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1978-06-01 第84回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月一日(木曜日)    午前十時十六分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      井上  計君     藤井 恒男君  六月一日     辞任         補欠選任      真鍋 賢二君     遠藤 政夫君      大塚  喬君     浜本 万三君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 大谷藤之助君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 遠藤 政夫君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 前田 勲男君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 大塚  喬君                 小柳  勇君                 浜本 万三君                 矢田部 理君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 市川 正一君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        水産庁長官    森  整治君        水産庁次長    恩田 幸雄君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特  別措置法案(第八十回国会内閣提出、第八十四  回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天燃ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは大陸だな法案の、特に国内法についてきょうは質問をさしていただきます。  外務大臣、特に一昨日より大変御奮闘されまして、きょうはまた大変御無理をされて当委員会に御出席をいただきまして非常に感謝をいたしております。  そこで、まず外務大臣国連軍縮特別総会からお帰りでございますので、その点についてお伺いをしたいと思います。  今回の軍縮総会に御出席されました外務大臣は、向こう中国黄華外相会談をされた、こういうふうに報道されておりますのですが、その会談内容につきましてお話できる点がございましたら、その内容等概要を教えていただければ幸いでございます。
  4. 園田直

    国務大臣園田直君) まず、お答えをする前に、軍縮総会出席に際しては各位からいろいろ御指導を賜り、かつまた御援助をいただいたことを厚く御礼を申し上げます。ただいま帰ってまいりました。  中国黄華外務相と二回ほど会いました。会談ということではなくて、まず最初は事前に両方で連絡をいたしまして、一遍ごあいさつをしたい、すでに事務的には手続は始めたことでありますから、政治上の話は一切どけて、友好関係を進める意味でごあいさつしたいということで、向こうも、自分もその気持ちであるが、特に日本外務大臣日程を見ると非常に詰まっているようであるから、そのような無理はなさらないで、あなたの招待された午さん会自分出席するのもそういう意味出席するのであるから、とこういう話でございまして、特に会談という場所は持たなかったわけでありますが、午さん会においでになったときにごあいさつしましたし、午さん会のときには事務当局で配慮をして私の左の席に黄華外務相の席をとってあった。それから国連の場でもちょっとお会いいたしたということであります。  政治上の話は一切いたしません。友好的な雰囲気で両方ともあいさつを交わしいろいろ打ち解けた話をしたわけでありますが、その中で特に報告します点は、私は黄華外務相に、これからは日本も少し心を入れかえていいことも悪いことも、困ることも全部率直に話し合うようにしようじゃございませんかと、私の名前園田直でございますと、こういう冗談を言ったら、向こう大臣も私の名前を手のひらに二回ぐらい書いて、そうだそうだと言われたわけでございますが、ただ、あなた北京にはいつごろ帰るかと聞いたら、ぐるぐる回って六月の十六日ごろ帰ると、こういう話でした。  それからもう一つは、七月の予定はどうですかと、こういう質問を私いたしましたら、向こうの方では七月もいろいろ用事があるけれども、まあ場合によっては七月初めごろは自分北京におろうと思えばそれは可能であると、こういう話をしましたが、これが報告する一つのあれだと思いますが、別れしなに大分疲れているようだが大丈夫かと、こういう話がありましたから、友人から送ってもらった北京製ローヤルゼリーを飲んでいるから大丈夫だと、こう言ったら向こうも笑っておりました。そして最後に、あなたの健康も大事だから、特に体を大事にして御健闘を祈ると。今度は北京で会いましょうと、こういうことが大体二人で話した主な話でございます。
  5. 峯山昭範

    峯山昭範君 いろいろと大体の新聞報道等におきます園田外相訪中に対しまして、いまの話の中にも出てまいりましたが、大体歓迎するという表明がなされたと、こういうふうに私たちは受け取っているわけですけれども、いまの話の中でございました北京で会いましょうということは、大体そういうふうに受け取っていいんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  6. 園田直

    国務大臣園田直君) 私もそのように受け取って、かたい握手をして帰ってきたわけでございます。
  7. 峯山昭範

    峯山昭範君 その時期的な問題は、いま先方都合もありましょうから、まあ少なくとも六月十六日以前は無理であると、向こう都合によりましても。そしてしかもその時期につきましては七月の予定をお伺いしたところということで、七月の初めごろは向こうにいるということは可能であるというふうなことになりますと、そこら辺が一つのめどになると、こういうことにもなるんじゃないかと思うんですが、そこら辺のところはどうですか。
  8. 園田直

    国務大臣園田直君) すでに事務的な、こちらは再開と言っているし、向こう再開じゃない、継続だという言葉の食い違いがありますけれども、両方が好意を持って友好条約締結交渉をやろうということでございますが、日時についてはそういうわけでありますから、これから向こうとこちらとの折衝段階で決まるし、またその折衝段階で、総理外務大臣訪中を指図されることでありますから、私がどうこう言うわけではございませんか、私には私の日程も相当詰まっておりますので、そういうことから、七月の初めごろはいらっしゃいますかと、こう聞いたわけでございます。
  9. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、黄華外相日中平和友好条約早期締結に対する熱意といいますか、そういうふうなものに対しまして、直接会われてどのように感じられたか、早期締結を非常に熱烈に向こうとしては希望していると、日本側も当然私はそうでなくちゃいけないと思っておりますんですけれども、そこら辺の、会ってみなければわからない感触というものがあると思うんですが、そこら辺のところはどうでしょう。
  10. 園田直

    国務大臣園田直君) 交渉がすでに始まったことでありますから、向こう向こう責任者でありますから、具体的な表現はなさいませんけれども、いまおっしゃいましたように非常に好意的であると思って喜んだわけでございます。
  11. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは昨日の佐藤韓念竜会談の結果、これは大体どういうふうな経過になりましたんでしょうか。その概要につきましても外務大臣並びに事務当局から詳細にお伺いしたい。
  12. 園田直

    国務大臣園田直君) 私帰ってまいりましてから、いま服を着かえる間に電報を見たわけでありますから、間違いないようにアジア局長から答弁をいたさせます。
  13. 中江要介

    政府委員中江要介君) 昨日の佐藤韓念竜会談におきましては、わが方佐藤大使の方から、訓令に基づきまして、正式に日本政府としては日中平和友好条約交渉を続けて行いたいということを申し入れたわけでございます。その際に、佐藤大使の方からは大体交渉の時期としては六月の後半を考えているということ。それから、場合によっては自分は打ち合わせのために本国に帰ることもあるかもしれないということをつけ加えて説明されたと聞いております。これに対しまして韓念竜次官の方は、日本側交渉再開申し入れられたことを歓迎するということを言われまして、この日本側のきょうの正式の申し入れに対する回答は、検討して追って回答申し上げると、こういうことになっております。これが昨日の佐藤韓念竜会談の要点でございます。
  14. 峯山昭範

    峯山昭範君 日中交渉のいわゆる再開申し入れをしたわけでございますが、これで一応正式の交渉再開ということになるわけでございますね。
  15. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど大臣もちょっと言われましたが、日本交渉再開という字を使っておりますが、実態は御承知のように四年来行われておる交渉継続して鋭意行われるということでございますが、そのことを日本側から、交渉をまた具体的に継続していきましょうということを申し入れたということでございますので、それに対して中国側が、検討して追って回答すると言っておりますので、交渉再開されたかというと、非常に厳密に言いますと中国側から正式の回答が参りまして、継続いたしましょうということになりますと、名実とも交渉が再び継続されると、こういうことになるかと思います。
  16. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、中国側の正式のいわゆる追って御返答申し上げるという、その追っての回答ですが、これはいつ来るか、先方のことですからわかんないわけですが、日本側としてはどういうふうに希望をしていらっしゃるわけですか。
  17. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは日本政府は累次申し上げておりますように、双方が満足し得る形でできるだけ速やかに締結したいと、こういう基本的な姿勢でございますので、中国側回答もできるだけ早いことを期待していると、こういうことでございます。
  18. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回のこの申し入れに対しまして、中国側態度もほぼわれわれとしてはわかっているわけでございますから、できるだけ早くその返事も来るであろうと私は思います。  そこで、日本側日中条約についてのいわゆる事務レベル交渉団というのは、どういうふうなメンバーになっていらっしゃるのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、これは外務大臣どうですか。
  19. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほどまず申し上げましたこちらは再開向こうは違う、継続だということでありますが、両方気持ちは同じでありますから、いままで余り進まなかった交渉を、これから進めようということで両方が一致したことは御了解のとおりでございます。  そこで国会都合、それから向こう都合等考えまして、まず大体向こうのお気持ちがわかりましたら、佐藤大使を一遍呼ぶつもりでございます。それでこれから先は具体的に進めるわけでありますから、現地の大使によく総理並びに外務大臣の意図を徹底するように伝えて、そして佐藤大使中国に帰る。その段階によってこちらから佐藤大使に対する援助という意味で、中江アジア局長ほか数名を向こう派遣をして、そして事務的な交渉を進めると、こういうふうにしたいと考えておるわけでございます。
  20. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、その交渉団はいつごろ訪中するようなことになるんでしょうか。
  21. 園田直

    国務大臣園田直君) これは向こうからの次の話し合い、それから国会都合もこれありますので、その両者兼ね合いで決まると思います。
  22. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは両者兼ね合いでといいましても、大体国会日程もほぼ決定的でございますし、そうしますと先ほどのいろんな日程都合から考えてみますと、六月の中旬以降には早い時期にこの交渉団派遣をすると、こういうふうな日程になるんでございましょうか。
  23. 園田直

    国務大臣園田直君) 具体的には返答できないところでございますが、なるべくそういうふうにスムーズにいけばいいとは考えております。
  24. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、佐藤大使中江アジア局長さんを中心にしたこの訪中団は、結局は先方へ参りまして、いわゆる日中平和友好条約の草案まで一応作成するということを一応の目的とする性格を持っていると私は思うのですけれども、この訪中団事務レベル性格ですね、これは大体どういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
  25. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本中国との間で交渉締結のための事務的な、――外交には事務政治の区別はございませんけれども、いわゆる条立を、たとえばいまのままで条約を進めていくのか、あるいは改めて条約案両方から出すのか、あるいは両方で話し合って一本の案をつくるのかなどという事務上の整理や詰めがございますから、そういうことが主な任務になるであろうと想像しております。
  26. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、大臣事務レベルのいわゆる交渉ですね、これでほぼ合意に至るとお考えでございましょうか。
  27. 園田直

    国務大臣園田直君) 合意に至る点もあれば合意に至らぬ点もあると、このように考えております。事務的ないろんなことについては、大体両方まあまあそう議論にならずに済むと思いますけれども、基本的な問題でやはり残ることがあるのではなかろうかと思っております。
  28. 峯山昭範

    峯山昭範君 基本的な問題がかねがね問題になっているわけでございますが、どうしても最後まで残る問題といいますのは何と何かなんて聞きますと、大臣非常に答えにくいと思いますので、何点ぐらいそういう点が残りそうでございますか。
  29. 園田直

    国務大臣園田直君) なるべく残らぬ方がいいと思っておりますが、何点ぐらいかはちょっといま見当がつかぬわけでありますが、なるべく残らぬようにと思いますけれども、やっぱり残ると思います。
  30. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは非常に言いにくい問題でしょうから、最終的には残らないというわけではない、やっぱり問題点が何点か残るであろう。そうしますとその問題につきましては、やはり事務レベルではどうしようもないということになると私は思うのですが、そこで外務大臣訪中ということになると思いますが、外務大臣訪中されるというこの性格、位置づけですね、この平和友好条約についての性格、位置づけ、これは大体どういうふうにお考えでございましょうか。
  31. 園田直

    国務大臣園田直君) 黄華大臣と会ったときにも私はこういうことは言ったわけであります。日中の友好関係あるいは条約問題は、単に日本中国二国間の利害だけではないと思うと、これはアジアの問題であるし、ひいては世界の平和に通ずる問題であるから、そういう高いところからお互い考えましょうやという話を軽くしたら、向こうも全くそのとおりだと、こういうことでありますから、やはり日中友好条約というものが、日本中国の両民族の長きにわたるこれから先の行動の基本になるわけでありますが、しかしそれは日中だけではなくてアジア世界の平和ということも考えながらやっていかなければならぬ問題、そういうことについて私が総理の御命令があれば行って話すべき主な問題であると考えております。
  32. 峯山昭範

    峯山昭範君 結局外務大臣訪中されるときには、日中間にありますいま詰まらなかったその諸問題を解決する、いわゆる結着をつけると、そういう意味での訪中になるんじゃないかと、私たちそういうように思っておりますし、そうでなければいけないとも思うんですけれども、そうじゃありませんか。
  33. 園田直

    国務大臣園田直君) それは全く御発言のとおりでありまして、そういう点をお互いに議論してそれで帰ってくるということでは締結交渉にならぬわけでありますから、いま峯山さんがおっしゃったとおりのことで外務大臣は行くべきであると考えております。
  34. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、大体事務レベルの会合の予定あるいは外務大臣訪中についてのほぼ概要もわれわれとしては、日程的には何日ということは詳細にわからないにしましても、いよいよ日中平和友好条約調印を目指して交渉再開されるであろうというところまできたわけでございますが、現時点で、日本政府希望としては、希望としてはというよりも相手のあることでございますから、これは決意ということになるかもわかりませんが、いつごろまでにこの日中平和友好条約締結をしたいとお考えになっていらっしゃるか、この点についてどういうふうに、一遍、大臣にお伺いしたい。
  35. 園田直

    国務大臣園田直君) 両方から意思の表明お互いになるべく早くやろうということでありますから、なるべく早くということで、いつごろまでという日にちをお答えする段階ではないと存じます。
  36. 峯山昭範

    峯山昭範君 確かにいつということは言えないでしょうけれども、現実の問題として今回の訪中によって調印をする、条約を結ぶ、きちっとね、そういうような決意には変わりございませんね。
  37. 園田直

    国務大臣園田直君) 総理からもおっしゃっておりますとおりに、交渉を進めるということは締結目的で進めるわけでありますから、そういう方向で交渉は進めていかれるべきであると考えております。
  38. 峯山昭範

    峯山昭範君 実際問題としまして、七月の十六、十七日でございますか、ボンで先進国首脳会議というのが予定されておりますね。それまでには何とかしたいという意向もあるやに私は聞いておりますんですが、ここら辺のところどうでしょうか。
  39. 園田直

    国務大臣園田直君) そういうふうにだんだん詰められてきますと、私、答弁しなくても大体いつごろだとこう言われるようになりますので、そこらあたり峯山先生の方で日程を詰めて判断していただく以外に方法がないと思います。(笑声)
  40. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはまあ何としましても、実は外務大臣も御存じのとおり日中平和友好条約締結につきましては、私たちとしましてもいろいろな角度からいつこれが結ばれるかということは、非常に願望久しいわけです。そういうような意味から、やはり今回は間違いないであろうかというあれもあるわけです。そういうような意味でぜひ、いつごろまでにというあれも本当は聞きたいわけでございますが、いま大臣の話もございましたので、大体のいわゆる日中交渉のこれからの段取り等も、事務レベル等あるいは外務大臣訪中等についても大体日程は詰まってきたようでございますから、これ以上私、申し上げませんが、さらにもう一点。シチコフソ連最高会議連邦会議議長が「日中両国が反覇権条項を盛り込んだ」日中平和友好条約締結した場合「その対応措置としてソ連は対日政策を転換する。そうなれば、日ソ間の一連の問題解決は延びることになろう」こういうふうに語ったという報道現実になされているわけであります。これは昨日の新聞報道にもございますが、この問題についてこれは現実の問題として外務大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  41. 園田直

    国務大臣園田直君) 私も新聞で拝見しただけでありますから、外務大臣としてその発言をとかく批判はいたしません。しかし、反覇権ということは、米国、ソ連、ありとあらゆる国が使っている言葉でありまして、覇権に反対するということは国際通念になっております。日本中国条約を結んで、ソ連を敵に回すというのであれば、これは別個の問題でありますけれども、日本中国友好関係を進めていくからといって、よその国からとやかく言われるべき筋合いではないと思います。
  42. 峯山昭範

    峯山昭範君 この反覇権条項を盛り込んだ日中条約締結することにソ連のいわゆる首脳陣の反応というのは、非常にきわめて厳しい態度がいろんなところに出ているわけですね、それで、日中条約締結ソ連が何らかの抵抗措置対抗措置ですね、あるいは対日政策の転換、場合によっては報復措置なんということをとるということも、全く考えられないとは言えないわけですね。こういうような問題について、反覇権が国際的などこの国でも認め合う条項だという大臣のそれはそれとしてわかるわけですが、ソ連首脳陣の反覇権に対する非常にきわめて厳しい警告、これは私はそれなりのやっぱりあれがあると思いますんで、これは外務大臣としてはこの問題についてどういうふうにお考えか、この点もう一度お伺いしておきたい。
  43. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本外交基本方針は、どこの国とも敵対行為をとらない、敵対関係をつくらない、どこの国とも友好関係を進めていくと、こういうことであります。総理はこれを全方位外交と言っておられる。しかし、これ等距離外交ではございません。好ききらいもあれば、相手次第によって距離は決まることでありますから。しかしいずれにしても、すべての国と友好関係を持っていきたい、こういうわけでありますから、ソ連の方で誤解があれば、この誤解を解くべく努力をし、かつまたその誤解が解けて、友好関係を進めていくように全力を挙げる必要があると考えるわけでありますが、すでに中国とは交渉をやろうという話が正式に決まったわけであります。飛び出してからどっかで鉄砲の音がしたからといってとまると、またその弾は何発も出てくるだけでありますから、真っすぐ歩くことが正しいことであると考えております。
  44. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はぜひそうあってもらいたいと思うわけです。これはこうしたソ連のいわゆる非常に厳しい態度、こういうような態度にもかかわらず、政府としましては、いま大臣がおっしゃいましたように、当然こういうようなあれはかねがねから予測されたことでもございますんで、政府の今回の日中条約早期締結というこの基本的な考え方にはいささかも変わりない、私はそういうふうに考えたいと思うし、かつそういうふうな厳とした政府姿勢でなければいけないと思っておりますんですが、この点についてどうです。
  45. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほどから申し上げますとおり、ソ連の方で何と言おうと構わぬと、こういうことではございません。しかし、交渉を始めると言って始めたからにはそれを進めて、終わったら誤解がないように誤解を解く全力努力はすべきであると考えておりますが、交渉そのものがそれによって変更されては相ならぬと考えております。
  46. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣は、今回のアメリカで、これは記者会見の中でであったと私は思うんですが、日中条約の後は日ソ条約をやるとか、こういうふうな意味での言明があったように私聞いておりますんですが、いわゆる日中後の問題ですね、その取り組みについて、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  47. 園田直

    国務大臣園田直君) 私が内外記者会見で言いましたことは、日中条約は進める、日中条約が終わったらソ連に対しては全力を挙げて友好関係を進めていくと、こういうことを言っておりますわけで、具体的にソ連との間に条約をどうこうということは言っておりません。これは私、そのとおりに考えておるわけでありまして、そのときはまだいろいろありませんでしたけれども、やはりそういうこともこれあり、ソ連の方から誤解されては困りますので、日中条約が終わったらソ連に向かって友好関係を進めていこうと、こういう記者会見を行いました。
  48. 峯山昭範

    峯山昭範君 今回、当委員会で審議を進めておりますこの日韓大陸だな協定国内法の審議に際しましても、特に日韓共同のいわゆる大陸だな開発に対しまして、さきの佐藤韓念竜会談の中でも中国側が非常に厳しい抗議をいたしております。それで、この中国側の了解なしにこれを進めるということは、今国会でこの法案を通してしまう、そして批准をしてしまうということは、この日中交渉の障害にはなりませんか。     ―――――――――――――
  49. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、真鍋賢二君が委員辞任され、その補欠として遠藤政夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  50. 園田直

    国務大臣園田直君) なかなかむずかしいところでありますが、関係がないと言えば、中国の方でも関係があると言わねばならぬでしょうし、なかなかむずかしい問題でありますが、すでにこれは協定の承認はいただいて、国内関連法の成立をお願いしているわけであります。したがいまして、隣国であればいろいろ一致する問題と一致しない問題あるわけでありますが、この大陸だなの問題は私からも通産大臣からもしばしば言っておりますとおり、中国に対しては理解を得るよういままでも努力したし、今後も努力していきたいということは言っておるわけであります。  したがいまして、正直に申し上げると、この大陸だな法案外交上の観点からだけお願いするならば、一刻も早くけりをつけていただいた方が、私はやりやすいと、私自身はこのように考えております。
  51. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、一刻も早くけりをつけていただきたいといまおっしゃっているわけでございますが、中国側の抗議は非常に厳しい抗議になっているわけですね。その厳しい抗議がありながら、その抗議の理解を得られないままこの国内法を成立させるということは、やっぱりいろんな角度から見て後で問題を残さないかということにも私なると思うんですが、どうでしょう。
  52. 園田直

    国務大臣園田直君) 後で問題を残さないように外務大臣としても通産大臣としても、全力を尽くして中国側の理解をいただくようにする所存でございます。
  53. 峯山昭範

    峯山昭範君 その理解を得るための中国側との交渉ですね。これは現実に現在までどういうふうな交渉をしてきていらっしゃるのか、これはどうなんです。
  54. 中江要介

    政府委員中江要介君) いままでこの議題となっております国内法のもとになっております協定自身の署名に先立ちまして、外務大臣レベルで中国側に本件を通報いたしました一九七四年の一月四日から始まりまして、現在までかれこれ三十回ぐらいになりましょうか、中国側と事あるごとに本件について日本側考え方を述べております。ただ基本的な考え方といたしまして、中国がとっておりますあの抗議声明の中にもございますが、東シナ海の大陸だなは全部これは中国の了解なしには、いかなる個人または国家も手をつけることはできないというその立場は、これは日本政府としては認めることができない、いまの国際法及び国際慣例から見て認めることはできない。この基本的な立場のところでなかなか理解が十分にお互いに得られていないということでございますが、その基本的なところはやはり大陸だな制度と、国際法上の大陸だな制度についての認識の違いでございますので、単にこの協定に限らず、いま国連の海洋法会議で議論しておりますいろいろの問題、この大陸だな以外にも経済水域、あるいは領海の幅、あるいは海底資源の開発、そういったいろいろの問題がございますが、そういうものも含めて、海洋法制度というものについて日中間でやはり理解を深める必要があろうという観点から、ことしの一月には日本から専門家を北京派遣いたしまして、中国側もそれを非常に希望されましたので、双方の専門家の間で海洋法秩序についての意見交換もやっております。  そういうところで、だんだん国際法秩序の中における大陸だなというものの位置づけ、そういうものについての理解は深まってきていると思いますけれども、この具体対な協定につきましての中国態度は、一貫していま先生がおっしゃいますように相当厳しい抗議を繰り返しておる、三回でございますが、これはやはり重要な隣国である中国の声明でございますので、それなりの重みを持って受けとめておりますけれども、その基本的な立場の違いは、これはいかようにも日本として中国の言うような立論には立ち得ないという点は、これはやはり先ほど来大臣もおっしゃっておりますように、引き続き中国側と意見を交換して理解を深めなきゃいけないというふうに思っております。したがいまして、日本政府の立場からいたしますと、この協定日本と韓国との間の協定でございますし、したがって日本と韓国との間の外交案件としての重要性も他方あるわけでございます。したがいまして、そういった総合的な国の利益というものの判断の上に立って、現在のところは再三申しておりますように、この協定中国の主権を侵害するものでないという確信のもとに締結されておりますので、これは進めていきたい。他方、これに対して中国の主権を侵害するものだという中国側の立論の基礎の部分、基本的な大陸だな制度についての認識の部分は、これは誠意を持って引き続き鋭意理解を深める努力をしなければいけない。  このことは先生も御承知のように、日本中国の間ではただいま問題になっております共同開発区域のさらに南西部に大きくまだ延びております、中国日本との間で話し合わなければならない大陸だな資源というものがあるわけでございますので、そういう将来の問題も念頭に置きまして、大きい立場から日中間で円満な話し合いの帰結が得られるものというふうに私どもは期待しておるわけでございます。
  55. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはまずいろんな問題があると私は思うんですが、中国基本的な了解なしにはこの問題は解決しない、いわゆる開発はできないという基本的な問題ですが、この問題は、私は少なくともことしも海洋法会議がいま終わったところですが、この国際海洋法会議でいろんな議論が出ているわけですね。これはきょうは後でこの問題やりたいと思っておるんですが、そこら辺のところの問題はいま海洋法会議の中でどんどん議論をし、詰めている最中なんでございますね。したがって私はそういうふうな基本的な問題は、そういうような意味で海洋法会議でどんどん詰めているわけでございますから、そこら辺のところはかちっと詰まるまで待ってもいいんじゃないかと、そういうような議論も現実の問題として私聞きたいわけですけれども、この点についてはどうですか。
  56. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点は海洋法会議の中で詰めておる議論の中で、もうすでに国際慣習法として確立している大陸だな制度の部分と、それの発展した議論でまだ詰めが終わっていない部分といろいろあるわけでございますが、いま日本政府がとっております今度の協定の対象としている地域を日韓双方で共同開発することが中国の主権的権利を害してないという面は、これはもう一九五八年でございましたか、いまの海洋法会議の前の国際連合の海洋法会議のときにすでに条約に、大陸だなに関する条約ということでまとめられております中にもある考え方で、それはどういうことかと言いますと、一つ大陸だなを二つの国が相対してはさんで接しているときにはその境界は中間線によるということでございまして、それによりますと、朝鮮半島と中国大陸との間にあります大陸だなは、これはどう見ましても一つ大陸だなでございますので、これは中間線で境界が画定していくべきものである、そういう観点に立ちますと、中国の主権的権利の主張し得る範囲というのは朝鮮半島との間ではその中間線までである。中間線から東側はこれは朝鮮半島を占めている国、南北朝鮮の主権的権利の行使し得る範囲になる、その中の韓国が主権的権利を行使し得る大陸だなについて、今度は日本と韓国との間でどう線引きをするかということでこの協定になったわけでございますので、そういう立場からいたしますと、中国がこの大陸だなの全域、特にいま共同開発区域になっておりますところまで中国がそもそも権利主張ができるんだという立場は、これは伝統的な海洋法制度の中の国際慣習法として確立しております大陸だな制度から見ましても、これは日本としても認めるわけにまいらない、こういうことでございます。
  57. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから私は、あなたが先ほど基本的な問題については国際海洋法会議で議論をしていると、詰めているとおっしゃるから、私はその点については後ほど議論はしますけれども、あなたがいま詰めているとおっしゃるから私はそういうふうに言ったんでありましてね、前の海洋法会議でほぼ決まっている問題だとおっしゃるなら、それはそれで立論できるにしましても、その点について中国との了解には達しているわけですか。
  58. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点も含めまして、先ほど申し上げましたように、中国は必ずしも私どもが言っているような立場にはまだ立っておらないと、こういうことでございます。
  59. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですからね、中国側がそういうふうな態度、いわゆるそういう了解点に達していない、基本的な問題でも達していない。しかももっと枝葉の理解を求めるという前段の問題ですがね。これについては多少理解は深まってきたとは言いなから、まだ理解を得られたというところまではいってないわけですね。そうなんですね。
  60. 中江要介

    政府委員中江要介君) そのとおりでございます。
  61. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、いずれにしましても、中国からの厳しい抗議の内容等を読んで見ましても、これはやはり私は今後の大きな問題になってくる可能性もありますし、私は今回の大陸だなの国内開発法を、ここでどうしても通さなくちゃならないという理由にはならないんじゃないか。そうなりませんか。やはり中国、韓国、北朝鮮というような国々が少なくとも大陸だなには関係をしているわけですね。そうしますと、そういうふうな国々の理解を得てやはりこの法案を通すということが私は重要な一つのポイントになってくると、理解を得られなければ、得るまでその努力をすると。そうでないとこの問題は後々に尾を引く、尾を引かないとは言いましても、日本側の主張では確かに尾を引かないかもわかりません。しかしながら、これからわれわれとしては大陸だなを開発するに当たっては、いわゆる現在のこの法案の中に出てくる大陸だなを開発するだけではなくて、それ以上に中国側の方の中間線より向こう側あるいはその近辺の大陸だなをこれから開発しなければならない立場に日本としてはあるわけですね。そういうような立場からいいますと、この際やはりこの法案を慎重にあれして、そうしてこの日中間交渉を相当いろんな角度から努力をする。  たとえばもっと簡単に言いますと、日中平和友好条約がまだ締結されてないわけですから、そういうふうな意味でのいろんなひっかかりもありましょうから、この際、日中平和友好条約締結を進めて、そしてその上でこのたなの問題についての話し合いを進めるということも一つのあれですね。そういうふうな意味も含めて、この問題についてもう一遍考え方をお伺いしておきたい。
  62. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先生がおっしゃいますように、私どももできることならば、この周辺諸国がすべて十分な理解をして、円満に周辺諸国がともに石油資源なり海底資源を有効利用するという姿が理想的であるという点は、全くそのとおりに考えております。また、中国もこの抗議声明の中でそういうことを言っておるわけなんです。ですから、これは関係諸国が集まって話し合って、円満に境界線を引いていくんだと、こういう立場には私どもは異議はないんですが、現実の国際政治環境がそういうことを許さない、お互いの承認関係、外交関係の存否が食い違っております。そういうときに、話し合いのできる国で、話し合いのできる国が権利を行使し得るところに限って話をつけていくというのは、これは国際社会にも例がございますし、これは国際法の禁ずるところではないわけです。  したがって日本政府といたしましては、韓国政府も同様でございますが、この地域については、これは日韓で話し合うことが国際法に反していないという確信を持ってやっておると、こういうことでございます。したがいまして、二国間の問題について、第三国がいろいろ意見を述べたり抗議をしたり感想を述べたりということはございます。その中に根拠のあるものがございますれば、これは十分傾聴して考え直すということも必要でございますが、日本政府の立場から見て、それに国際法上の十分な根拠がないと思うものにつきましては、国際法上の根拠がないゆえんについて、よくその当事国と話し合うという努力をする一方、やはり二国間の問題は正しいと思うものはそのまま進めていくということも外交上は必要なことではないか。  特にこの協定につきましては、日中間の問題と日韓間の問題がございます。韓国と中国の間に国交がないというのが非常に不幸なことでございますが、日韓間の外交案件としての重要性も合わせ認識しながら、先生がおっしゃいましたように、将来の日中間における大陸だな開発の問題というものもありますので、一層誠意を持って鋭意中国側との間で理解に達するように努力はいたします所存ですし、そうしなければならないと思いますが、それが得られるまでは、日韓間の国際法上問題がないと信ずるものを、いつまでも留保していくということは、これはまた別な問題があろうかと、こういうふうに思うわけでございます。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  63. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、いろんなことを局長言っていますけれども、この中国側の抗議は、結局は今回のたなの問題につきましては、いわゆる抗議は抗議として一応認めてはいらっしゃるけれども、根拠のない抗議である、こういうことですか。
  64. 中江要介

    政府委員中江要介君) 基本的な大陸だな制度の認識については、日本側としては認められないと先ほど申し上げました。  もう一つは、具体的に、それでは今度の協定のどこがどうかという点については、中国はいままで一切示しておらないわけでございまして、日本政府としては、中国側から抗議があるごとに、具体的にどこが問題であるかということがあればこれは話し合う用意はいつでもあるということを申しておりますし、日中間の境界画定という大きな作業があるわけですから、将来の問題といたしまして。その問題につきましても、日本はあすからでも中国との間で交渉に入る用意があるということは再三再四申しておりますが、中国側では、関係諸国が集まって話をするような機は熟してないということを一方で認めておりますと同時に、それじゃ、日本中国との間でとりあえず話を始めるかという問題につきましても、話し合いを始めようという返答はいただいていないという状況でございます。
  65. 峯山昭範

    峯山昭範君 中国側の抗議を見てみますと、いわゆる中国の主権を侵犯しておるというのがこの中心ですね。それで、中国政府はこの主権侵犯を断じて認めない。それは何かというと、今回の大陸だなで韓国と日本共同開発を始めようとすることだ、そういうことになっておるわけですね、結局。それはそれなりに、向こう基本的な一致点は、日本基本的な問題、いわゆるこのたなは中国のものだという、日本のものだという中間線だ、延長線だといろいろな問題はありますけれども、そこら辺の問題での、基本的な問題での中国日本との一致がないので、そこの認識が食い違っているので、日本は主権侵犯ではない、中国側は主権侵犯である、こういうふうに言っているわけですね。そうしますと、これは、中国のこの抗議声明というものがいままでずっと、三回、四回続いて来ておりますね。この声明に対しまして、これは日本政府としては、具体的にどういうような措置をとってきたのか。この点ちょっと一遍聞かしていただきたい。
  66. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは、声明がいままで三回でございますが、出されましたときはもちろんのこと、それ以外のときでも、何回も日本側考え方というものは中国側に説明しております。一番最近の先ほど先生も御指摘になりました佐藤韓念竜会談のときに、韓念竜次官からこの問題が出されましたときも、佐藤大使からは詳細に日本側の立場を先方に説明しております。そういうことでありますので、中国側も、日本側中国と違うかもしれないけれども、日本側はどういう立場でこういうことを主張しているかということについては十分理解していただいていいのではないかと、そういうふうに思っております。
  67. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、この中国側の抗議に対しましては、日本としてはその抗議に対してきちっとそれぞれ反論をし、かつ、それぞれきちっと説明をしている、こういうことですか。
  68. 中江要介

    政府委員中江要介君) そのとおりでございます。
  69. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしてその中国側の理解は、説明はしたけれども理解は得られていない、こういうことですか。
  70. 中江要介

    政府委員中江要介君) そのとおりでございます。
  71. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、理解は得られていない。いま正式の向こうの文書やいろいろの問題から言いますと三回ということですが、そうすると、再三にわたる中国の抗議、内容を見てみますと大体同じですね、中身は。そうしますと、これは日中間の紛争なんでしょう、これは。どうなんですか。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
  72. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは、紛争という言葉の意義をどういうふうに定義するかによって違うと思いますが、国際紛争ということになりますと、これは、その具体的な紛争の争点というものがはっきりしているかどうかということだろうと思います。中国側の抗議声明は、確かにいろいろな立場は述べておりますけれども、基本にありますのは、一体、この東シナ海大陸だなは全部中国の主権的権利のもとにあるものなのか、あるいはそれはそうではなくて、隣接国の間で境界線を画定して分け合うべきものなのかという点がもし争点でありますならば、それを争う必要がございますし、日韓大陸だな協定を、中国の抗議にもかかわらず一方的に推し進めるのはこれは認めがたいということになりますと、これは、そういう争点というよりも、政治的な中国考え方というものを表明しているということになりますし、私どものいま受けとめておりますのは、むしろ抗議声明の内容から見まして、その後者である。  中国としてはこういう考え方である、日本はそれでないということを何度も説明するけれども、中国はそうでないと言っているのに一方的に進めていくのは、これは中国として認めがたい。そういうことで開発にもし着手しても、そこから生ずる責任は日本政府が負うべきものである、こういう言い方でございますから、これはいわゆる紛争の争点を明確にしてそれを争うというよりも、むしろ政治的な意図表明によるいわゆる抗議であるというふうに受けとめているわけでございます。
  73. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、政治的な抗議ですからね、日中間でやっぱり何も起きてないんじゃなくて、中国側の抗議があって――個人的な問題と違うわけですね、これ。すべて国際間の、中国という一つの独立した国から日本に対してきちっとした抗議が来ているわけですから、これはやはりこの問題がきちっとしない限り、何も紛争――後段とは言いましても、たとえば今回私たちが議論をしております日韓大陸だなの問題にしましても、これは要するに中間線、延長線という議論が二つあって、二つがぶつかって、これは日本の本来の、かねがねからの中間線論という主張からいきますと、これは完全に日本の権利のあるところですね。いわゆる韓国との問題では韓国の主張を一〇〇%認めて、それこそ韓国の意見と日本のちょうど――韓国側には中間線から向こうには全然行ってないわけです、今回のこの法案からいきましてもね。これは非常に不公平な私は国内法であると、そういうふうに現実に思うんです。そういうふうな意見からいきますと、私は局長が言うように日本側のいわゆる中間線論、中国との関係の中間線論というのは、私はそれなりに意味があると思いますよ。しかし、この問題もいまそういうふうに決着がついているんじゃないわけですね。中国中国の主張をしているわけです。国際的に海洋法会議やそういうところでどういう決着がつくにしろ、中国中国の主張をしているわけです。  そうしますと、その中国の主張に対して日本側の主張が一〇〇%通ったにしても、これはいつかの先に、通ったにしても、現時点ではこれはやはりまだ解決していないわけですね。そういうふうな意味では、中国の抗議はその抗議なりに、それぞれの国のあれがあるわけですから、やっぱり国際的な日中間の紛争の問題であると純粋に考えて、そしてこの問題を処理していかなければ今後にいろんな問題が起きてくるんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この問題についてどうですか。
  74. 中江要介

    政府委員中江要介君) 中間線と一口で言いましても、日中の中間線と韓中の中間線と日韓の中間線と、それぞれ意味合いが違うわけでございまして、私が先ほど来申しておりますのは韓中の中間線、つまり韓国と中国との間の中間線というものが前提になっての今度の協定でございますので、これについて中国側と完全に国際法的に問題のない境界を画定しようと思いますれば、これは韓国と中国との間で話し合いが行われなければ、最終的な画定は見られない性格のものでございます。そういうときに一体国際法が、先ほど申し上げましたように日本と韓国あるいは日本中国の間では、御承知の沖繩海溝というものが非常に深く入っておりますので、果たして中間線が妥当かどうかということについては国際法的にも問題があります。その問題がありますればこそ、日韓間では中間線と自然延長の韓国の主張との重なる部分ができてきたわけでございますが、韓国と中国のところはそういうものがないわけでありますので、これはすんなりと中間線で境界を画定するというのが国際法的にも間違いがない。しかしそれが、韓国と中国の間でまだ国交がありませんので、国際法的には画定ができない。しかし両国間では国際法的に画定できませんけれども、国際法上この地域の境界を中間線で画定することには間違いがないということでありますので、これをまずおきまして、そしてその韓国と中国の中間線の韓国側のところを、今度は南北に日本と韓国が争ったということでございます。  それじゃ一体、韓国と中国の間の中間線が国際法的には妥当な線だといっても、中韓間で合意に達してないじゃないかと、その部分はどうなのだという問題が法的にございますので、それを協定の二十八条で明確にしておりまして、この共同開発区域の境界は国際法上の境界を最終的に画定するものでないということをリザーブしてあります。したがいまして将来、韓国と中国との間で幸いにして外交関係が持たれてこの境界画定の話が行われて、その線がいま思っている線と違ってくるということでありますれば、その部分は調整する必要はありますし、その道は二十八条で残してある。また将来、日本中国との間の南の方の境界画定をいたしますときの話についても同様でございますので、私どもとしてはどこから見ても国際法的に問題がない。そういうことであるならば、日本中国も大事ですが、韓国も大事な国でありますので、日韓間で幸いにして妥結を見た協定は速やかに発効させるべきであると、その立場を貫くと同時に、日中間もこれは誤解のないようにさらに努力を重ねていくと、この道を選ぶのが妥当だと、こういう判断でございます。
  75. 峯山昭範

    峯山昭範君 したがって、中国側の十分な理解を得た上でこの日韓のいわゆる大陸だなの開発も進めたらどうかと、いま局長の言う全く逆の理論も成り立つわけですよね、実際問題として。だから中国側の十分な理解を得てからでも、石油がすぐなくなるわけでもないでしょうし、逃げていくわけでもないんでしょうから、これはやはり日本の国としても――私たちはエネルギーの問題か決して重要でないなんて言っているんじゃないんです。将来のためにもこの大陸だな、特に日本の近くの大陸だなですから開発するにしても大事に開発をしたいと思うし、また将来のためにもやはり急いで事を構えて、あるいは抗議をされながらというんではなくて、これから実際そこで開発が始まったにしても、これは海上でいろんな基地を設けて開発を進めるわけですから事故が起きる可能性もいっぱい予測されるわけです。そういうふうないろんな意味から言うと、私は確かに局長がおっしゃるように、中国一つの国であり韓国も一つの国である、それぞれにやっぱりその約束も果たさなくちゃならない、これは確かにそのとおりだと私は思います。  しかしながら、そこで一つの仕事をするためには、これはやはり一国の、たとえば片方の方から強烈な抗議がありながら片方でそういう開発を進めるというのは、これはやっぱり拙速に過ぎる。そういうような問題は、問題であるほどやっぱり慎重に進めるべきじゃないか。そうでないと後々事故を起こしてしまう。事故が起き、そういうふうな問題が起きてからこの問題を解決しようと思ってやると、今度はますます問題はこじれてやりにくくなる、こういうようなことに私はなりかねない。そういうような意味で、少なくとも中国側との十分な理解を得てからでも遅くない、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
  76. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほども私申し上げましたように、私どもも十分な理解を得て進めるのが理想的だと思うんです。ところが先ほど来申しておりますように、過去四年間、四年間機会あるごとに私どもは中国側の理解を得るべく最善の努力を私どもなりには尽くしておりますが、なかなか御理解が得られない。それじゃ中国が理解を示さなければいつまででも、この協定を発効しないでいいのかというと、それほどの国際法上の瑕疵がある協定とは思わないわけでございます。日本政府としてはこれは国際法的に問題がないという確信を持っております以上、これだけの手を尽くしてまだ理解が得られないからといって、正しいと思うことに足踏みをするということがいいのかどうか。むしろ正しいと思うことはこれは行うと同時に、それについて抗議を申し入れている国に対しては、これは日本考えていることが正しいんだということについて理解を得る努力は、これは継続していくという道を選ぶのが全般的に妥当であるという判断でやっておるわけでございまして、これは日本政府政治的な判断の問題といたしまして、この地域の国と国との関係、またこの地域の資源開発の、資源問題からする問題、あるいはいまや署名後四年を経過しております協定について、日本政府が持つ国際信義上の問題、そういったものをすべて勘案いたしまして、私どもとしては、この協定協定として発効させるのが国の利益になる、こういう判断でございます。
  77. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、局長、そういう議論も確かにそのとおり私は成り立つと思うんですよ、それはそれなりにね。しかしながら、エネルギー問題そのものは確かに緊急を要する問題ではあります。しかしながら、これからやっぱり十年先、二十年先というような長期的な視野に立っての計画でなければならない、そう思うんですよ。そういうふうなときに、私は日本の正しい主張は主張としてするのはいいと思うんですよ、それはいい。当然私はすべきだと思うし、日本の主張を引っ込めろなんて言っているわけじゃない。日本の主張は主張としてどんどんやるべきだと私は思うんです、それは。しかし、だからといって先方の十分な理解も得られないままいわゆる見切り発車をしてしまうということは問題をかえってこじれさしてしまう、こういうことにならないかと言うんですよ。
  78. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは事務当局で御答弁するのがふさわしいかどうか……。といいますのは、やはりそこは政策的な判断の問題だろうと思います。私どもの判断では、これは同じことを何度申し上げてもそれも一つの立場だとおっしゃいますでしょうから繰り返しませんが、先生がおっしゃいますような道をいま日本が歩むということは、つまり日韓で国際法的に問題のないところに合意をしたものに、第三国である中国が抗議をしたからといってこれを差し控えるということが、果たして国際社会で信義を守って信頼を得ていく国として正しい筋道かどうかという点については、私はいろいろの考え方があろうかと思います。私どもは正しいと思うものは進める、他方、それについて中国なり北朝鮮なり、いろいろの国がいろんな意見を申し述べます、それに対しては誠意を持ってこれにこたえていくという、その努力を怠るならともかく、それは鋭意努力してまいりましたし、もう四年間やっておるわけでございます。それをさらに続ける、もちろんそうでございますし、特に中国との間では実はこの地域よりももっと大事な南シナ海の方の境界画定の問題があるわけでございますから、これは大きな問題として日中間で将来考えていくということもありますだけに、中国との関係は慎重に対処していくということは変わりはないわけでございます。
  79. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは局長、確かに政治的な判断ですから大臣からお答えいただいてもいいわけですけれども、これは逆に言いますと、どうしてこの問題が四年間もかかっているのか、この点どういうことなんですか、結局。
  80. 中江要介

    政府委員中江要介君) 協定の承認を得るのに四年間かかった理由は、これは国会の方の御事情で、私どもは一刻も早くと思っておるわけです。中国との間で理解を得るのに四年かかっておるというのは、これは何年かかりましょうと私どもは理解を得る努力は続けるということでございまして、四年間かかったについては、これは国会の方で御審議いただく過程で、いろいろ立法府の方のお考えがあったということだろうと思います。
  81. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですからこの四年間立法府でいろんな議論が行われてきたわけですね。ということは、もっと逆に言いますと、国民が全部、総意で賛成であればそんな四年もかからないわけですよね。やはりその協定なり法案に問題があるから、国民の中にはこういうふうにした方がいいんではないかというふうないろんな意見が出て、これはぼくはそういうふうな意見が出るということは日本の将来のためにも決して悪いことではない、それだけの問題があり、かつこれからの将来のことを考えてそれぞれ議論をしておるわけです。それだけに私は、この法案についてはそれだけの問題があるということがもう明確になりつつあるわけですね。そうしますと、ただ四年間もかかって先方に待たしているからこれはいかぬと、先ほど局長の口からもやっぱり国際的な信義という話が出てまいりましたけれども、その国際信義という問題から一つ言いましても、この韓国に対するそういう信義の問題もありましょうね。そうすると、韓国に対する信義もあると同時に、この問題に抗議をしているそれぞれの外国に対してもそれぞれ信義があるわけです。誠意を持って話し合いをしているとはいっても、私はそこのところはさっきから何回も言いますように、十分な理解を得てこういう仕事はやらないと後々うまくいかない。逆に言えば、私は、その信義を全うするためにも、外務省は韓国に対してこれだけの問題もあるし、国内でもこういう問題になっているから、この問題の開発についてはもうしばらく待っていただけないかということの理解を求めるのも、これは一つの筋だと私は思うんです。そういうわけにいきませんか。
  82. 中江要介

    政府委員中江要介君) その問題になりますと、こういう経緯がございます。といいますのは、韓国がこの地域の開発をしようと思いましたときに、これはまだ日本と話し合いの始まる前でございますが、そういう国内法を制定いたしましたときに、中国がいま日本に対して申しておりますと同じようにこれに対して抗議を申し入れた経緯がございます。韓国政府中国の了解なしに一方的にこの大陸だなの開発を計画しているのは許せないという趣旨の抗議をいたしました。そのときに韓国政府はどうしたかといいますと、これは先ほど来申しておりますように、中間線について韓国と中国が話し合えばいいわけですから、韓国はすぐその翌日に中華人民共和国政府に対しまして、この境界画定の話し合いをする用意があるということを韓国政府は一これが初めて韓国政府中国政府を正式国名で呼んだ例でございますが、そういうふうにして韓国としては話し合う用意があると、これは全く国際法にのっとった立場であると私は思うんですが、それを中国に対して申し入れましたけれども、中国はその後ナシのつぶてで韓国とは話し合わないという経緯がごごいますので、中国と話し合わなければならない、中国の理解を得るということになりますと、日中間だけではなくて日韓中でなければ、ここのところの最終的な合意はできないわけであります。  したがいまして、中国との間で理解を得た上でやるのが理想である、これはもう私も全く異議がございません、これが正しい道だと思います。ただそれを実現する可能性、見込みというものと、日本がいま行っている協定中国の主権を害しないという国際法上のはっきりした立場の上で行われている協定であるから、これはこれで進めるということと両者を勘案いたしまして、いまとっておるような立場に到達しておるわけでございまして、韓国との信義の問題に、今度は先ほどの御質問の前段でお触れになりました点でございますが、これはもう韓国もそのことは言わなくても御理解がいただける日韓関係の非常にむずかしい時期があったわけです。この協定が署名されます半年ぐらい前に例の金大中事件という不幸な事件が起きて、それが日韓間のあらゆる問題を非常にむずかしくした時期がありました。そういうときにこの協定が、本来ならば円滑に批准に運ばれるべきものであるけれども、なかなかそれが手間取るということについては、これは日本も韓国もそのむずかしさは理解しておったと思います。ところが、いまや協定につきましては昨年の六月、七月にかけて国会の御承認を得ておるわけでございますので、これは新たな事態のもとでの国際信義というものはやはり考慮しなければならないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  83. 峯山昭範

    峯山昭範君 局長ね、私は局長の話聞いておりまして、非常に不思議に思うんですけれども、局長は韓国に対しては非常に御理解がいいですな。要するに、韓国に対しましては非常に理解をしています。たとえば、韓国に対するたなの問題につきましても、韓国に理解を求めてもいいという逆の説もあるということで、先ほど来申し上げました。ところが韓国は、この問題が出てきてすぐ中国に対しまして、こういうふうな国際法上の法理にかなったやり方を韓国はやった、そういうような韓国の擁護といいますか、弁明に立ち、かつ先ほどのお話を聞いておりますと、韓国に対する姿勢というものは非常に友好的であり、かつ、あれですね、実際問題、当然私は日韓間のいわゆる経済協力、あるいはいろんな問題から見てみましても、日本と韓国というのは――大韓民国ですね、これは非常にそういうようなことについてはいろんな面からも理解もされ、かつ政府間のいろんな問題も一応意思が通じるようになっているわけですね。もっとわかりやすく言いますと、いわゆる戦後処理は十分終わって、国際間のきちっとした外交交渉が行われるようになっているわけですね。ところが、中国日本とはもっと言いますと、完璧な戦後処理というのはまだ行われてないわけですよ。ですから、その完璧な戦後処理をきちっと終えるというのは、今度の日中平和友好条約をきちっと締結をするということが一つの私は戦後処理をきちっと終えることにもなる。そうしますと、そういうような処理が十分終わってないままいわゆる中国の抗議を無視して、もっと違う言葉で言いますと、中国の十分な理解を得ないままこの法案を通すということは、これは確かにいままで中国の理解を求めるために四年間、これはまあ国会都合でしょうけれども、いろいろやってきたけれども、中国の理解はいまだに得られなかった、中国も抗議をしてもそんなに相手にしなかった。中国の立場から言えば、そこら辺のところはきちっと済んでないのにいまさらということもありますよ、逆に言えば。ですから、そういうようないろんな意味から言いますと、いわゆる中国とのきちっとした処理が終わって理解を求めれば、それなりに私は理解を得られたんじゃないか、そういうことも逆に考えられるわけですね。  私は、そういうような意味から言いますと、この中国側の十分な理解を得るということは、これはもう大変なことだと思うんです。その中国側の十分な理解を得てないと、将来ともに、今回の法案で言ういわゆる共同開発区域以外のところで、中国日本とが共同で開発をしなければならないところが十分たくさんあるわけですね。そういうような意味から言いますと、私はこの中国側の理解を十分得るというのは、これはもう外務省としては最低やらなくちゃならない手続である。しかも、それをやらなければ余り共同開発、いわゆる韓国との共同開発の推進はちょっとやっぱりむずかしい、そういうふうなことにならなければいけないと私は思うんです。これはどうですか。
  84. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず、韓国との立場で、私が非常に韓国を擁護しているようにお聞きになったという御意見でございますが、私はこの協定日本の利益にもなると。韓国の利益にももちろんなるでしょう。両方がこの資源を開発しようということで締結しておるわけでございますから、この協定日本のためにもなるという立場でありますので、できるだけこの協定は速やかに発効した方がいいということは、これは協定自身の持つ性格から見て私どもはそう思って対処しておるわけでございます。中国は、しかし戦後処理が終わってないという。これは私またいろいろの見方があろうと思いますが、政府の立場は、一九七二年の九月二十九日の共同声明が出されましたその直後に北京のプレスセンターで、当時の大平外務大臣がはっきり申しておられますように、日本中国との過去はこの共同声明で清算されたと、すべてこれで終わった、これからは日中間は将来に向かって歩むんだ、その将来に向かって歩む幾つかの問題点一つに、平和友好条約締結もやりましょうというのが入っておるということでございまして、平和友好条約締結されなければ戦後処理が完全に終わらないという発想ではなかったと思うんです。  私どももしたがいまして、今度の条約はよく言われますように日中間友好関係を定着させる、つまり、将来に向かっての日中関係を律する条約であると。したがって、日中間の戦後処理がまだ終わってない、だからそういう考慮が必要でないかという点は、これは多少解釈の問題になるかもしれませんけれども、私どもはもう日中間は七二年に正常化している、正常化しております日中関係と、一九六五年以来正常化しております日韓関係と、これ、いずれも隣国との関係でありまして、こういうものは、隣国同士はいろいろの問題がございますが、それを筋道を通すということになりますと、やはり国際法の定めるところに従っていくというのが結局は一番正しいんではないか。したがって、国際法上問題がないと思ってる問題について、いろいろの意見が出ます国に対しましては、その誤解を解く努力はいたしますけれども、それがあるからといって国際法上瑕疵のない協定の発効を待つということは、これはまた別の意味外交上の問題になる。こういうむずかしい選択の中でいま政府がやっておりますのは、先ほど来申しておりますような、この協定協定として発効させて、資源の有効利用に役立てる。他方、これに対していろいろ意見を申し述べている隣国については誠意を尽くして話をしていく、こういうことに相なっておるわけでございます。
  85. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、局長ね、私はつけ足しでいろんなことを言ってますけれども、いま局長おっしゃるように確かに中国との関係はそうでしょう、昭和四十七年の九月のあの共同声明ですか、あれで正常化され、きちっとした、その点は私も認識が一致してます。ただし、その後いわゆる平和友好条約の問題がずっと長引いてきてるわけです、実際問題として。それで、日中間の懸案事項としてなってきたことも事実なんです。まあそういうふうな観点からいきましても私は、日本中国との関係、日本と韓国との関係はそういう点で多少違うということです。しかも、そういうふうな中にあって、私が言いたいことは、中国側の十分な理解を得る必要がある。局長が言うように今回の法案は国益になる、韓国側も確かにこの共同開発によって利益を得るでしょうし、日本側も利益を得る。まあそれはそうかもわかりません。しかしながら、日本側の従来の主張から言えばこれはもう、その中身はまた別にしますが、全く中間線から全部日本側に寄ったところなんですからね。日本側から言えば全部日本側のところなんですよ。中間線論から言えば韓国側は全然入らないところ、逆に言えば。もちろん韓国側の主張から言えば延長線ですから、当然それは入るでしょう。向こう向こうの主張がある、こちらはこちらの主張がある。全く対立してて今回の法案ができたわけですから、それはそれでわかる。けれども、石油そのものが逃げていったりどうこうするわけじゃないんだから。確かにエネルギー上、エネルギー問題という点から言えばそれはそれなりに私は必要でしょう。けれども、ここ一、二年どうのこうのっていうことではない。私は、長い将来のいろんなこのエネルギー問題ということを考えた場合に、中国側の十分な理解を得る必要があると、こう言ってるわけです。これはやっぱり、まだわかりませんか。
  86. 中江要介

    政府委員中江要介君) 中国側の十分な理解を得なきゃならないということは、私はずっと最初からわかっておるわけでございまして、その必要はもう十分、重々認識しておりますが、そのことと、それが得られるまで日本と韓国との間で締結されたこの協定の発効を待たねばならないかというところは、これは政策判断の問題といたしまして、日本政府がいまとっております立場は、それを待つようなものではないということであるわけでございます。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、逆に言えば中国側の十分な理解を得てからでなければいけない、得なければならないということは十分わかっていると。にもかかわらず、それじゃそれと法案を成立させるということとは別問題だと、こう言っているわけです、局長はね。しかし私は、それじゃ逆に言えば中国側の十分な理解を得ないままこの法案をいわゆる見切り発車させてもいいということなのか。これはどうです。
  88. 中江要介

    政府委員中江要介君) 二つの側面から申しまして、まず法律的な国際法上の側面から言いますと、これは中国側の理解があってもなくてもこれを発効させることには問題がないというふうに私どもは思っております。これは毎回申しておるとおりです。しかし、他方政治的に見まして、中国という重要な隣国がこれについて異議を唱えているということを無視するとか、それをほうっておいてというようなことでは相ならない。これについては先生がおっしゃいますとおりに十分な理解を得る努力は、これはもうぜひともそうしなければならないというつもりでおるわけです。  したがいまして、国際法的に問題がないこの協定は、これは発効させることには法的にどうこう言われるということはない。そういたしますと、あとは政治的にいろいろコメントが出ている部分について誠意を示さずに無視するということであれば、これは新たな外交上の重大問題であろうと思いますが、私どもは先ほど来申しておりますように、中国の意見は、これはそれなりの重みをもって受けとめております。したがいまして、それについて理解を得る努力は、これは鋭意今後とも続けていかなければならない。いつの日かは理解が得られるものと、こういうふうに確信しておるわけでございます。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 国際法上問題がないからということで、こういうふうな問題は押し通せるものなんですか。
  90. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは私は物事の性格にもよると思いますけれども、ケース・バイ・ケースだと思いますが、この日韓の大陸だな協定共同開発区域に限りましては、これに対して中国が国際法上異議を唱え得るという立場は、これはいかようにしてもとれないということでございますので、それがあるからといってこちらの協定の方を待つという、それほどの理由というのはやはり認められない、こういうことでございます。なぜそうなのかということについて中国側の正しい理解を得なければならない、こういうことを先ほど来申しておるつもりでございます。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですからね、局長、こういうふうな共同開発、海の上で共同開発するわけですね。こういうふうな石油開発あるいは石油をとるというふうな問題を国際法上一切問題がない、中国側の言うことば国際法上根拠も何もない、日本側から見ればね。そういうことでこういう問題を押し通していいのかというんですよ。こういうことを押し通した場合に、後で起きてくるいろんな問題の解決が、そのことを押し通したためにかえって問題がこじれてうまくいかないということがあるわけです、現実問題として。ただ単に国際法上問題がないから、この問題を中国の理解を得ないまま押し通していいとはいかない。そういうものじゃありませんか。
  92. 中江要介

    政府委員中江要介君) どうも押し通すというような感覚ではないのでございまして、理解を得たいと熱望しつつ、その努力をしながら、しかしそれが得られるまで待たなきゃならぬかというと、そういうものではない。それが得られなければ待たなきゃならぬほどのものではないけれども、しかし中国はやはりそういうことをおっしゃるから、その部分については理解を求めていかなければならない。これは国際法のみならず国際慣例から見ましても、一つ大陸だなに幾つかの国が接しておりますときに、話のできる国同士でそれぞれに別々の協定開発をしていくというのは例もあるわけでございますから、日本が韓国とやっていることが、韓国についてのいろいろの御批判は別といたしまして、日本が韓国といまやっているこのやり方が国際社会から見て非常におかしいと、中国が言うのはもっともだということになるかというと、どうもそれはそうでないと思いますので、その点については、中国ともよく話し合いをしていかなければならぬと、こういうふうに思っているわけでございます。
  93. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題いろいろと議論をしておりますけれども、なかなか前進をしませんけれどもね。確かに国際法上はそういうことであったにしても、韓国と実際共同開発をするという段階になってきて、中国中国の主張があるわけですから、中国の理解が得られない以上は、中国のいろいろなたとえば海の上ですから船なり航空機なり、それでもしそういうところへやってきたりしていろいろな問題が起きる。しかもそういういろいろな問題が起きたときに、私は決してこの法案はそんなに急がなくていいんじゃないか。石油だってそんなにいまどうしてもここのやつをとらなこの一、二年困るというものじゃなくて、あともう少し待って中国の理解を得るためのいわゆる日本の総力を挙げると。これは私は国際法上逆に言えば、局長が言うことが筋が通っていて、日本の主張はそのとおりなんだというものであるならば、そこに総力を挙げて国際法的に言ってもこうなんだということをもう徹底的にこの一、二年外交交渉中国を納得させる、そういう努力をこの一、二年やることが将来のためにも役に立たないか。  いま韓国とこの法案をこれだけいろいろの反対の中で進めることがいいのかと。国際法上は、局長の言う通りでしょう、それは。私もあれですから、そのとおりだと思います。その点で私は決して反論しているのじゃない。けれども、中国の抗議の中身を見てみますと、三回もう終始一貫しておるわけですね、これね。向こう考え方は全然やわらかくもどうもなっていない。そうしますと、私はこの抗議の中身を見てみましても、これはやはり中国の抗議に対して日本としてもいままで、局長が先ほども言いました、その都度理解を求めるためにこういう説明をし、ああいう説明をやったと。それはそうでしょう。  しかしながら、中国との関係がいままでは多少ぎくしゃくしていた面もありますけれども、今度は平和友好条約も結ばれて、多少油も注がれて円滑にいこうとしているわけですね。しているわけですから、いまこういうときにもう一歩進めてこの話し合いをすれば、それはそれなりに私は話はうまくいくのじゃないかと。ここでまた片つぼの方ではこれだけ向こうの国際法上筋の通らない話であったにしても、こういう抗議が来ておると。その抗議がありながら、いや、こっちの方が国際法上通っているのだからということで片つぼではこれを押し通すというんでは、これからの交渉上もうまくいかないんじゃないかと、こういうことです、どうですかね。
  94. 中江要介

    政府委員中江要介君) 政府としてできますことは、いま先生が御心配になりますような、これからの日中間南部の方の石油開発の問題などで話をするときに、この協定が大きな障害にならないように協定締結され、また批准書を交換して仮に発効いたしましても、それで安心するのではもちろんございませんで、それからますます中国側の理解を得るための努力はしなければならぬと思います。しかしながら、これは日本中国だけを考えますとそういうことになりますし、日本と韓国の間を考えると、また別な問題がございますし、翻って日本自身の石油の問題、エネルギーの問題で見ましても、一、二年とおっしゃいますけれども、これは専門の資源エネルギー庁の方から御説明いただいてもいいんでございますけれども、実際に資源として活用し得るまでには七、八年ぐらいはかかっていく大きな事業でございます。  したがいまして、これはさあといってすぐ役に立つという問題でもございませんから、早くにおいて開発に着手するということも、やはり日本の国の利益から見てそれだけのメリットがあろうと思います。いろいろ方々の角度から問題を検討しました総合的な判断としていまお願いしておりますのは、この協定は御承認をいただいておるわけでございますので、関連国内法案についても、速やかに決着をつけていただきたい、こういうことでございます。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 外務大臣、いまずいぶんこの問題を議論してまいりました。平和友好条約もいよいよという段階に入りました。それで実際問題として中国側の十分な理解を得るということ、これは私はぜひもう必要なことだと、そういうふうに思っておるわけです。といいますのは、開発する基地が海上でもありますし、またいろいろな物理的な問題もずいぶんあります。それだけではなくて、これから中国との関係は、そういうふうな石油開発という面でも十分協力をしなければならない。そういうようないろいろな観点からいきますと、中国の理解を得る時期としては、これからが一番いい時期になるわけですね。ですから、いわゆる中国側の理解を得るために、日中平和友好条約が結ばれんとする直前に、中国側がものすごく抗議している問題に決着をつけてなんていうんじゃ、これは中国側としても、これは何となくやっぱり気分的にも、どこから考えたってこれはやりにくい問題だと私は思うんですよ。  そういう点からいきますと、この大陸だなという法案は、まあいろいろと事情もありましょう、大臣がかねがねおっしゃっている韓国との信義という問題もありましょう、それも十分私承知の上で言っているわけですけれども、できたらこの問題しばらくあれしていただいて、この日中平和友好条約もこれから締結されるでありましょうし、そういうふうないろんな観点から見て、中国側の十分な理解を得てからでも遅くはないのではないか、こういうふうに思うわけですがね。いままでアジア局長とずいぶんやってきましたけれども、なかなか前進しませんので、大臣のお考えを一遍ここでお伺いしておきたいと思います。
  96. 園田直

    国務大臣園田直君) 峯山先生の御意見、前々からずっと承っておるし、本日も十分承ったわけで、その御理論私ももっともだと思うわけでありますが、しかし問題は、すでに協定を承認いただき、関連国内法に移っておるわけであります。むしろ、日中友好条約交渉を始めるについて、私はこういう問題のけりが早くついた方が私としてはやりやすいんではないか、こう思っておりますので、これ以上は議論の分かれるところでありますが、私としては一日も早くひとつこれは解決をしていただきたい、御審議を終わっていただきたい、このようにお願いするわけであります。
  97. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩します。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時十一分開会
  98. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会再開いたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは外務大臣に、午前中に続きましていろいろとお伺いをしたいと思うんですが、初めに、先日軍縮総会へ行かれて、きょうお帰りになったわけでございますが、今回の大臣国連の特別総会におきます演説に関連をいたしまして二、三お伺いをしたいと思います。  今回の外務大臣の演説につきましては、従来の日本のいわゆる政府演説とは変わった思い切った発言をしていると、こういうふうに評価している向きもあります。またそれとは別に、日本政府の主張を総花的に述べただけであると、こういうふうな批判もあるわけであります。  そこで、今後それを、その批判を批判でなく終わらせる、あるいは批判のとおりではなかったというふうにしていくためにも、これからのいわゆる具体的な宣言あるいは具体的な行動というものがこれから中心になっていくであろうと私は思うんです。  そこで、今回の大臣の演説に関連をいたしまして日本政府としましては何をやろうとしているのか。その演説と合わせまして大臣の所信を初めにお伺いしたい。
  100. 園田直

    国務大臣園田直君) 特別軍縮総会日本政府代表として訴えたわけでありますが、私は日本政府代表であり、日本国民代表でありますから、国会の両議院決議に盛られました御趣旨は全部取り入れたつもりでございます。なおまた、各委員会で各党から御指示を賜りましたこと等も念頭に入れて日本国として訴えたつもりでございます。  第一は、憲法九条の規定があるので、日本国は防衛その他について一定の枠をはめられておる。したがって、こういうことはできない、ああいうことはできないという考え方ではなくて、これは私の信念でもありますが、憲法九条は、日本国が人類の先覚者として他の国に誇り得る憲法九条であるということを、日本の誇りとして憲法を取り上げてこれを主張した点。  それから次には、軍縮その他の問題で日本は核のかさの中にあるという特殊性があるわけであります。したがいまして、理想はそうではあるが、現実がこうであるからできないという主張を、これを覆しまして、現実はこうではあるが、主張、理想というものは人類の共通の念願であるから、その現実の中から理想に向かって一歩一歩前進すべきであるという点を訴えた点。  それからもう一つは、これだけは、ぜひ御理解を願いたいと思うわけでありますが、広島、長崎の両市長及び五百三十数名の原爆禁止に対する団体の代表が行っておられたわけであります。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 この方々は国内では主義、主張も違い、思想も違い、あるいは活動方針も相当違うわけでありますが、こういう方々が行かれて非常に感激するほど足並みをそろえて、そしてアメリカを初め世界の国々の人にこの原爆を二度と使ってはならない、こういう悲惨なことに遭うんだという人間としての念願を正しく訴えられて、これが米国本土はもちろん他の国々にもいやな感じであるとか、あるいは押しつけであるとかそういう感じではなくて、人間の胸からほとばしる日本国民の主張であるという点を正しく伝えられて非常な成果があった。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 これに外務大臣の演説はついていっただけでありまして、この民間団体の方がこのように数多く行かれて、しかも足並みをそろえて成果を上げられたことだけは、私は高く評価していただきたいと思うわけであります。そしていままでにないことで民間団体、政府その他が足並みをそろえて、現地の公使館も各国に主張をした。こういう点が今度の軍縮特別総会の特徴であると考えます。  なおまた、私の演説の中に盛られました要項等はいろいろの問題を取り上げておるわけでありますが、これは確かに今後これをどうやるか、あるいは後にひく問題がたくさんあるわけでありますが、しかし私といたしましては、現状に満足をしてそれで物が言えないというかっこうではいけないので、やはり理想に向かって一歩でも前進するという糸口を見つける。そしてその糸口をつかまえて与野党の議論の中に日本が軍縮に向かって前進ができるようにと、こういう念願のもとに私は訴えてきたわけでございます。  内容等については、それぞれまた後でいろいろ御指示、御注意等をいただきながら、国連の方とも連絡をとり各国に働きかけて主張が実現するように努力をしたいと考えておるわけでございます。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは軍縮という問題は非常に重要な問題でございますし、これからもそれぞれのあれで具体的には論争が行われるであろうと思いますので、私はきょうは余り深くはいきませんが、やはり関連をしまして二、三どうしてもただしておきたいと思います。  その一つは、大臣、ジュネーブの軍縮委員会というのがありますが、このジュネーブの軍縮委員会は、いま米ソ両国が議長国になっているわけでありますが、この問題についてはこれでいいとお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点どうですか。
  102. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は、軍縮委員会については軍縮委員会国連との関係、これを検討し、機構を検討しなければならぬと思う。そしてフランスや中国もこれに入れるようにすべきであるということを抽象的に述べただけで、具体的にどうしろということは演説の中では訴えておりませんけれども、ジュネーブの軍縮委員会等もやはり世界各国がいままでの立場を捨てて、素直に検討する時期が来ておると、私はこのように考えております。
  103. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは確かにフランスのジスカールデスタン大統領が、軍縮に関連をいたしまして新しい軍縮交渉の機関を設置したらどうかという提案をしておりますように、当然私はこれは考え直さなきゃならない時点に来ているんではないか。現実の問題として、現在のジュネーブの軍縮委員会といいますのは確かに三十カ国が参加しているそうでありますが、米ソは議長国でありまして、これはもう軍縮ではなくていわゆる現状追認型の、またもっと別の名前で言いますと米ソ主導型、そして軍縮拡大、均衡管理のいわゆるこのジュネーブの軍縮委員会であるというような批判も現実にあるわけですね。そういう点からいきますと、当然私はこの問題について積極的に日本が何をすべきかということを考えなければならないときに来ていると、そういうふうに思うんですが、この点どうでしょうか。
  104. 園田直

    国務大臣園田直君) 私も、この機構については十分各国の模様を見ながら検討し、組織を変えあるいは国連との関連性をつなぐ等、いろいろやるべき問題があると思うことは御発言のとおりでございます。
  105. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういうふうな意味で、いわゆる共同議長制の改革という問題を、そこまで主張しなければいけないんじゃないかと、そう思うんですが、これはどうでしょうか。
  106. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど申し上げましたとおり、これを改正、強化の方向、方針、具体的な問題は私は一つも取り上げなかったわけであります。いまおっしゃったような問題はたくさんございますので、これはさらに事務的に専門的に検討して提案し、これをそちらの方向に持っていくべきであろうと、こう考えましたので、私はあえて具体的な方向は示さなかったわけでありまして、私は順番としていろんな問題点がある問題を挙げて、そしてそれから各国がそこの方向に目をつけてそして具体的に進めていくという、今度の軍縮特別総会は、具体的に私は問題が出ることでなく、結論としては共同声明みたいな形でいろんな取り上げられた問題を列挙して、それを契機に具体化への方向に入っていくと、このように判断をしておりますので、今度の特別軍縮総会が本当の軍縮に向かっての一里塚というか、出発点であり得ればよいと、こう念願して訴えてきたわけでございます。
  107. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういうふうな意味でしょう。ですから、初めに申し上げましたような批判も多少はあるんだろうと私は思います。したがって、この問題につきましても、大臣がおっしゃるように、フランス、中国交渉の場に出るべきである、これはそのとおりだと私思うんですけれども、そのためにそれでは何が必要であるのかというのが結局抜けているわけですね。そういうような意味では、結局フランスにしましても中国にしましても、いわゆるこのジュネーブの軍縮委員会のあり方に一応反発して現在入っていないんだろうと私は思うんですけれども、そういうふうな意味で言いましても、日本の果たす役割りというのが私はあると思うんです。この点について、再度お尋ねいたします。
  108. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりだと考えておりますので、私はまず軍縮に対する検討、組織の強化等を訴えて、そしてフランス、中国も入るべきだと、このようにつないで訴えてまいりました。
  109. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、ぜひこの問題についても、これは日本の果たす役割りというのを積極的に模索をしていただいて今後の方策を考え出していただきたいと私は思います。  それから、非同盟諸国の主張で今回の軍縮総会も開かれるようになったと私聞いておりますんですけれども、それとは別に、この非同盟諸国がかねてから主張をいたしておりますように、核兵器の不使用協定というのがありますが、これは、私は大臣のこの演説の中身をずっと読んでみましても、この核兵器の不使用協定というのは私は当然日本は――大臣の演説の要旨をずっと読んでみましても、これはもう全面的に積極的に賛成し、あるいは推進をしてしかるべきものだと私思っておりますが、この点についてはどうでしょうか。
  110. 園田直

    国務大臣園田直君) 非常にむずかしい問題でありますが、私は演説の中ではそれは明確に訴えてきたつもりでございます。一つは、核を使ってはならぬ、使わせてはならぬということで訴え、次には、末尾において、核を持たない国がおのおの政治的立場において行動することは間違いであって、国というものと人間一人ということに立場を変えて、そしてお互いが核の脅威を除くということに結集するならば必ず具体的に進展しいてく、こういう二つの面からいまおっしゃったような趣旨を訴えてきたわけでございまして、当然これが具体的に進んで不使用協定というものが議題になってくれば、これに対してわが国の果たす役割りもいままでと違ってそこに出てくると考えておるわけであります。
  111. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題はすでに具体的なテーマになっているわけでございますけれども、現実の問題として、これから核兵器の不使用協定というものが今後国際会議等で取り上げられる、あるいは議題になってくる、その場合には当然大臣のいまの答弁からいたしますと、日本は積極的にその問題に取り組みあるいは賛成をする、そういうことでございますね。
  112. 園田直

    国務大臣園田直君) 当然日本はこれからは積極的にこれと取り組んで、また日本自体も検討していって、そしていままでの態度から会議の集成を逐次国内の世論の支持を受けながらやっていくべきものであると私は決意をして、こういう演説をやってきたわけでございます。
  113. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから次に、外務大臣は非核武装地帯を設置するということも提案をなさっていらっしゃいます。これによりますと「適切な条件の整っている地域に非核武装地帯を設置することは、核拡散防止の観点からも有益と考え」ております云々とあるのですが、要するに「適切な条件の整っている地域」、こういうふうな表現の仕方をしていらっしゃいますが、この「適切な条件」というのはこれはどういうことでございますか。
  114. 園田直

    国務大臣園田直君) この問題については、率直に申し上げますと、事務当局、同行した専門家等を入れて相当激論をしたわけであります。日本は核の傘下にある、したがって、そういうことはなかなか困難であるという議論でありましたけれども、私は困難であるからといってこれを避けて通るべき問題ではない、やはり理想、そして各国の動向等を見ると、逐次この核の使用を禁止する地帯をつくっていくべきである、そういうことからいまのようなことになってまいりまして、それぞれたとえばASEANの国々にもそういう国があるわけでありますから、そういう国々の希望なり環境等を逐次整備していって、そしてそういう地帯をつくっていく、そういう地帯をだんだん拡大していく、こういうことが理想である。余り理想ばかり言っているということでありますけれども、しかし、理想に向かって一厘でも一分でも進めることが大事であると考えて、あえてその問題を私は演説の中に入れたわけでございます。
  115. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣のおっしゃる意味、よくわかりますが、この「適切な条件」ということは、要するに現在そこに核がないということですか。要するにその条件の中身ですね、これは大体どういうふうなことをお考えになっておっしゃっているのかですね。
  116. 園田直

    国務大臣園田直君) 現在核を持っていないということはもちろん当然でありましょうけれども、その核の脅威にさらされている国、しかもその国自体がそれを希望する国、そしてまた核を持った国との関係その他で管理された条件がある国もあるし、逐次そういう方向に出てくる国もあると、こう考えておるわけであります。
  117. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、大臣の頭の中に、「適切な条件の整っている地域」の中には、いわゆるアジアの非核武装地帯の設置ということを考えていらっしゃいますか。
  118. 園田直

    国務大臣園田直君) これまたいろいろ相談が今後あることでありますから、ここで具体的に国の名前を出すことは適当でないと考えますので、お答えは御勘弁を願いたいと思います。
  119. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは国の名前は出していただかなくても結構ですが、大まかなことで結構なんですが、日本を含めたアジア外務大臣のおっしゃる「適切な条件」を満たした地域である、こういうふうなお考えはどうでしょうか。
  120. 園田直

    国務大臣園田直君) まだ満たした条件とまでは言えませんけれども、そういう条件に逐次入りつつある地域であるとは考えております。
  121. 峯山昭範

    峯山昭範君 といいますことは、逆に言いますと、条件を満たしつつある地域がこのアジアの地域に入るわけですね。そうしますと、その条件を満たしたところは世界のどこかに、ほかのところにまだあるというふうな、――もしなければないで結構なんですが、外務大臣の頭の中にはアジア以外の地域のこともお考えになっていらっしゃるわけかどうか。
  122. 園田直

    国務大臣園田直君) アジア以外にも、私は考慮の中にはあります。
  123. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、アジアのほかにもあるということですと、アジアのほかに、アジアもできたらその中に含めたいというお考えはあるわけでございますね。
  124. 園田直

    国務大臣園田直君) できればそうなるのがこれは理想であると考えておりますが、いままで核不使用の規定については、これがやはり大国の両方の駆け引きの道具になっているおそれがありますので、こういう点も考慮していかなきゃならぬと考えております。
  125. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に、八月六日広島の原爆の投下の日を「軍縮の日」と提案をしていらっしゃるわけでございますが、これは私はあの国連の席上で提案をして、当然賛成も拍手もいろいろあったろうと思うんですが、これは国内的に考えても、やっぱりこれを何らかの日にするとか、あるいは国内的にもこの問題については早急に検討し、何らかの措置をすべきではないかとも思うんですが、この点についてどうでしょうか。
  126. 園田直

    国務大臣園田直君) 国内的には、まあ私の所管じゃありませんけれども、軍縮デーに八月六日を決めることはいろいろ議論もありましたが、私はきわめて適切であると考えまして、本日到着をして委員会に出てくる前に、改めて国連大使以下に、八月六日は必ず実現するように全力を挙げろという指示をしたところでございます。
  127. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、当然私は、外務大臣が今回の演説をするに当たって当局でも議論したことであろうと思うんですが、日本が、外務大臣国連でこれだけの軍縮に関する演説をされた、憲法等も引用をされて。まあ私たちは実際問題として、先般の予算委員会以来憲法九条に関する解釈等についても相当議論をいたしました。核兵器に対する考え等についても、政府姿勢をそれぞれの立場から見守ってきているわけですけれども、一方でそういうような演説をしながら、現実の問題として外務大臣、安保で日本は米国の核のかさに依存すると、こういう政府基本方針があるわけですね。これは私はいろんな、外務大臣の演説とやっぱり矛盾するんじゃないか、こういうふうな批判も、またこれ出てくるんじゃないかという考えがあるわけですがね。こういう問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  128. 園田直

    国務大臣園田直君) 私自身は、勉強不足のところもまだあるかもわかりませんが、絶対に矛盾はしないと考えます。核のかさにあって、そして日本一つの国の武力侵略、侵攻等に協力をするということであればこれは矛盾いたしますけれども、いまやすでにそういう時代ではなくて、核の傘下にあって国の安全と安定を保ちつつバランスを保ちながら、努力をしながら平和共存、平和の社会に進もうという過渡期でありまして、決して私は、憲法九条とこれが相触れるものではないと、このように信じております。
  129. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、この憲法九条という問題ではなくて、現実の問題として外務大臣の演説の中身をずっと読んでみますと、核に対する日本政府姿勢、あるいは日本国民の核に対する考え方というのが、いろんな角度から論じられているわけですね。しかも、ジュネーブの軍縮委員会にしましても、やっぱり中国やフランスを入れて、厳格に核軍縮の方向というものを見出そうというふうな方向に現実にあるわけですね。そうしますと、そういうふうに片方で言いながら、日本の防衛の基本方針がこの日米安保であり、かつ、米国の核のかさに依存するというふうなことは、これは政府のこの考え方というのはやっぱり矛盾すると、そういうふうに私思いますんですがね、どうでしょう。
  130. 園田直

    国務大臣園田直君) まあ現実の問題と理想の間にはいろいろ食い違いもあると存じますが、私はむしろ核のかさでありながら、安保体制の中で定の枠内で日本がやっておるということの方が――この安保体制を離れて日本が一国で自分の国を守るという防衛力強化の方が私は間違った方向に行く可能性が多いと、このように考えております。
  131. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、じゃ、違う方向からちょっと話してみますが、これは、核の問題につきましてはいわゆる米ソの核政策に対する日本姿勢というのが、これはもう非常に弱いんじゃないかと。やっぱりアメリカ、ソ連に対してもっと強烈にこの核軍縮、あるいは核に対する、核を使わない、不使用協定にしましても、それから、ジュネーブの軍縮委員会の問題にしましても、これは全部米ソ両大国が絡んでいるわけですね。そうしますと、その両方が絡んでいるいろんな立場での日本発言というのは非常に弱い、そういうふうに私たちも聞いているわけです。その弱いのは、やはり日本がアメリカの核のかさに依存をしてるから弱いんだと、そういう批判が現実にあるわけですね。これはやっぱりそういうふうな面からいきますと、ただ単にそういう一つの枠の中でとは言いましても、この安保条約に対する考え方、あるいは核に対する考え方も、戦後三十年たって一つのいわゆる転換期に来ている。私は、核軍縮という問題、非常に国際的に見てもまた重要な問題であると思います。そういうふうな観点から、日本の主張が世界のいろんな民族、またいろんな国の人たちからも、なるほどという理解を得るためには、やはり日本基本的な姿勢というものが問題になってくる。そういうふうな意味ではやはりこの米ソの核を含めた軍縮、これに対して日本としてはもっともっと厳しい姿勢で今後臨むべきではないか、そういうふうに私思うんですけれどもね、これ、どうでしょうか。
  132. 園田直

    国務大臣園田直君) おっしゃるとおりであると思います。でありますから私は、いろいろ御批判やおしかりは覚悟の上で、今度の演説でいろんな問題を訴えたわけであります。いままで日本が米国あるいはソビエト、特に米国に対しては核の傘下にあるがゆえに何ら意見を言わずに来て、一言もいままでそういう発言がなかったことは事実であります。私は、今度の演説の中では、核を持った米ソ二大国の反省と自制を求めました。それから、核不拡散条約についても、核を持たない国を束縛をしながら、核を持った有力な国が勝手なことをしている、こういうことはよろしくないということも訴えたつもりでありまして、やはり現職の外務大臣でありますから限度はありますけれども、少なくともその口火を切ったということでお許しを願いたいと思います。
  133. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ、今後の問題としても、これはぜひ検討していただきたいと思います。  そこで、私たちはこの核問題に対しまして国連で特別総会を開くべきであるという主張を党大会でやったことがあります。今回は幸いにしましてこの核問題を中心にした一まあ中心ではないかもわかりませんが、核も含めたいわゆる軍縮総会国連で開かれました。これはそれなりに私は非常に有意義な総会であると思います。そこで外務大臣、この総会ですね、これは今後どういうふうになるのか、私聞いておりませんが、こういうふうな核軍縮、あるいは核を含めた軍縮総会というものは、毎年とはいかなくても二年に一遍なり少なくとも三年に一遍定期的に国連で開くべきだと、私は実際問題としてそういうふうに思っているわけですが、この点についてはどうでしょうか。
  134. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの御発言の点は演説では全然触れておりませんけれども、今度の特別軍縮総会が初めてのものであって歴史的なものである、これ一回切りでは意味がございません。今度の問題で共同コミュニケみたいなものを出されて、その中にそれぞれ各国の主張の、各国が合意する可能性のある問題が取り上げられて明記されると思います。そこで、その問題を具体的に解決するためには、おっしゃるとおりにこれっきりでは意味がないわけでありますから、私もこの特別総会を逐次定期的にかあるいは随時にか開くように考えるのが妥当であろうと思いますので、出先機関にはそのように努力するように指示をして帰ってきたところでございます。
  135. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、この機会でございますから核兵器だけではなくて、今回は核兵器も含めた軍縮総会が開かれたわけであります。そこで外務大臣、所轄ではないかもしれませんが、日本自身もこれはやっぱり軍縮ということを考えないといけないんじゃないか、これはどうですか。
  136. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本自体もこの軍備というものがなくなる社会をつくろうということに対する努力はしなければならぬと思いますけれども、現実の問題としては、私はいまの日本の程度はちょうどいいところじゃないかと、米国の方といろいろ話してみましても、日本ではさらに自衛力強化して、そしてもっと力をつけろという意見がありますけれども、そろそろ米国の方にも日本が責任を果たすべき、自分のことは自分でやるべきということではあるけれども、かといってそれが限界を超えて軍備を強化することは好ましくないという意見がそろそろ国会等の中でも出てきております。そしてまた、自衛力に対する要求も日本努力をしているということがだんだんわかってきたようでありまして、大体いまの程度を維持しながら軍縮の方向へ前進すべきだと、こう思います。
  137. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは確かに大臣おっしゃるとおり、私は外国から見てもそういうふうに見えてきているんなら、実態はもっとすごいのかもわかりませんね、やっぱり。そういうような意味では日本自身もこの自衛隊に対するいわゆる一つの歯どめ、またこの自衛隊に対する考え方、これはたとえばGNP一%以内の防衛庁の防衛費ですね。あるいは装備の問題、今国会でもいろいろ問題になりました。装備の問題、F15の問題とかいろんな問題が問題になったわけでございますが、これはただ言うだけではなくて、日本みずからも日本の自衛隊の装備という問題についても、これはできたらやっぱりまだこの軍縮というわけにはいかないというあれもあるかもわかりませんが、できるだけ拡大しないで、できるだけ少ない費用で、あるいは少ない装備で日本の国を守ると、そういうふうな体制にしていくべきであるというふうに思うんですが、どうでしょう。
  138. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本の自衛力については、一つの限界と枠を持つべきことは私も当然であると思いますけれども、現実の問題としてはいまの程度がほどほどであると、私はこのように考えております。
  139. 峯山昭範

    峯山昭範君 最後にもう一点だけお伺いしておきます。  この軍縮政策の立案ですね。これは外務省では、これは大臣でなくても結構ですが、どういうところでやっていらっしゃるのか、それで何名ぐらいいるのか、この点どうですか。
  140. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 外務省におきましては、国際連合局に軍縮課というものがございます。これは定員が九名で、決して満足すべき状況ではございませんけれども、それなりに最善の努力をいたしております。もちろん外務省の国連局だけの問題ではございませんで、省内のほかの関係機関、それから防衛庁等の関係省庁とも協議をしながら軍縮関係の問題についての日本態度を企画立案いたしております。
  141. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは実際問題として軍縮政策というのは、この際ですから大臣申し上げますが、いまおっしゃっていただいたように、非常に少ない人数でやっているようであります。これはジュネーブの軍縮委員会あるいは今回の総会あるいは軍縮という問題がこれから国際的に大きな問題になるであろうと私は思います。そういうような点からいきますと、当然日本としてもこの軍縮という問題あるいは平和時の防衛力という問題、いろんな問題絡んでくると私は思います。そういうような意味で、やっぱりこういうふうなところをがっちりした、何といいますか、いわゆるスタッフをそろえる、あるいは学者とか専門家による専門的な討議、こういうようなものが当然私は必要であろうと思います。この点についての大臣の御所見をお伺いしたい。
  142. 園田直

    国務大臣園田直君) いま局長が遠慮をして、満足すべきものではないとお答えをいたしましたが、いま御指摘のとおりでありまして、いまのままの機構では軍縮問題に対する各国に影響力を与えるような業務はできませんので、これはいまおっしゃったような、これを強化をしなければならぬと考えております。
  143. 峯山昭範

    峯山昭範君 それではちょっとテーマを変えまして、大臣国連総会に行っていらっしゃる間に、当委員会で竹島の問題を相当議論をいたしました。きょうこれから竹島の問題について先般の続き等もありますし、私たちが竹島の問題についてどういうふうに考えているかということも大臣に聞いていただいて、この問題についてお伺いしたいと思います。  外務大臣、竹島の問題が、いままで予算委員会を初め外務委員会あるいは当委員会大陸だな法案の審議に当たりましても何回か議題となってまいりました。しかしながら、実際問題としてこの問題が議題にはなりましたけれども、日本側としては具体的に何にも進捗していない。そういうふうな一方で、韓国側の方は、私たちが聞いただけでももう着々といわゆるいろんな体制が整っている。先般の四月三十日の韓国側の十二海里宣言に伴ういわゆるイカ釣り漁船の退去命令等を初め、もう既成事実を次から次に積み重ねて、いわゆる日本側は口頭なり文書なりで一生懸命抗議をしたりあれこれやっているわけですけれども、韓国側はもう具体的な事実をぼんぼんぼんぼん積み重ねて、韓国自身は竹島は韓国の領土であると、そういう主張を事実の上で積み重ねようとしているわけです。このことは、ただ政府が口頭で指摘したりあるいは文書でやったり、そういうようなことだけではもう本当にわれわれとしてはこういうようなのは遺憾であると、もっと積極的にやってもらいたいと、こういうように思っておるわけです。  そこで、そういうふうな中で私たち大陸だな法案を通して、それから竹島の問題を解決すると、こういうふうな大臣の答弁も先般ありました。確かにそれも一つの見識ではあろうと思います。しかし、現実の問題として竹島をほったらかしてたなを先にやってしまうと、そうしますと今度は竹島はますます解決しにくくなってくると、そういうふうに私たちは判断をしているわけです。現実に韓国の過去のいろんな経済援助あるいはいろんな事件が起きたときどきの反応、そういうようなものを見ておりましても、そういうふうな姿勢が如実にあらわれているわけです。  そこでまず、外務大臣はこの竹島の問題について、いままでいろいろ申し上げましたが、こういうふうな韓国の既成事実の積み重ね、それによって国際的に見てもまたそれが既成事実化するおそれも現実にあるわけです。私たちは非常にもうこれはまことに遺憾だと思うんですけれども、こういう韓国側の姿勢について外務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたい。
  144. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言のとおりでありまして、この竹島の問題に対する日本と韓国の交渉は、けじめをつけなければならぬ限界に来ておると思います。
  145. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣がおっしゃったけじめをつけなければならない限界に来ている、もう本当に私もそのとおり思うんですよ。もう限界に来ている。もう限界がはち切れそうで、はち切れたらどうするかという話をきょうはこれからしようと思っているわけですが、ほんとにそこまで来ている。日韓基本条約の付属文書であるいわゆる交換公文の中で、外交的話し合いでこの問題を解決すると、日本側はそういうふうに思っておりますし、向こう側はそうではないというような感じで受け取っておるわけです。そういうような意味で、外交的話し合いを現実の問題として拒否しているわけですね。これで、実力行使をもって実効的な支配を確立しようとしている。この韓国側に対して日本側が、大陸だな法案を通してからなんというんでは、私はそうじゃなくて、やっぱり竹島の問題を解決してからいわゆるこのたなを通すという方が私筋が通っているように思うんですけれども、この点も含めてどうでしょうか。
  146. 園田直

    国務大臣園田直君) それぞれ、考え方別でございましょうが、私なりあるいは政府は、韓国と約束をした信義は守る、協定は批准を終わったわけでありますから、これに関係する国内法の成立をお願いをして、それが終わったら、総理が言われたように、ここで思いを新たにしてこの問題と取り組む、これが一番いい方法であると考えております。
  147. 峯山昭範

    峯山昭範君 外交的な話し合いを拒否して、実力行使で支配している、この問題についてどう思います。
  148. 園田直

    国務大臣園田直君) いまおっしゃった問題から、すでに韓国は日韓の交換された文書、竹島についてはこれは紛争事態である、したがってこれは、平和的に解決をする、話し合いでやるという線から逸脱しているものと私は判断をいたします。
  149. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、逸脱しているということは、交換公文による外交的話し合いという問題ですね、このいわゆる交換公文に違反をしておると、こういうことですね。
  150. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりでございます。
  151. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、もう一つ進めますと、韓国のこういうふうな態度は、わが国に対して決して友好的ではないということですね。
  152. 園田直

    国務大臣園田直君) 少なくとも約束したことを守ってない、向こうは実力でやろうとしている、こういうことであります。
  153. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、決して友好的ではないということでございますね。
  154. 園田直

    国務大臣園田直君) この問題に限っては、私は、約束は守ってない、友好的ではないと思います。
  155. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題に限ってで結構なんですが、この問題に限って友好的ではない、しかも約束を破っている。ところが、外務大臣ですね、これは外務大臣のいまの答弁で結構なんです。そうであるから私たちは、たなを先に通すべきではない。何でか言いますと、この共同開発というのは、あくまでも友好的な国との話し合いであり、友好的な国との共同開発でなければならないわけですね。ところが、そういうような観点からいきますと、いわゆる約束を破り友好的でない、そんな国とこれから開発をしようなんということは、この際、大臣がおっしゃったけじめをつけなければならない限界に来ているという、このけじめをきちっとつけていただかなければ、この問題は解決しないのではないかと、こういう論法になってくるわけですがね。
  156. 園田直

    国務大臣園田直君) 交渉の手段でありますから、考えが違うわけでありますが、私は、約束したことはこちらはきちんと守る、そして君の方は守ってないじゃないかとこういう交渉の仕方の方が有意義であると考えておるわけであります。
  157. 峯山昭範

    峯山昭範君 確かに大臣のおっしゃることも、そういうこともあるでしょうけれども、これ、ただ単に相手がこういうふうに現実の問題として実力行使に出てきて、しかも機関銃を向けられたり、向こうの軍艦が出てきて追い出しにかかる、そういうふうなのはとてもじゃないけれども、しかも約束は守るとおっしゃって、大臣はそういうふうに友好的ではない、かつそういうようないろんな問題出てまいりましたけれども、現実の問題として、しかもこちらの方は、そういうような紛争の一つの解決の手段としてのいわゆる交換公文があるわけですが、交換公文に当たるのが、この竹島であると日本側はそういうふうに認識しているわけですが、現実の問題としては韓国側はそういう認識では全くないわけだ、韓国側はあれは固有の領土であって、いわゆる紛争の当時の当事国、いわゆるその交換公文で言う紛争のあれではないとこう言っているわけですね。国会での説明でもそのようになっています。――そう言ってるんです。一遍それで……。
  158. 中江要介

    政府委員中江要介君) ただいま御指摘の点は、韓国側は日韓正常化直後の韓国における議会の討議の審議の中で、韓国の政府筋の説明といたしまして、紛争の解決に関する交換公文の対象には、韓国固有の領土である竹島は含まれないと、こういう説明をしているという事実はございます。
  159. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、そういうことですわ。ですから韓国は、要するに竹島はそういう交渉の国じゃないと言っているわけですよ、紛争の。韓国固有の領土であって交換公文で言ういわゆる外交的手段によって解決をすべき国じゃないなんて言っているわけですよね、もう。ということは、大臣が、いまちょっと局長にささやかれておられたように、そういうところはぼっとこう違うわけ、認識が。ですから、これは現実の問題として、そういうふうに韓国は認識をしているわけです。そうしますと、幾らこっちが約束を守った、どうしたと言ってけじめをつけなければならない限界に来ていると、大臣が何ぼ言ってみても、けじめをつけなければならない限界なんて向こうはないわけ、早う言うたら、これ。韓国側はもう固有の領土だと、しかも交換公文で言う、このいわゆる紛争の解決に当たっての手段としてこの交換公文が結ばれた、それを、日本は竹島をそれ、ちゃんと目当てにしてやったわけですけれども、竹島という名前が明記されていないということや、あれやこれやを理由にして韓国はそうじゃないと言っているわけです。そうなってくると、実際これはけじめをつけなきゃならないわけですけれども、これは実際問題どうしてつけますか、これ。
  160. 園田直

    国務大臣園田直君) いまおっしゃいましたような議会における発言、それからその次にはこの竹島に対する有効支配の実効をどんどん積んでいく、ときがたつにつれて次から次に重ねてくるという経緯を踏みながら今日まで来たわけでありますから、ここで一つの契機を求めて向こうとしゃんと交渉するのには、私はこの信義は尽くすだけ尽くして、その上でこちらが腰を据えて交渉すべき時期に来ておると、こう思っておるわけであります。
  161. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、大臣おっしゃる意味もよくわかります。たなの審議をできるだけ終えて、それでさらに交渉を続けたい。ところがこの紛争解決のための交換公文というのが現実にここにあるわけですね。これは「日本国大韓民国との間の紛争の解決に関する交換公文」ということで、韓国側と日本側と大体同じような文章で結ばれておるわけです。「両国間の紛争は、」ということで、この「両国間の紛争は、」という「紛争」がいわゆる日本は竹島の問題であると、こういうようにきちっとしておるわけですけれども、韓国側はそうじゃないとこう言っているわけですよ。要するに、これはいわゆる外交上の経路を通じて平和的に解決するのは、日本は竹島はそうやとこう思っているわけですけれども、向こうはそれは入らないと、こう思っているわけですからね。だから、大臣が言うこの交換公文の約束違反だと日本側は言っても、向こうは、入ってないわけですから、違反もへったくれもない、逆に言うたら、これね。こういうことになってくるわけです。ここのところは、やはり両方とも、韓国側もそこのところを、まずそこのところぐらいははっきりしていただかないと、日本の外務省当局もそこら辺のところぐらいははっきりしていただかないと、これは今後の問題としても非常に質問をやりにくいわけですがね。どうです。
  162. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先日の竹島問題についてこの委員会で御議論がありましたときにも総理からお話がございましたが、これから思いを新たにして交渉する最初のところは、いままさしく先生が御指摘になりましたように、これが日韓間の紛争であるのであるから、基本関係条約締結しましたときに交換されました紛争の解決に関する交換公文にのっとって日韓両国で平和的に解決するという、まず土俵に乗るということについて韓国側の立場をはっきりさせる、そこから始まる、こういうふうに思います。
  163. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、そこら辺のところをきちっとしなければ、たったそこだけでも、これはもうとてもわれわれとしても納得はできないし、たったそれだけのことすらまだ韓国側と合意に達してないのか。これでは物はなかなか解決しませんね、実際問題。そんな簡単なことでもきちっとできないようでは、たなの解決なんて思いも及ばないということにもなる。  そこで次に、これは外務大臣、先ほど、午前中の中国とも多少関係があるわけですが、尖閣列島で問題がばっと起きましたときには、自民党の中自身も、党内でも相当大きな問題になりまして、そして尖閣列島の問題が決着がつかなければ、日中平和友好条約交渉再開すべきではないということで相当強硬な意見が出ましたですね、現実の問題として。ところが、この竹島の問題でも先月の――きょうは一日ですから先月になりますが、先月の初めにイカ釣り漁船が向こうの警備艇や軍艦に追い出されるというような事件が起きても――これは韓国側の行った行為なんというものは、私は大変なものだと思うのですけれどもね。ところが、韓国側のこういうような姿勢、本当にけしからぬ、もうこの際大陸だななんか多少あれしてもというような、やっぱり相当厳しい、いわゆる党内の世論というのが高まってもしかるべきだ。ところが実際問題、そういうようなあれが、政府も全くそういう問題について熱意を示さない。これでは私は共同開発という問題から考えてみても、やはり友好的で、かつこういうような問題についてもそういう事故も起きないようにするためにも、私は政府のいわゆる日韓問題に対する熱意あるいは竹島の問題に対する熱意、それが足りない、そういうふうに私は思うわけですが、この問題について、これは外務大臣、どのように思いますか。
  164. 中江要介

    政府委員中江要介君) 竹島は、御承知のように、日韓正常化いたします前から、すでにマッカーサーライン、それから李承晩ラインというような戦後の不幸な事実の経過の中で韓国側が事実上支配するという状況にあったわけでございまして、そういう事実があった中で日韓正常化が行われた。したがって、日韓正常化のときに竹島の領有権問題も正常化するというのが理想であった。当時それが非常に議論されたということは御承知のとおりでございます。  当時の日本政府の決断といたしましては、ほかの基本関係条約、請求権の経済協力の問題、漁業協定――これはもう李承晩ラインでずいぶん日本の船がつかまっておりまして、安全操業が確保されないという深刻な漁業問題、そういった問題のすべてが解決しましても、竹島の問題だけがついに決着を見なかった。そこで、あくまでも竹島の決着を見るまでこの日韓の正常化を行わないのか。少なくとも竹島については今後話し合いによって平和的に解決するということで、最終的な決着は後に延ばしてまず正常化をするのがいいのかという、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 その決断に迫られて、一九六五年に日韓正常化いたしましたときは、この竹島問題だけを積み残したという経緯がございます。したがいまして、日韓間が外交関係を持ちましたときからすでに竹島は韓国によって事実上支配されている。韓国の言い分は、これは固有の領土を事実上支配しているのはあたりまえだという立場でございますし、わが方は、固有の領土を韓国が事実上支配しているのは不法占拠であるということで、日韓正常化のとき以来意見が全く対立している。  この紛争の解決に関する交換公文と言いますのは、当時申し上げましたように、積み残された紛争はこれだけであったわけですから、こういうものがなかりせば、この紛争の交換公文は要らなかったわけです。漁業協定にも、請求権協定にも、紛争解決の条項がそれぞれについておるわけですから、いまさら一般的な紛争解決の交換公文というのは要らなかったのに、これをつくったのは、日本も韓国も実は竹島を念頭に置いていたということは、これはもう客観的に見て否定し得ざる事実である。したがって、韓国側が自国の議会でどういうふうな説明をしようとも、客観的にはこれは竹島を念頭に置いたものであるということは疑いを入れないということを、当時日本の椎名外務大臣国会で明確に御説明になっておるところである。  その後、この竹島の問題につきまして、せっかくの紛争の解決に関する交換公文が事実上守られるというか、事実上その交換公文に沿った解決の努力がなされていないということは、これはまた他方事実でございますし、これは非常に遺憾なことでありますのみならず、その間韓国がいろいろ竹島に対する人員の配置とか、構築物の新設とか、そういう事実を重ねてきていることも、これはそのたびごとに日本は抗議はしておりますが、一向に改まらないということも、これもいま大臣が言われましたようにはなはだ遺憾なことと思っておるわけです。  ただ、これを解決いたしますためには、韓国側が、先ほど私もちょっと申し上げましたようにそれじゃひとつこの紛争を交換公文の線にのっとって解決しようという気持ちにならなければ、これはそもそも外交上の経路と申しましても話にならない。そういう雰囲気、そういう契機をつかむということがいままでの間に行われなかったということでありますが、先般来、この機会に思いを新たにして、竹島問題について交換公文の線で韓国側といよいよこれを正面に持ち出して話をするときが来たのじゃないかということでいま臨んでいる。  こういう経緯でございまして、竹島が平穏無事に日本の固有の領土であるところへ、いきなり韓国が不法に上陸して占拠したというようなことでなくて、そもそもスタートのときから先方の事実上の支配があった、これを解決するのに日本は力を使わないという外交政策をとっておりますし、韓国の間ではこういう平和的な解決のための交換公文というものもあるわけですから、粘り強くこれに基づく話し合いによる平和的解決を目指すということが、実は長い期間をいままでかけてきてすかっとした解決ができてない一番大きな理由だと思いますが、私どもは竹島問題が発生いたしました歴史的な経緯と、それから戦後日本がとっております外交政策、あるいは憲法のたてまえ、そういったところからやはりやむを得ない事情もあった。しかし、それはいまやもう一歩踏み込んで日韓間でこの問題を正面から取り上げることを考えるべきときが来た、こういうのが現状だ、こういう認識でございます。
  165. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、そこら辺の経過は私よくわかっているつもりなんですけれども、大臣、そうしますとこの際、韓国側も日韓基本条約の際のいわゆるあの交換公文に約束された竹島の話し合いに私は応ずる義務があると思いますが、これはどうですか。
  166. 園田直

    国務大臣園田直君) そのように私も思います。
  167. 峯山昭範

    峯山昭範君 この約束に応じようとしない韓国政府態度条約違反ということに私はなると思いますが、どうですか。
  168. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私がいま経緯で御説明しましたように、正式に外交上の経路で解決しようと、具体的に言えば、何らかの竹島問題のための紛争処理の機関を設けるとか、協議機関を設けるとか、あるいは定期閣僚会議の正式の議題として大いに論争するとか、そういうところにまでまだいっておらないわけですから、まず今回、外交上の経路で解決するということについて韓国側に正式に働きかけて、そしてこの交換公文の線で日韓間の紛争を解決する、そういうことを正式に取り上げました上で、韓国が果たしてこの交換公文に沿った態度をとるかとらないかということが判断されるに至るものだと、こういうふうに思っておりますし、いままでは日本側といたしましては、将来の調停なりその他の解決のときに日本態度を明らかにしておくために、そのたびごとに抗議を文書に残し、あるいは記録にとどめて、そしていままでその機会を待っていたという状況でございますので、いまただいまの時点で韓国側がこの交換公文に違反していると決めつけ得るようには事態は熟していないというふうに思います。
  169. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、機は熟してないとおっしゃっておりますが、現実の問題としてこれはもう十数年、二十数年、日韓基本条約からいいましても十数年たっているわけですね。もう待ちくたびれてしまっているわけです、みんな、この関係者は。そういうような意味では、私はもういままで応じようとしない韓国政府態度はやはりこれは条約に違反しておる。もしこれからもこの問題が提起されて、この話し合いに応じないなんということになってくれば、これはやっぱり条約違反ということになる、そうなりませんか。
  170. 中江要介

    政府委員中江要介君) これから日本が誠意を尽くして韓国に交換公文にのっとった解決を呼びかけても、いままでと同じようにかたくなに入り口で拒否し続けますと、いま先生がおっしゃったようなことになっていくと思います。
  171. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、中江アジア局長さんが初めて違反という話を口から言いましたけれども、大臣、がんとして一音もそんなこといままで言わないでがんばっておりました。これは要するに――それじゃいまアジア局長の答弁を逆に言いますと、いままで何回も何回も呼びかけてきたわけでしょう、この問題については、少なくとも竹島のこの紛争解決の話し合いについては。いままで呼びかけてないんですか。いままで何回か呼びかけてきたわけでしょう。それに対して応じなかったわけでしょう。どうなんです。
  172. 中江要介

    政府委員中江要介君) いままでは日本政府は抗議をいたしてまいりましたけれども、竹島の領有権問題というものを議題として取り上げて話し合おうということを正式に提案したことはないわけです。
  173. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、これはアジア局長、非常にまことに遺憾な話ですな、これ。いまだにまだ一回もこの交換公文に基づいた竹島の問題を、抗議はするけれども、話し合いの議題にして、この問題を話し合いをしようとしたことがないということ自身、外務大臣、これどうなんですか。私はもう非常に遺憾と思うんですよ。きょうこれからまた後、この間ちょっと総理大臣といろいろな漁業権の問題や鉱業権の問題を話し合いをしましたけれども、現実に竹島に鉱業権や漁業権を持っていろいろな問題を抱えておる人たちからすれば、これは長年政府がほったらかしていたというこの事実ですね、その責任というものは私はこれは必ず生じてくるし、また問題になると私は思うんですよ。これ、どうなんですか。
  174. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私が先ほど申し上げましたように、外交上の経路で話し合うということをいつ先方申し入れるかということは、これは一般論でございますけれども、先方がその話し合いに応じて建設的な話し合いができ、かつ何らかの解決の見通しが立つという雰囲気でございませんと、ただ提案してだめだと言われることだけでは意味がないじゃないかということで、昨年の九月に第九回の日韓定期閣僚会議がございまして、そのときに、竹島について紛争の解決に関する交換公文に沿って外交的に話し合って解決したいということは言っておりますけれども、正式に韓国側との間で、より具体的にどうしようということはまだ話をしておりません。  それで、昨年になりましてどうしてそういうことが問題になり得たかといいますと、先ほどおっしゃいましたように、一九六五年に正常化いたしまして、もう十二、三年という歳月が過ぎてまいりました。日韓関係といいますのも、韓国の経済状態をごらんになってもおわかりでしょうが、だんだんと韓国自身も発展してまいっておりまして、いまや日韓双方がこういった問題を冷静に取り上げ得る雰囲気になったのではないか。それまでは、御承知のような日韓関係の過去がございますし、いろいろの分裂国家の問題も抱えておりますので、取り上げること自身が国民感情の問題となって、ただ雰囲気を悪くするだけということでは真の解決につながらない。両方が冷静に取り上げ得るようになって取り上げるというのが、やはり国と国との間では好ましい姿ではないか。  そういう意味で、昨年あたりから例の日韓定期閣僚会議も、いままでのような経済協力ばかりをやるのではなくて一般的な問題を取り上げる場にしようということを、たしか一九七三年の暮れあたりからわが方も考え始めまして、韓国側も、この定期閣僚会議の場で経済協力の枠を決めるというような、そういうのはもうやめようということで、だんだんと正常化された閣僚レベルの会議ということになってきた、この雰囲気の上で竹島問題もぼつぼつ取り上げても、国民感情を余り刺激しない形で冷静な領有権の話し合いができるのではないか、そういう判断で口火を切り始めたわけでございまして、その間決してほったらかしていたというわけではなくて、やはり領土問題というのは、どこの国でもそうでございますけれども、国民感情が入って、どちらかというと刺激的な、感情的な議論に終始して、結果として何ら収穫がないという場合が多いわけですので、いわんや日韓両国民の間のいろいろの問題を考慮いたしますと、やはり冷静に話し合える雰囲気の中で取り上げる、そういう時期が昨年あたりからもう考えてもいいのではないかということで、先ほど申し上げましたように昨年の九月にそういう口火を切りましたし、またことしの二月に、園田外務大臣が御就任になってからですが、韓国の外務部長官が東京を経由してヨーロッパに行かれるときに、外務大臣同士の話し合いがありまして、そのときにもこの問題についてぼつぼつ考えようではないかという話は静かに行われ始めているということはあるわけです。それを急激に、ただ正面から、あれは交換公文の線でやらなければ、その精神に反しているじゃないかといって持ち出しただけで果たして目的が達せられるかという点が、実は私どもがいままでいろいろと考えてきた主要な要点であったわけでございます。
  175. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、いまの説明を一〇〇%あれとしたとしても、何にもしなかったのと一緒ですな、結局は。地元の人たちは、そんな静かにそっとなんというのはわからないわけですからね、漁業権を持っている人から見れば、静かにそっとなんというんですから。そんな、島を取られていて、静かにそっとなんて、そんなうまいこといくわけないでしょうし、ですから私は、これはやはりいままでの政府の取り組みということについてその都度抗議をしたり、あれこれしてきたということはそれはそれぞれあったでしょう。また最近になってようやく日韓定期閣僚会議でもこの問題を取り上げようとする機運が高まってきたということもわかりました。そうなってきますと、それではいままでのことはさておきまして、外務大臣、これはこの次の日韓定期閣僚会議というのはいつごろの予定なんですか。
  176. 中江要介

    政府委員中江要介君) 日韓定期閣僚会議はまだ正確な日時はもちろん決まっておりませんし、外交ルートで話し合ってはおりませんけれども、双方ともいままでの例で見ますと秋の初めごろ、八月の末であったり九月の初めであったりすることがいままで多うございますので、ことしもその辺の双方の政治日程を見まして、可能であればそういうことを正式に提案する運びになろうかと思います。  で、これは関係閣僚が数人ずつ出ての大会議でございますが、外交問題につきましてはそれとは別個に外相同士の話し合いというものは、これはその機会に持たれることがございますし、それ以外にも、先ほど申し上げましたように適当な機会をとらえて韓国の外務部長官が日本を通過されるようなときには進んでそういう会談がいままでも持たれてまいりました。したがって、今後この問題は外交上の経路で話し合うということですから、先日も総理も言われましたように、経済閣僚その他教育問題、環境問題、そういった問題を幅広く論ずる定期閣僚会議の場というよりも、むしろ外相会議といいますか、外務大臣同士の話し合いのところでじっくりと話し合っていくという方が適当ではないかというふうに考えられておるわけでございます。
  177. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、外務大臣、これはことしの秋のいわゆる閣僚会議では私はこの竹島の問題が議題になるのは当然だと思うんですが、どうですか。
  178. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は外相会議でこれは議題にすべきであると考えております。
  179. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは外相会議でこの問題をテーマにすると。この問題を早く解決しない限り、実際問題としてはこれは長年この問題がきちっと議論されなかったということについてはわれわれ非常に不満でありますし、国民の側から見ても、いまアジア局長が言うように機が熟さなかったとはいえ、十数年にわたってそのままほったらかしにされていたということは私は非常に遺憾だと思う。そういうような意味では、これは外相会議、これは外務大臣が五月の二十六日の衆議院の外務委員会発言された内容といま外務大臣のおっしゃったこととはちょっと違いますね。衆議院の外務委員会では日韓定期閣僚会議でこの問題をテーマにすると。そうでなければ――外務大臣会議録読みますと、竹島問題を議題にすることは当然である、当然のことが入れられなければいろんな会議をやっても無意味である、こういう意味発言をしていらっしゃいますが、いまの答弁ですと、定期閣僚会議ではなくて外相会議でテーマにするんだと、こういうことなんですが、外相会議というのはいままではこれはあったんですか、定期的にあったんですか、これは。
  180. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは定期閣僚会議の機会には必ず外相会議というのはあわせてその機会に行われております。
  181. 峯山昭範

    峯山昭範君 その前段の問題、どうですか、外務大臣
  182. 園田直

    国務大臣園田直君) 確かに私は経済閣僚関係の時期でこの議題を出したい、こう言っております。そう言いました意味は、その機会に外相同士の会議がありますから、全体会議ではなくて外相同士の会議でこれは話を詰めるべきである、こう考えておるわけでございます。
  183. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題、ぜひこれは、もし、定期であるかどうかわかりませんが、外相会議、私きょう初めて聞くわけですが、その外相会議、竹島のことが議題とされないようならこれはもう開く必要はない、そのぐらい強い気持ちでいなければいけないと私は思うんですが、この点どうですか。
  184. 園田直

    国務大臣園田直君) そろそろそういう問題になってくるわけでありますが、これは委員会の答弁ということではなくて、実際にこの問題を解決するためにどのように私考えているかということを申し上げてみたいと思いますが、理由はいかにあれ、日韓の条約が結ばれるときにはすでに竹島は実力によって占拠されておりまして、それ以来十数年やってきた、議題に出そうとすれば向こうがいやだと言う、そうするとそのまま会議が開かれる、こういう状態できたわけであります。かといって、そんなら自衛隊、自衛艦をどうするかというとこれもできないわけであります。  そこで、一つの踏ん切りをつけて腰を据えて交渉しなきゃならぬわけでありますが、私も総理がおっしゃったとおりに思いを新たにしてこの大陸だなが通ったらひとつ交渉したい。それからなお、日本と韓国は特別の関係でありますから、日本と韓国の中に重大なそごがあったりあるいはこれが断絶したりするということはこれはよくないということは総理も私も同じ考え方であります。外務大臣としては、しかし二国が本当に提携をしてやっていくためには二国間に横たわっている懸案問題は解決をし、そして相互が理解するような体制をとることが本当の私は日韓関係である、こう考えております。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 したがいまして、ほかにそんならこちらがもう一遍今度の外相会議あるいは閣僚会議でこの竹島の問題を取り上げよう、議題にしよう、こう言った場合相手がいやだと、こう言えばそんなら仕方がありませんと、それじゃやめてやりましょうかというようなことでは――これから未来永劫にこれは続くわけであります。  そこで、私と総理考え方は全く韓国に対しては一致である、外交関係も一致でありますけれども、総理外交基本方針を握っておられる、私は現場で折衝をするわけであります。その折衝する外務大臣が、向こうに出して断ったら仕方がないから外相会議開きますとか、あるいは向こうが断ったら仕方がありませんからこうしますというようなことでは私は話は進まぬ、こう思うわけでありまして、若干やはり外務大臣相手にこたえるようにできぬことも大目に見てもらわなければ、私は外相会議、閣僚会議というものはこちらが議題を出して聞かぬというようであれば開いても意味がない、あるいはまたこちらが経済協力をしておる、経済協力をしておる方がされておる方とお話しをして、それが聞かれぬというようなことでは困るというぐらいのことは言わしてもらわぬと、それじゃ総理と意見が違うじゃないか、閣内不統一かと責められたんでは、外務大臣は全く手がないわけでありますから、私はそういう決意で、会議についてもあるいは経済協力についてもいままでのとおりでいいとは思っておりません、本当に日韓関係がよくなるのには経済協力についてとかく疑惑を呼んだりあるいは批判を受けたりするようなこともなくしなければならぬし、竹島の問題も、双方つらいところでありましょうけれども、一挙に解決するか二段階で解決するかわかりませんけれども、少なくとも交換公文書で交換をしたその平和的話し合いという土俵だけには乗ってくれなければ、私としては、外務大臣としては仕事ができないわけでありますから、それらについては相当な決意を持って外務大臣やらなきゃならぬ、こういうのが私の考え方でございます。
  185. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は外務大臣のおっしゃることよくわかります。ですから、外務大臣がいまおっしゃったことは総理大臣考え方が違うとか、そういうことで追及しようなんで毛頭思いません。それは私はもっと強烈にやってもらいたい。といいますのは、もう竹島の問題を話し合うんでなければ日韓閣僚会議もみんなやめましょうと、そのぐらいの強いあれでないといけない。もっと言うと、竹島の問題が解決しない限りほかの問題みんなだめだというふうな、まあそこまでいかないにしても、それに近いやっぱり強い姿勢でないと、現実の問題として外務大臣やいまアジア局長がいろいろ説明しておりますように、過去の出来事や経過やいろんなことを一つ一つきょう私ずっとやっている間はありませんけれども、一つ一つ見ると、これはすべて日本側の甘い期待では解決できないようになっているわけですよ。そのためには、いままでの外務大臣と違って非常に日本の竹島の問題について御理解のある外務大臣なんですから、相当やっぱり強烈な姿勢でこれは当たっていただかないと解決はしない、そういうふうに思うわけです、実際問題として。したがって、私はそういうような意味で、この問題についてはもう一歩踏み込んで強烈に取り組んでいただきたいと私は思うんですが、もう一遍大臣の答弁をお伺いしたい。
  186. 園田直

    国務大臣園田直君) いままで十何年そうしてきたことを一つの土俵に乗せるわけでありますから、相当な決意でやらなければ土俵に乗らぬと思いますので、そのような決意で私は交渉を始めるつもりでおります。
  187. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは外務省に対する質問、そのくらいにしまして、大臣お疲れでございましょうから、しばらく結構です。
  188. 楠正俊

    委員長楠正俊君) また要求があるときにちょっと言ってください。
  189. 峯山昭範

    峯山昭範君 はい。  それでは、竹島の問題について今度は現実的な問題をもう少し詰めておきたいと思います。先日の総理出席委員会におきまして、私は漁業権の問題と鉱業権の問題を少し取り上げましたけれども、これはやっぱりもう少し具体的にやっておく必要がありますので、この後詰めたいと思います。  まず、水産庁長官にお伺いをいたします。お見えになっていますか。  先日の委員会におきまして、竹島における漁業権等の問題が一応明らかにされましたが、現在までの経過等を含めて再度御説明をお願いしたいと思います。
  190. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 竹島周辺におきます漁業権の問題につきましては、戦前は特に設定はされておりませんでした。戦後、二十八年になりましてマッカーサーラインの撤廃、あるいは対日平和条約の発効によりまして、竹島が島根県の管下に復帰することになりました。その際に、隠岐島の漁業協同組合連合会から竹島周辺に対してアワビ、サザエ、ワカメ等の採捕についての共同漁業権の設定の申請がございまして、これに対して免許をいたしております。その後、同漁業権は三回ほど更新されまして現在に至っております。ただし、その中間におきまして一部漁種が脱落――脱落と言いますか、なくなって、減っております。  以上でございます。
  191. 峯山昭範

    峯山昭範君 ただいま話のありました漁業権は漁業法第何条に言う漁業権でございますか。
  192. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 漁業法第十条によります漁業権でございます。
  193. 峯山昭範

    峯山昭範君 第十条の漁業権は、「漁業権の設定を受けようとする者は、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。」と、こういうふうになっておりますね。そうしますと、その第十条はわかりました。それで、その漁業権のいわゆる種類ですね、これは第何条の第何項に言う漁業権でございますか。
  194. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 竹島に現在設定してございます漁業権は第一種共同漁業権でございまして、これは漁業法第六条五項の一号に規定してございます。
  195. 峯山昭範

    峯山昭範君 漁業法第六条第五項第一号に規定された第一種共同漁業権が設定されているわけですね。
  196. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) はい。
  197. 峯山昭範

    峯山昭範君 その漁業権は、現在のものは昭和何年何月何日から何年何月何日までの漁業権でございますか。
  198. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 免許は昭和四十八年九月一日からでございまして、漁業権の存続期間は昭和五十八年八月三十一日までとなっております。
  199. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、昭和二十九年から何回か切りかえられまして、漁業権は昭和五十八年の八月三十一日までこの漁業権があるということでございますね。
  200. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) そのとおりでございます。
  201. 峯山昭範

    峯山昭範君 この免許されました漁業権は、漁業の区域はどういうふうになってございますか。
  202. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 漁場の位置は島根県隠岐郡五箇村竹島地先ということで、漁場の区域といたしましては、五箇村竹島周囲、最大高潮時海岸線(沿岸、島嶼を含む)から距岸五百メートルの線によって囲まれた区域ということになっております。
  203. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、この漁業権は従来三海里とか十二海里ということが問題になりましたけれども、そういうふうなものとは全く関係なく竹島の満潮時のその海岸線から五百メーターの線を引いたところ、ずっと周りですね、そういう  ことでございますね。
  204. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) そのとおりでございます。
  205. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、その海津線のいわゆるその漁業するところというのは、全く竹島に行かなければ漁業とてもできないということになります。そこで、そのいわゆる漁業の名称、中身ですが、これはどういうふうなものでございますか。
  206. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 漁業の名称はワカメ漁業、イワノリ漁業、テングサ漁業、アワビ漁業、サザエ漁業、以上五漁種でございます。
  207. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、ワカメ、イワノリ、テングサ、アワビ、サザエでございますね。そうしますと、そういうふうなものは、これは全く竹島まで行かなければこの漁業はできないわけですが、まず一番最近に行ったのはいつごろか、おとついもちょっとお伺いしましたが、この点ちょっともう一回。
  208. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもが承知いたしておりますのは、昭和二十九年に調査のために島根県の試験船が参りまして、この際に隠岐島漁業協同組合連合会の組合員が試験的に操業を行った。正確に申し上げますと昭和二十九年五月三日でございます。
  209. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、それ以来この漁業権は行使されていないわけでございますか。
  210. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) この漁業権につきましては、漁業権の行使規則、これは当然漁業権者でございます隠岐島漁業協同組合連合会がつくりまして島根県知事の認可を受けて発効するものでございますが、これの行使規則ができておりませんので、いわゆる漁業権としての正式な行使と言えるかどうかについては、厳密な意味で若干問題があると考えております。
  211. 峯山昭範

    峯山昭範君 現実の問題として、いまの漁業権の行使規則って、これ何ですか、それは。もうちょっとわかりやすく一遍言うてください。
  212. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 漁業権につきまして、特に共同漁業権につきまして御説明申し上げますと、漁業協同組合の組合員は、その漁業権を持っている協同組合またはそれらを会員とする連合会が行使規則をつくりまして、その行使規則に基づいて初めてその漁業権を営む権利を有するというかっこうになっております。
  213. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは漁業協同組合に、隠岐島漁業協同組合連合会にその行使規則がないというんですか。
  214. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 本竹島に設定されております島での共同第百二十九号につきましては漁業権の行使規則が定められ、なおかつ知事の承認を得てはおりません。
  215. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、もっとわかりやすく言うとどういうことですか。
  216. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 具体的に申し上げますと、昭和二十九年五月三日の操業は試験的に実施したということのように私らは理解しております。その後、実際には韓国が実効的に支配したために出漁ができなかったので、特に漁業権行使規則を決めていなかったというふうに考えております。
  217. 峯山昭範

    峯山昭範君 その行使規則がなければ漁場に行ってはいけないんですね。
  218. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 行使規則に基づきます行使ということは、あくまでも漁業権に基づく行使でございまして、これは排他権を有するわけでございますが、ただ、この場合に行使規定が決められておらない場合には、当然なことながら行ってとることは差し支えないというふうに考えております。
  219. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、この隠岐島漁業協同組合の組合員が現場へ行って漁業をすることは構わないわけでしょう。
  220. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) そのとおりでございます。
  221. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、漁業協同組合以外の人たちがとることがいわゆる拒否されているということですね。
  222. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) それ以外の組合の人たちが行使、とりに行くことも可能でございます、現在の状態においては。
  223. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一回、いまの。
  224. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 現在の状態においては行使規則が特に定められておりませんので、排他的な権利が十分発生しているとは考えられませんので、ほかの組合の方が行かれることも可能でございます。
  225. 峯山昭範

    峯山昭範君 この行使規則がつくれなかった理由は何ですか。
  226. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもが県から聞いておりますところによりますと、やはり先ほども申し上げましたように、実質的に出漁ができないで現在に至っているために、その間に特に行使規則をつくる必要がなかったというふうに伺っております。
  227. 峯山昭範

    峯山昭範君 だから、行使規則がつくれなかった理由にはなりませんね、いまのは。どうしてつくれなかったのですか。
  228. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 何で組合がおつくりにならなかったのか、私の方では十分先ほど申し上げたような以上のことはわかっておりません。
  229. 峯山昭範

    峯山昭範君 水産庁というのは非常に無責任なとこですな。きのうは水産庁長官は行ってもいいと、そういうふうに発言をし、しかも行使規則が、いま行使規則がなければだれでも行ってもいいんだと、こういうふうに言っていますね。それなら行使規則がつくれなかった理由というのはどういう理由かと言うと、聞いてないんだと、そんなばかなことありますか。行使規則がつくれなかった理由はどういうことなんです。もう一回言ってください。
  230. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもが考えておりますのは、やはり韓国が実効的支配を行っていたために、陸をも使います共同漁業権については全く出漁ができなかったためにつくらなかったのであろうと私どもは考えている次第でございます。
  231. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから韓国が実効的に支配をしているから、実際に漁業に出漁することができないから行使規則がつくれなかったわけでしょう。違いますか。
  232. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) そのとおりだと私らは理解しております。
  233. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、行使規則なんというものはこれは実際問題として初めからなかったんですか。
  234. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 当初漁業権を設定いたしましたときからなかったと聞いております。
  235. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、初めからつくれなかったというのは、結局先ほども出てまいりましたように、韓国は実質的にこのいわゆる竹島を支配しているということですね。したがって漁業に出漁することもできなかったし、かつ行使規則もつくれなかった。しかし、一昨日の当委員会では水産庁長官から、行ってもいいという許可がいよいよ出たわけですから、いよいよこれは行くということになります。それに対して水産庁は、もし行くということになりました場合、どういうふうな指導をされます。
  236. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 先日長官が申し上げましたのは説明に不十分なところがあったと思いますが、制度論として漁業権者であります隠岐の漁業協同組合連合会に属しております協同組合の組合員が漁業権の行使をなし得るというふうに申し上げたんだと考えております。
  237. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということはどういうことですか。
  238. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 先ほどから申し上げておりますように、竹島におきます漁業権につきましては半径五百メーター以内の海面の採貝、採草を目的とするものでございます。この行使に当たりましては当然岩礁が多いこれらの海域と、これに隣接いたしました陸域とを一体にして利用する必要がございますが、事実上現在韓国が同島を実質的に支配している関係から、安全操業はなし得ないものと考えておりまして、私どもといたしましては今後安全操業の確保を第一に考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  239. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、そういう場合漁民に対してどう指導するんですか。
  240. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもといたしましては、現在の状況では陸をも含めた本漁業権の操業というものは安全的になし得ない状態にあるというふうに考えておりますので、その旨漁業者に申し上げたいと思っております。
  241. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、どういうことですか。
  242. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 現在は、安全操業がなし得ない状態にあるということでございます。
  243. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、安全操業はなし得ないものと思うと。だから行くなと言うんですか。この間は行ってもいいって長官言うたですよ。
  244. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) この間は長官は制度的にそのように申し上げたわけでございます。
  245. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、制度的には行ってもいいと、そういうふうに言ったと。それじゃあなたはやっぱり制度的には行ってもいいと、そういうことですね。
  246. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもとしては、制度的には行っていいと思いますが、現実の問題として操業が不可能であろうかと考えておる次第でございます。
  247. 峯山昭範

    峯山昭範君 操業が不可能であろうかと、いろんなことを言うていますけれども、要するにどういうこっちゃね。要するに行くのをやめとけと言うのか、行ってもええちゅって言うのか、ちょっと危ないけれども行ってもいいと言うのか、注意、して行けよと言うのか、やめとけと言うのか、やっぱりわかりやすく言うてもらわぬとこれはいかぬです。
  248. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 行くことはきわめてむずかしい、危険を伴うといいますか、行くことは非常にむずかしい問題であろうというふうに考えておりますので、漁業者の方々には行っていただきたいとは思っておりません。
  249. 峯山昭範

    峯山昭範君 行ってもらいたいとは思っていないと。非常に危険が伴うと、そやけども行くなとは言わないというんですね、そういうことですね。
  250. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもとしてはそのように考えております。
  251. 峯山昭範

    峯山昭範君 わかりました。危険が伴うから余り行ってもらいたくない、行くなとは言わない。それだけ言うからには、それだけのことは後でやってもらいます。  次に、まず海上保安庁お見えになっていますか。――ここで、いよいよ多少危険が伴うそうですが、行く分には構わないそうです。安全操業には多少支障があるけれども、心配しながらこれは行ってもいいということになるわけですが、そうなりますと、海上保安庁は、現実に漁船が、これはどうしても三海里とか十二海里なんという問題じゃないわけですよ。もうアワビ、サザエですからね、五百メーター以内ですからね、とてもじゃないけれど、普通のあれじゃないわけです。日本の漁船がもしこの竹島に行ったとします、海上保安庁どうします。
  252. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先ほどからお話が出ておりますように、二十年代にかなり私ども自体が上陸をしまして、日本の固有の領土である竹島を失いたくないということで努力をしたのは、たしか九回ばかり上陸してやった経緯は実はございますが、いまお話がちょうどありました二十九年の五月に、これも確かめてみないとわかりませんけれども、最後に巡視船で、試験操業と先ほど水産庁の次長が言われたことで、日本の漁民が行かれたということを私ども承知をしておりますが、その後全く上陸はできない状態になっております。  それから、巡視船の調査につきましては一昨日もここで御報告申し上げましたが、ごく最近の例で言いますと、昨年の八月三十一日の状況、一昨日ここで説明しましたが、二十九年のときから言いますと、恐らく二十九年の秋ごろから巡視船が銃撃を受けて上陸できないという客観情勢になって今日に至っております。現実から言いますと、私ども先ほどから聞いておりますその竹島に上陸をして、沿岸五百メートル以内である種の魚介類、その他海草類をおとりになるということはできないと私どもは承知しております。
  253. 峯山昭範

    峯山昭範君 できないというんじゃなくて、日本の漁民が行くんですよ、これから。海上保安庁、貝が、アワビがいないというわけじゃないんでしょう。いるから行くんですよ。漁ができないというのはどういうことなんですか。
  254. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 竹島の問題については、先ほどから御討議がありますように、平和的に問題を解決する外交ルートでやるということで、私ども基本的にはそういう態度を踏まえて行動しているつもりでございます。一方、漁民の安全操業ということは大事なことでございますので、私どもは、竹島の陸地及びそれに付属する領海内においては、なかなか実際上有効的な日本の施政が及んでいないという現実を認識しつつ、日本漁民の安全操業ということについてどの程度のことを私どもの仕事としてできるかということについて、慎重に行動しているところでございます。  現実に私どもどういうことをやっているかということを申し上げますと、今回の事件が発生しました後で、第八管区に巡視船五隻程度を緊急配備をいたしまして、これは隠岐の島の西郷を基地にいたしまして緊急配備をいたしまして、それから隠岐の島と竹島の間に、隠岐の島の北方海域に巡視船を適宜配備して、漁民の安全操業に役立つように行動しているというのが現状でございます。
  255. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですからね、漁民の安全操業には保安庁としても努力をし、漁民の安全を守るというのは当然のことだと私は思うんですよ。そうしますと、現実に漁業権もあり、一応こういうふうな、昭和二十八年当時からずっと設定された漁業権というものが隠岐島漁業協同組合に与えられているわけです。それで、たとえどういう条件があったにしても、行ってもいいというような発言がおとといあったわけですから、いよいよこれから行こうというわけです。で、海上保安庁ね、要するに、やっぱり三海里とか十二海里とか離れたところへ行くんじゃないわけですね、これ。もう近くへ行かないとこの漁業権は行使できないわけですから、五百メーター以内ですからね。そうしますと、あなた方、いままでの状況はわかりました、それなりにね。  しかしながら漁民の立場からいたしますと、外交上安全にどうのこうのということはわからないわけですよ、そんなことは、国がやることですから。漁民としては、いわゆる第一種の漁業権というのは、憲法二十九条三項で言う私有財産なんですから、いままで長い間しんぼうして、平和的に解決するであろう、するであろうということで、十何年間待ってきたわけですよ。いまだに解決する意図がないんで、もうこの際行ってこなければしょうがないということになってきたわけですね、これ。そうなった場合に、海上保安庁は実際に向こうへ乗り込んで行ったらどういうふうな措置をとるかと言うんです。初めから具体的な話を聞いているわけです。
  256. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生のお話とちょっと違うかもしれませんですけれども、私ども実は漁民の安全操業がこの際非常に大事だということで考えておりますのは、これは漁業の実態ですから、私どもが直接申し上げるのはどうかと思います。むしろ水産庁がよく御存じかとも思いますけれども、いま沿岸の五百メートル以内で、陸岸に上がらなければとれないような魚、貝類等海草のお話が出たと思いますが、それについて私どもが安全操業を図るということは現在の時点では困難である。というのは、一昨日も御報告しましたとおり、島の上にはかなりずっと、引き続きこの場でも御討議のように、不法占拠といいますか、武力的な占領といいますか、そういう事態が島に発生していることは、ここずっともう確かな事実でございますし、私どもの巡視船自体が近づけないという状態にございますんですから、陸に上がっておとりになるのか、五百メートルの中で船を浮かべておとりになるのか、私どもは水産の実態、もう一つよく承知しませんけれども、それは、安全操業を図るということは、私の口から言ったらうそになると思います。  で、私ども、現にいろんな制約がございます。けれども、できるだけその安全操業を図りたいと思って現在やっておりますのは、そういう五百メートルのことではなくて、もっとあの周辺にイカ釣りなどをなさっているだろうと思うのです。その人らがやっぱり、できるだけ巡視船で安全操業をやらせろ、やるようにという御要望がありますんで、限られた条件のもとで私どもどこまでやれるかということを実はいろいろ慎重に考えながらやっているというような、その面の安全操業でございまして、いま先生、繰り返して申し上げるようですが、五百メートル以内の漁業権という、先ほどからお話が出ております貝類とか海草とかということについては、私どもが安全操業を図ることは一切現状ではいたしかねるということでございます。
  257. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに、それじゃ、漁民がそこへ海草や貝をとりに行っても、海上保安庁は何もようせぬというわけですか。
  258. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 現状では、島の事実上の占拠をどうこうするということは、私どもの力ではいたしかねるということであります。
  259. 峯山昭範

    峯山昭範君 占拠されているとか何とか言っていますけれども、あれは要するに日本の島なんですよね。日本の少なくとも国民を守らないといけませんよね、やっぱり。海上保安庁、みんな銃撃されようなんで、漁民がされるのを黙って見ているんですか。そんなばかなことできないでしょう。私も実は離島の出身ですから、私は事情はよくわかります。ぼくは鹿児島の種子島ですけれども、種子島の近くにいろんな小っちゃな島がたくさんあります。島からもたくさん漁船が出かけておりますよ。そういうような小っちゃな島がこういうような韓国の兵隊にぱっとやられているなんていうと、とんでもないことです、これは言ったら。その島の貝や海草をとって生計を立てているわけです。そういう人たちのそれが制限されて二十何年ですよ、これね。そんな甘っちょろい中途半端な考え方で、それは私は通るとは思いませんよ。少なくとも海上保安庁は、徹底的に韓国の警備兵から日本の漁民を守るという基本的な姿勢は、これは、私変わらないと思うんですが、どうなんです。それもないんですか。
  260. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) いろいろお話はございますが、竹島の問題は安全操業の問題、それからその基本となっている固有の領土である領土をどうやって日本の手に取り戻すかということについて、先ほどからの御討議がございますように、平和な外交ルートでやるんだということが国の方針として定められて、私どもはそれを基本的な態度として受けとめているわけでございます。それ以上にどういう方針で現実の支配をどうするかということについては、海上保安庁だけということではなくて、国の方針としてどういう方法が有効であるかということを、ひとつお決め願わなければいけないのではないかと私は思うのでございます。しかし、もちろん私ども漁民の安全操業は大事なことですから、できるだけ許される条件のもとに、私どもは努力しているということでございます。
  261. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんな、いろいろ条件はあって私はわざと言っているわけですけれども、海上保安庁がやっぱりそういうふうな突発的な事件もあるわけですから、少なくともこの漁民の安全を守る。私は韓国の兵隊と銃を構えてイチャモンを起こせと言っているのと違うんです。少なくとも漁民は徹底的に守る。どうしても守れなければ、皆さん方が、私たちはどうしても守れませんからぜひ行かないでほしい。これなら話はわかるんですよ。私たちは、とてもいま向こうへ行ってもらったら、危なくて皆さん方を守ることはできません。できませんから、海上保安庁は海上保安庁として、漁民の皆さんにいま向こうへ行くのはしばらく待ってもらいたい。海上保安庁は海上保安庁として、そう言うなら話はわかる。どうですか。
  262. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 繰り返すようでございますけれども、竹島の現状が韓国の手によって、まことに残念なことですけれども武力的な占領を受けているという事態から言うと、漁民の皆さんをそこまでお守りするということは、私どもの海上保安庁の手では、現実の問題としてできないということでございます。
  263. 峯山昭範

    峯山昭範君 お守りすることはできない、それで漁民は撃たれてやられてこいと言うんですか。だから、その後段がないじゃないですか、後段が。やっぱり海上保安庁は、もちろんぼくは竹島のことでいま言っておりますけれども、少なくとも海上で起きるいろいろな問題、警察行動があるわけですから、海上保安庁としては少なくともそのいろいろな事件に対しては海上保安庁として責任を持っているわけですから、そういうような意味では漁民に対してやっぱり言うことがあるでしょう。それがないと竹島の実情がどうのこうのだから、だからというんじゃ、これは、話はわかりませんよ、それだけでは。
  264. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 竹島は日本の固有の領土であるということは私どもも全くそのとおりのことであります。しかし、現実には残念なことながら韓国に武力占領を受けているということでございます。現実日本の漁民がもしその陸上に上がろうとされるならば、非常に危険な事態であるということを私どもは申し上げたいと思います。
  265. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題、ちょっとやそっとで解決するようにありませんので、とりあえず休憩ですか……。
  266. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 三時十五分まで休憩いたします。    午後三時五分休憩      ―――――・―――――    午後三時三十二分開会
  267. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 商工委員会再開し、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  268. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、また多少方向を変えて質問をいたします。  水産庁にお伺いをいたします。  先ほどから海上保安庁との議論をずっとやっておりました。現実の問題として、地元の漁民の皆さん方は出漁したいわけです。それで、実際に竹島に、この五百メーター以内のところに第一種漁業権に基づく、いわゆる貝類にしても海草にしても、そういうようなものをとりに行く、こういう場合に海上保安庁はどうするかということを先ほどから議論をいたしました。大体、海上保安庁の言わんとすることも私自身はちゃんとわかっているわけであります。  そこで、今度は水産庁にまたちょっと目を移してやりたいと思うんですが、先ほど漁業権行使規則というお話がありました。これは本来、漁業権行使規則なんていうものは、漁業権が設定されると同時に、直ちにその行使規則が提出されて、そしてその行使規則が認可になって漁業権が発効する、これは当然のことだと私は思うんですよ。ところが、あなた方が、私が質問したことに対して、あえてそういうふうな漁業権行使規則を持ち出して、漁業権が正式に発効してないなんていうことをあなた方が言うということは、これは、漁民に対する挑戦ですよ、あなた方はね。本来ならば、水産庁は漁民を守って、そして漁民のいわゆる漁業権というものが十分行使できるように指導をしなければならない。にもかかわらず、その現実の行使という問題について、私は、何とか漁民の皆さん方が正常に生活が営めるようにならなければいけない、日本の固有の領土にどうして漁に行ってはいけないんだと、こういう主張を先般から続けているわけだ。そういうふうなときにあなた方が、漁業権行使規則を盾に、漁業権は実際には発効してないんだなんていう議論が、よくもそんなことを出せたな、ということを私は言いたい。  そこで、あなた方がそういうふうに言うんならば、漁業法第八条第四項に基づいて行使規則を私はすぐにでもつくって出しますよ。あなた方は認可しますか。もちろん知事に出すわけですけれどもね。どうなんです。
  269. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 行使規則が、この場合には隠岐島の漁業協同組合連合会でございますが、漁業権者によってつくられて、島根県に知事の認可申請があれば、これは島根県とその際に十分御相談をいたしたいと思っております。私らは、特にそれを阻止する理由はないであろうと考えております。
  270. 峯山昭範

    峯山昭範君 大体水産庁は、一体何のために水産庁があるんです。隠岐島の漁業協同組合連合会は、竹島の実情が過去何十年間こういうふうになっておるから、水産庁の立場もあろう、また県の立場もあろう、そういうふうなことをいろいろかんがみて、こういうような施行規則を出すのを遠慮しているんじゃないですか、自主的に、それこそ。それを逆ねじを食わして、出してないからまだ漁業権が発生してないなんという理屈は、少なくとも水産庁がそういうことを言うべき筋合いのものじゃない。何のために漁業行政やっているんですか、あなた方は。きょうはちゃんと後で長官に来てもらってください。私は次長でいいなんて言った覚え、まるっきしないですよ、全然。そんな水産庁なら全部やめて交代してもらいたいな、本当に。漁民を本当に守るための水産庁でなくちゃいけないんじゃないですか。そこら辺の姿勢をはっきりしてください。水産庁は何のためにあるのだ。
  271. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもは、日本の水産業の振興と、やはり漁業者の経営あるいは生計が十分なものになるように従来も努力してきたわけでございまして、ただ私は先ほどは、そういう漁業権の行使規則が設定されてないということを事実として申し上げたわけでございます。
  272. 峯山昭範

    峯山昭範君 あなた方が本当に漁民の生活を守るというんならば、昭和二十数年以来現在まで漁業権が規制されてきているわけですね、そうでしょう。そのためにあなた方は何をしてきました、いままで。現実の問題として、アワビやサザエや海草をとって生計を明治何年以来ずっとやってきたわけです。私は、何回も申し上げておりますように、そういう離島で生活をする、海草をとって生活をするという、その生活の厳しさというのは、どんなに厳しいものであるかというのはよくわかっているつもりです。そういうふうに非常に苦労して生活してきた人たちに、あなた方は一体何をしてきたかというんです。具体的に、隠岐島のこの五箇村の皆さん方が、こういう竹島の不法な占拠のために現実に生活がこういうふうな厳しい情勢にもなっている。それは私は、漁民の皆さん方というのは非常にたくましい生活力を持っておりますから、それは環境に順応されて、それは生きるためですから、いろんなことをしながらいままで歯を食いしばってがんばってきたでしょう。しかしながら、もうしんぼうし切れないところまできているという。それをあなた方は、漁業権を行使できない――こんなところで漁業権行使規則なんというのを出す理由なんて、私は聞いてない、そんなことは。あなた方は、漁業権がないんだということを言うためにこれをわざわざ出したんじゃないんですか。
  273. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私は、漁業権がないと、あるいは効力がないということのために申し上げたんではなくて、先生の御質問が、漁業権に基づいて漁業をどのくらいやったかということでございましたので、私は特に行使規則の問題を申し上げたので、決して漁業権がある、ない、ということで漁民が不利になるようなことを考えているわけではございません。この点は誤解をお与えしたとすれば、私の申し上げ方が悪かったんだと思っております。
  274. 峯山昭範

    峯山昭範君 それならやはり、基本的な漁民の生活を守るという方向でいかなければいけない。実は私の手元にも、島根県隠岐郡の隠岐島漁業協同組合連合会の方から陳情書が来ています。この陳情書によりますと、この   一、陳情の趣旨   大韓民國の実力に依る不法占拠に依り島根県隠岐郡五箇村竹島に於る第一種共同漁業権の行使が不能に終始している事は此の不法占拠の排除を怠っている國の責任であります。依って政府は此の漁業権の行使不能に因って漁業権者たる陳情者の被った損害について速やかに補償せられる様措置せられたい。  そしてその事由として、「竹島に第一種共同漁業権を有するものであります。」ということから始まりまして、   陳情者は竹島に第一種共同漁業権を有するものであります。然るに大韓民國は、明らかに日本の領土である此の竹島に灯台、警備員宿舎、無線電信、砲台等を構築し兵を派して、これを不法に占拠し陳情者の組織母体である隠岐島内の全漁業協同組合員の漁業権の行使を実力をもって阻止して現在に及んでおりますが、政府は陳情者並に島根県、島根県議会、隠岐島全町村長等よりした屡次の陳情にも拘わらず妨害排除の措置をとらず陳情者をして毎年数千万円に及ぶ漁業利盛を失わしめつつあります。此の共同漁業権の内容は、和布、岩海苔、天草、あわび、さざえでありまして過去の実績に徴し、その漁獲高は毎年数千万円にのぼるものでありますが、これは後日別途疏明いたします。   而して此の陳情者の被った損失は國の國民の権益を護るの義務の僻怠によるものでありますので当然政府に於て弁償せらるべきものと存ずるのであります。  右陳情いたします。    昭和五十三年五月二十七日  内閣総理大臣   福田赳夫殿総理大臣にこの陳情書は手渡されておりますが、この陳情書の中身を見てみましても、竹島の実情というものが明らかであります。一体水産庁としては、この実情はよく認識していらっしゃるんですか、まず……。     ―――――――――――――
  275. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、大塚喬君が委員辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。     ―――――――――――――
  276. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもも第一種共同漁業権が竹島に設定されることは、先ほどからも申し上げているとおりでございまして、やはり隠岐の漁業者の方々がここで操業することを熱望されているということは十分伺っております。ただ現在の段階では、安全操業の面から操業ができないというような状態にございますので、この安全操業の解決に従来も努力してきたわけでございまして、最近も外務省その他とお願いをいたしまして、関係省庁とも努力しているところでございます。
  277. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは私はもう実際問題としてこの漁民の皆さん方は、あなたの答弁先ほどから聞いておりますと、この問題の解決に、もちろん私は竹島を日本側に返してもらう、それは当然のことです。これはそのことは先般の外務大臣に対する質問、あるいは先日の総理に対する質問等でもその実情は明らかなんです。そういうことに水産庁が、そんなことは余り力入れぬでもいいわけやな。水産庁としては、要するに、漁民の生活を守るために、そこへ力を入れりゃいいわけですから。あなた方はその法律上は、法律上ということですけれども、その竹島に漁業権に基づく漁に行ってもいい、実際上は安全操業の上では問題がある、もし出かけたらあなた方は漁民に対してはどういうふうな指導をするんですか。
  278. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 実効的に韓国が支配している土地、あるいは水面を使うわけでございますので、非常に不祥の事態も予想されるので、できるだけ行ってほしくないということを申し上げるつもりでおります。
  279. 峯山昭範

    峯山昭範君 おとといのそれじゃ長官の行ってもよろしいというのとは、ちょっと違いますね。
  280. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 一昨日長官が申し上げましたのは言葉足らずだったと思いますが、制度論的に行ってもいいということの趣旨を申し上げたというふうに考えておりますが、現実の、現在の置かれております竹島の、特に第一種共同漁業権の漁場の状況あるいはそれを利用するための陸地の状況、こういうものから言って、やはり安全操業がなし得ない状態にあるというふうに私どもは考えておりますので、先ほど申し上げたような御指導をしたいと考えております。
  281. 峯山昭範

    峯山昭範君 安全操業上問題があるから、いま行ったら問題が起きると、だから行ってほしくないと、そういうふうに指導せざるを得ないということですね。
  282. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもとしては、そのように考えております。
  283. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、言葉は違うにしても漁民の、いわゆるこの漁業権というものを制限をしておりますね。
  284. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 現実の漁業者の方々の操業上の安全の問題を私どもは考えて申し上げるのでございまして、結果的には操業ができないという事態があることは、発生することは私らとしても予想はいたしております。
  285. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、逆に言いますと、漁民がそういうところへ行って事故を起こしてもらいたくはない、そういうことになります。  そこで外務省にお伺いしますが、もし漁民が向こうへ出かけていきますね。それで、そこで問題が起きる、そういうことになったら、どうします。
  286. 中江要介

    政府委員中江要介君) 事故が起きたその事故の態様によりますけれども、恐らくそれは日本側の立場からいたしますと、韓国の不法行為ということになろうかと思います。したがいまして、その韓国のとった措置に対して厳重に抗議いたしますとともに、日本国民の保護という見地から、あらゆる外交手段をとると、こういうことになろうと思います。
  287. 峯山昭範

    峯山昭範君 外務省としては、漁民に対してどういうことを要望しますか。
  288. 中江要介

    政府委員中江要介君) 外務省は直接漁民に要望するということは、その権限上ございませんが、水産庁の方で竹島の現状について、御照会がございましたら、これは日本の固有の領土であるけれども、いまは韓国との間で紛争になっているということは申し上げますが、だから行くべきでないということは、わが国の基本的な立場を害するわけでございますので、そこから先のところは先ほど来お話がございますように、法律上の立場と事実上の安全操業との調和の問題として処理していくよりしようがないと、こういうふうに思っております。
  289. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、現実の問題として、これは結末になりますけれども、結局は   〔委員長退席、福岡日出麿君着席〕 漁民にお願いする以外にないわけですな、この外務省の方も、要するにできるだけ行かないように。これは水産庁の方かもわかりませんが、水産庁の方としては、いま外務省の方の答弁によりますと、そういうような事情ですと、水産庁としては、おとといの形式上であれ、どうであれ、そんなこと説明なしに行ってもいいということになったわけですから、ですから、事実上としては、これは安全操業上問題もあるし、ぜひこれは御理解をいただいて行かないようにしてほしいと、そういうふうに漁民にお願いする以外にないわけですね。
  290. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもといたしましては、やはり漁民に現在の竹島の現状を御理解願って、そこで御判断を願うということであろうと思っております。十分その事情は御説明いたしたいと思っております。
  291. 峯山昭範

    峯山昭範君 漁民に判断してもらうというよりも、もっとわかりやすく言ってほしいわけですよね。漁民に韓国の実情を説明して、後は判断してもらおうなんて、漁民にそんなことは、行く行かぬを判断せいというんじゃなくて、事故が起きるし、そういう事件が起きるから日本の国としてもやはり問題があるし、外交上解決するということになっておるから、漁民の皆さんもうしばらくごしんぼういただきたいと、こういうふうに漁民にお願いしなきゃいかぬわけでしょう。何となく全部責任はこれは自分のところでなくて、全部漁民の方へ押しつけておまえのところで全部判断して、全部おまえのところでやれというような、こういうふうな日本政治姿勢というのはぼくはよくないと思うんですよね。そうじゃありませんか。
  292. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもといたしましては、現実に竹島周辺におきます操業が、非常に不祥の事故を起こしやすいということを漁民に十分御説明いたしたいと考えております。
  293. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、御説明してどうするんですか。説明で終わりですか。そんな、もうちょっと韓国の竹島の実情というのはこういう実情でこうですから、こういうわけですからいましばらくお待ち願いたいと、こう言ってお願い……、ちょっとおかしいかね、これ。そういうふうにお願いするわけでしょう、漁民の皆さんに。違いますか。
  294. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 水産庁といたしましては、やはりその事情を十分よく御説明をいたしたいと考えております。
  295. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは同じことばかりやるのいやですけれども、それから先どうするかというんです、要するに。ただ事情説明で終わりですか。そんな、こういう実情ですから、こういう実情ですから――そんな、やっぱり水産庁もうちょっと責任持ちなさい、責任を。ぼくは水産庁が責任を持てというより、本当は日本政府が責任を持つべきであると、こう言っておるわけです。いま適当な答弁をするような総理大臣がいないから、次長、あなたは総理大臣みたいなつもりで答弁してもらわなきゃ困りますよ。そうでないと、ぱっちり責任ある人がここへ来て答弁していただかないと漁民の皆さんはとても納得できません。いままで何年間もしんぼうしてきたんですから、もうこれ以上しんぼうできないという限界にきているんですから、いま。  ですから、本当に漁民の皆さん行きますよ、向こうへ。行った場合は本当にどうするんですか。海上保安庁ももう必死の奮闘で漁民の皆さんを守らないといけないでしょう。水産庁としても警備艇やら何やらいっぱい出して大騒動になりますよ。そんな大騒動をしたからといって漁民の皆さん方を処罰できるんですか、あなた方は。できますか、どうなんです。
  296. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 漁民の方々がおいでになっても処罰というような話にはならないというふうに考えております。
  297. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、処罰するということなんかできないわけですよ、漁業権があって行くんですから、それは現実の問題として。それはもう漁民の皆さん方が現実に竹島にこういう漁に行くと。行きましたら海上保安庁も黙っているわけにいかぬでしょう。水産庁も何とかせにゃいかぬでしょう。外務省もこれはえらいこっちゃということで何とかせにゃいかぬでしょう。日本国じゅうもう政府関係機関総動員してこれはやらにゃいかぬでしょう。それだけの大騒動になるのを漁民の皆さん方は知っているからしんぼうして、いま行かないでいるんじゃないですか。だからもし、もう限界に来ているから、まかり間違って行くなんということが出てきたら、現実に行っても処罰できないわけです、日本の法律に基づいて行っているわけですから。処罰なんてとてもできない。海上保安庁にしたって、どこにしたって、全部漁民の皆さんの安全を守らないといけない。そういうふうな大変な事情にあるということをわかって、そういうときに水産庁は事情だけ説明するというだけで済みますかと。漁民の皆さんにお願いせにゃいかぬでしょうと。この際こういう事故が起きるからぜひ行かないでほしいというお願いすることがどうして悪いのかと、私は。そんなのは当然じゃないですか、あたりまえじゃないですか、そんなことは。どうなんですか。
  298. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもとしては、先ほどから申し上げておりますように、当然法的な権利がございますわけでもございますし、私どもとしては危険な状況を十分御説明いたしまして、それで漁業者に御判断願うようにいたしたいと考えております。
  299. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは水産庁、この次長さんではあきませんわ、これは。これはやはり長官か農林大臣来てもらわぬと、とってもじゃないけれども、ぼくは決してむずかしいことを言っているつもりないですよ。ですから、これは委員長、早速一遍これはもういまの次長の答弁では、次長の権限があそこまででもう締められているかもわかりませんが、これでは私はとっても納得できません。漁民の皆さんが納得しませんよ。ただ韓国の実情を説明するだけだというのですから。説明して、もうちょっとだけの違いなんですよ。説明して漁民の皆さんにぜひとも事故を起こしちゃいかぬから行かないでほしいと言うことは、これはぼくはお願いするだけでも、そのくらいのことは当然じゃないかと、こう言っているわけです。それを同じことを三遍か四遍やっていますけれども、また事情を説明するだけやとこう言う。そんなんじゃこれはとても納得できませんし、これはもう大臣か、やはり水産庁長官が来ても同じかもわかりませんが、この点はやはりきちっとしていただきたい。委員長、いいですね。
  300. 福岡日出麿

    ○理事(福岡日出麿君) いま連絡しています。
  301. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、その大臣が来るまで待ちましょう、その問題は。  そこで、次に鉱業権の問題に入ります。  これは一昨日もこの鉱業権の問題についてもお伺いをいたしましたが、何分にも時間がございませんでしたので詳細にやることはできませんでした。それで、まず竹島の鉱業権という問題について、いつごろ鉱業権というものが発生をして、そして現在どういうふうになっているかという概況についてお伺いをいたします。
  302. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 竹島につきましては、昭和二十九年の二月に、燐鉱石を対象といたしまして採掘権の設定の許可がなされております。引き続き三月にその登録がなされておるわけでございますが、面積は二千五百八十六アール、鉱業権者は辻富蔵氏、外二名、いわゆる共同出願の形式をとっております。その後、四十三年の一月に共同鉱業権者の二名が死亡いたしまして、辻忠治氏が贈与契約により採掘権を取得しということで今日に至っております。
  303. 峯山昭範

    峯山昭範君 鉱業権の設定された面積は二十五町歩ほどですね。
  304. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 二千五百八十六アールでございますので、御指摘のとおりかと思います。
  305. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、この鉱業権は、鉱石は何でございますか。
  306. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 対象鉱種は燐鉱でございます。
  307. 峯山昭範

    峯山昭範君 当初、この燐鉱石はどの程度あるということでございましたんでしょうか。
  308. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 竹島地区につきましては、戦前に現地調査が行われたという記録は残っておりますが、その後ボーリング等による探鉱を行ったという実績がございませんので、正確にどの程度の埋蔵量があるか、あるいは経済性はどうかということは把握し得ておりません。
  309. 峯山昭範

    峯山昭範君 少なくとも昭和二十九年に採掘登録等が行われた時点で、概要どの程度あるというようなことは記録にも残っていると思うんですか、どうですか。
  310. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) さらに調査してみますが、そのような記録は残っておらないというふうに思います。
  311. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、昭和三十六年の十一月に、この竹島の鉱区の問題で、いわゆる国家賠償法に基づく裁判が行われておりますが、この裁判の中で出てくる鉱石の量ですね、これは大体どの程度でございますか。
  312. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 量は私ども承知いたしておりませんが、   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 国に対する賠償請求額としては五億円というふうに承知いたしております。
  313. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、それはそれで結構です。  それから、この鉱業権に対する鉱区税というのは、当時どの程度納められていましたか。
  314. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の鉱区税につきましては、これは島根県から聴取したことでございますが、二十九年度分といたしまして四千七百四十円。三十年、三十一年は減免されておりまして、三十二年が四千七百四十円、三十三年が四千七百四十円、三十四年には四千六百八十円になっております。三十五年度以降につきましては、鉱業権者から請願がございまして、その請願が入れられることによりまして、当該鉱区税は五十二年度時点まで減免されておるというふうに承知いたしております。
  315. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、その後鉱区税も一部には納めた記録等もありますから、全く納めなかったということじゃないと私は思います。現実の問題として、現在も鉱業権が設定をされ、現在もいわゆる引き継いでいるということでございます。そうしますと、そこで国家賠償法の裁判によりまして、この事件は棄却になっております。いわゆる国側が勝訴をして原告の方が負けたわけであります。なぜ負けたんですか。
  316. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 三十四年に東京地裁に訴訟提起がなされておりますが、その主な点は三点ございますが、ただいま御指摘の損害賠償の点について申し上げますと、原告の主張は、韓国の不法占拠に対し、国は竹島に存する国民の権利、利益を保護、回復するために、何らかの有効適切な措置をとるべき義務があるが、国はこれを怠った、よって生じた損害を賠償せよ、こういう趣旨でございますが、これに対して、国側の反論等もございましたが、判決の要旨として申し上げますと、国は他国の不法占拠を排除するための措置をとるべき法的義務を不法占拠によって被害を受けている個々の国民に対する関係において負っていると結論することはできない。これを肯定し得るためには、さらに特段の実定法上の根拠を必要とするが、現行法上そのような法文は存在しないということで、損害賠償に対する原告の要求を退けておる、こういうように承知をいたしております。
  317. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまのおっしゃったことをわかりやすく言えばどういうことですか。
  318. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私の一方的な解釈になるかと思いますが、判決の要旨につきましては、やはり個別特別法があって、その個別特別法に基づいて、さような損害を受けた場合以外は、国として個々のものに対する補償はない、こういう規定かと思います。  なお御参考までに申し上げますと、いわゆる鉱業権なるものは、一定の鉱区内におきまして鉱物を掘採して、これを取得することができるという権利でございます。鉱業法上田が補償義務を負う場合は、鉱業の実施によりまして著しく公共の福祉を害する、障害となる、そういった場合に、鉱区の縮小処分、あるいは鉱業権の取り消しを行うことができる規定がございます。かような場合のみ鉱業法上田として損害賠償をしなければならない、かような規定になっておるわけでございます。
  319. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃなくて、竹島の場合は、やはり特殊な事情があったわけですね。この判決の要旨をずっと読んでみますと、要するに国家賠償法で損害賠償を請求しろと、こういうふうに原告は要求をしたわけですね。それに対しまして、要するにその国家賠償法で原告が要求しているような措置を国はする必要はないと、なんでかというと、竹島は日本の領土であり、それを不法に占拠しているのは韓国である。そうすると、もっと端的に言えば、その補償請求は韓国にすべきだと、するとすればね。韓国が不法占拠しているわけだから、韓国へちゃんとすべきだと、要するにそういうふうな理屈になると私は思うのですね。それはもちろん国内法のいろんな問題がありますが、いま長官がおっしゃった理由は、それなりにそれはそうでしょう。しかしながら、国家賠償法を適用して、その原告に補償するということは、国が竹島は外国のものということを認めているということにもなる、法律的にはですね。そうなってしまうから、国が国家賠償法に基づいて、その損害を賠償するというわけにはいかない、こういうふうな理論構成になっていますね、そうじゃありませんか。
  320. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私自身がその判決そのものについて批判的なことを申し上げる立場にございませんが、なおその際、先ほど省略いたしましたが、国側の反論とされておるところを申し上げますと、不法占拠を排除すべく努力するという国の義務は、国家や内閣が国民に対して負う政治的な義務であり、特定の個人がこれらの国家機関に対して、適切な排除措置を要求することができ、これに対応して、これらの国家機関が個人に対して法律上作為義務を負うというがごとき性質のものではない。したがって、原告の主張は根拠がない。仮に他国の不法占拠を排除すべき義務が単なる政治上の義務でなく、法律上の義務であるとしても、いかなる時期に、いかなる方法で他国の不法占拠を排除するかは、高度の政治性を帯びた外交上の問題であり、司法裁判所による審査権の範囲外にあるものと解すべきである。当時の国の反論でございます。
  321. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから私、長官がおっしゃっていること全然否定してないのですよ。そのとおりなんですよ。そのとおりなんです。要するに、その国側の反論にしても何にしてもそのとおりなんだ、要するにそれは。それはそのとおりであるけれども、逆に言えば国家賠償法に基づいて賠償をするということは、要するに逆に、竹島のいわゆる領有権を放棄することになりかねない。そういうふうなことがあるから、要するにそういうふうな論拠で国は勝訴をしているわけですね、結局は。そうじゃありませんか。
  322. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私の立場からいまの解釈を肯定する、あるいは否定する立場にございませんので、御容赦いただきたいと思いますが、ただ先ほどの御指摘の裁判に当たりまして、昭和三十六年の十一月九日の判決を受けて、原告が当時控訴しなかったために本判決で確定を見ておるということでございますし、かたがた、この三十六年以降三十七年の三月に至りまして、原告である鉱業権者から先ほど申し上げました鉱区税免除の請願がなされておる、それに対しまして県当局が鉱区税を免除しておるといったようなことで、当事者間の問題としては一応の私は解決を見ておるんじゃなかろうかと思います。もちろんこれは決して積極的な対応、積極的な解決であるということではございませんで、一日も早く竹島の問題を解決するということが本質的な解決法であろうか思いますが、とりあえずかような形において鉱業権者に対する一応の救済措置はとられておる、こういうことかと思うわけでございます。
  323. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、ですから長官、私はその裁判のそこのところを言っているんじゃないわけです。そこのところは私もよく理解をしていますし、もう控訴した原告も現実の問題として老齢でもありましたし、また費用の問題もありますし、この東京地裁の判決で控訴はしなかったわけです。ですから、裁判そのものについては結着はついているわけです。だから、裁判の中身を私は云云しているわけじゃない。しかし、大事なことは、長官ね、この裁判の最後に、「したがって原告の右主張は理由がない。」ということで、いま長官がおっしゃったようないろんな理由でその主張をはねのけておるわけですね、裁判の判決では。ところが、その「理由がない。」というその後に続いてこういうふうに書いてあるわけです。「本件において、原告が日韓両国間の国際紛争上の被害者であり、犠牲者であることは明らかである。それ故、」――全部読みますよ。全部読みますと、「それ故、たとえ現行法上は政府に原告に対する関係において韓国による竹島の占拠を排除し、原告の権利を回復するためのなんらかの措置をとるべき法的義務を認めることができないとしても、これによって原告がこうむった損失の補償という問題は、政策上の問題として考えられてよい問題であるかもしれないし、あるいは政府の処置のいかんによっては憲法第二九条第三項との関連においてひとつの法律問題ともなりえないでもないかもしれない。しかしかような政策上の問題については当裁判所の見解を表明するかぎりではないし、また憲法第二九条第三項による補償請求権の問題も本件の争点とはなっていないので、ここではこれ以上この問題にはふれない。」、これで終わりです。最後のところです。  ということは、これ、長官、ここではっきりさせたいのは、要するに、裁判は確かに国家賠償法という裁判をやって、国が勝った。けれども、この、いま最後のところで言っておりますように、裁判所としては、要するに、原告が日韓両国間の国際紛争上のいわゆる被害者であるということは明らかであると。これはもう裁判所もはっきり断定しているわけですね、これは。だから、要するに、現行法上は政府に原告に対するいわゆる損害賠償とか、そういうのじゃないですね、原告の権利回復に対する何らかの措置をとるという義務は政府にはない。政府にはないけれども、「原告がこうむった損失の補償という問題は、政策上の問題として考えられてよい問題である」と、こういうふうに言っているわけですね。しかもこの政府のこの問題に対する措置いかんによってはいわゆる憲法二十九条第三項にいう、いわゆる私有財産の権利の問題ですね、の侵害という問題になりますので、その問題からの裁判の争点にはこの裁判そのものは国家賠償法の裁判になっておりまして、いわゆる憲法二十九条でいう財産権の裁判になっていないから、裁判所はその問題についての判断をすべきではないと、こういうふうになっているわけですよ。  ということは逆に言いますと、現実にこういうふうな問題が起きてこの鉱業権という問題が、現実にこういうふうにこの鉱業権が設定され現在に至っております。もちろん裁判の中でも言われておりますいろいろな問題も私承知の上で言っているわけですけれども、これはやはり国としてもこういうふうな問題に今後どういうふうに対処をしていくかということも考えざるを得ないというところまできているんではないか。これは先ほどの問題、たとえば漁業権の問題と同じように、現実にこの石を掘りに行くというふうな問題が起きてきたらこれはどうするかという問題もあるわけですね。そういう問題も含めてどういうふうにお考えですか。
  324. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 鉱業権者が鉱業権を施行できない。そのために損害を受けておるということは事実であろうかと思います。ただ、先ほど先生がお読みになりました判決理由の中での裁判所の考え方は、それなりの考え方であろうかと思いますが、私自身この段階におきましてその当否について申し述べるということは差し控えさしていただきたいと思います。  それから現地に出かける云々の問題でございますが、被害が発生していると申しますか、権利の実行がなし得てないという事態におきましては漁業問題と同じ問題があろうかと思いますが、ただ若干事情が異なりますのは、マイニングの場合当然地上に工場施設あるいは労務者の宿泊設備といったような、どちらかと申しますと恒久設備を設置しなくちゃいけないといったような事情もございます。そういった点からいたしますと、現在占拠されておる竹島に上陸して云々ということは当初からやはり鉱業権者としては断念せざるを得ない事態にあるかといったようなところから訴訟提起あるいは鉱区税の減免請願に出ていったというふうに私は理解いたしておるわけでございます。
  325. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ現実の問題として、現在まだ燐鉱の、この燐ですね、これは竹島にまだあるんですか。
  326. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 実は一昨日の本委員会の審議の際に峯山委員から盗掘云々のお話がございましたので、私の方も直ちに通産局あるいは島根県を通じて照会いたしましたところ、まだその事実確認できておらないということでございまして、私はまだ燐鉱石はそのままあるものというふに理解をいたしております。
  327. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはまああるものと、そういうふうな確認しかできないわけですね。ところが現実の問題として、この燐鉱、これは露天掘りなんですね、しかも。これは申請のときの書類やあるいは初めのいろんな状況、戦前からのいろんな状況がありますが、そういうような情勢から見ると、ほとんどがこれは露天掘りでとれる燐鉱石なんですね。それで、しかもそれが韓国の軍人さんによって持ち去られていまはもうほとんどないというふうな議論が裁判の中でも出てきていますね。もしそういうことになったとすれば、これはどういうことになるんですか。あとは韓国の軍人さんがこれは盗んでいったということになるわけですけど、こういう問題については実際問題として、まあ現実の問題として、それは韓国が初めから占有しているというようなことはあったにしても、あったにしても、私は少なくともこの鉱業法に基づくいわゆる鉱業権が許可になり、しかもそれが更新をされ現在に至っていると、そういうふうないろんな問題からいきますと、当然私は資源エネルギー庁としても積極的にこれは確認をし、掘りにやらせるようにせないかぬと、やっぱりね。しかしこの問題があるわけですから、この問題との絡みがあります、確かに。そういうような意味では先ほどの水産庁と同じじゃありませんが、いまこういう実情にあるから、しばらく掘りに行くのは待ってもらう以外ないと、こういうふうにこれもやっぱりお願いする以外にないわけですね。これはどうです。
  328. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) お願いするかどうかという問題以前に、先ほど申し上げましたように、マイニングの場合には、あれは工場施設と恒久設備をつくらないと事実上これは鉱山活動を行い得ないわけでございます。さようなことから、鉱業権者といたしましても現地に出向いて事実上鉱山活動を行うということ等を断念しておるというのが現状であろうかと思います。まず鉱業権者みずからの判断において鉱山活動をやっておらないというのが現状ではなかろうかと思います。いずれにいたしましても、本件の竹島問題の解決がなければ事実上鉱山活動は開始し得ないというふうに理解いたしております。
  329. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは実際問題として鉱業権者としては、いま長官は燐鉱石が盗まれているかどうか確認をしていないということですけれども、鉱業権者としては本当に気になりますね、これね。一遍あるかどうか見ておかなこれはもう気が気じゃないです本当に。それで長年待っても解決しないんで、ヘリコプターか何か借りて現地へ燐鉱石があるかどうか、まだあるのかどうか一遍調査に行きたいなんて言い出したら、これは行ってもいいんですか。
  330. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 直接のお答えにならないかもしれませんが、去る昭和三十一年の一月二十五日付で辻富蔵氏外二名の鉱業権者から広島の通商産業局長に対しまして、事業着手の延期認可申請を出しております。これは御承知のとおり鉱業権の設定あるいは移転の登録の日から六カ月以内に着手義務が鉱業法上課せられておるわけでございます。それに対しまして特別の事由がある場合には、その事由と期間を付して通産局長に延長の申請をなし得ることになっております。ただいま申し上げましたのはその申請書でございまして、竹島鉱山につきまして、日韓問題が解決せぬため、日韓問題解決まで事業着手を延期したいという申請をなしておるわけでございます。これに対しまして同年の八月の二日に上記の申請を認可し、期間は申請のとおり日韓問題解決まで、かようにいたしておるわけでございまして、いま申し上げたような事実からいたしまして、鉱業権者はこの経緯からいたしましても竹島に出かけていって燐鉱石の採掘を、いま直ちにやろうという気持ちはないものというのがわれわれの理解でございます。
  331. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのとおりなんですよ、いますぐやろうという気持ちはないんですよ。ところがその後裁判や何やかやで、現実の問題として韓国の軍人がその燐鉱石を持ち帰ったという話もうわさに入ってくるし、現実になくなったという話も出てきているわけですね。そうしますと、あるかないかということが気が気じゃない。だから通産局に届けているとおり、いま直ちにこの採掘をやるというわけじゃないけれども、あるかないかを一遍見に行きたいと。これはやっぱり行きたいですよ。どうしますか。
  332. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御本人の鉱業権者がどう思うかということでございまして、私は見に行きたいと思うか行きたくないと思うか、それは私答えられないわけでございます。  申し上げたいことは、むしろ竹島問題を外交べースで平和的に解決された暁において、御指摘のような事態がどのような形であるかということによって、それにどう対応するかという問題になってこようかと思います。そういった点につきましては、外務当局とも十分連携をとりながら対処したいと思うわけでございます。
  333. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、長官そうじゃないんです。要するに外交問題があるから、現実に小屋を設けて採掘するのは不可能であると、そのことについては通産局にお届けのとおりであると、しかし最近昭和三十六年の裁判やその前後のいろいろな問題、最近のいろいろな実情から見て、どうも燐鉱石はほとんど盗掘されて、ないといま言われているわけですね。そうしますと、これはもう本当にいま長官の答弁ですと、盗掘されたことは、そのことについてはまだ確認をしてないということですから、やっぱりあるかもわからへんということも現実に出てきたわけですよ、これね。そうしますと、そのあるかないかということを調べに行きたいと、本人に聞いてみなければわからぬじゃなくて、本人がもし調べに行きたいということで、行ってもいいかということでエネルギー庁長官に県庁を通じて問い合わせ、または通産局長を通じて問い合わせがあったらどうするかと、こういうことです。
  334. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いまのところさような申し出がございませんので、もしあった段階で判断すべきであって、いまの段階であえて先々のことまで考える時期ではないんではなかろうか。いずれにいたしましても、竹島問題の平和的解決が一日も早く行われることに全力を傾注すべきだと私は考えるわけでございます。
  335. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのためには、やっぱり竹島の問題を解決するためには、私はこのたなの法案はゆっくり延ばした方がいいと。長官どうお考えかわかりませんがね、これは要するに実際問題として竹島の問題をほったらかしてこのたなの問題をやっちゃうと、完全に食い逃げになっちゃって、後はいままで以上に韓国の姿勢は強くなる、そういうふうなことを私は予想しているわけです。そういうふうな観点から、私はその点はまた別問題ですから、ちょっと問題がそれますからこれ以上言いませんが、いずれにしてもこの問題は鉱業権の所有者がその権限を行使できなくて、いまだにこの竹島の問題が解決するまでということで自主的に一応やっていると。ただし、これは憲法二十九条三項についての議論になってくると、また話は別問題になってくる可能性はあります、実際問題ね。裁判の決着もこの問題についてはついていない。その点はよくわかっておいていただきたいと思います。  そこで水産庁長官がお見えになったようでありますので、先ほどの問題についてお伺いをいたします。  これは水産庁長官ですね、先ほどから次長さんと長い時間にわたりましてずいぶんいろいろやりました。まず長官のこの間の、漁民の皆さんが竹島に漁に行っていいという問題については、これはどういうことだったのか、先ほど次長からの説明はありましたが、改めて長官自身お見えになりましたので、その真意のほどを一遍お伺いしたい。
  336. 森整治

    政府委員(森整治君) 私が先生に大分問い詰められまして、行っても構わないという趣旨の御答弁を申し上げましたけれども、これは制度として漁業権を付与しておるわけでございまして、その権利を行使するという形で漁業権の行使が行われるという場合には、これはたてまえとしては当然のことという意味でそうお答えしたわけでございますけれども、あの説明が不十分なところはございました。事実上再三御議論がございますように、現実の問題としましては、なかなか竹島に近寄れないということがあるわけでございまして、そういう実際上漁業権を行使するという実態にないことは、現状遺憾ながらそういう実態があることは間違いございません。そういうことでわれわれも悩んでおるわけで、何とかこの問題を解決したいということでいろいろ努力をしておるというのが現状だと思います。
  337. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは先ほど次長さんと大分この問題についても議論をいたしましたので、また重ねて議論しようとは思いませんけれども、少なくとも水産庁の姿勢としては、水産庁は漁民の生活を守るというところにうんと力点を置いてこれから水産行政を進めていかなければならない、そういうふうに思うんですが、どうですか。
  338. 森整治

    政府委員(森整治君) そのとおりだと思います。
  339. 峯山昭範

    峯山昭範君 しかも、そういうふうな中にありまして、この隠岐島漁業協同組合連合会、これは私は先ほども次長さんにもいろいろと申し上げましたが、非常に離島の小ちゃないわゆる漁村の皆さん方の漁業権という問題から言いますと、何もきのう、きょうに始まった問題ではありませんでしょう。明治の終わりから大正、昭和の初めと、ずっと長年日本が漁を続けてきた竹島周辺の漁業であろうと私は思います。その漁ができなくなって、その漁民の皆さん方の苦労というのは大変なものであり、しかもそういうふうな中にありまして、この竹島の問題が――日韓基本条約締結されてからも十数年、これはもう解決するか、もう解決するかということで首を長くして待っていたわけです、実際のところ。ところが、いまだにそれが解決しないわけです。そういうような中にあって、この漁民の皆さん方はもうしびれを切らしている。場合によったらこの竹島に漁に行きたいと、そういうことになりかねない。そうなった場合に、水産庁は漁民の皆さん方にどう言うんだと、こう言っているわけですよ。  この問題について、先ほどから水産庁次長からはうんと説明はありました。ありましたが、私の納得できるような説明はありませんでした。一遍長官どういうふうにおっしゃるのか、説明してみてください。
  340. 森整治

    政府委員(森整治君) 漁業権が設定をされておりながら、実際問題として行使できないということでございますから、まことに関係者の方々には申しわけない、またお気の毒な状態であるというふうには思っております。ただ、遺憾ながらできるだけ早く領土問題が解決されるか、あるいはそれはそれとしましても、現実問題として何らかの方法でもあって安全に操業ができるという形でいろいろ何かの解決ができるならば、これに越したことはない。そのまた一日も早いことをわれわれとしても努力しなければならないというふうに思っておるわけでございまして、その解決がされた暁には実際に漁業権が行使できるということで、一応の御説明をするしかなかろうというふうに思っております。
  341. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、そういう御説明だけでは済まないんじゃないかと、漁民の皆さん方にやっぱりいまこういうふうで、こういうような実情で竹島は韓国の警備兵がこういうふうにおって、非常に危険な状態にあると、近づくとこういう事故も起きる可能性もあると、だからこの竹島の問題が解決するまで、竹島にはぜひ近寄らないでほしいというお願いをする以外にないじゃないかと、こう言うておるわけです。違いますか。
  342. 森整治

    政府委員(森整治君) いままで私どもの次長とその面につきましての御議論がございましたということは承知いたしておりますが、現実問題といたしましてこの漁業権が設定された経過から、ずっといろいろ更新をされて今日に至っておるわけでございまして、三十八年、四十八年ということで更新をされてまいっておるわけでございますが、県からの報告によりますれば、漁民自身、漁連になるわけですけれども、漁業権者は。竹島の実情からいたしまして直ちに出漁できないということは了解をしておる。しかし安全操業が可能となれば直ちに出漁できるようにということで継続免許をしておると、そういうたてまえで県としても免許をしておりますということでございまして、出漁できないということは、現状ではやむを得ないということは漁民の皆さんもわかっておられるのではないかというふうに思っております。
  343. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、逆に言えば長官ね、竹島の実情というものを種々話をして、そして安全操業という面からもこれはいま強行すべきではないと、そういうような面からも漁民の皆さん方にいわゆる協力をしていただいていると、そういうふうに考えていいわけですね。
  344. 森整治

    政府委員(森整治君) 協力をしていただいているといいますか、直接というよりも関係の漁民の方々皆この事実は事実でございますから、十分御承知の上で対応をされておるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、そういう観点から、協力という意味がどういう意味であるかよく存じ上げませんが、できるだけわれわれとしては安全に操業をしていただきたい、またそういうことを指導する義務は持っております。
  345. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうもはっきりしないね。長官、要するに漁民の皆さん方の立場からすれば、それは実情もありますよ。たとえば二年、三年ちょっとぐらいならしんぼうもできます。しかしながら実際問題としてもう漁民の皆さん方の立場からすれば、これはもう非常に竹島が自分の領土であって、かねてから先祖代々続いてきた漁も行けないままに放置されてどうしようもない状況にある。まあ、しかしそこまで来ていますからね。外務大臣も先ほどから何回か、要するにぎりぎり限界のところまで来ているという発言がありましたね。そういう点からいきましても、漁民の皆さんの立場から言っても、もうぎりぎり限界に来ているわけですよ、しんぼうする。そういうふうな意味では私は水産庁のいまみたいな姿勢ではとても漁民の皆さん方は納得しないということです、いまの姿勢では。いま事情わかっておるやないかと、勝手にちゃんとこうやないかなんという、そんな一そんなんじゃどうしようもないですよ。やっぱり水産庁長官が現地へ行って、こういう実情ですと、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 ぜひこういう実情でありますんで、漁民の皆さん御協力をお願いしますと、頼んでこにゃいかぬ、ほんま言うたら。そうじゃありませんか。
  346. 森整治

    政府委員(森整治君) 先ほどから申し上げていますように、私どもが頼む、頼まないということよりも、漁業権を設定をして、漁業権というものはあって、結局それを行使しようと思ってもできないという状態でございまして、もし私どもがそれを何かいろいろ問題にするなら、むしろ漁業権を取り消すということが一つの問題のテーマになるのではないだろうかというふうに思うわけでございます。この点につきましても、逆に、大変言い過ぎになって恐縮でございますが、私どももその点につきましていろいろ検討はしてみました。しかし、漁業法上それを取り消す権限がまたないのではないかという結論にも相なるわけでございまして、いろいろ領土の絡んでいる問題でございまして、そこで漁業権を付与した、それをずっと更新をしてきている、それを行使できないということ、条文があるんでございますが、行使してない場合には取り消すということがあるんですけれども、どうもその条文にも該当しない。別の条文があるんでございますが、いろいろたとえば、航行したり、そういうことで航行の邪魔になる漁業権とか、そういう問題がございますが、その場合には補償の規定もございます。これにもどうも該当しないということでございまして、結局外国に占拠されておって実際上行使できないということでございますから、これはあくまでも私どもが何か免許をした、その権利を制限するとかそういうことではなしに、また行くなとかそういうようなことではなしに、やはりあくまでも漁民の意思によって判断をして、またそういうふうに理解をしていただいておるというのが現状ではないかというふうに思うわけでございます。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
  347. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ長官、そういうふうな開き直りの理屈というのは、それはいけませんね。あなたいつ水産庁長官になったのか私知りませんけれども、やはり漁民の皆さん方の立場、私は、それならもう漁業権を取り消すとかそういうことも検討してみただなんて、そんな私はそういう言葉水産庁長官の口から出てこようとは夢々考えておりませんでしたけれども、これは本当に私はそういうふうな立て方では私自身も納得できない。そういうことじゃなくて、私は簡単なことを言っているわけですよ。漁民の皆さんは決して物わかりが悪いことはない。いままでしんぼうしてきたわけですよ。いままでしんぼうしてきたけれども、もう限界に来ていると、実情もようわかっていると、ここまできたらやっぱり水産庁としても、もういまは外交交渉も開始されようとしておる、そういうふうな立場でこうなっているから、もうしばらくお待ち願いたいと水産庁としてはお願いする立場ではないのかと、また漁民に長い間御協力をいただいて本当に申しわけないと、そういうふうに丁寧にその漁民の皆さん方にも御理解を得る努力というのをしなければいけないのと違うかと、たったこんな簡単なことが一いやそうじゃなくて、向こうの理解がどうのこうの、実情がどうのこうの、私はそんな水産庁長官、もう本当にそれなりに私はあなたの立場も理解をしていたつもりなんですけれども、いまの漁業権の認可を取り消そうなんということも検討したなんというあなたの発言を聞いていると、とても私はあなたが水産庁長官であるなんということに非常に憤りを感じますね。
  348. 森整治

    政府委員(森整治君) 私の説明が行き届きませんで、大変申しわけございません。いま私が申し上げましたのは、全く先生がおっしゃっていることをいろいろ率直に申し上げればよかったのかもしれませんが、ともかく一日も早くこの問題は解決していただきたいということからお答えをしておるわけでございまして、理屈の世界の問題としていろいろ取り消し論というのもありますと。ただそれはそういうことで別にできるかできないかを検討したと同時に、もしできるという結論になりましても、現時点でそういうことをすることは決して好ましいことではあるまいという結論にもなったわけでございまして、まあ、よけいなことをおまえ言うなと言われればそのとおりでございますかもしれませんが、よけいな話であるとすれば私、率直に言って取り消しても差し支えございませんが、先生がいま申されましたように、一日も早く解決するのを水産庁として当然主張すべきであるし、またそういうことでわれわれも努力をしておるわけでございますので、先般来総理が、いろいろ思いを新たにしてこの問題の解決に当たりたいということで、われわれも非常に意を強うして、先生のおっしゃるように早く漁業権が行使できる状態にしていただきたいと、またそういうふうにわれわれとしてやることがあるならばやりますということで考えてまいりたいというふうに思います。
  349. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうも私の説明の仕方が悪いのかもしれませんがね、長官ね、そんなむずかしいこと私言っているつもりないんですよ。要するに、漁民の皆さん方に少なくともあなた方は国の政策に協力願いたいと、端的に言えばね。また、長い間御協力をいただいて本当に申しわけないと、そういうようなことを少なくとも言うべきではないかと言うんです、私は。当然私はそのぐらいのことを言って何が悪いんだと、そのぐらいのことを言わないと漁民は納得しませんよ、もう。本当に行きますよ、あした本当に。あなた方の、その早く解決しようとかなんとか言ったって水産庁はそんな解決できないんでしょう、こんな問題。水産庁の本来の使命というのは、漁民の皆さん方の生活を守るというのが中心なんだから、漁民の生活を守るというのが。そこに焦点を置いて水産庁は水産行政をやらなきゃいかぬのでしょう。竹島を返してもらいたいというのは、それは願望ではあります。けれども竹島を返してもらいたいというのは、これは外務省やいろんなところがやらないとしようがないわけですよ。だから外務省は漁民の皆さんに言うわけにはいかぬのでしょう、実際問題、さっきのアジア局長の答弁でも。  だから漁民の皆さん方に言うのは水産庁しかないんじゃないですか。水産庁としては、もう二十三年間しんぼうしてきたいきさつもあるわけですから、少なくとも漁民の皆さん方に対しては長い間御協力いただいて申しわけない、もうすぐ解決するから何とかならぬかと、もうしばらく出漁したいというあれもあるかも、限界まで来ているかもしらぬけど御協力願いたいと、そういうことがどうしてきちっとできないのか。あなたはおととい行ってもいいと言ったんですよ。だから、行ってもいいと言ったんですから本当に行きますよ、みんな怒って。本当に行ってしまって向こうで事故が起きたりどうこうしたらどうするんです、水産庁としては。ですから私は少なくとも最低限の話をいま進めているわけです。同じ話ばかり一時間も続けてほんまにこれいやになってくるぜ、本当にもう。(笑声)やっぱりそこら辺の答弁はきちっとしてもらいたいですね。もしあなたが今度ちゃんと答弁できなかったら農林大臣来ていただかないとしようがないですよ。
  350. 森整治

    政府委員(森整治君) 漁民の理解と協力を得ていままで来ておるわけでございますから、早くこの問題の解決を外交ルートを通じてしていただきまして、ともかく漁民の逆に安全という問題もございます。そういう問題も考えながら、まあ漁民の方々に非常にお気の毒であるけれども、また非常に残念でございますけれども、とにかく実際問題として外国の占拠があるという事実はよく説明をいたしまして、ともかく解決の一日も早からんことを、早く解決できるよう努力を関係各省にもお願いをし、われわれもできるだけのことはしてまいりたいということでございます。
  351. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうしてよけいなことを言うんですかね。要するに、水産庁が外務省やいろんなところに対して、この問題早く解決してほしいと言うのはあたりまえなことだ、そんなことは。そんなことを言うているんじゃなくて、要するに漁民の皆さん方にあなた方どう言うんだと。とにかく水産庁としてもちゃんとするから、できるだけ早くするから、ここまであれしたんだからもうしばらくごしんぼういただきたい、それで漁民の皆さん方に対しても御協力を願いたい、そういうことで、水産庁としては漁民の皆さん方にお願いする立場ではないのかと、こう言っているわけです。どうなんです。
  352. 森整治

    政府委員(森整治君) 理屈を私どもこねているわけではないんで、確かに漁業権があって行きたいということで現実に行けない。そこでそういう問題があって、竹島の実情はよく御存じだろうと思いますが、いろいろ最近の事情もよく御説明をして理解と協力を求めるということは、当然われわれとしてもやるべきことだと思います。どういうふうにお答えをしたらいいのか私もよくわかりませんが、そういう……
  353. 峯山昭範

    峯山昭範君 理解と協力を求める、それは当然でしょう。だけれどもやっぱり水産庁の姿勢というのは、漁民に対してもう少し丁寧であり、親切であり、かつ漁民の皆さん方が理解できるような態度でなければいけないと思います。おまえら納得せい、こういう実情だからこうせいと、そういうような強い姿勢だけですね、要するに。そうじゃなくて、水産庁のいままでのいろんな指導に対して漁民の皆さん方は長年協力してきているわけですよ。その協力に対して、もっとやっぱり水産庁としては感謝をするとともに、これからもしばらくまだ漁に出ていくのは安全操業の面でも問題があるから御協力をお願いしたいと。あなた、おととい行ってもいいと言ったんですよ。行ってもいいと言ったんですから、現実に行くなんということになったらどうなるかと。そうすると、海上保安庁や外務省や、いろんなところで大問題になりますよ。水産庁だって漁民の皆さんが行ったら処理しなければいかぬでしょう。だから、要するによろしく漁民の皆さんに御協力を願いたいと、そういう気持ちですと、それでいいわけです、言ったら。水産庁もやっぱり漁民の皆さん方に対してお願いしたいという気持ちでいるんだなと、そうしたら、私たちももうちょっとしんぼうしようかなと、こういうふうに漁民の皆さんだって思いますよ。だけどそういうことは全然なしに、韓国の実情はこうなんだと、御協力をお願いする以外ないと。お願いする以外ないなんというそっちの方があればいいんだが、そっちの方は全然なしで、前段の実情を説明する、そこまでしかないというのでは漁民の皆さんは納得しない。もう一回御答弁いただきたい。
  354. 森整治

    政府委員(森整治君) いまのような先生の御意見でございますれば、一応そういう漁民の方々に理解と協力を求めるということでございますれば、私どもが漁民の方々に理解と協力を求めて安全に操業ができるというように指導をするということであれば、私はそれは差し支えないというふうに思います。要するに、安全な操業ができないならばそれはちょっと無理かもしれませんが、ということでございます。
  355. 峯山昭範

    峯山昭範君 何を言っているのかちっともわかりませんね。長官ね、何考えているのか私ちょっとわかりませんがね。峯山先生が言うたらなんてそんな、ぼくが言うたから長官が言わなければいかぬ、そんなんじゃなくて、もう少し純粋にお考えになっていただいて、水産庁というのは少なくとも、先ほどから何回も言うように漁民の生活を守るという立場にあるわけですし、しかも、離島の漁業の実情というものは非常に厳しい実情にあります。ですから、それだけに、テングサとかイワノリとかあるいはサザエとか、そういうふうなものをとって漁業で生活を立てているわけですから非常に厳しい。そういうふうな人たちは、そこへ行っちゃいけないということで、二十何年間もうしんぼうしてきているわけですよ。あなた方の指導を少なくとも守ってきているわけですから、いまの大陸だなの審議に当たっても、外務大臣総理大臣決意もありました。ありましたから、もうしばらく、解決も目前に迫ってきたということになるでしょう。ですから、水産庁として漁民の皆さん方に礼を尽くしてお願いするということがどうして悪いのか。どうしてこういうことが、ぼくから言われなければどうのこうのとか、講釈がよけいついて、本当におわびしているのかどうかわからぬような言い方では、私はちっとも納得できない。明快にお願いしたいですね。
  356. 森整治

    政府委員(森整治君) 漁民の方から、漁業権で、要するに出漁したいというお話がございました場合に、私どもといたしましては現状を理解をし、また、早く解決をするつもりだから、ともかく現在は余り近寄らないようにという協力を求めるということは当然ではないかと私は思います。それでいかがなものでございましょうか。
  357. 峯山昭範

    峯山昭範君 協力を求めるって、そのときにも、協力を求めるということは、漁民の皆さん方にお願いをするわけでしょう。向こうへ行くと安全操業できないから、無理だから、もうちょっと待ってほしいというお願いをするわけでしょう。協力を求めるという、それはそれでいかがでしょうなんて言われても、ぼくは、いかがでしょうもへったくれもないでしょう、とにかく。そのくらいの丁寧なお願いをして何が悪いんですか。理解を求める、それはそれでいかぬなんて言いません、私漁民と違うんでわかりませんがね。しかし、やっぱりそのくらいきちっとした、漁民の皆さん方にお願いして、この問題解決するまでお待ち願いたいということでもいいんじゃないですか。それが何でいかぬのか。
  358. 森整治

    政府委員(森整治君) どうも私もわからなくなったんですが、私も先生と同じつもりで申し上げておるんですが、私の方で何かひっかかるものがあってお答えをしないということでは決してございません。漁業権についてまだ所要の手続が要るんですけれども、それはそれといたしまして、そういう手続がされまして、その上で漁民の方がそこで行きたいということでおっしゃってまいりました場合に、当然いまの現状で、私どもが結構ですねと言う立場にはございませんから、やはり先生のおっしゃるように、危ないものは危ないということで指導をせざるを得ないし、そういうことで、先生の言葉をおかりいたしますれば漁民にお願いをすると。どうしても行くと言うんだったら、頼むから――頼むからと言うんですか、お願いと言うんですか、そういう先生のお言葉をそのまま使わしていただきますけれども、お願いをするということは、役人の立場としては当然ではないかと、水産庁の立場としては当然ではあるまいかというふうに思います。
  359. 峯山昭範

    峯山昭範君 やっと当然のことを、人間らしくなってきたね、ちょっとね。ぜひ私は、そういうきちっとした姿勢でないと漁民の皆さん方は納得もしないし、それはいけない、そう思います。  これは、この問題だけやっておりましても仕方がありませんから、将来のこともありますし、ぜひ水産庁としましては、私はこういうふうな問題について、漁業権の問題についても陳情も出ていることでもございますし、こういう問題についても当然検討していただきたいと思います。  そこで外務大臣、大変お疲れだと思いますが、もうしばらくしたらまた休憩になりますので、先日の当委員会におきまして、竹島周辺の十二海里内のいわゆるイカ釣り漁業の被害の問題について、大臣は当時、まあ現在は何といいましても安全操業が第一だと、そういうことで今後この問題についていろんな問題が出てきた場合に、たとえば補償措置等についても考えなければならないと、そういうような趣旨の発言がありました。ところが現実の問題として、この問題についてたとえば十二海里内の漁業補償、当然私は今回のような、これ以上問題がどうなるかはちょっとわかりませんが、そういうところでも漁業補償というのが考えられる時代ですね。そういう点からいきますと、私は少なくともこの二十六年間、この日韓のいわゆる紛争の犠牲となってきた漁業権、あるいは鉱業権についても国はやっぱり当然十分な救済措置、これは何も法律的にどうのこうのと言うことではありません。そういうような意味での救済措置をこれは補償なり、現金なり何なり結構です。ですから、そういうようなもので何らかの形で考える時期に来ている、こういうふうに思うのですが、この問題について、これは水産庁長官と通産大臣の方から一遍御答弁をいただきたい。
  360. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 竹島における燐鉱石に対する鉱業権について救済措置いかんという御指摘でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、原状回復と申しますか、鉱業権が一日も早く実行に移せるように問題を解決するということが先決ではなかろうかと思います。鉱業権者みずからも、日韓問題の解決に至るまでの間着手義務を延期してもらいたいといったようなこと、自主的判断に基づいて申請に及んでいるといったようなこともございますので、まず何よりも、本来の鉱業権が実行に移せるようにするということを心がけたいと思うわけでございます。
  361. 森整治

    政府委員(森整治君) 漁業権についての問題でございますが、まあ先生のおっしゃることは、結局政策論として先ほどの判決の問題もございましたから、恐らくそういう意味での御質問と思います。これにつきましては、私どもいろいろ調査をいたしておりますけれども、実際問題としていままでこの漁業権が最初から実際に動いた形跡がございません。ただ、先ほども質疑の過程で申しましたように、今後のやはり実際に漁業権が行使できる状態、可能な状態になったときに備えて、ずっと漁業権が続いてきておるというふうに思いますので、いまこの領土の問題、あるいはそれと何か関連をして今後いろいろ折衝をされますという意思を表示しておりますこの段階で、いま直ちに漁業権の何か救済の措置を講ずるということは、少なくとも妥当なことではないのではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。今後の課題として何かそういう問題を考えるべきではないかということでありますれば、私どもとしてはそういう線につきましてなお調査の上検討をさしていただきたいというふうに思います。
  362. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしましても水産庁長官、あなたの答弁を聞いておるとどうも一々一々ひっかかってくる。これはよほど私は勉強していただいて、水産行政のベテランなんでしょうけれども、やっぱり漁民の皆さん方が聞いていたらとても納得できるような答弁が返ってこない。少なくとも鉱業権と漁業権は本来的にやはり違います。だから私はそういうような意味でも当然、たとえば、十二海里の中でのいわゆるイカ釣り漁船の漁業でちょっと――ちょっとと言うたらおかしいですけれども、ああいう今回のような事件があっても、やはり何とかしなければならないという国の最高責任者のお話も現実にあるわけです。そういうようないろいろな観点から見ても、裁判の判決の中でもやはりきちっとそういう原告が被害を受けているという実情を認定をしているわけです。ですからそういうようないろいろな観点から見ても、それに対して水産庁が、あなた方がお願いする立場にあるということを何であれだけしつこく私言ったかというと、やはり補償の問題をきちっとしたいから言っているわけです。それはあなた方はしたくないから、そこで抵抗しているわけです、よくわかっている、私も。  しかしながら、それではいかぬ。やっぱりこういう問題についてはきちっとこの問題を解決するという方向でなければいけない、そう思います。そこで現実の問題として、三十日の当委員会の私の質問でも総理自身が、調査をして善処をしたいという約束をしておりますので、この問題についても今後ともやはりがっちり調査をされて、それで具体的にこの問題について善処をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。どうですか。
  363. 森整治

    政府委員(森整治君) よく実情を調査の上、できるだけ私どもとしても善処してまいりたいというふうに思います。
  364. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 五時二十分まで休憩いたします。    午後五時七分休憩      ―――――・―――――    午後五時三十八分開会
  365. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 商工委員会再開し、休憩前に引き続き質疑を行います。  御質疑のある方は順次御発言を願います。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  366. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは長時間にわたって大変御苦労さまでございます。  そこで、北朝鮮との問題についてお伺いをいたします。  今回の大陸だなの国内法の審議、あるいは先般の大陸だな協定に当たりまして朝鮮民主主義人民共和国の方から抗議が来ておりますが、やはりこの問題も午前中に議論をいたしました中国との問題と関連があると私は思います。そこで、この北朝鮮のいわゆるこの問題についての抗議の実情並びにそれに対する外務省の考え方、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、一遍お伺いしたい。
  367. 中江要介

    政府委員中江要介君) 北朝鮮の抗議の実情として私どもが承知をしておりますのは、一九七四年二月二日の北朝鮮外交部スポークスマン声明というものを朝鮮通信を通じて承知しております。で、これに対して日本政府はどういうふうに受けとめているかという点でございますが、これは朝鮮半島の管轄権の問題について日本考えております認識からいたしますと、北朝鮮の当局の抗議は根拠がないと、こういうふうに受けとめておるわけでございます。と申しますのは、日本政府は一九六五年に大韓民国との間に国交を正常化いたしましたときに、このいわゆる通常三十八度線と言われております朝鮮半島の真ん中で北と南に分かれている、南には大韓民国政府というものが有効支配をしてこの政権を日本は承認しこれとの外交関係を持っている、その管轄権は実際に管轄を及ぼしているところであるということで、国連決議を引用して基本関係条約締結したことは御承知のとおりでございます。それを裏返しますと、三十八度線の北には大韓民国政府とは別の政権が存在するということを認識してはおりますが、この北の地域とはいまだ関係が正常化していない、したがってそこは白紙に残っているというのが日韓基本関係条約締結したときの日本政府の認識だったわけでございます。  その白紙に残しました北との関係がどういうふうに発展しているかということは、これも先生先刻御承知のことと思いますけれども、貿易、人物交流、文化、スポーツ、そういった面では事実上の関係は徐々に伸びてまいりまして、一九七二年の七月四日に南北鮮共同声明が出ましてからはこれは非常に急上昇しておりまして人物交流もふえている。しかしながら実際の管轄権の及ぶ範囲はこれは日韓正常化のときと同じでございまして、三十八度線から南は大韓民国政府が実効的に管轄権を及ぼしている、三十八度線から北の部分は、これは陸地部分も海の部分も同じでございますが、これは大韓民国政府の管轄は及んでいない、そこには北朝鮮いわゆる朝鮮民主主義人民共和国政府が管轄を及ぼしている。そのために日本と北朝鮮との間で漁業の問題がありまして昨年来実際上の解決のための取り決めが行われているということも御承知のとおりでございます。こういう日本と朝鮮半島の南と北との関係から見ましても、またそれのみならず、国連にこそ双方は入っておりませんけれども、国連には南北鮮がそれぞれにオブザーバーを出している、また七つぐらいの国連の専門機関には南北鮮がそれぞれ加盟をしている、そういうところから見まして、朝鮮半島の実態はやはり三十八度線を境にして管轄権が分かれているというのが客観的な事実でございます。  それを前提といたしますと、この東シナ海大陸だなについて境界線を画定してそれぞれ主権的権利を主張し得る部分というのはおのずから決まってくるわけですが、韓国と北朝鮮との間でこの大陸だなの境界を画定するという場合には恐らくその管轄権の分かれているところから等距離の点を結んだ境界線が設定されると思います。いずれにいたしましても、日韓大陸だな協定が対象としております部分は、いかように見ましても朝鮮民主主義人民共和国の管轄の及ばないところでございますので、この部分について北朝鮮の当局が抗議を申しておりましてもそれは根拠がない。ただ北朝鮮の抗議の中には、これは朝鮮人民の財産である、したがって南であるか北であるかを問わず、これは朝鮮人民全体の財産であるのであるから、この問題の処理は自分の、つまり北朝鮮と話をすることなく処分するのは問題だという部分がございますが、これは北朝鮮が全朝鮮半島を代表しておりますればそういう議論は成り立ち得ると思うのでございますが、ただいま申し上げましたように事実上客観的に管轄権が二つに分かれておる。その事実に即して処理していくというのが外交案件の処理でございますので、大韓民国政府との間でいまの南部共同開発区域あるいは北部の中間線による分割というものを行いましても、そのことは何ら朝鮮民主主義人民共和国の権利は害していないということは、これは全く間違いのないことだというふうに思っておりますので、北朝鮮の当局の抗議声明はこれは日本としては取り合うまでもない問題だと、こういう認識でございます。  しかしながら将来朝鮮半島が朝鮮半島の人たち希望としては統一をする、あるいは共存していく、連邦政府、いろんなアイデアが出ております。そういうときにどうなるかという問題は、これは通常一つの国が二つになる、あるいは二つの国が一つになる、そういったときに行われますような、国際法に従った権利義務の継承というものが行われるわけでございますので、この大韓民国との間にこの部分の共同開発を行うことが分断を固定化するとか、将来に非常に解決不可能な問題を残すというふうには考えません。それの最もいい一つの例はやはり漁業協定だと思います。日韓漁業協定は三十八度線以南の公海部分を含む漁業操業秩序について合意をしておりまして、円滑な漁業が行われている。北との間ではいまだ外交関係はございませんけれども、事実上の漁業取り決めを昨年来持っている。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 そうして北と南とにそれぞれの秩序を保って漁業利益を守っている。こういう現実的な解決を行いつつ、将来それがどうなるかによって二つのままで現行のようになりますにいたしましても、一つに統一されましても、それはそのときの国際法に従った解決が行われるということで処理できるのではないかというのが私どもの受けとめ方でございます。
  368. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ政府の受けとめ方はよくわかりました。しかしこれは、いまおっしゃった一九七四年の二月二日のこのスポークスマンの声明ですか、非常にこれは中身厳しいですね。こういう厳しい抗議の内容というのは、私も余りこういう種類の文書の中では見たことないんですが、非常に厳しい内容の文書になっております。私はこれは北朝鮮に対して日本がどういうふうに北朝鮮という国を認めていらっしゃるかということにもやっぱり関連をしてくると思うんですが、この点はどうでしょう。
  369. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私どもは、先ほどもちょっと触れましたけれども、国連関係の国際機関では南北鮮がともに加盟しております場合にはわが国も加盟しておるわけでございます。したがいまして国際機関の場ではやはりその国際機関のフルメンバーとしての地位は認められておるわけですが、ただ二国間の関係といたしましてはまだ承認にまでは至っていない。承認するところまでは至ってないけれども、事実上の関係は先ほど申し上げましたように積み重ねられている。で、日本政府として朝鮮民主主義人民共和国とこれは絶対に関係を持たないとか、これを敵視するとか、そういうことは政策としてとったことはございませんが、北朝鮮の方からはこのスポークスマン声明に見られますように非常に激しい言葉遣いでございます。私どもは、言葉遣いの激しさが問題ではなくて、その言葉遣いによって言おうとしている内容に根拠があればこれは尊重しなければいけませんが、根拠がなければ、それは言葉遣いは言葉遣いといたしまして、正当な評価はその内容によって下していくということでございます。  で、北朝鮮との関係は絶えず問題になりますけれども、日本政府といたしましては、朝鮮の独立を承認いたしましたサンフランシスコ体制のときにはこれは二つの朝鮮とか一つの朝鮮とかということはなかったわけですが、当時の国際環境のもとで、アメリカとソ連との大きな国際社会におけるいろいろの考慮があったものと思いますけれども、これが不幸にして分断された。そういうことからくる非常に不自然な二分化された状況が長く続いている。しかもそれぞれが別の体制を選んでしまっているというところに困難な事情がございますけれども、日本政府といたしましては、困難な事情がありましてもこの双方目標としては友好関係を築かなきゃならない。それでそのときそのときの国際環境のもとで許される範囲内で、韓国との友好関係はもちろんこれは強化していきますけれども、同時に北朝鮮との関係の改善も目下のところは事実関係の積み重ねということで、信頼関係を築いていきたいというのが従来外務省のとっておる態度でございます。
  370. 峯山昭範

    峯山昭範君 この北朝鮮の抗議に対しましていま外務省が言わんとすることもよくわかりますが、これはまあ確かに激しい言葉遣いよりも、言わんとする内容である、そのとおりだと私も思います。いかに激しい言葉を使おうとも中身が大事であろうと思います。そこで、北朝鮮の言わんとすることは、外務省としては全く根拠のないことであるというふうに判断をしていらっしゃるわけですね。
  371. 中江要介

    政府委員中江要介君) そのとおりでございます。
  372. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということでは、これは北朝鮮側としても非常に納得できないでしょうが、これは要するに内容を見てこの抗議の中身は全く取るに足らないいわゆる根拠のないものであるという判断をされて、北朝鮮側にはもちろん国交がきちっとしていませんので、そういうルートもあれなんでしょうけれども、具体的にはどうこうという措置は一回もとったことはないんでございますね。
  373. 中江要介

    政府委員中江要介君) ございません。
  374. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこのところは、やはり私はこれは現実ということを先ほどから局長おっしゃいましたが、現実の問題として南北の朝鮮がいわゆる統一されてないという現状でございますね。そういうような現状の中では、やはり北朝鮮にもそれぞれ主権的権利が存在する、そういうふうに見るのが妥当であると、そういうふうに思うんですね。そうしますと、北朝鮮そのものもいわゆる主権的権利を行使する根拠がないということで外務省はこれをあれしているんでしょうけれども、そういうふうに主権的権利がないというふうに解釈する、政府がそういうふうに解釈する、向こうの抗議がそういう権利がないというふうに解釈する根拠ですね、これはどういうふうにお考えですか。
  375. 中江要介

    政府委員中江要介君) それは大陸だなに対する主権的権利の主張というのが、そもそも領土から海の方に向かって領海をとり、さらに領海から遠方に向かってこの大陸だなの権利主張というのは延びてくるわけでございますから、そもそも領土のないところには大陸だなの権利主張というのはあり得ないわけでございます。したがいまして、いまの共同開発区域になっておりますところは、これは大韓民国の領土から初めて権利主張のできる大陸だなでございますから、これはその権利の根源である大韓民国政府と話をすればいい。大韓民国政府の権利主張は、しかし三十八度線の北には及ばないわけです。北の方は朝鮮民主主義人民共和国が有効支配しておるわけですから。したがって北の方、朝鮮半島の北の部分から沖に延びていく大陸だなには、これは国際法上朝鮮民主主義人民共和国は十分の主権的権利を主張する根拠を持っている。今度の協定はそこの部分には全く関係がなくて、韓国が主張し得るところについて、日本が主張し得るところと重なる、その部分を共同開発にしているということでありますので、どちらから見ましても北朝鮮の方からの権利主張は及び得ないと、こういうことが根拠でございます。
  376. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、現実の問題としてこの南北朝鮮のいわゆる統一という問題が、これは北朝鮮の抗議の中身を見てみましても、南北朝鮮の現実と、それから統一という問題にやっぱり触れざるを得ない内容になっているわけですね。そうしますと、この南北朝鮮の統一という問題について、現在政府はどのようないわゆる基本姿勢を持っていらっしゃるか、この点ちょっとお伺いします。
  377. 中江要介

    政府委員中江要介君) 基本姿勢は、朝鮮半島の問題は朝鮮半島の人たちの自主的に決定する問題であると、第三者が外からとやかく言うべき問題でないというのが基本姿勢でございます。
  378. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、したがって朝鮮半島の問題につきましては、政府基本姿勢というのは要するにそれぞれ自主的な話し合いによって解決をすると、言葉ではそういうふうに言いながら、現実の問題としては北朝鮮の方の抗議を一方的に無視して、これは北朝鮮の抗議というものは朝鮮半島が一方一つであると、そういうふうな考え方に立てば、これはそれはそれなりに筋が通っているわけですね、言葉の厳しいところはあるにしても。これはそうすりゃ、要するに南北朝鮮が一つであると、一つの国であるというふうに考えればこの抗議はそれなりに筋通っているわけですね。そうでしょう、違いますか。
  379. 中江要介

    政府委員中江要介君) もし仮定の問題といたしまして南北の朝鮮が一つであるといたしますと、その一つの朝鮮を正当に代表する政府がどちらかということで、この抗議の根拠のあるなしが決まると思うんです。いまのところは南北朝鮮を一つにして、一つの大きな朝鮮半島を代表する正統政府というのはないわけです。現実は南に大韓民国政府があり、北に朝鮮民主主義人民共和国政府がいると、こういうことでございまして、大陸だなに関する限りは、この部分はいかように見ましても大韓民国政府の管轄する陸地から延びている部分であるということが、私どもの北朝鮮の抗議声明に根拠がないという理由でございます。
  380. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこのところは、これ多少仮定の問題が入りますが、要するに朝鮮半島が一つであれば抗議はそれなりに筋が通っているわけですね。これは多少仮定の問題が入りますがね。
  381. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私申し上げましたように、朝鮮半島が一つの場合に、その一つの朝鮮半島を代表する政府がどちらであるかということによって決まるわけでございます。したがいまして、どの国でありましても、どの政府でありましょうとも、そこを代表する政府交渉して物事を決めていくわけで、いまこの声明から、この声明自身がもし朝鮮半島が一つであれば根拠があるかと言われますと、この声明からはすぐにはそうは申せない。朝鮮半島が統一されたときに、その統一された朝鮮半島を正当に代表する政府の声明であって初めて根拠があると、こういうことでございます。
  382. 峯山昭範

    峯山昭範君 しかし、そういうふうな現実の問題としては確かに一本にはなっていない。しかしながら、南北朝鮮の統一という問題については自主的な話し合いを期待すると、そういうふうに片っ方で言いながら、実際問題として、この北朝鮮の抗議は一方的にこれは根拠がないと言って無視をして、そして、片っ方のいわゆる日韓間の話し合いのみで今回の共同開発を強行するというのは、逆に言えば、片っ方で話し合いで、朝鮮半島は話し合いでこの二つの国が決めるべきであると、一つになるかどうかということは、という片方の基本姿勢がありながら、片方では北朝鮮の抗議を無視し、片っ方では日韓の話し合いを進めて大陸だなの開発を行うということは、これは要するにわが国の朝鮮半島に対する政策ですね、これはやはり南北を永久に分断すると、そういうふうな政策に手をかすということになりませんか。
  383. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私どもは折があるごとに申しておるんですけれども、日本政府としては朝鮮半島の南北分裂を固定化するというような意図は全くないわけでございます。日本の従来とっております対朝鮮半島政策は、現実に即して処理すべき問題を処理していくと、こういうことでございまして、そのゆえにこそ一九六五年の国交正常化の場合でも、日韓正常化の場合でも、韓国政府というものが朝鮮半島全体を代表する唯一の合法政府という立場はとらずに、これを国連決議の一九三でございましたか、これを引用いたしまして、その及ぼす、管轄権の及ぶ範囲はいわゆる南朝鮮に限ると、そういう性格政府であるということで、基本関係条約を結びまして、北半分については白紙のままで残すという配慮を当時からしておるわけでございまして、それは行く行く連邦になられるか統一されるか、これは朝鮮半島の人たちが自主的にお決めになりますけれども、それが決まる見通しがはっきりしないいまの段階で、しかし、すぐお隣にあります国でございますので、現実にいろいろ処理を要する問題がある。  現に漁業問題が一番当時問題であったわけですが、これは実効支配をしている領域の領海外の漁業、あるいは漁業水域なり公海、共同規制水域、そういったものもすべて現実に管轄権を及ぼしている領域にかかわり合いのある海面、水面についてのみ協定しておるわけでございまして、もし北朝鮮の言っておりますように、これは行く行く統一を自分たち考えているのであるから、南だけとは一切話し合いができないということは、これはすなわち北朝鮮がよく言っております南に大韓民国、あるいは大韓民国政府というものが存在している客観的事実を否定した立場でございますので、これは日本政府としてはなかなかとれないばかりでなく、国際機関においてもそうでない、現実に即した処理をしておりますので、日韓大陸だな協定を、この部分に限って、大韓民国政府と取り決めたことには何ら問題がない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  384. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの答弁を聞いておりましても、それはそれなりに日本政府としては配慮はしていらっしゃるようではありますけれども、北朝鮮の抗議というものは現実にあるわけですね。そして、片方の方で大陸だなの開発を行う。日本政府現実自身がやはり韓国の方に片寄っている。これはもういろんないきさつ上やむを得ない点もあるかもわかりません。しかし、朝鮮半島に対する基本政策という面では、北朝鮮と韓国との話し合い、その基本政策そのものでは、その両方話し合って解決すべきであるとは言いながら、片方で今回のこのたなのように、大陸だなの開発を進めるというのは、どうしても多少やっぱりおかしいのじゃないでしょうかね。やっぱり言行不一致というような感じがしてくるわけですがね。しかも、北朝鮮のこの抗議の中身についてももう少し配慮をすべきではないか。全く根拠がないということで強い姿勢ではねつける。これは逆の立場なら、とってもじゃないけれども、そういうことはしないんじゃないか。そういうことも私は言えると思うのですがね。これ両方含めまして、どうですか。
  385. 中江要介

    政府委員中江要介君) 後の方からお答えいたしますと、もし逆の立場でございましたら、やっぱり私どもは逆の抗議声明というものを認めないという立場をとることは、これはもう当然の立場だと思います。  で、前段のところでございますけれども、いかように考えましても、実効支配してない、何ら管轄権を及ぼしてない部分についてその延長線上の大陸だなに権利を主張するということは、これはやはり現実離れをしておりますし、国際法的にも説明のできないことでございます。しかし、現実に支配しておるところから延びております海域及び大陸だなについては、これは北については北の主張に根拠があるということを日本政府も認めておればこそ、北朝鮮との間の三十八度以北の海域の漁業取り決めにつきまして、これは民間のものでございますけれども、日本政府といたしましては、それが日本の漁業利益を守るに役立つものであれば、それなりにそれを評価するということを昨年来明らかにしておりますとおりでございまして、あくまでも現実に即して、主張の根拠のあるところにはこれはそれを認めていく、しかし根拠のない、つまり、たとえば北朝鮮が朝鮮半島全部を代表しているというような立場から、あるいは将来代表するんだというような立場からいろいろ御意見を言われましても、それは現実にはそぐわない。現実はやはり北は北、南は南でそれぞれ管轄しておられるわけですし、それなりに国際機関におきましてもその二つの政府の国際機関への加盟が認められているということがございます。  そういう現実的な処理には私は間違いがないと思いますが、そういう現実的処理をするからといって、これを固定化してしまうんだと、朝鮮半島の人たちが自主的に将来を考える道を閉ざすんだというようなことは全くないわけでございまして、これは再三明らかにしておるとおりでございます。
  386. 峯山昭範

    峯山昭範君 それではちょっとあれしまして、防衛庁御出席をいただいて長時間お待ちをいただいておりますので、少しだけお伺いしてお帰りをいただきたいと思います。  この共同開発区域の自衛権という問題でございますか、この共同開発区域というのはいわゆる公海上にあるわけですね。そこで外国の武力攻撃に対して実際問題自衛権を発動できるかどうかという問題が事実上あると思うんですが、この共同開発区域の自衛権についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  387. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。  御質問共同開発区域にあります施設は公海上の施設でございまして、これに対します攻撃がなされました場合にはそれがいわゆる自衛権発動の三要件、なかんずくその第一の要件であります外国によるわが国に対する組織的、計画的な武力攻撃に当たるかどうかが問題になろうと存じます。この自衛権発動の三要件と申しますのは、第一がわが国に対する急迫不正の侵害、すなわち外国によるわが国に対する組織的、計画的な武力攻撃の発生があった場合、第二要件は、この場合に他にこれを防ぐ手段がない場合、第三に必要最小限度の実力行使にとどまるべきことと、これがいわゆる自衛権発動の三要件でございますが、これらの要件に該当する場合には、自衛権発動の対象になるということが言えようと存じます。ただ、これはただいま申し上げましたことはあくまで純法理論上の問題でございまして、この公海上にあります施設に対する武力攻撃の態様がいかがなものであるかと、それがわが国に対する組織的、計画的なる攻撃に含まれるものかどうかという実態に応じましてケース・バイ・ケースで判断されるべき問題であろうと存じます。
  388. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは現実の問題として、もうこれだけ話し合いが進んで、こういうような共同開発が進められようと実際やっているわけですね。それに対しましてこの自衛権発動のいわゆる要件というのはいま三点おっしゃいました、これはよくわかるんですが、現実の問題としてこれは自衛隊としては、ここはやっぱり自衛隊の航空機が、海上自衛隊ですね、こういうところは実際問題としてどういうふうな警備といいますか、監視といいますか、そういうふうな活動はどういうふうなことをやるんですか、実際の動きは。
  389. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この共同開発区域に係ります施設の安全の確保という面は、これはただいま申し上げました自衛権の発動という場合は、これはまことに希有な事態、ほとんど考えられない事態であろうと存じます。一般的に申しますれば、いまの自衛権発動よりもより可能性のあるものといたしましては、やはりこれに対しますたとえば暴力主義的な破壊活動を旨とする集団による破壊工作とかといったようなことではなかろうかと思われますが、そういうようなこと、一般的にその公海上におきます共同開発区域の施設の安全に係るものにつきましては、これはむしろ自衛権の発動と申しますよりは、海上におきます警察活動の一環としてとらえらるべきものであろうと存じます。こういう海上におきます警察行動につきましては、これは第一義的には海上保安庁の御所管になっておるところであろう。すなわち海上におきます人命または財産の保護という任に当たる海上保安庁の御所管のところであろうと存じます。  そこで自衛隊法に即して申し上げますと、この海上保安庁の手に余るような事態が万が一生じましたといたしますれば、自衛隊法の第八十二条でございますか、にございます「海上における警備行動」というものが発動される場合も、これもまた法律上、法理論上の問題でございますが、そういうことも考えられないではないと存じます。
  390. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはおっしゃることよくわかるんです。第一義的には当然海上保安庁のあれであろうと、これはよくわかります。  それで、先ほどの自衛権を行使する場合の条件もよくわかります。実際問題として海上保安庁の手に余る行為というのは大体どういうことですか。どういう行為を予想されますか。
  391. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 現実にまだそういう事態が起こっておりませんので、全く架空の想像になるわけでございますので、具体的にどういうものが過去ありましたからこういうようなものでございましょうという御説明はできませんことを御了解願いたいと存じます。  以上でございます。
  392. 峯山昭範

    峯山昭範君 いま、あなたがおっしゃったから私は聞いているんで、海上保安庁の手に余る行為があれば、要するに海上自衛隊が出動をするということであなたがおっしゃったからそれに合わせて、それじゃ海上保安庁の手に余る行為というのはどういうことを考えていらっしゃるのかと、こうお伺いしているのでありまして、どうなんですか。
  393. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 具体的に海上保安庁でどういう事態になりますと海上保安庁御自身として手に余るかということは、防衛庁の私の方からお答え申し上げるよりは、能力等について十分御知悉の海上保安庁の方からお答え願った方があるいは適当かとも存じますけれども、私の方で一般的に申し上げますれば、海上保安庁の現在お持ちの航空機とか船舶とかそういうような装備、あるいはその全体の人員等も影響すると思いますが、そういう人員、装備を含めました海上保安庁お持ちの海上におきまする警察行動のための能力に余るような事態であろうと存じます。
  394. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、共同開発区域はそういうふうな意味で自衛権もあり、かつ海上保安庁がそれぞれの任務を果たすわけですが、外務省にお伺いしますが、ここには韓国も同じようにこういうふうな権限があるわけですか。
  395. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 共同開発区域に関しましてはこれが国家の領域であるかのような議論が行われておるわけでございますけれども、先ほど先生御指摘のとおり上部水域はもちろん公海でございます。沿岸国が持っております権利は海底にございますところの資源を探査、開発する、そういう資源的権利でございます。したがいまして、先ほど御説明のございました自衛権の発動ということに関しましても、現実にそれがわが国に対する侵害として考えられます事態は、大きく言って二つあると思うわけでございますが、一つはその区域において行動しております船舶に対する侵害がございます。それからもう一つは掘削施設のうちの固定式のもの、移動式の掘削施設は船舶というふうにとれるのでありますので、その二種類ということになるわけでございます。  それで、公海でございますから韓国の船舶であろうと、わが国の船舶であろうと、あるいは米国その他いずれの国の船舶でございましょうとも、そこにおきましてはたとえば公海条約等で定まっております海賊行為に対してはいずれの国も取り締まれるというふうなこともございますし、仮に、めったにないことですけれども、その水域にあるわが国の船舶等に対して非常に組織的な武力攻撃があるという場合に、自衛権が理論的にあるという説明が先ほどあったわけでございますが、固定施設に関しましてもしたがいまして現実にそういう事態は想像されない。ただ理論的には、その水域に設けられております固定施設というものに対しまして、わが国あるいは韓国が大陸だなの沿岸国の主権的権利という意味合いから管轄権を及ぼす。したがって、当然それに必要な警察権の行使というふうなものもできると、これが国際法の法理でございます。
  396. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、この共同開発区域につきましては、日本と韓国のいわゆるそれぞれの海上保安庁、それぞれに類するようないわゆる警察活動がそれぞれあるわけですね。そして、それぞれの国の船舶なりいまおっしゃった二つの固定的なものあるいは船舶のその安全を確保するためにそれぞれの立場でやると、そういうことになるわけですね。
  397. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 一般国際法の枠組み及びこの協定で定められておりますところの枠組みの二つによってやるわけでございますが、まず船舶に関しましては、一般国際法のルールによりまして旗国が本来の管轄権を持っておるわけでございますけれども、先ほどの海賊行為のような場合にはあらゆる国がその国際法に基く取り締まり等ができるということでございます。  それから、固定施設に関しましてはこの協定の第十九条に国内法令の適用についての規定がございますが、やはりその規定に従いましてそれぞれの国の操業管理者が活動いたしますところの小区域におきましては、天然資源の探査、開発に関連する法令が適用されるということでございますので、通常の警察権等の行使あるいはこういったたぐいの行動というものは、その小区域におきまして操業管理者となっておりますところの国の法令が適用されるというのが原則であろうと存じます。
  398. 峯山昭範

    峯山昭範君 これと先ほどのその自衛権の発動と関連をいたしまして、安保条約の適用という問題はこれはどうですか。
  399. 村田良平

    政府委員(村田良平君) この水域は先ほど申し上げましたように公海でございまして、安保条約の第五条が定めておりますところの「日本国の施政の下にある領域」というものには当たらないわけでございます。したがいまして、安保条約の適用はないということでございます。
  400. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に多少問題を変えまして外務大臣、この大陸だなの共同開発のいわゆる必要性という問題につきまして、もういままで何回か議論ありました。私たちこの問題については午前、午後も長時間にわたりまして竹島あるいは日中関係のいろんな問題から議論をしてまいりました。それで改めてちょっとお伺いするわけですが、この共同開発、これどうしてもやっぱりやらにゃいかぬものですかね。これはいろんな問題が提起されておりますけれども、実際問題としてこの共同開発を急いで実施しなければならない意味ですね、その意味の中身の議論で、総理からも説明ありましたし、また外務大臣がたびたびおっしゃっておりますように、この信義という問題はこれはわかりました。ですからそれはわかるんですが、この信義という問題は非常に抽象的な問題ですね。この信義という問題をちょっとたな上げにして、ここのところたな上げにして言いますと、あと何かこの問題でどうしても韓国と急いでこの共同開発をやらなきゃならないという理由が何かほかにあるかと、こういうふうに一遍大臣に問うてみたいんですがね、それどうでしょう。
  401. 園田直

    国務大臣園田直君) 急いでこれを共同開発せなければならぬという理由は全く資源政策からくることでございますから、通産大臣の方からお答えを願いたいと存じます。
  402. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) けさほど来から国際信義上の問題はお話が出ておりますので、エネルギー政策の立場から申し上げたいと思います。  一つは、開発に入るまで少なくとも七年ないし八年の長い期間を必要とするということでございます。  二つ目に申し上げたいことは、御承知のとおりわが国では必要とするエネルギーの四分の三までを石油に依存いたしておるわけでございます。この石油のほとんど一〇〇%近くを輸入いたしておるわけでございますが、この輸入のあり方自体に非常に大きな問題があるということでございまして、その一つはこれも御承知のとおり、全輸入量の八〇%を中東地域に依存しておるということでございます。それからいま一つは、メジャーその他外国企業の手を経てその多くを輸入しておるということでございまして、いわゆる自主開発原油、フリーハンドの原油というものがきわめてわずかでございます。国の経済を維持するために必要なエネルギー、その中の石油がさような問題点を持っておるということでございますので、この二つの面からできるだけ早く開発に着手いたしたいというのがエネルギー政策からの緊要性ということになろうかと思います。
  403. 峯山昭範

    峯山昭範君 それだけではどうも説得力弱いですね、長官。これだけの問題があり、しかも私はエネルギー政策そのものから言いましても、現実の問題として今回の共同開発区域の原油の量、いま日韓間で日韓大陸だな協定開発しようというこの原油の量と、それから中国やいまの尖閣列島を初めそっちの方にある原油の量、あるいはそのほかのいろんな条件等にらみ合わしてみましても、これはいま長官がおっしゃったように、いま急いでどうしてもこの問題をやらなくちゃならないという理由にはならない。  いわゆるエネルギー政策の上からは、いま長官がおっしゃったように、実際に必要までには七年ないし八年の期間がかかる。しかも、その現在の原油の輸入の実態、そういうふうなものがこれを開発をしてどの程度改まるかなんといったって、それは本当にしれているわけですね、実際問題として。しかも、いろんな問題点、いろんな角度から検討しましても、いま長官がおっしゃったような理由以外の何か理由があるのか。これちょっと質問のやり方を変えてみますとね、実際いまおっしゃったような理由というのは、私はいま外務省でおっしゃる信義という問題をたな上げして考えますと、もっとほかに何か理由があるんじゃないか、そういう気持ちもするわけですけれどもね。いまありきたりのこういうふうな理由じゃなくて、どうしてもたなのこの法案を通さなくちゃいけないという理由ですね、これはどうなんですか。
  404. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 当面世界の経済活動が非常に停滞いたしております。一方供給量はかつての石油危機当時を上回る程度にまで回復してきております。また、アラスカ、北海、メキシコといったようなOPEC地域以外での生産も活発になってきておるということで、当面非常に需給が緩慢になっておるといった、現在時点で考えると御指摘のような問題にもなろうかと思いますが、われわれが心配いたしますのは八〇年代の後半、遅くとも九〇年代の初めにかけて石油に増産の限界が来る。当然供給量にそれなりの制約が来るわけでございますが、あわせて石油価格も当然上昇してくるという事態をいまからすでに考えておかなくちゃいけない。私思うわけでございますが、石油危機の際いろいろ言われましたが、日本としては過去最高の輸入量、三億キロリッターの輸入を維持し得たわけでございます。その時点で価格のみが上昇したということでございます。  今後考えられることは供給量の制約とあわせて、その面から来る価格の上昇ということを考えますと、御指摘のようにこの地域における確定埋蔵量というものは十分まだ確認できておりません。いろんな推定をいたしましても三億七千六百万キロリットル程度ではなかろうかと言われておるわけでございますが、かといって、いまそういった問題にかまけておった場合に、十年後に問題が発生したときに間に合わないというところにエネルギー問題の本質があるわけでございますので、われわれとしては一日でも早く探査活動をやり、試掘をやり、探掘をやり、営業生産、商業生産に入り得るかどうかということを確認しなければならないと思うわけでございます。  けさほども石油は逃げないじゃないかということを言われたわけでございますが、逃げないことは事実でございますが、これを商業生産に移すまでに少なくとも七、八年から十年の歳月を必要とするということの認識がエネルギー政策の私は第一歩ではなかろうかと、かように考えるわけでございまして、そういった意味からも、この大陸だなの開発を一日も早くやりたいというのがわれわれの立場でございます。
  405. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの長官の話を聞けば聞くほど、やっぱり必要ないなという感じがするんですね。実際問題として、そういうふうなエネルギー供給の現実というものを見比べてみますと、何といいますか、現在の共同開発区域での石油の埋蔵量と、それから日中間石油の埋蔵量なんというものを考えてみますと、日中間の方がずっと多いというふうな調査も現実にあるわけですね。そういうふうな、いわゆる中国の抗議という問題、先ほど外務省と相当議論いたしましたが、そういうふうないろんな抗議は、確かに根拠のない抗議かもしれません。日本からはそれぞれ、先ほどの外務省の説明いろいろあったわけですから、それは議論はいいです。  それにしても、そういうふうな抗議を受けながら、今度の共同開発のこれをやる必要があるのか、それよりはやはりこの際はこれはやめて、やめてと言うより、今回はとりあえず延期するなり何なりして、そして中国を説得してからでも、先ほど私はこの問題を外務省に相当ぶつけましたけれども、今度はエネルギー庁長官にぶつけるわけですが、この問題を中国と解決してから、中国とよく相談をし納得してから、それからでも十分間に合うんじゃないか、そうではありませんか。
  406. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の点は、尖閣列島周辺の開発の問題かと思います。この地域につきまして周辺の大陸だなに開発を及ぼそうとする場合、当然のことながら日中間における大陸だなの境界問題を定めていかなくちゃいけないという問題がございます。いまの段階では、まだその緒にもついておらないというのも事実でございますが、私が思いますのには、日本のように資源エネルギーがなく、かつは年率六%程度の成長を少なくとも五十年代中維持しなければならないといったような国柄といたしましては、特定のエネルギーあるいは特定の地域に集中して依存するということはきわめて危険な問題ではなかろうかと思うわけでございます。できるものからステップ・バイ・ステップに力を尽くしていくということが事の順序ではなかろうかと思うわけでございます。私決して日中間における共同開発を否定するものではございませんが、現在、先ほどからもお話が出ております国際信義といったすでに協定が成立して四年といったようなことも前提といたしまして、できるものから順次スタートしていくべきだというのが私の所信でございます。
  407. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういう所信を聞けば聞くほど、これは必要ないなという感じがしてくるわけですがね。少なくともたとえばこの区域で西日本石油開発という会社が現実に試掘をしたそうですね。その成績とかその問題については報告来ていますか。
  408. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) この地域につきましては、協定成立前に若干の物理探査はやっておるということは聞いております。しかしその程度の探査活動で十分な成果というものは期待できないわけでございます。協定ができておるわけでございますから、それを実施に移す特別措置法の成立を待って、さらに精細な重力、磁気、あるいは地震探鉱をやり、さらに試掘、探掘をやっていくといったような過程が当然必要でございます。そういった過程を踏まないと、この問題も現実のものにならないということでございますので、われわれとしてはむしろ早く法律を成立さしていただいて、その上で本格的な調査活動に入るべきだと、かように考えておるわけでございます。
  409. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の持ち時間が、一応きょうのとりあえずの持ち時間が六時半までですから、これで終わりますけれども、これはやっぱりエネルギー庁長官、確かに長官のおっしゃるようにステップ・バイ・ステップ、やっぱりできるところからという気持ちも私はわからないではありませんけれども、まあ急がば回れということもあるわけですよ、やっぱりね。ですからその方がかえってよかったということも現実には私はあると思うんです。そういうような意味からも、この問題については相当やっぱり慎重に取り組む必要がある、こういうふうに思います。  そこで、通産大臣、ちょっときょう朝からお座りいただいて一言も声を発しなくて本当に申しわけないわけでございますが、いずれにしましてもこの問題、これは通産大臣、エネルギー庁長官がおっしゃるように、日本としてはエネルギー政策上どうしても必要でしょう、必要ではありましょうけれども、やはりいろんな角度から検討して、何といいますか、われわれ国民に対してもどうしてもエネルギー政策上この大陸だなの開発が必要なんだと納得させるものがいまのところないんですね。実際問題として。やはりこのたなをやるに当たっては日中間のたなの方に石油はよけいあると、そっちの方がよけい出るんだからそっちの方が、中国を納得をさしてからやった方がいいというような考え方も、それはそれなりに理屈はあると私は思うんですよね。そういうようないろんな観点から見ても、このエネルギー政策上どうしても共同開発を進めなければならないという理由を、大臣全部わかっていらっしゃるでしょうから、わかりやすく一遍説明していただけませんか。
  410. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 大体長官が申したことで尽きるわけでございますが、最近石油開発公団を通じまして、全世界に幅広く石油開発活動を続けておりますけれども、資源国におきましては、最近国有化傾向が非常に高まりまして、成功いたしました場合には大抵国有化される。こういう傾向がございます。現に日本が成功いたしまして国有化された例も若干ございます。小さなものはそのまま残されますけれども、大規模なものはそういうことになる傾向が非常に強いわけであります。そういうことを考えますと、やはりこれからの開発の中心は国有化されない日本近海に置かなければならぬ。こういうことを私どもは強く考えております。そういう意味で先ほど来言っております推定の三億七千万トン強の可採埋蔵量というものは、そう大きな数字ではございません。日本の全需要量の一%あるいは二%前後の需要を満たすだけでございますけれども、とにかく日本が他に接収されない油である。こういう意味で非常に大きな私は意義があると思います。  そういうことと、それと先ほど来外務省から繰り返し御説明がございますように、やはり外交上の問題、これまでのいきさつと、こういうこともございますので、どうかその二つの点から、この法律が一刻も早く成立をいたしますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  411. 峯山昭範

    峯山昭範君 とりあえず、私に本日与えられた時間がこれで一応終わりましたので、続きの質問は次回にやらしていただくことといたしまして、本日はとりあえずこれで終わりたいと思います。
  412. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は日韓大陸だなの特別措置法案についての質問をさせていただきます。  言うまでもございませんけれども、本案と申しますのは協定実施に伴う国内法実施でございますから、本案の審議に当たりましては当然この協定に触れざるを得ないわけです。しかもこの協定と申しますのは、形の上では国会の承認を得ておりますけれども、これは政府・自民党が自然成立を強引にたくらまれた、こういう結果でございますので、すべての問題点が解明され尽くしたととうてい言いがたい問題がいっぱい残っておるわけです。そこで、協定問題点につきまして私は指摘をいたしながら、政府の見解をたださせていただきたいと、こういうふうに思います。  まず最初にお伺いいたしますけれども、共同開発につきましていままでの政府の御説明によれば、一九七二年の九月、第六回の日韓定期閣僚会議が開かれておりますけれども、この際に共同開発することに原則的に合意したと、こういうことですけれども、そのときの経過につきまして御説明をお願いいたします。
  413. 中江要介

    政府委員中江要介君) いま御指摘のように、第六回の日韓定期閣僚会議のときに共同開発合意ができたというのは実は正確でございません。  その経緯を御説明いたしますと、この日韓定期閣僚会議に先立ちまして三年間にわたって法律論争があった。この法律論争のことは何度も御説明しておりますが、日本と韓国とでともにこの地域の大陸だなに対する主権的権利の主張を譲らなかった。その並行しております法律的な争いをいつまでも続けるのが賢明なのか、それとも、この法律的な立場は立場として、双方が必要としている地下資源エネルギーを有効利用する方法を実際的に考えた方が有利なのかという、そういう実際的な利益から、いろいろの法律的な立場を害することなく資源を有効利用する方法というものは考えられておったわけでございます。日本側でも、これは北海の大陸だな問題の事件を裁きました国際司法裁判所の判例の中にもございますけれども、こういう場合の解決の仕方として共同開発ということも一案ではないかという示唆はあったわけでございまして、日本側でもあるいはそういうことも考えるべきかなという感じでおりました。  ちょうどそのころ、いま御指摘の一九七二年の九月四日の日韓定期閣僚会議の前日でございますが、この日に日本側出席閣僚がソウルで朴大統領を表敬訪問いたしまして、その後首席代表でありました大平外務大臣が朴大統領と二人で話されたときに、朴大統領の方から、いま日韓両政府で法律的な論争を続けているこの大陸だな問題の解決の一つの仕方として、共同開発という構想はいかがなものであろうかという話があったわけでございます。そこで大平外務大臣は、一番最初はこれはもう法律的には全く韓国の主張に根拠があると言って単独で開発し得るという強い立場を持っておりました韓国側が、実際的な解決として共同開発はいかがなものだろうかと、こういうふうに提案してまいりましたので、それを承って、その日及びその翌日の九月五日、さらにその次の日の九月六日と定期閣僚会議が行われまして、その間関係通産大臣その他と相談をしながらこれは持って帰って、東京に帰りましてからこの朴大統領の提案いたしました共同開発構想というものを受けるべきか受けざるべきかということを慎重に東京で検討いたしまして、その結果、共同開発というのはまだ例のない一つの構想ですから、それが果たしてうまく操作できるような構想かどうかということについては何ともわからない。しかし、これはひとつ検討するには値するじゃないか。日本といたしましても、いつまでも平行線の法律論争を続けるばかりが能ではないという判断がございましたので、それでは原則的にその構想はやってみましょう、検討いたしましょうということで正式に韓国側に通報いたしまして、日韓双方で共同開発構想が果たしてうまく働くものかどうかということを検討しつつ、この協定の案文交渉に入ったというのが経緯でございます。
  414. 安武洋子

    ○安武洋子君 要するに共同開発というのは、九月の四日に朴大統領を表敬訪問された当時の大平外相に朴大統領が話を持ちかけたと、こういうことですね。それ以外に、この問題で閣僚会議の際に日韓両国の閣僚間でこういう話し合いがあったでしょうか。
  415. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは朴大統領から大平外務大臣に話があっただけで、そのときの定期閣僚会議の席上では一切この話はございませんでした。
  416. 安武洋子

    ○安武洋子君 さらに伺いますけれども、日韓大陸だなのこの問題というのは、第六回の閣僚会議の事前の打ち合わせの議題に上っておりましたか。  また、閣僚会議の正式議題になっておりましたでしょうか。
  417. 中江要介

    政府委員中江要介君) このときの定期閣僚会議の議題には全くのっておりませんでした。
  418. 安武洋子

    ○安武洋子君 九月四日に朴大統領とそれから当時の大平外相会談で大体のこの話し合いがなされて、九月の八日に後宮大使がオーケーの返事をされたというふうに私どもは経過を踏まえているわけなんですが、こういう時点で共同開発合意ができたというふうなことは、対外的には一切明らかにされていないわけなんです。なぜそういう時点で外部に対して明らかになさらなかったんですか。その御説明を伺いたいわけです。
  419. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私の記憶いたします限りで、特に外部に明らかにするかしないかというようなことを考えた経緯はなかったと思います。と申しますのは、朴大統領がこういう共同開発でいったらどうだろうということを言われたわけですから、それを持ち帰って検討して、これはうまくいくかいかないかわからないけれども、それで話し合いを始めてみましょうということを、いま御指摘のように後宮大使から九月八日に正式に返事をしたわけでございまして、その間政府部内ではもちろん意思統一はいたしましたわけでございますが、それを外に発表するかしないかというような観点からの検討はあったという記憶は私はございません。
  420. 安武洋子

    ○安武洋子君 共同開発のこの問題というのは、回答されたというこれは経過ではなくって結論でしょう。結論をなぜ国会にもそしてマスコミにも発表なさらないんですか。こういうときには、こういう重要な問題については、正式にコミュニケぐらい発表するのが通例じゃないですか。そういう点はどうなんですか。
  421. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私は当時の記憶でございますけれども、特に共同コミュニケを出すとかそういった重みのある取り扱いではなくて、一つの示唆として共同開発ということは考え得ないだろうかということに対して、日本側でもひとつ実際的な解決の仕方として共同開発ということが果たしてうまく動くものかどうかというものは検討してみましょうと、そういう段階の話であったわけでございますので、はっきりとこれで何が何でも共同開発でやることに日韓双方が合意をした、日韓双方ともそういう受けとめ方ではなかったというふうに記憶しております。
  422. 安武洋子

    ○安武洋子君 いままでの会議録を拝見いたしますと、外務省は御説明なさっていらっしゃるのは、確かにただいま御説明のあったように、九月の四日に朴・大平会談で話し合いがなされた、それを大平外相が持って帰られた、九月の八日には後宮大使がそれでいいと、こういう返事をなさっていらっしゃいましょう。じゃあこれは結論じゃありませんか、しかもそういう大事な扱いをしなくてもいい問題だというふうな、そういう御答弁ございましたけれども、共同開発というのは、盛んに問題になっておりますように国の主権にかかわる重大な問題ではありませんか、コミュニケぐらい発表すべきだと私は申し上げましたけれども、その当時のコミュニケを見てみますと実につまらぬようなことまでもずいぶんと書いてありますよ。つまらぬことをいっぱい並べながら、どうしてこういうことが向こうの方から持ちかけられた、そうして九月八日には後宮大使がオーケーの返事をしているわけですからね、こういう話があったということを発表なさらなかったんですか、その点をもう一度お伺いいたします。
  423. 中江要介

    政府委員中江要介君) まずコミュニケの中に入らないというのは、先ほど私申し上げましたように、日韓定期閣僚会議の議題でもございませんでしたし、閣僚会議の席上でも議論されなかったわけでございますので、議題でもなく、議論もされなかったことを閣僚会議のコミュニケに入れるわけにまいらない、これは御理解いただけると思います。  他方、共同開発の問題を考えてみようということでわが方が返事をいたしましたけれども、その内容はまさしくこれからどんなものになるかということがはっきりいたさない、ただ一つ共同開発という構想でございますので、当時としてはこれはこういうことになるんだ、主権的権利の重複する部分のそれぞれの権利主張がどういうふうに落ちついていくのかということについては、全くまだ雲をつかむような話であったわけでございますので、これは検討していこうということで、検討したあげくできました協定についてお諮りするというのは、これは私どもとしては通常行っている手続ではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  424. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう一度事実を確認しておきますけれど、九月の四日に朴大統領を表敬訪問した当時の大平外相に、朴大統領がこの話を持ちかけられたと、そしてこれ以外の問題で閣僚会議の際には日韓両国の閣僚の間では、こういう話し合いはなかったと。そして日韓大陸だなのこの共同開発の問題については、第六回閣僚会議の事前の打ち合わせの議題にも上っていなかったと。また閣僚会議での正式の議題にもなっていなかったと。これは間違いございませんね。もう一度確認いたします。
  425. 中江要介

    政府委員中江要介君) 間違いございません。
  426. 安武洋子

    ○安武洋子君 私がいま確認いたしましたこの第六回日韓閣僚会議に関するいまの御説明というのは大変重大なうそがあります。それは一つは、外務省は九月四日に朴・大平会談で朴大統領が共同開発を提案したとこう言われて、それ以外に双方の閣僚間の会議はなかったと、いまもそういうふうに御答弁なさいました。で、私の方も「第六回日韓定期閣僚会議の際の日本閣僚の詳細な行動日程」こういう資料を御要求申し上げまして資料をお出しいただきました。このお出しいただいた資料にも確かにいまの御説明のとおりでございます。しかし、違います、事実は。  この協定ができる以前の問題でございますが、昭和四十八年十月九日の衆議院の決算委員会で当事者のお一人である当時の通産大臣、中曽根通産大臣でございますけれども、御自身のお口から答弁をなさっていらっしゃるんです。この共同開発合意した経過についての御答弁でございます。私は議事録を持ってきておりますけれども、これを読みますと「われわれも強く要請をし、先方」、すなわち韓国側ですね、「先方共同開発でいくことがいいだろう、そういう考えを持たれて、そこで朴大統領もそれに賛成されたということが出てきて、それでは、そういう基本考え方がどういうふうに運用できるか、」「という相談をしようということで、いまのように、向こう外務大臣と当方の私と」、すなわちこれは中曽根通産大臣ですが、当時の、「大平さんが話をしました。そして基本的に共同開発の路線でいこうということをそのときに話し合ったと」、こう答弁されております。つまりいまのを要約いたしますと、共同開発日本側が韓国に持ちかけた話である、こういうことです、一点目。  それから二点目は、そのために金・大平・中曽根とこういう方々が会談を持ち原則的に合意したと、こう中曽根当時の通産大臣は答弁されているんです。これは仄聞ではありません。これは国会での責任ある御答弁なんです。いまの御説明と全く食い違うじゃありませんか。しかもこれはささいな問題ではないんです。重要な内容で全く食い違っている。提出していただいた資料にも全く載っていない。どういうことなんですか、御説明いただきます。
  427. 中江要介

    政府委員中江要介君) どういうことですか、私どもの持っております記録に基づいて資料を提出し、また私どもの記録に基づいて私どもは御説明しておるわけでございまして、中曽根当時の通産大臣がそういう話の場をどこでどういうふうにお持ちになったかということは残念ながら記録に残っておりませんので何とも申し上げられません。
  428. 安武洋子

    ○安武洋子君 お出しいただいた資料の中には、そういうことを関知しておりませんとおっしゃいますけれども、何時何分に羽田を立って何時何分にどこに着いてというふうな非常に詳しい日程が出ております。韓国側主催のレセプション、韓国側主催の晩さん会、こういうふうなものも出ておりますし、個別の午さんとか個別の会談とか、日本側主催のレセプションとか、いろいろもう言っておりますと大変時間がもったいないですけれども、おたくの方で御提出なさった資料ですから見ていただければわかります。その中には「個別午餐は次のとおり行なわれた。」というふうなことで、「大平正芳外務大臣――金溶植外務部長官」、それから植木庚子郎大蔵大臣、こういう方と、それから南財務部長官とかいうふうに個別の名前もしっかり挙がっているわけです。そして「個別会議は次のとおり行なわれた。」と、これも大平外相とそれから金外務部長官、こういうふうな方がちゃんと会談もなさったというふうに私どもに詳細な閣僚の行動日程、これをお出しいただいた中には、細大漏らさず書いてある。なぜ通産大臣という要職にあられる方、その当時です。その方の行動が、これだけ御自分の口ではっきりおっしゃっているこういう行動がなぜ記録にとどまっていないのですか、なぜこんなでたらめな資料をお出しになるのですか。もう一度御答弁願います。
  429. 中江要介

    政府委員中江要介君) なぜかどうかはともかくといたしまして、中曽根康弘通産大臣と李洛善商工部長官との個別午さん、それから個別会議というものも行われたということはここに書いてあるとおりでございまして、これ以上どういう場面でそれぞれのこれだけ多くの大臣、閣僚が出席しておられる閣僚会議でございますので、どういう場面でどういうことがあったかということを一つ一つ全部を洗うということは私どもにとっては不可能なことでございますので、記録に残っております公式の会談及び午さんその他の行動をまとめて御提出したのが、いま先生のお読み上げになった行動日程でございます。
  430. 安武洋子

    ○安武洋子君 私ども国会議員が外国に参りましても、全部行動はそこのちゃんと大使館で行動日程を押さえておられる。あたりまえの常識です。一国の当時の通産大臣が韓国を訪問なさっていらっしゃる、その行動日程が全く詳細な――実に詳細です、こういうものから漏れていて、それが当然だとおっしゃるのですか。なぜこんなでたらめな資料をお出しになるのですか。大臣いかがでございましょう。外務大臣の御答弁をいただきます。
  431. 園田直

    国務大臣園田直君) 外務省の資料の報告に何ら事実を変更させて報告する必要はないわけでありますから、報告には間違いないと思います。
  432. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、中曽根当時の通産大臣国会で御答弁をなさった方が間違いだ、こういうことでございましょうか。この食い違いはどうなさいますでしょうか。
  433. 園田直

    国務大臣園田直君) 中曽根当時の通産大臣の報告が間違いであるとかなんとかということではなくて、少なくとも公式または非公式であっても外務省にはちゃんとわかっているはずでありますから、その記録がないということだけを申し上げたわけであります。
  434. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういうことでは、私は納得できません。国会で、正式の場で御答弁なさっていらっしゃる、御自分の行動について。それが、私どもが御要求申し上げた「第六回日韓定期閣僚会議の際の日本閣僚の詳細な行動日程」、ここの中で全く抹消されてしまっております。共同開発については一体日本側が持ちかけたのか、あるいは韓国側なのか、またどの会議で決まったのか、これは決定的な問題なんです。こういう重大な食い違いをあいまいにしておいて審議をするということはできないわけです。ですから私は、いまここで外務省に、もう一度調査をして正確なこういう資料をお出し願う、こういうことを御要求いたします。出していただけますか。
  435. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私どもの資料によって詳細な行動日程といいますれば、いまお渡ししたもの以上のことは記録にもないわけでございますし、中曽根通産大臣に関しての御疑問でございますが、中曽根通産大臣の行動につきましても、私どもいろいろ資料に当たりまして、これには誤りがないというふうに中曽根当時の通産大臣自身おっしゃっておるということがございます。で、ここにございますように、レセプションがあり、晩さん会があり、午さん会があり、全体会議のコーヒーブレークといいますか、お茶の休憩の時間もあり、これは、一人一人の大臣がどこでどなたとどういうテーブルでお話をなさっているかというところまでをもし御要求になれば、私どもには調査不可能なことでございまして、これはもう通常の常識でもってお考えいただくよりしようがない。私どもが公式にはっきりと間違いなく申し上げられる行動日程は、私どもが出したものでございます。
  436. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう一度中曽根通産大臣国会の御答弁、読み上げましょうか。この御答弁と食い違っているということをどう処理なさるのですか。私は、もう一度中曽根通産大臣にお確かめになり、もう一度この資料と突き合わせをなさって、正確な資料をお出しいただきたい、このことを要求します。  資料が出ない限り審議は続けられませんので、私はきょうはここで正確な資料をお出し願うという約束をいただいて質疑を打ち切りますが、正確な資料をお出し願えますか。
  437. 中江要介

    政府委員中江要介君) この共同開発構想というのは外務大臣と通産大臣が主管の閣僚でおられるわけでございますので、特に大陸だなに関連しての定期閣僚会議の閣僚の行動日程ということでございますので、当時の外務大臣、通産大臣の行動につきましては十分確かめまして、中曽根当時の通産大臣につきましても、この行動日程を作成するに当たり、御相談もし御記憶もたどっていただいて、提出する前にもう一度確認を得て、この日程で間違いがないと御本人がおっしゃっておるわけでございまして、この日程の中のどの部分で、いま国会で御答弁になったといって御引用になりましたような話し合いが行われたのか、これはつまびらかにはできないわけでございますが、行動日程といたしましてはこれが正確であるというふうに御本人がおっしゃっておるということを申し上げておきます。
  438. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、中曽根通産大臣国会でうその御答弁をなさる、こういうことでございますね、こう受けとめてよろしゅうございますね。
  439. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私はそれがうそだとは申しておらないので、私どもの出した行動日程は正しいということを申し上げておって、この行動日程の中に中曽根通産大臣がおっしゃっておられるような場面がどこに当てはまるか、これは私どもにはわからないことであると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  440. 安武洋子

    ○安武洋子君 この日韓定期閣僚会議の中での一番重要な部分でございますよ、この中曽根通産大臣のこの問題は。だからこそ国会で問題になって、御出分の口からもその経過についてちゃんと御答弁をなさっていらっしゃるんです。これがささいなことなら私はそういうことは申し上げません。しかもこの当時の報道を見ますと、借款供与の見返りに東シナ海の開発は共同にするとの韓国政府の譲歩を得たとか、あるいはこれは同会議出席した大平外相、中曽根通産相と金溶植外相との間で合意したもので、朴大統領も了解している、こういう報道があります。また、韓国の有力紙の東亜日報、それからあるいは朝鮮日報でも同じような内容報道されております。ここでも大平氏それから中曽根氏、金氏の間で合意をした、朴大統領も了解したと、こう指摘されております。中曽根氏の国会答弁と全く合致しているわけです。ところが、外務省のいまの御答弁は、私どもの出した資料が正しいんだと、こういうふうにおっしゃる。なぜこういうことに一切触れないでうそをつく、明白なうそをつく必要がどこにあるんですか。そして、一番肝心なこの大平、中曽根、金会談、これが完全にこの行動日程の中から抹消をされているということは私は納得ができないんです。といいますのは、中曽根氏はそのほかにも金鍾泌首相と連日会っている、こういうことが全く出ていないわけです。なぜこういう行動を削除されたのか、私はこのこともお聞きしたいです。
  441. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど園田外務大臣もおっしゃいましたように、私どもが特に何かを知っておって記録にあるのにもかかわらず、削除をしたとか、そういうことはなくて、公式の記録に残っておるものを整理してお出ししたわけでございます。  それから共同開発構想というのは、朴大統領と大平大臣との表敬の際の話で出た話であって、これを後刻東京で最終的に検討して、その共同開発構想を検討してみよう、原則的に合意を与えたのは、この閣僚会議の後の九月八日に後宮駐韓大使を通じて先方に通知をした、これも間違いのない事実でございますし、この定期閣僚会議の議題になっていなかったことも、また、定期閣僚会議の席でこれが議論されなかったことも、これは私どもの記録から正しいことであるということでこの資料を提出しておるわけでございまして、この定期閣僚会議の一番重大な問題であったというふうな認識は私どもは持っていないわけでございます。
  442. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、四十七年九月七日付の日経新聞に「ソウルで開かれた第六回日韓定期閣僚会議は六日に終わったが、中曽根通産相はこの日の朝も金鍾泌首相と朝食をともにするなどもっぱら舞台裏外交に精を出した。」こう報道されております。中曽根氏が表向きの閣僚会議とは別に舞台裏の外交で活躍したことが指摘されているわけなんです。そうしてただ、これだけではありません。これが韓国側の議事録でも第六回韓日定期閣僚会議合意した、韓国側の議事録でもこうちゃんと出ているわけなんです。このとき、こういうふうに出ているにもかかわらず、なぜ中曽根氏の行動一切を削除されて、ひた隠しに隠されるんですか。外務省のそういう姿勢は私は納得できませんので、こういう食い違いはあいまいにしないではっきりして、もう一度私は調査をし直して、この資料を再提出願います。そのことを要求して私は質問を終わりたいと思いますが、委員長、確認してください。資料出し直させてください。これでは討議できません。
  443. 中江要介

    政府委員中江要介君) この資料を出しますには、この協定締結の経緯をいろいろ調べまして、最も間違いのない公式の記録に残っているものをまとめてお出ししたわけでございますので、もう一度出せと言われましても同じものになろうかと思います。
  444. 安武洋子

    ○安武洋子君 外務大臣にお伺いいたします。この外務省がお出しになったこの資料と国会答弁が相違しているという問題なんです。それを調査もしないで、これが正しい、正しいと、私が指摘申し上げているのにもそう言い突っ張られる。なぜ外務省はそういう姿勢をとられるのか。再度調査をして正確な資料を出すのがあたりまえではありませんか。外務大臣はどうお考えでしょう、御答弁お願いいたします。
  445. 園田直

    国務大臣園田直君) 外務省のただいまお手元に届けてある資料は、事実を抹殺するとかあるいは事実を抜かしておるということはないということは、事務当局がお答えしているとおりであります。しかし、中曽根当時の通産大臣の答弁もこれあることでありますから、この出した資料の日程の中のどこでそういう話があったのか、どういうわけで食い違っているのか、これを調査するのはこれは当然であると思います。
  446. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですから、いまの外務大臣の御答弁どおり、私は外務省が調査をして私のところに資料をお届けいただきたいと、こういうことをもう一度重ねて強く御要望いたします。  私は十時間質問時間を要求いたしておりますので、いままで使った時間、これを差し引いた残りを保留し、さらに市川議員の十時間の時間、これを通告している、これを保留させていただいて、きょうは質問を終わらせていただきます。
  447. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ちょっと速記とめて。   〔午後七時八分速記中止〕   〔午後七時二十分速記開始〕
  448. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記を起こして。
  449. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、理事会の合意がございましたので、あとわずかの時間だけ発言をさせていただきます。  いま外務大臣は、調査をして資料をお出しくださると、こういうお約束をしてくださいました。で、外務省の方は、いまの外務大臣の御答弁を受けて、調査をされて資料を作成されますね。そのことを念を押させていただきます。
  450. 園田直

    国務大臣園田直君) 食い違いの実態を調査をいたしまして、その結果改めて資料を出すことになるか、あるいはいまのままの資料で実はこういう事情であったということになるのか、それは調査の結果でございます。
  451. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、その調査結果を私のところまで確実に報告に来てくださいますね、早急に。
  452. 園田直

    国務大臣園田直君) 仰せのとおりでございます。
  453. 安武洋子

    ○安武洋子君 それが私のこれから後の質問に大きく関係をするわけです。ですから、早急に私のところにまで調査をした結果を持ってきてくださるということをお約束していただきとうございます。念のために外務大臣の御答弁をいただいておきます。
  454. 園田直

    国務大臣園田直君) そのようにいたします。
  455. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はこの問題だけではなく、この大陸だな共同開発をめぐる疑惑についてはまだ数数疑惑がある、こういうふうに思っております。  次の質問につきましては、この日韓大陸だなの開発をめぐる疑惑のまだもう一つの問題、それを追及させていただきたいと、こういうふうに思っております。  これは次に譲りまして、きょうは私の質問はこれで終わらせていただきます。
  456. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の、質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  457. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  458. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  459. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  460. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 次に、連合審益会に関する件についてお諮りいたします。  原子力基本法の一部を改正する法律案について、科学技術振興対策特別委員会に対し、連合審査会の開会を申し出ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  461. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  462. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十三分散会