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1978-04-14 第84回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十四日(金曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————    委員異動  四月一日     辞任        補欠選任      川村 清一君     広田 幸一君      志苫  裕君     坂倉 藤吾君  四月八日     辞任        補欠選任      沓脱タケ子君     渡辺  武君  四月十日     辞任        補欠選任      内田 善利君     馬場  富君      渡辺  武君     沓脱タケ子君  四月十四日     辞任        補欠選任      藤井 丙午君     小林 国司君      森下  泰君     北  修二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                久次米健太郎君                 原 文兵衛君                 矢田部 理君                 小平 芳平君     委 員                 北  修二君                 小林 国司君                 三善 信二君                 山内 一郎君                 粕谷 照美君                 坂倉 藤吾君                 広田 幸一君                 馬場  富君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    政府委員        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        環境庁自然保護        局長       出原 孝夫君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   柳館  栄君        宮内庁長官官房        審議官      藤巻清太郎君        文化庁文化財保        護部記念物課長  横瀬 庄次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (赤潮発生防止に関する決議の件) ○鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月一日、川村清一君、志苫裕君が委員辞任され、その補欠として広田幸一君、坂倉藤吾君がそれぞれ選任されました。  また去る八日、沓脱タケ子君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。  また去る十日、内田善利君、渡辺武君が委員辞任され、その補欠として馬場富君、沓脱タケ子君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査議題といたします。  矢田部君から発言を求められておりますので、これを許します。
  4. 矢田部理

    矢田部理君 私は、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党及び民社党の共同提案に係る赤潮発生防止に関する決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。    赤潮発生防止に関する決議(案)   瀬戸内海等閉鎖性水域において近年赤潮発生件数が増大し、ハマチ養殖等沿岸漁業に甚大な被害が生じているにもかかわらず、その発生機構が十分に解明されていない状況にある。   当委員会は、瀬戸内海海域水質汚濁実情調査を行う等赤潮問題につき鋭意調査を進めてきたが、その調査結果にかんがみ適切な対策を樹立する必要があると考える。   政府は、可及的すみやかに次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、 閉鎖性水域富栄養化防止するため、原因物質の削減など、強力かつ適切な措置を講ずること。  二、 赤潮発生機構解明等を推進するため、大学、研究機関有機的連けいを図るとともに、総合研究所の設置、国立研究機関整備拡充等総合的研究体制の確立を図り、系統的組織的研究を進めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛成くださいますよう、お願いいたします。
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまの矢田部提出決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山田環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官
  7. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして、今後一層赤潮発生機構解明及び富栄養化対策の推進に努めてまいる所存であります。     —————————————
  8. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藤井丙午君、森下泰君が委員辞任され、その補欠として小林国司君、北修二君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  9. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。山田環境庁長官
  10. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま議題となりました鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  わが国の鳥獣行政基本法たる鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律は、大正七年に狩猟法が制定されて以来、すでに六十年近くの年月を経ておりますが、その間、本法が鳥獣保護及び狩猟適正化に果たしてきた役割りは少なからざるものがあります。  しかしながら、国土の開発等に伴い、鳥獣生息環境及び狩猟の実態が大きく変貌してまいっておりまして、これらに対応した制度改善が各方面から強く要請されているのであります。  このような情勢にかんがみ、政府におきましても、制度改善につき自然環境保全審議会に諮って慎重に検討してまいりましたが、その結果、鳥獣保護充実狩猟者資質の向上及び秩序ある狩猟確保を主眼とした制度改正を行うこととし、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案の主な内容について御説明申し上げます。  まず第一は、鳥獣保護充実であります。  その一は、特別保護地区における制限行為の拡大でありまして、近年、絶滅のおそれのある鳥獣等生息地撮影等のために立ち入りが行われ、ために鳥獣の繁殖に支障を来す例も見られるのでありますが、このような行為を許可の対象とし、規制を強化することといたしております。  その二は、鳥獣輸入規制の強化でありまして、特定鳥獣輸入に当たって、相手国輸出証明制度がある場合には輸出証明書を添付させることといたしております。  第二は、狩猟免許制度改善であります。  最近における狩猟事故発生状況等にかんがみ、狩猟免許は、住所地を管轄する都道府県知事が、狩猟に関する適性、技能及び知識について行う狩猟免許試験に合格した者に対して与えることとするとともに、その効力全国に及ぶものとし、三年ごとに更新することといたしております。  第三は、登録制度新設であります。  最近における鳥獣生息状況等にかんがみ、狩猟鳥獣保護との調整を図るという観点から、狩猟者登録制度新設することといたしております。  登録制度内容としては、まず、狩猟を行おうとする者は、狩猟を行おうとする場所を管轄する都道府県知事に申請して所要の事項の登録を受けなければならないこととしております。この登録に当たっては、都道府県知事は、申請者狩猟による危害防止または損害の賠償についての要件に該当しない場合等には登録を行わないこととするとともに、都道府県区域内における鳥獣生息状況等を勘案して、登録を行う者の数について制限を設けることができることといたしております。  なお、登録は、登録を受けた狩猟免許の種別及び狩猟を行う場所についてのみその効力を有することとし、その有効期間は、原則として十月十五日から翌年四月十五日までといたしております。  第四は、銃猟制限区域新設であります。  近年、狩猟解禁直後等における特定地域での集中銃猟による危険が増大していることにかんがみ、都道府県知事は、期間を定めて銃猟制限区域を設けることができるものとし、当該区域内においては、その承認を得なければ銃猟を行うことができないことといたしております。  第五は、猟区制度充実であります。  秩序ある狩猟確保という観点から、国及び地方公共団体以外の者も、環境庁長官の認可を受けて猟区を設定することができるものとするとともに、放鳥獣された狩猟鳥獣のみを捕獲の目的とする猟区を設定することができる旨規定することといたしております。  なお、以上のほか、麻酔銃等を用いる捕獲手段制限につき特例を設ける等所要改善整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  11. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) これより本案について質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 広田幸一

    広田幸一君 今回鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案が提案されたわけですけれども、翻ってみますと、この法案が提案されるに至った自然環境保全審議会答申というものが、ずいぶんと時間がかかっておるようであります。資料によりますと、環境庁長官審議会諮問をしましたのが四十七年の十月の十三日でございます。答申が出ましたのが本年の一月の二十日でございますから、五年と三ヵ月たっておる計算になるわけですが、一般的な常識として余りにも日時がかかったではないか、そういう感じがするわけでありますが、この間二十四回にわたる委員会も開かれておるようでありますが、そういうふうに非常に時間がかかったということは、それなりにいろんな理由があったと思うんです。私は、審議会がなぜこんなに長くかかって答申を出したかという経過について概要を御説明を願いたいと思います。
  13. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、この答申をいただくまでに、昭和四十七年の十月十三日に諮問を申し上げましてから、今年の一月の二十日までの長期の時間を経過したわけでございます。  で、その主なる理由は、狩猟の場につきましての考え方について、自然環境保全審議会におきましても種々に検討をされましたが、いろいろな意見がございまして、その一致を得るに至らなかったということで、これだけの時間の経過を経たわけでございます。  その狩猟の場につきましての意見一致を見なかったというものを大きく分けますと、一つ現行制度のようにいわゆる乱場を設けたままでよいという考え方と、もう一つは、狩猟一定の可猟地域のみに限るべきであるという考え方と、それから第三は、さらにそれを厳しくいたしまして、猟区のみにおいて、放鳥獣だけで狩猟を行うべきであるという、大別しましてこの三つ考え方について意見一致を見なかったというのが答申のおくれました主たる原因でございます。
  14. 広田幸一

    広田幸一君 いま局長から御説明がありましたように、三つのことで意見一致しなかったということなんでございまして、私もこの答申内容をざっと見まして、保護という立場とそれから狩猟という立場を混合して、この両方の立場が生かされるような、まあ悪く言えばあいまいのような答申になっておるように考えるわけでありますが、私は、鳥獣保護ということから考えてみますと、環境庁のあるべき姿としては、鳥獣保護狩猟関係を比較してみますときに、やはり法律とか制度には、保護というものを優先にして考えられなければならない、そういうふうに思うわけでありますが、こういうような答申内容について環境庁としてはどのように考えておられるかお聞かせをいただきたいと思います。
  15. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、環境庁といたしましては、鳥獣保護を預かる役所でございますが、また、お話のように、この法律鳥獣保護狩猟というものを含めまして、鳥類のいわば管理に属するような部分を含めた法律になっておるわけでございます。  で、鳥獣保護につきましては、一面において私どもは特に最近の社会経済情勢にかんがみてその保護を厚くする必要があるということを痛切に感じておるわけでございますが、他面におきまして、保護に伴って鳥の数が非常にふえる、ふえることによってまた逆に被害が出てくるということもございます。そういった場合に、有害鳥獣駆除ということもまた、鳥獣保護と裏返しの内容として持っておるわけでございますが、狩猟につきましても、その意味におきましては、有害鳥獣駆除についての、現行法の中での一定役割りを持っておるということもございますので、この辺の兼ね合いというものが非常にむずかしい問題であるというように考えております。
  16. 広田幸一

    広田幸一君 私も専門でありませんから、私の考えておることが即正しいかどうかわかりませんが、歴史的に考えてみますと、明治以来狩猟法というものがあって、その当時は、私は、狩猟する場合のいろんな危害防止するというようなことがその狩猟法律中身であったと思うんですね。それがだんだんと歴史が経過をして、特に戦後は経済が発展をして開発がどんどん行われるようになった、それによって鳥獣生息というものが非常に狭められてきた。ところが、人間生活していく上において、自然との共存調和を図っていかなければ本当の人間の豊かな幸せというものがない、そのためには鳥獣というものはいわゆる自然の環境の中の非常に貴重な部分を持っておると、そういうことで、私は、戦後はこの法律というものが保護ということに非常にウエートが置かれてきたと思うんですね。  そういうふうに考えてみますと、狩猟というものをどういうふうに位置づけるか、このことを私もこの間この法案を読みながらいろいろと私なりに考えたんですけれども狩猟というのはいろいろと分けられると思いますけれども一つはいわゆるスポーツ的な、趣味的なものがあると思います。それからさっき局長もおっしゃっておったわけでありますけれども鳥獣が害を与える、そういう鳥獣捕獲する、こういうために狩猟というものがある。それから、現在はそういうものはないと思いますけれども狩猟によって生活の糧にする。私はまあその三つ狩猟の大体の内容であろうというふうに考えておるわけですね。ところが、この三つの中で一番最後の、生活の糧にするということは現在ちょっと考えられないだろう。とすれば、この鳥獣被害をどう排除していくか、そのための狩猟ということは、これはちょっとおきまして、私は、スポーツ的な、興味本位といいますか——ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうものは、今日の環境整備して人間社会を心豊かなものにしていくという、自然との共存調和を図っていくという思想の上から考えますと、狩猟というものに対する物の考え方はだんだんと変わってきた。環境庁というのができたのも、これは最近できたわけでありますね。こうして世の中が開発が進んで健康が破壊をされる、周囲環境炉悪くなる、そういうものをいかにして防ぐかというために環境庁というものができたと思うのであります。そういうふうに考えてみますと、局長がさっきおっしゃったような、いままでの制度をそのまま残していくと、確かにこの法案の中にも免許を与えるときの規制とかいろいろありますよ。ありますけれども、大筋としては、私は狩猟というのは、保護の範疇の中で考えられるべきことであると、二次的に考えるべきことであると、こういうふうに考えるわけですね。  そうしますと、審議会が、現行制度でいくという考え方と、それから三番目の、全国を全部禁猟区にして、そして猟区を決めていくというような、そういう対立があったように感ずるわけでありますが、私は環境庁としては、答申それなりにあったとしても、一つ考え方があっていいと思うのでありますが、私はそう思うんですが——私がいま言ったことがわかりましょうか、ひとつそういう点で環境庁考え方を再度お聞きしたいと思います。
  17. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 先生の御指摘のような考え方につきましては、私どもも理解できる問題でございます。この点につきましては、特に鳥獣保護を中心に考えます場合にそのような考えに到達するということは、一つの自然な考え方であろうかと思います。  ただ、狩猟スポーツとして楽しむということにつきましても、いろいろな批判はございますが、やはり国民の中の相当数の方々がそのような立場で、スポーツとしての狩猟を行っておられるということがございます。したがいまして、そういう意味におきまして、国民全体のコンセンサスとして、鳥類保護というものをどの方向に向けていくか、方向といたしましては、鳥類保護社会経済の進展に伴ってさらに厚くしていくということが一つの勢いであろうというように考えておりますけれども、現段階におきますコンセンサスは、専門家の御審議の過程において、先ほど申し上げましたような状況であるというわけでございます。
  18. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま広田先生から御指摘がございました。この自然の中に占める動植物というものの重要性、そういうことから考えて、やはりこれの保護ということを第一義的に考えていくべきだと、基本的には私は個人としてはそういうふうに考えております。  御承知のように、外国ではむしろ銃猟を許される地域というものが特に指定されたそこだけで行われていると、そういう点では日本の方が逆になっているというようなかっこうになっておるわけでございます。ただ、この点、審議会なんかでも非常に議論がございましたように、長いこの制度をいまどんでん返しを打つということの実際問題としてのむずかしさということを考えてみるというと、どうしてもやっぱりこの猟区制度というようなものをだんだんそういうような方向に持っていく下地というものをつくりながら、そしてまた、いま言ったようなこの狩猟についてのいろんな制限保護というものを重点に置いて、いわば中途半端と、こういうおしかりを受ければそうかもしれませんけれども現実を考えながら、しかも今後やっぱりその猟区制度というものを持っていく下地をどういうふうにして持っていくかということを、いまの置かれている客観状況で考えていったらどうなるかということで、まあせいぜい答申を踏まえながらわれわれも努力していったつもりであります。  外国ではいわゆる猟区というようなものが大体個人の所有になっていて、自分で自由にそれがやっていける。日本の場合は、そういう点がはなはだ複雑な法律関係になっているというようなことも加味いたしまして、そこで竿頭一歩を進める、しかしながら、基本的にはやっぱりそういう方面に行くんだという認識におきましてこの制度を、いわば半歩前進というようなつもりでやったようなわけでございまして、いろいろな問題あろうかと思いまするけれども、御了承いただければと、こう考えている次第でございます。
  19. 広田幸一

    広田幸一君 ちょっと私、長官のおっしゃっていることが聞き取りにくかったんですけれども、時間がございませんので進めていきます。  いま、環境庁鳥獣保護に対する行政機構といいますか、そういう体制が非常におくれているように感ずるわけですね。聞いておるところによりますと、この専門的な職員といいますか、そういうものが足りない、全体的に予算の面でも余りとられていないと、こういうふうに、せっかく環境庁人間社会環境づくりをする一環として鳥獣保護をやっておるにもかかわらず、現実にそのような、行政内容が非常に不十分である、体制が不十分であると、こういうふうに聞いておるわけでありますが、いま長官は前向きにそういう方向に向かって前進をすると、そう言ったって一遍にはなかなかむずかしいと、こういうようなことであったと思うんでありますけれども、それにしましても、やはり環境庁がもっと積極的にそういう鳥獣保護についての姿勢を示さないとなかなかうまくいかないではないか。特に外郭の団体でございますね、野鳥の会であるとかいろんな団体があるわけでありますが、そこらの人たち意見を聞いてみましても、どうも国は鳥獣保護についてきわめて消極的であると、言ってもなかなか前向きな姿勢を示してくれない、だから私たちが自主的に運動をして、実績を上げて、それを行政に移していくと、こういうような意見がかなりあるのを私今回いろいろ聞いたんでありますが、そういう点でもっと環境庁は、さっき私がいろいろ言いましたけれども、前向きにそういうふうな姿勢を示していかなければならない、こういうふうに思うわけであります。  ここに私、ここ数年の予算実績のこれを見ておりますけれども余り伸びていないわけですね。鳥獣保護必要性というものは年々と増大をしておるにかかわらず、予算の面は余り伸びてないと、こういうふうなことで、私は、せっかくこういうふうに法律改正をしても、鳥獣保護中身のない、実体のないものになっておるんではないかと、こういうふうに思うわけでありますが、私がこういうふうに言っておることが当たっておるか当たっていないのか、ひとつ局長でも長官でもいいですから御答弁をいただきたいと思います。時間がありませんから、簡単に答弁してください。
  20. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護行政につきましては、本省の中で一課を設けてその保護に当たるということにいたしましたのが、環境庁発足昭和四十七年でございます。したがいまして、鳥獣保護につきまして力を入れるようになったのが最近のことであるという意味におきましては、御指摘のとおりかと存じます。  で、予算につきましては、御指摘のように、国の予算としては、昭和五十三年度でお願いしておりますのが一億五千万程度でございますが、昭和三十八年の改正の際におきまして、その財源の基本都道府県税に求めるというようにいたしてきておりますので、県レベルのものが二十数億の予算を持っておりますので、それを合わせて鳥獣行政が行われておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  21. 広田幸一

    広田幸一君 環境庁がいろいろと施策をしても、財政当局が協力をしてくれないと思うような予算が組めないということはよくわかるんですけれども、そういう点で、私は環境庁姿勢をもっと強く出してもらわなければならない。そうしないと、周囲団体からいろいろと言われ、すでにある団体等では自主的に寄付を募って、そうして鳥獣保護のための、生息地の買収に当たるというような計画がだんだんと進んでおるようでありますから、きょうこのことをここで言ってみても仕方がありませんが、今後はもっと強力に予算措置をとって、法律が実質的に生かされるような、そういうものをやってもらいたいということを私は期待しておきます。  そこで、私もわずかな期間でありますから不十分な勉強でありますけれども鳥獣に関する科学的なデータというようなも一のが環境庁余りないと、それは専門官がいないからそういうようなことになっておるのか知りませんが、これは答申の中にも、将来各種の研究調査等を必要とするために、国立研究機関を設立したらどうかというような要望めいた内容があるわけでありますけれども、私は、やっぱりこういうものをつくることによって一歩前進したものになると思うのでありますが、これは五十三年度の予算にはないと思いますけれども、どうなっておりますか。いつごろを目標にしてこういう答申による要望にこたえていこうとするのかお答えをいただきたいと思います。
  22. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 特に鳥獣につきましては研究の分野がかなり特殊なものでございますので、研究者、行政担当者ともに少のうございます。したがいまして、私どももそういう意味におきまして、研究充実は今後の大きな課題であるというように考えております。  で、昭和五十三年度のいわゆる緑の国勢調査と言われております自然環境保全基礎調査におきましても動物の調査を主体にいたしましたのも、鳥獣に関する実態をできるだけ客観的に把握いたしたいというところから出発したわけでございますが、技術者の養成その他を含めますと、私どもとしては、将来に向かっての大きな課題であるというように考えております。
  23. 広田幸一

    広田幸一君 まあ、そういうことを期待するわけですけれども……。  それから、さっき私は鳥獣保護行政体制についてお尋ねしましたけれども、この専門職の職員というのは本当に一名なんですか。外国では——画一的に言えませんけれども、アメリカなんかではすでにこういった人が四百人ぐらいおると言っているわけですが、日本は一人、しかもそれがずうっと一名というようなことでは話にならぬように思うんですけれども、ここらですね、予算折衝もあったと思うんですけれども、これではいけないと思うんですが、どうですか。
  24. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 現在鳥獣保護課の職員は十二名おりますが、その中で、専門官は一名でございますことは御指摘のとおりでございます。諸外国、特に先進国に比較いたしまして、その点につきましてはなおおくれておるということがございますが、この行政は、環境庁のみでなく実は林野庁の方においても分担をしていただいておる分野がございまして、林業試験場の方ではこの関係の職員が十名程度おるようでございます。私ども環境庁におきましては申し上げましたような状況でございますので、今後の課題として十分努力をしてまいりたいと思います。
  25. 広田幸一

    広田幸一君 林野庁というのは、そういった林業試験場ですか、職員がおるわけですけれども、これはいわゆる専門職ではないと思うんですね。ですから、やっぱり専門の、そういうことについての専門的な知識を持った者をいつまでも充足しないということではやっぱり問題の解決にならないと思いますから、まあ局長もその点については将来増えるということですから、がんばってもらいたいと思います。  それから、これは環境庁都道府県を、鳥獣保護については一応指導しておる形にはなっておりますけれども、大体が現在のところ各都道府県の知事に任せっきりのようになっておると思うんです、これはいろいろ経過があると思いますけれども。これは、そういうことではなくて、もっと国が都道府県の知事を督励をしながら一つの計画を立てて、方針を示して指導すべきであると、こういうことが答申の中に言われておりますけれども、ここらのところの姿勢の問題と、それから、いま申し上げました、鳥獣保護する職員というものが各自治体、都道府県にいるかどうか。制度もあるように聞いておるわけでありますから、この辺の掌握はどういうふうにされておるのかお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護の事業計画につきましては、第四次の鳥獣保護事業計画をいま実施をしておる最中でございます、昭和五十二年度から五十六年度にかけての五カ年計画でございますが。この事業計画を立てるに当たりましては、各都道府県の立てる事業計画の基準を国が示すという形で進めてきておるわけでございますが、国みずからの事業計画というものをつくらないで、県自体のものの事業計画を総合した形にいたしております。したがいまして、この点は、私どもといたしましても、国みずからが計画を持って、その計画を県に示しながら全体計画をつくるという必要があると考えておりますので、これは今回御提案をいたしました法律改正とは直接のかかわりのない問題でございますけれども、そのように努めてまいりたいというように考えております。
  27. 広田幸一

    広田幸一君 次は、先ほどちょっと私も言ったんですけれども、各民間の団体があるわけですが、そういう団体との連絡はどういうふうにしてとられておるのか、概要をお聞かせをいただきたいと思います。
  28. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 先ほども申し上げましたように、野生鳥獣に関する知識等につきましては、かなり現在におきましても特殊なものでございますので、国の力だけではなかなかむずかしいということで、鳥獣保護の民間の団体専門家としての御協力をお願いするということを絶えず行っております。特に、調査等の必要な場合には、これらの専門家の方々に御調査を願うというような形で、国から委託費でお願いをするというようなことを毎年いたしております。今年予定をいたしております自然環境保全基礎調査の動物面の調査につきましても、これらの団体の方々にお願いする部分が非常に多うございます。
  29. 広田幸一

    広田幸一君 さっき言いました予算から見ると、これは公害防止調査研究委託費、鳥獣関係ですか、いまおっしゃったのは。これから見ますと予算余りふえてないですね。むしろ減っておるような感じがするわけですが、この中からいま各団体には出ておるわけですか。
  30. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) これは、いま御指摘のはごく一部でございまして、たとえば特定鳥類保護対策費というので昭和五十二年度には四千九百万の予算がございますが、これなどがそうでございますし、それから昭和五十三年度、今年度におきましては自然環境保全基礎調査で動物関係調査については約一億八千万の予定をいたしておりますので、これらのかなりな部分がこれらの団体にお願いをするものになってくるわけでございます。
  31. 広田幸一

    広田幸一君 いずれにしましても、国の体制が不十分なために民間の団体に委託をしなきゃならぬというのが実態だろうと思いますから、これも繰り返しますけれども、やっぱり国自体の体制を充足することによって、主体性を持って各種団体にはお願いをする、こういう形にならないと、いまのところは民間団体の方が積極的に動いて県に、国に協力をし、援助をしておると、こういうことだと私は思っておるわけです。そういう点で、将来やっぱり自主性を持って各団体の協力を求めると、そういう体制にいくべきであると思います。これに対する意見は、時間の関係上省略をいたします。  そこで、私は鳥獣被害の問題についてこれから触れてみたいと思うんでありますけれども、この問題も審議会等でかなり私は論争のあったことであろうと思っているわけです。  そこで、鳥獣による被害調査でございますね、そういうものを調査をして、それに基づいてこの被害の問題が解決をされなければならぬと思うのでありますが、国としては、いろいろと鳥獣による被害というものが起きて、たとえばカモシカ論争なんかも新聞で一時出ておったのでございますが、そういうものも含めて鳥獣被害の問題について国としてどのような調査をし、それに対応しておられるかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣による農作物等に対する被害調査は実は非常にむずかしゅうございます。しかも広範囲にわたる調査をする必要がございますので、なかなか正確には把握しがたいということで、環境庁といたしましても、各都道府県の報告を求めたりあるいは農林省御自身が調査をなさっておるということがあるわけでございますが、いずれも切れ切れの内容での調査でございますので、十分なものではございませんが、一応調査そのものは若干のものがございます。  農作物の被害等につきましては、昭和四十九年度に農林省の方でお調べになっておられますものにつきましては、稲、麦、豆、雑穀、野菜、果樹その他等につきまして、四十九年度の被害が七十二億という数字が出ております。また、けだものによる被害につきましては、昭和五十年度に同じく農林省の御調査で十八億というのが出ております。  林業関係につきましては、環境庁昭和五十年——これは暦年でございますが、各都道府県に照会したものを合わせまして、林業関係で、ノウサギ、イノシシ、シカ、カモシカその他による合計が四十五億程度の害が出ておるというように承知をいたしております。
  33. 広田幸一

    広田幸一君 それでは、一応四十九年に農林省がそういった調査をしておるわけですけれども被害の補償ですね、補償は一体どういうふうになっておるのか、そこらのところがはっきりしないから、私は鳥獣の面からもその問題を提起をして、そのことが鳥獣保護規制にもなっておる、こういうふうにも推測されるわけでありますが、その被害と、それに対する補償はどういうふうになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
  34. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣につきましては、先ほどからもいろいろ御指摘がございましたように、人間共存をする、自然を構成する重要な要素でございます。それで、一面におきまして被害があると同時に、他面におきまして逆に益があるということで、これはスズメの例を取り上げましても、お米を食べるということと、虫を食ってくれるということの相殺関係があるわけでございます。したがいまして、ふえ過ぎても困るし、おらなければこれはまたぐあいが悪いというような状況がございまして、被害そのものを確定するということが非常にむずかしゅうございます。その辺のところを見きわめながら、ふえ過ぎるときには有害鳥獣駆除をする、それからまた狩猟を認めるという形で調整が図られておるわけでございますが、そのほかに被害防止施設その他につきましては、環境庁あるいは文化庁等、それぞれの行政の目的に応じて被害防止の施設について補助金を出すというようなことをいたしておるわけでございます。  御指摘の補償問題につきましては、これは鳥獣保護行政の面だけから論ずることは非常にむずかしゅうございます。これはむしろ生産行政なり文化財の保護行政なりと総合した問題になってまいるかと思いますので、共済制度等の関連等もこれあり、非常にむずかしい問題でございますが、環境庁といたしましても、むずかしいというだけでおいておるわけではございませんで、むしろいまそういった問題につきましての調査研究から入ってみなければならないというようなことで、まだ先の遠い話でございますけれども研究会を構成していただいて御検討を願っておるというところでございます。
  35. 広田幸一

    広田幸一君 確かに相殺関係がありますから、なかなか算定をするということはむずかしいと思いますけれども、でも、この問題を早く解決をしないと、だんだんと問題がやっぱりカモシカと同じように出てくると思うんですが、いまの鳥獣制度研究会ですか、そういうものの構成はどういうふうになっておるのか。それから、大体いつごろを目標にして結論を出そうとしておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  36. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) ちょっといま氏名等を正確に承知をしておりませんが、大学の先生等にお集まり願いまして、鳥獣制度研究会を構成をしていただきまして、予算的には昭和五十二年度百六十万円、五十三年度も同程度の金額での研究をしていただいております。
  37. 広田幸一

    広田幸一君 それから、文化庁との関係でありますが、私も今度勉強してみてわかったんですけれども、文化庁が天然記念物として、保護鳥獣として指定をしておるわけでありますが、文化庁が指定をした後の行政処理といいますか、保護といいますか、そういう業務が、ずっと文化庁で続けられるものと、それを引き継いで環境庁がやっておるものと、こういうものがあるように思うわけでありますが、そこらのところを一元化するといいますか、明確にした方がいいと思うのでありますが、何かこの間タンチョウヅルですか、あれの問題をちょっと勉強してみましたら、それは文化庁の方のそれだと、環境庁ではないというようなことがあったわけでありますが、そこなんかのちぐはぐを明確にすべきであると、こういうふうに思いますが、その点はどうなっておりますか。
  38. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、文化庁の天然記念物と、それから私どもの方の野生鳥獣保護行政とが重複をする部分がございます。現在それが典型的にあらわれておりますのがカモシカに対する対策でございます。この点につきましては、昭和四十九年度に文化庁と環境庁の両庁間の連絡協議会を設けまして、天然記念物に指定されております鳥獣保護の強化について、両庁の意見一致させて、私どもが引き継ぐ方がいいというものについては、できるだけ引き継がせていただくように進めてきておるところでございまして、トキ、ライチョウ、カワウソ等の保護増殖事業については、環境庁が主体的に実施するというように御相談を申し上げたわけでございます。今後につきましても、両庁間の連携を密にいたしまして、私どもの方でお引き受けできるものにつきましてはできるだけそのようにさせていただきたいということで文化庁とお話しをいたしたいというように考えておるところでございます。
  39. 広田幸一

    広田幸一君 さっき申し上げた被害の補償の問題で、文化庁の方では、一つのはっきりした補償の法律があるように思うのですが、環境庁の方にはまだそういったきちっとした補償の法律というか、制度がないようですが、そこのところ、文化庁にはあって環境庁にはないというのは、文化庁の方が歴史が古いからそういうふうになっておるのか、そこらの関係はどうなりますか。
  40. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) その点につきましては、工作物の設置等については一部補償をできるような法律体系にはなっておりますけれども、御指摘のような問題は今後の検討問題として残っておるかと思います。
  41. 広田幸一

    広田幸一君 それから、国際関係の問題ですが、これは答申にもうたってありますが、現在はアメリカ等に国際協定ですか、そういうものの約束ごとがあって、いろいろ情報交換をするということになっておりますが、これはひとりアメリカだけでなくて、ソ連からも渡り鳥が来るし、またカナダからも来るということがあるでしょうが、こういう国際的な協約についてはどういうふうにいま進められておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  42. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 渡り鳥の保護条約としては、日米の渡り鳥保護条約と、日ソの渡り鳥保護条約と、それから日豪の渡り鳥保護条約の三つがございます。  そのうちの、アメリカとの保護条約につきましては、昭和四十七年に調印をいたしまして、昭和四十九年に批准を終えております。  で、ソビエトとの保護条約は、昭和四十八年の十月に調印をいたしておりますが、これは渡り鳥の、保護の対象になる鳥の種類等のリストアップにつきまして、なお両国間に調整を要する問題が残っておりまして、現在批准に至っておりません。  それから、オーストラリアとの保護条約につきましては、昭和四十九年に調印をいたしましたが、その批准につきましては、オーストラリアの中央政府と州政府との間での一部意見調整が現在まだ行われておるようでございまして、それができれば批准をいたしたいという態勢でおりますが、そのためにまだ批准が終わっておらないという状況でございます。
  43. 広田幸一

    広田幸一君 ちょっと急いでやったんですけど時間があるようですから……。  開発鳥獣保護との関係ですが、だんだんと開発がされていくと、そうすれば鳥獣生息というものが狭められるというようなことが現実にあるわけでありますが、こういう開発鳥獣保護との関係はどういうふうに位置づけていま環境庁としては取り組んでおられるのか。問題がいろいろあると思うのでありますが、そういう問題を挙げて、それを解決していくためにはどういうふうにしてやっておられるかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 自然保護ということは、これは非常にわれわれにとって重要なことであることは御案内のとおりでございます。一方、開発問題につきましてはやはり地域の住民の生活保護というようなことから、ある程度生活が成り立つような開発を、特に僻地、いろいろ限られたところではそういう要望が出ておるようなことも——イリオモテヤマネコの問題なんか起こっているのもそういう切実な面からの要望だと思います。  結局、これをどのように兼ね合わせをしていかなければならないかということでございまするけれども、この問題は、やはりもっと高いいろいろな見地から国家がそういうことの総合調整で、場合によっては住民のいろいろ困っている点を、あるいは財政的な面で何か別な角度でめんどうを見れるかどうか。そういうようないろいろな全般の角度で、この問題は大きな立場で考えていかなければならぬ点もあるのじゃないかと、いろいろ今後起こってくる問題で、そういうような角度でもひとつ検討してみる必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  45. 広田幸一

    広田幸一君 長官、聞き取りにくいところもあったんですけれども、むずかしいこともあるけれども、大体協力をしてもらって、まあうまくいっておると、こういうことなんですか。
  46. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これは、いずれにしても地元民の十分な納得、了解、そういうことで両方がうまくいくようなふうに考えていかなければならない問題で、そういう点が進んでいる面もありますし、なお、いまそういう意味での努力をしておる面もありますし、先ほど私が触れたように、これがまだ今日まで問題になって考えられては必ずしもおりませんけれども、もっと広い見地で、住民の利害というものを自然保護の見地とは別な角度でやっぱり考えてみる必要があるかもしれないと、そういうようなことを考えている次第でございます。
  47. 広田幸一

    広田幸一君 この問題は非常にむずかしい問題だと思います。これはやっぱり各省庁との関係もあるでしょうしね。建設省であるとかあるいは通産省であるとかいろいろな関係があると思いますけれども、そういう場でやはりこの問題を常に出して、そしてこの鳥獣保護という立場行政の上でしっかりと上げてもらうというふうに要望しておきたいと思います。  最後に、天然記念物になっておる鳥獣で、全国的に見てもう死滅寸前にあると、死滅というところにいかなくても非常にわずかしか残っていない。これは早く手当てをしなきゃならぬというようなものがあるように聞いておるわけですね。まあそれにはいろいろと環境庁としても、文化庁としても手が打ってあると思いますけれども、しかし、それが手の届かないものがありはせぬかと思うんですね。たとえば財政的な問題であるとかあるいは周囲のいろんな関係からそういうものがありはせぬかと思うのでありますが、全体としてどうなっておるのか。環境庁として調査をされている実態があると思いますので、それをお聞かせをいただきたいと思います。
  48. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) わが国におきまして、絶滅のおそれのある鳥類といたしましては、トキ、タンチョウヅル、それからニホンライチョウ等二十八種類を、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律に基づいて定めております。このほか、この法律には直接決めておりませんが、獣類では、これと並ぶものとしまして、ニホンカワウソ、アマミノクロウサギ、イリオモテヤマネコ等が特別天然記念物として指定されておりまして、絶滅のおそれのある獣類として、これらを保護するように取り扱ってきておるところでございます。
  49. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 関連してお伺いいたしますけれども、きのう、おとといと、ずっとトキのことについて大きくマスコミが取り上げています。実は私、佐渡島の新穂生まれですから、トキの生息地なんで、二週間前にあそこへ行って見てまいりました。一羽のキンちゃんという鳥のために、一人の係官が常駐をし、さらに一人の男性が特配され、そしてジープが買われ、運転手が付き添われ、地元の方々の努力も非常に大変だと思いますし、市町村の努力も大変です。そしてまた環境庁のこのトキに対する姿勢というものも私は非常にりっぱな、というふうに思いますが、それでも地元の人にしてみれば、本当に人間が大事なんだろうか、トキが大事なんだろうかということについての疑問をやっぱり持っているわけですね。それでもやっぱり世界の流れから言えばどうしてもこのトキを守らなきゃならないと、こういう立場で努力をしているトキ愛護会の方々及び市町村から、環境庁に対して、こういうふうにしてもらいたいという要望が出ていると思うんです。で、いま広田委員の質問は、そういうことに対して、環境庁としては手が及ばないところがあるのではないかというふうにおっしゃったはずなんですが、それに明確に答えていないと思います。  たとえば、あのトキは新穂村から今度引っ越ししまして、両津市の方に移っていったわけです。そうしますと、両津市の方が、いままでは関係のない市でありましたけれども、今度は保護区にどうしてもしてもらわなきゃならない。そうすると、Uターン現象で、青年たちが村へ帰ってぐる。九州の方のシイタケ栽培の原木がなくなりましたので、原木がずっと北の方へ押し寄せていって、あの辺でもシイタケを栽培したいと言っている。ところが、その原木を切り出すことが、トキがいるからだめだ、音を立ててはいけない、こういう制限があれば生きていくことができないわけですね。したがって、その部落を買ってもらいたい、こういう要望があります。そうすると、林野庁にしてみれば、山ならいいけれどもたんぼや畑はだめだと、こういうことになります。そうすると、一体それを保護してくれるのはどこかといえば、私は、環境庁がもう大々的に乗り出す以外にないと思うんです。しかし、このことについてはここ三年来問題が出ているにもかかわらず何ら前進をしていない。御討議もされていると思いますが、このことについて本腰を入れて取り上げていらっしゃるお気持ちがあるのかどうなのか。具体的にはどのように進んでいるのかお伺いします。
  50. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、なかなかむずかしい問題でございます。特にトキのような、われわれが確認できているのは、現在八羽と、飼われているのを一羽入れて九羽しかいないというようなものにつきましても、やっぱりその巣を移動するようなことが、生息地を移動するようなことがあるようでございまして、そのたんびに人間が振り回されるというようなこともあるわけでございます。それに伴いまして、地元の方々の生産活動あるいは生活と密着した問題でいろいろ御要望があるということは私どもも承っておるわけでございます。で、県の方とも具体策につきまして調査を願ったり協議をしておりますが、なおしばらく検討の猶予を与えていただきたいというように考えておるわけでございます。
  51. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 検討の余裕を与えてもらいたいということは、それは善処するということで検討されるんだと思いますが、検討しましたけれどもだめですなんていうのじゃ検討の意味がないわけでして、その辺はどうでしょう。
  52. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 土地の買い上げ等につきまして、できるだけ私どもとしては現行制度の許す限り前向きに検討いたしたいということで検討いたしておるわけでございますが、そういう意味におきましてなお御猶予をいただきたいということでございます。
  53. 広田幸一

    広田幸一君 いま粕谷委員の方からも質問があったわけですけれども、私も余り実態を知らないので、質問をするのもちょっと不十分ですけれども、その生息地をやはり保護するためにどうしても買収しなければならぬと、しかも地元との話し合い条件も整ったという場合には、予算措置としてそれだけの財政的な裏づけというものはあるのですか。
  54. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 国設の鳥獣保護区に指定されましたところにつきましては、県が一部負担があるわけでございますが、交付公債で買い上げるというのを予算措置として実行できるようになっております。
  55. 広田幸一

    広田幸一君 その交付公債の額の範囲でございますけれども、それは限度がありますか。
  56. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 予算上は年間六十億の予算枠をもらっておりますので、実はこれはなかなか消化がむずかしいほどの金額でございます。
  57. 広田幸一

    広田幸一君 それでは最後に、せっかく宮内庁の方に来てもらっておるわけでありますが、後先の質問になりましたが、実は、私が当初申し上げた狩猟に対する位置づけの問題で、大体聞いておられてわかっていただいたと思うのですけれども、いま国民的にこの鳥獣保護ということについては非常に関心を持ってきておると思うのですね。ところが、皇室が何ぼかの狩猟地ですか、をお持ちになっておるということで、いろんな場で話が出る。あすこに高官が集まって、カモをとってそれを食べておるというようなことが言われておるわけでございますが、これは素朴な国民の感じだろうと思うのですがね、実態はそうではないように思いますが、あすこは猟区なのか保護区なのか、その点をこの際聞いて、国民の皆さんに明らかにしておいた方が、より鳥獣保護に対する国民の認識がわかると、こういうことできょうは宮内庁に来ていただきましたので、御答弁をお願いしたいと思います。
  58. 藤巻清太郎

    説明員藤巻清太郎君) お尋ねの件につきましては、宮内庁の施設といたしまして、カモ場というものを千葉県とそれから埼玉県、それぞれ一つずつ持っております。このカモ場におきましては、ただいまちょっとお話がありましたように、これを持っております主たる目的と申しますのは、国際親善の見地から外交団をお招きする。それから、日ごろ国務に精励されておりますところの国会議員、閣僚それから最高裁判所の判事の方、こういった方々に対する慰労という見地から、いずれも陛下のおぼしめしによりまして、年間一定の時期にお招きして、それで宮内庁が万事準備し、設置してこの日本古来の非常に伝統的な捕獲方法によりましてカモを捕獲すると、そういう催し物をするということでございます。それが主たる目的でございますけれども、同時に、これによって——このカモをとる方法は、非常に古くから伝わっている日本式の方法でございまして、カモを傷つけず、傷めずとるということでございます。そういった古技を保存するということが一つ。それから、とったカモは食べておりませんで、それはその後すぐ解き放ちます。そのときに標識をつけまして、この標識をつけることによりまして、国際的な分布、それから生態の調査研究、こういったもののデータもわれわれの方で調べまして、関係のところに提供しておる。さらに、このカモ場そのものは、最近はあの近所はなかなか都市化も進んでおるわけでございますけれども、その中で、渡り鳥にとっての絶好の安息の場所というふうなことになっておりまして、そういういろいろな多くの目的、効用を持つものでございます。一般的には、受け取られ方は、何かカモをやたらにとるというふうに受け取られるかもしれませんけれども、いま言ったようないろいろな配慮、われわれとしてはいろいろほかの要請、鳥類保護あるいは自然の保護という要請の調和を非常に考えてやっているつもりでございます。御了解いただきたいと思います。
  59. 広田幸一

    広田幸一君 昔はとって食べておったというふうに、国民はそう思っておりますね、実態は知りませんが。こういうふうにだんだんと国民が自然環境保護ということに認識が高まってきましたから、宮内庁の方もだんだんと内容改善をされてきたと思います。それなりにひとつ努力を願いたいと思います。  時間が参りましたので、最後に、まとめて長官の所見を聞いて終わりたいと思います。  私もこの法案が出ましていろいろ勉強さしていただきました。私は、鳥獣保護についてのそれほどの認識と理解があったわけではありませんが、実際勉強をしてみまして、いわける明治以来ずっと今日までの歴史を振り返ってみますと、とにかく鳥獣保護しなきゃならない。特に戦後、経済が発達をしてだんだんと開発が行われてきた、その一番大きなしわ寄せを受けておるのは、いろいろありますけれども鳥獣生息地というものが非常に狭められてきておると。ところが、私も年ほどの中で言いましたように、人間が生きていく上において、自然との共存調和ということは欠くことのできないものであるという、そういう認識を非常に深くしました。鳥獣というものは、自然の中の一つ部分を示しますけれども、われわれ人間に対して無形の恩恵を与えておる、そういうふうに感ずるわけですね。ですから、私は、日に見えない非常に人間とのつながりがある。そういうことを環境庁としてはもちろん深く認識を太れておるわけでありますけれども、どうもいろんな面から見ますと、財政当局に弱いような感じがするわけです、どっちがいいか悪いかは別としまして。もっと鳥獣保護のために積極的に大いにやってもらいたい。われわれもいろんな場を通しでそのことをこれから主張してまいりたい、こういうふうに感じておるわけでありまして、長官としての所見を承っておきたいと思います。
  60. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 環境庁立場においては、この自然の中に占める鳥獣というものの重要性、むろんそういう点から考えまして、この自然保護ということに非常に大きな重点を置いて考えていきたいと、この基本方針で臨んでおります。ただいま広田委員から御指摘がございましたように、この間において、人類との共存の中でいろんな点が起こってくる。これをどのように調整するかという問題というものはそれなりにございまするけれども基本方針においてはいま申し上げたようなことで、したがって、この調整問題というものは、先ほどもお話がございましたけれども、場合によってはこれは環境庁だけというわけにはまいりませんけれども、しかしながら、国家でそういうような問題の保障というようなものを考えながら、そうしてこの主たる点というものを通していけるような方法を、もっとそういう点を考えていいんじゃないかというような立場に立って、そうして基本方針を貫きながら進めたい、こういう考えでありますので、御理解いただきたいと思います。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほどの質問の内容と関連いたしますので、先にお尋ねいたしたいことは、ニホンカモシカについてのいろんな問題点を、去年の当委員会で、環境庁、林野庁、文化庁の御出席をいただいて問題提起をいたしました。その後捕獲を許可するというふうなことが文化庁から出たわけでありますね。その後の経過について簡単で結構ですから御説明いただきたい。
  62. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) お答えいたします。  岐阜県の小坂町を中心といたします——裏木曽地域と呼んでおりますが、四町村に対しまして、去年の十二月の二十六日付で、町村長に対しまして合計七十五頭の捕獲許可をいたしました。続きまして、その後環境庁生息実態調査の結果が出てまいりましたので、それに基づきまして、大体被害を与えているカモシカの頭数と推測されます百頭につきまして、ことしの二月の四日付で百頭の許可をいたしました。これは、百頭の許可に当たりましては、町村長だけではございませんで、いわゆる被害を受けておられる個人の方が——被害者同盟というふうに呼んでおりますが、その方々三百二十五人に対しまして、全体で百頭というふうな形で許可をいたしました。その後、私どもは別途に町村長に対しまして捕獲に必要な——保護捕獲でございますので、それに必要な経費四百万円を補助をいたしまして、県からの補助金を合わせまして、合計八百万円程度の捕獲経費をもちまして作業をしたわけでございますけれども、結果としては許可期限の三月末までに一頭も捕獲できなかったわけでございます。  この捕獲実績が上がらなかった原因といたしましては、この地方の雪の状態がことしは非常に多うございまして、二月中はほとんど雪のために作業ができなかったということで、実際には一月の中旬ごろとそれから三月になりましてからの約一カ月、そういうふうに非常に捕獲作業の期間が短かったということがございます。  それから、具体的な捕獲方法として、わなによる方法をとったわけでございますが、これはいままでに余り実施されておりませんものでございますので、捕獲方法に確かなものがございませんで、今後改良の余地があるということで、まあふなれなために非常に効果が上がらなかったというふうに考えております。今後、そういった方法についても十分検討していく必要があろうというふうに考えております。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 前の委員会で事の経過はるる私からも述べ、また政府からも御答弁がありましたので繰り返しませんけれども、結局、特別天然記念物に指定されたというその時点から考えましても、きわめて行政の対応がなまぬるかったということであります。当時の石原環境庁長官もそのことは十分認めて、こういうことじゃ相ならぬと言っておったわけであります。  ただ、このトキの場合は、先ほどお話がありましたが、調査がよくできているということがわかりますが、カモシカの場合、調査ができてないということ。とにかく大被害が発生するというところから、地元の町村、それから特に林業関係者の方から、とてもこれじゃ林業が立ち行かないということ。特にまた、環境庁として環境保全という立場から言っても、はげ山ばかりになってしまって何の環境かということになるというようなところからこの百頭捕獲ということになったことと思うわけであります。しかし、合計して約八百万円ですか、使ってやってみたけれども、成果はゼロだったという報告であります。こういう点、環境庁長官人間鳥獣とはともに生活をしていくのが本来の姿だと、口ではそう言われますけれども、実際問題、このカモシカの問題のような場合どう対処するかということは非常に大事な問題点があろうというふうに考えます。  で、今度は具体的にお尋ねいたしますが、一つは、環境庁が今回の改正で麻酔銃のことを取り上げておりますね。これは被害者同盟の方のお話で、文化庁へ行きましたときに、文化庁がわなでやるんだと言うのに対して、被害者同盟の方は、わなじゃだめだと言っていたわけですよね。課長さんそのときいらっしゃったかどうか。わななんて、そんなことでとれるわけはないと言っていらっしゃったんですが、まあ被害者同盟の方がおっしゃるようにとれなかったわけですが。ところが、文化庁では麻酔銃のことは知らなかったんです、そのときに。どなたも。いやしかし麻酔銃はもうとっくに予算がついて研究がなされているはずだということで、文化庁の方は初めて知ったというようなわけですが、この麻酔銃の経過について御説明をいただきたい。
  64. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今回の法律案でお願いをいたしております、要綱の「その他」で「特定捕獲手段制限の特例に関する規定を設ける」というのが麻酔銃を使えるようにいたしたいということでございますが、五十二年度の予算で、動物園協会にお願いをいたしまして、麻酔銃の実際の使用に関する研究をしてもらっております。と申しますのは、現在動物園で麻酔銃をお使いになる場合には、大体十五メートルから二十メートルぐらいのところで撃つような麻酔銃でございます。これは、カモシカは、とてもそういう近くでは逃げられてしまいますので、やっぱり数十メートル離れたところから撃てるようにしなければならないということで、それについての研究をお願いしておるわけでございますが、実はその研究の成果については結論はまだいただいておりません。と申しますのは、すでに動物園の関係の方々で実験をしていただく準備をしてもらっておったのでございますが、あの薬を使いますと体温が急激に下がるそうでございまして、寒い時期にやりますとそのためにカモシカがショックで死ぬおそれもございますので、できるだけそういう時期を避けたいということで、近々その実験をした上で、研究の結果について私どもの方にいただけるものであると期待いたしております。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 麻酔銃も、石原前長官が現地へ行ったときに、麻酔銃でやればいいんだと、麻酔銃でやる計画があると言ったんですがね。それに対して地元の方は、とんでもない、アフリカあたりのあの砂漠で麻酔銃を使うようなわけのものじゃないと、テレビで見るような。こんな急な坂道で麻酔銃で効果が上がるとは疑わしいというようなこともおっしゃっていたわけですが、かといって結論どうするかということは、これは私も素人で見当がつきません。  で、先ほど広田委員からもお話がありました、被害の補償はどうなるかということであります。少なくとも特別天然記念物に指定されているということ。したがって石を投げて追っ払ってもいけないということ。そこで地元からは現状変更申請書が出ておりますわけですよね。まあ文化庁としては現状変更申請書が出ている、で、回答を迫られる、回答を早く出してほしいというふうに言われる、そこで何頭補獲許可というようなことになったんだろうかと思いますが、そういう点についての経過、見通しはいかがですか。
  66. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 先ほどもちょっと触れかわけでございますが、小坂町を中心といたします四町村からの、いまおっしゃいました被害者の方からの申請、これは全体で三百二十五人からの申請が昨年の九月から十一月にかけまして出されていたわけでございます。それについて、小坂町を中心とする地域についてのカモシカの生息状況、それから被害を与えているカモシカの頭数の調査、こういうことを全国に先駆けて実施をいたしまして、これは文化庁と環境庁と両方でやったわけでございますが、その結果に基づきまして先ほど申しましたように、本年の二月の四日に、これは町村長の方と合わせてでございますが、百頭の許可を行ったということでございます。  ただ、その許可に当たりまして、申請者の方から出されておりました方法につきましては、わなとそれから銃を併用するという形で出されていたわけでございます。まあ銃を使うということについては、その後こちらから照会いたしましたところ、申請者考え方としては、射殺ではなくて傷つけて捕獲するということでございましたが、私どもとしては、どうしても、保護の問題もございますので、現在のところ銃を用いるということは非常に不適当であるというふうに考えまして、銃はカモシカをわなに追い込むときに威嚇をするという場合には使ってもよろしいけれども、それ以外はいけないというような条件をつけまして、認可をしたわけでございます。  それから、捕獲期限につきましても、申請内容は三年間ということでございましたが、これは町村長との共同作業になるということで、町村長の方の期限が本年の三月いっぱいということでございましたので、それに合わせて三月いっぱいまでの許可をしたというような、条件を幾つかっけましたわけでございますが、そういったことで許可をした次第でございます。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 許可をしたがゆえに補償はしないということですか。
  68. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) これにつきましては、文化財保護法に規定がございまして、現状変更について不許可をした場合あるいは許可に条件をつけた場合、その条件あるいは不許可によって通常生ずべき損失は補償するということになっております。したがいまして、これは具体的に当てはめますといろいろ問題はあるわけでございますが、たとえば、この被害者同盟の方の申請は、実は環境庁の方の鳥獣保護法の許可申請はなされておりませんでしたものですから、文化庁の文化財保護法についてだけ申請がなされていたということで、実際には捕獲作業ができなかったわけでございます。法律的にできなかったわけでございますので、その不許可あるいは条件つき許可によって生じた損失というのが出たかどうかという問題がございますけれども、ただ、この法律の条文に従って損失が出るということが明らかになれば、これは当然補償しなければならないというふうに考えております。それ以外の制度が現在のところございませんので、この法律の規定による以外にはないというふうに考えております。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 出原局長、そういうことで文化庁はうまく逃げの手を打った、と言っても差し支えないじゃないですか。許可はしますと、しかし、成果は全く上がっておりませんが、許可したんだからということであります。文化財保護法第八十条ですか……。  そこで、環境庁は、やはり先ほどの広田委員に御答弁のように、検討しているということだけですか。この問題についてはいかがでしょう。
  70. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 文化庁がいま御答弁になりましたように、本件に関しましては、当面の問題として出てきておるわけでございますので、現在の措置として考えられる問題として、文化庁に御判断を願う部分が非常に多かったわけでございます。その経過は、私どもも文化庁と常に協議をしながら、文化庁のお進みになっておる状況を承知をいたしております。
  71. 小平芳平

    ○小平芳平君 本件については、文化庁の相談を受けてやっているというのですが、補償についてはいかがですか。
  72. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 現段階におきましては、私どもの方では補償を行うような体制ではございませんので、そういう意味においては、私どもの方は当面の手段を持っておりません。
  73. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官、そういう経過をたどって今日に至っているんですが、長官はどう考えられますか。
  74. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 先ほども私がちょっと触れたんですけども基本的に共存というものと、そういう中から起こってくる住民の、いろんな意味における損害というような問題あるいは非常な不便の中にいなければいかぬというような問題を、より高い見地から、やっぱり国としてどのように考えていく必要があるかどうかということは、これは確かに一つの検討問題でございます。そういうような世論のアピールなんかも今日あるようではございます。これについては、環境庁だけで考え得ない問題でございまするけれども、新たな検討の事項としてひとつ考えさしていただきたいと、こういうふうに私個人としては考えております。
  75. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうも長官のお話よくわからないから、もう一度環境庁とそれから文化庁から、この問題は三月で一応区切りがついたのですが、これからどうするという方針を両庁からおっしゃってください。
  76. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) カモシカにつきましては、五十三年度、本年度にかけましてさらに全国的に生息調査、それから生態の調査、それから被害調査は林野庁でございますが、三庁で実施をいたしておりますので、その調査の結果に基づきまして、抜本的な対策を三庁で協議したいということで進めてきておりますので、その結果を得次第協議をさらに進めていきたいというように考えております。
  77. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) このカモシカの対策につきましては、ただいまも局長の方からもお答えがありましたように、関係の三庁で協議をしてやってきておるわけでございますので、いまのお答えと私どものお答えは同じでございます。  ただ、もう少し補足いたしますと、岐阜県の関係の町村からは、今回の捕獲事業が成果を上げるに至らなかったという事情もございまして、保護区域の設定と、それからそれと並行する形で効果的な捕獲方法を早く設定してほしい、こういう要望が出ております。したがいまして、先ほどの、五十三年度までの調査に基づいて全国的な検討をした上で抜本的対策を樹立するということにはなっておりますけれども、この裏木曽地域についてはいま非常に被害が激甚であるということも考えまして、抜本的対策の樹立に至るまでの暫定的な措置として、カモシカの繁殖が維持される地域というものを早急に保護区域——どういうような形になるか、内容は別といたしまして、保護区域として設定をするというような方向で、林野庁、特に林野庁でございますが、協議を早急に詰めたいというふうに考えております。  それから、捕獲方法につきましては、現在御審議をいただいております麻酔銃の使用ということもございますので、こういった方法について、環境庁の方の研究も待ちましてこれを具体化できるように、私どもとしても至急に検討をしていきたいというふうに考えております。
  78. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  79. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 午前の終わりで、保護区域といいますか、そういう保護区域を設けてそこへすんでもらおうということが検討されているということでありましたが、これは環境庁が、今回の法改正に当たっても、審議会からは三つ意見答申されているということ。簡単に、従来の狩猟の形式をそのまま継承して、禁猟区を設ける、で、全国どこでも狩猟ができるというたてまえ。これに反して、全国を禁猟区にしてしまう、で、特別に狩猟のできる地域を定めようという意見。それは両方とも意味のある意見なるがゆえに、答申でも一本にまとめることができなかったということになったかと思いますが、そういう点について環境庁はどう考えられますか。
  81. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、猟場の問題につきましては、私どもの方の関係審議会におきましても意見の分かれたところでございます。文化庁のお考えになっておられますのは文化財保護法としてのお考えであろうかと存じますが、環境庁現行制度におきまして、文化庁のお考えが確定いたしましたら、これと調和をとるということは十分可能であるというふうに考えます。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 文化庁に伺いますが、保護区域をつくろうとした場合、どのくらいの範囲でどういうところを保護地域にするかということが、非常に地元住民にとっては重大な関心のあるところなんですが、そういう点はもう地元へは、大体ここではどこどこがどのくらいの面積でそういう指定があるようだというようなことまで伝わっておりますが、そういうようなことは検討中でありますか。
  83. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) お話のとおり、カモシカの保護区域というのは、カモシカが一群として、その一つの群が独立に生存、繁殖を続けていけるかどうかをよく検討いたしまして、それができる頭数が安定的にすめる、そういう地域の広さを確定して線を引こう、こういうことに基本的になるわけでございますから、   〔委員長退席、理事矢田部理君着席〕 どのぐらいの頭数がいれば一群としていいのか、それから、生息地としてすめる環境をどのぐらいの広さにわたって確保する必要があるのか、こういう問題が学問的な問題として出てくるわけでございます。これは、これまで二年間いろいろ基礎的な調査をやりましたわけでございまして、あと一年検討期間が残っているわけでございますが、そろそろその結論をまとめていく方向にしなければならないということで、私どもも、カモシカの専門的な学者を文化庁に集めまして、そろそろその結論を急いで出していこうという体制をとろうというふうに思っております。  したがいまして、小坂町の周辺にそういった地域をどのように設定していくかということは、またこれからの問題ではございますけれども、十分に地元の方とも協議をして、また、国有林が中心になろうかと思いますので、林野庁と十分協議をして詰めていきたいと、こういうふうに申し上げたつもりでございます。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁としては、要するに今回の法律改正によっては従来の方針を継承するわけですから、禁猟区ができるわけですね。当然あるわけですね、禁猟区が。  さてその禁猟区が、たとえば境界ですね、ある湖が禁猟区になっている、そこへいろんな鳥が生息をしている。ところが、湖だけを禁猟区にしておきますと、飛び立った鳥は撃っちゃうわけですね。ですから、湖の中でおどかす。空砲なら空砲でおどかして、飛び立った鳥をその境目で撃つというようなことに対する非難なんかもあったんですが、そういうような点はどうですか。
  85. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のような問題があったということは承知をいたしております。したがいまして、これにつきましては、境界線において間々起こり得る問題であるとして、そういうことのないように、狩猟団体あるいは県を通じまして関係者を指導するということで、指導を継続いたしておるところでございます。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 白鳥ですが、特に白鳥のことにつきまして、私は新潟県の瓢湖周辺でいろいろ調査をしたことがあったんですが、そのときにいろんな問題が出ましたが、行政上の問題としては環境整備事業が進められているがということでありましたが、地元負担がとても大きくて大変だということでありましたが、この整備事業はどのように進んでおりますか。
  87. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 本件につきましては、文化庁でやっていただいておりますので……。
  88. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 瓢湖は、これは昭和二十五年に指定したわけでございますけれども、これはもともと小さな九・四ヘクタールという灌漑用の池でございまして、ここに地元の一農民の方が非常に熱心にえづけをしていただきまして、そして白鳥の越冬地として固定をして、最近では大体六百羽前後の白鳥が渡来しているわけでございます。ここも昭和四十五年ぐらいから周りが市街地化してまいりまして、それに伴いまして環境の悪化の傾向が出てまいりました。そこで、現在指定しておりますのは瓢湖という湖自体だけでございますが、その周辺の地域、これは水田でございますが、これを町の方で買い上げを始めたわけでございます。これは昭和四十六年ぐらいから四十八年ぐらいまでにかけまして、大体二万八千平米を町単独で買われたわけでございますが、全体が約二十万平米ぐらいございますので、残りの十六万平米程度につきまして、昭和四十九年から五十二年にかけまして、私どもの天然記念物の地域を買い上げる補助金がございます。これは国が八割の補助金をもってやっているわけでございますが、これを適用いたしまして、合計十億三千万円ほどの事業費、このうち文化庁が八割を補助したわけでございますが、これでほぼ取得を終わっております。  で、水原町の方では、これを水禽公園という形で整備したいというお気持ちを持っておるようでございまして、この整備につきまして、昭和五十年から、一つはヘドロの堆積が目立ってまいりましたので、これを取り除くという作業、それから水質を維持するために取水路を整備するということ、それから、その水を排出するための排出路というような点につきまして、それぞれ補助を行いまして整備をしてきたわけでございます。したがいまして、今後水質の維持につきまして現在のところどのように整備をしていったらいいか、水質をどのように保全していったらいいかということについて、これも補助事業で五十二年度いっぱいで調査をしておりますので、この調査結果を見まして今後の整備について補助等の方針を決めていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても非常に町の方も熱心でございますし、私どもとしては町の姿勢に積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 ヘドロのしゅんせつ、排水路それから用水の取り入れ、こういう点はもう事業が終わっておりますか。  この点についての補助はどのくらいなさっているんですか。
  90. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) ヘドロの堆積を除去するという作業につきましては、五十一、五十二年の二カ年にわたりまして西側の方のヘドロの除去をやったわけでございますが、五十三年度は、一応予定でございますが、東側の方についてこれをやりたいというふうに考えております。  これに要しました事業費は、五十一年度三百方円、五十二年度三百五十万円で、五十三年度は、これはまだ決まっておりませんけれども、大体それに対応した金額になろうかと思いますが、国庫補助率はいずれも三分の一でございます。それから排水路につきましては、これは現在どのようにしたらこの水の保全ができるかという総合的な調査を、これは三百万円をかけまして、これも補助率が二分の一でございますが、現在まで検討してきておりますので、この検討結果を見て、本年度の事業になりますか、来年度の事業になりますかちょっとわかりませんけれども、これは積極的に検討していきたいということでございます。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 事業費も、私の聞いたお話と大介違うわけですが、それは事業量の関係だろうと思いますが……。  で、こうした瓢湖の場合などは、白鳥が渡来する、その渡来する白鳥に民間の農家の方が、ある篤志の方がえづけをなさって、その結果いま非常に観光客といいますか、大ぜいの人が見に来ているということですが、こういう点は文化庁の仕事になるんですか、環境庁の仕事になるんですか、本来から言って。
  92. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 鳥獣保護全般にわたりましては環境庁のお仕事かと存じますが、その中で、日本のそういう鳥獣生息というようなことについて、非常に顕著に日本の例を代表しているようなものにつきましては、天然記念物に指定するという制度になっておりまして、この瓢湖の場合は天然記念物に指定してあるわけでございますので、私どもの方が主体になってやるべき仕事だと思います。また、そのようにしているつもりでございます。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、えづけが行われておりますが、えづけについてのいろんな意見がありますが、それはどうですか。
  94. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 白鳥のえづけるいうことに関しましては、先ほど申しましたように、昭和二十五年ごろから地元の吉川さんという方が非常に苦労されまして、昭和二十七、八年ぐらいまでかけてようやくえづけに成功したというふうに聞いております。このえづけという問題、自然の動物に対してやっていく場合にいろいろな問題があるということは、たとえばサルというような問題については、えづけをしたためにかえってその管理に非常に問題が起こってきて、いろいろな問題を起こしているという例がございますが、白鳥に関しては、ほかにも指定地がございますけれども、この場合は、白鳥という非常にえづけのしにくいものについてえづけに成功したという例をもって、昭和二十五年当時指定をしたわけでございます。したがいまして、一つ日本の代表的な例として、しかも非常によくやっていただいているという例として指定しているわけでございまして、将来的にいろいろ議論はあろうかと思いますが、現在のところはこの瓢湖の例はかなり成功している例であろうというふうに考えております。
  95. 小平芳平

    ○小平芳平君 決してそういう意味で私は問題があると言ったんじゃありませんから、この吉川さんはいま子供さんの時代になっておりますが、それはもう大変な努力の結果であるということで、成功した例としてもちろん私も申し上げたわけであります。  次に、白鳥を初め渡り鳥が渡来する場合に、高圧線にひっかかってけがをするとか、そういう点について問題が提起されており、また対策もいろいろ研究もされているようでありますが、そういう点についてはいかがですか。
  96. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 私どもの方でも、詳細にはデータを持っておりませんので承知をいたしておりませんが、たとえば、青森県で白鳥が高圧線にひっかかって毎年死んでおるということで、昭和五十一年の例で言いますと二十一羽、二十羽ばかりが確認をされておるという報告を受けております。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのために東北電力がいろんな工夫をして、どういうふうにやればそういうことが防げるかということをやっているでしょう。
  98. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) たとえば、電力会社で事故防止のために電線に標識、ぴらぴらの紙切れといいますか、金属製の切れ等を——ビニールでございますか、そういったものをつけて白鳥が気がつくようにというようなことを考えてやってもらっておるようでございます。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことは電力会社任せで、別に環境庁はタッチしないということですか。
  100. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 環境庁といたしましても、こういった、白鳥がひっかかるような危険性の多い地域の架線につきましては、それを管理しておる関係者の協力も得て、できるだけ事故が発生しないよう、各都道府県と連絡をして指導をしてまいりたいというように考えております。   〔理事矢田部理君退席、委員長着席〕
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 電力会社は電力会社で研究するのは当然ですけれども、やはり行政の方も、専門家がいらっしゃるわけでしょう。ですから、専門家専門的な検討もして、研究もして、防げるものは防いでいくというのがこれはよろしいじゃないでしょうか。簡単なことで防げる事故ならば、これは防ぐような努力をしていくというのが当然のことではないかと思います。  それから次に、埋立地で、特に東京都の大井埋立地、ここは野鳥の海上公園計画というふうな計画もあるようですが、この点については環境庁は何か聞いておられますか。
  102. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 私も先般現場で、現在公園をつくっておられる部分がございますので、現地を見てまいりました。で、この地区の大井埋立地は、元来流通センターの移転を見込んで造成をされたと、造成をしてみたところがそこに野鳥があらわれるようになったというような経過があるようでございまして、こういった場合につきまして、もともと流通センターといったような一定の目的のために造成をした埋立地でございますので、野鳥の保護に利用するのには非常にむずかしい問題があると存じますが、東京都においても、鳥の保護団体の方々の御要請を受けていろいろお考えのように承知をいたしております。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 非常にそういう点、環境庁というところは積極的でない、積極的な意見というのはない庁なんですね。けさ来の環境庁長官の御発言も、環境庁はこういう考えだということが余りにもないように思うわけですが。  で、この点についてはいかがでしょう。事故ですね、狩猟に関する人身事故、これなどは積極的に防止のための努力をすべきでしょう。
  104. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今回法案として御審議をお願いいたしております中の、狩猟免許制度改善でございますとか登録制度新設に伴います諸手続等につきましては、私どもはむしろ狩猟を行う人の資質改善向上と事故防止の点につきましても十分配慮をいたしまして、御審議をお願いしておるつもりでございまして、事故の防止につきましては、私どもも十分な配慮をすべきであるというように考え、また施策を進めてまいりたいというように考えております。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 ずっとこのいただいた資料の中にも事故の件数が挙がっておりますが、余りこの件数が減るという傾向に見られないわけですね、現状では。これはひとつぜひ、人間が死んでいるわけですから、何人か。ですから、これはもう大変な事故と言わないわけにいかないわけですから、いろんな法律改正それからその運用、いろんな点で事故防止に力を尽くしていただかなくちゃならないと考えます。  この法律改正によって新しい体制になれば減ると思われますか。
  106. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) これは結果を見ませんとなかなか申し上げにくい事柄ではございますが、私どもは、免許に当たりまして試験制度を導入をし、また危害防止につきましてもいろいろな条件を付することによってさらにこの事故の件数を減らしていくということは可能であると考えております。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官、お尋ねいたしますが、まあいろいろ午前来の御答弁の中に、基本的にこの鳥獣保護環境保全について長官としてこう考えているんだということは何回か繰り返されましたので、その点は結構なんでありますが、長官は、それじゃ具体的に、たとえばいまの瓢湖の白鳥とか佐渡のトキとかあるいはカモシカの被害とか、いろんな相反する立場の事件もあるわけですけれども、そういう点、それからまた広く環境問題としては、スーパー林道の着工が許可されるかされないかとか、そういうような問題をいま環境庁としては抱えていらっしゃるわけですが、こういう問題は自分が現地へ行って直接調査もし、解決をしようというようなお考えはございませんか、いかがですか。
  108. 山田久就

    国務大臣山田久就君) これは、先ほど来基本的なことについてはお話し申し上げたとおりでありますけれども、結局具体的ないろんなものの絡み合ったことでもございますので、事情の許す限り、ひとつ現地にも行って、自分としてそういう意味での確信もつかみながら、基本的な問題に少しでも近づくように努力するような考えでやっていきたいと思っております。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ、そうでしょうけれど、抽象的には。具体的にこれはこうしようということはございませんか。計画というか、考えていらっしゃる中に、とりあえずこの点は解決しようというようなことがありませんか。  ついでに、先ほどお話のあった宮中のカモ猟はどう考えられますか。行かれますか、行かれませんか。
  110. 山田久就

    国務大臣山田久就君) カモ猟の問題は、私は今回は参っておりませんけれども、具体的な問題についてというお話、非常に詰められるとあれでございますけれども、やっぱり私は、自分の経験で言えば、たとえば国の狩猟区の問題は、私も外の生活が長いものですから、結局全部を禁猟区にして、さかさまにやれというやり方、どうしてそれがやれないのかという点、実は、私はこの法案をやるについては、いろんな点でそれを詰めてやりまして、それで審議会意見等も参考にいたしまして、これを見てみると一挙にここでひっくり返すということもなかなかどうもむずかしいようだけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたように、幾つかの点、局長からも指摘しましたけれども基本的には部分的に認めてそれでやっていくことも、私は、民間団体でそういう地域を指定していくとか、そういうこともまあ前進の一歩であるというようなことで、結局今度の改正のようなことに落ちついたようなわけでございます。  ただいまカモ猟のことについてお話がございましたが、個人的には、私は、今回はそうでございまするけれども、これも長いいろんな経緯があることでございますので、いまここでこの問題についての即答、ちょっと慎重に考えたいと思いまするが、ひとつその点御理解いただきたいと思います。
  111. 馬場富

    馬場富君 今度の改正によりまして、狩猟者の資質向上という点では理解できますが、このための試験等の事務については、地方公共団体が行うということになっております。現在、地方自治団体については、財政の圧迫の中で、大変委任事務等の増大によって困っておるというような現状でございますが、この制度が自治体を圧迫するという、この点について環境庁どのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
  112. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今回の御審議をお願いしております改正案によりまして、免許を与える際の試験制度を導入するということにしたわけでございます。一方、現行の制度におきましては、都道府県が講習会を行うことにいたしておりますので、試験を行うものが講習会をもあわせて行うということは適当でございませんので、講習会は民間の団体等が行われるということになるかと思います。したがいまして、総体的に見て、都道府県の事務については特に増加することはなかろうというように考えておるわけでございます。
  113. 馬場富

    馬場富君 試験制度というのは、これは自治体が行うんじゃないですか。その点全然予算なしにできますか。
  114. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 試験につきましては、試験の手数料を取ってやっていただくことになりますので、そういう意味におきましては都道府県予算に収入、支出とも計上する必要があるかと思いますけれども、受験料と、試験に要する経費とが、ほぼ見合うような形での予算が組まれるというように考えております。
  115. 馬場富

    馬場富君 次に、現在銃砲刀剣法の改正審議がなされておりますが、銃刀所持許可の三年ごとの更新も考えられておるようでございますけれども、今回の狩猟免許制度を実効あるものにするためにも、やはり銃刀法の強化は必要であるということも考えるわけでございますが、この点につきまして、銃刀法による講習会制の銃刀所持許可制と今回の法案との関係をどのように考えてみえるか、警察庁の方から御説明願いたいと思います。
  116. 柳館栄

    説明員柳館栄君) 現在、銃刀法で許可をする場合には、欠格事由がないかどうかということと、ただいま御指摘のありました講習を行っておるわけでございます。で、この講習は、猟銃等講習会ということで呼んでおりますけれども、最初に銃を所持する場合には、テストつきの講習を行うわけでございます。以降、更新するたびごとに——三年ごとでございますけれども、そのたびごとに講習を受けていくという制度を新しくつくりたいということを考えておりまして、そういうことで、銃の取り扱いの安全という観点から申し上げますと、私どもの今回の改正で十分目的を達することができるのではないだろうかと考えておる次第でございます。
  117. 馬場富

    馬場富君 じゃ、その点、環境庁にお尋ねいたしますが、いま警察庁の方からそういう御説明がありましたが、それと並行いたしまして今回の法案が出るわけでございますが、この狩猟免許制度の問題につきまして、その点との兼ね合いはどのように考えてみえるか、御説明願いたいと思います。
  118. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 警察庁の方で銃刀法の改正をまた願っておるわけでございますが、私どもの方の場合には、免許を新たに与える場合に、適性、技能及び知識について考査をするということになるわけでございます。その中で、技能につきましては、銃刀所持の許可の際にも相当程度の確認がなされるというように承知をいたしておりますので、そのような扱いを踏まえまして私どもの方の技能の審査等も考えてまいりたいというように思っておるわけでございます。
  119. 馬場富

    馬場富君 今回の狩猟免許制度新設でございますが、旧来からの所持法によっての有資格者が、当然今度の場合の対象にもなってくると思いますが、この資格者についても、今後やっぱり再資格のような形になってくると思いますが、この点での配慮はどのように考えてみえるか、お尋ねいたします。
  120. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) これは、経過的な措置としてはいろいろ考えるべきであろうと思っておりますが、基本的には、私どもの方の鳥獣保護法におきます従来の都道府県で出しております免許と、それから新しい法律に基づく免許との関係がございます。その意味におきましては、経過的には、過去に現行法によって免許を持っている者につきましては審査の特例を設けるということで、規定の講習を受け、かつ適性の検査を受けた者については、これを改正法による免許を受けたものと見なすというように考えたいというように御提案を申し上げておりますので、そういった考え方に沿って処置をしてまいりたいというように思います。
  121. 馬場富

    馬場富君 この点の配慮も結構ですが、やはり今後の安全性の強化のためにも、今回の免許制席については、事故続発等やそういう問題等もあって今回の措置に及ぶわけでございますから、そういう点はひとつ厳重に強化をされて、その点に対処されたいと、この点どうでしょうか。
  122. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、審査に当たりまして十分配慮いたしまして、事故の防止に努めるようにいたしたいというように考えております。
  123. 馬場富

    馬場富君 今回の改正法案によりますと、狩猟者登録制度新設するが、その中で、登録で夫ない要件の一つに、「狩猟ニ因リ生ズル危害防止又ハ損害ノ賠償」について一定の「要件ヲ備ヘザルトキ」とあるが、これは具体的にどのようなことを指しておりますか。
  124. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) この点につきましては、むしろ重点を損害の賠償についての一定の要件ということを中心に考えております。その内容といたしましては、現在実行上行われております猟友会におきます共済制度でございますが、これは死亡事故あるいは大きな事故のあった場合に、最高二千万円まで共済制度で補償されるということがございます。それ以外のものにつきましては、民間の保険会社がやっておられますハンター保険に加入をして、同様な備えをしておる人もあるようでございますが、これを法律的に確認をする一つの根拠といたしまして、登録の際に一定の要件を、ということで、こういった事柄について十分な配慮がなされておるかどうかを確認した上で登録に当たるようにいたしたいというように考えております。
  125. 馬場富

    馬場富君 じゃ、その点につきましては、事故の被害者の補償のためにも、いま自動車等に設けられておるような強制保険のような、そういう点も考えられておるかどうか。
  126. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 自動車の損害賠償保障保険につきましては、対象も非常に大きいことでごいますし、こういった形での強制保険の制度を採用しておられるわけでございますが、ハンターにつきましては、いま御提案を申し上げておる規定を設けることによって共済制度もしくは民間のハンター保険に入っておると、そして、その金額についても十分に登録の際にチェックをするということによって実質的に確保することが可能であろうというように私どもは考えて御提案を申し上げた次第でございます。
  127. 馬場富

    馬場富君 次に、鳥獣保護特別保護地区に関しての写真撮影等規制につきましては、これは学術的な調査等、そういう問題についての妨げにならないかどうか、この点どうでしょうか。
  128. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) この規定を設けることを御提案申し上げました基本的な考え方は、最近特に観光客等の方々が、鳥が巣を営む時期に、撮影等のために入っていかれるというようなことがふえておるようでございますので、そういったことを御遠慮願うということを可能にする趣旨で設けるものでございます。学術研究につきましては、それが良識を持って行われる限りにおいて、私どもは方針といたしましてそれを妨げるというようなことは考えておりませんで、また、現地におきましても、そういうことのないように十分指導してまいりたいと考えております。
  129. 馬場富

    馬場富君 次に、銃猟制限区域について、銃による狩猟制限というのは具体的にどのように考えてみえるのですか。
  130. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 銃猟制限区域における具体的な規制内容でございますが、具体的に申し上げますと、たとえば休猟区あけの場合に、そこにハンターがどっと集まるというようなことのために、一時的に非常に危害を及ぼすようなことがあるというようなことがございます。現行の制度では、銃猟の禁止区域を設けることはできますが、一時的に制限をするという形での規定がございませんので、そういった形で、一時的に制限をして、ハンターの数が調整されるようにいたしたい。その方法につきましては都道府県知事にある程度お任せをすべきであると考えておりますが、たとえば先着順でございますとかあるいは抽選によるとか、あるいは地元と地元以外の方々の割り振りをどうするかといったような問題もあるかと思いますが、かなりな程度におきましてそれぞれの地方の実情に応じて知事に御判断いただくという必要があるかと思っております。
  131. 馬場富

    馬場富君 次に、鳥獣保護区の設定につきまして、現在どのような手続によって認可されていますか。
  132. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護区の設定につきましては、都道府県設の鳥獣保護区を設ける場合と、それから国設の鳥獣保護区を設ける場合がございます。手続の内容を詳細に申し上げますと時間もあれでございますが、鳥獣保護のためにこの地区を保護区に指定する必要があるというような場合には、私ども行政では、それがすべて県なりあるいは国なりの所有の土地にかかるものでない場合もございます。あるいはまた、国あるいは県にいたしましても、その土地を所管しておる部局が違う場合もございます。したがいまして、関係のところとそれについての合意を得る必要がございます。また、鳥獣保護法の内部の手続といたしましては、地元の方々に、そういったおおよそのめどがついた段階におきまして公聴会を開いて、その公聴会で地元の方々の御意向を十分に承知をした上で、関係審議会に諮って審議会の御了承を得るというような事務的な手続を経るわけでございます。
  133. 馬場富

    馬場富君 この点、外国等については、鳥獣保護区の設定については、たとえば、先ほどおっしゃったような、自分の持ち山であるとか、そういうところの禁猟については自由に行われるような状況になっておりますが、そういう点日本もやはり自分自身で禁猟の区域の問題を提起するわけですから、そういう点についてはもっとこれは柔軟性を持つべきではないかと考えますが、どうでしょうか。
  134. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) これは、それぞれ国の歴史と国情がございますので、具体的に申し上げますと、たとえば森林におる鳥につきましても、日本ではその鳥の所有権というのは明確ではございません。外国では、自分の土地の木にとまっている鳥は土地所有者に一応所有権があるというような国もあるようでございますので、これらのことを勘案しながら整理をする必要がございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  135. 馬場富

    馬場富君 この点については、いまの説明はわかりますが、もつと前向きに検討する必要があると思うが、どうでしょうか。
  136. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) それにつきましては、いま私が御説明を申し上げましたように、現行の制度といたしまして、特に国あるいは都道府県といった公共団体が、審議会という学識経験者の御意見を聞きながら設定するということがございますので、個人の方がそういう御意向を持っておられるという場合には、そういうような制度の上に乗っかってみて、なおかつ可能であるかどうかという検討をした上で答えを出すべきものであるかと存じます。
  137. 馬場富

    馬場富君 次に、かすみ網の点について質問をいたします。  法規制がこの点についてはなされておりますけれども、いまだにやはり全国的にこういうような問題が後を絶たないと、こういうような状況でございますが、これにつきまして、この取り締まりについてどのように考えているか。
  138. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 御指摘のように、かすみ網を使用することは、すでに猟法としては禁止をされております。ただ、実際に密猟が行われておるということは事実あるようでございますので、そういった面での取り締まりにつきましては、さらに都道府県を督励をいたしまして、遺漏のないようにお願いをいたしたいというように考えております。
  139. 馬場富

    馬場富君 この点は、日本被害もそのように出ておりますが、外国からも、特に日本に強く要望されておると、特にイタリア関係鳥類保護団体等からは、この日本のかすみ網が輸出されて、外国被害をまき散らしておるというのが、強く日本の野鳥の会等にも訴えられてきておるわけでございますが、そういう点について、先般環境庁鳥獣保護課長にその点について強い申し入れがあったと聞きますが、この点についてどのような配慮がなされておりますか。
  140. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) かすみ網につきましては、一つは、鳥獣保護法において、猟法として使うことを禁止をいたしておりますが、ただ現実の状態では、漁網用としてつくられた網が、一部の地域において、それを裁断した上で、かすみ網のように使うような形で売られておるというようなこともあるというように聞いております。それからもう一つは、有害鳥獣駆除あるいは標識調査等のために、専門家の方が野鳥をつかまえるということのために、かすみ網を使われる場合がございます。そういった意味では若干必要があるのでございますけれども、ただ、この問題はそれとは別に、網そのものを売る、売らないの問題になってまいりますと、これは要するに流通面における規制の問題になってくるわけでございます。で、環境庁といたしましては、通産省と協議をいたしまして、鳥獣捕獲の特別許可証のない者にはかすみ網を売らないようにということで、関係者に対して指導をしていただくようにお願いをしておるところでございます。
  141. 馬場富

    馬場富君 その点は、指導よりも販売について、やはりはっきりと前向きに禁止していくという形でのチェックという方法を考えるべきだという要望が強いんですが、この点はどうでしょうか。
  142. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) そういう御要望の強いことも承知をいたしております。基本的には、流通関係規制する通産省の権限に属する事柄でございますが、私どもの方といたしましては、鳥獣捕獲の特別許可証のない者にかすみ網を売らないようにということでの指導を強化することによって、できるだけ目的を達していきたいというように考えております。
  143. 馬場富

    馬場富君 このかすみ網と並行いたしまして、環境庁の方にも申し入れられて御存じだと思いますが、石川県の河北潟等についてはカモ網の問題がかなり大きい問題になってきておるわけです。その点につきまして、このカモ網の狩猟については許可をされておる面もございますが、数量等のチェックについて大分問題があるんじゃないか。まあ全然なされてないと言って差し支えない。それからもう一点は、この網によって禁猟のワシ、タカだとかあるいはコミミズクだとかツルシギ等が捕獲されたという事実も、これきちっと環境庁の方に申し入れられておるわけですが、こういう問題についてどのような対策を考えてみえるか。
  144. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 特に北陸の方面におきまして、張り網によりましての猟法が乱に流れておるということにつきまして、私どもも承知をいたしております。先般当局の鳥獣保護課長を現地に派遣をいたしまして実情を調査をいたしますとともに、特に張り網の実施の実態につきましては、相当数多くの張り網を、管理が不可能な程度に数多くの張り網を張っておられるというような方もあるようでございますので、そういった面を含めまして、十分に、そういった乱に流れた捕獲の方法がとられないように指導してまいりたいということで、県を督励をいたしておるところでございます。
  145. 馬場富

    馬場富君 いま県を督励するという話がありましたが、全然これは現場についてはノーチェックですよ。  それから、期間中に二百羽という制限もございますが、こういう点は御存じでしょうか。
  146. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 今後の問題といたしましては、取り締まり等の強化につきましても十分に県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  147. 馬場富

    馬場富君 これはもっと積極的な態勢でやってもらいたい。いま私の手元に、昨年十一月の十六日から二十五日までの金沢中央市場に出たカモの量がここに載っています。これ、この地域からしか出荷しないんですよ。それが、この制限が二百羽だという状況からいって、こういうもの一つ見てみましても、はるかにこれはこの量を上回っておるということがわれわれわかるわけですよ。そういう点について、地元の保護団体等関係において、全然対策も立てられないというようなことで強い不満があるわけですけれども、この点もう一遍、県を指導するとかそういうことでなしに、もっと具体的な対策をひとつ示してもらいたいと思います。
  148. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 先ほど申し上げましたように、監視体制の強化等が必要であると考えておりますので、先生御承知のように、鳥獣保護行政の相当部分は県にゆだねられておるものでございます。したがいまして、県が十分にその衝に当たれるように国が強力に指導するということが必要であるかと考えます。その意味におきまして、十分関係県と打ち合わせをいたしたいというように考えております。
  149. 馬場富

    馬場富君 じゃあ、この点については、一遍環境庁が担当の県と連絡をとって実態をよく掌握されて、そして、それに基づく体制というものも考えてもらいたいし、その点についての状況も御報告いただきたいと思いますがどうでしょうか。
  150. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 先ほども御答弁申し上げましたように、私どもの方の鳥獣保護課長が自分で出向いていきまして実情を調査した経緯もございますので、今後とも強力な指導を継続してまいりたいというように考えております。
  151. 馬場富

    馬場富君 次に、現在鳥獣保護のために、環境庁の委嘱によって各都道府県鳥獣保護員というのが設けられておりますが、これはどのような目的で設置されたか、説明してもらいたいと思います。
  152. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護員につきましては、飼い鳥の問題でございますとかあるいはそれぞれの地域における普及宣伝活動等のために設けられるものでございまして、根拠は鳥獣保護法にあるわけでございますが、これらの保護員の任命につきましては、地元の市町村長の推薦等によって行われているところが多うございます。
  153. 馬場富

    馬場富君 いや、その地元の市町村長の推薦によってどこが決定し、どのような目的か、もう少しはっきり言ってくださいよ。
  154. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 任命をいたしますのは都道府県知事でございます。それで、それらの多くの人々は長年の狩猟の経験なり、あるいは鳥獣保護に関する認識の深い方々ということでお願いをしておるわけでございます。
  155. 馬場富

    馬場富君 私は鳥獣保護員の内訳をずっと全国的に見てみましても、鹿児島県のようなところにおきますと、九割ぐらいがハンターの方々が入っていらっしゃる。まあ全国的にもそういう関係が多いわけですけれども、この現状とあわせまして、鳥獣保護立場からいっても、やはり鳥獣保護の運動家やそういう関係の方をもっと参加させるべきじゃないかと、こう思いますが、この点どうでしょうか。
  156. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 方針といたしまして都道府県に対する指導につきましては、先ほどから申し上げたとおりでございますが、現実の実態が御指摘のようなことになっておるということがございます。  で、鳥獣保護員の業務の中には、狩猟に関する取り締まりの補助をするということもございますので、ハンターの経験者が悪いというわけではございませんけれども、やはり狩猟の経験者と、それから保護に当たっておられる方との人数の上でのバランスがとれるということは重要なことであろうと考えますので、御指摘のような状況は、私どもも必ずしも望ましいことではないと考えておりますので、バランスのとれるような任命を図るよう指導をいたしてまいりたいというように考えております。
  157. 馬場富

    馬場富君 次に、この法案の中で、特定鳥獣輸入に関しては、相手国輸出証明書の添付を要することがこの条項の目的とされているわけでございますが、これにつきまして、このチェックというのは、技術的にこのような体制ができるかどうか。
  158. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) これの技術的なチェックというのは、実はなかなかむずかしい面がございます。したがいまして、法的にだけ規制するということはむずかしい面もあろうかと存じますので、私どもはこの改正法案が施行される段階になりましたら、業界その他輸入業者等の関係方面の御協力も得たいということで、内々そういった面でのお話し合いを進めておりますので、私どもはそういった面を含めてチェックをすることが可能であろうというように考えております。
  159. 馬場富

    馬場富君 この点、鳥獣保護とあわせまして、欧米の方がやはり日本よりも、いろんな状況を調べてみましても、積極的な点が多いわけです。たとえば、外国では、数少ない、繁殖の弱い動物だとか、こういう問題については、輸出入の禁止をするためにワシントン条約の加盟ということがあるんですね。先進国は、四十カ国が加盟して推進されておりますけれども日本はこれについての加盟はまだないわけですが、この点どうでしょうか。
  160. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 絶滅に瀕しております鳥獣及びそれの製品の輸出入に関する規制についてのワシントン条約につきましては、御指摘のように、すでに四十数カ国が調印を終えておるものでございます。これは、一九七三年に採択をされたものでございますが、わが国は調印を終えておりますが、まだ批准をしていないという現状でございます。環境庁としましては、できるだけ早期に本条約の批准が行われることが望ましいと考えておりますけれども、問題はむしろ商取引に関する問題が大きくございますので、環境庁の所管以外の事柄が非常に多うございます。したがいまして、現在外務省を中心にいたしましていろいろ御検討を願っておるという段階でございます。
  161. 馬場富

    馬場富君 次に、同じく野鳥保護の運動等については、やはり欧米諸国の方が前進しておるという、その一つにはあのサンクチュアリ運動というのが盛んに行われております。こういう点について、各国とも積極的にやはりこの運動を通して、国が補助、助成を行って鳥獣保護に力を入れておるわけでございますが、こういう点、日本はさっぱり何にも考えられてないと、そのためにやむを得ず愛鳥家の方々がみずから街頭に立って募金運動を行いながらこの点にいま取り組もうとしておるわけです。こういう点で、実は日本対策はお粗末じゃないかと、この点はどうでしょうか。
  162. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 鳥獣保護に関しましては、政府の施策と、それから民間の鳥獣保護に御熱心な方々の努力と相まって進むべきものであると考えております。政府におきましても、環境庁発足以来一課を設けて鳥獣保護につきましては前進を図るということで進んで来ておるわけでございますが、御指摘の、重要なる鳥が生息しておるというようなところにつきましては、国設の鳥獣保護区の特別保護区として買い上げをするということも措置としては可能でございます。この制度といたしましては——制度ではございませんが、措置といたしましては、発足してまだ間もないことでございますが、漸次充実強化を図ってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  163. 馬場富

    馬場富君 いや、いま私が質問したのは、そういうことで結局国がそういう問題等についても積極的な助成が行われないから、やはりそういう運動等については、野鳥の会などがみずから募金運動等によって賄おうとしておる、そういうのがいまの日本の実態だから、それについて、国としてもやっぱり何らかのこれに対する前向きな対策を考えるべきだと、たとえば、外国等においては、環境庁の中に専門担当官等を置いてこれに対処させるとか、そういうようなことまで配慮されておるわけですけれども、やはり日本においてもそういう点ですね、こういう運動が起こっておるわけですから、そういう愛鳥家たちの運動が、実際募金運動なんかも始められておるわけですから、これに対してやはり国としても何らかの対処をしなければならぬと思うんですが、どうですか。
  164. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 民間の愛鳥家の方々の御熱意につきましては、私どもも非常に感謝をいたしておるところでございます。で、先ほどからも申し上げましたように、国といたしましての土地買い上げの制度は、いま申し上げましたように、発足早々のところでございますので、これを充実強化することがまず先決だと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  165. 馬場富

    馬場富君 次に、科学技術庁の資源調査会の、都市生活環境の保全と森林に関する調査報告の中に、わが国の最近の経済成長が都市環境を破壊したことが大きく報告されて、その中に、都市付近の森林と野鳥が自然の形で維持されるということにより都市生活のもたらすストレスの解消やあるいは慰安等にも大きな心理的な影響を及ぼすということの効果を強く主張しておるわけでございますが、こういう点の考え方といたしまして、現在の保護地区の維持並びに拡大についてはどのように考えてみえますか。
  166. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 都市地域におきましては、たとえば公園地域等につきましては本来狩猟を禁止されておる地域でございますが、さらに積極的に鳥獣保護区を設定してその保護を図るということも必要でございます。ただ、他の土地利用との関連もございまして困難な問題ではございますけれども生活環境改善する上に野生鳥獣は重要な役割りを果たしておりますので、私どもは第四次鳥獣保護事業計画においてもできるだけ鳥獣保護区を都市地域においても設定するようにと、これは誘致地区、鳥を誘致する保護区としての設定を図るようにということで都道府県を指導いたしておりまして、現在県設の、都市における野鳥誘致のための鳥獣保護区は三百二十七カ所、国設が十八カ所、合計で三百四十五カ所設けておりますが、なお、この点につきましては、今後とも一充実強化を図ってまいりたいと考えております。
  167. 馬場富

    馬場富君 それでは、この保護地区に対して、環境庁の年間予算はどのぐらい出してみえますか。
  168. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 特別にこれだけを取り上げての予算というものの金額を準備はいたしてございませんが、こういう保護地区につきましては、それぞれ主として県の事業——三百二十七カ所は県でございますから、県の事業として、県の予算でそれの整備等について実施をいたすというようなことになっておるわけでございます。その整備内容と申しますのは、標識を設けるとかあるいはその地域人たちによくわかるように解説をつけるといったような、あるいは必要に応じて巣箱を設けるといったような事柄でございます。
  169. 馬場富

    馬場富君 予算額はどうでしょうか、額は。
  170. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 国の方のものといたしましては約千五百万。細かくは集計いたしておりませんので、大体千五百万程度と御承知いただきたいと思います。それから、都道府県昭和五十一年度の鳥獣保護区の設置費として計上されておりますものの総額が約六千七百万でございます。
  171. 馬場富

    馬場富君 この予算と対照的に、いま私が質問いたしました内容とあわせて、ちょうど運輸省が観光レクリエーション地域という、非常に鳥獣保護とあわせて最も関係のある地域でございますが、この五十二年度の予算だけでも二億円を超過するような補助金を出しておるわけですね、予算でなくて補助金をね。こういうような見地からいたしまして、この保護地区の拡大やそういう推進も結構ですが、それをやはり保護育成していく意味で、そういう補助や推進のための予算というものももっと積極的に考えなければ、これは本当に看板だけに終わってしまう問題ではないか。かっこうだけつけておるというそういう体制ではないかと、こう考えるわけです。この点ひとつ長官のしっかりとした御答弁を願いたいと思います。
  172. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいま非常に実質的な御指摘をいただきましてまことにありがとうございました。要は、実を伴うことの裏づけということでございまするので、実質的にこの保護地区というものの拡大充実ということについてのひとつ予算的な裏づけ、われわれとしても十分努力させていただきたいと思います。
  173. 馬場富

    馬場富君 終わります。
  174. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 なかなかこの種の問題というのは、私もそれほど知識がある方ではないんですから、そういう点では初歩的なところから幾つかお聞きをしてまいりますので、よろしくお願いしたいと思うんです。  第一にお聞きしたいことは、この鳥獣保護区、さらに特別保護地区、そういうことを決めていくわけですけれども、大体何カ所ぐらいあってどの程度の面積になるのか。で、日本の国土の面積全体の中の何%ぐらい占めるのか、それをお教えいただきたいんです。
  175. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 昭和五十一年度におきまして、鳥獣保護区の数は全国で二千七百五十カ所で、二百七十四万ヘクタールでございます。これは国土面積の七・四%を占めております。  なお、若干詳しく申し上げますと、その中に特別保護地区が指定されておりますが、それは四百八十六カ所、十六万ヘクタールでございまして、これは国土面積の〇・四%でございます。
  176. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 さらに今度、「都道府県知事は、期間を定めて銃猟制限区域を設けることができる」とあるんですけれども、その制限区域というのはどのくらいの面積になるんですか。
  177. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 現在の制度におきましては銃猟制限区域はございませんので、今回御提案申し上げております銃猟制限区域についての御質問かと存じますが、先ほども申し上げましたような、休猟区の満了等、生息状況を見ながら設定することが望ましいと考えておりますので、この点につきましては、なお制度ができました上で各都道府県の実情等を承知した上でということになりますので、どの程度の面積になるかは正確に申し上げられる段階ではございません。
  178. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 見通しといいますか、その見当がついているならば聞かせていただきたいし、それもこれができなければというのなら結構ですけれども。  次には、この改正で、狩猟者免許更新のときにいろいろ講習をやったり審査をするとここにあるんですけれども、どの程度の講習をやってどういう審査をするのか、その内容を知りたいわけです。
  179. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 具体的にはまだ私どもの方も成案を得ておりませんが、従来、免許を与えます際に、試験をしないで講習でということをいたしてきておりますので、その経験にかんがみまして、従来程度以上になお、新しい試験制度に入る前の者につきましては十分厳重な講習を済ませた上で新しい免許を得ていただきたいというように考えております。  それから、三年後の更新につきましては、今回の経験を見た上で、さらに改善すべきものを改善した上で決めてまいりたいというように考えております。
  180. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その最初に免許を与えるときは適性検査が行われるわけでしょう。この「狩猟免許試験は、住所地を管轄する都道府県知事狩猟に関する適性、技能及び知識について行う」と、その「適性」のところですね。ほかのところは大体見当がつくのですけれども、どういう内容ですか。
  181. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 失礼いたしました。私、先ほど申し上げましたのは、経過措置として従来持っておる人たちに対する検査等を含めて申し上げておりましたのですが、適性検査につきましては、たとえて申し上げますと、目の検査、それから聴力の検査。あるいは銃を扱う方々につきましては、銃を扱うに必要な、要するに四肢の状況でございますとかいったようなことが対象になるかと思います。視力につきましては、たとえて申し上げますと、これは現在自動車の運転免許の際には矯正視力〇・七というのがその限界になっておるようでございますが、それらを参考にしながら、なお専門家の御意見を承って決めてまいりたいというように考えております。
  182. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それ聞いているのは、何と言うのですか、非常に事故が多いんでしょう、いままで。死亡する、死亡というか、命を落としてしまう人もかなり出るということを聞いているわけなんで、いままでの実績から——実績なんという言い方おかしいんだけれども、そういう死亡事故だとか、重軽傷とか、そういうのがどの程度出てくるのか。そして、そういう死亡事故の場合にはそれが刑事事件になっていくと思うんだけれども、どういう扱いになっていくのか。その辺、少し詳しく聞かせていただきたいんです。
  183. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 事故の件数といたしましては、昭和四十五年ごろがピークでございまして、総件数が二百三十件程度ございましたが、昭和五十一年では百二十六件、大体百三十件前後にまで下がってきております。  その中の死亡事故は、昭和五十一年で申し上げますと十件でございます。昭和四十五年、四十四年、あるいは四十三年がさらに多うございまして死亡事故が二十九件ございました。したがいまして、ある程度改善状況は見られるわけでございますが、今回さらにこれを減らすように努力をいたしたいということでございます。  それから、こういう事故を起こした場合には、一つは、鳥獣保護法の違反としての狩猟免許の取り消しの問題がございます。現実狩猟免許の取り消しをされている者もございます。  それから、刑法上の問題といたしましては、業務上過失致死傷の罪に該当するものと考えられますが、具体的な数字はちょっと承知はいたしておりません。
  184. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その業務上過失致死罪ということで問われることはわかるんですよ。だから、実際にそうなって、そのケースによっていろいろ違うだろうけれど、一般的にどういう結果になっているのかですね。
  185. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 刑法の第二百十一条では、「五年以下ノ懲役若クハ禁錮又八二十万円以下ノ罰金」ということになっております。
  186. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もういいですけれども、いまも言っているように、刑法のことを聞いているんじゃなくて、少なくとも年に十件の死亡者を出すような——これはまあハンターの数からいけば微々たることだということになるかもわからぬけれども、しかし、それにしてもかなりの人がそういう形で命を落とさせられているわけです。重軽傷者になったらもっと多いわけでしょう。何百人という人が毎年そういう重軽傷を負っているわけなんです。だから、死んだ場合に業務上過失致死になるということはわかっていることなんで、刑事事件に問われるだろうが、大体最終的には、その裁判の判決がどういう状態になって結末がつけられているのかということが、私知りたかったわけなんです。
  187. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 申しわけございませんが、すべてについての調査を追跡をしたケースがございませんので十分承知をいたしておりませんが、現実に行われておるもので、個別のケースとして承知しておりますものは、死亡事故で罰金十万円程度というのがあるようでございます。  なお、免許は、死亡事故等大きな事故を起こした者は、すべて免許取り消しになっております。
  188. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、次に、いわゆる一九七一年の二月、イランのラムサールで結ばれたいわゆる通称ラムサール条約と言われているわけなんですが、これはまだ日本は加盟をしてないんだけれども、これについての取り組みといいますか、加盟する考えがあるのかどうかと言った方が早いと思いますが、それについて。
  189. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 御承知のように、ラムサール条約は、水鳥の生息地保護するというようなきわめて重要な条約と考えております。したがって、環境庁としては、できるだけ早期に条約を批准する方向ということで、湿地の選択等も始めておりまするけれども、事務当局にそれを督励いたしているような現状であります。
  190. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、早期に批准をして加盟したいと考えているのだという判断をしてよろしいというわけですね。
  191. 山田久就

    国務大臣山田久就君) そのとおりでございます。
  192. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、いろいろトキだとかアホウドリだとか、コウノトリとか、いわゆる絶滅寸前にある鳥のことがよく話題になるわけなんですけれども、大体日本の中で何種類ぐらいそういう鳥がおるのか。  で、具体的に、それらの絶滅を防ぐ意味でどういう対策がとられているのか。さらに言うなら、そういう対策を講じるために予算上は大体年間どのくらい計上しておやりになっているのかということ。
  193. 出原孝夫

    政府委員出原孝夫君) 本邦におきまして、絶滅のおそれのある鳥類といたしましては、トキ、タンチョウヅル、ニホンライチョウ等二十八種を、特殊鳥類といたしまして特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律に基づいて定めております。それから、けだものにつきましては、ニホンカワウソ、アマミノクロウサギ、イリオモテヤマネコ等が特別天然記念物として指定されておりまして、これらを絶滅のおそれのある獣類として取り扱っております。  これらの鳥獣保護を図るために、タンチョウヅルの保護対策につきましては、昭和四十八、四十九年に対策調査をいたしておりますして、また、イリオモテヤマネコにつきましては、生態及びその保護に関する研究昭和四十九年度から五十一年度にわたってやり、あるいはまた、ライチョウ等についても、委嘱調査等を行うなどの調査研究を行っております。  昭和五十三年度の予算では、特定鳥獣増殖対策検討費といたしまして四百八十九万九千円を見込んでおりまして、アマミノクロウサギ、イリオモテヤマネコ、トキ、ハハジマメグロ、 ルリカケス、カラスバトなどを対象に予定をいたしております。なおまた、特定鳥獣保護対策費といたしましては四千九百万円を計上いたしております。
  194. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 わかりました。  長官、最初に私も言いましたように、私たちも非常にこういう点については認識の足りない点がたくさんあると思うんです。それで、環境庁の皆さん方にしても、ここへお出しになっているこれは、昭和四十七年の十月十三日に諮問をしたのがやっとことしの一月に答申をされているわけなんですね。ですから、環境庁長官から諮問されて、それが五年以上もたたなければ答申が出てこないというところに、私はやはり日本の国のこういう種の問題におくれがあるのだと思うんです。  それで、これは私自身が、答申が出た後に出た新聞で非常に感銘を受けたんで、若干、その点を私読んでみたいと思うんです。で、長官もそれお聞きになっていただいて、どういうお感じを抱くか、もし御返事がいただければと。私は無理にこれは申し上げませんけれども。財団法人日本野鳥の会の理事をしている山口正信さんという方が新聞に投稿している内容なんですけれども、   環境庁は、わが国の野生生物の生息調査全国的な規模で行うことになったと伝えられた。   この計画は、その成果によっては、環境行政にある程度の評価が期待できるかも知れないが、従来の国の姿勢からみると、これが自然保護行政に機能し、発展して行くとは考えられないし、その扱い方によっては、採集屋や密猟者へのデータ提供になりかねないとの危惧(きぐ)をもたざるをえない。   私ほ、昭和四十七年に来日したアメリカ・ウィスコンシンの国際ツル保護財団(I・C・F)のG・アーチボルド博士から、北海道根釧原野に生息する国の特別天然記念物タンチョウの生息域の将来性について、先見性にとむ科学的な提言をうけ、四十八年一月、三木環境庁長官(当時)に日本野鳥の会の中西悟堂会長とともに会い、釧路湿原におけるタンチョウの保護について、当時まだ健全であった原生自然環境ぐるみの保全を要望した。   それによって、現地調査のための予算措置がとられ、調査だけはおこなわれた。しかし、国は調査のしっぱなしで、今日まで保全についての行政的手だてはなされていない。見さかいのない開発がすすみ水位は乱れ、原生自然は失われつつあり、タンチョウの生息域は狭められる一方にある。調査だけをなんどおこなっても、乱開発は止められない。   昭和五十年、G・アーチボルド博士は再び来日し、さらに極東地域のツル類の調査保護を目的に訪韓し、三十八度線非武装地帯に小群ながら越冬中のタンチョウをはじめ、わが国では現在十羽にまで減り、絶滅の悲運にあるトキ四羽の生息を確認し、韓国に渡来するツルの保護対策を提言した。   これをうけて韓国政府は、ツル保護委員会を発足させ、非武装地帯以外のツルの生息地三千三百平方キロメートルを天然記念物地区に指定し、ツルのサンクチュアリー(聖域)を創設した。   韓国のその後の実情を調べた同氏は、二百六十羽のタンチョウ、二千羽のマナヅル、十万羽を超すガンの生息を確認し、韓国政府の自然保護行政を称賛していた。  間は飛ばしまして、最後にこの山口さんが言っているんですけれども、   全地球的感覚で各国の湿原を保護しようとするラムサール条約、各国の貴重な生物の輸出入をチェックしようとするワシントン条約など、わが国はすべて加盟していない。   円が高い安い、の論議も結構だが、それらを超えた永遠の日本の姿はどうあるべきかを私たちは政治の場で選択する権利と、そのうらに義務があることを忘れてはならないと思う。  私は読みまして非常に感銘を受けたんです。いかにも日本の国がこういう問題についておくれているんだなと。そういう意味においては、今回のこの法案についても早いところ成立をさせなければいけないし、先ほどからの条約なんかの加盟もお進めをいただきたいと思うんで、そういうことを要望申し上げて、もし長官から何かあればお答えいただきたいと思います。
  195. 山田久就

    国務大臣山田久就君) ただいまお読みいただきましたけれども、先ほどのラムサール条約を初めといたしまして、この種のものは非常に国際的な協力というものにまたなきゃなりませんし、また、世界の中において、日本という国民に対する評価、これが国際的にもいろんな意味から重要視されているいまの世の中に、そういう意味における実証の一つにも相なるわけなので、そういう観点からこれに対処していかなくてはいけない、こう考えておりまするので、これまでのいろんないきさつ、また後でよく説明させたいと思いますけれども、方針としては、ひとつ非常に前向きで善処していきたい、こう考えております。
  196. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  197. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時三十六分散会