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1978-07-17 第84回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月十七日(月曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     対馬 孝且君  六月十七日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     高杉 廸忠君  六月二十八日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     立木  洋君  七月十五日     辞任         補欠選任      立木  洋君     神谷信之助君     —————————————   委員長異動 六月十六日和田静夫委員長辞任につき、その 補欠として対馬孝且君議院において委員長に 選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         対馬 孝且君     理 事                 遠藤 政夫君                 佐々木 満君                 片山 甚市君                 小平 芳平君     委 員                 斎藤 十朗君                 高杉 廸忠君                 安恒 良一君                 渡部 通子君                 神谷信之助君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  小沢 辰男君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   柳館  栄君        警察庁刑事局保        安部公害課長   浜田 栄次君        防衛庁経理局施        設課長      千秋  健君        大蔵省理財局特        別財産課長    高橋 公男君        文部省初等中等        教育局特殊教育        課長       久保庭信一君        厚生省公衆衛生        局長       松浦四郎君        厚生省環境衛生        局長       山中  和君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省社会局長  八木 哲夫君        厚生省児童家庭        局長       竹内 嘉巳君        厚生省保険局長  石野 清治君        厚生省年金局長  木暮 保成君        社会保険庁年金        保険部長     持永 和見君        運輸大臣官房会        計課長      熊代  健君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (難病対策に関する件)  (薬価問題に関する件)  (国民年金法等の一部を改正する法律昭和五  十三年法律第四十六号)の実施状況に関する  件)  (医療事故に関する件)  (ビル屋上貯水槽水質管理に関する件)  (薬品の訪問販売等に関する件)  (自閉症児対策に関する件)  (サリドマイド児対策に関する件)  (旧日本海軍用地に関する件)     —————————————
  2. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月十六日、高杉廸忠君委員辞任され、その補欠として、私、対馬孝且が選任されました。  また、去る六月十七日、和田静夫君が委員辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。  また、去る六月二十八日、小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。  また、去る七月十五日、立木洋君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————
  3. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 議事に先立ちまして一言ごあいさつを申し上げます。  私は、去る六月十六日の議院会議におきまして、社会労働委員長に選任されました。  当面、何と申しましても、雇用問題、社会保障などの緊急かつ重要な諸問題を所管する本委員会の使命はいよいよ重大であろうと考えます。委員長といたしまして、その重責を痛感いたしております。  今後、理事並びに委員皆様方の御鞭撻と御協力をいただきまして、委員長の職責を全ういたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  簡単でございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)     —————————————
  4. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 次に、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 片山甚市

    片山甚市君 本日は、当面問題でありますところのスモン中心とする難病対策について、厚生省の態度をただしたいと思います。  御案内のように、昭和四十七年、特定疾患対策室が設置され、昭和四十八年、難病対策課の新設、それ以来、難病対策は、調査研究医療費自己負担の解消、医療機関整備を三本の柱として、年々その充実を図られておられることについては、一定の評価をするものでありますが、患者とその家族の切実な願いを一日も早く実現さしたいということで、大きな関心を持っております者にとっては、今日の難病対策充実強化こそ、他におくことはできない問題だと思います。  まず、大臣の所信と、当面する難病対策問題点は何であるのか、これについてお伺いしたいと思います。
  6. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) いわゆる難病対策につきましては、まず第一に調査研究推進、第二番目には医療費負担軽減、第三番目には医療機関整備、この三つを柱として総合的な施策を推進してまいりたいと考えております。  調査研究推進につきましては、その原因の究明、治療方法確立のために、従来二十班でございましたものを、現在四十三班の研究班を編成して進めておるわけでございますが、従来、ややもすると縦割り研究方式というものでございましたので、これらを各研究に共通するテーマについて横割り的に見直す方向に主眼を置いて今年度は実施いたしたい、かように考えているところでございまして、なお今後とも研究対策充実を図りまして、一層計画的に推進をしていきたいと考えております。また、児童対象といたします小児がん等心身障害児発生予防研究異常行動児療育研究などについても、引き続き推進していきたいと考えております。  第二の医療費負担軽減の点でございますが、御承知のとおり、今年度、パーキンソン氏病について医療費補助の追加をいたしました。また、腎不全に対する人工透析にかかわる更生医療につきましてこの充実を図ろう。あるいは小児慢性特定疾患につきましても、新たに内分泌疾患のうちで、いわゆる小人症に対する通院治療について医療補助対象にいたしておりますなど、その対策充実を図りつつあるところでございます。  医療機関整備につきましては、国立病院国立療養所にいろいろ難病収容治療のための病床整備を行っておるところでございますので、今後とも計画的に私どもとしてはこれが推進を図っていきたい、かように考えておるところでございます。  以上、三点を重点にしてやってまいりたいと思うわけでございます。
  7. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、難病問題のうち、疾病原因疾病がふえる傾向にあるのか、そのいわゆる発生社会的要因として公害薬害などによるものが主たる原因であるのかどうか。二つ目に、難病患者数は、潜在予測する推定数を含めるとどのぐらいあると局長の方で考えられますか。
  8. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 現在、この難病といいますか、私ども難病と言いますと非常に漠然とした言葉でございますので、私ども特定疾患ということで特別に疾患を規定いたしまして、それについて先ほど大臣からお話し申し上げましたように調査研究を進める、あるいは医療費につきまして治療のための費用を見る、こういうことをやっておるわけでございますが、少なくも私ども難病対策課におきましてやっておりますところのいわゆる難病というものは、特定疾患と言っておりますものは、いわゆる病気原因がわからないというところを一つ基準としております。そのため、私どもとしましては、その疾患がいわゆる公害とか、いわゆる薬害とか、そういうふうな病気であるものは、私ども難病対策として考えております難病の中には入れておらない、こういうふうな考え方をとっております。申しおくれましたが、ほとんど私ども考えております、いま私どものやっております難病対策の中では、いわゆる自己免疫とかいうような、非常に現在の医学でもまだよくわからないというような病気が入っていることが、非常にたくさんあるということを一つ申し添えたいと思います。  それから第二に、病人の数がどのくらいいるのかと、こういうことでございますが、これはまことにむずかしい問題でございまして、端的に申しますと、まず治療費補助対象になっておられる方、現在約二万八千名ぐらいでございます。ただ、これは健康保険自己負担分のところを難病対策費補助いたしております関係上、本来、健康保険の本人である方というのは私どもの給付の対象になっておりませんので、いま申し上げました二万八千というのは国保あるいは健保の家族の方ということでございますので、そういうふうな概念から考えますと、もっと多い数でございますが、そこまでは把握しておりません。  なお、調査研究対象でございますが、これはちょっと一概には申し上げられませんで、大体多くの病気につきましては二、三千の方が多いんですが、たとえば慢性腎炎のような方ですと、これは十数万もおるだろうと思われますし、あるいは今回新しく対象になりましたパーキンソン氏病につきましても、これは一万とも言われ、二、三万とも言われておる。こういうことで、非常に病気ごとでばらばらでございますので、一般的に言いまして個々疾患で二、三千名のものもあり、それから十数万というのもある、こういうふうな感じでございます。
  9. 片山甚市

    片山甚市君 質問に答えておられませんが、疾病がふえる傾向にあるのか、発生は社会的な要因というものがあるのかと聞いておりますが、次に移ります。私が質問したことに答えてないということだけ言うておきます。  去る昭和四十九年四月十二日、障害者難病患者に対する福祉政策推進について、当時の春闘共闘委員会代表厚生省との間で取り交わされている了解事項について、どういうものがあるか、承知していますか。
  10. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 一つは、調査研究推進することということと、それから公費負担について事務円滑化を図る、それから疾病の選定に当たっては患者団体とよく話し合う、こういうことが中心だというふうに理解しております。
  11. 片山甚市

    片山甚市君 その三つの項目について、どのように難病対策として具体的にその後やられましたか。
  12. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) まず第一に、調査研究推進するということでございますが、これは先ほど大臣お話ございましたように、昭和四十八年は研究グループ二十でございました。しかし、その後、研究グループをふやしまして、現在四十三研究班ということで、二倍以上にその研究班がふえておるわけでございます。  それから、最初は疾病ごとでやっておった研究グループを、今度はたとえば神経系なら神経系というようなぐあいに、病名だけじゃなくて、縦割り横割りというのをうまく組み合わせた研究班の編成ということで、内容充実をやってきたわけでございます。  それから、第二の公費負担事務円滑化でございますが、これは、この中で特に問題なのは、六カ月ごと受給者証更新するということがございまして、その更新のときにすき間があいてしまうというようなことが非常に問題になっているんじゃなかったかと思いますが、私どもずっと都道府県及びそれを取り扱っております医師にも十分指導することを徹底いたしておりまして、そういった六カ月のところの乗り継ぎといいますか、引き継ぎのときに、その間があかないようにということは十分指導しておるつもりでございます。  それから第三に、特定疾患を新たに加えるという問題につきましては、これは厚生省にございますところの特定疾患対策懇談会がございまして、その懇談会専門家の御意見を聞きながら、その内容をずっと充実してきたところでございます。  なお、患者団体とのいろんな話ということでございますが、これはしばしば患者さんの団体の方と私ども担当者とがときどきお目にかかりまして、いろいろそういう方のお声を伺って、そしてそれを懇談会等にお伝え申し上げて、いろいろ御意見を反映させるということをいたしております。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 患者団体が統一的にやられたかどうか別として、スモンの問題含めて、個別の問題ではありましょうが、包括的に難病問題全体についてお会いされたことはありますか。
  14. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ちょっと日にち忘れましたが、十日か半月ほど前でございましたでしょうか、私どもそういった難病団体、いろんな病気個々団体の連合体のような形になっておられる方々とお目にかかりました。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、初歩的でございますが、難病定義はどういうようにされていますか。特定疾患という言葉を使っておるんですが、私たち言葉で言うと難病というものについての定義をどういうふうにされていますか。
  16. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 昭和四十七年に難病対策要綱というのをつくりまして、その難病対策要綱において私どもがいわゆる特定疾患として考えるそういったものの定義を申し上げますと、原因不明、治療方法確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病というのが一つでございます。それからもう一つは、経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に著しく人手を要するため、家庭負担が重く、また精神的にも負担が大きい疾病、こういうことと、それから第三に、寝た切り老人がん等、他の対策ですでに対策体系が存在するものはこの体系から除くと、こういうふうな考え方をいたしております。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 特定疾患対策懇談会意見によって、治療研究対象疾患になれば公費負担する、こういうことになっておるんでしょうか。
  18. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 原則的にそのとおりでございますが、ただ、これには先生承知のように、いろいろ予算制約ということもございますので、そういうことも兼ね合わせて御判断いただくことにしております。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 患者の側から言えば、指定されたことによって難病になるのではなくて、先ほど研究されておるという四十三班、あるいは私たちの方から見ると、六十二から五十二余りの特定疾患対象疾病があると思います。現実長期、高額な医療負担を受けるのは変わりがありません。現実患者状態基準にして、そういう状態になった者については、難病患者としての指定をしてほしいという患者からの要求があるんですが、それについては局長の方はどうお考えになりますか。
  20. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 実は、いわゆる難病と言われているものにつきまして、先ほど先生お話にもございましたが、なかなかどういう原因であるかというのがはっきりわからないわけでございますが、それは裏返しますと、今度はこの疾病というのを特定するということが非常にむずかしいということがございます。それに似たような症状があるけど、それは何とか病と、こういうふうに名前をつけてみても、それがほかの病気とその病気と境目が非常にはっきりしない、どういう病気かわからないということがございます。そこで、私ども治療研究に取り上げます場合には、いわゆる調査研究を行って、そして調査研究の中で、この疾病というのはこういう症状とこういう症状が起こった場合に、この疾病だということが言えるという、何といいますか、その疾病概念なり診断基準といったようなものが確立しておらないと、いわゆる治療研究というところへ入れられないという考え方を持っておりまして、ものによりましては、いわゆる症状でこういうことが言われておるというけれども、いろんな病気がその中にごちゃまぜになってしまっているというようなことでは、その疾病特定することはできないわけでございますから、そういった観点も含めまして、懇談会において検討していただくということにいたしております。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 患者の側から言いますと、長期に高額の負担をして治るか治らないかまだわからない、こういう不安でありますから、こういうものについて、政府が温かい手を差し伸べるのが当然難病対策だと考える。そういうことで一層力を注いでもらいたいと思いますが、いかがですか。
  22. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ただいま申し上げましたそういうような観点で、これをお困りの方を何とかして御援助するということは非常に必要なことでございますので、ただいま申し上げましたような、そういった疾病そのもの診断基準特定ということが行われ、その内容対策要綱に合致しておるものであるならば、私どもできるだけそういう方々も取り込むというような考え方で進めてまいりたいと思います。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 難病として特定されるまでもなく、原因がわからないということになれば、当然病名が決定されない、対象でなくてもやるべきだということを強く要求をしておきます。いまそういうお答えをきちんとされておりませんから、特定をされるまではこれはむずかしいという意味のことを言っているようでありますが、患者側にすればそういうことになります。先ほど大臣からもお話がありましたが、パーキンソン氏病が十月から治療研究対象疾病となりますが、これは疾病都合特定をされたからなるのか、予算都合でなったのか、といいますのは、医学的判断も、結局予算措置ということによって制約を受けておるんではないか、そういうことによって、落ちこぼれる難病の人々の不安は解消されることにはならないと思うんです。いわゆる予算が先であって、疾病特定されても予算がつかないということにならないようになっておるか、いかがでしょうか。
  24. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 原則的に申しますれば、先ほど申し上げましたような特定疾患として選定するという基準がありまして、それに沿えばそれに沿った対策を行うということが原則でございます。ただ、もちろん予算の問題があるということを申し上げたわけでございまして、特に予算がないからというようなことのないよう、私ども十分配慮をしておるつもりでございます。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 大臣にお伺いいたしますが、特定疾患の問題を含めて、この難病については予算がないから、そういうことについてはできないということがないように、五十四年度の予算を含めて御努力願えますか。
  26. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) その方向努力いたします。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 特定疾患指定された疾病者に対して、疾病についても、定義から言えば長期治療可能性が強いものばかりではないか、いわゆる特定されましたら、それから後ずっと相当長い期間対策をしなければできないのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  28. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 大体そういうものが多いということは、おっしゃるとおりでございます。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 原因がわからなかったということが原因がわかって、いわゆる治療することができるようになる、こういうことで研究をされておる、こういうことですが、六ヵ月を治療期間とした理由、及び指定疾患はいずれも六カ月以内で大幅な治療研究変更をしておるけれども、そのデータはどうなっておるんでしょう。
  30. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ちょっと申しわけございません、先生後段におっしゃられたのは、六カ月で治療研究変更しておる……。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 はい、そうです。ありませんか。
  32. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ただいま先生おっしゃられました六カ月というのは、いわゆる患者さんが特定疾患ということで受給者証申請され、そして治療研究対象になられた場合に、六カ月ごとにその受給者証更新を行うと、こういうことと理解いたしますと、これはいわゆる結果的には肝患者さんの医療費公費負担になっておるわけでございますが、そもそも趣旨はやはりそういった患者さんの治療研究という名前で私ども呼んでおりますが、やはりこれは研究一環だというふうに考えております。そういうことを含めまして、やはり六カ月に一遍程度はきちんとそのお医者さんに御診断いただきまして、どういうような病状であるかということを把握しながら、その公費負担対象にしていく、そういう考え方で六カ月で更新するというやり方をいたしておるわけでございます。そこで、先ほども申し上げましたが、六カ月のときに、その申請をしている期間中だけ医療費が消えてなくなってしまうということがないように、ちゃんと早目に申請していただいて、そして切れることがないようにという事務的な措置は、私どもできるだけそういうことのないようにということを都道府県あるいは医師会等を通じて、そういうことがないような努力をさせておるという状況でございます。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、大幅な治療研究変更というようなことはないんですか。
  34. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ないというふうに考えてよかろうかと思います。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 そのデータは、どういうような形で処理をされるんでしょうか、研究データ
  36. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 治療研究と言っておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、それは研究一環として医療費を出しておるということでございまして、研究の主力は調査研究の方になっておるわけでございます。治療研究の方はできるだけお医者さん、私ども調査研究の方でいろいろと研究いたしました結果を、そういった実際に治療に当たられている先生方調査研究の進んだ姿をお伝えいたしまして、そういう第一線の今度は先生方特定疾患患者さん方を治療されるに当たって、非常に役立つということに進めておるわけでございまして、治療研究そのものの方から研究報告といったような形は、現在特にとっておりません。
  37. 片山甚市

    片山甚市君 治療研究したデータは、第一線におる方々に役に立つように考えておると、こういうことで理解をしておきます。  それで当面、一年と治療期間をする必要があるんじゃないかという御意見があるんですが、いわゆる医者側からあります。また、再交付申請をするときに、公費負担の中断はないかということを聞こうと思った。先ほど大臣あるいは局長の方から、穴はあけていない、手続に万全を期してやっておるということで確認をしておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  38. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 六カ月の期間を延長すべきかどうかということにつきましては、私どもさらにこれは研究懇談会の方から対策懇談会の方にいろいろ御意見を今後伺うべきことというふうに考えております。  それから第二の、空白期間ができるかということにつきまして、私ども先ほど申し上げておりますように、ないような最善の努力を尽くしているつもりでございます。
  39. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、難病についてその原因を究明することが最も重要だということで、対策を立てられておるようでありますが、その研究体制研究費については十分であるのか、研究を委嘱している中央、地方の病院医師に不満ないしは取り組みが不十分だという指摘や、具体的にこうしてほしいという要求は出ておりませんか。
  40. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 昭和五十三年度におきまして、約十一億の調査研究費でございます。これにつきまして、これは中央懇談会の方でいろいろと御検討いただきまして、調査研究班を編成いたしまして、日本じゅうのその道に関するすぐれた研究者の方々で班を編成いたしまして、研究していただいておるわけでございますが、端的に申し上げまして、研究費が不十分であるというふうには強く私どもは考えておりません。それは研究されている先生方、ときどきもっとあればいい、もっとあればいいとおっしゃるんですが、それは始終そういう声はどこにでもあるわけで、本質的にいまので全く困ると、こういうような声までは聞いておりません。
  41. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、具体的なときにそのことをお聞きしますが、在宅患者対策としての保健婦の派遣などについては、どのようになっておりますか。
  42. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 実は、いわゆる難病というのは大変むずかしい病気でございます。そういういう意味で、この難病患者さんに対する家庭の看護といいますか、あるいは家庭訪問ということについて、これは単に普通のいわゆる考え方で進めていいものかどうか、特別の何といいますか、知識なり何なりを持って訪問するということが、本来なら望ましい、あるいは場合によっては医師とペアで訪問することが望ましいと、こういったようなことが原則的にございまして、いま調査研究の班の中に、そういったいま先生御指摘のような看護に関する調査という調査を進めて、看護に関する研究を進めていただいておりまして、そういうところで家庭におられる方にどういった看護が適切かというのを、いまやっているところでございまして、やはりその段階におきまして、十分な準備の上、そういった訪問なら訪問ということが行われるよう、私ども現在この調査班の結果を期待しているわけでございます。
  43. 片山甚市

    片山甚市君 寝たきりの疾病者もたくさんおるようでありますから、当然看護のための保健婦の派遣、そういうことについては十分に努力をされるべきだと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  44. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ただいま申し上げましたように、私ども調査班の、調査班といいますか、研究班の結果を十分考えまして、それに対応できるようなそういう姿をつくり上げたいというふうに考えます。
  45. 片山甚市

    片山甚市君 通院治療にかかる負担、あるいは介護手当などについて、家族の経済負担軽減するという立場から、その方法について検討されておるのか、されるべきだと思うがどうか。
  46. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 現在、治療研究、いわゆる医療費補助対象になっている方々の場合に、私ども対策はあくまでも現在の健康保険制度の上に乗っておりまして、その健康保険で医療給付が行われた、その自己負担分をカバーするという考え方に立っておるわけでございまして、現在患者さん方がいろんな出費があるものの中でも、いわゆる健康保険の一部負担にかかわる分にのみ、これを給付するという考え方でございますので、ただいま先生がおっしゃられたような費用の中には、とても私どもでは取り上げられないものが含まれておるというふうに考えておりますが、これは非常にむずかしい問題だというふうに考えております。
  47. 片山甚市

    片山甚市君 検討されるべきだという、いわゆるこれは特定疾患患者に対するという意味ではなくて、国民の健康を守るという厚生省の全体の役割りから言えば、そういうことをされるべきだということを申し上げておきます。きょうは御回答いただくようにはならないようでありますから。  そこで、今日までの難病対策の取り組みの結果、現在の患者の置かれている状況を全国的にどう把握されているか、先ほど余り把握されてないと、こういう言い方です。「難病対策ハンドブック」昭和五十三年度版、厚生省公衆衛生難病対策課編集では、相当いろいろと事情を報告しておるんですが、どういうように把握されておるか。それは単に疾病状況を統計的に把握しておるというのではなくて、患者とその家族の生活がどのようになっておるのかということを把握される必要があろうと思いますが、そのようなことについて調べたものがあればお示しを願いたい。
  48. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) これも調査研究グループの中に、難病治療看護に関する研究グループがございまして、このグループは五十二年度発足で、現在までのところ継続して調査をやっておりまして、患者さん方につきましていろいろ病気状況が主でございますが、仕事あるいは日常動作、あるいは家族の関係そういうようなこと、あるいは療養上困っている事項というようなことにつきまして、いろいろと調査をいたしておりまして、その結果につきましては、まだいわゆる最終的な結果が出ておりませんので、この結果が出ました暁には、いろいろ先生方にもごらんいただいて御批判をいただきたいと思います。
  49. 片山甚市

    片山甚市君 五十二年度から始まったということですから、まだ結果報告をするまでに至っておりませんでしょうが、いつごろまでに大体そのことについてはまとめるおつもりでしょうか。
  50. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 大体この研究班は三年を限度にいたしまして、三年のときに研究報告をいたしまして、それをいろいろ評価しまして、その研究を続けるあるいは続けないというようなことをやっているシステムでございますので、最終的には、五十二、三、四と行われるわけでございますので、最終報告は五十四年度になろうかと思いますが、しかし、その途中段階におきまして、五十二年度分あるいは五十三年度分というような中間報告をつくることになるというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  51. 片山甚市

    片山甚市君 厚生省がそういう取り組みをされたことについては敬意を払いますが、実は真の行政ということになれば、その患者家族の生活部門についてどのような状態なのかということをすることが、血の通った厚生行政だと考えます。  私は、そのような資料がまだ入っておらないというのでありますから、御参考に申し上げたいんですが、自治体の議員が全国で百八十名ほど参加いたしまして、その調査を行いました。この組合は全電通の地方議員団百八十七名ですが、全国で国公立の病院状態患者とその家族などを対象調査したことでありますが、四十二都道府県の四十病院、十五疾患患者数で四百六十名にとどまりましたけれども患者とその家族の切実な実態を把握してきました。本来、国や自治体がやるべきものですが、私たちの仲間であるいま申しました全電通労組出身の自治体議員百八十七名が訪問して聞き取りを行い、行政とも話をしてまいりました。しかし、世間体を気にして隠したがる疾病の人々や、何もしてくれなかったと政治不信の声を上げる人があって、それを説得しながら実態調査するために、計画をしてから三年目にようやくまとめ上げたのがこの資料でございます。三年かかりました。そこで、そこに本当に病で苦しんで悩んでいる人たちの偽らぬ姿を見たときに、これを政府に訴えて判断を求めたい、こう思っていまから若干データから質問をしていきたいと思います。それに基づいて所見を述べてもらいたい。  一つは、都道府県において、国が対象疾患としている以外のものについて、独自の研究制度、医療費助成などを実施しているものを承知しておりますか。
  52. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) おっしゃるとおり、幾つかの地方自治体におきまして、厚生省指定しております以外の疾患について、そういった医療費扶助というのを行っているということは承知いたしております。
  53. 片山甚市

    片山甚市君 これについて、国はどのような対処をしておられますか。
  54. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 国は国で定めたいわゆる十九、本年から二十の疾患につきまして、そういった医療補助を行っているわけでございますが、それ以外のところでいわゆる別の疾患都道府県単位で医療費扶助の対象にしているということは、これはそれぞれの県のお考えでおやりになっていることというふうに考えておるわけでございますが、まあこれが多分それぞれの手続におきまして非常なアンバランスがあるということはよく伺っておりますが、私どもは、先ほど申し上げましたような基準疾病指定いたしておりますので、必ずしもどこかがやったからそれに合わせるということにはまいらないというふうに考えております。
  55. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、自治体におけるこのようなことについて助成を積極的に拡大させるとか、自治体の財政の限界もあるから、国でそれを受け持っていこうという気持ちはありませんか。
  56. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 先ほど申しましたように、私どもは私どものルールに従いまして、この特定疾患を決めているわけでございまして、それぞれの県がいわば上乗せということでございましょうか、そういう形でおやりになっているものにつきましては、確かにそういう実態があるということは存じておりますが、だからそのままストレートに県の方のおやりになっていることを私どもが吸い上げてしまうというふうにはいかないのではないかというふうに考えております。
  57. 片山甚市

    片山甚市君 国が積極的にそれらを援助をし助成をしていくようなつもりはありませんか。
  58. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 先ほど申しましたように、私ども基準に従いまして指定した疾患につきましては行っているわけでございますが、地方自治体がおやりになっているのが、私ども懇談会の判断でそういったような病気に該当すれば、これは取り入れるわけでございますが、そうでない場合は、特に私ども、そういうふうなことをなさっているのに対していろんな補助をするということは、現在のところ考えておりません。
  59. 片山甚市

    片山甚市君 たとえば富山県では、研究対象疾患で国費負担のないものすべてに県費で入院費の負担をしております。独自の医療費の助成をしておる都道府県は、調査四十二自治団体中、二十二ありました。こういうような実態は、紋切り型で、まだ特定疾患指定をしておりませんからという言い方は、血の通わない厚生行政だと思いますが、しっかりこれについて協力をする態勢をとってもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  60. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) まあ、お答えは先ほど申したとおりでございまして、私どもそういうっもりでやっておるわけですが、ただ実際問題として、都道府県がなさっているのがどの程度のものか、よく十分私ども調べておるわけでございますが、その実態を十分踏まえまして私ども今後検討したいと思います。
  61. 片山甚市

    片山甚市君 余り熱がないやり方だということがよくわかりました。厚生省がやるときには、もう少し人間味のある、血もあり、涙もある話をするのかと思ったけど、やっぱりやらないということで、よくわかりました。  民間団体特定疾患に対する積極的な治療研究を行っている例があります。筋無力症に対する血漿交換法などの例が出されておるのでありますが、このように自治体と民間医療機関の協力を得ながら進めていくのか、あるいは難病医療センターというような施設をつくって、あらゆる機能を集中さしてやるのか、患者組織の包括的な掌握をして、治療、生活面に直結した行政がなされるように配慮するのか、こういうことで、いまの難病対策課の御苦労はわかりますけれども対策は十分でないと思いますから、このことについて、民間の協力を得てやる方法について一つ、それから国が難病医療センターのような施設をつくって、そしてあらゆる機能を集中さしてやる方法、三つ目は、患者の組織の包括的な掌握をして、治療、生活面における直結した行政を行う、こういうようなことについて三つほど考えられるんですが、どれか力を入れてやるつもりはありましょうか。
  62. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 民間の何といいますか、協力というのはいろいろあると思いますが、いわゆるボランタリーな団体方々の活動ということ、これにつきまして当然私ども、そういったのがどんどん進んでいくということは望ましいことだと思います。またその治療につきましていろいろな考え方があると思いますが、そういうものは当然のことながら、いろいろそういった業績の結果を私ども研究班の中でも十分取り入れて、研究を進めていくというふうにいたしたいと考えております。  それから、難病のセンターの問題でございますが、これは国立施設に関しましては医務局長からお答え申し上げることになろうかと思いますが、全般的に申しまして、いわゆる難病といいましても、これはいろんな原因がそこにございます。主に免疫学的な方向から検討すべき疾患、あるいはウイルス学の方から検討すべき疾患、あるいは神経病理の方から研究すべき疾患、いろいろございます。それを全部まとめてしまいますと、いわば医学研究所そのもの、あらゆるものがこの中に入っておるわけでございまして、そういったもの、必ずしも一つ難病研究センターといったようなものがあることが、即この難病研究の進展に結びつくとは必ずしも考えられないと私は思っておるわけでございます。
  63. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 難病センターの構想でございますけれども、ただいま公衆衛生局長が御答弁いたしましたように、一カ所に集めてやるという方法にもいろいろ問題がございます。医務局といたしましては、四十七年十月の難病対策要綱に基づきまして、難病病床の整備については、全国を十八ブロックに分けて整備を進めております。四十八年から五十二年までに約一万四千床を整備いたしましたし、また五十三年度、本年度も国立病院三百床、国立療養所八百四十床の整備を行っておりますが、難病患者は全国に分布しておりますので、まず病床整備はやはり全国的に考えなければならないと思います。  次に、研究とか研修の問題でございますけれども、これも難病はたくさんございますので、現在すでに国立病院では七施設、国立療養所も七施設、基幹施設といたしまして、それぞれ特別な難病調査研究要員の研修を行う施設として整備を進めております。今後も先生がおっしゃるような総合的な大センターというよりも、個々のセンターといたしまして、研究・研修機能を強化していく。それには、現在ございます国立病院・療養所の大きなものをそのようなものとして整備していくという考え方をとっております。  なお、最近のものとしては、御案内のように、本年一月、神経センターを武蔵療養所に整備いたしました。これはいわゆる精神、神経、筋及び発達障害の研究研修治療センターでございますけれども、これについては領域がおおむね一致しておりますので、一つにまとめて設置したものでございます。
  64. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 先ほど先生おっしゃられました第三の点でございますが、私ども実際こういうふうな難病を取り扱う場合の先生方というもの、非常にむずかしいわけでございまして、来年度各医師会地域のお医者さん方に、いろいろなインフォメーションを差し上げると同時に、そういった在宅の患者さん方に十分行き渡る指導ができるような、そういったことを来年度考えてみたいというふうに考えております
  65. 片山甚市

    片山甚市君 佐分利局長がおっしゃったように、療養所、国立病院についてはこのような状態で診療科目があるということについては、一般の方々に周知されるようにやっていただけましょうか。
  66. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 国立病院・療養所の難病担当の状況につきましては、公衆衛生局、児童家庭局の公費負担の制度がございまして、その公費負担をいたします場合に、病院、療養所が指定されますので、そういった関係で、各都道府県の社会福祉事務所とか、保健所はよく承知をいたしております。要するに、保健所や社会福祉事務所が御案内をするということになろうかと存じます。そのほか、やはり主治医がよく知っていなければなりませんので、医師会などを通じて開業医にも連絡をいたしますし、また通常行う手段といたしまして、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等も使っているところでございます。
  67. 片山甚市

    片山甚市君 私の方から要望しておくんですが、このような利用できる施設についてよくわかるようにしてもらいたいということを、もう一度繰り返しておきます。  調査の結果、四十二自治体のうち七府県で年額千円から二万円までの見舞金を支給したり、四自治体では月額二千円から一万円までの介護助成金を出しておる。疾病の態様、症度によっては身障者手帳交付者もおりますし、身体障害者手帳を交付している者に準じて、こういう方々の救済措置をとるべきだと思いますが、いかがでしょう、厚生大臣
  68. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 技術的な問題でございますので、先に私からお答え申し上げます。  公費負担制度につきましては、大人の特定疾患については公衆衛生局が担当しております。また、子供の小児慢性特定疾患については児童家庭局が所管いたしておりますし、そのほか特に児童家庭局の育成医療とかあるいは社会局の更生医療によりまして、たとえば腎透析のようなものが公費負担されているわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、一般の雑病対策におきましても、また更生医療とか育成医療におきましても、いたずらに疾患対象をふやすことはできないわけでございまして、おのずからその対象とする規格、基準があるわけでございます。  四十七年十月の雑病対策要綱をつくりましたときには、特に難病として腎透析患者指定して、子供については育成医療、大人については更生医療を適用するというふうにしたわけでございますけれども、そのほか最近問題になっておりますいわゆる植物人間等についても、その病状によっては更生医療が適用される場合があるというような状況でございまして、長期慢性疾患であればどれでもというわけにはまいりませんけれども、それぞれの規格、基準に合いました、制度の本旨に合った疾病については、逐次その範囲が拡大されているところでございます。
  69. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) ただいま医務局長からお答えをいたしたのでございますが、先生の御趣旨は、この特定疾患患者を抱えている家庭全般の、疾病だけでなくてあらゆる総合的な負担、これを軽減するためにどういう政策をとるかと、こういう御趣旨だと思うのでございます。  実は、特定疾患対策というのは、特定疾患という疾病をとらえまして、それについての対策をやっているものですから、医務局なり公衆衛生局としては、いまの対策医療費負担部分を解消していくという方向でこれをとらえているわけでございます。そういうような方々を抱えた家庭全般についての対策ということになりますと、一般的にやはり主としては社会局だと思いますが、その原因いかんにかかわらず、家庭全般の負担というものをどういうふうにしていくか、またそれの救済の要があればどういう救済の措置をとるか、こういうことになろうかと思いますので、これらは一般的にやっぱりそれぞれが持っておりますいろいろな福祉法がございますので、そういう福祉法の観点からこれを取り上げてやる以外にはないだろうと、かように考えております。不十分な点があれば今後とも私どもとしては充実努力をしていきたいと考えております。
  70. 片山甚市

    片山甚市君 時間がもうないようでありますから、きょう見ましたら、七月十六日読売新聞では「患者忘れた「総合対策」」と書いて、「治療法の研究もさっぱり」と、この調査の結果を記者が読んでそういうふうにつけてます。先ほど申しました全電通が難病実態調査をした結果、全国で百万人以上いると言われている難病患者に対して、これらの患者家族のことはいまどのようになっているのかということについて書いてありますから、一部また終わりましたら松浦局長の方へお渡ししますから、よく読んで判断の資料にしてもらいたい、三年もかかったんですから。労働組合とか地方自治体が何のことを考えているかと言うと、みんなの痛みを考える政治をしたい、役所のなわ張りで、いま大臣も言うようになわ張りがありまして、なわ張りを越えられませんので、なわ張り、なわ張りでいろいろやりますと言っているんだけれども、総合対策をしてもらいたい、こういうことを強く言っておきたいんです。  特に、小児慢性疾患のうち、ぜんそく慢性疾患内分泌疾患、膠原病は通院治療も認めるべきだとお医者さんから言われておるんですが、これはやってもらえましょうか。もう一遍言うと、小児慢性疾患のうち、ぜんそく慢性疾患内分泌疾患、膠原病は通院治療も認めてほしい。これは先生が言っておるわけです。私も病院先生に聞いたら、そうしてやらないと大変だと言うから、検討でもしてちゃんとやってくれますか、約束してください。
  71. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) お答えいたします。  ただいま御指摘いただきましたうちで、膠原病につきましては、現在通院については小児慢性疾患公費負担対象といたしておりませんが、その他のぜんそく等につきましても同様で、糖尿病はすでに通院を認めております。それで、膠原病は通院治療の問題についてもう一度再検討をしてみたいというふうにも考えております。  通院治療につきまして、なかなかこれを認めるという一つのたてまえが、非常に通院によって十分治療効果が上がること、あるいは高額な医療費を要すること、さらには長期にわたるといったようなことを一つ基準にいたしております。その中で、特に膠原病等につきましては、積極的に前向きに検討をいたしていきたいというつもりで現在検討いたしておりますので、さらに御趣旨を踏まえて十分考えさしていただきたいと思います。
  72. 片山甚市

    片山甚市君 病院先生の方から、治療研究は一年間とすべきであり、研究期間は三年となっているけれども疾病によっては少し柔軟性を持たしてほしい、こういう意見があるんですが、これは参考になりませんでしょうか。
  73. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 先ほど申し上げましたように、半年というのは、現在懇談会意見も大体半年くらいで見直すべきではないかというふうな御意見を踏まえまして、そういうやり方をやっているわけでございます。  なお、調査研究の方につきまして、三年ごとで切ってしまうのはひどいではないかと、こういう御意見ございます。それは私どもよく存じておりまして、三年ごとに班の研究成果を評価委員会が評価いたしまして、これはさらにこういう方向にまた新たに研究を進展させていくべきだと、こういうふうな判断が出ました場合には、同じその疾病あるいは症状研究につきまして、さらに継続をしていくという道は現在もとっております。
  74. 片山甚市

    片山甚市君 研究期間は、三年ではなくて、必要なときは延ばしてある、こういうことで治療研究の報告については、六カ月ごとは報告の関係であって、患者には直接関係がない、こういうように理解をしておきます。  そこで、実は私たち聞き取りに行きますと、患者とその家族からの聞き取りは、プライバシーに触れる問題だけに困難をきわめて、回収率は三〇%、四百六十名しかできませんでした。そういうことでありますから、特徴的なことを言いますと、入院期間で言えば、調査当時七十八名中、半年未満は十三名で全体の一六・七%、一年未満は十一名で一四・一%、他の五十一名の七〇%の者が一年以上の療養中でありました。治療研究を六カ月として区切り、再申請させることについてどうかと言いましたところ、それは研究のことであって、患者に直接関係がない、こういうふうに理解をしておきたいのです。  そこで、入院、通院の繰り返しを見ますと、三回以上五回までの者が調査の百六名中六十一名、六回以上が十五名で、計七十六名が入院、通院の繰り返しである。家庭生活や病状の不安が強く訴えられている。こういうことについても理解をしてもらいたい。  それから、患者の四百六十名のうち、健康保険の本人が八十名、一七・四%、健保家族は百四十四名三一・三%、計二百二十四名四八・六%であります。職域健保利用者が圧倒的であり、普通の家庭のことであり、ありふれた労働者の家庭の問題が難病問題であって、特殊な階層のことではない。そこで、元気に働いておる家族のことである、こういうように考える。さらに全額自費であった人は、対象中一名であったことから推測できるのは、治療負担にたえられない人は潜在患者として多数存在するだろう。そういう意味で、難病対策は予防医学の面でもっと早期に確立しなければならぬ、もっと早目にそれを発見するようにしなければならぬと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  75. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) 確かにおっしゃるとおり、それは隠れた患者があって、そうしてもっと早く見つければ患者さんのためにも非常にいいというのは当然だと思います。私ども、そういった隠れた患者さんがおられるならば、それをできるだけ発見していくということを今後十分努力したいと思います。
  76. 片山甚市

    片山甚市君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、ひとつ難病対策の問題は、スモンの問題を焦点にして、いま医薬の問題を問われておるところでありますから、しっかり私たちは国民の期待にこたえるように厚生省努力をすることを約束してもらいたいと思います。厚生省大臣いかがでしょう。
  77. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりだと思いますので、総合的にできるだけ私ども対策推進してまいりたいと思います。
  78. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は質問に入る前に、本委員会の運営について委員長以下各理事が御苦労だと思っていますが、一、二点要望を委員長にしておきます。  まず第一に、休会中の委員会というのは法案を抱えておりませんから、時間をかなりとってお互いが議論をすべきだと思います。まあ、しかしきょうは五十五分というふうに私どもの理事から聞きましたのでその範囲内でやりますが、法案を抱えているときにはともすれば時間がとれませんので、今後の運営にひとつそういうことについて御配慮をいただきたい。  第二番目には、与党側の御出席が理事二名です。野党側はほとんどみんな出てきている。私は質問をしないからということで欠席をしたんでは、お互いにコンセンサスを得られないと思うんです。重要法案を抱えたときはぞろぞろっと出てくる、そういうような与党側の態度はまことに遺憾です。ですから、少なくとも月に一回なら一回、二カ月に一回、閉会中でも委員会をやると決めた以上は、お互いがやはり出てくる、こういう点についてぜひひとつ新しい委員長のもとで運営について十分な御配慮をお願いをしたいと、こう思います。
  79. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいま安恒委員から今後の運営のあり方につきまして御意見がございましたから、理事会で十分に検討させていただきます。
  80. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは質問に入りたいと思いますが、私は、薬価問題にしぼってきょうは質問をしたいと思います。ただ、この問題につきましても、第八十二国会、五十二年十一月の二十二日に当社労委員会におきましてかなり詳細な質問をやっております。しかし、当時時間がございませんもので掘り下げできなかった点や、解明ができなかった点について、本日はこれらの問題にしぼって行いたいと思いますから、大臣並びに関係局長はすでに私が事前通告申し上げておったように、当日の議事録を十分読んで御出席の上だというふうに私は考えますので、どうか重複答弁がないようにひとつお願いをしておきたいと思います。  きょう私が主として質問をいたしますことは次の三項目であります。  第一は、薬価調査の結果をもっと信憑性のあるものにするということについてどうだろうか。第二は、バルクラインの算出方法を現行のオンライン方法から加重平均値方法に変えるべきではないだろうか。第三番目は、二対一の法則を直ちに廃止すべきではないだろうか。こういうこの三つについてきょうはお聞きいたしますが、これとても時間がなかった場合には、引き続いてまた後で御努力願って、委員会の中であれをしていきたいと思うんです。  そこで、まず第一にお聞きをしたいのでありますが、大臣にお聞きをしたいのでありますが、十一月二十二日からきょうまで約八カ月たっております。あのときに、大臣を初め関係局長は、実勢価格に見合った薬価基準の適正化を考える。余りにも乖離がある、努力をしたい、こういう点を、それぞれ薬務局長、保険局長大臣、何点か挙げられておりますが、八カ月たちました今日、どのような具体的な改善が行われたのか、もしくは現在進行中はこのように改正をしていこうというふうにしていると、この点について十一月からすでに八カ月たっておりますから、それらについて大臣並びに関係局長の答弁をお願いをしたいと思います。
  81. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 十一月二十二日の御質問の事項を大体要約をいたしてみますと、七点であったように思うわけでございます。私当時おりませんが、いろいろ省内で聞いてみまして、もし間違いがあれば御訂正願いたいわけでございますが、まず第一は、薬価調査の方法の改善、それからバルクラインについての算定方法等についてのただいまお話しの改正問題、それから薬剤費の割合が医療機関の総支出に占める割合が非常に大きいから、この点についての対策をどうするか、それから添付販売の是正の問題、それから新薬登載をするための審議会を新しく設ける問題、それから薬の流通機構の改善問題、それから薬の配給小社の設置の問題、こんなことじゃなかったかと無理解をいたしておりますが、薬価調査の方法の改善につきましては、自計調査のみならず、特別調査をやるということに決定をいたしまして、過般すでに実施をいたしました。まだこの解析をやつて、発表するまでに至っておりませんが、非常に改善の実が上がっていくだろうと期待をいたしております。  バルクラインの問題については、なお検討中でございます。  それから、薬剤費の費用の割合は、若干毎年低下をいたしておりますけれども、なお、御承知のように三七%という、保険全体から見ますと、薬価の占める比重というものは非常に高いわけでございますので、これらを是正することについてはできるだけの努力をいたしたいと思っております。  添付販売の禁止につきましては、行政指導を強化しておりますが、やはり一罰百戒というのが一番効果がありますので、この前センセファリンにつきまして保険薬価からの削除を決定をいたしまして、処分をいたしました。この姿勢を改めさす具体的な行動をとったわけでございます。  それから、新薬登載のための審議会の設置でございますが、これはどうもいわゆる治療指針の変更につきましては、中医協というものがございますので、そのほかに特に審議会を設ける必要は私どもはないと思っております。  それから、流通機構の改善につきまして、いろいろ具体的に後で薬務局長からお答えをいたしますが、できるだけ今度の薬事法の改正を検討する際に、法律事項ではありませんけれども、いろいろそれぞれの系列別に打ち合わせをいたしておるところでございます。  それから、配給公社という意味は、やはり、バルクラインとの関連もありましょうし、また、医薬分業との関連もあろうかと思いますが、これらにつきましては健康保険制度のあり方が特に関係をいたしますので、方向としては健康保険制度の抜本改正のあり方を踏まえまして、その結果を見つつ態度を決定をしていきたい、かように考えておるところでございます。  なお、具体的な問題については、それぞれ担当局長からお答えをいたします。
  82. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) 大臣からお答えのありました点につきまして、薬務局分について多少の補足の御答弁を申し上げたいと存じます。  薬価調査方法の改善につきましては、いわゆるサンドイッチ方式ということで他計調査を加味する、それで自計調査の分の信憑性をも確かめるという方針で、すでに四月取引分について五月の調査が行われております。その中で、実はこれは国会でも御質問がございましたが、明らかに価格操作をしたのではないかと疑われる件が二件ほどございました。それによりまして、私どもとしては直ちに業界に対して厳重な警告を発しまして、その後の特別調査の推移を見ておりますと、おおむね妥当な調査が進行したものというふうに考えております。  添付販売の禁止につきましては、武田製薬のセンセファリン事件については大臣から御答弁があったところでございます。  流通機構の問題につきましては、安恒委員御指摘のようないわゆる現金問屋によるところの流通秩序の乱れというふうなものが、非常に大きな問題としてわれわれ当面しておるわけでございまして、これにつきましては現行薬事法の改正の問題の中で何とかできないかということで、実は知恵をいろいろしぼってみたわけでございますが、安恒先生承知のように、薬事法は衛生法規でございますので、いわゆる公取がらみの流通秩序問題についてはおのずから施策に限界がございます。そこで、流通の問題のいわば非常な問題点とされている現金問屋につきましては、その設備構造と管理面について薬事法からの規制により事態の改善が図れないかということで、現在いろいろ案を検討いたしておる段階でございます。  以上が薬務局分で補足申し上げる点でございます。
  83. 石野清治

    説明員(石野清治君) 二番目のバルクラインの引き下げ等、薬価算定方法の改正の問題でございますけれども、私どももいろいろ検討してまいりました。確かに現在のオンライン方式によります矛盾もいろいろございますし、いろいろな新しい加重平均方式によります場合にもいろいろな利点もございますけれども、またいろいろな問題もございます。しかし、非常に重要な問題でございますので、私どももいま慎重な検討をしておりまして、むしろこれは算定方法の検討につきましてはオンライン方法にとらわれないという形で率直に検討いたしておりますけれども、いずれにいたしましても中医協において御議論願わなければならない問題でございますので、そのための検討の資料というものについて検討いたしておるところでございます。
  84. 安恒良一

    ○安恒良一君 専門家に対する御答弁としては、全くあなたたちの答弁はお粗末きわまりありません。しかし、これを言っておってもしようがありませんから、少し中身に入っていこうと思う。たとえば、一つの例を挙げますと、大臣、薬事審議会、これ中医協で決めることと、私が聞いたことは薬価を登載をする、新薬価の値段を決めるために国民にオープンにしたらどうかということを言っているわけですね。中医協における治療指針とは違うんですよ、これは。治療指針と薬価の決定方法はもう全然違いますからね。ですから、その当時の八木局長はこういう答弁をしている。「先生御指摘のような問題はないと思いますし、さらに薬務局とも十分御相談いたしてやっているわけでございますが、さらに先生御指摘の問題も含めまして、薬務局とも十分研究さしていただきたい」、前にもそういう答弁があったんですよ。治療指針を中医協で決めてるからいいじゃないかというから、ぼくから突っ込まれて治療指針と新薬登載の価格決定は別ですよということを突っ込まれて、それはよく関係局長認められて、十分相談をしてみたいと、こう言われているわけですね、相談をしてみたいと。ところが、あなたはいまになって治療指針を中医協で決めてるから新薬の値段をいわゆる審議する、それはなぜかというと、どうも薬務局と、特に厚生省と製薬メーカーは癒着がありはしないかという国民の疑惑があるからですよ。ですから、疑惑を解く方法は新しい薬の価格を決めるときに、私がここに言っているような関係者を入れた審議会の中で議論すればいいじゃないかということで、まあ時間がありませんから、この議事録読んでもらったと思いますが、私はかなり細かくそこのところについては薬の問題について疑惑を晴らした方がいいですよと、厚生省の某高級官僚、りっぱな人ですよ。製薬メーカーに専務で行った。三木内閣から呼ばれたらまた帰ってきて政府の役人をして、また行っている。私は個人的に人物尊敬してます。しかし、そういうやり方というのは、これは一つの例ですよ。その人を私は非常にりっぱな人だったと、在職中好きな人でした。しかし、そういうやり方というのがいろいろあるわけですよ。そうすると、どうも新薬を決めるやり方がおかしいじゃないかというときに疑惑を晴らす方法は、関係利害者を入れて新薬というものの値段を決めていくことが一番正しいんですよ。中医協の事項じゃありません。私は中医協十三年やったんです。中医協で一回でも新薬の値段を決めるときの相談受けた覚えありません、こんなことは。あなたは治療指針と言われた。ですから、私はあえてお粗末だと言うんだ。そういう答弁では実際は困ります。しかし、これをやつとったんでは時間がありませんから、私は一つ一つの中身に入っていこうと思います。その方が、たとえば新しい保険局長も、いわゆるバルクラインの決め方のところのいまの答弁なんか全くなってません。何のことやらさっぱりわからぬ。私これからずっと聞きますから、ひとつあれをしていただきたいと思います。ですから、その点はひとつ薬事審議会、いわゆる薬価を決めるための審議会問題は引き続いて大臣検討してみてください。これはいずれ臨時国会なり通常国会に健康保険法のあなたは改正案を提案される、継続審議になってますから。その場合にまたこれは重大な問題になりますから、引き続いてここのところはひとつ。あと一つ一つの項目をいまの答弁を反論しておったら、それだけで終わりますから、きようは改めて大変私の出しておる八つの注文に対して不十分だ、お粗末だということを申し上げておきます。引き続いて注文が生きるように御努力をぜひお願いをしておきたいと思います。  そこで、まずお聞きをしたいんでありますが、大分改善をされているというお話でありましたが、現在の薬価基準は五十二年十一月一日付で薬価改定を行われ、五十三年二月一日から実施をされております。そこで、私がお聞きをしたいのは、通常よく病院等で使われます上位二十品目というのがございますが、この上位二十品目のいわゆる購入価格と実勢価格が現在どうなっておるのか、これを説明してもらいたい。特にこの場合、御注意申し上げておきますが、病院における薬品の購入単価は一般的には大学附属病院、特に国公立が最も高い。国立病院、それから公立病院、公的病院、続いて私的病院が一番安いと言われてます。でありますから、私がいまお聞きしたいのは、購入価格と実勢価格の現在について、一つ一つやられたら時間がありませんから、資料があったら資料をいただきたい。そして、平均でこれぐらいの値引きになっているということを、まず国立、公立、まあ公的病院といっても公立の中で結構だと思う。それからあと、私的病院の場合に、どういう購入価格と実勢価格の格差があるのか。いま大臣や関係局長はかなり改善をされていると言われていますが、私は私なりに手元に資料持っていますが、改善をされてはおりません。しかし、厚生省当局で一番新しい資料をひとつ私に提出をして、傾向がどうなっているかということを説明してもらいたい。以上。
  85. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) まず、国立病院の購入状況について私から御説明申し上げます。  昭和五十一年度の薬価基準価格と購入価格との差は、市場医薬品について調査の結果、加重平均いたしますと約二三%でございました。
  86. 安恒良一

    ○安恒良一君 ちょっと、医務局長、よくお聞きくださいよ。私は五十二年の十一月一日で薬価調査があって、五十三年の二月一日で実施されている。だから、私がいま知りたい資料は、五十三年の二月以降のやつを具体的にもう表があるなら表をばっとくれと、こう言っているわけです。表があれば表をばっと見ればわかりますから。それを一つ一つしゃべられておったんでは時間かかりますから、そういうことを言っている。そして結論だけ言ってくださいと、こう言っているわけです。
  87. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) なお、先生のおっしゃいました五十二年度とか、あるいは五十三年二月以降につきましては、現在調査中でまだ手元に資料がございません。
  88. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) 必ずしも先生の御要望の資料に、的確に御質問に答えたことになるかどうかあれでございますが、薬価調査内容先生承知のとおりに企業秘密等の部分がございましてあれでございますが、当省で薬務局として把握している資料といたしまして、たとえば現金問屋から出ている価格リストあるいは全国自治体病院協議会の共済会から出ておりますところのプライスリストがございます。これによりまして、仮にこの資料によりまして、先生御指摘のような上位二十品目の薬価基準価格と、それから実際に現金問屋あるいは全国自治体病院協議会系統の共済会の販売リストですね、これを全部単純平均いたしまして薬価基準との差を計算をいたしますと、二十品目——これは医薬品全体の中に占めるシェアとしては一三・六%の数字でございますが……
  89. 安恒良一

    ○安恒良一君 資料。
  90. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 薬務局長、発言中だけれどもね、資料あれば資料出してくれということです。
  91. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) はい、わかりました。それはいまちょっと手元にメモを用意しておりますが、後ほど全部資料を差し上げることにいたします。  値引き率は、この現金問屋及び全国自治体病院協議会共済会の系統のものでございますと、その二十品目については四〇・五%の値引き率、薬価基準価格に比べての格差はそれだけでございます。
  92. 安恒良一

    ○安恒良一君 私はもうすでに、前もって資料をきょう配ってもらいたい、そして上位二十品目の対薬価基準比を出してもらいたいとけさほども言ってあるわけです。どうしてそれを配ってくれませんか。私が持っておる調査で言いますと、上位二十品目の対薬価基準比を言いますと、ことしの七月で大体四五・七%値引きです、常時使われる薬ですね。この傾向は、このように私は毎月の資料を持っている。ことしの二月から六月までの資料を持っていますが、ほとんど変わってません。それだけの値引き率にこれは公的病院の場合になっています、公的病院の場合ですね。そうすると、私的病院の場合にはこれはもっと下がっている、私的病院の場合にはもっと下がっている。  それから医務局長に申し上げておきますけれども、私は医務局長に対しても、あなた自身には言ってないのですが、質問取りにお見えになった方には、いわゆる国立についてはすぐ調査ができるんだから、一番新しい資料と言っているのに、いま調査中でございますとは何事ですか。それだったら、これから質問取りに来てもらっても、質問を事前通告しませんよ。私はそういうことについて、最近の新しいやつを用意してもらいたいということをちゃんと通告しておったのに——一番調査しやすいところじゃないですか、国立というのはあなたの管轄ですよ。大臣そうでしょう。どうして大臣、こういうことができないのですか。私は質問通告をきょうしたわけじゃない。どうしてそういうことを、いま調査中とはどういうことですか。いま調査中というのはどういう意味ですか、国立について。一番新しいやつを持ってきなさいというのは私は何回も念を押してある。
  93. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) たとえば、主要病院ということになりますとわりあいに簡単でございますけれども、全国に九十六の国立病院がございまして、それ全部ということになりますと、やはり若干の日時を要するわけでございます。
  94. 安恒良一

    ○安恒良一君 それなら私のところに、国立病院は残念ながらできませんと、こういうお断りがありましたか、きょうまでに。ありませんよ、そういうのは。
  95. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) その間の経緯はよく存じておりませんけれども、本日最も新しい資料をお出しすることが困難であることは、担当が先生に申し上げたのじゃないかと推測しております。
  96. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも手続のことで、大臣、こういうことじゃ困るんだ、やりとりやっておっても時間たつからね。少なくとも、私は私なりにいろいろなところの団体の協力を得て資料を持っておる。やる気になったらすぐできるんだ、こんなことは、やる気になれば。しかも、きょうは薬価問題だけを一本にしぼってやりますよというのは、ずっと前に私が大臣のところに来たときに薬務局長にはまず通告してある。三週間もずっと前の話だ。薬価問題だけを徹底的にやりますよと言ってあるのだから。これはやりとりやってもしようがありませんから、そういうことがないように。  それから薬務局長の方も、いま申し上げたように、上位二十品目なら二十品目はこういうもので、こういう値引きになっていますということを、資料下さいよ、あなた。けさほどはわしのところに事前に連絡したじゃないですか、そういう資料を持って。そのときにぼくは、いわゆる対薬価基準比が出てないから早急に出しなさいということで、しかも私は質問をわざわざそれで二番手に回って、あなたたちが計算ができる時間を、余裕をとったつもりですよ、私は。こういうものをパッと見せてもらえばわかるのだから、これは私の調査ですが、どうしてそれがないのですか。出してください。
  97. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) これは提出いたします。
  98. 安恒良一

    ○安恒良一君 まあ、そういうことですから、どうもせっかく事前にお願いをしておってもなかなか……。  それから資料というものは、私はやはり審議を正確にするためには、聞いている委員の方にもわかってもらおうと思いますから、できれば事前に配ってほしいということもお願いしているわけです。私の一人よがりでは困るわけです。そういうことですから、どうぞこの次からは。  そこで、次の問題に移りますが、いわゆる薬価調査の方法について、私はこの薬価調査の結果をもっと信憑性のあるものにしたらどうかということで、具体的に前回のときに数項目にわたってやり方を変えるようにお願いをしておきましたが、最終的には中医協で決められることでしょうが、私の数項目の薬価調査のやり方について、その後どのように検討されたのか、そしてどういう案をお持ちなのか。  いずれこれは中医協にかけられることだと思いますが、まず、私が言った中の一つとして、余りにも調査の日時が短いじゃないか、一週間を一カ月に引き伸ばしているじゃないか、こういうようなやり方。それからいま一つは、自計と他計との関係で、いわゆる自計だけではだめじゃないか。他計調査ということで、具体的に調べるための薬価専門担当官というものを置いて、随時、これは問屋はもちろんのこと、使用している病院、診療所等にも立ち入って調査をしないと、わずか一週間ぐらいの調査では操作ができるじゃないか、しかも前もって通告してある。あなたはいまそれをやったら、そういうところがあって警告したら、調査方法が直ったと言うけれども、直るものじゃないですよ。いま言ったようにわずか一週間、しかも調査月を前もって予告している。それでもってやっているという、こういう調査方法では信憑性はない。少なくとも私は調査をやるなら三カ月なら三カ月、まず調査をやるべきじゃないか。それから、いわゆる他計ということで薬価Gメンをつくって、随時立ち入り調査をする。経時変動調査ということで追跡調査一つの方法だけれども、それだけじゃだめだ。こういうことをこの前いろいろ問題を指摘をして、もっと薬価調査の結果を信憑性のあるものとすべきだということを言っておきましたが、いまさきの中野さんなり関係局長の答弁では、全くそこのところが理解ができません。今後具体的にどうされようとしているのか、どういうお考えをお持ちか、その薬価調査のやり方についてお答えをお願いをしたい。
  99. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  昨年の十一月時点における安恒委員の御質問、御趣旨としてはわれわれとしてもまことに同感な点が多いわけでございます。  そこで、確かに御指摘のように、まず基本的に自計調査であるという点、それから調査月が事前に指定をされておって、いわば人為的な価格操作が入り得るという点が問題点であろうかというふうに考えたわけでございます。  そこで、もちろん薬価調査の結果をいかに処理をし、これを薬価改定にいかに結びつけるかというのは、これは御承知のように、保険局側の中医協マターということでございますけれども、薬価調査そのものの改善といたしましては、そのような欠点を克服するための難点といたしまして、実は膨大な作業量、それからこれは法律上の根拠なしの、いわば卸売業者その他の関係者の自発的な協力による調査という性格上の限界がございます。そこで、われわれといたしましては、その法律上のいわば強制調査、立ち入り調査の権限なしに、いわば関係者の協力を得ながらやらなければならないという非常に困難な問題点があるわけでございまして、なおこれをも説得をしながらこの調査精度を高めていくということしか、われわれとしては残された方法がないということでございます。  そこで、他計調査という点につきまして、先ほど御説明いたしましたように、四月取引分を五月に調査をいたしました。これは二十六販売業者を対象に抜き打ち的に調査を行ったわけでございまして、その結果として、抜き打ちと申しましてもやはり前日には通告をしなきゃいかぬ、立ち入り権がないわけでございますから。その意味においてはなお完全な、いわば抜き打ち調査ではございませんけれども、この実施をいたしました、先ほど御説明しましたように二件ほど、それでもなおかつやはり多少の操作が入っているのではないかという疑いがあるものを発見したということでございます。しかしながら、四月時点、四月取引の五月調査という特別調査の結果につきましては、その二件を除きましては、われわれとしてはその内容についてほぼ正確な取引実態が把握できたのではないかというふうに、現時点では判断をいたしているということでございます。  なお、事後的にもこの特別調査を行うつもりでございまして、したがいまして、たとえば仮に事後的な調査を七月ないし八月あるいは九月に行うといたしますれば、われわれの手元には四月から事後の特別調査にわたる薬価変動の全貌が、いわばデータとして集まるということでございます。これもなおかつまた完全なものとは申せないかもしれませんが、われわれの立場としましては、現行法制上許される限界点までは、ぎりぎりの努力をしていきたいということで今後もやってまいりたいと、かように考えております。
  100. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、この点は、私は場合によれば、必要ならば法律改正を含めてぜひ調査方法の改善をお考えを願いたい。それはなぜかというと、いまも皆さんが認められたように、実際薬価基準と、それから市中販売価格の間に値引きが上位二十品目ですよ、一番よく使われるのが四五・七%もある。約半分もあるんです。それを直す方法は、一つはやっぱり薬価の調査を正確につかむしかないんです。そうしますと、少なくともいま申し上げたようにわずか一週間単位に調査して、それを実際四倍に伸ばしていると。これは正確に言うと内用と外用に分けて八倍にするというやり方でやっている。これじゃ実態はつかめないですよ。一週間ぐらいだったら伝票操作はどうでもできるんです、伝票操作は。そうしますと、やっぱり私は自計の場合には三カ月ぐらいを調査をする、それからやっぱり他計調査を随時立ち入りを強化していく。その場合も、調査権がないとおっしゃるならば、私は薬という問題は人間の生命と健康を守り、しかも薬問題というのはこれから大問題になる問題ですから、いわば国民の税金や保険料のむだ使いなんです。そういう問題があるんですから、私はこういう点の改善について、ぜひ調査方法がもっと信憑性を持つように、ぜひ御検討願いたいと思いますが、大臣その点どうでしょうか。細かいやつはまた後で言いますが、いわゆる調査方法だけについてもそういう問題があると思いますが、どうでしょうか。
  101. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 法律上、強制力を与える調査ができるか、法律改正がそういう面でできるかということについては、これは法制局とよく相談してみないと、なかなか薬事法という性格、あるいは保険という制度の性格から見まして、そうした立ち入った強制力を持った調査が可能であるかどうかは、これは私一人の判断でちょっとここで決めかねますので、法制局とも十分よく相談をした上で態度を決定さしていただきたいと思います。  それから、自計調査にしても、あるいは他計調査にしても、とにかく一週間やそこらではだめだと、もっと長期的にわたって調査をしてやらなきゃいかぬということについては、一つの御意見と私は思いますので。  ただ、御承知のとおり、従来ともどうしてもこの調査の結果を行政、したがって薬価基準に反映をするというのに非常に期間がかかっておるわけでございます。私はこの点を実は薬務局にも保険局にも、せっかく四月分を五月に調査をして、それから六月の自計調査もあるんだから、なるべく早くこれを薬価基準に適確に反映をさして早く施行した方が、より保険全体の合理性から見ても妥当ではないかと思いますので、これは調査の正確を期するためには、先生おっしゃるように相当の長期間にわたってやる方がいいと思いますけれども、その辺になりますと、また相当実施がおくれているという面があるんじゃないかと思いますが、この点はもう少し事務的に、私もよくこの実態をつかんでおりません点もありますから、よく事務当局とも相談をしてみたいと思います。
  102. 安恒良一

    ○安恒良一君 これも私が急に新しく言い出したわけじゃなくて、すでに国会の中で先輩の議員からも、薬価調査の方法についていまの方法はいけないということは、もう何回も衆議院でも御指摘があるのですよ。その都度、できるだけ前向きに検討しますと、こういう御答弁になるわけです。そうして実際は、依然としてやられないということになると、結果的に言うと、どうも厚生省と、もう一遍言うけれども、製薬メーカーの癒着があるんじゃないかということになるのです。  今日、総医療費が十兆円を超える、その中で薬剤の占める割合があなたたちのあれでも三七%と言われる。しかも、この前の私の質問の中で、どんな方法で比べても日本は薬や注射を使い過ぎだということは、やりとりで明らかになっているのです。それをやはり直していかなければならぬ。直すためには一つの方法としては、まず調査自体が正確でないとだめなんです、調査自体が正確でないと。ですから、この点は私はこれから国会議員をしている限り、何回も何回もあなたたちが直さなければ徹底的にこれは追及します、あらゆる委員会で。あらゆる委員会で徹底的にこれから追及しますから、どうかひつ薬価調査の方法について検討します、検討しますじゃなくて、少し具体的に前進してください、こういうふうに。少なくとも、だれが考えたって一週間じゃどうにもならないのです。それを一カ月に伸ばしてある。  次にまいります。このバルクラインの算出方法は、現行方法はオンライン方法でありますね。これは現行方法が九〇バルクオンラインですが、テレスコープ方式、カットオフ方式という三つの方式がありますが、これについて私はよく中身は知っていますから、どういういわゆる長短があるのか。なぜ現在、オンライン方式を採用しているのか。これの理由について。九〇バルクオンライン方式をなぜ採用しているのかということについて、考え方を聞かしてください。
  103. 石野清治

    説明員(石野清治君) これは先生、十分御案内のとおりでございまして、オンライン、それからカットオフあるいはテレスコープという方式がございます。  現在、オンラインによります方式をとっておりますけれども、確かにこの点につきましては、御案内のとおりいろいろな問題を含んでおります。たとえば、九〇%バルクラインでいきます場合に、当然その値段で決められますので、薬価とかけ離れた市価がありましても、当然それが請求される、こういうこともございますし、それから全体的に、その薬価全体として上昇なり、あるいは下降いたしましても、それが薬価に反映しない、こういう問題もございます。そういう意味で、そういうものを補正する意味では、確かにカットオフなりあるいはテレスコープという方式も非常に重要な問題でありますし、また利点もあるわけでございますけれども、同時にこういうカットオフなりあるいはテレスコープ方式をとりますと、加重平均でございますので、どうしても一方で半数が逆ざやになるという問題がございます。したがいまして、その逆ざやをどうするかという問題も解決しませんと、この方式を採用するというわけにはなかなかいかぬのじゃないか。ただ私ども、いま九〇%オンライン方式をとっておりますのは、多数の医療機関が特別の異常な取引でない限りは、その薬価で十分に実費を補償できると、こういうたてまえで採用しているわけでございますけれども先ほど御指摘ございましたように、実際の価格とそれから取引価格と、薬価に大きな開きが出てくるという問題がございます。  そこで、これらにつきまして、どれが一番いいかということになりますと、いろいろ御議論が分かれるわけでございまして、御案内のとおり中医協でもいろいろこの算定方式、九〇%の問題を含めましていろいろ問題がございました。これにつきまして私どもカットオフにした場合どうなるのか、テレスコープの方式をとった場合どうなるのか、どういう価格になるのかということにつきまして現在検討いたしておりまして、その検討の結果によりましてさらに中医協で御議論願いたいと、こう思っておるわけでございます。
  104. 安恒良一

    ○安恒良一君 これもひとつ参考資料をおつくりになっているでしょうから、配ってください。皆さんに理解してもらうために配ってください。問題点がすぐ一目でわかりますから。  結局、このオンライン方式というのはどういうものかと言いますと、価格の安いものから順次に並べて九〇%目に相当する量に対応する値段なんですよ。そうしますと、ここに一つの図式がありますが、たとえば九十円で二十万錠、百円で二十万錠、百十円で三十万錠、百二十円で十五万錠、百三十円で十万錠、百四十円で五万錠、計百万錠を売った場合に、九〇バルクオンラインではどうなるかというと、これは百三十円、値段が。同じやつをカットオフでやりますと、販売価格の安いものから順次並べて、九〇%に達するまでの販売量の加重平均値であります。そうしますと、同じやつが百六円になる。それから、テレスコープ方式でいきますと、九〇%に相当する量に対応する価格より高い部分を九〇%の価格まで引き下げた全数量の加重平均値でありまして、これは百九円になる。ですから、同じ九〇バルクですよ、いまあなたが言ったように、逆ざやが出るという。九〇バルクでやると、こういう数字、この数字はあくまでも架空の数字を並べただけで、事務当局は。私は、もっと実際のやつを使って計算するとこの値段が非常に違ってまいりますが、たとえば私は具体的な薬で、三十五円で二十万カプセル——以下百七十円、五万カプセルの、百万カプセルを三つの方式で計算をしましたら、オンラインでは百六十円、テレスコープ方式では八十四円、カットオフ方式では七十五円五十銭になる、同じやつでですよ。これは具体的な薬の単なる数字値であります。  こういうふうに見ますと、明らかに私はオンライン方式というのに無理がある、九〇バルクオンライン方式というのは。あなたが言うように、逆ざやなんかできっこないんです。なぜかというと、結果的なことを言いますと、いま私が申し上げましたように、加重平均なんですね。しかも、実際の値引き率が四五%も四七%もあるわけでしょう。だから、あなたが言うように、これをやると高く買わされる諸君が出てくるという。そんなことはないんです。  ただ、九〇バルクの方式でいきますと、これは私はうまく——大臣、ここをよく聞いておってくださいよ。九〇バルクオンライン方式でやると、薬の値段が下がらない。なぜ下がらないかというと、こういうやり方がある。まず、処方せんのない保険薬局、次に販売量の少ない山間僻地の診療所、それから、それでもまだ一〇%に達しない場合には、過疎地帯の診療所に、いわゆる流通の量の一〇%強だけ薬価基準で販売しておけば、あとはどんなに安く売っても薬価基準が絶対下がらない、これがいわゆるオンライン方式の一番欠点なんですよ。そして、一〇%ぐらいの価格操作は幾らでもできるんです。総販売量の一〇%をいま言ったようなところに売っておいて、そうするとあとは幾ら値引きしても、九〇%オンライン方式では値引きの実態が出てこないんです。  そこで、せめて実態を出すとすれば、加重平均方式が少しでも一たとえば厚生省に計算さしたやつでも、百三十円が、いわゆるカットオフだったら百六円になるわけです。テレスコープ方式だったら百九円になるわけですね。私が実際の薬の計算したやつでは、まだうんと下がります。しかし、それはまあ後で、数字の問題ですから。  いずれにいたしましても、九〇バルクライン、私自身はバルクライン引き下げもこの前いろいろ議論しましたけれども、引き下げだけではだめなんです。どうしてもやはりこの計算方法自体を変えなきゃならぬと思いますが、なぜあなたたちは——それじゃ、ちょっと歴史的な経過を聞きますが、保険局長昭和二十二年以降、この数量バルクライン方式はどういう歴史的な変遷で今日に至っていますか、説明してください。
  105. 石野清治

    説明員(石野清治君) 大分古いことでございまして、当時の担当なりあるいは資料を見まして検討いたしましたけれども昭和二十二年のときには、物価庁におきまして、物価統制令に基づくいわゆるマル公で薬価基準を決めておりました。それが二十五年まで続きまして、たしか二十六年にマル公が廃止になったわけでございますが、その際に物価庁では、いわば当時のマル公方式から、やめまして、市場価格に基づきます薬価基準を算定いたしました。この際に初めてオンライン方式が採用されたというふうに聞いておりますが、その際のオンラインは八〇%、こういうふうになっております。九〇%バルクラインになりオンラインになりましたのは、厚生省に物価庁から権限が移管されました昭和二十八年の薬価基準の改定以来でございまして、そのときに初めて九〇%バルクライン、オンラインの方式がとられたわけでございます。その際に、八〇%のバルクラインが九〇%バルクラインになりましたのは、当時物価庁でやりました際には、いわゆる手作業でいろいろ資料を積み上げてまいって計算いたしておりましたけれども厚生省に移しました際に機械集計いたしました。そこで、機械集計いたしますと、どうしてもコードを統一しなければいけませんし、一つ一つについてのたとえば何円何銭というものを、たとえば何円と何円の間にするというようなことでやってまいりますので、どうしてもそこに値段が違ってまいりました。厚生省の方でオンライン方式で九〇%でやりました値段と、物価庁でやりました八〇%バルクラインの値段が大体近似いたしておりましたので、九〇%バルクラインをとったと、こういうふうに聞いております。  その後はそのままでございまして、たしか四十八年の際に、四十二年から四十八年にかけまして、このバルクラインの問題について中医協で議論されている、こういうふうに聞いております。
  106. 安恒良一

    ○安恒良一君 現在の薬価基準算定方法を丁寧に述べますと、こういうことですね。  大部分が銘柄別、一部統一限定方式で、後でこれは質問いたしますが、二対一の法則を取り入れた九〇%数量バルクオンライン方法で数値を求め、それに上下一〇%のアローアンス方式が導入されていますね。これで間違いありませんか、いまの薬価のやり方は。これはこんなことを言っても、国会議員の先生でもなかなか御理解願えない点があると思いますが、重要なことですから。そういう方式でいいですか。
  107. 石野清治

    説明員(石野清治君) いま先生のおっしゃったような資料ございますけれども、私自身まだこれ十分勉強しておりませんので、確かめてみたいと思います。
  108. 安恒良一

    ○安恒良一君 まあ局長新しいから。ですが、この次までよく勉強しておいてください。  やり方はそういう方式なんですよね。これ、なかなかわからぬと思うんだ一般国民も、あなたがわからぬぐらいですからね。やっぱりこういうものは一般国民がわかるようにしなけりゃいかぬ、わかるように。  そうしますと、いま言われた九〇バルクラインというものは、あなたも言われたとおり、いわゆる昭和二十二年から二十五年までは物価庁で八〇%数量バルクラインのテレスコープ方式を採用しておった。そして、昭和二十八年、厚生省に移されてから九〇%。その後、テレスコープからオンラインに変わっていますが、九〇%バルクラインが引き上げられたわけですね。それから、八〇から九〇になった理由がわかりません。  それから、いま一つは、率直に言って物価統制令時代なり公定価格時代の状況と違って、いまや薬は非常に製造量がふえていますね。販売競争も激しいんです。だから、その時代の方法をそのままに依然として保険局はお持ちだという理由がわからない。なぜ、いまの実態に合った方式にここのところの、少なくともこれだけ薬問題が問題になったら、せめていわゆる加重平均に直す、こういう努力がないんでしょうか。私は大変不満に思います。これもこの次まで勉強しておいてください。答えになりません。なぜいわゆるオンライン方式しか採用できないかという理由がわかりません。カットオフ方式がなぜとれないのか。それから、テレスコープ方式がなぜとれないのか。これはどちらも加重平均の、これは数学的なやり方ですけれども、少なくとも私が主張したいことは、国民にわかりやすくするためには、いわゆるいま言ったような加重平均の方が正確じゃないか。  そこで最後の質問ですが、二対一の法則、二倍の法則とも言われておりますが、これについて私は中身知っていますが、なぜこの方式が採用されているのか。二対一の法則、二倍の法則というものが薬価調査に当たってされていますが、その採用されている理由について、なぜこれを採用しているのか。
  109. 石野清治

    説明員(石野清治君) 二倍の法則という問題を採用している理由でございますけれども、薬価基準の価格設定の基礎となります包装単位の問題でございますが、包装単位の選定に当たりましては当然医療機関の購入状況というものを十分踏まえて行わなければならぬわけでございますけれども、価格調査におきまして包装単位ごとの使用頻度というものを調べまして、それで一応最小の包装を基準包装とするという考え方をまず基礎にとっております。ただ、この最小包装に比しましてより大きな包装単位の使用実態が、たとえば販売数なりあるいは購入側におきましていずれも二倍以上になったときに、その当該包装を基準包装とすると、こういうのが二倍の法則でございますが、この法則を採用しています理由といたしましては、本来、薬剤費というのはいわば実費補償と申しますか、かかった費用について補償するというたてまえから、大多数の医療機関が少なくとも薬剤の使用によりまして損失をこうむらない、そのためにはどうするかということの配慮が必要でございまして、極端な小包装によります割り高価格を排除する必要性から、こういう二倍の法則をとったものというふうに考えております。
  110. 安恒良一

    ○安恒良一君 あなたはあれですか、医療機関が薬を使うことによって損害をこうむっていると思われていますか。上位二十品目でかなり高買いしている公的病院でも、いいですか、実際の薬価基準よりもはるかに安い値段で買っているんですよ、はるかに安い値段で買っている。あなたの言い方は、何かこういう方式をとらなければ、少なくとも——それならお聞きしますが、この九〇バルクラインというのは、九〇バルクラインというものは少なくとも使われた全数量の九〇バルクラインであるべきだと思うんですね、全数量の。そうでしょう。九〇バルクライン方式というのは、いま私が言ったように少なくとも九〇バルクライン——ところが、あなたのやり方だったら国民は全くわからないし、ごまかされているのは、使われた全数量の九〇%方式じゃないんです。いまの九〇バルクオンライン方式というのは、オンライン自体に問題があるけど、まずそのことはさておいても、九〇バルクオンライン方式というものは使用された薬の全体の、調査された薬の全体のいわゆる総量の九〇%、これを九〇バルクと呼ぶんじゃありませんか。なぜ二対一の法則が、いわゆる正しい九〇%数量バルクというのは、包装のいかんを問わず、販売された総数量の九〇%バルクで薬価が決定されるべきであると思うんです。それなのに、無理にいわゆる包装品の中から一つだけを繁用包装として取り出して基準包装となし、こういうやり方やっていますね。いまあなたが言われたように小包装、大包装がずっと販売されている。それが全部総量の中で九〇とるなら私は文句言わない。ところが、いま言われたように販売個数量が二倍にならない限り、大包装の価格は全然この中に入ってこないんじゃないですか。小包装と大包装の場合には、明らかに大包装の価格の方が安いんですよ。これもひとつ具体的に計算をしたのがあったら、それでひとつ出してみてください。資料を私は用意しておきましたが、二倍の法則をやめた場合にどういうことになるのか、二倍の法則をやめた場合にはどういうふうになるのかということについて、私は私なりの計算をここで何例か持っていますが、ひとつ二倍の法則をやめて、少なくとも売られた数量の全部の加重平均——加重平均じゃなくて、九〇%でいったらどうなるのかということについて、資料があったら出して説明してください。
  111. 石野清治

    説明員(石野清治君) ただいまの御指摘の資料につきましては、ただいま統計情報部の方にお願いをいたしまして計算をさせております。
  112. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ大臣、これも全く矛盾をしているんです、二倍の法則というのは。全く矛盾しているんですね。いいですか、大臣はおわかりだと思いますが、小包装がある、大包装がいろいろあります、種類が。小包装の二倍の量にならない限り、これから上は全部調査対象に入ってないんですよ、調査対象に。そして一番小包装だけが調査されている、小包装だけが。二倍の法則というのは。こういうことでいいんですか、調査方法として。少なくとも九〇バルクといえば、いわゆる私が言ったように、販売された総数量の九〇がとられるべきじゃないですか、販売された。販売された数量の中である一定の法則を出して、それから下をカットして、それで実際の価格はどうして正確にわかるんですか。その点、大臣どう思われますか。この二対一の法則、二倍の法則について、大臣はどうお考えになりますか。
  113. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 安恒先生の御意見を私は非常にもっともだと思います。したがって、私もいま、従来どういうような経過をたどり、それがなぜ二対一のそういうものになってきておるのか、この辺のところをよく中医協のいままでの議論を検討してみないと、はっきりしたこうしますという答弁ができませんけれども先生のおっしゃることを聞いておって、確かに九〇%バルクの場合に、そういうような方式を恐らくとらなきゃいけない理由があったんだろうとは思いますけれども、中医協の議論を過去にさかのぼってよく検討してみないと、私はっきり申し上げられませんが、しかし、確かにこの全体の数量の九〇%バルクラインを引く方がより合理的だといういまのお話そのものは、私も同感をいたします。
  114. 安恒良一

    ○安恒良一君 結局、中医協、中医協と言いますけれども、これはたとえば薬価調査の問題のときにも、日医からもこの二倍の法則については何の理論的根拠もない手法だということで激しく言われているんですよ、日医からも当時。これは一九六九年の日医雑誌の中にも載ってますけれどもね、二倍の法則。日医が言ったのは違った意味で言ったかもわかりませんよ。私が言ったこととは違った意味で、全部小包装にしろという意味で言ったのか知りませんけれども、彼らも認めているわけだ。何らの理論的根拠がないと、いまの二倍、こういうやり方は。小包装というやり方はですね。ですから、私は少なくともいま申し上げたこの三つ問題点ですね、大臣いいですか、三つ問題点一つは、薬価調査の結果をもっと信憑性のあるものにするための努力、第二番目は、まず二対一の法則なんというのは全くばかげている、少なくとも販売された総数量が調査対象になるべきである、これをやめてもらいたい。三番目には、バルクラインの現在のオンライン方式をやめて加重平均にする。加重平均方式をとる、こういうことをやらない限り——薬問題というのはまだほかにもいろいろあります、薬を減らす方法。しかし、とりあえずこういうことは、やることについて問題はない点なんです、問題は。たとえば、出来高払い制度とかいろいろ問題があります。私はこの前いろんなことを言っている。しかし、いま申し上げたようなやり方について、それはなぜかというと、当時これを決めておったときと、いまの状況は全然変わっているということなんですね。薬の値引き率が余りにも激しい。五〇%近くがいわゆる薬価基準よりも実勢価格では取引されているわけなんです。だから保険局長が何回も言うように、これをやることによっていわゆるお医者さんが高買いをして赤字が出るなどという実態じゃないんですよ。赤字が出ない。もうかるからむちゃくちゃに薬が使われるんじゃないですか、もうかるから。だから、国民の税金のむだ遣いであるし、保険料のむだ遣いだと。だから、こういうことについては行政として私はぜひやっぱり正す。これ、やれることなんです。それから中医協、中医協というように逃げ場つくるけれども、中医協はあなたの諮問機関なんだから、あなたがこういうふうに改正したいということを諮問して議論がなるわけです、中医協というのは。そうでしょう。昔は建議方式だった。いまは諮問機関になっているんだから。諮問方式なんだから。だから、少なくとも薬価調査方法については、こういうふうに改正したいということを私は中医協にかけるべきものはかければいいと。それから、中医協にかけなくても行政でやれる。私は十三年間中医協をやっていますけれども、そんな二対一の法則が中医協にかけられたり、それからいわゆる計算方式をどう変えよう、こう変えようという、かけられたことはありません。少し議論したことはありますよ。ありますが、ほとんど中医協でもこの問題は議論になっておりません。しかし、なぜ私がこれだけ問題にするかというのは、いまやわが国の総医療費が、あなたたちの計算でも、五年後には二十兆を超すだろうと言われているんです。国民にとっても大きな負担の問題だと。これがあなたがいま、いわゆるこの前の国会にあのような一つの案を出されたゆえんでもあるわけでしょう。そうすると、その中の一番大きい問題としてのこの薬の問題について、いままでも何回も何回も各委員会から指摘をされているし、きょうも私は三つのことについて、この前の十一月の委員会で言及できなかったことについて言及いたしました。どうかひとつ、そういう点について前向きにぜひ取り組んでもらいたい。そして、来るべき法案改正の委員会のときには、この問題についてはこういうふうに直すんだ、これはこういうふうにしたいんだ、したんだということがぜひ答弁ができるように、関係局長もひとつ大異動があったばかりですから、少し御勉強していただきまして、具体的にひとつ御答弁を願いたいと思います。大臣、ひとつ所見を承って終わりにしたいと思います。
  115. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 薬価に対する姿勢を正すことについては、私はもうその考え方に変わりはございません。姿勢を正すべく、できるだけの努力をいたします。しかし、いま三つの方式についておっしゃいましたが、二対一の問題等について、若干おっしゃるようないろんな矛盾点があることは事実でございますし、私は先ほど申し上げましたように、基本的な考え方としては同意見だと申し上げましたが、ただ、実際の医療機関の分布を見ますと、やはり個人開業医の皆さんは、たとえ若干の規模の大小はありましても、やはり小包装を購入するという方が多いものでございますから、したがって、医師会の委員が二分の一を反対されたと御指摘がありましたけれども、中医協で。しかし、それはやっぱり、おっしゃるように、御指摘のように、別の意味でおっしゃっているわけでございます。自分たちは小包装が多いのに、大包装とひっくるめにしてやられるというようなことについて矛盾があると、こういう御主張だろうと私は思うんですが、やはり小包装を主として買わなければいかぬような方々のためにも、やはり薬価基準を決めるときには考えていかなければいかぬということも、一つは御理解をいただいておかなければいかぬだろうと思うのです。  それから、カットオフなりテレスコープ方式なりで値段の例示がございますので、まあ低い方がいいじゃないかというふうにもわれわれ考えますけれども、やはりこれはどうしても加重計算方式になりますと、逆ざやが出てくる医療機関は当然出てまいります。それらの問題を一体どうするかという点を、これは十分やはり検討していかなければいかぬわけでございます。いずれにいたしましても、私はこの方式の問題よりは、実勢価格の把握というものがより正確にいくかどうかが問題だろうと思いますので、理論上から言えば、毎年実勢価格の調査をやって、薬価基準の改定をやっておりますから、現在政府が決めた薬価基準というものは——いろんな実態は、それは私どもわかりますよ、実態が実勢価格とは違うということはわかりますけれども、理論上は一応実態調査をやって、薬価基準を決めていったわけでございますので、実勢調査をできるだけ把握をして、実態に近づけて、それを基準にして考えていけば、私は薬価というものの姿勢を十分正していけることができるのじゃないかと考えております。まあ、いずれにしても貴重な御意見を承りましたので、十分よく省内で検討いたしまして、私どももその趣旨にこたえるようにいたしたいと思います。
  116. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、一言だけ言っておきますがね、実勢価格の正確な把握、把握と言われていますが、高買いをしている公的病院でも、薬価基準よりも四五・七%安く買っていますよと、こう言っている。これ一番高買いしているのです。そうでないところは、もっと安く買っているのですよ。そのことをまず頭に入れて、それを埋める努力をしなければ国民は納得しませんよ、あなた幾らいろいろなことを言っても。あなたが言う、高買いするところは出てこないのですよ、高買いするところは。これだけの、いわゆる薬価基準よりも安くみんなが買っている実態が実態として出ているわけなんだから、だからその意味から言うと、やはり計算方法に無理があるなら計算方法も変える。調査方法に無理があるならそれも変える。さらに、私は小包装を調査対象に入れろと言っているのではない。実際に販売された価格です。いいですか。購入は、開業医が小包装を買っているなら、それはいいんですよ。それも全部入れなさいと。大包装も売れているんなら、売れた実態を全部入れて調査をしなさいと言っていることは、決して無理なことを言っているのではない。実態無視じゃない。国内で販売されたとおりのやつを全部つかんで調査をしなさいと、こう言っているのですから、どうかそういうことをしてください。
  117. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩をいたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  118. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 きょうの質問が閉会中の審査の関係等もありまして、ちょっと問題点が二、三にわたりますので、大変恐縮ですがお答えをいただきたいと思います。  最初に、年金の関係についてお尋ねをいたします。この年金制度についても、ほとんど国会のたびごとに改正案が提出され、審議を続けるということを毎年のように繰り返してきておりますが、いま通常国会も終わって予算も成立し、年金制度の新しい改正も終わった現在の段階で、厚生省として年金制度についてどういう取り組みをしておられるか、現在時点で抱えている問題点、そういうようなことについて総括的なお話をいただきたい。
  120. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 年金の見直しにつきましては、昨年の十二月に基本懇の中間意見が出まして、それを追っかけてさらに制度審議会から十二月十九日に建議をいただいたわけでございます。この二つの意見書をめぐりまして、さきの国会でいろいろ御審議をいただき、厚生大臣として一年ぐらいの時間をいただいて厚生省の取り組み方、考え方をまとめて御批判をいただけるようにしたい、こういうことであったわけでございます。それを受けまして、基本懇につきましては五月に再開をしていただきまして、その後すでに三回の審議をしていただいておるわけでございます。再開に当たりましては、大臣から国会で一年ぐらいの時間をいただいて厚生省考え方をまとめたいということを申し上げておりますので、その線に沿って意見の取りまとめをお願いいたしておるわけでございまして、基本懇の、秋から精力的なまとめに入っていただけると、こういうような段階でございます。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは恐らく制度の根本的な改革を含んだ、制度の検討についてのお話だと思いますが、そういう点は秋ごろから本格的な審議に入った場合に、そうすると結論が出るということもちょっと見通しがつきがたいし、新しい制度に実際政府が取り組むということもまだ見通しが立たないと、こういうようなことでありますか。
  122. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 年金の見直しの問題、非常に多岐にもわたりますし、またすでにそれぞれの年金制度が過去の歴史を持っておりますので、なかなか見直しの案を取りまとめるのが困難な面があるわけでございます。ただ、さきの国会でいろいろ御審議をいただきましたので、ぜひとも一年ぐらいのうちに見直しの仕方、厚生省考え方をまとめたいということで懇談会にもお願いをしておる次第でございまして、その期間内には仮に十全のものがまとまらない場合でも取りまとめをしまして、御批判をいただくようにしたいと思っております。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっとおしまいの点、はっきりしませんが、どういう意味ですか。十全のものが、何ですか。
  124. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) いま基本懇で御審議をいただいております問題、非常に多岐にもわたっておりますし、全体の整合性も見なければならないわけでございまして、かなり時間が要るというような性格の問題ではあるわけでございますけれども、一年以内に厚生省考え方を明らかにしたいという、大臣がお約束をしておられるわけでございますので、その時間内には仮に若干詰めの間に合わないところがありましても、全体的な構想を明らかにして御批判をいただきたい、かように思っておるわけでございます。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 大体、厚生大臣、前国会でお約束をなさった準備は進んでいるというふうなお考えですか。
  126. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 着々準備を進めているつもりでございます。いま局長申し上げましたように、でき得ればぜひまとまった御意見懇談会からいただきまして、来年の通常国会の冒頭とは言いませんけれども予算案の審議が進むころには、私どもの方針をお示しできるようにしたい、そしてそれをさらに検討を加えまして肉づけをやりまして、それが来年一ぱいかけて、予算要求等も十二月に行って、できたら五十五年の改正案の御審議をいただきたいなと、これは私のタイムスケジュールとしての希望を持っているわけでございます。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 前国会の中でも論議されましたように、社会保障制度審議会の建議は、五十五年において実現するようにということも意見も出されていること、御承知のとおりでありますので、厚生大臣のいまの御発言のように進んでいくことが非常に望ましいと考えるわけであります。  次に、具体的な問題ですが、国民年金の特例納付についてはどのように進んでおりますか。
  128. 持永和見

    説明員(持永和見君) 国民年金の特例納付につきましては、本月の一日から始まったわけでございまして、現在市区町村の窓口におきましていろいろな広報を行っております。現在のところ、私どもの聞いたところ、東京の区役所あたりでは一日何百人かの照会者が来ているというような状況でございまして、大変順調に進んでいるやに聞いております。また数字といたしましては、始まったばかりでございますので、具体的にどのくらいの人が特例納付をやったかというふうな数字につきましては、まだまとめる段階ではございません。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 一般に対しまして特例納付ができますということをPRすべきであると、それでこの際は、漏れなく手続をとっていただきたいと、こういう趣旨でありましょう。これは国会の論議を通じてもそういうことであった。そこで、どういうような方法でやっておりますか。
  130. 持永和見

    説明員(持永和見君) 通例のやり方といたしましては、一般的な市区町村の広報紙、あるいは今回特に各市町村とも非常に熱心でございまして、該当と思われる人たちに対しまして個別的な勧奨などを行っている状況でございます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 該当者には直接郵便で送っているというわけですか。
  132. 持永和見

    説明員(持永和見君) そのとおりでございます。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 それが間違って来る人もあるのですね。ですから、郵便で来たものもそうですが、大体街頭にも「あなたも年金を受けられます」という、こういうふうに張ってあるのを私も見ておりますが、「あなたも年金を受けられます」と言われますと、だれでもかれでも全部受けられるというふうに取られませんか。そしてまた、なお詳しく読んでいきましても、これこれしかじかの場合は、あなたは受けられませんということは全然入ってないわけですが、そういうふうな点はどう思いますか。
  134. 持永和見

    説明員(持永和見君) 今回の特例納付の対象でございますけれども先生承知のように、国民年金の当然加入期間でありながら保険料を納めてなかったと、こういう者が対象になるわけでございます。ところが、現実問題といたしまして、市町村長が広報をやります場合に、あるいは勧奨をやります場合に、現在の時点ではたとえば任意加入あるいは適用除外者であっても、過去に一これは三十六年四月以降の期間がすべて対象になるわけでございますから、現在は仮に奥さんであっても、過去にうちで花嫁修業をしていたときがあるとか、あるいは現在は恩給をもらっているけれども、まだ恩給をもらい始めなかった期間があるとか、そういう人たちについては、これは特例納付の対象になるわけでございます。したがいまして、現時点で当然加入あるいは任意加入あるいは適用除外だからということで、選別いたしまして除くというわけにはまいりませんので、したがってその人の過去の経歴を一々調べていかなければならないわけでございます。その場合に、非常に複雑でございますので、したがいまして一般的に市区町村の現在のやり方は、およそその年齢から見て該当すると思われる、そういう人たちに対して、最後の機会ですからひとつ納めてくださいと、こういうやり方をするのが通例であろうかと思います。ただ、その場合に、いま御指摘ございましたように、いろいろと制度内容が複雑でございますので、よほど具体的な説明をPR紙に書くとか、あるいは勧奨の際に書くとか、こういう配慮が必要であろうと思われますし、またそういった複雑な過去の経歴を持つ人については、個別に面接をいたして指導してやるというようなやり方が必要かと思われます。確かに、御指摘のようなパンフレットにつきましては、非常にPRのやり方といたしましては雑であるというような面も確かにあろうと思われますので、私どもも今後十分そういった面については注意をし、かつ、きめの細かい指導をするように市区町村に対して徹底した指導をしてまいりたい、かように考えております。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 確かに、過去におきましてその方が完全な当然加入期間を持っていらっしゃるかどうか、あるいはある期間がそうであって、ある期間が任意加入であってという非常に複雑な問題であると思いますが……。  そこで、こういう、あなたも年金を受けられます、こういうように申し込みをしてくださいといって、ある程度大量に発送されることもあり得ることであると思います。したがって、受け取った方も、果たして自分が大丈夫かどうか、当然これは受け取った書類を持って相談に行くというのもこれまた当然のことであって、それを出したことについてどうこうという、この書類が来たから資格が生じたとか、この書類が来ないから資格がないんだということとは関係ない問題であるわけでありましよう。  さて、そこで問題は、前回私が数年前にもしきりとこのことを問題にした一つの点をいまお尋ねいたしますならば、本当から言うと、当然加入期間ではなかったわけです、本来は。しかし、窓口ではその人が当然加入期間のものと勘違いして受け付けて保険料を徴収してしまった、そうしてもうずっとある期間を過ぎてしまった、こういうふうな場合はどうされますか。
  136. 持永和見

    説明員(持永和見君) 特例納付の対象は、もう先生も御承知のとおり、あくまで当然加入の対象期間が特例納付の対象になるわけでございますから、仮に誤りましてそういった任意加入期間を受け付けたといたしますと、これは間違いでございますので、保険料を還付する、こういうことになろうかと思います。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 間違えて受け取ったから、保険料はどれだけ返しますか。
  138. 持永和見

    説明員(持永和見君) 間違って受けました保険料はそれをお返しする、こういうことでございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 まるまる返すわけですね。かつて厚生省は、そのように全く間違えた場合は、できるだけ本人の年金権が生ずるような扱いをしますというようなことを発言したりしていた時期もあるんですがね、それはいかがですか。
  140. 持永和見

    説明員(持永和見君) 制度的にやはり任意加入は任意加入でございますので、したがって、そういう場合に間違いをお返ししないでそのまま続けるということは、これは制度的にはあり得ないことでございますから、いま先生のおっしゃいましたかっこうの話、私実は聞いておらないのでございますけれども、そういうことはないかと思っております。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、当然加入の期間が一カ月でも不足していれば、仮にこの払い込んだ人も取り消されて払い込んだ金額だけ返される、その人には年金権は生じない、こういうことですね。
  142. 持永和見

    説明員(持永和見君) そういうことかと思います。  そのほかに、もう一つバックグラウンドとしてございますのは、任意加入というのはいろいろな形態があるわけでございますけれども、仮にその配偶者なんかの場合ですと、これもう先生承知と思いますが、空期間として生きることになりますので、当然加入の期間に応ずる年金はこれは出るということになります。空期間——任意加入で保険料はもちろん取れません。特例納付としての保険料は取れませんが、期間としては生きていくということがあるかと思います。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 法律のたてまえでありますから、厚生大臣、それはどうしようもないですか、いかがですか。
  144. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) どうもどうしようもない、現在ではそう言わざるを得ないと思います。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、離婚した妻でありますね、被用者保険に加入していらっしゃった方の妻が離婚した場合です、被用者年金に加入している場合の。この方は、まさしく特例納付の対象にならないわけですね、妻である期間は。ですから、法律のたてまえから言えば、まさしく強制加入の期間でないから、あなたは厚生年金なら厚生年金に加入していた方の妻だったんだからということで対象にならないわけですが、こういうような方に対しても、特例納付の趣旨からいって特例納付を希望されるならば特例納付ができるということはできないんですか。
  146. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 今回の特例納付は、前二回と同様に、強制被保険者期間につきまして特例納付を認めるということでやらしていただいておるわけでございます。考え方といたしましては、何らの年金権に結びつく可能性のない方につきまして救済措置を講じるということであるわけでございます。ただ、いまお話のございました、被用者の妻が高齢で離婚をされた場合には、年金に結びつかないおそれのある場合がございますし、また年金に結びつきましても額が非常に少ないということになろうかと思うわけでございます。この点につきましては、特例納付の問題としてではなく、将来の制度改正の大きな課題としまして、先ほどお話のございました厚生省考え方を示す時点ではぜひその対策を織り込んでみたいと、こういうふうに考えております。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこまでの思いやりがあるなら、特例納付の対象とすればいいじゃないですか。
  148. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) 被用者の妻の方の場合も任意加入でございますが、任意加入の方の中にはいろいろございまして、たとえば余り高くない恩給をもらっておる場合に、任意加入しておけばよかったというようなこともございまして、この点だけにつきまして特例納付を認めるということにはまいらないわけでございますので、離婚妻につきましては、先ほど申し上げましたような制度問題としましてぜひ解決策を考えてみたいと、こういうふうに思っております。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 では次に、在外邦人ですね、在外邦人の年金はどうなりますか。
  150. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) この問題につきましては、先生からたびたび御指摘をいただいておるわけでございまして、私どもも検討を重ねてきておるわけでございますが、現在の段階で申し上げますと、やはり非常にむずかしいということを申し上げざるを得ないわけでございます。  特に、前の予算委員会で御指摘のございましたのは、被用者の妻が、夫が海外勤務になるということで一緒に外国に行くと、そのときに任意加入をしておったのがそこで切られてしまうという問題であるわけでございます。いろいろ問題点があるわけでございますが、私ども一番乗り越えられない障害というふうに考えますのは、任意加入の方につきまして、外国駐在中何らかの手当てをするということでございますれば、強制加入の被保険者たるべき方が外国にいるときにも措置を講じなければ、公平が保てないということになるわけでございますが、個人個人の方が保険料を納めていただくシステムになっております国民年金の場合には、外国におります日本国籍の方々の保険料を徴収するということは、非常にむずかしいという結論にならざるを得ないわけでございまして、そういう観点から、被用者の妻が夫の在外勤務期間中任意加入が続けられないということがあるわけでございますが、対策は非常に困難だというふうに考えておるわけでございます。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 何もできないという趣旨ですか。まあ、在外邦人という場合も、厚生年金あるいは共済組合等に加入していらっしゃる方ですね、本人が、その場合でも国によりまして二重払いするような、年金の保険料を二重払いせざるを得ないような場合もあるわけですね。とにかく日本で厚生年金、在籍のままですから厚生年金の保険料を払う。それから、外地へ行ってその国でまた強制保険に加入せざるを得ない場合がある。そちらで保険料を払うというようなことも現にやっているわけですね。それから、国民年金本人の場合は、外地へ行ったら、いまお話しのように全く資格を失って年金には結びつかない。それから、妻の場合は、日本で任意加入で国民年金に入っていらっしゃった方、あるいは奥さん御自身が国民年金に強制加入で入っていらっしゃった方もいらっしゃるわけですが、そうした妻の場合、国民年金の場合などは全くその期間が切れてしまうというとろから、もう少し私もいろんな事例を挙げて予算委員会で質問したときに、当時の厚生大臣も、また当時の総理大臣三木さんも検討しますと。検討するというよりも積極的にやりますというふうに言って、もう何年もたつんですが、それで何にも進んでないというのはおかしいじゃないですか、これは。
  152. 木暮保成

    説明員(木暮保成君) ただいま先生お話しのように、予算委員会等でもお取り上げをいただきまして、時の総理大臣から前向きに検討するということをお答え申し上げておったわけでございますが、被用者の妻の国民年金の任意加入につきましては、先ほど申し上げましたような検討結果になったわけでございます。  それから、もう一つの問題といたしまして、被用者保険、厚生年金の被保険者が外国に参りましたときには、こちらの本社との雇用関係が切れてない場合には、引き続き厚生年金を適用する措置をとっておるわけでございます。このことによりまして年金権が発生しなくなるという心配はなくなったわけでございますが、逆に、いま御指摘のように、現地でまた向こうの被用者保険に入らなければならないということで、二重保険料を払うということが出てまいったわけでございます。それにつきましても、先生御案内のように、一九六八年にドイツが、従来、年金保険に入ります資格の一つとして、報酬の最高限度を決めておったわけでございます。言いかえますと、高給者の場合には強制適用しないということでございましたのを、一九六八年に法律を改正しまして、青天井で年金に入れるということをいたしたわけでございます。で、日本からドイツに行っております場合には高給者の方が多くて、従来二重保険料の問題がなかったわけでございますが、その改正を契機といたしまして、日本からドイツに行っておる方方が二重に保険に入り、二重に保険料が取られるということが起こったわけでございます。その時点でドイツからも申し出があり、私どもの方もその点を解決しなければならないということで、できれば二国間協定を結びたいということで、十年近くすでにたったわけでございますが、それぞれの制度の違いがございまして、なかなか交渉が進捗しないという実情でございます。ただ、若干情勢の変化がございまして、その当時よくわからなかったんでございますが、ドイツの年金法の場合には、被保険者でなくなるときに年金権に結びつかない場合には、本人分の保険料を返すという規定がございまして、その規定によりまして現役中は二重保険料を払うということになるわけでございますが、実際的には保険料の還付が受けられるということで、かなり実態的な救済が行われるということがわかったわけでございます。  なお、これはまだはっきり私ども情報をつかんでおらないんでございますが、ドイツでは最近さらに改正をいたしまして、ドイツに出向してきている外国人が、本国の年金制度を引き続き適用されておるというような場合とか、あるいはドイツに来ておる外国人がドイツに滞在期間が二年とか三年とか初めから限られているという場合には、初めから年金を適用しないという改正をしたようでございまして、そういう観点から申し上げますと問題が残っておりまして、私どもできるだけ二国間協定の締結に努力したいと思いますけれども、実態的にはかなり日本の側から見た場合に問題点が解消してきているということはございます。ただ、御指摘のように二国間条約の問題、ドイツと手始めに協議を始めておるわけでございますが、現在のところドイツの制度改正によりまして、実質的な改善は行われましたけれども、基本的にはまだ二国間条約の締結に待つべき部分が残っておるという状況でございます。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 とてもそんなに時間かけられては困るわけですが、私の質問時間の関係上。  要するに、結論的に言いますと、基本的問題は解決されてないわけです。要するに、被用者年金に入っていらっしゃる方の妻の問題ですね。それは解決されてないわけです。あるいは国民年金本人の場合も何ら解決されてないわけです。ただ、被用者年金の場合、たまたまドイツへ赴任した方の場合は、ドイツがこういう法律改正をやったということをいま説明なさっていらっしゃるわけでしょう。したがって、私があの予算委員会で指摘した問題点は、まずそういうような点と、それから具体的には一九三五年のILO四十八号、移民年金権保全条約と言われるもの、これに対する批准はどうかということについては、それは日本がいま批准するということは余り意味のないことになってしまっていると、実態が。  そこで、いま局長がおっしゃる二国間条約です。二国間条約はどうかといえば、西ドイツとの間に交渉が行われているということであって、これは西ドイツとの間の交渉ももうずいぶん長年やっているけれども、まだ妥結はしておりませんし、ましてやほかの国とこれから交渉しようといってもなかなか並み大抵のことではないと、こういう現実でしょう。で、当時の三木総理がわざわざ前向きというような表現は言いかえて、積極的に取り組みますと言いながら、何もやってないというのが、余りにも怠慢というかうかつというか、取り組みがぬる過ぎるというか、そういうのが現状でしょう。ですから、厚生大臣、きわめて詳しい大臣が、この際ひとつそんなにむずかしいむずかしいと言ってたんじゃしようがないんです。根本解決を打ち出してほしいと思うんですが、いかがですか。
  154. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 妻の場合は、先ほど局長が言いましたように、妻の年金権の問題として、別の面からひとつ来年までには何らか方針を決めていきたいと思っておりますが、国年本人の強制適用の者が外国へ行ってしまった場合のことについては、どうも相手国との主権との関係で、いまの協定その他ができませんと、なかなかこれは解決のしようがないんではないかと思うんでございまして、一時行ってまた帰ってきたような場合どうするかという問題は、これはもう通算の問題になりますけれども、非常に困難な事例ではないかと思うんです。当時の三木総理が積極的に検討するということで、いかなる考え方を頭の中に持っておられたか私もよくわかりませんけれども、本人の場合は少しいろいろの問題があろうかと思いますので、なお検討さしていただきますけれども、非常に二国間のやはりそれぞれの法律のたてまえ、主権の問題から考えますと、なかなかめんどうな問題ではないかと思います。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、そういう二国間の大変むずかしい問題になるゆえに、二国間の年金条約を結んでいくんだと、それが解決の方法だということで、西ドイツとの間に交渉が始まっているというわけですから、それを進めてほしいというわけですが、いかがです。
  156. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) ドイツのみならず、アメリカとも非常に日本人の行き来が多いもんでございますから、私としてはそういう意欲を持っておるんでございますが、アメリカの方はまだドイツほど長くいろんな交渉がございませんけれども、この前たまたま大使が来たときにそういう点も若干私から言っておきました。向こうの社会保障当局者と、相当時間があれば私も直接いろいろ交渉し合ってみたいと思っておりますが、できるだけ二国間の協定ができますように努力をしていきたい、意欲は十分持っております。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、意欲は大変結構でありますので、十分持っていらっしゃるということで、この三木総理が当時言ったことば、前向きと言うんじゃぬるいから積極的にやりますと言った。とすると、もう期待しているわけですよ、それを聞いた人は。外地にいま勤務している人、あるいはいま日本にいて来月、来年外地勤務になる人も出るわけですから、官公庁でも、報道関係でも、商社とかそういう関係でも出るわけですから期待しているわけですよ。私がヨーロッパへ行ったときに、つぶさに私に訴えた方は、すでにもう日本へ帰ってきておりますが、全くのブランクになったままになって、もうどうしようもないわけですがね。ですから、ただ意欲がありますという程度でなくて、やってほしいと思うんですが、いかがです。
  158. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおり、早急に積極的にやっていかなけりゃいかぬ問題でございますので、できるだけ努力いたしますが、ただ両国の制度の違いが、たとえば遺族年金でも全くいろんな違いがあるとか、本人だけの何といいますか、保険料の徴集問題から、本人の年金権の問題というだけでありますと比較的容易だと思うんでございますけれども、今度それが遺族、家族に及ぶ問題やいろいろなことが、制度がまるっきり違う場合にどうするかという点が、非常に大きな障害になっておるわけでございますので、何とか本人だけでも通算ができるなり、あるいはまた、どっちかで払った保険料がそれとして有効になるような、そういうことに限定してでも、早く、一歩一歩解決の道をとっていくというようなことではないかなと思って、いまいろいろ苦慮しているところでございます。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 苦慮して早く打開してほしいということを要請いたしまして、次に、保険料の法定免除期間についてですが、この免除は遡及して適用されるわけでありますね。免除期間申請をしてなかった方が、資格取得届をまだ出してない、そういう方が、さかのぼって免除期間の適用を受けることができるということが三十五年九月二十一日の通知で出ております。  そこで伺いたい点は、障害年金等の年金が、そうなった場合に遡及して権利が発生しますか、ということを伺いたいんです。
  160. 持永和見

    説明員(持永和見君) 障害年金、各種年金につきましても、法定に、決められました一定の事故が発生いたしますれば、遡及して権利を発生いたします。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 申請すれば遡及して保険料を支払うことを免除されるという期間が、効力が発生すれば障害年金等の支給の権利も発生するということでよろしいわけですね。
  162. 持永和見

    説明員(持永和見君) いま申し上げましたように、障害年金につきましても、その障害の程度が一定程度であるということであれば、当然遡及して権利が発生いたします。
  163. 小平芳平

    ○小平芳平君 年金は以上で終わりまして、次に今度は医療関係について若干質問をいたしたいと思います。  この医療関係については、健保法改正案が前国会ぎりぎりに衆議院に提出をされたということ、それで継続審査になっているということ、また、その健保法改正案に対する日医等の反対運動が展開されているということ、これらの点について御説明をいただきたい。
  164. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 御承知のとおり、大変おくれて提案になったわけでございますが、国会の御理解をいただいて、十六日に継続審議に衆議院において行われたわけでございます。  あの案の中で、薬の一部負担につきまして、各科別のアンバランスを生ずる——内科にかかった患者とそうでない患者との負担の公平という点から見て、非常な反対が強く行われておることは事実でございます。それがいろいろな点で党内でも議論になっておることも事実でございます。
  165. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう事実を踏まえて、厚生大臣としてはどうなさいますか。まあ様子を見る以外にない、ということでしょうか。
  166. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) できるだけ御理解を得るように努力するのが私の務めだと思っております。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 この点についてはちょっと、また議題になる機会にいろいろな点から質問をし、また意見も申し上げたい点がたくさんございますが、本日の段階ではもう一つ具体的な問題といたしまして最初にお尋ねしたいことは、医療過誤といいますか、こういう点についてちょっと厚生省にお尋ねをしたいんです。  裁判所では医療過誤と言っている、医師会等では医療事故と言っている、厚生省では紛争と言っておりますか、このような点についてのお考えはどうなんですか。
  168. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 医療過誤と申します場合には、医師の過失がわりあいはっきりしている場合ではないかと思うのでございます。したがいまして、厚生省はそういった医師の過失がはっきりしないで紛争が起こっております場合を考えまして、医療紛争という言葉を使っておりますし、その現象自体は一種の事故でございますから、医療事故と呼ぶ方法もあると考えております。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうふうに、過誤と言っていいか、事故と言っていいか、紛争と言っていいか、われわれとしてはちょっと言いように困るわけですが、厚生省の言うような紛争としまして、紛争はふえてきていますか、減ってきていますか。
  170. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 裁判所の資料で拝見いたしますと、ここのところはおおむね毎年百件ずつ裁判所の第一審に持ち込まれるものが出ておりまして、ここ二、三年はまあ横ばいの状態ではなかろうか、そのように考えております。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 裁判所の資料によりますと、ふえてきているんですね。少なくとも昭和五十二年までの過去五年間、減った年はなくてずっとふえてきていますね。どうですか。
  172. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 地方裁判所の状況でございますけれども、内訳を見ますと、新しい受付、既済、未済と、こうなるわけでございます。この未済というのは、最近裁判が長引いておりますから、いわゆる累積でございますけれども、この未済の累積で見ますと、たとえば昭和五十二年は九百五十二件となっておりまして、前年八百四十八件で百四件ふえております。さらに五十年を見ますと七百五十七件でございますから、五十年と五十一年では九十一件ふえたわけでございますが、その前年の四十九年と五十年を比較いたしますと百三十九件ふえているわけでございまして、そのような意味から私は大体横ばいというふうに申し上げたわけでございます。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 医務局長、それはどういう計算を言うんですか。百件ほど毎年ふえているのに大体横ばいって、どういうことですか。それは私は気持ちとしては横ばいないしは減るということが、われわれお医者さんへかかる国民の側としては横ばいが望ましいし、減るならなお結構なんですが、この新しく受け付けた件数も、それからまた係属している未済の件数も百件くらいずつずっとふえ続けているのに、そういう大体横ばいなんという表現をすることはおかしいでしょう。
  174. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 表現が適切でなかったかもしれませんが、毎年の何と申しますか累積の増加数はおおむね百件で、新たな累積は横ばいという意味でございます。したがって、先生おっしゃるように、年々それだけ積み上ってきているわけでございますから、そういう意味ではふえているということで、まことに嘆かわしいことであると考えております。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう意味ではふえているって、そういう意味でもこういう意味でもふえているから、だから行政としてどうすればいいかということを尋ねるわけなんですよ、いかがですか。
  176. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 御指摘のとおりであると存じます。したがって、こういった医事紛争を少なくするためには、やはり大学の医学教育から始まりまして、卒後の研修、さらに医師の生涯教育、研修といったものにもっと力を入れなければならないと考えております。
  177. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生省に医事紛争研究班がありますね、これはどういうことですか。何かプラスになっている面はどういうことですか。
  178. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 御指摘の研究班は四十八年度から発足しておりまして、もうかなり研究を続けているわけでございますけれども、そこでやっておりますのは、紛争の発生状況とかあるいはその紛争の原因、さらにその予防方法といったものを検討していただいているわけでございます。残念ながらまだ結論を得ておりませんが、後で御指摘になるのじゃないかと思いますが、いろいろな方式が日本の国内でもまた外国でも提唱されているわけでございまして、そういったことをいろんな角度から検討している最中でございます。
  179. 小平芳平

    ○小平芳平君 日医の紛争処理委員会については、どういうふうに見ておられますか。
  180. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 日医の紛争処理委員会については、私ども詳細な資料が入手できませんので、詳細にこれを分析し検討するということがまだできていないわけでございますけれども、いろいろと聞き及ぶところによりますと、あの委員会はあの委員会なりに一つの使命を果たしてきていると考えております。
  181. 小平芳平

    ○小平芳平君 その紛争処理機関を、日刊紙の社説等でも公的な紛争処理機関をつくるべきであるという主張ですね。それはわれわれが、素人が考えても医師会任せでいいのかどうかということですね。それはもう疑問に思います、すぐに。したがって、専門的な観点から社説で公的な医事紛争処理機関をつくれという主張、こういうことは当然厚生省としても検討課題に挙がっていると思うんですが、いかがですか。
  182. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 公的な紛争処理機関のあり方についても、いろいろなあり方があるわけでございまして、実は約十年前に厚生省医務局はその問題を検討したことがございます。端的に申しますと、海難審判所のようなものができないであろうかということでございました。しかし、当時は日本医師会などの協力が得られなかったわけでございます。しかし、最近、むしろ日医の方から何かそういうふうなものを考えてみようじゃないかというようなお申し出もございますので、そういったあり方については今後の重要な検討課題であると考えております。
  183. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、その点についての御意見はいかがですか。
  184. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) ただいま局長が申し上げましたように、そういう機関の必要性を私も認識しております。何らかの処理機関をつくることができれば大変いいと考えておりますので、実施の方向で検討をいたしておる次第でございます。
  185. 小平芳平

    ○小平芳平君 救急医療機関の手当てが適切でなかったということで、熱海市の問題があります。五十二年三月三十一日静岡地裁沼津支部の判決。それに対して、五十二年四月五日、熱海市医師会が救急医療指定返上を通告したというケース。これは、時たまたま熱海市でそういうことが起きたわけでありますが、昨年。これは、いつどこで起きるかわからないような状態にあるとも言えるんじゃないかと思うのですね。これに対する考えはいかがですか。
  186. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) 御指摘のように、いつどこでも起こるかもしれない問題でございますけれども、当時の熱海市医師会の救急医療返上問題も、わりあいに短期間に県と医師会との話し合いによって解決いたしております。また、その後このようなことは幸いほかの地域では起こっておりません。したがいまして、私どもは御指摘のように、こういうことがいつでもどこでも起こり得るのでございますが、起こらないように県の衛生当局に対しても、また日本医師会などに対してもよく指導をし、お願いしているところでございます。
  187. 小平芳平

    ○小平芳平君 医療紛争について、局長はどうしたら一番効果的だと考えますか。
  188. 佐分利輝彦

    説明員佐分利輝彦君) まず基本になりますのは、生涯にわたっての医学教育、研修であると思います。まず、大学における医学教育においてもそういう点に着目して、十分な卒前教育をしていただきたいと思いますし、また卒後の臨床研修二年間におきましても、そういう点に着目いたしまして、いわゆる最近の言葉で申しますと、プライマリーケアが十分できるような卒後研修を二年間やらなければならないと考えております。またさらに、医学は日進月歩でございますので、その後の進歩に即応できるように、随時あるいは定期的に医師の教育、研修といったようなものを繰り仮していかなければならないと考えております。
  189. 小平芳平

    ○小平芳平君 時間の関係で次の問題に移りますが、先ほど片山理事からも御指摘のあったパーキンソン氏病について、治療研究指定されて治療費公費負担が決定になったということですが、非常に指定が部分的であるということ、線引きが厳しいじゃないかということ、こういう点はいかがですか。
  190. 松浦十四郎

    説明員松浦四郎君) ただいま先生御指摘のパーキンソン氏病は、本年の十月から治療研究指定する予定をいたしておるわけでございまして、ただパーキンソン氏病というのは非常に特異な病気でございまして、一つパーキンソン氏様症候群というのがございます。これは一見していろんな症状パーキンソン氏病と非常によく似ておるけれども、しかしそれとは別に。ですから、パーキンソン氏様症候群という大きな枠がございまして、その中の一部がいわゆるパーキンソン氏病になる、こういうことがございます。そういう意味で、一つは初期の段階におきましてはそれが本当のパーキンソン氏病なのか、いわゆるパーキンソン氏様症候群、いわゆるほかの病気でそういう症状が出るということがございまして、そこのところの区別が非常につけにくいという問題が第一点ございます。  それから第二点といたしまして、このパーキンソン氏病というのは、非常に軽い時点においては、いわば健康から少しずつ障害が出る状況に移行するわけでございますから、その移行の状況というのは非常に不分明でございます。何となく気が沈んでいるなとか、あるいは何となく歩きづらいなというような感じがあるわけでございまして、そういうところは健康人との区別というのが非常に不分明でございます。そういう病気の特徴がございます。そこで、私どもいま考えておりますのはヤールという方の症候群の分類がございます。この分類が一、二、三、四、五と五つの分類をしておりまして、その第一の、ステージ一と申しますが、そのステージ一では通常、機能障害は非常に軽微であるか、またはほとんどないと、こういうふうなのがステージ一でございます。それからステージ二は、体のバランスの、要するに先生承知かと思いますが、立っておりまして、ちょっと突っつくと、とんとんとんと行ってしまうというのが非常に主要な症候である、あるいは歩き出して曲がりにくいというような症候がございます。こういうふうな病気でございますので、ステージ二だとまだバランスの障害が出てないというのがステージの二でございます。  それから、そういうふうなのを今度は生活の機能から見ますと、そういう場合、日常生活にはほとんど支障がないという状況でございます。そういうことから私ども、その病気の性質が一つでございますのと、それからもう一つはいわゆる社会生活の不便とあるいはほかのいわゆる難病というものの考え方からいきまして、ステージ三ですとある程度の仕事ができる、独立して生活ができる、けれども、その症状というのは軽度ないし中等度ぐらい。私どもステージ三以上の方であって、しかも日常生活に介助を要するというところで一応線を引きますと、大体そのほかのいわゆる難病というものの概念で困った方にいろいろとお世話をする、その考え方症状度合いも合いますし、それからまたはっきりとしたその病気の診断ができるというところで、そこに線を引きたいと考えております。
  191. 小平芳平

    ○小平芳平君 パーキンソン氏病について、私はこの委員会で取り上げた、あるいは厚生省患者さん方と一緒に陳情に行った、そういうケースがありまして、それは何代も前の局長さんであったし、大臣も何代も前の厚生大臣であったのであります。ありますが、当時はこのパーキンソン氏病はなぜ難病指定にならないかと。それは初めのうちはこれは老人性のものであって、これはそういう難病指定するというようなもんじゃないんだというような答弁や御意見、あるいはL−DOPA、こういう薬があって、一時抑えることができるから、とにかく陳情に来た段階ではぴんとしているから難病じゃないんだというように見られるとか、いろんなことがあったわけです、過去におきまして。いま局長が言われるような説明はいま初めて聞くような説明なんです。したがいまして、そういうようなことはいろんな説明はつくわけですよ。最初のうちは老人性のもんだという説明で難病指定は拒否していたわけですが、特定疾患指定は拒否していたわけですが、そういうことじゃない、それこそ病気の方が自分で実態を調べた上で、実際発病したのが四十代、五十代の人が圧倒的に多いというようなことから、老人性ということがそうじゃないということになったような経過もありまして、したがいまして、よくそういう点が実態に合った適用をしていただきたいというふうに要請をいたします。  次に、先天四肢異常という方、これらの方は先天的に手足の異常な方ですが、この方は原因がわからないですね。原因がわからない。しかし、サリドマイドでもないというんですね。ですから、こうした先天性四肢障害児に対しては、国としてはどういう対策をとっていかれるか。現に生まれていらっしゃるそうした障害のお子さんに対する救済をどうするか、また、原因がわからないのですから、そうしたことを防止していくためにどういう方策をとるか、そういうような点についてお尋ねしたい。
  192. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) お答えいたします。先天性四肢障害児の問題でございますが、先天性四肢障害児の福祉という観点から、心身障害児対策という中で研究を含めまして在宅対策、施設対策を通じまして総合的な推進を図っておるところでございます。内容的にいろいろ細かく分かれておる点もございまして、それだけを特に集中してというふうに必ずしも進められていない点はございますけれども、心身障害研究費の中で先天性四肢障害の発生予防発生機序あるいはその障害に対する療育の方式等についての研究を進め、そのほか在宅対策といたしましては、すでに御承知のように特別児童扶養手当の支給あるいは福祉手当の、いわゆる介護手当とも言われておりますが、福祉手当の支給、日常生活用具の給付、家庭奉仕員の派遣あるいは補装具の交付、育成医療あるいは緊急一時保護事業、心身障害児の通園事業、障害児の保育事業、さらには障害者住宅整備資金の貸付事業といったような、いろんな形で対応いたしております。施設対策といたしましても、肢体不自由児施設及び肢体不自由児の通園施設等を設けて、これに対応しておるところでございます。特に、先天性四肢障害児に関する原因究明と治療研究という面につきましては、各大学の医学部や病院等の専門家によります研究班で、先ほども申しましたように発生原因、機序、予防、早期発見、治療等についての総合的な研究をお願いいたしておりますが、必ずしも御指摘のようにまだ原因等が十分学問的に解明されたという段階にまで立ち至っておりませんで、今後ともこれらの研究について十分配意しながら進めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  193. 小平芳平

    ○小平芳平君 この問題につきましては、先天性でありますので、非常に大きな悩みであるということ。で、とてもいま私がここで説明し切れるもんでないわけです。これはお子さん御本人にとっても、それからそうした四肢異常のお子さんを抱えていらっしゃる御両親の気持ちというものがとうてい私はいまここで説明し切れるもんではないことは、局長もよくお察しと思うのです。局長さんからいろいろと詳しいいま説明がありましたけれども、いま私が一つ一つをこういう欠点があるとか、こういう点が足りないとか言うだけのいま時間がありませんので、きょうは御答弁を承っただけで次へまいりますけれども、しかしこれは厚生省一局の問題じゃなくて、厚生省全体の問題でもあるし、また文部省その他の各省を通じての問題でもありますので、また私ももっと取り組んでいく考えでおりますし、厚生省ももっと取り組んでいただきたい、原因すらわかってないわけですから、取り組んでいただきたいと要請をいたします。  それで、最後に、時間の関係で次に水の問題について質問をいたしたいんですが、ビルの屋上にある貯水槽、これについていろんないきさつがあったわけですが、いまここでお尋ねしたい点は、ビル管理法第十一条の規定に基づく特定建築物に対する立入検査ということについて、厚生省のアンケート調査をされたというんですが、そのことについてお答えをいただきたい。
  194. 山中和

    説明員(山中和君) ビルの管理法に基づきます立入検査でございますが、まあ従来、立入検査をして、これで実態を把握する、それがやはりビル管理の水質管理の基本になる、こういう考え方でやっておりました。最近の調査は、昭和五十二年中に都道府県あるいは政令市の行った特定建築物の立入検査の結果でございますが、現在集計中でございますので、いま中間報告として申し上げたいと思います。  大きな柱は三つございまして、一つは残留塩素の検査でございます。これにつきまして不適合であったというのが五・四%ございます。それから次は、飲料水の水質検査で、これは省令によりまして二十六項目からなる検査でございますが、これが不適当であったものが五・三%でございます。それから第三番目は、ビルの貯水槽の掃除でございます。これは年一回やることになっておりますが、これが行われていなかったのが一六・五%になってございます。  ちなみに、この現在の中間報告での調査の施設数は約七千七百でございまして、全体の六五%を覆っているものでございます。
  195. 小平芳平

    ○小平芳平君 その結論がこうだというお話はそれでわかりますが、実際問題、アンケート調査をやりましたときに、貯水槽の掃除をわが方はやっておりませんでしたということが、一六・五%の回答があったわけなんでしょうが、それだけでよろしいかどうかですね。じゃ一六・五%の方は年一回義務づけられている貯水槽の掃除をしていなかったそうだから、じゃ今後はおやりくださいよということ、そういう程度の扱いでよろしいのかどうか。それから、飲料水の水質基準は、これはこの二十六項目全部検査したんですか、実際問題はいかがですか。
  196. 山中和

    説明員(山中和君) 最初に後段のことを申し上げます。  二十六項目の検査は、全部省令に基づきましてやったものでございまして、全部やっております。  それから、前半でございますが、二八・五%でございますが、もちろんこの結果だけで、まああとは適当にということではございません。飲料水のビル管理法に基づくこの検査、監視というのは、四十五年から施行されたものでございまして、食品衛生その他に比べると非常に若い行政でございます。それで、厚生省といたしましても機会あるごと都道府県に対して、こういう調査指導を十分に実施を図るよう指示しているところでございますが、五十三年度におきましては、これについてブロック会議予算も計上いたしまして、積極的にこの指導を進めてまいりたいと存じております。  それから現在まで、実はこういう共同住宅、いわゆるマンション、こういうものはこのビル管理法の法律からは対象外になっていたわけでございます。それが昨年の水道法の改正によりまして、これを規制対象に入れることになったわけでございまして、今後この改正に基づきまして積極的に充実を図っていきたい、こう考えております。
  197. 小平芳平

    ○小平芳平君 山などへ行きまして、流れている水を飲もうというときには、この水飲んで大丈夫かという疑いが先に出ますね。ところが、実際、じゃ口をひねって出る水、これはもう頭から水道の水だ、安全だろうという先入観がありますね、一般的には。したがいまして、今回の調査調査として生かしていただくことが一つと、それから今回の調査に洩れた民間経営の住宅等、そういうものに対する処置はどうしていきますか。要するに、じゃ口から出る水だから安全だろうという先入観があるわけです、一般市民にとりましては。ですから、それを安全に保っていく責任体制ですね、安全に保っていく責任体制、それが市の水道なら市が責任ですからね。しかし、その中間にそうした貯水槽があって、そこが十分な安全が守られてないということになると、非常に市民にとっては不安になるわけですが、そういう点はいかがですか。
  198. 山中和

    説明員(山中和君) 昨年まで、いわゆるこういうマンションというのは、管理者がはっきりしていないとか、所有が非常に複雑であるとかということから適用除外しておったわけでございますが、社会の要請によりましてこれを取り入れたわけでございます。それで、先生御指摘のように今後、先般社会労働委員会でもこの監視についての積極的な充実を言われたわけでございまして、現在監視員も五千八百名ほどおるわけでございます。今後は毎年調査をしていくということで、それを資料にしまして具体的に県に指示しまして、不適なものはこれを直していくということで進めていきたいと思っております。
  199. 小平芳平

    ○小平芳平君 終わります。
  200. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は去る六月の十三日に、当院の地方行政委員会で、世界基督教統一神霊教会、略して統一教会と申しますが、これと、それから勝共連合及び「世界のしあわせ」等の関連企業、これらが行っておりました数々の犯罪的行為について、具体的事実を挙げてそれに対する適切な処置を要望したわけでありますが、特に福祉に名をかりたインチキ募金、それから高麗人参茶、同濃縮液などの薬事法違反あるいは訪問販売法違反及び詐欺などと見られる行為、これらを具体的事例を挙げまして、警察庁初め関係各省が連絡をし合って、統一的な取り締まりに当たるように指摘をいたしました。これに対して当局も、その検討を約束をしたところでありますが、その後一カ月ほどたっておりますが、その間にもこの統一教会の連中の国民をだます卑劣な募金活動あるいは販売活動、これが跡を絶たない状況であります。したがって、きょうは主として厚生省関係についてその対策を尋ねたいと思うんです。  一つ、具体的事例を申し上げたいと思います。これは七月の五日の午後八時過ぎに起こった事件でありますが、京都府の長岡京市にありますKさんという方の家に、竹内雄三と名のる二十二、三歳ぐらいの人物が、新茶とキーホルダーを持って募金にあらわれました。Kさんが用件を聞いても、その人物は耳も聞こえず、それから話もできないふうなので、筆談をやったわけです。  あなたが活動している団体名と連絡場所を書いてください。それに対して、個人的にボランティア活動をさせてもらっています、次に書くところへ連絡してもらえばわかります、と言って、豊中市庄内西町三の十の十八、マンション田園内、内村和子、こう署名をしました。  あなたの住所と名前を教えてください、と言いますと、竹内雄三、静岡県浜松市西塚町三百十一の二十三、こう書いたわけです。  そこで、最近、勝共連合の団体が同じようにお茶を売りに来ました。あなたとの関係は、と聞きますと、全然知りません。  それから、利益金はどのように使われるのですか、と言うと、役場の窓口にある善意銀行を通しています、こう言います。  前後九回ほどにわたって、そういう筆談をいたしました。Kさんはボランティア活動の経験もある。ボランティア活動をやっておられるならば、チラシなりパンフレットを持ってその活動の説明をするはずだけれども、あんたはどうなんだ。それについては、全然知りませんと言います。それから、その商品の仕入れ先はどこだ、と言いますと、先ほど言いました内村和子、これを通じて仕入れたというように答弁しています。Kさんはボランティア活動の経験もありますから、非常に不審に思いながらも、そこで新茶一袋を買いました。しかし、どうも不審に思いましたので、わが党に相談に来たわけです。  それで、わが党の方でこれを調査をしてみました。まず、まの連絡場所である内村和子の人物でありますが、この場所は統一教会のアジトになっております。これはたまたま富山県の魚津署で七月の三日、大阪府の豊中市——いま言いました、庄内西町内村和子方ということで、無職の三宅幾夫、二十六歳、これが魚津市で三日の午後六時二十分ごろ、米田さんという宅に行って、身障関係者にお金を寄付するので、こういうことで、同じように新茶とハンカチ一組、それぞれ、千円で売りつけようとする。米田さんが断わっても、そのまま居座るものですから、一一〇番の緊急通報して、そうして逮捕されました。この三宅という男は、その後魚津署から送検をされまして、十四日に訪問販売法違反及び迷惑防止条例違反で罰金三万円の刑が出ました。これは確定をしたかどうか知りませんが、十四日ですから、そういう状況があります。ここにも内村和子方でこういう販売活動をやっています。ですから、長岡京市で竹内某が書きました連絡場所というのが同様の統一協会のアジトであり、こういう物品販売、特に新茶等の販売活動をやっているセンターであるということが明らかだと思います。  その次に、竹内雄三なる人物でありますが、浜松のお宅にはお母さんがいます。それで、直接お母さんに会って尋ねました。そうしたら、私の子供は京都に学生で行ってます、障害者ではありません、ある組織に入って四月ごろには四国に行っっておりました、先輩の指導で全国を回ってます、つい最近も電話がありましたというわけであります。そこで、その竹内雄三という人物の写真をお母さんからもらいまして、そのKさんに見せましたら、同一人物であることも確定がいたしました。したがって、まさにこれは聾唖者でもないのに聾唖者の名前をかたって、人の善意を踏みつけにして、このような販売活動をやっているということが明らかになったわけであります。私は、このような新しい手口でありますが、身障者を偽ってやるような、こういうインチキ募金活動というのは前代未聞であり、また人の善意を踏みにじる卑劣な詐欺的行為だと思うわけですが、まずこの点について、厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  201. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) どうも大変恐縮でございますが、厚生省所管の問題ではないと思うんですね、そういう問題は。私どもに問われましても、それは個人がおれは気の毒な人のために金を集めているんだと言って回った場合に、それを厚生大臣がどうすると言ってもこれはちょっと無理なんで、これはそれぞれの法規に照らして、違反であれば警察の問題になる、こういうことでございますから、ちょっと私どもとしてこの厚生省の所管の事項として御答弁はできかねます。
  202. 神谷信之助

    神谷信之助君 法律に違反をしておれば、これは後で警察に聞きますから、警察の方の問題であります。しかし、厚生省が身体障害者に対する福祉行政を強化をする、あるいはまたそういう障害者に対する福祉活動、これらの健全な発展を願うという点は、厚生大臣は当然私は責任を持っておられるだろうと思うんですね。ところが、聾唖者でもないのに聾唖者のそういう装いをして、そして歓心を買って、そして福祉募金ということで金を集める。身体障害者の皆さんの人権を守り、そしてその社会的な地位の向上を目指して行政を進めていく厚生省の立場から言って、そのような不当な、人の弱みにつけ込むといいますか、善意につけ込んでやるようなことが、障害者運動なり福祉活動の健全な発展にとって一体ほっといていい問題なのかどうか、これは私、当然厚生大臣としては一言あってしかるべき問題ではないかと思いますが、いかがですか。
  203. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 一般的に非常に善意の方々がそうした運動をやられることについて、私どもはこれをいかぬと言うわけにいきません。ただ、その一般的におやりになる方々が、もし虚偽なりあるいは偽りなり、そういうようなことで募金をされるということになりますと、これは大変遺憾なことでございますが、厚生省として、これらの取り締まりというわけにもいきませんし、国民全体に、したがいまして、共同募金運動なりあるいはその他のいろんな運動を通じてやっておることでございません場合には、できるだけそういう名をかたるような事実があったときに、御注意を申し上げる以外には、どうも私どもとして法律違反だからどうするということを、これはやっぱり警察の問題ではないかと思いますものですから、私どもももちろんそういうことは、もしあったとすれば、その相手方にいわば福祉の心を傷つける行為でもありますものですから、はなはだ遺憾だと思いますが、さりとて法律上どうしよう、あるいは行政当局としてどうしなければいかぬかと考えますと、これはやはり警察の問題として処理願う以外にはないと思います。
  204. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ警察に聞きますが、いま言いました長岡京のKさんは、聾唖者であり、したがって障害者に対する福祉活動に少しでも寄与したいと、みずからもボランティア活動の経験もあるという立場から、茶の一袋ではあるけれども協力をした。ところが、これが裏切られたということで非常に怒りを持って、いま本人は告訴の準備をなさっているわけですが、こういう行為は一体何罪に当たるか、それから警察庁としての対処をお伺いいたします。
  205. 柳館栄

    説明員柳館栄君) 事実の具体的な内容に即して、こういう問題は判断しなければならないと思うわけでございますけれども、一応一般的に考えられる法律を申し上げますと、一つは詐欺罪が考えられるわけです。それから、訪販法違反が考えられるんではないだろうかと、あるいは京都府の押売等防止条例等が考えられるんじゃないかと思います。やり方にもよりますけれども、軽犯罪法違反というようなものも考えられるんではないかと思います。いずれにいたしましても、具体的な事実が明らかになりまして、それとの関連で法の適用というものを考えていかなければならないだろうと思っております。  次に、対処の問題でございますけれども先生おっしゃいますように、身障者を装ってこのような行為を行うということは、大変望ましくないことだと思います。私ども具体的な報告は受けておりませんけれども、その事実が明らかになりますれば、その段階におきましてそれぞれの適切な措置を講じたいと思っております。
  206. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはいま告訴の準備中ですから、具体的に告訴されれば徹底的に調べていただきたいと思いますが、さらに彼らが販売をいたしましたお茶が「静岡茶本舗」とありまして、「静岡市曲金一の七 代表者 大岩俊彦」というところの製品になっています。そこで、静岡市の茶商工業協同組合、これに問い合わせてみますと、最近数軒からこういう問い合わせがあると。確かにそういう住所、曲金一の七という住所はあるが、そういう「静岡茶本舗」という店はない。したがって架空の店の名前ですね、店名である。協同組合としても非常に迷惑をしていると、こういう返事がありました。これはひとつ参考につけ加えておきますから、その点も含めて調査をしてもらいたいと思います。  厚生大臣にちょっとお伺いしますが、いまお話しのように、こういう聾唖者でないのに聾唖者をかたって、そして人の善意を裏切って募金活動を装う。しかも、その募金活動されたものが本当に福祉に回っているのかというと、これも前回六月十三日の地方行政委員会で明らかにいたしましたが、そのときは加藤自治大臣自身も、そのような詐欺などの犯罪的な行為をしているその団体が、福祉に寄付などをしているとは夢にも考えられないというようにお答えになっています。そういう団体のやっている募金であります。時間がありませんからきょうは言いませんが、十三日のときには、そういう福祉の名をかたるインチキ募金ですね、ハンカチを売ったりあるいはキーホルダーを売ったりするそういった事件も、具体的な例を挙げて、警察の方も組織的犯罪として追及をしておるという答弁がありました。  同様事件は、五月に滋賀県でも起こりました。滋賀県でも聾唖者を装って販売活動をしています。行ったうちがたまたま聾唖者でした。ですから、聾唖者でないことがばれまして逃げ出しました。いま、これは滋賀県の障害者団体の方で調査をしているわけですね。そういう事件も起こっております。  それから、滋賀県の北部長浜にひかり園作業所というのがあります。これは障害者がいろんな品物をつくって協力をしてもらって生活をするという障害者の作業所ですね、そういう作業所がある。その周辺にこういうインチキ募金で、「この商品はめぐまれない人のために」と書いた紙片を張って、自動車のマスコットとかそれからプラスチックの絵馬とか鉛筆と消しゴムのセットあるいは洗たくばさみなど、大体千円から二千円ぐらいの高さで売って回る。ですから、そのひかり園の作業所に問い合わせの電話が来ました。大変迷惑をすると同時に、今度は自分たちの製品が売れないわけですね。そういう迷惑が起こりまして、滋賀県のそういう障害者団体あるいは福祉団体が集まっている協会がありますが、五月二十八日に、県民に対して注意をしてもらいたいと、ひっかからないようにしてもらいたいと、こういうインチキ行動が起こっていますと、われわれ障害者団体は大変迷惑をしていますというアピールを出しているわけです。そういう団体も怒っているのです。  私、この間も言いましたが、高知県では、ちょうど十二月の共同募金のときにやりましたから、ですから、県の共同募金会はそういう注意を県民に喚起をしなければならない、あるいは大阪のボランティア協会も同じような注意を大阪府民に対して行うと、こういうことがやられている。だから、それらの福祉団体は大変な迷惑を受けている。それから今度は、それに協力した人は自分の善意を裏切られています。まさに土足で踏みにじられている。こういう状態が起こっているわけです。  だから、私は、これは断じて許すわけにいかぬと思うのですね。だから、法令に違反をするとかどうとかということだけじゃなしに、そういう障害者の人権を守り、また福祉活動の健全な発展を願って、そのために仕事をなさっておる厚生省として、あるいは厚生大臣としては、確かに、遺憾しごくだけじゃなしに、そういうことを野放しにしておいていいのかと私は思うのですね。そういうことが実際に行われていますよと、そういう手口でこんなことが起こっていますよということを国民に知らせて、そうして健全な障害者運動がそれによって迷惑をされないように、善意の国民が被害を受けないようにやるのは当然私は政府の責任ではないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  207. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) いかなる団体であろうと、先生のおっしゃったような事例、あるいは個人であろうと、そういうことは、おっしゃるように、福祉団体に大変なイメージダウンを与えますし、また寄付をした国民に対する、福祉に対する非常な配慮と思いやりの心を踏みにじることになりますから、当然これはそういうようなことがあることは私どもとしては好ましくないわけでございますので、そういう事例が非常にあちこちであるということになれば、当然そういうことは好ましくないし、また、そういうことによっていろいろ、何といいますか、弊害を与えないようなことを、それぞれの関係当局を通じてやらなきゃいかぬと思っておりますが、全国的にどういうような団体、個人がそういうようなことをやっているのか、私どもまだ実態は把握しておりませんので、確かに個人であろうと団体であろうと、そういう虚偽の身体障害者を装ったり、あるいは福祉に対する心を利用したりする行為は、これはよくないということはもう事実だろうと思います。
  208. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題は、昨年の通常国会でも大分議論になっているのですよ。ですから、もうすでに一年来こういう問題が国会で議論になっているわけですね。ですから、全国的にどういう実態になっているのか調査をしなければとおっしゃれば、それは私は厚生省の怠慢だと言わざるを得ないと思うのですね。ずっと新聞を丹念に見るだけでも、次々ともうとにかく、私も新聞からちょっちょっと拾うだけでも幾つも出てきていますから、実際にお調べになれば非常に多くのこの種の事件が全国的に起こっている、そこで苦情も出ているということがおわかりになるはずです。前回質問のときに、企画庁の外郭団体である国民生活センターですか、そこに届けられている苦情もお聞きをしますが、相当数に上っておりますね。あるいは各県の消費センターなんかにも出ていますという報告です。そういうことですでに対策を立てた自治体というのが、これは七月二日現在ですが、私どもの赤旗の通信網で調べてみますと十二都道府県、それから六十二市区町で、合計七十四自治体がテレビとか、あるいは広報その他ラジオですね、いろんなことでそういう注意を呼びかけています。最近、新聞なりテレビで例のネズミ講について注意をしなさいという政府の方の啓蒙宣伝がなされていますね。私はやっぱりすでにそういうことであっちこっちの自治体でもそういう被害が出て警告をなさっている、そういう状況が起こっているんですから、この点ひとついま大臣もおっしゃったように、至急に全国的な実情を把握をするということが一点と、それによって国民にそういうやり口、手口、これらを含めてそういうインチキ募金にひっかからないように、あるいはそれによって善意を傷つけられないようにする呼びかけをするとか、あるいは各県、自治体を通じてその点での指導を強めるとかいう措置は、少なくとも検討していただく必要がある、そういう段階に来ているんじゃないかと思うんですがいかがですか。
  209. 八木哲夫

    説明員(八木哲夫君) 先生御指摘のように、若干の県でそういうような事実があったというのは私ども承知しておりますけれども、少なくともしかし県の段階におきましては、物品販売等の際に福祉に名をかりたということでございますけれども、これは福祉にたまたま名をかりたということでございまして、むしろ一般は刑事法規の領域の問題であるということで、福祉関係の行政の分野におきましても具体的にどうこうするというわけにはなかなかいかないところです。ただ、現実問題として、そういうようなものが警察当局等の関係からはっきりわかってまいりました際には、これは新聞等にも出ますし、十分関係者の方に注意を喚起するということは可能だと思いますけれども、私どもも各県等で起きました場合に、どうも福祉行政のベースの問題ではないということで、各県当局も実情はそういう規則の面では十分把握しておらないというような状況でございます。
  210. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうもその辺が役人的であって、そういう考えでいきますから後手後手になるんですね。家が焼けてしまってから火の用心と言ってもあかぬわけですよ。現実にそうやって各県であちこちに出てきます。それで転々としますからね。一斉に全国で起こるわけじゃない。きょうは富山県回ったら、あしたは石川県回るというように転々として回っていきます、キャラバン隊ですから。ですから、そういう実態なんかも含めて私は国民がそういう被害を受けないように、あるいはまた福祉団体が迷惑をこうむらないように事前の策をですね、事前に対策をちゃんとやっぱり講じていくという措置をしなかったら、これは何のための政府だということになりますよね。後から、ずっともっと大きい被害が出る、あるいはもっと警察につかまったら、それから処置しますがと、それでは私は国民に責任を持つ政治にならぬじゃないかと思うんですね。この点ひとついずれにしてもきょうこれ指摘をしましたから、全国的にも大臣調査をしてとおっしゃっていますから、調査をして実態を把握をしてもらう、それから、この間も私は言ったんですけれども厚生省だけじゃない、通産省、経済企画庁やなんかもそういう事態は知ることはできる。そういう相談室みたいなものを持っていますし、警察はもちろん持っていますし、それらがお互いに連絡をし合って全体の対策を講ずるということを、これは大臣やってもらわないと、私は、政治家というのはやっぱりそういうことを、先を見越して被害の及ばないような手を打つというのが仕事である、任務ではないかと思いますがね、その点いかがですか。
  211. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 先ほど来申し上げておりますように、そういう個人なり団体がいろいろと福祉の名をかりまして募金をする、しかも、それが事実そうでなかったというような事例があるとすれば、はなはだ遺憾だと私は思うわけでございますが、ただ、そういういわば、さっき警察当局からお答えになりましたように、もし犯罪の法規に照らして云々という場合に、どういう法律が適用の対象になるかと考えれば、事実聾唖者でもないのに聾唖者を偽ってという場合には、詐欺に関する法律違反だろうと、こう言われたわけでございますけれども、そういうのは世の中にあちこち起こった場合に、厚生大臣がそれを防止するための行政をやるべき責任者かどうかは、これはひとつ私どもとしてはやはり警察のそういう問題ではないかと思いますし、ただ、福祉団体等が非常に迷惑をする事実等がどういう具体的にあったか、先ほど滋賀県の例等お挙げになりましたので、これらをよく調べてみないとわかりませんが、福祉施設の製品等の名を使う等の問題があれば、これはもう当然福祉施設に対するいろいろな意味での妨害なり、あるいは冒涜なりになるわけでございますから、こういうやっぱり具体的な事例によって対処しなきゃいかぬと思いますので、貴重な国民の税金を使ってやはりそういう詐欺行為を防止する責任は厚生省なのか、警察当局なのか、私はやっぱり治安当局の問題じゃないかと思いますけれども、なおよく検討さしていただきたいと思います。
  212. 神谷信之助

    神谷信之助君 厚生省が適当かどうか知りませんがね、大臣のおっしゃるような意味で言うならば。しかし、そういう被害が起こっていること、迷惑が起こっていることは事実だし、警察庁を含めて政府自身としてはひとつ検討してもらいたいというように思います。これだけ時間をとるわけにいきませんから、次に進みます。  次は富士見市に「世界のしあわせ」系の埼進商事というのが四月に進出をしてまいりました。一和製薬の高麗人参茶、同濃縮液、それから大理石などの販売を始めて、それに対して市民の苦情が続出をしているわけであります。  五月の八日ごろに八十歳のおじいさんが「何の病気にも効くというし、あまり強引なので五万円もする高麗人参液を買ってしまったが、苦くて一日三回などとても飲めるものではない。」ということで、大理石のつぼも買わされて市役所に相談に来られて、つぼは返品をすることができたわけですが、私のような被害を受ける人が出ないようにぜひ皆さんに知らしてくれという、そういう話がありました。  そこで五月の二十五日に「広報ふじみ」、これですが、いわゆる訪問販売法に基づく規制について紹介をして、そうして届け出を、もしそういうこがあればすぐ早くやりなさいということ、それからトラブルを防止するための七つの決め手などを市民に知らしたわけであります。ところが、その後もやっぱり苦情が出ていまして、六月十四日までの間に八件苦情が持ち込まれています。このうち小沢芳信さんという方と小沢武子さん、これは五月の二十三日に、肩にさわったり手相を見たりしながら、そういう医師の診察まがいの行為をしたり、あるいは健康調査に来た。これを飲めば体質改善になるとか、あるいは血圧が下がるなんとかこう言いまして、万病に効く良薬と思い込ませて、小沢芳信さんには濃縮液十二本六十六万円、それから小沢武子さんは四本で二十二万円契約をして、同日小沢芳信さんは一万円、武子さんの方は二万円、二十四日には芳信さんが二十五万、武子さんの方は二十万円、支払ったわけです。ところが、こういう広報を見まして、どうも飲んでも苦いし、片一方、小沢武子さんの方は便秘をして痔がひどくなるという状況が起こりまして、そこで六月の三日に返済要求をして、四日には返金をするということを約束したんですが、いまだに返済がない。物品の方は六日に返還をしたわけであります。そこで、小沢さんらはらちが明きませんから、七月の一日に警察の方に被害届を出すとともに、川越簡裁に支払い請求の申し立てをして、七月四日に同簡裁より支払い命令が出ているわけであります。  一方、市では、その埼進商事の責任者である藤原忠弘、これを呼び出しましたが、なかなか出頭に応じない。そこで六月二十二日に、県の方に薬事法違反の疑いについて調査方の依頼を行いました。わが党の立木議員も現場に行きまして、その結果に基づいて六月の二十三日に厚生省の方に調査方を申し入れようとした事件でありますが、この結果がどうなっておりますか、厚生省の方から報告を求めたいと思います。
  213. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  ただいまの御指摘の件につきましては、埼玉県当局、具体的には薬務課でございますが、これに指示をいたしまして、かつその経緯の報告を求めたわけでございます。埼玉県薬務課におきましては七月六日、埼進商事の代表者藤原忠弘を呼び出しまして事情を聴取しましたところ、薬事法違反のような販売方法は行っていないというふうに言っているわけでございますが、仮に言われているようないわゆる演述と申しますか、万病に効くというようなことがあれば、これは薬事法に明確に違反する事実ということになります。そこで、今後万が一にもこういう行為を繰り返すことがあってはならないということの厳重な注意を、藤原忠弘あてに指示をいたしました。  以上でございます。
  214. 神谷信之助

    神谷信之助君 県の薬務課が藤原を呼び出して事情聴取をした、ところがいまおっしゃったように本人は非常に恭順の意を表して、そしてそういう教育はしていないという、そういうことを言っているようですね、九人ほど販売人がおって三、四日教育をした後にやっていると、教育はそういうことをしておりませんと言っております。  ところが、現実には五月の二十三日夜八時半ごろから、最初は三時半ごろに奥野美知子という販売員が来て話をしております。それから八時過ぎから今度は藤原と奥野と二人が来ています。そして、いま言いましたように、血圧が下がりますよとか、これを飲むと血管の中の悪い血が流れてきれいになるから、自然に血圧も下がりますよとか、体質改善になるとか、そういう話をずっとして、そしてちょうどまたそこへたまたま来た小沢武子さん、これらにも話をして販売をやったわけですね。だから、呼び出された藤原自身がそういう薬事法違反まがいの弁説をして、そして薬であるかのように思い込ませて、万病に効くところの薬であるかのように思い込ませて販売をしたということが、小沢芳信さん、小沢武子さん自身の方からも供述をされております。  ところが、県の薬務課の方は、市の方から出た簡単な報告だけに基づいて藤原だけを呼んで調べただけですから、そういう形で終わっているんです。しかも、藤原は県に行ったらぺこぺこしておりますけれども、六月の二日には市に出かけてきて、市の商工課に対して取り消しの要求をして、抗議をして、取り消さなければ市役所の仕事ができないようにしてやるということを暴言を吐くと、その後は六月九日から宣伝カーやビラ、ステッカーが勝共連合によって張り出される、あるいは市庁舎の中に入って宣伝カーがマイクのボリュームをがんがん上げて、そのために市会が審議ができない、業務ができないという状態も起こる、市長が退去命令を出さなきゃならぬという事態が起こった。勝共連合の責任者の北原周次というのが六月十九日には市役所にやってきて、取り消さない限りは市役所の仕事ができないようにしてやるということで、七月の初めに至るまでほとんど連日にわたってそういう行為が行われています。それから、六月九日以降小沢さんの家には脅迫の電話、爆弾を仕掛けたとか、交通事故に気をつけろというような電話が十四日に至るまで連日やられておりますし、市長なり助役の家にも同様の脅迫電話がやられている。  ですから、県の薬務課へ出てきたときには非常にぺこぺこして、申しわけありません、済みませんというように言っておりますけれども、実際はそうじゃなしに、現場では居直った形で市全体の業務を麻痺させるような、そういう事態が起こっているわけですね。しかも、こういう事件はこの富士見市だけで起こっている問題ではないと思うんです。埼玉県がこの藤原を呼び出して調べたら、四月から出かけてきていますから、初犯だし、しかし口頭注意だけはしておくということにとどめたとしても、厚生省の立場からいくと、そうはいかぬのじゃないだろうか、こう思います。  御承知のように、昨年来国会で問題になって、東京で三件強制捜査をやる、そのうち八雲商事の一件は薬事法違反で略式命令がなる、二件は逃亡中ですね、いまなお捜査を続ける。横浜の一件、浜一株式会社の件、これも薬事法違反で罰金刑になっている、あるいは新潟の北陸パナックスも捜査をされると、こういう状況が続いております。さらに新潟の方では、三月二十七日、新潟オリエンタル事件で薬事法違反等の疑いで六名が検挙されて、六月の二十七日には十二名送検をされるという事件も起こっています。これは同様に、これを飲めば効くかのような説明をする、これは一日三回、一回は耳かき三ばいぐらいを飲みなさいとか、そういうように薬を飲むかのような説明も当然しています。びんは薬びんらしき色をつけている。形態、適応、成分、それらを含めまして、薬らしきそういう形容、形を整えながら、しかも口頭でそういう説明をする。昨年、先ほど言いました、これらの件の薬事法違反の強制捜査があったりしたわけですから、厚生省が東京幸世商事に対して指導したと、ラベルとか、そういうのは焼きなさいと、薬のような効能書きをつけるのはやめなさいと。ですから、表面上は形式的なそういうものはなくなった。しかし、そのかわりに口頭でそういうようなことをやらせる。新潟県で調べますと、今度は自分の方が、これは効きますよと言わないようにして、相手の方に言わせるように仕向ける。そうしてこの薬を飲めば高血圧に効きますかと、うんうんとうなずくような形をして、そして思い込ませていく。やはり薬事法違反は違反ですね。より手口が巧妙になってきているんですね。これが讀賣新聞の最近の七月一三日には、千葉県で同じような事態が起こって、県としても市町村の主婦を対象に講座を開いたときの実例教育をやるような検討もしているという報道もなされています。  全国各地で頻発をしておりますが、六月の十一日に私どもで、赤旗の号外で、こういったものに引っかかりなさんなという呼びかけをいたしましたところ、二十五日までのわずか二週間ほどの間に六十一件からの被害の届けが出てきています。ですから、こういうように、非常に厚生省の立場から言うならば、単に埼玉県だけではなしに、各地で同種の薬事法違反容疑の事件が起こっていると、こういう事態が起こっているんですが、こうなりますと、私は刑訴法の二百三十九条の二項に基づく官吏の告発の義務規定がありますね。それに基づいて、「その職務を行うことにより犯罪があると思料する」状態になっているのではないかと、したがって、全国的な規模でそういう状態が起こっている事件、事案に対して、それぞれの具体的事案に基づいて告発をする義務というのが厚生省にあるんではないかとさえ思うわけです。こういった問題を含めて、ひとつ厚生省の方でも事態の頻発の度合い、それから金額が大きい、被害もしたがって大きい、そういう事態、それから各県のところでいま言いましたようなことで呼びかけをしなきゃならぬという事態が起こっているというそういう状況、これらを考えて、告発を含めてその対策を検討する必要があるのではないか。あるいはまた各県に対してもそういう方向での——それぞれの県では、転々といたしますから、出てきたときは初犯のように見えるけれども、実際にはそういう組織的な犯罪行為。しかも集中的に出ているのは、韓国から輸入している韓国製の一和製薬の高麗人参茶及び濃縮液、これで起こっておりますね。ですから、そういう点を含めて検討する必要があるんじゃないかと思いますが、この点についての見解を聞きたいと思います。
  215. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) 御指摘のようなケースは、いわゆる健康食品と俗に称せられておりますものについて、薬効をうたって販売するというケースであろうかと思います。これは高麗ニンジンのみならず、たとえばクロレラであるとか、いわゆる深海ザメのエキスとか、ニンニクとかというふうな、いわば医薬品としての製造許可なり、あるいはその販売の許可をとっていないものが薬効を示しながら売り込むということ、これは現行の法律上厳しく取り締まる仕組みにはなっております。  ただ、高麗ニンジンそのものはもちろん局法にも入っておる。物質といたしましては、当然常識的にその薬効があるというふうに考えられておるものでございますので、そこら辺、いわゆる薬の許可をとっておらない物質であるけれども、しかし局法にも入っている。つまり、食品と薬品の二重性を持っておる物質でございますので、その点、何と申しますか、単純なる誤解に基づくものもあり得るわけでございまして、全部が全部これが非常に悪質なケースで、これを繰り返すということであれば、先生御指摘のような告発ということも行政上考えざるを得ないようなケースもあろうかと思いますが、厚生省といたしましては、そういう薬事法についての理解なり、法律違反の防止という見地からまず行政的に努力をいたしたいと、かように考えております。  もちろん、今後の経緯等を十分見守りまして、悪質なる事犯が連続をするということであれば、先生の御指摘の点も含めて十分行政上の体制を整備してまいりたいと、かように考えております。
  216. 神谷信之助

    神谷信之助君 本当にそれが初めてならわかります、いまの答弁は。しかし、昨年来続々と薬事法違反で出ているわけで、略式命令で刑の確定した事犯もあるし、いま現在逃亡中の二件もあります。さらに最近は、新潟の送検をした事件も出てきておる。それから、恐らくまた富士見の問題でもそういう事態になるかもしれません。  そう考えていきますと、しかも、警察の方からもその資料をもらわれたらいいと思いますが、卸元は一体どこなのか、統一産業あるいは「世界のしあわせ」でしょう。そこから各中間ブロック機関を通じて各県ごとにいろいろな名前、商事会社の名前を使っている。それで代表者もしょっちゅうかわります。だから、そういう販売方法ですから、一見ばらばらのように見えますけれども、決してそうじゃない。その辺はひとつ各省とも、特に警察の関係とも連絡を密にして、そういう点でひとつはっきり対処してもらうということを要望しておきたいと思うのです。  最後に警察庁の方ですが、そういうことで富士見市の場合、小沢さんら二人ですね、芳信さんと武子さん。被害届も出て捜査を始められていると思いますが、その捜査の状況と、それから埼進商事が七月の九日の深夜十二時ごろに二トントラック三台、それから乗用車三台を乗りつけて、十数人が机、ロッカーなどを積み込んで午前三時ごろ運び去ったという状況が起こってます。最近また何人か戻ってきておるようですけれども、そういう状況が起こっています。これはさっきから言っている、昨年の八雲商事ほか二件の、天宝堂その他のところは、強制捜査をしたら、もう責任者は逃亡して全国手配中だという話ですが、逃亡して証拠隠滅のおそれもあるし、逃亡のおそれも、あるいは証拠隠滅のおそれもありますし、それから片一方では返金の命令も出ているという状況がありますが、この返金ができないという状況も考えられるわけですが、これらについてのひとつ捜査状況の報告を最後に求めておきたいと思います。
  217. 浜田栄次

    説明員(浜田栄次君) 御指摘のありました富士見市の事件につきましては、関係者から地元警察に対しまして被害の申し立てがなされておりますので、埼玉県警におきましては、現在小沢さんのほか、一和高麗人参茶を買いました消費者につきまして事情聴取をして捜査中である、こういう報告を聞いております。  それから、第二番の机を持ち出したことにつきましては、警察といたしましては承知いたしておりませんけれども、富士見市ではなかなか事業がうまくいかないので、事業規模を縮小いたしたいというようなことを言っておるということは伺っておるわけでございます。しかし、そういった関係者でございますので、その動向につきましては今後とも関心を持っておる、こういう実情でございます。
  218. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  219. 柄谷道一

    柄谷道一君 本日は自閉症問題にしぼって御質問をいたしたいと思います。  大臣も御承知のように、一九四三年に医学者のカナー博士によりまして、早期幼児自閉症という名前でこれが発表されまして以来、今日まですでに三十年以上を経過いたしております。しかし、現在に至りましても、いまだに自閉症の概念規定、病因論などは依然として不明確のままでございますし、その診断基準につきましても専門家によって異なっております。そのことが治療教育の方法や自閉児に対する処遇の問題解決を著しく妨げている大きな原因ではないか、こう思うのであります。  そこで、まず自閉症児もしくは自閉症者と呼ばれる人たちの現状でございますけれども、カナー博士の調査によりますと、児童一万人について二ないし二・四人、さらに自閉症児親の会では一万人について四ないし五人と言われております。全国でどれぐらいの自閉症児がいま存在すると把握されておりますか、その点をお伺いします。
  220. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) 先生から現に御指摘いただきましたように、自閉症児につきましては、その疾病概念自身が現在の医学水準の中でも、混乱と申しますか、必ずしも確定をいたしておりません。したがいまして、どれぐらいの数を確認しておるかという御質問に対しましても、やはり必ずしも全国的な統計資料というものがあるわけではございませんので、先ほどのように一万人中二ないし二・四人というような数字の上から私どもとしては逆算せざるを得ない状態でございまして、その限りでは約七千人程度という推計はいたしておりますけれども、実態的にこれが確認できた数字という段階でございませんのは、私どもとしても遺憾でございまして、心身障害研究等も通じまして、いろいろ先生方にもお願いもいたしておりますけれども先ほど申しましたように、概念自身の統一化がまだ図られてないという現状なので、一応約七千人と推計しておりますというお答えを申し上げざるを得ないと思います。
  221. 柄谷道一

    柄谷道一君 これはやや過小な見通しでございまして、全国各地で結成されております自閉症児の親の会には、すでに四千名が加盟いたしております。この四千名の中で、義務教育年齢を過ぎた十五歳以上の年長自閉症児が相当おられるわけでございます。したがって、推定では全国で約六万人、うち義務教育年齢を超えた者は四千人程度おられるのではないだろうか。これは一般の推断でございます。大臣いま言いましたように、まだ概念がないんですね。しかも、その全貌把握について、片や七千人、片や六万人、けたが一つ違うわけでございます。こういう実態の中から、私は本当に自閉症児に対する厚生行政というものが果たして推進されるのであろうかと、大きな疑問を感ぜざるを得ません。  そこで、私は、自閉症児を延べ約千人教育治療してきました武蔵野東学園では、すでにその概念規定を経験の中からとらえられているわけでございます。こういうものを私は参考にいたしまして、厚生当局としてまず当面概念規定を確立をする。そして、その診断基準と、そして治療教育方法を統一化する。それがこの対策の出発点ではないだろうか。これと並行しつつ病因の究明に当たっていく。こういう施策がありませんと、非常に問題を抱えておられます父親、母親の方々が、厚生行政の一体何に頼ればいいんだろうか。結局、明かりがつかないものですから、みずから懐中電灯を持って真っ暗やみの足元を照らしながら、苦しみながら時間を過ごさざるを得ない。これが実態であろうと、こう思うのであります。幸い厚生省はわざわざ補助金を出して、昭和五十二年度自閉症研究専門委員会というものの検討を進められまして、そこにその問題点はすべて出し尽くされているわけでございます。厚生省として本腰を入れてこれらの概念規定、診断基準治療教育の方法に対する統一的方法の確立、さらに病因の解明について積極的に取り組む姿勢がおありなのかどうか。大臣としての所信をまずお伺いします。
  222. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) おっしゃるように、私はそれらの点についてぜひまず概念をはっきりして、そしてそれらの対策について進めていかなければならぬと思いますが、特に原因発生機序及び療育方法についての研究を、いま一段と力を入れて進めてまいりたいと思います。  まあ推定数が数万であるか、数千であるかということにとらわれませんで、たとえ数千であっても力を緩めるなりあるいは手を抜くということはできませんので、なおできるだけ私として最善を尽くしていくつもりでございます。
  223. 柄谷道一

    柄谷道一君 まことに前向きの御答弁をいただいたわけでございますが、それは、私は精神的な大臣の決意にとどまってはならないと、こう思うわけです。具体的にその大臣の所信を生かされるために、たとえば厚生省の中に専門班の設置など、今後お考えになるお気持ちはございますか。
  224. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) 大臣からお答えいただきましたように、私ども自閉症児の問題については、心身障害研究の中でも、もうすでに四、五年の研究成果もある程度踏まえておるわけであります。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、なかなか一つ概念をやっぱりまとめるということにつきまして、現在の段階でもまだ統一見解が示されない。単に統一見解が示されないというのは、相対立する概念があってお互いに主張し合っているということではございませんで、現在それぞれの立場で意見がずれがございまして、それをどういうふうに取りまとめていくかというところに最大の問題があるわけでございます。現に、昭和四十九年の十一月に中央児童福祉審議会におきまして、今後推進すべき児童福祉対策ということについて答申をいただきました際にも、自閉症児についての特に指摘がございまして、その場合にも実は自閉症児の処遇については、「自閉症児単独の施設体系の中で行うことは適当でない」という、実はいま柄谷先生の御指摘とはちょっと違ったような答申などもいただいておるわけであります。ただ、私どもはそういう答申があるからそのままでいきますということを申し上げるつもりは毛頭ございません。そういう答申はございますけれども、さらにその後、五十年、五十一年、五十二年と自閉症児の問題について検討を進め、心身障害対策研究の成果の中から見ますと、だんだんまとまりつつある方向だというふうには理解をいたしております。  ただ問題は、一方において精神衛生法という法律体系からアプローチする方法と、精神薄弱者福祉法という体系の中からアプローチをしていく方法と、この二つがややいまのところクロスしておりまして、その間においてどのような形で自閉症児を取りまとめていったらいいかということにつきましては、先ほど御指摘もございましたけれども、それぞれの専門家自身にまだ言い切るだけのと申しますか、断定するだけの論拠は、改めて伺ってみますとまだないというふうに私どもは伺っております。できるだけ早い機会に、そういう方向が専門の方でお示しいただけることを私どもも期待して、ただそれだけではなくて、大臣から申し上げましたように、ことしからは広島に自閉症児の専門の施設も新たにもう一つ設けることにいたしまして設けていただきまして、それに対する財政的な助成措置ども講じておるわけであります。  さらには、これからも幾つかのこの問題についての取り組みが福祉関係者の間にも非常に積極的に出てまいっておりますので、私ども大臣の御趣旨を体しながら、一つの専門班と言いますか、自閉症児の対策班を設けるというのは、言うことは簡単でございますけれども、少なくともそのためにこそ私どもは心身障害研究の中で自閉症児の問題をテーマとして取り上げてきておるわけでございますので、その結果をいま一つの班を改めて設けるという以前の問題として、柄谷先生御指摘のように、自閉症児を一つの一元的な方式で福祉体系の中で取り組むということについては、児童家庭局として積極的にこれは考えていきたいと、かように考えておりますので、御了解いただければ幸いでございます。
  225. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、この問題は後ほどの質問でも触れますけれども、厚生行政、文部行政、そして労働行政にまたがるわけでございます。大臣はこの問題の重要性を篤と御承知だと思いますので、適切な指揮をとっていただきまして、三十年経過してなおいま私が指摘したような現状にある。このことを十分踏まえた上での対策の早急な確立をまず求めておきたい。時間の関係がございますので先へ進みます。  そこで、次に七五年の十二月九日の国連総会で、障害者の権利宣言が採択されております。これに先立つ七一年の十二月二十日の国連総会では、精神薄弱者の権利宣言が同じく採択されていることは御承知のところでございます。  そして、この前者の中には、「障害者は、その人間としての尊厳が尊重される権利を生まれながらに有する」と明確にされております。さらに「能力や技術を最大限に開発させ、社会の一員となり、又は社会の一員にもどる過程を促進するような、その他のサービスを受ける権利を有する」、こう明記されているところでございます。  これらの宣言につきましては、わが国は共同提案国となっております。したがって、わが国の厚生行政を扱われる大臣として、共同提案国であるという現実を踏まえた上で、この自閉症児の問題についてのひとつ基本的見解を明らかにしていただきたい。
  226. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 権利宣言に示されておりますように、権利を保護し、その福祉及びリハビリテーションを確保いたしまして、社会的保障による相応の生活水準が維持できるように努めるのは私も当然だと思いますから、そういう方針でこれからもできるだけの努力をいたしたいと思います。
  227. 柄谷道一

    柄谷道一君 いままでの質問で、大臣の前向きな御回答を得たわけですので、今後その趣旨に基づく具体的問題について質問を続けたいと思います。  現在のところ、自閉症の原因治療法が確立されていないということはさきに指摘をいたしました。しかし、昭和五十年七月に行われております自閉症研究委員会研究討議結果によりますと、出生からほとんど例外なく三十カ月以内にあらわれる症候群である、こういうことが指摘されているわけでございます。したがって、早期発見、早期治療ということはこの対策にとって欠かすことができない決め手の一つであろう、こう思うわけであります。この問題に関する厚生省当局の取り組みの姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  228. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) 御指摘のように、自閉症的な症候群の発見それ自体につきましては、根っこの問題で非常に多角的な原因がいろいろな先生から指摘をされております。したがって、新生児の際の先天的代謝異常的なものが発見されたときに、それに対応する早期療育を行うことによりまして、自閉症ないしは精神薄弱的な現象が早期の療育を行うことによって健常の状態に保つことができるということは、現に指摘されて母子保健対策という角度からもなされておるわけであります。ただ、この自閉症という症状それ自体が、一番最初に御指摘いただきましたように、まさに十人十色でございまして、それぞれの自閉症児が個性を持っておると言ってもいいかと思います。したがって、私どもが行政の上で掌握しておりますもの、並びに心身障害関係での研究班での研究成果等を、毎年つぶさに専門の技官等に当たらせまして検討さした上におきまして見ますと、おおむね現在母子保健対策の中でも一歳半の段階での健診、精密検診等を行っておりますが、その段階でも必ずしも自閉症児の症候群というのが確認されるには至っていないようでございます。もちろん、ものによりましては新生児の段階で、これは自閉症というつかみ方よりも、先天的な代謝異常ないしは未熟児対策というような形でこれはチェックされておるものというふうにも承っております。したがって、一般的には三歳児の健診の際に一番この自閉症児の発見といいますか、が行われているケースん総体的には多いというふうに伺っております。そういう意味で、私どもとしては、三歳児あるいは一歳六カ月における幼児健診というものを通じまして、その際に若干でも異常あるいは何らかの徴候を感知したときには、児童相談所その他しかるべきところで精密検診を行って、これの早期療育にかかるという方式をとっておるところでございます。
  229. 柄谷道一

    柄谷道一君 局長昭和四十六年以降、心身障害児研究の中で、異常行動児の療育に関する研究を行うということが取り上げられてきておるわけでございますけれでも、これ、予算を見ますと、四十八年度三千百三十二万円、五十年度五千四百二十万円、五十一年度五千七百万円、微増はいたしておりますけれども、これは物価スライド程度でございまして、決していまの大臣の冒頭言われました意欲が、研究調査費の中に十分盛込まれているとは常識的に見て、これ、大臣、理解できないわけでございます。確かに、厚生省は早期発見指導対策、早期療養対策というのは項目としては打ち出されております。しかし、いま予算裏づけはさきに申したところがその現状であるわけでございます。この点、きょうは時間が四十分に制限されておりますのであえて答弁は求めませんけれども大臣の意欲がこの問題の早期発見、そして早期治療ということに対して、やはり具体的裏づけをもって予算化される、それでなければ、大臣の非常に熱心な意欲的な答えというものが反映されてこないわけでございます。私は、来年の予算、特に自閉症児の問題に対する予算を注目いたしておりますので、大臣の方で期待にこたえ得られるような措置をひとつぜひとってもらいたい。  次に、問題を進めまして、自閉症児の教育について、文部省、来ておられますか。——お伺いいたします。  私の調査では、現在、公立小学校に情緒障害児学級が約五百学級設置されていると承知しております。また、東京都では昭和四十九年度より障害児の全員入学制度を打ち出しておりまして、特殊学級、養護学級も設けられております。また、国立特殊教育総合研究所におきましても、数年前から情緒障害児部門で若干名、これはわずか四、五名でございますけれども、その研究がされておるという事実も聞いております。このように、教育の場合は、三、四年前に比較いたしますと、少しずつその施設が進んでいることは評価いたします。しかし、その内容は依然として不十分であることもまた現実であろうと、こう思うわけでございます。しかも、それらの施設における教育が十分な成果を上げているかという教育効果の問題になってまいりますと、余りその効果が上がっているとは言われない。その理由は、専門家意見がまちまちであるということ、教育技術がきわめてむずかしいということ、そして公立小学校ではたとえベテランの教師が育っても、これがなかなか組織的に伝達されにくいということ。その結果、学級に進級しても、クラスの中で定着している子供が少ない、いわゆるお客様的存在に終わっているというケースが多い。この状態は、年長児になればなるほど顕著であるのではないか、こういうことが指摘されているところでございます。義務教育年齢を過ぎた者の対策は後ほど触れますけれども、この学校教育における自閉症児対策というものについて、今日までこれをやってきたということを答えられる必要はありませんから、今後どのような方針で学校教育面にその対策を生かそうとされるのか、その点をお伺いします。
  230. 久保庭信一

    説明員久保庭信一君) 自閉症児を含めました情緒障害を持つ児童生徒の教育につきましては、ただいま厚生大臣初めお答えのように、教育の場面におきましても、なかなか原因、それからそれに対応する教育の方法等が未解決の分野が多い分野でございまして、特に最近、わが国でも特殊学級等がきわめて著しい増加を見ておりますが、その指導内容等については、今後、文部省として指導方針等を明確にし、その実を上げるように努力していく必要があるわけでございます。  そのための今後の方策でございますが、一つには、ただいまお言葉にございました国立の特殊教育総合研究所におきまして、鋭意この面の研究に当たっておるわけでございまして、また文部省におきましても、直接に全国の学校の中から研究指定校等を設けて研究をしておられる、そのようなことも講じておるわけでございまして、できるだけ各地における研究教育の成果を踏まえながら、適切な教育の方法というものを改善し、全国の水準の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
  231. 柄谷道一

    柄谷道一君 武蔵野東小学校、御存じだと思うんですが、ここでは幼稚園から小学校まで自閉症児に対する一貫教育の方針をとっております。特に小学校では、普通児と一緒に勉学させる中から、多くの成果をおさめているとも聞いております。  私は、国立の研究機関における研究結果を反映するということは、もう当然そうあるべきだと思うわけでございますけれども、現に千名以上過去こういう児童を受け入れて、それなりの高い成果を上げている。こういう教育内容については大いにその実態を把握をされて、その研究、実践の成果というものを文部教育の中に生かしていく、こういう姿勢が必要ではないか、こう思うのであります。  次に、この小学校を建設するに当たりましては、北原校長夫妻が全財産をなげうたれ、しかも父兄の方々がチャリティーショー、カンパなどで約一億円の汗の結晶を集められまして、そしてこの特殊な学校が誕生した、こういうことであります。もちろん、学校設立の際に、建設資金を集めるのが大変だということで、約六千平方メートルの敷地を文部省が無償で提供されたということも聞いておるわけでございますけれども、こういう特殊な学校を全国に数多く設置していくということについては、国そのものもこれに対する国庫助成の道を制度的に確立されるということが必要ではないか。この二点について文部省の見解を求めます。
  232. 久保庭信一

    説明員久保庭信一君) 武蔵野東小学校につきましては、昨年、五十二年四月に開校された学校でございますが、この開校につきまして、国有地にこの学校が設立されていることはいまのお言葉のとおりでございますが、この経過につきましては、先ほどから申し上げておりますように、国立特殊教育総合研究所が自閉的傾向児についての学校教育のあり方をさらに研究を進めるために、武蔵野市緑町にございました旧米軍の跡地返還に際しまして、そこに特殊教育総合研究所及びこれと連携して教育を行う国立久里浜養護学校、この研究施設を同地に設置いたしまして、その隣接する国有地に武蔵野束小学校を設置させ、自閉的傾向児の学校教育のあり方について、武蔵野東小学校で行われておる自閉的傾向のある子供たちと普通児との交流教育、これらの研究成果を研究所として取り入れつつ研究を進めるという形で、現在二年目を迎えておるところでございます。このような研究開発を目的とするということで、国有地の上にこの東小学校が建てられておるわけでございまして、研究所としましては、自閉症児の研究開発のためには、現在二年目を迎えておるこの体制をもって、これからも研究推進をしていくということでございますので、これと同じようなものを他にもさらに設けるという考えは研究所としてはいま持っておらないと聞いておるわけでございます。  それから、自閉的傾向児を含めて情緒障害児の教育につきましては、さらに力を注いでいく必要があるわけでございますが、私立の小中学校で情緒障害児等も含めて障害児の教育に当たる特殊学級を設けて教育する場合には、この特殊学級の定員に見合って私学助成の中で助成措置等も行っておるということで国としては助成を行っておるわけでございますが、目下私どもの施策としては、まずは研究開発でございまして、引き続いてこれらの自閉的な傾向児を含めて情緒障害児の教育機関というものができるだけ充実されるように地方を指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  233. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ、大臣、文部省の所管の問題でございますけれども大臣もひとつ国務大臣として、文部大臣とも十分にこれ連携をとっていただいて、ぼくは、公立校における教育が余り成果を上げていない、そのためにやむを得ずこういう私立の学校が生まれてきておるわけですね。そして全国、非常に遠方から、何とか自分の子供が普通児に立ち戻るようにということで、遠方からこの武蔵野東小学校に通学されている。こういう実効の上がるような公立教育のあり方に戻ってもらいたいし、またそれを補完する意味で生まれている私立学校については、これは一つの身障者対策でございますから、やはり文部省とも連携の上、こういう学校に対する補助、助成、これのあり方について、これ篤と御相談を願いまして、一般の他の学校と同レベルでこれを見ていくということが果たして妥当なのかどうか、この点についてもひとつ御検討の上、また改めて私の方にその検討結果をお知らせを願いたいと、こう要望いたしておきます。  次に、自閉症に焦点を当てた職業訓練施設についてお伺いをいたします。きょうは労働省呼んでおりませんので、関連する事項として児童家庭局の方からお答えを願いたいと思うのであります。  現在、自閉症児で青年期に差しかかってきた者が多くなっております。親の会の調査では、六万名中約四千名、そういう対象が出てきているのではないかと、こう推定をしておるわけですね。ところが、義務教育終了後の療育を行う、そういう場がないわけでございます。私は、これについてひとつ次官通達等によって強力な行政指導をまずとってもらいたい。あわせまして、これらの施設は、いま若干日本にはあるわけでございますが、これは職業訓練施設、福祉作業所とも全部精薄児対象でございます。いわゆる精薄児とこの自閉症児というものは、これを同一に混同して見るべきかどうか、ここに問題点があるわけでございます。指導方法の異なるこの自閉児というものについては、なかなかこの施設にいま受け入れてもらえない。自閉児の職業指導に関しましては、集団生活不適応者の職場適応に関する研究等も行われ、これが発表されているわけでございますけれども、そういう施設がないために、特に手のかかる自閉児は敬遠されまして、かなり作業能力の高い者でも、ひとり言が多いとか対人関係が悪いとかいった理由で、入所を拒否されたり退所を求められている、こういう事例が全国に数多く出ているわけでございます。   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕 自閉児を対象とした職業訓練を行っているのは、私の調査では武蔵野束学園だけではないかと、こう思うのであります。まさに、義務教育までは何とか不十分ながらその教育が行われていくわけですけれども、もうそこを卒業すると、完全に普通児童としてのまだ能力を回復しないまま受け入れ口がない。これは私は一つの大きな悲劇ではなかろうかと、こう思います。自閉児を専門とする職業訓練施設、そして義務教育から引き続いて職場適応訓練を通じて社会に復帰できる、こういう一貫した生涯訓練体制というものを確立する必要にいま迫られているのではないか。自閉児、自閉児といいますと、小さい子供だけを対象に考えてきたのが今日までの歴史といっても差し支えないわけでございますが、情勢はそのように大きくいま変化している。これに対応する施策を求めたいのでございますが、大臣いかがですか。
  234. 竹内嘉巳

    説明員(竹内嘉巳君) 技術的な問題がありますから。  御指摘のように最初から、柄谷先生御指摘もございましたように、もともとがなかなか概念規定が決まらず、かつは自閉症児の対策も精神薄弱児の施設体系一環として進められてきたというような実情もございまして、自閉症児を中心として、これにもつばら対応した形の授産体制あるいは労働省サイドでの職業訓練というものが十分でないということについては、御指摘のとおりでございます。また、その御指摘に対しまして、私どももそれに十分こたえるように努力はしなければならないということもよく承知をしておるつもりでございます。ただ、私どもといたしましては、職業訓練という経緯につきましては、労働省側とも十分協議をして対応できるようなことは措置してまいりたいと思いますが、授産といいますか、精神薄弱児施設の体系一環として行われております自閉症児施設における療育と申しますか、単に授産ということだけでなくて、授産を含めまして年長児としての社会生活なり、一般の日常生活への対応をどのように指導し、あるいは訓練をし、あるいはその隠れた才能と申しますか、技能といったようなものを引き出していくかということにつきましては、やはり福祉体系の中の重要な問題点、重要な機能であるというふうに私ども思っております。その限りにおきまして、私ども現在の自閉症児の対応につきましては、さらに心身障害児研究の中にも、最近になりましてかなり積極的な意見ども報告をされておりますので、こういったものを中心にしながら、特に義務教育終了後の自閉症児の人たちに対して、何らか福祉施設の対応の中で、単に精薄児の授産施設という枠内でとどまるということでなくて、十分検討はさしていただきたいと思います。一般的に授産ないしは職業訓練ということにウエートを置くことも必要ではございましょうけれども、私どもはそれ以前に、もともと自閉症というものが対人関係なりあるいは日常生活の対応という中で非常におくれた面があるわけでございますから、まずそちらの方の生活機能を、生活的な面における調整、調和というものが得られるように、その療育体制というものからまず手がけていきたい、かように考えております。
  235. 柄谷道一

    柄谷道一君 武蔵野東学園園長の北原キヨさんから私お手紙をいただいたわけでございますが、  自閉児の年長になった青少年は、適切な教育訓練の場に恵まれず、実に悲惨な状況に置かれています。  この子達の個性を理解して、社会人として自立させ、少しでも自分の力で生きられるように教育することが急務です。  この子達は、内に秘めた能力はありますが、性格の虚弱なために、それを外に出すことができません。しかし、労働・作業等は、訓練次第によって向上させることが大いに可能であります。この点については、当学園ですでに実証しつつあります。こういうことを訴えられながら、特にこのような事業を実施していくに当たっては資金、場所、一般社会における受容といった難問題が数多く存在をするので、ひとつ行政の力をおかりをしたい、こういう趣旨の陳情もいただいているところでございます。私に与えられました時間が余りございませんので、この点に対する回答は求めませんけれども、ひとついまの局長の答弁を現実に生かすように大臣としても御善処願いたい。  次に、四十八年以降の自閉症児の収容施設を見ますと、三重県立あすなろ学園、東京の都立梅ケ丘病院、大阪の府立中宮病院、広島の法人立ともえ学園という四施設でございます。   〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕 しかも、この前者三つは公立精神病院に併設されております。わが国で自閉症独自の施設というものは、五十三年設置の広島ともえ学園ただ一施設というのが現状であるわけでございます。当初の大臣の意欲に比べて施設が余りにも貧困である。これが現実である。公立の施設建設に対する助成措置の強化を求めたいと思います。  さらに、私、本日NHKのテレビを見ておりますと、自閉症のお子さんが歯医者へ行く。そうすると、自閉障害を持っておられるわけですから、お医者さんも大変なわけですね。お医者さんが三人がかりで歯の治療をしなければならない。これは治療が引き合わないということで、各地の歯医者さんで皆ボイコットされている。たまたま東京都内に善意あるお医者さんがおられまして、この治療をしている。そして遠くからわざわざ歯の治療のために、東京都内たくさん歯医者さんがありながら、その病院に行って子供の治療をせざるを得ない、こういう現状がきょうテレビで放映されておったわけです。まあ、大臣お忙しいので見られなかったかもしれません。そういうことをしますと、自閉症児のいわゆる診療行為について、私は診療報酬体系の上からも、他の一般普通人とは大変お医者さんも御苦労されるわけでございますから、そういう加算制度というものが設けられまして、そして全国のどこのお医者さんでも自閉症児の診断、治療というものを引き受けられる、こういうものを促進していくのもまた行政の姿勢ではないかと、こう思うのであります。  最後に、以上私は、時間がきょう四十分という制限でございますので、ただ問題点の指摘にとどまったわけでございますが、この問題を推進していこうとすれば、厚生、文部、労働、これの一元的自閉症対策推進がいま必要な時期ではなかろうかと思うのであります。すでにもう対策は、このような専門委員会の報告によって尽くされているわけですね。確かにまだ問題点も残されてはいますけれども、問題は行政を現実にやるかどうかの決断というものにかかる時期にいま来ているんではないだろうかとも思うわけでございます。もっともっと多くのことを聞きたいわけでございますが、また引き続いてこの問題を取り上げることにして、以上私が最後に指摘した幾つかの問題に対して、大臣の建設的かつ具体的な答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  236. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) 先ほど来から申し上げておりますように、自閉症の研究がどうもまだ確実な判断を下すに至ってないという点もありますけれども現実にそれらの症候群を持っている子供さんがいるわけでございますから、具体的な施策を推進するに際しまして、恐らく、私は来てまだ半年、新しい予算を自分の手でつくったことがないものですから、いままでの経過を調べてみなければわかりませんけれども、どうもそういう概念規定のまだ未確定な分野について、予算というものが余り進んでいかないんじゃないかと思う点もございます。しかし、現実にそういう方々がおることは事実なんでございますから、やはり具体的な施策というものは、そういう研究が進む、進まぬにかかわらず、やっぱりやっていかなきゃならぬだろうと思うのでございまして、そういう意味で労働省、文部省、それぞれ相談をしまして、いろいろ御指摘のありましたような点、来年度ひとつ少しは進展をしたなと言われるような予算編成に当たるように、私これから児童局を——もちろん中心になると思いますけれども、各省にも呼びかけてひとつ検討をいたしてみます。  それから、どうも厚生省では広島だけ今年度初めて専門の施設で、あとは専門の施設でないというお話もございますので、新設が毎年どういうように従来なっておったかわかりませんが、できるだけひとつこれも来年度予算のときに児童局の方の考え方もまだ聞いておりませんけれども、聞きまして善処をいたしてみたいと思います。  それから、診療は歯にかかわらず、私は相当やっぱりめんどうだと思うんです。お医者さんの時間と手間がかかることは事実であると思います。恐らく、自閉症の方々に対する診療行為のみならず、そういう面で、まだ診療報酬の点数改定に当たっては、配慮の行き届いていない面が多々あるかもしれません。全般的に検討をしてみまして、ことに歯科の部分では前から小児歯科というものについて特別な配慮を求める声がございます。しかも、小児でありながらそれにプラス重要な自閉症というものが加わっているわけでございますので、一層痛感をしておるんじゃないかと思います。この点は、ひとつ次回の診療報酬の改定のときには十分配慮するようにいたしていきたい、かように考えます。
  237. 柄谷道一

    柄谷道一君 終わります。
  238. 下村泰

    ○下村泰君 本日は、サリドマイド児の問題と旧軍港市転換法に基づく国有地転用について質問させていただきたいと思います。  では最初に、中野局長に伺います。四月の十一日にもいろいろと質問させていただきましたが、中野局長の方から温かい御返事をいただきまして大変心を強くしているわけでございますけれども、まことにしつこいようでございますけれども、再度質問させていただきますけれども、先般沖繩の問題を取り上げました。御承知のように、沖繩というのはいろんな面において本土とは異なった面がございます。サリドマイド事件につきましても、本土の方は昭和三十四年から昭和三十九年まで生まれた方々で診断を受けた、あるいは認定を受けた方々がいらっしゃるのにもかかわらず、沖繩の方は昭和四十四年生まれの子供が認定されている。もちろん、それは後から認定されたからといって決して悪いのではなくて、認定されないよりはされた方がいいということは事実でございますけれども、今度は十一名の追加申請が出たと思いますが、厚生省の方はその事実を把握していらっしゃいましょうか、承らしてください。
  239. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  先生御指摘の沖繩県におけるサリドマイドいわゆる胎芽症児の問題でございますが、第二次の訴外の扱い以降、これが終局いたしましてから以降、十一人の方について現地を通じまして財団法人「いしずえ」の方に調査資料が上がってまいりました。この「いしずえ」の方から当薬務局の方に今月、七月十日付をもちましてその資料の進達があったわけでございます。現在、その資料を検討するという段階になっておりますが、一応専門家による予備的な医学的な判断と申しますか、それが可能な状態での資料の提出があったように理解をいたしているわけでございます。したがいまして、この資料についての判断を経た後に、必要に応じ、あるいは先生からも御指摘のありましたような医師団の派遣等の問題も含めまして、その後の処理の問題を進めてまいりたいと、かように考えております。
  240. 下村泰

    ○下村泰君 これも沖繩ばかりでなく、中野局長もお認めになっていらっしゃるように、まだまだひょっとしたら全国的に若干残っているような方がいらっしゃるかもわかりませんし、そういう方方が「いしずえ」を通じて完全な報告、あるいは審査を受けるだけの書類を提出された場合には、またこれを取り上げて、医師の診断を受けるというようなふうに、たしかこの間そういうようなお答えをいただきましたけれども、再度お願い申し上げておきますが、そのような手段は今後とも講じてくださるということでございましょうか。
  241. 中野徹雄

    説明員(中野徹雄君) お答え申し上げますが、御承知のように、裁判上のケース及び一次、二次の訴外のケースについて、処理は一応終わったわけでございますが、事柄の性質上、たとえば二次の取り扱いが終わったということをもって、サリドマイド胎芽症であった者のいわば何と申しますか、救済の方途を打ち切るとか、締め切るとかということは、事柄の性質上許されないことであるというふうに理解をいたしております。
  242. 下村泰

    ○下村泰君 大臣、ひとついまのいろいろのやりとりで、もうおわかりのことと思いますし、再三再四大臣もこの席で聞いていらっしゃることだと思いますので、ひとつサリドマイド児に関しましては、そのほか難病の問題も先ほどから諸先生方の口々から出ております。どうぞひとつよろしくその点御了承願いたいと思います。御了解いただけますか。
  243. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) はい、結構でございます。
  244. 下村泰

    ○下村泰君 結構でございます。どうもありがとうございました。  それでは、旧軍港市の転換法に基づく国有地転用についての質問をさせていただきますが、関東財務局の方は来ていらっしゃいましょうか。
  245. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) 大蔵省から参っております。
  246. 下村泰

    ○下村泰君 伺いますけれども、横須賀市の久里浜六丁目の旧海軍工作学校跡地の千二百五十四平方メートル、この空き地はいまどういうふうになっておりますか。
  247. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) いま先生の御質問になりました、千二百五十四ともおっしゃられたように思いますが、問題の個所は、旧海軍工作学校の跡地でございまして、千二百六平方メートルの件だと思いますけれども、それでよろしゅうございましょうか。
  248. 下村泰

    ○下村泰君 はい、結構です。
  249. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) 現在、未利用地でございます。何にも使っておりません。
  250. 下村泰

    ○下村泰君 昭和四十八年九月の二十八日付で、社会福祉法人の誠心会、浜田幸生理事長、この方が一万七百六十名の署名を付して、福祉施設用地転用の申請をしたのですが、これは御存じでしょうか。
  251. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) 本日先生から御質問をいただくということの連絡がありましたので、財務局を通して、現在では承知をいたしております。
  252. 下村泰

    ○下村泰君 四十八年九月の二十八日以来、毎年申請を続けていて、五たびに及んでいるというのですが、これも御存じでしょうか。
  253. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) 四十八年の九月に貸し付け要望書を提出いただいております。それが最初でございます。  それから現在、これ申しおくれましたけれども、大蔵省の関東財務局横浜財務部の横須賀出張所の取り扱い事案でございますので、関東財務局を通しまして過去の経緯を調べております。細かい経緯は、ちょっとまだわからない点がございますけれども、四十八年の九月に貸し付け要望書を提出いただいて、それから何度かその貸し付け対象の土地の利用計画書等、あるいは補足資料等を出していただいて、それから五十二年の十一月に至りまして、貸し付けではなくて払い下げの要望書ということで、切りかえて要望書を提出いただいたという経緯は存じております。
  254. 下村泰

    ○下村泰君 恐らく、大きな、それこそ何といいますか、甲子園球場が十も二十もできるような大きな土地をどうのこうのという問題ではないので、恐らく大蔵省の方では、こういうこまいことですから御存じなかったかもわかりません。ですから、それをとやかく私は申し上げるわけではないのです。ただ、ここに書類がございましたが、ちょっと待ってくださいよ。旧軍港市転換法という法律がありまして、これによりますると、第四条一項一号になりますが、「旧軍用財産は、公共団体において医療施設、社会事業施設若しくは引揚者の寮の用に供するとき又は学校教育法」と、こういうふうに、「社会事業施設若しくは引揚者」とこういうふうになっております。ですから、当然この福祉関係に使われるのが最良の方法だと思います。ところが、こういうふうに何回も申請しているのにもかかわらず杏として返事がなく、それは横浜の方の管轄どうのこうのということだからということは、言いわけにはならないと思うんですが、何回も提出しているのにもかかわらず、少しも——浴語で言えば色よい返事がないわけです。当事者には当事者なりの計画があるわけです。ああもしたい、こうもしたい、当然こういう施設をつくろうというのですから、お金のあり余っている人が飲みに来て遊ぶような場所じゃないんです。それこそ、なければ困る人たちのための施設なんです。それが五年も放置されているというのは当事者にとってはたまらない。気持ちはよくわかると思います。あなたがもしその立場にいたらやっぱりおわかりになると思います。  ところが、五十三年六月二十日、ことしに入って、横須賀市の転換対策部長及び主幹があいさつという名目で  この申請をしている法人があります、先ほど申しましたね、その法人を訪れまして、運輸省の土地払い下げを優先したいので、誠心会の申請を取り下げてくれ、こういう申し入れがあったと聞いておるんです。運輸省の方来ていらっしゃいますか。——伺いますが、そのような事実はおありですか。
  255. 熊代健

    説明員熊代健君) お答えいたします。  実は、その土地に関連いたしまして、神奈川県の土木事務所の施行で日の出橋のかけかえ工事が五十三年度から行われる。これに関連いたしまして、私どもの方の港湾技術研究所というのが久里浜にございます。ここの現在入居中であります二棟四戸の建物がつけかえ工事のために一部暫定的に、三年強だと思いますが、その間その土地を使わざるを得ないということで神奈川県から申し入れを受けまして、当省の港湾技術研究所といたしましては、現在入居中のその宿舎につきましてこれを建てかえてどこかに移して、それで入居者がそこに入るという措置を講じてもらえれば御協力をいたします、こういうことで県の方にその換地といいますか、用地をお願いしたわけですけれども、神奈川県としては適当な用地がない、確保できないということで、私の方としましては、その宿舎の移転用地といたしまして適当な国有地があれば、そちらを所管がえをしていただいて、ここにかわりの建物を建てていただきたい。こういうことで、先ほど大蔵省の方から御説明のありました関東財務局の横浜財務部横須賀出張所と折衝をしてまいっておるという現状でございまして、その場所、その土地云々ということでお願いしたということではなくて、いま申し上げたような事情ですから、適当なところに換地をして建物をつくっていただければ、その土地を提供するということにいたしたいということでお願いしているという現状でございます。
  256. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、先ほどのお答えの方では、いまも空き地でございますから、その後、じゃあ運輸省の方は別にそれを使用したとか何とかいう事実はないわけですか。——ああそうですか、はい。  もう一つ伺いますが、防衛庁の方来ていらっしゃいますか。何か防衛庁、この地図を見ますと、ちょうどこのいま空き地になっているこの土地の下に自衛隊の官舎があって、横の方に陸上自衛隊駐とん地がある。左側の方に市立の商業高校の運動場がある。この三角地点なんですがね、この自衛隊の官舎を何かこっちの方に延ばすような感覚で、防衛庁は国家公務員宿舎としての転用を図ったというのですけれども、これはその後どうなってますか。
  257. 千秋健

    説明員(千秋健君) いま先生御指摘の土地に隣接しまして、私どもの宿舎——これは海上自衛隊の宿舎でございますが、できております。しかし、この三角地点につきましては、わが方の宿舎をこれ以上増設するというような計画は持っておりません。
  258. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、防衛庁の方はこれはもう全然考えはございませんね。
  259. 千秋健

    説明員(千秋健君) はい。
  260. 下村泰

    ○下村泰君 それから、運輸省の方もございません……あるんですか。
  261. 熊代健

    説明員熊代健君) この土地をという意味ではなくて、その日の出橋の適当な、久里浜にございますので、近隣に近いところということでお願いしておるわけでございます。
  262. 下村泰

    ○下村泰君 自分の思っていることばかり言おうと思いますので、あなたの方の御意見を空振りさせまして失礼しました。  それでは、いまのところはその土地は関係はないということになりますので、どうぞお引き取り願いたいと思います。それじゃ恐れ入りますが、大蔵省の関係の方は最後までひとつ残っていてください。まことに申しわけありませんが、私は専門家でございませんので、質問の順序が入り込みますけれども、どうぞひとつ順序よくいきませんところはおわびを願いたいと思いますので、ひとつ残っていてください。お願いします。  さて、大臣に聞いていただきたいんですけれども、実は、先ほど以来申し上げております社会福祉法人誠心会、この理事長である浜田幸生氏でありますが、この方は実は神奈川県庁に勤めておった方なんです。そして、神奈川県庁に昭和二十五年から二十年間就職しておったんです。県庁に勤めていて孤児であるとか障害児などの施設で働いたんです。ところが、その障害児にとって大切な幼児期の教育が、幼稚園や保育所施設などから疎外されていることを痛感しまして、これではいかぬと、自分でやってみようというので四十五年に県庁をやめて保育園を開いたんです。  このことは、かつて予算委員会でも取り上げましていろいろとお尋ねをしたのでございますけれども、大変ユニークな教育の仕方でございまして、その教育方法は各新聞にも大きく取り上げられております。そして、ある記者が訪れた記事がございます。この取り上げられた対象になったお子さんは、横須賀市小矢部二丁目にお住まいの定家さんという方ですが、この方の陽子ちゃんという六歳になるお嬢ちゃん。このお子さんがこの保育園に入園している。その姿をある記者がこれを見に行っております。書き出しからこうなっております。「思わずうなってしまった。目の前を、子どもらが歓声をあげて遊び回っている。この中には、何人もの障害児がいるはずだった。それがなかなかわからない。統合保育とはこういうものか。百聞は一見にしかず、であった。」と、こういう書き出しです。そして、その障害のあるお子さんを見つけるのに骨が折れるくらい、障害を持ったお子さん方が健常な子供たちと一緒に遊んでいるというわけです。  その陽子ちゃんは、「朝、全員が上半身裸になってマラソンをする。」この中にも入っています。そして、「年長組の陽子ちゃんは約一・五キロをかけた。戻ると二階の屋上でなわ跳びもした。終われば二十三段ある階段を、手すりにもつかまらずかけ降りていく。給食。自分でやかんのお茶をくみ、おサラのカレーもこぼさずたいらげた。ともかく、他の子どもたちとまったく同じ生活をしているのだった。ただときどき、近くにいる子が、陽子ちゃんのイスをひいてあげたり、歩く先の足元に転がっているものをどけたりしている。普通児には、さりげない心遣いがいつの間にか身についていた。」と、こういう記事の報告がなされているわけです。  こういう保育園をいままで現在経営してきたわけですね。そして、この浜田氏が去年の五十二年の十月に、横須賀市衣笠栄町に心身障害者の社会参加のためのミニ授産所を自費でおつくりになったんです。「働く家しらかば」という名をつけております。十七歳から三十五歳までの障害者が——これまで一度もこうした働く訓練を受けたことのない、家に閉じ込もっていた人たちばかりがここに集まりまして、いろいろと教育をされている。民家を改造した八畳ほどの板敷きの部屋で脳性麻痺、知恵おくれの男女十四人が働いている。どういう仕事をしているかといいますと、コンブでございますね、あのコンブを短冊形に裂いて、それで短冊形に裂いたのを中ほどで丸めるという作業なんだそうです。これがおでんの材料。あるいは乾燥すれば酒のつまみになるわけです。そして、お米が入る紙袋があります。あの紙袋一杯分つくるのに三、四日かかるんだそうです、不自由な人たちがやっていますから。業者がこれを引き取るときの値段は千円だそうです。ですから、浜田さんのいわくは、給料どころかおやつ代にもならない、こうおっしゃっているわけです。  ところが、目下、近くの住民が寄付してくれた大型のオーブンを使いまして、将来のタンパク源と言われているオキアミでございますね、このオキアミを使ってビスケットやカステラなど独特な菓子類をつくっているんだそうです。これは御近所の住民の方々にお配りして試食してもらったら大変好評なんだそうです。こういうことが軌道に乗れば給料も払えるようになるだろう、こういうふうな、浜田さんはいろいろ構想を持っていらっしゃるわけです。それを五年前から一生懸命、いま三角地点申し上げました、みんなが見にいけばそれほどの土地じゃないんです。もし大臣見たことがございませんでしたらこれお見せしますが、こういう三角地点なんです。(地図を示す)その地点に浜用さんの構想になる施設をつくれば、大ぜいの方々に喜んでもらえるという構想なんです。そして、その仕事の内容というのは、それぞれ細かくこういうふうにすればこうなるという事柄を提出されています。そして、もしそれができれば大変喜ばしい結果が得られるのにもかかわらず五年間もほうり出されていて、そして現在のような状態になっている、こういうことなんです。ですから、これがもし実施されますれば、いま浜田さんの構想によりますれば、定員が七十になっていますが、縮小されましてたしか五十ぐらいになっておると思いましたけれども、水産加工、これは南極オキアミ加工、提携企業もちゃんとつかんでいらっしゃいます。それから世界民芸手袋、これも取引先もつかんでいる、こういうふうに一つ一つをきちんとして計画をし、目的を持っていらっしゃる、こういう施設をやっている個人の方々が、本来は厚生省としてやっていただかなければ本当は困る施設ですよ、こういうのは。もちろん、それは細かいところへ手の届かないのは私は重々、何回もこういうことを質問させていただいて、お答えをいただいております。けれども、民間でこういう篤志な方々がいて一生懸命やっていらっしゃるにもかかわらず、それがたとえば先ほどの話のような経過で、本来すぐに転用させていただけるような土地が転用されないで、いろいろ横やりが入ったり何かして五年も放置されていると、こういう方々の心がますます暗くなるどころか、何か政治というものに対してますます不信感を持つという結果になりかねないと思います。  実は、あなたにまだ残っていただいたのは余の儀ではないんですが、どうなんでしょうか、いま空き地になってどなた様も手を引っ込めているという今日は、何とかしてこういう方々のために利用させていただけるような方法を講じていただけないものかどうか、それをちょっと伺いたいと思いまして。
  263. 高橋公男

    説明員(高橋公男君) お答えします。  最初に、先ほど先生がおっしゃられた旧軍港市転換法の規定のことでございますが、先生が御指摘の規定は地方公共団体に払い下げる場合の規定でございまして、それ以外の、まあ申請者は社会福祉法人でございますので、ここに払い下げをする場合には、一般の例に従いまして国有財産特別措置法という規定で払い下げをすることになりますので、軍転法の規定は全然適用にならないと、こういうことでございます。  それから二番目に、四十八年に最初の要望をいただいてから、ことしの三月に一応国の機関で使用を予定しているからということで、口頭で一応お断りをしているんですけれども、その間約五年を経過しているわけで、全く御指摘のとおりでございます。  現在、どうして処理がおくれたかということを調査中でございますが、おくれた理由としていままで大体わかっていることは、第一に、当初から国家公務員の宿舎の予定地とされていたということ。この点は、最初に要望書を出していただいたときに要望者にはその旨申し上げてあります。それから二番目に、競願があったということ。これは横須賀市から商業高校のグラウンドに使いたいという要望が出されておりまして、このことも記録によりますと四十九年の一月に要望者にその旨伝達をいたしております。それから三番目に、これを社会福祉法人誠心会の方に払い下げるとした場合には、横須賀市自体が旧軍港市であるために、先ほど先生御指摘の旧軍港市転換法の定めに従いまして、審議会にかけて処理をすることになるということ。それから最後に、これが大きな理由だったように思われるのですけれども、提出していただいた書類の中の資金計画に、かなり不安があったということ。これは詳細には申し上げませんけれども、かなり不安があったということ。それらの事情を総合して、結論を出すのに大分手間取ったのではないかと思われます。  国有地の払い下げの要望に関しましては、一般の許認可等、行政処分の場合と異なりまして、一定の期内内に処理できるという性格のものではなかなかないわけです。これは将来の国における国有地の需要等の予測もして、払い下げるべきものは払い下げる。それから将来、国において使用が予定されるものは、その使用がどうなるかはっきりするまで、安易には払い下げができないという事情もございますので、一般の行政処分のように要望いただいて早急に処理できるという性格のものでは、一般的にはなかなかないという、そういう事情がございます。ただ、私ども——私どもというのは本省の立場から見てでございますけれども、まあ国有地の払い下げの場合に、そう早急には処理できないとしても、少なくとも去年の十一月に払い下げの要望書を出していただくまで四年ほど経過しているわけで、これはちょっと結論を出すのに長過ぎたのじゃないか。たとえ、私が先ほど申し上げたような、結論を出すのがおくれた理由があったにしても、たとえばその資金計画に不安があったとか、そういう事情があったといたしましても、それならそれで、もっと不足する書類を出していただくとか、説明を伺うとかという、不足のところはそれなりの指導をして補うなどして、もっと早く結論を出すような処理をすべきではなかったかという点については反省をいたしております。今後、特にこういう社会福祉事業に使うというような性格のものついては、私どもも一般的にその必要性よくわかりますので、今後慎重に、慎重というか、十分検討して処理を早くするように今後努力をいたしたいと、そういうふうに思っております。  それから最後に、大分前置きが長くなって済みませんでしたが、最後に、しからば今後どうするか、こういう問題になりますが、実は先ほど運輸省の会計課長がお答え申し上げましたように、運輸省の方から宿舎の建てかえ用地として使用したいと、こういう申し出がありました。この件につきましては、ことしの四月十六日に現地から関東財務局の方に進達がありまして、その時点で関東財務局におきましては、誠心会の要望について完全な解決を見ていないので、その完全な解決をするまでは宿舎の転用として処理することは不可であるという指示をいたしております。現在はそういう状況でございます。それで、私どもが現在考えておりますのは、今後次のように処理をさしていただきたいというふうに考えております。  その考えておりますのは三点ございまして、まず第一に、本件の要望者、誠心会でございますが、誠心会の事業計画及びそれに係る資金計画が適切であるかどうか。特に、その資金計画について実現可能なものかどうかという点について、審査検討をさせていただきたいということ。  それから第二点として、これは社会福祉法人でございますので、その監督官庁である厚生省及び神奈川県に対しまして、本件要望者の、いま申し上げました事業計画及び資金計画が適切であるかどうか。特に、この資金計画におきましては、相当程度補助金を予定されているようでございます。それから、ほとんどの部分が借入金を予定しているようでございます。そういう点につきまして適切かどうかというような点について、監督官庁の意見、判断を照会したいと思っております。  それから三番目に、地元横須賀市に対しまして、旧軍港市転換事業の推進上、この要望者の事業計画が適当であるかどうかという点について、地元横須賀市に意見を照会したいと思っております。  以上の三点につきまして検討ないし照会をいたしまして、これが適切な事案であるということでありますれば、先ほどの運輸省の宿舎建てかえ用地の要望もありますので、これとあわせて、どちらも満足がいくような処理をさせていただきたい、それをこれから至急にやらせていただきたいと、そのように考えております。
  264. 下村泰

    ○下村泰君 時間が来ております。一言だけ言わしてください。  いまのお答え、それはもう当然のお答えだと私は思います。決してそれにいちゃもんつける気はございません。ただ、ここだけは承知しておいていただきたいと思うんですが、こういう事業をされる方で、個人でそんなにお金のあり余ってる方はいないんですよ。こういうことに気のつくのは意外と貧乏人が多いんです。大金持ちというのは気がつかないんですよ、こんなことは。大金持ちというのは、貧乏人を踏み台にして金をもうけてるんですからね。ですから、こういう事業をやる人というのは——これは私、あなたに文句言ってるわけじゃないんですよ。こういうことをやる人というのは、意外とそういう清貧の方が多いということなんです。それだけに、いろんなめんどうの見れる立場にいる人がめんどう見てやって、そして、みんなで温かい心を持たなければ、こういう施設はできていかないのが現在の日本の福祉なんですよ。それは総理も認めてますからね。わが国の福祉は出おくれてますと、後進国並みでございますって、堂々と胸張って総理大臣が言う国なんですから、そんなうまくいくはずはないんです。したがいまして、これはもう国民みんなが手をつなぎ合わなきゃできない事業なんです。それだけに、お役所のお役人さんという方は、できるだけ条理定例にとらわれずに、温かい心でひとつ見てやってください。お願いします。  さて、厚生大臣、こういうふうな結果なんです。こうなりますると、厚生大臣の責任非常に重くなるんですよ。何とかめんどう見てくれるというふうにお約束していただけますか。お願いします。
  265. 小沢辰男

    国務大臣小沢辰男君) ひとつまあ、先生がごあっせん役ですから、この誠心会の会長を私のところへよこしてください。それでよく聞きまして、当然補助の——民間事業であろうと社会福祉法人なら補助の点もありますし、それから、どういう資金計画、事業計画、これはやっぱりわれわれがよく指導してやった方が大蔵省も安心いくだろうと思いますね。したがいまして、それからまた地元の横須賀市や県とも連絡をとってみます。で、私どももやっぱり先生に言われただけで——もちろん信用しますけれども、よく聞いてみないといけませんから、それで、いいことであればこれはもう本当に——私は福祉施設というのは、やる人の問題だと思いますので、その人とお目にかかって、私どもとして最善の努力をいたします。
  266. 下村泰

    ○下村泰君 わかりました。
  267. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会