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上田耕一郎君 まあ
資料を調べるそうですけれ
ども、私は大変な問題だと思うんですね、その後退が。この
ケーススタディーの去年のA
百貨店、これは新宿の
百貨店ですけれ
ども、約一億円ですよ。あと、みんな一億円前後ですよ。これが今度のように後退しますと、ほとんど金が要らなくなってしまう、物すごい
業界救済になると思うんですね。去年の中でEというのがあります。これは北九州の
地方百貨店だそうですけれ
ども、これは避難計算で安全が確認されたため、竪穴区画はヒューズつき防火シャッターで可となった。その場合で四百五十万円ですよ。今度はそれさえ要らなくなっちゃうんでしょう。
業界の負担がたくさんあると言われるけれ
ども、こういうふうにぼくは大した額じゃないと思うんです。人間が一人死ねばその補償に何千万円もいま払わなきゃならないときですからね。ところが、大
百貨店でわずか一億円前後ですよ。年に直して、日本開発銀行から十五年償還でしょう、それで大体大
百貨店で去年の計算で年に一千万円足らずということですからね。先ほどの北九州の場合なんか年に三十万円ぐらいのことなんでしょう。それでやっぱり人命が安全だということなら、少なくとも私は去年の方式よりも下がるべきでないと思う。この計算式が当てはまればそれは熱感連動でよろしいというのより下がって、竪穴区画そのものをやらぬでいいというふうなところまで下げるのは、私は非常にやっぱり
業界に対して、先ほど
救仁郷さんは不況の問題やなんかいろいろ言われておりましたけれ
ども、それに対して少し後退し過ぎていると思うんですね。それで、去年出されたものを見ましても各
業界の意見が出てますわな。これを見ますと、みんなもうやむを得ないと思っている
業界ばっかりですよ。それで保留しているのは
百貨店だけですね。
百貨店協会だけが
技術的基準の
細目がわかったときに回答すると言っているわけで……。
それで、もう時間になりましたので私は最後にお伺いしたいんですけれ
ども、
救仁郷さんの先ほどの
説明では、これを夏までオールスタディーをやって、大体三つの方向があると。いままでの
法律の
改正か、あるいは新法の制定か、あるいは
建築基準法十条、その他
消防法などによる
行政指導かと、この三つを
考えているという
お話ですけれ
ども、先ほど申しましたように、私はやっぱり
法律を当然制定すべきだと思うんです。
スプリンクラーの場合にも、
法律があって初めてみんなあれだけ
努力するわけですから、今度の
建築基準法のこの
ビル防災の
遡及適用問題でも、やはりできるだけ
努力をして
法律をつくり、政令を出し、政令の中に具体的な
ケースにおいてはある特例
措置を認めるということだって可能なんですから、当然やはり
法律にすべきだと思うんです。一番かたい態度をとっているという
百貨店協会も、協会の幹部に会ったわけじゃありませんけれ
ども、私、先日都内の
百貨店を幾つか回って、現地も見て、それから担当者にも会いましたけれ
ども、
行政指導にしてほしいなんて声は、
百貨店協会、われわれの側にはありませんという御返事でした。やはりみんなあの
法律がつくられると、ただ、その
法律の技術的
内容がどうなるかということをそれぞれの立場でいろいろ
考えているわけなんですね。
業界のどこにも
行政指導で結構にしてくれというような声も何もないと思うんですけれ
ども、
懇談会でも恐らくそんな声はなかったと思うんだけれ
ども、なぜ
行政指導というような方向を三つの
一つに出してしまったのか。これ、五年越しずっとやっていることで、
赤桐委員からも
経過の
説明がありました。私も
大臣に
質問し、次の
国会に出すという
答弁をいただいたこともありますし、最初に出したものが削除されて消えてしまうと、その次
国会に出すという約束を何回もして、その約束がとうとう——どうも
法律も怪しい、
行政指導で済ますかもしれませんということを公然と局長がここで
答弁するというような事態は非常に大変な問題だと思う。
国会であれが削除されたとき、各紙が社説を出して、やっぱり
国会は
業界の圧力に屈すべきでないと、このままだと屈すると見られても仕方ないのではないかということを書きましたけれ
ども、私は
人命尊重の観点から、
建設省並びにわれわれ
建設委員に課せられた任務を正しく果たして、やっぱり国民の命を安全にできるような法
改正をやるべきだと思うんですけれ
ども、最後に、
大臣にその問題についてお
考えをお聞きしたいと思います。