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1978-06-08 第84回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月八日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     田原 武雄君  五月三十一日     辞任         補欠選任      田原 武雄君     降矢 敬義君  六月一日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     内藤誉三郎君  六月二日     辞任         補欠選任      内藤誉三郎君     降矢 敬義君   出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         安永 英雄君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 太郎君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 藤田  進君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁水資源局        長        飯塚 敏夫君        農林大臣官房審        議官       角道 謙一君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        厚生省環境衛生        局水道環境部計        画課長      藤田 恒雄君        郵政省電波監理        局放送部企画課        長        永野  明君        労働省職業安定        局雇用政策課長  白井晋太郎君        労働省職業安定        局業務指導課長  田淵 孝輔君        自治省財政局調        整室長      小林  実君        会計検査院事務        総局第一局大蔵        検査課長     島川 庸一君    参考人        日本住宅公団理        事        澤田 光英君        首都高速道路公        団理事      高橋  力君        首都高速道路公        団理事      上前 行孝君        日本放送協会営        業総局総局長  森 外志雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (福岡周辺における水不足問題と水資源の開  発に関する件)  (住宅建設宅地開発に関する件)  (日本住宅公団家賃値上げ問題に関する件)  (建設労働者の雇用問題に関する件)  (国土利用計画法に基づく規制区域に関する  件)  (公共事業前払金保証事業に関する件)  (高層建築物電波障害に関する件)  (道路工事に伴う損失補償問題に関する件)  (関連公共施設整備事業に関する件)     —————————————
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、日本住宅公団首都高速道路公団及び日本放送協会役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 赤桐操

    赤桐操君 まず、福岡市を中心とする北九州地域の大変な異常少雨と申しますか、問題が出ているようでございまして、この点について質問いたしたいと思います。これは後で古賀先生からも地元立場から詳細に御質問があるようでありますので、私は簡単に触れたいと思いますが、大変な実はこれは大きな政治問題に発展していると思います。委員長安永先生地元でありますので、本来なれば安永先生の方からいろいろ御発言がなされることだろうと思ったんでありますが、また地元からも大変陳情等も来ておるようでありますので、私がかわりまして若干申し述べておきたいと思います。  福岡市を中心とするこの水不足状況でありますが、連日、新聞あるいはテレビ等状況が大変放送されておりますが、これらの状況についてひとつ伺っておきたいと思います。
  6. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 福岡周辺水不足でございますけれども、先生おっしゃいましたように、四、五と二カ月の降雨量でございますけれども、これは福岡市で百ミリということで、平年三百ミリの大体三分の一、これは福岡気象台始まって以来八十七年間の最低の降雨量でございます。それで、いまいろいろこの周辺におきまして水不足が深刻でございまして、大体五〇%程度の給水制限率になっておるわけでございます。したがいまして、これらに対応しまして、福岡水道としましては六月一日から先ほど申し上げましたような給水制限を行わざるを得ないという状況でございます。  建設省としましては、福岡県、福岡市の要請、あるいはこういう生活用水の非常な異常渇水、そういう実態にかんがみまして、筑後川水系寺内ダムというのがございます。これは水資源開発公団が施行しておりまして、現在、試験湛水をやっておるわけでございますけれども、これの緊急暫定的な運用を図って対処していきたい。したがいまして、関係機関——佐賀県、福岡県、福岡市、福岡地区水道企業団並び水資源開発公団九州地方建設局中心なりまして協議、調整に努めてきたわけでございます。この結果、六月一日からこの寺内ダムから福岡市へ日量七万トンの水を送水するということで現在その対処を行っておる次第でございます。
  7. 赤桐操

    赤桐操君 当面の緊急対策と、さらにまた今後の長期にわたる対策とに分かれると思うんでありますが、とりあえず、何はともあれ大変重要な段階に来ているようでありますので、これらに対する対策を急がれるべきだ、こういうことをひとつ私から申し上げておきたいと思います。   一般的な問題に移りますが、人口集中地域大都市圏というのはやはり大なり小なりこういう危険にさらされていると私は思うんですよ。問題は、やはり九州北部地域に限らない問題なんであって、そういう意味合いからするならば、首都圏関係においてもいっこういう事態が発生しないとも限らないと思うんですね。こういう点についていろいろ検討されているのかどうか、されているとするならば、諸対策をひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  8. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 首都圏におきましては、幸いなことに現在利根川水系ダムを含めまして三億トンの水がたまっておる。幸い雨が多いということでことしは一応うまくいくというところでございますけれども、先生おっしゃいますように、渇水なりますと、雨が降らなくなりますと、やはり人口集中都市におきましては水不足になってくるというのは否めない事実だろうと思います。したがいまして、建設省としましては、こういう水が足らなくなってすぐあしたダムができるという問題じゃございませんで、ダム一つつくるにはやはり七年から十年かかるということで、長期展望に立って十年、二十年先を見て、現在、水資源需要供給、そのバランスはどうあるべきかということで五ヵ年計画も組んでおりますし、また長期計画も立ててそして対処していきたい。しかしながら、こういう首都圏なんかにおきましては、やはり鋭意水資源開発やりましても水は若干不足する。現在におきましても全国では四十億トンの水が渇水になると不足しておるという現状でございますけれども、その不足量をできるだけ少なく持っていくというふうに全力を挙げて計画を立て施行しておるということでございます。
  9. 赤桐操

    赤桐操君 これは大変常識的な物の言い方になるんですけれども、大体やはり昔からたんぼの水が実は日本の場合においては水がめになっておると言われてきているんですね。南方から運ばれてきた雨水が一たんここに全部受けられて、それが地下水となってやがて浸透していく。これが水となってそれぞれいろいろの面で使われていくことになるわけでありますけれども、減反政策その他で、たんぼ状況も大分減らされてきている。一方、都市周辺も住宅化されて減らされてきている。こういう状況の中では、やはり将来的に考えて、自然の原理等々から考えていっても、これは私は重大な問題になると思うんですよ。こういう総合的な考え方というものは検討されているのかどうなのか、こういうことについてひとつ伺っておきたいと思うのですが。
  10. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 都市周辺におきましては、減反政策あるいはたんぼ宅地化になるということで、農業用水に余裕が出てくるということでございまして、建設省としましては、先ほど申し上げましたハードないわゆるダムあるいは湖沼の開発というだけじゃなくて、いわゆる水利用合理化農業用水の適切な利用のあり方、あるいは工業用水を将来三回使いあるいは五回使いに持っていくとか、あるいは節水の問題、こういう多面的な総合的な施策をやっていかぬといけない。と同時に、いわゆる下水処理水の活用の問題、これは建設省におきましても、荒川の左岸流域下水道処理施設使いまして、それをいかに生活用水に使うかということを現在すでに実施計画調査を始めておる段階でございます。あるいは地下水でございますね、これも過剰にくみ上げるから地盤沈下を起こすんであって、いわゆる地下へ補給する、表流水を。いわゆる地下水涵養につきましても私たちとしましては土木研究所を挙げましてその技術の検討を行っておるわけでございます。そういうふうにハードな面あるいはソフトな面、そういうことを総合的にやりまして、そうしてみんなが一緒になってこの人口集中地域水対策に努めていきたいというふうに考えます。
  11. 赤桐操

    赤桐操君 まあ水資源開発から水の管理の問題ですね。こうしたものについての総合的な一貫した水行政といいますか、こういうものの確立がいまここで叫ばれてきていると思うんです。そういう意味合いから、いま局長から言われたそういう考え方についてもっと本格的に取り組むべきだと思うんですよ。これは九州の今回の問題はひとりこれだけ解決すればいいという問題ではないんでありまして、九州はもちろんでありますが、これから全国的にそういう水不足対策、一貫した水管理対策、こういうものを確立されるべきだということをひとつ要望をいたしておきたいと思います。  次に、江戸川架橋の問題についてひとつ伺いたいと思うんです。ことしから建設省予算の中で江戸川架橋予算が計上されてございまして、ことしから着手をいたしたいということで、千葉県あるいは地元松戸市等に協力の要請がなされているようであります。この計画をひとつ具体的にお示しを願いたいと思うのですがね。
  12. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の新江戸川架橋でございますが、本年度着工ということで五億九千万の予算を計上いたしております。全体計画としては十六億四千万ぐらいの橋でございますが、これは外郭環状道路一部分という形で計画されている橋でございまして、これと近接して並行しております旧国道六号線の葛飾橋交通混雑がひどいわけでございまして、この緩和を図るために、これと並行してこの外環部分一部分の橋を建設することによりまして、あわせて使いますと非常に流れがよくなるということから、かねて松戸市から強い要望があったわけでございまして、これについて今年度、地元十分折衝を持ちながら建設していきたいというふうに考えておりますが、これにつきましては、実は千葉県、特に市川市を中心とします外環ルートに対する反対動きに絡みまして、かねてから千葉県知事からこの架橋計画について外環との関係でいろいろ文書等が参っておりますが、これについては十分調整を図りながら今後進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、これは外環道路一部分だと、こういうことなんですか。
  14. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 外郭環状道路ルートがこの付近で計画されておりまして、この外環道路は御承知のように幅員は非常に広いわけでございまして、場所によっては約百メーター近い、七十メーターぐらいのところもありますし、四十メーターぐらいのところもあるというようなことで、いろいろ広い計画になっておりますが、その片側車線にかかる橋ということでございまして、一応一般部片側車線の橋という位置づけでございます。そういうことでこの橋をかけることによって、外環ルートの完成時はもちろん、当面の葛飾橋周辺交通緩和策に大きく役立つという計画でございます。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、本来の外環道路計画からするならば、もう一本橋がかかることになるんですか。
  16. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) そういうことになります。最終的にはもう一本ということでなくて、占用部分も入れますと三本、橋がかかる、そのうちの一本をまずかけるという形になります。
  17. 赤桐操

    赤桐操君 これは大変長い歴史を持った問題の道路でありまして、そう簡単にはいかないんです、これは。それで、大体問題の発生した時期は四十六年であったと思いますが、このころから地元市川、さらにまた松戸等が続いてそれぞれ反対決議をしているわけであります。それで、特に市川市の場合等におきましては、市長以下行政を挙げて、さらにまた議会が挙げてこれは決議をしておりますし、地元住民はこれは挙げての反対行動をとる、こういうことになってきておるわけでありまして、これは市川市にとっては町を挙げての問題に今日発展してきている。こういう状況でございます。  この問題は、すでに私が取り上げた問題ではなくて、かつてもう千葉県出身の衆参両院、保守、革新を問わず全議員がこれに対しては反対立場からいろいろと建設省にも申し入れをしたり、請願の紹介をしたり、それぞれやってきているはずであります。そういう関係からいたしまして、大体これはいわくつきのものでよく建設省も御承知のところでありますが、特に今回の問題をめぐりましては非常に反発が強く出ております。こうした市川松戸動きと並行いたしまして、県の方からも、いま局長も言われておりますが、これは当分の間見合わせるということで要請が出ているはずでございます。そういう状況の中で、これは特に県から出ている内容は、もう明確に路線の変更構造変更等についての再検討と、こういうことで出ているわけでありまして、これらをめぐってもう少し建設省側としては誠意ある考え方を持ち、あるいはまた受けとめ方をすべきだと思うんですが、この点はいかがですか。
  18. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 外環ルート市川市内の問題につきましては、先生指摘のような事情で、かねてから非常に地元からの反対意向も強いということは十分承知しておるわけでございます。しかしながら、この外環建設につきましては首都圏、特に東京都心部通過交通をさばくという意味から言いますと、数本の高速道路が放射状に東京に集中している姿を考えますと、どうしても最終的には計画として実現しなければならないものだというふうにわれわれは認識しておりますが、しかし、なかなか一朝一夕にいくものではないということも同時に私ども覚悟しておるわけでございます。しかしながら、そういうことでじっくり地元と話し合いを進めながら、理解を得て逐次建設していきたいという姿勢でやっておるわけでございますが、御指摘のような千葉県知事からの申し入れにつきましては、この橋につきましては六号以南計画と切り離すように取り計らってくれというのが知事からの申し入れ趣旨でございまして、江戸川橋そのもの着工は一応松戸市からの要望でございますので、それについては切り離すことを前提に取り計らってくれというような御意向でございます。  それから、六号以南につきましては、さらに検討を重ねることを内容としているわけでございまして、運輸省の中では、六号以南につきましては納得される結論が出るまでの間事業実施を見合わせ、さらに抜本的かつ徹底的な御検討を賜りたく重ねてお願い申し上げますという趣旨でございまして、現在このルート構造的な検討につきましてはいろいろな考え方知恵をしぼっておるわけでございます。その結果をもって、また千葉県、市川市に御相談申し上げて実現するようなことでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。凍結というようなことは考えておりませんわけでございます。十分納得いくような計画をもって御説明申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、千葉県知事申し入れについては一応了解したいという方向なんですか。
  20. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 千葉県知事からの申し入れば、別に回答を求めておるわけではございませんが、現在、地建におきまして回答するかどうかを含めましていま検討中でございます。
  21. 赤桐操

    赤桐操君 その回答は近々やることになるんですか。やるとすればいつごろの予定でいるんですか。
  22. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) これは回答するかどうかを含めて検討しているわけでございますが、何分ことしの予算江戸川橋についてはついておるわけでございまして、江戸川橋架橋に絡む要請でございますので、江戸川橋着工前には何かの形で意思表示をすることになろうかと思います。
  23. 赤桐操

    赤桐操君 千葉県知事要請というものは、橋はまあ仕方がないだろうと、しかし、その橋と外環の問題は切り離してもらいたい、だから橋は橋としてかけてもらうのは構わないけれども、外環道路の問題とは関係がないということでもってこれはひとつやってもらいたいと、こういうことになるんですね。だから、外環道路の一部だというそういう認識、そういうたてまえではないということにしてもらいたいということになると思うんですね。それではだめなんだということになれば、外環道路としてやるんだということになりますから、これはやはり千葉県側の方としては受け入れられないと思うのですよ。問題は、知事の提案しているその点で、建設省側は妥協の腹があるのかないのか、こういう問題になってくると思うのですが、この点、局長いかがですか。
  24. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) その辺は非常にむずかしい問題でございまして、外環ルート一部分位置にかけられる橋であることはこれはまず間違いがないわけでございます。これはまた、ただ外環ルートは、そこを通れば将来その橋は外環ルートとして役立つものでありますが、これは外環ルートの一部であると言っちゃいけないということであれば、別にあえて現時点で言わなくてもいいわけでございますが、これはやはり位置としては、その位置にあるということははっきりしてあるわけでございますので、その辺どういうような御説明になるか、現在、回答するかどうかを含めまして検討中でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと考えております。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 市川市の場合は、この道路ができますというと、ちょうど真ん中をぶった切られることになるわけですね。それで、直接影響下に置かれるのが千五百戸、周辺を含めると二千戸を超える大変な戸数になるようであります。もっとふえているかもしれない。こういうものを立ち退かせて、いまになって道路をつくるということが現実の問題として局長は可能だと思いますか。
  26. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 大変むずかしい問題だというふうに考えております。しかし、構造的には十分なスペースをとって、そこにスリット式あるいは半地下式といいますか、半トンネル式構造等考えれば環境的な問題はかなり解決できるんじゃないかというふうに考えておりまして、かなり戸数の移転は伴うと思いますが、したがいまして、なかなか一朝一夕にはできない、進まないということは覚悟いたしておりますが、しかし、先ほど申し上げましたように、この外環ルートについては埼玉県内あるいは東京湾岸部等については相当建設が進んでおります。やはり環状につながって意味のある計画でございますので、そういうことを考えますと、時間はかかっても着実に環境影響の少ないような形でつくっていくということに考えざるを得ないというふうに考えております。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 私は、これを強行していくということは今日の段階においては非常に無謀だと思うのですね。それで、成田空港の例で申し上げるわけじゃないけれども、あの空港の例にしても、もっと早く見切りをつけて、そしてどだい中途半端なああいうものをつくるんじゃなくて、もっと海なら海に面したところへ本格的なやはり国際常識に従った国際空港ができたはずなんですよ、もっと早くやれば。ところが、まさにああいうところにどこまでも強行しようとしてきた今日までの政治姿勢、こういうものの中から今日ああいうかっこうのものができてしまったと思うのです。でき上がったって、一千ヘクタールくらいのものの中に何であれだけの轟音を包み込むことができるのですか。不可能ですよ。それで結局は、今日できる国際空港、いま現実にある国際空港など見てみましても、ああいう規模の中途半端なものはないんです、これは、大体が。同じように、私はこうしてやっていくうちには当初計画なんていうものはできるものではなくなってしまうと思うのですね。強引にやるといったって、二千戸からのいろいろの影響を及ぼす戸数を抱えて、ここにいまこれからなおかつ十年かかっても十五年かかってもやるんだなんていうばかばかしいことは、これはやっぱりやめるべきじゃないかと思うのですがね。  たとえば、市川市にしても一部の住民だけが反対してるんじゃない、今日。市川市全体の問題になってしまう。直接の関係者が千五百なり二千である、市川市の市民全体が今日そういうものはやるべきじゃないという考えに立っているんです。ですから、市長以下議会を挙げて反対の運動に今日出ておる。こういう状況の中で、県自体でも県議会でもこのことを確認をしてそういう申請をしているわけですね。要請をしているわけだ、国に対して。したがって、交通緩和の問題ということは、この問題と切り離してもっと知恵をしぼれば私は考え方がいろいろ出てくると思うのですけれども、どうですか。ほかに考えは出ないんですか。
  28. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) まあ市川市内、それから松戸を結ぶ横方向幹線道路というのはほとんど見るべきものがないのが現状でございます。そういうようなことから、いろいろ車流れとしてあの周辺市内を抜ける交通が非常に混雑しているということになっておるわけでございまして、これを市内を抜いて湾岸道路につなければ動脈として早く湾岸部に車が流れていくということから、あの地域全体の環境対策車公害から市全体を緩和するという意味からもこのルート意味があるわけでございます。確かに二千戸、二千五百戸というようなお話がございましたけれども、実際かかるのはそれほどかかるわけでございませんで、たとえばあの辺をほとんどトンネルみたいな形で抜いていけば一そういう公害等の影響がほとんどないような形でもできるわけでございます。その辺も含めて検討しているわけでございます。かたくなにあの計画を固持してやっているというわけではございませんで、あの周辺で、道路をどこかでつくらなければあの交通渋滞は救えないわけでございます。やはり集中的に公害のないような姿で動脈を抜くというのが現状考えられる最善の策ではないかということで、いまの計画は最善のものだというふうに考えているわけでございます。ただ、あの地域に御承知のように非常に人家が密集している、どこを抜くにしても現状では密集しておるわけでございます。どこか抜かなければ解決できない問題であるわけでございます。そういう意味から、どこか一本やはり抜くとすれば、影響の少ないようなトンネル構造に近いような形で何とか抜けないものかということでいろいろ検討をやっておるところでございます。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 たとえば、江戸川沿いの河川敷なんかを使って抜く方法もあると思うんですよ。湾岸道路に抜けるんです、それでも。こういうようなことを基本的に考えてみたらどうですか。それで、二千戸からの戸数を相手にして、いまこれから十年かかっても、十五年かかっても、二十年かかってもやるんだと言ってみたって、これはとてもじゃないけれども話にならないと思うんですね。やはり私はそういう無理なことではなくて、もっと住民の納得を得られるような形の中で協力体制をつくりながら交通体制というものはつくっていくべきものであって、そういう対策をやはりこの際ひとつ考えるべきじゃないかと思うんですがね。再検討の用意はありませんか。
  30. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 湾岸道路のあの位置計画については、われわれは最善のものというふうに考えておるわけでございますが、やはり道路網の計画は広い視点から見ることも必要だと思います。また、時代の流れということもあるわけでございまして、長い時間かかるわけですから、現状外環道路をつくっておる姿勢を、この道路地域のために役立つ道路であるということをわれわれ念願してやっておるわけでございますので、ほかにいい方法があってこの地域交通問題が解決できるようなことがあれば、その方法に固執しているわけではございませんので検討してまいりたいというふうに考えております。しかし、なかなかこれまでもいろいろ考えておるわけで、名案がないのが現状でございます。しかしながら、お話にございました江戸川の河川敷、これについては首都高速等の経験もありますが、そういうものを含めまして少し広い視点から、こういった計画を見直すということよりも、やはり将来に向かってこの辺の幹線道路がどうあるべきかということを検討していくことにしたいというふうに考えております。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 当初計画を立てられたころから見れば大分現地の状況も変わってきているわけでありますし、当時は湾岸道路なんかなかったわけでありますから、そういういろいろの新しい条件なんかもできてきているし、私はやはりこの際もっと広い視野に立って検討していただくべきだろうと、こういうように実は考えるわけです。それで、知事が大変真剣に建設省要請しておるのもそういうゆえんだろうと思うのでありまして、余りいろいろ無理なことをなお強行するということではなくて、県や自治体がここまで真剣に訴えているというこの実情は率直に受けとめて、国がそれに対応できるいろんな対策を打ち出していくということが私は政治なり行政のあり方だと思うんですね。そういう大局的な立場に立った考え方でひとつ検討していただくというそういう方向づけをしてもらいたいと思うわけですが、いまの橋の問題を含めてひとつそういう形のものがとれるかどうか、もう一遍再確認しておきたいと思います。
  32. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ルートの問題につきましては、いまの湾岸道路計画について構造的に十分対応できるものを一応準備しまして地元のコンセンサスを得たいということで、今後地元と接触を持っていきたいと同時に、また、この計画を含む全体のこの付近の幹線道路網についても引き続き今後のあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 次に、ことしの二月の本委員会でいろいろ日本住宅公団の家賃値上げ問題について論議いたしたわけでありますが、その際に七項目の委員長からの要望事項が出されまして、ここで確認をされております。若干時間がたってきておるわけでありますが、その後、これらの七項目をめぐりまして、どのような具体的な措置がとられてきているのか。問題点はいろいろ出てきているのかどうなのか、そういうことについてひとつ伺いたいと思います。
  34. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 参議院建設委員会委員長よりの御要望のありました七項目につきまして、できる限りその趣旨を尊重することといたしまして、大臣承認に当たりまして次のように処置しております。  第一の敷金の追加徴収は認めないということ、それから実施期日は二カ月延期するということ、それから家賃の変更実施に当たりましては、老人、母子世帯、身心障害者世帯のうち生活に困窮する世帯につきましては、生活保護世帯に対する特別措置に準ずる措置を講じてほしいということ、それから今回の増収分は昭和五十四年度以降に管理開始する住宅の家賃の抑制には充てないこと、それから入居者の皆さんに対しまして、引き続き家賃の変更趣旨の周知に十分努めること、そういったことに配慮するとともに未入居住宅及び長期利用地につきまして、その解決に全力を挙げて当たってほしいというように指示を与えております。その他の事項のうち、建設省みずから解決しなければならない問題がございます。これは家賃体系の問題と、それから住宅基本法等のいわゆる住宅政策の基本施策に関しての御要望でございまして、この点につきましては、現在、住宅宅地審議会に鋭意家賃制度の基本的な問題について御審議を願っておりますので、その答申を待って十分建設省の側として検討いたしたいというように考えております。  そういった建設大臣の承認に当たりましての指示を受けまして、住宅公団におきましては、現在、老人、母子、身障者等の生活困窮世帯に対します特別措置につきまして、具体的な実施方法につきまして大体の骨子をまとめまして、現在、厚生当局と事務的な問題につきまして最後の詰めをやっているところでございます。趣旨は十分私ども織り込んでいきたいというように考えております。それから、入居者の皆さんに対します周知措置につきましては、引き続き支社におきます説明、窓口の説明、それから居住者団体等の説明、パンフレットの配付というように引き続き努力いたしております。それから未入居住宅の解消、それから長期利用地の解消につきましては、公団側としても現在鋭意努力を続けておりまして、やはり若干成果が上がってきていると私ども判断している次第でございます。それから、関連公共公益施設の公団負担につきまして、これを緩和するということにつきましては、立てかえ施行の促進とともに、本年度から予算に計上さしていただきました関連公共施設の整備促進事業につきまして、できるだけそれを活用いたしまして住宅公団の原価が下がるように現在促進していきたいというように考えている次第でございます。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 空き家の状況はどのくらい減ってきているんですか。
  36. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 三月末で、いわゆる保守管理中の住宅を含めまして四万戸を若干上回る状態になっております。これは、すでに発生しておりますそういった空き家はどんどんどんどん減っておりますが、さらにまた新しく竣工する住宅がふえてくるというような状態でございますので、現在のところ目立って減っているというような状態ではございません。  ただ、先ほどちょっと触れませんでしたが、こういった家賃改定の一環としまして、七月一日からいわゆる五十年、五十二年度管理開始分の家賃の値下げを実施するように現在鋭意作業を進めております。恐らくこの結果が相当空き家解消に響いてくるのではないかというように考えている次第でございます。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 これは最近、千葉県だけではなくて、この周辺各地区からそういう訴えが出ておりますが、家賃値上げの通告が出されておるようでありますけれども、具体的に言うと、一DK、二DK、三DKがいずれも七千円アップだと。これはおかしいんじゃないかという意見が大分出てきておるようですね。家賃というのは大きさによって差があるべきじゃないのか、したがって値上げについても差があるのが普通じゃないかというのがこれは常識だと思いますが、そういう問題。さらにまた、話し合いについては、それぞれの支社を通じていろいろ行政指導をしておるというお話でありますが、通知は来ているけれども何の説明もない、こういうところが大分あるようでありまして、こういう合意を得られないような状態の中で値上げをすると言ってみたところで、本当に値上げができるのかどうなのか、こういうことを私は実はその訴えを聞きながら大変心配に思っておるんです。また、言っている方の意見を聞けば聞くほどなるほどなということになってくるわけなんです。この辺の状況をひとつ説明を願いたいと思うんです。
  38. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 一DKから三Kまで一律七千円アップになっているということでございますが、これは確かにそういった常識的な御疑問もあろうかと思います。ただ、これは私ども、やはり激変緩和ということで公営住宅のいわゆる家賃の改定方式にならいまして計算した上で七千円で頭切りをしたという結果、そういうことになっているわけでございます。したがいまして、本来の家賃はやはり一DKなり三Kと、そういった開きがあるべきはずでございますし、公営住宅の家賃改定方式で計算いたしますと当然そういった姿になるはずでございますが、これを七千円という頭切りをいわゆる激変緩和という政策的な配慮からいたしたという結果、そういうことになっているわけでございます。こういう点につきましては、できるだけ入っている皆さんにその具体的な数字でもって御説明申し上げて御理解を願いたいというように考えている次第でございます。  それから、私どものところにもそういった実際の具体的な数字を知らしてほしいというようないろいろな御連絡がございます。私ども住宅公団に対しまして、そういった周知措置につきまして十分意を配るように言ってございますが、何しろ三十数万戸にわたる大量の方々に対する問題でございまして、なかなか行き届かないところが実際上出てくるのはこれはある程度やむを得ないかと思いますが、残りの期間、鋭意そういった御説明なりなりの周知方につきまして努力をするように指導してまいりたいというように考えております。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、これは一DKから三DKまでみんな一律七千円アップという形が出ておるようですけれども、このままでやるということになるんですか、あるいは何らかの検討を加えるという必要はないんですか、これは。
  40. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) もともとこういった今度の家賃改定が引き起こりましたのは、結局一DKで二万円を超すものもある、あるいは三Kで数千円という家賃がある、そういったアンバランスを是正しようという目的で始めたわけでございます。したがいまして、その一DKと三Kが場所によって同じ七千円上がるというようなそういった形になるのも経過措置としては私どもやむを得ない問題ではないかというように考えております。したがいまして、住民の方々にはそういったことを十分御理解願えるような努力をして、このままやらしていただきたいというように考えている次第でございます。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしましても、これはいろいろ激変緩和ということで、ある程度頭を切るという話は最初からわかっておったわけでありますが、一と三が同じということについては、入っている側にしてみれば全くぴんと来ない問題であろうと思いますので、総合的な点でひとっこれは検討すべき余地があるように思いますので、検討されるならば検討してもらうべきだと思います。  それから、話し合いの問題については、確かに戸数も多いし職員の数もあるでしょうから大変だろうと思いますが、何らかの方法でこれはやはり話し合いの場というものはつくらなくてはならないじゃないだろうか、こう思いますし、そういうことも確認をしてこの前の委員会も終わっているわけですから、そういう形の指導をなさるべきだろうと思います。  それから、ひとつ伺いたいと思うのは、金利は依然として同じ金利なんですか。今度のレートの変更によって下げたんですか、公団に対する金利の問題ですが。
  42. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 今回のいわゆる財投資金の金利の引き下げに伴いまして、大蔵省と鋭意詰めました結果、現在の五%の金利を四・六%にするということで合意いたしまして、五月からそれを実施してまいりたいというように考えております。ただ、いわゆる面開発の住宅、それから団地高層につきましては四・五%という現在金利でございますが、これにつきましては他の政策金利との均衡等もございまして、この四・五%の金利はそのまま据え置く。五%のいわゆる団地中層市街地住宅につきましては四・六%に、〇・四%下げるということで今年度実施したいというように考えております。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 それから次の問題として、公共公益施設に対する公団負担の軽減の問題がここに一つ示されていますが、具体的にはどういう処置をしておられますか。
  44. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 公団の負担の軽減という問題につきましては、これは一つは立てかえ施行の問題がございます。これはしかし長期的に見ますと、立てかえ施行そのものが公団の負担の軽減というようなことに直接にはつながりませんが、ただ間接的にはやはり負担の軽減になります。直接こういった公団負担の軽減につながりますのは、今回、今年度からお認めいただきましたいわゆる三百億の関連公共施設の整備費でございます。これは少なくとも国の補助金の分だけは公団の負担の軽減につながります。これにつきましては、この実行につきまして現在実施方針を固めまして、近く地方公共団体からのヒヤリングを実施して、七月には配分計画を立てたいというように考えておりますが、そういった中で、三百億の実施主体はこれは市町村が主体でございます。したがいまして、現在、住宅公団におきましてはそういった地元の市町村との最後の調整、詰めを急いでおりまして、できるだけそういったものを利用いたしまして公団負担の軽減を図ってまいりたいというように考えている次第でございます。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 三百億の中でどのくらい公団に回る見込みですか。
  46. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) これは現在、近く建設省で全国取りまとめのヒヤリングをいたしたいというように考えております。私どもその全国のヒヤリングの結果がまとまっておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、それからまたほかの公営住宅なり公社住宅なり、あるいは民間の開発状況等もにらみ合わせながら考えなければならないと考えております。したがって、大体どれぐらいにいくかということにつきましても現在のところはっきりした見通しは持っておりませんが、大体三分の一から半分ぐらいは住宅公団が使えるんじゃないかというような感触だけは持っております。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしましても、金利の問題にしましても、あるいはいまの関連公共公益施設費の投下の問題にいたしましても、これは住宅公団の私は運営の基本をなすものだと思います。それで、もっと具体的に言えば空き家解消の一番大きな私は要因になると思うんですね、これを断行するかしないかでもって私は空き家の問題はほとんど解決するんじゃないかと思う。あるいは解決しないかもしれない。だから、そういう実は決め手になる問題点だと思うので、この前の委員会でも強くこの点を指摘していると思うんですよ。ですから、五%を四・五ぐらいにするなんというようなことじゃなくて、もっと思い切った金利の引き下げをやる。端的に言えば土地代の大体半分は金利で賄われているようなものですから、そういう点からするならば、これはもう家賃を大幅に引き下げることができるわけなんです。さらに言うなれば、公共公益施設費の方も同じようなわけで、これを一つ落とせば大きなこれはダウンをすることができるわけなんで、この点はひとつ一番大きな問題点としてやっぱり建設省は取り組まなければならない問題だと思うんですよ。そういう意味で、これはひとつ強く私の方からも要請しておきたいと思います。  それからさらに、住宅基本法の問題でありますが、これについては審議会検討をされているようでありますが、大臣、これはいつごろ提案することができるようになりましょうか。
  48. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 大臣にお答えいただく前に、私から審議会検討の経過につきまして若干御説明申し上げたいと思います。  私ども、住宅宅地審議会の中で小委員会を設けていただきまして、現在こういった家賃制度、家賃負担、住居費負担という問題につきまして鋭意御検討をお願いしているところでございます。私どもはできれば秋あるいは年内ぐらいにそういった基本的な方向を出していただきたいというように考えております。やはり住宅基本法の一番基本になりますのが住宅の水準の問題と、それから住居費、家賃負担の問題とのバランスをどう考えるかという問題になろうかと思います。したがいまして、そういった審議会の御報告を受けまして、こういった住宅基本法の制定というような作業にかかりたいというように考えている次第でございます。  それで、私ども住宅基本法の制定の問題につきましては、これは私どもが住宅宅地審議会の基本的な考えを受けまして、そして単に私どもがとにかく御提案してつくればいいというものではなくて、やはりこれは全国民のコンセンサスを得てつくることに私は意義があるというように考えております。したがいまして、そういったことで私どもの基本的な考え方は、年内の御答申を受けて早急にまとめたいと考えておりますが、それを直ちに来国会、次の通常国会に御提案できるかどうかということは、そういったことに対しまして、基本的な考え方に対しましていろんな各方面の御批判なりなりをいただいて、そしてある程度コンセンサスを得た段階でお願いしたいというように考えている次第でございます。
  49. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま局長の方から現在の経過を詳細申し上げたところでございますが、私としては、せっかく住宅宅地審議会で小委員会を設けて御検討を願っておるのでありますから、まず第一にはその御答申を得たいということと、それから国会での住宅基本法に対する非常に強い御要請のあることはこれを承知しておりますので、これは通常の場合、次の国会までに用意をして御提案できるように努めたいというようなことがお答えの仕方かと思うのでありますが、私は、いま局長が申し上げたようにやはり内容が大切でございますし、今国会はこれで終わりますが、次の通常国会と言えばまた百五十日の長期のものでありますから、その間には何とか成案を得て皆さんの御審議をいただきたいと、こういう気持ちでおる次第でございます。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 前回の委員会でも満場一致で委員長提案による要請をいたしたわけでありますから、これはひとつ大臣、次の通常国会には何としても提案すると、こういう意気込みで取り組んでいただくことを要望いたしておきたいと思います。  次に、ことしの最大の政治課題というのは景気浮揚と雇用の問題だということが総理を中心としていろいろ明らかにされてきておるところでございます。そこで、ひとつ伺いたいと思うんでありますが、まず雇用の状況でありますけれども、失業状態がそういった政府のかけ声にもかかわらずかなり悪化している。雇用問題は大変なかつてない深刻な状態に置かれておるようでありますが、この点についてひとつ答弁願いたいと思います。
  51. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  現在の雇用失業情勢は、総じて言えば、先生いまおっしゃいましたとおりなお厳しい情勢が続いておりまして、四月現在で就業者は五千四百十三万人と前年同月比四十八万人増加しておりますが、完全失業者も百二十三万人、完全失業率二・二七%と高水準でございます。なお、有効求人倍率、公共職業安定所にあらわれます求人と求職の比率で申し上げますと、有効求人倍率は〇・五五倍。これは一月が〇・五二倍でございましたので、やや回復を見てはおりますが、依然として求職が超過しておるという状態が続いております。このような情勢でいわゆる構造不況業種等の問題を抱えておりまして、雇用失業情勢はなお楽観を許さない情勢である、こういうふうに考えております。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、だんだんよくなってくるんじゃなくて大変悪い方向にいっているように思うんですが、さらに企業によっては地域に大分偏在しているところもあるわけでありますが、地域別に見てはどんな状態になっておりますか。
  53. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  だんだん悪くなっているというわけではなくて、経済その他については、いろいろ議論されておりますように、やや回復の方向は見えてきたというようなことでございますが、雇用失業情勢につきましてはタイムラグその他の点から見まして下り坂であったのが、やや横ばいになってきたというふうに全体的には判断されるのではないかというふうに思います。しかし、先ほど申し上げましたように、不況産業の集中地域等におきましては地域的に非常に問題を抱えておるというふうに判断されるわけでございまして、先ほど申し上げました五十三年四月現在で全国的に求人倍率が〇・五五倍である。たとえば、例をとりますと、北九州地域では有効求人倍率は福岡県で〇・二七倍、それから四国におきます愛媛県今治等の造船問題を抱えております地域につきましては〇・四〇倍、それからずっと特殊な失業者を抱えております沖繩県におきましては有効求人倍率が〇・一〇倍というような状況をそれぞれ抱えております。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 中高年齢層とか身障者とかいうそういう内容的な関係ではどうなっていますか。
  55. 田淵孝輔

    説明員(田淵孝輔君) 身体障害者の雇用につきましては、現在、法定雇用率が一・五%ということに定められております。実際雇われている割合はどうかと申し上げますと、昨年六月の数字が一番新しいんでございますが、平均的な雇用率が一・〇九%ということでかなり法定雇用率を下回っております。現在、職業安定所に身体障害者の登録されておりますものの中で有効求職者は約二万四千人ございまして、二万四千人の人たちがまだ就職を希望しても就職できないような状況で滞留いたしております。また、中高年齢者につきましては、依然としてやはり厳しい状況が続いておりまして、昨年十月の統計でございますが、四十五歳以上の中高年齢者では有効求人倍率が〇・一九倍というような状況で、五十五歳以上の高齢者では〇・〇九というような水準でございます。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、ひとつ伺いたいと思うんですが、公共投資の実施に取り組んでおるわけでありますが、この状況はどんなふうに進んでおりますか。
  57. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 五十二年度の最終的な契約率は九八・三%ということになっております。それから、四月末の実績では、これは契約率が三三・二%で前年同期の三二・九よりややよいと思います。一言で言うと順調な滑り出しをしておると思います。先般来、委員会でも申し上げましたように、省内で公共事業施行対策本部を設け、あるいは地域ごとに施行対策地方協議会を設けて的確な状況の把握に努めまして、万全の体制のもとに公共事業の施行に当たっておるわけでございます。ただいま申し上げたのは、言うまでもなく、わが建設省の所管について申し上げたわけでございます。本年度上期七〇・七%の目標につきましては十分消化ができるという考えに立っております。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 しかし、全体としてそういう順調な取り組みにもかかわらずどうも景気が思うようにいっていない、したがって、秋には少なくとも補正の必要が生じてくるのではないかということが大分巷間うわさされておりますが、今後の見通しについてはいかがですか。
  59. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 五十三年度、入った当初でございまして、ただいま申し上げたような状況が五月も大体同じ傾向で進んでおると思うのであります。したがって、現在、建設省関係からさらに追加補正の措置が必要かということにつきましては全然考えておりません。鋭意この上期の先ほど申し上げた七〇・七%の消化に努めて、そのことによって、おおむねこの現状から判断して実質成長率七%の軌道に入っておる、こういう判断に立っておる次第でございます。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、公共投資をこれだけいまだかつてない大型のものをぶち込んでおるわけでありますから、少なくともこれによって景気浮揚が具体化していく、求人状態も大きく伸びてくる、雇用問題との関連も大変大きな成果を上げてきているというような見通しがぼつぼつ出てこなければならないと思うんですが、いまの労働省側の説明によりますというと、全国平均と地域別にはまたいろいろ違いがあるということも明らかにされておるわけで、そういう点から見ますというと、公共投資というもののやり方について、雇用との関連をどういうようにしながら持っていくかということについては大変大きな問題だろうと思うんでありますけれども、それぞれの地域別にも雇用状態というものは違っておるわけでありますが、こういうものとの関連について、公共投資のあり方についてどういう考え方でやっておられるのか、この点についてひとつ伺いたいと思います。
  61. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) お話しのように、公共投資を拡大実施することによりまして、一般的に国内の生産を拡充する、それによって雇用効果が拡大することも事実でございます。と同時に、現在構造不況等によって失業者が多発をしている、あるいは労働省からお話ございましたように、地域的に求人倍率が非常に低い、雇用情勢が悪いところについて直接公共事業によって雇用の拡大を図るということもきわめて重要でございます。本年の三月二十五日、経済対策閣僚会議が開催されまして、「当面の経済対策について」ということが決められたわけでございますが、その中にも「公共事業地域配分については、地方公共団体との緊密な連携のもとに、地域の雇用情勢を十分配慮するものとし、」ということがございます。建設省といたしましても、この経済対策閣僚会議の方針を受けまして、五十三年度予算の配分に当たりましては、この方針の周知徹底を地方公共団体に図りまして、地方公共団体と十分連携をとりつつ予算の配分を行ったところでございます。ちなみに、道路事業について見ますと、いわゆる不況対策関連地区、広島、愛媛、福岡、長崎というようなところございますけれども、道路事業が、大体平均でございますと一・三倍でございますけれども、不況対策関連地区につきましては、愛媛県については一・七倍、福岡県については一・四八倍、長崎県については一・四倍というような配分を行っております。また、河川事業につきましても、平均は一・三四倍でございますけれども、愛媛県の不況対策関連地区については一・四七倍、福岡県については一・五一倍、長崎県については一・五倍、こういうふうに地方公共団体の御要望を十分承りながら、雇用の拡充を必要とする地域につきましては重点的に配分をいたした次第でございます。
  62. 赤桐操

    赤桐操君 そういう配慮があったにもかかわらず、どうも地域的には伸びていない。こういうことが言えると思うので、この問題についてはやはり本格的に景気浮揚の問題とあわせて考えなきゃならぬ問題となってきているように思うんですが、この点はいかがですか。
  63. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) お話しのとおりであると思います。先般も労働団体の代表の方々が私のところにお見えになりまして、やはり公共事業の執行という点についても雇用対策という見地を十分腹に入れてやってもらいたいという御要望がございました。なおかつ、労働団体とそれから執行機関との情報交換、意見交換についても、その機会を持つようにしてくれという御要望があったわけでございます。私どもといたしましては、この公共事業がわが国の経済政策の中に占める地位、特に雇用の対策としての重要な地位ということにかんがみまして、国民各層の御意見を聞きながらこれを進めていく必要があると思いますので、労働関係団体のそういう御要望につきましては、そのやり方等について目下検討を進め、積極的に対応をしていく考えでございます。
  64. 赤桐操

    赤桐操君 国の段階でありますと、そういう建設省と話し合いをするとか、労働団体とのいろいろ意思の疎通が行われる、こういうことにわりあいに簡単にいけるんですけれども、地域になるとなかなかそうはいかないと思うんですね。したがって、建設省、そういう面についてどういう指導をなされるか。いまなければこれは考えてもらわなきゃなりませんが、具体的にお考えがあるならばこの際明示していただきたいと思います。
  65. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、公共事業の円滑な推進を図るために地方にも地方建設局単位に地方の連絡協議会を設けております。この中には労働関係の部局、特に県の労働部でございますとか、あるいは労働基準局等の方々も入っておられるわけでございますので、その場を通じまして地域的な雇用に対する御要望というものが当然反映されるものと思っておるわけでございます。そういう点で、その地方連絡協議会の場を通じて、国と地方とが一体となりまして対処をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  66. 赤桐操

    赤桐操君 中央、地方に連絡協議会等をつくられることは非常に結構だと思うんですけれども、そこにできるならば労働代表を入れるというようなことを考えられないかどうか、その点についてはいかがですか。
  67. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 現在のところ、都道府県の労働関係部局の方々が入っておられるわけでございまして、連絡協議会の場といたしましてはそういう団体の——労働部局の方々の御意見が労働関係者の御意見をも反映をするものというふうに考えておるわけでございますが、必要に応じて労働関係の団体の御意見を聞くような機会もあってもいいのではないかと思っておりまして、その点は今後検討さしていただきたいと思っております。
  68. 赤桐操

    赤桐操君 労働代表がなるべくひとつ参画できるように、そういう点は行政指導その他の面で考えていただきたい、こういうことをひとつ要望しておきたいと思います。  最近の、建設省が明らかにされている住宅政策の推進状況等、一部新聞で報道されておりますが、現在、五十三年度の住宅建設段階に入っておりますが、これは一体どういう状況で進捗しているんですか。あるいはまた、これから後半に入っていく上に当たっての見通しはどうでしょう。百六十万戸の建設目標を中心としてひとつお考えを明らかにしてもらいたいと思います。
  69. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 最近の住宅建設状況につきまして若干御説明申し上げたいと思いますが、五十二年度は第三・四半期までわりに住宅建設は低調でございます。第四・四半期に入りまして、昨年秋の十万戸追加等の影響が出まして、第四・四半期におきましては年率、対前年度比七%の戸数着工が伸びております。したがいまして、五十二年度年間を通じますと、第一−第三・四半期までの低調をカバーいたしまして、全体で戸数では〇・一%の増、わずかではございますが対前年度を上回ったというような状態になっております。そして戸数では〇・一%でございますが、床面積にいたしますと年度間で四・一%の増ということになっておりまして、それに質の向上分、あるいはデフレーターを考えますと、まあ私ども五十二年度の経済見通しの中にございます住宅投資の伸び七五%は十分達成されたものというように判断しているわけでございます。  五十三年度の経済見通しでは一三・六%の伸び を想定しておりまして、約十五兆の住宅投資ということになっております。これにつきましては、先ほども申し上げましたが、五十二年度の第四・四半期におきまして七%増というような住宅建設の伸びが見られた。それから住宅金融公庫の第一回の申し込みの受け付けを四月二十四日から五月十五日まで行いまして、これにつきましては、一般個人建設につきまして十四万八千余戸の申し込みがございまして、マンションにつきましては一万一千五百戸程度の申し込みがあったというような状態でございます。私どもは五十三年度の予算編成に当たりまして、こういった住宅建設を促進するために、戸数枠の増加とともに、そういった負担の軽減措置というようなことをいろんな措置をとってまいりましておりまして、それがやはり若干反映いたしましてこういった公庫の申込状況になっているんではないかというように考えている次第でございます。その後、今年度へ入りましてから民間の住宅ローンの金利も下げられましたし、それから住宅金融公庫等の政府のいわゆる住宅融資の金利も下がっております。そういったことを加味しまして、全般の景気にも若干左右はされますが、私ども百六十万戸の目標に対して現在のところは着実に大体いくだろうというように見通しを立てている次第でございます。
  70. 赤桐操

    赤桐操君 ことしの百六十万戸にしましても、大体民間と公的建設とはやはり七、三の割合ぐらいだと思うんですね。そうすると、公庫住宅、一戸建て住宅の方については大変いまのところ順調だと、こう言っておられるわけですけれども、民間の方の関係は必ずしもそうではないのではないですか。かなり伸びが鈍いように私たちは実はいろいろ聞いているわけですけれども、建設省はそういう認識ではないんですか。
  71. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 私どもも、たとえば住宅金融公庫の五十二年度の個人の申込者の状況を見ておりますと、先般来、御説明申し上げておりますように、第一分位と第二分位で四〇%を超しておるというような状態になっております。したがいまして、最近の傾向、これからもまた続くと思いますが、これから住宅をお建てになる方、こういった方々がどうしても所得の低い方あるいは年齢の若い方、こういう方にシフトしていくということはこれはもう当然のことでございます。私どもそれに対応いたしまして、やはり負担を軽くして差し上げる措置をとることも続けていかなければならないだろうというように考えているわけでございます。したがいまして、私どもは、こういったいわゆる民間資金だけによる住宅建設というものがそういったことで伸び悩んでいるのはこれは当然のことでございます。それを政策的にどうサポートしていくかということが住宅政策のこれからの大きな課題になるだろうというように考えている次第でございます。
  72. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、公庫の方はこれは遂行できると、しかし、民間関係がそうはいかないという危惧があるとするならば、具体的にはどういう対策をとりますか。
  73. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 民間住宅の、民間資金によります住宅につきましては、先ほど申し上げましたようないわゆる民間のローンの金利の低下、それから民間住宅ローンに対します減税措置等を本年度とらしていただいたわけでございますが、さらにまた情勢によりまして、来年度以降そういった対策の強化を図って推進してまいりたいというように考えている次第でございます。
  74. 赤桐操

    赤桐操君 先ほど労働省からも明らかにされているんですけれども、なかなか本来買う方の側の歯車と供給する方の側の歯車が合わなくては、これは建設省考えているような実績に上がってこないわけですね。私はどうもいまの状態ではとても、昨年の状態じゃありませんが、そう思うような形にこれは伸びていかないんじゃないかと、こういうように思うんです。したがって、いま局長も言われておるけれども、金利の問題であるとか、あるいは税法上の優遇策であるとか、こういうことについて考えなければならない、こう言っておられるわけでありますが、金利について具体的に対策をとるとするならば、あるいはまたそういった税制上の優遇措置を講ずる、こういう制度上の問題について対策考えるとするならば、今年度はとらなくて済むのかどうなのか、来年あたりから考えれば済むと考えておられるのかどうなのか。
  75. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先ほど申し上げましたように、五十二年度の第四・四半期の住宅建設状況、それから四月に行いました住宅金融公庫の申し込みの状況等から判断いたしまして、さらに四月以降行われました民間住宅ローン金利あるいは政策金利の低下というようなことを考え合わせますと、現在のところ、私どもは本年度は大体この調子で十分ではないかというような考えを持っている次第でございます。
  76. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、重ねてひとつ伺いたいと思うんですが、私はこれから一つ大きな問題になってくるのはやっぱり土地の問題だろうと思うんですね。それで、住宅供給を促進していく上において一番問題になるのは、これからは土地対策だろうと考えますが、この宅地について五カ年計画の中では六万六千ヘクタールが必要だと、一年にすると一万二千ないし三千ヘクタールになります。特に、三大都市圏においてはその中で大変多いんでありますが、三万三千五百ヘクタール。こういうことになってくると、これは非常にここに集中してくるわけで、この土地の問題について、民間関係ではいま土地がなくなるということで非常に活発な動きを始めてきている。これに基づく土地価格のじり高といいますか、そういう動きが出てきておるように思うんですが、この点はどういうように把握しておられますか。
  77. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 第三期住宅五カ年計画に見合う新規の宅地、大体六万六千ヘクタール、御指摘のとおりでございます。しかし、毎年の宅地の供給量として私どもが押さえておりますのは最近ぐっと減少してきておりまして、一万ヘクタールぐらいに横ばいになっております。ことに住宅宅地需要のきつい大都市圏におきましての減少が非常に目立つわけでございます。ただ、当面の第三期住宅五カ年計画に見合うところの必要な宅地というのは従来までの宅地のストックで十分賄えるだろう、こう私どもは思っております。私どもの調査でも約四万ヘクタール程度の既存の宅地がある、ストックがあると見ておるわけでございます。ただ、このまま放置いたしますと、そういったストックの食いつぶしになるわけでございます。宅地というのは急にできるものではございませんで、十年ないし十五年かかるということでございますと、やはり長期的観点に立っていまから準備してかからなければならないと思うわけでございます。宅地が逼迫いたしますと、いま御指摘のような、せっかくいま地価が横ばい状況であるというのにまた上昇機運に向かう。先般の国土庁の地価公示の発表によりますと、まだまだそのアップ率は穏やかではございますけれども、やはりこの地価上昇というのは、一番私ども質のいい、しかも低廉な宅地を供給するという立場から見ますと警戒を要する問題でございます。したがって、どんどんやはり長期的視点に立った計画宅地開発を進めるという観点の施策を今後大いに進めなければならないという観点で努力いたしている次第でございます。
  78. 赤桐操

    赤桐操君 いま具体的な問題でひとつ入っていきたいと思うのでありますが、大体いままでの土地あるいは建物、ないしは労働者の平均給与、こういうものを比較してみますると、昭和三十年に比較する四十八年ないし五十年に近いこの前後の状態でまいりまするというと、建物については大体六倍程度、それから土地については三十五倍、建設費平均にしますると十四倍、労働者の平均給与は大体六・四倍ないし五倍と、こういう状況でありますね。ですから、土地の値上がりというのが非常に大きなものであったということが言えると思うのです。それで、四十八年から五十年ごろでとまって、後は高値安定で来ているわけですね。労働者の賃金はその後どうなったかというと、これは物価の上昇分にも見合わない程度しかベースアップはされていないわけですよ、全国的に見て。ことしなんかもまさにそのとおりです。そういう状況の中で、多くの勤労者を対象として、国民の皆さん方を対象としてこの住宅政策を遂行するというわけなんですけれども、物価上昇分にも見合わない程度の賃金の上昇しかない。失業者は先ほどもお話しのとおり百三十万人に及んでいる。地域別にも非常に集中しているところもある。こういう状況でもってさっぱり景気が上がってこない。こういう状況になると、これはやはり私は住宅に次々と手を差し伸べる余裕は労働者のふところにはないだろうと、こういうふうに思うんです。  それで、そういう状況にもかかわらず、最近の状況を見るというと、五十年当時においては大体千三、四百万から五百万、この程度で家、屋敷つきの一戸建て住宅が手に入った。最近においてはもう二千万を超えてきている。この周辺などでは大体三千万なんていうのが出てきている、こういう状況になってきているように思うんですね。それで、建設省の試算、それはいろいろ前提はあるかもしれませんが、昨年の暮れにモデルケースとして出された試算を見てみましても、マンションで千七百万、戸建てでもって二千二百万というものを大体前提にしてやっておられる。大体これは二千万を超えてきているというのが実情なんですね。ところが、いまお話ししたとおり、土地の値上がり、それから建設費の値上がりというものを合わせていくというと、労働者の賃金の倍のペースで進んでいる、こういう状況でありますから、これはだんだん家というものが多くの労働者大衆から離れていくという現象になるわけです。そういう意味で、購買力がとうていこれに伴わないというのが現状だろうと思うんです。したがって、よほど住宅の建設費全体の額というものを抑えていかない限りにおいては、これは私は住宅政策の遂行というものはあり得ないだろうと、こういうふうに考えるわけです。  そこで、問題は、こういうぐあいにもう二千万円を超えてくる、二千五百万円。その中で一番大きな比重を占めているのは土地だ、地価だと、こうなってくるわけで、この辺の関係建設省としてはこれからどんなふうに見て、腹構えを持っているのか、この辺もひとつ伺っておきたいと思うんですがね。
  79. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、あらゆる諸指数に比べて地価上昇率が大変異常にわが国では高いわけでございます。幸い、この四十八年、石油ショック以降、これが横ばいになった。しかし、横ばいになったけれども絶対値、絶対価格が高い、高値安定という問題でございますけれども、ただ、最近ずっと横ばいでございますので、実質の土地の値段というのは、国土庁あたりの意見でございますと、四十六年ぐらいの実質価値だという御意見でございますが、それにいたしましても、確かに勤労所得を考えますと非常に手の届かないぐらいに高い問題でございます。ただ、これに対しまして、私、先ほど申し上げましたように、何といいましても計画宅地開発を進める、それで良質低廉な宅地を供給していくということがどうしても必要でございます。しかし、なかなかそれもうまくいかないためにいま巷間言われているところのミニ開発の方に走りがちでございます。これは非常に居住環境が悪い、しかも都市防災上考えても非常に問題の多い開発の仕方でございますので、これをなるべく計画宅地開発の方に誘導していくという施策が大事だと思います。ただ、住宅もそうでございますけれども、宅地の場合も、宅地供給のやはり八割近くが民間に依存しているわけでございますので、これに対する施策といたしましては、先ほども議論になっておりましたけれども、やはりこれに対するところの金融−地価が横ばいでございますから、何といいましても、こういった宅地造成に使うところの原資というものに低利の良質の資金を持っていくということが一つ。それともう一つ、やはり最近の宅地あるいは住宅建設に一番大きいウエートを占めておりますところの関公の負担でございます。これについてはやはりずっと施策を進めておりますけれども、相当関公施設の整備について、しかもこの負担が最終需要者にいかないような仕組みの施策を抜本的に大幅にやはり改善充実する必要があるだろう。それともう一つは、何といいましても宅地供給源となりますところの土地流動化を促進する施策ということが私重要だろうと思います。必要に応じて一またこれがもとで土地投機等に走ってはいけませんけれども、必要とあらば、やはり土地税制等についても検討を加える必要があるだろう。こういうような観点で研究をいたしている次第でございます。
  80. 赤桐操

    赤桐操君 いま局長の言われておる中で大変重要な問題が一つあるんですが、関連公共公益施設についての抜本的な対策をいま検討していると、こういうことになっておるわけですが、これは一体、具体的には、ことしは三百億を一応つけた。三百億ぐらいではこれは大したものではなくて焼け石に水程度で、そう大きな効果は上げないと思いますが、本格的にこれに取り組むということであるならば、これは私はそれが本筋だと思うんですね。関連公共公益施設に思い切った施策が講ぜられるということになれば、これはもう私は大変な大きな土地供給の革命的な時代を迎えるだろうと思うんです。  そこで、具体的には一体それならばどんなふうに、もう一歩突っ込んだ考え方を持たれるか、関連公共公益施設について。検討中のものがあるならばそれでも結構ですが、ひとつ伺いたいと思います。
  81. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 住宅建設宅地開発に関連するところの関公、これは公益も含みますけれども、関連公共公益施設に対する施策といいますのは、やはり基本的には、住宅あるいは宅地にいたしましても、道路とか、河川とか、下水道とか、公園とかいう、いわゆる社会資本施設に依存する分野でございます。したがいまして、すでにそういった社会資本施設の整備が充実しているところについては関公の問題は本来ないわけでございます。しかし、わが国の市街地づくりがどうしても公共投資にいままで制約があったがために、公共投資、社会資本整備のテンポと住宅建設あるいは宅地開発のテンポが合わない、したがって整合性がとれない。そういうことで、社会資本施設の整備の行き届かないところで住宅建設ないし宅地開発したところでは、勢い、やはり地方財政の問題も絡みますけれども、デベロッパー負担になっていたというのが現状でございます。しかし、それが大変顕著な足を引っ張る要因になってきているというのが事実でございますので、やはり基本的には本体の社会資本施設整備、いわゆる公共投資をやはりこれらの住宅建設宅地開発に本来的につぎ込むというのが先決でございます。それで、別枠というのは、そういう公共投資がなかなか住宅開発宅地開発のテンポに合わない、整合性がとれてないというために、それまでの間、別枠という思想でございますので、本来のあり方は、通常の補助がそこについていく、先行的に整備される、後で住宅開発宅地開発がついていくというのが本来でございますので、やはり公共投資、公共施設整備と、そういった住宅あるいは宅地開発計画との整合性を保つというのが何といっても先決だろうと私は思います。そういう点で、抜本的と申しますのは、やはり従来ともそういう努力をいたしてきているわけでございますが、そういった投資配分の問題、計画の整合性を保っていく、こういうところが私は基本の問題だと認識しております。
  82. 赤桐操

    赤桐操君 そのとおりなんですよ。そういうことでやってもらわなければいけないと思っているんです。そのためにはいまの状態ではうまくないだろうと思うんです。いま行われているような、野放しで、それぞれデベロッパーに任したり、公的、民間を問わず、それぞれの思惑で、住民立場に立った宅地造成なり町づくりではなくて、それぞれの企業なり事業主体の立場に立った開発だと思うんですね。だから、いまのような整合性のないものになってきているわけなんです。  そこで、いまそれを伺いたいと思うのは、それをあわせてどういうふうに進めたらいいのか。それをやらないと抜本的にはならないと思うんですが、この点どうですか。
  83. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 一番重要なやはり道路整備、河川、下水道、公園、これは御案内のとおり、すべてこれは建設省所管の施設でございます。したがいまして、建設省の中におきましてはそういった各局の担当者が集まりまして、計画の整合性を保って執行できるような寄り寄りの会議が持たれているわけでございますが、もう一つ住宅宅地を進めるに当たって重要な問題は公益施設部門、ことに義務教育施設、高等学校施設等の公益施設の部門がございます。したがいまして、建設省所管のものにつきましては、今回、五十三年度は別枠という新たな制度が始められたわけでございますが、いま一つ公益の施策についてのまだ施策がとれてない、これも非常に関公負担の中では大きいウエートを占める問題でございます。これらにつきましては、文部省なりあるいは厚生省なり大蔵省なりというような関係当局と十分話し合いを進めながら、公共施設の整備もさることながら、やはりこういった公益施設についても公共施設と同じような施策がとれるように今後とも私ども働きかけを進めていきたいと思います。
  84. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、こういうことになりますね。地価対策、宅地対策というものは、これは住宅建設の中で一番大きな比重を占めるものであるので、これに対する対策は関連公共公益関係の投資によってまず一つ軽減するということがもう原則的にこれは考えなきゃならないということですね。これはひとつ確認していいですな。  二つ目の問題としては、それではそれを進めていくのにはどうしたらいいのかと、こういうことになってくるわけなんで、その進め方について私はこう思うんですよ。いまちょっと申し上げましたけれども、まあそれは公団は公団、あるいはこれに準ずるような公共的なものもたくさんありますが、地方のやつもありますし、そういう公的な機関あるいは民間を問わず、いまの段階はそれぞれの事業主体の立場で私は手がけやすいところから手がけていると思うんですよ、実態は。これでは私は本当の意味におけるそういう整合性が出てこないのはあたりまえだと思うのです。その整合性を求めなければこれはいまの関公施設の投入なり効率的な運用は図れないわけですから、当然これは整合性のあるような形にしなきゃならぬ。そのためには、宅地供給というものは、少なくとも公的な立場に立っていまの公共投資という多額なものをきちっと踏まえて宅地開発計画を進めていくべきだと私は思うんですよ。家を建てる、上物を建てるのはこれはまあよろしい、いろいろなところに任してもいいだろうと思いますけれども、少なくとも土台となる宅地については公的な機関が主導力となって行うべきだ。そうでなければ、いまの大富局長の言われた考え方は実現できないんだろうと思うんですが、この点はいかがですか。
  85. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおりだと思います。枠組みといたしましては、やはり現在の宅地開発も事業者が勝手にてんでんばらばらにやっているというわけではございません。やはり都市計画法の枠組みの中で調整区域については開発許可、それから市街化区域につきましても三百平方メートル以上のものについては開発許可という仕組みを持っているわけでございます。開発許可は都市計画決定権者、まあ知事がやるわけでございますが、知事開発許可をする際には、そういった宅地開発に関連して必要となるところの関連公共公益施設の管理者の意見を聞きつつ開発許可をやっている段階でございます。しかし、それが結果的には地方財政の問題もありまして、それぞれの施設の管理者がやはりデベロッパーにほとんどおんぶしたかっこうで、そういった公共施設、公益施設を整備してきたというのが現状でございますから、やはり私はそういった開発を都市計画という観点で一元化をしていく、それとともに、そういった公共公益施設に対する、これはもっぱら市町村の財政と絡む話でございますけれども、地方財政をにらみつつ、一方においては国の補助も大幅に改善充実しながらやはりやっていくということが非常に重要なことだろうと思います。
  86. 赤桐操

    赤桐操君 具体的に伺いますが、たとえば一つの団地をまあ千葉なら千葉でつくると、こういう問題が出てくるわけですね。そこの開発というものについては、これは県の計画においても、その市の計画においてもよろしいんだと、こういう順序を経てきているわけです。それで、農地転換、いろんな形がとられる、その結果一つの団地の造成に発展してくる、こうなりますけれども、こういうときには一体具体的に関連公共、そういうものについてはどういう処置をすることになるんですか、具体的な問題として。
  87. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 開発許可申請がデベロッパーから出てきた際に、まず第一番目のアクションは、それに関連するところの公共公益施設が十分消化できる容量のものであるかどうかということと、容量に合わない新たな人口増を伴う新たな施設の増を要求する内容計画のものであれば、新たな建設がまたそこで始まるわけでございますけれども、それが都市計画決定をされている場合は、本来はそういった都市計画決定権者あるいは施設の管理者の責任と負担においてそれを整備しなけりゃいけないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、やはり公共施設の整備のテンポと開発のテンポが合わない、したがって、それがデベロッパーの負担になっておったのが現状でございます。そこで、そういうことでは困るということで、五十三年度、三百億の別枠の制度ができたわけでございます。これは、この六月の初め、もうぼつぼつ市町村あるいはデベロッパーの要望を受けて、県がまとめてこの要望書を建設省に持ってまいりますが、その段階のヒヤリングを進めながら、その宅地開発住宅建設に必要なそういった関連公共公益施設について補助すべきものはしていくという仕組みを今後するわけでございます。
  88. 赤桐操

    赤桐操君 三百億のことについてちょっと具体的に伺いたいと思うのですけれども、これはたとえば地方自治体に対して流していく、こういうときには地方自治体はこれに見合ってどのくらいの負担分があるんですか、これを消化する場合に。
  89. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 別枠補助と申し上げましても、補助の負担割合は従来のそれぞれの公共施設の負担割合と全く同じでございます。たとえば街路の補助金が三分の二補助であれば、三分の一は地元負担、その補助割合は別枠の場合も全く同じでございます。
  90. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、公共公益施設の負担分というものが非常に大きな比重を占めているということは、これはもう明らかになってきた。また、いまわれわれも確認した。こういうことであれば、あとはそれらのものをいまデベロッパー負担と、こう言っておられますが、デベロッパーは負担してないんですよ、これは。最終需要者が負担しているんですよ、国民が。これは別の意味の税金でやっているようなものなんです、これは。デベロッパー負担という言葉は私はちょっとごまかした言い方になると思うので、本来そうじゃなくて最終需要者に全部いっております、これは。デベロッパーが払った税金も、あるいはまたデベロッパーがそういうことで行政指導を受けたそれらの諸費用についても全部それは挙げて最終需要者ですから、だから私たちは文句を言っているわけです、これはおかしいじゃないかというわけなんで。そういうことで、これを解決しないことには私はもう日本の住宅政策の根本が確立されない、こういうことになるわけなんで、それならばもう少し突っ込んで、いっそのこと公共的な施設が開発をやったらどうですかと、宅地造成をやったらどうですかと、あとは上物をつくることについてはそれはいろいろの各業者がおやりになることは結構でしょうけれども、土地というものについてはもう考え方を変えたらどうだと。土地を、一つの商品を生産をしていくような考え方で、あらゆるコストをそこに求めていってひっかけていく、そいつを最終的に需要者に求める、もうこういう私は時代ではないと思うのです。  これは、確かにインフレの激しい時代においては、あるいは高度経済成長時代においては全部のものが上がっていきますからね、その中でもって支えられ、あるいは吸収されていったと思いますよ。だから造成者に、事業者にとってみても、少少の費用がかかろうと、用地費が高かろうとも、買って造成しているうちにはすべて値段が上がっていくのでその中で解決をすることができる。したがって、県の指導がある、市の指導がある、結構でございますということで、関連公共施設費でも何でも全部のみ込んでいたかもしれない。しかし、今日の状態ではそれはできないわけですね。また、それが当然のあり方だと思うのですよ。だとするならば、いままでのような高度成長時代における発想や指導と同じような要領で、それぞれのあるいはまた県や自治体等が国のそういう考え方に従って指導をしていくというそういう時代ではないと思うのです。これは発想の転換をやるべきだと思うのですが、宅地についての造成の根本的な転換を団るべきだと私は思うのだけれども、そこまではまだ計画局長の頭はいってないのかどうなのか、その辺少しはっきり伺いたいと思うのですがね。
  91. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 基本的には私も全く先生の御指摘のとおり大賛成でございます。現実の問題といたしましても、やはりデベロッパーには土地収用権等もございません。ですから、やはり安易な方向開発が進むのはやむを得ない。しかし、そういうことではこの限られた有限の土地を計画的に市街地整備をするときに問題がいろいろ出てこようかと思います。したがいまして、基本的な基盤整備、土地施設整備にかかわる話でございますから、これを公的機関が担当するというのが私は本来のあり方だろうと思います。しかし、そうは言いましても、住宅公団なりあるいは地方公共団体なり、あるいは宅地開発公団なりという公的開発機関も設立いたしましたけれども、その力には現在のところやはりおのずから限度がある。どういたしましても民間エネルギーに依存せざるを得ないそれだけの大きい需要量があるわけでございますから、徐々に私は方向といたしましてはそういった土地基盤整備というものは公的機関が負担をする、上物は民間に任せるという方向で行くということは私も賛成でございますけれども、当面、一挙にそこまでまいるわけにはまいらぬと思います。したがって、民間のデベロッパーにも、やはり基本の計画というのは都市計画に整合性を持った開発の仕方をやっていただく。それで、それについて国としてあるいは地方公共団体として助成すべきものはどんどん助成していくという施策ともあわせやはり行う必要があろうかと思います。
  92. 赤桐操

    赤桐操君 私は逆だと思うんですよ。いまやるべき時期だと思んですよ。土地は抑えられている、低成長時代に入っている、これを安定成長に持っていこうとしている。金利は安い、こういう時期に、一番土地が安定している時期だと思うんですよ、いまは。高値安定と言っても一番安定している時期だと思う。このときにやはり国は腹を据えてそういう指導体制をとるべきだと思うんですが、私は逆な考え方を持っているのですが、この点どうですか。
  93. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほど来申し上げましたように、基本的には私も全く考え方は同じでございまして、今後そのような方向検討さしていただきたいと思います。
  94. 赤桐操

    赤桐操君 続いて、ひとつ最後に伺いたいと思うんですけれども、いかがでしょうかね、大都市圏、三大都市圏等においてはもう二月建ての家を求めるという考え方はだんだんこれは変えていく、そして集合住宅にすべて集中していくような体制をつくるべきじゃないかと、私は実はそういうようにもう時代がなってきているように思うんです。この前の委員会でも私は申し上げたと思うんですが、たとえば公団ができてもう大分たつわけで、ここでもって生まれた人たちももう成人になっておるわけです。そういう人たちは公団住宅などで生活をし、団地生活の中で育ってきている人たちですね。ですから、集合住宅の中の体験というのは身についているわけです。それほど、集合住宅に入ったことのない人が考えているような、まあ皆さん入っておられないからそういうぴんとこないか知りませんが、それほどの私は抵抗はないと思うんですよ。もう大体そういう時期に来ていると思う。ですから、私はもうこの辺で三大都市圏等においては、これは人口集中地域ですから、こういうところにはもう思い切った発想の転換を行って、いまの宅地政策と同じように住宅のあり方について根本的に考えを変えていく、こういう形をとらなくてはだんだんだんだんと私はある意味における大きなスプロール化が出てくると思うんですよ。そうじゃなくて、きちっとした都市計画を指導的にリードしていく、そういう形をとるのにはもうそういう体制に切りかえていくべきであろう。家のあり方というものについて考え方を変えたらどうかと思うんですが、居住形態の転換ということを。この点ひとつ私は主張したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  95. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま赤桐先生指摘のように、私どもいろんな調査をいたしております。その中で、やはり戦後いわゆる団地なりアパートというようなものの普及によりまして、大分そういった居住形態に対する国民の認識というものが、徐々にではございますが、変わってきていることは事実でございます。特に私ども、たとえば、いわゆるアパート形式の住宅の購入者、あるいはマンションの購入者等を見ておりますと、やはり公団、公社等の公営住宅等のアパートに住んでいた方あるいは社宅に住んでいた方、そういった経験のある方はわりに抵抗なくそういったものを選んでおられるようでございます。  それから、昨年の十二月に行いました三大都市圏を対象にいたしました世論調査におきましても、約三〇%の方がやはり大都市ではアパート住まいというものでやむを得ないんじゃないか、むしろそうすべきじゃないかというような御意見も持っておられるようでございます。そういうことで、私ども住宅政策の立場からいたしますと、これはもう都市計画という立場からも同じでございますが、やはり大都市地域においてはそういう共同住宅形式の、住居の形式というものを進めていかなければならないと思っております。ただ問題は、もう極端に大都市地域ではそういう一戸建て住宅の形式というものを、たとえば極端な言い方をしますと、禁止するとかなんとかというところまではなかなか実際問題として不可能だろう。ただ、政策的にはそういった共同住宅形式、なるべく土地を使わない形式のものに政策的な誘導手段を優遇措置としてとっていくということが現実的な政策ではないか、私どももそういう方向にまいりたいというように考えております。
  96. 赤桐操

    赤桐操君 私は、いま日本の場合においては、居住形態というのは、金持ちは大きな家に住んでりっぱな住宅を持つのだと、金のない人はその辺のアパートかそういうところに住むのだというこういう考え方はもう一掃すべきだと思うんですよ。金があるないということでもって住居の問題じゃなくて、やっぱりその人の家族構成や年齢や、それによっていろいろ私は違いが出てきて当然だと思う。若いときにはむしろ集合住宅の方が便利なんです、これは実際問題として。そういう意味で、私はそういうようないままでの一つの慣行といいますかね、社会的な風習といいますか、そういうものにはもうとらわれないで、三大都市圏等では先端を行く政策が建設省あたりの行政指導でびしびしと実現されていく、こういう状態に持っていくべきだと思うんです。このことを私はひとつ主張をいたしたいと思うんです。  それで、先ほど申し上げました例の公共事業費、これによって生活基盤投資をひとつ思い切ってやってもらって関連公共その他に対するところの軽減を図る、そのためには公的機関がリードする形でもって少なくとも宅地造成なり土地利用なりをきちっとレールに乗せていく、そこへ民間を含めて上の建設物をやっていく、こういう形態にこの際やはり整理をしていくという方向を最後にひとつ私は提起いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  98. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  99. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、今回の福岡市を含む北部九州水不足の問題につきまして、関連して御質問を申し上げたいと思っております。  そこで、福岡市の状況は新聞等で逐一報告がされておりますので、詳しくは承知いたしておりませんけど、大体はわかっておるつもりでございます。ただ、そのほかに給水制限をやっているところもあるんじゃないかと思うので、また近いうちにそういった給水制限するようなところがあるのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  100. 藤田恒雄

    説明員藤田恒雄君) お答えいたします。  現在、給水制限等を行っておりますのは全国で八県、市町村の数にいたしまして八十一市町村、水道の数にいたしまして百二十四水道人口にいたしまして三百十八万人ということになっております。特に、福岡県がひどいわけでございまして、新聞紙上等でもって福岡市の問題は詳しく報道されておるわけでありまして、現在、福岡県では福岡市を初めとしまして十二の市町村で、水道の数にいたしますと十一カ所、五時間から二十時間程度しか水を出さないというような形になっております。一番ひどいのは福岡市でございまして、五時間給水ということであります。それから春日市、太宰府町におきましては六時間給水、それから本日から北九州市におきましても十五時間の制限給水に入っております。  以上のようになっております。
  101. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 なかなか雨の降らない現状では、今後さらに給水制限がふえてくるものと思います。大変気の毒な状態になっておりますので、一日も早くこれに対する対策を具体的に打っていただかなきゃいかぬという情勢であろうと思います。大変関係官庁、また自衛隊等の応援をいただいておりまして本当に感謝をいたしておりますが、なお深刻なものがございますので、ひとつよろしく御配慮をお願いしたいと思います。  私はちょうどその水不足の最中に水源地域である筑後川がどうであるかということを見てまいりました。新聞でごらんになったかもしれませんが、佐賀県の城原川というところは、もうすっかり魚が浮いてしまって水が一滴もないような状況でございまして、一部の話でございますが、農業の植えつけも非常に困難な状態になっているというようなことでございまして、大変心配いたしております。北九州は幸い、先ほど十五時間給水と言われましたのは、紫川の上流のダムやらあるいは遠賀川河口ぜき等の対策が順調に進んでおったから何とか切り抜けられたと思いますけど、それでも給水制限せざるを得ないということでございまして、まだまだ施設の不足が感ぜられるわけです。  そこで、今回の福岡周辺の上水道水不足に対しまして厚生省の方にお伺いしたいんですが、これは災害救助法というのを適用になることができますかどうか、また適用しておられるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  102. 藤田恒雄

    説明員藤田恒雄君) 災害救助法のことでございますけれども、発動は可能でございますけれども、発動要件というのは非常に厳しゅうございまして、一日一人三リットルぐらいの水しか供給できないような形になりますと発動をいたします。三リットルでございます。現在でも長崎県の生月町に六月六日からかと思いますけれども発動されておりますし、過去においてもそういう発動の件一はありますけれども、福岡の場合はちょっとまだ平常の半分ぐらいの水量は出しておりますので、その災害救助法までにはほど遠いんじゃないかと思います。
  103. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 三リットルというのは非常に基準が厳しいと思いますけれども、大体手にこうすくったら一リットルぐらいあるわけですから、顔も洗えないような水の量だろうと思います。また、もちろん御飯も炊けない。そういう意味では災害救助法の適用基準というものの再検討も要るんじゃないかと思いますが、ひとつ御検討をぜひお願いしたい。そして財政的な支援もできるようにひとつぜひしていただきたいと心からお願いしたいと思います。  それは、応急対策をいろいろとやっていただいておりますからともかく、この水不足を解消するためには、私はその応急対策の問題と、その次に長期にかかると言われる——十カ年もなかなか向こうは待てない状況にあると思うんですよ。それで、両五年ぐらいの間で何とか水源対策が講じられないものかどうか。そういったことを考えてみますと、福岡市にも建設省の努力でダムがその周辺に二つほどとってある。これは余り大規模なダムじゃない。こういったものは力を入れてもらえさえすれば私はできそうに思いますので、こういうダムの進め方をひとつ考えていただきたい。そういったことは、北部九州の水全体が国土庁の報告によれば十二億トン足らないというようなお話も聞いておりますし、長期的な見通しの中でそういったものは立てていかなくちゃいかぬでしょうが、その間におきましても、やはり中間的な見通しと節水の問題と両方兼ね合わしてひとつぜひ考えていただきたい。そういったことを住民に知らしておくのも一つの私は大きな政府としての義務ではないかというふうにも考えますので、その辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  104. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 水資源長期的な供給計画につきましては、現在、私どもで最終的な作業が終わりまして、近く全国的な長期水需給計画を発表できる段取りに近づいておりますが、その原案の中によりましても、関東、近畿のみならず、北部九州については非常に水資源問題が深刻であるということがうかがえるわけでございます。筑後川水系水資源開発計画がございますが現在の計画は昭和四十五年、四十九年の一部改定が行われておりますが、当初計画は四十一年に決定しております。当時の目標が昭和五十年でございましたので当然に改定をする必要がございまして、私ども現在改定作業を終えまして地元四県及び関係省庁等に協議を進めておるところでございます。この改定に当たりましては、基本的な姿勢といたしまして、地元四県及び関係省庁の出先機関で構成されております北部九州水資源開発議会というのがございますが、そこで策定されました第二次の北部九州水資源開発構想をいわゆるマスタープランと私ども呼んでおりますが、それを十分に尊重いたしまして、その内容を盛り込んだ計画にしておるところでございます。現在、この原案に対しまして、先ほど申し上げましたように関係県と最終的な意見調整を行っているところでございまして、できる限り速やかにこの基本計画の改定を行いまして今後の水問題に対処したいと考えております。
  105. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 先ほど私は筑後川の状態を見たとお話し申し上げましたけれども、実は筑後川の水資源開発基本計画は、上流に相当大規模のダムをつくるという前提で立てられておると聞いております。しかし、いろいろ調査されるとなかなかできないというのが現在の状況ではないかと思います。地質上の問題もありましょうし、いろいろございましょうが、それにかわる問題をある程度研究しなければいけないと思います。しかし、短期的なものとしてはやはり小規模ダムを早急にやっていただく、山神ダムとかいろんなのをピッチを上げられれば上げていただく、そういうことをひとつぜひお願いしたい。鳴渕ダムあるいは牛頸ダムですか、お願いしたいんですが、そういった点はどうですか。
  106. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 先生がおっしゃいますように、いわゆる域内の小河川における小さなダムというのも、できるだけ早く大規模ダムへ完成するということが非常に大切じゃなかろうかと思っております。それで、域内河川におきましては、すでに南畑ダム、瑞梅寺ダムというものも完成しておりまして、また寺内ダムによる水の補給を現在緊急暫定的にやっておるわけでございます。  福岡周辺におきます小さなダムとしまして、先生おっしゃいました補助多目的ダムとしましては、山口川の山神ダム、こういうものは現在建設中でございます。その進捗状況でございますけれども、現在本体のコンクリートを約六〇%打設を終わりまして、五十四年の秋には一部湛水を行うように鋭意工事の促進を今後とも図ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。また、多々良川の鳴渕ダム、本年度から新たに水資源対策として実施計画調査に着手したわけでございます。これにつきましてもできるだけ早く調査を進め、実施に入るようにやっていぎたい。それから、このほかに洪水調節とあわせまして既得用水等の補給を図る目的としまして、御笠川の牛頭ダム、これは治水ダムでございますけれども、この建設事業に着手しておりまして、これにつきましても地元関係者の協力を得まして早急に着工に入るべく準備を進めていきたいというふうに考えております。
  107. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ぜひそういうことにお願いしたいんですが、その期限をある程度はっきりしてひとっこれを進めていただきたい。緊急計画と申しますか、短期計画と申しますか、短期的な需要に対処できるようなひとつ考え方を導入していただいて、予算の措置とかその他の面でひとつぜひお願いしたい。  なお、肝心の水源地であります筑後川におきましても、先ほど申し上げた川の状況をごらんになって、相当ひどいものがございます。そこでまず、筑後川から福岡に取水するということが水資源開発基本計画の中で計画されておる。そうしますと、筑後川の、それからアオ取水はやめるということに一応なってる。そのアオ取水をやめて、長い間ダム水源ができなければ私は当然もう稲作はなかなか困難な状態になるというふうに考えます。それで、短期的な処置として、そういったアオ取水のできるような可能性をひとつぜひやってほしいと思います。当然上流の水がなければ取水しようにも取水のしようがないわけですから、各河川の水門等につきまして、具体的なアオの入れ方を、それから貯留の仕方等を御検討いただければ大変ありがたいと思います。  そこで、ひとつ提案ですが、非常に水が少ないところでございますし、福岡にはどうしても上水道用水だから送らなければいかぬという制約がある。そういう中で水資源開発基本計画の根幹をなす筑後大堰がなかなかまとまらないというのも、そういった問題と関連しまして下流の農民の方が大変心配されておる。そこで、筑後大堰は相当時間がたちますけれども、まだなかなか着工に至らないということで福岡導水もなかなかできない。そういう意味で、筑後川のダムというのが非常に可能性の薄い現段階におきましては、やはりアオ取水という問題も一応具体的な開発基本計画の中に入れていただいて具体的に措置しておく必要があるんじゃなかろうか。そういう意味では今回の渇水はかなり確率の高い渇水だと思いますけれども、そういったことで根こそぎやられるわけでございまして、そういう意味ではもっと安全な水対策というのが講ぜられるべきじゃなかろうかと思います。  そこで、長期計画の中ではそういった問題が入ってない、しかも先ほど申し上げましたように一応上流ダムを予定した問題である。そういうこともございますので、私は下流のアオ対策も含めまして、河川の階段式の貯留を図ったらどうかということをいろいろと佐賀県と相談してきました。たとえば城原川におきますと、非常に堆積土砂が固定ぜきのために多いわけです。それに河床を掘れば、ゲート方式をとればかなり貯水量が得られる。そういった貯水量を利用することによってかなりの私は農業用水その他の用水に使えるものと思います。福岡市に持っていく水のために、下流のアオの塩分濃度が非常に高くなるという問題もございまして、この問題は本当に真剣にお考えを願いたい。  それからもう一つは、豊水期の水の利用の仕方も筑後川の上流で十分研究をされたようですが、またひとつ御研究願って、新しい貯留方式のダムをおつくりになっていただくというようなことも御検討願いたいと思います。それらについてお考えがあればひとつ。ぜひお伺いしたい。
  108. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) アオ取水の問題でございますけれども、まず、当面一番緊急を要するのが筑後大堰の完成でございます。筑後川下流沿岸の農業用水の安定的取水を確保するという意味におきまして、また現在生じております福岡市の大渇水を防ぐ意味におきましても、当面一番緊急を要するのが筑後大堰の完成じゃなかろうかと思います。これにつきましては、現在、水公団で建設の準備を進めておりますけれども、地元の協力を得まして早急に推進していきたいというふうに考えるわけでございます。  それから、当面のアオ取水の確保でございますけれども、いわゆる筑後川のダム群の運用によりまして、筑後川全体の水利用の面からアオ取水あるいは農業用水対策というものを講ずるように、現在、建設省としましては関係機関と協議、調整を進めておるわけでございます。クリークに水をためるとか、そういうことを当面どういうふうにやっていくかということを鋭意積極的にその対策をいま協議中でございます。  それで、アオ取水に対する水の安定の、いま先生御提案の長期的といいますか、計画対策でございます。これにつきましては、いまおっしゃいましたように川底を掘って階段式なゲートをつくるというのも一つの対策じゃなかろうかと思います。これらにつきましては、いわゆる筑後川水系全体の水対策の一環としてどういう方法が一番いいかということを関係省庁と協議しながら今後とも善処していきたいというふうに考えております。
  109. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 時間がありませんので非常に概略になりますが、私、聞いたところによりますと、水門の管理者の方が、ゲート操作の問題についていろいろと指導要綱があるんでしょう、そういった対策を講じようとしてもなかなか応じてくれないというようなお話がありまして、私も関係の所長さんに話しておきましたけれども、本省からも、こういう状態ですからひとつ緊急的にそれらの問題を研究していただいて、具体的にひとつ操作等によってこの水が確保できるようにお願いをしたいと思います。筑後川の下流は、久留米から下流はほとんどアオ取水の水を使っていた時代が一いまも使っておりますが、そういう地域的な特殊な場所でございますので、お考えを願いたいというふうに考えます。  そこで、短期的にいろいろ考えられる方法をひとつ皆様お知恵をしぼって考えていただきたい。三年ないし五年の間にこういった問題を解決できるものならばひとつ解決してほしいというふうに考えます。長期的の中で、いろいろダム計画はあるのですが、ダムもなかなか進まない。これが進まない理由は、どうもいままで水没したとかあるいは水源地域に対する対策が適切ではなかったのじゃないか。それから水源地域は過疎地帯ですから町村財政も非常に厳しい、だんだん厳しくなる、また何も恩恵がないといったようなことを言われるわけですね。  そこで、四十七年ですか、四十八年……。四十七年におつくりいただいた水源地域対策の特別措置法をぜひもう一回見直していただきたい、そしてできるだけきめ細かい対策ができるようにしてほしいというふうに考えます。特に、受益者とあるいは被害者の、水没者の、特に格段の差が出てくるわけですから、そういう意味ではあれには受益者負担の条項もあるように聞いておりますが、その受益者負担をどうやるか、定型化するということができるかできないか知りませんが、ある程度考えていただかないとこれはなかなか私はダム問題が進まない、水源対策も進まないというふうに考えますが、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  110. 飯塚敏夫

    政府委員(飯塚敏夫君) 水源地域対策の問題につきましては、ただいま先生指摘のとおりでございまして、私どももそういう方向で各種法制その他につきましても前向きに検討してまいりたいと思っております。水没関係住民の生活再建等の問題につきましては、すでに御承知かと思いますが、利根川、荒川、あるいはまた木曽川につきまして水源地対策基金という制度を設けまして、財団法人としての基金でございますが、その法人によりまして、下流受益者からの拠出金によりまして上流の水没関係住民の生活再建に寄与するようなことを考えておりますが、この考え方を筑後川等にも将来に適用いたしまして、十分に水源地域の方々が水源地域の振興整備というものと相まって生活再建策についても不安のないように善処してまいりたいと思っております。ただいま御指摘の法制等につきましても十分検討させていただきたいと思っております。
  111. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 水源地開発基金をつくって、きめ細かい対策をおやりになるという話ですが、地元は非常に負担の問題で悩んでいるわけなんです。したがいまして、やはり水源地開発基金は二分の一の国庫補助だそうですが、それから地元負担ということで、合わせてやっていこうということになりますが、やはりこれも特別措置法は四分三の大幅な国庫補助でやっておるわけですね。したがいまして、こういった問題につきましてもダム等の水源施設ができるように地元と十分話し合っていただいて、この補助率アップというのが通るかどうか知りませんけれども、これは水がなければ本当に困るわけですから、ひとつ緊急な対策としてそういった問題も考えておいてほしいと思うわけです。  いずれにしましても、こういう水不足はこれは全国的な問題でございまして、そういう地域をとらえてひとつ具体的にその地域における計画をまとめていただいて、そうして本当に水源が安定するような方策を講じてほしい。しかも、それらにつきましては重点を置いてやっていただきたいというふうに考えます。長崎は建設省等の努力によって一応小康を保ち、常時時間給水の地帯でございましたけれども、これがよくなったと言う。施設さえあれば私は十分できると思うんですが、施設の整備に積極的にひとつ取り組んでいただきますようにお願いしたいと思います。国土庁長官建設大臣に、ひとつそういった今後の渇水対策につきましての御所見を承って、質問を終わらせていただきます。
  112. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 今回の北九州における水不足につきましては、地域住民の生活に非常な影響を与え、また今後の農作物作付などについても大きな影響があると非常な心配をしておるところでございます。先ほど来、応急対策につきましてはそれぞれ御説明を申し上げた次第でありますが、今回のこの苦い経験にかんがみまして、先ほど来、各角度から御指摘なりました恒久対策につきまして、国土庁としても、また建設省としても鋭意努力をいたし、このような事態が起こらないように努めたいと思います。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 引き続いて、若干の点についてお伺いしたいと思うんです。  まず最初長地価対策、なかんずく国土法の規制区域をめぐる問題について若干お伺いしたいと思うわけです。  御承知のように、さきに五十三年一月一日付現在の公示価格が発表されましたが、それによりますと、昨年一年間で全国平均で地価の値上がりが二・五%、こうなっております。しかし、振り返ってみますと、例の地価狂乱といいますか、あの反動を受けた五十年は九・二%これは下がっておりますが、五十一年にはそれが逆に〇・五%の値上がり、五十二年は一・五と、そして五十三年の一月一日は今度は全国平均で二・五%、大体上昇率が大分アップしてきました。特に、住宅地域の方を見ますと三・三%高、前年に比べまして。前年の上昇率が一・九%ですから、単純に比較しますと、この住宅地域の地価の値上がりというのはスピードが非常に高いわけです。特に、景気の浮揚ということで、公共事業の年度前半の七〇%の前倒しだとか、あるいは金融状態が超緩和状態にあります。そういうふうなことで、この傾向を見ておりますと、相当に地価高騰が再燃するんではないかというふうな心配も出てくるわけでありますけれども、こういう傾向について、まず大臣、どういうふうにごらんになっていますか。
  114. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 二宮委員のおっしゃるとおりに、過去の実績からずっと検討いたしますと、じわじわと上昇傾向を持っておるように見受けられます。ただ、昨年一月一日と本年一月一日を対比いたしますと、その間の消費者物価は八・一上がっておると思うんです。そういう物価情勢からいたしますと、なるほどじわじわこう上がっている傾向にはございますが、一応消費者物価などと対比しては、まずこの程度は鎮静をしておる方ではないかと、こういうふうに見ておるわけでございます。  しからば、これからの地価の動向はどうかと。おっしゃるように、金融は超緩和である、円高に伴ってある程度の過剰流動性も認められて、過去における地価高騰がそういうことが原因になったということもわれわれがよく反省しなければならないところでございます。ただ、御指摘がございませんでしたが、五十三年度大幅公共事業をやるということから、用地の点からはどうかというふうに見ますと、ある程度ストックがございます。三万ヘクタールぐらいございまして、五十三年度所要のものは一万四千ヘクタール程度と思いますが、もちろんストックをすべて食いつぶすということはこれはできないのでありますから、ある程度は適正価格で買っていかなきゃならない。しかし、いま申し上げるようなことで、この点ではそうあわてて買わなきゃならないというような状況にはないと思うのであります。それから、昨年からことしにかけての住宅需給の状況から見まして、住宅宅地の取引が直ちに大幅に増加するということも考えられませんし、それから設備投資に伴う土地取引の喚起の方も御承知のような冷え切った状況にございますので、当面、御心配をいただくような地価を高騰せしめるようないろんな要素というものは、まず心配はないんではないかと、こんなふうに見ておる次第でございます。しかし、地価問題は過去にも非常に苦い経験を持っておるのでございますから、いま国土庁の方といたしましては、例の国土利用計画法の適正な運営によりまして高騰を招くような事態をでき得る限り抑制をしてまいりたいと、こういうふうに思う次第であります。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま大臣は、消費者物価の値上がりと比較して、それで当面漸増の傾向にはあるけれども、たちまち心配はないと、ただし警戒の目は緩めてはならぬというふうな、どちらにもとれるような答弁をいただきましたけれども、さきに四月の一日の官報で発表されました五十三年の公示価格ですね、これをもう少し具体的に中身を見てみますと、いただいた資料によりまして、変動率が非常に高かったと。要するに、値上がり率が高かったという一覧表、この十傑を一覧表で見せてもらいますと、横に、備考欄に書かれているのはほとんどが住宅地ですね。しかも案外平米単価が低い、そういうところの値上がり率が、変動率が非常に高いという特徴が出ております。それから反面、今度は変動率が低順位、要するに値下がりも含めて余り上がらなかったというところを見ますと、商業地とか工業地とか準工業地、要するに十傑の中に住宅地は一つもないわけですね。  ですから、これを見ますと、一年間の値上がりを振り返ってみると、住宅地、しかも比較的に地価の安い周辺地域といいますか、旧来の地域周辺地域の値上がりを呼んでいる、要するに高値に修正していってるんじゃないかという点が一点と、それから住宅地の値上がり率が非常に高い。この点はやはり今後の警戒警報として十分に対策を考慮していただかにゃならぬ、いわゆる注意信号を発している資料だと思うのですが、大臣、その点どうですか。
  116. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生のおっしゃいますとおり、十傑等で見ますと、いま先生おっしゃったとおりでございます。確かに住宅地につきましての局部的な値上がりはあるというのが実情でございます。ただ、その辺につきまして、たとえば実際の土地取引の動向、それから法人の土地取引の動向、農地転用等の動向等をその地域について調べております限りにおきましては、余りそういうような投機的土地取引につながるものではないという判断をわれわれも現地もいたしております。  それから、そういうふうな値上がりの特に高いところにつきましては理由を聞いておりますけれども、やはりそれぞれの、たとえば道路ができた、鉄道の整備ができた、区画整理が終わった等等、特別な理由もあるようでございます。したがいまして、その点につきましては先生のお話のとおり十分監視を続ける必要があることは言うまでもないと考えております。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 高値修正の点はどうですか。たとえば釧路−5という標準地番号になっておりますが、これは全国一、変動率が高かった。もっとも平米単価は五十三年でも一万五千二百円、こういう低い価格になっておりますが、通例から考えるとですね。ですけれども、その変動率は一一・八%。以下ずっと、たとえば埼玉県の富士見市、この場合が一一・一%。それから高知の横内ですか、これは九・五%と非常に高い変動率を見せておりますですよね。ですから、住宅が広がっていって、地方都市においても通勤可能範囲にぐっと——地方では、通勤可能範囲の考え方を超えるようなところが住宅地として開発をされ、変動率が非常に高くなっている。この従来地価の安かったところにどんどんどんどん住宅地が進出をしていって地価の値上がりを呼び起こしているということは、ちょっとこれは問題であろうかと思うのですが、この点の理解はどうですか。
  118. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いまお話しのとおり、四月一日の公示の内訳を見ますと、地方別の変動率に相当差がございます。平均で申し上げますと、たとえば住宅地は全体で三・三%ということでございましたけれども、東京圏では三・五%、名古屋圏が四・一%、北海道が四・一%、東北地方が四・一%。大体それぐらいのどころが平均を超えているところでございます。いずれもそれぞれの圏域につきまして問題もあるとは思いますけれども、われわれといたしましては、現状におきましては、それぞれ値上がりにつきましても事情の説明ができるものであるというふうに考えておる次第でございます。  それから、いまお話しのございました釧路の五番、それから埼玉の富士見、それから高知の横内、それぞれ一一%、九・五%上がっておりますが、それらを含む圏域につきましても、土地取引件数等を見ますと、五十年度に比べましても余りふえておりません。それから面積も大体横ばいでございます。法人の土地取引につきましても同様でございますし、農地の転用についてはむしろ減っておるというような状況でございまして、全体をながめますと、現状から見ますとまあまあ、たとえば規制区域の指定等については現在まだこれをすべきでないだろうというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 概略をお伺いしましたが、さて、先ほど大臣が地価対策として例の国土法の規制区域の活用、こういうふうなことも若干触れられたようでございますけれども、この規制区域の活用という問題ですね。この問題について初めに大臣の基本的な考えをひとつ伺って、あと小さな各論の方に入りたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  120. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 規制区域の指定をどういう場合に考えるかということを申し上げてみますと、土地の投機的取引が相当範囲に集中して行われる、また、地価が急激に高騰しておるというようなそういう場合に、緊急に対策を講じなきゃならぬというそういうような事態を国土利用計画法による規制区域の指定は考えておると思うのであります。したがって、そういう事態というものは、これは著しく芳しくないことでありますから、土地対策の上ではそのような事態に立ち至らないように各般の施策を総合的にやっていかなきゃならない。そういう規制区域ということからいけば、いま申し上げるようでありますが、そのような事態というものはこれはもう非常に好ましくないのでありますから、そういう事態を起こさないように土地施策をやっていかなければならないというのが基本的な私の考えでございます。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 さて、これは四十九年の十二月でしたか、国土法が施行になりましたですね。それで、この規制区域の活用という問題、なるほどこれはない方がいいんです。ない方がいいんですが、そういう危険性があるために、予防手段として、また緊急療法と言いますかね、そういうことでこういう措置を考えついたわけですけれども、この制度を現実に執行する上で何か不備な点があるんではないか。ずっとその経過を見ておりますと、そう感じられてならぬのですが、体制上不備はありませんか。
  122. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 規制区域現実に動かすということにつきまして、われわれもいろいろと体制上の問題がどういう点があろうかと検討いたしました。一つは、規制区域指定の要件を具体化するにはどうしたらいいか、それから許可制度実施のための価格審査基準をどのように明確化したらいいか、それから土地取引及び価格動向の監視体制の整備についてはどう考えるべきか、それから許可制実施のための予算的措置等についてはどのように処置をするか、これらの点を網羅いたしますと一応体制と言えるのじゃないかと思います。  なお、個々について申し上げてみますと、規制区域の指定要件につきましては、法律の第十二条第一項に先ほど大臣が申し上げましたような枠組みが示されておるわけでございますが、その具体的な適用につきましては、局長通達におきまして、基本の方針と重点的に指定を行うべき土地の区域の要件、留意事項等についてやや細かく指定をいたしております。それから、許可制実施のための価格審査基準等につきましては、これも法の第十六条の法定許可基準を受けまして、政令、府令——相当いろいろと触れておりますが——等におきましてある程度実施基準を定め、さらに通達でその実施細目を定めております。  それから、土地取引及び価格動向の監視体制の整備につきましては、全国にわたりまして、これらの動向について特に監視を行う必要がある地域に重点を置いて規制区域指定事前詳細調査を行いたいということで、常時関係資料の収集、分析をしております。これにつきましてはやはり予算を計上していただいております。規制区域が指定されました後のことも予想いたしまして、指定区域が指定をされますと許可制が実施されることになります。そのためにはやはり費用が要るわけでございますが、それにつきましても国が三分の二——人件費につきましては二分の一でございますが一の補助をするということで予算上の計上もいたしております。一応この短い期間でございましたけれども、われわれといたしましては、できる限り体制の整備に努めてまいったと思っております。しかしながら、今後につきましても、さらに通達の趣旨にございますように、もっと機動的に制度の運営を図られるような体制の整備については検討を行うべきだと考えておる次第でございます。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま御説明いただきましたけれども、その国土法第十二条のいわゆる「規制区域の指定」についての問題ですけれども、「都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域にあっては、その全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」、また第二には「都市計画区域以外の区域」というふうに条文になっておりますけれども、この「投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、」とか、「地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められる」と、きわめてその条文の上では抽象的ですよね。ですから、せっかく国土法の施行に当たって局長通達を出して、その規制区域について機動的にかつ効果的に指定し得るようと、こういうような特例をやっておりますけれども、果たしてこういう条文そのものが抽象的でもあり、その具体的な運用がきわめて困難ではないだろうか。また、解釈によっては都道府県の間で不均衡が生ずるんではないか。こういうようなことで、やはり国土庁の立場で具体的な判断基準をまず国土庁が持つ、そうすることがこの制度を運用する上でまず第一の要件になってくるんじゃないかと、こういうように思うんですが、この点はどうですか。
  124. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実は私も本当はそのように思っております。ただし、大変むずかしい問題でございます。したがいまして、法律にはそのようにある程度抽象的な要件が書いてございますが、局長通達等におきまして、やはり重点的に指定の要否を検討すべき地域というものもある程度具体的に示しております。これは分けて申しますと、都市化が急速に進行する地域、それから土地利用規制にかかわらず相当広範囲にわたりまして将来の地目転換期待の取引が進んで期待価格が形成されつつある等の地域、それから大規模な面的開発のプロジェクトが予定される地域を挙げまして、その三分類におおむね分類をいたしております。そのそれぞれにつきまして取引の動向、土地利用の動向、価格の動向、規制区域の指定の要否を検討するための地元地方公共団体の意見等につきまして、絶えず調査並びに連絡をとりながらこの運用を図っていくということを考えておるわけでございます。  通達の細目とかその他につきまして、やはり詳細にわたりますので省略いたしますが、基本的な考え方といたしまして、まあどれか一つの指標をとればどこでも同じように、えいやっとこう決められるというのも一つの考え方ではございましょうけれども、この法律の趣旨で見ますと、先ほども画一的基準を定めておらない、抽象的だというふうに先生おっしゃいましたが、やはり実際の問題につきましても、地域の経済的もしくは社会的実情を十分に勘案しまして、各都道府県が本当は最終的に総合的に判断されるということがこの法のねらっておるところではあるまいかと、現在ではそのように考えておるわけでございます。  これにつきましては、土地取引の動向はきわめて地域的な特色を有しております。また、国土利用計画法第十二条におきましては、指定要件でございます投機的取引の集中、地価の高騰につきましては「おそれ」というのも含めまして指定ができるようになっております。一義的には都道府県知事の認定にかかわらしめておりますけれども、最終的には学識経験者で構成いたします都道府県土地利用審査会による確認を条件としておりまして、一たん知事が指定をされましても、その土地利用審査会におけるオーケーがとれません場合ににそれは取り消されるということになっております。それらの立法趣旨を勘案いたしまして、幾つかの指標を組み合わせまして半ば自動的に指導を行うということも、初めからこの法律の中では予定はされていないのではないかというような点も考慮される次第でございます。しかし、その中には基本的な考え方についてある程度指標化できるものもあろうかと思います。そういうものにつきましては十分今後検討を進めてまいりたい、いままでの経験を基礎といたしましてくみ上げていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、まあいまも若干御説明ありましたけれども、国土利用白書、これには、その「規制区域の指定に関しては、土地取引や地価動向の変化を迅速かつ正確に把握し、必要に応じて機動的に対応できるようにするため」に「規制区域指定事前詳細調査」、そういうものを実施すると、こうなっております。その中身については若干先ほども触れられたようですが、それははしょりまして、この調査に関連しまして、土地利用調整課長から各都道府県の土地対策主管部長にあてた文書、これは規制区域指定基準の作成のための調査とか、あるいは詳細調査候補地域の選定についてと、こういうふうな主管部長あての二通の文書を拝見をしました。中身はきわめて膨大ですね。非常に何といいますか、莫大な調査内容を一片の文書の中に秘めてあります。こういう調査を都道府県に依頼をする、そういう根拠は、根拠規定というのは一体どこから出てくるのか、その調査主体は一体どこなのか、また調査事務に関する補助内容はどうなのか。私はその内容を拝見した上で、これは膨大な費用がかかるが、一体どういうふうに国土庁ではお考えになっているんだろうかという疑問が出てまいりました。そういうような点についてまず答弁をいただきたい。
  126. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいましたように、規制区域の指定の事前詳細調査ということを実施いたしております。その場合、性格は何だと、根拠規定は何だというようなことがいま御質問の趣旨であったと思いますが、国土利用計画法におきます規制区域制度の円滑な運用に資するということが一つの性格でございまして、われわれは実際上の法律上の根拠ということでは、こういう事前詳細調査というものはございませんけれども、国土利用計画法施行事務の一環ということで位置づけております。一般的な統計資料、その他の資料を基礎としまして一土地取引の動向、地価動向等を把握する規制区域指定事前詳細調査ということでございます。この調査につきましては、都道府県が市町村の協力を得て行うということにいたしております。国はこれに要する経費につきまして二分の一の補助を行っております。  この補助の根拠でございますけれども、法の第四十条に「経費の補助」というのがございます。「国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、土地利用基本計画の作成に要する経費その他のこの法律の施行に要する経費の一部を補助する」、まあ補助の根拠はこの法第四十条でございます。さらに、ここにございます「政令」ということでございますが、政令の第二十三条の第三号におきまして、「規制区域の指定のための調査に要する経費」というものを政令で指定いたしておりまして、この補助率は二分の一と定めておる次第でございます。
  127. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところで、その調査対象はおおむねどういうふうになっておりますか、対象地域ですね。
  128. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 規制区域の指定調査の対象といたしまして一般調査と特別調査、両方ございますが、両方含めまして、都市周辺地域等で行いますもの、それから各種土地利用規制にもかかわらず、相当範囲にわたり地目転換を前提とする期待価格が形成されつつある市町村を対象とするもの、相当規模にわたり面的広がりを要する開発構想計画の存する地域を有する市町村を対象とするもの等が一応選定の対象でございますが、実情を申し上げますと、五十二年度の調査対象地域は全国で二百十六地域、七百二十二市町村。調査対象面積は七・一万平方キロメートル、国土面積で申しますと約一八・八%となっております。内訳といたしまして、三大圏では三大圏面積の約四一%、地方圏は地方圏面積の一六・四%等を対象といたしておる次第でございます。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま数字で御報告いただいたけれども、概括的にとらまえますと、調査対象地域というのは国土面積の約五分の一だと、そうして森林地域を除いた居住地面積のほぼ全域を対象に調査をなすっていると。それらの地域は具体的な指定とは何の関係もなく、ただその全域をとらまえて調査をされている。しかし、この法の十二条の考え方やあるいは国土法の全体的な考え方からいきますと、もっと対象地域をしぼっておやりになった方がより効果的ではないだろうか。国土面積の五分の一だとか、あるいはもうほとんどの森林地域を除いた居住地面積の全域を対象とする。これじゃ広く浅くなっちまって、ちょっとしぼり切れないという感じがするんですが、この点どうでしょうか。
  130. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在までのところ、ただいま申し上げましたような大体スケールで事前詳細調査を行ってまいっております。ただ、過去におきまして、たとえば昭和四十七年及び昭和四十八年の二年間に大規模な土地取引の対象となりました土地の面積は約四十七万ヘクタール、国土面積の一・二%に及ぶ取引が行われました。しかもその場所は全国の津々浦々にわたって行われたという過去の実績がございます。したがいまして、そのときの土地取引の実態等を考慮いたしますと、現在のように規制区域指定事前詳細調査が国土の約二割ということになっている部分につきまして、あんまり広きに失するとは私は思ってはおりません。それからなお、この監視体制を広げることにつきまして地方公共団体等とも十分ヒヤリングを行いながらやってまいっておりますが、大体こういうふうな結果になるわけでございまして、こういうことにつきまして、先生のお話のとおり国費を使う話でもございますので、もっと基準を明らかにして調べろという趣旨であろうかと思いますが、そういう点の努力は今後いたさなきゃならないと思いますが、当面、各地方公共団体等のヒヤリングの結果等を積み上げながら現地と打ち合わせてやってまいったのが実情でございます。また、監親体制をやや広くとりまして絶えず目を光らせるということにつきましても、地方公共団体にとりましても、地価の監視等につきまして相当の効果を上げておるという点も見逃せないのではないかと考えておる次第でございます。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところで、そういうふうな高邁なお考え調査をやっていただいているわけですけれども、事前詳細調査の集計ですね、これは一体どのようになされているのか、あるいはまた、集計の結果、対象地域の動向をどういうふうに理解されたのか。また、この動きをつかんで、そして具体的に規制区域の指定というものとの関連で、この調査の結果というのはどのように位置づけられるのか。その辺のことをもう少し結果の活用状態について御報告いただきたい。
  132. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 規制区域の指定事前詳細調査の結果につきましては、都道府県におきまして、事項別に毎月のものもございます。また、四半期ごとのものもございますが、各調査対象地域、または市町村の区域ごとに整理をいたしまして、土地取引の動向、地価の動向、それから投機的土地取引の集中及び地価高騰の徴候が見られるかどうかというようなことについての検討資料に活用いたしております。したがいまして、規制区域をやるための地価の監視制度のためには十分私は活用されておるものだと考えております。これによりますと、今日までのところでは、調査対象地域のいずれにおきましても、規制区域指定の要件を満たすような投機的土地取引の集中及び地価の高騰等の動きはないという報告を受けております。なお、われわれといたしましても都道府県からの報告等につきまして絶えず見ておりますけれども、同様に、現在のところ規制区域指定の要がある地域はないというふうに判断している次第でございます。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、先ほど私は、せんだって発表されました五十三年一月一日現在の公示価格の変動率が非常に高かった。この部分についてはお伺いしたわけですけれども、先ほど指摘をしました、変動率が高かったと。そういう発表に際して、これらの地域あるいはその周辺地域での事前詳細調査の結果との関連はどうなっておりますか。
  134. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) たとえば五十三年一月一日、公示価格の変動率の上位ベストテンというようなものにつきまして、いずれも事前詳細調査の中に入っております。したがいまして、その中のもの、たとえば札幌でございますと、札幌圏につきまして、そういうものにつきまして土地取引の状況、法人の土地取得の状況、農地転用の状況等につきまして、過去、五十年、五十一年、五十二年等の詳細調査と比較検討いたして見ております。それによりますと、土地取引等につきましては、件数も横ばい、面積も横ばい。法人の土地取得につきましては、件数は横ばい、面積も約横ばい。農地転用面積につきましては件数は減、それから面積も減というのが最近の情勢でございます。それらを総合判断をいたしまして、県の方からも判定資料と申しますか、自分たちのいろいろな考え方についての報告がついてくるわけでございますが、これにつきましては、札幌圏を例に申しますと、現状から判断して、規制区域指定要件の状況にはなく、指定の必要はないと考えるというのをいわゆる詳しく述べてつけております。われわれといたしましては、ベストテン等のものにつきまして詳細調査いたしましたが、これにつきましても、やはり現在のところ指定の要はないだろうというふうに判断をしておるわけでございます。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 指定の要はないけれども、先ほどおっしゃったような動態の動きから判断しますと、一一%あるいは一〇%という値上がりの要件みたいなものはその調査の中から出てないわけですわね。ところが、現実には地価が一〇%程度上がっているということです。ですから、確かに膨大な精力を、エネルギーを使って全居住地面積に当たるような地域調査をされておるけれども、それが結局、果たして効果を発揮しているかどうかということが非常に疑問に思うわけです。  また、一面から考えますと、人口動態だとか、あるいは土地取引の動態だとか、それから建築動態だとか、あるいは地価の動向、こういう行政調査というのは他の部門でもやっているわけでしょう。ですから、従来のことを考えてみると、全国にわたって地価の値上がりがあったから、ほぼ全域にわたって調査をするのだというふうなお話ではありますけれども、経費の問題、いわゆる予算の方から見ますと、わずかですけれども毎年減っておりますね。徐々に減額されています。したがって、それでもいま一億円、それを超えるような国費を使っているわけです。ですから、国費をそれだけ使い、またそれに対するエネルギーもきわめて私は膨大なエネルギーを使っていると思うのです、都道府県においては。したがいまして、やっぱり前の持論の繰り返しになりますけれども、現実規制区域を指定する、指定し得るような調査対象地域ですね、そういうところにそろそろ切りかえるべきじゃないか。でなければ精力を浪費しているような関係にならないだろうか。こういうことをもう一遍私は指摘をぜざるを得ないのですが、この点、大臣どうでしょうか。従来の調査の結果、あるいはそれを踏まえてそろそろ調査対象地域というのは再検討しなければならぬ時期に来ているんじゃないかと私は思うのですが、大臣の御意向はどうですか。
  136. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) いわばこの規制区域の問題は、私はいまの一問一答から私の感じを率直に申し上げると、われわれの立場から言うと伝家の宝刀的なものでございまして、実際上、規制区域の指定が行われますと、その土地は、価格は凍結するし、また売買は許可制にもなるということでありますから、本来言えば、そういう指定が行われるよりも、こういう制度があって投機的取引や高騰がされないということが好ましいことではないかと思うのです。ただ、そのためにいろいろ事前調査などもして非常なエネルギーも使い国費も投じておるという点からして、もう一つ考える余地がないのかという二宮委員の御指摘かと思うのでありますが、それはそれなりにその検討をしてみる必要があるんじゃないかと思います。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 会計検査院の方にもおいでいただいているのですが、ただいまずっとやりとりをしてまいりましたけれども、検査院の立場で、いまのやりとりを、また従来の結果を踏まえてどういうお考えを持っていますか、これをちょっとお伺いしたい。
  138. 島川庸一

    説明員(島川庸一君) お答えいたします。  補助事業の効果につきましては、常々私どもは非常な関心を持って検査をしてまいっておるわけでございますが、ただいまお話の出ました規制区域指定事前調査補助金につきましては、主として土地利用規制等対策補助金交付要綱等に照らしまして、個々の使途が適正であるかといったような点に着目いたしまして検査をしてまいってきたわけでございますが、この調査対象地域選定の適否あるいは収集資料の重複の有無などにつきまして、これを総合的に検査をするということにつきましては必ずしも十分ではなかったと反省しておるわけでございます。しかしながら、この補助事業も発足以来数年の経験を踏んでまいってきておりますし、御指摘のように対象地域をしぼって重点的に効率的に調査をすることによって国費の節減を図ることができますれば、これは大変望ましいことであるというふうに考えております。また、資料の重複といったようなことはできるだけ避けなければならないと思っておりますので、御指摘の点にも十分留意いたしまして今後検査を実施してまいりたいと、かように考えております。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 お聞きのとおりです。ですから、全然効果がなかったとは言いませんけれども、確かに伝家の宝刀という大事ないわゆる予防手段でもあろうかと思います。であるがゆえに、よりもっと効果が発揮できるような、また、ひとつ国土庁の姿勢の方もまず明確にしないと、都道府県の方でも戸惑いがあるんじゃないかというふうな心配もあわせて私いまここで申し述べておきたい。ぜひそれは御検討をちょうだいしたいと思うわけです。  それから次に、問題が変わりますけれども、前にも、これはいつでしたかちょっと記憶がありませんけれども、建設保証会社の件について、保証料云々の問題について私前にも質問をした思い出があるわけですけれども、特に昨今公共工事が非常にふえてまいりました。御承知のように、国や地方公共団体などから公共工事が発注されるときに、元請の業者が建設保証会社に一定の保証料を払って、いわゆるその保証契約を取り結ぶことによって総事業費の四〇%程度を限度としまして前払い金を受け取る、こういう仕組みになっておりますね。ですから、現在そういう仕組みのもとに北海道と東日本と西日本の三保証会社が発足し、今日に及んでいるわけですけれども、この三つの保証会社の制度発足以来の保証料の収入、それから事故が起こりまして、弁済額の総額、できればその平均弁済率、これはどうなっておりますか、ちょっと傾向をお知らせいただきたいと思います。
  140. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 三保証会社、昭和二十七年に設立以来、前払い保証業務を行っているわけでございますが、ごく最近の件数、データだけ御説明いたしますと、昭和五十年が保証件数十六万二千八百六十六件、保証金額が一兆八千三百二十五億八千百万円、それから保証料収入でございますが百二十六億一千九百万円、弁済額が二億三千百万円でございます。それから五十一年が、保証件数が十七万二千九百九十三件、それから保証金額が一兆八千八百三十三億八千万円、保証料収入が百六億七千四百万円、弁済額が五億八千七百万円。五十二年度は、保証件数が二十二万二千五百四十九件、保証金額が二兆五千七百七十八億七千五百万円、保証料は百四十八億三千二百万円、弁済額が十億三千百万円。この過去二十六年間の平均弁済額は二億四千二百万円でございます。過去五年間に圧縮いたしますと、この平均弁済額は七億四千八百万円となっております。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま言っていただいたのは傾向がさっぱりわからぬわけですよ。私、資料ちょうだいしておりますから、いただいた資料に基づいて整理してありますから申し上げてみますと、まず五十二年度を取り上げてみますと、北海道が保証料の収入が十三億、それで弁済額は六百万円、弁済率が〇・四六%。だから一%にもならぬわけです、北海道の場合の弁済率は。それから東日本の場合が保証料が約七十八億、一年間ですよ。保証料が七十八億、弁済額が七億、その弁済率は九・〇一、これも一〇%になりません。それから西日本の場合、保証料収入が五十六億、その弁済額が三億一千万円、この場合の弁済率が五・五九%。非常にこの保証会社はもうかりますね。保証会社がもうかるということは、これは契約を結んでいる建設業者、元請業者がやっぱり負担になっているという裏づけではないかと私は思うのですが、この点、局長どうです。
  142. 大富宏

    政府委員(大富宏君) いまの弁済率、保証料と弁済額との率はいま先生指摘のとおりでございまして、五十二年度の三社平均で弁済率を申し上げますと六・九%ということでございます。弁済率で高いものは大体四十九年度が一一・二%というような数字でございます。大体一割に満たない弁済額で推移いたしておるわけでございます。このようなことで保証料が少し高過ぎるのじゃないかという御指摘があったわけでございますが、現在、三社の現行の保証料率の平均は〇・五八という数字になっております。この保証料率は五十年十一月に五回目の保証料率引き下げを行った結果でございまして、現在の料率というのは発足当時の料率に比べると二分の一ぐらいに減少いたしております。ただ、この保証料率は、保証金額によって若干等差を設けておりまして、三百万円以下の場合には〇・三、それから三百万を超え一千万円以上の場合には〇・五、それから一千万を超え二千万円以下の場合には〇・六、それから二千万を超え五千万円以下の場合には〇・七、それから五千万を超え一億円以下の場合には〇・八五、こういうことになっております。そこで、いま私申し上げましたように、公共事業量の増大によりまして前払いとして三社が保証する額も非常に増大し、保証料収入も年々ふえていることは事実でございます。  そこで、私ども、いま御指摘なりましたように、しかもこれだけ弁済事故率も少ないことであるから保証料率を今後どの程度下げるのが妥当であるか。これは類似の損保会社等の保証料率との関係考えなければいけないと思いますけれども、そういう保証料率の引き下げでこの事態に対処するのか、それともこういった前払い保証をすることによって公共事業の円滑な促進を図り、それはひいては国民生活の向上につながるということで大変建設業者が重要な役割りを果たしておるわけでございますけれども、御案内のとおり建設業者の九九・四%までは中小企業だ、こういった中小企業の体質改善というのが非常に建設行政にとって重要な仕事、分野になっているものですから、こういった三保証会社の持っているところの保証資本を業界に還元することによってこういった有効な建設業界の体質改善に役立てることができないだろうか。その具体的な方策はどうしたらいいだろうかというようなことで、保証料率を引き下げる議論と、保証料率を引き下げないで、むしろそこで出てくるところの余剰資本を業界に還元することによってどの程度のことができるのかというようなことを目下いろいろと検討している段階でございます。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと私はその議論は根本的にもう一遍見直してもらわにゃいかぬと思いますよ。だって、局長の答弁を伺っていますと、発足以来、保証料率は五回も引き下げたと、今日では発足当時の二分の一だと、こういうふうなことを麗々しく御答弁になりましたけれども、それでは発足以来一体どういう傾向になっているかというのは統計もとっておりますから申し上げてみますと、発足以来この二十六年間、北海道の保証料収入は百億です。一社の保証料収入は百億、そして弁済額は九千二百万円、二十六年間にですよ。ですから弁済率は、これも平均です、〇・九二。ですから、五十二年が先ほど申し上げた弁済率が〇・四六。一年をとらえて〇・四六です。保証料収入に対して弁済をしたのがもう一%の半分ですから、一年間で。二十六年をとらえてみても〇・九二です、パーセントにして。それから、東日本の場合は保証料収入が六百三十四億円、それに対する弁済額が三十九億ですから、これも六・二八%です。ですから、保証料を半分に下げたと麗々しく御答弁になりましたけれども、どだい保証料率の算定の仕方が、まず公共事業に参加する人でしょう、公共工事に参加する人でしょう、相当に厳選されていますよ。しかも前受け金を受けるためにこういう制度をつくったとしても、この保証契約をしなきゃ前受け金はいただけませんから、どうもこれは強制加入と一緒ですよ。  しかも、その弁済率が過去二十六年を通して北海道は一%にも当たらない。あるいはまた東日本の場合は六・二八%、六百億に対して三十九億ですから。さらに西日本の場合をとらえてみますと、四百二十五億円に対して二十二億、これまた五・二%。どうしても私は、これはもう保証会社はもうかってもうかって仕方がない。反面、御指摘になったように、中小建設業者にとっては保証料が負担になるんではないか。だから、業界に対する還元だとかなんとかの前に、まずやはり保証料率という問題を検討すべきではないか。また、損保会社との関係なんて言っていましたけれども、これは法に基づいて始まっている事業ですから別途考えてよろしいんじゃないか。こういうような感じがしますが、まず大臣、この三保証会社のこういう二十六年間の実績を踏まえて、保証料率との関連においてどういう受け取り方をされるか、大臣の何というか印象を私は伺っておきたいと思います。
  144. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 過去の実績からいたしまして、弁済額が三社ともきわめて少なくて済んでおるということは、私はまことにこれは結構なことだと思います。したがって、保証料との関係からすると、その保証料を検討すべきものではないか、ただいま局長の方からは過去五回引き下げてきた、損保会社に比較してその保証料もそう高いものとは思わないという一応のお答えを申し上げ、また、この利益と申しましょうか、それらのものについては建設業界のために別途使うというのも意義があるんではないかというふうにお答えをしておりますが、しかし、いずれにしてもこれは検討をすると、こういうことを申し上げておるのでございますから、この過去の実績をもとにいたしまして、還元がいいのか、この保証料を検討すべきものであるか。私は、この保証料の弁済額との関係からすればこれは十分考慮をする余地があると思うんですが、しかし、その考慮の中に、業界のために振興基金へ出しておるとか預託をしておるとか、いろいろ他面において活動もしておりますので、それこれ勘案してみたらばどうかと、こう思います。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 計画局からいただいている「前払金保証事業の概要」というこのパンフレットを私拝見しておりまして、お手持ちですか。——大臣いいです、細かい問題になりますから。後でまた所感をお伺いしたいと思う。  八ページを見ますと、「保証事業会社は、」云々ということになりまして、まず「事業の登録制」、それから「保証約款の承認制」、それから「常務役員の専業主義」、こういうふうなことをずっとうたい上げられておりますと、これはやっぱり株式会社で任意の会社のようではありますけれども、いわゆる行政主導の保証会社ですね、この点どうでしょうか。
  146. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおりでございます。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 もっと言いますと、外郭団体みたいな感じがしますが、この感じはどうでしょうか。
  148. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 公共工事の前払い保証法に基づきまして、公共工事の前払い保証をするという公益性に基づきまして非常に厳しく監督をいたしているわけでございますが、一面、三社は全くの株式会社でもございますので、株主総会等を持って全く商法上の株式会社としての運営もやっておりますので、全くの外郭団体と言うわけにもまいりません。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 そんな感じがしてならぬわけです。  それで、わざわざ御丁寧に、その下の項目が私非常に気にかかるわけです。「登録と独占禁止法」という項目を設けまして、ちょっと短いですから読んでみましょう。「前払金保証事業を営もうとする者は、一定の要件を備えておれば登録によって営業を行うことができるので、三社に限定されているものではなく」、こう断定されていますが、三社以外に登録ができる可能性はありますか。
  150. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 法律上は、御指摘のとおり要件を満足する限りは保証会社になり得るわけでございますが、今日までまだこの登録申請をされたところはないわけでございます。  それから、可能性という問題になりますと、いま御指摘なりましたように、一面、商法に基づく株式会社でありますけれども、前払い保証をやるということになりますと、いま申し上げましたように非常な監督官庁の厳しい監督を受けるというようなことから、なかなか通常の商事会社では手を挙げられないんじゃないかというぐあいに理解しております。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 法律上は開かれているけれども、私は可能性はないと思うんです。まずそれが一点。  それからその次に、「現行の三社とも営業範囲は本邦一円となっており、独占禁止法に抵触するものではない。ちなみに北海道建設業信用保証(株)、西日本建設業保証(株)が東京に支店を設けて保証業務を取扱っているほか、三社とも支店所在地外の工事も取扱っいる」。十一ページに三保証会社の支店名が載っております。本店、支店名が載っておりますが、これを見ますと、明らかに営業範囲は三事業会社とも本邦一円とうたっているには違いないと思いますが、しかし、三社とも営業範囲は画然としていると思うんです、三つの方面に。この点はいかがでしょう。
  152. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘の点につきましては、衆議院の委員会においても御指摘を受けた問題でございますが、これについては、いま現実にはこのようになっておりますけれども、三社営業範囲は本邦一円というたてまえでやっておりますし、何か地域独占的な独禁法上いかがかと思うような協定も実際はやっておりませんし、私どもはこういう心配はないと思っております。また、そういう懸念があるような営業方法については厳しく監督してまいりたいと思います。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、麗々しくここに御指摘になっている「三社とも支店所在地外の工事も取扱っている」、この実績をお伺いしたい。  たとえば北海道は、いわゆる北海道の本社並びに支店は札幌と旭川と東京ですね。支店は二カ所ですから、本社が札幌と。それから今度は、東日本建設業保証会社の支店は二十二ございまして、本店は東京都にある。支店は二十二ありまして、これは東北、関東、それから信越、さらに三岐といいますか、愛知、岐阜、三重、ここまでに支店がありますね。それから西には全く支店はありません。それから今度は、西日本建設業保証会社は大阪に本社を置いて、そしていま指摘をした分より西の各地に支店を二十四カ所置いてあります。ですから、ダブっているのは、西も北海道も東京に支店を設けているだけがダブっているだけで、あとは地域は画然としております。しかも、この八ページに「支店所在地外の工事も取扱っている」と、こううたっていらっしゃるんですから、その実績はどうなっていますか。
  154. 大富宏

    政府委員(大富宏君) いま手元に東日本保証会社のデータだけしかございませんけれども、東におきましては、いまお述べになりました東日本保証会社の管轄に入っていない東海、他府県につきましても、これは五十二年の実績で東海地方に二万一千三百二十三件、その他他府県に八十九件。これは五十一年度につきましても東海地方に一万六千五百三十八件、他府県について十八件の実績が上がっております。北海道、西についてのデータはただいま持ち合わしておりませんので、後で御報告いたしたいと思います。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に言いにくいように早口でおっしゃったんで、私が数字をお伺いして、どれぐらいやっているだろうと判断するいとまも与えないほど速やかに答弁されましたが、もう一遍言ってください。
  156. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 申しわけございません。東の件数だけしか手元に持っておりませんが、五十二年度におきまして、これはいま申し上げたのを繰り返しますと、東海地方におきまして……
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 当該ですね……
  158. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 東海地方。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 東海は東の範囲ですよ。
  160. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 東海については若干東、西ダブっておりますので……。それでは、他府県だけの件数でございますが、全体から比べれば微微たる件数ではございますが、五十二年度におきまして他府県で八十九件。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 全体の件数は。
  162. 大富宏

    政府委員(大富宏君) それから五十一年度で十八件。全体件数は、五十二年度全体では十一万二千八百五十一件、それから五十一年度が八万五千四百五十九件。まあ全体から言いましても微々たる数字には間違いございません。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、そういうこそくなやり方は、当初申し上げたように行政主導でやっているわけですから、体裁を整えるようなそういうこそくな指導はおやめになった方がいいんじゃないかと思うんです。もう歴然とこれは三地域に分けているわけですから、もう少し性格をきちっとして、そしてだれから見てもなるほどなと、いわゆる行政が主導でやっているいい制度だなと理解してもらえるようなやり方にして、こういう法を抜けていくような、こそくな注釈はおつけにならない方が政治の姿勢として明確になると思うんです。これは運営の問題、指導の問題として当局そのものに私は欠陥があると思いますよ。  それからもう一つ、これはちょっと私もよくわからぬので……。先ほど保証料との関係計画局長が、莫大な保証もするわけですから当然それは債務行為になるわけですよね、したがって、その保証料云々、料率云々の問題にもちょっとお触れになりました。それで、同じようにこのパンフを拝見しておりますと、二十六ページに「保証資本の増大の必要性」、こういう一項を設けられまして、「保証事業会社はこの保証資本の二十倍まで保証できることになっている」、こう書かれております。この「二十倍まで」というのは、これは業務方法書で規定しているんですか。
  164. 大富宏

    政府委員(大富宏君) そのとおりでございます。
  165. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは三十倍になっても四十倍になっても、業務方法書に書いて、そしてそれを大臣が承認をすれば三十倍、四十倍も可能なんですか。
  166. 大富宏

    政府委員(大富宏君) その辺が非常に関連する問題でございますが、保証する限度を保証資本の何倍にするか、ただいまは二十倍ということで運営いたしておるものですから、現在、保証資本が三社合わせまして五百二十四億ということでございますから、単純に言いますと、瞬間風速では一兆四百億が保証の限度になるわけです。ところが、実際に三社が公共事業の前払いを保証しております金額というのは、先ほども申し上げましたけれども、五十一年で一兆八千八百億、それから五十二年で二兆五千億、こういうぐあいになっておりますし、片や御指摘のように弁済率というのは非常に微々たるものであるということになりますと、発足以来、保証限度を保証資本の二十倍としているところにもう一回再検討を加える余地があるのではないか。それを三十倍にできるのか四十倍にできるのか、それはやはり一種の何といいますか保険数理との関係になろうかと思いますが、それも私ども一つの検討課題にいたしている次第でございます。
  167. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、二十七ページに三社の保証資本の内訳を五十一年度末ですけれども書かれておりますね、五十一年末。それによりますと、御指摘のとおり三社合計でいわゆる保証資本、これの二十倍までいいんですね、保証金額がね。すると、三社で四百五十六億円と、こういうふうにここに書かれておりますが、これ、どこだったかね。三社の保証金額がどこかに載っていたでしょう、パンフに。ちょっと探してくださいよ、三社の年度別の保証金額。——二十一ページですか、これは三社合計でしょう。各社の保証金額が出ていませんでしたか。  それでは、ちょっと伺いましょう。北海道の五十二年の年間の保証金額合計は幾らになっています。
  168. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 五十二年度は二千三百七十九億。
  169. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうですね。そうしますと、北海道は三十九億ですね、ここに出ている保証資本は三十九億。それから年間の保証金額は二千三百億。もし二十倍としますと、もっとも途中で切れるのもありましょう、百八十日とか九十日でね。ですけれども、単純に計算をしますと、四十億の二千四百ですから約六十倍になっていますね。これは私、百八十日とか百五十日とか九十日とかいう保証期間が切れてこうなったのかという計算も出てきますけれども、もはやこの業務方法書で決めた二十倍というのを超えて、いわゆる弁済率が非常に小さいものですから、二十倍を超えて適当に運営しているんではないかという感じがするんですが、これはその都度厳密にやっていますか。
  170. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 厳密に運用いたしておりまして、確かに瞬間風速で保証資本の二十倍までということでございますが、これは保証を打ち切ったプラスが出てきているわけでございます。したがって、この瞬間風速でいきますと、この実績の保証額に対する保証限度額、パーセンテージでいきますと、北は六七・一九%までやっておるという実情でございます。
  171. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一つ念のためにお伺いしますが、大体保証期間の平均というのはどれぐらいになっています。保証期間。
  172. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 正確な数字を持っておりませんが、大体七、八カ月から一年弱ということでございます。一年未満ということでございます。
  173. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、瞬間風速で六十倍程度ですね、いまおっしゃいました、その保証資本の。しかも保証期間が七、八カ月から一年ということになりますと、どう計算しても、業務方法書のどこかの時点で線を引きますと、たとえば七月三十一日とか八月三十一日とかいうところで線引きをしますと、業務方法書で決めた二十倍は超えているんでしょう。
  174. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私、先ほど申し上げました北の場合、六七・一九%という数字は実績の保証額に対する保証限度額の比率でございまして、これは東と西を例に述べますとおわかりよろしいかと思いますが、東は四三・八四%、西の場合は八〇・四%ということでございますから、保証資本、現在の北及東、西日本の保証資本から比べますと、東は保証資本の二十倍というルールを使いますとまだまだ余裕が非常にあるということでございますが、西日本につきましてはもうそのパーセンテージが八〇・四%ということでございますので、西はもう保証資本の限度いっぱいやっているということでございます。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。私の聞き間違いで、いわゆる業務方法書で規定した二十倍、これの六〇%あるいは八〇%、四〇%の程度で運営をされているということ、理解しました。  そこで、もう結論になりますけれども、では、先ほど局長がおっしゃっていた業界への還元ですね。従来もやってこられましたが、業界への還元というのはどういう状況になっておりますか。
  176. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 一つは、御案内のとおり、中小建設業の体質改善という目標で財団法人建設業振興基金を設立いたしましたが、その際にこの三社から合わせまして十五億出損をいたしております。これはこういった特別の出絹でございます。これも一つの業界還元と理解していいだろうと思います。  それから、恒常的に行っております還元策といたしましては、地方銀行に三社が預託をいたしまして、預託原資を使いまして地方銀行がそれぞれの建設業者に金融、融資をするという仕組みでございますが、これは三社合計で預託金が百四十三億預託いたしまして、これに基づいて地方銀行が建設業界に融資した融資総額というのが千四百五億というぐあいに融資いたしております。そのほかに三社それぞれ建設業界の経営相談に乗ったり、あるいは経営管理に関する研修会を開いたりということを行っているのが実態でございます。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 こだわって大変恐縮ですが、この金融機関に対する預託金は保証資本の合計額からは差っ引いてあるんですか、含まれているんですか。
  178. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 含まれております。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 おかしいじゃありませんか、それじゃ。それはすでに預託して、銀行はそれを原資にして融資しているわけでしょう。そうすると保証資本の二重使いじゃないですか。そうなりませんか。
  180. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほどごらんいただきました保証資本、これは二十七ページに書いてございますが、それぞれ資本金、諸準備金、異常危険準備金あるいは責任準備金というもののこれは合計でございますけれども、これをそれぞれ社債を買ったり国債を買ったりというようなことで活用、運用しているわけでございます。その運用の一方法として地方銀行に預託しているということでございます。
  181. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、それは国債を買ったりあるいは不動産を持ったりするのと、銀行に預託をしてそれを原資にして業者に融資をしているのとでは性格が違いますよ。そう思いませんか。換金処分はできませんよ、預託金の場合は。
  182. 大富宏

    政府委員(大富宏君) いま申し上げました、地方銀行に三社が預託しておりますが、その預託形式は全く通常の預金と同じでございます。いっでも三社は引き出せる仕組みでございます。預託を受けた地方銀行が三社の預託金をもとに建設業界に融資をしているということです。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、導入預金ですか。
  184. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 預託の形式はいろいろでございますが、定期預金もございますし通常の預金もございますし、いろいろな通常の預金形式で入れているわけでございます。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 その辺のやはり指導もきわめてあいまいになっていますね、私そう思います。だって、麗々しく保証資本としてうたっている、私は保証資本の二重使いだというふうに断定をせざるを得ません。しかもその保証資本としてここに掲げられた四百五十六億の約三分の一がそういうふうな預託金に使われているとすれば、先ほど局長が答弁された八〇%とかあるいは六七%とか四三%という数字は、すでに二十倍を突破しているか、あるいはすれすれか、そういう段階になっている。きわめて厳密な行政指導をやっていると言いながら、法律に基づいて運用されているこの保証会社というものの中身がきわめて私はなあなあで行われているような気がしてなりません。ですから、そういう点も含め、先ほどの弁済率、業界の還元も結構ですけれども、その還元の原資というのは、中小企業の建設業者を泣かせて、保証料として取り上げて、そのうち微々たる還元をしているにすぎないわけです。だから、業界への還元という美名に隠れて中小建設業者への苛斂誅求が行われていると、こういう言い方をしても私は言い過ぎではないような気がします。ぜひこれで保証料の——これは制度としてはいいわけです。制度としてはいいわけですから、保証料率の問題をもう一遍抜本的に業者の負担にならないように再検討をお願いしたいと思うんですが、この点はいかがでしょう。
  186. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 冒頭に御指摘ありましたように、私ども、保証料率の問題は、弁済事故率の問題と、それから保証限度の問題と、それから業界還元の具体策の問題とも絡めまして、保証料率の引き下げもどの程度できるのかということも総合的に検討いたしたいと思っております。私どもはやはり、いま中小企業建設業の犠牲においてという言葉をお述べになりましたけれども、建設業界、むしろこういった非常に貴重な保証資本の……
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 制度はいいんだと言っているんです。料率が高いと言っているんです。
  188. 大富宏

    政府委員(大富宏君) でございますから、それをなるべく有効に使うように検討を進めたいと思っております。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に抽象的な答弁なんです。私のは、具体的にいわゆる二十六年間の保証料収入と、それからそれに対する弁済率というものを冒頭に掲げて、二十六年間の実績がこうなんですよと、それは業界の還元ということもやっているけれども、しかし、その元金というのは中小企業を二中心にした建設業者の納めた保証料なんですから、まずそれを、保証料率を下げた方がいいんじゃないかと指摘しているわけです。  では、局長にお伺いしますが、いろいろな面を勘案してとおっしゃいますが、弁済率というのはどの程度まで可能なんですか。いまは、北海道の場合は一%に足らない、東の場合は九%、西の場合は五、六%ということでしょう。これをどの程度まで保証料率を下げることが可能なんですか。それを検討されてなければ、あなたが先ほど、いわゆる弁済率との勘案とか業界の還元とか勘案して再検討しますとおっしゃっても、根本になる数字を押さえてなければ単なる答弁に終わってしまうでしょう。弁済率をどの程度にまで引き上げて料率の計算が可能なのか、試算をなさってなければ先ほどの答弁は出てこない。
  190. 大富宏

    政府委員(大富宏君) どの程度が適正な弁済率かというのは非常にむずかしい問題でございまして、先ほども申し上げましたように、確かに五十二年は弁済率は六・九%でございますが、過去二十六年間見ますと一一%台、あるいは二十九年には一三%という弁済率も出ております。こういつた弁済率と保証料率の関連となりますと、相当専門家の判断にも依存しなければならないというようなことで、実はそういう問題も含めまして検討いたしているところでございますから、御趣旨に沿ってやってまいりたいと思っております。
  191. 二宮文造

    ○二宮文造君 あなたは数字にならない数字を挙げて反論をされるんです。確かに二十九年に、私、資料がありませんから、一三%もあったとおっしゃりゃそうでしょう。ですが、私は、二十六年間の平均は東の場合は六・二八%だと申し上げているわけです、弁済率は。しかもそのそれぞれの資本金はわずか二億かそこいらでしょう。二億とか一億とかという資本金でしょう。しかもその資本金で保証資本はすでに四百五十六億円に相当するだけふくらまっているわけです、資産は。二十六年間にこれほどふくれてきているわけです、保証資本は。ふくれるわけですよ、二十六年間の弁済率が六%ですもの。なら、それほどの蓄積ができたんだと。だから、その時点で、過去に一三%のときもあったかもしれない。ですけど、この蓄積のできた時点なら新たにやっぱり考えられるでしょう。どこまで弁済率を想定して、そして保証料率を引き下げるというその試算がなければあなたの答弁はこの場だけの答弁ですよ。私が数字を挙げて指摘しているわけですからもっといろいろな試算があるでしょう。また、その試算をしてなければ単なるその場しのぎの御答弁のようにしか伺えません。いままでどの辺まで保証料率を引き下げることが可能かという試算をされた経験があるかどうかお伺いしたい。
  192. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 冒頭から御指摘なりましたように、こういう弁済事故率が非常に僅少である、保証料収入に比べて非常に僅少である、しかもそれは二十六年の過去の実績に照らしてほとんどもう問題ないぐらい微々たる数字である、その前提に立って保証料の引き下げなりなり検討せいということで、御趣旨のとおり、私どももそういう観点に立って目下検討いたしているということを私申し上げているわけでございます。ただ、一体どのくらいの弁済率を前提にして作業を進めているかということになりますと、その辺は相当専門家の判断に依存しなきゃならないので、それをも含めて実は目下検討いたしているということを申し上げているわけです。
  193. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、過去には試算されたことはないんですか。
  194. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 過去に事務的にやっていることはございますけれども、いま申し上げるように、保証資本の二十倍まで保証限度という、二十倍というのにそうこだわらなきゃいかぬのか、あるいは保証料率はどこまで下げたらいいのか、そういう問題も含めて実は検討しているわけでございます。
  195. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、それらを含めて保証料率の手直しというのをやっぱり早い時点で考慮するというお考えはありますか。
  196. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 早い機会に結論を出したいと思っております。
  197. 二宮文造

    ○二宮文造君 ぜひ努力していただきたい。大臣もひとついまの私の言わんとするところはわかっていただいたと思うんですが、それらを含めてこの問題の総括として大臣の印象を伺いたい。
  198. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどからいろいろ御意見あるいは問題点を御指摘でございました。私もこの保証会社の業務方法書についてまず検討をする必要があるのじゃないか。  それから、一番問題であります保証料と弁済の実績から考えて保証料を引き下げる必要がある、こういう御指摘につきましては、他にいろいろ出損金あるいは預託等のすでに三社の実績を積んでおる業務の内容もございますから、それらと勘案の上で適切な保証料の引き下げを考えるべきではないかと、こういう印象でございます。
  199. 二宮文造

    ○二宮文造君 ぜひ早く御検討をいただきたいと思います。  これに関連しまして、福岡で、景気刺激策の一環として、二月の七日から五十三年度末までの期間に契約をする工事について、これまでの前払い率を一〇%引き上げる、三〇%から四〇%になるんでしょうが、一〇%引き上げるという暫定措置を講じました。この前払い率の引き上げというのは業者にとっては非常にプラスなことです。したがって、こういう方式を福岡がおやりになったのですが、他の地方公共団体を指導するお考えがあるかないか、この点をお伺いしたい。また、国の方もそういう考えをどう受けとめるかお伺いしたい。
  200. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 公共事業前払い料率は、ほとんど国関係は四割前払いをやっているわけでございます。地方公共団体につきましても、四十九年の地方自治法の施行規則の改正によりまして、それまで三割以内ということでございましたが、これを四割以内に引き上げられております。一部、徳島県、京都府が上限が三割ということになっておりますけれども、その他の都道府県は大部分が四割まで引き上げられております。ただ、問題は市町村でございますが、まだ市町村では前払い金制度を採用しているのは約半数程度でございますので、この辺を大いにひとつ前払い率を採用するように指導をいたしていきたいと思っております。
  201. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一つ、建設業協同組合が資材の購入だとか、共同購入ですね、あるいは金融とか、そういう事業を進めていく際に連帯保証責任、これを組合の幹部が、役員が個人として連帯責任を負っていく、こういうような事態が起こっております。それは事業進捗の大きなネックになっているわけですね、役員が個人保証するわけですから。ですから、こういう建設業協同組合の場合、その支払い保証の共済制度といったような制度を開いて、そしてその直面している協同組合のこの問題を解決する一助にするというふうな考えも必要ではないかと思うのですが、この点はどうお考えなりますか。
  202. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 全国建設業協同組合連合会というのは五十年の七月に設立されまして、いま御指摘なりましたように、事業協同組合が資材を共同購入するなり、あるいは共同施設をやるなりということでいろいろ有効な施策をやっているわけでございます。ただ、その際に事業協同組合が金を借りる、借金をする際の債務保証に問題がございまして、やはり何といいましても組合でございますので、組合を構成するどこか一員が倒産となりますと、組合全員がその負担をしなければならない。しかし、なかなかそれが担保しにくいということもございまして、現状では組合役員個人が債務負担をしているという実例でございます。そうしますと、その負担が組合役員、幹部個人にしわ寄せされるということでなかなか有効な働きがされない。その辺が協同組合あるいは協同組合連合会の事業が伸びない一つのポイントになっている、私どもそのように認識しているわけでございます。  そこで、お述べになりましたような支払い保証共済制度というものをひとつ、ぜひ導入していきたいという提案も私ども実は承知いたしておるわけでございます。考え方は私ども非常に結構だと思っておりますが、じゃ現実に共済掛金をどの程度取れば大丈夫なのか、あるいは制度運営の基本になりますところの基金、ファンドというものはだれが持つのかという具体の問題が現在残っておりまして、私どもも含めまして、こういった全国建設業協同組合連合会ともども勉強いたしております。前向きに検討いたしたいと思っております。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 力がずいぶん入りましたけれども、私どもは前向きにという言葉がついたときはなかなか実現しないものだという変な受け取り方があるんで、特に力を入れられたんで……。しかし、非常に大事なことですから、ひとつこれは早急にそういう制度の創設の問題についてその話を進めていただきたい。これを特にお願いしておきます。協同組合でも非常に困っている問題ですから、いわゆる中小企業育成、零細企業育成という観点で力点を入れていただきたい。  次に元請、いわゆる大手建設業者の下請代金にかかわる問題について若干お伺いしたいのですが、四十九年以来、建設大臣の許可に係る資本金十億円以上の各建設会社の社長に対して、「下請代金の支払条件の適正化について」、こう題する計画局長通達を再三にわたって出しているようですけれども、この通達の効果はどうなっておりますか、どう判断されますか、この効果について。
  204. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 景気浮揚対策ということで公共事業について非常に重点を置いた財政措置が行われ、また事実そういうことで公共事業前倒しその他促進をやっているわけでございますが、何といいましても、やはり実際に工事を担当しておる下請専門工事業団体のところになかなか適正な価格が流れていかないという問題は非常に重大な問題になるわけでございます。私どもがかねがね中小企業の体質改善と申しておるわけでございますけれども、やはりその基本は、この建設業に携わるところの労働者が、若年勤労層が魅力のある産業としてこれにどんどん入ってくるというようなことが大事である。そのためには、何といいましても、そういった労働福祉あるいは建設業の環境ということを非常に重視せなければならない。そういうことを前提に考えますと、下請代金の支払いの適正化、これがやはり一番基本の問題だと思います。  御指摘のように、毎年こういう通達を出しておりますし、さらに中央建設業審議会の勧告にもありますけれども、下請契約約款の実際の適用ということも、やはりこれを実施するところの決め手の方策だろうと私は思うわけでございますが、最近公共事業の施工促進をめぐりまして、各ブロック会議等で機会あるごとに、この下請代金の支払いの適正化、それから標準下請契約約款の実施その他について指導をいたしておるわけでございます。私どもこれはかなり前進いたしているというぐあいに認識しているわけでございますけれども、建設業界、専門工事業団体の個々の声を聞いてみますと、必ずしも末端までなかなか浸透していないという話も聞くわけでございますので、今後とも十分の指導をいたしていきたいと思っております。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 建設構造基本調査、あるいは建設省直轄工事下請状況調査、さらには公共工事下請状況調査、こういう各種の状況調査をおやりになったようですけれども、これはもう個々の分は別としまして、これらの調査による代金の支払い実態、これは一体どうなっておりますか。概括で結構ですが、御説明いただきたい。
  206. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 五十一年の一月に行いました実態調査によりますと、代金の支払い期間は、発注者からの受け取り条件といたしましては、三十日未満が五一・三%、三十日から四十日未満が三四・四%となっております。下請への支払い条件というのが、いま申し上げました四十日未満まで合計いたしますと九六・三%となっております。それから手形期間でございますけれども、下請への支払い条件、これも三カ月から五カ月未満まで合わせますと全体で九四・五%、それから現金比率という項目になりますと、下請への支払い条件といたしまして、五割から七割未満まで拾いますと全体の六五・七%、そういう状況でございます。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうでしょうか、よくなっているんでしょうか、やっぱり相変わらずの状態なんでしょうか、悪化しているんでしょうか、その辺の感触はどうですか。
  208. 大富宏

    政府委員(大富宏君) そのほかにも、建設省の直轄工事についても昨年十一月、下請状況調査実施がございます。それから大蔵省を中心にする実態調査もいま目下集計に入っているわけでございます。まだ全部でき上がっていないようでございますが、その辺のデータを見ますと、ほぼ私どもは徐々にいい方向に向かいつつあると、このように思っております。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは業界専門紙が大手の十七社について、昨年の七月と本年の四月の中旬、その基礎工事の下請代金の支払い条件と、こういうことで調査をした一覧表があるんですが、それによりますと、十七社の中で好転しているとなっているのが二社、それから何らかの形で悪化しているというのが七社。この数字からいきますと、大分昨年に比べて、まあこれは基礎工事の部面ですけれども、下請代金の支払い条件が悪化しているというふうなデータになっているわけです。社名は伏せますけれども、支払い保留率ですね、いわゆる工事の進捗に対して請求書を出した、進捗の度合いに応じて請求書を出した、ところが元請の方で支払いを保留する、その支払い保留が二社、この率が悪化しているわけです。  それから現金比率、現金と手形ですね。現金と手形のその比率が悪化している、これが二社。まあ悪くなったわけです、手形の方が多くなった。今度は手形のサイトですが、これが長くなった、悪化したというのが五社。それから締め切り、支払い日の日数、いわゆる締め切り日と支払い日が長引くわけですね。それだけ下請は困るわけですが、それが一社と、こういうふうに具体的にこの業界専門紙の数字によりますと——局長は好転しているという御判断のようですけれども、具体的に一つ一つ当たってみますと、こういうふうに昨年の七月と本年の四月の中旬を比べて悪化していると、こういうデータが出ているんですが、この点は御存じでしょうか。
  210. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私もそういう記事を見たことがございます。先ほどお述べになりましたように何回も通達を出す。通達だけではなかなか改善できないわけでございますし、通達の上に実態調査をし、ひとつできるところから徐々に手をつけていくという方法しか私はないと思うわけでございます。ですから、データによりますと、むしろ悪化している部面もあろうかと思いますけれども、できるだけひとつ、非常に不都合な状況については、もうそういった情報を非常にふんだんにとりながら、その都度その都度、ケース・バイ・ケースでひとつ個別の指導をしていく、そういった積み上げをやっていくということが一番私は大事だろうと思いますので、今後ともそういう方向で努力をいたしたいと思います。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、これはもう局長もごらんになったわけで、ケース・バイ・ケースで間髪を入れず指導をしていただいているというお話なんで、その資料をごらんになったときは社名もちゃんとついていると思いますので、恐らく次の発表のときは、業界誌が発表したときは好転していると、こういうように私は期待もし、また指導もしていただけると確信を持って、まあ腹の中じゃなかなかそうはいくまいなと思うんですけれども、ぜひひとつきちっとした実績を出していただくように、非常に支払い代金の遅延あるいは下請代金の支払い条件が悪化するということは、即そのままやはり中小零細企業に対する圧迫になるわけですから、その点を十分に御考慮いただいて、しっかりした行政指導をお願いしたい。これを要望もしますし、期待もいたしておきます。  あと、まだ少々時間ありますけれども、次の問題に入りますと約束の時間を超えますので、きょうはこの程度にとどめさせていただきます。それらの点で若干時間を待っていただいた方、大変恐縮でございますが、時間がなくなりましたのでお許しいただきたいと思います。ありがとうございました。
  212. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先日の委員会で、上田先生の御質問に対しまして答弁を保留さしていただきましたことにつきまして、御答弁申し上げたいと思います。  質問は、昨年の理事懇で御説明いたしました資料の中で、都内三百貨店について、最近考えております懇談会の技術基準に基づく避難計算をしたらどうなるかというような御質問でございましたので、私ども改めてそのケーススタディーを綿密にやってみました。都内A、B、C百貨店ございますが、このA、B、Cの百貨店につきまして、いずれもスプリンクラーがついておりますので、現在私ども安全下の時間を五百四十秒——九分でございます——と考えております。これにつきまして、一応いわゆる階段の避難できます片寄り係数を幾らにとるかという問題がございます。昨年は一番私ども安全をとって片寄り係数二という形で計算した時期がございました。まあ一・五でやった時期もございました。片寄り係数二としますと、これは全部アウトということになります。
  213. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 アウト……。
  214. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) はい。しかし、その後懇談会でのいろいろな議論の中で、たくさん階段の数とか階段の位置とか、それに応じて片寄り係数というのは個々具体的にやっぱり判断すべきではないか。たとえば二つしか階段がないのが一つだめになるケース、これはもう当然あり得るわけでございますが、十ある階段の中で五つがだめになるケースというのはこれはないんじゃないか。だから、階段の数に応じてこれを計算——片寄り係数というのはやはり考慮すべきではないかというような御意見が出まして、現在そういった片寄り係数のとり方につきまして、また懇談会でもっと詳細にケーススタディーをやりながら進めていくことになろうかと思いますが、これを仮に片寄り係数一.五といたしますと、三百貨店とも五百四十秒以内に全館避難が可能だということになります。これはこの三つの百貨店とも実は上空の通路がございます。A百貨店につきましては三階と六階、B百貨店につきましては四階と六階、C百百貨店につきましては五階にそれぞれ隣のビルに避難できる通路がございます。この影響がございまして、非常に避難の安全が高まっているわけでございまして、そのA百貨店につきましては階段が十三本、B百貨店は十本、C百貨店については八本ございますので、いま私どもの考えでは、片寄り係数は一・五以下で考えてもいいのではないかというような感じを持っております。そういたしますと、ただいま懇談会でいろいろ議論されている中でまいりますと、この三百貨店は全館避難が可能だということになるわけでございます。
  215. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前回の私の質問は、ケーススタディーを五十数むねやったところが、そのうち半数は避難計算式でセーフになるという御答弁があったので、このA、B、Cを聞いたわけです。すると、片寄り係数大体一・五にすればセーフになる、大体一.五以下でいいだろう、避難通路があるのでという御答弁なんですね。いよいよやっぱり今度の懇談会の技術基準というのは非常な後退だということがはっきりしたと思うんです。Aの場合は、これは八万平方メートルで、地上七階、地下三階です。どこのデパートか、それは別としましてね。去年の場合には九千七百五十一万五千円、つまり約一億円かかっていたわけですね。セーフになりますと、これは全部竪穴区画が要らなくなりますので、非常用照明だけで十七万五千円で済んじゃうということになります。B百貨店は、これもかなり大デパートですけれども、一億四千七百五十万円改修費が要ったのが、竪穴区画が全部要らなくなりますので、非常用照明二十四万五千円だけで済む。C百貨店の場合は、約八千六百八十五万円が、竪穴区画が要らなくなるので何と四百六万円で済むということになるんですね。もうこれはデパートにとっては非常に御の字で、去年のレベルなら約一億前後の金が要るはずだったのが、ことしのこの避難計算式だと百万円から多くて四百万円で済んでしまう。これはもう大喜びであることは明らかです。以前この国会に最初法案が出たとき、対象戸数が約二千三百棟ある、総額で約二千億円金がかかるということだったんですけれども、今度のこの技術基準ですと、この計算だと、どのぐらいになりますか、総額。非常に少なくて済んでしまうと思うんですけれども、いかがでしょう。
  216. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま申し上げましたように、このA、B、C百貨店は上空通路が三館ともございます。その影響をやはり考えなければ単純にこれをもって全体を推しはかるのは危険だというように考えております。私ども、昨年いわゆる遡及適用という考えで、機械的にそれを遡及適用さした場合に大体二千億ぐらいかかるだろうというように考えておりましたが、まあ私ども今回のいろんな基準につきまして、ケーススタディーをした結果でないとはっきりしたことは申し上げられませんが、恐らく十分の一以下になるのではないかというような感じがしております。
  217. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、二千億おととし費用がかかると言っていたのが、後退に後退を重ねて十分の一以下と、二百億円以下で済むところまで下がってしまった。それが人命にかかわる、人命の安全を犠牲にしてそこまで下がったのではないかというのが私どもが抱く非常に大きな疑惑です。たとえば、いまのデパートはスプリンクラーがついているのですけれども、消防法の遡及適用の場合には六千平方メートル以下はつけないでいいわけですね。このビル防災法の場合には、地下とそれから三階以上で千五百平方メートル以上ですから、だからこの適用されている建物でも、消防法でスプリンクラーをつげないでいいものがあることになりますね。そうすると、この間の藤沢のビルなんかそうでした。スプリンクラーついてない。スプリンクラーもついていないけれども、この避難計算式で計算すると、竪穴区画もやらぬでいいと、一階の廊下がかなり幅が多いというのでね、そういうケースも出てくるわけでしょう。あり得るわけですね。
  218. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 理屈の上ではあり得ると思います。しかし、スプリンクラーがついておりませんと安全時間を六分というように考えます。ところが、最初の三分はこれは当然避難開始時間としてとられますので、スプリンクラーがついている場合とついてない場合とで比較しますと、ついてない場合は実質避難時間三分、ついている場合には実質避難時間六分ということになって、そこに二倍の差が出てまいります。それから、辻堂の例を引きますと、あれは階段が二つしかございません。したがいまして、当然片寄り係数というのは二ぐらいはとらざるを得なくなるだろうというように考えます。そういったことを考えますと、恐らく辻堂みたいな例で私ども概略試算してみますと、これはもう当然何らかの措置をしなければならぬというようなことになろうかと思います。
  219. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、これは二千三百棟全部やってみないとわからぬですよ。少なくとも理論的には避難時間が六分で、スプリンクラーもついてない、竪穴区画も何もないというようなケースがあるかもしれないですね。これはそういうことを国会が大体それでオーケーと、また建設省もオーケーというようなことになったら、それこそ人命にとっての大問題で、もしそういうことをわれわれが通していて、人一人死んでごらんなさい、やっぱり政府と国会の責任になるわけで、私は今度の後退というのは非常に重大だと思う。去年の場合には、避難計算式に適合する場合には、自動シャッターの連動方式を煙感知器から熱感知器にかえてよろしいということだったわけです。それを今度は竪穴区画を一切やらぬでいいというところまで後退したために、おととし二千億円かかった改修費用が大体十分の一、二百億円以下で済むようになる。とんでもない後退になって、しかも、もしかしたら法案にしないかもしれぬ、行政指導にするかもしれぬということまで問題になっているわけですね。私はこれは大問題だと思うのです。  なぜ、こういうふうになるかというと、私は懇談会ですね、懇談会そのものが構成がおかしいと思う。大体ビル防災法の遡及適用問題というのは審議会の答申から始まったはずです。それを審議しているうちにいろんな圧力で後退していって、とうとう技術基準を懇談会でやる。懇談会のメンバーを見てごらんなさい。日本百貨店から日本チェーンストア、ショッピングセンター、業界が全部入っているわけでしょう。ここで、この冒頭に書いてある、基本的考えについてはおおむね合意を得たと。こういう業界と合意を得るという、業界との一致点を皆さん方が探ろうとすると、二千億円が二百億円以下でいいところまで後退してしまうのですよ。これはもう百貨店やなんか全部オーケーと言うわけなんです。そういうやり方ではだめだと思うのですね。やはり審議会の答申で、それを法案化して進んできているわけですから、それを業界全部入れた懇談会にして、そこでの一致点と、こんな統一戦線はない。そういう統一戦線をつくって十分の一以下という技術案を出してくる。しかも法案にしないかもしれぬというようなことは私は断然許すべきでないと思うのですね。  前回の委員会では、最後に委員長委員長としての要望を、やっぱり法案化してほしいという要望を述べられました。私どもも国民の命にかかわる問題なので、委員長見解に全面賛成ですけれども、以上のような状況を踏まえて、建設大臣、この問題について、やっぱり責任ある法案として国会に出す、技術基準も国民の命を守り得るものにする、これまでの懇談会のここで出されたものについては、審議の中でも大きな問題点があることがわかったと思いますので、どう大臣としてお考えになるか、お答え願いたいと思います。
  220. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 私は上田委員がおっしゃっていることが完全な結論になっておるというふうには受けとめておらないわけであります。こういう問題でございますから、技術的な点についてはこれを尊重していかなければならないと、こういう立場をとっております。また、本委員会が、法案にするようにという御要請委員長からされたということもよく認識いたしておりますので、最終的な結論は先般申し上げたように夏には出ると、こういうことでございますから、その結論を得まして、また委員会の御要望その他のことを勘案して最終的な判断をいたしたいと、こう思います。
  221. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、大臣の責任ある態度を要望して、われわれもどういう態度で大臣、建設省側が出してくるか、これをよく注視して審議に臨みたいと思います。  次に、きょうは池袋のサンシャイン60の電波障害問題と、それから箱崎四丁目の高速道路の工事損害の補償問題、この二つについてお伺いしたいと思います。  おととしの十月に、私、新宿の超高層ビルの電波障害問題を質問したんですけれども、その後、二百四十メートルのサンシャイン60が建設されて、新宿以上の大被害を及ぼしているわけです。去年の十月にNHKが発表した調査によりますと、豊島、板橋、北、中野、杉並、荒川、葛飾など都内十二区、三市、約九万五千世帯、埼玉で六千、川崎の生田で二千世帯、合計十万三千世帯が電波障害を受けて鮮明なテレビ画像を見ることができないということであります。郵政省はこのサンシャイン60のこの問題についてどういう対策で指導してきたのか、現在どうなっているのかお答えください。
  222. 永野明

    説明員(永野明君) サンシャイン60の建物のために受信障害が生じておる状況につきましては、ただいま先生指摘のような状況と心得ております。私どもといたしましては、都市におきます受信障害につきまして、現在のところこれを有効に解消する技術的な方策といたしましては、テレビの共同受信施設を設置するということで十分解消できるということになっておるわけでございますが、この場合の設置につきまして、建物側あるいは障害を受けている側におきます当事者間の協議にまたざるを得ない状況考えております。で、一昨年の三月に、高層建築物によりますテレビの受信障害解消についての指導要領というのを作成いたしまして、受信障害の解消は原則として原因者の方の責任において措置すべきであるという考え方のもとに当事者間で協議をしていただくという基準的な考え方を示してまいったところでございます。このサンシャイン60による受信障害につきましても、ただいま申し上げました考え方にのっとりまして当事者間で協議をいただき円満に解決をしていただきたい、かような考え方でこれまで対処してまいっておる次第でございます。
  223. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三月二十八日に逓信委員会でわが党の沓脱議員がこの問題について質問をしているんですけれども、この新都市開発センター、サンシャイン60の方ですね。これは杉並の区長あてに文書を出して、そしてNHKが行った先ほど申しました発表した報告ですね、これについて、直影の障害についてはあのとおりだろうけれども、反射障害区域については必ずしも原因は単独じゃない、いろんな複合障害なんだといって杉並区長あての文書ではっきり異議を唱えているんですね。その後、杉並区長が異議文書を受け取って、NHKについてこの件について照会があったはずですけれども、NHKはそれに対してどのような回答を行われましたか。
  224. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) 区からNHKの方にサンシャインからの文書を送付されまして、これに対してNHKの方ではどういう見解をお持ちかということで文書による回答を求められております。NHKといたしましては、四月十日付で中野区長あるいは関係の区長に、前後いたしておりますけれども、回答をいたしておりまして、私どもの方のゴーストの判定というものにつきましては、その判定技術自身も、正しい測定というようなものにつきましてはかねてからいろいろ検討いたしておりまして、新しくゴーストの電波の状況を分析する装置等の開発をいたしておりまして、それらを用いました結果といたしまして、ごく一部の地区につきましては複合というようなものもございますけれども、サンシャインのビルが障害の原因になっておることは間違いないというような趣旨回答をいたしております。その文章の一部分を若干引用いたしますと、「ゴースト分析器による分析結果および当該地域のごく一部を除いて「サンシャイン60」建設以前には、良好な受信が得られていたこと、画面に生じた反射波の状態などから、これらの地区の電波障害が「サンシャイン60」の影響によるものであることは明らかであります。」という趣旨回答をいたしております。
  225. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 五月十一日に、私ども東京の共産党が新都市開発センターと四時間にわたりこの問題について住民と一緒に交渉をいたしました。そのときサンシャイン60の妹尾専務は、四十八年当時、どのくらい障害が出るかNHKに問い合わせた、NHKは高さの七・五倍、反射障害も若干出ると言った、実際はそれどころではない、NHKはでたらめだと、そういうことをそのとき述べたのですけれども、四十八年当時、そういうことをサンシャイン60側にNHKとして言った事実がありますか。
  226. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) サンシャイン60が実際の工事に着手するかなり前でございますけれども、その障害の状況についての予測を依頼されております。これにつきまして、四十七年の三月六日付の文書で一応その当時の予測結果を出しております。当時の予測結果と申しますのは、反射は、大体現在起こっておりますような反射の大部分と、それからビル陰の部分の障害について出しておりますけれども、そのビル陰の部分につきまして現在起こっております規模よりもかなり小規模な本のを出しております。これは当時こういう大きな高層ビルの障害というものが現実にまだ数少ないということと、私どもの経験の不足というようなことで、予測結果としては、確かに現在考えますと、そのビル陰につきましては現在の技術から考えますと十分な結果を予測しておりませんでした。その後SKKの新宿の問題が起こりまして、その後、実際の障害の起こった結果等をもとにいたしまして、複雑な計算をコンピューターに任せることにいたしまして、それらで再検討いたしております。その結果、四十九年の九月十七日付の文書でございますけれども、このときはまだサンシャインの方では実際の下の基礎の方の工事でございまして、ビルはまだ全然上がっておりませんけれども、この時点で、ビル陰の部分につきましては前に出したデータというのはかなりな予測違いがあるから、もっと大きいですよということを正式に文書で提出いたしております。
  227. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その大きさというのは、埼玉まで届くというふうに書いたですか。
  228. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) 何しろ予測でございますものですから、いろいろはっきりした世帯数でありますとか、それから距離であるとかというものは申しておりませんけれども、一応ちょっと文章を引用さしていただきますと、「(シャドウ障害)につきまして最近電子計算機により減衰量を計算することが可能となりましたので新都市開発センタービルについて計算し地図上にプロットしたものをご参考までにお送りいたします。ここの電波の減衰結果によりますとかなり遠方の部分にまで被害発生が予測されますので、今後とも対策につきましてはよろしくお願い申し上げます」。これは埼玉県までというようなかっこうにはなっておりませんけれども、後方、かなり埼玉県寄りに近いところまでその範囲に入っております。
  229. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、前回の質問でも指摘したんですけれども、新宿の超高層ビルも最初五倍と言われたのが十五倍延びたんですね。このサンシャインの場合も、NHKは四十七年三月にはビルの高さの七・五倍と予測した。ところが、実際には二百四十メートルのビルで、埼玉まで十四キロ延びている。五十八・三倍であります、ビルの高さの。だから、最初の七・五倍というNHKの予測の八倍ぐらいシャドーが延びたということで、非常に複雑な電波障害が起きるということはこの例からも明らかです。いま言われたように、NHKがかなり埼玉寄りまでということを知らせたのは四十九年九月であります。サンシャインの着工は、共通の人工地盤部分が四十八年七月着工ですけれども、躯体工事ですね、これは五十年七月ですから、躯体工事のあのサンシャイン60のビルを建てる半年以上前にNHKからかなり延びるということを指摘してあるわけで、この妹尾専務のNHKはでたらめだという言葉は、これ、全く事実に反するということを指摘しておきたいと思います。  シャドーの方はこういうふうに予測が若干狂ったことはあるけれども、当初から反射障害についてはNHK側はかなり正確な、いまの東西ですね、これで約八万戸に被害が及ぶということをちゃんと指摘してあったわけですね。それで、住民との交渉で、ビルの直影障害についてはいまほぼ解決しつつあります。すでに八千五百世帯分が解決して共同聴取アンテナが立っておる。もちろんこの境目のところですね、これはシャドーが出るとか画質が悪いというのに入ってないというのでまだ若干問題がありますし、いろいろ問題ありますけれども、基本部分は解決したと言うことができる。問題は反射障害。シャドー部分は二万世帯あるわけで、そのうち八千世帯いまいっているわけですけれども、シャドー部分は東西にかなり長くて、川崎まで入れますと、川崎はいまは二千戸ですけれども、八万戸あるわけですね。これはいま説明ありましたように、かなり鋭い反射波が出て、ゴーストという映像が出てしまうわけで、この八万戸の世帯はサンシャイン60が建つ前はきれいに見えていたのに、いまはゴーストが出て見えないということで大問題になっているわけであります。  この反射障害について、先ほど申しましたように複合障害だというような責任逃れの文書を杉並区長あてに出して、NHKの方から明確な反論が区長あてに届いて、この問題はもう科学的には完全に問題ない、サンシャイン60の影響であることは全く明白で、私は争う余地がないと思う。交渉の結果、一時よりは若干理に押されて少し新型アンテナをつけようということをNHKと協議しているというような答弁を五月十一日の私どもとの交渉で言い始めました。NHK側も、新都市開発センターからもし要請があれば最大限の技術協力をするという態度表明をしているわけですけれども、いま現状で、NHKとこの新都市開発センターとの間で反射障害問題の解決についてどのような協議あるいは実行ですね、進んでいるのか、この点をお伺いします。
  230. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) 私どもといたしましては、非常に大多数の受信者の方々がお困りになっております反射障害の地域につきましては一刻も早く対策がとれるようにということで、サンシャン60と鋭意住民立場に立って折衝をいたしておるわけでございますけれども、先生方も御存じのとおり必ずしも思うように進行いたしておりません。その中で技術的に一つNHKが開発いたしましたアンテナでゴーストに強い特殊なアンテナがございます。このような特殊なアンテナというものが今後大都市の特に反射障害のような複雑な障害に対しまして有効であるはずでございますので、それを実行的に設置をして確かめたいということがございます。  私どもとしては、これがサンシャイン60の反射の障害解消の有力な手段であるとまでは必ずしも思っておりませんで、そのうち、しかし、そのアンテナの有効なものもかなりあるであろうというふうに考えております。したがいまして、いま御指摘のありましたそのアンテナの問題でございますけれども、アンテナで現在対策をとるというよりは、むしろそのアンテナを使って実験をして、そして今後都市の受信障害にアンテナを使うときの問題点あるいは有効度というようなものを調査をしていきたいという趣旨のサンシャインの提案を受けまして、サンシャイン60と、それからそのアンテナの開発に関連いたしておりますメーカー、それからNHKで電波障害改善用アンテナ研究調査会という名前をつけまして、これの調査会のもとで、実際に設置をいたしまして、効果のあるものは次の対策がとれるまではそのまま受信者の方に御利用いただこうと、こういう形でもう発足をいたしております。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そのアンテナは一本どのぐらいの価格ですか。
  232. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) これはアンテナそのものでございますと二万五千円程度のものでございます。ただし、アンテナでございますから屋根の上へ取りつけるという工事費がございまして、このあたりで四万程度になろうかというふうに思っておりますけれども、この値段というのは、まだ出たばかりのものでございますから、今後利用度等によっては私どもはもっと低廉化されるべき性格のものであるというふうに考えております。
  233. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 共同聴取アンテナの場合には一戸当たり大体五万円と言われておりますけれども、この反射障害の起きている部分についても、シャドーの部分と同じような共同聴取アンテナをつければ鮮明な画像ができるということは技術的に明らかなんでしょうか。
  234. 森外志雄

    参考人(森外志雄君) その点は明らかでございます。ただ、全体の経費ということが一番の問題になろうかと思っております。
  235. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ほぼ私は問題点は出たと思うんですけれども、いまの新型アンテナというのは取りつけ費を含めて約四万円だと、しかも効果のほどは全部これで可能というわけにはいかないわけですね。目下実験中のしろもの、しろものと言うと悪いですが、実験中のものだということです。それで、他方五万円の共同聴取アンテナはもう効果のほどは一〇〇%で、これをつければ確実に解消できるわけです。そうしますと、私は五万円と四万円ですから、八万戸に対して明確に責任をとるという意思が新都市開発センター側にありさえすれば、五万円掛ける八万戸で約四十億円ですね、四十億円で問題が解決する。新型アンテナの効果があるとすれば、これは全部つけても四万円だから三十二億円ですね。しかし、これ効果は必ずしもわからないということになるわけで、私はこの四十億円、ちゃんと新都市開発センターが当然負担すべきだと思うんですよ。サンシャイン60を含めてあそこのビルは総工費千八百億円だ、当然千八百億円であれを計画する際に、NHKからああいう文書も来ているわけだから、その建築公害に対して原因者負担でやるという計画を当初から入れておかなきゃならなかったんですね。  ところが、そういうものを入れないで建てておいて、さあテレビが見えない人が十万戸もできた、要求が出るけれどもお金がありませんというようなことで逃げるところに私はこの第一番の問題があると思う。建築公害というのは、社会通念上耐えられないものは当然建築者がこれを負担すべきものなんですね。これは水俣病だとかイタイイタイ病と本質的には同じなんですよ、人間の命にはかかわりませんけれども。チッソが流した水銀が人間の命にかかわる公害を及ぼす。百六社の大企業が集まった新都市開発センターがあれだけのビルを建てて、それが電波障害住民十万戸にテレビを見えなくさせる、同じような性質のやっぱり社会的な公害なんですね。それについては当然やっぱり負担すべきだ。  郵政省の方にお伺いしますけれども、郵政省が五十一年の三月に出されたこの指導要領、その考え方も、当然やっぱり責任は建て主にあるので協議を行ってこれを解決するようにすべきだという考え方だと思うんですけれども、基本的に、金額が一体経済的に負担できるかどうかということは別にして、この八万戸の反射障害に対してサンシャイン60側が当然責任を負うべきだというように郵政省としては指導するおつもりなのかどうか、また指導されているのかどうか、この点をお伺いします。
  236. 永野明

    説明員(永野明君) 高層ビルによります受信障害につきましては、これの解消方策をとるための負担の問題が一番の大きな問題でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、一昨年策定いたしました指導要領の考え方が基準的な考え方でよろしいのではないか、私どもはかように考えております。したがいまして、この場合につきましても同様な考え方で対処してまいりたいと思う次第でございます。
  237. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 よろしいのではないかと。だから、やっぱり八万戸の電波障害についてこれを解決する主な責任が新都市開発センターにあると、そういう観点で指導されるということですね。
  238. 永野明

    説明員(永野明君) 基本的にはおっしゃるとおりでございます。
  239. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 基本的におっしゃるとおりなら、やっぱり実質的にそういう強力な指導を新都市開発センター側に郵政省として行うということをお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  240. 永野明

    説明員(永野明君) 私どもも、この指導要領の考え方に基づきましてお話を申し上げるということも検討いたしているところでございます。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 よく大臣に言っておいてください。  以上で、郵政省もこの問題で、やっぱりサンシャイン60側に基本的な責任があるし、八万世帯に対する解決の責任があるというお考えを示されたと思うんです。  それで、私は四十億ぐらいは当然百六社、負担する力があると思うんですよ。三菱地所、三菱商事、新日鉄、東京電力、鹿島建設、大成建設、西武鉄道、日産自動車、日本鋼管、日立等々と、日本のもう代表的な大企業があそこには入っているわけですから。それで、新日鉄なんというのは、〇・七五%公定歩合引き下げられただけで、何と一社だけでたしか六十四億円金利負担が助かったという数字も出ていますし、それから東京電力は為替差益でもうけておる。それから日産自動車などは集中豪雨で、これは新日鉄の重役が言っておりましたけれども、あそこは非常な内部留保がたまってたまって、一銭の収益がなくても向こう六十年間ぐらい一割配当できると、そのぐらいたまっているんだということを新日鉄の重役が言っているというぐらいの大会社なので、当然自分たちがつくったビルで生まれたこういう公害に対して責任を持つ力もある、資力もあるということで、本当に社会的に責任を負う覚悟があるかどうかということだと思うんです。社長は磯崎さんで、もとの国鉄総裁で社会的、公的な責任についてもよく御存じのはずですので、郵政省としても、また建設省としても、このサンシャイン問題、これ、東京都で大きな問題になっておりますので、きちんと問題の解決を住民の利益を守る立場で、また指導要綱の方向でやっていただくようお願いしたいと思うんです。  それで、その点で私、前回五十一年に質問したときに、当時は中馬建設大臣だったんですが、この電波障害問題を私が聞いたときに、大臣は、郵政省と協議し得る機関を設けて協議したい、研究しますと答弁しているんですけれども、建設省、その後どういうふうな機関が設けられて、どのように研究してきたかお答え願います。
  242. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 五十一年の十月、本委員会で先生の御質問に対して中馬大臣が、郵政省と協議し得る機関を設けて協議したいというような御答弁を申し上げております。実はその前に、先ほども郵政省の方からお話ございました、五十年八月の報告が出されておりますいわゆる調査会に建設省も参加いたしまして共同作業をいたしたわけでございます。その基本的な線に沿って私ども郵政省との間でその後ずっと協議をいたしております。事務的には協議をいたしておりますが、外部のいろんな人も交えた機関というようなものは特につくっておりません。随時そういったことで郵政省当局といろんな点につきまして協議を重ねております。なおまた、建設省自身といたしましても、五十二年度それから五十三年度におきまして、そういった電波障害の問題につきまして実態調査を行って、都市全体として一体建設省側としてどう対処をする方法があるかというような実態調査もいたしているわけでございます。
  243. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもこの前の質問のときにも、電波障害問題については、建設省の答弁は、テレビ放送のあり方の方法の問題だとか言って問題を逃げてたんですけれども、いまの御答弁でも、もう私の質問から一年半ぐらいたっているのに、そのお約束された機関もつくられていないということで、やはり不勉強だと思うんですね。この点、郵政省側のテレビ側の問題だけじゃなくて、やっぱり問題は超高層ビルという二百メートルを超える超高層ビルが生み出している新しい都市公害なので、建築法上の研究をもっともっとやっぱりすべきだと思うんです。超高層ビルというのは電波障害を起こすだけでなくて風害問題もある、日照問題もある。それから非常に過密化したために道路、下水、交通機関などさまざまな問題を生み出すわけなので、それがはらんでいる複雑な諸問題を建設省としてももっと本格的に追求してほしいと、そう思います。  服部郵政大臣は、たとえば去年の十二月の二日、閣議後の記者会見で、この点で建築基準法の改正を含めた対策を進めると述べて、これについては櫻内建設相の了解を得ているということをはっきり記者会見で述べている。それから三月二十八日、逓信委員会で、沓脱議員への答弁において、建築確認の段階でどれだけ電波障害が生じるかあらかじめ確認させないと原因者負担のたてまえが貫かれない、建築確認のときに電波障害問題についてやっぱり明確な確認が必要なようにしなきゃならぬ、建築基準法の改正に努力すると答弁されております。櫻内大臣、この建築基準法改正問題について服部郵政大臣にどういう了解を与えているのか、また、大臣としてこの問題についてどういうふうにお考えになっているのか、お答え願いたいと思います。
  244. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 建築基準法上どういうふうに電波障害のことを考えるかと。この電波障害については、先ほど来いろいろと御指摘のとおりに、ビル陰障害、反射障害等ふくそうしておってなかなかむずかしい問題でありますとともに、建築基準法は、言うまでもなく個々の建築物について最低の基準を定め、国民の生命、健康及び財産の保護を図るいわゆる建築基準法、こういうことで、その法体系の中で直ちに対処できるかどうかということはなかなかむずかしい問題だと思うんです。  そこで、郵政大臣から検討してもらいたいと、こういうことで、これはまあ大変恐縮ですけれども、私が建築基準法について非常な専門的な見識を持っておるわけでもないんですから、その郵政大臣の言われたことを省内に伝えて、そして郵政省との間でこれは何回か会合を持って検討してもらっておる、こういう段階でございます。中馬元大臣の際のこともあって、先ほど局長の答弁について、上田委員が、どうも建設省の対応の仕方が悪いという御指摘でございますが、こういうむずかしい問題で、郵政省のテレビジョン放送難視聴対策調査会ですね、まあいわばこれは私、研究機関だと思うんですね。この研究機関には建設省も参加して、鋭意この建設省立場としての努力はしておるわけであります。そうして、先ほど局長が申し上げたように、どういうふうにこれを扱おうかと、現実には具体的な両省間の協議に入っておると、こういう段階でございますので、私の申し上げていることも、またあるいは上田委員からどうも熱心さ足りぬぞとおしかりを受けるかもしれませんが、そうでなく、郵政大臣の申し出を受けて具体的に両省間で協議をしておる。それからなお基本的には、これが原因者の責任において解決するという基本方針もございますので、ただ、建築基準法の中にどう取り組むかということについては、なかなか法体系上の問題でむずかしいということだけは御了承いただきたい、こう思います。
  245. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、次々と超高層ビルが建ちますし、まだ新宿にももっと建つわけなので、ぜひ研究をお願いしたい。言葉だけに済まさないようにしていただきたいと思います。  次に、箱崎町の高速道路の公害問題に入ります。  成田空港の開港に伴って、東京でもいろんな問題が生まれておりますけれども、日本橋の箱崎町もその一つです。リムジンバスの発着ターミナルとして東京シティ・エアターミナルが開業を始めて、交通量が非常にふえて大変な変化が生まれています。例の湾岸道路計画も進んでおりますので、その湾岸道路と結ぶための首都高速九号線が六号線と接続するために、箱崎町でドッキング工事がいま進められているわけであります。私、きのう金子満広前議員、それから吉田綾子区議などと一緒に現地の調査に入りましたけれども、話には聞いておりましたが、本当に大変な立体道路で、高さ三十一メートル、はしご車の一番長いのが三十一メートルというんですけれども、それだけあるわけですね。四階建てで、全部合わせると十六車線という大変な道路です。本当に下から見ますと、いま木枠なんかありますから、まるで軍艦か何かあるほどであります。あそこは非常に静かな環境だったわけですけれども、箱崎川が埋め立てられて、こういう工事が進んで、騒音、振動、それから排気ガス、日照と、典型的な都市公害が複合汚染として住民を本当にもう苦しめておるというような状況になっておる。あそこにも住民運動の団体が、日本橋の六号線、九号線から公害をなくす会というものが生まれて、必死にこの運動に取り組んでおりますけれども、当面いま生まれているのは道路の工事からくる騒音並びに振動ですね。振動によって家々の壁が崩れたり、柱が曲がったり、床がゆがんだり等々、それともう一つは日照問題が大変な問題になっているんですけれども、この問題をひとつ取り上げたい。  建設省としては、こういう工事中の振動によるそういう被害ですね、これに対する補償、これについてはどういう基準で、どういう規定で行っているのでしょうか。——建設省側はわからないんですか。そうしたら、じゃ道路公団としては建設省からどういう指導を受けているのか。まあわかったんだったら建設省から……。
  246. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 工事によりますところのこういう事業損失の問題、いろいろあるわけでございますけれども、騒音ないし振動についていかなる対策を講ずべしという統一的な基準は現在のところ持ち合わしておりません。ケース・バイ・ケースで、非常に個別性がある問題でございますので統一的な基準はつくらないで、それぞれ事業者において適切な措置をとっていただいている段階でございます。
  247. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、高速道路公団側は、この箱崎町の被害についてはどういう方針で臨んでいるんですか。
  248. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) 補償の算定についてまずお答え申し上げたいと思います。  補償費の算定は、被害を受けた物件の実損につきまして原状の回復を図ることを原則にしております。その算定に当たりましては、まず第三者の専門家にその見積もりを依頼いたしまして、その内容を公団側が当公団の工事設計積算基準に照らし合わせましてチェックを行い、そして補償の額を決定いたしております。
  249. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 第三者の専門家に算定を依頼すると言われていますね。去年の十二月十九日に住民と交渉した際、公団側の返事は、公団が委託した会社が損害を査定し算定すると、こう言っていますが、どの会社に委託しているんですか。会社名は何ですか。
  250. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) この補償額算定に当たりまして、専門的に信頼をおける業者が四社ございます。名前を申し上げますと、東京建設事業協会、新都建設事務所、東測工業、それから建成社、この四社でございます。この四社は東京都の事業に基づいていろいろ工事をやった際の工事損害等について従来から非常に経験を持っておりますので、当公団といたしましてもこの四社に依頼いたしまして補償額を算定してもらうわけであります。
  251. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 箱崎町の場合は、そのうちのどういう会社ですか。
  252. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) 私の記憶では東測工業だと思っております。
  253. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまあなたは損害、まず原状回復が原則だと言われましたね。これは非常に大事なことです。算定はその会社にやらせて、その基準を、チェックすると、公団として。箱崎町の場合もそれをチェックして、それで算定して被害者の人たちに届けているわけですか。
  254. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) この委託いたしました業者から被害調書、すなわち物件の査定金額が出てまいります。先ほど私お答えいたしました公団の設計積算基準というものが建築でございまして、それの単価をもっていろいろとこのコンサルタントが積算いたしました金額が妥当であるかどうか、過小であるかあるいは過大であるか、現行単価に合わして検討いたすわけであります。それで、その結果、妥当であるという判断をいたしますと、その補償額をもって住民の方々と折衝をいたすわけであります。
  255. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、住民にその算定額を渡す文書はどういう形式の書類でいくんですか。ちゃんと専門家がやったのに公団側がチェックして、公団側も責任を持つことが明確な文書を住民に提示するんですか。
  256. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) 損害調書と申しまして、その内訳の中にはいろいろ積算の根拠が出ております。それから被害状況調書、それから図面、そういったものがついておりまして、損害調書とわれわれ言っておるわけでありますが、これを持ちまして住民の方々のところに行くわけであります。公団職員がこの内容を逐一損害を受けられた方々に御説明いたします。そして納得していただくわけでありますが、本来この積算の内訳というものは部外秘でございますので、この内訳書を全部お渡しするわけにいかないわけでございます。したがいまして、この中の主要な工事の種目を抜き書きいたしまして、たとえば左官工事あるいは屋根工事とか、そういったような項目ごとに金額をまとめましてトータルした総額をメモとしてお渡ししております。
  257. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま協議が調ったのは何件で、調わないのはどのぐらいありますか。
  258. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) 被害が現状、ことしの五月の末日でございますが、百十件出ております。この中でお話し合いをして契約をいたしましたのが五月末日現在で四十六件でございます。あと残部についても誠意を持って住民の方々とお話し合いを続行中でございます。今日現在でも五件ぐらいがすでに妥結に至っておるという報告を受けております。
  259. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、こういう問題で非常に大事なのは、やっぱり住民側は二十年、三十年住んでいるところにいきなり物すごいものをつくられるわけですね。私、きのう会った人も、ターミナルができるとにぎやかになっていいと、道路も通ると、お上のやることだからよくしてくれるだろうと思ってオーケーしたというのですね。建ってみて三十一メートルと、こんなのが建つとは全く知らなかったということで非常に怒られているんですね。やっぱり一人一人の方は本当に言えないような苦しみを持っているわけで、そういう一人一人の方の心にちゃんと話の通うようなやり方で公団側が仕事をするかどうかということがこの問題で非常に大事だと思う。  大臣にもよく聞いていただきたいんですけれども、いまの積算書、たとえば藤ノ木さんという方のところに来たのなんかはあて名の名前もないんですよ。こう金額が書いてありますわ、幾ら幾らと。あて名の名前も書いてない、日にちも入ってない、それから発行者の名前も何もないんですよ。ただ数字が並んでいるだけですよ。こういうものを渡しているわけです。それから、たとえば西澤さんという方のところは、やり方はこういうやり方だというのですね。四十九年五月に一度写真を撮りにきた、家の中をあちこち写真を撮る。それから五十二年八月に、去年ですね、一応工事が済んでからもう一度写真を撮りにきた、もとと同じところを撮るんですって。それで、被害を説明しようと思ったら、私は写真を撮りにきただけだと、たった二回写真を撮っただけで来るわけですよ、損害の請求のあれが。たとえば木工費が二万五千九百二十円、雑費が二万六千二百五十三円、写真を一回、二回撮っただけで五十三円という一円の端数まで出して持ってくる。そんな機械を持っているんですか、写真を二回撮ればぴしっとこういう二百五十三円という端数まで出るような、そういうチェックできる機械あるいはコンピューター、そんなものを公団が、あるいは専門家というのはお持ちなんですか。だれが考えても、そういうことで出されてきてオーケー言えないですよ。それから斉藤さんというところには、やっぱりそういう紙が来て、それから一枚こういうのがある。損害内容、台所と二階の間仕切が開閉不良だと、補修方法、かもいに支え木を当てて、くさびなど木片二つを両方からたたき込み、徐々に持ち上げ静かに外せば狂いは直ると、こういうのを書いて渡すわけですよ。これは木片二つたたき込んで徐々に外せば直るなんというのだったら、これはなるほど何円もかからぬでしょう。こういうことを職員の方が持っていって、これ、ぼくは住民が納得するわけないと思うんですよ。そういう実情を公団側は御存じなんですか。
  260. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) いま先生の御指摘の案件については、私、ちょっと内容報告を受けておりませんのでお答えできないんですけれども、先ほど申し上げた四十六件、すでに妥結いたしました内容については、住民の方々もその補償額に対して十分御納得いただけたものと類推しておるわけでございます。
  261. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、いまのような紙を持ってきて判こをくれと言うわけですよ。その判こというのは、判こをつけばこういうことになっているわけです。これはまあどこでもそうですけども、この金額以外は今後いかなる名目をもってするを問わず一切払わないというのが第三条にありまして、で、こう渡して、それで判をつけと言うわけだから、判をついた人はそれで終わりですよ。四十六件全部済んだと皆さんおっしゃっているけれども、判を押して銀行払いでもらった方だって満足していらっしゃらないですよ。それで、あとの六十何件の方は、これはまだ協議相調わないわけで、だから私は、こういうずさんなやり方でやっぱりいままでやってきたところに、本当に住民が自分の家を何とかして守って、あそこで住んで静かに暮らしてきた人が、家が壊れ、傾き、もう本当につらい思いをしている方たちの心の中にどろぐつで踏み込んでくる、こういうやり方がやっぱり問題を非常にこじらしていると私は思うんですね。それで、先日の交渉では、たとえば被害を原状回復する際、公団側のその査定と、それから住民の方が大工さんに自分で頼んで直す場合、非常に差額が出る、それについては話し合いをしようという約束もあるというんですね。  私、建設大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、こういうやり方ですね、公団職員が責任を持ってやっているかと思うと、実は第三者に下請させて、そこに写真撮りに行って、それが、写真が届けられると、何か機械にかけるんだか何だか知らぬけれども、チェックしたという形になって、どばっと持っていかれると、それで判を押せと言う。それで、お上を信じて判を押した人はそれでもう終わりですよ。しかし、私は住民の方方、いまのところその騒音だとか振動、それから日照で苦しんでおられる。商業地域だから日照については補償がないという。しかし、これからあそこに将来は一日三十万台の自動車が通るんですよ。これはもう本当に夜は眠れなくなるし、もっともっとすごい被害が襲いかかろうとしている。しかし、まだ自動車が通らないから、いまのところその振動によるあれで苦しんでおられるわけだけれども、たとえば数万円の補償でこれ全部終わりだということで、やっぱり住民の方々は私は納得しないと思う。大臣、こういう実情ですね、これはひとつ高速道路の箱崎における実情ですげども、こういう実情について、指導する官庁の責任者としてどうお考えですか。
  262. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 非常に大事な、それからまた私の一言が御関係の方々に大変影響のある面があると思いますよ。それで、いまここで上田委員が御指摘になった具体的な事例あるいは実情、また公団側のお答えについてはそれなりに私も頭に入りましたが、それをもって直ちに私に何か判断をせいと、こう言われても、これにお答えするのは大変無責任になってはいけないと、こう思うんです。ただ、お話のやりとりから、事態をよりよく改善をする必要性はあると、こういう認識を持ちました。
  263. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間も参りましたのでそろそろ終わらなきゃならないんですけれども、やっぱり公団側に、あなたも現場へ行って実情をつかんでいただきい。私、先ほど申し上げたのは、きのう私が実際に住民の方々に会って、資料も見せていただいて、直接話を聞いたことなので、私も六十何件あるいは百十件全部を回ったわけじゃありませんから、しかし、私に訴えられた方々の言われたこと、また私の見たこと、私の述べたことは事実です。ですから、やはりこの六十何件、協議相調わないわけなので、これを調えさせるために、少なくとも私が見た数件の方々の場合にあらわれているような、ずさんなやり方が、第三者の専門家に——専門家かどうかわかりませんけれども、やっぱり委託して下請させているために問題がよけいこじれているように思うんですね。その点でまあ住民代表といままで何回か交渉があったようですけれども、やっぱり協議を調える、それで本当に妥結する、問題を正しく解決するためにこういうずさんな場合にはやり直すという形でやっぱり本気に真剰に問題解決に取り組んでいただきたい、このことをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょう。
  264. 上前行孝

    参考人(上前行孝君) 公団といたしましては、あらかじめ設計施工を決定する上に当たりまして非常に慎重にやっております。また、工事施工も非常に損害のかからないよう留意してまいっておりますけれども、こういった損害についてできるだけの誠意を持って補償するという姿勢には変わらないでやっております。ただ、先ほど私、第三者と申し上げましたけれども、第三者のコンサルタントの方が直接公団当局が出向いていくよりは住民の方々にとって何かと好都合ではないかということで、公平な目で第三者を委託してやっておったわけでございますが、そういったものが若干支障が出てくるということに対していろいろ検討はいたしたいと思っております。  なお、今後の補償の妥結につきましては、種々住民の方々と折衝を重ねまして、再検討するものはまた再検討いたしますし、それは当然再調査に基づいて損害を確認した上で妥当な補償額をお支払いをしていきたいと思っております。私も現場に参りましていろいろ調べていきたいと思っております。お約束いたします。
  265. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、先ほど述べられた原状回復の原則で、できるだけ誠意を持って解決していただきたいとお願いいたします。  委員長、あと一問さしていただきたいんです。  今度はやっぱり日照被害ですね。これもなかなか大変なんですね。建築基準法の改正問題のとぎ私、日影規制で商業地域が抜けているのはけしからぬといって大分ここでやったんですけれども、ちょうどその問題がこの箱崎でぶつかるわけですね。三十一メートルできてしまいまして、私のお会いした角の佐藤さんという未亡人の方、この方なんかは御主人を亡くされて、あと静かに住みたいと思っていたのが三十一メートル、もう直前にできちゃったと、全く日が当たらない、どうこれから暮らしたらいいんでしょうかといってもう涙声で言われておりましたけれども、商業地域だから日照については補償しないというふうに言われているというんですね。しかし、やはりそういう商業地域について日照補償はしないというたてまえに一応なっていたとしても、やっぱり具体的な被害状況で精神的損害はやらないということがいつかの閣議決定でありますけれども、精神的じゃなくて、日照による被害が現実にあって、いつかは戸について高速道路の場合五十万円ですか、灯油換算で、そういうことをやったこともありますし、また閣議了解でも、社会通念上受忍すべき範囲を超えるものである場合には賠償することは差し支えないということになっているわけですから、やっぱりあのケースも本当に太陽を奪われて苦しんでいる人たちのために、そのために昼間から電灯をつけなければならないとか、かぜを引きやすくなっているとか、冬になると暖房費もまたかかるとか、そういう物質的といいますかね、計算できる被害もまたうんとあるわけなんで、そういう日照についての単なる日照権を守るとかどうこうというんじゃなくて、実際に三十一メートルのもの、四階建てのものが建ったために住民が受けている被害、これについてはやっぱり補償するという方向で努力していただきたいと思うのですけれども、公団のお考えはいかがでしょう。
  266. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘なりましたとおり、住居糸地域の住、宅に対する日影対策の問題については五十一年の二月に通達を出したわけでございます。これは住居系地域についての日影の問題については判例の積み重ねもありまして、被害のパターンも類型的なものですから、画一的に処理するという意味でああいう通達を出したわけでございます。私は、商業地域における住宅に対しても、商業地域については住宅を建てるべからずという地域じゃございませんし、やはり住宅についての受忍すべからざる損害が出た場合については十分対策をとるべきだと思います。ただ、住居系地域と違いまして画一に判断し得ない、まだ非常に積み重ねも少ない問題でございますので、これはやはりケース・バイ・ケースで判断していく、そのように考えております。したがいまして、商業地域については全く見ないという趣旨ではございませんので、具体に判断をしていくように考えたいと思います。
  267. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 公団はいかがでしょうか。
  268. 高橋力

    参考人(高橋力君) ただいまの問題につきましては、公団といたしましても、実態、現地の状況を十分調査いたして認識をしておる次第でございます。この問題につきましては、今後建設省御当局の御指導を得ながら対処していきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  269. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、問題解決のためにぜひ努力をお順いしまして、若干時間が延びましたけれども質問を終わりたいと思います。
  270. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 今度、政府で出されました住宅宅地関連公共施設整備促進事業制度について、これを中心にしながら幾つかお尋ねをしたいと思います。  今回の制度の特徴として私が感じますのは、整備をすべき関連公共施設の中で、国の補助対象としてここまで見るということを一遍整理をしてお出しになった。中を申し上げて言いますと、一般的な基準とすると、事業の推進に効果があるものとなっておりますけども、施設別に見ると、交通上の主要拠点との連絡道路、学校等主要公益的施設との連絡道路、あるいは区域内の主要道路。当然のことながら一般国道を除くわけでありますけど、都市公園については区域内の都市公園。下水道は住宅宅地事業に起因して緊急整備を要するもの。河川については、治水上効果的であり一体的整備を要するもの、あるいは防災調節池または雨水貯留施設等が対象になる。砂防設備については一体的整備を要するもの。こういう基準を決めながら、それについては補助対象にしてまいりますと。これまでは個々の補助申請に対して採択をしてきたわけですけども、今回一つの基準を出したということが、基準の適否は別にしまして一つの大きな意味合いではないんだろうか。それから二番目が何かというと、当然これは地方自治体に対して出していくわけでありますから、いま申し上げた関連公共施設については整備の主体は当然のことながら地方公共団体である。この二つの認識が今回の制度の私は特徴ではないんだろうか、こう思いますけども、御見解を伺います。
  271. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 別枠補助の特徴については、ただいま御指摘のとおりでございまして、いままでこういう制度がなくて本来の補助に依存しておったわけでございますが、この別枠の補助を今度初めて動かすわけでございます。これによって反響、結果を見ましてまた内容も充実したいと思いますけれども、それによっていま当面問題の住宅建設あるいは宅地開発が大いに促進されるものと期待いたしておるわけでございます。
  272. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では、同じことを自治省にお尋ねしますけど、いま私が申し上げた施設別の基準というものは地方公共団体が事業の主体として整備をすべきものである。国として補助をつけるわけでありますから、足りざる部分については当然のこととして地方自治体がみずからファイナンスをしていく、そういうことだと思いますが、この点、自治省の御見解も同じでございましょうか。
  273. 小林実

    説明員小林実君) このたびできました住宅宅地関連公共施設整備促進事業制度でございますが、新しくできましたものでございまして、その運用の実態がどのようになるのかまだ詳しくは承知していないわけでございますが、通常の公共施設整備事業に加えて別枠で補助を行う制度である、こういうふうに承知をしておるわけでございます。この制度が従来団地内等で行われました事業につきまして、開発事業者が負担している事業につきまして対象にする、こういうことになってきました場合には、地方負担というようなことは現実問題としては出てこないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  274. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 五月の九日に建設事務次官から通達が出ているわけですけど、内容についてつまびらかに自治省としては知らないという御趣旨の前置きがありましたけども、その点はどうなっているのですか。
  275. 小林実

    説明員小林実君) 通達が出ておりますのは承知しております。
  276. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、通達はこうざらっとしているんだけど、あわせて制度の要綱等、こうっいてありまして、それを見ますと、一番の特徴というのは関連公共公益施設——この場合は公共施設に限られますけれども、そこの中で一体どこまでが公で見るのかという従来の議論があったわけですけども、そこの中で、国という立場から見て、そこまで補助対象にするということは公が見るという意味であります。その内容がずっと書いてある。当然その受けざらとすると、この事業主体は地方公共団体なんでありますから、地方公共団体がそれを受けて足らざる部分はみずからの財政措置を講じながらやるべきである。だれが考えてもそう読めるわけですけども、その点を読まなかったのですか。
  277. 小林実

    説明員小林実君) これは、先ほど申し上げましたように、事業主体が地方公共団体というふうに書いてございますが、実際問題といたしましては、従来団地その他の進出に伴いまして必要となります公共施設につきましては、住宅公団の場合もそうでございますけれども、地区内道路その他につきまして、開発事業者の責任において、あるいはその負担において行われておるわけでございまして、そのようなものを補助対象にするという運用がなされるのであれば地方負担というものは私どもは出てこないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  278. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 お尋ねしますけども、関連公共施設、これを整備する主体というのは、地方自治法に照らして一体どこなんでしょうか。
  279. 小林実

    説明員小林実君) これは、御議論はあると思いますけれども、私どもは、団地あるいは住宅の集団的な建設に伴って必要となるものにつきましては、開発事業者の原因度といいますか、あるいは受益度といいますか、開発事業者の責任においてある程度、実施されるのはやむを得ないものと、こういうふうに考えております。
  280. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は負担のことを伺っているのではありません。地方自治法からいって、第二条の三項を見ますと、地方公共団体の事務の範囲として、全部は言いませんけれども、「公園」「広場」「緑地」「道路」「河川」「堤防等を設置」と書いてある。また、二百四十四条を見ますと、「公の施設」とありまして、「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする」。私は負担のことはいま聞いておりません。地方自治法に照らして事業主体というのは地方公共団体以外にないんではないのですか。
  281. 小林実

    説明員小林実君) 通常のペースで形成されます都市形成の場合でございますと、御指摘のようなお話も出てくるかと思いますが、御承知のように、大体住宅あるいは団地の開発が集中的に行われておりますところは人口が急激に増加している地域でございまして、私自身が申すまでもなく、財政負担のために当該団体の財政運営は非常に苦しいということになるわけでございます。また、開発事業者にお願いをいたしますというのは、当該団地等を良好な環境にしながら整備をしていただくということで、この開発要綱等もつくっている団体が多いわけでございまして、私どもはそういう点から申しまして、特に財政状況等から判断いたしまして、現在行われておるのは事実でございます、それはやむを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  282. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は財政状態のことも、負担のことも、やむを得ないことも聞いていないのです。地方自治法に照らして、関連公共施設の整備の責任というのはどこが負うのかと聞いておるんでありまして、その点だけ答えてください。
  283. 小林実

    説明員小林実君) 私は、現状から見て地方団体がそれを全部実施するということはとてもできない状況にあるし、また理屈の上におきましても、開発事業者の責任という観点から考えてみますと、地区内の公共施設につきまして整備するのは開発事業者の仕事の範疇に入るのではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  284. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 本当によくわからないのですけどもね。地方自治体がとんかち工事をやれと言っているのじゃないのですよ。当然それは委託して結構なんだし、施工主体にやらしていいんです。いいんだけど、整備の責任を地方自治法上負うのはだれかと聞いているのです。それは地方自治体しかないでしょう。そのためにどうやってやるかということを後で伺いますけれども、責任は法律上どこに帰属するかということは、そこはあっさり認めていいんじゃないでしょうかね。どうですか。
  285. 小林実

    説明員小林実君) 必ずしも私はそうは思いません。
  286. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 じゃ、都市計画法でながめてみますと、御案内の条文ですけど、第三条を見ますと、地方公共団体の責務ということがあります。中を見ますと、「地方公共団体は、都市の整備、開発その他都市計画の適切な遂行に努めなければならない」責務を負っているわけです。その市街化区域はどうするかというと、第七条で、「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする」。その責務を負うものも地方公共団体であります。では一体そのためにどうするかというと、都市計画法に書いてあるのは、「地方公共団体は、市街化区域内における良好な市街地の開発を促進するため、」「開発許可を受けた者に対する必要な技術上の助言又は資金上その他の援助に努めるものとする」。したがって、どこから見たって主体は——法律上言っているのですよ。法律の問題として伺っているのですから、法律上は地方公共団体でしょう。
  287. 小林実

    説明員小林実君) 一般的に道路とか下水道をやりかけまして、その市町村の仕事として実施しているものにつきましては当然御指摘のとおりかと思いますが、私どもは現実行政管理庁等からの御指摘もあって、この宅地開発指導要綱に基づいてやっているものの中にやや行き過ぎの面がある、こういうことは事実として認めますけれども、その行政管理庁の見解にいたしましても、現実にまた公団等で行っているものにつきましても、開発事業者の責仕ということで行われているわけでございますから、それがすべて地方公共団体の仕事であるというふうには直ちには考えないところでございます。
  288. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、とんかち工事のことを言っているのではないのです。いまのお話で、宅地開発に対する指導要綱をだれが出したかというと地方公共団体でしょう。中身の適否はいま聞いておりません。その指導要綱をなぜ出したかというと、自分が期待するような良質の関連公共施設をつくりたいから出しているわけですよ。なぜかと言えば、当然のこととして自分が責務をしょうから、その開発の具体的な工事の責任を負っている施工主体に対してとかくのことを言っているのであって、法律的にどうかということになれば、その関連公共施設の整備の責任はどこから見たって地方公共団体でしょう。ところが、そういったってこの財政でどうしてくれるのだという話は後で聞きます。聞きますけれども、地方自治法からいこうと、都市計画法からいこうと、ほかの法律全部挙げてもいいですよ。どこだって書いてあるのは、地方自治体ががんばるのだと書いてある。それはやっぱり認めていただかないと議論が前にいかないじゃないですか。
  289. 小林実

    説明員小林実君) とんかちの話を聞いているのではないというふうに言われますが、要するに市町村道として認定したものにつきましては、それは市町村がやるべきでありますし、県道として認定したものにつきましては、それは県が管理すべきものだと思いますけれども、住宅団地等をつくる場合に、それに関連して必要になるものにつきまして開発事業者につくっていただくということにつきまして、それが市町村の責任か県の責任かという問われ方と私は思いますので、それはそうではないと、こういうふうにお答えしているわけでございます。
  290. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこまで言っていただけると大分かみ合ってくるんですけれども。そこで、一応市町村の責任、すなわち補助という意味では国の責任がかかわる部分が、道路でいうと交通上の主要拠点との連絡道路、学校等主要な公益施設との連絡道路、区域内の主要道路、それは対象にいたしましょうという整理を今回の別枠の制度の中で政府が打ち出したんだけど、自治省としてその区分に御異論がありませんかということが私の質問の一つ。しかもいま申し上げたこれについては、細かな区域内道路の話はしていませんよ。いま申し上げたものは市町村、地方公共団体が整備の責めを負う、どうするかというのはこれから聞きます。一応そこのところまでの御見解を伺いたい。
  291. 小林実

    説明員小林実君) 補助要綱としてこの基準をつくられておりますことにつきましては、別にこちらは異論ございません。しかし、これが地方公共団体の仕事であるというふうには考えません。
  292. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、地方公共団体とすると、どこまでが仕事だとお考えになっているんですか。
  293. 小林実

    説明員小林実君) 私どもは、先ほど来申しげておりますように、現実問題といたしまして地方財政が非常に苦しい状況でございまして、それに伴いまして実際にこの補助金が出てまいりましたわけでございますが、従来開発事業者が実施しておりますものにつきまして地方公共団体が自分の責任と負担において行いましょうと、こういうことで出てきた場合には地方負担というものが出てきますので、それに対する財政措置の問題は出てくると思うわけでございます。私どもは、ここに書いてございますものが当然に地方団体の責任というふうにはにわかには考えないわけでございます。
  294. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 建設省にお尋ねしますけれども、今回の別枠負担というのは、補助率は従来の同種事業の補助率によるということなんだけど、そのときに裏負担問題が出ますね。いまの地方の財政状況を見ると、それはまた地方債の別な許可をもらわなきゃいかぬということになるけど、どうかということを、たまたま担当の方だけど伺ったら、昨今の宅地開発要請に照らして、それは地方債は自治省とすると別枠で認可していただけるはずであります、こういうことを言っておりましたけど、それは当然この制度を発足させるからには建設省としての理解でしょう、違うんですか。
  295. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 補助対象事業に国費が補助としていく以上、その裏負担として地元地方公共団体がその分を負担するというのは私は当然だと思います。しかし、それに対して財源等の問題がありますから、地方債等において国において十全の対策を練るべきものだということは当然だと思います。
  296. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 自治省にお尋ねしますけども、よくわかるんですよ、あなたのつらいお立場。わかるんだけど、何とかそこに向かってうまい合理的な解決方法はないかと思って伺っているわけでね。少しつき合ってもらいたいんですけれども、そこで国の補助が出る限りは裏の負担は地方自治体が見ざるを得ないだろう、そうは言ったって、できるかと言っても、住宅及び宅地の供給を特に促進することが必要な三大都市圏等の地域を対象にしたこの制度に対して、その供給のために整備を図るべきだという法律があるわけですけれども−失礼しました、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法、御存じだと思います。そこの中で、第十一条、第三十条、それぞれに市町村の責務を書いてあります。そうしますと、財政のことは後で伺いますけども、建設省の人には角が立つかもしらぬけれども、国の施策でありますから、今回の関連公共施設整備促進事業に対しては地方公共団体とすると当然積極的な協力をしなければいけない、こうなるはずだと思うんだけど、その点はいいんでしょう。
  297. 小林実

    説明員小林実君) 個別の地方団体がこの制度に積極的に協力するか否かは各自治体の判断の問題でございまして、私どもといたしましては、せっかくできたことでございますから、地方団体の財政状況が許すならば円滑に実施されるようにしてもらうということは望ましいことだと思っております。
  298. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、現在の財政状況から考えると地方債という問題になると思うんだけど、それに対して、自治省とすると積極的に許可をいたしますという態度ではないんですか。
  299. 小林実

    説明員小林実君) 実は、この制度は新設された制度でございまして、また運用につきましては後刻決まる、こういうことでございまして、ことしの地方債計画では地方債は計上していないわけでございます。また、先ほど来申し上げておりますようなことでございまして、この制度に対するまた現実の地方団体の反応も、従来開発事業者が実施してきているものを、地方に国庫補助と同じような負担を出せと、こういうだけのものであるならばなかなかつき合いにくい、こういう話もあるわけでございます。ですから、これはあくまでも地方団体の判断の問題でございまして、それぞれの団体の事情もあると思いますので、積極的に協力をしたいといいますか、地方団体も負担をしましょう、こういうものが出てきました場合に、実は先ほど申し上げましたように、地方債上は資金はとってないわけでございますから、私どもといたしましては、当該団体の財政状況等を勘案いたしまして、必要があるというふうに認められる場合には地方債措置につきましては検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  300. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 住宅の宅地供給がこんなに重要な問題の時期に、ちょっと余りと言えば余りにも縦割り行政が過ぎるんじゃないかという気がするんですね。  そこで、五月の十五日の自治省の事務次官通達「昭和五十三年度地方財政の運営について」、これはいまお答えのように、入っておりません、そんなことは。というと、個々別に財政状態の優良な地方自治体だったら少しは考えようかという意味のお答えになってしまうという状況は、建設省承知の上でやっているんですか。
  301. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私どもも、この五十三年度新しく創設されました三百億につきましては、当然、裏負担としての地元負担を前提といたしまして自治省にも要望いたしておるわけでございますが、なかなか自治省としてもふところには限界があるということで、いま御答弁のように、すんなりといっているわけではございません。一般の事業債の中でこれをカバーするということのようでございます。これについては、五十四年度予算については、やはり建設省の施策、自治省の施策というものが整合性を持って住宅宅地開発に役立つように私どもも大いに御要望を申し上げたいと思っております。ですから、その点については私どもも非常に答弁は苦しくなるわけでございますけれども、余りに原則論ばっかりを申しておりますと、私どもが一番恐れるのは、いままですべてデベロッパー負担に押しつけられておったもの、今回もさらにまた当然国が補助を見る以上は、それは寄付に依存するんじゃなくて地元が持つべきですよということの原則論を余り振り回すと、また住宅団地開発について地方公共団体は消極的な姿勢になるということが大変恐ろしいわけでございまして、その辺は十分私ども財源措置も含めて、やはり自治省、財政当局とも相談しながら進めてまいりたいと思っております。
  302. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣、御答弁要りませんけど、これは私、実はこの話、両省から伺っていて、ひどいところで食い違ったまま前に歩いているんだなとびっくりしたものですから、いま注意を喚起しながらお尋ねしているんですけども、自治省には自治省の言い分があるようであります。また、建設省には当然建設省の言い分があるでしょう。何かお互いの意見交換が不十分であるように私は感じましたので、十分御検討いただきたいと思います。  そこで、さっき自治省でおっしゃりたかった宅地開発要綱の話に当然いくんですけれども、ちょっとお尋ねしますけど、良質な住宅環境が欲しい、関連公共施設も手段は別としてつくっていきたいということは、私はそれはそれでわかるんです。ただ、そうやって形成された宅地というのは高くなる。そうしますと、いま全国で地方自治体の数というのは三千二百六十五、これが全部宅地開発要綱を持っているとは言いません。ただ、それぞれがそれぞれの自律性を主張してまいりますと、一体どうなるんだろうかとつくづく考えざるを得ない。  そこで、いまいろいろな都市で宅地開発要綱を出しております。その内容については後でまたお尋ねをします。ただ、いまでもはっきりしていることは、非常に良質の環境ということを求め、関連公共公益施設の整備を求めてまいりますと宅地が高くなる、しかも要綱に合わないものはだめなんですから。そうなってくると、いまの地方自治体の姿勢というのは、金持ちなら入れてやるけど貧乏人は入ってくるな、こういうことなんだろうか。私にはそうとしか思えないんだけど、この点について自治省としてはどうお考えになっているんですか。
  303. 小林実

    説明員小林実君) 地方団体の仕事はたくさんございますので、宅地あるいは住宅という観点から見ますと、御指摘のような御不満があるかと思いますが、それぞれの地方団体の行政の中で、物の軽重といいますか、そういうものを考えながら仕事をしておるわけでございます。市町村も何も好きこのんで私はやっているものではないというふうに思っておりますけれども、現実問題としてはこういう措置をしなければ市町村そのものがつぶれてしまう、こういう状況でございます。  この点については、私どもの努力が足りないということになるのかもしれませんけれども、一応私どもといたしましては、ここ何年かの間に出てまいりました状況を見ておりますと、ある程度やっぱりやむを得ぬ面があったのではないかというふうに考えております。しかし、ちょっと行き過ぎの面もございますので、今回通達を出しまして、特に寄付金等の受け入れとか、あるいは使い方につきまして適正化を期するということを指導することにしたわけでございます。
  304. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 事実関係でちょっと確認したいんですけども、宅地開発指導要綱というのは、何も民間開発部門だけじゃなくて、各地方公共団体なりあるいは住宅公団なりがするものも全部これはひとしく適用される筋道ですね。私が確認したいのは、だから公営住宅ができなくなっちゃったじゃないか、現実には。公団住宅はどうかというと、民間の開発みたいに高く売りゃいいという話じゃないから、どうしてもしようがないとあきらめて、遠くへ遠くへと行かざるを得ないじゃないか。その町に移ろうと思ったら金を持ってなきゃだめじゃないか、金持ちでなきゃ入れないっていうのかと聞いているんです。地方自治体がもたないと言いますけれども、居住移転の自由は基本的人権の一つですよ。自治権もそうかもしれぬけれども、片方。しかも非常にモビリティーの高い社会になった、そのときに三千二百六十五の地方自治体が、おれの方はもういいというかっこうでやったら一体どうなるのだと。その意味で、私は寄付金だけのことなんか言ってない、いまの地方自治のあり方、いいと思っているのか、それで聞いているんです。改めて伺います。
  305. 小林実

    説明員小林実君) 地方団体が金持ちだけを受け入れるという気持ちでおるとは私思っておりません。
  306. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 結果的にそうでしょう。
  307. 小林実

    説明員小林実君) 現状をとらえて、住宅公団以上といいますか、公営住宅とかそのほかのものを、そのことが、宅地開発指導要綱が締め出すことになっているというふうに私も必ずしも思いません。私どもは、地方自治体というものはいろいろな行政分野があるわけでございますから、それを全体を見ながら執行しているわけでございまして、御指摘のような地方団体がどうにもならぬというようなものではないというふうに信じております。
  308. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が申し上げているのは、そこに行きたいと言ったって、宅地指導要綱がかかっちゃって高い土地しか供給されなかったら行くわけにいかないでしょう。それは、はたから見ると、結局地方自治体というのは大きな開発メーカーとしかつき合えないし、入ってくる人というのはお金を持っている人しか入れないということになる、それでいい姿なんだろうか。  そこで、宅地開発指導要綱について伺いますけれども、寄付金、寄付金とおっしゃるんだけど、ここまで持たせるのが自治省として正しいとお考えかどうか、お尋ねをします。都市計画道路があって整備がされてない、しかも区域外にわたる部分、そこまで開発業者に負担させるんだろうか。これは入間市の例であります。八王子市も同じ。元来、計画道路というのは地方自治体がみずからやるのが当然なんだけど、それも含めてやってくれと。日野市です。全部これは無償でよこせということなんだけど、この要綱の趣旨というのは、自治省から見て妥当だとお考えになっているんだろうか、いかがですか。
  309. 小林実

    説明員小林実君) 高い宅地の原因が何か市町村の責任のような御指摘がございましたが、私どもは必ずしもそうは思わないわけでございます。  それから、宅地開発指導要綱についての御質問でございますけれども、団地開発、まあ具体的な事例によって変わってまいりますので一般的な話ではなかなか答えにくいと思いますが、お話しのようなことで団地ができると、それに取りつけ道路が必要だという場合に、それまで負担していただく、特に開発業者との話し合いでそういうふうにしていただくということであれば別段差し支えないかというふうに考えております。
  310. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 話し合いであればじゃなくて、それでさっき一番最初に聞いたんです。どこまでが地方公共団体の整備の責任なんだろうか。整備の責任ということは、みずから資金を調達をし負担をしながら、足りない部分は国の補助を求めながらという普通の話をして聞いたんです。そうは言っても、いまの地方自治体はなかなか容易じゃないということはわかりますよ。だけど、市の道路計画がある道路について、あるいは都市計画道路について、しかも区域外にわたる道路についてまで、話し合いがつきゃ、それはおまえがつくってただで持ってこいと。これはむちゃじゃないんだろうかと私は素朴に考えるんだけど、その点はいかがですか。話し合いがつけばどうやってもいいんだろうか、いかがですか。
  311. 小林実

    説明員小林実君) 相互の了解のもとになされていることでございますから、それ以上のお答えはできないと思いますけれども、了解の上で実施している範囲であれば差し支えないというふうに私は思います。
  312. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 相互の了解があれば、たとえば五百戸に一戸、学校教員用の宅地と住宅を無償で出せと、それも話し合いがあればいいんだろうか。これ、行政財産じゃないですよ、だれが考えたって普通財産ですよ。それまで開発業者ということは、そこに住む人が宅地価格あるいは住宅価格を通じて払うんですからね。それが地方公共団体の普通財産まで調達をしなければいかぬのだろうか。おかしいと思いませんか。それも話し合いがつけば何でもいいん、だろうか。
  313. 小林実

    説明員小林実君) 御指摘のありました教員住宅という関係なりますと、あるいは学校の校舎等の問題になってまいりますと、やや話は違う面もあるかと思いますけれども、先ほど御質問がございましたような、当該団地の進出に伴って必要となるものにつきまして御負担いただくということにつきましては、私どもは特段問題がないというふうに考えております。
  314. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 じゃ、ついででお尋ねしますけど、これは公益施設にかかわる部分だけど、文化財の発掘調査費まで持たなきゃいけないんだろうか。掘っくり返してみたら文化財が出てきた、さあ調べようということも、掘っくり返したおまえが悪いんだからと言わぬばかりにして全額持たなければいけないんだろうか。保育園とか幼稚園を確保するのはまあわかるとしたって、経営までおまえがやれと言われなきゃいけないんだろうか。それどころか駅前広場まで広げろと。全部しなきゃいかぬことですよ。しかし、それをそこに来ようという新住民に全部求めていくんだという発想をぼくは問題にしているんです。それも話し合いがつきゃどうでもいいと自治省はお考えなんでしょうか。いかがですか。
  315. 小林実

    説明員小林実君) 先ほど来申し上げておりますように、市町村は何も好んでやっているわけじゃございませんので、それで私どもの感じもわかっていただけると思うんでございます。しかし、現実の問題として、どうしても必要となるものにつきまして協力をいただくというのが現実に行われているわけでございますが、まあ現実問題としてこれが行われているということは、それなりの事情があるわけでございまして御理解をいただきたいと、こう思うわけでございます。  一々例示がございまして、それについてどうこう言われても、その土地、土地によりまして事情があるわけでございますから、私も一々お答えはしにくいわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、全体の問題といたしまして、実際に市町村の当事者になってまいりますと、その進出に伴ってやっぱり巨額な財政支出が必要となるわけでございます。現実にそれを負担しておりますとほかの仕事ができなくなる、こういう状況なわけですね。また、関西地方の地方団体を見てまいりましても、過去に学校用地その他筆相当購入しておりますが、それの元利支払いで起債の制限団体にも近づいてきておる、こういうようなところがあるわけでございます。こういう面につきまして私どもは地方債あるいは交付税等でできる限り首の回らなくなるようなことのないように措置はしてきておるわけでございますが、私どもの努力の至らざる面がそういうところに集中的に出てきていることがあるのかもしれませんけれども、いいか悪いかという面につきましては、先ほどお答えしたようなことで御了解いただきたいと思います。
  316. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 確かに、五月十五日の自治省事務次官通達を拝見しますと、宅地開発または住宅建設に伴い開発業者から受けている寄付金等について、地方財政法の趣旨に照らして適正を欠くと指摘されている事例もあるので、その受け入れ及び使途の適正化に配意することと書かれているのは、重々事情はよくわかるけれどもという意味なんだろうと思います。重々事情はわかるんだけれどもとやっていくと、事態はちっとも解決をしないんで、どこに問題があるんだろうかということで実は先ほど来お尋ねをしているんです。  そこにいく前に、これもいまの次官通達にある言葉だから念のためにお尋ねをするわけですけども、先ほども寄付金等についてはとお話がありました。これは本当に寄付金なんだろうか。任意の寄付金だというお話だと思うんですけれども、余りくどく申し上げませんけれども、日野市、入間市、八王子市だけの要綱を見ても、何が書いてあるかというと、施工者に対して基準を遵守する義務がありますと書いてある。行政協力費は、協力費の算式と納入手段、手形か現金か、納入時期まで指定してある。入間市はどうかというと、この要綱というのは応分の負担を要請することを目的としている。それは無償提供の指示でありまして、負担金については納入指示がある、行政協力金も納入指示があって、これも納入時期の指定まである。八王子市はどうかといいますと、この要綱をつくった意味というのは、一部の負担を願うことを目的としている。事業主が負担せよと指示がしてあって、負担金基準の明示並びに分担金基準の明示があって、無償譲渡を指示してある。ただし、手続は寄付金書式五号で頼むと、こう書いてある。これ、寄付金ですか、実際は。そういう意味で、これはやはりこのことも含めて直していかなきゃいかぬという問題意識で今回の事務次官通達が出たのかどうか、その点伺います。
  317. 小林実

    説明員小林実君) 運用の面については一々ここで実態がわかりませんと何とも申し上げられませんけれども、私の方の地方財政法で言えば、それは四条の五に抵触するような運用になっておるということになれば問題があろうというふうには思います。しかし、私どもが地方団体から聞いている話では、相当きつい関係にはなっておりますけれども、あくまでも双方の協議によりやっていただいておるものでございますと、こういうふうに了解しているわけでございます。
  318. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 まさかそれは、まあこの場所だからそういうお答えでしょうけども、そうではない。  そこで、いま地方財政法第四条の五のお話がありましたけども、地方自治法の二百二十四条の御承知の分担金のことについて、関連して二、三だけお尋ねしておくんですけども、幼稚園をつくる、小中学校の用地も持てやと。そうは言ってもなかなか事情があるからというので持ったとして、近い将来その世帯が幼稚園、小中学校を利用する見込みがないのに分担金を納めることになる、寄付金と言おうと何と言おうと。それから、広く住民一般が利用するはずの都市計画道路について一部住民に対してだけ負担が求められてきているというのは、地方財政法第四条の五だけじゃなくて、二百二十四条に照らしても本当はおかしいという問題意識をお持ちになるべきだと思うんだけど、この点はいかがですか。
  319. 小林実

    説明員小林実君) 地方自治法第二百二十四条の分担金につきましては、特定の事件に要する経費について、特に利益を受ける者から公権力に基づいて金銭を徴収するものについて規定をしているわけでございまして、私どもは開発指導要綱によって行われているものにつきましてはこの分担金とは性質は異なると、こういうふうに解釈しております。
  320. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 分担金と性質が異なると言ったって、要綱には分担金と書いてあるし、分担金で通っているのでありまして、ただ、それで老齢の五世帯があって子供がいない、だけど義務教育の分担金を取られているのです。それはもうあなた御承知のことですよ。ただ、そういう問題意識を含めて事務次官通達をお出しになったのかと思って伺ったのだけど、じゃ今度通達で、受け入れ及び使途の適正化に配意することというのは具体的にどこをどう直そうというのですか、それを具体的に教えてください。
  321. 小林実

    説明員小林実君) 先ほど申し上げましたような点でございまして、地方財政法四条の五に違背するとか、あるいは使途につきましては、やはりこれは開発事業者からいただくものでございますから、別途の人件費等その他に回っておったら大変なことでございますし、あるいはほかの行政経費に回っておっては大変なことでございますので、そういうものの適正化に配慮をしてもらいたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  322. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それをどういう行政行為で裏づけて実効を上げるおつもりですかと聞いているのです。
  323. 小林実

    説明員小林実君) これは一々地方団体を個別に指導するということまでは考えておるわけでございませんので、この点につきまして、問題は那辺にあるかというのは十分市町村長さん自身が御存じのことでございます。私どもは行き過ぎているものにつきまして直していただきたいということを申し上げたわけでございます。また現に、現在行われているものがすべて悪ということで一挙にやめさせたということを考えた場合に、恐らく宅地開発とか住宅建設ができなくなるおそれすら私はあるんじゃないかとも思うくらいでございまして、その点は、やはり市町村長さん自身がこの点についての問題点は御承知でございますから、適正化に向かって努力をしていただけるというふうに理解をしております。
  324. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 実際は市町村長さんがよくわかっているのじゃなくて、本音を言いますと、そんなに入って来てもらいたくないのですよ。だから、高い土地だと言われようと何だろうと、入ってこられたら迷惑だわいというのが、これは国土庁の調べでもそのアンケート調査が出ておりますし、私は実感だと思います。そこの中で、わけのわからないつかみ金じゃないけど、中身の説明をしろといったって言えないけど、とにかく高い負担金でもやらなければ人が来ちゃってしようがないじゃないかという中で、それで通るかと言ったら通るわけはないので、いまみたいに事務次官通達で文字だけ並べておいたから後は何とかということではなくて、自治省は自治省なりにその三千二百何ぼの自治体のめんどうを見ているだけではなくて、そこの中で動いているたくさんの日本国民がいるんですから、非常にモビリティーが高まったこの社会でどうしていこうかということは、私は自治省の問題意識として持っていただかないと因る。この点だけお願いをして、自治省に対するいまのかかわりの質問は後の機会に譲りたいと思うのですけども、建設省にお尋ねするのですけど、いま地方公共団体がやるべきだといって議論をしていたんだけど、やりたくったって、ない場合はどうしたらいいのだろう。入っていくものがでか過ぎちゃって、多摩ニュータウンにしたって筑波研究学園都市にしたって、もとがやれと言ったってできるわけはない。この場合はどうしたらいいのか。
  325. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほど来、開発指導要綱についてのいろいろな御意見を承ったわけでございますが、私ども、現在の地方財政の段階では、開発指導要綱で、ある程度の負担、寄付を求めるというのはある程度やむを得ざる措置だというぐあいに理解しておるわけでございます。午前中にもそういう議論をしたわけでございますが、なぜ住宅建設あるいは宅地開発に関連するところの公共公益施設がデベロッパーの負担に全部なっているのか。その辺の原因は、やはり公共投資のテンポと住宅宅地開発のテンポとのタイミングのずれ、要するに整合性がとれてないところでございますから、本来ならば公共施設はしかるべき管理者の責任と負担において施設され、その後に住宅宅地開発がいけばこういう関公負担の問題はないわけでございますが、やはり公共投資には限度があるものであります。しかし、それ以前に、以上にやはり住宅開発宅地開発をやるという要請、需要があるとすれば、私はこれを急行料金と言っておるのでございますが、急行料金を払うから先にやらしてくれという開発者についてはある程度の負担もやむを得ないんじゃないかという気がしておるわけでございます。しかしながら、余りにそれが行き過ぎというのが目立ち始めているわけでございますので、この点につきましては自治省とも共同で実はいま目下調査を進めている段階で、しかるべき結論を出したいと思うわけでございますが、一つは、やはりこれの一歩前進として何といいましても地方財政の問題がありましょうし、補助採択をなるべく大幅に取り上げるということと、もう一つは、やはりそういった関連公共公益施設が地方財政の負担能力を超えて一時に急激に非常に大きいものがくるという場合には、やはり私は、対策といたしましては、とりあえずは急行料金としてある程度デベロッパーに持ってもらうのもいいかもしれませんが、もう一つは、何といいましても関連公共公益施設、本来管理者が持つべきものだとするならば、立てかえをデベロッパーにさせておいて、後で長期でこれを償還していく仕組みというようなものも非常に有効ではないかと思います。
  326. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、私がお伺いしたのは、端的に言って、地方自治体が努力をしろといったって、多摩ニュータウンの場合は、あれが行く前は、数はちょっと覚えていませんけど、ごくわずかな数の村でしょう。それから筑波研究学園都市だってそんなことですわね。そこに大規模なものができる。それは地方自治体がやるのは地方自治法から言えばそうだけど、実際問題とてもじゃない。大なり小なりその話なんですね、本当は。いま一番極端な例で申し上げたんだけど、そうなってくると、ただ普通の補助率で、あとは地方自治体、公共団体がんばれで済むんだろうか。立てかえ施行という制度があるからといったって相手が小さいんですから、いまのようなかっこうで金利と償還期限でいいんだろうか、それだって本当はあるんじゃないんだろうか。私いま自治省何をやっているんだと言ったけど、本当は従来と同じような公共事業の感覚でやってきてよかったんだろうか。そこの中で急行料金で行けばいいというならこんな別枠補助なんかする必要はないんです。急行料金だってうまくいかなくなっちゃって、宅地供給をどうするかということになっているわけでしょう。そうなってくると、補助率は従来の例によるでいいんだろうか、もっと本当は掘り下げて検討していかないとだめなんじゃないのだろうかという点はどうですか。
  327. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のように非常にむずかしい問題があるわけでございます。その中において、最終需要者に負担を転嫁させないで、しかも地方財政に余りしわ寄せをさせないで、円滑、しかも良質低廉な住宅宅地開発をするという点について、私どももずっとここ数年いろいろな工夫をいたしまして、いろいろな制度もつくり、また制度の内容の充実もやってまいったわけでございますが、最後に出てきたのが、本来の公共施設の補助だけに依存してもなかなか公共公益施設の整備のテンポが進まない、そこで別枠ということを出したわけでございますが、やはり基本的には、さらに先行的にそういった都市施設整備を公共施設のテンポとは別個な、やはり計画的にそこには公共投資を集中投資するような仕組みを考えつつ、それも通常の事業団とか公団とかいう仕組みもあるかもしれませんけれども、別途の施設、何といいますか、第三セクターなりそういった組織体も考えるということも必要ではないかと思います。
  328. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 恐らく最後に言われたことが、いま一番真剣に考えなければいかぬことじゃないかと思います。従来の制度をだましだまし転がしても、それはあっちこっちで、もうしわだらけになっちゃって、地方自治体の市町村の開発の担当だって、一番泣いているのは住宅公団とかそちらの方でしょうけど、幾ら苦労したってどうにもならない。しかし、とどのつまりは、さっき私が粗っぽくお目にかけたようなかっこうの非常にひずんだ、果たしてこれで法のもとの平等なんだろうかと言いたくなるような社会ができ上がっちゃう。だから、考え方は地方公共団体が持つべきなんだけど、そうは言ったって、それをもう追い越すようなすさまじいモビリティーでしょう。いま最後に言われたようなことを真剣に、しかも鋭意やるのがあなた方のお仕事であって、三百億なんてけちなことで事が済んだと思ったら大間違いじゃないか。  関連して、最後に一つだけお尋ねしたいんですけども、そうは言っても急行料金は住宅公団もやっぱり持たなきゃいかぬとなるわけですけども、意地の悪い質問をするわけじゃないけど、急行料金で負担するでしょう。負担していいって日本住宅公団法のどこに書いてあるんだろうか。それはまあどこかに書いてあるでしょう。問題はそれをどうやって回収するのか。家賃とそれから宅地の分譲価格、全部決まっていますね。あそこの中に入っているのは、いろんな裏負担の分とか分担金とかそんなものを算入していいとはどこにも書いてない、御承知のとおりです。そうですね。ということは、それを家賃にはね返すわけにもいかなきゃ分譲住宅の分譲価格にはね返すわけにもいかぬ、といって経済事情の変動でというわけにもいかぬ。それは日本住宅公団法を厳格に運用したら回収不能のお金になる。なぜそれが通っているかというと、実は都市計画法等では、地方自治体に渡すべき公共施設については費用の全部もしくは一部を負担の要求ができるとなっているから法律でも回っているんです。それはできないんだもの。だから、本当はいま家賃の中に入れていたら、厳格に言うと私は日本住宅公団法のどこかをごまかしているんじゃないか。まずその御意見を一つと、そうは言ったって、しようがないわと言うわけにいかないとしたら、たまっていくこれはどうやって回収をするか、日本住宅公団どうするんだという問題を一つとってみたって、あなたがさっきおっしゃった第三セクター問題にいくんじゃないか。これはごまかしじゃ済まないと思うんです。御苦労を含めて公団の御意見をお伺いします。
  329. 澤田光英

    参考人(澤田光英君) 御存じのように、私どもの方の家賃なりあるいは分譲価格というものは原価主義でございます。したがいまして、かかりましたものは全部その中に入ってくる、そういうことで回収をしていくというふうな方法しかございません。それが結局家賃の高騰なりなりを招きまして、私どものひいては空き家問題等につながっておるということでございますが、法律上の是非は別といたしまして、私どもは住宅供給をいたします政府機関でございます。公共機関でございます。そこで、私どもが住宅を供給する以外にもその周りの問題がいろいろ出てまいりまして、こういうものを整理をするということも、私どもといたしましては住宅を供給するだけでなしに当然やるべきようなことだというふうに考えております。しかし、それが原価に入ってくるということが、最後は私ども供給する住宅が現在のニーズに合ってこないという問題に大きく逢着するわけでございまして、この点建設省その他にも種々政策的配慮をお願いしておるわけでございますが、関連公共公益施設で調整をする方法もございましょうし、あるいは総括的に家賃、金利水準の問題で操作する方法もございます。いずれにいたしましても、そういう今後の改善方をお願いをしていかざるを得ないという事情でございます。
  330. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大変細かいことで恐縮なんですけども、家賃でいきますと建設省令の九条、償却費、それから修繕費、管理事務費、地代相当額、貸し倒れ引当金、損害保険料、公租公課、以上ですね、列記して、等はついていません。地代相当額はというと、恐らく二十六条の三項からくるんでしょうから、そうなってくると、「宅地の時価又は類地の地代を基準とし、宅地の位置、品位及び用途を勘案して、公団が定める」と、大体近傍類地でいこうということだから、よけいなものは入っていないんですよ。よけいなものは原価に算入できないんです。算入できるとしたら、それを公租公課と認めなきゃだめなんです。そういう解釈をしていま入れているわけでしょう。
  331. 澤田光英

    参考人(澤田光英君) 公租公課ということでは、私が現在承知しておることでは公租公課では扱っていないと思います。それは相当な地価というふうなものの中にやはり整備をいたしましたものが反映してくる、こういうかっこうで入れているというふうに考えております。
  332. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 建設省にお尋ねしますけども、今回の三百億円が仮に全部使われたとして、地価は下がるであろうと。何%下がるかというのはそれぞれいろんな意見がありますけれども、一部には五%から一五%くらい下がるんじゃないかといういまの水ぶくれの地価と公団が御判断の基礎になる地価というのは違うはずでしょう。私、それを申し上げているんです。だから、ちゃんとやったら回収できないじゃないか。そこのところはきちんとしておかないと問題の解決が進まないですよ。だって、三百億出しただけで五%から一五%地価が下がると言っているんです。下がった地価が、まだ高いんだけど、より正常地価に近いわけでしょう。あなたは正常な地価をもとにして決めざるを得ないんだから、いまのお話のように。というと、五%、一五%の水ぶくれ分というのは家賃にも分譲価格にも回収できないじゃないですか。よってもって赤字だと開き直るのが関の山だと。法律から言えばそうでしょう。違いますか。
  333. 澤田光英

    参考人(澤田光英君) その地価の見方だと思いますけれども、いずれにいたしましても私どもの方は家賃なり分譲価格で回収せざるを得ませんので、そういうことで、いまの制度でいきますればさようなことになろうかと思います。
  334. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間も時間ですから、後にまたつなげますけれども……。  大臣、お聞きだと思います。特に御所見は求めません。重ねてまた機会を改めてお尋ねしたいと思うんですけども、少しずつごまかしていきますと、その当座は渡れるんだけど、しばらく時間がたつとどうしようもなくなっちゃうんです。という中で、いまの関連公共公益施設整備の負担問題も出てきているんじゃないだろうか。しかも、それがどこでどうなっているんだということはあんまりわからないまま、みんな問題がもぐっちゃっている。これは建設省と自治省の中だって意見統一がむずかしいわけですから容易なことじゃないんだけど、だからといって、ほうっといていい問題ではとうていない。このままいきますと宅地供給なんかとまってしまいますよ。だって、かつての高度経済成長じゃないですから、宅地価格は上がらないし、しかもそれを購入する人たちの所得水準はどうかといったら急速に上がるわけがない。そこの中でどうなるんだって考えてみると、いやでも抜本的な処置は私は講ぜざるを得ないと思うんです。ただ、そのためにいま住宅公団いろいろお話しですけれども、私はこういうものはみんなが共通して考えるしかない問題で、もし弊害がなかったら家賃にしても分譲価格にしても二本建てにしたらどうですか。関連公共施設負担分が幾らで、本体が幾ら、合計額幾らいただきますと、そうでもないと私はなかなかこの問題は解決をしない。  以上、意見を含めて申し上げて、質問を終わります。
  335. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほど来の栗林委員の御所見は、私は筋論として心から敬意を表し、傾聴をしておりました。  そこで、この関連公共施設の整備については、私はこういう道が開かれたということについてはそれなりの評価を栗林委員にもしていただけるんではないか。私としては、こういう新しい制度を明年度予算の際にもっと強化をしていきたい。たとえば財政当局は、こういう制度を認めるという以上においては、もしこの関連公共施設をやる市町村に財政負担ができないという場合、私はその筋論から言えば財政当局はそれを当然見るべきものだと思うのです。それがなければ中途半端な制度であると私は思いますね。しかし、現実にはどうかというと、まあ建設省も自治省も、ともになかなか微妙なお答えを申し上げ、また実態は栗林委員が十分御承知のところだと思いますので、その辺についてはいまここで私がいろいろ申し上げることを避けまして、やはり筋は筋として、せっかくのこの関連公共施設整備を別枠でやろうということについて私としてはこれを徹底していきたい。また、必要な公共事業につきましては、これは当然やるべきことがやはり市町村の財政状況から等閑に付され、それが回り回って今度のこういう別枠制度にまでくると、その間には立てかえ施行制度の改善強化とか、あるいは人口急増市町村等に対する国庫補助率の引き上げとか、地方債のかさ上げや利子補給といういわゆる必要な裏負担についての措置はとられてきたわけでありますが、しかし、それも限界があって、こういう関連公共施設整備の新しい制度の必要性が起きてきたということで、これはぐるぐる回っておると思いますね。これをおっしゃるとおりに、多少ずつ何か工夫をしていくということが最後には大きな災いを来す、まあいわば家賃にはね返りあるいは分譲価格にはね返って国民に対して迷惑をかけるというようなこと、これは私ももう御指摘を待つまでもなく、こういうことを繰り返しておってはいけないということを痛感しておる次第でございます。
  336. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      —————・—————