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1978-05-26 第84回国会 参議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十六日(金曜日)    午後一時十一分開会     —————————————    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     長谷川 信君      松本 英一君     志苫  裕君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 遠藤  要君                 村沢  牧君                 太田 淳夫君                 小巻 敏雄君     委 員                 青井 政美君                 金丸 三郎君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 田原 武雄君                 長谷川 信君                 志苫  裕君                 柄谷 道一君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁自然保護        局計画課長    土屋徳之助君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    山村 勝美君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        資源エネルギー        庁公益事業部ガ        ス保安課長    香田  昭君        労働省職業安定        局雇用保険課長  望月 三郎君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防部砂防課長   大工原 潮君        建設省道路局国        道第一課長    多田 宏行君        自治省大臣官房        参事官      千葉  武君        消防庁防災課長  持永 堯民君        日本国有鉄道旅        客局営業課長   佐々木峻一君        日本国有鉄道施        設局土木課長   野沢 太三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (新潟妙高高原町における土砂による被害対  策に関する件)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、松本英一君及び桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として志苫裕君及び長谷川信君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  昨日、当委員会が行いました新潟妙高高原町における土砂による被害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。遠藤要君。
  4. 遠藤要

    遠藤要君 昨二十五日、村田委員長村沢太田小巻の各理事田原柄谷の両委員及び私はは、新潟妙高高原町における土砂災害実情調査してまいりました。なお、長谷川志苫、粕谷の二君が現地参加されて、衆議院災害対策委員会とも日程をともにいたしてまいりました。調査の詳細は、時間の関係もあり、本日の会議録末尾掲載していただくことを委員長にお願いいたしまして、ここではごく簡単に御報告をいたします。  調査日程は、まず妙高高原町役場において、県及び町の災害対策本部から被害概況説明及び地元からの要望を聴取し、続いて被災現場を視察いたしました。  今回の災害は、去る十八日早朝及び昼過ぎの二回にわたり、赤倉山七、八合目付近で大規模な山腹崩壊が発生し、この土砂が折から融雪水とともに土砂流となって白田切川沿い妙高高原町新赤倉地区を襲い、温泉街を一瞬のうちに押し流し、さらに二キロ以上下流国道国鉄路線まで押し寄せ、同地区に多大の被害を与えたのであります。被害の概要は、人的被害が死者十三名に及び、負傷者一名、一般被害につきましても家屋の全半壊が十八むね、鉄道路線崩壊国道橋脚の洗掘、ガスパイプラインの折損、その他広範にわたり多額の被害となったのであります。災害後、県及び町では直ちに災害対策本部を設置し、妙高高原町に災害救助法を適用して救助活動及び復旧に努力されておりますが、道路水道及びパイプラインについては応急復旧がなされたものの、依然として崩壊の危険が残る中で、保養地の町並みには大量の土砂が堆積しており、また国鉄復旧には早くて四カ月を要すると見込まれるなど難航が予想されております。  このような惨事に至った原因につきましては、もともと災害に弱い火山灰土地盤条件ではありますが、林道観光開発あり方等との関連を指摘する向きもあり、地元からも今後徹底的な原因究明とあわせて抜本的な復旧及び防災対策の促進が強く望まれておりました。  いずれにいたしましても、わが国では建設省調査でも土石流、地すべりがけ崩れ等危険個所が十三万カ所存在すると指摘されており、このような災害を繰り返さないために、融雪集中豪雨等に備え、実効ある対策の推進が必要であることを痛感する次第であります。  最後に、この災害により犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、罹災された方々に対して深くお見舞い申し上げ、救助活動等に献身されました自衛隊を初め関係各位に深く感謝の意を表し、とりあえず報告といたします。  以上。
  5. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 先ほど遠藤君から御要望のありました詳細にわたる被害報告書会議録掲載の件につきましては、これを本日の会議録末尾掲載をいたしたいと存じますので、御了承をお願いいたします。     —————————————
  6. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 新潟妙高高原町における土砂による被害対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 志苫裕

    志苫裕君 質問に先立ちまして、この災害で亡くなられた方々被災をされた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げ、対策に当たられた関係者方々感謝をいたします。  倉卒の間の質問の準備でありますので、未整備の点があることはお許しをいただいて、以下若干の質問をいたします。  まず、いまも遠藤理事から報告がありましたが、原因究明についてであります。それぞれ地元でもまた関係当局でも根本的な原因究明の態勢をとっておられると思うんでありますが、いままで言われておるところで食い違いがある点についてそれぞれまず見解を伺いたいと思います。  その山崩れの現場がもろい土質であること、それから融雪水がそれをすべりやすい不安定にしたものであること、これは一致をしておるようでありますが、それから先が新潟大学等を中心にする調査団国有林を所管をする営林局言い分等で少し食い違い、ニュアンス相違があるようであります。すなわち林野庁営林局の方では、第一次で約二十五万立米ぐらいの土が落ちて、それがいわば一種ダムのような状態で持ちこたえていたものがダムが洪水するかのごとく一挙に押し流して、さらに第二次に五万立米ぐらいが落ちて、計三十万トンぐらいのものが流域土地をかっさらって百万立米の土を押し出した、こう言うのであります。ところが、新大調査班では、当初は三万トンぐらいのものが落ちて、いわばそれがダム等で蓄えられて持ち切れなくなって一挙に押し出す、で、周りの流域の土をかっさらって百万立米ぐらいの土になる、こういくうちにいわば雪だるまのように大きくなっていく、さしづめ形容詞が当たるかどうかわかりませんが、新大調査班では雪だるまとでもいいますかね、雪だるまジャンプ説とでもいうような主張をしておりますし、林野庁の方ではダム洪水説とでもいうような説になっておるようでありますが、そしてわけても大きな違いは、新大調査等ではその当該部分を切り開いた林道建設用資材運搬道路お湯を引っ張る引き湯管の埋設というふうな人為的な作為というものがこれを一層崩れやすくした、もろくした、倍加をした、こういうふうに自然災害プラス人為説が重なるわけであり、林野庁はそれをきっぱり否定するという状況になっておるんですが、この点について改めてお伺いをしたいわけです。
  8. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 農林省からお答えを申し上げます。  まず答弁に先立ちまして、今回の災害によりまして犠牲になられました十三名の方々に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、今回の災害被災を受けられた方々に対しましても心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  ただいま志苫先生から今回の災害原因について、特に新潟大学調査団原因調査との相違点について御指摘があったわけでございますが、私ども来週早々建設省関係官、特に専門家によりまして現地調査を行うことを予定しておりますので、この専門家によります原因究明によりましてさらにはっきりしたことがわかろうかと思いますけれども、当面私どもとして考えております今回の災害状況及び原因についてまず御説明をいたしたいと思います。  この災害は今回赤倉山東斜面場所通称郷田原というところでございますけれども、ここで五月の十八日の午前六時二十三分にいまお話しのとおり約二十四万五千立米土砂崩壊をした。で、第二回午後一時四十分に約六万立米、合わせまして三十万五千立米土砂崩落をしたというふうに見ております。この崩落個所は、河床から見まして大体斜面で約百六十メートルぐらいの高さに渡っておりますし、また幅は上部では大体百数十メートル、下の方では二百四十メートルから五十メートルぐらいというような形で土砂崩落しておりまして、また深さも約十メートルから十数メートルまで及んでおります。こういう状態から見まして、確かにこの赤倉山地質等火山性のものでございますし、第四紀火山類からできております地質なので、確かに壊れやすい点は御指摘のとおりでございますけれども、今回の災害状況を見ておりましても、本年は例年に比べまして積雪量が非常に多かった、また五月の半ばごろから急激に気温が上昇いたしまして日中でも二十度を超すような日が続いた、そこで融雪が急激に進みまして融雪水が多量にあり、地下水が異常に増加した、そのための土砂崩壊であるというように考えておるわけでございます。したがいまして、先ほどの崩壊面の深さ、幅等から考えまして、私どもとしては第一回二十四万立米、第二回の崩落で六万立米、こういう合計いたしまして三十万立米程度のものがやはり崩落をした事実ということは間違いないものと考えておる次第でございます。  で、この原因につきましても、基本的には先ほど申し上げましたように、積雪例年よりも非常に多かった、また異常な高温が五月の半ばに続いたということから融雪水地下水になったと、そのために土砂崩落が起きたということで考えているわけでございます。この点につきましては、新潟大学調査団等も恐らく崩壊土量計算等を除きましては基本的には変わりないというふうに見ております。  さらに、この災害に際しまして第二点といたしまして、林道あるいは温泉引き湯パイプ、こういうものが災害を助長したのではないかという御指摘でございますけれども、この林道につきましては昭和四十四年——かつての昭和三十年代に災害が、今回崩落が起きました郷田原から約一キロメートル上流に南地獄谷という個所がございますが、そこの部分で起きました地すべり災害等、これに対処するために工事用道路、これを引いたのでございます。これは四十四年に従来からありました登山道、幅員約一メートルのものでございますが、これを拡幅いたしまして三・六メートルの工事資材運搬道路にしたわけでございます。で、この場所崩壊面から見ますと、ちょうど河床から見まして百四十メートル前後のところでございます。したがいまして、先ほど申し上げました崩壊面河床から見まして百六十メートル程度のことでございますから、上部から見まして約十メートルから二十メートルの程度のところ、そういうところにこの資材運搬道路が設置をされております。また、四十四年にこれが完成いたしまして四十六年ごろから供用をいたしておりまして、過去六、七年すでに安定的に使ってきておりますので、この作業道路自体については私ども余り心配はしていないわけでございます。で、今日の崩落が先ほど申し上げましたように、道路よりも相当下の方が起点になりまして今回の土砂崩落が起きたという点から見まして、この道路切り取りによりまして、たとえば今回の土砂崩落が助長されたというふうにはなかなか考えにくいわけでございます。一般的に道路原因になりまして土砂崩落が起きるというのは、道路建設途上地面切り取り、これが原因になりまして上部土砂が非常に不安定になるというような場合、あるいは道路相当豪雨がございまして、その豪雨がたとえば地下水になりまして地面を非常に不安定にしたというような場合が考えられるわけでございますけれども、この道路状況を見ますと、先ほど申し上げましたように、今回の崩落個所よりも道路自体相当上部にあるということと、同時にこの災害の起きました五月十八日前約一週間は降雨もございませんので、道路原因になったというようには私どもはなかなか考えられないと思っております。  それから第三番目に、温泉引き湯パイプでございますが、これも四十四年の作業道を開設いたしますときに、この地表約六十センチメートルのところに鉄管を置きまして、さらにそれをコンクリートで巻いた形の敷設をいたしております。これも地表から約六十センチのところでございますし、その後約八年余り安定的に使われている。また今回の崩落が十数メートル程度の深いところに起きているというところから見まして、温泉パイプ原因になったというようにも私どもとしては考えにくいんではないか、かように考えております。
  9. 志苫裕

    志苫裕君 どうも余り音が小さいので、ちょっとところどころわからないんですが、いずれにしても建設省あるいは国土庁ども一緒になりまして本格的な調査団はいつから派遣すると言いましたか、来週早々と言っていましたか。
  10. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 二十九日月曜日を予定しております。
  11. 志苫裕

    志苫裕君 二十九日からですね。  それで、いまのお話なんですが、九十万トンも出ちゃったんだから少々のことをしてもこれはしようがなかったんだよという言い分というのがあらゆるところにあるわけですが、そのもとがたとえば三十万トンが九十万トンを道連れにしたのか、三万トンでもあの程度のものを道連れにするのか、これは一つの見方としては大事な点になってくるわけであります。後ほど聞きますが、あと一万五千トンあやふやなのがまだ残っておるということにもなるわけで、流域にはまだ定着をしない土砂というのが何万トンかあるわけでありますから、残りの一万トンなり一万五千トンが崩落をして、あの流域に残っているぐちゃぐちゃした土地道連れにしていけば、相当のものをまだ押し出すという可能性も持つわけでありますので、ここのところを、一つはどれぐらいのものが引き金になったんだろうかという点が一つ大事な点で、聞いておるわけであります。  それからもう一つは、林野庁お話ですと、お湯を引っ張るとか、道を切るとかという、そういう人為を加えたことは大した理由になっておらないということの説明なのでありますが、私は素人ですから、そうなるとどっちの専門家の話を聞いてももっとものような気がするんですが、じゃついでにちょっと環境庁おいででしょうかな——おいででしたね。聞くところによりますと、昭和五十年の十一月に上信越高原国立公園規制地域見直し作業の資料として、あの付近の学者に、あるいは研究者妙高山地質調査を依頼をされて、その五十年十一月に報告書が出ておる。その報告書の中身には、実は今度の災害原因にストレートにかかわりがあるような警鐘を鳴らした報告が出ておるとも聞いておるわけでありまして、その報告がどういうものであるのか。  それから、環境庁はあそこで長いこと問題になっておりましたいわゆる妙高山有料道路建設に対して、自然破壊並びに災害未然防止という視点を含めてノーという方針をとっておられた。そうしますと、そのような道路開設等人為を加えることが災害の呼び水になるという視点を国の役所である環境庁は持っておられたわけであります。事前にはそういう音を出しておったが、災害の後では何も音は出しておらないけれどもね。以上の点について、ちょっと環境庁からお聞かせ願いたい。
  12. 土屋徳之助

    説明員土屋徳之助君) 後の方の分について先にお答えをさせていただきますが、妙高有料道路建設につきまして環境庁見解はどうだったのかということでございますが、当時、自然環境保全審議会の意見を聞きましてやっておりました。この道路先生も御承知のように大変雄大な、そしてまた端麗な山容を持つ妙高山の中腹にかかるわけでございます。このために風致景観に与える影響が非常に大きいのではないかということが予想されまして、また、これに対する代替案というものを見出せなかったために、この計画を中止することが適当だろうと、こういうふうに判断をいたしております。  それから二番目の、最初お話でございますが、私ども確かに妙高戸隠地区妙高池区についての見直しをいたしておりますが、現在先生のおっしゃった報告書については来ておりません。私ども聞いておりません。
  13. 志苫裕

    志苫裕君 そうすると、これは新潟県に出されておるようでありますが、その報告書はそれを報ずる新聞によりますと、妙高赤倉山などの斜面やそれらの谷沿い地区で地形や表層部を改変すると、降水の浸透などで地すべり土砂崩れなどの危険が増大をするということを指摘し、それから今度は下流の方でありますが、谷沿い地域はこれら災害被災地になりやすいので、この上部人為を加えないこと、下流地域一種谷底だから、川の底だから気をつけるようにという、いわば警鐘が出されておるということのようであります。地元やそれらでやっぱり土質が悪くて雪が降って解けたりしますと、緩んで不安定になるということはよく知っている。それをさらに手を加えたりすれば、それが増幅をされるんじゃないだろうかというのは、むしろ自然の考えであって、林野庁のようにそんなものは全然影響がないのだと言ってがんばる方がむしろ不自然なんじゃないでしょうか。これは今後のこともありますので、いままで道路を切ったのがいい悪いじゃない、これからも人為を加えようということだって起こり得るわけでありまして、今度のものを教訓にするとすれば、やっぱり危険の一因になったのであれば、なったというふうにしておく方が将来のために万全だ、こう思う。いかがですか。
  14. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいま御指摘環境庁の委託の調査団報告は私どもも承知しておりませんので、早急にそれを取り寄せまして検討いたしたいと考えております。  いま御指摘の問題でございますが、確かに妙高山一帯はそういう地質的な問題のあるところかもしれませんけれども、今回災害の起きました地域は過去におきましても災害の記録もございませんし、私どもとしてはその上部南地獄谷一帯につきましては過去にも災害がありましたことから防災計画を立てまして逐次整備を図ってきたという現状でございますので、今回の郷田原災害の起きました地区につきましては、今後専門家調査を待ちまして十分原因究明いたしますとともに、今後の対策も考えたい、かように考えております。
  15. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、もうちょっとお待ちください、まとめて聞きますから。もうしばらく事務的なやりとりを聞いておってくださいよ、あなたに最後にまとめて聞くんですから。  今後の危険性のことについて次に入りますが、林野庁現地でのお話ですと、一万五千トンぐらいが少し危なっかしい形でまだある。当初警戒を払っておったが崩壊のテンポがずっとのろくなってきたので、当分危険はないだろう。しかし、万一のことを考えて警戒体制は怠らない、こういうのが林野庁お話でありますし、一方、新潟大学調査団の方はまだ可能性のある大量の土砂があって、融雪水はもちろんのこと、集中豪雨等崩落をして下流に不安定な状態で残っておる土砂約二万立米玉突き状態で押し出す危険性が大きいということを指摘をしておるわけであります。同じことを言うておるのかもしれぬが、ニュアンスでは林野庁の言うのはもう余り危険はないよというふうに聞こえるし、地元の大学の調査団は危いよと言っておるわけですね。この点はどうですか、ひとつ簡単に済みませんが……。
  16. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいまの不安定土壌につきましては、私どもも大体一万五千立米ぐらいまだ不安定な土壌が残っていると思いますけれども現状ではまだなだれ等によりまして、まだ現地に入って工事をするというような状況にはなりませんので、来週初めに調査団を出しまして、早急に原因究明等対策を立てたい。したがいまして、非常に今後大量の融雪水あるいは豪雨等がありました場合に、その不安定土壌崩壊をしない可能性はないということは私どもも否定はいたしておりませんので、早急に対策を立てまして下流方々関係住民方々の不安をなくしたいというふうに考えております。
  17. 志苫裕

    志苫裕君 実は、その点は建設省なりあるいは県が河川の改修をするにしても、国鉄が架橋をするにしても、実は当面のその危険性、第三次とも言われる土砂崩壊というものがあるのかないのかということは、これは命がけのことになるわけでありまして、中入っとってやっとったらわあっときたというんじゃ、これはまあたまりませんから、そういう意味ではその辺のめどを立てるという作業は非常に大事な作業だと思います。特に、これから雨の降るいやな季節に入りますし、あの辺の雨量がどんなもんか私よくわかりませんが、新潟はときどきとんでもないときにとんでもない雨降ったりする場所でありますので、そういう点についてもひとつ十分な構えをお願いをしておきたいと思うわけですが……。  そこで、原因究明といい、いま残っておるものを含めての今後の危険性といい、実はこれから本腰を入れていかなければならぬのでありますが、長官、これは建設大臣としてでもかかわりがあるんですが、実はほかの問題にも絡むんでありますが、今度の災害現場に一、二回足運びまして、起きた場所は、これは林野庁場所なんです。被害を受けたのは建設省であり、何々だという、同じ役所の間でも加害者被害者がおるような、そういう印象をところどころで受けました。これは、原因究明はもちろんのこと、対策の面でもおれの方はおれのところだけやる。他との整合性というようなものは余りないというふうなことになっても困るわけでありますが、この原因究明体制の一元化とでも言うんでしょうかね、あらゆる機関が総合をして原因究明をする。後ほど質問をいたしますが、それに基づく各省庁整合性のある対策を立てるというこの取りまとめは当然国土庁が当たるべきではないか、こう思いますが、長官、いかがですか。
  18. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 最初に一言、本委員会が早速御調査をいただきまして、熱心に御討議をいただくことに心から感謝の意を表します。また、このたびの災害による亡くなられた方々に対し心から弔意を表しまして、被災者の方に謹んでお見舞いを申し上げる次第でございます。  ただいまお尋ねの件は、これはもうごもっともなことでございまして、先ほどからの御答弁にありますように、来週には専門調査団を派遣しよう——これはもちろん関係省庁が一団となって参るものでございまして、すでに各省から参りました被災状況調査関係各省庁から参っておるわけで、御心配のような各省単独ということでなく、できるだけ総合的に調査もするし対策も立てようということは、これは当然なことであり、またそのように心がけておる次第でございます。こういう災害につきましては中央防災会議中心に、また災害基本法の運用によって臨んでおる次第でございますので、ただいまの御質問の御趣旨に沿ってこれからも各省ばらばらにならないよう、鋭意努めてまいる考えでございます。
  19. 志苫裕

    志苫裕君 次に、各省庁に細々とお尋ねしたいんですが、ちょっと後回しにしまして、   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 これは長官お答えになるんですか、どこか適当なところがありましたら、むしろ建設大臣としてのお答えの方がよろしいかもしれませんが、まあ原因究明が来週早々基本的に行われる。で、応急の復旧はともかくとして、基本的な抜本的な復旧がこれからあらゆる分野において講じられるわけでありますが、実はそのものずばり申し上げますと、まあこの種の土砂崩壊などというものは人為、人間の手を超えるでかい自然の営みであって、無理にこれ支えようったってなかなかだめなんだと、こういうもう崩落は避けがたい、まあ落ちたものをどうやって安全に誘導するとか、あるいはその食いとめる分だけ食いとめる、それでもだめなら危ないところには住まぬことだという考え方も基本にはあると思うんです。実は三年前に出されておるその報告書というのは、一口に言うと、山地の崩壊、非常に危険性の、危ないところでもあるし、新赤倉というのは故事淵源をたどればあれは大きい川だ、全体が川なのであって危ないんだと言うているわけですね。  こういうことを基本に置いて復旧を考えると、新赤倉からの退却というところまで考えつくわけでありますね。危ないところにおるなと、そういうことを基本に置いて対策を考えるというところまで一つ復旧の方針が、一つそういう立場がある。率直に言いまして、地元では新赤倉からの退却という方向にいくことを恐れています。言ってはいませんけどもね。これはまあ当面のことも考えますから、それは恐れている。こういう点について、長官、どうでしょうね。あそこの地形、土質、形状、それに講じられるさまざまな対策というようなものを総合的に考えると、一体あすこの基本的な復旧対策とか災害対策というのはどっちの方に向きが据わるんだろうかという点について何か考えありますか。
  20. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 結論の方から申し上げますと、やはりこれは各角度からの専門的な検討、そしてそれの総合的な判断というものが必要ではないかと思うのであります。志苫委員のおっしゃるように、自然災害の大きな作用というものを考えましたときには、そういうところには近寄らぬ方がいいという、そういう考え方も当然出ると思います。しかし、日本の国土全体が、まあ大まかに言って、非常に弱い地質を持っておるということは、われわれに与えられた宿命でございまして、それに対して科学技術の上でいかに対応していくかと。鋭意人間の知恵を総合して、まあ言葉は悪うございますが、そういう自然と闘ってき、解決をしてきたのではないかと。しかし、今回のような災害があります場合に、果たして今後どうやってそういう災害に対していくのかと。これはかかって専門的な知識を要すると思いますので、にわかに退却がいいと言えるかどうか。あの土地におられて、そしてこのレクリエーションの上にひとつ役立っていこうという方、あるいは農業、林業に従事しておられる方がおられますから、この辺はもう一つ専門的な調査の上に立って、本当にだれが見ても危険だというときにそれを看過するのもいかがかと思いますが、結論はやはりいま出しにくいかと思います。
  21. 志苫裕

    志苫裕君 あすこの白田切川は真ん中から天井が林野庁の所管と、そこから下が一級河川で県の管理、一つの川を二人で所管をしておるわけでありますが、上下流合わせて、これは林野庁からでいいんでありますが、いまの建設大臣の答弁などを受けて考えるに、あの形状で土石流はダム等で制御できる、あるいはより安全に流下させる手段は可能である、こう御答弁できますか。
  22. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 私ども妙高山全体につきましてまだ御指摘のような問題もあろうかと思いますので、来週出ます調査団のは、もっぱら崩落原因というものと、それからこれに伴います応急対策といいますか、緊急対策をまず主体に考えると、その結果を持ちましてまた関係省、国土庁あるいは建設省とも御相談でございますけれども、できますれば妙高山、あの辺一帯につきましてもう少し抜本的な恒久的な調査をやる必要があるのではないかというようなことも考えておりますが、これはいずれにいたしましても、来週参ります調査団の結論等を見まして考えたいと思っております。現段階では私たちまだ従来の経験をもってすれば大丈夫だと考えておりますけれども、この先の問題につきましては、今回の崩落を機会にいたしまして抜本的にもう少し長い目で考えてみたいと、かように考えております。
  23. 志苫裕

    志苫裕君 建設省の所管の方、いま林野庁お話がありましたが、あの白田切川の災害復旧は当然改良復旧ということを考えるんだと思うんでありますが、そうなった場合に、どのように、どう改良するかはわかりませんが、いま問題になっておる土石流をダム等で完全に制御する、あるいはまあ落ちてきても安全に流下させる手段をとる、こういうサイドを全部盛り込んだ視点をちゃんと入れて改良復旧を考えるということになりますね。建設省の方どうぞ。
  24. 大工原潮

    説明員大工原潮君) お答え申し上げます。林野庁所管の国有林地内から下流対策につきましては、四十六年の災害がございました、あの災害の規模を想定いたしまして計画的に今日まで実施してきたわけでございます。で、下流河川等につきましては防災課長の方からお答えいただきますが、砂防対策といたしましては堰堤を四基あの地域に設置するという計画をもちまして、最後の堰堤が現在工事中で実施中であるという状況でございます。まあ今回の災害に対応いたしまして緊急に、直ちに現在工事中のものは早く仕上げよう。それから、さらに上流におきまして、緊急砂防事業等で堰堤を施工するようなことを現在検討中でございまして、さらに、恒久対策等につきましては、いま農林省の方からお答えになりましたように、調査の結果を待ちまして、われわれ常に林野庁関係の事業と、それから建設省の砂防事業との間におきまして毎年地方調整会議というふうなものをもちまして、現地の事業調整を行っておりますし、それから、中央におきましても相互の事業を調整するというふうな調整会議を持っております。そのような事業調整を十分行いまして、さらに、下流河川対策につきましても、十分調整を行って再度災害防止のための対策を、調査の結果を踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  25. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 砂防堰堤の下流部分から災害復旧の区域になるわけでございますが、当該区域は四十六年の土石流が発生いたしましたときに約二千五百メーターの区間は一定災で処置をいたしたわけでございます。その計画の規模といたしましては、比流量で申しますと大体二十五という量になっております。その二十五という量はどういう断面かと申しますと、雨だけに換算いたしますと、時間雨量で百ミリをかなり超えるような量でございます。ですから、断面としてはあの辺といたしましてはかなりな断面にとってあるわけでございます。今回の量を見ますと、大体この断面の五割増しから倍近いような土石流が出たようでございます。目下その量につきましては県に調査を指示いたしておるところでございます。そのような非常にかなり大きな断面をとっておりまして、現在のこの跡を見てみますと、当時一定災でやりました護岸はほとんど壊れておらない。それから、河床につきましても、今回出た量はほとんど全部流出しております。そうして全部外の方にある、あるいは下流に流れちまっておるというふうなことで川の中にはほとんどないという現状にございます。あの深沢川の合流点の近所からもとの白田切川の方がかなり掘削をいたしまして、掘削というか、掘れまして、川が少しアンバランスになった状態になっておるわけでございます。先ほど先生お話しのとおり、いろいろな問題があるわけでございますので、私どもといたしましては、そういういろんな問題の結論を待ちまして、どのような復旧をするのか、あるいはどういうふうに処置するのかというふうなことを検討してまいりたいというふうに考えております。
  26. 志苫裕

    志苫裕君 話のついでですから、防災課長あれですか、いまの深沢川と、従来どちらかというと深沢川の方が本流で、白田切川の方が水の量から言うと支流みたいな形になっておりましたところが、真っすぐ突き破って鉄道の土手を崩すという形になったわけですが、これから改良復旧を考える場合には、本流、支流の関係が変わりましょうか。
  27. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 今回の土石流を見ますと、真っすぐに流れる、要するに曲がるようなこういうカーブ、こういうふうに曲がって流れるというようなかっこうにはなっておらぬわけでございますので、やはりそういうふうな点は考えなきゃいけないんではないかというふうに考えておりますが、下流の方は、断面としては十分な断面があるわけでございます。
  28. 志苫裕

    志苫裕君 十分な断面はあるが、押し切っていったわけですが、ただ痛しかゆしでありまして、真っすぐ切っちゃうと、今度あの深沢川の方の用水問題等が全部また新しく生じてきたりするというふうな問題等もありますので、ちょっとその辺をお伺いしてみたわけでありますが、一応断面としては従来のままでもよろしい、深沢川の方を主として水を通すという考え方でよろしいわけですか。
  29. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  今回の状態を見ますと、深沢川の方へは流れにくいのでございまして、真っすぐ土石流としては行ってしまう。あの辺に参りますと、もうエネルギーのかたまりといったような感じでございまして、水流といったような感じございませんので、やはりそういう流れの仕方としましては、やはり先生仰せのとおり、真っすぐ流れるような方向になるのではないかというふうに思います。  なお、あの辺としましては、いわゆる真っすぐの方の本流と申しますか、そちらの方はいわゆる水の関係などはほとんどないわけでございまして、深沢川の方がやはり両周辺たんぼになっておりまして、非常に水が要るわけでございます。両方の川の水を合わせて深沢川の方で取水をしてたんぼに供給しておったという現状ではなかろうかと思います。  復旧に際しましては、やはりそういうふうな水利の問題がございますので、関係方面とよく相談をいたしまして考えてまいりたいというふうに考えております。
  30. 志苫裕

    志苫裕君 その点はぜひひとつ前述の用水の調整等との絡みで、この際ついでですから要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、あれでしょうか、国土庁さん、救助法で適用できる救助の種類はどんなものになりますか。逆に言うと適用にならないかなと思われる救助の種類はどんなものがありますか。
  31. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 本来厚生省の方がお答えする問題かもしれませんけれども、ちょうど担当の課長が来ておりませんものですから、かわってお答えしますけれども、今回の場合には、最初の住家の被害の戸数によりますと直接対象になりませんけれども、田切と新赤倉の地区に避難命令を出しました。避難命令を出しましたことによりまして一応危険が迫ったことによる対応としましての救助法の適用事項に該当いたしますものですから、そこで発災のときにさかのぼって救助法が適用された形になりました。  具体的には、被災者の退避所におきます給食、寝具等の貸与なり、あるいはその他救恤品の支給なり、そういったことが救助法の範囲で行われると思いますが、昨日御案内のように、新赤倉の地区はなお避難命令が解除になっておりませんけれども、現実には上の体育館等には本来おいでの方が親類のうちに皆さんおいでになっておりまして、実は昼間はほとんどおられないと。こういう状況でございますものですから、それらの状況等を見ながら先ほども申しました各種の対策が救助法の事業としてとられております。  なお、救助法には直接関係ございませんが、今回お亡くなりになりました方々につきましては御案内の災害の弔慰金の支給の対象になろうかと思います。
  32. 志苫裕

    志苫裕君 あの辺は特に別荘地だというような、個人のうちとはちょっと違うような、新赤倉の地域はそういうのがあって、救助法で十項目でしたか、何か項目がありましたね、救助の種類。そのうちで適用されない項目が出てくるのではないかという心配も一部にはあるんですが、たとえば特定の項目でこれはあの地域状況から見て適用にならぬだろうというようなものはありませんね。
  33. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 具体的には個々の被災者の方々の御要望を詰めてみなければわからないと思いますけれども、いま先生指摘のように、たとえば応急仮設住宅をつくるかどうかというような問題になりますと、御案内のように、被災者の大部分方々が御自分のお宅ではなくて、実は会社の寮の管理をなさっている方でございますから、当然そこら辺はむしろ会社の方で寮の復旧計画をどうなさるかということのお考えが決まりませんと、それぞれの方がどこに住居を構えるのかということは決まりませんものですから、いまのところ先生おっしゃるように、どの項目が外れるかということにつきましてはちょっと申し上げかねると思います。
  34. 志苫裕

    志苫裕君 大臣、これは前から懸案の問題でもあり、この災害対策委員会でも小委員会で検討中のものでありますが、激甚法の適用は赤倉、今度の災害には無理だと言われています。しかし、行って見れば、そこは激甚なわけでありますね。そこは激甚だが法の適用を受けるほど全般的には激甚でないという問題に今回またもぶつかるわけでありますが、そういう局部についての激甚法の適用というものについて何かお考えはございませんか。
  35. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 技術的な問題があろうと思います。かわって御答弁申し上げますけれども、いま御発言にもございましたように、妙高高原町の、どちらかと言いますと新赤倉地区だけでございます。ですから、もちろん激甚法の全区部激甚は当然対象にならないと思います。  それから、いわゆる局地激甚でございますけれども、御承知のように、公共土木施設あるいは農林関係被害が、当該町におきまして、当該町の財政力なり、あるいは農民の所得等から比較しまして、ある一定水準以上になりますと該当することになろうかと思いますけれども、私ども詳細は県、町からその数字を伺いまして、あるいは査定の状況等を見ませんと答えは出しにくいかと思いますけれども、現在まで聞いている範囲ですと、どうも公共施設の被害というものがその水準にはちょっと不足するのではないだろうかと、こういうふうに理解しております。
  36. 志苫裕

    志苫裕君 いま恐らくそういうことであろうというので、まだ数字も出てませんし、聞くところによると三十億ぐらいかなというふうな報告もあったりするものですから、これはいまの法律があるうちは無理だと思うけれども、ただ法の適用がまるまる無理にしても、いろいろな工夫でそのめんどうが見られないかどうか。これはいま私も数字は持っていませんし、どこがどうというのがないので漠然ときょうお伺いしたにとどめておきます。  以下、各省庁ごとに少しお伺いいたしますが、林野庁さん、あれですか。そこで、抜本的な体制のことは先ほど報告がありましたし、で、しばらく監視体制を続ける。しかし、将来もこれは監視体制を続けていくことになると、今度の場合でも私よくわかりませんが、地すべり地区なんかで非常に危ない地区は、何とかという機械を備えつけておきまして、土地が動くと通報が来るような、そういう監視のシステムがございますけれども林野庁の管内で、林野庁が責任を持って監視から一切おやりになっているわけでありますから、将来のことにもなりますが、恒久的な監視システムとでも言うのですかね。ああいう地形から考えて将来の恒久対策の中に恐らく入り込むと思うのでありますけれども、そういうものについてはお考えございますか。
  37. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいまの問題につきましては、現在の監視体制は、やはりいま来週参ります調査によりまして応急対策的なもの、あるいはそういうものが一応整いまして、地元方々にも御心配がないというような状況が続くまではやはり必要かと思っております。それを機械に変えるかどうか、あるいは全般的にあの地区につきましてそういう体制をとるかどうかというのは、今後の調査結果を待ちまして検討いたしたいと考えております。
  38. 志苫裕

    志苫裕君 ですけれども、それでいいのですが、今度の場合で、皆さんやはりあれはよく夜中のことだからわかりませんけれども、あの崩落現場からどうも真夜中ごろにあれは崩れたのではないか。それがどこかで蓄えられておりまして、ここで大変なエネルギーをつくって下へごうっと行ったということのようで、それの時間的な関係というのは、林野庁の考えも、あの地元新大調査でも、どこにどう蓄えるだとか、大体その辺は相違がない。もし崩落現場にそういう地すべり警報装置のようなものがありまして、夜中にでもそういうものが知らされていればとっとと逃げておりまして、今度の人身被害等は出なかったというふうにも考えられると、手抜かりだったんじゃないかなという気もするんです。それだけに土質から見てあちこち崩れて不思議のない場所なんでありますから、これは崩れるなと言うことの方が無理な地質であり、地形なわけでありますから、そうすると、いま言った、私の提起したのはむしろ積極的にそういうものはそういうシステムを設置するということで考えてよろしいわけですか。
  39. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 今回の崩落場所は過去記録上も土砂崩落等がなかった地区でございまして、私どもも危険地区とは予想してなかった地区でございまして、したがいまして、危険の可能性のない地区にあらかじめそういう予知のためのいろんな器具を入れるというところまでは想定はしていなかったわけでございます。ただ、今回の問題がございましたので、今後あの地区一般につきまして必要に応じましては抜本的な調査もしなければいけないというように考えておりますので、その段階におきまして必要があれば先生の御指摘の問題も十分考慮していきたいというように考えております。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひそれは要望いたしておきます。  環境庁、あそこのお湯の出ているもと、あれ泉源と言うんですかな、源泉と言うんですか、お湯の出ている場所ですね。今度の場合はあそこから出たお湯妙高温泉土地株式会社というのがあそこへお湯を引っ張りまして、そしてあの辺の池の平、赤倉、妙高、あちらの方へお湯を配給をしておるわけであります。そこで私は先ほど、今後の防災上ひょっとすると新赤倉が廃村になるかもしれないという危惧を地元が持っておるという話を申し上げましたが、同じようにあそこからお湯をとることも、これから抜本対策としてお湯をとるにしてもどんなとり方をするかということも含めて検討になっていくわけであります。何でも管轄は、お湯を引っ張るのはおたくの方なんだそうなんで、どういうお湯の引っ張り方をするかというのにも、前のあの道路に敷設するときにも意見があって、ブリッジにしたらどうかとか、こういうどうも意見があったらしいですね。今度これから泉源からお湯を引っ張る場合にどういうことを注意をすべきなのかということが一つと、それからいま申し上げた妙高温泉土地株式会社というのは何でも細々とした経営をしておる会社らしくて、今度ざっと見積もってお湯を引っ張るにはどうも二千万以上の経費がかかるらしいと。あの会社はどうも二千万なんて金は出そうもないような会社で、おれはいやだなんて言おうものなら、あの辺はもうお湯が上がったりになるという心配もしておるわけですが、そういう会社に対するてこ入れの問題、それから泉源からのお湯の引き方の問題、こういうことで環境庁の御意見はどうでしょうか。
  41. 土屋徳之助

    説明員土屋徳之助君) お湯の引き湯の方法につきましてはいろいろございますと思いますけれども現状においてどうするかということは私ちょっといま検討をいたしておりません。当然林野庁御当局の土地を通ることでもございますし、現地に管理員もおりますので、その辺十分検討させてみたいと思っております。  それから二番目の融資といいましょうか、そういったことでございますが、現状ではその制度がございませんので、ちょっと方法がないと思っております。
  42. 志苫裕

    志苫裕君 ございませんのでと言ったってね。あなた、ございませんならあの辺の温泉地がだめになっちゃうわけですね。ございませんじゃ困るんであって、そういう——大体あなたのところ少し怠慢ですよ、あなた。いまあの事故でいままで人身事故にみんなお互いに精出していますけれども妙高、池の平といえば温泉で成っているわけですよ。その温泉お湯がとまっているんでありますから地域経済には非常にどえらい影響を及ぼしているわけですね。とりあえずのことなもんだから、前の事故もありましてとりあえず内湯で何とかする、当座しのぎぐらいの施設はどこでも持っているんですが、長引くようになりますとこれはもう大変なことになりますから、いち早くそういうことをもう連絡をとり合って所管の官庁では心配しなきゃいかぬですよ。いまございませんなんといったって、ございませんなんて地元の人が聞いたら怒りますよ、これは。いまそこに持ってないんならこれはしようがないけれども。これは早急にまた上司とも相談なさって、地元と連絡をとって、また関係省庁と連絡とって、あそこはそれで成り立っておる町なんですから、もうちょっと親身に心配してやってください。どうですか。
  43. 土屋徳之助

    説明員土屋徳之助君) 温泉管の引き湯の問題につきましては当然考えなければいけないことでございまして、御指摘のとおりいたします。二番目の問題については、大変申しわけございませんが、現状では全くその制度がないものでございますから、その先生の御指摘の点を上司に伝えることにさせていただきたいと思います。
  44. 志苫裕

    志苫裕君 制度が——これは金融になると弱いんだな。弱いんですが、いわゆる一般の中小企業とかいろんな業者の金融措置しかないんですか。こういう際だから何かめんどうを見るという制度を、私、素人だから申しわけないが、どこかの省庁にないことはないでしょう。
  45. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 関係省庁がどこか、末端の温泉業者の場合ですと、これは環衛公庫の融資もございます。あるいはホテルを一緒にやっておられますと、いわゆる商工系統の三公庫等の融資もあろうかと思います。ただ、いま先生御引用されましたいわば源泉供給といいますか、そのための事業でございますものですから、そういう意味では非常に限定されたことになるかもしれませんが、いずれにしましても先ほど申し上げました中小企業関係も実は地元の府県、市町村の御協力等がなければ、単独ではなかなかかゆいところに手が届かないと思いますものですから、ただいまの御趣旨ということも十分地元の方とも、あるいは中小企業金融公庫、中小企業庁その他のところとも、一応そういう御趣旨のことを伝えまして検討をさせていただきたいと思います。
  46. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひこれは私も所管庁、関係がどこだかわからぬので当てずっぽうなことを言って恐縮でありますが、災害に起因をする生業の問題であり、それは個人の生業のようでいて地域全体の死活にかかわる問題なのでありますから、ひとつ窓口である国土庁がどうか私の質問をとらえてもらって、ひとつ関係の方に気を配ってもらいたいということを要望いたしておきます。  次に、自治省おいででしょうか。——まだ町当局がどれくらいの被害を受けておるのか、財政支出を要するのか、あるいは減収をもたらすのか、細かいことは私も承知をしておりませんが、皆さんの方で町の財政収支の問題についてどのような把握をなさっておるか。さらにどのような手だてを講じようとしておるか、御報告をいただきたい。
  47. 千葉武

    説明員(千葉武君) 今回の災害につきましては、自治省といたしまして去る二十二日、普通交付税の繰り上げ交付をいたしまして、六月交付予定額の一部を繰り上げて妙高高原町に千五百万円交付をいたしました。それから今後の財政処置の見通しでございますが、御指摘のように現在被害状況がわかっておりません。したがいまして、今後被害状況が明らかになりました段階におきまして、国庫補助の災害復旧事業の地方負担額及び単独災害復旧事業につきまして所要の地方債の措置をいたしますとともに、災害応急対策等の経費につきましても特別交付税の配分において十分配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  48. 志苫裕

    志苫裕君 後ほど厚生省なり通産にもお伺いをするんでありますが、特にガスとか水道復旧などがほかの災害復旧よりも割りが悪かったり、まるっきりなかったりしておるのが現状のようであります。そうなりますと、そういうものにかかるいろんな経費のめんどうをたとえば起債等でお願いをするとか、いろんなことになって財政需要を自治省に相談をすることになると思うんであります。この点については、地元要望には原則としては応じられるというふうに理解してよろしいですか。
  49. 千葉武

    説明員(千葉武君) 御指摘ございました上水道と公営ガス事業の災害復旧の問題でございますが、まず上水道事業の災害復旧事業につきましては、厚生省所管の国庫補助金が交付されると思いますので、その国庫補助金の地方負担額につきまして地方債を一〇〇%充当をして配分をいたしたい、かように考えております。  それからガス事業につきましては、これは国庫補助制度がございませんので、関係妙高高原町から提出されます災害復旧事業費の額につきまして、これも原則として一〇〇%地方債を充当をいたしたい、かように考えております。
  50. 志苫裕

    志苫裕君 ありがとうございました。  次に厚生省、いまもちょっとお話出ましたが、上水道復旧、これは災害復旧の適用になりますかな。
  51. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) ただいま自治省の方から説明がございましたように、復旧事業費の二分の一を国庫補助で充当いたしまして、その残りを記債で充当するということになっております。
  52. 志苫裕

    志苫裕君 二分の一というのは、いまはそうなっておることは承知をしておるんですが、ほかのところは三分の二とかいうふうなのが、いろんな災害復旧では——激甚になればもっと高くなりますけれども、通常のベースでも三分の二というのがわりあいに多いのですが、毎日の生活に欠かせないこういう施設がどうして二分の一なんでしょうね。これは何かいわく因縁があったんでしょうかね。もっと高くならぬものでしょうかね。
  53. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 上水道事業は御案内のとおり、公営企業で原則的に住民の負担料金で賄っていくというたてまえになっておりまして、現在、上水道を新設するような場合においても補助金が全く出ていない、全部政府資金等の融資で実施しております。災害については特例的に二分の一補助をしております。なお一般の場合でも、水源開発でありますとか、非常に長距離な上水路で水道整備するような広域水道というような言葉がございますが、とかあるいは簡易水道、これは公営企業は適用されない事業については制度がございますが、一般の水道事業については公営企業ということで国庫補助はございません。そういうことで二分の一という制度が従来からございます。ただ、災害復旧の場合の特例といたしまして、新潟地震、えびの地震等の大きな地震があった例において、非常に地下埋設物に影響が大きい、きわめて甚大な影響を受けるといった例において高率の補助をした例がございます。
  54. 志苫裕

    志苫裕君 新潟地震のときは、私ちょっと忘れましたが、あれは三分の二でしたか。
  55. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 十分の八だったように記憶しております。
  56. 志苫裕

    志苫裕君 そのときは、十分の八は法律のどれかを直したんですか。それとも措置として行われたんでしょうか。
  57. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 災害復旧につきましては全部予算措置でやっております。
  58. 志苫裕

    志苫裕君 二分の一というのは、公営企業だからこれはまるまる見ると元手がかからぬから水道料要らぬと、こういう計算なんですか。それじゃ困るから水道料を取るために補助金も半分にする、こういう理屈ですか。余り理屈に合わないな。そういう意味ですか。
  59. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) まあ事業の体質といたしましてそういう公営企業に対して持っておるものですから、住民の負担に耐え得るということで、たとえば今回の災害でもちょうど白田切川の両側に土せきがございましてそれを結んだパイプが流れておりますけれども、あるいは町の消火栓が幾つか流れておりますけれども被害額としまして六百万ぐらいのものでそれほど重大な影響を及ぼすものではないというふうに考えております。
  60. 志苫裕

    志苫裕君 これは制度の問題ですから、いずれ取り上げさしてもらいます。  通産省さんおいでですね。都市ガスの方でありますが、これは災害復旧の措置はない、何ともつれない話なんでありますが、これはどういう理由で災害復旧のめんどうを見ないんでしょうね。
  61. 香田昭

    説明員(香田昭君) ただいま御指摘の町営ガスでございますが、妙高高原町の町営でございますけれども、これの災害復旧に関しましては先ほど自治省から御答弁がございました事業債のほかには現在のところ特段の復旧手当ては設けてございません。ただ、現在被害程度がよくわかっておりませんので、その程度を見ながらその必要性というものを検討してまいりたい、このように考えております。
  62. 志苫裕

    志苫裕君 被害程度を見て検討してまいりたいというお話ですが、いまの制度として都市ガスについては災害復旧災害だからそれの復旧に幾らかのめんどうを見てやろうという仕掛けはないわけでしょう。
  63. 香田昭

    説明員(香田昭君) 現在のところ手当てはございません。
  64. 志苫裕

    志苫裕君 その理由は何なんですか。
  65. 香田昭

    説明員(香田昭君) ガス事業は公営、町営といいましても事業でございますので、ガスにかかりました費用は原価主義に基づきまして料金で受益者から回収することになっております。したがいまして、ガス事業の投資に必要となります費用は料金で回収する、こういうたてまえになっております。
  66. 志苫裕

    志苫裕君 さっき水道も同じことを言った。で、厚生省の方は半分めんどうを見ると、通産省は何もめんどう見ないというのはずいぶんめんどう見が悪いじゃないですか。ガスと水道の間に——同じでしょう、公営企業だから元手がかかったらその分を料金に織り込んで受益者から取るというその仕掛けについては同じでしょう、水もガスも。で、ガスの分だけどうしてそんなにつれてないんだと、こう聞いている。
  67. 香田昭

    説明員(香田昭君) ガス事業の場合は公営もございますし、それから民営もございますし、その業態は種々でございますので、ガス事業法のたてまえからいいますと、かかりました費用はすべて受益者負担、消費者から回収する、こういうたてまえになっております。
  68. 志苫裕

    志苫裕君 前に敷設をした施設がありますね。これも壊れたといえ、昔かかっとったんですから、それはこれからの料金にやっぱりかかるわけでしょう。新しく災害で壊れて敷設をする分も料金にかかるわけでしょう。そうすると、これから取られる料金の中には、いま敷設をしたものと、すでにないが、昔敷設をしたものとが重なって料金になって住民にかかるんじゃないですか。そしたらせめて、幻の管ですね、もうなくなった管、それぐらいはどこかでめんどうを見てやるとか、何かそういう血の通った措置があってもよろしいんじゃないですか。
  69. 香田昭

    説明員(香田昭君) 先生の御指摘、よく理解できますけれども、その被害程度に応じまして——たとえば災害程度が少なければ、これは十分企業の中で回収できる、このように判断されますので、被害程度を見ましてその判断をしていきたい、このように考えております。
  70. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。まあその被害程度によっては相談に乗りましょうと、こういうように考えていいわけですね。
  71. 香田昭

    説明員(香田昭君) まだ被害程度を見まして、その必要があるかどうかということも含めまして、十分検討していきたい、このように考えております。
  72. 志苫裕

    志苫裕君 これは国土庁さん、災害救助法等を所管をするところとして、私いま質問をしながら——まあいまのはいまの通産省の答弁で結構ですが、質問しながら、水は半分、ガスはゼロというのも何となく、まあ役所流の理屈があるのかもしれませんが、聞いてる方からすると余り大した違いがないような気もいたしますので、これは話の出たついでですが、その災害救助制度の検討課題にしていただけませんか、いかがですか。将来、これはやっぱり水道並みのめんどうを見るとか、そういう検討課題になりませんか。
  73. 四柳修

    政府委員(四柳修君) いま先生と通産、あるいは先ほどの厚生省の御質疑等拝聴しまして、私なりの感じで恐縮でございますけれども、厚生省の申し上げました点は、やはり水というものはどこにおりましても生活上不可欠のものである、しかも、給水人口等の規模が小さくて簡易水道あるいは困難なところにつきましては国庫補助も出して、一応つくるときから補助を出しているから、まあその点についてみても配慮をしていると。ところが、通産省の方の御答弁では、ガスにつきましては民営と公営と両方あって、その点のバランス上なかなかやりにくいということを御答弁申し上げ、あるいはその際御答弁ございませんでしたけれども、なるほどいままでいろんな経過がございましたけれども、燃料としての代替性なり選択性ということも一つあろうかと思います。そういうことがございまして、恐らく通産省の方はいまの制度で一応、なかなか対応できないけれども被害程度を見て御検討ということもございましたから、まあそこら辺、私どもの方も、通産の方のお考えを伺いながら、いま御指摘のことを一つの研究課題としていただきたいと思います。
  74. 志苫裕

    志苫裕君 余り進歩した話じゃなかったけれども、時間もないからこの辺にしておきましょう。  労働省おいででしたね。で、細かい数字を私よくわからないんですが、御存じのように現地は観光地でありますので、みやげ物屋、旅館というのが唯一の産業みたいになるわけです。そこに職を求めておった従業員がいやおうなしに解雇、あるいは一時帰休等の状況に陥る、あるいは陥ったわけでありまして、これについての措置を求めたいんでありますが、いかがでしょうか。
  75. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) 妙高高原土砂崩れ災害によりまして、私どもいま把握してる限りでは十二名の労働者が解雇されております。それから、そのほか、四十六名の労働者が自宅待機となっております。したがいまして、解雇された十二名の労働者につきましては、調査の結果、雇用保険の受給資格を持っておりますので、これらの方々につきましては保険給付を行いまして、生活の安定と再就職の促進に全力を挙げたいと、こう思っております。それから、自宅待機となっております四十六名の労働者につきましては、現在、企業の方が——旅館なりみやげ物店が休業手当という形で全額賃金を払ってるというように聞いておりますので、雇用関係が現在は維持されておりますので、いまの段階ではこれはまあ特段に問題はないというように思っております。今後とも新潟県を通じまして被災状況の把握をしながら、雇用保険の受給資格がつかない段階でこれらの四十六名が解雇されるということのないようにひとつ努力したいと、こう思っております。
  76. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひそれはそうしてほしいんですが、この十二名が解雇だそうですが、これはもちろんそれぞれに応じていわゆる失業手当が出される。これはまあ国鉄さんの話も聞かぬといかぬのですが、ここは必ず復旧されるわけでありまして、それがまあ三カ月でもとに戻るか半年になるかですね。まあこういうところなので、あれでしょう、解雇された人の雇用保険というのは何か三カ月、九十日ですかな、若い人九十日……。
  77. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) 年齢によります。
  78. 志苫裕

    志苫裕君 その間にもとに戻れなければ、それ一切だめになっちゃうわけでしょう。そういうものに何か融通とか指導というのはありますか。
  79. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) お尋ねの点はたしか、まあ休業手当を払って抱え込んでおくということが金力的に、長くなって、たとえば有珠山のときのような非常に長くなると持ちこたえられなくなるというようなケースが出てきます。その場合に、災害の場合はマル災という特別措置が雇用保険にございまして、それによりまして、一時帰休というかっこうで一たん解雇をする形をとりまして、そして再雇用をすると——将来そういう事由がなくなった場合には再雇用するという形で、まあ離職をした場合には特別の給付措置をとりまして雇用保険の保険金を出してくと、こういう制度があるわけでございます。したがいまして、いまの段階ではまだこれ全額賃金を払って——休業手当を払ってるわけですから、だから、いまの段階は必要ないけれども、将来、復旧が非常に長引くというような事態になればこの問題は当然起こってくる可能性がございますので、そのときはそのときでひとつ努力をしたい、こう思います。
  80. 志苫裕

    志苫裕君 これは何カ月適用になるんでしたかね、その災害救助法のこれは。いまその一時——災害救助法の期限が切れちゃってからそんなことになっても困るでしょう。その辺の点はどうなってますか。
  81. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) それは、原因がこういう災害でございますので、最初災害救助法が発動されれば、その後はまあいつの時点でもそれは関係ございません。
  82. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。いまの点はよくまた現地の出先機関なども指導をして、知らないために損をしたり外れたりしないようにお願いをいたしておきます。  最後国鉄さん、お伺いいたしますが、復旧の見通しは四カ月ぐらいということを現地でお伺いをしたのでありますが、その辺はいかがですか。
  83. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) お答え申し上げます。  現在の状態で、まだ被害を受けました盛り土の開口部が拡大しつつございます。なお、今後の雨等によりましてまた土石流が発生することも考えますと、四カ月という期間は非常に苦しいかと思いますが、鋭意努力いたしまして早期開通に努めてまいりたいと思っております。
  84. 志苫裕

    志苫裕君 現地で、今度の災害原因とかそんなものとは直接関係はないにしても、昔国鉄でない前の鉄道のころに、橋を二つつくることを惜しんで、深沢川の方には橋をかけたけれども、白田切川の方は橋にしないで小さいトンネルにしまして、あとは線路を土手で築いた。何のことはない、そいつが池の堤の土手みたいになりまして、今度それが水をとめ、一挙に押し出すという形になったと言われておるわけでありますが、今度かけるその橋というのは九十メートルとかと言っておりましたけれども、それはその下は川になるわけですが、先ほど建設省の方で本流をどっちにするかというのがまだはっきりはしませんでしたけれども、白田切川の方は本流になるという場合でも、それは十分な橋の長さであり、川の幅であるわけですか。
  85. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) 明治時代に建設されました経緯につきましては、当時はまだ橋梁の技術が発達しておりませんので、トンネルを築造して通ったものと思われますが、深沢川の方は約三十三メートルの橋梁になっております。この姿でこの百年ほどの災害に耐えてきたという点では、われわれが通常線路を設計、構築いたします防災強度としては相当強い方の部類に入るわけでございます。今回発生しました土石流が異常な規模であったというふうに考えておりますが、今後の構造物につきましては、この程度の土石流に対しても耐え得るような構造にいたしたいと思っております。復旧いたします橋の規模は当面九十三メートルでまいりますが、なお将来的には道路の橋梁その他状況をよく考えまして、河川管理者の側と協議して定めたいと考えております。
  86. 志苫裕

    志苫裕君 そうすれば、その鉄橋の下河川になるわけでありまして、当然河川改修が行われるというふうに考えていいんですね、建設省さん。
  87. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) まだ決まっておりません。
  88. 志苫裕

    志苫裕君 決まっておらないったって、あなた、橋をつくるには一定の橋脚の部分を決めていくわけですから、そこがもし川になれば、川幅決めて築堤をしなきゃならぬのじゃないですか。それがまだ決まっておらぬわけですか。
  89. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) あのところは非常に大きな峡谷地帯になっておりまして、今回の量でもまだ丘の上にあふれるという状態ではないわけでございまして、ですから今回程度のものでも断面としてはあるわけでございます。ただ、下の方がスコアされまして、もとの状態から言いますと、数メーターぐらい河床が下がったという現状にございます。あの地域としましては、国鉄の線路と、それから国道橋、それから市町村道橋、そういうふうなものだけでございまして、いわゆる集落等に大きな影響を与えるような状態ではないわけでございます。そういう関係で、全体的に考えます場合にこれからいろいろ検討する問題が非常にあるということでございまして、どういうふうにするのかという点につきましては今後検討してまいらなくちゃならない課題だろうと思っております。
  90. 志苫裕

    志苫裕君 列車の乗り入れですが、これはいま関山−妙高高原間が不通で、そこまでは行けるわけでありますから、ただ引き込み線等の施設がどの程度整備をされておるのかが問題になりますけれども、原則としては、いままで通っておった、あるいはあそこへとまっておった汽車が来て戻るようにしてもらえぬかというのが現地の希望であり、これから青葉から夏にかけての観光シーズンを災害でダメージを受けた上に車も来ないというんじゃ気息えんえんとなるものですから、地元では汽車がさっき言ったような状態で乗り入れできることを非常に希望をしておるわけですが、どうでしょうね。
  91. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) 現在のところ、線路が正常の状態であります場合には、あの妙高高原と関山の間につきましては、上野から出ております特急が四本、それから上野からやはり出ております急行が六本、それから上田ないし長野から出ております急行が二本と、各古屋から出ております急行が一本、そのほかローカル列車が十本というものが通っておったわけでございます。それが今回の災害によりまして、二十日の日からでございますが、とりあえずのダイヤといたしまして、ローカル列車を長野から六本入れるというふうな形で現在のところ対処いたしておりますけれども、いま先生指摘のように、これから観光シーズンを迎えまして妙高高原地区への入り込みというのはお客様どんどんふえてまいります。それに対しまして、これからできるだけ早い機会におきましていまのダイヤの修正をいたすべく努力を現在いたしておるところでございます。
  92. 志苫裕

    志苫裕君 それはひとつ早目に発表をして、また町の方でも車来るんですよという宣伝もしたいでしょうから、ぜひ早目にそのダイヤの改正をして地元を喜ばしてほしいんでありますが、と同時に、関山−妙高高原間、これのバスですね。現地でお聞きしましたら、その間バスを通わせることにして川中島バスと頸城交通バスにいろいろ折衝しているんだという信越局のお話でありまして、これがどんな見通しであるかということと、そのバスの値段が普通のバスの値段取られたんじゃ痛いわけでありまして、いわば国鉄が行き来しておった値段で運行してくれるとか、そういう点の配慮はできるのでしょうか。
  93. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) 地元新潟の管理局におきまして、いま先生指摘のございました川中島交通とそれから頸城交通、この両方にバス代行ということで話を進めておりまして、本日時点におきまして、頸城交通さんの方からはバス代行しようというふうなお答えをいただいております。それから川中島交通の方につきましてもやはり引き続き折衝をいたしておりまして、そういうふうな中におきまして、両方の会社からどれくらいのバスをどれくらい出していただけるかということの細部を詰めておりまして、ごく近々のうちにバス代行が可能になるものと考えております。  それから二点目の運賃の関係でございますけれども、このような形で、私ども鉄道の代行バスという形で運転をいたします場合には、全く鉄道のかわりというふうな形で運転をいたすものでございますので、これは鉄道の運賃というもので御利用いただくことにする予定にいたしております。
  94. 志苫裕

    志苫裕君 ぜひその点は、値段がしたがって言うてみりゃあ安くなるわけだから、バスの回数を減らそうなどとけちなことにならぬように必要な量の確保もお願いをしたい、このように思います。  いろいろと要望を申し上げましたが、大臣最後になりましたけれども大臣に私先ほど復旧の基本的な方向がどうなるんだろうかということを現地が大変心配をしておるということを申し上げて、大臣なりの答弁をいただいたんですが、心配をするような文言が実はきのう配られた、県からもらった資料の中に実はあるんですよ。何かと言いますと、たとえば、県からもらった資料の十一ページの「都市災害」「復旧対策」というところで「上記以外の地域については、基本的には排土を前提とするが、会社寮等が大半を占め、しかもそのほとんどが流失していることもあり、所有者並びに町当局と充分協議のうえ、排土方針を決定したい。」、これを逆に読みますと、排土しないでそのままでいくという文言なんですね。こういうところにちょっとした片りんが見られるように、あるいはここからの退却とかそういう方針になるのではないかという心配がやっぱりあるものですから、私、今後の基本方針のところで大臣の所見を伺ったわけであります。さりとて、私は自然に逆らって川の底みたいなところに住んで、災害が来た、災害が来たと言って騒ぐことが一体正当なものかどうか、これにももちろん疑問なしとはしません。やっぱり開発に一方的に走って自然に逆らった報いというのはどこかで来るものだなという感をひとしお持ちますけれども、同時にそこに蓄えた生活の権益は失いたくないというのも、これ当然の主張でありまして、基本的な原因究明、抜本的な災害対策、防除というものと、既存の権益との調整というものにひとつ十分な気を配って、抜本的な対策対策と言っているうちにまたさっぱりその対策が手につかないというおくれをとることにも、土地土地でありますだけに、いらいらしておる地元の気持ちもおもんぱかっていただいて、ひとつ抜かりのない対策をお願いしたいと思うわけでありますが、最後にそれらの諸点についての大臣の所見を再びお伺いをして質問を終わります。
  95. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 被災地にお住まいの方方の住民感情もあると思います。また、この書面に指摘されておるように、所有者などがどういう受けとめ方をしておるのかと、大変デリケートな要素を含んでおることは否定ができません。しかし、この災害を担当しておる立場からいたしますと、何としても速やかな復旧に努める、また今後の防災の上に留意をすると、これが前提であると思います。そういう心構えによりまして、十分地域方々や町、その他の行政関係者とも協議をいたしまして、復旧やあるいは今後の恒久対策に対処してまいりたいと思います。
  96. 志苫裕

    志苫裕君 どうもありがとうございました。  終わります。
  97. 長谷川信

    長谷川信君 自民党を代表いたしまして亡くなられた方並びに災害を受けられた方に心から弔意とお見舞いを申し上げたいと思います。  まず最初大臣にお伺いいたしたいと思いますが、いまほどお話しがございましたように、災害の御担当の大臣として、できることなら一回ひとつ災害地をごらんをいただきたいと思うんです。先ほどからいろいろ御質問並びに御答弁がありましたが、少なくとも標高二千メーターのところから二十万トン、三十万トンの土石流あるいは岩石が、あれカーブが大体二一%——カーブといいますか、勾配が二一%ぐらい。それに距離において二キロ半の間突っ走ったのでありますから、三十トン、五十トンの石がまるでゴムボールのように空中に転回をして落ちてきたというふうな、なるほど亡くなった方の数からすれば激甚であるとかないとかいろいろ議論があるかどうかわかりませんが、まさに地獄の阿鼻叫喚の形であります。したがいまして、やはりこれはごらんいただかないと、幾らここで私どもが御説明を申し上げても、また幾ら御陳情を申し上げても、やはり実感がいささか伴わない憂いもございますので、御多忙中ではございますが、もしできたら御視察を賜りたいと思うわけであります。  それから、私ども見た感じでは今回の災害がこれでとどまらないで、あるいは再発をする危険性が、十分と言っちゃなんでありますが、かなり濃厚に感じられておる点であります。大体地すべりとか火災とか地震というのは一回がしゃっと起きると、まあ少なくとも二年、三年、五年起きないだろうというのが定説でございますが、今回のこの地すべりは私ども素人目で見てもあるいは危険があるかもわからない。ずっと回りまして現地の諸君に聞いて、一体原因は何ですかと言って聞きますと、まあ温度が上がって、雪解けで、融雪でそれが引き金であったと思いますというのが異口同音の答弁——答弁というか、お答えであります。しかし、新潟県は御案内のとおり豪雪県でございますが、あそこの赤倉の山頂はまさに五メーターから七メーターの雪が降っておるんです。いま消えている量は恐らく半分近く消えているわけでありますが、温度がこれから急上昇しますんで、本当に融雪災害が起きるのはこれからなんです。またもう一つは、ことしはどちらかというと空梅雨でございまして、六月から七月にかけて集中豪雨危険性もなしとはしない。これは自慢にならないことでございますが、新潟県はまさに全国一の災害県でありまして、地すべりは日本一、雪の豪雪は日本一である、水害もこれまた信濃川、阿賀野川を含めて大変な水害が起きておるということでございまして、私ども素人で見るとどうもこれは再発の危険性があると思う。だから先ほど志苫委員からもお話しございましたが、ただ新潟大学とか林野庁とかの調査でなくて、いわば建設省あるいは国土庁あるいは日本の衆知を集めた科学的な調査団をひとつ編成をしていただいて、しかもその調査の結果が、何といいますか、梅雨どきまでに、あるいは融雪災害が起きるまでの間に間に合わせなけりゃならない。ことしの秋までこの調査の結果ができても災害が起きるのは六月の十日あたり起きるかもわからぬということでございますので、正確な調査を、しかも緊急にやらなければならぬ。これは行政的に、何といいますか、いわば大臣の御命令というか、大臣の指示によって緊急手配をしなければできないことだと思うんです。ただ事務的にこれを各省で打ち合わせをしろ、部課長で相談をしろと言っても、この種の緊急な、しかも正確な資料というものはなかなかつかみ得ないかもわからない。したがって、災害担当大臣から大臣命令で、大臣指示ということで、緊急な調査をひとつお願いを申し上げたいと思うわけであります。この点、まず大臣のお考えを承りたいと思います。
  98. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 最初の、私みずからが災害地の視察をせよという御注意はもうごもっともなことでございまして、できるだけ早い機会にそのような措置をとりたいと思います。  それから、これから融雪災害が起こる要素が非常に多いと、あるいはさらにこの梅雨どきのことを考えた場合に憂慮すべき点があるんじゃないかということが前提で、高度の専門的な立場の調査をすべきだと、これは御意見ごもっともだと思います。先ほどお答えを申し上げておりますように、来週には原因究明のための調査団が出る予定になっておりますから、その際御意見も踏まえ、また今後融雪が本格的になる、あるいは梅雨どきになるその前に原因究明されるように努力をしてまいりたいと思います。過去におきましても、四十六年の災害直後、四十七年一月にボーリングや音波調査などをいたしまして原因究明を行っております。そういうような資料や当時の状況ども十分参考になることと思いますが、御趣旨につきましては、私どもも十分沿ってまいる考えでございます。
  99. 長谷川信

    長谷川信君 それから、これは国土庁になるか、まあそれぞれ適切にお答えをいただきたいと思いますが、今回の災害は全くサイレンも鳴らないし、半鐘も鐘も鳴らないし、全くどしゃっときたわけであります。ところが、やっぱり何かその前兆があったという説もありますし、それから、これはあるのが当然だろうという話もあります。また地震で、一週間前の地震を大体察知をして、この間中国でも一週間前に察知したところとしないところでは、被害の度がこんなに違ったというのを現場で私もよく承知をしてきたのでありますが、この私のところの新潟の、これはもう信用のある新聞でございますが、新潟日報、ここにちゃんと書いてあるんですよ。「私は見た!恐怖の前兆」「林道陥没、昨春確かに……」、確かに陥没をしておる、こんなでかでかと新聞に出ておるわけです。この新聞を見まして、少なくとも権威のある新聞で、しかも写真まで——これ、ちょっと待ってくださいよ、——高田高校の教諭の光国俊夫さんという方が偶然にも写真を撮った。これが五月七日の写真である。しかもこの陥没の状態が七メーター——メーターははっきりわかりませんが、五メーターから七メーターぐらい陥没をしておるというような新聞が、これきのうの二十五日の新聞に書いてあるくらいでありますから、この種のものは、前兆というのは確かにないわけでは……ある場合があるいは多いかもわからない。土の中千メーター、二千メーターの地震まで一週間、十日前に察知ができるのでありますから、おかの土が流れるのを三時間、四時間前に察知できないわけがないと思うんです。そういう面からすると、いろいろ御意見がありましたように、やはり予防体制というものをもっとしっかりひとつつくっていただければ、少なくともあれを避難するのは、警報でも鳴らしてあれすれば恐らく大半の人は助かったんじゃないかと思うんです。どこか旅館の娘さんが、ジュニアスケートの日本選手権の保持者がベッドに寝たままもう眠るがごとく死んでおった。あるおばあちゃんはふとんにくるまれたまま七十メーターも飛ばされて、そのまま即死をしちゃっている。だから、少なくとも五分、七分、十分前に何かあれば、逃げるといったってそんなに広いところじゃないですから、ものの五十メーターか六十メーター逃げれば助かるのですから、その種のことは私ども不可能なことではないと思うんでありますが、この新聞の記事も含めてこれらも調査資料の中に入れていただいて、そしてそういうものの予防体制が、これはやっぱり日本の国土庁そのぐらいのことを確立しなきゃならない。中国でも地震が起きるのは二週間前に、何月何日に起きますということを明確に言っているんですから、日本の科学陣がそのくらいのことできないわけがないと思うんです。その辺、御専門家がおられましたらお聞かせいただきたいと思います。
  100. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) ただいまの御指摘の新聞については私ども十分承知いたしておりませんけれども、この個所につましては昨年の降雪までは工事に使用しておりました。また、降雪後は地元温泉の会社がパトロールを毎月定期的に約三回ぐらい出しております。で、五月におきましても五月の十二日まで二回、四名が一組になりまして現地を通過をして源泉の地区まで実施調査にまいっているわけでございますが、その間にも何ら特段の変化があるというようには聞いておりませんので、私どもとしましてはその亀裂があるとかいうことについては実際に確認をしておりませんが、いま御指摘の写真もあるようでございますから、今後の原因調査におきましては、それも参照いたしまして十分予知等が可能かどうか研究いたしてみたいと考えております。
  101. 長谷川信

    長谷川信君 地震については、東海地震とかいろいろ予測をされまして、いろんな何といいますか、あれをつくられて、研究もし調査もされ、また勉強もされていると思うんでありますが、地すべりの予知についてどの程度のいま政府でいろいろ何といいますかな、地震と比較をしましてどのような形で予知その他についていろいろいま現状がどんな形になっておりますか。
  102. 大工原潮

    説明員大工原潮君) お答えいたします。  現在、建設省並びに林野庁あるいは農地局等含めまして危険個所という形で把握をしております地すべり危険個所が全国で約一万カ所程度ございます。で、御承知のように、地すべり等防止法という法律が昭和三十三年にできまして、三省庁の共管でございますので、それぞれその地域の特性に応じまして危険個所対策等を実施しておるところでございます。で、そういった危険個所につきましては、たとえば非常に急激な動きのあるような場所につきましては、たとえば伸縮計等をつけまして移動を観測し、そしてその移動速度に応じまして避難をさせるというふうな、非常に急激な地すべりが起こった場合にはそういう措置をいたしておりますけれども、比較的緩慢な地すべりというふうな形のものにつきましては、そういった計器でなく、たとえば目で見えるようなくいの開きであるとか、あるいは亀裂の発生状況であるとか、そういったものから判断いたしましてある程度の危険予測をしておるという状況でございまして、対策等はそういった動きの非常に厳しいようなところから実施しておるというふうな状況でございまして、いま申し上げました一万カ所のうち建設省所管が約半分の約五千カ所程度ございまして、現在まだまだ整備余り進んでないというふうな実態でございます。
  103. 長谷川信

    長谷川信君 まあ、地震の調査に比べておくれておるということでございますが、これはやっぱり地震と同じくらいやっていただかなきゃならないし、それから全国で一万数千カ所と申し上げましてもやっぱりその度合いがございまして、きのう見た妙高高原のようなきわめて危険度の高いところと、それから五年、七年大丈夫だからそのうちにやるだろうという緩慢なところといろいろ差別があるわけでございますから、御案内のとおり、妙高高原のこの地域は川が全部田切という川になっている。白田切、小田切。たんぼを切ってだっといくという意味なんですよ、これは。だから五四年に一回起きている。それから明治のころ起きている。そこから昔のものはわかりませんが、古老の話を聞いたら妙高高原町が全滅になったことが数百年前に記録に、記録というか物の言い伝えに残っておる。だからこういういわば常襲地すべり地帯については国土庁建設省やっぱり赤丸をつけてチェックをしていただいて予防体制あるいは警報体制を敷いていただければ、少なくとも若干の犠牲は免れたと思う。地震ももちろん大切でございますが、地震に劣らないような予知体制というものについて十分ひとつ検討していただきたいと思うわけであります。この点、細かいかどうかわかりませんが、大臣からちょっと御答弁を賜りたいと思います。
  104. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 予知ができ得るものであれば災害をある程度防ぎ得られるということは常識的に判断のできるところでございます。なお、今度のような実情を念頭に置いてみますと、相当な勢いで流出してくるといたしましても、距離がございますから下流地域におきましては予知があれば災害対策上非常によかったということも考えられる次第で、ただいまの御意見によりまして、また従来ある程度のことはやっておるようでございますので、さらに本格的な予知のでき得る体制をとるように努めたいと思います。
  105. 長谷川信

    長谷川信君 続きまして個人災害について、これは御担当どこか、ちょっと係に御答弁いただきたいと思いますが、個人災害の、たとえば地震、天災、水害、火災を含めて措置がいろいろ前向きに検討されていることはよく承知をいたしておりますが、今回の妙高高原五・一八災害でお亡くなりになった方あるいはいろいろ被害を受けられた方にどのくらい弔慰金を差し上げることができますかと言って係にお尋ねをいたしましたら、戸主で、いわば家の主で大体二百万そこそこでありますというお話であります。それじゃ戸主でない人はどうなのかと言って聞きますと、奥さんとか子供あるいは戸主でない家族の皆さんは百万前後だろうという話であります。この百万あるいは二百万の金額の問題、いろいろ見方があるかとは思いますが、福田総理が人命は地球よりも重いと総理みずからおっしゃっておる。地球よりも重い人命が亡くなったのにしては、百万、七十万、八十万、戸主で二百万のあれは、これはいろいろ保険との関係もあるかないかわかりませんが、これはもっと前向きに検討する必要がございませんか。これは本当に何といいますか一秒前までわからないで、天然の災害というか、いわば国の災害というのはちょっと言葉が適切であるかないかわかりませんが、少なくともそういう天災でもってがしゃっといったのでありますから、それも三年、五年前と比べればかなり前向きに伸びていることは私もよく承知をしておりますが、いまお話し申し上げましたように、将来ある、まだ春秋に富む青年が亡くなっても七十万、百万の弔慰金しか差し上げられない。決してこれは政府で胸を張って差し上げられるような金額でないと私は思う。それらの点ひとつお聞かせを賜りたいと思います。
  106. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいまの御指摘の点、この参議院の災害対策特別委員会におきましても個人対策の基本問題の小委員会をわざわざお設けいただきまして前々から御検討いただきまして、実はことしの伊豆大島沖の地震の被災者の方々に対しまして、ちょうどただいま長谷川先生おっしゃったような御議論もございまして、その方々に適用するためにことしの一月十四日からいま御指摘のような金額に引き上げるよう実はこの委員会の議員提案で御決定いただいたばかりなものでございまして、私どもも気持ちとしてみては御趣旨も十分わかりますけれども、せっかくのお言葉でございますから、委員会の個人問題のまた引き続きの課題として御一緒に検討させていただければと思います。
  107. 長谷川信

    長谷川信君 きょうは飛び込みの質問でありますので、御無礼いたしましたが、いま申し上げたようなことでございますので、委員長からもなおいろいろ御配慮を賜りまして、今後前向きで御検討いただくようにお願いを申し上げるわけであります。  次に若干個々の問題について、志苫さんから大体お話がございましたのでありますが、私からも若干お伺いしたいと思います。さっき水道の話で、半分しか出せないとか三分の一しか出せないとかということで議論がございましたが、これはこの資料に書いてありますとおり、どのくらい金がかかるのかと聞いたらわずか六百万であります。六百万といえばいまの建設省の予算からすればまず、何といいますか、これはもう天文学的に少ない数字でありますが、この間何か建設省の各係に聞きましたら一日二百四十億円ずつ使っておると。私の学校のときの一緒のがおりまして、おまえのところはどのぐらい使っているんだと言ったら朝起きると二百四十億円ずつ使うと言っていましたから、まあそれはうそか本当か知りませんが、もし事実だとすれば六百万円ごときのものはこれはもうどうにもならない細かな数字であります。で、大臣一つお願いでございますが、余り法規とか規則とか、何しろごらんになるとわかりますが、これはもうどうにもならないあれでございますので、この辺はやっぱり何といいますか、血の通った、心の通った御配慮をいただいて、何か交付金でやるとか、あるいは特例でもやっていただくとか、水が飲めなくちゃこれはもう話になりませんし、いまあそこは、さっきお話ございますように、新潟県は御案内のとおり全国で県民所得が三十番目なんです。それは水はあるけれどもみんな取られるし、電気は日本一に出ますけれどもこれはみんな東京へ取られるし、ガスも日本一ですけれどもこれもみんな東京へ九三%取られて、人間は毎年高校卒業生のうち半分以上は東京へ取られているんです。せめてこの水道の六百万ぐらい出してもらわなければこれは勘定が合わないということに相なるわけでありますが、余りその、それはお役人はさっきの御答弁で結構だと思うんです。お役人は事実関係、規則法規に照らしてということでありますので、お役人の答弁は先ほどの答弁で私は結構でありますが、これはやはり政治的な配慮をいただいて、ひとつ櫻内大臣から妙高高原の諸君にきれいな水を飲ましてもらうと。わずか六百万でありますから、その辺の御配慮をひとつ、細かなのもそのほかにございますが、今回の災害についてはそういう考え方でひとつ御対処をいただきたいと思いますが、重ね重ねで恐縮でございますが、大臣からまた御指導賜りたいと思います。
  108. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) もう御質問の御趣旨はよくわかりました。こういう問題につきましては、やはり県とか町とかそれぞれ直接目の配られるところでお考えをお示しいただくと。それでそれにどう国は対応するかということになってくると、特別交付税などで見る場合もございまして、そうかた苦しいことにはなっておらないと思います。したがって、そういう大事な水の問題につきましては御安心のできるように早速それぞれのルートを通じてよく話し合いたいと思います。
  109. 長谷川信

    長谷川信君 次に、国鉄お願い申し上げますが、きのう現場を見していただいたわけでございますが、まあ私も素人でありますので、説明を聞くとなるほどそうかなあ、こっちの説明も聞くとなるほどそうかなあと思って、ただそうかなあと思うだけでございますが、帰りに汽車に乗ってみまして、いま新潟県で上越新幹線盛んに工事やっておりますが、あの長大な清水トンネルもわずか二年半でできております。それで車の中で鉛筆で計算してみましたら、四カ月たつと二千四百メーターできますよ、トンネルでさえも。それが——そんなばかな素人の話でおしかりをいただくかもわかりませんが、それだけの技術陣とそれだけの権威のある国鉄の技術と力をもってすれば、あれが四カ月あるいは四カ月半かかるということは、私ども何とかこれはもっと早くお願いをできないものかと、ひしひしと私ども感ずるわけであります。  特に、雪国でときどき汽車がとまるんでありますが、雪が降りますと、いま道路で車もふだんは通っておりますのでなれておりますが、たまに冬やっぱりとまるんですよ。そうすると、もう鉄道よりもしようがないんです。この間飯山線が一週間とまった、雪で。そうしたら開通するときに、数百人の人が日の丸を持って汽車の両側に立って拍手をして汽車を迎えたのでありますから、まあ汽車が通って日の丸持って万歳するくらいでありますので、これはやっぱり四カ月半とまったら大変なことだと思うんですが、私ども全く技術的にはわかりませんが、もっと短縮する方法が——一回、前の河野一郎先生が豪雪のとき私も現場でお供して話を聞いたんでありますが、現場へ行ったら、これは十日かかると言った、地元国鉄の管理局長が。そうしたら河野先生が構わないからあすあけろと言った。だめであります、だめでもいいからあけろと言ったら本当にあいたんです。それは私が現場で見ておったんだから間違いない。もう徹宵作業したら十日なのが二日であいて、まさに拍手喝采をしたことをいまでも私記憶に覚えておりますが、これは技術的なことで私どもどうこう言う筋道は全くございませんが、できたらうんと、うんとというか相当縮めて工事ができるものならやっていただきたいと思いますが、国鉄側からもう一回ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  110. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) 橋の径間が九十三メートル近い橋梁をああいう場所に架設する場合には、通常一年近くの時間が必要でございますが、今回は日本全国手当ていたしまして、大船渡線の北上川橋梁にかける予定になっておりました、すでに完成しておりましたけたをこちらに回すことにいたしました。その結果、工期が大幅に短縮できたわけでございますが、私ども一番いま困っておりますのは、現在の盛り土崩壊個所が今後の梅雨、台風等によりましてさらに拡大をいたしまして、脚が立てられないというところに一番の技術的な悩みがございます。したがいまして、なるべく足場を要しないでかける工法を現在検討しておるわけでございますが、この考え方によりますと、どうしても四カ月はかかるということでございますが、今後の天候の状況、あるいは工法の検討によりましてできるだけ短縮するよう努力いたす所存でございます。
  111. 長谷川信

    長谷川信君 それと同時に、長野から直江津まで単線になっておりますが、これはまあこの災害があるなしにかかわらず、これはやっていただかなきゃならぬということで地元もやいやい言っているわけでございますが、この複線工事といまの災害復旧工事とやっぱり併用して両方急いでやっていただくと、何といいますか、非常に効果的だと思うのでありますが、御方針についてちょっと御説明していただきたいと思います。
  112. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) 御指摘のとおり現在まだ単線でございますので、いまこの黒姫−妙高高原の駅間は現地でごらんいただきましたとおり工事をやっております。この災害を受けました妙高高原−関山間につきましては、今後地元の皆さん方と御協議をしながら複線化の計画を進めたいと考えておりますが、当面の応急工事につきましては現在線をそのまま復元するようにいたしますのが早道でございますので、そのように考えております。
  113. 長谷川信

    長谷川信君 それから建設省お願い申し上げます。  申し上げました例の白田切川の改修が、何といいますか、私正確なことはわかりませんが、全部完了しないうちにあの災害が出たということで、あの地図を見ましても、あの土砂の流れているのが川幅とどういう関係があるか私素人でわかりませんが、何となく下の方がしりすぼみになっているような感じであります。あれがこう全部できておったらよくなったのか悪くなったのかわかりませんが、見方によっては全部できておった方がよかったんじゃないかというふうな感じを地元の諸君が言っている向きもございますが、これから先ほどお話ございました改良復旧に当然なることと思いますが、この工事の大まかな方針あるいは計画等について若干御説明いただきたいと思います。
  114. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) この川は四十六年に、今回の規模よりも少し小さな規模であったのでございますが、やはり同じような土石流を受けまして災害復旧事業で完成したわけでございます。今回の災害に当たりましては直ちに係官を現地に派遣いたしまして被災状況調査応急復旧に当たらしたわけでございますが、まず応急的な措置といたしましては、今回のような土石流が再度また出るのではないかというふうなことで、白妙高、県道でございますが、白妙橋のところに川倉枠などをつくりまして、今回のような大きなものに対しては耐えられないかもしれませんけれども、そういう市街地に土砂の流入を防ごうというふうに考えております。本復旧につきましては、何分にも今回の量を考えますと非常に大きゅうございまして、今回の土砂のかぶったところぐらいは、やはりそういう家などにつきましてもいわゆる集団移転などできないかということを検討してもらいたいというふうなことで国土庁に考えていただきたいというふうに思っております。  また、今回の土砂は川の断面からいたしましても非常に大きな量でございますので、やはり下流の方へ参りますと、とても処置できない量でございますが、上流の方で何とかピーク量を少しでも軽くできないかというふうなことで、これにつきましても林野庁の方にお考えを願いたいというふうに思っておるところでございます。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕  そんなようないろいろな問題がございますので、そういう問題を踏まえまして今後どんなふうにするのか、あるいは現在のままでいいのか、そういうふうな点を検討しなくちゃならないのではないかというふうなことで、現在県の方にはいろんな調査を指示いたしておる段階でございます。
  115. 長谷川信

    長谷川信君 ちょっと戻って恐縮でございますが、国鉄もう一回お願い申し上げます。  先ほど、できるだけ短縮をしていただけるということでございますので、それはそれより仕方がないと思いますが、さっきも志苫さんからお話ございましたが、東京からこれからいろんなことでどんどん入ってくるわけでありますので、特急を妙高高原まで入れて、あそこは単線だからUターンがなかなか、私も専門的なことはわかりませんが、特急の乗り入れを、これ四カ月も五カ月もかかったんじゃその間鈍行だけだとか、私もきのう行くとき朝急行で行ったんですが、急行と言ったって、十五分ばかりで一駅とまりましてあれが、本当の急行かなんて言って志苫さん大分文句言ってましたけれども。やっぱりそうでないと本当のお客が来ませんよ、いま特急でないと。だから、特急の乗り入れが妙高高原までできますかどうですか。
  116. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) 特急列車の妙高高原での折り返しでございますけれども、これは設備的にはできるわけでございます。ただ、やはりいま御指摘のように、これから夏場に向かいますにつきましてたくさんのお客様が長野から妙高高原の方においでになるものでございますので、できるだけたくさんの列車を長野ないし妙高高原へ入れるということを第一の前提にいたしまして、私どもダイヤをいろいろとこれから組んでまいりたいと考えておるわけでございます。そういうふうな意味合いにおきましてある特定の列車、特急列車だけの折り返しというふうな形でダイヤを組みます場合には逆にその全体的な輸送力の方が制限をされる面もございますので、乗りかえなしでできるだけ妙高高原まで列車は入れたいと思うんでございますけれども、その中で最大の列車本数を入れるべくそういうふうな面から勉強さしていただきたいと考えております。
  117. 長谷川信

    長谷川信君 今度逆に関山と直江津間ですね。これは観光とかレジャーよりもむしろ毎日の通勤あるいは通学が中心になるわけでありますが、見方によってはそっちの方が大事だという説もございます。これは通勤列車あるいは通学列車というものは、これは間引きをされたりいろいろされては困るのでありますが、この確保についてどのように計画をされておりますか。
  118. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) 直江津と関山の間につきましてでございますけれども、これは現在十一本のローカル列車が普通でございますと走っておるわけでございます。この列車につきましては、関山どまりもございますけれども、長野の方まで直通をしている列車もございます。それでやはりこの関山のところでの折り返しの関係等もございまして、できるだけこちらの面につきましては通勤通学のお客様を重点にいたしましたダイヤを組むようにいたしておりますけれども、十一本全部をいままでと同じダイヤで入れる点につきましては、ちょっとむずかしい面もあろうかと思うのでございますけれども、この点、事情の許します限り最大の本数を確保いたしたいと考えております。
  119. 長谷川信

    長谷川信君 それから、通産関係おいでになっておると思いますが、きのうも現場を見ましたら、ほとんどもうお客、お客どころの話でなくてこれはしばらくの間どうにもならない形でございますが、これらのいわば仕事のできない間、有珠山がどういうふうな措置をとっておったか私どもよく詳しいことは承知しておりませんが、何らかの処置をされたことはわかるわけでございますが、有珠山のあの例の温泉関係、洞爺湖の関係と同じように規模は小さいが内容はむしろあれと同じかあるいは同じ以上でございますので、そういった融資、それからいわば借入金の繰り延べ、それから復旧資材、復旧資金のあっせん等々に、まあこれはさっき申し上げたように、全部合わせてもそう大した金額じゃないんです、トータルにすれば。だから、その辺はお役所的な考え方でなく気持ちの温かい措置をお願いいたしたいと思いますが、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  120. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいま御指摘の点、いまお挙げになりました有珠の場合もございましたし、あるいはこの間の伊豆大島等の場合もございましたが、できるだけ同じような配慮がとれますよう——窓口は通産省の中小企業庁の金融課でございます。そこを中心に御趣旨の生かせるようよく伝えておきたいと思います。
  121. 長谷川信

    長谷川信君 それから農林省おいでになっていますかな。——農林省、これは用水路が三本、延長三千メーター、面積で〇・六ヘクタール、水田で十五ヘクタールと、いろいろ災害が起きているわけでありますが、この災害復旧についてほかの災害並みというか、ほかの災害の例もございますが、今回の措置についてどのような措置を考えていらっしゃるか。
  122. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 今回の災害におきます農地、農業施設関係被害は、五月二十五日現在、県からの報告では農地が約二カ所〇・六ヘクタール、農業施設八カ所、合計十カ所の報告を受けております。  私ども北陸農政局から五月十八日に担当官を派遣をいたしまして、復旧の方針、復旧の工法等を指導しているところでございますので、現地の方の準備が整い次第査定を行いまして、早急に復旧事業を実施したいと考えております。
  123. 長谷川信

    長谷川信君 それでは、時間若干余っておりますが、最後大臣から、重ねてお願いをいたしておきますが、今回の災害は、先ほど事務当局の話にもありますように、激甚災害に外れるかもわからぬというふうな御説明があったわけでございますが、実態はまさにこれはもう大災害であります。ただ、亡くなった方が数がどうだとか、あるいは何といいますか、どうだとかということでなく、これは一回大臣ごらんいただければそれこそ一目瞭然でございますが、まさにこれは大被害であると同時に、まさに地獄の絵を呈しておったということであります。まあしかし、規模は、規模だってしかしあの土砂をみんな片づけたら、恐らく何百億になるかわかりませんよ。地元の計算でいま——どうもお役所の計算も余りあてになりませんよ。あと一万五千トン掘ったら大したことないなんて言って、この間も建設省言っており——建設省ではありませんが、だれか言っておりましたが、そんな一万五千トンで事が済むか、十万トンで、あるいは三十万トン落ちるか、そんなことはこれはもうわかりませんよ。だから、これからの再発の危険性が十二分にございますので、その再発防止について御注意をいただきたいことと、それから災害の予知について、これはできることでありますから、私どもはできないことをお願いしているわけじゃない。これはこの新聞にも、「新潟日報」にも書いてありますとおり、一週間前に写真を撮ったら七メーター陥没、五メーターか七メーター現場が陥没しておったという事実が写真で出ておる。これは事実関係については専門の皆さんから御調査いただかなければなりませんが、もし事実だとすれば、これはもう予知できたんだと、少なくとも十日、二週間前に起きる土の中の地震がわかる世の中でありますから、地すべりがわからぬわけないと思うのです。それらの点、予知についてなお格段の御配慮をいただかなければなりません。  なお、重ねて大臣に御要望申し上げておきますが、災害は小さいので、さっきも水道の例を申し上げましたが、全部直しても六百万でありますから、その点あんまりしゃくし定規のことをおっししゃらないで、さっき大臣から本当に心温まる御答弁をいただいて私どもも感銘、感謝をいたしておりますが、そういうような考え方で今回の災害について対処して、お願いを申し上げたいということであります。  なお、当初申し上げましたように、櫻内大臣からできましたら現場をひとつごらんいただきたいことを二、三要望申し上げまして御質問を終わります。
  124. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 災害を決して軽規してはならないということはわれわれ担当者の心得るべきことである。また、災害を受けられた方々の心情を思いますと、その人たちの気持ちになって対策をきめ細かく講ずべきであると、このように心得ます。先ほど来実情を把握して十分な対策をとるようにという御注意でございまして、私も今後の対策にそのように心得てまいりたいと思います。
  125. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、かわりまして今回のこの災害について質問させていただきますが、その前に、私も同僚議員と同様に、今回の災害で亡くなられました十三人の方々の御冥福を祈り、また、いろいろな被害に遭われた方々にお見舞い申し上げますとともに、現地で昼夜を分かたずその災害復旧のために御努力されました所管庁の出先の方々の御苦労に対しまして、心から感謝いたす次第でございます。  この妙高高原災害につきましては、各官庁からもそれぞれ担当の方が視察に行かれてみえますので、それぞれ皆さん方いろんなことをお感じになっておみえになると思いますが、それぞれ一人ずつということじゃなくて、代表で四柳さんからひとつ、この災害の実際現場に行かれまして、どのようなことをお感じになったのかお聞きしたいと思います。
  126. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 現場に参りました者を代表してということでございますので、私、感じましたまま御答弁にかえさしていただきたいと思いますけれども、確かに被災地につきましては、御案内のような地質条件であり、あるいは豪雪地帯であるという、そういう意味で非常に自然的には厳しい条件のところだと思います。そういう厳しい条件の中にあって、やはり観光地あるいは温泉なるがゆえにいろいろ町当局、県当局ともいままでいろんな対策をとりながらも御努力なさってきたんだろうと思います。しかし、それが何といいますか、やはり予測せざるような事態の発生によって、局地的とはいえ、あすこで十三人の方々が瞬間にお亡くなりになったということ、その後に参りまして、あの膨大な土量を前にしますと、私ども本当に胸の引き締まるといいますか、感じがいたします。再三にわたりあちこちの災害地に参りながらも、それぞれのところの特殊事情があるかもしれませんけれども、理由はともあれ、やはり原因究明なりその対策の早急適確な措置ということを、私ども現地に参りました者の大きな責務として感じました点だけ申し上げたいと思います。
  127. 太田淳夫

    太田淳夫君 同僚の地元委員方々からそれぞれ細かい点についてお話がありましたので、重複するところは避けていきたいと思いますが、多少重なるかもしれませんが、その点御容赦願いたいと思います。  いま審議官からお話ありました。また、地元の町長さんも、この美しい妙高高原町がまさに悪魔の手によって、つめによってかきむしられたような状況だというようなこと、お話しされておりました。この妙高高原町につきましては、先ほども同僚議員からもお話がありましたけれども、四十六年にも災害を受けているわけでございます。大きな災害を受けております。今回もまた災害を再発したわけでございますけれども、前回の四十六年のときの、いわゆるいろんな被害状況とか原因究明とかあるいは対策というものは十分に立てられておったと思いますけれども、その点、今回の災害と比較して、どのようにとらえてみえるか、その点お聞きしたいと思います。
  128. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答え申し上げます。  四十六年の災害は、四十六年の十二月三十日から三十一日にかけまして、今回土砂崩落の起きました約一キロメートル上流の南地獄谷で起きたものでございます。この南地獄谷は泉源の所在地でございますけれども、ちょうど赤倉山のカルデラ地帯にございまして、過去にも三十二年あるいは三十七年ごろに、同じように温泉性の地すべりを起こしているところでございます。そこで、四十六年の災害は、その温泉泉源地帯でやはり異常高温によります融雪原因でございますけれども、その融雪が地下に伏流いたしまして、それが温泉作用によりまして、下部の岩石等を変質化しまして、それが原因となりまして地すべりを起こしたと。したがいまして、南地獄谷につきましては、明らかに温泉性の地すべりであるというように考えられましたが、今回の災害はむしろ土砂崩落というように考えておりまして、原因が全く違っているかと思っております。  四十六年当時の災害につきましては、四十七年一月に、新潟大学あるいは林業試験場、林業土木コンサルタント等、関係者現地調査をいたしまして、また復旧工事を早急に行ったわけでございますが、その段階では地すべり時移動の調査も林業土木コンサルタントに委託をいたしましたし、また四十七年七月に高堰堤建設というような形での恒久的な工法についても、いろいろボーリング、電気探査法等によります地質調査等を行いまして、検討したわけでございます。そういたしまして、四十六年災害につきましては、私ども国有地の所管の河川部につきましては、堰堤を当時におきましては約六基、あるいは渓間工あるいは山腹工等を予定をいたしまして、また、下流部におきましては、建設省の方でも砂防ダム工事をするということで、一応の四十六年災についての対策は順調に進行していたわけでございます。遺憾ながら、今回私ども全く予測しなかった場所におきまして土砂崩落が起きたという実情でございます。したがいまして、重複をいたしますけれども、今次の災害につきましては、全く私ども予測しなかった場所で全く違う原因によって起きましたことも踏まえまして、今回調査班を出しまして、徹底的な原因究明と同時に、また復旧対策を考えたいというように考えておる次第でございます。
  129. 太田淳夫

    太田淳夫君 原因については調査団調査を待ってというお話でございますけれども、やはりこの原因がどのような原因であったかということは今後大きな問題が残ってくる点じゃないかと思うんですけれども、先ほども同僚議員から話がありましたように、新潟大学調査団によりますと、治山林道とかあるいは湯管の設営とか、そういうものが原因の一部になっているんじゃないかというような報告もされているようでございますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  130. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 私ども今回の土砂崩落につきましては、過去に災害の起きません場所に起きまして、たまたま本年は非常に積雪が多かった、また五月の半ばから異常な高温が、急激な気温上昇があった、そのために融雪が急に多量に一時に発生をいたしまして、これが地下にもぐりまして今回の土砂崩落を起こしたというふうに考えておる次第でございます。今後の、先ほど申し上げましたように、この原因究明につきましてはさらに権威ある専門家によりまして徹底的な原因究明をやる必要があるかと考えておるわけでございます。  一部、新潟大学等からの報告ということで伝えられております資材運搬用の道路原因ではないかという点につきましては、一般的に道路によります土砂崩落等は、道路をつくる場合の切り土、これが原因になりまして上部斜面が不安定になって崩落をするとか、あるいはそこに、道路面に急激な豪雨等がございまして、その豪雨地下水となりまして土砂崩落を起こすというようなことが道路原因の場合の土砂崩落原因というように一般に言われております。今回の災害等を見ますと、この災害崩落個所河床から約百六十メーターから七十メーターぐらいまで上っておりますが、この作業用の資材運搬道路の設置個所河床上約百四、五十メーター、今回の崩落場所から見まして十メーターないし二十メーターぐらいの非常に高いところにございまして、崩落道路相当下部から起きているという点から見まして、どうも私どもとしてはこの道路建設が大きな原因だったというようには考えられないわけでございますし、またこの土砂崩落の起きます一週間前前後を見ましても、降雨等の現象もなかったというところで、道路原因であるというふうには私どもなかなか考えにくいわけでございます。この道路自体昭和四十四年にもとの登山道を拡幅してできたものでございますが、その後約七、八年通常の資材運搬にも使っておりまして、別にいままでも異常もなかったという点で、私どもとしては道路については原因とはなかなか考えにくいわけでございます。  また、温泉パイプ等につきましても、この災害の一因ではないかというように伝えられておりますけれども温泉パイプの敷設に当たりましても、道路面約六十センチのところに鉄管でそれをコンクリートで巻いて埋めるという工法をとっております。これも過去七、八年安定的に別に何ら不安もなく使用されているという状況でございますので、どうもその温泉パイプ一つ原因であったというようにはちょっと私どもとしては考えにくいと思っております。
  131. 太田淳夫

    太田淳夫君 また、一説には災害現場付近国有林の伐採が一つ原因になっているんじゃないかというような説もありますけれども、その点はどうでしょうか。
  132. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) この地域につきましては水源涵養林ということで、ずっと長年禁伐をしてきておりますし、最近でも材木の伐採の記録としましては昭和二十二年ごろ若干薪炭林に、しかも民有林に近い部分で若干の伐採があったという程度で、禁伐の状況でございますので、いま御指摘ございましたような材木の伐採が原因であったということは事実がないと思っております。
  133. 太田淳夫

    太田淳夫君 いま、事実はないというお話ですが、先ほどもちょっと話しましたけれども、何回も過去に崩落災害が発生しているわけでございますね。ですから、先ほど審議官は、今回の災害について予想しなかった場所に起こったという話ですけれども、しかし、そういう災害が何回も起こっているということは、そういう災害が予想され得るんじゃなかったかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  134. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 過去に起きました災害は、今回の土砂崩落の起きました約一キロメーター上流、むしろ地質的に申し上げますと、妙高山といいますよりも赤倉山のむしろカルデラ地帯での温泉源泉部分一つの大きな発生個所でありますし、過去の災害温泉性の地すべりが主体でございます。今回のものはむしろ赤倉山の外輪地帯であります妙高山東斜面と、そういうところで起きましたもので、むしろこれは地すべりでなしに、いわゆる土砂、がけ崩れといいますか、山崩れといいますか、一種土砂崩落というように考えておりますので、原因あるいは態様が全く違うものと。したがいまして、私ども過去防災計画におきましても温泉性の地すべりというものを頭に置きまして防災計画を進めてきたわけでございます。ただ、今回まさに予想しなかったところでこういう災害が起きましたので、むしろそういう事実を踏まえまして今後の対策を考える必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  135. 太田淳夫

    太田淳夫君 林野庁新潟大学調査団とは原因に対する意見の食い違いがあるわけですが、国土庁の方、先ほど原因究明調査団を派遣するということをお話しになりましたが、どういうような構成の調査団で、いつごろをめどにしてこれを行う予定でございますか。
  136. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 先ほど角道審議官の方からも御答弁申し上げましたけれども、さしあたって来週早々に農林省の林業試験場の防災関係の方方と建設省の土木研究所の砂防等の方々と大体五、六人の直接技術専門家方々現地を見ていただく、こういうことを考えております。
  137. 太田淳夫

    太田淳夫君 そして、それがとりあえず原因究明と応急対策調査団と、その後に本格的な長期的展望に立つところの防災計画を立てる調査団を派遣するようなお話ちょっとお聞きしましたけれども、それはどういうようなメンバーですか。
  138. 四柳修

    政府委員(四柳修君) とりあえず、それぞれの責任ございます官庁のいわば管轄区域でございます河川国有林という意味でいまの林業試験場と土木研究所ということで、とりあえずの班を考えております。その方々の御調査によりまして、当面の復旧対策上特に配慮すべき点ということを御指摘いただけば、それによって当面の復旧対策は考えますけれども、先ほど来御議論ございますように、やはりこういったいわば特殊な自然条件のところに起きます、長い目で見ましたいろいろな地域整備ですとか、あるいは環境条件の整備ですとか、そういったことにつきましても地元の県の方でもそういう御希望等を伺っておりますものですから、やはり国も地元の方もできれば協力いたしまして、もう少し範囲を広げまして、メンバーを充実して検討したらどうだろうかということを一応事務的には検討しております。
  139. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど長谷川委員の方からもお話ありましたけれども、英知を結集して調査団を編成していただきたいと思うのです。前回四十六年のときは新潟大学は入ってたんじゃないですか、どうですか。先ほどお話がありましたけれども
  140. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 前回の調査には入っていたというように聞いております。
  141. 太田淳夫

    太田淳夫君 入っていましたか。じゃあ、その点よろしくお願いいたします。  次に、山地災害危険地指定ですか、これがされているように思うのですが、この点はどうでしょうか。林野庁ですか。
  142. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 山地災害につきましては、昭和四十七年度に林野庁におきまして調査をしたわけでございますが、この調査の段階ではもっぱら全体で十二万四千カ所ございますが、この地域十二万四千カ所の調査に当たりましてはもっぱら人家であるとか、公共施設とか、そういうものの保護対象を中心にいたしまして、一定の距離と上流部で山崩れが起きるとか、あるいは地すべりが起きるということを想定をして調査をしたわけでございますが、そのときの基準ではこの地域は入っておりません。ただ、この地区につきましては先ほど来申し上げておりますように、三十年代に二回、四十六年に一回という地すべりがございましたので、これは別途の地すべり地区としまして従来から防災事業を進めてきたという実態になっております。
  143. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、今回の災害一つの契機にして、妙高島原一帯につきましても山地災害危険地指定をするということですか。そういう方向ですか。
  144. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 山地災害地域指定はもっぱらこういう全国的な立場から危険個所を点検をいたしまして、そこにどういう危険個所があるか、またそれを緊急性を見ながら工事をやっておるわけでございますが、これ以外にもいま申し上げましたような地域がございますので、これはこれで私どもとしては処理をしてきたわけでございますが、ただ四十七年来もう相当の期間もたちましたし、またこの間の災害の予想技術も大分変わってきておりますので、進歩してきておりますので、本年度改めまして四十七年の調査個所をもう一度チェックすることを考えております。その段階におきまして過去の基準についてももう一度洗い直しをいたしまして、全般的にこの四十七年の山地危険個所につきましてもう一度見直しをしたい、こういうふうに考えております。
  145. 太田淳夫

    太田淳夫君 過去にやはりこの個所につきましては治山工事を実施をしてきておりますけれども、何基ぐらい治山工事をやってきたのか。またダムの容量が小さくて今回の災害を大きくしたんじゃないかというようなことも考えられますが、その点どうでしょうか。
  146. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 治山ダムといたしましては、現在設置されておりますのは七基、渓間工としては七基ございます。このうち四十六年災に関連をいたしまして設置をしました渓間工は三基でございます。
  147. 太田淳夫

    太田淳夫君 そのダム容量が小さくて災害を大きくしたんじゃないかという意見についてはどうでしょうか。
  148. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) これらのダムの容量につきましては、もっぱら過去の三十年災あるいは四十六年災害につきまして残留土砂の流出防止と、あるいはこれが河川を流送されます場合、これらの流速をできるだけ減速をしていくというためにまた治山ダムをつくり、またさらには下流におきまして建設省では砂防堰堤をつくったと、これらの計画、治山ダムあるいは砂防ダムは四十六年災を一応想定をいたしまして、あるいは過去の三十二年災、三十七年災というものを想定してつくったものでございまして、それはそれなりに十分効果のあったものというふうに考えているわけでございます。
  149. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、これはまだ一万五千立方メーターの崩落の危険があるというふうに聞いておりますけれども、その点に対する対策はどのように考えておりますか。
  150. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 現在まだ崩落個所の上流部に約一万五千立米ぐらいの不安定土壌があるというように見ておりますけれども、これにつきましては、来週初めに調査団が参りますので、これらの調査団現地視察を待ちましてその応急措置を考えたいと考えておりますけれども、山腹の崩落個所の土どめあるいは渓間工を応急に実施をいたしまして、これらの不安定土壌が下部に流出することがないように万全の措置をとりたいというふうに考えております。
  151. 太田淳夫

    太田淳夫君 その点、対策をしっかりお願いしたいと思いますが、そこから一切の今後の修復の出発点になりますので、よろしくお願いします。  最後に、いま大臣いろいろとお聞きになっておわかりのとおり、これから台風シーズンあるいは梅雨のシーズンを迎えるわけです。先ほども大臣は、これは一つの日本列島の宿命だというようなお話もありましたけれども、その宿命に立ち向かっていまいろいろと努力をされていることはよくわかるわけでございますが、やはり例年この土砂災害が発生して数多くの被害者を出してきているわけです。日本の国土の七〇%が山岳地帯あるいは急流河川だと言われておりますので、宿命と言えば宿命ですが、それでは片づけられない問題がたくさんあると思います。伊豆の地震の災害の場合でもやはり同じような状況であったように私たちも考えます。また、今回の災害原因につきましてもいろいろとこれは意見分かれておりますけれども、今後調査をできるだけ早くやっていただいて対策を万全に立てていただきたいと思うわけでございますけれども、やはり先ほどの町長の話にありましたように、あるいは審議官の話にありましたように、自然というものを私たちは無視して安易に開発を行うことがいかに危険であるかということをあの現場に立ちまして感じたわけでございます。ですから、今後もこの土砂災害というものを防止するためにも安易な開発行為というものは規制する必要があると思いますし、また国が防災工事に対して全面的にこれは責任をもって行うことは当然でありますけれども、速やかにそういった危険個所を総点検されて、防災に万全を期していただきたい、こう思うわけでございますが、大臣から一言お願いします。
  152. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 順次調査を進めまして原因究明に当たるわけでございますが、その結果によりまして、お話のように、この地域の安易な開発が問題であればそれは考えなければならないことだと思います。お話のごとく、これから本格的な融雪時期である。さらには梅雨を迎える。また台風を迎える。非常に気候的には悪条件が重なるのでありますから、早急な調査の結果を得まして必要な対策は進めてまいりたいと、こう思います。
  153. 太田淳夫

    太田淳夫君 それではあと個別の問題にちょっと入りたいと思います。  町から要望が出ている点につきましてちょっと触れさしていただきますが、一つは「白田切川の恒久的な河川改修を」という要望が出ておりますね。これは四十六年の温泉地すべりの後で砂防ダムを設置していただいておりますけれども、それからもう何年もたたないうちにこういった大きな災害があったわけでございますが、そのために地域方々が非常な不安を感じております。したがって、ここで恒久的な河川改修を実施していただきたい、こういう要望がありますが、その点についてはいかがでしょうか。
  154. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 白田切川につきましては、四十六年に指定災あるいは災害関連事業、そういうふうなものを駆使いたしまして総額で約三億数千万の費用を投じまして現在の河道をつくったわけでございます。上流部につきましては比流量と申しますか、川の断面は雨量に換算いたしますと百ミリを超えるような時間量でございますが、そういう大きな断面になっております。しかし、今回の土石流につきましては、この断面の約五割増しから倍近いような量がピークで出ております。そういうことでございますので、現在の改修済みの点をさらにいろいろ検討しなくちゃならぬわけでございますけれども、河道だけで処理するというのは言ってみれば非常に苦しいという現状にございます。したがいまして、総合的にたとえば土石流がはんらんしたところのうちぐらいは少し考えるとか、あるいは上の方で何とか少し減らないだろうかとか、そういうふうな検討を今後してまいりたいというふうに考えております。これにつきましては技術的に可能かどうかという問題もございますので、少し時間はかかろうかと思います。で、その下流の地点でございますが、下流の地点につきましては鉄道橋、道路橋、市町村道橋、そういうふうな道路を主体にした橋がございまして、さらにまたその分流点のところにつきましては、河床が下がりまして用水がとれなくなりつつあるというふうないろんな点がございます。そういういろいろな点がございますので、今後十分に検討いたしまして、できるだけ満足できるような処置を考えてまいりたいというふうに考えております。
  155. 太田淳夫

    太田淳夫君 そのほか砂防ダムに関しましても構造的な問題も要望が出ておりますので、その点研究をしていただきたいと思うんですが、その点どうでしょうか。例のそで構造のところが流失しちゃってますね。
  156. 大工原潮

    説明員大工原潮君) お答えいたします。  砂防堰堤につきましては、先ほども説明申し上げましたように、四十六年の災害を対象にいたしまして事業量としては計画してまいったわけでございます。あの間に四基ございまして、いま先生指摘のそで部分の構造の問題等につきましては、従来われわれが想定いたしております量をはるかにオーバーしておったというふうな実態がございますので、それらを踏まえまして構造的にも今度復旧する場合あるいは新設する場合には検討をしてまいりたいと思っております。
  157. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に国道関係、これは私たちも現地へ行ってまいりましたけれども国道十八号線の白田切橋ですか、これは三十九年の新国道建設時に改修されて、旧国道と立体する橋であるとなっておりますけれども、この自動車交通の急速な発展によりまして許容量以上の交通量に達しておりますと、さらに当地は本邦有数の豪雪地であるために冬期の交通確保の面からも早急に拡幅改修が望まれていますと、このような今回のような土石流災害から橋を守る意味においても新たなバイパスルートを早急に計画し、事業化の促進を願いたい、こういう要望現地から出ておりました.が、その点どうでしょうか。
  158. 多田宏行

    説明員(多田宏行君) まず、白田切橋の状況について御説明いたします。  橋脚が洗掘されましたので、災害発生以来交通どめして応急的な橋脚の根固め工事を行いまして、去る二十一日の正午から交通を回復しております。ただ、全部応急工事が終わったわけでございませんで、交通回復後引き続きやっておるわけでございますけれども、交通をとめれば早くやれるのですけれども、交通をとめたんではまあ角をためて牛を殺すことになりかねませんので、夜間だけ二十二時から五時までとめて、その間にやっております。それで大体テトラポット、一つが八トンもする大きなものですけれども、それをざっと二百個投入するという計画に対しまして百二十個もうすでに本日現在で終わっております。この調子でまいりますと、大体今月中には完了する見込みでございます。  それから、本格的な復旧の問題でございますけれども、これは白田切川の計画との調整を図りながら、極力早期に解決してまいりたいと思っております。
  159. 太田淳夫

    太田淳夫君 いまちょっと聞き漏らしましたが、バイパス計画はどうですか、話ありましたか。
  160. 多田宏行

    説明員(多田宏行君) 容量を大幅に上回るというようなことを町がおっしゃっているようですが、あそこの交通量は現在五千台から六千五、六百台でございまして、まあ国道で二車線道路で二万台ぐらい入っているところは幾らもございますので、交通量の面から考えますと、まあまあそれほどということじゃないんですけれども、何分雪が降る地帯でございますので、除雪という観点から幅を広げるなり、何らかの工夫をしなければならないということで、高原町の二俣という地区がございますが、それから北の部分につきましては除雪帯を確保するというようなことで、現道を幅を広げるというような事業に着手しております。  それから、今度白田切橋を含みます二俣から南の方につきましては、やっぱり除雪を考慮して改修計画の検討をいままでも進めてきておりましたけれども、今回の災害状況、こういったことを踏まえまして、防災的な配慮を加えた根本的な検討を今後十分な調査を進めてまいりたいと考えております。
  161. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは次に、国鉄さんにちょっとお尋ねしますが、先ほど課長の方からも総力を挙げて開通に対して努力をするというお話がありましたが、やはり一日も早くこれを開通してまいりませんと、やはりこの周辺の観光地、またはそれに観光旅客が減ることはもちろんですが、現地の商工業に対する死活問題でもございますので、一日も早く復旧をしていただきたいと思いますが、先ほど長谷川さんの方からも要望がございましたけれども現地でも首都圏あるいは中京、関西圏から優等列車の乗り入れを図ってもらいたい、こういう要望がありました。その点についてどのようにお考えか。
  162. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) これから夏場に向かいまして、長野、妙高高原の方はお客様がふえる時期でございますので、私どもといたしましても、妙高高原までしか線路がいっておりませんけれども、その中で許されます設備を最大限に使いまして、できるだけ東京方面、あるいは名古屋方面からの直通列車の確保に努めたいということで現在細かいダイヤの作業をやっておるところでございます。
  163. 太田淳夫

    太田淳夫君 いつごろまでに決定されますか。
  164. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) 実は夏のダイヤにつきましては、大体三月の中ごろから準備を始めておったわけでございます。それはもちろんこの妙高高原付近でこのようなことが起こるとは全然考えませず、正常のダイヤの予定で作業をしておったところでございます。ところが今回このようなことになりまして、急遽その夏のダイヤの作業をいまもう一度信越線関係につきまして洗い直しをやっておるところでございますので、苦干の時間をいただきたいと思うわけでございますが、できるだけ早く詰めまして、そしてこちら方面へお出かけになるお客様方にできるだけ早くお知らせをするような体制をつくり上げたいと考えております。
  165. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは時間もちょっとあれですが、私の質問これで終わりたいと思いますが、この調査団を派遣されていろんな応急対策を練られたようでありますけれども、早急にこれを行っていただきたいと思います。そのことを要望して質問を終わります。   〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
  166. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 「この度の妙高高原町で発生した地すべりは、多数の人命と財産を失」った、こういうふうに新潟県の要望書は筆を起こしておられるわけであります。そして本文に入りますと、まず第一に災害の発生源は、国有林地内にあり、林野庁の所管となっているところ、関係機関による調査を早急に、そして再災害を防止するための工事が緊急に実施されるように強く訴えておられます。  私は大臣にお伺いするわけであります。林野庁の所管であるにせよ、この大きな災害が国有地で発生をしておる。しかも当該地区火山灰土が堆積したきわめて土石流の発生しやすい地域であるということについても、地元の人ならだれでも争いのないところであります。こういう状況下で、いま大きな災害を受けている。これは所管は違うというようなことはあるにしても、国土庁長官として各省庁のそれぞれのなわ張りある中で、これを調整して将来の施策を進めていこうという上では、一層責任を痛感していただきたいと思うわけですけれども、これに対する所感をひとつお伺いしたい。  さらに、国民がひとしく危惧するところは、今度の災害がこういう状況の中にあっても、国としてはこのような大規模の災害を予想せず、危険に対していわば備えが十分でなかった状況下で起こっておると、こういうことだと思います。この今回の災害をチャンスとして、全国の防災体制、全国の危険地域に対する監視体制、点検体制等を一層強化しなければならぬというふうに考えるわけであります。その中で、閣議において一致した意思をもってこれに当たっていかれる必要がある。かような点についてもあわせて所感をお伺いをしたいと思います。   〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
  167. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御指摘のように、今回の災害が国有地内に端を発しておると。そのことはそのことなりに私どもとして責任を感じなければならないと思います。ただ先ほど来林野庁の方から御説明申し上げておるように、今回の災害発生地については林野庁なりの受けとめ方からいたしますと、今回のような災害を予想しない地域であったと、こういう御説明を申し上げておるわけでありますが、今回の災害原因などは近く究明されていかれるわけでありますから、それに応じましてこの種の災害を繰り返さないように対策を立てていくのがこれからのわれわれの責任だと思います。ただ、遺憾なことは、なお一万五千立米被害のおそれがあるというようなことも言われておりまして、その辺については私なりにまた災害担当の庁といたしまして大変心配をしておるわけでございますが、今後それぞれの省庁にとらわれることなく、下流の砂防、河川復旧事業なども緊密な連携の上に流域一体の対応をすべきだと思います。  なお、全国の防災対策についてのお話でございますが、建設省、農林省、林野庁それぞれの立場で地すべり危険個所あるいは急傾斜地崩壊危険個所、その他の調査は行われておるわけでありますが、何分にも全国を通じて見ますると、その個所数も非常に多いのでありますから、どうしても緊急性のあるものから判断をいたして対策を立てざるを得ないという実情にございますが、しかし一たび災害が起きますれば、今回のような大きな影響を与える非常な問題でありますので、でき得る限りの対策を講じていきたいと思います。
  168. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 林野庁の方にお尋ねをいたします。  先ほどから今回の災害は、たとえば前回四十六年災害温泉地すべりであったのと趣を異にして、今度は崩落土砂崩壊、性質の違った災害だと言われるわけであります。常識的には県の要望書を見ても、これは地すべり災害というふうに呼んでおりますし、市町村の方でも地すべり災害というふうに呼び、また現地新潟大学調査団等もこれを地すべり災害というふうに呼んでおります。地すべりの起こりやすい、土石流の発生しやすい地域に起こったという点では、これは林野庁見解も、それから県、町あるいは一般に言われるところも矛盾はなかろうと思うのでありますけれども、特にこの点で地すべりではないというふうにも聞こえる現在での状況説明がございますので、この点について改めてこの地すべりというものと、崩落というものは、その危険の概念について一体どういう違いでもって言われるのかということ、そして今回のこの災害は全くここに起こりやすい地すべりとの因果関係はなかったものというふうに考えて説明をされるのか。四十六年に一回、三十年代に二回、先ほど御当地の長谷川委員からも故老の言うところでは過去にはすでに記録もないけれども、大きな災害があったということが伝えられておる、こういう話は大体現実を間違いなく反映しておるものであります。後で掘ってみたらトロイの遺跡だって出てくるわけですから、こういうような点についてもう一遍御説明いただきたいと思います。
  169. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) お答え申し上げます。  過去に私ども持っております記録によりますと、三十二年の十二月あるいは三十七年の八月、四十六年の十二月にいわゆる災害が起きております。この三十二年の十二月は源泉の上部あるいは三十七年の八月は源泉部あるいは四十六年の十二月も南地獄谷の源泉部、これはいずれも南地獄谷個所において生じております。この地すべり、学問的に地すべり土砂崩落とどう違うかというような御指摘でございますが、現象的には、結果的には土石流の流出ということで形としては大体見られることについては同じかと思いますけれども、この原因等について見ますと、たとえば第三紀層であるとか、あるいは断層であるとか、あるいは温泉性の白土であるとか、そういうものが原因になりまして地盤が移動するというものが一般的に地すべりと言われているところでございます。  そこで、先ほど申し上げました三回の災害はいずれも南地獄谷温泉の源泉地域で起きましたいわゆる温泉性の地すべりであるというように申し上げたわけでございますが、今回のものはどうもいわゆる地すべり、地盤が移動したというような現象はどうもございませんで、崩壊面約二・五ヘクタールございますけれども、それが深さ約十メートルぐらいにわたりまして土砂崩壊を起こしたというように見ております関係で、厳密な意味で地すべりでないというように申し上げたのでございますから、災害の態様といたしまして、下流方々から見れば土砂崩壊あるいは学問上の地すべりというものも同じようにおとらえになっておるという点については私ども事実としてはそういうように考えております。
  170. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 直接源泉のすぐそばで、温泉熱等が直接に作用して従来起こったような姿で起こった災害でない。直接の引き金が非常に直接的に作用したというふうにいま見るだけでは解釈がつかぬということを言われておるのかと聞いておるわけでありますが、いずれにしましても、これについてはここの地質とそして急勾配、それに対して大量の雪解けの水がこれが働いてそうして崩壊、土石流をもたらしたと、こういう点では一つの山の継続する災害と将来も考えなければならぬ災害の一環であるというふうに見るのが至当だろうと思うんですが、その点はいかがですか。
  171. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 小巻先生指摘のとおり、妙高山付近地質については火山性のものでございますので、地質全般的には同じような問題はあろうかと思います。ただ原因といたしまして、先ほど申し上げましたように、どうも今回の災害と従来の災害は態様あるいは原因が違うと、また発生場所も過去の温泉地帯に対しまして、カルデラ地帯の温泉源泉地帯に対しまして今回の災害はむしろ妙高山のある意味での赤倉の外輪地帯で起きたものであるというような点でそういうように申し上げたわけでございますが、もともと問題のある地点であることは私ども十分承知しておりますので、全般的に今回、来週早々には調査班を出しますけれども、これはむしろ今回の崩落地帯について原因究明とそれから同時に対策を考えますけれども、むしろ今後これらの調査班の結論を待ちまして、妙高山一帯につきまして先生指摘の点も含めまして抜本的な対策を考える方向で事務的に検討したいと考えておるわけでございます。
  172. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 非常に今回の災害の特異性と、これに対する対策の及ばない不過失性を強調されるような姿になりますと、現在までの蓄積をされた資料と、それで将来に対する対策というものがうまくつながらなくなってくるわけですね。やっぱり新しい事象に見舞われたらより根本的に、より広く大きくとらえて、そうして一貫をした流れの中で対策を組んでいかれる必要があるんじゃなかろうか。私もあの地で現地の町の議員の方あるいはその地域の、新潟県の砂防課等で古くからこの問題に関心を寄せられている方の話を直接聞いたり、あるいは記録で見たり、伝聞をしたりしておるわけですけれども、先ほども長谷川委員の方からも出されておりましたけれども、やっぱりこういうものは以前から継続をして、そして起こるときは偶発的であるけれども、根本的には必然的に起こってくるものだと、それで前兆があり、そうしてその結果問題があらわれてくる。ただそれを科学的にとらえて知る体制ができているか否かにかかわるというので——三十二年以前にも、これは県の砂防課の職員の湊元さんという方、これは先ほど質問された志苫さんとも親しいかと思うんですけれども、この方が昭和二十四、五年ごろから徴候を発見したということで、そのことを他にも明らかにしても、まだ予言者故郷にいれられずみたいで、特に開発ムードに対してはこれは快く受け入れられませんので表に出なかった意見であって、これは継続して出されてきておった。当時の前兆についても地下水の問題とか、濁った地下水が急に透明化してきたとか、割れ目があったとかいうことは頻々と言われるわけでありますけれども、これらの情報等についてはあらかじめ知り、これを一つの価値ある情報として検討するというような態度をとっておられたのかどうか。それらの情報はいまから再調査するに当たってもひとつ見直さなければならぬものじゃなかろうかと思うんですが、それどうお考えですか。
  173. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) いま先生指摘昭和二十四、五年当時の記録につきましては私ども承知をいたしておりませんが、今回の災害調査団の派遣に当たりましては、御指摘の点等も十分踏まえまして過去の歴史あるいは過去の記録等も十分参考にしたい、こう考えております。
  174. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それは過去の問題の調査はそのときの責任者なぞの責任を問うためにやるというよりは、今日以降の状況の発展のためにやるんですから、今回今次災害調査をやると同時に、新しくいままでに起こった問題についても、取り残された情報等をも収集をしてひとついま言われたように新しく調査をやっていただきたいと思うわけです。この現地の方でやっぱり昭和四十六年に——今回林野庁では現地点で三十万立米崩落があって、結果的には膨張もしたりわきで力をふやして下の方では恐らく九十万であるか、八十万であるか、百万であるか、ああいうものをもたらしたんでしょうけれども、前回のものもたまたまやや小規模ですけれども、やっぱり大きな災害であるわけですね、四十六年の場合。このときにどれだけの調査、そしてこれに対する施策が後に対する予見を持って行われたかということは、やっぱりつらいことであってももう一遍光を当てて見直さなくちゃならぬだろうと思うわけです。特に今日時点では緊急の場合ですから二十四時間体制というので警報体制なぞをとっておられたわけであります。当時についても巡視もしくは警戒、これらの体制を、これは後々の施設工事に先立って行うというようなことは検討されたのか、行われたのか、その辺はどうであったわけでしょう。
  175. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 四十六年災害の直後には当時警報器等も設置をいたしまして、さらに監視体制を強化したわけでございますけれども災害後約一年をたちました状態で、まず災害発生個所等を見ましてほぼ将来の問題としては心配はないということで一応そういうものは撤去したわけでございます。  今後の監視体制等につきましては、調査団が参りました段階で原因究明とあわせまして今後の監視体制を十分考えていきたいと脅えております。
  176. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 私は、あの時点で巡視員の制度を設け、警報器を取りつけるのは県がやったんだというふうに聞いておるわけですが、林野庁の方ではこういう措置をされなかったのではないか。それから、警報器もその後撤収をされたということを聞いておりますが、どういう道具を使ったのか。しょっちゅうその他の警報を発するのでオオカミ少年のようになって、うるさいからとっちまえというようなことになったような話も聞くわけであります。この点でもあの時点でむしろ現地の県なり市町村なりが恐れを抱いて措置をしておるのに対して、林野庁の方の措置については、巡視員制度なり警報器の問題についてあの時点ではまだ措置をされなかったのではないか。今後の問題ともあわせてその点はひとつ再検討されるべき問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。  それについて一言答弁をいただくと、あわせて林野庁の方では河川改修の後の堰堤四基、治山のための設備をされたようですけれども、この堰堤、砂防ダムの問題についてはその後に対してどういう効果を持ち、今日どういう教訓をもたらしておるのか、このこともあわせてお伺いをしたい。
  177. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 先生指摘の警報器は、林野庁におきまして四十六年の災害直後に七基——点燈式のものが六基、切断式のものが一基、合計七基を設置したものでございまして、翌年の十月、災害発生の可能性が非常に少なくなった、まず心配はないということで私ども撤去したものでございます。  それから、四十六年災害の後、私どもといたしましては現地調査団を派遣をいたしまして、四十七年の一月でございますが、新潟大学、林業試験場あるいは林業土木コンサルタント等の現地調査を行いまして復旧工事調査をしたと、また地すべり移動調査、こういうものも四十七年の六月に実施をいたしまして、さらにまた七月には恒久的な工法を確立するためのボーリングであるとか、電気探査法によります地質調査等もやりまして、先ほど申し上げましたように、渓間工を六カ所一応予定をしたわけでございまして、現在までにはこのうち渓間工は三基完成をしております。また、この下流におきましては砂防ダムが現在建設省は四基ございますが、このうちの一カ所が四十六年災に関連をしてつくられたものと承知をしておりますが、これらの治山ダムあるいは防災ダムによりまして、印後災害もなかったこともございますけれども、一応今回の災害に対しましては、一時確かに三十万立米のものが約七キロの地点を相当量の、時速では六十キロあるいは七十キロと言われておりますけれども、急勾配のところを非常な速さで落ちてきたという点で、前回の四十六年災害によります私どもの設置しました渓間工あるいは砂防ダムが確かに大量の急激な土砂の流出ということで完全に有効には働かなかったことは事実でございますけれども、それなりに大量土砂の減速であるとか、あるいはこれをためるという意味では、今回の災害を若干でも弱める効果はあったんではないかというふうに考えております。で、今回の災害によりましても一応治山ダムあるいは砂防ダム等はおおむね、右岸部が多少そでが破壊をしておりますけれども、大体当初の目的はそれなりに果たしたものというふうに考えております。
  178. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 堰堤の役割りはやってくる土砂をとめるということより先に、やっぱり山脚の崩壊を防止をするとか、それから地面を安定をさせる、さらに川の床を安定をさせるというような役割りを果たすものだというふうにも聞いておるわけですが、その点ではどうだったわけですか。
  179. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 確かに渓間工あるいは防砂ダムはいずれも先生指摘のような目的を持っております。十分私どもとしてはそれなりの機能を果たしたものと考えておりますが、今回の災害に際しましては非常に大量な予想外の土砂の流出がございましたので十分な効果は発揮できなかったというように考えておるのであります。
  180. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 どうもその御説明では、崩壊した土砂が三十万立米であるということと、前回の際にもこれはトータルで三十万立米というふうに表現されておりますが、林野庁の方で言われるところでは崩壊三十万立米の言いっ放しでトータルについては一向触れておらないわけですけれども、結果が違い過ぎる。やっぱりこの点では、ダムがあったにもかかわらず山脚崩壊防止の役割りが不十分であり、そして土砂流に対して勢いを増し、さらに量的な拡大をし、膨張していくというような上で役割りが果たし得なかったのじゃないかというふうに聞かざるを得ないように思うのです。下で九十万と上で三十万じゃ、下で百万ですか、違い過ぎるように思うのですが、そこのところはどうなるんですか。
  181. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 確かに上流部での土砂の私ども崩壊量は大体三十万立米と考えておりますけれども下流部でどの程度の流出になったのか、現在まだ建設省あるいは県の方で調査を進められておるかと思いますので、まだ結果については承知をいたしておりません。
  182. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 そこで、建設省にお伺いをしたいわけであります。  建設省では、永久橋のつけかえから川の問題から前回以来やってこられたわけであります。結果、現地を視察したところでは、もしあの土砂流が本当に川に従って流れておれば、少なくとも最初あふれた地点なんかのあの中学生の死者などは出さずにも済み得たのじゃないかという感じもしたわけです。むしろ砂防ダムがあってあそこのところで急流で落ちてきたのが横に曲がる助けをしたのじゃないかとか、素人目で見るといろんな見方ができたわけです。前回何を予想してどういうデータで建設省としてはダムをつくられ、今回そのダムの果たした役割りと今回以降への教訓についてはどう考えていられるのか、この点をお伺いします。
  183. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 砂防ダムにつきましては、四十六年の災害の土量を対象といたしまして四基の計画を順次施工してきたわけです。たまたま四十六年以降におきましては、一番上流の高さ十五メーターのダムの施工を完了し、それから下流に四号ダムでございますが、それは現在十四メーターという高さで工事中でございました。それが完成した場合には、一応三十万と言っておりますが、前回の災害の規模には対応できるであろうということで、それはもちろん上流の治山事業計画と合わせたものというふうな考え方でございます。で、今回の災害の結果を航空写真その他すでに一部手に入れておりまして、いろいろ県の方でもそれを判読いたしておりますが、それらの結果から判断いたしてみますと、やはり砂防ダムは今回の土石流の抑止効果、あるいは河床の勾配の緩和、あるいは河床の洗掘防止というふうな面では非常に有効に働いておる。特に砂防堰堤がございますところから下流におきましてはほとんど土砂の増加というものは見られていないというふうなことでございます。ただ、非常に量的に多かったという面で左右岸の一部があふれたというふうな形がございます。十分砂防堰堤としての効果があったというふうに判断いたしております。
  184. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 計算どおりにくればああいう損害を出さないだけの施設がやってあったということと、今回やってきた土砂流が何分にも多過ぎたということがあると思うのです。やっぱり上で三十万立米を落とした場所と、多過ぎたといって受けとめられておるところの、途中の説明一つも私はまだここの中ではないように思うわけですね。どうも聞いておれば、落とした方は、従来から頂上部分から一定の治山ダムをやってきたのが効果があり、意外性も含めて今度三十万崩落をしたと。しかしながら、それは従来からの取り扱いというのは一定の効果があったんだ、こういうふうに言われまして、今度は砂防ダム建設省のところへきますと、多過ぎたことを除いては、有効に働いてくるから、その施設をするより前のところに問題があったのであって、いわば被害者だというふうにも聞こえるわけです。ここのところが一貫しなければ——調査団報告を出した以降はここのところに整合性ある結論が出されるのかと思うわけですけれども、いまの段階では、どうしてもいままでの対応がやや割拠主義であって、そして今回の災害が来てもなおかつ自分の持ち分のところでだけしか説明が出ていない。ここのところに大きな問題があるのじゃなかろうかというふうに感じざるを得ないわけであります。そして、そういうふうにトータルで考える場合に、もう一遍それでは、そこで一つも出てこない話としての温泉の湯元へいくパイプの話とか、林道の話とか、一般に言うところであります。かなり大口径のパイプが埋設をされておるというのが長年の間には一定の作用をもたらしたのではなかろうか。あるいはあそこの泉源というのは独特のところで、おかまというふうに言うわけですか、そこへ水をつぎ込めば熱くなった湯が供給をされるのでむしろ雪解け水をつぎ込んだんじゃなかろうかとか、いろいろ言われるところは、そのきれいな流れの上流部は林野庁下流部の方は通産省という話を聞いているだけでは、きれいに消えてなくなってしまって、どうしても行方不明になってくるわけですね。そこのところについてはひとつお伺いをしておく必要があると思うのです。特にこれも新潟大学調査の際には林道、湯管も一因であろうというような説が出されておるわけですが、この点について国土庁ではどういうふうに考えておられますか。
  185. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいまの御質疑の中で小巻委員の御指摘は、崩落土量が三十万立米なのが何で末端に行って三倍の九十万になったのか、それは一体途中にたまっていたことなのか、そのことがつまり従来のダム工等の効用とどうつながるのか、そうでなくて途中で急傾斜地、地すべり地域なるがゆえに山腹の隣接しました土地というものを一緒に崩していたとするならばどういう配慮があったんだろうか、こういうような御指摘だろうと思います。  私どもも、実はこの数字を伺いまして、これだけの自然条件のときに三倍になると理解した方がいいのかどうかいろいろ中でも議論したことがございましたが、先ほど来農林省の方からも御答弁申し上げていますように、根本的にはいま小巻委員指摘の、泉源から始まりまして一連の地域土質調査なり、あるいはそれぞれのいままでの計画土量との違いなり、いろいろなことの検討がなされなければならないと思いますが、いまの段階では、いろいろ御指摘の点あるいは御意見の点もあろうかと思いますけれども、それらの点につきましても、今度の調査の段階で一つの御意見としまして、あるいは調査に当たっての一つのポイントとしまして検討さしていただきたいと考えております。
  186. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 環境庁の方には、特に泉源と湯を供給するパイプの問題についてお伺いしておきたいと思うんです。
  187. 土屋徳之助

    説明員土屋徳之助君) 実は私どもの所管いたしております温泉法におきましては引湯管についての規制というものがございません。しかしながら、現場が国立公園の区域でございますし、新たに引き湯管を埋設するというようなことが起きれば当然そこで自然公園法の手続が行われると思っております。その時点で十分今回の教訓を生かして検討をいたしてまいりたいと思っております。
  188. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 再度ここで長官にお伺いをするわけでありますが、先ほども特に各省庁にわたる問題であっても今後省庁にとらわれずに対策を持つということと、全国の危険個所等についてもそれぞれの調査はあるけれども、統一的な掌握をするという、責任を遂行するというような御答弁をいただいたかと思うんですが、今日の時点で、この十八日以降すでに一週間というような日を経過をして、依然として問題の一連の流れでも途中に中断する個所があるわけですね。いまその点は四柳審議官の方から言われたわけで、どうも聞いていて腑に落ちない部分が各省庁の説明の中からだけでは出てくるわけであります。この点について特に原因調査についてはひとつ過去にさかのぼってすべての問題を調査するとともに、この統一的な調査を進められる必要があるだろう、一体的な調査を進められる必要があるだろう、その点について再度お伺いをしておきます。
  189. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 今回の災害で一番困っておりますのは、きょうも御質問の中にも出ておりますように、なお一万五千立米の危険なものを抱えておって、一体この災害はここで落ちついたかどうかという点がずうっと心配されて、落ちついたんじゃないかという多少期待感も持ちながら、まあこれで腰を入れての対策ができるかというようないま状況になりつつあると思うんですね。そこで、来週には専門的な調査団を派遣して、そして原因究明する——原因究明するということが根本的対策と申しましょうか、現時点でまずこの対策ならばという措置をとる上にやはり原因究明というものが前提になると思いますので、そのことについては調査団の結果を待ってそしてそれに応ずる対策をいたしたいと。御質問の中に腑に落ちないという御指摘で、そういう感じが確かにあると思いますが、そういうことでは地域住民の皆さんにも不安感を与えるゆえんでありますので、そういうことがないように来週の専門的な調査につきまして十分な努力をいたすよう私としては努めたいと思います。
  190. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 先ほどの御答弁でもいまもこの一万五千立米の問題、これはまあ非常に重要な問題だろうと思うんですね。引き続いて、一万五千ならたかが知れているというわけにはいかぬと思うんですけれども大臣の目は木を見ると同時に、やっぱり山を見てもらわないと、一万五千立米にくぎづけになっておられるようなことでは、これは何ですよ、あとは専門家だと言われたようなことではこれはやっぱり心もとないと思いますよ、その点。大臣みずからも腑に落ちない点については同感な点もあるように言われるわけでありますから、この点は鋭意進めてもらわなくちゃならぬと思うんです。  ここで再び林野庁にお伺いをするわけでありますが、全国で十二万四千カ所に及ぶ危険個所、これは何か山腹崩壊あるいは崩壊流出、地すべり発生危険個所と、これらそれぞれの性格に合わせて指定をされておるように思うわけですけれども、これ一体それぞれこれは複合をしておるようにも、これどれでも該当するようにも思うわけですね。私どもも通常聞けば、山腹が崩壊したのであるし、崩壊流出したのでありますしね。そしてそれの引き金になるなり、依然から地すべりが頻発地帯で起こってきたわけです。どれをとらえたってこれは指定個所になりそうに思うんだけれども、もっと危険な個所が十二万カ所あってもこれは危険とみなしてこられなかったわけであります。その点について、どうしてこの地域は指定されなかったのか。ほかはそれではここよりももっと危険であるのかというような点についてお伺いしたいと思うんです。
  191. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 四十七年の山地災害危険個所につきましては、当時集中豪雨等が非常に多かったというようなことから、また山地の災害をできるだけ防止をするためには全国的に一般的にどういう危険個所があるか、これを調べる必要があるということから緊急に実施したのでございまして、その場合の調査の基準といたしましては、人家、公共施設に直接危害が及ぶおそれのある地区というものを頭に置きまして一定の基準、たとえば直接保全対象施設が山腹の頂高の五倍に相当する距離の範囲にあるとか、あるいは土砂等が渓流を流下する場合には保全対象施設が二キロ以内にある地区であるとか、あるいは地すべり防止法によります指定地すべり防止地帯、そういうところで下流被害を与えるおそれがある地区というようなものを基準にいたしまして一応調査をしたのでございます。これは危険の主な原因によりまして、あるいは地すべりであるとか、山腹崩壊であるとか、土砂崩壊流出というような分類を便宜やっておりますが、総体の地区といたしましては十二万四千カ所あったということでございます。今回の崩壊が起きました個所、あるいは白田切あるいは南地獄谷一円につきましては、従来から国有林の中の地すべり地帯ということで防災事業を実施してきた関係もございまして、特にこの基準から見まして一応外れておりますが、地すべりそのものについては従来から私ども重要な個所ということで工事をいたしてきております。ただ、この個所が先ほど申し上げました基準からは外れていることは事実でございますけれども、これは国有林の中でも、相当奥地におきましてもこういう問題がある個所についてはこういう点検個所以外、危険個所以外にもこういうような工事を実施してきたわけでございますが、なおこの四十七年の際の危険個所につきましては、現在調査技術も非常に向上してきておりますので、なお本年この四十七年の調査をもう一度見直したいというように考えておるわけであります。
  192. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 崩壊流出についての基準が下流二キロ以内に人家があることと、かような基準があればあそこでは該当しなくなってくると、物差し当ててみれば確かに該当しないわけです。しかし、これ四十七年に全国調査でやられて、たとえばこの地区は四十六年に災害を受けているわけですね。そして今度流れた橋はあのときもやられておるわけです。あれだけ急傾斜地の下で、しかも人家が二戸でもあるというのが、二月や二戸じゃないわけですからね。こういった点は、見直しますと言われる点は、対象地域をどこに加えるかというのを見直すとともに、今日に適合した物差し自身についても適正な見直しがなされなくちゃならぬのじゃなかろうかと思うわけですが、念を押すようですが、この対象の地域とあわせて物差しについても見直し、そして調査を行われるということであるのかどうかをお伺いしておきます。
  193. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 当時の調査基準につきましても、私どもとしてはもう一度見直しをしたいと考えております。
  194. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 時間も来ておりますので、幾つかの問題について取り残しておるわけですが、最後にひとつ非常に具体的な問題としてお伺いをしておきたいわけであります。  それはこういう状況になりますと、一つは抜本対策を講じるということと同時に、早く国民に忘れてもらってたくさんお客さんがいらっしゃるようにというのが現地で出てくるのは——大体災害の起こるところは風光明媚なところでありますから、いつでも行き当たる問題になる。しかしそれと同時に、ここにはやっぱり数万の観光客と数千の住民というのに合わせながら、そこでは日々この地域の中で生活をしておるたくさんの人たちがあるわけですね。今度の国鉄災害国鉄自身も減収をもたらし、痛められておるでしょうけれども、このストップによってたとえば通勤者が切実な声を上げておる。非常に具体的な要求として町で出された要望書の中にその問題について具体的記述がなされております。要望書の十七を見ますと、現在のところ通勤通学者は国鉄定期の乗車券を購入して権利を持っておるけれども国鉄が切れてしまって、国鉄としてはバスを、走っておるけれども国鉄バスでも出してくれないから、片道二百四十円の運賃負担を余儀なくされておりますと。これらの解消を図るために国鉄の責任でこの通勤を確保してもらいたいというような、これは単純であるだけに一層切実な要求があるわけであります。私もあの視察の際に聞いてみますと、これ四カ月やられたんじゃ困ってしまうんじゃなかろうか。これは赤字のついでというわけにもいかぬでしょうけれども、ひとつここのところはぜひとも通勤者のために国鉄としてはバスを出す、ここでひとつお約束いただきたいものだと思うんですが、国鉄さんいかがでしょうか。
  195. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) この普通区間につきましては現在代行バスの手配を現地新潟管理局において折衝中でございまして、地元のバス会社でございます頸城交通とそれから川中島交通この両社に地元の管理局でいま折衝いたしておりまして、頸城交通さんの方とは大体話を詰めましてバスの手配を出していただけるという話が詰まってきております。あわせまして、川中島交通さんともいま折衝しておりまして、そういうふうな中におきまして国鉄の代行便というふうな形でごく近々のうちにこの普通区間につきましてバスの運行をいたす予定にいたしております。そういたしました場合には国鉄の乗車券といいますか、国鉄の延長というふうな形で国鉄の乗車券でこの区問お乗りいただくような形に手配をいたしたい、かく考えております。
  196. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 そうすると、ここでずばり要求された国鉄定期乗車券を購入していま持っておる者はそれが使用できることになるわけですね。
  197. 佐々木峻一

    説明員佐々木峻一君) この区間につきましては、やや細かくなりますけれども、もう一度申し上げますと、この区間につきまして私どもで手配いたしますバスと、それからその路線バスの会社自体で運営なさっておりますバスと恐らく二種類がこの運転で走ることになると思います。その場合に私どもで手配いたしましたバスにつきましては、国鉄の乗車券で御乗車いただくという形になるわけでございます。
  198. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 一日も早く実現をしていただきますように御要望申し上げまして、質問を終わります。
  199. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も質問に先立ちまして、五月十八日の妙高高原町における土砂災害で死亡された十三名の方々の死を悼み、謹んで御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆さんに心よりお見舞を申し上げたいと存じます。  災害の再発防止と緊急復旧対策、恒久対策及び救援対策につきましては新潟県より提出されております九項目、妙高高原町より提出されております十八項目の要望及び陳情書に尽くされておるところでありますし、かつ多くの委員より指摘されたところでありますので、私はその重複を省略したいと存じます。しかし、これらはいずれも当然というべき要望、陳情でございますし、また視察をいたしました議員といたしましても超党派でその必要性を認めているところでございます。政府としても全力を挙げてこれらの陳情、要望にこたえるべきであると存じますが、まず長官としてのこれに対する所信をお伺いいたしたいと存じます。
  200. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 本委員会で御視察をいただき、その折にただいま御指摘の御要望も御聴取願ったことと思いますし、また私どもの手元にも要望書は届いておる次第でございます。それぞれ具体的な事項でございますので、先ほど来のこの委員会の御審議を通じてお答えを申し上げておるところでございます。そのお答えに即して早急に実現のための努力をいたしたいと思います。
  201. 柄谷道一

    柄谷道一君 祖父江孝男さんというのが「日本人その構造分析」という本を出しておられます。この本の中にアメリカの女流社会学者フローレンス・スラックホーン女史が、自然は人間により征服されるものだと考えている社会がある。アメリカとソ連がその典型である。その反対に人間は自然に屈伏すべきものだと考えている社会がある。その典型はメキシコ農民の社会である。そして人間は自然と調和を保つべきものと考えている。その典型が日本だと、こう指摘いたしているわけでございます。  私は一昔も二昔も前の日本社会ならばいざ知らず、現在の日本にこの定式は当てはめるべきではない。むしろ人間によりいかにして自然災害を克服するか、そこに向かって政治というものがその重点を向けていかなければならない時代ではないか、こう思うのであります。はなはだ冒頭哲学的な質問でございますが、長官の御所見をお伺いをいたします。
  202. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 残念ながらその祖父江さんの本を読んでおりませんが、ただいま柄谷さんが御指摘のところで感じたところを申し上げます。  文明社会が進んでまいりまして、自然に人間が挑戦し一つ一つ問題を解決し克服していっておる姿にあることは間違いがないと思うんですね。ただ、アメリカやソ連が果たして完全に自然を克服でき得ているかどうかということについては、私は若干の疑問を持ちます。ソ連におきましても数年前大きな飢饉に見舞われて諸外国の援助を得なければならぬというようなこともいま想起するわけでございますが、しかし、人間の英知を働かして自然の特に災害などに対してあらゆる努力をしてその被害を少なくするということはこれは人間として一つの理想ではないかと思います。
  203. 柄谷道一

    柄谷道一君 犬自然の力を人間が果たして完全に克服することができるかどうか。これには長官の言われたように、これは問題がございます。しかし、少なくとも自然に屈服するものではなくして、それをいかにして克服するために人間英知を働かせるかということに力点を置いていかなければならないのが政治だろうと私は思います。そのような考え方から、過去十年間の土砂災害による死者数をながめてみますと、昭和四十七年には五百九十三人、非常に多うございました。翌四十八年には七十二人と激減いたしましたけれども、その後五十年には百九十三人、五十一年には二百三十四人と、またまた年々増加する傾向を示しております。こういう犠牲者を何とかして食いとめる方法はないだろうか。がけ崩れ、土石流の土砂災害は国土の七割が山岳地帯、急流河川が多いという日本列島の宿命だとあきらめるべき問題では私はないと、こう思うわけでございます。まず、治山治水対策に対する長官の基本的所信をお伺いをいたしたい。
  204. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お互い日本の国土に生を受けまして、この長い将来を安全で暮らしたいということは言うまでもないことだと思います。また、政治がそれにこたえるべきであると思います。そういう点からいたしますと、日本の現状は治山治水の対策を非常に必要としている面が多いのでありますから、国土庁長官としても、また具体的な施策遂行の上に当たる建設省国務大臣といたしましても、それらの点に対する責任を十分痛感し、施策の上に効果あるよう努めていかなければならないと思います。
  205. 柄谷道一

    柄谷道一君 ところが、そのような長官の御決意ではございますが、実態としては、全国の土砂災害危険個所は、五十二年度の建設省調べによりますと、地すべり危険個所五千六百十六カ所、がけ崩れ危険個所六万四千二百八十四カ所、土石流の危険個所が六万二千二百七十二カ所、その危険地域の下に約百万世帯、七百万人が危険にさらされながら居住しているというのが現在の実態でございます。この数字のほかに、林野庁など農林関係危険個所が十二万四千カ所存在をしている。この地すべり防災工事を行うにしても一カ所一億円を超える膨大な財源を必要とするであろう。といたしますと、これだけの危険個所を防災をする経費というものは実に膨大なものであろうと、こう思うわけでございます。ところが、第四次治山治水五カ年計画を見ますと、砂防関係の進渉率は九一・九%に達していると、こう建設省は発表いたしておるわけでございます。しかし、九一・九%の計画達成率を持ちながら、なおかつ現在危険地域が非常に多い。そうなりますと、第五次治水治山五カ年計画というものは一体どの程度までこの防災的措置というものを達成するということを目的に組まれた計画であるのかどうか。この点に対しては非常に疑問を感ずるわけでございますが、その内容、方針を御説明願いたいと存じます。
  206. 大工原潮

    説明員大工原潮君) お答え申し上げます。  いま先生指摘の第四次治水事業五カ年計画におきます砂防聖業の達成率は九一・何%という御指摘でございますが、いまの達成率というのは、一応計画の数字に対します実施された事業費の消化率というふうな数字でございますので、一応ある目標に対します計画がございます、それまで予算がつかなかったという結果がいまの数字でございます。現在行っております第五次治水事業五カ年計画土砂災害関係で申し上げますと、砂防事業といたしまして治水事業あるいは砂防事業あるいはダム事業というふうなものが治水事業五カ年計画の中身でございますが、全体といたしまして七兆六千三百億という枠の中、砂防事業といたしましては一兆七百億という公共事業の規模を持っております。その中で砂防事業と、さらに地すべり事業というふうに分かれるわけでございますが、砂防事業の中では特に今回の土砂災害がございましたような土石流対策というふうなものに主眼を置いて進めるように考えておるわけでございます。先ほどお話がございました土石流発生危険渓流が六万二千二百七十二渓流ございまして、その渓流の中、現在までにこの第五次五カ年計画発足までに施工済みの個所は約五%でございます。さらに、今回の五カ年計画が終わりますと大体九%程度まで進捗率を上げるというふうなところまで安全を確保していきたいというふうに考えております。  渓流の対象といたしましては、やはり土石流におきます災害が保全人口が多いところ、あるいは危険度が非常に高いところ等から順次整備を図っていくというふうなことで五カ年計画には計上いたしております。  地すべりの問題につきましては、一兆七百億の中で約一〇%程度の投資をもって地すべり対策事業を実施しておるという状況でございます。これはいま申し上げましたのは、ただし建設省所管分のみでございまして、いま申し上げました、先生からもお話ございました約五千六百という数字は、建設省所管分だけの地すべり危険個所の数字でございます。
  207. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官、予算がついたもの、その予算に対しては進捗率は第四次計画で九一%という非常に高い進捗率を示しておるわけですね。しかし、なお依然として多くの防災上手を打たなければならない個所がたくさんあるということは、その予算の額そのものに問題があるということをこれは結果として意味しているのではないかと、こう思うのであります。この建設省の五十三年予算を見まして河川ダム、砂防、機械合わせて治水事業としては一兆百四十五億予算が計上されておりますけれども、補正後五十二年予算と対比いたしますと、一・二倍、事業費、国費とも一・二倍なんです。平均的予算の伸びしか治水事業関係も伸びていない。私はこのような災害国日本という現状を考えますと、予算の編成に当たって治山治水ということに対してより大きなウエートをかけていくという政治姿勢が少なくともこの予算を見る限り感じとれないのではなかろうか、こう思うのでございますが、大臣いかがでございましょう。
  208. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 確かに問題点はそこにあると思います。きょうも御答弁申し上げておるわけでございますが、地すべり危険個所あるいは急傾斜地崩壊危険個所、土石流発生危険渓流等建設省建設省調査ができ、指摘をしておるわけでございますが、大蔵省との折衝ということになりますと、現在ただいま答弁がありましたように、それぞれ五カ年計画に基づいてやっております。その五カ年計画を作成するに当たって、最も緊要度の高いところをどれだけ盛り込むかということで折衝し、その結果計画というものが承認され、それによって予算をつけて現実に施策をやっていくというような、そういう手法が、おっしゃるように、こういう地すべりだ、山腹崩壊だ、そういうことにもっと対応しなきゃならぬではないかという場合に、あらかじめ決められた尺度で五カ年計画をやるというところに問題が確かにあると思います。私どもとして、危険個所に対し十分な施策をやる上におきましてはもっと積極的にやらなきゃならぬと、こう御指摘があれば、それはそのとおりだと言わざるを得ないと思います。
  209. 柄谷道一

    柄谷道一君 間もなく梅雨のシーズンに入ります。土砂災害危険個所ではパトロールを強化して周囲を総点検する、危険の徴候があったらいち早く避難する、それ以外に手段がないというのが率直な現状であろうと、私はこう思うのであります。そして今回のような災害が起きますと直ちに三十億円を超える被害が発生をする、多くの人命も損われる、こういうことが繰り返されているわけでございます。私は現在つくられております治山治水五カ年計画につきましても、これは多額の財源を必要とする問題ではございますけれども、こうした災害一つの契機として、すでにもう五十二年から五カ年の計画は固定されている。それを年度年度消化していけばいいんだという、こういう発想ではなくして、新たな視点から現在の五カ年計画というものを洗い直し、より一日も早い防災体制の充実ということに向かってスタートを切り直すべきではないかと、こう思うのでございます。これは恐らく災害対策特別委員挙げての要望でもあろうと私は推察するところでございまして、大臣としての今後の御努力を強く求めたいと思いますが、いかがですか。
  210. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 現在非常に財政の不如意な状況にあることは御承知のとおりであろうと思います。この種の公共事業につきましては鋭意努力をしておるわけでございますが、五十三年度で十一兆からの国債を発行して事に当たっておるという状況にありますので、どうしても大蔵当局からしても一応のそれぞれのめどをほしいということはわかりますし、また一方において各種五カ年計画でわれわれとしても全体の中でどれだけやれるかという見通しをつける必要も起きてくる。これが現実政治の悲哀だと思います。しかし災害があって大きな損失を見、それに伴う国費の支出などを考えます場合に、五カ年計画についてときにはこれが改定をする必要性も起きてくるかと思いますが、きょうここで直ちに現在の第五次計画がどうかということにつきましては、実は十分われわれも検討をし、腹をつくって出ておるわけではございませんので、全体の仕組みの中で現在のそれぞれの五カ年計画はやむを得ないものとして御理解を賜り、ただいまの御意見については私もよく勉強さしていただきます。
  211. 柄谷道一

    柄谷道一君 本日直ちに洗い直しということはむずかしかろうと思いますが、その趣旨をくんでひとつ長官としても御努力を賜りたいと強く要望いたしておきたいと思います。  五十二年度の「国土建設の現況」という建設白書を拝見いたしますと、危険個所には有害行為の規制を行い、国土の保全に努めると、こう書かれているわけでございますが、今回の土砂災害について専門家方々の中には、数年前につくった治山ダム建設道路土砂崩れを発生する条件を人為的につくり出したのではないか、このような指摘があるわけでございます。道路建設に当たってこの辺の配慮というものを十分に行われてその施工を進められたのかどうかをお伺いします。
  212. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 今回の土砂崩壊の一因といたしまして、この地域の今回の崩壊個所相当上部に設置されました資材運搬道の建設が挙げられたことは御指摘のとおりでございます。この資材運搬道の開設は昭和四十四年に行ったものでございまして、上部南地獄谷の防災工事のための資材運搬道路ということで四十四年に当時ありました登山道——幅員約一メーターぐらいのものでございますが、これを拡幅をいたしまして現在の資材運搬道路をつくったものでございますが、道路工事あるいは選定に当たりましては、できるだけ従来の登山道を生かしてこれに緩斜面をとりまして幅員もできるだけ小さくする、また切り土等もできるだけ少なくいたしますし、またその残土処理についても下方の斜面への落下を避ける等の注意を払いまして、また施工の面でも発破等についてもできるだけ小さいものを使うとかいうような十分な配慮をいたしてきたわけでございます。ただ、これらの道路は、昭和四十四年にできまして、自来四十六年ごろから供用いたしておりますけれども、現在までほとんど何も問題なく使われてきておりますし、また今回の崩壊との関係を見ますと、崩壊はこの道路から相当低い個所、しかもまた深さも約十メーターから十数メーターにわたって土砂崩壊が起こっておりますので、この道路がどうも今回の原因土砂崩壊原因だったというようには私どもは考えにくいわけでございます。これが現在の現況でございます。
  213. 柄谷道一

    柄谷道一君 林野庁の江藤治山課長は、今回の地すべりをもたらした原因林道自体が影響を持つものではないと、こう言っておられますし、新聞にもそう発表されております。しかし新潟大学理学部、工学部、地元地質研究家たちが五月十八日のこの災害以降、二十一日に現地調査団を編成をいたしましていろいろ調査をいたしておりますが、それは十八日午前六時二十分ごろの第一次土砂崩壊はこの道路の下方に起きている、そして第二次土砂崩壊がこの道路の上側に起きておる、こういう事実から、もともと火山灰の地質融雪期の地下水で不安定な状態にあった上に急傾斜地の地層が治山工事用の道路で削り取られて崩れやすくなっておった、そういう人為的な要素も加わって複合的に地すべりを起こしたのではないか、こういう推測をいたしておるわけでございます。ただいま御答弁がございましたけれども林道自体が絶対に今回の土砂崩壊かかわりがないということを断言されますか。
  214. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 御指摘のような点もございますし、専門家によります調査団を私どもは来週派遣をいたしまして、建設省の土木研究所、林野庁の林業試験場の専門家によりまして原因調森を徹底的に行いたいというように考えております。  私どもとしては、先ほど申し上げましたように、今回の土砂崩落原因融雪原因であるというように見ております。ただ、そういう新潟大学の御指摘もございますので、そういうものも含めて今回の調査団原因調査をいたしますので、それらの結果を待って十分対策等も考慮したいというように考えておるわけでございます。
  215. 柄谷道一

    柄谷道一君 すると、いまの御答弁は林道関係ないものと思うという段階であって、そう断定しておられます江藤治山課長は、いわゆる現段階における推定である、今後の原因調査を待って初めてその真相はわかる、こう理解してよろしゅうございますね。
  216. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) 治山課長の江藤でございます。  ただいまの柄谷先生の御質問でございますけれども現地関係省庁の調査団といたしまして私も現地に参上いたしまして、そこで現地被害状況を視察させていただきました。その際にいろいろと現地事情を見たわけでございますが、ある新聞社からの取材に会いまして、それに対する対応につきまして私の方から申し上げましたのは、いま角道審議官の方からいろいろ御答弁申し上げましたとおり、必ずしも私としましてもこれは全くその原因ではないと断言したということではございませんけれども、ただし、いま現在見る限りにおきましては、私の前にすでに現地に入っておりますのが林業試験場の防災部の治山科長が入っております。その治山科長の報告を私も聞いた後に調査団に参加したわけでございますけれども、そういった聞いた内容から言いましても、直接の誘因というのは、やはり非常に好天が続きまして気温も高くなったわけでございますので、非常にしかも例年にない多雪といいますか、積雪が多かったわけでございますが、その積雪量融雪によりまするところの地下水というものがやはり大きな原因ではなかろうかということを申し上げたわけでございまして、その際の、この治山資材の運搬路につきましては、再三にわたりまして審議官からも御答弁申し上げましているとおり、現在崩落しました個所のかなり上部を通っておるわけでございます。しかもまた、その上部を通っておる治山の資材運搬路につきまして、融雪の水ならいざ知らず、その時期におきましては、かなり長い間でございますけれども雨量はございません。そういった雨量が流れたという痕跡はございません。また資材運搬路といたしまして使われておりますのも四十四年当時からでございます。そういった期間無事に使われてきた道路でもございますし、そういった見解からいたしまして、この運搬路が原因になるものではなかろうというようなことを私から申し上げた、こういうことでございます。
  217. 柄谷道一

    柄谷道一君 少なくとも天下の公器たる新聞に、いわゆる複合原因説というものがこう出されております。これ皆住民は見ているわけですね。これはやはり住民の間に今後の災害再発というものに対して大きな不安感を持たせるところだと、こう思うんです。私は責任回避を決してされているわけではないと思いますけれども、その現実をしさいに調査をして推定を立てておる新潟大学工学部ともよく連携をとられて、この原因が一体那辺にあったのか、それを私は責任追及という意味ではなくて、その真相を把握することが私は今後の治山治水対策一つの大きな教訓たり得ると、こう思うわけでございます。一日も早くこの災害原因というものが探求されるように、これは希望いたしておきたいと、こう思います。  そこで、これは五月二十日の読売新聞でございますが、「役所にも責任」という見出しで新聞が報道されているわけですね。これを読みますと、「現地の高田営林署は、周辺のもろい火山灰地質、源泉の地下活動、この冬のドカ雪など、悪い条件が重なった」「ふだんから危険地域として、定期的にパトロールするなど、万全を期していた」がやむを得ないことであったと、こう言っておられますね。一方消防庁の方は、「集中豪雨なら、事前に警戒体制も取れるが、雪解けによる地滑りなどは、地震と同様、予知が難しい」と、こう新聞には書かれているわけです。事実、地方気象台が管内に融雪注意報を出しましたのは、最初地すべりが起きた十八日午前六時二十五分から五時間十五分後の十一時四十分でございます。また、仮に予報が当たっておっても、前回の十倍と言われる史上最高の土石流というものから被害を防ぎ得たかどうかには問題があるにしても、しかし人命を失うということはある程度予防できたのではないか、こうも考えられるわけでございますが、消防庁も予報困難と、こう弁明されているわけですね。それからその林野庁管轄区のすぐ下は建設省と県の管理の砂防ダムでございますけれども、「ウチの方こそ被害者ですよ」と、こう新聞には書いてあるんですね。また運輸省の方は観光行政からいろいろタッチはしておるけれども、自分の所管以外のこれらの問題に対して事前からこれらの観光行政と災害防止ということに対して余り物を言っていなかったと、こう言っておりますし、なおかつ現在の焦点は国鉄信越本線の復旧対策ということにその主力が注がれているわけです。  こうしてながめてみますと、これ何か縦割り行政が寸断をされておりまして、前回の昭和四十六年十二月三十一日の災害以降、これはこの地域に限ったことではないかと思いますけれども、各官庁が連係プレーをとりながら再度の災害発生を防止するという体制がしかれていなかったのではないか。このことがこれ端的に言いますと新聞の指摘でございます。いかがでございますか。
  218. 角道謙一

    政府委員角道謙一君) 昭和四十六年の災害が起きました後、災害復旧対策といたしまして地元県の上越市長であるとか、あるいは妙高高原町あるいは電力会社あるいは林野庁——当地の営林署でございますとか、あるいは建設省関係官庁で地元でそういう復旧対策会議を行いましたし、またその後も所管の前橋営林局あるいは新潟県と治山治水の関係の調整連絡会議は常時持っているわけでございますし、また本省段階におきましても、林野庁建設省というところでは十分この砂防関係の連絡はとっております。そういうことで関係官庁で常時情報交換をしながら、災害対策といたしましては一貫したものに十分調整をとってきたつもりでございますし、また今後の問題に当たりましても、今回も建設省林野庁調査団を出しますし、また関係官庁、国土庁にも御参加をいただきまして、できるだけ関係官庁集まりまして一体の計画を立てていきたいというふうに私どもとしては考えております。
  219. 柄谷道一

    柄谷道一君 この点も、これも天下の公器である新聞の報道ですね。いかにもこれを読みますと、住民としては縦割りのばらばら行政で、何か関係官庁が責任のなすり合いをしているのではなかろうかと、そしてその体制不備の中に今回の災害というものが発生したのではないだろうかと率直な罹災者というものは疑問を抱かざるを得ない報道なんですね。  私はいまこの短い時間で真相を究明しようとは思いませんけれども、少なくとも上流の林野庁下流を受け持つべき建設省、そしてその下に今回人命を多く失いました保養所その他の観光事業、さらに国鉄、こういったものが一体的に、急傾斜でしかも地すべりの危険がある——これは新潟県の陳情の中にも、「当該地区火山灰土が堆積した極めて土石流の発生しやすい地域であります」と、こう陳情書に書かれているわけです。そういう危険な地域であればあるほど緊密な連携をとってのあらかじめの防災対策というものが必要ではなかったんでなかろうかと、こう思うわけでございます。危険地域はここだけにあるわけではございません。またさらに一万五千立米程度の再度の危険があるとも言われているわけでございます。ぜひこれらの国民に不安を与えない対策というものを強く求めたいと思うんです。国土庁いかがでございましょうか。
  220. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘の点重々ごもっともだと思います。先ほど農林省の方から御答弁申し上げました点、やはり災害復旧という立場から、御案内のように、原形復旧という形での、特に出先での施設の連絡調整ということで、そういう趣旨を重点において御答弁申し上げたと思いますが、いま柄谷委員指摘の点は、やはりそういった復旧ばかりでなくて日ごろの土地のいろいろ利用の問題ですとか、あるいは地域開発の問題ですとか、さらには地元地域防災計画の問題ですとか、そういうことまで含めてやはりもっと広い見地でやるべきではないだろうかと、こういう御指摘だろうと思いますけれども、私どもの方もいささかおくればせだったかもしれませんけれども、なるべく各省庁一緒に対策を考えるために現地に参らしたわけでございますけれども、頂門の一針としてやはり御指摘のようなことを、今後のいろんな対策を考えますときに、関係省庁ばかりでなくて県も地元の市町村も、あるいは関係の団体の方々もやはり同じ土俵に乗っかって同じ物の考え方で、お互いに長い視野で物を考えるというようなことを協力してまいらなくちゃならないと感じております。
  221. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひそのようにお願いをいたしたい。妙高高原は全国有数の豪雪地帯でありますし、しかも町内には六カ所ほどのスキー場、温泉も四カ所散在いたしております。そして年間百七十万人が訪れると言われております観光の町でございます。  消防庁筋の話によりますと、集中豪雨であれば事前に警戒体制もとれるけれども、雪解けによる地すべりなどは地震同様予知がむずかしいと、こういうことを言われるわけでございます。しかし、そのむずかしいと言われております地震につきましては、大規模地震について特別立法までして予知体制をいまつくり上げようと、こういう努力がされ、当委員会でも審議されているところでございます。私は、このような危険度が高く、しかも一たん災害が発生すればその災害被害度が非常に大きいと思われる地域につきましては、ただ融雪によるものについては予知が不可能だ、困難だという姿勢ではなくて、これだけ科学が発達しておるわけでございますから、事前にこれを予知するそういう体制の整備について一段の努力が必要ではないであろうか、こう思うのでございますが、消防庁来ておられますか。——いかがですか。
  222. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) 地震同様予知がむずかしいということを書いてあるわけでございますけれども、これは集中豪雨等の場合におきましては、事前に相当の雨量があった場合にはどういった地区においては警戒体制をとるとか、あるいは場合によりましては避難体制をとるというようなことをあらかじめ地域防災計画等に決めておりまして、そういったことが具体的に行うことができるわけでございますけれども融雪による場合、今度のような災害の場合にどういう状態の場合において警戒体制をとればいいのか、あるいはどういう時点で避難体制をとるかということについての判断が非常にむずかしいのじゃなかろうかと、これは集中豪雨等に比べて非常にむずかしいんじゃなかろうかということを実は意味しておるわけでございます。したがいまして、いまのお話の予知体制を確立する方向で考えろというお話でございますが、でき得べくんばそういう方向で技術的に可能なことでございますれば、そういう方向にとっていただきますと、地元の市町村等におきましても当然連絡を受け次第緊急な対応ができるということになるわけでございますが、そういった問題につきましては消防庁だけで対応できる問題でもございませんし、気象の問題もあり、あるいは山の問題、川の問題いろいろございますので、関係の省庁とも十分相談をしてまいりたいと思っております。
  223. 柄谷道一

    柄谷道一君 建設白書によりますと、これ地すべり対策の緊急対策の中に書いてあるんですが、「緊急時における警戒避難体制を確立して人身災害の防止に努めることが緊要であり、このため、「がけ崩れ防災週間」等の広報活動を実施して住民の認識を深めることに努めており」と、こう白書では書いてあるんですね。ところが当日の状態を報道する新聞によりますと、新たな地すべりを知らせるサイレンが鳴るたびに地元民は安全な高台などにわれ勝ちに逃げ深夜までパニック状態が続いたと、こう報道されているわけでございます。予知体制とあわせて、これは地震対策も、予知、警報、そして対応と、この重要性が議論されていま法案の審議が行われているわけでございますけれども妙高高原町においてこれらの事前の体制、訓練、こういうものが行われておったんでございますか。
  224. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) お答え申し上げます。  妙高高原町におきましては——ほかの市町村も同様でございますけれども災害危険個所、いわゆるがけ崩れ等災害危険個所につきまして昭和五十二年度に調査を行っております。そしてその情報の連絡体制等については一応体制の確立を図っておるわけでございます。  なお、訓練につきましては、いま御指摘の訓練でございますけれども、ちょっと古うございますが、昭和四十九年に行っておりまして、その後全体としてのいわゆる総合訓練は実施いたしておりませんが、各消防機関とかあるいは事業所等における個別の訓練はしておるようでございます。なお、災害危険個所について常日ごろから把握をするように指導いたしておりまして、妙高高原町におきましてもそういったことをやっておるわけでございますけれども、残念ながら今度の災害の発生の場所がたまたま、実は御承知のように町村の区域も違ったということもございますし、かなり一般の住家からしますと遠い距離のところにあったということでございまして、残念ながら今回の災害の発生個所については把握の対象になっておらなかったということでございます。
  225. 柄谷道一

    柄谷道一君 人口が密集し、しかも危険個所とされている地域につきましては、地元民への防災の認識を高める、そのためのいわゆる広報活動というものがきわめて重要であろう。これは前にも一回小規模といえども災害が起きている地域ですね。私はそういう場合に備えて警報の出し方、避難地の確保、日ごろからの避難訓練、こういった地元民への直接的な協力の呼びかけ、それに対する行政指導と地元の体制確立という問題について、今回の場合まだまだ及ばなかった点が多いのではないか。その意味において前回の災害の教訓がこれらの面においてもなお十分に生かされていたとは考えられないということが非常に残念なわけでございます。ぜひその点につきましては、今後の十分の配慮を強く求めておきたいと思います。  次に、話を聞きますと、新赤倉と呼ばれております地域は、三十年代の後半から観光開発が進められ、保養所などがたくさんつくられてまいりました。白田切川は、聞くところによりますと、昔は沢のようなところであった。いろいろなものが流されて自然に川幅が広がってきたという経過があると、こう言わてれおります。私自身の経験でも、昭和十二年に神戸の新生田川土石流によりまして私も被災者の一人になったわけでございますが、その場合の経験を考えましても、土石流は、神戸港内に入る土石を防ぐために新たにつくった新生田川を流れるんではなくて、旧川筋を流れていったわけです。今回の災害も、現地を視察しますと、鉄道の水はけのために別のところに水路を設けている。しかし、やはり昔の沢を伝って土石流は流れている。自然というものはやはりそういうものだと、こう思うんです。  そうしますと、川下の方は道路や護岸堤が整備されてきておるけれども、川上の方は未整備状態である。しかし、整備されておる川下の方では観光開発がどんどん進んで人家が建っていく。こうしたことを考えますと、私は、開発計画を進めるに当たっても、上流の防災計画というものを十分踏まえながら地域開発というものが下流において行われるということではないと、上を捨てて、上をおくらして下だけの開発が進むということになりますと、被害の度というのは一層増大していくという結果を招くのではないか、現地をながめましてそのように感じたわけでございます。今後の観光開発等の開発事業のあり方についてそういう点の配慮が必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。
  226. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 確かに御指摘のように、あるいは先ほど長官の方から冒頭に御答弁申し上げましたように、単に自然を克服するということではなくて、いま御指摘のような、山頂から途中を経、人家の稠密を経、末端に至るまでの各地域につきまして、地域を一体としてどうあるべきか、そういう中で利用克服できる自然と、やはり本来の自然の姿といいますか、方向といいますか、そういったものを長い目で見て計画をつくるべきではないか、そういった観点が欠けていたのではないか、こういう御指摘だろうと思います。  私ども現地に参りまして、確かに御案内のような土地の事情で、やはり土地利用上も幾つか制約があったかと思います。そういう中で、地元としましても、あるいは県としましても、せっかくの地域の開発計画なり、あるいは防災計画なり、土地利用計画なり、そういうことについて見て、御指摘のような長い目で見た、あるいは上流から下流まで一貫して見たものの配慮が足りなかったんではないだろうか、こういうようなことだと思いますが、やはり起きてしまった災害を見ますと、そういう点について十分であったとはどうも私どももやはり言いかねる点があろうかと思いまして、御指摘のような点、せっかくの機会でございますから、今後の地域のいろんな計画なり、あるいは開発なり、そういったことにつきましても関係者ともども十分そういった点につきまして慎重な研究なり配慮というものをしてまいらなければならないと考えております。
  227. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、これで質問をとどめますけれども、冒頭申し上げました県及び町から提出されております要望につきまして速やかにこれを満たし、災害の再発防止と、そして応急対策の確立、これにとどまらず、恒久策の確立について関係省庁挙げての善処を強く求めまして、私の質問を終わります。
  228. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日は散会いたします。    午後五時五十六分散会      —————・—————