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1978-05-11 第84回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      森下 昭司君     穐山  篤君  五月十一日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     村田 秀三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 大谷藤之助君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 前田 勲男君                 増岡 康治君                 真鍋 賢二君                 穐山  篤君                 大塚  喬君                 小柳  勇君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 市川 正一君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        通商産業大臣   河本 敏夫君        自 治 大 臣  加藤 武徳君    政府委員        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        大蔵大臣官房審        議官       海原 公輝君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君        自治省税務局長  森岡  敞君    説明員        外務大臣官房外        務参事官     井口 武夫君        大蔵省関税局監        視課長      山元 正三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特  別措置法案(第八十回国会内閣提出、第八十四  回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、森下昭司君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 対馬孝且

    対馬孝且君 大塚質問に入ります前に、外務大臣にひとつ当面の緊急課題としてお伺いをいたします。  実は、マスコミの確認でありますが、韓国駐留大使須之部という大使でございますが、この方が急遽帰ってまいりまして、九日の日でありますが、国会内に安井参議院議長を訪ねております。  その中で、現在参議院の本委員会審議をいたしております日韓大陸だな協定に関しまして、韓国政府意向を伝えている。特にこの中で、日韓大陸だな協定を今国会でぜひ成立をしてもらいたい、日本国大使がこのことを安井参議院議長に対してこの問題に対して明らかに申し入れをした。この事実について私は重大な問題だと考えるわけです。少なくとも日本大使ですよ、これは。日本大使として韓国側政府意向を、少なくともこの国会に対して、いま審議をしている国会に対して、日韓大陸だな協定を促進をせいと、成立をせいということは、日本国会に対する干渉でありますよ、ぼくははっきり申し上げて。こういう態度について、少なえともあなたが元締めである、外務大臣統括下にある駐韓大使がこういう行動をしているという事実について、どういう事実になっているかどうか、事実をはっきりしてもらいたいということが第一点。  それから第二点について、こういった行動外務大臣として認めているのかどうか、第二点。  第三点、少なくとも日本の侵すべからざる国会の場において審議しているその法案に対して、韓国側の意思を伝えて、しかも国会干渉するということは許されることではない、こういう考え方を持っておりますので、これが第三点であります。  第四点は、これは後ほど理事会の中で提起をしますが、本委員会にこの駐韓須之部大使参考人として呼んで、この問題をひとつ明らかにいたしたい、こう考えております。  以上四点を申し上げて、まず外務大臣考え方をお聞かせ願いたい。
  5. 園田直

    国務大臣園田直君) いま、帰国中の須之部大使参議院安井議長にお会いをした事実を確かめておりませんが、それは多分事実であろうと想像をいたします。後でよく確かめます。  そこで、その内容はまだ聞いておりませんけれども、少なくとも日本大使でありますから、日本参議院議長に対し、審議に対する干渉また希望をしたのではなくて、向こう韓国から、須之部大使を通じて、ぜひ審議をしてもらいたいという意向をそのまま伝えただけだと考えておりますが、それ以上のことは、改めて本人から聞いた上でお答えをいたします。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 事実を確かめて、後ほど明らかにしようという外務大臣のお約束ですから……。  しかし、いずれにしても一国の、しかも日本大使がこういう一つ法案に対して、私が聞いて調べた限り、一回もそういう行動があったという事実はございません。少なくともこういう事実に対して、いま客観的にあることは事実でありますので、私は事実をもって申し上げているんですから、したがって、一国の大使としてこういう行動というものは一体許されるのかどうか。この点だけは、ひとつ外務大臣としてお答えできると思いますので、はっきりしてもらいたいと思います。
  7. 園田直

    国務大臣園田直君) 話の内容が、韓国における意向はこうこうであるからぜひ審議を促進してもらいたい、こういうことであるならば、これは日本大使として越権行為であり、国会に対するこれは申してはならぬことだと思います。  ただ、向こうから言われたことをそのまま伝達をしたということであれば、これは各国の大使が、自分が賛成、不賛成にかかわらず、こういうことをだれだれに伝えてもらいたいということは伝達をするわけでありまから、その話し方いかんによって決定をすることになると思います。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、そういう事実がはっきりしたんであれば、国会への干渉的なことがあるとするならば、これは不適任である、不適格であるということがございましたから、いずれにしても、事実をまだ確かめられていないようでありますから、私が申し上げました三点につきまして、ひとつ鮮明に事実を確認した上、外務大臣としての責任ある立場での、本院に対する回答を明らかにしてもらいたいと思います。これが第一点であります。よろしゅうございますか。
  9. 園田直

    国務大臣園田直君) 承知いたしました。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは後段の、本院にひとつ須之部大使参考人として呼ぶことを要求をいたします。
  11. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 理事会で諮ります。
  12. 大塚喬

    大塚喬君 私は、五月九日、一昨日の本委員会で、大陸だな協定に関する措置法案、この法案の基礎をなす境界線の問題、開発の問題、東シナ海にあるわけでありますが、この海に関する限り、いずれの国が主権あるいは準主権行使する、こういうことになる場合に、少なくとも関係諸国の完全な理解了解を得ない限り実施すべきではないと、こういう主張を重ねてきたところでございます。特に、この問題については再三中国側抗議を受けておる経過の中で、中国了解なしに海の国境を定めることはできない、海の境界を定めるべきではないと、こういう懸念を強く申し上げてきたところでございますが、外務省関係者皆さん方はそのような杞憂は一切ないと、こういうことで現在終始をしてきておるわけであります。  本日の新聞各紙報道によりますと、中国側の強い抗議が昨日北京で行われたようであります。私の杞憂が全くそのとおりになったことを私は大変残念に思うわけでありますが、その中国側主張内容は、新聞報道に伝えられるところによりますと、東海大陸だなは中国大陸自然延長であり、中国主権を有する。二、その区分は中国関係国が協議すべきである。三、日韓大陸だな協定は全く不法で無効だ。四、これは中国主権の侵害である。——まさしく多くの日本国民が心配をいたしておることが現実になってあらわれたわけであります。  外務大臣から、この詳細な経過を御説明いただきたいと思います。
  13. 園田直

    国務大臣園田直君) まず、昨日行われましたわが方の佐藤大使韓念竜部長との会談の要旨を申し上げて、次にこの大陸だなに関するやりとりの件を御報告申し上げます。  昨日の北京時間で十時から約一時間四十分、佐藤大使韓念竜部長会談を行いました。わが方は日中交渉の件で向こう会談したいという意向を表明しておったところでありますが、きのうの会談は、向こうから会いたいということで意見がほぼ一致したので、こちらから出かけていって会談をやったわけであります。  そこで、日中関係に関する諸種の問題で意見の交換を行いました。わが方から行ったのは佐藤大使に堂ノ脇公使及び通訳向こうから出たのは王暁雲アジア司長丁民日本処長代理及び通訳が同道いたしました。  この会談においては、日中友好関係を今後とも維持発展させること、及び日中条約交渉については共同声明の趣旨に沿ってその締結に努力するとの双方態度を明確に確認し合ったこと。三番目に、尖閣諸島については大局的見地からこれに対処してきたこと、及びこれに関する国交正常化の際の日中双方態度には、現在でも変わりはないことが確認され、次に中国側は、日韓大陸だな協定に関し、これは中国主権を侵すものであるとの中国側の従来の立場を繰り返し抗議をし、佐藤大使から、同協定中国主権を侵しているものではないとのわが方の立場を繰り返し詳細に説明し、日中間大陸だなの境界画定については日中間話し合いたい旨を申し述べたわけであります。  さらに、いま御質問大陸だなに関する点をもう少し詳しく申し上げますと、先方から日韓大陸だな協定について触れ、同協定中国主権を侵犯するものであるとの従来からの原則的立場を述べられました。これは、新聞に載っている言葉はほぼそのとおりでございます。韓次官発言に対して佐藤大使は、本協定は、東シナ海大陸だなのうち、日韓両国にまたがる部分のみすなわち中国国際法権利主張をなし得ない韓中中間線韓国側にのみ限定して日韓間で共同開発を行うことを取り決めたものであって、中国国際法上の権利をいささかも損なうものではない。  次に、黄海、東シナ海大陸だなは朝鮮半島日本中国によって囲まれている一つ大陸だなであるから、この境界画定については、すべての関係者一堂に会して話し合うことが望ましいというのが日本政府基本的考え方であるが、かかる話し合い実現性が乏しい現状にかんがみ、まず日韓間にまたがる部分に限り開発することとしたのが本協定である。わが方としては、中国側東シナ海大陸だなのうち、日中間にまたがる大陸だなの部分についての境界画定のための話し合いに入りたいと考えており、中国側がこれに応じてくれることを強く望むと、従来からのわが方の立場説明し、中国側理解を求めたわけであります。  政府としては、本協定について、日中間意見相違があることは残念なことでありますが、佐藤大使から韓次官説明したごとく、本協定は、中国国際法上の権益を何ら侵していないと確信しており、本協定関連国内法を今次国会で一日も早く成立をさしていただいて、本協定早期批准を図るとの方針に変更はございません。また、今後とも中国側理解を求めるべく、誠意を持って努力を重ねる所存でございます。
  14. 大塚喬

    大塚喬君 ただいま外務大臣からの答弁を受けたわけでありますが、中国側主張日本主張の中には明らかに対立点があり、現在その対立点が相互に了解をされ、氷解をしたということにはなっておらないと思います。  この問題について、いまこの関係法案審議中でありますが、この審議に当たって、この法案成立、さらにいま早期批准実現したいと、こういう願望を示されたわけでありますが、そのようなことが本当に日本の将来のために、この北アジアの平和と安全のために今後最も望ましいと考えるのかどうか。私は、少なくともこの問題は、関係当局の完全な理解の上に、この協定批准実現すべきであると、こう考えるわけでありますが、重ねて、今後どのように中国側に対応し、そしてこの早期批准の問題について、単なる願望ではなくて、全日本国民が、そしてアジア関係諸国がすべて納得する、そういう素地をつくるために、この協定批准はそう急ぐべきではない、慎重な態度を期すべきである、こう主張するものでございますが、重ねて外務大臣見解をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 園田直

    国務大臣園田直君) 向こうから抗議があり、こちらが日本立場説明いたしましたが、双方理解することに至ってないことは御発言のとおりでありまして、両方の意見が食い違っていることは、まことに残念に思っております。  なおまた、今回に限らず、従来からしばしば声明または抗議を受けております。中国主張は、声明抗議でありますから、軽んずるものではありません。十分これは重んじて聞くものではあります。しかしながら、わが方としては、いま申し上げましたとおり、今度の日韓大陸だなの問題は、日本中国韓国、これにまたがる部分で重複する部分は避けて、明瞭に国際法上、その他権益上、中国主権を侵犯するおそれが万々ない部分に限って、日本韓国開発したいとしておるわけであります。もちろん、それにいたしましても、中国もこちらも言っておるし、大塚先生もおっしゃったごとく、関係者一堂に集まって相談し合うことが望ましいことではありますが、すでに事態がこのように進展をしておりますので、日本はいささかも中国権利を侵犯するものではない、こういう確信のもとに、この大陸だなの国内法審議をお願いをし、そして、なおまた続けて中国側に対する理解も求めたい、このように考えておるわけであります。
  16. 大塚喬

    大塚喬君 私は、この東シナ海一帯に埋蔵されておる石油、これはどういう場合があっても逃げ隠れをするものではない。そして、これらの開発関係諸国日本、それから朝鮮半島、これは北と南に現在分かれておるわけでありますが、それらの関係国、そして中国、それらの共同理解のもとに、しかもそれらの民族の繁栄のために役立つように、そうして、そのことがひいてはアジアの平和と安全のために役立つような、そういう方法をもって、この開発を円満に実現をしたいというのが私の考えであります。したがって、無理をしてこのような開発をすることにはどうしても納得ができません。この中国の問題に関しては、質問順序として、後ほど尖閣列島の問題について外務大臣にお尋ねをいたしますので、それと関連をして、あわせてまた私の見解を述べ、質問をいたしたいと存じます。  順序といたしまして、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国との関係について質問いたしたいと存じます。  政府は、共同開発区域に対して、北朝鮮当局国際法主権的権利行使主張し得るという根拠はない。したがって、最初から話し合う必要がないと、北朝鮮との話し合いを頭から拒否をし続けておるわけであります。全くかたくなな態度と言わなければなりません。なぜ北朝鮮のたび重なる抗議にも少しも耳を傾けようとしないのか、そのはっきりした理由をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 中江要介

    政府委員中江要介君) 北朝鮮が、日韓大陸だな協定についていろいろ意見を述べておる、ことは、いま先生の御指摘のようなことも含めまして私ども承知はしておりますけれども、その前提になる朝鮮半島及びその周辺海域における現状認識において、日本政府朝鮮民主主義人民共和国政府とは非常に基本的に異なる点があるわけでございまして、日本国政府は、御承知のように、一九六五年に大韓民国国交正常化をいたしましたそのときの認識は、朝鮮半島の南半分に対しては、大韓民国政府有効支配をしていると、北の部分については、当時はこれは触れていない、白紙であるということで、国交正常化をいたしまして、基本関係条約請求権協定漁業協定というようなものを締結いたしました。その中で特に注目を要すると思うのは漁業協定でございまして、これは海域水域関連する問題でございまして、朝鮮半島周辺海域のうち、ほぼ三十八度線と一般にいわれておりますが、軍事境界線の南の部分沖合い漁業については、日本大韓民国政府との間で漁業協定を結んで、その漁業資源の維持、保存、開発、そういう取り決めをいたしました。それが順調に十年を超えて実施されておることは御承知のとおりでございます。  他方、その軍事境界線を延長した北側、北の方の海域につきましては、御承知のように昨年朝鮮民主主義人民共和国が、いわゆる二百海里の経済水域というものを設定いたしまして、この経済水域もこの北側海域に限っておるわけでございまして、現実の問題といたしまして、朝鮮半島には二つ政権が存在している。このことは、国際連合にも南北双方がオブザーバーを認められているということ、それから六つか七つに及びます国連の専門機関南北朝鮮が席を等しく並べている、加盟国として認められている、こういう現実から見ますと、私ども認識は、現在のところ最終的には南北の同じ民族同士で、話し合いによってどういうふうに解決するかということは、これは私どもの介入すべきことではありませんが、現状軍事境界線をはさんで北と南にそれぞれの支配権を確立している政権が存在する。  そういたしますと、これを大陸だなに当てはめますと、この朝鮮半島中国大陸との間に存在しております大陸だな、これに対する開発権利はだれが持つかといいますと、先ほどもおっしゃいましたように、中国北朝鮮韓国と、この三つの国がこの一つ大陸だなをはさんで隣接し、あるいは相対して存在しているわけでありますから、まず中国韓国中国北朝鮮、この間はこれは相対しておりますので、いまの国際法ルールによれば、まず間違いなく中間線境界が画定されるべきもの。それから今度は、北朝鮮韓国とはこれは隣接しておるわけでございますから、この隣接しているところ、つまり三十八度線の付近に設定されております境界線から沖合いに向かって等距離線を引いたところで分割される、これがまず間違いのないいまの国際社会ルールでございます。  そういたしますと、日本中国日本韓国とは一つ大陸だなをはさんで相対しておりますけれども日本北朝鮮とはどの部分におきましても一つ大陸だなをはさんで相対しているとか隣接しているとか、そういう事態はないわけでございますから、国際法によりましても、また国際社会の先例に徴しましても、日本朝鮮民主主義人民共和国との間でこの大陸だなの開発について境界画定の話をする必要はないということは、これは間違いがないというのが私ども認識でございます。したがいまして、北朝鮮の方で日韓大陸だな協定の対象としております区域について、主権的権利を御主張になりましても、これはいまの現実前提といたします限り、日本国政府としては認め得るようなものとは考えられない。したがって、これに対して話し合いに応ずるとか、あるいは話し合いを提案するとか、そういうことは全く考えていない。すべてこの朝鮮半島をめぐる現実現実の姿として、そこから出発して問題を解決しようという日本政府立場と、現実をそのまま受けとめないで朝鮮半島全域に対して主権的権利行使し得るのだという前提で話をしております北朝鮮との間の基本認識相違でございますので、これは見解相違と言う以外には申しようがない、こういうことでございます。
  18. 大塚喬

    大塚喬君 おっしゃるように、現実三十八度線を境にして南北二つ政権のあることは事実であります。しかしながら、現在南北朝鮮が統一されておらない現状、しかし、この大陸だな、大陸だなにある資源、これはもともと一つ民族一つ国家であった朝鮮が、現在の政治情勢の中で不幸にも二つに分断をされておる。しかし、全朝鮮人民にとってはこの大陸だな、それから大陸だなの資源、これらについては主権的権利が存在をすると、こう認めるのが最も妥当な説ではありませんか。主権的権利主張する根拠がないと、いまアジア局長答弁をされたわけでありますが、主権的権利がないと、全くないとこう断定をして説明をされる根拠は、一体どういう根拠に基づいてそのような主張をされるのか、明らかにしていただきたい。
  19. 中江要介

    政府委員中江要介君) おっしゃいますように、主権的権利ということになりますと、これは国家として、あるいは政府として主権的権利主張するということでございまして、民族が、あるいは人民主権的権利行使するというのは、これはその途中に政府なり国家なりというものが介在いたしませんと、国際法的には主張ができないわけでございまして、朝鮮民族民族として関心を持っているこの石油資源を、主権的権利行使として主張するためには、その地域を有効支配している政府を通じて、世界に対して、あるいは関係国に対して権利主張するわけでございます。  そういたしますと、いま御指摘のように、不幸にして二つに分かれておりますから、分かれておるそれぞれの主権的権利行使するその主体は、実効支配している政権あるいは実効支配している政権を抱えている国家、その名において主権的権利主張する。こうなりますと、いまの現状からいたしますと、北の部分は北の政府、南の部分は南の政府主張する。したがって、私は北朝鮮が全く権利がないと言っているのではなくて、先ほども申し上げましたように、北朝鮮主権的権利主張し得る部分は、中国との間の中間線、それから韓国との間の境界線、それによって囲まれた部分は、これはまさしく国際法上正当に北朝鮮主張し得る部分でございまして、一つ大陸だなについてそれぞれの国がそれぞれの関係部分について権利を持ち、関心を持つ。こういうことでありますので、北朝鮮がこの東シナ海大陸だなのどこにも全く主権的権利主張する根拠がないと、こういうことを私は申しておるわけではないわけであります。  そういたしますと、朝鮮民族二つに分かれておる現状のもとでこの資源開発するとなりますと、分かれているそれぞれの政府が、その管轄のもとにある区域について開発をしていく。それを一つにするのはだれかというと、これは日本でも中国でもなくて、これは南北朝鮮の当事者の間で統一するなり連邦にするなり、どういうふうにいたしますか、これは朝鮮民族がみずからお決めになることでありますので、そのときに朝鮮の人たちの間で話されればいいことでありまして、日本としていま現実にどこまで、日本はどこを主張するかといいますと、これは日本と相対している大韓民国政府との間でいまの境界画定、あるいは境界画定について合意が至らないときに、実際的解決として共同開発ということで合意ができればそれで十分であって、北朝鮮との間で何らかの了解が要るかどうかというのは、これは日本側の問題ではなくて大韓民国側の問題であろう。この趣旨は前国会におきましても政府の方から御説明したことがございますが、将来万が一朝鮮半島のいまの二つ政権について何らかの新しい合意が成立した場合には、こういうものはどうなるかというと、先ほど漁業協定も同じでございますけれども漁業協定にしろ大陸だな開発協定にしろ、これは新しい合意ができた南北間の間でお話し合いになる。ちょうどベトナムのときにも同じような問題がございますけれども、そういうことで処理されていくので、いまこの時点で解決を迫られる大陸だなの開発という観点から見ますと、日本国大韓民国との間で合意ができればこれは国際法上何ら瑕疵はないと、こういうのが私ども態度でございます。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  20. 大塚喬

    大塚喬君 いまアジア局長答弁を聞いておりますと、私は大変残念ながらさきの日本政府が犯した過ち、それは北ベトナムと南ベトナム、当時、いまと同じような立場に立って南ベトナムの経済援助、軍事援助を日本政府は強行し続けてきたところであります。そして、その結果があの賠償の焦げつきというような、その後の外交関係のルートを開く、こういうようなことにも大変問題があり、大変ベトナム、日本両国人民の間にもそれらの関係改善のためにいまなお抜きがたいしこりが残っておることを大変残念に思うわけでありますが、いまのアジア局長答弁を聞いておりますと、その過ちを再び朝鮮において繰り返す、こういう懸念が私は強いのではないか、こういう心配をいたしておるところであります。  それから、この問題に関して、そうなりますと、どうしても外務大臣から、南北朝鮮の統一について政府はどういう基本的な姿勢をお持ちになっておるのか。この点をどうしてもひとつお聞かせをいただかなければ、この論議はやっぱり進展をいたさないと思いますので、この統一問題に対する日本政府の基本姿勢についてお示しをいただきたいと思います。
  21. 園田直

    国務大臣園田直君) 朝鮮半島二つに分裂していることはまことに残念であります。それぞれ政治的立場があり、南北にそれぞれ国がついているわけでありますが、わが国としては、南北のバランスを失しないようにしながら逐次南と北の間が緊張緩和され、対話の道が通ずるようなことが望ましいと考えているわけであります。
  22. 大塚喬

    大塚喬君 いまの外務大臣答弁をお聞きしますと、バランスを維持しながらと、こういうことになると、南北二つ朝鮮の分断の存続をあくまで存続をさせ、これを認めよう、それに日本政府としてはその分断をされる状態が継続されることを望んでおると、こういう態度に受けとめたわけでありますが、そのとおり間違いございませんか。
  23. 園田直

    国務大臣園田直君) 対立を望んでいるわけではありません。全く平和的な中で両民族の自由な意思の表明によって、朝鮮半島が平和的に統一されることを望んでいるわけであります。
  24. 大塚喬

    大塚喬君 重ねてお尋ねをいたします。  北朝鮮抗議日本政府は、外務省は一方的にこれを無視して、日韓の間の話し合いのみで共同開発事業を強行しようとするのは、わが国が朝鮮半島南北に永久に分断をすることに手をかすことにはなりませんか。
  25. 園田直

    国務大臣園田直君) そのようにはならぬと存じます。
  26. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁ではどうも私のお尋ねしておることの答弁にはならないと思います。現実にこの南、韓国政府、朴政権、これの強い要望のもとにこの大陸だな協定批准しようということは、明らかに南の側だけに偏った援助を加えて、そしてこの北との分断をより継続させよう、こういうことに手をかすものに私はほかならないと、こう思うわけであります。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕  次に、じゃこの問題に関して重ねてお尋ねをいたしますが、朝鮮人民の統一を希望すると、そういう外務大臣答弁でありますが、一方でそれを妨げるような協定、この協定は明らかにこの統一を妨げる、そういう協定になるだろうと思うわけであります。その協定韓国と一方的に結んで、北朝鮮抗議に耳をかさずに、日韓大陸だな、これの開発を強行しようとするのは明らかに言行不一致ではありませんか。論理的に、いまのお答えでは合わないのではありませんか。
  27. 園田直

    国務大臣園田直君) 社会は論理と現実と両方相かみ合いながら、矛盾と錯誤を繰り返しながら必然性に向かっております。現実の状態を見詰めながら平和的に、しかも自由な意思によって必然的な方向に参ることと存ずるわけでありますから、その過渡期において、いろんな問題が起こることはやむを得ないことであると考えております。
  28. 大塚喬

    大塚喬君 外務大臣、評論家のような態度でそういうお答えをこの国会審議の中でいただくということは、やっぱり日本の外交問題、民族国家の繁栄ということには、私はこの国会審議が結びつかないのではないかと。  大変いまの外務大臣答弁については納得ができませんので、この問題について重ねてまた質問をいたしたいと思うわけでありますが、この問題は日本朝鮮半島のこれは現在は二つに分かれておる、そういう現実を私は承知をいたしておりますが、一つ民族であり、もともと一つ国家である。日本とこの朝鮮半島の真のあるべき姿、この真にあるべき姿を関係の総体として、全体として私どもはこれをとらえて、いまこの大陸だな協定審議に当たって改めて問い直すべきそういう問題であろうと私は考えるわけでありますが、そしてこの協定を結ぶことは、朝鮮あるいは中国を含むアジアの真の平和と安定のために、そして安全保障のために結びつかなければならない、私どもはそう主張するものでございますが、いまのこの朝鮮の問題について、この大陸だなの協定の問題について、外務大臣からもう一度真にあるべき姿がこれでいいのかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 園田直

    国務大臣園田直君) 現段階においては、日本政府としてはこれがよい方法であると考えております。
  30. 大塚喬

    大塚喬君 いまの福田総理、それからその意を帯びた外務大臣、どうもその態度では本当にあるべき姿というそういう解決にこの大陸だな協定の問題は縁の遠くなる、そういう取り扱いになるだろうと、このことを私は大変恐れておるわけでございます。  この問題に関連をして、先ほどの当初に出しました尖閣列島の問題、この問題を総合してひとつお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、尖閣諸島海域中国漁船団の大量進出が先ごろ大きな話題となって、日本全国民に大きな波紋、深刻な論議を引き起こしたところでございます。五十三年の四月十七日、福田総理が参議院本会議の答弁によりますと、尖閣諸島の領有権についてはわが国固有の領土であり、わが国が現にこれを実効的に支配しており、そのことについては他国と話し合う筋合いのものではないと参議院の本会議で福田総理自身が答弁をされたことは外務大臣もお聞きのとおりだろうと思います。そこで、このようなわが国の従来からの見解、私は外務大臣からも改めてお尋ねをいたしたいわけでありますが、この見解はいまも変わりがないのかどうか、外務大臣からひとつはっきりお答えをいただきたいと思います。
  31. 園田直

    国務大臣園田直君) 尖閣列島は、歴史的にも現実にも日本固有の領土であることは明瞭でありまして、しかもわが国はサンフランシスコ条約によってこれを一部米国の射撃場として貸与いたしております。そのほか、この島は主権の効力を実質的に支配しているわけであります。したがいましてその後中国から抗議がありましたけれども、現在のままであるならば、日本はこれが当然のことでありまして、一々これは日本の物であると力む必要はありません。しかし中国から抗議が出ていることでありますから、いつの日にか決着をして、さらさらとする必要はあると思いますけれども、しかしこの問題については、しばしば中国日本が、この問題は事件が解決をして、そして共同声明の線に復して、その線でいくことで大局的見地から条約交渉を進めようじゃないかと、こういう意見が一致しているわけでありますから、いまさらまた私が尖閣列島の問題を、日本固有の領土であるなんということをこの際言う必要はないと考えておるわけであります。
  32. 大塚喬

    大塚喬君 アジア局長にお尋ねをいたしますが、この尖閣列島の帰属問題について、現在まで中国政府とどのような了解成立をしておるのか、この点をお尋ねをいたしたいと思います。  そして、さらに総理大臣、さらに外務大臣等から、この尖閣諸島の領有権についてはわが国固有の領土である、こういうことの表明があったわけでありますが、現実中国側はそれと正反対の主張をされておりますね。中国側主張内容はどういうものか、その点をお聞かせいただきたい。
  33. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず、尖閣諸島の帰属について日中間了解があるかという御質問の点でございますけれども、これは、一九七二年の九月二十九日に日中関係を正常化いたしまして、共同コミュニケを出して正常化いたしました。その時点において尖閣諸島はどういう状況にあったかというと、わが国の有効支配のもとにあったわけでございます。他方中国は、一九七〇年の十二月三十日の外交部声明によりまして、尖閣諸島は中国の固有の領土であるという主張をしておりました。その中国のそういう立場にかかわらず、日中共同声明が出されました正常化の際にどういうことがあったかと言いますと、中国側はこの問題に触れたくないという感触が得られたということでございまして、中国側が全く触れなかった。  そういたしますと、先ほど外務大臣も言われましたように、日本政府立場は、固有の領土であり、現に有効的に支配している、何の支障もない。それに対して、異なった意見を持っている国の中の一つである中華人民共和国政府の方で、これを触れないということであるならば、現状が続くわけでありますので、その中国側考え方日本政府立場から見て何ら支障がないということでありますので、尖閣諸島の帰属には全く触れないで日中正常化が行われて、それ以来六年になりますか、日中関係が順調に発展してきている。その間尖閣諸島の領有権について話し合ったことはなかったわけでございます。  そういう状況のところに、先般の中国漁船による尖閣諸島領海侵犯という事件が起きまして、これは一体どういうことであろうかと思っておりましたら、中国側が調査した結果であるとして、日本国政府に正式に通報してきたところによりますと、これは偶発的な事件である。偶発的な事件であって、中国政府が意図的にやったものでもないし、計画してやったものでもない。こういうことでありまして、数日を経ますと、その尖閣諸島周辺の海域の状況は旧に復してもとに戻る、こういうことでありまして、中国政府としては、この尖閣諸島の周辺に偶発的な事件はあったけれども中国政府態度は、国交正常化のときの態度に変わりがないということを繰り返して申しておるわけでございまして、国交正常化のときの態度とは何かと言いますと、先ほど私が申し上げましたように、中国側でこれを取り上げる考えがないということであります。  そういたしますと、尖閣諸島については、日本が引き続き実効支配を継続するという、がねがね昔からの、古来の状況がずっと続いていくわけでございまして、固有の領土を有効的に支配しているときに、その領土の問題をどこかの国に持ち出すということは、これは見識のないことであるということでありますので、現状がこのまま続いていくというのがいまの尖閣諸島の帰属をめぐる日中両国間の考え方態度、こういうことになろうかと思います。  中国側が何を根拠にしてこの尖閣諸島に対する領有権を主張しているかと言いますと、これは中国は、昔からこの地域は台湾の付属島嶼として、自分のものであったと、こういうことを言っておるだけでございまして、先ほども申し上げましたように、中国がこれを取り上げないわけでございますから、日本中国との間で、それ以上突っ込んで、どういう根拠でどうしたんだという話は一切行われておらないし、日本の方からそれを行う考えがない、こういうことでございます。
  34. 大塚喬

    大塚喬君 中国漁船の大量——いま侵犯という言葉が使われたわけでありますが、侵犯という言葉が適当か、あるいは進出という言葉が適当か、私も個人的に内心迷っておることがございますが、しかし、現実日韓大陸だな協定国会審議が始まり、日本政府早期批准に踏み切ったと、こういうときにたまたまこの事件が起きたわけであります。そうして、いま参議院でこの大陸だな協定審議の最中に、昨日の中国政府抗議がなされたわけであります。  こういう事態が、この大陸だな協定と何ら無関係に引き起こされたものと考えるのか。新聞やテレビの報道によりますと、いまアジア局長答弁されたように偶発的だと、こういう一応の理解ができるようなそういう説明があると同時に、何かすっきりしないものが、この尖閣諸島に対する中国漁船の進出については、依然日本国民の中にも疑惑が残っておるわけであります。で、この関係についてどう受けとめておられるか、ひとつ重ねて説明をいただきたいと思います。全然無関係なものかどうか。
  35. 中江要介

    政府委員中江要介君) 結論から先に申し上げますと、全然無関係なものだと中国側説明し、日本政府としても、その中国側説明以上のことを言うだけの根拠も、あるいはその意図も目下のところないわけでございまして、一部に、これは石油資源との関係があるんではないかというような推測も出ましたけれども、これは中国側が正式に外交ルートを通じて言ってきている話ではありませんけれども、一部の日本から中国を訪れた人に、中国のある首脳が話しておるところによると、これは大陸だな石油資源を念頭に置いた意図的なものでないかというようなことが日本その他で言われているようだが、そんなことは全くないということを説明している事実も別途あるわけでございまして、日本政府といたしましては外交チャンネルを通じて、これは偶発的な事件で、この事件にかかわりなく、尖閣諸島に対する態度国交正常化のときの態度に変わりはないし、また、昨日の佐藤・韓念竜会談でも明らかにされましたように、日中両国は、こういう事件にかかわりなく友好関係を深める努力を続けていこう、また、平和友好条約についても、共同声明の趣旨に沿って、双方で満足し得る条約の締結に努力を続けていこうということについて、双方異存がないということを確認し合ったということからも見られますように、中国側はこの事件は偶発的な事件という認識で一貫していると。したがいまして、偶発的な事件でありますから、その裏に何らかの政治的な配慮があるとか、計画的なものであるとか、故意に起こした事件であるとか、そういう考え方は全くとっていない、こういうふうに了解しているわけでございます。
  36. 大塚喬

    大塚喬君 実は私は、きのうの中国抗議、このことに関連をして、先ごろの尖閣諸島の侵犯事件と申しますか、進出事件、これでも明らかなように、日韓共同開発がスタートをしたと、こうなったときに、この共同開発区域内に、尖閣諸島に起きたと同じようなそういう事件が起こるおそれがあるのではないかと私は心配をいたします。このような事件はこの共同開発地域には絶対に起こらないという保証があるのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  37. 中江要介

    政府委員中江要介君) 尖閣諸島周辺の事態といいますのは、これは日本国の固有の領土である尖閣諸島の領海内に、外国の漁船が許可なく入って操業したという領海侵犯あるいは漁業の操業に関する法律の違反という事件でございますが、共同開発区域につきましては、そういう形の違反行為というものは想定されないわけでございまして、これは公海上での漁業操業あるいは航行の自由、そういったものとは速度の調整を保ちつつ、その海底にある大陸だな資源開発について、国際法が認めている権利を沿岸国が主権的権利として行使する、こういう問題でございますので、この沿岸国の主権的権利行使についての国際社会ルールというものが尊重される限り、何らの問題は起こらない、起こってはならない、そういう性質の問題だと思います。  にもかかわらず何かが起きるとすれば、それは起きた事件の起こり方あるいはその性質に応じて、国際法に従って解決していく、あるいは協定に絡まる問題でありますれば、協定の規定するところによって解決していくということでありまして、いま御指摘のように、尖閣諸島周辺のような事件が起きないかという御質問でございますと、そういうあれに非常に近いもの、あるいはああいうたぐいのものが起きるということは予想しておらない。これは漁業操業は公海漁業でございますから、別途、漁業水域なり、経済水域というものが設定されれば別でございますが、いま、この共同開発区域の上部水域は、現在のところ十二海里以遠は、日本韓国中国も十二海里以遠は公海という立場でございますから、公海漁業ということで、国際法に従って律されていく、こういうふうに思います。
  38. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、この共同開発区域一帯に大量の中国漁船が進出をしてきて操業をする、こういう事態は、これは公海上で起きても少しもおかしくない、そういうことも当然あり得ると、こういう理解でございますね。
  39. 中江要介

    政府委員中江要介君) ただいま、先ほど私が申し上げました部分協定に即して言いますと、第二十七条にその点がはっきり書いてございまして、「共同開発区域における天然資源の探査及び採掘は、共同開発区域及びその上部水域における航行、漁業等の他の正当な活動が不当に影響されることのないように行うものとする」ということで、公海漁業に不当な影響を及ぼしてはならないと、これはもう一般国際法になっているわけでございますが、大陸だな条約のころからそういう発想でございますが、そういうことで行われるわけでありますから、公海漁業は最大限の自由が確保されなければならない。そういたしますと、公海上で何隻の船が何の漁業を行いましょうと、別途、漁業協定その他で約束のない限り、これは自由でございますから、日中間に関して言いますれば、日中漁業協定に違反するようなことでない限り、中国は自由に操業ができます。で、韓国中国との間には、漁業協定はおろか国交がありませんから、これは一般国際法による公海漁業の自由ということで規律されると、こういうふうに認識しておるわけでございます。
  40. 大塚喬

    大塚喬君 これらの問題は、やっぱり多くの国民の中には大変心配が残る問題であります。事、中国と、こういうことに関連をしてトラブルが起きる、こういう事態はどうしても避けなければならないと私ども考えておるところでございますので、それらの点については、ひとつ具体的なこれらの地域に合わせて、十分に遺漏のないそういう措置を私どもは期待をいたすところでございます。  この尖閣諸島の問題についてもう一つ気がかりなところがございますのでお尋ねをいたしますが、中国漁船の進出、侵犯と言いますか、政府中国側話し合いを進めておるようでありますが、具体的に、この中国漁船の進出というか侵犯というか、今後具体的な保証ということは、この両国政府話し合いの中でどう取りつけられておるのかお聞かせをいただきたい。
  41. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは、事柄の性質上、両政府間でこれをはっきりと合意するということになりますと、これは、日本は自国の固有の領土の周辺水域の漁業操業ということでありますので、十二海里までは日本の領海、それ以遠は公海漁業ということでございますので、それ以上の特別の合意は必要でないということになります。  問題は、中国漁船はどういうことでこの日本の領域の十二海里内に入ってきたのかということでありますが、それが中国説明にございますように、偶発的な、たまたまあそこで操業じていたものがその水域内に入ったんだということですから、これを裏返しますと、ここは当然自分の領海だから操業はできるんだと言って入ってきたということではないということを、暗に言っておるわけでございますから、日本政府といたしましては、これが偶発的なものであった、操業しているものがたまたまその水域に入ったんだという中国側説明をそのまま受けとめておけば、日本の領海についてのわが方の有効的な支配というものは継続する、こういう認識で差し支えがない、こういうふうに思います。
  42. 大塚喬

    大塚喬君 質問のあれがちょうど一つの区切りのところなもんですから、あと三分ほどあるんですが、これは後刻に回していただけますか。
  43. 楠正俊

    委員長楠正俊君) やっぱり続けてください。
  44. 大塚喬

    大塚喬君 続けますか。——それでは、委員長の要望がありますので、次に、外務大臣にあとちょっとおつき合いをいただきたいと思います。  外務大臣がおいでの間に、国連海洋法会議の動向について少しくお尋ねをいたします。  第三次国連海洋法会議の趨勢は、韓国主張してきております自然延長論、これが有力であり新しい海洋法条約の成立まで協定の発効をおくらせてもわが国に有利にはならない、こういう説明政府から前に聞かされたわけでございます。そのような見解をとっておる根拠は、一体何に基づいてこのような主張をされるのか。その根拠について、明らかにしていただきたいと思います。
  45. 村田良平

    政府委員村田良平君) 現在行われております第三次海洋法会議で第七会期というのがジュネーブで進行中でございます。五月十九日までございますけれども、この会期におきまして再び大陸だなの問題、特に大陸だなの外縁をどうするかという点が議論されたわけでございますが、従来からこの海洋法会議でございますように、いわゆる自然延長派、すなわち沿岸国がこの大陸だなの自然の延長の外縁までを自国の大陸だなとして管轄権を行使するという考え方と、一定の距離基準——従来は二百海里という考えが有力であったわけでございますけれども、一定の距離をもって大陸だなの外縁、限界を限るべきであるという主張が依然として対立はしておりますものの、大勢といたしましては現在のジュネーブ会期におきましてもいわゆる自然延長派という考えを支持する国がふえておるわけでございまして、特にその中で堆積層の厚さ等も基準にして二百海里以遠にわたる大陸だなも、沿岸国がその管轄権を行使すべきだという主張がますます有力になっておるわけでございます。  また、二百海里を超える大陸だなから出てまいりますいろいろな天然資源——石油等でございますけれども、この収益を国際的な仕組みによりまして分配すべきであるという考え方が出ておるということから申しましても、すでに二百海里の一定の距離基準で切るという考え方は、非常に後退したというふうに判断せざるを得ないわけでございまして、結論的に申し上げますと、自然の延長という考え方がますます有力になっていると、こういう現状認識でございます。
  46. 大塚喬

    大塚喬君 現在第三次国連海洋法会議の第七会期がジュネーブで五月中旬まで開催をされておるわけであります。で、第六会期でまとめた非公式統合交渉草案をもとに、公式な条約草案づくりを進めておるわけでありますが、七九年初めにも条約調印にこぎつけたいとしておると、こういう情勢を聞いておるわけでございます。成案を得ると、こういう見通しに、私がただいま申し上げたことに間違いがございませんか。いかがでしょう。
  47. 井口武夫

    説明員(井口武夫君) ただいま第七会期が実は最後の交渉をしておりますけれども、実は来週いっぱいで終わる予定でございます。しかしながら、今会期もまだ最終的なテキストが固まるというには若干時間不足でございまして、大陸だなに関していま村田参事官がお答えをしたとおりでございますので、あるいはもう少し自然の延長の外縁というものを客観的に決める基準がテキストに入る可能性がございますけれども、全体としてはまだあと一会期は必要だということでございまして、それがいつの時点でもう一回開かれるかということは、来週にならないと決まらないということでございますが、ただいま先生が御指摘になりましたように、来年早々というようなことも内々で話し合われております。しかし、来週いっぱい交渉した結果、その今後の予定が決まるということでございまして、現在確定的なことはまだ申し上げられません。
  48. 大塚喬

    大塚喬君 現在開かれております第七会期、この第七会期において、二百海里経済水域の設定問題はどう取り扱われる見込みなのか、政府はどう見ておるのか、お聞かせをいただきたい。
  49. 井口武夫

    説明員(井口武夫君) お答え申し上げます。  経済水域に関しましては、すでにもうテキストは固まっておりますので、ほとんど変更はないという見通しでございます。  それから大陸だなに関しましては、いまお答え申し上げましたように、自然の延長というものは、すでにこの二百海里以遠の自然の延長というのは大きなパッケージディールの一環であるという認識でございまして、二百海里の線で、距離基準で決まるというような可能性はないわけでございまして、それ以遠に自然の延長ということで、その場合にもう少し客観的な基準を設けたいということでございまして、恐らくそういう形で固まるのではないかというふうに思われておりますが、いま最後の折衝中でございまして、来週議長、委員長でこの統合草案の改定版を固めるということがございますから、その結果でき上がるものについて、いま確定的なことはちょっと申し上げられないということでございます。
  50. 大塚喬

    大塚喬君 いまはっきり、省略をされてお答えをいただけなかったわけでありますが、二百海里経済水域と、こういうことに関して日本政府態度、それと関連をして私が特にお尋ねをしたいことは、二百海里経済水域が設定された場合に、一体この日韓大陸だな共同開発区域の帰属はどういうことになるのか、私は大変疑問を持っておるわけであります。この点は一体どうなるのか、政府のはっきりした見解をお聞かせいただきたいと思います。
  51. 村田良平

    政府委員村田良平君) まず、先生指摘の第一の点についてでございますけれども、二百海里の経済水域を設けるということは、海洋法会議におきまして領海の幅員を十二海里にするとか、あるいは国際海峡の制度であるとか、それから、大陸だなの制度等とともにいわゆるパッケージディールの一つでございますので、日本政府も基本的には二百海里の経済水域というものを受け入れるという態度で会議に臨んでおるわけでございます。  それから、仮に経済水域という制度が新たに設けられるという場合に、それと大陸だなとの関係がどうなるかということでございますけれども、従来からの海洋法会議の議論におきましては、大陸だなと経済水域というのは全く別個の制度として議論されておったわけでございまして、現状においてもそのとおりでございます。いまございますところの非公式統合草案におきましても、それぞれ別の章でこれを扱っておるわけでございます。しかしながら、現実には同じ水域あるいは同じ海底について二つの制度が適用される、そこに何らかの調整が必要ではないかということは素人でも当然考えるところでございますけれども経済水域というものは、歴史的に見まして主として漁業に関する沿岸国の管轄権というものが発展してきたものでございますし、また、大陸だなというものは、主として海底の鉱物資源、若干の生物資源もございますけれども、主として鉱物資源の探査、開発というところから来たというふうな歴史的な相違もございますし、また、各国それぞれの沿岸の海底の地形その他の状況が世界的に異なっておりますので、この二つの制度を調整しようという努力は海洋法会議でも行われておらないわけでございます。  したがいまして、仮に、わが国が海洋法会議が成立経済水域を設けるということにいたしましても、大陸だなの概念というものと経済水域の概念というものが別個のものとして出てきております以上は、この海洋法会議の結果としてできます条約におきましても、これをもってその二つの制度を調整し得るというふうな情報が入る可能性はないわけでございまして、結局、関係国の間の調整、合意、交渉というふうなことによってこの二つの制度の調整を図らざるを得ない、こういうことでございます。
  52. 大塚喬

    大塚喬君 この共同開発区域関係国——日本韓国との間で協議をされる。こういうことでありますが、私がお尋ねしているのは、単純簡明にこの二百海里経済水域、これが設定された場合には、この共同開発区域はどこに帰属されることになるか、これをはっきりお答えしてください。
  53. 村田良平

    政府委員村田良平君) 最終的にわが国の経済水域と他国の経済水域境界をどういう線で画定すべきかということは将来の交渉に待つわけでございますが、わが国の基本的な立場としましては、中間線をもって境界を画定すべきであるということでございますから、したがいまして、現在の共同開発の対象として予定されております区域というものは、わが国の経済水域に属するということになるというふうに考えております。
  54. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、これは外務大臣も同様に、この経済水域二百海里と、こういうことになれば日本経済水域と、こうなることで間違いございませんね。
  55. 園田直

    国務大臣園田直君) そのとおりでございます。
  56. 大塚喬

    大塚喬君 間違いございませんね。
  57. 園田直

    国務大臣園田直君) はい。
  58. 大塚喬

    大塚喬君 海洋法会議で自然延長論が有利であるとする政府の見通しについては、現在もその趨勢にこれは変化が全くございませんか。そこのところ私も最近のこの情勢についてつまびらかにいたしておりませんものですから、この自然延長論が有利だとこう政府の見通し、このことについてはいささかもの情勢の変化はございませんか。
  59. 井口武夫

    説明員(井口武夫君) 現在交渉中でございますが、この点についてはもう二百海里以遠の自然の延長ということが大勢を占めておりまして、この点もはやテキストがさらに二百海里の方に後退するということはあり得ないということでございます。
  60. 大塚喬

    大塚喬君 先ほど外務大臣から、も共同開発区域一帯は日本の二百海里経済水域の中に所属をする、帰属をするという言葉、どういう言葉が適当な言葉か、専門的な表現が私不十分でありますが、ともかく日本経済水域の中に含まれると、こういうことは明らかになったわけであります。で、この中間線論というのは今後日本にとってはきわめて重要な国の方針でなければならないと考えますし、この中間線論を主張することによって日本の存続ということは、私は初めて、何と申しますか一億一千万の国民が生きる、そういうことの根拠になり得るものと、こう考えておるわけでございますが、この中間線論を主張し、これに基づいてあくまでもわが国で単独で開発をすべきではないか、これは当然そういう論理的な帰結に陥るだろうと思うわけであります。  通産大臣にお尋ねをいたしますが、今後日本政府は、この中間線論を主張してわが国が単独で開発をすべきだ、しかもその開発までには、先ほどから申し上げたように、関係の諸国の協議を重ねて円満な理解のもとにそれを実現すべきであろうと、こう主張するものでございますが、通産大臣、いかがでございましょう。
  61. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) この問題につきましては、先般来何回か議論されておる問題でございまして、日本といたしましては、いろんな紆余曲折がありました結果、速やかに今回の国内法を御承認をいただきまして韓国との間に共同開発を進めたいと考えておるところでございます。
  62. 大塚喬

    大塚喬君 おかしいと思うんです。日本経済水域内に含まれる地域、そのことが明らかになった場合に、この共同開発ということについて福田内閣がとった態度というのは、これは全国民の理解と協力を得ることにはならないと思うわけであります。このことは、それらの事態がごく近い時期に明らかになった場合には、日本国民としてなぜ共同開発に踏み切ったのか、なぜ日本が単独開発実現に努力しなかったのか、そういう努力は当然あってしかるべきだと思うわけであります。そのことをいまの通産大臣のようなお答えでお逃げになるということは、これは後々まで大変な物議を醸す問題であり、大きな国益にかかわる問題にもなろうと思うわけでありますので、重ねてこれらの単独開発の問題については、通産大臣から将来にわたっての見通しの上に立って、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  63. 村田良平

    政府委員村田良平君) 先ほどの私の答弁をさらに敷衍して申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、海洋法会議におきましては経済水域とそれから大陸だなというものは全く別個の制度として、それぞれ存在し、議論をされておるわけでございます。したがいまして、この両者間のいずれが優位に立つかということも定められておらないわけでございまして、いまの大塚委員の御説のようなことが実現するためには、経済水域というものによって大陸だなというものが排除されるということがこの海洋法会議の結果として確定しなければならないわけでございますけれども現実の議論の進行ぶりから見ますと、そのようなことにはなっておらないわけでございます。  また、この両制度は先ほど私が申し上げましたように、それぞれの発生原因というものが歴史的に違いまして、そういう背景を持って別個の制度としてできておるものでございます。特に海底の鉱物資源、これはこの共同開発構想に関連のある問題でございますけれども、この海底の鉱物資源に関しましては、従来から、どちらかといいますと大陸だなの主張の方がむしろ優先する、少なくとも経済水域の理論をもって大陸だなの理論を打ち壊せない、こういうふうな性格のものでございます。したがいまして、仮にわが国が経済水域を設けた場合には、当然その水域に関するわが国の管轄権の主張というものが出てまいりますけれども、それに対して韓国側が、この海洋法会議の結果としての大陸だなの法理に基づきまして、自然の延長を根拠として現在の共同開発区域に対して管轄権を行使するという立場をとってまいりました場合には、やはり日本韓国との間で交渉、調整が必要となってくるということでございまして、自動的に、経済水域にすれば経済水域は海底までも含むのであるから、他国の大陸だなの主張を一切排除できる、こういうことにはなっておらないわけでございます。  そこで、仮にそういう事態になるといたしますと、過去におきます日本中間線論と韓国自然延長論の争いが、今度は日本経済水域主張韓国自然延長大陸だなの自然延長の争いということに若干性質が変わるだけでありまして、両者の間で交渉して、何らかの調整をしなければならないという事態は変わらない、こういうことでございます。
  64. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁で、国際的なこういう判例と申しますか、事実関係はどうなっておりますか。
  65. 村田良平

    政府委員村田良平君) 経済水域というものは、現在まだ国際法の制度としては確立しておらないわけでございます。漁業に関する二百海里水域というものは、すでに相当多くの国がこれを設定しておるわけでございますけれども、海底にまで及びまして、しかも海洋の汚染の取り締まりであるとか、あるいは科学調査の取り締まりというふうなものまでも含みますところのいわゆる経済水域というものは、現在なお議論中で存在しておらないものでございますから、したがいまして、その制度と一九四五年以来存在しております大陸だな制度との争いというものは、国際社会においてはまだ起こっておりません。
  66. 大塚喬

    大塚喬君 紛争が起きた起きないということよりは、現実にこれらの問題は北海でノルウェーやイギリスあるいはドイツ、こういうところで北海の油田開発も行われておる現状でありますし、それらの問題についての取り決めが現存しておるのではありませんか。それらの実例について私はお聞かせをいただきたい。
  67. 村田良平

    政府委員村田良平君) 過去において行われました境界画定は、すべて領海あるいは大陸だなの境界画定のものでございまして、いわゆる経済水域という制度はまだできておりませんから、したがって経済水域境界画定という先例はまだないということでございます。  先生指摘の英国とノルウェー、あるいはデンマークとノルウェー、ドイツとオランダ等はすべて大陸だなの境界画定のみの合意でございます。
  68. 大塚喬

    大塚喬君 次に、資源エネルギー関係で少しくお尋ねをいたしたいと思います。  資源エネルギー庁の試算によると、共同開発区域には貯留岩中に七億二千二百万トンの炭化水素量が存在しておる、こういうことになっておるわけであります。その問題は、前に、本協定審議の際に外務省文化情報局の出した、いまアジア次長がおしまいになった資料、その資料に基づいて質問をいたしましたところ、当時の鳩山外務大臣は、外務委員会審議の中でそれの訂正を実現をしたわけであります。この資源エネルギー庁の試算七億二千二百万トンの炭化水素量、この存在をするという技術的な信憑性はどういうものであるか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  69. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 日本周辺の海域におきます石油賦存の可能性につきましては、通産省の石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会で一つの試算が行われたわけでございます。その試算に基づきますと、日本周辺海域を六地域に分けて推計しておりまして、沖繩・東シナ海海域におきまして約七億キロリットルの究極可採埋蔵量があるということになっております。  先生指摘の七億二千二百万トンという数字につきましては、この審議会の一つの試算をベースといたしまして、通産省としまして、この共同開発区域につきましての貯留岩中の炭化水素量、すなわち可採埋蔵量ではございませんでして、原始埋蔵量といいますか賦存量についての一つの試算を行ったものでございます。その数字が七億二千二百万トンでございます。この貯留岩中の炭化水素量から幾らの量が取り出せるかということで可採埋蔵量という試算が行われるわけでございまして、この究極可採埋蔵量につきましては、先ほど申し上げましたように、この開発審議会としまして沖繩・束シナ海海域全体として六億八千二百万キロリットル、すなわち約七億キロリットルという計算を行っているわけでございます。なお、この六億八千二百万キロリットルの数字を前提としまして、この共同開発水域につきましての試算を私どもの方としてやってみますと、三億七千六百万キロリットルというふうな数字がございます。この三億七千六百万キロリットルという数字は、先ほど申し述べましたように究極可採埋蔵量でございまして、この数字の前提としまして貯留岩中の炭化水素量、すなわち原始埋蔵量として七億二千二百万キロリットルがあると、こういう関係になっております。
  70. 大塚喬

    大塚喬君 いま答弁のありました三億七千六百万キロリットル、これはその共同開発区域内のいわゆる埋蔵されておる総量ということになるわけですか。そうなりますと、その中から掘り出せる、可採埋蔵量ということになりますか。——ちょっと待ってください。一体採掘できるのは、発掘できるその数量というのは、これはそれに換算するとどれだけの数量になるわけですか。何キロリットルぐらいになりますか。
  71. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 当該地域につきましての全体としましての貯留岩中の炭化水素量、すなわち原始埋蔵量は七億二千二百万トンという試算になっております。これをもとにしまして幾ら取り出せるかということで計算いたしますと、つまり究極可採埋蔵量でございますが、これについての一つの試算としまして三億七千六百万キロリットルという数字になっているわけでございます。
  72. 大塚喬

    大塚喬君 その三億七千六百万——トン、リットルですか。
  73. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) リットルです。
  74. 大塚喬

    大塚喬君 三億七千六百万キロリットル、こういう量はこれを原油とガスこれを含めたものですね。それを含めたものであるとすれば、その共同開発区域では一体原油と天然ガスの割合はどう推定をされて、原油は何キロリットル、それから天然ガスはどれだけになるのか、そこをお答えいただきたいと思います。
  75. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 先ほど申し述べました三億七千六百万キロリットルというのは、原油と天然ガスを原油換算して合わせた数字でございます。これを両方に分けて考えてみますと、原油につきましては一億二千二百万キロリットル、ガスにつきましては二兆五千六百億立方メートルということになっております。
  76. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、単純に受けとめてこう理解をしてよろしゅうございますか。いまの一億二千二百万キロリットル、それから天然ガスの二兆幾らでしたっけ。その天然ガスというのは一応採取の可能性がある数量でありガスであると、こういう理解をしてよろしゅうございますか。
  77. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 先ほど申し述べましたように、この数量は究極可採埋蔵量ということでございまして、先生指摘のとおり、探鉱に成功いたしますと、この程度の埋蔵量を発見する可能性があるということでございます。
  78. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと三億七千六百万キロリッリル、こういう量は一体採取率、これをどの程度見込まれるものですか。採取率は、その基礎になる。——お答えをいただくわけでありますが、海底何メートルぐらいまでその採取可能かということを含んでひとつお答えをいただきたいんですが、その数字もあわせてひとつお示しをいただきたい。
  79. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 採取率につきましては原油の場合につきまして二五%、ガスの場合につきましては七〇%ということになっております。  なお、採取いたします深さでございますが、これは油田の発見がどの程度の深さで行われるかということによりますが、通常現在世界的な油田開発の場合につきましては、非常にこれは深さについてばらばらでございますが、千メートルから三千メートル、場合によりますと四千メートルというふうな深さのものがございます。
  80. 大塚喬

    大塚喬君 現在の技術水準で、この共同開発区域内の採取率はどの程度可能なんですか。
  81. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 採取率につきましては先ほど申し述べたような数字を一応原油及びガスについて想定しているわけでございます。採取する場合の深さにつきましては、これも現在の技術水準でいきますと、深さにつきましては三千メートル、場合によっては四千メートルといったことも十分可能でございます。
  82. 大塚喬

    大塚喬君 大変不親切な答弁に私は聞こえるんですが、もう少し丁寧にお答えになってください。  この採取率というのは、将来どの程度まで高めることができますか。またそのための研究は日本においてはどこで、どのような規模で行われておりますか。そこのところをひとつ私どもにもわかるように、親切に丁寧にお答えをいただきたい。
  83. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 採取率につきまして御説明いたしますと、先ほど申し述べましたように原油につきましては二五%、ガスにつきましては七〇%ということになっておりますが、この採取率を高めますための研究は、世界各国で行われているわけでございます。いわゆる二次回収あるいは三次回収という方式でございまして、油田の圧力が減退いたしました場合真中に水を入れるとかあるいはガスを入れるとかいうふうな形でその油田内の圧力を高めまして、さらに原油の採取率を高めていくというふうな技術でございます。これにつきましてはわが国の場合、石油開発公団に付置されております技術開発センターにおきまして、従来から研究を続けております。なお新潟地区におきましてこのための実験プラント等を現在実施しているところでございます。  なお、開発いたします場合の深さにつきましては、まず水深につきまして言いますと、わが国の周辺大陸だなの試掘実績では常磐沖で水深二百十一メートルまでの実績がございます。これまでにもこういう形で二百メートルを超える試掘が行われているわけでございますが、世界的に見ますと千メートルを超える試掘の実績もございます。つまり海の深さは千メートルを超えてもなおかつ試掘が可能であるということでございます。これは試掘の場合でございますが、それから油田を発見いたしまして開発をいたします場合には、わが国の事例でいきますと、阿賀沖で八十メートルということがすでに経験済みでございます。世界的に見ますと、メキシコ湾におきまして水深三百メートルを超える個所で現在開発、つまり生産のための作業が行われいるところでございまして、このメキシコの事例につきましては一九七八年中に完成する予定というふうに聞いております。
  84. 大塚喬

    大塚喬君 肝心な私の質問は、この共同開発区域という場所を限ったそこのところで、将来どの程度までこの採取率を高めることができるかと、こういうことが質問の趣旨です。そこのところをひとつお聞かせください。
  85. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の問題点二つあると思います。  一つは、どの程度の深さまで現在の技術で、水深でございますね、掘り得るかという問題と、それから、現在の技術では四分の一程度しか採取ができない原油の率をどこまで上げられるか、この二つだと思います。  水深の問題について申し上げますと、ただいま石油部長からお答えしたようなことでございますが、この共同開発水域について申し上げますと、二百メートルより浅い地域が約六〇%ございます。それから三百メートルまで広げまして四分の三、約七五%になるわけでございます。先ほど石油部長がお答えいたしましたようなことから、三百メートル程度の水深のところであるならば、現在すでに実用化されていると申しますか、一般化されておるところのプラットホーム方式によって十分採掘は可能でございます。それから三百メートルを超えるものにつきましては、現在世界各国で、いわゆる海底における石油の生産システムの開発研究を続けておるわけでございます。近くこれも実用に供せられるというふうに理解いたしておりますので、より深部のものについては、そういった海底生産システムの実用化に伴って採掘が可能になっていく、こういうことでございます。  それから、現在二五%程度の原油の回収率につきましては、先ほどこれも石油部長からお答えいたしましたように世界各国、日本の場合は石油開発公団の技術センターでこの技術習得に努めておるわけでございます。いまの時点で何%まで引き上げるというわけには断定的に申し上げかねるわけでございますが、いろいろ計算する場合には、現在の四分の一の回収率を前提にして、採算性等なども考えるということでございますから、一%でも二%でも回収率が引き上がることによって、さらに採算性は向上していくというふうに考えていいかと思います。
  86. 大塚喬

    大塚喬君 この三億七千六百万キロリットル、これは可採埋蔵量という、先ほど答弁があったわけでありますが、それの信憑性について依然として私はまだ納得ができないわけでありますが、実際にはそれだけないかもしれないわけですね。あるかもしれないし、ないかもしれない。ちょっと待ってください……。私がひっかかりになるところは、現に韓国で、韓国周辺の大陸だなの租鉱権をメジャーが取得をいたしたわけでありますが、そのほとんどのメジャーがすでに撤退をしておる。これは中国との関係もあろうと思うわけでありますが、何といってもいまの資本主義の世の中ですから、これは経済ベースに乗らないというメジャーの判断、このことが大きな原因になっておるのではないかと、こう考えるわけであります。  このメジャー撤退の理由は一体何であったのか、資源エネルギー庁として、どうこれを調査をし、理解をされておるのか、説明をいただきたいと思います。
  87. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 問題二つ、御指摘あったわけでございますが、一つは、やはりこの地域にどの程度埋蔵量があるかということは、より本格的な物理探査あるいは試掘、探掘といったものを続ける必要があるわけでございます。先ほど来お答えいたしております数字は、この地域におけるエカフェの調査、国の調査あるいは一部民間企業の調査、こういったことによって得られたデータを基礎にして算定いたした数字でございます。いずれにいたしましても、この法案成立いたしました暁には、より本格的な調査活動が必要である。その結果として確定埋蔵量というものを確認をしていく必要があろうかと思います。  それからメジャーの撤退については、これは外国企業のことでございますから、必ずしも明確ではございませんが、一部私たちが承知いたしておりますところでは、物探等の結果、必ずしも経済性がないといったような判断も一つの撤退の理由になっておるというふうに聞いておるわけでございます。
  88. 大塚喬

    大塚喬君 莫大な費用と資材を投入してこの共同開発に踏み切ろうと、こういう日本韓国政府態度、そういうことになりますと、このメジャーの撤退ということ、しかもそれが経済ベースに合わなかったということ、こういうことになりますと、これはこの国会審議の中でも、審議をするわれわれとしても、無関心ではおられない問題であります。  この共同開発区域におけるいわゆる可採埋蔵量、これを資源エネルギー庁としても調査をされた、民間でも調査をされた、こういうことでございますが、この納得のできる資料、三億七千六百万キロリットルが可採埋蔵量であると、こういう納得させられる資料の提出を、委員長、速やかにひとつ本委員会の全員に提出をされるよう、強く要望をいたしたいと思います。ひとつ委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  89. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 後ほど理事会に諮りまして、さよう取り計らうようにいたします。
  90. 園田直

    国務大臣園田直君) ちょっと、質問の途中でございますが、対馬先生からお尋ねを受けたことについて調査いたしましたので、お答えすることを許していただきたいと思います。  対馬先生質問に関して、当人並びに関係者に電話で照会いたしましたところ……
  91. 大塚喬

    大塚喬君 大臣、もうちょっと大きな声でお願いします。
  92. 園田直

    国務大臣園田直君) 一昨九日の十時三十分、安井議長のところへお伺いをしてあいさつをし、なお、任地である韓国の事情の説明をほんの数分間行いました。立法府への介入、干渉にわたるような誤解を受けるような話はしておりませんと、こういうことでございます。であるとするならば、日本大使が任地の事情をわが国の首脳に説明するのは、これは通常のことであると考えます。
  93. 大塚喬

    大塚喬君 ぜひ、いま委員長の御発言のことが、早急にひとつ実現をされて、資料の回付がいただけますように、格段の御尽力を委員長にお願いをいたします。  続いて、この共同開発区域は前々からも話に出ましたが、九つの小区域に分けられて開発が進められることになるわけであります。このうち石油賦存の最も有望な区域は一体どこの区域であるのか。そして、韓国側それから日本側に申請をしておるそれぞれの企業があるわけでありますが、それらの企業名とその企業の内容、それからそれぞれの企業がメジャーの系列下にそれぞれ入っておると、こう私ども聞いておるわけでございますが、アメリカ経営のどのメジャーの系列に所属をする企業であるのか、そこのところを明らかにしていただきたいと思います。     —————————————
  94. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員異動について御報告いたします。  本日、浜本万三君が委員辞任され、その補欠として村田秀三君が委員に選任されました。     —————————————
  95. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) この小区域の中でどの地域が一番有望かというお尋ねでございますが、これは率直に申し上げまして、本格的な物探あるいはボーリングをやらないと、これは何人もなかなかそういったことに対するお答えはできないわけでございます。先ほど来申し上げておりますこの地域における原始埋蔵量の約七億キロリッター、あるいは可採埋蔵量約三億七千六百万キロリッターと申しますのも、現在利用し得るデータをベースにして試算したものでございます。  したがいまして、地域ごとにどうかという点につきましては、それぞれ鉱業権者が設定されまして、その暁に本格的な探鉱を実施する、あるいは物探をやる、あるいは探掘をやるという結果でないと、どの地域が有望であるかということは申し上げかねるわけでございます。
  96. 大塚喬

    大塚喬君 現実に、そういうことではなくて、もっと話は進展をして、どの区域が有望だということはもう世間一般の周知の事実ではありませんか。そのことを、やっぱりそういうことで、この審議に正直に説明をいただかないと、私ども審議もこれは考えざるを得ません。  そこで、今度は外務大臣にお尋ねをいたしますが、政府のパンフレット、これは先ほども引き合いに出しました外務省情報文化局のパンフレットでありますが、そこの中には、「共同開発対象区域」は「背斜構造の発達した極めて有望な地域で、石油埋蔵量は七億キロリットルを超えるとも推定されています。」こういう説明がなされておるわけであります。で、いままで可採埋蔵量、それから採取率、こういうことをお尋ねしてきたわけでありますが、このような説明は、明らかに誤解を生む説明であり、このままで置かれるということは、さも七億キロリットルが埋蔵されており、それが即、今度の共同開発で採取ができて利用ができる、こういう理解につながるだろうと思うわけでありますが、これは明らかな誇大宣伝ではありませんか。
  97. 中江要介

    政府委員中江要介君) 御指摘の外務省の情報文化局の一九七七年四月に出しました「早期締結の必要な理由」というパンフレットの第二ページに、いま大塚先生がお読み上げになりました個所がございまして、これは先ほど先生の方でもお触れになりましたが、前国会でいろいろと議論がございまして、いま申し上げられましたような誤解を招く表現は適当でないということで、外務省といたしましては、昨年早速五月付で外務省情報文化局からこのパンフレットを配付いたしました全配付先に、次のように訂正の連絡をいたしました。それにはどう書いてあるかと申しますと、本年四月刊行いたしました冊子「日韓大陸協定」の第一部の冒頭二ページにある「南部共同開発協定が」云々とありまして、「とも推定されています。」の個所をより適切にわかりやすくするため、次のとおり加筆いたしますので、右により御理解くださるようお願いいたしますとしまして、次のとおり加筆いたしました。その部分は、「南部共同開発協定が定めた東シナ海大陸棚の共同開発対象区域は、ECAFE(現在のESCAP——アジア太平洋経済社会委員会)の調査をはじめとするこれまでの各種調査によれば背斜構造の発達した極めて有望な地域にあり、掘ってみなければ確たることはわかりませんが、石油・天然ガスの埋蔵量を賦存量でみれば七億キロリットルを超えるとも推定されています。」こういうふうに訂正いたしまして、この「埋蔵量を賦存量でみれば」という非常に専門的な表現のところにつきましては、資源エネルギー庁の専門の方と十分協議いたしまして、こういうふうに訂正しておるわけでございます。
  98. 大塚喬

    大塚喬君 初めのパンフレット、そしていまの訂正の資料、訂正された方がより正当性があると私も認めますが、しかしいまの説明だけでは、一般の国民にとってこれは七億キロリットル以上の石油がわが国が確保できる、確保できる数字と地下に埋蔵されておる数字というのは現実に明らかに大きな差異があるわけであります。そのような程度の説明で、これは国民に対して誇大な宣伝をし、国民を欺瞞をし、そして国民に多大な期待を与える、こういう、結果的には明らかに悪質な宣伝と見られることになりはしませんか。外務大臣笑っておられますけれども現実に、そういうことに、一般の何も知らない国民が読んだら、この七億キロリットルを超えるそれらが、即日本の国民の手に入る、こういうふうな理解につながるものではありませんか。政府はこのことについて、いまのような程度の反省で、このことをおしまいにしようと、こうされるお考えですか。いかがです。
  99. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは、私どもも多くの国民の方々と同じく素人でございますので、専門的にこれをどう読んで、ここからどれだけを期待するかということについては、これは専門の資源エネルギー庁の方から御説明いただくのが的確と思いますが、基本的には、新しい書き方のところにありますように、これはいつも言われることですが、掘ってみなければ確たることはわからない。わからないことをどうして言うのかということにまたつながるんですけれども、それでは全然わからないかというとそうではないんで、エカフェの報告その他が有望だと言っているのにはそれなりの根拠があるだろう。そのエカフェその他の専門的な調査の結果、有望だと言う根拠としては、石油・天然ガスの埋蔵量というものを賦存量で見ると七億キロリットルを超えるというふうに推定されます。  しかし、いずれにしろ、これは掘ってみなければわからない。これはそういう堂々めぐりになりますけれども、「賦存量でみれば七億キロリットル」という言葉で、専門的な知識のある方はどの程度のものかということはおわかりになるということでございましたので、私どもといたしましてはその部分をいま読み上げましたように訂正いたしたわけでございます。
  100. 大塚喬

    大塚喬君 資源エネルギー関係がこの方の担当の専門の役所だと、こう思うわけでありますが、この原稿をつくるときには、当然、その原稿については資源エネルギー庁としても相談にあずかり、意見を述べられたのではないかと、こう推察をいたします。で、そうなりますと、これはやっぱり笑って済まされない問題で、こんなことを言うと大変あなた方に気を悪くしおしかりをいただくかと思いますが、世の中に山師という言葉がございます。その言葉が、私はこの説明の中に——あなた方が関係されておって、専門家ですよ。これは、外務省の方は素人だと、はっきりそういうことでお逃げになったわけですからそれ以上追及することはやめにいたしますが、あなた方は少なくとも日本の最高のこの方面の権威者であり、オーソリティーであるわけであります。ですから、この問題に関していまのような説明、これで国民が納得できる、十分なものである、こういう御理解ですか。いかがですか。
  101. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 石油資源の埋蔵量を考えます場合に、幾つかのとらえ方があるわけでございまして、先ほど言いましたように賦存量、つまり貯留岩中の炭化水素量全体をとらえるやり方、これを賦存量と言っております。あるいは別の言い方で言いますと原始埋蔵量とも言っております。その数字がまず一つございます。  それからその次に、究極可採埋蔵量、探鉱に成功しまして全体として取り出せる量としての予測値というものが一つあるわけでございます。  それからさらに、現実にボーリングをいたしましてある油田を発見して、その油田の中にどれぐらいの量があるかということを確かめますと、これを確認埋蔵量というふうに言っておるわけであります。  こういうふうに、幾つかの埋蔵量についてのとらえ方があるわけでございますが、外務省のパンフレットにおきましては、その辺につきまして、当初、ただ埋蔵量というふうな言い方をしておりましたので、その後に私どもといたしましても御相談を受けまして、そのときに言いました埋蔵量は、実は、先ほど私が御説明いたしましたように、賦存量としての七億二千二百万キロリットルを前提とした数字でございましたので、正確に、これを賦存量としてとらえればというふうにあらわすように外務省の方と協議したわけでございます。
  102. 大塚喬

    大塚喬君 そういうお役人的な発想でなくて、賦存量とか、埋蔵量とか、そういうことで国民向けに出された政府機関の発行するパンフレット、これがどれだけの国民にそのような正当な理解ができるとお思いになりますか。余りにもそれは不親切な、そういう、国民を欺瞞するような、そういう答弁に結果としては発展するんではありませんか。そういうことについて何らの反省がなくて、いまのようなお答えで終始をされるということに私はどうしてもがまんがなりません。  次に質問を進めますが、これほど大きな国益にかかわりを持つ共同開発、これを昨日の福田総理の言明にもありますようにどうしても強行したい、こういう強い意思表示がなされておるわけであります。  ところで、一体わが国はこの共同開発実施をしたと。先ほどその採取される天燃ガス、石油の量についても一応のお答えがあったわけでありますが、これによってわが国はどれだけの原油が入ってくるものですか。日本でどれだけ入手をできるものか、それが将来ともわが国の石油需給の中でどれほどの位置を占めることにこの共同開発が意義を持つものか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  103. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほど来申し上げておりますように、いわゆる特定鉱業権者というものが権利を取得しましてから本格的な探査活動、試掘等をやらなくては、全体として幾らあるかという計算も出てまいらないわけでございますが、一応前提を置きますと、仮に一億二千万キロリッターの油田を一つ発見した場合に、これは韓国と折半するわけでございますから、日本の取り分は六千万キロリッターになるわけでございます。これを何年間でまた取り出すかということが問題になってくるわけでございますが、仮に北海油田の例にならいまして、十二年程度でやっていくという前提を立てますと、年間わが国では五百万キロリッターの油を取得することになるわけでございます。こればわが国の五十一年の原油の輸入に対しまして約一・八%になります。その倍額と申しますか、三億六千万キロリッター程度の油田あるいはこれは複数の油田の総合としてその程度の規模の埋蔵量が発見できたという場合には、同様にいたして計算いたしますと、約五・四%程度になると、こういうことでございます。ただ、何度も申し上げておりますように、本格的な探査あるいは試掘活動をやらないとどの程度の埋蔵量を確認できるか、あるいはそれに対してどのように開発し得るかといったようなことを十分詰める必要があろうかと思います。
  104. 大塚喬

    大塚喬君 そうなりますと、掘ってみなければ正確にわからないと、こういうお答えの延長としてうまくいけば五%台、日本の需要の石油を確保することができるし、場合によっては一・八%ですか、一・八%程度の需要を確保することができると、こういうことの理解のもとに以下論議に入っていきたいと思いますが、このどれだけ掘れるかという問題は、開発技術に関連をする問題が余りにもたくさん前提条件としてあろうと思います。その開発技術についてお尋ねをいたしますが、東シナ海の自然条件、気象条件はこの石油開発ということに関連してどうなっておりますか。資源エネルギー庁長官のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  105. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まず、開発に当たりまして一番大きな影響を持つのは水深ということになろうかと思います。水の深さでございます。われわれが現在承知いたしておりますのは、二百メートル以浅、二百メートルより浅い地域が全体の約六〇%、それからこれは先ほどもお答えしたわけでございますが、三百メートル以下ということになりますと七五%程度、全体の地域の四分の三程度でございます。ここまでの段階は、少なくとも現在実用化されておりますプラットホーム方式によりまして開発は可能でございます。それ以上につきましては、これも先ほどお答えしたところでございますが、いわゆる海底生産システムの研究が着々と進んでおりますので、これの実用化を待って開発していく、こういうことになろうかと思います。  もう一つつけ加えておきたいわけでございますが、これは現在時点で申し上げておるわけでございます。石油開発には大体八年から十年かかるわけでございます。その前段階として物探あるいは試掘等を重ねていくわけでございますから、本格的な開発に至るまでには、なおいまから始めるといたしましても数年の後である。その間における生産技術の進歩ということも十分考慮して取りかかっていいんではなかろうかと思います。  御参考までに、北海地域につきましては二百メートルより浅い海が全体の九〇%程度ということで、共同開発地域よりは比較的浅い部分が多いわけでございますが、御承知のように、この北海地域では冬季におきましては秒速十メーターの風が吹く日が全体の六割ぐらいございます。それから、同じく冬季におきましては常に氷点下にある。水温は四度ないし六度、また、潮流の関係もございまして非常に霧が深いという地域、このあたりは共同開発地域に比べますと、条件としては悪いんじゃなかろうかというふうに見ております。  北海との関係共同開発地域を申し上げますと、それぞれ一長一短があろうかと思います。
  106. 大塚喬

    大塚喬君 そうなりますと、浅いところではプラットホーム方式、こういう方式をとられる。こういうことのお答えでありますが、確かに私どもがニュースやあるいは新聞その他の報道で見るところによりますと、プラットホーム方式で採鉱しておるところをよく目にするわけであります。当然この共同開発区域にはプラットホームの架設が必要になってくるだろうと思うわけでありますが、東シナ海の自然条件、気象条件こういう中でいまお話しをいただいたようなことで、そういう条件の中で架設は可能なんですか、いかがです。
  107. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほど北海の例を出して申し上げましたように、気象条件等につきましては共同開発地域の方がよりよいのであるというふうに認識しております。ただ、深さの点につきましては、北海地域の方が浅い部分が多いわけでございますが、この共同開発地域につきましては、何度も申し上げますように、三百メートルより浅い地域が全体の四分の三もあるわけでございますから、十分プラットホームによるところの開発の可能性があると言うことができると思います。
  108. 大塚喬

    大塚喬君 もう一つの問題は、プラットホームを架設した、こういうことと一緒に、同時に考えが出てくることは石油搬入についてどうするかという問題であります。これはパイプライン方式で搬入をするのか、タンカーによる搬入の方式をとるのか。現在この共同開発区域石油のいわゆる搬出、搬入、こういう問題はどのようにお考えになっておりますか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  109. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 当然それは特定鉱業権者が決まった上で、その人が判断する問題であるということで、政府がとやかく言うべき性格のものではないと思います。  ただ、一般的に申し上げますと、ただいま御指摘になりましたように、パイプラインによる場合と、それからタンカーをとりあえずプラットホームに横づけいたしまして、採掘した油をそこに入れて輸送用タンカーに移しかえるといったような方法が現在世界的に行われておるわけでございますから、その地域の実情に即して鉱業権者はそのいずれかを採用するというふうに考えるのが適当かと見ておるわけでございます。  それから、パイプラインについて若干敷衍いたしておきますと、現在日本で阿賀沖で開発成功いたしておりますが、これは水深八十メーターのところでパイプラインの敷設をやって搬入いたしておるわけでございます。それから外国では、すでに四百メートル、特に北海におきましては、水深四百メートルのところでパイプラインを敷設しておる、だから技術的には六百メートルまで可能であると言われておりますので、パイプライン方式による場合にも十分可能であるというふうに申し上げられるかと思います。
  110. 大塚喬

    大塚喬君 一般論として、これは開発権者の決定を待ってと、こういうことでございますが、あなた方専門家でしょう、ですから、この九州南西部一帯の共同開発区域、そこについて、タンカーによる方式、パイプラインによる方式、こういうことがあるわけですが、その担当者、専門家としてはどちらが適当であり、どちらが好ましいかというような、そういうことは当然お考えになっておるはずだと思いますが、その点はいかがでございますか。
  111. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 決して私どもはひきょうな立場でお答えしてるわけじゃございませんで、この共同開発地域全体でも八万二千平方キロメーターと、非常に広い地域でございますんで、どの地点で石油が発見されるかといったようなこととも関連して、パイプラインがいいのか、船がいいのかという問題もあろうかと思いますし、あるいは、その地域が漁業活動との関係でどうかといったような問題も判断せざるを得ませんので、いまの段階では、方法としてはパイプライン方式かあるいはタンカー横づけ方式かというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  112. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。   午後零時四十二分休憩      —————・—————   午後一時五十二分開会
  113. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  114. 大塚喬

    大塚喬君 先ほど対馬理事の質問外務大臣にお尋ねをした、須之部大使安井参議院議長との会談日韓大陸だな促進の韓国側の要望ということで答弁をお聞きいたしましたが、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 事実関係相違があってどうも納得できかねますので、その詳細をもう一度ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  115. 園田直

    国務大臣園田直君) 須之部大使は、たまたま本省との事務連絡のために帰国しておったわけでありますが、その機会に、一昨九日十時過ぎに参議院議長にもごあいさつに伺ったものでございます。議長に対してあいさつをしたほか、議長の御質問に対して、韓国の情勢についても一般的な説明をした、こういうことであり、議長にもお伺いしたところ、そのとおりであると、こういうことでございます。
  116. 対馬孝且

    対馬孝且君 関連。  外務大臣、どうもいま大臣がお答え願ったことと事実が大分違っているね。  それは、まず一つは、須之部大使がいまこの時期にどうして帰ってきたんですか。あるいは大臣の指示として、帰ってこいという指示をしたのか。大体、この時期にいま帰ってきて、そして帰ってきたならばまず外務大臣に報告をして、外務大臣の指示を受けて、局長なら局長さんが、あるいはあなたから直接議長にそのことを報告をしておくと、こういうなら、これは局長なり政府委員が言うならこれはわかりますけれども大使みずからごあいさつをしたという。私はいまずっと調べたんだが、これは前後ないんですよ、大使が議長を訪問しているというのは。表敬訪問をしているというのは。しかも、時あたかもいま大陸だな法案で、しかも国会の場で、この参議院の場で法案が扱われていると。その議長さんに、表敬訪問といえどもお会いになるということになれば、これは何のためにお会いになっているかということは、これははっきりしているんじゃないですか。  しかも、私は明確だと思いますのは、須之部大使は、韓国は今国会での同法案成立することを期待しているとはっきり述べましたと。それで、これに対して安井議長から共同通信の記者の方に——私は会っているんですから——共同通信の記者の方に言ったのは、実はそういうことを大使からあったけれども、少なくともこれは、ここにあるように、衆議院での数年にわたる審議経過、これもあって、三年間もやっているわけですから、したがって参議院で継続的に処理をするというわけにはいかないのではないか。しかも、短絡的にこういう問題を処理するということは非常にやっぱりむずかしい。むしろ、最高責任者である議長の方が、このことについてそういう答えをしたということで、それを記者会見しているんですよ。  だから、これは大臣が言う事実と違うんですよ。単なる表敬訪問をいたしました、あるいは大臣参議院議長の方から、ぜひ来てください、大使にお会いしたいから来てくれというなら、外務大臣を通して、ぜひお会いしたいという、まずこれがなければ筋じゃない。だから、そういう問題について、私はどういったって今日的、参議院委員会の最大の法案であるこの日韓大陸だな協定特別措置法を審議している最高の立法府の議長にお会いしたということは、これは行き過ぎじゃないですか、明らかに。これは完全に行き過ぎですよ、やっぱり。しかも前後ないというんだ、韓国大使がそういうことをしたということはないという。だから、そういう問題について私は、どう言おうと、これは外務大臣、そこはやっぱりきちっとしてもらわぬと、このことが、ただ表敬訪問に行って、ごあいさつに行きました、やあどうも御苦労だったなんというようなものじゃないんだよ、あんた。それならむしろあなたが指示をして、何々事務次官が行ってこいとか、アジア局長が行って、議長にじゃ説明しなさいというのがこれは自然でありベターでないでしょうか。何も私はうがったことを言ってるのじゃなくて、そうあるべきものじゃないでしょうか。それを全部通り越しちゃって、頭越しに行くかどうかは別にして、通り越してやっぱり議長にお会いしたということは、しかも議長さんの口から、こういうことを申し上げましたということが正確に出ているわけですからね、この点はもう一回真実のことをきちっとして、私は、やっぱり行き過ぎがあったらあったということを、すっきりすべきだと思うんですよ、こういうことはないことですからね。あることなら別ですよ、ないんだから、こういうことについて。
  117. 園田直

    国務大臣園田直君) 大使が帰ってきまして、政府並びに国会の首脳にごあいさつすることは、間々あることであります。須之部大使は、この前帰ったときにも安井議長にはごあいさつをしているはずでございます。  しかし、私の言ったことと対馬さんのおっしゃったことと食い違いがございますが、私の調べたのは、私が直接本人に聞いたわけではございません。私は委員会に拘束されておりましたので、それぞれ事務当局を通じて調べさしたことでございますから、さらに念のためにもう一遍私が、委員会が終わりましたらよく聞きただすことにいたします。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕  いずれにいたしましても、その上で御報告をいたしますが、現職の大使国会に呼ばれて参考人としていろいろ聞かれることは、任地に対してもこれははばかりあることでございまして、先例もないことでございますから、その内容がいかにあれ、よかれあしかれ、その責任は大臣たる私の責任でございますから、もう一遍詳細に本人に聞いた上でお答えをいたします。
  118. 対馬孝且

    対馬孝且君 なお、さらに詳細に調べてお答えをするという外務大臣答弁ですが、どう言おうと私はこの点がやっぱり問題だと思うんですよ。あなたの所轄の大使ですから、だから、あなたが指示をされたのか、指示をされて安井議長さんにお会いしなさいということなら、これも一つ考え方ですよ。しかし、そうでないというわけですから、最初からもう大使みずから表敬訪問をしていると。しかも韓国の実情と合わして、本法案大陸だなについて感触を得ましたと言っているんでしょう。これは安井議長の口から出ているんですよ、この言葉は。しかもそれに対して私がこう答えましたと言っているわけだ、私がいま言ったように。しかも短絡的にこの問題解決できないと言って答えたと。明快に答えているわけですよ、これは。だから、その事実はこれは明らかに私は、立法府に対する介入でなくて何なんだと私は言いたいんです。完全な立法府に対する介入ですよ、これは明らかに言って。  もしあなたがそういうことでないとするならば、あなた自身が指示をして、あるいは事務次官なりあなた自身が指導されたというのなら、これはまた別ですよ、これははっきり言って。そうでないと、こう言うのだから。それで、明らかにこれは須之部大使もみずから行って話をしたという事実に基づいて、こういうことが記者団に語られたということは議長の口から出ているんですから、これはやっぱり明らかに私は立法府への介入だということははっきりしていると思うんですよ、やっぱり。だからもう一回再度事情聴取するということですから、もう一回やった結果で確認しますけれども、私はやっぱりはっきりこの事実については相違していると。明らかに立法府に対する介入であるということをはっきりいたしておきますので、その上に立ってひとり調べをしていただきたいと思うんです。  それで、なおもう一回確認しますよ、いいですか。
  119. 園田直

    国務大臣園田直君) 安井議長にお会いしたときの話の内容に食い違いがあることは、本人に直接会って詳細を聞きます。大使が帰ってきて、いつ帰るのかと言ったら、あす十二日ですか、十二日の朝帰るとこう言いますから、それではそれぞれ党、政府の方々にあいさつをして報告することがあったら報告しろと、こう言ったことは事実でございます。内容については後でまた詳細を御報告いたします。
  120. 大塚喬

    大塚喬君 外務大臣、いま対馬理事の質問ですが、私が一番出発点のところで疑問に思うことは、この時期になぜ韓国大使が帰ってきたのか。これは一体外務大臣の帰朝命令か何かが出されて帰ってきたわけですか。そこのところをはっきりさしてください。
  121. 園田直

    国務大臣園田直君) 大使が帰ります場合には勝手に帰れませんので、大臣が帰ってこいということで帰ってくるわけであります。
  122. 大塚喬

    大塚喬君 形式的なそういうことのあれは当然官にある、大使という職にある人ですから、それは大臣の許可を受けて帰られることは当然だと思います。ですが、その前の段階で韓国大使がこの時期に突如帰国をされた。そして、それに合わせていまこの法案審議の最中にある参議院議長を訪問したと、こういうことになりますと、どうしても疑いを持たざるを得ない、こういうことがこれはもうどなたでも率直な感じだろうと思うわけであります。  私がお尋ねしているのは、大臣の許可を得たということは当然だと思いますけれども、その前の段階でこの帰国について、韓国駐箚大使の方からそういうことの伺いというか、そういうのが出て帰国をされたのかどうか。そこをはっきりさしていただきたいと思います。
  123. 園田直

    国務大臣園田直君) 実は、外務委員会、衆参両方の委員会その他で竹島の問題、それから韓国に対する経済協力の問題等出ておりまして、そこで私そういう問題は、韓国に駐箚をしておる大使を呼んで私が直接話をし、次に予定されておる定期閣僚会議等もそれによって処置しますと、こういう話をしております。  なおまた、日米首脳会談の結果等もアジアの国国がそれぞれ話をしているわけでありますから、そういう連絡もありますから帰ってこいと、こう言ったわけでございます。
  124. 大塚喬

    大塚喬君 いまのような答弁でどうもすとんと納得したということにはなりません。韓国大使の帰国は一時延期をしていただいて、この国会に出席をいただいて、それらの真相について大使としての行為が行き過ぎた軽率な行為であったのかどうか、そこらのところをひとつぜひはっきりさせていただきたいと思いますので、大臣にも強くこのことを一つお願いを申し上げて、この国会への審議にぜひひとつ出席をいただくように、後ほど理事会でひとつこの検討をいただきたいと思いますので、よろしく委員長にも計らいをいただきますようお願いをいたします。  それでは、質問に続いて入ります。初め通産それから資源エネルギー関係質問をもうしばらく続けて、あと外務大臣それから大蔵大臣、自治大臣こういう順序質問を続行さしていただきます。  先ほどのパイプラインの敷設、これは日本の企業で技術的に敷設は可能でございますか。それと一緒に、子供じゃないんですから、もうこの問題は長い期間検討されてきたわけでありますので、企業がどうするとかなんとかいう逃げの言葉でなくて、パイプラインを敷設をするとすれば、どういうルートを選んで敷設をし、さらに、敷設をするかしないか別にして、タンカーで搬入をすると、こういうような場合にはその基地は一体どこに設けるお考えなのか、現在まで検討ざれた経過の中からただいまの質問にお答えをいただきたいと思います。
  125. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まず、パイプラインが日本の技術水準で敷設が可能であるかどうかというお尋ねでございますが、午前中にお答えいたしました八十メートルの実績というのは、一昨年阿賀沖の開発に成功したときの事例でございますので、日本の技術水準において大丈夫であるというお答えになるかと思います。  その次に、パイプラインなりあるいはタンカーを活用する場合に、どのような敷設計画があるか、あるいは基地についての考えであるかというお尋ねでございますが、これは先ほどお答えいたしましたように、非常に広い地域にわたって共同開発区域があるわけでございます。今後いわゆる物理探査、試掘等を重ねることによりまして、どの地点でどのような掘り方をすればいいかというのは、当然今後の調査結果に待たざるを得ないという問題でございますので、どのラインを通るとかあるいは輸入基地をどこに置くかということは、いまの段階ではさような事情から申し上げられないと、こういうことでございます。
  126. 大塚喬

    大塚喬君 その基地を設けるという問題は、全然そういうことについては検討をしておらないと、こういう意味ですか。
  127. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 若干敷衍して申し上げますと、いわゆるこの法律に基づく特定鉱業権者というのは、当然のことながら決まりておらないわけでございます。ただ、日本側について申し上げますと、三つの企業がいわゆる現行の鉱業法に基づく先願権を持っておる、優先出願をしておるというだけでございまして、この法律に基づく特定鉱業権を許可されなければ、この共同開発地域での開発事業に着手できない。こういうことでございます。したがいまして、先願三社はそれぞれの思惑において検討はいたしておるかもしれませんが、いまのこの段階において、具体的にどのようにパイプラインを敷設するか、あるいは基地をどこに求めるかということは、最終的には私は決まっていないというのが実情ではなかろうかと思うわけでございます。
  128. 大塚喬

    大塚喬君 どうも歯がゆいお答えしかいただけないので残念ですが、決まっておらないと、これは確かにおっしゃるとおりの事情ですから決まってはおらないと思いますが、そういうことの検討は当然なさらなければならない問題だと思うわけであります。だからそういう場合には、一体これらの基地というのがメジャー、そして韓国側に設けられる、それから日本の九州の、たとえば長崎県あるいは熊本県、鹿児島県こういうふうなそういう問題については、その当事者、これは当然そういう問題についての検討、基地の建設というのは、私どもの住むようなちゃちな掘っ立て小屋を建てるものとは違うわけでありますから、しかも現在石油基地の建設ということに関連してはいろいろの住民運動等も起きておるということでございますので、それらについては当然具体的に問題の検討は相当突き進んでおるものと受けとめるわけであります。ですから、そこのところをひとつお聞かせいただきたいとこちらでお願いをしておるわけですので、よろしく。
  129. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、パイプラインをどこに敷設するかということは漁業との関係、あるいは基地をどこに設けるかということはやはり地元住民との関係等で非常に重要な問題であると同時に、開発原油を日本国に持ってくる場合に当然重要な、必須の設備であるということからいたしまして、大塚委員指摘のように十分に検討すべき問題であるということについては、私は全く同じ考えでございます。ただ、何度も繰り返すようでございますが、まだボーリングも全然やっておらない段階で、午前中も申し上げました八万二千平方キロメーターという膨大な地域の中で、十分にそういった、どこに坑口を開くかといったようなことが検討が進まない段階で、どこに基地をつくる、どのルートを通ってパイプラインを敷くといったようなことは、現実問題として私はなかなか検討が進まないというふうに申し上げていいかと思います。  大体開発に至るまで、世界的に見ましても、平均八年から十年といわれておるわけでございます。現在時点からいたしましても、なお十年前後先の段階において輸送、搬入という問題が出てくるわけでございますから、それまでの間十二分に時間的余裕があるわけでございますから、御指摘のようなパイプラインあるいは搬入基地等については、なお今後具体的な進捗状況に見合って、特定鉱業権を得た企業が検討していく問題であるというのが、私は当然ではなかろうかと思うわけでございます。
  130. 大塚喬

    大塚喬君 いまのあれでどうも納得はできませんけれども、一応いまの段階はそこのままのところにして、質問を先に進めますが、天然ガス——先ほど部長答弁では大量の天然ガスが存在すると、こういう答弁をいただいたわけでありますが、これの搬入はどうするお考えなんです。そして、私が特にここで気がかりなことは、いまの需要の実情の中で、この販売先というのは現在その見通しがどうなっておるのか、ひとつそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  131. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) ただいまの御質問にお答えする前に、午前中の埋蔵量につきましての私のお答えの中で間違いがございましたので、訂正させていただきたいと思いますが、当該共同開発区域におきます究極埋蔵量としまして、天然ガスについて二兆五千六百億立方メートルと私、述べたわけでございますが、単位が間違っておりまして、二千五百六十億立方メートルでございましたので、大変恐縮でございますが訂正させていただきたいと思います。  それから、いまの天然ガスの搬入、使途の問題でございますが、この搬入の問題につきましては、ただいま長官がお答えいたしましたとおりでございまして、どの地点でガスが発見されるか、その水深がどうかというふうなこととの関係で、これは原油と違いましてタンカーで運ぶというわけにはまいりませんから、結局パイプラインでこっちに持ってくるということになるわけでございますが、これも探鉱の成果を見て、その結果を見て、油田、ガス田の地点に応じてルートを検討するということになろうかと思います。  それからその使い道でございますが、天然ガスは従来から非常にきれいなエネルギーということで、わが国のエネルギー政策の中でも石油に代替するものとしてLNGの輸入の拡大ということが言われているわけでございますが、こういう観点からしまして、天然ガスを発見しました場合も一番中心となります用途としまして、発電用ということになるわけでございます。その他都市ガス用というふうなことになろうかと思います。そういうことで、その発見されました段階でその埋蔵量の大きさ、それから位置というふうなこととの兼ね合いで具体的な用途が需要家側との間で協議されていくということになろうかと思います。
  132. 大塚喬

    大塚喬君 先ほど答弁の中で北海海底油田の開発の問題、それからこのたびの共同開発区域の海底油田の開発の問題。ここで疑問に思いますことは、一体この共同開発区域内の気象条件、自然条件、こういう中で依然として、何メートルまで日本の掘削技術で可能か、こういうことがいままでの重ねての説明でどうもすっきり理解ができません。特に申しますことは、共同開発区域内の東半分は水深二百メートルないし一千メートルの大陸だな傾斜面に当たっており、西半分はその大部分が隆起帯で、掘削には適しない、そういう海底条件を持っておると、こう聞いておるわけでありますので、いまの問題についてひとつはっきりした答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  133. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) この共同開発区域につきましてはこの水深は七十メータから千百メーターまでにわたっておるというふうに承知いたしております。この中で、二百メートル以下が六〇%、三百メートル以下が七五%ということは先ほども御答弁いたしたとおりでございます。現在わが国における試掘の実績でございますが、常盤沖ですでに水深二百十一メートルと、二百メートルを超える試掘が行われておりますし、それから世界的に見ますと、一千メートルを超える試掘実績もあるわけでございます。それから開発の記録といたしましては阿賀沖で八十メートルでございます。近く常盤沖で百五十メーターの水深のとこで開発に着手することになっております。それから世界的に見ますと水深三百メートルを超えるメキシコ湾等で現在開発作業が進められておる、こういうことでございますので、少なくとも三百メートル前後までは現在のプラットホーム方式において開発が可能である。三百メートルを超えるものにつきましては、現在各国が海底生産システムの開発に努めておるわけでございまして、わが国の場合は石油開発公団に付設いたしております技術センターで、その研究を続けておるということでございますので、こういったものが実用化されることも近い将来に期待できるということでございますので、共同開発区域の水深程度であるならば十分に開発可能であると、かように考えておるわけでございます。
  134. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁で、現在の掘削技術、これで言うと、三百メートルよりも浅いところは現在のプラットホーム方式で可能だと。そうすると、それ以上となるとプラットホーム方式では困難だと、こういうことになるわけですね。で、その場合に、その海底生産システムをいま開発中だと、研究中だと、こういうことですが、私が先ほどこの地域の気象条件、それから自然条件、そういうところから、一体この日本開発、掘削、こういうことが果たして見通しとしてどうかということがどうもわからないわけであります。そこのところは、一体いま研究しておって、一〇〇%三百メートルよりも深いところで、しかもその海底生産システムという開発が、この個所の適用が十分に可能であると、こういうことに私はいまの答弁理解をしてよろしゅうございますか。
  135. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおりでございます。試みにどの程度試掘なり開発技術が進んでおるかということを申し上げますと、たとえば試掘につきましては日本の場合つい一九七〇年ごろまでは八十メーターぐらいであったわけでございます。世界的には六百メーター程度、水深ベースでございます。それが現在時点では、先ほど申し上げましたようにわが国でも二百メートルを超えておる。外国の場合、これはタイ沖のケースですが、千五十五メーターまでの試掘に成功しておるということでございます。それから開発につきましては、日本では周辺大陸だなでの開発は四十六年以降しか行われておりませんので、先ほど申し上げました阿賀沖の八十メーター、近く常盤沖での百五十メーターというのが現状でございますが、外国におきましては七〇年時点でせいぜい百メートル前後であったわけでございますが、現在では北海で百四十あるいは二百五十五メーターといったようなところまでプラットホーム方式によって開発ができるようになっておりまして、一言で申し上げますと、開発技術なるものは日進月歩であるということになろうかと思います。  それから共同開発地域につきまして、これは具体的に考えますと、幸いにこの法律が成立いたしまして直ちに開発に入るかというと、その前段階としていわゆる物理探査をやる、その結果として試掘あるいは探掘をやるといったようなことで、少なくとも私は数年の日子が必要ではなかろうかと思います。その間において、やはり開発技術というものは進んでいくということであるならば、七、八年後に現実開発に着手する段階では、いまよりはるかにりっぱな技術が、高度の技術が開発されておるというふうに考えて、科学技術の進歩の趨勢からいたして不自然ではないというふうに思うわけでございます。
  136. 大塚喬

    大塚喬君 一番の出発の原点は、そういうことでいま海底生産システムの研究開発を進めておると、それらは見込みは明るいと、こういう答弁でありますが、ここの場所に、海底どこまでのところが可能になるというふうに見通されておりますか。そして、いま研究開発をやっておるとこういうお話がございましたが、研究開発というのは一体どこで、どのような規模で行われておるのか、もう少しそこのところを御説明いただきたいと思います。
  137. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 水深どの程度まで開発可能かという点につきましては、先ほど長官がお答えいたしましたように、現時点では二百ないし三百メートルぐらいまではプラットホーム形式で生産可能であるということになっているわけでございます。もちろんこれは生産する場合でございまして、石油があるかどうかを探すいわゆる探掘、試掘につきましては、水深千メートルを超えるところでもできるということになっておるわけでございます。この開発をいたします場合に、水深がそれでは二百ないし三百メートルを超えたらどうするかといいますと、結局プラットホームを建てるには深過ぎるということでいろんな施設を海底に設置いたしまして、そこで原油なりあるいはガスを採取するという、いわゆる海底石油生産システムというものが必要になってくるわけでございます。この開発は各国とも研究しているわけでございますが、現時点ではまだ完全に実用化した形にはなっておりませんが、わが国におきましても四十六年度以降石油開発公団の技術センターで実施したわけでございますが、この開発調査を継続的に実施したわけでございます。で、五十三年度からさらにこれを飛躍的に拡大するということで、通産省としましてこれを大型プロジェクトの対象といたしまして、研究開発費総額百五十億円で実施をする、五十三年度から数年にわたりまして研究開発をするということで、かなり本格的な研究活動に着手したところでございます。
  138. 大塚喬

    大塚喬君 いまの質問に対しては納得。  で、ここで掘り出される石油、その油の質。それから、コストの問題でもう少しお尋ねをしたいと思います。  共同開発区域で採取される原油の性状は一体どのようなものと予測をされておりますか、品質はどのようなものであると予測をされておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  139. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 毎々申し上げることで恐縮でございますが、共同開発区域においてまだ試掘は全く行われておらないわけでございます。したがって、試掘を行わないでどのような油が出るかということを申し上げる点についてははばかりがあるわけでございますが、この周辺、特に先ほど来申し上げております阿賀沖のケースで申し上げますと、サルファが〇・一一と非常にローサルファの原油が出ておるわけでございます。そういったところから、この地域からは軽質でかつ低硫黄の原油が生産されるのを期待いたしておるということでございます。
  140. 大塚喬

    大塚喬君 そこのところのはっきりした見通しを聞かしていただきたかったわけでありますが、その点は前に通産大臣にもお尋ねいたしましたように、大慶の重質原油の問題が頭の中にあるものですから、これらの問題と阿賀沖や常盤沖の海底油田からの出される石油、この共同開発区域内の油状、油の性質は一体どういうものかということがやっぱり気になるわけであります。で、そういう質問をいたしましたが、その油が阿賀沖、こういうものに類似するものであろうと、そういうお答えをいただいたので、現在のところは一応そこで了解をいたしておきたいと思います。  その原油の埋蔵量についてでありますが、あるいは採掘、輸送の条件を考えますと、共同開発区域の原油コストは大変高いものになるのではないか、べらぼうに高いものになるのではないかという心配があります。ここで産出される原油というものは経済ベースに乗るものかどうか、乗るものとお考えなのかどうか、ひとつ説明をいただきたいと思います。
  141. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 原油の生産コストは、ただいま大塚委員からお話ございましたように埋蔵量がどの程度あるか、それがどのような形で埋蔵されておるか、その中からどの程度の規模で生産ができるかといったようなことによって左右されてくるということは当然でございます。いまの段階では十分な探査活動がまだ行われておりませんので、どの程度のコストで仕上がるかということの計算は困難でございますが、これに関連いたしまして申し上げますと、阿賀沖の場合にはバレル当たり五ないし六ドル程度と聞いております。それから、北海油田の場合、これは幾つかの油田があるわけでございますが、バレル当たり三ないし六ドル程度というのがイギリスの調査機関での報道でございます。こういったことを勘案して将来対応していくということになるかと思いますが、いずれにいたしましても探査活動をやり、試掘をやり、探掘をやり、その結果としてただいま申し上げましたような埋蔵量、したがって生産量、したがってまたどのような方式による開発をやるかといったようないわゆるフィージビリティースタディーを十分にやった上で、採算性がとれるかどうかを検討した上で開発に踏み切るというのが、こういった油田開発における通常のやり方でございます。この共同開発地域につきましても、ただいま申し上げたような手順を踏んで、経済性も十分認識した上で、現実開発に着工するということになろうかと思います。
  142. 大塚喬

    大塚喬君 いまの長官の答弁からいうと、これはさらさら急ぐ必要はないということになりますね。  それで、私がこういう質問をしておるのは、関係者の中から私どもが聞いておる話では、この共同開発区域の原油一バレル当たり十二、三ドルにはなるのではないか、こういう話を聞かされて、いま石油の需要状況がだぶついて起り過剰ぎみだと、こういう中で関係の業界ではともかく鉱区権は急いで設定をしておいて、その開発はある程度時間を待って、そして採算ベースに乗るようになってからでも遅くないのではないか、こういうことで業界の関係者の中ではこれらの時期を延ばすような、そういうような空気も濃厚である、こういうことを耳にしておるわけでありますが、事実はいかがでございます、どの程度の原油価格になる見通しでございますか。
  143. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いろいろと御指摘があったわけでございますが、その一つは、おまえの答弁を聞いていると、さらさら急ぐ必要がないじゃないかという御指摘でございますが、私はそうではございません。先ほど先生の御質問に対して的確にお答えできないということは、探査活動なり試掘なりが行われてないから、先ほどもお話が出ておりますように三百メートルも四百メートルもの海底で、さらにそれから二、三千メートルの地下の中にある油を表から見詰めるだけで幾らあるかと言われても、これは言えないのが道理でございます。むしろ、そういった探査活動あるいは試掘を重ねることによりまして、御指摘のような点にも的確にお答えする、あるいは経済性というものを確認していくという手順になろうかと思います。そのためにかなりの時間がかかるということでございまして、いまからそういった準備活動に入って、ようやく八年ないし十年後に開発に着工できるということで御了解いただきたいと思うわけでございます。  それから、石油が非常にだぶついておる事態だから特定鉱業権だけを得た上で採算が合うまで待つんじゃないか、という御指摘でございます。この点につきましては、当面まさに世界的に需要が不振でございますから、需給関係というのは緩慢に推移しておる。どちらかと言えば、ここ二、三年は供給過剰ぎみではなかろうかということでございますが、八十年代の後半から九十年代の初めにかけて石油の増産限界が来る、それとともに需給が逼迫してくるというのが世界における通念と申しますか、一般的な考え方でございます。したがって、いまから準備しておる必要があるということでございます。それまでの間、鉱業権を設定したままで関係企業はなかなか着工しないんじゃないかという御指摘でございますが、この特別措置法案の中には、いわゆる探鉱開発を促進するための規定が置いてございまして、特定鉱業権を設定した後に韓国側開発権者との間に共同事業契約を作成して通産大臣の認可を得なければならない、認可を得て鉱業権が設定された後六カ月以内に事業に着手しなければならない、あるいは、六カ月以上引き続いて事業を休止してはならないといったような、まさに御指摘のような事態を回避するための、探鉱促進のための規定を盛ってあるわけでございますので、御指摘のような事態はまず発生しない、法律的にそれは許されない形になっておる、こういうことでございます。
  144. 大塚喬

    大塚喬君 資本というのは、そういうことで縛って許されないとかということでなくて、採算ベースに合わなければ、これはどこの企業だって、どこの国でもやっぱりこれは撤退するのは当然な話でしょう。  それで、私がお尋ねして、答えの中から出てきたことは、この事前の探査の結果これがまだわからない、それから経済ベースに乗るかどうかということも、一バレルどのくらいかかる、こういうことを聞いてもわからない、そういうお答えしか返ってこないわけであります。その経済ベースに乗らなければ撤退をするということは、必然の成り行きだと思うわけでありますが、もしもこの開発区域内で開発が続けられない、経済ベースに引き合わない、こういうような事態が起きた場合には開発を断念するということも、当然その企業にとっては起こり得る問題だと思うわけでありますが、そういうことはありませんか。縛っておけば絶対間違いないと、こういうことになりますか。
  145. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) もちろん、御指摘のように経済ベースに乗らない場合に開発まで入り得ない、その段階においては撤退ということもあり得るかと思います。私が申し上げておりますのは、たとえば特定鉱業権の中身として探査権と鉱業権があるわけでございます。探査権というのは現在の鉱業法の試掘権に相当するわけでございますが、この探査権については期間が八年ということになっておりまして、その八年のうち初めの三年、次の三年、後の二年、それぞれ与えられた鉱区の四分の一ずつ、二五%ずつを鉱区を放棄していく義務があるわけでございます。これは世界で通常とっておる方法でございまして、探査活動を推進していくためにさような形でだんだん可能性のない鉱区を放棄していって、探査の効率的な運営ということを考えておるわけでございます。したがいまして、先生がただいま御指摘になりましたように、この与えられた八年の探査期間中に、探査の結果、可能性がないということになれば、その段階においては放棄、撤退ということもあり得るというふうには申し上げられると思います。
  146. 大塚喬

    大塚喬君 そういう場合もあり得る、こういうことになりますと、協定の三十一条四項、これは二項で五十年間の規定が定められておるわけでありますが、この五十年という期間、これは改定をするか、あるいはこの協定を中途で終了するかという、こういう事態も起こり得るわけですね。いかがですか。
  147. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘になったのは、協定の存続期間の問題だと思います。それから先ほど申し上げました特定鉱業権のうち探査権というのは八年でございますが、いわゆる採掘権は三十年ということになっておりまして、必要とあらば五年ずつの期間でこれを許可を得て延長することができるということになっております。したがいまして、これは特定鉱業権者が実際の活動に入った段階でそれぞれの判断をしていくことになろうかと思います。  それからもう一つ考えられますのは、現在やっている人たち、現在と申しますか、今後特定鉱業権者になる人が仮に全部撤退してしまったという段階におきましても、新しく特定鉱業権者が設定されるということもあり得るわけでございます。あるいはその時点で、現在考えられないような高度の技術が開発されておる場合には、新しくそういった特定鉱業権者が新しい技術でもって開発していくということも考えられるわけでございますので、この協定の存続期間五十年というものが、撤退していく人の状況によって直ちにこれが短縮されるということにはならないんじゃなかろうか、かように思うわけでございます。
  148. 大塚喬

    大塚喬君 この共同開発区域日韓両国共同開発をする、こういうことになる。そして、それらの探査というものは大変莫大な費用がかかる、こういうことを承知いたしておるわけでありますが、説によるとその費用が五千億円、これは衆議院のこの法案審議の際に示された数字のようでありますが、この数千億円あるいは五千億円とも言われますその費用、これをかけてやる場合に、経済ベースに乗る埋蔵量というのは国民がだれもがわかるように、一体この埋蔵量がどれだけあれば経済ベースに乗るのか、そこのところをずばりひとつお聞かせいただきたい。
  149. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま、開発のための費用、当初はどれぐらいになるかという御指摘でございますが、これにつきましては先ほど来申し上げておりますように、現在本格的な探鉱活動というのはまだなされておらないわけでございますので、この共同開発地域にどの程度石油の存在する構造、組織というものがあるかということも完全に把握できておらないわけでございます。そういったところから物理探査あるいは試掘にどの程度の資金が要るか、まして開発に必要な資金はどの程度になるかということは非常にむずかしいわけでございますが、まず物理探鉱につきまして、どの程度資金が要るかということでございますが、現在の世界的レベルでいきますと、測線長一キロメーター当たり、十万円から十二万円ということになっております。この共同開発地域を二十キロメーターのメッシュで探査するといたしますと、約九億から十一億円程度、まあ十億円程度の探査費が必要かと思います。  それからその次、今度は試掘に入るわけでございますが、試掘は海上の場合は当然陸上の場合よりも高くつくわけでございますが、大体一本十五億円から二十五億円程度と言われております。したがいまして、最小限この協定あるいは法律に基づきまして義務づけられておる坑井の数が十一本ということでございますので、これをやるといたしますと、百六十五億から二百七十五億程度、両方合わせまして三百億程度の物探あるいは試掘費が要るわけでございまして、こういった現段階の調査活動を経まして、どの程度油が賦存するか、あるいはそれをどの程度採油できるかと言ったようなこととにらみ合わせて、その投資額を決めていくと申しますか、あるいはどの程度の投資額であれば採算に合うか、いわゆるフィージビリティースタディーが行われる、こういう手順になっていくわけでございます。いまの段階では、何度も繰り返しておりますような状況でございますので、どこまで投資すればこれに見合うかということの状況は、非常に判断がむずかしいわけでございますが、御参考までに北海にニニアンという油田がございます。これの可採埋蔵量でございますが、一億六千万キロリッターと言っておるわけであります。約二十三億ドルの開発資金を投下いたしておりまして、レートを幾らに見るかということもございますが、約五千八百億円程度の投資をやっておる、こういうことでございます。  このほかに幾つかの油田がございますが、たとえば六千四百万キロリッターの可採埋蔵量の場合、約千五百億円、それから約一千百万キロリッターのベースで、約二百七十億円になっておりまして、大体北海の場合には油田によって差はございますが、可採埋蔵量一キロリッター当たり二千五百円から三千七百円ぐらいというのがいままでの北海油田における実績値でございます。それから阿賀沖の場合には、いままで三百億円の開発投資をいたしておりまして、可採埋蔵量は一千万キロリッターということでございますので、可採埋蔵量キロリッター当たり約三千円ということになろうかと思います。  先ほど来申し上げておりますように、もっとこの共同開発地域の探査、試掘を続けないと確たることは申し上げられませんが、大体過去の実績等からいたしまして、埋蔵量キロリッターにいたしまして、三千円前後と申しますか、三千数百円程度までであるならば、現状ベースでは可能性があると、こういうことになろうかと思います。  それから、先ほど五千億というお話でございますが、五千億程度の開発コストをかけた場合に、これはいろんな前提を置いてでございますが、大体可採埋蔵量ベースで一億二千万キロリッター程度という、これは費用も生産物も共同開発の場合には日韓両当事者で折半するわけでございますから、投資額は二千五百億に対して六千万キロリッターの油が確保できる、こういう計算になろうかと想います。
  150. 大塚喬

    大塚喬君 ただいまの答弁の中で幾つか重ねて質問をいたしたいことがございますが、先ほどの十一本という坑井掘削ですね、これは措置法第三十四条にある探査権者が坑井掘削義務を課せられておるのがこれが八年間に十一本と、こういう意味でございますか。
  151. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) そのとおりでございまして、交換公文に記載されておるわけでございます。
  152. 大塚喬

    大塚喬君 この十一本、これを韓国日本の鉱業権者がどういう割合で掘削をするのですか。両国の鉱業権者、これは同数の坑井−井戸を掘る、これを掘削するのですか、いかがですか。
  153. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 共同開発区域につきましては、日韓両鉱業権者が共同して開発することになるわけです。現実、実際問題としてはどちらかが操業管理者になってやるわけでございますから、両当事者の話し合いによって日本側が操業管理者になるか、あるいは韓国が管理者になるかという場合もあり得るわけでございますが、費用は折半ということでございますので、どちらが手がけるにいたしましてもそれに要したコストは半分ずつ出し合うと、こういうことになろうかと思います。
  154. 大塚喬

    大塚喬君 費用は折半ということですが、現実両国共同開発をすると、こういうことになれば、二つの国ですから、大体原則的に半分ずつ掘るとかあるいは日本が資本が、技術があるから十一本のうち八本やってくれと、韓国の方は三本引き受けますと、費用の折半ということはわかりましたが、現実にどういう割合で坑井をするのか、そこのところが知りたいわけであります。
  155. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) どちらが操業管理者になるかということは両当事者で話し合いにゆだねておるわけでございまして、協定の中ではその三月以内に両当事者間で合意に達しない場合には政府間で協議をする、政府間協議が二月以内に合意に至らない場合にはくじ引きで決めるというふうになっておるわけでございます。手続的にはそういうことでございますが、協定の中では、操業管理者の指定は可能な限り公平なものになるようにと、鉱区は九つでございますから、四と五とかなるように、できるだけバランスがとれるように操業管理者は決めるべきであるという精神的な規定はございます。
  156. 大塚喬

    大塚喬君 このボーリング費用が一本いま二十五億程度かかると、こういうお話がございましたが、いま刻々とインフレ物価高、物価高騰ということが続いておるわけでありますが、これらはこの八カ年の平均をした二十五億という数字になるのですか。それから掘削地点、そこの条件によって大きな差が出てくると思うわけでありますが、実際掘ったらこれが一本五十億、六十億というような、そういうことになる、そういう懸念は全くないのですか。二十五億というのが最高限度で、いかなる地点でどのような方法で掘っても、これは平均して二十五億を超えないと、こういう理解をしてよろしゅうございますか。
  157. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私が海域におけるボーリング費は一本平均いたしまして十五億から二十五億円程度と申し上げましたのは現在の価格でございます。したがって、将来物価が上がっていけばこの十五億ないし二十五億という数字も当然変わってくるだろうと思います。それから、もちろんそれにつけて石油の価格自体も変わっていくであろうというふうに思うわけでございます。御参考までに、五十二年度中に日本が輸入いたしました原油一キロリッター当たり、これは通関ベースでございますが、八十六ドルという数字になっております。仮にバレル五、六ドルといたしますと、これを六倍すればキロリッターになるわけでございますから二十ないし三十六ドル程度ということになりましょうか、もちろんこれはその坑井のサイトにおける原価でございますから、これをもって必ずしもすぐに比較はできないわけでございますが、現状の、日本が輸入しておる通関価格を御参考までに申し上げますと、そういう価格になっておるということでございます。
  158. 大塚喬

    大塚喬君 先ほど答弁は、協定九条の、費用は等しい割合で分担されると、こういうことによって日本韓国との権者が折半をされる、こういうことになるわけですね。  そこで、いまの掘削の本数と費用、私がどうしてもひっかかるのは、一体、そういう費用が韓国側関連の業者の中で日本と折半をして、そういう費用が現実にどうなのかという心配が一つあるのと、関係の業者から、この開発の原油は十二、三ドルはかかってとても経済ベースに合わないと、こういうことを聞かされたことが妙にひっかかりになって、このことについて不安を持っておるわけです。その十二、三ドルという一バレル当たりの単価、こういうことについて現在の坑井掘削、開発の費用、こういう点から関してこういうことは絶対にあり得ない。現在の輸入単価、そういうものと全く匹敵をするか。自前の石油を取るんだと政府が宣伝をしておったわけでありますが、そうなれば当然メジャーから輸入をするそういう原油よりは安くなるものと一般国民は期待をしてくると思うわけでありますが、そういう点は心配がないものですか、どうですか、お伺いをいたします。
  159. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 一つは、韓国側の負担が可能かどうかということでございますが、これはむしろ外務当局からお答えいただいた方がいいかと思いますが、私の方の立場からいたしますと、この共同開発区域で事業をやる場合には、日韓の両鉱業権者が、いわゆる共同契約と申しますか、共同開発事業契約というものを結んで、日本の場合には通産大臣の認可を得ることになっております。その中に、費用の折半、生産物の折半といったようなことについても記載することになっておりますので、両当事者で十分話し合って、韓国側も負担し得るんだという確認かなければ、日本側の企業がさような双務契約であるところの共同開発事業契約を結ぶはずがないというふうに私は思うわけでございます。  それから、十二、三ドル、バレル当たりコストがかかるということになりますと、これはかなり問題かと思います。先ほど、私は、キロリッターで八十六ドルが日本の場合の通関平均単価だと申し上げました。バレルで申し上げますと十三ドル八十セントということになるわけでございます。十二、三ドルということになりますと、これは十三ドル八十セントの通関価格とほぼ近くなってまいりますから、バレル当たり十二、三ドルもかけた場合には、ただし、これは現状価格ベースでございます、これは現実問題として経済性が非常に乏しいと言わざるを得ないかと思います。もちろん私たちといたしましては、近いところで開発するわけでございますから、遠くから持ってくる油よりも安定的に、しかもそれよりも経済的に確保できるということは、当然期待するわけでございます。十二、三ドルと、どの方がどのような計算結果で出したか、私はむしろ教えていただきたい。先ほど申し上げているようなことで、十分に賦存状態も確認しない段階で、どういう前提で十二、三ドル、バレルという数字が出てきたか、なかなか私自身判断しづらいわけでございます。日本の場合、先ほど申し上げた阿賀沖では五ないし六ドルという実績がつい現実の問題としてあるわけでございますので、どうもこの十二、三ドルの根拠自体、私むしろ教えていただきたいという気がするほどに、かなり経済性を持たないコストではなかろうかと思います。
  160. 大塚喬

    大塚喬君 いまの数字は、日本石油業界でひそかに計算をして、そういう数字が文字になって公表されておりますよ。それが関係者の当事者の皆さん方が、そのことを一目も触れないということを私はどうも納得できません。  それで、新日本石油開発、これは株式会社ですが、阿賀沖や村上沖で行った試掘で、これの深さは三千メートルないし三千六百メートル。物理探査ではありませんよ、試掘した井戸の深さ。これは共同開発区域では一体その深さはどのくらいになる見込みですか。
  161. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 最近におきます日本周辺の海域での試掘を行います場合に、井戸の深さとしましては、先生指摘のとおり、三千メートルを超える場合が非常に多いわけでございます。この共同開発区域につきまして、どの程度の深さの井戸を掘るかということにつきましては、物理探鉱を実施いたしまして、さらに詳細に地下の構造を見きわめましてから試掘をするわけでございますが、もし油田になるような構造が浅いところにあればそんなに深く掘る必要がないし、逆の場合は、またかなり深く掘らざるを得ないという、地下の構造によるわけでございます。  そういうことで、一般的に言いますと、やはり三千メートル前後、三千メートルを場合によっては超えるような深さまで試掘は行わざるを得ないのが通例ではないかと思っております。
  162. 大塚喬

    大塚喬君 そうなりますと、さっきの費用、これはどうしてもやっぱりもう少し解明したいと思いますので……。  物理探査の費用、これをやって、そして試掘井を掘ると、それからそれに引き続いてボーリングをするそのボーリングの費用と、それから開発の費用と、関係当局では、それらのことをそれぞれ内訳して、一体どの程度かかり、どういうお見通しを立てておるのか、そこのところをもう一度ひとつ改めてお聞かせいただきたいと思います。
  163. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほど例示的に、北海油田あるいは阿賀沖の例で申し上げたわけでございますが、たとえば先ほどのニニアンの油田が、可採埋蔵量が一億六千万キロリッターで、いままでの開発費が二十三億ドルということでございます。共同開発区域におきましても、この程度の規模のものが開発されるならば、やはりこの程度の投資が必要ではなかろうかと思うわけでございまして、先ほども申し上げたわけでございますが、三つ四つの実例からいたしまして、可採埋蔵量キロリッター当たり二千五百円から三千七百円程度の範囲に入りておるわけでございますので、結局は可採埋蔵量あるいは生産量といったものとのかみ合わせで、投下資本額というものは決まってくると。その場合に、ただいま申し上げたような具体的な事例を勘案して経済性というものが判断されていくであろうというふうに思うわけでございます。
  164. 大塚喬

    大塚喬君 ともかく膨大な費用がかかるということだけははっきりいたしたわけでありますが、政府は、特定鉱業権の設定の許可、これに当たっては経理的、技術的能力が審査されるから、開発資金については大丈夫だと、いままでの論議の経過のそういう事業は心配ないと、こうおっしゃっておるわけでありますが、一体この経理的能力、これを見る場合に、当然石油開発公団の投融資が行われるものと私ども理解をいたしておるわけであります。業者も、もちろんそれを前提にして申請をしておるものと思うわけでありますが、それを加えて審査をされるものと思うわけでありますが、そういう観点で、経済的能力、その審査はどうされるのか、そこのところをひとつお答えいただきたいと思います。
  165. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 石油開発公団で投融資する場合、これは当然のことでございますが、開発企業から投融資の申請が出てまいりまして、その申請を受けて、公団が投融資するかどうかを審査の上投融資の最終的決定を行うと、こういうことになっておるわけでございます。御承知のように、現在まだこの法案の御審議を賜っておるわけでございますので、開発権者は決まっておらない。したがって、当然のことでございますが、探査計画あるいは開発計画といったようなものは決まっておらないわけでございますので、公団にまだ申請が出てきておるということではございません。  ただ、石油開発公団の探鉱投資の基本的な運用方針といたしましては、国際的に紛争のある地域あるいは紛争のおそれのある地域には投融資を行わないことは適当であるというふうにも考えております。したがいまして、この法律が通った後特定鉱業権者から開発公団に融資申請があった場合、その時点で公団から融資するのが適切であるかどうか。融資することが適切でないという判断に立った場合には、公団の投融資を行わずして、経理的能力があるかどうかということも当然そういう角度からの審査が必要になってくるということになろうかと思います。
  166. 大塚喬

    大塚喬君 この開発公団関係の問題はもっともっとたくさん問題があるわけですが、もし時間があれば若干入ることにして、外務大臣にも先ほどからおいでいただいているものですので、眠くなったりするとまことに申しわけありませんので、外務大臣にひとつ今度はしばらくおつき合いを願ってお尋ねをいたしたいと思います。  竹島の問題であります。この大陸だな関係法案、これが参議院審議をされる段階で二つの象徴的な事件が起き、一つ先ほど取り上げた尖閣諸島の問題でありますが、竹島の問題がもう一つ残っておるわけであります。  これは今月の八日、韓国政府が竹島周辺の日本漁船に退去を求めてきた事件、これであります。この二つの事件、特に韓国側がこの竹島事件をこの時期に退去を要求してきたと、こういうことはこれは審議中の日韓大陸だな特別措置法案審議と決して無関係なものではないと、こういうふうに私ども感ずるところであります。  外務大臣はこの事件をどういうふうに受けとめておられますか、竹島事件。
  167. 園田直

    国務大臣園田直君) 私は、今度起こったこの事件は、いま提案されておる大陸だな法案との関係は全くないと考えております。
  168. 大塚喬

    大塚喬君 全くない。
  169. 園田直

    国務大臣園田直君) はい。もしこれを、こういう事件を起こして退去を命じて、それで大陸だなの法案審議が促進されるなどということを考えるはずはないと、こう思うわけであります。
  170. 大塚喬

    大塚喬君 アジア局長にお尋ねいたします。  今回の韓国政府の竹島周辺の日本漁船退去命命、この事件の概要をひとつここでお聞かせをいただきたいと思います。
  171. 中江要介

    政府委員中江要介君) 竹島周辺でわが国の漁船がイカ釣り操業をしておりましたのに対しまして、韓国側から領海外に立ち去るように退去要請を受けたのではないかということをいま竹島周辺の事件とおっしゃったわけですが、このことが起きましたのは、いまおっしゃいましたように八日のことでございますが、五月八日に韓国の外務部のア州局の河審議官が在韓日本国大使館の古川公使を呼びまして、七日の夜から八日にかけて竹島周辺に日本国漁船二十数隻が停船ないし操業している、これは領海侵犯であるからと言って抗議をする、そして当該漁船の退去を申し入れてきたと。こういうところから起きたわけでございまして、これに対しまして古川公使は、当然のことでございますけれどもその場ですぐに、直ちに、竹島が歴史的にも国際法上も日本の領土であることは再三にわたり韓国政府に伝えてあるとおりである。したがって、日本の領土たる竹島周辺に日本漁船が存在しても何ら不思議はない。韓国側抗議するということに対しては、竹島が日本固有の領土であることを改めて指摘して、逆にそういうことを言ってきたことに抗議したいと、こう言って応酬いたしたわけでございます。  ここから物事は始まったわけですが、この竹島周辺にイカ釣り操業漁船がなぜこの時期に操業していたかということにつきまして、私どもが水産庁から説明を受けたところでは、それぞれの基地と言いますか、出てきている地域も日本の各地にわたっておるわけですが、たまたまイカ釣り操業、これはいまシーズンでございますのでやっておりましたら、悪天候で避難する必要があるということで、だんだん竹島の島陰の方に避難しつつ操業するという状況が、この七日の夜から八日の朝にかけてあったんだということが、その後の調べでわかったという情報を受けております。この点はかねてから、竹島がまだ日韓正常化前から領土の問題としてありましたときに調べておりましたところでは、この竹島という島があの辺では孤立して存在しておりますので、あの辺で操業する小型漁船にはかっこうの避難場所と言いますか、波風をよける場所として使われていたということがあったわけですので、この日本の漁船がこういうふうに島陰の方に身を寄せて操業を続けたということは自然にあり得ることである。したがって、そこには別にいまの時期に何かするというような意図ではなくて、よく漁業操業中に起きたことが、たまたまこの七日の夜から八日の初めにかけてあったんだろうと、こういうことでありましたが、そういたしますと、結局問題は、日本漁船の方に特段の意図なり目的があったわけではなくて、むしろその起き得る、起き得たかもしれない日本漁船の避難しつつの操業というものに、韓国側が今度は領海侵犯として取り上げたのはなぜかというふうに、問題の側面が韓国側の措置に移るわけでございます。  で、この韓国側がなぜこうしたかということについて、もし新たな要素がありといたしますと、御承知のように、四月三十日に韓国は新しい領海法を実施いたしました。これは日本も昨年の七月でしたか、十二海里にいたしましたが、韓国はことしの四月三十日から領海を十二海里に拡張したわけでございます。この竹島につきましては、これはもう日韓正常化のときにさんざん日本韓国の間で論争いたしまして、韓国が竹島は自分の領土だという立場をとっていることは私ども承知しておりますし、また韓国側日本がこの竹島は自分の領土だという主張をしていることも知っておるわけです。これの法律的な決着をつけることがきわめて困難なままに、日韓正常化をいたしますに当たって、御承知の紛争解決に関する交換公文ということで両国間の紛争としてお互いに認識していまに至っている。こういうことでありますから、韓国立場に立ちますれば韓国側はこの周辺に十二海里、日本立場に立ちますれば昨年の七月からこの周辺は十二海里というそれぞれの領海を主張している。これは天下に明らかなところである。  で、そういうことは韓国承知の上でありますから、それを一方的に自国の主張だけが正しいんだという前提日本漁船に退去を要請してくるというのは、これはやはり日本としては認めるわけにまいらないということですので、古川公使がその場で直ちに応酬いたしましたその立場は、日本政府立場であるわけですが、そうこうしておりますうちに、実はこの退去要請をしておりますのは韓国の警備艇が退去要請をしたのではないかという情報がございましたので、もしそういうことになりますと、これは御承知のように公の船でございますから、公権力に基づく現場における退去要請と、こういうことになると、いままでの外交チャンネルを通じてあの地域から立ち去ってくれという話よりもさらに重い問題になりますので、その部分については日本政府としても事実を詳細に調べて、もしそういうことがありますならば、これは改めて韓国側に厳重に抗議をしなければならないということで、いま事実の調査をしておるところでございます。  きょう朝の状況として、水産庁からの連絡によりますと、現場の漁船からの連絡で、日本漁船はすべて竹島から二十海里程度のところ、つまり十二海里よりもさらに遠いわけですが、二十海里程度のところでいま操業をしている。しかし、その辺ではやはり魚の収穫率が悪いので、できればもう少し竹島の方に近づきたい、こういう希望を持っているというような連絡がございました。  これに先立ちまして昨日の午後、境港のいか釣漁業協同組合の臨時役員会というものが開かれたそうでございまして、そのときには相当強い意見がありました。竹島は日本の固有の領土なんだから、十二海里内であってもどんどん入って操業をすべきではないかと。また、日本の海上保安庁から巡視船も出してもらって、日本漁船の保護に当たってもらえばいいじゃないか、こういう決議も行われたということだそうです。  ところが、他方、そういうふうに強行的な手段で操業を続けて、もしそこで不測の事態が起きますと、これは結局のところ周辺の漁業全体に対して果たして安全操業が継続できるかという問題にやはり思いをいたさなきゃならない。したがって、全般的な漁業利益を考えると、やはりいままでどおり——いままでどおりといいますのは、日韓正常化以来ずっと十何年間か竹島周辺ではこういうたぐいの紛争と言われるようなものになることがなくて、操業秩序が維持されておったわけですので、いままでどおりの操業を続けていく、刺激的なことをしないという方がこれがやはり有利ではないかという考え方もあるということで、現在のところは鎮静化しているということで、水産庁では担当課長が境港の現場にいま急行して実情を見ている、こういうことでございます。  したがいまして、いまの時点ではどうかと言われますと、状況は鎮静化いたしまして、国交正常化の一九六五年以来ずっと続いてきているような状況に復しているということでございまして、その過程で、この八日以来数日間に起きました事件につきましては、私が先ほど申し上げましたように、韓国側日本漁船に対して現場でとった措置の中に、わが方として絶対に承服できない、領土権に基づく公権力による措置があったといたしますれば、それはまとめて、正確な事実に基づいて韓国側に厳重抗議しようという準備を進めておるというのが現状でございます。
  172. 大塚喬

    大塚喬君 日本固有の領土である、こういう基本的認識の中で、現状は二十海里以上のところを離れて操業中で、しかもその漁船が大変不利な扱いを受けておる、こういうことでありますね。そうしますと、先ほど外務大臣答弁ですが、この大陸だな審議に何らの関係がない問題だと、こう断定的におっしゃられたわけでありますが、外務大臣、やっぱりきのう、きょうの新聞をごらん願ったかと思うんですが、幾つかの新聞報道によりますと、韓国政府がこの時期にこうした要求、こういう実力行使ともまあ見られるわけでありますが、これに踏み切った背景は、本特別措置法案成立協定批准のために揺さぶりをかけたと、こういう表現が使われておるわけであります。この見方がこれは実際に正しいのではないですか。そうとすれば、韓国政府のやり方はきわめて露骨なやり方である、そう言わざるを得ない今度の仕打ちであろうと私は受けとめるわけであります。  わが国としては、韓国政府の今回の措置に対して、いまアジア局長から答弁がありましたが、日本の古来の固有の領土である、こういうことになれば、この問題について毅然としたやっぱり対処、現実に漁船はもう二十海里以上離れて、大変おっかなびっくり操業しておるということですので、これらに対する海上保安庁のとるべき措置、あるいは外務省としてのとるべき措置、具体的にひとつ、漁協の役員会のそういう実情等もお聞かせいただいたところでありますので、どうされるのか、ひとつ示していただきたいと思います。
  173. 中江要介

    政府委員中江要介君) 基本的に、私先ほど申し上げましたように、竹島の領有権については日韓間に紛争があるわけでございます。これは、日韓双方とも国際紛争であるという認識を持ったままで正常化したわけでありますから、この紛争は解決しなければならない。この紛争の解決のためには、当時、紛争の解決に関する交換公文というものがございまして、この紛争はいずれにいたしましても話し合いによって平和的に解決しなければならない。遺憾ながら現状韓国によって不法に占拠されておる、日本立場からいたしますとそういうことになりますし、韓国立場からいたしますと、自分の領土を自分でいろいろやっていることには問題がないと、こういう立場で、そこは全く紛争としては平行線のままであります。  これを解決する方法としては、その紛争の解決に関する交換公文によりますれば、外交上の経路によってまず解決の努力をする。他に特別の合意がなければ、調停の手続について合意をして調停に付するということになっておるわけですが、いまのところはまだ外交上の経路を通じて解決しようという話が十分実っていない、きわめて入り口の段階であるわけです。  しかしながら、これはいつも大臣もおっしゃっておりますように、そうかといって放置しておいていいものではない。いわんや韓国側で既成事実のようなものをだんだん積み上げてきているという納得のできない事実もあるわけでございますので、これはいま先生もおっしゃいましたように、毅然たる態度で臨まなければなりませんけれども、毅然たる態度で臨むということは、平和的な手段以外の手段をとってもいいということではないわけでございますので、そこのところは多少の忍耐は要るわけですけれども話し合いによって、われわれの主張韓国側に十分納得させる努力を今後とも重ねていきたい。そういう話し合いによって解決するという前提に立ちます以上は、話し合いが円満に解決する方向に向かう話し合いでなければ、たちどころにけんか別れではいたし方がない。で、建設的な話し合いのできる雰囲気というのは、やはり両国間に信頼関係がなければ、最初から話にならないということでございますので、いわんや現場において非常に不測のあるいは予期しないような事件というものが起きているような状況ではなかなか、その事件の解決はできましても基本的な領土問題の紛争についての話し合いはむずかしい。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、一九六五年に正常化いたしましてからいままで日韓漁業協定その他によってある程度の操業秩序、安全操業というものが竹島周辺においても事実上維持されてきておるわけでございますので、そういう状況に復した段階で、むしろこの領海侵犯事件というものよりもその根底にある領土紛争そのものについてやはり抜本的に解決に積極的に努力していこうということで、これから臨みたいという時期に差しかかっているというふうな認識でございます。
  174. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁外務大臣、この新聞報道はそういうことになると、揺さぶりをかけた、審議の促進のために韓国側が図ったということは、これはまるっきりでたらめだと、うそだと、こういうことでございますか。  それからもう一つ、海上保安庁の方どなたかお見えになっておると思うんですが、海上保安庁の対応はいかがでございますか。
  175. 園田直

    国務大臣園田直君) この事件が起こったことによって、日本国会における国内措置法が審議が促進されることではなくて、逆にこの事件によって私は審議が困難になってきたと私は即座に考えたわけでありまして、したがいまして、揺さぶりをかけるということは、そのことによって審議が進むということではありませんから、逆でありますから、私は揺さぶりをかけたとは思っておりません。
  176. 大塚喬

    大塚喬君 アジア局長からお答えをいただいたわけでありますが、竹島については、日韓両国がそれぞれ自国の固有の領土であるという主張をしてきておることは私も承知をいたしております。それは歴史的にも、また国際法の観点からも両国主権主張する、そういう根拠がそれぞれに何らかあるものと、私もそう受けとめております。そうなってまいりますと、あとは現実の問題として竹島をいかに実効的に支配をするか、その支配を継続する実績を積み重ねるかに一切がかかってくる。一切という言葉はちょっと言い過ぎかもしれませんが、ともかくそういうことが重大なかかわりを持ってくると、こう理解をするわけであります。  現に韓国は、この竹島に各種の施設をすでに設置をいたしております。そして、武装した警備隊員を配置して実効的支配を着々と積み重ねておるわけであります。竹島の領有権問題については、終始韓国日本の外務省、日本政府は常に先を越されて、わが国は後手後手をずっと打ち続けており、事、尖閣諸島などに対するときの対応の仕方、これとはまさにずいぶん雲泥の差と申しますか、その反応がにぶい、弱腰であるという、そういう感じすら受けるわけであります。  外務大臣、この尖閣諸島、竹島、この二つ日本外務省の対応の仕方についてそういう私は受けとめ方をしておるわけでございますが、韓国側に先手先手を打たれて日本政府がまるっきり目を回しておる、こういう見方は、これは外務大臣、事実としてお認めになりますか。
  177. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私、先ほど竹島の領有権について日韓間にはこれが国際紛争になっているということを申し上げましたが、そのことはいま大塚先生がおっしゃいましたように、日本にも韓国にも同じぐらいの言い分があっての紛争だということではないのでございまして、これはもう詳しいことは一々いまでは申しませんけれども韓国側には竹島を自国の領土と主張する根拠はきわめて薄弱であるということでございます。そのことは、日韓正常化のときにずいぶん議論いたしましたときに、いろいろの資料で政府としても見解を出しております。なぜそれでは韓国側は自国の領土だと主張しているかといいますと、これは日本が第二次大戦の後で連合軍によって占領されましたときに、マッカーサー連合国軍司令官がいわゆるマッカーサーラインというものを引きまして、日本の行政区画をこのマッカーサーラインの内側ということに指定したときに、竹島がそのマッカーサーラインの外に置かれだということで、一時占領期間中日本の行政権行使される範囲の外に置かれた。それがそのまま今度は、李承晩大統領になりまして李承晩ラインという形で韓国側の李承晩ラインの中に組み入れられて、しかしながら、そのことは、もとになりますマッカーサーラインそのものがこれはその線引きをした内と外というのが領有権の区分を言うものではないということは、国家主権の及ぶ範囲であるかないかということではなくて、占領下にある日本の行政権の範囲が限定されたものにすぎないということがはっきり連合国の覚書の中にもあったわけです。  したがいまして、マッカーサーライン及びそれを引き継いだ李承晩ラインの中に竹島が入っているからといって、それが韓国の領域であるという主張は、これはきわめて根拠が薄い。ところが問題は、そういう経緯の中で韓国が、自国のものだという前提でいろいろ事実上の支配を始めた。当時、日本はこれに対し抗議をし、あるいはその撤去を要請しという時期を過ごしましたけれども、御承知のように日本の新しい憲法のもとで、日本はあらゆる紛争を平和的に解決する、その後国連にも入りまして、いまの国際社会ではあらゆる紛争は平和的に解決するということでございますので、相手が不法占拠でありましても、これは北方領土も同じでございますけれども、不法占拠していろいろの既成事実がある場合に、それを力で解決するという道は日本は選ばない。話し合いによって解決するという道をあくまでも追求するということでございますから、力で直ちに払いのけるということをしないことがもしなまぬるいとおっしゃるならば、それは日本のいま歩んでいる道が、そういう道であるということからくるものだと思うわけです。  それと尖閣諸島と違うではないか、これは全く違うわけです。どこが違うかと申し上げますと、申すまでもなく、両方とも日本の固有の領土でございますから、日本は、主張としては固有の領土であるという主張を堅持する。その固有の領土であるから、本来ならば実効支配をしていけばいいわけです。ところが、竹島の方は韓国が先に不法占拠してしまっている。それを力で払いのけるのでなくて、日本の実効支配が及ぶようにその現状を変更するために、あくまでも話し合いによる解決を求めていくというのが竹島の方でございまして、尖閣諸島の方は固有の領土だという立場は当然堅持すると同時に、現に実効支配をしておるわけでございますからそれを続けていけばそれでいいわけでございまして、横から、客観的に見ますと、尖閣諸島の方は固有の領土を実効支配している。竹島の方は固有の領土を不法占拠されておる。そこからくる違いがいろいろの印象となってあらわれるものだと思いますけれども日本政府としてはいま申し上げましたように、双方とも日本政府主張としてはこれは一歩も譲らない、その主張を堅持するということを貫いているという意味では同じ立場を持っておりまして、北方領土も同じでございますけれども、領土権については、日本は一貫した主張を堅持して、そして現状がその主張と合っていないところは、あくまでも平和的な話し合いによって正しい姿に戻すという努力を継続している。こういうふうに認識していただきたいと思うわけでございます。
  178. 大塚喬

    大塚喬君 ただいまのアジア局長答弁によりますと、韓国側主張する固有の領土であるその根拠ははるかに薄い、こういう認識のようであります。この事件を話し合いで、平和裏に解決をするということは私も当然であり、そうなければならないと、こう考えるわけでありますが、このたびの韓国の竹島に対する不法占拠事件は、いま局長の答弁をもとにしますと、明らかに日本領土、主権に対する重大な侵犯であるということになるわけですね。そして、そこに各種の施設をつくり、武装した警備員を配置をし、そしてこの五月八日に日本漁船に対して退去命令を下したと、こういうことになりますと、これはどう考えても日本政府がこれに対する対応、そのことは実力行使というようなそういうことではなくて、もっと毅然たる態度を、これは日本の全国民は強く要求をしておることだろうと思うわけであります。といたしますと、もちろん話し合いによるわけでありますが、その話し合いの筋というのは、韓国側に速やかにその施設の撤去、その警備兵の撤退を要求する、そのことが一番重要な話し合いの筋になるものではありませんか。日本政府韓国側の不法占拠に対して、日本主権侵害に対して速やかに撤退を、そして退去を要求すべきではないですか。いかがですか。
  179. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点はおっしゃるとおりでございまして、すでに日本は竹島の韓国による不法占拠に対して五十回前後、四十九回でしたか五十回ですか、いままで抗議をし、あるいはいま申されましたような施設なり警備員の撤去、撤退、そういったものを繰り返し繰り返し要求し、そして韓国側の反省を求めておるわけでございますけれども、遺憾ながら現在までのところ、それに基づいて韓国が何らかの措置をとったということはないわけでございます。  この問題は日本有効支配しておりますところに韓国が入ってきて、そしてこれを不法占拠した、つまり新たな形の主権侵害ということで起こってきたというよりも、日本韓国が正常化するその時点においてすでに韓国が不法に占拠しているというところから出発して、ただ問題は、不法占拠の事実を積み重ねてきていると、これがはなはだ遺憾なことであるということは、これは先生と私どもも同じ感じでございまして、そのことは日韓友好の見地からいたしましても許しがたいことであるということは、折に触れて韓国側と強く話し合いをしておるわけでございますが、いままでのところ好ましい成果を上げていない。それはなぜかといいますと、韓国は、それは自分の固有の領土であるという韓国側主張があるわけでありますから、したがいまして、撤去を要求するにしろ、あるいは不法占拠をもとに戻すにしろ、その根幹になっております領有権の争いにやはり結着をつけない限りは、この抜本的な解決にならないと。したがって、これは領土権にかかわる国際法律紛争であるという国際法上の国際紛争であるということで、紛争解決の交換公文にのっとって、できるだけ速やかに、早く解決したいし、また解決のめどのつくような日韓関係というものを、そういう話し合いによって解決しようという雰囲気が醸成されることもあわせて努力しなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  180. 大塚喬

    大塚喬君 いまのアジア局長答弁、言葉はいろいろおっしゃるが、現実には何の実効も上がっておらない、政府態度がきわめて弱腰であり、結果としては日本政府韓国政府の言いなりになって大幅な譲歩を繰り返しておると、こういう結果以外の何物でもありません。そして、この重大な日韓大陸だな協定審議をしておるときに政府・自民党の皆さん方はこれを速やかに批准に移したいと、こういうことで努力をされておるそのときに、韓国政府がこのような不法、不当な行為を突如として実施をいたしたわけであります。前々から撤去をしろ、撤退をしろと、こういうことを言っておったと、こういうことですが、この時期に、改めて顔を逆なでされるようなそういう事態の中で、大使がたまたまその話し合いをして、そういうことで現在成り行きがおさまっておると、こういう事態はどうしても納得ができないわけであります。韓国政府から竹島問題でこのような不法、不当な措置を受けながら、このままで、いまここで国会でも取り上げられておるわけでありますが、具体的に、速やかな時期にどうされるのか。私は、強硬にこの竹島の退去を要求すべきである、施設の撤退を、撤去を要求すべきであると、こういうことを主張するものでございますが、外務大臣、この時期にそういうことに踏み切る決意はございませんか。
  181. 園田直

    国務大臣園田直君) 竹島の問題は、ある時期に、なるべく速やかな時期に韓国に対して強く要請をし、そして少なくとも日韓両国が話し合った紛争地帯としてやるという体制に復することを要求をし、これを実現するときがなければならぬということは、御意見全く同じでございます。
  182. 大塚喬

    大塚喬君 日本の外務省は、大変誇り高いそういうお役所であることを私ども、かねがね承知をいたしておるところであります。ところが、この問題に関しては、いま外務大臣にも重ねてお尋ねをしたところでございますが、言葉のあやはあっても結局弱腰外交であり、何もしないと、こういうこと以外にあの答えの中から何も返ってまいりません。外務省は、なぜ韓国に対してはこういう行き方のままで、言葉のあやで逃げようとするのか、どうしても私には納得できません。具体的にどうする考えなのか重ねてお尋ねをいたします。
  183. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず、今回起きました領海侵犯といって向こうが問題にしております事件、これにつきましては私、先ほど申し上げましたように、現場における退去要請なり退去要求なりというものの行われ方を正確に把握した上で、それにつきましてはそれなりの抗議をするという準備をしていると申し上げまして、御理解いただいたと思います。そのもとになっております、領有権主張についての紛争、この紛争につきましてはこれは正常化のとき以来の国際紛争でございますので、これは冷静に紛争解決に関する交換公文の指示するところに従って解決の努力をする。そのために双方ともが、自分の主張があるわけでございますから、自分の主張がある上で、それを相手には相手の主張があることを納得した上で話し合いに入っていくと、こういうことでありますので、相当高度の政治的な話し合いによってそういう道を選ばなければならぬ。かつて、日本は一九五四年でございましたか、この問題を国際司法裁判所に提訴するということを韓国側に提案したこともございました。韓国はこれを受け入れませんでした。  したがいまして国際司法裁判所の判定を仰ぐことはできませんでしたから、今度は紛争解決の交換公文で、いろいろ外交上の経路によって解決してもなおかつまとまらないときにはこれは調停によろうと。その調停の手続を改めて合意する必要があるということで、きわめて冷静に解決の方法について話し合うという事態に持っていきませんと、強硬に、毅然としてということだけでは、相手も相手の立場に立っておるわけでございますので、基本の問題の解決にはなかなかほど遠い。したがいまして、日本主張を堅持する、またそれを相手に訴えるという点では毅然として外務省も一貫してやってきているつもりでございますし、ささいな変化があるごとに韓国側に対してはその注意を喚起し、厳重に警告し、抗議を重ねるという、将来仮に調停なり国際司法裁判所の法廷になり出たときに、日本政府としては自国の主張を一歩も譲ってないという、それだけの外交的措置は私どもとしても最大限重ねているつもりでございます。ただ現実の姿を見ると、先生もおっしゃいますように何ら改善されてないという点は、これは翻して申しますと相手が相手の主張を一歩も譲ってないということでございまして、これは日本が一歩も譲ってないのと同じことでありますので、これは先ほど申し上げましたように領有権に絡まる国際紛争として解決する以外にその一つ一つの現象だけを何らかの形で毅然として解決するといっても、これはなかなか戦後の日本の外交のあり方としては限度がある。  したがいまして、これから何をするかという点は、これは外務大臣も最近おっしゃっておりますように定期閣僚会議があるならその席、それでなくても先般朴東鎮外務大臣がヨーロッパに行く途次日本に立ち寄られまして、そのときもすでにこの問題を話題として話し合っております。首脳の間でやはりこれは話し合って解決しなければいかぬと、両国のために、あるいは極東の安定のために解決すべきだという気持ちにならない限りはなかなか強制的に法廷に引っ張り出すというような手段のない国際社会でございますのでこの努力は続けてまいりたい、こういうことでございます。
  184. 大塚喬

    大塚喬君 局長の答弁わかりました。わかったけれども、この際この時期に、日本政府韓国政府に竹島の施設の撤去さらに警備員の撤退、このことを要求するのかしないのか。私は、いま国会で要求すべきだという主張外務大臣に申し上げておるわけです。ですから、この点についてどうするのかお聞かせをいただきたい。
  185. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点は、先ほど申し上げました四十九回か五十回の抗議のたびごとに撤去の要求は必ずしております。したがいまして、今回の漁船の退去要求に対して抗議するに当たりましても、単なる退去要請だけでなくて、そのもとにある既成事実の積み上げに対するわが方の抗議及びその施設の撤去、警備員の撤退、これはもちろん当然要求するわけでございます。
  186. 大塚喬

    大塚喬君 四十九回とか五十回とかということですが、まるっきりおざなりでやっておって、もう慢性化しておってそういうことは馬耳東風ということですね、結果的には、そういうことですね。私はこの機会に口頭でそういうことをおっしゃったということを繰り返して答弁いただくことを求めるんじゃなくて、この機会にはっきり正式に日本政府の意思を韓国側に伝えるべきだと、そのことはやらないんですかとこういうことをお尋ねしておるので、過去に何十回やったからということでここでこの問題はけりをつけるべきではないと、こういうことで、重ねてこの問題について私の考えを述べ、外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
  187. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど答弁したつもりでありますが、御意見のとおり私は機を見てこれを厳重にやるべきだと考えております。
  188. 穐山篤

    穐山篤君 関連。  いまの問題に関連をするんですが、五十回ほど抗議をしたという事実は認めます。しかし、いま大陸だなの問題について審議をしている最中でありまして、この二つの問題、竹島におけるイカ釣り漁船の問題と、それから竹島の上にそれぞれの施設が建てられておる問題。日本政府としてこの会期中に、二つの問題について正式な文書をもって韓国政府に申し入れをするということが一つ。  それから具体的な措置として、竹島の付近において日本政府を代表して、海上保安庁が具体的に施設の撤去あるいは警備員の撤退という問題について呼びかけをする、あるいは通告をするということが具体的な措置になるものと思うのであります。そのことについて直ちにやってもらえるかどうかということを聞いているわけです。
  189. 中江要介

    政府委員中江要介君) 前段は私先ほどからそれをするつもりで準備しているということを申したつもりでございます。今回の日本漁船に対する韓国側のいろいろの措置の実態を正確に把握した上は、その正確な事実に基づいて韓国側抗議をすると申し上げましたことは、いま先生の言われたとおりのことを考えておるわけでございます。  第二点の方は、これはそういう手段に訴えてそれがどれだけの効果があるかという点については、これはにわかには私も予測はしがたいわけでございますけれども、ただ日本政府が竹島を自分の領域だと、固有の領土だと思ってそういう主張を堅持しているということを、韓国に示す一番正しいそして権威のある方法は、やはり外交チャンネルを通じて正式に韓国政府に対して日本政府の考えを突きつけることであると、こういう認識でございますので、日本政府はそれはいままでやっているということで、現場でマイクロホンで呼びかけることが果たして適当な手段かどうか、これは検討さしていただかなければ即答はできないとこう思います。
  190. 穐山篤

    穐山篤君 効果の問題言っているんじゃないんだ、主権行使の問題を言っているんだよ。
  191. 大塚喬

    大塚喬君 外務大臣、もう一回この問題で締めくくりの質問をいたします。  韓国は、これほどまでにるるアジア局長答弁いただいておりますように、この問題に関しては全く馬耳東風ですね、結果としては、そうでしょう。しかも、この特別措置法案成立するかどうかというこの段階に韓国側が結果としては揺さぶりをかけてきた、後足でどろをひっかけた。局長のお答えいただくようなことが、私どももそう受けとめておるわけでありますが、そういう事実関係の中でこういうことをされるということは、これは明らかにそういう韓国政府の揺さぶりであると私どもは受けとめをせざるを得ないわけであります。この竹島の不法占拠問題、これが解決するまで、外務大臣いいですか、この国内法成立を見合わせる、こういう毅然たる態度をとることがこの問題解決の最も有効な、そして日本政府主権行使を図るべき最も有効な方法ではございませんか、外務大臣見解を承りたい。
  192. 園田直

    国務大臣園田直君) 竹島付近における韓国行動について、揺さぶられるような日本国会ではないと存じますから、私は揺さぶりでは断じてないと考えます。私はむしろこの法律案を、国内法を早く審議をしてもらうことによって、積み重なるこの竹島に対してはある時期に、なるべく速やかな時期にありとあらゆる方法を考えて、このような不法な処置を改正する必要があると考えます。それについてはいろいろあるわけでありまして、たとえば外相会議であるとか経済閣僚会議であるとかいろいろ問題があるわけであります。そういうもの等も考慮をして、韓国に実効ある行為と要請をするためには、本法律案を速やかに審議終了してもらって、そして外務大臣が腹を決めて向こうと折衝できるような雰囲気をつくっていただくことをお願いをするわけであります。
  193. 大塚喬

    大塚喬君 外務大臣の御答弁、ありとあらゆる方法を通じてこれの解決を図る、こういうことでありますが、この国内法成立を見合わせる、このことはそのありとあらゆる方法の中に入りませんか。だだっ子に頭を殴られて、そしてそれにあめをなめさせて、そしてこの問題の成立を図るというような、そういうお考えが出ておるわけでありますが、そういうことまでして日本政府韓国政府に義理立てをしなければならないこの特別措置法案というものはそういう性質のものですか。いかがです。
  194. 園田直

    国務大臣園田直君) そこは見解の違いでございまして、私は、この法律案は通すべきものは通してもらって、約束をしたことは約束として果たし、そしてなお韓国日本と約束したことは約束を果たせと迫るべきであると考えております。
  195. 大塚喬

    大塚喬君 通産大臣、通産大臣がこの主務大臣というか、その方の担当に当たられておるわけでありますが、いま外務大臣にお尋ねした件、私はどうしてもこのような竹島問題の多年にわたる日本政府のそういう主権を、実効的支配を、日本政府のたびたびの抗議にもかかわらずそういうことを継続しておる、全くそのだだっ子に手を焼いておるというこういう現状の中で、この特別措置法案、これの成立を見合わせるということが私はどうしても必要であろう、こう考えるわけでありますが、主務大臣としての通産大臣見解はいかがでございますか。
  196. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 先ほど外務大臣の御意見と同じでございます。
  197. 大塚喬

    大塚喬君 日本の外務省、それから通産大臣外務大臣、まことにどうも国民の期待に沿い得ない弱腰外交である、こう私はどうしても受けとめざるを得ません。この問題はまた引き続いて同僚委員質問を続行する予定でございますので、一応本日のところはここでこの問題について点を打ちまして、海上保安庁がお見えでございますので、海上保安庁関係質問をいたしたいと思います。  先ほど竹島問題について、海上保安庁として、日本の固有の領土である竹島に日本の漁船が近づいて退去命令を受けた、そして現実日本の固有の領土である竹島に、十数名の武装警備兵が常駐しており各種の施設を設けておる、こういうことでございますが、このたびの海上保安庁のとられた対応をひとつ現状を報告をいただきたいと思います。
  198. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私ただいま伺いましたので、先ほど来のお話、ちょっと私伺っておりませんですが、残念ながら竹島が現在わが方の施政のもとにないという現状認識せざるを得ないのでございます。海上保安庁といたしましては、毎年外務省から御要請を受けまして現地に巡視船を派遣して、その模様を調べております。最近は、昨年のたしか八月の末でございましたか、巡視船を出して現状を調べてまいりました。そういう報告は逐一外務省に報告をしてございまして、恐らく外務省はそれに基づいて、十月でしたか、日本側から非常に遺憾であるということで抗議をなさったと私ども承知しております。  今回のことにつきまして、日本の漁船が竹島周辺の海域で退去を相手方から言われておるということにつきましては、私ども基本的にはまことに遺憾でございます。ただ、私どもが直ちに巡視船を出してどういう行動に出る必要があるかということは、よく水産庁なり外務省なりの調査結果を待って私どもの対応の体制を考えたいということで、現在その状況を見守っているところでございます。
  199. 大塚喬

    大塚喬君 尖閣列島のときも海上保安庁で出動されましたね。これとこの竹島の問題とを比較いたしますときわめて消極的であり、何というか、逃げ腰というか弱腰というか、そういう感じは否めません。日本漁船が現在二十海里以上のところで大変乏しい操業をしておる、こういうことで、先ほど、境港の漁業協同組合の役員会では、速やかに海上保安庁の出動を願って日本漁船の保護を強く要請をされておる、こういうことでありますが、この点について保安庁長官としての見解はいかがでございますか。
  200. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私先ほどもちょっと申し上げましたが、竹島の島及びその周辺の海域が遺憾ながら日本の施政の施し得る状態にないということは、重ねて申しますがまことに遺憾でございます。  一方尖閣でございますが、尖閣の諸島につきましては、私ども海上保安庁の手で従来から巡視船艇で領海の警備に当たっておりました。去る四月十二日に、そのわれわれが警備に当たっておる、いわば実効的支配を確立している尖閣の魚釣島に中国漁船が領海侵犯をしてきたということで、それ以来当庁では巡視船十隻、航空機四機の態勢で領海警備に強力に当たるという態勢をとっておりますが、基本的にその実効的な支配が及んでいないと申しますか、日本の施政下にないといいますか、まことに残念な事態にある竹島とはその意味が違うということでございます。  なお、重ねて申しますが、日本の漁船につきまして私どもが出てどういう行動をとる必要があるかどうかについては、その実態をよく見きわめて対処したいということを考えている次第でございます。
  201. 大塚喬

    大塚喬君 保安庁長官、あなたのお答えを聞きますと、もうすべてだめだと、あきらめたと。この尖閣諸島の問題であなた方が行動されておる。もとを正しますと、韓国に先に不法占拠されたからあとは手が出ないと、竹島の問題は手が出ないと、そういうことになりますと、もとを正しますとこれは海上保安庁の責任問題になるわけですね。もう入られたから万事休す、事終われり、こういうことであなたが態度を終始されますならば、これはもともとのミスは海上保安庁にあったと、こういうことをお認めになるわけですか。
  202. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 竹島が現在の状態に至りましたのには、恐らく昭和二十数年代にいろいろないきさつがありまして、やむを得ず現状に及んだものと思っております。私ども海上警察力を使って領海の警備に当たるという任務からいたしますと、どの程度、どういう場合にその警察力を行使していいかということは慎重な判断を要するものと、私現状でも考えております。したがって、外交の手段を尽くすべきこと、私ども現実に警察力を行使して、たとえば尖閣のように船艇、航空機で領海警備に当たること、そういう限度につきましては慎重に考えさしていただきたいと思っておるところでございます。
  203. 大塚喬

    大塚喬君 この問題については、先ほど与党の皆さんからも態度が弱いと、こういうことのおしかりの言葉がそれぞれ出されておることを耳にいたしたわけであります。  外務大臣、私がさっき申し上げたように、そういうあらゆるいままでの手段を通じて、この問題について解決ができない、こういうことになれば、日本政府としてもこの際、改めてこの協定の問題は、この問題が解決するまで一切批准に移さないと、こういう態度をとってしかるべきだ、とらなければならないと私は重ねてこのことを外務大臣に強く要請をいたしまして、質問を先に進ましていただきます。このことはひとつ肝に銘じて、外務大臣お忘れなく。通産大臣もひとつこの問題が解決するまで批准に移すべきではないと、こういうことでひとつあらゆる手段を講じてということのお話がございましたので、ひとつこの問題は本気になって考慮をいただきたいと思います。
  204. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  205. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記起こして。
  206. 大塚喬

    大塚喬君 先ほどのお話では二十五分程度ここの会議に出席をいただけると、こういうことですが、二十五分間ということで了解してよろしゅうございますか。
  207. 楠正俊

    委員長楠正俊君) はい。
  208. 大塚喬

    大塚喬君 自治大臣に御出席を願ったものですので、この自治省関係のいわゆる地方税関係の問題についてお尋ねをいたします。  この特別措置法案で最も重要な問題と、私はそういう認識をいたしております。その一つは、いわゆる税金の問題、これは税法の問題であり、関税の問題であり、自治大臣の所管をされる地方税法の問題であろうと、こう考えるわけでございます。  この協定並びに特別措置法案によりますと、鉱区権を設定した日本石油会社はたとえば日本石油とか西日本石油とか、そういう幾つかの企業は開発に当たってほとんど税金が払われない。と申しますことは、鉱区税として探査の段階で百アールごとに年額二十円、それから採掘の段階でも年間百二十円、こういう地方税だけが払われるわけであります。現在、現実にこの開発事業を推進するということになれば、当然陸上に基地が設けられるだろうし、さらにその他の事務所あるいは諸施設が当然つくられるわけだと思うわけであります。私が特に問題にしたいことは、税金というのが、日本の海底油田開発の幾つかの企業が現実にあるわけであります。同じく九州の南西部で行われる共同開発の事業だからということで、この税金は鉱区の単位面積にだけしかかからない、一体固定資産税はどうなるのか、さらに法人事業税、法人県民税、一体こういうものはどうなるのか、地方税関係で考えてみますとどうも取れそうのない、まさに国税の税法なり関税なりとあわせて、この法律は重大な欠陥法案である、私はそういう認識を強めておるわけでございますが、この税法の問題は、一体自治省としてどういうふうに措置をされるお考えか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  209. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 御承知のように、日韓大陸だな協定日本韓国共同して開発をいたすと、かようなことでありますことは申すまでもないことでございます。そこで、天然資源開発をいたします際の両国共同開発体制でございますので、共同開発区域を設定いたしたい、かような考え方でございまして、そして地方税として考えられますものは、鉱業権が設定されました鉱区に対しまして鉱区税が課税される、それが一つでありますのと、これは都道府県税として課税いたすのでございます。いま一つは、市町村が課税いたします天然資源が採掘されました場合の鉱産税、この二つが考えられるのでございますから、そこで都道府県の税でございます鉱区税につきましては、今回の法案内容は現行の鉱業法を適用いたすのではございませんで、共同開発の趣旨にかんがみまして共同開発区域を設ける、そして共同開発鉱業権が設定される、その設定されました鉱業権は鉱業権とは称しませんで、特定鉱業権、かような表現をいたしておるのでございまして、鉱業権に相当いたすものといたしましては特定鉱業権が設定され、それに特定鉱区税が——特定という表現は正確でございません、鉱区税が課税をされる、かような方式でございますから、ですから、現行鉱業法といわば特例措置を講じておる、かような実状でございますけれども、しかし全く課税されないというのではございませんで、なるほど減額措置はいたしておりますけれども、それは両国共同開発と、かような趣旨のもとに減額措置がなされておる、特例措置がなされておる、かように御理解を願えるとありがたいのであります。
  210. 大塚喬

    大塚喬君 特例措置でこの百二十円が二十円になったと、六分の一になったと、それから採掘の段階で二百四十円が百二十円になった、こういうことは共同開発という趣旨を受けてこのように減額措置をとったんだと、こういうことは、その事の是非は後ほど論議をすることにして、その他の一体税金はどうなるのか、この点についてはお答えがいただけないわけであります。  たとえば石油コンビナートをつくる、そういうことのいわゆる資産税というものはかからないのかかかるのか、取るのか、さらにその事業所の事務所をつくるために土地を購入した、それからそこでその収益を上げた、取った油に対して、会社の利益に対して税金がかかるというのが日本の現在の税法の中で、一様に適用されておる問題でしょう。地方税から言えば、法人県民税や法人事業税や、あるいはその固定資産税、そういう税金が取られておるんですが、こういう税金は一切取ってはならないと、こういうことに決められておるんではありませんか。取らないつもりですか。
  211. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 鉱区税につきましては、いま大臣から御説明申し上げましたように、特例を設けておりますが、その他の地方税につきましては、当然地方税法の規定によりましてそれぞれの条項に即して課税がされるものでございます。
  212. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、この条文の規定にかかわらず、たとえば法人県民税とかあるいは法人事業税とかというものは、当然都道府県税として支払われるし、あるいは固定資産税、それから市町村民税というものは、当然他の企業と全く変わりなく税金を徴収する、こういう理解でよろしゅうございますか。
  213. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) そのとおりでございます。
  214. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、鉱区税、これは都道府県税でありますが、共同開発区域の鉱区税は、一体この税金というのは、どの府県が徴収をすることになるわけでありますか。
  215. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) この特別措置法案におきましては、この共同開発区域の特殊性にかんがみまして、税率なり課税方法等に特例を置くことにしておるわけでございますが、その際に、課税団体につきましては、自治大臣関係府県を指定いたしまして、この関係県が課税団体になる。こういうことで、課税権の帰属の明確化を図ることにいたしておるわけでございます。
  216. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣も自治大臣も、何か大変時間が制限があるということで、御一緒においでになったものだから、こちら途方に暮れておるんです。どちらか後まで残っていただける方の大臣を、大変失礼な話ですが、ちょっと猶予をいただいて、先にお帰りいただく大臣の方に質問をさせていただきたいと思うんですが、大蔵大臣の方が先に……
  217. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  218. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記起こして。  じゃ、大蔵大臣の方から先やってください。
  219. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣特別措置法案審議をやっておるんですが、税金の問題に重大な欠陥がある。そして私は、この法案は欠陥法案であると、こういうことを先ほど述べたわけでありますが、と申しますことは、この税金は、日本の税法から言えば、取れた石油に対して税金がかかるのが、これが筋合いでしょう。ところが、この特別措置法案というものは、日本の企業に対しては、ここで開発に従事する日本の会社に対しては、法人税も事業税も取り立ててはならない、こういうことが取り決めてあるわけですね。これは第十七条であります。こういうことが、日本の現行法の中でこのような特例を認めることが、日本の現憲法下の中で法のもとに平等であると、こういう立場の中で、このことは妥当とお考えでございますか。この法案の作成について大蔵省としてはどういう態度をとったのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  220. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ちょっと済みません、何かほかの事項で御質問があると聞いておったものですから、ちょっとお待ちください。条文を見て……。  これは、いまちょっと見ますと、「いずれの一方の締約国も、他方の締約国の開発権者に対し、」課税してはならないと、こう書いてあるわけでございまして、たとえば、「一方の締約国」を日本といたします。その場合は、韓国側開発権者に対して課税はできない。日本開発業者に対しては逆に課税ができるということでございますから、このことは当然であろうと思うのでございます。  それからその次の第二項、いま拝見いたしますと、「各締約国は、自国の開発権者に対し、」「共同開発区域における探査活動又は採掘活動」、それぞれ(a)の活動のために「必要な固定資産の共同開発区域における所有及び」「その者が認可を受けた小区域について、」これは固定資産税の関係でございます。これはまたこれとして、特殊地域でもってお互いにどちらのものであるかはっきりしないから、どちらも課税しないということがないようにした。これはこれで、またそれなりの合理性があると思うのでございます。  これらの規定は、所得等に対する課税権の分界を決めたわけでございまして、この辺が非常に不明でございますので、日本日本側に対して課税しますよと、それから韓国韓国側に対して課税しますよと。日本韓国側に対して課税してはいかぬ、こういうことを決めているわけでございますので、これはある意味で申しますと、非常に実際的な解決の方法であり、また、日本の租税制度に適合しておる制度であると考えます。
  221. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、この十七条の規定の文言とは一応離れて、これは日本開発権者の場合には、そういう税金は一切他の企業と同様に取るということですね。  そういたしますと、そこで突っ込んでまたお尋ねをいたしますが、今日、アラブの巨額なオイルダラー、これが世界的に話題になり、クローズアップされておるところであります。これは、そのもとになったのは、国有化しておらない産油国も、それからメジャーの掘った石油、これの一〇〇%近くをロイアルティーやあるいは税金の形で取り立てたものが蓄積されてこの巨大なオイルダラーになっておるということは、すでに専門家の大蔵大臣も御承知のことと思います。  で、取った石油に対して、日本政府はどういうことでこの税金の徴収を図りますか。たとえばイギリスなんかの場合で見ますと、イギリスの北海大陸だな油田の場合では、一バレル当たりロイアルティーそうして税金、これが合わせて五ドル九十セントの取りまえに英国政府ではなっておるようであります。日本政府では一体このことに対してどういう措置をされるお考えでございますか。
  222. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) いま申し上げたのは、所得課税のお話を申し上げたわけでございます。石油に、ここに上がります原油でございますが、これは当然でございますが、今度創設されました石油税がかかるわけでございます。ですから、日本でもって掘りました石油でございますから、その石油を精製しましたときに、原油を採掘いたします、それにつきまして新しくつくりました石油税がかかることになります。また、それからガソリンをつくりますと、ガソリンの移出者に対してはガソリン税がかかってくる。こういうふうに、国内の消費税体系はそれぞれ働いていることになるわけでございます。
  223. 大塚喬

    大塚喬君 先ほどアラブの産油国、そういうところで現にメジャーに対してもロイアルティーやあるいは税金がかかっておる。日本政府の場合には具体的にどういう基準でこれの扱いをされるのか。この条文の中にもはっきり税金のことがそういうことであるとすれば、この点について一体どのくらいの額をどういう割合で課税をするのか、お聞かせいただきたい。
  224. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) アラブが自分の国で産出した石油にどのような税金をかけるのか。それは課税権はそれぞれの産油国にあるわけでございますから、そこの国内法によって決まることは当然でございます。  日本の場合は、今度創設しました石油税によりますと、これは引き取り価格の従価税でございまして、三・五%という税率でかかるわけでございます。それからガソリン税でございますが、キロリッター当たりで三万六千五百円という税金になります。別に地方譲与税であります地方道路税が六千六百円かかるわけでございます。
  225. 大塚喬

    大塚喬君 英国の場合で言いますと、一九八〇年にはこの北海油田の中でとれる原油、これに対する課税というのは五十億ドルを超えるであろうと、こう英国では言っておるわけであります。日本政府ではこの日韓大陸だな協定に伴う原油の産出に対して一体どの程度課税額が見込まれる見込みでございますか。
  226. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これはどれだけとれるのか、その量によるのでございます。  いずれにいたしましても、この共同開発地域で生産されます原油については他の国内で産出されるもの、それと全く同じ税法上の待遇を受けるわけでございます。国によりましてそれぞれ石油にどれぐらい課税するか、それはそれぞれの国の内国税の政策でございますのでいろいろ違います。しかし、日本日本の消費税体系を持っておりますので、他の地域でもって、たとえば新潟でもって、いま新潟の沖で石油を掘っております、あれにも今度三・五%かかるわけでございますが、それと同じものがかかってくるわけでございます。
  227. 大塚喬

    大塚喬君 メジャーが開発する場合には税金はどうなりますか。
  228. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) メジャーがどこで開発するかという、まあ世界各国で開発している……。
  229. 大塚喬

    大塚喬君 いやいや、日本のこの大陸だな協定のいま審議をやっているんですよ。そんなとぼけちゃいけませんよ。
  230. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ここでメジャーが開発するんですか。そのようには聞いておりませんけれども
  231. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣ともあろうお方が、この共同開発区域、これだけ日本のいま政治の重要な課題になっておるのに、メジャーが開発するのですかと改まって逆に質問をいただくということになると、私もすっかり辟易をしてしまいます。現実日本のいま申請をしておる幾つかの企業、これらはそれぞれメジャーの系列下にあり、韓国の方は一つもここへ名前を出してないでしょう。韓国の方は全部賄賂をもらって、そして利権をメジャーに売り渡して、そしてこの開発韓国の権者ということで乗り込んできているわけでしょう。そのことをあなた、これは新聞や雑誌に、あらゆるところにそういうことがもう述べられておりますよ。日本の大蔵大臣ともあろう者がこの共同開発に関してメジャーが知らない、どこの石油を掘るんですかというようなお尋ねをいただくということになりますとこっちが顔を赤らめます。率直に申し上げて。  それで、これは地方税にも関係するわけでありますが、これは自治大臣もおいででございますので、鉱区税、これがはっきりこの法文の中に取ると、こう書いてありますが、メジャーが開発をした場合には鉱区税も入らないのではないですか。いかがですか。
  232. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) こういうことになると思います。  メジャーであろうが、韓国開発権者であろうが、ここで開発したものにつきまして、日本のそれ自体日本の課税権が及びません。それを日本の国に輸入する場合には原油関税ががかってまいります。ですから、日本の課税権の範囲というものはおのずから決まっているわけでございます。こここはいわば共同開発区域でございますから、日本開発権者に対しての、これは当然のことでございますけれども、所得課税は所得課税でやりますよと。韓国の方には及びません。これは国際的のルールでございます。  それから、またそこで日本の企業が出しましたものにつきましては、これはもう石油税が日本はその限りにおいて取ります。韓国側にこっちは課税はできないわけでございます。日本に輸入をいたしますと輸入の原油関税がかかってくる。逆にまた日本開発したものがもし韓国に売るとすれば、恐らくいま向こうに原油関税あるかどうかわかりませんが、あるとすればかかるわけでございます。それぞれの国内法の平等の適用を受けるわけでございます。ここは一極の共同開発区域だという点に着目しての疑義を晴らしておる、こういうふうに協定は書いてあると存じます。
  233. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま大蔵大臣がお話がございましたし、また先ほど指摘のありました協定の十七条で、それぞれ自国の開発権者に対しまして所得に対する課税、あるいは探査活動、採掘活動に対する課税を行うというふうに決めておるわけでございます。  したがいまして、鉱区税につきましても、わが国の鉱区税はわが国の開発権者に対して課する。韓国側開発権者に対しましては韓国側国内法に基づいて課税が行われるものと、かような次第になっておるわけでございます。
  234. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣、そうしますと、ここの日本の企業が掘ったそういう石油も、これは輸入という取り扱いを受けるわけでございますか。
  235. 海原公輝

    政府委員(海原公輝君) 共同開発区域において採掘されました石油の取り扱いでございますが、日本開発権者の取り分は、これは関税法上内国貨物となります。それから韓国開発権者の取り分でわが国にくるものがありますれば、これは外国貨物になるわけでございます。したがいまして、韓国開発権者の取り分でわが国にまいりましたものにつきましては、関税の、あるいは輸入手続を必要とするわけでございます。  もちろん当然のことでございますが、わが国にこないで韓国、または第三国に行く場合におきましては、当然のことながらわが国の関税法規の規制は及ばない。こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  236. 大塚喬

    大塚喬君 税金の問題は、そのほか数々疑問の点がございますので、関係の大蔵大臣としても十分ひとつこの問題の研究をいただくように強く要望を申し上げます。  もう一つ、時間が限られておるものですから急いで質問をいたしますが、この共同開発に絡んでその密輸の問題が心配されるわけであります。先ほどからこの論議を重ねておるところでありますが、この共同開発に伴う費用というのは数千億に及ぶであろうと。そしてそれに持ち込まれる資材というものも莫大なものがここに持ち込まれると思います。で、共同開発地域に持ち込まれる開発資材、これに問題があるわけであります。この協定の条文を利用すれば、日韓の間に大がかりな密輸の可能性というのは幾らでも出てくる。これは日韓大陸だな協定の第七条、それから第十八条、この点を悪用すれば、密輸というのは幾らでも可能であろうと思います。  たとえば日本からこの共同開発区域に資材を持ち込む、それを今度は共同開発区域から韓国側に打ち出す、そして陸揚げをして処分をする、あるいはそこから積み出してどこかよその国に持っていく、こういうことになった場合は、この共同開発区域をトンネルにして、日本から韓国に売ることになるわけでありますが、そのときに、日本では輸出税というのは一切ここの条文から言えば取ることができないわけであります。税金は、その関係の業者は一つも支払っておらないわけであります。  また逆に、この区域から、共同開発区域から日本に陸揚げをする場合には、これは輸入税というものは一切取ることができないたてまえになっておるわけであります。ですから、やりようによっては大がかりな密輸の可能性もある。この取り締まりをし、これを防止するために何らか対策があるのかどうか、ひとつ大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。
  237. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  238. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記を起こして。
  239. 大塚喬

    大塚喬君 総理を初め、この大陸だな協定には政府を挙げて取り組んでおられる。私どもが熱心に、私自身はこの審議に参加をいたしておるつもりでございます。法案の提案者である政府側がこの審議に、そういういろいろの事情がおありだと思いますけれども、真剣に参加いただけないという、そういう結果がこの委員会審議の中に現に出ておるわけであります。こういうことになりますと、政府のそういうスローガン、願望というものは全く事実の伴わない不正なものである、私はそう認定せざるを得ないわけであります。(「熱心に参加しているじゃないか。」と呼ぶ者あり)いや、まだあと若干の質問が残っているわけですから。そういうことで、私は大変遺憾の意を表わして——委員長の取り扱いを、この大蔵大臣については大変遺憾でありますが、認めることにいたします。
  240. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 約束は約束だから。  早く答弁をお願いします。
  241. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 拝見いたしますと、この協定第十八条におきまして、共同開発区域において探査あるいは開発に要する装置その他の物品については報告を徴することができることになっております。  私の方では、そのほかに、それ以外の貨物につきましても、行政指導といたしましてすべて税関に通報してもらうようにいま行政指導の準備をいたしておるわけでございます。それによりまして十分、これらの共同開発地域は密輸出入の基地にならないように十分取り締まっていけるつもりでございます。  なお、これらの問題につきましては、当然でございますけれども日韓共同してやはりやらなければならぬと思いますので、私たちはお互いの税関当局の間で、日韓共同して以上のような作業をやりたいと思っております。万一何か事件が起きましたら、直ちに現地に職員を派遣する等所要の措置も講ずるつもりでおるわけでございますので、御心配のようなことのないように万全の措置をとってまいるつもりでございます。
  242. 大塚喬

    大塚喬君 まあ大蔵大臣はそういう事情でやむを得ませんので、私もこれを認めることにいたします。
  243. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 失礼します。
  244. 大塚喬

    大塚喬君 ところで大蔵省の関係者にお尋ねをいたしますが、つい数日前、山口県の沖合いで、タイヤにつるした金塊が発見をされたという新聞報道がございましたが、これは事実でございますか、いかがですか。
  245. 海原公輝

    政府委員(海原公輝君) 事実でございます。
  246. 大塚喬

    大塚喬君 といたしますと、法的にもこういうことが合法的に許された共同開発区域、ここの中での密輸というものは、いまでさえも明らかに禁止をされておりますそういうところで、この韓国ルートを通じた密輸というのが、このような大量の金塊の密輸ということで現実に行われておる。ここに双方から何らのチェックなしにこういう資材が持ち込まれる、こういうことになりますと、これらの防止をする対策があるのですかどうか——ちょっと、そのお答えは後ほどいただくことにして、一言自治大臣にお尋ねをしてお引き取りを願うことにいたしたいと思います。  いま私がお尋ねをしたいのは、この共同開発区域石油開発について、日本海のいわゆる大陸だな、そこの石油開発、これは阿賀沖の場合でありますが、鉱区税、鉱産税、固定資産税、こういうものは現実にどの程度、どういう形で取り上げておるのか。大変、この問題に関連をしてその阿賀沖の実例については関心を持っておるものですので、実情どうなっておるのかお聞かせをいただいて、あと引き続いての問題は時間の関係で他の関係者質問をさせていただきます。
  247. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 日本海の阿賀沖につきましては、わが国の国内法がそのまま適用されておるのでありまして、その金額その他につきましては政府委員から答弁させます。
  248. 大塚喬

    大塚喬君 先ほどの密輸防止対策について、大蔵省関係者のお答えをいただきたいと思います。  大臣、どうぞお引き取りいただいて……。
  249. 海原公輝

    政府委員(海原公輝君) 先生が御提示になりましたタイヤにつるした金塊の問題、私、担当をしておりませんで、詳細心得ておりませんので、もしそれ必要がありますれば、監視課長がおりますので御説明させたいと思います。  ただ、それは本件が一つの例示といたしまして、御心配の点が、共同区域内で両国人がお互い接触しまして私的に物品の授受が行われた場合、どのようにして取り締まるのかという御趣旨かとも思われますので、その点につきましては、私どもといたしましては区域内に出入する者に、他国人からの物品の授受というものを行わないよう、本土を離れる前に十分な指導を行いたいと。開発権者は、現在御審議いただいております法案におきましても認可を受けるような形になっておりますので、そういう面も含めまして十分な指導を行っていきたいというふうに考えております。  もし授受があった場合におきましては、帰港後適切な輸入申告を行わせるよう、これもあわせて指導に当たりたい、かように考えているわけでございます。
  250. 大塚喬

    大塚喬君 そんな簡単な.ことで密輸の取り締まり、これを防ぐ対策というものは可能だとお考えですか。一体、この共同開発区域日本開発権者のそのプラットホーム、そこの中に韓国の技術者、労務者も入っておることと思いますし、特に韓国のプラットホームの中に日本の労務者、技術者等も入っていくだろうと思いますし、それぞれメジャー関係関係者も入ってくるだろうと思うわけであります。そういう中でこれを中に立ち入ってチェックする、そういう、大蔵省国税当局としてはそういう権限は明らかに明示をされておるわけですか。保障されておるわけですか。
  251. 山元正三

    説明員(山元正三君) お答え申し上げます。  この共同開発区域は、何分沿岸から相当距離がございますので、私どもとしては常時そこへ赴くだけの能力は持っておりません。大体税関の取り締まり体制の原則は、開港その他沿岸において入港する時点において取り締まるというのが基本でございます。今後もそのような方針でまいりたいと思っております。
  252. 大塚喬

    大塚喬君 そうなりますと、その日本主権かあるいは準主権の及ぶ共同開発区域日本開発権者が持っておるプラットホーム、そこから何度か出入りをする。そういうものを一々税関では国際貿易港のようなそういうことでそれと同様のそういうチェック、取り締まりができるわけですか。やるつもりですか。
  253. 山元正三

    説明員(山元正三君) 私どもはこの地域に出入する船舶につきまして、出港、入港につきましてすべて通報を受けるよう行政指導を考えております。  なお、この基地内においてそのような事態が多々発生する場合は、必要に応じ税関職員を派遣するように考えておる次第でございます。
  254. 大塚喬

    大塚喬君 数千億の資材がこのプラットホーム建設、それからその坑井のために、井戸を掘るために使われる。そういう資材が今度はそれを韓国に運ばれる、あるいはそこで外国から、どこからの国でも調達するようにこの条文ができておるわけですが、そこから入ってきたものが日本に持ち込まれる、そういうことに対する取り締まり、これは万全ですか。十分な自信がございますか。韓国まで行って取り締まりますか。
  255. 海原公輝

    政府委員(海原公輝君) 問題の所在は、外国貨物として共同開発区域内に搬入されたものが、使用後共同開発区域から搬出されるというような事例かと思います。問題の所在を明確にいたしたいので申し上げたいのですが、外国から直接あるいはわが国の保税地域を経由いたしまして、共同開発地域に搬入されて使用されたものが、その用が済んでわが国に引き取られます場合には、当然のことながら関税納付、輸入手続を必要とするわけでございます。そういう仕組みになっておりまして、もう一つの極限は外国から直接搬入されたものをそのまま外国に送り出す場合、これは輸出手続を要しないというふうに協定上明記してあるわけでございます。したがいまして、わが国に入ってくるものにつきましては、監視ももちろんやりましょうし、それから輸入手続等所要の手続を踏むと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  256. 大塚喬

    大塚喬君 あと幾つも質問があるんですが、じゃ、結論というかこの問題に関する一つのまとめに入る、税金の問題に対するまとめに入る前にプラットホームなどのいわゆる採掘施設、これは固定資産税を課してもよいわけじゃないですか。技術的にこれらの課税が困難なんですか。そこのところはどうなります。取るお考えですか。
  257. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 先ほどお話がございました阿賀沖の件について申し上げますと、採掘中のものはこれは領海内でございます。したがいまして、お話しのプラットホームその他の償却資産につきましては固定資産税は課税いたしております。また、鉱産税も課税いたしております。なお、鉱区税は新潟県が課税いたしております。
  258. 大塚喬

    大塚喬君 ちょうど質問が半分のところで残念なんですが、一応いまの問題について締めくくりをいたしたいと思うわけであります。  四十六分までといういま通告をいただいたところですので、共同開発、それからそのメジャーとの関係こういう問題、それから石油開発公団、輸銀こういう関係質問の項目がたくさん残っておるわけですが、いままで論議をいたしましたように、この共同開発ということは、日韓共同開発ということを銘を打っておりますが、韓国の企業は一つも名前を出しておりませんね、全部メジャー。そして、日本の幾つかの関連企業も全部メジャーの系列下にあるそういう企業。この日韓大陸だな開発の主役は、これは明らかにメジャーそのものであると、そういうことに断ぜざるを得ないわけであります。  ここでいろいろ問題が残っておるわけでありますが、この原因というのは、外務省当局がその主権の侵害、売り渡したのではないとこういうことでありますが、少なくともこの協定内容審議していきますと、外務省のどのような答弁にもかかわらず、日本主権がゆがめられた形で、奇形的な形で発効しておる、行使をされておる。こういうところに問題があろうと思うわけであります。私どもがこの問題の審議に当たって、これらのことは許されるべきものではないとこう考えるわけでありますし、これらの問題について、特に金の問題に絡む輸銀の問題あるいはその石油開発公団の問題、ここらの問題はどうしてもお尋ねをしたい事項が幾つもございますので、後ほどまた質問の継続をひとつ保留さしていただいて、一応四十六分になったものですから、お約束の時間でありますので、厳守をいたしまして一応私の質問を打ち切りいたします。
  259. 穐山篤

    穐山篤君 これからいろいろ議論をしていく上で、海図の問題あるいは座標の問題が出てまいりますので、最初その点を海上保安庁にお伺いをしたいと思います。  この協定あるいは説明書によります海図というのは、海上保安庁水路部がつくりました海図一九五五年の十二月二百十号というふうに書かれております。これはこの海図というのは、日本の海上保安庁がつくられたわけですが、交渉、協議の経緯から言えば、韓国側は海上保安庁の海図というものを認めたのではないか、あるいはそれを基礎にしたのではないかということがわかります。  そこでお尋ねをしますのは、中国とかあるいは台湾、そういう国々が現実に紛争の状況にあるわけですが、日本と台湾あるいは日本中国との間におきます争いはどの海図で紛争が起こされているのか、この海上保安庁の海図をもとにして議論がされているのか、あるいはその他の海図がもとになって、境界線あるいはその地域ですね、紛争の種になっているのか、まず最初にその点をお伺いしたいと思います。
  260. 中江要介

    政府委員中江要介君) 海図の問題でございますが、海図に即しての紛争というのは、いま先生の御指摘日本中国との間にはまだ起こっておらなくて、中国日本の今度の大陸だな協定について抗議を申しておりますのは基本的な立場の問題でございます。しかし、再三申しておりますように、日本政府中国政府に対して、この協定がいかに中国権利主権を犯すものでないかということを説明いたしますときに使用しております海図は当然のことでありますが、この協定を作成するに当たって使いました日本の海図に即してこれを中国側に示しまして、その地図の上で点を描き線を引いて説明していると、これに対してその海図が違うとか、この海図によってやりましょうとかというような海図上の紛争という段階にはまだなっていない、こういうふうに御認識いただきたいと思います。
  261. 穐山篤

    穐山篤君 基本的には、海図で議論になっているわけじゃなくて、主権の、もっと大局的な公的な立場で議論になっているわけですけれども、後ほども質問しますけれども、座標六、七、八というところは海図の上から言うと、座標の上から言うと問題が残っている地域だというふうに思うわけです。現に、台湾が昭和四十年から四十四年ごろまでに注文をつけておりました尖閣列島についても同様なことが言えるわけです。そこで私は、いい悪いの問題は別にしまして、台湾とか中国との話し合いでは海上保安庁がつくった海図をもとにして説明をしているわけです。あるいはそれに対して中国なり台湾は、この海上保安庁の海図をもとにして現実的に議論があったのかなかったのか、あるいは別の海図を持ってきて台湾が、あるいは中国がおのれのこれは領海である、あるいはたなであるというふうに議論をされてきたのか、その点を明らかにしていただきたい。
  262. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点は日本側が説明いたしますときは、一九五五年十二月の日本国海上保安庁海図第二百十号新版、これを基礎にして説明しております。それに対しまして、台湾なり中国が何らかの海図に即して意見を述べたかといいますと、現在までのところ述べておりません。
  263. 穐山篤

    穐山篤君 中国の場合には公的な大きな立場ですからそれはいいとしまして、台湾が、この尖閣列島周辺のたなはこれは台湾のものであるということをかつて主張したことがありましたね。そのたな論議の際に使われました地図あるいは海図というのはどういうものだったんですか。
  264. 中江要介

    政府委員中江要介君) 台湾から日本側に対しまして、ここが自分の大陸だなであると海図を示して申し越したことはございませんが、私どもが情報として承知しております台湾が台湾の法律に基づいて鉱区を設定した、その情報はこれは当然のことでございますが、恐らく台湾の海図によったものであったかと思いますが、それを私どもが取り上げて議論したということも今度はないわけでございますので、御質問のような意味で、海図についてどちらの海図によるかということを議論したことはございません。
  265. 穐山篤

    穐山篤君 さて、実際にはここに地図を、海図を置いてもらうと非常に審議がしやすいですけれども、まあきょうはやむを得ないでしょう。  さてそこで、日韓大陸だなという、日韓という言葉が上についている。ですから、その大陸だなはどこのたなかということがどうしても紛争の種として現実的に残っているわけです。韓国の方は地上からずっと延長した、ごう言っているわけです。それから中国も、わが方からの自然延長でこれはたなである。わが国も当然主張をしているわけです。台湾も主張している。まあ最終的には関係諸国の協議が望ましいということはしばしば言われているわけですが、事のよしあしは別にして、いわゆる海図上のたなというものを十分に検討されたと思うんですが、これは韓国側のたながどこまで来ておって、それからみぞに入って出ると。あるいは日本の場合でもそうだし、中国の場合もそうでありますが、その資料は出していただけますか。これは後ほど重要な議論になるわけで、大陸だなと。——大陸だなでなくて公海上の海の上の問題なら話は別ですけれども、これはたなが問題になっているわけですからね。たなが問題になっているわけですから、韓国側の方から見たたなと、わが日本から見たたなと、中国から考えられているたなというものを照合されたと思うんです。照合されたと思うんです。その点についての資料はありますか。
  266. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず、中国の方からはここまでが中国のたなであるという言い方はまだなくて、東シナ海、黄海の大陸だなという非常に一般的な表現でのみ意見が当ておりますので、中国がどこまでをたなと考えているかということについて海図に即した資料なり、情報というのはございません。  それから韓国の方は、このところが実は非常に問題でございまして、韓国はこのみぞのところまでがたなというと。しかし、日本はそれをたなと認めない立場でございますので、そこまでがたなであるかどうかということを議論しない。それをすることは韓国立場に乗るわけでございますから、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 日本は、そのみぞは飛び越え得る一つ大陸だなの中にたまたま沖繩海溝というみぞがあるだけだと。したがいまして、日本韓国との間にはどこまでが大陸だなかという議論をする必要がない。つまり、一つ大陸だなをはさんで日本韓国があるんだと、こういう立場でございますから、日本韓国との間でどこまでが大陸だなかという議論を、日本立場からはできないわけでございますから、これを論じたことはないわけです。ただ、それじゃ韓国自然延長自然延長と言っているが、どこまでが大陸だなだと、向こうは間違って思っているかという点につきますと、今度の共同開発に関する協定は、日本主張韓国主張の重なったところを、法律的な立場を害することなく、ただ重なったところを線で囲んだということでございますから、この線で囲んでいるこの東、南の外縁といいますか、この限界のところまでを韓国は間違って自分の大陸だなと思っているという前提でしか申し上げられないと、こういうことでございます。
  267. 穐山篤

    穐山篤君 私はいまも申し上げているように、よしあしの問題でなくて、現実的に海上保安庁あるいは外務省がそれぞれお調べになって、韓国日本と、中国ないしは台湾の間にありますこの海底の地理的な条件というものは調べられたと思うんですね、調べられたと思う。まあ本来、日本は自分の領域はこれまでであるというふうに古来から主張しておりますから、その点はわかりますけれども、ごく物理的に、技術的に、このいわゆる大陸だなというものを物理的に見てどういうふうな状況になっているのか。あるいはその当時昭和四十四年ごろから昭和四十七年ごろにかけての議論の中で、自然延長論を出す以上、どうしたって大陸だなの状形というものが具体的に闘わされて、理屈の上から言えば論争になっているはずだと思うんですね。私は、この日韓大陸だなというそういう名称は適当かどうかということについても、実はこのたなの問題を研究していけばいくほど、疑問に思っている一人なんです。そういう意味で、物理的、ごく技術的に海溝をお調べになったわけだから、それについて、わが日本見解としてどういうふうなたなになっているのかということを、ひとつ明らかにしてもらいたい。
  268. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは、その交渉の過程で、いま問題になっております共同開発区域を含む大陸だなのたとえば断面図だとかあるいはそれを地図上に描いた姿とかそういったものは必要に応じて御提出することは考え得るかと思いますが、先ほど日韓大陸だなとおっしゃっておりますが、私ども日韓大陸だなという大陸だながあるとは思っておりませんので、そこはちょっと御訂正しておいた方がいいと思うんですが、通称として日韓大陸だな協定といいますが、この日韓というのは日本国大韓民国との間のという意味での日韓で、大陸だなそのものはこの協定に書いてございますように両国に隣接する大陸だなということでございまして、大陸だなには日韓大陸だなとか日中大陸だなとかという固有名詞はございませんから、それはひとつ私ども日韓大陸だなという大陸だなをどこかで認識しているというふうにおとりになりますと、それはちょっと私ども認識と違いますので御訂正いただきたいと思います。
  269. 穐山篤

    穐山篤君 この問題余り長く論争するつもりはありませんけれども、この海図をずっと調べてみると水深がそれぞれ記録をされておりまして、だれが考えてもというか、ある程度の知識を持っているならばこのたなの状形というのはわかるような感じがします。  そこで、昭和四十四年から四十五年、六年の紛争のあったときに日本側としてはここの地域まではこれはわが日本のたなであるし領域である、あるいは等距離ないしは中心線である、こういう議論を多分されたと思うわけですね。この中心線の下はこういうたなになっているぞということを言わなければ、主張としては妥当じゃないと思うわけですね。そういう意味で、できれば次の委員会までに、どういう区分けをした方がいいかよくわかりませんけれども、一応この座表に基づいて、韓国の方から出てきたたなと中国から出てきたたなと五島列島から出たたなと、一遍それを出していただきたいというふうに思うわけです、出していただきたい。その上に立ってもう少し私はその部分については次回に御質問をしたいというふうに思っております。  さて、その次の問題でありますけれども、この共同開発の問題がそもそも出てきた根源的な時期というのは、韓国側が昭和四十四年から四十五年にかけて、アメリカのメジャーが韓国国内法に基づいて鉱区を設定をして、開発権を付与し、その鉱区の一部がわが日本の方にはみ出しているというところから問題が惹起したというふうに考えるわけですが、その前に国際的にはもう一つのセクションがあったというふうに思います。過去の歴史で見ておりますと、昭和四十五年十一月十二日の日にソウルで日本韓国と台湾の連絡調整会議ですか、連絡委員会というものが開かれて、この大陸だなの南部にかかわる、南部というのはその地域を余り特定はできませんけれども尖閣列島を含みましてあの周辺地域の問題について審議がされたという記録が残っておりますね、その事実は間違いないですか。
  270. 中江要介

    政府委員中江要介君) いまおっしゃいましたようなものが政府レベルで行われたかといいますと、そういうものは一切行われておりません。恐らく民間の方のお集まりということでそういうことがあったことはあるかもしれません。
  271. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、それは政府レベルの連絡委員会でなべして、いわゆる民間の団体が集まってソウルでそういう相談をされたと、こういうふうに考えていいわけですね。
  272. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど先生がおっしゃいましたのは、   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 昭和四十五年の十一月ごろというお話でございますと、そのころは政府レベルではすでに法律論争の会議が日本韓国との間で開かれておったわけでございまして、いまおっしゃるように南部の方の大陸だなについて幾つかの団体なり何なりを代表した人たちが集まって協議したといたしますと、それは政府とは全く関係のないものであったと思います。
  273. 穐山篤

    穐山篤君 政府とは無関係であることは間違いないと思うのですが、その民間の、民間のというか民間団体、それぞれのしかし国を代表する政治家を含めた民間団体が、領有権の問題についてはこれは国と国との折衝にならざるを得ない。しかし、領有権とは別に共同開発については民間のそれぞれの代表が集まって相談をされて、記録の上では一たん合意がされた、こういうふうに私は記録を読んでいるわけですが、その事実は間違いないんですか。
  274. 中江要介

    政府委員中江要介君) その問題になっております民間の方の集まりの会議の結果が、日本政府に対して民間ではこういうふうに話ができたんだと、これを政府レベルでどうするかというような接触は私の承知する限り全然ございませんので、確認ができるかと言われますと確認はできないと、こういうことでございます。
  275. 穐山篤

    穐山篤君 これも過去の記録ですから不十分の点があるかもしれませんが、実は日韓台湾の三者の間に、いま申し上げましたように領有権の話は別にして、いわゆる南部について共同開発をするということの合意がなされたということを一つ根拠にしまして、中国側からそれを非難をする声明が十二月に出ているわけなんですね、中国側が全く根拠のない会議あるいは会議の結論に対して非難を浴びせるということは多分なかったと思うのです。古い記録ですからよく真偽のほどはわかりませんけれども、民間団体がいかに領有権の問題は別にいたしましても、その種問題のある問題について、あるいは紛争の起きかねない問題について頭越しに話し合いをして決めるというふうなことは、私は本来あり得ないことだというふうに思いますが、現実にあったわけですね。そのときに政府はどういう態度をお示しになったのですか。
  276. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど来申しておりますように、民間のいろいろの研究については、それが政府レベルに持ち上がってこない限りは、自由な研究として別に政府として何かをするということは通常考えないわけでございますし、いま問題の南部の方の共同開発構想のようなものが、民間の集まりの研究の結果として出たといたしましても、それはそのこと自身で何ら効力といいますか効果のないもので、それを政府レベルに上げてくれば別ですが、そういうものは上がってこないで、日本政府レベルでは韓国との間で話を進めて今回の協定に到達したと、こういうことでございます。
  277. 穐山篤

    穐山篤君 さて、前に進みますが、国会の議事録、答弁によりますと、第六回の日韓閣僚会議の際に、これは九月の五日と六日が正式の会議日であって、四日の日に大平大臣が朴大統領を訪ねられたときにその問題が出たと、こういうふうに聞いております。議事録によりますと、日本の側の方から要求したのではないかというふうに言われておったんですが、記録の上からは、韓国側がその問題を提起をして、大平大臣日本に帰ってきてから原則的にOKを出した、こういうふうになっているわけですね。そのときの状況というものを少しお考えをいただきたいわけですが、韓国側から話が積極的に持ち出されたということは、韓国側にしてみれば、あの周辺地域について積極的に石油なりあるいは天然ガスの開発をしたいという希望を非常に強く持っておったと。逆に、わが日本側はどちらかと言えば相手方から話があって受けた話ですね。言いかえてみれば、日本側が積極的にこの大陸だなを開発をするという気持ちはその当時は余りなかったというふうに私は過去の答弁の中から理解をするわけですが、そういうふうに考えていいわけですか。
  278. 中江要介

    政府委員中江要介君) 御承知のように、日本側も実は時間的に見ますと、韓国国内法に基づく韓国側開発権者の申請が行われるよりもむしろ早いくらいに日本側の開発の希望というのはあったわけでございまして、鉱業法に基づく申請の受理というものはたしかあったと記憶しております。ただその区域が、先ほど先生もおっしゃいましたように、見てみると韓国の方で申請しているところと重複しているということが発見されましたので、これはひとつどういうことであるかということで話し合いが始まった。したがって、韓国日本開発したい企業が存在するという前提のもとで始まった話でございますから、これは開発を急がないとか開発を考えてないということではなかったわけです。ただ、その問題の解決の仕方は、いろいろ話し合ってみますと、大陸だなに関連する国際法上の理論闘争であるから、日本としてはやはりきちんとけじめをつけるために国際司法裁判所に提訴して、そして判決を仰ごうと、こういう考えに立ちました裏には、いますぐ手をつけてもこれは紛争を激化させるばかりである、したがって紛争のない状態で着手するためにはやはり法律的にはっきり決着をつけた方がいい、こういう意味ではいますぐ手をつけるというほど差し迫っていないということは言えるかと思いますけれども、ただ、その国際司法裁判所に持っていくということに韓国が応じない、そうかといって法律論争だけ続けていることはいかがなものか。  そこで実際的解決ということになりますと、これは国際司法裁判所の判例にも、すでに共同開発構想というようなものが、大陸だなに関連する国際紛争があったときの一つの実際的解決の方法として示唆されていたこともございますので、共同開発構想とか、あるいはチモール沖ですでに例がありますように中間線以外の線を引いてみるとか、いろいろの実際的解決の方法があるわけでございますから、日本側におきましても、共同開発ということも実際的解決をするとすれば一つのアイデアであるということは、私どもの方でも用意をしていたことは事実でございます。  そういう状況で、先ほど指摘の昭和四十七年の第六回の定期閣僚会議、これは四日と五日が実は会議の日でございまして、その第一日目の日に、表敬訪問された当時の大平外務大臣に朴大統領の方から、いま法律的に行き詰まっているあの問題については実際的解決を図ろう、現実的解決を図ろうと、その一つのアイデアとして共同開発というのはいかがなものだろうかということがあったわけでございまして、これはたまたま日本側でも事務局に国際司法裁判所の判決に示唆されている一つのアイデアとして多少の勉強はしていたものでございますので、大平外務大臣がその韓国側意向を持ち帰られまして東京で検討いたしました結果、これでやってみる、これは世界で初めての試みですから、どれだけうまくいくかはわからないけれどもやってみょうということで、九月の八日の日に後宮大使から先方の金外務部長官に対して、原則としてこの構想に基づいて検討を始めようということで始まったと、こういうことでございます。
  279. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、韓国が海底鉱物資源開発法というものをつくって、一方的に自分で鉱区をK1からK7までつくった。日本立場から言えばはみ出している、韓国側は当然だと、こう言っているわけですが、さて、またこれ海図が問題になるわけですが、そのはみ出しているという判断は、日本側とすれば日本の領域、たなはここまでだというふうに主張されたと思うわけですね。韓国日本に入り過ぎているじゃないか。記録の上ではK7と共同開発地域がおおむね重複していると、こういうふうに言われているわけです。  さてそのときに、昭和四十五年に韓国開発法をつくって鉱区を設定をしたときに、韓国の側は日本の領域に入り過ぎているじゃないかと言って示したものは何ですか、具体的に言うと。
  280. 中江要介

    政府委員中江要介君) それは、中間線からこちらが全部日本側に入り過ぎていると、こういう立場であったわけでございます。
  281. 穐山篤

    穐山篤君 海洋法とか大陸だなということは、最近大いに議論をされて慣行も出たしあるいは条約もあるわけですけれども、その当時としては議論がなかなか盛んであったわけですね。その当時中間線日本韓国との中間線あるいは日本中国との中間線、そういう議論は昭和四十五年当時、七〇年当時国際的に定着をしておったかどうか。あるいは、日本側とすれば等距離または中間線というのはこれは当然な話だ、当然のことだ、あるいは国際的な決まりからいってみてもあたりまえだというふうに考えていたわけでしょうけれども韓国側はその中間線論議というものはどういうふうにお考えになっていたんですか。
  282. 中江要介

    政府委員中江要介君) 韓国側日本側で立場が違った根本は、中間線でいくのかどうかということではなくて、むしろ、中間線によって境界を画定し得るような一つ大陸だなをはさんで日本韓国が存在するのか、韓国からは大陸だながあるが日本には大陸だながない、したがって境界線を画定する必要がないという立場に立つか、その違いであったわけです。したがいまして、韓国日本との間にもし一つ大陸だながあるんでありますと、これはもうすでに大陸だなの条約に基づいてまず間違いなく中間線でやるということに韓国も異議がないはずでございますが、韓国主張は、日本韓国との間には境界線を引く必要のあるような大陸だなはないんだと、つまり共通して、相対している大陸だなはないと。自分の方からは沖繩海湾まで大陸だながある、日本の方はただ島の周りにちょろっと浅いどころがあるだけだと、したがって、日本韓国との間で境界線を引く必要がないと、こういう論争であったわけでございます。  一般に中間線自然延長かというふうにとらえられておりますけれども、事柄の本質はその方法論というよりも、一つ大陸だなと認識するか、それとも一方には大陸だながあるが他方には大陸だながないと、こういう認識に立つかというもっぱらあの海底の地形をどう認識するかというところの違いであったわけでございまして、それをさらに具体的に申しますと、沖繩海溝というものは一つ大陸だなの中にたまたま入り込んでいる溝にすぎないと、したがってこんな溝は無視して飛び越えて、日本韓国とは一つ大陸だなを共有しているのであるから、そのときは中間線ではないかというのがわが方の主張でございますし、韓国主張は、入り込んだ溝はたまたま一つ大陸だなの中に入り込んだんじゃなくて、その溝によって韓国の方から出ている大陸だなは終わっていると。したがって、日本はその溝を越えて主張することはできないと、こういう立場の違いであったわけでございます。したがって、中間線の理論というのは韓国立場に立ちましても、当時すでに大陸だな条約で、相対している二つの国が一つ大陸だなを共有しているときには通常中間線によるという点は、これは韓国も認めておりましたし、国際的に通用する考え方であったと、こういうことでございます。
  283. 穐山篤

    穐山篤君 次元の違う話を持ち込まれてかみ合わないという結果だと思うんですが、これは先ほど申し上げましたように、溝がどういう地形になっているかという意味で、これ以上議論をしてもどうもかみ合いそうもありませんから、また次の機会に移りたいというふうに思います。  さてそこで、昭和四十四年あるいは昭和四十五年前に国内でエネルギー問題がかなり議論をされております。一面では石油の需要が多くなっていくであろうと、石炭産業はしぼんでいくであろうと、あるいは需要がどんどん重なっていけば、単に石油の供給ということだけでなくして、その他のことも考えなければなるまいという意味で、この総合エネルギー調査会の答申が昭和四十二年二月二十日に出ております。この中で幾つか問題はありますけれども、しぼって申し上げてみますと、日本では国内の石油、原油の開発というのは非常に困難だと、そういう認識の上に立って輸入の安定的な方法を考える、あるいは価格をできるだけ安くさせようということと同時に、海外におきます自主開発をしようではないかということがこの答申の中に強くうたわれております。資料でいきますと六%とか一三%しか自主開発が行われていないので、これを三〇%まで引き上げようじゃないかという三割説がこの四十二年二月の答申で明らかにされたわけです。  そこで、日本政府がこの四十二年の答申に基づいて公団法をつくり、そして出資だとか融資だとか援助というものを伴いながら自主開発をやっていこうじゃないかという努力が重ねられました。その前に、石油企業そのものが国外において開発をしておった現実もあるわけです。その当時、昭和四十四年、四十五年の資料を見てみますと、アラビア石油と北スマトラ石油が中心になりまして、国外における開発事業を行っていたわけですね。この昭和五十一年から三十六年までさかのぼってみまして、昭和四十四年、四十五年ごろが、わが日本開発原油を輸入した量を見ますと最高のピークになっているわけです。これがせいぜい七、八%の割合ですね。そこで、この答申はもっともっと開発しなきゃいけないんだということで三〇%というものができた。  そこでお伺いしたいと思いますのは、八%前後の自主開発を三〇%台に乗せるためには、相当の努力が、あるいは相当の計画がなければならないと思うわけですが、過去の資料を見てみますと具体的に何年度には何%にしていくとか、あるいは五カ年計画で二〇%まで持っていこうという具体的な策定案が出されていなかったわけですね。その点はお認めになりますか。
  284. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、年度別にどこまで自主開発原油のウェートを高めていくかという計画はございません。これは一つには民間企業が自主開発を進めていくということで、それに対して先ほど指摘の、石油開発公団が投融資で助成するといった側面的な形をとっておったというような関係がございまして、年度別の計画はなかったということは事実でございます。
  285. 穐山篤

    穐山篤君 この答申では、相当意気込んで政府に答申をしているわけですね。で、国内のエネルギーを見てみますと、石炭産業が縮小の度合いを非常に強めておったときです。ですから、この答申を見てみますと、非常に自主開発について相当厳しく指摘をしているわけです。それにこたえて昭和四十二年十月に、石油開発公団というものが生まれたわけですね。開発公団が生まれたというのはなかなかタイミングとしては私はいいタイミングであったというふうに思うわけです。ところが、具体的にはもっぱら民間の企業にお任せであって、あるいは民間の企業が開発公団に申請があったときに十分に精査をして出資あるいは融資をする、こういうことだけにとどまっていたのではないかというふうに思うわけです。非常に私はその当時、公団法を設立したことについての熱意はわかりますけれども、実際に自主開発をこういう分野で、こういうタイミングであるいはこういうタイムでやっていこうということがなかったのは非常に残念だと思うし、どうしてその案が策定ができなかったのかということについて疑問を持っているわけです。  なぜその疑問を持ったかと言いますと、日韓大陸だなの共同開発の話も先ほど大蔵省の説明によれば、いや日本日本周辺のたなを含めて積極的に実は取り組んでいるというような精神的なお話がありましたけれども、昭和四十五年前後のところでは、まだ政府としては積極的に自主開発をするという計画がなかったというふうに私は断定をせざるを得ないと、こう思ったわけですから、あえて質問をしているわけです。具体的に、その当時自主開発をもっと計画的に進めていこうという策定案はなかったわけですね。
  286. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、年度別に達成目標というものは設定いたさなかったわけでございますが、この自主開発に対して、非常に官民が積極的に取り組んでおったということは事実ございます。わが国のエネルギーの供給構造からいたしましても、自主開発原油の重要性ということは常に変わらない重要なテーマであるわけでございます。ただ、目標達成がなかなか困難であるということは、熱意と、一方の問題として、石油の探鉱開発が非常にリスキーであるということの御認識もいただきたいと思うわけでございまして、いわゆるボーリングの成功率というのは、世界的に見まして一八%と言われております。その中で、また油田として成功するものが二・七、八%、三%弱というのが現状でございます。わが国の石油開発企業のボーリングの成功率は、大体世界平均並みの一七、八%になっております。それから油田の成功率は七、八%と、この点では世界の他の国よりも成功率は高いということは言えるわけでございますが、数多くの開発企業が積極的に取り組んだわけではございますが、本来的に石油開発なるものが非常にリスキーであるということから、必ずしも思うようにまいらなかったということが現状ではなかろうかと思います。
  287. 穐山篤

    穐山篤君 その探査あるいは発掘ということが、非常にこの種の問題についてむずかしいというのはよくわかります。わかりますけれども、その当時のエネルギーの政策は、文書の上ではわかりますけれども、たとえば日韓の間の大陸だなを開発をするとか、あるいは日中間のたなを開発するとかということを含めて、積極的にこの石油資源開発について当時具体案をお持ちではなかったわけでしょう。その点を具体的にお答えをいただきたいと思います。
  288. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘日韓大陸だなでございますが、これにつきましては、すでに日本の企業の中に、この地域で出願しておったものがあるわけでございまして、早いものは四十二年の十一月ごろから出願をいたしております。四十七、八年ごろまでの間ずっと出願を続けてきておるという状況でございます。これは、先ほど来御審議いただいているような形で共同開発をせざるを得ないということになって、現在探査活動が中断されておるということでございます。
  289. 穐山篤

    穐山篤君 くどいようですけれども、その当時日本は、みずからの力でエネルギーを供給することが、石油を供給することが不可能だ、ほとんど外国から石油を、原油を輸入をしている、これが全体的な大勢であったことは間違いないわけですね。積極的に自主開発をしようと思ってもリスキーを伴いますから、それよりも、価格を安定的にさして、安定的な供給の方が国策に合っているんじゃないか。しかし、そうは言ってみても、もう少し自主開発をしなければいけないということで三〇%という目標が出たわけですね。当時の実績から言いますと、昭和四十一年、二年、三年、四年、五年ごろの、わが国企業が外国で開発をして、原油を日本に送り出している割合というのはごくわずかだった。平均して八%であったわけですね。これを答申で言えば三〇%にしてくれ、しようではないかというのが政府に対する答申であったわけです。  そうしますと、六%ないし八%を三〇%にするというのは、よっぽど具体性を持ったものでなければ引き上げられないということは、これは常識論ですね。いまお話がありましたように、昭和四十二年ごろから日韓の間に二、三の会社から出願が出ておったことは、私も記録の上で承知をしておりますけれども、しかし、それでは答申を受けた政府態度としては、きわめて消極的ではなかったかというふうに思うわけです。そのことが、言いかえてみれば、現在でも依然として自主開発原油がわが国に輸出をされる、わが国が輸入をする割合というのは八、九%に終わっているわけですね。ですから、今日も非常に努力が不足をしている。  今日の状況は、オイルショックの後ですから、これはまた後で議論しますけれども、違った要因を持っております。しかし、少なくとも昭和四十八年オイルショックがある以前の状態では、この答申を受けた日本政府としては、もっと積極的に自主開発をすべきではなかったか。また、自主開発をするための実際的なプランというものを持たなければならなかったはずなんですが、なぜお持ちにならなかったのか、あるいは持つことができなかったのか、その点についてもっと突っ込んだお話をいただきたいと思います。
  290. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほどお話ございましたように、当時、エネルギーと申しますか、特に石油につきましては、豊富低廉という言葉が使われておったように、どちらかと言いますと、第二次大戦中に開発された、中近東を中心とする石油の供給力が非常に多かったといったような事情にあったということも事実でございます。  それからいま一つは、当時、四十二年に総合エネルギー調査会の答申が出る前後の自主開発原油のウエートというのは一二%から一四%程度になっておったわけでございます。量自体は千百万ないし千五、六百万程度であったわけでございますが、原油輸入量の全体の量に対してはかなり高いウエートを占めておった。それから答申のありました直後の四十三年度には、千七百万、自主開発原油は輸入されておるといったようなことで、当時といたしましては一四、五%の自主開発ウエートがあったといったようなこともございまして、将来の目標として三〇%を考えたということも一つ根拠ではなかったろうかと思うわけでございます。  その後、営々たる努力を続けておるわけでございますが、一方で、全体の必要とするエネルギー量、特に石油の量が大きくなっていっているということで、これも先ほど先生から御指摘ございましたが、二千四、五百万トンまで自主開発原油の輸入量がふえてまいっておるわけでございますが、全体との関係で一〇%を下回っておると、こういうのが現実かと思います。決して熱意がなかったというわけではございませんが、先ほどもお答えいたしました石油開発の特殊事情といったようなものが加わりまして、必ずしも思うように進展しなかったというのが実情ではなかろうかと思います。
  291. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、本来日本主権が及ぶと主張しておった中間線日本寄り側の地域について、昭和四十二年から出願がされていたわけですから、もし自主開発について積極的に取り組む——四十二年には公団法も改正をして、財政的な裏づけもある程度のことはできる状況にあったわけですね。もし、その当時日本政府に積極的に自主開発の熱意があれば、リスクは伴いますけれども、俗に言われているところの共同開発地域、本来的に言うならば、日本主権が及ぶであろう中間線以内の問題について、その出願を受理をして、探査権なり採掘権なり試掘権というものを与えて積極的に石油開発を行う、こういう決意あるいは決断があってもしかるべきではないかというふうに考えられるわけです。  その当時、出願があったものに対して、なぜ政府は積極的に認めようとしなかったのか。あるいは日本政府自身が石油開発公団をつくったわけですから、財政的な裏づけがあるんだから、石油企業は日本の周辺全体についてもっと積極的な開発をやるべきじゃなかったかという行政指導をなぜされなかったのか、その点がどうしても疑念として残っているわけです。その点具体的に宏答えいただきます。
  292. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の点ももっともであるわけでございますが、御承知のように、石油開発前提といたしまして探査活動、これが当然必要になってくるわけでございまして、四十二年以降出願しておりました関係企業におきましては、いわゆる物理探査をその間続けておったわけでございます。これがまだ完全に終わらない段階におきまして、四十五年に韓国側で、海底鉱物資源開発法に基づきまして外国企業に租鉱権を設定するといったようなことから、鉱区の重複問題、そもそものこの問題の発端となるような時点が四十五年に訪れたといったようなことから、物理的に、時間的にタイミングとして合わなかったということになるわけでございます。
  293. 穐山篤

    穐山篤君 現実に、大陸だなの問題が両国の間で公式に問題になりましたのは昭和四十七年以降ですね。その前に多少のトラブルがあったことは承知をします。しかし、日本が本来主権が及ぶ地域だと言ってがんばっていたわけですから、少なくともその間は二年ないし四年あったわけですね。その期間とすればせいぜい二年ないし四年のことですけれども、今日になってみますと、非常に重要な時間帯ではなかったかというふうにわれわれは考えるわけです。もし日本が積極的に試掘権を与えて試掘をする、探査をすると、時と場合によれば、あの地域で紛争が起こったかもしれません。しかし起こったかもしれ幸せんけれども、最終的な領海を決める、あるいは中心線を決めるという状況もまたそれによって大きく変化していたかもしらないということは想像するにかたくないと思いますね。ですから、なぜ二年ないし四年の間、時間を置いておったか、これは非常に不思議でしょうがないんです。百本が積極的に自主開発を行うという立場に立っているならば、極端なことを言えばトラブルがあっても探査をしたり、試掘をしておったであろうというふうに思うわけですけれども現実はその間は、後ほど御質問しますけれども別のところが調査をしておった、それも探査とか、あるいは試掘とかというふうなものでなくて、そうでない調査を行っていたわけですね。なぜその時間を温めていたか、これは疑惑を持たれる一つの種になっているわけです。その点をもう一回お答えいただきたいと思います。
  294. 中江要介

    政府委員中江要介君) 日本側におきます鉱区設定の出願のその後の扱いについては、先ほど資源エネルギー庁長官も御説明になっておりましたが、外務省の方で、韓国との関係でこの問題がどういうふうに扱われていたかという点に関しまして一言申し上げておきたいと思いますのは、一番最初に日本が、韓国側大陸だな開発の動きがあるのではないかということを察知いたしましたのは昭和四十三年、一九六八年の秋ごろであるわけです。この秋ごろにどうも韓国側で海底鉱物資源開発法を制定するらしいという動きを察知いたしましたので、場合によっては、それは日本大陸だなと日本主張しているところに関係が出てくるかもしれない、どの地域を鉱区に指定するかはわかりませんから。しかし、日本との隣接する大陸だなまで及んでくるのであればこれは日本としても黙っておられないので、重大関心があるということを申し入れまして、そして韓国はその翌年の四月に閣議決定をいたしまして、この開発法を制定し、十二月に向こうの議会で可決いたしまして、四十五年の一月に公布された。その段階でもまだどこまでが先方の国内法の対象になっている大陸だなの開発鉱区であるかということははっきりいたしておらなかったわけでございますが、日本側では、一番最初は昭和四十二年、一九六七年ごろからぼつぼつ出願が行われていたというふうに聞いておりますが、先ほどのお話にありますように、いろいろ物理探査、その他の前の段階の活動が始まっている。  ところが、韓国側に対して重大関心を申し入れて、その結果いかんによっては日本韓国境界線を決めなければならないかもしれない、こういう態度に立っている日本といたしまして、そのときに一方的にまず手をつけた方が得だというような考え方をしたかというと、そういうことはしなかったわけでございまして、日本韓国との間のように隣接しておりますときには、特に日本立場からいたしますと、中間線で区画をしなければならない。そういう大陸だなを抱えている日本のことでございますので、韓国の成り行きを見た。そうしましたら、韓国の方はずっと日本側に入ってきたところまでを自分の鉱区に設定しているということで、それでは日本としては承服するわけにまいらないということで、昭和四十五年、つまり法律が出ました年の六月に正式に韓国政府に対して、重複したところについて境界線の画定の話し合いをしようということを申し入れて話し合いに移っていった。そういうふうに見ますと、四十三年の秋に察知いたしまして、四十四年、それから四十五年の六月に正式に話し合いを申し入れておりますので、その間一年半ぐらいの期間でございます。その間日本として韓国側に、一方的にそんな近いところを開発するのであれば、これは問題であるぞと言って向こう国内法実施を抑えさしていたという状況のもとで、日本側だけが一方的にやれるかというと、それはやはり国際信義の問題としてやれない、つまり日韓双方で合意した境界線を画定した上でお互いに開発に着手しょう、こういう考え方であった、これが外務省側から見ました当時の状況でございます。
  295. 穐山篤

    穐山篤君 いきさつはいきさつとして、いい悪いのことは別にしてわかりますけれども韓国開発法が制定をされたのが七〇年、それに鉱区がK1からK7までその後ついたことが明らかになった、争いがあることは当然だと思うんですね、日本側の方に入り込んでいるわけですから。  私がここで主張したり、あるいはお尋ねをしたいのは、その当時まだオイルショックということを経験をしていなかった日本ですね、まあ世界もそうです。ですから、昭和四十二年からこの紛争が起きます昭和四十五年ぐらいまでの間に、日本がこの答申に述べられているごとく、十何%というものを三〇%に拡大をしなければだめだという答申が出てきたときに、ありとあらゆる手を使ってエネルギーの開発あるいは石油の自主開発について努力の手を抜いておったんじゃないかと、そのことを私は指摘をしているわけです。言いかえてみれば、よもや石油ショックがあるなんということはだれも考えていなかった。そういう意味で言えば、エネルギー問題について非常に甘い考え方をその当時持っていたのではないかというふうに考えたわけです。まあ見るわけですから、くどくも辛くもお尋ねをしているわけです。そのことが実は大陸だな協定の締結に当たって、あるいはこの協定審議する過程に当たって、日本立場を非常に不利にした一つの要因があると私は見ているわけです。そうじやないという具体的な反論があったらひとつ聞かしてもらいたい。
  296. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) オイルショックの前と後で石油に対する考え方、特に自主開発原油に対する考え方もそれなりの変化があったということは御指摘のとおりだと思います。  ただ現在問題になっております共同開発区域についてのお尋ねでございますので、この点について若干敷衍して申し上げたいと思いますが、一つの問題は昭和四十三年にこの地域で御承知のようにエカフェの調査が行われたわけでございます。この調査結果が翌年の昭和四十四年の五月に発表になった、そこで非常に世界のと申しますか、関係国開発企業の注目を浴びたということをひとつ申し上げておきたいと思うわけでございます。このエカフェの調査の前後にわたって、日本側もこの地域に関係企業が出願いたしておったわけでございますが、この時点まではどちらかというとさほどまだいわゆる探査技術、特に地質的な解析あるいは評価の技術というものがさほど進んでなかったと申しますか、逆の表現をすればこのころの時点をはさんで非常に長足の進歩を遂げたといったようなこともございまして、いわゆる地質的な見方というものが、このような時期を境にして非常に変わってきたということが言えるかと思うわけでございます。  そういったところから、関係企業といたしましても、当時はどちらかというと余り自信がなかったんじゃなかろうか。ところが、エカフェの調査あるいはその背景にある地質の分析評価の技術というものが非常に発達してきたといったようなところから、この地域に対して一段と有望性を痛感するに至ったということになろうかと思います。実はその物理探査につきましては、鉱業法上は自由にできることになっているわけでございます。その物探をやりまして、試掘可能性が高いというふうになってまいりますと、むしろ関係の企業から促進願いが出てくるというのが通常の手順でございますが、この時点にまだ促進願いが関係企業から出ておらなかったということは、やはりこのエカフェの調査が本格的なものとして現在問題になっております共同開発区域について調査結果を発表するまでは、やはり消極的と申しますか、余り強い意識を持っていなかった。とりあえず先願をしておこうという程度の気持ちではなかったろうかというふうにも見ておるわけでございまして、全体として自主開発原油に取り組む努力、熱意が云々ということを離れましても、そういった事情がこの地域においてはあったということが申し上げられるかと思うわけでございます。
  297. 穐山篤

    穐山篤君 見解相違になれば別ですけれども韓国側態度というのは共同開発地域にいたしましても、あるいはその他の点につきましても先手必勝、こういう態度がうかがわれるわけですね。大平外務大臣日韓会談に出かけたときに、もし日本が積極的に自主開発をするつもりがあれば、これはいま言われている共同開発地域というのは、これはわが日本の固有の開発地域であるから、韓国側としてはこれを侵してはならないぞと、わが日本としては探査あるいは試掘を積極的にやりたい、こういう通告程度で済んでおったかもしれないわけですね。しかし、その当時の状況としては私はいろいろな資料で見るわけですが、余り自主開発の問題について日本政府が積極的でなかった。しかし、韓国側の方はきわめて積極的な態度を持っておった。それが開発法になったり、鉱区の設定に具体的にあらわれているわけです。少なくともあそこの領域の問題あるいはあの付近のエネルギーの開発につきましては、わが方がどちらかといえば負い目を感じておった、消極的な態度であったのではないかというふうに思うわけです。いや、見解相違だということになればそれでもやむを得ないと思いますけれども、しかし、今日この議論がいろいろな分野から議論される一つの焦点は、私はそこにあるのじゃないかというふうに考えるわけです。  そのことはまた別に議論をしたいと思いますが、日韓会談が終わって翌々日ですか、八日の日に、日本政府韓国政府に対して原則的にオーケーという返事を出しておりますね。そのオーケーというのは、区域共同するという意味でオーケーをしたのか、共同開発をするという意味で区域のことについてオーケーをしたのか、あるいはその中心線の問題、言いかえてみれば、境界線の問題についてはたな上げをしておいて、開発だけについてオーケーを原則的にしたのか、この問題が一つあるわけです。  それから推測の域は出ませんけれども韓国側態度というのは、自然延長論を積極的に後世長くやっておけば、いずれはこれは何かものになる、ものになるというのは、これは共同開発というエネルギーの問題とは別に、領海の問題、主権が及ぶ範囲がいずれは韓国側にしてみれば拡大をされる、こういう気持ちを持ちながら、大平大臣に対して共同でひとつ開発しようじゃないかという話が出たのかどうなのか。これは竹島の問題でも非常に符合している話ですから、非常に古い話で恐縮ですけれども、その当時のことをもう一度ひとつお伺いしたいと思います。
  298. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず韓国側が非常に積極的であって、日本よりも、先ほどのお言葉ですと、先手必勝ということでどんどん乗り出してきたではないかと。現象として見ますと、日本の法制整備あるいは鉱区設定、開発権付与というようなそういう手続面では、確かに韓国が次々とやっていたことは事実ですが、他方それに対して重大な関心を示しました日本政府が、日本話し合いをすることなく、日本が自分の大陸だなと思っているところに、たとえそれが物理探査であろうと、それを行うことは認められないということで、韓国国内法実施を思いとどまらせて、この法律論争を足かけ三年間やったというのも事実なんでございまして、韓国は決してごり押しに既成事実をつくって何とかしようということでなかったということは、一つ言っておきたいことだと思います。  それから、そういうことで始まりまして、昭和四十五年から、つまり一九七〇年から七二年まで足かけ三年にわたって法律論争をいたしました。その中身は、これは将来に向かって多少広く管轄権をとっておこうというようなそんな発想からは通用しないような、非常に精緻な法律論をやったわけでございまして、先方もわが方も、国際法のいろいろの学者の議論、国際司法裁判所の判例、あるいは国際社会で方々で行われている先例、そういったものをそれぞれ自国に有利なものを巧みに使って争ったわけでございまして、これを延々とやりましたけれども、勝負がつかない。この勝負がつかないにはそれだけの理由があったと、私は当時自分でやっておりましたから感じたのですけれども、これはどちらにもなかなかの理由、理屈、論拠がありました。したがいまして、こういうものこそ国際司法裁判所で裁いてもらうことが将来の国際法秩序の先例として、いい判例がもらえるんではないかというのが日本側の考え方で、多少時間は待たされるかもしれないけれども、あるいは経費もかかるかもしれないけれども、国際司法裁判所に行こうじゃないかということを昭和四十七年の四月に正式に提案いたしました。これは相当の決心であったわけです。  といいますのは、それほど議論は伯仲しておりまして、必ず日本が勝つという確信があるほどのものでもないし、韓国側では国際司法裁判所に行くんなら自分の方が勝つからやってみようじゃないかということを言う人もいたぐらいだったわけです。ところが、いつか申し上げましたけれども、時間と経費をかけて法律的な決着をつけるほど悠長な資源開発問題かどうかということについては、日本側でも昭和四十七年ごろはその意識があったわけでございます。その翌年に訪れましたオイルショックのような、ああいう急激なものが予想されたかどうかは別といたしまして、日本の高度工業化の実態から見まして、このエネルギー資源、特に石油問題というのは、やがてこれは大問題になる。したがって、できることならば、早く開発に着手しても七、八年から十年かかる話ではないかという気持ちは日本側にもあったわけでございまして、そういう雰囲気の中で第六回の定期閣僚会議が行われまして、この定期閣僚会議が——私、先ほど先生がきちんと九月五日、六日とおっしゃいましたのを、四日、五日と言いましたが、これは私の方の間違った資料で申し上げて大変失礼いたしました。先生の言われたのが正しゅうございまして、五日、六日が第六回の閣僚会議で、その前日の四日に大平外務大臣が朴大統領のところに表敬に行かれた。そのときには双方とも、三年越しの法律論争に実はもう飽き飽きしていると言うと不謹慎かもしれませんが、これは幾ら続けてもらちが明かないなあと、そこで国際司法裁判所に行くという話も韓国は受けない、どうしたものだろうかということで、ちょっと私先ほど申し上げましたように、第三の線を引くかあるいは共同開発にするかというようなことを内々私ども考えておりました。ですから、その時点で大平大臣の方からここまではおれのものだから一方的、自主的開発するよと通報すれば足りるというような状況では実は全くなかったことは御認識いただきたいと思うんでございます。  そういうところで定期閣僚会議に先立つ日の先方大統領との表敬の話のときに、この共同開発構想というので考えられないだろうかという話がありまして、他方、私どもでも一つの具体的な実際解決として考えておりましたものですから、持ち帰って検討しましょうということで検討いたしまして、九月八日に先方に返事をいたしましたのは、先ほど先生の御質問に答える形で申し上げますと、具体的な鉱区とか具体的な地域とか、あるいは法律論をたな上げにしてとか、そういうところにまで及ばない、原則的にそれでは共同開発というようなことが一体成り立つかどうか検討してみようと、そういう原則的な合意であったわけであります。  といいますのは、先ほど申し上げましたように先例のない話でございまして、国際社会共同開発構想というものはもし実行できますればこれは非常に新しい先例で、地球上方々にあります大陸だな紛争の一つの実際的解決の方法として、新しい分野を開くということでありましたので、双方でこれを何とかうまく成功させることができるかどうかということで、鋭意昭和四十七年の十月から翌年の七月にかけて十回にわたる実務者の会議、締結交渉を行ってこの協定にたどりついた。その協定にたどりつく中で双方の法律的な立場、あるいは双方が考えている境界線、あるいはそれに対する主権的権利というものの内容、そういったものを慎重に突き合わせてつくったわけでございまして、これは先手必勝と言って先に手をつけた韓国がどれだけ勝ったかと言いますと、半分しか勝ってない。つまり、韓国はこのみぞのところまで全部一〇〇%開発できるところを五〇%にまでまあ自制するという結集に終わっております。しかし他方わが方も、中間線まで一〇〇%とれるという立場から出発して五〇%のところにとどまっている。これがいわゆる実際的解決、共同開発の構想ということになっておるわけですが、それですべてを手を打ってしまうのはこれは将来の韓国にとりましても日本にとりましても立場を害するというので、協定の二十八条でこの解決の仕方というのは、双方大陸だなに対する主権的権利主張立場を害するものではないし、ここで決められた境界線というのは、国際法上画定した境界線ではないと。将来微調整もあるし、変更もあり得るという余地を残した、文字どおり実際的な解決ということで落ちついたのがこの協定である、こういうことでございます。
  299. 穐山篤

    穐山篤君 経過的に言えば、確かに二年ないし足かけ三年の間、両者の間で論争があったことはよくわかります。ただ、日韓会談が五日、六日に終わって、八日に原則的にオーケーという返事を出したんですね。従来、私どもの経験、政府の経験でもそうですけれども、慎重に検討して、これが国益に合うものであるかどうか、あるいは原則的にオーケーを返事をするに当たっても、この地域というのは台湾もあれば中国もある。そういう意味では、ある程度将来紛争が残るかもしらない、あるいはその余地を十分に持っている地域であることは間違いないわけですね。そういうことを総合的に考えてみれば、相当長期に慎重に検討をする、あるいはときには国内世論も十分に見きわめるということが必要だと考えられるわけですが、ずいぶん早く、一日置いた九月の八日に返事をされた決定的な理由、政治的に経済的に、あるいはその他いろんなこともあったと思うんですが、決定的な理由というのは何であったんですか。
  300. 中江要介

    政府委員中江要介君) いずれは、法律論争をいつまでも続けて、あるいは国際司法裁判所にでもかけるという、つまり、あくまでも法律的解決を求める道、これは年月がかかります。その道を選ぶか、それとも法律的な争いはほどほどにして、双方がねらいとするところは、法律的に勝ち負けを決めることでなくて、この資源を早く利用したいという、そちらの実利の方から考えますと、早いほどいい。そうすると早いほどいいということになりますと、実際的解決になる。実際的解決ということになると第三の境界線、つまり、中間線でもみぞのところまででもないもう一つの線を引くのが有利か、それとも共同開発が有利かという点になりますと、これはその地形から見まして、第三の線を引くことは日本にとっては大変不利でございまして、韓国には非常に有利になるものですから、これは選べない。そうすると実際的解決は、やはり共同開発になるのかなという気持ちはかねがねあったわけでございます。  したがいまして、オーストラリアとポルトガルでしたか、チモール沖のように第三の境界線をもし韓国が言い出しておりましたら、恐らく日本はそれには応じなかったと思います。つまり、第三の線から日本側は非常に深い方に入るわけですし、先方に有利な地域が入っていくわけです。したがって、そういうことならすぐには乗れませんけれども共同開発ということで、比較的広いいま共同開発協定の対象になっております地域の有利なところ、比較的不利なところをまんべんなく共同開発できるというこの方法は、日本にとって有利であるということでございまして、当時の政治的決断になった要素は何かと率直に聞かれますと、二つございまして、時間をかけるよりも早く開発した方がいいというエネルギー資源開発上の要請が一つと、その場合に行われるであろう実際的解決の中で、共同開発という構想は日本にとって他の考え得る構想よりも有利であると、こういうことであったものですから、早速に韓国側の提案を原則的に合意して、そうして案文作成の作業に入った。案文作成の過程で日本の利益にならないようなことになるんなら、これはやめてもいいじゃないかということですから、回答いたしますときに非常に注意深く、原則的にその構想で検討することに合意するということで検討に入ったわけでございます。
  301. 穐山篤

    穐山篤君 私が前段で昭和四十二年から四十四、五年ぐらいまでの間のエネルギーの開発、あるいは石油開発という問題について、エネルギー庁にかなりしつつこくお伺いをしたわけですね。ところが外務省の方では時間をかけて争っておったんではこれはしようがない。一刻も早く手をつけた方がいいと、共同開発という方をとる方がその他幾つか考えられる手段、方法の中で最も有利だと、こういうふうに言われている。よく考えてみると外務省は一つの政策持っていたと思うんです。ところがエネルギー庁の石油開発の方は、率直に申し上げて三〇%まで自主開発日本国周辺または国外で開発をして三割台まで引き上げるという具体的な目標がなかったわけです。あるいは具体的な案が、プランがなかったわけです。ところが、片方ではもたもたしておったんでは損だ、時間的に余裕がない、早く掘った方がいいという非常に食い違った考え方のもとに、この原則的にオーケーを言ったのではないかというふうに見られてもしようがないですね。その点どうですか。
  302. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは先ほど資源エネルギー庁長官経過説明のある時期と、それからこの決心をした時期とを一緒にすると食い違っているということはあるいはあり得たかもしれませんが、この法律論争を繰り返し繰り返し、いよいよ定期閣僚会議の開かれるような段階になった四十七年の秋ごろは、これはもう外務省は一々緊密に通産省と連絡し、その閣僚会議にも外務大臣のほかにも通産大臣も一緒に行っていられたわけですから、朴大統領から外務大臣にその提案は行われましたけれども、すぐその日にソウルのホテルで通産大臣を囲んで、これはどうしたものだろうかということの協議はすでに始めまして、先ほど私が申し上げました政治的決断は、これは外務省がやったとかどうしたとかいうのじゃなくて、日本政府関係閣僚の間で合意を見てそういうふうに決断したものでございまして、当時通産省が同じ考え方に立っていたことはこれはもうはっきりしていると、こういうふうに思います。
  303. 穐山篤

    穐山篤君 外務省とかエネルギー庁というふうに私、区分けをするつもりはありませんけれども、しかし事の経緯を具体的に調べていきますと、私が申し上げたような印象が非常に強く残っっていることは間違いないわけですね。くどいようですけれども、片方でエネルギーの開発石油開発について、答申では三割台までレベルアップをしなさいと指摘をされた。資料を見ましても実際に輸入量——自主開発原油が日本に輸入された一番ボリュームの大きかったのは昭和四十三年ですけれども、さらに具体的に各社が三社あるいは五社というふうになってきましたのは、エネルギーショックの起きました昭和四十八年を境にして、自主開発が数社にわたって行われておる。ですから、その前は率直に申し上げていろんな準備は行われておっただろうと思いますけれども、具体的なものにあらわれていない弱さが現実にあるわけですね。  そういう際に、論争としては主権が及ぶ地域はどこかという意味で論争が長く続いたことはわかりますけれども、これとエネルギーの開発との関係で言うと、非常に違和感が残っているわけです。まあ見解相違というお話になるかもしれませんけれども、どうしても私はそこの部分について腑に落ちない。  さて、そこでその次に、原則的にオーケーと言われたのは、相手側の朴大統領の提案というのは、この南部の地域について共同開発をしようではないか、そういうのが大筋の提案ですね。ところが、その前提条件になっておりますのは、K7という韓国側がつくりました鉱区というものを頭に入れながら、朴大統領は日本に対して共同開発をしよう、こういう対応になっているわけですね。日本側は、K7というのはわが方の陣地ではないか、これは主権の及ぶ地域だ、けしからないという気持ちはありますけれども、実績はないわけですね。相手側の方では、鉱区7をちゃんと法律に付帯をしてつくってあるわけですから、ある意味で言えば強味を持って提案をしているわけですね。  受ける側の日本側が原則的にオーケーを出したときに、私は細かいことを聞くつもりありませんけれども、この共同開発地域の、地図で言うと、よもやこの辺まで含めて、五島列島の近くまで含めて韓国側が提案しているとは思っていなかったと思うんです。あるいは共同開発しましょうという地域に多分こんなところは含まれていないであろう、お互いが競り合っている中間線ないしはその前後のところは共同開発になる可能性があるかもしらぬ、こういう気持ちはあったと思いますけれども、大隅諸島のすぐ近くまでこれを共同開発にしましよう——座標で言えば九から十、十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十と、こんなところは本来日本の領域であるし、主権の及ぶ地域であるし、日本のたなである、こういうつもりを持っておったと思う。よもやこんなところまで、接近をしたところまで韓国側が含めて共同開発しようという提案ではなかったというふうにお感じになって原則的なオーケーを出したのか、それともわが九州まで及ぶということを十分熟知をして原則的なオーケーを出されたのか、その点はいかがですか。
  304. 中江要介

    政府委員中江要介君) これは韓国韓国立場に立って設定しております鉱区が相当日本の近くにまで及んでおることは百も承知しておりまして、それを何とかわが方の主張のとおり中間線まで引っ込めようという交渉が行き詰まって、そこで実際的解決として共同開発をするということでございますから、もうこの鉱区の大きさを議論するということは、これはもう論じ尽くして、大きさを議論し始めると、法律的な立場に立ち戻るわけです。したがいまして、その点を論ずることなく実際的に解決するとなりますと、双方主張の重複したところを共同開発するという単純明快な方法以外には実際的な解決はあり得ない。この共同開発区域をここまでにしぼろう、ここは自分のものだからと言った途端に三年間の法律論争に舞い戻るわけでございますから、そこのところがきわめて政治的に決断を要した点でございますが、これは法律論争を続けないということに決断した以上はやむを得ない一つの解決策、つまり、日本が要求しているところと韓国が要求しているところと重なったところを法律論を行うことなく、そのまま共同開発に移してしまう、これが実際的解決という意味での共同開発構想であったわけでございますから、先生がおっしゃいますように原則的に合意したときには日本側としては共同開発部分はまさかあの全部でなくて、一部分ではなかろうかというような気持ちでいたかというと、そんなことはない、これはやむを得ない一つの実際的解決だ、こういうことであったわけであります。
  305. 穐山篤

    穐山篤君 私は最終的な協定が結ばれたことをお伺いしているわけじゃないんです。昭和四十七年の九月の八日の日に、日本政府韓国に原則的にオーケーを出したときのそのときの状況です。そのときの状況というのは、それ前に論争があったことはよくわかりますけれども、この座標で言えば、本来座標一から六というのは日本韓国との中間線と俗称言われておるところですね。わが方日本側にしてみればこれは主権の及ぶところであるから、韓国側が座標一から六にかけて、九州寄りの問題について本来いろいろ問題を提起をすることは間違いだと、そんなものは受けられないという強い立場を持っていたと思うんですね。持っていたと思うんです。それは領域の問題と当然たなの問題と両方あるわけでしょうけれども、わが方わが日本としては、どちらかと言えば鉱区権が及ぶ、権利主張が及ぶという意味で座標一から六というものを常に念頭に入れていたわけですよね。入れていたわけです。そうしますと、最終的なことをお伺いしているわけでなくて、原則的なオーケーを九月の八日に出されたときは、大体この付近が——この付近ですよ、よくわからないけれども、座標一から六ないしは九前後のところは、どのくらいの距離、幅かわからないけれどもある意味では共同開発地域になるやもしらない、また日本も一定の主張をしなきゃならぬと、こう考えておったと思う。しかし、この座標十一、十二、十三、十四、十五というふうなところまでを韓国は考えていた。韓国は考えていたけれども日本側はよもやここまで入ってこないであろうと、そういうつもりで原則的にオーケーをしたのか、あるいはまあこの程度まではしようがないんだと、共同開発という立場ではやむを得ないんだということを考えながら、ごく大ざっぱに原則的なオーケーを出されたのか、そのことをお伺いしておるんです。
  306. 中江要介

    政府委員中江要介君) ですから先ほど私申し上げましたように、原則的合意をしたその時点におきましても、日本側としてはこのいまの座標で言いますと九、十から始まりまして、九、十、十一、十二、十三、十四、十五、十六、十七、十八、十九、二十と、この非常に日本に近接した線、この線までを共同開発にすることになるだろうというつもりで原則的な合意をしております。
  307. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと新しい問題が私は起きたのではないかというふうに思うんですが、確かに領有権の問題について、あるいは主権の及ぶ地域の問題について長い論争があったことはわかりますけれども、相手側、韓国側は言えば言っただけ得だという気持ちがあったわけですよね。これはおれの領分だというふうに、この共同開発地域K7までは自分の領分だ、これは開発できる地域だというふうに決め込んでいるわけです。決め込んでいるわけです。日本側はもう絶対に日本側のこれは領域である、こういうように主張しているわけでしょう。ですから、少なくとも原則的なオーケーを出す際は、この付近のことは当然争いになるし主張しなければならぬけれども、ここの部分についてはあくまでもこれは日本主権が及ぶ地域であるとなぜ主張ができなかったのか。なぜ主張を繰り返し繰り返し行わなかったのか。このことは竹島問題と非常に似ているわけです。その点いかがですか。
  308. 中江要介

    政府委員中江要介君) これはひとつ先生も考えていただきたいと思うんですけれども、わが方は一から六までの中間線が唯一の境界線であるという立場でございまして、それ以外の線を韓国との話で話をするということは、その以外の線についてある程度韓国主張を認めることになるわけなんです。ですからそれは絶対に相ならぬ、将来の日本の基本的な立場に触れるわけですから。先ほど申し上げました韓国が精いっぱいに主張しておりますところ、九から二十までの線というのはこれはもう理由のない線である、これは。韓国がここまで主張する根拠があるから認めるのではなくて、韓国根拠なくここまで主張している。韓国立場からしますと一から六までは日本根拠なく主張している線なんです。両方ともがお互いに根拠なく主張している線を何とか近づけようという、あるいは一本にしぼろうという法律論争がもう続けられない、それはやめようといった以上は、お互いに根拠のない線を目をつぶって実際的解決だからそれを囲いの中に取り込んでその中を共同開発する、そこについては理論闘争をもうやめる。これが協定の二十八条になっておるわけでございますので、気持ちとしては共同開発区域をもっと狭くしたいということはもちろん私どもも否定するわけではございませんが、それを言い出すと途端にわが方の立場を弱くすることにもなる。  そういうことでありますので、この大きな外郭の線につきましては韓国中間線を議論しない、日本韓国の外縁の線を議論しない、法律的に。そういうことが実際的解決ということになりますと、勢いいまあるようなものにする以外には共同開発構想という形での実際的解決は無理だ。もし新たな線を引こうということになりますと、ちょっと私先ほど言いましたように第三の境界線を国際的に画定してしまう、これは大変危険なことでありますので日本としてはそれはやれない、こういう事情にあったわけでございます。
  309. 穐山篤

    穐山篤君 両者の間に争いがあるという状況の中で最終的にこういう座標を使ったと、経緯はよくわかるわけですが、私が述べようとしている問題は、エネルギーとの関係はありますけれども日本尖閣列島にしろ竹島にしろあるいはここの部分にしろ、領土の問題について主催の行使について非常に妥協的な態度をとっているのではないかというふうにどうしたって指摘をせざるを得ないわけですね。争いを起こしておいてそして区域共同するか、あるいは共同区域をつくるか、あるいは開発するかというふうに相手側は第二、第三の道を現実にこの問題ではとっているわけですね。  竹島の問題でも同じことが現実に起きているわけです。まあ一九四五年日本は戦争に負けたということもあるのかもしらないけれども日本の領土をいかに確保するか、あるいは失ったものについていかに復元をするかということについて非常に弱いと指摘をせざるを得ないと思うんです。九州の男女群島にしましてもあるいは大隅にしても、日本の島で漁業が行われごここに人間が住んでいて生活が営まれているわけです。その手前まで、韓国はこれはおれの領分だといっているわけです。そういったその無謀な要求に対してなぜ領土権をきちんとする、領土をはっきりする、あるいは主権をきちっと主張するということについてなぜ近年弱くなったのか、何か理由がなければこう簡単にここの部分について妥協しなかったんじゃないか、後ほど竹島でも申し上げますけれども、ああいう事例はなかったはずだと思うんです。これは妥協の産物ですよね、率直に申し上げて。双方権利主張については一応あることは承知をする。しかし妥協しましょうといっているわけです。しかし少なくとも独立国が一番主張しなければならないのは主権であるし、まあ現実的に言えば領土であることは間違いないんですね。なぜ急にこういうふうに安易に妥協したのか、その点どうお考えになりますか。
  310. 中江要介

    政府委員中江要介君) まず前提として申し上げておきたいのは、これは領土権とは関係がないということでございます。で、これは地図の上に書きますと、いかにもここまで領土が及んでいるように見えるんですが、及びます主権的権利というのは、この海底にある大陸だなに対してのみ資源開発のための主権的権利が及ぶというだけのことでございまして、これが日本の領土権を弱めるとか領土権をどうしたということとは全く関係がない問題でございますから、その点はひとつ御認識いただきたいと思いますし、それにしてもどうしてここまで認めるかと。それは韓国がここまで主張することについて国際法上相当の根拠があるということがあるわけなんです。それをわれわれは根拠がないと、日本中間線まで行くのに根拠があると主張して、それが法律紛争を繰り返したわけでございますが、国際法大陸だな制度に関する成熟度がまだ未熟なために韓国主張にも相当の根拠がある、日本中間線、つまりこれは一つ大陸だなという議論にも相当の根拠がある。  ですから、両方に相当の根拠があるんだからそれは譲るなとおっしゃれば、私先ほど申し上げました二つの選択に迫られたときの第一の選択、つまり法律的に決着をつけてしまうと、国際司法裁判所に行くなり、あるいは延々と論争を繰り返す、その道を選ぶことにすれば日本立場はいつまでも続いて、しかしそれは決着のない、日本主張だけが残って油は全然手がつけられない状態で続く。だからその道を選ぶべきだというのも一つの政策的選択であったであろうとは思います。ただ、当時私どもが選びました、日本政府が選びました選択はもう一つの方の選択であったわけで、これはこの資源を早く開発に着手することによってやがて来るであろう石油の問題の解決に資しようと、そのために立場を害することなく、かつ韓国日本との間で、これは相対する隣国同士でありますから、紛争を話し合いによって解決するという一つの範をたれるということで、実際的解決によって双方のエネルギーの需要に充てると、こういう発想で第二の道を選んだと、こういうことでございます。
  311. 穐山篤

    穐山篤君 台湾は現在、尖閣列島あるいは尖閣列島の周辺については台湾の主権が及ぶ地域である、こういうふうにいまに至るまで主張しておりますね。それは間違いないですか。
  312. 中江要介

    政府委員中江要介君) 一九七二年に日中正常化をいたしましてからは、日本政府は公の立場といたしまして台湾というものが主権的権利主張し得るものという認識はとれないわけでございますので、そこのところはひとつ共同声明の第三項の立場を踏み外すことなく、一般的に言いましてそういう主張をかつてしたことがあるということは私ども承知しております。
  313. 穐山篤

    穐山篤君 私はそういう取り決めで、本来そういう主張があってはならない、あるいはそういう主張ができるわけはない、そのことはよくわかります。しかし現実に、尖閣列島及びその周辺についても台湾は公式非公式にあれはおれの方の領土権が及ぶ地域である、こういうことは報道しておりますね。それから韓国は竹島問題について、日本側は固有の領土だとあくまでも主張しておるし主張しなければなりませんが、現実には韓国に占領されていますね。午前中の論争の中でもそう思うわけです。いずれの相対する国も、それぞれこれはおれの領域である、領土である、あるいは土地である、こういうふうに、客観的に言えば理不尽かもしれないけれども、領土権あるいは主権が及ぶという問題について強く、あるいは乗り越えて主張しておりますね。で、私は何も侵略をするという意味ではありませんけれども、そういう韓国だとかあるいは台湾だとかという諸国に比べまして、日本側の主張というのは非常に弱い。なぜ弱いかということについてまだ疑問が十分に解明されないわけです。日本が助平根性を出すならば、座標一から六以上のところまでが日本主権が下の方に及ぶというぐらいの気持ちで議論をして、最終的に座標一から六までに落きつくのはしようがないと。これは話し合いの、戦術でしょうけれども、そこまで私は言うつもりはありませんけれども、いま問題になっております韓国というのはそうじゃないですね。積極的に韓国の領土あるいは主権が及ぶところを拡大をしていく。  そういう状況の中で日韓会談が行われたりあるいはこの協定の交渉が行われる。そのことについて非常に疑念を持っているわけです。正当な理由があるわけですからもっともっと積極的に日本主張をなぜ貫徹をしないのか。そのことがいまだに解明されない。もう一回お伺いします。
  314. 中江要介

    政府委員中江要介君) 日本は固有の領土に対する領土主権は、これは一貫して強く主張はしておるわけでございます。その結果どういうことになっておるかと言いますと、尖閣諸島のように固有の領土で実効支配しているものは、これはあくまでも守っていくと。これに対する第三者からの介入は認めない。もしそういう試みがあればこれを排除する。間違ってそういうところに踏み込むものがあればこれを外に追い出す。こういうことで守っておるわけでございまして、一歩も譲ってないと私どもは思います。  それに対しまして北方領土と竹島というこの二つのやはり日本の同じく固有領土につきましては、日本が独立といいますか、自主的な主権を戦争の後回復いたしましたときに、すでに第三者によって実力によってといいますか、不法にといいますか、占拠されている。これを排除するために日本は力を使わないということを政策としておりますので、あくまでも話し合いによって平和的に解決するということで、それぞれその第三者と話し合いによる解決の努力を積み重ねている。その効果がすぐに上がらないということはございますけれども、そのことによって主張をやわらげるということはない。あくまでも主張は堅持して続けていく。で、いまある不法占拠をどういうふうにもとに正すかという点につきまして、竹島の場合には北方領土の場合と違いまして、紛争の解決の道が国交正常化の際につけられておるわけでございますから、日本韓国との間で紛争解決の交換公文によって示された筋道に即して、この紛争を解決しようという努力をしているというところでございます。  韓国は次から次へと領土を拡大しているというふうな表現をなさいましたけれども、少なくとも日本韓国と国交を正常化いたしましてから、韓国日本に対して領土的要求を新たに突きつけて拡大してきたということはございませんで、ただ不法占拠している竹島をいつまでも離さないで持っているということがございますが、これはいま申し上げましたように国際紛争として平和的な解決の努力を一層続けていきたい、こういうことでございます。
  315. 穐山篤

    穐山篤君 まあこの話にけじめをつける意味でもう少しお尋ねするわけですが、尖閣諸島につきましても、人間は住んでいないけれども私の土地ですね、私有地ですね。あるいは竹島についてもそれと同じ私の土地ですね。——いま、まあうなずかれたわけですから間違いないわけですけれども、仮にこういう紛争地域について、あるいは紛争の岩または島について、日本が積極的にこれはわが方の領土であるということを主張するためには、実効のある方法をとって第三者に対抗するというのが一番ベターなやり方だというふうに思うわけです。したがって、この尖閣列島なり竹島について争いが起きる前あるいは紛争中に、政府が積極的にこれは国有地にするというふうなことは考えなかったんですか。
  316. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど竹島も私有地だというふうにおっしゃいましたが、あれは島根県の県有地といいますか、公の土地になっておるわけでございまして、私有地は、尖閣諸島の一部分は私有地になっております。で、  実効支配ということの意味でございますけれども、何か標識を立てれば実効支配かというと、あながちそれだけではないと思います。尖閣諸島につきましては、御承知のように領域標示もございますし、地籍標示も立っておるわけでございまして、何よりも実効支配の最も重要なところは、先ほど私申し上げましたように、その土地には日本の法令が施行されている、したがって、その法令に反する者は法に従って処断する、またそこで何かを活動する人は日本の法令のもとで初めて出入国もあるいは営利活動であれ何でもやる、これが実効支配の一番根本だろうと思います。そういう意味では、尖閣諸島につきましては、あの周辺の漁業は領海内漁業は日本の法令のもとで処置されておりますし、またがって台湾からあの土地に間違って作業員が入ってきましたのは、一度出ていただいて正規の入国手続を経て入ってきてもらったという実績もございますし、尖閣諸島については、古来実効支配は、ということはつまり日本国の法令はそのまま適用されておる、現在も適用されている、こういう意味で私は何ら欠けるところのない完全な実効支配の行われている固有の領土である、こういう認識で一向差し支えない、こう思います。  それに反しまして竹島の方は、そういうことを事前にしておけばよかったじゃないかとおっしゃいますが、そういうことをする前に、そういうことのできるようになる前、つまり日本主権を戦後回復する前に、先ほども申し上げましたように占領下のマッカーサーラインの中に入り、その後李承晩ラインの中に入りということで、最もそれを解決し得たかもしれないチャンスは日韓正常化のときであったわけです。で、一九六五年の正常化交渉で最初から最後まで最ももめたのがこの竹島の領有権の争いであった、これは御記憶のとおりでございますが、そのときに決着がつかないで、これはお互いの立場を法律的に述べ合った上で、日韓間の紛争であるということをはっきり認識した上で紛争解決の交換公文をつくったわけですから、これは両国間の努力によって解決しなければならない問題であるという認識がはっきりしておりまして、韓国は自分のものだからもうこんりんざい渡さないと、そういうことではないわけでございます。したがいまして、これについてはこの交換公文の線で努力をすると、先ほど申し上げたとおりであるわけです。
  317. 穐山篤

    穐山篤君 尖閣諸島と竹島を同じに扱っていくのは少し議論として無理があるわけですが、竹島に少し戻してみたいと思います。  固有の領土である、これはもうどこから注文がついても日本としては十分主張のできる根拠、理由あるいは歴史的な経緯もあるという意味で、現在の状況というのは、他の国がわが国の領土に侵入をして占領している、こういう状況にあるわけですね。私先ほども言いましたように、韓国側態度はけしからぬとは言ってみても、韓国のやり方、立場あるいは方法とすれば事実を積み重ねていっている。これがあと何年たつかわかりませんけれども、この周辺地域について仮にたなの開発という問題が起きてきたときに、日本側は当然この日韓大陸だなと同じように強行に主張すると思います。しかし、有望な資源がその下にあると仮定をしますと、当然出てくる問題は、長い時間かけて争うよりも共同開発をするというふうなことを含めて妥協をせざるを得なくなってくる、こういう懸念も持つわけです。これは何も私だけの問題でなくて、すべての人がそういう懸念を、少なくとも日韓の間にはそういう要素が常にあるというふうに思うのはごく常識論だと思うんですが、その点についていかがですか。
  318. 中江要介

    政府委員中江要介君) 私どもは竹島については韓国主張していることが全く間違いであって、これは日本のものにいますぐならなきゃならぬというような、つまりいままで正当に日本主権的権利行使しているところに韓国が無法にも入ってきたということではなくで、日韓正常化のときにすでにそれはもう紛争であるという認識をしておるわけでございますから、いまなすべきことは紛争を解決することであって、侵略を排除するとか、不法な入国を追い出すということではないわけであります。したがいまして、これは紛争の解決として、先ほど来申しておりますように、話し合いによって平和的に解決するということで、その解決の結果がどうなるか、これはどっちかが一〇〇%勝って、どっちかが一〇〇%負けるというのが一つの解決でございましょうし、それがなかなかできなくて、いつまでもペンディングになっていると、これは未解決の問題ということでしょうし、それはどういうふうになるかは、これは両方の話し合いの結果ですが、一番円満な解決の道は、両当事者がお互いに信頼し合って、誠意を持って解決のために努力するということであって、自分の主張を通すことだけを主張し合うような話し合いなら意味がないと、こう思います。したがいまして、相当いいタイミングを選んで、そうして、高いレベルでこの話を決めていくということでございませんと、事務的にはなかなかむずかしい。法律論争を繰り返すといま先生がおっしゃいましたようなことになりかねないと思います。  今度は、この島をめぐって何らか資源の争いその他があったときにはどうなるだろうかということですが、幸か不幸か、この周辺にに大陸だながないもんですから、大陸だな開発としては争点にはなっておりませんが、昨今言われておりますように、漁業の問題では、これはすでに双方の漁業利益が重複しておるわけです。そのところを日韓漁業協定におきましても、あえて紛争中の地域でございますから、漁業の問題だけで結着をつけるというわけにまいらない。したがって、領域の問題に最終的に結着がつくまではそこのところをお互いに理解して、紛争にならないように操業秩序というものをある程度守ろうということで守ってきたのが、昨今、五月八日にああいうことになるまでの状態であったわけでございます。  これからどういうふうになるかと、双方が相当の認識を持ってこの領土権の問題に結着がつくまでは、それ以前の小さな出来事、紛争あるいは衝突、そういったものを避けながら、領土権の問題の解決のできるチャンスを待つというのが一番賢明だろう。そういう観点からいたしますと、韓国が地上にいろいろの施設をつくったり、あるいは人員、警備員を常置したり、そういうことは日本側としては絶対に認められないことであるということでありますので、新たなそういう措置に対しては、これは強く抗議をして撤去を求めておりますけれども、それも力でもって撤去するということのできない状況のもとでは、必ずしも全部が全部所期の目的は達していない。しかし、この間、住民登録があったのではないかというような報告がありましたが、そういうときも早速韓国に厳重に警告して調べさせましたら、それはそうでなかったということがわかりましたが、韓国政府といたしましても、この問題は両国間の紛争として認識されているということを前提にして、公権力の行使に当たっても慎重にやっているということはありますが、いずれにしましても、こういう状態がいつまでも続くということは既成事実の方が長引く、これは将来有利であるとはなかなか考えにくい、むしろ不利に働くのではないかという点は、私ども認識しておりますので、早い解決をしたいと、こうは念じておるわけでございます。
  319. 穐山篤

    穐山篤君 この座標一から六までの線引きの問題にしろ、竹島の問題にしろ、細かいことを言えば、どういうたなであるのか、あるいは歴史的にどういういきさつがあったのかということはあったでしょう。しかし、国対国の立場から言うと、韓国側立場というのはきわめて積極的に主権が及ぶところを拡大をする、拡大をさせようという意味で紛争を起こしているわけですね。紛争を起こしているわけです。と、まあ日本立場から言えば思わざるを得ないわけであります。私は、日本が積極的に紛争を起こせと言うつもりはありませんけれども、そういう片方では積極的に領土を拡大をしていく、あるいは主権行使ができるところをもっともっと広げていくというのが国の国是になっているわけですね。国是になっている。ところが、わが日本は非常に紳士的であって、これは固有の領土だと言って主張しているだけですね。そういう中でたなの共同開発区域についての座標というものが議論になって、韓国日本との間の座標からいえば、一から六、あるいは六、七、八というところが線引きをされたわけですよね。その前提になっているのは、何回も言いますけれども韓国側はK7という鉱区を何としても韓国側のものにしたい、これはこの鉱区は韓国側のものであるということが交渉の出発点でもあるし、協議のスタート点にもなっているわけです。ですから、ずいぶん韓国日本側の協議の立場、あるいは領土に対する立場というのが大変違うということについて私は強く指摘をしておきたいというふうに思うわけです。  この論争はまた別に引き続いてやりたいと思いますが、さてK7の問題に関連をしてどうしても聞いておかなければなりませんのは、K1から始まりましてK6までの間に、韓国側の情報によりますと、KlK2、K3、K4、K6というものについては、あるものは契約切れである。その理由というのは経済的あるいは技術的な理由で撤収をした、こういうふうに報道されているわけです。しかし、韓国側がK1からK7までを区分けをしたのにはかなりの根拠があるわけですね。全く最初からガルフにしろあるいはシェルと契約をするにしてもまるっきり採算の合わない、あるいはまるっきり天然資源が出ないというところを区分けをしたわけではないというふうに思いますが、そう考えますと単に経済的なあるいは技術的な理由で撤収したということだけをうのみにするのは私は早計ではないかというふうに思うわけです。K1からK7までを含めて韓国側開発法の鉱区にしたわけです。  もっと意地悪く考えてみれば、K7を近い将来日本共同開発地域にしたいがためにK1とかK2というものをついでにつくったわけじゃないと思うんです。あるいはK7と非常に近いK4、ガルフですね、ここの鉱区を設定したわけじゃないと思う、もう一回繰り返しますが。ある一定の採算がとれる、開発法に基づいてですね。こういうふうに鉱区を区分けをして逐次K1からK7までを開発していく、こういう長期的な計画で鉱区を区分けをしたと思う、ある一定のめどを持ってやったと思う。にもかかわらず、十分な成果がないままに、いうところのK7とK5を残して全部撤収しているわけですね。これは相手側のことだからよくわからないというふうに言われるかもしれませんけれども、K7あるいは共同開発地域をこれから開発しようとする場合に、K1からK6までの撤収について無関係だというわけにいかないと思うんです。  そこで、単純にこれは契約が切れたというふうなお答えでなくて、あるいは技術的な、あるいは経済的なという抽象的なものでなくて、実はこれこれこういう理由でここは撤収をした、撤収するときの状況はこういうものだと、こういうことを十分に分析をされていると思うんですが、その点ひとつ具体的にお答えいただきたい。
  320. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) まず第一に明らかにしておきたいのでございますが、その韓国が設定いたしました七つの鉱区は、当時単独開発前提にしていたわけでございます。いま先生指摘のとおり、有効な契約がすでに第二、第三、第四、第六、これにつきましては切れております。で、現在契約が依然として残っておりますのが第一と第五と第七でございます。そこでこれはもうすでに申し上げましたように、単独の開発前提とするものでございますので、この協定ができた場合にはこの協定に基づいて新たな開発契約というものが先方政府とできるであろう。それに基づきまして韓国政府開発権者として認可し、日本開発権者として認可し、その間で事業契約ができ、そこで事業契約の証認発行ということになるのでございます。  したがいまして、現在のはいわば単独開発前提にしたものでございますので、いわば韓国内部のものでございますが、われわれが韓国側から承知しておりますのは、ただいま申し上げたように第一、第五、第七で、しかも、その一部につきましては新たに開発契約者を探そうとする動きがあるということでございます。その理由につきましては、なぜじゃあ契約の延期をしなかったかということでございますが、一応われわれが内々通報を受けておりますのはこれらの地区、たとえば第二鉱区では試掘回数すでに二回やっておりますし、それから第五では一回、第六では三回の試掘をやっておりまして、まあこれらの租鉱権者から見ますと必ずしも有望でないということで、有効期限を延長しなかったというぐあいに聞いております。しかし韓国側とすれば、新たに希望者があれば、また現にある模様でございますが、これに対してさらに付与する可能性もあるということでございますが、いずれにいたしましても、これは単独開発前提とするものでございまして、この協定ができました暁には、新しい開発契約が韓国政府と先方との間にできるわけでございます。
  321. 穐山篤

    穐山篤君 K1、K2、K3、K4、この海図で見てみますと、わりあいに水深の浅いところですね。ですから、探査なり試掘の技術的な立場から言えば、わりあいにやりやすいところなんです。そして現在の、当時五十一年ないし五十二年であったわけですから、技術的には高度の技術を持ったガルフだとかあるいはシェルがやっているわけですね。ですから長期に探査をしたり試掘をしなくても、ある一定の期間やれば、ここに良質な堆積層があるのかないのかということはもうすぐわかるわけですね。このK7の南部の方に来ますと、この海図で見ると、水深は一千メートルというふうなところもありますけれども、いま私が指摘をしたところは、ほとんどわりあいに浅いところなんです。そろいうところが、契約切れもありましたけれども、見込みなしとし撤収をしたわけですね。これはうがつた見方をすれば、果たしてこういう鉱区を設定するだけの値打ちがあった鉱区であったかどうかということについて疑惑を持つわけです。本来、探査を行って、ある程度堆積層がある、こう見れば、普通の状態ならば、K1、K2、K3、K4のところは技術的に楽なんだから、相当の天然資源が出る、こういうように思うのは当然だと思うんですね。韓国側が、撤収した会社にかわってその他はないかと言われておりますけれども、すでにはっきりしていることは、ここでは余り資源がないということが明確になっていると私は考えるわけで3。私も技術屋さんではありませんからよくわかりませんけれども、調べている資料の範囲で言えば、そういうことが十分にうかがい知ることができるわけです。  そこで重ねてお伺いをするわけですが、これは韓国側が勝手に決めた鉱区でありますので、何とも言いがたいとは思いますけれども、全く先行き見通しもないような鉱区をそれぞれ設定をしながら、K7まで七つの鉱区に仕分けをした政治的なねらい、あるいは経済的な意義というのはどこにあったんですか、その点をお伺いします。
  322. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) これにつきまして私たちが承知しておりますのは、それぞれのメジャーから韓国政府に対しまして租鉱権の設定の申請があった、それぞれ韓国政府と協議いたしまして、それなりのいわば対価を払った形で鉱区設定をしまして、そこで探査活動を行った。その一部は試掘までやったわけでございます。で、一部の租鉱権者は、そこで将来見込みがない、コマーシャルに見て見込みがないということで、それなりの理由から撤収したのではなかろうかと思いますし、またそれ以外のたとえばわれわれが承知しておりますのは、第四と第六でございますが、これにつきましては、第四の場合は現在ガルフで、第六がシェルでございますが、これにつきましては、シェルとガルフの方は契約の延期をしなかったけれども、それ以外のたとえばコアムとかテキサコあたりがさらにそれを引き継ぐ可能性もあり得るというようなことでございまして、これは一情報でございますが、いずれにいたしましてもそれぞれメジャー側の会社と緯国政府がそれなりの対価を払った形で鉱区の申請をして設定をした、こういうぐあいに承知しております。
  323. 穐山篤

    穐山篤君 第一区、第三区、第六区というのは五十一年にもう契約が切れていますね。それから第二と第四というのは去年の三月でこれまた契約が切れているわけです。この契約期間というのは、それぞれのメジャーにしてみればある一定の探査に必要な時間帯というものを十分に計算をしながら契約をしたものだというふうに思うわけです。テキサコの第一区が五十一年に切れているけれども、これはもし有望だと思えば直ちに引き続いて契約の更新を行っているのは当然だと思うんですね。これは切れっぱなしになっているわけです。ですからどうしても不思議に思うのは、なぜK1からK7まで、こういうふうに区分けをしたか、もし本当に韓国がここで探査を行い、試掘を行えば出るであろう、あるいはメジャーもここならば有望だろうということになるならば、もっと鉱区をしぼる、あるいは海溝をしぼる、あるいは海底を整理をする、こういうことは当然だと思うんですね。ところが客観点に言えば、よくも政治的にこれだけ広い鉱区を開発法に基づいて設定をしたものだというふうにどうしても邪推をするのは無理ない気持ちだと思うんですけれども、そこの点はどういうふうにお考えですか。
  324. 三宅和助

    政府委員(三宅和助君) まず第一に第一鉱区でございますが、これは契約の延長がなされておりまして、本来なら一九七六年の十二月の末で契約が切れるわけでございますが、これが八〇年の二月まで延期されているわけでございます。したがいまして、この第一鉱区に関する限りは契約は依然として有効である。その意味におきまして第一と第五と第七が現在契約が依然としてある、残りが切れているということでございます。基本的には第一から第七の鉱区、これは日韓大陸だな共同開発協定関係ない単独開発としていわば韓国側が勝手に設定したという意味におきまして、われわれ日本側といたしましても一応の説明は聞いているわけでございますが、それ以上の説明は、いわば韓国内部の事情として承知してないということでございます。
  325. 穐山篤

    穐山篤君 大体K1からK4ないしはK6というのは、ざっくばらんに言えば韓国側中間線以北の問題ですから、これ以上議論してみても無理があると思います。  そこで、きょうは以上をもって私の質問は終わります。先ほど若干保留をした問題を含めて次回にまたお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  326. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時九分散会