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1978-05-25 第84回国会 参議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)    午後一時二十九分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     矢田部 理君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 大谷藤之助君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 前田 勲男君                 真鍋 賢二君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 大塚  喬君                 小柳  勇君                 矢田部 理君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業政務次        官        平井 卓志君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        海上保安庁警備        救難部警備第二        課長       森  孝顕君    参考人        石油開発公団理        事        江口 裕通君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特  別措置法案(第八十回国会内閣提出、第八十四  回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十二日、村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案審査のため委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員派遣地派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案審査のため、本日参考人として石油開発公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、竹島の問題について若干お伺いをします。  さきの本委員会でも竹島問題につきまして審議が行われたのは御案内のとおりです。ただ、率直に申し上げまして、どういう事実関係になっていたのかも十分に明らかにされていない。あるいはそのときの対抗措置あるいはその後の政府のとった措置についても十分納得できるだけの御答弁がありませんでした。したがいまして、重ねて竹島問題についてお伺いをします。  すでに新聞に報道されておりますように、この五月の九日の日に竹島周辺でわが日本漁船韓国の軍艦から退去を命令された事件であります。それぞれ新聞を見ましても、各社の報道がまちまちでありますので、現状を正しく認識するという意味で、四月の三十日から五月の九日ないしは五月の十日前後までの竹島周辺におきます事件内容紛争内容についてまずお伺いをいたします。
  10. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 竹島周辺漁場につきましては、主として操業しておりますのがイカ釣り漁業でございますが、これは三月、四月につきましては三十トン以上の船については禁漁期間に相なっておりますので、五月に入りましてから若干の船が竹島周辺漁場に出漁した模様でございます。  五月の八日に至りまして、韓国外務省から在韓日本大使館を通じまして、七日の夕刻から日本漁船二十数隻が竹島周辺二ないし三海里の水域内で停船ないし操業しているということで抗議がございまして、その退去方を要請してきた次第でございます。これに対しまして日本側は、竹島日本国固有領土であることを指摘いたしまして、逆に抗議いたしたわけでございます。  その詳細は後ほど外務省の方からお答えがあると思いますが、なお当時竹島周辺水域につきましては、ちょうど対馬あるいは五島周辺発生いたしましたイカの群が成長しながら竹島周辺に来ておった関係もございまして、ちょうどイカの好漁場となっておったわけでございます。大体境港、これは鳥取県でございますが、境港中心にいたしまして、日本海各県の漁船が約百隻ほど竹島周辺イカ釣り操業を行っておったということでございます。で、五月八日の日に韓国警備艇が同水域にあらわれまして、これらの操業しております日本漁船に対し、同島領海外退去するよう要求があったわけでございます。その間わが国漁船はいろいろその周辺操業を続けるべきかどうか迷ったようでございますが、一応韓国側指示に従いまして、紛争を回避するために自主的に同島の十二海里外に出て操業しておったわけでございまして、現在はさらに漁場が広がりまして隠岐島北方あるいは鬱陵島付近等に各漁船は分散して操業しておる次第でございます。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 私は、先ほど四月の三十日から五月の九日、十日前後というふうに申し上げたわけですが、いまも話がありましたように、五月の一日からイカ釣りができるわけです。御案内のとおり韓国側は四月の三十日から領海十二海里というものを実施をする、あるいは実施をしたということはすでに明らかであります。  そこでお尋ねをするわけですが、尖閣問題にしろあるいは竹島問題にしろ、いずれもきわめて長い期間紛争のあった問題であります。したがって、韓国が十三海里を宣言をして、具体的にどういう措置に出てくるかはいろいろな想定ができたものと思うわけであります。現実に起きた事件というのは、七日、八日、九日、十日前後でありますけれども領海問題が発生をしましたのは先月の三十日であります。したがって、当然紛争地域におきます漁業安全操業につきましては、国としても十分にあらかじめ対応措置をとっておくのが当然の措置だと思うわけです。この点について具体的にどういう態度外務省は決められて、あるいは竹島周辺に出漁しようとしている県あるいは漁業協同組合についてどういう指示をされておったのか。具体的にお尋ねしたいと思います。
  12. 中江要介

    政府委員中江要介君) 外務省として、韓国が十二海里の領海拡張を行うということについては事前から十分情報もとっておりましたし、韓国側と本件について話し合う機会は何回もあったわけでございまして、御承知のように、日本の方は昨年の七月に十二海里の領海拡張をやったわけでございまして、そのときにいろいろ御質問お答えして、日本政府としてこの領海十二海里というのは、日本のあらゆる領土領海が十二海里になる。竹島日本固有領土であるから、日本領海竹島周辺にも十二海里設定されるというその基本的な立場は、これは譲るわけにまいらないということを申しておるわけでございますが、韓国が今度十二海里を実施するということで、果たしてその十二海里がいま不法に占拠しております竹島周辺にも十二海里を実効的に設置するのかどうかというのは、先生も御質問になりましたように、私どもにとっても重要な関心事であったわけです。その点につきまして、外務省として二つのことに注意をいたしました。  一つは、この韓国の十二海里法案でこの十二海里の領海設定される領域竹島、向こうで言えば独島という地域が明示的に入っているかどうかという点でございます。これは法制上の問題としてこれに関心を払って見ておりましたわけですが、先方の十二海里の領海法及びその施行規則の中で独島という固有名詞で明示されて、この十二海里設定領域の中に竹島が明示されていないということがはっきりいたしました。  そこで、その次に問題は、この竹島周辺に限りませず、いままで三海里であった領海が十二海里になりますと、日韓漁業協定との関係もいろいろ出てくるわけでございますので、韓国領海十二海里にするということと、現在まで国交正常化の際に締結されました漁業協定に基づいて維持されております漁業秩序というものが、一体影響を受けるのかどうかという点は、これは韓国側十分意向を確かめました。そういたしましたところ、韓国政府の考え方は、領海十二海里の設定にかかわらず、いままで漁業協定のもとで確保されていた漁業操業秩序は引き続き維持すると、こういうことであったわけです。竹島周辺漁業操業といいますものも、双方領土権主張主張といたしまして、漁業協定発効以来、平静に双方操業が行われていた、この平静に行われていたことについては、いま水産庁の方からも御説明がございましたけれども、お互いにこの問題を領土権の問題として言挙げすることは、むしろ漁業操業秩序維持、継続に害があるという認識が背後にあったものだと推定できるわけでございますけれども、そういうことでありますので、四月三十日に領海が十二海里に画定されました後も、いままでの操業秩序維持、継続されると、そういうふうに認識しておったわけでございます。  それにしても領土権争いがあるのであるから、竹島周辺についてどうするんだということを確かめるべきではないかという点につきましては、これは非常にむずかしいところでございまして、それを確かめるということは、先方主張にある程度の意味を認めるようなことになっては、わが方の立場上害がある。したがいまして、包括的な形で、あの水域を含めて日韓漁業協定対象水域における漁業操業秩序というものは、いままでどおり維持する意向であるかという点を韓国に確かめて、それを、その意向を確認しておったと、これが外交上とっておった措置でございます。  先ほどおっしゃいましたように、四月三十日以降の推移の中で、いま水産庁の方から御説明のありました操業実態に即して、外務省として外交的に何が行われたかといいますと、韓国側から竹島周辺日本漁船操業について抗議をしてきたときに、その場で直ちにわが方の古川公使が、その抗議はそっくりそのまま韓国側にお返しするということで、わが方は韓国側がそういう抗議をしたことについて、むしろ抗議をしたいということをまず口頭ではっきりいたしまして、あとは、前回にもこの委員会で御説明さしていただきましたけれども韓国側日本漁船に対してとったいろいろの措置の事実に即して、はっきりしたわが方の態度先方に申し入れるということで、ただいまその準備をしている段階である、こういうことでございます。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 それから、在韓の日本大使館に対して韓国政府が、正式に、竹島周辺漁船については出てもらいたいと、出ない場合には排除するという通告があったわけですね。それは八日ですか、七日の晩ですか。
  14. 中江要介

    政府委員中江要介君) 八日のことでございます。
  15. 穐山篤

    穐山篤君 それに引き続いて、この八日の通告というのは、単なる話し合い、通報というよりも、かなり韓国政府としては決意を持った通告だというふうに受けとめるのが当然だと思うわけですね。それを受け取って、政府としては直ちにどういう措置韓国に対して、あるいは島根鳥取付近中心とする漁業協同組合などに対して行政指導措置をされたのか、その点ももう一度明確にしてもらいたい。
  16. 中江要介

    政府委員中江要介君) 御質問の前段のところでございますが、八日に先方から申し入れてまいりましたのは、これは口頭で申し入れてきたわけですが、竹島周辺日本漁船が二十数隻が停船ないし操業しているということは、これは領海侵犯であると言って抗議をいたしまして、それらの漁船退去を申し入れてきた。これに対しまして、先ほど申し上げましたように韓国におりますわが方の古川公使から、竹島が歴史的にも国際法上も日本領土であることは再三にわたり韓国政府に伝えてあるとおりである。したがって日本領土たる竹島周辺日本漁船が存在しても何ら不思議はない。韓国側抗議するということに対しては、竹島日本固有領土であることを改めて指摘して逆に抗議したいと、こういうふうに口頭で応酬しております。  これを受けまして、その後実態に即してどういう措置をとるかという点は、先ほど申し上げましたように検討中でございますが、漁船との関係で、あるいは漁業操業との関係でどういう措置がとられたかという点は、これは水産庁の方で御説明があるかと思います。
  17. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私ども漁船からの通報を受けまして、直ちにあの辺を管轄いたしております香住にございます水産事務所所長現地派遣いたしまして、情報の収拾に努めたわけでございます。と申しますのは、各漁船からの情報は全部境の漁業無線局に集中しておりますので、とりあえず情報の確保のために所長派遣いたしまして、その情報を即刻こちらに入れさしたわけでございます。それと同時に、漁船に対してはトラブルの起きないよう、十分慎重に操業するよう、とりあえず現地指導をいたしております。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 水産庁の方に伺いますが、先ほど漁船みずからが自主的に退去したというふうに公式に言われております。しかし現地の方々の意見を総合いたしますと、水産庁意向を受けてまあそれぞれ退去をしたと、退去をし始めたという情報もあるわけです。これは水産庁、言いかえてみれば、政府指示日本漁船退去をしたというふうに受け取ることもまあ当然ではないか。当然ではないかというよりも、そういうふうに韓国側は見ているのではないかというふうに思うわけです。その自主的に、あるいは政府指導によって退去をしたということを韓国側立場から言えば、当然韓国実施をした領海十二海里というものの支配的な影響が、日本漁船の自主的な、あるいは政府指導によって退去をしたというふうに解釈されてもこれはしようがないと思うんですね。これは非常に大事な問題ですから、本当に自主的であるのか、あるいは政府の係官の指示に基づいて退去したのか、あるいはその退去する場合に、韓国側に対して退去する日本側の姿勢について通告などをしたかどうか、そういう点を明らかにしていただきたい。
  19. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもは、基本的には竹島日本領土だと信じておるわけでございまして、当然その周辺十二海里内はわが国領海であるというふうに認識いたしております。したがいまして、私どもといたしましては、そこから政府の、少なくとも水産庁という役所の立場退去しろということは言えることではございません。また絶対そういうことは言っておりません。  ただ、やはり不祥の事故が起きますといけませんので、その点については各船が十分注意して操業するようにということは、一応関係組合を通じて伝えてはございます。あくまでもその段階でございまして、決して退去しろとかいうようなことも申したことはございませんし、また現地ではそういう不祥事件現実に船のおりました期間については起きていないわけでございます。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 その点さらにお尋ねをしますけれども、その前に海上保安庁にお伺いをします。  通常海上保安庁第八管区竹島周辺におきます巡視船というのは定期的にどこの地域を——どこの地域というのは、日本寄りの方でなくて韓国寄りの方の緯度をちょっと示してもらいたいと思うんです。定期的に北緯何度から東経何度までの間を常に巡視をしているのか、あるいは巡視をしてないのか、通常の状態をまず最初に明らかにしてください。
  21. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) 海上保安庁におきましては、日本海につきましては日本漁船海難救助あるいは日本漁船の保護というような見地から、海難発生状況あるいはまた漁船操業の実情、そういったいろんな関係を考慮いたしまして一般的な前進哨戒を行っておるわけでございますが、先生指摘のように、何度から何度というような決め方はしておりませんで、一応、第八管区海上保安本部、これは舞鶴にございます。それから第九管区海上保安本部、新潟にございます。それから第二管区海上保安本部、これは塩釜にございます。これら三管区が各所属船艇を合同いたしまして輪番制巡視船パトロールさしておるという状況でございます。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 これは固有領土問題とのかかわり合いがありますから、船舶日誌を見れば明らかでありますけれども、たとえば日本が十二海里を宣言したときには、当然巡視船巡視をしていたと思うんですね。それから今回この事件が起きた後も、どこの地点まで行ったかについて後ほどお伺いをしますけれども通常、この第八管区が行う巡視範囲というのは、こういう問題が起きますと非常に大事であります。もし、ここの地図で大体この付近を、東経何度ぐらいから何度ぐらいまで、北緯何度から何度ぐらいまでがいわゆる巡視船守備範囲である、それも巡視をしているということが明らかであればその点を明らかにしてもらいたい。
  23. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) その図の上でちょっと御説明申し上げます。  第八管区海上保安本部管轄区域は能登半島の西方あたりから山口県と島根県の間の境界水域までで、一応管轄区域沖合い監視という表現になっております。これは海上保安庁法上なっておるわけであります。ただし、先生指摘のように何マイルまでやるというようなことは一切指示いたしておりませんで、これは第八管区海上保安本部本部長の責任において、管内における海難発生等ございましたら、距離を問わずに出動いたすわけでございます。一般的に哨戒をやる場合は、先ほども申し上げましたが、この海域における海難状況あるいは漁船操業実態等に応じまして、必ずしも一定でパトロールするわけではございませんで、状況に応じてパトロールさしておるわけでございます。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 これは過去にさかのぼるわけですけれども対馬からかつて李承晩ラインというのがこういうふうに引かれておったわけですね。ここで争いがあったことは当然であります。そして漁業協定に基づいて共同規制区域というのはこういうかっこうになっているわけですね。その中間竹島があるわけです。したがって、ここで本当に明らかにしてもらいたいのは、第八管区巡視船が実際に山口から舞鶴のこの韓国側水域のどの辺までを実際に巡視をしているのか、あるいは必要によっては漁船安全操業に十分に対応するという意味で、どこの筋まで巡視船が常に巡視をしているか。このことは、もし私の調べが間違っておればそれは訂正しますけれども、この竹島とかつての李承晩ライン中間ぐらいで済ましておったんではないかということがうかがえるわけです。もしそれがそうでないということで、航海日誌があるならば具体的に示していただいて、従来から日本がこれは固有領土である、あるいはわが国の十二海里であるということを具体的に証明するためには、一つ方法として巡視船が常に巡航しているということが証明になるわけです。そういう意味で私はお尋ねしたわけですけれども、いまの海上保安庁答弁では十分にそれに答えてない、その点もう一遍明らかにしてもらいたい。
  25. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) この竹島問題に関しましては、私ども外交経路を通じまして平和的な解決を図るべきであるという基本方針にのっとりまして対処してきたわけでございますが、先ほどのように日本海につきましては一般的な哨戒を行っておりますが、竹島周辺海域につきましては外務省の要請によりまして巡視船により調査を行い、その結果をその都度外務省通報している状況でございます。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 さてそこで、五月の九日、十日、第八管区巡視船はどこの位置でパトロールをされておったんですか。言いかえてみれば、この事件発生をしたとき、あるいは発生直後どこの地域を、どこの海域巡視をされておったんですか。
  27. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) 私ども情報を入手いたしまして速やかに隠岐島西郷巡視船を緊急に配備いたしまして、これは第八管区海上保安本部本部長指揮下において運用したわけでございますが、そのうちの一部の船艇隠岐島北方海域前進哨戒せしめるということで、逐次警戒体制を整えてきておるわけでございます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 もっと明確にお答えをいただきたいのは、この竹島周辺の近くまでどの巡視船が、言いかえてみれば何海里のところに巡視船が出向いて安全操業に対応したかということを私はお伺いをしているわけです。いまのあなたの説明でいきますと、この周辺までは行っている、しかし大切なここの近辺、この周辺には出向いていないというふうに聞こえるわけですが、そのとおりでいいですか。
  29. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) 私ども巡視船を先ほど申し上げましたように西郷に緊急配備しました後、竹島周辺二、三十海里付近まで進出いたさせまして、これは八管区本部状況判断によって進出をさしたわけでございます。そういったところでいわゆる配備さしたということでございます。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 先ほどの水産庁の御答弁で慎重にというお話がありました。まあそれも一つ方法だと思いますけれども、過去のいきさつから考えてみて、この領海十二海里を双方明らかにした上の、まあ率直に言えば最初衝突事件ではないか、大きな衝突事件ではないかというふうに思うわけです。  そこで、もう一回水産庁にお伺いするわけです、あるいは海上保安庁にお伺いするわけですが、それぞれの省が積極的に竹島周辺安全操業について対処するためにどういう措置をとられ、それに対して外務省その他の政府機関全体を含めて、具体的に水産庁なり海上保安庁が行おうとした措置に対してどういうふうな指導なり規制なり、何らかが行われたか、その点もひとつ明らかにしてもらいたい。
  31. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 水産庁といたしましては、あくまでも同島周辺水域におきます操業が安全に行われ得ることが問題でございますので、それが確保できるように外務省に対して御依頼をするとともに、各関係省庁ともどもいろいろ努力しているわけでございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 私の調べた範囲で言うと、最終的に海上保安庁なり水産庁、それぞれ十分連絡をとりながら措置されたことはよく承知をしますが、やはり外務省意向指示というものが、結果的に水産庁なり海上保安庁の行動を規制をした、あるいは現実イカ釣り漁船が、自主的にと言われているわけですけれども、六海里以外の地域退去した、こういうふうに受け取っているわけです。外務省は具体的にどういう御指示をなされたんですか、どうもはっきりしないんですね。
  33. 中江要介

    政府委員中江要介君) 外務省が特に指示をしなければならないということはなかったと思うんです。といいますのは、先ほど御紹介いたしましたように、わが方のソウルの出先の公使もその場ではっきり韓国側に、日本側韓国側に対する抗議というものをしておるわけでございますので、日本政府としては、この竹島日本固有領土であるという立場を害するようなことをするわけにはまいらない、してはならないという方針はかねがね堅持しておるところでございますので、この現象として起きた問題の解決のためにその原則を曲げるということは、これは相許されないことである。したがって、御相談を受けましても、日本日本漁船安全操業を確保するためにとる必要があるという措置は、これはとっていただくことに何の遠慮も要らない、むしろそのことについて韓国側の実効——日本から見ますと不法な、十年以上続いております支配を前提とするような、それを認めるような措置、これは日本政府としてはとるべきでないということは申し上げておるわけでございまして、日本漁船安全操業の確保という、その目的のために必要な措置はとっていただいて何ら問題がない。  そして、これが領土問題にまでさかのぼってまいりますと、これは一九六五年の正常化のときの紛争解決に関する交換公文を出しましたときの経緯から見ましても、日本といたしましてはこれは国際紛争であるという認識でありますので、この紛争は平和的に解決する努力をする、したがって、これを力で解決するという道はとれない、この一線は他方守らなければならぬ、こういうことでございます。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 この事件が起きた直後、具体的に言いますと今月の多分十六、十七日、会期延長が成るか成らないかという時点だと思いますが、現地から漁業協同組合の代表が政府関係機関にいろんな要請行動があったと思います。まあ大きな項目で結構ですから、外務省なりあるいは海上保安庁水産庁に対してそれぞれどういう申し入れがあって、それに対してどういうふうに現地漁業協同組合の役員、あるいは組合員に回答されたのか。あるいはそれで納得をされて帰られたのか、その点大づかみで結構ですからお伺いしたいと思います。
  35. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず外務省の方から申し上げますと、東京にお見えいただきました漁業関係の方々の御主張というのは共通しておりまして、日本政府がいつも言っておるように竹島日本固有領土であるならば、その周辺で自分たちが操業することに韓国側からいろいろ言われるというのは筋違いではないかと、したがって、自分たちの操業が安全に継続できるように強力に外交的な措置をとってもらいたい、こういうことに尽きるかと思います。  私どもは先ほども申し上げましたように、政府としては、竹島固有領土であるという立場は一歩も譲らないけれども、他方、これは日韓間の紛争になっておるわけであるので、これを力で解決するというわけにまいらないので、粘り強く話し合いによる解決の努力はしているが、それの解決を見るまでの間であっても日本漁船操業が不当に妨げられるということはこれははなはだ遺憾なことであるので、その操業をいかにして安全に確保していくかということについては、関係水産庁あるいは海上保安庁とも十分協議してそのとるべき措置を相談してまいりたいと、こういうふうに応対してまいったわけでございます。
  36. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私ども 今月の十二日に特に沖合漁業課長を境港派遣いたしまして、皆様方といろいろなお話し合いをさせ、その後、先生指摘のような漁業関係者の陳情が、東京まで陳情者の方々がおいでになったわけでございます。  その要点を申し上げますと、三つございます。一つは、漁業者に対して竹島周辺漁場安全操業を確保してほしいということが一点。それから第二点目は、竹島周辺水域から締め出されたことによるわが国漁船の経済的損失について、救済措置を講じてほしいという問題。それから第三点目が、巡視船派遣してわが国漁船の保護に当たってほしいと、こういうような三点の要望でございます。  これに対しまして私どもは、ただいま外務省からおっしゃったと同じように、第一番目の問題につきましては、外務省その他関係諸官庁と協力してそれぞれ努力しているのでもう少し待ってほしいというお話と、それから経済的損失につきましては、何分にもイカ釣りの漁期が始まったばかりでございまして、これから魚群は樺太西岸の方まで北上いたします、それからさらに南下してまいります関係がございますので、それらの全漁期を通じて漁獲の状況がどうであったか、それから、それの経営に及ぼす影響等を勘案して検討をいたしたいと。ただいまの段階では何も申し上げられないので、もう少しその様子を見てからにしてほしいということを申し上げてございます。
  37. 森孝顕

    説明員(森孝顕君) 先ほど水産庁次長から御発言がありましたように、私どもの方にも同時に関係県の漁業関係の方々あるいは県議会の方々が陳情においでになりまして、その中身といたしましては、やはり巡視船の前進配備ということを強く要望されたわけでございます。  これに対しましては私ども、先ほど先生お答えいたしましたとおりに、基本的にはこの問題は外交経路を通じて解決すべき問題である、しかし、海上保安庁としては、現場の第八管区海上保安本部において巡視船の緊急配備を行いまして、隠岐島北方において哨戒態勢をとっておりますと。なおまた巡視船の、現実に置かれております竹島状況からいたしまして、まあこの対応につきましては慎重に関係機関との連絡も密にしまして、状況の推移を見ながら慎重に対応していく考えであるということをお答えした次第でございます。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 これは外務省にお伺いするわけですが、その際に現地組合から、政府が十分に対応措置をとっていただけないとするならば、独自の行動をとりたいというお話があったと思いますけれども、その点について現地外務省との話し合いはどういう状況だったんですか。
  39. 中江要介

    政府委員中江要介君) 御質問の、独自の行動ということの意味がちょっとよくわからないのでございますけれども、陳情といいますか、いろいろ意見を申してこられました方々の御意見の概要は、先ほど私申し上げましたことに尽きておったように思います。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 その一つの例ですけれども現地漁業協同組合は十分に政府措置を見守るにいたしましても、生活がかかっている。したがって、できれば直接韓国に直訴したいと、こういう話があったと思うのですが、その点いかがですか。
  41. 中江要介

    政府委員中江要介君) そういう意向を実際に行うということを前提として、外務省に御相談をいただいたということはなかったと思うのですけれども、そういう動きがあるということは仄聞しておりました。私どもは、先ほど水産庁の方でも御答弁になりましたけれども、確保しなければならないことは安全操業であるわけでございますので、安全操業が確保されるためにどういう行動が一番ふさわしいかということは、これは水産庁の方とよく御相談して決めていくという方針でずっとまいったわけでございます。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 現地漁業協同組合の総会でいろんな議論が行われた。その結果、代表が政府関係機関にいろんな要請行動があった。いまお話がされたとおりです。ただ、一ついま私が指摘をしましたように、現地の漁民の立場から言えば、竹島日本古来の領土であるという一つの問題は当然確認をするにしてみても、生活のかかっている安全操業の問題について、急速に問題を解決を図らなければならない。中でもいま指摘をされておりますように、イカがこの竹島から逐次北上をしていくわけです。したがって時間が推移をすればするほど漁獲高に影響してくる。こういうことがありますので、現地組合員は非常に気持ちが急いでいることは当然であります。そういう立場の中で、総会としては、十分にわれわれの意見が聞かれないとするならば、直接韓国に渡って韓国政府との間に安全操業の問題について交渉したい、あるいは陳情したいという意見が圧倒的に出ておったわけです。またその点も十六日の、この間政府関係機関に要請行動があったときにその主張が述べられているわけです。これについて、現実的には現地漁業組合員の一時延期ということでおさまっているというふうに私は理解をしているわけですが、そういう事実関係は間違いありませんか。
  43. 中江要介

    政府委員中江要介君) 現地漁業協同組合その他の動きは、これは所管の水産庁の方が正確に把握しておられると思いますが、外務省は、先ほど先生御自身のお言葉にもございましたが、漁業関係者の強い要請にもかかわらず、日本政府が努力をしてもらちが明かないときには、こういうこともあり得べしというふうに考えておられるということは聞いておりましたが、日本政府として、この安全操業を確保するためにどういうことをするかということの方が先決だということで水産庁の方で御検討いただいて、また外務省もいろいろ御相談に応じていくということで推移してまいりまして、その後事態が平静化してきているということもございまして一と思いますが、いま何日に何人行くという話が日程に上ってきているというふうにはまだ私どもは承知していないと、こういうふうに外務省では把握しておるわけでございます。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 これは非常に私は大切な問題だと思うんです。国と国との間の外交チャンネルで問題を解決しようと、そういうふうに政府はルールを考えておる。しかしらちが明かなければ、直接民間団体が韓国政府を相手に交渉する、あるいは要請をするということは例がないわけではありませんけれども、異常な問題だと思うのですね。これが核兵器の禁止というふうな問題で民間の団体が国連に行く、あるいはアメリカなりソビエト政府に要請をするという話とはかなり趣を異にしている問題だと思うのです。勢い余って仮に観光ビザで韓国に渡って、その代表が直接韓国政府と本問題について協議なり交渉なりあるいはその形態によっては請願、陳情という形もあり得るわけです。そういたしますと、政府が前から言っております外交チャンネルを通じて平和的に解決するという従来の方針から著しく筋が変わっていくということを心配をするわけです、懸念をするわけです。  したがって、その問題について現地組合員からは、おれたちは一時延期をしたんだと、こういうふうに聞いているわけですが、かなり外務省なりその他政府機関との間に、韓国への直談判の問題についてお話があったと思うんですけれども、どうもいまの局長の話でいきますと、それほど重視はしていないような印象を受けるわけです。しかし、日本外交交渉あるいは後ほど申し上げますけれども竹島固有領土の確認という問題に当たって、もし民間団体が韓国に直訴した場合に、どういう答えが出るかということは非常に懸念をされるわけです。現地組合員は一応先日の政府答弁で帰りましたけれども、しかし、これで納得したということではないと思います。  いま私が申し上げましたように、仮にそういう韓国に民間団体が直訴をする、最悪の場合には、安全操業のためにお願いというふうな形になるとするならば、これは大変な事態を招くものと思います。したがって、いまの問題について考え方なり、あるいは現地組合員は相当強硬にその問題について意見を述べているわけですから、十分に慎重な措置をとるべきだと思うんです。そのことについての考え方をお伺いしておきます。
  45. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点は、冒頭に本件について外務省の基本的な考え方を申し上げました中に触れたつもりでおりましたが、いまも先生も御指摘のように、日本立場ははっきりしておるわけでございますので、日本政府がとっております立場を弱めるような、あるいはその立場に反するような行動は、これは政府と言わずいかなる日本側もとることは好ましくないということは、これは申すまでもないことでございまして、民間の方が非常に漁期の問題その他がありまして、焦燥感も手伝っていろいろお考えになられるお気持ちはよく理解はできるわけですけれども、そのとられる行動が、本来の目的である安全操業の確保に本当に役立つ建設的なものであるかどうかという点については、いま御指摘の点も含めまして慎重に考えなければならないという点は全く同感でございますが、当時あるいは現在もそうですが、まず政府としてなすべきことはそういう漁民の方々の気持ちがおさまるような状況竹島周辺にもたらすこと、そのためにいろいろ工夫をし努力をしていくと、それでどういうふうに落ちつくかによって、あるいはその次の措置、あるいは行動というものも考えられるかと思いますが、現在のところはそういったところまでいっておりませんし、外務省水産庁とも十分協議いたしまして、竹島周辺安全操業の確保、つまりあの周辺水域状況が、事態が平静に好転していくということを望んで、そのための努力を続けている、こういうことでございます。
  46. 穐山篤

    穐山篤君 さて、ここ一日、二日の間は平静な状態であるというふうに聞くわけです。この平静というのには二通り私は意味がある。一つは、日本漁船退去命令に応じて自主的に六海里ないし十二海里の外に出ている、これが一つの平静な状態だと思います。それからもう一つは、四月三十日以前もあったことなんですが、韓国漁船日本漁船も、言わず語らずの間に仲よくやっていた、これも平静を保っているという状態だと思うんです。この二つのうち、現在の状況は、前者ですか、それとも後者の方になっているんですか。
  47. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 私どもが現在掌握しているところによりますと、イカ漁場は相当広く広がりまして、現在、竹島周辺におりますのが二十二隻、それから、そのほか八十杯ほどが大和堆周辺、それから九十五杯が隠岐島北部、それからさらに十三杯が鬱陵島北部、それから四杯が山口県の見島の北というふうに、きわめて漁場が分散しておるのが現状のように把握しております。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 いや、私のお伺いをしているのは、分散して操業していることはよくわかっているわけですけれども、いわゆる竹島の六海里あるいは十二海里の外に出て日本漁船操業しているから一応平静を保っているのか、それとも、四月三十日以前にもあったことなんですけれども韓国漁船日本漁船がまあまあうまく争っていたときがあるわけですね。これも一時平静というふうに見るわけですが、そのどちらの方の状況にいまあるんですか。
  49. 恩田幸雄

    政府委員恩田幸雄君) 先ほど申し上げました竹島周辺におります二十二杯につきまして、この正確な位置が私どもつかめておりません。いわゆる漁区で報告が来ておりますので、それによりますと、十二マイルの内外であるという識別は若干困難でございますが、大体十三マイル線の周辺、あるいは三十マイルぐらい、四十マイル、その辺のところにいるように推定をいたしております。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 外務大臣にお伺いをしますが、尖閣列島の周辺に中国の漁船がかなりあらわれたわけですね。この問題につきましては、マスコミも大きく取り上げ、あるいは国会でもいろいろな角度から議論がされた。これは日中平和条約を前にして当然十分に審議がされてしかるべきだと思います。しかし、竹島の問題というのは、少なくともあの島は日本固有領土である、それと同時に領海十二海里の問題については、すでに日本側もさきに宣言をしておる。したがって、この竹島及び竹島周辺におきます日本韓国との紛争というのは、きわめて重視しなければならないものだろう。ところが、私が先ほどからお尋ねしておりますように尖閣列島の対中国の扱いと、竹島問題におきます対韓国との関係というのは、非常にアンバランスを感ずるわけであります。これはどういう原因でアンバランスを感じさしているのか、これは国民全体が疑惑を持っている種だと思うんです。外務大臣として、五月の九日、十日に起きた事件について本当に解決しようというかたい決意があるとするならば、もっと独立国らしき毅然たる態度を内外に明らかにすると同時に、対韓国に対しましても十分に日本政府態度を示していく、それも具体的な行動で示していくということが必要ではなかったかと思うわけですが、非常に竹島問題についての対応策は消極的と言わざるを得ないと思います。その点についての具体的な考え方というものを明らかにしてもらいたい。
  51. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 竹島の問題は、このような事態があってはならぬわけであります。と申しますことは、日韓条約締結のときに、この問題の帰属をめぐって紛争がありました。そこで両方の取り決めは、これは紛争地帯とする、したがってこの紛争地帯とすることを認め、この解決は平和的な話し合いでやる、こういうことが出発点でございます。したがいまして、日本は古来の領土であると言うことは当然でありますけれども日本韓国も平和的な話し合いで解決する以外に、力をもっていろいろなことをやるわけにはいかぬのでありますから、そもそもあそこへ力をもって警備隊その他が来ているということから間違いが始まっているわけであります。  そこで、いままで事件がなかったわけでありますが、今度こういう事件がありました。そこで外務省としては、出先で抗議を受けた瞬間に、それは抗議を受けることが遺憾であって、日本漁船がこの周辺におって退去を命ぜられる理由はないということを、やはりその後しばしば外務省は在京大使あるいは出先の日本の大使から交渉を繰り返しております。  この問題については二つありまして、一つは、ちょうど漁期最盛期である。この六月に日本漁船操業ができないということになることは、ここへ行っている漁船の方々に非常な損害が出てくるわけでありますから、何とかして操業できる態勢をとり、あるいはできなければ、政府としてはこれに対する補償その他の問題を考えなければならぬ問題。もう一つは、もっと深く立ち入って、領土の帰属をどちらであるかという解決の方法をやる前に、少なくとも紛争地帯と両方が認定をし、平和に話し合いをやろうということについては、韓国はこれに対する申し合わせからやはり逸脱しておるわけでありますから、この点だけはまず解決しよう、こういうふうにやらなければならぬということになりますので、私はまずこの操業に対して、なまぬるいかもわからぬが、なるべく操業できるようにしたい。これが終わったら、まず第一に本格的に腰を据えて、この島の周辺日本漁船が立ち入ってはならぬという理屈はないではないか、あなたの方は話し合いから逸脱をして、実力行使をもって実効支配を積み上げようとしているではないかという問題は解決をしなければならぬ。その次に、この島の帰趨の問題を解決する。こういう三段構えでいかなければならぬ。第二段は、いろいろ手段を講じ、私は決意を持ってやる準備等をいたしております。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 いまの外務大臣の答弁ですが、日本側態度としては 昭和四十年の六月の二十二日に竹島問題についての交換公文が取り交わされているから、それをもとにして平和的に解決をしたいと、これは日本側態度として非常に謙虚でもあるし、あるいは交換公文の精神に基づいた気持ちであると私も理解をします。ただ、過去の歴史を見てまいりますと、この交換公文の書かれております意思というものを最初に破ったのは韓国側であることは御承知ですね。これはもう歴史的に見ればはっきりしているわけです。最初事件が昭和四十一年、一九六六年の三月十四日に韓国の軍艦、韓国艇が共同規制水域日本漁船を連行するというところから事件が連続して起こっているわけです。いまも大臣が指摘をしておりますように、実力行使を何回となく繰り返しながら、実績を高めていくというのが韓国側の長年の私は歴史的事実だと思う。そういった相手側に対して、日本側が忍の一字で平和的に解決しようという気持ちがわからないわけでもないけれども、しかし、相手側の態度日本の気持ちと同じように考えて平和的に交渉するということは非常にむずかしい。過去の歴史が一つ一つそれを証明をしているわけであります。今回の事件というのは尖閣列島の場合と違いまして、韓国の軍隊から排除されたわけですね。ここが非常に違うわけであります。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 尖閣列島の場合でもこれは双方の主権が及ぶ島であると、地域であるということでありますが、この問題については一応たな上げされている。しかし、竹島問題につきましては、双方固有領土であるということを主張して最初から紛争が起きている。紛争解決に当たって相手側は実績を積み重ねるというやり方をとっている。今回も一応大砲を備えた軍艦が現実にあらわれて追い出しを食ったわけですから、尖閣列島とおよそ政治的なあるいは外交的な意義というのは全く違うと、こういうふうに思うわけです。ですから、これから日韓会談があるとかあるいはまあいろんな機会をとらまえてやるということも当然大切ですけれども、直ちに事件が起きた際に反応を示すということが、韓国側をして交換公文の精神に戻らせるという、私は非常に重要な措置ではないかと思うんです。その点が今回の場合にも全くなされていないに等しいような態度であったことはまことに遺憾なんです。なぜこの竹島問題についてのみそういう態度を固執をされているのか、その点はどうしても国民全体としては納得がいかないんです。  いや、これは平和的に語を進めていけば解決の糸口はつかめるんだ、もうしばらく国民の皆さん交渉を見守ってもらいたいという話ならば、それも一つの解決の方法だと思うんです。しかし、昭和四十年以来、この基本協約が結ばれて以来重なる紛争が続いているわけですね。そのことについて、特に今回は安全操業確保という立場からいえば、現地漁業協同組合員は、政府頼みに足らずという気持ちをどうしても持つのは無理からぬ気持ちだろうというふうに思うわけです。なぜあの五月の九日、十日の時点で国民的な背景を持って日本政府が具体的に対応措置をとれなかったのか、とらなかったのか。消極的な態度に終始した何らかの理由があるんじゃないかというふうに勘ぐられてもしようがないと思う。もう一遍その点大臣の決意というものを明らかにしてもらいたい。
  53. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私が申し上げたのは、先ほど明確でなかったかもわかりませんが、いまの四十年の文書を交換したその時点にまず立ち返ることが大事であります。したがいまして私は、なるべく早い時期に議題を出して、文書交換の時期に、平和的に話し合うという態度に返ることを強く要請し交渉するつもりでございます。  直ちにそれを起こさなかった理由は、先ほど申し上げましたとおり、いまの五月、六月の漁業操業最盛期に何とかして日本の船が操業できるようにして、その次にいまの交渉を始めたいと、こういう二段構えで私は考えたわけであります。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 さらに進めますけれども、その前に海上保安庁に先ほどの話の続きとしてぜひ資料として出していただきたいと思いますのは、まあそう長い過去のことを私は聞くつもりありませんが、この一年の間に海上保安庁として竹島周辺、第八管区巡視船パトロールの日誌を提出をいただきたいというふうに思います。まあ、これは事務的な問題もあるでしょうから、特にそれは山陰、北陸側のパトロールでなくて、竹島を軸にして十二海里周辺あるいは日本韓国中間付近をどうパトロールをしたかと、ぜひこれは——委員長にお願いをするわけですけれども——委員会に資料を出していただきたいというふうに思います。いいですか。
  55. 福岡日出麿

    ○理事(福岡日出麿君) 理事会で決定いたします。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 さて、その次に外務省にお伺いするわけですが、外務大臣、竹島という島ですね、日本固有領土という立場を踏まえて言えばこれが日本固有領土であるという幾つかの証明があると思うんですね。一つは、これは島根県五箇村と言うんですか——の村有であると、これは一つあかしを立てるものだというふうに思うわけです。  それからもう一つは、現地の島に領有をはっきりする明示をする物を立てるということが必要だと思うんであります。この点がどうなっているか。それから、すでに何回となく委員会でもお話があるわけですが、現実には韓国側が幾つかの施設設備を整備をしているわけです。これがどういう状況になっているのか、これは想像でなくてお調べになった現実を明らかにしてもらいたい。
  57. 中江要介

    政府委員中江要介君) 竹島日本固有領土であることの主たる理由は幾つかございます。これは先ほども指摘がございました戦争が終わりまして、占領期間中にマッカーサーラインというものが引かれて、当時の占領下の日本の行政管轄権が限られた、その限られたマッカーサーラインの外側にこの竹島が置かれたということから不幸な出来事の始まりがあったと思うんでございますが、それを受けて李承晩大統領時代に李承晩ラインというものが引かれて完全に今度は韓国の方で自国の管轄下に入れたと、そういう状況のもとで日韓正常化の交渉が行われたわけでございまして、それ以前の日本側主張はいろいろございましたが、多くの文献、地図その他ではっきりしておりますし、江戸時代初期には、いまの鳥取、当時の伯耆藩の大谷、村川両家が竹島を幕府から拝領いたしましてこれを経営していたという歴史的事実がございますし、その後もずっと日本領土として取り扱っていた文献的証拠も残っておりますし、詳細な地図もあります。よく指摘がされますように、一九〇五年、明治三十八年の二月には閣議決定によりまして、島根県告示によって島根県に編入されまして、日本政府が、近代国家として誕生した日本政府島根県の領域内として竹島に対する領有の意思を明示いたしました。  それ以降アシカ漁業の許可制、許可が行われるというようなことで漁業活動も行われてまいりましたが、第二次大戦のときにそれが中止されるということでしたけれども、免許者からは毎年土地使用料がそこに納入されるということがございました。その後で、先ほど申し上げました占領をはさむいろいろの連合国軍の指令によっていまのようなことになって、韓国側の不法占拠と、日本側から見ます韓国側の不法占拠ということになりました。したがいまして、この第二次大戦後の李承晩ライン以降の韓国側の事実上の占拠というものに移りましてからは、わが方が当時設けておりましたであろうあらゆるものは撤去されまして、先ほどおっしゃいますように、いろいろの施設が韓国側によって設置されるようになってきた。人員で言いますと、韓国の警備隊員が十数名常駐しているとか、灯台、宿舎、見張り所、無線アンテナなどが設置されている。また、それが改築されたり増築されたりしている。その辺の状況につきましては、海上保安庁が、先ほど御説明がございましたように、日本政府の名においてこれを巡視、視察をしていただきまして写真その他の証拠をとり集めていただきますごとに、それを付して、日本政府としては韓国側に強硬にその不法占拠の継続、さらに諸施設の改築、増築といったものに対して抗議を繰り返している、こういう実態でございます。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、日本古来の領土であるという考え方についてはまあ国民全体が持っているわけですけれども、役場の地籍には載っているけれども現実にこれが日本のものであるという設備は何にもないわけですね。あるのは全部韓国の施設設備、あるいは若干の軍人があの竹島の上にいるというのが現実ですね。その点は御確認できますか。
  59. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは先ほど外務大臣も申されましたように、国交正常化に当たりましてこの領有権については論争したわけでございまして、韓国側の占拠の理由、つまり、韓国側はどういう理由でこれを占拠しているかにつきましては、   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 韓国韓国で十五、六世紀ごろの古い文献から説き起こしましていろいろ立論はしておるわけです。したがいまして、韓国政府としては、これは自国の固有領土であるという立場でこの島を占拠しておりますが、日本側から見ますと、韓国側主張国際法上根拠が薄弱である、したがって、これは日本固有領土である、そういうことでこれが紛争になっておるというのが私どもの認識でございます。したがいまして、韓国が積み重ねております事実は、韓国立場に立ちますと、自国の固有領土について自国の判断でいろいろやっていることだと、こういうことでございまして、現実は遺憾ながら韓国側が、日本韓国と正常化します以前にすでに事実上支配をしているという状況が続いております限り、いま先生がおっしゃいましたように、韓国側が自国の立場に基づいていろいろの施設その他をやっているということが残っておる、こういうことでございます。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 いまも指摘をされておりますように、紛争が長い期間続いているわけですが、ただ二つ、いまだに解明されない問題があるわけです。一つは、交換公文に基づいて平和的に話をする、しかし、「外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によって解決を図るものとする。」という交換公文があるわけでして、かなり日本側は平和的にあるいはじっくりと言いますかね、この交換公文の趣旨を体して話を進めてきたけれども現実的にはらちが明かない。らちが明かないどころか、新しい紛争がその後連続して起こっているわけです。したがって、交換公文の前段の趣旨というのはもはや薄れたというふうに思います。したがって、当然その次の手順としては、両国政府が合意する手続に従って調停によって解決をする、この道が一つ残されているわけですね。それからもう一つは、国民世論を背景にして毅然たる態度韓国側を説得をする、こういう二通りがあるんじゃないかと思います。  先ほどからお話を聞いておりますと、まだまだこれから平和的に解決する可能性があるのだということを背景に持ちながら、じっくり交渉したいと言っているわけですけれども、いま私が申し上げましたような交換公文の手続や、あるいはもう一つの国を挙げての毅然たる交渉というものに踏み切っていないわけです。なぜそういうことを行おうとしていないのか、その点について外務大臣のお答えをいただきたいというふうに思います。
  61. 中江要介

    政府委員中江要介君) いままでの経緯について、いまの御指摘の点で多少私どもと認識が違いますのは、国民的総意を背景にして毅然たる態度で臨むというのは、まさしく外交交渉の外交経路を通じて解決するという場合の、わが方の姿勢として私どもは受けとめておりますので、外交経路を通じて解決をいたしますときには、申すまでもないことでございますけれども、そういうものが背景にあるべきであるということは全くそういう考えでございます。  それから紛争の解決の仕方といたしまして、外交上の経路で解決できないときには調停によるとなっておりますが、同時に、特別の、別段の合意がある場合はこの限りでないというのも入っておりまして、「別段の合意」の中には、ときどき御指摘のございます国際司法裁判所に両方で持っていって、そうして裁判所の判決を仰ぐというのもその一つ方法でございます。かつて日本国交正常化に先立ちましてこれを国際司法裁判所に提訴するという話を持っていったこともございますけれども韓国は義務的な管轄権を認めておりませんので、韓国がそれに応じないときには、いまの制度のもとでは国際司法裁判所の前には持っていけない。しかし、韓国政府もいろいろ考え、あるいはその後の事態の変化を見ましてこれはやはり国際法上の領有権の争いであるから、これは調停もいいけれども、法律的解決としてはやはり国際司法裁判所の判決を仰ぐのが妥当であるという考えになりますれば、日韓双方で特別合意書を作成して国際司法裁判所に持っていくということも可能でございます。  したがいまして、この紛争解決に関する交換公文に基づく解決の仕方といたしましては外交経路によって解決する、あるいは国際司法裁判所に提訴する、それでもなかなかむずかしいということならば調停によるというふうにいろいろございますが、そのいずれもがいままでのところ有効に動いてないではないかという点は全く御指摘のとおりでございまして、その点が先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、いままで確保されてきた安全操業というものがきちんと確保されるという状態を見きわめた上で、その根っこになっている領有権の問題について韓国側と腹を据えて話し合ってまいりたいというふうに先ほど申されたと、こういうことでございます。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 竹島問題というのは非常に重要ですが、まあこれだけで一日終わるわけにいかないと思いますので、締めくくりの意味で外務大臣にお伺いをします。  一つは、日韓大陸だな協定及びこれに伴う特別措置法について国際信義上もこれあり、本国会で通過さしたいと、そう期待をするということがしばしば主張されているわけです。ただ、審議しております私ども立場から言いますと、竹島、言いかえてみれば自分のうちの庭に韓国の兵隊が入ってきて居座っているわけです。ある意味で言えば威嚇、恫喝をしているわけです。そうしておいて大陸だなの特別措置法を早く通せというふうに移っているわけです。私どもそれにおどかされているつもりはありませんけれども、客観的に言えばそういうふうになっていることは理解できますね。ですから、私ども特別措置法を審議する立場から言えば、少なくとも国際信義を重んじたり、あるいは平和友好関係を考えるとするならば本問題以外で紛争があるということは余り好ましい状態ではないと思います。特に、これは後ほども申し上げますけれども、日韓の中間線とのかかわり合いを含めまして毅然とした態度をとらなければ、先ほど外務大臣も言っておりますように、実績をどんどん積まれてしまうと、こういう状況にあるわけなんです。よそのうちまでどろぐつで上り込んできて、さあ特別措置法だけ上げてくれということには私はどうしても国民感情は納得しない。まずこの点を指摘をしなきゃならぬと思うんです。  その立場から言えば、政府がいままで努力をしてきたことについて一定の評価はしますが、いまや竹島問題というのは国を挙げての大きな政治問題、外交問題だと思うんです。政府は大いに努力をしなければならないと思いますけれども、国民全体の世論を背景にして思い切って韓国に対して竹島の問題、竹島周辺安全操業の問題について、政府中心とする大きな代表団を編成して、韓国との間に十分な交渉を行うということも、この際だから私は必要ではないかと思うんですが、その二つの問題について大臣の考え方をお伺いをしておきます。
  63. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私、先ほどから申し上げているつもりでありますが、この問題については腰を据えて折衝しなきゃならぬ時期があると思います。いますぐなぜやらぬか、いま五月、六月の漁業最盛期でありますから、何とかこの問題だけは穏便にやって、そして漁を終わった後で、私は腰を据えて折衝をやるべきだと考えておるわけでありまして、そこで、それについてはいろいろ折衝をいたしております、韓国の方とも。これは詳細いまのところは御報告できないわけでありますが、腰を据えてやるべきときにはやらなければならぬ。そういう意味において、国際信義である大陸だなはなるべく早く御審議を終了願って、審議を尽くした上、腰を据えて相手と談判をしたい、こういう考え方でございます。
  64. 穐山篤

    穐山篤君 私は、いまの考え方にはとてもではないが納得はできません。しかし、審議のこともありますので、私はここの部分については残念ながら保留をしておかなければならない。改めてまたその点について追及をしたいと思っております。  さて、その次の問題ですが、いま南部協定に基づく特別措置法の審議をしていますが、参考のために北部の協定について若干お伺いをしたいと思います。  この地図によりますと、この南部協定の座標一、これは通称日韓中間線と言われているわけです。これを起点にしまして北部に対します中間線、あるいは大陸だなについての座標の出発は同じくここの一の点になっているわけです。この韓国側と、それから山陰との間に双方大陸だながあって、その大陸だなを中間線でまとめて、最後に座標三十五で締めくくっているわけです。この上が実は問題になるわけですが、なぜこれは座標三十五で締めくくったのか。本来この朝鮮半島と山陰、北陸との間にはまだたなが上に続いているわけです。なぜこれを三十五で締めくくったのか。本来ならばもっと竹島を含めてこの両方の中間線を画定をする。あるいは両方のたなの中間線を画定をするというこの北部の協定というのは、直ちに採掘を意味しているわけでありません。これはそれぞれの座標を画定をするというところに第一のねらいがあるわけです。なぜこれは座標三十五でとどめたのか。  また反面私がお伺いしたいのは、なぜ三十五から北の方に対して、まだそれぞれたなが残っているわけです、たなが残っている部分について、話を打ちどめにしたのかということについて明らかにしていただきたい。
  65. 村田良平

    政府委員村田良平君) 先生指摘の北部の境界線からの北端からさらに北の部分についての取り扱いでございますけれども、これは海洋法会議におきまして、大陸だなの範囲あるいは深海海底の問題について国際的にもいろいろな議論が行われておるところでございますので、これはそういった国際的なルールが成立した段階で、改めて考えることが適当というふうに判断をしたわけでございます。現実の問題といたしまして、この座標三十五以北の水域というのは相当深いところでございまして、御指摘のとおりとりあえずは技術的にも海底資源の開発ということは考えられないところでございますので、境界画定の対象とする必要はないということで三十五のところでとどめたということでございます。  しからば、座標三十五までは、この三十五の辺は相当深いところでありますけれども、なぜここまで線を引いたのかということに関しましては、韓国が一九七〇年の海底鉱物資源開発法に基づきまして鉱区を設定したわけでありますが、その鉱区の一部分が日韓の中間線を越えまして日本側に入っておったわけでございます。これを交渉して中間線より向こう側にいま引っ込まさせるというためにこの点まで線を引く必要がある、こういうことでございます。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 その交渉の際に韓国側主張は、韓国側の方のたながあります。日本側日本からのたなもあります。一つのたなである。そういう議論を出発点にして、最終的に中間線で座標三十五で打ちどめにしたのか、それとも最初から大陸だなの問題は別にして、区画を画定をするという意味で、日本側韓国側中間線論議が最初からの主張の出発点で、その中間主張論でお互いが納得をしたと、こういうものであるのかどうなのか、その点明らかにしていただきたい。
  67. 村田良平

    政府委員村田良平君) この北部に関しましては、まさに大陸だな条約第六条でも定めてありますように、二つの国が共通の大陸だなをはさんで相対しておるという認識におきましては、韓国わが国も同一であったわけでございます。したがいまして、両方が共通の大陸だなを有しておるという立場から申しますと、国際法通常のルールによれば中間線ということでございますので、中間線をもって境界を画定しようということで話し合いがスタートして、その作業を行ったということでございます。たまたま韓国の方が先に設定をしておりました鉱区のつくり方が中間線よりちょっとわが方の方にきておりましたから、それを引っ込めさせるということをその際に達成した、こういうことでございます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 韓国側が、日本主張しました中間線論議に了解を与えたと。素直に了解を与えたかどうかよくわかりませんけれども中間線論議をここの場面では尊重をしたわけですね。そこまではいいんです。  さてそこで、いまも示したように、座標三十五から上が、北部の関係が確かに海図から見るとかなり深度は深いと私も見ます。しかし、座標三十五の上には竹島という問題があることも双方念頭に置きながら交渉したと思うんです。日本側とすれば、韓国側がつくりました、これはK6ですか、鉱区K6ですね、K6がわが方のこの中間線から日本寄りにはみ出ていたから、日本としては中間線論議で巻き返して、返したわけですね。  そこで私は、必要なことは、座標三十五で確かに鉱区とのかかわり合いはそれで終わりになるでしょう。しかし、日本側のここの竹島周辺、あるいはその北部にどれだけ地下資源があるかないかということについては、まだ十分探索がしてないわけですね。あるかもしれないしないかもしれない。現実に新潟沖では石油なり天然ガスが噴き上がっていることも事実です。ですから、その延長線として考えれば、竹島を含めて日韓の中間線というものをもっと上まで引いておく主張をしてしかるべきであったと思うわけですけれども、その経緯というものは十分にまだ明らかにされていませんね。日本はなぜその主張をしなかったのか。確かに韓国中間線よりも日本側にK6という鉱区がはみ出していたから、これを追い出す、調整をするという意味中間線というのは大いに意義があったと思うのです。しかし、日本のエネルギーの開発立場から言うならば、積極的に座標三十五から北部に対して中間線論議というものを発展をさしてしかるべきではなかったかというふうに思うわけですが、その交渉の経緯と考え方について明らかにしていただきたい。
  69. 村田良平

    政府委員村田良平君) この座標三十五の点以北について特に取り組めなかった理由は、まさに先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども先方の張り出した鉱区を引っ込めさせるということと、それからその地点より以北におきましては、現実の問題として海底資源の開発ということが技術的にも少なくとも当分の間は予想されないということで、この北部境界画定の交渉の際に、その点まで取り組む必要はなかろうということでそのように措置したということでございます。  竹島の問題でございますけれども竹島は絶海の孤島でございまして、こういった島がそもそも大陸だなを持つのか持たないのかということがいま、大陸だなあるいは経済水域を持つか持たないかということは現在海洋法会議で論議されておるところでございます。わが国の海洋法会議においてとっております立場は、こういった島あるいは岩礁はすべて固有の経済水域あるいは大陸だなを持つべきであるという主張でございますけれども、必ずしもこういった考え方は海洋法会議全体では受け入れられておらないということでございまして、この点今後さらに海洋法会議で議論があると思いますけれども、いずれにいたしましてもそのような状況でございますので、現在も国際法竹島のような絶海の孤島が大陸だなを持つということは言えないような状況でもございますが、先ほど申し上げましたような現実開発可能性というところに着目いたしまして、座標三十五で打ちとめたと、こういうのが交渉の経緯でございます。
  70. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 五分間休憩します。    午後三時六分休憩      —————・—————    午後三時十七分開会
  71. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員会を再開し、休憩前に引き続き質疑を行います。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 次に、この大陸だなときわめて不離一体の関係にあります中国とのかかわり合いにつきまして、いままでの委員会で十分解明がされておりませんので、なお引き続き質問をしていきたいというふうに思います。  過去の委員会のやりとりを全部聞いておりましてもよくのみ込めない点があります。それは日本側主張は、中国側の主権をいささかも侵していないと。鳩山前外務大臣の言葉を借りますと、仮に中国の主張するような自然延長という主張があったとしてみても、これは日中の中間線の日本側寄りに座標を設定をしてあるので中国の抗議は当たらない、心配ない、こういうふうに答弁が繰り返されているわけであります。そして、しばしば中国側に理解を求める行動をとったというふうに言われているわけですが、中国側からは、一九七四年二月四日を初めとしまして、数次にわたってこの大陸だなの問題につきまして日本及び韓国政府抗議が申し込まれているわけです。日本側主張は、中国側の権益をいささかも侵していないと言っているし、中国側は主権の侵害である、これが一つ紛争の状態になっているわけですね。このことは非常に遺憾でありますけれども、本問題を解決しませんと、後々まで日中の関係と、あるいは日韓大陸だなを具体的に探査、掘削をする上で重大な障害が起きると予想がされるわけです。したがって、もう一度日本側が中国側に説明をした国際的な立場あるいは日本としての立場国際法上の問題あるいは日本立場、これに対します中国側の主張というものを整理をしてひとつお伺いをしたいと思います。
  73. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず、日本側がこの協定を締結いたしまして、日韓間でこの南部共同開発区域の取り決めをいたしますに当たって、日本が考慮いたしました大陸だなの理論と申しますのは、一つの大陸だなをはさんで二つの国が相対しているときには、その境界線は中間線によって画定する、この原則でございます。したがいまして、これはこの地域の大陸だなをごらんになるとわかりますように、一つの大陸だなをはさんで日本韓国と朝鮮民主主義人民共和国と中華人民共和国とがお互いに隣接したり相対したりしておるわけでありますから、一番望ましい姿は、関係国が集まって一挙にこれを四つに分けるという、境界画定の話をすればいいわけでありますけれども、これは御説明するまでもなく、いまの状態では実現不可能な話でございまして、この点は、そういう国際会議をするには機は熟していないということは中国も認めておるわけでございます。  そういたしますと、どういうことが国際法のもとで、また国際先例として可能であるかといいますと、話のできる国同士で話をつけていく、これが通常行われているところであります。したがいまして、日本韓国とは話ができますので、韓国との間でどこの大陸だなのどの部分なら日本韓国で話ができて、どこから先は日本韓国で話をしてはならぬかということは、これは韓国とともに国際法にのっとった協定をつくるという原則に基づいて慎重に検討いたしまして、その結果、韓国と中国との間は、これは中にみぞはありませんから、当然中間線であると。したがって、韓国と中国との間の中間線がまず大陸だなを大きく東と西に分ける。分けて韓国側に入ったところを日本韓国が相対して共有しておりますので、日本韓国とで今度は南北に分ける、そういうふうに骨組みを立てて交渉に入ったわけでございます。したがいまして、中国に対しまして言い得ることは、この協定韓国と中国との間で画定されるであろう中間線の韓国側の部分について、日本韓国が南北で分ける話をして、そこで主権的権利の主張が重複したので、それを共同開発にしたということでありますので、中国の主張するであろう大陸だなに対する主権的権利は侵害されていないとわれわれは確信する。  なぜそれが確信であって、されていないと断言できないかといいますと、これは韓国と中国との間に中間線の話し合いができないからでありまして、望ましいことは韓国と中国との間で、縦割りの中間線を話し合いによって画定していただければ、これはそれに越したことはないんですが、それができません。できませんときでも韓国と中国の間のように、中にみぞがあるわけでなくて、どこから見ても一つの大陸だなを共有して相対しているときには中間線による、これは国際法の原則でございますし、中間線といいますのは、合意するまでもなく、客観的には、抽象的には存在するのは一つしかないわけです。どこからはかっても等距離にある点を結んだ線は一つでございますので、これはただその海岸の入り組み方、島の配置、湾の入り組み方、そういった地形に即した調整は必要でございますけれども、原則としては、中間線は客観的には一つしかないわけでありますので、その一つしかない中間線を韓国と中国との間で確認していただくことだけ残っている。  この点を意識いたしまして、協定の二十八条で、この共同開発区域を囲む線はいずれも国際法上の大陸だなの境界を画定するものとはみなさないということをはっきりしておるわけでございまして、したがって、日本が中国に説明いたしましたことは、韓国と中国との間で話し合いがおできにならないので、これは国際法上合意によって画定された中間線ではないけれども日本としては日本の持っている海図を駆使いたしまして、中国側の主張するであろう、韓国との間で主張するであろう中間線を実に注意深く測定して、そして引いたその韓中中間線の韓国側の部分に限って、韓国と話をして今度の協定を結んだんだ。したがって、中国の権利をいささかも害していないと。しかしながらもし中国の方で、いやそうではない、この線のこの部分はこういう島を落としているとか、あるいはこの島の測定はこういうところからであって、この線はこうあるべきだというような具体的な問題があるならば、これは日本としてはいつでもお話し合いに応ずる用意がある。のみならず、韓中中間線の中国側の部分、西側の部分につきましては今度は日本が中国と相対して共有するわけでありますので、これは日本と中国とでずっと南の方まで境界画定の話もしなければならない。これは日本はいつでも、あすからでもお話し合いに応ずると、こういうことを中国側に申しておりますが、中国の方ではまだその話し合いに応じましょうという態度を示していない。こういうのが現状でございます。  したがいまして、繰り返しになりますけれども日本がこの協定によって中国の大陸だなの主張をいささかも害していない、主権的権利の主張を侵していないというその一番の根本は、韓中の中間線の韓国側に厳しく限定して、この共同開発区域を設定しているということに尽きるわけでございます。  なお、鳩山前外務大臣が、仮に自然延長論という立場に立ってもこれは中国の自然延長の大陸だなを侵してないと言われたことの意味は、いま申し上げました、ともに自然延長論をとっている韓国と中国でございますが、この韓国と中国がそれぞれ自然延長と言って南の方に大陸だなを主張いたしましても、これは隣接しておりますのでどうしても中間線で分けなければならないわけでありまして、日本という国がここに存在しておらなくても、韓中中間線はこれは必要な、それが境界になるべき線でございます。その韓中中間線の韓国側についての話でありますので、これは中国の権利を、仮に自然延長論だけで議論されても中国の権利を侵しているものでないと、こういう趣旨であると御理解いただければ結構かと思います。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 中国側の抗議を注意深く整理をしてみると、私は次のように構成されていると理解をします。  この共同開発区域及びその周辺というのは——これは中国の主張ですよ、中国領土の自然延長であり、中国の主権を有する区域である。したがって、共同開発区域というふうに座標を、一から出発をしてまた一に戻っておりますこの区域につきましては、主権を侵害をしている。したがって、絶対に容認はできない。それから三つ目が、こういうふうに日本韓国との間に共同開発区域というふうな既成事実を積み上げて、こういう既成事実の積み上げを行っていることに対して反対だと。私は幾つかの文書あるいは報道というものを整理をしてみると、三つに整理がされるような気がする。東海大陸だなとその他との国家との区域は中国と関係国家がどのように区分を画定するか協議すべきであるというふうに、前段では韓国側主張というものを明確にしています。それから後段では、とは言ってみても最終的に関係諸国との間で十分協議をして合意すべきものであるというふうに二つの形をとっているわけですね。中国側の主張というのは、言ってみれば自然延長、大陸の自然延長だというところに基本的な主張の根拠があるわけです。  これをこれから協議をしあるいは説得するにいたしましても、ここの部分をどうわれわれが理解をするかということが一つの問題解決の糸口ではないかというふうに思うわけです。確かにいま指摘をされているように、この座標一から六までは日韓中間線でありますね。通称六、七、八と言われておりますここが日中中間線、こう言われているわけです。ところが中国の主張というのは、こちらの図にもありますようにこの大陸だな、共同開発区域及びこの周辺というのは大陸からの自然延長でございますよというふうに理路を明確にしているわけですね、明確にしているわけです。その場合に、中間線の論議は別にしましても、いやこの共同開発区域あるいはこの周辺というのは、中国の自然延長の海溝ではありませんというふうに具体的に説明をすれば、中国側の主張というものはこれは根拠がないわけですから納得するわけです、納得するわけですね。その中国の唯一の主張をどうして反論できないかと言えば、現実に大陸からの自然延長というものが延びている、どのように延びているかについては議論があるでしょうけれども、延びているという事実関係を無視できないから中国の主張には根拠があるというふうに日本の学者の中でもかなりの人が賛同しているわけです。中間線の論議は別にして、中国の主たる主張であります自然延長論について日本政府なりあるいは韓国当局が納得できるような説明なりを、そこの部分について説明があればまず私は一つの解決の糸口がつかめるというふうに思うわけですが、その点についての解明はどうなされてきたわけですか。
  75. 中江要介

    政府委員中江要介君) いまの御質問の前提になります大陸だなのとらえ方でございますが、中国大陸から延びている大陸だなであるということと、中華人民共和国が主権的権利を主張し得る大陸だなとして自然延長を主張するということとは実は違うわけでございまして、御承知のように大陸だなは一般論といたしましてこれはどこでもそうなんですが、領土領域から海の方に向かって自然に海中で延長されていくその海底の部分が大陸だなであるわけですから、いずこの大陸だなもどこかの陸地からの自然延長であるわけです。したがいまして、東シナ海の大陸だなはどこから自然延長で来ている大陸だなかと言えば、これは中国大陸から出てきている自然延長の大陸だなである。これはもう客観的な事実でございまして、これを争うということはこれは不可能なことで、争う必要のないことであります。問題は、地球上に幾つかの国がございまして、一つの大陸だなが必ず一つの国の占めている領域からだけ延びているのではなくて、多くの場合は大陸だなの自然の延長のもとになっておる領土のところに幾つかの国がありまして、国境を接したりあるいは相対したりしてそれで別々の国が存在している。  したがって、その自然の延長として形成された大陸だなを、この大陸だなに接している国の間でいかに境界を画定するかというのが、これが国際法上の大陸だなの論理であるわけでありまして、地質上の大陸だなの性格とは別な観点で、つまり各国が自国の領土の延長として持つ大陸だなに対して主権的権利を主張する場合にどこを境界線にするか、こういう問題でこの問題をとらえなければならない。そういたしますと、先ほど申し上げましたように、この東シナ海の大陸だなには現在のところ少なくとも四つの国がこれに接している。そうすれば、やっぱりこれに接している国が、それぞれ主権的権利をどこまで行使するかということは決めなきゃならない。決める場合に、韓国と中国の間はこれはすんなりと中間線で境界を決めていくケースである。ところが日本韓国日本と中国との間につきましては、これはいまの議論とは別に、そもそも一つの大陸だなに日本と中国なり日本韓国が接しているのかどうかということが論争であったわけです。  したがって、日本韓国に対して論破しなければならなかったのは、中国大陸から延長してきているその大陸だなに韓国は確かに接しております、その上に朝鮮半島があるわけです。ところが日本は接していると言うんですが、韓国はあそこに沖繩海溝があるからおまえは接してないということであったわけです。したがって、日本韓国に対して争いましたのは、自然の延長であるということを争うのではなくて、あのみぞがあるけれども一つの大陸だなを相対してはさんでいるんだから中間線と。で、自然の延長の大陸だなはそれではどこまで延びているかというと、琉球列島よりも薩摩列島よりもさらに南東と、南西太平洋の方に行って初めてその中国大陸からの大陸だなは海底に深く沈んでいっていると、こういう考え方であるわけです。  したがいまして、日本は中国大陸から出ている大陸だなの上に乗っている島である。一つの大陸だなをはさんで日本韓国がこれに相接しているのであるから、その境界は中間線であるという議論をしておるわけで、自然延長論か中間線論かというふうに単純に問題を提起されてしまいますと、あたかも日本中間線論は大陸だなが自然の延長であるというそもそもの立場をまるで否定しているようにとられるきらいがあるのですが、そうではなくて、日本も大陸だなは、これは大陸から海底に向かって自然に延長していく海底の部分が深く海底に埋没していくところまでが大陸だなだといういままでの理論をそのままとっておるわけですが、その埋没していくところがどこか、沖繩海溝で埋没するのか太平洋に埋没するのかというところが違うわけで、太平洋で埋没しているということになりますと、これは一つの大陸だなですからこれは中間線で分けるんだと、こういう議論であります。  少し横の方に参りましたが、中国が東シナ海の大陸だなは大陸からの自然の延長だからというところは正しいのですが、だから中華人民公和国政府の合意なり了解なしにいかなる個人も、いわんや政府も指を触れてはならぬのだというように書かれてある部分、いかなる国、個人も中国政府の同意なくして東海大陸だなで勝手に開発活動を行ってはならないというのは、これは大陸だなの自然発生的な定義の部分と、これを国際法上いかに主権的権利の行使の限界を決めるかというところとが一緒になっておりまして、私どもが中国に対して受け入れられないと申しておりますのは、この大陸だなの境界を画定するということになりますと、これは全部中国の同意がなければだれも手がつけられないというような国際法はないということを何度も中国側に説明していると、これが実態でございます。
  76. 穐山篤

    穐山篤君 るる中国側に説明しているということはよくわかりますが、しかし結果的に言うと、相手側が納得をしなければ説得をしたことにはならない。言いかえてみれば、それは日本側のひとりよがりの主張に終わってしまう可能性を持っているわけです。ですから、現実にここの座標六、七、八、あるいはその周辺を含めて中国側からは異議が出ているわけですね。異議が出ているということは、武力の争いにはなっていませんけれども、国対国の関係では紛争状況のままに残されて区域が決められているという状況になるわけです。これははっきり国内全体、国民全体としても十分に理解をしなきゃならない。またその上に立って韓国なり中国との間に、単に政府だけでなくして国民レベルにおいてお互いに了解し合うという、そういう必要から私はあえてお尋ねをするわけですが、これは先ほど申しましたように北部協定に基づく座標三十五の位置ですね。これは日韓の中間線になるわけです。ここまでは、いろいろな理屈は別にしてみても中間線論議が成立をしているわけです。  それから座標一から六までについては引かれたこの筋は日韓の中間線である、中間線であることは間違いない。しかしここの斜線の部分というのが共同開発区域になっている。これがたとえば座標一から六のこの周辺に、この北側にはみ出せば韓国から注文がつきますが、この近辺について、ごく限られた近辺について韓国日本との間に争いがあって、まあやむを得ないから共同開発にしましょうと言うならば、国民感情論的にもある程度やむを得ない、あるいは韓国日本との友好的な関係だとか、あるいはエネルギーの開発という意味で国民的な合意を得ることは可能だと思う。しかし現実にここの五島列島なり奄美大島のすぐ近くまで座標一から始まります共同開発区域が決められたということについて、何を根拠にしているんだろうか。これは法律的な議論は別にして国民感情論から言うとおかしいじゃないか、これは素直な気持ちだと思うんですね。  といいますのは、この座標二十とか十九というのはすぐ近くに五島列島の島があるわけです。男女群島を初めとして全部島があるわけですね。庭先ですよ。ここだけこういうふうに座標十六、十七、十八は限っているわけです。ここについても、なぜこういうふうなことにしたのか。海溝からいきますと、ここの部分の海溝とここの海溝の部分、水深は変わらないんですよ。変わらないやつをなぜこういうふうによぎったかという、これは国民感情論的な疑念も出されている。  それから中国は、これは日中中間線六、七、八になります。この上をずっと上に上げてきますと中国と韓国との中間線論議はこれはまた議論してもらえばいいわけですけれども韓国が少なくともたなを主張して、すでに自分たちでこちらの鉱区1から始まりましてK7までの鉱区を勝手に決めておいて、日本中間線を主張したときには大陸だなの延長という議論がここでは妥協の産物として出てきた。しかし中国の立場から言うと一つのたなには違いないけれども、中国側からの大陸の自然延長、この付近というのは延長だと言う。ここの部分ではなぜ自然延長論を日本側は取り入れてくれないのか、これが中国側からの主たる注文になっているわけですね。また日本の国民感情論から言ってみても、韓国にはそういう理屈をまかり通して中国からの理屈はどうしてまかり通らないのか、何か決定的に中国をそのほかに納得させる理屈があるのかないのか。いつまでも、二この部分について韓国日本はうまくいっているけれども、中国との間に五十年も百年もここで紛争を続けられたんでは日本国民としてたまったものじゃないと、これは率直に言って国民感情としては当然なことだと思う。  ですから、私は国際法や大陸だなの条約の問題にはいろんなことがありますけれども、やっぱりだれに聞かしても、なるほど中国側が言っているのは無理だと、韓国日本協定をして、ここに本来ならば日本中間線の南にあるのだけれども、ここまではみ出してきたことについて国民感情を十分に納得させるだけの一般論といいますか、そういうものがないために、この地図を見ますと、日本の庭先まで何で区画を決めなきゃならぬのかと、これ非常に不思議がっているわけです。韓国からも非常に遠い。韓国の方からは大陸だなの理屈がまかり通る。こちらからは大陸だなあるいは自然延長論がまかり通ってない。そんなために一生紛争を、協定でいけば五十年間、五十年間も紛争を続けていくというのはたまらないという国民感情が一つあります。  それからもう一つは、そのことが一つの原因になっていま具体的に進められようとしております日中条約の交渉の促進に重大なかかわり合いを持っているのではないかという心配も一面ではあるわけです。尖閣列島の問題もここにありますけれども、いま私が申し上げましたごく一般論で結構です。なるほど日本政府が今度こういうふうに共同開発区域を決めたのは、これは無理ないことだというふうに日本国民全体が納得できるように、あるいは逆に言えば中国側を説得できるようなここの座標六、七、八、あるいはこの周辺について、その点は繰り返しのようになりますけれども、もう一遍明らかにしてもらいたい。
  77. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず日本韓国との関係の部分で、いま先生が御指摘共同開発区域、あの地図で言いますと斜線を引いております部分のこちらから見ますと右側、つまり東側がいろいろ入り組んだり出っ張ったりしている。あの線は非常に日本に近いけれどもどういうふうにして決めたんだ、こういう御疑問でございますが、これはよくこういう議論がなされますときに地図を、つまり空から下に向かってながめた地図がこういうふうに示されるわけです。そうしますといかにも日本に近いところを共同開発にしているのはおかしいというのが国民感情であって、確かに私も国民の一人として上から見ますとそういう感じがするわけです。しかし、国と国との関係は国民感情だけではいけませんので、国と国とを律しております国際法、国際慣行、そういったものを尊重して初めてよその国からも尊敬される国になり得るわけで、上から見て近いからだめだというだけではなくて、なぜそういう近いところが共同開発区域にならねばならぬかということを知るためには、やはりこれを縦に切って横からながめる必要がある。縦に切って横からながめますと、つまり水の中にもぐって横からこうながめるということが必要なんですが、そういうふうにして断面でこれを見ますと、確かに韓国共同開発区域の東側の端となっておりますところまで自分の大陸だなだと言って主張するには相当の根拠がある、その相当の根拠があるにしても、あの出っ張りだの引っ込み方自身はなぜかと、これはもう少し引っ込むべきではないかと、これはこの程度でいいかもしれないがという話をもし日本韓国としたといたしますと、これは韓国主張を前提とした交渉になるわけです。したがって、日本としてはその交渉はできないわけです。そんなところに韓国主張の限界があるということは日本は認めないわけです。したがって、これはもうどの部分も日本としては認めることができない。  他方、韓国からいたしますと、自分の方は九州の近くまでが自分の大陸だなと思っておるわけですから、日本中間線だと言っております先ほど御指摘の座標の一から六までのあの線、あの線は韓国にしてみれば議論できない線、そんな線は存在しない。つまりその中間線というのは韓国にとっては存在しないわけであります。したがいまして、日本韓国が両方の立場で論争を続けますと、左の線も右の線もない。そしてただあっちだこっちだと言って論争を続ける。それがいわゆるこの部分の大陸だなに関する法律論争というものであったわけです。しかし、それをいつまで続けましても右の線も左の線も決まらない。したがって、この部分はほとんどそのままであればいつまでも開発に着手できない。そこで考えられましたのが、その法律的な根拠は論じない、主権的権利の主張の限界は論じない。ただ両方の主張の重なっているところがある、これははっきりしております。重なったところは共同開発にしようと、法律論には目をつぶって共同開発にしようというのがこの共同開発南部協定であるわけです。その目をつぶったというのは二十八条に書いてあるわけです。  そこで、したがいまして、この共同開発区域の左側の一から六までの線も右側の一からずっと下の九に及ぶ東側の凹凸のある線も、これはともに日韓両国間で国際法上の議論としては決着のつかない線であるわけです。そういうことでありますので、この日本に近いところに線が引かれていることの根拠は何かと言いますと、韓国側立場に立ったときの韓国の外縁であるということ以外に何も説明の根拠はございません。同じように韓国の方で、韓国の国民感情として恐らくあんなところまでどうして共同開発で後退したのかと、一から六までのあの線は変な線だと、韓国立場からすると存在しない中間線であるわけです。それはなぜかというと、日本はこの線まで自分のものだと主張したということだけが根拠になっておるわけです。双方ともに相手の主張するところを論ずることなくそのまま取り入れて、実際的解決の区域をつくったのが、この共同開発区域の線引きになっている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  次に、中国との関係でございますが、中国との関係先生が御指摘のように、この六、七、八という中間線はこれは一体どういうわけかとかあるいはその日本主張しております一から六までの、日本主張する中間線の近辺について問題があるじゃないかとか、そういうふうに具体的にこの協定の大陸だな部分について中国が異議を唱えられるのであれば、日本政府としてはこれを受けて、それはこういうわけだと中国の言うようにこれはこういうふうに引っ込まなきゃならぬかもしれない、あるいはこれはもう少しそちらに出れるかもしれないという交渉はできるわけですが、中国側のいままで行っております抗議は、先ほどちょっと引用になりましたように、きわめて抽象的、一般的でございまして東海大陸だな、日本式に言いますと東シナ海大陸だなは、これは関係国で合意しなきゃいかぬということだけでありまして、関係国である中華人民共和国と話をしないでここにそういう境界を画定するなり共同開発区域を設定するのはこれは認められないと、それだけのことで、どこがどうという議論ではないわけであります。  その前提になります東シナ海大陸だなは、これは中国の自然延長の上にあるものだから中国の侵すべからざる権利であるというところは、これはそれに反論しております日本立場がひとりよがりだと先ほどおっしゃいましたけれども、これは決してひとりよがりではなくて、十分国際法及び国際先例に基づいた主張なわけなんです。したがって、これはもう正しいと思っている議論は何と言われましても最後までそれを説いていくという姿勢で臨む以外にないと思います。したがって、中国の抗議があるから日本立場が少し弱いのではないかというふうに私どもは思っておりませんで、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 中国の抗議の中の部分的には正しいところもあるが、部分的には日本と認識の違うところがある、その違うところは日本政府としては自信をもって、いまの国際法及び国際慣行から見て正しいと、こう思っておる。じゃその部分はどこかと言いますと、先ほど申し上げましたように、韓国と中国との間は中間線で境界が画定される、その中間線の南へのずっと延長したところがあの共同開発区域の西南部分の八から九というあの線になっておるわけであります。六、七、八だけが日中があそこに首を出しているのはおかしいという点がございますが、これは少し細かい議論になりますが、これは韓国と中国との間で韓中中間線が画定されますと解消する問題だと思います。韓国が想定しておりました韓中中間線と、日本日本の持っている地図で測定いたしました韓中中間線とではいろいろ誤差があったわけです。それを調整いたしまして、あのいまの共同開発区域をつくりまして、そのときに六、七、八という部分は韓国の目から見るとあれは韓中中間線の韓国側だと、こう言うんですが、日本はそれは認められない、したがって、あの部分は日本から見ると日中中間線ということで採用せざるを得なかった、この辺の部分も十分中国側には説明しております。  そういうことでありますので、この中国の抗議があってこれがいつまでも紛争になる、これを何とかしなければとおっしゃる気持ちは私どもも同じでございますけれども、できれば円満に話し合いで解決いたしたいのですが、基本的には韓国と中国とが話し合えるような国際環境になりませんと、この共同開発区域の前提になります韓中中間線の韓国側というところが画定できないわけであります。そういう問題がありますので、たびたび申しておりますけれども協定の二十八条でこれは最終的に画定していない、また大陸だなに対する主権的権利の主張影響を及ぼすものでない、韓国は自然の延長が沖繩海溝で終わるという主張を引っ込めていないのと同じように、日本韓国との間では中間線のところまでが日本の主権的権利の及ぶ限界であるという主張を、国際法上は引っ込めていないということが、二十八条で確保されておるということでございます。  中国との関係は、したがいまして何度も申しますが、韓国との間で画定いたしましたときに最終的に決まる、そのときに微調整を要する部分はこれは微調整するべきであると、こういう考え方でございます。
  78. 穐山篤

    穐山篤君 いまのお話の中で、私は慎重に聞いていたつもりですが、日本側としては一体韓国との関係主張すべきものは主張をしたと、しかし結果として最終的に妥協した、ですから理屈はたな上げをしたわけですね、理屈はたな上げをした。その結果、片方の中国なりあるいは北朝鮮との間に新しい紛争を呼び起こしたわけです。それに対して、いやそれは韓中中間線がきちんと決まれば、おのずから解決する問題だということで外務省は逃げておりますけれども、私はそういう関係にならないと思う。それは単に中間線をどこに引くかという問題も大切でありますが、日本韓国がこの地域共同開発をするというところにも一つの問題点を中国側は指摘をしているわけです。  ですから、国民感情論にもう少し突っ込んで言いますと、韓国との間には議論をした末に、お互いの主張はたな上げをして、留保をして妥協をした。ところが、対中国との関係は、理屈の言いっぱなしで妥協をしてない、こういう関係だけが客観的には残るわけです。その結果、中国側から、これはけしからぬじゃないかということで、俗に言う紛争地域として残されたわけです。紛争地域として残されたまま三十年、五十年これからかかるわけでありますね。これは国際的な友好関係から言ってみても好ましくない問題だというふうに思うわけです。  ここで私は、仮の話をするにしては不謹慎かもしれませんけれども、しかしこういう反論もあるわけです。いま御説明があったように、最終的に座標三十五から一まで中間線を引いて、いまの説明によれば、日中中間線六、七、八と言っているけれども、この座標九を含めて、韓国と中国との間にきちんと話がまとまれば、少なくとも争いは残らない。それは韓国と中国との間で話をしてもらいたい、できる相談ではいまのところないわけです。韓国と中国との間にはそう簡単に話し合いはできない。しかし、日本と中国との間には友好関係が漸次高まりつつあるし、あるいは日中条約を結ぼうという機運にもあるわけです。韓国よりも日本側の方が中国に対して非常に話しやすい至近距離にあることは御案内のとおりですね。これは仮定の話ですが、中国側にも言い分がある。大陸からの自然延長の中にこういうものを持ってきてもらっては困る。そこで、韓国日本が妥協したように、中国もそれではここで妥協してもよろしいという話になってきたときには、なかなかこれは理屈としてむずかしい問題に発展すると思います。日本と中国との間には妥協する国際的な関係があるわけです。しかし、韓国と中国との間には妥協する国際的な友好関係はないわけです。問題をこじらせるということ以外にないのではないかと私は心配するわけです。  そこで、もう一歩前に話を出しますが、日本側がるる中国側に説明をこれからもする、当然のことだろうと思います。しかし、中国側が主権を侵されるという問題について強い反対の意思を持つとするならば、何らかの行動に出ることも想定をしなければならぬわけですね。何らかの行動というのには幾つか種類はあるでしょう。その実力という中にもいろいろな手段方法があると思います。この日韓の大陸だなの問題が、いま私が申し上げましたような幾つかの理由をもってまだ中国側が納得してないわけです。だからそれを説得しなければなりませんけれども、説得する当てもいまのところなさそうだと思うわけですね。そうしますと、解決策としては別の道をとらざるを得ないというふうにいよいよ決断を迫られる時期にあると思うんです。いよいよ決断をと私が申し上げましたのは、これから日中の条約締結の問題について交渉を本格的に再開をするという時期にあるわけですから、尖閣列島の問題は別にしましても、この日韓大陸だなの問題が日中の交渉再開あるいは具体的な交渉に重大な影響を及ぼさなければよいがと私どもは考えるわけです。その点外務大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。  あるいは、これから本格的に中国との間に交渉を再開をするわけですが、当然中国側からも問題の提起が行われているわけですから、これに対して日本側は受けて立たざるを得ない立場に置かれているわけです。一方では友好関係を深めたい、一方では現実紛争発生をしている、この事態を円満に解決するためにどういう方法をとったならば速やかに解決することができるかどうか。これはそう長い時間をとる問題ではない。きわめて短い時間の間に中国との間に十分に話を煮詰めさせなければならないという、政治的に決断をしなければならない時期だと思うんですが、その点についての考え方を外務大臣からお願いします。
  79. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず前提のところで、私先ほどからるる御説明したことで御理解いただけたと思うんでございますけれども、いまの共同開発区域の部分について、何らかの主張を中国の方からしてまいりまして、そこで新たな妥協を迫られるようなことになると心配だというような御趣旨の御質問だといたしますと、先ほど来申しておりますように、いまの国際法及び国際先例、慣行から見ますと、中国はあの斜線を引いている部分についてまで、国際法上当然の主権的権利の行使を主張することはできないというのが日本政府立場でございます。それは韓中中間線の韓国側にあるからであるわけです。  そこで、韓中中間線の中国側につきましては、これは日本は中国と話し合わなければなりません。したがって、それは白紙で残してあるわけで、日本が中国との間で権利の主張について意見の相違がございますれば、これは論争するなり、解決の道を求めるなり、あるいは実際的解決として妥協の道を求めるなり、これはいろいろの解決方法がありましょうが、日本が中国と本気で話をしなければならない部分は、韓中中間線の中国側の部・分、つまり、いまの共同開発区域よりも南西に広くまだ延びていく東シナ海大陸だなについては、これは日本は中国と話し合って境界を画定しなければならない、この話はいつでも日本はする用意があるということを中国に申しておることは、るるいままで御説明したとおりでございます。にもかかわらず、中国は中国の立場で、あそこは——あそこはというのは、共同開発区域は自然の延長として、自分も発言権があるんだという主張をしておることもこれは事実ですけれども、これは先ほど来申しておりますように、非常に抽象的に申しておりまして、どこの部分からどこの部分という話ではない。それにしても、その部分に中国の主権的権利があるという前提で話をしておりますその立場自身は、これは日本としては認められませんので、これは認められないというゆえんを、話を継続しなければならないと思います。  しかし、中国が認めなければ紛争となって、向こうのこの抗議声明にも、これによって生ずる一切の結果について、全責任を日本なり韓国は負わなければならないという言い方がございますが、国際紛争というのは、国と国との間ではいろんな形でいろんな場面で起きます。そのときに、その紛争をどういうふうにして片づけるかということについては、協定あるいは条約ではっきり書くときもございましょうし、国連憲章の原則に沿って解決するときもございましょうが、日本と中国との間では、これは一九七二年の九月二十九日の日中共同声明の第六項で、日本と中国との間の紛争は平和的に解決するということがはっきりうたわれております。日中両国政府とも、共同声明の精神に従ってこれを発展させて、両国関係を定着させるという方針をとっておりますので、いかなる紛争でございましょうとも、日中間ではこれは平和的に解決する努力をするということになろうかと、こういうふうに思います。  紛争の生ずることは、これは主張が違いますればやむを得ないことでありますから、これは話し合いによって解決しなければならない。しかし日本立場は、それであるからといって譲るわけにはまいらない。日本立場によれば、この日韓大陸だな協定は、南部共同開発協定は中国の主権的権利を侵してない、こう確信しておるわけでありますし、またそれがいまの国際法であるという信念を持っておりますので、この協定について中国の同意が得られるまで待つとか、了解が得られなければこれは発効できないとか、そういう日本立場に反するような、日本立場を害するようなことはとるわけにはまいらない。ただ、この共同開発区域のすぐ南の方に日中間で話をしなければならない大陸だなが隣接しておりますから、これは中国との間はあくまでも平和的な話し合いで解決していくという努力は、これはいままでもやっておりますし、今後ともしんぼう強く続けていく。そしてもっと大きな視野から、この南の方の大陸だなについての地下資源開発の問題を日中間で円満に話し合っていくという、そういう方向に進めるべきではないかと、こういうふうに思っているわけでございます。
  80. 穐山篤

    穐山篤君 外務省が信念として言われていることについてはわかります。しかし相手側が現実に納得をしていないわけです。このことは、最初日韓大陸だなの交渉するときにも、国は違いますけれども、同じような状況であったことは間違いないわけですね。韓国側は、これは朝鮮半島からのたなである、大陸のたなであるという説を持ち込んで、K1からK7までの鉱区をみずから設定をして、さあ来いという立場をとったわけですね。三年間、お話によりますと、韓国日本との間に法理論の争いがあった。日本が本当に中間線というものを日本の信念として堅持をして争っておれば、話はつかなかったというふうに思うわけです。前回のお話にもありましたが、多少韓国側主張にも理がある、それと同時に、急いでエネルギーの開発をしなければならないという別な側面もあったということを含めて政治的に妥協した、こういうふうになっておるわけですね。そこの部分が、私は幾つかの例を申し上げて申し上げたわけですが、エネルギーの開発の問題についてはちょっと除きますけれども、その前段の、わが国は法理論を三年間もがんばったけれども話がつかない、韓国側が譲らない、そこで妥協した。いまも申し上げますように、中国と日本との間には日本はそれなりの理屈は持っているし、あくまでも最後まで主張しなければならない。しかし相手側、中国側も理屈を持っておって納得していないわけです。片方のところを政治的に妥協して、片方のところを政治的に妥協しない、こういう現実が客観的に言えば残っているわけですね。その点がどうしても私どもに納得できないと言っているわけです。  私は前回も指摘をしましたが、昭和四十二年にエネルギーに関する答申が出て、それを契機にして石油開発公団法が設置をされてエネルギーの開発に力を入れた。そのことは十分経緯としてはわかります。しかしオイルショックの前四、五年間は、答申では自主開発を約三〇%に引き上げるべきであるという主張はありましたけれども現実に通産省その他ではその計画が全然なかった。どちらかと言えば、石油を買ってくる方が安上がりだ、そういう現実石油ショックの前四、五年間というものは続いていたわけですね。急いで石油を掘らなければならないという緊急性はなかったのです。ないところにいきなりぽかっと共同開発区域ができたから、どうしてもこれはおかしい、納得できないということになるのは当然だと思うのです。外務省があくまでも突っぱねておりさえすれば、率直に申し上げてこの共同開発区域というのは、日本の業者が、あるいは日本の企業が独自に手をつけられる鉱区ではないか、こういうふうに考えるのも当然だと思うのです。なぜ、あえて日韓との間だけで開発を共同してやろうとしているのか、どうしても先ほどからの説明では納得できない。妥協したというからには、妥協そのものを納得する以外に手はないぞというふうには思いますけれども、ある程度理屈があってやむを得ないというならばともかく、国民を納得させるだけのある程度の理屈に乏しいわけです。  繰り返して恐縮ですけれども、ある部分では中間線論議がそのまま適用される、ある部分では大陸だな論議が持ち込まれる、ある部分では韓国が先に鉱区Kを持を出してきたから、これはしようがなく妥協したというふうな妥協論が飛び出すというふうに趣旨一貫をしていないわけですね。ですから、趣旨一貫をした態度がなぜとれなかったのか、とらなかったのか、そこの部分が解明されれば、本問題というのはあとは私は技術的な問題ではないかというふうに考えるわけです。繰り返して恐縮ですけれども、もう一度その辺について明らかにしていただきたい。
  81. 中江要介

    政府委員中江要介君) 日本は、先ほど来申しておりますように、一つの大陸だなをはさんで日本韓国が相対して存在しているのであるから、これの境界は中間線である、したがって座標三十五からずっと下がって、一も通って六、七、八と、そこまでが日本主張です。これはもう南も北も一緒であります。つまり一本の中間線で韓国日本との間を分けよう。これが日本立場でありますし、いまでもその立場であるわけです。  他方、北の方はすんなりと中間線だのに、なぜ南の方はそういうふうになったのかという点は、先ほど申し上げましたように、水の中にもぐって横から見ますと、あそこで大陸だなが切れているという韓国主張に相当の根拠がある。ほんのわずかの根拠であるならば、日本ががんばれば韓国は恐らく譲歩せざるを得ないものだと思います。しかし、足かけ三年の交渉というのは、非常に静かに法律論争が行われたわけです。何らの外国なり外の勢力の影響もなくて、日韓両方で静かな法律論争を続けまして、日本日本であの中間線がいかに正しいかということを証明するために、国際法学者の理論だとか、国際司法裁判所の判例だとか、他国が行っております先例だとか、そういうものを持ち出して、この程度のみぞは、これは無視して飛び越えて一つの大陸だなと認識するのが正しいと、したがってその境界は中間線であるということを何度も説明しました。これに対して韓国側もなかなか勉強いたしまして、向こうは向こうでこれだけの幅と深さを持ったみぞが切り込んでいるときには大陸だなはもうそこで終わるのだ、日本韓国との間では一つの大陸だなを共有しているのじゃないのだ、共有しているのはあの北の一本の中間線で処理できたところはそこは確かに一つの大陸だなを共有している。しかし南の方に来るとそれはそうではないと、この議論もまたこれは客観的には相当の根拠があったわけです。  したがいまして、そういう平行線が続かなきゃならないのは、やはり国際法が大陸だな法理について未熟であったために決め手になる理論的根拠がない。そこで、これは一番いいのは、国際司法裁判所に提訴して、法律的な決着をつけてもらうというのが法律的には一番すっきりするということで提案いたしましたけれども韓国はそれに応じない。それなら後はどうするかというと、延々と平行線の論理を、理論闘争を続けるのか、それとも前回も申し上げましたが、エネルギーの問題を解決する一助として、ともに資源の乏しい日本韓国の間であるから、お互いの権利の主張の重なっているところを、論争はやめて、まず実際的に解決する、開発する道を選ぼうと、その方法として、幾つかある中の共同開発方式というものをやってみようということを決断いたしましたこの政治的決断が、一九七二年の九月の初めであったわけです。したがいまして、この日韓大陸だな協定の中に、法律的に完全な決着がつけられてないではないかということばそのとおりであります。しかし、そのことが将来の日本立場を害してはならないので、協定に第二十八条を置いているということであるわけです。ところが、したがって韓国がこの部分に対して持っておる主張国際法上相当の根拠があると、これは私自身がこの法律論争を自分でやりましたのでよく知っておるわけですけれども、これは相当の根拠がある、客観的に見てそう思います。  ところが今度は中国が、この共同開発区域の部分にまで自分が主権的権利を行使し得るという主張は、これは国際法的に見て私は根拠がないと、これはどこに行ってもそうだと思います。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 中国も、したがいまして、そのこと自身を論じているのではなくて、この大きな大陸だなを関係諸国の間で合意をして開発するのが正しいので、それをしないでやるのは権利の侵犯であるという言い方をしておりまして、どの部分までが中国であって、どの部分からが韓国であって、どの部分からが日本の部分であるべきだというような、そういう判断の基準は何ら示していない。東海大陸だなは中国から自然の延長としてできた大陸だなであるから、これは中華人民共和国の同意なくしてはいずれの国または個人も手をつけてはならぬと、こういう一般論でありますので、これはちょっと私どもとしてはそのままではいただきかねる。そのゆえんのことを中国によくいままで話しておりまして、もう少し具体的に、じゃ韓中中間線の引き方が間違っているとか、あるいは日本と中国との間の境界画定はそれじゃ別途話をしようとか、そういうことになってまいりますれば、先生のおっしゃいますように、日本韓国と行ったと同じような理論闘争が中国との間で繰り広げられるかもしれないし、繰り広げられないかもしれない。これはやってみなければわからない、こういう状況がいまの状態であると、こういうふうに認識しておるわけでございます。
  82. 穐山篤

    穐山篤君 韓国わが国との間の論争で、わが国中間線というものをまず主張した、韓国側としては大陸だなあるいは自然延長というものを主張のまず中心にしてきた。で、日本が、韓国主張するような大陸だな論争に巻き込まれると、これは全く話にならないんで、長い間中間線議論というもので対抗してきたと。しかしその話の過程では、済州島から始まって座標一から座標九までを仮に割ったと仮定をいたしますと、その海溝あるいはたなというものについて、相当の韓国側の言い分があると認めたと、認めざるを得ない、そういうふうに交渉の中で変わっていったわけですね。変わっていったということは、中間線理論よりも、韓国側主張する大陸だなの論争の方が国際法理論的に見て分があるというふうに判断をした。しかしそれを全面的に認めるわけにはいかないから、論争をたな上げにして、権利をたな上げしておいて、主張はお互いにあるものと認め合って、中間線のところから、言いかえてみれば座標一から始まって共同区域を設定をしたと、こういうふうにおっしゃられることは、気に入るか入らないかは別にしてみて、政治的に決断をした重大な要素というのは、韓国側主張しておった大陸だなという論争ですね、あるいは大陸だなの証明というものが政治的に決断をさせる大きな要因であったというふうに理解をしていいんですか。
  83. 中江要介

    政府委員中江要介君) そういう理解ではないということを先ほど私申し上げたつもりなんですが、つまり法律論争としては平行線なんです、最初から。日本日本中間線が一〇〇%正しいと信じていつまでも論じ続けますし、韓国韓国で、日本中間線を主張し得るような大陸だなを共有しないと。あのみぞのところで切れている、だから日本はそもそもここに何の権利の主張もできないんだと。自分の権利はどこで終わるかというと、あのみぞの手前で全部終わっている。この主張は三年間同じなんです。どちらがどちらよりも有利——理論を展開しているうちに多少形勢が有利かな、不利かなということが今度の実際的解決を導いたのではなくて、どちらが有利とも不利ともつけられない状態が続いていると、それをいつまでも続けることがいいのか、それともそれはもういいかげんに論争ばかりしているのが能ではなくて、この資源を開発することが目的ならば、資源開発に資する何らかの方法はないものかということで共同開発ということになっておりますし、そのことを何よりも証明しておりますのが、共同開発は全くの折半という考え方になっておるわけです。  で、どちらかが有利というのではなくて、どちらも同じ程度に主張し続けたから、これの重なったところを共同で開発して、そうして出てきた油は五〇、五〇で分けるということで完全に二つに分ける、出てきた果実は二つに分けるという実際的解決がとられたのは、日本韓国も譲らなかったからです。両方とも譲らないということが平行線で続いた中で、そういう実際的解決をしたのは、先ほども申し上げましたように、これは政策的判断であって、法律的な強弱とかなんとかということとは全く関係がない。そのことをはっきりさせるために協定の三十八条を置いたと、こういうふうに御認識いただきたいわけでございます。
  84. 穐山篤

    穐山篤君 交渉の時間的な経緯から考えてみると、いまのお話というのは少し問題があると思うのですね。私が交渉の時間的なことを申し上げましたのは、その共同開発区域全体に対する考え方、構想あるいはまあ分け方を含めてですね、分配だとか、費用だとかいろいろなものを含めて中国側の言い分に納得できるものがあったからまとめたわけじゃないんでしょう。少なくとも政策的に妥協したというのは、あの共同開発の中身について妥協したというものはあの協定で出ていますけれども、その前段の議論としては、中間線よりも日本側になぜはみ出してくるんだと、はみ出して鉱区を設定したのか、あるいははみ出して鉱区を設定して、そこでK7と韓国が称しながら開発するのはけしからぬじゃないかという論争から出発しているわけですよね。いきなり共同開発区域についてのあり方を相談をして、双方が納得できる見通しがあったから政治的に妥協したという問題じゃないんですよ。ところがいまの説明では、どうもそんなふうに聞こえるわけです。時間的に言えば、もっとその以前の問題が論争の的になっているわけですね。そこで局長、韓国に相当の理由があると認めたその相当の理由というのは何ですか。どうもいままでの御説明でははっきりしない。
  85. 中江要介

    政府委員中江要介君) 沖繩海溝によってあの大陸だなはあの部分で切れているという韓国主張には相当の理由があると、こういうことでございます。
  86. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、海溝とかたなというものが日本側としては納得をする、ある程度譲歩しなければならぬと、韓国にも理屈があるなという判断になったものですね、沖繩海溝、ここで言うところの沖繩海溝とかあるいは大陸だなというたなの論争をめぐって、これはこのまま論争しておってみてもしようがない、韓国にも相当の理由があると認めたのは、海溝とかたなというそういう部分ですか。
  87. 中江要介

    政府委員中江要介君) つまり、日本は海溝があってもそれは無視し得ると、一つの大陸だなであるという議論です。韓国はその海溝のところまでしか、大陸から自然の延長は海溝のところまでしか延長がないと、そこで切れているという議論です。この日本の議論と韓国の議論といろいろ論争して国際法的に調べてみますと、これは双方に理由があるということでありますので、これは国際司法裁判所あたりで判決を求めるにふさわしいくらいに伯仲の議論である、これは客観的に見まして。そこに至ります前に経緯のことをおっしゃいましたが、最初日本韓国にこの話をしようとしたときに、韓国は話し合う必要がないという立場であったわけです。なぜかなれば、日本は大陸だなを持たないから境界を論ずるまでもないという立場から韓国は出発しております。日本はそうではなくて、一つの大陸だななのだから中間線を引かなきゃなりませんという議論をして、韓国は渋々応じてまいりまして、双方で論争しまして、そして五分五分の議論だというところが二年余り続いたと、こういうことでございます。
  88. 穐山篤

    穐山篤君 納得はできませんけれども、前に進みます。  さて、そこで外務大臣、お伺いをしますが、直接大陸だなあるいは共同開発区域とばかかわりありませんけれども、尖閣列島の問題というのは国会の中でも大いに審議をされました。議論をされたわけですね。いよいよ日中の交渉を再開する、三十日ごろから再開をするというふうに新聞報道では伺っているわけですが、本格的に外務大臣あるいはしかるべき政府の責任者が、中国との間に交渉を再開する具体的なプログラムというものになっているかどうか、まず最初にお伺いしたいと思います。
  89. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 交渉再開の決意を総理はされまして、いまや与党に対する理解を求めている事態、これもだんだん終わりまして、きょうあす党の理解が求められるのではなかろうかと、総理は判断をしておられます。これがあれば、総理がいままで言われたところは、しかるべき時期に公開の国会で決意を表明をし、再開するという決意を表明をし、そしてまた各党の協力を求めなければならぬことでありますから、各党の理解も得て、それから中国に条約締結のため交渉を再開をしたいと、こういう申し入れをされるわけでありますが、その中国に対する条約締結のための交渉を再開したいという申し入れは、来週ぐらいにやりたいというのが総理の計画でございます。そこで、それから先どのような手順、段取りでいくかは、相手もあることでございますからそれから先決まることでございます。
  90. 穐山篤

    穐山篤君 覇権問題を含めて広範な交渉、協議になると思いますけれども、ごく限ってお伺いをすれば、いま問題になっております大陸だな協定にまつわる問題について、中国側から強い抗議の意思が表明されております。それからもう一つは、尖閣列島あるいは諸問題と言った方がいいんでしょう、出ているわけですが、当然この二つの問題についても今回の交渉の再開、条約を締結をするという立場で行います交渉再開では議題になるものと思いますし、またこれも日中平和友好条約を締結する上からも円満に解決されるものと信じたいと思うんですけれども、この二つの問題についてはいかなる決意、態度をお持ちですか。
  91. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) いよいよ交渉に入るとなりまするといろんな問題が出てくるわけでありますが、交渉の内容についてはいま申し上げることは差し控えたいと存じます。
  92. 穐山篤

    穐山篤君 まあ、了解というわけにはいきませんけれども、前に進めたいと思います。  通産大臣にお伺いをするわけですが、過去、本会議あるいは委員会で融資の問題について政府の統一見解が出ました。最初、大臣からの答弁は、一般論として紛争のあるところでは石油開発に当たって投融資は行わないと、こういうふうに御答弁があったと確認をします。それからその次の段階では、具体的に日韓大陸だな協定に関連をして、この共同開発について紛争地域であるので融資をしないと、こういうふうに議事録を読ましていただいたわけです。いまの私の理解で間違いないわけですね。
  93. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) この共同開発地域に対しまして中国側から異議が出ておる間は投融資をしないと、こういう趣旨でございます。
  94. 穐山篤

    穐山篤君 先ほど外務省のお話では、関係国が十分に相談をしたい、相談できる条件であればよいがと、こういうことが言われたし、また私どももそう思うわけです。そういうふうに期待感は持っておりますけれども現実に国交がある国、ない国があるわけですから、いま大臣から答弁がありましたように、中国側からの抗議の意思が発動されている間はというふうに「中国」という固有名詞が使われたわけですが、現実に中国からは厳重な抗議が来ておりますので紛争ということは当然考えられるわけですが、先ほども外務省からお話がありましたように、関係国四国、四つの国という中には北朝鮮も私は含まれているというふうに理解をいたします。一方の中国との間に話が円満につけば財政的な援助、投融資というものは行われるというふうになるわけですが、北朝鮮からの抗議なりあるいは申し入れというのは現実にあるわけですが、これは北朝鮮と日本との間に、この大陸だなをめぐっての紛争はないものというふうに理解をしているんですか。それとも、いや、紛争は抽象的にはある、しかしそれは韓国と北朝鮮との間の将来的な問題が解決されれば、その時点で解決するというふうにお考えになるのか、その点いかがですか。
  95. 中江要介

    政府委員中江要介君) 大韓民国政府を承認しております日本政府から見ますと、北朝鮮の言っておりますことには根拠がない。つまり、この大陸だなのこの部分についての関係国は日本韓国であって、日本と北朝鮮ではない。これははっきりしております。先ほど関係四カ国と申しましたのは、東シナ海大陸だなに面している国は四つあるけれども、それぞれのかかわり方が違うわけでありまして、日本は中国と韓国との間に境界が必要だと、韓国は北朝鮮と中国と日本と、この三つとの間に境界が必要だと。北朝鮮は韓国と中国との間に境界が必要だと。中国は北朝鮮、韓国日本、この三つと境界が必要だと。それぞれ隣接あるいは相対している位置に基づく違いがございまして、どこからつつきましても日本と北朝鮮との間で話し合うべき部分は全くないというのが実情でございますから、北朝鮮がいろいろ意見を述べておりますことが、日本について紛争であるという認識は全くございません。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  96. 穐山篤

    穐山篤君 その次に融資の問題についてさらにお伺いをするわけですが、この四月の十一日の大蔵委員会で、私は石油税の一部改正の際に質問をいたしました。といいますのは、この日韓大陸だなに関連をして投融資の対象になるかならないか、どういう割合でなるのかということをお伺いしたわけですが、一方では紛争があるから、それは融資をしないということで、問題は解決はしているわけですけれども、理屈の上から言えば制度上の問題が残るわけです。  そこでお伺いをするわけですが、それはこういうふうに御答弁があったわけです。「制度的には、日韓大陸だなには日本の大陸だなとして石油開発公団の投融資ができると答弁しましたが、この答弁につきましては、御指摘の点を踏まえ、政府として改めて今会期中に答弁いたします。」こういうふうに保留をしてあったわけです。したがって、すでに御用意はされていると思いますので、これは紛争地域は融資をしないという話は別にしまして、政府の統一見解を発表するということになっているわけでありますので、この際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  エネルギー庁ですか、どこになりますか。大蔵省ですか。
  97. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 石油開発公団につきましては、一般的に申し上げますと、周辺の大陸だなあるいは海外における探鉱活動に対して資金融通ができるということになっておるわけでございますが、ただ、その運用の基本的な考え方といたしまして、現に国際紛争のある地域あるいは紛争のおそれのある地域については投融資を行わないことが適当である。かように考えておるわけでございまして、本共同開発地域につきましては、具体的には石油開発企業から投融資の申請があった段階において、なお中国からの抗議が続いておるという段階においては、投融資の対象といたさないと、かように考えておるわけでございます。
  98. 穐山篤

    穐山篤君 私が指摘しましたのは、現実に中国から抗議がありますから直ちに申請があったとしても投融資の対象にならない。十九条の発動はできないということになるわけですね。  私の質問しましたのはその紛争という問題を除いて制度的な問題として、この日韓大陸だなの石油開発公団が融資をする場合に、これは海外の扱いになるのかあるいは国内の大陸だなとしての扱いにするのか、その点を議論をしましたけれども、十分に意思が相通じなくて保留になっていた話です。と言いますのは、日本の大陸だな、国内の大陸だなというふうにまだ確定をしていないわけですね。しているか、いないかの問題が微妙で残っているわけです。海外の扱いになった場合の融資のボリュームというものと国内の扱いとは違うわけです。そこで、私は繰り返し大蔵委員会でお伺いをしたわけですが、これはどちら側の対象になるのか、それはどういう根拠に基づいて行うのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  99. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 将来の問題といたしまして、中国側と話が円満についた暁におきましては、公団法十九条の一項一号に掲げております「本邦周辺海域における石油」という解釈でございまして、具体的に投融資を実施する場合には、周辺海域における探鉱事業費ということで投融資することになろうかと思います。
  100. 穐山篤

    穐山篤君 これはわかりました。しかし、しばしばまぎらわしいと思いますのは、国内大陸だな、これはいまもお話がありましたのは、本邦周辺というそういう立場ならば、これは国内の大陸だなであるとかないとかいう議論はある程度外に置いて本邦周辺ということが言い得ると思うのです。しかし、他の委員会に出されております資料で私は疑念に思いましたのは、国内大陸だな、海外とこういうふうに区分けをしているので、どうしても問題が後に残るわけです。本邦周辺というのは、そうなりますと、いわゆる投融資の対象としては国内という解釈になるんですか、ならないんですか。
  101. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いま分けられた分類からいたしますと、国内という解釈になるかと思います。ただ、御承知のように、石油開発公団が投融資する場合には海域に限っております。同じく国内という定義づけをいたしましても周辺海域、こういう意味でございまして、陸地の方は対象にならないわけでございます。
  102. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。五十三年度の石油開発公団の予算書を見ておりますと、この投融資の予算総枠というのは六百億ですね。この六百億の予算規模の中には積算として日韓大陸だな部分のこの協定で言えば探査の部分、現行法で言えば試掘ですね、こういう部分が積算として含まれていないと私は承知をしますが、そういう理解でいいですか。
  103. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 五十二年度予算にはその積算はございません。
  104. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、これには私なりの解釈をすると、一つは、紛争があるから積算をしなかったというそういう好意的な理屈も立てられるでしょうし、それからもっと物理的な立場から言えば、特別措置法が成立していないから組みようがない、こういう理屈も私は成立すると思うんですね。  さて、そこで来年度、政府とすれば大陸だな協定及び特別措置法が成立をするということを予定して、当然この八月には予算編成をしなきゃならぬと思うんですが、どういう考え方のもとに大陸だなに関します融資を考えられているのか、もうすでに研究は進められていると思いますので、この点お考えをいただきたいと思います。
  105. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 石油開発公団の投融資の規模と申しますのは総枠として設定いたしまして、個別のプロジェクトごとにひもつきということではございません。もちろん、総枠を設定するに当たりましてはいろんなプロジェクトの進捗状況というものを勘案しながら決めるわけでございますが、総枠は総枠として現実に適宜プロジェクトが出てきた段階におきましてその総枠の中から投融資をしていく、こういうことでございますので、本来、日韓大陸だながどうなるかこうなるかということは直接的には関係がない、こういうことでございます。
  106. 穐山篤

    穐山篤君 制度上の問題でお伺いをするわけですが、石油開発公団法の第十九条の第一項では、いまもお話がありましたように、二号で「海外及び本邦周辺海域における石油等の探鉱及び採取に必要な資金を」というふうに、「探鉱」というふうに指定がしてあるわけです。現在の鉱業法に基づきますと、試掘あるいは採掘、いずれも試掘権、採掘権というものがついているわけですけれども、今度の特別措置法でいきますと、現行法で言います試掘、採掘権というものが変わっておりますね。探査権、採掘権というふうに変わっておるわけです。そうしますと、石油開発公団法第十九条の「探鉱に必要な資金」というのは、現行法では試掘に関しては投融資ができますけれども、特別法は探査権でありますのでこれは意味が非常に違う。意味が違うというのは、対象が違うというふうに制度上は考えられるわけですが、その点はどういうふうに法律を解釈をされているんでしょうか。
  107. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ここで、十九条第一項に言っております「探鉱」の概念でございますが、これは物探から始まりまして試掘、探掘、こういった段階までを含めての意味でございまして、今回の特定鉱業権の中の探査権というのもこの範疇に入るわけでございますので、中国との話し合いがついた後、かつ石油開発企業の希望がある場合にはこの規定で対処し得るわけでございます。
  108. 穐山篤

    穐山篤君 しかし、現行法では具体的に石油開発公団が投融資したり、あるいは債務の保証をするというのは限定されていますよね。それは現行法で言う試掘にかかわる部分だけはそれができますね。しかし、探査については石油公団法ではできないはずだと思うんですけれども、これはどうなんですか。
  109. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 「探鉱」という概念は、ただいま申し上げましたように物探、試掘、探掘といった各段階を含めて「探鉱」と言っておるわけでございますので、従来からも物探等も対象として投融資をいたしておるわけでございます。
  110. 穐山篤

    穐山篤君 解釈はわかりましたけれども現実の問題として物理探査やっているものについても石油公団は全面的に七割ないし五割の融資というものを行っているんですか。
  111. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) 公団の業務の中身でございますけれども、業務方法書の中に一応石油等の探鉱という定義を設けておりまして、その中身を読み上げますと、「石油及び可燃性天燃ガスの賦存の有無、範囲及びその商業的採取の可能性を調べる活動並びにこれに必要な権利の取得をいう。」ということでございまして、探鉱に必要な経費ということの中には、いま御指摘のありましたようないわゆる物探あるいは地質調査というようなものを一応対象に、それが必要であれば対象にしてやるというたてまえになっております。
  112. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました、たてまえはそうだと。しかし現実はかなり違っていますよね。そのことはいいでしょう。  さて、その次にいきますが、過日の当委員会でもお話がありましたように、仮に紛争が続いている間は石油開発公団の融資ができない、しかしいま予想されているところでは自己資本で探査を始めるところもある、こういうお話を聞いているわけです。さてそこで、自己資本、自己資金、あるいはその他の銀行なりいろんなところから金を借りて探査を始める、開発権者になって仕事を始める、あるいはチーフになるということになると思いますが、かなりの金が探査の段階からかかるわけです。しかし、いま資料に出されております三つの日本の企業の実力から考えてみまして、これは借金をせずにやるということはなかなかむずかしいのではないかというふうに思います、まあどういうやり方をするかはわかりませんけれども。それで、小さく割りました鉱区一から九までの間どこから始めるかよくわかりませんけれども、まあボーリングを三本なり五本、七本打った、それはもう自分の金で打った、ところが幸いに中国との間に話がまとまって円満な状態になったということになりますと、この出資、融資あるいは貸し付けの立場からいえばその段階から投融資の対象になる、こういうふうに私は思うわけですね。その場合に、最初のボーリング一本日から融資の対象にしてほしいという申請もあるだろうし、あるいはボーリング五本目になっていたから、五本目からでなければ融資の対象にしないぞという、そういう問題点もあると思いますけれども、いま私が申し上げました例から考えてみて、中途で中国との間に紛争がなくなったという、そういう状況の中で一本目からもう一遍始めるのか、それとも途中の五本目から申請があればそれは五本目から融資の対象にするのかという点はいかがですか。
  113. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の点二つほど問題があるかと思います。一つは、現在この共同開発地域につきましては、御承知のように本格的な探査活動を行っておりませんので、果たして探鉱費あるいはひいては開発費がどの程度要るかということはわからない状況でございますが、ただ現在御審議いただいております特別措置法の中で、いわゆる開発権者を許可するに当たりましては、技術的能力とあわせまして事業を的確に遂行するに足る経理的な基礎があるかどうかということを審査することをいたしております。そういった観点に立って、事業を円滑に実施し得るような者に対してのみ開発権を与えるということになろうかと思うわけでございます。  それから二番目の問題といたしまして、中国との間に話し合いがついた後、具体的には過去の投資、探鉱費についてまで石油開発公団で対象にするかどうかという御指摘かと思いますが、これは端的に申し上げまして、石油開発公団は将来必要とする事業費を対象といたしまして投融資をいたすわけでございますので、   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 御指摘のように、将来石油開発公団共同開発地域につきまして投融資ができるという段階におきましても、過去の事業費にまでさかのぼってこれを対象とするということはあり得ない、こういうことでございます。
  114. 穐山篤

    穐山篤君 まあ過去にさかのぼって探査のすべての仕事あるいは試掘について出すわけにいかない、申請があった時点からそれは対象にするんだと、こういう筋のことよくわかりました。  さて、そこで現実問題として、紛争が長く続いているということは企業の立場から言えば独力でやらなければならない、こういう問題が残るわけですね。紛争が早く円満に治まれば、その期間は短いから、経理的なあるいは財政的な犠牲というものはわりあいに少ない。しかし、これが二十年も三十年も、極端な例を言いますと、この協定の有効期間中五十年もの間続くということになりますと大変なことだと思う。政府がこの石油開発石油の問題、資源問題は戦略物資だというふうに位置づけるとすれば、石油開発公団の援助とは別に何らかの援助を考えなきゃならないというのは、常識的と言っちゃ語弊がありますけれども、感情的にはそういう気分になってくると思うんです。そういうことについて、もうすでに紛争が長期間にわたると思いますので、その点についてどういうふうな国としての財政的な補強工作というものをやろうとしているのか、あるいは全くないと、そんなものは。勝手に地方銀行なりあるいは開発銀行から金を借りてやればいいじゃないかというふうになるんですか。その点あらかじめひとつお伺いしておきたいと思います。
  115. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 直接お答えいたします前に一般的に申し上げておいた方が御理解いただきやすいかと思います。  まず、この周辺大陸だなと申しますか、周辺海域で探査活動をやる場合、一般的に申し上げまして、これは石油開発公団の対象になるわけでございます。幸いそれが開発に入るといったところまでのデータが収集できた暁には、開発銀行からの融資の対象になるわけでございます。その他いわゆる自己調達資金といたしまして市中の資金あるいは自己資金等をこれに充当する、こういう形で資金調達をいたすことになるだろうと思います。  いまの御指摘の点でございますが、私たちといたしましては、紛争のある地域あるいはおそれのある地域等については、その探査事業に対して石油開発公団から投融資しないことが適当であるという立場に立っておりますので、問題が解決するまでの間、関係企業に対して財政的な措置を考えるという立場にないわけでございます。われわれといたしましてできるだけ早く中国との話し合いがつくことを期待して、それまでは石油開発公団の投融資を差し控えるという立場をとらざるを得ないということでございます。
  116. 穐山篤

    穐山篤君 これは一般論で恐縮ですけれども、今回の協定及び特別措置法も、国と国との取り決めではありますけれども、実際に開発をやりますのは民間ですね。今回に限らず、すべてのものが民間の活力を重視をするという政府の方針であることは十分に承知をしますが、昭和四十二年のエネルギーに関します答申を見ましても、あるいは石油開発公団法ができました後の答申書を見ておりますと、もっと国及び石油開発公団が直接間接乗り出して戦略物資の確保に十分に当たるべきだというふうに答申がされているわけであります。そういう立場から言いますと、今回のやつについても民間でしっかりやりなさいという程度になっているわけですが、これは一般論として申し上げるわけですが、もっともっとこの戦略物資の安定的な供給という問題については政府及び公団がもっと真剣になっていただきたい。これは単に金を貸す、融資をするだけでは本来能がないではないかというふうに思います。いずれこの問題について後ほどお伺いをします。  さて、この特別措置法をずっと見ましても、ところどころにその国の法令というふうなものが書かれておりまして、これはいきさつ上当然なことだと思いますが、この特別措置法を十分審議するに当たって前提条件として私は二つだけまずお伺いをしておきたいと思います。  その一つは、この共同開発区域、韓国側から言えばK7の鉱区、領海法実施に伴いまして、口上書で一部修正をしましたが、この共同開発区域K7というものは韓国主張した座標一から始まる共同区域をそのまま認めたものであるというふうに理解をしていいわけですね。
  117. 中江要介

    政府委員中江要介君) そのとおりでございます。
  118. 穐山篤

    穐山篤君 もう一つ。それから共同開発区域の中で鉱区一から鉱区七まで線引きがされております。これもあらかじめ韓国側が決め、あるいは韓国側から主張があったものを日本政府はそれを認めて鉱区をそれぞれ九つに区分けをした、こういうふうに理解をしていいわけですね。
  119. 中江要介

    政府委員中江要介君) これはあるいは資源エネルギー庁から御説明された方が的確かもしれませんが、私どもの認識では、韓国のすでに開発を始めようと思っていた鉱区と、わが方はわが方で鉱区の申請が受理されておりまして、そのわが方で開発しようと思っておりました区域との重複した部分を整理して一から九までにした、こういうふうに御理解をいただければいいかと思います。
  120. 穐山篤

    穐山篤君 日本側主張は持っておったのでしょうけれども、すべて韓国側主張で決まったということですね、どういう理屈を言おうとも。そういうことでいいわけですね。鉱区一から九までについても前と同じように韓国側主張をそのまま日本は追認をした、そういうことでいいですね。
  121. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは先ほど私が申し上げましたように、先方の区分けと日本側の鉱区申請との重複したところを整理したのが一から九までであると、こういうふうに認識しております。
  122. 穐山篤

    穐山篤君 そう言われますと少しただしておかなければならぬわけです。それは韓国側の鉱区一から九まで分割したやつを、いろいろいきさつがあったけれども、それをそのまま認めたというならそれはそういう決め方があると思うからいいのです。しかし、日本側主張しておって韓国側主張があってそして整理もしたということになりますと、日本側の鉱区一から九まで面積にしてみますとかなりアンバランスでありますね。それから第三紀層の厚さもずいぶん違いがありますね。そういうことについて日本側は科学的に、物理的にどういうふうに判断をして韓国側にぶっつけて、結果として一から九までの小鉱区に決まったのか、科学的にひとつお話しをいただきたい。
  123. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) これにつきましては、当時日本側としては三社出願しておりまして、韓国側は四鉱区、四権者がいたわけでございます。そこで、その日本側の三社とそれから四相鉱権者との組み合わせを考えまして、ダブったところを九つに分けたということでございまして、そういう意味の技術的な調整はしていないわけでございます。
  124. 穐山篤

    穐山篤君 掘ってみなければわからぬということはよくわかりますけれども、鉱区一から始まって鉱区九、小鉱区九つあるわけですね。そうしますと、それぞれの開発権者が平等、対等に数は出たといたしても、やっぱり一つの鉱区についてはチーフができるわけですね。操業管理者が出るわけです。九つということは奇数になるわけです。そうしますと、操業管理者につきましても、結果として、韓国との間に平等になるということはむずかしいと思います。これまた奇数になるわけですね。どちらが偶数でどちらが奇数になるかはよくわかりませんけれども、これもまたある意味では大変な問題を惹起する可能性を持っているわけです。そこで、そういうふうな将来の経済的な利益などを全部含んで一から九まで日本側は提案をしたと思いますけれども、かなりアンバランスがあるわけです。鉱区それ自身についてもアンバランスがありますし、それから海溝のあり方、深さについてもずいぶん違いがあります。プラットホームのつくり方につきましても必然的に変わってきます。そのことは、言いかえてみれば資材だとかあるいは具体的に費用の問題にかかってきますし、また日本側石油開発公団法に基づくならば、融資の対象額というものもかなり違ってくるわけです。  そういうことを踏まえて、第九の小鉱区に比べまして第一の鉱区というのは非常に小さいわけです。あるいは第二もそういうふうになっていますね。それはどういうふうな区分けですかね、海溝を切ったのか、そうでなくてこれは緯度で整理をしたのか、あるいはその他の理屈があると思うんですね。この点について、いままで納得できるような御返事がなかったんですけれども、きょうはぜひひとつその点について、日本側はこういう根拠で資料を出したというのを明らかにしてもらいたいと思います。
  125. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 共同開発区域というのは、すでにアジア局長の方からお話しになりましたように、日本側の権利の主張とそれから韓国側の権利の主張がダブったところを共同開発区域にしたと。したがいまして、その当時日本側としては三社が出願をしていた。で、ちょうどダブっているこの地域については、韓国側としては四租鉱権者があったと。したがいまして、日本側の三社と韓国側の四社の組み合わせでそれが物理的に重なった同じ業者の分の組み合わせで九小区に分れたということでございます。したがいまして、それ以外の考慮というものは当時なかった。ただ、先生指摘のとおり、操業管理者をどう指定するかという問題は、これまた別途の問題でございまして、小区域の中で両国がそれぞれどういう形で操業管理者をとるかということは、協定の六条なり、あるいは合意議事録の第六項で書いてあるわけでございます。
  126. 穐山篤

    穐山篤君 歴史的にいえば、韓国側の方は、一九七〇年の一月一日に海底鉱物資源開発法をつくったときに、附則でもう鉱区がはっきりしているわけです。相手側の方が先に土俵を持ち込んできたわけですね。たとえば、日本側も共同区域内で、いまお話があったように、数社が探査をしておったことはよくわかりますけれども、しかし相手側の方はもう最初から法律で絵をつくってきたわけでしょう。小区域については絵を持ってきたわけです。日本に持ってきたわけです。そして、これをのみなさいと言ったわけですね。それはそういう区分けはだめだと、小鉱区の区分けはだめだと、日本側としてこういうふうな鉱区の分け方をすれば公平であるとか、あるいはお互いに財政的に費用の面で十分可能だというふうないろいろな議論があったと私ども想定するわけですが、どうもその点はっきりしないんですね。私は、韓国側の言い分をそのまま認めたというならそれでいいと言っているんですよ。しかし、そうじゃないというから、それならもっと科学的な根拠を示していただきたいと言うんです。
  127. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私からお答えいたしたいと思いますが、まず経緯的には先ほど来ずっとお話が出ておりますように、自然延長論をとるか、中間線論をとるかということで、事実上共同開発することで現実的処理ということになったわけでございますが、その前に、日本側の現在の先願三社は昭和四十二年ごろからこの地域において鉱業権の出願をいたしておったわけでございます。  御指摘韓国の場合は、昭和四十五年の海底鉱物資開発法によりまして韓国の場合は租鉱権を設定するという形になるわけでございますが、いずれにせよ日本側の出願鉱区と韓国側が付与したところの租鉱権鉱区とが重複するという、科学的というよりも、むしろ即物的、事実的な現象として重複が出てきたということでございまして、その重複と申しますか、組み合わせによりまして九つの小区域が設定されたというふうに理解いたしておるわけでございまして、日本側としては海底鉱物資源開発法が韓国で制定される以前に出願をしておった鉱区と重なり合ってきたというところに問題のポイントがあると、このように御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  128. 穐山篤

    穐山篤君 まあ完全にわかったということにはなりませんけれども、よく経緯はわかります。  わが国としては、この協定に基づいていま特別措置法が論議をされているわけですが、韓国側日本がいま審議しているような特別措置法というものは決められたんですか、あるいは目下審議中ですか。中身についておわかりならば明らかにしていただきたいと思います。
  129. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私どもの承知しておりますところでは、日本がいま御審議をお願いしているような協定そのものから淵源します特別措置法といったような形ではなくて、韓国側措置はこの協定を根拠といたしまして海底鉱物資源開発法その他所要のそれぞれの国内法の適用によって協定実施していくと、そういう仕組みになっておるように聞いております。
  130. 穐山篤

    穐山篤君 まあ新しいものはたぶんつくらないだろうと、この協定が発効する以前から、あるいは特に協定を調印をした段階では、すでに韓国側の計画に基づくK1からK7までの計画があったわけですね。それに基づいて韓国政府が企業またはメジャーとの間に結んだ契約書があるわけですね。この契約書がそのまま今回の韓国で言うK7、日韓との間で言う大陸だな協定韓国側としては適用をするんだというふうに理解をして間違いありませんか。
  131. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 基本的にはすでにアジア局長の方から御答弁しましたように、韓国側には海底鉱物資源開発法がすでに一九七〇年にできておりまして、最近では一部七七年に改正しているわけでございます。したがいまして、これが基本法といたしまして、それをある程度補完する意味におきましてただいま先生指摘開発契約というものがあるわけでございます。したがいまして、基本法はこれでございまして、それを、ここに書かれてないそれ以外の若干の部分をその開発契約というものが補完するということで、基本的には動いておるということに御理解いただきたいと思います。
  132. 穐山篤

    穐山篤君 多分そうではないかと私も判断をしますが、その鉱物資源開発法、あるいはその後改正をしたものを含めまして、韓国政府がメジャーとの間に結んだ契約書の概況というものを私は資料としていただいているわけですが、これを見ますと、すでにこの日韓との間に大陸だな協定を結ぶ以前から——大陸だな協定というものを想定したかどうかはわかりませんけれども、大陸だな協定に準拠した契約書が結ばれているわけです。その点は外務省の方でもつかんでいると思いますが、いかがですか。
  133. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 実は、この当時の開発法にいたしましても、開発契約にいたしましても、一応単独開発ということを前提にいたしたものでございまして、実は資料にお配り申し上げたのは、そういう意味におきまして単独開発を一応前提にしたものである、ただ、その後この協定がまとまりまして、新たに開発契約が協定に基づいて改正するものは改正する、新しくできるものはできるということでございますものですから、果たしてこれと全く同じになるかどうかということはわかりません。ただし、大体これに近いものになるのではなかろうかという推定から、御参考まで、一つのパターンとして、参考資料としてお出し申し上げたということでございまして、先方は新たな開発契約をこの協定の発効とともにつくる、そのもとに新たな開発権者というものが韓国側で認可されるという段取りになるものと思います。
  134. 穐山篤

    穐山篤君 たとえば、この契約書の骨子を見てみますと、一番、「付与される権利」、「政府は、会社に対し石油開発、生産する権利および石油生産物を自由に販売する権利を付与する。」というふうに、会社側に対しまして全面的に権利を与えているわけです。これは後でも問題になるところだと思います。  その次に、「探査期間および右期間中の義務」として、「(イ)探査期間は八年。」、これはずっと古い単独契約にもかかわらず、ここの部分は協定と同じですね。「三期間に分割される。但し二年延長可能。」、同じであります。「この期間中の坑井の掘削義務本数、契約区域の一部又は全部の放棄。」、全くこれも同じです。  「生産期間」、「探査期間終了後三十年間とする。但し五年ずつ二回延長可能。」——そのほか、たくさんあります。ほとんど、単独契約と言いながら、その後結ばれました日韓大陸だな協定を想定をしてあらかじめつくったのか、あるいは韓国とメジャーとの間に結んだ単独契約というものをそのまま日韓大陸だな協定の中に、それぞれみんな八年とか三十年とか五十年というものが協定されているわけですね。だから不思議な事件が全部一致をしたというふうに考えます。  それから、(4)として、「会社の政府に対する特別納付金」、メジャーが韓国政府に納めるいろんな金ですね。「署名賞与金」、サインをしたときに銭を出す。探査期間中に「教育資金」を出しましょう。それから「生産ボーナス」も国に払います。  五番、「ローヤルティー」としては、「全石油生産および販売額の一二・五%に等しい額を政府に支払う。」、かなり大きい金額です。  それから六番として、「韓国内の石油の需給」に関して、政府は、メジャーに対し、「韓国内の消費のために石油を販売し、供給することを要求することができる。」、これは当然なことでありますが、量とか割合が後で問題になります。  で、税金ですね、「会社は、課税対象所得の五〇%に等しい法人税を毎年支払う。」。  それから、ここも大切なことですが、「政府参与」と書いてありまして、メジャーは、「政府又は政府の指定するものに対し、事業の二〇%に至る迄の参加を取得する機会を提供する。」——まあ、政府または指定する者、ある特定の法人、あるいは個人を含めまして、約、事業の二割まで介入をさせろと、こういう単独契約が結ばれてるわけです。  これはまあ韓国の契約ですから、私どもが別にこれをとやかく言う筋合いのものではありませんけれども、まず一般論として、こういうふうに石油開発については、前段の探査期間とかあるいは三十年を除きまして、メジャーが政府に払います特別納付金あるいは税金というものは、いま私が申し上げたようなものが国際的に常識になっているかどうかと。それから一般論としてこれでいきますと、メジャーが韓国政府に払います、まあ現金でしょうね、というもののボリューム、枠というものはどの程度のものになるのか。これはもとがはっきりしませんからよくわかりませんけれども、まあ考え方の問題。これは必然的に販売価格に問題が移るわけですね。この協定及び特別措置法によれば、勝手に売ってはならない、言いかえてみれば、それぞれの国で引き取らなければならない、こう書かれているわけです。で、引き取りの価格はこの協定及び特別措置法にはないわけです。  まあ韓国政府のやり方を日本に当てはめたとすれば、日本政府はまあ日石、あるいは帝石、カルテックス、その他にいろんなものを注文をして金を取るという理屈になるわけですが、日本政府としては韓国と同じように、メジャーあるいは企業に対しまして特別納付金を納めさせるような考え方を持っているかどうかということが次に必然的に問題になります。そのことが日韓両方で掘り上げました石油あるいは天然ガスのコストに重要なかかわり合いを持ってきます、日本及び韓国以外のところには販売してはならない、こういう大筋の約束事があるわけですから。そうしますと原油の、あるいはまあ精製するかもしれませんけれども、悪い物であろうがいい物であろうが引き取らなきゃいけないし、自主開発したものだから引き取るのは当然でしょう、しかし、コストが安い高いのことは全然無関係に引き取るということに協定上は約束をされてるわけですね。韓国政府がメジャーに対して行いましたこの単独契約というものが、この日韓大陸だなの採掘に当たっても同様なものが行われるということになりますと、経済的に見てかなりの負担をメジャーは負うことになるわけですね。したがって、大いにコストに反映をされてくると思いますけれども、それらの点について一つ一つ見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  135. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私の方で承知している限りでお答えいたしますが、ただいま御指摘になりました韓国における石油開発契約でございますが、契約の種類として私は、海底資源開発法による租鉱権の設定という形になるんじゃなかろうかと思います。それから、項目ごとにいろいろ御指摘になりましたが、これは産油国がその鉱区で開発する企業に対する条件と大体近い線でございます。具体的に申しますと、一般的に産油国ではロイアルティーが二〇%、それから税金が八五%、アラブ諸国で大体こういった形でやっておるようでございます。イギリスの場合はロイアルティーが若干少なくて一二・五%、これは北海油田のケースでございます。それから税金は四五%。こういうふうになっておりますので、ただいま御指摘になりましたこの韓国の場合の石油開発契約のロイアルティーあるいは課税等につきましては、ただいま申し上げたような産油国の例を参照しながら、韓国政府としてはこのような契約を結ぶに至ったのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それから次に、価格がどうなるか、特に日本の場合どうかという御指摘でございますが、一般的に国際価格に準じて取引されるというのがこういった石油開発の場合の例でございますので、日本の場合もさようなことになろうかと思います。  それから、日本としてはそれに対してどのように今後の課税あるいはロイアルティーを考えているかという御指摘でございますが、日本の場合は鉱業権と申しますか、この場合は特定鉱業権の設定という形で韓国のような租鉱契約的なものじゃございません。したがいまして、第一次的には法人税でこれを徴収するということになろうかと思います。将来の問題といたしまして、石油開発公団が投融資できるという段階になりますと、投資の場合は当然それの見返りとしての配当という形で対処し得ることにもなろうかと思うわけでございます。  なお、御参考までに申し上げておきますと、北海油田の場合、イギリス政府といたしましては北海油田の開発に成功するという段階になって課税を考えたということでございますので、一九七五年以降先ほど申し上げたような課税をいたしておりますので、わが国の場合にも共同開発地域につきまして探査活動を続け、開発成功の見通しが立ってきた段階で考えても遅くないんじゃないか。いずれにいたしましても、国民全体の利益につながるようにこの開発を進めていくということは、一つのやはり考え方の基礎に置くべきだと思いますんで、さような観点で今後検討課題にいたしたい、こういうことでございます。
  136. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) 前段のこの開発契約というものが、事実上単独開発より共同開発を一応念頭に置いたものではないかという御指摘があったわけでございますが、実際問題といたしましてこの開発契約は共同開発区域以外のところでも契約が結ばれておりまして、大体同じような傾向を示しております。もちろん共同開発区域以外のところはこれは韓国の単独の開発になるわけでございます。この中身を見てみますと、相当の部分が実は開発法と重複しております。たとえば協定期間の部分その他そうでございます。ただ、探査期間あたりは若干変わっておりますが、その他開発法にないたとえば署名ボーナスだとか、教育資金、生産者ボーナスというようなものはむしろ関係租鉱権者と韓国政府とのいわば追加的な話としてこれが出てきたと御了解いただいてもよろしいんじゃないかと思いまして、必ずしもこれは共同開発ということではなしに、やはり基本的には単独開発ということを当時念頭に置いて開発契約を結んだ。したがいまして、今度の協定ができまして、共同開発区域に対しては、場合によっては必要性があれば新たに結び、またはこれに追加し、あるいは修正するという必要が出てくるというぐあいに聞いております。
  137. 穐山篤

    穐山篤君 それから、いま審議しておりますこの特別措置法あるいは協定にしばしば出てくることですが、それぞれの契約国の法令に従い、こういう言葉が出てくるわけですね。この法令というのは法律あるいは政令というふうに私どもは考えます。ただ、懸念をされますというか、疑問として残りますのは、日本政府と企業との間、開発権者との間に結んだ契約、あるいは韓国政府がメジャーと結んだ契約、こういうものも法律とみなすかどうか、このことは具体的な条項になりますとかなりかかわってくるものと思います。交渉の経緯としてどこまでが法令の範疇であるのか、この点明らかにしてください。
  138. 村田良平

    政府委員村田良平君) いま先生指摘の問題は、合意議事録の第一項におきまして、開発契約も法令の中に含めるという規定があるが、果たしてどの程度までかという御質問であろうと思います。これはもっぱら韓国における事情を考慮した規定でございまして、わが国におきましてはこのような開発契約というものもなければ、またしたがってそれを日本国の法令とみなすということもあり得ないわけでございまして、たまたま韓国の場合には海底鉱物資源開発法に加えまして、韓国政府開発権者との間のいわゆるコンセッション・アグリーメントといいます文書におきましてもいろんな政府開発する者との間の権利義務が定められておりますので、このように扱ったということでございます。  しからばどの部分がその法令に含まれるのであるか、あるいは含まれないのであるかということをこの協定の逐条別に御説明を申し上げたいと思います。文脈によりまして、開発契約なるものは法令に含まれないと解すべき点は、次のような諸条項でございます。まず最初は、第一条の(2)でございまして、これは開発権者の認可に関する規定でございます。この一条(2)に言っておりますところの法令というものは、開発権者をそもそも認可するその根拠法令を指しておるわけでございまして、日本の場合には現在御審議いただいておりますところの特別措置法でございますが、韓国についてはそれは海底鉱物資源開発法そのものでございまして、この第一条の(2)のところに開発契約が根拠法令となるということはそもそもあり得ない。これは文脈に照らして明らかでございます。  それから第二番目は、第七条の点でございまして、これは相手国内において施設を取得するということに関連する規定でございますが、ここにいいますところの法令は、一方の締約国の開発権者、たとえばわが国開発権者が他方の締約国、すなわち韓国領域内におきましていろんな施設をする。こういうことを想定して定めたものでございます。したがいまして、たとえば日本開発権者が韓国領土内でそのような行為を行うという場合に、これが開発契約に従うという合理的な理由は全くないわけでございまして、これも文脈に照らして開発契約は入らないというふうに解すべきものと存じます。  それから第三番目は第二十一条の損害賠償に関する規定でございますが、損害賠償に関します訴訟は、そもそも開発権者と被害者との間で行われるものでございまして、こういう被害者と全く関係のない開発契約が損害賠償に関する根拠法になるということはあり得ない。これもその問題の趣旨に照らして当然でございます。  それから最後に二十五条の一項でございますが、ここに「公布された法令」を日韓共同委員会において通報する、こういう義務が定められておりますが、ここでいいます法令は「公布された法令」というふうに定められておりますので、開発契約なるものは、そもそも公布される法令のたぐいではございませんから入らないということでございます。  逆に申しますと、文脈上開発契約が法令に含まれると解される条項を簡単に順序を追って申し上げますと、まず第八条の法令に基づく義務の履行ということ。それから第十四条一項、二項でございますが、これは探査権あるいは採掘権の取り消し等の規定。それから第十六条の採取されました石油に対する一般的な法令の適用の問題。それから第十九条で、その天然資源の探査開発に関して、それぞれのオペレーター方式による国内法を適用するという条項がございますが、この条項。それから第二十五条の一項におきまして、共同委員会の任務といたしまして、法令の適用問題を含めまして、いろいろ当初予想されなかった問題が出たときに、これを共同に研究するという規定がございますが、この研究の対象としては、当然開発契約に基づいて出てきた問題も検討の対象になるという意味合いにおきまして法令に含まれる。このように解釈できると存じます。
  139. 穐山篤

    穐山篤君 「法令」のことはまた後で少しお伺いしますが、この共同開発区域、言いかえてみれば日韓大陸だな協定を結んだときの海図と言っちゃ語弊がありますが、地図ですね、これは保安庁がつくりましたものを基礎にして日韓が交渉したわけですが、この海上保安庁の海図はたしか一九五六年、昭和三十一年につくられたものだというふうに私は理解をしているんですが、その点はお間違いないんですか。
  140. 中江要介

    政府委員中江要介君) その部分は、「日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定についての合意された議事録」というのがございまして、この合意議事録の第二項に「第二条1及び協定の付表に定める地理上の座標は、千九百五十五年十三月の日本国海上保安庁海図第二百十号(新版)を基礎とするものである。」こういうふうになっておりまして、先生の御指摘のものとは違うものでございます。
  141. 穐山篤

    穐山篤君 どうも失礼しました。二百十号でしたね。  それで大陸だな協定が結ばれた一九七四年あるいは日韓基本条約が結ばれました六五年などから見ると、かなり古い海図であったことは間違いないですね。私は専門家ではありませんけれども、この日韓会談なり日韓交渉なり、さらには中国に対しまして外務省がるる説明をし説得をされているわけですが、その海図というのはいまお話のありました一九五五年二百十号をもとにしてお話し合いをされたわけですか。あるいはそれについて中国側から新しい海図が提示をされたりあるいは日本のこの二百十号の海図に対しまして別なものを要求をされたり、そういうことはなかったのですか。
  142. 中江要介

    政府委員中江要介君) 韓国との間ではこの合意議事録のとおりこの海図で終始しております。それから中国に対して説明をいたしましたときも、署名直後に私が東京で中国大使館の参事官に説明しましたときも、この海図によって説明しております。それ以外にこの地図がどうであるとか、こちらの地図がどうであるとかいうような話はどちらからも出ておりません。
  143. 穐山篤

    穐山篤君 さて具体的な条項に逐次入っていきたいと思いますが、小鉱区一から九までを決めたということは奇数になるわけですね。最終的にどこが違ってくるかと言いますと、操業管理者がその国によって奇数になるか偶数になるか、こういう問題が生ずるものと思います。それらの点について懸念をされる問題はないんですか、この点をお伺いをします。
  144. 中江要介

    政府委員中江要介君) 協定上は先ほど政府委員から説明いたしましたように、操業管理者の指定が第六条でございますし、それを受けまして合意議事録の第六項には「両政府は、操業管理者の指定が可能な限り衡平なものとなるように行われることを確保するよう努力する。」という抽象規定がございまして、何が「衡平」であるかというのはこれは実態に即して判断されることであろうと思いますが、単に数だけが「衡平なもの」ということになるのかどうか、この辺は実態を所掌されます方で御判断になることだと、こういうふうに思います。協定上はいま言ったような規定で、特に問題があろうというふうには考えておりません。
  145. 穐山篤

    穐山篤君 それから、全般に共通して言えることなんですが、たとえば施業案、日本側立場で言えば施業案をつくるとか、いろんなことがありますが、結局、探査にしろ採掘にしろ、その他計画にしろ、それぞれの開発権者はそれぞれの国の承認を得なきゃならない、こういうふうに全般を通じてほとんどのところで指摘をされ、それが取り決めになっているわけですね。想定される問題としまして、片方の日本なら日本韓国なら韓国でもいいんですけれども開発権者と国との間に意見が合わないで承認が求められない。この中ではたとえば三ヵ月とか六カ月とかいろんなことが書かれているわけですけれども、過去の交渉の経緯を見てみますと、ざっくばらんな話ですよ、日本側は押しつけられているという部分が非常に多いわけですね、最初からの経緯を考えてみますと。やっぱり韓国側立場にしてみれば、ここで実益を上げたいと、実績を積みたいという気持ちは当然あるものと思います。そのために、開発権者同士の話し合いがうまくいかないという問題と、それから日本の企業が通産大臣の承認をなかなか得られない。対韓国との調和あるいは公正という意味から言ってみて、なかなか承認できないというふうなことがあちこちの部面で起きるんじゃないかということを懸念をするわけです。いや、そういうことはないんだ、この協定なり特別法を詰めている間に、いろんな問題を全部例示として挙げられたと思いますけれども、そういう心配はないんだというふうなことになりましょうか。これ一般論で非常に恐縮ですけれども、お伺いします。
  146. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) まず、その協定上につきましては先生指摘のとおり、第四条で三カ月以内にその開発権者をそれぞれの国がそれぞれ認可するというたてまえになっておりますが、第五条ではそのお互いに認可された開発権者との間の事業契約というものは両締約国、すなわち、両国がこれを承認しなければ発効しないというたてまえで、ここで歯どめがついておるということが協定上のたてまえでございます。  以上協定説明でございます。
  147. 穐山篤

    穐山篤君 いや、私の聞いているのは、法律はいいんです。実際の運用上の問題として、トラブルが起きないかということです。
  148. 中江要介

    政府委員中江要介君) 協定全般につきまして、先生の御心配のようなことがないように、どういうふうに手当てされておるかという点は、協定の第三十条に「両締約国は、この協定実施するため、すべての必要な国内的措置をとる。」ということで、これは法律を制定することもございましょうし、既存の法律を改正することもございましょうし、あるいはそれの運用、適用に関することもございましょう。要するに日韓両国がこの協定実施のために、すべての必要な国内的措置をとる。その実施の中には、この協定に掲げております期間内に、これこれのことを認可する、承認する、いろいろございます。それにもかかわらず、多少の困難があったり何か不都合が出ますと、第二十九条に「両締約国は、いずれか一方の締約国の要請があったときは、この協定実施について協議を行う。」ということで、両国間で協議していくということがございまして、協定のたてまえといたしましては、いま言いましたように結ばれた以上これを誠実に守っていくための措置をとらなきゃならない。  しかし、予見されない困難が出ましたときには協議をしていくということで、この協定の大目的が資源の有効利用ということでございますので、その観点から努力が行われていくものと期待されますし、いままでのところ、実際の問題としてこの協定をつくりましたときに、この期間なり認可なり許可なりという制度そのものに支障があるというようなことはわが方も認識がございませんでしたし、韓国側が一方的にといいますか、単独で開発できるんだと思っておった制度の中で日本側でもそれが妥当だと思うものは協定の中に取り入れてまいりますし、それが妥当でないと思われるものは協定によってこれを改めていくということで作業が行われたというのが交渉のときの経緯でございまして、現在のところこの協定及び合意議事録、さらにそれを受けました関連国内法によって協定は規定されたように実施されるものというふうに考えておるわけでございます。
  149. 穐山篤

    穐山篤君 さて、第六条二項の、第六条にかかわるわけですが、特に第二項の操業管理者は、この協定に基づきますとすべてのことを行うことになるわけですね。私はすべてというふうに感じるわけなんですが、「操業に必要なすべての人員を雇用し、操業に関連して要するすべての費用を支払い及び操業に必要なすべての資産を調達する。」これは調達をする資材、物質あるいは要員というものを指しただけであって、どこからどういうふうにということは書かれてないんですね。このいわれておりますそれぞれの「すべて」というのは、具体的に内容としてはどういうものなんでしょうか、その点明らかにしてください。
  150. 村田良平

    政府委員村田良平君) 先生の御質問の趣旨を必ずしも正確に理解しておらないかもしれませんが、この第六条二項におきましては、特に具体的ないろんなことを想定しておるわけではございませんで、一般的な規定でございますから、簡単に申しますと、操業管理者が全責任を持ってこの事業の遂行に当たるということを、幾つかの人員の雇用であるとか資産の調達というふうに分けて書いたものでございます。具体的にたとえば人員を雇用するというときに、その操業管理者がどの国の人間を雇用するかというふうなことは、すべてその操業管理者に任されておるわけでございますから、操業管理者がその法令の許す範囲内におきまして必要な人員を雇用する、あるいは資材を調達する、輸入するというふうなことになるものと存じます。
  151. 穐山篤

    穐山篤君 すべては操業管理者の頭一つである、こういうふうに言われているわけですが、しかし、それは地図の上からもしばしば申し上げておりますように、海上の上にいろんなものがセットをされるわけですね。で、気象条件あるいは生理的な問題を含めていろいろな事柄が想定をされるわけです。で、その場合に、ざっくばらんに申し上げまして、韓国側操業管理者になった場合と日本側操業管理者になった場合ではいろいろな点で違いを生じてくるのは当然だと思うんですね。これは後ほども伺いをするわけですが、やっぱり労働のあり方とか、もっと卑近な言葉で言えば、口のきき方一つも国際的な人種が集まって仕事をやるわけですから、非常にトラブルを常に起こす要素は持っているわけです。  その場合に、いま政府側の答弁としては、それはもう全部民間にお任せだ、こういうふうに言われているわけですが、政府側が間接的にこれに関与をする、あるいは事業契約を締結する際に日本側の意思というものを十分に伝えて、開発権者が事業契約を結んでいくというふうなことは当然あり得る課題だというふうに思います。韓国の場合には率直に申し上げて技術屋さんはメジャーでしょう。しかし、労働者は完全に韓国人またはその他の人でしょう。その点が日本側の体制との間に違いが出てくる。そういう意味で幾つかの紛争、トラブルというふうなものを考えますと、操業管理者の責任の範囲というものは非常に大きい、配慮しなければならない多くの部分があるというふうに思うわけです。これは任せっきりということでいいんですか。
  152. 村田良平

    政府委員村田良平君) 私の答弁が舌足らずで、任せっきりというふうな御印象を与えたかもしれませんけれども、この操業管理者が責任を持って操業を行うという意味におきましてすべてのことを行うということを申し上げたわけでございまして、もちろんそれに対して大きい意味ではわが国あるいは韓国政府指導というものはかかっておるわけでございます。いままさに先生指摘のように、開発契約を承認するという前には当然だれが操業管理者になり、どんな能力があり、どういうことをやりそうであるかということは当然チェックするわけでございます。またそれから現実にいろんなオペレーションを進めていきます上におきましてトラブルが起こってくるというふうな場合には、先ほどアジア局長が申しましたような協議の方法とか、あるいは特に共同委員会というものがこの協定で定められておりますけれども、ここで、予見されておらないような事態に対してどう対処するかということにつきましてこの場で議論するということが可能なわけでございます。さらに、この協定で詳細に法令の適用関係がいろんな条項で定められておりますので、いかなる操業管理者といえどもこの協定の予想する法令の適用というものを大きい枠組みといたしまして、その中で操業をやっていくということでございますから、操業管理者が何でも勝手なことをしていいというふうなことでは決してないわけでございます。
  153. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、第七条の問題になります。  前回も大塚委員から質問があったわけですけれども、「終点施設」の問題ですね。前回の御答弁では、これも開発権者、まあ言ってみれば民間がパイプラインにしようとも何にしようともそれは勝手だ、こういうお話がありました。  そこで、外務省じゃなくて通産省の方にお伺いをするわけですが、いま国会にかかっております石油開発公団法の一部改正というものがいずれこの商工委員会にも回ってくるわけですが、これの一部改正というのは備蓄の強化、暫定的には五百万キロリッターをタンカーで備蓄をし、最終的には一千万キロリッター、十日分をタンクで備蓄をする、こういうねらいがあって石油開発公団法の一部改正案というものが出された。その前提として石油税法の改正が国会を通過しているという一連の仕組みになっているわけですね。前回は、パイプラインその他の問題については、これは民間勝手にやるんだというふうなお話がありましたが、これは先々八年とか十年先のことですから予見はできないんでしょうけれども、戦略物資であります石油の備蓄というものについて、政府も国を挙げて力を入れているわけですね。そういうエネルギーの安定的な供給という立場から考えてみて、このパイプラインを含める「終点施設」の問題について政府は知らぬぞと、民間が勝手にやれというふうに本当にお考えになっているんですか。現実石油開発公団法の改正や将来の備蓄の計画あるいは省エネルギー、代替エネルギーの研究がいま進んでいるときに、こういうふうに木で鼻をくくったように、これは民間の仕事だからおれは知らないというふうに本当に第七条に関連して通産省お考えですか、その点お伺いします。
  154. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いわゆる「終点施設」につきましては、ただいまお話ございましたように民間で勝手にやらせるという答弁をした私は記憶はございません。問題は、これは非常に広範な地域にわたってこれから探鉱活動から始めていくわけでございますので、どの地域に終点施設をつくっていいかどうかいまの段階ではわからない、かように申し上げたのでございまして、もちろんパイプラインによる場合、あるいはタンカーを一時的に横づけをして輸送する場合、いずれにいたしましても安全性の問題、特に漁業との関係もあるわけでございますので、民間の事業だから民間に勝手にやらせるんだという立場ではございません。ただいま申し上げたような観点から、当然そういった「終点施設」をつくる場合には十分指導しあるいは監督していく必要があろうかと思うわけでございますが、どの地点に「終点施設」を置くんだと言われたので、私としては、現段階ではどこにそれはいくかということは申し上げられませんと、かようにお答えしたわけでございます。  それから、石油開発公団法の改正との関連でございますが、御指摘のように今度の公団法の改正の一つの大きな眼目は、公団が直接備蓄をするということについて業務を追加いたしたいということでお願いしておるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように当面一千万キロリッターを五十七年度までに完成させるということでございますが、共同開発地域につきまして、幸いこの法案が成立いたしたといたしましても七年ないし十年先のことでございますので、タイミングとしては公団の当面目的といたしておる国家備蓄とは直接にはかかわりを持ってこない。むしろ開発に成功した後それをどのように取り扱うかということはその時点での課題になってくる、かように考えておるわけでございます。
  155. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 暫時休憩いたします。    午後六時二分休憩      —————・—————    午後六時十三分開会
  156. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員会を再会し、休憩前に引き続き質疑を行います。
  157. 穐山篤

    穐山篤君 時間も限られておりますので、あと三、四点お伺いをします。  いま第七条に関連をして私はエネルギーの問題について指摘をしました。最初公団からお伺いをしますが、私が先ほど触れましたように、石油開発公団法の一部改正案が審議されるわけですが、その中身は御案内のとおり備蓄を中心にして、その公団の業務範囲を拡大をするというところにあるわけです。しかし、石油公団が設立をされました最初の動機というのは、昭和四十二年のこの答申が出発点であったと思うわけです。それは繰り返し申し上げているわけですが、石油の安定的な供給、天然資源の確保という立場から現状を考えてみれば、輸入にだけ頼っている、一〇%別後しか自主開発原油が確保されていない、これを三〇%に大きく拡大をする、その目標の出発、スタート点として石油開発公団が新設をされたというふうに歴史的には位置づけることができるものと思うわけです。過日も申し上げましたが、依然として日本周辺あるいは海外におきます自主開発原油の問題につきましては、関係者の御努力にもかかわらず非常に成績は悪いわけですね。依然として一〇%前後であります。  そこで、私は公団にお伺いするわけですが、確かに一々国会で法律を改正をしなければその業務範囲が拡大できないということはよくわかりますけれども石油開発公団の性格というものは単に金貸しという業務では、今度は石油公団という名前に改正するわけですけれども、ふさわしくない。もっともっと事業を拡大をすべきだということを私どもは前々から注文をつけているわけですが、積極的に公団の中でこれからの公団の業務範囲あるいは仕事の性格、領域というものについて研究をされていると思います。またされていなければならないと思いますが、その点についての、まあ統一見解はまだ決まっておらぬでしょうけれども、考え方、意気込みというものを明らかにぜひしていただきたいというふうに思います。
  158. 江口裕通

    参考人(江口裕通君) ただいま御指摘をいただきましたように、公団は四十二年に発足いたしまして、自来約十年の歳月を経過しております。その間に両三度にわたる改正をしていただきまして、機能も徐々に拡大してまいっておりますが、御存じのように、やはり最近のような実績から申しますと必ずしも所期の目的を達成したものであるとは考えておりません。したがいまして、そういう意味から私どもといたしましては、公団に与えられました目的に沿いまして積極的な事業の発展ということを図りたいわけでございますが、具体的に申しますと、最近いわゆる利権条件と申しますか、コンセッションの条件というものが非常に厳しくなっております。従来のような私どものいわゆる交渉ということは許されないわけでございまして、具体的に申しますと、もっと技術力をどんどん生かして先方の国営石油会社等で持っております計画に技術面において協力することであるとか、あるいはいまいろいろ問題になっておりますような開発面につきましても、公団として何らかのお役に立てるような道があるのではないかというようなことも寄り寄り議題になっております。  そういうような問題も含めまして現在総合エネルギー調査会の石油部会等におきまして御検討をいただいておりまして、その中には公団としての御意見も申し上げておるということでございます。それも近いうちにそういう御検討の方向が出てまいるものと思います。公団の方といたしましても、そういうことは十分私どもの方の考え方等も述べさしていただいて、いま申し上げましたような方向を初めとして今後のエネルギーの確保と申しますか、石油資源の確保ということに進んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  159. 穐山篤

    穐山篤君 通産大臣にお伺いしますが、五十二年の八月にエネルギーの問題につきまして答申が出ました。それに対応しまして五十三年度の予算編成に当たりましても通産省の石油政策というものか明らかにされたのも十分に承知をしています。ただ、いまも私申し上げましたが、たとえば五十二年八月の答申の中の一つでありますけれども石油開発の強力な推進のため石油開発公団の機能の充実、たとえば直接に開発プロジェクトに参加することを可能ならしめること及び開発段階における公団の役割りの強化を図ることと、こういうふうに厳しく指摘をされているわけです。確かに国の政策としてはエネルギー政策を発表する。必要なものについては財政的に保障する、担保する、確保するということはわかります。しかし、現実の問題としては石油開発公団というのは一定のエリアしか業務内容が限定されていないんです。法律を改正しなければいかに積極的な気持ちがあっても、それは手出しをすることが不可能な状況にあります。一方、石油開発あるいは安定的な供給というのは民間に全部任されている。多少最近通産省の気持ちは変わったと思いますけれども、やはり将来どうやってエネルギーを安定的に確保するか、あるいはそれに関連をしていかに省エネルギー政策を進めるかと、代替エネルギーを開発するかということはそれぞれ関連をして重要な課題だと思うんです。  そこでまあ大臣にお伺いするわけですが、確かにこの種の開発につきましてはリスキーが伴います。よくわかります。しかし、戦略物資であるという考え方は、いまや日本の立地条件から考えてみて見逃すわけにいかないと思うんですね。政府が直接手を加える、参加するということが不可能ならば、石油開発公団をして積極的に自主開発に参加させる、こういう態勢をとらなければ、民間の活力だけを期待をしておっただけでは、十分な成果が上がらないと思うんです。その点について、もっと積極的な対策、施策というものがあってしかるべきだ、もはや、まあ私どもの考え方によれば、いまごろそういうことを言ってる時代ではない、もっと早く手をつけるべきだと、こういう意見もわれわれ持っているわけですが、その点について、何らか新しい構想をお持ちであれば、明らかにしていただきたいと思います。
  160. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 現在の日本のエネルギー政策の骨子は、いま御指摘がございましたように、昨年の八月に総合エネルギー調査会から出ました中間答申が基礎になっておりまして、この考え方は、当分の間はやはりエネルギーの中心石油にならざるを得ないので、まあ石油政策を一番重大に考えておるのでございます。それはいま御指摘があったとおりでございますが、それじゃどういう方向に今後重点を置くかといいますと、一つは、わが国石油の安定供給を受けるためにどういう政策を展開すればよいかということが一つと、それからわが国自身として石油開発石油の消費節約、それから石油の備蓄、この三つの分野で一層の努力をしていかなければならぬと、こういうことについて基本方針を打ち出しておるわけでございます。  で、この開発、節約、備蓄のうち、石油開発公団に従前以上の、特にこの開発と備蓄について、大きな役割りを果たさせようという方針に従いまして、ことしの予算も組んでおるところでございます。いまのお話は、もっともっと積極的に公団を活用すべきではないかと、こういうお話でございまして、その点は全く政府といたしましても同感でございます。特にこの開発の分野では、先般法律を改正をしていただきましたので、広く参加をできることになっておりまして、たとえば今回もインドネシアのプルタミナあるいはマレーシアのペトロナス等に対しましても、それぞれの所有鉱区に対してペトロナスあるいはプルタミナが自主開発をする場合には、日本といたしましては石油開発公団を通じて資金協力、技術協力をする用意がある旨の提案もいたしております。そういうことで、この開発と備蓄の分野で大きな役割りを果たさせようということでいま方針を進めておるところでございまして、今後ともその方向に持っていきたいと考えております。
  161. 穐山篤

    穐山篤君 最後に外務大臣にお伺いをしますが、いま国内では大陸だなに関して特別措置法をせっかく審議をしているわけです。非常に残念なことですけれども韓国側がしばしば日本審議に対して圧力とは言いませんけれども、秋波を送っているのは残念でならないと思います。この十一日の日に朴外務部長官ですか外務大臣が、日本の大陸だな協定の批准あるいは特別措置法の審議について重大な関心を持っている、こういうふうに指摘をされました。そのことについては相手国ですから当然だと思うんです。ただ、非常に聞き捨てならないことは、この特別措置法がまた流れるようなことになるならば新しい摩擦が新たに起こると覚悟せざるを得ない、こういうふうに記者団に発表しているわけです。これは私が入手した情報が間違いならば、いやそれは杞憂だよというふう制言っていただければいいわけですが、これは明らかに文書で機関紙で明らかになっているわけです。これは日韓関係のみならず、日中関係  でも同じことだと言えるわけですね。  福田総理大臣の言をかりるまでもなく、双方が満足いく状態にしたい、満足すべき条件にあって初めて交渉は成果を上げるんだと言っているわけですね。竹島問題といい、この五月十一日の韓国の外務大臣の言明といい、いずれも環境十分に整備をして双方満足すべき状況に持ち込むには常に問題を韓国側から持ち込まれて非常に残念でたまらないわけです。特に私が指摘をしたいのは日本の国会が特別措置法を通さなければ新しい摩擦が起きるぞと、韓国側立場からすれば首を長くしているほど待っているわけですからその気持ちがわからないわけでもない。しかし、この日韓大陸だなの協定というのは、日本国内だってそう簡単に通ってきたものじゃないんですね。首相官邸で調印をするのにも七千人の警官を集めて調印をされたものを、その後以下いろいろな紆余曲折があって苦しみながら審議しているわけです。  そういう直前に、会期末にこの日本の国会の審議を目標にして新しい摩擦が起きるぞというのは、全く恫喝をしているというふうにしか考えられない。私どもとしてはまことに遺憾であるし、厳重に抗議をしなければならない。そのことも、率直に申し上げてこの審議に重大な影響を与えているということを十分に知っていただきたいと思うんです。韓国からおどかされて無理やりにこんな特別措置法を通過させるというようなものじゃないと思うんですね。十分に審議をして納得をして、双方満足すべき条件にあって、初めて国際間の調印というものは成果を上げるわけです。私は非常に腹が立ってしようがないんです。まあおどかされているとは思いませんけれども、大きな横やりが入りながら国会が審議しているという状況にあります。この事実について明らかにしていただきたいし、またこのことについてわれわれも毅然たる態度をとりますが、日本政府としてもしかるべき対応措置をとっていただかなければ、これは友好的な審議を進めるという雰囲気にはならないというふうに考えます。最後にその点をひとつ明らかに外務大臣にしてもらいたいと思います。
  162. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまの御発言の趣旨は全く同感であります。いま発言されました事実は私残念ながら聞いておりませんし、公電も受けておりませんので、早速現地の方に照会をし、それが事実であるならばそれに対応する処置をとるつもりでありますが、いままでとかくそういうことがありがちでございます。そこで私は、先般韓国の外務長官に会ったときに大陸だなはよろしくという話があったから、その程度ならよろしいが、日本に対して干渉がましいことをおっしゃると、それは促進にはならずに妨害になるぞということは私の口から直接向こうの長官に話しておったところでございます。ただいまの事実は直ちに取り調べた上、事実であるならば私としての所見を向こうに申し述べるつもりでございます。
  163. 穐山篤

    穐山篤君 若干の点を保留をいたしましたが、以上をもって終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  164. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案、いわゆるたなの国内法というやつでございますが、幾つかの問題点について質問をさしていただきたいと思っております。何分にもきょうもずいぶん両大臣とも長時間にわたりまして審議をやってまいりました。先ほどの理事会におきましても、きょう私はこの委員会で十分間質問するんだそうであります。したがいまして、非常に短い時間でございますので、端的に何点かお伺いをしておきたいと思います。  それは、いわゆるたなの国内法という何も国内法だけではないんです、もともとの協定が問題なんですけれども、この法案についてはやはりいろんな問題がある。これはもういままでいろんな議論をしてまいりました。私もこれから幾つかの論点をとらえて議論をしようと思っておりますんですけれども、問題があるというのはもう確かだろうと私は思います。現実にこれは日本国内だけではなくて、このいわゆる法案関係のあります国といいますと韓国を初め北朝鮮、中国とあるわけですけれども、この三つの国のうち二つまでがいろいろと異議を唱えている。そういうような点から考えてみますと、われわれとしてはやはりそういうふうないろいろの問題点を解決して、この法案を通した方がいいんではないか、こういうふうに現実に思っているわけです。  そこで基本的な問題ですけれども、なぜこの法案を急がなければならないのか、これはもういままで何回か言われておりますが、何でこんなに急いでこの法案をどうしてもこの国会で通さなければならないのか、この点について外務大臣並びに担当の通産大臣の方からそれぞれの立場から、こういうわけでこの法案をどうしても急いで今国会中に成立させなけれだならないのだと。しかも、会期を三十日も延長してこの法案を通さなきゃならない理由はここにあるんだという、そのここというポイントになるところを、一遍両大臣からお伺いをしたいと思います。
  165. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) しばしばお答えするとおりでありますが、本協定は署名後四年を経過をいたしております。また協定自体についてはすでに昨年六月に国会の承認を受けておるところでありまして、ぜひ今国会で承認をいただき、そして国と国との約束を終了したい、これを早く片づけて韓国日本の間にいろいろある懸案について私は折衝に入りたいという考えがあるわけでございます。  なお、エネルギーその他については通産大臣の立場からのお話があることと存じます。
  166. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) この法律を急いでお願いをいたしております理由は二つあるわけでございまして、一つ外交上の立場でございまして、その点につきましてはいま外務大臣がお述べになったとおりでございます。  もう一つはエネルギー政策上の立場でございまして、わが国石油中心のエネルギー政策を進めておりますけれども石油の分野で非常に弱い立場にございます。幸いにいたしまして今回法律の対象になっております大陸だなには相当な埋蔵量がほぼ確定的に認められておりますので、これを一刻も早く開発をいたしまして少しでもわが国のエネルギー政策を確実な方向に持っていきたい、こういう立場からお願いしているわけでございます。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは外務大臣、確かに大臣がおっしゃるように、この協定の成立につきましては過去四年間いろんな角度から議論をされて、昨年の六月協定が成立をしたわけですね。これはもう経過は私もよくわかっているつもりであります。後段でいわゆる国と国との約束と大臣はおっしゃいましたが、これは大臣がときどきお使いになるいわゆる信義ということであろうと私は思います。確かに大臣がおっしゃるように、日本韓国との間のいわゆる信義あるいは約束というものはそこにありますから当然それは果さなきゃならないでしょうし、そうだと私は思いますが、しかし片方の国と約束を果たすために、あとの二つの国から非難をされるというふうな現実の問題が起きているわけですね。これはやっぱり非常に判断の問題ではありましょうけれども、私は重要な問題であろうと、そういうふうに思います。  そこで大臣、これはやはりいま懸案になっております、たとえば日中間には日中平和友好条約を早く結んでということもあるわけですね。これも懸案事項になっているわけです。これもわれわれとしては福田内閣に対しまして、一日も早くこの条約を結んで、いわゆる国交を、正常化はされていますが確固としたものとしたい、こういうことを前々から申し上げているわけであります。そういうふうな友好関係をかちっと確立する、その上でというふうなことも考えられないでもないわけですね。どちらを先にとるかというのは、これは当然政府の判断の問題であります。そういうような点から考えてみますと、私は韓国との約束、いわゆる信義というものを優先するというところにやはり問題がある、そういうふうに思うわけです。ここら辺のところはとりようによってはいろいろありますけれども、私はこの問題はやはりしばらく日本の対外的な外交関係を進める上において重要な問題であろうと思います。そういうような意味で、この問題について外務大臣どのようにお考えになっていらっしゃるのか、もう一回お伺いしておきたいと思うんです。
  168. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) この協定及び関連国内法について中国から抗議があり、これについてのいきさつは中江局長が申し上げたとおりでございまして、今後とも中国に対しては理解を求めるよう全幅の努力をする所存でございます。私が国際信義を尽くし次の懸案事項に移りたいと申しますのは、これは他の国のことではなくて、日本韓国関係——私も韓国は一番近い重要な国であって日本韓国関係はきわめて大事だと考えてはおりますものの、過去日本韓国関係はややもするといろんな問題を山積をしてやってきている傾向があります。先ほど穐山先生から言われた竹島の問題、この漁業操業の問題等もそうでございます。私としては約束した信義は尽くすべきは尽くし、言うべきは言い、正すべきは正すと、こういうことを今後日韓両国間の関係にしたいと、こういう考えでございます。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のおっしゃることは非常によくわかるんです。が、そこで大臣、理解を求めるとおっしゃっているわけですね、中国に対して理解を求める。逆に言いますと、理解を得てからではいけないのか、こういう反問があるわけですが、これはどうでしょう。
  170. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) われわれはこれを早く片づけて、そして理解は続けて求めるべく努力をすると、こういう方法をとっているわけでございます。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはまあそれはそうかもわかりませんが、やはり理解を得てからということでも、こういうふうな非常に外交関係の複雑な中で、しかも中国、北朝鮮というような国々の抗議を何回か受けながら進めるという問題については、やはりただ理解を求めて、理解を得られないまま片一方と結ぶということについては、やはり将来禍根を残すということにもなりかねない。重ねてでありますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
  172. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御発言の趣旨もよく私も了解をいたしますが、すでに署名をされ、そして昨年批准を受けたわけでありますから、なるべく早くこれに関連する国内法も御審議をやっていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは非常にもう時間来ておりますが、通産大臣にお伺いをいたします。  先ほど通産大臣は、外交上の立場は外務大臣に譲るとしましてエネルギー政策上の立場をおっしゃいました。日本はエネルギー政策上非常に弱い立場にある、しかも今回の国内法で言う、いわゆるこの「共同開発区域」には相当量の原油があると。まあしかし実際問題として通産大臣、この国内法を急いで成立さしたために、これは中国の、大臣も御存じのいわゆる尖閣列島初めその周辺石油の埋蔵量というのは「共同開発区域」よりも多いと言われているわけですね。そういうふうなことは、これから細かいことについてはいろいろ議論するとしましても、今度は中国と共同開発をするという立場になりますと、この法案を急いだためにかえってマイナスになりはしないか、そういうことも現実に出てくるわけです。しかも、この国内法が通りますと政府は、まあこれはそれぞれの立場から数千億、五千億とも言われていますね、五千億以上の投資を現実の問題としてするわけです。これだけの投資をするからには、それだけのやっぱり慎重な配慮と外交上の問題を解決しながらこの法案を通すというのが筋ではないか。日本石油がないからということで確かに弱い立場は非常によくわかります。わかりますが、ないからといって焦ってやって、かえってそれこそアブハチ取らずになってしまっては困る、こういう問題も現実にあるわけです。こういう点については大臣は、大臣の立場としてどういうふうに判断をしていらっしゃるのかお伺いします。
  174. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 中国との間にはことしの二月に長期貿易協定が締結をされまして、今後八年間にわたりまして相当量の石油を購入するということが決まっております。今後この購入の数量はだんだんふえていくと思います。しかし、いまお述べになりましたように、大陸だなの共同開発とかあるいは尖閣列島中心共同開発とかそういう話は全然出ておりません。まあ将来は別といたしまして、現時点では全然話し合いをしていない問題でございます。しかるに今回の、いまお願いをしております対象地域は、これはもう数年前から、先ほど来外務当局からお述べになりましたような幾つかの紆余曲折を経まして長い間懸案になってきた課題でございます。でありますから、まずこの地点における共同開発を急ぎまして、そしてそれ以外の地域における開発等につきましては、将来そういう問題がお互いに取り上げられたときに検討すればいいのではないか、このように考えております。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 なかなか大臣の御答弁では、今回の法案が通ったということがネックになるかどうかということははっきりした御答弁がございませんが、きょうは時間の関係ございますのでもうこの程度で終わりたいと思いますが、今後私は大体、これから中国との関係、いろんな問題がございます、それから竹島の問題、そのほか尖閣列島の問題、共同開発区域の自衛権の問題、それから北朝鮮との関係、それから共同開発の必要性、それから国連海洋法会議の問題、埋蔵量、それから開発技術、輸出及びコスト、それから坑井掘削と開発費用の問題、それから石油開発公団の投融資の問題それから地方税との関連、漁業との調整、それから法令の適用について、防災対策等、大体十七項目にわたりまして次回から質問をさしていただきたいと思います。  本日は、とりあえず以上で終わりたいと思います。
  176. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十七分散会      —————・—————