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広田幸一君 いま大臣は、
労働時間の短縮という話をお話しになったわけですけれ
ども、よくわかるわけです。ただ、現実問題は、ずっと最近を歴史的に見ますと、高度
経済成長の時代は時間短縮というものがかなり伸びてきておるわけですね。伸びておるというのは言い方があれですけれ
ども、そういう時間を短縮していこうという
傾向はあったわけですけれ
ども、最近の三年前ですか一九七五年、その辺以降はむしろ
労働時間が延びておるわけですね。大臣が言われるような、逆な方向にいっておるというふうに
数字としては出ておるわけです。それは恐らく
不況ということが
影響して、
企業経営者としては時間を短縮すればコストが高くつきますから、これは
企業経営者は好まない。また
労働者の方は賃金が上がらないから、時間外によっていわゆる生活費を補っていこう、こういうような考え、いろいろな要素があっておるわけですね。ですから、私はねらいとしてはわかるわけですけれ
ども、現実としては
実態は逆な方向にいっておるということは、
労働省の方もお認めになっておると思うんですね。ですから、私はそこらのところが結局は労使の話し合い、いま大臣がおっしゃったような意味における労使の十分な理解が必要である、こういうふうに思うわけです。
そこで、私は言葉をとるんじゃないんですけれ
ども、先ほど申し上げました
公労使の合意だということで思っておるわけですけれ
ども、使側の代表とも言うべき日経連の櫻田会長ですか、権威ある櫻田会長が言っておられることで、実はこういうことを私も思いながらあの新聞記事を読んだんですけれ
ども、週休二日制をやって
雇用の増大にはならない、こういうことを櫻田会長はおっしゃっておるわけですね。それから、日本人は働き過ぎだと、こう言うけれ
ども、これはいわゆる羨望だと、こういうふうなこともおっしゃっておるわけですね。ですから私はそこらのところがどうも理解できない。
ここに、総理府の統計局が出しました昭和五十二年の「就業構造基本
調査」というのがございます。
労働省の方もこれをお調べになっておるかどうか知りませんが、これをざっと見まして、非常にこういう
企業の
経営の苦しいときですからわかるんですよ。わかるんですけれ
ども、非常に大
企業の少し横暴が過ぎるんじゃないかと、こういうふうな感じがするわけです。たとえば、常用の
増加率というものが低いのに対して、臨時、日雇い、こういった者の
増加率が非常に高くなっていますね。これはやっぱりぐっと抑えてきておるわけですよね。それから、大
企業は、大規模の
企業は
雇用を
増加させないで、むしろ中小
企業の方にそういう
雇用率が
増加になっておると思います。これはやっぱり
下請企業に対するしわ寄せがきておると思うんですね。それから、大
企業から小
企業への転職が比較的多くなっておる、こういうことは
雇用の不安定化の
原因の一つが、全部とは言いませんよ。しかし、大
企業の身勝手なやり方が私はあると思う。苦しいから、みんなが苦しいから何とかして生き延びようとしておることはわかるわけですね。しかし、力のあるものが、いわゆる弱肉強食といいますか、弱いところに弱いところにそのしわ寄せを持ってこようとする、そういうもののあらわれが、私はこの基本
調査の中をざっと見まして言えると思うんですよ。ですから、中央
労働基準審議会が出しました構想は、私も読んでみまして非常にいいことだと思いますし、大臣のおっしゃるようなことでいかなけりゃならぬと、現実を処理していく上には、わかるんですけれ
ども、どうも私は使の側に少し無理があるんじゃないかというふうに思いますし、それから労側としましても、やはりこういう基準法というようなものは正しく守ってもらいたい、
労働者の健康を管理する、生活を明るくするという意味においても基準法は正しく守ってもらいたい、年次有給休暇もやっぱりとってもらいたい、それから週休二日制もやってもらいたい、定年も
延長して中高年者の生活を守ってもらいたい、そういうことは
労働組合としては当然言うわけですね。ですから、私はこれを見まして、私も先般地元の基準局や職業安定課に行きまして、本当にこういうものが実るような道はないものかといって、二時間、三時間話し合ったんですけれ
ども、現場の
実態というのはなかなかそうはいかない、そういう苦しいものがあるわけですね。まあそういうようなところをやっぱり
労働省としては知っていると思いますけれ
ども、こういうものを出したことによって、行政指導によってすぐ
効果が上がるというふうな御認識では、
雇用の
創出ということは、
失業の解決ということはなかなかむずかしいと、こういうふうに考えるわけですが、私が述べたことについて
労働省としての言い分もあろうかと思いますけれ
ども、ひとつお答え願いたいと思います。