運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-28 第84回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)    午後四時五十六分開会     —————————————    委員の異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     斎藤 十朗君      浜本 万三君     瀬谷 英行君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 斎藤 十朗君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 長谷川 信君                 前田 勲男君                 増岡 康治君                 真鍋 賢二君                 大塚  喬君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 渡辺  武君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君        労 働 大 臣  藤井 勝志君    政府委員        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        林野庁長官    藍原 義邦君        通商産業政務次        官        平井 卓志君        通商産業大臣官        房長       宮本 四郎君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商業省生活        産業局長     藤原 一郎君        特許庁審査第一        部長       小林 慶基君        中小企業庁計画        部長       小松 国男君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        労働省職業安定        局長       細野  正君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        大蔵省関税局輸        入課長      武末 祐吉君        運輸省海運局次        長        山元伊佐久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定不況産業安定臨時措置法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  特定不況産業安定臨時措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 わが党は、衆議院でもこの法案で修正に参加して、修正されてまいりました。なお問題がたくさんありましたので、この法案に対しては党としては反対の態度で今日まで質問を展開してまいりました。  最後に、たくさんまだ問題が残っておるのでありますが、時間もありませんので、本日の連合審査でも質問されたようなものは重複を避けまして、問題点をしぼりまして質問をいたします。大体一時間ぐらいということでありますから、質問も非常にしぼりまして要点だけいきますから、答弁の方もなるべく簡潔にお願いをいたします。  大体テーマは、初めにいまの不景気、この経済見通し、どういうふうにこの不況というものが展開するであろうか、これが第一点です。第二点は、いまも連合審査で問題になりました産業構造転換というものとこの法案とのかかわり、同時に貿易構造転換とこの法案とのかかわり。そしてあと個々の四つの指定業種と、その他これから政令、省令で決まってまいります業種、こういうものの問題点。特に先般の参考人の公述で述べられましたもので、大臣なり各省の意向を確かめておきたいもの及び後の附帯決議に盛り込んでいただきたいもの。こういうものについて質問をいたします。  したがって、まず最初にこの経済見通しであります。福田総理日米首脳会議に行かれ、後は先進国首脳会議がありますが、七%経済成長と六十億ドルの経常収支黒字、これは大きな日本経済の指標でありますが、最近の経済動向を見ますと、これは経済企画庁の二月十日発行の月例経済報告でございますが、これを見ましても個人消費伸びていません。ほとんど前年同期に比してマイナス、それから設備投資マイナス官公需はふえていますけれども。したがって、個人消費政府目標であります一一・四%の増の見通しは一体どうなるか、あるいは企業設備の三%増の見通しは一体どうなるか。住宅投資もこれだけ公共事業に投資しておりますけれども、この経済企画庁統計では伸びていません。前年同期に比べて住宅投資マイナスです。五十一年の七月ごろからマイナスが多い。こういうような情勢でありますから、とうてい七%成長などということは望み薄であると考えるが、経済企画庁はどういう御判定であるのか、でき得れば数字を示してお話を聞きたいと思います。
  4. 澤野潤

    政府委員澤野潤君) ただいま先生お話がございますんで、数字を示しながらお答え申し上げたいと思います。  まず、個人消費支出需要項目でございますけれども、これは一応私ども家計調査と毎月勤労者統計というので見ておるわけでございます。毎月勤労者統計は、実はこの一月、二月は非常に実質で力強い伸びを示しておるわけでございまして、五十二年中は一%とか二%とかという程度でございましたのが、五十三年一月は実質現金給与が五・三、二月が四・三という伸びを示している、これは実質でございます。  また、消費支出に影響を持っている数字といたしまして、家計調査というのがございますが、この家計調査実質の一月の伸びが、五十二年中が〇・二とか〇・三であったのに比べまして三・五、それからさらに、二月が三・〇という伸びを示しております。また、これは勤労者世帯でございますけれども、全世帯で見ますと、さらにこれが一月三・八が、二月には三七、要するに勤労者世帯を上回る——勤労者世帯の方は二月は下がっておるのでございますけれども、全世帯の方は三・七というように勤労者世帯を上回って伸びておるということは、一般世帯におきます消費支出も力強い伸び方に転じつつあるということが言えるわけでございまして、これから物価安定等も入れまして、個人雇用者所得並びに個人所得というものが先行き明るい見通しのもとに伸びてまいるという点から申しますと、まず個人消費支出伸びというものは、政府見通しの筋をたどってまいるのではないかと考えておるわけでございます。  それから次は、個人住宅建設でございますけれども、これはもうすでに御承知のように、せんだって二月の数字発表になりましたけれども、二月の新規着工戸数というものは、前年同月比に比べまして一〇%以上の伸びを示しておる、それから、先般四月の募集も、開始されたばかりではございますけれども、非常にこれに対する需要は多い、かなり個人住宅建設というものに対しては、先行き明るい見通しのもとに、これらの住宅建設というものの実質的な伸びというものは、かなり強い実需があるというふうにわれわれは現在見ておるわけでございます。  それから、設備投資でございますけれども、これはごく最近通産省発表もございましたし、またわれわれの方といたしましては、民間金融機関のアンケ−ト等をも参考にいたしておりますけれども円高の問題が起こりました後、この二月及び三月に発表になりましたアンケートで見ましても、これは主として非製造業設備投資中心、非製造業と申しますのは、電力とか卸小売業、それから金融業等中心になるわけでございますが、それを中心に一〇%以上の伸びを見込んでいるものがございますし、また八%から九%の間というものを見込んでおるわけでございますし、また先般の通産省数字を見ましても、カバレージは必ずしも企画庁とは一緒じゃございませんけれども、これも一〇・五%、しかも非製造業中心、特に電力中心という設備投資伸び数字が出ておりまして、五十三年度におきましては、この伸びをそのまま継続いたします。まあそれは結局先般お認めいただけました五十三年度予算におきます公共事業のまことに力強い拡大基調、これが今後とも続いてまいるわけでございますから、それとともに民間設備投資も非製造業中心として出てまいるということを十分期待できるわけでございます。  さらに政府支出の方は、ただいま申しましたように公共事業前倒し等々の効果によりまして、相当年度前半におきましては順調な拡大を続けるものと考えております。  さらに在庫投資。これはまさに企画庁の方で前々から申し上げておりましたように、三月、四月に製品及び流通在庫はほぼ在庫調整を完了するであろうといったことがまさにそのとおりになっておりまして、最近は原材料在庫はそれほどでもございませんけれども、それと業種間のばらつきはございますにしろ、一応在庫調整というものはほぼ完了したと見まして、これから在庫積み増しに参るんではなかろうかという感じでございます。したがいまして鉱工業生産指数生産出荷の最近の数字、一番新しい数字は、むしろわれわれが期待した以上の増加というような感じもございますので、十分七%成長の軌道には乗っておると考えておるのが現状でございます。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 これはお互いに予想ですから、だから余り力を入れて論争してもしようがないが、賃金が平均六・一しか上がっていないです。四十九年、五十年ごろの産構審あるいは経済企画庁予測などは、少くとも八%ぐらい賃金伸びるであろう。四十九年段階では、五十二年から当分は一〇%ぐらいの賃金伸びるであろうという予測であった。去年の暮れごろでも、ことしの賃上げは八%ぐらいであろうという予測があったけれども、いま春闘の半分の妥結で六・一%しか上がっていない。物価は、これも速報ですけれども消費者物価が四・四上がっています。したがって私は、これが示しておるように、あなたの方の出しているこの月報が示しておるように、個人消費伸びが少ない、それから住宅建設も、あなたいまおっしゃったけれども、なかなか伸びないと思う。官公需だけが公共投資拡大によって伸びておるというような情勢です。昨年度のGNPの伸びは四・八ですからね。五十二年三月までの合計は四・八。したがって七%の成長——もちろん私は成長することを望みます。  通産大臣がさっきも答弁されたように、七%成長いたしますと、この法案にある不況業種の中の半分ぐらいは適用しなくて済むでしょうと思います。したがって成長してもらいたいけれども、残念ながらいまの現状では、賃金の引き上げも少なかったその他で、私は無理ではないかと思うが、公共事業に対するいろいろてこ入れをやっておられるようですから、公共事業の、これからの前倒しその他を含んで、前半期公共事業消化状態については、どう判断しておられますか。
  6. 澤野潤

    政府委員澤野潤君) まず、最初お話賃金の問題でございますけれども、この賃金につきましては、個人所得の中で約三割程度のものでございまして、そのほかのもので十分伸びるということをまずひとつお答えいたしておきます。  それから公共事業の方でございますが、これは大蔵大臣本部長になっております公共事業推進本部でございますけれども、これで五十三年度前半におきましては、去年と大体同程度の七三%程度前倒しを行い、しかも第一・四半期においてできるだけ多くの契約を行うということで、昨年度もこの実績を達成しておりますし、また本年度はいわゆる十五ヵ月予算の順調な遂行ということとも相まちまして、前半におきまして七三%の前倒し契約というものは十分できるというふうに考えております。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 国際収支についてはどうですか。
  8. 澤野潤

    政府委員澤野潤君) 国際収支の五十三年度見通しというのは、一応経常収支が六十億ドルの黒字という数字、五十二年度におきまして百四十一億ドルの黒字ではございましたが、これはかなりいろいろ臨時的な要因をも一−三月の間において含んでおりまして、これを六十億ドルの黒字幅に縮小するということで、私どもといたしましては、緊急輸入その他先般閣僚会議等で決定いたしましたあらゆる手段を使いまして輸入増加を図り、六十億ドルの黒字幅に落ちつくというふうに見ております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣、この黒字減らし輸入対策、三本の柱を決められて、これからも努力するということを政府は宣言しておられますけれども、この輸入対策見通しですね、黒字を六十億ドルに減らせるかどうか。最近まだ百四十億台ですね、減らせるかどうかについての見解をお聞きしておきたいと思います。
  10. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま貿易均衡回復をするために二つ政策をとっておりますが、一つ輸出行政指導で抑えるということであります。残念ながら現在のような貿易の流れでは国際的なトラブルが起こりますので、数量で五十二年度の横並び、こういうことで強力な行政指導をしております。  それから第二は、緊急輸入拡大でございまして、これにつきましては先般二十一日にその枠組みを決定をいたしました。それではどの程度緊急輸入ができるかということでございますが、通産省といたしましては、最低四十億ドルから最高百億ドル前後ぐらいの幅で運営をしたいと考えております。相当大きな幅を持っておりますゆえんのものは、貿易動きいかんで、また通貨情勢いかん相当黒字が違ってまいりますので、その情勢に応じて臨機応変の措置をとる必要があると考えておるからでございます。私は、やはりこれは日本貿易史上かつてない思い切った幾つかの対策が織り込まれておると考えておりますが、この二つ対策によりまして、一刻も早く貿易収支均衡回復を図りたいと考えております。枠組みはできましたので、あと運営いかんの問題でございます。ぜひ六十億ドルという見通しを達成をいたしまして、現在の輸出制限を一刻も早く解消したいと考えております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 貿易構造転換のところでも触れますけれども、大きな輸出産業鉄鋼自動車家庭電器品などですね、産業構造審議会からの貿易構造転換の中でも明らかにしてありますように、現在輸出に依存して、日本経済を支えてきておる、輸出依存型の貿易構造というものを転換していかなければ、日本に対する諸外国の風当たりもひどいし、また経常収支バランスなどということも考えられないであろう。一番大きな鉄鋼自動車あるいは電気機械など家庭電器品など、この輸出産業に対する行政指導とか、あるいは業者間の話し合いなど進めながら、一三%からでき得れば八%ぐらいの貿易依存度に持っていかなければ、日本貿易構造としては本物ではない、そういう意見が出されています。輸入の方の話を進めておられます、輸入によって黒字減らそう、輸入をふやすことによって黒字減らそう、もちろんそれは大きな一つの方策でありましょうが、輸出の方を、出る方の規制はいけません、規制はできませんが、業者間の話し合いなどによる黒字減らしについては、どういうふうなことになっておりましょうか、お聞きいたします。
  12. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 輸出依存経済構造を直せというお話があると、こういうことでございますが、これはよほど内容を吟味いたしませんと、通産省としてはにわかに賛成いたしかねると思うんです。なぜかと言いますと、わが国はエネルギーも資源もありませんし、食糧関係も不十分でございます。でありますから、一億二千万の人口一定水準生活を維持していくためには、やはり必要なものの輸入というものは、どうしても継続しなければなりません。それだけの輸入を継続する以上は、やはり輸出というものがないとこれはバランスが合いませんから、だからむやみに輸出を減らすという考え方には、これはそれだけでは同調しかねるわけでございます。  それともう一つは、わが国人口一億二千万ございまして、御案内のように毎年百八十万人の若い人たちが学校を出て社会に出てまいりますが、そのうちおおよそ百万人が就職をしたいとこう言っておるわけです。もちろん定年でやめる人もございますけれども、しかしながら相当の新しい雇用の機会というものをつくり出していきませんと、これは失業問題が出てまいりますし、若年労働者の失業問題ということになりますと、これは社会不安等も伴いますので、そういう意味からも、やはりある程度産業成長というものは必要だと思います。そういうことから三全総でも六%の成長が今後十年間は必要である、こういうことを決めておりますし、政府の方でもこれからの五年間六%台の成長ということで、その前半はおよそ七%ということを目標経済運営をしようといたしておりますが、それもやはり、一番の中心雇用問題ということを頭に描いておるからでございます。  そういうことを考えますと、日本の国内の市場が非常に大きくて輸出依存型の経済でなくてもやっていけるということであれば、輸出を縮小すべしという議論にも耳を傾けなければならぬと思いますが、日本経済の特徴を考えますと輸出を縮小して内需だけで経済運営をやっていけと、やっていくようにと、こういうお考えには、内容をよく吟味しませんとなかなかやはり簡単な結論は出しにくいと、こういうことだと思います。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 日米首脳会議での大きな課題でありましょうから、いま総理調政局の方もいろいろ御相談になっておるようでありますから、軽々に論議できないと思います。思いますが、貿易構造転換しなければ、諸外国の圧力は弱まらないというそういう提言については十分考えなければならぬのではないかと思います。したがって、産業構造転換とも絡み合いながら、日本貿易構造というものをどういう方向転換していくか、これは通産省及び外務省としても、あるいは大蔵省も大変な大きな課題でありましょうが、時間も少ないので貿易問題よりも産業構造転換に入ってまいります。  私は、この今度の法律が出ましたときに、一昨年ごろからわれわれは不況業種対策を論議してまいりました。ここには昭和五十二年八月十日の表がございます。通産省としても十二業種不況業種というものを一応ピックアップして、こういう産業については転換考えなきゃならぬというムードがありました。ところがこの法律が出まして条文に入りましたのはこの中の四業種で、あと業種はこれから検討されるものと思います。いずれにいたしましても、産業構造転換しなきゃならぬということについては大体意見は一致しておるでありましょうが、その産業構造転換に先取りをしてこの法律をおつくりになっておるのか、あるいはとりあえずこの四業種及び政令で決める若干の業種を、後追いの形でこれをめんどうを見ておけば、五ヵ年間めんどうを見ておけばまた産業構造転換については別途考える、たとえば産業転換基本法など別途考えると、そういう考えであるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  14. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いまお述べになったような考え方で、今回法律をお願いしておるわけでございます。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 そういたしますと、中小企業事業転換法ができましたように、日本産業構造につきましても基本的には基本法的なものを一応考えなければならぬと。さっき連合審査大臣がお答えになりました産業構造審議会の答申も、ことしは第三回のローリングプランをお顔いしてあるからと、そういうものを基礎にして日本産業構造全般的な転換をこれから考えてまいりますと。とりあえずはこの法律は四業種及び政令で定める、法律の後追い、手当て法律でございますと、そういう理解でよろしいですか。
  16. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そのとおりでございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 その産業構造転換については、これからどういう作業が進んでまいりましょうか。
  18. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 産業構造転換問題、これの前提といたしましてやはり産業のいわゆる長期ビジョンと申しますか、これを明らかにして方向をとっていくことが大事だと思います。先ほど大臣の御答弁もございましたように、四十九年に始めました何回かのローリングプランということでやってまいりましたが、昨年のような情勢の中でそういう業種別の将来のビジョンに取り組むという環境にございませんでした。しかし、ようやく最近に至りまして、経済成長の非常に大きな屈折はございますけれども、やはり将来の問題をひとつみんなで議論をしていこう、そうして将来の産業構造方向について、直ちに非常にきれいな絵が描けるかどうかは別といたしまして、方向議論をしてその模索をしていく、そろそろそういうことに手をつけていい年ではないかということで、五十三年度、本年度におきましては、ひとつまたローリングプランに着手をしたいと、こういうふうに考えておりまして、その中で私、産業構造転換問題というのはそういうビジョンに沿いまして、結局は現在の経済体制のもとではいわゆるマーケットメカニズム中心とし、先ほど大臣の御答弁にありましたような、産業の活力というものを基礎に進んでいくべきものだと思います。  ただ、ただいまの大臣のこれも御答弁にございましたように、今後の産業構造転換の中には、従来のような高度成長ではございませんので、いわば低成長下における構造転換というのはいろいろな摩擦が従来以上に大きくなってくると思います。そういう摩擦の問題については、個々の問題として今後いろんな角度から検討をしていくと、こういうことになるのではないかと考えております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  私どもは、この際であるから産業構造転換の突破口としてこの法律を位置づけたい、そう思っておりましたが、これはまず後追いの当面の手当てであると、早急に産業構造全般のものはビジョンづくりをして考えると。それにしては非常に時期的には遅いのではないかと思いますけれども通産省考えがそうであれば、そのようなことでわれわれ対処していかなければなりません。  そこで、ここに四業種あります。そのほかに八業種あるのでありますが、きょう関係省から見えております。この法律第二条のこの指定の中で、政令で決めるその中に昨年から言っておる十二業種の中の残りの八業種は、政令で定めることになっておるのかどうか、通産省でおわかりであればそれをお聞かせを願いたい。たとえば、窒素肥料とか塩化ビニールとか、あるいは段ボール、工作機械、精糖、非鉄金属海運とあります。このようなものは当然次の政令段階で問題になるんだと業界も大変問題にしておりますから、とりあえずは四業種手当てするけれども、後このようなものはすぐ政令業界からの申し入れがあれば、安定計画をつくって手当てをしていくと、こういうふうに理解していいですか。
  20. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま小柳先生のおっしゃいました十三業種というのが、どの段階お話でございますか、ちょっと私はっきりいたしませんが、通産省といたしましてはこの法定四業種のほかに、当省所管ではただいま御指摘のございました化学肥料関係、それから塩ビ業界等はこれは対象としてひとつ考えてみたいという中に入っております。そのほかいわゆる短繊維紡績業、綿、スフあるいは合繊というような紡績業の関係、それからフェロアロイ業界あるいは先ほど御指摘のございました紙パの一部の業種等は対象として考えていくことになっております。その中に入っておりません当時はまだ議論になっていなかったと思いましたが、フェロアロイ業界等も最近はこの法律の対象たり得るのではないかと考えております。  なお、いま工作機械業界というお話もございました。これは私の記憶によりますと、昨年の初めごろに工作機械も大変ないわば稼働率の低い状況でございましたが、これは工作機械業界自身がいわば構造不況というよりは、自分らは非常に先のある業界なので、いわば構造不況という概念で律せられるよりは、むしろほかの道を行きたい、こういうことで昨年の半ば以降工作機械業界は当省の不況業種の対象、そういうとらまえ方をいたしておりません。  なお、農林省所管業種その他につきましては、これも御答弁いままで申し上げてきておりますように、合板、精糖業等はこの法律の対象として、今後検討の対象にしたいと考えております。
  21. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船の関係について御答弁をさしていただきます。  造船の関係は船舶製造業のほかに、造船業と密接な関係があり、かつ転換のききにくいものとして船舶用の主機関の製造業、それからプロペラ、それからいかり、鎖等の製造業がございまして、これにつきましてはこの法案の対象として検討してまいりますが、まだ具体的に入れるということについて、業界が完全にまとまっている段階にはございません。
  22. 山元伊佐久

    説明員山元伊佐久君) 海運業につきましては先生御指摘のように、不況業種一つではございますけれども、一般の製造業とは性格が異なったものだというようにわれわれは考えております。と申しますのは、タンカーを初めといたしまして船腹は世界的に過剰な状況にございますので、何らかの調整が図られることが望ましいとは考えておりますけれども日本だけがそれを調整をいたしましても効果は十分でございませんし、また日本だけがやった場合には、その効果の恩典を受けるものは他の外国海運業であるわけでございます。したがいまして、外航海運につきましてはOECD等国際的な場で、現在検討が進められておりまして、その結果が出ましたところで国内法化するなり、あるいはその過程において、財政上の措置が必要であれば措置をすべき問題だというぐあいに考えております。  なお、内航海運につきましては、すでに内航海運組合法に基づきまして船腹の調整が行われるシステムになっておりますし、資金的な面につきましても、従来から政府関係資金が投入されておりまして、これらの措置を講ずることによって十分対処できるというぐあいに考えております。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 今度の特定不況産業法律で、一番私どもが問題にしておるのは、いま後追いの手当て法律だとおっしゃいましたからやむを得ませんけれども不況の原因はいろいろあるのに一律に設備の処理とこれに対する債権債務に対する保証、これでとりあえず当面を切り抜けようということであります。いま海運からもおっしゃいましたように、造船もそうでありましょうが、根本的に不況業種というもの、あるいは発展途上国からの追い上げによって太刀打ちできないもの、あるいは高度成長政策で設備をうんとやったがこれが要らないもの、いろいろ原因がございます。したがってその原因によって、これから景気が上向けばまあまあ設備を処理しないでもいい、しかし景気がよくなりましても、不況産業として処理しなければならぬ事業もあるわけでございます。区分けをして、原因別にきめ細かい措置をするのがこれから産業転換一つの第一歩ではないかと思うわけです。そういう意味で、われわれはこの法律に第一には反対をしました。  そこで、不況産業措置として一番根本的なものは何であろうかと。これはもう前からずっとここで委員会で論議されたので、集約いたしましても明らかでありますが、設備処理と言いましても、結局はそれを使っている労働者の数を減らすということです。生産を落とすということです。もう明らかにこの法律から見ましても、いままでの答弁を見ましても、設備を廃棄しあるいは格納し、休止する、それを操っている労働者を減らす、そのための資金の手当てをしましょうということに尽きると思う。それだけでは不況産業手当てにはならぬのではないかと、私どもが主張してきたわけです。そこで、先般のわが党の森下委員質問で、六業種及び造船業を含んで百九十七万人ぐらいの雇用調整を考えなきゃならぬでしょうということを政策局長答弁になりました。百九十七万人の者を、とりあえず一年間のうちに計画が出るんでありますが、その人たちの、その労働者をどういうように職業訓練し、あるいは就職させることができるであろうかと、これはもうたとえば業界の負債をたな上げするとかあるいは低利、長期の融資する、その何倍、何十倍困難な国家的事業であると思います。  したがって、この法律でわれわれが一番主張しました「雇用の安定」、この法律の修正では雇用の安定を配慮しと書いてあります。中小企業の問題は後にいたします。雇用安定を配慮するということはどういうことであろうかと、法的にあるいは具体的に、手続上どういうことであろうかと、これをお聞きしておきたいと思います。
  24. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 最初に、ただいま小柳先生の御指摘の、百九十七万人という数字でございますが、これは先般私から御答弁いたしましたのは、私どもが当省所管の繊維、平電炉等六業種と、それに造船を加えまして昭和四十九年末の、いわばそこで働いておられた従業員者数が私どもの推計で二百七万、それが五十一年末に百九十七万になっておるという、五十一年末の数字でございまして、この百九十七万がいわば過剰人員であるという御答弁は申してなかったと私思っております。  なお二番目の問題といたしまして、「雇用の安定」を具体的にこの法案の運用上どうするかというお話でございますが、私ども雇用の安定ということは、衆議院における修正が行われます前も、この法案のいわば最終の目的であって、設備の処理というものもそれを頭に置いて、いわば頭の真ん中に置いて、そして設備の処理を考えなければならぬという私どもの姿勢を御説明をしてきたわけでございますが、今回修正等によりまして、第一は、安定基本計画の中身といたしまして、雇用の安定に関する事項というのが修正で追加をされました。私どもは、雇用の安定に関する事項を安定基本計画の中では二つの面で考えなければならぬと思っております。一つは、設備処理の総量の問題とか、あるいはそれをどういうテンポで処理をしていくかという問題、これを雇用の安定という観点から十分考えて設備処理の内容を決めなければならぬというのが一つでございます。それから第二は、直接雇用の安定に関する事項につきましては、労働省当局とも十分連絡をとり、協議をしながら、個々業種別の問題の討議に当たりまして、一体それでは雇用の安定のために、いわば設備の処理によって起こってくる余剰な人たちをどういうかっこうで設備処理にあわせてこれに取り組んでいくかと、つまり、社内における配置転換の問題、あるいは出向問題、あるいは職業訓練の問題と、そういう問題につきまして事業者が守るべきいわばガイドラインをつくること、これを安定基本計画の中でつくることと、この三つを中心考えていかなければならないと第一に思います。  第二は、やはり雇用の安定に関連いたしまして、地域問題等の修正がございました、この問題。これにつきましては、安定基本計画策定に当たりましての審議会の運用等の場におきまして従来も考えておりましたが、さらにこれをはっきりさしていく、これもいろいろ御答弁を申し上げております。  第三は、雇用の安定の問題に関連しまして、私ども労働省当局とは十分な連絡をとることを頭に置きまして考えてまいりましたが、この点がはっきりいたしました。私どもは労働省当局とこの設備処理問題に関しまして、従来以上に、態度といたしまして、十分な連絡協議をやって設備処理問題に取り組んでいきたいと、かように考えておるわけでございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 それでは、六業種及び造船業で大体どのくらい離職者が出ると判断しておられるかというのが一つ。  それから、この通産省の特定不況産業安定臨時措置法によって適用される離職者というものは、この昨年できました労働省の特定不況業種離職者臨時措置法に全部適用されていくと理解してよろしいかどうか、その二点お答え願います。
  26. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 第一にいわば過剰人員の予測をどう考えるかという点は本委員会におきましても、御審議の過程でたびたび御指摘を受けました。ただ私ども従来から、何とかこの辺の私どもとしてのめどをつけたいという考え方を持っておりましたが、ただいままでに御答弁申し上げておりますように、業種によりまして、その実態は非常に変わっておりますし、また余剰人員の見通しということに関しましては、過剰設備がその業界で何割あるからしたがって何割ぐらいという、非常に大胆な予測することはむしろ非常に危険な問題も含んでおりまして、むしろ非常にミクロの問題として関係業界の動向、考え方等を当たりたいと思っておったわけでございますが、これまた非常に微妙な問題でございまして、現段階まで私どもはその点の数字としての把握ができなかったわけでございます。  なお、数日前の本委員会の御審議に際しまして、その点の非常に強い御指摘を受けましたので、重ねて私ども関係業界の感触というようなものを当たりたいということに現在努めておりますが、具体的な数字としてつかんでおりません。ただ、全体の大胆な感触でございますが、前回御答弁申し上げましたように、一つは平電炉業界のようにすでに相当雇用調整が進んでおりまして、今後過剰設備の処理に伴って、これ以上の大幅な雇用調整というのは、もはや大体考えられないんではないかという業界、あるいは化学工業関係業界のように、会社自体がどちらかと言うと大きな企業でございまして、かついろんな品種と申しますかの複合生産をやっておりますので、むしろ社内の内部における転換その他によって、いわば外に失業者として出さないで片づけられる見通しの強い業界等もございました。むしろ、今後設備処理を中心といたしまして、あるいは今回の経済動向いかんによりまして一番問題と考えられますのは、繊維業界等にあるいは雇用調整問題等が起こってくるのではないか、大体こういう感触を現在持っておるところでございます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 きょう木島さんも連合審査で日造協の失業者の数を大臣に示して迫っておりましたけれども、まあ実際はもう通産省数字とっておられると思う。でなきゃこんな法律の立案なんかできないと思うし、あるいはもう政令案などもできておると思うんですけれども、今度は逆に、労働大臣、おたくの方の特定不況業種離職者臨時措置法、もちろんこれは議員立法でありますが、これに指定された三十三業種、百四十五万人の離職を見込んでありますけれども、この業種というものは、この通産省の特定不況産業の方に、もし業界が希望すれば、こちらの適用ができるように働かれる意思があるのかどうか。でないと、職業訓練とか職安だけでは百四十五万人の離職者などは大変じゃないかと思うんですよ。そういう点は労働省としてお考えになったことございますか。
  28. 細野正

    政府委員(細野正君) 先生いまおっしゃいました百四十五万という数字は、恐らく対象業種全部の従業員数だと思います。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 おかしいね、それは。
  30. 細野正

    政府委員(細野正君) それで、御指摘の離職者臨時措置法に基づきます再就職援助計画の中で、今後離職が予定される者というのは出てまいっております。そのほかに届け出を、一定規模以上の離職をさせる者についての事業主の届け出義務がございまして、これに基づいてやっぱり出てきているものがあります。それから一定規模以下ですけれども、この法律に乗せるために任意的に届け出られている者、そういう者を総合いたしますと、現時点で、対象業種の中からいわば過剰人員で何とかしなければならぬという者の総数としては、約四万強という数字が出てきております。その中で、配置転換なり出向等で処理できる者が六千で、解雇なり希望退職をしなければならぬという数字として私どもの方へ届けられておるのは三万四千という数字になっております。  現実には、このような方に対して適用を波及し、訓練をし、紹介をする、こういう段取りになっておるわけでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 どうも、私も大変なあれで、これはどういう計算かと思ってね、ノートしておったわけですよ。だから、両方ともに百四十五万の失業者が出るなんということはどういう計算かなと思いながらいま質問してみたわけですが、それはわかりました、内容は。  ところが、この三十二業種については、いろいろ組合の関係とか協会の関係などありましょうが、今度できる特定不況産業の方の適用などを希望するような者、話を聞いておりませんか、労働省は。
  32. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま、いわゆる構造不況業種のうち、私が先ほど今後二条の一項第五号で対象業種の候補として申し上げました中で、特定不況業種の離職者対策法の対象になっていないものは、化学肥料と塩ビ樹脂とフェロアロイ、この三業界は、現在のところ離職者対策法の対象となっておりませんが、もしこの法律によりまして対象となり、関係業界がこの法律による設備処理を希望すると申し出がある場合には、私ども労働省当局には、ぜひこの離職者対策法の方の対象業種にしてもらうように労働省にお話を持っていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 さっきの話に返りまして、労働者が雇用不安であるということは大変なことでございますが、業界の方で申請をする、その場合には、この法律の適用申請する前に、労働組合あるいは労働者の多数と書面上の協定をして、それを持っておらなければ通産省の方で受け付けないとか、この法律の適用をしないとかなど、もう少し法的な保護を考えられないものであろうかと、この点いかがですか。
  34. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ある業界がこの法律によりまして、いわばこの法律の対象業種として大多数の方々から申し出をするということの前提といたしまして、個々の企業別にはやっぱり設備処理に今後取り組んでいかなければならぬという基本方針は決まっておると思いますが、ただ、その段階ではまだ安定基本計画等の策定、具体的にどういうかっこうでどのくらい設備を処理をするかということは事実問題としていろいろ議論がございましょうが、自分のところが企業として幾らの設備処理をしなければならぬかということは、まだ決まってない段階でございますし、あるいは企業の中ではそういう基本方針について、それぞれ企業の従来の慣行その他で労働側とお話し合いをやるということは当然のことながらあると思いますが、その段階で何か法律的にそういうしばりをかけるということはなかなかむずかしいのではないかと私考えます。ただ、私ただいま申し上げましたように、現実の問題といたしましては、これはもう企業での経営者側と労働者側とのお話し合いの問題として処理をしていただくという以外にはないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 昨日の参考人意見でも、雇用安定を配慮すると書いてあるけれども、実際、法的には何ら保護がないではないか。労働協約として法的に保護される手段を考えてもらいたい、切なる要望がありました。あと附帯決議の中にもそういう意味のことが書いてありますが、中小企業の経営安定につきましても、いま少し配慮だけではなくて、下請産業というのはたくさんあるわけですね。だから、大企業の業種に対するこれは適用でありましょうが、下請企業の経営安定につきましてももう少し、たとえば親企業と下請企業との書面交換を持ってくるとか、何らかの具体的な保護政策をとっていただきたいと思うが、いかがですか。
  36. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいまの御指摘は、安定基本計画をつくります際に、設備の処理を進めることが関係中小企業、あるいはその企業の下請企業にいろんな影響を与えると、この点について十分な、具体的な配慮を具体的な手段で考えるべきではないか、こういうことでございました。  私は、問題二つございまして、一つは、その業界自身が大企業と中小企業とのいわば併存した業界であって、むしろ設備処理の中身を決める際に、大企業と中小企業関係をどうするかという問題が一つある業界があると思います。  それから第二は、まさに下請企業関係、これは一般的に関係業界、いろいろすべてがある問題ではございますが、しかし業種によりましては、特に下請関係が非常に大きな問題であるという業種があると思いまして、私は第一の問題、これは設備処理の方法なり、あるいはその設備処理をどういうシェフでやっていくか、この議論で、審議会の場で十分議論が行われるべき問題であろうと思いますし、それから第三の下請企業の問題は、先ほど連合審査の場でも御答弁申し上げましたが、私は、下請企業問題が特にその業界として非常に大きな特徴的な問題である場合には、審議会等の場でそういう意見が十分に反映できるような審議をするということでこの問題を処理する、安定基本計画の作成を進めるということを行うということで対処すべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 省令、政令の決定をやられる場合は前もって審議会にかけてもらいたい。労働省の方はそういうふうにやっておられるようでありますが、その点が一つと、それから審議会に労働代表及び自治体の代表を入れてもらいたい、これはさっきの質問にもありました。それから第三は、信用基金の保証対象に、退職金、労務債権及び雇用安定資金も考えてくれないか、こういう要求がありますが、いかがでしょう。
  38. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 政令、省令の制定に当たりまして審議会に意見をかけてもらいたいという第一点でございますが、法律で幾つか政令の制定に当たりまして審議会に諮問をしなければならぬ。たとえば、業種最初指定でございますが、規定がございます。その他のものにつきましては、法定による政令等の審議会諮問の規定はございません。  その一つの理由は、たとえば、いろいろな申し出の手続を定める点でございますとか、あるいは信用基金のいろいろな手続事項等につきましては、これはきわめて技術的な問題でございますので、私これを審議会にお諮りする必要が実際的にないんではないかと考えております。  第二に、一昨日でございますか、参考人の御意見の中にございました、特に設備処理の対象とすべき設備、これを定める政令、それから生産能力の判断、基準を決める省令、これをかけるべきではないかという御意見がございました。この点につきましては、法律で決まっておりませんが、私ども当然のことながら関係者の御意見を十分聞いて決めたいと考えておりますし、具体的には、最初に申し上げました業種指定政令、これを審議会にかけることになっております。この審議会にかけます際には、当然のことでございますが、なぜこの業種指定するのか、それは設備の処理が必要なのであって、そういたしますと、大体どの程度の設備の量を過剰と思うか、何を処理すると思うのか、それをどういういわば能力判定等でするかということが、そこで当然議論になることでございまして、私どもはそういう場を通じまして、それぞれの関係者の御意見を十分拝聴をいたしまして、それで政令、省令の制定に当たりたいと、こういうふうな運用を図っていきたいと考えております。  それから第三の、信用基金の保証対象でございますが、これも繰り返し御答弁申し上げておりますように、私どもは設備処理の担保抜き資金等、これは主要設備及び付帯設備等でございまして、これと退職金等を対象にしたいと考えておりまして、いわゆる広い意味での雇用安定のために必要な資金、これは労働省で現在お用いになっておられます雇用安定のためのいろんな仕組みがございますし、これはむしろ国のためというものをバックにできているわけでございますから、現在のところ信用基金の保証対象としては、さきに御説明を申し上げましたような対象にだけしぼって運用したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。     —————————————
  39. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が委員に選任されました。     —————————————
  40. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 小柳勇君。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 時間がありませんので、お三人の方に質問を。  公取の委員長に、アウトサイダー規制が問題でありまして、業界では設備の処理をしたくともアウトサイダーの方で勝手にやったら十分できるではないか、こういうことです。もちろんアウトサイダー規制についてはいまの独禁政策上私どもも悪いと思いますけれども、ただ衆議院の附帯決議にもありましたように、行政指導すると、行政指導するというときに、アウトサイダーの方でこれは独禁違反だと、こういうことで食ってかかる面もあるであろうと、だから産業政策と独禁政策とのそのちょうど接点のところで公取の方で御判断をされなければならぬというようなことも考えられるが、このアウトサイダー規制は必要悪だと学者は反対でありましたけれども、その他の参考人は大体やむを得ぬじゃないかという意見であります。公取の委員長からの見解をお聞きしておきたいと思います。
  42. 橋口收

    政府委員(橋口收君) アウトサイダー規制命令の是非につきましては、いまお話がございましたように、いろんな議論があろうかと思います。政府部内でこの法案につきまして論議をいたしましたときにも、アウトサイダー規制命令を入れるという第一次通産御当局の試案もあったのでございまして、それはそれなりに一つ考え方であろうと思います。ただ私どもが、アウトサイダー規制命令に対しまして消極的な見解を持っておりますのは、申し上げるまでもないと思いますけれども、企業の設備でございますから、企業の本来基本的な生存権に付随するものにつきましてアウトサイダーについてまで規制を加えるということは、果たしていかがなものであろうか。それからさらに、仮にアウトサイダー規制ということになりますと、どうしても一律的な取り扱いになるわけでございまして、したがいまして、優良な企業の質的な差異を無視した結果が招来される。したがいまして、長期的な観点から考えますと、日本産業社会の活力を失わしめるのではないか、こういう観点から消極的な見解をとり続けておったのでございまして、ただ、いまお話がございましたように、実際問題としてインサイダーは確かに設備の廃棄をいたしますけれども、アウトサイダーの方は依然として設備を増設する、あるいは新設するという場合には、政策としては整合性を欠くではないかという御指摘なり御意見というものは、これはごもっともであろうと思います。したがいまして、当委員会でもお答えを申し上げておりますように、アウトサイダーにつきまして通産御当局なり中企庁御当局が設備の廃棄を含めました行政上の御指導なさることにつきましては、これは独禁法上さして問題とする必要はない、こういう考え方を持っておるのでございまして、ただ、行政指導を受けましたアウトサイダー同士で共同行為を行う、そういうことになりますと、これは独禁法上の問題が生じてくるということでございまして、中企庁御当局が個々の事業者とひざをつき合わせてお話し合いをされるということにつきましては、独禁法上問題にするには足りない、こういうふうに考えておるものでございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 最後ですから、農林省、それから中小企業庁、運輸省に質問をいたしますが、農林省につきましては、合板の参考人が、不況カルテルをやっておっても残余の時間でよけい生産をやるから同じだ、だから不況カルテルを認めるときには何らかの注意なり手だてをしていただかないと不況カルテルの意味はないんだというお話がありました。合板の参考人意見でありますが、これは合板だけじゃないと思います。不況カルテルの場合に、残余の時間でやみでうんと働いて生産はちっとも変わらぬというような問題。  それから中小企業庁の長官には、中小企業事業転換法があるけれども、ほとんど有益に使われていない、こういう話であります。四十六年から五十一年まで五ヵ年間生きておりました国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律、これに基づく転換計画は、私もここに表を持っておりますけれども、ずっと実施してあります。いまの事業転換法について、これから発生するであろう特定不況産業の下請中小企業に対する特別な事業転換対策を立てなきゃならぬと思うがどうでしょうか。  運輸省に対しましては、造船事業がさっきも問題になりましたが、解撤作業とか、あるいは官公需による造船計画とか、そういう具体的な要求がもう一昨年ごろから出ております。私は、拙速でもよいから、業界が一生懸命陳情するときにはこれを取り上げて何らかの手だてをやってやる。たとえば一〇〇%でなくても、三〇%でも四〇%でもやってやる。そのことがこの特定不況産業などという大きなものを発生しない一番近道ではないかと思うわけでありまして、造船業いま大変な時期でありますので、具体的にどうやっておられるか。もう理想論も要りません、抽象論も要りませんから、具体的にこうやっています、その御答弁をお願いいたします。  以上です。
  44. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 合板関係について御説明申し上げますと、合板につきましては、ただいま不況カルテルを実施中でございますけれども、その認可に際しまして、消費電力量の報告というものを義務づけるような形にいたしておりまして、そういうことを加味いたしまして文書によります指導を行っております。また、業界におきましても、完全励行のためにガードマンというようなものを置きまして、操業状況というものを把握するような努力をしてまいりました。しかしながら、いま先生が御指摘になりましたように、参考人が述べられたような実態がもしあるとすれば、私どもといたしましても、その趣旨が徹底しないわけでございますし、そういう意味からも今後適切な指導はしてまいりたいというふうに考えておりますが、ちなみに五十一年度の実面積によります生産量と五十二年を比較いたしてみますと、五十一年が十三億三千三百万平方メートルでございます。それから五十二年は十三億七十二万平方メートルということで、生産量につきましては、一応カルテルの実は上がっているのではなかろうかというふうに考えております。
  45. 小松国男

    政府委員(小松国男君) 中小企業事業転換対策臨時措置法の運用状況につきましては、一昨年十二月に施行になりましたのですが、実際に法律が施行されましたのは業種指定が行われた三月以降でございますので、大体一年たっているわけでございますが、その間に認定企業は五十八企業ということで、これが国民金融公庫、中小企業金融公庫、その他の助成を受けながら転換を進めておるという段階でございます。国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律、これは大体四十六年から五年ぐらいにわたって行われたんですが、その間に実際に事業転換の認定を受けた企業、実施したのは六十三企業でございまして、これに比べますと大体一年の間に五十八企業の転換の認定が行われておるということで、中小企業事業転換対策臨時措置法の利用状況は前の法律に比べれば相当順調に動いているんではないか。私どもかように助成措置その他についても、最近は円高対策法に基づきまして金利の引き下げその他も行いますことによって、今後さらに助成措置を拡充していきたいと、さように考えているわけでございます。  今回の特定不況産業安定臨時措置法の施行に伴って転換対策その他、特に必要であるかという御質問でございますけれども、私どもは特定不況産業安定臨時措置法自身はこれによって不況産業自身が安定に向かうわけでございますので、そういう意味では関連中小企業としても、また社会的な問題としてもむしろ親企業その他を含めて安定されるということは非常にむしろ歓迎でございます。ただ、実際に設備処理その他が行われる段階、これにつきましても遊休設備の処理でございますので、すぐ中小企業に影響するとは考えておりませんが、広い意味で何らかの影響があるという点につきましては、先ほど来産業政策局長からの答弁もございますように、その安定基本計画の作成の段階で十分関連企業の意見を反映させてもらうと、かように考えております。  そういうことでこの法律の運用によって十分その辺はカバーしていただく、かように考えておりますが、なお実際問題として、たとえば親企業が事業転換を行うとか、それに伴って関連中小企業転換をしなければならない。こういうような事態が起こりましたものについては、現在すでに用意されております中小企業事業転換対策臨時措置法の業種指定を行いまして、金融、税制面での助成を行う。さらに仕事の面では下請企業振興協会その他が中心になりまして十分仕事のあっせんをする。それから金融上の面についても十分めんどうを見るということで、関連の下請企業ないしは中小企業が経営その他事業の運営に支障がないように今後とも努めてまいりたい、かように考えております。
  46. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船業及び造船に関連いたします機械工業並びに下請の問題につきましては、構造改善と同時に仕事量の創出が非常に重要なもう一つの大きな柱だと、こう考えております。したがいまして、官公需、SアンドB等がございまして、官公需につきましては海上保安庁の代替建造を中心にいたしまして五十二年度、五十三年度と大幅に増強しております。あるいはSアンドBにつきましても内航船、近海船につきまして船舶整備公団の予算の増を図りまして五十三年度対応しておりますが、さらに五十三年度以降につきまして、先生御指摘の事業者の仕事量の創出ということで基本的には造船業の仕事がふえることが、関連の下請も含めまして仕事の創出につながるわけでございます。したがいまして、海洋構造物その他SアンドB、官公需船の増強に努めると同時に、解撤につきましても従来下請企業だけでやってまいりましたが、これに親企業が加わりまして、業界としては共同解撤のための共同会社をつくりまして、本格的に進めるということでいま具体的に検討をし、できるものから早急に手をつけていくということでございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 最後です。  二時間ばかりの質問通告をしておきまして、一時間に圧縮いたしましてまとまりませんでしたが、最後は第二条のこの業種指定のところで、たとえばゴム履物産業のように大企業四社で七五%ものシェアを持つときに一会社が不振でここに合理化が出る。恐らく業界としてはこの業種指定などを申し出ないでしょうが、この一業者に対する業種指定など、この基準を広げてもらいたいという切なる要求がありました。政令で定め、あるいは審議会で御決定になりますが、業種指定の制定の範囲についての見解を最後にお聞きいたします。
  48. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私は、ゴム履物業界がどうかというのは、私どもの担当現局におきまして十分検討さしていただくということにいたしたいと思いますが、まず政令指定の要件といたしましては、二条の一項の五号に幾つかの要件が書いてございますが、ただいまのように、その業種が非常に寡占状態で、たとえば一社が非常な経営不振になっておるというようなのがこの五号に該当するかどうかということでございますが、五号の要件の中で、「その業種に属する事業者相当部分の経営の著しい不安定が長期にわたり継続するおそれがある」と書いてございまして、「事業者相当部分」という幾つかの要件の中で、この要件が一つございます。したがって、「相当部分」というのは、通常大体過半の方、こういうことでございまして、たくさんあられる業界の事業者の数の中で一、二社の事業者だけが大変な事業の経営の著しい不安定というのでは、この「相当部分」というのは、いろいろ業種の実態に応じ解釈の幅はあるといたしましても、ただいま御指摘のような点は大変むずかしいのではないかと、この要件には該当しないのではないかと、法律の解釈からは、そういう感じがいたしております。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 質問を終わります。
  50. 安武洋子

    ○安武洋子君 限られた時間でございますので、ひとつ端的なお答えをいただきたいということを申し上げて、私、労働大臣に御質問を申し上げます。  安定基本計画に定められる雇用安定を図るための措置については、当委員会でも再三論議が繰り返されておりますし、私も先日、主務大臣のお一人である通産大臣に御質問いたしました。ところが、労働省と協議をして決めていくということでございますけれども、中身は具体的なものではなくて、事業主に対して指針を与えるというふうな程度で、これじゃとても雇用の安定は図れないと思うわけなんです。いま大変雇用問題が深刻でございまして、社会問題になっております。本法案は人員整理促進法といわれるわけですけれども、こういう完全失業者が百四十一万人もいるというふうな中で、まず何よりも私は、労働大臣としては解雇を行わせないということが基本ではなかろうかというふうに思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
  51. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘のように、解雇をしてもらいたくないという、これは労働者の生活の安定、福祉の向上を考える労働省としては、当然配慮しなきゃならぬわけでございます。  ただ問題は、それだけで済ませないという、こういう事態になり、企業が生き延びるためにはどうしたらいいか、こういうことになった場合は、やはり労使が話し合ってこの厳しいあらしを乗り越える、こういうことにならざるを得ないわけでございまして、そうなればいわゆる労働協約ないしは就業規則、こういったことで労使が話し合って対応していただかなければならぬ。どうしてもここに離職者が出ざるを得ないということになった場合、できるだけ雇用安定資金制度を活用して、失業の予防、そうして職種の転換、こういったことをやり、どうしてもそれでも持ちこたえることができないということになれば、特定不況業種離職者臨時措置法によって雇用保険の制度を活用するとか、あるいはまた、次に職場を求めるための職業訓練ないしは待期手当、こういったことによって対応する。そのほか、いろいろなきめの細かい施策で対策考えると、こういうことであります。
  52. 安武洋子

    ○安武洋子君 労働大臣としては、基本的に解雇を行わせないということが一番雇用の安定ということになるわけでしょう、この点は異議ございませんですわね、いまいろいろおっしゃいましたけれども。  で、聞いてまいりますけれども、端的にお答えいただきたいというのはそのことなんです。安定基本計画は主務大臣が定めることになっているわけです。しかし、主務大臣、まあ今度の指定業種の中では、通産とか運輸大臣とかというふうになりますけれども、こういう大臣の主な所管事項というのは、設備を処理すると。この設備の処理をどう進めるかということなんです。ですから、これに伴う雇用問題については、これは労働省の所管だと、こういうふうになるわけですね。ところが、本法案では、労働大臣と連絡協議をするということにはなっておりますけれども、最終的に雇用の計画、人員処理計画、これについて判断して計画を策定するのは主務大臣だと、こうなっているわけです。だから、労働問題といいますのは、いまも大臣がおっしゃったように、労働者にとっては死活の問題です。しかも、これは一般的な失業問題ではなくって、設備処理に伴うものであるだけに、多分にこの労働問題については摩擦が生じるということが予測されるわけなんです。こういう雇用問題について、最終的には連絡協議をするといっても、通産大臣など主務大臣が判断を下さなければならないんです。主務大臣が判断を下し、指導するということをどのように考えておいででしょうか、その点をお伺いいたします。ひとつ短かくお願いいたします。
  53. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 先ほども一応お答えしたわけでございますが、その企業が生き延びるためにはどうしたらいいかということの最後の判断というのは、その企業の担当主務大臣の決定事項であると、こう考えております。
  54. 安武洋子

    ○安武洋子君 では伺いますが、各産業、それから企業では、労働協約などが締結されているわけなんです。それで労働条件が確保されているわけです。じゃ設備処理が行われると、当然首切りとかあるいは出向、配転とかと、そういうことが予測されるわけなんですけれども、労働大臣としては、最低限現在の労働条件を維持するという方向で、この労働協約など尊重されなければならないと思うんですけれども、これはいかがですか。
  55. 細野正

    政府委員(細野正君) 労働協約が締結された場合に、これを尊重すべきことは当然でございます。
  56. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ、労働協約尊重ですね。雇用の安定に配意するということはイコールね。  それで経営者が設備の処理を名目にして、不当な人減らしとか、こういうことを計画執行する段階で、提案強行する場合ですね、こういうことを把握なさったら、大臣としてはどのような指導が可能だとお考えでしょうか。
  57. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) いま局長からお答えいたしましたように、労働協約あるいはまた就業規則、こういったもので労使間においてこの雇用解雇の問題の取扱いというのがされるわけでございます。どうしても話し合いがつかないという場合には、労働委員会においてこれが処理するというのが制度のたてまえでございます。
  58. 安武洋子

    ○安武洋子君 それにはまだ私は疑問がありますけれども、大変時間限られているので、私は特にその中でしぼって中高年対策についてお伺いしたいんです。  本法によりまして犠牲になるのは中高年者です。ですから、現在も中高年層の雇用問題というのは、もう社会問題になっているわけですね。で、この中にさらに中高年が投げ出されるということで、これはもう大変なわけですけれども、中高年法で、企業の中高年吸収率というのが一応六%と、こうされているわけですけれども、大企業になるほど吸収率が悪いというのは、これは労働省でもちゃんとお調べになっていらっしゃると。で、雇用吸収率を達成するための計画、これを「命ずることができる。」ということにもなっているわけですよね。ですから、中高年齢者に適する職種を選定して、これに該当しないものについては不受理とすることもできると、これにもなっている。  私はこれを踏まえてお伺いいたしますけれども、じゃこの計画ですね、雇用吸収率を達成するための計画は一体幾つあるのか、命じた件数は何件あるのか、それから、いま私が申し上げましたように、中高年に適する職種を選定して、これに該当しないものについては不受理とすることができるという、該当しないものについて不受理の処置をいままで何件なさったのか、これをお伺いいたします。
  59. 細野正

    政府委員(細野正君) ただいま御指摘ございました雇い入れ計画の作成命令制度でございますが、これにつきましては昨年の秋から……
  60. 安武洋子

    ○安武洋子君 あるかないか、件数だけ……。
  61. 細野正

    政府委員(細野正君) 現在までは、いま各安定所長におきまして命令を出す、そういう段階でございまして、現在までのところ把握しているものはございません。
  62. 安武洋子

    ○安武洋子君 労働省では全然ありませんでしょう。把握なさっていらっしゃいませんでしょう。  私は労働大臣に申し上げたい。そのことが大変問題なんです。労働省の本省でなぜこれらのことを把握なさらないんですか。企業の人員採用計画とか、人事管理とか、こういうものは生産計画と並行して企業全体として、本省で大体総括するというのが常識なんですよ。それをいま、雇用問題が大きな社会問題になっているときに、出先の安定所任せにしてそういうことをなさっていては、これはだめなんです。労働大臣がまず実態を把握する、そして大企業については計画作成命令を出す、こういうことをなさらない限り、いかに中高年の雇用対策をやりますと言っても、こういうことを一つおやりにならないようでは私はやっぱり口先だけだと思うんです。こういう不況のときにこそ、こういう現場の職安任せにしないで、労働大臣がまず実態を把握するということをなさるべきだと思いますが、これはいかがでしょうか。
  63. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) せっかくのお話ですけれども、やはり実態を一番よく知っているのは出先の職業安定所でございますから、その職業安定所長が雇用率達成命令を作成するという、こういう制度のたてまえにもなっておりますから、安定所を通じてやるということは、これは現実に即した対策、やり方であり、同時に本省は、御指摘のごとく現在非常に厳しい雇用情勢であり、社会は高齢者社会になっており、しかも不況業種から出てくる離職者は中高年齢者がほとんどでございますから、そういう点において積極的に雇用率達成について、本省は本省で出先の第一線に大いに指示し督励をするということは、御説のようにやらなきゃならぬと、こういうように思います。
  64. 安武洋子

    ○安武洋子君 お言葉を返すようですけれども、天下の大企業、新日鉄なんかに対して、出先の一安定所長がこういう命令が出せると、本当にまじめにお考えなんでしょうか。私は、やはり口先だけだということは、各種の奨励金の決算状況を見ても如実に物語っていると思うんです。五十一年度で調べで見ますと、定年延長奨励金、これは予算に対して執行率わずかに八%じゃありませんか、三十億に対して二億円。それから高齢者雇用奨励金、わずかに二五%。これは、単に制度をつくるだけではなくて、執行内容についても責任をお持ちになるべきだと思うんです。現場任せになさって、みずから実態把握をなさらないというようなことでは、こういう状態を生み出しますよ。わずか八%の執行率。ことしはまだ少しは上がるかもわからないとおっしゃいますけれども、やっぱり現状を把握しない、しようとしないという姿勢では、私は同じことの繰り返しだというふうに思いますが、労働大臣、いかがでしょうか。
  65. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私は、この雇用率達成、これが御指摘のごとくなかなか予定どおりスムーズに行ってないことは、われわれも率直に認めております。ただ、やはりこの問題は、日本の年功序列型賃金慣行、こういったものが一つのネックになっておることもすでに御承知だと思いますけれども、そういうこともやはり労使間で話をして、話し合ってもらって、年を追うて改善していく、こういうことが現実的な処理としてやむを得ないことであると、このように考えるわけでございまして、われわれはやはり六十歳定年を目標に、そして高年齢者の雇用率を高めていくと、こういうことに積極的に取り組んでいきたい、このように考えます。
  66. 安武洋子

    ○安武洋子君 そのことが私がいま御質問したこととは関係ないはずなんです。予算をお立てなんです。予算をお立てになるときはそういうことも十分御配慮なさって予算を立てていらっしゃる。それがわずか執行率八%。ここに問題ありますよということを申し上げているんです。ですから、私は申し上げたいんですけれども、どんどんどんどん制度をおつくりになる、しかし中身の執行は把握していない、責任を持たないと、こういうことになるわけですね。一方、執行できる体制をあなた方はおつくりかどうかということを私は申し上げたいんです。職安の人員を一体いままでどれほどおふやしになったか。減らしていらっしゃる。私は全適一つとっても申し上げたいわけですけれども、失業保険施行以来約三十年でしょう。その間に当然適用すらできていない。できないのに体制もつくらずに全適だと。兵庫県ではいま推定の未適率というのは六五%にもなっているわけですよ。ですから、不十分でもいまの現行制度がある。それに浴されない人が六五%もいると、こういう現行制度の保護さえ受けられないような状態を置いてて、雇用の安定ということは私はないと思うんです。ですから、思い切って体制を見直していただきたい。職安の現場の声を聞いて、本当にこういうことが執行できるような体制もおつくりいただきたい。このことを私は申し上げずにはおれないわけです。ひとつ御検討いただけますでしょうか。
  67. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 特に高年齢者の雇用問題は大変厳しい環境に置かれておりますから、そういう認識の上に、ただいま御指摘をされました現状認識に対しては、一層今後も努力してまいりたい、こう考えます。
  68. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は五時間の時間を要求しまして、これで二時間なんです。大変不満でございますけれども、時間がきょうはこれで限られておりますので、質問を打ち切ります。
  69. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は構造不況業種である繊維産業の中の大島つむぎ産業について伺いたいと思います。  本場大島つむぎの産地が奄美大島と鹿児島にあるということは御存じだと思いますが、この両産地の実情がいま非常に深刻です。数年にわたって深刻ですが、最近一層深刻になっているという状態です。昨年の生産高をおととしと比べてみますと約十五万反減っておる。一五%の減産です。こういう状態です。特に韓国産と競合関係にある緯絣といいます横織りのかすりですがね、比較的大衆的なものなんです。これは約二〇%の減産、ことしの二月の統計で見てみますと、昨年の二月に比べて三二・三%の減産率という深刻な状態になっております。滞貨もずいぶんたくさんありまして十七万五千反、百億円を超える滞貨が両産地合計で出ているという実情です。  時間がないから端的に申しますが、私、こういうような事態の最大の原因ですね、これは韓国からのまがいものの大量の輸入にあるというふうに考えております。もちろん産地の人たちもそういうことを言っているわけです。それで昨年、韓国との間で三万六千五百反の輸入の量の制限の協定がつくられているわけですが、ことしもぼつぼつ交渉の時期に来ていると思うのですね。産地の方ではもっと減らしてほしいと、強い要望があるんですが、大臣、どういう方針でことしは臨まれるか、まず伺いたいと思います。
  70. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 大島つむぎが、非常に深刻な問題を抱えておるということはよく承知しております。韓国とのことしの交渉もいよいよ始まろうとしておりますが、それに対しましては、現地の深刻な状況をよく判断をいたしまして、その上に立って交渉するつもりでございますが、詳細につきましては政府委員から答弁をさせます。
  71. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 御承知のとおり、絹織物全体につきまして中国と韓国との間におきまして二国間協定を結んでおるわけでございます。  特に韓国につきましては、絹織物の中でも特に大島つむぎを特定いたしましてその枠を決めてきたわけでございます。一昨年四万反、昨年三万六千五百反というふうに減らしてきたわけでございますが、本年度につきまして、先ほど大臣からお話しございましたように、目下交渉を始めておるところでございまして、実情を踏まえまして極力低い方へ進めるような交渉を進めておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。     —————————————
  72. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、大谷藤之助君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十朗君が委員に選任されました。     —————————————   (「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  73. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 議事進行。  いま衆議院の運輸委員会において、成田空港問題で強行採決が行われたということがありましたので、したがって、こういう不正常な国会の運営をする限り、社会党としては、ただいま国対の方針として、本日の議決、審議にはこれ以上参加できません。したがって、直ちに理事会の開催を要求します。
  74. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩します。    午後六時三十九分休憩      —————・—————    午後七時四十四分開会
  76. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  特定不況産業安定臨時措置法案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 渡辺武

    ○渡辺武君 それで、昨年の四万六千五百反、この数字政府間で協定はそういう形になっているんだけれども、実際は守られていないんじゃないかという疑いが非常に強いんです。現地の人たちもその点は大いに強調しているんですが、——失礼、数字は三万六千五百反の間違いですけれども。——この三万六千五百反ですね、これしか韓国からは入ってないということは、通産省としては確認しておられるわけですか。
  78. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 韓国からの本場大島つむぎの輸入につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、協定数量、昨年度三万六千五百反でございまして、この規制方法でございますが、二国間協定によりまして、韓国側の自主規制年度間の輸入量として規制されているわけでございます。韓国からその規制数量について、輸出したものについてビザを発給することになっておりまして、そのビザを確認いたしまして、一応私どものところでは、大体月平均三千反程度ということでございまして、協定の数量内というふうに理解をいたしております。
  79. 渡辺武

    ○渡辺武君 韓国側のビザのついたもの全部が全部で三万六千五百反ですか。その点はどうですか。
  80. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 韓国側がビザを発行いたします数量が、協定数量として三万六千五百反と、こういうことでございます。
  81. 渡辺武

    ○渡辺武君 それはちょっと変じゃないですか。韓国からの絹製品ですね、これは通産大臣の事前許可品目になっているわけでしょう。その事前許可品目というのが、その韓国側の韓国織物原糸輸出組合とかあるいは韓国のしぼり製品輸出組合とか、こういうものが確認のビザをつけたもの以外には輸入させないという性格のものじゃないんですか。ですから、これは大島つむぎに限らないものだと思うんですが、この点どうですか。
  82. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 韓国との協定によりますところの絹織物の輸入につきましては、事前許可制ではございません。協定数量を韓国の自主規制によって確保すると、こういうことでございます。
  83. 渡辺武

    ○渡辺武君 念のために伺いますが、そうすると、ビザのついているものを合計するとちょうど三万六千五百反くらいになっているということですね。
  84. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 韓国側が私どもの方へ通報してまいりますビザが、そういう数量になっているということでございます。
  85. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから、そのビザのついているもので、ほかにも入ってきているわけでしょう、つむぎが。どうなんですか。
  86. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 大島つむぎとその他の絹織物というふうになっておりますが、ビザとしては、韓国側は私どもの方へはこれだけのものを大島つむぎとして出したという通報をしてくるわけでございます。
  87. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうすると、それは韓国側の通報数量が三万六千五百反ということであって、日本政府としては独自にはその点をチェックはしてないんですか。
  88. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) これは協定のたてまえといたしましては、韓国側の自主規制を尊重するというたてまえになっておりますが、私どもとしては別途行政的にこれをフォローはいたしております。
  89. 渡辺武

    ○渡辺武君 そのフォローの仕方は、どういう仕方でやってますか。
  90. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) これは一応私どもとしては公表しないたてまえになっておりますが、インボイス統計というものを利用しておるわけでございます。
  91. 渡辺武

    ○渡辺武君 インボイス統計を利用して、どういう基準でやってるんですか。
  92. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) どういうものを大島つむぎと認めるかという点につきましては、通常大島つむぎと確認されるべきものは、相当価格が高いものでございますから、価格水準をもって、基準をもって一応のめどをつけておると、こういうことでございます。
  93. 渡辺武

    ○渡辺武君 どのくらいの価格水準でチェックするんですか。
  94. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) これはそのときどきの価格水準によっていろいろ変動するわけでございますが、一応現在のところ百四十ドル見当ということでございます。
  95. 渡辺武

    ○渡辺武君 百四十ドル見当、現在の円レートでですね。そうすると、大体どのくらいの円になりますか、三万五、六千と見ていいですか。
  96. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) そうでございます。
  97. 渡辺武

    ○渡辺武君 以前はどうだったんですか。
  98. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 昨年は百三十ドル見当であったかと思います。
  99. 渡辺武

    ○渡辺武君 昨年が百三十米ドル、現在が百四十米ドル、これは業界の方と何か相談、協議でもされてそういう基準をつくられたのですか。
  100. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) これは業界と相談するような性質のものではございませんで、私どもが、韓国が行いますところの自主規制が正当に行われているかどうかということを行政的にチェックするわけでございますので、業界と相談する性質のものではございません。
  101. 渡辺武

    ○渡辺武君 相談ということももちろんなんですが、業界意見は聞かれたことはありますか、どの辺の基準でチェックしたらいいかというのを。
  102. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) これは、かねてから大島つむぎ、あるいは大島つむぎまがいのものというふうなことでいろいろ議論がございますので、私どもの方で検討をした結果でございます。
  103. 渡辺武

    ○渡辺武君 そこにぼくは問題があると思うんですね。百四十米ドル、いまのレートに直して三万五、六千円と、これで韓国から来るいわゆる本場大島つむぎなるものの輸入を協定どおりに来ているかどうかということを点検できるかどうか、非常にこれは疑わしいですよ。これはインボイス価格でしょう。三万五、六千円のインボイス価格で入ってきて、国内でどのくらいで売れるというふうにあなた方は考えておられますか。
  104. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) それはそのときどきのあれにもよりますので一概には申しにくいと思いますが、まあ普通の常識的に考えますと五万円程度ということになろうかと思います。
  105. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうでしょう。いろんな流通商社のマージンやなんかを上乗せされて相当の値段になるわけですよね。その韓国産のつむぎの販売小売価格ですね。これは国内の本物の本場大島つむぎの大体値段の三分の二ぐらいだと言われている。そうしますと、いまおっしゃったように、大体四万円くらいだとおっしゃった。五万円とおっしゃいましたか。
  106. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) はい。
  107. 渡辺武

    ○渡辺武君 五万円と。そうしますと、これは大体これと競合している本場の日本でつくられた本物のこれは一体幾らぐらいのものと競合することになりますか。
  108. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 大島つむぎ本場物につきましては、いろいろと非常に高いものから順次ランクがあるわけでございまして、競合するというお話になれば値段が同じような程度のものと競合するというよりほかないかと思います。
  109. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういうばかなことを言ってもらっちゃ困るんですよ。いま先ほども数字申しましたけれども、韓国産大島つむぎと一番競合関係にあるのは、国内産で緯絣と言われる横織りのかすりです。これはいま、私業界で聞いてみましたけれども、値段は大体安いもので四万五千円くらいということなんです。そうしますと、百四十米ドルをチェックの価格として、そこから以上のものは、これは協定のものだと、こういう話になる。実際、国内で売られるものはあなたのおっしゃるように、五万円という値段になるわけでしょう。そうしますと緯絣は入らないんですよ、あなた方のチェックの枠の中には。外れちゃうんですよね。かなり高級のものですね。これがあなた方のチェックの枠内に入ってくるだけだと、こういうことになってしまいますよ。実際のところ、いまのあなたの大まかな計算でいきますと、国内でつくられる緯絣と同じものが入ってくる、これを数量の中に入れようと思ったら百四十米ドルでなくて、百米ドル、もしくはそれよりも以下のところにチェックポイントを置いて、それ以上のものを全部計算しなければ、実際韓国産の大島つむぎどのくらい入っているかという計算にはならぬのです、どうですか、その点は。
  110. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 私どもといたしましては、大島つむぎというものは相当高価なもので元来あるわけでございまして、それを判断する基準としてはその程度のもので妥当であろうというふうに考えております。
  111. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから、業界意見聞いてからやりなさいとぼくは言っているんですよ、そうでしょう。大体韓国の労働者の賃金というのは日本の労働者の賃金の三分の一以下だと言われているんですよ。しかも福利厚生施設はないんだ。政府がいろんな援助をやっている、この韓国産のつむぎについては非常に安い値段で入ってくるんです。これがインボイス価格となって表示されている。それを現在の為替レートで、あなたのおっしゃった三万五、六千円という基準でチェックしたら、これは安い物はそのチェックに入ってこないんですよ。だから先ほど申しましたように、日本の比較的大衆物緯絣なんというふうなものはわりあいに価格が安いから、だから一番大きな打撃を受けているのにもかかわらず、その同じ品質の韓国産のつむぎは、あなた方のチェックのやり方からすれば全部枠外になっちゃっている、そういうことになるんです。  それで私申し上げたいんですけれども、これは時間がないから私数字は申しますが、一九七一年から一九七六年この間に絹織物の韓国からの輸入実績、調べて見ますと、大体金額で三二・八倍にもなっているんです、金額で、この間。猛烈な勢いで入ってきている。特に一九七七年の——糸に紋がついたやつですね、これは番号で言いますと、ナンバー五〇〇九の二二二これが大体大島つむぎだというふうに普通言われておりますけれども、一九七七年のこのナンバー五〇〇九の二二二これどのくらい入っておりますか、輸入数量ちょっと言ってください。
  112. 武末祐吉

    説明員(武末祐吉君) 御説明申し上げます。  昭和五十二年の先生おっしゃいました五〇〇九の二二二の輸入金額でございますが……
  113. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、数量言ってください。
  114. 武末祐吉

    説明員(武末祐吉君) 数量でございますか。
  115. 渡辺武

    ○渡辺武君 平方メートルで。
  116. 武末祐吉

    説明員(武末祐吉君) 百七十五万六千平方メートルでございます。
  117. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは一反四・三六平方米で割ってみますと何反になりますか。——いまここで計算しろというのも無理だから、私の計算した数字を申しますとね、三十六万反になるんです。これは大体大島つむぎと称せられるものであろうというふうに認められるものが三十六万反も韓国から入ってきている。しかも、あなた方が百四十ドルでチェックして、それ以上のものを計算してみたら三万六千五百反しか入っていない。なぜこんなことになるかといえばチェックの基準が高過ぎるからです。もっとこの基準を百ドルぐらいのところまで下げて計算すれば、恐らく本場大島つむぎ、韓国産の。これの入ってきた全量に近いものが私はつかめると思う。業界の代表が韓国へ行って韓国の人たちといろいろ話をして、聞いた話ですけれども、韓国のつむぎの手織機一万四千台ある。そうして稼働台数が一万二千台、月の平均織り上げ反数は、これは二・五反、一織機当たりね。だから月三万反になる。年にしますと三十六万反になる。大体このうちの六割は本場大島つむぎだということを向こうの人は言ってるんです。この三十六万反という数字——これがちょうどいまあなたがおっしゃった数字を反に直すと、ちょうど三十六万反、月三万反で一年間三十六万反、ちょうど一致するのです。ですから、あなた方がいま言った五〇〇九の二二二という番号で表示しているこの輸入品、これは九九%までは韓国から来ているものですからね。そうして大島つむぎなんというものは韓国の国内では使わないのです、日本だけが使っているものですわ。全量日本輸入しているというふうに見て差し支えないと思う。  韓国の業者人たちが言っている数字と通関統計とは全く一致しているのですよ。だから三十六万反のほぼ六割、約二十万反のちょっと上くらいです。これが本場大島つむぎとして日本の国内に入っているものだという計算ができると思うのです。業界人たちも大体そういうところで二十万反くらいは入っているということを主張しているのです。そこを通産大臣、正確につかんでほしいと思うんです。韓国との間で三万六千五百反という協定がある、   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕 それで、そのチェックの水準が高い価格、百四十ドル、日本の価格に直しますと現在の価格で三万五、六千円、そういう値段以上のものしかつかんでいないんです。それを計算すると三万六千五百反という数字になるんだけれども、それ以下の値段で入ってきている、本場大島つむぎと称して入ってきているものは全部チェックから漏れちゃっている。これが奄美大島や鹿児島でつくっている比較的安い緯絣と称する大衆もの、これに大きな打撃を与える。つむぎ産業全体の土台を掘り崩していると言っても差しつかえないような状態をつくり出しているのです。  だから、私お願いしたいことは、百四十米ドルでなくて、現在の円レートで少なくとも百ドルくらいから上のところをチェックポイントにして計算し直してほしいと思うのですけれども、そうすれば大体実態に近いものができるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  118. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) いま先生チェックするとおっしゃいますが、これは別にチェックをしているわけではございません。要するに、二国間協定としては、自主規制を尊重してビザを基準にして考えておるわけでございまして、その裏打ちとして推定をしておる基準の額にすぎないわけでございます。
  119. 渡辺武

    ○渡辺武君 つまり、その裏打ちとして調べているわけでしょう。三万六千五百反という協定の数字に——私はかんぐるようで申しわけないのだけれども、近づけるために、実際はたくさん入っているのだけれども。しかしその裏づけとして数字を協定の数字に近づけるために、高い値段のものだけを拾って計算している。そうとしか思えない。実態をつかもうと思ったら、もっとあなたのこの百四十ドルというやつを下げて、それ以下のものも計算しなければ実態に近いものにならないだろうと、こう言っているのです。  通産大臣、ひとつ業界意見を聞いてもらって、安い値段で韓国から入ってくるのですから、本場大島つむぎというのは高い値段なものだという、そんな大まかなことでもって実態をつかもうと思ったって、つかめないのです。だから、業界の人の意見を聞いて、大体幾らくらいなところから上のところをつかめば、韓国から入ってくる大島つむぎの実態の数量がつかめるんだということを聞いてもらって、そうしてその数字で調査をやってほしいと思います。私は、いまここでは大体百ドルくらいのところまで基準を下げたらどうだということを申しているんですが、そういう方向をひとつ検討していただきたいと思いますが、どうですか。
  120. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) どうも少し局長の認識と、いまのお話との間に食い違いがあるようでございますから、局長からもう一回詳しく理解をできるような内容で話をさせます。
  121. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 御承知のように二国間協定、絹織物全般についての協定でございますが、その中で特定いたしまして大島つむぎにつきまして特に反数を挙げて協定をしておるわけでございます。そのやり方は先ほども申し上げましたように自主規制ということで全体の絹織物、その中にはつむぎ類がございますし、そのつむぎ類の中に特にまた大島つむぎがあると、こういう仕組みになっておるわけでございます。先ほどお話ございました三十六万反というふうなお話はつむぎ類全体のお話だと思うわけでございます。その中で大島つむぎと目すべき物というものを判断する際の基準の問題ということでございまして、私ども業界の話も、先ほど業界から聞いて決めたのかとおっしゃいましたが、もちろん業界情勢その他は判断した上で、私どもの判断としてその辺の基準で本場大島つむぎというふうに理解すべきであるということにいまお答え申し上げたわけでございます。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
  122. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから言うんですよ。もっと別な角度から言いますと、さっき言いましたように、いま国内でつくられる緯絣の販売値段は約四万五千円。韓国産の同じ品質のものは、品質そのものはちょっと悪いのだけれども、しかし大体その三分の二くらいの値段で売られている。販売価格がもう三分の二程度に近いのですよ。しかもインボイス価格ともなればその販売価格から商社のマージンや何かを引いて輸入するときの値段でしょう。そうしますとかなり低いところで裏づけの数字をチェックしませんと実態がつかめないということを私言っているのです。この百四十ドルと、つまりいまの円レートにして三万五、六千円ということでは実態はつかめない。かなり値段の高いところしか網にかかってこないんだということを言っているのです。だから業界意見も聞いて、このチェックすべき基準をもっと下げたら実態つかめるぞということを言うているのです。大臣、おわかりですか。実際二国間で協定をやって、その協定が守られているかどうかということは、日本政府の責任としても私はちゃんと握っておかなければならぬと思う。その裏づけの資料の取り方が間違っている。もっと基準を下げないと実態はつかめませんよと、具体的な数字を挙げて申し上げているのです。どうですか。もう少し基準を下げると、業界意見も聞いて適正なところに基準を定めるということをおやりになるべきじゃないかという質問をしているのです。いかがですか。いや、局長さん、あなたの言うことはもうわかった。
  123. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 実は私はその問題もさることながら、旅行者がたくさん担いでくる、そこに問題があるというように皆さんからお聞きをしておりましたので、そこに焦点を置きまして対策を立てるようにということを指示しておったのでございますが、いま改めてそういうお話がございますから、その点につきましてももう一回よく分析をいたしまして再検討をいたします。
  124. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ仮に百ドルというところに基準を置いて、それ以上のものですね、これをインボイスひとつあれしてもらって、昨年とおととしですね、おととしは現在の為替レートで百ドルだから、昨年及びおととしはそれに匹敵した為替レートでいいですけれども、一遍数字をどのくらいの反数になるのか計算して、資料として提出してほしいと思うんです。これをお願いしたい。  それからもう一点は、いままでの百四十ドル、昨年はそれよりもっと低いとおっしゃいましたけれども、それで計算したものを、どのくらいの数量になっているのか、これもあわせて資料として提出してほしい。委員長ひとつちょっと計らってください。——資料要求。
  125. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 多分可能かと思いますが、検討いたしてみます。
  126. 渡辺武

    ○渡辺武君 それから通産大臣、いまおっしゃった旅行者の手みやげ等々でたくさん入ってきているということは大臣おっしゃったとおりなんです。いままでこれについてどういう規制措置を講じておられますか。
  127. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一定の基準を設けて処置をしておりますが、その具体的な進め方につきましては局長から答弁をいたします。
  128. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 旅行者の携帯輸入の品物でございますので、これは一般的に、税関におきまして価格三十万円ぐらいがいま限度になっておろうかと思います。したがいまして、その限度で、携帯輸入というものは税関では認められているかと思います。したがいまして、それをオーバーいたしますものにつきましては商業輸入になりますので、ビザのないものは入ってこれないということになりますから、当然税関で拒否されることになります。
  129. 渡辺武

    ○渡辺武君 価格でやっているんですか。私、聞いたところによると、十反以上は商業用として通関の際に押さえるという形になっていると聞きましたが、どっちですか。
  130. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) いま三十万円と申しましたのは、一般的に携帯輸入の制限でございますので、大島つむぎの場合にもそれが適用されるわけでございます。したがって、それが何反になりますかは、その時々のあれによっても異なろうかと思います。少なくとも十反以上になるようなことはあり得ないということは言えようと思います。
  131. 渡辺武

    ○渡辺武君 じゃ、そのチェックした数字も、去年、おととしについて資料をいただきたいと思います。
  132. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 携帯輸入につきまして、一々チェックはいたさないわけでございます。許可の範囲内であれば、税関では通るわけでございますから、その統計数字というものはございません。
  133. 渡辺武

    ○渡辺武君 いずれにしても、もう時間がありませんので大臣に伺いたいんですが、大臣、こういうようなことで、せっかく政府も重い腰を上げて韓国と協定を結んで三万六千五百反ということで決めても、韓国の方がそれを守ってくれるかどうか、非常に疑わしいんです。もうとにかく、さっきも言いましたように、韓国の業者の方は年生産大体三十六万反くらいやっているんだと言っているんですよ。そのうちの六割は大島つむぎだと言っている。実際それとほぼ近い三十六万反というのが通関統計でははっきりと出てきているわけですね。ですから、私は、いま申し上げたように、どうも通産省がチェックポイントを少し高くし過ぎて、そうして三万六千五百反というところに数字合わせしているのじゃないかというような感じもするんですけれども、いずれにしても、これが業界に非常に大きな深刻な打撃を与えているということはもう否定できない事実なんです。  それで私は、やはりこういう韓国産のつむぎ類については、これはそもそも自由化したことが間違いだというふうに思います。なぜかと言いますと、あの奄美大島へ行ってごらんになればよくおわかりと思いますが、三百年の歴史を持っている。非常に細かい技術で、手の技術でもってやっとあの味のある織物ができるんです。機械化できたらあの味はなくなってしまう。ですから、とうてい自由化することのできないような品物なんですよ。それが自由化されて、そうして日本の大商社などが技術と原料と技術者を韓国へ持っていって、あそこで低賃金でつくって逆輸入するというような状況が生まれてきていると思う。ですから、現在のこの深刻な構造的不況、これを解決する意味でも、やはりこのつむぎについては、これは非自由化品目にして、そうして一定の数量で抑えてしまうということをやる必要があると思いますが、その点どうでしょう。
  134. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いずれにいたしましてもこの問題は長い間の課題でございますし、それから地域産業にとりましても大きな影響が出ております。かつまた、伝統的工芸品のことでもございますから、やはり何らかのきめ細かい対策が必要でございますが、日本としては自由貿易を原則としておるというその立場に立ちまして、できるだけの配慮を払っていく、できるだけの対策を立てていきまして、いま地域産業に大きな影響が出ておりますのをどう防ぐことができるかと、こういう観点に立ちまして、いまいろいろ問題点等も指摘されましたので、そういう問題点をもう少し明らかにしてみたいと思います。
  135. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう時間来ましたので、一つ二つ、かためて御質問します。  大臣、そういう方向でぜひ検討していただきたいと思いますが、もし仮に、非自由化品目にするのに手間取るようでしたら、少なくともガットの十九条ですね、あれには、つまり急激に外国から商品が入ってきて、国内の産業に打撃を与えるような場合には緊急輸入制限ということができるということになっておりますね。これは貿易自由化のたてまえをとっている国であっても、ガットとして許容していることなんですね。で、先ほど申しましたが、金額で言えばここ数年の間に数十倍も急激に入ってきておる。このために伝統的工芸品であり、そうしてまた、大島に住んでいる人たちの命の綱とも言うべき本場大島つむぎ産業が、根底からいま掘り崩されつつあるというのが実情なんです。まさにガット十九条に該当するような事態がいま生まれてきているわけですから。その点に立って、緊急輸入制限ということくらいはやるべきだと思いますが、その点どうでしょう。  それから、ちょっと一緒にもうかためて伺っちゃいますが、それから業者から見せてもらって私びっくりしましたけれども、反物というのは真ん中に棒を入れてぐるぐるとこう巻いてくるわけですね。ところがその織り口ですね、一番奥に巻き込むところには、これは「本場大島紬」と、つまり日本の国産だという表示があって、一番外の方の口には「韓国産紬」と書いてある。それで業者人たち困っているのです。こういうふうに巻いてくるのでなくて、これを平折りにして、一番中のやっと一番外のがそのままちゃんと見えるようにしてほしいという強い要求があります。そういう措置もあわせてとることが必要じゃないかというふうに思います。その点も御答弁いただきたい。  それから、特許庁からおいでいただいているので、ついでに申しわけないが伺いますけれどもね。「本場大島紬」は一定の表示が決まっておりますね。もうこれは商標として登録されていると思いますが、地球のしるしがついていましてね、それに「本場大島紬」という表示が出ているわけですけれども、この表示を韓国でつけ、あるいはもしくは国内へ持ってきたときに、同じ表示を韓国産のものにつけて売った場合ですね、これは違反になるんじゃないかと思いますが、その点どうか。もし違反の場合にはどういう処罰が行われるのか、その点伺いたいと思います。
  136. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 二点についてお答えいたします。ガット十九条の関連でございますが、韓国つむぎにつきましては、いま、先だってからるる御説明申し上げておりますように、二国間協定でもって数量制限しておるわけでございます。したがってすでに自由化の状態ではなくて、全く非自由化の状態になっておるということを御認識いただきたいと思います。  二国間協定ということで約束をしております傍わらで、一方的に十九条の提訴をするということは、国際信義上からも不可能なことであるというふうに御理解願いたいと思います。  それからいまの平織りの件につきましては、去年もやりましたんですが、ことしも韓国との交渉の過程でひとつそういうふうな折り方にしてもらいたいということで交渉しておりまして、ことしも強力に交渉するつもりでおります。これも若干内政干渉ぎみの問題ではございますが、一つの交渉条件として話をしておる次第でございます。
  137. 小林慶基

    政府委員(小林慶基君) 商標についてのお尋ねでございますが、現在日本で登録されております大島つむぎ関係の商標は二つございまして、一つは地球の図形の商標、これは奄美大島の紬協同組合が持っておられます。それからもう一つは鹿児島県の織物工業協同組合が持っておられます日の丸の旗の図形のついた商標と、この二つがございます。  したがいまして、この二つの商標と全く同じもの、あるいは類似のものが韓国から輸入された場合は当然商標権の侵害ということになるわけでございます。それで、商標権の侵害となりました場合には、その商標権者はその侵害の停止または予防を請求することが可能でございますし、それから同時に、これは刑事罰もございますので、告訴することができます。それからなお、これは関税定率法及び関税法において、そういう商標権侵害のものは差しとめるということが可能だと思われます。  以上でございます。
  138. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。  特定不況産業安定臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  140. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  対馬君から発言を求められておりますので、これを許します。対馬君。
  141. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 私は、ただいま可決をされました特定不況産業安定臨時措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、民社党及び新自由クラブの五会派共同提案による附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読いたします。    特定不況産業安定臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法臨行にあたり、次の競点について適切な措置を講ずきべである。   一、構造不況業界の置かれている深刻な現状にかんがみ、本法に基づく措置を迅速かつ適確に移すこと。   二、積極的な景気浮揚策を推進して内需の喚起を図るとともに、構造不況業種の実情に応じ官公需経済援助の拡大を行う等内外における新たな需要の創出に努めること。   三、関係審議会の構成及び運営については、労働者及び必要に応じ関連中小企業者、関係地方公共団体等の意見が十分反映されるよう配慮するとともに、安定基本計画の策定にあたつては審議会の意見を尊重すること。   四、共同行為に参加しない事業者の事業活動が安定基本計画に定める設備処理等の効果を阻害することのないよう適切な行政指導を行うこと。   五、設備処理にあたつては、労使間の協議によつて雇用の安定の円滑な実施が行われるよう必要に応じ適切な指導を行うとともに、関連中小企業者の経営の安定を期すること。   六、構造不況業種における雇用の実態の掌握に努め、その実態に即して雇用安定資金制度及び特定不況業種離職者臨時措置法に基づく業種指定等の措置について弾力的かつ前向きの運用をはかるとともに、雇用創出を中心とする諸施策の拡充に努め、構造不況業種における雇用対策に万全を期すること。   七、特定不況産業信用基金の債務保証に関しては、関係金融機関及び関係事美者の協力のもとに、特定不況産業の実情に応じ当該産業の労使の意見を徴し、機動的かつ適切に運用するとともに、設備処理の状況に応じ債務保証に充てる資金の充実に努めること。   八、安定基本計画の策定等本法の措置を講ずるに当たつては、輸入の動向を十分反映させるとともに、輸入の急増が構造不況業種に重大な損害を与えるおそれがある場合には随時適切な対策を講ずること。   九、産業構造の中・長期的ビジヨンを確立し、事業の縮少を予測される産業の事業転換部門、労働者の雇用吸収部門等についての展望を示すとともに、産業構造転換に伴う社会的諸費用の負担配分が公正に行われるよう検討を進めること。   右決議する。  以上であります。
  142. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいま対馬君から提出されました附帯決議案を議題といたします。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  143. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 多数と認めます。よって、対馬君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、河本通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣
  144. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、構造不況業種対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
  145. 楠正俊

    委員長楠正俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十八分散会