運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-20 第84回国会 参議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員の異動  四月十九日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     熊谷太三郎君  四月二十日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     玉置 和郎君      亀長 友義君     成相 善十君      小笠原貞子君     山中 郁子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 佐々木 満君                 片山 甚市君                 小平 芳平君     委 員                 浅野  拡君                 石本  茂君                 上原 正吉君                 遠藤 政夫君                 斉藤 十朗君                 成相 善十君                 福島 茂夫君                 高杉 廸忠君                 渡部 通子君                 小笠原貞子君                 山中 郁子君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  小沢 辰男君        労 働 大 臣  藤井 勝志君    政府委員        防衛施設庁次長  銅崎 富司君        防衛施設庁労務        部長       菊池  久君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        厚生省援護局長  河野 義男君        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働省職業安定        局長       細野  正君        労働省職業安定        局失業対策部長  細見  元君        労働省職業訓練        局長       岩崎 隆造君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        沖繩開発庁総務        局企画課長    金子  清君        沖繩開発庁振興        局振興総務課長  中沢 祥枝君        外務省アメリカ        局安全保障課長  丹波  実君        労働大臣官房参        事官       鹿野  茂君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○職業訓練法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  玉置和郎君が一たん委員辞任されましたため、理事に一名の欠員を生じました。つきましては、この際理事補欠選任を行います。   理事選任は、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認めます。それでは、理事玉置和郎君を指名いたします。     —————————————
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、一昨十八日、原案並びに修正案に対する質疑を終局いたしております。  これより討論に入ります。討論原案並びに修正案を一括して行います。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、片山提出修正案を問題に供します。片山提出修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。  よって、片山提出修正案は可決されました。   次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  7. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
  8. 片山甚市

    片山甚市君 ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブの共同提案による附帯決議案提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。     戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。  一、一般戦災者に対し、戦時災害によって身体に障害を受けた者及び死亡した者に関する援護検討を目途としてその実態調査を実施すること。  二、国民生活水準向上等にみあって、今後とも援護水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。    なお、戦没者遺族等老齢化現状にかんがみ、一層の優遇措置を講ずるとともに手続等簡素化を図ること。  三、満州開拓青年義勇隊開拓団について更に当時の実情を明らかにするよう努めること。  四、戦地勤務に服した日赤従軍看護婦の当時の実情を明らかにし、公平適切な措置をとり得るよう検討すること。  五、生存未帰還者調査については、引き続き関係方面との連絡を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期するとともに、中国からの引揚者及び一時帰国者生活状況調査し、援護対策の充実に努めること。  六、戦傷病者相談員戦没者遺族相談員の処遇の改善について検討すること。   右決議する。  以上でございます。
  9. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、片山提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。小沢厚生大臣
  11. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、短期間には困難な問題もございますが、御趣旨を踏まえまして、十分検討してまいります。
  12. 和田静夫

    委員長和田静夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  14. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 初めに、駐留軍従業員雇用状況離職状況、これについて御説明を賜りたいと存じます。
  16. 細野正

    政府委員細野正君) 四十七年の四月以降、沖繩につきましては本土に復帰しました四十七年の五月十五日以降ということでございますが、それから五十三年の二月末までの間に、安定所求職の申し込みをしました離職者が三万三千九百五十三人ございます。そのうちで、この間に再就業をした方が約三七%に当たります一万二千五百二十二人でございます。現在、七千七百八十五人の方が求職活動中で未就職という状況でございます。いま申し上げました再就業をした方一万二千五百二十二人のうち内訳を見ますと、民間へ就職した方が一万五十九人、それから官公庁等へ就職した方が千六百十五人、それから自営業を開業した方が八百四十八人という状況でございます。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 最近の円高ドル安という情勢が、どのように今後影響していくのかということについて、駐留軍雇用状態について非常に心配であります。そういうことで、現在の人員整理状況見通し円高でありますから大変駐留軍の方が渋くなっておる、こういうことで、どういう見通しを持っておるかについて御説明願いたい。
  18. 菊池久

    政府委員菊池久君) 最近のドル安円高の問題というのは、単に駐留軍従業員だけの問題ではないというふうに把握しております。日米間における全般的な経済問題ではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、ドル安円高理由にいたしました人員整理を行うことは適当ではございませんので、この趣旨米側に強硬に申し入れているというふうな段階でございます。もし、このような事態が発生した場合には、米側事情としては理解できますけれどもドル安円高理由といたしました人員整理を行うことは、従業員雇用の安定を確保する面でも非常に適当ではないということでございますから、そういう観点に立ちまして米側に対しまして再考を求めていくというふうな対処をしたいと思っております。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 整理状況見通しというのはどういうことでしょうか。
  20. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先ほど労働省の方からお答えしたんですが、二月末現在で人員整理が八百二十八名、五十二年度は出ておるわけでございます。それから五十三年度、私ども人員整理予告と申しまして、大体九十日以上の事前予告を出すように米軍交渉をいたしまして、受けておるわけでございますが、五十三年度に入りましての予想でございますけれども、現在までわれわれの方に通告がありますのが二百十二名出ております。これを本土沖繩に分けますと、本土が百九名、沖繩が百三名ということでございます。その後の全体の状況はまだ把握できておりません。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 事情はわかりましたが、いま言ったように円高ドル安という事情で、行政整理といいますか人員整理を無条件に押しつけられないように努力するという前提でお話を聞いておきます。  三つ目に、米軍労務費制約から雇用問題、賃金改定問題で紛議が続いておったのですが、これを解決するために昨年の日米合同委員会において協議が進められ、労務の基本問題をやられたそうですが、労働条件問題については一応の努力をされ、解決方向を示されたと聞いていますが、その内容を若干簡単に御説明願い、残されておりますところの雇用問題について継続検討になっておるんですが、これはどのように進行しておるのか、どのように進んでおるのかについて御質問したいんです。お答え願いたいと思います。
  22. 菊池久

    政府委員菊池久君) 駐留軍従業員労務にかかわる問題につきましては、先生承知のとおり、オイルショック以来大変難航いたしまして、これはわが国賃金水準が非常に高騰したということと、米国政府海外駐留経費の削減といった事情が背景にございます。そういうことで、四十九年及び五十年度の給与改定、特にこれは難航したわけでございますが、この給与改定に際しまして、米側から一部給与条件労働条件の切り下げというふうな提案がございました。非常に難航いたしまして、給与改定の支払いが国家公務員のそれとは違いまして、翌会計年度になってしまうというふうな事態に達したわけでございます。これはまさに駐留軍従業員生活雇用の安定にも直接かかわりある大変な問題でございますので、日本側としましても、労使関係の問題、それから雇用安定確保上非常に困難な事態になったわけでございます。そこで、五十一年の夏以来日米合同委員会におきまして、従業員給与その他の雇用及び労働条件につきまして、諸問題の全般にわたりまして話し合いを行うというふうにいたしまして、先般五十二年の十二月二十二日の合同委員会におきまして、すでに報道されておりますような取り決めが行われたわけでございます。  その内容でございますが、五十二年の十二月二十二日の取り決めでございますが、これは駐留軍従業員生活雇用安定確保に資するということでございまして、第一に、米軍としましては、従業員福祉に十分な考慮を払いまして、五十二年度の給与改定につきましては、現行給与体系その他労働条件を切り下げることなく国家公務員改定時と同じように実施する。それから、五十三年度以降におきましても五十二年と同じような考慮を払いまして努力していくということでございます。  それから、第二点としまして、日本側としましては、所要の予算につきまして国会の御承認が得られましたら、従来米軍が負担してまいりました三つ経費、すなわち、社会保険料事業主負担分などの法定福利費関係、それに福利厚生費などの任意福利費関係、さらには、日本側労務管理機関人件費事務費でございます労務管理費につきまして、五十三年度分から日本政府においてこれを負担するということでございます。  それから、第三点でございますが、従来から問題になっておりました従業員雇用関係につきましてその安定を図るために、業者に対する切りかえ問題、それから長期的な雇用計画の策定ができないかどうかという問題、さらには、国内労働法令適用についての米側についての交渉の問題、この三点につきましては引き続き在日米軍防衛施設庁との間で検討を進めていくということでございます。したがいまして、この第三番目の継続案件につきましては、駐留軍従業員労務管理上基本的な事項でございますので、雇用の安定を確保するために鋭意現在対米交渉を進めている段階でございます。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 雇用問題で特にアメリカ軍との間に意見の相違といいますか、議論の焦点というのはどういうことになっていますか、この進行状況
  24. 菊池久

    政府委員菊池久君) 現在、まだお互いに主張し合っている段階でございますけれども、特に一番問題は、やはり外国軍隊ということでございますので、いわゆる雇用条件といいますか、米軍の長期的な雇用計画につきましては非常に策定しにくいというふうな問題ございます。これにつきましては鋭意その方法につきまして米軍と、いかなる方法によって契約ができるかどうかという問題について現在協議を重ねている最中でございます。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 事情はわかりましたが、とにかく雇用問題が最大のことでありますから、力を努めて解決方向に折衝を進めてもらいたい、こういうことを希望申し上げます。  そこで、駐留軍従業員は、日本国の当局の援助を得て充足されると地位協定で定められておるんですが、少なくとも、政府雇用し提供している労働者を、米軍の都合というだけで解雇し、その作業民間業者下請とさせることは、雇用主である政府として、また雇用安定の立場から見ても適当でない。このような業者下請は認めないという立場で折衝してもらえると思いますが、いかがでしょうか。
  26. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生のいま御指摘の点は、民間業者にある職種、職場関係業者委託に、下請に切りかえていくというふうな問題だと思います。これは私どもも長年にわたりまして、従業員生活に直接かかわりある問題でありますので、これも、先ほど申し上げましたように五十二年十二月の日米合同委員会取り決めの中で継続検討課題ということで合意がなされた次第でございます。それを受けまして、私どもとしましては鋭意——もしそういう事態が発生するならばとういう場合にそれをわれわれが受けて立つのか、それからどういう方法従業員雇用継続を図るのかということを主眼といたしまして、いま米軍と連日交渉を行っている状況でございます。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 やはり、日本政府責任を持って労務を提供することになっておる、その責任を回避するような形、または間接的なことについては、特に軍の基地の中の仕事でありますから、やはり身分保証、そういうことから言っても適当でない、下請というのはわが国ではやはり十分でないと思う。特に、駐留軍現状から言っても、駐留軍基地の中で働く従業員立場から言えば、そういうような下請化でなくて、直接政府の庇護のもとで仕事をしておるんだと、こういうことにしてもらいたい。そういうことについて努力されるというように期待してよろしゅうございますか。
  28. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生の御指摘のように、私どもとしましては従業員一人も解雇が出ないようにということで、念頭に置きましてやっておる最中でございます。過去におきましても二、三の例がございまして、そういう最悪の場合にはできる限り他の機関等にトランスファーしていただきまして、身分継続を図っていくということを努力しておりますが、今後はさらにそれを強力に進めていくということで、その手続をどうするかということで、現在交渉中でございます。大いに努力したいと思っております。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、政府雇用主であり、その責任施設庁長官は直接の責任を負われておると思います。米軍が一方的に解雇を出してきても、その内容が適当でない場合、それを拒否するなり調整するなり、きちんとした態度できちんとそれに対処されておると思いますが、今後もされていくと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 菊池久

    政府委員菊池久君) この点につきましては、現在米軍にいたします駐留軍従業員提供契約につきまして申し上げますと、現在解雇が出る場合、人員整理が出る場合には三十日プラスの事務的な期間を入れまして四十五日前に、日本政府通報させるというふうな仕組みになっております。ただし、そういうことでは事前調整ができませんので、現在のところ九十日以上、少なくとも九十日以上前に日本政府にそういう事態が発生したならば通報しろということで、あらかじめ通報を受けまして事前調整を図り、身分継続を図るということで努力している次第でございます。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 私が聞いておりますのは、解雇などを出してきたときの内容が適切でない、適当でないと判断したときには、それをいま言ったように四十五日なり九十日の間に調整をするけれども、筋の通らないことについては毅然と断る。それは困ると、こういう態度をとられるのか。いや九十日過ぎたからやむを得ないという態度をとられるのか。先ほどからそんなことはおっしゃっておらないけれども、議会でありますから長官の方からきちんとしたお答えをいただきたいと、こう思って部長にお答え願います。
  32. 菊池久

    政府委員菊池久君) いまの点につきましては、現在もそういう姿勢で私どもやっておるわけでございまして、九十日以上前に予告が出ますと、内容を見まして、先ほど出ましたような、円高ドル安というふうなことで通報があったような場合には、適当でないということでわれわれは米軍交渉しまして、理解させるというふうな方向で対処しておるわけでございます。今後ともそういう姿勢で対処する所存でございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、基地の中におきましては、それぞれ大変な制約があろうかと思いますが、地位協定にも雇用労働条件あるいは労働者の保護のための条件は、労働関係に関する労働者権利は、日本国法令に定めるところによるとしておりますけれども、事実上基地管理権、この地位協定の第三条に基づく問題と競合した場合、日本法律を完全に労働者に対して保障するような態度で万全を期していただけるかどうか、いわゆるアメリカ軍がいろんなことをやられることはそれは軍の方針でありましょうけれども、働いておる者たち権利といいますか、条件を守るためには、万全を期していただけるのかどうか、こういうことについて、国内法におけるわが国法律と、いわゆるアメリカ軍基地管理権との競合した場合に、やはり国民を守る立場から措置をされるかどうかお伺いします。
  34. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生指摘の、ただいまの問題でございますが、米軍に提供しております施設区域の中で勤務する従業員に対する労働法令適用の問題でございますが、これは原則としまして、地位協定上も日本法令に定めるところによるというふうになっております。したがいまして、具体的には基本労務契約先任契約及び諸機関労働協約におきましてこのことを定めておる次第でございますが、施設区域内は現実的には在日米軍管理下にございますので、軍隊という特殊性を有するために、法令の具体的な運営や執行の確保につきましては日常から注意をいたしまして、監督官庁立ち入り等を受けるような場合におきましては、事前米軍調整を図りまして、立ち入って御指導いただくというような措置をとる、そういうふうなことで対処しているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、十二月の二十二日の合同委員会日米間の合意に基づきまして、この労働法令適用の問題につきましては、さらに日米間の継続検討課題ということにしてございます。現在、この法令適用問題につきまして、米側と具体的に個々の問題について話し合いを行っている状況でございます。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 賃金あるいは労働時間、こういう福祉の問題も大切でありますけれども、全般的に日本労働者に対する労働基準法、いわゆる関係法がきちんと保障される立場をとるのが施設庁のお仕事だと思っていますから、万全を期してもらいたいということをもう一度申し上げて、きちんとひとつ受けとめてもらいたい。基地の中は日本の土地でありましても、外国の領土と同じような状態であることについては御承知のとおりでありますから、それはしかとやっていただけましょうか。
  36. 菊池久

    政府委員菊池久君) 現在、日本労働法令適用につきまして、実態的にはだいぶ米側基本契約の中に書き込んでおるわけでございますけれども、具体的な個々法令の具体的な作業につきまして、米側調整を図りまして、われわれとしますと労働者が不遇な扱いを受けることがないように、前向きに対処していきたいと思って現在作業中でございます。
  37. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、雇用に関する基本的な問題の協議が進められている中で、先ほどお話がありましたように、五十三年には二百幾名かの方々がとにかく人員整理の対象になる、こういうようなお話がございました。その原因は、私は円高ドル安アメリカ政策だと考えるんですが、特に沖繩における在沖陸軍施設海兵隊空軍への移管計画が出されておると聞いておるんですが、このことによって生ずることはないか、この交渉はどのようになっておるか。といいますのは、単に軍隊間の移動、軍隊間の業務の移管ということによって人員整理が行われるようなことがあっては私たちはならない、そういう意味で、積極的に施設庁アメリカ軍との対軍交渉を行って、この問題については解決してもらいたい。私のお聞したところによると沖繩には八千名、全駐留軍関係従業員がおられると聞いております。ですから、こういうような中で、非常に大きなウエートを持つ職場だけに、施設庁がこの問題についてどのようなお考えに立つのか。私が特にお聞きしたいのは、在沖の沖繩陸軍施設空軍海兵隊に分かれる、移管されるということになって、そのことによって人員が整理されるというようなことは納得できない、こういうことで施設庁のお考えをただしておきたいと思います。
  38. 菊池久

    政府委員菊池久君) 去る三月の十日でございますが、在日米軍から発表されました在沖米陸軍業務の移管計画でございますけれども、これは五十一年に一度発表ございまして、これは沖繩だけじゃなくて本土にあります米陸軍の管理サービス業務の一端を、他の軍隊移管しようというふうな計画がございます。この三月十日に発表されました計画もその一環であるというふうに聞いておるわけでございます。さきの五十一年度の移管につきましては、従業員に対する影響を最小限度にとどめるというような方針をつくりまして、米側と鋭意折衝を重ねました結果、関係従業員雇用確保を最重点といたしまして鋭意交渉した結果、九二%にわたりまして雇用継続が図れたというふうな実績がございます。今回もその細部につきましては、まだ米軍と、米軍の部内で陸軍と他の軍との間で調整を行っておるということでございまして、まだ具体的にどういう施設がどの程度の移管が行われるかというふうな細部につきましての発表がございません。発表といいますか、われわれに対する通報がございませんので、鋭意それを追及している状況でございます。さらに、発表をされました直後に、在日米軍司令部に対しまして従業員雇用継続を図るように、もし縮小されるようなところがあれば、他の地域にそれをトランスファーしまして雇用継続を図るようにというようなことで鋭意申し入れをしたところでございます。  それからさらに、問題の重要性にかんがみまして、沖繩におきましては大変従業員の方々が心配しております。そこで、担当官を現地に派遣いたしまして、同じような趣旨で、各軍にそれぞれ申し入れ、さらには領事館にも申し入れたというふうな状況でございます。今後も、昨年五十一年に実施されましたと同じような努力目標で、できるだけ継続雇用が図れるように、われわれは神経をとがらせながら、米軍の情報をとりながらここに対応しておるというふうな状況でございます。
  39. 片山甚市

    片山甚市君 いまの言葉をつづめて言いますと、単に部隊間の業務の移管だけで人員整理が容易に行われるようなことはさせないんですね。そういうことについて米軍との間にはしっかりした交渉をやっていきたい、こういうことで理解をしてよろしゅうございますか、言葉をつづめて言うと。
  40. 菊池久

    政府委員菊池久君) 米軍にいたしましては、単なる施設の返還を伴わない業務の移管でございまするので、これは当然従業員は全体が救済できるんだろうということで交渉をしているところでございます。ただ、陸軍の管理機能と海兵隊の管理機能と若干違う面がございまするので、その辺がたとえば職種の中におきまして海兵隊が使う従業員の職種が違うとか、そういう問題ができてまいると思います。そのときといえども若干のトレーニングをしまして、その職種に間に合うようにして雇用継続を図れるようにということで申し入れをしているという状況でございます。
  41. 片山甚市

    片山甚市君 どちらにしても、部隊間の業務の移管だけという単なることで、人員整理が行われるようなことがないように努力すると言明したと受け取っておきます。  ところが、敗戦後三十年たちまして、駐留軍従業員の大多数は、御承知のように中高年齢になってしまいました。新しく雇われる人はありませんし、先任順位でありますから、人員整理がありますと、若い人から、または年がいくと定年でやめていく、こういうことでありまして、再就職ということは大変困難だということはもう施設庁がよく御承知だと思うし、労働省もよく御承知だと思います。  そこで、特に沖繩県の雇用情勢が深刻でありますから、今度特別措置法を五年間延長していただいただけでも解決できるとは思わないんですが、この特別措置法の延長で解決できると思いましょうか、いかがでしょう。
  42. 細野正

    政府委員細野正君) 沖繩の失業情勢が大変悪いというのは、先生指摘のとおりでございます。ただまあ、最近若干は昨年の一時に比べまして、たとえば失業率が七・九%ぐらいだったのが、最近ではようやく五%ちょっとというふうなところになると改善の兆しも見えておりますが、しかし全般として、冒頭申し上げましたように、大変情勢は厳しいわけであります。その中で、まあ駐留軍離職者の方々の再就職を促進していかなければならぬという点、大変困難を伴うわけでございますが、しかし、私どもは、こめ駐留軍離職者臨時措置法の中に定められました援護措置、これを継続するためにこの法律の五年間の延長をお願いしているわけでございますが、これに定められております諸措置につきましてそれぞれ充実を図っておりますほかに、たとえば、一般的な対策ではございますけれども、当然駐留軍離職者の方にも適用になる制度として、たとえば、中高年齢者を雇ってくださる事業主に対して賃金を一定期間助成をするというふうな制度、こういうものを新設をしておるわけでございまして、そういうものをまたフル活動してまいりたいというふうに考えております。  それからさらには、御存じの公共事業の吸収率による吸収というふうなことについても、一層その内容を充実していこうというふうに考えておるわけでございまして、こういう諸対策を総合しまして、全力を挙げて対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  43. 菊池久

    政府委員菊池久君) 私どもは、離職を余儀なくされる場合が起こり得るということを前提といたしまして、現在、従業員が在職中に職業訓練等行っているわけでございます。これは基地の中で、基地の施設なり物品なり機材等を借りまして、その中で講師を招きまして訓練をする。それから、そのほかに場外に、基地の外におきまして学校、訓練機関等に委託しまして、そこで訓練を受けていただくということで、現在、身分の安定しているうちに特に中高年齢になられた方につきましては、そういう受講の機会を十分に与えてやるということで、現在対処をしている次第でございます。これも臨時措置法を受けまして、今後とも続けさしていただきたいというふうに思っております。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 臨時措置法だけでは、駐留軍の諸君の離職をした場合のいわゆる対策としては万全でないという意味で、何らかのことをやっておるのだ、こういう御説明だと思いますから、この法律ができたら大体それで離職者対策はできるのではないと、こういうように理解をしておきます、そういうお言葉だと思います。反対であればまた局長の方から、労働省の方は反論してよろしいけれども、なければ私の言うことだと、こうしておきます。  それで引き続いて、いま局長から説明がありましたから、臨時措置法には各種の援護措置はあります。しかし、その内容は至って不十分だという立場で見てみますと、就職促進手当ということで出されておりますけれども、それは本年度の増額は三千百円、これは前の失業保険の基本手当日額の最高、いわゆる金額が五千四百六十円ですから、その六割にも満たない程度で、果たして就職促進手当としての役割りを果たすのか、果たさない、こういうように考える。また、いまお言葉がありましたように、雇用奨励金について、本年度アップして平均一万三千円、これは年齢別に差がありますけれども、平均するとそういうことだそうですが、一年間雇用主にやってやろう、こういう程度のものでは、労働者雇用が大きくなるということについては、中小企業を含めて大変むずかしい、これは考えられない。現在の雇用情勢を考慮して実効が上がる一般的な施策というものをつくるように、その内容を改善するようにしてもらいたいと思うんですが、大臣からそのことについてはどういうような労働省としての対策をとっているのか、御説明を賜りたいと思うんです。
  45. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 先ほど局長からお答えをいたしましたように、今度の臨時措置法の延長と同時に、新しい政策としては、中高年齢者を雇い入れる事業主に対して、特別援助措置をやっていくという、これは全国、全体でございますけれども、そのほか、ただいまお話しございましたように、就職促進手当、あるいはまた雇用奨励金の制度も毎年充実をしておるわけでございまして、たとえば、就職促進手当は二万八千円から三万一千円、あるいはまた雇用奨励金は月一万二千円から一万三千円、こういうふうにふやしてきております。やはり私はこういった制度を毎年充実していって、特に雇用情勢の厳しい現状、特に沖繩方面においてはなおさら失業者が多いわけでございますから、そういう点において特別の配慮をやっていく、こういったことで対応していきたいと、このように考えるわけでございます。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、いまのところ一般施策としての内容を深めるということについては、格段の、それ以外はございませんか。
  47. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) やはり、沖繩につきまして、私は、基本的には地域開発、産業振興という、こういう点において、やはり全体的に経済の力をつけていくということが大前提だと思うのでございまして、それ以外の雇用政策自体としては、いま申しましたような制度を積極的に活用すると同時に、毎年これを充実していくという、こういうことによって対応していくと、このように考えておるわけでございまして、私は、雇用政策につきましては、雇用機会の拡大ということ、これを全国的なスケールで対応していく、その一環として、沖繩について先ほどのような特別の配慮をしておる制度がありますから、その制度を充実していくということによって雇用問題に対処したい、このように考えるわけでございます。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 同僚議員の方から、この問題については質疑をして、内容的に詰めていただけると思いますから、私は、労働省が、大臣が、前向きに地域開発も含めて努力をしていきたいし、内容的にも今後充実していきたいという考え方だけを、とりあえずお聞きをして、内容的には同僚議員が後からもう少し突っ込んで御質疑をしていただけるものと思いますから、次の問題に移ります。  いまお話しのありますように、特に、沖繩における完全失業者は、若干の数字は違いましょうが、私の手元では、五・六%程度、本土の約二倍以上の失業者がおる。新規学卒者の就職の機会も非常に十分でない状況だとわれわれは見ておりました。それが変わったと、もう沖繩は大変好転したんだということになれば別でありますが、駐留軍全体二万二千のうち八千が神奈川県、沖繩が八千、残り全国に四千が散らばっておるということでありますから、非常に大きなウエートを持つ沖繩駐留軍従業員だと思っておるわけです。これについて、実は県外に就職をすればいいじゃないか、そういう広域就職の道をつくったんだという話がありましたけれども、県外と言って、日本国じゅうが、全体が雇用がむずかしいときでありますから、沖繩の方々をすんなりと受け入れていただけるような条件をつくることも非常にむずかしい。ないとは言いません、大変努力をしていただいてもそうでしょう。五十三年度でもそのとおりいくかどうか、大変、別でありますが、先ほど、二百名余り、駐留軍全体としても整理の人員予告的なものがある。非常に心配するわけです。それから、定年でやめていく人もおるだろう。そうすると、非常に心配しますのは、県外就職といっても、これは本土の受け入れ体制が十分でない、そうすると、いま大臣がおっしゃったように、沖繩実情に合わせて雇用機会をつくるということに最大の努力をしながら、地域的な解決が図れるだけ図った上で、全国的な措置をとられる、こういうことにしなきゃならぬだろう。そういうことについてのいわゆる施設庁あるいは労働省の取り組み、考え方、こういうことをただしておきたいんですが、お答え願いたいと思います。
  49. 細野正

    政府委員細野正君) 先生指摘のように、一般的に県外の就職というのはなかなかむずかしい事情にある点は御指摘のとおりでございますが、しかしながら、学卒者等を中心に若年者につきましては、かなり求職を上回るぐらいの求人が出ておることも事実でございまして、したがいまして、若い方を中心に、また年輩の方でも移動可能な方についてはやはり県外就職ということを進めていこう、こういうことで広域紹介に対する各種の援助措置というものを今回、今年度の予算におきまして強化をいたしておるわけでございます。しかし、大部分の年輩者につきましては、いま先生お話しのように、移動することも非常にむずかしい面もございますし、それから県内の情勢がなかなか容易でないという点、御指摘のとおりなわけであります。そこで、私どもは、先ほども申しましたけれども、この臨時措置法の中に定められております各種の援護措置自体の充実を図りますほかに、一つには、基本がやはり沖繩における経済的な開発ということが基本でございますから、沖繩開発庁その他関係の機関とよく連絡をとりまして、沖繩県の開発自体を進めていただくために努力をいたしたわけでございます。なかんずく、公共事業につきましては、今回は、従来も沖繩についてずいぶん配慮されてきているのでありますけれども、今回はまた特に沖繩に対して重点配分という点についても気を配っていただいたわけでございますが、これについての失業者の吸収率というものを積極的に活用していくというようなことで対処してまいりたい。それからさらに、一般的な民間雇用としては、先ほど大臣からもお話しございましたように、中年者、高年者を雇い入れる民間企業に対して賃金を、これも三分の二、二分の一というような、企業の規模に応じて区分がございますけれども、かなり大幅な助成をする措置を今年度から新設をしたわけでございますが、こういうものを活用して、極力県内における就職を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 施設庁にお聞きしようと思いましたけれども、次の問題につなぎますから、いわゆる沖繩開発庁にお聞きするんですけれども、そのような意味で、いま沖繩の産業についての開発についてどういうようなお考えを持っておるか、まずお聞きをしておきたい。
  51. 金子清

    説明員(金子清君) 沖繩の復帰に際しまして、本土との格差の是正と沖繩の自立的発展の基礎条件の整備を目標といたしまして、振興開発計画が作成されたところでございますが、これによりまして国といたしまして、各般の施策を積極的に進めておるところでございます。復帰後五年余を経過いたしまして、他の地域を上回ります大幅な公共投資がこの地域に行われまして、その結果、道路、空港、下水道等、すでに本土水準に達しておるというような状況になっております。また、県民所得につきましても相当向上してきているところでございます。  それで、今後の問題といたしましては、地場産業の振興あるいは公共事業の促進というようなことによりまして、県民所得の一層の向上と雇用機会の確保に努めるということに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 県や関係団体が努力をしていろんな雇用をつくり出す、問題提起をされることはもっともでありますけれども、国が率先をして実効の上がる計画をつくり上げていく、その意味では、開発庁が責任が非常に重いと思いますが、そういうようなことで労働大臣、いま積極的に、いまの沖繩の完全失業者本土の二倍と言われるような問題を解決するために努力される用意がありますか、お答えを願いたいと思います。
  53. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 沖繩の特殊事情、特に厳しい雇用環境を考えますとき、やはり私は、基本的には、先ほども申し上げましたように、沖繩の開発ということ、沖繩開発庁に大いにがんばっていただきまして、そうしてわれわれはわれわれでやはり雇用機会の拡大という、これは全国的なこれからの大きな課題と心得ておりますけれども、ひとつそういう対応の仕方によって、沖繩の厳しい雇用情勢に一歩でも二歩でも改善の道を今後開拓していかなければならぬ。特に、中高年齢者が高齢者社会とともに、全国的に非常に厳しい雇用環境に置かれますから、大いにそういう面について、ただ労働者の枠組みだけで、雇用政策オンリーで対応するということでは、とても十分なことができないと。だから、広く基本的な問題も関係省庁とよく連絡をとって対処したいと、このように考えているわけでございます。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 駐留軍従業員は、先ほど申しましたように、中高年齢の人になってしまっておりますから、就職をするについては、国及び公共団体が大変な助力をしないと、単に一産業、企業だけにしわ寄せするわけにいかない。戦後のやはり御苦労を願った人々でありますから、そのおつもりでひとつやってもらいたい。一般の問題と違うんです。基地というところは、御案内のように、日本の国の日の丸の旗が立っておるところではなくて、星条旗が立っておるところ。だから、そのあたりは十分に——これは失礼ですが、外国へ行くと外国手当がもらえるようなものでありますから、そういうことは言っていませんけれども、その点でやはりこの問題についての取り組みをしてもらいたい。  結論として大臣にお伺いしたいのは、いずれですね、わが国政府雇用主となっているのでありますから、この従業員については万全を期して、その雇用の問題、労働条件の問題については保障していきたい、こういうようにお考えなのか。そういうようにお考えだと思いますから、決意を表明して、五年間延長される法律についてはですね、その法律の制定だけじゃなくて、身分を守っていきたいと、こういう言明をしていただきたい。そして、関係従業員いま二万二千人おりますが、やはりこれで安心だと言ってもらえるように、大臣の前に施設庁の方から、まずそういうようなことになっておるのか、それで、締めとして大臣の方から決意表明をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  55. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生の御指摘、御指導のとおりでございまして、私どもとしましては、従業員二万二千でございますが、このほかに家族を入れますと十万人になるわけでございます。そういう、いわゆる駐留軍従業員の安定的な職場確保するために、やはり日常から努力していきたいというふうに思っておる次第であります。したがいまして、先ほどお話しございましたように、人員整理の通告等があります場合には、あらかじめ、なるべく早くその情報をとって、妥当な解雇であるかどうかという点をチェックする。それから、さらには雇用継続を図っていくというふうな交渉を重ねまして、身分継続につきまして努力していきたいというふうに思っております。
  56. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御指摘の点、労働省といたしましても、今後政府立場におきまして、これが雇用者であるという、こういう責任を踏まえまして、今後防衛施設庁等関係省庁と十二分な連絡をとって、そして雇用の安定、再就職の促進と、こういうことについて十二分の配慮をいたしたい、努力をいたしたい、このように考えております。
  57. 片山甚市

    片山甚市君 大臣、お答えいただきたいんですが、雇用の安定ということの中に、できるだけ離職者が、法律はありますけれども離職者が出ないような形で安定さしていきたいというお言葉が入っておると思いますが、いかがでしょう。
  58. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 先ほど政府委員から御答弁いたしましたように、再就職を待っている人が八千人近くあるというこの現実を踏まえて、再就職の促進にも全力を尽くしたいと、このように考えております。
  59. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 ただいま片山委員からの御質問、問題提起について大臣の御決意が述べられましたけれども、私は若干重複する事項があるかと思いますが、確認の意味で、まず大臣からお答えをいただきたいと思いますが、駐留軍離職者の発生状況とその対策については、本年一月の駐留軍離職者対策審議会の答申では、駐留軍関係労働者をめぐる諸般の情勢にかんがみ、今後においても相当数の離職者の発生が予想されると述べています。具体的にどのようにその見通しがあるのか、この点が第一であります。  二番目に、特に先ほど片山委員指摘されましたように、円高ドル安情勢に伴う米軍労務関係予算の不足による人員整理への影響については、これはどういうふうにお考えになっておりますか、まず御所見を承りたいと思います。
  60. 菊池久

    政府委員菊池久君) 離職者見通しでございますが、非常にこれはむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたのですが、十二月の二十二日の合同委員会取り決めによりまして、長期的な雇用計画の策定が可能かどうかという問題につきまして、日米間でこれからさらに詰めていくというふうに合意されております。現在、私ども鋭意米軍といろいろの情報交換をやっておるわけでございますけれども、これは三月一日現在でございますが二百十二名、本土におきまして百九名、沖繩で百三名の人員整理予告が参っております。これは九十日以上の前の予告でございますので、これを受けまして、われわれは、ほかのポストにこれらの人たちが転勤措置によりまして継続行為が図れないかどうかということで、現在調整している段階でございます。したがいまして、全体的に五十三年度の雇用の実態につきまして把握することが非常にむずかしい状況でございます。この点につきましては、米軍とも今後どのような方法雇用の計画がつくれるかどうかということにつきまして、協議を進めていくということにしておるわけでございます。
  61. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 駐留軍従業員労務費分担と雇用問題について伺いますが、昭和五十三年度における駐留軍関係労務費というのはどのくらいになっていますか。また、このうち賃金、福利関係費、それから労務管理事務費等の経費というのはどれほどになっておりますか。また、これらの日米のそれぞれの支出額についてはどういうふうになっておりますか、伺います。
  62. 菊池久

    政府委員菊池久君) 五十三年度、私ども労務管理費、これは調達労務管理費という項になっておりますが、八十八億三千八百十一万二千円という金額でございます。このうち今般、五十二年十二月二十二日の日米間の合意によりまして、わが日本国経費分担することにしました経費につきましては、社会保険料等の法定福利費関係、それに任意福利費関係、さらには間接雇用形式をとっているための調達労務管理費でございますが、この経費を合わせまして六十一億何がしという、約六十一億という金額になっております。これを新たに日本政府が分担するということになっております。ただ、米軍の分担しております駐留軍労務者の全体の労務費につきましては、これは賃金等でございますが、これらにつきましてはなかなか明確でございません。約一千億ということでございまして、まあわれわれが、日本政府が今般分担することになりました六十一億という額は、大体六%前後ではないかというふうに思う次第でございます。
  63. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 昨年十二月二十二日の第三百八十回日米合同委員会における在日米軍従業員労務問題についての合意事項がございますね。この合意事項に基づき日本側が負担する経費として、五十三年度予算においてはまず法定福利費、それから任意福利費、管理費等が計上されております。いま御説明が若干ありましたが、これは五十三年度については具体的にどういうふうになっておりますか。いまの点ちょっと確認の意味でもう一度お答えをいただきたいと思いますが。
  64. 菊池久

    政府委員菊池久君) 五十三年の四月一日以降日本政府が負担すべき経費でございますが、法定福利費でございます。この中には健康保険料の事業主負担金、厚生年金保険料事業主負担金、児童手当の拠出金、雇用保険料事業主負担金、労働者災害補償保険料、船員保険料事業主負担金、日雇労働者保険料事業主負担金、それに健康診断費等でございまして、これらの経費を合わせまして法定福利費といたしまして五十一億でございます。さらに、任意福利費でございますが、これは雇用主としまして諸般の施策を積極的にやるというふうな経費でございますが、福利厚生費関係、これはレクリエーション関係の経費等でございます。それから、制服費、ユニフォームでございますが制服費。それからほう賞費、このほう賞費は永年勤続者表彰とか特別行為に対するほう賞、こういうものでございます。さらには災害見舞金、これらのものが任意福利費という項目の中に入るわけでございます。これが一億一千万でございます。それから管理費でございますが、これは渉外労務機関、都道府県に事務を委任してやっているわけでございますけれども、これらの渉外労務管理機関人件費事務費でございますが、これが九億八千万でございます。合計いたしまして六十一億八千万というふうな金額になる次第でございます。
  65. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 これらのいま御説明いただきました経費は、従来米軍が負担していたものであると思うんです。駐留軍従業員雇用の安定のために、新たに日本政府が負担することになったものと聞いております。それでは、これにより従業員雇用労働条件確保にどの程度役割りを果たすことになると思いますか、見解を聞きたいと思います。
  66. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生指摘の点でございますが、これは昨年の五十二年の十二月二十二日の合同委員会におきまして、日米間で合意をした内容がございます。これを見ますと、昨年の、五十二年度の従業員給与改定につきましては、従業員立場をよく理解しまして、労働条件等を切り下げることなく、国家公務員と同時、同率で実施するということで行われたわけでございます。そして五十三年度以降につきましても、五十二年度と同じような配慮を払って、給与改定等につきましては努力していくというふうな米側合意を得ているわけでございます。  それからそのほかに、先ほどちょっと申しました、日本政府としますと経費の分担を法定福利費、任意福利費、管理費について分担する。ただし、それは国会の承認を得られてからであるということでございます。  それからさらには、長期的な雇用計画の策定ができないかどうかという問題、それから民間業者仕事を切りかえていく、下請に出してしまうというふうな問題、それから国内日本労働法令適用の問題につきましては大変難航している問題でございますので、今後とも鋭意詰めていくことに同意しますというふうなことでございます。したがいまして、われわれとしますと従業員の福利さらには身分の安定につきまして一段の努力が払われるというふうに理解し、われわれもそのつもりで努力しなくちゃならないというふうに思っております。
  67. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いまのお答えから私確認をいたしたいと思うんですけれども米軍労務関係費の不足に伴い、日本側の負担が増大する傾向にありますが、その経費負担に対応して従業員のいまお話も若干触れましたが、従業員雇用計画を確立するなど、雇用不安の解消ということを私は行うべきだと思うんですが、この点について、確認でありますが御見解をいただきたいと思います。
  68. 菊池久

    政府委員菊池久君) 今般、経費分担することに伴いまして、米側におきましても従業員福祉並びに身分の安定につきましては十分考慮を払うという合意をしてきているわけでございます。それから、さらには今後ドル安とか円高ということで、われわれはその人員整理を受けるべきではないというふうな日本政府の思想もございます。それを受けまして、われわれとしましては鋭意対米交渉するに当たりましては、この昨年の十二月二十二日の取り決めを土台にいたしまして、こういう合意に基いてわれわれは経費を分担しているんだということを前提といたしまして、雇用の安定、身分の安定につきまして米軍と対処していくというふうに存じている次第でございます。
  69. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 先ほど片山委員からも質問があり、指摘がされましたけれども米軍労務関係予算の不足を理由従業員解雇し、その業務を民間下請切りかえを行うという問題が出ておりますが、具体的には横須賀の海軍士官食堂問題等をめぐって、昨年末日米間で事前協議をすることの確認が行われておりますね。こうした問題についての対応についてはどうなんでしょう。先ほど若干片山委員が触れられましたけれども、その問題についてまず伺います。
  70. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生から例示ございました横須賀の士官食堂の点がございましたんですが、これは昨年の八月二十五日に米軍の方から、経営の行き詰まりを理由といたしまして、在籍する従業員、十七名ございました、この十七名の従業員を全部解雇いたしまして、業者に切りかえをしたいというふうな提案がなされてまいりました。当庁としましては、こういう業者に対して切りかえの問題ということは、従業員雇用の安定にはまさに反対の立場に立つ行動でございますので、直ちに米軍と事務的な協議をまず行いまして、さらには大臣、事務次官、さらに現場におきましては神奈川県知事、横須賀市長さん等が二十数回にわたりまして米側交渉を持った次第でございます。その結果、十七名の従業員がおられたんでございますが、このうち十一名の方につきましてはそれぞれ配置転換等によりまして身分の安定を図ったということでございます。これを前例にいたしまして、われわれとしますと同じようなこういう業者切りかえ問題が起きては大変な雇用の不安につながるということでございますので、昨年の十二月二十二日の合意を土台にいたしまして、米側につきまして、どういう場合にしからばわれわれは業者切りかえを受けざるを得ないのか。それから、もしそういう事態が発生したならば、従業員雇用継続をどうしてやれるのかということにつきまして、鋭意米軍と現在折衝中でございます。業者切りかえ等につきましては、極力避けるよう努力したいわけでございますけれども、万が一そういう事態に達した場合には、どういうふうな対処の仕方があるかにつきまして、鋭意米軍と折衝を重ねている状況でございます。
  71. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 この件は、昨年の十二月二十二日の在日米軍従業員労務問題についての合意事項の中でも懸案事項になっておりますね。ですから、下請に切りかえるというようなことを、雇用の不安に通ずるようなこういうことは、やはり十分慎重に対処していただきたい。これは要請です。  それから、この第十六回の日米安全保障協議委員会合意された沖繩関係について伺いますが、沖繩における米軍施設ですね、この返還状況、これはどういうふうになっておりますか。また、これらの基地返還に伴って人員整理というものが当然出てくる、予想されるわけですから、その影響についてどういうふうに把握されていますか。
  72. 菊池久

    政府委員菊池久君) 沖繩におきます施設の、返還でございますが、これは第十四回から第十六回安保協議委員会関係につきましての処理案件でございますけれども、現在までに千四百十六万六千平米の施設が沖繩におきまして返還されております。これは十四回から十六回にわたります安保協議委員会の計画値に対比しまして二四・七%の進捗でございます。これは施設の移設を伴うものと伴わないものとがございますけれども、施設の移設を伴ってその跡地を返還するというふうな事案等もございますので、鋭意地元との話し合いをしながら移設計画についての積極的な推進を図って、できるだけ早く施設の返還を実現するということで取り組んでいる状態でございます。  それから、第二点の沖繩における駐留軍従業員人員整理状況でございますが、若干四、五年にわたりまして御報告させていただきたいのですが、四十八年度でございますが、二千七百三十四名の人員整理がございました。それから四十九年度は二千八百四十六人でございます。さらに、五十年度は二千二百五十名でございます。昭和五十一年度におきましては千九百七十二名でございまして、昭和五十二年二月末現在四百六名というふうなことでございます。  したがいまして、ただいま申し上げました人員整理状況から申し上げますと、五十一年から若干人員整理の人数が減っておると、漸減の傾向にあるというふうに見られるわけでございますが、これだけではなくて、われわれとしますと、たとえ五十二年二月末現在四百六名ではございますが、今後とも相当数の人員整理が出てくるんではないかということで、十分なる警戒をしながら対軍交渉を行っている状況でございまして、もしそういう事態が発生した場合には、先ほど申し上げましたように九十日以前の時点におきまして内容をわれわれの方に知らせてもらう、それによって米軍部内における調整ができないかどうか、それを検討していくというふうに対処しているところでございます。     —————————————
  73. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。  小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として山中郁子君が選任されました。     —————————————
  74. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは次に、五十三年度の従業員雇用計画についてはどういうように把握されておりますか。また、長期的雇用計画の作成について、どういうような見通しを持っておられるのか。これらの問題についての日米合同委員会における協議内容というのが、もしありましたら聞かしていただきたい。
  75. 菊池久

    政府委員菊池久君) 五十三年度につきましては、人員整理、現在四月の十二日現在で把握している内容でございますが、米軍から通報を受けましたのが二百十二名でございます。これは本土が百九名、沖繩が百三名の人員整理の通告を受けております。
  76. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 雇用の方なんだよ、私の言うのは。
  77. 菊池久

    政府委員菊池久君) はい。それで、これは実際九十日以前の通報がありますので、現在調整中でございますが、雇用計画につきましては、先ほど先生指摘のように、昨年の十二月二十二日の合同委員会取り決めがございます。それを受けまして、非常にこの雇用計画の策定につきましてはむずかしい問題でございまして、「雇用計画の策定の可能性について」というふうな合意になっておりますけれども米軍に対しまして現在いかなる方法で、たとえば一年間の雇用の計画が立てられるのか、各軍間の関係についての情報がとれるのかどうかという点につきまして、現在交渉の最中でございまして、われわれとしますと、できる限りの長期的な計画をつくりたい、もしできなければ短期的でもいいけれども、一年以内の雇用計画はできないかということで米軍といま交渉中でございます。これも時間的には相当かかると思いますけれども、非常に従業員の皆さんにつきましても心配をかけている問題でございますので、できるだけ早くこの結論を出したいということで鋭意折衝中でございます。
  78. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 昭和五十三年度予算における特別給付金の経費というのがありますね、それから本年度の従業員離職者をどの程度推定してこれは算定されたんですか、その積算の根拠というものを明らかにしていただければありがたいと思うんですが。
  79. 菊池久

    政府委員菊池久君) 特別給付金でございますが、これは五十三年度の予算計上額が五億二千三百六十九万円でございます。この策定の根拠でございますけれども、これは一表、二表関係という政令上二表に分かれておりまして、いわゆる人員整理の場合と定年退職等によっておやめになる場合と二表にわたっております。これを合わせまして推定人員千二百九十一名ということで推定しておるわけでございます。これは五十二年度と対比しますと五十二年度が二千九百四十八名というふうな対象で予算を計上したわけでございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、ここ二、三年間人員整理が漸減の傾向にあるということで、査定といたしましては時点的な修正をし、最近の離職数の減少傾向を加味した数値としまして千二百九十一名ということで策定いたしております。したがまして、もし万が一予算的な不足が生じたような場合には、また財政当局等と御相談申し上げまして対処しなくちゃならないというふうに考えておる次第でございます。
  80. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 労働大臣に御所見を承りたいんですが、先ほど片山委員の御指摘によって御決意を示されました。今日の駐留軍関係従業員をめぐる情勢というのは、厳しいことは大臣も御承知のとおりであります。したがって、その雇用関係はきわめて不安定な状況にあると思います。政府は、これから従業員雇用主たる責任において、その雇用労働条件確保についての万全を期すための御決意を伺いましたが、この労務の基本問題に対する、労働大臣、これからの問題として、どういうふうな御所見を持っておられますか、大臣の方から御所見を伺いたいと思います。
  81. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、本当に日本の国全体が高齢者社会になって、特に中高年齢の雇用問題というのは大変厳しい環境に置かれておるわけでございまして、特に駐留軍離職者は御指摘のとおり、中高年齢層、特に高年齢者の方がウエートが多いわけでございましょう。そういった方々が沖繩においては四千五百名近く再就職を待っておられるという、こういう状態考えますと、まず何よりも現在御審議を願っておりますこの駐留軍関係離職者臨時措置法の延長ということによって、しかもその延長していただくと同時に、いろいろな援護措置の中味を充実をいたしておるわけでございまして、こういった制度を積極的に活用をいたしまして、そして離職者の実態に即したきめの細かい職業指導、再就職指導、それから職業訓練、こういったことに積極的な手配をすると同時に、今度は相当積極的な公共事業を、しかも上半期七三%前倒しという、こういった施策によって国全体の景気をよくすると同時に、特に沖繩には失業者吸収率制度六〇%という、こういった制度がございますから、これによって緊急な失業対策ということに進めたいと、このように考えます。  同時に、中高年齢者を雇い入れる事業主に対しては、新しい雇用政策としてこれが助成をしていく、中小企業者が雇い入れる場合には、通常支払われる賃金の三分の二を助成すると、こういう施策と相まちまして、当面の厳しい雇用情勢に対応していきたいと、このように考えるわけでございます。  それともう一つ。私は、やはりこれからの雇用政策としては、雇用機会の拡大ということについていろんな施策を考えるべきである。これは労働省だけでは解決のできないような、関係各省との連絡が必要でございます。そういうことも考えながら、ひとつ今後高齢者社会に対応し、特に高齢者の多い駐留軍離職者対策ということについて万全を期していきたいと、このように考えるわけでございます。
  82. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 大臣からのいま御見解を承りましたし、御所見を承りました。先ほど片山委員からも御指摘がありましたとおりに、中高年齢者の再就職推進のためにも私は大変だろうと思います。特に、私はこれから沖繩における駐留軍関係離職者対策について若干触れたいと思うんですけれども駐留軍関係離職者対策の大綱というのが昭和四十九年四月閣議決定でありますが、沖繩における特別対策、この実施の状況というのとその実績についてはどういうふうになっておりますか。ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  83. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) 沖繩県の駐留軍離職者に対します大綱に基づく実績でございますが、御承知のように、先ほどから御説明ございましたように、沖繩県における雇用、失業情勢というものは非常に厳しいものがあるわけでございます。その結果、昭和四十七年、すなわち沖繩県が復帰いたしました後におきます求職の申込数なり、あるいは再就職の状況を見てみますと、五十三年の二月末現在までにおきまして沖繩県の公共職業安定所に申し込みました求職者数は、一万四千二百三十九人になっておるわけでございます。そのうち、再就業と申しましょうか、就職あるいは自営を含んだ数字でございますが、再就業された方々は二千七百七十八人になっております。その内訳を見てみますと、自営業として独立をされた方が三百二人、それから官公庁等へ就職された方々が六百七十八人、それから民間へ就職された方々が千七百九十八人になっておるわけでございます。一万四千二百三十九人に対しまして二千七百七十八人の再就職しか得られなかったということで、私ども非常にこの点については反省をいたしているところでございます。
  84. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、具体的にお伺いしますけれども、五十三年度に実施することとしている沖繩業者の就職促進対策費の対策の内容ですね、これをちょっと説明していただきたいし、それから就職資金について新設をされていますね。沖繩から本土への就職に当たって、相当数の経費が必要だと思われるんですが、これは単身者と世帯主とで違うわけですね。その積算の根拠というのはどういうふうになっておりますか。その貸し付けの条件ですね。また、その貸し付けを推定をしていると思いますけれども、それはどういうふうになっておりますか。
  85. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) 沖繩県の失業者に対します雇用対策といたしましては、まず第一点は現在御審議いただいております駐留軍離職者臨時措置法に基づく援護措置、あるいは沖繩振興開発特別措置法に基づく援護措置があるわけでございます。このほかに、特に本年度からいわゆる一般の失業者と申しましょうか、に対します援護措置として幾つかの制度を設けたわけでございます。  まずその一つは、先生ただいま御指摘いただきました就職資金の貸付制度でございます。この制度は、貸付金の中身は世帯主に対しまして十万三千円、それから単身者に対しましては六万五千円といたしておるわけでございます。この積算の根拠といたしましては、通常沖繩県から本土へ就職いただく場合に気候、風土の違いからやはり一定の就職の準備が必要であろうと。その必要な幾つかの品目を設定いたしまして、それに対する金額を出しましたのが十万三千円であるわけでございます。その何割、約六割ということで単身者というふうにいたしたわけでございます。この就職資金の貸し付けの対象になる方々は、いわゆる駐留軍離職者あるいは沖特法に基づく失業者以外の一般の失業者であるということが条件でございまして、そしてかつ安定所の紹介で就職していただくということになっておるわけでございます。さらに、この制度の目的は、就職をしていただく際の必要な資金を賄っていただくと同時に、さらに本土へ就職された後において定着をしていただく、その定着を奨励するという意味も含まれておるわけでございます。そういうことで、この資金を貸し付けられた方々が県外就職されまして二年以上定着した場合については、返還を免除するというような形もとっておるわけでございます。このほか、就職資金の貸付制度以外に、さらに新たな制度といたしまして、やはり本土における企業、特に雇用条件等のいい企業において沖繩県の方々を採用していただこうと、またそれを奨励しようということで、新たに沖繩県の方々を採用していただく事業主に対する雇用奨励金制度というものも新設いたしたところであるわけでございます。
  86. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それから、なお細かくお聞きをしたいんですけれども、広域職業紹介相談員ですね、これを二名から五名に三名増員することにしておりますね。本土のどこに駐在をされるような御計画になっているのか、それから、これらの具体的な業務内容ですね、相談員の。それからいままでの実績、こういうことはどういうふうになっておりますか、お伺いしたい。
  87. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) さらに、広域職業紹介を推進するためには、やはり必要な地元における相談体制、あるいはさらには本土に受け入れた後における援護体制と、こういう体制の確立が必要であろうかと思うわけでございます。その意味で、まず広域職業相談員、ただいま御指摘いただきました問題につきましては、沖繩県の安定所に配置をしておるわけでございます。沖繩県の方々は必ずしも本土就職についていろんな知識等も持っていない場合がありますので、安定所の職員の指導相談に加えまして、さらに家庭訪問等によって広域紹介に対応するようないろんな指導相談をやろうというのがこの制度でございます。これは昨年から実施させていただいておりまして、本年度は、昨年度の二人からさらに三人を増加しまして五人にしたところでございます。  さらにつけ加えて御説明申し上げますが、本土におきます就職した後における援護を強化するということで、特に雇用促進事業団の方に就職援護相談員制度というのを設けているところでございます。この相談員の数も、昨年度の三人から本年度は五人増員いたしまして八人といたしておるわけでございます。そして、主要な都道府県の各安定所に配置をいたしておるところでございます。
  88. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 従来、労働省及び沖繩開発庁が、沖繩のこうした厳しい雇用失業情勢から本土への就職促進を強化すると、先ほども大臣からの御決意もあるし、御見解も示されましたけれども、事実としてその実績というのは、大臣も御承知のように非常に少ない。また、お話をいままでも聞いておりましても、Uターン現象も多いと、こういうふうに言われるんですね。そこで、広域就職の援護措置については、私は特別の措置が必要ではないかと、こう考えるんですが、これについて労働大臣、どういうように御見解をお持ちですか、承ります。
  89. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) ことし、先ほど政府委言から御答弁いたしましたように、新しい制度をつくったわけでございまして、その実績を踏まえて、より一層効果の上がるように今後も努力していきたい、工夫をしていきたい、このように考えております。
  90. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 先ほど片山委員からも指摘されましたが、次に私は、離職者対策大綱において、官公庁における離職者の採用について、中高年齢者の雇用率等を勘案して採用可能数を作成し、積極的に採用を推進すると、こういうふうに大綱で述べているわけですけれども、その実績というのはどういうふうになっておりますか。それからまた、官公庁のほかに、地方自治体、公共企業体等においても駐留軍離職者の積極的な採用を行うよう、特別の措置を講ずべきだと、こういうふうに私は思いますけれども、この点についてはいかがお考えですか。
  91. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) 御指摘のとおり、駐留軍関係離職者対策大綱には、官公庁において積極的に関係離職者を採用するようにというふうに定めているところでございます。この四十九年から本年二月までのこの官公庁等における実績を見てみますと、官公庁へ就職した人を含めまして千百十九人となっておるわけでございます。この千百十九人の中には、通常言われる官公庁以外に、駐留軍関係労働者として再雇用された人も含まれた数字であるわけでございます。ただ、御承知のように、官公庁、特に国家公務員につきましては厳しい行政合理化のもとに、定員の増加というのが最近非常に厳しく制限されておりますので、最近におきましてはこの官公庁への就職というのは非常にむずかしくなっておるわけでございますけれども、今後とも私ども、この面について関係官公庁への御協力をいただきながら推進をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、官公庁ということでございますので、地方公共団体への就職者も含めた数字になっておるわけでございます。
  92. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 駐留軍関係従業員が離職した場合支給される手当、その支給額など、またあるいは支給期間というのはどのようになっているんですか。それから、これらの諸手当の支給期限の切れた者について、この対策というのはどういうふうになっておりますか。これらの者については公共事業等に優先的に再就職させる措置というものを私はとるべきだと思うんですか、どうもお話を聞いていますと具体的ではないので、その点ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  93. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) まず、駐留軍関係離職者対策の主要な柱をなしておりますのは、この就職活動期間の生活の安定を図るための就職促進手当でございます。この就職促進手当は、離職されて安定所求職申し込みをされた以降、雇用保険の支給期間を含めまして三年間支給をすることになっておるわけでございます、三年間を限度として支給をいたすことになっておるわけでございます。この就職促進手当の最高日額は、昨年度の二千八百十円から本年度一〇・三%のアップをいたしまして、三千百円といたしておるわけでございます。そのほか就職、特に広域紹介を奨励するための制度といたしまして、広域求職活動費あるいは移転資金という制度が一つあるわけでございます。これは住居を移転して就職をしなければならないときに、ただ単に安定所あるいは求人者との話し合いだけで就職が決められることでは非常な不安が多かろう、実地に必要な就職先というものを十分調査の上就職することが必要だろうということから、この広域求職活動費を支給いたし、また移転に必要な資金のために移転資金というものを設けておるわけでございます。さらにまた、この早期就職を奨励するための制度といたしまして、再雇用奨励金あるいは自営支度金という制度を設けておるわけでございます。そのほか、技能習得を奨励するための制度といたしまして、職業訓練手当あるいは職場適応訓練制度に基づく訓練手当の支給等もあるわけでございます。
  94. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 沖繩振興開発特別措置法の第三十九条において、労働大臣にお尋ねをしたいんですけれども労働大臣は公共事業における失業者の吸収率を定めることができるとされておりますね。それはどういうように定められようとしているのか、吸収率について。それからまたその達成率についてはどういうふうになっておられますか。
  95. 細見元

    政府委員(細見元君) お尋ねのございました沖繩振興開発特別措置法に基づきます失業者吸収率の制度につきましては、国みずからまたは国の負担金の交付を受け、あるいは国庫の補助によりまして、地方公共団体が計画実施いたします公共的な建設または復旧の事業につきまして使用いたします無技能労働者の六〇%を失業者吸収率として定めまして、その吸収率制度に相当する無技能労働者を常に安定所の紹介によりまして、雇い入れておかなければならないという制度でございます。お尋ねのございました達成率の問題につきまして、まず公共事業吸収率の前提になります職業安定所に対します施行通知書の提出件数は、五十二年度で九百五十五件、吸収人員は実人員にいたしまして千七百六十二名となっております。現在のところ、個々の工事につきまして、それぞれ達成したかどうかについて調査することはいたしておりませんけれども沖繩県の報告によりますれば、業者の手持ちの無技能労働者を除きまして、全員ただいま申し上げました実人員千七百六十二名を安定所の紹介によって雇い入れておりますので、その限りにおきまして、吸収率制度の達成を見ておるものと考えております。
  96. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それにしても、達成率というのは非常に低いんじゃないかと思うんですよ。その理由というのはどうなんですか、どういう事情があるんでしょう。
  97. 細見元

    政府委員(細見元君) ただいま申し上げました施行通知書の提出件数九百五十五件と申しますのは、私ども沖繩において実施されます公共事業の工事総件数を確定的に把握することがきわめて困難でございますけれども、私どもの方で推定いたしましたところ、年間二千五百件程度の公共事業の工事件数が五十二年度において存在したというふうに考えますので、九百五十五件は約四〇%程度は安定所におきまして工事の現場を把握して、それに対して所要の労働者を紹介したというふうに考えております。
  98. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、沖繩開発庁の方に伺うんですけれども、昭和五十三年度予算における沖繩振興開発事業費と、このうち公共事業関係費というのはどれほどになっておりますか。  それからまた、沖繩振興開発金融公庫貸付規模等ですね、このうち中小企業等の資金及び住宅資金というのはどういうふうに、どの程度になっておりますか。
  99. 中沢祥枝

    説明員(中沢祥枝君) 沖繩振興開発事業費の五十三年度公共事業、総計で申しますと、千三百五十四億でございます。  それから、お尋ねの沖繩振興開発金融公庫の中小企業等に対する貸付予定額は三百五十二億円でございます。
  100. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 本年度においては、公共事業の拡充や政策金融の充実を図るという予算措置ですね、これが講じられておるのですけれども、その実施計画というのはどういうような進展状況にありますか。これらの公共事業等の計画と雇用対策との関係というのはどういうふうに御検討いただいたんですか、わかりますね。
  101. 中沢祥枝

    説明員(中沢祥枝君) 本年度の公共事業の執行につきましては、全国同じだと思いますけれども、上半期におきまして七〇%の執行を図るということで、沖繩県におきましても公共事業の執行につきましては、七三%だと思いましたが、その執行を目標に執行するよう現在計画を立てていると聞いております。  それから、五十三年度予算の沖繩におきます雇用効果でございますが、これはただいま申しました公共事業費のほかに、沖繩振興開発事業費で支出される施設費がございますが、それと、先ほど申しましたが、沖繩振興開発金融公庫の中の住宅金融がございますが、それによります住宅建設、それから沖繩開発庁以外の各省に計上されておりまして沖繩で支出される投資的経費、こういうものを合わせまして、五十三年度は、五十二年度に比較しまして、およそ八千人程度の雇用増加があると推定しております。
  102. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いまお答えいただいたんですが、もっと具体的に、公共事業等の実施によって雇用の創出効果というのは、数字で述べられたと思いますが、それと、具体的にそれじゃ公共事業への失業者の吸収率の達成ですね、これはどの程度の効果があると、こういうふうに計画されておりますか。
  103. 中沢祥枝

    説明員(中沢祥枝君) 公共事業等によります雇用創出効果と、それが実際失業者の吸収にどのくらい役立つかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題だと思います。と申しますのは、新規労働力の算入がどのくらいあるかということにもよるのでございますが、県の見通し等も考慮いたしまして、新規の労働力の増加がおよそ五千人と見込まれておりますので、民間投資を除外いたしまして、先ほど申しました公共事業費によります公共事業等による雇用創出効果は、八千人と仮定いたしますと、失業者の実際の吸収に役立つのはおよそ三千人程度であろう、こういうぐあいに思います。
  104. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 私は公共事業の実施に当たっては、本土の大企業に請け負わせるんじゃなくて、できるだけ地元の企業、特に中小企業に請け負わせていくような、その育成を図ることだと思うのです。そこで、雇用吸収力の増大を図るべきではないか、こういうふうに私は考えるのです。その点についてはどういうふうな御見解がありますか。
  105. 中沢祥枝

    説明員(中沢祥枝君) 沖繩県における失業の吸収につきましては、何よりも地元企業による受注というものが重要だと思います。こういう見地から、沖繩開発庁としましては現地の沖繩総合事務局、また県の事業につきましては県庁、名地方公共団体を通じまして、発注額を分割いたしまして、できるだけ地元の業者が受注できるような考慮を払っております。
  106. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いま申し上げましたような中小企業、特に地場の産業の育成、それから雇用の創出、失業者の吸収、これを今後とも沖繩自体で公共事業の中へ織り込んで十分な吸収をしていくということですね。これはぜひそういうことの実施を私は強く要望をするわけであります。  次に、時間もありませんので、駐留軍関係従業員身分等についてお伺いをいたしたいと思いますが、駐留軍に対する労務提供の根拠は地位協定によるものでありますけれども従業員身分というのはどういうふうになっているのですか。これは労働省の方ですか、施設庁の方ですか。
  107. 菊池久

    政府委員菊池久君) 駐留軍従業員身分でございますが、これは国の雇用人ということでございます。したがいまして、日本政府が直接的な雇用主でございますが、現実の使用人、使用主の側にございますのが米軍でございますので、この辺が大変労務管理上むずかしい点でございますので、われわれとしますと、雇用主立場におきまして間接的な雇用計画をつくっているわけでございますけれども、現実には各都道府県等に労務管理業務を委任いたしまして、現場におきまして、従業員につきましてのきめの細かい対策を行っておるということでございます。
  108. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 いま従業員身分について伺いましたけれども、原則としてその労働関係法令適用されるわけですね。で、その実情というのはどういうふうになっておりますか、身分関係と労働法関係との関係については。
  109. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 基地に働きます労働者に対する労働関係法の適用については、地位協定によりまして原則的に国内法適用されるということになっております。と同時に、それを受けまして、基本契約の中にもいろいろと関係の条項が定められておりまして、たとえば労働基準法で申し上げますと、原則的に労働基準法適用になるということになっております。ただ、労働条件の中での基本的な問題は、基準法に決められておりますとおり、大体基本契約の中にも盛り込まれているわけでございますが、安全衛生等の細かい具体的な問題になりますと、基本契約上は国内法に従ってやるということになっておりますが、個々の運用に関してはなお問題なしとしない点もございますので、これは防衛施設庁の方からもお答えがありましたように、施設庁を通じて米側といまその国内法適用について協議をお願いしているところでございます。
  110. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 それでは、駐留軍労働組合については労働三権の保障もされているわけですね。じゃ、人員整理等について、その基本的な問題についてはどういうような交渉の経過があり、それから最終決定ではどういうふうになるのですか。この人員整理を行う場合、その対象となる職場の在籍者のうちで勤務年数の短い者から順次解雇する方式がとられていると聞いているわけですけれども、そういうようなものは具体的な整理等についての条件なんかはどういうふうなことで把握されておりますか。
  111. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生指摘のとおりでございまして、人員整理があります場合には、各労務管理事務所ごとに従業員のリストをつくっておりまして、これは先任権と申しまして、先に入った人から名簿をつくっておくということでございます。したがいまして、先任権逆順位方式で経験年数の若い者から順次——たとえば具体的に一つの職場に三名の人員整理が発生しました場合には、一番経験年数の若い者からやめていただくというふうなことで処理しておりまして、この辺も大変問題の多いところでございますが、結局は経験年数の長い、非常にベテランの従業員の方についてやはり残っていただくというふうな趣旨が貫かれておる次第でございます。この点につきましても、今後の長期的な雇用計画の策定等につきましても、この点もかかわりある問題だと思いますので、この辺を踏まえまして、米軍との長期雇用計画の策定につきましては、十分なる論議を闘わしていきたいというふうに思っております。
  112. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 定年制が設けられていると聞いておりますけれども、その内容といいますか、定年制というのをちょっと具体的に聞かしていただきたいと思います。
  113. 菊池久

    政府委員菊池久君) 原則としまして、定年制をしいておりまして、六十歳でございます。ただし、特別に必要な従業員につきましては、臨時的な雇用をさらに重ねていくというふうな状況がございます。原則としまして六十歳定年ということでございます。これも、したがいまして、先ほどの臨措法の関係で申し上げますと、施設庁から交付いたします特別給付金という制度がございますが、これも、定年でおやめになる方につきましても、今回また増額を図っていただくということでお願いしている次第でございます。
  114. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 大体時間でありますから、労働大臣に改めて所見を承りたいと思うんですけれども、いままでの質疑を通じまして、駐留軍関係従業員雇用労働条件の維持、改善、あるいはまた基地内の労働組合活動の自由確保などの問題について、私は、きわめて重要な問題が幾つかあると思いますので、労働大臣の御見解、御所見を承りたいと思います。
  115. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) ただいま御指摘されました、特に駐留軍雇用者、あるいはまた離職をやむなくされた方々、こういった人たち雇用安定、生活の安定、そして再就職への道を求めていく援助措置、職業訓練を含めて、これは特に沖繩の特殊事情から考えまして、いろいろいままでもやってまいっておりますけれども、今後もやはり駐留軍離職者等臨時措置法の延長をされたこの機会、年を追うてやはり整備しなきゃならぬ問題でございますし、また労働関係労使関係の問題も、その特殊性から考えまして、絶えずわれわれ労働省としては労働者生活の安定、福祉確保雇用確保、こういう面について十二分の配慮をしていくべきであると、このように考えておるわけでございます。
  116. 高杉廸忠

    ○高杉廸忠君 最後に、私は要望をして質問を終わりたいと思うんですけれども駐留軍関係離職者対策審議会が中央職業安定審議会に吸収されるということになっておりますがね、駐留軍関係離職者対策について審議すべき機能というのは確保していかなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。したがいまして、いままで質疑を通じ幾つかの問題も指摘をし、要請もいたしましたが、労働大臣に強く、この措置法の五年延長だけではなくて、中身を充実をしていくという前向きの姿勢で行政の御指導をいただきたい。最後にお願いを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  117. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時二十三分開会
  118. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  午前に引き続き、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 今回の改正は、そう全面的な根本的な改正ではないわけでありますし、また、午前中のお二人の質疑でいろいろ問題点が出ておりますので、私もそう特別新しい問題点を持ち出すわけではありませんので、ごく短い時間に終わるつもりでもおりますし、また御答弁も、午前中に御答弁なさったことはそう細かくお話しくだざらなくて結構であります。  初めに、防衛施設庁に伺いますが、五十二年十二月二十二日の外務省と防衛施設庁の名前で、在日米軍従業員労務問題についてということで、法定福利費等を日本政府が国会の承認が得られることを条件として経費を負担するということ、このことについては午前中に詳しい御説明がありましたので、それでわかりましたので、この十二月二十二日の取り決めは、在日米軍従業員労務の安定のためという御趣旨のように伺ったわけであります。  ところが、けさの新聞を見ますと、今度は住宅建設なども防衛施設庁としては、米軍下士官の基地外居住に対し、基地内への新築移住が可能かどうか、新たな施設提供案を検討し始めたというようなことがニュースとして出ておりますが、この点についてはどういうお考えでしょうか。何かそういう具体的な検討をなさっていらっしゃるのかとうか。
  120. 菊池久

    政府委員菊池久君) ただいま先生指摘の点につきましては、私は所掌が違うのでございますけれども、当庁ないしは防衛庁に対しまして、米軍の方から的確なこういうふうなものをつくれとかという要求はまだ来てないやに聞いております。私もけさの新聞を見て実は驚いたような次第でございまして、まだ来ておりません。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 仮に来た場合でも、こうした新聞に出ているような、住宅を建設するというようなことが在日米軍従業員労務の安定のためになるのかどうか、そういう理屈が通るのかどうか、そういう点はいかがでしょうか。
  122. 菊池久

    政府委員菊池久君) ただいまの点につきましても、具体的なお話を受けていませんので、検討する方法はないわけでございますが、私ども駐留軍従業員労務を携わる者といたしましては、昨年の十二月二十二日の日米間の合同委員会における合意に基づきまして、雇用の安定が今後とも図り得るという前提に立ちまして対処している次第でございまして、先ほど先生がおっしゃった新聞報道との関連につきましては、私も具体的にはまだ承知しておりません。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 では次に、駐留軍関係雇用の長期見通しについてはいかがでしょうか。五十三年度においては、すでに二百十二人の人員整理の要求が出されているということが朝の御答弁でありましたが、五十三年度の人員整理要求はそういうことといたしましても、今後の長期見通しは、要するに現在の労働者が大量に減らされるとか、あるいはふやされるということはまずなかろうと思いますが、そういうような点の見通しはいかがでしょうか。
  124. 菊池久

    政府委員菊池久君) 駐留軍従業員の使用者が外国軍隊という特殊な立場にございます関係上、これを事前に把握するというのは非常に困難でございまして、政府といたしましては、昨年の十二月の合意に基づきまして、長期的な雇用計画の策定の可能性について、米軍と、日本側といたしましては防衛施設庁との間で継続検討するということに取り決めていただいた次第でございます。  そこで、先ほど先生おっしゃったように、五十三年度におきましては、いまのところ大きな人員整理予告はまだないわけでございますけれども、先般、三月十日に、沖繩におきましては、米陸軍の管理サービス関係の機能というものを他の軍隊移管したいという話がございます。こういう問題も踏まえまして、できるだけ早く雇用計画なり移管内容について把握したいということで、鋭意米軍と折衝を続けている最中でございまして、非常に長期的な雇用計画を策定するのは、いまこういう段階になりましても、非常にむずかしいということでございますので、さきの合同委員会合意に基づきまして、極力米軍との折衝を積み重ねまして、よき雇用関係が樹立できる見通しを立てたいというふうに思っている次第でございます。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 防衛施設庁で、現在規模の米軍施設を維持するためには、二万二千人ぐらいの従業員を必要とするというふうな見通しを発表したことがございますか。
  126. 菊池久

    政府委員菊池久君) 私、ちょっと二万二千人ぐらいの従業員で現在の施設を維持するという方針につきましては、発表したことはないと思います。私も存じておりません。現在、ただ、二万ちょっとの従業員がおるということでございます。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ特別に、午前中のお話しの横須賀の士官食堂ですか、そうした例がなければ、そういう特別なことがなければ、まず現在の二万二千人程度の従業員は必要人数だというふうに理解してよろしいですか。
  128. 菊池久

    政府委員菊池久君) この問題も、米軍の現在の機能なり、在日米軍日本における駐留の状態によりまして雇用関係が変わってきておるわけでございます。過去の経緯からいきましても、四十八年度あたりは従業員が四万三千人おりましたのが、現在は二万二千しかいないというふうなことでございまして、米軍の施設機能、それから駐留の態様等の変更によりまして変動があるというふうに思う次第でございます。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、この点についても、解雇予告九十日ということにつきまして、まあそうした情報を素早くキャッチして、そして、米軍交渉し、というふうな御説明がずっと午前中ありましたが、この九十日を守るべきだということは、前回の改正、四十八年第七十一回国会の参議院社会労働委員会におきましても、九十日を厳格に履行させるようにという努力をすべきだという附帯決議がなされておりますが、この点については、その後の経過からこの九十日は守られているかどうか、大局的に守られているかどうか。そしてまた、九十日に、もっと早ければ早いほど計画はわかった方がいいわけでありますけれども、そういう点、その辺のいきさつについてはどのような経過でしたか。
  130. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生指摘の点につきましては、従来から国会の御審議等をいただきまして、鋭意米軍との交渉を積み重ねまして努力しているところでございますが、現在、米軍取り決めを行っております契約上の問題ですが、これは、予告期間は四十五日以上ということにしてございます。ただ、実態といたしましては、九十日以上の予告期間をとりまして、これは従業員に対する予告じゃございませんで、政府部内、われわれに九十日以上の時間を与えるようにということで米軍に要求している状態でございまして、これを五十二年度の、ちょっと最近の例をとりますと、九六%はこの九十日以上の予告期間を守って通告を行っているという状況になっております。したがいまして、この件につきましては、やはり従業員の配置転換等のもし申請等が出ますと、配置転換等の処理をするとか、それから、希望退職者を募るとか、そういうふうな準備も必要でございますので、できる限り、とりあえずはこの九十日以上の予告期間を守らせるということで努力したいと、われわれとしますと、これを一〇〇%に持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、労働省に伺いますが、離職者対策センターの活動状況についてはどうですか。
  132. 菊池久

    政府委員菊池久君) 離対センターは、防衛施設庁の方で補助金を計上いたしましてやっている施策でございます。  御報告申し上げます。これは、駐留軍関係離職者を対象といたしまして、離職対策事業及び福祉対策事業を行う、さらには、これらの駐留軍従業員の人たち生活の安定を図るということを目的としまして設立されました公益法人でございます。  その事業内容でございますけれども、職業安定法第三十三の第一項に基づきまして、労働大臣の許可を受けまして行います無料職業紹介、それから再就職の相談、自立自営関係の御相談、それから求人の開拓、生活相談等が事業の内容になっております。当庁としましては、この事業が非常に国の本来の業務を補完する役割りを果たすということで、大変重要な施策であるというふうに考えますので、昭和四十五年度以降その運営費につきまして一部補助してまいりました。四十八年度以降につきましては、新たに求人開拓費の一部を補助するということで、現在助成を行っている状況でございます。  その実績でございますが、就職あっせん関係で申し上げますと、五十一年度求職者が一万三千百七十四人おりました。それから求人開拓延べ事業所数で申し上げますと七千八百九十五カ所、延べ求人数で申し上げますと九千七百九十一人でございます。さらに、延べ紹介人数は三千六百二十三人でございまして、そのうち就職できました人は九百十三人となっております。  また、五十二年度につきましては、求職者数が一万二千二百七十七人、求人開拓延べ事業所数でございますが七千八十四カ所、延べ求人数が九千九百五十四名となっております。さらに、延べ紹介人数で申し上げますと二千九百三十五人でございまして、このうち就職ができましたのが八百四十名でございます。  この就職が現実に少ない点でございますけれども、これはやはり先ほどからも論議がございましたように、駐留軍従業員の離職する者がおおむね四十五歳以上の中高年齢に達しておるということが大変問題ではないか。それからさらには、民間企業のここ数年来の採用の手控えというのが影響しているんじゃないかというふうに存じている次第でございます。  それから、二番目の相談関係でございますが、五十一年度の実績で申し上げますと、再就職相談は四万五千六百六十六件でございました。それから、自立自営業関係の相談が六百二十四件ございます。さらに、生活相談が一万四千五百二件ござ  いまして、大変活発に活動していただいているわけでございます。五十二年度におきましては、再就職相談が八万四千三百八十一件、自立自営相談が七百七十八件及び生活相談が一万九千百四十九件という多数に上っておりまして、全国で七カ所ございますんですが、大変活発に活動さしていただいている状態でございます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 大変活発に活動してくださるのは結構ですが、結局、国の雇用政策としては、まず離職者を出さないこと、失業者を出さないことが最大の限目でもありますし、やむを得ず離職、失業せざるを得なくなった方に対しては、いかにして安定した職業につくか、そこに最大の限目があろうと思います、そういう点は申し上げるまでもないわけでありますが。  次に、就職援護措置、就職促進手当について、これも午前中詳しく御説明がありましたが、この就職促進手当の場合は、五十一年度で見ますと、実績が予算を上回っているわけですが、したがって、五十二年度、五十三年度はどのような見通しになるかということ、それが一点であります。  それから次に、雇用促進事業団による援護業務については、逆に今度は予算が多いわけですね、実績の四倍くらいになりますか。そういう点はどういうところからそういうことになるか、それは自然の成り行きでそうなるのがやむを得ないというようにごらんになっていらっしゃるのか、それとも雇用促進事業団による援護業務の方はもっと力を入れればやるべきことがあるのにということになるのか、その点はいかがでしょう。
  134. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) まず就職促進手当とそれから雇用促進事業団の行います援護業務との関連でございますが、就職促進手当は、先生承知のとおり求職活動期間中に生活の安定を図るために支給をする予算になっておるわけでございます。一方、雇用促進事業団の行っております援護業務は、再就職に当たっての一定の活動を行うというための援護業務になっておるわけでございます。したがいまして、最近のように雇用、失業情勢が悪化し、就職というものがなかなか芳しくありませんと、どうしても促進手当の支給が多くなり、一方再就職に直接関連します援護業務というものが少なくなる、こういう関連で、先ほど先生から御指摘がございましたように、最近二、三年におきます状況は促進手当が予算を上回り、逆に援護業務というものが予算を下回ってしか消化されないというような、そういうような関係にあるということでございます。また就職促進手当の最近におきます支給実績でございますけれども先生指摘のように、昭和五十一年度は予算を大きく上回って執行されたわけでございますが、昭和五十二年度におきましては、予算額約二十六億に対しまして、二月末までの支給実績は六十三億円となっておるわけでございます。したがいまして、明年度の促進手当につきましては六十六億とほぼ本年度の支給実績を上回る予算を講じておるところでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、最近におきます雇用、失業情勢の悪化に伴いまして、雇用促進事業団の行っております援護業務が予算を下回ってしか消化されないという実績があるわけでございます。この問題については、当然この雇用、失業情勢の悪化の中でも、就職活動を活発にやらなければならないという行政努力もひとつあるわけでございますが、また一方いろんな制度が、たとえば自営支度金制度であるとか、あるいは債務保証制度であるとか、あるいは住宅確保奨励金制度であるとか、いろんな制度があるわけでございますが、この支給について十分事業主あるいは関係労働者の方に周知も徹底してない面もあろうかと思うわけでございます。したがいまして、今後におきましては、これら制度の充実を図りながら、この周知について関係労働者あるいは関係労働組合の方に周知を図りつつ、その活用に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまお話しの債務保証費、それから住宅確保奨励金、この二項目の場合は、五十一年度実績はゼロですね。五十二年度は実績に出ますかどうか、それで五十三年度は予算は減らしてきているわけですね。余りこれは必要なさそうなんですが、いかがですか。
  136. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) 御指摘の問題につきましては、五十二年度の実績についてはまだ把握いたしておりませんが、五十一年度とほぼ同様であるというふうに考えておるところでございます。ただ今後、私どもいろんな援護対策雇用、失業情勢が非常に厳しい中で、他にいろんな援護施策を総合的に講ずることによって再就職の促進を図る必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますので、今後その充実にむしろ努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 やはり、住宅確保奨励金というような場合、たとえば具体的に、これは知らないで利用できるものが利用できなかったというケースがあるんじゃないかと、御答弁でもそういう意味のこともおっしゃっておられましたが、そういう点はやはり雇用促進事業団がそのための予算をわざわざ確保しておりながら利用されないということは、ちょっと手落ちだと思うわけですね。そういう点は十分充実していただきたいと思います。  それから次に、この点についても午前中から詳しくお話がありましたが、この駐留軍離職者の発生と、それから沖繩における失業状態、失業情勢、これは私たち社会労働委員会として沖繩へ現地調査に行ったこともあったわけであります。これはきわめて深刻な問題で、とてもここでわずかな時間でこの離職者の臨時措置法を延長するという、これだけの問題でない課題がきわめて広範なわけですが、ごく概略を申しますと、午前中の御答弁で失業率も一時よりはよくなってきたと、明るい兆しが見え、明るい兆しとまでいかないまでも、一時から見ると完全失業率は若干減ってきたということで御答弁がありましたし、また、公共事業に対する吸収率も、これはいつも再三話題になっておりますし、午前中もお話がありました。  さて、沖繩におきまする今後の見通しですね。これはむしろ沖繩開発庁の方の関係になるかと思いますが、とても現在の雇用情勢というものが多少明るい見通しがあるという程度であっても、とにかく離職者が大量発生しても安心していただけるというような情勢じゃ全然ないと思うわけでありますが、その辺についてのお考えはどうでしょう。
  138. 金子清

    説明員(金子清君) 沖繩の失業率につきましては、午前中も御質問ございましたけれども、最近幾らか失業率は低下をしてきておるわけでございます。しかしながら、依然として全国平均の二倍という高率であるわけでございます。それで、沖繩の失業の特徴といたしましては、基地労務者が減少してきているということ、あるいは本土からのUターンする者、あるいは就職経験のございません学卒者を含みます若年層が多いということが挙げられておるわけでございます。これらの対策といたしましては、県内の地場産業中心といたしました産業の振興によります雇用機会の確保を図りますとともに、特に若年層の失業者につきましては、広域職業紹介によりまして県外就職の促進に努めておるということでございます。また、これにあわせまして、公共事業の拡大によります失業者の吸収にも現在努めておるところでございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 開発庁は公共事業に吸収するという、そういう程度の対策でなくて、もっと基本的な雇用政策というものが立てられなくちゃならないと思うんですね。とにかく労働省が現在できることと言えば、広域職業紹介をする、あるいは公共事業へ吸収するということが手っ取り早いきょうあすの問題だと思いますが、開発庁としてもっと長期の対策はないですか。
  140. 金子清

    説明員(金子清君) 沖繩の産業の構成の特色といたしましては、第二次産業の構成比が非常に低いという点があるわけでございます。この辺につきましては、第二次産業の中でも建設業はかなりのウエートを占めておりますけれども、製造業のウエートが低いということで、この製造業のウエートを高めるという努力を今後していかなきゃならないとは思いますけれども、やはり沖繩の置かれました立場からいたしますと、この製造業の拡大ということも、そう容易なことではないだろうというふうに思っております。したがいまして、やはりこれから沖繩の産業の開発を進めますに当たりましては、第一次産業の振興もさることながら、やはり観光を中心といたしました産業の振興ということにも力を入れていかなきゃならないというふうに考えているところでございます。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 労働大臣に伺いますが、沖繩雇用情勢がきわめて厳しいということは、大臣も御承知と思います。これも数年前からのことなんです。そのために、社会労働委員会が現地調査にも行ったわけであります。そういう中にありまして、当面の対策としては、午前中の御答弁に出ておりますように、雇用——吸収ですね、公共事業への吸収とか、そういうことはもう繰り返していただかなくて結構なんですが、長期的な見通しに立って、それで沖繩雇用問題に長期的な見通しなり位置づけをしていかなくちゃならない。そういう点から、大臣、ひとつ根本的な政策、対策を立ててほしいということについての大臣のお考えはいかがでしょう。
  142. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御質問の点は、非常に大切な基本問題だと思います。それだけに、なかなかこれに取り組む対策というのには、そう簡単に対応しにくい長期的な観点から取り組まなきゃならぬというお含みの御意見もございまして、私もそのように考えるわけでございますが、これはやはり、まず、沖繩特殊性と言いますか、本土復帰してまだ日が浅いということ、それから駐留軍が依然として駐留をして、絶えず雇用問題に不安定な要素になっているという、こういう状態でございますから、それに対応しては、先ほど政府委員からいろいろ御説明をいたしましたような対策があるわけでございますが、やはり何といっても沖繩の、私は地域の開発、産業振興という、こういったことを積極的に取り組む。特に沖繩には、この第三次産業の芽生えは海洋博を契機として相当明るい状況がつくられておりますから、そういう方面に立地条件の特徴を生かしていくという、こういったこと、そしてまた、ずっとわが日本列島の南に位しておりますから、そういった立地条件を生かした今後の産業というものはどういうものであるかということ、そういったことも私は沖繩雇用問題とやはり密接な関係がある。それにやはり私は、これは沖繩だけではないのでございますけれども雇用機会の拡大ということを、この際労働省としては、いわゆるマンパワーのサイドから積極的に探求すべきである、このように考えております。したがって、いま労働省の内部でいろいろ相談をしておりまして、いずれ、適当な機会にひとつそれらの方面に提言をさしてもらいたい、このように考えるわけでございまして、特にそのようなことを考えますのは、現在、日本の産業構造が質的に変化を遂げつつあるわけでございまして、いわゆる高度成長から低成長へ移行しておるという、こういう背景がございますから、そういうものも踏まえながら、沖繩の特徴をとらえて、今後、安定した沖繩雇用の道というもの、雇用対策というものを展開すべきである。具体的にはまだここで申し上げるような雇用機会の拡大ということには煮詰まっておりませんけれども、そういうことも背景にしながら、先ほど指摘のような問題に対して、沖繩として本当に雇用の安定が図れるような地域開発、産業振興ということを念願をしたい、努力したい、このように考えるわけでございまして、そういうことのためには、やはり、関係省庁の連絡会議というものを沖繩開発庁を中心にして、われわれも労働省立場から参画する、積極的に提言もする、このように考えておるわけでございます。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 開発庁に伺いますが、やや具体的な問題を伺いますのでお答えいただきたいんですが、第一には、いま御答弁にもありました第一次産業についてですが、この第一次産業については主としてサトウキビなんですね。ですから、もっと地の利を利用して、サトウキビ以外にも有望な第一次産業が考えられないかどうか。考えられるケースはどういうことが考えられますか、そういう点です。  それから次に、第二次産業については、何といいましても高温多湿、多雨多湿で工業には向かないじゃないかというような点、あるいは環境問題等でなかなかこれはむずかしいようでありましたが、現状どうなっておりますか。  それから、第三次産業については、むしろ海洋博の後始末で打撃を受けておりはしないかということです。そのことが海洋博等、立て続けに復帰後いろいろなことが計画されましたが、かえってそのことがプラスになっているかどうか。急に本土資本のホテルが進出したりして、逆に沖繩経済としてマイナスの面が出ていはしないかどうか、そういう点。  それから、何といいましても、大臣からもお話がありました、いまなお駐留軍労務者という不安定な雇用状態にある方がたくさんいらっしゃること。また、別の面から言えば、あの膨大な基地ですね、問題は。とにかく、土地利用計画にしても何にしても、肝心なところは基地なんですから、なかなか計画ができないじゃないか。かといって、すぐ基地が返還される、全面返還ということは見込みが薄ければ、果たしてどうするかという、その辺も絡んでくるわけでありますが、それらの点についてお答えいただきたい。
  144. 金子清

    説明員(金子清君) まず、第一次産業、農業問題につきましては、やはり、合理的かつ計画的な土地利用によりまして、優良農地を確保いたしまして、御指摘ございましたサトウキビはもとより、パイナップルの生産性の向上を図りますとともに、今後は、畜産でございますとか、野菜、果樹等の積極的な振興というものを図っていかなけりゃいけないというふうに考えております。このために、農業用水の確保なり、あるいは土地基盤の整備等、構造改善事業あるいは機械化の促進ということを積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。  それから、第二次産業、特に製造業につきましては、御指摘のとおり、沖繩の置かれました立地条件からなかなかむずかしい点がございます。製造業の昭和五十年におきます沖繩県の純生産に占める割合は八・五%ということで、全国平均の二七・二%よりかなり下回っておるわけです。今後この第二次産業をどういうふうに振興していくかということは、非常に大きな課題であろうと思いますけれども、その中でなかんずく伝統工芸を中心といたします製造業につきましては、積極的な資金援助をするというようなことで、この育成を図っていかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。  それから、第三次産業の面で、沖繩海洋博以後どうなっておるかという御質問でございますけれども、ホテル業界等におきましては、五十一年は沖繩海洋博の反動で、沖繩を訪れました観光客が、五十年が百五十五万八千人でございましたのが、五十一年には八十三万六千人と大幅に減りまして、一時ホテル業界はかなり苦境であったわけでございますけれども、五十二年には百二十万人を突破する見込みでございます。そういうようなことで、かなり活況を取り戻してきておりますので、今後一層観光産業の振興に開発庁としても力を入れていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えているところでございます。  それから、米軍基地の跡地利用の問題につきましては、やはり基本的には基地が所在いたしておりました市町村あるいは沖繩県の、その土地の利用計画というものを十分尊重しながら、沖繩開発庁といたしましても、地域住民の福祉に役立つ利用法について助言をしてまいるということで、今後進んでまいりたいというふうに考えております。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣から雇用機会の拡大ということについて先ほど御答弁がございました。この雇用機会の拡大が、雇用の安定がとにかく緊急課題であるということはよく御承知のとおりなんであります。  ここで、いま開発庁から御答弁がありましたが、労働大臣としまして、基地ですね、問題は軍事基地米軍基地、これとの関係で、なかなか対策を立てようと言っても、雇用機会の拡大を図ろうと言っても、行き詰まるわけですね、基地の中に沖繩があるというふうな現状で。ですから、そういう点を踏まえて、とにかく離職者駐留軍関係離職者等臨時措置法でありますが、離職者に対する臨時の措置が現在の課題なんですが、根本的には雇用の安定、離職者が出ないことが望ましいことであるし、万一離職した場合でも、安定した職場へつけるということが本来の労働省の使命でもあるわけでありますから、それらの点を踏まえて雇用安定のための努力をしていただきたいと思います。
  146. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のとおりと考えております。
  147. 山中郁子

    山中郁子君 初めに、私は、きょうの新聞で報道されております在日米軍経費の施設費も政府が肩がわりするということについて、緊急に施設庁の見解を承りたいと思います。  施設庁御存じだと思いますけれども、去る十一日の内閣委員会でこのことを私は問題にいたしました。それで、その際、再三政府は、施設庁もまた防衛庁も外務省も、アメリカからそういう要望を受けている事実はないということを繰り返されました。しかし、きょうの新聞を見ますとね、具体的にこの取り組みを十七日夜、園田外務大臣と金丸防衛庁長官が直接意見交換した結果、確認されたものと言われると、こうなっているんですね。十一日に私が質疑をしたときも、直前にたしか新聞の一面トップでそうしたことが報道されました。  政府姿勢は、私はまず第一に問題にしたいんですけれども、そういうふうにして既成事実をつくって、それで国会やあるいは国民の前ではそういうことはないということを言いながら、実際上は新聞に情報ないしニュースを何らかの形で提供しながら世論形成して既成事実をつくっていく、そういう卑劣なやり方は、私は断固としてやめるべきだと考えておりますけれども、きょうはこの問題だけを質問するわけではありませんので、基本的にこの新聞で報道されているような園田外務大臣と金丸防衛庁長官意見交換があったのかどうか、それからまた同じように報道されております、私がまさに十一日に指摘をした米軍用の新築の住宅の提供、こういうことが概算要求として三カ年計画、約二百億円の規模になると言われているという報道がされておりますけれども、こういうことは事実として政府考えていることなのかどうか、はっきりした答弁をいただきたい。  初めに施設庁長官御都合が悪いようですので、次長にお見えいただいたと思いますが、お願いをいたします。
  148. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 最初に、外務大臣と防衛庁長官が十七日に会合されて、いまお話しのような件を相談されたということは、私ども聞いておりませんので、承知いたしておりません。  それから、第二点目の、ここにございますような数字あるいは予算につきましては、私ども現在米軍関係者から聞いておりますのは、会合の機会に雑談的に向こう側が住宅が不足して困っておるというようなことを聞いておるわけでございまして、具体的な米側提案が現在来ておるということは全くございません。したがいまして、こういうような経費の試算なり不足している住宅数というものをつかんでおらないわけでございます。
  149. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、二つお伺いいたしますけれども、そうした外務大臣と防衛庁長官話し合いはなかったということですね、ということが一つ。  それからもう一つは、三カ年計画、二百億というふうに報道されている、そうした米軍用の新しい住宅建設の計画はないと、概算要求でそうしたことを計画はしていないということであるのかどうか。
  150. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) そういう会合を持たれたかどうかというところも承知していないわけでございまして、なかったというのか、そういう会合があったのかどうかということも私は承知しておりません。  それから、こういう戸数、所要経費というものを概算要求しておるかというと、これはしておりません。
  151. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、もう一つだけ伺います。  私は、長官がお見えになれないというお話でしたので、それでは長官の見解を次長にちゃんと伺ってきて御答弁いただきたいというふうにお願いをいたしました。知らないというだけであって、話し合いを持ったのかどうかということについては施設庁としては答えられないと、こういうことですか。わからないということですか。
  152. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) わからないということでございます。
  153. 山中郁子

    山中郁子君 同様の点について、外務省の見解をお伺いいたします。二つの点です。概算要求の問題は施設庁の関連になりますけれども、いまの話し合いの問題、それから、そうした計画を政府検討しているという問題について。
  154. 丹波実

    説明員(丹波実君) お答え申し上げます。  外務大臣と防衛庁長官との間で、ここの新聞に報道されておるような趣旨意見交換が行われたということはございません。  第二点といたしまして、住宅の問題でございますけれども、いま次長がお答えいたしましたように、米側との雑談の席で、アメリカとしては、現在、日本における住宅不足で非常に困っておるという話はありますけれども、具体的に、それでは何戸どうしてくれというような話は現在までのところ、要請としては日本政府には来ておりませんで、したがって、これに基づいて施設庁の方から大蔵省に対して概算要求をしているとかいうことはないと承知しております。
  155. 山中郁子

    山中郁子君 十一日の内閣委員会でも、私はかなり詳しくそのことは追及いたしました。それで、そういうことがいかに不当であるか、いかに地位協定二十四条に反して、そして、しかももしそういうことを考えているとすれば、防衛庁長官は、自分の個人的な感想としてそういうことを、可能性があるかないか検討したいと思っていると、こういう答弁をその際されましたけれども、それがいかに、地位協定の拡大解釈というよりは解釈の改悪、事実上の改悪につながるか、そのものであるかということを私は繰り返し申し上げました。そして、そういうつもりはないという政府の答弁でしたけれども、いまのお話によりますと、相変わらずそういうことはないというふうに答弁をなさっていらっしゃるわけですけれども、実際問題として、何にもないところで、天下の公器である新聞がトップでこういう大々的な記事を報道するはずがないんですよ。それはお心当たりはないんですか、あるはずです。もし、大臣同士が話し合ったことがないということを断言なさるなら、そうではないけれども、どういうことが心当たりでもってこういう報道が流されたのだろう。外務省の見解を伺います。
  156. 丹波実

    説明員(丹波実君) 先ほどお答え申し上げたこととダブるわけでございますけれども、常時私たちあるいは施設庁の担当官は、いろいろな施設区域の問題でアメリカ側と、たとえば合同委員会であるとか、あるいはその下の分科会であるとか、そういう会合が常時ありますから、たとえば立ち話しの中で住宅は非常に困っておるという話は聞いておりますけれども先ほどお答えいたしましたように、具体的にそれではどうしてくれというような話は現在までのところ来ておりません。
  157. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、この問題の最後に、それぞれお答えをいただきたいと思いますのは、昭和四十八年の当時の大平外務大臣の示した見解、つまり代替の範囲を超えるものではないということに、これは大いに抵触するわけですけれども施設庁並びに外務省ともにこうした形での改悪ということは考えてないと、つまり新築その他についての米軍の要望にこたえるということはあり得ないという態度を明確にお示しいただきたい。
  158. 丹波実

    説明員(丹波実君) お答え申し上げます。  いわゆる大平答弁につきましては、これはリロケーション及び改修、改築といったようなこととの関連で、既存の施設区域の中で、新たに追加的に施設区域を提供すると、そういうこと等の関連での運用上の方針を、当時四十八年三月十三日の衆議院予算委員会で、当時の大平外務大臣が申し上げたと承知しておりますが、そのような考え方には、今後とも政府としては沿って事態に対処していくと、こういう考え方でございまして、ただいまの住宅の問題につきましては、アメリカ側からもし何らかのそういう要請があった場合には、地位協定の関係規定に照らして正しい処理をしていきたいと、こう考えております。
  159. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 当時の大平外務大臣の答弁でございますので、外務省からお答えするのが至当かと考えておりまして、まあそういう外務省の見解といいますか、解釈に沿って進められていくということになります。
  160. 山中郁子

    山中郁子君 不当な解釈の拡大、改悪をエスカレートさせていくということのいまの事態に、私は強い抗議と同時に、絶対にそうした要望に応じるべきではないし、日本の独立した国としてのきちんとした態度でもって臨めということは申し上げておきますが、この点はまた引き続き内閣委員会等で追及をいたします。  次ですけれども、法案に関連いたしまして、初めに私は、すでにいろいろと御論議があったところですけれども、簡単に言ってしまって、いわゆる基地労働者の就職促進手当、現在日額最高三千百円だと認識しておりますけれども、大変低いということはお認めになると思いますが、この根拠をお示しください。
  161. 鹿野茂

    説明員(鹿野茂君) 先ほども御説明いたしましたとおり、関係離職者に対して支給いたします促進手当は、休職活動期間中の生活の安定を図るという意味で基本的な対策となっておるわけでございますが、この手当の日額は、原則としては、雇用保険の失業給付の基本手当の日額表によって、関係離職者の離職前の賃金日額に応じて、その六割から八割というものを基準として定めておるところでございます。しかし、この手当は雇用保険と異なりまして、全額国庫負担であるということ、さらに給付期間が先ほど説明申し上げましたとおり、非常に長期にわたるものであると、こういうことから、その最高額について一定の限度を定めていると、こういうような形になっておるわけでございます。
  162. 山中郁子

    山中郁子君 物価高の中で、これが大変少な過ぎるということは異論のないところだというふうに思うのです。それで、政府の資料で見ましても新規休職申し込み数、これは駐留軍関係離職者の再就職状況ですけれども、五十二年の四月から五十三年一月まで千二百八十二名です。そうして再就職者数が四百八十六名、大変率が低いですよね。困難な状況にあるということは事実です。それで、沖繩の完全失業率が五・六%、全国では二・四%という不況の中ですけれども、とりわけ再就職が大変困難だという事態があります。この点については、ぜひ再就職までの生活を保障するという趣旨でつくられているものですから、就職促進手当の最高額を、全体として最高額を含めて引き上げるという措置をやはり積極的にとるべきだと思っておりますけれども労働大臣から見解とそれから積極的な対応をお伺いいたしたい。
  163. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 就職促進手当の増額の問題でございますけれども先ほどその積算の基礎なり最高額が集約されている事情は答弁をいたしたわけでございますが、やはり賃金が毎年上がるわけでございまして、長期に支給される手当でございますから、そのような賃金の増額を十分考えながら、今後も適正な額に改定をしていくということについては努力せなければならぬと、このように考えております。
  164. 山中郁子

    山中郁子君 ぜひ努力をお願いをして、実現をしていただきたいと思います。私は、こうした基地労働者解雇されたり、あるいは退職をしたりした問題に限らないで、現在働いている基地労働者の方たち条件、この問題に関しても大変重要な問題があると思います。少なくとも、これは昨年の暮れに日米合同委員会合意を見たという労務費分担の問題に関係いたしますけれども、こういうことによって、つまりアメリカの経費節減政策によって労働者雇用不安定、労働者労働条件の悪化、低下、さらに不安を含むそういうことに関して、政府がちゃんとした、毅然とした態度でアメリカに対して、地位協定に基づく約束に沿った実行を迫るという立場に立つのではなくて、むしろアメリカの不当な要求に屈して、日本政府の方で、それらの労務費の肩がわりをする、分担を増加させていく、そういう姿勢は大変根本的な問題だと思っております。まさに、基地労働者の方たち雇用安定、そうして生活権利労働条件を守り、向上させるという観点からこそ、政府は毅然とした態度でアメリカにその貫徹を要求し、責任を持つべきだと考えておりますけれども、それと全く反対の立場で、いま申し上げたように、昨年の合同委員会での合意事項を了解してしまうという事態になっております。  それで、私は施設庁にお尋ねをいたしますけれども、まず昨年の十二月二十二日の合同委員会合意した基地労務費日本側一部負担の増加、この内容を簡単にお示しいただきたい。
  165. 菊池久

    政府委員菊池久君) 昨年十二月、日米合同委員会合意を見ました経費分担の中身でございますが、これは五十三年の四月一日以降発生します経費について日本政府が分担するということでございまして、これは日本側が分担する経費の中身でございますけれども基本労務契約、これは間接雇用契約方式をとっているために契約を結んでおるわけでございますが、基本労務契約、船員契約及び諸機関労務協約、これに基づきます従業員にかかわる経費のうち、いわゆる法定福利関係経費、それから任意福利関係経費及び労務管理に要する管理費経費でございますが、この分を負担するということでございます。一つは、法定福利費関係で約五十一億になりますが、法定福利関係、この中には各種の社会保険、労働保険料の事業主負担分でございます。たとえば、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険、船員保険の各法によりまして事業主に課せられました負担金を負担するというものでございます。さらに、児童手当拠出金、これは児童手当法によりまして事業主に課せられた拠出金でございます。そのほか健康診断費等、これは労働安全衛生法等に基づきまして事業主が分担する経費でございます。これを総まとめしまして法定福利費と申し上げておりますが、この経費が約五十一億円でございます。  それから、第二番目に任意福利費でございますが、この経費は約一億円でございます。この中身でございますが、福利厚生関係経費、これは各種のレクリエーションに要する経費が主体でございます。それから、二番目に災害見舞金、これは天災地変によりまして財産の損害を受けた、または死亡するというふうな場合の見舞金でございます。それからもう一つは制服費これは一定の職種に限りましてユニフォームを着ておるんでございますが、その従業員に対する制服の貸与でございます。それからもう一つはほう賞関係経費、一番多いのが永年勤続者に対するほう賞でございますが、そのほか特別行為に対するほう賞等がございますので、協・契約に盛られておりますこれらの任意福利費関係を計上いたしまして、この推定額が約一億円でございます。そのほかに、間接雇用形式をとっておりますために、日本側労務管理機関労務管理のために要する経費、これは特に人件費事務費でございますけれども労務管理費といたしまして約九億円、合わせまして約六十一億円の五十三年度分の負担といたした次第でございます。
  166. 山中郁子

    山中郁子君 すでに議論されているところでもあるんですけれども、要するにそうしますと、いまの御説明によると、地位協定に基づく基本労務契約第四条で十三項目挙げられています、「補償」として。おわかりだと思います。つまり、aからmまで十三項目。このうちの基本給、諸手当を除いたすべての分を今度は日本が負担する、こういうことになると思いますけれども、そうしたら地位協定に対する解釈が変わったわけですね。どういう法的根拠でこれを支払うことができるというふうにされたんですか。
  167. 菊池久

    政府委員菊池久君) 今般、日本政府が持つことにいたしました法定福利費、任意福利費、それから労務管理費経費でございますが、いずれも地位協定上の解釈といたしましては、米側が負担するということが義務づけられていないという関係の経費でございます。特に、一例を法定福利費関係について申し上げますと、この経費従業員の保護を図るという見地でございまして、社会福祉政策のためにわが国法令に基づきまして支出する経費ということでございます。したがいまして、労働力を行使することの直接の対償、いわゆる賃金のような対償ではないというものでございまして、まさに別の観念でとらえるべき性質のものであろうかと思います。在日米軍が任務遂行するために労働力を使用するのに直接的に必要な経費とは言えないもの、その分を負担するということにした次第でございます。
  168. 山中郁子

    山中郁子君 直接経費というのは、そうすると何だというふうにお考えになるんですか。
  169. 菊池久

    政府委員菊池久君) 日本政府といたしましては、労働基準法第十一条に定めます賃金等でございますが、それが日本労働力を使用するために直接的に必要な経費、それは労働基準法の第十一条に該当する経費かと思う次第でございます。
  170. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、確認を求めますけれども基本労務契約の第四条の「補償」の項の、先ほど私が十三項目と申し上げましたけれども、この中のaとbの基本給、諸手当のみであると、こういう御見解になるんですか。
  171. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生のおっしゃいますほかに、駐留軍従業員に対しましては諸般の手当のほかに退職金とかいろいろほかの給付がございます。ただ、私がいま申し上げましたのは、いわゆる労働基準法十一条に定める経費以外の経費といたしまして、法定福利費任意福利費、管理費を持つことにしたということでございます。
  172. 山中郁子

    山中郁子君 だから、ちょっとはっきりしてほしいんですけれども、二十四条に基づいて基本労務契約というのがあるでしょう、こんな分厚い。そこの第四条の「補償」というところに十三項目あって、そしてそれは全部米軍が負担するということがちゃんと基本契約で決められているわけですよね。だけれども、この中のものをあなた方は拡大解釈、解釈の改悪をして、払えるようになるんだといって払うというふうにお決めになった。だから、この十三項目というのは、もっと言えば基本労務契約第四条というのは結局どうなっちゃったんですか。そして、これによってこの中で言うならば、基本給と諸手当のみあなた方は有効だと、こういうふうにおっしゃっているのではないかと私は伺っているわけです。
  173. 菊池久

    政府委員菊池久君) ちょっと若干ちぐはぐな答弁を申し上げましたんですが、私が先ほど来申し上げておりますのは、日本政府が持つことといたしました経費につきましては、これは地位協定米軍が当然に負担すべき経費ということではないというふうに解釈している次第でございます。ただ、労務基本契約上、米軍地位協定上には取り決めがございませんけれども労務基本契約上こういう経費については米軍が持つというふうに指摘したために、米軍がいままで持ってきた経費でございます。
  174. 山中郁子

    山中郁子君 地位協定の二十四条には、在日米軍を維持することに伴う経費はすべて米側の負担となっているとなっていて、そしてこれに基づく基本労務契約で基本給、諸手当、社会保険料、ずっと十三項目あるんです。そして、これがアメリカが負担するんだということでずっとやってきているわけでしょう。それを今度変えるわけですか。基本労務契約を変えるんですか。と同時に、地位協定二十四条には何も間接経費、直接経費なんて書いてないでしょう。だとすれば、在日米軍を維持すること、そこでそのときに解釈として、基本労務契約をつくって、そしてこの十三項目についてはアメリカが持つんだということをはっきりさせて、現に十七年間にわたってアメリカがそれを負担してきたんでしょう。それを、どういう根拠で、どういう法律に基づいていま変えるんですか、変えることができるんですかということを伺っている。
  175. 菊池久

    政府委員菊池久君) 繰り返しの御答弁ではなはだ恐縮でございますが……。
  176. 山中郁子

    山中郁子君 繰り返しじゃだめよ。
  177. 菊池久

    政府委員菊池久君) 地位協定の二十四条につきましては、特に日本政府が持つことといたしました社会保険料とか管理費等につきましては、米軍日本労務を使用するに当たりまして必然的に必要とする経費とは読めない、読まれないわけでございまして、したがいまして、いままで米軍はこの基本労務契約に基づきましてそれらの経費も負担してきたということでございます。したがいまして、基本労務契約を今後この法定福利費、任意福利費並びに管理費を持つことにいたしたために、この基本労務契約の一部を改定するということにしているわけでございます。
  178. 山中郁子

    山中郁子君 改定したんですか、ということと、したとすればどういう内容改定したのかお示しいただきたい。いまなければ、後ででも結構です。  それからもう一つ、私が繰り返し申し上げている、それでは直接経費とあなた方が言うのは、基本給、諸手当、労働基準法に基づくとこうおっしゃっていますけれども、具体的にどういうものなのかということをお示しください。それも後で資料として出してくだすってもいいです、余り時間がありませんから。
  179. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先ほど労務基本契約等につきましては、四月六日付をもちまして改定作業を完了いたしまして、調印を整えております。  それから、先生から御指摘の今般の契約改定の中身につきましては、後ほどよく検討いたし、まだ成文というか印刷物にしたものがございませんものですから、そういう点も検討いたしまして、御相談したいと思っております。
  180. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、直接経費だということで米軍が維持できるものだという内容を、項目を示してほしい。これがいまお約束をいただいた改定内容ですね、基本労務契約改定の中身にちゃんと入っていると言うなら、それと合わせて一緒にいただくということでも結構ですけれども
  181. 菊池久

    政府委員菊池久君) その件につきましては、実は法定福利費、任意福利費、それから管理費につきましては、地位協定米側の当然に持つ経費ではないという判断で日本政府が持つことにしたわけでございますが、その他の経費につきましては米側に分担するとか今後持つということではございませんので、その他の諸項目、諸手当、退職金等すべての労務関係に要する経費等について検討いたしているわけではございませんので、ちょっと御勘弁いただきたいと思いますが。
  182. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つはっきりしないんです。具体的に、この基本労務契約四条に十三項目あると私ずっと申し上げていますでしょう。そしたらこのうち、先ほどずっとお述べになったのを私が理解するには基本給、諸手当を除いては結局先ほどおっしゃった三項目の中に全部入ってしまうというふうに理解できるんですけれども、そうなんですかと、そうだとすればaとbの基本給と諸手当だけというふうにあなたの方は考えていらっしゃるんですね。そうでなくて、ほかにもまだこういう項目があるんだと、それはやっぱり依然として米軍に分担してもらうんだということならば、それはどういう項目なのかということを教えていただきたい こういうふうに申し上げております。
  183. 菊池久

    政府委員菊池久君) 基本契約四条の項目について申し上げますと、現在、五十三年四月以降米側が持つこととしています経費が基本給、諸手当、それからe項の旅費及び従業員の輸送費、それから安全及び衛生費の一部、それから争訟経費、それからmの求人広告費、この項目が米軍が今後とも四月一日以降も負担する経費でございます。
  184. 山中郁子

    山中郁子君 そうしますと、二十四条の解釈をいままで十七年間にわたって、こうした基本労務契約でもって契約されていたとおりに米側が支払ってきたにもかかわらず、ここで解釈の改悪を図って、そして米軍経費節減の要望に屈した形で、そして基地労働者生活を擁護するための毅然とした独立国としての政府という立場でないこういう解決の仕方をしたということについては大変大きな問題で、私はこの点については誤りであるということと同時に、はっきりした姿勢米側に当然負担すべきものを負担させるような態度で迫るということを堅持すべきだということを厳重に申し上げておきます。  最後に一つだけ、特にこの中で管理費の問題があります。これはかねてから問題になっておりますけれども、簡単に言ってしまって、現在でも、現在までの未償還分が百十七億四千万円あるというふうに私たちは認識をしておりますけれども、この未償還分は直ちに償還を求めるべきだと、この改定がどうあろうと、現在までの未償還分ですからと考えますが、この用意がおありですか、見通しはどうでしょうか。
  185. 菊池久

    政府委員菊池久君) 未償還の管理費でございますが、先生指摘のとおりでございまして、四十七年以降五十一年度まで一部を暫定的に償還を受けている状態でございます。この件につきましては、わが国といたしましても大変な大きな問題でございますので、これは早速基本契約改定作業に入る前から米軍には要求を申し上げ、これは商議方式によりまして、米軍と当庁との間で検討いたしまして、米軍調査を行ったりいたしまして、各軍の調整を図りまして、最後に合意に達するというふうな仕組みになっておる関係上大変おくれておりますので、特に五十二年の十二月二十二日の合同委員会合意等もございます関係上、特にわれわれは力を入れまして、米軍にその商議の開始を要求している状況でございます。きのうも担当官に対しまして、開始の時期の指定につきまして申し入れをしたということでございまして、早急に解決を図りたいというふうに思っております。
  186. 山中郁子

    山中郁子君 私は、合同委員会合意を見たということですでに労務基本契約改定し、四月新たな負担増を実際に実行するという段階に来ているわけですけれども、そのこと自体大変問題があるし、いま現在政府がとるべき道としては明らかに正しい立場に立って、こんなにいままでずっと日米の間で合意をして、解釈それ自体、地位協定二十四条自体さまざまな問題があるにしても、そういうことでしてきたことを、一方的に解釈の改悪をして日本の負担を増大させるということは直ちに撤回をして、とにかく少なくとももとへ戻すべきであるということを強く要求をいたしまして、質問を終わります。
  187. 柄谷道一

    柄谷道一君 施設庁関係の質問につきましては、すでに多くの委員の方々から質問のあったところでございますが、その重複を避けるという意味において、これを省略いたしたいと存じます。  まず、総理府に対してお伺いいたしたいわけでございますが、沖繩本土復帰に伴い、沖繩の特殊事情ということを考慮いたしまして、政府は昭和四十六年に沖繩振興開発特別措置法を制定し、翌四十七年の五月十五日から施行いたしております。そして、同年の十二月十八日、四十七年度を基準年度とした土地利用、産業の振興開発、社会資本の整備、職業安定などに関する十年間の振興開発計画の基本施策を決定しているところでございます。ところが、その主たる指標をながめてみますと、総人口は九十五万人から昭和五十六年の目標年次には百万人強になる。生産所得は三千百億円から一兆円程度になる。その生産所得の産業別構成比は、第一次産業が八%から五%に減少、第二次産業は一八%から一挙に三〇%に増大、三次産業は七四%から六五%に減少。さらに、県民一人当たり所得は三十三万円前後が約三倍になる。そして、産業別就業者構成比は、全体の数が三十九万人から四十六万人に増加するとあわせて、その権成比は一次産業が二五%から一三%への減少、二次産業は一八%から二八%への増大、三次産業は五七%から五九%と、まあやや横並びと、こういう目標指標を決定しておるわけでございます。しかし、その後のわが国経済の減速経済への転換、さらに最近の円高、こういった実態を考慮し、すでにもう六カ年を経過しておるわけでございますが、現状の経済指標その他を分析をしてみますと、とうていこの目標年次の五十六年度に、あらかじめ定めたこの基本施策の目標を達成するということはおよそ不可能であろうと、こう私は思うわけでございます。いわば現実に即さない目標として、ただ紙の上にだけに残っているというのが現状であると思うのでございます。総理府に私はこうした現実に即して計画を見直し修正する、そして達成可能な目標を掲げてこれに向かって施策を推進していくという姿勢が当然必要ではないか、こう思うのでございますが、いかがでしょうか。
  188. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) お答え申し上げます。  先生がただいまお述べになりましたように、四十七年の復帰に際しまして本土との格差を是正するということ、あるいは自立的発展の基礎条件を整備するという大きな目標のもとに、沖繩県からの発議に基づきまして現在の振興開発計画を私ども策定をいたし、これによりまして積極的な各般の施策を今日まで進めてきたわけであります。復帰後六年目をいま迎えておりまして、他の地域以上の大幅な公共投資を中心に施策をこれまでやってまいったわけでございますが、端的に申しまして道路、空港、下水道など、すでに社会資本関係で言えば本土水準に達したものもございますし、学校教育施設その他各般の施設もおおむね現在の計画期間中に所要の水準には達するとわれわれは考えております。しかしながら、沖繩経済全体をマクロに見た場合に、ただいま先生から御指摘がありましたような人口、所得、産業構造等、もろもろの分野において当初計画との乖離と申しますか、ずれが生じていることは御指摘のとおりであります。この点につきましては、すでに五十一年の末に沖繩開発審議会におきまして設置されております総合部会で、いわゆる中期展望という形の報告といいますか、御答弁をいただいておるところでございますが、その中におきましても、ただいま端的に先生から御指摘がございましたような、たとえば人口につきましては、すでに計画の目標数値の人口を大幅に超える見込みがある、端的に申しましてすでに五十一年末では百七万という数字になっておるわけであります。あるいはまた、県内の雇用力が乏しい等々のために、今後労働需給のギャップが大きくなり、後期の最も重要な課題になるであろうということも、御指摘のとおり指摘がございます。あるいはまた、県民所得の全国平均格差も、復帰後中期までには本土の実質経済の二倍に及ぶ急速な経済成長のもとに、いわゆる格差の急速な収斂が図られたのでございますが、その後の厳しい経済情勢の見通しの中では、今後これまでのようなテンポで急速にこの格差が解消される見通しはきわめて困難であろう、こういうことも御指摘のように指摘されました。等々の指摘がございました上で、沖繩の持ちます厳しい立地条件あるいは制約要因の中で、産業の振興にはなお多大の努力を必要とするけれども、現時点においてこの計画の到達目標そのものが達成が危ぶまれるものであるからといって、直ちにこれらの計画の所要内容改定すべきではないと、後期五年においても引き続き最善の努力を払うべきであろうと、こういう御報告をいただいておるわけであります。  もちろん、先生も御案内のように、この計画は四十七年から五十六年までの十年のいわゆるマスタープランでございますから、今後後期を見通した目標数値がいろんな諸要件によって左右する面が多いので、現時点で直ちに端的な明確な予測は困難でございます。しかしながら、私どもとしては結論から申し上げまして、この計画に掲げました本土との諸格差を是正し、自立的発展の基礎条件を整備するという基本目標については、基本的に現時点においてこれを改定する必要はないのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。
  189. 柄谷道一

    柄谷道一君 後にまた質問することとして、それでは労働省にお伺いいたします。  この特別措置法三十八条に基づきまして、五十一年五月に沖繩県の労働者の職業の安定のための計画というのが定められております。私はただいま開発庁から述べられました、私もまた紹介いたしました中期基本計画によりますと、その際数値も申し上げましたけれども、第一次産業二五%から十年のうちに一二%の構成比に就業者構成を減じている。逆に、二次産業は一八%から二八%に増大せしめている。三次産業はほぼ横ばい、こういうことは、いわば沖繩県内において産業の一大構造的改革というものが行われるということを、これ前提にした長期指標であるわけでございます。ただいままでの質問の中でも、二次産業というものが果たしてこれだけの構成比になり得るかどうかについては、現状ながめてみましてもきわめて二次産業の進出というものがおくれているわけです。こうして考えてみると、私は沖繩県における産業の構造的改革というものに相対応するやはり労働政策というものは、いわゆる本土というものを延長線上に置いた雇用政策、労働政策ではとうてい処置し得ない、こう思うのでございます。そのような視点から、労働省としては、中期基本計画に基づく就業者構成というものが、あと残された期間四年間でございますが、果たして達成が可能だと考えておられますか。またあわせて、このような産業の構造的大改革の進行過程に対応する沖繩県としての職業訓練、職業あっせんというものの体制が万全であると考えておられますか。
  190. 細野正

    政府委員細野正君) ただいま先生から御指摘ございましたように、沖繩の振興開発計画をつくります場合の前提になるいろいろな経済的な諸要因というものにかなり変化があることは、御指摘のとおりなわけであります。しかし、私どもの策定しております職業の安定のための計画自体は、いま申し上げました沖繩の振興開発計画の調整を図りながら昭和五十一年につくったものでございまして、私どもの方の計画の方は日数的にはそう日にちがたっておりませんので、ある程度そういうふうな変化等も考えながらという要素もあるわけでございまして、そういう意味で私どもは、この私どもの計画自体をいま直ちに変えるというふうな考えはございませんし、また当面そこに掲げられております諸指標の実現につきましても、私どもの計画自体の中にあるものについてはその実現に努力をしてまいりたいというふうに考えているわけであります。  なお、その訓練とか紹介の体制の問題がそれに沿っているかどうかという点につきましては、これは御存じのように国全体として二次、三次その問題があるわけでありまして、できるだけ現実の就職者の動向と求職者の動向とそれから産業界の今後のあり方と、あるいはいくべき方向というようなものと両方にらんで、といいますのは、結局訓練を受けた方もすぐには就職問題というものにぶつかりますから、非常に長期的なものだけでもって訓練種目というようなものを決定できません。と同時に、目先だけでやりますと、また就職されてから問題を起こすというようなことになりますので、両方にらみながら対応していかなきゃならぬというふうな考え方でやっておる次第でございまして、そういう意味でいろいろ御指摘の点もあるかとは思いますけれども、基本的に大きに問題にずれがあるというふうにも考えていないという状況でございます。
  191. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、いま総理府及び労働省の答弁を見ておりますと、きわめて機械的と言ったら語弊がありますが、冷たいと言ったら語弊があるのかしりませんけれども、私は非常に官僚的な御答弁ではないかと、こう思うのです。たとえば、いま総理府がおっしゃられました審議会の答申でございますけれども、激変はその後に起きているわけですね。また、労働省も五十一年に計画をつくったから時間がたってないと、こう言われますけれども、大きな情勢の変化はその後に起こっているわけです。沖繩県の完全失業者はことし二月二万四千人、失業率はやや好転したというものの、依然として五・四%で、全国平均の二倍以上、しかも三十歳未満の失業者が過半数を占めている。この春琉球大学の卒業生のうち、就職した者は四人に一人という程度の割合である。また一方、復帰時に約一万九千人いた駐留軍従業員は、昨年末までに離職者数が一万一千人に及んでいる。こうした中で、沖繩県の第二次産業は純生産全体の二〇%、これは全国平均三五%に対してきわめてその比率が低く、しかも今後製造業が沖繩に急速に進出していくという可能性というものに対しては多くの問題点がある。しかも、公共事業にしましても、原材料の棒鋼、セメントなどは県内企業では賄えない、ほとんどが本土に頼っている状態であって、本土のように公共事業を興すことによる波及的効果というものが沖繩にはなかなかあらわれてこない、これまた現実でございます。しかも、このような現実に加えて、最近の円高パンチが加わっているわけでございます。沖繩県の駐留米軍から落ちる地代、雇用費、個人消費合わして年間約一千億円と言われておりますけれども、それは県民所得の約一割に相当いたします。その分、ウエートが高ければ高いほど、円高ドル安の影響がこの沖繩県には強くあらわれてくる。私はこうした現実を考えますと、ただ目標は、実現不可能な目標だけは掲げておきますと、むずかしいんだけれども目標は変更しません、ただ最大限の努力をする。それで果たしていいんだろうかという疑問を率直に感ずるわけでございます。あと四年しか残っていないならば、その基本政策を一応この際、この時点で一回とめて、なお今後先五年間にこの目標を達成しよう。その目標を達成のために必要な施策は何か、そして財源措置は何か、それを私は整えることによって、初めて沖繩県民にこの目標に向かって県民一体となって進んでいこうという意欲が初めてわいてくるのではないだろうか。県民自体もとうてい達成することはあるまいと思われるような目標を掲げて、なおそれでいいんですという姿勢については、私としてはとうてい理解することができないわけでございますが、再度総理府及びこれは労働省は大臣として御所見を率直に伺ってみたいと思います。
  192. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 再度の御質問でございますが、私、最初の御質問にもお答えいたしましたように、復帰六年目を迎えた現時点で、いろいろ御指摘のような問題はあることを十分承知をしております。中期展望にも触れて御質問がございましたので、関連してお答えをさせていただきますが、あの総合開発審議会の中期展望の中でも問題になっております雇用ギャップの問題については、今後沖繩の人口の自然増加趨勢、社会増減の趨勢が変化ないとすれば、沖繩だけを市場にして考えた場合の労働雇用対策としては、新たに四万ないし五万人の新規雇用を創出しなければフィットしないということも言ってあるわけであります。しかしながら同時に、短期的に沖繩の狭い市場の中で、これらを一挙に解決することも不可能である。したがって、しばしば労働省を含めて御答弁があったかと思いますが、中長期的には沖繩の地場産業の着実な自力をつけるという施策、これは私どもの所管でございますが、それと相まって、本土プロパーの広域職業紹介等を含めて、やはり地道な施策を遂行する以外に当面ないのではないかと、こういう報告もいただいておるわけでございます。何はともあれ、沖繩の経済を安定させ、雇用、失業問題の解決を図るためには、やはり地場産業を振興することが基本であることは申すまでもございません。先生がお触れになりましたように、私どもがこの五年間、本土以上の多額の公共投資を投下してまいっておりますが、これはただ直接的にそれからはね返ります労働雇用の効力にインパクトを与えるものがあるということだけではなしに、この大規模な公共投資の中には、御案内のように国営を含めた、大規模な土地改良事業を含めた産業基盤の整備も並行してやっておるわけでございます。それから、この中期展望でも触れられておりますが、端的に言いまして沖繩の百万の人口というのは、県内市場だけを対象にした自給的な工業化を図るにはいささか小さな単位でありますとともに、一方、これを単純な離島振興的な発想で農林水産業だけでこれを立ち行くにはやや大き過ぎるという、非常にむずかしいケースであろうと思います。こういったことを考えますと、私どもはやはり農林水産業のみならず、地場の伝統工芸産業とか、あるいは最近非常に著しい伸長を見ております観光産業等を含めて、やはり地場の既存の企業を中心に、地道にやはり総合的に相乗作用で効果が上がるような方策を引き続きとらざるを得ない、非常に抽象的に申し上げて恐縮でございますが、そういう観点で今後も取り組みたい、今次国会に私ども沖繩開発金融公庫に新たに出資の機能を付与していただくよう、先般法律を制定させていただきましたが、こういったこともこういった観点に基づいてやらせていただくことになっておるわけでございます。
  193. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 経済は生き物だということをよく言われますが、そのような経済社会が現在はまさに大きな質的な変化を遂げておるわけでございます。特にこの沖繩というのは、きわめて不安定な雇用関係が控えているという、こういったことを考えますと、御指摘のようにやはり絶えず日進月歩と言いますか、新たな対応をしなければならぬという基本的な考え方において、私は御指摘の点は同感でございます。ただ、役所の仕事を言いますと、やはりお役所的というと人ごとになりますけれども、一つの計画を立てて、五カ年計画あるいは年次計画というこういう点は、やはりいささか現実と遊離する一つの問題点を含んでおるということも考えていただかなければならぬと、御理解いただかなければならぬと思いますが、労働省が五十一年の五月十四日でございますが、「沖繩県の労働者の職業の安定のための計画」という、これは基本的な考え方として、先ほど局長からいろいろ説明いたしましたが、この柱そのものは、私はねらいは間違っておらないと思うのです。ただ、まだ足らないところがあるという点は、私は先ほど前提に申しましたような認識からこれを補完せなければならぬ。ただとりあえず、五十三年度におきましては思い切った公共事業をひとつ積極的にやるという財政措置をやり、七%の成長率——実質経済成長率ということを踏まえて、そしてこの公共事業を沖繩方面にも相当重点配分をし、そして失業者雇用率制度というものを活用して、当面応急対策を雇用面から支えていく、こういうことも考え、同時に五十三年度、新しい政策としては中高年齢者の雇用促進するために、これを雇い入れる事業主に助成をしていく、そういったことも加味しておるわけでございまして、そのほか私は、雇用機会の拡大については労働省の枠組みだけでは解決できませんけれども、ひとつこれからいろいろ問題指摘をしたい、そうして雇用閣僚懇談会、こういった場においても積極的にひとつ提言をしたい、このように考えておるわけでございまして、よくひとつ皆さん方の御助言、御意見も承りながら、われわれとしてできるだけの努力をしてこの危機を乗り切りたい、特に、山積している雇用問題を抱えておる沖繩の対策においておやと、このように考えるわけでございます。
  194. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、これは持論として、こういう経済の激動期、それには絶えず、中期計画というものは、一回つくったものはもうそれでいいんだというんではなくて、見直しに見直しを加えながら、必要な修正を行っていく。私は、それは決して政府の権威を落とすものでもなければ、むしろそういう姿勢こそが国民に信頼される中期計画として受けとめられていくんではないか、私はそう思うんです。しかし、このことに対して議論し合っておりましても、これは平行線でございますから、私はそう思うという意見を明確に申し上げますとともに、計画は変更しない、最大の努力をしてこの目標に近づけると、開発庁言われたわけですからね。私はぜひ、それが達成できるような具体的施策と財政措置をしてもらいたい。私は、四年先、果たして国会議員であるかどうかわかりませんけれども、私は本当にそのいまの計画というものが、目標指数というものが達成されたというふうにこれはなってもらわないと、何のための基本施策かと、後世に私は大きな指弾を受けることになると思うのであります。その点だけは指摘いたしておきたいと思います。  そこで、労働省にお伺いいたしますが、大臣、いまのようにお答えになったんですけれども沖繩振興開発特別措置法による対象者の求職状況を見ますと、五十一年度、これは労働省の「労働問題のしおり」から私とっておりますが、求職者は五十一年度月平均で見ますと、月間有効求職者千五百六十八名に対して、新規求職の申し込み件数は四百七十九件にすぎません。また、雇用保険法第二十五条による広域延長給付について、沖繩県もその指定地域になっておるわけでございますが、県内就職を望む者が多いのかどうかしりませんが、その対象人員は、五十年度わずかに十四名、五十一年度四名、五十二年度わずか七名にすぎないわけでございます。広域延長給付を指定したという実効がほとんどと言っていいほどあらわれていないというのが私は実態であろう。もちろん、県外に労働のために移動している者は二千名ほどあることは承知しておりますが、この広域指定給付という制度に関してみれば、このような実態にあるわけですね。このような深刻な雇用情勢に加えて、駐留軍関係離職者は五十一年度だけでも二千七百名、うち二千二十九名が沖繩県である、これ労働省、そう書いてあるわけです。こうした実態を考えますと、沖繩県の雇用対策については特段の配慮というものが加えられてしかるべきではなかろうか。たとえば、失業給付の地域延長給付制度を新設をいたしまして、個人延長並みの九十日延長を行うという手法とか、それから離職者対策法及び雇用保険法の雇用安定資金制度の業種指定に当たって、これは、私は前回の雇用保険法のときも質問いたし、検討するという答弁をいただいておりますけれども、地域別業種指定制度の採用を考える、こういった配慮が加えられるべきではないかと思うんでありますが、いかがでございましょう。
  195. 細野正

    政府委員細野正君) いま具体的な御提案があったわけでございますが、まず最初の失業給付の地域延長の問題でございますが、私どもとしましては、先生の御指摘のように沖繩雇用、失業情勢、確かに厳しいわけであります。したがって、いろいろな特別の対策が必要じゃないかという点も私どももそう考えるわけでありますが、しかし、やはりその場合に、訓練を受ける方に対する訓練延長の制度とか、あるいは広域紹介に乗る方についての広域延長の制度とか、あるいは今度、新年度からやります中高年の方を採用した場合についての助成の措置とか、そういう再就職に直接つながる措置のところを重点的に私どもは対処してまいりたいというふうに考えているわけでございまして、御指摘のその失業の非常に厳しい地域について雇用保険を一律に延長するということにつきましては、たとえば高年齢者についてはまた年齢別の高年齢者を対象にする延長制度があるわけでございますから、そういう意味で、そういう年齢とかその他の事情考えずに一律に延長するというのは、逆にその地域に失業者が滞留するおそれすらあるわけでありまして、その点については、私どもはやはり雇用政策の見地から見て問題があるんじゃないかなというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つのその特定不況業種とかあるいは雇用安定資金制度等について、地域的にそれを指定していくような制度を導入したらどうか、こういう御提案もあったわけでございますが、この問題もやはりいろいろ問題ございまして、たとえば同じ業種の中で、ある地域とある地域、違う別の地域との間に適用を異にするというのは、今度業種間において非常にアンバランスができて、その業種相互の間の不均衡というような大きな問題が逆に出てくるという心配もございまして、むしろ私どもは現段階におきましては、できるだけこの特定不況業種離職者臨時措置法にしましても、雇用安定資金にしましても、業種の指定のやり方というものに工夫を加えて、できるだけ実情に即してこれを弾力的に運用していくというやり方を現在とっておりますけれども、この方向で進める方がむしろ妥当なんじゃないかなというふうに考えておるわけでございます。
  196. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は見解を異にいたしますが、時間もありませんので、これは指摘にとどめておきます。いましかし局長は、再雇用をいかに促進するかということにより重点を向けていきたいと、こうお答えになったわけです。それでは、五十二年四月一日より中高年齢者雇用開発給付金制度が発足いたしております。これまさに中高年齢者の雇用を開発するという、再就職を促進するこれは制度でございます。しかし、これは四十五歳から五十五歳までは三カ月間、五十五歳以上が六カ月間とこうなっております。制度が発足したばかりでございますから、いま直ちにということはなかなか問題がありましょうけれども、私はいま局長の言われた趣旨からすれば、今後の運用状況等も当然把握されるべきだとは思いますけれども、これが全国的にこれらの期間というものに対して洗い直しを行う、もしそれが全国的に不可能な場合は、せめて失業多発地域に関してこういう配慮を行っていく、そういうものが私は必要ではないかと思いますので、その見解をお伺いいたしたい。  それからもう一つは、駐留軍関係離職者等の臨時措置法につきましては、従来延長の都度何らかの改善が行われてきたというのが、これ慣例でございます。ところが、今回はこの法律の延長措置のみだけで、何らの改善が行われていないわけでございます。その理由は一体何なのか、恐らくメニューはそろっているという答弁だろうと思うんでありますが、私はたとえば失業給付の個別延長給付制度についても、離職者対策法では四十五歳から四十歳に引き下げております。また、手帳所持者を常用労働者として雇い入れて職業訓練を行う者に対して六カ月間の賃金を支給するという対策法がございますけれども、そういった雇用促進助成金制度を駐留軍離職者にも適用させるという配慮も加えられるべきでございます。私は特に現下の深刻な沖繩雇用情勢、しかも今後基地縮小等によって離職者が出ることが予想されているというこの事態考えれば、もうメニューはそろっている、だからこの法律を延長さえすればいいんだ、こういう姿勢に対して疑問を持つわけであります。時間が参りましたので、もっとたくさんの質問をしたいわけですが、この二つの質問にとどめ、最後に労働大臣から私の全般的な質問に対する御所見を承りまして、私の質問を終わります。
  197. 細野正

    政府委員細野正君) まず最初に、お尋ねがございました中高年齢者の雇用開発給付金の期間の問題でございますが、これも先生いま注意深く初めから前提を交えておっしゃったんでございますけれども、そのお話しのように、とにかく新年度の予算で初めて始まりました制度でございまして、したがいまして、始まったばかりの段階で制度の、いまの給付の期間を含めまして検討問題についてお答えするというのは、なかなか適当でないように私も思うわけでございますが、しかし同時に、始まったばかりの制度でございますから、今後の雇用、失業情勢の推移とか、あるいはこの制度の運用の実態というものを見きわめた上で、しかるべきもし改善が必要であるならば、やはりその段階検討すべきものじゃないかなというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味で、現在の制度についていま申しましたような前提の上で、検討すべきものは検討していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、二番目にお尋ねのございました、従来駐留軍離職者臨時措置法の延長の際には、いつでも何らかの制度的改善があったじゃないかと、こういう御指摘でございますが、その点は確かにおっしゃるとおりでございますが、同時に法改正をしない場合にも制度改正は実はやっておるわけでありまして、したがいまして、私どもとしてはこの今回の延長に際しまして、もちろん法律の中に定められております各種の援護措置についての単価の改善、その他の充実はもちろんやっておるわけでございます。それからなお、そのほかに先ほど御質問の出ました中高年の雇用開発給付金、その他の駐留軍離職者だけではないけれども、一般的に適用される、もちろん駐留軍離職者にも適用される制度の改善も並行してやっておるわけでございまして、そういう意味で先生もたまたまおっしゃいましたけれども、メニューとしてはかなりそろっているんじゃないかということと同時に、その点もあわせまして関係の審議会にお諮りした際にも、今回は延長だけでやむを得ないのじゃないかと、こういうふうな全会一致の御答申も得て、延長だけをお願いしているというふうな状況でございます。  それからなお、個別延長の年齢制限の問題、これにつきましても、いま先生指摘のように、沖繩につきましては雇用の機会の不足地域ということで全県これ指定されておりまして、年齢が一般のところに比べて年齢自体を落としているわけでございまして、これ以下に落とすことにつきましては、一方において中高年齢者というものの考え方を現在四十五歳で切っておりますが、その辺の施策との絡みとか、いろんな制度的な関連もございまして、なかなかむずかしい問題もございまして、少なくともいま申しましたように、沖繩については地域を押さえて、そういう年齢を下げて一般のところよりも延長制度に乗りやすいかっこうにしているという対策は現在とっているわけであります。  それから、雇用促進助成金の問題でございますけれども、これにつきましては、先ほどお話ししました中高年の雇用開発給付金とほぼ同様の制度でございますので、そちらの方を活用すれば、この助成金制度というものの適用がなくてもそう大きな支障はないんじゃなかろうか、むしろ中高年雇用開発給付金の方が訓練に乗る乗らないにかかわらず適用になるという意味では、むしろ広い面を持っているわけであります。ただし、年齢が今度中間、制限受けるという点がございますけれども、やはり現在の問題は年輩者のところにあるという点は、沖繩においても、もちろん沖繩の場合に若年失業者がございますけれども、これはまた別の要因があるわけでございますので、そういう面から見まして、いまの雇用開発給付金の適用によって雇用促進助成金制度というものはほとんどカバーできるのじゃないかなというふうに考えている次第でございます。
  198. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 申し上げるまでもないことでございますが、いわゆる高齢者社会に入った日本雇用政策は、沖繩を含めまして中高年齢者の雇用対策ということが私は非常に大切な雇用政策の柱になっておると思うんであります。そういう面において、先ほど指摘がございました中高年齢者の雇用開発給付金の取り扱いの問題、これは制度がこれから発足するわけでございまして、その運用の状況を見ていろいろ御指摘の点も踏まえ検討をさしていただきたいと、このように思います。同時に、私はやはりこれからの雇用政策というのは、特に特定不況業種離職者並びに駐留軍離職者、こういったことをいろいろ考えますと、やはり再就職の道は職業訓練と結びつかなきゃならないと、このように思うわけでございまして、いずれ御審議を願う職業訓練法の改正という、こういったことと相まって、そしてひとつ再就職の道へ職業訓練の方からもバックアップしていくということを積極的にやっていきたいと、このように考えるわけでございます。
  199. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。     —————————————
  200. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。  亀長友義君が委員辞任され、その補欠として成相善十君が選任されました。     —————————————
  201. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 下村君。
  202. 下村泰

    ○下村泰君 私は在沖繩米軍駐留軍離職者のことにのみしぼってお話を伺ってみたいと思うんですが、三月に行われました参加兵力十万人余という史上最高の動員力だった米韓合同軍事演習、チームスピリット78という何か名前がついているんだそうですけれども、この終了段階で六月実施予定の在韓米地上軍の撤退に対応するため、アメリカ統合参謀本部は指揮系統を含めた太平洋米軍の再編を検討中と、これによりまして当然基地従業員解雇は必至という見方をされております。そして、沖繩の各報道機関はこれを全部取り上げまして、大量の解雇者が出るのではないかというふうにして戦々恐々という状態ですが、どのくらいの人員が整理されると判断していらっしゃいますか、施設庁の側。
  203. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生の御指摘の点ですが、在韓米軍とのかかわり合いがあるかどうかちょっとわかりませんのですが、実は三月十日に在日米軍司令部から当庁に通報がございまして、その内容は、沖繩にあります陸軍の部隊の補給並びにサービス関係の基地管理権、これを他のユーザーでございます海兵隊ないしは空軍移管をしたいという申し入れがございました。これは五十一年度、本土を含めた陸軍の再編成ということで、ユーザーであります他軍、海軍とか、空軍に対します管理権移管というものが行われたわけでございますが、これとほぼ同一の内容のものでございます。これは三月十日に情報が入っております。その後、われわれとしましては基地従業員に対する影響が非常に大きくなるだろうというふうな想定のもとに、直ちに在日米軍司令部にも申し入れをし、雇用継続を図れというふうなことで申し入れをしております。さらにまた、具体的に、各軍に対します陸軍からの移管計画が具体化した都度、われわれに情報を出せということで要求をしておるわけでございますが、いまだに、まだ米軍の方は各軍との詰めが行われている状況でございまして、具体的な移管内容並びに従業員に対する影響につきましては、まだ通報がございません。  そこで先般、当庁におきましても、職員を沖繩に派遣いたしまして、在日米軍だけではどうもつまびらかでないということで、沖繩にあります三軍並びに領事館等につきましても交渉を行いまして、極力雇用の安定を図るように、もし縮小されるようなことがあれば、他の軍にある空きポストを使いまして、従業員継続雇用を図るようにということで申し入れをしている状況でございまして、いまだに、まだその内容につきましてつまびらかにされていないのが残念な次第でございます。
  204. 下村泰

    ○下村泰君 沖繩県の渉外部の方でまとめられたらしいんですけれども、五十三年十月十日発表移管対象陸軍施設にかかわる従業員数というんです。これを見てみますと、施設名、従業員数、これは大体これぐらいは切られるであろうという従業員数なんですけれどもね、憲兵隊司令官事務所が七十七名、憲兵司令官室(司令官付き)が八名、車両提供運転手訓練試験課というのが一、補給支援サプライセンター、これは販売課となっておりますがここが十七名、郵便業務が十七名、車両登録業者(六名は憲兵隊に含まれている)、キャンプズケランまとめて五十三人、それから知花弾薬庫三百二十九人、FBIS瀬名波が五十四、那覇冷凍倉庫はゼロになっております。奥間レストセンターが三十八人、食糧支援課が八十五人、獣医課が十人、消防課牧港が三十人、消防課那覇港湾が二十、計七百三十九人と、こういうふうになっていますけれども、しかしこれはあくまでも一番ぎりぎりの線で、これだけは確実にいくだろうというのがこの渉外部の方の推計なんだそうで、実際ははるかにこれを上回るだろうと言われているんですけれども施設庁の方の見方は、どういうふうに見ていますか。
  205. 菊池久

    政府委員菊池久君) ただいまの先生の御指摘された点につきましては、まだ私どもには情報が入っておりませんのですが、沖繩県といたしましても、沖繩にあります基地に勤務いたします従業員の数が八千名を超えるというふうな状況でございます。そのうちに、陸軍の機関に勤務する従業員は二千四百名おるわけでございます。特に、この前の三月十日の米側通報によります牧港補給施設というのがございますが、ここは千九百名の従業員がおりまして、そのうち、陸軍の関係の従業員がほぼ千四百名おるわけでございます。そういう点を踏まえまして、各施設におります陸軍部隊の勤務者、従業員につきまして、各施設には何名おる、ここには何名おるということで、われわれとしましても大変心配をしておるという状況でございまして、沖繩県御当局も、恐らくその辺の数字から、こういう陸軍の従業員に対する影響が出てくるだろうというふうなことでお話があるんではないかと、こう考えておるわけであります。したがいまして、米軍の方に対しましては、全体がどうなるということではなくて、各部分部分で判名次第、われわれの方に事前内容通報するように、連日交渉している状況でございます。
  206. 下村泰

    ○下村泰君 このファクトシートというのは、これはそちらにありますか。——ああそうですか。それじゃ、これ読む必要ありませんな。ただ、この中に、われわれ普通の感覚の持ち主というと、いわゆる庶民ですな。ものすごくこれ一方的で、腹立たしいやら、ドタマへ来るやら、まことにどうにもならない、これを読むと。こういうことを書いてあるんですね。「支援責任の整理統合は継続的に一九七八年末まで行われます。主要業務は米国陸軍から他の米軍移管されます。然し、予定されている整理統合の結果、施設を日本政府へ返還することはいたしません。」。まことにずうずうしいというか、これ「いたしません。」とはっきり言うておるんですね。そうすると、返してちょうだいとは言いにくいわけですな、これは。ところが、実際に、これは渉外労務管理沖繩県の渉外部がまとめた御本なんですね。ここに地図があるんです。この地図を見ながらお話を聞いたんですよ、県の方に。ずいぶん使ってないところがあるんですね。使っているところはむやみやたらに使っている。ところが、使ってないところも大分ある、こういうこと。この間も労働大臣に私お願いしたと思いますけれども、那覇の空港に着いて、そうして那覇の市街地に入るときに、あの左側にずっと空き地がある。空き地と言ったって、こっちから見れば空き地なんですよ。向こうは使っているんですからね。しかし、そこは何のことはない、廃品置き場みたいなもので、いまでは全然使用されない上陸用舟艇で、いまあんなものは使いませんでしょう。向こうの訓練のニュースのフィルムなんぞを見ても、実に近代的で、中からタンク出てくるわ、いろんなものが出てくるわ、まるで玉手箱みたいな上陸用舟艇が出てくる。いまのあそこに置いてある上陸用舟艇なんていうのは、あれは恐らく渡河作戦か何かですな。いわゆるシナ事変という言葉を使ってはいけないんですか、中華事変ですか、その当時のウースンクリークの渡河作戦に使うような、あのころはドラムかんを並べておったんですが、私も実際にやってきたんですけれども、そんなものにしか使いません、あそこにあるものは。そうすると、ほとんどあれは空き地ですわね。あんなものが、あんた、返してくださいぐらいのことがどうして言えないのか、私は不思議な感覚がする。  先ほど労働省の方がお答えになっていらっしゃいましたけれども、地場産業の振興がどうのこうのと言いますけれども、何か物を建てたくたって土地もないわけでしょう、いま。この間もお話ししましたけれども、いいところは全部向こう様が使って、われわれの方はすみっこに追いやられておるわけですよ。こんな状況ではどうにもならない。しかも、あちらさんははっきりこう言うておるんですからね。こういうことに対する施設庁の折衝というのはどの程度に行われ、どの程度に向こう側に受け入れられるのか、聞かしてください。
  207. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生の御指摘の点でございますが、実はファクトシートに書かれております三月十日の米軍の陸軍の管理権移管の問題との関連でございますけれども、これは、陸軍からたとえば海兵隊移管を受けるということでございまして、その場合に、管理並びにサービス関係の主体を他の軍隊に移すということでございますので、いわゆる管理権移管することによって米軍のたとえば海兵隊なりほかの部隊が使っている施設が必要がなくなるということではないというふうに解釈しているわけでございます。もちろん、そういう基地が不要になった場合には、申すまでもなく、地位協定の第二条第三項によりまして、米軍も不要になった場合には返すことに同意しますということを申し立てておるわけでございますので、そういう米軍が使用の目的を必要がなくなったという趣旨であります場合には、直ちに米軍に対しましてわが庁といたしましても返還の要求をするということでございます。  ただ、三月十日に発表になりました陸軍部隊の管理機能というものを他軍に移管するということは、施設を返還するということではなくて、補給サービス関係の主たるサービス部門を他の軍隊に移すということでございますので、施設の返還とは直接には関係ないというふうに考えておる次第でございます。
  208. 下村泰

    ○下村泰君 いや、そうじゃなくて、いままで施設庁として、たとえばここのところをこうしてほしいとか、ここのところは要らないんでしょうから返してくれとかどいうような交渉というのをしたことがあるんですか、そういうことがいままであったんですかということを私はお尋ねしておる。
  209. 菊池久

    政府委員菊池久君) 当庁といたしましては、従来から、先ほど申し上げました日米安保条約の目的を達成するために支障を及ぼさない範囲内で、基地周辺地域におきます開発計画等ございました場合には、その点を十分考慮いたしまして、施設区域の整理統合に努めてきたところでございます。たとえて申しますと、立川の返還等につきましては、まさに関東地区におきます空軍機能というものを集約するということで立川基地等を返還するということでございまして、特にこういう点につきましては鋭意努力している次第でございますが、さらに沖繩におきましては米軍施設区域は特に密度が高いと、先生指摘のとおりでございまして、返還の要望の強い施設区域につきましては整理統合を進めるようにいたしておりまして、これは十四回から十五回、十六回、安保協議委員会という討議機関がございますが、これを通じまして米軍との調整を図り、逐次施設の移設なり統合なりを図りまして、順次地元の要望に備えるように返還達成を図っていくということで努力しているところでございます。
  210. 下村泰

    ○下村泰君 さて、これは労働省の方になるんでしょうか。「解雇される日本従業員を援助する努力をいたします。在日米国陸軍は、離職者民間雇用を容易にするための職業訓練を目的とする日本政府の失業対策に協力します。」という、どんな協力の仕方するんですかね、これは。何かさっぱりわからぬです、これ。
  211. 菊池久

    政府委員菊池久君) 先生のファクトシートの中身でございますが、これは従来からもそうでございまして、これは協・契約の中身の達成をするために、防衛施設庁が予算を実現いたしまして対策を立てている内容でございますけれども、これは基地従業員が非常に不安定な立場に置かれているということから、勤務中に基地内施設の中で米軍の器材、器具等を借りまして、そこで有能な技術者等を呼びまして職業訓練を施すということ、それから基地の外におきましても訓練機関等に委託いたしまして、入校していただきまして、諸般の技術的な能力を付していただくというふうな離職対策訓練を実施している状況でございます。これは私どもとしましては多年からの施策の内容でございまして、大変現在受講者もふえまして、昨年度も二千名ほど受講しているという状況でございまして、この点につきましても米軍の各施設におきましても施設の提供、器材、器具類の無償貸与という点につきましての協力を得ている状況でございます。
  212. 下村泰

    ○下村泰君 片方ではこういういろいろな悩みがあるのに、けさのこれ新聞を拝見しますと、園田外務大臣と金丸防衛庁長官がお話し合いになったんだそうですけれどもね、「将来に向けての人件費問題とは別に、施設庁は一例として沖繩だけで三千戸、全国で五−七千戸に達するという米軍下士官の基地外居住に対し、基地内への新築移住が可能かどうか、新たな施設提供案を検討し始めた。同庁の概算では三カ年計画で約二百億円の規模になるといわれる。」これは本当なんですか。
  213. 菊池久

    政府委員菊池久君) ただいまの点につきましては、私ども実は担当ではございませんけれども、うちの長官からも、大臣からもそういう話が米軍からあるということはまだ聞いておりません。
  214. 下村泰

    ○下村泰君 まあここに出る以上は、新聞記者だってこんなもの、うそ書くはずはないんだから、それ相当の感触つかんでいるんだろうと思いますけれどもね、こういう記事の一方でこういうふうな討議をしている。私はものすごく矛盾感じるんですね。なぜもう少し本当に親身になってこういう方々の問題が検討されないか。立場が変わるとすぐにそれは関係ない、これは私らのあずかり知らぬところである、担当ではない。すべてこれが逃げ口上みたいな感じがするんです。事実、福田総理大臣がいろいろと整理統合をするなどとおっしゃると、皆さんそれぞれ反発し合って、大した結果も得られなかった。この間は厚生省の援護局ですか、そこの調査課というのが整理されるとかされないとかいうと、皆さんはそれぞれ各先生方に陳情なさるし、またそれがここの委員会でも討議されるというふうに大騒ぎになる。ところが駐留軍のこういう方々というのは一人一人が非常に弱い立場ですね。皆様方のように何か大騒ぎして相手つっついてすぐやれるという状態じゃないんです。一つの大きなシステムの中に入っている人でさえも、一つその課がなくなるというと大騒ぎをなさる。こういう方々はそれこそ、何か書類を出してこういうふうにすればこういう好結果が得られるんだよと言われたって、その手続方法も知らないような方々ばかりなんです。ものすごく生活不安を感じてることは事実だと思いますけれどもね。少なくとも、もちろん施設庁もおやりになっているんでしょう、こういう方々が特殊技能がなくても、こちらの方からこちらの方へ職場を転換するだけで、何とかひとつ雇用してくださいということは米軍の方にも私は申し上げていると思います。それだけの努力はなさっていると思います。ただ、労働大臣にお伺いして——私はもちろんほかの方々もたくさんいろんな御質問なさっていますから重複するといけませんので、労働大臣、一つお伺いしますが、こういう法案ができていろいろ改正をしたりなんかします。しかし、それでもなおなお足りないところがたくさんございます。一体、こういう方々を本当に大臣は、自分が労働大臣の間にこういう人たちをどういうふうにして救済したら一番いいのかという考えをお持ちだろうと思うんですが、そのお気持ちをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  215. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) まず、大前提といたしましては、やはり駐留軍労働者というのは政府の方が雇用者でございますから、その雇用者としての責任の果たせるように、施設庁がまず窓口でありますが、われわれはやはりその人たち雇用の安定、生活確保、こういったことについて万全の配慮をしていく、そしてこの具体的な施策については、将来、いろいろ質疑応答の中で政府答弁いたしたようなわけでございまして、そういったことをやりながら、特にまた沖繩の土地柄、特殊性、こういったいろんな問題がございます。やはり、何といっても基本は沖繩の産業開発ということが、これが背後になければならぬわけでございますから、そういうものを勘案しながら、また同時に、本土復帰まだ日が浅いという、こういう状況もございまして、若い人を求める求人は、むしろ沖繩事情から言いますと求職よりも求人の方が多いという、こういうこともございますから、できるだけ職業安定所の求人説明会、こういったものを若い人たちを中心にひとつ本土に大いに来てもらうようにやっていく、このようなもろもろのきめの細かい就職あっせんをやって、そして私はできるだけの雇用確保に尽くしたいと、このように考えているわけでございます。
  216. 下村泰

    ○下村泰君 私、この問題実は質問するのにものすごく何か自分自身で矛盾を感じるんですね。駐留軍離職者の問題ということを一生懸命やりますと、何のことはない米軍基地の反対している反面、じゃ米軍基地日本にあることを肯定しなきゃならぬことですよね。だから、これ臨時措置法案を「臨時」という名前が入っているんじゃないかと思うんですけれども、おかしいな、基地はない方がいいのにと思いながら、またその基地の中で働いていらっしゃる方々の雇用考えなきゃならない、一体わしは何を質問するんかいなと自分で考えてみたんですよ。そうしたら、一つその矛盾をなくす方法が見つかった。これはもう大臣聞き流すだけで結構ですけれども、つまり基地従業員が首を切られるたんびに基地を返還してもらうんですね、働く人間が要らないんですから。働く人間が要らないということは働く場所も要らないんだと私は判断したい。二千人首を切ったら二千坪返してもらうというようなことを考えて、ああこれならば矛盾は感じないなと、これは私らしい考えなんでございますけれどもお許し願いたいと思いますけれども、こういったように、聞いている私も疑問を感じる。恐らく、大臣も施設庁の皆さんも全部がそういったような疑問を感じながらやっているんではないかと思うんです。しかし、そういうところにいま日本全体が置かれている微妙な立場があると、これも解釈をせなければなりません。というようなことで、いろいろお苦しみの点はございましょうけれども、ひとつ誠心誠意施設庁の皆さんもがんばっていただきたいと思います。労働大臣もよろしくお願いいたします。  終わります。
  217. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  219. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、片山君から発言を求められておりますのでこれを許します。片山君。
  220. 片山甚市

    片山甚市君 ただいま可決されました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブの共同提案による附帯決議案提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。     駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について努力すべきである。  一、円高・ドル安情勢から、米軍労務関係予算の不足を理由とした人員整理労働条件の切下げ等が危ぐされるので、従業員雇用労働条件確保について万全を期すること。  二、現在勤務している従業員解雇し、その業務を民間業者下請切替えを行わないよう最善の努力をすること。  三、従業員の年間雇用計画のは握に努め、人員整理が予想されるときは、九十日以上の予告期間の確保に最善を尽くし、事前に十分な調整を行い、極力整理者の減少を図るよう努めること。  四、駐留軍関係離職者等臨時措置法施行令第十条に基づく特別給付金の増額及び支給区分の拡大を図ること。  五、就職困難な中高年齢層が多い実情にあるので、再就職促進のため既設の援護措置の一層の充実と制度の効果的な運用を図ること。  六、沖繩県の厳しい雇用情勢に対応するため、離職者雇用機会を確保するための対策の効果的な実施を図ること。   右決議する。  以上でございます。
  221. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  222. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、片山提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。藤井労働大臣。
  223. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、関係各省庁とも協議の上措置いたしたいと存じます。
  224. 和田静夫

    委員長和田静夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。    午後三時四十四分休憩     —————————————    午後三時四十七分開会
  226. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 社会労働委員会を再開いたします。  職業訓練法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより政府から趣旨説明を聴取いたします。藤井労働大臣。
  227. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) ただいま議題となりました職業訓練法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  職業訓練法は昭和三十三年に制定され、その後、昭和四十四年に、当時深刻となっていた技能労働者不足に対処するため全面的に改正されて現在に至っております。この間、技能労働者の養成及び技能検定を通じて、労働者の職業の安定と産業の振興に努めてきたのであります。  しかしながら、最近における職業訓練を取り巻く社会経済情勢は、昭和四十年代前半とは著しく変貌しており、職業訓練制度は、雇用情勢及び産業構造の変化、年齢、学歴及び職業別の就業者の構成割合の変化等に対応した新たな役割りを果たすことが求められるようになっております。  すなわち、職業訓練は、労働者の職業生涯の各段階において適時適切に行われることが一層重要となっており、特に、離転職者の再就職等のための職業訓練の機動的な実施及び中高年齢者の職業の安定のための職業訓練の拡充は喫緊の課題となっております。また、養成訓練についても、今後必要とされる技能の高度化に見合って、その質的向上を図ることが必要となっております。  このような課題にこたえ、今後における産業経済社会の質的転換に対応するための職業訓練制度の整備は急務であります。  これらにかんがみ、民間、公共一体となった幅広い機動的な職業訓練の実施体制の確立を図り、生涯訓練、生涯技能評価体系の理念の達成を推進すべく、公共職業訓練の整備、民間における職業訓練の振興並びに職業訓練及び技能検定の推進を目的とする団体の育成のための措置を中心として職業訓練法を改正することとし、ここに職業訓練法の一部を改正する法律案として提案いたした次第であります。  次にその内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、職業訓練及び技能検定の基本理念である生涯訓練、生涯技能評価を目標とする旨を明確に規定するとともに、労働者は、養成訓練、向上訓練及び能力再開発訓練その他多様な職業訓練を受けることができるように配慮されるものであることを明らかにいたしております。  また、職業訓練の実施体制について、事業主は、その雇用する労働者に対する必要な職業訓練の実施等に努めるべきものとし、国及び都道府県は、事業主等の行う職業訓練の振興及びその内容の充実を図るように努めるとともに、離転職者等に対する職業訓練その他必要とされる職業訓練の実施に努めなければならないものといたしております。  第二に、国及び都道府県が行う職業訓練について、離転職者に対する職業訓練を機動的に実施するため、必要に応じ、他の適切な施設に訓練を委託することとするとともに、職業訓練の実施に当たっては、関係地域における労働者の職業の安定及び産業の振興に資するよう十分配慮するものといたしております。  第三に、職業訓練施設について、現行職業訓練法による専修職業訓練校及び高等職業訓練校の区分をやめ、ともに、職業訓練校として、名称を統一しその質的向上を図るほか、職業訓練施設のそれぞれの役割り及び設置主体の分担を整備いたしております。また、現在雇用促進事業団が設置している高等職業訓練校については、関係地域の事情考慮しつつ、技能開発センターまたは職業訓練短期大学校へ転換させるよう努めることにより、離転職者及び中高年齢者に対する職業訓練の拡充並びに今後必要となる高度の技能労働者の養成のための施設の整備を図ることといたしております。  第四に、事業主等の行う職業訓練に対する援助等を強化するため、国は、職業訓練に関する調査・研究及び情報の収集・整理を行い、事業主等の利用に供するように努めるものとし、国及び都道府県は、事業主等に対し、認定職業訓練以外の職業訓練についても広く援助を行うように努めなければならないものといたしておりますほか、事業主等に対する助成等についても明確に規定することといたしております。  第五に、現行職業訓練法による職業訓練法人中央会及び中央技能検定協会、都道府県の職業訓練法人連合会及び技能検定協会をそれぞれ統合強化し、民間による職業訓練及び技能検定の推進のための中核的団体として、中央及び地方の職業能力開発協会を設立することといたしております。  その他、単一等級技能検定の導入及び技能検定委員の地位について所要の規定を設ける等の改正を行うことといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  228. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 以上をもって、趣旨説明の聴取は終わりました。  本案の自後の審査は後日に譲ります。  本日は、これにて散会といたしますが、理事会の御協議によりまして、明二十一日午後一時、社会労働委員打合会を開会し、医療保険制度の改正に関する件について、厚生省当局から説明を聴取することといたしました。委員各位の御出席をお願いいたします。  散会いたします。    午後三時五十四分散会      —————・—————