○
安恒良一君 いま、そこで出てきたんですがね、企業がなぜ
土地を売らないかと言えば、いま地価が安定していますね、最近ちょっと上がり出しましたけれ
ども。そこで、高値でつかんだ上にずっと今日まで
金利が払われてきています。ですから、採算がとれる価格で売れなかったからでないだろうかと思うわけですね。そこで、じゃ
土地税制のかんぬきが今度外されました。外されたから採算価格、いままであなたは適正と言われましたが、
金利を払ってずっと持ちこたえてきたわけですから、私は採算価格というのはかなり高い価格で
供給が開始されるんじゃないかという実は心配をする。そうすると、この心配は二つあるわけです。
一つは、再び
土地が騰貴に向かいやしないか。まあそのことよりも、きょうはそういう問題全体でなく
土地の
供給問題でありますから、
勤労者が
土地を取得をする、そして
財形法に基づいて
住宅建設に向かおう。このことについて、地価のいわゆる高騰ということになりますと、そのことが困難になるわけですね。ですから、今度せっかく
融資限度額なんかが、たとえば
財形法において三倍に
引き上げられたわけです。三倍に
引き上げられたんですが、ここで私は、いまもおっしゃったように、かなり企業が高値で
土地をつかんでます。もしくは、高値でつかまないにしても、相当の長期間に
金利を払って寝かしておったことは事実なんですからね。そうしますと、私は、地価が高騰する、こういうことになりますと、いわゆる
融資限度額の
引き上げ分なんか吹っ飛んでしまう、こういうことになりはしないか。だから、率直なことを言いますと、
土地政策不在のままにいろいろなことをつける——ことしの
予算の
目玉は
住宅だと、また、
財形の方も
融資限度等を
引き上げて、そして
労働者が
住宅を持てるようにすると、こういうことをされましても、地価の高騰という
方向に行く、さらに
宅地もなかなかできない、こういうことに今回の税制の
改正というのはなりかねないと思います。
そこで、最終的にお聞きをまずしたいんですが、私は、やはりいまも申し上げたように、わが国における政治の大きい失敗は、
土地に対する何らの規制がされてない。御
承知のように、憲法によって、国民の個人の所有権、これは厳然と存しておりまして、侵すべきではないと思いますが、しかし、それはそれとしても、いまあなたは、
数字の上では三全総とかいろんなことでこれぐらいの
宅地供給をしなきゃならぬとか、できると言われてますけれ
ども、私は
土地政策について、もう遅いんですが、ここで思い切って
考えなきゃならぬところに来ているんじゃないだろうか。たとえば、私が勉強しました限りにおいて、イギリスの
土地政策というのは、わが国と同じように個人の所有権というものを認めながら、いわゆる
土地を投機の材料に使う、
土地の売り買いによって利潤を上げるなどということがほとんどできなくなっている。また、
土地を取得する場合には国や地方自治体の優先権というのが明確にされている。こういう中で、イギリスにおいては、わが国のような
土地問題の悩みというのがないわけなんです。調べてみましたら、国と地方自治体の法律でがんじがらめに、
土地問題についてはいわゆる国民の
土地として優先的に使えるような
制度にかなりなっていると思うんですね。これはまあイギリスの例であります。ところが、残念ながら、日本においては、これだけ
土地問題が言われても、いま言われたように、
土地という問題は、なるほど個人の所有権は認める、しかしそれは国民のためにまず使われるんだと、そういう意欲的な問題がないわけなんです。その点については国土庁の
関係もありますが、きょうは
建設省から
住宅局長と
計画局長に来ていただいているのは、そういうような
土地政策に対して、具体的ないま私が申し上げたように規制をしていく、それがないと、ただ単にこれだけの
土地が必要なんだと、また、できるだろうと、民間に任しておけばできるだろう——まあ
労働大臣は、
土地政策は公的にまず
土地をつくることが必要だと言われている。しかし
計画局長さんは、実際は公的でやれることは二割
程度なんだと、ほとんどは民間がやっているんだと、こう言われているんですね。そうすると、いまのままで本当に
土地問題というのが解決するだろうか。まあできればきょうは
建設大臣に来てもらいたかったわけですが、ほかの
審議会がありますから。私はもうこの際思い切って
土地問題をどうするのかということについて、いろいろ諸外国の事例もあるわけです。先進資本主義諸国において、一番日本が
土地問題についてはおくれている。これは何も私の
指摘じゃありません。自民党の
先生方も、みんなお聞きになってますが、ある
程度肯定をされると思うんですね、率直なことを言って。そういう点について、
建設省としてこの
土地政策についてどういうふうに今後していこうとされているのか、そこの
考え方をひとつぜひ聞かしていただきたい。