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1978-04-13 第84回国会 参議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十三日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  四月十二日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     熊谷太三郎君  四月十三日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     伊江 朝雄君      熊谷太三郎君     田原 武雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 佐々木 満君                 片山 甚市君                 小平 芳平君     委 員                 浅野  拡君                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 上原 正吉君                 遠藤 政夫君                 斎藤 十朗君                 田原 武雄君                 福島 茂夫君                 森下  泰君                 高杉 廸忠君                 広田 幸一君                 安恒 良一君                 渡部 通子君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    国務大臣        労 働 大 臣  藤井 勝志君    政府委員        労働大臣官房審        議官       谷口 隆志君        労働省労働基準        局長       桑原 敬一君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    矢澤富太郎君        大蔵省銀行局企        画官       野田  実君        郵政省貯金局第        一業務課長    森本 哲夫君        労働省労働基準        局賃金福祉部長  森  英良君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日、玉置和郎君が委員辞任され、その補欠として熊谷太三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 安恒良一

    安恒良一君 財形法に関しての関連質問をしたいと思いますが、すでに同僚委員が二人質問をされていますから、できるだけそれとの重複を避けながら、少し問題点をお聞きをしてみたいと思います。  まず第一に、私は、どうも財形法というのは、名前が示すように、本当に、勤労者自主的努力、それに国や事業主の援助のもとに、財産形成法になっているかというと、制度発足、日が浅いというものの、むしろ、いわばマル優の枠を拡大した勤労者貯蓄法のようなことに現実がなっているということを実は大変遺憾に思います。そこで、少しでも名前が示すような財形法改正をしていかなきゃならぬと思うんでありますが、これは高杉委員広田委員も言いましたように、残念ながら今回の改正もその点についてはきわめて不十分なところがあります。そういう状況の中で、ひとつ私は、この持家政策を進めるに当たって、日本勤労者住宅協会が果たしている役割り、もしくはこれから果たさなきゃならぬ役割りということは非常に重要だと思います。このことについて、いわゆる財形法審議関連しまして、財形制度のうち、特に持家分譲融資制度における日本勤労者住宅協会の位置づけについて質問をしたいと思います。  御承知のように、この制度というのは昭和四十六年発足をいたしまして、財産貯蓄資金の一部を勤労者へ還元させる制度として財形制度の主要な柱をなしております。財形貯蓄を一定期間行った勤労者に対して、財形貯蓄原資とする雇用促進事業団融資つき住宅建設分譲をするというのがこの制度内容であることは皆さん承知のとおりであります。そこで、この分譲融資制度を利用して勤労者財形住宅建設分譲を行う主体としましては、財形法の第九条の第一号で事業主及び事業主団体。同じく第二号で日本勤労者住宅協会指定をしています。この財形法の柱がこの制度の活用を、第一に事業主に期待しつつも同時に勤住協指定したのは、私は、次のような理由があったからだというふうに思います。  個別事業主が何らかの理由によりこの制度を活用しない、あるいはできない、その事業所に働く勤労者は、財形貯蓄を行っているにもかかわらず、財形住宅分譲は受けられないことになります。せっかくの制度も死んでしまう。そこで、このような事業主にかわって公的な機関、直接勤労者財形住宅建設分譲をすることによってこのことを解決を図ろう、こういうことだと思うのであります、勤住協はこのようにして財形法上の指定が取れたと私は思うわけです。私も、実は、議員になる前に勤住協の理事を非常勤でありますが十年しておりまして、その経過を承知をしているところであります。したがって、ここ二、三年の状況を見ますと、当初心配されたのが現実数字になっています。昭和五十三年一月現在で、建設された財形住宅は五カ年間の累計で約四千戸、貸付額三百億ときわめて低調であります。しかも、勤住協建設分譲した財形住宅はこのうち二〇%弱ということで、これまた大変低調であります。勤住協自体努力もしなきゃならぬと思いますが、このような低調な状況としましては、前回の審議の中でも挙げられましたように、一つは、石油ショック以後の経済低迷にあえいでいる。ですから、事業主住宅建設分譲を行うという、事業主に期待することがむずかしい、こういう状況が現在できていると思います。そこで、こういうときこそさらに重要になるのは、事業主補完する目的で指定された勤住協が十分にその機能を果たして、労働者持家政策というものを進めていかなければならぬというふうに私は考えるものであります。ですから、この法の趣旨によりますと、勤住協事業主ができないようなときにはこれを補完をしていく、こういうふうなことだと思いますが、すべての扱いが、率直に申し上げて、事業主勤住協が同列に置いてあるのであります。私は、個別事業主建設できない場合には、特殊法人である勤住協肩がわりをして、この制度の円滑な運営ができるようにしなけりゃならぬというふうに思うのであります。ところが、現行制度というのは、御承知のように、事業団融資金利がわずかに勤住協が有利ということで、そのほかにはほとんど特別な優遇措置というものは何も設けられていないのであります。でありますから、今日のような厳しい状況の中で、勤住協補完をしようと考えても、なかなか補完がしにくいというのが現状であります。  そこで、私は、政策の中に位置づけられた特殊法人として、他の制度にも例の見ないほど優遇措置が少ない団体であるというふうに勤住協考えるのでありますが、私は、今回の改正案勤住協公務員等への財形住宅分譲ができる措置がとられておりますが、この実現方とあわせて、特殊法人である日本勤労者住宅協会財形法の本来の使命が全うできるように、抜本的な対策を講ずる必要があるというふうに考えますが、この点については大臣いかがなものでしょうか。
  5. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) ただいま御指摘のように、財形融資によって勤労者住宅取得促進するという面において、勤住協の果たす役割りというのは私は大変大切だと思います。御指摘のように理解いたしておるわけでございまして、今後勤労者持家住宅促進を進める上において勤住協役割り、その位置づけ、こういう面については十分検討しなければならぬと、このように思うわけでございまして、この点につきましては財形審議会の場においてひとつ十分検討していただいて、そして御指摘のような線に内容を整備していくということを考えたいと、このように思うわけでございます。
  6. 安恒良一

    安恒良一君 大臣から前向きの答弁をいただきましたから、できるだけ速やかに財形審議会の中で、私は今日のような情勢になればなるほど勤住協がいわゆるこの分譲住宅建設に努めなければならぬと思いますから、それがための位置づけ、さらに勤住協に対する優遇措置、こういうような問題について、ぜひ財形審議会の中で速やかに結論を出していただきますことをお願いをしておきたいと思うわけであります。  そこで、この問題についてもすでに同僚委員からも質問がありましたが、私は勤住協に関することの一つとしまして、融資率引き下げであります。これは現行五・五%でありますが、御承知のように昨今のように相次ぐ金利引き下げになっています。そうなりますと、現行勤住協融資率五・五%というのがかなり魅力を失ってくるというふうに私は思います。そこで、購入者返済負担額を軽減するためにも、私は融資率を年五%以下にしていただきたいというふうに考えておりますが、大臣、この問題の方向でひとつ御努力はしていただけるのかどうか。これは住宅金融公庫貸付金利も下げる方向でいま検討されていると、こういうふうに聞いておりますから、ぜひとも融資金利引き下げについて大臣のお考え方をひとつ明確にしていただきたい。これは勤住協の五・五%の問題です。
  7. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘の点、これまた財形審議会で十分検討していただくことにいたしたいと思います。
  8. 安恒良一

    安恒良一君 それから、時間がございませんから項目だけを読み上げておきたいと思いますが、これは何も法改正じゃなくて事務的に、雇用促進事業団勤住協、もしくは労働省勤住協の間において、私は勤住協労働者住宅を建てるにやりやすい方向でできる項目が数項目ございますから、中身を一々申し上げません、これは時間がありません。項目だけを申し上げておきますと、土地取得に係る融資基準単価地域ランク引き上げの問題、それから分割資金交付に伴う担保の提供の問題、それから財形住宅購入者所有権共有登記の問題、それから旧債務弁済資金融資に係るただし書きの延長の問題、それから住宅貯蓄控除制度における融資範囲について、それから事業団融資借入申込申請に係る名義人の件について等々は、率直に言ってこれは事務的に、いま申し上げたように勤住協労働省ないし雇用促進事業団との間に実施できることでありますから、いまここで大臣関係局長にその中身を細かく申し上げ、またその理由を一々申し上げますと時間が足りませんから、すでに事務的には連絡をしておりますので、こういうことについてもひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  9. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御趣旨に沿うて関係事務当局に検討をさせます。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、これからの問題につきましても、すでに大臣から関係事務当局に検討させるということでありますので、私はぜひ前向きに事務的に進めていただきまして、一戸でも住宅建設ができるように措置をしていただきたい、このように思うものであります。  そこで、次に問題を進めていきたいと思いますが、きょうは建設省もお見えになっていると思いますから、私は住宅問題全体とこの財形との関係について少し質問をしてみたいと思いますが、すでに成立しました五十二年度予算目玉住宅だと言われてます。確かに、もろもろの施策が取り入れられたことは事実であります。第一は住宅ローンの減税の実施。第二は住宅金融公庫融資枠の大幅拡大融資限度引き上げ。この数字はすでに同僚委員がこの前質問をしたところだと思いますし、たとえば個人向けが、五十二年度が二十四万四千戸が五十三年度が四十万戸と、こういうふうになっている。それから三番目は、住宅ローン現金返済分の一年の凍結、こういうことになってます。こういう措置が私は個人住宅建設の刺激になることは確かだろうと思います。  そこで、まずお聞きをしたいんですが、これらの住宅建設の具体的な見通しについて、ひとつ住宅局長見えになっていると思いますが、果たして、これだけ優遇措置をしたんだから大丈夫だと、こういうふうに、特に個人向け住宅建設ということが、ことしはこれが景気浮揚目玉にされているわけですから、果たして十分いけるのであろうかどうかと、こういうことについてちょっとお聞きをしたいと思います。
  11. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 先生ただいま御指摘いただきました、いろんな持ち家が持ちやすいような改善措置を行ったわけでございます。したがいまして、私どもいろんな試算をやっておりますが、来年、五十三年度のいわゆる着工戸数、これを約百六十万戸程度というように踏んでおりまして、五十二年度の実績、これは見込みでございますが、約百五十万戸に対しましてある程度伸びるというように感じております。そういたしまして、いわゆる七%経済成長に合わせました名目で、一三・六%の民間住宅投資が達成できるというように考えている次第でございます。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 私は、どうも数字の上ではそういうふうになると思いますが、衆議院においても本法案審議のときにも問題になりましたように、当初建設省がお考えになっておったのは、個人向けは二十六万八千戸ぐらいの要求だったと聞いておる。ところが、いわゆるどうしても経済成長七%ということの中から、その目玉住宅が置かれて一挙四十万戸というふうに大蔵折衝の過程の中で、いわば建設省の方もあけてびっくり玉手箱とか、総理から建設大臣にいろいろ、何も住宅だけでありませんが、君、げっぷは出やしないかと、心配はないかと、こんなことが当時新聞に書かれたような状態にあるわけですね。そこで、住宅局長はまあ間違いないと言われる。私は次のような点がありはしないかと思うんですが、この点はどうお考えになりますか。住宅問題というのはインセンティブをつけるだけで事足りるということではないと思います。まず、住宅ローンを借りますと、明確な返済見通しがないとできないのであります。いいですね、明確な返済見通しが。今日不確実性という言葉が日常的に使われておりますが、御承知のようにたとえばいまことしの春闘山場を迎えてますけれども、大体回答状況が四・四、五%とかそんな低い回答状況なんですね。ですから、私は今日のような経済が落ち込んでいる、賃上げも十分なされない、もしくは高度経済成長政策のときにはかなり賃上げがされる。さらに、残業等があって住宅ローンを借りても返済ができるという自信がある程度勤労者にはあった。ところが、今日ではそれがないわけですね。そういうときに、いわゆる返済問題を考えないで、ただ単に、このような優遇措置をしたからということで勤労者の個人的な住宅建設ができるだろうか。私は、それはなかなかむずかしいのじゃないか。たとえば、返済は絶対大丈夫だと、こういうような人は公庫よりもはるかに低利で借りられる企業内制度があるわけですから、返済が絶対に大丈夫だ。ですから、そういう限りにおいて、いま住宅局長がおっしゃいましたように、数字の上ではそういうことだろうと思いますが、果たして私はいま申し上げたような、いわゆる明確な返済見通しが今日勤労者には立たない。こういう現状の中で、いま講じられましたような措置だけで住宅計画どおり進むというふうにお考えになっているのかどうか、そこのところの考え方を聞かしてください。
  13. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) もちろん、住宅建設促進にはそういったローンを借りた方が、返せる計画が立てられるかどうかということが非常に一番重要な問題だというふうに考えております。そういった意味から、先ほど先生指摘になりましたようないろんなそういったローンをお借りになった方々返済が楽になるような、いろんな施策を五十三年度においては講じたわけでございます。私ども統計上いろいろそういった状況を調べておりますが、確かに先生のおっしゃるように、こういった低成長経済になって、所得伸びが、見込みが少なくなってきているということはマイナス要因でございます。ところが一方、土地価格あるいは住宅価格というものが建築費が最近二、三年非常に安定基調になっております。そういったことから、いろいろな計算の仕方があるわけでございますが、いわゆる所得住宅価格比率と申しますか、私ども住宅取得可能指数というような形でいろんな試算があるわけでございますが、これは最近二、三年非常に高まってきているというような私ども見方をしております。そういった結果、たとえば住宅金融公庫に申し込まれる方、この方々の平均的な所得と申しますか、これもどんどんどんどん下がってきておりますし、五十二年の第一回の申し込みでは第一分位、第二分位方々が四〇%を超すというような、そういった状態になっております。そういったことで、さらに五十三年度にそういった負担軽減措置をとることによりまして、私どもは十分従来よりも住宅建設促進されるというように考えている次第でございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 少し数字的にちょっとお聞きしたいんですが、勤労者平均所得の中で、こういう住宅返済に使われ得るという限度ですね、何%ぐらいと、いま今日現在でお考えになっておるか。それがここ数年来どういうふうに変わっているのか。もしくはこれからことし、来年を含めて変わっていこうとするのか、そこらについてちょっと聞かしてください。
  15. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 私ども勤労者方々が収入の中からいわゆる住宅ローン返済に充てるべき金は、比率は最高やはり二五%程度が適当であろうというように考えている次第でございます。  そういったことで、私ども住宅金融公庫のいろんな申込者方々に対しまして、いろいろ住宅金融公庫ローン以外のいろいろなローンも含めて、返済計画等もいろいろお聞きしているわけでございますが、おおむね大体二五%以内に現在のところ住宅金融公庫に申し込んだ方々については大体おさまっているというような感じを持っております。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 そこで私は、今日残念ながら勤労者持ち家を持つ、住宅を取得するのには経済情勢がきわめて悪化しているし、勤労者自体所得伸びというのが、ことしはこれからまだ春闘たけなわでありますからいま結論づけるわけにはいきませんけれども、なかなかいわゆる住宅ローンを借り、返済に回すというような所得伸びになっていないことは事実であります。そこで、こういうときこそ私はやはりいま一つ住宅金融公庫貸付金利ですね、これはどうしても財形との関連性があるわけですからそこで聞くわけですが、これだけ諸金利が引き下がっているというときに、私は住宅金融公庫貸付金利はやはり下げる、そのことがいまあなたが言われた一つ返済を可能にするということでありますが、これらの見通しについてお考えはどうですか。
  17. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 住宅金融公庫原資は、御承知のように財投資金でございます。したがいまして、財投資金金利のいかんによって決まるわけでございます。先般の経済対策閣僚会議におきまして、住宅金融公庫金利引き下げるという御決定はいただいております。ただ、その引き下げ幅それから時期等につきましては、そういった財投資金金利の動向によりまして、今後関係当局と折衝してまいりたいというように考えております。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 同じような答弁衆議院でもされているのですが、それはいつごろになるんでしょうか、大体結論が出るのは。もう予算は五十三年度は成立をして発足をしているわけですし、それから皆さん方としてはやはり公庫のいわゆる住宅融資の問題も始まるわけですから、その意味から言うと、いま言われたところのそれはいつごろ結論が出るつもりでしょうか。
  19. 救仁郷斉

    政府委員救仁郷斉君) 御承知のように財投資金資金源の大宗でございます郵便貯金金利がございます。これがいつごろ決まるかということによって決まるわけでございまして、私どもできるだけ早く決めていただきたいと考えておりますが、これは私どももいつということは現段階では申し上げられない状態でございます。ただ、関係当局との間で私ども住宅金融公庫の受け付けの開始をできるだけ早く四月中には当然やりたいと考えております。  その場合、それまでにもしそういった財投資金金利が決まらない場合でも、さかのぼって四月募集分から新しい金利を適用するというようなことで御了解を得ているところでございます。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、いまお聞きのような建設省とのやり取りをしたわけです。それは財形の方に関連があると思ってやったわけですが、そこで大臣、いま言われたように、ほぼ住宅金融公庫金利については大筋として引き下げるということは政府は決められていますし、私は郵便貯金結論も今月中には出るんじゃないか、もしくは来月早々には出るんじゃないか。そうしますと、住宅金融公庫の方は募集を開始すれば金利引き下げられればさかのぼってやる。こういうことでありますから、財形のいまさっき私が聞きました勤住協の五・五%、私はできれば五%程度に下げてもらいたいとこう思っておりますが、これは関連があることですから、住宅金融公庫金利引き下げと同時に、この財形における勤住協融資利率引き下げについては同時に努力していただけると、こういうふうに承って結構でしょうか。
  21. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御意見のとおりに御理解いただいて結構だと思います。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 次に、これは建設省にまたお聞きをしたいんですが、私はなぜ住宅が建たないかということについては、問題はやっぱり宅地供給だと思うんです、宅地供給。そこで、これは労働大臣建設省にお聞きしたいんですが、この前同僚委員労働大臣になぜ住宅が建たないかということの中において、労働大臣土地政策欠如ということを挙げられたわけです。まあ、これ私聞いておって、これは失礼なようですが、ちょっと評論家的に聞こえたんです。それはなぜかというと、労働大臣福田内閣重要閣僚の一人なんですから、土地政策欠如というのは福田内閣土地政策欠如なんです。そこで、私は労働大臣にひとつお聞きをしたいのは、労働者住宅を持ち得るような土地政策について、財形を担当されている主管大臣としてどういう具体案を、こういう土地政策をやれば労働者住宅が持ち得るんだと。御承知のように、いま大都会ではとても自分の事業所に一時間以内のところに土地を持つことは不可能なんです。そこで、一時間半とか二時間、そういうところを買いますと、当初建てておっても、毎日二時間通勤しますと往復四時間ですから、職場で八時間、もういやになるんですよ。そして、また都心に帰ってくるという現象すらいま出ているわけです。これはむだな投資になるわけです、ある程度。  ですから、この前同僚委員が聞いたときに、いやそれは土地政策が不足しているからだと^そこまで言われましたけれども、それでは私はお答えにならないと思うんです。ですから、労働大臣として財形法趣旨に基づいて労働者財産を形成させるための土地政策はこうあるべきだと、こういうことについてお考えをお持ちだろうと思うし、またそういう考えを持って皆さん方はそれぞれ建設省なり関係官庁、国土庁なりにこういうふうにしてもらいたいと、これがないとだめだと思うんです。それを、残念ながら同僚委員が時間の都合上聞かれなかったということ、私も聞いておって思いますから、そこのところを労働省にまずお聞きしたいと思います。
  23. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 私も現内閣の閣僚であり労働大臣であると同時に、国務大臣という立場で、単なる傍観者であり批判者であってはならないと、御指摘のとおりと思います。ただ、やはりそういう問題点を認識をして、そして努力するというのとそうでないのとはおのずからまた姿勢が違うと思います。私は、やはり何といってもこの持家住宅促進するためには一番大切な土台は土地政策である、同時にまた私は根本的には、土地というのはいわゆる国土であるという、こういう前提を政治的に受けとめておるわけでございまして、こういったことはなかなか一労働大臣が簡単に言ったところでそう解決のつく問題ではございませんけれども、私はそれこそ着実に前進的に粘り強く、そういう方向を目指して努力はいたしたい。そういう背景を踏まえながら、やはり何といっても公の機関で宅地の造成をしていくという、こういう政策を強力に展開をすべきである、このように思うわけでございまして、それと民間のいわゆる土地開発のためには、これを行う民間機関がやはり融資の面においても長期、低利資金が使えるように裏づげていくとか、そういうことによって、公的な機関でやる強力な宅地開発政策と、民間のやはり活力を生かした宅地開発ということによって宅地を積極的に供給していくという、こういう施策をとりあえず進めていく、こういうことを結びつけながら、やはり勤労者の持家住宅促進をやってく、このように思うわけでございまして、同時にもう一つ土地の利用を有効に使うという、足場のいいところでやはり平家とか二階程度ではだめでありますから、マンション方式による土地の有効利用を立体的に利用する、こういうことをやはり進めていくべきではないかと、このように思うわけでございます。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 私は、決して労働大臣土地政策に御認識をお持ちでないと、こういうことを申し上げたわけじゃありませんから、持たれていることは非常に結構でありますが、きょうはある程度三点ぐらい中身を言われましたけれども、私はいまお聞きをした限りにおいて、公的機関の宅地造成、まあ公的機関というのは恐らく国や地方自治体等も含めてのことだと思いますが、そういうものの宅地造成とか、それから民間のいわゆる造成ができるような具体的な低利、長期資金の貸し付けの拡大であるとか、さらに土地利用ということで言われた。まあ土地利用の場合に、私はやはりただ単に高層住宅を建てただけでは入ちないと思うんですね。諸外国で高層住宅になっているのは、土地と建物との間に十分な緑地帯がある。だから、庭付きの一戸住宅を持たなくてもやれるようなことになって、高層住宅が諸外国では建っていますから、そういういま全体的な国土の利用といいますか、開発といいますか、私はそういう問題も必要だろうと思う。ですから、ぜひ、まだそのほかにもあると思いますが、私は財形を主管として預かる労働省としても、そういう問題について財形審議会の中等においても必要なら十分議論をしていただいて、その問題を労働省の案としてやはり積極的に関係官庁に持ち込む、そしてそれを大臣が推進をする、こういう姿勢がぜひ必要なのですね。それを受けて、たとえば建設省がどうするとか、国土庁がどうするとか、予算全体の問題のときに大蔵省がどう考えると、こういう意欲的なお取り組みを願わないと、なかなか私は、建設省にこれから聞きますけれども、いろんな問題があって土地問題というのは解決しない。率直に申し上げて、戦後わが国の政治を、一時期を除いて全部自民党が担当してまいりました。その中の最大の失政の一つは、土地政策無放任ということだと思うんですね、土地政策無放任。これは自民党の最大の私は失政の一つだと思うんですが、そのことが今日の状況をつくり出していることは事実なんですから、そういう意味で、せめてこの財形問題についてぜひ労働大臣がそういう意欲を十分持っているということでありますから、なお、いま挙げられましたことのほかに、いわゆるこの宅地供給についてどうするのかということを、これまたひとつぜひ財形審議会等の中において、基本問題等の委員会も設けられているようでありますから、そういうところでもひとつ英知を働かせるようにしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  25. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘のとおりでございまして、私はこの財形持家政策の推進の大前提は、やはり土地政策だというふうに認識をいたしております。したがいまして、財形審議会においても労働省の立場においても積極的に問題提起をして、建設省を初め関係省庁と密接な連絡をとって、目的は勤労者の持家住宅制度が拡充強化されるように今後も引き続き努力いたしたいと、このように思います。   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
  26. 安恒良一

    安恒良一君 次に、建設省にお伺いしたいんですが、土地の重課税と特別土地保有税が緩和されることになりました。それは宅地供給促進がその名分とされています。実は、私は議員になる前に税制調査会の委員をしておりまして、私はこの土地重課税、特別土地保有税をつくるために税制調査会の委員として懸命な努力をした委員の一人であります。今回私は緩和されることはどうも大変遺憾に思っています。しかし、そのことはすでにそういうことで進んでおるわけで、そこで私はお聞きしたいんですが、これを行うことによって宅地供給促進されるとされていますが、どの程度この税制緩和によって今年度なり来年度なり、直ちに今年度全体がすぐ出てくるとは思いませんが、ここ一、二年こういう問題によって宅地供給が進むのかどうか。どの程度のことを、この税制を緩和することによって、土地の重価税と特別土地保有税、これが緩和されましたが、どの程度宅地供給されるというふうに計算されているのか、もしくはお考えをお持ちなのか、建設省から関係局長見えになっていると思いますから、これについてお聞かせを願いたい。
  27. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 住宅政策を推進するために、やはり重要なものは宅地供給対策であろうと思うわけでございます。今度の第三期住宅五カ年計画、五十一年から五十五年までの住宅建設計画八百六十万戸に匹敵する新規宅地所要量を、私ども六万六千ヘクタールとはじいておるわけでございます。六万六千ヘクタールといいますと、毎年少なくとも一万三、四千ヘクタールずつ供給しなければならないわけでございますが、昨今、四十七年をピークにいたしまして非常に減少傾向をたどっておりまして、この五十年、五十一年はほぼ一万ヘクタールぐらいでございます。その中でも特に住宅宅地需要が集中しております大都市地域におきまして、宅地の減少が非常に目立っておるわけで、その結果といたしまして御案内のように居住環境が劣悪であり、しかも都市防災上どうかと思われるいろいろな問題を含んでおりますところの小規模開発、いわゆるミニ開発というのが非常に進行をしているわけでございます。ただ、現在の第三期住宅五カ年計画に必要な六万六千ヘクタール、これの必要宅地というものは既存の代替宅地ストック、私どもは区画整理事業済みの土地とかあるいは公的、民間の宅地ストック等を計算いたしまして、ほぼまだ四万ヘクタールぐらいの宅地ストックがあると思います。したがいまして、第三期住宅五カ年計画に必要な宅地というのは私は十分間に合うだろうと思いますけれども、御案内のように用地買収から宅地造成して販売するまでには相当長期の時間を要する。ものによっては、規模が大きくなればなるほど十年、十五年、非常に資本を寝かせるいわゆる懐妊期間が長い、こういう状況でございます。先ほども労働大臣からお話しになりましたように、当面第三期住宅五カ年計画に必要な宅地は確保し得ても、長期的に見て昭和六十年あるいは六十五年という長期を見通した場合に、いまからやはりその必要な良質の宅地供給するということに基本的にひとつ取り組まなければいけない、こういうことでございます。  そこで、六十年、六十五年といいましても、基本になりますのは先ほど来御議論になりますように、やはり過大都市集中抑制をいたしまして地方定着を図る。三全総で政府が決定いたしましたような長期見通しに立った施策が必要でございますが、三全総の中でも昭和六十年、六十五年段階でやはり相当ふえる人口増の半分は、大都市で引き受けなければならない、こういうことになっている。私どもの計算でも昭和六十五年段階で、東京、大阪で少なくとも五万五千ヘクタールぐらいの市街地を形成せないかぬ。この五万五千ヘクタールといいますと、東京の二十三区に匹敵する土地であるわけです。これを一体だれが出すかという問題になりますと、いまお述べになりましたように公的開発、民間開発——開発主体はあるわけでございますけれども、何といいましてもやはり民間エネルギーに依存するということになろうかと思います。いままでの宅地供給量のシェアを考えてみますと、住宅公団とかあるいは宅地開発公団、供給公社といった公的開発の受け持つシェアというのは二割そこそこでございます。あとはほとんど民間に依存している、こういう状況でございますけれども、御案内のように非常に現在宅地供給諸条件というのは厳しい段階になっている。一つは、非常にこれは幸いなことでございますけれども、地価が安定基調にある。これは非常に結構なことでございますけれども、やっぱり宅地供給サイドから見ますと、素地が非常に高くなり過ぎております。したがって、素地と販売価格との間の差、いわゆる付加価値をつける部分が非常に狭ければ狭いほど、民間宅地開発業者というのは意欲を喪失するという問題がある。もう一つは、一番現在住宅宅地供給のネックになっておりますのは関連公共公益施設の負担と、こう言われているわけでございますが、販売価格に相当のウェートを占めているのがこの関公負担でございます。そういうことで、もう一つ問題になりますのは土地税制、おっしゃるように土地税制でございます。この現在の土地税制は四十八年の投機的な土地取引、それに伴うところの地価暴騰というものに対する抑制の歯どめとして土地税制が出てまいったわけでございますが、これがすっかり事業意欲を阻害する原因になったというような、いろいろのもろもろの要因があるわけでございますが、御指摘の問題の土地税制の緩和というお話が、一体どういう宅地供給役割りを持つかという問題になるわけでございますが、私ども今回の土地税制で実現した問題は、四十八年の投機的土地取引を抑制するという枠組みは堅持しながら、その中で優良宅地事業者に事業意欲を起こさせるという手直し程度に理解いたしておるわけでございます。中身につきましては適正利益率を適正価格、国土利用計画法の運用が定着いたしましたので、適正利益率という押さえ方でなくて、適正価格で押さえるという仕組みでございまして、土地投機取引の抑制の枠組みは堅持しつつやるということでございます。これによって、じゃ、具体的にどのくらい宅地供給されるかということは非常にむずかしい問題でございますけれども、いまいろいろ私が述べました中の非常に重要なファクターといたしまして、民間デベロッパーに事業意欲を起こさせる一つの要素だと思っておるわけでございまして、これによって私は相当の効果が発揮できる、このように考えておる次第でございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 私は土地重価税や特別土地保有税の緩和のよしあしをいまあなたと議論しているわけじゃないのですね。私が聞いたことは、いろいろ私自身は意見を持っている。しかし、これによってどの程度宅地供給されるというふうにお考えなのか。これはいわゆる公的な機関並びに民間のデベロッパーといいますか、民間の宅地供給業者、そのことをお聞きしたんですが、相当と言われるんですがね、問題はきょうは税制を議論しているわけじゃないんですから、ここはどうして宅地をたくさんつくって勤労者財形住宅を、持ち家をふやすかという、この土地をどうつくり出すかという議論ですから、相当程度ということじゃわからないわけですが、大体いまあなたがおっしゃったように、少なくとも税制の緩和ということについては、いろいろなサイドから出ましたけれども建設省サイドからも積極的に税調等にお話があり、今回の措置になったと思います。それがためには、ある程度数字的な根拠といいますか、そういうものについてもこの税制をこうすることによって大体民間開発者、公的機関等々でこのぐらいの土地がつくれる方向にいくのじゃないか、こういう試算はあったのじゃないでしょうか、それともないのでしょうか。
  29. 大富宏

    政府委員(大富宏君) これは全く事務技術的な試算でございます。現在、民間の不動産業者が市街化区域の中に持っている土地は二万四千ヘクタールと私ども計算いたしておりますが、この中で四十四年から四十六年までくらい比較的素地価格を安く入手した土地というものが約八千ヘクタールぐらいあろうかと思います。この部分が、企業意欲を喚起いたしますと、この部分が出てまいるだろうという感じがいたす次第でございます。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 いま、そこで出てきたんですがね、企業がなぜ土地を売らないかと言えば、いま地価が安定していますね、最近ちょっと上がり出しましたけれども。そこで、高値でつかんだ上にずっと今日まで金利が払われてきています。ですから、採算がとれる価格で売れなかったからでないだろうかと思うわけですね。そこで、じゃ土地税制のかんぬきが今度外されました。外されたから採算価格、いままであなたは適正と言われましたが、金利を払ってずっと持ちこたえてきたわけですから、私は採算価格というのはかなり高い価格で供給が開始されるんじゃないかという実は心配をする。そうすると、この心配は二つあるわけです。一つは、再び土地が騰貴に向かいやしないか。まあそのことよりも、きょうはそういう問題全体でなく土地供給問題でありますから、勤労者土地を取得をする、そして財形法に基づいて住宅建設に向かおう。このことについて、地価のいわゆる高騰ということになりますと、そのことが困難になるわけですね。ですから、今度せっかく融資限度額なんかが、たとえば財形法において三倍に引き上げられたわけです。三倍に引き上げられたんですが、ここで私は、いまもおっしゃったように、かなり企業が高値で土地をつかんでます。もしくは、高値でつかまないにしても、相当の長期間に金利を払って寝かしておったことは事実なんですからね。そうしますと、私は、地価が高騰する、こういうことになりますと、いわゆる融資限度額の引き上げ分なんか吹っ飛んでしまう、こういうことになりはしないか。だから、率直なことを言いますと、土地政策不在のままにいろいろなことをつける——ことしの予算目玉住宅だと、また、財形の方も融資限度等を引き上げて、そして労働者住宅を持てるようにすると、こういうことをされましても、地価の高騰という方向に行く、さらに宅地もなかなかできない、こういうことに今回の税制の改正というのはなりかねないと思います。  そこで、最終的にお聞きをまずしたいんですが、私は、やはりいまも申し上げたように、わが国における政治の大きい失敗は、土地に対する何らの規制がされてない。御承知のように、憲法によって、国民の個人の所有権、これは厳然と存しておりまして、侵すべきではないと思いますが、しかし、それはそれとしても、いまあなたは、数字の上では三全総とかいろんなことでこれぐらいの宅地供給をしなきゃならぬとか、できると言われてますけれども、私は土地政策について、もう遅いんですが、ここで思い切って考えなきゃならぬところに来ているんじゃないだろうか。たとえば、私が勉強しました限りにおいて、イギリスの土地政策というのは、わが国と同じように個人の所有権というものを認めながら、いわゆる土地を投機の材料に使う、土地の売り買いによって利潤を上げるなどということがほとんどできなくなっている。また、土地を取得する場合には国や地方自治体の優先権というのが明確にされている。こういう中で、イギリスにおいては、わが国のような土地問題の悩みというのがないわけなんです。調べてみましたら、国と地方自治体の法律でがんじがらめに、土地問題についてはいわゆる国民の土地として優先的に使えるような制度にかなりなっていると思うんですね。これはまあイギリスの例であります。ところが、残念ながら、日本においては、これだけ土地問題が言われても、いま言われたように、土地という問題は、なるほど個人の所有権は認める、しかしそれは国民のためにまず使われるんだと、そういう意欲的な問題がないわけなんです。その点については国土庁の関係もありますが、きょうは建設省から住宅局長計画局長に来ていただいているのは、そういうような土地政策に対して、具体的ないま私が申し上げたように規制をしていく、それがないと、ただ単にこれだけの土地が必要なんだと、また、できるだろうと、民間に任しておけばできるだろう——まあ労働大臣は、土地政策は公的にまず土地をつくることが必要だと言われている。しかし計画局長さんは、実際は公的でやれることは二割程度なんだと、ほとんどは民間がやっているんだと、こう言われているんですね。そうすると、いまのままで本当に土地問題というのが解決するだろうか。まあできればきょうは建設大臣に来てもらいたかったわけですが、ほかの審議会がありますから。私はもうこの際思い切って土地問題をどうするのかということについて、いろいろ諸外国の事例もあるわけです。先進資本主義諸国において、一番日本が土地問題についてはおくれている。これは何も私の指摘じゃありません。自民党の先生方も、みんなお聞きになってますが、ある程度肯定をされると思うんですね、率直なことを言って。そういう点について、建設省としてこの土地政策についてどういうふうに今後していこうとされているのか、そこの考え方をひとつぜひ聞かしていただきたい。
  31. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 土地政策に対する考え方をいろいろ御指摘いただいたわけでございますが、われわれ宅地供給を担当する者にとりまして一番重要な問題は、今後長期的な視点に立って、人口増に対して必要な宅地あるいは市街地をどう確保するかという問題でございます。現に、私は土地問題というのは都市計画いかんにも非常に重要な影響があると思いますけれども、必要量というのは、都市計画法で定めましたところの線引き、いわゆる市街化区域、市街化調整区域の線引きをいたしておるわけでございますが、市街化区域というのは御案内のとおり十年以内に優先的、計画的に開発するということになっておるわけでございます。ここの百二十万ヘクタールの市街化区域の中に、私が述べました少なくとも六十年、六十五年までに必要な量というものは土地があるわけでございます。現に三大都市に限定いたしましても十万ヘクタール程度のものがある。しかし、それを一体どうやって供給するかという問題でございまして、御指摘にもなりましたけれども、やはり現在必要なものは、地価が現在安定基調にございます。これはあくまでも堅持しなければならない。堅持いたすとすれば、やはり土地供給には相当の長い懐妊期間が要るものですから、公的機関、民間開発機関に低利の資金を確保するという施策がどうしても必要だということが一つと、もう一つは、やはり関連の公共公益施設、何といいましてもわが国は社会資本整備が行き届いておりません。少なくとも、市街化区域の根幹的な都市施設については、国とか地方公共団体が相当思い切って抜本的な施策をする、それによって供給される宅地も相当割安になるわけでございますから、官公について思い切った施策を講ずるということも大きい問題でございます。それと、お述べになりました税制、これも変に使いますと確かに土地暴騰のきっかけにもなりかねないわけでございますが、この辺はしかし土地計画的に出すに必要な土地税制という問題についても検討する必要があろう。こういうような施策を積み上げれば、土地政策に関する基本的な抜本的なというところまでいかなくても、現在われわれが持っている道具を地道に積み上げるだけでも、私は十分対処できるのじゃないかと思っておるわけでございます。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 いま言われたようなことも、私は土地政策上必要だということを否定いたしません。ただ、たとえばいまあなたが言われましたように、本当に建設省全体として、まああなたは担当局長ですから、たとえばいま土地供給するに当たってやはり環境整備が非常に必要なんだと、なかなか大規模開発ができないのは、大規模開発がされれば地方自治体がこうむる諸費用が非常に要するということで、むしろ大規模開発に地方自治体が遠慮したいというふうな状況があるわけですね。そうしますと、やはり国が思い切って、そういう大規模開発ができるような環境整備に財政の投資がされなければならぬ。  これまた有名な話になっておりますが、たとえば下水道の整備など、わが国は全国的には二〇%程度、先進ヨーロッパ諸国は七〇から八〇になっている。そこで、これも本当かうそか知りませんが、おたくの事務次官がことしの予算復活折衝のときに、一に道路、二に河川、三、四がなくて五が下水道と、こう言ってひんしゅくを買ったということが書いてあるわけですね、これは率直に言って。私はある物で読んだわけですが。どうもあなたが言われていることと建設省全体の——だから、きょうは建設大臣来てもらいたかったんですが、方針が本当にそういう方向に行っているのだろうかどうか。一に道だ、二に河川、三、四がなくて五が下水道だと、こう事務次官が言ったというんですからね、これ。そういうお考えで——まああなたはいまいろんなことを言われておりますが。  それからいま一つ、そのことはさておきましても、私はいま一つどうしてもあなたたちの土地政策で欠けているものは、やっぱり土地の利用の規制ということだと思うんですね。やはりこれをやらないと、わが国は自由主義経済であることは事実です。しかし、このことをもう考えなければ、いまあなたが言われたことだけで今後の土地問題が解決できるか、私は解決できないと。解決にはやはりどうしても土地利用の規制、個人の土地を持つ所有権の自由と土地利用の規制というものは別個のことなんです。しかもそれは、憲法にも何も違反することじゃないんです。諸外国で土地政策がうまくいっていることは、あなたが言われたような税制の面からあらゆることをやると同時に、やはり土地利用の規制といいますかね、そういうところにきちっとした施策があるから、私はある程度比較的土地問題というのが日本のような大きな悩みになっていないと思う。ですから私は、率直なことを言って土地利用の規制、たとえば土地を取得するときにその優先順位を地方自治体とか国がまず持つ、売り買いのときに。そういうような、そしてやはり公的にいま二〇%程度と言われていますが、今日のような情勢に、低経済成長になればなるほど、私は公的に土地をやはりつくっていく、そしてそれを国民に提供すると、労働大臣言われましたが、そういう方向が出てこないと、私は土地問題というのはただ単に税制の問題民間の開発者に対して長期低利融資、これも結構なことです、等々だけで土地が解決する……土地があることはあるわけですね、これは率直に言って。私は土地はないとは言っていない。問題は有効利用の問題ですから、ですからその意味について、土地の利用のいわゆる公的といいますか、国民本位といいますか、そういう規制について何らかの措置をもう講ずるところに今日来てるんじゃないかと、こういうふうに思いますが、まあこの点はちょっと計画局長住宅局長では荷が重た過ぎますかどうか知りませんが、どうでしょうか、そこのところは。
  33. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私は、わが国に土地利用規制の制度がないとは考えていないわけでございます。確かにいろいろ先進諸国の勉強もいたしておりますし、わが風土に適する土地利用規制をしつつ、国民の快適な生活環境をつくっていきたいということで、私どもはいろいろな努力をしているつもりでございます。先ほども述べましたけれども、やはり何といいましても住宅宅地問題というのは大都市問題でございます。やはり大都市におきまして、限られた公共投資を有効に使うということでありますと、どうしても市街化を促進すべきところと、やはり市街化を当分は抑制するところという、これも非常に大きい土地利用規制の問題だろうと思います。そこで市街化区域の中はさらに用途区分をやりまして、ここは住宅を建てるところ、ここは工業地域をつくるところという用途規制もやっておるわけで、それは御指摘のようにまだまだイギリス等から比べれば相当、あるいは西ドイツの詳細計画等から比べればまだ緩い規制でございますが、しかし、現在のこういった程度土地規制ですら十分にまだ行き届いてないいろいろな問題、そこにわれわれいろいろな悩みもあるわけでございます。それと何といいましても社会資本整備が先ほど事務次官の話ということが出ましたけれども、社会資本整備がゼロから始まった段階で、現在の百二十万ヘクタールの市街化区域の既成市街地——既成市街地と言えば社会資本整備の整ったところを言うわけでございますけれども、わが国の既成市街地は、下水にいたしましても街路にいたしましても河川改修にいたしましても、まだまだ新市街から何も変わらないところです。したがって、公共投資もほとんどが既成市街地に吸収されて、新市街化区域のところには公共投資が回らない。そこにいわゆる宅地開発の悩みも一つあるわけでございますので、私どもは今回五十三年度の施策といたしましても、やはり宅地供給に相当大きいウエートを占めておりますところの関連公共公益の負担というものを幾らかでも軽減をしたいということで、従来の施策とは別枠に住宅宅地促進の三百億の国費の新しい制度もつくった次第でございまして、御指摘のようにまだまだ私どものの努力が足りないと思いますけれども、今後大いに勉強したいと思います。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 私は政府の閣僚としては労働大臣しかお見えになってませんから、いま局長が言われましたように、私は西ドイツやイギリスに比べて、いわゆる土地の規制、公的利用と、こういうことが非常におくれていると思います、わが国は非常に。ただ全然努力はないとは言いません。私もこういう問題について長くある程度仕事をしておりましたものですから、その限りにおいて、私はやはりこの際ぜひ福田内閣で早急に取り上げてもらいたい問題として、いま申し上げた土地の利用の規制について、イギリスの先例や西ドイツの先例等を研究された上で、思い切った対策をしていただかないと、この財形自体も今後ますます預金だけはふえる、しかし具体的にいわゆる大都市において、政令十大都市なら十大都市において勤労者住宅を持つということが大変困難になる、こういうことになると思いますから、この点はもう国務大臣としての大臣に、ぜひ土地問題について福田内閣としては英断をふるってもらいたいと、そういうことについて労働大臣国務大臣としての所見を承りたいと、こう思います。
  35. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 先ほど来、いろいろ質疑応答で、私も現在のその衝に当たっておられる直接の建設省の立場で、いろいろ工夫をされておることも私もよく承知いたしておりますけれども、しかしまだまだ足らないという認識においては御指摘のとおりと思います。やはり、勤労者財産形成の一番大切な住宅、生活のよりどころとしての住宅政策を進めていくためには、やはり土地の利用の面において工夫が必要である。したがって、先ほどからお話し申し上げておりますように、財形審議会においてわれわれも積極的にこの問題提起をしたい。たまたま財政審議会には建設省にも参加を願っておりますから、よく御相談をいたしまして、財形貯蓄制度が充実するように今後も一層努力いたしたいと、このように思います。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃもう時間がありませんが、最後ですが、以上のようなやりとりの中から、すでに同僚委員からもいろいろ御質問があったように、私は財形法の今回の改正について、さらにどうしても問題があるというのは、初心に一遍返ってみる必要があるんじゃないか。今日のような低経済成長でますます勤労者住宅を建てにくくなっているときに、さらに住宅建設を進めるためには、一つはいまやりとりをしました土地政策だ、いま一つはやはり国と資本家の援助だと思う。ところが、今日の財形法というのを見ますと、これはもうすでに数字挙げません、同僚委員がやりとりしていますように、国自体の財政的な援助というのは非常にこれ少ないわけですね。雇用促進事業団という、これは御承知のように労働保険特別会計の事業主負担分ですから、だから国自体がどれだけこれにお金をお出しになっているかと言うと、これはもうすでに同僚委員とやりとりがあっていますから数字はここでは挙げません。ですから、私はどうしても当時つくったプレミアムの制度、西ドイツの、このことについて私はやはり考えをしていかなきゃ、もちろん労働大臣は、との前も今後一生懸命いろんな角度で努力すると、こう言われていましたが、私はぜひともプレミアム制度について考えなきゃ。それはなぜかと言うと、わが国の場合は西ドイツと違って、いわゆる減税の方向に今日まで。しかし、減税の方向といっても、これももうすでに同僚委員がやりとりしていますが、具体的に、所得別に階層別に見ますと、いわゆる非納税者がたくさんいるわけですから、労働者の中には。これには効果は及ばないわけなんです。だから、私は税制面における優遇措置ということだけでは財形の本来の趣旨にはどうしてもうまくいかない。どうしても私は、今日のような情勢が厳しくなればなるほど、プレミアム問題、国自体がやはり財政的にプレミアムをつけて、そして勤労者持家政策について努力をしていく、これがないといけないと思うんです。ところが、世の中というのはどうも逆になりがちで、今日のような情勢が厳しくなってくるし、国家財政が赤字なんだからということで、プレミアム論が遠のく感じがするわけです、逆に。それではまさに本末転倒だと思います。  そういう意味から、最終的にぜひ労働大臣にお願いをしておきたいことは、いわゆる財形をつくったときの本来の趣旨に向かって一段とひとつ前向きに取り組んでいただきたい。でなければ、今回の改正だけで、いま申し上げたような勤労者持ち家を持つということにはなかなか進まないと思いますので、最後にその点について重ねて労働大臣の所見を承って終わりにしたいと思います。
  37. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 財形制度の基本理念をいまさら申し上げるつもりはございませんけれども、原点に返ってもう一遍よくプレミアム制度考えたらどうかという御提言でございますが、やはり勤労者の自主的な努力を国と事業主で支援して、生活のよりどころをひとつつくっていこうという、勤労者のよりどころ、生活のよりどころをつくろうという、こういうことでございまして、プレミアム制度というのは、確かに一つのアイデアとして、西ドイツでは、われわれが勤労者財産形成のモデルの国として勉強いたして今日に来ておるわけでございますから、十分検討に値するわけでございますが、何せわが方は、取るべきものを取らないで減税するという、こういった面でこれが国の援助をやっていこうと。ところが、プレミアム制度は全く新しい別の理念でございますから、それに、これを採用するということになれば、大変な財政的な支出というものがございますし、また同時に、私はもちろん勤労者という場合、現在では組織されない中小零細企業者あるいはまた農民、こういうすべてが勤労者という、こういった認識もやはり持たなきゃならぬというふうに考えますと、やはりそこら辺に全体的なバランスをとった財産形成政策というものも進めなきゃならぬということで、せっかくの御提案でございますし、財政審議会においてひとつ慎重に検討をさしていただきたいと、このように思っております。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 どうも大臣、少し勉強してもらわなければ困ると思うんですが、何か一つのアイデアだと、そうじゃないですね。この法律をつくるとき、労働省がお出しになったこの法律の中にも、プレミアム制度というのは明確に書いてあるんですよ。一つのアイデアじゃない。もう一遍ひとつ大臣よく読んでくださいよ。何か特殊なアイデアのようなことを言われますが、労働省がこの法案を最初に提起したときに、いわゆる労働省案の骨子というものが出ている。それから、その後のいわゆる財政審議会の中間答申の中にも、プレミアムがないというのは画竜点睛であるというふうにまで指摘をされているわけですからね。ですから、その後財政事情が変わったとかなんとか、こういうのはある程度意見としてわかりますけれども、何か、あなたの意見をいま聞いておりましたら、プレミアムなんて一つのアイデアだと、こう言われたんじゃ、ちょっと私も、そうですかと引き下がれぬ。少し勉強してもらいたい。ただ、それがいまできないという実情があるということなら、それはその実情を取り除くのは努力してもらうことであって、一つのアイデアなんていうことだったら、ちょっと財形法自体がおかしくなりますね。その点はどうですか。  私は、少なくともそういう方向努力したけれども、まだ実ってないというところに今日問題があるから、さらに実るように努力をしてもらいたいということを言っているわけであって、大臣がおっしゃったように、何も私は、勤労者だけでなくて、小規模零細企業者であるとか、そういう者についてもやろうと思えばやれるんです。西ドイツでは、ちゃんと勤労者財産形成法のほかに、国民に対してもそういうプレミアム制度というものなり、いろんな制度をしてやっているわけですからね。だから、総合的にそういうことを考えなきゃならぬという、これはわかります。だから、それは議論をするというのはわかるんですが、どうもいままでのところはかなり意欲的だったんですが、そこだけは全く逆なことで、しかも最後は、慎重に検討すると。これじゃ理解できませんね。そこのところ、考え方をちょっと言ってください。
  39. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) つい使いなれない外国語を使ったり何かして、ちょっと私がアイデアと申しましたのは、決して宙に浮いたような夢の話というような意味で使った言葉ではございません。新しい発想だという、われわれの現在財形制度をやっているのは発想がまた違っておるという、こういう意味でございますから、決して、せっかくの御提案を適当に扱うとか、そういう考え方はさらさら持っておりません。現在進めております財形の諸制度とのいろいろの関連考えながら、十分ひとつ検討さしていただきたいと、このように思います。     —————————————
  40. 片山甚市

    ○理事(片山甚市君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、亀長友義君が委員辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。     —————————————
  41. 小平芳平

    ○小平芳平君 勤労者財産を形成する、そのことに対して国あるいは企業が応援をすると、援助をするという、こうした勤労者財産形成について基本的に私は賛成であります。  私の質問時間は約三十分でありますので、これはもういろいろな論議をする余裕もありませんから、五十年改正のときに指摘をいたしまして、五十年改正の時点で私も提案をし、政府答弁をなさった、そういう点を主に質問したいと考えております。  その前に労働大臣に伺っておきたいことは、郵政大臣勤労者の退職金を千五百万円まで非課税扱いにするということを検討を指示したという報道があり、そして昨日の参議院本会議で、公明党の多田議員からこの点を大蔵大臣と郵政大臣質問をしたのに対して、大蔵大臣は、千五百万円まで退職金を非課税扱いにすることを積極的に推進するみたいな言い方は全然しなかったように受け取りましたが、大蔵大臣は、非課税扱いの限度額を三百万、郵便貯金、国債を入れて九百万円の非課税扱いがあるみたいなことだけを答弁しておりました。そして郵政大臣は、退職金は千五百万円まで非課税扱いにするように検討を指示していると、こういうふうに答弁をいたしております。  こういう点は、まだ政府施策の決定が行われてないからそういうようなまちまちな答弁が出てくるんだと了解をいたしますが、こうした労働者が退職金を受け取る、これはもう一生に一回です。千何百万円というような退職金を受け取る人は、それこそ一生に一回。それからどう老後を送るか、もう重大問題であるわけですが、労働大臣こそこうした点に一番関係があると思うんですね。郵政大臣が申すまでもなく、労働大臣こそそういう点を常々考えもし、要求もし、検討していらっしゃるだろうと思うのですが、いかがですか。
  42. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 退職金の財形貯蓄へ受け入れるに当たっての非課税措置につきましては、御指摘のとおり、労働省は五十三年度予算編成に当たって大蔵省と折衝をいたしました。ところが、ことしはいわゆる消費の拡大という面で、貯蓄奨励という、こういった面は後回しということになって、一応折衝はしたが結論は得ておらない、こういうことであります。  ただいま御指摘のこの郵政省、郵政大臣の構想でございますけれども、事務当局の方からの折衝では、具体的にはまだはっきり構想がつかめておらない、こういうことでございまして、これはひとつ今後の検討課題として、われわれはもうすでに去年提言をして、大蔵省と折衝した経緯もございますから、十分検討さしていただきたい、前向きに検討さしていただきたいと、このように思います。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと内容が違いますので、何百万円か財形貯蓄を持っている方が退職をなさった場合に、その財形貯蓄がすぐ課税扱いされるのはいかにも気の毒ではないか、これは非課税にすべきだということは、この前の委員会でも各委員から質問があり、そしてまた労働省からも大蔵省からも答弁があったわけであります。いま郵政大臣が提案をしたということは、その財形貯蓄とは全く別に——定年退職した場合に退職金を受け取るわけです、大部分の企業で。その退職金を千五百万円までは無税扱いにしようということを提案しているわけでありますので、ちょっと労働省はそこまで考えたことないのですか、基準局長、いかがですか。
  44. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 私どもは、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、定年によって退職されるときに退職金たくさんもらわれますですね、その場合に、企業から離れてまいりますと財形貯蓄の非課税の恩典がなくなるものですから、特に退職金あたりを預けて、そして今後それで生活をしていくというような問題が出てまいりますので、ぜひこれは老後の設計のためも非課税措置が切れるというのは、これはどうもお気の毒な面もあるし、今後高齢化社会を迎えていく場合に非常に重要な問題点であるということで、定年退職後のそういった財形貯蓄の非課税について一生懸命折衝をいたしておりますし、私どももまだその考え方は捨てていないわけでございますが、先ほど大臣が申し上げましたようないろいろな政府部内の方針のもとに、五十三年度は一応見送ったわけでございます。そのことが先ほどの郵政省でお考えになっている考え方と非常に軌を一にしておりますので、労働省としてはそういう当初から考え方を持っているし、郵政省あたりのその帰趨も十分見守りたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、労働大臣の先ほどの答弁の御趣旨は、私が二つに分けて申し上げておりますが、その両方とも、財形財蓄の残高も、新たに受け取った退職金も、ともに非課税扱いにするように推進しようと、こういうことでよろしゅうございますか。
  46. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) そのとおりでございます。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、大蔵省とそれから郵政省に来ていただいておりますが、初めに郵政省の方では、いま労働省としては、労働大臣は、ちょうど郵政大臣が検討を指示したとおっしゃる意味の退職金千五百万円までは非課税扱いにしようということを、労働省の根本方針として決めているんだということでありますが、そういう点は郵政省はどういう検討をされていかれますか。
  48. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 御指摘のございました退職金一千五百万までを無税にいたしたいという郵政大臣の構想でございますが、これはもっぱら退職後の生活資金に充てられるという、そういう資金の性格にかんがみまして、貯蓄機関としての立場で少しでも優遇策を講じたい、こういう構想で大臣が提唱された次第でございますが、ただ、この問題につきましては種々解決を要すべき問題がございます。関係方面の折衝も要しますので、ただいま私どもとしては、大臣の御指示によって事務当局として検討をしておるという、そういう段階でございます。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 大蔵省に伺いたいと思いますことは、定年退職後の財形貯蓄の非課税扱いについて、この点については前回委員会でも再三御答弁がありましたが、したがって簡単で結構ですから、定年退職後の財形貯蓄の非課税扱いについてどうお考えになるか。  それからもう一つは、退職金千五百万円までを非課税扱いにするという、こういう点についてはどうお考えになるか。   〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕  それから時間の関係で、ついでにもう一点。五十年の委員会のときは、大蔵省銀行局総務課長さんが答弁なさっていらっしゃる中に、先ほど安恒委員指摘をしていた、政府がプレミアムをつけるべきだという、そういうことに対し、私はそういう質問をしていたわけですが、銀行局総務課長さんの御答弁は、金融機関の立場から検討すべき課題があるという趣旨答弁をしておられますが、こういう点についてどうお考えか。  以上、三点についてお答えいただきたい。
  50. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) まず、最初の二つの問題についてお答え申し上げたいと思いますが、一つは、財形貯蓄の残高を退職後依然として非課税ということで扱ったらどうかというお話でございますが、この点につきましては、かねてから申し上げておりますとおり、この勤労者財産形成制度、あるいはそれに伴う財形貯蓄非課税制度は、勤労者という特殊な地位にあるということに着目いたしまして、雇用主でございます源泉徴収義務者を通じて天引きで財産形成を行っていく、そういった勤労者財産形成に対する自助努力を誘導するためにつくったものでございますので、勤労者の地位を離れて退職した段階でなおそれを延長するということが、果たしてこの勤労者財産形成制度の本来の趣旨にかなうものかどうかというところで、私ども大変疑問に感じておりまして、消極的な御意見を申し上げておる次第でございます。  それから、第二番目の点でございますが、千五百万円までの退職金、それを貯金した場合には非課税扱いにしたらどうかという郵政大臣の御提案でございますが、先ほど郵政省からもお話しのございましたように、まだ郵政省段階で事務的な検討を続けている段階でございまして、まだ私どもと正式な折衝に入るというところへ至っておりませんので、この段階での結論は差し控えたいと思いますが、かねてからの考え方を申し上げますと、昨日も大蔵大臣が本会議で御答弁されたように、いわゆる少額貯蓄非課税制度あるいは郵便貯蓄の非課税限度、あるいは公債の特別課税枠、こういったものを合わせますと現在九百万円の非課税の枠がございます。その枠というのは、大体平均的な貯蓄の残高を考えてできておるわけでございますが、一世帯当たりの平均的な貯蓄が三百三十万円というようなことを考えますと、まだこの枠自身かなり余裕があるんではないかというふうに私ども考えております。
  51. 野田実

    説明員(野田実君) 先生の御質問の第三番目の点につきまして、銀行局からお答え申し上げたいと思います。  五十年の五月の委員会におきまして、先生から財形貯蓄の場合には給料から天引きされる形をとっておりますので、コストが比較的かかっていないと、したがって、そういう場合には特別な配慮をすべきではなかろうかという御質問かと思います。この点につきましては、その当時銀行局からお答え申し上げたのは、金融機関といたしましては、財形貯蓄の問題につきましては、金融機関の立場からさらにできるだけのことをしていくべきだろうというふうに考えておりますし、御指摘の点につきましても今後検討できればやっていくべきだろうというふうに考えておりますと、お答え申し上げております。  私たちもその後いろいろ検討をしてまいりましたけれども、現在の金融機関におきます預金の集め方といたしましては、財形貯蓄に基づきます天引き制度によります方法とか、あるいは銀行員が集金に行く方法とか、あるいは給与の振り込み制度のようなものがいろいろございますけれども金利のつけ方といたしましては、そういう集め方によって金利をつけるんではございませんで、何年間の預金とかあるいは定期にするかどうかとか、そういう形で金利体系をつくっているわけでございます。  まあこの前のときも、先生の御指摘ございました、給料から天引きするからコストがかかってないじゃないかという御指摘でございまして、これは確かにそういう一面は持っておりますけれども、他方、財形貯蓄の場合には財形貯蓄者に対しまして年二回残高証明を出しております。それから、事業主に対しまして、三カ月ごとに残高の一覧表を送っております。それから財形持家融資を受けたいという人に対しましては残高証明を発行するというようなことで、一般の預金の場合に比べまして、さらにコストのかかる面もあるわけでございまして、こういう面を考えますと、天引き預金だからということで、一概にそのコストがかかっていないということが言えないんじゃないかということが考えられるわけでございます。  しかし、まあ財形貯蓄者に対しましては財形法趣旨に照らしまして、できるだけ勤労者の福祉の向上とかあるいは勤労者財形貯蓄促進に役立つという観点から、先生も御承知のとおり、財形法に基づきますその還元融資制度というものを設けておりまして、財形持家融資制度を行なっているわけでございます。この場合には、財形貯蓄者に対しましては、一般の人たちに比べまして金利等の面で非常に有利に住宅取得ができるような形になっておりますし、今回もかなりこの改善が図られておりますし、さらに、まあ今回の法律改正に基づきまして、こういう財形貯蓄者に対しまして、進学融資制度というものを設けられることになっているわけございます。  したがいまして、あるいはそういうこと以外に、最近金融機関におきましてとられております勤労者財産形成制度趣旨に照らしまして、財形貯蓄者に対しまして、一般のものよりも、これは一般の金融機関で行います住宅ローンの話でございますけれども財形貯蓄を行なっている人に対しましては、特別に、優先的に住宅ローンの枠を与えるとかいうようなことをしたり、あるいは特に最近の傾向としまして、多目的のパーソナルローンというものをつくりまして——五十万から百万ぐらい以内のものが多いんでございますけれども財形貯蓄を行なっている人につきましては何に使ってもいいパーソナルローンの資格を与えるというような形で還元融資を行うというようなことを行なっているわけでございます。したがいまして、そういう融資面で非常に優遇措置をとっておりますので、全体を見まして財形貯蓄者に対しまして有利になるような制度になっているんじゃないかと考えております。したがいまして、まあ特利などをつけるということにつきましては、金融機関全体で考える、経営全体で考える問題かと理解しておりまして、そういう趣旨財形貯蓄者に対しましてはできるだけのことをしているんじゃないかと考えております。     —————————————
  52. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、熊谷太三郎君が委員辞任され、その補欠として田原武雄君が選任されました。     —————————————
  53. 小平芳平

    ○小平芳平君 この財形貯蓄の残高の非課税、それから退職金千五百万円の非課税、この点については、確かに御答弁のとおりまだよく煮詰まっている問題ではありませんので、今後検討していただくことと、また機会を改めて質問したいと思います。  それから、銀行局の御答弁は、そういうことをおっしゃるなら、何も銀行へわざわざ財形の口座立てませんよ。そういうふうにおっしゃるなら、じゃあ、現在の財形が幾ら残高があって、法律で言う三分の一の融資が幾らあって、枠が幾らあって、実績が幾らあるんですか。
  54. 野田実

    説明員(野田実君) お答え申し上げます。財形貯蓄残高は五十二年九月三十日現在で、一兆五千五百二十二億円でございます。財形融資の貸付決定額は五十三年二月二十八日現在で三百十九億でございます。
  55. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは法律が目標としている額の何分の一ですか、労働省。  労働省で計算して、こう書いてくれたんですか、よく読みとれないような字で書いてくれたんですが、この法律で言うところの限度枠は五千百七十四億円、そうですが。それについていま銀行局から御答弁のあった数字、三百十九億円。ですから五千百億の枠があるのです、銀行局の方。その枠があるにもかかわらず、実際還元融資を受けて働いている金額は、三百十九億円しか動いていないわけですよ。それを、十分やっています、サービスを第一にやっています、財形の人はえらく恵まれていますみたいに言われても、それは納得できませんが、以上もう時間がありませんから結構です、大蔵省の方は。  労働省に伺いますが、そういうわけで、財形法、法第十一条ですか、施行令第四十一条、それによって現在の枠が五千百七十四億円とあるにもかかわらず、実績は三百十九億円であるということ。それに加えて、五十三年度予算がきわめて現実的でないということは前回の委員会で各委員から指摘されました。とにかく、実績を踏まえた予算でない。そしてとても実現できるかどうかわからないということが言われましたが、そのことは繰り返しませんので、仮に五十三年度予算で立てているところの融資額が全部還元融資された段階で、その各委員がこれは不可能じゃないかとおっしゃった、しかしそれが奇跡が起きて可能になったとして、なおかつ何分の一ですか。
  56. 森英良

    説明員(森英良君) お答えします。現在までに三百十九億の融資決定残があるわけでございますが、今年度の融資枠を全部こなしますと、これが一千九十二億でございますので、合わせますと、約千四百億の融資残ということになると思います。したがいまして、五千百七十四億の枠に対しましては、約三分の一程度消化したということになると思います。
  57. 小平芳平

    ○小平芳平君 三分の一でしょう。不可能が可能になったとしても、三分の一なんですから。ですからなおかつ五千百七十四億円というものも上がっていくわけですよね、恐らく一兆五千億、それがすでに法律によって、九月三十日では一兆五千億ですが、五十三年一月においてはすでに一兆八千億と報告しているわけでしょう。毎月一千億くらいのお金がたまるわけでしょう。そうすると、ますます巨大な、金額ばかりがたまる一方で、利用したい人は利用できない。利用したくても利用できないということが背景にあるにもかかわらず、大蔵省はああいうふうに言っておりますが、こういう点はひとつ労働大臣、うんと気を強くして要求していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  ついでに申し上げますとね、五十年の委員会のときも三分の一が可能かどうかと、全くそういう見通しは不可能だということになりませんかということに対して、当時の基準局長は、制度発足してまだ日が浅いとかいろいろ言っておりますが、しかし、それからもう三年たちますからね。ですから、余り間がないなんて言っておれないじゃないですか。どうですか。
  58. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 制度発足以来とか、そういう事情は大分たちましたので、それだけのことではないと私どもも理解をいたしております。財形持家融資にまつわるいろいろな諸条件が整備されてない、非常に使いにくいというようないろいろな事情もあろうかと思います。今回御提案しているものも、できるだけ私ども努力をいたしまして、そういった財形融資が十分に利用できますように提案をしたつもりでございますが、今後ともこの三分の一の枠に向かって積極的に努力してまいりたいと思います。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 この点も前回の委員会で渡部委員指摘をしておられた点ですが、住宅取得モデルですね。とにかく二十七歳の青年が三十二歳で家を持って、五十七歳までに返還するわけですか。そして、このとおり労働省が予想するモデル、このモデルさんは、まず結婚資金、アパートの権利金、出産、幼稚園、小学校に入る諸費用、あるいは不時の病気、そういう点は全くゆとりがない、そういうことなしにうまくいった場合の話であります。それは前回よく指摘をし御答弁がありましたので、繰り返して御答弁は要りませんが、先ほど来の安恒委員の御指摘、あるいは前回の委員会の質疑応答、そうした点につきまして、とにかく現在の制度ではお金がたまる一方なんです。どう活用していくか。それは金融機関は活用するんですが、実際貯蓄している方に具体的な活用の道がいかにも狭いということ。家を持てるようにしますと言ったって、このモデルじゃとても持てそうにないということ。そういうことはよくわかっていただかなくっちゃならないわけであります。仮りに、これは賃貸住宅といえば、たとえば公営住宅あるいは住宅公団、そういう賃貸住宅がありますが、とにかく自分は、月々これだけしか財形貯蓄をしてないのだから、この金額じゃとうてい家一軒持つことは現状として想定できないという方に、安い家賃の住宅へ入れるような制度を立てるとか、そういうことが何か、とにかく何らかの形で金利を動かすというと、たちまちそれはだめだと言うし、じゃ、割り増し金を政府が出せと言うと、それもアイデアがどうしてこうしてと言うし、いつまでたったって、いまのままじゃ一方は貯蓄がたまる、金融機関はたまる一方。利用できる人はごくわずかな人しか利用できない。何らかのそういう賃貸住宅が可能かどうかは別として、その点を何らかの還元融資関連するメリットがあるようなことを考えていただきたい。
  60. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 御指摘のように、やはり財形貯蓄は、その制度によって、たまった金は勤労者に有効に活用される還元の道をやはり積極的に開拓をしていくということの必要性は御指摘のとおでりございます。したがって、われわれは今後財形審議会においても、そういう御趣旨を踏まえて、いろいろ知恵をしぼって、工夫をいたしたい、このように考えております。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 賃貸住宅
  62. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) 賃貸住宅にお住みになりたいという御希望の方、あるいは持ち家を持ちたいという方、勤労者によってさまざまだと思います。特に、私どもは比較的所得の少ない方は、低廉な賃貸住宅を確保していくということが政策のやはり基本であると思いますし、持ち家につきましては、いろんな公的融資を使いながらいい環境の住宅というものをつくっていくということが基本になると思います。賃貸住宅につきまして、財形制度をどう活用するかという、非常に基本的な問題があろうかと思いますので、先ほど大臣が御答弁を申し上げましたように、財政審議会あるいは基本問題懇談会の中で十分建設省の方も御参加いただいておりますので、その中でいろいろと御議論をしていただいて検討してまいりたいと、こう思います。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは時間が来ましたので終わりますが、先ほどの三分の一の還元融資ですね、これはただこういうように努力します、検討しますと言うのでなくて、専門家として、ことしはどのくらい可能か、五十三年度は。それから将来にわたって、わざわざ法律で定め、政令で定めている三分の一がどう達成できるものか、できないものか、それはいかがですか、最後に。
  64. 桑原敬一

    政府委員(桑原敬一君) まあ予算の確保、また今後三分の二使って、どういうふうに段階的にそれを目標に向かって消化していくかという問題でございますが、午前中ずっと御議論がございました都市政策、その他非常に要件と申しますか、それを達成する諸条件というのはたくさんございますので、厳密な具体的な計画というのは非常にむずかしかろうと思いますけれども、御提案の線に沿って十分研究さしていただきたいと思います。
  65. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  67. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
  68. 片山甚市

    ○片山甚市君 ただいま可決されました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブの共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。    勤労者財産形成促進法の一部を改正する法    律案に対する附帯決議(案)   政府は次の事項について、適切な措置を講ず  べきである。  一、勤労者財産形成促進制度全般について、諸  外国の勤労者財産形成促進法等を参考にし   て、具体的な方策を確立し、計画的に実施す   るよう努めること。二、物価政策及び土地対策の一層の充実を図   り、もって勤労者財産形成の基礎的条件を  整備すること。  三、勤労者財産形成促進に必要な税制、財政   面からの優遇措置の在り方について検討を続   けること。  四、勤労者財産形成給付金、勤労者財産形成基   金給付金に係る拠出金は、全額事業主負担で   あることから、当該事業場のなるべく多くの   勤労者が給付金の支給を受けられるよう制度   の改善について検討すること。  五、勤労者財産形成貯蓄の伸びが著しい反面、   これを原資とする還元融資伸び悩んでいる   状況にかんがみ、還元融資の一層の内容の改   善に努めるとともに、その普及促進を図るこ   と。六、勤労者財産形成融資が、その制度趣旨に   沿って公正に使用され、かつ円滑に運営がな   されるよう指導強化に努めること。  七、勤労者住宅取得計画的に促進するた   め、積極的な施策を推進すること。  八、財産形成促進のための施策が、中小零細企   業の勤労者にとって一層機能するための措置   を講ずること。  九、勤務者財産形成促進制度における各種制度   が広く活用されるようこれが周知に努めると   ともに、国の援助制度の充実及び手続の簡素   化等に努めること。  右決議する。  以上でございます。
  69. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  70. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤井労働大臣
  71. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に今後とも一層努力いたしたいと存じます。
  72. 和田静夫

    委員長和田静夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  74. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより政府から趣旨説明を聴取いたします。藤井労働大臣
  75. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月に制定されました駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、特別な就職指導及び就職促進手当の支給を行うなど各般の施策を講ずることにより、その再就職の促進と生活の安定に努めてきたところであります。  しかしながら、駐留軍関係労働者につきましては、今後においてもなお離職の事態が予想されますので、政府といたしましては、現行の駐留軍離職者対策を今後引き続き実施する必要があると考え、この法律案を作成し提案した次第であります、  その内容は、昭和五十三年五月十七日に効力を失うことになっております駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限をさらに五年延長しようとするものであります。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  76. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 以上をもって、趣旨説明の聴取は終わりました。  本案の自後の審査は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会      —————・—————