運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-06-02 第84回国会 参議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月二日(金曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      長谷川 信君     桧垣徳太郎君      志苫  裕君     松本 英一君  六月一日     辞任         補欠選任      松本 英一君     野田  哲君      小巻 敏雄君     山中 郁子君  六月二日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     小巻 敏雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 村沢  牧君                 太田 淳夫君     委 員                 青井 政美君                 金丸 三郎君                 坂野 重信君                 田原 武雄君                 戸塚 進也君                 桧垣徳太郎君                 最上  進君                 青木 薪次君                 野田  哲君                 原田  立君                 小巻 敏雄君                 山中 郁子君                 柄谷 道一君                 江田 五月君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君        消防庁次長    福島  深君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    福島 静雄君        大蔵省主計局主        計官       塚越 則男君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        中小企業庁小規        模企業部参事官  山口  務君        運輸大臣官房観        光部計画課長   森  雅史君        運輸省港湾局技        術参事官     久田 安夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部財        政課長      林  淳司君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君        建設省河川局海        岸課長      富永 正照君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       釣谷 義範君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        建設省道路局有        料道路課長    沓掛 哲男君        建設省国土地理        院地殻調査部長  藤田 尚美君        日本国有鉄道施        設局長      村山  煕君    参考人        日本道路公団理        事        大島 哲男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○大規模地震対策特別措置法案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十七日、志苫裕君及び長谷川信君が委員辞任され、その補欠として松本英一君及び桧垣徳太郎君が選任されました。また、昨日、小巻敏雄君及び松本英一君が委員辞任され、その補欠として山中郁子君及び野田哲君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。大規模地震対策特別措置法案の審査のため、本日、参考人として日本道路公団理事大島哲男君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 大規模地震対策特別措置法案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 国土庁長官にちょっと要望しておきたいんですけれども、きょう私は萩原予知連会長に実は来ていただかないと、この大震法審議については、今日もう政府機関のようなものでありますから、ただ公務員でないというだけでございまして、参考人という形になるとどうもまずいということで、きょうは都合が悪いという話なんですけれども大震法審議の際に萩原予知連会長がここにお見えにならないなんというのは、刺身を食べるのにしょうゆが効いていないというようなものでありまして、全く非常に残念だと思うんでありますが、予知連会長とか、こういう人は、特に萩原先生の場合においては相当権威を持った学者でございまして、日本全国から崇拝されている先生でもございますので、ひとつ参考人出席とかなんとかという問題ではなくて、どんどん事あるごとに委員会に出て発言するような手続について一度検討願いたいと思いますけれども、よろしくひとつこれは要望しておきます。  日本列島をほぼ揺るがしました一月十四日の伊豆大島近海地震は、伊豆地方中心にして再三にわたって被害を出したのでありますけれども伊豆半島をめぐる地震はここ三、四年間に三回も地震が来た。しかも台風の被害がやはりこれまた二、三回来ているわけでありますが、そういう意味伊豆災害のいまメッカと化しているという状態だと思うんであります。そういう中で、マグニチュード7でありましても地震による死者は二十数人というような犠牲者を出しているわけであります。  こういうことがいま日本列島中心にいたしまして地震の巣のように実はなっていると思うんでありますが、東海大地震とこの伊豆大島近海地震関連ありゃ否やという点がいま非常に問題になっていると思うんでありますが、関連があるという学者と、それから萩原先生の主宰する予知連の考え方としては関連がないというように言われているんでありますけれども、これはどういうように考えておられるのか。萩原先生見えないので国土庁国土地理院長期判定でありますからお答えをいただきたい、こう思います。
  7. 末広重二

    説明員末広重二君) 先生ただいま御質問の点につきまして、気象庁でございますが、御答弁さしていただきます。  本年一月十四日に起こりました伊豆近海地震、これは正式には伊豆大島近海地震と申しまして、被害は確かに伊豆半島で大きく起こりましたけれども震源地伊豆大島のごく近くでございまして、これは相模トラフ——トラフと申しますのは小さな海溝でございますが、この相模トラフ活動関連して起こった地震であるということが種種の観測からわかっております。また一方マグニチュード8のいわゆる大規模地震発生可能性が云々されております東海地震でございますが、これは相模トラフ——相模湾から太平洋の沖合いにかけてやはり小さな深い海溝がございますが、これの活動関連して起こるであろうと言われておるわけでありまして、特にこれは南海トラフから分かれて駿河湾の中に入っておりまして、いま申し上げたような名前もついているわけでございますが、そういうわけで、予知連一般見解といたしましては特に関連はないであろうということでございますけれども、何分いわば隣で起こりました地震でございますために全く関係がないんだということは言い切れないわけでございます。  ただ、種々の観測をその後伊豆大島近海地震の前からあの辺一帯でやっておりますが、若干の異変と申しますか、異常現象が見られましたのはあくまでこの相模トラフ関連でございまして、駿河トラフから南海トラフにかけましての付近観測地には何ら異状が起こっておりませんので、そういうことから判断いたしますと、特にことしの地震が懸念されておる東海大規模地震に大きな影響を与えているんだということはまずないかと存じます。  以上でございます。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 一昨年以来警戒信号の出ている東海地震説というのは、震源地駿河湾に見ておったわけですね。けれども、ことし一月の地震震源地大島付近から伊豆半島にかけての区域で、東海地震対策の裏をかかれた形だというように言われているわけです。いつどこで突然起こるかわからないところに地震の恐しさがあると思うんでありまするけれども、大規模地震対策特別措置法案に言う「大規模地震による災害から国民の生命、」財産を守るという立場から「地震防災対策強化地域指定、」をするということがあるわけでありますが、強化地域指定して、計画的な観測とか測量実施強化を行うとあるんでありまするけれども、関心を集めている静岡の住民として私は聞きたいんでありまするけれども静岡県を中心にどの地域強化地域とするのか、あるいはまたどのように判断して決めるのか、南関東はどうなるかということについてお聞きしたいと思うわけです。
  9. 四柳修

    政府委員(四柳修君) お尋ね三点あろうかと思います。  一つ強化地域指定の仕組みなり基準という問題、二番目は東海の場合にその範囲、三番目は南関東と、こういうふうに承りましたけれども強化地域指定につきましては、手続的には中央防災会議専門部会の御審議によりまして行うことを予定しておりますけれども、具体的には一つは全国的に見て大規模地震発生する可能性が大きいと認められます地殻範囲をまず選定していただきます。二番目に、その地殻の中で発生のおそれのある地震規模位置等をおおよそ明らかにしていただきまして、三番目にそのような大規模地震発生すれば著しい地震被害が生ずるため、地震防災に関する対策強化する必要のある地域というものの範囲を定めていただく、こういうことになろうかと思いますが、その場合の当該「大規模地震発生した場合に著しい地震災害が生ずる」地域というのは。いわゆる地震動によりまして相当程度建築物の倒壊が起こる可能性のある地域を初めとしまして、二次災害である火災が発生した場合に焼失する可能性相当高い地域ですとか、あるいは津波予想地域がけ崩れ等による人家の埋没が予想される地域等、これらの点も考慮して指定することになろうかと思います。  それから第二地目の東海地域範囲ということでございますけれども、これはいま申し上げました中防の決定を待たなければならないと思いますけれども、過去の安政大地震等状況等から考えますと、静岡県を中心にしまして、これに隣接いたします神奈川県、愛知県あるいは山梨県、長野県等の一部、さらには津波被害によりましてはもう少し南の方の海岸沿いも入るのではないかと考えております。  それから第三点の南関東の問題でございますが、御案内のように南関東観測強化地域でございますものですから、当然東海と同じように、いま申し上げましたこの中央防災会議専門部会の御審議によりまして、その可能性があれば指定になることもあり得ると思います。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 心配されている東海地震伊豆半島のすぐ西を南西に延びる駿河トラフ西側で起きるのじゃないかということが言われておったわけですね。そしてこの伊豆東方線、これも駿河トラフフィリピン海プレートと呼ぶ海底岩盤が押し寄せる場所としてはほとんど同じような場所にあります。いま末広参事官の言われた相模トラフも小田原のちょっと東南の地方でこれ接続しているんです。そういう場所として前衛線がひずみに耐え切れなくなるときに背後に控える本陣といわれる駿河トラフのひずみ量も限界に近づくといことになるわけですね。そしていずれ東海地震が来るという、こういう意味で図式を考えていいのかどうか。その点についてはいかがですか。
  11. 末広重二

    説明員末広重二君) お答え申し上げます。  相模トラフの方でございますが、これも確かにその地震を起こす原因でありますいまおっしゃいました非常に厚い岩盤太平洋のかなたから押し寄せてまいります。これが二枚か三枚ございまして、それがいまおっしゃいました相模トラフあるいは駿河トラフから南海トラフにつながるところでもみ合いをしているわけでございますけれども駿河トラフの方はもうすでに五十三年前ですか、関東の大地震ということで大きなエネルギーは解放されておる。ただしマグニチュード程度は起こるかもしれませんけれども、大規模地震ということは駿河トラフの方では考えにくい。やはり大規模地震が起こるとすれば、駿河トラフから南海トラフヘつながります東海地方、これもこのトラフ西側でございます。ここがやはり日本全国を見渡して一番可能性の多いところである、こういう認識でございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 大規模地震の大きさや、この法律の適用を大規模地震に限定している理由を聞きたいんでありまするけれどもマグニチュード8という基準は私は高過ぎるんじゃないか。伊豆大島近海地震マグニチュード7で先ほど申し上げたように二十数人死んでいるんですね。せめてマグニチュード程度までは下げるべきではないか。法律趣旨から言って早く予知することができるような技術の開発を行って、予知体制の確立を図るべきだと思いますけれども、この点はいかがですか。
  13. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘のように、この法律におきましては、現在の予知技術の水準ではいま気象庁の方から御答弁申し上げましたように東海地域においてのマグニチュード程度は空振りすることはないだろう、そこまではできるだろう、こういう技術段階でございますが、いま青木委員おっしゃいますように、やはり技術が進歩いたしまして、できることならばマグニチュード程度段階まで引き下げるように、こういうことはいままでの御質疑の中等におきましても御答弁ございまして、私どももそういう意味でこの大規模というのはいまの段階ではマグニチュード8でございますけれども技術の進歩によりまして御懸念のございますより小さな7程度のものまでも対象になれば幸いだと考えております。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 そこで国土地理院に聞きたいんですけれども相模トラフがある、それからこれに向かってほぼ直角に伊豆東方線がぶつかっている、しかも南海トラフが来て駿河トラフと接続している、この辺のブランクがいわゆる駿河湾西方面地震危険地帯になっている、ここがいわゆる危険だ、こう言われるわけですね。この辺の土地の隆起、いわゆる山の隆起とか海岸線隆起とかというものが非常にあるやに聞いておりますけれども国土地理院はこれを捕捉しておりますか。
  15. 藤田尚美

    説明員藤田尚美君) お答えいたします。  国土地理院では一九七五年前後から伊豆半島の中部で異常な隆起が見られるというような観測結果を得ております。それでこれは何回も地震予知連絡会検討されて、その動向が注目されておったわけであります。そこでことしの一月十四日の地震発生した、こういう背景でございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 特に大規模地震発生可能性が叫ばれている東海地方には、昨年の四月でしたか、東海地方判定会ができましたね。現状でも観測強化が行われているわけでありますけれども、本法案の通った後の観測体制強化について、現状との相違ですね。具体的な相違点について簡単に説明してもらいたい、こう思います。
  17. 園山重道

    政府委員園山重道君) お答えいたします。  御指摘のように、東海地域につきましては一昨年の大地震説が出されましてから急遽地震予知推進本部内閣に設置されまして、この地震予知推進本部中心にいたしまして関係機関の御協力のもとに観測強化をいたしてきたわけでございます。で、現在東海地方におきましては、このための観測点といたしまして地震観測二十八点、傾斜観測七点、体積ひずみ計が七点、それから伸縮水管観測が三点、地下水観測十四点、検潮観測七点、合計六十六点の観測点が設けられておるわけでございますが、すでに五十三年度の予定といたしましては、さらに地震観測四点、傾斜観測二点、伸縮水管観測一点の増設が予定されております。  なお、先生指摘のように、この特別措置法におきまして、強化地域につきましては観測測量実施強化が示されておるわけでございますので、この点について鋭意努力をする必要があると考えているわけでございますが、現在文部省にございます測地学審議会におきまして五十四年度から始まる五ヵ年計画の御審議がなされておると聞いております。この中におきましてもこの特別措置法の成立を頭に置きましての御検討がなされていると伺っておりますので、近々にその御建議が出されるというようにも伺っておりますので、こういった測地学審議会におきます学者専門家の方々の御検討の結果を踏まえまして、私ども現在地震予知推進本部事務局を担当いたしておりますので、この新しい立法時代に備えてどのような体制にあるべきかということを検討してまいりたい、このように考えております。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、この判定会会長以下六人で、会長予知連会長萩原先生、この東海地方判定会会長萩原先生ですね。そういう中ですべてデータ気象庁中心にして、急激な異状が発見されたときには大地震発生前兆に結びつくかどうかについてすぐ判定するということになるわけですね。そうすると、そのことに対して観測強化ということが言われているわけでありますけれども、たとえば微小地震計とか、大、中、小の地震計とか、横穴式地殻変動とか、傾斜計とか、体積ひずみ計とか、検潮計とか、地下水観測井戸とか、こういったようなものについてさらにひとつこれを拡大する、設置個所も拡大するということも含めて考えているというように理解していいですね。
  19. 園山重道

    政府委員園山重道君) ただいま測地学審議会で御検討されております中にはそういった点も含まれているやに伺っております。先ほどからの御指摘もございますように、できるだけマグニチュード8というようなものより小さいものでも観測できるようにということが、これは全体の方向といたしまして努力すべき目標かと思われますので、測地学審議会におかれましてそういった計画が出ました場合には、私どももできるだけその実行について努力をしていきたい、このように考えております。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 そこで私は聞きたいんですが、伊豆大島近海地震観測について、昨年秋の国土地理院測量では、東伊豆から中伊豆にかけて隆起している地域がさらに隆起したということがはっきりしているわけです。それから、気象庁の石廊崎のひずみ計が昨年十二月から地殻の縮みを示し、それからいわゆる一月十四日の本震三日前にこのひずみ計は急に伸びに転じた。それから本震の三時間前には伊東と三浦半島油壷の潮位の差にも大きな変化が出た。国土地理院気象庁はこのことについて確認できるはずだと思うんですけれども、いかがですか。
  21. 末広重二

    説明員末広重二君) お答え申し上げます。  確かに本年一月十四日の伊豆大島近海地震の前には、先生指摘のような異常現象と言えるべきものがあらわれたわけでございます。ただ気象庁データが集中しておりますのは、そのうち地震と体積ひずみ計でその当時はございましたわけで、私どもこれはひょっとすると前のおっしゃいました国土地理院測量の結果と照らし合わせまして何かあるかもしれない、特に二日前から大島付近で非常に地震が頻発してまいりましたので、いわば一種の不気味であるという感じは得ておりましたわけでございまして、この地震の中には、あるいは被害を起こすようなものがこの群発地震の中に含まれるかもしれないというようなことも一種地震情報としてはお流しするところまでは踏み切ったわけでございますが、何分マグニチュード程度でございましたし、また異常現象のあらわれ方もやや不思議だなあと思われる程度でございまして、防災に結びつくあるいは結びつけられるという確度のあるほどの地震はなかったわけでございまして、これは先ほど科技庁からも御答弁のありましたとおり、今後の努力に待ちましてM7程度でも防災に結びつくような地震予知ができるように、これは将来の課題として早急に努力をいたしてまいりたいと思っております。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 それは参事官ね、M7程度でもと言うけれども、M7程度が大切なんですよ。これはやっぱりこの被害程度といったら、これはもうマグニチュードと震度との関係というのはいろいろあるけれども、しかしその場所と時間とそれから対応の違うところへM7の地震が入ったら、これはもう大変な事態になるというように理解しなきゃいかぬと思うんですよ。特に大都市とそれから田舎の場合とは違いますしね。その点については中国から学ぶことが——私も中国へ何回も行きましたけれども、その点は後で申し上げますけれども、非常に違いがあり過ぎるというように考えます。それは率直に大臣ね、地震に対する構えの仕方がちょっと足りないと思いますけれども大臣ここでちょっと答弁してください。
  23. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 技術面のことでございますから、軽々に私は物が言えませんけれども、御趣旨のようにマグニチュード程度までの予知をするよう鋭意研究をすべし、また先ほどから御答弁申し上げておるように、この防災との関連でなく、その異状がある場合の情報提供というものは、これは気象業務法による気象変化として伊豆大島沖地震のときにもその情報としては提供されておると思うんです。ですから、それらの点をよく考えまして、いまわれわれがあらゆる角度から判断して申し上げられるのは、マグニチュード8の予知については確信を持って言える、しかし7については、あるいは7から8の間はなかなかむずかしい。しかし、もし大きな災害があった場合のことを考えますと、仮に確信のない場合でもその情報程度のことは現在の業務法の上からは考えられるんじゃないかと、こういうふうに私は見ておるわけです。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 いま大臣も言われたんでありますけれども、こういうような観測結果が長い間行われていまして、異常値意味が読めるほどにこのデータが蓄積されていたら事前に何か言えたはずだ。先ほど参事官もちょっと触れておりましたけれども、そういう意味できょうは萩原予知連会長がお見えにならないのは非常に残念ですけれども、今回は明確な前兆現象がつかめずに残念でたまらないということをことし一月二十日の記者会見予知連会長は吐き出すように物を言っておられるわけですよ。これは一にかかって地震予知に関する研究とともに地震予知のための観測体制の一元化とそれの整備充実にあるというように私は考えたいわけでありますが、この辺について、国土地理院それから気象庁、まあ科学技術庁もあるかもしれませんけれども、その地震部門をここで一元化するために統一するような機構改革というようなことを考えるべき時期に来たと思うんでありますけれども大臣いかがですか。
  25. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 青木委員ももう十分御承知のように、現在でも気象庁東海地域の場合はデータが集中されておるわけであります。すなわちその実質的な一元化というものが行われております。それから地震予知連絡会において各省庁、大学にわたる研究の成果であるとか、あるいはいろいろな情報だとか、そういうものが予知連絡会に集中して、そして専門的な判断を下す、こういうことにもなっておりますから、ですから当面危険地域と見られるところのデータはもう集中的に気象庁、それから一般的な予知関連のものは予知連絡会において一元的にまたは専門的判断を下す、こういうようなことになっております。  ただ判定会とか予知連絡会が行政組織の中で明確な位置づけがないという点についてのいろいろ御批判はちょうだいした次第でございますが、そういう点は将来に向かって研究をすべき課題かと思いますが、現在においては、御趣旨の点はまず予知連絡会や判定会に集中され、気象庁が最終的な判断の立場にある、こういうことでございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 私どもは、中国の場合には鳥の鳴き声が変だとか、井戸水がどうだとか、カエルがどうしたとかいうようなことだけが中国地震対策だと思っている節がかつては政府部内にもあったと思うんです。ところが、ここを調べてくると、中国の科学院があってそのもとに地震局がある。そうして各地域の政府が、中央地方を通じて革命委員会と言われる政府がこれを統括する。しかも補助し、しかもこれに対して大衆組織がこれにがっちり構えている。専門家だけで一万三千人いるという状態で、かつては五、六人しかいなかった専門家が今日そういうふうにふえてきて、しかも地震に携わる人が三十万人もいるという状態と、日本とは国情は違うけれども私は相当な開きがあると実は思っているわけであります。  そこで、この地震予知連絡会の組織と構成とそれから機関の性格、これらについて政府としては改組して、そうしてもう少し権威づけたものにする必要があるんじゃないか、もう少し専門家を、さっき大臣の言われた技術屋をここに集中すべきときに来ていると思うんでありまするけれども、その点についてはどんなふうにお考えになっておりますか。
  27. 藤田尚美

    説明員藤田尚美君) 地震予知連絡会につきましては、これは測地学審議会の建議を受けまして昭和四十四年に発足いたしました。ここでは地球科学の情報を各機関から収集、交換しまして、そこで学問的な総合判断を加えるというようなきわめて純学問的な雰囲気のもとにいろいろなデータが解析されておるという性格を持っております。それで、現在構成は萩原会長以下学識経験者が十五名でございます。政府関係機関の職員が十五名でございます。合わせて三十名という組織になっております。  それで、われわれとしましては地震予知という分野ではまだ多分に研究的な要素が多い、多角的な地球科学の情報を総合判断しなきゃいけないというふうなことで、どうしても学問的な見地に立ってフリーに判断するという組織が必要かというふうに考えておりまして、こういった組織は今後も続けていきたいと思いますが、現在審議中の測地学審議会の建議が近く出ようかと思いますが、その線に沿って今後のあり方については検討されるものと聞いております。  以上でございます。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 次に、時間がありませんから警戒宣言の関係についてちょっと伺いたいと思うのでありますが、地震予知技術が進むにつれましてこれからは予知情報の伝達時代を迎えたと言っても過言ではないと思いますが、緊急事態を告げる地震警報の発令が私はこの大震立法の中心でもあると思うのであります。このために地震予知の一元化が何より必要であることは先ほど申したとおりでありますけれども、各省庁の機能を一元化し補完し合うことがぜひ必要だと思うのであります。日本の行政機構の中で地震行政を扱う国土庁建設省国土地理院、運輸省の気象庁など代表的な地震予知の柱のほかに、各省庁が多かれ少なかれ大変な数に及んでいると思うのでありまして、これは国家的な重大な事業でありますから相当権威づけられていなきゃなりませんけれども、科学的なしかも技術的な裏づけのある、しかも警戒本部長たる総理大臣と直結できる体制に機構改革をせねばなりませんけれども、この点について後で総理にも伺いたいと思っておりますけれども、もう少しこの問題について関心を持つべきだと思いますけれども大臣からもう一度答弁をお伺いいたしたいと、こう思います。
  29. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 重要な地震予知の問題でありますから、青木委員のおっしゃるように、機構の上においても国民の安心する体制というものをとる必要は、これは私も認めることで、またそういう機構を速やかにつくる必要があるとは考えております。  現状においてしからば足らざるところがあるのかということになりますと、私はいま大地震立法をお願いしておる立場からいって、先ほど詳細申し上げたように、地震予知連絡会あるいは東海地域判定会、また気象庁に集中的にデータが寄って責任を持って予知をする、こういうことで、まず当面のあり方としては私は確信を持ってこれでいいと考えておるわけであります。しかし、いろいろ御批判のある点も首肯できるのでありまして、先ほど気象庁の方からもお答え申し上げたように、現に測地学審議会の方でこの問題についての建議を行う、こういう予定になっておりますので、それを受けて、それはもう全く専門の立場の人たちの建議でありますから、それを尊重してお話のような点を考えてみたい、こういうふうに思っております。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 ひとつこの際、時間がありませんから自衛隊の問題についてちょっと触れておきたいんでありますが、第七十八条に「命令による治安出動」というやつがある。これは後で同僚議員の野田委員からも質問があると思うのでありますけれども、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」というのがあるわけですね。「その他の緊急事態」には関東大震災のような治安の撹乱状態ということを想定していると私は思うのでありますが、この法案中の警戒宣言の発せられたときに、警戒本部長の要請で事前出動する場合の自衛隊の役割りと、それから地震発生した場合、現在の自衛隊法八十三条の災害派遣との関係について、これは防衛庁から答弁をしていただきます。
  31. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。  治安出動は、ただいま先生指摘のように「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては、治安を維持することができないと認められる場合」、または「治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合」に内閣総理大臣の命令により行われるというものでありまして、それに付随いたします権限等につきましても、たとえば警察耳職務執行法の全文の準用、武器の使用等を認められるという形になっております。一方、今回のこの大震法案によります地震防災派遣は、地震防災応急対策の的確かつ迅速なる実施を支援するために、地震災害本部長、すなわち総理大臣の要請を受けまして防衛庁長官の命令によって行われるというものでございます。  治安出動は国内における治安維持のため警察力の補完として行われる行動でございまして、片や地震防災派遣は地震防災応急対策の的確かつ迅速なる実施を支援する活動でございます。両者は全く関係はございません。  さらに災害派遣との関連でございますが、現行の災害派遣の規定は自衛隊法第八十三条にありまして「天災地変その他の災害に際して」原則として都道府県知事等の御要請がありまして、事態やむを得ないと認められる場合に防衛庁長官あるいはその委任を受けた者の命令によりまして救援のために部隊等が派遣されるというものでございます。  地震防災派遣は、地震発生する以前の段階において自衛隊の部隊が支援のために派遣をされるというものでございますが、現行法にあります災害派遣は「天災地変その他の災害に際して」、すなわちその災害がすでに発生をしたか、または災害発生が切迫しており、かつそのまま放置すれば人命、財産に被害が生ずることが客観的に明白に認められるという災害がまさに発生しようとしている場合を言うものというふうに理解をいたしております。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 いま審議官の言ったことは現状でもできるわけですよね。あなたの言われたことは、あくまでも治安出動というのは七十八条である、それから警職法というものもあるし、特に敏速な行動が必要だという意味で、警察力の補完という立場において出動するということであるならば、現状のこの自衛隊法並びに災害対策基本法でもできるというように考えているわけでありますが、この法案に言う警戒宣言時の派遣というのはあくまでも事前の出動であり、それから応急対策に対する支援であって、その内容は病院や診療所等の施設の管理、交通の禁止や制限、警戒区域の設定や当該区域の立入制限、禁止といったようなこういうものを伴う。しかも私権の制限を伴う強権が実は発動されるわけでありますから、罰則まで含むこれらの行動というのは計画的、組織的でなければこれは実行できない。関東大震災以上のものでマグニチュード8以上を想定する大規模地震だからこそ、漠然とした形でもって自衛隊が出動することはそういうときだろうということで、不思議ではないように思われるのだけれども、本来警察の仕事と、それから災害時に活躍されて非常に伊豆あたりは喜ばれたわけでありますけれども、自衛隊の権能とは、先ほど申し上げたように現在の法制下で満たされると思うけれども、その点についてはいかがですか。
  33. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 治安出動という事態は、これはきわめて治安維持上重大な事態を予想しておりまして、地震防災の見地からする自衛隊の出動とはこれは法律の構成要件が違うという解釈をとっておるわけでございます。地震防災派遣が地震予知段階あるいは警戒宣言が発せられたような事態におきまして自衛隊法に規定しております治安出動の要件を満たすような事態が仮に発生すれば、それは現行法の治安出動の規定が適用されることもこれはあり得ることだと思います。  ただ今回の法案でお願いしております自衛隊の地震防災派遣は、これはあくまでも地震防災という見地に立ちまして防災本部長からの要請がありまして、そしてその自衛隊が行います内容は、防災基本計画等に決められておりますその内容につきまして各省庁あるいは地方公共団体等が行われますいろいろな業務の支援のために出動するということでございます。  たとえて申しますと、情報の収集、自衛隊が持ちますヘリコプターあるいは車両、艦船等の手段を使いましての情報の収集、それの伝達、さらに広報でございますね。そういうことでお手伝いすることによりましてひいては人心の安定が得られるという効果を生むこともあろうと存じますが、そういうことであくまでも支援のために出動をする、御要請を受けてその支援のために出動する。しかもその支援の内容は、これはあらかじめ定められております地震防災計画の中身に沿ったものである、その沿ったものに限られるということでございます。決して防災派遣が一たん要請されて出動すれば自由自在に自衛隊が活動できるというものではございません。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 審議官の説明は気持ちとしてはわかるんです。で、警戒宣言が発せられると、そうするとパニック状態が起こる。人心の撹乱というものが起こるというようなことはこれはありがちなことですよ。そこへ自衛隊がちゃんと配置についておったということになれば、現在あちらこちらで行われて、防災救難救助ということでやっているそういう体制で自衛隊が配置についたぞということであるならばそれだけに効果はある。  ところが、あなたも言っているように、警察力の補完という立場で、しかも社会の安寧秩序とかその他の役割りを持って、いわゆる治安ということが、じゃこの中からどうして出てくるのかという点について、関東大震災があるじゃないかということだけじゃ説得力が鈍いわけですよ。だから現行の法制下で十分やれるとあなたも指摘されましたけれども、やれるというように解釈をするわけですよ。ですから、その不測の事態というのは一体どういう事態かということについてちょっと説明してください。
  35. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 自衛隊が地震防災派遣で行います支援活動の内容は、情報の収集、車両、航空機による後方支援、通信支援あるいは水防の応急措置、応急救護、緊急輸送等が一応代表的な例として考えられます。  私が先ほど自衛隊が広報等に活躍することによりまして人心の安寧といいますかに寄与することもあり得べしと申し上げましたのは、そういうことをやることが、そういうことをあらかじめ定められました計画に基づいてそれぞれ所轄の行政機関からの御要請により行うことが、ひいてはそういうことに、すなわち人心の安定等に寄与することもあり得るだろうということを申し上げたのでありまして、それが今回の地震防災派遣の自衛隊の主なる目的というわけではございません。  それから、現行法でもできないか、治安擾乱状態になれば治安出動という規定がございますし、また災害派遣という規定もあるのだから現行法でできないか、十分ではないかという御指摘でございますが、自衛隊の行動につきましては、これは自衛隊が武装集団であるというその特性からいきまして、現在の自衛隊法ではきわめてその行動につきましては厳格に法律的に細かく規定するという立場をとっております。  たとえば南極観測ということが十数年前に行われましたが、その南極観測に対する支援ということ、これは国家的事業であるし、南極観測をすることに自衛隊が応分の御助力をするということは、これは何ら恐らく日本国じゅうどこからも非難されるようなことはなかったと思いますけれども、そういうことでも自衛隊が本来自衛隊法に現在規定されております事項以外のことをやるということはやはり法律の明文の規定が要るということで、自衛隊法の第百条の四に「自衛隊は、」「国が行なう南極地域における科学的調査について、」「輸送その他の協力を行なう。」ということまで規定されたことがございます。同じような考えに基づきまして、たとえば自衛隊法百条の三におきましては「運動競技会に対する協力」ということで、オリンピックに対する支援、あるいはアジア地域におけるオリンピックと申しましょうか、そういう運動競技会に対する支援、たとえばファンファーレを吹くとか、あるいは通信機材を持っていって通信支援をするとか、あるいは場内行進の際にプラカードを持って隊員が動くということ、そういう細かいことまでも法律で厳しく規定をする、厳格に規定をするという考え方できておるわけでございます。  そこで、今回のこの地震防災派遣というものは、この要件は治安出動とも違いますし、また現在あります現行法の災害派遣の規定の要件にも、これは厳格に考えればはみ出すところであるということで、そのはみ出した部分につきまして規定をし、そして御審議を願っておるわけでございます。その自衛隊の権限につきましては、今回の防災派遣の権限はほとんど災害派遣と同様に規定をされておるところでございますが、そういう趣旨で自衛隊の行動は厳格に厳しく法律で規定するという考えに基づいているものであるということを御理解賜りたいと思います。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 自衛隊の装備はいわゆる火器を伴う、いわゆる戦力も持っている。そういう中で、しかもこの災害派遣の際に私どもが自衛隊の役割りとして非常に地元の皆さんに感謝されるのは機動力である。じゃ、機動力と火力を伴う兵力ですね。こういうものとが一緒に行くわけでしょう。一緒に災害現地に行くということになると思うんです。だから、そういう意味であなたがたとえば交通の補助手段をやったり、情報を収集したり、緊急輸送をしたり、人心の安定をしたり、また南極観測隊の輸送の補助業務をやったり何かしてきたと。それはそれでもって私は警察の近代的な装備を持った一つの機動力だと思う。しかしその火力を持つという、火力を持って、いわゆる兵力を持って治安に当たるというものとどうしても整合性がないという点が非常にまだまだ納得と了解を得られない点だというように考えているのですけれども、この点についてはどうお考えですか。
  37. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ただいま先生指摘の点は、恐らくこの大震法案の第二十一条の一項各号にございます「地震防災応急対策」の中の第五号の「犯罪の予防、交通の規制その他」「大規模地震により地震災害を受けるおそれのある地域における社会秩序の維持に関する事項」ということに関連してのお尋ねではないかと想像いたしますが、この「社会秩序の維持」ということは、これは第一義的にはもちろん警察あるいは消防等それぞれの御担当のところの仕事でございます。私が先ほど来申し上げました自衛隊がこの地震防災派遣でお手伝いができる仕事というのは、この五号以外のことを主として申し上げたつもりでございます。そういうことをやることによって、いわば反射的利益と申しますか、そういうことによって人心も安定するという利益もありましょうという趣旨で申し上げたわけでございます。  一方、警察官が持ちます権限あるいは消防職員が持ちます権限、すなわち国民の権利を制限する、あるいは義務を課するという、そういう権限は、これはそれぞれの権限を付与する法律によってその権限を与えられた職員のみがこれは行使し得るものでございまして、そういう法律によります権限なしに行使し得るものではないということでございますので、自衛官がたとえこの地震防災派遣によりまして出動いたしましたといたしましても、警察官あるいは消防職員が持ちますその権限をそのまま実施し得るということには決してならないということでございます。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 警戒宣言が発せられまして地震災害発生するまでの間において自衛隊の事前出動の必要性は、いま私が申し上げたようにまだ理解しにくい点がある。国民を安心させるためだということならわかります。しかしそのことだけだとやはりまだまだ問題が別だ。いま審議官のおっしゃるのは、あくまでもそういう場合にはこれは警察の補助的な仕事だということを言っておりますんですけれども、これは後で議論がされていくと思います。  地震防災応急対策は「警戒宣言が発せられた時から」「係る大規模地震発生するまで又は発生するおそれがなくなるまでの間」を地震防災応急対策とされているわけでありまするけれども、的確迅速に実施するために必要な自衛隊の活動というものについてやはりまだ議論が残るのではないかというように考えているわけであります。やはりこの罰則を伴うというようなことは、たとえば協力命令、保管命令あるいはまた立入検査を拒んだり、妨げたり、忌避したりということについては罰則を伴うんだということになっているわけでありますから、それらの点について私どもはもう少し議論をする必要があるんではないかと思いますけれども、これは後に譲りたいと思っております。  それから、地震防災対策強化地域指定の点でありますけれども、これは東海地域とされておりますけれども、どの程度を言うのかまだ見当が実はつかない。そのことについてただ関係地方公共団体の長の市町村長、知事とかの意見聴取が義務づけられているけれども、それももっともだけれども、住民の関係やあるいはまた関係団体というものの理解と協力が不可欠であるということを言っているわけでありまするけれども、説明会の開催等その対応はどのように進めていかれるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。これは四柳審議官でありますか。
  39. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御答弁申し上げます前に先ほどマグニチュード程度の大規模地震を空振り云々と御答弁申し上げましたけれども、見逃ししないようにの間違いでございますので、訂正させていただきたいと思います。  いま御指摘強化地域指定された場合の住民等へのPRの問題でございますが、とりわけこの法律におきましては強化地域内の不特定多数の方方が出入りするとか、あるいは危険物を管理するとか、そういった施設の管理者等に応急計画の作成というものを義務づけております。あるいは訓練ということの規定もございます。ですから具体的には計画の策定についてのPRということが一つあろうかと思います。これは関係省庁あるいはそれぞれの保安規程に基づきます監督官庁、さらには地方公共団体等の御協力によりまして、いま青木委員のおっしゃいますそれぞれの縦割りあるいは地域ごとの一つの説明会というものがなければなかなか徹底しないと思いますが、その場合でもできることならばそれぞれの業態ごとのやはり計画の作成マニュアルのようなものをつくりまして、それで指導していただくということを考えております。  それから、訓練あるいは一般住民の協力義務の問題もございますものですから、これは主として地方公共団体等の御協力によりましてやはり地域ごとあるいは職域ごと、さらには学校、これらも含めまして、地域の報道機関の御協力等も含めまして総合的に、いままでやっておりますいろんな防災関係の広報媒体ばかりでなくて、もっと広い範囲でいろんなものを関係省庁共同でやっていかなければならないと考えております。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 強化地域指定は行政区域の単位で行われるのかどうか、この点も聞きたいと思うんですけれども、たとえば静岡県なんかは非常に河川が多いんです。東海地方静岡県を含む東海地方に河川が流入するわけですけれども、これは西は岐阜県、それから長野県、山梨県といったようにこれらの県が水源地になっておりまして、防災面におきましては、ダム操作等で水源県を含む一体的調整が私は不可欠だと思うのであります。防災対策強化地域は即防災行政の徹底が要請されるというように理解をしていくべきだと思うんでありまして、防災上必要な背後地等を含めた地域指定となるのかどうなのか、具体的線引きの基本的方針をお聞きしておきたい、こう思うんです。
  41. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 具体的には先ほど東海地域の場合で静岡県を中心に隣接する関係市町村、こう申し上げましたけれども当然のことながらこれらの指定地域内の都道府県、市町村あるいは関係企業等が計画をつくります場合に、地方公共団体の場合にはやはり県市町村単位の地域防災計画の中で定めますものですから、単位としては市町村単位になろうかと思います。  その場合に、いま先生指摘のいわゆるこの指定要件の直接的条件ばかりでなくて、たとえば上流部にありますとか、あるいは系列的に考えました一つの流れとしまして、源流にございますそういった危険施設についての配慮も計画地域として指定するのかどうかと、こういうお尋ねでございますけれども、たてまえ上はやはり被害発生するおそれのある地域中心になりますけれども、その場合にそれらの施設を管理いたします都道府県ですとか、あるいは指定地方公共機関ですとか、それらの段階でできることならそれぞれの防災業務計画等の中でいまの御心配の点のようなことも織り込んでそれぞれの地震防災計画をつくっていただく、そういうことになろうかと思います。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 じゃ審議官のお話だと、説明だと、防災計画は市町村単位になる、しかし強化地域指定については指定公共機関等を中心としていわゆるブロック形成というようになるというように理解していいんですか。
  43. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 大変恐縮でございますけれども強化地域指定につきましては強化地域指定の要件がいろいろございますが、その要件の中に被害発生のおそれがある云々ということも一つの要件になっているものですから、それらの観点を踏まえて市町村単位にやはり指定されるということになろうかと思いますけれども、その指定の場合にいま青木委員のおっしゃいます点は、いわば源流におきましてそれらの被害を下流に及ぼすところも強化地域として指定するのかと、こういう御趣旨でございますが、それは被害の原因のもとということでございますものですから、それらの点につきましては必ずしも直接地域指定という形の対応ではなくて、それらの施設を管理いたします都道府県あるいは指定公共機関等の防災業務計画の中で配慮していただきたいと、こういうことでございます。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 十分な防災体制をとるためには広範な地域指定とそこでの防災施策の実施が私は必要になってくると実は思っているのです。  そうすると——中小企業庁見えていますか。中小企業庁、それから運輸省観光部。——強化地域指定は一面では危険地域というレッテルを実は張られるんですね。その結果当該地域における商業とか観光業等がいまでも困っているんですけれども、五大新聞のトップで写真が伊豆は全く危険地帯でいっぱいだと、すぐにも土砂崩壊が起こるようなことを書いている。それからニュースでもテレビでも言われるというようなことは、この方面は円高その他広範な長い不況のトンネルで困っているときに、さらにお客さんは来ると危ないぞというようなふうにとられるいま危険性が非常に多いわけです。不況に不況をいま重ねてホテルを閉めるなんていう人も実は出てきています。ホテルを閉めれば中小企業の商店もやられてしまうわけですね。そういうことで、強化地域防災強化することによって他の地域と同様に安全な地域であるというようなことの国民へのPR等を含めてきめ細かな行政上の配慮が必要だと痛感するわけですけれども、これに対する政府の対応はいかがですか。
  45. 森雅史

    説明員(森雅史君) お答えいたします。  この地震立法の施行によりまして強化地域指定というものがございますと、これによりまして観光客の入り込みが少なくなる、その点でホテル、旅館等の観光業界に影響が出るということにつきましては、これらを所管しております観光部といたしましても大変に心配をしておるというところでございます。ただ強化地域指定がされましても、これが直ちに大地震発生につながるということではない。むしろ先ほど先生の御指摘のように観測体制強化というものがあるわけでございまして、さらに具体的な大地震発生のおそれのあるときに警戒宣言が発せられるということでございます。またこの強化地域指定によりまして、国、県あるいは地方公共団体、市町村あるいはその関連の民間事業というものにおきましても、それぞれ強化計画あるいは応急計画というものが定められるわけでございますから、むしろ安全対策面では強化されるということであろうかと思います。  私たちといたしましては、先ほどの御指摘のありましたような無用な宣伝、非常に危ないという宣伝をされるということに対して非常に強い危惧を持っておりまして、むしろ必ずしもそうではない、安全対策がむしろ強化される地域だということで、その点の周知徹底というものを、たとえば観光旅行業界といったようなところも通じまして、もちろん広く一般の広報もございますが、無用の人心の不安なり混乱というものがないように努力をしてまいりたいと思っております。
  46. 山口務

    説明員(山口務君) お答えいたします。  いま運輸省の方から御答弁ありましたけれども、運輸省と十分連絡をとりながら対策を進めていきたい。中小企業行政でいろんな融資だとかその他の対策をやっておりますので、現在の対策で利用可能なものは極力これを活用していきたいということでございます。  ただ、われわれの方で考えておりますのは、この強化地域指定がその地域の経済活動にいかなる影響を及ぼすかということにつきましては、今後国土庁中心に調査が進められるというふうに伺っておりますので、その結果を見た上でなお長期的な対策は判断していく必要があるだろうと、こういうふうに考えております。仮にその地域の経済活動の長期停滞といったことが生ずるようなことがありますならば、やはりその対策としては長期停滞の解消策そのものをとることが必要であろうということでございまして、この点中小企業対策だけではなかなか対処し得ないと、かように考えておるわけでございます。いろんな各種の立地政策等々もかみ合わせて総合的に長期対策はやっていく必要があるだろうと思っております。  そういう意味で、先ほど答弁ありましたように、強化地域指定に伴って悪影響が生ずるというようなことで無用の混乱を生じているようなことも見受けられますので、指定趣旨の周知徹低ということが当面必要ではなかろうかと、かように考えております。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 一面で強化地域指定されますと、地震観測測量強化が図られることになるわけでありますが、東海地域の場合今後具体的にどのような強化策が計画されているのか。特に海岸線の長い東海地域では海底地震観測体制の確立が待たれているわけであります。  先日、五月二十六日に駿河湾の巨大断層を確認しましたね。これは非常にある意味ではショッキングなニュースであるし、ある意味では非常に結構なことだ、よく調査したということなんでありますけれども、これは海底地質構造調査の結果であります。で、地震の元凶として駿河湾中央で帯状に南北に延びているトラフが、これが西側から延びている黒い線が駿河トラフでありまして、中にはヘドロがずっと埋まっているけれども、実際には五千メートルからの海底のみぞ、すなわちトラフがあるんだということでありまして、これは海底地質構造調査としては画期的なものだと思いますし、萩原予知連会長も解明に一歩前進した、それから松田時彦東大地震研究所の助教授も断層の傾きをもう一回調べたいということを言っておるんでありますけれども、私はときどき東海大学へ海洋学ということについていろいろ勉強をし、データをもらいに行くんでありますけれども、ここは海洋科学が非常に中心なんですね。地殻の調査とか地質学でマグマとかトラフという点については星野教授なんかを中心として非常に世界的な実は権威があるわけでありますが、国土地理院気象庁は少しは協力要請に来たのかと言ったら、全然来ないという話を実は聞いているわけです。しかも駿河トラフの隣にりっぱな施設なり研究員や学者がおるにもかかわらず、なぜこういうところに協力を求めないのか。そこに予算の点か、それとも何かということで私はこの際聞いておきたいと思うんでありまするけれども、もう少しこういう東海大学等については協力を求めるべきであると思うんだけれども国土地理院気象庁はどんなふうに考えておりますか。
  48. 末広重二

    説明員末広重二君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり東海大学は海洋の面で非常に力を入れていらっしゃることは私ども前から承っておるところでございまして、個人的なレベルではいろんな先生方とお打ち合わせをしたり、あるいは東京へ御上京の折意見を伺ったりするというようなことはやっておりますが、御指摘のとおり公の場で東海大学を含めての何と申しますか場がございませんので、そういった点は先ほど来政府の方で御答弁申し上げております測地学審議会審議がいま進行をしておりますので、そういった地域地域の教育機関あるいは研究機関との連携を将来どうしていくかということは、ただいま鋭意審議と申しますか、計画が進んでいるかのように伺っております。
  49. 藤田尚美

    説明員藤田尚美君) いま気象庁末広参事官から御説明がありましたように、現在測地学審議会の建議では、いわゆる大学の持っております地域観測センター、これが各地域ごとに現在もございますが、そこと中央のいわゆるデータセンターとの連携についてはいろいろ検討されているというふうに聞いておりますもので、その建議が出ましたら、その線でそういういわゆる各種の情報はできるだけ吸収できるような体制になろうかと存じます。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 予知連観測強化地域の第一号として指定されている関東南部はどうして防災強化地域の候補地となっていないのか。あるいはなっているかもしれません。この点をお聞きしたいと思うのでありますが、関東南部は大都市中枢機能を抱える日本の心臓部でありまして、この地域における地震観測測量体制は非常に関心の持たれるところだと思うんでありまして、その点東京とか横浜とか、この大都市を抜きにした強化地域指定というものはナンセンスに近いじゃないかということを言われる学者も実はあるわけでありまして、その点についての意見を先ほどもちょっと尋ねましたけれども、もう一度お聞きしたいと思います。
  51. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御案内のように、南関東東海地域と同じように観測強化地域でございます。したがいまして、私どもとしましては具体的には中央防災会議専門家の方々の御意見の決定を待たなければならないと思いますけれども、両地域ともこの法律強化地域の対象になる可能性は持っている、そのように理解しております。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、地震防災計画防災対策事業についてお伺いしたいと思うのでありますが、防災計画は基本計画強化計画、それから応急計画から成っていると思うのでありまするけれども、国や地方や企業等各段階で策定することになっているこれらの計画が中央から地域の末端に至るまで統一的、一元的な緊急計画として整備される必要が実はあると思うんです。しかしながら、この防災計画をつくる関係行政機関や施設、企業等は縦割りの行政系統を反映してそれぞれの立場で統一性のない防災計画を策定することが実は懸念されるわけです。国が統一的に計画案をつくって、関係機関や知事等の意向をくみ上げて国、地方を貫く同一の計画を決定するということは、これはどうしてとれなかったのか。知事会案の特別事業計画というものが実はあるわけでありまするけれども、三つの計画について一体性がとれていない場合は、これは困るんだということを知事会では主張いたしていると思うのでありますが、その点についてはいかが考えておりますか。国土庁お願いします。
  53. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘の点は、この法律におきましてもあるいは現在の災害対策基本法におきましても仕組みとしましては国の基本計画中心に一応一つの一貫性を持ってつくられているものと理解しておりますが、ただ具体的な作成の問題としまして、たとえば知事会の言うように、国が一つの何といいますか、物差しをつくって、あるいはパターンをつくって、それに準じてそれぞれが全部つくるかどうかという問題でございますが、これはたとえば地方公共団体のつくります地域防災計画は現在もそれぞれ国の計画等を基準にしてつくっておりますけれども、その中でとりわけ地震防災応急対策というものをピックアップして書くという形になりますから、いま青木委員の御心配の点は、そういう意味では地域的には偏るかもしれませんけれども一つの一貫性というものは保たれると思います。  それから、民間のつくります防災応急計画でございますが、これも先ほど申し上げましたように、それぞれの監督省庁等もございます。あるいは特例的に保安規程等で規制しているところもございます。そういったものがいわば業態別といいますか、そういった状況によりまして一つの作成の基本のマニュアルというものをつくりまして、それによって一貫性を保ちたい。ただその場合に各省庁の監督官庁のマニュアル間の一貫性ということにつきましては、これはやはり中央の会議の場で、それぞれ各そういったマニュアルをつくるもう一つ基準といいますか、少なくともそういったマニュアルはこういった内容なりこういった基準でつくってもらいたいといいますか、そういったことによって各省庁間の一貫性を保って、その中で末端までも一応それぞれの自主的判断に基づいて整合性ある計画をつくっていただきたいということを考えております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 今度の大震立法の一番中心は、私は端的に申し上げますけれども国土庁相当抵抗するだろうと実は見ておった。ところが、その点については内閣総理大臣を警戒本部長にして、そして警戒宣言を発した場合における諸手続その他についてもいろいろ書いてあるので、初めての大震立法としては相当前進していると実は思っているんです。思っているのだけれども、いま審議官の言われたマニュアルの関係等については、まだこれからで、どうしようかという緒についた段階だと実は思っているわけです。で、国、地方の機関、あるいは指定公共機関、あるいはまた施設、そしてまた民間企業、それぞれ全部いままでの歴史的経過とそれぞれのユニークな立場というものをとっているわけでありますから、これを統一的、包括的一元化してやっていくということについては並み大抵のことではないと実は思っているわけです。その点についてはいま審議官の意欲を私は買っておりますから、その点はすでに現在の問題です、将来の課題ではないというように考えて、その指導性を大いにひとつつくり上げていただきたいというように考えております。  それから、静岡県の由比地区には幹線交通ルートが集中をいたしているわけでありますが、昔から有名な地すべり地帯でありまして、大地震時の災害が非常に懸念をされているわけであります。こうした地域防災体制はひとり静岡県の問題ではなくて、経済、産業面から国レベルの問題であると思います。こうした地域の大地震時の防災計画と応急対策は、具体的にはどの地震防災計画によって盛り込まれるのか。またこの防災計画の内容や構想は事前に国や地方の各機関によって詰められて、企業や民間人の理解、協力を得ておくことが必要だと思うのでありまするけれども、それらの手続の問題も含めてひとつお聞きいたしたい、こう思います。
  55. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいま御指摘の由比の地すべりにつきましては、御案内のように、四十九年の七月の災害がございまして、私どもの方もその地すべり対策のための技術委員会を設けまして、四十九、五十年と両年度の国土総合開発事業調整費によりまして調査をし、その結果現在御案内のように林野庁、建設省が事業を実施しております。   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 この事業というものは、そういう意味でこの調査結果に基づきまして緊急を要する個所から事業を実施しておりますけれども、事業ができるまでやはり時間がかかる。そういう過程で、片や県も関係省庁もこの法律ができますと地震防災計画をつくらなければいけないということになりますが、それらの点も踏まえましてでき上がった姿もありますけれども、でき上がるまでの過程も問題も含めまして、県、関係省庁それぞれの計画の中で、それらの御心配のような点がある程度配慮できるようにということはよりより協議してまいりたいと思います。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 林野庁の治山課長にお伺いしたいと思いますけれども、この地すべり対策は非常に意欲的に取り組んでおりまして、この点は私は十分評価をいたしております。非常によくやっていると思います。各地の台風のときに、あの地域を建設省と林野庁、特に林野庁の分担している防災対策、治山対策というものが今日非常に進んでいるということについて地元の人も喜んでおりますけれども、これは普通の台風その他の災害、あるいはまたいわゆる伏流水をどう排除するかといったような問題、こういうような問題が中心であって、予想される東海大地震というものに対応できるものではないわけです。ですからこの点についてはどの程度の進捗状態であるか、ひとつ林野庁からお伺いいたしたい、こう思います。
  57. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) ただいまの御質問にお答え申し上げたいと思います。  林野庁といたしましては、先生指摘の由比地区におきまするところの地すべり防止事業につきまして、いま全体的な国におきまする国土保全上の最も重要な地区と考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、本地区につきましては先ほど国土庁審議官の力からの左記もございましたけれども、四十九年の七月の災害を契機といたしまして、斯界の権威者から構成されました由比地区地すべり対策技術委員会というものを構成いたしまして、それの調査報告に基づきまして昭和五十年度からいわゆる国の直轄事業といたしまして積極的に工事を推進してきておるわけでございます。  その内容につきまして申し上げますと、五十年度には約二億五千万円という経費をかけておるわけでございます。さらにまた五十一年度になりまして五億円の予算でございます。それから昨年五十二年度には約九億六千万円ということでございまして、逐年事業費の大幅な拡充を図ってきたところでございます。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 特に昨年、昭和五十二年度からはちょうどたまたま治山事業の緊要性にかんがみまして第五次の治山事業五ヵ年計画が策定されたわけでございまして、これによりまして治山事業の推進が目下働いているところでございますけれども、当地区につきましても特にこの五ヵ年計画の中で事業費約七十億円というものを計画額として計上しておるわけでございます。そういった計画に基づきまして五十三年度、本年度におきましても目下のところ十四億六千万円という予算をこの地区に投ずることにいたしております。この予算につきましては、五十三年度対前年比にいたしまして一五二%という伸び率になっておるわけでございまして、これをもちまして堰堤工とかくい打ち工あるいは排土工、土どめ工等計画いたしまして、当地区の地すべり活動の防止に万全を期しているところでございます。  なお、ただいま先生指摘ございましたような、従来台風災害とかあるいは伏流水、そういった一般的な防災工事というような御指摘でもございますけれども、私どもといたしましてはなおこの地区のこういりた重要性というものを勘案しながら、今後におきましても地震等に備えましてさらに安全度を高めるため地すべり防止機構の調査研究に努めまして、効果的な防止工事を実施いたしまして、災害の未然防止に努めてまいりたいと、このように考えております。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 建設省に伺いたいと思いますけれども、由比−興津の関係で東名高速道路、国道一号線で、上り下りどれくらいの交通量があるかお伺いいたしたいと思います。
  59. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お答えいたします。  由比−興津地区でございますと、東名高速道路が五十二年度の旦平均交通量で四万四千台通っております。それから、国道一号が上り下り合計をいたしまして、これは五十三年の調査でございますが、三万一千台ばかり。合計で七万六千二百台ばかり通っておることになっております。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 新居−弁天はどうですか。
  61. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 新居−弁天地区につきましては、東名が四万台強。それから、ここに国道一号の有料道路の区間がございますが、これが平均交通量で三千六百五十四台、これは五十三年四月の調査でございます。それから国道一号が上下合わせまして二万二千八百台余りで、合計約六万六千五百台という状況でございます。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄にお伺いいたしたいと思いますが、大規模地震対策特別措置法が成立したときに、国鉄はどう対処されますか。
  63. 村山煕

    説明員(村山煕君) この法案が成立いたしますと、私ども国鉄といたしましては従来からも地震対策の設備の強化はかなり進めてきておりましたけれども、今後さらにこの設備の地震に対する強度の強化を図っていくということはもちろんでございますが、この法に決められておりますいろいろな計画を策定をいたしまして、また地震対策本部を設置する、あるいは列車の運転を実際地震の予報が出たときにどういうふうにするかとか、あるいは旅客をどういうふうに避難誘導しどう対処するかというような、いろいろなきめ細かい対策検討して決めて対処をしていきたいと思っております。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 予報が発令された場合、非常に国鉄の特に新幹線は大混乱が生ずるというように思うんであります。たとえば駅と駅との間にとまった場合には、警戒宣言が発せられた場合に復旧用の機材が優先的に運ばれる、交通規制があるというように考えるわけでありますが、そうした場合に旅客はどれくらいなのか。そして、あの地域に、大体静岡県の地域にどれくらいの輸送量を新幹線持っているのかということもあわせてお伺いいたしたいと、こう思います。
  65. 村山煕

    説明員(村山煕君) 先にお客さんの数の方からお答えを申し上げたいと思います。  御承知のように季節によりましていろいろ波動がございますので、国鉄では毎年十月が大体平均的な輸送量だということを考えまして調査をやっておりますが、昨年の十月の調査によりますと、新幹線の場合、浜松と艦橋の間、上下合計しますと十六万五千人が一日にこの区間を通っておられるということになっております。また在来線の方は、たとえば由比−奥津の間で言いますと上下合わせまして六万二千人でございます。したがいまして、これが季節によりましてかなり波動がございますので、お盆とかあるいは年末年始とか、そういった季節には非常に大ぜいのお客がお通りになるということでございます。  また予報が発令されました場合、たとえば新幹線の列車をどうするかということでございますが、実は前々からもいろいろと部内では議論がなされておりますが、ことしの一月に、これは国鉄の部内の組織でございますが、新幹線輸送障害対策委員会というものをつくりまして、その中に地震に関する専門の分科会を設けております。関係専門家を全部集めまして、ここで予報が出された場合にどう扱ったらいいかというようなことにつきまして細かく検討を進めております。現在の段階ではこの予報がどのような内容で出されるのかというようなことがまだよくわからない部分もございまして、そのいろいろな形を想定をして対応を考えていかなければいけないと思っております。  たとえば、まあ最悪といいますか、一番緊急の場合には、もうすぐにも大きな地震が来るかもしれないというような予報が仮に出されますとしますと、私どもとしましては、この区間を走っております列車を直ちに中央のCTCから指令を出しましてとめてしまう、そして様子を見ながら駅の構内に安全な速度で収容する、収容できるところは収容するというようなことでどうだろうかということも含めまして、検討を進めておる段階でございます。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 静岡地区には、特に掛川というところがありますけれども、掛川−菊川間に満水というところがあります。これはヘドロ地帯でありまして、大地震が来ますと線路の道床そのものが動く。線路は固定してありますから脱線はしない。脱線はしないけれども、このときが危ないと実は思っているわけであります。こういうような線路道床そのものが動くような、こういう地盤地域が実は多いわけでありまするけれども、こういう点についてはどんなふうに考えますか。脱線転覆はありますか。
  67. 村山煕

    説明員(村山煕君) 実は新幹線を建設いたします当初に、地震につきましては十分ないろいろ配慮をして設計を進めてまいりました。でありますから、新幹線の橋梁の橋台でありますとか、橋脚でありますとか、あるいは高架橋の構造物でありますとか、そういうものは相当大きな耐震強度を持たせてつくってございます。恐らく関東大震災程度地震に対しては耐え得るというような構造でつくっておるわけでございます。その後、十勝沖地震等がございまして、この地震の際に土の構造物、土の盛ったようなところが非常に問題があるというようなことがだんだんとわかってまいりました。したがいまして、いま先生が御指摘ありましたような満水地区の路盤が非常によくないというようなことがございまして、私どもとしてはこの軟弱地帯、延長にしますと約十キロぐらいこの付近にあるわけでございますが、こういうものの対策をさらにもっと根本的に手を入れて直していかなきゃいかぬというふうに考えております。今年度からかなりのお金をかけまして、この地区にも手を入れていくということを計画を進めておるところでございます。  仮にここに大きな地震がありまして、列車が走っておりますときにどうなるかというようなことにつきましては、従来なかなか経験のないことでございまして、在来線の方の地震の経験で申しますと、その地震の直接の震動によりまして列車が転覆して大きな事故になるというようなものは経験としてはほとんどないという状態でございます。しかし新幹線は非常に速度が高いわけでありますから、こういう点をさらに強化を進めて被害を少なくするように努力を進めたいと思っております。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 伊豆大島近海地震で、伊豆急の稲取トンネルというのがあります。これは活断層の中に見舞われておりまして、半年もかかっているけれどもまだ復旧できないですね。この点で斜面やトンネルをたくさん持っている新幹線は、いまの村山局長の話によると、関東大震災程度地震では大丈夫だというけれども、私どもは心配でならないと思っております。特に在来線の由比付近先ほども林野庁に尋ねましたけれども、地すべり地帯であって大変だと思うんでありますけれども、その地すべりの可能性やその他を含めて対策をどう考えているか、お伺いしたいと思います。
  69. 村山煕

    説明員(村山煕君) 御指摘のように、伊豆地震によりまして非常な被害が出ておりまして、私どもも早速専門家伊豆に派遣をいたしまして詳細な調査をし、それを参考にして新幹線その他在来線も改めて見直しを行っておるところでございます。  また由比付近の御指摘の地すべりの問題でございますが、これも斜面を管理しておられます林野庁とか建設省の方々と協議をさしていただいておりますが、さらにこの地すべり対策を一層推進をしていただくように私どもの方としては希望をしておるところでございます。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 新幹線の地震対策としてどれくらいの経費が必要なんですか。
  71. 村山煕

    説明員(村山煕君) 実は今年度の国鉄の予算の中で申し上げますと、五十三年度国鉄のいろいろな予算の中で運転の安全を確保しますための保安対策費というものがございますが、そういった保安対策のお金をおおむね二千億計上しておるわけでございます。二千億といいましてもいろいろな性質のものがございまして、この中で地震対策関連するような予算がおおむね二百五十億円ぐらい含まれております。今年度はこの二百五十億円を入れまして、もろもろの地震対策を進めていくつもりにしております。
  72. 青木薪次

    青木薪次君 特にこの地域津波の危険性というものが非常に多いわけでありますが、運輸省港湾局と、それから水産庁の計画課ですか、治水課ですか、それから建設省の防災課、これらの関係では関連省庁としては防災関係の担当課として、この津波それから地震の揺れその他による壁の決壊とか、津波によるところの被害等についてどんなふうに考えていますか。
  73. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) お答え申し上げます。  運輸省でございますが、運輸省といたしましては昭和五十年来、国土庁、建設省、水産庁等関係省庁と十分連絡をとりまして、現在わかっております資料あるいは知見に基づきまして、心配されます東海大地震の場合の津波規模と申しますか、その問題について検討をいたしてきたわけでございますが、その結果によりますと、港湾区域内の現在の海岸保全施設の規模によりまして、大体心配されます津波に対しては防護できるのではないか、かように考えております。ただ現在のところまだ情報もそう多くございませんし、今後さらに研究が進み、あるいは観測が進みますれば、それに対応しましてさらに細かい検討をいたしたいと存じております。その結果もし所要の措置が必要となりましたら、即刻そういう措置をとってまいりたい、かように考えております。
  74. 富永正照

    説明員(富永正照君) 由比海岸につきましては、建設省所管の海岸堤防が約二千五百メーターほどございます。この付近津波の問題でございますけれども、どのくらいの津波高になるかという点につきまして現在検討中でございます。過去の歴史津波等によりますと、安政の地震では大体四メーターぐらいというふうに言われておりますが、この由比海岸の海岸堤防の高さは現在七メーター五十でございますので、その程度津波であれば十分耐えられるのではないかというふうに考えております。  また耐震性につきましては現在全国的に検討中でございますけれども、過去の経験によりますと、全面的に、特に地盤の弱いところを除きまして全面的に崩壊するというようなことはございません。若干の沈下とか堤防のひび割れというようなことでございますので、津波の高さにもよりますけれども、現在の段階では由比につきましてかなり安全性はあるんじゃないかというふうに考えております。しかしながら、この点につきましては今後十分検討いたしまして安全が確保されるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  75. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 農林省関係津波対策についてお答え申し上げますが、第二次海岸事業計画並びに漁港整備計画等によりまして、この地区全体につきましても、全般的には漁港あるいは海岸につきましておおむね所要の対策は講じられておると思っておりますし、現在の予想されます津波の高さに対しましても、おおむねの漁港はこの所要の天端高を持っておると思っておりますが、一部まだ高さの不足する漁港あるいは堤防のない地区もございますので、今後の対策といたしましてはこれらの地区につきまして一層整備を図りたい、かように考えておりますのと、また堤防から入ります水に対しまして、溢水あるいは浸水する水に対しましての漁港背後地の整備等につきましても、特に地元の方々の意向も強く働きますので、関係県あるいはは地元等とも相談をしながら今後対策を進めていきたい、かように考えております。
  76. 青木薪次

    青木薪次君 警察庁は、新幹線やあるいはまた自動車がストップするわけですけれども、そういうときに応急復旧用の機材の搬入ということを優先的にやると思うんでありまするけれども、たとえば救急医療の関係とか食糧の確保とか、いろんな関係について交通規制の問題が出てくると思うんでありますけれども、どんなふうに考えておられますか、簡潔に答弁していただきたい。
  77. 福島静雄

    説明員福島静雄君) 大震災が発生いたしました際は、御指摘のように食品あるいは医薬品、さらに応急復旧用の資材等のいわゆる緊急輸送の確保を図るための交通規制が必要でございまして、特にお説のとおり鉄道がストップいたしました場合にはこれらの輸送は全面的に道路に依存するということになりますので、的確な交通規制が非常に重要になってくるというふうに考えております。  そこで、警察といたしましてもあらかじめ地域地震防災計画等の中におきましてこれらの緊急輸送を確保するための道路というものを定めておきますとともに、その道路の上における交通規制計画をできるだけ具体的に定めておきまして、地震発生いたしました際には速やかに規制地点に多数の警察官を配置いたしまして、一般車両の通行の禁止制限を行いまして、これら緊急輸送の円滑を図っていくという考え方で対処いたしてまいりたいというふうに存じております。
  78. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省見えますね。——  特に、この中期情報が出された場合に、数ヵ月から数年という段階だと思うんです。この場合には、いまこの大震立法がこれだけ緊急性とそしてまた必要性を問われた地震立法はないと思うんでありますけれども、今日この段階マグニチュード8以上の地震が到来した場合においては、一挙に十万人は犠牲者になるだろうということが確実な筋の情報として言われているわけであります。そういたしますと、それに対応する対策を整えなければならないと思います。  ただ遺憾ながら、この法律はいい法律だけれども、予算関連法案でないというところに一番問題点が実はひそんでいると思うのでありますが、たとえばいま言った中期情報が出された場合に、危険地域防災事業、いま私が言ってまいりました国鉄のこの対策津波によるところの港湾やその他の防災対策、あるいはまた河川を遡上する津波対策というようなことや、防波堤、防潮堤等の建設、土砂崩壊、地すべりといったようなものや落橋対策あるいはまた避難場所の確保や、いま伊豆の方へ行きますと、もう手で押せばひっくり返るような校舎が幾つも並んでおるんですよ。そういうような危険校舎をなくしていくというようなことを含めてまいりますと、静岡県では当面必要なのが三千二百億というように言われておるし、大体四千億かかるんじゃないかと言われているんです。これが静岡県の地方自治体。それから先ほど国鉄に聞いたんでありまするけれども、国鉄もまだ正確な予算の関係では出しておらないけれども、やはりこれも数百億、一千億に近い数字が出てくるのじゃないか。あるいはまたそのほか各政府関係の各省の予算等を考えてまいりますと、地震関係の予算というものは、政府全体、国内全体で五千億と言われているわけです。これではとても足りないということに実はなるわけでありますが、そういう意味で大蔵省はどのように考えて——いずれこの予算の裏づけをしなきゃならぬと思うのでありますけれども、考えているのか、お答えを願いたいと思います。
  79. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) お答え申し上げます。  地震対策の重要性ということはもう先生指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても関係の省庁あるいは関係の機関からいろいろこういう計画をやりたいというような御相談があると思います。それを受けましてできる限りいろいろ努力してまいりたいと思っております。いろいろ予算上、財源上の制約等もございますので、その点はよく関係省庁、関係機関と御相談してやっていきたいというふうに考えております。
  80. 青木薪次

    青木薪次君 関係省庁、関係官庁と打ち合わせすることはそのとおりだと思うのでありますけれども、大蔵省としてはこのことについて金を出す用意があるのかどうなのか、その点をちょっとお伺いしておきたい。
  81. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) この法律に、御審議いただいております法律の中で、第二十九条でございますが、「補助」する「ことができる。」という規定もございますし、そういうものを受けまして必要な施設の整備が円滑に行われますように、私どもとしても十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  82. 青木薪次

    青木薪次君 二十九条には、「予算の範囲内」ということが書いてあるのです。この法律関係では、いまできる段階では、制定の段階ではこうなんだけれども、将来はやはり予備費の流用を含む関係が現在の段階だと思うけれども、国の補助というものについてやはり具体的に検討していかなきゃならぬと思うのでありますけれども、その点いかがでしょう。
  83. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) 私どもその地震対策規模というもの全体につきまして、まだ全体的なお話というものはよく承知しておらないわけでございますので、その点につきましては事業の実施官庁あるいは関係機関等から御説明を伺った上でいろいろ検討してまいりたいということでございます。私どもとして先に幾らというような話ではないと思っております。
  84. 青木薪次

    青木薪次君 主計官、やっぱり金を出さなきゃこの地震は決める気持ちには実はなれぬ気持ちです。  国土庁長官、建設大臣も兼務されておられますので、非常に重要だと思うのでありますけれども、この点後で総理にも伺います。伺いますけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。
  85. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この大規模地震対策特別措置法に伴う予算措置は青木委員がおっしゃるとおりの第二十九条あるいは第三十条によって裏づけられておるわけでありますが、これを具体的にどう措置していくかということになりますと、現在までのところは御承知の中央防災会議がございまして、災害対策基本法によりましてこの震災対策をやってまいったわけであります。その実績は五十一年度、五十二年度、それぞれ予算が三千六百九十一億円、四千三百八十二億円と、こうなっておりまして、五十三年度におきましては五千九百十億円になっておると思います。  そこで、この成案後におきましては、まず強化地域指定が行われると、県段階におきましては地震防災強化計画が作成せられますから、その事業内容、事業量などがそれに伴ってはっきりする。したがって、所要経費、財源等の見込みが明らかになってまいりますから、それに伴ってその段階関係省庁十分検討して措置をとってまいりたいと、こういう次第でございます。
  86. 青木薪次

    青木薪次君 実施官庁の代表として運輸省ではこの問題についてどう考えてますか。——鉄監局はいないんですか。
  87. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいま実施官庁の代表としてという御質問だったものですから、私、の立場にあるもので……
  88. 青木薪次

    青木薪次君 いま金の問題やってるんです。
  89. 林淳司

    説明員(林淳司君) それで、先ほど国鉄の施設局長の方から地震関連する国鉄のいろんな事業、防災対策というふうなことについてのお答えがあったわけでございますけれども、私どもとしましても現在のところ地震のために国鉄としてどれぐらいの金が要るかということを詳細には集計いたしておりませんけれども、これは昨年の国会の運輸委員会先生初め各委員の皆様方から大変強い御指摘がありまして、今年度から防災対策につきましては国から一定の補助金を出すというような予算も今年度初めて計上したわけでございます。たとえば地すべりでございますと、そういう地すべり地域に存在する鉄道、これに関して何らかの防災上の対策が必要であるというふうな場合には、落石、なだれ対策という項目から一定の補助金が出るという形になるわけでございまして、そういうふうな予算を活用いたしまして、国としてもできるだけ援助をしていくというふうにしたいと考えております。
  90. 青木薪次

    青木薪次君 相当前進した大規模地震対策特別措置法だと思います。  大臣、私はいままでに質問いたしてまいりまして、マクロの点、ミクロの点、いろいろ重要な問題を質問をしたと思っているわけでありますが、まだまだこの問題点は非常に多いし、いまの予算関連の問題では、これから検討しようという域を出ないというように考えておりますので、そういう点からこれはひとつ大臣も大物大臣ですから、後で福田総理にもお伺いいたしますけれども、予算の問題を含めてひとつ決意をお聞きいたしまして私の質問を終わりたいと、こう思います。
  91. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御熱心にいろいろ御協議をいただいておる次第でございまして、先般来各委員の御意見、この重要性を御了承いただきまして、しかし足らざる点についていろいろ御注意をちょうだいしておるわけで、なかんずく予算問題につきましては、私も現在の予算の状況でこの特別措置法を裏づけるには十分かどうかと、こう言われれば、もうわれわれとして予算折衝の上には本当に精いっぱいの努力をしなきゃならない、こういう気持ちを持っておる次第でございまして、委員の皆さんのこの御意見は十分私として具体的な措置の上に反映をさしていきたいと思います。
  92. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後零時三十七分開会
  93. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、大規模地震対策特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 野田哲

    野田哲君 まず国土庁にお伺いしたいんですが、四十五年三月二十三日に消防審議会の答申で被害の想定をされているわけですが、震度五ないし六ということで、大体大正十二年の震災の震度六ということを想定をして被害の想定がされているんですが、これは関東地区を想定しているんですが、この中で四番目に「中枢管理機構の機能障害」という項があって「大きな混乱と被害を起す可能性を持っている。」、こういう項があるわけですが、この「中枢管理機構の機能障害」というのは、ここでは非常に簡単に書いてあるんですけれども、どのような状態を想定をされているわけですか。
  95. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいま先生挙げられました消防審議会での考えていることと私どもの方と若干違うかもしれませんけれども、一般論としてお答えさしていただきたいと思います。  御案内のように中枢管理機能の障害という場合には、当然のことながら中枢管理機能というものを維持いたします物的、人的な一つの集合体がございますが、その集合体が、たとえばいろいろの情報媒体等が地震災害等によって切れてしまう。連絡が不十分になってしまう。その結果混乱が起きる。応急措置をして幾つかの対応をしましても必ずしも当初どおりの対応ができない。こういったいわば動脈としての問題が一つあろうかと思います。  二番目には、御案内のようにやはり各種の中枢管理機能が施設としまして、たとえば霞ケ関周辺であるとか、そのようなところに集中しておりますけれども、これが仮に夜間に災害が起きた場合、現実にそこに人等が集まり得るかどうか。やはり限られた人しか集まり得ない。そういたしますと、仮に物的施設が安全といいますか被害がなかったとしましても、通常の状態での機能というものはやはり人的に制限を受ける。そのために必ずしも円滑にいかないことがあるかもしれないということが一つ考えられます。  三番目に、やはりこれらの施設を運営、担当します人が被害をこうむった場合にどうしてもそれらが予定どおり動かない。特に管理の中枢にある方々がやはりそろわない場合に、中枢管理機構としての一つの意思決定というものがなかなかしにくい。こういったことが一般論としての中枢管理機能の障害として考えられると思います。
  96. 野田哲

    野田哲君 この中枢管理機能というのは大体どの範囲の機能を対象にしているあれですか。
  97. 四柳修

    政府委員(四柳修君) これまた一般的な御答弁で恐縮でございますけれども、たとえば行政の場合で申し上げますと、中央各省庁におきます一つの意思決定が行われる最小限度の組織なりメンバーというものが一つの機能だろうと思います。同じように、経済活動につきましても御案内のように東京に幾つかの本社がございます。あるいは各種のたとえば証券取引でございますとか、手形の交換でございますとか、そういった金融業務の中枢もございます。さらにはいろいろの報道関係につきましても、ニュースのいわば出し手といいますか、一つ情報の提供の主体が東京にございます。それぞれの行政、経済、社会、いろいろな段階におきましての一つの意思決定、それによる情報伝達というものが中枢管理の一つの最小限の範囲であろうと思います。
  98. 野田哲

    野田哲君 防衛庁に伺いますが、昭和四十六年の三月に「大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画について」、こういう文書があるわけですが、さきの昭和四十五年三月二十三日の消防審議会が答申をした「大震火災対策被害想定」、これによって作成されたものだと、こういうふうに記述をしてあるわけですが、これを見るとこの中に「VIPの緊急輸送」、こういう項目があって、ヘリコプターを十数機使ってVIPを「所要の個所に輸送する。」と、こういう計画があるわけですが、この「VIP」というのは大体どの範囲を対象にされておりますか。
  99. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。  御指摘計画におきます「VIP」と申しますのは、防衛庁が特にこの人、あの方、こういう範囲の中でこういう仕事を持っておる方というふうに特定をしたものではございません。こういう非常の事態になりますれば、防衛庁に対しましてその持てる航空機等の輸送手段を使って、いろいろなところから、いろいろなVIPの方から輸送してほしい、どこからどこまで運んでほしいという御要請が多々あることと想像いたしまして、そしてそういうような御要請に対応できるような体制をとっておく必要があろうということを考えまして、こういう項目を設けまして、およそそのときに使い得るヘリコプターは大体十機ないし十四機とこの計画ではございますけれども、十数機のものが充て得るであろうという一応の想定をしたわけでございます。個々の要人の種別といいますか、そういうようなものを想定したものではございません。
  100. 野田哲

    野田哲君 これちょっといまのお話では私はぴんとこないんですがね。地震の場合を想定しているわけですからね。たとえばいまがたっと来たと。こういうときには櫻内国土庁長官、恐らくこれはVIPの中に入っていると思うんです。この方がいまどこにいらっしゃるか、あるいは福田総理がどこにいるか、これが人を特定してなければ、これはヘリコプターで輸送すると言ったって輸送のしようもないわけでしょう。それからそのVIPの指定された人たちの住居がどこにあるかということも知っていなければ、計画はあっても実行はこれはできないわけでしょう。そうすると、これは国土庁の方では何か特定されているんですか、VIPの防衛庁が計画しているヘリコプターによる緊急輸送。だれとだれをということを特定をされているわけですか。
  101. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 私どもの方では特に関知いたしておりません。
  102. 野田哲

    野田哲君 すると、これは防衛庁、だれが決めて要請してくるんですか。
  103. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この計画は当時大震火災に関します世上一般の関心が強まりまして、片や消防庁では昭和四十五年に消防審議会の答申というものが出たということで、自衛隊といたしましても何らかのそういう大震火災が発生した場合の対処計画という、これは全く自衛隊のうちうちのものではございましても持っておく必要があるということで検討を進めまして、この政府要員、VIPの範囲につきましても政府部内で特に御相談申し上げるといういとまもございませんでしたが、そういう意味では先生の御指摘のように余り詰まっていない計画であるという御批判はございましょうけれども、一応当時の状況のもとにおきまして防衛庁としてはできる限りの計画を早急につくりたいということで一応の想定をしたということでございます。
  104. 野田哲

    野田哲君 地震ですからね、いつ来るかわからないわけです。この文書を見ると「都内におけるヘリコプターの発着適地としては約二百個所を考えている。」、こういうことでヘリコプターの発着適地等については二百ヵ所考えているんだけれども、このVIPについてはこれは特定をしていない。それで地震対策を所管している国土庁の方でもそういうものは特定をしていない。こういうことでは一体この実行はだれがどうして実行可能なことになるんですか。これは単なるペーパープランにすぎないじゃないですか。どうなんですか、その点は。
  105. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この計画の中で「VIPの緊急輸送」、「航空機による指揮、連絡」ということで当時考えておりましたのは、これは総理大臣、これは恐らくそういう地震が起きますれば中央防災会議等が早急に設置されるでありましょう。したがいまして、中央防災会議の総理大臣以下の要員でございますね。そういう方々、これは防衛庁長官も入りましょうが、そういうものをまず念頭に置いたことは事実でございます。そのほかにたとえば立法府あるいは司法府、さらには公共機関、地方公共団体等々からの御要請もこれは当然にあろうということを想定いたしまして、ただ頭数をどうこうするということではなくて、こういう危急の際に救難に充て得るヘリコプターはどのくらいかとか、あるいは後方支援に充てるものはどのくらいかというようなおおよそのめどをつけまして、それぞれ航空機を割り振りまして、さてVIPの緊急輸送にはこの程度のものがあれば足りるかという概算をしたわけでございます。  この計画は何分にも約十年前の計画でございまして、今回こういう大震法案というようなものができます機会に、こういうふうなものは改めて御指摘のような点も踏まえて十分に詰めてまいる必要があるというふうに考えております。
  106. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) この計画でVIP特定しておりません、確かに。これはそれぞれの関係機関から要請があると思うのですよ。防衛庁も恐らくそのときには災害対策本部を設けまして、事務次官を長とした本部を設けますけれども、それで自衛隊の方にVIPの輸送その他連絡があった場合に、われわれの判断の基準は当然にこの災害対策に必要不可欠な枢要な人ということでの判断で、この人はこれは送らにゃいかぬというようなその個々に当たっての判断をするであろうと思うんです。判断基準はあくまでもその災害対策に必要不可欠な要人の人と、これはどうしても運ばなきゃならぬという判断を防衛庁でやることになろうと思います。
  107. 野田哲

    野田哲君 つまりあなた方の方でおっしゃっていることは、ヘリコプターは丁数機ある、だから各省庁から早い者勝ちだということになるわけですよ、いまのそういうことでは。早くヘリコプターをよこせと、こう言った方が勝ちだということになって、おくれたところの大臣はあぶれてしまってどうなるかわからない。こういうことですね。これ文書によると「宮家、総理大臣をはじめ政府要員等を要請により所要の個所に輸送する。」と、こうなっておるわけです。「宮家」と書いてあるわけですが、天皇、皇后、それから皇太子夫妻、これは宮家ではないわけですが、これは広いりっぱなところへ住んでおられるからどこかへ運ばなくてもいいと、こういうことなんですか。
  108. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この文書自体が何分にも大分古い文章でございまして、ここに「宮家」と書いてございまして、そういうことから言いますと当然先生指摘のような疑問も出てくるわけでございますが、一応当時の関係者から事情を聞いたところによりますると、皇居は御承知のとおり大変広いわけでございまして、人家も密集をしていないことは御承知のとおりでございます。片や宮家はこれは相当人家稠密のところに住んでいらっしゃるというようなことを勘案いたしまして、ここに例示として記載するに至ったということのようでございます。  まあそういう大震火災の際に宮家からどういう御要請が出るか、これは宮内庁と決して打ち合わせたわけではございませんけれども、一応防衛庁の心づもりとして、当時の防衛庁の着たちは宮家からそういう必要があった場合にはこれをお送り申し上げようというふうに考えたものと聞いております。
  109. 野田哲

    野田哲君 これは審議官ね、私は防衛庁が大規模地震のときの災害派遣の要請があったときにどういう行動をとるかということで資料を請求したわけですから、それによって出てきたのが四十六年三月六日作成であったものが出てきたわけですけれども、私はこの法案審議に当たって現在どういうふうな対応を持っているかということで請求したわけですから、古いものであるからというようなことを口実にしてもらっては困るんですよ、これは。いま法案審議するに当たって自衛隊の災害派遣計画はどうなっているかと、こういうことで請求しているわけですから、私の質問に対して一々古い資料でございますからというようなことでは困るんですよ、これは。地震はいまいつ起きるかわからないわけですから、現在に対応したものとして私は受けとめているわけなんです。  そこで、総理大臣初め政府要員などあるいは宮家を要請によって「所要の個所に輸送する。」と、こうなっているわけですが、「所要の個所」というのはこれはどこを考えておりますか。
  110. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ただいま先生からこの資料は古いものであるという御指摘がございました。これは先ほども御説明したかと存じますが、当時早急につくる必要があるということで火急のうちにつくったものでございますが、これは各級部隊——主として関東地方等の部隊を考えておりますけれども、自衛隊の各級部隊が大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画をそれぞれの部隊のレベルでつくるわけでございますが、その際の参考にするようにという趣旨でつくったものでございます。  そこで、各級部隊はそれぞれ師団は師団レベル、また駐とん地レベルにおきまして都道府県あるいは市町村等と御調整の上、それぞれの防災担当の官公署とも打ち合わせの上、毎年災害派遣に関する計画、詳細なる各地域ごとの計画を持っております。したがいまして、そういう意味では自衛隊の各級部隊はそれぞれのレベルにおきまして関係のところと打ち合わせの上、最新の災害派遣計画を持ち、かつまたそれぞれの機関とも共同して訓練をやるということもしておるわけでございまして、この計画、ただいま御指摘のこの四十六年のこの計画だけが自衛隊の災害派遣の計画であるということではないということを御了解願いたいと思います。  中央レベルにおきましてこの大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣について考えたものは、この四十六年の三月六日に作成したものが一応現在も正式のもの、大臣決裁を得たという意味で正式のものとしてはこれしかございません。ただ一応事務レベルにおきまして、この中の部隊の数とか、飛行機、艦船の数等につきましてはそれぞれ見直しをして、見直しをした結果を各級部隊にそれぞれまた必要に応じて示しておるということでございます。
  111. 野田哲

    野田哲君 「所要の個所」はどこですかということを聞いている。
  112. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 失礼いたしました。  このただいまヘリコプターで運ぶ要員の「所要の個所」と申しますのは、それぞれ御要請がありましたその個所ということでございまして、自衛隊の方で、われわれの方で特定のこの場所からこの場所だ、この場所以外は困りますとか、そういうような趣旨で言ったものではございません。御要請がありますところから、ここからここまで送ってほしいというその個所を漠然と言っておるものでございます。
  113. 野田哲

    野田哲君 先ほど消防審議会が答申をした中央管理機能の障害が起きる。物的、人的な集合体、これが動脈が切れるとか、あるいは夜間交通が途絶するとか、人の被害があるとか、こういうことで機能の障害が起きる。その機能の障害ができるだけ起きないように、この中央管理機能というのは中央の各省庁の意思の決定ができ得るように、あるいはその他経済活動、報道等必要な管理機能に障害が起きないように対応しなければならないと、こういう立場に立って説明があったと思うんです。  ところが、いまこの防衛庁の説明によると「所要の個所」というのは特定をしていない、それぞれVIPの要望のあったところへ行くんだと。こういうことでは、たとえば櫻内国土庁長官伊豆地震が起きたから、じゃ箱根へ運んでくれ、あるいは福田総理はどこそこへ運んでくれ、こういうことで各省庁それぞれが思い思いに要望があったところへ運んでいくんだと。こういうことでは、これは中央管理機能の障害を克服をして機能の維持を図っていくという意味をなさないんじゃないですか。どうなんですか、これは。
  114. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 私どもで一応想定をしておりますのは、たとえば政府、国会等の関係者が帰京をなさる、あるいは被災状況、災害復旧対策の進捗状況等を視察なさる、あるいは被災者の激励慰問をするといったようなことが当然考えられますので、このような場合に自衛隊機が利用されることを予想してつくったものでございますが、その大震火災の際の事態、これはまことに特定しがたいものでございます。あらかじめこうこうであるというふうに考えがたいフレキシブルなものでございますので、先ほど申し上げましたように、具体的にどこからどこまでということは考えていない。しかしながら、ヘリコプター等をお使いになる政府要員等々の方々の御要請というものの一例としてはただいま申し上げましたようなことが考えられる。そういう考えのもとにこの計画をつくったわけでございます。
  115. 野田哲

    野田哲君 これはそんな悠長なものでないでしょう、これは。マグニチュード6以上の地震発生をして、東京における中央管理機能が麻痺するような状態になったときに「VIPの緊急輸送」となっているんですよ、ヘリコプターを使っての。それが行く場所が決まっていないとか、災害地の視察にヘリコプターを使うとか、そんなことじゃないと思うんですよ、これは。私の理解としては、この緊急輸送というのは政府機能を災害対策のためにも存続をさせなければいけない、そのために緊急に機能が存続できるように、維持できるように輸送するということなんでしょう。それが人も特定されていない、場所も特定されていない。じゃ、いま来たらどうするんですか、いまぐらっと来たら。マグニチュード7—8というようなのが来たらどうするんですか、これは。いまの説明では使いようないですよ、ヘリコプターが十四、五台あったって。政府の機能は維持できないですよ、これは。  これはどうしてもいまの説明では了解できないんですが、これは櫻内長官に私は要望しておきたいと思うんですが、政府機能のことだけを私はいま問題にしているんですが、この防衛庁のつくった災害派遣計画、特にVIPを対象とし、あるいは通信機能とか中央管理機能を維持していく、そういう立場からの計画としては、私は非常にこれはずさんだと思います。同時にこれをずっと私見たわけですけれども、国会の機能を一体どうするのか。そのための緊急の対応策というのが輸送計画の中にもその他の対応策にもなされていない。もう一つは、外国の大使などが対象から全く欠落をしている。これは国際的に私は大変失礼だと思うんです。こういう点も含めて、これはもっと緻密なものを考えるべきじゃないですか。いかがですか。
  116. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この計画が古いということを申し上げると、またおしかりを受けるかもわかりませんけれども、この計画をつくりましたこの当時の考え方を少し御説明申し上げますと、この「航空機による指揮、連絡」という項目で、ヘリコプター十数機を使いまして「宮家、総理大臣をはじめ政府要員等を要請により所要の個所に輸送する。」というこの計画で私どもがまず考えましたことは、総理大臣、これは地震防災災害対策の最高責任者、行政府の最高責任者でございますから、その総理大臣がまず中央防災会議をどこかへつくる必要があろう、これが恐らく総理官邸、あるいはいつも毎年演習を行っておりますのはそこの総理府の庁舎でございますが、そこが地震におきまして被害を受けなければ、そこにまず設置されるであろう、そして所要の国務大臣等、それからそれのスタッフの方々がまずそこに集まる必要があろう、そして基本的な災害復旧対策をやる必要があろうということは、これは当然なことながら考えたわけでございます。ただそのほかにただいま御指摘もございました国会からの御要請もありましょうし、また大使ということもございましょう。大公使ということもございましょう。あるいはここの例示が適切かどうかは存じませんけれども、宮家というものも一応考えたということでございますが、この「VIPの緊急輸送」という項目でまず考えましたのは、そういう中央指揮管理機能、これの回復をまず図る、それのための組織をまずつくるということのためにこの「VIPの緊急輸送」の項が設けられ、そして余力があればその緊急度に応じて順次その要員等の方方の御要請に応じてその輸送に当たるという考え方でございます。  ただ、この計画は何分にも防衛庁限りでつくったものでございますから、「要員」とはだれだ、「要員等」の「等」とはだれだというようなことを防衛庁だけでこれ考えるというのは、これはいささか僭越のそしりも免れませんので、さしあたり当時の情勢から言ってこういう計画案まずつくろう、そして後は順次関係省庁とも打ち合わせをしてこの計画を精緻なものにしていこうという考えでございます。今回こういう大震法案が成立するということになりますれば、その時点におきまして精緻なものにこの計画をしていくという考えでございます。
  117. 村沢牧

    ○村沢牧君 関連。いま審議官答弁を聞いておりまして、実は五月十二日の当委員会でここにおる自民党の戸塚委員からも同様の趣旨の質問があったわけです。その際防衛庁の児玉運用課長は、たとえばどこそこへ運ぶんだとか、だれを乗せるんだということをはっきり答弁しているわけですね。いま聞いておりましてもその辺の答弁が違うんですよ。だから私はやっぱり同じ委員会ですから統一した見解を出してもらわなきゃ困ると思うんですね。調べてください。
  118. 村田秀三

    委員長村田秀三君) いま村沢理事の方から発言ございましたけれども、私も伺っておりまして、前回のこの件に関する答弁の内容というものが必ずしも一致しておらないというふうに見受けて聞き及んだのでありますが、防衛庁として余りいろいろなことを気がねしないでありのままずばりおっしゃっていただいた方が理解がいくんじゃないかと、こう思いますんで、ひとつ協議をしてください。  速記とめて。   〔速記中止〕
  119. 村田秀三

    委員長村田秀三君) それでは速記起こして。
  120. 野田哲

    野田哲君 今度の法案で、第一条の「目的」の項で「社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資する」、こういうふうになっているわけです。そこでこの目的を達成をするために自衛隊法を改正をして、災害派遣、いままでのこれに加えて事前派遣という、項目を加えられようとしているわけですけれども先ほど来私が質疑を行いましたこの災害派遣、これについてはそれなりにいろいろずさんなところはありますけれども、ここにつくられたものがあるわけですけれども、この法案が成立した場合には今度事前派遣という形の出動が要請をされることになるわけですが、その場合の行動計画というものを、まあ法案審議の過程なんですけれどもお持ちですか。
  121. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) これは今後関係各省等等との打ち合わせによりまして、この防災に関する諸計画の中で具体的にこの支援の内容を決めていくということでございます。現在は持っておりません。この法案は成立していないわけでございますから持っておりません。
  122. 野田哲

    野田哲君 十三条の第二項で「地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため、」必要があれば自衛隊の「派遣を要請する」、こうなっているわけです。そこで、二十一条に定めてある地震防災応急対策の第五号で「犯罪の予防、交通の規制」、「地震災害を受けるおそれのある地域における社会秩序の維持に関する事項」、こういう項目があるわけですが、こういう役割りを果たすということになりますと、これは自衛隊法では八十三条ではなくて八十一条に該当する事項が規定してあると思うんです。八十三条の災害派遣条項の中では犯罪防止とか社会秩序の維持、こういう任務までは含まれていないと思うんですが、この点はいかがですか。
  123. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 自衛隊がこの法案成立の暁に地震防災派遣を行いますその内容は、この二十一条の第一項の各号列記の部分、これはそれぞれが主務官庁がございます。それぞれに対しまして自衛隊が地震防災計画に基づいて御要請によって支援をするということでございまして、それぞれの官庁、あるいは警察官、消防職員等が固有に持っております権限、それの委任を受けて、そしてその権限の内容を自衛官が行う、自衛隊が行うということではございません。ただいま御例示のありました第五号「犯罪の予防、交通の規制」等々「社会秩序の維持」、これは申すまでもなく警察あるいは消防職員の固有に持っておる権限でございまして、そういうものにつきまして自衛隊がこれについて支援をする内容というものは現実的にはほとんど考えられないところでございます。自衛隊が支援ができますのは、この第二十一条の五号以外のものにつきましてはそれぞれ具体例が思い浮かぶわけでございますけれども、第五号につきましては特に自衛隊がやらなければならないという事項はほとんどないのではないかということを考えております。
  124. 野田哲

    野田哲君 ちょっと古い話になるんですが、防衛庁のどなたに答えていただくか私よくわかりませんが、陸幕の第三部で「関東大震災から得た教訓」という文書をつくっていると思うんですが、これはありますね。
  125. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) その文書は私どもは持っておりません。皆破棄処分をされてしまったということで、現在手持ちはございません。
  126. 野田哲

    野田哲君 つくったことは間違いないですね。
  127. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) これは当時の関係者に聞いてみましたが、つくった事実はあるようでございます。
  128. 野田哲

    野田哲君 いま防衛庁の中には一部もありませんか、これは。
  129. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) まことに残念ながら、私ども探したのでございますが、ございません。全部破棄されております。
  130. 野田哲

    野田哲君 どういう理由で破棄されたんですか。
  131. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) これは当時陸幕第三部が部内の検討資料ということで、部内でいろいろ討論いたしまして、そして彼らなりの結論と申しますか、研究成果を文書に作成をしたものでございますが、そういう意味では全く部内の検討資料でございます。これは作成されたのが三十五年でありますが、当時百部作成されたようでございますが、国会等でそれから数年して問題と申しますか、そういう内容につきまして質問がございまして、中身は必ずしも適切なものではないという判断がございまして、そういう性格のものでありますればこれは破棄するのが適当であろうということで全部廃棄処分にした、これはその文書は保存期限何年という、何年間持っていなければならないというような種類の文書でもなかったようでございまして、そういうことで全部破棄の処分にしたというふうに聞いております。
  132. 野田哲

    野田哲君 あなた方の方ではひそかにつくっていて、国会で問題になれば破棄した、こういうことなんですが、つくられたことは間違いないということなんです。ここにありますがね。これは地震対策を担当しておられる櫻内長官にも、自衛隊の派遣を要請するということでありますから、どういう計画がつくられていたか、参考のために私が必要な個所を読んでみますから、よく聞いておいていただきたいと思います。  「関東大震災から得た教訓」陸上幕僚監部第三部作成、これは「戦時における国内警備は、」「広範多岐にわたり、大正大震災における軍の行動とは自ずとその性格を異にするものと考えられるが、以下当時における軍の行動のうち、参考とすべき事項若干につき観察を加えることにする」、こういう書き出しで、第一「治安維持に関連する法規体系の完整について」、こういう項目があるわけです。これによると、   「未曽有の大震災に際し、軍が迅速、適切よく治安の維持を完遂し得た所以は、永年にわたって完整された軍機構の完備、訓練の精到等に起因するものと考えられるが、既に制定されていた戒厳令、衛じゅ令その他治安維持に関連する諸法規及び震災に際し、急遽立法された適切な諸法規に負うところが極めて大である。したがって、この種治安維持に関する諸法規を研究、整備して、平時から逐次これが具現を図るとともに、非常に際し迅速、適切に立法し得るようあらかじめ準備し、もって治安維持に関する行動及び権限の準拠を明確にすることは、戦時における国内警備の重要な課題である」まずこういうふうに言っているわけです。  二つ目は  2 国及び地方公共機関の活動について   「未曽有の大震災を大過なく克服し得た所以は、軍の迅速、かつ、適切な行動によるところが多大であるが、これに呼応する国及び地方公共機関特に警察の活動によるところもまた、尽大である。当時は、全般に国家の地方機関及び一般に対する統制、指導力が強く、また、内務省等の特別な官庁があって機構的にも一般を統制、指導し易い態勢にあったのであるが、将来有事の場合にはこれに倍加する国及び地方公共機関の統制、指導態勢、特に警察及び各都道府県知事、市町村長等の統制指導が必要であることは大東亜戦争の例を見ても明らかである。したがって、これが達成のための施策を平時から逐次整備する必要がある」三つ目は  3 大規模な破壊に対する心構えの確立について   「大正大震災は……大規模災害であったが、将来は敵の原水爆攻撃、謀略等により更に徹底、かつ、広範な地区にわたる大規模な破壊が行なわれるものと考えられる。したがって、それに対応する準備を事前に十分研究、準備し、事にあたり不覚をとらぬようにして置く要がある」  4 警察の活用について   「……今後における国内警備においては、当時に倍加して更に警察の活動にまつべきものが多く、自衛隊はこれを適時適切に支援し活用するにとどまることが多いものと考えられる」「震災の教訓にかんがみ、特に警察に期待すべき事項は次のとおりである。   (1)不穏、騒じょう行動等の探知及びこれが未然検挙及び封止(検問を含む)   (2) 流言、飛語者特に不穏せん動、宣伝者等の検挙及び小規模な騒じょうの制圧   (3) 要注意人物の監視、警戒   (4) 自警団等の取締   (5) 新聞、出版物その他の報道機関等取締   (6) 集会(屋内外)及び言論の取締   (7) 燃残品、救済品等に関する特殊犯罪の予防、検挙   (8) 自衛隊に対する犯罪の予防、検挙   (9) 行方不明者、死傷者等の捜索、収容、処理   (10) 事態に便乗する暴利取締」  こういうふうな項目があるわけです。  さらに続けて問題点を指摘をいたしますと、   「大震災が発生した場合は、……思想的な背景をもつ特定団体等が大衆を動員して、国会、政治機関、東京都その他に請願、陳情等の挙にでることも予想され」  これを括弧して群衆犯罪と説明してあります。   「とくに集団避難所においては、容易に行動に移りやすい要素をもっている。そして米よこせ運動、水よこせ運動にでることも予想され、自らの要求が満たされなければ、物資貯蔵所の襲撃、掠奪暴行等の不法行為を敢行することも予想される」  これを括弧して集団的不法行為と書いてあります。  「として、視察警戒、民心の動向把握、」  云々と、こうなっておるわけです。  つまり陸幕でつくられたこのいわゆる「関東大震災から得た教訓」としては、まず第一は治安維持のための法令を準備をして、そして短期間にこれが成立するようにいまから準備をしておけ、こうなっているわけです。  それから二つ目には、旧内務省がやったように地方公共団体を統制する機能を持てと、こうなっているわけです。  それから三つ目には、この大規模地震の場合を原水爆攻撃あるいは謀略等を想定をした形で対応策をとっているということなんです。  それからその次は、警察の活用の項では、十項目挙げましたけれども、要するに予備検束、こういう制度をつくってあらかじめ扇動者等については検束をしてしまえ、こういうふうな条項が例記をされているわけなんです。そして大規模地震発生した場合には、思想的な背景を持った暴動が起きるであろうからこれに対する群衆犯罪を十分取り締まらなければいけない、こういうような形の、言ってしまえば旧戒厳令的なあるいは治安維持法的な立法措置、政府の機能が必要である、こういうふうに主張をしているわけなんです。  この文書は廃棄をしたと言われましても、こういうものがつくられたということはそういうものの考え方が陸幕の中であった、あるいはある、こういうことは否定することはできないと思うんです。これは櫻内長官は国務大臣として一体どういうふうにお考えになりますか。
  133. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私大変恐縮ですが、この大規模地震のような災害発生後の措置について十分な検討なくお答えすることはまことに恐縮でございますが、お尋ねでありますので一応私の見解を申し上げておきますと、そういう事態が起きますと災害対策基本法に基づく御承知の「災害緊急事態の布告」ということになります。こういう布告をした場合には当然国会の承認を必要とする。国会が開かれていない場合のことも書かれておりますが、国会が開かれておりますならば、災害緊急事態に対処していろいろな措置をとらなきゃならない緊急措置の事項もございますが、すべてこれは国会に事前なり事後の承認の必要な事項になってくると思うんであります。  そこで、防衛庁の方でそういうものはいま破棄されておるということですが、資料としてお取り上げになっての御質問でございますから、あるいはそういう関東大地震のときのことからいろいろと研究事項としてそういう研究をされたこともあると思います。しかしそのことに対するまた御批判も現に出ておることでございまして、今後そういう非常災害に対処してどういうふうにすることが最も妥当であるかということについて、これは中央防災会議の議長たる総理を初め関係者の私どもが鋭意検討しなきゃならない事項だと思います。  で、まことに申しわけないんですが、私はきょうこの立法による事前派遣の必要などについては私なりの勉強はしてまいったわけでありますが、そういう非常災害になった場合の措置等については十分検討しておりませんので、一応いまのような見解を申し上げておきたいと思います。
  134. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先ほど上野審議官から答えましたとおり、先生指摘のは一九六〇年に陸幕三部の幕僚でつくったものと聞いております。恐らく陸幕三部の防衛担当の者でございますけれども、関東大震災というものを非常にこれは勉強したようでございます。どれだけの部隊が出、どれだけの警察が出、どれだけの事故があったとかいろいろ調べまして、私の聞いた範囲では非常にやはり当時流言飛語等で相当な治安が乱れたということ等も勉強しまして、そして三部の幕僚同士で相当治安問題が大きな問題になるであろうということでいろいろ彼らの考えを述べて、それを一つの文書にしたようでございます。ただしこれは防衛庁としては正式の文書じゃございませんけれども、その後これが当時国会で問題になりまして、なるほど三部の幕僚でそうした案をつくったものであるけれども、大局的に防衛庁としてこれを考えた場合には、確かに特に警察に対する要望等々のことについてわれわれは当然憲法秩序の範囲内で事を考えなきゃならない問題でございますし、しかも治安問題は主として警察がまず考えるべき問題である、また現実には災害救助法あるいは災害対策基本法で災害時におきますいろんな措置は相当のことができるということもございますので、やはりこれは不穏当なものであるということで防衛庁としてはこれを破棄したと、このように聞いております。  これに対しますわれわれの反省としましては、やはり常にシビリアンコントロールといいますか、制服内局一緒になって広い目で物事を考えていかにゃいかぬ。特に大災害に対します果たして自衛隊がどういう活動をするかということを当時防衛庁全般で考えていなかった。そういうことからも制服の方がやはり自分らで考えにゃいかぬというような突き詰めた気持ちでそういうようなことを考えただろうと思います。そういうものに対しますわれわれの反省もございますけれども、当時そういったことが出ておりまして、確かに不穏当な考え方もあったようでございますので、それを破棄したと、このように聞いております。
  135. 野田哲

    野田哲君 こういうものが検討されて文書になったということは、つまりこの文書を破棄しても思想的にはそういう考え方が根強く存続をしている、こういうふうにしか私には理解できないんです。特に制服の幹部がこういう法律をつくれとか、地方自治体の機能をもっと統制するような措置をとれとか、あるいは国会で審議すべき事項について急遽適切な立法が行われるべきである、こういうようなことを文書にして検討しているということは全くこれは僭越至極だと思うんです。シビリアンコントロールも何もあったもんじゃないですよ、こんなことは。防衛庁の方ではこの文書を穏当を欠くということで破棄したということですけれども、私はそういうここにあるような考え方がなお存続をしているんじゃないか、こういう危惧を非常に強く持っているわけです。そのことについて具体的にお聞きしてまいりたいと思うんです。  防衛庁の自衛隊の制服の幹部で山本舜勝という幹部が、退職されていますがおられたと思うんですが、この人の退職するまでのポスト、それからどういう地位にあった人ですか。
  136. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生指摘の山本舜勝氏の経歴でございますが、昭和二十七年に入隊をいたしまして、その後、富士学校、調査学校等に勤務をいたしております。途中米国へも留学をいたしております。その後、陸幕の第二部に勤務をいたし、次いで北部方面総監部の二部長、統幕の第二幕僚室長、それから昭和四十二年から調査学校の情報教育課長、次いで四十四年から調査学校の副校長をいたしておりまして、   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 昭和四十七年に退職をいたしております。
  137. 野田哲

    野田哲君 まさに制服の幹部の中枢におられた方なんですが、つい二、三日前ですが、五月二十九日に共同通信が全国に報道しております。この共同通信の報道によると、いま説明のあった山本舜勝という人、この自衛隊の元幹部の人が、三島由紀夫事件の関係について、その背景について共同通信の記者にインタビューで答えています。  これによりますと、御存じの三島由紀夫が主宰をする極右集団、いわゆる楯の会、この楯の会と自衛隊の一部が治安出動のためにともに蜂起をするという盟約をしていたと、このことを語っています。その語っている報道によりますと、陸上自衛隊の調査学校の副校長を最後に退官をされた山本という方ですが、この人が調査学校の校長であった藤原岩市、この方の紹介で三島と知り合った。そしてその思想に共鳴して彼自身も楯の会に加入をした。そして治安対策について楯の会にアドバイスをしていた。また楯の会の富士学校への体験入隊に便宜を図った。そして自分でもこの楯の会の訓練を買って出た。そしてさらにもう一つ問題なのは、現職の自衛官である調査学校の生徒と楯の会との合同演習も実施をした。山谷地区に一緒にもぐったり、あるいは情報収集活動等合同訓練を実施をした。そして四十四年十月二十一日に自衛隊の治安出動と一緒に楯の会も蜂起をする、こういう暗黙の了解を得ていた。その蜂起のときには三島由紀夫が楯の会を率いてこの山本舜勝という人の指揮する部隊の中隊長になることまで約束をしていた。こういうふうな内容になって共同通信関係で報道されているんですが、防衛庁の皆さん読まれましたか、これ。
  138. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) そのような報道がなされておるということ、それからその記事も承知いたしております。  若干申し上げさせていただきたいと思いますけれども、まず第一に、三島由紀夫氏と親交があっていろいろ盟友関係にあったという点でございますけれども、この点については一方の当事者である三島由紀夫氏はすでに故人になっておりますし、その間の事実関係というものは明らかにすることはもうできないというふうに考えます。  それから、二番目に調査学校におけるいろいろな訓練をやったと、いうことでございますけれども、この関係もいま古い記録が残っておりませんので事実関係が明らかではございません。  それから、体験入隊ということでございますけれども、この点につきましては当時の国会でも御答弁申し上げておりますけれども、結果的には不適当な事態であったということで、その後体験入隊のやり方というものを改めておるというふうに承知をいたしております。  いずれにせよ山本舜勝氏の言われることにつきましてもしそういうことが当時あったとするならば、当時いろいろな点で警察等の捜査も行われているわけでございますので、問題になったはずでございますけれども、何ら問題にはならなかったという事実。それから、自衛隊内部について申し上げますと、あるいは服務規律違反というような事案の疑いがあるかもしれませんけれども、服務規律違反ということで処分がなされたという事実もございません。ということはそのような事実がなかったということでございますので、私どもはこの点について余り問題にする必要はないというふうに現在は考えておるわけでございます。
  139. 野田哲

    野田哲君 三島由紀夫さんは亡くなっているんですけれども、本人は健在で共同通信の記者にイレタビューで語っておるし、近く本もこの趣旨のことを書いた本を出版をするということになっているわけです。ここにこんなに大きく報道されているわけですね。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 だから本人が生きているんだから、本人がしゃべっているんだから、これは私はそれなりの真実性があるんだというふうに思うんです。あなた方の方では何ら問題には感じていない、こう言われるんだけれども、その感覚はちょっと私はいただけないと思うんです。あなたの方では調べたんですか。この報道がされたのが二十九日ですが、それからこういう事実があったかどうかということを調べたんですか。
  140. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 山本氏に対して直接事情聴取しているということはいたしておりません。  当時の昭和四十五年の十二月に国会の予算委員会あるいは内閣委員会において三島事件について取り上げられて議論がなされておりますが、その中で警察当局の方の御答弁もございますが、いろいろ捜査の結果、うわさはあるけれどもクーデター計画なるものは存在しなかったということを明確に答弁されておりますし、そういうことで山本舜勝氏がいまいろんなことを言っておるようでございますけれども、私どもは当時の捜査ではっきりしておるというふうに考えておるわけでございます。
  141. 野田哲

    野田哲君 クーデター計画があったかなかったかはともかくとして、楯の会という集団と非常にかかわり合いを持って、本人自身も楯の会に入っていたということを言っている。あるいは山谷などにもぐって調査学校の生徒と一緒に合同訓練もやった、こういうふうに言っているわけです。ここで私が言ったのは、クーデターということは言ってないんです。治安行動に一緒に蜂起をする、こういうことで盟約をしていた、こういうことを報道されているわけです。そういう点は警察で問題はなかったと。これはいわゆる刑法上の問題はなかったということであろうと思うんです。しかし自衛官があのような過激な行動を持った楯の会の会員であったりすること、あるいはああいう過激な行動を起こした楯の会員と一緒に野外の合同訓練をやること、こういうことは妥当性があると考えておられるんですか。何ら問題はないということは妥当な行為だ、こういうことなんですか。
  142. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) そういう事実関係があったかないかということが問題でございますが、私どもはそういう事実関係はなかったのであろうというふうに考えておりますので、妥当云々の問題はそれ以後の問題であると思います。仮定の問題でございますけれども、仮にそういう事実関係があるとすれば妥当ではないというふうに考えます。  それからなお、楯の会の性格の問題でございますけれども、これは楯の会というものがいかなる性格のものであるかということについては、どうも当時必ずしも的確な把握がなされていなかったように思われるわけでございますが、それは当時の国会答弁でこういうことを政府側の答弁で言っておりますが、「三島がいろいろ申しておりましたところから推察いたしますと、国家危急の際に警察や自衛隊で事が処理し得なくなったときに事を起こすとか、あるいはそういう場合に自衛隊の後方支援的な民兵組織であるというようなことを言っておりましたので、あの時点において現実に具体的にああいう危険なことをする団体であるとは私どもはさらさら考えておりませんでした。」、これは警察当局の答弁でございます。実は事前に楯の会の性格はこういう過激なことをするということは関係者はだれも予想していなかったということが一致して言われております。当時の中曽根防衛庁長官も、結果的には非常に遺憾なことであるというふうに答弁されておるわけでございます。
  143. 野田哲

    野田哲君 自衛隊員が部外の特定の政治目的を持った団体に所属をすることは、これは許されるんですか。
  144. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 政治目的を持った団体に所属することは許されません。
  145. 野田哲

    野田哲君 この中に具体的に挙がっているのは調査学校の問題が挙がっているんですが、自衛隊員が特定の政治目的を持った団体と一緒に合同訓練をやる、これは許されるんですか。
  146. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 東京タイムスあるいは共同その他におきまして、自衛隊の調査学校の学生がこの三島由紀夫個人もしくは楯の会と一緒に共同演習あるいは対抗演習というものをやったんではないかというふうな記事が掲載されておりますけれども、私どもの調査ではそういった事実は見当たらないわけでございますが、仮定の問題としてお答えすれば、そういうことは穏当でないと思いますし、また私ども現在も調査学校を含めまして部外者と共同して演習するということはいたしておりません。ただ、この問題とは直接関係ございませんが、災害対処演習あるいは訓練というような場合に、地方公共団体と協力してやるというふうなことは当然あり得ます。
  147. 野田哲

    野田哲君 地方公共団体などと共同してやることを私は問題にしているんじゃないんです。特定の政治目的を持った団体とやることの是非を問題にしているんです。  新聞の報道では本人のコメントが出ているんですよ、はっきりと。どういうコメントが出ているかというと、街頭における「訓練の指導は越権行為との批判もあるが、私の信念に基づいてやったこと」であり、自分としては「間違っていなかった」、こういうコメントが出ているわけですから、あなた方の方はそういう事実はなかったとか、あるいは仮定の問題として答えておるけれども、はっきりここに本人のコメントも出ているんですから、これは事実を調査しょうとすれば調査可能なんではないですか。一切これはあなた方の方では本人のコメントがあるにもかかわらず本人とも何ら接触をしていないし、当時の事実経過も調査をしていない、こういうことなんですか。
  148. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 山本氏がこの三島由紀夫氏と親交があり、個人的にいろいろな点についてのアドバイスをし、あるいは指導したというふうなことはあるいはあったかもしれません。しかし自衛隊の隊員と共同対抗演習をやったというふうなことはわれわれ承知していないわけですが、もしそういうことがあったとすればきわめて不穏当でありますし、それから山本氏自身が認めているとおり、まさに僣越な行為であるというふうに考えますので穏当でないと思います。ただ私どもの知る限りでは、そういうことが事実だというふうにはまだ認められませんので、御了承いただきたいと思います。
  149. 野田哲

    野田哲君 事実としては認められないから御了承願いたいということでありますけれども、これはそのまま了解をするわけにはいかないわけです。  ごく最近も、こういういま私が問題にしたような形のものが陸幕にも籍を置いた制服の幹部の在任中の行動、あるいは思想として大きく報道されているわけなんですから、そこで問題は先ほど来のこの「関東大震災から得た教訓」、こういう形で陸幕三部でまさに旧憲法下の戒厳令的なもの、あるいは旧憲法下の政府機能、これを復活をさせ、あるいは旧憲法下の思想統制を復活をさせる、こういう検討を現にやっていたこと、防衛庁の方ではこれは破棄している、こう言われるけれども、こういう物の考え方が自衛隊の中にまだ存続をしているということは、まさに山本舜勝氏の最近の報道で私は証明をされていると思うんです。そういう危険な思想をはらんでいるものを、まだ予知能力が非常に不確実な今日の状態の中で、大規模地震ということにかこつけて事前に派遣をする、出動をする、こういう道をとろうとしておる今回のこの大規模地震対策法案の中での自衛隊法の改正、これはやはり非常に私は問題がある、こういうふうに指摘をせざるを得ないわけです。  特に第二十一条地震防災応急対策、この中には、先ほどの説明では、第五号についてはこれは警察の任務で自衛隊がこれにかかわるようなことはほとんどないだろう、こう言われるけれども、包括的にこの応急対策の一号から八号までの任務を果たすために要請をする、こういうことになるわけでありますから、この五号はいわゆる「犯罪の予防」、「地域における社会秩序の維持」、こういう役割りを持っているわけであります。いまのこの山本舜勝氏に代表されるような思想傾向を持った人たち、あるいは陸幕三部でつくった「関東大震災から得た教訓」、こういう考え方を持った人たちが事前に派遣をされる。こういうことはこれは国民にとっては非常に危険な状態を招くことになるんではないかと思うんですが、いままでのやりとりを聞いていて櫻内長官はどういうふうに感じられますか。いかがです。
  150. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変御心配をいただいて、いろいろの角度からの御指摘で、私はそれをよく訓戒として受け取らなければいけない、こういうふうに私は感じております。  ただ野田委員に私もざっくばらんに申し述べさしていただきたいんですが、この今度の立法措置が行われて、そして強化地域東海とか南関東とか指定された場合、その指定された場合には事前措置として国は基本計画、それから県や市町村はそれぞれの地震防災強化計画をつくる。それでその計画に基づいて、一体予知が出されたときにこの計画の遂行上自衛隊の支援を要するか要さないか。私どもは要する場合がある、こう判断して、その計画の中でこういう場合は支援をしてもらおう、物資の輸送とか人員の輸送とか。で、少なくともその期間は警戒宣言が出て数時間か数日のことです。それが事前派遣の範囲ですね。あとは自衛隊法の災害派遣の方へ移るわけですね。だから事前派遣の中では、その計画の中でこういうことに必要なんだということを明確にしておきますから、だからかりそめにも治安出動的なことは私は起こり得ないし、そういうことは毛頭考えておらないのです。しかし事前出動したものがそのまま今度は災害の実際の出動にもなる、その連続の上から緊急事態後のことをも御心配いただいての御質問ですから、それはそれとして私は傾聴しておるわけですが、この本法による事前派遣というのはほんの短期間の支援活動、こういうことでございますので、この点をどうぞ御審議の参考にしておいていただきたい、こう思います。
  151. 野田哲

    野田哲君 事前の活動の中で「交通の規制」とか、あるいは「社会秩序の維持」とか、あるいは私権の制限等の行動をやるわけでしょう。あるいは物資の徴用、こういうようなかなり広範にわたった活動をやるわけでしょう。この二十一条の一号から八号まで掲げてあることをやるわけでしょう。そういうかなりの私権を制限し、国民の権利を制限をするような行動をやり、あるいは治安維持的な行動をやる。この行動の中に先ほど言ったような山本舜勝さんというような形に代表される危険な思想を持った人、あるいはその前の陸幕三部がつくったような形のものが破棄はされていたとはいいながら、そういうものを今日の世の中で文章にして検討すること自体に私はやはり非常に危険な思想を感じるわけなんです。そういう思想傾向を持った人たちの指揮のもとに、あるいはそういう思想傾向を持った人たちがこの現場に地震ということであらわれてくる。これが一番私は問題があるのではないか、こういうふうな指摘をしているんです。事実そういうことなんでしょう。
  152. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 二十一条の地震防災応急対策はどういうものかという、その中から御心配のような点が出てまいります。しかし先ほどから私申し上げましたように、この強化地域指定後の事前措置というものは、これはもちろん強化地域だからすぐにも大地震が起きる場合がありましょうが、事前措置としての地震防災強化計画がつくられたときに、その計画の中でこういうときの場合に自衛隊の支援を求めたいということをあらかじめ打ち合わせしておくのですから、その範囲のことを事前の派遣ではお願いをするわけです。だから大変御心配をいただいておる事項ですから、たとえば静岡県の地震防災強化計画はこういうものである、その自衛隊の支援はこういう場合にお願いするんだ、それは公表して一向私は差し支えないと思うんですね。また南関東の方でそういう強化地域指定ができて計画が立てば、その後に警戒宣言後の数時間か数日の間の自衛隊の行動というのはこういうものですと明らかにして、御心配のないように努めたいと思います。
  153. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 今回の大地震災害関係で、現在自衛隊は平時におきまして災害派遣というのは非常に皆張り切ってやっておるわけなんです。これは非常に隊員も何とかしてそういうことで国民のお役に立ちたいという気持ち皆持っております。たまたまこの大地震法案ができまして、事前ではあるけれども相当の大きな大地震だからぜひ自衛隊も警戒本部長の要請があったら支援してほしいと。これはもう当然のことであり、自衛隊も喜んでそれに参加しようということでこれ法案になったものだと思います。  われわれはその際に治安出動というような感覚は全く別個のものでございますので、この大地震災害法案関連して自衛隊が治安出動的なものをいろいろあるいは考えるのじゃないかとか、あるいはここに出ておりますこの法律の中にも「応急公用負担」なり「交通の規制」なり、そういった規制権ございますが、これは全部警察なりそれの主管官庁がやることでございまして、自衛隊はそういうものに立ち入る気持ちは毛頭ございません。そういう点、まして仮に大災害起こりまして、その後に治安上非常に問題がありました場合には、これは別個に内閣総理大臣が治安出動ということで防衛庁に下令されることになりますので、これとこれとは全然別でございます。われわれはあくまでも大地震災害に対しまして自衛隊が少しでも国民のお役に立ちたいという気持ちでこれに参画しておるわけでございます。  それから、先ほど山本舜勝等とお話がございましたけれども、自衛隊できましてから二十数年、当時は警察予備隊という治安機関から進んできましたので、いろいろな変遷ございます。しかしいままでわれわれ自衛官というものは、全部憲法の法規を守るということを宣誓して入隊しておる者ばかりでございます。絶対に憲法秩序を侵すようなことがあってはならないということは十分に戒めておるわけでございます。そういう意味から言いましても、先ほど指摘ございました六〇年当初そういうこともあったということを聞きましたけれども、こういうことがあってはならないし、また山本舜勝氏自身も憲法秩序まで侵してやるというようなことを、クーデターをやるとかそういうことは言っていないし、あるいはむしろ三島由紀夫氏のやりかけたことに対しては自分を切ってからやれというようなことも言っておるようなことも聞いております。  いろいろと先生方の御批判ございますけれども、この大地震災害派遣に関します限り自衛隊は何とかして国民のために役立ちたい、そういうときこそ役に立ちたいという気持ちでこの法案に参加しておるものでございます。
  154. 野田哲

    野田哲君 そうすると、官房長、こういうことですか。自衛隊の行動については七十六条に定める防衛出動、それから七十七条の防衛出動の待機、それから命令による治安出動七十八条、七十九条が治安出動の待機、それから要請による治安出動八十一条、それから海上における警備行動八十二条、災害派遣八十三条、それから領空侵犯措置八十四条、それから機雷等の除去九十九条、それから不発弾の処理が附則の十四項、こういうふうに行動が規定をされておりますね。そうすると、今回の場合はこれは災害派遣八十三条の改正、こういうことになっておりますね。  治安については先ほど官房長も強調されたけれども、いわゆる八十一条の要請による治安出動、七十八条の命令による治安出動、これ以外にはあり得ないわけです。そうすると今回の場合には八十三条の改正、こういうことになっておりますから、じゃ確認いたしますけれども、二十一条の第五号についてはこれは自衛隊の役割りではないんだと。これははっきりしていいわけですね。確認していいわけですね。
  155. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) まずこの地震防災派遣は、いまお願いしておるこの改正条項、現行自衛隊法八十三条の災害派遣、この八十三条の改正ではございません。これは全く別項でございます。八十二条の二と申しますのは、確かに八十三条という言葉は使っておりますけれども、いささか立法技術にわたりまして恐縮でございますけれども、これは八十三条の災害派遣の条項の改正というものではございません。八十三条の災害派遣では覆い得ない事項につきまして別に一条を起こしましてこの自衛隊法の改正をするわけでございます。ただその入れる場所につきましては、これは治安出動の後ろに入れるのも一これも適当ではない。やはりその事柄の性質上災害派遣とこれは密接な関係があるものでございますから、そこでその入れる場所としては災害派遣の後ろに入れたということでございます。  次に、この地震防災派遣の八十三条の二の規定が立法化されました場合に、お願いしております大地震法案の二十一条一項五号につきまして自衛隊はどういうかかわり合いになるのかということでございますけれども、これは自衛隊の地震防災派遣は、この二十一条の条文上第一項各号に掲げる地震防災応急対策実施の支援を行うものであります。したがいまして、同法案の法文上地震警戒本部長から要請があった場合には、一般市民に対する権限行使を伴うような措置をとることはこれは原則として許されませんけれども、そういう性格のものを除いては、これは一応同項に掲げる事項につきましては支援活動を行うことができるわけでございます。  そこで、この第五号につきましてなお申し上げますと、警察官とか消防職員等が持つ権限等本来その所掌に属して他に委任できないような権限に基づく行為、すなわち個人の基本的人権にかかわるようなもの、個人に対し義務を課する、あるいは個人の権利を制限するといった行為は、そういう権限の付与ないし委任につきまして法律上明文の規定がない限りそのような権限の行使を必要とする支援活動はできないわけでございます。  ぐだぐだ申し上げましたけれども、要するに簡単に申し上げますと、二十一条一項五号に書いております「社会秩序の維持に関する事項」、これは本来警察官あるいは消防職員が一身専属的な本来の権限としておやりになることでありまして、これが自衛官がそのみずからの権限としてこの法律ができたからといってその権限行使に当たれるものでは決してないということを申し上げたいわけでございます。
  156. 野田哲

    野田哲君 本来は警察の権限に属することだ、こういうことだから権限ができたとしてもやらないということをいま説明があったわけですが、本来警察がやるべきことを権限ができたからといってもやらない、こういうことは、やる場合もあるという余地が残っているのですか。絶対にあり得ない、こういうことなんですか。どっちですか。
  157. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 警察官等が持っておりますその権限は、この法律ができましたからといって自衛官に対して生ずるものではございません、そういう明文の規定がございませんから。したがって、自衛隊ができますことは、ここにあります一項一号から八号までに掲げるものの中で自衛隊がみずからその所掌事務として持っておるもの、現行の自衛隊法で持っておるもの、防衛庁設置法で持っておるものに限られるわけでございます。  で、現行の自衛隊法、防衛庁設置法では、自衛官に警察官が持っておるあるいは消防職員が持っておる権限はこれは与えられておりませんから、地震防災派遣の場合には警察官の持っている権限そのものが直に与えられておりませんから、そこで法案二十一条一項五号で直接自衛隊がこの任に当たるということはまず考えられない。  では、全く考えられないか、こういうことになりますと、これは地震防災基本計画を具体的につくる際の事柄の内容になるわけでございますけれども、たとえば警察官がどこそこからどこそこへ行くのにたまたま警察車両がない、自衛隊が運んでくれないか、その場合にその警察官はこの二十一条一項五号の「社会秩序の維持」に当たるために行くんだ、自衛隊は車両がある、そういうときには貸しましょうということがこの地震防災計画の中であらかじめ定められているとしますならば、そういう車の運転はできるということでございます。ただし警察官とともにそこの現場に行きまして、警察官と同じように国民に対する権利義務の制限等を行うということはできないということでございます。
  158. 野田哲

    野田哲君 あなた自身が「ぐだぐだ申し上げましたけれども、」ということですが、ぐだぐだ言われたわけですが、一言で言えば、五号については関係ありませんと、こういうことなんですか。
  159. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 全く関係ないと言うとそこが問題なんですが、たとえばいま先生のお考えになっておるような意味で、国民の権利義務の制限に警察官と同じに直に当たるということをこの五号が言っておるということでありますと、そういう権限はこれはありません。ただしこれは御承知と思いますが、自衛隊法の九十四条では、現在の災害派遣のときに警察官職務執行法の一部が、自衛官に対して警察官と同様の権限が認められております、現行の災害派遣におきましても。そのことは、その条項はこの地震防災派遣の場合におきましても自衛官に災害派遣と同様に認められるということでございまして、具体的に申し上げますと、極端な雑踏等の危険な事態がありかつ警察官がその現場にいない場合には、その危害を避けしめるために必要な限度でそういう危害を受けるおそれのある者に対してこれを引きとめるあるいは避難をさせるということは、これは現行の災害派遣におきましても認められていることでございまして、それと同じことは今回の改正でも認められるということになります。
  160. 野田哲

    野田哲君 どうもわかりにくいですね、これは。先ほどの官房長のお話では、治安出動というのはこれは七十八条、八十一条しかないのだからそういうことはかかわりはない、こういうふうに言われたんですが、審議官の方は、いろいろ説明があるのですが、ただし、だがと、こうなるわけです。結局はやろうと思えばやれるということなでんしょう、治安維持に関することについても。
  161. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 御承知のとおり警察官じゃございませんので、災害派遣のときにはいわゆる強制権につきましては従来から警職法の一部を準用しております、立入制限、あるいは避難。こういうものだけは強制権があるわけで、これはあります、警察がその場にいない場合。しかし二十一条五号に言っております「犯罪の予防、交通の規制」、こういったものに対して権利義務を制限する行為はこれはできません。ただし、ここにその最後に「社会秩序の維持に関する事項」というのが一つ大まかに書いてありますから、それはわれわれ警職法で与えられておる避難とかそういったものは一種の社会秩序に対するあれですから、そういうことはできると言っておりますが、要するに五号に書いておりますようなことは、強制的なことは自衛隊はやりません。強制的な権限はいまの災害派遣と同じように、今度の法律改正に書いてありますとおり、警察官職務執行法の一部準用される点だけは、強制執行、立ち入り、避難につきましてはできる権限を与えられておるということでございますから、全く治安出動は関係ありません。治安出動の場合にはもっと警職法の武器使用とかそういった権限まで与えられるようになっておりますけれども災害派遣に関します限りは非常に限られておりますので、先生御心配の二十一条五号のようなことに関しましての強制権は持ちません。どうせ自衛隊でこれの災害派遣計画をつくりまして、これは公示することになっておりますから、そのときに見ていただいたらそういう権限は絶対持たないようになっております。
  162. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 大変恐縮でございますけれども先ほど上野審議官の方の御答弁の中で警職法の四条、六条の引用の御答弁がございましたが、警職法の四条の中で避難等の措置云々という規定がございますが、これは二十一条一項一号の「避難の勧告又は指示に関する事項」ということに一応該当いたしまして、そちらで処理することの計画で考えております。したがいまして、警職法の残りの六条の問題でございますが、これはごらんのとおり警察官等が必要があって立ち入りするという問題でございまして、ただいま防衛庁の官房長の方の御答弁もございましたけれども、この二十一条一項五号によります広義の「社会秩序の維持に関する事項」云々という読み方のところには、私どもは観念的には該当するように読めるかもしれませんけれども、事実としてはないし、そのようなものも事前の計画では想定いたしておりませんし、また地方公共団体側からの要請計画にもそのようなものは考えておりません。
  163. 野田哲

    野田哲君 時間が参りましたから、先ほどの村沢委員からも指摘のあった見解の不統一のところを、統一見解を聞かしてもらいたいのです。
  164. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ——遅くなりまして申しわけございません。  私の答弁とさきの委員会におきます運用課長答弁と食い違っているではないかという御指摘でございますが、これに関しまして申し上げます。  私のつもりといたしましては、運用課長答弁と基本的には同趣旨のことを御説明したつもりでございます。しかしながら、そういうような誤解が生じたということでございますので、改めてお答え申し上げますが、この計画先ほど来の懸案の計画におきますVIPの輸送計画は「航空機による指揮、連絡」の項に含まれていることからも明らかなように、災害時におきまして災害対策に従事する責任者が優先されるべきであると考えておりまして、その意味で最高の責任者である内閣総理大臣を例示してございます。またその輸送先も当然災害対策本部が考えられます。もっともこれらの要人、VIPの優先順序等につきましては、災害対策本部等で調整をされて防衛庁がその能力を尽くしてこの実施に当たることになるわけでございます。さらにこの計画地震防災強化計画の作成の際にあわせて所要の改正を行うことを考えております。  以上でございます。
  165. 野田哲

    野田哲君 ちょっとよくわからないんですがね。責任者が優先される、優先順序とか範囲、これはともかくとしてこの「所要の個所」は一体どこですか、こういうふうに聞きましたところ、特定はしていないということで、さらに前の委員会では具体的に、私はそのときには出席しておりませんからどういうお答えになったかわかりませんが、場所を決めるというふうな答えがあったというふうに伺ったわけですが、いまの説明ですと、対策本部の総理大臣初め災害対策を優先して、それに関係をするVIPを輸送する、こういうことですか。
  166. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この項目で考えております第一義的に私どもがまず優先して考えなければならないというのは、おっしゃるように災害対策本部に、これはどこに設けられるかはそのときどきの情勢によりましょうが、まずその災害対策本部にその所要の要員の方をその当時現在おられる場所からお運びする。そして災害対策の中央指揮機能の確保といいますか、そして災害対策を適時適切に行っていくための指揮本部を早急につくりたいという意図でございます。
  167. 野田哲

    野田哲君 この想定は、これは東京を初めとして関東地区がこの災害を受けた、マグニチュード6以上の地震が起こった、こういう場合に総理やあるいはVIPをどうするか、こういうことで立てられておるわけでしょう。東京がそういう状態になったときに、防衛庁の説明ではVIPをまず災害対策の責任者から優先をして対策本部へ運ぶんだと言う。その対策本部というのはどこへ設けられるんですか。こういうことを伺っているわけなんです。
  168. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 発災時におきましても、この法律に基づきます警戒本部の場合におきましても、現在の段階では私ども国土庁を考えております。しかしいずれ合同庁舎が改築されまして新しくできました場合には新合同庁舎にこの本部を置くことを考えておりまして、首相官邸よりは麻布の方が安全という前提で考えております。
  169. 野田哲

    野田哲君 それじゃヘリコプター要らぬじゃないですか。(「東京にいるとは限らぬ」と呼ぶ者あり)それは群馬県の方におられればそれは群馬県から運んで来なければならぬでしょう。いま国土庁の説明では総理官邸よりも国土庁の方が安全だから対策本部は国土庁に置くんだと、こういうことならこのヘリコプターでの輸送というのは大して意味はなさないんじゃないですか。そういうことですね。
  170. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御案内のようにいつ災害が来るかわかりませんで、その災害を前提としてVIPの方々が行動をとるわけにいきませんものですから、東京をお離れになっているとき、あるいは東京におりましても非常に雑踏しているとき、いろいろの事情があろうかと思います。そういうときには一日も早く本部としての管理機能を維持するために自衛隊の御協力によりましてVIPの本部への御参集をお願いいたしたいと思っております。(「非常に明確」と呼ぶ者あり)
  171. 野田哲

    野田哲君 それは明確でないんですよ。  ここに書いてあるようなことで考えられるのは、東京に大規模地震が起こった、そういうことを想定してVIPの緊急輸送を行うんだということでヘリコプターによって所要の個所に輸送する、こうなっているわけですから、これを素直に読めば私どもの印象としては、この東京に大規模地震発生したときには政府の機能はヘリコプターでどこか別のところへ運んでいって、そこから災害対策をやるんじゃないか。要するに首都がどこかに移るのか、政府の機関がどこかへ移動するのかという印象を受けるわけなんです。だからこの点を、そういうことになると単にヘリコプター十台程度でやれるような問題じゃないじゃないか。一体政府の機能というのは東京にこういう状態が起こっても東京にあるのか、それとも別のところヘヘリコプターで全部運んでいって安全なところでやるのか。そこのところの判断がつかないから聞いているんです。
  172. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 大変失礼いたしました。  都心が一応混乱をしない前提で都心に置きます本部を考えておりますが、最悪の場合に都心が混乱する、あるいは大火になっているとか、いろんな事情が起きた場合には、都心ではなくてやはり東京の周辺部の適当なところに臨時に本部を設けることも検討中でございまして、そのような本部を設けた場合には、いま御心配のような形で緊急輸送が必要でございますから、都心はもちろんのこと、その他のところからVIPの臨時本部への輸送もお願いしなければならないと考えております。
  173. 野田哲

    野田哲君 だから、その場合に東京で起こったときにはその移動する場所はどこですかと、こういうふうに聞いているんです。
  174. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 現在具体的な場所としてみては特定しておりませんけれども、大体多摩周辺の適地ということを検討中でございます。
  175. 野田哲

    野田哲君 終わります。
  176. 山中郁子

    山中郁子君 大規模地震対策特別措置法審議に当たりまして、この機会を得まして、私は初めに、去る一月に起こりました伊豆大島近海地震の復旧問題を中心にして初めにお伺いをいたします。  すでにもう明らかにされているところですけれども、この地震では死者二十五名が出ておりまして、その原因を分類しますと、崩土によるもの十九名、落石によるもの五名、土砂流出によるもの一名ということで、ほとんどが崩土、落石という結果になっています。土砂流出はこれは持越鉱山の事故ですけれども、建設省の調査によりますと、急傾斜地崩壊危険個所は全国で六万カ所を超える。これは四十七年の調査だと聞いておりますが、その後はどうなっているのかということは、まだ正確な数字は私は把握しておりませんけれども、急傾斜地崩壊危険個所はそういう状況です。それから五十一年の総点検によりますと、道路の落石等の危険個所が約七万五千八百カ所、特に緊急度が高い、危険度が高くて緊急に処理しなければならないとしているものだけでも一万八千百カ所あるというのが総点検の結果として出ております。  これは静岡県が独自に調査したもので、東伊豆町、河津町だけで約百カ所の危険個所がある。これも全部をくまなくピックアップしたというようには言いがたいのではないかと私は理解しております。なぜかと言うならば、特別に危険だということで地元からも強い要請があって、そしてそうしたものを集約したものが約百カ所ある。そしてこのうち八十カ所は国の治山事業などで助成対象になるけれども、二十カ所が助成対象にならないで県が独自に助成をする、そして対策を講じなければならないという状況になっております。  それで問題は、一つは落石の問題なんですけれども、実は私も先日下田を初め地震後の伊豆の状況の調査に行ってまいりました。行って下田の市長さんその他いろいろお話も伺ってまいりましたが、櫻内建設大臣が少し前に見えられたということで、現地もつぶさに調査をされて、いろいろお約束をしていらしたようで、大変下田市長初め喜こんでおられましたので、そのことについてもぜひ確実な実行をこの委員会でもお約束をいただかなければならないと思っておりますけれども、たとえば下田市には落石の危険個所が二十トン以上のもので七十七カ所あります。それで御承知だと思いますけれども、私も聞いて認識を新たにしたのですが、たとえば二百五十トンの石を一個危険を取り除くために砕石をするという処置をとろうとしますと七百万円かかる。現実にそういうお金を地方自治体が出して、どうしても危険な場所はこれを処理をせざるを得ないという状況になっております。  それで今回の地震でさらにその後落ちてはいないけれども、新たな落石危険というのがあちこちあって予想もできますし、現実にもそうだという状態ですが、まず伊豆半島中心にそうした危険の状況ですね。これをやはり総合的に調査をする必要があるし、もちろん何らかの形での調査は進めておられるわけでしょうけれども、全体としての厳密な把握がされてないと私は思いますので、そこの点についての対策をまずお伺いをいたしたいと思います。
  177. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) 私の方からただいま先生の御質問ありましたことにつきまして、直接人家、公共建物に被害発生するがけの危険個所の問題についてお答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたように、四十七年にも調査したわけでございますが、五十二年、昨年もう一度見直しの総点検を実施しておりまして、そのときの数字では全国で六万四千二百八十四ヵ所の危険個所がございます。そのうち静岡県では二千三百五十二カ所ございまして、うち伊豆半島におきましては五百二十カ所の危険個所を調査の結果把握しております。  それにつきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、今回の伊豆大島近海地震におきまして崩壊が発生いたしましたり、あるいは地形に変化が起こりまして浮き石等が発生したりしたところがかなりたくさんございまして、これらの危険個所並びに地震に対する危険度等につきまして、再度本年静岡県において調査を実施中でございます。そのうち特に今度の地震で崩壊浮き石等が発生いたしまして、放置しておきますと次の降雨等で崩壊拡大するおそれがあるもののうち、人家五戸以上、高さ十メーター以上の六カ所につきましては、特に緊急急傾斜地崩壊対策事業といたしまして、事業費約四億円でただいま事業に着手しております。  なお、この調査を現在まだ続けておりますが、今後崩壊の危険度が高く、保全人家戸数の多いものから順番に極力崩壊防止工事を促進していきたいと思っております。
  178. 山中郁子

    山中郁子君 いまの点検ですね。それは建設省でおやりになっているようですけれども、道路、河川、それから森林、そうしたものを全部包括的に一元的にやられていらっしゃるわけですか。
  179. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) ただいま私どもの方でやりまして御説明しましたのは、人家が直接がけ崩れによって被害を受ける、その個所を御説明申し上げたわけでございまして、道路の方はまた道路局の方からお答えいたします。
  180. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 農林省におきましては地山関係におきまして山地の危険個所につきましては四十七年度に調査をいたしておりますが、総数では約十二万三千七百カ所ございます。その後やはり先生指摘のように、危険地の判定の方法も変わってきておりますし、向上もしておりますし、また危険の態様も変わってきておりますので、五十三年度におきましてこれの見直しをやりたいというふうに考えております。
  181. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 道路の関係でございますが、先ほど先生がおっしゃいました数字は五十一年点検の数字でございます。今回の伊豆大島近海地震の際におきましては、浮き石等の危ないものを被災後直ちにパトロールをいたしまして、そういうものを事前に排除いたしまして、そこで一般通行を通したわけでございます。しかしながら、地震によりましてかなり地甘が緩んでおるようでございまして、その後、雨でもしばしば落石等があるようでございます。したがいまして、道路のいわゆる用地の中だけではなく、その外の方からも落石等が今後なお予想されるわけでございますので、これから長雨の際とか、そういうような気象の悪いときにつきましては十分気をつけて通行規制を行い、交通の安全を確保したいと考えております。
  182. 山中郁子

    山中郁子君 それぞれ御答弁をいただいたのですが、私はこの調査やなんかをしている上でも、縦割り行政というのですか、それの壁にぶつかりまして、いやそれは農林省だ、やれそれは建設省だ、国土庁だといって、どこどこ、今度国土庁へかけると、いやそれは建設省だ、農林省だと、さっぱりわからないで、いかにも本当に縦割り行政の悪い面の見本みたいな形だなということを痛感したわけですわ。  それで、災害ですから予期せざるときに起きて予期せざる被害が起こるわけで、そんなこと言っていたんじゃ間尺に合わないわけですよ。調整機能として国土庁が持っておられるというようになっていると承っておりますけれども、私はこうした点検につきましてもその調整機能を大いに発揮していただいて、国土庁で統一的に、まあ各省でお調べになるんでしょうけれども、それを取りまとめて把握もするという作業は緊急にやっていただきたい。  特に私が伊豆のことをいま申し上げているのは、まさにこの地震立法でも関係しているわけですけれども東海伊豆半島が特別に大きな不安を抱えているという状況のもとですから、ぜひこの点はある程度やっていらっしゃるならやっていらっしゃるでその内容を御報告もいただきたいし、まずは総合的な点検と結果を明らかにお示しいただく作業をしていただきたい、このように要望する次第ですけれども、いかがでしょうか。
  183. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 確かに山中委員指摘のように、山は林野庁、道路は建設省の道路局、河川、傾斜地は河川局、あるいは農地は農林省の構造改善局という形で……
  184. 山中郁子

    山中郁子君 どこへ行ってもわからないんです。
  185. 四柳修

    政府委員(四柳修君) いままではそれぞれの役所におきましていわばその対世事業というものが治山治水の五ヵ年計画ですとか、そういった各計画との関連上、四十七年ですとか、五十一、二年ですとか、そういった形で主管省庁においてそれぞれ調査をされできた。そういう中でいま御指摘のように、欠けているといいますか、あるいはその総合性がないじゃないかという御指摘でございますが、私どもの方も、とりわけこの法律の成立によりまして危険のあります地域というものが強化地域になりました場合には、やはりいまの仕組みとしまして各省庁がおやりになるということを前提としましても、それぞれの横の調査の様式なり、あるいはタイミングなり、あるいは密度の問題なり、幾つかいろいろ御調整いただかなくちゃならないこともあろうかと思います。あるいはとりわけ問題のあるところにつきましては、私どもの方の調査調整費によりましてその後の事業を共管事業でやるとか、直轄事業でやるとか、そういう問題もあろうかと思いますものですから、そういった点につきましてもいままでも注意してきたつもりですけれども、なお足りない点が多々あろうかと思いますものですから、十分気をつけてまいりたいと思います。
  186. 山中郁子

    山中郁子君 具体的にお約束をいただきたいことは、伊豆大島近海地震後の現状ですね、伊豆半島の。いま私は伊豆半島の問題について申し上げていますけれども、その状況を一元的にとらえて、そして総合的な処理の現状、その他のデータをトータルにおたくの方で把握をされた上でお示しをいただきたい、御報告をいただきたい、こういう要望をしておりますので、あわせてお約束がいただければと思います。
  187. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 具体的なお尋ねでございますので、具体的に御返答できないのが大変恐縮でございますけれども、御案内のように建設省、農林省、それぞれ調査しているもので、実はいま農林省の部分がおくれている、その部分を五十三年度に追いかけるということでございますから、その調査の進行状況を見まして、それと建設省との調整ですとか、あるいは地元静岡県とのお話し合いですとか、そういったことの調整を一応いたしまして、それらをまとめた上で何らかの形でお示しいたしたいと考えております。
  188. 山中郁子

    山中郁子君 具体的な危険個所ですね。防災対策に国の助成を求める場合の採択基準というのがもちろんあって、それに達しないために助成が受けられないというようなケースがさまざま出てきます。  それで、特にいま問題になっている伊豆関係で、こういう基準をぜひ緩和して実質的に危険個所の防災措置を行うということに国が積極的な姿勢をとるという必要が緊急にあると私は考えておりますが、その点はいかがでございましょうか。
  189. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 山中委員、どなたに答弁求めますか。
  190. 山中郁子

    山中郁子君 いいですよ、答えてくださるところが何省だって。幾つもおっしゃるからわからないから。
  191. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) ただいま先生おっしゃいました件につきましては、災害発生した場合、浮き石等が発生した場合は、通常の場合は人家十戸以上を対象にしておりますが、そういう場合は人家五戸以上ということで、緊急急傾斜地崩壊対策事業として扱っております。さらにそれを緩和することにつきましては、現在非常にそういう危険な個所がたくさん全国にございますので、現在のところ、いま申し上げましたような基準で対応していきたいと考えております。
  192. 山中郁子

    山中郁子君 だから、私はそこに国土庁が調整機能としての力を積極的に発揮して、やれ農林省だ、建設省だ何だと言っていると、あくんですよ、その間がね。そういうのをやっぱり総合的にカバーするのが国土庁の役割りだ、そのために国土庁の調整機能としての役割りがあると、こう認識しておりますが、もしそれが間違いでないならば、いま私がお願いを申し上げましたことも国土庁として、ぜひ政府の問題として積極的に受けとめて検討していただくということをお約束いただけなければまずいと思っておりますので、これは建設大臣も兼任されていらっしゃいますので、国土庁長官に伺うのが一番いいし、また一番お答えしていただけると思いますので、ぜひその点についてお考えを聞かせていただきたいと思っているんです。  それで、大臣もちょっとごらんになったかもしれませんけれども、具体的にこの写真——これ見えますか。
  193. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) はい。
  194. 山中郁子

    山中郁子君 これ、木の間にこんな大きな石がこうなっているわけですわ。一たび何かちょっと来たら、これが落ちるわけでしょう。この石を砕石するために五百万も七百万もかかる。こういう状況があって、採択基準にちょっと足りないからといって国の助成が出ない。そうすると、私有地にあったとすれば一人の個人が何百万というお金をそれに使うことはできないですよね。だから結局地方自治体がお金をかけてやらなければいけない。こういう状態が生み出されている。下田市長からも私は大変強く要望もされてきましたし、櫻内さんにもお願いをしたところだと力説をされておりましたけれども、私有地であったとしても、実際上こういうふうにもう危険が迫っていて、一たび何かあったらまた大惨事が起きるという状況がごろごろしているわけですから、そういう点についての柔軟な、基準の緩和とまではいかなくとも、柔軟な対応を政府として積極的な姿勢で検討なさるということは、ぜひ大臣から御見解を承っておきたいところです。
  195. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 災害復旧に対しての採択基準、まあこれ大体のものが立法措置によるものが多いと思うんですね。それで災害の都度いまのような御要請がございまして、また現地を調査して、実際上お困りになるということを痛感しております。  したがって、大蔵省との間の折衝でできる限りの採択基準の緩和には努めてきておるわけですが、先ほど担当者の方からお答えを申し上げたように、何分にも全国的に非常に災害の多い日本の実情でございますから、かゆいところへ手の届くところまでやりたいというのが国としてはできにくい。こういう場合は、山中委員御承知のようにやはりこれは県とか市町村も相協力してやってもらう。しかしその県や市町村にいろいろと負担をかけた、災害のために臨時の支出が多かった、それじゃそれは特別交付税で見よう、こういうふうな仕組みになっておりますから、したがって、個個の事例からいうと、ああこれはもう一つ基準下げた方がいいという場合もございますが、その辺は私どもがそれぞれの担当者、あるいは伊豆の場合でありますと、災害対策本部を国土庁に設けたんでありますから、おっしゃるとおりの各省間の調整機能を働かせながら、まあこれはやっぱりその庁でやるならやって、じゃ交付税の方へ持っていこうじゃないかとか、そういういろいろ指導はいたしておるところですが、山中委員の御指摘のように、この伊豆半島災害につきましては私も実情をある程度承知しておりますので、立法措置なり基準の引き下げで救えるものはできるだけ救っていきたいと思います。
  196. 山中郁子

    山中郁子君 ぜひ具体的な、実質的な解決を積極的に進めていただくように重ねてお願いを申し上げておきます。  それから次の問題ですけれども、これは局地激甚災の指定の促進とそれの拡大というんでしょうか、問題になるんですけれども、具体的に申し上げますと、実は私がこの調査に行った十八日、十九日、たまたま例の豪雨があったんです。そして結局伊豆大島近海地震のときに崩れていろいろ災害が起こりました。それでやっと復旧をして、例の県道も十七日にやっと全面開通したというときだったんですよ。そうしたら、もう十八、十九のあの大雨でまた崩れてまたストップ、こういう状況で、私も現地かなり入れるところまでずっと入りましたけれども、具体的に申し上げますと、雨によって大小六十カ所の崩壊が起きているんです、その雨で。ですから、これは伊豆大島近海地震のためにいろいろ緩んでいるところ、状況の変化があったところ、それが次の大雨で、引き続く大雨で崩壊したということはもう十分考えられる。当然考えられるだけじゃなくて現実にそうなわけですね。あの地震でもって地形が変わって、そして落ちかけた土砂がその雨でがさっと落ちた。こういう状況が実に六十カ所あの雨だけで起きているわけです。  それで、この関連の崩壊その他についても激甚指定の査定の中に含めてほしいというのが、これが本当に住民はもとよりですけれども地方自治体の切実な要望ですわ。河津町の町長さんにもお会いしましたし、いろいろお話も聞いてきましたけれども、これはせひ何とか考えてほしい、これが相当切実な要望になっていて、私はもっともだと思いました。ここのところをぜひお考えを進めていただきたい、その要望が実現できる方向で。これはいかがでしょうか。
  197. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御案内のように、地方公共団体等が災害によりまして公共土木施設あるいは農林水産業施設等被害をこうむった場合には、その被害に伴います地方負担額と当該団体の財政標準規模といいますか、標準財政規模といいますか、それとを比較しまして、そもそもの国庫補助率が段階的に上がってくるという仕組みが一つございます。それからもう一つ、局地激甚の問題でございますけれども、やはり個々の災害をとりまして全国的な激甚はもちろんのこと、局地激甚の問題でもある基準以上の場合には特例的な措置がございます。いま御指摘の点は、地震によって地盤が緩んでその後の降雨等によって崩壊した場合をいわば最初の地震と一連の災害として被災額を査定するかどうかという、こういうお尋ねだろうと思います。  そこで、具体的には地震によって地盤が緩んで、それに引き続く降雨等の場合にはこれは当然一連の災害として一つの判断ができるかと思います。それから次に、その後の降雨等による災害発生がいわば地震の直後ではなくても、いわゆる余震期間等の場合につきましても、これは一つの物差しとしまして一連の災害という見方が可能であろうと思います。その余震期間を過ぎまして相当期間たった後の災害についての問題というのは、やはりそのときに起きた次の降雨は次の降雨としての一つ災害という査定の基準がございますものですから、そこら辺は冒頭に申し上げました当該団体のその年の災害の負担と、それから当該団体のその年の標準財政規模というもとのルールに戻りまして、それが負担額がふえてくる場合には累進的に国庫負担率というものは上がっていくという形での対応になると思います。
  198. 山中郁子

    山中郁子君 まあルールは私も知らないわけじゃないんですが、大臣、それじゃぜひ理解をしていただきたいんですけれども、いま私が申し上げているのは、五月の十八、十九で視察をしてきましたと申し上げました。そのときの大雨でもって去る一月十四日の地震で緩んだ地盤が崩れて、もうそれは明らかな関係があって相当たくさんの土砂崩れが起こってきて、また大変な出費を地方自治体がしなきゃならないという、こういう事態になっているわけですよ。かなり特別な事情だと思います。それで、もともとがあの伊豆大島近海地震地方自治体はたくさんの出費を強いられているわけです。ここのところをぜひ激甚災指定の弾力的な運用を何らかの形で検討していただけないものだろうか、このことをお願いしておりますので、むずかしいということは私も容易に推察できますけれども、少なくともその実際は御理解いただけると思いますので、地元の要求に基づいた検討をしていただくということのお約束はぜひ大臣からでもいただければ大変ありがたいところだと思いますが、いかがでしょうか。
  199. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 十八日、十九日の豪雨によってまた災害発生しておるという事態についていま四柳審議官から扱い方についての基本的なお考えを申し上げたわけであります。その考え方は、お聞き取りのとおり、何らかの措置を講じ得られるということを御説明申し上げておると思うんですね。しかしそれが当該市町村にとりまして実際の被害とその復旧との関連からいたしまして大きな負担をかけるような事態がございますれば、それはそれで、せっかく山中委員のおっしゃっておることでありますから検討をして、連年災害と申しましょうか、反復災害を受けておる地域ですから、できるだけ何とか市町村の財政状態に大きな影響のないように考えていこうと思います。
  200. 山中郁子

    山中郁子君 激甚災の復旧の財政上の問題なんですけれども、三年間に三、五、二の割合で復旧工事を進めるという慣例に一般的になっていると伺っておりますが、なかなかそれでは間尺に合わないという事態もあるわけで、特に現在の伊豆地方などはまさにその最たるところだというふうに思いますので、ぜひこれはこうした慣例にとらわれずに実質的に早急な復旧を図るという立場で対応していただきたいと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。
  201. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 地方公共団体の行います公共土木施設の災害復旧事業の完成の年度につきましてはいま先生指摘のとおりでございます。今回の伊豆大島近海地震につきましてはその激甚性と、その施設は道路がほとんど大半でございますので、民生の安定あるいは観光地でございます社会経済活動への影響等を考慮いたしまして、現在県では全力を挙げて復旧にかかっております。しかしながら、ことしはどういうわけか静岡地方は非常に雨が多うございまして、一月から五月いっぱいまでの間に三分の一以上、四十何日間というのが連日雨というふうなことで、現在もあの踊り子ラインは残念ながらとまっておるというのが現状でございます。そういう状況でございますが、私どもといたしましては災害復旧のものにつきましては緊急を要するものから順次復旧をいたしたいというふうなことでそういう努力を続けてまいりたいというふうに考えております。  いまからいつまでどうかということはちょっとお約束はできないんでございますが、例を挙げますと、昨年の災害、五十二年の災害でございますが、これはちょっと特別であったかと思いますけれども、かなり例年に比べて災害が少なかった。そういうわけで負担率もわれわれが考えておったよりも下がったというふうなこと、それから物価が余り上がらなかったというふうな点もございまして、初年度につきましては半分以上、昨年の災害でございますが、ことしの三月までに半分以上の工事が完成いたしております。それから今年度につきましては全体で予算的には恐らく九割以上が復旧になるものというふうに思っております。  実例はこういうことでございまして、今年度の災害がこんなふうにうまくいくかどうかというのは、まだ今後のほかの災害の状況を見ないとちょっとわからないんでございますが、努めて早く早期復旧をいたしたいというふうに考えております。
  202. 山中郁子

    山中郁子君 割合にこだわらずに、三、五、二の割合の慣例にこだわらずに緊急度に応じて進めるというお答えだと思いますので、ぜひそのようにお進めいただきたいと思います。  それから次には、国道百三十五号線の復旧の問題についてお尋ねをいたします。これは伊豆半島の表玄関と言うべき道路ですけれども、いまだに十カ所片側通行になっておりまして、なかなか渋滞があるという状態です。それで伊豆急も稲取−河津間はまだ開通されてないという状況ですから、大変これが地元の方たちの生活に与える影響が大きいわけで、私、地元の道路公団の管理事務所もお尋ねしていろいろ伺ってきたんですが、全面復旧するのが来年の三月だと言うんですね。今年度末だと言う。それもいろいろ御苦労もあるし、そうならざるを得ないという事情もいろいろ伺ってまいりまして、私はそれじゃだめじゃないかと一概には申し上げるつもりではないんですけれども、それにいたしましてもここはいま一日平均五千台、災害後もほとんど変わらないんです。ということは、結局観光地とはいえども観光客はかなりがた減りしているわけですよ。それにもかかわらず交通量が変わらないというのは、相当程度に生活道路としての要素のパーセンテージが高いということを示していると思いますので、それなりにまた要求も熾烈になっているということですので、改めて復旧の促進、これにぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  203. 大島哲男

    参考人大島哲男君) 公団といたしましては被災後すぐに応急復旧にかかりまして、三月末をもちまして応急復旧は終わりました。その後引き続きまして本復旧にかかっております。被災個所は三十一カ所数えられておりますが、そのうち四カ所が非常に復旧の困難な被災を受けておりまして、これにつきましては当公団で委員会をつくりましてその工法の研究をしております。これは一刻も早くその工法の確立を願っておるんですが、大体工法のめどがつきまして、これは七月に発注する予定をしております。その個所が四工事区でございます。それ以外の個所につきましては七月の中ごろを目標に完成を図っております。ただ一、二カ所の場所はやはり七月もむずかしゅうございまして、これは秋口になろうかと思っております。  以上のような状況でございます。
  204. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、全面復旧は大体いつごろ、秋には大体復旧できるという見通しですか。
  205. 大島哲男

    参考人大島哲男君) ただいま申し上げました四カ所のむずかしい個所は……
  206. 山中郁子

    山中郁子君 除いてね。
  207. 大島哲男

    参考人大島哲男君) それを除きまして秋口にはできる予定でございます。
  208. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、その四カ所というのは結局今年度いっぱいかかるというお話になるわけですか。
  209. 大島哲男

    参考人大島哲男君) そのとおりでございます。
  210. 山中郁子

    山中郁子君 問題は、現在ももちろん生活道路ということで大変緊急な要望があるということですけれども、さらに伊豆はいまもう夏の観光シーズン、海水浴シーズンにかけているわけですわ、生活をね。そういう意味で夏の観光客シーズンを迎えて道路がどうにもならなきゃ本当にどうしようもないということになって、その辺は道路公団その他関係者の皆さんもよく御承知のところだと思いますけれども、ぜひそういうところで、そこの住民の生活の全面的な部分がかかっているという状況ですので、十分こうした点を配慮した復旧工事を進めていただくということを重ねて要望をしておきます。  関連をいたしまして、国道百三十五号線の有料道路の問題です。これは現在三カ所料金所がありまして、これは地元の要望もあるし、またこういう工事という問題もありまして二カ所が無料になっていますね。これはこれで結構なわけなんですけれども、問題は、またまたその償還時期を延ばすなりまた料金を改定するなりして、結局地元の人たちがいろいろと犠牲を払って通るんだから有料ではなくて無料にされたのに、そのお金は後になって結局はツケが回ってくる。こういうことでは理屈にも合わないし、そういうことはしてほしくないという要望もありますし、また私は当然のことだと思います。この点はたしか櫻内大臣がやはり現地へ行って明確な何かお約束をされてきたようですので、しかしこの点について改めて私は公団の方に問い合わせたところ、必ずしも絶対にそういうことはしませんというお答えもいただけなかったものですから、ここの場所でひとつはっきりしておいていただきたい、こう思って質問させていただきます。
  211. 沓掛哲男

    説明員(沓掛哲男君) 御説明いたします。  御指摘のように、現在東伊豆有料道路の稲取区間及び下田区間は料金を徴収しておりませんが、これは一つには、昭和五十三年一月十四日に発生した伊豆大島近海の地震により東伊豆地方一帯が大きな被害を受け、東伊豆有料道路の代替機能を有する県道修善寺−下田線の一部区間の復旧が完了していないため、地域住民の足である路線バスの運行が不能となっており、地域住民は東伊豆有料道路の通行を余儀なくされていること、二つ目といたしまして、伊豆急電鉄についても伊豆稲取駅と河津駅間で不通となっておること、三番目に、被災した地域住民の経済的打撃が大きく、当該道路が地域住民の生活再建のための必要不可欠の交通手段となっていることによるものであります。県道修善寺−下田線の修善寺—湯ケ野間が復旧いたしまして、修善寺−下田間を結ぶ路線バスの通行が可能となりましたときには再び料金を徴収することといたしております。  なお、いま一定期間料金を無料にしているわけでございますが、この措置によりまして当該道路の料金収入が減少することになるわけでございます。しかし料金の改定とか料金の徴収期間の延長といった問題は当該道路の収支全般の検討より行われるものでありまして、単に現在の無料措置のゆえのみをもってそういうことを行うものではございません。
  212. 山中郁子

    山中郁子君 そうすると、やっぱり延長したり料金改定することもあるというような余地を残しているようなお答えにも受け取れるんですけれども、そうじゃないんですね。いまの無料にしているものを、またつけ増すようなことはしませんと、こういう御答弁だと承ってよろしいんですか。端的に聞かせていただければいいです。
  213. 沓掛哲男

    説明員(沓掛哲男君) 料金を改定したり料金の徴収期間を延長するということはいろいろな理由があってするわけでございます。その理由の一つとしては、当該道路の収支全般の検討などを行った上で行うものでございまして、いま一定期間無料にした、だから直ちにそれが料金を上げるとか、徴収期間を延長するということには結びつかないということでございます。
  214. 山中郁子

    山中郁子君 大臣、おわかりになると思うんです。私余りこれに時間かけるつもりないですけれども、結局その時点で別な理由を持ち出してきて、そして料金改定したり延長したりしたって利用者わからないですよ。理由なんて幾らだってつけようと思えばつけられるじゃないかと、こう思いますよ、普通は。そういうことをしないでくれと言っているの。櫻内大臣が行って約束もされてきていることですから、そういうことはしないでくださいと。少し潔く改定しない、延長もしないという約束をしてください。もう約束されてきているんだけれども、どうも公団のおっしゃることは含みがあって——いまわかりました。その含みというのはそういうことでしょう。そうしたら、結局今度別な理由を持ち出してきて改定したり延長したりしたって住民の感情としてはそんなもの受け入れられないですよ。約束破ったじゃないかということになりますと言うの。
  215. 沓掛哲男

    説明員(沓掛哲男君) 有料道路は通行者の料金をもって償還していくことを原則として借り入れした資金で建設するものでございますので、原則上はその徴収期間あるいは料金の改定等によって十分収支償うように努力していくのがたてまえでございます。したがって、いまの時点では、いま申し上げましたように、そういうふうなことは検討しておりませんが、有料道路の徴収期間もまだ相当あるわけでございますので、そのほかにいろいろな理由が出た場合にそれも改定しないとかということは、やはり有料道路のたてまえ上からここで申し上げられないのでございます。
  216. 山中郁子

    山中郁子君 最後に大臣にちょっとお尋ねいたしますけれども、結局そういうことで、それでもって後にツケは回さないというふうにお約束もされてきて、私は当然のお約束だと思います、それは。それにもかかわらず結局ほかの理由が出てくれば上げるんだとか、そういうことが出てくれば住民感情としてわからないでしょうということをいま申し上げているんです。それは大臣もおわかりになると思いますので、そのお約束を実行してくださるということについて重ねて明言をいただきたいと思います。細かいことは結構です。
  217. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これ明言する方がかえって御迷惑かと思うんですよ。それを私は長い期間にどういう事情が起こるかわからないことをその事情が起きたから上がった、いやあのツケが回ったなんていうそんなことは考えておりませんけれども、しかしいま専門の課長が御説明されておることでこれを了解しておく方が私は至当だと思いますね。
  218. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、とにかく料金改定や何かそういうことでツケを回すようなことはしないとおっしゃったお約束は、もちろん守るとおっしゃっているというふうに理解してよろしいんですか。
  219. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) それはもう今度の措置というものは地域住民の現在受けておるそういう状況に対して行ったものですから、だから私ももちろんそういう前提に立っておることはもとよりですけれども、ただ料金改定が何らかの事情で行われたら、それツケが回ったというようなことに持っていかれては私としても迷惑だということを申し上げるわけです。
  220. 山中郁子

    山中郁子君 地元の方々は大臣見えて約束してくださったということで大変喜んでおられました。私はそういうことを結果的に裏切るようなことはなさらないと思いますけれども、重ねてそのことを強く指摘もし、要望もしておきます。  この伊豆地震の問題に関しましては最後になりますけれども、いわゆる災害不況とでも言うべき実情のもとで、ぜひとも考慮もしていただかなければいけないと思いますが、たとえば下田で言いますと、産業別就業人口の七一%が観光関係なんですね。それでもってほとんどがこの地震でもって相当操業が縮小されているという状況で、宿泊人員の数字で言いますと、二月は前年度比で二四%、それから三月は五七%、こういう状態です。多少持ち直してきているという面もありますけれども、なかなかもとどおりというわけにはそれは簡単にいかないという状況の中で、失業者が相当ふえているという実態があります。  たとえば下田で言うならば、下田自体はそこで大きな災害を受けて局所激甚指定を受けるというような災害にはそのときはならなかったけれども、その災害の結果大きな影響が、それこそそこの産業の死命を制するかのような大きな影響が出てきているという、こういう事態が出ているわけです。ですから、直接その地震が起こらなかったから、その直接地震が起こったということに関する助成とか、そうしたものは何にもないわけです。それにもかかわらずその地震の影響によって相当範囲のところで相当な影響が出ている。こういう状況がありますので、この問題に対しても国として積極的なやはり助成の方法というものを何らかの形で打ち出すということはぜひ必要だし、急いでいただかなければいけないと思っておりますので、この点についてひとつ、これは災害の結果の問題ですから、その調整機能である国土庁でお答えくださるのかどうかわかりませんけれども、政府としての基本的な見解ですので、大臣が姿勢をお示しいただければ一番よろしいと私は思っております。  それからもう一つは、これは労働省にお願いをしたいのですけれども、現在失業されている方たちの中で、復職を前提としてということで雇用保険受け取っている方があるわけです。保険も切れるという時期になってきて、ぜひとも復職を実現できる方向のかなり親切な綿密な強力な行政指導というんですか、これが望まれてもいますし、どうしても必要だと思いますので、これについての見解と対策をあわせてお伺いをしておきたいと思います。最初に大臣の方から御見解いただければ幸いです。
  221. 四柳修

    政府委員(四柳修君) いま御指摘の直接被災地ではなくても、周辺にあってその災害による交通支障等によりまして、いわば間接被害と申しますか、とりわけ観光地等におきまして交通手段を利用したお客さんが来ないために、雇用面あるいは商業関係、観光関係の売り上げ減、こういう問題でございますけれども、これは有珠山の場合でもその他の場合でもいろいろいわばそういったことが問題になりまして、今回の伊豆大島沖の地震におきましても、政府におきます本部におきましてやはりそういったことが議論されまして、一般論としましては、雇用問題につきましては後ほど労働省から御答弁あろうかと思いますけれども、職業安定所の出先ですとか、その他を利用しての相談なりあるいは金融面につきましても中小企業庁が中心になりまして、地元の商工会、県等と一緒になっての既借入分の償還猶予ですとか、あるいは各種の災害融資ですとか、そういうことは一般論としてある規模以上の場合には対応しております。今回の場合も伊豆でやっております。
  222. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 災害発生時におきます関係八町村における失業者の状況は、百四十事業所から二千三百四十五人離職者が出ておりまして、いずれも失業保険の支給を受けておりますが、そのうちすでに六百二十四人については再就職されております。そしてその方々はいずれももとの事業所へ復帰されております。それから現在その残りの約千七百名の方々につきましては、いずれもまだ失業保険を受給中でございます。  そういう状況でございますので、失業保険の支給が切れた段階ではできるだけもとの事業所へ戻れるように指導してまいりたいし、また事業所の方でも旅館業等はなかなか従業員の確保が困難な事情も一方でございますので、十分受け入れていただけるものと、こういうふうに思っております。十分先生の御質問の趣旨を体しまして行政を進めてまいりたい、かように思っております。
  223. 山中郁子

    山中郁子君 国土庁からお答えいただいた分につきましては、私もいまお答えがあったことは、それはそういうふうにそれなりのものが現実にもある、あるものについては当然現在も行われているということはもちろん承知をしております。それだけでなくて、それだけでは十分に手当てし切れないで基本的には問題が残るわけなので、国として積極的な施策を工夫もし、検討もし、推進をしていただきたいということを要望してございますので、それも御理解いただけると思いますので、その点を重ねて申し上げておきます。  次に、私は今回の地震の立法に関する自衛隊法の改正の部分について若干質問を申し上げたいと思います。  初めに、今回の大規模地震対策特別措置法が成立した場合、自衛隊の目的、任務——実際に行う活動も含めて——に関して従来とは何が変わるのか、お示しいただきたい。
  224. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 本法案によりまして自衛隊が許される活動、機能といたしましては、いわゆる地震防災派遣ということでございます。具体的に申し上げますと、自衛隊法の第八十三条の二に当該規定が本法の附則によりまして入ってくるということに相なろうかと思います。
  225. 山中郁子

    山中郁子君 現状と何が変るのか、具体的な活動も含めてということで質問しておりますので、一から十まで全部というのも大変だとおっしゃるなら柱で結構です。
  226. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 現行自衛隊法には、御承知のとおり、第八十三条に「災害派遣」という項目がございます。この災害派遣は「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を長官」等々に「要請することができる。」ということでございます。  今回お願いしております地震防災派遣と申しますのは、現行の災害派遣のこの条項では対処し得ない部分、すなわち地震の起こる蓋然性が大変高まりまして、そして本法案におきます所定の要件が整いました場合に、地震防災対策本部長、すなわち総理大臣から防衛庁長官に対して支援の要請があった場合に、たとえば情報の収集、車両、航空機による後方支援、通信支援、水防の応急措置、応急救護、緊急輸送等々をあらかじめ定められます地震防災計画に基づきまして所管省庁等々の御要請によりまして自衛隊がその任に当たるということでございます。
  227. 山中郁子

    山中郁子君 国土庁にお伺いいたしますけれども、いままでは災害派遣に関しては起きた災害に対する救援であった。しかし今回は地震予知段階での、それは救援という言葉ではなくて支援という言葉になっているわけですけれども支援をする。こういう違いで、だから具体的に結果として違ってくるのだということだと思いますが、それはいまも若干触れられましたけれども、十三条に基づいて「地震防災応急対策等を的確かつ迅速に実施するため」ということで自衛隊法に規定する部隊等の派遣を要請するわけだから、これは二十一条の地震防災応急対策の各号であるということで間違いないわけですか。
  228. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘のように、十三条では二十一条の「地震防災応急対策」を引っ張っておりますけれども、より具体的に申し上げますと、この地震防災応急対策はそれぞれの地方公共団体の地震防災強化計画の中で定めることになっております。  ただ、この二十一条一項各号のうち、具体的に地方団体側として何を自衛隊に支援を要請するかという問題でございますけれども先ほど来の防衛庁の方から御答弁申し上げてますように、たとえば第一号の「予知情報の伝達」、「避難の勧告又は指示に関する事項」は、これは当然支援をいただく部分が必要でございます。それから、第二号の「消防、水防その他の応急措置に関する事項」につきましても、これも必要でございます。それから、第三号の応急救護者等の問題も必要になろうかと思います。第四号につきましては、これはそれぞれの施設の管理者が具体的に整備点検する問題ですけれども、その場合でも支援ということが全然ないかどうかということは皆無とは言えませんけれども、たてまえ上は施設管理者の責任でございます。それから、第五号につきましては、先ほど来ございますように地方公共団体側としましても自衛隊の方の支援を予定しておりません。それから第六号の緊急輸送は一応期待をいたしております。第七号につきましては、発災後の問題でございますけれども、これは通常の八十三条に戻りまして、やはり期待をいたしております。  以上でございます。
  229. 山中郁子

    山中郁子君 先ほど野田委員の御質問の中でも議論をされておりましたけれども一つの面としてこのいわゆる地震立法、これが問題になっているのは自衛隊の部分に関してであることはもう先刻御承知のとおりだと思います。自衛隊の持っている治安出動をめぐる反国民的な危険な予測ないし警戒、国民感情から言ってもそういうものとの関連でこれが問題にされているということも皆さんもよく御承知のとおりだと思います。  そこで、私はここでぜひはっきりしたいと思いますのは、いま御答弁ありましたけれども、とにかく十三条で言っている自衛隊の支援を要請するという地震防災応急対策というのは二十一条の各号である。これははっきりしている。しかしその中に、これはどうでしょうか、あれはどうでしょうかというふうないまの御答弁の形ですと、それは一体法律として、こういうことで審議をすると、四号についてはほぼ自衛隊が支援を要請されるということはなかろうと思うけれども、あるかもしれない。五号についてはない。ないとはおっしゃるけれども先ほどの御答弁の中では若干部分治安、「社会秩序の維持に関する事項」について何かひっかかりが出てくるかのような御答弁もさっき防衛庁からあったというふうに私は理解いたしました。そういうことでは何かもうひとつはっきりしないんですね。  法律の機能として自衛隊が派遣を要請されると具体的にどういう危惧をわれわれが持つか、国民が持つかと言いますと、「犯罪の予防」だとか「交通の規制」だとか、そういうことに自衛隊がまた大ぜい出てきて、そして国民の基本的人権も含めたそうした制限行為も行うし治安行動的な行動も行うしということは、有事立法でさんざん私どももまた内閣委員会で問題にいたしましたけれども、有事立法それ自体の問題と深くかかわって自衛隊の危険な本質というものの側面が拡大されてくるというように危惧をされているわけです。  そこで、なぜそうなるのか。つまり先ほどからの御答弁を伺っていますと、ほかの部分でもって権限があることについては自衛隊は関与しないのだ、できないのだ、こうおっしゃっていましたね。そうしますと、「防疫」——七号ですね。七号の「食糧、医薬品その他の物資の確保」とか「清掃、防疫」とかなっています。こういうものも「食糧、医薬品その他の物資の確保、」、緊急の場合に確保しなければいけないからということで強制的に食糧の調達をするということだって一般的には考えられるわけでしょう。それから防疫——伝染病患者が出たから強制隔離をするということだって考えられますね。そういうようなことは私は当然権限を持っているものでなければできないと思いますけれども、いまのお話だと七号については自衛隊は支援ができる。そうすると、そういうことについても支援ができるわけですか。ということは何が基準になって、できるものとできないものとあるみたいな、五号だけがいま問題になっているから五号だけはできないとおっしゃるけれども、じゃ一体何を基準にして、どういう理論的根拠があって自衛隊がこう言っているけれどもできるものとできないものとあるのか。そこはもう一つはっきりさせていただきたいと思います。
  230. 四柳修

    政府委員(四柳修君) たてまえ上は、自衛隊の地震防災派遣の要請は、防災上の責任を有する各機関の実施する地震防災応急対策を効果的迅速にするために必要があって行うのでございまして、いまいろいろ例に挙げられましたけれども、警察官、消防職員等が持っております権限で、国民の主権等を制限するような問題につきましては、本来はその所属に属しておるのでございまして、自衛隊の方にはない。したがって、他に委任できないような権限に基づく行為というものは、当該権限の付与のない委任につきましては法律上明文がございませんから、そのような権限の行使ができないということでございまして、いま五号につきまして若干例を挙げられましたけれども先ほどの前の方の御質疑関連しまして私御答弁申し上げましたように、警職法の読み方の中で、四条につきましてはこの二十一条の第一項第一号で「避難の」「指示」で読みますと。したがって、警職法の第六条につきましては「立入」ということで、これは具体の問題として一般的な個人の権利制限云々という問題がないということで、そういうこともございまして、第五号につきましては本来的に警察でございますとか、消防でございますとか、それぞれが当該地方公共団体等の防災業務計画の中で何をするということを書いておりまして、その部分につきまして自衛隊の支援を求めるということを前提にしておりませんものですから、一応そういうことがないという基準で申し上げましたが、それは個々の事実の判断でございますから。ただ先ほど来防衛庁の方から御答弁ございましたように、発災後の問題につきましてはこの二十一条の問題ではございません。
  231. 山中郁子

    山中郁子君 やはり不明確だと思うんです。というのは、五号のことについておっしゃるけれども、それは私五号だけに限らないと思うんですよ。「食糧、医薬品、その他の物資」の「防疫」、申し上げました。それから消防なんかでも、消防法でいま危ないとなれば家壊すことだってできるわけでしょう。そういうことの支援が、じゃ自衛隊ができるのかということにもなります、たとえばの話申し上げますと。それから八号にも「前各号に掲げるもののほか、地震災害発生の防止又は軽減を図るための措置に関する事項」で容易に考えられることは、大分かしがっている家がある、これは地震が来るということになれば大変危ないから、そこから強制的に避難をさせるとか、あるいはその家をもう先に取り壊しておくとかということだって容易に考えられる「措置」ですよね。そういうことについては権限を持った者でなきゃできないはずですけれども、じゃ、たとえばそういうことも自衛隊が支援できるのか。私は五号だけに限らずそういうことがいっぱい出てくるわけです。それがおのずとはっきりするというならば、何によっておのずとはっきりするのか。起こってみなきゃわからないみたいなことだったら、自衛隊がどこまで出てきて、結局は治安出動の問題とどこが区別できるのか。そういう自衛隊の側面を強化させていくための場所としてこの立法が使われるということに対する危惧と問題点を提起しているわけですから、そこは何によっておのずとはっきりするのか。   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
  232. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘の点につきましては、一つは、要請をいたします地方公共団体側の地震防災強化計画の中で、あるいは関係指定行政機関等の防災業務計画の中で、一応それぞれの応急対策というものが決められますから、その計画の中で何が対象になるかということが一つございます。  二番目に、現在の災害派遣の場合には、災害派遣の支援の要請等がやはり支援を要請いたします都道府県知事側から自衛隊側に出されます。これはこの地震防災派遣につきまして防衛庁側の方でこの法律ができた後で当然訓令等でお考えになることだと思いますけれども、この地震防災派遣につきましても、当然のことながら災害派遣に準じましてやはり本部長の方から何を支援してもらいたいということの要請があり、それを受けて自衛隊側の派遣につきましても派遣の命令の内容というものがそこで決まると思います。そういう形で一つの仕切りがございまして、現地に参りまして、やはり個々の地方公共団体、市町村長等の具体的な緊急事態についての要請があった場合には、それは現地の本部でのやはり連絡要請という形での一つの確認がございまして、そういう中で支援が行われることになろうと思います。
  233. 山中郁子

    山中郁子君 それじゃ、こういうふうに聞きますので、ちょっとはっきりしてください。いずれにしても具体的な要請が出てくる。その場合にも、たとえば五号の問題とか、それから四号の問題とか、それから先ほど私が幾つか例を申し上げました権限を持っている人でなければできない、国民の権利の制限その他に。そういうかかわる問題について、できないことは自衛隊はできないんだ、十三条に基づいてこの二十一条がその項目にはなっているけれども、この項目の中であっても、いま申し上げたようなことで、できないものはできない、これが法律趣旨であるということですか。
  234. 四柳修

    政府委員(四柳修君) できないと法律に書いてあるものにつきましてはできません。
  235. 山中郁子

    山中郁子君 いや、ここの法律じゃないんですよ。
  236. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 本来の法律も。
  237. 山中郁子

    山中郁子君 それは本来できないことになっているんだからできないんだということだとすれば、それはぜひ防衛庁にもはっきりしておきたいんですけれども、いいんですね、防衛庁、それで。
  238. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ただいま主管官庁の方から御答弁になったとおりでございます。
  239. 山中郁子

    山中郁子君 それで、私は法律は専門ではありませんで、素人ですので、素人の質問をさせていただきますけれども、そういうことならそういうふうにちゃんと法律に書いておきやいいのにと思いますけれども、そういうふうに書かなくていいんですか。だからいろんな議論になっているわけでしょう。どうしてそういうのを書いてないんですか。
  240. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 物の見方が逆の見方だろうと思いますけれども、こういうことができるという権限を書く法律と、こういうことはしてはいけないというか、できないという書き方の法律と、いま山中委員は後者の方のことをおっしゃったわけでございますけれども、本来的にはやはり国民の権利等を制限する場合には、こういうことだけ限定的にできると書くのがたてまえだろうと思います。
  241. 山中郁子

    山中郁子君 そうおっしゃることはわかっているんですけれども。  それでは、できないと書いているというのが、自衛隊法の八十六条と九十四条ですかの関係でそれはできると書いてあるから、ほかのことはできないんだというのは当然のことである、こういう御見解だということでしょうか。いろんな問題がありますでしょう、自衛隊の関係では。
  242. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 自衛隊が災害派遣のときに国民に対する一種の強制的な権限ですね。これは警察官職務執行法の一部を準用しております。今度の新しい法律でその災害派遣は自衛隊法で決めておる権限以上により強制的な権限を加えるものは何一つございません、従来と同じ災害派遣と同じ権限でやるわけですから。だから先生御心配のように、この法律によって自衛隊が何かより強力な権限を持つというようなことは全く考えておりません。われわれはあくまでも国民の命を守るためにやるわけですから、反国民的なことではございませんで、国民的なことでやると思っております。
  243. 山中郁子

    山中郁子君 私は指摘をしているんですけれどもね。  それでは、重ねてこの問題に若干関連して伺いますけれども、これは四月二十日の衆議院の災害対策特別委員会で児玉運用課長答弁されているんですが、田畑議員の質問に対してです。県庁とか市役所あるいは国鉄、通信機関、そういう主要な建物に対する警戒、これもその自衛隊の警戒範囲になるのか、こういうふうにはならないと思うけどという御質問のようですけれども、児玉説明員ができるケースもあると、こういうことを言われているんですね。そうすると、先ほど国土庁のお答えだと四の「施設及び設備の整備及び点検に関する事項」というのと若干関係してくると思うんですけれども、   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 こういうようなこともやっぱりできるというように衆議院の災特では児玉さんが答弁されていらっしゃるんですよね。そういうふうに広がっていくんだな。
  244. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) それは災害発生後のことですわね。
  245. 山中郁子

    山中郁子君 同じだって言っているんです。
  246. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 災害発生前についてはそういうことはないです。
  247. 山中郁子

    山中郁子君 前も後も同じだ、権限は同じだというのが先ほどの御答弁だったわけでしょう。
  248. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) いや、私が申し上げましたのは、いまの自衛隊法で災害派遣で出て行きますね。そのときの権限は、もちろん今度の大地震の場合にわれわれ出動要請を受けまして出動いたしますよね。いたしますときも、もちろん警察官職務執行法で与えられた、自衛隊法で与えられた災害のときの権限、その同じ権限を持ちますけれども、それ以上の大きな権限は持つわけじゃございませんということを申し上げておるわけです。立場は同じだと。
  249. 山中郁子

    山中郁子君 そうでしょう、同じだということでしょう。
  250. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) はい、本当に出動するときも同じだと。
  251. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 運用課長答弁でございますので、ちょっと補足さしていただきますが、運用課長がそこで申しましたのは、先ほど来御議論になっております新たなる国民の権利義務に対する制限等を課するという意味での警備というようなことで申したのではございません。警備の任に当たるそれぞれの主務官庁の御当局から、たとえばそこの警備の任に当たるべき場所に行く車がたまたまないから自衛隊のトラックで運んでくれというような場合、そういうような場合に、あらかじめこの計画に基づいてそういうようなことが決められておればそれはできる、法理上はそういうことができるという趣旨で申し上げたのでありまして、およそその警備の任に当たる官庁からそういう要請があったって一切支援はできないんだということではございませんという、そのうらはらの意味で申し上げたものでございます。
  252. 山中郁子

    山中郁子君 大分だから違うんですよ。いまあなたが、上野さんがお答えになったのも、児玉さんのいま私が取り上げたこの質問の答弁と違うんです。それから官房長がおっしゃることと櫻内大臣がおっしゃることとも違うんです。私はそういうことを言っているの。だから幾らこれが、いや大丈夫です、絶対ありません、御懸念のようなことはありませんと言ったって、結局こういうものを論拠にして実際にやっていこうという腹があるということなのよ。  だってね。申し上げましょうか。これは「警戒」とか「自衛隊の警戒範囲」、建物に対する警戒ですよ。警戒要員を運ぶための運送だなんて言ってないですよ。そういうこともやってくれという御要請があれば「あり得る」と言っているのが児玉さんの説明なんです。だから、いまそれあなたが訂正なさるなら訂正なさるんでいいですけれども、だけれども、実際上はそういうふうに違ってきているじゃないですか。そうでしょう。そういうことをここで結局自衛隊としてできることとできないことははっきりしているんですとおっしゃって、できないものはできないんですと、こうみえを切られるけれども、結局こういうふうにして、やれできるんだできないんだと言って、こういうことで答弁が違ってくれば自衛隊は結局たくさん何かいろんなことをやりたがっているわけよ。やりたがっていて、それはどこまでやるのかということをちっともはっきりしないままにこれが治安立法的な要素を自衛隊が持つという場になるではないかということを私は少なくとも指摘をしているんです。
  253. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ただいまの御議論になっております児玉君の御説明でございますが、五十三年四月二十日にこういうふうに児玉君は言っております。まず質問の方は、ちょっとくどいようでございますが全部読みますと……
  254. 山中郁子

    山中郁子君 わかってるからいいわ、私持っているもの。——まあいいです。
  255. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) よろしゅうございますか。——質問です。「たとえば防災本部でございます県庁、市役所、あるいは国鉄、通信機関、そういった主要な建物に対するところの警戒、これも自衛隊の警戒範囲といいますか、守備範囲ではないというふうに確信いたしますが、よろしゅうございますか。」という質問に対しまして児玉君が答えていわく「これは地震防災応急措置の自衛隊に与えられました業務内容の一つとしてそのようなことが仮に自衛隊にやってくれというような御要請があればそういうケースもあり得るかと思いますけれども、そういう任務を遂行することがこの場合における自衛隊の任務とは考えておりません。」というふうに、その後段までお読みいただければ自衛隊の任務として考えていないということを明言をしておるわけでございます。
  256. 山中郁子

    山中郁子君 こんなばかみたいな私やりとりしたくないですけれども、あなたお読みになったように「あり得る」と言っているでしょうということを私は言っているんです。「任務とは考えておりません。」と言ったって「あり得る」と。任務と考えていないことをやると言っているんですよ、自衛隊は。どういうことなんですか、それは。やるということを言っているのよ。
  257. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 「そういうケースもあり得るかと思いますけれども、」という非常に強い疑問形になっておりまして、「そういう任務を遂行することがこの場合における自衛隊の任務とは考えておりません。」、この自衛隊の任務とは考えていないというのが彼の説明の結論でございます。
  258. 山中郁子

    山中郁子君 そこが問題なんですよね。考えていないことをやることも「あり得る」と言っているのよ。「あり得るか」と言っているのよ。どういうことなんですか。任務と考えていないこともやるんですか。やるケースがあるんですか。
  259. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) そこで、この「あり得るかと思いますけれども、」ということは、これは全くないかと言われると、たとえば先ほど私が例に申し上げましたようなその任に当たる主務官庁の方々の輸送、あるいはここからここまで入っていけないということで、そこに印、標識を立ててくれといったようなそういうこと、いわば労役と申しますか、労務提供と申しますか、そういうようなことが全くないか、全くそういうこともできないのかいと、こう言われると、そこはちょっともう少し検討する余地があろうかという趣旨でございます。
  260. 山中郁子

    山中郁子君 労務の提供じゃないんですよ。あなたさっき質問お読みになったじゃないですか。「建物に対するところの警戒、」ってちゃんとはっきりしているんです。運ぶとか労務の提供なんて言ってないですよ、「警戒」ですよ。いいですか、はっきりしておきましょう。自衛隊は任務ではない、考えておりませんということもやることがあるということですか、それでは。
  261. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) その主務官庁のお手伝いをして、たとえばいま申し上げましたように輸送の業務に当たるということがその建物に対する警戒、この警戒の仕事に全く無関係な仕事かと言われると、これはそういう要員をお運びするという限りでその関係が出てくるわけでございまして、また標識等の設置という労務の提供というものもその建物に対する警戒任務、これに全く無関係な仕事を自衛隊がしたのかというと、それは全く無関係でありますと、こう言えるということがはっきりしますればそれはいいんでございますけれども、必ずしもそうも言えないという議論もこれは十分あり得るかと思います。そういう意味で「そういうケースもあり得るかと思いますけれども、そういう任務」と、ここで児玉君が言っております「そういう任務」と申しますのは「主要な建物に対するところの警戒」、こういう任務は「自衛隊の任務とは考えておりません。」と、こう彼は言っておるわけでございます。
  262. 山中郁子

    山中郁子君 自衛隊の任務とは考えるわけにはいかない仕事についても自衛隊はやることがあるということをおっしゃっているということがよくわかりました。だから私はそこにこの問題の自衛隊とのかかわりの問題の本質があるということを重ねて指摘をしておきたいと思います。  それで、先ほど櫻内大臣は、災害発生前にはできるけれども、後にはできないんだと。その反対でありましたでしょうか、違いをおっしゃっていましたけれども、これは違わないんですね。違わないんでしょう、救援前と救援後が。できることとできないことが救援後と救援前と違うんですか。
  263. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 山中委員の御指摘ですね。いろんな角度から御心配で御指摘になっておる。また私承っておると、それは山中委員のおっしゃるような場合があると思います。だから私の言っていることはちょっと不十分かと思いますが、ここで一つ私よくお聞き願って御理解いただきたいと思うんですが、私どもがこの自衛隊を出して何か治安出動でもさせるなんということは、もうほんのみじんにも考えてない。それで、この希望が出たのは、立法するについて、まあ現在東海地域が問題になっておって、いよいよ警戒宣言でも出たときに、この防災強化計画実施の上に支援体制をとってもらいたいという、そういう要請にこたえておるわけですね。それで実際上警戒宣言後は、数時間ですよ、数時間で地震かもわからない、その間のことなんですから。まあその間でも大事なことは議論を詰めなきゃならぬということはわかります。あるいは数時間か数日の間の問題ですね。  そこで、この自衛隊の問題については、この法案が成案しますと、そうするとその強化地域指定が行われる、その強化地域についてはどういう事前措置をとるかというこの地震防災強化計画を作成しますと、その防災強化計画を、これを実施する上に——警戒宣言後にですよ、実施する上に必要があれば、この自衛隊の派遣を要請しよう。しかしその計画実施する上においてどの範囲に自衛隊に応援してもらうかどうかということはあらかじめ決めておきましょうよと、こう言っておるんですよ。それで、その御心配があれば、そのあらかじめ決めてあるものを、これを公表しておいてもいいですよと、こう私お答えしておるんです。  しかし皆さん方の方から、こういう場合こういう場合といろいろの場合で御心配の点をいただいておることは十分わかります。だからそれについてはまた私どもとしての見解は申し上げてきたんですが、数時間か数日の間の緊急のいわゆる支援体制、それはこの法案の中に「本部長は、地震防災応急対策を的確かつ迅速に実施するため、自衛隊の支援を求める必要がある」と思ったらすると。あるいはその必要がないという場合もありましょう。そういうことでございますから、大変いろいろ御心配をちょうだいした点は私どももよく注意をしてまいりますが、あらかじめこういう場合に応援をしてもらおうという計画をしますから、それは明らかにしておきたいと思います。
  264. 山中郁子

    山中郁子君 私の質問にちょっとだけ答えていただきたいんですけれども先ほどこの警戒の問題に関して、それは災害発生前ならできるんだというふうに櫻内大臣はおっしゃったのか、あるいは後ならできるとおっしゃったのか、どっちか私はちょっといま記憶が定かじゃないんですけど、片方違うんだと。だけどこれは違わないんだというのが先ほどの竹岡官房長の御答弁でした、権限の問題に関してですね。私も当然違わないはずだと思いますよ。違わないということであなた方おっしゃってきたので、違うというならばまたもう一度最初からやり直さなきゃいけないんですけれども、それは違わないんですね。
  265. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) それはあなたのおっしゃるのは、九十四条による災害派遣時の権能に触れて言われておったと思うんです、そうでしょう。
  266. 山中郁子

    山中郁子君 田畑さんの質問に関して。
  267. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これだと思うんですよ。それならばこの権能は基本的には私はあると思います。
  268. 山中郁子

    山中郁子君 違うんですよ、大臣ね。田畑さんの質問私引用しましたでしょう。そしてこういうことがいまできるのかということで上野さんとやりとりしましたね。その問題の最初に大臣がそれは後だからできるんだとか前だからできるんだとかってどっちかおっしゃったんですよ。だけど、そういうことに関しては後と前の違いはないんじゃないんですかということ私聞いているんです。
  269. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) それは先ほどの御答弁の中で私はあなたのおっしゃるとおりだと申し上げております。
  270. 山中郁子

    山中郁子君 もう一つ具体的な問題についてお尋ねをいたしますけれども、二十七条です。これは初めに国土庁にお尋ねをいたします。二十七条の「応急公用負担の特例」のところの、項目の中に三項、五項になりますが、これが二十一条との関連が出てくるわけです。それで具体的な中身としましては「協力命令若しくは保管命令を発し、」、前文省略しますけれども「土地、家屋若しくは物資を使用し、若しくは物資を収用し、又はその職員に物資の所在する場所若しくは物資を保管させる場所に立入検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を徴することができる。」と、こうなっているわけですね。これも自衛隊の支援ということにかかわってきますか。二十一条関連で二十七条が出ておりますけれども
  271. 四柳修

    政府委員(四柳修君) たてまえ上は都道府県知事が必要と思ってやることでございまして、自衛隊の支援は想定しておりません。
  272. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、あわせてお伺いしますが、想定するしないというのは、いま想定しないけれども、そのときになったら出てきたということあり得るわけですから、法律の見解として先ほどおっしゃったようにこれはできないことなんだということですか、自衛隊ができない権限なんだと。
  273. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 知事に与えられた権限でございまして、自衛隊に委任することを想定しているものではございません。
  274. 山中郁子

    山中郁子君 それから警職法の関係です。四条、六条の代行ができるというようになっています。これはもともと現在の自衛隊法関連でもって私はこれで現在あるからいいと思っているわけではありませんけれども、だけれども問題意識は持っておりますけれども、少なくともこういう関係だけを同じような立場でやっているんだと、こうおっしゃっていますけれども、ここでひとつちょっと明らかにしておきたいと思っておりますことは、六条の中には「前二条」という言い方でもって五条が入るような理解もできる仕組みになっているんですね。私は法律専門家でないのでわかりませんが、解説書なんかによると、五条も入るんだと、こういう言い方もなきしにもあらずなんです。だけれども、これはそうではないということははっきりしているんですか。それはもしはっきりしているならそのように明言をお願いしたいと思います。
  275. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) なるほど条文上警職法六条では「前二条」と、こう引用しておりますけれども、これは明らかに一方自衛隊法九十四条で引用しておりますのは、警職法の四条だけでございまして、五条は引用しておりません。そこで、したがいまして五条でいうような即時強制の手段、強制立ち入りを正当化するということ、これは自衛隊には警職法五条に関する限りは与えられていないということは明確であると思います。
  276. 山中郁子

    山中郁子君 時間が終わりに近づいていますので、最後に武器の携行の問題について確認をしておきたいと思います。  いままでの議論の中で、それから私が直接防衛庁に伺ったりした経過の中でも、災害出動、このことはこの法案に関して武器は携行しないということは言われているんですが、火器という言い方もされている向きもあるんです。私は、火器だけでなくて武器ですね、銃剣も含めて。そうした武器は携行しないということははっきりしているんですか。もしそうならば、それは何らかの形で国民に明確に約束をされるような措置をとるべきだと思っておりますが、いかがでしょう。
  277. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 現今災害派遣の場合には、これは訓令で必要な場合に火器の携行ができるということが規定されておることは御承知のとおりでございます。地震防災派遣の場合におきましては、やはりその訓令等によりましてそういうそこら辺の事情ははっきりしなければならないと思います。そしてそういう必要性があるかということにつきましては、これは必要性はないと思っております。ただし艦艇とか航空機とか、本来その武器が備えつけられておるもの、これはやはり取り外すというわけにまいりませんので、それはそのままの姿で使用するということにはなりましょうけれども、小銃等々の火器弾薬は、これは支援活動実施する際に必要が生じるとは考えられませんので、その点は明らかにしたいと存じます。  なお災害派遣の場合に武器が携行できるという規定は、これは武器本来の殺傷、強制の手段として使うものではないということは御承知のことと存じます。
  278. 山中郁子

    山中郁子君 武器携行しないということを訓令で明らかにするというお約束でよろしいわけですね。——じゃそれははっきりさせてください。その条件をつけないということがもちろん重要なことだと思います。  それから、あと二、三短時間で質問いたしますけれども、治安出動とは別だと、こうおっしゃっているわけですね、盛んにね。そして災害出動の場合に治安出動の必要が出てくればそれはそれでまた治安出動の部隊が出てくるんだと、こういうお話なんですわ。だけれども相当膨大な自衛隊の派遣が行われるというのが、たとえば提出資料の南関東災害派遣計画では約五万七千五百人の自衛隊が派遣されるようになる。そういう場合に災害派遣で五万七千人どこへどういうふうに出るかは別として、数の水準からいって、それが今度は治安出動に切りかえて、それが一たん帰ってまたどこかから来る。そういうばかみたいなことがあるのかということは私はちょっと疑問に思いますけれども、どういうことなんですか。
  279. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 地域的な大震災で相当の混乱が起こっても日本の優秀な警察がおるわけでございますから、自衛隊が出る治安出動というのはほとんど考えられないと思っております。しかし仮に万一のことがありまして治安出動の総理大臣から下命がありましたならば、災害派遣に当たっておる者は災害救助に当たりますので、当たらない部隊につきましては治安出動して別個の部隊を派遣することもあるであろうと思います。しかし実際上先ほど言いましたように、地域災害におきましての治安出動というのはおよそ考えられないとは思っております。
  280. 山中郁子

    山中郁子君 それがはっきりしないから、それで事実上普通常識的には考えられないような計画としてこういうことが出されていることによって、それがまた結局治安出動と言ってもあなた方が治安の対象にするのはそこにいろんな問題があるわけで、本当に国民の切実な要望である民主的な運動や労働組合運動、そうしたものを想定した形での治安出動、それはいままでの経過からはっきりしているわけなんで、それは先ほど野田委員指摘されておりましたけれども、時間がないので私はその点については深入りはいたしませんが、そこに大きなやはり問題点が出る。幾ら口でおっしゃっても衣の下のよろいが見えるというところだということを指摘をしておきたいと思います。  最後に、先日これは防衛庁にも何回も私は要望いたしまして、これも防衛庁が出された資料の中で、立川や市ケ谷など十の駐とん地に八千名の被災者を収容する計画を立てているということでいろいろ御説明もされています。しかし現実に私は立川の基地へ行って司令官と話をしましたら——南関東災害派遣計画ですね。そうしたら、そうした避難民を、避難する人を入れることは考えてない、実際に入れられないんだと、こういうことだったんです。で、それはうそじゃないかと。八千人の数自体がうんと少ない数だけれども、そういうことで自衛隊の基地に避難する人たちを入れるというふうに言っていて、現場へ行けばもうそれは入れるつもりはない、入れられませんと。そうでしょう。私見てきたって入れられないと思いますよ。あそこはヘリコプター基地になるわけですから。  そういういいかげんなことを言われちゃ困ると言ったら、絶対いいかげんではありませんと、こうおっしゃるから、それじゃ当の駐とん地にそれぞれ八千人の内訳を教えてくれと、こういうことでおたくに要望したんです。そうしたら何と言ってきましたか。結局「それぞれの避難場所、収容人員については、地震により駐とん地等の施設自体が被害を受けることも考えられるので具体的に申し上げかねるが、その時点で使用」云々と言っているんです。だから「具体的に申し上げかねる」と言って言ってこないんですよ。じゃ、立川に一体何人収容するつもりなのか。市ケ谷に何人収容するつもりなのか。八千人という計画を立てたからには一つ一つ積み上げて一応立てたんでしょう。もちろんそのときその場になれば幾らになるかわからないというのはあたりまえです。だけれども、八千人という計画を立てたからには、市ケ谷には何人、立川には何人という計画をつくったから立てたんでしょう。それに対してそれぞれの避難場所、収容人員については答えかねる、出しかねると、こう言っている。やる気がないものを言っているだけじゃないかと言われたって仕方ないでしょう。ちゃんとした具体的な計画です。もちろん事件が起こって、災害が起こって立川に何人入れるようになるかということは、いま百人と予想しててもそれが八十人しか入れなかったということがあるかもしれぬということなら、それはあり得るでしょう。だけど計画があるはずです。計画をきちんと出してください。それをお約束をしていただいて、きょうの質問を終わります。出してくれますね。
  281. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 各駐とん地ごとに一応最小限どのくらい、最大限どのくらいという、そういう形での、アローアンスをとった形での駐とん地の計画というものはございますので、これは後ほど先生のところへ御説明に参りたいと思います。     —————————————
  282. 村田秀三

    委員長村田秀三君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま山中郁子君が委員辞任され、その補欠として小巻敏雄君が選任されました。     —————————————
  283. 青木薪次

    青木薪次君 総理、御苦労さんです。  いよいよこの大震立法がこれで成立することになるわけでありますけれども、今度の法律気象庁長官が直前予知について判断し、総理が警報を出すということに実はなっているわけであります。私は警戒宣言と地震予知情報の問題についてお伺いしたいと思うわけでありますけれども、しからば現実において地震予知の責任官庁は一体どこにあるでしょうか。この点について午前中にもちょっと大臣に触れたわけでありますけれども、この際国政の責任者であります総理にお伺いしたいと思いますけれども地震予知がだんだん進んでくるに従いまして、これからは予知情報の伝達時代を迎えたと言っても差し支えないと思うんであります。したがいまして、緊急事態を告げる地震警報の発令が大震立法の中心であって、このために地震予知の一元化が何よりも必要であります。各省庁の機能を一元化し補完し合うということがぜひ必要だと私は思うんであります。日本の行政機構の中で地震行政を扱う国土庁と建設省の国土地理院、それから運輸省の気象庁など代表的な地震予知の柱のほかに、各省庁が多かれ少なかれ関心を持って地震予知に取り組んでいるわけでありますけれども、これは国家的な重大な事業でありますから相当権威づけられていなければいけないと思うんであります。そして科学的なしかも技術的な裏づけのある、警戒本部長を頂点とする、すなわち総理大臣を頂点とする国の政治と直接結びつくという体制に機構改革をすべきだというように私は考えているわけであります。  後で申し上げますけれども、私は中国のそれと比べ、日本の場合は取り組む姿勢なり体制というものがなっていないというように思うんでありますけれども、総理、いかがお考えでありますか。
  284. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 御所見は私はごもっともだと思うんです。気象庁長官が地震予知につきまして総理大臣に対して報告をする。最後の判断は総理大臣が諸般の情勢を勘案いたしましていたす。特に気象庁長官の報告、それによる震災の激度でありますとか、そういうようなことを見まして、そしてこれは設置すべきものであるかどうかという判断をする。そういうことになるわけでありますが、お説のとおり、これは大変地域住民に対して重大な影響を及ぼす問題でありますから、最終判断を下すには大変慎重でなければならぬし、また同時にその前提としての総理大臣への報告、これも正確を旨としてなされなければならない。そういうふうに思います。  そういうことを考えますと、いま何といたしましても御指摘のようにこれに関係している官庁が非常に多いわけなんです。しかし、さあ、さらばそれを直ちに統合するかと、こういうことを考えてみましても、まだ予知技術、そういうものが余りそう発達しておるというようなわけでもない。そういうことを考えまするときに、この際は関係各省庁の連絡調整、これを密にするということでしばらく推移いたしまして、予知技術の進歩、そういうものと並行いたしましてお話しのようなことを考えてしかるべきじゃないか、そのように考えておるわけであります。
  285. 青木薪次

    青木薪次君 総理はやがて日中平和友好条約の締結のために中国へも訪問することになろうかと思うんであります。中国地震予知関係については、私は日本の水準と比べて進んでいるとかおくれているとかいうことをこの際議論するには時間が足りないと思いますが、日本の地震専門家は三百数十名であります。そのうち二百名が大学の関係者であります。あと百五十名しか実はないのであります。中国ではすでに地震専門家は国家機関としていわゆる地方を集めまして一万人の専門家が実はいるのであります。しかもあそこは法治国家ではございませんけれども、大衆観測人員が十五万人いるわけであります。しかもこれに協力する人が倍以上いるということが言われているのであります。私たちはこのような法律をつくったにいたしましても大変問題点があると言わなきゃならぬのはその体制の問題だ、取り組みの問題だというように考えております。  で、地震予知連絡会国土地理院長の私的諮問機関にすぎません。学術的情報交換及び連絡をする組織にすぎないのであります。東海地域判定会地震予知連絡会の下部機関でありますけれども、これは一つの下部機関にすぎないということを考えてみますと、ただ事務局気象庁国土地理院であるというだけでありまして、科学技術庁は科学技術の基本政策を立案するということであって、これが実質的な地震予知の責任官庁では実はないのであります。また、地震予知推進本部関係行政機関の連絡協議あるいは推進機関にすぎないということになりますと、じゃ気象庁国土地理院は万全かということになってまいります。そういたしますと、気象庁地震のための官庁ではなくて、気象が九割以上仕事で、地象という地震の仕事はサブワークにすぎないということになるのであります。しかも国土地理院は地図をつくる官庁であります。  そういうことになってまいりますと、私は警戒本部長たる総理が警戒宣言を発する前段としてやはり政治的な立場でいろいろ考えることもあるでしょう。むやみやたらにただ官庁から言ってきたから発したりすれば、パニックになって大変なことになってしまう。それから、その時期が短期の推進のために一時間とか二時間とか三時間とかという短期的な情報を出す場合においてはましておいておやだと言わなきゃならぬと思うのであります。  そういう重大な仕事に挑戦できる国家の組織になっていないと私は言いたい。一回マグニチュード8以上の地震が来ますと、いま十万人の死者が日本においては発生するだろうというように言われているのでありますから、この点において国の予知に責任を持って挑戦していくために機構のやはり統廃合を地震関係中心にしてやっていくべきだということを私は申し上げているわけであります。いかが考えますか。
  286. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように、私の承知しておるところでは中国あたりでは相当膨大な予知並びにこれが対策の機構を持っておる、このように聞いておりますが、わが国は機構としては中国や何かに比べますととてもとてもと、こういうような状態でございますが、今回いよいよこのような立法をお願いをする、こういうことになったわけです。まあ私の承知しておるところではまだまだ予知技術、これも満足し得べきような状態ではない。これからますますこれを進めていかなければならない。こういう状態でありまするし、またわが国はとにかく過密都市が多い。そういうことを考えますと、防災それからさらに事後対策、こういうことにつきましてもよほどこれは精進しないとはからざる災害、損害を引き起こす、こういうようなことになりかねない。まあこういう立法ができる機会に思いを新たにいたしまして、この問題を機構上にどういうふうにするか、また予知技術をどういうふうに進めるか、また事前の防災対策をどうするか、それから事後の救済対策をどうするか、各般にわたってこれを進めていかなきゃならぬ、このように考えておる次第でございます。
  287. 青木薪次

    青木薪次君 予算についてお伺いしたいと思います。  この大震立法は予算を伴っておりません。ただ総体の総枠の中で何とかしょうということを書いてあるだけでありまして、いま関東大震災並みの地震が来たら十万人ということを申し上げました。金がかかるというのは、中期情報が、数カ月から何年というような中期情報が出された強化地域に緊急に措置するとか、耐震性の構造物を建てるとか、落橋対策とか、急傾斜地の地すべりや土砂崩壊の防止さくや排水とか、防波堤や防潮堤の建設と河川を遡上する津波対策建築物や施設の耐久不燃化対策、国鉄の新幹線とか、そういったような建築物や施設の耐久不燃化対策でありまして、伊豆地方にはひずみの入ったおんぼろ木造校舎が非常に多いのであります。退避するわけにもまいりません。したがって、そういう避難路や避難地の確保も必要欠くべからざるものでありますから、消防、給水、無線施設整備と防災の緊急的な処置をしなければならぬということになりますと、この法律が予算関連法案として出ておらないという問題点はございますけれども、いずれにしても何を先に優先するかと言えば、人命の救助あるいはまた人の命を守るという、そういうことに重点を置きながら財産も確保する、そうして国土を守るということだろうと思いますので、総理、この東海大地震は必ず来ることになっておるわけでありますから、その点で予算の点についてはどういうようにこれから英断をもって処置するお考えか、御所見を願いたいと思います。
  288. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 地震災害といいますと、地震の揺れに伴う直接の被害もありまするけれども、一番問題は火災の問題だろうと、このように思うんです。そういう際に、どういうふうにいま御指摘のように人命の尊重ということを中心といたしまして事前の防災体制を整えるか。これは東京都のような過密都市になりますと容易なことじゃございませんが、しかし容易なことじゃないと言ってこれをほうっておくわけにはいかない。予知、そういうことにももちろん意を配りまするけれども、さあ地震がありました、その後の対策災害をなるべく少なくするというためにはどうするか。こういうことになりますと、これは地方自治団体ですね、これの御理解、またその背景といたしましては地方地域住民、これの御理解というものが非常に大事だろうと思うのです。地震の恐るべきものであるということについてはこれはかねてPRというか、そういう努力はしておりまするけれども、やはり地方自治団体また地域住民の御理解、これがなければどうにもならない。対策を立てる、それを本当に実のあるものにするためにはどうしても自治団体と地域住民の御理解といいますか、これは絶対必要なんです。  そういう方面につきましても十分心得ますが、そして地方団体また地域住民、この方の御理解のもとにこういうことをしようということになりますれば、それに対する財政上の対策はこれはもうしなければならることだと、このように考えます。
  289. 野田哲

    野田哲君 まず大規模地震対策特別措置法について、これは国民の期待するような内容になっていない。法案全体は総理に対して非常な権限を集中し、国民の権利を制約し、そしてそのために自衛隊法を改正して自衛隊の派遣の道をさらに拡大をしていく。こういう形で管理機能の強化、この点だけが強調されている。こういうふうに私どもは感じておりますことをまず総理に申し上げておきたいと思います。  それで、きょうの審議の中でまず一つ総理に伺いたいのは、防衛庁が作成をした自衛隊の災害派遣計画というのがあるわけですが、その内容を見ると、想定としては東京を中心にした関東地域に大規模地震発生をした、その場合の対応措置が内容になっているわけですが、その中で「VIPの緊急輸送」、こういう項目があって、ヘリコプターを使って宮家や総理大臣を初めとした政府の要員を所定の場所に輸送する、こうなっているわけです。福田総理在任中であればそういうことになるわけですが、そこでこの点について所定の個所とは一体どういう想定をされているんですかと、こういう点を政府委員の方々にいろいろ尋ねたわけでありますが、永田町なりあるいは霞が関の機能が麻痺をする、こういうような状態に至ったときには、何としても最優先は対策本部が最優先であり、その責任者である総理を最優先にして、政府の機能を停滞をさせるわけにはいかないから、その移転先については多摩地区を予定をしている、こういう国土庁の方からのお話があったわけですが、そういうことになると、これは政府機能が永田町、霞が関から多摩町区に移るということになれば、同じ東京都内でありますけれども、言うならば一時的な遷都というようなことにもなるわけですから、事は大変重要なんですが、これはある程度関係各省庁からこの計画は上がっているわけですか、総理の手元に。この点いかがですか。
  290. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私はそういう計画自体があることは大変いいことだと、こういうふうに思いまするけれども、その内容、そういう調査のあること等につきましては私は承知しておりません。
  291. 野田哲

    野田哲君 じゃ、隣におられる櫻内長官はそのやりとりを聞いておられたわけですけれども、あなたの手元では大体そういう構想どの程度煮詰まっているんですか。
  292. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これはもう全く御質問に応じての事務レベルの御回答を申し上げておるので、これはもう壊滅状態になったらどうかという御質問でしたね。それで、その場合に一応多摩地区に考えておるという事務当局の答弁でありました。私の手元にも詳細な計画はまだございません。
  293. 野田哲

    野田哲君 これはまあ政府委員答弁としても、これは地震対策としてのやりとりの中で出されたことなんですから、これはいつ起きるかわからない状態のことですからね。そういう状態の中で多摩地区という問題が出ているんですから、私は単なるペーパープランということであったのではこれはいけないんじゃないか。だから政府としてこれはどういう構想で具体的なものを煮詰めていくのか。こういう見解を持たれなければいけないんじゃないかと思うんですが、その点総理いかがですか。
  294. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは中央防災会議でいろいろ検討いたして、逐次具体的にしておるわけです。たとえば東京都につきましては何地区の人は大地震の後火災が起こる、そういう際にはどの地区へ、どの地点に避難をしたらいいだろうというようなことはいろいろ精細に検討いたしまして、そして地域住民にもそれぞれ通知もしているというようなことでございまするが、いま御設問の防衛庁でどういう検討をしているかということにつきましては、私承知しておりません。
  295. 野田哲

    野田哲君 これは防衛庁じゃないんです、庁の方がそうおっしゃったわけだから。しかし政府委員がここで答えられたことが、長官も総理も、政府の移る場所をおれは聞いてない、こういうことでは、私はこれはどうも少し——どう言いますか、事の扱いが簡単過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うんです。  それから、次に総理に、自衛隊の最高の責任者でもあるし、日本の行政の最高責任者でもありますから、特に今度の大規模地震対策特別措置法が自衛隊の行動範囲を事前にまで拡大をする、こういうことに提案をされているわけですから、この点についてかつて防衛庁の中で計画をされていた事柄について総理の見解を承りたいと思うわけです。  かつて一九六〇年のことでありますけれども地震対策について陸幕の第三部で大震災対策「関東大震災から得た教訓」、こういう項目で対応策が練られております。で、文書になっている内容を簡単に読み上げてみますと、第一は「治安維持に関連する法規体系の完整について」、こういうことで「未曽有の大震災に際し、軍が迅速、適切よく治安の維持を完遂し得た所以は、永年にわたって完整された軍機構の完備、訓練の精到等に起因するものと考えられるが、既に制定されていた戒厳令、衛じゅ令その他治安維持に関連する諸法規及び震災に際し、急遽立法された適切な諸法規に負うところが極めて大である。したがって、この種治安維持に関する諸法規を研究、整備して、平時から逐次これが具現を図るとともに、非常に際し迅速、適切に立法し得るようあらかじめ準備し、」云々と、こうなっているわけです。  二つ目には「国及び地方公共機関の活動について」、「未曽有の大震災を大過なく克服し得た所以は、軍の迅速、かつ、適切な行動によるところが多大であるが、これに呼応する国及び地方公共機関特に警察の活動によるところもまた、尽大である。当時は、全般に国家の地方機関及び一般に対する統制、指導力が強く、また、内務省等の特別な官庁があって機構的にも一般を統制、指導し易い態勢にあったのであるが、将来有事の場合にはこれに倍加する国及び地方公共機関の統制、指導態勢、特に警察及び各都道府県知事、市町村長等の統制指導が必要であることは大東亜戦争の例を見ても明らかである。したがって、これが達成のための施策を平時から逐次整備する必要がある」、こういうふうになっております。  さらに第四項では「警察の活用について」、「今後における国内警備においては、当時に倍加して更に警察の活動にまつべきものが多く、自衛隊はこれを適時適切に支援し活用するにとどまることが多いものと考えられる」、こういうことで、特に警察に期待し、自衛隊がその支援に当たるべき事項として「不穏、騒じょう行動等の探知」、「未然検挙」あるいは「不穏せん動、宣伝者等の検挙及び」「騒じょうの制圧」、「要注意人物の監視」あるいは「集会及び言論の取締」、「新聞、出版物その他の報道機関等取締」、こういうような内容が例記をされているんです。  このことについて防衛庁の方では、これは問題があるのですでに廃棄をいたしました、こういうふうに答えておられるわけですけれども、制服の幹部の中ではこれが文章になり、印刷物になって検討されていたことは間違いない事実なんです。  言わんとしておるところは、まず第一は、治安維持のための立法措置が必要である、こういう点です。二つ目には、知事や市町村長に対してかつての内務省のようにもっと強権を発動するための立法措置が必要である。それから三つ目には、集会等を取り締まり、要注意人物については事前に検挙をし得る体制、あるいは報道の統制、かつての治安維持法のような法体系が必要である、こういうふうに指摘をしているわけなんです。  すでに廃棄をしたと言われるけれども、かつての三矢研究、あるいは内閣調査室でもこの種の有事立法を検討していたことも私は指摘を昨年しているわけであります。こういうふうに非常に危険な傾向が内調あるいは防衛庁で作成をされる。そして指摘をされると廃棄したと言う。また新たな角度からこういう問題がつくられていく。こういう繰り返しがずっと続いているんです。特に今度の場合はかなり大きく自衛隊の行動の範囲を事前にまで拡大をしようとしているだけに、こういう傾向が防衛庁の内部にあるとすればやはり国民としては非常に危険なものを感じるわけなんです。  そういう計画があったこと、検討がされていたことについて総理としての見解を伺いたいと思います。
  296. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま御質問のその研究の結果の内容について私は承知しませんが、ただ関東大震災、これはよく政府として研究する必要があると思うんです。あの際に火災が起こった、その火災でずいぶん人命を失ったということ、それから流言飛語、これでずいぶん社会不安、そういう状態を起こしたこと、私ども身を持って関東大震災を経験しておりまするから、そういうことをしみじみと感じたわけであります。そういうことから言いまして、関係各省が今度地震が起こる、また深刻な火災が起こる、こういう際にどういう処置をとるべきかということは、これは真剣に検討すべきである、検討することは大変いいことであり、これを否定すべきことではない、このように考えます。  ただ、いま関東大震災のときと違いまして、新しい憲法になっているんですから、新しい憲法の体制下におきまして、さて起こったところの被害をどういうふうにするか、対処するか、こういうことにつきましては、これはもう関係各省が本当に真剣に研究をしてもらいたい、このように考えるわけであります。しかし新しい憲法のもとにおいて、これは許される範囲内のものが結論として出てこなければならないと、このように思います。
  297. 野田哲

    野田哲君 当然憲法で許される範囲のことと許されない範囲のことがあるわけですから、その点につきましては十分行政の責任者として意を配ってもらいたいと思います。  先ほどの最後の問題でありますけれども、東京の都心が壊滅的な状態になったときに多摩へという話が政府委員の方からは出たわけですが、総理はこの多摩へというプランが総理の手元へ上がってきたときには、これを是とされる考えですか。いかがですか。
  298. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それはいろいろ前提があるんじゃないでしょうか。政府を多摩に移転するなんというのは、これはよほどの事態であって、かなり長期にわたってその復旧に努力を要する、こういうことで、しかもその災害は大変収拾しがたいというようなとき以外にはちょっと考えられないことでございまするが、普通の災害災害というか、関東大震災、これは大変なことでございましたが、幸いにして総理大臣官邸が焼け残る、こういうことでありますれば私はがんとして総理大臣官邸に残ります。
  299. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは総理に御質問しますけれども、総理は中央防災会議の議長でありますし、また本法案地震対策については警戒本部長になります。したがいまして、防災についてはこれはもう全責任のある立場でいらっしゃるわけですが、今回のこの法案によりましても総理の御判断に万一の誤りがあった場合には重大な責任問題になる、このように考えられます。  そこで、何といっても防災事業というものを国家的な大事業としてこれを最重要視していかなきゃらないじゃないかと、こう思うわけですが、静岡県の山本知事も、地震災害から県民を守るだけでも約三千二百億円の費用がかかる、このように衆議院で意見を述べられてみえます。そのようにこの防災問題につきましては相当な資金を要するわけですが、そこで特にこの法案によりまして将来防災強化地域指定されますそういうところにつきましては、やはり抜本的な対策を立てていかなきゃならないと思うんですが、税制あるいは財政、金融及び人員の配置、あるいは観測の集中、的強化、そういった防災対策の確立が必要とされますが、その点に対する御決意をお伺いしたいと思うんです。
  300. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 警戒地域指定、これは総理大臣防災会議に付してやる、こういうことになりますが、ある地域が警戒地域に正式に指定された、そういうことになりますれば事前の防災対策、これは十分にやらなけりゃならぬ、そのように思います。その事前の防災対策をやるというためには、もちろんそれは人手も要るし金も要るわけです。そういうことについてこれはちゅうちょするわけにはまいりません。これは国の財政のこともありまするし、また地方財政のこともありまするけれども、相協力してできる限りの努力をしなけりゃならぬことである、このように考えております。
  301. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど同僚の青木委員から予知機構の一元化の問題を質問されました。私も一元化の推進を望んでおりますけれども、この地震法案につきましては、地震予知連絡会相当重要な地位を果たしているわけですが、もう一歩予知連絡会の責任と権限がはっきりしない面があるように思うわけです。しかし実際にはこの予知連絡会というのは四十五年の二月六日には特定観測地域等を指定しておりますし、また四十九年二月には東海地方観測強化地域指定するなど、これは政策決定と思われるような行為を実際に行っているわけです。これは科学技術庁の資料によりましても長官の私的諮問機関、このように記載されておりますけれども、事実上は国家行政組織法の第八条に言う審議会を超えている権限を果たしているんじゃないか、このように思うわけです。ですからこの辺で、この新しい地震法ができました段階でもう一度この連絡会議の法的な立場を明確にする必要があるんじゃないか、このように思うんです。その点どうでしょうか。
  302. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 従来予知連絡会におきましていろいろこの問題に取り組んできておるわけです。それで、新立法が発足する、だからこれその立場を明らかにしなけりゃならぬじゃないかという御所見でございますが、私は御所見の気持ちはわかりますが、立場を明らかにしないという、権限を明らかにしないというようなことでありまして、別に私は支障があるという状態じゃないと思うんです。連絡会では一つの腹案をつくる、こういうような性格のものであり、それを受けて中央防災会議でよく審議して、最後には総理大臣が全責任を持って警戒地域にしなけりゃならぬ、こういうことになればそのとおり指定する。こういうので、いずれこの問題は予知技術がもう少し進歩したら機構問題としてよくまた再検討しなけりゃならぬ問題ではなかろうかとは思いまするけれども、現時点では現体制、いま御提案申し上げている体制で支障はないのじゃないかと、このように考えております。
  303. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この予知連絡会の性格あいまいだということがやはり政府の地震対策がばらばら、一元化されてないということをはっきり示している問題じゃないかと思うんです。  それで、この地震予知連絡会というのは会長を除いてこれは各行政機関の職員で構成されておりますし、文字どおり連絡をするわけでございますけれども、その下部機関と先ほど青木さんから話がありましたけれども東海地域判定会ですね。これは判定を出さなきゃなりません。その判定を出すということは、これは相当な権威を持たなきゃならないわけですが、この判定はこれは行政管理庁の公式見解でも述べられておりますように、「合議機関そのものの意思が公の権威をもつて表示」される、これに合致してくるんじゃないかと思うんですね。そうしますと、この判定会会長は民間人でもって充てているわけでありますし、これははっきり先ほども申し上げましたように、連絡会と同じように国家行政組織法第八条から見ても当然にこれは法律上の機関にしなければおかしくなってくるんじゃないかと思うんです。衆議院における総理の答弁にも努力するということが御答弁ありましたけれども、さらにその法的な位置づけについて、権威づけについて明確な答弁をいただきたいと思うんです。
  304. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ちょっと総理の前に。  これは先般来たびたび申し上げておるわけでございますが、東海地域につきましてはこれはマグニチュード程度地震のおそれがある地域ということで、観測強化地域にもなっておりますので、この東海地域判定会はその範囲についてのあらゆるデータをここへ寄せて、そして専門家の方が判定をしようと。しかしその判定は気象庁において受けて、気象庁にも集中的にデータが寄せられておるのでありますから、気象庁が責任を負う。しかしあらゆる角度から本当に自由に意見を述べて判定をしようと、こういうことでありますために、何かいまの御意見では行政機構の一つにと、こういうのでありますが、いろいろ検討をしてみたがそれにはちょっとなじまないのではないかというので、特別な東海地域判定会ということになっておるので、ひとつ御了承おき願いたいと思います。
  305. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし行管庁の見解では「国家行政組織法第八条にいう審議会といわゆる懇談会との差異は、審議会にあっては、合議機関そのものの意思が公の権威をもつて表示」されると。これに該当するんじゃないですか。懇談会というのは「合議機関としての意思が表明されることなく、出席者の意見が表明されるにとどまるところにあります。」と、こういう差異をはっきりとここで示しているわけですね。ですから、この判定会で判定を出された時点で、それが気象庁長官を通して総理大臣のところまで来たところで、もう総理大臣が警戒宣言を出すような事態になっていると私は理解するわけですけども、それくらいに大きな政策決定をするまでのこういう判定を出すわけでございますから、その点は明確に法的な位置づけをすべきだと私は思うんですが、いかがですか。
  306. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変恐縮ですが、私から申し上げますが、これは法的には気象業務法によるわけですね。したがって、判定についてはそれぞれの立場で自由に判断をする、それが最終的に一切を気象庁へ集中して、そうして気象庁の長官がそれに基づいて総理へ意見を述べる、それで総理の最終的判断を仰ぐ。こういうことですから、判定会が結論と、こういうことでないから、行管の方の御意見は御意見として、どうもちょっと私は行管の御意見の際おりませんでしたから、ちょっとその行管の真意を把握しかねますけども、そういうことでございます。
  307. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ちょっと納得できませんが、時間もありませんので次に進みますが、防災対策も必要ですが、やはりこの法律の成立に伴いまして防災訓練の推進ということが必要になってくると思います。計画そして訓練ということですが、その防災訓練のことにつきましては、せんだっては国土庁長官から、いままで地方自治体でそういうことを考えてきたけども、国も絡んだ一つ防災訓練というものを実施してみたい、こういう意向が表明されましたが、その点どのような計画が立てられていますか。
  308. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 長官の方から御答弁申し上げましたのは、御案内のように災害対策基本法によりまして各地方公共団体は訓練をいたしますけども、いままではどちらかといいますと情報連絡とか、そういう形でございましたが、昨年は静岡県で災害が起きたということを想定しまして、国の出先本部を現地につくるという前提で参加しました。しかしこれから先はもう少し国が各機関を使って参加人員もふやすとか、あるいは国の各省庁も訓練をするならなるべく日にちを合わせるとか、そういう次元で演習訓練を強化したいということで大臣が表明なされたのだと思います。
  309. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 総理大臣、あなたは去る四月二十五日、衆議院の災害対策特別委員会におきまして、副次的なものと言いながらではありますが、自衛隊の防災出動が治安出動の訓練になるのが何が悪いか、国費の効率的使用として好ましいという趣旨のまことにショッキングな発言をされたのであります。そのあなたの要請によって地震がまだ発生していない時点で自衛隊が出動をする、こういう道が本法成立によって開かれることになります。総理がこの法律の成立に寄せられる期待は、防災以上に治安訓練の強化にこそあるのではないですか。その点いかがですか。
  310. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊の防災出動とそれから治安出動はこれはもう全く別個のものです。これは一分の違いも——同一というか、そういうところはないんです。ないんですが、あなたの党のどなたかでしたか、私に対しまして防災出動は治安出動の準備訓練ではないかと、こういうお話ですが、そうじゃないんだ、ないけれども治安出動をする場合の訓練にもなる、こういうふうに申し上げ、それがどこが悪いんでしょうかと、こういうふうに申し上げたわけであります。私のその考え方は私は間違いはないと、このように考えております。
  311. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま津川質問に対する答弁に比してやや慎重な御答弁である点は結構だと思うのでありますが、総理はかつて有事立法の研究に賛成であると、こういうふうに述べられたのでありますが、現にその有事立法は準備され、そうして自衛隊の出動訓練強化策、こういったふうなものが防衛庁によって現に進行させられておるのであります。この場にも列席の防衛庁竹岡官房長は、昨年の十一月、参議院の内閣委員会におきましてわが党の質問に答えて、大災害対策関係の法規の研究というものはわれわれすなわち防衛庁の有事の勉強の出発点にしていく、こういう趣旨答弁をされております。治安訓練強化こそ本法案の重要なねらいであろうという国民の懸念、これはゆえあることだと思うわけです。マスコミ各紙もこの観点からさまざまな意見を発表しております。まことにこれは重大な懸念ではなかろうか。総理はこれを払拭できますか。いかがですか。
  312. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊はそもそも有事の際に備えて存在するわけなんです。事がなければ自衛隊などは必要はないわけなんです。自衛隊が存在するゆえんのものは有事ということが想像されるから、そのために存在するわけです。その自衛隊の最大の存在理由のあるその有事に備えて常時どういうふうに有事出動を効果的にするかということを検討する、これは私は当然自衛隊のしなければならぬことであると、このように考えております。
  313. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 引き続いて、有事においてあるいは今度の災害出動においてこれが治安訓練強化になり、そして治安対策が進められる、こういったふうなことが何が悪いかという姿勢をとり続けられるのでありますが、この防衛庁の研究対象にもなっておる一九二三年のあの関東大震災、この時点では日本陸軍のもとに戒厳令がしかれた。あの経験は私たちに何を教えておるのか。治安維持の名のもとに社会主義者、無政府主義者らが殺害をされ、数万の朝鮮人が虐殺をされるなど軍国体制推進の上の大きなスプリングボールドになりました。その後あの苦い第二次大戦に軍国主義のもとで巻き込まれていった。こういう記憶というのは国民の歴史的記憶としていまもなお生々しいものではありませんか。なし崩しに治安対策強化を進めるということには断じて賛成することはできません。一方で国民が真に国に対して期待をしておる防災、国民の生命、財産の保護、こういった点では木立法はきわめて不十分であります。  第一に、東京を含む南関東を危険地域指定からいまのところ外しておるわけであって、どうするのか、その見通しは不明であります。  二番目には、防災の財政が裏づけにおいて非常に不十分であります。東京の防災拠点と言われる江東の整備計画等もはなはだしい立ちおくれをしておりますが、主として国庫補助がわずか一三・五%だ、こういうようなところに弱点が明確であります。これに対する強化策、対策をお伺いをしたい。  三番目には、政府は提出を約束をしておった防災関係法案を本国会で提出してこないわけでありますが、これば一体どうしたことですか。大災害が起これば直ちに危険を生む大都市のビル等の防災法案は、これは特別立法として提出する約束をされたところであった。ところが、百貨店協会等業界の圧力に屈したのか、いまなお提出されません。伊勢湾台風あるいは震災でゼロメートル地帯では多くの死者が出ておる。この地盤がいまなお沈下しておるのでありますから、地下水くみ上げ規制のための法律案というのはこれは緊急の課題であります。今年提出さるべきものが関係四省庁の調整不調というようなことでのめのめと見送られております。責任を持って立法をお約束することができますか。総理としても、防災会議の議長としても、政治姿勢の問われるところではなかろうか。この点について責任ある御答弁をいただきたい。
  314. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 広範囲にわたる御質問でございまして、私がひとまずお答えするのが適切かと思うんですが、この地震対策の予算についての御懸念がまず述べられておりますが、これはこの席上でしばしば申し上げましたように、強化地域指定があれば地震防災強化計画が作成されるのでありますから、それによりまして事業内容、事業量が確定しますので、関係省庁と図って予算措置を講じてまいりたい。従来も大地震対策として逐次予算を強化してきておることは御承知であろうと思うのであります。  それからビル防災のことについてのお尋ねでありますが、これはすでに技術的な検討を繰り返していただいて二十一回も懇談会や小委員会を開いておる、その御検討を願っておるところから、夏にはその結論を得たいと、こう言っておるので、先般建設委員会におきましてその経緯を申し上げて今国会の提案断念のことを御了解を待ておる次第でございます。  それから地下水の過剰採取に伴う地盤沈下の問題につきましては、これはもう小巻委員と同様に私どもも憂慮しておるところでございまして、せっかく立法化に現在努めておるところで、この国.会に間に合わなかったということは大変残念に思っておる次第でございます。
  315. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 総理いかがですか。
  316. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま国土庁長官からお答えしたとおりでございますが、いまのお話で東京をほったらかしにしておるというようなお話ですが、これはそういう考えじゃないんです。この法律が成立をするというその際に警戒地域、そういう指定を受けるのは駿河湾一帯、それとまた南関東、こういうことになるだろうと、こういうことで、東京という問題、これは非常に重要視しておると、このように御理解願います。
  317. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は地震対策につきましてこの四年間に七回の質問を行い、その中で特に大地震に対する特別措置法の立法化の必要性を指摘してまいりました。本法がおくればせながらも国会に提出されましたことにつきましては率直に評価をいたします。しかし今回の大規模地震対策特別措置法は内容的には今後の施策にかかるものが非常に多うございます。本法を成立さしたことによって地震対策を終えたということではなく、むしろ本法成立を契機に本格的なスタートを切る、こう認識をいたしております。  そこで、以下一括して四点について簡潔に質問をいたしますので、一括してお答えを願いたい。  私は、地震問題は四つのジャンル、すなわち第一は予知体制、第二は情報伝達、第三は防災事業、第四は応急対策に分かれると思います。  そこで、予知体制についてお伺いいたしますが、わが国は御承知のとおり地震国でございまして、地震の起こる可能性のない地域はまず少のうございます。といたしますならば、地震予知につきましては指定された強化地域だけに観測体制を整えるというのではなくて、全国的に観測体制計画的に整備していくべきではないか。そしてそのおそれある地域につきましては逐次強化地域の拡大を図るべきではなかろうかと思います。これに対する総理の御見解と、従来予知研究につきましては地球物理学的な研究が主体になっておりましたけれども、私の質問もいたしたところでございますが、生物の超能力や自然現象等からこれを補完するということについて昭和五十一年度から政府の助成制度が行われております。立体的な予知体制を整えるためにこれらの面についての財政的助成というものが今後必要ではないかと思いますが、いかがでございましょう。  第二は、情報伝達でございます。本年一月の伊豆大島近海地震の際の余震情報におけるパニック、科学技術庁の調査、各新聞社の世論調査など質問してまいりましたが、多く解決しなければならない問題が残されております。今後情報伝達の基本的な研究、特に情報伝達に際しての社会学的な研究をより一属充実させるべきではないかと考えますが、総理の所信を伺います。  第三は、防災対策についてでございます。予知というものは地震対策のいわば枝でございます。その幹はあくまでも建築物の不燃化、耐震化、防災都市づくりといった防災事業であろうと思います。しかし今回の本法には都市防災事業に関して具体的な防災都市づくりの計画が明確には示されておりません。この問題は各省庁にまたがっておりまして、本年度の予算は国全体の無気浮揚策の意味も含めましてそれなりに増額されておりますけれども、仮に来年もしくは再来年に景気が回復したということになりますと、総理のこれまでの本会議、予算委員会等のお言葉によりますと、健全財政、緊縮財政の方向をとるのではないか、こういう考えも浮かび出てくるわけでございます。しかしこの地震対策というものにつきましては、私はその額は確保し続け、かつ漸次増額の方向をたどっていかなければならない問題であると思うのでございますが、総理の御所信を承りたい。  最後に、被災の際の応急措置についてお伺いをいたします。日本都市センターが昭和五十一年に調査しておるところによりますと、関東大震災級の地震が東京を襲った場合、二十三区内における死者五十万一千人、重傷十二万人、中軽傷布は三十万人に達するであろうと推定いたいておりますし、さらに負傷者で放置される者、疫病の発生、凍死等を考慮すれば、死者は百万人を超える可能性があると指摘いたしておるのでございます。四十二万人の負傷者ということは、都内の一年間の救急患者の総数の約倍数でございます。交通が途絶し、さらに社会的混乱が深まっている中で、一年間の救急患者の倍に当たるものが一挙にしてここに発生する。そういうことになりますと、まさに収拾のつかない状態があらわれてくるのではなかろうかと憂えられるわけでございます。そこで、総理の責任において、これらの救急医療体制づくりの検討研究を行うように総理から明確な指示を与えられるおつもりがございますか。あわせまして、国土庁で準備を進めておりますミニ防災拠点づくりに対する総理の格段の御配慮を求めたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。  以上、質問をいたします。
  318. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 柄谷さんが、この立法で終わりじゃないんで、むしろこれが始まりだと、こういうお話ですが、いままでもやっておりますが、これを一つのジャンピングボードというようなことといたしまして、これからが大変だろうと、このように思います。同感でございます。そして、これに関連いたしまして、この問題には四つの段階がある、この考え方も私は同感でございます。  で、予知につきまして補助の制度、財政の措置、そういうものを考えろと、こういうことでございますが、これはこれからいろいろ具体的な問題が出てきましょうが、できる限り財政上の配慮もいたします。  それから、情報につきまして基本的な研究をせい、特に社会学的な研究をせい、こういうお話でございますが、これも全く同感でありますので、そのようなことも十分に検討してまいりたい、このように考えます。  それから、防災のための不燃建築、これはいまかなり熱心にやっているんです。しかしなかなか地域住民の方の意向もあり、また財政上の事情等もある。そういうようなことで、はかばかしいというほどの状態にはなっておりませんけれども計画をずっと進めておりますので、今後はさらにさらにそれを推進をいたす、そのようにいたしたいと存じます。  それから、第四は財政上の問題、こういうお話ですが、この問題、震災の対策の問題を考えますと、これは膨大な資金が要るだろう、このように思うわけでありますが、これは何よりも先に自治団体の理解とそれから地域住民の協力、これが必要になってくるわけです。そういたしませんと、防災計画を立てようといたしましてもそれが実効のある防災計画というものが立たない。これは皆さんの御協力を得なければならぬ問題でありまするが、皆さんの御協力も得、地方団体や地域住民の御理解のもとに実効性のある計画ができるという際におきましては、財政上は優先的にこれを配慮しなければならぬ、そういう重要な問題である、このように考えます。  それから、救急医療体制ですね。このことにつきましてはわが国といたしまして非常に目下大きな問題になっているわけであります。これをいま計画的に救急体制を進めておりますが、地震多発地帯というか、そういうような地帯、特に警戒地帯というそういう指定がある地帯なんかにつきましては、救急医療体制は特別の配慮をしなければならぬ、そういうふうに考える次第であります。
  319. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が制限がございますので、ただいまの四点につきまして今後とも総理及び国土庁長官の善処を強く求めまして質問を終わります。
  320. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  322. 村沢牧

    ○村沢牧君 私は、日本社会党を代表して、ただいままで論議をしてまいりました大規模地震対策特別措置法案に対し、反対の立場で討論をいたします。  地震対策強化はかねてから強く要望されていたところでありますけれども、震災の被害を防止するためには、予知体制の確立、地震関係機関の一元化と充実、予報警報の連絡網の整備、都市防災対策の確立、防災整備事業に対する財政措置の強化などが強く求められております。  ところが、この政府法案の最大の特徴は、総理への権限の集中、自衛隊の事前出動、警察官の予防検挙的な行為、建物、物資等の強制使用など、国民に対しては社会的強制力を強めておる反面、基本的な震災対策、日常的な防災対策についてはきわめて抽象的であり、これでは国民の不安を取り除くことはできないと考える次第であります。  本法案に反対する理由の第一は、地震という動かしがたい名分を表面に、実質的な戒厳令的機能を持った非常事態法としての性格を濃厚に備えていることであります。  自衛隊の事前出動はその特徴的なものであります。自衛隊は七一年三月、地震災害を想定した部隊出動計画を公表しておりますが、その最優先任務は情報の収集、通信網の設定、管理であります。今回の立法によって事前出動した自衛隊の任務を考えてみますると、また先ほど委員会で明らかにされた防衛庁陸幕の「関東大震災から得た教訓」の資料等によっても、それはまさしく治安出動を想定したものであることはどのように言葉を弄してみても否定することはできません。社会秩序の維持という名のもとに治安強化になったり、その訓練になったりすることは災害対策の本旨から全く外れたものであります。  また総理大臣の発する警戒宣言によってとられる地震防災応急計画に基づく指示事項や、空振りに終わっても損失補償をしないという規定は憲法の保障する個人の自由や財産権を制約するおそれがあります。  このように自衛隊の事前出動といい、社会的拘束力の強化、それに違反する者の罰則規定といい、憲法を守り、民主主義を守ろうとする国民の意思に反するものであります。  第二は、地震対策に必要な基本的要素が欠け、現在の震災対策の弱さがそのまま放置をされている点であります。たとえばこの法律の適用される地震マグニチュード程度の大規模地震についてだけであり、さきに起こった伊豆大島近海地震程度地震には適用されず、この法律を適用するための前提条件である観測予知体制強化については抽象的に規定をされているだけであり、観測網の整備、観測予知、測定等を正確に行うための行政機関の一元化、測地学審議会などの建議や具体的な観測施設整備計画についてはほとんど規定をされておらないのであります。  また防災事業についても政令に委任するところが多く、特に緊急の要務とされております都市防災強化についても従来の体制の中での助成措置のみにとどまっております。災害時に際しての国民生活の安全については、全国知事会の要請にもあります物資の流通規制だとか、あるいは物価の規制、金銭債務支払いの延長等についても何ら取り入れられておらないんであります。  以上、私は本法律案の問題点について総括的に申し上げましたが、政府案は震災対策として最も必要な国民生活安定のための抜本的対策を軽視し、自衛隊の事前出動に象徴されておるように、災害対策の本旨を誤り、民主主義と平和に危険を与えるおそれのあるものであります。わが党は震災対策の本旨に立ち返った地震対策法の制定を要求するとともに、羊頭狗肉的な次善の策としての本法案に対し反対をして討論を終わります。
  323. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました大規模地震対策特別措置法案について賛成の意向を示すものであります。  わが国は世界有数の地震国であり、過去幾多の大地震により人的物的に莫大な損失をこうむってまいりました。近年、都市部の近代化とともに、災害要因が著しく増大し、もし大地震発生すれば、火災、爆発、津波などの二次災害は言うに及ばず、公害、社会問題などの三次、四次災害等々想像を絶する大惨事が予想されるのであります。  一方、地震学者専門家の調査報告等によると、日本列島の多くの地域で周期的に大地震発生可能性指摘され、特に東海地方は大地震の空白地帯としてマグニチュード程度の大地震発生指摘されているところであります。そしてその予想災害規模は、関係地方公共団体等の能力をはるかに超過する巨大かつ甚大なることが予想されます。  それに対応するためには、現行の災害対策関係法等に基づく地震防災体制は必ずしも十分ではなく、予知観測体制や警戒救援体制情報伝達体制等の制度的運用などは、地方公共団体のみでは実施不可能の状態であります。そのために、国、地方公共団体、住民及び施設管理者による万全な地震防災体制を確立するために特別立法の制定が急務であります。  すでに本法律案が立案される以前から、関係地域の住民は法制定を待望し、全国知事会も特別立法の早期制定を訴えてきたところであります。このような背景のもと、本法律案が制定される運びとなりましたことは、大きな前進と評価する次第であります。  本法律案成立により強化地域指定された当該地方公共団体が行うべき事業については、国は必要な財政金融及び税制等の措置を講じ、計画の万全実施に責任を持つべきであります。  また論議の中心となりました自衛隊の地震防災派遣については、論議の趣旨を尊重し、関係規則等の整備を行い、治安出動と絶対に混同されないよう各防災計画との整合性を十分に図るべきであります。  また予知観測体制の整備についてはマグニチュード程度まで的確に把握できる体制を早急に確立すべきであります。  最後に、本法案成立による強化地域指定される地域に対し、商業、観光事業等に支障のないよう十分配慮を特に要望し、賛成の討論を終わります。
  324. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、日本共産党を代表して、議題となっている大規模地震対策特別措置法に対し、反対の討論を行うものであります。  大地震による災害から国民の生命と生活を守るためにいま緊急に求められていることは、地震に強い都市づくり、国土づくり、住民の安全優先の防災対策地震予知体制を抜本的に強化することであります。  わが党は一九七二年に大都市防災対策特別措置法の提案を行うなど、一貫してこのための努力をしてきました。  ところが、本法案地震予知を盛り込んだ単独の大地震対策法として従来より一定の改善が見られるものの、危険個所の解消、避難地、避難路の万全な準備、必要な建築物等の耐震、不燃化対策などの緊急に取り組むべき防災事業を進める上でははなはだ不十分なものとなっており、事業の主体となる自治体への財政措置にも見るべきものがありません。  また、本法案の主体となっている緊急時の救急対策についても、従来型の応急対策にとどまり、住民本位の避難体制の確立、消防体制の充実、危険な企業への自治体権限の強化などが保障されておりません。  また、地震予知についてもまだ実用化の段階に至っておらず、地震予知推進体制の一元化や観測体制強化など、今後に問題を残しております。  このように本法案現状に比べて改善はあるとはいうものの、東海地方や東京を初め超過密都市で大震災から国民を守っていく上でははなはだ不十分なものであります。  ところで、本法案の最も重要な問題点は、隊の予知段階における事前出動を認めて、事前の応急対策の中で自衛隊に重要な役割りを持たせたことであります。福田総理は、本日の委員会でこの点につきまして自衛隊の防災出動は治安出動とは別個のものだとしながらも、衆議院での発言、治安出動訓練が何が悪いかと、この点を改めようとはしませんでした。また防衛庁の災害対策を口実にしての有事立法、治安出動強化研究推進に対しても当然だとの態度で答弁を行ったのであります。  これまで自衛隊はあらゆる機会をとらえてさまざまな口実のもとに国民の民主主義的運動弾圧のための治安出動を強化拡大をしようということが図られてきたのでありますが、このことは周知のとおりであり、現に防衛庁は国民を弾圧した関東大震災時の軍の行動の研究を行ってきたのであります。この法案によって自衛隊は都道府県の警戒本部の公式メンバーに加わり、予知段階から警職法に基づく警察官の取り締まり権限の代行が認められるのであります。これは非常事態を想定した有事立法制定という危険な動向とあわせて絶対に見逃すわけにはいきません。現に竹岡防衛庁官房長自身が昨年十一月の本院内閣委員会で「大災害対策における現行法規の不備があるかどうかということも、」防衛庁の「有事の勉強のまず最初の出発点にしていきたい、」と述べているところであります。  このように自衛隊の事前出動条項は大地震対策に名をかりて自衛隊の危険な治安出動準備に道を開くものとしてわが党は断じて容認をすることができないものであります。わが党はこうした条項を本法案に意図的に滑り込ませることに反対し、その削除を強く主張してきましたが、政府・自民党があくまでも固執し続けたのは不当であります。  わが党は、本格的な地震立法を制定し、地震予知観測体制の全国的な強化研究開発の推進を図るとともに、安全優先の震災対策防災のための都市改造、国土改造計画を国の大幅な援助のもとに、住民参加のもとに全面的に実施をすることを強く要求をいたしまして反対討論を終わります。
  325. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております大規模地震対策特別措置法案に対し賛成の討論を行います。  わが国は世界有数の地震国であり、過去幾たびも甚大な被害を受けており、今日もなお東海地方あるいは南関東地方には大規模地震発生する可能性があると指摘されております。しかもこれらの地域は人口が集中し、わが国の政治経済の中心地であって、万一大地震発生した場合、その被害ははかり知れないものがあります。  こうした現実を踏まえ、わが党は、昭和五十年六月十三日、被害を最小限に食いとめ、大規模地震による災害から国民の生命、身体及び財産を守るため、特別措置法を速やかに制定する必要があることを本委員会指摘し、あわせて地震予知と伝達体制の整備、地震防災応急対策と都市改造等の恒久対策の確立を計画的かつ強力に推進すべきことを求めたのであります。  本法の制定が本日に至ったことはむしろ遅きに過ぎる感すらいたします。質疑の中でも指摘したように、本法の成立はこれで地震対策は終わったということではなく、その本格的スタートであると認識すべきであります。  この意味において地震予知体制の整備充実、対策強化地域の拡充、警戒宣言と情報伝達に関する方策と体制の確立、地震防災計画の充実、応急対策と恒久対策の整合性の確保及びこれらを推進する財政上の十分な措置が伴って初めて実効を期すことができるものと信じます。  本法案は時の要請にこたえるものであり、特に地震防災において最も強く求められている指揮系統の一元化や大規模地震に対応する体制の整備等の面で評価するものでありまが、後に決定されるであろう附帯決議を受けて政府が万全の措置を講ずるよう強く求めるものであります。  なお自衛隊の事前派遣問題についてとかく問題とする向きもありますが、その性格や機能等については法案及び質疑を通じて疑義は解明されており、大地震発生した場合の被害と混乱を考えるならば、国民の生命と財産を守るためには警察力だけでは不十分であり、自衛隊の警戒本部長の要請に基づく支援のための出動は当然の必要事項というべきであります。  以上をもって賛成討論を終わります。
  326. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  327. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  大規模地震対策特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  328. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  遠藤要君から発言を求められておりますので、この際これを許します。遠藤要君。
  329. 遠藤要

    ○遠藤要君 私は、ただいま可決されました大規模地震対策特別措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、社会民主連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     大規模地震対策特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、地震対策に遺憾なきを期すべきである。  一、地震予知に関する観測測量研究のための予算及び人員の拡充等地震予知推進体制を整備するとともに、地震防災及び震災対策に関する総合的かつ機能的な行政体制の早期確立に努めること。  二、公共施設の総点検をはじめ建築物の不燃堅牢化等、耐震環境の計画的整備を推進し、とくに避難地、避難路、消防用施設等地震防災緊急施策の早期実現を図るため、関係地方公共団体に対する財政上の措置を講ずること。  三、強化地域指定は、東海地域について早急に指定作業を進めるとともに、南関東をはじめその他の地域についても、検討を進めること。  四、強化地域指定に当たつては、予め地震防災に関し対象地域住民の理解と協力を得るより努めるとともに、当該地域の効果的な地震予知を推進するため、観測測量強化、資料の統一的管理等、その体制の整備に努めること。  五、地震防災計画の策定に当たつては、基本計画中心強化計画、応急計画の一体性を保つよう指導するとともに、各機関、各企業の防災応急対策が円滑かつ的確に実施されるよう、応急計画の整合性の確保に留意すること。  六、警戒宣言を発するに当たつては、迅速な手続の確保に努めるとともに、情報の伝達体制を整備し、正確かつ迅速な情報伝達が行われるよう、その内容、形式等について予め地域住民に徹底を図ること。  七、国民の防災意識の高揚を図るため、地震予知、震災に関する知識の普及、とくに防災訓練及び自主的な防災活動の推進に努め、震災時における社会的混乱を回避すること。   右決議する。  以上でございます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  330. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいま遠藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  331. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、遠藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、櫻内国土庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。櫻内国土庁長官
  332. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま御決議になりました附帯決議につきましてもその趣旨を十分尊重し、今後の運用に万全を期して各位の御期待に沿うようにする所存でございます。  ここに本法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)
  333. 村田秀三

    委員長村田秀三君) なお審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  334. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会