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1978-04-28 第84回国会 参議院 商工委員会、社会労働委員会、農林水産委員会、運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)    午後一時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    商工委員会     委員長         楠  正俊君     理 事                 大谷藤之助君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 前田 勲男君                 増岡 康治君                 真鍋 賢二君                 大塚  喬君                 浜本 万三君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 渡辺  武君    社会労働委員会     委員長         和田 静夫君     理 事                 佐々木 満君                 遠藤 政夫君                 片山 甚市君                 小平 芳平君     委 員                 浅野  拡君                 福島 茂夫君                 高杉 廸忠君                 広田 幸一君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君    農林水産委員会     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 大島 友治君                 山内 一郎君                 川村 清一君     委 員                 片山 正英君                 北  修二君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 下田 京子君    運輸委員会     委員長         三木 忠雄君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 太田 淳夫君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 田代富士男君                 内藤  功君                 木島 則夫君    国務大臣        農 林 大 臣  中川 一郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君    政府委員        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業政務次        官        平井 卓志君        通商産業大臣官        房長       宮本 四郎君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        中小企業庁計画        部長       小松 国男君        中小企業庁指導        部長       豊永 恵哉君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        労働省職業安定        局長       細野  正君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君        運輸省船舶局造        船課長      間野  忠君        建設省住宅局住        宅計画課長    鴨沢 康夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定不況産業安定臨時措置法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————   〔商工委員長楠正俊委員長席に着く〕
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会連合審査会を開会します。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  本案についての趣旨説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 片山甚市

    片山甚市君 まず、両大臣特定不況産業安定臨時措置法に関する考え方をお聞きしたいのですが、構造不況下産業対策として、特に雇用問題は重要な課題だと御認識をされておるようでありますが、不況業種における設備廃棄がすなわち失業者をつくり出す、失業者を造出するという論理構造になっていると思いますが、そうでないとすれば、それをどのように解決をしようとされておるのかについて、私の質問は主として労働問題を中心としてお聞きいたしたいと思います。その焦点で両大臣からの御所見を賜りたいと思います。
  4. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今回お願いをしております法律焦点は、いわゆる構造不況業種と称せられます業界におきましては、不況の共通の課題といたしまして過剰設備を抱え込んでおるということでございます。どの程度過剰設備があるかということは、業種によりまして相当相違がございます。ある業界では二、三割程度のものでございますが、ひどい業界になりますと五割をオーバーしておる、中には六割、七割という過剰設備を抱え込んでおるという、そういう業種もございます。それらを業界の自発的な意思によりまして、そして廃棄をしていこうというのが今回の法律趣旨でございますが、そこで、そういうことをすれば当然雇用問題が発生するではないかと、こういう御意見でございまして、その場合にどう対処するかというのが御質問趣旨かと存じます。  そこで、現在いわゆる構造不況業種と言われておる業界での雇用状態雇用の数というものも大体掌握をしております。ただしかし、この業界の自主的な判断によりましてどの程度設備廃棄するかということについての合意ができるか、それが現在定かではございません。過剰設備の見当はついておりますが、それを全部廃棄するのか、あるいはその一部を廃棄するのか、それは業界判断で決まることでございますので、そこらあたりについてのまだ見通しがはっきりといたしませんし、それからまた、業界では不況業種とは言われますけれども、すでに長い間減産をずっとやっておりまして、雇用問題についてある程度調整ができておる業界もございます。だから、そういう業界は仮に設備廃棄いたしましてもまず雇用問題は起こらぬのではないかと、このように理解される業界もございまして、種々雑多でございますから、いま数字を申し上げまして具体的な答弁をするということは大変むずかしい状態でございますけれども、いずれにいたしましても、過剰設備廃棄の問題と表裏一体の関係をなす雇用問題の処理ということがこの法案の最大の課題であるということは御指摘のとおりでございます。
  5. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 通産大臣からお答えがございましたが、現在の段階におきましてこの不況産業安定臨時措置法対象になる業種からどの程度失業者が出るかということは、これからの経済推移を見ないと、なかなかこの実態はつかみにくいと、こういうのが実情でございます。今後の経済環境推移を見ながら臨機応変に対応していかざるを得ない。同時に、これらの企業経営実態というのはそれぞれの企業によって事情が違うわけでございますし、同時にまた、解雇問題というのは、これは労使の労働協約そのほか話し合いということが基本でございますから、そういう点をも考えながら今後の実情に機敏に対応していくと。したがって、職業安定機関というのは、関係機関と密接な連絡をとって的確な情報を早期に把握いたしまして、そしてこの離職をせざるを得ないような状態に対してやはり機敏に対応して労働者雇用の安定の確保を期すると、こういうふうに考えているわけでございます。
  6. 片山甚市

    片山甚市君 いまのお話を聞いておりますと、やはり事態を見なければわからない、こうおっしゃっておるのでありますが、この法律趣旨から言いますと、少なくとも産業を安定させるというための臨時措置である、これが期限を切られておりますけれども、同時にもう一つは、雇用を安定させるということになっておるだけに、いわゆる失業をどういうように防いでいくのかという、水際で出さないようにしていくのかという積極的な姿勢が示されておりません。いまお聞きをしておると、出たらそのときに考えたい、まだどうなるかわからないと。いわゆる設備廃棄、あるいはそういう措置をとるとする場合には必ず雇用問題を優先的に、いわゆる行き先をちゃんと保証するような形がとられる前提でこの安定法審議されておるのかどうかということについての明確なお答えがないように思いますが、いかがでしょうか。
  7. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 昨今の厳しい雇用情勢対応をいたしまして、すでに労働省では去年の十月雇用安定資金制度を発足をいたしまして、いわゆる未然に失業者を出さないように、失業予防とそして生活の安定、こういったことをすでに準備をいたし、施策が動いているわけでございますが、それにつけ加えて議員立法によります御承知の特定不況業種離職者臨時措置法、この積極的な活用によってこの離職対策というのはすでに先行しておると、このように考えるわけでございますから、この法律そのもの雇用安定についてのすでに衆議院において修正がございましたけれども、それらを踏まえまして法的な準備態勢というのはすでに整っておる、これが現実にどのような失業者が出るかということを的確につかんで雇用の安定を図る、こういうことで対応ができるように考えておるわけでございます。
  8. 片山甚市

    片山甚市君 そうしますと、今度の安定法とさきの離職者臨時措置法とはうらはらだというお答えのようであります。ならば、なぜ安定法は五年の時限立法で片一方の方は二年という時限立法になっておるんですか、うらはらなら。
  9. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 通産省産業政策局長でございますが、今回御審議お願いをいたしております法律案、約五年間の時限立法になっておりますが、これは第一の理由は、この法律によりまして設備処理を進めていくということになると思いますが、これは業種によりまして設備処理を進めていく期間にいろいろな違いがあると思いますが、ただいままで私どもが論議をいたしております幾つかの業種につきまして、たとえばアルミ産業等につきましては、昨年いろいろ議論をしておりますが、設備処理を約五年にわたって進めていく、そういう点から五年程度期間が必要ではないかというのが第一点でございます。それから第二点は、信用来金によります保証の期間、これもほぼ五年というぐらいの期間を予定をいたしておりますので、そういうことから法案期間を約五年と、こういうことでお願いをしているわけでございます。
  10. 片山甚市

  11. 細野正

    政府委員細野正君) 特定不況業種離職者臨時措置法案は、御案内のように、与野党一致でもって内容をお決めいただいて、その際の施行期間そのものも二年ということにしていただいたわけでございまして、そういう意味で、いま御審議いただいております産業安定臨時措置法の方は、いま通産省の方から御説明があったような理由で五年ということにしていただいたということでございまして、私どもの方としては、特定不況業種離職者臨時措置法の今後の運用実情を見て、これが二年でいいかどうかという問題はその時点において検討さるべき問題じゃなかろうかと。その際に、成立経緯から申しましても、与野党の御参加いただいた皆さん方の御意見をよく伺った上で対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 片山甚市

    片山甚市君 お聞きをしておるのでありまして、是非を問うておるのでありません。五年と二年がどちらがいいのか、一緒にせなきゃならぬなどと言っておるのではありませんで、主として、いまのところ労働者を救済するという問題については二年というものがある、産業を救うという側から言うと五年の歳月はかかる、その間いわゆる廃棄をすればおのずから労働者がいわゆるほうり出されるようになる。いや、ほうり出されるのは必ず保障するから心配しないでほしい、こう労働大臣が言われるならいいけれども、よく見てみなけりゃわからぬというようなものでありますと、これはやはり労働者首切り法案切り捨て法案産業が生き残れば後から雇ってやろうというようにとれますが、労働大臣、どうでしょう。
  13. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) ただいま局長からお答えをいたしましたように、離職者臨時措置法議員立法によって二カ年という期限が付せられておりますけれども、そのような成立の経過を踏まえまして、やはりその時点で本日御審議特定不況産業安定臨時措置法という問題の時間的なずれに対してどうしても雇用安定上期限の延長が必要だという場合には、梓さん方とも十分御相談をし、議員立法経緯を踏まえて雇用安定に万遺憾なきを期すると、このように考えておるわけでございます。
  14. 片山甚市

    片山甚市君 通産大臣がおっしゃるように、この特定不況業種臨時措置法、いわゆる離職者に対する臨時措置法というものと今度の安定法が表裏、裏表である、こういうようにおっしゃる以上、本法の第一条に雇用安定及び中小企業の安定を挿入されました。そういう意味から第三条では安定基本計画を策定することにしておりますけれども衆議院における修正雇用問題の重要性を浮き彫りにして、労働大臣としては、第五十七条で雇用問題に対する、雇用安定、失業予防、再就職援助などについて決められておるんですが、これからどのような姿勢でその法律を受けられますか。
  15. 細野正

    政府委員細野正君) お話ございましたように、衆議院段階におきまして五十七条が挿入をされまして、そこでいまお話ございましたような主務大臣労働大臣とが雇用に関する事項について相互に緊密に連絡し協力すると、こういう規定になっておるわけでございます。これは第二章の規定施行の際、たとえば安定基本計画を定める際とか共同行為の指示を行う際、そういう場合に、雇用の安定を図るための措置につきまして事前に労働省関係主管官庁との間に十分連絡協議するということによって雇用の安定を図ってまいるという趣旨で定められたものというふうに私ども理解をしているわけでございます。
  16. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、もう一度お聞きするのでありますが、特定不況業種離職者臨時措置法本法との関係は今後どのように進められますか。
  17. 細野正

    政府委員細野正君) いま御質問ございました点につきましては、離職者臨時措置法そのもの適用要件が、本来的に国が法令または国の施策という形で政策的に割り切った合理化であるということが一つと、もう一つ雇用なり生産の指標というものが停滞をすると、こういう二つの要件からできておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、この法律によって対象となる業種については少なくとも国が施策として割り切ったという点だけは明確でございますので、したがいまして、一応別々の法律の形になっておるわけでございますけれども、少なくとも運用としては、結果的にこの両方は、先生先ほどおっしゃいましたように、うらはらの形になるものであるというふうに理解をしているわけでございます。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、離職者法特定不況産業業種指定されたものはどういうものがあり、安定法指定されるべきものはどういうことになりますか。それぞれ労働と通産答えてください。
  19. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま御審議お願いしております法律案におきまして対象業種になりますものは、一つは、法律に一号から四号まで、平電炉業、それから化学繊維業界、それからアルミ製錬業、それから、運輸省所管でございますが、造船業、この四つが法定をされております。その他のものにつきましては、第五号におきまして一定の要件のもとにどういう業種対象とするかという政令による指定が行われるかっこうになっております。この政令対象業種につきましては、この法律案の御審議を受けまして法案成立いたしました暁に、審議会に諮りまして一年以内に政令指定をするということになっておりますが、法案作成段階で私ども一応議論対象にいたしましたのは、ただいま申し上げた四業種のほかに、繊維の短繊維紡績業、たとえば羊毛紡績業、綿、スフ紡績業等のいわゆる紡績業、それから化学関係で、たとえば化学肥料業界、それから塩ビ樹脂業界等のいわゆる化学工業関係構造不況業種と言われているもの、それから紙の関係段ボール原紙製造業、それから鉄鋼関係と申しますか、広い意味でフェロアロイの製造業等等でございまして、そのほかに、アルミ製錬は先ほど申し上げたように法律で決まっておりますが、さらにその下流でございますアルミ圧延業等もあるいは対象として考えるんではないかと、当省所管で申しますと、こういう議論をしてまいりまして、今後至急にその点の問題を詰めて政令指定をいたしたいと考えておりますが、そこで、ただいま私が申し上げましたような業種の中ですでに特定不況業種のいわゆる離職者法対象となっているものがかなりのものがございます。具体的に申し上げますと、私がいま申し上げました平電炉業、それから合成繊維、それからアルミの製錬業、これらはいずれも離職者対策法対象になっておりますが、私がいま候補業種として申し上げました中で、化学肥料業界あるいは塩ビ樹脂業界等はなお特定不況業種離職者対策法の方の対象業種にはなっておりませんので、今回、ただいま御審議をいただいております法案対象業極となり設備処理が済む、こういうことになりますと、そちらの離職着対策法対象業種としてぜひ指定お願いをするということで労働省とお話し合いをしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  20. 細野正

    政府委員細野正君) 特定不況業種離職者臨時措置法指定業種といたしましては、いま濃野局長からもお話しがございましたけれども鉄鋼関係、それから船舶製造業関係、つまり造船関係、それから海連関係、それから非鉄金属関係、それから繊維関係、それから冷凍生産物製造業関係、そういうものをひっくるめまして全体で三十二業種がすでに業種として指定をされているわけでございます。なお、先ほど裏表ということを申し上げましたけれども、いまの御説明でもおわかりいただけますように、離職者臨時措置法の方が法律にないものについても適用可能性がございますので、現段階においては、当然私ども離職者臨時措置法の方が業種としては広いというふうに理解をしているわけでございます。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 安定法適用を受けたものは離職者法適用を受けられるような条件を整える、こういうように御答弁をされたものとして理解してよろしゅうございますか。
  22. 細野正

    政府委員細野正君) 関係の省庁ともよく打ち合わせた上で、適用の方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、離職者法第六条二項義務の履行についてですが、対象業種、先ほどの三十二業種の「労働力需給見通しに関する資料提出」はどのようになっておりますか。
  24. 細野正

    政府委員細野正君) 対象業種からいろいろなヒヤリングをやっておりますけれども、的確な需給見通しそのものについては、先ほど来両大臣からお話しがございましたように、非常にむずかしいわけでございまして、現在関係官庁を含め、業界団体と私どもとの間で調整中という状況でございます。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 もうすでに約半年を経過しようとしておるときでありますが、まだできていないということは大変残念なことです。さらに六条の一項について、政府業種区分では具体的ないわゆる計画作成と必要な措置をどうとっておられるのかについてお答え願いたい。
  26. 細野正

    政府委員細野正君) 御指摘職業紹介計画でございますが、これは先ほど申しました労働力需給見通しを踏まえてやることになっておりますので、そういう意味での業界全体としての紹介計画というものをまだ作成する段階にまで至っておらないわけでございますが、しかしながら、同時に、同じ法律の中で、先生も御存じの再就職援助計画個々企業離職者を出す場合には提出することになっておりまして、そちらの方は私どもの方で厳格にとっておりまして、これに基づいて個々企業から発生する離職者については万遺憾ないようにやっているという状況でございます。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 昨年大騒ぎをして、これが通れば離職者が救われるような話をしてまいりましたけれども、調査がそういうことでありますから十分でない、資料がまとまっておらないということでありますと、法案施行段階で国も経営者団体も何もやっていないということになる。本気で一生懸命やっておるんじゃなくて、何か金が出る、何か国から補助金が出るのを目当てにして騒いでおる感じがしてならないのでありまして、断じていけませんよ。それでは、本法で言う「安定基本計画」についても、一体労働者の立場からどのような問題を立てているのか。労働者をどのように思っておるのか、雇用安定ではなく雇用不安定にさせるような計画を大体通産省としては立てているんじゃないか。大体、日本の産業を回ったら、後でおまえらを助けてやる、心配するなというような態度ではないかと思うんですが、通産大臣相当の御見識を持っておられますから、私のこの暴論みたいなことについてきちんと御反論していただけば結構だと思う。お願いします。
  28. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私どもは、政治の最高目標完全雇用にある、そういう考え方の上に立ちまして政策に取り組んでおるわけでございますが、したがいまして、現段階ではこの雇用問題が一番大事である、このように理解をいたしております。残念ながら今回のような法律お願いしなければならぬ深刻な事態でございますが、これとても、景気が回復をいたしますと、私は、構造不況業種の問題はもう大半は解決すると思うんです。  たとえば昨年はセメントなどは明らかに構造不況業種でございましたが、公共事業の伸展に伴いまして、いまや不況業種ではなくなっておりますし、砂糖業界ども一連の対策によりまして、これもようやく不況を脱しつつある、こういう状態でございまして、私は、景気がある程度よくなるに従いまして構造不況業種として考えられておる業界もだんだん減るのではないかと考えます。そこで、景気対策を最大に考えなきゃならぬ、このように理解をしておりますが、それでも、なおどうしても救いがたい業界がございまして、しかも、その業界の大部分の方々が何とかしたいので政府の協力を求めたいと言われる場合にはこの法律を発動いたしまして御協力をしよう、こういう考え方でございます。しかし、その場合といえども、御指摘のように、雇用問題が最大の課題でございますから、この問題につきましてはやっぱり万遺漏ないように進めていかなければならぬと思いますが、たとえば設備廃棄雇用状態を見ながら調整をしていくとか、あるいはまた企業内で配置転換を行うとか、あるいはまた出向等を行うという工夫をするとか、あるいは安定基本計画を進めます場合に転業ということを一つ課題にしておりますが、転業する場合には、これは職業訓練等を行わなければなりませんが、そういうこともやりながら転業による雇用機会の創出、そういうことも考えていかなければならぬと思います。しかし、それじゃ一〇〇%全部が救えるかと言いますと、そうでない場合も当然考えられますので、そういう場合には、万やむを得ず、いま労働省がお述べになりましたような対策も一時的に講ぜざるを得ないのではないかと、このように理解をしておりますが、いずれにいたしましても、雇用問題が最大の課題である、こういう理解の上に立ちまして最大限の工夫と努力を重ねてまいりたいと考えております。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 大臣は正直ですから、いままで構造不況と言っておったけれども、まあ景気不況というか、これが非常に大きい要素になろう、日本の経済についてはそう心配したことはないということを言外にほのめかして、それは通産大臣ですから軽々に言っておりませんが、そういうふうにとれます。  そこで、私が先ほどからお聞きをしておるのは、こういうような産業上、設備の過剰を整理するとかいそういうことはあり得るけれども、まず何といっても、そこに働いておる労働者に対して万全の対策をして人心が動揺することなくしてもらいたいのは、実は中高年齢の人なんです。私らの仲間はもう五十以上になっておる。そういう者がもう間際にほうり出されますと、退職金の問題から年金の問題から大変なことなんです。年金をもらう必要のないような金持ちはよろしゅうございますが、われわれのクラスは年金を当てにしますから、そのところでばちっと変なところで首を切られてしまうと大変なことになる。あとわずか十年、八年いまの職を続けていく——高い賃金じゃありませんよ。いまのままで昇給さしてもらわなくてもと思っておるときに、子供が大学行っている何をしておるというときにほうり出されるという苦痛は何とも言えません。外国ですと、御承知のように、青年が首を切られるから暴れてくれるんですが、いまの年寄りは忠君愛国を教わっておる関係もありまして、とにかく外見も悪いから首を切られてもじっとしんぼうする、四十、五十以上の者は。ですから治安対策にもならぬし、世の中を騒がせもしません。これだけ百三十何万人も首切りがありましても世の中が落ちついておるというのは、戦前戦中教えられた教訓のたまものか、家族を抱えておる負い目かわかりませんが、これはもう言葉に尽くせない。大臣、そういう意味で、今日のこの構造不況のときにはまず年いった者はまず首を切らぬ、こんなことは考えられませんか。年いった者よ、若い者は暴れる能力があるんだから暴れさしたらどうですか。ちょっと聞きます。
  30. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 日本の社会が御案内のごとく高齢化時代に入っておる、そのような背景のもとに特にまた不況業種離職者というのは中高年齢者であるという、こういった二重の困難を背負うている高年齢者の雇用対策、特に中高年齢者の雇用対策というのは、労働省としても雇用政策のかなめであるというふうに認識をいたしております。したがいまして、このような産業から出た中高年齢者に対しては、不況業種臨時措置法によって、そして転職のいわゆる職業訓練ですね、訓練手当あるいは待機手当、こういったことをやると同時に、雇用保険の期間を九十日に延長するということ、それから、きのう御審議、御可決願いました職業訓練法の改正によりまして中高年齢者に向く職業の訓練科目を新増設をする、そして訓練校に入る入校時期も多様化していく、そして訓練のやり方もいわゆるモジュール方式を採用していくということ、それから民間の訓練施設に委託していく、こういうことによって中高年齢者の再就職への職業訓練に万全を期していく。同時に、新しく五十三年度から政策として取り入れた中高年齢者を雇い入れる事業主に対して助成をしていくという、これは中小企業の場合には普通支払う賃金の三分の二を助成していく、こういうことによって中高年齢者が新しい雇用機会をつかんでもらう、このように考えておるわけでございまして、それと同時に職業安定所の機能をフルに活用していく。もう一つ公共事業ですね、これが相当拡大されるわけでありますから、特に失業多発地帯に対しては公共事業の重点的配分によって、そして失業者のいわゆる吸収率制度というものを活用していく、このようなもろもろの施策を総合的に推進することによって一番困難な中高年齢者の雇用対策対応していきたい、このように考えるわけでございます。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 決意はわかりましたが、日本の資本家というのは安いものほどうれしいんです。若い者は能力があるし柔軟性がありますし、どんな機械にも対応できます。そして賃金は安いんですから、その方を採りたがるんです。いままでその企業のためと社会のために尽くしてきた人が四十過ぎてくる、五十になると、おまえは要らない、これがあなたたちがよく言った終身雇用という化けの皮です。わかりますか。日本の資本家の者たち、この根性というのはど汚い、こう思うのです、本当に。いまのようなときには、これだけ戦前戦後働いてきた者に対して補償するためには、私は、どうしても努力をしなきゃならぬ、こう思っています。いま大臣がおっしゃることはいいんです、それで。それはそのとおりでよろしいが、それでは、中高年齢雇用促進法というのを決めておりますが、中高年齢の失業者に対する特別措置は今日の情勢のもとでどのような措置が有効に働いておるのかですね。こういうことについてお答えを願いたいのです。
  32. 細野正

    政府委員細野正君) 中高年齢者の雇用促進のための基本的な施策は、やはりその雇用率というものを軸にしまして、これを達成するために、一方において年功序列賃金体系その他の賃金問題についての労使の間のコンセンサスを得ながらも、定年延長というものを着実に進めてまいりたいということが一つの私ども施策の柱でございます。と同時に、先ほど大臣からもお話ございましたように、中高年齢者を雇用した場合の助成金制度、その他各般の施策を活用しますと同時に、定年延長そのものにつきましても、定年延長の場合の奨励金制度を大幅に改善しまして、それらの施策を総合的に実施することによって中高年齢者の雇用促進を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 冒頭に申し上げましたように、この法案がいわゆる産業を安定さしたい法案であって、背切りを前提とする法律でない、こういうことになれば、やはり設備過剰に対しては労働条件の改善を図ることと生産調整の具体策がなきゃならぬと思いますが、通産省の方では、このことについてどのようなお考えでしょう。
  34. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私どもも、この法案運用に当たりまして、当初から衆議院段階の御答弁等でも、たとえば安定基本計画を策定いたしまして、この法案の中核でございます設備処理、この問題につきましても雇用安定ということを十分に念頭に置きまして考えなければならぬということを御説明申し上げました。衆議院でこの点がはっきりと雇用の安定と中小企業経営の安定、これに配慮をしろという規定が随所に修正が行われましたし、また安定基本計画の中身自身につきましても雇用の安定に関する事項を含むという修正が行われました。私ども、この雇用の安定ということで安定基本計画をつくりますときに、設備処理という観点から見ましたときに何を考えるかということでございますが、第一は、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、設備処理量とか、あるいはその処理の方法あるいはテンポといいうようなものにつきまして、当然のことでございますが、雇用の安定ということを第一に念頭におきまして考えていかなければならないと、こう考えております。その際の御審議を願う第二の問題といたしまして、これは審議会の場でお願いをするわけでございますが、ここにおきましては、これは業種別に審議会に部会ないし小委員会をつくりまして、そこに関係労働側代表の御参加も願って十分御討議の場で御議論を願う、さらに必要がございますれば関係の方の御意見も聞く、こういうことで十分な検討を進めていきたいというのが第一でございます。  それから第二には、先ほどこれも大臣の御答弁にございましたように、雇用の安定に関する事項ということを安定基本計画の中に定めるということでございますが、この点に関しましては労働省当局と事務的にも十分お打ち合わせをいたしまして、これは業種業種によって掲げている問題がいろいろ違うと思いますが、安定基本計画審議の場におきまして、先ほど大臣の御答弁にございましたように、今後のその業種設備処理を進めるに当たりまして雇用安定という観点から必要な指針につきましてぜひ定めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどから審議会お話が出ましたから関連してお聞きしますが、政令、省令を出されるときには一応審議会に諮り、それを経て進められるものと考え、その中には、いま申されたように、関係労働者あるいは自治体の代表等を入れていただけるような御配慮があるのかどうか、まずお聞きをします。
  36. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) この法律施行いたしますことに関連いたしまして幾つかの政令、省令の制定が必要となっております。  簡単に申し上げますと、まず政令でございますが、一つは、先ほどのどういう業種対象になるかという特定不況産業指定、それから、この法律は二段階になっておりまして、法定の業種ないしはただいま申し上げた政令指定業種の中で、いわゆる大多数の当該業種に属する事業者の方がぜひこの法律に乗っかって安定基本計画を策定し、設備処理を進めていくと、こういう業界内の意思が一致をいたしました業界の申し出によりまして、いわば何と申しますか、第二段階政令指定することになっております。こういう政令一つ。それから、この法律施行のために、たとえば報告徴収事項を何にするかとか、あるいは特定不況産業の信用基金の設立がございますが、この信用基金に関係をいたします政令事項がございまして、こういう政令一つでございます。それから、規則の段階——省令段階でございますが、省令段階につきましても、たとえば、いま私が申し上げました業界の申し出の手続をどうするかとか、あるいは信用基金に関する省令、手続的な点を定める省令等々がございます。そのほかに、あるいはいま先生の御質問の中核的な問題かもしれませんが、設備処理対象設備を何にするかというようなことを決める政令がございますし、また、その場合の技術的な能力の算定を決める省令等々がございます。  この法律の中で審議会意見を聞かなければならないとなっておりますのは、先ほど最初に申し上げました第二条の一項五号の業種指定政令でございます。ただ、私どもは、その他の政省令事項につきましては、したがって、法律審議会に付するという手続にはなっておりません。それは主として技術的なものが多いということであろうと思いますが、ただ、この業種指定するに当たりましては、この業種については過剰設備処理を進めていかなきゃいかぬ、こういう前提で業種を選ぶわけでございまして、ここで審議会にお諮りするわけでございますから、その段階で、一体この業種は何を対象設備処理をやっていくのか、あるいはそのときの設備の能力をどう判定するかということにつきましては、先ほど申し上げたように、私ども、それぞれの業種の部会なり小委員会にお諮りをするつもりでございますので、そこで実質的なそういう点についての御議論も十分願って、それによって政省令の制定を図る、こういうことになると考えております。
  37. 片山甚市

    片山甚市君 設備の過剰について、いわゆる廃棄をする、処理をするということになる、そのことが雇用に直接結びつくことであり、そのような事態を起こさせないように最善の努力をすると労働大臣労働の側から言われました。それから、通産の側から言いますと、それはおれの方の仕事だからとおっしゃるのでしょうか。いま私が聞いておるのは、政令、省令を出されるときの審議会を設けられるときには、労働者側の意見を入れて、聞くようにしてもらいたい。これはいわゆる参加の原理でございまして、自分の手を封ずるようなことになるのでありますけれども、やはりそういうことが今日近代社会で当然のことではないかと言うておるんですが、それはできるだけおれらの方の官僚でやるし、賢い者がやるから、小委員会でやるから、学識経験者でやるから、おまえ出ていけと、こういうふうに聞こえるんですが、まさかそういうことじゃないんでしょう。もう少し明確に労働者の——あなたの方は機械とか建物とか、財産とか金とか意地汚く言いよるけど、そうじゃないんです。人間のことについてお答え願いたい。
  38. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私、ただいま先生の御質問のような御趣旨お答え申し上げたつもりでございまして、審議会の場で生産能力云々と申しましたが、これは先生指摘のいろいろ労働者側の関心と申しますか、問題の事項がございますが、そこは、先ほど申し上げましたように、この審議会もいわゆる一般的な本会議ではございませんで、個々業種別に部会なり小委員会をつくり、そこには当然その業種労働代表も全部入っていただきまして、そこで御議論を願うと、こういうことでございます。
  39. 片山甚市

    片山甚市君 それじゃ、大上段に振りかぶりはせずに関係労働者の代表が入って、よくわかった上で処理されるものと理解をする。  そこで、もう一度念を押しますが、私が申し上げたいのは、これはすぐに御検討いただけるかどうか。後に引き継ぐかわかりませんが、自治体といいますか、自治体というものが一つの受け皿になりますから、協力団体になりますから、そういう地域で失業が起こるということですから、地域産業関係があるので、どうしてもそういう点には配慮を願いたいと思うのですが、もし検討ができるならそういうふうにいましておいていただかないと、私は労働者と言いましたが、もう一つは、受け皿で言えば地方自治体がいわゆるそういうことについて当談のものがありましょうが、聞けるようにならないでしょう。
  40. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生指摘のように、いわゆる構造不況業種と言われておる業種の中には大変特定の地域と非常に密接な関連がございまして、その業種のこれからの動向いかんではその地域経済に大変に大きな影響を与えるというものがあることは、私ども十分承知をいたしております。  なお、衆議院修正におきましても、第五十六条に都道府県知事の意見の申し出という規定でこの点が非常にはっきりいたしましたが、私どもは、ただいま御説明をいたしました業種別にこの問題を議論をいたしてまいりたいと思いますが、この業種別の、審議会議論の場等で特に法律に基づくお申し出が、仮にこれによるお申し出がなくとも、十分関係都道府県知事の御意見等あるいは市町村長の御意見を伺う、あるいは業種によって特に地域的な問題が強い業極におきましては審議会のメンバーそのものになっていただく、こういう運用で地方の御意見というのを十分入れていくと、こういうかっこうで考えていきたいと思っております。
  41. 片山甚市

    片山甚市君 いまの御答弁で、必要な自治体については十分に参加をして御意見が述べられるというか、配意ができるようにされると、メンバーに入ってもらうことも前提としてあり得ると、こういうことにお聞きする。  そこで、労働大臣にお伺いするのですが、実は昨日の職訓の議論のときにもありましたけれども労働力を行使する場合の、いわゆる雇用を広げるための時短、週休二日制の問題について相当衆議院でも議論が進み、決議などもやられるように聞いておりますが、今日の段階でこういうような経済動向になれば、また国際的な世論から言っても、日本の国でこれを契機に週休二日制について進める必要があろうかと思っておるのです。それについては先だってからいろいろなところで大臣お答えをしていますから、その同じことは御答弁要りませんけれども、特にこういうような構造不況業種を中心として議論をし、中高年齢者のいわゆる離転職者をどうしようかということになれば、仕事を分け合うという余裕も必要だし、新しく雇用をつくることも必要であります。その第一弾として労働時間の短縮、そうして週休二日制、こういうことの上に立っていわゆる労働基準審議会の答申、衆議院の大蔵委員会の決議、労働省が先だってからの御答弁しておることを踏まえて、もう一度雇用をつくり出していく一つの分配をするといいますか、そういう意味での時間短縮についての取り組み、これについて御答弁願いたい。
  42. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 労働時間対策の進め方についてというので、いま御指摘の中央労働基準審議会の公労使一致の建議を受けたのが去年の末でございまして、私は、この趣旨を踏まえましてその後しばしば関係委員会においても御答弁をいたしておるわけでございますが、もう議論段階ではなくして、どうして実行に移すかということで、いろいろいま内部で相談をいたしております。とりあえず五月中には次官名において地方の局長あてに、労働時間対策の進め方について地域地域の労使関係の人たちを集めてもらって、そして、この行政指導によってとりあえず週休二日制、時間短縮、こういった問題を進めていく、これは当面まさに逆流にさお差すような困難な客観情勢にございますけれども、御指摘のごとく、いわゆるワークシェアリングという、こういった観点からひとつぜひこの労使の協力を得たい。ただ問題は、企業あるいは産業実態においていろいろ事情が違いますから、そこら辺の手かげんは、やはり企業そのものの経営を危殆に瀕せさせるようなことはできませんから、雇用の安定ということを考えながら、ねらいは雇用拡大でございますから、そういう線に沿うて具体的に五月中にすでに関係の労使を中心に話を進めていきたい、行政指導という原則のもとに話を進めさしていただきたい、このように考えているわけでございます。
  43. 片山甚市

    片山甚市君 まあ、労基法の改正という手続を踏んでやっていただきたいというのが私の立場ですが、いままだ政府の方がそういうことであるとすれば、それでは、いわゆる安定基本計画、今度の法律の中でそれを進めるような項を起こして前進をさしていただけるようなことはいかがでしょうか。
  44. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 今回の安定基本計画の中で、先ほど私が若干触れましたが、幾ら過剰設備があるかというものの算定の基礎といたしまして、いわゆる設備能力の問題のほかに、ただいま御指摘労働条件の問題、業種によりましては非常に大きな問題であるということは私どもも承知しております。商工委員会の御審議等を通じましても、そういう業種についての問題意識が議論になっております。ただ、今回の対象業種実態を見てみますと、特に化学工業等、つまり装置産業部門におきましては、その設備自身は年間通じてフル操業というようなかっこうでございまして、その中でいわば労働者雇用条件、労働条件というのはどうかと、一応別個の問題という面もあるわけでございまして、私ども、主要業種につきまして、現在それでは週休二日制というのがどういうかっこうになっているか、若干の調査等もやってみまして、したがいまして、根っこから、このただいま御指摘のございました週休二日制等労働条件の問題が非常にこれから議論になる業界はそれほど多くないのではないかと、こういう感じを持っておりますが、いずれにいたしましても、審議会の場で過剰設備処理の数量を決める、あるいは将来どうしていくべきかということは、そういう業種によりましては大いにこの安定基本計画を策定する場合にも問題として取り上げられる、こういうことを私ども予想をしておるわけでございます。
  45. 片山甚市

    片山甚市君 それでは安定基本計画の中には、労働時間に関する問題といいますか、雇用するものの内訳として週休二日制の問題等が議論をされ、策定の中にも組み入れられるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  46. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 個々業種につきまして、ただいま申し上げたように、大変その問題が大きな問題意識になりまして、審議会の検討の場で資本家側、経営者側、それと労働代表の方の間で非常に大きな議論になるという可能性もあり得ると考えておりますが、ただ、それが必ずこの安定基本計画の中に、こうするのだというような合意と申しますか、コンセンサスを得ましてなるかどうか、この辺は率直なところ私もただいま見通しは持っておりません。
  47. 片山甚市

    片山甚市君 そういう計画の中に入れていただくことがやはりこの法案が仏つくって魂入れると言われるように、画竜点睛をいただくことになろう。大変むずかしいことですから、決意をしてもらおうと思っておるところです。法律で、国の力でカルテルのような形で共同決定をしてくれと、こういうふうに頼むのに、自分の方の都合の悪いことは、これはおれの経営権だと、こういう厚かましいことを言わさぬように、やはりこれから近代化していくんですから、欧米並みにやはり労働条件をそろえながら企業として生産を上げていき、内容を高めていくということがありましょうから、それは特にこういうような業界に顔を向けた形でなくて、当該の労働者をどうするかということを特に労働省がきちっと——労働省通産省裏表になってがんばりますと言ったんですから、ひとつ今度は労働大臣、いまの話はいかがですか、進めてもらえますか。
  48. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 労働時間問題ないし週休二日制、こういった問題はまさに労使が話し合いをしていただくことが大切な前提でございまして、願わくばそのような話し合いの場において、この安定計画の中にもそれが盛り込まれるということで、個々企業実態対応してこの計画が進められることを期待をいたすわけでございまして、そういった点について今後、これはもうせっかちではなかなかできません。やはり目標を持って前進していく、着実に前進をしていっていただきたい、このように考えるわけでございます。
  49. 片山甚市

    片山甚市君 昨日職業訓練の問題について議論をしまして、特にこういうような事態になりますと、離職することがあらかじめわかるのですね。廃棄をする、協議をしていく、その段階では、就職をさしていく、転職させる先をまず保証して訓練を取りつける、そしてしっかり自信を持って腹の底から、おれはちゃんと訓練を受ければあそこへ入れるんだからと言ってやれるように、通産省もそうでございますが、労働省もきちんとやってくれるのか。時間がありませんから、少しはしょった言葉ですが、労働大臣は、昨日私が相当申し上げたからおわかりと思いますから、その点でひとつ明確にお答えいただきたい。就職ができるような状態、こういうような離職する人は就職する目標を決めさして、そして受取手に、大方いわゆる職業安定所等を通じましょうが、業界全体も協力して訓練をする。転職もありましょうから、そういうことについては万遺漏なきを期する、こういうことなのか、もうそれはここだけだ、この法律が通れば知らないよと、こういうふうなのか、きちんとお答え願いたい。
  50. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘の点は大切なことであり、同時にまた、至極ごもっともなことだと私は確認をいたします。われわれといたしましては、そういう事態が発生した企業実態を早くつかみまして、職業安定機関、そして職業訓練施設、こういったものをフルに活用し、同時に受け入れ側に対してもやはり事前にその受け入れ準備をしてもらえるような方向に努力をいたしたい、このように考えております。
  51. 片山甚市

    片山甚市君 大臣が万全を期したいという意味のことを言ったことにしておきます。これはなかなかむずかしいことでありますから、そういう最後になると少し頼りないこともありますけれども、しっかりやるという意味だととる。  そこで、特定不況産業信用基金のことでございますが、内容を簡単に言っていただきまして、その上で雇用の安定となるものについては運用上十分な配慮がなされているということであろうと思います。設備廃棄が即首切りということになり、首切りのための退職金を保証するということであってはならぬ、こう思いますから、この資金は、先ほど局長からお答えがありましたように、信用基金の運用については労働者の代表等が参画できる、こういうように理解をして説明を願いたいんですが、いかがでしょうか。
  52. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 信用基金の全体の構想と申しますか、仕組みを簡単に申し上げますと、この法律の第三章に相当詳細に書いてございますが、まずその業務といたしまして、第三十九条に業務の規定がございますが、「特定不況産業における計画的な設備処理のため必要な資金」、それから、この「設備処理に伴って必要となる資金の借入れに係る債務の保証」を行うということが一口で申しましてこの基金の業務でございます。  この業務を遂行いたしますために基金は一定の資本金を持つことになっておりますが、この資本金は、当面、発足時におきましては、日本開発銀行から八十億、民間の出資または出捐を二十億予定をいたしておりまして、まず百億で発足をする。民間の資金が集められるめどがさらにそれより増加するめどがつきましたときには、開発銀行は、ただいま申し上げました八十億を百億まで増額し得るということに発足当時としてなっております。これによりまして十倍の規模の保証を行うということになっております。保証に当たりましては、具体的にいろいろな技術的な問題がございまして、これは業務方法書で定めることになると思いますが、この業務方法書をどうするかというような個々の問題につきましては、現在、私ども、それからこの基金の監督官庁でございます大蔵省と一緒になりまして、銀行等の専門家と内容の詰めを行っております。  なお、この基金の運用に当たりましては評議員会が設けられておりまして、この評議員会が基金の基本的な運営の方針等についての御相談にあずかると申しますか、タッチをしていく、こういう仕組みになっております。  なお、この基金は債務保証という問題を唯一と申しましてよい仕事といたしておりますので、こういう情勢の中でございますから、きわめて簡素な機構で小人数でやっていく、あるいは必要な保証業務等でございますから、開発銀行にその業務の委託をする、あるいは関係金融機関からの実質的な協力を仰ぐということで、非常に簡素な機構で動かしていきたい、こういうふうに考えております。  それで、この保証の対象といたしましては、最初に申し上げましたように、一つ設備処理のための資金の保証でございまして、設備処理というのは安定基本計画に従ってやるかっこうになっておりまして、安定基本計画の策定につきまして、私ただいままで御説明申し上げましたように、この段階で、関係者、特に雇用安定という観点から労働側の御意見等も十分参酌をして決めるわけでございます。それから、この設備処理の推進に当たりましては、たとえば基本的には自主的な設備処理を進めていくというのがこの法律のたてまえではございますが、当然のことながら設備処理というのは企業のいわば一番根っこの重要な問題でございますので、必要な点につきまして労使間で十分な協議が行われるというようなことも当然でございましょうし、この法律におきましては十条の事業者のいわば努力規定と申しますか、配慮規定の中に、衆議院におきましても、労働組合とも協議をしてという言葉がはっきりありまして、私どもは、この規定を十分関係事業者が遵守をしてやるように、必要があれば産業所管官庁の面からも十分監督等をやっていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 片山甚市

    片山甚市君 最後に、本法の制定後、先ほどから繰り返し言いましたけれども安定基本計画業種指定などの手続については政令によることとなりますが、その他のいわゆる省令、政令施行に際しましては通産省が十分に意見を聞くという立場で、いわゆる一方的にやらないということであらゆる方法をとりながら関係者の、特に労働者意見は聞かれるものと思いますし、関係の地方自治体等についても、行政上円滑にいくためにも努力されると思います。そういうことで繰り返して労働大臣通産大臣にこの法律施行に当たっては、主体の労働者関係者の意見を十分聞くということについて異存がないかどうか、お聞かせを願って終わります。
  54. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御趣旨のような方向で運営をいたします。
  55. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 労働省といたしましても、労働あっての経済活動でありますから、御趣旨に沿うように十分努力をいたします。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 終わります。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 昨日の福田総理の記者会見で、訪米を前にいたしましていろいろお話をされておりますが、世界に対して責任を果たすという立場からの特に海運、造船に関しての発言を見てみますと、タンカーの石油備蓄とあわせて仕組み船の工夫と輸出船の二十億−三十億ドルの削減問題について述べられておりました。このタンカー備蓄につきましては改正法案で現在審議されているところでございます。  最初に、私はこの仕組み船の工夫についてお尋ねをしたいと思います。  わが国の黒字減らし、その対策の一環といたしましてわが国の海運が仕組み船を買い戻す、それとともに、買い戻した船に日本人船員を乗せてはどうかということではないかと思われるのでございます。その場合、当然船員費が高い日本人が乗るということになりますと、経営面でもこれは問題がないわけではない、そういうことを考えて、山元海運局次長が外貨貸し出しによる助成をする考えを述べておられますけれども、その場合の条件というものはどういうものになるかということをまずお聞かせ願いたいのと同時に、海運にとって、こういう施策をとられましても、海運にとっては借金になりますが、この点をどう考えるのか。また、それと同時に、返済期間というのが三年ということでございますけれども、現在の海運の不況状況から見た場合に三年で立ち直ることができるか、あるいはそうした場合に返済できるということは考えにくいのではないか。そういう面からもう少し緩和すべきではないか、そういうことも検討してもよいというような面の発言がありましたし、そういうことにつきましてその後の構想というものはどのように発展したのか、まず最初にお答えいただきたいと思います。
  58. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 仕組み船の問題につきましては、ただいまのお話にもありましたように、人の面、金の面、物の面、いずれの面からもかなりの問題がございます。しかし、これが運用よろしきを得るならばそれなりの成果も上げられると、こういうように思うわけでございまして、ただいま関係各局等においても鋭意心配をいたしておるところでございます。  まあ、船員関係等につきましても、現に運輸省の中それ自体で担当する仕事によりまして多少立場の違う等のこともございます。だがしかし、これらを調整いたしまして、何とかして成果ある方向へ持っていきたいと、こういう次第でございますが、若干具体的に担当局長、課長等から答えさしていただきたいと存じます。
  59. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 若干細かいことについて御説明をさしていただきます。  去る二十一日の経済関係閣僚協議会におきまして黒字減らしの対策の一環として緊急外貨貸し制度の弾力化ということが決定をされまして、ただいま話題になっております仕組み船の買い戻しもその対象として検討されることとなっております。海運企業がその活用を望むならば、私どもとしては、できる限りその利用を可能とするように努力し、黒字減らしに協力をいたしたいと、このように考えております。従来、仕組み船の買い戻し構想につきましては、その弾力化された結果の外貨貸し出しの条件が現在の仕組み船の船主にとってこれを受け入れるに足るような条件であり得るかどうかということが問題でございました。今回御決定になりました弾力化の結果、長期にわたる外貨貸しの制度と、端的に申せば、三年で区切らずにもっと十年とか、そこいらの長期にわたる固定利率による外貨貸しの制度というものが検討されることになりました。したがいまして、船主の要望というものはその限りにおいては一応満足される、期間について申せばそういう状態でございます。  なお、これが実現のためには、さらに担保の問題でありまするとか、税金の問題でありまするとか、そういったようなことをさらに煮詰めてまいる必要があるかと存じます。ただいまの仕組み船の現状を見ますると、五百数十隻程度のいわゆる仕組み船というものがあるようでございますけれども、そのうちの約一割程度のものは現在でもなおかつ外国籍のもとで日本人がそれを運航しておるというものがございます。したがいまして、日本人が運航しているような仕組み船につきましては、先生指摘の船員費がかえって高くなるという具体的な問題が起こらないというふうに考えられますし、実際にどうかわかりませんけれども、実際の可能性としては、まずその一割程度のものから他の条件が整えば漸次実現するのではないかというふうに考えます。ただ、船員コストが元来日本人船員の場合に高いと、かるがゆえにこそ脱日本人政策とか、そういったようなものを船主がとっており、仕組み船が発生した一つの原因となっておるわけでございますけれども、この仕組み船買い戻し政策というものを契機にして、日本人の雇用の機会を仕組み船を買い戻すことによって広げるということにつきましては、さらに労使間の話し合いなり、その他一工夫も二工夫もさらに詰めていく必要があるかと存じます。
  60. 田代富士男

    田代富士男君 次に、石油の備蓄についてお尋ねをしたいと思いますが、この石油備蓄自身につきましては、エネルギー危機に対する国家的な施策とか、そういういろいろなものがございますが、きょうは造船業界の不況対策の立場から、そういう観点からこの問題をしぼりましてお尋ねしたいと思います。  石油の洋上備蓄基地の問題でございますが、これはいろいろ検討されていると思います。備蓄自身には陸上タンクあるいは地下タンク、洋上タンクあるいはタンカー等の方法がございますが、造船業界が手をかけると思われるのは洋上タンクとタンカーの問題ではないかと思いますが、そういう意味から政府として石油備蓄計画を国家プロジェクト、民間プロジェクトでいま計画されておりますけれども、そこをまず御説明をいただきたいと思います。
  61. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいまお話がございましたように、洋上備蓄は、現在主として陸上備蓄に依存しているわが国で初めての試みということで、いよいよ実用化の段階を迎えてきたということでございます。具体的には上五島の例をとって申し上げた方がわかりいいかと思いますが、この計画では一基八十三万五千キロリッターの貯油槽、タンカー船と申し上げてもいいかと思いますが、これを七基同じ場所に集中的に設置いたしまして、約六百万キロリッターの石油備蓄を実施に移そうという計画でございまして、現在三菱重工あるいは日本鉱業等の数社が中心になって推進いたしておるわけでございますが、このプロジェクトにつきましては、現地の上五島町では昨年の十二月に誘致決議をいたしております。ただいま申し上げましたような関係企業は周辺の市町村あるいは関係漁協と話し合いを進めておるという段階でございます。この四月の初めに消防庁あるいは海上保安庁でこの洋上備蓄にかかわる安全指針を策定いたしまして、現在その指針に基づいて安全基準を作成しておるというふうに承知いたしております。この基準ができ上がれば、地元との折衝も安全問題も含めまして本格的な折衝に入り、やがては着工の段階に至るであろうと、かように見ておるわけであります。
  62. 田代富士男

    田代富士男君 いま上五島の計画の御説明をいただきました。私もこの計画書を見ましたけれども、きょうは時間がありませんから改めてお聞きしようと思いますが、民間のプロジェクトの問題等についてはお答えされなかったんですが、時間がありませんから省略しますけれども、上五島の問題をいま御説明されましたから、それでお聞きいたしますと、いまお話にありますとおりに、これは三菱重工業が中核となりましたプロジェクトでございます。そうしますと、洋上備蓄のタンク等も当然これは三菱重工業関係において担当するんじゃないかと思われるわけなんです。そうした場合に、当初に私が申し上げましたとおりに、造船業界全体が恩恵を受けるという立場から見るならば、そういう特定な企業にそういう特定な場所を与える、それが国家的なプロジェクトであるということになれば問題がないとも言えないのではないかと思いますが、ここらあたり、運輸大臣いかがでございましょうか。
  63. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) この種の仕事がふえますことは、申すまでもなく、苦境にあえいでいる造船業界に対して需要の創出をすることになりますから、全体として、もとより私はそういう面でのプラスはあると、こういうように考えます。ただ、いま田代さんがお話しのように、その種のものが余り独占的なことになるということから、なお考えることが必要ではないかという御示唆でございます。私もさように存じます。いまいろいろに関係いたしますので、余りはっきりとは私も申せないのでありますが、たとえば上五島のこういうのが始まるといたしますと、ほかへもいい影響が及ぶことが私は望ましいと考えております。そういうようになるかならぬかはわかりませんが、これは地方公共団体の人たち等という表現によってお許しをいただきたいと思いますが、まあ九州、ことに長崎県等での造船が非常に苦しんでおります状態等と関連いたしまして、三菱ばかりでなくて、ほかへも、特に困っているようなところへある程度回してやることが望ましいんだということで、ある種の意見が出ております。私もその意見等もごもっともなところであるというように思っておるわけでございまして、まだどこへどうというようなところまではいっておりませんが、その話の方向それ自体は私は望ましいものであると考えておる次第でございます。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明がありましたとおりに、六百万キロリッター、七基のこういう設置がされるわけなんです。そうしますと、この上五島というところは、私はまだ現地へ行ったことはありませんが、いろいろ調べてみましたら、その付近というものは非常に漁場としても適しているし、国定公園でございますか、そういうものが指定された近くである。そういういろいろな検討しなくちゃならない要件がありますが、特にこの水産及び漁業行政の立場から、こういう二百海里の問題等がありまして厳しくなっているという状態も兼ねまして、国家的なプロジェクトとしてこういうことをされるということに対して、水産庁の立場としての基本方針はどういうものをお持ちであるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  65. 恩田幸雄

    政府委員(恩田幸雄君) 石油の備蓄につきましては、これは国民経済上もまた国民生活の上から見てもやはり非常に必要なことであろうと考えております。ただ、私ども水産庁といたしましては、やはり漁業の振興を図りまして国民に水産動植物を供給するという役目を持っておりますので、あくまでもこのような洋上備蓄等が行われます場合には、極力漁業への影響を少なくしていただくということで考えてまいりたいと思っております。なお、具体的に計画を実施される場合には、当然のことながら、地元の漁業者の理解と納得を得ていただくように関係各省にお願いをする所存でございます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されたとおりに、こういう日本人の食生活の上から水産動植物の提供をやるためには、そういう漁業に関係のないようにということでございますが、それとあわせて地元漁民に対する対策というものも慎重にやってもらいたいということでございます。私はこれが一番の問題じゃないかと思うんです。まあ、福永大臣とはいつも運輸委員会質疑をやっているわけなんですが、成田の問題も、もとをただせば最初に農民との対話といいますか、話し合いというものをやっておけばよかったんだと。この前、あの農民代表と大臣がNHKのテレビを通じて対談されたときにも、端的な言い回しとして、ボタンの一つつけ間違いがいままで来ているんだというような話も出ておりました。このように、いま水産庁の立場から、地元の漁民のそういう了解を得なければということでございますが、いままでそういう過去に例がないわけなんですから、どうしてもこれは慎重にやらざるを得ない。しかし、今度は通産省の立場からするならば、こういう国家的プロジェクトを組んでやろうとしていらっしゃる。これも国家的立場からするならば考えなくちゃならない、こういうところでいろいろ利害関係というものができ上がってくると思いますが、何はともあれ、漁民、そういう地元に対する対策、要望というものは聞かなくちゃならない。そういう意味から、通産省はこういうものを推進していく場合におきましても慎重な態度で臨んでいかなくちゃならないと思いますけれども河本通産大臣いかがでございましょうか。
  67. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この石油備蓄問題の重要性につきましては、もうすでに御案内のことでございますから、申し上げませんが、これを円滑に進めていきますためには、やはり地元との話し合いということがもう先決でございます。したがいまして、先ほども長官が答弁をいたしましたが、安全基準というものが決まりましたならば、それを受けまして地元との話し合いを十分する所存でございます。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 いま安全基準が決まったならば地元との話し合いを始めるとおっしゃいますが、いま上五島の問題につきまして、いままでこういうことが計画されているということについての話し合いは一回もされてないんですか、どうでしょうか。
  69. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いまお話の出ております上五島における洋上備蓄は、いわゆる民間備蓄の中の共同備蓄方式で考えておるというふうに承知いたしております。したがいまして、先ほど申し上げました関係企業は、上五島町の誘致決議の後、関係の市町村あるいは関係の漁協とすでに話し合いに入っておると報告を受けておりますが、先ほど私が申し上げましたのは、安全基準ができればより具体的に本格的に地元との話し合いに入り得る、こういう意味で申し上げたわけでございます。  それからもう一つ、造船との関係で御指摘がございましたが、先ほど申し上げました八十三万五千キロというタンクは非常に大きなものでございます。これは結局造船所のドック等を使って建造されるものというふうに私たちは理解いたしておるわけでございます。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、この上五島の問題につきましてはいろいろ問題があると思うんです。実は一昨日もこの参議院の公害特別委員会におきまして、公害問題とか環境庁の立場からこの問題は取り上げられておりますが、きょうは時間がありませんからこの問題は省略をいたしますけれども、いまここに設置しようというこの事業というものは、あくまで造船業界の不況対策の一環としてこういうことが考えられておるわけなんですが、私は運輸大臣にお尋ねしたいと思いますが、確かにそれは造船界にとりまして、一つの仕事を与えるという立場では結果をもたらすかと思いますが、こういう洋上備蓄のタンクというものは、従来の造船の性格と違うものではないかと思うわけなんです。  そうしますと、造船に関係した、そういう不況にいま行き詰まっているそういう人たちを救おうというわけなんですが、そうしたらそのタンク部門のそういう人たちには仕事が回るかわかりませんが、造船界には技術的にも五百種類の技術的な問題があるわけなんで、これは船であるならばエンジンだとか、そういういろいろなものがありますけれども、タンクとなりますと限られたものになってくる。そうした場合に、一面においては恩恵を与えるかわかりませんけれども、そういう関係工業に対しましては、不況対策の一環ということになり得ないのではないか。同じ造船業界、それに関係したそういう人たちに対する公平な対策ということにはなり得ない、片手落ちの面も出てくる。そういう意味から、片手落ちのないような対策を講じなくちゃならないと思いますが、運輸大臣いかがでしょう。
  71. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 完全に同じようにということはなかなかむずかしかろうと思います。ただし、いずれにしても、新たなる需要が創出されますということになりますと、その方へ技術なり労働なりというものがかなり向けられるということでございますから、業界全体にとっては、まあいろいろいいことがあるわけでございますが、したがって、そういうことを直接利益として受けるところがどの会社のどういう部門というようなことになりますと、いろいろ関係はございましょうが、やっぱり彼此融通し合って、あるところがよければほかへもそのいいことが及ぶようにという配意がやっぱり必要であろうと思います。そういう意味から申しますと、ひとりその仕事に携わる者だけでなくて、広く多くの者がその恵沢を受けるというようなことになるようにぜひ配慮したいものである、こういうふうに存じます。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、何といってもこの造船業界を初め、不況に瀕している業界を救うには、参考人のお方たちから二回にわたりまして意見を聴取した折にも一貫して言われたことは、仕事量を確保したいということでございました。その一点に尽きると思うのです。  そこで、運輸省からいただきました資料を私ここに持っておりますが、運輸省といたしましてこの仕事量の確保のための対策というものをここで立てていらっしゃいます。いま私の手元に大きく分けて五項目あります。それと、今度はその造船業界の当事者からこのようにやってもらいたいという工事量確保対策、この点につきましては六項目出ておるわけであります。参考人の意見も聞き、またこの運輸省の仕事量の確保対策も聞きまして、私もじっとこれを考えてみましたら、たとえば最終的には基本線は一致すると言われるかわかりませんが、具体的にやってもらいたいと言われる内容が運輸省と業界からの要望と一致している点は一つしかない。私は、ここらあたりは何とかしないことには最大の効果を上げるわけにいかないと思うんです。運輸省は仕事量の確保対策として、第一番目には輸出船のための輸銀資金の確保、二つ目には経済協力等による船舶輸出の促進、三番目には内航船等の代替建造の促進、四番目に官公庁船の増強、五番目には造船業等の新需要開拓のための調査指導等ということをやって仕事量の確保に供していきたい、こういうことでございますが、業界から要望として出されている工事量確保対策は、まず一番最初に日本船のスクラップ・アンド・ビルド、SB方式、二番目に官公庁船の代替建造、二番目に国内LNG船の建造、四番目に石油の洋上備蓄基地、五番目に浮体工法による海上空港の建設、六番目に公共事業等の促進、いま申した中で両方とも一致しているのは官公庁船の代替建造だけでございます。そうした場合に、いま言うとおりに、これはやはり呼吸が合うということがすべての面の結果としてうまくいくんじゃないかと思いますが、この点に対して、大臣、どのように調整を図って仕事量の確保のために対策を講じておゆきになる決意であるか、お聞かせいただきたいと思います。
  73. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) いま田代さんからお伺いをいたしました点について、なるほど文字の上では一方が五つ一方が六つで、ぴたりと合うのは一つではございますが、たとえば参考人等が述べられたそういうものにつきましても、別に運輸省がそれはやりませんと言うているわけではなくて、つまり両方から出ましたものが矛盾をする、一方を立てれば一方が立たないというほどのものではないと私は考えるわけでございまして、運輸省は運輸省なりに五項目を挙げておりますが、むしろ、いま伺いますと、業界が挙げている項目は、かなりそれに対して新しい部門を挙げているようでございます。中には素人たる福永健司が浮体工法による構築物等なんかを知らぬけれども、そんな感じがして申しましたが、業界がそういうのを挙げてくれているところを見ますと、まんざら素人の言うことも間違っていたんじゃないというような気もするわけでございます。それでありますだけに、運輸省といたしましてもぜひそういうことをいろいろやらなければならぬし、それから、いまお聞きいたしますと、公共事業と関連しての要望が出ているようでございます。私はそう思いますが、公共事業の中にも造船等が必ずしも船をつくるということだけでなくて、よく似た仕事をしてこの不況時を乗り切るということは大変望ましいと思うわけでございまして、そういう意味から、私自身もたとえば建設大臣とも話をいたしまして、そういうような造船業が助かるような公共事業、またその発注等をする場所もなるべく造船業界が助かるような地帯、そういう地帯へその種の公共事業を割り当ててもらうとか何とか、そういうことが望ましいと思いまして、大臣間でも折衝をいたしまして、現によく理解をしてくれて、そういう仕事も若干やっております。まだほめていただくほど大したことではございません。なおこういうことに努力をいたしまして、いま御注意の多少食い違っているところはございますが、業界の方でも喜んでくれるようにいろいろ配意するよう関係の係の者等に対しましても私から強く申しておきたいと、そういうふうに存じております。
  74. 田代富士男

    田代富士男君 時間が来ましたので終わります。
  75. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間もないようでありますから、若干抽象的なことになる点もあろうと思いますが、   〔委員長退席、農林水産委員長鈴木省吾君着席〕 ひとつ意のあるところをくんで要点を簡潔にお答え願いたいと思います。  私たちは、この法案を読ませていただきますと、安定基本計画を作成をして造船設備廃棄をするというところにこの主眼が置かれておるようであります。他の分野は別にして、われわれは運輸ですから、運輸から見るとそういう前提で書かれている。そうしますと、設備廃棄は好むと好まざるとにかかわらず、そこに働く労働者の解雇ということが出てくる。法案の中には雇用の安定であるとか、あるいは適切な措置であるとか、いろんなきれいごとを使っておりますが、現実の段階では、設備廃棄はいわゆる造船労働者の解雇あるいは下請関係業者並びに労働者の方々の解雇ということにつながって、法案のたたき台になっている雇用の安定とは逆の方向にいくものを持っているのじゃなかろうかと、こんなふうに思いました。読めば読むほどその意を強くするわけでありますが、この安定基本計画の作成の段階で、いろいろな手続についてはもう皆さんが専門家ですから省略しますが、最も大事なこの造船労働者並びに関連産業業界並びにそこに働く方々、その方方の雇用の確保ということについてどういう基本的な理念で本案の作成に当たったのか、通産大臣と運輸大臣の二人の見解をまず冒頭聞いておきたいと、こう思います。
  76. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 御説のように、雇用の安定ということはぜひ必要でございますが、やりようによりましては、いま目黒さん御指摘のように、マイナスの面が大きく出てくるということは、これは否定できないと思うわけでございます。私といたしましては、ぜひ企業も安定させると同時に、雇用の面も安定をということ、これが望ましいわけでございまして、そういうことのために別途いろいろ御注意等もいただいておりますが、その雇用の安定ができるようにいろいろな仕事をふやさなければならぬ。これも船それ自体は申すに及ばずでございますが、先刻来他の御質問にも出てきておりましたように、いろいろ別のことをやる、別というよりもさらに進んで新しい分野の開拓もするというようなことを広範にやっていかなければならないわけでございます。ただ、この法案におきましては、直接の目的とするところからいたしまして、目黒さん御指摘のような面がやや目立って目につくような気がするわけでございますが、決してそれなるがゆえにそういうことでよろしいというように考えているわけではございません。ぜひ仕事も安定する、雇用も安定するということ、それを全体として望みつつ対処しているのであるということに御理解をいただきたいと存じます。
  77. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 構造不況業種に対する一番の考え方は、景気全体をよくいたしまして産業の操業率を上げるということだと思います。これが計画どおりいきますと構造不況業種の大半の問題は私どもは解決されると、このように理解をいたします。ただしかし、何分にも長い深刻な不況の後でございますから、やはり依然として幾つかの構造不況業種は残ると思うんです。そういう業種は万やむを得ず業界の方々の自発的な意見が整いますと一定の設備廃棄を行うことになりまして、それに対して政府がこの法律によりまして協力をしていく、こういうたてまえでございますが、その場合のやはり最大の課題雇用問題だと考えております。雇用問題につきましては、衆議院段階でも数カ所で修正が加えられ、あるいはまた新しい条項が新規に加わっておりますが、雇用問題につきましては、あらゆる角度から万全を期していきたいと考えております。
  78. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 理屈としてはわからないわけじゃないですけれども政府も公共投資でこの雇用を創出するということを何回かここ三、四年叫んで力説したにもかかわらず、依然として常用雇用はふえるどころかどんどん失業者が出てくる。あるいは好況産業等における残業時間等についてある程度政府も指導して、その残業の分については常用労働者をふやすように何とかならぬものかということについては、予算委員会で何回言っても、同じ答弁の繰り返しで今日まで来ている。ただ、いま運輸大臣がたまたま新たな分野の開拓が必要だ、しかも広範囲にと、こういう言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、私は運輸ですから、運輸の造船を考える際に、造船の設備廃棄をした際に新たな分野の開拓、広範囲にということと仕事の創出、雇用の創出ということについて並行的に行わなければ、いわゆる会社の方は設備廃棄をして新しい事業を考えていくだろう、あるいはそのままパアになるかもしれぬ、そうすると廃棄された方の労働者はどうなるんだ、仕事があればいいけれども、仕事がなければ失業保険、雇用保険——雇用保険だって三カ月か六カ月。ところが、造船関係というのは、御存じのとおり、一年か二年という非常に長い期間がかかる仕事をやったと、そうしますと、しょせん手当てを誤ってしまえば、設備廃棄はイコール社会問題を起こしかねない。何回も言われているとおり、この問題で自殺者が出たり、あるいは首つりが出たり、そう考えると、私は、この法案の一番欠けておるところは、設備の方は見るけれども人間の方をどうするのだ、その辺の裏表と言いますか、車の両輪と言いますか、そういう人間の方の配慮が非常にこの法案は欠けていると、こう思うんですが、いま一度、人間の方の欠けている面についてどういう配慮をしたのか、また、どういう配慮をしようとするのか。これもくどいようですが、両大臣にもう一回、対等な設備と人間、この位置づけをどういうふうに政治の場でとらえてこの法案に生かそうとしたのか、もう一回くどいようでありますが、お伺いしたい、こう思うんです。
  79. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) ただいまお話のように、両面を並行して行っていかなければならないということにつきましては、   〔委員長代理鈴木省吾君退席、委員長着席〕 おっしゃるとおりであると思うわけでございます。この法案そのものにその種の配意が見られるような文字があらわれていないということは、これはおっしゃられれば、まことにそれはそのとおりで残念に存じますが、行政全体のあるべき姿といたしましては、まさにお話のような気持ちで臨んでいかなければならないわけでございまして、幾つかそういうことをいろいろな面から進めてきておりますが、これとてもこの深刻な事態に処するにはまだまだ足りないと言えば、そのとおりでございまして、今後鋭意そういう一面の方の仕事を進めていかなければならないと強くそう存じている次第でございます。
  80. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 構造不況業極を立て画すために第三条で安定基本計画をつくることになっておりますが、安定基本計画の中には転業のための計画等も入ることになっております。私は、広い意味では、先ほど運輸大臣は新しい仕事をつくり出していくということを言われましたが、新しい仕事をつくり出していくということも一つの転業ということに当たるのではないかと考えます。そういうことも配慮をしながら安定基本計画がつくられるわけでございますが、その場合には審議会意見等を聞きまして十分な配慮が当然行われますが、同時に労働組合との話し合い、あるいは下請中小企業との話し合い、あるいはまた地域代表者との話し合い、そういう話し合い等を通じまして雇用問題についてもいろいろな配慮等が当然加えられるわけでございますが、それじゃ具体的にどういう配慮かと言いますと、これは場合によりましては設備廃棄の仕方のタイミング、こういう問題につきましても組合側と十分調整が必要かとも思います。それから企業の内容いかんによりましては、出向あるいは配置転換、こういうこともよく打ち合わせする必要があろうかと考えます。  それから、先ほど言いました転業というようなことにつきましては職業訓練と、こういうことが必要かと思いますが、しかし、それにいたしましても、全然雇用問題が発生をしないということではございませんで、そういう場合には、企業の幾つかの雇用対策がございますが、そういう雇用対策をフルに活用いたしますと同時に、特に労働省の方では最近中高年労働者に対する対策等についていろいろ御配慮していただいておるようでございますが、そういう御配慮も含めまして、とにかく雇用問題に対しては万全を図っていくと、こういう心構えが必要であると理解をいたしております。
  81. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうしますと、法案をずっと読ませてもらって、いま両大臣の言ったことを法案の中でちょっと私なりに気がついたことをお伺いしますと、たとえば「雇用の安定等」の第十条で「労働組合と協議」をすると、こういうふうな言葉を使っておるんですが、これはきょう労働省いないからあれですが、これは私の経験によると、この協議というやつはくせ者であって、非常に首切りを合法化するための手段に使われやすい、こういう私は経験を持っておるわけであります。少なくとも首切りにつながる、生活の破滅につながるということから考えると、この「協議」は完全な労使の合意だ、こういうふうに解釈並びに国会で確認しておくべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 第十条の第一項におきまして、衆議院修正によりまして、「労働組合」「と協議して、その雇用する労働者について、」云云という規定になっております。設備処理ということは、これはもう企業と申しますか、企業のまず経営者の方から見ましても、将来この企業をどうするかという非常に大きな問題でございますし、ただいままで御指摘のございますように、労働者の立場から見ましても大変大きな問題でございまして、企業全体として、労使が、将来の企業がどうなるか、安定をしていくかということに関していわば基本的な問題であろうと私は思います。ただ、労使の間は労使の自主的な交渉事というふうに考えておりまして、この法律案衆議院修正によりまして「協議して、」云々となりましたが、私どもいわば産業官庁という立場から見ましても、大臣から重ねて御答弁がございますように、この設備処理を進めるに当たりましてはやっぱり雇用の安定と申しますか、これは非常に大きな問題でございまして、私は、この十条の規定を十分各事業者が趣旨を体しまして設備処理、それに伴う雇用問題について、合意とか同意とか、あるいはそういう法律的な問題は別にいたしまして、十分労使間で協力をし、納得がいくような運営が行われる、こういうことを期待しておりますし、必要があれば私どもはそういうかっこうで事業者側に対しましてこの法の運用についての指導と申しますか、そういう態度で臨んでいきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あなたは余り労使問題を知らないからそういうきれいごとを言っているのだけれども、私はそんなことは百も承知なんだ。「協議」という内容は合意というふうに確認していいかと、こう言っているのですから、端的にイエスかノーか言ってくださいよ。
  84. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私どもは、法律上「協議して、」となっておりますので、法律上、協議をすることが事業者の努力の目標、義務であろうと考えております。
  85. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 言葉じりをつかまえるわけじゃないが、あなたは先ほどの答弁で納得ずくということを言いましたから、この「協議」とは、あなたが前段に話しした納得ずくというふうに解釈していいわけだな。
  86. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先ほど御答弁申し上げましたように、設備処理を円滑に進めていく上には、労使間が協力をし、納得ずくでこの問題に取り組んでいくという基本的な態度が必要であろうと私は思っております。
  87. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それは確認します。いいですか。  それから二番目に、第二条の四項の、いろんな審議会意見を聞いて云々とありますね。この審議会には労働組合の代表やあるいは関連下請代表の方が入っておる審議会もあるし、入ってない審議会もあるわけですが、入っている審議会は結構なんですけれども、入ってない審議会については、この第一条の「目的」の修正趣旨に沿って、審議会には労働組合の代表なりあるいは関連中小の代表を加えるような措置をとるべきだとこう思いますが、いかがでしょうか。
  88. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 御指摘のように、私どもただいままで各種の審議会でこの法案の御審議を願います前にも業種別の問題のいろいろ討議を進めてまいりました。その中に御指摘のような労働側の代表の入っていない審議会もございました。そこで、今回この法律に基づきまして、いろんな点につきまして審議会の諮問を得るようになっておりますが、私どもは、基本原則といたしまして、第一に、この問題は業種別に審議会の中に部会なり小委員会をつくりましてその業種の問題だけを議論をする場をつくる、第二に、その場には関係労働側の代表も当然参加をしていただく、こういうことで審議会を運営してまいります。
  89. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、それはお願いします。  それから、第九条と第十三条、国の資金の確保、それから特定不況産業信用基金の目的の中にいろいろあるわけでありますが、九条と十三条の関係のお金については、たまたま通産大臣が、転業にかかわる仕事云々という言葉を使われたんですか、いわゆる転業あるいは再教育、場合によっては今度のSSKに見られるような、八十億の退職資金の融資その他の問題で大分世の中を騒がしたのですが、ああいうようないわゆる退職金などと設備破棄に絡まるいろいろなすべての問題を原則的に資金の中に含むのかどうか。特に雇用にかかわる問題等については十分この中に含まれると私は善意に解釈するのですが、いかがでしょうか。
  90. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 九条の資金確保の規定は、まず一般的には、こういう設備処理等を進めていくに当たりまして必要な資金の確保に努めるという一般的な訓示規定でございますが、具体的に国が——国がと申しますか、私どもがただいま考えておりますのは、たとえば先ほど大臣の御答弁にございましたように、設備処理を進めていく上で、業界によりましては新しい事業の転換をやっていかなければならぬというような業種がたくさんあると思います。そういうふうに将来こういう事業を始めていこうといういわば新しい事業に対する設備資金等につきましては、たとえば開発銀行の資金の貸付対象の中にそういう特別枠を設けましてこれを拡大をしていくというようなことを具体的には考えております。すでに繊維産業、あるいは今回この法律案によりまして安定基本計画に基づいて設備処理を進めていく対象業種につきましては、その開発銀行の資金融資の対象にしていくというようなことを考えておりますし、それから十三条の債務保証の対象は何であるかということでございますが、これは一つは、当然のことながら、設備処理に伴いまして設備の担保抜きの資金が要るというような点、それからただいま先生の御指摘のございましたような、安定基本計画に従って労使間で話し合いができて退職金が必要になってきたというような場合に、この退職金の借り入れに対する債務保証、こういうものを対象として考えておるわけでございます。
  91. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 わかりました。できれば私は、第九条の中にも退職金あるいは雇用安定に必要なお金が必要な場合にはやはり融資その他の便宜を与えられると、いろいろ労働関係法律があることは百も承知の上で私はこの要請をしておるのですが、第九条の中についてもやっぱり再検討を、いま十三条でやったようなことも含めて検討してほしいなと、これは時間がありませんから、論争をやったらかかりますから、要望だけしておきます。  それから次に、われわれも長崎の実態を見てきました。あるいは同じ運輸の調査団が四国、下関なども歩いてきたわけでありますが、私から言うまでもなく、大型造船所はいわゆる造船部門と機械部門とこういう二つの部門を持ちながら、きわめて苦しいながらもそれなりに操業なり調整をしている。ところが、中小専業造船所は、もう専業ですから造船の受注がなければどうにもならない。最近の例では、発注がありませんから、大型のドックを持っておるところは、百トン以下の小さい漁船まで競争入札になりますから、競争入札になりますとどうしても大手が勝って中小専業の方が落札できない、こういうことを繰り返しておるわけなんです。その中で安定基本計画をつくられると、そういうことがもろに業界の力関係、大手と中小の関係、こういう力関係に比例されて、弱肉強食という形で、業界の再編成ではないけれども、実際には業界の再編成につながって中小造船は切り捨てられていってしまう、しかも国家権力をもって今度は切り捨てられてしまう。そういう道筋がずっと敷かれるんではないか、また敷かれてしまうんではないかと、こういう危惧が非常に中小専業造船の中に強い、これは労使とも強い。したがって、下請においてはますます脅怖感を持ってくる。  ですから、業界を歩きますと、私も佐世保重工、三菱長崎造船所、林兼造船所を歩いても、この法案を一日も早く成立させてくれという請願は遺憾ながら一カ所でも受けませんでした。むしろ中小企の皆さんをかばいながら、仕事をとってくれと、そして大手にだけ行かないように、やっぱり造船の船の規模によってチェックするような上限下限をつくって全体が苦しいながらも立っていけるような方法を考えてほしいという方が、むしろ請願なりあるいは事情説明の主体であったわけであります。でありますから、私はそういう実態から考えますと、この法律業界の再編成を誘発して、いわゆる中小専業造船所並びに下請関係を切り捨ててしまうというようなものではないということをやっぱり国会の場できちっと両大臣からはっきり聞きまして、そういうような弱肉強食の内容を持つようなものについては安定基本計画で全部チェックして、それは認めないと。そういう法の運用を行うんだということをやっぱりこの際皆さんに向かって明らかにすべき政治的な責任があると、私はそう思うんです。したがって、本件問題について通産、運輸両大臣からまずおのおのこの心配に対する見解、法運用基本についてひとつお伺いをしておきたいと、こう思うんです。
  92. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先に基本的な原則について私から申し上げてみたいと思いますが、こういう法律ができましても、政府といたしましては、この法律に依存しないで実際は業界の自主的な判断、相談によって再建をしていただくということが一番望ましいと思っておるんです。一、二の業界はこういう法律のお世話になりませんと、こういう業界もあるようでございますが、私どもは大変頼もしく思っております。ただしかし、事情が深刻でどうしても自分だけの力では手術ができない、こういう業界に対しましては、業界の大部分、すなわち三分の二以上が自主的に合意をされまして、ひとつやってみようと、この法律のお世話になってみようと、こういうことになりますと初めてそこで政府がお世話をしていく、安定基本計画もつくっていくと、こういうことになるわけでございます。その安定基本計画をつくるときには、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、中小企業その他地域の代表、組合の代表その他広範な意見を聞いて進めていくつもりでございまして、産業全体を立て直していく、その業界全体を立て直していくという考え方でございますから、一部のところにしわが寄る、そういうことのないように十分配慮して運用してまいる所存でございます。
  93. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 申すまでもなく、中小のものを切り捨てというようなことは本意ではございません。できるだけ造船所等につきましても、中堅以下のものに対する配慮ということをいたしていくようにいたしたいと思っております。
  94. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 二十五日の運輸の参考人の事情聴取の段階で、これは特に運輸大臣には聞きましたから河本通商大臣に聞きたいんですが、今日の海運、造船の不況という問題についていろんな議論をしますと、オイルショックによるものだということについてはそれなりに私もわかるわけですが、そのオイルショックとか国際的な経済の問題にすべてを、悪い言葉で言えば責任転嫁すると言いますか、そこに責任を転嫁してしまって、われわれ業界には何の責任もないんだと言わぬばかしにいろんな段階経営者の方々が言っていらっしゃる。ところが、それを受けていろんな雑誌の——名前言いません、いろんな経済誌やそういう専門の書を読んでみますと、余りにも経営者の放漫経営なり、あるいは銀行が先取りしながら過剰投資をしてしまったんではないかと、自分の経営というものをもっと真剣に、じみにやはり点検しながら進むべきじゃなかったのかという点を指摘をするわけでありますが、なかなかどなたも明快に答えてくれない。  それで、先月の「エコノミスト」の造船界全体を切るという匿名の座談会の中でずっとA、B、C、Dと四人の方がやっておるんですが、内容を見ると、業界の方々であると、こう私は匿名であっても推論します、内容を読みますと。その中でジャパンラインと三光汽船の問題が出ておるわけでありますが、このジャパンラインと三光汽船の考えの中で、去年の三月の決算から見ると、自己資本として三光汽船が千二百億、ジャパンラインが三百八十億、大体三分の一、ジャパンライン。経営規模から見ると問題にならないくらいの力があるわけでありますが、この二つのものはやはり経営のあり方に一つの示唆を与えているんじゃなかろうかと、こういう論陣を張っておるわけであります。でありますから、この問題についてやっぱり私はいまこの特定不況産業という問題をめぐって、国民の税金なり国民のお世話になるわけでありますから、やはり経営姿勢についてこの際河本通産大臣の考えを聞いておきたい。今後の問題もありますから聞いておきたい。本当に放漫な経営がなかったのか、いわゆる甘い投資はなかったのか、そういうことを含めて大臣の見解を今後の問題がありますからひとつ聞かしてもらいたい。運輸大臣はきのう聞きましたから結構です。
  95. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 構造不況業種の原因には幾つか私はあると思います。一般的なことだけを申し上げますが、やはり当然経営者も責任があるわけでございますが、金融機関やその背景にあります商社などもそれじゃ全然責任がなかったかと言いますと、そうもまいらない点があるんだと思います。そこで、この信用基金の運用等につきましても、やはり裏保証等の問題につきまして銀行や商社にもある程度のやはり再建のための役割りを果たしていただこうと、このように考えております。
  96. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 なかなかむずかしいことだと、こう思いますから、まあ船主協会の会長さんも同じこと、きのうの運輸大臣も同じこと、いま言った通産大臣も同じことでありますから、私は、ぜひやっぱり経営者の諸君も、こういう事態になった際には認めるところは認め合って、そして国民的な合意を得るし、同時に労働者の協力を求めると、そういう謙虚さがもっとあってほしいなということを思っているという見解だけ表明して、私の質問を終わります。答弁は要りません。
  97. 内藤功

    ○内藤功君 造船問題を中心にお伺いしたいと思います。  今日の造船不況のしわ寄せが最も集中的に寄せられておりますのが構内及び構外関連の下請であります。昭和四十九年の造船のピーク時には下請依存度は四二・五%、日本の造船界を支えてきたと言っても過言ではないのであります。しかし、今日、この造船の大きな不況のしわ寄せはこういう下請業者、労働者に寄せられている。果たしてこの法案がこの対策に役に立つかどうかというのが最大の私どもの関心事であります。  そこで、御質問をしたいのですが、運輸大臣労働大臣、造船のピーク時の昭和四十九年から現在までの間に削減された下請工ですね、下請労働者の人数はどのくらいだというふうに運輸省は把握をしておられるか。また、労働省の方でも把握してる数字があればお述べ願いたい。
  98. 間野忠

    説明員(間野忠君) 昭和四十九年におきましては、造船所の職員、工員合わせて十八万四千、社外工が九万人おりました。それが現在、五十二年末でございますが、職員、工員合わせて十六万八千人、社外工は六万二千人。したがいまして、二万八千人ほど社外工が減少しているということでございます。
  99. 内藤功

    ○内藤功君 いまの点、労働省の方の数字はございますか。
  100. 細野正

    政府委員細野正君) 労働省も運輸省の方から情報を得ておりますので、同じ数字でございます。
  101. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、私どもの方の数字でも、大体大手七社だけで、昭和四十九年のピーク時に比べて、現在大手七社だけで二万四千名の削減、いまのお述べになったのは全体の数字でありますから、全体に直すとさらにこれに倍するものになるだろうと思います。  私は、先般の委員派遣の場合に、三菱の長崎造船所その他を見てまいりまして、三菱長崎造船では四十九年ピーク時の五千七百二十名が三千名削減されておるという答えでありました。私の方でいわゆる日造協——日本造船協力会の調べた数字を持っておりますが、これでも大体三千名の減員が三菱長船の場合に行われておる。そうしてこの減員された人の行く先の追跡調査をこういう大手各社はやっているかどうかというのをどの会社でも私は聞いてみたんですが、追跡をやっていない。三菱長船では、所長が答えたのは、三千名のうち企業内配転をやった人が大体三〇%であろうと、あとはちょっとわからないと。私は、このわからないというのは、ほとんど失業、半失業状態が続いているという意味だろうと思う。つまり、下請工で切られた人の圧倒的な多数の部分はいまなお失業ないし半失業状態においてさまよっているという非常に気の毒な状態であろうと思うんであります。  そこで、次にお伺いいたしますが、労働省はどうも数字を運輸省からもらっているというので、これは運輸省にお伺いしますが、大手の七社ですね、いわゆる大手造船七社全体で現在の人員削減計画はどんなふうな計画を持っているか、運輸省の方として把握をし、どのように認識をしているか、この点であります。この実態認識が前提にならないと雇用対策というのは立てられないと思うんです。この点どのようにお考えになっておりますか。
  102. 間野忠

    説明員(間野忠君) 大手七社も含めまして、造船業全体の企業ごとの合理化計画と申しますか、減量計画と申しますか、そういうものは昨年の夏から逐次計画されております。ただ、その後の事態推移が非常に厳しいものでございますので、計画自体もかなり修正されながら現在もなお検討されておるといった実態でございまして、私どもとしましても、たとえば佐世保重工であるとか、函館ドックであるとか、あるいは伊万里への移転を中心にしました名村造船であるとか、非常に具体化しましたところにつきましてはすでに新聞等でも報道されておりますような数字を持っておりますが、その他の会社においてはまだそれほど具体的なものがないせいか、私どもの手元にはございません。
  103. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことでははなはだこれは手おくれもはなはだしいと思うんです。私は自分で日造協——日本造船協力会、下請の団体の方から資料を入手しているんです。労働省、こういうものは持っていないんですか。これはいわゆる大手、中手にかけて各社の切り捨ての推定をしているわけです。これはどうしてつくったかというと、造船協力会が各社、各造船所に直接電話をして、ピーク時と、それから五十三年一月現在と、五十三年八月の推定の下請工の数、これをちゃんと計算した一覧表があるのですよ。これによると、大手七社にしぼってみますと、ことしの八月までに現在数を約半減、約九千名切り捨てて一万名にする、そこまで削減するという計画が立っております。ことしの一月現在でピーク時の四四%に減る、ことしの八月になるとピーク時の二三%まで減る、こういう非常に大きな人員削減の計画を各社は立てておるんです。私はまずこれを見ていただいて、あなた方が考えておられる数字というものがこれと近い予想を持っておられるのかどうか、あるいはこういう数字についてはもう全然いまのところ予測がないのかどうか、その点にしぼって運輸省当局にお聞きしたい。
  104. 間野忠

    説明員(間野忠君) この資料、まだ詳しくは拝見しておりませんが、この資料も含めまして、こういった人員計画をつくるといたしましたら、それは今後の工事量を予測しまして、その時間数から人間を逆算したものであると思います。したがいまして、ことしの夏から暮れにかけてどれだけの新造船受注量が期待できるかということによってこれらの数字は変わってくると思います。したがいまして、最も単純な推定をするといたしますと、今年度の工事量が何百万トンになるか、そうすると、それは何時間くらいの工事数になるかということから逆算して、その後は各企業の事情によりましてそれを本工と下請に配分するということ以外には推算の方法はないと思います。  そこで、今年度の工事量でございますけれども、いまのところ起工量で確定したものが二百六十万総トンございます。今後まだとる余地はございますので、何がしかの上積みはできると思いますけれども、われわれとして当初予測しておりました六百五十万総トンというような数字にはとてもまいらないと思います。したがいまして、これをどれくらい下回るかということによりまして、さらに厳しい雇用問題が出てくると思うわけでございますけれども、ごく大ざっぱに申しまして、現在の受注パターンでございますと、百万総トンで一万四千人ぐらいの雇用に影響があると思います。
  105. 内藤功

    ○内藤功君 いまの一覧表をつくったつくり方というのは、一番簡単な直接なつくり方、直接各会社に電話をかけて、そうして確かめた。やっぱり労働省がそういう資料を持っていないで、そうしてこれからの雇用安定を云々することはできない。私は多く言いませんが、こういうやはり姿勢ではいかぬ、運輸省がそういう姿勢ではいかぬ。大臣、これは造船協力会というところもこういう調べをしているんですから、これにならうのはいささかメンツの問題もあるかもしれないけれども、正確な各企業の人員削減の計画というものをこれは指示をして具体的に調べてもらいたいと私は思うんです。どうですか。
  106. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) そういうふうにさせます。
  107. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、この法案がこれに役に立つかどうかという問題にずばり入って私聞きたいと思うんです。  これは、提案者の通産省にお伺いしたいと思うんですが、この法案の三条、それから一条というところに、私の見るところ三カ所、「雇用の安定」というものが修正によって加えられた。で、雇用の安定に十分な考慮を払うとか、配慮しつつとかいうふうな表現でありますが、まずこの「雇用の安定」とは何か。これは議論があったところだと思うんですが、私は、ずばり余剰人員というものを減らして減量するということに重きを置いているのか。それとも、なるべく労働者の首を切らない。生首というと語弊があるが、首を切らないというところに雇用の安定の意味があるのか。あるいは、もうどうせ切られるんだが、切られた人の生活のめんどうを見てやるのが雇用の安定なのか。どれなんですか。どういうところにこの重点があるのか。
  108. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私、最大の重点は、ただいま先生の御指摘になりました幾つかの中で、なるべく雇用を、いわゆる首切りというかっこうにいかないように、それを前提としながら、同時に設備処理という業界の安定を図っていく。これが第一であろうと、こういうふうに考えております。
  109. 内藤功

    ○内藤功君 首を切らないということを最初に私は言われたといま思います。だとするならば、この第三条の第五項などでこういう労働者雇用の安定について「十分な考慮」ということが言われておりますが、造船のいま私の示した数字にあるような下請の切り捨ての問題について、具体的にどのような規制措置をまずおとりになるつもりなのか、ずばりこれをお聞きしたいと思います。
  110. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私、ただいま申し上げたように、雇用の安定というものの中にはいろいろあるかもしれませんが、第一は、いま申し上げたように、首切りを出さないというように設備処理の量とかあるいは設備処理のテンポとか、こういうものを考慮をしていくということが第一であろうと思います。ただ、設備処理を進めるに当たりまして、それが第一とは言いながら、やはりどうしても何らかのかっこうの雇用調整が必要になってくる。その場合には、その方法といたしまして、この法律の中にも、ただいま先生は三条五項の御指摘がございましたが、三条五項というのは安定基本計画を定めるに当たりまして、まず私がいま申し上げたようなことを第一義的に考えて決めるべきだと、こういうことではないかと思います。ただ、どうしてもやむを得ずして雇用調整が必要であるということに関連しまして、第十条第一項は事業者のいわば配慮、努力規定、二項は国、三項は国及び都道府県のそれぞれの事態に対処したときの努力義務の規定を設けてある。訓示規定ではございますが設けてあると、こういうことではないかと考えております。
  111. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、私はいまの話では具体的な規制対策にならぬと思うんです。人員の整理を防止するという具体的な計画がいまの説明からは私はうかがわれない。最近出ている「ジュリスト」という法律雑誌に根岸さんとおっしゃるかな、神戸大学の先生がこの法案の批判を書いておられる論文ありますが、私もちょっと読んでみましたが、この中でも努力規定、努力義務規定だけでこれは救えないということを指摘していますし、それからいろんな学者グループからの批判もあるところですね。  私は、もう一つ非常にこの法文で不十分だと思うのは、いまお示しの十条の四項では、関連中小企業経営の安定のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする、これも努力目標の義務であります。そして、こういうことをうたっておいておりますけれども、下請業者ですね、造船の下請業者の意見というものはどういうふうにこの安定基本計画なるものに反映するようになっているのか、下請業者の意見はどう反映できるのか。労働組合の意見は、野党のいろいろな要求もあって、一部労働組合の意見を聞くという条項が取り入れられたようでありますけれども、中小業者の意見はどのようにしてこの法制に反映されておるのか。私は、ないと思うのですが、これはどういうふうに説明しますか。
  112. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 造船業界の現実の安定基本計画をどういうかっこうでつくっていくか、これは私からお答え申し上げるべきあれではないと思います。私は一般的な考えといたしまして下請関係の問題についてお答え申し上げます。  この法律は、構造不況業種が抱えておるいろいろな問題、それの中で設備処理ということに着目をしまして、これを中心に構成をされておる法律でございます。したがって、法律の立て方といたしまして、いわば設備処理をどういう考え方、どういう仕組みによって進めていくかというのがこの法律の内容になっております。ただ、下請関係の問題につきましては、これは業種によりまして下請関係が非常に大きな問題である業種、それから一般的に言えばこれは必ず関係があるかもしれませんが、特に業界によっては非常に下請関係の重要な業種というのがあると思います。そういう業種につきましては、安定基本計画をつくるに当たりまして、個々業種別に審議会の部会なり、私どもで言いますと産構審の部会なり小委員会をつくりまして、その業種の問題のみを議論する。その場におきまして、いま私が申し上げたような特に下請関係の非常に業種として大きな問題のときには、そういう声が反映をされる代表者に参加を願うというようなことを通じまして、この設備処理の仕組みの一番初めにございます安定基本計画段階でそういう意見も取り入れる、そういうことで努めていきたいと、こう考えておるわけでございます。
  113. 内藤功

    ○内藤功君 非常に不十分だと思うのですね。わが党は三月二十五日に、これは下請代金の遅延防止法の改正案という形ですけれども労働者と同じように下請企業者にも交渉権というのを認めろという提案を発表しております。これは法案の形で近く提案する予定ですが、こういうやはりよほどの重大な場合というのじゃなくて、下請業者にとってはもう常時重大な場合なんですから、これは非常に私この法案の片手落ちだという気がいたします。  次に、私が伺いたいのは、これは運輸大臣、さらに通産大臣にもお伺いしたいのですが、大手の本工を含めた雇当対策についてであります。実は衆参両院の運輸委員会の参考人に出られた方で、造船工業会の副会長の南さんが言われるには、大手造船所の設備過剰は約六〇%と考えている、これは業界のコンセンサスを得ている、中手においては逆に四〇%の設備切り捨てで操業度として六〇%というのが一般的な通念だ、こういうふうに述べておるのです。この認識については運輸省はどういうふうに受け取っておられますか。
  114. 間野忠

    説明員(間野忠君) 造船設備能力の算定につきましては若干いろいろ問題もございまして、今後特にこの法案に基づく設備処理をするというような場合には、改めてその算定の方法等も決めることになっております。  ただ、ただいまおっしゃいました南さんの御意見でございますけれども、非常に大筋においては、現在の設備の過剰の度合いと申しますか、それを大筋の方向ではお示しになっておるものと考えます。
  115. 内藤功

    ○内藤功君 大筋で大体こういうことを示していると思うと、こういう御答弁と承ります。そうすると、この大筋においてこういうような操業度を前提とした場合に、あなたのさっきやられたようなその場の計算でも結構ですけれども、どのくらいの労働者の削減が必要になるか、これは本工を含めて、大手の場合。大体どういうふうに見通されますか。
  116. 間野忠

    説明員(間野忠君) 現在問題になっておりますのは設備の稼働率の問題であると思います。それで、現在の設備とはもう全く別の方向ですでに人員は仕事に合わせて減っておるのが現状でございます。したがいまして、設備能力と今後出てくる過剰人員とはこういう事態になりますとほとんど関係がない、むしろ仕事量によって今後の過剰人員は決定されるというふうに考えております。
  117. 内藤功

    ○内藤功君 これもさっきの下請と同じように具体的な数字がお手元にないようでありますね。船舶局なり造船課という一番調べておかなければならないところにこの認識がない、こういう数字の認識がなくて一体雇用対策が立てられるかと私は疑問に思うんです。  そこで、しかしもうちゃんと大手の方は計画を持っているわけですよ。これ、私持ってきたのは——さっきあなたに渡したのは造船協力会の下請だけれども、ここに持ってきたのは大手、日本造船工業会の資料です、これ。去年の三月二十五日現在、この三月二十五日現在で、見通しとして、政府の操業勧告ベースでいった場合どうか、それから大手五〇%、中手六〇%の操業でいったらどうか、今度は大手四〇%、中手五〇%、うんと減らした操業度でいった場合どうかという三つのケースに分けて、来年の三月時点での人間を減らす数、人を減らす数をちゃんと書いてあるんです、これね。これによりますと、日本造船工業会の二十社の数字であります。ずばりもう結論だけ言いますと、二十社で五十二年三月現在を基準にして、五十四年三月まで二年間の間に、大手四〇%、中手五〇%の操業度とした場合、三万五千二百九名——いいですか、三万五千二百九名のこの造船工業会加盟の人手を減らさなきゃならない。もうだれか、いま元気で働いている人のうち三万五千二百名の首がなくなるという計画ですね。これはもちろんそのとおりいくかどうかわかりません。ふえるかもしれない、減るかもしれませんが、そういう計画がいまあるということ。それから、もしこれを大手四〇%、中手六〇%というふうにした場合には三万二千二百八十五名。さっきの南副会長さんが言ったような数字でいった場合は三万二千二百八十五名。こういうものが、木工を含めて、大手の七社、それから大手の下、中手合わせて二十社で計画をされておるというこういう表であります。これは運輸省、こういうものは御存じですか。こういうものは持っておりますか、調査資料として。ないですか。
  118. 間野忠

    説明員(間野忠君) ただいま先生がおっしゃった数字も、今後各社がどれだけこの一年に仕事量ができるかというものからはじき出した数字であると思います。したがって、それについても私どもとしては持っておりません。
  119. 内藤功

    ○内藤功君 これは重大問題ですよ。大臣、たびたび答弁求めてあれですが、もう少し大きな議論をしたいんですが、こういう実態ですね。船舶局、造船課をやっぱり指示していただいて、いろいろほかの運輸省の御用事もあるでしょうけれども、これは数字をちゃんと、造船工業会が幾らとつかんでいるのかというのはやっぱり把握していただかないといかぬと思います。ほかのことではいろいろ大手の船会社や造船会社とお会いになっているようですけれども、肝心のこういうことをつかまなきゃだめじゃないですか。いかがでございましょうか。これも御調査願いたいです、すぐに。
  120. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) できるだけいまお話しのような実態把握に努めますよう、私からもさらに申すことにいたします。
  121. 内藤功

    ○内藤功君 この法案は、私はもうこの答えだけでいま成立さしちゃいかぬという気がいたしますね。  次に、質問ですが、こういう膨大な人員整理が行われますと、来年三月まで三万五千二百九名ということになりますと、これはもう重大な社会問題であると思うんです。皆黙ってその場は会社をやめていくように見えるかもしれないけれども、それはやっぱり胸の中には世の中に対するいろんな不満、怒りというものが内攻しておって、これがいろんな形であらわれてきます。ですから、これはもう社会問題を自分でつくっていくようなものだ。法案のさっき私の言った一条とか三条の条文で、雇用の安定を図るということが加わっておりますけれども、こういう三万二千何名、三万五千何名というものが来年三月まで、大手を含めた造船業界で出てくるということになった場合、労働大臣、いいですか、これに対して、本法案を含めて、三万何千という造船業界からの離職者に対する手だてというものをどういうふうにこれは組んでいきますか。真っ正面にこの問題を見据えた場合、どういう対策がございますか。
  122. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 造船が大変厳しい不況で悩んでおられるという、いずれ相当離職者が出るというこの不幸な事態対応いたしまして、労働省としては雇用安定資金制度というのをこれを積極的に活用して、そしてできるだけ未然に失業者が出ないように、そしてこの再就職、職業の転換ができるように企業内部において休業あるいは訓練手当、こういったものを支給すると同時に、事業主に対しまして再就職援助計画というのを出してもらう、それによって再就職に必要な、労働省として出先の職業安定局を通じましてこの再就職促進に協力していく。それには、きのう通していただきました職業訓練法の改正、特に中高年齢者が多いわけでございますから、中高年齢者に対して職業訓練、そしてまた景気回復のために公共事業相当拡大をしたわけでございまして、失業者の多発地帯には公共事業を重点配分をして、失業者の吸収率制度、こういったものをフルに活用していく。  それから、特に五十三年度新しく雇用政策として展開をいたしますのが、中高年齢者を雇い入れる事業主に対して、その事業主に援助をしていく。事業主が中小企業者の場合には、通常支払う賃金の三分の二は援助していく。こういったことで、これから出るであろう造船関係からの離職者に対しまして対応していく。  特にもう一つ、前後いたしますけれども特定不況業種離職者臨時措置法、これまた積極的に活用いたしまして、雇用保険の給付期間がこれによりますと四十歳以上は九十日延長されますし、また職業訓練手当、あるいはまた待期手当、こういったこと、並びにこのような特定不況業種指定された企業から出ていく離職者を雇い入れる事業主で訓練をするという場合にはまた訓練手当を出していく。こういうふうな非常にもろもろのきめの細かい対策によって万全を期していきたい、用安定を期したい、このように考えておるわけでございます。
  123. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 内藤君、時間ですよ。
  124. 内藤功

    ○内藤功君 私は、いまのような一般的な答弁では、この三万五千人の規模の離職者、それからさらに、さっき下請関係で発生する約一万に上る減員というものにはもうとうてい対応できないと思いますね。これはもう政府が直ちに数字を調査した上で、しかるべきやはり強力な解雇の規制ですね。解雇なり退職をした人を後でどうしようかという問題の前に、退職の数というものを規制していくということを、何らかのやっぱり総合的な労働対策をやらないと大きなこれは社会不安というものを起こすことになると思うんです。  現に、いま示した日本造船工業会の資料ではこう書いてあります。減員は「自然減耗、配置転換、出向等で吸収し得る見込であるが、操業度がさらに落ち込んだ場合は、一時帰休・希望退職等で対処せざるを得ない」。言葉は穏やかのように聞こえますけれども、「希望退職等」——もう生首を切るということをやらざるを得ないということをはっきり去年の三月二十五日現在で言っているわけです。  これは私ら、やはり労働者の気持ち、労働者の立場に立った場合、これはいまのような労働大臣の現行法のあらゆる制度を使っての御答弁でしょうが、これではやっぱりいかぬと。いわんや努力義務というものを課しているだけの本法案では、これはとうてい解決できないものだという感を私は深くしているわけなんです。  時間の関係で私はこれ以上の論議はできませんが、最後に、いまの点で労働大臣と運輸大臣のお考えを承って、私、一応終わりたいと思います。
  125. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私の答弁がきわめて抽象的だというお話でございますが、現に具体的に起こればすぐ発動できると、こういうことでございますから、現在のところはまだ起こっておらないんですから具体的に言いようがございません。いまの対策で万全を期すると。  もう一つつけ加えて補足的にお答えをいたしますが、われわれもこのような現状を踏まえただけの対策では足らない。したがって、雇用機会を新しくつくり出すというこういう観点から、すでに——運輸大臣から後ほどお答えがあると思いますけれども、積極的に造船から出てくる失業者を少なくするためには、やはり造船の関係労働者で間に合ういわゆる老朽船の解撤事業、こういったことも具体的に現在事務的に進められておるわけでございます。あるいはまた、洋上に構築物をつくるこの需要の拡大を図っていく。また、石油の洋上備蓄、こういったことも具体的にすでに詰められておるわけでございまして、また、官公用の船、巡視艇、こういったものをひとつ早期に発注してもらう、こういうことによって雇用の拡大の場をつくる。こういったことと相まって、それでもなおかつ失業者が出るという場合に備えまして、先ほど申し上げたような万般の雇用安定対策をつくっておると、こういうことでございます。
  126. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) もろもろの法規等をフルに活用するとともに、何としても実効ある雇用の創出等を考えていかなければなりません。そうした施策に鋭意努めてまいりたいと存じます。
  127. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 特定不況産業安定臨時措置法、この法案審議に入るわけでございますが、きょうは商工委員会、それから社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会、この委員会の連合ということでございますが、私は農林水産委員会という立場から、当面する合板業界の問題について若干質問したいと思うわけであります。  最初に、この法案については今日までいろいろな論議があったことだろうと思いますが、大臣の提案理由説明の中にも、最後の方に、本法が「構造不況業種不況の克服と安定に欠くべからざるものであり、」と、こういうように述べておるわけでありますが、これは各委員からも指摘がございましたように、構造不況業種不況の克服と安定、そのためにこの法案過剰設備に対する対処についての問題を中心といたしまして、それ相応の施策をするということになっておるわけでありますから、当然ここにいま一番問題になっていますこの雇用不安というものが伴うわけであります。各委員からいろいろな論議があったことでもございますけれども、この法案趣旨というものは、現在の構造不況をどうするかということに、企業側の立場に立っての法案であって、雇用問題等についてはそれぞれの関係法案を中心にして対処するという、こういうことに受け取っておるわけでありますが、この点ひとつ大臣どうでしょう。
  128. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この法律の骨子は、構造不況業種過剰設備、この過剰設備廃棄するための法律でございます。したがいまして、いまおっしゃいますように設備廃棄に関する手続が中心になっております。しかし、設備廃棄いたしますと当然雇用問題が起こってまいりますので、第一条、第三条、第十条あるいは第五十七条と、こういうところで雇用問題に対して万全の対策を立てるようにと、こういう趣旨が入っておるわけでございます。
  129. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いま大臣の仰せのように、各条文の中にはたしかあるわけでありますが、これは各業種とも非常にもうこういう長期不況の中で混迷をいたしておるわけでありますから、よりきめ細かな対処の仕方をいたしませんと、そうしてまた計画的なといいますか、各業種ごとに状況の把握、こういうもののもとにきちっとした計画を打ち立てなければならぬ、こういうふうに思うわけです。そういう点で労働省は、どういう業種の中で、この法案成立とともに、設備廃棄とともにするならば、どのぐらいの職を離れる人が出てくるのか、それに対してはどうしなければならないか。そういうことについては当然これは労働省としてもこの法案成立後のことについて検討しているんだろうと思うんですけれども、その辺のことについてはどうですか。
  130. 細野正

    政府委員細野正君) 合板製造業につきましては、先生も御存じのように……
  131. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 合板だけじゃなくて、全般的に。
  132. 細野正

    政府委員細野正君) 御審議いただいておりますこの法律対象になる各産業につきましては、結局、運用の問題として、当然特定不況業種臨時措置法対象になるものというふうに私ども基本的な考え方を持っているわけでございます。したがいまして、この法律対象になりますと、当然離職者を出す各企業から先ほども労働大臣も申し上げました再就職援助計画というものを出していただくことになるわけでありまして、その中でそれぞれの企業離職者の発生見通し等が出てまいるわけであります。そういうものに基づきまして、私どもは紹介なり訓練なりというふうな体制をとっていくということになるわけでございますが、一般的には、その法律適用によりまして雇用保険が九十日延長される、あるいは職業訓練を受ける人につきまして訓練手当あるいは待期手当というようなものが支給される。あるいは中高年齢者を雇い入れる事業主に対する助成措置というものが本年度から新たに設けられておりますので、そういう制度を適用して雇用機会の拡大を図っていく。それから、緊急に現金収入が要るという方につきましては、公共事業への吸収率制度というものを活用いたしまして、これによって公共事業への就労を確保していくというふうないろんな各般の施策をとりますほかに、むしろいま申し上げておりますのは離職者になった場合の問題でございますけれども離職者の発生を予防するという見地から雇用安定資金制度を活用いたしまして、できるだけ、今後の業界状況推移にもよりますけれども、一時的に抱えることで済むものであれば、それは一時的に抱えていただくことを援助する。どうしてもよそへということになりますれば、中で訓練をするなり、出向という形をとるなり、いろいろな形を援助しまして、できるだけ失業という形をとらずによそへ異動をしていただく、あるいは先ほど申しました再就職援助計画の中で事業主に再就職のための自己努力をしていただく、そういうふうなもろもろの失業予防対策、円滑な職業転換対策、こういうものをすべて網羅しまして、関係労働者雇用の安定を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  133. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この法案企業サイドの法案であって雇用対策がどうも手おくれになっておるという、こういうことのないように、ひとつこれは両輪のように推し進めていかなければならないことでありますから、いまいろいろお話ございましたけれども、これは弾力的に運用して、雇用不安の解消のためにそれらの諸施策がりっぱにひとつ効果の上がるようにしていただきたいと思うんであります。  次に大臣特定不況産業というのは第二条に、平電炉、アルミ製錬、合成繊維製造業、それから船舶製造業と、こうあるわけですが、その他は政令で定めるとなっておりますが、その政令では、これは審議会でどうするというのは、それはわかるわけですけれども、現在当局として、特定不況産業としてこの第五号に該当するということで、これは審議会から上がってきて検討するんですと言えばそれまでのことですけれども、現在こういう不況の長期化の中で各業界とも大変な状態であるわけですが、私いま申し上げている合板産業、これは当然入るだろうと思うんですけれども大臣どうでしょうか。
  134. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま御指摘法律運用につきましては、政府委員が詳細答弁をいたします。
  135. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生指摘のように、法律的には、法案成立後、審議会等の審議を経て決めることになりますが、法案作成の過程におきまして、私どもが幹事役を引き受けましたので、各省の間で一応念頭に置きまして、こういうものが五号の対象として議論になるんではないかという業種を申し上げますと、通産省の所管では、一つ化学肥料業界、それから紡績業界、綿、スフあるいは合繊紡績、毛紡績というような紡績業界、それからフェロシリコン業界あるいは段ボール原紙アルミ製錬はこれは入っておりますが、アルミの圧延業界あるいは塩ビ樹脂といったような業界でございまして、次に農林省としてこんなものが対象として考えられるのではないかという中に、合板あるいは精糖業界、それから運輸省では法定の船舶製造業のほかに船舶用の機関でございますとか、あるいはその他の船舶用品、こういう関係業界が五号の対象として議論になるのではないかと、こういうことでございました。
  136. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 合板産業についても一応その対象として考えられておるようでありますが、農林大臣は、この合板業界ですね、御存じのとおり原木供給国の値上げ機運、また開発途上国からの輸出攻勢、こういう国際環境の非常に厳しい中にありまして、合板の長期にわたっての不況の様相というのはよくわれわれも承知しているわけでありますけれども、今度のこの法律によってどうしても救済策を講じなきゃならぬ、そういうことで業界でもいろいろ検討しているようでありますけれども、合板工業、合板の業界が現在どんな苦況に立っているかということについて、大臣、どういう認識をしていらっしゃるか、ちょっと概況だけお知らせ願いたいと思うんです。
  137. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 昭和四十九年以降、住宅着工戸数が大幅に減少いたしました。あるいは合板需要がそういったことの関係もありまして、需要が大いに減退しました。そのために合板製造業は長期間にわたりまして深刻な不況状態が続いたわけでございます。市況も低迷を続けまして、コスト割れの状態が続いているというような非常に大変な事態でございます。特に昭和五十二年の七、八月及び同年の十一月以降は不況カルテルを加えまして、事業活動規制命令による生産調整を行いましたにもかかわらず、価格水準の改善が見られず、企業経営を一段と圧迫している状況にございます。このために昭和四十九年以来約六十工場に及びます倒産、廃業工場が生じている状況にあります。このような状況にありますために、合板製造業界の全国団体でございます日本合板工業組合連合会は国の助成のもとに、構造改善資金、約六十五億円でございますが、過剰設備の買い上げを行うこととしております。これに加えまして、今国会に提出されておりますこの特定不況産業安定臨時措置法に基づきまして、成立いたしました場合には、同法に基づく業種指定を行いましてこれが対策を講じたい。まあ大変な事態でございますので、買い上げる制度に加えまして、この法案によって何とか前途を明るいものにしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  138. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もございませんから、いろいろなことをお聞きしたいんでありますが、これはちょっとはしょりまして、いま大臣のおっしゃったように、およそ一二%の設備廃棄する計画を立て、生産能力年間三億平方メートルということを組合では計画を立てたようであります。それによってこの三十五の工場が廃棄になるということですが、それに伴いまして、この事業資金として信用保証基金、それから、それとともに中小企業振興事業団の設備共同廃棄資金、これらのものを併用することによって運用していきたいという組合の考えのようであります。この信用保証基金等については私どもも十分承知をいたしているところでありますが、この信用保証基金にいたしましても業界の負担分があるわけであります。負担分といいますか、業界が出し、それに対して国も出すということでこの基金をつくるわけですけれども、非常に体質的に弱い業界がこういうことをするわけですから、この残存企業というものが本当に立ち行くような金融政策、そしてまた今後この残存した企業というものがこれだけの犠牲を払ってやるわけですから十分に立ち行くような施策を進めなきゃならぬ。そのためには中小企業振興事業団のようなこういう制度も十分に活用しなきゃならぬ。この中小企業振興事業団については、これは都道府県の負担分なんかもありますのでいろいろ問題があろうかと思いますが、この案、どういう手だてをするように農林省では検討していらっしゃるのか、それをちょっとお伺いしたいと思うんです。
  139. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 先ほど大臣からお答えいただきましたように、基金といたしましては六億五千万積み立てまして、これは半分が国からの助成でございます。半分が企業によります負担でございますが、その信用によりまして六十五億というものを融資対象にいたしまして借り出して、それによりまして機械の設備廃棄をしていこうというのがねらいでございますが、ただいまのところ、これを先ほど大臣から御説明いたしましたような日合連で検討を進めております。これの返済方法等につきましては残存者負担というものを原則にして、その実行の具体的な方法ということを現在検討を進めておりますし、また、どこからこれを融資してもらうか、いま中小企業振興事業団というお話もございましたが、あるいはその償還期間をどうするか、こういうものも含めまして検討いたしておりまして、いまのところ確定いたしておりませんけれども、ただいま先生がおっしゃいましたように、やはり残った企業がしっかりするような方途を十分見つけ出しながら対応していく必要があろうということで、業界としてもそういう努力をいたしておりますし、林野庁といたしましてもそういう指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  140. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この基金の調達分の返済等については、原木の賦課方式だとか、また金利の国庫負担を何とかしてもらいたいとか、これは非常に構造的にまあ弱体という言葉が当てはまるかどうか知りませんけれども、そう大きな企業でない中小が多いわけでありますから、十分な手だてをいたしませんと、残存した企業も非常に窮地に立たされる。こういうことでは、こういう法律で守ることになった意味がなくなるわけであります。また、今後五十五年を目指しての農林省のいろんな計画もあるようでありますが、それが妥当であるかどうかということもいろいろ問題だろうとは思いますけれども、いずれにしましても、組合としまして鋭意努力をして何とかこういう中で処置していこう、対策を講じていこうということでやっているわけでありますから、農林省もぜひひとつこれらの組合のいろんな意見等を参酌して、かっちりいくように進めていただきたいと思います。それとともに、今後の新増設の禁止とか設備カルテルの問題とか輸入関税、また税の減免とか、こういう諸問題についてもいろいろ業界では意見があるようでありますけれども、この問題についてはまだ具体的には話が進んでいるのかどうかわかりませんが、これは農林省としてもぜひひとつこれらのこともあわせて、アウトサイダーも入れての規制といいますか、全体の問題としてこれをとらえていきませんと、せっかくやったことが効果が出なかったということではこれは済まされない重要な問題だと思うんですけれども、これらのものを含めて御答弁いただきたいと思いますが、どうですか。
  141. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 合板業界につきましては、先ほど大臣からお答えいただきましたように、カルテル等実施、さらには事業活動規制命令というものをかけましてアウトサイダーに対する規制もやっております。また、新増設の禁止の問題につきましてもこの手だてをいたしておりますし、そういうことをもとにして、ただいま合板業界が基金をもとにしたこれからの設備廃棄ということに真剣に取り組んでおる次第でございます。先ほど申し上げましたように、ただいまその検討結果というものがまだ出ておりませんけれども、そういうものをもとにし、ただいま御審議法案成立いたしますればその適用ということも考えながら、今後合板業界が安定した形で成長できますようなこと、さらには残りました企業が健全な形でいけるような努力を企業自体がすると思いますし、私どももそういう形で指導してまいりたいというふうに考えております。
  142. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 合板工業がこれから新しいものを模索するということによって活路が見出されるかどうか非常にむずかしいことなのかもしれません。しかし、企業としてはいろいろな努力をしておるわけでありますし、新製品の開発ということについてはこれは相当努力を払っておるわけですが、こういう廃棄処分しなければならぬということは非常に忍びない、現状としてはやむを得ないとしましても、施策であって、やっぱり物事がそこに至らないための前向きの問題にできるだけの力を注ぐことが大事だろうと思うんでありますが、そういうことから考えると、新製品の開発ということについてやはり政府としても助成策を講ずるとか、非常に弱体の中で何とか将来のためにということで模索しておるわけでありますから、そういうことも十分にこれは考えるべきじゃないかと思うんです。   〔委員長退席、商工委員会理事福岡日出麿君   着席〕  もう一つは、合板業界というのは、どちらかというと、数的に見ましても企業実態を見ましても中小企業が多いわけでありますけれども、やっぱりこういう立場からメーカーとか商社、こういうものの言いなりといいますか、力が非常に強いわけなんで、今度この法案ができましたら自主的に合板業界が立ち行くように、メーカーとか商社の力のあるものに押されて、そしてその中小企業者の立場が犠牲になるなんてことのないようなこういう配慮を十分にしていかなきゃならないということを私は痛感するわけでありますけれども、こういうことをぜひひとつ御考慮の中に入れて、この法の運用面また今後の対策として考えてもらいたいと思いますが、どうですか。
  143. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) いま先生指摘になりましたように、これからの合板が伸びる道としては、新しい技術その他を開発し、販路を広げるということが非常に大事でございます。そういう意味から、私の方でも主として無機材質の防火材というようなもの、これを用いました複合合板という新商品などを中心にいたしました新技術の開発ということを中心にいたしまして、近促法に基づきます知識集約化の構造改善、これを合板業界の方につきましても取り組んで実施しておる次第でございまして、今後ともそういう形で新技術開発等々を中心にいたしまして合板業界の発展の方向というものについて見出しながら指導を十分にしてまいりたいというふうに考えております。  さらに、合板業界につきましては確かに先生指摘のように中小が中心でございます。そしてまた、その系統といたしましては商社等々の系統もございますが、この法案に関連いたしましてこれが政令指定になりますれば、それに基づきます将来計画というものを当然主務大臣計画を立てることになっております。そういうことも十分配慮しながら、私どもといたしましても合板協会自身が健全に発展できるようなことを、十分対応いたしまして、指導してまいりたいというふうに考えております。   〔委員長代理福岡日出麿君退席、委員長着席〕
  144. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 昨日参考人の方がいらっしゃって商工委員会審議をなさったようでありますが、そのときにも意見が出ましたし、また各委員のいろいろなお話の中にもございますが、現在、現状の中で最大の努力をすべきだというその中で、官公需の拡大や積極的な需要の創出、これは何といっても私どもとしては努力しなければならないことだろうと思います。そういうことからいたしまして、合板の使用は各般にわたるわけでありますが、やっぱり住宅建設業、いろいろありますが住宅関係は非常に大きなシェアを占めるだろうと思うのであります。  建設省の方、いらっしゃっていますね。住宅建設計画が当初の目標からだんだんずれつつあるといいますか、実績がそれに伴わない。こういう経過をたどっているわけでありますけれども、それはどの辺に問題があるのか、建設省としてはそれをどういうふうに認識しているのか、ちょっとその辺のことをお伺いしたいと思います。
  145. 鴨沢康夫

    説明員(鴨沢康夫君) 住宅建設につきましては、先生御存じのとおり、五十一年度を初年度といたします第三期の住宅建設五カ年計画を実施中でございます。それで、その計画の内容は、全体で八百六十万戸をこの五カ年間に建設をするという内容になっております。それで、その内訳といたしまして、公的資金による援助をいたします住宅、たとえば公営、公団あるいは住宅金融公庫からの融資、その他公的な資金による住宅、これを三百五十万戸、それから民間自力による住宅の建設を五百十万戸というふうに見積もりをいたしております。そして現在五十三年度の予算成立まで含めまして、五十三年度の見通しを含めて申し上げますと、三カ年間で公的資金による住宅の進捗率は大体六一・四%ぐらいというふうになる見込みでございます。それから民間資金による住宅の建設はややこれにおくれておりますが、大体五六%程度、合計いたしますと五八%程度の達成率になるというふうな推定をいたしております。したがいまして、内容に、確かに御指摘のように公的直接供給の住宅が建ちにくいとかいうふうな問題点がいろいろありまして、これに対する対策も立てておりますけれども、五カ年計画そのものの進捗といたしましては、必ずしも全体の数に対して心配するような進捗率ではないというのが現状でございます。
  146. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この問題も予算委員会等を通じましていろんな問題提起がありまして、建設省も検討なさっていることだと思いますが、楽観視することはできない。これからの推移というのは非常にむずかしいと私は思いますし、それは予算委員会等でもいろんな指摘がありましたから私は重複を避けますが、住宅産業のそれらの国会で論議になったことを十分にひとつ踏まえて、この目標を達成するような施策をひとつ進めてもらいたいと思います。  それとともに、公的な官公需の拡大ということで、学校建設とか、それから市町村のいろんな公民館とか公的な施設の増改築、こういうものもまた非常に大きなウエートを占めるだろうと思うんでありますが、私は去年ですか、質問主意書で一回提起したわけでありますが、大臣の選挙区の帯広で、学校の教室の中がマイナス十何度というところがあるということで、これは現在の文部省の基準からいくと、老朽度というのは改築の点数に至らないということですけれども、しかし、教室の中がマイナス十八度なんというのはこれはもう論外でありまして、どんな理由があるんだったって、これはもう教育のできる環境でないのは当然です。それを答弁の中に、やっぱりマイナス以下、特にマイナス十度以下なんというのは教育環境にふさわしくないという答弁がありましたけれども、ならば、実態に即してこれは改築しなければならないし、老朽度ということだけでとらまえている現在の法律というのは現実にそぐわないんじゃないか。このように提起を申し上げて、大分文部省でも改築等については意を注ぐような予算になっているように伺っておるわけですが、これは何も帯広だけではなくして、北海道はもちろん、寒冷地には同じようなことがあるわけでありまして、現在の法律の老朽度だけでとらえている尺度ではとらえ得ない。教育環境を守るためには、昔の建物はいまのこの法律の尺度ではだめなんで、もっと現実に合わしたものにしなきゃいかぬ。このように私は強く感ずるわけで、こんな月に人類が行く時代に、教室の中の温度がマイナス十八度、こんなことはないんでありまして、これは是が非でも検討していただいて、ぜひひとつ改築、こういうものについて精力的に取り組んでいただきたいと、私はこのように申し上げるんですが、文部省の方、いらしておりますか。これはそういうような経過については御存じだと思いますけれども、どういうようにことしの予算でその点については検討したか、ちょっとひとつ簡単に申してください。
  147. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) 私ども公立文教関係の予算といたしましては、五十三年度で四千二百九十億という補助金を計上している次第でございます。これは昨年に比べますと三九・四%の増ということで、大幅な増になっている次第でございますが、特にいま御指摘の小中学校の危険建物の改築につきましては約二百万平米の予算を計上いたしておりまして、それと同時に、いま御指摘にありましたような危険建物の改築の要件の緩和をいたしまして、これまで四千五百点未満の建物を対象といたしたわけでございますが、今回はこれを五千五百点まで引き上げた次第でございます。特に豪雪地帯につきましては一般の地域より約五百点、点数を引き上げまして、六千点までを改築の対象として鋭意努力している次第でございます。またそのほかに、木造で三十年を経過したような建物でありまして、いま御指摘のような非常に居住性の悪くなった建物については、特にその状況がはなはだしければ改築の対象として対処したいと、そういうように思っている次第でございます。
  148. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣の担当する合板業界、官公需の拡大によりましてこの道も開けてくるという、こういうことでもございます。いまのお話のように文部省としてもいろいろ努力しているようでありますけれども、ぜひひとつ寒冷地を代表する大臣という立場、いろんな立場があるんだけれども、ぜひこの点、文部省も大分柔軟にお考えのようでありますけれども、閣僚の一人として積極的にお取り組みいただいて、需要の拡大ということについてひとつがんばっていただきたいと思います。  大臣、今度公共事業に伴いまして各閣僚が各地をお回りのようでありますけれども通産大臣、これはしりをたたいてしっかりやれいということなのかもしれませんが、とにかく現地に行きますと、先ほど来お話がございました造船を中心といたしまして、また各業種ごとにいろんな問題を抱えておる。公共事業、とにかく目標達成せよというしりたたきだけじゃなくて、現地に行きましたら、ぜひ長期不況のために混迷しておる実態というものをやっぱり見てきていただきたい。  また、去年の有珠の爆発のときには、いち早く調査団が出かけたということで、政府が早急な対策を講じた、対処したということで非常に評価されているわけですが、日本がこれほど大きな不況下の中にありまして、どうするこうするという、こういうことも大事かもしれませんが、やっぱり現実というものを直視するこういう調査団の派遣、こういうもので積極的な取り組みということが非常に大事なんではないでしょうか。こうこう言ってるうちに、この数日前に非鉄金属、秋田の鉱山が閉山する。また、造船業界はもう日に日に非常に苦境に立っておる。特に中小の造船会社等につきましては大きな波をかぶっておるわけでありますが、それらについて、これからこの法律できたらということでありますけれども、やはり当事者が現実を正しく認識することからこの解決策というのは始まるんだろうと思うのでありますけれども大臣、こういう非常に苦境の中にある現状、これに対してぜひ真剣な取り組みのもとに解決策をひとつ、また雇用問題等をあわせまして総合的な対策、これをひとつ進めていただきたいと思います。一言ひとつ最後に……。
  149. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま政府の進めております経済政策は三本柱から成り立っております。一つは一般的な景気対策。その一環として公共事業中心に内需の拡大を図っておるところでございまして、いまお話がございました関係閣僚の現地督励もその一環をなすものでございます。しかし、一般的な景気対策だけでは現在の深刻な不況を解決できませんので、やはり構造不況業種に対する特別の対策が必要であると、こういうことで今回この法律の御審議お願いしているわけでございます。さらにもう一つの柱は、わが国は中小企業の数が非常に多うございまして、産業上非常に大きな役割りを果たしております。そういうことから中小企業対策を特別強力に進めていかなければなりませんが、特に円高による最近の影響というものが非常に甚大なものがございますので、これらに対する対策ども抜かりなく進めていきたいと考えております。  以上の三本柱で強力な対策を進めまして、一刻も早く景気が回復し、雇用問題が前進をいたしますように努力をする所存でございます。
  150. 木島則夫

    ○木島則夫君 石油ショックの後で、産業構造審議会が日本の産業構造の転換について答申を出しています。つまり、将来の産業構造のあるべき姿をそこで提示をしているわけであります。たとえば、造船については昭和五十五年に二千九十万総トンにすると述べているわけでありますけれど、現、実はそうではなくて、六百五十万総トンと、答申と現実との間には大きな格差が生じているわけであります。しかも四十九年の折には具体的な需給見通しというものもはっきり述べているわけでありますけれど、五十二年度以降、具体的な需給見通しについては触れられていない。造船部門だけをとってみてもかくのごときでございます。いまここで審議をされておりますこの法案につきましても、安定基本計画の策定など非常に私は現実を処理する上で大事だとは思うわけでありますけれど、むずかしい国際情勢、揺れる国内経済の中で、やっぱり中期、長期という上に立っての日本の産業構造なり経済見通しというものがなければ現実的な処理というものは非常にむずかしかろうという意味で、まず大臣に、この辺の見通しをどういうふうにお持ちになっているか、造船部門に限ってでも結構でございますし、それを含めての問題もお触れいただければなお幸いであります。
  151. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昭和四十八年の秋、石油危機が起こりますまでの間、わが国の産業は数年間にわたりまして完全雇用をほぼ達成をいたしまして順調な歩みを続けておったと思います。ところが、この大ショックによりまして産業界が、これはまあ日本だけではございませんが、世界全体の施薬が大混乱に陥りまして、ある業種はいち早く立ち直りますと同時にさらに前進を続ける、こういう業種もございましたが、ある業種需給関係の変化によりましてどうしても立ち直りができない。いろいろ各国政府対策を進めておりますけれども依然として低迷をしておる、こういう業種も世界的にたくさんございます。また、日本の国内にもたくさんあるわけでございます。そこで、今回お願いをしております法律は、一般的な景気対策だけではどうしても救えない、こういう業種に対しまして特別の対策によりまして現在の非常に深刻な事態を何とか抜け出しまして再建の方途を探りたいと、こういうことで今度の法律お願いしておるところでございます。
  152. 木島則夫

    ○木島則夫君 ですから、現状を把握をして、その上に立った処理というものは私は敏速かつ確実に行われなければならないけれど、その処理をするためには、やはり造船なら造船のこれからのあるべき姿、将来の需給というものもきちっととらまえなければならないのではないだろうか。これは非常にむずかしいことを私も承知をしていまここで申し上げている。その辺のバックグラウンドももう一度触れていただきたい。
  153. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そこで、具体的な構造不況業極の立て直しの方針でございますが、まずその不況業界の三分の二、大部分の方々が自力ではどうしても再建がむずかしい、この法律によって再建をしたいと、こういう場合には安定基本計画というものをつくるわけです。いまの御質問は、安定基本計画に関連しての御質問ではないかと思いますが、これをつくる場合には、その業界需給関係、貿易関係を含めまして将来の見通し等を十分考慮して、この程度のことをやればこの業界は立ち直るであろうと、こういう見通しのもとに最終の方向を示したいと考えております。
  154. 木島則夫

    ○木島則夫君 私の質問に十分お答えをいただけない点がありますけれど、時間がございませんのでそれはまた委員会に譲るといたしまして、佐世保重工の場合についてちょっと伺っておきたい。  四者会談による基本的な再建というものが合意をされたものの、具体的な問題の処理ということになりますと、まだまだ予断を許さないような問題が多々あるようであります。そこで、これまでの事態の経過についてどういうふうにとらえているか、そしてその中での問題点はどこなのか。まず前段はこの二点についてお答えをいただいておきたいと思います。
  155. 間野忠

    説明員(間野忠君) 佐世保重工の問題につきましては、昨年の円高以後急激に経営内容が悪化いたしまして、このままでは非常に重大な事態を迎えるということで、会社の経営側といたしましても労働組合とも相談いたしましてかなり思い切った減量の計画を立てまして、これを実施に移すべく努力しておったわけでございますが、希望退職を募りましたところ、御承知のように相当の数、千六百人ほど出てまいりまして、その退職金の支給というようなこともございまして、追加の運転資金を多額に緊急に要するという事態になりました。そのために佐世保重工の現経営者といたしましても、主要株主あるいは主要取引銀行との間でいろいろ努力したわけでございますけれども、主要株主間の意見が必ずしも一致しないというような事情もございまして、三月の末から運輸省の方へ主要株主間の意見調整等につきまして協力してほしいという申し出がありました。われわれの方といたしましても、佐世保重工は大手七社に次ぐ非常に主要な造船業でございますし、これが非常にまずい事態になるということは、構造改善を控えたこの時期において非常に問題があるということで、とりあえず経営者の要請を受けまして主要株主、金融機関等の間の意見調整ということに努力しておるのが現実でございます。
  156. 木島則夫

    ○木島則夫君 大手七社に次ぐ非常に重要な位置を占めている佐世保重工といういまお話、そのとおりであります。中小の抱える問題がこの佐世保重工に私は集約をされたというか、象徴されたと言っても言い過ぎじゃないと思います。先ほどもお話があったように、大手の場合ですと、陸上部門とかほかの部門がありますから比較的転換がしやすいけれど、そうでないものについてはなかなか転換がむずかしいというのが実情でございます。これはこれからの問題でありますけれど、設備廃棄と、これに伴う一番大事な問題である雇用ですね、この問題をどう考えているか、どう対処するか。それから、こういうところがだめになりますと、地域全体がやっぱりだめになってくるという地域経済の問題とも大きく関連をしている、これをどういうふうに政府がとらえているかということ。それから、私が仄聞をするところですと、こういう非常事態の中で、たとえば株主あるいは金融関係から出される意見として、経営者の資質というようなことも——これは余り立ち入る問題じゃないかもしれない、ここで。そういうことも大きなポイントとして出されているということも聞いております。それらを含めてひとつお答えをいただきたい。
  157. 間野忠

    説明員(間野忠君) 確かに、おっしゃいましたように、佐世保重工は五十一年度におきましても佐世保市の工業出荷額の五二%を占めております。それから人口の三%程度造船関係の就業者ということで、地域経済に非常に大きなウエートを占めております。したがいまして、まずこの経営がしっかりすることが第一でございますけれども、現在の不況というのはかなり非常に厳しいものがございますので、単に従来のような一般商船の自主的な受注に任せておったのでは工事量に非常に不足するような事態もあると思われますので、先ほどからいろいろ質疑の中にもありましたように、とりあえず最低の工事量を確保する努力をしたいというのがわれわれの立場でございまして、たとえば国内船のスクラップ・アンド・ビルドでございますとか、官公庁船の代替建造を早期にするとか、あるいは石油備蓄センターにタンカーのような形式のものを採用しまして、それを造船所でつくるということで、とにかく最低限の仕事量を確保しまして、まず雇用も確保したい、どうしてもやむを得ないものにつきましても、なるべくその企業内での配置転換というようなことで処理して、やむを得ないものに限って雇用対策の方でめんどうを見ていただきたいというふうに考えております。
  158. 木島則夫

    ○木島則夫君 四者会談の中で一番大きな問題点として指摘されている、あなた方の方でとらえている一番の大きな問題というのはどこですか。
  159. 間野忠

    説明員(間野忠君) 佐世保重工という会社の歴史がある意味では非常に幸福なものではございませんで、いろいろな資本関係経緯がございました。そうして現在のような形で、ほぼ同等の力を有する主要株主が三者あるいは四者といいますか、三者あると。それで、それにいろいろな経緯もございまして、必ずしも主要株主間の意見が一致していなかったということが、あるいは経営にも影響し、あるいは取引にも影響しておる、それが一、番の問題であるというふうに考えます。
  160. 木島則夫

    ○木島則夫君 事態はどうですか、前進をしているんですか。
  161. 間野忠

    説明員(間野忠君) 前進していると思います。
  162. 木島則夫

    ○木島則夫君 安定基本計画を策定をする審議会にどの程度労働者の代表を参加させるか。業界の代表の参加はありますけれど、労働者の代表というのはほとんど参加はございません。もちろん、しているところもある。衆議院修正の中で、なるほど労働組合の意見を聞くというふうにはなっておりますけれど、これですと、ただ意見を聞きおく程度に終わる可能性が、心配をされる可能性が強い。ただ意見を聞くということだけではなくて、やっぱり基本計画を策定する場合の重要なよりどころにこれがなるように、働く者の代表の意見というものが吸い上げられるようにしてほしいということですね。これを私は強調をしておきたいと思います。  さらに、いま私が申し上げた前の段階でも、たとえば特定不況業種政令指定に当たりましては、適当と認められる審議会意見を求めることになっておりますけれど、その場合についてもやはり当該労働組合の意見が十分に吸い上げられるよう、これはもう本来働く者の代表が参加をするのは当然であるというたてまえの上に立って私は申し上げているわけでありまして、確認とでも申しましょうか、そのとおりでしょうねという、確認という意味を込めてお願いを申し上げる、要望をしておくわけでありますけれど、いかがでしょうか。
  163. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 法律の条文の中で、意見を聞くという規定もございますが、ただいま御指摘のように、私どもはむしろ安定基本計画の策定、あるいはただいま御指摘政令指定——上審議会に諮ります。この審議会は、まず業種別に諮るように部会なり小委員会というはっきりした場をつくる、大体そういう体制に現在なっておりますが、この点をはっきりさすのが第一。それから第二は、それぞれの部会、小委員会、当該業種の問題を議論いたします小委員会の場に労働代表も全部委員として参加を願う、こういうことにいたしたいと思います。なお、御審議の過程で、御指摘のございました、たとえば地域問題等非常に大きな場合には、地域代表の方の御参加等も願うということにいたしまして、いずれにいたしましても、審議を進めるに当たりましてそういう関係者の方方の御意見が十分そこで討議ができるような場をつくっていく、こういうことで処理をしていきたいと考えております。
  164. 木島則夫

    ○木島則夫君 参加ということが形だけのものになって、ただ、こういう形で意見を聞いたんだという、聞きおく形になってしまった例が過去たくさんありますので、やはりそういうことのないように、これほど大事な問題でありますから、ひとつ本当に意見が吸収をされるようにこの際お約束をしていただきたいということであります。まあ言葉のニュアンスからしますと、本当は合意ということになるんでしょうけれど、本来企業というものは経営者が責任を持つという意味で、働く者の代表の意見というものがそこに反映をして、それが尊重をされて吸収をされるという、そこに問題があるわけだと私は強調をしたいわけであります。ここのところをひとつ抜かりのないようにお願いを申し上げたい。
  165. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 当省関係に限って申し上げますと、この設備処理の問題というのは、たとえば繊維関係等はすでにいわゆる繊工審の場等で議論が行われておりますが、ただいま先生指摘のようなこの場におきましては、労働界の代表の方も当然のことながらずっと参加を願いまして、私ども非常に時間をかけまして、単なる意見を聞くというようなことじゃなしに、十分の実質的な討議、全体のコンセンサスを得て初めて審議会の答申ができる、こういう運用が行われてきております。この問題は、設備処理問題というのは大変これ重要な問題でございますから、いままでの繊維の場合に行われてきましたようなそういう審議で実質的な審議が行われる、こういうことで運用をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  166. 木島則夫

    ○木島則夫君 いままでにもそういういい実績があるんですから、ひとつそれを踏まえて前向きに前進をさしていただきたいと思います。  それから、アウトサイダーの取り扱いについてお聞きをしたいんでありますけれど、これを規制しませんと、一方で設備廃棄をしているのに、他方においてはこれに反する設備の増設が行われれば効果はきわめて薄いものにならざるを得ない。したがって、業界の協調を無視するものに対してどのような処置をするのか。たとえば、平電炉などは百社に近い七十社もあるというようなことであります。業界の協調、決定を無視してもこれには罰則がないわけですね、強制力はない。どのような行政指導を行っていくのか。やっぱりアウトサイダーの問題というのはこれは非常に大事だと思いますので、具体的にひとつお答えをいただきたい。
  167. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 御指摘のように、一つ業界が、業界の意思と申しますか、全体のコンセンサスの上でこの設備処理ということを進めていくというときに当たりまして、一〇〇%、全体の方がこれのコンセンサスができ上がる、これは非常に望ましいことではございますが、なかなか現実はそうはいかない問題が出てくると思います。この法律では、安定基本計画を定め、設備処理をやっていきます対象業種の前提といたしまして、業界の大多数の方がまず申し出をするということが前提になっておりまして、この申し出の段階で、国の立場から見まして、やはり設備処理を進めていったらいいというこの判断というのが私どもにこうあります場合には、できるだけ業界全体の意思として、この法律運用に乗っていこうと、こういうところでひとつ関係業界、あるいはその中でのいわばアウトサイダーの方との話し合い、説得というような場がどうしても必要であろうと思います。  第二に、今度は安定基本計画が定まって設備処理を具体的に進めていく。この場合もまた同様な問題が起こってくると思いますが、ただ、これを法律をもってたとえば新増設の禁止をアウトサイダーの方に対してとるか、あるいはとらないか。これにはいろいろなお考え方がございましたし、法案審議段階でもいろいろな御意見が出てまいりました。ただ私どもは、現在の経済体制を前提にし、やはり民間の当該業界の自主的な努力で、業界全体のいわば協力の上に設備処理というものを進めていく、こういうことでこの法案の御審議お願いしているわけでございまして、その意味では、産業所管官庁といたしましては、大変重要な役割りは、全体の大部分のコンセンサスができているときには、やっぱり個々のアウトサイダーの方と必要があれば説得、話し合いに応じまして、業界全体として円満な設備処理が進むようないわゆる行政指導に今後ともより以上努めなければならないと、こういうふうに考えております。  ただ、業種によりまして、業界を構成しておられる業者の数、非常ないろいろな違いがございまして、この対象となり得る、あるいは対象としようかと考えております業種につきまして、全体にわたってアウトサイダーの問題が非常に大きな問題になるとは私ども考えておりませんで、参考人等の御意見にありました平電炉業等は、いわば業界の数も多い問題ではございますが、やはり私どもは、ただいま申し上げたように、いわゆる行政指導というベースで説得、話し合いによりまして御協力を願う、そのように努めるということしかないと、こういうふうに考えております。
  168. 木島則夫

    ○木島則夫君 それじゃ、次に基金の運用について概略御説明をいただきたい。それから、保証額というんでしょうかね、保証金額が余りにも少ないじゃないかということです。これはどの程度まで広げていくか、将来考えているのか、その辺までひとつ広げてお答えをいただきたい。
  169. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 御説明申し上げます。  基金の全体の仕組みにつきましては、この法律の第三章に非常に細かい規定を置いておりますが、その中核的な考え方といたしましては、まず基金の業務は、いわば設備処理のために直接必要な資金、これと、設備処理に伴って必要となる資金、これの債務の保証ということが一番重要な仕事でございます。具体的に申し上げますれば、設備処理を進めていきますために主要設備の担保抜き資金、これが必要になる。これの設備の債務保証、あるいは労使間で円満な話し合いができまして、ある程度の退職金の準備が必要であるというようなこの退職金の債務保証、あるいは主要設備処理に伴いまして、いわば付属関連設備処理と申しますか、これに必要な資金等がこの債務保証の対象でございまして、そのために、第二の問題でございますが、この基金の資金といたしまして、当面発足時におきまして開発銀行から八十億、民間から出資または出捐の形で二十億、当面百億で発足をいたしたい。なお、民間の御協力の見通しがさらに二十億を上回ることがはっきりいたしましたときには、ただいまのところでは、開発銀行からさらに追加して二十億の出資を行うことが用意をされておりますから、合計をいたしますと百二十億プラスアルファというのが当面の資金になります。これを、十倍の保証でございますので、千二百億プラスアルファというのが保証の規模になるわけでございます。私どもは、当面発足のところではこの保証規模で何とか発足をし得ると十分考えておりますが、御指摘のように、今後の設備処理の進め方いかんによりましては、この金額では不足をする事態が来ることも当然予想されるわけでございまして、これはただいままでの御審議の中で通産大臣からもはっきりお答え申し上げておるように、必要になった場合にはこの基金の規模を必要なだけふくらましていくと、こういう方針で対処をしていきたいと考えております。
  170. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に、大臣にお伺いしたいんでございますけれど、日本の産業が置かれている現状はこの本日の委員会でもしばしば論じられてきたとおりでございます。特に、不況産業に共通する問題は、先ほどから言われるように、やっぱり設備の過剰、これに加えて石油の値上げなどによるコスト高、競争力の低下、また発展途上国などの追い上げによって繊維あるいは造船などというものがさらに複雑な深刻度を加えている、いろいろございます。一口に構造転換と言いましても、これ非常にむずかしい問題でございますけれど、これらの不況産業の性格というものを一体どういうふうにとらえていったらいいか。ことに、発展途上国の追い上げによる業界圧迫など、この問題はこれからますます大きなウエートを持って私は迫ってくるだろうと思います。いま審議をしております法案が発効をいたしまして問題処理の前進を図るということは当然といたしまして、やっぱり第一に、さっき大臣もおっしゃったように景気を立て直すこと、景気の回復というのはこれはもう大前提でしょうね。しかし、現状の産業構造をこのままにしておいて幾ら景気を大きくしても、経済を拡大をしても、またぞろこういった問題は後を絶たないでしょう。したがって、日本の産業のあるべき姿、つまり産業構造の転換が何としても必要でございます。  いま私が申し上げたように、その場合不況産業の性格をどうとらえるか。ことに、発展途上国との競合によって不況を深刻化している問題との関連においての通産大臣の御所見を伺っておきたいと思います。これはやはり将来展望という、一番最初に私が問題提起をしたことにつながるわけでありまして、この問題なしに今度の法案というものが単独に存在をし得ないという意味で、私はあえて大臣にこの問題を最後にお伺いをしたいと、こういうふうに思っております。
  171. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 産業構造の転換問題は、いま日本の産業の抱え込んでおります一番大きな私は課題だと思います。そこで昭和四十九年に、通商産業大臣の諮問機関に産業構造審議会というのがございますが、そこにオイルショック以降の日本の産業構造はいかにあるべきかということについて意見を求めまして、答申をいただきました。しかし、その後事情が若干変わりましたので、翌五十年、五十一年と二回にわたりましていわゆるローリングプランをつくってもらったわけでございますが、ことしはやや情勢も落ちつく気配でございますので、第三回目のローリングプランをつくっていただこう、こういうことでいまお願いをしております。近く結論を出していただけると思いますが、これを基礎といたしまして今後の産業構造転換を進めていこうと思っております。  その方向は何ぞやと言いますと、一つ資源エネルギー問題にどう対処するかということ、それからいまお示しの発展途上国の追い上げにどう対処するかということ、それから最近やかましい公害問題、環境保全、こういう諸問題に対してどう対応するかと、幾つかの要素があろうと思いますが、一言で言いますと産業の高度化でございます。大勢としてはその方向に行かざるを得ないわけでございますが、そういう方向の中で日本産業を立て直していかなければならぬと考えておりますが、しかし、幾らりっぱな構造転換の方向をお示しをいただきましても、日本の産業に活力がございませんとそれは実行できるものではないのでございます。だから、産業構造の転換を実行するためには、プランも必要でございますが、現実に産業構造の転換ができるような客観情勢をつくり上げるということ、つまり経済に活力を回復するということだと、このように理解をいたしまして、そういう意味でも景気の回復ということは非常に大きな課題だと思っております。また、この構造不況業種の問題も、景気が回復をいたしますと半分以上は問題は解決するわけでございます。しかしながら、深刻な業種はどうしても解決がむずかしゅうございますので、もしこの法律に依存して再建をしたいという業種は、当然出てくると思いますが、そういう業種に対しましてはいま御審議をいただいておりますような内容でできるだけの援助をしていきたいと考えております。
  172. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 以上で予定の質疑は全部終了いたしました。  本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時四十七分散会