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1978-06-07 第84回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月七日(水曜日)    午後零時三十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小野  明君     理 事                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 安恒 良一君                 阿部 憲一君     委 員                 高橋 圭三君                 高平 公友君                 野呂田芳成君                 二木 謙吾君                 降矢 敬雄君                 勝又 武一君                 上林繁次郎君                 山中 郁子君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        警察庁交通局長  杉原  正君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省自動車局        業務部長     梶原  清君        運輸省自動車局        整備部長     犬丸 令門君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        大蔵省銀行局保        険部長      貝塚敬次郎君        大蔵省銀行局保        険部保険第二課        長        森田  一君        農林省農林経済        局審議官     佐々木富二君        運輸省自動車局        参事官      松井 和治君        運輸省航空局参        事官       上田  浩君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君    参考人        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (自動車損害賠償責任保険の諸問題に関する件)  (バス停留所の設置問題に関する件)  (新東京国際空港航空機騒音対策に関する件)  (暴走族対策に関する件)  (欠陥自動車問題に関する件)     —————————————
  2. 小野明

    委員長小野明君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  交通安全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会新東京国際空港公団理事角坂仁忠君参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小野明

    委員長小野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 小野明

    委員長小野明君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 私は、自動車損害賠償保障法に基づきまして、今回保険金額引き上げに関してこれから質問をしたいと思いますが、その前にひとつ経過を明らかにしておかなきゃなりませんのは、百五十分ということで、やや自民党の先生方からもほおっというような顔をされましたが、それは少しいきさつがあるわけでありまして、これは大臣のお耳にも入れておかなきゃいかぬと思うんでありますが一実は今回、この七月を目指して改正が進められているということでありまして、小野委員長の方には、運輸省の方から、衆議院の交特でこれが問題になった後、運輸省がこのようにして引き上げたいということが来ておったそうであります。委員長から私に対して、安恒君、このことを理解しているかということでありまして、初耳でありまして、そこで早速運輸省に電話をいたしましたところ、担当課長がこれから説明に行きましょうと、こういうことでありました。私は、その後運輸省自動車局長お話をしたんですが、少なくともこういう問題が起きたときには各党理事のところには最小限に、事前資料配付をしてから、来たり説明もしていただきたい、そういうことにいたしました。しかし、そのことは、自動車局長がお見えになりましたから一切を水に流しまして、実はきのう朝八時半から衆参交特委員全体が集まりまして、小野委員長も出られて私たち勉強会を持ったわけであります。勉強会を持ちましたところ、いま私の手元に五枚の資料があります。少なくとも保険金額引き上げるためには、具体的な保険数理、そういうもの等の資料も当然用意をされていると思ったんですが、新聞で承知をしている程度資料配付をされまして、質問をいたしましたところ、御本人たちはこんな厚い資料を持って口頭で答えられます。そこで、私はやむを得ません、きょう十分そのことはここでお聞きをしたいということにいきさつがなったわけであります。ですから、私は少なくとも私たちが自発的に八時から衆参社会党交特委員勉強会をするときに、どうしてそういう資料配付をされないのかわかりません。なお、運輸省側に聞きますと、保険財政大蔵省なんだから、大蔵省の方に出すようにという要請はしておきました、こういうことであります。大蔵省の方としては、いわゆる他党の勉強会と同じ程度資料用意をしましたと、こういうことであります。  そういうことでありますので、きょうはやむを得ず、いわゆる自賠法の全体について質問をすることになりますので、各党先生方に大変御迷惑をおかけいたしますが、しかし、そういういきさつがあったということで御了解お願いをしておきたいと同時に、ひとつ大臣、これは自賠法全体の御責任ですが、以上お聞きくださったことに、さらにこれは大臣というよりも大蔵省に私は問題があると思いますから、以上のいきさつ経過について考え方があるなら明らかにしてもらいたい。
  6. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま安恒さんお話しの点は、やや詳細には、私もただいま初耳という次第でございまして、事前に、きょうは多分安恒先生からこういうことでしかられるであろうというようなことで私に一部申しておりました。私は必ずしも事情をつまびらかにしておったわけではございませんが、どうもまずいなと思いまして、ある程度しかるというか、反省を求める方途を講じたのでございます。ただいま伺いまして、後刻またさらに一層この種の手違いのないように心がけるよう申したいと思っております。  いまお話のありましたようなことについていろいろ御説明申し上げたり、御連絡申し上げ、そしてまたいろいろ御指導をいただくということは、行政当局としてはぜひ必要なことでございまして、お話を待つまでもなく、今後大いに注意すべきものであると考える次第でございまして、大臣の一人といたしまして、ことに運輸省を所管いたします者といたしまして重々おわびを申し上げる次第でございます。以後、大いに関係者一同相戒め、同じような過ちを繰り返すことのないようにさせたいと思います。私自身もそうありたいと存じます。  さような次第で、きょうはねんごろにということですが、まあひとつなるべくお手やわらかにお願い申し上げたいと思います。
  7. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答え申し上げます。  昨日八時半から社会党勉強会があるということで、私課長からどういう資料を出したらいいだろうかという相談を受けました。われわれ保険のみならず、いろんなことで、もちろん説明をするときに十分わかりやすい資料をつくるようにということは常々心がけておりまして、先ほど、恐らく課長と思いますが、非常に膨大な資料を持っていると言いますが、その膨大な原材料みたいな生の資料をそのままお渡しするのはかえって失礼かと思いまして、いろいろ精査したわけでございますが、もう一つ、聞きますと、時間に非常に限りがあるということで、それからほかの党にもいろいろ御説明したときに、ちょうど収支になりますと、後ほど御質問あると思いますけれども、大変時間をとるわけでございまして、全く悪意がないと言ったら当然でございますけれども、隠すとか、そういうことは一切ございませんが、時間の制約と、それから資料のわかりやすさ、そういう点で先生の御不満を買ったことは大変遺憾に思います。以後、私どもは、そのときそのときに応じまして適切な資料を出すように、この席でおわび申し上げます。
  8. 安恒良一

    安恒良一君 運輸大臣の率直な御解明はよくわかりました。大蔵省の言い分には承服しがたいのであります。いわゆる時間の制約があるということは事実であります。しかし、わかりやすい資料と言うが、保険数理資料というのは全然ないじゃないですか、これでは。わかりやすい、そういうあなたたち考えがもう間違っている。私は何も膨大な資料を出せと言っているのではない。少なくとも保険数理がわかるだけの資料を出すべきであって、わかりやすいとか、他党との関係とか、そういう大蔵省の姿勢が気に入らぬ。わかりやすい、わかりやすくないということはこっちが判断することであって、何という言い方ですか。
  9. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 十分な説明でなくて大変申しわけないと思います。私の言い方が舌足らずでございましたことは十分おわびいたします。  保険収支につきまして、もちろん提出すべきでございましたが、そういう資料が適当なものがございませんでしたために大変御迷惑をおかけしたことをおわびいたします。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 以上のようなことですから、ある程度大臣、せっかくですが少し保険数理につきましてはかなり聞かしていただきますので、どうぞ時間が来たら大臣衆議院の方に行っていただいて結構でございます。  それじゃ、まずお聞きしたいんですが、自賠責制度の概要について、私は特に次の点についてお聞きをしたいんですが、御承知のように、無過失賠償責任制度と言われていますが、その実態がどうなっているのかということなんであります。というのは、いわゆるこれは御承知のように、被害者請求という道が講ぜられまして、このことは自賠責の場合に大変いいことだと思うのでありますが、現実は被害者請求加害者請求の割合はどの程度ぐらいになっているのか、そういう件数についてひとつお答えをまずお願いをしたいと思います。
  11. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 被害者請求件数が十一万九千七百件、そのほかが二十九万七千二百件でございます。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 いつの年ですか。いっかわからないじゃないですか、あなたのいまのお答えじゃ、ただ件数を言われても。何年の資料がどうだということを言っているんです。
  13. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) ただいま手元資料で、五十年度資料でございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 あれじゃないですか、五十一年度まで明確になっているんじゃないですか、そういうものは。いま五十三年ですからね。ですから、件数じゃなくて、私の手元にあるいわゆる陸運統計要覧では、自賠法関係についてはすべて五十一年まで数字が出ています。
  15. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) はなはだ申しわけございませんが、いま私どもが持ってまいった資料では五十一年度数字が出ておりませんので、即刻調べまして申し上げます。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃひとつ五十一年度を調べて、そしてその比率を出してください。  その次にお聞きをしたいんですが、いま五十年度のあれで見ますと、片一方が約二十九万、片一方が約十二万、こういう被害者請求加害者請求になっているんですが、そこで、被害者救済を第一としてこの制度はつくられているわけであります。ところが、どうもいろいろ第一線で聞きますと、非常に手続等に繁雑さがある。さらに実際の業務保険会社ないし代理店業務に携わっているわけですね、この問題は。ですから、保険会社恣意によりまして被害者不利益をこうむるという事例等が、特に代理店なんかがやればある。そういうふうな状況を私たちはいろいろ耳にするわけですが、こういう被害者救済を第一の制度としてつくられておるという上に立って、以上のようなことについて大臣どのようにお考えでしょうか。
  17. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 先生指摘のとおり、昭和三十年にこの制度ができましたとき以来、私どもとしても被害者保護に欠けることのないように努めるということを第一にいたしておるわけでありまして、実際に事故が起き、被害者が生じた場合におきまして、末端の保険会社ないし代理店におきまして、その取り扱い被害者保護に欠ける、あるいは不親切であるというようなケースにつきましては、私どもの方もそれにつきまして法の目的に沿った運営をするように注意をしておるわけでございます。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 そういう被害者がいろいろ苦情を持ったときの救済はどのようにされておりますか。たとえば被害者保険会社と話をした、保険会社が、いやこれはちょっとあなたの責任もありますよなどと、これは実際に私の身近に起こった事例があるんですが、そういう場合の救済措置被害者救済を求めるのは、この法では一体どこでどういうふうにすればいいのでしょうか。また、具体的にそういう訴え等がどのくらい過去においてあったでしょうか。
  19. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答え申し上げます。  昨年十二月末でございますが、損保協会交通事故相談機関というのがありますが、その現況を申しますと、損害保険相談室というものがございまして、これは損保協会が本部と各地方委員会内に設置しているものでございまして、窓口が十四カ所ございます。それから自賠責保険請求相談室、これは自動車保険料率算定会全国調査事務所——これは八十ございますが、そのうち二十七カ所に設置しておるのがございます。それから自動車保険請求相談センターというのがございますが、これも同じく、今度は協会全国損害調査事務所に設置しているものでございまして、五十四カ所ございます。それから交通事故相談室、これは損害保険の各社が全国の各店舗に設置しているものでございまして、これが二千九百余ございまして、ただいまの窓口を合計いたしますと、三千五十くらいございます。  それで、五十一年度中にどのくらい受け付けたかという数字でございますが、相談室におきましては一千件、それから自賠責保険請求相談室におきましては一万六千件、それから自動車保険請求相談センターが六万八千件でございまして、交通事故相談所が百十七万二千件と、そういうふうな状況になっております。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 いま言われた中で、保険会社がやっているやつは保険会社のやり方に問題があって言うんですから、それを除いて、保険会社がやっていない、保険会社以外のいわゆる相談というのは全国で合わせて何カ所あるか。それから、どの程度そこに昨年一年に——資料は五十一年ですか。五十一年なら五十一年に苦情が持ち込まれたんでしょうか。これは保険会社のところに相談したって、もともと保険会社のそういう査定に問題があるからやっているわけですから。それはどのくらいありますか、個所にして。
  21. 貝塚敬次郎

    説明貴(貝塚敬次郎君) ただいま四つ申し上げましたが、そのうち保険会社というのが最後の交通事故相談所でこれが二千九百カ所で百十七万件でございますが、先に申し上げました三つ、すなわち損害保険相談室、これは協会でございます。それから損害保険請求相談室、これは調査事務所でございます。こういうものにつきましては全国で約九十数カ所ございまして、そこで八万件ほど受け付けております。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、この点は、私はやはりもともと保険会社恣意により被害者不利益をこうむるのですから、いま少しこういう問題についてのやはり相談個所を、保険会社が自発的に設けるものではなくして、私はやはり十分に被害者不利益をこうむらないようにするという意味から、ぜひひとつこの点は設けてほしいと思います。また、そういうふうにすでに設けられているならば、そのことがやはり国民に周知徹底をするように——まあ、今日皆免許時代と言われておりまして、ほとんどの免許を持った人が全部これには加入をしておりますし、その結果、またこの被害も、交通事故というのは年々減っていますが、残念ながら依然として大変な大きい問題ですから、どうかそういうことをこれはお願いをしておきたいと思います。  そこで、次は政府自賠責特別会計現況についてひとつ質問をしたいと思いますが、まず現在どれだけの保険金支払い能力——総額があるのか、それから四十四年以降各年とも収入支出を大きく上回っているというふうに思いますが、その累計はどれだけになっておるのか。以上二つの点について、数字を一々読み上げられますと時間がかかりますから、資料があれば資料をいただいてポイントになるところだけをひとつ説明をしてもらいたいと思います。
  23. 松井和治

    説明員松井和治君) ただいま先生からお求めのございました資料、これからお配りしたいと思いますので、ちょっとお待ちを願いたいと思います。  その間を利用してと申しますと大変恐縮でございますが、先ほど大蔵省から御答弁いたしました交通事故相談のことについてちょっと補足をさせていただきたいと思います。  先ほど大蔵省から御説明いたしました相談機関のほかに都道府県交通事故相談所というものが設けてございます。これは百四カ所設けてございまして、五十一年度実績でございますが、相談件数が十七万五千件——百件以下は省略させていただきます。それからもう一つ日弁連交通事故相談センター、こういう機関がございまして、これは全国百二カ所に設けられておりまして、同じく五十一年の相談件数実績が一万四千二百七十四件、それから最近法人化が認められました交通事故紛争処理センターというものが、これはまだ全国に二カ所でございますけれども、ここでの取り扱い件数が二千三百八十一件、こういうことになっておりまして、都道府県事故相談所あるいは日弁連交通事故相談センターに対しては、私ども補助金を交付するというようなことで助成を行っておるところでございます。  ただいまお尋ねの自賠責保険特別会計収支資料、いまお配りを申し上げました。ただいま先生四十四年以降のと仰せられましたが、私どもただいまお配りいたしました資料は四十年以後の数字が載っております。したがいまして、累計も四十年以後の数字ということで御了解を願いたいと思います。  この累計によりますと、五十二年度、昨年度末の収支差額累計が八千六百二十二億、こういうことになっております。いまお配りいたしました資料の一番下の欄、五十三年度数字はこれは予算ベース数字でございますが、今回もし引き上げをいたしますれば、この収支数字は変わってくるということでございますので、収支差額累計は八千六百二十二億であります、こういうことでございます。ただ、この数字は、御承知と思いますけれども、再保険特別会計がその年に再保険料として受け入れたものが収入に上がりまして、その年に再保険金として支払われたもの、これが支出に立つわけでございます。ところが収入は、御案内のように、たとえば保険期間二年の自家用乗用車にいたしますと、二年分の保険料が一遍に入るわけでございます。ところが、その車の起こします事故についての再保険金支払い、これはその年度に出てこなくて、むしろ次年度、三年度、四年度というふうに後の年度支払いが多くなってくる。こういうことでございますので、単純にこの収支差額が将来の再保険金支払いの原資にすべて充てられる、こういうふうにはならないわけでございます。そういうことで、これは単純な現金の出し入れの収支累計というふうに御了解願いたいと思います。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 私が聞いたのは四十年以降で結構なんです。四十四年以降各年とも収入支出を上回っているんじゃないかと言ったんですから、何も四十四年から出しなさいと言っているんじゃない。きのう連絡をしたとおり四十年から出していただければいいわけです。  それで、これは自賠法保険で入ってきて、そのうちの六〇%ということなんですね、これは、再保険ですから。ですから、全体に入ってくる金額はこれとは違いますね。そうですね。そういうふうにこれは理解していいわけですね。いわゆる政府が再保険をやられている六〇%に相当する金額、こういうことですね、これは。  そこで、今度お聞きしたいんですが、いま説明をされましたように、収入支出はこれは単純に一年間の出入りにすぎないと、こういうことになっている。しかし、その結果累計というのがここに出てきているのは、これはそういう繰り越しをしながら今日ここに言われたとおりの数字がたまっている。予算を除いて実績で言うと、五十二年度見込みになっていますから、たとえば五十一年度であれば、ここに言われている七千六百八十億ですか、これは。そういうことですね。ですから、五十二年度も間もなく実績が出るでしょうが、そうすると、実績だけで議論するとすれば、五十一年度には累計として七千六百八十億のいわゆる特別会計累計がある、こういうことですね、これは。そういうふうに読み取っていいですね、これは。
  25. 松井和治

    説明員松井和治君) 御指摘のとおり、収支差累計が七千六百八十億であるというふうに御理解願って結構でございますが、先ほど申し上げましたとおり、これはたとえば、ただいま御質問の五十一年度を例にとりますと、この七千六百八十億の中には五十二年度以降に支払われるための備金あるいは未経過保険金、こういうものが入っておりまして、要するにここの収支差額イコール利益金ではないということを御理解願いたいと思います。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 いや、そういう論議になると、それならば今度は、保険加入する人が加入をしたからすぐその人も今度は被害が起きるということじゃないわけですよね、これは。私が保険に今月かかったと、来月必ずしも事故を起こすということじゃないわけですよね。ですから、この見方というものについては両方見ておかないと、いまあなたが言われたように、これはいわゆる会社決算法による純益じゃありません、まだ未払い分が残っております、こういうことでありますけれども、そのことは、いま言った収入の方のことも考えて見ていかないと——それならは、まだ未払い分が残っているということになると、たとえば五十一年度の七千六百八十億、この中で未払い分がどのくらい残っていますか。そういうことを言われるんなら、未払い分がどのくらい残っているんですか。五十一年度の場合に大体おおむねどのくらい残っていますか。もう五十一年度数字だったらわかるでしょう。
  27. 松井和治

    説明員松井和治君) 実は、もう一年先の五十二年度数字を申し上げたいと思います、五十一年度数字がちょっといま手元にございませんので。  五十二年度は、まあこれは一部見込みが入っておりますけれども、八千六百二十二億円の収支残がある。この中で将来支払われるべき金、こういうものを差っ引きました純利益が約三千億でございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると五千億というのは何ですか。これから払うんですか。どういう意味ですか、それは。どういう見込みですか、それは。
  29. 松井和治

    説明員松井和治君) 先ほど申し上げましたように、収入の方では二年間なら二年間ということで保険料収入が入るわけでございますけれども、その年度ではまだ到来しない期間、その未経過期間についての保険料と申しますか、いわゆる未経過保険料と称するもの、それから、事故はすでに起こっても支払いが翌年度以降になるものに対する支払い備金、こういうものを控除する必要がございます。それとさらに、保険でございますので、全くこれを空にするわけにはいかないわけでございます。そういうことで、純利益を計算しますと先ほどお答えしましたように約三千億ということでございます。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  それじゃ、いま言われた八千六百二十億あるんだけど、純利益ということになると三千億しか、約五千億金が要るという中身を数字で示してください。いま口頭で言われただけではわかりません。たとえば、将来のいわゆるリスクを考えて、保険ですから全部使えないから内部保留がこれだけの比率で、それからすでに発生をして未払い分がこれだけである、それから第一番目に言われたものについてこういうふうになっている、その中身を言ってください。でないと、あなた方の悪いくせなんで、五千億ぐらいは要る、実際は三千六百億ぐらいしか残らぬのだと、こういうことだけではわからない。その数字を出してください。——資料で下さい。
  31. 松井和治

    説明員松井和治君) 申し上げます。  先ほど申し上げました未経過保険料、これが千三百十三億、それから支払い備金、これが二千三百七十九億−四捨五入の関係で若干その端数が変わるかもしれません。それから将来の備えと申しますか、これが千八百三十五億、それを差っ引きまして純利益が約三千億、もう少し細かく申し上げますと三千九十六億ということでございます。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 第一番目の金額はどういう計算で出されたんですか、いま言われたのは。いわゆる将来に備えてというやつは、これはいわば内部保留的なものですね。それから未払いというのは、これはもう具体的に積算基礎があるわけですね。起こっている件数金額はこうこうなるから総金額こうなるということでしょう。それから第一番目のやつは何ですか。
  33. 松井和治

    説明員松井和治君) 未経過保険料でございます。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 どういう中身ですか、その中身を……。
  35. 松井和治

    説明員松井和治君) 先ほどお答えしたこととダブりますが、保険期間、これは一年のもの、二年のもの、三年のものとございます。たとえば二年のものの契約を五十二年度にいたしますと、その保険期間は五十二年と五十三年にかかるわけです。それから五十二年の三月ぎりぎりに契約した方は、実質五十三年と五十四年になります。ところが、支払いの方は、これはあくまでも単年度支払いでございますので、五十二年度支払いしか出てこない。したがって、まだ経過していない期間について起こるべき事故に備える保険料、これが未経過保険料でございます。それから支払い備金というのが、先ほど申しましたように、すでに起こって支払いが翌年度以降に繰り越されるもの、こういう意味でございます。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  それじゃ、以上のやつはいまここに資料を出せと言ってもあれでしょうから、いま少し中身が——項目はよくわかりました。数字を出されたやつについて後で結構ですから資料をください。未払いについては何件あるということがないと、総金額だけ言われたってわからぬわけですね。未払いが何件あると、その件も、死亡事故が何件だとか、事故が何件だ、だからこういうふうになるというこの積算がないと、ただ総額だけを言われてそれでいいということにはこれはなりませんですね。ですから、どうかきょうはできるだけそういう中身を細かく資料用意してきておってくれということを、きのう設問にお見えになったときには言っておきましたから、具体的な数字、いまなければ結構ですから、数字をひとつ。  そこで、以上のような財政状態の中にある、そして今度の限度額引き上げがあるんですが、今後の収支予想というのはどうなるでしょうか。以上、いまあなたが言われたように、たとえばかなりいろんなことで内部保留をされて、なお純益が、たとえば五十二年度であれば三千億ちょっとあるんですと。私から言わせると、内部保留にしても、それから未経過の言われたものについても、これは十分に取り過ぎるほどお取りになっていると思います。そういう中で、今度この限度額がそれぞれ引き上げられるんですが、その場合に、いわゆる限度額引き上げを実施した後はどういう状態に財政状態はなるんでしょうか。その点についてひとつ説明をしていただきます。
  37. 松井和治

    説明員松井和治君) これは、あくまでも私どもの所管しております再保険数字でございます。あらかじめお断りいたしておきますが、私どもただいま考えております七月一日を目途といたしまして限度額の引き上げを行いました場合の本年度収支がどういうふうになるかというお尋ねだと思いますのでお答え申し上げますが、まず再保険料収入でございますが、これは当初見込みました数値よりも下がります。と申しますのは、今回の引き上げによりまして営業保険料を据え置くことにいたしておりますが、営業保険料の中に占めます純保険料と付加保険料、このうち付加保険料の増加分に見合いますものだけ純保険料が減になります。そういう関係で、その六割に相当いたします私ども保険会社から受け取ります再保険料も減になりまして、当初の見込みに比べまして百四十八億の減という見込みを立てております。一方、支払い保険金は、限度額を引き上げることによりまして当然増加いたします。この増加の見込みでございますが、仮に七月一日に引き上げが行われたといたしまして、現実の再保険金支払いがそれじゃいつごろから行われるかということでございますが、これまでの実績によりますと、七月一日以後の事故には新限度額が適用されるわけでございますが、被害者請求あるいは加害者請求保険会社に出され、査定の事務が終わりまして保険金が支払われる、それから保険会社が国に再保険金の請求をなさる、そうして再保険金が支技われる、ここまでの期間がどうしても四カ月ないし五カ月かかります。こういうタイムラグがございますために、本年度に影響いたします再保険金は比較的少のうございまして、当初の予算額に比べまして約三十億の増というふうに見込んでおります。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 どうも、できるだけこの数字はきのう頼んでおったんですがね。あなたのように私は頭がよくないから、べらべら言われるといかぬから、できるだけ数字は全部資料にしておいてもらいたいと、こう言っておいたんですがね。たとえば、いま言われたようなものについても、一応五十三年度ということで予算がここにありますね。収入支出差額累計と、こういうものが、いまあなたが言われたようなやつが具体的にどういうふうに変わるのかと。私は、いままでは、率直なことを言って、これは単年度、こういうふうに単純に見てまいりますと、必ずこの収支差額はずっと累積がしてきてあるわけですね。そういうことなんかがどういうふうに変わるのか、今度の引き上げによって、たとえばこういう物の見方をこれはするわけですね。これの見方しか資料がないので、そういう場合はどうなるんだろうか、そういう点について。というのは、過去に一部やはり収支差額をずっとこう比較していきますと、支出収入をオーバーした年限もあるわけですよね。問題は、これはなぜ言うかというと、後から引き上げる限度額の金額について議論をしなきゃならぬから、その意味から言うと、私が今後どうなるだろうかということを聞いているのは、五十三年はもちろんのこと、ここ二、三年の収支状況がどうなるだろうかと、こういうことを聞いているわけですよ。それは、算出をしようと思えば、過去の事故発生率から何かから全部データはあるわけですよね。ですから、そういうことを私は聞いておるので、単純に五十三年度だけを聞いているんじゃないんです。保険財政というものは、単年度だけは見れないですよ、あなたが言われたように。少なくとも発生をして処理をするまでかかっている年限というのも、これ全部出ているわけですね。そうすると、そういうものを入れて、ここ数年間、少なくとも三年なら三年ぐらいのいわゆる収支財政がどうなるのかと、こういうことをぼくは聞いているわけです。時間がもったいないから、もう少しきちきちっと答えてください。出すべき資料はどんどん出していってください。
  39. 松井和治

    説明員松井和治君) 今回の限度額の引き上げに当たりまして、先ほどお答え申し上げました中で申し上げました、何と申しますか、いわゆる剰余金というものを、これを引き上げの原資に充てていくわけでございます。今後この累積の黒字が、今回の引き上げによりまして、その引き上げの原資として食いつぶしていく分がだんだん減っていくわけでございまして、私どもの計算で、今回の引き上げによりまして四・六年程度、つまり四年はもつけれども五年はもたないというふうに考えておる次第でございます。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 だから、それも数字で言わなきゃわからないでしょう、ただ単に四・六年と言ったって。どうしてあなたたちは、あれだけきのう私からやかましく言われて、あしたは具体的数字を聞くから数字用意しておってくださいよと。そういう口頭で人が言われたら、四・六年程度はもてると、ああそうですかと言っていかないでしょう。なぜ四・六年になるのかということについて、収入支出というものをずっと出してもらわないとわからないんじゃないですか。何も隠すことはないんでしょう、これは保険数理なんだから。しかも政府がやっていることなんだから。少なくとも今回これだけ引き上げるに当たってはどの程度もてると、どの程度後になると、場合によれば保険料の値上げをしなきゃならぬとか、それから少なくとも事故の発生件数が年々減っていることは事実なんで、そういうもの等を数字的にどういうふうに加味をした結果、実は収支がこうなって、四・六年もてますという話がないと、そういうあなたたち質疑応答の態度がいけないと私は冒頭に指摘したんです。素人だと思って言ったらいけませんよ。少なくとも今後の収支予想ということについては、具体的なそれだけの資料を出して、だから安恒さんこうなりますと言ったとき初めて納得できるんじゃないですか。どうしてそういう説明をしないのですか。何ですか、あなたの態度は。少なくとも保険財政収支説明するときには、そういうことをずっと計算して、だからこうなりますと、こういうことじゃないですか。あなたと私と立場を入れかえてどうなりますか、いや四・六年はもてますからなんと言われて、はいそうですかと引き下がれますか。引き下がるとすりゃ、よっぽど頭が悪いわ、それ。きちっと説明してください。
  41. 松井和治

    説明員松井和治君) 今回の引き上げ保険収支に及ぼす影響につきましては、これはただいままでの議論は、私どもの所管しております再保険関係数字で申し上げておるわけでございますけれども、本来の保険収支、これは要するに元請の保険、要するに全体の保険収支ということで計算をいたしておるわけでございます。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ元請のやつを含めてやってください。私はそのことも後で聞こうと思っていた。
  43. 松井和治

    説明員松井和治君) 元請の収支の計算につきましては大蔵省の方で御計算になっておられるわけでございまして、私から御答弁するのは適当でないと思います。
  44. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) それでは保険収支について御説明申し上げます。  御説明する前に、自賠責保険収支というのは非常に技術的な問題でございまして、やや技術的な問題になりますが、一般に保険収支を見ますときは、たとえば火災保険ですと、ことし入ってことし出るというリツンベースといいまして、一年ごとにはっきりと収支が出るわけでございますね。それから、ちょっと複雑になりますと、先ほど御説明あった、既経過の分を分母にとりまして、そして支払いとの対比を見るインカード・ツー・アーンド・ベーシス、そういうのがございますが、自賠はポリシー・イヤー・ベースという、ちょっと聞きなれない名前でございますが、日本語でいいますと契約年度ベースというような言葉を使っています。  御説明しますと、たとえば昭和五十一年度収入が入るといたします。ところが、支払いというのはその年に起こりません。特に、傷害でございますとか、あるいは特に傷害のうちの後遺症、それから死亡の場合でも、示談等がございますと大変時間がかかりまして、極端な場合ですと十年くらいかかるものもございます。したがいまして、収入支出も、相当、実績と、実績見込みと、それから見込みと、三つのような段階で推計しなければいけないわけでございまして、収入の方はわりあいと早く出まして、ただいま私どもでは五十一年度までの収入実績を持っておりまして、五十二年度は推計でやっております。この推計といいますのは、契約件数がどのくらい伸びるかというような計数でやっております。  それからまた、支払いでございますが、これは本来は車種別に御説明すべきでございますが、最初は全体で説明いたしますと、支払いは、やはり、死亡と傷害と後遺症、その三つに分けまして支払いを予想いたします。支払いと申しますと、平均保険金額が幾らであって、そして支払い件数が幾らであるかと、その乗数によって保険金額が計算できるわけでございますが、現在手元にあります実績は三十九年しかございませんで、三十九年、ちょっと極端でございますが、大体五、六年、これからと見まして、四十年、五十年は相当実績が出た、実績に基づく見込みでやっております。それから、五十一、五十二となりますと、かなりこれは実績に基づく推計ということになりまして、死亡でしたら、警察の方の死亡の事故でございますとか、あるいは傷害でしたら、警察の資料も借りますし、あるいはわれわれ独自に自動車算定会でやっております死亡ないし傷害の傾向を見まして、そして五十二年、五十三年度収支を見るわけでございます。  したがいまして、収支がどうなっているかといいますと、一言で言いますと計算上の収支ということになります。その計算上の収支を見ますと、五十二年度では収入が四千九百三十七億円、これは、先ほど申しましたように推計も入っております。それから、支出——支払い保険金は四千四百七億円、これはほとんどが、いま申しましたような計算方法に基づきます推定の支払い保険金でございまして、収支残は五百三十億となっておりまして、累積で約三千九百八十四億円の黒字があるであろうという推計でございます。  そうしまして、いま作業中でございますが、このたび限度額を上げるわけでございますが、限度額を上げますと、当然、単年度収支は赤字になります。ということは、保険料を上げなければならないようになると思いますが、いま申しました、この三千九百八十四億円の計算上の黒字を、償還といいますか、繰り入れまして、値上げをしないようにというような措置をとっております。  ただいま、何年くらいもつかというような御質問かと思いますが、私どもは、五十年にこの前上げましたですね、五十一年、五十二年、五十三年、毎年これは検証しておるわけでございます。毎年やって、五十一年はいろいろな事情で上げなくてもいい。このたびいろいろな事情で上げるようになりましたが、あくまでも五十三年度ポリシーイヤーでどうなるか、ということだけしか申せませんで、日々、新しい交通事故統計でございますとか、それから、自賠責の事務をやっております料率算定会の資料でございますとか、そういう統計を、極端に言えば毎日毎日レニューいたしまして推計いたしますので、この席では、何年もつかとか、これは今度上げたから何年くらい大丈夫だとか、そういうことは計算上は申し上げられないと、こう御答弁したいと思います。
  45. 安恒良一

    安恒良一君 もう一遍言うけど、いま言われたようなやつをどうして資料として数字で出してくれないんですか、いま。というのは、たとえば、あなたたちがきのう持ってこられた資料の中で、いわゆる自賠責保険の改定保険料表というのは、これは据え置き、これは値上げというのが出されていますね。値上げをするなら、するための算出はこういうことなんだと、しかし今回はこれだけに抑えるんだと。これは車種別に資料が要るんですよ。そういう説明を私たちはこちらにもらわないと、口頭じゃわからないんだよ。何回もさっきから言っているように、口頭じゃわからないと、細かい数字を言うときにはこういうふうに資料をくださいと、口頭でぺらぺらしゃべって、後からそれは議事録見ればいいかわからぬけれども、いまのやりとりをするときには、あなたが言ったことを全部こっちは書きとめなければいけないんだよ。そういうことじゃできないんだよ。そんなことではできないんだよ。  だから、それならばぼくは聞こうと思うのは、何年間後のことは言えないんだと、五十三年しかわからないんだと、そんなばかなことはないじゃないですか。少なくとも、これ、ことしの七月から実施をして、事故発生率というのは過去の統計しかないんだ。これから将来を推測することはできない。そうすると、この料金を決めるときには過去の事故発生率をもとにしてこれは決めているはずなんだよ。そして、これは据え置こうとか、これは値上げをしようということを決めているわけでしょう。そういう基礎データがあるはずなんだ。あれば、それでぼくが聞いていることは、五十三年、五十四年、ここ二、三年ぐらいはどうなるのかと。それは、もちろんこの自賠責の今回二千万に上げるのを、次は幾ら、何年後に上げるのかと聞くのはこれはむずかしいかもわからぬ。そんな聞き方しているんじゃない。今回二千万に上げる、上げた場合に保険料というのはこのままでいきたいと、こう言っている。一部上げたいと言っている。それからいままでの過去の累積のいわゆる黒字がある。そういうものを含めて、今後の予想は、いわゆる限度額を引き上げ実施後どういうふうに予想がなるんだろうか、それも十年や二十年先のことを聞いているわけじゃない、これから二、三年はどうなるんでしょうか、ということを聞いている。
  46. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 冒頭に申し上げましたように、十分な資料を提出しなかったことはおわびいたします。  それで、大変繰り返しになりまして恐縮でございますが、おしかりを受けるかもしれませんが、今度の料率並びに限度額というのは、あくまでも五十三年度のことだけなんでございまして、その先はちょっと私ども自信を持って言うことはできません。
  47. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ大臣にお聞きしましょう。  大臣、この保険料、今回限度額が引き上げられること、これは結構なことですがね。保険料金はごく一部を除いてほとんど据え置きだと、こうなっている。結構なことなんです、据え置きは。ところが、いまの大蔵省説明を聞くと、それは五十三年限りだと。そんなばかなことはありますか。保険料の据え置きを、五十四年になったら上げるんですか。  私が聞いていることは、今回保険料据え置き、一部上げる、そして過去の累積黒字がこれだけある。これでここ二、三年はどういうふうな収支状況になるんでしょうかと。たとえば、今回は上げなかったけれども、来年またすぐ保険料を上げられたらかないませんし、ただ上限の引き上げは、これは後から聞きますが、上限が引き上げられる要素がありますから、その要素が変わってくれば一年たってすぐ上げる場合もありますね。三年も据え置かれた場合もあります。ここに過去の実績が出ているように、いわゆる四十八年十二月に上げて五十年七月にはもう上げた。これはオイルショックがあったから上げた。そういうふうにやっていますからね。私が聞いていることは、少なくとも今度限度額引き上げ実施後に、どのようなここ二、三年の保険財政のいわゆる見通しを持っておられるのか、料金問題はどうなるんだろうか、こういうことを聞いているんですよ。
  48. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私、専門家ではございませんが、聞いている印象では、今度上げて、必ずしも正確にはわからぬが、とは言いながらも、おおむねさしたる支障がない事情で推移するであろうということを予想しながらでもないと、かいもく見当がつかぬのじゃ話にならぬというような印象を受けますが、数字的には私申し上げるだけの根拠を持っておりませんので、御容赦をいただきたい。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 結局、ぼくが怒っているのは、あくまでも五十三年度だと言うでしょう。五十三年度だけのことしか考えないで、こんなあなた、保険数理をはじき出すばかはいないんですよ、私から言わしてもらったら。
  50. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 説明が不十分で申しわけございません。五十三年度と申しましたのはちょっと説明不足でございまして、これは五十三年度ポリシーイヤーといいますか、五十三年度契約分にかかるものでございます。ですからその点は、収入運輸省の保有台数の計数が、五十四年は出ておりますからそれでできますが、支払いの方となりますと警察の方の予測もできませんし、ちょっと予測ができないので、五十三年度ポリシーイヤーでしかできないと、そういう意味で申し上げたわけです。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 支払いの方は予測できないと言うけど、これを計算する場合にはいわゆる自動車損害賠償保険額ですね、損害率、それから事故率、こういうのがあるわけですよね。そういうものを基礎にして計算したんじゃないですか。だから、支払いの問題——将来、死亡が何件起こるかということを、これは過去のデータしか使えないんですよ。だから、この過去のデータを使いながら今回の単価の据え置きとかどうかこうかというのは計算されたんでしょう。それがぼくはそういう上の中でとって、ここ二、三年どうなるのかということなんです。やたらにえらい英語ばかり使って、そんなことしたってだめなんだよ。おれらはこれを徹底的に調べてきているんだから、何かごまかしたってだめなの。はっきり言いなさい、はっきり。あなたは東大出ているか知らぬけれども、私は雑学だから、やたらに英語ばかり使っていったってだめよ。   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
  52. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 横文字は、じゃもう今後慎みますが、具体的に言いますと、保険事故のうち死亡はわりあいと予測のできやすい計数が出ております。漸減という傾向が出ておりますが、一番困っているのは傷害なんでございます。傷害は、警察の方はどうも下がっていくというような計数が出ておりますが、われわれが調べたのでは、これはむしろ傷害の請求の方が上がっております。傷害が一番困っておるわけでございまして、そこでもう少し傾向値を見るには、上へ行くのか下へ行くのかわからないと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 やはりこの資料というものは、交通事故というのは、一つは御承知のように警察が発表していますね。それからいま一つは、あなたが言われたように保険会社自体の資料があるでしょう。しかし、それはグラフにしてみたら、過去のそれぞれ一つの傾向値をちゃんと示しているんだ。その関係も、警察の出した資料と、それからたとえば死亡事故の場合には、警察統計は事故発生二十四時間以内ですからね。ですから、その後死亡がふえる。しかし、それは一つの傾向値がちゃんとグラフでこれは出るわけですからね。ですから、そういう意味から言うと、少なくともこれを査定されるに当たって、将来を予測することですから、これは統計学上から言ってもなかなか大変なことです。しかし、料率を決める場合には、事故なら事故がどの程度発生するかと、事故別にある程度のデータがなければ出ないんですよ、そんなことは。そんな計算はできないでしょう、少なくとも。ですから、私はいまあなたが言われたことについて、ぜひひとつ資料で以上のようなことについて出してください、少なくとも。五十三年度なら五十三年度はこういうふうに考えています、五十四年度はこう考えています、資料数字的にそれを出してください。ここでいたずらにあなたとやっておったって水かけ論で、自民党の先生方できるだけ時間を狭めてくれと言うけれども、狭められぬのだ、こうなったら。やはり時間いっぱいやらざるを得ないですな、こんなことやっておったら。だから、具体的にそういうやつはひとつ資料で出していただく。  そこで、次のことについて聞きましょう。それじゃ、保険料決定と算定の基礎について聞きます。  まず、保険料決定の仕組みはどうなっていますか。それから、保険料の構成とその内容はどうなっていますか。保険料の構成とその内容、具体的な割合を含めて、ひとつ以上のことについて説明をしてください。
  54. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 保険料の決定は車種別にやるわけでございますが、車種別も全体もほぼ同じでございますので、全体で説明しますと、保険料収入支出で決まりますから、収入は、先ほど申しましたように、台数の伸びに現行の保険料を掛けまして収入保険料を出します。それから支払い保険金——支出の方てございますか、これは件数に平均保険金額を乗じてつくるわけでございまして、死亡と傷害と後遺障害、それぞれにつきまして死亡の件数と一件当たりの保険金額を乗じまして支払い保険金を計算いたしまして、その結果上がるか下がるか、そういうことを計算するわけでございます。それ以外に、いま先生質問ありましたように、保険料の中には、ただいま申しましたのは、危険率と申しまして、純保険料とわれわれ呼んでおりますが、それ以外に、付加保険料といいまして、代理店の手数料でございますとか、あるいは社費、そういうものが含まれておりまして、構成でございますが、ただいまのところ、八五・一と一四・九。純保険料、危険部分に対応するのは約八五%、それから付加保険料に対応するものが約一五%、こういう構成になっております。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、純保険料が約八五%ですか。
  56. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) そのとおりでございます。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、付加保険料は約一五%ですね。そうすると、この付加保険料というのは、いわゆる保険会社代理店のいわゆる手数料ということになるんですか、事務費ということになるんですか。
  58. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) おっしゃるとおりでございまして、付加保険料は、保険会社の社費と代理店の手数料でございます。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 手数料ですね。  そこで、そうしますと、お聞きをしたいんですが、いまあなたが言われたようなことで、またもとに戻るんですが、保険料が計算をされているということになりますと、ひとつ今回のこの表4ですね、これで現行保険料の据え置き、それから改定、こういうことについて出された資料をください。これは、こういう計算のもとにこれがこういうふうになったんだと、保険料決定の資料をひとついただいて、そしてごく簡単に説明をしてください。この項目ですね、たとえば乗合自動車の営業用は現行保険料七万五千円、改定保険料左に同じと、こう書いてありますが、それ以下ずっと書いてありますね。それをいまあなたが言われたようなことでこれは計算をされたんだと思いますが、そのことについて資料をいただいて、特徴的な事例、特に今回、本来ならば大幅に引き上げなきゃならなかったのを五〇%程度に据え置いたと、こういうようなこともきのうちょっと聞いたんですが、そういうことについての中身を説明してください。
  60. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 申しわけございませんが、お配りする資料がいまないんでございますが。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 委員長、どうもこういうことで困るんですよ。こういうことで困る。きょうは保険数理について徹底的に聞きますよということで私はいわゆる十項目挙げてあるわけですよ。きのうお見えになったときに、保険料の算定の基礎、構成要素とその割合、それから算定団体と政府との関係等についてお聞きをしますよと、政府自賠責特別会計現況についてもお聞きをしますよと、こういうふうに全部細かく十項目挙げてあるんです。持ってこないんですよ。持ってこらしてください。わからないですよ。
  62. 中村太郎

    理事中村太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 中村太郎

    理事中村太郎君) 速記を起こして。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、これはこれからも出てきますけれども資料要求があるとかないとかじゃないんですよ。いわゆる保険数理についていろいろお聞きをしたいということになれば、当然そういうややこしいこういう一覧表を算出したことを説明するときに、相手にそれを配らぬで口頭で言おうという頭がどうかしているんだよ。それがどうかしているんだよ。普通とか一般とか、そんなことじゃないんだよ。そんなことは。きょうはこういうことを聞きますよと言ったときには、それを口頭でべらべらしゃべって通ると思っている感覚が、もうあんたたちの頭がどうかしているんだよ。そういうことじゃやっぱり大蔵省の役人は勤まりません。もう少し中身を、頭の構造を変えてもらわなきゃ困る。保険数理のことを詳しく聞くと言ってるんだよ。数理のことを聞かれたら、その算出の根拠を持ってきて……。そして私はきのう言っているんだ、私にくださいと。各委員に全部配ってくださいと言ってるんじゃない。私にはぜひくださいと、こういうことを言っているわけですよ。それであんたは自分だけ持ってきている。それであんたそれを読み上げて私がどうしてわかるんですか。どうもあんたたちはふまじめなんだよ、態度が。こういうことを知らしめまいと、そういうことになると、何か知らぬけど保険数理について大蔵省が隠してるんじゃないかという疑惑を国民が持つんだよ、疑惑を。えらい自賠保険というのはもうけておりゃせぬかとか、保険会社と大蔵官僚の癒着がありゃしないかということまでなってくるんだよ。そういうことがないようにこちら側はきょうは解明をすると、それがためにわざわざ質問を取りに来てもらって、十項目にわたって通告してあるじゃないか。そして、そういうことだったら、どうして責任者が聞きに来ないんだ。若い人が来て、来た人には気の毒だよ。きょうこれだけのことが起こるということは知っておるじゃないか、課長にしても。課長もきのう来ないじゃないか。運輸省はちゃんと課長が来たよ。そういう、議員をばかにしたらいかぬよ。そして、この場に来たら資料持ってきてない。すでにきょうこういうことを聞かれるということはきのう通告してあるじゃないか。進めようがないじゃないか。数字を中心にして論争をしようと思っているのに、数字がないでどうして論争できるんた。——それじゃ、その資料委員長のとりなしもありましたから後で出していただくことにいたしまして、後で説明に来てください。  そこで、一五%という経費の算出の根拠はどういうことですか。必要経費を一五%、保険会社代理店経費を含めて一五%を取られている、それはどういう算出の根拠ですか。その経費算出の根拠を説明してください。
  65. 森田一

    説明員(森田一君) 経費の算出につきましては、これもまた各事項に分かれるわけでございますけれども、人件費とか、あるいは物件費、また事業外経費等につきまして、個々のそれぞれの項目について、物価の上昇率でございますとか、その他の係数を勘案して、そして定めておるところでございます。具体的な各項目につきましては、先ほど部長がお答え申し上げましたように、いわゆる付加保険料の中身といたしましては、社費とそれから代理店手数料になるわけでございます。そして、社費につきましては事業経費と事業外経費に分かれまして、そして事業経費の中には、いわゆる社員を雇っております人件費と、それからいろんな借地借家料でございますとか、機械の借料でございますとか、いろいろ物件費がかかるわけでございます。そして人件費につきましては、いわゆる給与の過去二年間の平均の上昇率を求めまして、それを五十二年度以降の上昇率にいたしておるわけでございます。それから物件費につきましては、総理府統計局の消費者物価指数と、それから日銀調査局の卸売物価指数を各項目に使いまして算出しておるわけでございます。一言で申し上げますと、いわゆる率ということでなくて、各項目の積み上げの結果でございます。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 それもやっぱり資料をいただかないとわからないでしょう、資料をいただかないと。ぺらぺらしゃべっているけれども、私が逆にしゃべって、あんた、わかりますか。だから、こういう保険料の決定で算定の基礎について聞くということになれば、当然経費が問題になるということは常識でしょう。そうしたら、その経費の算出の基礎についてはどうして資料を持ってこないんですか、あんたたちは。どうして資料を持ってこないんですか。きょうは、きのう質問取りにお見えになった方に、三時間にわたって微に入り細に入りお伺いしますよと、数字的な資料で出せるものは全部出してください、数字的なものは、出せるものは出してくださいと、三省立ち会いの上の中で私は言っていますよ。だから私はあなたたちの態度に疑惑を持つんだよ。何かこの保険数理になると金城湯池のように大蔵省が抱えておって、できるだけ外に出したくないと、こういううわさが立つんだよ。いま言われたようなことについて、少なくとも経費の算定の基礎はどうなっているかということを聞かれれば、きちっとしたものがなければ、私、判断がしょうがないじゃないの、議論するときに。これは妥当であるとか、この点はこうじゃないという議論をしなければならぬでしょう。どうしてそういうものをぼくのところにすぐ出せないんですか。いまあんた、リコピーというものがあって、すぐぱっととれるじゃないですか、基礎資料さえあれば。何分も時間がかかるわけじゃないでしょう。しかも、きのうの夕方五時過ぎに話をしていますから、きょうまでの間にどうしてそういう資料をお出しにならないか、なぜ口頭で説明しようとなさるか、わからないですね、いまのそのことについても。どういうことなんですか、それ。
  67. 森田一

    説明員(森田一君) ただいまの私がお答え申し上げました点につきまして、先生のおっしゃる点、よくわかりますので、後ほど資料として提出させていただきます。
  68. 安恒良一

    安恒良一君 きょう私が解明をしようとしていました保険料の決定とその算定の基礎については、残念ながら資料がございませんので、全然これは解明ができません。そこで、このことをこれより以上追及してもやむを得ませんから、これはまた改めて次回の当委員会質問をするということにしまして、ここの点については重ねて言っておきますが、今後私の質問に対してこういうことがぜひないようにしてもらいたい。私は、質問をする以上、そういう点について細かくいろいろお聞きをして、その上でぜひ是非を判断をしたい、こう思いますから、保険料の決定と算定の基礎については大変遺憾です。きょうは部長さん幾らしかったってしょうがないからね、これ。この次、大蔵大臣に来てもらって、大蔵大臣に言いますわ。大蔵大臣にひとつこういうような態度は大変遺憾であるということ——あんたたちに幾ら言ったって、さっきから言葉遣いをじいっと聞いているけれども、かなりいんぎん無礼だよ、君たちは。そういう人に幾ら言ったって通用しないんだから、まず銀行局長なり大臣にこの次ひとつ出てきてもらって、こういういきさつについて明らかにし、今後二度とこんなことがないようにしてもらいたいと思いますから、この点は保留をしておきます。  そこで、次にお聞きします。いわゆる自賠法の適用除外者の内容とその車両数、それから保険料相当額、また事故が発生した場合の処理状況、こういう点についてどういうふうになっているのか、以上の点についてお聞きいたします。
  69. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 自賠責保険の適用除外となっております車両は、自衛隊、それから日米安保条約に基づくアメリカ合衆国の軍隊及び国連軍の地位協定に基づく国際連合の軍隊、これがそれぞれその任務の遂行に必要な業務のために使用いたします自動車、それから道路以外の場所のみにおいて使用される自動車、いわゆる構内用自動車でございます。これら適用除外自動車のうち、自衛隊の自動車が三万八千九百四十二両、米軍及び国連軍の自動車は一万二千百二十五両でございます。これらについての保険料の推定はどうかと、こういう先生のお尋ねでございますが、これをそれぞれの車種に分けまして現在の保険料に該当するランクで計算してみますと、これらの自動車を対象車両としました場合に見込まれます保険料収入は、五十二年度で約十四億二千五百万円になるものと計算されます。もう一つの、道路以外の場所のみにおいて使用されるいわゆる構内自動車の数につきましては、これらの自動車が登録の対象になっておりませんので残念ながら現在把握できておりません。  それから、事故の処理につきましては、私どもの自賠の基準を参考にいたしまして、自衛隊等におきまして当事者間で話し合い、解決という処理をいたしておるそうでございます。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 外交官の車はやはり適用になっていますか。
  71. 松井和治

    説明員松井和治君) 適用になっております。
  72. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、そこでお聞きしたいんですが、事故の発生時における処理状況と、それからいま言われた車の、最近で一番——最近と言っても五十二年はまだわかりませんかもわかりませんが、どの程度事故件数が発生をしていますか。いわゆるいま適用除外で事故件数がどの程度発生をしているのか、この点について。
  73. 松井和治

    説明員松井和治君) まことに申しわけございませんが、適用除外車両の事故についての把握をいたしておりません。
  74. 安恒良一

    安恒良一君 把握をしてないじゃ困るじゃないですか。やはり少なくとも事故が起これば、いわゆる被害者というのは、適用を除外をされている車からも国民は被害を受けるわけなんだからね。自賠法をやっておられる以上、そういうものについて事故発生件数は警察庁と連絡をとられればわかることなんだからね、これ。把握しておりませんじゃ困る。どのくらいの件数が発生、でなければその上に立っていわゆる処理状況はどうかということなんです。と同時に、私がお聞きしたいことは、強制加入者に比べて不利益被害者がこうむっておりはしかいかと、こういうことも非常に心配をしているから聞いているんだから、件数をあんた、把握していませんじゃ困るじゃないか。
  75. 松井和治

    説明員松井和治君) まことに申しわけございませんが、現在その数字は持っておりませんので、早急に警察等と連絡をとりまして、調査をさせていただきたいと思います。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 この点も、局長、少しやはり、適用除外車のことについて聞かれるというときには、それがどの程度事故を発生をしているかなどということは、きょう出ておいでになるまでに調べてきていただかにゃいけませんね。適用除外車制度とその対象車両及び保険料に相当する金額と、こういうことまで言ってあるわけですからね。そうすると、当然、発生件数がどのくらい起こるのかというようなことは常識じゃないですか、そんなことは。常識じゃないですか、少なくとも。なぜぼくはこんなことを聞こうとするかということについては、結果的に言うと、いわゆる強制適用じゃないから国民がそれによって不利益をこうむっとってはいかぬと思うから聞いているわけですからね。そうすると、発生件数はこれだけだと、そして死亡の場合はこれだけであると、それから傷害はこれだけでありますと、自賠法によるとこれだけの金額は払われているから、強制適用じゃなくても、自衛隊の場合でもこういうふうにやってますと、こういう説明があって初めて国民が強制じゃないんだけどいわゆる不利益をこうむってないということがわかるわけでしょう。ですから、そういうふうにひとつ中身をきちっとして答弁をしてください。どうですか、それ。
  77. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) まことに申しわけございませんで、私ども先生から質問の内容をお伺いしておりましたが、そこまで考えが至りませんで、そのことにつきましておわび申し上げます。  いまごもっともなお話でございまして、適用除外車両の事故の把握、それの具体的な処理状況がどうなっているかということに対しましては、調査さしていただきたいと思います。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、この項目もきょうは残念ながらまた解決をしません。  それじゃ、その次に参ります。農林省お見えになっておりますね。——農林省が行っている自賠責共済の実施の体制の概要、その普及状況等について、まず自賠責共済について、それと同時に、今回このようないわゆる強制の方の引き上げがあるんですが、農林省の監督下にあります自賠責共済はどういうふうに今度限度額その他をお考えになっているのか、そういうような点について、まず御説明お願いをしたい。
  79. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 農協が自賠責共済を行っておるわけでございますが、これは系統三段階制というふうに申しまして、単協が元請をいたしまして、それを県の連合会に再共済いたします。さらにそれを全国段階の全共連に再々共済にすると、こういう三段階制のシステムをとりまして実施しておるわけでございます。自賠責共済が始まりましたのは昭和四十一年からでございまして、昭和四十一年の当時には、自賠責共済に付する対象車両の範囲というものを限定をしておったわけでございますが、その後、昭和四十四年にこういった車種制限を撤廃いたしまして今日に至っておるわけでございます。  最近の実績でございますけれども、五十二年度には引き受け件数が二百八十四万五千件ございまして、前年度に比べますと六・六%増加しております。それからまた、収入掛金は三百八十三億六千七百万円で、前年度に対比しまして一三・三%増加しておりますということになっておるわけでございます。  それから最後に、今回の保険金額引き上げ等についてどういうふうに農林省としては対処するつもりであるかということでございますが、自賠責共済も保険と同じように強制適用の保険でございまして、そういうことから、保険の方でおとりになる方式に合わせまして金額の改定その他を行いたいというふうに考えているわけでございます。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 これも、少なくとも発生が四十一年からですから、四十年からは無理にいたしましても、やはり収支状況ですね、それからそういうような資料を、これもいま恐らくお手元にはあっても私に渡すのはないでしょうから、少なくとも、いまあなたはずっと聞かれておったと思いますから、後からそういう点について数字を出してもらいたい。たとえば、いわゆる累計でどの程度あるのかということ等、それから、今後全く同じにするということですから。それから加入者総数などというのは、私はここに一応の一つ資料を持っていますが、これはどうしても本になりますから、やや古いと思いますが、そういうような問題について、後からひとつ農林省の方から、いまずっと大蔵省、それから運輸省とのやりとりをお聞きになって、どうしても私はやはり自賠責共済の会計状況についても知りたいと思いますから、その点について。  これは御承知のように、やはり加入としては当初は生協だと。しかし、いわゆる農協に加盟している人がいま全部適用になっていますね。ですから、相当の人員にも上っていますし、そこで、これは大臣がこう言われたんですけれども、これは局長がおられるから聞くんですが、農協関係だけがこれは農林省の管轄で、そして自賠は運輸省がやっておる、そして実際の財政の方は大蔵省がやっておると、まあ縦割りの典型的なやり方になっているんですが、これは、どうして農業関係だけがこういう強制で自賠責共済というふうに分かれているんでしょうか。というのは、そのほかにいろいろ共済があることも知っています。そのほかの共済は、政府がやっている強制保険のいわば補完的な共済ですよね。いろんな共済があることも知っています。しかし、これは政府が一般国民におやりになっている自賠法と同じのが農協加盟だからということで別に全く独立をして、しかも農林省の管轄になってやっている。私はどうしてもわからない。日本国民で同じことだと、今度の限度額も上げるときは上げるんだというのに、なぜいわゆる農協に加盟しているというやつだけが農林省ががっしりお握りになっているのか、どうもそこのところがわからないんですが、これはどういう関係なんでしょう。
  81. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) なかなかむずかしい問題で、十分なお答えをいたしかねるのでございますけれども、もともと農協は共済事業をやっておるわけでございます。一般の民間保険会社がやっておりますような養老生命でありますとか、それから建物の火災共済でありますとか、そういった各種の共済事業をもともと行っておりまして、共済事業についてかなりの経験、実績、それから各種の機構、そういうものを持っておるわけでございます。そういうところから、農村地域における自賠責共済の普及に当たりましても、こういった実績と、それから能力を持っております農協にも担当させてしかるべきではないかと、こういうようなところから、農協に自賠責共済を認めると、こういうことになったというふうに私承知しておるわけでございます。現在農協が自賠責共済をやっておりまして、結果といたしまして、先ほど申し上げましたように、かなりの数の加入者もございます。そのことは、やはり農村地域の被害者にきわめて多くの便益を提供しておるということになろうかと思いますし、また、農協共済によって生じました運用益その他を各種の交通事故対策その他に支出をするというような面でもかなり農協共済は寄与をしておるというふうに考えておるわけでございます。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 いや、どうも説明でわかりかねるのですが、それじゃこれ、運輸省の方にお聞きしょうと思うのですが、もともとそういう共済活動をやっているのは農協だけじゃないんですよね。農協だけではないのだ、共済活動は。火災であろうと、何であろうと、たとえば全労済もやっていますし、それから自治労共済もやっておりますし、その他大きい規模でやっているのがたくさんあるんです。しかし、自賠に関しては、いわゆるすでに強制的な政府の自賠がありますから、やや補完的な意味で、これは生命保険会社に本人が任意加入のやつがありますからね。これはたくさんある。もう自賠の約五〇%超えているくらい任意加入がある。任意加入のやつは私はわかるわけです、これは任意での加入ですから。ところが、もともと政府が言われているいわゆる法的な強制力を持ってやっているのに二つあるのがわからない。いま農林省のお答えのようなことであれば、そういう実績があれば、ほかのところも、いまの政府がやっている自賠から離れて、今度は、たとえば全労済なら全労済という非常に大きな団体で何百万という労働者を抱えているんですが、それはそういうことにしていっていいわけですね。いま農林省がおっしゃったように、いわゆる火災共済もいろいろな共済をやっていて実績をちゃんと持っているのだから、農民の利益を守るためにも一いわゆる政府のやっているのが一般国民と農民向けというのが二本ある。中身は、ほとんどいま聞く限りにおいて変わらない。私細かい資料がありませんから、掛金がどうなっているかというのは全然わかりませんし、大体少なくとも被害者に払われる支払い金額は同一にされている、こういういうことですね。全く同一にされているということです。そういう点について、運輸省がいま一応大臣の所管ということになっていますから、それはどういうことですか。そういうことに、いまおっしゃったような要件さえ備えられれば、これからは、いわゆるこれは保険数理ですから、ある程度その団体が財政的にしっかりしている、経験も持っている、こういうことであれば、そういうことに立法さえやれば独立をさしていかれるんでしょうか、そこのところをちょっと聞かしてください。
  83. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) その前に、先ほどの御質問につきまして若干言い落としましたので申し上げます。  もう一つ、農協共済、農協が自賠責共済をやるに至った理由と申しますのは、農村地域におきましては、もともと一般の損害保険、それから生命保険、そういった一般の保険会社の行う保険の浸透度合いというのが比較的少なく、それらにかわりまして、農協が従来からそういった各種の分野で共済事業を行ってきた、こういうこともあろうかというふうに思います。
  84. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 四十一年に農協の共済というものが強制保険として登場してきたわけでございますが、私どもとしては、やはり幾つも幾つも数多く強制保険を行っていくというのがいいかどうかというのは相当問題を持っておるわけでありますが、ただいま農林省の御説明になったような全国的規模で行われているという事情等につきましても、私どもそういうふうに聞いております。そこで、それでは同じような能力と全国規模の共済が出てきたらどうするかということにつきましては、私どもは慎重に検討さしていただきたいというふうに思うわけでございます。
  85. 安恒良一

    安恒良一君 いや、同じような能力を持ち、同じような力を持ったときに、農林省関係のやつは、率直なことを言って、これをつくるときにはかなり激烈な政府内の内部議論があったことは知ってますよ。承知の上で聞いているんですけれども、しかし、実際には認めたことは事実なんだよね。そして今度同じような力を持って、同じような一たとえばいま農協の私のここに持っている資料では、組合員数が七百六十七万二千人ちょっとになってますね。これは正組合員と準組合員両方合わせて、資料であるのですが、こういうような力を持っているということになると、片方の場合にはどうして慎重に検討ということになるのですか。いまあなたが慎重に検討すると一それはこういうことなんですか。同じような力を持っているのが出てきたときにどうするんだということについて、片方は認めておきながら、片方は慎重に検討というのはどういうことですか。それがわからないですね。
  86. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) そういうものが理論的に出てきた場合に右へならえじゃないかというお話につきましては、そのとおりであろうというふうに思います。
  87. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。右へならえということならば、そのとおりだと承っておきます。  そこで、この次は第六番目にまいりますが、自賠責運用益金について少しお聞きをしたいと思いますが、自賠責の運用の益金の具体的内容、それから益金の活用。具体的内容というのは、たとえばいわゆる   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕 預金、現金等でお持ちだというふうにお聞きしていますが、どういうふうにそういうものがなっているのか。さらに、いわゆる益金はどういうぐあいに、どのように活用されているのかというようなことについての中身について、ひとつお話しを願いたいと思います。
  88. 松井和治

    説明員松井和治君) 私ども運輸省の管理いたしております自賠責の運用益には二通りの種類がございます。  まず第一番目は、再保険におきます運用益でございます。もう一つは、ひき逃げ無保険関係であります保障事業における運用益、この二種類でございます。  私ども、この運用益と申しますのは、収入が入りまして支払いに至るまでの若干のタイムラグがございます。これを利用いたしまして、私どもは資金運用部に預託をするわけでございます。また、保険収支が好転いたしまして黒字が出ました場合、その利益金も同じような形で資金運用部に預託をいたしております。  その使途でございますが、先ほど二種類あると申し上げましたが、順次申し上げますと、最初の再保険における運用益、これは自動車事故対策センターに対する助成、これに使っております。それ以外は使っておりません。  それから保障事業、後者につきまして、これは自動車事故の防止あるいは被害者救済を行う各種の団体に対する補助金ということに使用させていただいております。具体的に五十二年度、昨年度について申し上げますと、保険勘定につきましては、運用益のうち約三十億円を自動車事故対策センターに対する助成に充てた次第でございます。  また、保障勘定の運用益の中から約十億円の金を、先ほどもちょっと申し上げましたが、日弁連の交通事故相談センター、あるいは交通遺児育英会、あるいは公立の病院におきます自動車事故被害者の医療機器の購入費、こういうものに対する補助金に使用させていただいた次第でございます。
  89. 安恒良一

    安恒良一君 これも、私がお聞きしたのは、預金がどれぐらいあるのか。一部現金もと聞いてますが、そういうもの。それから、それをいま言われたような形で——結局、大蔵省資金運用部にやられて、利回りをどうして、これだけの金がいわゆる益金として出てきてます、その使い方はこうなってますと、こういうふうに——どうしても、またこれ、従来のということになるのかわからないけれども、どうして数字を具体的に明らかにしていただけないのですか、もっと詳しく。項目別ことに——委員長、あなたが帰ってくる前から全部答弁できないのです、事数字のことになってくると。何回も注意をさっきからしでいるのですがね。自賠法の運用益金についていろいろお聞きをします、自賠法の運用益金とその使途について、自動車事故対策センターの事業活動についてお聞きをします、こういう通告をきのうしておきましたがね。それなのに、どうして具体的なそういう数字なり中身が、少なくとも預金残高がこれだけある、現金がこれだけある、だからこれだけ運用利益が出てくると、こういうことになるのじゃないですか。その使途は、中身をこの項目別にこれだけこういうふうにしている、五十二年度はこういうふうに使いました、五十三年度は一この五十三年度のことをいま議論しているのですからね。五十三年度はこういうふうに使っていくつもりですということがあってしかるべきじゃないでしょうか。
  90. 松井和治

    説明員松井和治君) 数字について申し上げます。  五十一年度末の預金残高七千八百六十億でございまして、資金運用部には預託の場合に二通り——これは期間によりまして利率が違っておりまして、七年ものの場合には六%、それから三年ものの場合には五%ということでございまして、平均利回りは大体五・五%ぐらいになっております。五十一年度におきます運用益の額でございますが、これはまだ若干見込みが、完全な決算を済んでおりませんが、四百五十二億でございます。そのうち、先ほど申し上げましたように、三十億を事故対策センターに対する助成に使わせていただいておる、こういうことでございます。
  91. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、七千八百億のいわゆる預金残高というのは、さっき配られました自動車損害賠償責任保険特別会計、これの五十二年なら五十二年の累計との関係はどうなりますか。七千八百億、これは大蔵省資金運用部に預けて、いま言われているような利回りで回していると、こういうことですね。それとこの数字との関係はどういうふうに読めばいいんでしょうか。
  92. 松井和治

    説明貴(松井和治君) 失礼いたしました。  先ほど七千八百億何がしと申し上げましたが、これは五十一年度末の数字でございまして、ただいま先生の御指摘がありました八千六百二十二億との差ということでございますが、五十二年度末の預金残高は八千六百二十二億でございます。五十一年度と読み違っておりまして、まことに失礼いたしました。
  93. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、五十二年度の預金残高は一応八千六百二十億預金残高があって、大蔵省資金運用部でそれを回している、こういうことですね。それじゃわかりました。  それじゃ、そのいまいろいろ口頭で言われたやつも後から資料でひとつください。今後の論争をするときに資料にしたいと思いますから、いま言われたやつについて、それから使途についてですね。使途の中身についてもいろいろ言われましたが、いまお聞きしただけでは細かくわかりません。ですから、使途の中身について、運用益金を一これは過去十年も要りませんから一五十二年、五十一年、五十年、三年ぐらいの使途の中身についてひとつ資料で出してください。  それからその次に参ります。  事故センターというのが設けられておりますが、これの、きのう言っておきましたように、機構、予算、それから事業活動の中身、それから役員の名簿、そしてその役員の前歴、こういうことについては、きのう資料を要求しておきましたから、それを下さい。そして説明してください。
  94. 松井和治

    説明員松井和治君) ただいま御指摘資料、お届けいたしますが、自動車事故対策センターは、自動車事故対策センター法に基づきまして昭和四十八年十二月に設立されました認可法人でございます。  業務内容について申し上げますと、まず第一に、一番大きな業務でございますが、義務教育終了前の交通遺児に対します生活資金の貸し付けという業務でございます。これは無利子で貸し付けをいたしております。  それから第二に、後遺障害にかかわる損害賠償を受けるべき被害者、これが後遺障害の賠償金が取れるまでの間若干時間がかかります、そのつなぎ資金という意味で貸し付けをいたしております。  また、裁判をいたしまして勝訴の判決を受けながら、加害者側に弁済の能力がないということで履行が行われないというような被害者に対します資金の貸し付け、こういう業務を第二に行っております。  第三番目の業務は、運行管理者、これは自動車運送事業の運行管理者でございますが、こういう者に対します指導講習業務というものを行っております。  それから第四に、運転者の適性診断業務というものを行っております。  それから最後に、第五番目に、事故防止あるいは被害者保護に関します調査研究を行う、それから自賠制度の周知宣伝を行う。  こういう五つの業務を柱として、全国に五十の支所を置いてその業務の実施に当たっておるところでございます。  それから役員についてでございますが、現在の役員は、理事長が一名、理事が六名、監事一名、合計八名ということでございます。
  95. 安恒良一

    安恒良一君 いま、この役員名簿を見ますと、出身庁運輸省理事長。理事の広瀬さんが運輸省理事の近藤さんの前歴が大蔵省ですな。理事の影山さんが運輸省理事の大竹さんが海上保安庁。それから監事の田中さんは警察庁。こういうふうに、皆さんそれぞれ中央の役員ですね。それから運輸省をやめてちょっとどこかの三級会社へ行った人もおりますが、それぞれ、いわゆるお役人の天下りの場所になっていますね、これ。そして、いわゆる支所関係これだけありますから、支所関係の役員を洗ってみませんが、私が聞く限りにおいて、これも大体同じようなことになっているというふうに私は聞いているわけです。私の手元にはありませんから、あなたたちは中央の役員だけしか持っておいでになりませんでしたから。ですから、私が大変心配しているのは、いま言われたようなかなり重要な仕事をされている。ところが、こういうセンターが設けられる、設けられると関係官庁のOBの諸君がそこの役員を独占をしている。もちろん経験を生かしてもらうことを全面的に否定するわけじゃない。しかし、こういうものを扱うときに、私は、こういうような人だけで、というのは、中央の役員しかいまありませんから、地方も大体これに似たり寄ったりだと聞いていますから、違うなら違うと。地方は、たとえば民間人を登用しておりますとか、いろいろな関係者も登用しています、こう言うならまた別ですが、私の聞く限りにおいては、中央・地方とも、大体、こういうものがつくられる、つくられたらお役人のOBの皆さんの行き先になっているというようなことを聞くんですが、地方の場合はどうなっているでしょうか。  それと同時に、いま言ったように、自動車事故対策センターの、ここのやっている仕事というものが本当に十分な機能を発揮しているのでしょうか、どうでしょうか。いろいろな問題はないんでしょうか。そういう点について、考え方を局長、聞かしてください。
  96. 松井和治

    説明員松井和治君) まず第一の地方の職員の出身別割合と申しますか、そういうお尋ねがございましたが、地方を含めました職員三百四十二名中、役所の出身が二百六名でございまして、その他が百三十六名、こういう割合になっております。  それから第二のお尋ねの業務の実効が上がっておるかというお尋ねでございますが、先ほど申しました貸し付け業務の交通遺児の貸し付けにつきましては、これは義務教育終了前の交通遺児に対する貸し付けということで、五十二年度におきましても八千二十二名の方に貸し付けを行っております。高等学校以上になりますと交通遺児育英会の方からの貸し付けという制度に乗り移るようなかっこうになっておりますが、義務教育終了前の交通遺児家庭に対しましての貸し付けといたしましては、ほとんど唯一のものと言ってもいいかと思います。これは、交通遺児家庭の生活の援助のために、非常に役に立っておるというふうに考えております。  また、運行管理者の講習につきましては、昨年、実績といたしまして、五万八千名の運行管理者の講習を行いました。また、新しく運行管理者になりたいという六千名の方についての講習もあわせて行っております。これは運送事業の運行管理者のほぼ一〇〇%に当たっております。要するに、全員の講習を行っておるということでございます。  また、適性診断業務につきましては、昨年一年間に十七万人の方の適性診断を行いまして、この適性診断を行った結果につきましての追跡調査をいたしたことがございますが、大変事故率の低減に役に立っておるという結果が出ております。  また、調査業務につきましては、昨年度、後遺障害者の実態調査ということを、これは恐らく初めてではないかと思いますが、実施いたしておりまして、まだ結果をまとめる段階までに至っておりませんが、一応そういうことで、業務実績は上がっておるというふうに私ども考えております。
  97. 安恒良一

    安恒良一君 いずれ、中央のことについてはお答えなかったんですが、これはあれですか、局長、いま言ったように、現職の常勤の理事理事長、運輸省運輸省大蔵省運輸省、海上保安庁、警察庁と、こういうところから固められていますね、これ。こういう問題をやるときに、たとえば民間の英知も加えて、やっている仕事の中身はいま言われたとおりですからね、これ。だから、全部が全部悪いと言っているわけじゃないですよ。これは、皆さんもある一定のところは、聞くと、まだお若いのに行くところがないということですから、どこか行かなければならぬということでこういうのをたくさんつくられるのはわかっていますけれどもね。しかし、この自動車事故対策センターというものの役員名簿を見る限りにおいてこういう固め方になっている点はどうですかと、こう聞いているわけです。
  98. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 自動車事故対策センターの役員につきまして、その従来の経験を生かして、いま御説明申し上げました業務を遂行するということで選任されておるわけでありますが、先生指摘のように、民間の方で有識者がおって、そういう方の参加を求めたらどうかということにつきましては、私どもとしてそういう方を排除していくというような考えはございません。
  99. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。またいずれ改めていろいろそれはあれしましよう。  それじゃ、その次にお聞きをしたいんですが、政府の監督責任について、一応この法律いろいろ読んでみますと、結局、運輸大臣、それから大蔵大臣、それから強制になっている共済を言うと農林大臣、こういうことにいろいろ責任の分野が分かれていますね、この法律を読みますと。そうすると、たとえば業務監査、それから勧告等はどこが責任を持つのか、またどういう実績が過去にあるのか、どういう監査を、具体的などんな勧告をしたか。それから大蔵省がやるときにはどうも業務監査という言葉のようでありますが、運輸省がやるときには業務調査というような言葉に、どうも調査という言葉を使われているんですが、これはどこがどう違うのか。三大臣の監督責任はどのような関係になっているのか。三大臣の監督責任と、それからあとは、具体的に業務監査件数がどのくらいあるのか、その勧告はどういう中身があってどのような勧告をしたのか、こういうようなことについて政府の監督責任ということでひとつお聞きをします。
  100. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答えいたします。  自賠法の六条に、「責任保険保険者は、保険業法又は外国保険事業者の法律に基き責任保険の事業を営むことができる者とする。」とございますので、具体的には損害保険会社保険者となっております。したがいまして、今度は保険業法に戻りまして、保険業法に基づきます一般的監督命令をやっております。具体的にはどういうことかと申しますと、われわれ検査もやっております。自賠だけの検査というのはやっておりませんが、一般的に検査をやるときは、自賠も同様に厳正に見ておるということになっております。
  101. 安恒良一

    安恒良一君 どうして人が言ったことを答えないんですか。いいですか、まず私がお聞きしていることは——この自賠法全体承知していますよ。運輸大臣の権限、それから大蔵大臣の権限。自賠法全体の管轄は運輸省でしょう。大蔵大臣の権限、それから共済の方は農林大臣になっているでしょう。そういうものの監督責任なり権限はどこにどういうふうに及んでいるんですかということを一つ聞いた。  それから、いま一つ聞いたことは、業務の監査、勧告等の実績はどのくらいあるのかと。どういう件数ぐらいあって、どういうところに、たとえば監査した結果こういう問題があるとか、勧告はこういう勧告をしたとか、それを聞かしてください。  それから、運輸省はどうも監査する権限がないらしくて、私が勉強したところでは、業務調査だと、こう言われているようですが、これはもし間違っておれば、そうじゃないと、監査なら監査でも結構ですが、その違いはあるんでしょうか、ないでしょうか、こういうことを聞いている。  だから、特に業務監査や勧告は、大蔵省がおやりになっておるならば、この自賠に関して大蔵省業務監査を、たとえば過去、年に何回ぐらいやったとか、どういう中身に問題があったからこういう勧告をしたとか——これは国民に対する強制保険ですからね。  そういうことについて私が聞いておるのに、何であなた明らかにしないんですか。人の質問を正確に聞いてください。私はきちっと言っているつもりですよ。業務監査の中身、勧告等の実績はどのくらいあるのか。あれば、細かくそれは一つ一つ言うわけにはいかぬけれども、大体こういう問題があったとか、こういうことについては勧告したとか、何も損保全体を聞いているわけじゃないですよ、私がきょう聞いているのは自賠のことだけです、自賠のことだけですから、それをお聞きしているわけです。
  102. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) ただいま申しましたように、一般の検査として保険会社を見ただけで、自賠だけ見たわけでございませんので、手元資料ございません。大変申しわけございません。至急調べまして御報告いたします。
  103. 松井和治

    説明員松井和治君) ただいまお尋ねのありましたうち、運輸大臣の権限についての部分についてお答えさせていただきます。  私ども先生の御指摘のように、保険会社に対する監査の権限は持っておりません。ただ、私どもは、先ほど来お話し申し上げておりますように、六割の再保険をいたしております。したがいまして、その保険支払いが適正であるかどうかということについては、これは当然のことながら関心を持つわけでございまして、保険会社に参りまして報告を聞いたり、あるいは帳簿を見せてもらうという権限は持っておりますので、そういうことで、これは監査ということではなくて、先生のおっしゃいましたとおりの調査というようなかっこうで行っているわけでございます。  ただ、残念ながら、先生のお尋ねの、いま具体的な件数という数字は、実はいま持ち合わせておりませんので、後で報告させていただきたいと思っております。
  104. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 自賠責共済をやっております農協に対する指導監督につきましては、農協法に基づきまして全国連合会、それから都道府県段階の連合会につきましては農林省が、それから末端の単協につきましては都道府県知事が、指導監督を行うということになっておるわけでございます。事業の認可、共済規程の承認、行政検査、こういったことが指導監督の内容でございますけれども、検査について申し上げますと、農協法に基づきまして検査しておるわけでございますが、全共連につきましては、四十一年、四十五年、四十九年、それぞれ実施をいたしております。それから都道府県の共済連合会につきましては、五十年度に常例検査として十の連合会、それから特別検査として十五の連合会、合計二十五の連合会について実施いたしましたし、五十一年度には十八の連合会、五十二年度には二十五の連合会について実施しておるわけでございまして、大体二年に一回ぐらいの割合で都道府県段階は検査をしておるということでございます。
  105. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、大蔵省運輸省はこれまたやむを得ません。後で、いま言われましたように業務監査なり業務調査をやられた過去三年ぐらいの回数と、それからその結果、勧告などをされた場合、どういう勧告をしたのかというようなことですね、これは資料でください。  それから、農林省の方も、いろいろ調査をされたんですが、勧告その他そういうものは何にもありませんでしたですか。その点は、そこをあなたは御説明されませんでしたが。
  106. 佐々木富二

    説明員佐々木富二君) 毎回検査を行いました際には、検査指摘事項というものを通告いたしまして、それに対してさらに、検査を受けた連合会がとった措置を報告させるということをやっておるわけでございます。  ただ、共済連合会は、自賠責以外も各種の共済事業をやっておりまして、自賠責についてどういう指摘をしておるかということになりますと、私いまこの場ではちょっとわかりかねますので、いずれ別途御報告させていただきます。
  107. 安恒良一

    安恒良一君 いずれも、自賠責問題については、これまた後で資料をいただきたいと思います。  それで、最後ですか、そこで、その問題は、ある程度、性格上、保障作業に時間がかかるということは私も交通労働者としてわかるんですが、どうも本当に迅速に行われているのかどうか、大体平均的にどの程度の時間が死亡並びに事故のときにかかっているのか、そういう点についてひとつ考え方を聞かせてほしいと思います。
  108. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答えいたします。  自賠責保険金支払い事務の処理状況を五十一年度でございますが、見ますと、結論を先に申しますと、九八%以上の事案は三カ月以内に処理されております。内訳申しますと、処理件数が五十一年度で六十四万件ありましたが、そのうち一カ月以内に処理したものが五十六万三千件、比率で申しますと八八・二%になっております。それから、一カ月を越えまして二カ月以内に処理いたしましたものが五万二千件でございまして、累積でいきまして九六・三%、それから二カ月を越えまして三カ月以内に処理したものが一万五千件でございまして、これの累積で九八・六と、そういう状態になっております。  それから、ただいまのちょっと補足しますと、事務処理の期間というのは、全国にございます調査事務所が受けつけてから調査を完了するまでの日数でございます。
  109. 安恒良一

    安恒良一君 いわゆるあれですか、それは死亡も、それから事故も含めた数字ですね。
  110. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 死亡も傷害も含めたものでございます。
  111. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。  そこで、以上ずっとかなりやりとりをしたんですが、肝心の保険料の決定と算定の基礎なり、かなり保険数理のところの数字を全部後から私に持ってきてもらうと、こういうことになり、もしくはそれに基づいて次回やらなきやならないわけですが、そこで今度の引き上げについて私は思うんでありますが、いわゆる限度額の引き上げを一たとえばいまやりとりをいたしましたように、大蔵省資金運用部に現在預託をしている金額等も明らかになったわけです。  それからいま一つは、いわゆるその中で三千億なら三千億程度が、いわば会社の収支決算的な見方ですると、純益と言えるだろうということも明らかになったわけですね。ただ五十三年、四年度の将来見込みのところがどうしても数字がきょう出されなかったからわからなかったんですが、そういうもの等を含めて、私が考えるのに、今回の引き上げ金額ですが、いわゆる五十三年の七月一日で、死亡が千五百万円を二千万円にする、それからいわゆる事故ですね、傷害が百万円を百二十万円にすると、こう言われているわけです。特に、私どものところにいろいろ苦情が来ますのは、どうも傷害の百二十万円の百万円に対する金額が非常に低いと、もっと何とかならぬものだろうかと、こういうことをいろいろ国民の声として聞くわけですが、そこで私は、一つは、財政をこの際、徹底的に洗いたいと思って洗ったんですが、あなたたちの準備不足で財政論争ができなくなったわけです。こういう点について、特に百万円を百二十万円という点について、今日の事故の発生状況その他いろんなことを考えて、ちょっと低過ぎはしないかと思うんですが、そういう点について、ひとつこれから——まあこれは審議会にかけられるわけですから、その算出根拠については、きのういただきました賃金指数それから消費者物価指数等々を勘案をしてやったという説明はきのう聞きました。ところが、賃金指数一つをとりましても、五十年と五十二年の賃金指数をとっている。五十三年の四月現在——というのは、賃金というのは四月に大体上がりますからね。五十三年の四月現在の賃金指数は毎勤統計でとろうと思えばすぐこれはとれるわけですから、そういうようなものから見ると、どうも——まあ消費者物価は、これは五十三年は見込みですから、ちょっと無理だと思いますね。しかし、これは五十二年の三月まではわかるわけですから、そういうことと同時に、これもただ単に賃金指数、消費者物価指数だけで、それだけでお決めになったんじゃないと思うんですね。少なくとも、過去の事故の発生件数なり率なり、将来のそういうことも見込みながら考えられたんだろうと思いますが、どうも将来のところはあんまりわからぬということなんですから、これまたちょっと論争がしにくいんですが、そういう意味からいったら、どうも特にぼくはこの百万円という問題について衆議院でも大分問題になったようですが、こういう点について、いま少し国民のニーズに——傷害が起こるということはよくないことなんですけれども、実際今日たくさん起こっているという状況の中で、これは大蔵省というよりも運輸省になるかと思いますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっていますか、少し考え方を明らかにしてもらいたい。
  112. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 今回の限度額の引き上げ案につきましては、死亡について二千万円を考えておるわけでございますが、特に傷害について先生から御指摘があったわけでございます。傷害につきまして、私ども考え方としましては、賠償水準関係資料によりますと、傷害の百万円のカバー率が七四・四%ということでございまして、この比率から見ますと、私ども大体七〇%から八〇%というのを基本的な補償としての自賠責の限度額のめどにいたしておるわけでございます。しかしながら、賃金、物価の動向、こういうことを考えますと、やはり傷害につきましても百二十万円へ引き上げてみたい、引き上げた方がいいと、こういう考えになったわけでございまして、自賠責審議会に付議いたしまして御審議いただくと、こういう考えでございます。
  113. 安恒良一

    安恒良一君 問題は、私はカバー率を一つの参考にされることはわかるのですが、傷害の際には、やはりこの傷害の度合いによりますと、とてもこんなものではおさまらない傷害がたくさんあるわけですね。それはなるほど七割から八割はカバーできても、残りの二割の傷害が大変な問題があるわけですね。たとえば、いま植物人間と言われておりますあの半数は、大体自動車事故に基づくのですね、植物人間は。まあそういう問題がある。そうすると、あなたたちから言わせると、いや、それがためには別に任意があるんだと、きのう正直に足らぬ分は任意でと、こういった説明をした人もいます、私たち説明会に来てね。しかし私は、そういうことではやっぱりいけないんじゃないかと思うのですね。足らぬ分は任意でいいじゃないかということならば、国が強制的に、いわゆる強制加入でやる意味がなくなるわけですね。ですから、その意味から言うと、ただ単に七〇%、八〇%カバーしておけばいいということじゃない。特に傷害の場合には、いろんなやはり後遺症その他、いろいろなことが起こって、大変なやはり被害者も迷惑を受けているというのが事実ですね。一番いい例は植物人間、これはもう一生その人の、大変なこれは負担になるわけですね。本人はもうわからぬわけですから、その家族を含めて。そういうことで、やはり植物人間の約半分は交通傷害から起こっているということ等を考えますと、単純に私はここであれしょうと思いませんが、ぜひこの点については、そこらの問題を含めて、審議会の中でひとつ慎重に検討をしてもらいたい、こういうことを一つ申し上げておきます。  それから、それと同時に、やはりいま申し上げたように、一つは、一方において任意保険加入者がかなりのスピードで上がっている。一方においては自賠法保険というのがある。しかも、それがいま申し上げたように、縦割り行政で、運輸省運輸大臣の監督下にあって、保険数理についてはかなり大蔵省が実権を握り、一方、農民の問題については、農業共済の方ということで農林省が管轄をされておると、こういうわが国の実態がある。一方においては、任意の保険がかなりふえていっている。すでに加入者が強制加入者の五〇%をオーバーしていますね。こういうような中において、やはり今後の自賠のあり方という問題について、一遍再検討をすべき問題があるんじゃないだろうか。いろいろ自賠審議会の中から意見が出され、それを全体的に受けたいわゆる保険審議会等でもいろいろ議論等がされているようなことも私聞いておるんですが、こういう問題について、私は自賠責審議会等でやはり今日の現状の中から、いま申し上げた単純な限度額の引き上げだけじゃなくて、限度額の引き上げも、いま申し上げたようにカバーし切れないものについてどうするのか、特に被害者の場合、大変な被害を受けるわけですから、そういう問題を含めて、たとえば植物人間なんかの発生のときにどうするのか、こういうような問題等を含めてぜひ一遍、これは大臣に対して今度審議会の中で審議をされる際に、そういう問題についても検討してもらいたい、こういうことを私は大臣に要望しようと思ったんですが、すでに衆議院の運輸委員会に御出席でありますから、どうか局長、それらの問題を含めてひとつ大臣の方に御伝言を願いたい。あなたの答弁は結構ですから、大臣にそれは要望することですから、そういうことを含めて一遍十分御検討を審議会その他でお願いをしておきたい、こう思います。  若干時間が余りましたが、これは数字その他が出ておりませんので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  114. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 質問をさしていただきます。  実は、昭和三十年代の後半から四十年代の前半に交通戦争というのが盛んに言われておりましたが、最近下火になってまいりました。これは、われわれも交通事故になれてきたというような、そういうある意味では悪い面もあるかもしれませんけれども、現に今次国会に御報告なさっております資料を見ますと、昭和四十五年をピークに交通事故は言われるように順調な減少傾向をたどっております。このことは、これはもう明らかでありますが、四十五年、基本法の制定に始まり、四十六年から第一次交通安全基本計画の策定実施等、これは官民挙げて異常な努力をされてまいりました成果だと私は意義づけております。そういう間、特に民間におきましては交通安全対策協議会——安協、さらには官においては総理府交通安全対策室を初め、関係各省庁のこれは御努力でありまして心から敬意を表します。けれども、現実には、やはり五十二年度の死者は八千九百人余り、半減をしたといえどもとにかく九千人近い数、同時にかつては百万ございました負傷者がまだ五十九万人余り、これは現実にあるわけであります。ですから、言われなくなりましたけれども交通戦争という冷厳な実態はこれは消しようもない。私どもかつての旧陸軍の軍人でございましたので、つい戦争となりますと、これはどうも歩兵一個師団ぐらいに匹敵するものでありますから大変なこれは大戦争だと思います。しかも、特に注目すべき点は、第二次基本計画の期間に入ってこの減少傾向が鈍化の傾向を示しておる。これは特に注目をしなければならないと思いますし、特に国会に報告されました「事故現況」にも、「このことを直視し」——特に私は「直視」というふうに書いてあるのに注目いたしますが、「直視し効果的な安全対策を一層推進し、減少傾向を定着させる努力を続ける」と決意を示されております。全く同感でございますし、一層の推進を強く期待をいたしておるところでございます。  そこで、この報告書の中にもございます。「交通安全施策の現況」に、人と車、車と車が調和をして快適な交通環境を実現することが最も必要であると、こう終局的な目標といいましょうか、これうたってございます。私は、この快適な交通環境を阻害をしており、ひいては交通事故の誘因となるその最たるものに乗り合い自動車停留所があると、かねて来、実は思っております。特に乗り合い自動車というようなことは、これは道交法に書いてございますから、私もこういう大変なつかしい言葉を使わしていただきますが、いまでは余り使っていない——余りというよりもほとんど使っておらない言葉でありますが、これにも問題があるように思うんですが、特に私は、停留所が片道一車線のバス路線、それから片道二車線のバス路線にいたしましても、国道、地方道を問わずこれは大変な交通渋滞を来しておる。結果的には、これは私はあえて言いますけれども、公共的な善意——悪意ではありません、善意で進行妨害を来しておる。ですから、私は結論を先に申し上げますが、この停留所の施設、俗には切り込みなんて言葉がある、これはもう放置ができない。どうしても快適な安全施策の交通環境というものをつくり上げていくためには、いま最も必要なものはこの停留所の建設を急ぐことである。これは車線をふやすよりもよっぽど安易な工事でございます。ですから、それは結論を申し上げて、そういう結論を持っていろいろ道交法を読みますと大変幾つかの疑問がございます。したがって、この疑問につきまして——疑問かありますから、私は矛盾を感じておるわけであります。率直にひとつまず道交法からお答えをちょうだいいたしたいと考えます。  道交法には——これはもう初歩的なことでありまして恐縮でありますけれども、駐車と停車を明確に区分をされております。まあ駐車は比較的強く、停車は比較的緩やかな規制になっております。そこで、乗り合い自動車の停留所における車の停止は、これはどうも私の見る限りにおいては、施設のあるところでもないところでも停車に位置づけられておると思いますが、それで間違いございませんか。これ一点。  それから、停留所の施設のないところ、またあるところ、いわゆる停留所と名づけておるからには、それ両方あると思うんですけれども、特に施設のない停留所は具体的にどのようなスペース、どのような場所をこの停留所は指しておりますか。これが二点。  それから、建設省おいてでございますか。——建設省は第七次道路整備五カ年計画までずっと長年やってまいりましたが、この予算の項目の中にバス停車帯の設置ということがございます。どうも私も不勉強でよくわからないんですけれども、この停車帯という、設置するからにはこれは構造物——とのようなものを停車帯と具体的に指しておられますか。言いかえれば、どのようなものを建設をされようといたしておるわけでございますか。  まず、この三点をあわせてお伺いいたします。
  115. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 法解釈の問題、法律上の取り決めの問題についてお答えをいたしたいと思いますが、バスが停留所におきまして乗客の乗り降りのために停止し、かつ運転者が当該バスから離れていない場合には道路交通法上、お説のとおり、停止に当たることにされております。ただ、法の四十四条というのがございますが、バスがその属する運行系統に係る停留所におきまして乗客の乗り降りのため停車をするとき、運行時間を調整するため駐車するとき、これは駐停車禁止の規制から除外をされておりますので、いわゆる駐停車禁止の違反にはならないような一応仕組みになっておりますが、これはそういう道路が非常に多いものですから、それにどうしても着目した規定を書かざるを得なかったという実態からくるものであると思います。  それから、この停留所の、何といいますか、スペースでございますが、これは使われるバスの大きさその他によっても違いますけれども、大体われわれがバス停として考えておりますのは、よく都市等ではバスの前後に車両の進入禁止の斜線を入れておりますが、あの部分を含めまして、やはり当該車の全体の大きさとその周辺のその部分が大体バス停の範囲であるというふうに考えております。
  116. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お答えいたします。  バス停車帯と簡単に言っておるわけでございますが、実は道路の構造を決めますものに道路構造令という政令がございます。これの三十二条には、実は「乗合自動車停車所」という規定があるわけでございますが、非常に言いにくいものでございますから、通称バス停車帯というふうに簡単に呼んでいるわけでございます。一般に車道の一部分を構成するわけでございまして、バス停車の際後続の交通を円滑に通行させると。あわせて交通の安全の確保に資するという意味で切り込みましたもの、これをバス停車帯と言っております。通常、バスの長さを勘案いたしまして、大体十五メーターぐらいの、何といいますか、長さをとりまして、それに前後のすりつけを設けるというのが普通でございます。
  117. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 大変皮肉なような言い方を申し上げて恐縮でございますが、これは実はバス停ほしいからそういうことあえて言うわけです。  いまのお答えを伺いましても、どうも不明確——たとえば乗降客か乗降しているときには停車といい、時間待ちをしているときの四十四条では駐車と言うと。どうもこれは不明確に思えてなりません。ですから、これは総合いたしますと、乗り合い自動車の停車は停留所という表示の場所に、大変不明確なスペースに——大体とかと言っておられましたから。スペースに大変不明確な時間で、しかも連続をしてこれは停車をしていく、そういう公共的な宿命を乗り合い自動車は持っております。ですから、いま言われましたように、四十四条の駐車、それから乗降客あったときには停車という一どうもこのハスの特に一番最悪の事態を招きますから、片道一車線の場合を例にとりますけれども、この停車をしておるときに、現実には、いわゆる法に言うこれは安全のために絶対に必要な進行妨害、さらにははみ出し通行、同時にまた進路変更をも余儀なくされるということ、こういう状態を継続的に強要をこれがいたしておる。  そこで、私はあえて法律をどうのこうの言う意味ではありませんけれども、停車という意義づけは、どうも乗り合いバスに関する限りは、そういう法で言う規定、意義づけからはみ出しているんんゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。何かうまいことはないかと、駐車と停車の間に何かないかといま私も考えたんですが、幸い停留所というのがある。停留なんという言葉はとまりとどまる、きわめてうまい言葉ではないかというような実は感じまでそういう点の矛盾から出てくるわけであります。けれども、こんなしちめんどうくさいことを言うよりも、これは、先ほど言いました、建設省の言うようなバスの停車帯が建設されれば、そんなことは一掃されるわけです。どうもバス停留所における、これは施設があるとかないとかにかかわらず、バスの停車時間、いわゆる停留所における停留は大変交通環境をいま阻害をいたしております。これは悪意ではない、公共の善意によって阻害をしておる。で、いま御質問申し上げたこともこれは施設ができれば全く一掃をされる疑問点であり、やっぱり法的にも問題がある疑問点だと、こういうふうに思うわけです。  実は第二に、これは道交法上追い越しができるということがこれは原則である。ですから、特定の場所には禁止をされている。そこで、これはケース・バイ・ケースというようなことになるのかもしれませんけれども、停留所の前後においてただいまのようなはみ出し運行、進路変更ないしは追い越し、こういうものは原則として禁止をする方針でございますか。また野放し——野放しと言っちゃちょっと語弊があるからいけないと思いますが、これの基本的な方針をお聞かせいただきたいと思います。
  118. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 基本的には、はみ出し禁止とか、追い禁というのは当該部分ではやってはならないということになっておりますが、そういうバスその他がありまして、どうしても前に回って行かざるを得ないというのはそれは解除をするというのが一般的な考え方であります。ただ、バスの場合に非常に大事なことは、これは道路が整備されれば当然そういうことはなくなるのでございますが、乗客が乗り降りをいたしますと、バスの前を通って向こうに渡る乗容というのは必ずあります。それを予想しなきゃなりませんので、これの追い越し、はみ禁についてはかなりの注意が必要であるということは言えると思いますが、バスがおった場合には原則的に追い禁とかはみ禁になってもやむを得ないという指導にいたしております。
  119. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 私も、お答えのように実は考えて、大変これも疑問があるところである。禁止をいたしたいけれども、なかなかそうもいかぬ。はみ出してもこれはやむを得ぬ。大変やむを得ない場合になると思います。そうなりますと、ますます片道二車線の場合においては通行区分の進路変更を余儀なくされる。さらには一車線の場合には、もっと渋滞、進行妨害、はみ出し通行というようなのが出てまいります。しかも、一車線の場合に対向車があるということになりますと、これはお答えにもございましたように、乗降容も大変な神経を使う。それからドライバーも非常な神経を使う。そうなりますと、ここにも、やっぱり施設ができますと、こんな心配も、法的な矛盾解釈も一掃をされてくる、この点が私は停留所のほしい第二の理由でございます。  次に、これは運輸省、大変お忙しいところでおいでをいただいておりますが、停留所の位置、いわゆる停留所の場所の認可等につきまして三差路ないしは交差点等の前後は、これは原則として許可をしない、停留所をつくらないということでございましょうか。やっぱり申請があれば許可をいたしますか、その点いかがでございましょうか。
  120. 梶原清

    政府委員(梶原清君) 乗り合いバスの停留所の新設、位置の変更につきましては、道路運送法上、陸運局長が認可をするという取り扱いをいたしておるわけでございます。この認可に当たりまして、警察署、道路管理者の意見を聞かしていただいて、一つには乗客の利便、もう一つは自動車、歩行者の交通の安全、それから交通の円滑の確保という見地から十分慎重に審査をいたしまして処理をいたしておるところでございます。  この交差点付近等におきますバス停留所の新設につきましては必ずしも統一的な基準はないわけでございまして、その地域ごとに適切な判断をいたしておるというのが通常でございます。一般的には、交差点とか横断道路の付近におきましては、これらを渡った地点におきまして停留所を設けられておるという事例が多いように見受けられるわけでございます。
  121. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 最近、この交差点ないしは三差路なんというところは、これは交通の中心ですから、乗降客にとってはその辺で乗らしてもらうことが最も便利なんですね。便利なんです。けれども、いまお答えのように、現地の警察とか安協とか等と協議をして、意見を聞いて大変バス停の許可には神経を使っておられるようには私も見受けております。けれども、一方においては、そういう需要、要請があるわけであります。現に地方都市、これはもう北、南を問わず、たとえばそういうんで昔は便利がよかったわけです、交差点とかは。その交差点の前後、それから三差路の前とかいうものを、これは間々見受けますし、バスがとまっておって大変後ろのものがずっと並んでおる、重要な場所で重要な渋滞を来しておるという事例がこれはたくさんございます。恐らく、これは昔のままで、いわゆる陸運局あたりでアフターケアが行われていないのではないか。そうすると、恐らくこれはもう一回洗ってみてほしいというような希望を持つわけでありますけれども、それにいたしましても、ここでもひとつバス停車帯がきちっと施設ができれば、これはどこにあろうとも問題が実はないわけでありまして、これが私がどうしても停留所が欲しい第三の理由でございます。  もう一つ、これもまたちょっとひねくれたような質問で大変これも恐縮でありますけれども、道路占用の問題でありますが、これは不法占用物件の排除というような条項もございますから、当然これは工事関係者とか工事関係の物件とか、さらには電信電話等のものだろうと思いますけれども、どうも乗り合い自動車の停車といい、駐車といい、特に施設のない路側帯とか、ないしは片道車線のぎりぎりの停留所において、しかもこれが継続的に行われるということになると、乗り合い自動車も道交法に言われておる占用の部類に入るのではないか。少なくとも民法上の占有には、これはどうも該当するのではないか。だから悪いという意味じゃありません。この点の御見解をひとつお聞かせをいただきたいと思うわけでございます。バス停留所における停車、これはどうも占用になるのではないか、こう思うんですが、いかがでございますか。
  122. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 交通局長からもお答えがあるかもしれませんが、道路法のたてまえで申しますと、バスそのものが停車する、あるいは客待ちで若干長い時間とまるということもあるかもしれませんが、これは占用ということでは考えておりません。道路の一般使用でございます。バスに関して申し上げますならば、たとえばバスのお客さんのために小屋をつくるとか、こういうもの、それを道路敷の中につくるというような場合はこれは道路の占用になろうかと思いますが、バスそのものの停車は一般使用というふうに考えております。
  123. 杉原正

    政府委員(杉原正君) いま建設省の方からもお話がありましたが、バスがそこに停車をするとか時間待ちで駐車をするという形態、これはそれに比較的似たケースとしまして私どもの方で考えられますのは、たとえば屋台など押し車で営業するのがありますが、これは屋台を出すのは道路使用の許可の対象にしております。非常にそれに概念的に、あるいは形態的に近いものとしてお考えになっておるのかなあという感じもいたしますが、ただ、こういういわゆる運行の用に供される車両が道路を利用する形態というのは駐停車という概念でやはり考えていくべきものではないか。長時間駐車等にいたしましても、やはり一つの駐車という概念で考えるものですから、やはり道路使用の形態ということではちょっと考えにくいんではなかろうかというふうに思います。
  124. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 実は、私は端的に言いますけれども、そういう概念を警察庁はつくっちゃったんですよ。つくっちゃったんです。だから明らかにこれは民法上の占有であり、明確に言うならば、これも占用というふうに言うべきものであるというふうに私は比較的断定的に一けれども法律はこうできていますからね、道交法が。その限りにおいてはそういう法律の概念をつくっている。これはちょっと別な角度からでもいろいろ検討をされてみる性格のものではないかというふうに私は思います。このようにいろいろ検討を始めますと、これだって、もうバスの停留所があればこんなむだな論議はしなくても済んでしまうわけで、以上いろいろ類例的に私は疑問点、矛盾的を挙げて、バス停留所を意欲的、計画的にやることが、これはもう快適な交通環境をつくる私は最大の要件ではないかと思います。そこで建設省にお伺いをいたしたいわけでありますが、いま第八次道路整備五カ年計画に入ろうとしておりますけれども、このバス停留所はどのくらい建設をされて過去においてございますでしょうか。できれば一車線、二車線別に分けまして、一国道、地方道分けて実は設置率等も知りたいわけでありますけれども資料ございましたらばお教えをいただきたいと思います。
  125. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) バスの停留所のまず総数につきましては、実は詳細な統計が、申しわけございませんがありませんが、全体で大体二十数万というオーダーぐらいしか現在把握できていないんでございますが、従来交通安全事業とか一般の道路事業でこのバス停車帯をつくってまいったわけでございますが、五十二年三月末現在で、片側を一カ所と考えまして、つまり両側にありました場合は二カ所と考えるわけでございますが、約一万三千四百カ所、正確に申し上げますと一万三千三百三十八という数字が一応出ております。こういったいわゆる切り込みましたバス停車帯をつくっておるわけでございます。ただ、その全体の二十数万に全部が全部こういう切り込みをつくる必要は恐らくないであろう。つまり、かなり込んだ道でバスがとまることによりまして後ろの交通を阻害する、あるいはそこからしたがって飛び出すというようなことで交通安全を阻害するというようなことでございますから、まず込んだ道からつくっていくべきではないかと思うわけでございますが、そういう意味で、交通量がその道路の持っております適正な容量を超えておるようなところでバス停があるとか、これを勘定いたしてみますと約六万一千カ所ぐらいになるわけでございます。したがいまして、いまただいま一万三千四百ほどと申し上げましたので、大ざっぱな整備率といいますと二一、二%ぐらい、こういうような感じになろうかと思います。
  126. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 二十万、六万、一万三千というような数字が出てまいりましたけれども、やはりこれは一遍にはできませんから、緩急いろいろの要素を十分やはり調査をされて、計画的にこれをやりませんと、またどうも私の見るところ聞くところでは、警察庁も大変受動的であって、積極的に停留所を計画的に各県に指導もしながらやっているという状態ではないように実は思うんです。これはむだなようですけれども、何点あの矛盾点を挙げてこれ話をしてまいりました点は、やはり積極的にひとつ取り組んでほしいという強い期待を持っておるからでございます。  そこで私は、委員長にひとつお願いをお取り上げいただきたいと思うんですが、建設省の特に国道、地方道、一車線、二車線のバスの停留所の数、それから現に建設をしている個所、いわゆる設置比率を実は知りたいわけであります。そのことがやはり私どもが主張しております停留所の建設にこれは大きく前進をするというふうに思いますので、私の質問の内容が是と委員長御判断ならば、委員長の方から調査資料の要求をひとつお取り上げを願って決めていただきたいと、こう思うわけです。
  127. 小野明

    委員長小野明君) ただいま降矢委員から御要求のございました資料につきましては、建設省において提出をするように委員長からも要請をいたしておきます。
  128. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お話のように、早速調査をいたしたいと存じますが、ただこれは道路管理者がいろいろ多岐にわたっておるわけでございます。国道は半分ぐらい建設大臣が直接管理しておりますが、あとは県、それから市町村道になりますと各市町村長が管理なされておると、こういうことでございますので、若干時間をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  129. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 どうも委員長ありがとうございました。これはなかなかやっかいなことのようでございますから、これは委員長からでも言いつけていただきませんと、われわれ陣笠ではどうもなかなかいかんともいたしませんので……ありがとうございました。これはぜひひとつお願いをいたしたいというふうに思います。  対策室長はおいででございますか。——これは実は総理府庁官にお願いをしようと思ったところが、きのう参りまして、どうも長官、与党の降矢敬雄の長官の出席要求もないというようなことで、私も遠慮をいたしまして、それじゃ室長でよろしいといたしたわけでありますが、いま申し上げましたように、どうも対策室が少し消極的ではないかという感じもいたします。これは大建設省あり、大運輸省あり、しかも警察庁ありで、三つの大きなものを対策室長が大変調整をしたりすること、どうもうっかり足を踏み込みますと権限を阻害したりなんていうようなことが出てきたりして、さらには沖繩の大問題を表でしておったり一けれども、やはり大変ではありましょうけれども、対策費が出て大変な効果も上げておりますし、各省庁ばらばらなんていうことでは絶対に交通安全対策はできません。そういう意味では、総務長官を先頭に、やっぱり対策室長がきちっと各関係省庁の調整、ときには強要もしてやっていきませんと、これは当初申し上げましたように、この鈍化傾向さえも、私は減少している傾向を定着させるということになかなかまいりません。そういう意味では、いま申し上げました四つばかりの事由を、これは言わなくても明確にわかることでありますが、どうかひとつ運輸省、建設省、警察庁等の意向を十分まとめながら、全国の特に急なところからバス停留所——建設省では停車帯と言い、道交法ではこれは古いそのままなんですね、乗り合い自動車停留所と言い、そういう無神経な状態では、やはり私は快適な交通環境は生まれないと思います。ですから、どうか私は強く室長を通じて総理府長官にこれは期待をし、要望をいたしておきますが、建設省から出していただきます資料等を中心に、全国の至るところのすみずみまでなるべく早く、比較的早く停留所が完備ができますように、これは今日の交通安全対策のもう最大の私は事前防止の策ではないかと考えますので、十分調整対策の責任を負ってひとつ努力をいたしてほしいと思いますし、長官にも十分伝えてほしいと思います。室長の決意をお伺いをして私の質問を終わります。
  130. 三島孟

    政府委員(三島孟君) ただいま御指摘の点に  つきましては、早速総務長官にも御報告申し上げたいと存ずる次第でございますが、このバスの停車帯の問題につきましては、それぞれ関係省庁、関係機関で御努力されておるところでございますけれども、なお、その一層の推進を図るために、総理府といたしましても、さらに連絡を密にしてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  131. 降矢敬雄

    ○降矢敬雄君 ありがとうございました。
  132. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私は新国際空港の成田の問題につきまして二、三お伺いしたいと思うのでございますが、御案内のとおり、成田空港も開港いたしましてから予想されたほどのアクシデントといいましょうか、事故もなくて今日まで至ったことは私自身安堵しておるわけで、同慶の至りだと思っておりますが、しかし余り予想しなかったことが起きているのじゃないかと思っています。その問題について触れてみたいと思うのでございます。  それは言うまでもなくいわゆる騒音の問題でございます。やっと開港にこぎつけました成田空港ですけれども、ひどい航空機騒音、これが一番大きな現実の問題になっているのじゃないかと思います。地元の成田市が先月の末から行いました独自の測定の結果、四千メートル滑走路の北三・三キロメーターの地点で百三ホン、それから騒音対象区域外でも九十八ホン、それからその他に九十ホン以上の数値が出たところが十一地点もあるという側定結果となっておりまするが、当局としては今回の成田の測定数値に対してはどのように受けとめておられますか、お伺いしたいと思います。
  133. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 騒音につきまして成田市の調査の結果を聞いておりますし、公団独自といたしましても、二十六日から一週間各地点において騒音測定をやったわけでございます。いま御指摘の空港に非常に接近した場所で百数ホンということは、公団の測定値でも百三ホンとか百四ホンは測定いたしております。したがいまして、いわゆる従来三種地域と考えておりましたところは、やはり当初からここでは百数ホンの音が出るということはあらかじめ予測しておったわけでございまして、今回の公団の測定値におきましては大体その予測値の範囲内でございます。ごく一部には予測してない、予測値よりも幾らか大きな音が出たわけでございますが、大体告示のときに予測いたしました数値と大きな違いはないと、かように存じております。  なお、公団の測定値並びに成田市、芝山町でもそれぞれ測定いたしておりますので、このデータを全部集めましてさらに精査をいたしたい、かように考えております。
  134. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この予測された測定数値と余り変わっておらないというようなお考えのようですけれども、今回のこの成田市の測定値と、それから開港前にテストフライトの測定値と比べますと、ほとんどの地点で十ホン前後、数値が高くなっております。さらにまた、本来はこの航空機のノイズが届かないはずの地域にまでも騒音が及んでいるという結果が出ておるわけでございますけれども、このテストフライトの測定が十分でなかったのではないかと思われますけれども、いま角坂理事のおっしゃった余り変わっておらないというのは、昨年の開港前のテストフライトというのは余り参考になさらないということでございますか、ちょっとその辺をお伺いします。
  135. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 御指摘のように、昨年の八月並びに十二月にテスト飛行をやりまして、そのときに実測いたしましたホンと今度の実際飛んでからのホンとは大きなもので十ホン違っていることはうちの測定でもそのとおり出ておるわけでございます。これは当時地元にも御説明いたしましたように、あの当時は成田空港にまだ燃料を給油する施設がございませんので、どうしてもその試験飛行をする場合に最大着陸重量と申しますか、ある程度余り燃料をいっぱい積んでない飛行機でテストいたしませんと、これは飛行機の性能上、まあ率直にわかりやすく言いますと、足が折れるような重量では着陸できませんので、一つの例を挙げますと、一番音のやかましいDC8では当時は約九十何トンの重量でしか離発着できませんでしたけれども、DC8が油をいっぱい積みまして、貨物並びにお客をいっぱい積みましてしかもニューヨークとかモスコーへ直行いたしますと大体百六十トンぐらいの重量になるわけでございます。したがいまして、滑走距郷も長くなりますし、離陸する場合の上昇角度も小さくなるということで、同じ地点におきます騒音が約十ホン違っていることもこれは率直にそのとおりでございます。したがいまして、騒音テストの数字とそれから今度やりました数字はそういう長距離機の重たい飛行機では違っております。ただ、ソウル行きとか、あるいは台北行き等の、いわゆる中近距離の飛行機の場合には、騒音テスト時の測定と今度の実際の飛行機の測定と違ってはおりませんということを申し上げておきたいと存じます。
  136. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、昨年行ったテスト飛行ですか、の場合に出た数値というものはこれは本当のテストであって、実際にはもっとホンが上がるぞということは、成田の市民等々には余り徹底してやられなかったわけですね。ですから、急に驚いたような、テスト飛行と余りにも違うような感じを抱かせたのではないかと思うんですが、その辺そうじゃないでしょうか。
  137. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 騒音テストの当時から実際に近いテストをやられるということで強い要望がございましたが、先ほど申しましたような重量の関係並びにあの当時は夜間飛行がどうしてもできなかったわけでございます。したがいまして、市町村を通じまして、実際開港になりますと、遠距離の飛行機、重い飛行機はこれよりも大きな音が出ますですよと、今度の音はそういう中近距離の飛行機で、大体こういうホンの音はこれだけの感じでございますよということを体験するためにやったわけでございまして、あるいは夜間の静かなときに急に大きな音がしたということで、騒音テストと大きく違うんだという地元の苦情もよくわかるわけでございますが、率直にもう少し住民の個々の人にPRしておけばよかったというような感じがするわけでございますが、当時は市町村を通じてできるだけやったつもりではございますが、結果的にはそういうふうにお感じになっておることも事実でございます。その点は率直にPRの不十分のことは、私といたしましても認めざるを得ないところでございます。
  138. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今度国会におきまして特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法が制定されたわけでございますが、成田の騒音対策にこの法律が直接取り組むことになったわけですが、せっかく法律をつくっても、いまの成田の市民の声、またマスコミ等の報ずるいわゆる成田の騒音についての問題などを見ますると、いま成田住民にとって一番大きな問題は騒音の問題じゃないかと思うんでございます。  そこで、いまおっしゃるように大いにPRすることも必要でありまするが、やはり実際に近いテストといいましょうか、テストフライト、これを行って、しかもこれはどういうふうにしたらば軽減されるかとかというような、いわゆる納得のいくようなPRというよりも、むしろ説明を市民にすべきだと思うんでございますが、その意味でもって、もう一度現実に近い測定をなさるというような御予定はないでしょうか。
  139. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) コンターと申しますか、告示をいたします場合は、相当私どもはその精度には自信を持っておりますけれども、あくまでも予測のコンターでございますし、それからテスト飛行は先ほど申しましたように必ずしも一〇〇%実情に合ったテスト飛行でもございません。したがいまして、今度開港しているわけでございますから、現実の音を測定するわけでございます。そういうわけで一週間やってみたわけでございます。その結果、いろいろ現在作業を進めておりますが、まだノースウエストがストライキ中でございまして、ノースウエストが全部離着陸しますと約二十便ふえるわけでございます。そういうふうなことで、現在国際線で百四十七便あるいは百五十便と言われておりますが、現実では百三十数便しか飛んでおりませんので、ノースウエストが全部離着陸するときには、それを含めてもう一度そういう意味の、今までやった調査はもちろんでございますが、それを補足する意味で、さらに実際の測定をやりたいと、かように思っております。
  140. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それは非常に結構なことで、ぜひ、ノースウエストが来るようになってから、いわゆるテストのし直しと申しましょうか、現実に近いデータというものをとっていただきたいと思います。いずれにしろ、何といいましょうか、いま公団で考えていられるような、ということは、言い直ししますると、余りテストのときと変わっておらぬじゃないかというようなお考え方をまだまだ一般の住民などに徹底しておりませんので、そこいらを納得させる意味におきましても、しっかりしたテストをもう一度やって、それで住民の納得を得るような努力をしていただきたいと、こう思うわけでございます。  運輸省の方から——いま公団からもお話がありましたが、現実にいまの御説明と、それからまた一般の住民の受け取り方、騒音に対する、何といいましょうか、非常な不安が起きるというものとはぴったりと合ってないような感じがいたしますが、この点は私ども今後の問題として非常に心配しておるわけでございますけれども、これは当局におかれましても、騒音問題というものは公団だけの問題でなくて、ぜひひとつ運輸省と公団とよく歩調をそろえて、そして騒音対策に取り組んでいただきたい、こう思うんでございますけれども、いまのような公団の行き方に対して運輸省の方で別にお考えございませんですか。
  141. 上田浩

    説明員(上田浩君) 騒音テストにつきましては、ただいま空港公団の角坂理事から詳細御説明したとおりでございます。  航空局におきましても、成田開港後の騒音問題と申しますのは、これは非常に重要な政策対象であると考えております。したがいまして、五月の二十六日から六月一日まで連続七日間にわたりまして公団が実施いたしました測定結果はただいま御報告したとおりでございますが、これにつきましてもノースウエストがただいまスト中であると、そういうこと等もございますし、さらに地元の成田市それから芝山町も独自の測定を行っております。それから、この十日から県においても測定を実施するということも、われわれはあわせて聞いておりますので、さらに正確な実態を把握するために騒音テストというものは引き続いて公団において実施さしていきたいと、このように考えております。
  142. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのこの騒音に関連しまして、空港内に無線標識が二百五十メートル西に偏って設置されている。そのためにこの飛行コースが西にずれています。その関係から騒音区域というものが予定されたものと現実には少し違ってきているんだと、そういうことを言われますけれども、これは実際の問題としてそのとおりでございましようか。
  143. 上田浩

    説明員(上田浩君) お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、航行援助施設、正確にはVOR/DMEと言っておりますが、これが空港内の西側に滑走路の中心線から二百五十メートル離れたところに設置されておることは事実でございます。したがいまして、成田空港を離陸いたしました飛行機が実際に北側あるいは南側に向かって飛び立つわけでございますが、これがどのような形で離陸しているかということにつきましては、実はIFRルームにございますレーダーを実際に連続写真で撮りまして、これの航跡を現在解明しているわけでございます。したがいまして、どの会社がどのような飛び方をしているかということにつきましては、この航跡図を解明した結果出てくるわけでございますが、われわれラフに報告受けたところによりますと、日本航空等につきましては、久住あるいは横芝に設置されておりますNDB——これは無指向性の航行援助施設でございますが、これを目指して真っすぐに飛んで直進上昇しているというようにわれわれは報告受けております。その他の会社によっては飛び方が多少違うわけでございますが、いずれにいたしましても、ただいま御説明いたしましたように、このレーダーの連続写真によります航跡図を実際にチェックいたしまして実態を把握いたしたいと思っております。  それで、もし二百五十メートル離れたこのVOR/DMEから発射されております電波に乗って北側あるいは南側に直進していった場合は、実際の騒音がどのような影響を及ぼすかということでございますが、実はこれは先ほど角坂理事が御説明いたしましたのとも関連いたすわけでございますが、実は成田空港周辺におきます航空機騒音対策の実施範囲と申しますのは、これは専門的な御説明になって恐縮でございますが、実は昭和五十一年一月八日に運輸大臣告示で区域指定いたしております。このときにどういう形でこの区域指定をしたかということでございますが、これは一応推計値をもとにいたしまして、予測騒音コンターというものをはじいているわけでございます。その予測騒音コンターというのはどういうような形ではじいていたかと申しますと、将来成田空港におけるどういう機材が使用されるかと、それからどういう方向に飛行機か飛び立つかと——まあ方向、行き先でございます。まあサンフランシスコとかアンカレジとか香港とかございますが、行き先別にどういう機材が使用されるか、それから現実に便数はどうであるかということを前提にいたしましてはじいているわけでございます。この騒音予測コンターというものをもとに区域指定したわけでございます。したがいまして、現在の、五月二十六日から六月一日まで連続七日間にわたりまして公団が実施いたしました騒音テストでございますが、これは開港後の実態というものを正確に把握して、その実態をこの騒音区域というものに反映さしていきたいという目的からやったわけでございますが、現在までのところ、先ほど角坂理事が御報告いたしましたような形で、大体、この昭和五十一年一月の騒音区域の指定の前提になりました数値と大して違いはないというようにわれわれは報告を受けておる現状でございます。  それから、現在の実態というものを御説明申し上げますと、五十一年の予測コンターを引きましたときには、実はこの使用機材の比率と申しますのは、いわゆるボーイング747あるいはDC10、これを低騒音機とわれわれは称しているわけでございますが、これの使用比率を三五%と踏んで、残りの六五%はいわゆる高騒音と申しますか、在来機型の騒音が高いと言われておりますDC8というように予測値を算定する一つの根拠にしておったわけでございますが、現在のこの実際の機材の比率というものを御説明申し上げますと、DC10あるいはボーイング747に代表されます低騒音機が実際は六〇%を占めておるというようなことでございますので、こういう実態等を加味いたしますと、実際の騒音値と申しますのは一昨年のいわゆる予測コンターを引いたときの予測値よりは低く出るというファクターも考えられるわけでございます。したがいまして、こういうもの等を勘案いたしますと、実際の騒音値と申しますのは、いま御説明いたしました軽減されるファクター等もございますので、そういう面から考えますと、必ずしも先生が先ほど御指摘になりました新野毛平あるいは三里塚等においては、おととしの予測コンターから大きく外れるというようなことは考えられないとわれわれはいまのところ考えているわけでございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、この騒音区域と申しますのは正確な実態をやはり反映さすべきであるというように考えておりますので、引き続き県等も騒音テストをやるということを考えておりますので、公団におきましても引き続きこの騒音テストをやりまして、その結果を踏まえましてこの騒音区域、さらには先ほど申し上げましたようなレーダーの航跡図等も精査いたしまして、もし飛行コース等を修正する必要があるといたしますと、その時点においては積極的に考えていきたいと、このように存ずる次第でございます。
  144. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それですと、あれですか、調査、結果として現在の騒音区域を設定されておる。今後それを改めようとか何とかというようなお考えはいまのところないわけですか。
  145. 上田浩

    説明員(上田浩君) 現在のところは最大数値、それから最低数値等も予測値の大体の範囲内におさまっているというように考えているわけでございますが、さらにこれは現在公団におきまして結果については精査中でございますので、いまの段階においては何とも申し上げるわけにはまいらない次第でございますけれども、しかし結果によりまして、もし騒音区域等の修正あるいは飛行コース等の修正ということが必要ということになりますれば、考えていきたいと、このようにいまのところ考えておる次第でございます。
  146. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのことに関連しまして、例の飛行機は直進上昇ですね。あれを何といいましょうか、させるというように指導はできないものですか。いまのあなたのお話では、それまでする必要はないという予測でございますけれども、西に偏っているため、アジャストするために飛行機自体を直進上昇させるというようなことの指導ということはできるわけですか。あるいは強制的にそういうふうに発進させるということは可能なんでしょうか。非常に素人考えで恐縮ですけれども、お答え願います。
  147. 上田浩

    説明員(上田浩君) 先生の御指摘の直進上昇という概念でございますが、これは実は専門的な形になって恐縮なんでございますが、実はわれわれ航空当局は、現在のところはすべての航空会社は北に向かって真っすぐ飛び立っておると、あるいは南に向かって真っすぐ、いわゆる直進上昇しているというように考えているわけでございます。先生の御指摘の直進上昇していないというのはどういう概念であるかちょっとわからないわけでございますが、恐らく、補足さしていただきますと、飛行機が飛び立ってから何らかの形でこの成田空港内に設置されておりますVOR/DMEの発射いたしております電波に乗る必要があると。したがいまして、離陸いたしましてからある地点で、このVOR/DMEの発射いたしております三百三十六度のいわゆる電波あるいは南からの場合は百五十六度になるわけですが、この電波に乗る必要があるわけでございますが、それが日本航空の場合は、先ほど御説明いたしましたように、久住のあるいは南側——横芝でございますか、横芝に設置されておりますNDBのところまで真っすぐ飛び立って、そこのところで大体三百三十六度の電波あるいは百五十六度の電波に乗るという形になっておるわけでございます。会社によりましては、その手前から北の場合は三百三十六度、南の場合は百五十六度の線に乗るわけですが、この乗り方が必ずしも一定しておりません。そういう結果から、恐らくは北に飛び立つ場合は多少左側に航路を修正するというふうな現象から、地元の人々は直進上昇をしていないというようにお考えになっているのではないかと考えるわけでございますが、実際のところは、いずれかの地点でこのVOR/DMEの電波に乗る必要がございますので、その意味におきましては、われわれとしましては直進上昇しておるというように考えておるわけでございます。非常におわかりにくかったかもわかりませんですが、いずれにいたしましても、こういう形で、どこかの地点で電波に乗らなければいかんわけでございますので、したがいまして、これは多少の飛行機の航行を修正したということで、直進上昇をしていないということには相ならないというようにわれわれは考えているわけでございます。
  148. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 下から見ているのと飛行機を運転している人の差から起きた問題だと思いますので、よく御説明わかりました。  それからもう一つ伺いたいのは、騒音の問題ですけれども、いま朝は六時からですか、六時から始めて晩十一時までと、こういうことになってますが、この夜間飛行の場合ですけれども、これを地元では九時から九時までというような要望が非常に出されておりますし、また正式にこれは当局に対する要求として持ち出されると思いまするけれども、これについてはどのようなお考えを持っておりますか。
  149. 上田浩

    説明員(上田浩君) 実は運航時間の問題でございますが、これは地元から出されましたのはいまに始まったことではございませんで、実は昨年地元の県から二十八項目、それから成田市から四十五項目、芝山町から十一項目のそれぞれの地元要望を出されております。その中にこの運航時間等の要望がございまして、成田市、芝山町からもそれぞれ晩の十時から朝の七時までの飛行禁止ということを要望されております。そのときに県あるいは地元成田市なり芝山町等にもわれわれは詳細御説明いたしたわけでございますけれど、その内容と申しますと、実は成田空港は御案内のように国際線に就航する航空機を対象にいたしております飛行場でございます。そういうふうな関係から、いわゆる乗り入れ先の国の発時間あるいは着時間というものとの相対的な関係においてこの成田空港の離発着時間というのが決まってまいるわけでございまして、したがいまして地元の要望のように、晩の十時から朝の七時までこの運航時間を制限、禁止しろということになりますと、相手国の到着時間が真夜中あるいは朝の四時、五時というようなきわめて早朝に到着するというふうな現象が起こりまして、これは旅行者にとっては非常に不便であるということ、それと同時に、相手国におきましてもやはり同じようなカーフュータイムと申しますか、運航の制限時間というものがございまして、その制限時間に引っかかってしまう。そういうような関係におきまして、やはり国際線を対象にする空港である限りにおいては、どうしてもやはり晩の二十三時までの運航というものは何としてもお認めいただけないと困るというようなことで、地元市、町にもその間の事情は詳細に御説明申し上げております。住民の方も恐らく市、町を通じましてそういう説明はされているものとわれわれは存じておりますが、しかしながら今回同じような御要望が地元から出ておりますので、やはり同じような御説明は機会を見てわれわれはいたしたいと思っております。このように、朝の六時から晩の二十三時までの運航というものはどうしてもやらざるを得ないという成田空港の性格にかんがみまして、そのかわり騒音対策等につきましては民家防音工事あるいはテレビ等の難視聴対策等についてはわれわれは誠意をもって前向きに対応していきたいというように考えておる次第でございますので、これらの騒音対策等も勘案いたしまして、何としても六時から二十三時までの運航時間というものはわれわれは地元の御理解を得たいというように考えておるわけでございます。
  150. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つ、公団にお伺いしたいんですけれども、騒音区域内の民家の全室防音化の促進についてはどういうふうになっておりますか。
  151. 角坂仁忠

    参考人角坂仁忠君) 地元から民家防音工事につきましては、やっぱり全室じゃないと非常に困るという非常に強い要望が出てまいりまして、関係方面にお願いいたしまして、実は本年度予算をいただきまして、現在六戸をいわゆるいろんな設計あるいは防音工事等、実際に研究中でございます。これは御案内のとおりでございますが、成田はもう農家でございますので、ほとんどの家が全部違うわけでございまして、一戸一戸それに合う設計あるいは施工をしなければいけませんので、さしあたり代表的なものを選んでやっておりますが、やはりそういう初めてのことでございますので、それができ上がりまして、その防音効果を検査すると申しますか、実際確認をするのはやはり八月いっぱいぐらいかかるかと思います。それができ上がりましたら、そのデータをもとにいたしまして、現在の制度あるいは予算措置等につきまして政府関係御当局によくお願いいたしまして、でき得ればそういうデータをもとに少しでも早く着手したいと考えておりますが、いつからどうするかということにつきましては、先ほど申し上げました事情によりまして関係方面の折衝が残っておりますので、公団といたしましてはできるだけ早くと考えておりますが、そういうことで、具体的な日時につきましてはここではっきり申し上げられないのは残念でございますが、そういう状況で鋭意検討中でございます。
  152. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 私どもといたしましても、ぜひ地元民を騒音から守るような努力をこの上とも一生懸命していただきたいと思います。もちろん、これは公団だけの問題じゃなくて、一々おっしゃるように政府機関とも協力してやることになりまするけれども、この対策などがおくれてしまって、ために住民運動などがまたさらに高まるというようなことは決して望ましいことじゃないと思いまするので、格別なる御努力をお願いする次第でございます。きょうは御苦労さまでございました。ありがとうございました。  話題を変えまして、暴走族のことについてちょっとお伺いしたいと思いますが、実は暴走族の問題についてはちょっと何といいましょうか、私らの感じとしては非常にある程度静かになったといいましょうか、余り問題が起こらないんじゃないかということで、安堵しておったんですが、実はこの間の三日でしたか、あの夜、急に各地で暴走族が暴れ出したというわけでもって実はびっくりしたわけでございますが、中でもこれは新聞報道ですけれども、川崎、千葉、熊谷では、取り締まりに当たった警察官やそれから機動隊員にけがを負わせるというような騒ぎにまでなってしまったんですけれども、これらの三県の状況をごく簡単に御説明願いたいと思います。
  153. 杉原正

    政府委員(杉原正君) お答えをいたします。   いずれも六月の三日の午後の十一時から四日の午前にかけての事案でございます。三県のお話がございました。埼玉一つございますが、これは「サマーフラワー」という約八十台の対象の暴走族グループでございますが、これはいま若干背後の関係を見ておりますが、かなり有名な暴力団の一家が相談役になっているグループのようでございます。この暴走族のうちの一台を、これは相手は十八歳でございますが、速度違反と信号無視の現行犯でこれを逮捕いたしたわけでございますが、この集団の五、六十人が騒ぎ出して、警察官の二名に全治十日間の打撲を与え、パトカー、交通パト一台を中破したという事案でございます。いずれも被疑者を逮捕し、継続捜査中で、背後関係もついていきたいと思っております。  それから千葉でございますが、これは「スペクター」竹岡支部というのでございます。これは一般から非常にうるさいという一一〇番の通報を受けて検問態勢に入っておりました。これを監視中、同集団の中からパトカーに向けてコーラびんを数本投げつけて、車を壊して逃走した。これを追跡して調べようとしたところ、警察官の二名に全治七日間の打撲傷を——車はもちろん壊されております。これも道交法違反と公妨違反ということで、現在捜査中であります。   それから、神奈川で二件発生をいたしております。   一つのケースは、川崎の高津区でございますが、これは「川崎連盟」というんで、対象約二百台でございますが、これは全体が道いっぱいにこう広がっております。そこでいろいろ、駐車違反になりますし、警告をしたわけでございますが、その一番先頭のグループ、先頭におりましたある程度リーダーと思われる者でございますが、これは二十一歳の運転する乗用車でありますが、これが急に発進をいたしまして、しばらく行ってUターンをしまして、これはもう非常に悪質でございまして、取り締まり中の警察官目がけて突っ込んでまいりました。この警察官はびっくり返って全治二週間の打撲傷を負うということで、これはこの場で検挙すると同時に、本人につきましては殺人未遂としていま捜査をいたしております。  それから、同じく神奈川で逗子の事案でございますが、「親衛隊」を称します平塚の暴走族、約二十台でありますが、これは集団で走って非常にうるさいという沿道から話もございました。それで検問態勢に入っておりましたが、一番その後尾の車両が数回にわたって信号無視をしてついていくということで、たまたま道路の料金所に差しかかりましたので、その車について反則キップを切ろうとして作製をしておりました。前のグループの一人がそこへ来まして、警察官に近寄って、いきなり反則キップをひったくってそこで破棄をしてしまうというふうな事案があったわけでございます。いずれも、逮捕して取り調べ中のケースでございます。
  154. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 承ると、最近の暴走族というのは、まあ以前もそうだったですけれども、特に悪質といいますか、非常に凶暴性を帯びている、そういったメンバーであり、またグループそのものもそのような風潮を持ったグループと、このようにも思われます。非常に憂慮にたえないですけれども、これについて当局ではどのような対応策といいましょうか、対策を考えておられますか、承りたいと思いますが。
  155. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 全国でこの暴走族グループというのが約三百六、七十グループあろうと思います。グループ員が大体一万八千、それからグループに入ってないので、もう毎週これをやるというのが約六千人いるようでございます。これは、ことしある程度こういう状況でいろいろやってまいりまして、一月から三月まで蝟集走行の回数と参加人員が前年に比べて減少しておりました。四月に入りましてから増加に転じまして、四月中では、前年対比約四三%増、五月の各週末集計では大体五六%の増加と、こういうことでございます。いずれもこの事案は、先般暴走族のいわゆる道交法改正に当たっていろいろ申し上げましたような暴走内容でございます。  これは、今後の対策としますと、いまどういう内容のものになっているかということでございますが、この暴走族の場合には、全国で見ますと、暴走族の中の七二・五%が少年でございます。それから特にこの都市部、たとえば警視庁と神奈川の調べによりますと、九一・五%がいわゆる少年でございます。特に高校生の増加が最近非常に目立っておるようでございまして、十七歳以下の者が全体の六四%という状況でございます。それから最近、これは燃費の問題もあると思いますが、それとまあ多少陽気もよくなりましたんでしょうが、二輪の構成比がだんだん高くなって、オートバイの方の構成比が高くなっております。それから覚せい剤等の施用がかなり目立っております。それから凶器を使用したいわゆるグループ間の対立抗争、それから先ほど申しましたように、一般人に対する傷害事案、それから警察官に対する公妨事案というのが非常に顕著になっておるわけでございます。これらにつきまして、少年がなぜこういうことに走るのかという、その根本原因、いろんなその家庭間の不和の問題、親子の断絶の問題、進学から外れたような問題、いろんな複雑な社会的な問題が介在をしておりますので、その辺の総合対策というものを一緒に進めませんと、これは次から次と免許を取る十六歳の新手が出てまいりますし、そういう地域団体、学校当局とよく連絡をとって対策を講ずる一方、これから特に、対策としまして、夏場を迎えてまいりますと、この近くですと、湘南その他海水浴場あたりになってまいりますと、かなり一般の人が遊びに行って帰りにこれに遭遇するというふうなことで、一般の群衆を巻き込んだ形になるということが警戒をされますので、これからは特にそういう一般の方とこの暴走グループの交通規制というものとをやることによって、分離をして処理をするというふうな問題、あるいは東京、ここの周辺でいいますと、だんだん傾向がドーナツ化をしておりまして、都心じゃなかなかもうできない。態勢もある程度ございますので、だんだん周りにこう移ってまいりますので、いろんなこの暴走族の事前の情報収集というふうなものが非常に大事でございますので、そういう関係府県が情報を互いに交換をし合いながら態勢を組んでいくというふうな点に、これからはかなり配意をしていかなければならないというふうに考えております。
  156. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 お話のように、暴走族に対する対応策ということは非常にむずかしいし、ことにいまおっしゃったように、都内だけじゃなくて、さらに地方へ広がっていく傾向が、ドーナツ化というんですか、憂慮にたえないわけでございますが、これについてはオートバイなんかむしろふえている傾向だということでございますけれども、これはもう少し、むしろ単なる二輪車というよりも、そういう機械化されたものに移っていくということになると、やはりこれは相当費用のかかる問題ですし、燃料も要りますが、また自動車ならなおのことですが、これはいまお話がありました親とか、あるいは仲間たちの問題なんかありますが、そうすると、それを防ぐには、やはり警察の力だけじゃうまくいかない、やはり親なり、あるいは中学、高等学校とすれば学校なんかの問題ですけれども、これらのものに対して当局では何か働きかけておられるか、それとも学校と連絡をとって暴走族の撲滅と言いましょうか、のために努力されておりますか、その辺のところはいかがでしょうか。
  157. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほどおっしゃいますように、家庭の問題あるいは特に少年でありますために、学校の問題、それからいわゆる有職少年という職業のある少年、これが非常に多くのウェートを占めております。これは雇い主との関係があるわけでございますが、いずれも本人の将来にとって不幸な結果にならないように——へたなかっこうでやりますと、これが退学などになっていったんではこれは大変なことでございますので、そういう点について細心の配慮を払っておりますが、個々の指導の問題、家庭との連携の問題等を十分考えていかなければなりませんが、基本的には、やはりおおよそ学校全体としてこれだけの人がおられるんだというふうな、そういう通知の仕方とか、いろいろあるわけでございますが、いわゆる生活指導等の学校の先生あるいは校長先生、そういう方に現場を一遍見てもらうと、一体どういうことになっておるのかというふうなことを視察をしてもらったり、あるいは個々のケースについて、なぜこういうことになったのかというふうなことの具体的なケースを一般的な形にして、ここでこういう手を加えておったらこういうことにならなかったんではなかろうかというふうな教訓事例として、学校とか家庭とか各種の団体あるいは連合会、そういうふうなところに訴えているというのが現状でございます。
  158. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つ、いまの暴走族に対する対策としまして、機械化といいましょうか、オートバイなんかを使用するようになったことに関連しまして、自動車ですけれども、これを車高を低くしたり、それから幅の広いレーシングタイヤを取りつけていると、こういうような事例が多くなったというふうに聞いておりますけれども、これはやはり車両の改造に対する取り締まりを厳重にしたらばと思いますけれども、そのような車両の改造なんかについての取り締まりの実例がありましたら、簡単にひとつ。
  159. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 先生指摘の暴走族等が車両に取りつけて使いますものに広幅タイヤ、それから小型のハンドル、それから二輪等の場合の変形ハンドル、それから突起のあるホイールキャップ、マフラーカッターといったようなものを使用する場合が多いのでございますが、こういつたものにつきましては、保安基準によりましてその取りつけを禁止しておるところでございますが、車検のとき等においてそういったものが出てまいりますれば、それはチェックできるわけでございます。しかしながら、多くの場合には、車検を受けた後にさらにそういったものを装着するといったようなケースが多いわけでございます。警察当局と密接な連絡をとりまして、街頭検査等で取り締まっていただいておるわけでございます。  また、こういったふうな違法、不正の改造をする場所が必要なわけでございまして、認証工場等がその場に使われた場合もございまして、私ども認証工場に対しましては立ち入り検査の際もしくは検査主任者の研修等を通じて厳重にそういった対策等についての警告をし、また、そういったものをやった者については厳重な処分をいたしております。したがって、認証工場については最近はほとんどその例はなくなってきておりますが、さらに認証をとってない事業者においてそういう不正改造が行われる可能性も出てまいっておりますので、整備工場等からの通報もしくは街頭検査等によってそういったものを追及するといったようなことで、そういう不正改造をする事業者の絶滅を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  160. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 当局の御努力によって、少なくとも東京都心では余り暴走族のばっこがないように見えますが、しかし一部の情報によりますと、都内の大グループ間では六月決戦とかなんとか言っているそうでございますけれども、これはやっぱりそういうことをたくらんでおる連中もいると思いまするが、先ほど来いろいろ対策を承りましたけれども、確固たる対策といいましょうか、これを絶対許さないというようなところまではいってないようなわけでございまするが、さしあたって夏にもなるとだんだん元気も出てきますので、非常に心配しておるわけですが、これらについて当面の総合対策をお伺いしたいと思います。
  161. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これはかなりの態勢でやっておるつもりでございますが、待機しているところは逃げてしまうもんですから、追っかけるようなかっこうになってなかなか大変ではございますが、ただ、これから夏場に向けて、私ども、こういうグループでございますから、いろいろ情報も事前にとれるというふうなこともございますし、それに合わして態勢をつくっていくということもございます。やはり基本的には、個々の事案を取り扱う際に、大きな集団になる前に情報的にいろんなところから集まってきて一大集団になりますので、まず事前の検問で、小グループのときに、もうそこでよく説得して帰ってもらうということがやはり一番の基本であろうと思います。  それからもう一つは、やはり関係府県相互間に事前の情報でこれにうまく対応できるような態勢を講じていくということであると思います。それから同時に、グループの率先助成者につきましては、先頭の旗振りみたいな、大きな旗を立てて走るわけですが、こういう者につきましては、免許の行政処分の上でかなり昨年から強化をいたしております。今度のこの先週やりましたものについても、かなりこれを具体的に適用して措置をするというふうなこともやっていって、それをきっかけにしてグループの解散に持っていくというぐあいに考えておるわけでございます。  同時に、先般御審議を願いました暴走族の共同危険行為の適用の問題につきましても、これからの問題でございますが、十分これの操作技術あるいはやり方、こういったものについての第一線の徹底方の詰めを、研究をこれから本格的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 欠陥車問題について三点にわたってお尋ねをいたします。  初めに、第一点は、外国における日本車のリコール問題ですが、運輸省からいただきました資料——これはアメリカだけなんですが、アメリカにおける日本車のリコールの状況を見ますと、最近一年間で、日本国内でのリコールされた車を除いた数ですが、   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕 運輸省資料によりますとトヨタ・カローラ、マークII、三菱コルトアローなど十三種、七十六万五千四百二十八台になっています。アメリカで、日本でもリコールされたものを除いていますから全体を見るともっと多い数になると容易に推察ができるわけですし、そうした資料もないわけではないと思いますが、いま日本国内でリコールしたものも含めて最近一年間で、アメリカだけでなくて、外国でリコールされた日本車の件数と対象台数が何台になるか、お示しいただきたい。
  163. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 五十二年度におけるリコールの届け出状況でございますが、これは輸出車両につきましては、アメリカその他を含めまして二百六十五万五千六百七十四台でございます。
  164. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、大体これはアメリカが多いということはあるんですけれども、大まかに言うとどの国でどのくらいでしょうか、大きいところで。
  165. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) アメリカにおきましては、全体といたしまして二百五万六千三百九十四両でございまして、その二百六十五万のうちのほとんどがアメリカでございます。その他の国別の資料はちょっとここに持っておりません。
  166. 山中郁子

    ○山中郁子君 件数はそうしますと何件になるのか。——車種になるんですかね。それとそのほかの国の資料を後ほどいただきたい。
  167. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) アメリカにおきましては、国内で実施いたしましたリコールに相当するものが七件、それからアメリカだけで実施いたしましたものが十三件、計二十件でございます。
  168. 山中郁子

    ○山中郁子君 こういうものは調査をそうやってされているわけですから、国内車との関係もいろいろあるんで、運輸省としてやはり公開をし、発表するというふうにすべきだと思いますけれども、それはしかるべき発表をされているわけですか。
  169. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 国産の自動車が各国に輸出されておるわけでございまして、リコールそのものはユーザーに対する安全対策を徹底するという観点から、国内車両については新聞発表いたしておりますが、輸出車両についてのリコール状況、これはその都度運輸省といたしましてはメーカーから報告させておりますが、これを一般に公表する、発表するということは現在ではいたしておりません。
  170. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ欠陥部品などのパーツナンバーですか、そうしたものを含めた調査結果をいまお持ちでないとすれば後ほどいただきたいと。先ほど申し上げたことも含めてよろしいでしょうか。
  171. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 別途報告させていただきます。
  172. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこのところが、いま運輸省はほかの国内の問題については発表しているけれども、外国に出したものについては発表していないというふうな姿勢自体が、私はやはり輸出したものと国内のとは違うと、こういう観点にお立ちになっていらっしゃるんだと思いますけれども、実際の話が、どこの部品がどういうふうに悪かったのかということが明らかにならなければ、違うのか同じなのかもわからないということもありますので、いま申し上げましたけれども、その点についての見解については御異存ありませんか。
  173. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 輸出車両についてリコールが行われる場合、それが国内車にどういう関係になっておるのか。その構造、装置、その他の条件が違うことによって国内車に適用しなければならないのか、しなくてもいいのかという判断は非常に専門的な何もございまして、私ども現在運輸省自体としてやっておるところでございます。したがって、そういう観点から発表いたしておりませんが、先生の御指摘もございますので、今後そういった点については十分話を検討して進めてまいりたいと思います。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 安全対策の一つの重要な基本でございますから、いまおっしゃった御答弁の内容を積極的に実現されるように取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  第二番目の問題ですが、これは具体的にトヨタの排ガス対策車の欠陥問題についてお伺いをいたしますが、昨年の十一月の十六日の衆議院の交通対策特別委員会ですが、寺前議員が指摘をしております。トヨタの排ガス対策車の欠陥問題で整備業者に広がっている話として、触媒に穴があいているのと、ダイヤフラムに亀裂が入っているものについて東京トヨペットに行くと無料で部品を取りかえてくれるとディーラーが言っているという話があるが、どうなのかということを申し上げました際に、整備部長が、「その辺につきましては十分調査をしたい」と答弁されています。調査はどのような調査をされたのか。結果がどうであったのかということもお伺いをいたしたいと思います。
  175. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 昨年十一月十六日の寺前議員の御指摘もございまして、ただいま御指摘の東京トヨペットにおいて、触媒、ダイヤフラムの無料交換の事実を調査いたしました。これは昨年の十二月の一日から二十日までの間にわたりまして三回トヨタ自工、トヨタ自販及び東京トヨペットに対して立ち入り調査をいたしました。  で、その結果わかりましたのは、この事件につきましては、保証期間の前後ということで、保証期間をやや過ぎたケースであったわけでございますけれども、無料交換をした事実がございました。  しかし、それ以外に欠陥車がらみといったようなことで無料交換という事実はございませんし、また、その実態を調査いたしましたところ、   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕 特に製造もしくは設計過程において欠陥があってリコールに該当するものとは考えられないという結論を得ております。
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま部長は、「この事件」という言い方なさったんですけれども、それが例の藤井寺の問題をおっしゃっているのですか。そうでないならば、私どもが提起をしているのは、そういう幾つもの取りかえをされていると、事実上ですね。そうしたことはもうたくさん事例があるわけですわ。そういうものは整備会社なり、何なりに行けばわかるわけなので、その辺の調査をされたかと伺っているのですが、トヨタに聞いたと、聞いたけれどもないと言っているだけだという御答弁なんでしょうか。
  177. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 直接東京トヨペットに立ち入りまして、交換実績等について調査をいたしましたわけでございます。
  178. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは全然事実と違うわけです。で、かなり多数の取りかえをされています。ですから、そこはきちんとした調査をされなければいけないし、それこそが立ち入り調査の目的だと思いますが、トヨタから報告を受けたと、東京トヨペットのどういう役職のだれから報告を受けられたのでしょうか。
  179. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ただいま私が申し上げましたのは、やや不正確でございましたので正確に申し上げますと、東京トヨペットにおける触媒マフラーの交換は、五十一年の三月から五十二年の二月十五日にかけて十件ございます。十件ありましたが、そのうち整備ミスにより溶損に至ったものが二件、これについては有料でございます。その他八件のものにつきましては、溶損が五件、異音が出るものが三件でございましたが、これは整備ミスということでなくて、クレーム期間中の交換ということで無料ということでございます。
  180. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、私は、いま東京トヨペットのどなたから報告を受けたのか。
  181. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 東京トヨペットの技術サービス部長でございます。
  182. 山中郁子

    ○山中郁子君 何とおっしゃる方です。
  183. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ちょっとお名前はただいま記憶しておりませんが、後ほど連絡さしていただきます。
  184. 山中郁子

    ○山中郁子君 十件の内訳を、恐縮ですが、もう一度おっしゃってください。
  185. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 整備ミスにより溶損に至ったものが二件、それからその他溶損が五件、異音が三件、残るこの八件については無料でありまして、整備ミスによる二件は有料でございます。
  186. 山中郁子

    ○山中郁子君 ここに私、現物を、実際に亀裂が生じているものを持ってきているんですけれどもね。これは二万キロ走行したトヨタ18RUのエンジンの調子が悪くなったということで、車から外してきたんです。そして、補助加速ポンプのダイヤフラムですけれどもね、二カ所の亀裂が生じているんです、ここに。  委員長恐縮ですが、ちょっとこれ示させていただいてよろしいですか。これ、大変小さいものですから、めがねかけないとわからないけれども。わかりにくいかもしれませんが……(実物を示す)これはぜひ大臣に見てもらおうと思ったんだけれども。ここに一つあるてしょう。——ここに一カ所あるでしょう、それからこっち。
  187. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) わかりました。
  188. 山中郁子

    ○山中郁子君 やっとわかりました。  で、いま確認をいただいたんですけれどもね、結局こういう形で亀裂が出てきて、この亀裂から生ガスが漏れるということで、触媒にいってしまって、それで高熱を発してマフラーが真っ赤になると、そういう状態が出てきて、そしてまあ発煙してくるわけですわ。で、そのまましておくと燃え出すわけですよね。で、藤井寺の問題なんかが、事故がありましたけれども、そういうことは、まさに車が燃え出すという全く危険な状況があるわけです。で、これと、それからエンジンの点火プラグもやはり同じような欠陥でもってすでに取りかえているわけです。で、これは、取りかえているものは、同じものを取りかえているんじゃないんですよ。対象部品があるわけ、対策部品が。もう一つ別なものをつくっているわけです。それを取りかえるんです。それはリコールすべきことでしょう、違うんだから、違うものをつくっているんだから、それで取りかえているんだから。これは、いま私は点火プラグは手元に持ってきておりませんけれども、このダイヤフラムはまさにそうです。これと同じものを取りかえているんじゃないんです、いかがですか。
  189. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘のとおりでございまして、このダイヤフラムの材質については改善がなされております。一番初めは、五十年の二月から五十年の十一月までの間はこれはゴムだけの材質のものでございます。で、これにつきましては、クレームの発生率が全体といたしまして〇・一七%でございました。で、これをさらに改善すべく、五十年の十一月から五十二年の二月まての間にゴム・プラス基布を——布ですね、基布を使用いたしました材質のものにかえられております。で、これはクレーム発生率が〇.〇〇九%ということで相当に低下してまいりました。しかしながら、さらにこれに対して五十二年の二月に改善を行っておりまして、ゴム・プラス基布プラス・ガスケットということにいたしまして、これになりますと発生率がきわめて少なくなりまして 〇.〇〇二%に低下しておりますわけでございます。寺前議員の指摘もございまして、私どもトヨタからクレーム状況について調査いたしました結果、以上のとおりでございます。
  190. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、いまそれはメーカーから型式変更届けが出ているということですか。
  191. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 自動車の構造、装置、非常に多いわけでございまして、各部分についてのすべての構造変更と申しますか、材質変更、そういったものすべてを網羅することは必ずしもなっておりませんので、そういった意味におきましては、これは構造変更届けに該当するものではございません。
  192. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは、ダイヤフラムは型式変更指定の変更に該当しないというのは規則にちゃんとそれは入っていますでしょう。全部網羅されているわけでしょう。いろいろだくさん確かにありますよ。ありますけれども、ダイヤフラムはもちろん入っていますでしょう。
  193. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ダイヤフラムの形状、材質等については入っていないわけでございます。
  194. 山中郁子

    ○山中郁子君 そんなことないです。  それでね、私はいまこれいっぱいあるでしょう、型式変更の中身が。ありとあらゆる部品が入っているはずですよ。そういうことが一つありますけれども、もう一つは、いままあその変更指定が出てないとおっしゃっても、あなたの方でそれ把握されているわけでしょう。把握されていれば、当然そして対策部品ができているわけだから、当然これはリコールすべき内容だということははっきりしていると思うんです。いまごらんいただいたように、こういう亀裂が生じて、私が申し上げるまでもなく、皆さん専門家なんだからよく御存じなわけだけれども、そういう危険な要因になっておるわけですから、当然リコールをすべき内容として、調査もされ、指導もなさるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  195. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) そのリコールに該当するかどうかという点についてでございますが、すべての部品について、ある程度のクレームはある期間やむを得ないという現状がございまして、クレームがゼロでなければということは事実上非常に問題があると思います。  それから、このゴム部品等のダイヤフラム等の場合には、非常にデリケートな薄い構造でございまして、ちょっとした整備上の、傷をつけたといったようなことでそれが亀裂を起こす、もしくは穴があくといったようなケースもございまして、この辺のところについては非常にむずかしい問題であると私ども考えておりますが、今後十分その辺の問題についてもどういうふうに対応していくべきかという点を検討してまいりたいと思います。
  196. 山中郁子

    ○山中郁子君 それだから考え方の基本が違うのですよね。こういう問題は、当然のことながら安全対策として欠かせない問題としての制度でもあり、そのための指導機関として運輸省があるわけでしょう。そうしたら、たった一人の人がたった一つこうなったと言ってきているわけじゃないんですよ、現状はね。ある整備工場の整備士の方に伺ったら、自分が最近手がけただけでも五件あったって、こう言うわけね。それで、だから、気がついてとか、事故が起こりかけて、−あれシートの下にありますから、助手席の下にありますから、熱くなってくるわけですわ、さっき申し上げましたように加熱してくるとね。そうして煙でも出てきて、そしてあわてて気がついて持っていくと。そうすると取りかえると。そうして、もしもそういうことを知らないで乗っていたと、そうして発火して大事故になる、そういうことを防ぐためにあるわけなんだから、気がついたり、あるいは文句を言っていった人に対しては取りかえるけどと、そういうことでは事故が防げないから、リコールの問題があるわけでしょう。そこを履き違えていらっしゃるんじゃないですか。
  197. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) このダイヤフラムでございますが、それによって生ガスが出ていくというケースはないわけではございません。しかしながら、これは温度調整装置がついておりまして、エンジン温度が六十度以上の場合には、この機能がとまるわけでございます。それから生ガスが多量に流れることがありまして、触媒装置が過熱するといったようなケースがございましても、これは温度警報装置が運転台にございまして、これに限らず点火プラグのミスファイア等の場合におきましても、触媒装置が非常に過熱いたしますと警報装置が作動して故障を知らせるということになっておるわけでございまして、そのために各車両に警報装置を義務づけて安全対策をとっておるところでございます。それらとの関連を十分検討してまいりたいと思います。
  198. 山中郁子

    ○山中郁子君 それじゃ、リコールの問題について検討するとおっしゃるならば、それははっきりさせていただきたいけれども、はっきり何よりの証拠は、メーカーが対策部品をつくっているということなのよ。いま部長はそういうふうにおっしゃるけれども、キャンバス入りのものにして直すことができるわけですわ。そうでしょう。だから、できるからそういうふうにして取りかえて新しいものをつくっているわけでしょう。そういうことがはっきりしていながらいまのようにおっしゃるのは、やはり私はメーカーサイドの強弁だと言わざるを得ないと思います。それで、こういうことは何回も、こういうことって、この問題だけに限らず申し上げてきても、検討しますということでお逃げになる。私は、やはり交通安全という立場から、運輸省が本当にそこにしっかりとお立ちになって、それでユーザーを保護するという立場ではっきりなさっていらっしゃるなら、こんなことぐらいすぐできるわけ、立ち入り検査だってしているんだし、しているとおっしゃるんだから。だから、リコールの問題を私はとにかく直ちにそれはするという問題として認識をして、一層厳重な調査、報告、そうしたことをしてほしいと、するべきだと思いますけれども、どうですか。
  199. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) リコールでございますが、非常に緊急に、直接に安全もしくは排ガスの劣化という点につながってまいります問題であれば、直ちにやらなければならないと思います。その他の問題につきまして、非常に部品の数等も多いわけでございまして、それらの部分が少しずつでも、よりいい性能に改善されていくということがユーザーにとっては重要なことであると考えますけれども、部品等の改良をすることが即改良したから従来の物は全部リコールであるという原点に立ちますと、これは非常にむずかしい問題であると考えます。したがいまして、そういったことも含めて、ただいま御指摘の点については十分検討させていただきたいと思います。
  200. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、私はやはり運輸省がメーカーと癒着していると言われても仕方ないと思うんですけれども、立ち入り調査なさったとおっしゃったけれども、トヨタ自販のクレームレポートだとか、技術連絡書だとか、それから品質変動書なんか、そういうものをみんなお調べになったんですか。
  201. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 必要に応じてそれぞれの部分を調べております。すべての物を常にチェックしておるというわけではありませんが、問題があった都度その部分をチェックすることにいたしております。
  202. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうなされば、当然のことながら、クレームがあって、そしてそれを解決するために対策部品をつくって、そして取りがえをしているということははっきりしているわけですから——それははっきりしているわけでしょう。だったら当然それはリコールすべき問題ですよ。そうしなければ、そのほかの潜在的な危険というのはどうやって防ぐんですか。いっどこでまた自動車が燃え出すかわからないですよ。それどうやって防ぐんですか。
  203. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) この部分につきましては、先ほども申し上げましたように排ガスが直に悪くなる、もしくはすぐに触媒装置が過熱して火災につながるという性質のものではなくて、第二義的なものであるというふうに考えております。したがって、そういった点も含めて今後検討させていただきたいと思います。
  204. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、当然道路運送車両法の百十条の罰則も適用すべきそういう内容の問題だと思っております。  それで、排ガスの問題に関して言うならば、こうした欠陥によって当然空燃比が変化して排ガスが基準をオーバーすると、こういう問題が出てきます。アメリカなんかの場合では、車の構造上の欠陥のために排ガスが基準をオーバーするとメーカーに一件一万ドルの罰金を課すと、こういう制度になっているわけですけれども、残念ながら日本ではそうなっていないだけではなくて、いまこれだけ、現物もあなたの方も確認されていながら、なおかつメーカーのそうした責任を、決められた、できる法律の範囲の中でもしょうとなさらない。そういう事態は私はもうゆゆしい問題だと思うんですけれども、こういう構造上の欠陥による基準オーバー、こうした事例に対してアメリカでやっているように、たとえば罰金を取るとか、そういうことで厳正に対処すると、そういうことを検討すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  205. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 現在わが国のリコール制度は、車両法に基づきます自動車型式指定規則の中で運用をいたしておりまして、リコールすべきものをリコールしない場合にはその型式指定を取り消すという事実上の行政処分がございます。アメリカの場合におきましては、メーカーが自主的にリコールをやってくる場合と、それからメーカーに対してアメリカの運輸省がリコールを命ずる場合とがあって、その運輸省の命令に違反してリコールを行わない場合についての規定でございます。したがいまして、日本のリコール体制が現在私どもは不備であるとは思いませんが、今後実質面において体制の整備を図っていくことについては十分前向きに対処してまいりたいと思っております。
  206. 山中郁子

    ○山中郁子君 これ見ていただいておわかりになるように、これは別に整備上のミスでたまたまそこに亀裂が生じたというものじゃないでしょう。明らかにこれは材質上の問題ですよ。だからこそ取りかえているわけだから。そこのところを、もう私先ほども申し上げましたけれども、はっきりとした上でもう一度トヨタの立ち入り調査してください。そうしてリコールの問題について、ユーザーの立場に立って、それからまた交通安全の国民の立場に立って運輸省がちゃんとした態度を示すこと、とりあえずそれ約束してくださいな。いつもいつもこんな調子で、結局運輸省はメーカーの味方じゃないかと、こういうことになりますよ、たくさん事例が出ているんだから。
  207. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘の点を踏まえまして当該部位につきましては再度厳重に調査をいたしたいと思います。
  208. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つ、三点目になりますけれども、シートベルトの問題でございます。これは交通安全対策の一つとしてシートベルトの着用というのを重視をして四十四年から義務づけてきていますけれども、安全効果がどのように上がっているのかということについて総括的に教えていただきたいと思います。
  209. 杉原正

    政府委員(杉原正君) まず、シートベルトの効果という——一つは着用の率の問題でありますが、昨年の九月時点とその前の年の九月時点とで簡単に申し上げますと、高速道路の着用率が一一・五%から一六・二%に上がって、それから同じく高速で助手席でございますが、六・五%が一三・二%に上がってきております。一般道路につきましては、ドライバーが六%から九・三%、助手席の同乗者が四・一%から六・一%ということになっております。  これはいろんな計算方式がありますので、詳細は省略をいたしますが、全体の事故の中でシートベルトを締めておった者と締めなかった者とを具体的に検討いたしまして出してみますと、シートベルト着用者の致死率が一・〇五というのに対しまして、シートベルトを着用してない者の致死率は九・八ということのように考えられます。
  210. 山中郁子

    ○山中郁子君 このシートベルトですけれども、交通安全対策上、大変重要なものとして強調もされて、なかなかまだそれが初歩的な段階に来ているということなんですけれども運輸省にはこのシートベルトの保安基準、技術基準、それぞれあるわけですけれども、こういうものについてのテストというか検査ですね、これはどういうふうにされていますか。
  211. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 運輸省におきましては、道路運送車両の保安基準によりましてシートベルトの装着を車について義務づけておりますが、その解釈通達としまして、ベルト及び取りつけ装置の技術基準をつくっております。  これらの装置につきましての試験方法は、これは大体各国共通の方法がございまして、これはわが国におきましてはJISで決めてございます。そして、その試験方法によりましての判定基準を運輸省で保安基準の解釈通達ということで決めておるわけでございます。  したがいまして、私ども車の審査をいたします場合には、それらのシートベルトが十分な所定の測定方法で測定され、そしてそれがこの判断基準に合致しているかどうか、判定基準に合致しているかどうかということを車の審査段階で確認いたしております。
  212. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、それは書類審査ということですか、運輸省の審査は。
  213. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 出されてまいりますものは書類で出されてまいりますが、シャシーメーカーで検査測定をいたします場合には、それに立ち合って確認をいたしております。
  214. 山中郁子

    ○山中郁子君 シートベルトの技術基準についての内容ですね、それをそれではちょっとお述べいただきたいのですけれども
  215. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 技術基準の内容でございますが、試験方法といたしましては、ベルトそのものにつきましては、帯部の試験といたしまして、引っ張り強さ、幅の縮み率試験、伸び試験、エネルギー吸収性試験、耐摩耗性試験、及び耐劣化性試験。それから、バックルの試験といたしましては、解離力の試験、それから長さ調節部の試験、巻き取り装置の試験。  座席ベルトの試験といたしましては、強さ試験、移動量試験等について行っております。
  216. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、このシートベルトが欠陥があった場合には当然リコールの対象になるというように理解できますね。
  217. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) シートベルトそのものにつきましても、これが設計、製作上に起因する欠陥であれば、これはリコールの対象になると考えています。
  218. 山中郁子

    ○山中郁子君 ここにやはりまた一つ現物を持ってきているんですけれども、これは大きいものですからそこから見ていただけばわかると思うのですが、ここにベルトをはさむようになっていて、ここにプラスチックで押さえているわけですね。これはトヨタが四十九年から五十一年までに製造したもので、センチュリーやクラウンなどの高級車を除く全乗用車、販売台数、対象台数約二百万台と推定されるわけですけれども、これの部品です。このプラスチックがぱかっととれちゃう。そうするとはずれてしまいますね。もう一つは押えがきかないんです。こうやって締めておくでしょう。そうすると、ずるずるずれてきちゃう。締めが弱いという問題があるわけです。これは御承知でしょうか。
  219. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) シートベルトにつきましてのそういったふうにふぐあい、欠陥の状況は私ども具体的な情報はただいま持っておりませんので、御指摘いただきました点については厳重に調査をさしていただきたいと思います。
  220. 山中郁子

    ○山中郁子君 いまはいいですけれども、こういうものも、たとえばユーザーの方たち運輸省にいろいろ言っていらっしゃることは事実なんですよ。それは部長がたまたま直接聞いていらっしゃらないとおっしゃればそれまでですけれども、私はそういう点が運輸省の基本的な姿勢として問題だと思いますけれども、具体的に申し上げますと、四十九年から五十一年までに製造したものです。四十九年に新車を買ったわけです。四月に買って、そしていま申し上げましたようなこういう欠陥ですね、被損してそれでぐあいも悪いというようなことで、九月にはメーカーが取りかえているんです。そういう事例がたくさん起こっていて苦情が非常に出ています。当然のことながら、私はこれもリコールの対象のものとして、運輸省が立ち入り調査その他をちゃんとするということを早く手を打つべきだと。二百万台も出ているわけですから考えていますけれども、いずれにしてもとにかく情報をキャッチされているにもかかわらず、それを本当にユーザーの立場に立って、交通安全の立場に立って積極的にとにかく毅然としておやりにならないということがここにも出てきていると私は思いますけれども、この再試験ですね、いま私が具体的に指摘を申し上げました再試験を直ちに実施をして——まず、そのことのお約束がてきますか。
  221. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘の部品につきまして再試験を実施いたしますとともに、御指摘の点について、そういったようなふぐあいが本当にどの程度出てきているかどうかという点について十分調査さしていただきたいと思います。
  222. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは先ほどもお話がありましたけれども、書類審査とかそういうことでなくて、運輸省が直接ちゃんと再試験をするということでよろしいですか。
  223. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 直接運輸省が確認できる方法で試験をいたします。
  224. 山中郁子

    ○山中郁子君 その結果の報告はいただくということと同時に、リコールの問題としてメーカーに強力に指導もするし、調査も図るということをあわせてお約束をいただきたいと思います。
  225. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 調査の結果によりまして、必要があればリコールという考え方も出てまいるかと存じます。  なお、試験結果については別途報告さしていただきます。
  226. 山中郁子

    ○山中郁子君 この点について参考までに申し上げておきますけれども、最近アメリカの道路交通安全局長という職名の方ですけれどもジョーン・クレブルックさんという御婦人の局長さんがお見えになりました。テレビなんかでもいろいろお話ししていらっしゃったのを覚えておりますけれども、アメリカでもトヨタのこのシートベルトの問題があってトヨタに聞いた。そうしたら、具体的にはカローラだったらしいですけれども、原価を低下させたのでこうした問題が起こるというふうにトヨタの人たちが言っていたというのですよ。これは公然とクレブルックさんが述べておられることなんで、軽視してはならない問題で、まさに先ほど警察庁の方から御答弁いただいたように、シートベルトの着用というのが大変事故が起こった場合の生命の安全のためのかなり決定的なものになるということは実験なんかでも、お人形の実験なんか見ますとよくわかるということも少しずつ多くの方たちにわかってきているという段階ですから、重視をして、いまのお約束を直ちに、すぐに果たしていただきたいと思います。  それで、きょうは大臣自動車局長もお見えになっていないので、私はまたまた大臣や局長がお見えいただく機会にも申し上げなきゃいけないと思っておりますけれども、ぜひとも運輸省として姿勢を正していただきたい。覚えていらっしゃると思いますけれども、私ども共産党だけでも、この欠陥車の問題、トヨタの問題も含めて、もう何回も取り上げて、具体的なことも明示をして、その都度あなた方のおっしゃるのは検討いたします検討いたしますだけなんだわ。それで検討した結果、そうしたら本当にメーカーの責任を明らかにさせて、そしてメーカーがちゃんと責任を持ってリコールをするというように行政指導なさるということになかなかならないわけでしょう。そこにやはり運輸省の行政上の姿勢が多くの国民から不信を抱かれているという根幹があると私は思います。そのことは重ねて申し上げますので、大臣自動車局長それぞれお見えになっておりませんので、御出席政府委員の方からきちんとお伝えもいただきたいし、きょう、いま具体的に取り上げましたトヨタの問題につきましては、お約束いただきましたように直ちに調査そしてリコールの措置をとるということのお約束を果たしていただきたい。最後に強く指摘をいたしまして終わります。
  227. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘をいただきました点について、帰りまして大臣自動車局長に十分お伝えいたしますとともに、今後とも欠陥車に対する体制を十分強化して安全並びに公害防止の完璧を図ってまいりたいと思います。
  228. 小野明

    委員長小野明君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし一これにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————