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政府委員(
橋口收君) 初めに私の方からお答え申し上げまして、
通産省から補足してお答えをいただきたいと思いますが、独占禁止法第二十四条の三の「
設備の制限」という言葉の解釈、
内容の問題でございますが、前回お答え申し上げましたように、昭和二十八年に独占禁止法の不況カルテルの
規定が設けられまして以来今日まで、一貫して、
公正取引委員会の解釈といたしまして、
設備の制限には
設備の事業活動に関する一切の拘束が入る、こういう解釈をいたしております。したがいまして、
設備の格納、休止、さらには
処理、
廃棄等も含めた一切の行為が入る、こういう解釈を持っております。これは、前回申し上げましたように、独占禁止法の他の
規定との整合性から申しまして、制限という言葉を広範に解することが
法律の言葉に合致すると、こういう見解をとっているのでございます。
ただ、現実に
運用がどうかというふうに申し上げますと、これは
公正取引委員会の
運用方針といたしましては、従来は
設備の制限についての取り扱いの方針をできるだけ限定をするという
考え方をとっておりまして、現実には生産数量の制限等に伴いまして
設備を休止するとか、あるいは格納するとか、そういう場合に限定をいたしておりましたために、解釈それ自体も狭いのではないかという
一般に誤解を与えておったきらいはあろうかと思います。
しかしながら、有権的な解釈といたしましては、実際の
設備の活動に関する拘束を含むという解釈をとっております。したがいまして、それとの
関係で申し上げまして、今回の
法律の「
設備の
処理」についての詳細な
規定、それからさらには、
中小企業団体法における「
設備に関する制限」の従来の
中小企業庁との取り扱いの御方針等につきましては、これは
通産省からお答えいただくのが妥当であると思いますが、さらにもう一回繰り返して申し上げますと、仮に
設備の制限という言葉を狭く限定して解釈をいたしますと、
設備の
廃棄に関する共同行為というものが独占禁止法の規制を受けない。これは大変不都合なことになるわけでございまして、この
設備に関する活動は、いわば
企業の
基本的な生存権に属することでございますから、そういうことに関しまして、
企業がほしいままに共同行為を行うということを独占禁止法が是認するということに
なりますことは、これは適当でない。したがいまして、
法律の解釈といたしましては、広く解釈するということで、従来からそういう方針をとっておったわけでございます。
それから、さらにお尋ねのございましたアウトサイダーに対する規制命令、それから合併についての
規定が削除された経緯、これは前回の
委員会でも詳細にお答えを申し上げたのでございますが、いま申し上げましたように、
設備に関する活動について、政府が指示によって
廃棄をさせる、あるいは新増設を禁止するというような行為は、これは本来好ましくないことであるのでございまして、できるならば、アウトサイダーの
企業活動に対して制約を加えるというようなことは、できるだけやはり遠慮すべきではないかというのが
基本的な
考え方でございますし、それから合併につきまして、現在独占禁止法による
審査がございますけれ
ども、戦後三十年の間に
幾つかの合併が行われてまいりましたし、構造転換に伴う合併等もあったのでございますが、これも、すべて現行の独占禁止法の
運用によって対処いたしてまいってきておるわけでございまして、私
どもの立場から申しますと、いささかの不都合もなかったというふうに
考えておりますので、したがいまして、今回の構造不況の
処理に関連いたしまして、合併についてまで例外
規定適用除外を設けることも、これも適当ではないんじゃないかということで、これは政府部内の調整で御相談いたしまして、最終的には落ちたということでございます。