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1978-04-21 第84回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)    午後一時九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         小野  明君     理 事                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 安恒 良一君                 阿部 憲一君     委 員                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 勝又 武一君                 佐藤 三吾君                 上林繁次郎君                 山中 郁子君                 森田 重郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)      稻村左四郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        警察庁交通局長  杉原  正君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省自動車局        整備部長     犬丸 令門君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     菱村 幸彦君        文部省体育局学        校保健課長    遠藤  丞君        通商産業省機械        情報産業局車両        課長       堀田 俊彦君        運輸省鉄道監督        局総務課長    植村 香苗君        労働省労政局労        働法規課長    岡部 晃三君        建設省都市局街        路課長      渡部与四郎君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        自治大臣官房企        画官       平尾多久雄君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        日本国有鉄道理        事        橘高 弘昌君        日本国有鉄道地        方交通線対策室        審議役      武藤  格君        日本国有鉄道施        設局保線課長   望月 迪男君        日本国有鉄道施        設局土木課長   野沢 太三君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (最近における交通事故増加傾向と今後の対  策に関する件)  (運転者等に対する交通安全教育問題に関する  件)  (自転車交通安全対策に関する件)  (バスレーン等公共交通輸送確保に関する件)  (線路の保守等鉄道安全対策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小野明

    委員長小野明君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 私は、最近における交通事故増加傾向についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、交通事故による死者数の問題でございますが、昭和四十五年をピークにいたしまして、昭和四十六年以降、死者数大分減少を続けてきましたが、五十二年には九千人台を割るという成果を収めることができました。交通安全運動関係者皆さんの御努力の結果だとは思いますけれども大変憂慮をされることは、ことしの調査の結果が最近発表になりましたが、事故による死者数が前年同期を上回る勢いで発生するというふうに聞いております。  そこで最初に、きのうまで、四月二十日までの死者数と、それから前年同日までの比較がどうなっているかということをひとつお尋ねしたいと思います。  それから、春の交通安全運動期間-四月六日から十五日までの死者数と前年同期との比較についてお伺いいたしたいと思います。
  4. 杉原正

    政府委員杉原正君) お答えをいたします。  交通事故によります死者につきましては、警察におきまして毎日統計をとっております。けが人につきましては若干おくれることになるわけでございますが、昨日現在までの今年に入りましてからの全国の交通事故によります死者数は二千四百六十五人でございまして、これを前年の同期に比較いたしますと、四十八人、二・二%増ということで増加をいたしておるわけでございます。また、けが人につきまして、いわゆる負傷者でございますが、重軽傷含めまして三月末までの統計が出ておりますが、交通事故によります負傷者の数は十二万八千百六十人ということで、これを前年の同期――三月末に比較いたしますと千八百八十四人、これは幸いに一・四%減っております。  それから、御質問の第二の春の安全運動期間死者数でございますが、御案内のように四月六日から十五日までの十日間あったわけでございますが、この期間中の死者が二百三十一人、これを前年の同期に比較いたしますと四十八人、二六・二%の増ということになっております。  なお、参考までにけが人でございますが、これは期間中一万三千八百十二人ということで、前年同期に比較いたしまして三百三十三人、二・五%増という状況になっております。
  5. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 四月二十日までの結果によっても二・二%、この安全期間中も二六・二%ということで、死者数についてはだんだんとふえてくる傾向にある。もともと死傷者数の推移を統計で見てみますと、四十九年が前年に比べまして死者の方で二一・六、負傷者の方で一七・五というふうに激減をした年であります。  こう考えてきますと、交通事故が減っているという直接の理由は、どうやら、経済活動が停滞いたしまして交通量が減ってきているということと非常に大きな相関関係がありそうにも思うわけであります。そうしますと、はなはだ言いにくいことでありますが、事故数が減ってきているという傾向は、関係者の力の入れ方に起因するよりは、むしろ経済活動の停滞に起因している方が多いんじゃないかというような側面も否定できないと思うのであります。その辺について警察庁はどういうふうに分析をされているか、お伺いしたいと思います。
  6. 杉原正

    政府委員杉原正君) 交通事故が四十五年をピークにして年々減少するという傾向が出ておりますが、確かに車の動きというものは経済活動影響をいたしますし、また、石油ショック等の一時期、そういうことが街頭で見られた時期がございますが、一般的に申しますと、車の台数というのは年々かなりのスピード増加をしておりますし、ドライバーも年々百五十万から二百万近い形でふえておる。そういう一般的に、これは自動車台数だけでなくて、やはり交通のいわゆる走行台キロみたいなものにつきましてもかなり伸びてきておりますので、一般的には事故はほうっておけばふえる、ふえ続けたであろうと思われるような要素がかなりあるわけでございます。ただ、ことしになりまして、これは一月は減少をいたしました。二月の下旬から少しふえ始めたわけでございますが、いろんな要素を考えてみますと、例の補正予算執行をされて公共事業がかなり現地的に行われる、また年度末の事業執行というふうなことの問題が一つあるんではなかろうかと思います。  これを事故の面でどのようになっているかということで、死亡事故の第一当事者を調べてみますと、事業用、自家用のトラックを第一当事者とします死亡事故が急激にふえておるわけでございます。原因は、スピードの出し過ぎとか過積みとかいうふうなものが大半の原因になっておるようでございまして、これが非常に影響をしているんではなかろうかというふうに考えております。またこの数日、少し昨年に比べて減ってきておりますので、これが若干恒常的なものとして考えるべきものなのか、あるいは短期に努力をすれば解決のできるものか、これは十分当分の期間、注目して対策を考えていかなければいかぬというふうに考えております。
  7. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 いわゆる政府は十五カ月予算で大変積極的な公共投資を進めていくし、在庫調整等も非常に順調に進んできまして、経済活動が大変活発な様相を呈してくる端緒が見られますが、今後ともこういう事故数傾向が続いていきますと、第二次の交通安全施設等五カ年計画目標であります昭和四十五年の交通事故死者数を半減さすというこの目標が必ずしも楽観できないような傾向があらわれてくるように思うのでありますが、その見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  8. 杉原正

    政府委員杉原正君) 非常に私どもとして考えなければならない問題点の御指摘でございます。年大体五%減ということでいきますと五十五年に目標達成ということで、去年が八・一%ぐらいのかなり高い減少率ということできておったわけでございますが、先ほど申しますように、いろいろ公共事業というのが全国的に活発に行われるというふうな新たな状況というものが出ておりますので、これにいまの五カ年計画がきちっと対応し得るかどうかということにつきましては、もう少し時間をいただいて、その上で検討をすべきものではなかろうかというふうに考えておりますが、当面の問題としては、われわれの街頭監視であるとか、あるいは各種の交通安全施設早目に着工する、事業執行するというふうなこと等もあわせながら考えていきたいというふうに思っております。
  9. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 私は秋田の選挙区へ帰っていきましても、関係者交通安全週間中の勤務ぶり大変熱意を持ったものでございました。東京へ帰ってきましても、大変関係者皆さんが夜遅くまでがんばっているのを見ているわけでありますが、これほど皆さんががんばっても交通事故がむしろ漸増傾向にある。そうなってきますと、やはり運動あり方そのものもいま転換期に来ているのじゃないか。しかも、背景としては、経済がかなり活発化して事故件数がふえていく背景にある。そういう時期に、やはりこの運動あり方というものをもう少し真剣に私は考えるべきだと思うんであります。そこでお伺いしたいんでありますが、今度の安全運動重点はどこに置いたのか、どんな運動方法であったか、昨年と比べて何か工夫をされたかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
  10. 三島孟

    政府委員三島孟君) お答え申し上げます。  ことしの春の運動におきましては、最近の交通事故実態を踏まえまして、まず第一に交通上弱い立場におられます歩行者及び自転車利用者、特に子供と老人の事故防止、それから第二には夜間における交通事故防止、第三にはシートベルト着用推進、この三項目を重点といたしまして、関係省庁、都道府県、関係団体が協力いたしまして、地域のそれぞれの実情に応じた運動を強力に推進したわけでございます。運動推進するに当たりましては、やはりこの事故実態に即した重点事項について運動を繰り返して実施して、正しい交通ルール習慣化を図るということが必要でございます。そのために、たとえば事業所内運動を強化するなど、諸般の施策をきめ細かく講じた次第でございます。
  11. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 そこで長官にお伺いしたいと思いますが、先ほども申したとおり、大変関係者熱意を持ってこれに当たっておられる。いま御答弁を伺っておりますと、まあいま申されたことは例年やっていることでございます。そこで、私はその背景がこれから事故がふえていく背景にある以上、この安全運動あり方が従来と同じようなパターンではやはりだめなんじゃないか、多少マンネリ化しているおそれがあるんじゃないか。そこで、調査結果のうちどこに問題点があるか、その調査方法とその結果をもとにした分析が必要じゃないか。それによって、やはりこの五カ年計画を達成するためのあり方についていま大きく再分析をして、転換を図る必要があると思うんでございますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
  12. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村左四郎君) 五十二年度までは年々減少しておったわけでありますが、今年度に入って増加をしたと、大変残念なことだと思っております。そこで、この要因分析が必要であると、こういうような関係からこの要因分析を急いでおります。まあ、その結果、総合的に強力的にひとつ交通安全対策推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  13. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 それからもう一つ、私は、どうしてもこの交通安全対策死者対策重点が指向されるといううらみがあるんじゃないかと。負傷の方も後遺症等があって失業してしまったり、後々大変深刻な事態に立ち至ることが多いわけでありまして、ある意味においては死亡事故に劣らず重要な問題を抱えていると思うんであります。まあ、そういうことでありますから、先ほどの御答弁にもありましたが、この死者数はだんだんと減少傾向にはありますけれども、それでも五十一年は前年に比べて一・四%の減であったものが、五十二年は二ポイントぐらい上がって減ってているということでありますが、この傾向負傷者数においてやはり圧倒的に先ほども申されたとおり単位が違うほど多いわけでありまして、この人たちの将来のことを考えると、やはり死亡対策というものに重点を置くだけではなくて、負傷事故絶滅を期すというようなことが、やはり重点の大きな側面になってこなければいかぬのじゃないかというふうに考えますが、この点についての長官の御所見を伺いたいと思うのです。
  14. 稻村佐近四郎

    国務大臣稻村左四郎君) 御指摘の点でございますが、死者重点を置いたのではないか、これは当然ではございますけども、現在第二次交通安全対策五カ年計画推進中であります。もう死者負傷者とも減少させることを目的とした第二次五カ年計画でございますので、今後もこの基本にのっとって全力を注いでまいりたいと、こういうふうに考えております。
  15. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 長官のおっしゃるとおり、ぜひひとつ負傷者対策という側面にも力を入れていただきたいと思うのであります。  そこで、私はひとつぜひ御提案を申し上げたいと思うのでありますが、従来の交通事故対策一つ問題点となりますのは、地点における重大事故多発発生原因について、警察ばかりではなくて、道路管理者とか、陸運局とか関係機関も参加して、徹底的に調査分析をしていく、そしてその結果をもとに具体的な事故への対応策を講ずる、そういう追求が必要だというふうに思うのであります。  かつてロンドンに参ったときに、ロンドン市においては、ブラックスポット対策というもので、まあ通行の魔所とでも訳しましょうか、そういう対策に非常に力を入れて、多大の成果をおさめているのを見てまいりました。たとえば事故月別集計とか、十日別の事故表の作成とか、それから一週間に二度特定地点事故について見直しを行うとか、それから交通事故統計集計、それからタイプに分けてそれぞれ適切な対策をとっている。事故対策の問題としては砂をまいていくことによってぬれた道の交通事故を七〇%も減らしている、平均でも七%ぐらい事故をダウンさせる、それから照明の改良によって夜の事故を三〇%減少さしたとか、いろいろ顕著な効果を上げているのを見てまいったわけでありますが、こういう考え方につきまして、大阪ですか、一部類似したことに着手しているというふうに聞くのでありますが、当局においてはこういう効果のあるものについて採用するに値すると思うのでありますが、それについてのお考え方を聞いておきたいと思います。
  16. 三島孟

    政府委員三島孟君) ただいま御指摘のとおり、重大事故及び事故多発地点におきます事故防止対策を十分行うということは非常に大事なことでございますので、それは日本におきましても私どもも第一線の経験あるわけでございますけれども、そうした重要事故あるいは事故多発地点事故防止対策につきましては、警察を初め、あるいは道路管理者あるいは県の方の交通安全対策関係関係者が集まりまして、あらゆる角度からの綿密な分析検討を行いまして、事故防止対策に役立たせておるというようなことを現にやっておるわけでございます。  さらに、私ども総理府立場といたしましても、同様な観点に立ちました対策を、何といいますか、学問的、専門的な立場から研究する必要があるんではなかろうかということで、昨年度から御予算をお認めいただきまして、そうした研究を現在進めておるところでございます。
  17. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 まあ事故対策としまして、交通安全施設整備というようなハード面整備も大事でありますけれども、私は最近の事故傾向を見ておりますと、何といってもソフトウエアの面の技術が必要だと思うのであります。そういう意味で、交通安全教育の普及ということが大変大きな問題だと思います。せっかく減少傾向にありますこの傾向を維持していくためにも、安全教育を充実させるということが喫緊の要務であると思いますが、そういう観点からちょっとお伺いしたいと思いますけれども幼稚園とか小学校中学校高等学校の各段階における交通安全教育実施状況、これはアメリカではほとんどの大学交通安全の講座を設けておりまして、小中学校先生になる人はこの大学交通安全教育講座をとることが義務づけられている。これをとらなければ教師としての資格がないというふうになっておるわけでありますが、まあそういうものと比較して、わが国のこの交通安全教育実施状況、それから、大学における交通安全講座開設状況、そういうものをお伺いしたいと思いますし、いまアメリカの場合を申し上げましたが、欧米諸国における状況とあわせてひとつお伺いしたいと思います。
  18. 遠藤丞

    説明員遠藤丞君) 現在学校におきましては、安全教育という観点児童生徒日常生活におきまする安全な行動がとれるように、その能力や態度習慣を育てることを目標として、教育活動の全体を通じまして計画的、継続的に行うということが原則として課せられております。  幼稚園におきましては、健康、社会、自然といったような領域が設けられておるわけでございますが、それらの中で、交通安全、あるいは地震火災等の災害時における安全な行動のとり方、その他日常生活の安全に関して必要な事項子供発達段階に応じて指導するということにいたしておるわけでございます。  それから、小学校中学校におきましては、教科といたしましては小学校におきましては体育中学校におきましては保健体育という教科の中で交通安全及び日常生活における安全といったことにつきまして指導をいたしますし、さらに、特別活動と申しておりますけれども学級指導――ホームルームと言った方がわかりやすいのかもしれませんが、ホームルームの時間、あるいは学校行事というかっこうで、たとえば自転車の安全な乗り方であるとか、あるいは地震避難訓練であるとかといったようなことを体得させるということを行っております。  さらに、高等学校におきましては、いよいよ社会に出る前段階としての労働安全といったようなことにつきましても指導することにしておりますし、最近におきましては、高校生で二輪車に乗る者が非常にふえてまいっておりますので、そういった二輪車に関した事故防止を主たる目的としまして、ホームルーム、あるいは学校行事などにおいて教師が教える場合もございますし、警察当局指導員をお招きして講義をしていただくというようなこともよく行っておるわけでございます。  なお、大学におきましては、一般的には、安全教育と、安全の問題についての講座は設けておりませんけれども教員養成目的といたします大学におきましては、特に保健体育免許状を取得しようとする学生に対しては、安全教育必修として二単位を課しております。しかしながら、小学校教員養成課程、あるいは保健体育以外の免許状を取得しようとする学生に対しては、必修とはしておりませんで、選択科目として安全教育を受けるように指導はいたしておるところでございます。  なお、諸外国の例でございますけれども、余り多くの国について詳細を存じておりませんが、ヨーロッパにおきましては、ドイツ、イギリス、あるいはフランス等におきましては、かなり安全教育に力が入れられておりまして、ただ、扱っております教科としては、国によりまして、あるいは道徳、公民といったような時間を活用する国もございますし、あるいは保健体育といった時間を中心に行うところもございますし、あるいは社会科理工科といったような科目の中に総合的に位置づけて安全教育を行っておるというふうに承知をいたしております。ただ、アメリカにおきましては、特に中等教育日本で言いますれば、高等学校段階におきましては、運転者自動車運転を前提としたドライバー教育と申しますか、それの基礎教育を非常に熱心に行っている学校がふえてまいっておるというふうに承知をいたしております。
  19. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 これは先進国との比較でありますが、どうも私は欧米諸国に比べまして日本安全教育というものは非常に手ぬるいと思うのであります。もしおわかりいただければ教えていただきたいのでありますが、旅行しますと、大体学校先生飲酒運転なんというのがかなり新聞に出ておりますし、また、大学生交通事故というのは大変多いように思うのでありますが、欧米先進国安全教育に一番力を入れなければいけないとしている学校先生大学生事故がわりあいと多いというような傾向に対してどういうふうにお考えですか。また、その数字がわかるならば、ぜひひとつ発表していただきたいと思うんです。
  20. 遠藤丞

    説明員遠藤丞君) 本日は数字的なデータは持っておりませんので、後日先生の方へお届けをしたいと思います。  最近学校教師自動車通勤をする例が非常にふえてまいっておりますし、特に田舎へ行けば行きますほど自動車通勤教員がふえておるということは御指摘のとおりでございます。私ども教育委員会を通じまして、自動車事故のそういった実態に基づいて、事故防止については厳正な態度で臨むようにという指導をしてまいっておりますけれども、確かに御指摘のとおり、絶滅というところまでまいっておりませんことは大変遺憾に存じております。今後ともなお指導の強化に努めたいというふうに思っております。
  21. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 私は、安全教育が徹底しないのは、やはり何といってもそれに対する予算が少ないからじゃないかというふうに思うんです。いま安全教育関係予算は一億五千万だそうでございますが、これは交通安全対策関係予算八千四百六十八億四千万に比較しますと大変微々たるものでございます。そこで、とりあえず一つ提言をしたいと思うのでありますが、津々増加の一途をたどっております交通安全対策特別交付金、いわゆる反則金がありますが、五十三年度七百八十七億七千万、五十三年度六百七十八億ということで一六%も伸びております。この使途は、いまもっぱら交通安全施設整備信号標識、歩道、自転車道というようなハードな面に集約されているわけでありまして、それはそれでその必要性は当然なことでありますけれども安全教育にたった一億五千万しか金彰かけていないという先進国は、私も調査しておりませんが、恐らくないと思うのであります。一番基礎的に必要な、事故を起こさない、あるいは事故にかからない教育というものがやはり基本でなければいけないはずでありますから、たとえば一%でも七億円でありますから、せめて反則金の一%ぐらいは安全教育に使う方が効率的じゃないかというふうに思うのであります。この点について関係省庁の御意見も伺いたいと思いますし、この点については地方自治体からもかなりそういう声が上がっているわけでありますから、ぜひひとつそういう前提に立って御答弁いただければと思うんです。
  22. 関根則之

    説明員(関根則之君) ただいま交通安全対策特別交付金をハードウエア以外のものにも使うべきではないかという御提言があったわけでございますが、現在御指摘がありましたような形で、道路交通法の附則七項にも、いわゆる政令で定める道路交通安全施設に使用するというたてまえで制度が設けられているわけでございます。こういった施設関係がまだまだ整備が十分でないという状況にありますので、確かに御指摘がありましたように、前年度に比べますと一六%程度の伸びはあるわけでございますけれども、施設整備水準の低さ等を考えますと、やはりまだこの施設の方に重点的に使う必要があるし、そちらの方で有効に使用できるものですから、また、確かに団体の方からも御指摘のありましたような経常的な経費にこれを回してくれという意見がないことはございません。しかし、反面やはりハードの方にもっと使わしてくれという意見もあるわけでございますので、まあもちろん検討はさしていただきたいと思いますが、いまのところ直ちにそういった方面にも割け得るというような状況ではないことを御理解を賜ればありがたいと思うわけでございます。
  23. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 施設の整備の重要性は、私はもちろんだと思っておりますから、それはそれで大いにやってもらう必要があると思うのでありますが、何といっても安全教育というものはそんなにお金がかからないでやはり事故を未然に防ぐ地の塩になるものでありますから、一億五千万を四、五億にふやしたってこれは交通安全施設整備に別に支障を来たす額ではない。一%程度の七億ぐらい私は安全教育に力を入れる方がむしろ交通安全対策という面からいけば効率的な投資じゃないかと思いますから、きょうは結論は要りませんが、ぜひひとつ、関係省庁の間でそういうことを前向きに検討していただくということを申し入れをしておきたいと思います。  それから、事故の問題はそういうことにいたしまして、第二点は自転車対策についてお伺いしたいと思うんであります。  最近交通の混雑とか、あるいは都市公害の問題等が深刻化いたしまして、簡単に利用できると、あるいは自在性に富んでいるという意味で、自転車が短距離の交通手段として再評価されて、通勤、通学、レクリエーションあるいはスポーツと、各般にわたってこれが非常に激増している。いわゆる都市部を中心として、自宅から駅までのサイクル・アンド・ライド型の自転車利用というのが非常にふえているわけでありますが、こういう自転車利用の増大に伴いましていろいろな派生する社会問題がやはり起こってきていることも事実であります。  そこでお伺いしたいんでありますが、最初にわが国における自転車の保有台数と年間生産販売台数がどうなっているかお伺いしたいと思います。
  24. 堀田俊彦

    説明員(堀田俊彦君) お答え申し上げます。  現在のわが国の自転車の保有台数昭和五十二年末時点におきまして、これは財団法人自転車産業振興協会の推計でございますが、約四千六百万台と推定されております。暦年でございますが、昭和五十二年における自転車の生産台数は六百二十七万八千台でございまして、対前年度五%の減になっております。出荷から輸出分を差し引きまして輸入分を加えた内需という形で見かけの販売台数をとらえますと、五十二年は五百二十四万二千台となっております。
  25. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 いまお話しのように四十五年から五十一年まで比較して見ますと、四千六百万前後というのは約五五%の伸びでありますし、保有台数でそういうことになりますし、出荷台数ではやはり四〇%近い伸びを示しているということで、大変な伸びであります。交通事故件数が年々減少してきていますけれども自転車事故の件数は余り減ってないというふうに聞いておりますが、この異常な自転車の伸びに対しまして事故実態がどうなっているか、あるいは事故分析してみてどういう特色があるかお伺いしたいと思います。
  26. 杉原正

    政府委員杉原正君) 自転車事故実態でございますが、先ほどお話ししましたように、死者について見ますと、全体が去年八・一%減ということでございましたが、自転車は昨年、一昨年に比べて減りはしましたが、半分の率、四・三%しか減ってない、減りなずんでいるということでございます。しかも、ことしに入りましてからも自転車による事故というのは非常にふえております。  それから、この自転車事故の特徴でございますが、死者だけについて見ましても、中学生以下の子供と六十歳以上の方、これの事故の率が非常に高うございまして、このいわゆる子供さんの自転車死亡事故と、六十歳以上の方の死亡事故を合わせますと六〇%を超えておるわけでございます。
  27. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 総理府の調査によりますと、四十一年から五十二年まで事故件数で見ますと二五%ふえている。しかも、顕著な特徴は、いま御答弁ありましたように、幼い子供たちや老齢の人たちが多いということで、こういう交通弱者の被害が非常に顕著であるということが自転車事故の特徴だと思うのであります。したがって、この人たちを対象にした事故対策というものを自動車とはまた別に講じないとこの事故は解消されていかないんじゃないか。そういう観点から、この自転車事故対策について今後どういうふうになされようとしているのか。その点についてお伺いしたいと思います。
  28. 杉原正

    政府委員杉原正君) いろいろ従来こういうあれに対してやってまいりました私どもの方の施策としまして、一つは施設面といいますか、環境面といいますか、こういうものにつきまして、たとえば自転車の専用通行帯であるとか、あるいは路側帯を設置する、あるいは自転車の一部の歩道の通行可、歩道の方に上げるというふうなことをやる一方、自転車そのものについて視認性を高めるために――これは任意の措置でございますか、夜光の反射器材を普及する、あるいは明るい衣服の着用を促進するというふうなことをやっております。あるいは安全教育の面で、自転車安全教育推進委員会、あるいは学校、老人クラブなどと協力しまして、生徒とか児童とか老人を対象にした自転車安全教室をやる。いろいろな手立てを講じてきたわけでございますが、依然として先ほど申しましたような実態にございます。  そういう面で、いまの道路交通法というものを見てみますと、自転車の道路交通法上の地位というものが必ずしもはっきりしてないということを痛感をいたしました。そういう点を申し上げますと、今国会に今度提案をしております道路交通法の一部改正案につきましては、たとえば歩行者が道路を横断するときに横断歩道があると同じように、自転車が道路を横断するときには自転車横断帯を設ける、あるいはその自転車の通行方法をきちっと決める。それからいろいろ自転車について、いま自転車に保安基準というものがございませんで、売られるときはきちっとした形で売られるんですが、使っているうちにブレーキがきかなくなるとか、あるいは尾灯が壊れる、そのままで道路を交通しているというふうな実態もあります。そういう点につきまして、適正な形でこれに補正を加えるというふうなこと等を内容にした形でこの自転車の地位というものをはっきりさせ、自転車自動車との関係では弱者の立場に立ちますので、自動車側にそれを保護してもらうという一方で、自転車歩行者との関係では逆にまた強い立場に立ちますので、歩行者に対してはこういうことを自転車に守ってもらうというふうな、両面から、自転車の保護とあわして自転車の遵守事項というものを明確にしていって、安全教育の面とあわして推進をしていきたいというふうに考えております。
  29. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 ただいま総理府の方から大変意欲的な自転車安全対策についての施策の開陳がありましたので、ぜひひとつその点についてこれからも一生懸命やっていただきたいと思うんであります。  そこで、そういうことと別の側面から、私は、二つの問題が大事じゃないか。いま交通安全対策室長さんも御答弁なされましたが、自転車利用者というものは、自動車の三千百万台に対して自転車は四千五百万台でありまして、一千四百万台も多いわけであります。これが、乗車技術が未熟であるとか、交通ルールを無視するとか、あるいは非常にマナーが悪いとか、そういうことがまた事故多発の一つ原因であるという側面もあります。自転車事故の問題というのは、東京や大阪のような大都市ばかりではなく、私どもの秋田なんかでも同じようなパターンで事故が多い。いわばこれは普遍的に起こる事故であります。今度、いま御答弁ありましたように、自転車利用者に対しても何らかの法律上の規制が必要じゃないかという御答弁がありましたが、利用者にも応分の責任を分担させるということがやはり事故を撃滅させる一つの大きな要素であると思いますので、この点についての警察当局の御意見を伺いたいと思います。
  30. 杉原正

    政府委員杉原正君) 先ほど申し上げましたように、やはり自転車というものが道路交通法上いかにあるべきか、自転車自身がどういうことをどう守り、また周りがこれをどのように保護すべきかということが必要だと思います。  自転車といいましても、たとえば五十二年中の交通人身事故のうちで明らかに自転車がいわゆる第一当事者側にあったと思われる事故が約六百九十件もあるわけでございます。私ども安全教育というもののまだ足りなさというものを感ずる反面、やはりきちっとした形でこの地位を明確にして、守るべきことは守ってもらうということがないと、ほんとの意味の安全な道路交通秩序というものが確立できないというふうに痛感をいたしております。
  31. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 通産省の方に伺いますが、先ほども御答弁ありましたとおり、年間六百万台に上る自転車が生産されている。この事故を撃滅するために、利用者も大事でありますが、今度は膨大な自転車を供給している業者の側にもやはり責任の一端を負ってもらう必要があるのじゃないか、そういうふうに存じます。  たとえば自転車の安全利用を図るためには自転車自体の構造とか品質とかに欠陥があってはならないということが一つの大きな問題でありますが、消費者保護の見地から、自転車メーカーとか販売店の方に対しまして、通産省はそういう観点からどういう指導をなされているのか。スーパーについては、自転車小売組合にも加入しておらないというのが実態でございますので、この行政指導が徹底しにくいというふうに聞いておりますけれども、そういう点についてどういうふうにお考えか承りたいと思います。
  32. 堀田俊彦

    説明員(堀田俊彦君) ただいまお話がございましたように、自転車は非常に乗りやすい乗り物でございまして、子供から老人に至るまで非常に広く普及して、国民生活にいまや欠くことができないものになっておるということであろうと思われます。自転車工業会におきましても、この点に関しましては十分認識を持っておりまして、かねてから品質のレベルアップを図ると同時に安全性を確保するということに意を用いております。  具体的に申しますと、たとえば社団法人でございます日本自転車工業会は、昭和五十年七月に自主的に自転車安全基準というのを定めております。これはアメリカの消費者製品安全委員会の安全基準を参考にしてつくられております。  また、メーカーから引き受けて最終組み立てをいたします小売店でございますが、小売店の組み立て技術向上ということも非常に重要な事項でございまして、これにつきましては、財団法人日本車両検査協会というところが主体になりまして、自転車技術の検定制度というのを設けております。  さらに、最近、昨年の六月でございますが、製造業者、販売業者、関係者自転車安全対策企画推進会議というのを設けまして、衆知を集めて自転車のより一層安全性を確保するための検討を行っておるところでございます。  通産省といたしましては、従来から生産、供給を担当しておりますメーカー、販売店に対しまして、いま申し上げましたような団体等を通じまして、品質アップ、安全性の確保、アフターサービスの充実、消費者に対する安全指導等々自転車に関するいろいろな課題につきまして、その達成について指導を行っております。  重点を申し上げますと、先ほど申し上げました業界が自主的に作成した自主安全基準、これを普及させるということが一つ。それから、小売業界で組み立て、点検、整備技術、これを向上するということが第二番目。それから、三番目として、消費者教育のための方法自転車学生徒に対する無料点検事業関係業界活動の促進といったようなことを図っております。もちろん今後も引き続いて同様の方針で指導を強化していくつもりでございます。  また、最近になりまして、自転車の一層の安全性の確保を図る観点から、自転車を消費者生活用製品安全法の対象にしてはどうかという意見が出てまいりました。私どもは、関係業界と一緒にその可能性、問題点について鋭意検討を進めているところでございます。
  33. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 いま詳細な御説明ありましたが、私は、何といっても業界の自主安全基準だけではやはり足りないんじゃないか。自転車事故がこれだけ多く、かつ余り減りはしない、自動車よりももっと減りにくいという実態から見ますと、いま申し上げましたように利用者の側での注意も大事でありますが、自転車の構造自体もやはり国において一定の安全基準を設けていくようなことが必要ではないか。そのために、要すれば立法措置も必要ではないかというふうに考えるんでありますが、時間の関係上御答弁は求めません。ひとつ、自主安全基準でもなおかつ自転車の欠陥によって事故が減らない傾向にあるというようなことがあるとすれば、ぜひ国において一定の安全基準を設けていくというふうな積極的な姿勢を示していただきたいというふうに思うんであります。  それから、次に移りたいと思いますが、自転車道の問題と自転車駐車場の問題について少し伺ってみたいと思うんであります。  自転車道は大部分が歩道上に併設されているわけでありますが、歩道を確保することができる道路というものはどうしても広幅員でなければいけないということで、結局主要幹線の方に、国道、主要地方道の方にこういうものが設置される。こういう広幅員の道路は、自動車の走行を目標につくってあるわけでありますから、自転車交通の体系とは必ずしも一致しないといううらみがあります。自転車の利用者は断片的に存在する自転車道路を通りながら、走行の大部分は歩、車道の分離されてない道路を走行せざるを得ないという実態でありますから、これでは事故がなかなか減らないということがあろうかと思うんであります。  そこで、一つの提案でありますが、幹線道路の裏側には、いわゆる歩道設置のできない狭い幅員の区画街路がたくさんあるわけでありますが、これらの裏通りの一部を自転車の専用道路として整備するようなことができないだろうか。これが私は都市内の自転車利用者の安全確保のためにも現実的な解決策であると思うんであります。  イギリスのポーツマスという港町で市当局政府の協力を得て、こういった裏側の自転車専用道路網の計画を立てて実施しているという例があります。とにかく日本はこの自転車道に対しては非常に立ちおくれておりまして、東京を見ましても、オランダなんかは自転車道が三〇・六%、西独でも四%程度ありますが、日本は〇・〇一%という微々たるものであります。  ひとついまの提案を含めまして、こういう問題についてどういうふうにお考えかお答えをいただきたいと思います。
  34. 渡部与四郎

    説明員渡部与四郎君) 非常に興味のある提案だと思っております。御承知のように、四十五年から建設省におきましては、歩行者自転車専用道の整備に対して二分の一の補助でございますが、進めておりまして、パーソントリップ調査等によって人と車を分離しながらやはり安心して歩ける道をつくっていこうということを考えておったわけであります。残念ながら二分の一でありますので、思い切った前向きのいわゆる改築的なことができないうらみがあったわけでありますが、昭和五十三年度より市街地の幹線街路の歩道機能の代替を果たすことになるような区画街路を改築する場合、しかもそれを歩行者専用道的に直す場合においては、一定の要件がございますが、通常の道路改良事業として、いわゆる補助率を三分の二として整備することが可能になりました。そういうことで、幹線道に並行して、たとえば百メーター以内というようなことで自転車も相当多いというようなことにつきましては、こういった改築事業でやれるようになりましたので、この事業推進を含めまして、さらに警察庁と相談をしまして、面的な交通運用計画等を考えながら今後積極的に取り組んでみたいと考えております。
  35. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 ぜひひとつお願いいたしたいと思います。  それから、主要幹線道路が込んだり渋滞するものですから、どうしても裏の方に入っていって生活ゾーンの事故がふえるというのが実態でありますから、この一つ原因は、やはり私は都市部にバイパスを意欲的にやらないと解決しない問題だと思います。私の県でもバイパス構想が北の方から大館、能代南バイパス、刈和野、十文字、大曲、湯沢、金浦とたくさんありますが、一向に進んでおりません。ほとんど未着手であります。私はこれからの事故対策としては、バイパスをやはり非常にプライオリティを高くして緊急に整備していかなければいけないと思うのでありますが、ぜひひとつ、このバイパスの積極的な推進について必要なPRなり予算の確保なり意欲的な事業の促進を図るという観点で進めていただきたい。そういう点でひとつ御意見を伺いたいと思います。
  36. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、確かに交通規制だけではなかなか問題がありまして、通過交通がいわゆる集落の中心を貫通しておる、その町に関係のない車まで町中を通るというような場合、事故のおそれもございますし、バイパスの整備はきわめて重要な交通安全の一環かと思います。おかげさまで、今年度から発足いたします第八次道路整備五カ年計画も要求どおり二十八兆五千億が認められたわけでございますので、私ども今後ともこういった直接的な交通安全の歩道なり自転車道等それからバイパスの建設、こういった点につきまして、十分各方面の御理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
  37. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後に、時間がありませんので、自転車駐車場の問題についてお伺いしたいと思いますが、総理府の調査によりますと、五十二年の十一月にやったこの駅周辺の自転車の増大傾向調査が出ております。全国の駅周辺に放置される自転車台数が六十七万台、これは五十年末の三十万台に比べまして実に一年間で二倍にふえているという膨大な放置台数であります。この放置されたものが都市の美観を損ねたり、あるいは歩行者の安全を阻害したり、あるいははなはだしい例では緊急自動車の走行もままにならないという例もあります。これ自体が非常に大きな問題でありますが、これは何と言っても駐車場をつくってやらないと解決しないんじゃないか。これを駅側の責任だと言ったり、利用者に放置するなと言ったりしてみても、なかなか解決しないというのが実態でありますから、自動車の場合は公営のものもあるし民営のものもあってそれぞれ手厚い援助を与えている。起債の問題とか、あるいは無利子貸し付けとか、そういうものを都市計画駐車場にはやっております。あるいは民営の場合には開銀の融資とか公庫の融資とかやっております。  そこで最後に、この自転車駐車場につきまして関係各省においてはこれからどういう措置をとろうとされておるのか。五十三年の一月二十三日ですか、総理府の方からいろいろ通達が、民営自転車駐車場の育成を図るための所要の措置については引き続き検討するというようなことで、民営については引き続き検討ということで一向に答えが出てこない。公営駐車場についてはなかなか進まない。この五十三年の十一月の総理府調査では、国が設置、維持管理について財政措置を講ずべきだというのが二三・四%ということで、圧倒的に国がその財政上の責任を負ってやるべきだという調査結果が出ております。こういう問題を踏まえながら、簡単に各省からそれぞれ御答弁、これからの対策を伺っておきたいと思います。
  38. 渡部与四郎

    説明員渡部与四郎君) まず、公的な自転車駐車場については五十三年度より大量の自転車の放置があります人口四十五万以上の都市圏の駅周辺等におきまして、自転車駐車場を地方公共団体が都市計画事業によって道路付属物として整備する場合につきましては、国庫補助事業として整備できることにいたしました。五十三年度としましては、とりあえず三十六ヵ所ほど実施したい、五ヵ年としては約四百カ所ほど実施したいと、こんなふうに考えております。
  39. 平尾多久雄

    説明員平尾多久雄君) 地方公共団体が行います自転車駐車場の整備につきましては、従来から一般単独事業債という起債で自転車道整備事業として項目を設けまして所要経費について起債措置をしてきたところであります。一月二十三日付の本部決定に基づきまして都道府県の交通安全対策機関や並びに市町村なりといろいろ協議を進めておりますけれども先ほど建設省の方からお話がありましたように、五十三年度から駅周辺地域におきます自転車駐車場の設置の必要性にかんがみまして、新たに国庫補助対象とされましたわけでございまして、その地方負担額につきましては、一般公共事業債において起債措置をするように都道府県に通達いたしたところでございます。  なお、地方単独事業実施の要望がございますれば、従前に引き続書まして、必要に応じまして従来どおりの一般単独債で措置をする予定でございます。
  40. 植村香苗

    説明員(植村香苗君) 運輸省といたしましては、駅周辺の自転車駐車場の重要性にかんがみまして、四十八年に通達を出しまして、道路管理者あるいは地方公共団体から用地の提供の申し出がありました場合には可能な限り有償でこれに応ずるようにという指導通達を書いたところでございますけれども、二十三日に交対本部決定がおりましたので、さらに追っかけ、一月二十五日でございますけれども、各陸運局長あるいは鉄道事業者に対しまして、こういったことでございますので、交対本部決定の趣旨に従いまして、地方公共団体あるいは道路管理者から用地提供の申し入れがありましたときは、こういった交対本部決定の趣旨に従いまして、可能な限り事業計画と調整いたしましてこれに御協力するように指導通達を流したところでございます。  以上でございます。
  41. 野呂田芳成

    野呂田芳成君 最後に総理府の方にお願いでございますが、自転車駐車場はそれぞれ所管が非常に複雑に少しずつ各省にあるということでございます。事故件数も非常に多いわけでありますから、調整役になっていただいて、自転車事故の撲滅のためにも、ひとつぜひ自転車駐車場の整備の問題について、先般出された通達に即して積極的に整備を進めていただきたいということを要望して終わりたいと思います。
  42. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、本年度に入って事故が非常にふえている、特に交通安全週間事故がふえているということについていろいろとお聞きをしたいと思いましたが、自民党の野呂田さんがかなり聞かれましたので、その点の重複は一切省略します。省略して、中身についてもう少しお聞きをしたいと思いますが、数字的なことは野呂田さんの御質問で明らかになりましたので、それはそれで結構です。  そこで、総理府長官並びに交通局長は、昨年まで場合によれば年五%の減少を上回って減少しておったのが、ことしになってこのように急激にふえているということ、それから特に私は交通安全週間にさらにその増加率が多いということはどうしても理解できません。それで、いま理由を挙げられましたが、ちょっといま挙げられたような理由だけで、いわゆるどうも公共事業が盛んになってきたんだと、そこで事業用の自家用トラックにおける事故がふえているということなんでありますが、いま挙げられました死者数が少しふえているわけです。その死者数の、いまも申されたような、こういう――たとえば一つの事例としては事業用自家用トラックの事故というふうに、そういう区別をもう少し明らかにして、そしてこのような原因があるんだと、こういうことをひとつ指摘していただかないと、ちょっと野呂田さんの質問に対するやりとりだけでは私は説明がつかないと思うんですね。ですから、そういう点について、本年度大変このようなことについてふえているということについて心配をいたしていますから、その原因を少し説明をしていただきたいと思います。
  43. 杉原正

    政府委員杉原正君) まず、今年に入りましてから今日までの三ヵ月半といいますか、この期間のものと、安全運動期間のものと分けて考えてみる必要があると思いますが、まず、安全運動というのは先ほど言いましたように、非常に大幅に、二百三十一人と四十八人ふえたわけでございますが、この二百三十一人の十日間の春の安全運動の数字というものが、毎年春秋安全運動やっておりますが、過去どういう形で推移をしてきたかと言いますと、実は昭和三十三年から春秋の安全運動というのが始まっておるわけでございますが、この三十三年からずっと今日までの春の安全運動を見てみますと、この二百三十一でありますが、三十三年以来五番目に低い数字でございます。一番低かったのが昭和三十三年の百六十二人、去年の春が三十三年以降二番目に低かったわけです。非常に低くなりまして、去年の春が百八十三人、おととしの春が二百五十一人でございます。そういうことで、去年の秋がどうだったかと言いますと、去年の秋が二百二十六人でございます。そこで、去年が非常に低かったものですから、ことしとの対比でものすごくふえたような感じになっておりますけれども、三十三年以来の春の安全運動のあれとしては五番目に低い数字になっておるということが一つございます。決してふえ方がどうのこうのというんじゃなくて、もっと一人でも減さなければいかぬわけでございますが、いわゆる基調として物事を考える際に一応そういう実態にあるということが一点。  それから、私先ほど大ざっぱな点だけを申し上げましたので、確かに御納得いただけないと思いますので、ある程度この事故の基調を見ますときに、少し長い期間でありませんとあれでございますので、そういう分析ができているのが、ことしの三月末までの死亡事故につきましてはある程度の分析ができております。で、これについていたしますと、まず、歩行者自転車というものがどういうかっこうかということで御説明をいたしますと、歩行者全体としましてはマイナス八%死亡事故が減っておるんでございます。その中で非常に顕著な形で出ておりますのか子供全体――これは中学生以下でございますが、これが十一人プラス、それから六十歳以上の高年齢の方が三十人プラスということでございます。それから、自転車は、これは年齢層問わずに非常にふえておりまして、自転車死亡事故が去年に比べて二十三人ふえておるということで、これは特に子供の方の中学生は減っておりますが、幼児、小学生が十人この中でふえておる。それから、六十歳のところで二人ふえているというふうな状況がございます。それから、この死亡事故につきまして、歩行者自転車いろいろ含めまして年齢別で見ますと、六歳以下が十二人ふえております。七歳から十二歳が十三人ふえている、六十歳以上が三十三人ふえているということでございます。どうしてふえたかということの一つのいろんな問題を考える際に、どういうところが第一当事者になっているかと申しますと、数として減っているもの、ふえているものございますが、自家用乗用車というのが、これはちょっと細かい数申し上げて申しわけございませんが、この死亡事故の中で第一原因になったというのが八百八十四件、これはマイナス十七、パーセントにして約二%自家用乗用車の方は減っておりますが、特に多くなっておりますのが事業用貨物、これが百四十三の件数でございまして、去年に比べて二十三件、約二〇%ふえております。それから事業用の大型乗用、いわゆるバスその他でございますが、これが件数にして二十七件でプラス七件、これは三五%ふえておる。それから自動二輪、これは単独のケースが非常に多うございますが、自動二輪が九十五件、三十四件プラス、  これが五五・七%ふえているというふうな状況でございます。  一概に今日までのあれで何がと、こういうことは言えませんが、一応ことしになりましてから、一月は減りました。それから、二月も二十日ぐらいまでずっと減ってきたんですが、ちょうど二月の下旬から三月それから四月の安全運動、ここのところでふえておりまして、この数日また少し減っておりますので、この辺のところが、原因が何かというのがきちっとした形で私どもつかめない状況でございますが、このしばらくの間、この辺のところを現場のいろんな事例から実態をつかんで、早くこの原因を把握して次の対策を打ちたいというふうに考えております。
  44. 安恒良一

    ○安恒良一君 いま数日は減っているということですが、しかし新聞その他で見ますと、どうもこのような状況でいくと、ことしはさらに去年よりも逆戻りするんじゃないかという懸念があるわけですね。ですから、いまのことで少し中身はわかったんですが、さらにいままでの事故の発生がことしの場合どのようなところで起こったのか、それはどういうふうになっていますか。たとえば横断歩道があるのにとか踏み切りで起こるとかいろいろありますね、死亡事故が。事故の発生はどういう状況になっていますか。
  45. 杉原正

    政府委員杉原正君) これらの今日までの統計の仕組みで具体的な箇所がまだとれておりませんので、これは事故原票から逐次分析をしていきますので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  46. 安恒良一

    ○安恒良一君 私はそれはぜひ、いま言われたように何によって引き起こされたかということと同時に、一つはやっぱり事故の発生の地点それから時間、そういうものを全部総合的に分析をされないと、なかなか事故防止というのがならないんじゃないか。まあ、総理府長官退席されていますが、一生懸命原因を究明してとこう言われておりますけれども、抽象論では困るわけです。ですから、そういう点について。  そこで、ちょっといま数字調べていただいていますが、もしも総理府なり、それから警察庁の方でおわかりならお聞きをしたいんですが、私はわが国における事故一つ原因として、いわゆる歩く歩道が非常に少ない。たとえば、これは野呂田さんがイギリスの例をいろいろ引かれました。私もイギリスの例調べましたが、イギリスなんかではまず道を建設するときに、いわば極端に言えば、まず歩行者の歩道というものが先につくられる、そして道ができる。私の義理の妹がロンドンの商社の駐在員で、五年ぐらいで帰ってきてつくづく言うわけです。日本に帰ってまず何が目立つかと言ったら、歩道が少ないということが非常に目立つと、ヨーロッパで五年生活したら、こういうことなんですね。  そこで私は、日本におけるいろんな御努力にもかかわらず事故減少しない――大分減ってきておるんですが、その中に一つには歩道という問題が多くあるんじゃないだろうか。率直に言って大都会の中心部における歩道というのはある程度ありますが、中心部でもちょっと裏通りへ行きますと全然歩道とか、もしくは歩道がなければせめてガードレールをつけて歩道と車道を分ける、こういう点が非常におくれているように私は思えるわけです。ですから、まずその数字がもしも総理府なり警察庁で、国道それから県道、市町村道における歩く歩道のガードレールを含めて設置されている率といいますか、それがわかったら知らしてもらいたいと思います。
  47. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お答え申し上げます。  日本の道路の市町村道以上がただいま百六万キロほどございまして、そのうち約十六万キロ強これがいわゆる幹線道路になっております国道と県道でございます。この国道と県道は、延長で言いますと総延長の一六、七%しかないんでございますが、走っております車は、全国の交通走行台キロの七二%がここを走っております。こういうふうなところに先生指摘のように本当に歩道がほしいわけでございます。ただ、わが国の道路整備は、やっと第一次道路整備五カ年計画が発足いたしましたのが昭和二十九年でございまして、そういったことで、初めのうちは戦争中に荒廃しました道路網を何とか少しでも延長を伸ばそうということで、歩道をつけるような資金的な余裕がなかったということでございまして、モータリゼーションが進展をいたしました結果、特にその辺が目立つようになってきたわけでございます。  現在その歩道がどの程度あるかという点でございますが、主に国道と県道についてでございますが、約四万八千キロほどできております。そこで、長期的には私どもは市町村道まで含めまして全国で三十三万キロぐらいの歩道があれば皆様方の御要望にある程度こたえられる状態であろうと考えております。工十三万キロになりますと、いわゆる市町村道の中でも幹線的なもの、それから国道と県道、こういった基幹的な道路での平地部分でございますが、八割程度の設置率になるわけでございます。  そこで、今回五十三年度からの第八次五カ年計画におきましては、いまございます四万八千キロをとりあえずこの計画期間末の五十七年度までに八万キロぐらいまでは上げたいというふうに考えておるところでございます。
  48. 安恒良一

    ○安恒良一君 わかりました。  そこで、これは建設省だけでなくて総理府、警察庁に――総理府が総合的交通安全に当たられるんですから、私はぜひとも歩道の普及ということについて一遍建設省の計画計画で聞きましたが、ひとつお考えを願いたい。それはなぜかというと、自動車がふえると同時に自転車が、いまさき野呂田さんが言われたように、いわゆる安全で乗りやすくというよりも、どうも最近の自転車を見ていますと、スピードということが非常に――人間どうしてもスピード感を欲しますからね、それが非常に二段三段に切りかえられる、こういうどうも安全で快適というよりも自転車自体にスピード感がうんと設けられている。そうすると、いままで自転車というのはどちらかというと乗っておって被害者と言っていたのが、これがいまや加害者に変わっている。そうすると、特に自転車の場合は自動車と違って小回りがききますから、歩道の区別のないところでどうしても事故が起こるということも、私はどうも事故が死亡に至らないまでにしてもいわゆる負傷が減らない、減る率が悪いというのはそこにあるんではないかという気がしてならないんです。その意味から言いますと、私は、とりあえず歩道と、それから一挙に歩道を建設にいかれなければ、せめていまの既存の道において可能な限りガードレールをつくることによって歩行者を守っていくということについて、かなりのピッチを上げていかないと、なかなか私は、いわゆる交通規制、取り締まりだけでは、これから年率五%ずつ減らしていくと言っていますけれども、もうこれ以上減らないんじゃないかというふうな考えがします。それらの点について総理府はどういうふうに考え、もしくは今後どのように対処されようとしていますか。
  49. 三島孟

    政府委員三島孟君) ただいま先生指摘の点、まことにごもっともだと私ども存じておる次第でございまして、私どもといたしましても、総理府の立場といたしましても関係省庁と協力いたしまして今後その線に沿って努力してまいりたいというふうに考えております。
  50. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、この問題はこれぐらいにして、それから、交通安全週間に、比較すれば五番目だと、こう言われますけれども、私はわからないのは、私も交通労働者なんですけれども交通安全週間がほかのときよりも、区切ってみると事故がふえるというのはわからないんですが、それはどういうふうに考えられていますか。ことしはふえたといっても五番目に成績がいいんだというけれども、私は単なる比較論じゃないと思うんです。少なくとも国を挙げて交通安全と取り組んでいるときに限って事故がふえる、より事故率が高いというのがどうしてもわからない。その原因は何でしょうか。
  51. 三島孟

    政府委員三島孟君) 実は、まだ交通安全運動期間中の事故実態につきまして詳細な分析ができておりませんので何とも言えないわけでございますけれども一つには、いろいろ客観的な要因があったかもしれませんし、いま一つには、先ほど指摘ございましたけれども、あるいはこれまでのやり方に、一つにはやっぱりマンネリに陥った点がなかったかどうか、そういう点を含めまして私はいろんな角度から検討する必要があるんではないかというふうに考えております。
  52. 安恒良一

    ○安恒良一君 以上のことだけではわからないわけですが、しかしきょうはこれより以上このことを追及しても同じ答えだと思います。時間もありませんから、これ一遍ずっと過去から今日に至って、私はやはり何としても国民的に納得できないのは、交通安全週間というのはかなり事故が減るということだと思うんですが、それが逆にふえているということはどうしても国民的にも納得できないことですから、少しその点は分析をしていただきたい。また、いずれ日を改めてこの問題についてはお聞きをしたいと、こう思います。きょうはこのことはこれくらいにしておきます。  次に、バス専用レーンの問題について質問をするに当たって、まず前提といたしまして、一番最近の新しい自動車の総数、それからその中の自家用車の総数を教えていただきたいと思います。
  53. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) ただいま先生申されました車両の数でございますが、バスにつきまして申し上げますと……
  54. 安恒良一

    ○安恒良一君 いやいや、ぼくが言ったのは自動車の総数ですよ。それから自家用車の総数。
  55. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 自動車の総数が三千二百八十五万三千百六両でございまして、自家用自動車が三千百九十四万九千十両、営業用自動車が九十万四千九十六両でございます。
  56. 安恒良一

    ○安恒良一君 これは何年ですか、年数は。
  57. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) これは五十二年十二月末でございます。
  58. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうしますと、いわゆる自動車総数の中で自家用の占める割合というのは九七・八%になりますね、これだったら。そうしますと、今度は逆にそれじゃ四十二年度における自動車の総数と、それから自家用自動車はどのくらいでしたでしょうか。
  59. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 四十二年におきましては、総数が千百六十九万一千両、そのうち自家用自動車千百十万八千両、営業用自動車五十八万三千両でございます。
  60. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうしますと、四十二年から五十三年、約十年ですが、自家用の増加状況というのは三倍弱ですね。非常に自家用がまずふえている、このことの現状認識ができると思うんです。  そこで今度は、これも一番新しい年で結構ですか、三大都市圏――三大都市圏というのは御承知のように東京と、それから名古屋と、それから大阪等を中心にする三大都市圏に占める自家用の輸送量はどうなっているでしょうか。
  61. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 首都交通圏におきまして自家用乗用車の輸送量は、五十年度で申し上げますが、三十億七千四百四十八万七千人でございまして、全体が百二十八億三十八万八千人でございます。中京交通圏におきましては、自家用乗用自動車十四億二百五十三万七千人、全体が十六億八千五百十四万六千人、京阪神交通圏におきましては、自家用乗用自動車十八億五千七百五十万二千人、全体が六十億九千三百九十一万九千人という状況でございます。
  62. 安恒良一

    ○安恒良一君 そうしますと、一番新しいやつで自家用車の輸送量は、いわゆる三大都市圏においては約六十五億ぐらいの輸送量があるということが一つ明らかになったと思うんです。  そして、さらに東京の二十三区部、それから名古屋市、それから大阪市の中心部におきまして、自家用の輸送量はいま言われた六十数億の中でどうなっておるでしょうか。これは合計で結構ですから。
  63. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) まことに申しわけございませんが、いま先生お示しの地域におきます自家用乗用車の資料、ちょっと手元にございませんので、後刻提出させていただきたいと思います。
  64. 安恒良一

    ○安恒良一君 これもまたあれですがね、きょうはこういういわゆるバスレーンの問題を聞くからということはきのうちゃんと言っておきましたけれども、バスレーンの問題を聞く場合には、どうしてもまず自動車の輸送量というのが話題になることは、これは当然だと思いますね。ですから、いまないとおっしゃるならやむを得ません。私が手元に持っているやつちょっと資料が古いものですから聞いたんです。私が五十年度の資料で調べた限りにおいては、いわゆる三大都市圏に占める自家用車の輸送総量は五十年だったら六十三億二千三百万人ですね。そして、東京の区部、名古屋、大阪の中心部では三十四億一千四百十九万人と――これは五年の場合ですね、こういう実情になっている。ですからその後、いま言われたのは新しい数字ですから、これはまあ……。  しかし、いずれにいたしましても、いわゆる六十三億二千三百万に対して中心部の三十四億というのは、これで、中心部における自家用の自動車の輸送量が非常に多いということがまず具体的な数字として御理解いただけると思う。  そこで、さらに渋滞による速度低下、いわゆる一時間当たりにどのくらいの速度低下になっているのか。これは警察庁ですか。――ひとつそれを言ってください。一番最近の新しい、こういう三大都市圏、特に東京の区部とか名古屋市とか大阪市の中心部における渋滞による速度低下、一時間当たり、どうなっていますか。
  65. 杉原正

    政府委員杉原正君) いま御指摘の一時間当たりどうなっているかという数字をちょっと持ち合わせませんが、ちょっと例で申し上げますと、昨年の東京都内の主要道路につきまして、三百四十四交差点でこれは交通渋滞の時間をはかっておるわけでございますが、この三百四十四交差点の交通渋滞時間、一日平均が九百八十四時間ということで、これは五十一年に比べまして三・六%の増ということになっております。その他の都市におきましてもいろいろありますが、大体交通渋滞というものは横ばいないしは微増の状況でございまして、ただ、ここのところまたどうなっているか、最近の状況はちょっとわかりませんが、かなり動きは活発になっておりますので、少しは渋滞が上向いているかなあという感じはいたしております。
  66. 安恒良一

    ○安恒良一君 どうも、これもまた大変遺憾の意を表しておかなきゃならぬのですがね。渋滞の状況を議論するときには、やっぱり一時間当たりにどの程度渋滞するか、一時間当たりの渋滞キロというのが一つは指標になる。――時間もありますけどね。たとえばこれは私の資料ですが、これは五十一年度におけるいわゆる一時間当たりの渋滞による速度低下、これ大体十二キロと、こういうふうに――これは五十一年度の数字しか私は持ってないものですから聞いたわけです。ですから、こういうものも、きょうはこういう問題をやるということを言っているんですから、ぜひそういう数字は用意しておっていただきたいと思うんですね。バス専用レーンの問題を議題に挙げたいと、こういうことを通告しておきましたし――そうすると、自動車台数がどうなっているのかとか、それから速度低下が一時間キロ当たりどうなのかとか、そういうのは、これは常識なんですからね。私はたまたま五十一年度の数字を持ってましたけど、ないんですから、早急にひとつ。五十二年度というのはまだこの三月だということでできなければ五十一年度の数字でもいいわけですから。どうもちょっと議論がしにくいんですが、お手元に数字がないということですけど、五十一年度で私の方で調べましたところ、大体一時間十二キロ。これが今度は自家用と営業用自動車になりますと、これが非常に起因をいたしまして、今日地域住民にとっては最後の足と言われているし住民生活に密着しております一般路線バスですね、これの定時性の喪失といいますか、信頼性を失っている。そして、そのことで非常にバスが苦境に陥っている。これはバスが苦境に陥っている一つは、過疎地域においてはいわゆる人口の過疎化という問題ですが、むしろ私がきょう問題にしようというのは、大都会における今日の住民の足というものにバスが非常に重要なんですが、それがいま言ったように非常に定時性を亡失している、信頼性を失っている。そして、そのことでだんだん住民がバスから離れていっている、こういうのが現象だと、こう思うわけであります。  そこで、運輸省にお聞きをしたいのでありますが、住民の最後の足と言われている、そして住民生活に非常に密着をしている一般路線バス、これの輸送人員はすでに私は予算委員会で運輸省とやりとりしておりますから、きょう重ねてそのことを、数字を挙げようとは思いません、時間がもったいないから。しかしながら、率直なことを言って、だんだん輸送人員というのが減りつつある。しかし、たとえば三大都市圏におけるバスの輸送分担率は五十年度で約一六%ということですね、それから輸送人員は四十二億七千八百万人、こういういわゆる三大都市圏における輸送の分担率を持っている。これは予算委員会の中で明らかになっていますから、これは私の持っているのは私の手元の数字ですから、新しい数字があると思いますが、一応の傾向はこれでも読み取れますから、ここで細かい数字を挙げる必要はないと思います。こういうような重大な輸送を果たしているんですが、しかし全体的に見ますとバスの輸送量が年々減少している。それは非常に自家用の増大が最大の原因だというふうに実は考えるんでありますが、いわゆる三大都市圏におけるバスの全体の交通量に占める割合が年々減少している、こういうことについての原因についていま私が何点か挙げたと思いますが、運輸省としてその点はどういうふうにお考えになりますか。
  67. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 私どもとしましては、ただいまの三大都市圏における交通体系という場合に、やはり公共輸送機関を優先させ、これを核として住民の足を守っていく、こういう基本立場でございまして、したがって地下高速鉄道を中心としてバス輸送をこれに有機的に組み合わせる、こういう考えでありますが、残念ながらいま先生申されましたように、バス輸送人員の減少、こういう傾向になっております。  そこで、私どもとしましては、やはり自家用自動車増加に対しまして、これに匹敵するような公共輸送の魅力を持たせる施策が必要だろう、こういう考えで、もちろん需要の伸びているところに対しましては輸送力の増強をいたしてまいりますが、こういった小まめな需要が多様化しておるわけでありますから、それに応じられるような路線をまず配置していこう、従来の路線のままでなくて、これを合理的に編成していこう、こういうことを考えておるわけでありますし、   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕 また深夜等におきますバスの終車の延長とか、またデマンドバスの導入とか、こういうことを考えておりますが、総じては自家用自動車からの旅客のバスへの流動ということに尽きると思います。また、先生も申されましたように、バスの信頼性の回復ということで、この場合にはやはり低床式の広ドアのバスを導入して、また運行の表示等につきましてもわかりやすさを向上していく、そして基本になりますのは、運行速度を向上していく、正確な運行ということを前提にしませんと、利用者の信頼というものはかち得られませんので、これについては運行速度の向上ということで対応していこう、こういうことでございます。
  68. 安恒良一

    ○安恒良一君 いま言われましたように、何点か挙げられましたが、私は定時性の喪失と信頼性の喪失の最大の原因が、いわゆる三大都市圏、特に東京区部、名古屋、大阪等の中心部における渋滞にあると思う。信頼の一番喪失の原因は何かというのは、定時性の喪失、信頼性の喪失ということが、いわゆる――それはなぜかと言うと、いまさっきも申し上げたように、やはり渋滞によるところの速度低下というのが年々激しくなってきておるわけですね。これはいま御数字をお持ちでないというから、これは論争しにくいんですけれども、これは数字を拾ってもらえば、年々公共交通機関が渋滞によって速度が低下していることは、これは間違いないのです。たまたま私の手元にある五十一年度では、一時間当たり十二キロいわゆる速度低下をしていると、こういう資料が出てきているわけですね。ですから、私は、その意味から言うと、二つのことについてこれから質問をしたいんですが、これはひとつ私は三大都市圏、特に東京で言うと二十三区、名古屋市、大阪等の――東京のように何区となかなかやりにくいものですから、いわゆる中心部というふうに便宜的に呼んでおきましょう。そういうところにおける、いわゆる自家用の総量規制、このことについてもうわが国は真剣に考えるところに来てるんじゃないだろうかと。率直なことを言って、いまやわが国の交通政策の中で、自動車政策の自家用というのが野放しにふえる。ところが、これまた私、アメリカやヨーロッパ各国、社会主義、資本主義の国を問わず、こういう問題について研究してみましたが、やり方はいろいろあります。ありますが、いわゆる大都会において自家用を野放しにふやしているという国は、これはむしろ見当たらないのです。いろんな規制をやってます。   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕 こういう問題についてどのようにお考えになるのか。これはまあ総理府がお答えになるかどこになりますか知りませんが、まずこの大都会、特にいま申し上げたこの三大都市、さらに行く行くは政令十大都市ですか、いま、十一か十二の都市における中心部の自家用のいわゆる総量規制という問題についてどうお考えか。このままで野放しでいいんだろうか。これは交通の安全の面からいっても交通渋滞における国民的な時間のロス、それから特に国民の足としての公共交通機関であるバスの輸送確保、こういうような観点から言っても――いまの場合自家用を野放しにしている。野放しというのは言い過ぎかもわかりませんが、国民的に見ると全く自家用のふえることについて野放しになっている。この点についてどのようにお考えになっているのか、考えを聞かしてもらいたい。
  69. 三島孟

    政府委員三島孟君) ただいま御指摘の問題、いろいろむずかしい問題もあることでございますので、総理府といたしましては昭和五十一年度から御予算をお認めいただきまして、都市におきます交通量の抑制に関しまして総合的な調査を進めておるところでございます。
  70. 安恒良一

    ○安恒良一君 警察庁はどうですか。
  71. 杉原正

    政府委員杉原正君) 現場を直接預からしていただいている立場から申し上げますと、いまのような形で無制限に車が都心に集中をするというふうなことはいろいろな意味から、むしろ交通安全の面から、先ほど指摘がありましたように当然でありますが、国民経済全体の面からいっても大変なロスがあるということを感じます。ただまあ私ども現場的にやり得る措置として、これ、規制という場合に、直接規制それから間接的な規制、両方あると思います。その直接規制として、この車はいいとか悪いとかというふうな形は、これは非常に現実的な手法としてむずかしいという面がありますが、いまやっております一番間接的な抑制としては、都心部の駐車禁止というものを全面的にかけているわけでございますが、この車をとめる所がないから乗用車で行くのをやめようというこれ、抑制にはうんと働いておると思います。それ以外に、いろいろなやり方の――これも間接になりますけれども、後ほど話が出ると思いますが、たとえばバスの専用レーンあたりをつくって、レーンは一本はある時間帯じゃもう乗用車はここへ入らせないと、そのレーンには入らせないということになれば、もう朝、特定の時間帯非常に込みますから、込むことによって逆にやめようというふうな形でいま対応をしておりますが、やはりその全体的な公共用輸送機関の整備――鉄道、地下鉄、バス、そういうものの再編成というふうなことによって、だんだんに乗用車からそういう公共輸送機関に移ってもらうということが今後のやはり交通施策としては非常に大事じゃなかろうかなということを痛感をいたしております。
  72. 安恒良一

    ○安恒良一君 運輸省はどうですか。
  73. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) 私どもとしましては、やはりこの問題について、いまも御答弁がありましたように、経済的負担による方法あるいは直接的な規制による方法等あろうかと思いますが、私どもとしては、第一には、やはり公共輸送機関中心の交通対策というものを大都市においては確立していく、こういう前提に立ちまして、たとえば道路空間なり、こういったものを公共輸送機関の利用に重点的に傾斜させていく。そのことによりまして、まあ自家用自動車としては逆に利用が制約されると、こういうことになろうかと思うわけであります。しかし、この考え方は、第二として、私の担当しているのはバス輸送でありますが、これに限らず、先ほども申し上げましたが、公共輸送機関としての魅力を持たして、そして自家用自動車から公共輸送機関へ流れると申しますか、利用をそうおっくうがらずにできるというふうに持っていかなければならないという考えでございます。
  74. 安恒良一

    ○安恒良一君 交通安全室長が都市における交通量のいま調査中だというが、私はこのように考えますし、ぜひともやってもらわなければならぬと思いますのは、まず私はこの三大都市圏なり政令十大都市における自家用の交通量の規制というものはもうやるべきところにきているんじゃないか。その一つば省エネルギーの問題ですね、これは。わが国にとって、いわゆるこれからの七〇年代から八〇年代におけるエネルギー問題というのは非常に重要な問題でしょう、これが一つ。それから第二番目には、いわゆる十大都市圏なら都市圏におけるところの交通渋滞からくるところの時間のロスというものですね、これは国民経済観点から非常に大きな問題だと思う。それから第三番目には、いわゆる自家用自動車がふえますと、いろいろの、COその他についての規制を次から次に車両にかけていますが、公害という問題ですね。いずれの観点からとりましても、私は率直に言って、自動車の総量規制ということに踏み切るべきときにきている。ただ、このことは、わが国の政治としていままでなし得なかったのは、第二次世界大戦後自動車産業の育成という問題等があり、しかも自動車産業というのは広範に鉄を初めとするたくさんの関連産業を持っていると、こういうことで、なかなか政府・自民党が思い切らなかったと思う。しかし、今日わが国における自動車産業というものは、もうアメリカに次ぐ力を持っています。ですから、もう保護育成という段階ははるかに過ぎている。そして、国民生活にとっては、いま私が言ったようないわゆる問題点がある。省エネルギー、時間のロス、それからいわゆる安全性の問題、公害の問題、そしてヨーロッパ先進諸国を見ますと、やり方、方法、手段はいろいろありますが、野放しにやっているという国は余り見ません。しかし、わが国だけはいままあ調査をしていると、こういうことですね。ですから、私はまずそういう点については、やはりこれは各省にまたがることなんですから、総理府が担当だろうと思いますが、早急に、ぜひもうとりあえず、たとえば三大都市圏なら三大都市圏における自動車総量の規制について、私はやっぱり考えを進めてもらいたいと、こういうふうに思います。これが第一点。この点をどう考えるか。  それから第二点目は、しかしそれはそう言いながらいますぐできないということになると、当面の中でやれることは何かということなんですね。そうするといま交通局長が答えられましたように、一つは私は率直なことを言うと、車を持つことが不便だという感じを持つ以外にないと思うんですね。これは日本全国のことを言っているわけじゃありません。いわゆるそういう三大都市圏であるとか政令十大都市における車の利用ということが大変不便だということを感じる以外にはなかなかいまのやつでいま総量規制をすぐできないとすれば、やれることはそれしかないと思う。そうしますと、一つはいわゆる駐車問題を徹底的にやると。ところが、都心における駐車問題をやっているというふうに言われていますが、私たちが見る限りにおいて駐車違反の取り締まりということは非常に不十分ではないかと。たとえば極端なことを言いますと、公営以外の民間の駐車料がかなり高いと。そうしますと、銀座とかああいう真ん中の方に行きますと、金を持ったやつは駐車違反とられても金で済むことだと、こういうような思想がありはしないかというふうにかなり見られます。そして、本来二車線、三車線が使えるところがそれがために一車線しか使えないというようなことが大都会においてはもう随所において見受けられるわけですね。本当に駐車違反という問題について徹底してやられているのかどうかと、こういう点について第二番目に質問をします。で、特にこれは、こんな話もあるわけです。第一線の警官にある程度聞きましたら、一生懸命やっていると、ところがある段階になると少し緩めろというようなことか出てくると――うそかほんとか知りませんよ。地元の商店街からの突き上げとかいろんなことがあって、それで情熱を失うというような話すら――これは「話すら」ということにしておきますが、あるというふうに私は聞いています。ですから、依然として大都会の中心部における駐車問題というのは全然私は改善をされていないようでありますが、この問題はただ単なる総量規制の問題だけじゃありません。交通安全の角度からいっても無法駐車というのは問題があると思いますが、この二つの点についてお聞きします。
  75. 三島孟

    政府委員三島孟君) 都市におきます自動車交通量の抑制の問題につきましては、当面の対策につきましては、警察その他それぞれのお立場でいろいろ対策を講じておられるところでございますけれども、これは私から申し上げるまでもなく、この交通量の抑制の問題いろいろ問題が多くございまして、これを推し進めていくということになりますと、都市における居住活動あるいは業務活動等のそうした都市活動に与える影響が非常に大きいわけでございますので、やはり交通規制とあわせて都市行政あるいは運輸行政、こうした施策を総合的に行うことが必要だろうというふうに考えられるわけでございます。この場合、地域住民なり、あるいは事業所の居住活動、業務活動への与える影響というものは無視できないものがあるわけでございますので、地域住民等の全面的な協力なしにはその効果は期待できないという面もございます。したがいまして、これらの施策をどの範囲まで進める必要があるかどうか。抑制の影響の範囲等の問題点についていろいろ研究する必要があろうということで、先ほど申し上げましたとおり、私ども関係省庁と協力いたしまして、都市交通量の抑制の問題について総合的な研究を五十一年以来引き続き研究を進めておるということでございます。
  76. 杉原正

    政府委員杉原正君) 都心の駐車禁止とこれに対する対応の仕方というのは、これは私どもがいま一番頭を悩ましている問題点一つでございます。これ、乗用車を中心にいたしまして交通総量を削減するという意味から都心の駐車禁止というものをかけて担保したい、片方で車は無尽蔵につくられるという実態がありますがゆえに、私ども限られた人員で、たとえば全国での統計が大体ございますが、昨年あたりで千二百万件の取り締まり、そのうちで二百万件が駐車違反なんでございます。東京などでもかなりやっておりますが、各所の駐車の実態調査、それからヘリから上から、一体どのくらい一日駐車禁止場所に駐車をしているのかというのを撮りますと、われわれがやっている取り締まりの件数というのはほんの涙の一しずくという感じでございました。それで、具体的なその現場の処理からいっても、車を使う以上はどこかへとめなければ仕事にならぬという乗用車の一つの持っている実態、効用というものがあるわけなんです。片方で使用は許している、車をとめなきゃ仕事にならぬじゃないかという実態が片方にあるものですから、これは何とか徹底をしたいという、また私ども限られた人員の中でこれを今後もさらにやっていかなければならないと思いますが、基本的にはそういう車の使い方というものが無制限になっているという実態が片方にある、車はどんどんつくられるというふうなことで、人員は限られているというふうなことになりますと、また駐車場の適正配置などというものも決していまの段階では十分なものではないというふうなことを考えあわせ、片方ドライバーの方の意識から言いましても、何だ駐車違反ぐらいのことでこんなにと、こういう現実に意識があることも事実でございます。私どもドライバーに対するいわゆる安全広報といいますか、教育というふうなものの足りなさをつくづく感ずるわけでありますが、また現場的なその交通違反の処理にいたしましても、たとえばある商売をやっている人が銀行の手形が落ちるので、やっと銀行にぎりぎり来たと、そこへ一応車を置いておいたというふうな場合には、やはりよく事情も聞かなければいかぬケースも具体的には出てまいります。そういう車自身が遊びでなくて、車の日常の商売、営業、そういうものの実態そのものにこうなっておりますゆえに非常にむずかしい面はございますが、先ほどの御意見を十分体しながらこれからもこの駐車違反の措置あるいは駐車対策というふうなものについてさらに本腰を入れて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  77. 安恒良一

    ○安恒良一君 ぼくは総理府の方に要望しておきたいんですが、五十一年度から研究してます研究してますって、大体その研究の結論はいつおりるんでしょうか、研究を五十一年度からやっているというんですが、大体めどはいつですか。
  78. 三島孟

    政府委員三島孟君) この総合的な調査研究は五十一年度から三年間の計画で進めております。したがいまして五十三年度に結論を出そうということでございます。
  79. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、五十三年度には結論が出るそうですから、いま言われたように、まずそれをしていただいて、その上で速やかにやはり総合的な対策をぜひ立ててもらいたい。でなければ、私は、いま交通局長も言われましたように自動車の製造は無制限に行われる、そして野放しでふえていくということは、わが国の経済活動、国民経済観点からいっても、もう放置できないところに三大都市圏なんかではきつつある、また現にきていると、こう思います。ですから、どうかそういう点について……。  そこで、最後の問題になりますが、公共交通を確保する一つの手段として考えられました知恵がバスのレーンの設置ということなんですね。そこで、現在バスの優先レーン、それから専用レーンがどれだけあるのだろうかと。それから、いわゆるバスの専用の道路ですね、こういうものがどれだけあるのか。一番新しい統計でひとつ区間数、延べキロ数等をひとつ説明していただきたいと思います。
  80. 杉原正

    政府委員杉原正君) 昨年の十二月末の時点で申し上げたいと思います。  バスの専用レーン対策実施しております自治体は、東京、大阪を含めまして現在全国で八十六都市で行われております。  区間について申し上げますと、バスの例の専用通行帯でございますが、これが四百六十八区間、八百十二・八キロでございます。それから、バスの優先通行でございますが、これが三百四十六区間、五百七十七キロ。それから、バスの専用道路というのが一部ございます、これが百五十五区間、百四十・七キロ。トータルいたしまして、このバスの専用、優先等を含めまして九百六十九区間、千五百三十・五キロというのが実情でございます。
  81. 安恒良一

    ○安恒良一君 それじゃ、今後のバスレーンの計画はどうなっていますか。いまのはいわゆる五十二年十二月現在だというのですが、今後のバスレーンの計画をどうお持ちになっていますか。
  82. 杉原正

    政府委員杉原正君) このバスレーン対策、バス優先対策というのが都市の交通総量抑制に非常につながりがございますので、これはもう今後も条件さえ許せばどんどん実施をしていきたいというふうに考えております。で、バス優先信号機等につきましても、五十三年度予算でも約百基お認めいただいておるわけでございまして、これらと併用しながら今後推進していきたいと思いますが、ただ、いま何カ所というのはいろんな道路の条件で必ずしもいま数字として申し上げられませんが、各都市でいま検討いたしております。
  83. 安恒良一

    ○安恒良一君 これはやはり警察庁と総理府、運輸省なんかとの関連の中で道路の状況で何カ所となかなか言いにくいということですが、私は、やはり今後のバスレーンをどのように大都市においてはふやしていくかという、やっぱり計画性を持つべきだろうと思う。これは簡単に線を引けばということじゃないんですから、場合によればそれなりに相当のやはり費用もかかることです。ですから、私はやはり公共交通を確保するということになると、今後のバスレーン計画というものを、やはりある程度年次計画等をもってやっていただかないと、率直に言って、なかなかバス専用レーンというのがふえていかないと思いますから、その点を強く要求します。  それから、いま一つ、せっかく専用レーンなり、優先レーンをつくられましても、それが守られているかどうかということの指導、監視ですね、それが十分いっているところは、現地を見てみますと非常にうまくいっている。ところが、一応そうされているけれども、自家用がむちゃくちゃにふえていますから、取り締まりが十分でないなり、指導が十分でないところはどんどんまた乗り入れて、せっかくつくった専用レーンが用をなさないとか、逆に交通渋滞になる、優先レーンなんかの場合に。そういう現象がしばしば見受けられます。これらの問題点についてどうお考えになっておりますか。
  84. 杉原正

    政府委員杉原正君) 最初の御質問の件でございますが、先ほど運輸省からもお話がありましたように、このバスの再編成みたいなものとのかかわり合いも出てまいりますし、各現地では自治体、それから運輸当局等々と十分相談をしながら、できるだけ計画を立てるような形で推進をしておるわけでございます。  それからこの専用、優先の担保の問題でございますが、私らも限られた人員の中での担保でございますので、全部が全部十分な担保措置が講ぜられているというふうに言えない面もありますが、この点はさらにわれわれも努力をしていかなければいかぬと思いますが、同時に、やはり特に専用レーンなどを確保する際には、バスの間隔というものがある程度続いてまいりませんと、もう見ても全然一台も来ないところに乗用車は一切入るなと、こういう指導が非常に現場的にはむずかしい。それがまた運輸行政のむずかしい一面でもあろうと思いますが、よくその辺は運輸当局とも相談し、協力をし合いながら実効を期するようにしていきたいというふうに思っております。
  85. 安恒良一

    ○安恒良一君 時間が来たから終わりますが、私はせっかく専用レーンなり、優先レーンがつくられた場合には、それが十分に活用されるように、まあ担保という言葉を使われましたが、ぜひそういう点の指導をしていただきたいと同時に、都市によっては非常に専用レーンにおける交通例でモデル的にうまくいっている都市も知っています。それからそうでない都市も逆にありますから、どうかもう一回、せっかくつくられた専用レーンについては検証されて、うまくいっていないところはどこに原因があるのか、やはり私は担保の問題だと思いますが、そういう点についての指導強化を一層強めていただきたいということで私の質問を終わりたいと思います。  以上。
  86. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 さきに行われました春の全国交通安全運動の結果と、それから、今後の交通安全政策、その対策についてお伺いしたいと思いますが、まず、今回の交通安全運動期間中の成果についてお伺いするわけですけれども、承るところによると、残念ながら死者の数が二百三十一人、全体として余り芳しい成績ではなかったというふうに承っておりますけれども、今回の結果をまとめて御説明願いたいと思います。
  87. 杉原正

    政府委員杉原正君) 今回の春の安全運動期間中の死者二百三十一人ということで、前年の春の安全運動比較しまして四十八人、二六・三%ふえております。負傷者につきましては一万三千八百十二人で、前年の春の安全運動比較いたしまして三百三十三人、二・五%増という結果になっております。
  88. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この死者の数だけ見ましても、昨年の期間中と比べまして四十八人ですか、ふえているわけですけれども、今回の期間が全体として余り芳しくない成績に終わってしまったという何か特に原因があるわけでしょうか、お伺いします。
  89. 杉原正

    政府委員杉原正君) この十日間の数字でございますが、この十日間の中をいろいろ見ておりますと、ある県で乗用車に乗っていて追い越しをかけて、乗用車の中に乗っていた五人が一遍ほんと死ぬとか、そういうふうな特異なケースが幾つかあるものですから、すぐにこれが原因ということが言えない点もあろうと思います。ただ、私どもが反省をしなければならないのは、車、ドライバーがこれだけふえ続ける中でずっと抑え込んできております。やってきておりますが、次から次に新しい工夫をしていきませんと、マンネリになるという面もございますので、今度の春の安全運動のやり方については、ひとつ詳細をよく分析をしまして、運動として何をどのような形で進めていったらいいのかというふうな事柄等について、現場の資料を提供しながら、今後そういうことを中心に検討をしてみたらどうだろうということを考えておるわけでございます。
  90. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 仰せのように、交通安全運動というものをまたことしもやってるなという程度の関心しか一般の人たちにない。私自身がそんな感じをいたしておりますので、恐らくこんなことがマンネリ化したことであり、当局では一生懸命張り切ってやっておられるかもしれぬけれども、一般の人の関心というものは非常に薄い。ですから、いまあなたのおっしゃるように、ある程度、何と言いましょうか、もっと関心を高めるようなやり方をとることも必要じゃないかと、そんなふうにも思われるわけでございます。  今回運動重点一つ歩行者自転車利用者事故防止があったわけでございますけれども、「まとめ」によりますと、死者のうち三十三人が自転車利用者による犠牲者となっております。この公道上におきまする自転車がいかに危険なものであるかということは、申し上げるまでもないわけですけれども自転車利用者事故防止対策というものはどんなものか、またどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  91. 杉原正

    政府委員杉原正君) 確かに、この自転車の問題これは車の数よりも自転車台数の方が多くなって、しかも利用は非常に活発になっております。それに対して安全教育はどうかということになりますと、一般の自動車ドライバーというのは、免許を取るものですから、いろんな形で道路交通法を教わったり、いろんな交通マナーの問題を知ってもらう機会があるわけでございますが、自転車につきましては、道路交通法に定められているルールというものを教えるいわゆる仕組みというのが、組織的体系的なものができてない。それだけに、そういうものがどんどんどんどん道路交通の場にふえていくということが一つ大きな問題だなあという感じがいたしております。これはもう学校教育社会教育、いろんな機会をとらえて組織的・体系的にやっていく工夫が必要であると思います。同時に、自転車について道路交通法上きちっとしたルールができておるだろうかということを私ども前から考えておったわけでございますが、自転車について軽車両の一部ということで、自転車のことも数カ条書いてありますが、本当に断片的にしか書いてない。そこで、道路交通法の上で自転車はどうあるべきか、どういうことをどう守らなければならぬのか、安全上どういうことが大事かということをいろいろ過去の事例から取り上げてみまして、それをやはり道路交通法の中で明示をして自転車の道路交通法の中での地位を明確にすべきであるということを痛感をいたしたわけでございます。この自転車ども、一体道のどこをどういうぐあいに横断したらいいのかというようなことが全然はっきりしてないというふうなところもあったことを私ども反省をいたしておりまして、そういう点を含めまして、今度道路交通法の中で一つ自転車の節を設けてはっきりさせて、安全対策に役立てたいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 やっぱりいまの自転車交通ルールと言いましょうか、それは立てる必要はあると思いますし、特に自転車自動車というものの結びつきにおいて対応できるようなルールが必要じゃないかと思いますが、もちろんそのことについては、当局では相当程度お考えになっていると思いまするが、同時にやはりルールを確立する以上は、ペナルティと言いますか、罰則ですね、これはつくるべきだと思いますが、その辺のところはどんなふうにお考えですか。
  93. 杉原正

    政府委員杉原正君) やはり自転車も、従来道路交通の場では自動車が多いですから、確かに弱者であることは間違いありませんが、酔っぱらってふらふらになって自転車に乗ってるとか、自転車で信号無視をするとか、あるいはブレーキのきかない坂道から自転車に乗って道路にキューッと突っ込んでくるというふうなケースもかなり見受けられます。そういう意味で、数は多くはありませんけれども自転車にも実は赤切符を切っておるようなケースもあるわけでございます。  ただ、自転車の場合には、基本的な考え方としましては、警察官なり街頭巡視員が一遍注意をしまして、その注意をしてもなお聞かないで信号無視なら信号無視をする、そういうふうなケースについて初めて罰則を適用するというふうな考え方をとっておりますが、これは基本的にはやはりそういう考え方でいくべきものではなかろうかというふうに思っております。
  94. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 結局、罰則といっても、まさかびしびし自動車並みに適用して罰金をどんどん取るとか、免許証を取り上げる――まあ、免許証はないわけだけれども、そういうようなこともできないから、対策としては非常にむずかしい、やりにくい差もございますけれども先ほど局長言われたように、やはりある程度の教育でしょうか、自転車に乗る人に対する教育というものは非常に必要じゃないかと思いますので、これに対するしかるべき対策も講じていただきたいと、このように思うわけでございます。  これに対しまして、地域に自転車安全教育指導員というのがおるようでございますけれども、この人たち事故防止教育に当たっているわけですけれども自転車通行の安全教育の普及を考えますと、こういった人たち指導員人たちがやはり機能的に活動してくれる、そこで初めて効果が出てくると思いまするけれども、この安全教育指導員の方々の活動状況というのはどんなふうになっていますか、もしおわかりでしたらお知らせ願いたいと思います。
  95. 杉原正

    政府委員杉原正君) 全日本交通安全協会というのがございまして、ここに自転車安全教育推進委員会というのがあるわけでございますが、ここでいわゆるいろいろ研修をいたしまして指導をやっていただく認定登録を受けた自転車安全教育指導員というのが、本年の三月末現在で全国に約五千九百四十人ばかりおります。これはいろいろな方がおられますが、自転車販売業の方あるいはそれの従業員というふうな方が多うございまして、売ると同時にやはり安全教育もやっていただくということで措置をいたしておるわけでございます。  ちなみに、五十二年、去年に実施いたしましたこういう方々によります自転車安全教室というのは三十一都道府県、本年度は四十七都道府県でやるという計画になっております。
  96. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 それから自転車そのものの安全点検ですね、これについてもやはり自転車対策として必要なんですけれども、これは業界の関係団体などの協力を得て計画的にやっているというふうに聞いていますけれども、この方も同様にそれぞれ各地で地域的にやっているわけでしょうか、具体的に何かありましたらお知らせ願いたいと思います。
  97. 杉原正

    政府委員杉原正君) これは自転車の安全点検につきましても、自転車業界関係団体の方々の協力を得まして、定期に街頭自転車指導所というものを設けまして、自転車のブレーキ、ハンドル、ライト、尾灯等の整備状況を点検をして、不備なところは現場で修理するか、あるいは事後、業者の方で整備をしてもらうように指導をやっております。特に安全運動などのときには、こういうものをかなり取り入れてやっておるわけでございます。ただ、やっておりますが、依然として、夜、ライトのつかない自転車に乗っておるとか、あるいはブレーキが全然きかない自転車があるとか、尾灯が壊れたままでというのがあるわけです。自動車の場合ですと、そういう整備不良車両というのは運転してはならぬという保安基準がありますが、自転車は全くそういうものがないものですから、その辺のところを必要最小限度の手当てを今度しようというので、今回の道路交通法の改正の中に一部そういう点も盛り込んでおるわけでございます。
  98. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 今回の春の全国交通安全運動の結果を踏まえまして、今後の対策に、どのような態度対策に取り組んでいくかというふうなことが必要だと思いますけれども交通警察の今後の運営のあり方、どのような施策を推進していかれるのか、方針をお伺いしたいと思います。
  99. 杉原正

    政府委員杉原正君) 道路の整備というものとあわせまして、車がだんだんふえる、ドライバーがふえるということで、一昔前と違いまして、本当に大量交通時代というか、国民皆免許時代というか、そういう時代にまさに入ろうとしているときでございます。したがいまして、われわれの、いわゆる交通警察が一握りの陣営でもってやっていくにつきましてはおのずと限界があるわけでございます。そこで、基本的には、いわゆるドライバー対策というもの、単に運転が上手下手というんでなくて、要するに車を持つことの社会的な責任、使うことの社会的な責任というものを本当に自覚してもらうような運転者対策というふうなものが必要であろうと思いますし、同時に、三千七百万に達する個々のドライバー街頭で、ということについてはおのずと限界もございます。  そこで、幸い、この三年に一遍の更新などという機会もありますし、あるいは違反があった場合には、違反者講習というふうないい機会も与えられておりますので、こういう点の機会をさらに活用さしていただくと同時に、いまほとんどのドライバーというのが、いろんな企業とか事業所で勤務をしている。いま車を使わない企業所はないような状況でございますので、この企業の安全運転管理というものを民間の立場推進していただく、こういうことを徹底をしていって、働く側のドライバーとして過酷な違反をしなければ運転ができないようなことを下命したり容認したりするようなことがあってはならない、そういう点の企業での安全管理の徹底というふうなもの。それからもう一つは、やはりそういう自転車もそうでございますが、自転車利用者安全教育というものを、これは私どももやるべき分野についてうんとやっていかなければいけませんが、やはり学校教育とか社会教育とか、そういう万般の仕組みの中で、交通安全の問題というものが定着するような仕組み、内容、そういうものについて、これからうんと積極的に取り上げていくべきものではなかろうかというふうに考えております。
  100. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いろいろと対策もお持ちのようでございますけれども、特に私は、交通事故の発生原因の一番肝心なポイントというのは運転者そのものだと思います。したがいまして、国民皆免許時代到来というふうに言われておりまするけれども、この中におきまして、運転者的な要因であるということをポイントとしますると、やはり運転者教育というものが一番肝心であり、それを充実していくことが一番大切だと思いまするが、この運転者教育の充実については、いまおっしゃったように、三年ごとの検査もございますし、いろいろいままでも対策を講じてこられたわけですけれども、さらに何かユニークな対策お持ちですか。
  101. 杉原正

    政府委員杉原正君) 私どもいろいろ過去のやり方を考えてみますと、昭和三十五年に道路交通取締法というのが交通法になってきたわけでございますが、いままでの仕事の対応の仕方を私ども警察の分野で見ておりますと、いままでどちらかというと、一番最初ありましたのが交通取り締まりということからずっと入ってきました。それから、取り締まりじゃとてもだめだということで、今度は物的な面で安全施設、安全投資という考え方でやってきたわけです。いまそういう面で私は一番立ちおくれているなと思っているのは、やっぱりドライバー対策だと思うのです。いま確かに三千七百万のドライバーの方が対象ということでございますが、幸いにこれだけの大きな行政を預からしていただいておるその中で、たとえば三年に一遍更新にお見えになりましても、数での処理になるもんですから、まるで物を処理するような形の更新時講習、その他の流れ作業みたいなものになっておるわけでございます。たとえば、通常、乗用車を運転する人も、トラックを運転する人も、無事故無違反で来た人も、違反のあった人も、皆、同じ教室に入れて、同じような映画を見せているというふうな実態があるわけでございますが、やはりトラックはトラックなりに守っていただく事柄、これは乗用車とまた違ういろいろな面がございます。そういうふうなことをもう少しきめ細かくやるような仕組み、内容、そういうふうなものを考えなければなりませんし、それからもう一つは、先ほどのお話しと関連をいたしますが、いまは、たとえば更新時講習がありましても、無事故無違反の人も、大きな事故をやってこられた人も、一緒にやっておりまして、処理をするのは違反をした人だけを処理をしている。まじめに何年も無事故、無違反でやってこられた人に対しては何にもやっていない。むしろ、そうでなくて、そういうまじめな人をもっと社会的にもあるいは経済的にも顕彰したり、メリットがあるような、そういう仕組みを取り入れる。ちょうどタクシーなんかに優マークというのがありまして、これが非常に誇りになっておるわけでございますが、ああいうふうな励みになるようなドライバー対策というふうなものもこれから行政面では考えていかなければいけないのかなということを――むしろ違反をこれだけやっておりましても、無事故、無違反の人がドライバーの中の圧倒的多数を占めるわけでございまして、やはりこの人たちの理解と協力というものが基本的にあるような施策でありませんと本当の意味の道路交通の秩序とか安全とかというものは保てない、そういう時代に入っている。それにふさわしいような行政をやっぱり進めていかなければならぬのじゃなかろうかということを非常に痛感をいたしておるわけでございます。
  102. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この運転者教育あり方を考えた場合に、最近の自動車免許を取得する者の一〇〇%、ほとんど全部が指定の自動車教習所の卒業生であるということ、この現象を考えますと、初心運転者教育、これが非常に重要な性格を持っておりますので、この指定自動車教習所の役割りは非常に大きくなっておるわけですが、このような事態の対応策はどのように考えておられますか、ちょっと伺いたいと思います。
  103. 杉原正

    政府委員杉原正君) 御指摘のとおりでございまして、ドライバーの質というものを考えますと、いまの指定自動車教習所、これは教習というよりも、教えていただいている教習員の社会的な役割りというものが非常に大きいわけでございます。もう本当にドライバーの問題を考える場合には、いま指定教習所の問題を度外視しては何も考えられないような、そういう状況になっているわけでございます。これにつきまして、いままでは指定をするだけのものでございましたけれども、五十一年の七月にこの自動車教習所業というものが、これは通産省所管でございますが、中小企業近代化促進法というものがございますが、これに基づく指定業種として指定を受けまして、ことしの三月までに調査が終わりまして、この五十三年度から五カ年で近代化計画をやって、これにつきましてかなりの低利の融資等が行われるような措置が初めてこの五十三年度から行われるようになりました。  内容は、教習の水準を向上させること、それからいろいろと教習員その他のいろんな待遇改善に役立つような事柄、それから逆に、教習生のニーズに対応するといいますか、いろんな教習料金その他のものがもっと低廉にできるようなそういうものを意図した形で、財政的にもいろいろ御援助するような形でやっていこうと思います。  まだまだ私ども、この指定自動車教習所の役割りに対応するいろんな対応の仕方というのがおくれている面があるように思いますので、これからそういう点につきましても、われわれ本当にドライバー行政を考える場合に、車の両輪のような役割りを果たしていただいているものですから、そういう点の認識の上に立ってこれからさらに仕事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 交通事故防止対策一つとして、安全運転管理者制度、これを強化していくことが非常に重要だと思いますけれども、この安全運転管理者制度の充実についてはどのように考えておられますか。いまこの制度は、企業では五台以上持った会社がやることになっていますが、その辺のところも何か改善する必要がありますかどうか、あわせて伺います。
  105. 杉原正

    政府委員杉原正君) いまの安全運転管理者制度は現行の道路交通法に基づいて設置されているものでございますが、御指摘のように、車を五台以上使用する事業所の本拠ごとに安全運転管理者を置くという形になっておりまして、現在――現在といいますか、昨年の三月末の時点で約十九万四千人の安全運転管理者が任命をされているということでございます。先ほど申し上げました企業の安全運転管理というものがドライバー対策の一翼を担っていただくという面から非常に重要だという認識の上に立ちますと、五台以上は一人と、こういうことで青天井なものですから、百台使っている企業も五百台使っている企業も一人の安全運転管理者という仕組みになっております。これでは名前だけで、本当の安全運転管理というものが徹底できないし、それがまた職業ドライバー等にとっては不幸な結果をもたらしているというふうな現実もかなり見受けられます。したがって、今度の国会に提案をしております道路交通法の改正につきましては、まだ何台ごとにという台数までは決めておりませんが、適当な台数ごとに副の安全運転管理者というものを置いて安全運転管理が徹底できるように措置をしていきたいものだというふうに考えて提案をさせていただいているわけでございます。
  106. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最近、原動機付自転車の保有台数が非常に伸びていると伺っていますが、いま台数がどのぐらいあるかおわかりですか。
  107. 杉原正

    政府委員杉原正君) 原動機付自転車の保有台数は、五十二年三月末、ちょっと古い数字で恐縮でございますが、約五百七十九万五千台、五十一年三月末、一年前に比べまして約六十一万台ふえているということでございます。
  108. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ自動車の数に比べますと非常に少ないけれど、しかし六百万台近い数でございますので、したがってこれを無視するわけにいかないんですが、これだけ多いということは、結局これに伴って事故も多い、こういうふうに推定されるわけですけれども、この原動機付の自転車の免許取得者に対する講習体制というものはどのように整備されておられますか、ちょっと伺います。
  109. 杉原正

    政府委員杉原正君) この原付につきましては、全日本交通安全協会に二輪車安全運転推進委員会というものがございまして、またそのもと二輪車安全運転普及協議会というのがございます。これで各県に、認定を受けました特別指導員が約千三百人、それから指導員が約七千四百人いるわけでございますが、これが中心になりまして、各県ごとに原付免許を取られた人々に講習を実施をしている。これもまだ不十分でございまして、全国的に講習の実施率はまだ五〇%ぐらいでございますが、だんだんにこれは年々ふえる傾向にございまして、今後さらに力を入れていきたいというふうに思っております。
  110. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これは自動車と比べて非常に容易に免許も取れるはずでございますが、ということは、それだけふなれな人が出てくるわけでございまして、同時にそれはまた交通事故増加というものにも結びついているわけでございますので、この辺の対策というものも非常に必要だと思いますので、自動車ドライバーに対する対策、あるいはそれ以上の対策を講じなけりゃならぬと、こう思いますが、ひとつ一生懸命やっていただきたいと思います。  それで、このような交通対策に対する社会の要望というものは、これからますます、この交通事故防止だけでなくて、生活環境の保全あるいは都市交通機能の回復といった多様化の傾向にあるのではないかと思われます。こうした要望に対処していくためにはどのようなことに配慮していかなければならないか、お伺いしたいと思います。
  111. 杉原正

    政府委員杉原正君) 警察の方の立場で、確かにこの安全の問題、それから車の渋滞緩和の問題それから各種公害の問題、公害防止の問題、こういう問題にいずれも対応していくということでございますが、いずれにしましても、一番大事なものは交通安全の問題であると思います。先ほど申しましたように、一つのこういう車社会を迎えて、まず基本的には、安全の問題の中心になるのは、どうしても人の問題、なかんずくドライバーの問題というふうな感じがいたします。こういうドライバーの問題につきましては、先ほど申し上げましたようなドライバー社会的な責任というふうなものが定着するのにどうすべきか、免許行政の問題もありますし、いろんな問題があるわけですが、こういう点に力を入れていく。それからまた、交通環境というふうなもの、これが安全にも関与し、円滑な問題にも関与し、あるいは騒音の問題にも環境というものをどうすべきかというふうなことがあると思いますが、関係行政機関とさらに連携を密にしながらやっていきたいと思います。  それからまた、この一般的な安全教育等の面につきましても、またこれかなり多くの関係省庁と関連をいたします。さらに、総理府の交通安全対策室ということでいろんな問題をまとめて推進をしていただけるという仕組みになっておりますので、今後いろんな現場で起きてきます問題というものを現場的に拾い上げてみまして、将来これをどうすべきか、余り後手、後手にならないように問題を措置をしていただくということが交通対策にとっては非常に大事な問題ではなかろうかというふうに考えております。
  112. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この交通対策の問題につきまして、室長のお考えをあわせて伺いたいと思います。いかがでしょうか。
  113. 三島孟

    政府委員三島孟君) 交通対策の問題を考えます場合、確かに非常に複雑多様な問題を含んでいるということだろうと思います。私ども立場としましては、交通安全という立場でこれに関与をしておるわけでございますけれども交通安全という立場で考えましても、非常にいろいろな問題がございますし、またこれに関係する各省庁、あるいは関係部局非常に多いわけでございますから、私ども総理府立場としましては、やはり国全体あるいは行政全体あるいは国民全体の立場で、どういうふうにこれを進めていくのが国民のためになるのか、国の行政として最もいい方向になるのか、そういう観点に立って、私どもは総合調整という立場で、これからも関係省庁と協力して努力してまいりたいというふうに考えております。
  114. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 少し話題が変わるかもしれませんけれども、つい数年前までと申しましょうか、先年はいわゆる暴走族というのが交通安全だけじゃなくて、いろいろな妨害といいましょうか、社会に対する関心もあり、事件として大きく取り扱われた時代がございます。当委員会でも、そのためにわざわざいろいろと各地に出かけたこともありまするけれども、最近は余り私ども都内でそういった暴走族の乱暴といいましょうか、そういうような事件について耳にしなくなりましたのですが、これはあれですか、特にそういうことが減ったのか、それともわれわれの耳に入らなくなるほど普遍化してしまったのか、そこいらのお考えをお伺いしたいと思います。
  115. 杉原正

    政府委員杉原正君) 暴走族の関係でございますが、昨年の十一月末現在で、三百六十五グループ確認をされておりまして、このグループに入っているのが約一万八千人、それからグループに加入をしていない人を加えますと二万四千人でございます。これは前年に比べて一六・八%の増ということになっておるわけでございます。  ただ、この暴走族の問題につきましては、毎週、土、日にかけまして、約一万人の警察官を動員して対応をいたしておるわけでございます。この現場といいますか、住民あるいは一般車両に大変な迷惑、あるいは不安を与えているという実態がございまして、かなり強力にこれに対応してきたわけでございます。それだけの結果ではございませんが、特に東京周辺、関東近辺につきましては、うんと蝟集状況が減ってきたのは事実でございます。特に警視庁管内といいますか、東京の中は、このところ非常に減ってきております。ただ、これは行楽シーズンということになりますと、またかなり出回るという毎年の傾向がございますが、まあ、いろいろ率先助成をしたようなリーダーというものにかなり道路交通の場面で、違反行為としてきつく行政処分をする仕組みが最近定着をしておりまして、たとえば暴走族の行政処分などを見ましても、取り消しとか停止というのは、五十一年と五十二年に比べますと約倍になっているというような実態もございまして、ちょっと最近は暴走族グループの中でも、そういうのはちょっと危なくてできないと、こういうふうな声がかなり出始めているというふうな状況でございますが、ただ、これは油断ができませんし、次から次と新しく十六になって免許をとる人が出てまいりますので、手は抜けませんし、今後ともまた行楽シーズンに備えてきつく対応していきたいというふうに思っております。
  116. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ、いま局長言われますように、暴走族のいわゆる暴挙といいましょうか、非常に減ったということは、当局の厳重な取り締まり対策というものが功を奏していると私も思っております。そんな意味におきまして、今後とも一層厳しく対応されて、このような不安を都民から取り除くように御努力願いたいと思います。
  117. 山中郁子

    ○山中郁子君 初めに国鉄の安全問題について伺います。  五十一年度の監査報告によりますと、「第五 運転、保守等の業務の改善」、この中に入っております「線路保守」の中で、「線区別にみると、改善の兆候の認められる線区もあるが、なお悪化の進んでいる線区も少なくない。」と、こういう指摘がされておりますけれども、現在線路保守について、こうした指摘に基づいてどのような対策が行われているか、初めにお伺いをいたします。
  118. 望月迪男

    説明員(望月迪男君) 国鉄の線路状態について申し上げます。  十年ほど前から列車の量といいますか、通過トン数、あるいはその速度が上がった等がございまして、四十七年ごろから線路の状態といいますか、でこぼこといいますか、そういうものが悪化してまいってございます。その後レールの取りかえとか、あるいは線路のでこぼこを直す機械類をたくさん使うとか、そういう施策を一生懸命進めてございますか、いまのところ一級線――これは高速線区でございますが、東北とか東海とか、そういう一級線、それから二級線――これは一級線に続く主要な線区でございますが、そういうところはやや希望が持てるといいますか、線路状態がよくなってございます。残念なことでございますが、下級線はまだよくなるという兆しはございませんけれども、引き続き、材料の取りかえとか、あるいは軌道整備ということを進めまして、何とかして五十六年ごろには御満足のいただける気持ちのいい線路にしたいと、こう思っております。
  119. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっと時間がかかり過ぎているということが問題だと思います。具体的に、これは「千葉鉄道管理局報」ですね、これの「運転通達」によりますと、五十二年九月二十八日から五十三年三月三十一日までの期間、保安上徐行運転を指示している個所が五十四カ所になっています。それから、この期間だけではなくて、「当分の間」としているのが三十五カ所ありまして、合計で八十九カ所になるわけですね。これをいろいろ具体的に見ますとやっぱり問題が多いと思います。たとえば、そちらでよく御存じですけれども、これは内房線の那古船形から館山、橋げた端亀裂と言うんでしょうかね、橋げたの端が亀裂しているということですね。これは三年放置されているんですよね。それから総武貨物支線の越中島-構内の橋台亀裂、これもほぼ三年放置されている。物によっては四年、五年と放置されているというものがあります。こういうことは大変重大な問題だと思いますけれども、特に亀裂なんというのは普通の人たちがそんなに三年も五年も放置しておいて一体どうなるのかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  120. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、千葉管内には現在徐行個所が相当ございますが、その中で、構造物に起因いたします徐行個所が現在五カ所ほどございます。御指摘のとおり、橋台等に入りました亀裂につきましては、そのこと自体では直ちに運転保安上問題はございませんが、構造物検査掛という職種の職員がおりまして、常時監視を続けながら、その程度に応じまして取りかえまたは改良補強を加えてまいることになっておりますが、その程度が当面徐行を行いまして列車の通行には支障がないと認められるものにつきましては徐行措置をとる、逐次予算の措置をとりまして改良改善をして解消するという段取りになっております。御指摘の個所につきましても、ここ二、三年のうちには解消できるように手を打っております。
  121. 山中郁子

    ○山中郁子君 橋台亀裂という状況だけでなくて、さまざまな問題があって、方向としてはなるべく早く取りかえるということで安全を確保するというお話なんですけれども、私は、こうしたものを放置したまま徐行だけに頼るというその安全対策、これがやはり問題だと思います。いま御答弁がありましたように、なるべく早くという御計画でしょうけれども、やはりこれは早急に全面的に安心できる保全を国鉄の主要な仕事の一つとしてお考えになり、取り組むべきだと考えておりますが、全国で見ますと、こうした徐行個所、つまり安全を徐行に頼るみたいな形になって指示されているというのは何カ所ありますか。
  122. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) 徐行個所は毎年台風とか災害によりまして発生をいたしまして、毎年そのまた多くを措置をいたしまして解消するということになっておりまして、一カ所でも余り長いところというのはそう多いわけではございませんが、現段階でつかんでおります橋梁あるいは軟弱地盤等の理由によりまして徐行いたしております個所が昭和五十三年一月時点で二百十七カ所ほどございます。
  123. 山中郁子

    ○山中郁子君 かなりな個所がそういう形で徐行に頼る安全対策にとどまっているという問題だと思います。  それで、資料をお願いしたいんですけれども、いまの二百十七カ所ですね、これの内訳、つまり線名、駅名、徐行速度、それから理由、期間、これらを資料として御提出いただきたいんですが、お願いできましょうか。
  124. 野沢太三

    説明員(野沢太三君) 後ほど表にしましてお届け申します。
  125. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、この問題の最後に、運輸省にぜひお約束もいただきたいのですが、こうした状況もとで安全を確保するというための要員ですね、職員の数がどうしても十分に手当てされなければならないということがあります。労働組合からもそうした要求が出されておりますけれども、こうした安全確保のための施設要員を十分確保して安全に努める、その積極的な取り組みをお約束いただきたいと思います。
  126. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄の業務の性格から申し上げまして、安全第一ということは申し上げるまでもないわけでございますが、国鉄が現在抱えております四十三万人の人をどういうふうに配置するかというのは国鉄総裁の判断でやっていただく。私どもといたしましては、当然国鉄総裁がそういうことに十分配慮してやっていくということで信頼いたしているわけでございますが、もし問題がありましたら十分指導いたしたいと思います。
  127. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、国鉄の地方交通線の問題に  ついてお尋ねをしたいと思います。  国鉄では四十六年から会計的区分として幹線系線区とそれから地方交通線と分けておられるわけですけれども、会計上区分という場合の地方交通線の定義というのでしょうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  128. 武藤格

    説明員(武藤格君) 国鉄では幹線系線区と地方交通系線区とに分けておるわけでございますが、その考え方といたしましては鉄道の特性を発揮できる大量輸送に適した線区を幹線糸線区といたしまして、鉄道の特性を十分発揮できない線区を地方交通線区といたしております。区分の考え方といたしましては、鉄道と自動車のコスト比較をいたしまして、鉄道のコストの低い部分すなわち大量輸送に適した部分につきまして幹線系線区ということにしております。現在そのキロ数は、地方交通線区が九千二百キロでございまして、幹線系線区一万三千二百キロ余ということに区分してございます。
  129. 山中郁子

    ○山中郁子君 その有用性を喪失しているというように定義をして、こうした地方線を切り捨てていくという方向についてはかねてから問題にもなっておりますし、私どもも問題にしてきたところですけれども、旅容輸送量を見ますと、地方交通線でも、いまおっしゃいました営業キロ九千二百キロですね、この三割を超える二十八線区で昭和三十五年度を基準にしましてこれを上回っている。国鉄からいただいた資料によってもそうした数字が出ておりますけれども、また九割以上の七十四線区で五割近くに達しているという事態があります。ですから、私は決して有用性を喪失しているというふうに判断をするということは不当だと思いますが、事実上輸送量がかなりあって有用性がある、喪失しているとは言えないと思います。それで、きのう国労で利用者からのアンケートをとったことが発表されておりますけれども、百万人を対象にしてこの地方交通線、これに対する住民、利用者の意見をとったところ、こうしたローカル線の撤廃に反対する人々が六二・五%に上っています。で、やはり大半、過半数の方たちが、ぜひそうした切り捨てをしないで存続、さらに充実させてほしいという意向を持っていらっしゃるわけですけれども、この点はぜひしっかりと見きわめていただかなければならないと思います。特に、この調査の中で、高知とか徳島、島根、山形、新潟、長野などはローカル線が多い県ですけれども、こういうところでは七〇%を超えて、ぜひそれを存続させたい、廃線には反対すると、こういう住民の意向が集約をされています。こういう事実、これはほんの一部ですけれども、そのほかもちろん国鉄当局でもしかるべきさまざまな資料をお持ちだと思いますが、そういう観点から、有用性を喪失しているという定義自体を含めて、切り捨てする方向については、この際やはり見直しをすべきではないかと、私は強く考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  130. 武藤格

    説明員(武藤格君) 地方交通線の定義につきましては、四十六年から出発いたしまして、その後五十一年に区分を修正したわけでございますけれども、この地方交通線という区分は、国民経済的に見て鉄道の特性を判断したわけでございまして、大量輸送に適した線区、鉄道の特性を最も発揮できる線区を幹線系としておるわけでございますが、しからばその余の地方交通線の性格につきまして、これを直ちに全線廃止すべきであるという意味ではわれわれはとっておらないのでございまして、その中にはいろいろなこともございます。もちろん国の助成もございましょうし、合理化ということもございましょうし、地方交通線がすなわち鉄道機関としての機能を喪失して廃止すべきであるという概念ではございませんものですから、私どもとしましては、地方交通線、現在九千二百キロでございますが、それにつきましてもいろいろとその特徴を検討しておるところでございますので、直ちに九千二百キロが廃止線区であるということにはならないわけでございます。
  131. 山中郁子

    ○山中郁子君 もちろん、直ちに廃止されちゃったらこれはまた大問題になるわけですけれども、問題は、とにかくそういう方向で、有用性喪失という認識からそうした切り捨てなり廃線なりの方向で現実に進んでいる面もありますし、ですから、そこの点を、もちろん存続していく方向で必要な国の助成その他の手当てをして、そして現状にも照らして見直して、積極的な立場で、つまりそれを住民の期待にもこたえ、要望にもこたえて存続させていく方向で見直していくべきではないか、こういう問題提起をしておりますので、ぜひ基本的な姿勢はそのような積極的なものとしてお示しをいただきたいと思います。
  132. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方交通線の問題は、国鉄の赤字の大きな原因一つとして、これまで過去十年ぐらいにわたりましていろいろ議論されてきたわけでございます。この問題は、やはり先ほど国鉄からお話がございましたように 鉄道というものはどういうところを分担すべきか、バスはどこを分担すべきかというのが基本的な問題ではないかと思います。地元の住民、利用者にとって、鉄道もありバスもあるということが望ましいことは間違いないわけでございますが、昔のように鉄道しかないというときには、たとえお客さんが少なくても、鉄道によらなければお客さんの利便が確保できない。しかし、最近のように道路も整備され、バスも整備されている現状において、両方ともなければいかぬのかどうかということが問題ではないかと思います。現在、国といたしましても、地方交通線に対しまして、本年度は六百五十六億円の助成をいたしているわけでございます。この六百五十六億円の助成というのはかなり予算としても大きなものでございますが、そういうものを出して鉄道を維持しなきゃいかぬのか、むしろそういう金は、もっとほかのところへ使って、むしろバスの方に利用者は移っていただく、その方が国民経済的に見て望ましいのではないかというようなところで、今後の方針が決まってくるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在ある鉄道を廃止するということは地元の方にとって好ましいことではなくて、当然反対が予想されるわけでございます。ただ、先ほど国労が調査された数字で、実は私どももっと高い数字が出るんではないかという期待をしておったわけでございますけれども、むしろ私どもが期待しておった数字よりも低い数字が示されたように受け取っているわけでございます。むしろ、何といいますか、地元の方が国鉄の財政の現状を十分認識されてきた結果ではないかというような感じも持っているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、地元の住民の利害に関係することでございますので、十分地元の方と話し合って、まあ私どもといたしましては、この国民経済的な見地、あるいは財政的な見地から、地元の方に良識ある選択をしていただきたいということを考え、まあそういう方向で処理をしていきたいと考えております。
  133. 山中郁子

    ○山中郁子君 まあ、存続の要望の世論をもっと期待されてるぐらいですから、存続のための積極的な施策をおとりになるんだろうと、こう思いますけれども、私、問題はね、まあ余りそう基本的な議論をする時間はありませんけれども公共事業として現実にあるわけですから、あって、いま局長も言われたように、そこで利用している人たちはそれがなくなることによって大変いろいろな不便を受けるし、迷惑を受けると、こういう観点がありますから、まあしかるべき国の助成その他の手当てをして、積極的に存続の方向で見直しをするということについての積極的な姿勢を要求もしておりますし、それをすべて否定なすってるわけではありませんから、一層その方向で努力をしていただきたいと思うんです。  で、ただ、そのこととも関連しますけれども、いままでの国鉄のやり方が結局、地方交通線の駅を無人化したり、それからダイヤを減らしたりという、そういうサービスの低下、そういうもので結局、住民の人たちの要望を満たさないだけじゃなくて、住民の人たちがもう国鉄が余り利用できなくなると、そういうところに重点を置いているということは、公共輸送の任務から見て全く私は正しくないと思います。それで、結局それは国鉄がみずから地方交通線の衰退を促進している結果になるではないかと。つまり、もっとダイヤも減らすようなことをしなかったり、無人化しなかったりしていけば利用者も多くなるようなものを、みすみすそうした衰退の方向へ国鉄がみずから持っていってると、そういう姿勢自体が私はやはり問題としてあると思いますので、国民の要望を本位とした国鉄を再建するために、沿線住民へのサービスの向上ということはやはり第一義的に考えて重視をして経営努力をしていくということが、まあ基本的な問題ですけれども、どうしても必要だと思っておりますので、この点についての見解もあわせて伺っておきたいと思います。
  134. 住田正二

    政府委員(住田正二君) まあ、先ほど申し上げましたように、地元の方としては、鉄道もありバスもあるということが望ましいことは間違いないわけでございます。しかし、地方交通線は、まあ昨年度で二千三百億という大きな赤字を出しておるわけでございます。で、営業キロから言いますと国鉄全体の四割以上の営業キロでありますが、輸送量は全体の五%、収入は四%ぐらい、で、逆に経費の方は一一%ということで、先ほど申し上げましたような赤字が出てるわけでございます。で、もちろん地元の利用者の方にとっては便数が多いということが望ましいことは間違いないと思いますけれども、便数をふやせばまた経費もふえるわけでございまして、赤字がさらにふえるということになろうかと思います。で、先ほど申し上げましたように、鉄道が唯一の輸送機関であるというときには、たとえいかに大きな赤字が出ても、公共輸送機関として国が維持しなければいかぬわけでございますけれども、現在では、バスが少量あるいは中量の輸送機関として十分発達いたしているわけでございます。したがいまして、バスで十分公共的な輸送を確保できる場合には、何も鉄道による必要がないんじゃないかと。所によっては鉄道も赤字であると、バスも赤字であると、二つあるがために両方とも赤字であるという所もかなりあるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、今後地元と十分話し合いをして、良識ある選択をお願いしたいと考えておるわけでございます。
  135. 山中郁子

    ○山中郁子君 住民と話し合ってということを繰り返しおっしゃいますし、いままでのさまざまな方針にも出ているんですけれども、最近の具体的な例として、これは北海道の士幌線ですか、士幌線の一部を廃止してバス運行にしたいきさつがあります。これは問題になっていることは御承知だと思いますけれども、十勝三股から糠平間、ここを廃止するという問題です。この経過ですけれども、これは北海道新聞なんかにも報道されているんですけれども、国鉄が――釧路の鉄管局のようですけれども、町当局とは何か話し合いはしているけれども、ほんの週辺の五、六戸の人たちにそのことを言って、そして説明みたいなことをして、しかもそれも一方的に国鉄側の言い分だけを聞かせられたという状況だったというふうに住民の方は言っておられるわけですけれども、そのぐらいの手続しかしないで、住民がそれで納得しているならという経過で町議会がオーケーをしたということを理由にしてこの廃線を行うということが出ていて、周辺の住民たちが大きな不満も持っているし、何にも知らされないままにそうした事態が進んでしまった。それから、もう一つ問題なのは、労使間で営業近代化に伴う協定に関して事前了解が約束されているにもかかわらず国労、全動労、それぞれ何の相談もなく了解もないままに事が行われたということで労働組合としても問題にしておられますけれども、私は基本的には何回も繰り返しおっしゃいます住民の方たちと相談をして、了解を得てというふうにおっしゃるけれども、実際にはこういうことでもって事が進められていけば、なおさら国鉄に対する住民の信頼は失われていくし、事態としても大変誤った方向に進んでいくと思いますので、この点についてはぜひ実態をこの問題について調査をして善処をされたいと思いますけれども、その点についての御見解をお伺いします。
  136. 武藤格

    説明員(武藤格君) この件につきましては、釧路の鉄道管理局の方でそういう計画を立てて、いろいろと地元と話しているという報告を受けておりますが、余り詳しいことはまだ聞いておりませんけれども、ただ事柄につきまして地元と話しまして町議会の同意書は受けまして、私どもも見ておりますけれども、まだ実施するということではございませんし、また事柄も廃線ではございませんで、運転休止ということで当分様子を見るということで地元の了解を得ていると聞いております。したがいまして、組合の方にも提案ということをまだいたしておりませんので、今後組合ともよく話しをして事柄を決めていくというふうに聞いております。さらに、今後細かい点につきましても調査をいたしたいと思っております。
  137. 山中郁子

    ○山中郁子君 調査のお約束いただいておりますので、いまおっしゃられたような経過だけじゃなくて、私が指摘したことも含めて、かなりいろいろな点での手続きも踏まれていないし、町民の意向も無視されているという事態があるということも含めて、ぜひともお調べをいただきたいと思います。そして、善処方を進めていただきたいです。  同じく地方線の問題なんですけれども、静岡県ですが、いわゆる国鉄の言う地方交通線が五本ありますね。この中で国府津から御殿場を通って沼津に行くいわゆる御殿場線です、これが沿線住民が近く廃線されるのではないかという心配をしておられるわけです。この御殿場線は朝晩かなり満員ですし、それから昼間でも座席がほぼいっぱいという状況です。夏になると富士登山の乗客でにぎわうという線です。また、山北や南山北、こういう方面には住宅もふえて、東京から移転してきた会社の通勤着も多い、人口も増加している、そうしたいろいろな背景があります。これは、いま住民や労働組合が要求されている駅の増設だとか、それからダイヤの増発、そういうことをむしろ進めていって住民サービスを向上させていく、利用者サービスを向上させていくべきであって、別に国鉄がいま廃線にすると言っておられるわけではないと思いますけれども、地方線に対する方向から住民の方たちがそういう不安なり心配なりをされている現状がございますので、その方向をぜひとも検討もし、要求にこたえるように取り組んでいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  138. 武藤格

    説明員(武藤格君) 地方交通線の取り扱いにつきましては、現在運輸政策審議会において審議されておりますので、国鉄といたしましてどの線をどうするということは申し上げられない立場でございます。ただ、御殿場線につきましては、静岡県内の地方交通線の中で収支係数、輸送量その他の点において相当上位の線であるということは現実御指摘のとおりでございます。しかしながら、この取り扱いにつきましては、国鉄としてすべて運政審の結論を受けましてから判断したいと思っておるわけでございます。
  139. 山中郁子

    ○山中郁子君 審議会の問題は問題として、いま御答弁ありましたけれども、確かに利用が多いところであるというところから、よもや廃線などということにはならないと思っておりますけれども、もう一つしっかりした見通しを伺わせていただけませんか。それと具体的な要求ですね、ダイヤの増発だとか駅増設の問題についての御検討をお願いしたいと思います。
  140. 武藤格

    説明員(武藤格君) 重ねて申しますけれども、この御殿場線は旅客中心の線でございまして、旅客の輸送量につきましては相当量を占めておりまして、また五十年と五十一年を比較しましても増加しているという線でございます。しかしながら、この取り扱いにつきましては運政審の結論を待たずに私どもとしてどうこうということは申し上げられない状態でございます。ただ、輸送量につきまして、そういう静岡県内の線としては輸送量が多いということで、私どもとしては、しかるべき輸送の態勢はとっておりましたし、今後も輸送量に応じた態勢をとってまいりたいと思います。
  141. 山中郁子

    ○山中郁子君 次に、バスの問題なんですけれども、観光割り増し運賃の問題と地元の負担増を防ぐ問題です。  関東地方ではバスの運賃が箱根だとか日光で観光客を主体とする季節路線で観光割り増しを行っている。本来これは地元の住民に負担をかけないという趣旨で行われているんですけれども、だから定期券だとか回数券には観光割り増し分がかからないという扱いになっています。だけれども、現金で乗る場合の地元の人たちの割り増しはどうしてもそこへついちゃうわけです、わからないからということで。結局、回数券買えばいいじゃないかと言っても高いんですよね。御承知だと思いますけれども、箱根で言えば小田原から湖尻、湖尻から小田原まで一回乗ると七百円です。だから、十枚の回数券を買うと一回分割引になって六千円。六千円のお金をすぐその場でぱっと出すというのはなかなか大変な話で、結局ついつい必要なときにやむを得ず一回分の乗車券を買うということになります。だから、結局観光割り増し分も地方の人たちが負担せざるを得ないみたいな成り行きにいま現在になっているわけですね。これ、何らかの形で――幾らでも私は工夫する方法はあると思うのです。かなり前に私運輸省の方にそのことは提起をしておいたんですけれども、その後御検討いただいているのかどうかということも含めて、ぜひとも地元住民に、少なくとも観光割り増し分については一枚一枚乗車券を買って乗る場合であっても、それがかからないような工夫についての指導を、ぜひ運輸省でかなり積極的にというか、責任を持ってというか、指導をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  142. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) いわゆる観光割り増し運賃につきまして、私ども、地元の住民の利用の方々にこの負担を願うという趣旨はございませんで、いま先生も言われましたように、全体のコストを賄う場合に、そういった特殊な線につきましてはピーク時においての外来の観光客に多く負担してもらうということの方が地域住民の全体の路線の負担からいきましていいんじゃないかというところから出ているわけでありまして、したがって定期運賃なり回数券については割り増しをつけていないわけであります。これは他の路線と同様の負担ということで公平は維持されておるわけです。  ただ、現金で一枚一枚買うという場合に、回数券を買っていただけば済むわけでありますが、どうしても一枚で乗るようになると、こういった問題につきましては、いろいろ私どもも実行上の問題として地元の自治体の御協力を得ながら、あるいは事業者サイドの体制の問題これはワンマンカー等の場合に方法いかんによって乗務員に負担がかかるということでも困るわけでありまして、適切なうまい方法が見つかれば、これを取り入れていくということを否定しているわけではありません。この箱根地区におきましても、どうやって地元の住民の方と外来の観光客の方との区分ができるんだろうかということで、自治体の御協力も得ようということで会社も話し合いをしておるわけでありますが、現在まだ協議をしておるという段階でございまして、まだうまい方法が見つからないということでございますので、私ども先般の運賃改定の際に回数券の発売個所をふやしたり、あるいは回数券の有効期間を延長するというようなことも取り入れまして、できる限り地元の利用客に負担がかからぬようにということを考えておるわけでございます。
  143. 山中郁子

    ○山中郁子君 ぜひ認識していただきたいのは、六千円出して回数券がなかなか買いにくいという人たちの方がよけい大変なんですよね、生活も大変だし。だから結局回数券がなかなか買えないわけでしょう。だからそういう人たちが結果的にはよけいな負担をしなければならなくなるということが問題がよけいあるわけで、そこのところはぜひ認識もしていただき、いい方法があればやりますよっていうぐらいなことじゃなくて、ぜひいい方法を何としてでも考えていただきまして――それが行政の責任だと思いますけれども、早急に実行をしていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。  いまの問題で大体局長のめどとして、もう昨年から言っていてまだできてなくて、いい方法も見つからないみたいなお話なんですけれども、どのくらいのめどでもって解決を図るというふうに考えていらっしゃいますか。
  144. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) これはいまも申し上げましたように、私どもの方である方向を出してそれで片がつくということでありますればこれは簡単なんでございますが、いま申し上げましたように、どうやって利用される方々が地元のお客さんであるかどうかということになりますと、やはりたとえば自治体の方である証書を出していただくとか、そういう方法というのは考えられると思いますが、その場合にはやはり地元の自治体も御協力いただきませんとなりませんので、そういった要素がございますので、いつをめどというのは、われわれとしても早く解決したいと、こういう考えでございます。
  145. 山中郁子

    ○山中郁子君 関連いたしまして、いま申し上げましたような非常に高いバス料金なわけですよね。それで高校生の通学の経費が大変かさむと、これはかねてから問題になっているんですけれども、ここをぜひひとつ何とか前進をして父母の負担軽減を図る方策を見出していただきたいと思います。  具体的な例を申し上げますと、箱根町の例ですけれども、結局は高校がないんですよ、山にはね。だから、熱海に行くか小田原へ行くかということなんですね。それでその山には六百六十一人も高校生がいるんです。それはまた変わりましょうけれども、ふえることはあっても減ることはないわけです。それだけのかなりな人数がいて、当然、だから山に高校ができればいいわけですね、箱根町にね。だけど、それはまた高校がまだできないという現状ですから。で、具体的に通学定期でバス代が一カ月一万六千円、三カ月で四万三千円になるのですよ。いま箱根町では町財政でもって多少の助成はしています。ですから、二人高校生を通わせている家には、二人目に対しては助成はしているのですけれども、機械的に算術計算をしますと一万六千円で、もし二人通うとすると三万二千円の負担ですね。これはもうほぼ準義務教育化してきているという高校教育にあっての大変なやはり父母負担の不公正といいますか、過重な父母負担を強いられているということになります。それで、これを何とか国の助成をも含めて――箱根町でもぜひ県や国の助成が欲しいと主張しているわけですけれども、何らかの形でいわゆる教育の過疎地域ですね、本来なら箱根町に高校があっていいんだけれども、当然置くべきなんだけれども、それがないという事態がありますから、これは箱根町だけでなくて全国的に同じような事例はたくさんあると思います。そういう点についての積極的な策をぜひ出していただきたいと思いますので、文部省にお見えいただいていれば、全国的には一体どういう状況にあるのか、ほかにもたくさんあると思うんですけれども、それと助成を含めた負担軽減の方向をぜひお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  146. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 御承知のように、高等学校は義務教育ではございませんので授業料なんかも徴収いたしておりますし、通学費とか教材費などは御家庭で負担していただくと、そういうことになっておりますので、私の方で通学費の補助を前提にしました調査のようなものは実はしていないわけでございます。ですから、どの程度そうしたことが通学費の――一部の府県で補助はされているということは聞いておりますが、実態がどうであるかということについては、目下のところ承知しておりません。
  147. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、ぜひひとつ実態一つはお調べいただきたい。確かにそれは義務教育ではないけれども、準義務教育的な状況にいまなってきているということがありますし、ここにはやっぱり高校がないという問題があるわけですね。で、これは政府でも定時制高校のスクールバスにことしから助成を出していますでしょう。同様の性格のものだと思うのです。それは違いますよ、中身はね。でも、スクールバスがいいのかどうかということもまたありますから、必ずしも全面的に同様には言えませんけれども、定時制のスクールバスに助成を出しているという観点は、やはりこうした教育過疎地域とも言われる問題で父兄に大変な負担がかかるということについては積極的に考えていただいていいんじゃないかと思います。私は、きょうはそれは問題提起ということで申し上げておきますので、ぜひ調査と御検討をいただくということについてのお約束をいただきたいと思います。
  148. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 定時制につきましては、働きながら学ぶ生徒に国が援助をするということで、実は定時制、通信制教育の振興法がございまして、いろいろな措置をしているわけでございます。ただ、一般の高校生につきましては、先ほど来申し上げていますように、義務教育ではないということ、それから設置者負担主義の原則というものがございまして、一般的に国が助成するというたてまえをとっております。これは交付税等で必要な財源措置をするということになりますので、一つの特別な事柄につきましてその補助を前提とするような調査をするということは、他のいろんなことのバランスもございますし、基本的には設置者に対する財源措置をどうするかという問題になりますので、お話のございました点はちょっと直ちに実施するということはむずかしいかと思います。
  149. 山中郁子

    ○山中郁子君 補助を前提とするともしないとも言わなくていいですけれども、いま私問題提起をしておりますし、それは法律がそういうふうに定時制の場合にはあるんだと。必要ならば法律をつくればいいわけなんだから、そういう点での調査をいま私提起している。それもできないということはないでしょう。やっぱりそれは高校生の大変大きな問題なんだから、ぜひその点は御検討いただきたいと思います。
  150. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 高校生の通学費いろいろ問題はあろうかと思います。かなり負担になっている例も私たちも聞いておりますが、しかし一部では下宿をしている場合等もございますし、これを一律に交通費のみを取り上げて私の方で問題として取り上げるということはなかなかむずかしゅうございますので、その辺御了承いただきたいと思うわけでございます。
  151. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、私はここでいま言って、調査をすることさえもあなたの方は約束できないというんでしょう、その実態を。そのことは基本的な大きな問題があるということだけ指摘しておきます。あなた方はその高校生の通学費が大きな負担になっているということは認めているんだから。で、補助するかしないかということを、私は、する前提だとかしない前提だなんて言わなくていいから、だから実情を調べてくださいと言っているんだから、そのぐらいは約束できるでしょう。何もやる気ないんですか。
  152. 菱村幸彦

    説明員(菱村幸彦君) 通学費の実態につきましてできる限りそれでは調べてみます。
  153. 山中郁子

    ○山中郁子君 終わります。
  154. 森田重郎

    ○森田重郎君 仲よく山中先生の隣に座らしていただいておりまして、若干山中先生の御質問に関連があるような形になってしまったんでございますけれども先ほど国鉄御当局のお話によりますと、国鉄の職員の方が四十三万人でございますか、いらっしゃるというようなお話でございますけれども、どうなんでございましょうか。一人当たりの生産性というような問題について考えますと、私鉄当たりとの比較対比におきまして大変私どもは生産性が低いというふうな感触を受けるわけでございますが。たとえば普通の一般私鉄なんかの場合ですと、恐らくは営業のキロ当たり十人から十二、三人、十四、五人ぐらいじゃなかろうかと思いますが、国鉄御当局はキロ当たり何名さんぐらいおられるか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  155. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄の職員は四十三万人でございます。営業キロ数は二万二千キロでございますので、大ざっぱに言いまして一キロ二十人ということになろうかと思います。
  156. 森田重郎

    ○森田重郎君 ただいま鉄道のお話が出たんでございますけれども、実は私鉄との絡みの問題になりましょうか、先ほどもちょっと山中先生からお話が出ましたけれども、現在ローカル私鉄の経営なんというのはこれは大変だろうと思うんですね。私どもの想像では、恐らく総経費の中で七五、六%ぐらいは人件費にかかっておる。ひどい会社になりますと八〇%ぐらい人件費にかかっておる。ですから、一億の経費が仮にかかるとしますと、そのうちのとにかく八千万というものは人件費にかかっておる。にもかかわらず、路線バスというようなことであれば、夜の八時、九時ぐらいになりますと、これはとにかく一人のお客さんでも運ばなくちゃならぬというような実情の中でローカル私鉄は営業をしておる。そういうふうな実態からまいりまして、国鉄さんのいわゆる国鉄バスさん、その辺は私鉄あたりと比較対比されてどんな形になっておるか、ちょっとお伺いいたします。
  157. 住田正二

    政府委員(住田正二君) バスの方はちょっとわかりませんが、鉄道は国鉄と公営と私鉄と三つあるわけでございます。非常に大ぱっぱな言い方になるかと思いますけれど、私ども、国鉄、公営、私鉄を見ておりまして一番能率の悪いのは公営ではないかと思います。その次が国鉄で、私鉄が一番能率がいいという状況じゃないかと思います。  先ほど生産性のお話が出たわけでございますが、生産性の比較というのは非常にむずかしい問題がございます。国鉄の場合には大都市もやっていれば地方もやっている、また貨物もやっている。それに対しまして私鉄あるいは公営の場合には大体大都市が中心でございまして、したがってお客さんも多いということで、一人当たりの輸送量というようなものを見ますと、国鉄よりも公営あるいは私鉄の方がずっと多いという数字が出ております。したがって、そういう一人当たり輸送量だけで生産性を比較するのも妥当ではないと思いますが、私ども数字を申し上げるとちょっと問題があろうかと思いますが、私鉄と比較して国鉄、公営はかなり生産性が低いというような感じで受け取っております。
  158. 森田重郎

    ○森田重郎君 私どもの記憶しております数字によりますと、たとえば観光バスあたりになりますと一両当たり大体二、三人ぐらいじゃないかと思うんですね。路線バスということになりますと、最近はワンマンカー等もかなり徹底してきておりますから一人半とか、せいぜい二人とか、そういうようなことじゃなかろうかと思うんですが、いずれにしましても、鉄道にしましても、バスにしましても、大変労働集約的な仕事で、どうしてもある程度の人は抱えていかなくちゃ会社の経営がなかなかスムーズに運営できないというようなこと、これは原則だと思うんです。  そこで、国鉄さんの経営も現在大変なことだと思います。たしか昭和五十年度は国鉄さんの財政で九千百四十七億ですかの純損失でございましょうか。五十一年度がほぼ同じような額で九千百四十一億。過去の繰越決算あるいはまた負債、債務残高というふうなものを考えますと大変これは膨大な赤字を出している。言うなれば、一種の構造不況業種のある意味では典型的な企業体が国鉄さんではなかろうかと、こう思うわけでございますが、そういう国鉄さんが他の輸送機関に乗客を奪われる。乗客が航空機であるとかバスであるとか、あるいはマイカーであるとか、そういうふうなものに転移をしていく。結局運賃の改定がおくれおくれになるというような中で、五十二年度の大体の見通しというようなものがどういう形で推移されていくか、これはちょっと計数的に現段階でその数字を把握することは大変むずかしいかと思いますが、現状どういうふうな状態にあるかということをちょっとお聞かせ賜りたいと思います。
  159. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 五十二年度の決算はまだできておりませんが、補正予算段階での国鉄の赤字は七千八百五十九億円を見込んでおります。実際にはもう少し上回るのではないかと考えております。
  160. 森田重郎

    ○森田重郎君 わかりました。  そこで、実は国鉄の財政収支というものがただいまのように大変苦しい。そこで、二十三日は私鉄総連ですか、二十四時間スト、二十五日から七十二時間、これは私鉄総連も含めて、中小私鉄をも含めて、言うなればゼネスト体制に入るというような状態だというふうに承知をいたしておるわけでございますが、この公労協、特に国鉄さんの二十五日の予定されておるスト問題等につきまして、何か若干、すでに公労委の方に舞台が移ったということであれば、それなりの状況、情報でも結構でございますが、ちょっとお聞かせを賜りたい、かように思います。
  161. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 現在の状況でございますが、新賃金につきましては、団体交渉で今日まで私ども十二、三回交渉を続けておりましたけれども、先般十七日に組合に対しまして当局としての有額回答をいたしました。この有額回答をいたしましたのは、実は十八、十九日に公労協がストライキを構えておりましたので、まあストライキを構えておるのに出すのはおかしいではないかという議論も十分あったわけでありますけれども、しかしやはりここは当局としても経営者としての責任上、額はともかくとして有額回答を示すべきではないかというような判断をいたしまして有額回答をいたしたわけでございますが、残念ながら十八、十九日私どもの誠意が通じなかったのかストが行われました。その後、組合側は交渉を続けたいということで、さらに先般有額回答いたしました額に上積みを求めてまいりましたが、ただいま先生指摘のように千丁五日から九十六時間という大規模なストライキを構えております。私どもとしては、何としても事態を平和的に早く解決しなければ、またまた国民の皆様に大変な御迷惑をかけるというようなこともございますので、本日公労委の方に調停申請をいたしたわけでございます。  なお、私どもの国鉄におきましては組合が五つございまして、総評系、同盟系とございますが、このうち同盟系の鉄労は違法な行為はしないということをモットーにいたしておりまして、この方は実は昨日組合の方から調停申請をいたしました。きょういたしました調停申請は組合からではなくて、他の四組合については当局から調停申請をいたしたというような状態でございます。
  162. 森田重郎

    ○森田重郎君 大体わかりました。  そこで、ちょっと私お伺いしたいんですが、三公社五現業の基準内賃金というのは大体どの程度になるものか。同時にまた、その基準内賃金の中で国鉄さんのいわゆる基準内賃金というのがどの程度になるものか、ちょっとおわかりでしたらお聞かせを賜りたいと思います。
  163. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 国鉄の四月一日現在における基準内賃金は十七万四千四百二十九円でございます。それから、他の公社の数字については、いま手元に持っておりませんので――失礼しました。公労協平均では十六万一千八百五十一円となっております。
  164. 森田重郎

    ○森田重郎君 いや、実は私もその数字は持っておったんでございますけれども、果たして確かな数字かどうかよくわからなかったので実はお伺いしたわけですが、ということは、私が持っておりました数字も大体合っておったということなんですが、これでずっと拝見いたしますと、要するに三公社五現業の中で国鉄さんの賃金が――もちろんこれは事業の労働格差の問題もいろいろございましょう。男女別の関係あるいは年齢関係、いろいろなそういう格差はございましょうけれども、三公社五現業の中では、低いところに比べますと、これはもう二万円も高いということになるわけですね、十七万何千円というようなお話でございまして。今回またここでストがかけられるというようなことになりますと、言うなれば、先ほど申し上げたように赤字の上塗りというようなことがますます累積されてくると、大変ゆゆしき問題じゃなかろうかと。そういう中で、たまたま国鉄総裁が今回異例のような形で団交の席にみずからがお出になったというようなお話で、大変結構なことだと思うんですが、その辺について、今後団交の姿勢というようなもののあり方、また引き続いて総裁みずからそういう席にお出でになって、とことん、時には夜を徹してもやるというような姿勢でおやりになるのかどうか、その辺の話し合い路線と申しましょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  165. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいまの先生冒頭に御指摘なさいました賃金が非常に高いではないかという問題がございますが、これは実は公企体の給与は、どこもそうでございますけれども基本としては、最初に入社したときの決まりました初任給、それに毎年毎年一年に一回定期昇給をいたすという仕組みになっておりますので、年齢が高ければその分高くなっていくというシステムになっておりますので、国鉄の場合、たとえて申しますと平均年齢が四十・八年で、勤続が二十二年という要員構成になっております。これが専売、電電となりますと年々新しい人が入ってくる、それも増員を見ると、専売の場合は要員全体は縮減しておりますけれども、電電の場合はかなりふえているというような、そういうような各社別に要員構成が違っておりますので、若い人並びに勤続の短い会社ではしたがって平均いたしました基準内賃金というのは低く出るということで、必ずしも高いこと自体がそれだけ格差ができておるということではございませんで、むしろこれは年齢別のラスパイレス比較をいたしますと同じような姿に出てまいるわけであります。  それから全体的に今後どうするのかと、組合との関係についての姿勢の問題を聞かれたわけでありますけれども、実は先ほど御説明いたしましたように、本日この新賃金問題につきましては、公労委にいっておりますので、公労委に持っていくということは、団体交渉では容易に問題の解決を図り得ないというような判断をいたしたわけでございますので、これは公労委に持っていくということは、団体交渉において組合側に交渉打ち切りを宣しまして、今後団体交渉で解決を図ることは困難であるという判断をいたしまして、それを相手方に通告し、公労委に調停申請をいたすわけでございますので、先生指摘のような、今後も総裁が出て云々というようなことは、もちろん別な問題としてはありますけれども、今後は公労委における調停にすべてお願いするということになっておるわけであります。
  166. 森田重郎

    ○森田重郎君 実は、先ほども私ちょっと私鉄の問題に触れたのでございますが、現在私鉄の経営も、鉄道部門だけをとって考えてみますと大変苦しい。先ほどちょっと構造不況業種というようなことを申し上げたんですが、いわゆる鉄道といいましょうか、特にバス部門あるいはハイタク部門等を含めて、要するに運輸部門というものは大変苦しい事情にあるわけでございます。付帯事業の一部から、要するにそういった意味での赤字を補てんして何とかやっておるというような、そういうふうな、実は私鉄の企業努力との比較対比の中で国鉄さんを見た場合には、先ほど来いろいろお話はございましたけれども、またいまの基準内賃金等につきまして、高いという理由につきましていろいろお話がありましたけれども、そういう大きな赤字を抱えておられる国鉄さんの現状からいたしまして、どうも私には、その公労協という形での要するに春闘に対する姿勢づくり、同時にまたベア問題この辺が必ずしも実は釈然としない。先ほど来、何回かいろいろなお話のある中で、そういう体質の国鉄さんが、どうもやはりその辺の経営姿勢といいましょうか、その辺に若干問題があると申しましょうか、実はもう一踏ん張りも二踏ん張りもしていただきたいというふうなことを申し上げたわけでございますが、改めてもう一度その辺についてのしかとした御当局の御見解を伺いたいわけでございます。
  167. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御指摘になりましたように、経営上の姿勢につきましては私どももいろいろと反省はいたしておりまして、昨年、幸いにしてと申しますか、国会の方で運賃法及び国鉄法の一部を改正する法律を通していただきました。さらに、閣議了解におきまして、国鉄の再建に関する基本方針というものも出していただきました。従来とは、相当内容的にも掘り下げられたと申しますか、私どもから見ますれば画期的な内容の基本方針が出されておる。その内容はここでは省略いたしますけれども、簡単に申しますると、国鉄の責任云々と言えないような赤字については国でいろいろめんどうを見てやろう、そのかわりあとは自分の企業努力でがんばれと。企業努力の中には、もちろん労使協力しての努力並びにその運賃値上げという問題があるわけでございますが、運賃値上げにつきましては、先ほど触れました運賃法の改正によりまして、ある一定限度内においては大胆の認可で上げることができる、従来に比べまして適時適切に運賃改正ができるというような条項もできてまいりましたので、その運賃値上げと企業努力で、構造的な欠損以外の部分、つまり国鉄で責任を持てない部分、責任を持てないような分野については国でめんどうを見るということになります。したがいまして、残りました部分は運賃値上げあるいは国鉄の労使の努力によって賄わなければいけない。自己責任分野というのが非常に明確になってまいりますので、私どももこの新事態に対しまして、俗っぽい言葉で言いますれば、再建元年というような気持ちでこれに取り組みたい、取り組まなければならないと思っておるわけでありますし、また組合においてもこの新事態を非常に深刻に受けとめておりまして、何とかして労使協力して再建していかなければいけないという認識が、徐々にと申しますか、浸透してまいっております。私どもも四十三万の職員に対してそういう呼びかけをいまいたしておりまして、たとえば本社に組合との間に設けております再建問題懇談会等におきましても、労使で本当に自己責任の分野がはっきりしてきた場合にどうやったらこの赤字というものを解消できるのかということについて、双方の立場を超えて真剣に議論しようではないかということで何回か議論を重ねておるような次第でございまして、漸次いい方向に向けていかなければならないという覚悟のもとにやっておるわけであります。
  168. 森田重郎

    ○森田重郎君 よくその辺のお気持ちのほどはわかりました。  重ねて申し上げるようですけれども、同じ交通企業でも、はっきり申し上げまして私鉄はずいぶんいろいろそれぞれの会社におきまして、かなりやはり意欲的に、生産性の向上と申しましょうか、あるいは合理化と申しましょうか、こういうふうなことを進めておるわけでございます。にもかかわらず、先ほど来ちょっと話がありましたようなローカルの私鉄というような形で見ますと、不採算路線のお話も出ましたが、大変苦しい情勢下に立たされておる。そういう大変経営の厳しい会社、要するに民間企業が払った税金というもので、ある意味では国家財政というものが成り立っている。三公社五現業にしましても、そういう財政措置の中で何らかのやはり恩典に浴しておるというふうなことを考えますと、ただいまお話がございましたように、その辺の一つの姿勢づくりというものは相当しかとした姿勢で対処していただきたいという気持ちでございます。  十七日でしょうか、政府のこの賃上げ回答に対して、実はこれは新聞の記事でございますけれども、公労協側で、怒りを持って拒否するというような表現でそのものの中に、何か自主解決的な路線といいますか、そういうふうなものがどうもない、さびしいというようなことで、十八日からストに入ったというような経過を踏まえて考えてみましても、きょうは特に国鉄さんに、どうぞひとつその点をお願いを申し上げたいと、こういうわけでございます。  それから、もう一点だけ最後にお伺いしたいんですが、藤井労働大臣が違法ストに一転硬化したというような考え方の中で、ずばり申し上げましてスト権の付与反対論、こういうような問題がはっきり申し上げましていろいろ論議されておるようでございます。恐らくは実はきょうあたりもそういったような問題がどこかで論議されておるんじゃなかろうかと思いますが、この辺の問題について、これは内閣の所管ということになるわけでございますね、要するに公共企業体等基本問題会議でしょうか、この辺のスケジュールがどうなっておるか、同時にまた、六月末に最終的な意見を政府に提出するというような話も伺っておるんですが、この辺についてちょっと御説明いただければ大変ありがたいと思います。
  169. 岡部晃三

    説明員(岡部晃三君) 三公社五現業の争議権問題の取り扱いにつきましては、これは先生指摘のように、現在内閣に設けられております公共企業体等基本問題会議で審議が進められているわけでございます。この基本問題会議は、一昨年から精力的に検討を続けておりまして、三つの懇談会及び八つの部会に分かれまして審議を行ってきたわけでございますが、現在の段階では各部会の結論の取りまとめに入っている段階でございます。で、その部会の取りまとめましたところを懇談会ごとにまとめまして、さらにそれを総括いたしまして最終的な報告書となるわけでございます。この時期は、最終報告書の提出されますのは六月ごろというふうに聞いております。
  170. 森田重郎

    ○森田重郎君 これ、五十三年に入りましてから何回ぐらいやはりこういう会合が持たれたんでございましょうか。
  171. 岡部晃三

    説明員(岡部晃三君) 正確な数字は手元にございませんけれども、ことしに入りましてからほぼ五十回程度というふうに記憶いたしております。
  172. 森田重郎

    ○森田重郎君 わかりました。ひとつ実のある会議であるようにお願い申し上げたいと思うんですが、最後に一点だけつけ加えさせていただきます。  やはりスト問題というのはある意味では交通安全対策に非常にかかわり合いのあるもの、ストのために満員電車の中で子供さんが窒息しそうになったとか、あるいは老人の方があわや生命をというふうな話なんかも間々伺いますし、社会的な問題としても学校が閉鎖になるとか、いろいろな問題が絡んでくると思うわけでございます。そういう意味で、冒頭申し上げましたように交通安全対策にも大変関連があるというふうな意味から実は御質問を申し上げたわけでございますが、私は最終的に申し上げたいことは、これは成田問題等でもしょっちゅう申し上げていることでございますが、きわめてありふれた卑近な表現になるかもしれませんが、どういう問題であっても最終的には人と人との触れ合いというようなことで自主決着をつける、その意味では十二分にお互いに忌憚のないところを開陳して話し合うということが一番要諦ではなかろうかというふうに考えておりますので、その意味におきまして、国鉄さんも二十五日に予定されておる――ストか予定されるということは非常にいやな表現になるわけですが、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げたいと、かように思うわけでございます。  終わります。
  173. 小野明

    委員長小野明君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。   午後五時十三分散会