だろうか。計算のやり方は、これは中学校の段階で就学奨励費受給生徒数、これは二十二万二千三百人います。それから生活保護、教育扶助受給生徒数、これは八万六千九百人いるんです。合計して三十万九千二百人います。これは中学三年間の合計ですから、毎年その三分の一が卒業するというふうに考えますと、十万三千百人という数になります。これに中学生が大学進学する率、この平均数を掛けてみました。そうしますと約二万四、五千人という数字になります。それでこの人たちが入学一時金、これを仮に貸与された場合にどのくらいの予算が必要だろうかということで、これは全員で考えてみたんですよ、全員貸与されるというふうに。約五、六十億円という金額で済むんです。これは出しっ放しじゃなくて卒業後にみんな返ってくるお金ですよね、原則的には。ですから、そういう点でいまの財政規模からすれば大した金額じゃないんですね。特に将来を担う青年に教育の機会を与えるということで、大蔵省としても喜んで金出してくれるだろうと思ってるんですけれども、どうでしょうか。
  57. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) この問題は、いまのところ私学だけのようでございます。国立学校でどの程度具体的に必要性があるのかどうか、まず何よりも文部省の方で十分御検討願いまして、その上で、それに基づきまして十分検討させていただきたいと思っておるのでございます。もとより返ることが前提になっておるのでございますが、片方は税金でもってやっておるわけでございまして、どんぶり勘定、現金会計でやっておるわけでございますので、いま先生のおっしゃった趣旨十分わかりますけれども、その辺の実際の需要がどれくらいなのか、それから財政需要全体を考えまして、先生趣旨も踏まえながら十分検討させていただきたい、かように存じております。
  58. 中村利次

    ○中村利次君 教育制度あるいは教育資金あり方響につきましては、われわれは抜本対策について要求、主張を持っています。同時にしかし、入学時の、進学時の負担というものがかなりなものでございますから、これの貸し付けを新しく測度を設けようというこの法案については賛成をするわけです。しかし、どうもやっぱり何か、すっきりしてはい賛成と、こう言えないようなものがあることは間違いないわけでございまして、そういう点について、時間が短いですから、できるだけ基本的な問題についてお伺い脅したいと思いますが、そういう制度を新設するのに、これはある面では確かに金融であり、また一向では政策である。そこに何で郵便局窓口とするというのが入ってこなければならないのか。先ほど銀行局長の御答弁を承りました。しかしどうも、やっぱりなるほどそうかという感じがいたしません。大臣でも局長でも結構ですが、どういうわけで――その経過なり理由について、もう一回ひとつわかりやすく御説明を願いたいと思う。
  59. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 進学資金貸付制度につきましては、進学時における父兄の食糧軽減という意味で、しかもそれが一般民間金融機関の必ずしも融通対象となり得ないものに対して、何らかの形でその負担軽減を図りたいということで、国としても施策を考えたわけでございますけれども、同時に郵政省あるいは郵政審議会においても、この進学資金貸し付けについての議論が起こってまいったわけでございまして、昨年九月におきまして、これは何回かの預貯金金利の引き下げの審議に絡んでいるわけでございますけれども郵政審議会要望事項といたしまして、「郵便貯金による直接的な融資方式については、金利引下げの効果を直接預金者に及ぼすことになるので、その一環としてのいわゆる進学ローン制度創設については早急にその実現を図るべきである。」と、このような要望事項が出されたわけでございます。このような要望事項等を背景といたしまして、昨年末におきまして五十三年度予算案の策定の際に、郵政省から進学ローン貸し付けのこのような制度要望があったわけでございます。ただしかしながら、郵政省要望されているところは郵便貯金者だけを対象にした貸付制度でございますので、国が関与して優遇した貸付制度を行う以上は、一般のいわゆる低所得者に対する融資が本筋でございますので、それを本筋といたしまして、さらにこの郵政審議会あるいは郵政省からの要望も勘案いたしまして、このような二本立ての制度考えた次第でございます。
  60. 中村利次

    ○中村利次君 勘案されて確かにそうなったんでしょう。そうでなきゃ全くこれはどうもすっきりしませんよ。しかし、その勘案の仕方ですけれども郵便貯金者の優遇、これは現在いろんな両において行われていますね。郵政審議会の御意向はわかりますよ。しかし、国のたとえば教育政策として、進学ローンという金融政策として行う、その場合、国民金融公庫窓口として、金利についてもあるいは貸出条件、支払い条件等についても、これは私はこの条件についてはもう言い分がたくさんあるけれども、それは別として、そういうものを政策的に考慮をして、そしてこれは代理店を民間金融機関に求めるのも、これは手段方法として理解できますよ。しかし、そこへ郵政省要求があった、郵政審議会要求があった、もっともであるとお考えになったわけですか、それは。その勘案されたのは。なるほどそれはもっともである――もっともであるとお考えになったのなら、私はこれは議論しなければならない。
  61. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 郵政省からのこのような要望でございますが、郵便貯金者に対しましては、昨年におきまして何回か貯金金利の引き下げがあったわけでございまして、それに対しまして、消費者に直接そういうものを還元すべきではないかというような議論がございまして、そのような議論を踏まえまして、このような郵政審議会要望になったわけでございます。これはやはり預貯金金利引き下げの経緯としてこのような事実があったということは、やはり一つの勘案すべきことと考えられたわけでございます。  それから、郵政省で提出してきました案は、郵便貯金を特定の制度としてある程度積み立てた者に対しまして同額を貸し付け制度でございまして、これはもちろん進学資金を全額費し付けに仰ぐということも一つの行き方だと思いますし、またそれに備えてある程度自己資金を貯蓄して足りない分は貸し付けにまつというような行き方も、やはり進学資金を支払うにあたってそれに対処する一つの方向かと考えられるわけでございます。そのようなことを勘案いたしましてこの二つの制度が設けられた、このように考えております。
  62. 中村利次

    ○中村利次君 郵便貯金がやっぱり庶民によって多く利用されておるということは否定しませんから、そういう意味での優遇策のすべてに私はとやかく異論を旧えるものではありません。しかし、この進学貸付金というのは国民全般を対象として、そして教育の機会均等を政策としてできるだけどうかなえるのかという、そういうものがこの進学ローン政府で取り上げた、国として取り上げた理由じゃないんですか。いかがですかそれは、一言だけで結構ですから。
  63. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、進学時における父兄負担軽減を図って、極力一般国民子弟進学することについての便宜を図るということが今回の趣旨でございます。
  64. 中村利次

    ○中村利次君 そうなりますと、郵便貯金対象者だけでないのはこれはもう論をまちませんね。そのとおりなんです。そこへ、そういう国民対象として進学の機会均等をできるだけ図ろうという目的を持って進学ローンという制度を取り入れようとするときに、何でそこへ郵政審議会の、あるいは郵政省郵便貯金対象者を優遇しろというのが入ってこなければいけないんですか。そしてまた、それを政府政策として取り入れなきゃいけないんですか。
  65. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、本来貸付制度につきましては預金金に関連なしに与信をするというのが本来のあり方かと考えられるわけでございまして、国民金融公庫によります進学資金貸付制度のいわゆる一般促し付けがその意味では一つの方向であると考えているわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、昨年の何回かにわたります預金金金利引き下げの過程におきまして、いろいろな郵政審議会その他からのこのような要望があったということも一つの事実でございますし、その事実、あるいは郵政省が昨年末に五十三年度予算案策定の過程においてそのような要求をしたということも事実でございまして、そのような事実も勘案しながら、また先ほど申し上げましたように、本来進学資金を支払うためには借入金だけではなく、自己資金をある程度積み立てて、足りない金を借りてそれを賄うという方向を設けるということも、やはりいろいろな方法を設ける方が国民の利便になるわけでございますから、そういう観点も勘案いたしましてこのような形の道を開いたわけでございます。
  66. 中村利次

    ○中村利次君 これは銀行局長としてはまことに申しわけありませんけれども、きわめて帯しい答弁にならざるを得ないと思うんですがね。私はどうも国の財政金融を預かる大蔵省が、そういう何だかすっきりしないようなことに、歓迎して賛成されたんではないんではないかと出面うんですよ。もし歓迎されだとすると、これはどうも今度私の方がすっきりしない。  そこで、非常にこれは疑わしいかもしれませんが、何か郵便貯金奨励策の一環として、これは先ほどから言われておりますように、財政投融資の原資になる。何か郵便貯金をうんと奨励するための一環としてということになればこれはとんでもない話でありまして、政府は、これはもう福田総理もそうですし、大蔵大臣もいままで何回か私はお伺いしましたけれども、どうも日本国民は貯蓄性向が強い。したがって、減税の効果は景気対策としてはその波及効果は少ないんだという見方をとっていらっしゃる。私はそうではない。しかしこれは議論の対象じゃありませんから。しかし、貯蓄性向が強いということを政府が気楽に言うほど私は無責任なことはないと思うんですよ。国民政府の経済政策に不信があるから、あるいは景気の回復をやるんだと政府は言うけれども景気は回復しそうにない。産業活動が冷え切ってしまっておる中では失業者も大変に多いし、賃上げだって望むべきもない。減税も政府はやらぬと言っている。そうなれば生活の知恵として、薄くなった給料袋の中から貯蓄でもしなきゃ将来に向かって、あるいは不時の支出に対して不安で不安でしょうがないから、これは全く政府の経済政策に対する不信のあらわれだと思うんですよ。  だから、福田内閣の世論調査による国民の支持率は非常に低い原因、理由は何だといったら、その筆頭は経済政策に対する不信感だと。そういうのに、何か郵便貯金奨励策といわれても言いわけができないような国民金融公庫からの進学ローンと、それから郵便局窓口にする進学ローンとをつくって、そして郵便局窓口にするのは限度五十四万円で郵便貯金をしたその限度内、何ともこれはすっきりしませんな。金融としても国の教育政策としてもこれほどすっきりしないものはないと思うんですけれども、これは大臣からひとつ、どうお考えですか。
  67. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) なかなかむずかしい話でございますが、一つ制度をつくるときに必ずしも一義的な考え方一つ制度をつくるとばかりは私は実は思わないのでございます。  今度の制度というものが、やはり民間教育ローンの実態にかんがみまして、もう少し広くより安くもっといい条件でと、これが基本でできておるわけでございますけれども、同時にまた、郵便貯金をやっている人たちの意思を反映して、郵政審議会の方で、少しは、もう少しメリットを与えてくれという話も、それは私はそれなりにわかる気がいたすのでございます。  ただ、それをどの限度入れるかという現実的な調整の問題が非常にむずかしい問題でございまして、今度のような案になったわけでございます。言いかえますと、郵便貯金をした人は郵便貯金の方から五十四万円最高もらえる、またこっちの方でも五十万円借りられる、こういうことになる。それが不公平だとおっしゃるかどうか、その辺はいろんな考えようがあろうと思っておるのでございます。ですから、必ずしも郵便貯金をした人もしない人も同じ制度にしますということではない、結果的に申しますと。そういうことでございますが、今度の問題は、郵便貯金をした人にはしたようにそれなりの、ある限度を置きますけれども、完全なる与信業務にならないように限度を置いているわけでございますけれども、それらの人の要望、それを受けました郵政審議会答申もあわせ尊重しながら、同時に、民間教育ローンではなかなか借りにくい人たちにも広く門戸を開きたい、こういう多元的な目的を持った制度であると、かように御理解願えれば非常にありがたいと思っております。
  68. 中村利次

    ○中村利次君 申し訳ございません。答弁は理解をすべきでございましょうけれども、やっぱり私は五十三年度予算の編成に当たって、それまでものすごく強かった大蔵省が、あっちこっちからかじられかじられて、不況脱出対策という大義、にしきの御旗のもとにえらいどうも大蔵城がぐらついたということが、そういう意味のことが報道された。せめて政策金融の上でその筋を通さなければならない大蔵省が、こういう筋目だけは守ってほしかったという期待感がこういうことを言わしているんですから。これは私はやっぱり一面的なものばかり見ないで、多元的、多面的な配慮が必要であることは認めます。しかし、まるで筋違いのことに妥協をすることが多元的な配慮をするということとイコールではないと思うんですよ。  もう時間がなくなりますから、まだほかにも基本的なあれであったんですが、ひとつこれは、もう各委員から指摘をされましたが、私はいろいろ要望したい中で、やっぱり大臣も銀行局長も、返済条件はこれはいけませんよ。本当に結構な制度をつくるんでしたら、確かに入学時の一時的な出費、負担は大きい。たとえば大学四年間を通じて均平化するというのは一つの私は前進だと思う。しかし考えてごらんなさい、民間金融機関ローンとは違いまして、政府機関がやるローンは、貸付条件にしても、上は年収四行五十万円が適当かどうかは別にして、金持ち金融という批判は避けようとするあれがあらわれておる。それから下については、まるで支払い能力がないというのは困るけれども、その点は配慮いたしましょうという、そういう本当に庶民的な進学ローンということになりますと、借りたは借りたけれども、毎月毎月の学資のほかにプラスアルファとして、借りたのが、利息を除いてもこれは月割り一万円以上になるんです。それに七分二厘の利息がつく。かなりな負担のはずですよ。ですから私は、それほどの配慮をされたんだったら、これはぜひ、修正をするわけにもいかぬでしょうが、返済については何とか、本当に卒業後一定期間と、これが私は生きた政治だと思いますよ。それができないはずはない。政策として取り上げた以上は、それができないようなら仏つくって魂入れずということになる。答弁要りません、これは。いま、そうしますという答弁できないでしょうから、私は答弁いただかないんですよ。ぜひ大臣、ひとつこれは実現してくださいよ。要望して質問を終わります。
  69. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、進学ローンを借りたいと思う庶民の立場で大蔵大臣及び当局に二、三伺いたいと思います。  子供の教育費の質料がだんだん重くなって困っております一般庶民としては、今度の進学ローン制度が発表されましたときにはみんな非常に喜んだんです。ところが内容が発表されたのを見て、これでは利用できないと失望している人がたくさんおります。  その主な点は、委員の皆様からもすでに指摘されておりますように、金利が高過ぎる、返済期間が高校または大学の在学中に限られているということだと思います。私は今度の進学ローンは、いわゆる育英資金制度を低所得者までに拡大したものと受け取っておるわけでありまするが、その利息など返還条件等が育英資金制度と非常に差異があるというのはどういうわけでしょう。
  70. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘の育英資金は日本育英会についての御指摘かと思いますが、日本育英会と今度の国民金融公庫貸付制度とは若干前提が違うわけでございまして、日本育英会の場合には、成績優秀な学生生徒を対象としているわけでございますが、今度の国民金融公庫を通ずる進学資金貸し付けの場合には、一般の学生生徒がだれでも利用できる、まあ所行制限はございますけれども、そういう子弟を持つ父兄が利用できる制度になっているわけでございます。そのようなことから、国民金融公庫を面する金融ベースとして制度考えたわけでございます。  その中において、やはりしかし一般貸し付け所得制限のある方に対する貸し付けでございますから、極力これを優遇する措置を考えたわけでございまして、貸し付け金利あるいは返済の期間等につきましては、現在の国民金融公庫資金コストその他から見て、限度ぎりぎりのところまで一応考えられたものと思っております。
  71. 市川房枝

    ○市川房枝君 今度の進学ローンは、国の政策として現在運営されております育英資金制度とは違う、こういう御答弁だったんですが、私はそれはおかしいと。大体子供の教育の負担で苦しんでいる低所得者のために今度ローン制度を設けたということは、今度のローン制度も私はやっぱり国の政策としてこれを取り上げるべきではないのか、それを民間金融機関教育ローンに追随するといいますか、それと同じような考え方、ただ利息は民間のよりは少しばかり低くはなっておりまするけれども、それはおかしいと思うんですけれども、この点大蔵大臣からちょっと御意見を伺っておきたい。
  72. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 先ほど銀行局長も答えたところでございますが、やはり基本的に違う、文部行政の方でやっている育英資金の方は本人が最後には返すんだ、最後の支払い者は本人なんだ。学年時代にやはりりっぱな成績で、そしていまはとても学費も出ないという人に、卒業後本人の働いた金で返していただく、そこがやはり文部行政として中心になっていると思うのでございます。今度の進学ローンは、どちらかと申しますと、もちろん制度の上では保証人とか保護者であってもよろしい――多くの場合保証者だと思いますけれども、本人よりもむしろ保護者が借りる、そういう金融制度ではなかろうかと思っておるのでございます。したがいまして、金融制度の限界の中で現在の民間教育ローンに比べてできるだけ勉強してやるべきである、こういう考え方で、返すのはやはり多くの場合保護者だろうと思うのでございます。  そういうことを考えまして、一つ金融原則に立って、先ほど期間の問題いろいろございます。また母子家庭等の問題もいろいろ聞かされたわけでございます。大体限度は、従来の民間の三百万を限度と言っておりますけれども、大体五十万程度だというところで、その辺に一つのめどをつけたいと思うのでございます。恐らく一万三千円ぐらいに月額は当たるんじゃないか。私は特別の交通遺児だとか、あるいは母子家庭だとなかなかつらい問題があるんではないかという感じはいたしておるわけでございますけれども、今日の民間教育ローンに一歩前進してやってみようという最初のスタートであるわけでございます。先ほど銀行局長も答えましたように、どうしても無理な人で、返済が無理であるというのであれば、運用面で一遍考えてみたい。とりあえず、いずれにいたしましても制度を発足さしていただきまして、実際の状況を見ながら、いまのところ頭だけで考えているわけでございますけれども、最初の制度でございますので、実情に合わして漸次手直ししていきたい。その間、もし運用でやれる問題があれば運用で補ってまいりたい、かようなわけでございますので、ひとつ何とか発足さしていただいて、この制度を育てて、そしてよりよきものにしてまいりたいというのがいま私の念願であるわけでございます。
  73. 市川房枝

    ○市川房枝君 いま大蔵大臣からは、育英制度は本人に貸すんだけれども、今度の進学ローン父兄に促すというんですか、そこで違うんだというんですけれども、私はどうもそれが納得いかないんですが、どっちにしても子供たちの教育費というものの負担は、私はやっぱり親がその責任を持っているわけでして、それで苦労をしているわけですが、運用の上でいろんなそういううまくいかない点は考慮すると、こういうお言葉、前の委員の方のお答えにもそうありましたし、いまも大臣そうおっしゃいましたけれども、皆さんの御意見もこの問題については、先日からの委員会で御質問を伺っておりますと、大体二つの点は、つまり利息をもっと低くしろということだの、あるいは返済期間をもう少し長くしろというか、あるいは卒業してから返すようにせよということでは大体一致をしておるようなんですが、その点を運用で何とかするとおっしゃいましたけれども、法律の修正をするということはお考えになっておりませんか。
  74. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 七分一厘と八分八厘八毛でございますから、実際から見るとずいぶん違うと、私は金利というものを知っているだけにずいぶん違うと思います。もっと安くしたらどうかというお話でございますけれども、とにかく金融ベースでスタートさしていただきたい、将来の問題として検討さしていた、たきたい。  返済の問題につきましても、私は普通の方でございますと、大体四百何十万というのが限度だそうでございます。いまの国民所得状況から申しまして非常に困るという方はやはり非常な特別の方ではないんであろうか。大体保護者がお借りになると、お返しの責任に当たられると思うのでございます。だから、いますぐこの提案しましたものを変えるということでなくて、一遍実情を見ました上でやって見たい。その間、執行に当たりまして無理な点がありましたら運用でもって――これはもちろん限度がございますが、限度がございますけれども、とても返せないというのはこれは取るわけにいかぬわけでございますので、その辺は運用で少しお待ちする、こういうことではなかろうかなという感じがしております。したがいまして、とにかくひとつこの測度をスタートさしていただきまして、積み重ねの上でどのようにやるか。いろんな測度のある中でこういう制度を発足させるわけでございますので、何とかよりよきものにしていくためにはいろんな試行錯誤を重ねていかざるを得ないとは思います。まだ本当にどれだけの資金需要があるのかよくわからないわけでございまして、とにかくいま民間がやっていろよりももっと広く門戸を開放したい、こういう第一歩である、このように御理解願えればありがたいと思います。
  75. 市川房枝

    ○市川房枝君 利子は民間のよりは大分吹くなっているというお話あったのですが、本当はもっと安くして、その差は私は利子補給でなさるぐらいやっていただいてもいいんじゃないか。不況の場合に大企業なんかに対してはときどき利子補給をなすっておいでになるんですし、現在の状態で教育費のために国民は困っているということはこれは明らかな事実でありますから、そういう方面にやはり利子補給、国としてのむしろ一種のこれをローンの形というだけでなく、私はやっぱり社会福祉費の性格を持ったものとして考えていただきたい、それだけ申し上げて終わります。
  76. 嶋崎均

    委員員(嶋崎均君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十七分開会
  77. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に国民金融公庫総裁佐竹浩君及び両班事美藤富雄君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  79. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について、午前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の進学資金貸し付けの問題、私も基本的には賛成ではあります。しかし、国民金融公庫がこういう制度を新しくつくって果たして混乱なしにうまくいくのかどうなのか、この点が私にとっては一番まず心配なわけです。うまくいって初めて、たとえば保証人をどうするのかとか、あるいは卒業後に割賦返済をするとかという問題が起きるわけで、私はかなりいままでの国民金融公庫の業務とは異質なものがここに入ってきた、こういう感じを強くするわけです。  そこで、私は、国民金融公庫がこういう考え方を先に持って、それについて十分にいろんな面から検討をして、そして大蔵省と一緒になって法案として出してくるという手続が踏まれているならばかなりうまくいくだろうという予想もつくわけですが、どうもきょうの答弁を聞いていても、何か唐突に出てきた、国民金融公庫はつんぼさじきにいたような感じを私は持たざるを得ないのであります。そういう中でこの問題が入ってくる。しかも、金を貸す相手というのはいままで金融という問題については余り熟練していない人々、むしろある一部分には人からお金を借りるということが何か自分の、あたりまえだということじゃなくて、何か少し悪いことなんだというような考え方を持っているような人々が今度のこの融資対象になっていく可能性がきわめて強い。ですから、金融の業務に対する理解というものもまた非常に少ない人たちが対象である。この辺にいろいろな間違いが起きてくる可能性がなきにしもあらず。  銀行局長のお話を聞いていますと、銀行局長は頭がよくて、自分の志望する学校へとんとん拍子でとんとん行ったんだから、これとねらった学校には行けるものだと、前回からの御答弁でこういう感じしか得られていないわけでありますけれども、現実には大学なんかの受験を見ますと、四つも五つも実は受験をしているわけです。その中で、落ちるのもあれば合格通知をもらうところもあるわけでありまして、自分がこれだとねらったところにすぽんとはいれれば今日の受験競争も私はないと思う。そういうばらばらな中でこれが急に作動をしてくるというところに私は非常に心配があると思う。  これは総裁にお聞きしますけれども、こういう制度国民金融公庫がやるという御通知を大蔵省からいただいたのは一体いつごろですか。
  81. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これはたしか五十三年度予算編成のぼつぼつ大詰めに近づいてきたころであったかと思いますが、たしか十二月の二十日前後であったか――ちょっと日にちを正確に覚えておりませんが、ということでございました。
  82. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、こういう新しい仕事、まあ銀行局長のお話ですと全体で七万件くらいですか、そのうちの直接公庫が扱う分だけとしましても、二万件というものを扱うようになってくると思うんですけれども、これを扱うには私は相当な人員要求というものもしなくちゃならぬと思うんですが、概算要求のときにはこの話はなかったわけでありますか。恐らく八月末までの概算要求のときには、この人員についての要求というのは入れてなかったわけでしょう。
  83. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 正直なところ、おっしゃるとおりでございます。
  84. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その後、十二月の二十日ごろにこのお話があったという後で、公庫の方では、もちろんどのぐらいの仕事量になるかということを御検討になっておるはずだと思いますけれども、御検討なされて大成の方に定員要求を出されたんですか。あるいは逆に大蔵の方で、今度この仕事がこのくらい出るんだから、お前の方の定員はふやしてやるんだという話があったんですか、なかったんですか。
  85. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ただいま御指摘のように、そういう新しい仕事が加わるということであれば、これはやはり定員要求せざるを得ないということでございまして、従来出しておりましたものを苦手修正をいたしまして、それで進学ローンの方に幾らという要求はいたしました。
  86. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 何人ぐらい修正増されたんですか。
  87. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これは総数は動かさないで、中で若干の移しかえをいたしました。と申しますのは、実は支店の新設を当初の要求の中では七カ店、これも非常に率直な話でございますけれども、余りこういうことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、ほかならぬ竹川先生でございますので申し上げますが、七カ店出しておりました。ところが四囲の情勢から、どうも七カ店は無理らしいぞというようなだんだん情報もございますので、じゃ若干それを減らして、そこで浮いてくる人員は進学ローンの方へ移しかえよう、こういうことにいたしたわけでございます。
  88. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の新設が大蔵省で認めたのはたしか四店増であったと思うんですけれども、そうすると、おたくの方の七カ店の要求は幾らであったわけですか、そして四店の増はどれだけだったですか。
  89. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 一店平均二十名という大体の暗黙のルールがございます。そこで七カ店の場合は百四十名、四店になりますと、これは二、四が八で八十名でございますね。
  90. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その辺のことは幾らかわかりましたが、それがもし、公庫要求が満足するような定員が来ましても、先ほど申し上げましたように、少なくともこれは新しい仕事です。ですから恐らく事務のルールを確立をして、そしてそれをおたくの全従業員、全支店、場合によっては代理店までも含めて、いろいろな書式なんかもあるでしょうから、そういうものを含めてやはり研修もしなくちゃいかぬと思います。内部研修から、いろいろな段階の研修があろうと思いますけれども、こういうことはいままでにおやりになっているんですか。それともこの法案が成立をした後でおやりになるということなんですか、どうなんですか。
  91. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 法案審議は国会の権限のことでございますので、私どもがとやかく推論をするのは大変おこがましいのでございますけれども、私どもとしましては、この法案が必ず通過するという前提で物事を考えまして、予算編成の大詰めの際、今度進学ローン取り扱いを当国民公庫で行うということが決まりましたその瞬間から直ちに準備に入りました。そしてこれは、実を申しますと各部各課に非常に関係のある仕事でございます。  そこで特別な委員会を編成いたしまして、副総裁を長とする進学資金対策特別委員会、これを編成をいたしまして、一月の、正月の休み明けから直ちに検討に入りました。そしてあらゆることがございまして、進学の実態はどうかなんということからそもそも始まります。同時に、そもそも大学入学金というものは幾らぐらいのものであろうか、これまた実態調査をせねばなりません。同時に郵便局との関係もございまして、そこらあたり関係をどういうふうにうまく調整をいたすか等々、それから代理機関にお願いするにいたしましても、これはやはり先生指摘のように、いわゆる事業資金と違いまして消費者金融でございます。してみると、事業金融の場合ですと、たとえば事業所がたくさん集まっている場所でありますとか、全くの住宅地であるとかいう地域によって、支店のネットワークをいろいろ変える場合がございますけれども、消質者の場合は全国津々浦々でございます。そうなると、やはり同じ代理機関を使う場合も非常に幅広くお願いしなきゃならぬ。従来は実は農協にはお願いしてなかったわけでございます。ところが農村でもやはり進学資金の需要はございましょうから、今度は全国の農協にまでお願いをいたさねばならぬとか、いろいろそういう問題がありまして、それと同時に、これは何と申しましても、合格発表になった、すぐ入学金を納めなけりゃならぬ、普通は一週間だそうです。よく調べてみると、三日以内で納めろなんというところがあるそうですね、学習院か何か――どこか忘れましたが。そういうことになりますと、これはきわめて迅速に処理をせぬと申しわけないということになりまして、さあそれじゃどういう事務の流れにしたらそういう迅速処理に問に合うか、そういうこと、あらゆる問題を含めまして検討いたしました。  おおむねそういった事務的な検討はほぼ三月末をもって実は終わっております。あとは先生おっしゃるように、職員に対するいろいろ研修でございますね。これはやっぱりどうも法案が通りませんと、ちょっとなかなかこれもいかがかというので、一日千秋の思いで法案の成立をお持ちしておるわけでございます。
  92. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは大蔵大臣にも十分聞いておいていただきたいと思うんですけれども、いま総裁からお話があったように、合格通知から入学金を納めるのは短いのが三日だというんですね。私は先ほど申しましたように、こういうお金はなるべく、金利がつきますし、返さなくちゃならぬわけですから、なるべく借りたくない。何なら自分の金で入学金を納められるようにしたいという努力を恐らくする層が多いと思うんです。われわれみたいにずうずうしくなりますと、自分の金はあっても借りるという、そういうずうずうしい人というのはわりあい私は少ないだろうと思うんです。あっちこっち親戚知人を頼って何とか貸してもらえないかと。うちの息子が娘が今度こういう学校へいくから貸してくれないか。こういうことで私は通常はまずそういうところを歩くと思うんです。どうも足りないと、だから新しい制度があるから今度はひとつこれを使おうじゃないかということのような、そういうことが多いと思うんですよね。だから、銀行局長は御答弁で一カ月前に受け付けるんだから、しかも公庫が暇なときだから、だからばっぱっとできそうなことをおっしゃるんですが、なるほど事務的なものは私そういうことはあると思うんですよ。しかし、たとえ事務的にそういうふうにやってまいりましても、さっき申しましたように、局長は一つの道ですっといったらいけたんだけれども、いけない人が多いんですよ。二つの大学に合格した、どっちにしようかな、これは全然公庫の方の責任じゃないですよ。しかし、親や本人にしてみればどっちの大学を選ぶか、これは相当大変な問題だと思うんですよ。そうしますと、その結論を出して、さあ国民金融公庫、金を貸してくれと、こう来る。こういう場合というのは、全部とは私は申しませんけれども、かなりあるだろうと思うんですよ。だから申し込みの受付期間から貸す期間まで、ただ期間だけ長けりゃうまく作動するなどというふうにはこれは考えられないですよ。これが何年か定着をした後になればこれは別でしょう。そうしますと、そのときに仕事がないからといって果たしてうまく作動するかどうか。  あるいはこういう場合も私はあり得ると思うんですね。先ほども母子家庭のお話があったわけですけれども、子供は学校の成績が優秀だから、ぜひひとついまの状況を抜け出すにはどうしても大学へいって、ひとつ早くいい金かせいでもらいたいという要求は特に母子家庭なんかに私は強いと思うんですよ。  しかし、いろいろこの国民金融公庫でお金を貸す場合にしたって、くれてやるなら構いませんよ、あるいはゆうゆうローンみたいに貯金があって、その部分に見合ったものを貸してやるならばこれはいいですが、この場合そうじゃないわけですよね。貸してやるということになれば、その債権は保全しなくちゃならぬ。この二百億の金にしたって財政資金でありますから、言うならば元は国民の金なんです。だから返済をするということで国民金融公庫の方は当然審査するわけです。学校先生も、おたくの恵子はこの大学なら大丈夫だ、学力においては問題ない。しかしそのときに、おたくの能力ではとても返済することはできないから、公庫としてはお金を貸すことはできません、こういう場合も私は絶無じゃないと思うんですよ、債権を保全するということになりますればね。そうして、もしそういうことになった場合には、あるいは私は場合によれば自殺をする子供も由ないという保証はないような気がするんです。そのとき非難されるのは国民金融公庫ですよ、総裁、おたくの方ですよ。大蔵省が悪いとは新聞は書きませんよ。それだけに私はこのスタートというのを大変危惧しているんですよ。あるいはさっきのような話で、本人の方がどっちかこっちか決めかねていて、行ったけど金がちょっと問に合わなかった、期日には納められなかった、ついにだめなんだ、こういう場合も私はあり得ると思うんですね。局長、そういう事例は絶対起こしませんか、保証してくれますか、ここで絶対起こさないという。ぼくはそういう例が今度はどうも出そうな気がしてしようがない。そういうことが起こらない体制をまずつくっていく。それでなければ一年ぐらい延ばして、もっと十分研究した上でスタートさせる。私は大蔵省のメンツの問題じゃないと思うんです。私は今度のこの進学資金貸し付けの問題では、そうした体制が公庫の中にしっかりととられているかどうなのか、この点が不安でしょうがない。絶対そういうことは起きませんか、局長。局長がまず保証してくれなければ公庫だって仕事できませんよ、そんなもの。どうですか保証しますか、そういうことは一切起きないという。
  93. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 今回の進学資金貸付制度につきまして、いろいろ手続面その他の検討を行う場合におきましては、先生指摘のように、これは一般の事業貸付金と異なりまして、もっとも事業貸付金でも一日おくれて不渡りになって倒産するというような場合もあるわけでございますけれども、特に今回の進学資金の場合には、先生指摘のとおり、期日におくれますと入学自体ができなくなることが考えられるわけでございますので、その点をどのように確保するかということに重点を置いて、国民公庫においても研究を進めてもらっているわけでございます。したがいまして、手続面でそのようなことがないように万全の措置をとってまいりたいと思います。
  94. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 二万件も処理する、しかもそれはくれてやるんじゃない。ゆうゆうローンみたいにちゃんとした担保があるわけじゃない。恐らく担保的なものがない人が多いでしょう。家があっても、たとえば在宅公庫担保に入っていたりほかの担保に入っていたり、そういう中で、さっきの総裁のお話ではふえた人員は幾らでもない。それも支店関係もあって幾らでもない。そういうようなことでできますか。いまあなたできるとは言ってない、ないように努力しますという程度しか言えない。人をふやしたってできるかどうか、それはわからぬと言えばわからぬですがね。  しかし、そういうような万全の措置がとられた上でそういう事件が起きたとなれば、これは本人の責任に帰せられると思うんですけれども、体制がないのにそういうのが起きた、私はこれは大変なことだろうと思う。大蔵大臣、そういう心配をぼくはしているんですが、絶対こういうことは起きませんか、私が心配しているようなことは。局長がいま余りはっきり言わないんだから、これはもう大臣に聞く以外にない。
  95. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) この前もたしか何人かの委員からその点を特に言われておるわけでございまして、いままた竹田委員から再度にわたりましてその点御指摘があったわけでございます。私も実はその点が一番大事な点だと思っておるわけでございまして、絶対そのようなことがないように最善の努力をしたいと、かように思っているのでございます。
  96. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうすると、それは最善の努力をするというのは、今度はとにかく当初予算可決されましたからね、いまのところしようがないと思うんですよね。いますぐこの国会でまた直すというのもなかなかこれはできないことですがね。ぼくは定員がちゃんとあったにしても、これからそういう研修とか連絡とか体制づくりというのはそれだけでも相当大変だと思うんです。それなのに定員が不満足だということになりますればどこかでふやさなきゃいかぬと思うんですがね。これは大蔵大臣、検討の結果ふやす場合もあるということになりますかどうですか。いますぐ、あなたは予算に縛られていますから、ここですぐふやしますとは言えないだろうと思うんですけれども、検討の結果その定員をふやすことができる、ふやすかもしれないというようなことはこれは言えますわな、どうなんでしょうか。
  97. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 政府機関全体の純増が約九十人のうち六十四名出しておるのでございますので、ずいぶん、まあ事務量の点はわかりませんけれども、重点を置いてやっておると思っておるのでございます。しかしこれは来年度――今年度中に定員をふやすということはなかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、恐らく公庫の方では万全な用意をしておると思いますけれども、一番心配になるのは代理貸しの問題があるわけでございまして、その辺を、公庫の方では御如才ないことと思いますけれども、十分連絡をとりまして事務的にも万全の措置をとっていきたいと、かように思っておるわけでございます。来年度でございますけれども、定員は今度で決まるわけでございまするから、とりあえずはこの定員の中で最大限のやりくりをする以外にはないと、かように思っておるところでございます。
  98. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵大臣ね、こっちの方はよかったと、進学の方は事故もなくてよかったと。しかし今度は中小企業の方で手を抜かれたと、小零細企業の方にこのために手が抜かれたというんじゃ、これも困るんだ。この前も話したように、中小企業の方だって早く貸してくれというのをなかなか思いどおり貸してくれない。こっちはうまくいったけれども、今度はいままで審査日数、この間二十一日というふうにおっしゃっておられましたね、これがまたもとどおりに、青みたいになって二十八日だ三十日だ、こうなられてもこれは大臣困りますよ。だから両方がうまくいってくれなきゃ困る。定員をふやさずしてぼくはそういうことができるというふうにはちょっと感じられないですな。それにあれでしょう、後からも言いますけれども、今度はいままでよりも代理店の数というのはうんと多くなるんでしょう。この間の局長のお話では、店数にすれば一万軒以上になるというようなふうに私はおとといは聞きましたけれどもね。いままではたしか八百何軒ですよね。これが一遍にそれだけふえるんですよ。これはいままでの代理店に対する何というんですか、監督とか連絡とかということも当然公庫の中でおありだろうと思うんです、いま八百何店に対するそういう係もあるんじゃなかろうかと思うんですがね。これが今度は一万になるんですよ。そのうちある部分は、お話があったように、系統農協とかそういう系統金融機関の上部でやられるようになるかもしれませんけれどもね。しかし、それにしたって私は大変な数だろうと思うんですよ。こういうのをやるだけだってかなりの人が私は要るだろうと思うんですよ。  これは参考人、いままではそういう代理店ですね、八百何店の代理店に対して連絡、調整あるいは監督とか、そういうことをやっていたのが何人だったんですか。
  99. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 代理店業務を統括いたしまして、その支店に対する指導その他企画の事務をいたしております者が、今日公庫の本店に、業務部の中に代理業務課という課を置いております。これはわりと簡素な課でございまして、人員は大体五名おるのでございます。
  100. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度はそれが一万以上になったら何人ぐらい必要なんですか。これは銀行局長に伺いますけれども、あなたが一万軒というようなことをこの前おっしゃっていたんですが、今度はその五名は何名にしなければまとまりつかないですか。
  101. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 現在代理店の数は八百十二でございますが、進学ローンにつきましてはこれをさらに大幅にふやす予定でございます。ただ、一万店と申し上げましたけれども、これは取次店を含めてでございまして、実質的には代理店になる数は、これはまだ代理店の申し込みが来ておりませんので確定しておりませんけれども、これをはるかに下回る数ではないかと思っております。  それから、今度ふえます代理店あるいは取次店は、一般的な取次居、代理居ではございませんで、この進学ローンだけに限って代理あるいは取り次ぎ事務をやらせる予定になっておりますので、その点は一般代理店の場合と監督その他の事務は、事務量ははるかに小さなもので済むのではないか、このように考えておるわけであります。
  102. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 事務量は少ないけれども件数は多いですよ。いままでなら同じ人がずいぶん扱っているからその人のくせもわかりますわ、その店のくせもわかります。今度はより多くなるんですよ。だから私は、これ決まっていないというわけなんですが、これはじきに要ることですよ、もうすぐ。取り次ぎをさせるにはどういうふうにやるのか、どういう書類でどういうふうにやるのか。もうすぐにでもこの代理業務課ですか、これはスタートして、それぞれのところに通知を出す、あるいはやり方を指示する、こういうことになるんじゃないですか。それを何人に今度はふやすのか、それもはっきりしないじゃこれは困るじゃないですか。これは佐竹参考人の方ではいままでの五人でやっぱりそういうことも、進学ローンに対しても今度はやるつもりですか、どうなんですか。
  103. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これは先生先ほど申し上げたのは企画とか指導に当たる者が本店に一課をなして五名でおると申しましたが、これはそれだけで実は代理店関係の仕事が全都済むわけじゃございません。結局日々代理店と接触をいたしまして業務の連絡、調整をやっておりますのは何と言っても第一線の支店でございます。したがいまして、その各支店の中でそういう代理関係の仕事をいたしておる者はおるわけでございます。それらを総合いたしまして、今日先生指摘のようにいわゆる取扱店として認可を受けております数はまさに八百三十五でございますけれども、そのところにちょうど親に子がつくようにいわゆる取次居というのが認められておるわけです。これ全都入れますと現在でも四千五百店ございます。それから、先ほど局長申された一万軒とかなんとかいうのは、その四千五百に比べますとほんの倍になる程度でございますので、八百軒が一万になるわけじゃございません。  それともう一つ、私ども実務上その点は十分実は検討しておるんですけれども、何と申しましても今度のは業務範囲が非常に限られたわけでございますね、進学ローンというものだけで、たとえば農協のことを考えますと、ほかの業務は一切お願いしないわけですから、進学ローンのことだけをお願いいたします。しかもそれは一年間のうちで大体二月から三月、二カ月間ぐらいのところに集中してお願いすることになりますですね。  それから、先ほど先生件数が非常に多いじゃないかというお話、ごもっともでございますけれども、これ分散しますと非常に少ない、一店一店に分けてみますとまことに非常に少ない数になるわけです、多少地域のいろいろ偏在もございますけれども。一日に二万とか三万とか言うと大変多いようですけれども、私どもの支店だけでも百三十三ございます。それからいまの四千五百に分けますと、そうすると一つ一つ扱うお店の扱い件数というのはまあ十件あるかないかということでございましょう。ですからそういう意味では特別に、これは私どもも実はまだ大蔵省と御相談しているわけじゃないんですけれども、私どもの内部で事務的に検討してみておりますのですが、どうもその他のところ、代理貸し機関の範囲拡大をいたすがために定員増を要するや否やという問題は、私はその必要はないんではないかというふうに思います。  それから、先ほどちょっと言葉が足りませんでしたので補足させていただきますけれども先ほど来伺っておりますと、進学資金は新規業務である、その事業分量は二万件もあるではないか、したがってそういう新しい業務がふえればそれは即増員を要するのじゃないかと、こういうお話。先生大変国民公庫のために御心配くださっているものですから、私どもも非常に感謝を申し上げておるんでございますけれども、実はその間にいろんなクッションがございまして、業務量増即定員増には旧結いたさない面がございます。  それはどういうことかと申しますと、ことにこういう季節性の強い仕事になりますと短期間の決戦でございます。その短期決戦のために必要な人数を算出して張りつけますと、ほかのいわゆる端境期以外の閑散期、農閑期ですね、これは全然人が余ってしまうことになるわけでございますね。してみると、これはいわゆる定員というもので処理するにはどちらかというとなじまない臨時緊急用務である。そういうときに私どもどうやって対処しておるか。たとえば伊豆の大地震、あれだって大変なことです。和歌山県のコレラですね、これも二カ月ぐらいで一年分の仕事をいたしました。それでりっぱに職員はやってのけておるんですけれども、これはどうしてそういうことができるかといいますと、結局応援をいたします。その支店の人が足りなければ、本店からもほかの支店からもやりくりをして出してまず応援をする。それから、できるだけ勤務時間内に片づけるようにいたしますけれども、どうしても目切れの問題がございますと、そこはぎりぎり最小限度超過勤務や何かもいたしまして対処する。災害のときは大体そういう携帯でございます。有珠山のときのもそうでございますし、それから二百海里問題がございましたですね。それから円高緊急融資。これらは、昨年来緊急融資と名のつくものがもう六本か七本ぐらい出ております。しかも不況業種に対する企業貸し出し金利の引き下げ、これが大変な仕事でございます。そういうことをみんなやってきました。それがために、じゃ定員増がないとそういうことは何もできないのかということになりますと、これはいまの企業貸し付けの利下げの問題なんかも、たとえば封筒書いてどんどん出すというような単純労働はアルバイトを入れるとか、したがってその点は労使の間にいろいろ話もございましたけれども、非常にこれはスムーズにいったわけです。結局職員の労働過重という形にならないで処理できておる。ですからそういう意味で、私どもとしては何と申しましても職員の労働過重は最も避けなきゃならぬことである。と同時に、課せられた任務はこれは完全に果たさにゃならぬ。  さてそこで、いかにそれを調和いたすかということについては日夜苦慮いたしながら、そこでいろいろ生活の知恵を編み出しまして今日までやってきておりますので、したがって進学ローンで今回若干名の増員はいただいておりますが、その人たちだけが実はやるわけじゃないんでございまして、各支店全店挙げてやる問題でございます。四千七百の総職員においてやるというふうにお考えくだされば、そこのところだけ取り出しますと何か大変なような感じもいたしますけれども、その点は先ほど先生指摘のような間違いの起こらないように、もうそういうことが起こっては本当に信用失墜でございますから、これはもう役職員一体となりまして万全の措置をとる。これは御承知のように国民公庫も創立以来すでに三十年近い歴史がございます。その長い歴史と伝統にかけてもこれは断固としてやると、間違いなくやるという決意を役職員全体が実は持っておる次第でございます。
  104. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ちょっと方向を変えて御質問いたしますけれども、今度この進学貸し付けをやる場合、当然そのお金は返してもらわなくちゃならぬ、もちろんこれは金融ベースでやるわけですから、くれてしまうものではないわけですね。したがって、それを判断する材料というものが必要なわけですよ。いままでやっている普通貸し付けなどは、お川があるとかあるいは工場があるとかあるいは機械があるとか、こういうことで比較的担保物件になる物もあったわけですね。相手側もこれは先ほど申し上げましたように金融にはある程度なれてた人たちですね。今度は金融になれない人たちですね。書類の書き方も率直に行って余りよくわからない、そういう連中がもう圧倒的だと思うんです。  今度はそういうことのために、一体その申し込みには債権確保、保全というような意味でどんな書類を提出させることになるんですか。貸し付け申し込みと一諸に、たとえば給与証明を持ってこいとかあるいは貯金通帳持ってこいとか、いろいろその人の能力を、返済できる能力があるかどうかということを見なけりゃいかぬわけですよね、くれてやるんじゃないんですから。具体的にどういう書類を貸し付けを申し込む人には要求をするんですか。
  105. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) お答え申し上げますが、これはちょうど先般二、三月において市中金融機関が遊学ローンを実行いたしましたですね。あのときの手続なんかは先生よく御承知だと思います。あれはなるべく簡素にということでやったようですが、私どもはあれを一応見まして、あの実績を踏まえて、あれより実はもっともっと簡素化しようと思っておるんです。ただ、おっしゃるようにやはり返済能力というものはこれは非常に大事でございますから、何らかの形で返済能力がわかるようなものはいただかにゃなるまいと。ただ、おっしゃるような貯金通帳まで拝見するなんてそんなことはもう全然考えてもおりませんし、申告していただきまして――やはり私は人を信じていかなくちゃならぬ。そういう意味でまず申告と、そういうことでございますね。それで問題があれば、たとえば給与証明なんかもおつけ願わにゃならぬかもしれませんけれども、その辺のところは、要するに一番簡素な方法で償還能力がわかるようなものを拝見しようかなと、そういうふうに思っております。
  106. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あなたはもう三月末までにそういう問題は終わってこれからはまあ研修だというふうにおっしゃっているから、簡素なものといったって何が簡素なものか、それはいままで金融やってる人はわかりますよ。金を借りたことのある人は、どういうものを持ってこい、納税証明書といえばどこへ行ってどう取るというのはわかるわけですよ。今度の人たちはどこへ行ってそういうものを持ってくるかわからぬような人だっているんですよ、取ったことのないような人が。あなたの方ではこんなものはわかり切っている、常識だと、こういうふうにおっしゃっても、受け取る方ではこれはどこへ行ってもらってきたらいいのか、初めてですからね、今度。なれてくりゃまた別ですよ。だからあなたの方ではいま簡素なものと言うんですが、私は全然わからないですね、簡素なものってどんなもの持っていきゃいいのか。  もうとにかく公庫には進学ローンについて問い合わせがあるというふうにすら言われていますよ。どんな書類持ってったらいいんですかと、私どもはこの法案を審議しているんだから当然聞かれますよ。それも指示できないということになりゃ、これは一体有効に作用するのかどうなのかということを私は余り信用するわけにいかぬ。  それで総裁、大体こういうのを申し込むときはまずお母さんなんかは頭にかっか来ているときですよ。純粋に平静と言えるかどうかわかんないですよ。おやじだって場合によりゃ一緒になってかっかしちゃっているときですよ。案外本人が一番平静だったりするというような時期ですよ。だからよっぽどよくわからないと、さっきあなたがおっしゃったように、合格通知からひどいのになれば入学金を納めるまで三日だというでしょう。その間だっていろいろなことあるわけですよ。だからよっぽどいろんなことをびしっとしておいてやらなけりゃ、そういうのはあると思うんですよ、書き込み。これは普通の貸し付けだって書き込みというのはあるんですからね。これだって必ずありますよ。国民年金だってあれほど宣伝したって応じていないで、今度は三度目のあれでしょう、後やるというふうになっているわけでしょう。わからない人はうんといるんですよ。だからはっきりしておいてやらなければ、これは私いかぬと思うんですよ。  それからもう一つは、あなたは先ほどほかの方の力を割いて全力を挙げてこれに投入すると、こう言った。まあそれは私は悪いことだとは思いませんよ。しかし、金融というのは何といっても金が返ってくるということを最終的に考えているわけですよ、債権保全あるいは返済ということをね。そうすりゃどうなりますか、おたくの内部は。そちらの力を抜かなくちゃいかぬということになると、今度は中小企業のカで促しにくいのは一切カットしちゃう、貸しても大丈夫返ってくるというところだけに貸す。そうすれば返済能力がある、まあ言うならばおたくから金を代りなくてもいいようなそういう層にシフトしちゃうんじゃないですか。また同時に、この進学貸し付けの問題も、なるべく簡単にしたいというんだから、預金通帳でもさっと見せるとか不動産の権利書でもさっと見せる、ああここはすっと任しましょう。そういうところばっかりにシフトしちゃうという心配ありませんか。弱者対策、低所得者対策として本当に借りたいというところじゃなくて、金利が安いから普通の銀行よりはこっち借りた方が得だと、こういう形のところへだけシフトしてしまって、本当のこの制度のかゆいところに手の届く、そういうあり方じゃなくて、高いところへシフトしてしまう。いままでだってそうでしょう、国民金融公序のあり方は。結局、本当にこの金が必要だというようなそういう人たちのところへ行かなくなっちゃう、それが私金融の原理だと思うんですよ、債権保全ということを考えるなら。もうそういう返せない人にも貸してやるんで、その分はほかにまた政府の方から金を出しますよというならこれは別ですよ。あくまでも返してもらうんだということになりゃ、返してもらいやすいところへ貸すのあたりまえでしょう、これ常識でしょう。幾らおたくの第一線の者が、この家族はどうしても貸してやりたい、こう思っても、どうもこれは貸してやっても、お母さんは病気だしというようなところはもうはねちゃうでしょう。そういう結果になりませんか。だから、全力を挙げてやるというのはいいですよ。いいけれども、ほかの方がお留守になったらこれは意味ないですよ、両立させてもらわなけりゃ。私はそういう心配を感じますよ。普通の銀行だってそうですよ。苦しいところは促せないで、金の余っているところへはお使いくださいお使いくださいと言って使ってもらっている。これがいまの金融の実態じゃないですか。おたくにそうなられたら、一体それじゃ金の借りられない人はどこへ行くんですか。私はそういう心配をせざるを得ない。必ず上位シフトする、どうですか。
  107. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) いやもう本当に、竹田先生はしばしば私どもの支店に実情を視察していただいておりますだけに、大変まあいろんな点でよく状況をおつかみの上で大変御心配をいただいておるわけで、ありがたいことでございます。  ただ、これはそういう実は心配は私はあるまいと、つまりおっしゃるような上位シフトということは余りないと思うんですね。それはなぜかと申しますと、これは私ども融資先の――これは先生に申し上げるのは釈迦に説法みたいで恐縮でございますけれども、大体九割は従業具の数も九名以内、非常に小さな小零細企業でございますね。それにまたいろいろ取引先の実態調査なんかもしておりますけれども、それじゃみんなその人たちが黒字企業かといいますとそうじゃないんですね。これはまあ実をいうと、こんなことを余りこういうところで申し上げていいのかどうか問題だと思うんですけれども公庫法第一条の精神は、要するに一般金融機関から融資を受けることが困難である、そういうお客様にお貸しするのがわれわれの任務なんです。ですから一般金融機関がどんどん促せるような人には私どもは貸しちゃいかぬのです。そういうことですから、もともとこれは制度的に非常にリスキーな融資をいたしておる。それはわれわれ覚悟の上でやっておるわけです。ですから現在のお取引先の小企業の法人調査をいたしますと、これは数字はちょっと申さない方が、伏せた方がよろしいかと思いますが、かなりの欠損、あるいは自己資本が飛んでしまっておるというところもございます。そういうところへやっぱり貸しておるわけです。それじゃなかったらそういう人は市中銀行へ行ったって借りられないわけですから。まあそういうようなことでございますので、決して上位シフトということはないと思います。  それから、いま進学ローンが始まったがために何かほかのものが動員されて、中小企業金融プロパーの融資がお留守になるんじゃないかという御心配をいただきましたが、これは一応ごもっともな話だと思うのでございますけれども、これは先生もたしか御承知だと思うんですが、四半期別の業務の季節変動がございます。これ見ますと、大体柳通貸し付けの直貸しのところだけとってみますと、普通は四半期三カ月で十五万件ぐらい処理しておるんでございますよ、十五万件ですね、ずいぶん多いと思いますが。ところが一-二月になりますと、それが去年の実績なんかで見ますと大体十三万件ぐらいになっておるんです。ちょうど二万件ぐらいそこにすき間がある。今度、いま先生も御指摘のように、進学ローンだけ二万件じゃないかとおっしゃってくださってますが、そうしますとちょうどその二万件がすっと入りますと大体ほかの四半期とほぼ同じ、第一・四半期、第二・四半期ぐらいと同じ程度の十五万件。それから第三・四半期は特別でございます。これはどうしても多くて、年末金融がございますので、これはどうしてもこの十-十二月は大体全体の三判占めますので約十九万件こなさなきゃなりません。ですから十-十二月に十九万件こなしておるわけでございますので、一-三月で十五万件こなせないということは実はないわけでございますね。  ですからそういうことで、これは先生、実に実務というものはいろんなやりくりと申しますか、繰り合わせがいろいろございまして、それは支店長が支店の中のところをうまく仕切りながら本当はやっていくわけでございます。それで事務の繁閑を見ながら、たとえば今期は早期監理の方はちょっと手がすくようだと思えばそっちを審査の方へちょっと移すとか、いろんなことを毎日非常に機動的に動かしております。これはもう現場をごらんになっていただいておわかりいただいておると思うんですが、そういう意味でございますので、私は非常に御心配いただいてありがたく思いますが、今日いままで検討をしたところでは進学ローンについて特段の支障はないではないか。  第一それに、先ほど来七万件だとか値だかという話も出てすけれども、これとても言ってみれば架空の数字でございます。何の根拠もない。二百億とかなんとか言ったって、これも特段の根拠があるのかと言われりゃそんなものは根拠も何もありゃしないんです。およその日見当で出しておるものだと思います。また、そうせざるん得ないと思うんですね、これは。実際にやってみて本当にこれはどうなるのかということは、まさに先生指摘のようにやってみないと本当のことはわからない。ですからそういう意味でわれわれは万全の備えをしながら臨みますが、現実に来年の二、三月のところにおいて実際にやってみて、どうしてもいろいろ問題が起こってきて改善を要するということであれば、それはもう当然改作していかなきゃならぬと。ですから、何と申しましてもやっぱりやってみなきゃ本当のことはわからないというところだけは実はあると思います。だけども、万間違いのないようにわれわれは努力をいたさなければならないという感じでございます。  なお、ちょっと補足いたしますと、不動産の担保があるじゃないかというお話もございましたが、実はいま国民金融公庫では大体担保とっておりますのは全体の五%ぐらい、百人おられますと五人なんです。九十五人は無担保です。よろしゅうございますか、無担保だけれど保証人がついているというケースが大部分。それから経営改善資金の場合は御承知のように無担保、無保証でございます。ですから、物的担保とりますのは全体の五%、五人しかいない。というのはなぜかと申しますと、何分にも金額が小口でございます。開発銀行のように何十億という巨額な賞金を一企業に住しているような場合と違いますので、私どもの方はもう百万円とか三百万円、多くて五百万とかそういう金でございます。ですから、現在支店で実際に運用しておりますのは五百万円以下については物的担保はいただかないと、どうぞ担保は結構でございますから、保証人だけお立てくださればというのでやっております。  それから、今度の進学ローンの場合、おっしゃるように事業家と違うではないか、金融になれない人がいるではないかと、御指摘のとおりだと思うんです。ですから、これは言ってみれば消費者金融、消費者ローン一般に通ずる実は基本問題だと思うんですね。ですから、そういう消費者ローンの債権保全というものはいかにあるべきかということはやはり根本問題としてございます。これはどうも従来のような、ただ保証人を立ててくださいというようなことで果たしてうまくいくのかどうかという点がございます。私どもは火を申しますと、これは衆議院でもそういう御質問ございましたが、信用保証の機構をつくってやるべきじゃないかという御意見がございました。私どもまさにそれだと、もうそれでいくしかないと。保証人なんか立ててくれなんて言ったら三日の間に合わないわけです。だから、何としてもこれは信用保証機関を新たに設けまして、それによってできるだけ安い保証料で、要するにお金をちょっと納めさえすればそれで保証人も何も要りませんという形にしまして、担保も要りません、保証も要りませんと、ほんのちょっとした保証料だけちょうだいすればそれで結構でございますという形にしてこそ、初めて急速処理、迅速処理ができるんではないかと、こういうことで実は監督官庁ともいろいろお願いしまして、目下御検討をいただいておる最中なんです。
  108. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 総裁ね、あなた二月、三月は二万件少なくなるから、だからそのときできると言うんですが、それはこの前おたくの組合の方が来られまして、私もそれ聞きまして、全然できないということはわかっているから私はあえて言うんですよ。だって途中で人を採用しないでしょう。定員と現員との差というのはもう二月、三月になりゃうんと出ているでしょう。それから同時に、暇なときだからひとつそういう時期に人を異動させるというので転勤なんかもその当時やっているわけでしょう。そういう点じゃ転勤なしでずっとこれからいけるって、そんなことできないでしょう。その他の研修もこの時期にやっぱり当てているわけでしょう。そういう話も先ほどから、午前中からもありましたよ。そうすれば、ここに暇だから二万件入れたというのはどうも私はまさに便宜的だと思うのですよ。そんなことでさっきのような、私が申し上げているような緊急な融資が、しかもなれない人たちの融資がうまくできるはずはないですよ。  それから、あなた先ほど上位シフトはしないんだと、こういうふうに言っているんですが、これだってそんなことないんですよ。あなたの方で、じゃ職場の中で名川ごとに事故をなるべく少なくしようというので競争しているでしょう。そういうことをやってませんか、一切。公表してませんか。たとえば竹田という審査員がやったのはどうもあそこは回収のときに手間取るとか、事故が多いとか、個人の名前は出さないにしても、支店ごとにそういうことはやっているでしょう。やるのも私はあたりまえだと思うんですよ、これはね。やらないのがいいとは思いませんよ。結局はこの問題だってそういう問題を経営である以上はやらざるを行ないでしょう。そうじゃないですか。  それから、これはおたくが直接やっているかどうか知りませんけれども、小企業の経営改善資金の申し込み消化状況、こういうのを見たってだんだん悪くなっているんですよ。融資枠を余しているじゃないですか。幾らあなたここでうまいこと言ったって実態は迷うじゃないですか。大蔵省にここで幾らいい顔してやっていけると言ったって、事故が起きたらどうしますか、あなたそんな簡単なことを言っているけれども。遠慮することはないですよ、あなたたちが自分たちでこれやりたいと言ってやったわけではないんだ、言うならば押しつけられたんだから堂々と要求したらどうですか。そういう態度があなたいけないと思うのですよ。言いたいことを言ったらどうですか。大蔵大臣だって銀行局長だっているんだから、われわれだっているんだから。この場だけを糊塗して後で事故を起こしたり、あるいは金融が本来の金融政策の目的に合わないということの方が私は恐しいことと思う。その辺は総裁考え直してもらわなければ困るんですよ。どこの事業所だって金融機関だって、やっぱり事故を一番恐れるですよ。事故を減らす競争をせざるを得ないですよ、現実には、いい悪いは別として。そうなったらなるべく事故が起きないようなことを個人個人はやりますよ。自分のボーナスにも影響するだろうし、昇進昇格にも影響するだろうし、いろんなものに影響してくるんだから、なるべく事故を起こさないようにするのはあたりまえですよ。お客さんのことばっかり考えて、おれは事故を起こしてもこれ貸してやるなんということにはならぬですよ、通常。それは一人や二人はそういうものもあるだろうけれども、全体としてはそういうことは起きないですよ。そういう点は総裁、ここだけでいいことを言っちゃ困るんだ。そのしわは中小企業やこういうものを借りる力のない人のところへ全部いくんだ。だから、本当のこと言ったらどうですか。あなたがそううまいことを言ったって私は知っていますからね、だめですよ。いままで開いた、いまの答弁なんて、まさにうまいことを言って私をごまかそうとしている、そういうことしか考えられませんよ。何か二月、三月は暇でしようがないというのですが、私なんか行って、金融公庫の、国金の店先へ行ってますと、みんな仕事してますよ。名刺をだれに渡そうか、しばらく店先でたたずんでますよ。だれか顔を上げてくれたらそこへ名刺持ってって取り次いでくれと、こういう状態ですよ。あなたもっと――いまのような大分のんきなことを言って楽観的な見通しがあるんですが、私はあなたに勧告したい。もっと第一線の店をよく歩いてみてもらいたい、私はこう思いますがね。もう少し本気で考えてくださいよ、お調子でものを言われちゃ私は困る。
  109. 福間知之

    福間知之君 いまのことに関連しましてちょっと敷衍したいと思うのですが、大体時間が十分でないので、実は総裁の方からもしかるべき資料もちょうだいをしたいぐらいに思っておるわけです。しかし、時間的にいとまがありません。手元にある資料を通じまして少しいまの竹田委員質問に関連してお尋ねをしたいと思うのです。  まず、定員の問題なんですけれども、これ業務量と比較しまして、皆さん方専門ですからよくおわかりのとおりです。昭和三十五年を一〇〇とした貸付残高の件数、実に指数で一九九・〇、約倍ですね、件数で倍。金額では何と二二三八・三、三十五年を一〇〇にしますと二三三八・三です。それに比べますと、職員数は同じ三十工年一〇〇としますと、これは五十一年度です、五十二年度は出ていませんが、五十一年度はわずかに一六二・六です。件数で約倍であって、人員で約六二%強の増であるということですね。それで、しかも人員増の内訳を見ますと、店舗数がかなりふえているということもありますが、その店舗数のふえている割合に比べましても、いわゆる役職についている員数と一般職員数、この変化を見ますと、四十年で役職についている人員は総人員のうちで一五・一%にすぎません。それが何と五十二年度は二四%にふえているんですね。約九%ふえています。したがってその分だけ一般職員、実際に仕事をする人たちの数は減っているわけですね。四十年度では三千三百二十一人、これが全体の八四・九%、八五%は占めておりました。しかし五十二年度には何とそれが七五・九%に下がっています。約九%下がっておるわけであります。だから単に政府の方針で全体としての人員を、余分なものを削ることはもう民間でも当然のことですから、私は反対しませんけれども、特に小口の促し付けが多くて、貸付件数が二倍からにふえているというふうな国民金融公庫におきましては、店舖の増大もこれあり、一店舗二十人平均とは言いますけれども、その二十人が全部仕事をしているわけじゃないんです。やっぱり管理職についている方がウエートとしてはふえているわけですね。  そういうことを考えますと、私はやはりこれからの国民金融公庫の仕事というのは、いわゆる大企業向けの貸し付けの開発銀行やその他の銀行と違いまして、多少そういう点では必要な不合理というようなものは、大銀行、大企業に比べては当然コストとしてあるべきである。それをも大銀行と同じ並みに、あるいはその他の大政府機関金融機関と同じように見ることはやはり一面的過ぎる。それは本当に国民全体のニーズに合った仕事の体制という面から見るとむしろいびつである。現に皆さん方貸し付けられているいろんな制度が、これまた昭和三十七年の産炭地の貸し付け以来ずっとふえているんですね。途中で切れたものもありますけれども、ふえています。そういうことを考えて、定員ということについて大蔵省に対する気がねが総裁はあることはよくわかっているんですよ。わかっているんですけれども、やっぱりいまこの委員会でもこの議論を通じて、単に進学費付資金の問題にとどまらず、国民金融公庫そのものを一遍見直してみようという気持ちで議論をしておりますので、率直にやっぱり申し述べていただきたいと思うんです。そういう点を含めて所感をお聞きしたいんです。
  110. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) どうも先ほど竹田委員から大分おしかりをいただいたようでございますが、私も実は誠心誠意相努めておるつもりでございますが、ただ、先ほど先生何かほかの情報によるとというようなお話でございまして、数字をちょっと頭に置きながらのお話でございました。  これは私、事実と違うもし認識をもとに判断をされていただくと非常にいけないと思いますので、私から事実を申し上げます。  それは五十三年三月末人員でございますね、これは何か先生の方にお聞き取りいただいた数字は四千四百七十六名というふうにお聞きになったようでございますが、ところが火はそうじゃないんです。実際はこれは四千五百八十一名なんです。そうしますと、これはどうしてそういうことになっているのかと申しますと、二月、三月中に人を補充しないじゃないかというお話でございましたが、実は新卒の分を繰り上げ採用をずいぶんしておるんです。それを申し上げますと、二月中に繰り上げて十一名採用しております。それから三月の一日から十日までの間にこれまた繰り上げ採用で二十五名採用して、なるべく早く公庫へ出てきてもらって仕事をしてもらうようにという趣旨で繰り上げ採用二十五名、それから三月の十一日から三月の二十四日までの間にさらに繰り上げ採用を六十九名実はしております。これを合計してまいりますというと百五名ということになるわけです。百五名という新人を二月から三月にかけて採用しております。したがいまして、年度末におけるその定員と実員の差額でございますが、その差額は実は三十三名ということになるわけです。先生が手にお入れになった情報によりますと、恐らくそれは百三十八名というふうにお聞きになったんじゃないかと思うんですが、ちょうどいま百五名私補充したと申し上げました。それを差し出きましたのが三十三名。ですから、百三十八名というのは二月、三月の繰り上げ採用の数が実は入っていないと、そういう数字でございますので、まずその点はひとつ訂正をさせていただきたいと思います。  それから、確かにいろいろ一-三月の間には川内検査でございますとかいろんな仕事を、他の時期にないようなことももちろんあるということは私どももよく重々承知しております。それらを十分のみ込んで、なおかつその間に業務の円滑な進行に支障のないように十分工夫をしながら今日まで実はまいっておるということだけを申し上げさしていただきます。  それからいま定員要求、本来ならもっと元気出してやったらいいじゃないかという、福間先生からも大変御激励をいただいたわけでございますが、私実は大蔵省には少しも遠慮しておりません。
  111. 福間知之

    福間知之君 そんならいいんですけれども、しているようだから。
  112. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) せっかくおっしゃっていただいてありがたいのでございますが、私もいざとなればいつでも大蔵省要求をいたしまして、一歩も引かぬということでやるだけの気概は持っておるつもりでございますが、ただそうむちゃくちゃなことを言ってみても始まりませんし、何といっても全体としての政府のそういう人員問題に対する方針、それから今日の日本経済の置かれた現状等々を見て、世間的に考えて、ああなるほどそうかなということでないと、なかなか予算要求というものも世の中通らぬわけでございまして、そういう点は何も大蔵省を恐れてとかなんとかとんでもない話でございまして、何も恐れることもございません。俯仰天地に愧じゃないわけでございますから、そういう点はやるべきときにはやるということでひとつやらせていただきます。
  113. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 総裁ね、人は新しい者を連れてくりゃすぐ仕事ができるというものじゃ私はないと思いますよ。どこだって研修期間というのは三カ月ぐらいは置いていますよ。それでなけりゃ責任ある仕事はできないんですよ。学校から連れてきたらすぐ審査の仕事もできるとか、それから焦げついたやつを取る仕事もできる、そんなことはぼくはあり得ないと思う。やっぱり責任ある仕事をするにはちゃんとある一定の期間だけはそこで研修を受けさせて、仕事に慣れさせて、そして実際に責任が待てるわけである。仕事も知らずして責任のある仕事なんというのは私はできないと思うんですよ。おたくの仕事というのは率直に言って、中小企業にいたしましても、もう本当にすべてがわかっている人たちじゃないわけですよ。金のある連中じゃないんですよ。金がある連中なら私どものところへ、金融公庫へちょっと電話かけてくれなんといって要求してこないんですよ。そういう連中が多いんですよ。だからあなた方のところの行員は、たとえば三菱銀行の本店の行員とかそういうところとは違うんですよ。相手が弱者なんですよ。もっと高い視野から物を見る人でなければできない仕事なんですよ。人間的な立場に立たなけりゃできない人たちですよ。数字だけで何だかんだということをやってもらっては困る、そういう人たちですよ、従業員は。それを大学卒業してきたからすぐあしたから使う、そういうわけには私はまいらぬと思うんですよ。だから、あなたが百五名新規採用の繰り上げをしたからこれで大丈夫だなんていう、そういう論理には総裁なりませんよ。それはおたくで学校でもつくって、ずうっと教育をしていて採用するならそれはそういうことできるでしょう。そうじゃないんだもの。そういうことで総裁、人間を勘定しちゃこれは私は困ると思うんですよ これは一回反省してください。
  114. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 大変ごもっともなお話でございます。ただ私が申し上げましたのは、要するに年度末の欠員が百三十八名もあるじゃないかということがいろいろ前提に御議論がお進みになったようだったものですから、そうじゃございませんと、欠員は三十三名でございますと、ただそれを申し上げただけでございまして、先生指摘のように、確かに新入生はそうすぐには戦力にはなりません。十分訓練をいたします。
  115. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そこで、何かいま公庫の方の幹部の方は、人はそんなに無理した仕事はさせてないし、これだけの仕事がふえても十分消化していけるし、私のいろいろな角度からの心配も起こらない、こういうふうにおっしゃっているんですがね。  おたくでは大体たとえば審査の仕事ですね、これは大変だと思うんですよ。審査の仕事なんかは一日何件できるというふうにやっておりますか。それから一日、年間でもいいですけれども、おたくの四十九年の資料を見ますと、一人当たりの業務量が四百七十五件と、こういうふうな数字が出ておりますが、これはおたくでつくった五十年度の概算要求書の資料ですよ。今度これが入ってくると一人当たりの業務量というのは大体どれくらいになりますか。
  116. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 私からお答えしてもよろしいんでございますけど、ちょうどきょうは美藤理事が参っておりまして、前業務部長なぞをやっており、非常に実務に詳しいものですから、もしお許しをいただければ美藤理事から答弁――よろしゅうございますか。
  117. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 はい。
  118. 美藤富雄

    参考人美藤富雄君) お答えさせていただきます。  なかなかいま先生がおっしゃられました一日何件かというのは非常にむずかしゅうございます。新人の場合もありますし、あるいはそれからベテランの方、そういうようなことでございまして、平均してということはなかなか取りにくい数字かと思います。しかし大体こんなところではないか、新人はこれはなかなか一日に一件あるいは二件ぐらい、あるいは内容の簡単なもの、こういうような形で割り当てておりますけれども、一日平均三件から四件ではなかろうかというような感じを持っております。
  119. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度の仕事が入ればどのくらいになりますか。
  120. 美藤富雄

    参考人美藤富雄君) 今度の仕事と申しますと進学ローンでございますか。
  121. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 はい。
  122. 美藤富雄

    参考人美藤富雄君) 進学ローンが果たしてそういう場合にどういうような形になるかという問題でございますけれども先ほど総裁が答弁いたしましたように、代理貸し付けの問題、こういったものが果たしてどうなるかというようなこともございます。それから、これの処理の仕方の問題がどうなりますか。先生先ほどちょっとお話しがございましたけれども、総裁もなるべく前向きにこれを取り組んでいく、手続は簡単にやっていこうじゃないかというような処理を考えておりまして、非常に実務的はそう時間はとらないのではなかろうか、というのは直扱いにつきましてでございますね。  そういう面で考えてまいりますと、実は昨年も金利引き下げ、こういうような事態に対し、現在の職員だけでは相当忙しいんだというような形から、アルバイトというような形を使った事実もございます。そういうような面から今度の繰り上げ採用の職員、こういった職員につきましても手紙書きだとか、そういうようなものについては戦力になろうというような感じもございます。そういう点を考え合わせますと、そう大した職員にはならないのではなかろうか、かように考えております。
  123. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは平均と言うとあなたの方が今度は個人の能力差に持ってきて話を曲げようとしているんですがね。こういうものというのは平均的に出すのはあたりまえでしょう、予算の積算基礎は。一人一人に能力差があるぐらいのことはだれだって知ってるんです。  そこで、時間が来ちゃって、まだ半分ぐらいしか終わってないんですけれども委員長に協力をするために、あと二、三問お願いをしたいと思うんですが、いま総裁が言った信用保証機構をつくるというお話ですね、これはぼくはごもっともだろうと思うんですよ。これはあれですか、大蔵当局の方はどういう意向でそういうことをやっていこうというお考えなんですか。私は悪いことじゃないと思うんですよね。そういうものは当然これは必要になってくるというような気がしますから、これはひとつお答えをいただきたいと思います。  それから、これは総裁の前の前の総裁でしょうか、深田総裁がおられましたが、あの力は大変人間が不足しているということを国会でも訴えているようなんですが、あなたはもう余り残業もしていないし、持ち帰りもしていないというようなことをおっしゃっているようなんですが、どうも実態と私は違うんじゃないかと思いますよね。私なんか審査課長にお会いする機会が多いんですよ。審査課長というのは、普通なら課長は課長のところへどっかと座って監督しているというのが普通ですがね。そうじゃないんですよ、あなたの現場のところへ行ったら。中小企業の人と相対でほかの審査員と同じように当たってるわけですよ。だからこちらがお会いしたいということでお願いしても、なかなか見ているとそう簡単にちょっとというわけにいかないんですよ。そういう実態ですよ。ですからね、そうあなたが考えているほど簡単じゃないと私は思うんですがね。  いまだって恐らく私は一般審査の職員が家へ持ち帰って、なるべくいく倒産にならないように、一日でも早くひとつ審査結果を報告すると、こういうようなことをやっておられると思うんですよ。だから、私は持ち帰りが必ずしも全部悪いとは思いません。持ち帰りの仕事をするのは、それが本当の善意に基づいて、本当に困っている人に対してそういうことをやられるということは、私はそれは本人の自発意思からやられる分ならこれはそう責められるべきじゃないと思うんですがね。しかし余り多く、家へ帰って三時間も四時間も、月の三分の一もそういうことをやるということになると、これは私は家庭生活にも影響すると思うんです。また、家庭でこういう機密的な仕事をやるということも私は余り賛成しないです。企業の秘密がそういうところから漏れていく可能性だってこれはなきにしもあらずですからね。  しかし、どうもあなたはそういう現状を必ずしも御認識になっていらっしゃらないような感じを私は受ける。おたくの方で昭和四十九年の七月二十六日、総務部長の通達を出しておられますね。これどんな通達ですか。ひとつお読みいただきたいと思うんです。
  124. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これは昭和四十九年七月二十六日付でございます。総務部長から各支店長あて。     審査事務における勤務時間外の事務処理について   標記のことについては、かねて全国支店長会議等の機会に趣旨説明し、今後の方策につき協議・指示してきたところですが、このたびその方針を下記のように定めたので、これにそつて遺憾のないよう運営されたく、命により通知します。      記  1 審査事務において所定勤務時間及び超過勤務時間以外の時間における事務処理(自己研鑚等の目的をもつて職員が任意に行うものは含まない。)があるとすれば、その解消に努め、遅くとも9月末までにこれを解消するもとする。  2 審査事務の合理化については、従来から種々指示しているところであるが、前号の解消にあたっては、次の事項にいっそう配慮するものとする。   (1) 審査事務について    ア 選択と省略をさらに推進し、事務の効率化をはかること。      なお、審査事務を効率的に進めるための信用調査票様式改正等については、別途業務部長から通知する予定である。    イ 担当者自らが時間管理意識をもつて勤務時間内に事務処理を終るよう指導すること。    ウ 申込案件の配分に際し、担当者の能力を十分考慮すること。    エ 同一路線の申込をとりまとめて実地調査する等、その効率化に努めること。   (2) といたしまして……
  125. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そこまででいいです、結構です。  そこで、私はこの通達は生きていると思うんですよ。生きているとしたら、これでいけば、たとえば私は算用数字の一のところだけしか申しませんが、「九月末までにこれを解消するものとする。」と書いてあるんですね。これは現存そういうことはないはずですね、この通達どおり行われているとすれば。恐らくないことはないと思う。そうなると、結局は人が足りないということにならないんですか。それともこの通達は、もうこんなものは無視したということですか、どっちですか。
  126. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 先般の衆議院大蔵委員会におきまして荒木委員にもお答え申し上げたのでございますけれども、そのような四十九年七月通達が出まして、当時厳重にその実行をやったということを私聞いております。したがって、今日ではそういうことは実際ないだろうと私思いまして、そういうふうに御答弁申し上げておったわけです。いまでも、もしそういうことが仮にあるとすれば、これはまことに好ましからざることでございますので、それは厳重に注意して、きちっとやめてもらうようにしなきゃならぬと思うんです。  ただ私は、実際問題とし、いろいろ聞いてみますと、余りどうも、以前には確かに何かあったやに伺っておるんですが、どうも今日では余りそういうことはないように聞いております。だけれども、しかしながら、ないと思っておりますけれども、しかし組合の方も、何か一昨日でございますか、そういうのが現にあるじゃないかというお話が出たようでございますし、もしそういうことがあるとすると、これはまさに通達がせっかく出ているのに守られていないということになりますので、これは非常によくないことじゃないか。ですから、私早速全支店に向かいまして、重ねてこの通達の完全実施方をもう二回よく注意喚起の指導をしようと思っているんです。現にそれやりました。すぐやりなさいと。  それで同時に、本当に実態どうなっているのかということを、これは衆議院の方にもお話し申し上げなければならぬことになっておるものですから、至急その実情を把握しようということで現在やっておるわけでございます。現に先生の御指摘のとおり、まさにこの通達は生きております。
  127. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これで終わりますが、総裁、この通達を実施すると、実施することは結構です。大いにやってもらわなきゃいかぬ。しかし、この通達を実施して残業や持ち帰りの仕事がなくなっちゃった、それはいい。いいけれども、今度は審査の方が時間が長くなっちゃって二十日なのが今度は三十日になると、これは困りますよ。そのときに人がどうしても要るというなら私はふやすべきだと思うんですよ。  それから、美藤さんにぼくは最後に申し上げておきますがね。組合がこれについて、私も紹介議員になりまして、定員増をすること、それから中小企業のいろんな条件をよくしていく、改善していくということで請願署名なんかをされていらっしゃるそうですが、こういうことは私いいことだと思うんですよ。おたくの店頭の人とそれからこの融資を受けようとするいわゆる中小企業者とよりいろいろな交流を深めて、そして改善すべきものは改称していくことは、これはおたくの従業員としては私はりっぱだと思うんですよ。そういう努力をされることは大いに結構ですよ。そういうことは私はどんどんやってもらいたいと思う。もっと実情を、本青をはっきりと聞いてもらう、そして自分たちの仕事の業務の改善に当てるということは結構なこと。  これに対して、その請願署名に行く者は残業をやらせるとか、あるいはいろんな形で脅迫するというような、そういうことは一切やめてもらいたいと思うんですよ。私は、従業員の労働条件も必要なんですけれども、それ以上に今度のこの進学ローンを受ける人々、あるいはおたくの金融を唯一のあてにしてやっている中小企業、こういうところの人たちにいささかたりともしわ寄せがあっちゃいかぬ。これが私は一番大きい問題だと思うんですよ。そういう問題で、私は当初も言いましたけれどもこの問題を論じているわけです。ただ仕事が楽になりゃいいということを私は望んで言っているわけじゃないんですよ。そのことをやっぱりしっかりと肝に銘じてやってもらいたいし、またいささかたりともひとつ今度のこの進学ローンについて間違いがあるということは絶対に避けてもらいたい。  まだたくさん申し上げたいことはあるんですけれども委員長先ほどからもうやめなさいと、こういうふうに言われておりますからこの辺で私やめますけれども、その辺は本当にわかっていただきたいと思うんですよ。  これで終わります。
  128. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 公庫法の第一条に書かれている目的について、先ほども総裁が師しておられましたけれども、この第一条の目的の中に、「銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金の供給を行うことを目的とする。」と、こうあるわけですね。その一般金融機関からの融資を受けることを困難とする国民大衆、それはどういうことなんですか。非常に基本的なことから伺っていきますけれども一般金融機関からの融資を受けることが困難なという、その困難なというのはどういうのを指しているか、まず伺いたいんです。
  129. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民金融公庫法第一条には、御指摘のとおり、「一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする」という表現を使っているわけでございますが、この「困難」という表現につきましては、これは特に一般民間金融機関において融資を断られたというようなことは必ずしも必要がないわけでございまして、このような中小企業、特に零細企業金融につきまして民間金融機関を補完する地位にあるということを抽象的にあらわした表現である、このように解釈されるわけでございます。
  130. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この国民金融公庫法というのができたのが昭和二十四年、施行されたのが五月二日。ですから当時の金融事情から考えてみてこの第一条の目的が私は由来したんじゃないかと思うんですね。だからいまの情勢とはまた大きく違っているときだったと思うんですよ。それからもうすでに三十年もたってきておりますから、そうなればこの国民金融公庫ができたときの金融情勢と現在の金融情勢とは大きく変わってきている。変わってきていれば当然目的の方もこれは考えを動かしていかなきゃならないというのが本当じゃないかと思うんですけれども、その辺についての考えはどんなもんなんですか。
  131. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民金融公庫が発足しましたのは二十四年六月でございますが、これは当時庶民金庫あるいは恩給金庫が金融機関再建整備法の関係で経営が非常に困難になり、あるいは第二金庫を設立する必要が生じてきたところから、これを後を継ぐものとして考えられたわけでございまして、その間には庶出銀行、公民銀行あるいは国民金融公団、国民金融公社とか、いろいろな案がございまして、その結果国民金融公庫という案に落ちついたわけでございます。  先生指摘のとおり、当時は非常に厳しい金融経済情勢のもとにありまして、国民経済の維持発展に寄与するということを主体といたしまして、いま御指摘のような第一条の目的ができたわけでございます。現在、設立されてから長い期間がたちまして、中小三機関一つとして中小企業金融、特に零細金融につきまして政府関係金融機関として民間金融機関を補完するものとしてすでに確固たる地位を有し、また十分にその目的を果たしているわけでございます。したがいまして、第一条の目的は十分にその限りでは果たしているわけでございますが、ただしかし、現在でも国民金融公庫は別途の法律によりまして恩給担保貸し付けも行っておりますし、また、かつて引き揚げ者、被災者等に対する小口金融を行ったこともあるわけでございまして、この点につきましては、今度改正案を御審議願っておりますが、このような進学資金貸し付けを行うということについても政府関係機関の中ではこれがふさわしい金融機関ではないかと、このように考えておる次第でございます。
  132. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 その辺はひとつわかるんです。ですが戦後の中小企業金融というのが、いわゆる傾斜生産であるとか、こういうことをとられた。そういうことから金融が必然的に中小企業、特に零細企業に圧迫を加えられて資金の供給が困難になってきた、有名ないろんな名前の光産業だとか何とかという金融会社が触れ回った時代のことだと思うんですよ、やみ金融が盛んだった。そういうことからこの救済の方法が私は考えられてきた。だがしかし、現実はその前にあった庶民金庫に比べると、たとえば消費者金融がないとか、そういう画ではまだまだいわゆる零細庶民というか、庶民金融ということが一つの大きな――大衆という言葉が入っているから庶民金融を目的としていると思うんですけれども、そういう点はまだ不十分だったと思うんです。だけどそれはしようがない、やはり傾斜生産であるとか経済安定政策ということが必要だということで、国を挙げて経済再建に取り組んでいるときだから、まず中小零細企業ということでこういう法律にぼくはなったんだと思うんですよね。それが公庫の発足の状態だったと思うんです。  ところが、現在はもうすっかり変わっているでしょう。もう民間銀行もたくさんある。それから金融機関もとにかく至るところに支店が出てくるようになってくる。また郵便局でもゆうゆうローンのような金融業務が行われるというように、数多くの金融の道が出てきますからね。そうすると、国民金融公庫でやるべきものは一体どういうものかという対象考え直さな きゃならないところにきていると思います。そういう点はどう考えておりますか。
  133. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、国民金融公庫が発足いたしました昭和二十四年のころは、民間金融機関自体が非常に資金量その他乏しい状態にあったわけでございます。しかし、現在は御指摘のとおり民間金融機関も非常に相互銀行、信用金庫あるいは農協、漁協に至るまで各種のものが充実してまいっておりますし、また政府関係機関国民金融公庫公庫の第一号であったわけでございますが、その後、多極の公庫もできて整備してまいったわけでございます。したがいまして、その間における国民金融公庫の位置づけということが問題になるわけでございます。もちろん政府関係金融機関でございますから、民間金融機関の補完という立場にあるわけでございますが、しかしながら、そういう観点で民間のいろいろな金融分野のうち、特に政府として補完金融をなすべき分野といたしましては、現在国民金融公庫の行っております中小企業に対する金融、特に零細企業に対する金融は最も重要なものの一つ考えられるわけでございまして、今後ともこのような分野で国民金融公庫が十分の機能を発揮することが必要ではないか、このように考えております。
  134. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 先ほどもちょっと触れておられたようなんですが、中小企業の経営者の方々から、国民金融公庫を利用するよりも信用金庫を利用した方が便利だ、早いというか簡単だと、そういうふうに簡単に融資を受けられるというような声がときどきわれわれに聞こえてくるわけです。特にいわゆる赤字の会社といいますか、そういうものについては国民金融公庫は非常に厳しくて融資をしてくれない、そういうイメージが残っているわけです。確かに国民金融公庫の原資は郵便貯金そのほかでございますから、こげつきができちゃ困るということだろうと思うんです。さっきは大分リスクがある貸し付けをしているというような答弁もあったことはわかっていますけれども、しかしそれならば銀行だろうと信用金庫だろうと、やはり頭金者の預金を原資にするわけですから、同じような考え方でなきゃならないわけですが、そちらの方がむしろ赤字のところに応援をしているというふうに考えられるという、そういう声があるわけですよ。もちろん借りる人がごまかして借りているのか、そういう点については私は細かいことまでわかりませんけれども、そういう点で、本来ならば民間金融機関等が手を伸べられないようなところに本気になって伸べるということを考えると、そういうような危険負担を覚悟の上のものにしなきゃならない、そういうように金融情勢も変わっているだけにすべきときが来ているのじゃないかと考えられるんですけど、この点はどうですか。
  135. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民金融公庫一般民間金融機関融通を困難とする資金融通することにあるわけでございますから、当然先生指摘のとおり民間金融機関が非常に危険で、どうも民間金融ベースでは融資できないというような対象企業に対しましても、もちろん金融でございますから債権保全面への配慮は必要でございますけれども、その辺のぎりぎりの限界を踏まえながら融資することが必要でございまして、現実に最近における融資につきまして一部のサンプル調査をいたしましたところ、新規の融資先のうちの四分の一近くが赤字企業であるというような調査もあるようでございまして、今後ともそのような面について民間金融機関の補完に努めていくことが必要である、このように考えております。
  136. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ちょっと赤字企業に対する貸し付けの件数と全体に対するパーセンテージ、いまパーセンテージ大体出ておりましたけれども。  それから金額では全体に対して何%ぐらいになるのか、ちょっと昭和三十年度と五十年度末と比較したのは出ませんか。
  137. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) いま御指摘の資料につきましては、どうも国民公庫の方でそのようなものを現在持っておらないようでございます。
  138. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 じゃ、これは後で出してもらいます。
  139. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) まことに恐縮でございますけれども、ちょっともう一度、いまの御質問の点をお教えくださいませんでしょうか。
  140. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまの銀行局長答弁にもあったけれども、いろいろな担保ほかから見て、赤字企業であるというところに対する貸付件数というやつですれ、それとそれの全体に対するパーセンテージ、それから金額が全体にどのぐらいになっていて何%ぐらいなのか、それに対しての。それから、それの五十年と三十年との比較をほしいということです。
  141. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ありがとうございまして、御質問の御趣旨よくわかりました。ただ先生、これは三十年末時点において公庫融資残高のうち赤字企業であるものに対する貸し出し金が幾らであるか、こういうことでございますね。それは実はそういう調査はございません。率直に申し上げまして。三十年の時点のときにはございません。それから、五十年の時点でも実はそういう悉皆調査というのはいたしておりません。  ちょっと補足さしていただきますと、先ほど銀行局長がお答えになりましたのは、これは私どもの方で毎年、これ四十七年度からでございましたか、始めておりますんですが、融資先の小企業経営調査、こういうのがございます。それで、その小企業経営調査というのは全都融資先の方々ばかりでございまして、それを全都で千六百八十七社を対象といたします。そういうサンプル調査でございます。そのサンプル調査によりますと、この数字はつかんでおりますんですけれども、いわゆる赤字企業でございますね、それが二六・三%、ですからこれをもし全体に伸ばしていってうまくいくのかどうか、その辺は多少統計技術上問題があるのかもしれませんが、そういう点はその数字はございます。
  142. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 わかりました。いまので結構ですから、四十七年以降やってらっしゃると言うんですから、後で資料で結構ですから出してもらえますか。いまは答弁できますか。
  143. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ちょっとただいま、五十一年の調査結果は持っておりますんですが、四十七年以下はいますぐ取り寄せまして、後刻差し上げたいと思います。
  144. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま長期に不況が続いていますので、大変中小企業では経営難に陥っているのもある。きょうも私のところへ来た相談では、つぶれそうなところ買い取らなきゃならないという親企業の話がありました。そういうことで予想外にいろいろな産業にそれが及んでおりますが、その中で当然国民金融公庫からお金を借りているところ、こういう企業も多いと思います。そういう融資を受けている企業の中で、最近の返済金の滞納とか焦げつきの実態、そういうものの実態、これについてちょっと聞きたいと思うんですが、どうなってますか。
  145. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これはそういう状況を示しますデータとしては、一つは延滞状況、つまり滞りがどの程度起こっているかという延滞状況のデータと、それから現実にもういよいよ回収不能になってしまいましてどうしても償却しなきゃならない償却の実数、大体この二つでおわかりいただけるかと思います。  実は、やはり昨今だんだんに延滞がふえてまいりまして、いわゆる延滞の率でございますね、こういうものはちょっと比較をいたしますのに、五十一年の三月末と五十三年三月末と比較してみますと、六カ月以上延滞をいたしております件数が五十一年当時は一万八千六百八十三件ございました。それが五十三年すなわちことし三月末におきましては三万五千四百七十八件でございますから、約ちょっと倍にふえておるということでございます。  それから、ちょっと申し瀞としました、償却状況でございます。どの程度毎年償却をいたしておるか。これも五十一年度におきましては件数にいたしまして千百七十三件、金額で六億三千六百万円でございましたが、これが五十二年度におきまして、先般五十二年度決算をいたしましたが、この際相当償却を進めなければならぬということで、今回はこれが三千四十九件、金額にして二十一億七千六百万円、約三倍以上の償却をいたしております。この三十一億というものは五十二年度末、つまり五十三年三月末における公庫のいわゆる貸付金残高、債権総額残高が大体約二兆六千億円程度ございますので、それに対しますと、これが二十一億回というものは約万分の七ぐらいに相なっておろうかと思います。
  146. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いわゆるこういったものに対する対処といいますか、これはどうなっておるか、こういう事故に、こういうアクシデントに対しての対処はどういうふうに扱っているのか。それから保証人への返済要求担保物件の処理、こういったことが全部あるんだと思いますが、それについてはどういう指事をしているのか教えてもらいたいんですが。
  147. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これはまず第一には、私どもとしては極力事業を継続していただきまして、それによって返済をしていただくということが一、皆望ましいわけでございます。したがって、たとえば期限到来とかあるいは延滞が多いということであっても、直ちにそれによって最終処理ということはいたしませんで、できるだけお客様方とよく相談を申し上げまして、どの程度ならお返し願えるのか、そういうことで、従来の毎月々の償還金がたとえば月十万円であったとするものを、じゃ五万円なら返せますと、そうすると期限を延ばさなければなりませんが、じゃそれはいままでのものをこういうふうに延ばしましょうとか、こういうことでいろいろ折衝いたしまして、できる限りそういう、まあこれを条件変更というようなことで呼んでおりますんですけれども、そういう形でできるだけ生きていらっしゃれるような体制をまずとる、それが一つでございます。  それからもう一点は、やはりそれを段々やりましてもなかなか容易に何と申しますか、再建の見通しが立ちにくいというような場合もございます。ですからそういう場合には、これはまたよくよくお客様とも相談を申し上げまして、保証人もいらっしゃることでございますから、保証人の方からの弁済をお願いするということもございます。  それから、さっきお話のございました担保処分ですが、これは比較的私ども公庫では物的担保を取っている件数が非常に少ないものでございますから、全体の件数の五%ぐらいです。そういう意味で物的担保を競売に付して云々ということは、実は他の金融機関に比べますと比較的少ない、ほとんど余りない、ごく例外的にはあるんですが、非常に少ないということを申し上げられると思います。  それからもう一つは、まあ中には信用保証協会の保証にかかっているようなものもほんの山都でございますけれどもあります。そういうものは信用保証協会の代弁で処理するとかいたしまして、いずれにしましても、要は債務者の方々の経営の実情をよく拝見しながら無理のないところでだんだんにお返し願うというような形に持ってまいる。いよいよそれでもだめだという場合には、さっき申し上げましたように、たとえば行方不明になっちゃったとかということがございます。それから本当に倒産してしまってということもございますし、そういう場合にはやむを得ず償却ということ、これは御承知のように貸し倒れ準備金を取り出しまして償却をいたさざるを得ないわけでございます。
  148. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 こんな質問をどうしてしたかといいますと、具体的な例で申し上げましょう。  四百万円を五十一年に借りて、そうして二百五十万円まで返したけれども、その後その会社が経営が悪化して返済できなくなった。それに対して公庫の方からは保証人に対して本人にかわって返済を求めた。もし返済できなければ銀行から借りてきても返してくれ、こういうことがあったらしいんですね。そういう話が実際にあった。銀行から借りてきて返せるぐらいならとうに保証人がやるでしょうけれども、保証人がいることですから何も本人からでなくたって銀行から借りて返せるわけでしょう。それを保証人に対して、銀行から借りても返済せよという話が実際にあったわけです。これでは国民金融公海のあり方としては非常にこれは感心できないんじゃないかというように思いますね。だから、銀行から借りて返せというようなことはとんでもないような感じがするんですけれども、これはどんなものなんですか。実際にあった話です。
  149. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 私も、火はその具体的な事例をまだ聞いておりませんですけれども、もし仮にそういうことを私どものお川で申し上げたとすればこれはもうどうも非常にとんでもない、御指摘のとおりまことに遺憾なことだと思います。それは早急に調べまして、もしもそういう具体的な中身をお教えくださいましたならば、早速よく調査をさしていただきまして、そういうことのないように是正してまいりたいと思います。
  150. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからいま一つは、一回でも返済がおくれる、ちゃんといかないでおくれる、そういうことがあると事故扱いと一同じような感覚で、二回目の融資の申し込みをした場合でも非常にマイナスの大きな原因になっていく。ちょっとの金繰りがつかなくてわずかおくれた場合でもこういうことになってくる。それはだから私はさっき目的を最初に申し上げたわけですよ。目的の方にあるような一般金融機関から借りることとか、それから融資を受けることが困難だということなんですからね。そうすると、もう一面から見ればあくまでも公庫の目的というのは資金的に苦しい事業経営者、特に一般金融機関から融資を受けられないというか非常に困難だと、こういう方々への融資が目的なんだから、そういう点では一回でもおくれればなんという人ですと、やはり民間からのなかなか資金の手当てが大変だろうと思います。そういう人については、これは確かに一度でもおくらしたんだから公庫としては毛ぎらいして、毛虫かダニみたいに思うかもしれませんけれども、これはちょっとまずいんじゃないですか、そういう事務的な表面的なものの扱い方というのは。そういう評価をもって見ていく、こういうことではならないと思うんですけれども、こういうことはどうでございますか。
  151. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) いまの、非常に実務面で辞しい美藤理事も参っておりますので、美藤理事からひとつお答えさしていただきます。
  152. 美藤富雄

    参考人美藤富雄君) ただいま先生からのお話がございましたけれども、手前も昨年業務部長をすっとやりました。実際少し先生がお話がございましたように、赤字企業というものが非常にふえているというのは支店からの報告もございます。ただ延滞という点につきましては、これは企業の経営の中におきましてのうっかりされる場合もございます。あるいはそれから一時的な病気というようなことでもございます。そういうようなものにつきまして原因をはっきりいたしますれば、こういう延滞、いわゆる次のお申し込みに対しますところの取り扱いというものは、これはもう全然度外視して御融資申し上げる。したがいまして、現在のいわゆる状況というようなものを考えまして御融資するというやり方でやらしていただいております。
  153. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ちょっと現場とは違うと思うんです。現場はやはり収益性を考えるのか、事故を起こさないということを考えるのか、それが優先されているようなところがありますよ。だからこれは、いまのお話しはそのまま承るということは困難なんですけれども、厳重にこれについてはもう一度調査をするなり、こういったような扱いをしないようにということで徹底をしてほしいと思うんですが、どうですか。
  154. 美藤富雄

    参考人美藤富雄君) 先生の御注意まことにごもっともかと思いますので、現場にはそういうことはないように注意させるようにいたします。
  155. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 法案を通せばいいんだからなんという答弁じゃなくやってください。  それから、いまのようなことから考えると、資金融資を受けることを困難とする国民大衆ということではなくて、まあ国民金融公庫から資金融資を受けるのは困難な国民一般銀行へ行っちゃうみたいな、一般金融機関に行くようなというふうな、こういうことになっちゃうんじゃないですか。私はそういう点がいまのような厳しいというか、やはりさっき総裁の育ったように、もうリスクある貸し出しということでいかなくちゃならないと思うんですけれども、そういう点、何か目的が私のいままで指摘した点では反対になっているわけですけれども、こういう点は本当に改めてほしいと思いますが、もう一遍伺いましょう。
  156. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 御指摘のとおり、そういう第一条の目的に沿わないようなことが万が一にもございましたら、それはもう厳重に是正してまいらなければならぬと思いますが、ただ、ただいま先生のお話の中で、国民金融公庫融資が受けがたい国民がどうも市中金融機関へ行くんじゃないかとか、冗談でございましょうが、おっしゃられましたので、実はこれは数字をもって私痛感していることがございますので、一言だけお答えさしていただきたいと思います。  実は昭和五十二年度のいわゆる全国銀行、それから相互銀行、信用金庫の全体の貸出増加額でございますね。これは先般日本銀行から発表になりましたが、前年度に比べて一一・三%減でございます、減っております。その中で、都市銀行もしかり相互銀行しかり、いずれも軒並み減が立っておりますが、わけても信用金庫の減少ぶりが非常に日につきまして、一兆二千億円程度の増加でございますが、それは前年度の二兆四千に比べて大体半減をしておるわけでございますね、信用金庫の貸出増加分でございますよ。それは半分に減っておる。あるいは検出人銀行等においても、前年度に対して貸出増加額は二八%も実は減少を来しております。そういう一般金融機関等の軒並み貸出増が減り、停滞をいたしております中にあって、非常に強い資金重要に支えられまして貸し出しが堅調に伸びておるところが実はあるわけでございます。そこはどこかと申しますと、これはいわゆる政府系の中小三機関と言われておるところでございまして、中小企業金融公庫のごときは大体一兆四千億円の貸出増加でございましたが、これは前年度に対して約一二%の増でございます。国民金融公庫に至りましては二兆一千億円の増加でございます。これは前年度に対しまして実に一七%の増加である。この数字をごらんいただきますと、これは一体何を物語っておるのでしょうかという実は私も疑問を抱きながら反省をいたしたわけです。これは先生のおっしゃるように、金利が安いからみんな上がってくるんじゃないかということだけでもないんじゃないだろうか。なぜそれじゃ信用金庫の貸し出しが半分になっちゃったんだろうか。そういう問題が実はございまして、どうも私国民金融公庫へはお客様が非常に何といいますか、どうも利用しにくいということでなくて、大変御利用いただいておるんじゃないかというふうに実は思っておりますので、ちょっと一言……。
  157. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 よくわかりましたですがね。  先ほどのことにつながっていくんですけれども、中小企業の経営者がたまたま資金繰りが容易でないということから、その手段として町の金融から金を借りると、こういうことが往々にしてあるわけです。まあそれに走るということは非常に大変なんですけれども、ついそういう町の金融に走る。そして借りるというと金利で経営が圧迫をされてくる。そういう場合に、とかく国民金融公庫さんの方は何かにつけて逃げるというような、そういう話がとかくあるわけです。  本来なら国民金融公庫は庶民金庫から、さっきあった恩給金庫ですか、西方からくるわけですから、いまあるようなサラ金とかああいったようなことは、本来ならば庶民金庫としての国民金融公庫の中にこれは持ってなきゃならないものです。そして、そういうような消費金融までもすべて占めていくとか、小口の貸し付けの損失の保証までしていくような、そういう立場になきゃならないところだとぼくは思いますよ。そういう点が、たとえば消費金融なんか抜けておりますけれども、そういう設立の目的から考えても、また、いままでの設立されてきた経緯から考えても、一般金融機関から融資を受けられない人ということですから、そういうことになるとどうしてもいま言ったような庶民金融というのは、いまある庶民金融は町の金融になっちゃいます、サラ金みたいなものになりますけれども。そういうところからやっていくという、それでどうしてもしようがない、転がさなきゃならないような経営者も出てくるわけです。  こういうことに対して、本来なら真っ先に手を伸ばしてやらなきゃならないのが国金じゃないかと思うんです。やはりそういう、それは確かに経営の姿勢としてはこれは一番よくないです。そういうところについて逃げ出したくなるのはもうよくわかりますけれども、その辺の姿勢をちょっと伺いたいんです。
  158. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 大変いい御指摘をいただきましたのですが、私も実は大分あちこち支店を回って現場も見ておりますんですが、よく現場で聞く話です。このごろ御承知のように国民金融公庫運転資金貸し出しの割合が非常に高いわけです。その運転資金のつまり中身でございますね、それをしさいに聞いておるんですけれども、これは中には――もっとも一律ではございませんけれども、お客様の経営態度でございますとか、その業績見通し等々をもちろん勘案しての話でございますが、いわゆる世間で申します資本構成の訂正ということがございますね。つまりそういう高利貸し、まあ高利貸しなんて言っちゃいかぬかもしれない、町の金融機関から非常に高利のお金を借りているために資本構成が非常にまずいわけですね。ですから、そういうときの資本構成の是正をするために運転資金を借りたいということがあるわけです。ですから、それはまあ一〇〇%御需要にこたえておるかどうかはともかくといたしまして、その個別企業の実情に即して、そういう場合にいわゆる借りかえみたいなことになるんですけれども、そういう運転資金をお貸ししているケースがずいぶんございます。しかし、これが本当に資本構成是正に役立って、その企業がそれから先本当に健全に伸びていくというめどがないと、ちょっとこれはなかなかできないんですけれども、そういう場合には思い切って出しているということは相当ございます。
  159. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 わかりました。まあ、ぜひそういう姿勢で臨んでほしいと思います。  それから、公庫でやっていらっしゃる無保証、無担保貸し付け制度ですね。例の二百五十万までのやつでありますけれども、それについて商工会、商工会議所の推薦を受けた者という条件がありますね。商工会、商工会議所の会員以外の人についての扱いはどうなっていくんでしょう。
  160. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これはあるいは私からお答えするよりも所管官庁がございまして、通産省、中小企業庁の取り扱う問題でございますので、いささかどうかと思いますが、きょうはおられないようでございますので、私とりあえず、便宜お答えしてよろしゅうございますか。
  161. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 来てます。
  162. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ああ、それじゃどうぞそちらからひとつ。
  163. 富永孝雄

    説明員(富永孝雄君) いわゆるマル経費金、小企業等経営改善資金でございますが、これは商工会議所あるいは商工会地区の小企業者に対しまして、その経営の改善向上のために経営改善普及事業という事業を行っておるわけでございますけれども、この事業の実効を上げますために、この小企業等経営資金を指導事業と組み合わせまして融資をしていただいていろわけでございます。  それで、この商工会議所あるいは商工会がこれを推薦すると、小企業者に対しまして融資対象として推薦いたします場合には、まあ一定条件がございますけれども、たとえば経営指導を原則として六カ月の間受けている、そういった条件がございますが、そのほかそういう経営指導を受けた者に対しまして、たとえば必要な資金といたしまして、その企業の経営または技術の改善のために必要な資金であるとか、そういうことが確認される、あるいはこの企業者の経理内容が十分に把握される、あるいはこの企業者がいわゆる諸税等をちゃんと納めている、そういったような幾つかの点につきまして審査をいたしまして、これを調査会にかけまして、その結果商工会長あるいは商工会議所の会頭がこれを国民金融公庫に推薦して融資をしていただく、そういう仕組みになっているわけでございまして、この商工会議所あるいは商工会が行っております小企業者に対します経営改善普及事業の補完と、それによりまして金融的な後づけをする、指導を組み合わせました後づけをする、そういう趣旨で行っているわけでございます。
  164. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いまのは六カ月以上経営指専一の経営指導を受けなきゃいけないというのが一つありましたね。そのほかに一年以上同一地域で営業を行っている者、それからいま一つ所得税、法人税、地方税を納税している者と、まあこういう条件をつけているわけでしょう。商工会議所の審査会というのがありますね。その審議会の審査基準はこのほかに何かありますか。
  165. 富永孝雄

    説明員(富永孝雄君) 商工会あるいは商工会議所に置かれております審査会でございますが、これは審査会にこの案件をかけます前に経営指導員がその融資対象となります企業者に対しまして、いま申し上げましたような諸点につきまして調査をいたしまして、それを審査するわけでございます。審査会のメンバーは会議所の会頭あるいは商工会の会長がいわゆる学識経験者等の方々を委嘱するわけでございまして、その方々がこの経営指導員の調査に基づきました結果を審査いただく、そういうことになっております。
  166. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私の聞いた質問にはまだ答えがないんですけれどもね、経営指導員は商工会や商工会議所で育てている人ですね。その指導員から六カ月以上の指導を受けなきゃならない。そして、いまのように経営改善の問題とか何かの審査を受けなきゃならないわけですからね。そうすると、実質的に商工会、商工会議所の会員でなければこの制度融資は受けられないということになるんじゃないかというふうに、非会員では困難だと、こう普通思うのは当然でしょう。その辺どうですか。
  167. 富永孝雄

    説明員(富永孝雄君) 経営改善普及事業は、その実施方針におきまして商工会あるいは商工会議所の会員であると非会員であるとを問わず平等に実施をすると、そういう方向で運営しているわけでございます。  それから、このマル経資金融資につきましても特に通達を出しまして、会員、非会員であるとを問わず、これが平等に利用されるように、そういう通達も出しまして、地域の小規模企業者に対しまして平等にこの制度の均てんが受けられるように指導しているところでございます。
  168. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 どうも中小企業の経営者の中でも商工会、商工会議所の会員に入ってないということでこの資金の利用をあきらめるという方もおられるようなんです。実際国民金融公庫の各支店の申し込みの窓口でも、場合によると無担保、無保証制度の利用は商工会、商工会議所の会員でなければできないというような返事をなさるところもあるみたいなんですけれども、この点はどうですか。
  169. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これは私どもは、先生承知のように、商工会議所もしくは商工会から推薦をされてまいりましたところの借入申込書に基づきまして審査をいたします。その借入申込書には会員であるのか非会員であるのかという区別は実は記載されておりません。したがいまして、当然のことでございますけれども公庫といたしましてはその方が果たして会員なのかアウトサイダーなのかということは実は全くわからないわけでございます。支店に対しましては、経営改善貸し付けというものの趣旨を十分旧知徹底させておるわけでございまして、それの内容は先ほど中小企業庁から御説明があったとおりだと思うんです。その点が、もし推薦がある方にお貸しするという応答をしておるならばいいんですけれども、会員でなきゃ貸せませんということが万が一私どものお居の職員が申したとしますと、これはまことに遺憾なことだと思います。今後そういうことがございませんように十分指導してまいりたいと思います。
  170. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 時間があれですから最後に伺いたいんですが、これは法制定のときのいきさつがあって、いわゆる国民金融公庫に庶民金庫から当然つなぐべき消費資金貸し付けというのが消えてしまったわけですね。当時のアメリカ占領の行政の一つのしわ寄せでこうなったんだろうとは思いますけれども、もはや占領が終わって戦後何年にもなっているのに、いつまでもいつまでもこのままというのもおかしいわけです。そういう点が、御承知のように庶民金庫ができたときには物すごくたくさんの方が、この昭和十三年にできたときには待望して借りていた。私も自分の家が貧乏でしたからよく覚えていますが、おやじが借りたの覚えていますよ。そういう点では、やはり庶民にとって一般の個人の貸し付けができたわけですからね。この点は今度の進学ローンでもってその道があるんですけれども、そういう点から、これから事業資金、消費資金の別なく促し出しができるようにやはりこれは今後変えるべきだろう、そういうところにもはやきているんじゃないか。この庶民金融というものを本気に考えないと、いわゆる良質なサラ金もありますけれども、悪いサラ金ができてきたり、そういうことで大変な借金をしょってどうにもならないというのもあるんですが、またそういう庶民金融に対しての中心的な機関がなければ、やはりそういうところも今度は取り立てが苛斂誅求になってきますから、いろんな問題が起きてくるということは避けられないと思うんです。やはりこの辺でそういう点をひとつ統べていって、安心して庶民が金を借りられるようなものということで枠を私は広げるというか、そういうような業務目的といいますか、目的というものを変えるとか改善をするべきときにきているんではないかと感じられるのですけれども、この点を伺ってきょうはやめたいと思います。
  171. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、戦前の庶民金庫は一般の家計資金も貸していたわけでございますけれども、戦後国民金融公庫が設立される際に、当時の諸事情によりまして一般のこういう事業資金に限られてまいったわけでございます。そのときに比べていろいろな情勢は別荘違ってきているわけでございますが、ただ戦前と比較いたしますと、もちろん国民のニーズも非常に変わり多様化しているわけでございますけれども、同心に消費者金融という面でもこの数年民間金融機関において非常な勢いで、その種類、量ともに広がってまいったわけでございます。したがいまして、国民金融公庫政府関係機関でございますから、当然その政府関係金融機関として補充金融という立場から物事を考えなければならないわけでございまして、こういう観点から申しますと、一般の消費者の必要としている資金のうちの最も重要なものの一つである住宅金融についてはすでに住宅金融公庫があるわけでございますし、それ以外の消費者金融についてどの程度政府の補完金融あるいは政策金融として政府関係機関が乗り出すべきであるかということについては、これまた慎重な検討を必要とすると思われるのでございます。  当面、最近における教育問題の重要性あるいは進学時における父兄の大きな資金負担ということを勘案いたしまして、今回新たに従来の事業資金のほかに進学資金貸し出しができるようにいま法律の改正の御審議を願っていろわけでございますが、これをさらにほかの分野にまで広げるべきであるかどうかということについては、いま申し上げましたが、政策金融、補完金融あり方という観点から、これは慎重に検討すべきことではないかと、このように考えております。
  172. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ちょっと先ほどの報告を……。  鈴木委員から先ほどお尋ねのございました数字が参りましたので御報告を申し上げます。  四十七年から毎年の数字でございます。四十七年が赤字企業の比率一五・二、%、四十八年が九・二%、四十九年が二一・二、五十年が二九・二、五十一年が先ほど申し上げた二六・三、これはいわゆる欠損企業でございますね。  それから自己資本をつまり飛ばしたマイナス企業、それは四十七年が八%、四十八年が六・六、四十九年が九・二、五十年が一二・三、五十一年が一三・九、まあだんだん悪化しておるということでございます。  以上でございます。
  173. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私どもの今回の法案に対する基本的な主張は、今回提案をされております国民金融公庫を通ずる進学ローン制度もさりながら、日本育英会による奨学金制度の、制度的にも資金枠の点でも拡充を図るということを渡辺議員がいろいろ質問の中で主張をしてきたことでありますけれども、この点を、こうした立場を前提とした上での補完的措置としての今回の提案について、なお少しいろいろお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、一昨日の委員会で渡辺議員が交通遺児や母子家庭の進学ローンの内容改善について質問をしたわけでありますが、その際に銀行局長からは、金融面の措置では限界がある、社会的弱者対策として考えていただくべき問題だと答弁をされていますし、また一方それならばということで、母子福祉費や世帯厚生資金の中で入学一時金の貸し付けを行うのかという質問に対しては、主計局次長の方は義務教育外の大学、高校の入学金、特に私学の一時金まで見るのは社会福祉の体系のもとではむずかしいという、こういう答弁をなさっておる。これを、御両人の答弁総合いたしますと結局むずかしいと、できない、こういう答えしか返ってこない。きょうも同様の考え方質問の中で答弁をなさっているわけでありますけれども政府答弁としては非常に矛盾をした答弁をなさっているわけでありますし、これは御答弁の中でも政府みずから触れておられましたけれども、実態論として、大学のもういまや青年層の二割を超える進学、いわんや高等学校についてはもう全国的にも九割を越える九十数%という、こういう進学率になってきている。なるほど制度的には義務教育ではありませんけれども、事実上義務教育に等しい高校進学の現実があるという、そういう実態論から考えてみても、また教育改革といった点から考えてみれば、この義務教育義務教育以外の大学、高校、さらには私学、ここを切断をして考えるという行き方でいきますと、これは日本人育英会の制度自身も否定をするということになりかれない考え方になるわけですね。  もう言うまでもないと思いますけれども、育英会というものがそういう未来を担う青年の育成を図ると、それに対しての積極的な援助を行っていこうということでの大学、高校をむしろ中心とした、その中には相当数の私学も含めての奨学制度をつくっておる、これを一体否定をする考え方になっていくのかという重大な難問を持たざるを得ないということになるわけでありますし、そういう点でいろいろ言われているわけですけれども、これから目指すべき政策、どういう政策方向をとるのかという問題については、あのままの答弁ではちょっと引き下がるわけにはいかないという気持ちであるわけです。そういう点で、両当局、私の再度のこの質問に対してお答えをいただきたいと思います。
  174. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) その問題に触れまして、きょう午前中にもお答えしたわけでございますが、おっしゃるように、一つは文教政策の面からいわば育英会を通ずる融資の問題がございます。厚生行政の御点からまた融資制度も行われているわけでございます。今回は、金融制度という中で民間教育ローンを補完する意味進学ローンの御審議をお願いいたしておるのでございます。そういったものを全体を通じて見まして一体どういう地位を相互に保つべきであるか、そうしてどういう点に隘路があるのかと。この前、渡辺委員がおっしゃったのも確かに一つ問題点であると思っておるのでございます。したがいまして、その問題につきましては今後十分にひとつ検討さしていただきたいと。一方におきまして、母子福祉資金の方も年々改善はいたしておりますけれども、やはり多額の一時金をこの制度でいけるということには、改称はいたすにしてもおのずから限度があるような気もいたします。  そういうことでございますし、それからまた今度の進学ローンにつきましても、きょうの午前中もお話がございまして、なかなかあの返済期間ではむずかしいんじゃないだろうか。大体まあ最高借りますと月に一万三千円ぐらいの返済金になると私は見ているのでございますが、いまの所得水準で言いますと普通の方は大体いけると思うのでございますが、特殊な人についてはあるいはむずかしいかもしれない。その場合は、場合によりましては運用で考えられる範囲では考えてみたいものだと。ともあれ、この制度を発足さしていただきまして、そしてまた運用でやれるところは運用でその要求にこたえる、やがてそれを制度化した方がいいということがはっきりしてまいりましたら、次のステップとして、各委員から御指摘になりました、いままた佐藤委員からも重ねて御指摘のありました点について改善を加えてみたい。  いますぐこの制度でこのようにやりますという端的なお答えができないのは残念でございますけれども、あらゆるすべてに関連する制度を総合的に考えまして、何らかの形でそういった隘路を打開してまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  175. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 大臣、お願いをしたいんですけれども、幸い当委員会はもう一回、来週の火曜日に最終質問の機会がございますので、この同、きょうから日曜日入れますと四日間ぐらいあるかと思うんですけれども、問題は大蔵省の判断だけでは済まない、各省にまたがる総合的施策をどうとるかというそういう性質を持った問題でもあろうかと思いますし、そういう点で一遍、関係をする省の間で、そしていま時期的にぼつぼつ各省庁とも五十四年度予算の概算編成、そういう時期にも入り出すちょうど時期ではないかと思いますし、そういう点で、いまお願いをしております点について関係をする省の間でちょっと必要な御相談をいただいて、できれば、火曜日のもう一回最終質旧をする機会に何らかの政府としての統一的な見解を表明をしていただくということができぬかと、そういう御相談をやっていただけぬだろうかということですが、どうでしょうか。
  176. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 火はこれは来年の三、三月ごろに集中する問題であるわけでございます。したがいまして……
  177. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 育英資金制度の問題でいま質問しているんです。
  178. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) ですから、五十三年度予算がすでに決まっておるのでございまして、それは五十三年度予算で賄うべき第一次の問題、そういうことになっておるわけでございます。そういう意味で私お答えいたしたのでございまして、五十三年度の実績、運用でやれる問題もあるいはあるんじゃないかと考えているわけでございます。そして、どちらかと申しますと、最初に申し上げましたように、実際やってみませんとどういうことになるのか、おおよそのことは想像しているのでございますけれども、なかなか実際がどういうところに隘路があるかということもまだ具体的には定かでないわけでございますので、その問題は、恐らく制度としては五十四年度以降の問題にならざるを得ない。そういう意味先ほどからお答え申し上げているのでございまして、しかしいずれにいたしましても、それらの問題は真剣に検討してまいりたいと思っておるのでございます。
  179. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 国会通過しましたら、この制度の運用の問題についてはこれからもう少しいろいろお尋ねをするわけですけれども、言っていますように、もうすでに五十三年の予算は歩き出しているわけですから、そういう点で、五十四年度に向けて日本育英会の制度上また資金総額をどういうふうに拡充を図るかというこの問題について、そういう点で次回もう一遍御質問いたしますので、必要な相談をやっておいていただきたいと思います。  次に、今回の進学ローン制度の内容改善の問題ですけれども、ほかの委員からもたくさん御意見が出ておりましたけれども、端的に言ってこの七・一%という利率、これは国民公庫の促し付けの中では最高の金利となっているということで、この点がどうしても理解をしがたいわけですけれども、これは一歩も動かせないものですか。その理由はどこにあるんですか。
  180. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民公庫による進学資金貸し付け金利につきましては、これは特に一般貸し付けの場合には所得制限を付してあるわけでございますので、極力一般民間金融機関貸し付けに比べて優遇を図る必要があるわけでございますが、他方におきまして、国民金融公庫といたしましても、旅費である資金運用部金利であるとか、あるいは事務コスト等を勘案する必要があるわけでございます。この両者をにらみ合わせまして、ぎりぎりの線で決まった金利が七・一%でございまして、これは民間金融機関が八・八八%でございますので、民間金融に比べまして十分に優遇された金利であると、このように考えております。
  181. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 現市費金運用部や簡保賞金からの借入原資の金利は六・〇五、そうしますと七・一と比較をして一・〇五の差がある、こういうことでありますから、同じ国民公庫融資制度の中でも担保を必要とするものが相当低利のものもありますが、担保を必要としないところだけ拾っていっても六・〇五、六・三、六・五五、六・八、こういう利率になっておる諸制度幾つかあるわけですね。ですから、このことから考えてみて七・一という利率は絶対動かせない、下げることはできないという、この点はどうしても理解できないんですが、なぜでしょうか。
  182. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 資金運用部金利は御指摘のとおり六・〇五でございますが、このほかに国民金融公庫としての事務コストがあるわけでございまして、それを勘案いたしましてぎりぎりのところで決めた金利が七・一%ということでございます。
  183. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうもよく説明がまだ理解できないんですけれども、さっきのそういう実際に借りる場合の利率貸し付ける場合の利率、そういう差があるわけですが、しかしこの制度をそもそも提案をされてくる趣旨は、このことによって国民公庫をひとつもうけさそう、またもうけようということで公庫側から問題が出たわけでもありませんし、またそもそもこのことが政策的に議論が始まったのは、このことによって公庫をもうけさせようというところではない。どうやって上級学校進学をしようとする子供たちを経済的に多少なりとも援助をするかという、ここから問題が出発をしたということでありますし、しかも括弧つきではありますが、先ほど来の佐竹総裁の御答弁によりますと、審査業務というのは、これはできるだけ簡便にやっていくんだと、こういうことでありますと、もちろん人員の問題はありますけれども、それに伴う実務費というのもびっくりするような莫大なものというわけでもないだろう。そういうふうに見れば、この目的が、どうやってそういう未来を払う青年の教育的目的からの援助をやるかという、ここから出ているわけでありますし、そういう点でそういう趣旨、目的に照らして当然必要な利子補給は行いつつ、どう見たって数字並べて対比すれば最高利率七・一というここは何とか改作をするというふうにすべきではないか。まあ具体的な政令公布を行われるのが六カ月後という、辛いこの期間もあるわけですから、何とかそういう点での、まず利率それ自体の問題についての検討をどうしても行ってもらいたいというふうに思うんですが、その点どうですか。
  184. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 金利の問題でございますが、この七・一%につきましてさらに補給金その他を用いて金利をもっと下げたらよいではないかというような御指摘かと思いますけれども、この進学資金貸付制度につきましては、これは一応所得制限を付しているわけでございますけれども、実際の大学あるいは高校に進学している子弟進学しようとしている子弟を待つ父兄につきまして、これを勘案いたしますと、大体六側ないし七割はカバーし得ることになっているわけでございます。また大学、高校への進学につきましては、これは一応義務教育ということになっておりませんで、もちろん現在の大学、高校への進学率から見ますと、実質的には義務教育に近い線になっているかもしれませんけれども、一応役務教育ではないわけでございます。そのようないろいろな点々勘案いたしまして、これは国民金融公庫本来の貸し出しとしてぎりぎりの低い線に抑えたわけでございまして、補給金あるいは一般会計からの出資等にまで至ることは必ずしも適当ではない。したがって、国民公庫としての本来の経営上肢も低いぎりぎりの金利として七・一%をつけたと、こういうことでございます。
  185. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 また再び非義務教育面というのを出されておるんですが、もうこの点はどうしても納得できません。  それならばもっと問題をしぼってお尋ねをしますけれども、議論がほかの方からも集中をしております母子家庭や交通遺児、これらの人たちですね。そういう点で交通遺児育英会の方々からはどうしても金利を年三%ぐらいに低減をしてもらいたいと、こういう要望書がまいっておるわけですけれども、母子家庭やあるいは交通遺児、こういう人たちに過渡的な運用として、さっき大臣が運用についてはいろいろこれからも考えてみたいとおっしゃっているんですけれども、たとえばそういう人たちを限定をして金利の低減を図る、こういうことなんかは検討できませんか。
  186. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 交通遺児の家庭あるいは母子家庭に対して進学のための必要な資金手当てをするということは非常に大切なことと思いますが、ただ、これは先ほども申し上げましたように、一般の低所得者を対象にして金融面からの施策として考えたものでございますので、現在の条件がぎりぎりのところではないかと、このように考えております。
  187. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 低所得者を対象にしたということをうたい文句にしながら、実際にこの制度をしさいに分析をすれば、母子家庭や交通遺児の関係についてはこれの通用を受けるということがかなりむずかしいんじゃないか、事実上むずかしいんじゃないかということが、いままでのこの委員会の審議の中でももう相次いで出されていると思うんです。そういう点で交通遺児や母子家雄の人たちも対象になっていくように、せめてそのことに限定をして何らかの制度改善をやると、利率改善をやるということを検討をすべきではないかということで言うているんですけれども、どうなんですか。
  188. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 再三申し上げて恐縮でございますが、これは本来の制度趣旨といたしまして、一般的に低所得者の家庭の進学時における父兄負担を均分化しようという、均分化することによって軽減を図るという趣旨で設けた金融面からの測度でございますので、現在のような貸出条件が、そういう意味で最も配慮した結果このような条件になったと、このように考えております。
  189. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あなたはもうがんこで、同じことばかり繰り返しておると思うんですけれども、それなら片や大臣が言っておられるその運用面でいろいろ検討をしようと、こういうように言っておられるわけですけれども、その低所得者の人たちに潤っていくような運用面の検討というのは一体何やるんですか。
  190. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) これは金融制度の面で考えているわけでございまして、先ほどから金利の問題が出ているわけでございますが、物の考え方として他の金利国民金融公庫の他の金利と比べるべきなのか、あるいは民間の同種のものと比べるべきであるのか、そこが一つやはりこの制度考えるときの問題点ではないかと思っているのでございます。今度は最初のスタートでございますので、また金融面からということでございまして、もちろん利益なんかは考えてないわけでございますが、言ってみますれば原価でひとつお願い申し上げたいと、こういうことで言っているわけでございます。  運用面で私がいま気になっておりますのは、大体のいまの所得水準でございますと、据え置き期間一年で後大学でございますと三年でございますから、五十万円借りたとすると月一万三千円ぐらいになると思いますが、むしろ返済金の方が私は気になるわけでございまして、それが非常にお困りだというようなことがございますと勢い事実上返せないという状況が出てくる……
  191. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 だから利子下げたらいいんです。
  192. 村山達雄

    ○国務大臣(村山達雄君) 利子の問題ではなくて元本の返済の方の問題でございます。そういうときにやはり余りやかましく言わないで、事実上猶予せざるを心ないという問題が起きてくるのじゃなかろうかと、こういうことをいま考えているわけでございます。いずれにいたしましても初めての制度でございまして、実施が来年の二月、三月でございまして、この状況を踏まえませんと、実はわれわれは官で議論いたしておるのでございます。先ほど国民金融公庫総裁からも話がありましたように、二百億といい何といいやってみないと本当にわからぬわけでございます。民間教育ローンが非常に、民間民間でございましょうけれども、ほぼ九%の金利をとっておる。それに対してやはり低所得者の方の場合を考えまして国も何らかこたえるべきではないかという発想で今度第一歩を踏み出すと、こういうことでございますので、その辺のことは一遍実施状況を見た上で制度的にはさらに検討を進めてみたいと思っておりますが、どうしても制度の改正が間に合わないときには、先ほど申しましたような意味での運用両を考えて見てはどうであろうかというのがいま私の頭の中に浮かんでおる考え方であるわけでございます。
  193. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この問題についてこの場だけで問い詰めるようなお尋ねをしてもなかなか答えが出にくいという点があろうかと思いますけれども、この問題もひとつもう一遍よく部内でいろいろ検討願って、最終的に火曜日の最終質問で何らかの具体的前進方向が提示いただけますように特にお願いをしておきたいと思います。  時間の関係ありますので、次の問題に進みたいと思います。  総裁の方にお尋ねをしますが、先ほど来竹田委員も、いろいろ職場の労働強化といいますか、それが待ち帰り業務、罹病者がふえておるという問題も含めての大変な事態が起こっておる。これが行きつくところは単に労働者の皆さん方の苦しさということだけにはとどまらない。実際にこの国民公庫貸し付けをいろいろ申し込まれるその人たちとの重大な関係が出てくるということでるる指摘をされておったところだと思いますけれども、一昨日もわが党の渡辺委員もこの点指摘をいたしまして、村山大臣の最終的な御答弁として、よく実情を調査をし、適切な措置をとりますという御答弁もいただいた。こういう前回の委員会の議論の模様もおおよそお耳に伝わっておることと思いますけれども、こうした業務の実態、労働の実態について、すでに四十九年の衆議院の委員会で小林政子議員から指摘をして、調査をしますというふうに総裁御答弁をなさりながら、それがされないまま今日まできたと。この間の衆議院の委員会で荒木議員がなぜやってないのですかということでただしたと、こういう経過できょうを迎えておるということですけれども、それで具体的にいつこういった実態の調査を総裁としてというか、公庫として行われる予定ですか。
  194. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これはいま先生指摘のように、四十九年の七月に、持ち帰りというものはいけないからやめようという通達が、なくすようにという通達が出まして、そしてその時点において九月末までに解消すると、事実その時点においては解消したというように私も聞いております。その際に衆議院大蔵委員会に対する委員会報告ということはなかったようでございますけれども、こういう対策を打ってこのように進んでおりますということは、当時の御質問をなさったところの小林委長にまでは御報告申し上げたそうでございます。  まあそれはそれといたしまして、どうもその後私はないとばかり思っておりましたところが、いろいろあるというようなお話も一部には出ておりますので、もしそういうことでございますと放置できないということで、もう早急に四十九年七月の通達の完全履行刀ですね、実施方、これを重ねて全支店に指令を発しまして、あの通達どおり行われておらぬ事例がもしもあるならそれはもう速やかに是正しなきゃいかぬということで指事をいたすつもりでおります。そして一カ月なり二カ月なり、これは今月もう六月でございますから早急に出して、そしてまず実行を再確認してと、再確認といいますか再指導と申しますか、そういうことをまずやる。やりながら、同時に実際はどうなんだということを、そういう通達がちゃんと生きているのに通達が守られておらぬということはこれは実際ゆゆしいことでございます。本当に守られておらないかどうかということをこの一カ月ぐらいまたずっと様子を見まして……
  195. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、その調査をいつなさるんですか。
  196. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) それは実はもう早速始めようと思っております、早速。まずその通達の完全実施を指令して、そしてその翌日からでもその当日からでもいいと思うんです。もう六月一日ですから本当はきょうあたりやらなきゃいけないのですけれども、本当はきょうやろうと思っておりましたがね、ちょっとあれしましたが、早急あすにでもやろうと思います。
  197. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうもきれいなことが言われておりますけれども、たとえば衆議院で時間的につい最近ですけれども、荒木議員が再度質問をしたその時点でさえ、そんな持ち帰り労働というのはあるはずありません、そういうことをしゃあしゃあとおっしゃる総裁ですからね。ですから、本当にいま言われておるとおりやられるのかということが不安でかなわぬわけですけれども、本当にもう直ちにやる、きょうからやろうと思っておったのだというのですから、ですからもうあしたかあさってにはやるんだということでひとつ確認をしておきたいと思います。  そこで、とにかくそういう実想を正確に把握をしませんことには、何ぼ持ち帰り労働をやるなという通達を二回、三回強調をしたところで、実態がそういうことが行われざるを得ないというような、業務量が過大になっておるという火照がある限り、何回通達を強調したってこの事態は改善できぬということでありますから、どうしてもその調査をまず急いでやってもらう必要がある。それと、その調査に当たって実態が適切に把握できるように、私はたとえば無記名の調査票、こういう形で、現在の仕事の実態がどうなっておるかという、そういう方法での調査をやっていただく必要があるだろうと思うんです。そうしませんと、片や持ち帰り労働はやるなと、超過勤務はできるだけ少なくせよというこの通達が大きな声で流れておるこの中で、いやそう言われたってこういうふうになっておるんですということが記名ではなかなか記入しがたい、こういうやはり職場の状況が生まれると思うんです。ですから、客観的、科学的にいまの仕事の実情がどういう状態にあるのかということを把握をしようと思えば、無記名の調査をなさる必要があるということをことさら念のためにお願いをするわけですけれども、その点はどうですか。
  198. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) 方法論に至るまで御指示をいただきまして、大変ありがたく思っておるわけでございますけれども、ただここで私、先生相当実態よく御存じだと思いますんですけれども、申し上げておきたいと思いますのは、先般組合の方からもいろいろ説明があった際にお感じになったかどうか、つまり、こういうものは実は非常に実態の把握がむずかしい面があるということですね。同時に、これはどういうケースにそういうものが発生するのか、発生原因が実はいろいろあるようでございます。一概に単純に割り切れないものがあって、そこへまた人情の機微や何かがいろいろ絡みまして、まことに科学的、論理的な物差しに乗りにくいような、どうもそういうところもあるらしいんです。したがって、組合の方もどうもそういうことをやっておるようだと言うんですが、じゃ、どこで一体だれがどのぐらいやっておるんだということになると一わからないということらしいんですね。私どもも実は、本当にそういう実態がわかっているなら教えてくださいよというようなことで、ここにおります美藤理事なんかも――これなんかも本当を言うと団体交渉事頑なんですね、勤務条件の問題ですから、組合としては本当は放置しておいてはいけないはずなんです。当然団体交渉の場で取り上げて、具体的にこういうことがあるじゃないか、どうするんだと、不払い労働があるじゃないかということで、むしろ団体交渉の場ではっきり……
  199. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 やられておるけれども、総裁の耳に伝わってないんじゃないですか。
  200. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) ちょっとお持ちくださいませ。  そういうわけで、しかるべきだと思うんですが、私がいままで聞いております範囲では、どうもそういう具体的な提示が組合の方からも出てきてない。というのは、組合の方も何かつかみにくい問題だということをみずからも申しておるわけで、私ども決して組合と敵対関係にあるわけでも何でもございません。もう本当にかわいい職員の、しかも四千六百の人たちを代表して執行部が一生懸命やっているんですから、そういう意味で、本当にお互いに一緒に考えていこうじゃないか、こういう実は労使のスタンスでございまして、そういうことでやりますと、どうもやっぱりいろいろ苦からの話を聞いてみますと、なかなかこれ一概に割り切れていない。つまり、たとえばこういう話がございます。現場審査に参りまして……
  201. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっと、もう一問質問したいこともありますから、時間の関係で……
  202. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) じゃ大急ぎでやりますから。  実調をしまして汽車に乗って出る。そうすると、帰ってきたときにもう夕方になって公庫に帰るには速いというような場合があるわけですね。そういう場合には、自宅へ真っすぐ帰ってしまう。そうすると、調査資料を、持っておうちへ帰る。あしたまでに仕上げなければという非常に恪勤精励の人たちが多いわけですから、それじゃおうちでちょっと聞いてきたところをメモでもして整理して、あした公庫へ行ってからきちっとした調書にしようという場合もどうもあるらしい。こういうもの、いろいろなものがまざりあってくるものでございますから……
  203. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう結構です。
  204. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) それで恐らく当時、ああいう厳重な通達を出したにもかかわらず、それが案外守られてなかったというのは、何かそこにそういう実態があるんじゃないか、つまり人手が足りないからそうなっているというんじゃなくて、審査という仕事の性質上、これはあたかも裁判官が自宅でもって判決をお書きになる、宅調というようなこともあるようです。あるいは税務署の法人調査の人が現場へ出て行って調査資料を持ち帰ってうちで整理するという、何かそういうような、やや似たような要素がありはしないだろうか。ですから、それやこれや勘案いたしますと、なかなかそこはむずかしい。  私どもは、はっきり申し上げておきたいと思いますのは、いわゆる持ち帰り労働に対する姿勢としまして、これはあくまですべきものではないということは、当時の澤田総裁と私と全然一致しております。少しも違っておりません、当時と全く同じでございますので、その点はまずお認めいただきたい。同時に、先生おっしゃったように、持ち帰りイコール人手不足という方程式は必ずしも成り立たないんじゃないか。もちろん一部そういうものはないとは申しませんですよ。だけども、そうでない非常にデリケートな複雑な要素もあるので、そういうこともよくよく見ながら、先生おっしゃったように、持ち帰りを禁止したために審査の仕事がおくれたというんじゃこれは困りますから、ですからそこはよく実態を見ながら見きわめてまいりたいと思いますもので、それでまずもってストップ令をかけて、本当にそういうことがあるならやめましょうといって一遍やめて、それでもなおかつそういうものが出てくるのかどうか、これをやっぱりよく見ていかなきゃいかぬと思います。そういう意味の実態の調査をこれからいたしたい、こういうことでございます。
  205. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最後にもう一言総裁に質問いたしますけれども、そういうことで直ちに調査をやりますということは何回も確認をしておるわけですけれども、そこでどういう項目で調査をするかということについては、ひとつ労働組合とよく事前に相談をし合っていただいてお願いをしたい。そうでありませんと、調査の項目の置き方によっては、ずいぶんいろんなまたそのことをめぐって理解の不統一が生じて、調査の目的を達しないということになってもいかぬわけですから、そういうふうにしていただく必要があるだろうということと、それから調査の結果については、国会の私どもの方にも御報告をいただきたいということと、それからこの委員会でずいぶん業務の実態、労働強化をめぐっての議論が起こりましたけれども、お尋ねをするまでもないことかと思いますけれども、このことをめぐって労働組合の側に対しての報復が行われるということはまさかないだろうというふうに思いますけれども、その点念のためお尋ねいたします。
  206. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) まず第一点の方法論でございますが、どういう方法をとるかは、これはひとつ私どもにお任せ願いたいと思います。私どもも経営責任者として、責任を持って業務の実態を把握するにふさわしい方法をとりたいと思いますので、その点はひとつお任せいただきたいと思います。  それから第二点の労働組合への報復云々というお言葉がございました。これはまことに意外なお言葉でございまして、私どもはそのようなことは毛頭考えておりません。誤解のないようにひとり……。
  207. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 当然報告いただけますね。
  208. 佐竹浩

    参考人(佐竹浩君) これは先ほど申し上げましたように、非常に内容把握がむずかしいものであるだけに、果たしてどの程度要望に沿い得るものができますかどうか、これこそやってみないとわからないというところがございますので、まあその模様も見ながら、極力ひとつベストを尽くしたい、かように思います。
  209. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。  次回は六月六日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会