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1978-05-11 第84回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     宮田  輝君      穐山  篤君     森下 昭司君      矢追 秀彦君     多田 省吾君  五月十一日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     竹内  潔君      岩動 道行君     上田  稔君      矢田部 理君     青木 薪次君      渡辺  武君     山中 郁子君      井上  計君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理事                 藤田 正明君                 細川 護熙君                 福間 知之君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 糸山英太郎君                 上田  稔君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 竹内  潔君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 山中 郁子君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    衆議院議員        大蔵委員長代理        理事       綿貫 民輔君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        内閣審議官    伊豫田敏雄君        大蔵政務次官   井上 吉夫君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        大槻 章雄君        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁直税部長  水口  昭君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        日本専売公社総        裁        泉 美之松君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度における財政処理のための公債  の発行及び専売納付金納付特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○理事補欠選任の件 ○租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆第  二六号)(衆議院提出) ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律及び国際金融公社への加  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の  一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  ちょっと速記とめてください。   〔速記中止
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 速記を起こして。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、降矢敬義君、矢追秀彦君及び穐山篤君が委員辞任され、その補欠として宮田輝君、多田省吾君及び森下昭司君が選任されました。  また本日、矢田部理君が委員辞任され、その補欠として青木薪次君が選任されました。     —————————————
  4. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣にまず伺いたいと思いますが、いまも証券局長のごあいさつがあったわけでありますけれども政府関係の、特に大蔵省でありますから、金融機関大蔵省から人を派遣するということが往々にしてあるわけでありますけれども、しかしそれぞれの機関として、この天下り問題ということについては大変そうしたそれぞれの機関従業員の自主的な意思、あるいは企業に対する責任というものですか、そういうものが往々にして崩れる場合が私は多いと思うんですよ。でありますから、これは農林中金に限らないと思いますけれども、各そうした機関の中でもやはり天下りというようなことはなるべく避けて、あるいはそれをするにいたしましても、かなりの納得を得て私はやっていくのが当然だと思うんですよ。  しかし今度の場合なんかも、一般に予想されているよりも急に天下りがぽんと行ってしまう。そして何だか農林中金大蔵省の下で押えてしまう、こういう印象一般に私は与えていると思うんです。こういうことか続く限り、やはり政府関係機関のいままでの運営か当事者能力を欠くとか、あるいはどうもあんまり自発性がないとか、こういうことかよく世上批判されてきていると思うんですがね。今度のこの農林中金の副理事長への天下りの問題も、私は全体的にはそういう印象を与えていると思うんですが、こういうやり方というのは、私は今後もっと慎むべきだと思うんですよ。やはりある程度関係者のコンセンサスを得る中でそういうことをやるべきであって、新聞の報道なんかにいたしましても、何か大蔵省が出し抜いて、急遽証券局長を副理事長にしたというような印象を私どもは強くしますけれども、こういうやり方というものは、私は当初に申しましたように、関係機関自主性をきわめて阻害する、あるいはそこの役員、従業員自発的意思を阻害をするという形になると思うんですけれども、この際大蔵大臣の対処の仕方、今度の場合の、どういうことで急遽そういう形になったのか、この点を明らかにしていただけなければ国民の誤解というものは解けないだろうと思うんですが、いかがですか。
  6. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いわゆる政府機関に対する天下りというような言葉で表現されている事態につきましては、政府といたしましても十分批判に耳を傾けていかなければならぬと思うのでございまして、押しつけていくとか、あるいは適任でもないのに何でもかんでもポストを確保するというようなことはこれは慎まねばならぬと思っておるわけでございまして、やはり適材適所という慎重な配慮が必要であることは私も同感でございます。  ただ、今度の農林中金は御承知のように系統機関でございまして政府機関ではございません。特に農林中金の方から話がございまして、ぜひ大蔵省の、農林中金にふさわしい人を推薦してくれないかというお話がございまして、山内証券局長は、従来の経歴から見ましてその方面の通暁者でございます。いずれにいたしましても農林中金機関決定がなければできないことでございますので、大蔵省としてはその意思に対していかなる拘束を加えているわけでもございませんし、いずれ機関決定を見ましてその話があってから、山内君も恐らくそちらに迎えられることになるのであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はそういうことでなく、どうもこの問題も、農林中金がどれほど山内さんを所望していたかどうか、われわれこれわかるところじゃありません。しかしやっぱり一般天下り、しかも急遽何か、農林中金九兆円も預金があるということで、これをいまのうちに午耳っておきたいというような印象を与えていることは事実だと思うんです。各新聞すべてそういう言い方で、やっぱり天下りなんだというような印象を与えておるわけでありますから、そういう点がいまの大蔵大臣説明ではどうもはっきりしない。そういう点をもう少し明確にしないと、私はいま一番国民批判を受けている天下り問題というものに対してはやっぱり理解できないと思うんですがね、いまのお話では。どうですか。
  8. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 通常でございますと、国会中でございますので、政府委員異動というのは国会の一区切りついてからやるのが普通でございますか、農林中金側で、できるだけ早く何とかひとつ自分の方の都合に合わせてくれないかと、こういうお話がございました。そういうことで、むしろ農林中金側の御都合によりまして割愛するのもやむを得ないかな、こういうことで決意いたしたのでございますので、新聞がどういうふうに報道しておりますか、新聞によって違いますけれども、どうぞそういうふうに御理解願いたいと思っておるのでございます。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 余り深くこの問題触れるつもりはありませんけれども、われわれとしても、実は財特問題の審議中なんですよ。われわれだって余りにも、新しい局長能力がないという意味ではございませんけれども、われわれとしてもある日突然にかえられてしまった、何の話も聞いていない、こういうことではわれわれの審議の進め方からしても余りにも私は独断的なやり方だ、事前に少しぐらい話があっていいと思うんですよ。あいさつに来られて初めて知ったと、こういうやり方が一体どうなのか、こう思いますがどうですか。余りにも突然に、全然連絡もなしにやってしまうということは、しかも関係法案審議中ですよ。私は適切な処置ではないと思うんです、この点も。
  10. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま申し上げたような事情で私も決意さしていただいたのでございますが、もとよりこの大事な国会審議に当たりまして、審議に渋滞がくるようなことはないように、十分その点は後任者につきましても人選には意を用いているところでございますし、大蔵省は本来やはり組織体として動いておりますので、御迷惑は少なくともおかけしないで済むのではなかろうか、かようなことでございますので、その辺御理解賜りたいと思うのでございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 しかし、少なくともわれわれがあいさつに来てから人事を知る。あと新聞でしかわからないというようなことは、私はこういうことは、しかも審議中ですからね、関係法案を。これ証券局長だって関係ある問題ですよ、この特例債の問題というのは。そういうときに急遽かえるというような、しかも少しぐらい事前に、新聞発表前にわれわれ質問者連絡があっていいと思うんですよ。余りにも独断的なやり方だと。これは特にぼくは委員長さんにも、審議中に急遽かえていくと、かえるのは向こうの権限でありますから、私は、そこまでわれわれの権限じゃないんですけれども、しかし事前に少しぐらい話があっていいと思うんですよ、辞令の出る前に。これは今後、委員長にもこういうあり方というのはひとつ十分連絡をとってやっぱりやっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか、委員長さん。
  12. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御意見としてト分承っておきます。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 それからもう一つ、どうも私よくわからぬのですけれども大蔵省やり方というのは非常に秘密的なやり方というのか、非公開的なやり方というのか非常に多いと思うんです。まあ税制調査会はわあわあ言われる点もあるし、この点ではかなり税制調査会審議内容というものがわれわれのところに知らされるわけでありますが、金融制度調査会審議内容というのは、答申が出ればなるほどわかるんですけれども審議内容というのはどうも私どもにも余り資料はいただけないし、あるいはもちろん公開でおやりになっているようではありませんし、何か限られている。そういうことで、特に最近は金利の問題あるいは金属制度自体の問題というのは私は大きな転換期にあると思うんですよ。だからもう少しこれはわれわれにもわかる、あるいは国民にもわかるというような形での審議に私はしてもらいたいと思うんですけれども、どうなんでしょうか。
  14. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 金融制度調査会におきましては、いま御指摘のとおり銀行法の改正を主体とした審議を行っているわけでございますけれども調査会の、現在小委員会審議主体になっておるわけでございますが、開催しました都度その審議内容につきましては新聞発表を行っているわけでございますけれども審議方向であるとかその重要なポイントにつきましては、随時必要と認められる都度先生方に御説明に上しがる、そのようなことについてもこれから改意してまいりたいと思います。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 特に国債多様化の問題というのはこれは最近大変議論になっているわけでありまして、国債の問題を口にすれば多様化の問題というのは大体それについて出てくるということでありまして、私も確かに国債種類をもう少し多様化し、期間も十年、五年という形でなくて、あるいは二年、三年、あるいは七年、あるいは場合によれば十五年、こういうような多様化国債発行していいんではないかというふうに言われてきているんでありますけれども多様化方向というものはある程度抽象的にはいろいろ出ているような気かするんですが、しかし、もうすでに十一兆に近いところの、五十三度の国債というものも恐らく近く発行せざるを待ないと思うんですね。それを発行するには、ただ単に発行するんじゃなくて、関係団体あるいはその消化の問題、こうしたこともいろいろ考えての上の発行でなくちゃならぬと思うんですがね。  そうすると今年度発行は、新中期債も出されるというようなことでありますが、具体的には、新聞にはいろいろ書かれているんでありますけれども、これもわれわれ全く新聞で知る程度のものであってそれ以上のことは知ることができないわけでありますから、こうした問題も私ははっきりと、やはりこういう方向で行くんだと、まあ詰めばいろいろあると思います、関係団体か多いわけでありますから詰めばあると思うんですけれども、そういうような問題もはっきりと私は出してもらいたいと思うんですがね。これは新年度、あるいは六月からもうかなり発行されるようでありますけれども、これはどういう発行の仕方をするんですか、はっきりしていただきたいと思うんです。
  16. 田中敬

    政府委員田中敬君) 本年度十一兆円弱の国債発行いたすわけでございますが、この国債発行につきましては、四月、五月分といたしましてすでに建設国債二兆八千八百億ほど発行済みでございます。今後これをどうするかという問題でございますが、大蔵省が従来とってまいりました一般的な原則と申しますと、当該年度におきます国債発行総額が決まりますと、これをシ団引き受けをお願いするわけでございますのでシ団との協議に入ります。本年度の場合で申しますと、ただいま御審議をいただいております特例債法律の成立を待ちまして、私どもは具体的に年間発行計画につきまして相談をかけていくという計画を持っております。  具体的には、発行総額のうち幾らシ団引き受けをお願いし、従前でございますと幾ら運用部引き受けるかという区分をまずいたしまして、シ団引き受け分につきましてはおおむね上期下期でどれくらいの割合引き受けをお願いする、あるいは発行計画するというおおむねの了解をとりまして、あと月々発行につきましては、毎月国債発行世話人会というものを発行月の前月の末におきまして持ちまして、翌月発行する金額についてそこで改めて協議をするということをいたしております。  具体的に本年度に当てて考えます場合には、本年度十兆九千億の国債発行いたしますか、ことしは運用部引き受けということをいたさない、いわゆる運用部資金というものは挙げて財投計画に振り向けて総需要の創出に努めるということをいたしましたので、金額市中引き受けとなります。そういたしますと、特例債法が成立いたしますとこの全額につきましてシ団にお願いをする、そういうことを今月の末にやりたいと思っております。  そこで、いま委員が御指摘中期債の問題がどうなるかということでございますが、私どももこの中期債発行につきましてまだ検討中でございますので、いつから幾ら金額発行できるということがまだ確定的に申し上げられない段階でございますけれども、その金額が決まれば、もしこれを公募入札という方法で発行いたすといたしますと、これはシ団引き受け外発行になるわけでございますので、たとえばX億円というものを公募入札方式発行いたすということになりますと、シ団引き受けをお願いするのは、発行予定総額十一兆円からX億円を引いたものというものをシ団にお願いするという形になろうかと思います。いずれにいたしましても、上下の割合につきましては、従前の例がおおむね上期六割、下期四割程度ということで上期に傾斜をかけて発行いたしておりますので、本年度もその方式を踏襲したいと。総体的な感じではそうでございますが、月々発行計画、あるいはその中に中期債というか新種の国債をどういうふうにはめていくかということは、いまからさらに詰めてまいりたいと思っております。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 理財局長、いままでのような国債発行額が少ない時代は比較的おたくの方の独断でやってもいいと私は思うんですよ。しかしもう十一兆円に近い国債発行か出ているわけですね。しかも一体今後はどうなるのかということについて、あるいはこの国債管理によってインフレになるんではないか、あるいは事業資金が将来どうなるんだろう、こういう心配というのは私はいままでよりずっとあると思うんですよね。だから何とかうまく国債をひとつ消化して、戦後のインフレやドイツのインフレのようにならないでほしい、おれたちも実は国債をほしいんだと、こういういろいろな要望というのはいま国民の中にうんとあると思うんですね。それに対応していかれるのには、私はいままでのやり方ではなかなか協力を得られない、国民もなかなか協力しようにも協力できない、こういうことだと思うんですよ。だからもう少し国民協力を得られるような発行計画なり、あるいは国債種類についてもことしはこれとこれとこれはぜひやりたいんだ、こういうようなもう少し国民に対して開かれた国債発行計画というものを出していかないと国民協力はなかなか私は得られぬと思うんですよ。現実に私どもだって、国債種類もいろいろある、どういうふうにしたら国債というのは手に入るのか、どうしたら換金できるのか、こういうことだってみんなよくわかっていないんですよね。国債を手に入れたら果たして自分が金が要るときにはどこへ行ってどういうふうにすればいいんだということだって、これから初めて国債を買おうと、国も困っているんだからひとつわれわれも少し協力しようという人が出つつある時期ですよ。だからよっぽど私はこの国債発行についての政府国民に対するPRなりあるいは政府計画なり、こういうものをもっと積極的に国民に訴えていくということでなければ、大蔵省が、国民個人にこれから金融資産として国債を持ってもらって、なるべく国債か定着をする、しかもその国債か、銀行が持っているような形で常に換金するんじゃなくて少し定策してはしいという希望だ、て私は大蔵省は持っていると思うんですよ。いままでみたいに銀行だけに割り当てて、必要に応ずれば日銀がそれを買い上げていくというような形だけでは済まされない時期へ入ってきているわけですから、そういう意味ではもっと私は新規な国債対策というものを、いままでの枠を飛び越えた、飛び越えたと言うと語弊があるんですが、もっとオープンな形の態度というもの、計画というようなものを出していかなければいけないんじゃないか、また国民協力を得られないだろうと、こう思うんですが、何かいまのお話を聞いていると、まあいままでの例かこうであるからこうなんだということで積極性を感じさせないんですか、その辺の基本的な国民に対する大蔵省、特に理財局あたりの接し方、ここに私は大きな問題があると思うんですよ。どうもその辺か、いまの御答弁ですと、いままではこうだった、こうだったということで、国民か買いよいような対策というものかどうも出ていないような気がするんですがね。私以上にわからぬ人か多いんですから、そういう人をこれから国債消化する上においては対象にしなくちゃならぬわけですから、どうもその辺の態度はもう少しオープンに、あるいは国債発行管理計画というものをもう少しはっきりしていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  18. 田中敬

    政府委員田中敬君) 委員の御指摘はごもっともでございまして、私ども国債国民個人消化促進のための広報というものはかねがね努力をいたしております。御趣旨にもございましたように、将来国債管理政策を十分に全うしていくためには安定した保有属になっていただく、いかなる——少々の金融の変動によっても手放さないて長く定着して持っていただく方に、そういう国債保有層を開拓していく。それは個人が非常に大きなウェートを占めると存じます。そういう意味におきまして、国債個人に対するPRという点につきましては、従前も私ども新聞週刊誌月刊誌あるいはテレビのスポットということで相当の経費をかけて広報活動をいたしております。その広報のうまい下手は別といたしまして、問題意識としましては田代によく制度を理解していただき、国債というものはどこに行ったら買え、換金するにはどうしたらいい、いわゆる特優制度、税の減免措置を受けるにはどうしたらいいというようなことにつきまして、いろんな手段広告宣伝はいたしておるつもりでございます。  お気づきかと存じますが、新聞に月一問は政府かやっておりますし、それから公社債協会の方でも国債につきまして半ページあるいは全ページ広告というものを月一回出していただいておりますが、御指摘の点もございますので、これがもっともっと国民にわかりよく身近に国債というものを感じていただくような方策、本年度広報計画につきましても十分その点を念頭に入れて実行してまいりたいと存じます。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 世間話で大変恐縮なんですが、この間私ある人に、どうもちょっと一万円残っているんだけれども、こういう残った金はひとつ国債協力をしたいんだが、どんなふうにしたらいいのか、私の手元に一万円券くれるのか、こういう話があったんです。ああ一万円券、それは一万円出せばすぐあげますよという果たして状態なのかどうか。これ、どうなんですか。一万円私か金を——私でなくたってほかの人が持っていると、そうした場合には一万円買いたいと、まあ証券会社に行って買うということにいまのところはなるだろうと思うんですけれども、そうすればこの人に、ああこれが政府借金証文だ、一万円券だ、利札もついてくるんだと、こういうような処置できるんですか。
  20. 田中敬

    政府委員田中敬君) ただいま残念なことに国債は一万円券というものを発行いたしておりません。最低券面か五万円でございます。五万、十万、百万、三百万、五百万となっておりますけれども、たとえば五千円で国債を買いたいという方につきまして、いわゆるそういう、言葉は悪うございますが、月々所得から国債という貯蓄手段に振り向ける金額の余裕の少ない方のためには、いわゆる累積投資制度というのを設けまして、月五千円単位で国債が買えるというふうになっております。ただ、五万単位で買いますと、券面は一万円でございませんから、なかなか券面は手に入らない。それから、税法上国債を特別優遇措置を受けるためには、ただいまの所得税法によりますと、この買った国債の券面というものは証券会社に保護預かりに出さなくてはならないようなふうになっております。税の減免措置を受けるために。そういう意味ではなかなか国債の券面というものが非常に少額のものが個人のお手元に残るということはむしろ珍しい例だと存じますが、しかし、五万円券もございますし十万円券もございますし、五万、十万というものをまとめて、そしてその国債というものを利札のついたこんな大きなものを家へ置いておくということは、証券会社に行けばやってくれるわけでございますが、しかしそれをやりますと今度は税の減免措置がとられないということで、税の減免措置を受けられる方につきましてはなかなか券面が手元に届かないということになっております。  いずれにしましても、いま御指摘のように、五千円で国債を買いたいんだか、あるいは一万円で国債を買いたいんだがという方々のために、いま私が申し上げましたようなことがもしまだ徹底していないとすれば、何らかの方策でさらに努力をして、皆さんにおわかりいただくような努力をいたしてまいりたいと思います。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 実にくだらぬ話だというふうに考えられると思うのですが、しかしそういう層を開拓していかなくちゃならぬということだと私は思うのですよ、これからの大量国債のときに。とにかくそういうことを、この中でどれだけいまのような理財局長の御説明になっていたことを皆さん御承知かというと——とにかくその人も私とそう遠い人じゃありませんからね、ある意味で、聞かれて、私も確かにいまのようなことを知らなかった。これは私の勉強不足だと思いますけれども、そういうのか実態じゃないでしょうか。  それで、確かに証券会社の窓口へ行ってしまえば教えてくれるのですけれども、そこへ行くか行かないかの決意というのは、ある程度国債のことかわからなければなかなかそこまで私は出ていけないと思いますよ。証券会社は国の役所じゃございませんから、やっぱり証券会社の利益というものを中心に、その中で話をするわけでありますから、買う方も証券会社が言うことをすべて一から百まで信じて対応しているわけじゃなかろうと思いますから、そういう点でやはり本当に国民に買ってもらいたい、こういうことであれば、確かにそれはPRの費用とか、たとえば証券を刷るにしても、十億円の証券を刷るのと一万円の証券を刷るのでは発行経費というようなものがこれはかなり違うだろうと思いますけれども、しかし、六出に側々人に国債消化して安定的な販売層というものを広げていくには、やはりその辺の発行の経費というものが少しは高くなってもこれは仕方がないと思うのですね。そういう意味で、もう少し私はどうも宣伝が足りない。もう少しどうも——だから、大蔵省というのはそんな貧乏人を相手にしないのだと、少なくとも十億円ぐらいの証券が売れていくということで、一万円なんというのはもう相手にしないんだという印象が私はあると思うんですね。ぼくはそれじゃやっぱり本当の意味の、これは国の借金ですからね、私企業の借金ならそれは構わないと思うのですよ、どんなふうに売ろうとこんなふうに売ろうと。国の借金ですからね、この借金はやはり将来は国民が税金で返さにゃならぬ内容のものでありますから、その辺はやはりよくわかるような形にしてもらわないと困ると思うんですけれども、これはひとつそういう面を含めて、もう一画いままでのあり方がよかったのか悪かったのか検討していただいて、できたらその検討結果がまとまりましたらお知らせをいただきたいと思うんですがね。  大蔵大臣どうですか、そういうふうな点をもう少し、大蔵大臣としてもただ単に局長だけに任すことなくて、もう少しその辺を深めてもらいたい、こう思うんですけれどもね、どうでしょうか。
  22. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今後ますます、いま委員が御指摘のように、やはり個人消化という問題か非常に大事な局面に入ってくると思っているわけでございまして、そういう意味でいま御指摘のような点を含めましていろいろ工夫をこらしてみたいと、こう思っておるところでございます。さしあたりは御承知のような資金需要でございますので、私は消化にはそう不可能だというふうには考えておりませんけれども、先々考えますとやはり委員がおっしゃったような点は十分注意してまいらにゃならぬと、かように考えておりまして、工夫を一段と重ねてまいりたいと思います。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣ね、いまは消化は楽だからと言うのですがね、買う方にしてみれば、これは企業は別ですが、個人が買う方にしてみれば、自分か今度はお金か要るというときにはこれはどうしたらひとつ金か返ってくるんだろうか、そのときには一体果たしてどれだけの金で返ってくるんだろうと、こういうことはやっぱり心配なんですよ。だから、何か大蔵大臣はいまは消化ができるからそんなことはもういいんだと言うけれども、それは機関投資家や銀行に買ってもらうならそれでいいと思う。しかし個人に買ってもらうということになればやっぱりその辺まで考えないと、なかなか、それよりも郵便貯金の方がいいや、銀行預金の方がいいや、こういうことに私なってしまうと思うんですよ。だから、いまのうちからそういう問題をやっぱり買う人の立場になってPRをしていってくれないと、それはいま消化できるんだからそれは心配ないやということじゃ、これは余りにも買う人の立場に立っていない。むしろ買う人というのは将来のことにまでやっぱり考えを及ぼしながらそれをやるわけでね、パチンコ店へ行ってパチンコの玉を買うようなつもりじゃないと私は思うんですよ。それだからそこまでひとつ考えてやってもらいたいと思うんですがね。どうもいまの大蔵大臣のところでそこが私は大変気になるわけなんでね。どうでしょうか、大蔵大臣、どうもそこが気になってしょうがない。
  24. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 国債消化する側から申しましても、また資金を運用する側から申しましても、この個人消化の問題あるいはそれに適した方法をとるということは非常に重大な問題であるということをよく承知しているつもりでございます。そういう意味で去年は割引国債を出しましたりいろんなことをいたしまして個人消化層を広げているところでございます。ただ、おっしゃるようになかなかその手続なり、あるいは特にその換金方法についてやはりまだ十分じゃないんじゃないかという、その知識かですね、そういう点もいまおっしゃられたことで私たちもそう思うわけでございますが、そういう点を含めて十分今後PRをしたいと思っておるわけでございます。  ただ、先々われわれは国債管理する者の立場といたしますと、その金利の動向によりまして、この額面でございますが、非常にフラクチュエートが出てくるということ、このこともまた投資する個人の方にもよく知っておいていただかないと、後で大変なことになったというようなことになりますとこれはもう大変なことでございます。私がいま思いますのには、恐らく個人の方でやっておられるのはかなり大口の人たちが中心になって消化しておると思うのでございますが、この人たちは大体資産運用について知識を持っているわけでございます。ですから、そういう事態になる前にそれぞれ資産運用というものを流動的に考えていく、そういう知識を持っております。小口の方でございますと非常にありがたいわけでございますが、金利が将来上がるような事態になりますと額面は下がってくるわけでございます。相場は下がるわけでございます。そこの点をいかにして、そういうものであるということを理解してもらいながら、しまったというようなことはないようにやはりあらかじめその知識を十分持っていただいて、単に消化だけ急ぐというのでなくて、その点についても十分な用意をもってやはり引き受けてもらわにゃ、消化してもらわにゃならぬのでございまして、その点もあわせてやはり宣伝——宣伝と申しますか、そういう問題があるんだということを知りながらやはり消化してもらわなくちゃならない。この辺が一番われわれといたしましては苦心するところであろうと思っております。しかし、いずれにいたしましても大量国債発行下でございますので、安定的な消化層の開拓ということはわれわれにとっては非常に重要な問題でございますので、御注意の点を踏まえながら今後とも工夫をこらしてまいりたい、かように思っているわけでございます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 これからの国債発行は、先ほども公募入札方式でやられるのが多くなるというようなことでありますけれども、去年資金運用部の保有していた国債を日銀に委託して入札方式でやりましたね。これは一体どんなふうなやり方でやったんですか。新聞でちらっと出ているのですが、よくわれわれにはわからぬわけです。どんな形でこれは入札をさしたんですか。全部のが出ておりませんから、ある意味ではいままでの強制消化やり方余り変わらないんだという話もありますし、いやそれより変わったという話もあるんです。その辺よくわからないんですけれども、どんな方法でどんなふうにおやりになったんですか。これは実際やったわけですから、これからやるわけじゃないんですから、やったことですから、どんなふうにやられたのかひとつ御報告をいただきたい。
  26. 田中敬

    政府委員田中敬君) 運用部の保有いたします国債につきましては、本年度に入りましてと申しますよりも、運用部として初めて本年一月に三千億円、二月に二千億円、三月に三千億円の市中売却を行ったわけでございます。国債事務につきましては、日銀にこれを全部代行させるという規定がございますので、資金運用部の保有国債につきましても日銀がこれを代行して売却をするという形をとっております。  日銀がこれを売ります方法といたしましては、いわゆる公募入札方式で売却したわけでございますが、この公募入札につきましてまず一つの要素は、一体だれか応募できるかということでございます。応募資格者につきましては、いままで三回の入札につきましては日銀と取引のある金融機関、全部で四百十六社になっております。うち総合証券たる証券会社か十社、あとは都銀、地銀、興長銀、信託、信用金庫まで入っております。この四百十六社が応募資格あり、応札資格ありということで、まず応札資格をそこで制限いたしております。  それから次は、入札につきましての札の上限下限をどうするかという問題でございますけれども、これにつきましては、たとえば何億円売るということをオファーいたしました日の相場を基準といたしまして、上下二%の値幅制限というものを日銀では付して入札の幅をそこに制限をいたしております。  それから、しからば入札をした場合にいかなる者が落札し得るかという入札方式の問題でございますが、入札方式につきましては、第一回目はダッチ方式というものを行いまして、二回目、三回目の売却につきましてはコンベンショナル方式という入札方法を採用いたしております。そのダッチ方式と申しますのは、私、先回福間委員から御質問がありましたときに、若干ダッチの中身につきまして間違えたことを申しておりましたので、ただいまから申し上げることが正確でございますので、そのように御了解いただきたいと存じますが、ダッチ方式と申しますのは、買い入れ希望価格の高いもの、たとえば千億国債を売るとオファーをいたします。そうしますと、入札者がこれを百五円で買うか百四円で買うか百三円で買うか、それぞれか入札するわけでございますが、百五円で買うという人が、たとえば百五円での入札が四百億あったといたします。それから百四円の入札が四百億あった。耳三円の入札が三百億あったということになりますと、下億の売却希望価格がそれでもう千百億になりまして満たされるわけでございます。ダッチ方式と申しますのは、その際どの価格で売るかというのは、その千億の線に達したところの価格、すなわち五円、四円で八百億までいって、次の札で、いわゆる三円のところで千億に達したということでございますので、五円で入札した人にも三円で売るというのがダッチ方式でございます。  それから二回目、三回目に行いましたのはコンベンショナル方式と申しまして、これは、ただいまの千億を例にとってみますと、五円で買いたいという希望者が四百億、それから四円が四百億、それから三円が三百億あったということになりますと、千億を五円で申し込んだ人には五円で売る、四円で申し込んだ人には四円で、これがコンベンショナル方式。  従来の入札はこのダッチとコンベンショナルとそれぞれ行ったわけでございますが、これはアメリカにおきましてもいろいろダッチ方式を行ったりコンベンショナル方式を行ったり、各国においてもいろんな入札方法をとっております。いずれがいいのかということは見る角度によっていろいろ違いますけれども、ダッチ方式で行ったような場合は価格が一本化されるということで、たとえばそれを個人が買う場合に、転売価格というものはもとの値が同一でございますので非常に買う個人にはわかりやすいというような利点がございますし、それからコンベンショナル方式は、たとえば運用部が別にこれを売って金をもうけるというつもりで売っているわけじゃございませんので、しかし、売る側からして多くの利益を得るという観点からすれば、統一価格の二円で売るよりも、五円で買いたいという人かあれば五円で売った方がそれはキャピタルゲインは多いわけでございますけれども、それぞれその売却の目的、発行の目的、あるいは売られたものが将来どういうふうな形で流動化していくのかというようなこと、いろいろの観点を考えて今後ともこの入札方式につきましては、それぞれのケースに応じてダッチ方式、コンベンショナル方式、いろいろ併用していくことかやはり必要であろうというふうに考えております。  以上のような方式で三回にわたりまして、いずれもこれは当時の市場価格、いわゆるオファー日の店頭気配、あるいは上場価格よりも若干高い価格と申しますか、低い金利、いわゆる市場の実勢をこれが反映してくれたと思いますけれども、そういう価格で落札をされておりまして、落札者は証券会社銀行、いずれもこれを落札いたしておりますが、どこが幾ら落札をしたかということは、これは日本銀行の方も私の方も外に公表しないということにいたしておりますので、内容については御勘弁願いたいと思いますが、第一回の場合は証券会社が相当数持って、第二回、第三回は第一回よりも銀行が落札した割合が多くなったという結果になっております。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 これからのはどっちの方式でやるんですか。ダッチ方式でやるんですか、コンベンショナルでやるんですか。あるいはそれを両方まぜ合わして、今回はダッチ、この次はコンベンショナル、コンベンショナル、ダッチだと、こういうふうな形でまぜ合わして交互にやっていくのか。その辺はどうなんですか。
  28. 田中敬

    政府委員田中敬君) 運用部国債を売却するかどうかということも、今後の運用部資金に対する需要の動向等も考えなくてはなりませんし、また片方市場の動勢というものもございますので、売る売らないということは、まだ私ども現在のところプランを持っておりませんが、売るといたしました場合には、従来一回、二回、三回と売りました場合には、こういう入札制度にひとつなれていただくということもございまして両方法を併用したわけでございます。恐らく今後こういう入札方式が行われる局面と申しますのは、日銀がオープン・マーケット・オペレーションをやる際にこういう入札方式でやりたいと、これを今後原則とするということを先般発表いたしておりますので、日鉄が行いますオペレーションでまず入札方式が行われる。あるいはまた、私どもがただいま検討いたしております中期国債というものがもし日の目を見ました場合には、これを入札で発行してみるということが考えられますので、今後の入札というのはその二つの場合が想定されます。  まず、日銀がマーケットオペレーションでどちらの方法をとられるかということは、これは日銀の判断でございますので私ども何とも申し上げられませんが、もし中期国債というものがうまく成案を得て、そして新聞で伝えられているように公募入札方式というものをとるということも可能だといたしましたら、私はその際はさしあたりダッチ方式にすべきではなかろうか。と申しますのは、ある証券会社は、たとえば金利が非常に——中期債のことでございますから三年になりますか四年のものが出ますかわかりませんが、たとえば三年の場合のモデルでございますと、ある者は五・三%でなくちゃ落とさない、ある者は五・一%の応募者利回りでいいということになりますと、落とした方によって、たとえば落とした方が証券会社でそれが個人に転売される場合に、商品の価格が会社によって違うということになって個人が非常に違和感を感じると思われますので、そういう場合にはまずダッチ方式の方か望ましいんではないかというふうに考えております。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまのお話によると、中期国債は場合によってはそういうダッチ方式なり入札方式でおやりになるというようなお話のような気がしたんですが、中期国債以外のやつはいままでと同じような形でおやりになるんですか、どうなんですか、その辺は。それは日銀が売りオペをやるときにはそういう方式だというのですけれども、それは既発債になるわけでありますが、新規債についてはそういう形でなくていままでと同じような形でおやりになるんですか、どうなんですか、その辺は。
  30. 田中敬

    政府委員田中敬君) 私どもは、いままだ中期債が成案を得ておりませんし、これを公募入札方式にするかどうかもまだ最終的に決定をしたわけではございませんか、いま申し上げたことは、そういうことも検討の課題だという程度で申し上げたわけでございます。御質問の、従来の十年債の既発債についてどう考えるかという点につきましては、私どもはやはり国債の大宗をなすものというものにつきましては、いまの日本の金融構造から考えれば、従前どおりのシ団引受方式というものを維持してまいりたいというふうに考えております。西ドイツにおきましてはシ団引受方式というものを依然とっておりますし、こういう、いまほとんど日本の金融構造から見まして資金供給者というものが金融機関が大部分という状況でございますので、その資金の分布の状況から見ましてもシ団に従来の方式でお引き受けを願いたい。これをしも入札にするという点につきましては、とうてい私どもはまだ踏み切れないという感じでございます。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、私ますますわからなくなってくるわけですがね。これだけの大量国債を出すということで、私は政府の方も金利の弾力化ということでは推進していこうということは、あらゆる機会におっしゃっているわけですよね。いまのお話では、まあ資金運用部のものだってまだ相当量手持ちはあるわけでありますけれども、それは出すか出さないか、これはわかりませんし、それよりもむしろこれからの新発債に対して弾力化を進めていくということがやっぱり一番必要だろうと私どもは考えているわけです。そうすると中期債はどのぐらい出すかそれもわからない。それから十年債というようなものはいままでのシ団引き受けなんだと、こう言われますと、これだけの国債大量発行の中で、まあ証券会社の人にしても銀行の方にいたしましても、これだけの発行をしていくには金利の自由化ということが一番いま問題になっているんだと、こういうことがどこでも言われているんですね、だれも言っているわけですよね。  そうすると、政府の言っている金利の弾力化というものは一体何を示しているのか、あるいは最終目標には金利の自由化の問題があると思うんですが、金利の自由化と金利の弾力化というのはさっぱりわからなくなってくる。政府が言っている金利の弾力化というのは、その過程の中でいまどのくらいにあるのか、これもわからない。  まあひとつの国債の新発——新しく発行する場合に、この辺まではひとつ入札制度で、この辺まではシ団引き受けでいこう、こういうこともわからないんですね。しかし、問題は、いまの場合にその金利というのは一番大きい問題だと思うんですよ、国債管理政策の中で、それがさっぱりわからなくなってくる。聞けば聞くほどわかんない。どうもこれじゃあいままでとほとんど変わりがない。こういうことにどうもなっていきそうな心配が一層ふえてきている。その辺はどうなんですか、金利の自由化、弾力化、こう言われているんですか、ここら辺もさっぱりわかんなくなってくる。進んでいるのか——まあ幾らか進んでいるようなんだけれども、どのぐらい進んでいるのか。これからも、五十七年には特例債はゼロにするんだけれども建設債はずっとまた相当量続くと——続くような状態に私もあると思う。どの段階で弾力化はどのぐらいの程度進み、どの段階でそれが自由化に進んでいくのか、どうもその辺非常に抽象的な言葉なんですが、こういうところ聞いてくると、ますます弾力化と自由化、弾力化はどのぐらいの程度でいっているのかもうさっぱりわからない。われわれ一生懸命口を開けば弾力化をやれと言うし、おたくの方もいや弾力化を推進しますと言うんだけれども、さっぱりわからない。合っているのか、すれ違いになっているのか、平行になっているのか、さっぱりわからない。
  32. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 金利の自由化と弾力化の問題でございますか、両方とも金利機能の活用を目指しているわけでございますけれども、自由化と弾力化は実は異なるる概念でございまして、弾力化と申しますのは、金利に対しまして規制を行いまして、その規制のもとでその規制を頻繁に金融の実勢に合わせ、あるいは景気政策のためにそれを動かすことを弾力化と言っているわけでございます。これに対しまして自由化と申しますのは、規制を撤廃いたしまして金利か全く市場の実勢に応じて変動するということを、これを自由化と言っているわけでございます。  現実に世界各国でも自由化、弾力化、いろいろの動きがあるわけでございますか、欧米で自由化が進んでいると申しましても、完全に自由化しているところは西独だけでございまして、ほかの国では、ある一部の金利は自由化し一部の金利は規制を残し、つまり弾力化の方向で進んでいるわけでございます。  日本におきましては、金利につきましては弾力化という方向で金利機能の活用を図るという道を歩んでいるわけでございまして、その弾力化につきましては最近かなり進展を見ているわけでございまして、たとえば公定歩合あるいは利付国債の金利の変動にいたしましても、三十八年から四十二年までの期間におきましては、これは国債について申し上げますと金利は一回しか変更されておりませんが、四十三年から四十七年までの間には六回変更されております。四十八年から五十二年までは十一回変更されているわけでございまして、このように規制を置いた中で、それを政策的な意図で景気政策あるいは市場の実勢に合わせて変更するという意味での弾力化は非常に進展しているわけでございます。ただ日本の場合には、いろいろ金融構造、金融機構その他の問題もございますので、一挙に自由化に進むということにはいろいろ問題があるわけでございます。ただしかしながら、先ほど理財局長からいろいろお話がございましたように、運用部国債を入札によって売却するということは、これは弾力化よりもむしろ自由化への一歩でございまして、そういう意味で徐々に自由化の面も浸透してきているわけでございます。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもよくわからないですな、結局何のことなのか。そして、いま政府の考えている弾力化というのはどんなところにあるのか。これもさっぱりわからない。確かに公定歩合なり、あるいは貸し出しにしても預金にしても、昔よりは変わってきたということはわかる。しかし、それは一体政府の考えているどの辺にあるのか、こういうのがさっぱりわからないんですね。恐らく金融制度調査会あたりではそういう面なんかもかなりいろいろな方面から議論をされているんだろうと思うんですけれども、そういうこともわれわれにとってはちっともわからない。国民にとってはなおわからないと思うんですね。私がわからないくらいですから、私よりわからない人がきっと多いんでしょうから、まあさっぱりわからない。金融機関関係の人だってどうかわかりませんね。もう少しその辺をわかるようにしていただきたいと思うんですが、何か委員長の方から時間大分制約されているから、きょうだけで問題が解決するとは私は思わぬですがね、もう少しわかるようにしてほしいと思うんですね。国債と金利の問題というのはいまやっぱり一番焦点でしょう、実際問題の。もう少しその辺を明らかにしてほしいんですが、これいつしてくれるのか、ちょっときょう時間ないんですがね。どうもいまの銀行局長の話だけでもちょっとわからない。それは金利の自由化と弾力化という程度はある程度わかったような気がするんですけれどもね。じゃあいま弾力化の段階というのは、政府の考えているのはどの辺にあるのか、この辺わからない。
  34. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 一般的な問題としてお答えいたしますと、日本の金融の政策上、弾力化が望ましいか自由化が望ましいかということでございますが、これは金利政策というのは先生御承知のとおり、金利機能をどのようにして発揮するかということでございまして、金利機能は景気の調節機能と資金配分機能とこの二つに分かれるわけでございますが、国民経済的に見てその二つの機能を、どのような方向で金利政策を行ったら最も国民経済的の観点から効果的な機能発揮か期待できるかということで判断されるべきかと思われるわけでございます。そういう観点から考えますと、どうも日本の現在の金融制度あるいは金融情勢から見ますと、金利を一挙に自由化することは必ずしも日本経済にとって望ましいことではないという面が多いんではないかと、このように考えられるわけでございます。  たとえば、現在の金融に関する諸般の制度を見ますと、これは郵便貯金の存在その他もございますし、それから日本の場合には直接金融市場よりも間接金融の比率が非常に高いということもございまして、仮に金利を自由化いたしましても、金利の水準か資金の需給を反映してそのまま適正な水準に決まるということが必ずしも保証されないわけでございまして、こういう意味で、景気調整機能の面から申しまして、自由化ということが必ずしも日本の経済の適正な運営に適するかどうかという点について問題があるわけでございます。  それから、資金配分機能の面から申しましても、金利を自由化いたしますと金利を最も高く出せるところ、つまり収益性の高いところに金が流れることになるわけでございますけれども、現実の日本の経済から申しますと、むしろ公害防止であるとかあるいは社会福祉のためであるとか、そういう方面に金を流すことが必要でございますけれども、こういう部門は必ずしも収益性が高くない、したがって高い金利を出せない、したがって金利を自由化すると金が流れない、こういう情勢になるわけでございます。  そのほか、たとえば中小企業の金融とか住宅金融の金利が自由化しますと実質的には上がることも考えられます。また預金金利にいたしましても、大口預金の金利の方が庶民の零細な金利よりも上がるというふうなことにもなるわけでございますし、そのほか、金融機関のこのような力の格差が表面化してまいりまして、中小金融機関か経営が困難になり、したがって、中小金融が疎外されるというようなことも懸念されるわけでございます。  こういうこともございまして、日本の場合には金利の自由化に一拳に進むということについてはむしろ問題があるわけでございまして、金利機能の適正な発揮につきましては、やはり金利の弾力化、つまりある程度の規制を置いて、その規制を政策目的あるいは金利の実勢に応じまして適時適切に動かしていくということが適当ではないかと思われるわけでございます。ただしかしながら、金利の自由化という方向に向けて必要な可能な面については一歩一歩そこに進むことも必要でございますので、先ほど申し上げましたように、たとえば国債の売り出しに当たっての入札制度というようなことで、可能な面から一歩一歩進んでいくことか必要ではないか、このように考えております。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、あなたもよく金利の弾力化と言うんですが、一体政府はその辺はどう考えているんですか。私は、いまそれは自由化に一遍に行くんじゃないということはわかりますよね。弾力化にしても一体どの程度進めていくのか。政府としては一体弾力化というのはどんなふうになっていくというふうに描いているのか。確かに、いま銀行局長がおっしゃったように、日本は間接金融というものが非常にウエートが高いということも私はそういう弾力化の問題という問題があると思うし、あるいは銀行のオーバーローンにしても企業のオーバーボローイングにしてもやっぱりその辺にあるし、それから資金配分の問題だっても、いままでの比較的固定的な低金利政策というようなものが日本の構造を変えている、こういうことは事実だと思うんですね。あるいは国民がその金融資産としていろいろな証券や債券、株式を持たないで預貯金に走っている、こういうこともやっぱりそういう問題と無関係では私はないと思うんですよね。  そういういままでの硬直した金融構造というものを変えていくには、やっぱり私は金利の問題というのは非常に大きな役割りを示すと思うんですけれども、そういう弾力化を一体どういう程度まで進めていくのか、どんなプランであるのか、これは政府にも何かあると思うんですね、こういうまた大変な転換期でありますから。そこへ手をつけなければならぬということは、これは事実であろうと思うんです。その辺はどうなんですか、政府として。——いや、もう銀行局長お話はわかったんだ。政府としてのお話をひとつ承りたい。
  36. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この問題は非常にむずかしい問題でございますが、いま銀行局長が言っていることと同じことなんでございますが、物の言い方でございますが、日本は一つは間接金融が大部分を占めているということをやはりわれわれはほかの諸国との相違について考えていかねはならぬと思うのでございます。そしてそれが実体経済との結びつきの上に実は構築されているわけでございます。また、現在の実体経済それから間接金融という二つの面を考えまして、たとえば金利自由化したときにどうなるであろうか、これ考えますと、先ほど銀行局長が言ったような問題がたくさん出てくるわけでございます。その問題は実は金融面の問題ではなくて、実体経済にどういう影響を及ぼすかということをもちろん金融の面からながめているわけでございまして、今後の国民経済のあり方から言いまして、少なくともいますぐ、あるいは近い将来に自由化するという、言葉意味で自由化するということは私はいかがなものであろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  しかし、従来のように国債は御用金だと言われるようなこういう形、つまり金利の実勢を無視して発行価格を決めるというようなことは、これはもうできないことは当然でございます。したがって実体経済との側面を考え、そしてまた金融資産の需給状況あるいは選好というものも同時に考えてまいりまして、そのときどきに合ったやはり金融資産というものをつくっていかなければならない、これはもう当然なことだろうと思うのでございます。  そういう意味で、いわば金融商品の多様化を金利機能を中心にしていろいろやっているわけでございます。それが発行条件の数度にわたる改定になってあらわれてみたり、それはもちろん流通利回り等を十分参酌いたしましてやっているわけでございます。あるいはまたいろんな、中期債、短期債、割引債、何年物、何年物と、こういうふうになっているわけでございます。これはまた日本の金融構造を考えてみますと、御承知のように預金金利のコストが全部いま一定になっているわけでございます。この点がやはり一つ注目されねばならぬのでございまして、そういう基礎の上に立ってそれぞれの金融機関がそれぞれの実体経済との結びつきの上にいわば金融分野を構成しているわけでございます。これを一挙に崩すということになりますと、その実体経済に及ぼす影響あるいは金融市場そのものの混乱、これははかり知れないほど大きな問題があるわけでございます。これは当然なことだろうと思うのでございます。したがって、私たちは概念的に金利自由化ということ、またそれのもたらす意味を知らないわけではございませんけれども、やはり現実的な基礎のしに立ってその金利、いわゆる金利自由化と言われているものをいわば金利の弾力化という形でそのメリットをいま生かしておると。やはり当分はそういうことではないであろうか。  しかし、一方におきまして国際金融との関係か日本ではもちろんあるわけでございます。そういった面を考えますと、漸次できるだけ、国内経済の条件の推移いかんにもよりますけれども、金利自由化の方向という問題を見失ってはならぬ、これはもう当然なことであろうと思うわけでございます。したがって、金利自由化をいたしましてもさしつかえない分野につきましては、できるだけその方向でいまからやっておくこともこれまた必要なことであろうと思うのでございます。経済はいつでも流動的であるわけでございます。日本の実体経済が変わらないわけじゃなくて、大きく変わっているのでございます。そして一面におきまして、金融面でもそれに対応いたしまして私は激しいいま変化の過程にあると思っているのでございます。その激しい、国内経済的にも国際経済的にも激しい変化に対応いたしましてどのように金利を動かしていくか、まさに現実的な問題であり、そして最もむずかしい問題であると。したがって、まあおまえの話を聞いたら頭がすっきりしたなんという種類のものでは恐らくなかろうと思うのでございます。そういう非常にむずかしい現実的な問題に直面しておりまして、私なりの乏しい知恵でございますけれども、あらゆる知恵をしぼりましてこの問題に対応していく、そのように御理解願えれば非常にありがたいと思っておるわけであります。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちっともわからない。皆さんはおわかりになったかもしれませんが、どうも政府もそういうことは余り詰めて話をしていない、結局はその都度その都度主義、こういう感じしか私は感じられないんですよね。そういう形でやっぱりこの転換期を乗り切っていけるのかというと、何か余り頼りにならない。結局いままでのような御用金用達のところへ戻っていく。なるほどいま金利が下がりつつありますからその点ではいままでより楽だと思うんですけれども、これが上がる段階になったらまた昔のかたい形で終わってしまう、そんな感じがするわけですよね。恐らくもう一回公定歩合の引き下げがあるかないか、これは一つの焦点だろうと私は思います。しかしどうも政府の最近の発表から見ますと、景気は回復の方向へ来ているんだということになって、設備投資もそういう傾向にあるのか、たまたま最近ちょっと出てきたというのかわかりませんけれども、やっぱりそういう方向にあるということになると、金利が上がってくるというのも私はそう五年、六年先の問題ではなくて、やっぱりかなり近いときに金利がまた上がってくる、資金需要がふえてくるという時期というのはあると思うんですよね。そのときには一体どうするのか、そのときに考えますと、こういうことだろうと思うんですね。それならいまとにかく国債なんか買うのやめよう、金利が上がってからひとつ国債買おうじゃないかというような動きも出てくるかもしれません。  ですからそういう面で、やはりこれだけの大量国債が出るというときになれば私は政府ももう少しはっきりして、わかるような、村山さんもいまいろいろおっしゃったようなんですが、本人も果たしてはっきりおわかりになっているかどうか、聞いている方がこのくらいわからぬなら本人も十分おわかりになっておるかどうか、私もわからぬと思うんですけれども、こういう状態じゃ困ると思うんですね。ですから、この問題は私もう時間食うだけですからここでやめておきますが、いつかこれはやっぱり議論してみなくちゃいかぬことだろうと思うんですか、まあそれまでにはひとつ政府の方ももう少しわかりいい方向を考えていただきたいと、こう思うわけです。  そこで、もう時間がありませんから、まだ問題は実は三分の一ぐらいしか行っていないわけなんでありますけれども銀行の窓販問題ですね、これはこの前ここへも参考人のお方が見えられたんですが、どうも余り話がうまく合っていく方向じゃなくて反発する方向のように私は感じたんですがね。しかしこの問題はもうそういつまでもいつまでも宙づりにしておくわけにはいかぬだろうと思うんですね。特に中期国債発行するということになってまいりますと、どうしたって銀行窓販の問題だって何らかの形でけりをつけにゃならぬと思うんですけれども、これは大蔵大臣どうしますか、銀行窓販。
  38. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この問題は銀行証券会社のかきねの問題としてしょっちゅう議論されるわけでございますが、私たち国債管理を中心に考えている者から言いますと、その問題も一つの問題でございますか、同時に、国債管理のあり方という問題からもやはり慎重に検討しなくちゃならぬ問題ではなかろうか。つまり、一方においてやはり安定的な消化層、これをわれわれは求めているわけでございます。他方においてやはり国債に流動性を持たさねばならぬという問題と町方あるわけでございます。そういった両面から考えますと、一体その辺がどういうことになるであろうかという問題かございますので、目下その点を慎重に検討しておるところでございます。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ慎重に検討するのは結構ですが、この問題もかなり前々から言われておることですよね。もう恐らく決着をつける時期へ私来ていると思うんですよ。時間がありませんからもうさらにこの問題は聞きませんが、ただ私が一番心配するのは、銀行窓販のときに、この前も村田参考人ですか、おっしゃってたんですが、いままで銀行が中小企業に金を貸せるときに歩積み両建てというのは長い間いろいろ言われてきましたね。しかしそれはいまだもって解決していませんよね、歩積み両建てについては。しかし今度は銀行のポジションによって、おまえのところこれだけ金貸せるんだけれどもひとつ国債をこれだけ買ってくれということで、いままでの歩積み両建てが今度は国債に変わっていく、あるいは国債がもう一つその歩積み両建てへ組み込まれていく、こういう心配はぼくはうんとあると思うんですよ。大企業にはないと思うんですが、中小企業にはあると思うんです。こういうものをどういうふうに、いままでの悪い、制度的なものにすらなっちゃったと言っていいと思うんですが、歩積み両建てのような形にしない保証というのはどういうふうに取りつけるか、この問題はどうなんですか。何か保証がそろそろできてきているんですか。それがないと、私は銀行の窓販の問題というのは結局は中小企業をまたいじめつける材料にもう一つ材料がふえる、こういうことになるんですか、どうなんですか、それは。ぼくは非常に心配なんです、そこが。
  40. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 金融機関の両建て歩積みの問題というのは非常に大きな問題でございまして、かりに窓販が実施された場合には同じようなことが起こるのではないかという御懸念はあろうかと思いますけれども、かりにこの国債の窓販か実施されました場合には、一応窓販される国債個人消化を対象としているわけでございます。したがって一般個人の方、どちらかというと金融機関から余り借り入れのないような一般個人の方の消化か中心となっているわけでございますので、貸し出しと関連するというような場合はその面からも余りあり得ないのではないかと思います。  それから、かりに企業に余資があった場合にそれに対して押しつけ販売をするのではないかということでございますが、金融機関として国債を販売いたしますと、一回一回に手数料が入るだけでございまして、収益的にはさほどプラスにはならないわけでございますけれども、もし余資があるならば、これはもちろん両建て歩積みとなっては好ましくないわけでございますけれども、そういう形にならない限りはむしろ預金としてそれを預入していただいた方が、金融機関としては損益画からもその方がプラスになるわけでございますので、企業に対して余り押しつけ販売をするということはそういう面からはそうあり得ないのではないか、このように考えられますけれども、しかしながら、金融機関が優越した地位を利用して御指摘のように取引先企業に対しましていろいろなビヘービアに出るということは一般的には考えられることでございますので、仮にもし窓販が実施されることになりますれば、その面についても種々の規制を置きまして十分な指導を行っていきたいと考えております。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの言う個人というのは本当に企業をやってない個人ですか。ぼくはそうじゃないと思うんですよ。一切事業やっている個人には売りませんか、売らせませんか、そういうわけにいかぬでしょう。そうなると当然そういうことが起きるじゃないですか。一般個人銀行行くのは預金に行くのでね、銀行から金を貸してくれって行くのはそういないですよ。せいぜい住宅、今度は何かいま幾らかやっている教育ローンぐらいのものですよ。あと個人銀行から金を貸してもらえるなんという層というのは、どこかで事業やっている人ですよ、現実には。それは常業とか企業をやっている、あるいは商売をやっている人には一切売らないというならいいですよ。そんなことできないんですよ。そこでは売らなくても片っ方の方じゃ何とか売ると、いままでの歩積み岡建てで現にそれやってきているでしょう。この問題をはっきりさせないと私は銀行窓販というのはまた歩積み両建てをもう一つ多くする、こういう結果になると思うんでね。これはまだ窓販やるということは決まったわけじゃないですが、その辺のことをぴしっと決めてくれなければ私は窓販というのはいたずらに中小企業いじめの材料になってしまう、こういうことになっちゃうと思うんですけれどもね。これはもう強く大蔵大臣にも要望しておきますよ。その点をぴしっとしてくださいよ。いまの歩積み両建てだって大蔵省どうにも解決つかないでしょう、ちっともついてないわけだ。形式的なものは抑えているけれども実質的なものまで処置してない。これで日本の銀行は低金利政策から救われている、実効金利が高くなることによってやっと救われているんだ。そういう状態の中で今度の国債の窓販やったら、私はその面でどうそれを、断ち切る措置をしっかりつくらない限りはやっぱりやるべきじゃない、こういうふうに思うんです。  いろいろあるんですけれどもあと時間かあったらまたそちらへ返ってまいりますけれども、専売制度の関係について若干お伺いしたいと思います。総裁にお伺いをしたいと思うんですけれども、専売制度といってもたばこ事業が非常に大きなウエートを占めておりますから、たばこ事業を中心にひとつお伺いしたいと思うんです。  最近いろいろ専売制度についての議論がされているわけでありますが、総裁は専売制度の意義ですね、今日段階における恩義、これはどんなふうにお考えでございましょうか。
  42. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 御存じのように、わが国の専売制度は明治三十七年に完全専売制度が実施されましてから今日まで七十三年の歴史を持っておるわけでございます、私ども専売制度の今日的な意義といたしましては、まず第一に財政収入を確保することに役立っておる。もちろん以前に比べまして国庫の歳入のうちで専売納付金の占めるウエートは、所得税なり法人税のウエートが高まりましたし、またたばこ、酒以外の消費がふえましたので、だんだん専売納付金のウエートは小さくなっておりますけれども、なお今日地方消費税と専売納付金と合わせますと相当の財政寄与をいたしておるというのが第一点でございます。  第二点は、事業の管理計画の実行性が専売制度によって図られておるという点でございます。これは民営にいたしますと、技術開発あるいは設備投資で、それか各社によってなされますと重複してロスを生じがちでありますが、専売制度でありますためにそういう点が少ない。それから民営にいたしますと販売費あるいは広告宣伝費というものが相当多額に要ることは欧米のたばこ会社の現況から明らかであります。専売制度でありますためにそういう費用は少なくて済んでおる。また統一的な運用によりまして輸送のコスト、流通面等におきましてかなり合理化が行われておるということが言えようかと思います。これが第二点でございます。  第三点は、社会に対する公正かつ責任ある対応か専売制度によって図られるということでありまして、一つは公正な価格形成とたばこという商品の安定的な供給が図られておるということ。それから、最近は御存じのように健康と喫煙の問題がやかましくなり、あるいはたばこが火災の原因の一番大きなものである、あるいはたばこを投げ捨てることによって街路が汚されたり国土が汚染するというようなことが言われておりますが、そういうことに対しまして、専売公社という、専売制度であるために対応することに責任を持ってできておる、これが第三点でございます。  第四点といたしましては、国内の葉たばこ生産が古くから行われておりますわけでありますか、その葉たばこ生産に対しまして農政上の役割りを果たしてきておる。  以上申し上げましたような四つの点ぐらいに要約できようかとこのように考えておる次第でございます。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 総裁、分割民営という言葉を私ときどき聞くんですかね、それはどういうことなんですか。
  44. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) これは世間で言われておるところでは、独占禁止法との関係がございますので、民営会社をつくるとすれば、少なくとも数社にするという意味で分割民営と、こう言っているのだと思います。ただ、どこの国でもたばこは民営で行われておりましても、それは寡占でありまして、独占禁止法の上では独占ではありませんけれども、やはり寡占状態にあることは変わりないようです。このように存じております。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ民営論も総裁の耳に全然入ってこないというわけじゃなくて、やっぱり民営論という話もあなたの耳に入ってきていると思うんですが、これは総裁個人のお考え、泉さん個人のお考えで結構なんですが、日本の場合にもし民営に移すということになった場合、いまのところは専売公社という一つの企業体ですね。ところが、いまの分割民営なんという話もあるとなると、日本の場合にもし、これはもしの話ですよ、民営に移す場合に、一社で日本では民営でできるかどうか、こういうことを法的になんか御検討になったことございますか、これは泉さん個人として。
  46. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 一社で民営にするかどうかという点は、先ほど申し上げましたような独占禁止法との関係がございますので、仮に一社で民営にするとするならば、それは特別会社法をつくらないといけないと思うのであります。たとえばいまの、ちょっと形態は違いますけれども、日本航空株式会社法とかいったような——あれはもちろんほかの民営会社ございますけれども、国際線では日本航空だけというような意味での特殊会社法をつくらないと一社民営はできない、このように思います。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理府の方お見えでございますか。  これは私の乏しい範囲でございますけれども、どうも専売公社——これ専売公社だけに限らぬと思うんですけれども、民営論が強く出てきているというのは公共企業体等基本問題会議、これあたりから、一つの何ですか、個人個人にはいろいろ出ているだろうと思いますけれども、一つのまとまったものとしては、その辺から民営論というのが出てきているように私は感ずるんですがね。まだ答申が出ているわけじゃございませんので、いつごろ答申が出るかもあわせてお答えいただきたいと思うのですが、どうもその辺でかなりいろいろな議論がされているような感じがするんですが、基本問題会議の中ではそういう議論というのは全然されていないのか、されたことがあるのか、それだけお答えいただきたいと思う。
  48. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 公共企業体等関係閣僚会議の事務局次長でございます。  お答えいたします。  公共企業体等基本問題会議におきましては、昨年九月以来会議を重ねておりますが、専売公社部会におきましてもすでに二十回を超える会合を重ねました。審議状況といたしましてはただいま最終的な取りまとめの段階に至っているということでございます。  ただいま御質問のございました専売公社の民営という問題につきましては、確かに民営という問題につきましてただいま検討を行っております。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 議論の範囲はどの範囲までされていますか。たとえばたばこ事業というものを考えてみますと、専売公社の職員というのがおりますね。職員だけでたばこ事業ができるわけじゃありませんし、葉たばこの原料を供給する農民というものがございますね。それから、できた製品を販売するためには運搬の手段をどういうふうにするのか、小売人をどうするのか、こういう問題もございますね。それから、たとえばこういうアルミ箔をつくる、あるいはフィルターをつくるという会社もあるわけですね。それからこれは外国との関係もありますね。原料としての外国との関係、それから製品としての外国との関係、ここでは、先ほど総裁がおっしゃられた独占的な企業の力といいますかね、こういう問題との関係。こういう議論というのはどのぐらい、どんなふうにされていますか。
  50. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) ただいま先生のおっしゃいました職員あるいは葉たばこあるいは小売の関係あるいはフィルターあるいは外国原料面あるいは製品面、いずれも専売公社部会におきましては、専売公社の経営形態を論ずるに当たりまして、非常に重要なポイントだと考えております。そういう意味におきまして、ただいままでは専売公社あるいは監督官庁である大蔵省を通じまして十分伺うように努力をしてきた、このように基本問題会議といたしましては考えております。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうのはあれですか、審議尽くされたというふうに事務局ではお考えになっているんですか、まだ審議の部分はもう少しその辺してもらわなくちゃいかない、こういうふうにお考えなんでしょうか、どうでしょうか。
  52. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 審議を尽くしたと申しますといろいろ語弊がございますかもしれませんけれども審議を尽くすべく最大の努力が払われている、このように考えております。
  53. 竹田四郎

    竹田四郎君 その審議をされる場合の材料ですね、材料は専売公社からかなりいただいているんですかどうなんですか。専売公社からの資料ですね、通じ方はいろいろあると思うのですけれども、専売公社がつくった資料、こういうものでは相当討議の資料になっていましたかどうですか。
  54. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) ただいま基本問題会議といたしましてはまだ最終結論を出しておりません段階でございますので、論議の内容に至りますと、若干この席で私といたしましても申し上げにくい点があることは御了解願いたいと思うところでございますけれども、ただいまおっしゃいました資料の点につきましては、先ほど申し上げましたように、監督官庁である大蔵省を通じまして、また一部につきましては専売公社から直接に必要な資料をいただいていることはございます。
  55. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵省の方も専売公社の方も、どんな資料をお出しになったか私どもに提示していただけますかどうですか。詳しいその内容まではいいですけれどもね。こういう資料、こういう資料、こういう資料というものを、これはおたくの方でなくていいですよ、提示した側がひとつ私どもに示していただけますかどうですか。これは専売公社と大蔵省の監理官、ひとつそちらからお伺いしたいと思う。
  56. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 伊豫田審議官の方から御説明がございましたように、この公共企業体等基本問題会議におきまして、専売公社の経営形態部会の資料といたしまして、専売公社経営の現状と問題点ということにつきまして、五十一年の十一月から五十二年の五月までの間、資料を出して御説明をしたわけでございます。これはあくまでも説明はすべて事実の取りまとめでございまして、経営形態について大蔵省としての意見はどうあるべきかということについては一切述べてないわけでございますが、その資料につきましては、現在なおまだ公企体の方で審議されておる段階でございますので、御遠慮さしていただきたいと思います。
  57. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 私どもの方は、資料は原則として監理官を通じまして公共企業体等基本問題会議の方に提出いたしておりまして、直接提出いたしましたのはきわめて簡単な数字の確認だけでございます。その点は、その数字等の内容につきましては、先ほど大槻監理官から申し上げましたように、公共企業体等基本問題会議においてなお審議中でございますので、ここでその資料の中身を申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  58. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は資料の中身でなくていいんです、資料の目録ですね、こういうものを出していただけますかどうですか。
  59. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、公共企業体等基本問題会議は現在なお審議中でございますし、そういう資料を提出いたしておりますような例も余りございませんので、お許しをいただきたいと存じます。
  60. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はどうも基本問題会議の議論というのが、出発点ですね、この出発点は、総理府の人に伺うんですが、いわゆるわれわれの言葉で言いますと、公労協にスト権を与えるか与えないか、これが問題の発端であったんじゃないですか。どうしてこの基本問題会議で経営形態の議論にいったのか、その辺の経過が私よくわからないんですよ。私自体がそういう組合に所属していればあるいはよくわかるかもしれませんけれども、所属していませんからね。スト権問題からどうして経営形態の問題まで入っていったのか、どうもその辺がすっきりと落ちていかないんですが、なぜそこへ行かざるを得なかったのか、その辺の経過を少しお知らせいただきたいと思うんですが。
  61. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 争議権問題につきましては、長い経緯がいろいろございますことは御承知のことと思いますが、五十年の暮れに閣僚協議会のもとに設けられました専門委員懇談会というところで、争議権のあり方についての意見書が提出されております。その提出された意見書に基づきまして、閣僚協議会は、その指摘した諸点について検討をすることになっておりました。その中に、ただいま先生のおっしゃいましたように、経営形態について検討することが入っているわけでございます。もちろん経営形態につきましての検討は、端を争議権問題に発していることは事実でございますが、むしろ経営形態を検討をいたしましたその結果が争議権問題にはね返るような性格のものでございまして、そういう意味で端を発して、経営形態問題についての検討というものを閣議で決定いたしまして、それに基づいて基本問題会議か発足したことは事実でございますけれども、経営形態を検討するに当たりましては、むしろスト権の問題を.離れて、経営形態のあり方を真っ正面から取り上げる、その結果が経営形態を通じまして争議権問題に結果的に影響を及ぼすものと、こういうふうな経過でただいま経常形態問題についての検討が行われているわけでございます。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 その辺が私どもよくわからないんですね。何かスト権の問題にかまけてそして民営論が出てきた。じゃ民営論是か非か、最後に返るところはやっぱりスト権問題に最終的には返っていく、そのときは民営になろうがなるまいがそんなことは関係ないというような問題のような気がしてしようがないんですが、これは当の担当の総裁として、私はこれは納得できないんですよ。問題の発端はスト権問題でしょう。国全体のすべての関係企業が、民営が正しいか政府機関が運営するのが正しいのかという議論なら、その中で専売の問題が一つあるから、民営論も議論しようじゃないかというならこれはわかるんですよ。スト権問題が出て、その脇へ来たのが何か大きくなって、最後はまたスト権問題に返っていく。非常に私は、民営論を議論しているのも純粋性に欠けるような気がするんですよ。  だから民営論というものが本当にたばこ事業全体として事細かに議論されているならいいけれども、最終的には、いま専売公社の職員四万人くらいでしょう、その人たちの問題だけに返っていくというあり方ですね、食い散らかして帰っていくというような感じがして私しようがないんですよ、この問題は。だから、公共業体のストライキの問題とは一切切り離して民営論をやってみる、これは私は十分価値があると思う。どうもその辺が、何かひっかけられた、悪い言葉で言えばひっかけられたというような感じがしてしようがないんですけれどもね。総裁、ここでそういうことをおっしゃられることが、本心をおっしゃられる立場にあるのかどうか、大蔵大臣の前で言えるかどうか、それはわかりませんけれどもね。どうもそこが私はこの問題について腑に落ちない。純粋に経営問題として経済論として民営論をやるならいいけれども、何か本体はスト権問題、スト権問題にこの民営論か出てくるというのは、どうも私は納得できないんです。  それで、これは総裁に聞きたいと思うんですが、いま民営論、民営にすると言ったらどんな問題が出てきますか。それは一朝一夕にそう簡単に私は民営にいくとは思いませんけれども、基本問題会議も民営論ということが決まりまして、政府の決定も専売公社はもう民営だというふうな決定が出たときに、どんな問題が出てきますか、ちょっとその辺をおっしゃってください。
  63. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) いまお尋ねの問題にお答えいたす前に、先ほど伊豫田事務局次長からお話がございましたように、五十年の暮れのときのスト権ストの際に、閣僚会議専門委員懇談会の意見書か出されました。その意見書におきましては、現行経営形態のままではスト権を認めることはできない。そのうち、専売事業のごときは民営になじみやすいものであるというような意見書が出されたのであります。今回の公共企業体等基本問題会議は、その専門委員会懇談会の意見を受けまして、そこから経営形態を論議しようというような話になってまいっております。いま竹田委員のおっしゃるようなふうな解釈をされる方がいろいろ出てこられると思うのであります。  いまお尋ねの、私どもは基本問題会議に対しまして意見を求められまして、昨年の十一月一日に私参りまして、私どもとしては基本的には現行専売制度及び公社制度を存続していくべきであり、ただ時代の推移につれて適当でないものがありますので、それらの点については改善を図るべきであるという意見を申し上げたのであります。  もし、仮に民営に移行するということになりました場合には、いろいろ問題があるわけでございますが、第一は、先ほど申し上げましたように分割民営ということになりますと、公社資産を再評価して民常会社に払い下げることになるわけでありますが、これは固定資産等は帳簿価格がありますので、それを基礎に何らかの倍率を乗じて評価すればいいでありましょうけれども、特許権とかノーハウであるとかあるいは販売網、流通網等の問題につきましては、なかなか評価が困難であろうかと思っております。  それから、払い下げをするにはもちろん相当多額な民間資金が動員されないといけないわけでありますが、果たしてそのような多額な民間資金が集まるかどうか問題があろうかと思います。場合によったら現物出資というような形になるようなことも考えられるのではなかろうかと思うのであります。  それから、分割民営にいたしますと、現在専売公社はシガレットだけで約三十数種類の銘柄を出しておりますが、どの会社がどのブランドを取るのかということ、これか大変問題でありまして、売れ行きのいいものはどの会社ももらいたいだろうし、そうかといって同じ会社に分けることのできるブランドというものは限られてくると思いますので、ブランドをどういうふうに分けるかが問題であります。  それからまた、この分割民営というときに地域を決めるということかできるかどうか。やはり民営会社でありますから、全国に向かって販売していく必要があるわけでありまして、もし地域を分ければ東京とか大阪といったような大都市をもらった会社が得になりまして、そういうことがなかなかできにくい、そういうことかございます。  それから第四点といたしましては、御存じだと思いますけれども、現在のわが国の国産葉は、国際的なたばこの値段に比べましてかなり割り高になっております。したがって、民営会社になりますとそういう割り高な葉っぱを購入して外国と競争することはむずかしくなります。国産葉を買わないということになりますと、現在十二万の耕作者が古くからたばこ耕作をいたしておるのでありますが、そのたばこ耕作の継続が困難になる。これは農政上ゆゆしい大きな問題になろうかと存じております。  それから、民営会社になりますと、販売店が全国に二十五万ございますが、その販売店がいまは免許制度になっておりますけれども、それかどうなるのか。もし免許制度は外されて、どこでもたばこを売っていいというようなことにでもなりますと、これは販売店は補償の要求をするでありましょうし、これまた大きな問題になってこようかと思います。  さらに、専売公社の職員及び関連産業に働いておる者が非常にたくさんおるわけでありますが、職員は現在身分保障を与えられております。また、共済制度の福祉等につきまして既得権を持っておるわけでありますが、そういったものをどうするのか、これまたなかなかむずかしい問題になろうかと思うのであります。  さしあたりそのような問題がございますし、そのほかに、先ほど申し上げましたように、現在世界のたばこ市場は寡占状態にありまして、巨大資本による支配が浸透してまいっておるわけでありますが、わが国がもし民営にするということになりますと、そのうちのある会社には外資が入ってまいりまして、その巨大資本のもとに動かされるというような事態も心配しなければならぬというふうに思うのでございます。
  64. 竹田四郎

    竹田四郎君 あと二問で……。  事務局の次長さん、いま総裁のお話を聞いてますと大分むずかしいんですね。経常だけ移すといったって国際的な競争の問題もある。できた会社がすぐつぶれちゃうというような状態じゃ、これは何のために民営にしたかということになりますわね。そのこと一つとってみても大変困難だと、だから民営は困難だと。これはおたくの基本問題会議で民営論といっても、結局政府の方にその答申が返ってきたときには、やっぱりこれは民常はなかなか困難だ、金もかかるわい。こういうことになってこれは民営困難だと、だからスト権もだめなんだというところに問題を返していく、民営論だけ出してあとは結局何もかも同じだと、論議だけが残った、こういうふうになる心配が私はあるような気がしますけれども、そういうことには絶対ならないんですかどうですかね。私は見通しとしては結局民営論はむずかしい、だから民営にはできないんだ、だからスト権はだめなんだ、そこへ何かもうレールが引かれているような気かしてならないんですがね。その点について、そうはならないんだという明確な根拠を示していただければ私も民営論に賛成するかもしれません。  それから、あと大蔵大臣にひとつ聞いておきたいんですが、負担率の問題ですね、納付金の負担率。これは恐らく公社と大蔵省との覚書によっていまもやっているというふうに私は思っているんですが、もし変わっていたらそれは御訂正いただきたいと思うんですが、これがただ単なる公社と大蔵省だけで勝手に決められると、しかも、たばこの値上げというのがそれには必然的についてくるだろうと思うんです。いま益金が公社のがどんどん下がっていますからね。そうなってくると、こういうものがそういうただ公社と大蔵省の間の覚書程度でやったもので、それが政府の売るたばこの値上げに直接はね返ってくるというようなあり方というのは、私は余り明確なあり方じゃないと思うんですよね。だからその負担率というのはやはり法制化を私はすべきだと、法定して負担率はこうなっているんだからということではっきりさしていく、こういう必要があると思うんですが、この点について大蔵大臣のお答えを承りたい。  以上の二問です。
  65. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまおっしゃったのも一つの案だと思いますが、実際上は定価値上げ法によりまして、結局負担率という問題は全部限度が決まってくるわけでございますので、その点をはっきりさせればなお結構であろうということで、やはり一つの検討問題であるとは思います。しかし、実際は価格を幾らにするかということで、その中で全部決まるわけでございます。経費はわかっております。たばこ消費税はわかっておるわけでございます。それで内部留保は、ある程度言ってみますれば公社に対する内部留保をどのようにするか。それからあと専売納付金幾らにするかという、そこの内部の関係だけの問題であろうと思うのでございます。それをはっきりさせるための一つの構想といたしまして、消費税構想というのが出ているわけでございます。ですから、私はまあ純技術的に申しますと、たばこ消費税という形も一つあるだろうし、あるいはたばこ消費税に代替するものとしての納付金という考え方もあるであろう。まあ税という形をとった場合の方が一般の方にはわかりやすい、そういう問題ではなかろうかと思っておるのでございますが、いずれにいたしましても、いま基本問題調査会で土台から論議されているわけでございますので、それらの答申を待ちまして私たちの対応を決めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  66. 伊豫田敏雄

    政府委員伊豫田敏雄君) 経営形態と争議権問題との結びつけの問題につきましては、ただいま最終的な審議を重ねておりますので、私からただいまの先生の御質問に対してお答えする立場にございませんので、御了承願いたいと思います。  なお、事務局といたしましてはただいまの御意見あるいは御質問ということを十分承っておきたいと、このように考えております。
  67. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前の質疑はこの程度とし午後一時三十分まで休憩いたします。  午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  68. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵省委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、井上計君及び渡辺武君が委員辞任され、その補欠として中村利次君及び山中郁子君が選任されました。     —————————————
  69. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますか、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事中村利次君を指名いたします。     —————————————
  71. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前に引き続き、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を.願います。
  72. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、財政特例法の審議に入ります前に、佐世保重工の問題について大蔵大臣に一言お尋ねをしておきたいと思います。  新聞の報道等では、福田総理からお話があり、大蔵大臣も佐世保重工の救済について、金融機関に対する要請等の動きがあるやに聞いておるわけでありますが、現状はどういう方針でやっていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  73. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 佐世保重工につきましては、造船業という、かなり大きな造船業でございますが、しかも陸上部門か余りないということで、ここのところ構造不況業種としての影響を受けているのでございますか、とりわけ佐世保市の中の、恐らく出荷額を入れますと五〇%を超えるのではないかというくらい大きな地域産業でございます。また、従業員の数も六千数百人に上っているわけでございまして、これかどうなるかということは地域産業に非常に大きな問題を及ぼしますし、同時にまた、雇用問題にも大きく影響を及ぼすところでございます。そういう意味から申しまして、われわれは、構造不況業種の審議会がいま持たれようとしているのでございますけれども、その間、金融機関を指導する金融当局といたしましてどのような支援体制が可能であるか、こういうことをいま詰めておるところでございます。  一万におきまして、株主の側も先般運輸大臣のあっせんによりまして会合か持たれまして、ようやく更生会社にはしないという決意か固まり、株主相互間で何とかこれを再建しようじゃないかという意思が固まりつつありますので、その辺のところと歩調を合わせながらできるだけの支援体制を詰めてまいりたいと、目下そういう状況でございます。
  74. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 御存じのように、佐世保重工に対しましては原子力船「むつ」を当工場で修理をする問題につきまして、これを受け入れるか受け入れないか、あるいはその受け入れの場合はどういう条件かと、こういうことが問題になっているわけでありますが、いまの大蔵大臣お話では、佐世保重工に対する支援というものはそういうこととは関係なしに、一応構造不況業種であり地域に対する影響を配慮してはかの場合と同じような考え方であると、特に「むつ」を意識しての総理からの特別 指示ではないと、このように判断をしてよろしいんでしょうか。
  75. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) そのとおりでございます。  原子力船「むつ」の問題も、私も間接耳にしておるのでございますが、それは全く別個の問題だと考えております。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この際、私は大蔵省の方針を承っておきたいと思うのでございますが、先般永大産業の倒産があり、それに伴う救済のために大和銀行等がかなり努力をしたと。私たちもそういう点から、たとえば永大産業の社債を買っている人、あるいは外国で売られた外債に対する信用を保つために金融機関金融支援をしていくと、こういうことはそれなりに大事なことであって、決してそれを否定するものではないわけです。したがって、今回の佐世保重工の支援もこれは大いにやってもらわなければならない。しかし、一方においてはやっぱり銀行の預金も預金者の預金ですから、そういう点でおのずから銀行のやるべき限度というものは筋を引いておかなくちゃいけないのではないかと思います。  よく言われることは、銀行は小さな中小零細企業には非常に冷たいけれども、大きなものになってくると非常に想像もできないような援助をすると、こういうような声も聞かれるわけでありますが、こういう金融機関の支援の限界というもの、社会的責任ということと、それと一方では預金者の保護と、そういう観点からその原則というものはどういうものであるのか、これを承っておきたいと思います。
  77. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 不況に直面している企業に対する金融支援の問題でございますが、現在大蔵省といたしましては金融機関に対しまして、現在のような不況下において安定成長経済体制に軟着陸すべく懸命の経営努力をしている企業に対して極力金融の面の支援を行うことが当面の最大の責務の一つであるということで指導しているわけでございます。取引先の企業が経営が困難になったからといって直ちに融資を投げ出すということでは、金融機関の公共性から言っても非常に問題でございます。しかしながら、他面において、委員も御指摘のように、金融機関は私企業でございますし、何よりも大事な預金者の預金を運用しているわけでございますから、預金者保護の観点からもそこに限界があるわけでございます。問題は、その限界をどのように見きわめながらぎりぎりの線で企業を支援していくかということでございまして、このためには従来にも増して企業の実態の見きわめが大切になってくるわけでございます。その企業の属している業種の全体の動向であるとか、あるいはその企業の再建計画、経営計画資金計画、さらには経営者としての資質等、各方面から綿密に勘案いたしまして、もしその企業が、たとえ、かなり経営の困難に直面しておりましても再建の見通しがあるならば、現在のような安定成長経済下でございますから、いままでよりも長期にわたることか考えられますけれども、ある程度長期間にわたっても再建の見通しのあるような企業については、これはぎりぎりの線まで金融的にこれをバックアップして再建に持っていくことが必要である、このように指導をしているわけでございます。  こういう点で、まあ金融機関の今後の融資に当たりましては従来以上のきめの細かさを持って当たることが必要ではないかと考えております。この点につきましては、対象が大企業であると零細中小企業であると全く同じであると、このように考えております。  特に零細中小企業につきましては、このような民間金融機関からの支援のほかに、御承知のとおり中小三機関からは中小企業倒産対策緊急融資あるいは中小企業為替変動対策緊急融資等の制度がございますし、さらにそれ以外の不況に直面している企業につきましても、既往金利の引き下げであるとか、あるいは信用保証制度の特別等のいろいろの措置があるわけでございまして、このような民間、政府両面の金融措置を活用することによって極力企業を支援してまいりたいと、このように考えております。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ただいま銀行局長から、再建の見通しがある場合はぎりぎりまで援助をしていくと、そして、その点については大きな企業であろうが小さな企業であろうがそういう差別はないと、こういうことでございますが、そういう方向で中小企業や弱いところに対してもひとつできる限りの援助をしていくように、国民から批判を受けないようにやっていただきたい、このことを大蔵大臣にも要望しておきます。  それでは次に、当委員会におきまして本法案の審議の過程でもいろいろ問題になりましたいわゆる中期的な財政計画の問題でありますが、大蔵省は近くこの中期的な財政計画をつくる検討作業に着手をする、このような報道がなされておるわけでありますか、これは事実であるのか、今後おおよそのスケジュールとしてはどういう計画で進めるのか、その点をお伺いいたします。
  79. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 財政計画というものはどういうものであるかという点についてもいろいろ御議論があるわけでございますか、まあ財政計画と称し得るようなもの、つまりかなり具体的に歳入歳出について毎年度ごとの内容も織り込んだ財政運営の予定を示すといったような、そういうものをつくるということになりますと、これはもうたびたび申し上げておりますように、長期的に年度ごとの経済あるいは社会情勢の見通しをつけなければならない、これが前提になるという困難な問題がございますし、それから経常経費か既得権化する、かえってその結果財政の硬直化を招くといったような懸念もあるわけでございまして、問題があることは繰り返し申し上げてきたところでございます。したがって、現在ただいま早急に財政計画をつくる、策定、導入するということは困難でございまして、具体的な策定スケジュールということをお話し申し上げる段階ではないわけでございますが、しかし、中期的な展望を持って財政運営に当たるという必要については、もうしばしばこれも申し上げているとおりでございまして、そういう観点からの勉強は続けなければならない。  すでに五十一年度以来、財政制度審議会にも小委員会をつくってそういう検討をお願いしておるわけでございますけれども、財政計画を含め財政運営の中期的展望のあり方について今後ともわれわれも勉強を続けてまいりたいと考えている次第でございます。
  80. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 当委員会の今日までの御答弁を見ましても、国債個人消化というものが年々非常に急速にふえているわけであります。これは証券会社もかなり国債消化に努力もしてきたと思いますし、しかし一方、やはり金利が非常に下がるという金融緩和の状況もその背景にはあったんではないかと思います。  そこで、今後、発行条件のいわゆる弾力化とか国債多様化とか、そういうことが当然進められるとしても、今後の金融情勢の変化等を考慮した場合に、多量の国債消化というものに心配はないのか、どういうことを将来に想定をしてその対策を考えておるのか、この点をお伺いいたします。
  81. 田中敬

    政府委員田中敬君) 委員も御承知のとおりに、個人消化面だけをとらえてみますと、昭和四十年に国債発行して以来、年々一〇%前後の個人消化率であったものが、ここ一両年急速に個人消化が促進してまいりまして、五十二年度におきましては二〇%を超える個人消化率になっております。私どもは、国債管理政策を考えます場合には、個人もそうでございますが、非常に安定した保有層の開拓というものが一番大事でございまして、その意味におきましては個人消化の促進をさらに図ってまいりたいという基本的な考え方を持っております。諸外国におきます個人消化個人の保有割合というものが、いろいろ国によっても違いますが、大体三〇%近くいっているのが例でございますので、わが国も大体それらのところにいったかと思っております。  個人消化をしからばどこまで促進したらいいのか、発行する国債の何割ぐらいが個人消化率の適正なものかということはなかなか物差しかございませんので、私どもまだこれは確たる見解を持ち得ておりませんですけれども、いずれにしましても、個人消化というものは安定消化先であるという意味において一層促進してまいりたい。個人消化促進のためには従前とも発行条件を弾力化しまして、市場実勢に合う、そして商品を売られる証券会社個人に対して魅力ある商品として売っていただけるような措置発行条件面でまずとってまいりますとともに、個人消化の促進のためにいろいろ特別マル優制度でございますとか、あるいはまた小額券面の発行でございますとか、累積投資制度の創設でございますとか、いろいろ力を尽くしてきたわけでございます。特に最近におきましては、割引国債という個人向けの商品も開拓いたしましたし、また今後もそういう意味におきまして国債種類多様化を図って、個人のニーズに応じた商品というものを考えてまいりたいと考えております。  将来におきまして、さらにもっと先を展望いたしますれば、個人の方でも換金を希望する方もございましょうし、その際キャピタルロスが出るとうのが一番個人にとってはこわいわけでございますので、それらを防ぐためにどういう措置をとったらいいか。たとえば公社債市場を非常に拡大安定化して、一体的に、長期の国債というものが短期金利に左右されて変動し過ぎるのがわが国公社債市場の、特に長期金利の特徴でございますが、そういう変動がないように、今後の金融調節の手段といたしまして、中短期の公社債市場を拡大して、長期市場とある程度分離して、金利の連動性が少なくなって、長期国債を持っておられる方には安心してそれが持っていただけるというような環境をつくることも必要だろうと思っております。  いろいろ国債管理政策上は今後やらなくてはならない問題点がたくさんございますが、いま申し上げたような観点から、できるものから逐一着実に実行してまいりたいというふうに考えております。
  82. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、国債発行条件の弾力化の問題でありますが、今日までの推移を見てまいりますと、いわゆる市場の利回りが低下をしたために、いま応募者利回りとの違いは非常になくなってきておるわけでありますが、非常に市中の金利がどんどん下がるときには速やかに対応しておるわけですね、いままでの国債発行条件ですね。ところが、非常に市場の利回りが上がるときにはなかなか発行条件が対応していない。どうしても人為的な調整が行われてきておると、こういうような姿があるわけでありますが、今後、いまのような金融緩和から非常に金利も上昇していくと、こういうような情勢になったときにも発行条件というのは速やかに対応していくと、このように理解をしていいわけですか。
  83. 田中敬

    政府委員田中敬君) 国債管理政策の面だけから見ますと、一般的に国債管理政策というものは何だということでございますが、これはできる限り財政負担を小さくして、そういうことを図りながら、一方で国債国民経済各方面に無理なく受け入れられるという体制を国債発行消化、流通、償還、あらゆる局面を通じて図っていくというのが総体的な国債管理政策のあり方だろうと思います。  いま御質問の国債金利、一般的な市中金利が上昇する場合に、いままで金利下降面においては国債発行条件はそれに対応してきたけれども、上昇局面において国債発行条件の改定が弾力的にタイミングを失せず行われるかという御趣旨と存じますが、私どもは、やはり一方で財政負担ということも考慮しながら、しかしながら国債というものが市中の実勢に合った金利でなければ消化していただけない。また、そういう金利に耐えながら国債発行していかなければならない財政の面がございますので、私どもは今後上昇局面が起きたときも下降局面と同じように平等に弾力的に対応してまいりたい。  しかしながら、非常に金利が高くなるというときにおきましては、おのずからその金利裁定によって私ども国債発行というものを無理をして行うということはできない局面にだんだんなるわけでございまして、今後民間資金需要が出てまいりまして、非常にそこで金利上昇局面が起きるということになりますときは、おのずから財政政策として財政が一歩退いて、民間にその需要創出面の効果を担っていただくということで、むしろ金利の弾力的な対応と同時に、その際にはおのずから国債発行量に歯どめがかかると申しますか、むしろ発行量を調整していくということも考えていく。それらによってその局面は調整しながら乗り切れるんではないかというふうに考えております。
  84. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、いわゆる公募入札制という問題ですね。こういう方向大蔵省内でも新中期国債発行を検討しておると。そして近く三年の利付国債公募入札発行するように検討中であると、このように聞いておるわけですか、大体今後の方向としては、徐々にすべての国債について公募入札方向でいく。それは金利上昇局面になってもこの方向は変わらない、そのように理解してよろしいわけですか。
  85. 田中敬

    政府委員田中敬君) 御指摘の、考えております新中期国債につきまして、これを三年物に限るとか、あるいは公募入札制の方法だけによるということはまだ決定いたしたわけではございませんで、国債種類多様化という観点からいたしますと、二年、三年、四年もございますし、十年以上の十二年、十五年というものもございますし、それから多様化の一つの方法としまして、発行方法も入札にするかあるいはシ団引受方式によるかというような問題もございます。あるいは利付国債、それから割引債、いずれにするかというようなものもございまして、まだそこいらは調整中でございますので、いま御指摘の三年債を公募入札でやるということが決まったという前提でなしに、もしそういうことをやったとしても今後ほかのものにどう及ぶのかという御質問と了解してお答え申し上げますが、私どもは、けさほども竹田委員から御質問かございまして、弾力化、自由化の問題といたしまして、長期債につきまして依然シ団引受方式で従来の方法をとっている。それから、もし新中期国債公募入札によると、そこでは確かに金利の一部自由化のようなことが行われると、どうも政策に整合性がないんではないかという御趣旨の御質問いただきましたけれども、私どもいまの日本の金融構造を考えます場合には、国債種類多様化という観点から公募入札制なり年限の短い国債を今回行いたいということを考えておりますが、これは全面的な金利自由化への促進剤として公募入札制を考えるというふうには、そこまで踏み切っておりません。事実、けさ銀行局長が申しましたように、部分的金利自由化によってできるものからだんだん無理なくやるという、御趣旨はそうであろうと存じますが、今回の措置はそういう自由化を目的とするということでなくて、国債種類多様化という意味での入札制あるいは中期債発行でございます。  長期国債につきましては、やはり十兆円を超えるような大きなロットのものを、いま市中に公募入札によって発行するということは、財政の負担の問題の見通しのこともございますし、なかなか困難であろうと思いますので、国債大量発行が今後中期財政見通しによりましても相当期間続く間、やはり国債消化の大宗というものは現在方式シ団引受方式ということを堅持してまいりたいと考えております。いわゆる長い国債についてはそうでございますが、一方短期国債、いわゆるTBでございますが、これもやはり現在は公募入札制はとっておりますけれども、これは国で発行条件を決めましたものをどなたが買っていただけるかという形で公募入札をいたしておりまして、一部が一般に公募され、残額は日銀が引き受けるというのが現在のTBの発行方式でございます。これの入札制ということになりますと、これは本当に金利体系と申しますか、非常に大きな問題になってまいりますので、私どもは現時点におきましては、そういう現在の十年債というような長期国債と、それからTBにつきましては、いわゆる入札制ということは当分踏み切れないというふうに考えております。——いまお答えの最中にTBにつきまして公募入札と申しましたか、これは定率公募と申しまして、国の方で発行条件が現在でございますと公定歩合の〇・一二五%下がTBの金利ということになっておりますので、その金利を示しまして、来週たとえば何千億TBを出しますということを公告をいたしまして、それをその率で買う希望者があればそこに売っておるという方式をいまTBでとっておるわけでございますが、これの金利を入札で決めるというようなことは、財政負担その他いろいろ問題がございますので、現在は考えておりません。
  86. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今後金融引き締め期となって国債の換金の動きが大きくなって、国債価格は下落をする場合があるんじゃないか。そういうときに政府としてできるだけ、先ほど話かありましたように、いい条件で財政資金かより多く獲得できるようにするためにはどうしても買い支えをする必要があるんじゃないかと、そういう機関をつくるというような話が新聞にもちょっと出たことがあるわけなんですか、そういう場合政府として、そういう機関をつくるつくらないは別としても、日銀等がそれを買い支えをするとか、そういうようなことはあり得るのかどうか。そういう点はどうなんですか。
  87. 田中敬

    政府委員田中敬君) 国債の価格支持のために相当多量の資金を投入して買い支えをするかどうかという問題でございますが、私どもは金利の一般的動向に反してまで国債の価格を定位に維持するために買い出動をする、買い支えをするというのはいかがかと存じております。  アメリカに先例がございまして、アメリカのトレジャリーと準備制度との間におきまして、アメリカ政府が当初国債の価格支持をして財政負担を少なくしようという方向からもっぱら買い支え政策を続けた時代がございましたが、連邦準備制度金融政策との観点でつまづきが生じまして、両者間で協定、コードを結びまして買い支え政策にむしろ歯どめをかけたという事例もございます。そういう点から、私どもも単に財政負担を少なくするために無理な買い支えをするということは金融調整手段としてもおかしゅうございますので、そこはやるべきでない。むしろ日銀が出動してそういうことをすれば、かえって資金供給のマネーサプライの増を来してインフレのおそれも出てくるということでございますので、そこは節度あることでやらなくてはならないと存じておりますが、しかし、何らかのはずみで一部の保有者か国債を故意に市中に放出するとかいうようなことでの乱高下がありますような場合には、これは適正な買い支えをすることも必要であろうと考えます。  いずれにいたしましても、これは金融政策、金融調整下段の問題でございますので、金融当局である日本銀行と相談をしてやるべき問題であり、その際には国債整理基金で持っております金かどういう役割りを果たし得るかということも十分今後検討に価する問題と思っております。  新聞に報ぜられておるということでございますが、私ちょっと記憶ございませんが、いまのところさしあたってそういう国債価格支持のための特別の機関と申しますか、会社と申しますか、資金と申しますか、そういうものを創設するつもりは現在のところございません。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 政府資金を大量安価に調達をするという目的とインフレを抑制するという目的はお互いに相反するものでありまして、そのあたりどちらをより優先さしていくかと、こういうことが私たちも非常に将来の問題として心配をするわけなんですが、アメリカにおいては先ほど話がありましたように、一九五一年三月に財務省と連邦準備制度の意見の対立をまとめてアコードというものが成立をした。私はアコードの内容詳しくは知りませんけれども、やはりこのような大量国債発行が今後も続く中で、将来のために日銀あるいは政府と、そういうものも含めてアメリカのアコードあるいはそれ以上にもっと進んだものが必要かもしれませんか、一つの国債管理政策と申しますか、こういう方針が私は必要じゃないか、このあたりがやっぱりインフレを防ぐために非常に大事な問題じゃないかと、このように思うわけでありますが、そういういわゆる国債管理のビジョンと申しますか理念と申しますか、そういうものはどうなんですか。どういうものと判断していいわけですか。
  89. 田中敬

    政府委員田中敬君) 冒頭にも申し上げましたように、国債管理政策というものはいろいろの面を含んでおりまして、財政負担の問題であるとか、国民経済とのうまい溶け合いと申しますか、うまい溶け合いと申しますのはいわゆる金融政策あるいは財政政策、そういうものがすべて整合性を持って行われるという究極のところが国債管理政策のエッセンスであろうと思います。  いま御指摘の金利高騰場面あるいは国債価格下落場面における将来の対応策ということは、これはまず一義的には金融調節の問題であろうと思いますけれども、私ども国債管理当局者のいたしまして考えますことは乱高下、そういう意味の乱高下が起きた場合のことを考えます前に、乱高下か起きないようにする方法というものがまず国債管理政策として先に着手すべきであろうと思います。その乱高下が起きないようにするためのでは方法は何だろうかということになりますと、やはり金融情勢いかんにかかわらず、安定して国債を保有していただく国債の安定保有層機関投資家でございますとかあるいは個人でございますとか、そういうものをまず育成していくこと。それから今度は、そういうことが行われたといたしましても、なお流動化してくる国債の受けざらとしての公社債市場の拡大安定化、しかも、先ほどちょっと申し上げましたように国債というものが十年の長い長期債でございますが、日本の長期金利構造というものか非常に短期金利に左右されているというような現在の市場構造でございますので、やはり長期の国債、いわゆる長期債については安定的な金利か維持できるように現在の公社債市場をもう少し工夫する方法はないだろうか。拡大安定と同時に、市場の中というものを長いものと短いもの、中ぐらいのものというようなものに分けて、金融調節がそこでうまく行われることをまず先に工夫するということが、いわゆる将来の国債の価格に対応する方法の前提であろうと思います。その上で、なおいろんな乱高下かあったときどうするかということは、その局面で金融政策当局とよく打ち合わせて整合性を保ってやっていく。原則的、非常に抽象的でございますが、大体そんな方向で運営をしてまいるべきではなかろうかというふうに考えております。
  90. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、ともかく金利の一般的動向に沿っていくわけで、特に乱高下というか、投機的な乱高下とか、そういうとき以外は特に買い支えをするとか、そういうようなことは今後ともやらないと、米国のようなことは繰り返さない方針であると、このように理解していいわけですね。
  91. 田中敬

    政府委員田中敬君) 絶対にやらないかどうかということになりますと、そのときの金融局面なり経済情勢がどういうふうになっておるかということにもよろうと思います。たとえば、急速に経済が上昇する局面で成長通貨が非常に必要であると、その成長通貨供給手段としてそこに国債が何らかの形でクラウディングアウトされて市場に出てくる、それを救うということがいわゆる成長通貨の供給範囲内であればある程度それを買い支えるというようなこともあろうかと思います。そういう意味におきましては、なかなか、絶対にやらない、やるべきでないとはここで断定できませんが、私自身はやはり国債の価格、国債の条件というものは一般金融情勢、金利実勢に反すべきでない、これがじりじり上がるなら国債発行条件も上がるをやむを得ない、それが財政負担が耐えられないということなら、そこで国債発行の歯どめをすべきであるというのが原則であろうと考えております。御指摘のように乱高下の場合には何か手を打たなければならないけれども、実勢を無視しての価格支持、買い出動というようなことはやるべきでないというふうに考えております。
  92. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 アメリカでは連銀の国債保有の限度を法律で決めておると、このように聞いておるわけでありますが、日本銀行の買いオペに対しては歯どめは必要ないのかどうか、現在歯どめがあるのかどうか、その点はどうなんですか。
  93. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 現在日本銀行において国債等の買いオペをやっているわけでございますが、これは経済成長に必要な通貨の供給を目的としているわけでございまして、そのときどきの金融情勢に応じまして金融市場全体を適切に調整するという見地から買いオペを行っているわけでございます。したがいまして、国債価格が下落するからといって買いオペをしろというような、要するに国債の価格支持政策という見地からの買いオペは行っていないわけでございます。したかいまして、買いオペの額自体を規制する必要は、このような日銀のオペレーションの性格から申し上げまして必ずしも適当ではないわけでございますが、しかしながら、当然日銀がオペレーションを行う場合には、いま御指摘のように、インフレその他経済の動向を十分に勘案しながら、適切にマネーサプライが行われるように実施していくことが必要と考えております。  なお、委員の御指摘のアメリカの連邦準備法の関連でございますが、これは政府との、国債を直接買い入れることにつきまして五十億ドルの限度が設けられておりますけれども、連銀が金融調節を目的といたしまして市場で買い入れることについては特に制限がないわけでございまして、これは現在日本銀行が行っていると同じ性格のオペレーションにつきましては制限が置かれていないわけでございます。
  94. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、財政特例法の関係の質問はあと一問だけお尋ねをいたしますが、先般当委員会で参考人の方々の御意見の中で、いわゆる銀行の窓販問題で、証券業界としてはどうしても銀行が窓販をやるようになれば結局市場か二つできるんではないかと、どうしても午前中の竹田委員の質問にあったように、歩積み両建てのような、金融機関の公平な競争ではなしに、不公平な力のために二つの市場ができるんじゃないかと、こういうことを心配する意見が述べられたわけで、私たちも確かにそのように思うわけでありますが、現在の公社債の取引というのは大半が市場、いわゆる集中市場ではなしに店頭で行われておると。それは、やっぱり一方ではそういうものはやむを得ないんだと、そういう意見、それからまた一方では、やはり株式のように市場に集中をしてそこで臼田に価格が決められていくことが豊ましいんだと、こういうような意見もあるわけでありますが、今後の公社債市場のあり方として、政府としてはそういう価格形成のあり方というものをどのように考えておるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  95. 田中敬

    政府委員田中敬君) 株式か市場集中主義をとっておるのに対しまして、国債を初めとする公社債が市場集中になっておらないという問題でございますか、あるいは私の個人的な見解に過ぎるかもしれませんか、株式というものにつきましては、その会社の経理内容の評価でございますとか将来性とか、いろいろ人々によって見方が違っております。それから、多くの側人大衆が各市場に参入をしております。そういう意味におきましては、株式の価格というものは市場に集中をして、多くの取引の出合いによって決めるということでございませんと、なかなかその当該銘柄についての値の公正さが保たれないという問題があるので、これは私は当然大衆保護のため、あるいは株式取引の円滑化を図るためにも市場集中主義をとるべきであろうと思いますが、一方社債券、国債を含めますそういうものは、これはしかとした、特に国債等につきましてはディフォルトはない、それから表面金利あるいはそういう利率というものはきちんと決まっておる、そういう確立された商品でございますので、そういう意味におきましてはそれを取引する方について問題がないと。  ただ、日本におきましては、事業債等についてディフォルトがないという歴史がございますので、事業債についても安心感があって、国債の価格と事業債の価格というものが余り開いておらないという実情は一方にはございます。ですから、今後たとえばディフォルトというようなことの危険性を考えます場合には、やはり事業債につきましてはその格づけとか、いろんなそれを投資家に知らしめる手だてが必要かと思いますけれども国債につきましては、いま申し上げましたように、そういう国の信用をバックとしたものであり、かつ形式的にもきちんとした条件というものが提示されている商品でございますので、動くのはただ市場の金利実勢に従ってのみということでございますので、私は今後とも公社債の取引というものが店頭取引を中心で行われるということは、それはそれなりでいいだろうと、これを無理をして市場集中を行う必要はないというふうに考えております。  御承知のように、現在市場に集中しておりますのは、国債につきましては百万から一千万円の単位の取引というものは市場を経由しなくてはならないということで市場集中が行われておりますが、この百万から一千万の範囲をどの程度にするかという問題は別途あるにいたしましても、と申しますのは、個人が取引をする、個人か換金を希望される金額のロットがどれくらいかということを念頭に置いて考えます場合には、その金額の検討というのはあるいは必要な時期があるかとも存じますが、現在の店頭取引中心を市場集中へ持っていくという必要はないだろうというふうに考えております。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、専売納付金の問題についてお尋ねをいたしますが、今回千五百六十九億円の専売納付金が専売公社から出されるわけでございますが、当然これは積立金といっても現金ではなしに、葉たばことかあるいは固定資産、そういう形になっておるわけで、当然公社の今後の経営にも悪影響が出てくるんではないかと、そういう心配をしておるわけであります。これが大体、五十三年度はいいにしても、五十四年度からどの程度の公社の負担になるのか、またそれがたばこの値上がりにつながるんではないか、こういうことが心配されるわけでありますが、この二点について、時間がちょっとオーバーしましたんで、簡単に御答弁を下さい。
  97. 大槻章雄

    政府委員(大槻章雄君) 現在御提案申し上げている特別納付金につきまして、これを納付するためには借入金に依存せざるを得ないわけでございますので、その分だけ利子負担が増加して公社の収益の圧迫要因になるということは御指摘のとおりでございます。しかし、今回の措置に伴います借り入れにつきましては、五十三年度末に資金運用部資金でもって手当てをすることとしておりますか、五十四年度以降も国庫余裕金かありますれば、利用できる範囲内におきまして繰りかえ使用を行って、金利負担の増を極力仰えたいというふうに考えておる次第でございます。また、今後は国の財政事情を勘案しながら利益積立金の回復に資するため、できるだけ内部留保の充実か可能となるように配意したいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回の利益積立金の取り崩しによって直ちに公社の経常を圧迫することになるのではないというふうに考えております。したがってまた、それが直ちに値上げにつながるものではないというふうに考えておる次第でございます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃこれでもう質問終わりますが、最後に大蔵大臣に要望しておきますが、今回のこの専売納付金の取り崩しにしても、これはまことに臨時異例の処置で、そういうようなことを数々やってきておるわけでありますが、しかし現在の国の財政というものから考えるならば、とにかくいま大変な事態を迎えておるわけでありまして、そういう点ひとつ財政の健全化のために長期的な展望に立ってがんばっていただきたい。そのためには前々から言うように、どうしても一年一年ではなしに、長期的な展望に立ってやっていかなければいけないんではないかと、ひとつそういう立場で、非常に困難なことだとは思うんですけれども大蔵省として財政の健全化、財政の再建のためにひとつがんばっていただきたい、大蔵大臣の決意をお伺いをして質問を終わります。
  99. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 塩出委員から本当に御激励をいただきましてありがとうございました。  私たちもかねがね申し上げておりますように、現在の財政は健全化という点から言いますと幾多の問題をはらんでいるところでございます。試算ではございますけれども、中期の財政収支試算をお示ししたのも念願はそこにあるわけでございます。お言葉に従いまして、今後とも財政の健全化に精いっぱいの努力をしてまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  100. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今回の法案についての最後の質問になるかと思いますが、いわゆる公債は税金の前取りだというふうに言われておりますか、大量公債発行の後に大増税が来るというのは、国際的に見ても一つの法則になっていると思います。特に最近は景気動向が微妙で、昭和五十三年度は税制が大きな議論を呼ぶ年になるだろうと思われますが、そこで若干税制に関する問題についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、一昨日の当委員会における総理質問の段階で、福田総理は、景気が上向けば国民の皆さん方に増税をお願いをするという発言をされたわけでありますが、ここで総理の言われたのは、国民向けの増税というのは一般消費税を初めとする大衆課税の増税の問題であろうと思いますけれども、このことは逆に言えば、景気が上向きにならなければ一般消費税などの増税はしないんだというのが大体いまの政府の基本態度だというふうに理解をしていいのでしょうか。
  101. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) まあ景気が上向けばという総理の御発言かどの辺にあるのか、その程度問題なかなかむずかしいのでございますが、われわれはやはり条件が許せば早く健全化をしたい、そのうちの一つかやっぱり景気の上昇ということを言われたんではなかろうかと思っておるのでございます。私たちはそれと同時に、やはりいろんな変動要因が余りにも多過ぎるときには非常にむずかしいんじゃないだろうか。景気の上昇をどの程度考えるにいたしましても、やはりある程度見通しがついておれば、増税というものは必ずしも景気を冷やすということには私はつながらないと思っておるのでございまして、その求める負担をどこから求めてどのようにそれを歳出に画すか、その両者の関係によって実は景気の問題というのは決まってくるのであろうと思うのでございまして、歳入面だけの話でその増税は不景気になるとかいう問題ではなかろうと思うのでございます。したがって、そういう意味でどのような負担増を求めどのような歳出に向けていくか、相互関連の問題と思います。ただ、非常に経済の条件かいろんな点でもって不安定だというときにはなかなか踏み切りにくいことは事実であろうと思っておるのでございます。まあ、そういう意味で私たちは今年度の財政金融政策、こういったものによりまして日本の経済が早く、減速経済なら減速経済で結構なんでございますけれども、安定軌道に早く乗ってくるということを一番念願いたしておるのでございます。私は、総理がそうおっしゃったというのを私なりにそのように理解しておきたいと思います。
  102. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まあ、いろいろたくさん言われましたけれども、とにかく景気が上向きにならなければそういう大衆課税、増税はむずかしいんだということだと思います。  そこで、景気が上向けばという場合、国民の皆さん方に増税のお願いをしたいという言い方をされておりますが、それはさりながら、その場合、まず法人税率の引き上げを行うのが本筋ではないかというふうに私どもとしては考えるわけです。これはすでに税制調査会の答申でも、法人税は「実効税率で比較してみると、我が国の水準は主要諸外国のそれに比べてやや低いと認められるので、今後適当な機会をとらえて法人税に若干の負担の増加を求める余地があると考える。」というように答申にも書いておるところでありますが、この税制調査会の言う「今後適当な機会」とは景気が上昇した場合というふうにおおよそ理解をしていいんじゃないかというふうに思うんですが、こういった点含めて大臣の御見解はどうでしょうか。
  103. 米里恕

    説明員(米里恕君) 法人税につきましては、いま先生からお話のございましたように、中期税制答申の中で御指摘のように、今後若干引き上げる余地があるやに見受けられるというような考え方になっております。その場合に、これはあくまでも中期的な問題として今後一般的に税負担の増加をお願いしなければならぬというようなことで、各既存税目あるいは考えられる新税を考えてみました場合に、諸外国と比較してなお実効税率かやや低いということから、若干の引き上げは中期的には考えるべきではないかということでございますが、それをいつどういう時期に行うかということは、もちろん増税一般もそうでございますが、特に法人税の場合も景気動向の考慮ということが一つの大きなきっかけになろうかと思います。  それから、法人税の引き上げということでございますが、実効税率でたしか二、三%諸外国より低いわけでございますが、これはまた余り極端に諸外国より高いということになりますと、現在の非常に国際化しました社会におきましていろいろ国際競争力あるいは金の流れ、その他で弊害を伴うであろうということで、若干引き上げるべきだというようなことを言っておるわけでございますが、法人税が引き上げられますとどのぐらいの税収になるかということを考えてみますと、私ども計算してみますと、一%法人税を引き上げますと大体税収増が千五百億円というような見当でございます。中期答申全体の考え方は、やはり今後の財政のバランスを図っていくということで、金額幾らかということはいろいろ議論はございますにしても、兆オーダー、兆オーダーの話でございますから、法人税の引き上げでその問題を解決するとなりますと、一〇%では足りないぐらい相当大幅な引き上げを行わなければならないという計算になります。そういったような意味で、あくまでも一般的な税負担の引き上げをお願いする際には、中期税制の考え方も第一に所得税の増税をお願いするか、あるいは一般消費税の創設をお願いするか、どちらかしかない。しかし同時に、こういった現在の既存の税制についても、十分景気動向などを勘案しながら、引き上げられるものは必要に応じて適当な時期をとらえて引き上げるべきである、こういう考え方になっておると思います。そういったような意味で、法人税の引き上げで財政バランスを解決しようというには、その実際の金目の問題からしましてもほど遠いというような考え方か税制調査会で示されておるわけでございます。
  104. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私がお尋ねしているのは、そういう財政のバランス論といいますか、額にしてどれだけ税収が期待し得るかという、そこの問題もさりながら、国民に負担か押しつけられていく一般消費税を初めとするそういう大衆課税の検討に先立って、税調答申に照らしても法人税の引き上げの問題をまず検討をすべきではないかという、こういう角度からお尋ねをしておるわけですけれども、だから、どれだけの税か入るかという問題は別にして、そういう検討の見地ですね、この点についてお尋ねをしていますので、その点に沿って簡単に答えていただきたい。
  105. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 一般消費税あるいは所得税の増税ということが中心になって、それに絡まって法人税の引き上げをどういう見地から検討すべきかということでございますが、これは時期的にはもちろん並行してそれぞれの既存税目あるいはまた考えられる新しい税というものの性格をそれぞれ見ながら、あわせまして客観情勢あるいは景気動向に基づいたそのときの財政経済政策全体というものにマッチした形で考えていくということになろうかと思います。そういうような意味で、特に法人税の場合には経済全体の状況を見ながら、経済政策全体としてそれが妥当であると考えられるような時期を選ぶということであろうかと思います。
  106. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 中期的にはそういう方向での検討を加えながら、当座の問題として来年度に向けての税制をどうするかということが課題になってくるわけでありますが、今年度税制調査会、できるだけ早く発足をさせるんだということにもなっておるわけですけれども、今後の税制調査会のスケジュール、それから、そこで検討に上せるいま大蔵省として考えておる検討課題、ここらは一体どういうものか。それからまた、今後の検討経過の中で必要に応じてその内容の中間発表も行って、広く国民的な意見も求めていくという、そこらの手法も含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
  107. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 税制調査会審議会の審議日程でございますが、実はこれはまだ税制調査会長にも私ども御相談しておりませんので、あくまでも私ども事務当局限りの希望、こうしていただきたいというような内容について申し上げたいと思います。  私どもといたしましては、国会が終了されましたらできるだけ早い機会に再び税制調査会審議を再開していただきたい、まずそう考えております。税制調査会の総会をまずお願いいたしますと、そこで恒例でございますが、まず第一回目に国会報告というのを私どもが報告させていただくということになります。これは今国会中でいろいろ先生方から御議論が出ましたことにつきまして税制調査会委員先生方に御紹介する。あわせまして、その際に今後どうするかという審議日程をお諮りするということになろうかと思います。  その審議日程は、もちろん税制調査会先生方のお考えによるところでございますが、事務当局としてどう考えておるかということを申し上げますと、やはり一番大きな問題は、今後の一般的な税負担の増加という見地から考えますと、一般消費税の問題ということは避けては通れないというように考えております。そこで、去年の暮れの税制調査会の答申にもいただきましたが、一般消費税について去年の秋に出ましたよりはもっと煮詰めた内容で具体案をひとつ税制調査会でつくっていただく、具体的な仕組みについて御検討をいただく、それを中心に御審議していただくということになろうかと思います。過日、主税局長が当委員会でもお答えいたしましたように、それがどういう形でいつごろまとまるかということは、まだ先の話で、私どもとしては何とも申し上げられないわけですが、やはり秋ごろになれば税制調査会として一つの試案のようなものをつくっていただいて、その試案に対してまた国民的な御討議をいただきたいというように考えております。
  108. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただいまの御説明ですと、まず第一に一般消費税の問題と、こういう言い方をされたわけですけれども、どうなんでしょうか。この三月の三十日ですが、当委員会で例の租税特別措置法の一部改正、これの採決に当たって附帯決議が決定をされておるわけですね。一つはこれ、大臣にもお伺いをしたいんですが、附帯決議というものを政府はどのように受けとめられるのか。あんなものは聞きおく程度でいいんだということなのか。この附帯決議によれば、これからの検討をすべき税制の改正、改革の幾つかの課題をずうっと列記をしておると思うのですけれども、その第一、第二、第三、これはいずれも各種準備金、特別償却等のいわゆる租税特別措置についての整理合理化、第二項目が法人の受取配当益金不算入制度等々の問題、それから三つ目に利子・配当課税の総合課税へ移行の問題、こういうふうに列記をしておると思うんですけれども、この中に一般消費税の問題というのは附帯決議の中の項目としては出てこぬわけですね。そういう点で、その政府の見解としてまず第一か一般消費税です、こういう形で答弁が出てくるということは私は合点しかねるわけですけれども、この附帯決議を政府としてはどう受けとめるかということとの関係で、新しい税調に検討を上せていく政府の基本姿勢ですね、この点もう一遍ちょっとすっきりさしていただきたいと思うんです。大臣どうですか。
  109. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 国会の附帯決議は絶えずわれわれが最も尊重しているところでございます。しかし、この委員会でもしばしば申し述べましたように、これらの附帯決議についてそれぞれどれぐらいの緊急性があるか、あるいはどれくらいの期間を要するか、こういうことはしばしば申し上げているところでございます。したがいまして、私たちが考えて、この附帯決議について特に申し上げておきたいのは、各種の準備金その他のいわば企業優遇税制、これは人によって考え方は違いますけれども、私たちが考えておる企業優遇税制につきましてはこれは鋭意検討してまいる、従来の方針とちっとも違いはございません。それから医師の優遇税制の今年度限りと、この問題についても党と連携をとりまして、今年度限りにするということにはこれは違いかございません。しかしこれらの問題を除きまして、たとえば利子の総合課税の問題、これはるる御説明申し上げましたようにずいぶん時間がかかる。その他いろいろございますか、ここに挙げられた問題はいずれも重要な問題でございますのでよくわかっております。ただ検討を要するべきもの、時間のかかるべきもの、そしてまた引き続き来年以降やらなければならない、そういう点はよく存じておりますので、その点は十分含みましてやるのでございますが、財政健全化という問題から申しますと、やはりさっき申しましたようにかなりの金額の問題でございますので、税制調査会で言っております一般消費税の問題がやはり最初に問題として出てくるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  110. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 昨年の税調答申との関係から言って、一般消費税問題の検討は避けられない歴史的経過がありますという、そういう問題だったらともかく、最初答弁なさったように、まず第一に一般消費税、こういうかっこうで言われるというのは、これはいま私も引用いたしました、大体大臣も同様趣旨の御確認をなさったと思うんですけれども国会決議を尊重するというたえまえからいって正しい政府態度ではないというふうに私はどうしても思いますので、百歩譲って一般消費税問題と並列的の重みを持って検討をやっていくんですという言い方だったらともかく、まず第一が一般消費税だというこういう言い方は、これはどうしても合点いきませんので、その点はぜひとも態度を変えてもらいたいというふうに思いますが、余りおかしな答弁をするんだったらもういいですよ。
  111. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 先ほど申し上げましたように、一般消費税か中心になろうかと思いますということであろうかと思います。  実は、附帯決議でいろいろいただきました各事項につきましても、これらはいずれも長年の間、税制調査会でかなり検討をしておることでございます。去年の中期答申の中でもそれぞれ方角は出ておるというような、利子・配当課税であれば総合課税の実現に向けて把握体制の整備を図りなさいというような答申をいただいておるわけでございます。したかいまして、それらを五十四年度にどう具体化するかということは本年の秋以降の、五十四年度税制改正の話として具体的に詰まってまいるであろうと思います。通常ですと、夏は税制調査会は開催いたしませんで、秋から次の年度の単年度税制の改正をやると、こういう順番になっておりますか、ことしの夏、あるいは国会が終わりまして早々に開きますゆえんは、一般消費税の問題はほかの問題に比べてまだ具体的な内容が詰まっていない、したがって、これはいろいろ国民的な御議論をいただくことでもあるので、早くこれはまず具体的な内容を詰めておかなければならないということでございまして、決してこれはその他のものを軽視したというような趣旨ではございません。  その他のいろいろな問題につきましても、もちろん税制調査会としては検討してまいりますが、それはそれなりに、たとえば社会保険診療報酬課税の問題でございましたら税制調査会としては一つの考えをすでに持っております。そういったような問題と一般消費税とは現状において詰まり方がやや違っておるというようなことがございまして、夏休みの間に一般消費税の具体的な仕組みを中心にして詰めていきたい、こういう趣旨で申し上げましたので、決して不公平税制その他の問題を軽視しておるということではございませんので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  112. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一回念のため申しますけれども、冒頭の質問で、この間の総理質問の段階での総理答弁、これは景気が上向けば一般消費税などの大衆課税の問題だと、こういう答弁であったということとの関係で、だからいわゆる勉強としての一般消費税問題の検討、これと、実際にいよいよそれを五十四年度から実施に移すかどうかというこことの問題として国民は注目をしているわけですから、そういう点はよく区別してもらって、やはりもっと先行させるべき問題を十分先行させるということでやっていただく必要があろうと思います。  時間がありませんので具体的な問題をもう少しお尋ねをいたしたいと思いますか、かねかね、先ほども大臣としていわゆる租税特別措置の改善、これはいままでもやってきたしこれからも努力するのだという答弁でありますが、ずっと最近を振り返ってみましても、五十一年度租特の措置の見直しが行われたのが五十九項目、廃止か九項目、それから五十二年度見直し二十九項目のうち廃止二項目、本年度見直し三十七項目のうち廃止十一項目ということで漸次進んではきておるわけですけれども、しかしまだ依然として八十項目検討にしすべき課題が残っておるということかと思います。  そこで、おととしの十月のエコノミストという雑誌に大蔵省のOBの座談会が載っているわけですけれども、そこで吉國二郎さんかこういうことを言っているわけですね。「租税特別措置が産業政策として非常に意味を持っていた時代から、高度成長が進んできて、もうそれがいらなくなってきた。特別措置が不公平なことは最初からわかっている。」というふうに言っているわけですけれども、そこの座談会で具体例で話に上っておるわけですが、いわゆる試験研究費、この税額控除制度の問題ですが、これは今回の、先日可決をされました租特の改正では少し圧縮はされておりますが、依然として制度としては残された。予算委員会に提出されました資料で見ますと、これによる減収額は五十三年度で耳五十億、十年分で言えば千五百七十六億円という少なからざる額になっていると思うのです。この利用状況というのはこれはもう言うまでもない大企業か中心になっているということなんですけれども、この試験研究費の問題について、ひとつ五十四年度に向けてのメスを入れる課題にしせるという点についてはどうですか。
  113. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 試験研究費につきましては、基本的な政策目的かどうかと申しますと、これは先生御承知のように民間研究投資の拡大ということが政策目的になっているわけでございます。そういったような意味で今後の科学技術の研究開発活動というものは、今後わが国経済から考えましてもなお十分に必要性があるというように考えておりますので、制度としては存続させたという考え方でございます。しかしながら、その内容につきましては十分合理化を図っていかなければならないというようなことから、過日の改正のような合理化を図ったわけでございます。考え方といたしましては、今後ともにこういった内容が十分政策目的に即応したものであるように、絶えず検討していきたいというような考え方でございます。
  114. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しかし、いま言いました雑誌の座談会で、吉國さんは、「僕はとにかく税額控除はぜったい切れといったんだ。税額控除はほんとうに免税と同じこと」になると。それから高木さんは、「試験研究費も税額控除でなければいいんですけどね。」ということで、かつて大蔵省の主税局長なんか勤められた幹部の方か公式にそういう発言もされておるということでありますし、ひとつ鋭意この問題についてはメスを入れるということでやってもらいたいと思うのです。  時間がありませんから、もう一つの例として海外投資の損失準備金の問題ですね。昭和五十一年度の会計検査院の決算と検査によりますと、海外と国内で石油などの採鉱と採取を行っている法人で、一部石油開発公団が出資ないし融資を行っているもののうち、十一社が昭和四十六年十月から五十二年の六月までの間に採鉱の権利を放棄したり、長期間採鉱の事業を実施していなかったりする、いわゆる休眠状態に入ったまま残っておるということですけれども、参議院の決算委員会でもこうした休眠会社の解散、清算を促進するよう、開発公団に異例の警告を行ったというところでありますけれども、これらの休眠会社について、この海外投資損失準備金をいつまでも準備金として積ましておくんじゃなくて、税制面でも清算会社へ早く移行するよう規定を改正すべきではないかという問題があると思うんですが、この点はどうですか。
  115. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 海投損自体は、これまた私どもとしては現在なお政策目的は十分にあるというふうに考えておるわけです。発展途上国からの投資要請に対する協力であるとか、あるいはまたわが国にとっての資源の安定的供給の確保とかいったような海投損自体の必要性というのは十分まだ政策目的として必要なものであるというように考えておりますが、先般御審議いただきましたように、その内容につきましてはかなりの合理化、いろいろな画での合理化あるいは積立率の引き下げというようなことを行っております。  この制度と休眠会社との関係でございますが、この制度によりまして、あるいは休眠会社を清算に持っていくとかいったようなことも税制の限られた機能としてはなかなかむずかしかろうと思います。それはまたそれで、その他の方法によらざるを得ないのじゃないかと私は考えますが、まあ海投損自体につきましても今度合理化いたしましたような見直しというものは常に今後とも続けていきたいというように、その制度の仕組みの合理化については考えております。
  116. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しかしどうなんですか、いまのような場合、採鉱などで失敗した場合にも返却しなくてもいいんだという、いわゆる出世払いの制度になっていて、その面が結果的に税制上の恩典になっておるということであるわけですし、ぜひその点はメスを入れる必要があるんじゃないですか。
  117. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 非常に対象資源を国策に合致するといいますか、国家的な目的に即したものに限っておりますし、業種もしぼっておる。対象地域についても特定の地域に限っておるということへの海外投資、海外協力というものを促進するという考え方でございますので、その辺の、果たしてそれは政策目的に合っているかどうかという検討は絶えず必要かと思いますけれども、この制度自体の意味というのはそれなりにある。したがって合理化といいますか、合目的的なチェックというのは絶えず行っていきたいというように考えております。
  118. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも一生懸命がんばっておられるわけですけれども余り時間ありませんし、このことだけで終わってしまうわけにもいきませんので、また次の機会に具体的な根拠をもとにして、さらにいろいろだだしたいと思います。  もう一つ土地税制の問題ですね。五月九日の日に五十二年度の国土白書か発表されたわけですけれども、その中で土地税制の見直しを強調をしておりますが、国土庁側が法人の土地譲渡益課税、特別土地保有税、側人の譲渡所得課税の緩和、こういった問題を提起しておる模様でありますけれども、これらの問題について大蔵大臣はどういう御見解ですか。
  119. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 今度国土白書でございましたか出ました。私も詳しくは読んでおりませんが、その要点だけは聞いております。それによりますと、いままでの国土利用計画法あるいは土地税制の果たした役割りをかなり評価しておると同時に、今後の宅地供給については、やはり土地税制のあり方について検討すべきであるという非常にニュートラルな話でございまして、白書自身には特別な具体案が出ていなかったように聞いております。そういう意味でこの問題は当委員会でも御論議がありましたし、いろいろなところで言われたわけでございますが、土地供給という問題と、それから土地の供給者の譲渡による所得というもの、これの兼ね合わせをどうするかという大きな問題であるわけでございます。まあ全体として、やはり土地の供給者に余りにも不当な所得を許すべきでないというのが税制調査会の従来のスタンスでございます。しかし、また何時に土地供給の問題が、そういうもし税制が阻んでおるとすれば、その間一体税制以外に何かやることがあるのかどうか。単に私は税制だけじゃないと思うのでございまして、そういったものを広範にやはり税制調査会に検討してもらうべきではないか、そういうふうに考えるわけでございます。ただ、この問題を税制だけで片づけろということに対してはどんなものであろうか、もう少し広範な検討が必要じゃないかという感じがしております。
  120. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 日経の九日の夕刊ですけれども、それにこの国土白書の解説の中で、こういうくだりが出てくるんですね。国土庁側からは土地税制の検討をかなり強く言っておったんだけれども、「大蔵自治省など関係省庁に白書の原案を回しているうちに、表現が弱くなってしまった」と。「大蔵、自治省は来年度税制改正をいまから論議するのは早過ぎるとして、国土庁の積極的な見直し論に反発した。」というふうに書いておるわけですけれども、この反発の角度がどっちへ行っておるのかという点が問題で、大蔵省、国税庁としては大企業に一層優遇をしていくような、そういう税制になることには反対だという角度なのか、逆の角度なのか、ここが問題なんですけれども、現時点ではどういう検討をなさっておるんですか、大蔵省は。全く白紙ということでしょうか。
  121. 米里恕

    政府委員(米里恕君) この白書につきましては、私ども事前に御相談にあずかりましたが、ただ、いま新聞でおっしゃいましたような、別に各省間の意見が食い違ったというようなことではございません。この白書自体を見てみますと、今後の土地税制の問題については、関連公共公益施設整備のための措置を講ずるとともにと、いろいろなことが述べられました後で、土地税制の役割りについての検討も必要であるとこういうまず文章になっております。この土地税制の役割りについての検討ということは、今後の土地政策の中で税制の役割りはいかにあるべきかというような問題について、その役割りについて検討の必要があるということを一般的に述べたものであるというふうに関係者間で了解しておるわけでございます。したがいまして、決してここにダイレクトに緩和しろとか廃止しろとかいうような思想が出ているわけではございません。まあ大臣のお言葉にもありましたように、土地税制というのはあくまでも土地政策全体の中では非常に補完的、誘導的な役割りを果たすわけでございまして、基本的にはもとの土地政策というものがあって、税制に期待し得る機能は非常に限られたものであるというふうに私どもは考えておりますが、しかし税制を考えます場合に常に私どもの頭にありますことは、一つは土地投機を抑制しなければならないという問題、それからもう一つは土地の供給を円滑に促進しなければならないという問題この二つの政策目標をどういうふうに絡み合わせて税制をもっていくかということが最もむずかしいところであろうかと思います。そういうことをそのときそのときの土地の供給状態、地価の状態などをにらみまして私どもは今後とも税制を検討してまいりたいというように考えておるわけです。
  122. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 火のないところに煙は立たぬと、こう言いますからあれだと思うんですが、少なくとも大蔵省として現在具体的な検討を始めているということではないということですね。  いずれにしても、さっき申しましたように、大企業やあるいは広大な土地所有者、こういう部分に優遇をされていく、税制上の優遇が一層加重をされていくということにならないように、ひとつ厳格にやってもらいたいというふうに思います。  最後に、大臣に文字どおり最後にちょっとお尋ねをいたしますが、当委員会でも私何回かいわゆる国債政策に関係をして、今後の国債発行の歯どめの問題について質問をしてまいりましたが、最後の段階でもう一回お等ねをいたしますが、来年度はこの特例公債、建設公債含めて国債の総額全体について、予算に対する国債依存率の点でも、また国債の総額の点でも、これ以上ふやすということはしないという基本態度で五十四年度に向けて対処をしていくというふうにぜひやってもらいたい、もういまを上限としてむしろ減らしていくということで努力をやってもらいたいというふうにどうしても思うわけですけれども、この点の基本方向を最後にお尋ねをしておきたいことと、もう一つ、総理がインフレは絶対に阻止しますということでこの間も声高く言われたわけですけれども、大臣も同じことかということと、それの具体策、具体的にどう阻止するのか、その策について最後にお尋ねをしておきます。
  123. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 来年度のとりあえずの歯どめ策でございますか、しばしば申し上げておりますように、特例国債の依存度、経常経費に占める特例公債の依存度、ことしは実質二四%でございますが、これは必ず下げてまいりたいということをかたく決意いたしておるものでございます。全体としての公債発行額、これはこの前の収支試算でお示しいたしました。あのように厳しい歳出の抑制、それからかなり大幅な負担増を求めましても、総額においてはやはりふえざるを得ないのでございまして、それが縮減いたしますのは、大体試算によりますと昭和五十七年度あたりから縮減していく、もうすでにそういう状況になっているわけでございますので、私たちが現在考えておりますのは、この依存度、二四%を切っていくということをいま考えておるわけでございます。そしてできるだけ早くこの特例公債から早い機会に脱却するということでございます。  それからインフレの問題につきましては、これももう総理と全く同感でございまして、いかなる場合があってもインフレだけは許すべきではない、いまわれわれがやっております施策もやはりその線でやっておるつもりでございますし、国債管理政策の面におきましても、あるいはいま景気対策をとるとは言っているものの、公共事業の施行につきましてもインフレを一番恐れておるわけでございますので、こういう点についてはわれわれは全力を挙げて、再びかつてのようなインフレが起きないように精いっぱい努力してまいるつもりでございます。
  124. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、大蔵大臣及び当局に対してきわめて常識的な二、三の点についてお伺いしたいと思います。  第一番は、皆様から御指摘がいままでしばしばありましたように、この、五十三年度の予算は三七%か国債に依存している、すなわち三分の一は借金でやりくりする国の財政でありますが、一般国民、特に一家の生計の責任を負っております正婦は驚きまた心配しております。まず、この国債はいつどうして返済されるのか、国民にわかるようにひとつ説明していただきたいと思います。
  125. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 国債の償還につきましては、ただいま総合減債制度によりましてこれを返還するという仕掛けになっております。  総合減債制度と申しますのは、毎年度、前年度首の国債残高の一・六%に当たるものを毎年毎年積み立てていくというのが一つでございます。それから第二番目には、前年度剰余金の二分の一を国債償還財源にこれも積み立てていく。ただいまのように特例公債発行しております段階におきましては、全額積み立てていくということになろうかと思いますが、それが第二の道でございます。それから第三番目に、それでも足らない、あるいは財政上の都合で可能であるといったような場合には、予算をもってそのときどきの事情に応じて積み立てを行っていく、国債償還財源へお金を繰り入れていく。この三つの道を通じて減債基金をつくりまして、それを財源にして償還するわけでございます。
  126. 市川房枝

    ○市川房枝君 いつまで。
  127. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 国債に二種類ございまして、建設国債、それからただいま御審議いただいております特例法に基づく特例公債がございます。  建設公債につきましては六十年償還という考え方でございますから、借りかえ、借りかえを行って六十年の間に償還されていくという考え方で大体よかろうかと思います。それから、特例公債につきましては借りかえを行わないという考え方でございますんで、それぞれの償還年月、たとえば十年の特例公債でございますれば、十年目に至ったときに償還されるというふうにお考えいただいたらいいと思います。ただ、いま申し上げましたのはこれは全体としての話でございますから、個々の国債の所有者は、たとえば十年債をお買いになった方は十年目には償還してもらえますというふうにお考えいただいてもいいかと思います。
  128. 市川房枝

    ○市川房枝君 結局、その借金を返すためにまた借金をするというようなふうに聞こえたんですけれども、いままで、五十三年度分のはいま伺ったわけですけれども、いままでにやっぱり国債発行されておるその総額ですね、五十三年度分を含んだ総額と、それの一年の利息の額は一体どれくらいになりますか。
  129. 田中敬

    政府委員田中敬君) 五十二年度までに発行いたしましたいわゆる世で言われております国債昭和四十年度から発行し始めました新規国債でございますが、これの残高は本年三月末をもちまして三十一兆九千二十四億円ということになっております。それからこれに対します利払い費でございますが、本年度約十一兆円の国債を新たに発行することにいたしておりますけれども、本年度非常に早い時期に発行いたしますものは六ヵ月後には国債の利払い期がまいります。そういうものを含めまして本年度予算に計上いたしております国債の利子は、総額で二兆五千七百二十七億円になっております。
  130. 市川房枝

    ○市川房枝君 来年度もまたどうせ公債発行なさるだろうと思うんですが、それは一体どのくらいなのか。まだはっきりはもちろん予算ができないからでしょうけど、見当はどうなんですか。今年よりももっと幾らか少なくなるとか、さっき佐藤さんの御質問の中にも幾らかありましたけれども、それちょっと伺いたい。
  131. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 先ほど大臣がお答えになりましたように、公債の中の特に問題の多い特例公債の依存度実質二四%というのがことしの姿でございますけれども、それを極力引き下げる方向で努力したいということをお答え申し上げましたが、それがいまわれわれか申し上げられる限度でございまして、来年度の経済の情勢がどうなるか、あるいは予算の規模がどうなるかといったようなこともかいもく目下わからないわけでございますので、数字的に国債発行額幾らかということはちょっと申し上げかねる段階であることを御了承いただきたいと.思います。
  132. 市川房枝

    ○市川房枝君 結局その公債償還は増税ということになると国民は覚悟しなきゃいけないと思うんですが、増税については、この委員会でせんだってからある程度増税案を審議してまいったんですが、来年度増税する案は、これも先ほどからお話には出ておりましたけれども、具体的にそれを伺いたいと思います。
  133. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 中期的に見ますと、財政のバランスを回復するためにはしかるべき時期にどうしても一般的な国民の税負担の増加をお願いしなければならないという考え方を私どもは持っておりますけれども、さてそれが、来年度から増税するかというお話になりますと、やはり来年度全体の経済をどう見るか、経済政策ひいては財政政策をどうするかということとマッチした意味で税制も考えられなければいけないということでございますので、いま確定的に申し上げることは困難かと思います。
  134. 市川房枝

    ○市川房枝君 それじゃ次の問題に移ります。  第二は、日本国民の租税の負担率は本当に外国よりも低いのかどうか、それを伺いたいんですが、大蔵大臣は四月十二日の衆議院の大蔵委員会で「日本の租税負担率は先進国の大体三分の二、非常に低いところにある」と、こうおっしゃっておりましたが、これは一般国民の生活実感とは少し違います。日本の租税の負担率が低いというのは、つまり大企業及び高額所得者の負担が低いからそれを平均して低くなっているんじゃないのかと思うんですけれども、それいかがですか。
  135. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 日本の租税負担率を国際的に比較するという問題でございますが、まあどういう計算をしたらいいだろうかということでございますが、普通やっておりますのは、それぞれの国の国民所得に対しまして租税の負担総額が何%になっておるのか、これを租税負損率と申しておるわけですが、これで比較するのが普通でございます。これで比較してみますと、わが国の租税負担率は、いまもお話かございましたように、主要諸外国に比べまして大体半分から三分の二程度の負担になっているわけでございます。かなり水準が低いということは申せるかと思います。  そこで、いまお話のございました大企業、高額所得者の負担か比較的低いから全体か低くなるんではないかというようなお話もございました。これを見てみますと、まず大企業でございますが、主要諸外国の水準に比べましてほぼ同水準、ちょっと低いというぐらいでございましてほぼ同水準でございます。  それから高額所得者の所得税、住民税の負担でございますが、ちょっと一例を挙げて申し上げますと、給与収入の五千万円の給与所得者、これはかなり高額所得者だと思いますが、五千万円給与所得を取っていらっしゃる方の税額は、わが国では約二千七百万円でございます。アメリカは約二千六百万円、西ドイツは約二千四百五十万円ということになっておりまして、五千万円の給与所得者の方でもむしろやや高い方にございます。決して高額所得巷が諸外国に比べて低いから全体が低くなっているということではございません。
  136. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの御説明では、日本のは高額所得者とか法人なんかは低くないんだという御説明があったんですが、本当は階層別の比較ですね、たとえば一年に三百万円ぐらいの収入のある階層で、外国のその階層で一体税金がどうなるのかの比較がないと、高い低いということは私は本当は言えないんじゃないのか。そういう階層別の国際的な標準の御調査が大蔵省にありますか。
  137. 米里恕

    政府委員(米里恕君) いま例を挙げられました年収三百万円の方で申し上げますと、給与所得者の場合でございますが、所得税、住民税合わせまして夫婦子二人、いわゆる標準家庭の方の例で申し上げますと、所得税、住民税合わせまして十二万二千円でございます。外国はどうだということで見てみますと、アメリカの場合には二十九万四千円、わが国の倍ちょっと、イギリスの場合はこれは非常に高うございまして七十三万二千円、西ドイツか三十万六千円、フランスはわが国にかなり近くて十四万一千月というような数字が出ておりまして、これらと比較しましても、フランスよりもちょっと低い、アメリカ、イギリス、ドイツよりはかなり大幅に低いということが三百万円ぐらいのクラスの方で申せるかと思います。
  138. 市川房枝

    ○市川房枝君 いま御説明伺ったんですが、そういう階層別の比較の数字を表がありましたらそれを後でよろしいけれどもいただいて、そしてそれを検討してみます。どうもおっしゃったとおりに日本の方が低いんだとは思われないんですが、ですからこれは検討してみたいと思っております。  次には、五月一日に全国の税務署で一千万円以上の高額所得者の氏名と金額が発表されましたが、五月二日の各新聞を見まするというと、大見出しで、「疑惑だらけ国会議員の所得」「不透明変わらぬ議員申告」「本当ですか、政治家どの」というふうな大見出しが出ておりまして、そして本文の中では、半数以上の議員の方が歳費と年末のボーナスを加えた額よりもちょっぴり多いというか、千二百万円程度の収入になっているけれども、それであんなぜいたくなんかはできないはずと、いろいろ書いておるんですけれども大蔵大臣はこういう見出しといいますか、こういう記事といいますか、どうお感じになりますか。これは私は一般国民、ことしばかりじゃありません、これは毎年のことなんだけれども、こういう記事ですね、納税意欲を失うといいますか、少しこれを何とか変えるというお考えはないのか、これは大臣から伺いたいです。
  139. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 政治家は特に納税義務につきましては最も厳正でなければならぬということは私は当然なことであろうと思うのでございます。問題は、いわゆる後援会システムというのがございまして、この分が恐らく日ごろの政治活動費に使われておるのであろうと思うのでございますけれども、それは個人の所得にはならないことは御承知のとおりでございます。まあ選挙活動になかなか金がかかるわけでございますので、そういった選挙活動が非常に華々しいといいますか、はでであるというようなことが、生活が楽だと受け取っておられる向きがあるんじゃなかろうか。まあそんなことはないと思いますけれども、後援会の収入と自分の収入をごっちゃまぜにして使うようなことがありますと、これはまあ非常に経理が不透明になります。そのことは一番やはり政治家としては警戒注意しなくちゃいかぬことではないであろうか。いずれにいたしましても、世間でそういううわさが出るだけでも、あるいはそういう目で見られるというだけでもやはり政治家一人一人が自覚すべき問題であろうと、このように考えておるところでございます。
  140. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまお話しのように、この政治家のといいますか、議員の所得の中にはいわゆる政治献金というものは入っていないということに原因があるわけなんですけれども、政治献金も一応は課税の対象にはなっているけれども、政治活動に使って余りがあったらそれに課税すると、こういうことになっているんですが、事実上は全然課税をされていないと。  それで、これは私は政治活動にお使いになるならお使いになってもいいけれども、収入は一応政治献金の額は収入として届けてもらうと、そういうことが私はいいんじゃないかと。そして使った金はそこからお引きになって、課税の対象にはならぬのかもしれぬけれども、所得としてはそうすれば一般国民も納得するんじゃないかと思うんですが。この問題別に改めてまた伺いますけれども、いかがですか、これを現状のままほうっておくのか、あるいは多少こういう問題を考え直してみるということですか。それをちょっと伺いたい。
  141. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま市川さんおっしゃったので問題の所在は少しわかりましたが、いまの税制は政治家個人に献金する場合、それからそうでなくて後援団体に献金する場合、二つあるわけでございます。多くの場合は私は後援会に献金されておるのではないかと思うのでございまして、それは個人の所得とは分別経理されておりますから、それは政治活動に使われておる。それがきっちりいたしておりますればそういう誤解は受けないはずでございます。問題はそうでなくて、個人に対する政治献金ということになりますと、それは一種の何といいますか雑所得上の収人になりまして、それを使って活動いたしますと個人の雑所得上の支出になるわけでございます。これがなかなか明確でない、そのほかの歳費その他との関係が不明確であると、そういう場合であろうと思うのでございます。ですから、まあできるだけやはり後援会なら後援会で経理を分離しておきますと、その問題は比較的起きないだろうと思うのでございます。ですからそういうやり方、それぞれの先生方やり方にもあるわけでございますけれども、やはり分別経理した方が誤解を受けないで済むのではなかろうかと、私はそんなふうに思っておるわけでございます。
  142. 市川房枝

    ○市川房枝君 その問題はまた別な機会に譲りますが、この五月一日の高額所得者の中で、東京で発表されている中にもお医者さんが少し入っておいでになりますが、地方の税務署の発表は、例年見ますとそれこそお医者さんかもうほとんど大部分なんですか、ことしもそうだろうと思うんですけれども、ということはやっぱりここでも、この委員会でしばしば問題になりました医師の優遇税制の私は結果も一つの大きな原因じゃないかと思うんですけれども大蔵省としては、その医師の特に納税の問題をいろいろ調査しておいでになると思いますけれども、特に高額所得者として発表になったものなんかについての調査なすったのありますか。
  143. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先生御指摘のように、今回の納税者の申告所得額、これを公示をただいまいたしておるところでございますが、おっしゃるように医師の高額者が非常に目立つわけでございます。全国的に見てもそうであるし、特に地方に参りますとお医者さんかし位を占めている割合が非常に多いと、こういうことでございます。国税当局といたしましても、やはりそういった実情にかんかみまして、医師の調査、的確な所得の把握には特段の力を入れておるところでございます。
  144. 市川房枝

    ○市川房枝君 時間が参りましたから、ありがとうございました。     —————————————
  145. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岩動道行君及び桧垣徳太郎君が委員辞任され、その補欠として上田稔君及び竹内潔君が選任されました。     —————————————
  146. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  148. 福間知之

    ○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  わが国経済は、最近に至りようやく経済指標の一部が上向きに転ずる兆しが見えてきたと報じられているものの、構造不況業種や中小企業の経営悪化はますます深刻化しつつあります。完全失業者は史上最高の吾四十万人、企業の倒産件数は三月だけで一千五百二件、五十二年度中で一万八千件という記録を示しているのであります。  ここ三年来、国民福祉の充実とあわせて景気の回復をいかにして実現するかを論じてきた中で、わが党は過去の高度成長型、資本蓄積型の財政経済運営から脱皮し、国民負担の公正化、適正化を図りつつ、大幅減税による景気回復の方策を政府に強く要求してきたのであります。  にもかかわらず、政府・財政当局は、相も変わらず大型公共投資偏重の景気対策に固執し、失政を重ねてきたと言わねばなりません。その結果が公債依存率なお三七%という超赤字財政をもたらしたのであります。昭和四十九年度以来歳入欠陥を糊塗する財源対策は、増税法案を除いてもすでに十三本を数え、これらがことごとく財政法などの特例措置として実施されてきたのであり、その結果、先進国にも熱例のない傷だらけの財政状態を生み出したのであります。政府の責任はきわめて重大だと言わねばなりません。  以下、本案の問題点を指摘し、反対の理由といたします。  まず第一に、財政の展望が欠除していることであります。政府の財政収支試算によると、五十七年度末の国債残高は九十兆円を超え、予算規模の二倍近くに達し、その利息が大部分を占める国債費は約七兆円、歳出の一五%程度に上ることになります。さらに、国債の利息と国債償還のための経費は公債収入の七〇%を超えるという、著しい財政硬直化の姿が明らかになっているのであります。しかも十年後の償還についても、六十年間償還を前提とした建設公債並みの準備しかできておりません。昭和六十年度からは五十年度以降発行分の赤字公債償還というとてつもない重圧がかかり、その財源調達のための赤字公債発行すら危惧されるのであり、これに対し財政収支試算の五つのケース提示だけでは全く不十分と言わねばなりません。中期的経済展望を土台としたいわゆる財政計画の速やかな確立こそ必要と存ずるのであります。  次に、大量国債発行インフレについてであります。国債消化については、過去日銀の買いオペにより、金融機関保有の国債を大量に吸収してきた経緯があり、また最近は、経済のデフレ基調のもとで民間資金の需要が極端に不振を続けている結果、クラウディングアウトは回避されてきたのであります。しかし内需の拡大が緒につけば、当然資金需要が旺盛になり、大量の国債を抱えた金融機関はこれに応じ切れないのは明らかであります。そこで、国債消化遂行のための日銀買いオペが適正通貨の量を超えて供給されることになり、過剰流動性を財政金融両面から助長し、公債インフレは必至ということになるのであります。政府は、成長に見合う適正通貨の供給以外は国債の買いオペを行わない旨の答弁を繰り返してきていますが、昨年九月以来、日銀の円高に対する平衡介入は約百億ドル、円貨で二兆五千億円が成長通貨の量に関係なく追加的に市場放出され、すでに債券や株式投資の資金として流れ込んでいるのを見てもインフレ懸念を捨て去るわけにはまいりません。  さらに、国債個人消化対策についてであります。大量の国債発行に伴い、従来の間接金融偏重の体質が改革されなければならないと考えますか、そのためには貯蓄国債発行など国債多様化、魅力化を推進し、国民かそのニーズに見合い信頼して国債を購入できるという施策が不可欠であります。政府自身、個人消化の促進をうたいながら、国民大衆の購買意欲を助長する方策についてはきわめて乏しいのであります。過般明らかにされた新中期国債公募入札制の導入についても、機関投資家を対象としたもので、この方式による国債の二重価格問題についても具体策は示されておりません。  また個人消化、すなわち国債の安定的な消化、保有よりも流通面に力を置き過ぎた国民不在の消化構造を描いていることに大きな疑問を持たざるを得ないのであります。  また銀行の窓販問題についても、これが新たな両建て預金の要素を持つものであるにもかかわらず、その対応策がないまま、金融、証券岡業界の調整にまつといういささか責任回避の態度かうかがえるのであります。  最後に、現今の財政事情から大増税計画か見え隠れする中で、不公正税制の是正について早期に抜本的な取り組みをしない政府態度にきわめて強い不満を表明し、私の反対討論を終わります。(拍子)
  149. 細川護煕

    ○細川護熙君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案に対し、賛成の意向を表明するものであります。  わが国経済の現況は、昨年来の財政金融政策により、各種の指標が上向きに転ずる気配が見え始めておりますが、業種による跛行性か著しく、雇用情勢もまた依然として厳しい状況にあります。他方、経常収支は大幅な黒字基調を続けており、急激かつ大幅な円高によるデフレ効果も無視することはできません。  このような実情を背景とする昭和五十三年度の経済運営に当たっては、物価の安定に配意しつつ、内需中心の景気回復を図り、国民生活の安定を確保するとともに、対外均衡の回復に努めることが最大の政策課題であると考えます。かかる状況に対処して、政府は本年度において需要創出効果の大きい公共事業に最大の重点を置いた予算を編成しておりますが、その執行についても公共事業の上期契約率の目標を七三%程度とするなど、その効果を最大限に発揮できるよう、万全が期せられていることについて、私はこれを高く評価するものであります。  また、公定歩合を初めとして金利水準全般の引下げが実施され、これらの措置が相まって着実な景気の回復と雇用の拡大を確保し、もって今後の日本経済を安定成長の軌道に乗せる堅実な足がかりとなるとともに、経済の先行きに対する国民の一不安を払拭し得るものと確信をいたします。  しかしながら、昭和五十三年度の財政は、歳入面において昨年度に引き続き長期不況に伴う巨額の税収不足が余儀なくされております。これに対処して、今回、酒税及び有価証券取引税の増収を図るほか、新たに石油税を創設、さらに税収についての年度所属区分を変更するなど、歳入確保の手段か講じられておりますが、なお政策運営のための十分な税収を期待できない状況にあります。  ここにおいて、昭和五十三年度特例措置として、引き続き特例公債発行するとともに、日本専売公社の特別納付金を一般会計に受け入れることにより、適正な行財政水準の維持を図り、国民生活と経済の安定、そして国民福祉の充実に配意した政府の政策判断に対し、私は基本的に賛成するものであります。  もとより本案は財政法の特例措置を講じようとするものであり、特例債依存の財政から速やかに脱却すべきであることは言うまでもありません。そのためには、立法、行政の両府が一体となってその実現に努力しなければならないことを改めて痛感する次第であります。  政府は、五十年代前期経済計画の暫定試算に基づいて財政収支試算を明らかにし、昭和五十七年度を目標に健全財政への復帰を実現すべく全力を傾けることを表明しておりますが、景気の回復、雇用の拡大、物価の安定、そして国民負担の公正かつ適正化への方向と整合性を保ちつつ、これが実現されるよう政府の一周の努力を要請いたしまして、本案に対する賛成討論といたします。(拍手)
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  その第一の理由は、政府の経済財政運営の失政の反省なく、長期的展望の欠如している点であります。  現在わが国の経済は、中小企業の倒産、失業者の増大と、きわめて憂うべき不況の状態が続き、国民生活を日々悪化させております。財政もまた年々悪化し、五十三年度には四兆九千三百五十億円もの赤字国債発行に追い込まれているのであります。  この今日の不健全財政は、安易に国債に頼った四十年度末の政府・自民党の財政処理の誤りに原因があるのであり、特に、四十年代に国債発行をやめようと思えばやめられたにもかかわらす、当時の福田蔵相の国債火種論によって国債を持続的かつ安易に発行し、財政節度を忘却し、歳出の膨張と不健全財政体質をつくりしげた財政政策の誤りが今日の事態をより深刻にさせているのであります。  また、従来から国債発行の歯どめとしてきた国債依存度三〇%の危機ラインを放棄せざるを得なくなると、政府は今年度国債依存率が実質三七・八%であるのにもかかわらず、税収の年度所属区分を一方的に変更させる国税収納金整理資金法の一部改正で国債依存率を三二%として財政運営の失政を糊塗しているのであります。  われわれを初め国民の多くが望んでいることは、経済の安定成長へのスムーズな移行、すなわち高度成長時代の脆弱な体質になれたわが国の産業、財政等にメスを入れ、新しい時代に適応した経済、財政を築くことでありますが、そのためにも確固たる長期ビジョンとそれに至る具体的プロセスが必要と言えます。  しかし、政府は経済、財政計画についていまだに具体策を明示せず、今後の経済政策と全く整合性の見られない単なる数字合わせである財政収支試算を提出し、具体性のない大増税の方向を示唆しているにすぎず、その態度は、まことに無責任きわまるものであると言わざるを得ないのであります。  第二は、政府は赤字国債発行を避けるための努力を怠っていることであります。  政府は、赤字国債発行に先立って、少なくとも行政改革、経費の節約、不公平税制の是正に全力を挙げて取り組むべきであります。  これについては、われわれの要求ばかりでなく、財政制度審議会、税制調査会等からも、歳出の節減、合理化、制度の改善、不公平税制の是正に着手することが要望されております。  総理の公約とも言うべき行政改革も何ら実現を見ることなく、不公平税制の是正も期限切れのもののみを部分的に縮減する程度であり、利手・配当所得に対する税負担の適正化や各種準備金等の企業優遇税制の是正に本格的に取り組む姿勢も見られないのであります。これでは、赤字国債発行余りにも安易に頼り過ぎ、わが国の財政法の基本である均衡財政のたてまえを崩すものであり、反対せざるを得ないのであります。  第三は、赤字国債の大量発行国民生活や経済活動にもたらす数々の影響及び歯どめとしての対策が十分に措置されていないことであります。  五十三年度末、累計四十二兆円にもなろうとしている国債の償還計画がはっきりとせず、一方、国債費の膨張による財政の硬直化、後世代に対する税負担の大幅増加、インフレ要因、民間の資金需要の圧迫などの原因となることも明らかであります。  政府の大量な赤字国債発行に対して国債管理政策の整備が必要であり、公社債市場の育成は早急に行うべきであります。  特に、国債発行について、シンジケート団の一括引き受けから、市場の需給実勢に基づく発行条件の弾力化、投資家のニーズに応じた国債多様化国債の流動化等に対処すべきでありますが、その対策を先に延ばしている態度には納得ができません。  以上の理由をもって本案に対する私の反対討論といたします。(拍手)
  151. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、本法案に対し反対の討論を行います。  本案は、長期不況と円高危機のもとで組まれた五十三年度予算を財源面から裏づけるきわめて重要なものであります。ところがその予算も、の不況克服、国民生活の防衛のためには不十分であるばかりか、高度成長型の税財政の仕組みと運営を引き継いだ反国民的なものと言わざるを得ないものであります。  本案については、まず第一に、財政の破綻を一層推し進めた政府・自民党の責任について言及せざるを得ないのであります。  今日の財政危機の原因は、政府二自民党か一貫してとり続けてきた税財政挙げて大企業に奉仕させる高度成長政策にあることはもはや周知の事実であります。ところが政府は、依然としてその原因にメスを入れないばかりか、適切な是正策さえも示さなかったのであります。政府みずからが定めていた三〇%の歯どめも放棄した、諸外国にも例のない国債依存度実質三七%という異常な事態は、今後の財政の破局的事態を予告するものにほかなりません。多くの国民批判に背を向け、何ら税財政の改革に夢をつけず、放漫な財政運営をとり続けて、本年度に十一兆円、さらには来年度以降にもそれに比肩する大量公債発行を恒常化し、財政破綻の激化を進めたその責任は許しがたいものであります。  第二は、国民向け支出の圧迫を強める問題であります。  本年度国債費が三兆円を上回り、社会保障関係費のほぼ半分、一般会計予算の九・四%に及ぶばかりか、数年後には十兆円を超えることは必至であります。政府は事あるごとに振替支出、社会保障関係予算の伸びか最大であると答弁いたしましたが、それが増税絡みであることや国債費の伸びには及ばないことを強調せざるを得ません。国債費の急膨張か予算の二分割方式と相まって国民向け支出の圧迫を強めることは明らかであります。いまこそ、憲法違反のP3Cの導入など軍事費支出や、大企業向けの不要不急の経費を削って国民生活防衛に回すべきことを強調するものであります。  第三は、インフレの危険を一層強める問題であります。  国債発行残高四十三兆円、公社債全体では実に百兆円になんなんとする今日の異常さにもかかわらず、政府は、消化可能としてインフレの危険を否定しております。しかし、事態の深刻さは経済白書でさえも指摘せざるを得ないところへ来ておるのであります。一たび景気が上向いて民間の資金需要が拡大すれば、景気の足を引っ張るか、日銀買い入れによる資金供与しかないことは明白であります。さらに、当面はともあれ、経済成長率をはるかに上回る公債発行の増加が日銀の関与を不可避的なものとし、将来のインフレを準備するものであることは火を見るよりも明らかであります。  第四は、有無を言わせぬ大増税への道を進める問題であります。  累増する国債の償還は税収によって賄われるものであります。政府は、一般的負担の増加は避けられないとして一般消費税を初めとする国民への大増税計画を進めようとしております。しかも、その大前提であり財政再建の重要なポイントである不公平税制の是正、大企業、大資産家優遇税制の適正化への努力はきわめて不十分なものでしかありません。これは政府・自民党が進めてきた大企業、大資産家優遇の経済政策によってもたらされた莫大な財政の借金を国民にしわ寄せするものにほかならないのであります。  以上指摘したように、本法案は、臨時異例の名においても絶対に容認できないものであります。いま求められているのは、構造不況や円高危機から、さらには財政の危機を招来した大企業本位の財政経済政策を国民本位に切りかえるとともに、大量の赤字国債発行をやめ、税財政の改革を進めて国民生活の防衛と財政再建への第一歩を踏み出すことであります。  最後に、専売納付金の特別納付については、公社職員の労働条件の圧迫やたばこ値上げなどを認めない立場を明らかにして賛成するものでありますか、本法案全体に対しては反対の態度を表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  152. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和五十二年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金特例に関する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  154. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、幅間者から発言を求められて.おりますので、これを許します。福間君。
  155. 福間知之

    ○福間知之君 私は、ただいま可決されました昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案に対し、自由民・三党・自由国民会議、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブ及び新自由クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    昭和五十三年度における財政処理のための公債発行及び専売納付金納付特例に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。 一、現下の不況克服に全力を挙げ、不況脱却後速やかに健全財政を回復するため、財政収支の改善に全力をつくすとともに極力国債発行額を圧縮し、できる限り早期に特例公債依存の財政から脱却するよう努めること。 二、国債は、後世代の国民の負担となることに留意し、償還財源の確保に努め、償還に支障のないようにすること。 三、財政支出のうち、不要不急の経費の削減に努めるとともに、補助金行政の洗い直しを行うなど、引き続き行財政改革を進めること。 四、財源対策としての税制改革に当たっては、負担の公平化に重点を置いて、直接税・間接税のあり方など、中・長期にわたる税制の基本的見直しを行うこと。 五、国債及び地方債の発行が民間の資金需要を圧迫することのないよう配意するとともに、一方インフレを招かないように充分に対処すること。 六、国債個人消化を一層促進するとともに、国債発行形態の多様化発行条件の弾力化、公社債市場の整備拡充等、国債管理政策の改善に努めること。 七、専売特別納付金については、異例の措置であるので、今後安易にかかる措置をとることのないよう財政の健全化に努めること。   右決議する。  以上でございます。
  156. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  157. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 多数と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。村山大蔵大臣
  158. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。     —————————————
  159. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆第二六号)を議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長代理理事綿貫民輔君。
  160. 綿貫民輔

    衆議院議員(綿貫民輔君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、五月九日、衆議院大蔵委員会において起草、提出いたしたものであります。  御承知のとおり、現行の租税特別措置法におきましては、個人が政治活動に関する寄付をした場合に、当該寄付に係る支出金のうち、政党、政治資金団体、特定の政治団体または特定の公職の候補者等に対するもので政治資金規正法または公職選挙法により報告されたものにつきまして税制上寄付金控除の特別措置の対象といたしておりますが、本案は、その範囲を拡大して、次のように指定都市の議会の議員または市長を後援する政治団体等に対するものにつき策しても同様な取り扱いをしようとするものであります。  第一に、指定都市の議会の議員または市長の職にある者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体に対する支出金であります。  第二に、これらの公職の候補者または候補者となろうとする者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体に対する支出金であります。ただし、この場合は立候補の年及びその前年中にされたものに限られます。  第三に、これらの公職の候補者に対する選挙運動に関してされた支出金であります。  なお、本案による国税の減収額は昭和五十三年度において約五百万円と見積もられるのでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案の提出を決定するに際しまして内閣の意見を求めましたところ、やむを得ない旨の意見が開陳されました。  以上がこの法律案の提案の趣旨とその概要であります。  何とぞ速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  161. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆第二六号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  162. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますか、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  164. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣
  165. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  国際復興開発銀行、通称世界銀行は開発途上国の社会的、経済的開発の促進を目的とする金融機関であります。また、国際金融公社は世界銀行の活動を補足して開発途上国の民間企業に投融資を行う金融機関であります。  わが国は、従来から、開発途上国の社会的、経済的開発の分野における世銀グループの役割りの重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援してきたところであります。  今般、IMF第六次増資に合わせて世界銀行の増資が検討され、昨年五月十三日に総務会において総額七十億協定ドルの増資決議が採択されました。また、国際金融公社につきましても、今後とも同公社かその事業活動を円滑に継続し得るよう、昨年十一月二日に総務会において総額五億四下万合衆国ドルの増資決議が採択されました。  わが国といたしましては、その国際社会における立場に照らし、今回の増資につきまして、両決議の定むるところに従い、世界銀行に対して三億三千九十万協定ドル、現在の合衆国ドルで約四億ドルの追加出資を、また国際金融公社に対しましては二千二百七十七万七千合衆国ドルの追加出資をそれぞれ行いたいと考えております。このため、本法律案により新たな出資についての規定を設けることとし、この法律の成立後、増資に応募する旨の通告を行いたいと考えております。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  166. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 次に、国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣
  167. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における高等学校、大学等への進学のために必要な資金の負担の実情にかんがみ、国民金融公庫及び沖繩振興開発金融公庫において新たに進学のために必要な資金の小口貸し付けを行うことができるようにするため、ここにこの法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、国民金融公庫法の一部改正について申し上げます。  第一は、進学資金貸付業務の追加であります。  国民金融公庫は従来事業資金を供給してきましたか、筒等学校、大学等に進学する者またはその者の親族に対して進学のために必要な小口の資金を融通する業務を新たに国民金融公庫の業務として追加することといたしております。  第二は、郵政省に対する業務の委託であります。  進学資金の小口貸し付けの業務のうち、別途、本国会で御審議いただいております郵便貯金法の一部を改正する法律により設けられる進学積立郵便貯金の預金者で、郵政大臣のあっせんを受ける者からの申し込みの受理及びその者に対する当該貸付金の業務を郵政省に委託することができるよう所要の改正をすることといたしております。  次に、沖繩振興開発金融公庫法の一部改正について申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫法についても国民金融公庫法の一部改正に準じて所要の改正を行うことといたしております。  なお、これらの改正に伴い、国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律、郵政省設置法等につき所要の改正を行うことといたしております。  この法律は、公布の日から起算して六ヵ月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することといたしております。  以上、この法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  168. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会