○
政府委員(
中江要介君) まず
日本と
韓国との
関係の部分で、いま
先生が御
指摘の
共同開発区域、あの地図で言いますと斜線を引いております部分のこちらから見ますと右側、つまり東側がいろいろ入り組んだり出っ張ったりしている。あの線は非常に
日本に近いけれ
どもどういうふうにして決めたんだ、こういう御疑問でございますが、これはよくこういう議論がなされますときに地図を、つまり空から下に向かってながめた地図がこういうふうに示されるわけです。そうしますといかにも
日本に近いところを
共同開発にしているのはおかしいというのが国民感情であって、確かに私も国民の一人として上から見ますとそういう感じがするわけです。しかし、国と国との
関係は国民感情だけではいけませんので、国と国とを律しております
国際法、国際慣行、そういったものを尊重して初めてよその国からも尊敬される国になり得るわけで、上から見て近いからだめだというだけではなくて、なぜそういう近いところが
共同開発区域にならねばならぬかということを知るためには、やはりこれを縦に切って横からながめる必要がある。縦に切って横からながめますと、つまり水の中にもぐって横からこうながめるということが必要なんですが、そういうふうにして断面でこれを見ますと、確かに
韓国が
共同開発区域の東側の端となっておりますところまで自分の大陸だなだと言って
主張するには相当の根拠がある、その相当の根拠があるにしても、あの出っ張りだの引っ込み方自身はなぜかと、これはもう少し引っ込むべきではないかと、これはこの程度でいいかもしれないがという話をもし
日本が
韓国としたといたしますと、これは
韓国の
主張を前提とした交渉になるわけです。したがって、
日本としてはその交渉はできないわけです。そんなところに
韓国の
主張の限界があるということは
日本は認めないわけです。したがって、これはもうどの部分も
日本としては認めることができない。
他方、
韓国からいたしますと、自分の方は九州の近くまでが自分の大陸だなと思っておるわけですから、
日本が
中間線だと言っております先ほど御
指摘の座標の一から六までのあの線、あの線は
韓国にしてみれば議論できない線、そんな線は存在しない。つまりその
中間線というのは
韓国にとっては存在しないわけであります。したがいまして、
日本と
韓国が両方の
立場で論争を続けますと、左の線も右の線もない。そしてただあっちだこっちだと言って論争を続ける。それがいわゆるこの部分の大陸だなに関する法律論争というものであったわけです。しかし、それをいつまで続けましても右の線も左の線も決まらない。したがって、この部分はほとんどそのままであればいつまでも
開発に着手できない。そこで考えられましたのが、その法律的な根拠は論じない、主権的権利の
主張の限界は論じない。ただ両方の
主張の重なっているところがある、これははっきりしております。重なったところは
共同開発にしようと、法律論には目をつぶって
共同開発にしようというのがこの
共同開発の
南部の
協定であるわけです。その目をつぶったというのは二十八条に書いてあるわけです。
そこで、したがいまして、この
共同開発区域の左側の一から六までの線も右側の一からずっと下の九に及ぶ東側の凹凸のある線も、これはともに日韓
両国間で
国際法上の議論としては決着のつかない線であるわけです。そういうことでありますので、この
日本に近いところに線が引かれていることの根拠は何かと言いますと、
韓国側の
立場に立ったときの
韓国の外縁であるということ以外に何も
説明の根拠はございません。同じように
韓国の方で、
韓国の国民感情として恐らくあんなところまでどうして
共同開発で後退したのかと、一から六までのあの線は変な線だと、
韓国の
立場からすると存在しない
中間線であるわけです。それはなぜかというと、
日本はこの線まで自分のものだと
主張したということだけが根拠になっておるわけです。
双方ともに相手の
主張するところを論ずることなくそのまま取り入れて、実際的解決の区域をつくったのが、この
共同開発区域の線引きになっている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
次に、中国との
関係でございますが、中国との
関係は
先生が御
指摘のように、この六、七、八という
中間線はこれは一体どういうわけかとかあるいはその
日本が
主張しております一から六までの、
日本の
主張する
中間線の近辺について問題があるじゃないかとか、そういうふうに具体的にこの
協定の大陸だな部分について中国が
異議を唱えられるのであれば、
日本政府としてはこれを受けて、それはこういうわけだと中国の言うようにこれはこういうふうに引っ込まなきゃならぬかもしれない、あるいはこれはもう少しそちらに出れるかもしれないという交渉はできるわけですが、中国側のいままで行っております
抗議は、先ほどちょっと引用になりましたように、きわめて抽象的、一般的でございまして東海大陸だな、
日本式に言いますと東シナ海大陸だなは、これは
関係国で合意しなきゃいかぬということだけでありまして、
関係国である中華人民共和国と話をしないでここにそういう境界を画定するなり
共同開発区域を
設定するのはこれは認められないと、それだけのことで、どこがどうという議論ではないわけであります。
その前提になります東シナ海大陸だなは、これは中国の自然延長の上にあるものだから中国の侵すべからざる権利であるというところは、これはそれに反論しております
日本の
立場がひとりよがりだと先ほどおっしゃいましたけれ
ども、これは決してひとりよがりではなくて、十分
国際法及び国際先例に基づいた
主張なわけなんです。したがって、これはもう正しいと思っている議論は何と言われましても最後までそれを説いていくという姿勢で臨む以外にないと思います。したがって、中国の
抗議があるから
日本の
立場が少し弱いのではないかというふうに私
どもは思っておりませんで、
〔
委員長退席、理事
福岡日出麿君着席〕
中国の
抗議の中の部分的には正しいところもあるが、部分的には
日本と認識の違うところがある、その違うところは
日本政府としては自信をもって、いまの
国際法及び国際慣行から見て正しいと、こう思っておる。じゃその部分はどこかと言いますと、先ほど申し上げましたように、
韓国と中国との間は
中間線で境界が画定される、その
中間線の南へのずっと延長したところがあの
共同開発区域の西
南部分の八から九というあの線になっておるわけであります。六、七、八だけが日中があそこに首を出しているのはおかしいという点がございますが、これは少し細かい議論になりますが、これは
韓国と中国との間で韓中
中間線が画定されますと解消する問題だと思います。
韓国が想定しておりました韓中
中間線と、
日本が
日本の持っている地図で測定いたしました韓中
中間線とではいろいろ誤差があったわけです。それを調整いたしまして、あのいまの
共同開発区域をつくりまして、そのときに六、七、八という部分は
韓国の目から見るとあれは韓中
中間線の
韓国側だと、こう言うんですが、
日本はそれは認められない、したがって、あの部分は
日本から見ると日中
中間線ということで採用せざるを得なかった、この辺の部分も十分中国側には
説明しております。
そういうことでありますので、この中国の
抗議があってこれがいつまでも
紛争になる、これを何とかしなければとおっしゃる気持ちは私
どもも同じでございますけれ
ども、できれば円満に話し合いで解決いたしたいのですが、基本的には
韓国と中国とが話し合えるような国際環境になりませんと、この
共同開発区域の前提になります韓中
中間線の
韓国側というところが画定できないわけであります。そういう問題がありますので、たびたび申しておりますけれ
ども、
協定の二十八条でこれは最終的に画定していない、また大陸だなに対する主権的権利の
主張に
影響を及ぼすものでない、
韓国は自然の延長が沖繩海溝で終わるという
主張を引っ込めていないのと同じように、
日本は
韓国との間では
中間線のところまでが
日本の主権的権利の及ぶ限界であるという
主張を、
国際法上は引っ込めていないということが、二十八条で確保されておるということでございます。
中国との
関係は、したがいまして何度も申しますが、
韓国との間で画定いたしましたときに最終的に決まる、そのときに微調整を要する部分はこれは微調整するべきであると、こういう考え方でございます。