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1978-03-28 第84回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十八日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      増岡 康治君     岩崎 純三君      赤桐  操君    茜ケ久保重光君  三月二十三日     辞任         補欠選任     茜ケ久保重光君     赤桐  操君  三月二十四日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     増岡 康治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安永 英雄君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 松本 英一君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  櫻内 義雄君    政府委員        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  山地  進君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       大塩 敏樹君    参考人        新東京国際空港        公団用地部長   江見 武二君        本州四国連絡橋        公団総裁    尾之内由紀夫君        宅地開発公団総        裁        志村 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○連合審査会に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  赤桐操君が一時委員を異動されたことに伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事赤桐操君を指名いたします。     —————————————
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案について、運輸委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として新東京国際空港公団の役職員本州四国連絡橋公団役職員及び宅地開発公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。櫻内建設大臣
  10. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま議題になりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第七次道路整備五ヵ年計画昭和五十二年度をもって終了することとなりますが、わが国の道路整備水準は、なお著しく立ちおくれた状態にあり、また交通安全対策の強化、道路環境の保全、日常生活の基盤となる道路整備等道路整備に対する社会的要請はますます増大し、多様化しているところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和五十年代前期経済計画及び第三次全国総合開発計画との整合を図りつつ、昭和五十三年度を初年度とする道路整備五ヵ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、道路整備に対する今日の社会的要請を踏まえて、道路整備緊急措置法目的を、道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することといたしました。  第二に、昭和五十三年度を初年度とする新たな道路整備五ヵ年計画を策定することといたしました。  第三に、道路整備五ヵ年計画に合わせて昭和五十三年度を初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法有効期限昭和五十八年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他、これらに関連いたしまして昭和五十三年度における道路整備緊急措置法第三条の規定の適用について特例を設けるほか、関係規定整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  11. 安永英雄

    委員長安永英雄君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 道路整備緊急措置法等の問題に入りまする前に、とりあえず千葉県の成田問題を中心といたしまして伺っておきたいと思います。  まず、本日の閣議で、成田空港の式典並びに開港についてはひとまず延期ということが決定されたようでありますが、この点について、まず大臣から伺いたいと思います。
  13. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 本日の閣議と、それに先立つ成田空港関係閣僚協議会におきまして運輸大臣から現状説明がございました。機器の破損回復についてはそれほど長期を要しないと思うが、空港開設に伴う各種の不安感がないように万全を尽くすため一時延期を決め、改めて成田空港関係閣僚協議会を開いてはっきりした期日は決めたい、きょうのところはひとまず延期をしたいと、こういうことでございました。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 成田空港にかかわりまして、まず交通アクセスの問題から入ってまいりたいと思いますが、湾岸道路開通をいたしまして京葉道路の方はかなり交通が緩和されるという話を聞いています。湾岸道路開通して、その後のこの湾岸道路をめぐる東京から千葉、さらにまた千葉から東京へと、この交通状態について御説明を願いたいと思います。特に朝夕のラッシュ時、月のうちのピーク状態、こういうものについて御説明をいただきたいと思います。
  15. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御説明いたします。  新東京国際空港から東京都心方面への連絡道路といたしましては、御承知のように東関東自動車道鹿島線、それから京葉道路及び首都高速道路の七号線が供用されておるわけでございます。また、新東京国際空港線開港と同時に短い区間でありますが供用する予定になっておるわけでございます。一方、東京湾岸道路につきましては、去る一月二十日に首都高速道路湾岸線の新千葉から浦安間六キロ、並びに一般国道の三百五十七号、浦安−市川市間の八キロが供用されたことによりまして、東京千葉間、もう少し細かく申し上げますと、大田区の大井埠頭から千葉市の幕張までの間の三十六キロの間が接続されたわけでございます。湾岸道路供用後数週を経ました現在、京葉道路及び湾岸道路交通状況につきましては、供用前に比べまして若干の変化があります。  その辺を数字で御説明申し上げますと、現在交通量としましては、京葉道路幕張付近で九万台から十万台、江戸川付近で十三万台から十四万台ということでございました。京葉道路につきましては、幕張付近では一時落ちましたが、その後また伸びて供用前と余り変わらないという状況でございますが、江戸川付近では約一万台が減っております。湾岸道路につきましては、浦安−新千葉間、新しく供用されたところの交通量は現在二万二千台流れております。それから東京港トンネルでございますが、これは現在二万七千台流れておりまして、湾岸道路供用前から考えますと、約一万台逆にこちらは利用がふえておるというような状況でございます。  それで、現況でピーク時間の時間当たり交通量がどうなっているかということでございますが、京葉道路上りピーク時で五千台、上りピーク時は大体六時から九時の間でございますが、この時間帯で一時間当たり約五千台流れております。それからオフピークになりますと、これは三千台から四千台に減るということでございます。下りは、これは下りピーク時は午後の五時から八時まででございますが、この間には時間当たり五千台流れておりまして、下りオフピークではやはり三千台から四千台という流れになっております。それで、京葉道路渋滞状況につきましてはいろいろその後細かく調査をいたしておりますが、オフピークの十一時ごろから午後の七時ごろの間の上り渋滞状況は、大体渋滞延長が当初六、七キロあったところが二、三キロに減っているということで、渋滞延長につきましてはかなり大幅に減っておるという状況で、そのかわりとして湾岸道路に二万台の交通量流れておるというような状況になっております。  御指摘の大体の所要時間について観測した結果では、湾岸線供用前大体上り通常時で、新空港から箱崎の間でございますが、新空港箱崎間で上りが八十五分かかっておりました。混雑時では約百十分かかっておりました。それが湾岸線供用後はそれぞれ七十五分、それから百分というふうに若干所要時間が短縮されております。それから下りにつきましては、通常時六十分、混雑時七十分ということで、湾岸線供用後もこの数字下りは変わっておりません。大体、以上のような状況で、京葉、それから首都高七号線については、渋滞延長等中心に若干の交通緩和湾岸道路によって図られているという実態でございます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 湾岸道路開通によって京葉道路が大分緩和されたということでありますが、いまのお話によりますと、大分余裕ができたようなお話のように伺いまするけれども、実際に私も千葉から通っておるんですけれども、大体いま二時間かかるんですよ、千葉からここまで来るのに。これは私が出るのは大体朝七時半ないし八時ごろから出るんですけれども、ここへ出ますと十時過ぎてしまうわけですね。だから、九時半ないし十時の委員会に出るのには八時に出たんではちょっと危ないんです、率直に申し上げまして。どうしてもやはり八時前に出ないと出られない。まして九時半からの役員会に出るとなると、とうていこれはもうそんな悠長なことは言ってられない状態なんです。大体いま千葉から来るのには二時間を見なきゃならない、こういうように朝夕上りの場合には考えられておる。それで、下りは確かに一時間と、いま御説明のとおりでいいと思うんですが、上りはちょっと少し違うんじゃないかというように私は考えます。それからさらに湾岸道路ができた当初は確かに大分あきました。これが大体一時間十分から十五分ぐらいで通ずるようになったと思うんです。これは確かに効果があったなと思いましたけれども、また最近ではもとに戻ってしまったというのが、これは私だけでなくて、千葉から自動車で通う人たち自動車利用する人たちの大体の声ではないかと思うんですね。  それで、開港時のアクセス手段ということで運輸省から出されておるのがございますけれども、この資料によりまするというと、上りは大体夜間で九十分、それから乗用車においても大体夜間は七十五分と、こういうように言っておりますけれども夜間のどの辺をとっているか知りませんが、大体飛行機が到着する時刻というのは、運航時間等から見ましてもおおよそこれは夕方から、九時から十時ごろにかけた時間に集中すると思うんですが、この辺の時間で、遅くなれば確かにすく場合もありますが、大体七時、八時、九時、十時——九時前後までは私がいま申し上げたような状態ではないか、こういうように考える。  それから、続いてひとつ伺いたいと思うんですが、成田山というのは、御承知のとおりこれは新勝寺成田山でございまして、ここには昔から正月、五月、九月というのはお祭りがあります。この正、五、九というのは、昔からもう参拝客で一カ月間大変な実は成田山にしてみれば一番忙しいときであるということが言えると思うのです。最近ではまたそのほかに、その中間にいろいろ交通安全とかそういったもので大分祈祷に行く人がふえておるということで、正、五、九のほかにもかなりいろんな忙しくなる状態が出てくるようであります。こういう状況を見まするというと、この成田中心とした周辺というのは、恐らく私はいま説明されたような千葉東京間が大体二時間、それから千葉成田間が、これが大体二十分はかかると思うのですね。それから国際空港から羽田空港への乗りかえをやる場合においては、当然ここから羽田までの時間を見なきゃならぬ。これは大体ピーク時でもって少なくとも三十分近く見ておかなきゃならぬ。三十分はもう最低かかると思いますね。場合によっては一時間くらい時間がかかるときがある。こうなってまいりまするというと、大体三時間ないしは三時間を超えるということ、成田から羽田へ来る場合におけるところの大体のこれは見当になってくるのではないかというように実は私たちは考えております。これは実際に成田から羽田まで行ってみると、そういう実感が伴うのでありますが、したがって、開港時のアクセス手段というところで運輸省から報告されているこの内容は、大分実態にそぐわないじゃないかというように判断をいたします。  特に、いま申し上げた正、五、九、この時期とか、湾岸道路にしても京葉道路にしても、これは成田開港に伴う措置として計画されたものではないんであって、京葉臨海工業地帯、これを中心として、あるいはまた内陸における工業地帯、ここに集中してきている多くの住宅地帯、こういうもののいろいろ需要によって計画されたものであって、決して私は成田に伴う交通手段ではないと思うのですね。それだけに成田開港によってここになだれ込みが出てくるというと大変な問題になるだろうと思う。いまでさえもそういう状況であります。特にまた正、五、九のようないろいろ月によっては大変忙しくなる時期があります。こういうときには一体どういうようなふうにこれを理解しておるか。  それからもう一つ、夏は逆に今度は下りが込んできますね。ほとんどこれは七月、八月は自動車東京千葉間は歩いていくのと同じくらいの速度でありまして、これはもう電車も満員ではち切れそうである。自動車で来れば歩いていくような状態であります。もちろんいわゆる避暑客というのは房州の方に行くのが大体の流れでありますが、しかし、東京千葉間はどうしてもこの京葉道路を通らなきゃならない、湾岸道路を通らなきゃならないと思うのですね。そうすると、七月、八月というこの二カ月間というのは、ほとんど私は上り下りがもうどうにもならぬ状態ではないだろうか。これに対して空港アクセスはどのような対策をとるのか、この辺についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  17. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、季節的な変動等を考えますと、かなりシビアな状況も考えられるわけでございます。  まず、成田東京間の交通で一番問題なのは、上りピーク時というのが一番問題だと思います。先生御指摘のように、朝の時間帯が一番込むわけでございまして、千葉から二時間というようなお話がございましたが、これは実は京葉道路よりもその時間帯はむしろ湾岸道路の方がすいているのではないかというふうに考えます。湾岸道路を回ればもうちょっと早く来られるというふうにも考えられますが、まあ先ほど申し上げましたように、数字的にはこの一番込む六時から九時までの時間帯で、上りはこれは混雑時百十分の所要時間というふうに湾岸線供用前はなっておりましたが、これが約十分短縮されて百分ということで、大体二時間近い数字になっておりますので、多少の状況変化によりましては二時間近くの交通上りのこの時間帯でかかるという事態は間々あろうかと思います。  そういうことに対しまして、さらに成田からの発生交通量約一万台が乗っかった場合にどうなるかという御心配があったわけでございます。もともとこの道路空港のためのものではないというようなことでございましたが、空港交通量発生はたかだか一万台というふうに考えておりまして、湾岸道路の容量は現時点で四、五万台あるわけでございます。十分湾岸道路利用することによってこれらの交通はさばけるものというふうにわれわれ考えておりますが、現時点では確かに一時供用後がくんと下がりましたが、もとに戻ったりというような感じになっておりますが、道路供用後の利用状況はこれが安定するまでに若干の時間がかかると思います。そういうこともありまして、今後湾岸道路にもう少し流れていくということを期待しておりますし、またそういうふうに流すような形でいろいろ交通情報とかあるいは信号とかいうようなことをシステム的に十分整備して、全体として流れを円滑に持っていくように心がけてまいりたいと思います。そういうことを通じて、先ほど御指摘がありましたようなまあ夏の避暑のドライバー、あるいは成田の行事というようなことに関連して一時的な混雑も考えられますので、そういう場合には現状の施設を最高度に活用するような信号処理というようなことを十分今後考えてまいりたい。そのための組織を現在持っておりますので、こういうものを活用して全体としての円滑な流れを確保するように心がけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 京葉道路のことは大体わかりましたけれども湾岸道路はいまどのくらいの時間がかかっておるんですか、上り下り
  19. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  新空港箱崎間の湾岸道路経由所要時間でございますが、ちょっと細かく申し上げますと、新空港宮野木間が二十五分、それから宮野木幕張間が五分、幕張から首都高浦安インターまで二十五分、それから首都高のランプから放射三十四号までが十分、それから箱崎に入るまでが二十分ということで、新空港箱崎間で一応トータルいたしますと八十五分ということで、先ほどピーク時の百分という京葉首都高七号を利用した場合よりも若干早く到達できるような形で流れております。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 これは実際に京葉道路から湾岸道路ができたときに大分流れが入った。私ども湾岸道路に入ってみた、ところが実際に込み始まると京葉道路よりももっと時間がかかるんですよ、これは。実際におやりになってみなくちゃこれはわからないです。湾岸道路の方が京葉道路より時間がかかる。ゴーストップが多くて、結局湾岸道路よりも京葉道路の方がいろいろな面から便利だということで、それでとどのつまりは京葉道路へ戻ってきているというのがUターンの現象だと思うんですね。だから、しばらくたたないと安定性が出てこないかもしれませんが、大体湾岸道路ができて何カ月ぐらいたちましたか。もう大体そういう方向に決まってきているのじゃないですか。私どもは実際にこれを使ってみてそういう感じがする。ですから、ただいま現在になるというと、湾岸道路の方が幾らかすいてきているかもしれませんけれども、少し流れが込んできたらこれは大変なことになると思う。特にゴーストップが多い湾岸道路は大体余り便利がよくないので、ほとんどみんな京葉道路にまたUターンしてくる、こういう状況になってきていると思うですね。  ですから、そういう面からするというと、結局は京葉道路に比重がかかってくるだろう。そこへ正、五、九とか、七月、八月のいろいろ避暑客混雑時、こういうものを加えたときにこの京葉道路というのは成田空港アクセスにはならないんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。もちろんこれは京成電鉄がございますし、国鉄もありますからそれに乗りゃいいんだと、こういう考え方も出てくるかもしれませんが、大体われわれが外国へ旅行いたしましても、駅の乗りかえをやりながら目的地まで行くなんということはおよそこれはできないことだと思うんですね、まず到着して金の換算から始まるわけですから。そこで、どういうように何にどう乗っていって、どこへ到着するか見当もつかないで来るんですから、外国お客さんというのはそれでいいと思うんです。それにアクセス上のいろんなサービス空港全体の総合的なサービスが行われて円満に交通手段の転換が行われていく、そういう役割りを果たすのが総合的な空港システムだと思うので、私はそういう意味からするならば、来るお客さんに無理を強いたり求めるというのは、これはおよそ空港設置の原則に反するのじゃないか。こういう観点に立ってこの交通アクセス問題を考えてみるというと、これはとてもじゃないが国際空港アクセスには考えられない一つ手段ではないだろうか、こう思うんですが、いかがですか。
  21. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、国際空港アクセスとして道路利用した場合非常に時間がかかるということで碓かに問題点ではあろうかと思います。空港アクセス手段としては道路以外に鉄道等もあるわけでございます。そちらの方が時間的には若干安定しているかと思いますが、道路空港利用客との関係で申し上げますと、先ほどの上りの六時から九時ぐらいの間が一番ピークとして時間のかかる時間帯でございますので、その間に空港客が重なると非常に大きな問題になりますが、その間はやはり電車利用というような形になろうかと思いますが、あと九時以降二十時までの間、この間は比較的オフピークということで所要時間もかなり短いわけでございまして、しかも、むしろ夕方の空港からの利用客はちょうどこの時間を利用するようなことになりますので、その点は若干明るい状況ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 私は、アクセスタイムというものはそういうとり方ではならないと思うのです。まあ突発事故とかそういうものは別問題といたしまして、流れの中で一番最悪の場合を常に考えて、その時間も適切に取り上げて対策をとるということでなければ、それは私は本当の意味におけるアクセスタイムにならぬと思うんですね。したがって、いまの道路局長の御説明では、残念ながらこれは納得できません、率直に申し上げて。そういう私は合理性のないアクセスの設定ということはあり得ないと思うんですね。これはひとつ私は率直にいまの御説明は納得できないということを申し上げておきたいと思うんであります。  この交通アクセスについては、少なくともいま明らかになっているとおり、たとえば、これと同時にいろいろ国際空港として手がけられた国際空港は大体でき上がっておりますね。パリのシャルルドゴール空港、それからモントリオールのミラベル空港、いずれもでき上がっております。モントリオールは私は知りませんが、パリのシャルルドゴールなんかは、これはもう交通手段にしても満点だと思うんですね。大変広大な大体成田の五倍くらいの土地をきちっと確保している、騒音その他も全部その中に包み込んでしまう、すべてをそこで解決する、こういう体制をとっていますし、アクセス手段にいたしましても、大体パリの中心街に入るにしてもこんなばかな時間はかかっておりません、大体が。いいところ大体三十分から四十分の間でどんなに込んでいるときでも来てしまう、こういう状況のように私は感じました。したがって、これから見たならば、少なくとも二時間以上三時間、場合によっては三時間を超えるという状態、こういう状況の中で国際空港から国内空港への転換を図らなければならぬということは、あるいはまた東京駅まで来るということについては私は大変な問題だと思う。まず交通対策としてはこれは落第だと言わざるを得ないと思います。  そこで、私は大臣に伺いたいと思うのでありますが、私はさきの予算委員会、あるいはまた運輸委員会等を通じましていろいろ質問してまいりましたが、交通アクセスについてはいま申し上げたとおり明確だと思うのでありますが、さらに燃料の輸送、騒音対策、運航時間、滑走路、航空安全保安施設、すべての面について、これはどの一つをとってみても国際空港としての機能を制するものだと言っても過言ではないこれらの対策、いまの交通アクスセ、こういうものを含めまして、どの一つをとってみても実は満足なものがないのであります。そういう状況の中でさらにいろいろ検討をしてみますと、これはやはり最終的な大きな帰結するところは、基本的なものは起業地の選定に誤りがあったんじゃないか、こういうふうに私は判断をいたしております。  たとえば、交通アクセスにいたしましても、距離は確かに五十キロか六十キロですね、大したことはないと思う。しかし、膨大な臨海工業地帯内に工業地帯を擁している、大体二千社に及ぶところの企業を誘致している。そこにいま集中してきている人口というのは四百三十万人に及んでいる。千葉県の開発計画は六百万を目標にしておるわけですね。こういう大量の人口を想定をし、その企業の集中度も、人口の集中度も、大体千葉から東京にかけた近郊地帯、さらに成田に至るところのいわゆる北総地帯、ここに集中をしているわけであります。三分の二がここに集中をいたしておる。そこに実は成田空港を設置するわけです。どだい私は成田空港としてでき上がらないであろう、恐らくあらゆる状況を備え得ないだろう、こういうことを私たち指摘をしてまいりましたが、そのとおりにいまなっているのですよ。距離の問題ではない。成田から東京までの間、この間は少なくともここに新幹線を設置するはずであったと思う。これはついに断念せざるを得なかったと思います。その理由は何か。これだけの人口の集中度、企業を集中させている地域に新幹線をどういうように設置したらよいか、いかに検討しても結論は出なかったということが真相ではないでしょうか。したがって、交通手段についても、あるいはいまの騒音対策についても——一千ヘクタールしかない。ドゴール空港は五千ヘクタール、さらにミラベルは三十倍ですよ。こういう各国の状態から見るならば、日本がもしそれに匹敵する国際空港をつくるとするならば、いわゆる海に向かった空港を設置する以外に手はなかったはずであります。したがって、そういう状況の中で、どの一つを取り上げてみても私はこういう形に至るのは必然の経過であったと思うんです。その基本的なものは起業地選定に誤りがあった。こういうように判断をいたしますが、いかがですか。
  23. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先般来、赤桐委員から同様御趣旨の御質問あるいは御意見を私もよく承っております。いま成田空港開港を前にしての私の感じを申し上げますと、確かに交通アクセス、あるいは燃料、騒音、いろいろな点で問題点があると思いますが、といって、いま新たに急に国際空港がつくれるものではないので何とか及第点に持っていきたい、その努力をしたい。そうしておるうちに、いま新関西国際空港の問題も起きておるところでありまするから、したがって、この貴重な経験を踏まえながらそういうものを促進する。成田状況が非常に悪いとは言いながら、といって羽田のあの過密の状況も放置できないのでありますから、これは何としても皆さん方の御協力のもとに国際的な日本としての責務を果たさなきゃならないというのが、これが偽らない心境でございます。  建設大臣として、交通アクセスについては、現在私も何遍か赤桐委員がおっしゃるような千葉の方面へ行く、あるいは向こうから来る、その混雑の経験はいたしたのでありますが、ひとつ箱崎のターミナルを利用して、外国からの方は成田から箱崎まで来る、また出発の方も箱崎でチェックインすると、その後はもうどのような時間がかかっても席におって、安心して行ってもらうというようなことが——万一、成田山の行事あるいは夏季のシーズンというような非常に混雑するときはそういうようなことででも対応しなきゃならないんではないか、こう考えるのであります。いずれにいたしましても、問題があるその困難を打開しながら、また新しい関西国際空港を急ぐ、急ぎたいというのが私の心境でございます。
  24. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほどの説明、ちょっと舌足らずで、もう少し補足しておかないと誤解を受けるということもございますので、大臣の御説明に若干補足さしていただきたいと思いますが、実はいままでの議論で、湾岸道路は暫定供用ということで、当面空港に間に合わせるための応急策として一応ああいう形をとりましたので、空港ができて、将来相当な発着、利用者がふえた場合の対応といたしましては、湾岸道路を本格的に整備することを私どもは考えているわけでございまして、御承知のように現在首都高速の道路として湾岸線の一期、二期で市川まで真ん中の高速道路を全部つなぐ、それから市川から先の宮野木千葉の船橋を通りまして宮野木までの間の十八キロを東関東自動車道として整備しまして、これでいまの東関東自動車道の鹿島線につなぐということによりまして、成田空港から高速道路を完全に使って、首都高の九号線から箱崎に入るというルートがいずれ完成するわけでございまして、現在、昭和五十六年を目標にその整備を進めているわけです。これは先ほど先生御指摘ありましたように、千葉から東京へかけてのあれだけいろんな生産基盤の張りつきぐあい等に対応しての幹線道路計画でございますが、これができた場合には十四車線ということで、容量的には二十万台の容量がございますし、ノンストップでこれがつながるということでございますので、成田空港からのアクセスは非常に楽になるということがあるわけでございます。そういうものを最終的にはなるべく早く実現したいということで現在鋭意努力しているところでございます。  当面、先ほどもお話ありましたように、非常に応急的に湾岸の四車線ルートをつないだということで、首都高七号、京葉の一時的な緩和が図られたわけですが、まことに御指摘のように十分とは申せません。その間の対応としては、いまある施設をできるだけ有効に使うということで、信号処理等で対応していかざるを得ないという実態でございますが、将来的には早くこの高速ルートを完成したいということで努力している次第でございます。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 湾岸道路の完成は昭和五十六年ですか。
  26. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 湾岸道路首都高速道路湾岸一期線、ちょっと細かく申し上げますと、大田区の昭和島から有明までの間が昭和五十六年末に供用できる予定でございます。それから北にいきまして、首都高道路の湾岸二期線、これはいまつないだところよりさらに北の区間でございますが、有明から市川市に至る間、この十六キロの間が、これも昭和五十六年度末に供用されることになります。それから今度は先にいきまして、市川市高谷から宮野木町のこのいまの東関東自動車道鹿島線につながる間、これが五十六年度末。それから今度は東京の方へ入ってまいりまして、首都高速の九号線、箱崎からいまの湾岸線に辰巳でつながる区間でございますが、約五キロ、この間が五十四年度末につながることになります。そういうようなことで、逐次段階的に完成していきまして、最終的には五十六年度末でいま申し上げました各区間が完成いたしますので、これによって高速道路空港から都心まで入れるという形になっております。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 そのころになりますというと、成田開港されておりますというと、空港状態開港当初とは全然違ってくるわけですね。  先般の運輸委員会で明らかにされた内容によりまするというと、大体六十年次を見通しいたしまして、空港公団はすべての扱いが二倍半になるということを明らかにしているわけですね。そうすると、五十六年、五十七、八年ころになるというと、ぼつぼつそういう状態が、やはりふくらみが出てくるわけです。ですから、五十三年当初の開港状態をこれから将来も続けていくというなら別ですけれども、そうではなくなる。しかもいま言ったように、これは湾岸道路にしても、さらに京葉道路にしても、成田空港を想定したものじゃなかった。成田空港については、別に新幹線をつくるんだと、こういう想定で始まったんですね。だから、およそこれはアクセスとしては考えられない手段であったと思うんですね。いま便宜的な処置としてはわかりますけれども、これがこれから将来続けられるということになりましては、これは問題にならないと思うんですね。こういうわけで、要するにもう一本別に弾丸道路をつくるというなら話は別ですけれども、これはつくり得ないでしょう、現実の問題。いかがですか。
  28. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 湾岸道路と別にもう一本幹線道路をつくるという計画はございません。ただ、先生御指摘のように、昭和六十年時点で空港のすべての発生交通量等が二倍になるということでございますが、まあ二倍になったということでお客さんが倍になったといたしましても、いま空港開通後の交通量というのは、約一万台空港関連交通量としてふえるということでございますが、これが仮に倍になって二万台ということになりましても、道路のキャパシティーから言いますと、湾岸道路のキャパシティーは先ほど申し上げましたように十四車線でございまして、これは約二十万台オーダーのキャパシティーになるわけでございまして、そこへ二万台ぐらいのものが入っても十分容量としては受け入れられるわけです。ただ、御指摘のように、湾岸道路自体は空港のためだけのものでなくて、周辺の幹線交通としてのいわば最終的な施設として考えたものでございまして、これは空港以外にも相当な需要があるわけでございますから、将来的にはいまの国道の十四号線からの転換、あるいは京葉からの転換、それから千葉からの交通、そういうものをすべてその大部分を湾岸で受けるという構想のもとにつくられた計画でございますので、確かに容量として十分な余裕があるわけではございませんが、現状のような四車線ルートで辛うじてつながれている状況よりは、たとえ空港関連交通が二万台にふえても、状況としてはかなりよくなるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 これは二・五倍ということは公団側が明らかにしている数字でありますけれども、あくまでも仮定でございますと、こういう前提で言っているわけですね。私は、そういう数字でもっていまどうのこうのという問題ではないが、要するにいまの現状をもってしても、正直申し上げてこれはもうパンクの状態じゃないか。しかも一万台という数字についてはいささか私もちょっと疑念を持っているんですよ。港空局次長の答弁にもありましたが、これは最初の数字なんですよ。成田空港をつくるという当時の想定で考えた一番最初の数字である。その数字もとにして出したのが一万台の数字であったわけです。だから、利用客その他全部が開港当初——昭和五十三年という想定ではなかったわけでありまして、いまから五年前ないし七年前の状態であったわけなんです。この五年ないし七年たった現状の中では、その利用人口、利用人員というものはもっと増大しているはずなんでありますね。これは空港公団が自分で持っている資料の中に出ているはずであります、これは私も知っておりますが。ですから、それから割り出していけば一万台という数字はこれはもう問題にならない数字である。私は、少なくとも現状をもってしても、一万台どころではなくて、その倍近い数字になるんではないだろうか、こういうように考えております。それから千葉大学の教授の方が「成田空港」という本を出していますが、この中で見まするというと、いまから五年ないし七年前の状態で、公団が考えている数字の大体三倍ないし四倍ぐらいの数字になっているんじゃないか、こういうような想定をしているわけですね。こうなってくると、自動車の台数そのものについてもこれはまあ仮定の数字にすぎないということになってくるわけで、航空局次長の言葉にもあったとおり、これをいま急に直すというわけにいかないのでこのまま使っているということも言っているわけなんです。私はそういう総合的な面からすると、まことにこの交通アクセスについては憂慮すべき状態にあるということをひとつ申し上げておきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、そういった状況等を考えてみると、土地収用法第二十条の「事業の認定の要件」の中で四つの要件がありましたけれども、この要件が全部満たされなければ土地収用はできなかったはずですね。私はこれをやはり建設大臣が当時認定したということについては大きな誤りがあったんじゃないかということを指摘いたしたいと思うんですが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  30. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この建設省の事業認定についての判断が間違っておったんじゃないかと、こういう御指摘だと思うんでありますが、何分すでに十年以上経過しておることでございまして、私は当時の状況、認定した当時におきましては、御指摘の諸条件については十分勘案してそして認定を行ったものと信じておる次第でございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 問題は、こうした事態が具体的に発生してきている現実の上に立ちまして、当然この問題については改めて大きな論争を呼ぶ問題であろうと思います。この土地収用の事業の認定については四つの要件がありまして、これらの要件が満たされなければこれはできないはずであります。この要件が満たされたとして事業認定を行い、空港公団は次の千葉県に対するところの土地収用委員会への提訴という形になって空港の強権発動に至ったと思うわけでありますが、こういう状況等を見まするというと、基本的にもうこのときから誤りを犯したということをこれは指摘せざるを得ないわけであります。いずれこの問題は空港の問題がこれから進むに従って漸次明らかになってくると思いますので、その中でただしていきたいと思いますので、きょうはこの程度にとどめておきますが、いずれにしてもこの基本的な認定の誤りにあったのではないかということを指摘をいたしておきたいと思います。  次に、これは空港公団の方にお尋ねしたいと思うのでありますが、昨年社会党の千葉県本部から公団に対しましていろいろ申し入れをいたしております。これに対する回答文書をいただいておりますが、内容的には今日変わりがないかどうか、当時のままで受け取っておいてよろしいかどうか、伺っておきたいと思います。
  32. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  空港公団といたしましては、国際空港といたしましてのその機能を全ういたしますためにB滑走路並びにC滑走路をこれを第二期計画といたしましてその工事を推進さしていただきたい、このように考えております。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 昨年の社会党千葉県本部から申し入れした内容、あなた御存じですか。それに対する回答については、あなた御存じないですな。
  34. 江見武二

    参考人(江見武二君) 昨年の五月に御回答申し上げました内容と、現時点変化はないというふうに確信しております。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、重ねて伺ってまいりたいと思いますが、第二期工事については強制収用のような強硬な態度はとらないで、あくまでも話し合いによって進めていくという、まとめるという約束がありますけれども、この点についても変わりありませんね。
  36. 江見武二

    参考人(江見武二君) 第二期区域につきましては、現在約四十ヘクタールの未取得地がございます。その大部分の土地の所有者が農民の方々でございます。したがいまして、私どもといたしましては、農民の方々とできるだけ円満に話し合いによる解決を図っていきたい、このように考えております。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、二期工事の区域内については強制収用をやらずにあくまでも話し合いでまとめていくという昨年五月の御回答のとおりに伺ってよろしいわけですね、確認をいたしておきますが。
  38. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  昨年御回答いたしました、農民、住民対策についての項でございますが、これは昭和四十一年七月四日の閣議決定の方針に基づきまして、農民の移転先における生活再建の確保を図ってきております。代替地の配分については農民の意向を十分尊重いたしまして、専業農業を希望する方に対しましては従来の経営規模に見合う面積を配分する、そしてさらに営農が円滑に行えるよう所要措置を講じておりますというようにお答えしておりますので、特に土地収用の関係で先生御指摘のようなことは御回答していないように私は記憶しております。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 いまの副議長の加瀬参議院議員、私ももちろん入りましたが、千葉県選出の衆議院議員、衆参両院国会議員団七名がお邪魔をいたしまして空港公団総裁から受け取っている回答なんですよ、それは、申し入れをして。それでそのときに、第二期工事区域については強制収用のような方法はとらない、あくまでも話し合いで進めますという約束を取り交わして帰ってきているはずです。それに基づいてその後の話し合いを進めていると私たちは理解をしてきておるわけですが、そういう考え方でよろしいかどうか。そう私は理解を、先ほどの御回答をそういうふうに受け取ったんです、あなたの答弁を。
  40. 江見武二

    参考人(江見武二君) 先ほど御回答を申し上げましたように、現在、敷地の中に土地を所有しておられる方で未取得の方の用地につきましては、ほとんどが農民の方の土地でございます。したがいまして、適切な代替地の提供等、万全の措置を現在も講じつつございます。そのようにいたしまして、できるだけ円満に話し合いによる解決を図っていきたい、こういうことでございます。できるだけ円満に解決していきたい、こういうことでございます。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 それは話が違うんじゃないですか。そうするというと、第二期工事を場合によっては強権発動もやるということですか。
  42. 江見武二

    参考人(江見武二君) 現時点で直ちに土地収用法の手続による強権発動をやるということではございませんで、できるだけ努力をする、円満に話し合いによる解決を図っていくというのが現時点の考えでございます。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 そうするというと、第二期工事についてもまたそういう体制をとっていくということですね。あくまでも話し合いでもって進めていくという大前提は、あなたのお話は一応の形式であって、実際の腹構えとしては、少なくとも強権発動を辞さないという考えで進めていくのですか。この点は重大な問題なので明らかにしてもらいたいと思います。
  44. 江見武二

    参考人(江見武二君) 基本的な考え方は、あくまで農民の方々と円満に話し合いが進められるよう努力すると、こういうことでございます。  なお、先生御承知のように、二期区域の中には一坪運動共有地等の土地等もございます。したがいまして、円満な話し合いがつかない場合は、これは空港建設の諸要素等を勘案しまして、ある時期にはそのような土地につきましては、万やむを得ず土地収用法上の手続を進めるということもあり得るかと思いますが、現時点においてはできるだけ円満に話し合いによって進めていくという考え方をしております。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 成田空港の解決は、二期工事をやめるというとでなければ解決がつかないんですよ、この問題は。あなた方はそういう考え方で割り切れないからこれだけの大混乱を招いているんですよ。一期の工事で打ち上げる。しかも一期の中で補償その他についてきわめて不満足な状態に置かれているものに対する諸対策が全部行われて、二期工事がやられないということになるならばこの事態は円満におさまると思うんだ、私は。  社会党は、少なくともこの事態についてはあらゆる角度から検討を加えて今日に至っておる。二期工事に対してそういう姿勢を持っている以上は、恐らく第一期工事を終わったこの段階において開港をいつしようとしても、開港はできなくなるだろうと私は思う。あなたの答弁は空港公団の答弁として理解してよろしいですか。
  46. 江見武二

    参考人(江見武二君) 用地担当の責任者でございます用地部長として、そのように考えておるということをお答え申し上げます。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 空港公団総裁の答弁として承っていいのかどうかということを言っているんです、私は。一坪運動がどうだとか農民の土地がどうだとかという区別ではないんだ。土地の所有に対してそういうことを発動するのかしないのかということをいま私は言っているわけだ。空港公団にわれわれが行ったときには、総裁以下は、そういうことはいたしませんと言い切っているじゃないですか。七人の国会議員団が確認していることですよ、これは。それに対して用地部長、あなたはいまそういうことを言い切っていいのかどうなのか。話が違うよ、大分にこれは。それとも、もう一ぺん検討し直して、この問題についての基本的な姿勢として公団が態度表明するかどうか、これはひとつ考えてやられても構いませんが。
  48. 江見武二

    参考人(江見武二君) 先ほども申し上げましたように、用地担当の用地部長としての考えを申し上げたのでございますが、なお、先生が御指摘のように、現実に私どもの総裁が先生のお話のような、御指摘のようなことを申し上げたということでございましたら、帰りまして総裁にさらに申し上げてみたいと思います。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにいたしましても、二期工事の問題については一期よりももっと重大な問題なので、これはひとつきちっと指摘をしておきたいと思います。  それから、以下具体的なものについて伺いたいと思うんですが、現在四千メートル滑走路の下に岩山の鉄塔というのがありますが、この鉄塔の下でちょうど三軒の農家の方がいま困っておる。それは岩沢政雄という方、外二名。三名でありますが、いずれも大体土地は農地、森林等を合わせまして三町歩前後のものを持っておると思います。この岩山鉄塔下の三軒の農家に対しては、私たちはこれはいま大変な段階に置かれていると思うのでありますが、移転もできないし、非常にいろいろの悪条件の中で困り抜いておるわけでありますが、このことについてはどのように認識しておりますか。
  50. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  先生御指摘の土地所有者は、御指摘のとおり、岩沢政雄さんと、それに岩沢吉井さん、石井好雄、この三名の方だというように私たちは考えておりますが、この方々に対しましては、一昨年来、代替地等の候補地をお示しいたしまして、できるだけ円満に話し合いによる解決を図るように現在も努力しておる段階でございます。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 現在も努力をしている、しかし、航空法によるというと、これは当然移転させなければならないんでしょう。
  52. 江見武二

    参考人(江見武二君) その中の、御指摘の三名の中の岩沢政雄さんだけが航空保安施設用地の中に住居を構えておられます。したがいまして、この岩沢政雄さんにつきましては御移転いただくということでございます。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 あとの二軒はどうなんですか、これはどいてもらわなくてもいいんですか。
  54. 江見武二

    参考人(江見武二君) あとの二軒の方は、現在騒音区域に住居を構えておられます。したがいまして、岩沢政雄さんと他の二軒の方も、現在の時点では——と申しますのは、当初は別個にそれぞれ話し合いの機会を持ったのでございますが、現時点では、岩沢政雄さんからの御提唱もございまして、三人の方、御一緒にいろいろお話し合いを進めさしていただいておる、こういう状況でございます。したがいまして、同時に御移転いただくということになると思います。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、具体的に公団としてどういう対策をいま立てて、話し合いを進めておりますか、具体的に。
  56. 江見武二

    参考人(江見武二君) この御指摘の三名の方はいずれも農民の方でございます。それで、御本人の御希望も、今後営農を続けていきたいという強い御希望がございますので、従来の営農規模に見合う十分な代替地を準備してお話し合いをするという方針で、現時点でもすでに数カ所代替地を御案内するなどいろいろやっております。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 私は、いまのこの問題についてはただ三軒の問題ではないと思っているんですよ。要するに、地権者全体に対する問題がここに総合的に凝縮されてきていると思うんです。そういう意味で、私は地権者問題という立場から質問をいたしておりますから、そういうふうに受けとめてください。  それで、いまのお話によるというと、農業経営者であるから当然これは営農ができるように考えたいと、こういうことを言っておるわけですが、それは具体的に言えば農地を伴うものと解釈してよろしいんですか。農地のあっせんをするということですか。
  58. 江見武二

    参考人(江見武二君) そのとおりでございます。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 その農地というのは、耕作条件、農業収入等、現状を下らないものとして考えてよろしいかどうか。
  60. 江見武二

    参考人(江見武二君) そのとおりでございます。
  61. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、そういうことで交渉をしてきたとするならば、三軒の方との交渉はいまどの程度まで進んでおるのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたい。開港しようという段階において空港用地の中にいるわけですから、しかもこれが解決されないまま開港しようとされているわけなんで、重大な問題だと思うんですよ。この話し合い、交渉というのはどの程度まで具体的に進んでおるのか、それをひとつ説明してください。
  62. 江見武二

    参考人(江見武二君) 具体的な代替地を当方で提示いたしまして、それにつきまして現在その三名の方々は御家族といろいろ御相談をして返事をするということで、いま御返事をお待ちしているという段階までいっております。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 三人の持っておりまする畑、たんぼ、森林別にわかりますか。
  64. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  岩沢政雄さんがお持ちの所有地は二万二千九百三十二平米でございます。約二万三千平米というふうに御理解いただきたいと思います。それから他の二人のうち岩沢吉井さん、この方が二万一千平米、もう一人の石井好雄さんは約一万平米でございます。それで、この面積の中には宅地もございますし、若干山林もございます。約八割方が農地というように概数ではなるのでございます。
  65. 赤桐操

    赤桐操君 私がさきの予算委員会大臣に質問をいたしまして、いままでの地権者対策というのは約束をしても全部空手形であったんじゃないかと、あなた方の答弁は信用ができないということを前提として、文書をもって回答をしてもらいたいと、こういう要求をいたしました。これに対してメモが来たわけでありますが、そのメモによりまするというと、「土地所有者の今後の農業経営が成り立ちうるよう」ということが出ております。この「農業経営が成り立ちうるよう」ということはどういう具体的なことなのか、説明をしてもらいたいと思うんです。
  66. 江見武二

    参考人(江見武二君) まず、先生御指摘の、従来と同程度以上の農業経営が成り立つというのは、まず基盤となりますのは土地でございます。代替農地、これがまず必要である。それからその代替農地につきまして、今度はそこで現実に耕作が行われるわけでございますが、耕作につきましてはいろいろ県の農林部等の御指導も仰ぎながら、御本人と相談をして適切な作付、何を作付するというようなことを御相談をしていくというようなことで進めておりますし、今後も進めていくということでございます。
  67. 赤桐操

    赤桐操君 適切な代替地ということをいま言われておりますけれども、この適切な代替地というのは具体的に言うとどういう代替地が適切なんですか。
  68. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えします。  まず、適切な代替地、これはいろいろ定義の仕方があると思いますが、私どもが考えておりますのは、従来の営農規模に見合う面積の確保、これがまず必要だと思います。それからさらに、その代替地の地味等、あるいは生産物の出荷、あるいは販売等のルートの確保、このようなものは総合的に必要かと思っております。
  69. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、面積は少なくとも現状の面積をくだらないということですか。
  70. 江見武二

    参考人(江見武二君) 代替地は、結局御本人の御希望を尊重しながら決めてまいるという方針を従来からとっております。したがいまして、御本人が従来の営農規模とほとんど等面積の代替地が必要であるという御判断でありましたならば、従来の営農されてほる規模の面積を下らない面積に相なるわけでございます。
  71. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、この地味と言いますけど、地味とはどういうことですか。
  72. 江見武二

    参考人(江見武二君) その土地の生産性ということに考えております。
  73. 赤桐操

    赤桐操君 さらにまた、この回答文書の中でもう一つありますが、「生活設計にも充分配慮しつつ」ということがあるんですね。これは具体的に言うとどういうことになるのか。現在のいろいろたんぼで、あるいは畑で上げている生産、これに伴うところの収益というものがあるわけですが、そして長い間にわたったこの北総の一角を中心として、ここでこの人は生活の基盤ができ上がっているわけでありますが、これが立たさるということになりますれば、当然そこの生活条件に大きな革命が行われるわけでありますけれども、この「生活設計にも充分配慮しつつ」と書いてありますけれども、そのことを指していると思うけれども、具体的にはどんなことが配慮になるんですか。
  74. 江見武二

    参考人(江見武二君) 農家の方が他に転業等じゃなくて、そのまま営農を続けられます場合の生活設計と、このように御質問の趣旨を理解いたしましてお答えを申し上げます。  すでに、千葉県の協力を得まして準備してきた代替地等を含めまして、空港事業用地から移られました方の代替地は三百ヘクタールを超える代替地にそれぞれ御移転いただいております。それで、その方々も最初はやはり違った場所へ移るわけでございますから、いろいろ農業経営上支障があるんじゃないかというようなことで御危惧があったようでございますが、現在は落ちついてそれぞれ従来の農業規模、農業収益に十分見合うような収益を上げて営農生活をなすっているという実例が一つございます。  それで、そのような実例を踏まえまして、これから御移転いただく方との話し合いの場における代替地、代替農地提供にまつわります、それに基づきます今後の営農というのもケースケースによりましていろいろございますので、ケース・バイ・ケース、これは農民の方も今後の自分の生活設計のことでございますので非常に真剣に調査をなすって、御自身も調査をなすって御納得いただいて、私どもと協議をしながら進めておる事業でございますので、ケース・バイ・ケースでいろんな事情がございますが、私どもといたしましては、いままでも先ほど申し上げましたように相当数の方が御移転いただいて、そこで生活なすっているという現実もございます。今後もいままでと同じようによく話し合いますと同時に、お移りになった後もそのままで終わるということじゃなくて、いろいろ御相談に応じながら進めていきたい、このように考えております。
  75. 赤桐操

    赤桐操君 私が言っているのは、この三軒を中心にしていま聞いているんです、三軒を。三軒に対してはどういう対策をとるんだということを聞いているんです。回答文書によれば、土地所有者の今後の農業経営が成り立ち得るようにするんだと、こういうことを言っておるわけだし、さらにまた、生活設計にも十分配慮しつつこれは考えるんだと、こう言っているわけです。あるいは回答文書の中で、適切な代替地、これも考えると言っておられる。しかし、私がこう細かく聞くのは、あなた方に対する不信感があるからなんですよ、私自身にも。いいですか。農民はもっと不信感がすごいんです。だからああいう始末になっちゃっとるんですよ。国も公団も県も含めて、農民にいままで約束したことはみんな空手形じゃないか、現実には。それでどうにもこうにもならなくて転業した人たちはどうなっていますか。みんなみじめなものですよ。百姓がくわ、万能をやめて、そしてほかの商売をやるったって、こんなものはできるものじゃないんです。そこに追い込められて、大変な苦難な状態に追い込められている者も数多くある。そういう状態を見ているから地権者はあなた方に対して大変な不信感を持つように至っておる。しかも今日まで十年たっておる。この間においてほとんどそれに対する対策がとられていないんじゃないですか。そうでなければ、ここまでの状態というものはできるものではないんです、これは。実際問題として。  私がこうして質問しているのは、これは何人目だか、国会議員として、千葉県選出の国会議員としては。いままでの千葉県から出た社会党の国会議員あるいは革新系の国会議員が、この問題をめぐって質問した内容を挙げてみたら大変なものでしょう。その都度みんなあなたがいま言うような抽象的な答弁で終わっているんですよ。それではもうこの問題は解決つかないと思うから一つ一つ具体的に私は尋ねているんです。尋ねていても抽象的な答弁しかしないじゃないですか。三軒の名前を挙げて、これをどうするかと尋ねても、具体的な答弁がないじゃないですか、一つも。だからこういう結果になっているんですよ、このことは。どこに誠意がありますか。農民が土地を取られれば、それは死命を制せられることと同じじゃないですか。他に転業した者はみんなみじめなかっこうになっておる。これはもう理屈はない、ここには。土地をかえてほかへ移ってもろくな商売はできないんです、そこでは。農業はできないんです。この北総台地の農地というものは黒々とした農地なんですよ。先祖からもらってきている土地なんだ。先祖代々大変な苦労をして今日の農地をつくり上げているそういう農家ばかりなんです。しかも、あなたもいま言っておられるように、これは篤農家なんです、ここでは全部。大変な精農家なんだ、みんな。はっきり申し上げるというと、昔は革新系の地盤じゃなかったんだ。これは全部保守系の地盤だった、前には。それがいまやそうでなくなってしまっている。しかも各政党に対しても、政府や公団に対しても、これほど不信感を持った層というのはないでしょう、今日。どこにありますか。そういう意味で私はいま一つ一つ質問をしておるわけなんです。もっと具体的に答弁したらどうですか。
  76. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  三人の方につきましては、先ほども申し上げましたように、具体的に代替地を、御本人にそれぞれ現地を御案内しまして、お見せをして、それで御本人が現在家族の方と相談なすっておるという段階ということを先ほど御説明申し上げましたんですが、そういう段階でございます。
  77. 赤桐操

    赤桐操君 いましかし、三軒の人たちは結構でございますということを言ってないわけでしょう。それにもかかわらず飛行機はいま出ようとしておるわけだ。ここから離陸しようとしているわけです。開港されようとしているわけです。いま、大臣の先ほどの答弁で一応延期にはなっておりますけれども、この事件がなければ大体三十日には式典が行われて、四月二日には一番機が飛び立つと思いますね。そうすると、この三軒の人たちはその真下なんですよ、大体がね。四千メートル滑走路のその延長線上の下なんです、ここは。すぐ下なんです。それで三軒が大体三、四百メートルぐらいしか離れてない。こういう状態のところに置かれている。これがもう真下と言って過言ではないわけですね。一軒は真下です、これは。これはもう条件も何も終わらないうちに飛行機は飛び立つのですよ。本来なら、こういうものが全部解決をして飛行機が飛び立つということでなければならないはずです。だから、これは怨嗟の中の開港なんですよ、はっきり申し上げて。  これは、成田のこの土地の問題だけではないんだ。ここの農家の人たちだけではない、周辺人たちもみんなこの問題については、大変な実は祝福どころではなくて恨みを持っておるはずです、率直に申し上げて。この農家の関係というのは、田舎ですからみんな近郷近在に親戚もあるのですよ、成田市内全体はもちろんのこと。こういうところではみんな一家眷族が心配しておるわけだ、実際。それで、結局は追い出されていくんではないかと、こういう一種の宿命感まで持たざるを得ないところまで来ている。これは私は大きな問題だと思うのですよ。しかも公団が発足してから十年余にわたって何らこの問題の解決が基本的になされてない。農家の人たちが納得するようになぜいままでできなかったのか、試心誠意説くことができないのか、言うことを聞くことができないのか、こういうことですよ。だれだって自分の生活の基盤が失われるということになれば、これは必死になるのは当然じゃないですか、実際の問題として。それを力で押そうとするところに私は大きな問題があると思う。  これは、いまのお話の中を聞いてみても、三軒の農家が了承した上で、あとは手続上の問題だけが残っておりますと、それでは発車させてもらいますというんじゃないんじゃないですか。全然合意も何も得てないじゃないですか。私は私なりに現地から聞いておる、いろいろなことを。あなたがいまお話しなすっているようなものではない。冗談じゃないと、こういう考え方を持っておる。そんなことで納得できるかということで言っておるわけです。農家があるところからあるところへ移転すれば、当然もう作付も何もこれはみんな変わってくるのだ。営農の仕方が違ってくるのですよ、これは。だから、農家にとってみればこれは大変な問題だ。そういう問題について、親切に、懇切に、相談に乗りながらやっていますか、今日まで。
  78. 江見武二

    参考人(江見武二君) 先生のおっしゃることはごもっともだと私ども考えております。私どもも、おっしゃるようなことを考えながらいままで農民の方と接触を保ってきておるつもりでございます。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、さらにお伺いいたしますが、県所有の代替用地がいま準備されておるそうですけれども、あなた方の方の御説明によると、大体二百ヘクタールぐらいあると用いておりますが、このうち実際に農地として使える用地はどのくらいありますか。
  80. 江見武二

    参考人(江見武二君) 千葉県が空港の代替地として御準備願った代替地のうち、配分をすでに終わりまして残っている面積が、先生御指摘のように約二百ヘクタールほどございます。そのうちで——と申しますのは、これはほとんどが従来農地であったものを千葉県が取得して、代替地として用意されたものでございますので、そのうちのたとえば大規模な相当面積を占める土地につきましては、それは生活の利便を考えますために、その中に耕作のための道路をつくるとかということで若干つぶれます。つぶれておりますが、現在農地として残っておりますのは約百四十ヘクタールほど残ってございます。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 あなたの方の責任者から私は伺ったけれども、二十ヘクタールぐらいしかないそうじゃない、使える農地としては。千葉県が持っている二百ヘクタールというあの残、あなたの方で予定しておるものは、これは岩山から何からみんな入って二百ヘクタールなんですよ。私は知っておるんですよ、千葉県出身なんだから。本当に農地として評価できる用地というのは二十ヘクタールぐらいしかないそうじゃない。一割ないと言っておるよ、あなた方の方の物の言い方としては。
  82. 江見武二

    参考人(江見武二君) 現在残っております代替地につきまして、農地部分は私が申し上げたように約百四十ヘクタールあるんでございます。ただ、先生がおっしゃいますように、適切な代替農地として現時点で判断できるかどうかという問題が一つございます。と申しますのは、現在、農民の方々といろんな角度から接触を持ちつつ、その御意向を伺っておりますが、できるだけ遠くへは行きたくないという希望が非常に強うございます。そうしますと、その中でいわゆる近いところにある代替地と、代替農地ということに限定いたしますと、先生御指摘のように約二十ヘクタールぐらいになろうかと思います。それからまだ、先ほど御答弁申し上げましたように、空港二期計画区域の空港本体の中には約四十ヘクタールほど公団は未取得地がございますので、とてもそれだけじゃ足りないわけでございます。ということで、県が準備していただいた代替地の関係はいま申し上げたような数字でございますけれども、それ以外に空港公団といたしまして独自で代替地のあっせんというのを始めております。  これは、先ほど御答弁申し上げましたように、遠隔地は困ると、近くのところで代替地が欲しいという御希望があります場合には、たまたま県の方で用意していただきました代替地が近くにないと、しかも農家の方でございますからいろいろ自分の従来おやりになってきた農業経営の形態があろうかと思います。お好みの形態もあろうかと思います。それに適合するものがないというときには、その農民の方と御一緒にこの土地はどうだろうかというような御相談を具体的に申し上げて、その土地を公団があっせんする、代替農地として御本人に使っていただくと、こういう方策を現在実施しつつございます。
  83. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、いまのお話の中を伺っておりましても明らかになっていますが、あなた方が実際あっせんしようとする農地というのは、具体的に申し上げると、房州の外れの方から千葉県全体に広がっておるわけですよ。そんなところへ農家が移転できますか、現実の問題。成田周辺で農業やっておった者が房州へ行ってごらんなさい、作付は何をやるんですか。お花畑をやらなきゃならないんですよ、これは。成田周辺でスイカ畑でもって年収のほとんどを上げておった連中が、房州へ行って花畑をやんなきゃならないんですよ。お花の生産をやらなきゃならないんですよ、こんなことできますか、現実の問題で。そういうあっせんの仕方が、率直に申し上げるというと、公団のいわゆる土地あっせんにすぎないんだ、こんなものは。だから農家ががえんじないんですよ、これは。腹立つのあたりまえじゃないですか、それは。いままでスイカをやって年間ほとんどこれで収入を上げておった、あるいはたんぼをやって、先祖代々のたんぼで非常に肥えたいいたんぼだ、地質もいい、反収も相当ある、こういう状態の中で、がらり変わって房州の方へ行ってごらなさい。これは全然作付が違っちゃいますよ。やはり私は二十ヘクタールぐらいしかないというのは本当だと思うんです。だから、これから必要な代替用地というものはないということなんだ、結論的に言えば。これが一つだ。  次に、その代替地と称するものについて私は伺いたいと思うんだけれども、一体、公団は地質調査をおやりになっておりますか。
  84. 江見武二

    参考人(江見武二君) 個々の代替地について、具体的に地質調査は実施しておりません。と申しますのは、代替農地として確保いたしますところは、ほとんどが従来農地、いわゆる熟畑であったところを主として選定するという考え方でおりますので、そのまま使えるという一つの判断もございまして、具体的に地質調査をやるというようなことはやっておりません。
  85. 赤桐操

    赤桐操君 成田周辺は関東ローム層ですよ。房州の方は関東ローム層じゃない。少なくとも農地のあっせんをしようとするのに、地質調査もしないであっせんできますか、現実の問題で。これは土地利用の原則でしょう、そうじゃないんですか。
  86. 江見武二

    参考人(江見武二君) 先生から御指摘の中に房州という言葉が出てまいりましたのですけれども、先ほどの御答弁を繰り返すようで恐縮でございますが、現在、県が御用意いただいた代替地の中で農地部分は百四十ヘクタール。そのうちでいわゆる成田周辺、つまり房州とかなんとかということじゃなくて成田周辺、たとえば富里村周辺と申しましょうか、その辺の近くのところは約二十ヘクタールと、こういうように申し上げております。したがいまして、富里村周辺でございますと、これは空港用地内と地味等は余り大差はない、ほとんど適応性があるというように考えております。
  87. 赤桐操

    赤桐操君 そういうところでは、圃場整備はできておりますか。
  88. 江見武二

    参考人(江見武二君) お答えいたします。  これは三人の方ということじゃなくて、一般の御質問ということで御答弁さしていただきます。
  89. 赤桐操

    赤桐操君 三人を含めて。
  90. 江見武二

    参考人(江見武二君) はい。これはいずれも代替農地と申しますのは、御本人が今後の財産として保持して、そこで生活設計をなさる土地でございますので、まず御本人の希望が優先することに相なります。それで、圃場整備、たとえば畑灌施設等も一つの方法かと思います。それはそこに入られる方々と御相談しながら、ここは畑灌施設がいいというような御希望等もあるところで御相談いたしまして、畑灌施設を施工しておるところもございます。特にそういう御希望のないところはそのままの形というふうに、いろいろなケースがございます。
  91. 赤桐操

    赤桐操君 さらに、伺いたいと思うんですが、適応作物についてはどのように調査をしておられるか。適応作物についての検査が済んでおるかどうか。
  92. 江見武二

    参考人(江見武二君) 今後、代替地を御本人の御希望によりどの辺にさらに求めていくかという問題は別といたしまして、従来の代替地に御移転なすった方々につきましては、たとえば現在成田の地区で、たとえば空港敷地内で従来おやりになっておりましたようなスイカだとかショウガだとか、そのような作物に適する土地が代替地となっておるのでございます。
  93. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても足らないでしょう、土地が。県のあっせんしたものだけでは、県から譲り受けたものだけでは。だから、あなた方の方では別にあっせんの用地を考え始まっていると、こう言っておるわけでしょう。そうでなきゃ足らないわけだ、いまの数字から言ったって合わないんだから。それをいま聞いているわけだよ。そういうものを含めて、少なくとも適応作物の検査を終わっておるのか、あるいはまたその地質の調査はしたのか、圃場整備等は済んでいるのかと。そういうものは全部済んでいるのでなければ、こちらへごあっせんをいたしたいということにはならないだろうということを言っているわけですよ。
  94. 江見武二

    参考人(江見武二君) 先生に御説明申し上げましたように、御指摘のように、あと空港敷地内にいらっしゃる方に対応する代替地、これが御本人の御希望が従来の経営規模の面積を下らない面積、俗に申しますと、一対一という計算でいたしますと、単純に計算いたしましても絶対数は足りるんでございますけれども、実質的には御指摘のように房州の端の方もあるんじゃないかという御指摘でございますので、現在の敷地内の地権者の方々の御希望と合致しない部分も大分ございます。それを差し引きますと、約二十ヘクタールぐらいということでございます。  それで、先ほども御答弁申し上げましたように、県で御用意いただいた代替地の関係はそういうことでございますが、空港公団独自で代替地をごあっせん申し上げるということは、実は四十八年ごろからすでに始めておりまして現在まで至っております。それでその際に、具体的に圃場整備、これは代替地の中で代替農地として必ずしもそのまま使えないというようなのもございます。と申しますのは、先ほど先生が御指摘ございました三人の方、実は岩山部落の方でございます。その方たちは実はその部落の他の十数名の方と御一緒にお移りいただく予定だったんでございますが、いろんな事情ございまして、他の十数名の方が代替地の方に御移転いただくということで代替地の選定をいたしました際に、たまたま農地として従来の熟畑と同じような形のものじゃない土地でございましたので、そこは農地造成工事を現在やっております。ほとんどでき上がりつつございますが、そのようなところにつきましては先生御指摘のような準備をそれぞれ、まだ最終的ではございませんが、やる考え方も持っておりますが、それ以外のいわゆる何と申しますか、十数名で一緒に同じところへ行かれるということじゃなくて、個々にお移りになる代替地につきましては、これは従来が農地でございましたし、そこである一定の農業経営ができるような形が整っておりますので、そのままそこへお移りいただく。もっとも、これはお移りいただく方々に御納得いただいた上での話でございますが、いただければそういう形になっております。
  95. 赤桐操

    赤桐操君 この辺はスイカの栽培の大変なところなんです、あなたも御承知のとおり。大体自分の地で生活費のほとんどはスイカで上げちゃっていますよ、年間収益は。そのほかにたんぼがある。それからその他の近郊農村としていろんな蔬菜類をつくっているわけですね。裕福な農家なんですよ、みんな。相当生活程度は高いんです、この農家はみんな。スイカの栽培なんかは大体現状同等の収穫が上げられますか。
  96. 江見武二

    参考人(江見武二君) これからお移りいただく方々はこれからの問題で、結果が出てないわけでございますが、現在までにお移りいただいている方で、従来スイカをやっていた方はやはり同じように現時点もスイカをやっておられる方がございますが、非常に成績がいいという結果が出てございます。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、どうもいまのお話を聞くと、代替地の用意も十分じゃない、これからのいろいろあっせんで考えなければならないんだ、こういうことであるし、必ずしも現在の農地に対する見合った農地として考えられているということも保証されてない。公団自体としてもそれ以上具体的なものまでは算定をしてないようでありますから、もちろん現在の上げている収益、作物、そうしたものをもとにしてこれを転換させていったときに、こういう作物はできないがこういう作物はできる、それによってどういう収益を見合うことができるか、こういう具体的な本来ならば計算があってしかるべきだと思うんです、私は。しかし、そういうものは残念ながら聞くことができなかった、きょうの答弁の中では。ないからでしょう。それは当然ですよ。地質調査さえもやらないし、さらにまた適応作物の検査さえもやってない。スイカの栽培についてどのくらいになっておる、本当のところどのくらい収益を上げているかも御存じないでしょう、実際には。その収益に見合うものを一体何で補てんしていくのか、こういうことも考えられていないようであります。こういう代替地のあっせんというのは私はないと思うんですよ。これは農民が納得するわけがない。あなたが農家であったって納得しないでしょう、現実に。これはもう絶対納得できない内容だ。  大臣のこの間の文書回答によるというと、土地所有者の今後の農業経営が成り立ち得るよう、これが一つ出ている。生活設計にも十分配慮する、これが出ている。適切な代替地——適切とは現在の生産、現在の収益、これに見合うものであるはずだ。これが標準でなきゃならぬはずだ、この場合には。適切な代替地、こういうことが述べられているけれども、いまこれを一つ一つただしてみるというと、全部具体的なものが裏づけられていないじゃないですか。まして代替地というものについては、大体必要なだけのものはないんじゃないですか、現状。こういう状態の中でいま空港開港しようとしているんですよ。だから、あなた方の考え方というものは、地権者とか地元対策なんかどうでもいい、とにかく飛行機を出せばいいという考えなんだ。なぜ、その基礎となるものをまずきちっと整理をして、地元の農家から地元の関係者から挙げて祝福されるような状態の中で開港への取り運びができないんですか。成田空港開港はこれなくしてはあり得ないんですよ、現実の問題として。  以上の点について、きょうの御答弁は残念ながら私はお答えとしていただきかねます、これは。これでは現地農民が納得するわけがない。こういうことをひとつ最後に結論としてこの問題について申し上げておきたいと思います。同時にまた、この対策について公団、運輸省、それぞれひとつ責任ある形をもってこの三軒の農家に対する問題についての具体的な措置、さらにこれからの地権者に対する態度、こういうものをきちっとして明確にしてもらいたいと思う。先ほどの二期工事の問題についての態度をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  以上、ひとつ申し上げて、この成田問題を終わりたいと思います。  それでは、続いて私は提案されておりまする道路問題に入ってまいりたいと思います。  第七次の道路整備五ヵ年計画の実績で見まするというと、その進捗率が大体八一・三%、これは全体の平均でありまして、一般道路事業を見るというと七九・八%、有料道路が七八・〇、地方単独が九六・三、こういうことになっております。全体で八一・三%となっておるわけでありますが、大変大きな実は目標未達成の状態にありますけれども、この事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  98. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、第七次の道路整備五カ年計画は八一・三%というお話でございますが、実は五十二年度におきます補正を入れますと約八四%ぐらいになりますが、いずれにいたしましても一〇〇%を大きく割っておるわけでございます。これの原因は、何と申しましても、この七次の五ヵ年計画昭和四十八年にスタートしたわけでございますが、四十八年にスタートした直後、いわゆる石油ショックのために以後の総需抑制策から道路事業が特に大きく抑えられた、ほとんど三年ぐらいにわたって前年対比で同額、あるいは年によっては前年より落ち込んだという年もあるわけでございまして、そういうような状況の中で一方また建設費等の高騰もありまして、そういうようなことから全体の達成率が九割に達しなかったというような状況でございまして、これは過去の五ヵ年計画にはないことでございます。いずれも過去の五ヵ年計画は三年やって四年目に拡大改定をやってきて、かなり前倒しで実施してきたわけでございますが、七次の五ヵ年計画はそういう事情から達成率が大きく下回ったということでございます。
  99. 赤桐操

    赤桐操君 この四月から五十三年度以降の第八次の道路整備五ヵ年計画がスタートすることになると思います。この内容は、この案でも出ておりますが、二十八兆五千億の事業規模であります。第七次のいまの状態から見まするというと、当初計画から比較するならば一・四六倍ということになるわけでありますが、実績と比較するとこれは二倍近い状態になっているんじゃないですか、一・八倍ということになっているように思います。実際には八〇%ちょっとというところでとどまっていたわけでありますが、今回思い切って二倍に近い状態にまでこれを設定をする、こういうことになっているわけでありますが、これは第七次の状態と比較いたしましていささか検討を要する内容ではないかと、こういう感じがいたしますが、この点はいかがですか。
  100. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、第七次の実質と比較しますと二倍近い伸びになっております。しかし、二十八兆五千億の全体規模の考え方は、これは現在の五十年代前期経済計画の十九兆五千億の枠組みの中でこれを時点修正をいたしまして積み上げたものでございまして、伸びからいたしますと二十八兆五千億は十九兆五千億の一・四六倍でございますが、十九兆五千億自体がこれを現時点で価格修正いたしますと三十四兆ぐらいの規模になるわけでございます。それから比べますと、規模としましてはその八四%ぐらいに二十八兆五千億は相当しているわけでございまして、伸びとしましては、これは新しい安定経済成長の中で、公共事業投資に大きな制約のある中で五十年代前期経済計画のシェアを中心に想定いたしたものでございまして、規模としてはほぼ妥当のものというふうにわれわれは考えているわけでございます。
  101. 赤桐操

    赤桐操君 大変大きな膨大な国費を投ずるわけでありますけれども、第七次の状態までは私は率直に申し上げてやはり巨大都市優位のネットワークづくりであったように思うんです。それで、今度の第八次の道路整備五ヵ年計画の中ではこの点を多少考慮しているように思うんでありますが、地方道、とりわけ市町村道の整備について具体的にどのような形で展開していくかということはこれから非常に注目されている問題だと思います。  そこで、道路整備水準の指標とも言うべき舗装率あるいは改良率、これらの一応基準といたしましてこの状態をひとつ説明をしてもらいたいと思うんですが、現状までの状態、これをどのようにこれから改善をしていくのか。
  102. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) まず、道路整備現状でございますが、数字的に若干申し上げますと、改良率、舗装率というふうに統計的には分けておりますが、舗装率で見るのが一番その水準を判断するのに適当かと思います。五十二年度末の舗装率——舗装済みの延長の率でございますが、一般国道では九四%ぐらいになっておりますが、都道府県道になりますと、これが七七%ぐらいに下がっております。さらに、市町村道ということになりますと三二%というふうに、全体の三分の一にまだ舗装が到達していないという状況でございます。さらに市町村道の中身を幹線市町村道と一般市町村道に分けて見てみますと、幹線市町村道は四三%になっておりますが、一方、一般市町村道の方は二九%ということで、さらに一般市町村道の舗装率は下がっておるわけでございます。  道路整備現状はこういうことでございますが、道路交通需要と申しますか、車をさばいております道路種類別の量で見ますと、都道府県道以上、いわゆる幹線道路は大体全国の全体交通量の七二%を一応処理しておるわけであります。市町村道は延長こそ九十万キロ、全体の八五%を占めておるわけでございますが、交通量といたしましては二八%というようなことでございまして、おのずから道路の格と申しますか、種類によりまして、その整備の手順としましては一般国道から市町村道まで、大木の幹から大枝、小枝につながるような形で整備されていく、バランスよく整備されていくというのが大体普通の姿でございます。そういう意味から言いますと、従来幹線道路の舗装率が非常に高まってまいってきておるのと比べますと、市町村道はこの程度のものでもやむを得ないわけでございますが、しかし、新しい五ヵ年計画におきましては、やはり幹線道路から市町村道までを含めました全体の道路網をバランスよく整備していくというたてまえで考えておりまして、その中で市町村道の整備は伸びとしてはかなり大きなものを予定いたしております。  その中身といたしましてどういうことを考えているかということでございますが、地方道の整備に当たっては、広域的な生活圏の形成に必要な都道府県道並びに日常生活の基盤となる幹線市町村道に重点を置いて整備を推進することとしておりまして、特に生活基盤の整備に関連いたしましては、まず、すれ違いの困難なハス路線——バス路線は住民の足としてミニマムなものでございます。こういうものを新しい五ヵ年計画では大きく重視してまいりたいというふうに考えております。それから二番目には、木橋とかもぐり橋とか渡船というようなものはかなりあるわけでございます。これの永久強化を急ぎたいということ。それから交通不能区間の解消。それからさらに四番目には交通危険個所の解消。こういったいわゆる特に緊急を要する事業を優先いたしまして、その整備を促進してまいる方針でございます。また、市町村道、地方道の整備当たりましては、地域格差の是正と民生の向上に資するために、特殊立法関係の奥地等産業開発道路あるいは過疎対策道路、山村振興道路といったような事業について十分配意してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  103. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  104. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 赤桐操

    赤桐操君 いわゆる都市開発、住宅開発等に対するところの各種の規制がありまするけれども、この規制はどういうような指導のもとに行われておりますか。
  106. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 宅地に関する規制といたしましては、都市計画法に基づきまして市街化区域、調整区域の区分をいたしておりまして、市街化区域につきましては千平方メートル以上のものにつきましては開発許可を要する、調整区域につきましては、原則といたしまして市街化区域を抑制する区域でございますけれども、一定要件を満足したものについては開発許可の道が開かれる、こういう事情でございます。
  107. 赤桐操

    赤桐操君 宅地開発に伴う各種の関連公共公益施設の設置の問題がございますが、これはどういう基準で指導されておりますか。
  108. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 開発許可につきましては、都市計画法によりまして開発許可基準というものが規定してございまして、もっぱらこれは開発許可の基準となるものは、上排水あるいは交通の確保、環境の整備という観点から許可基準、安全基準が定められております。
  109. 赤桐操

    赤桐操君 国が指導しているその基準と、さらに各県、各自治体にはそれぞれ指導要綱というものがあると思うんですが、これとの関連はどんなふうに行われておりますか。
  110. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 現在、開発指導要綱は大体大都市圏を中心といたしまして、周辺の市町村約三百六十五市町村が開発指導要綱をつくっていると思いますけれども、これはもっぱら法令の根拠のない全くの行政指導、いわば開発許可に伴うところの行政内規というものだと思います。当初はやはり都市計画法に基づきますところの開発許可基準に対する技術上のガイダンス的な役目を持っておったわけでございますが、現在では関連公共公益施設に伴いますところの地方負担が非常に過重になっているという点から、こういった関連公共公益施設に対する負担の基準というものをむしろ中心になされておるような次第でございまして、これと都市計画法に基づくところの開発許可基準というものは直接関連はございません。
  111. 赤桐操

    赤桐操君 開発認可を得て開発を行わなければならないわけなんですね。開発認可を得て開発をしなければこれはできないわけでしょう。この場合には、少なくとも事前協議から本申請を経て開発認可というものは行われると思うんですが、その前段の中では、この開発の基準なり指導要綱というものが厳しくこれは影響していると思うんですね、現実の中では、だから、いまのようなお答えにはならないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  112. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、開発許可は都道府県の知事が許可を行うわけでございますが、開発許可を都道府県知事がする前段の行為といたしまして、都市計画法の三十二条によりまして、開発許可を申請しようとする者は、開発にかかわるところの公共施設あるいは公益施設の管理者と協議をし同意を得るという手続があるわけでございます。したがって、公共公益施設の管理者との協議を経て、その同意があって初めて知事に対する開発許可の申請ができると、こういう仕組みでございます。したがいまして、この開発者が公共施設、公益施設の管理者と都市計画法三十二条に基づく協議をする際に、いまお述べになりましたところの開発指導要綱に基づいて行政指導がなされると、こういう仕組みになっているわけでございます。
  113. 赤桐操

    赤桐操君 それで、行政指導がなされて、それに基づいて行われてきているのが現状だと思うんですね。これは局長の方でもそういう御認識であろうと思いますが、よろしいんですか、それで。
  114. 大富宏

    政府委員(大富宏君) そのとおりであります。
  115. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、各指導要綱を見ますと、各自治体ごとに皆違っているんですね。私の周辺なんかは、これは特に厳しいところでありますけれども、またこれほど、千葉県ほど厳しくないところもほかにはございますね。あるいはまた、県内におきましても市町村段階でそれぞれみんな持っていますから、各県ごとにも違うし、同一県の中でも各市町村ごとに指導要綱によっていろいろ行われているようでありますが、こういう開発に伴う各種の行政指導が厳しく行われていってりっぱな町づくりがなされていくということは、私はこれはやっぱりたてまえだと思います。それで、非常にこれは結構なことだと私は考えておる。  そういう前提でいま実は話を進めるわけでありますが、したがって、各自治体ごとにいろいろと厳しい、緩急はあるけれども、国の基準よりさらにいろいろの条件を付してよりよいものをつくろうという、こういう熱意でやってきているわけでありますが、この状態の中で、やはり高度経済成長時代においてはそういうことがなされていってもいろいろの成長経済の中で吸収をされていくこともあり得るし、したがって、各種の公共公益施施等についても何とかそれが消化をされて、いわゆる受益者負担として、最終的な土地を求める段階でその処置がなされていったわけでありますが、今日の段階になるというと、これがなかなかそういかなくなってきておるわけですね。しかし、町づくりの原則というものは私はこれは正しいと思うし、よりよくつくっていくべきだと思うんですけれども、これに対してどういう考え方を今日の段階でお持ちになっておりますか。高度経済成長時代においては、これはある意味においては、場合によっては規制の意味もあっただろうと思いますし、よりよい町づくりのための指導であったかもしれないけれども、いまの段階になりますというと、それが逆に大変な、入居者に対するちょっと負いがたいような、受け切れない負担になってきていることも事実だと思うんですね。しかし、この指導というものは私は誤っていないと思うんですが、どのようにお考えになりますか。
  116. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 住宅団地あるいは宅地開発に伴って必要となりますところの公共公益施設の負担者はだれかといいますと、原則的に申しますと、市街化区域内につきましてはそれぞれの公共公益施設の管理者が負担すべきもの、調整区域におきましては原則として開発者が負担するというのが都市計画法のたてまえでございます。しかしながら、現在非常に社会資本整備が未熟のわが国におきまして、しかも地方財政に貧困の問題がございます。それと、やはりこういった大規模になればなるほどそうでございますけれども、住宅あるいは宅地開発というのが一挙に急激に大量の公共公益施設の需要を発生する。それについては十分地方財政が対応し得ないという事情が過去にあったわけでございます。そこで、やはりこういった公共公益施設、本来原則としてそれぞれの管理者が負担すべきものにつきまして、やむを得ず開発指導要綱によってデベロッパーがこれを負担するという行政指導がなされた。これは私どもはある程度やむを得ない措置だというぐあいに理解いたしておるわけでございます。  そこで、御指摘のように、われわれのデータによりますと、これも規模によって若干負担の率が違いますけれども、金融公庫の融資した事例で見ますと、平均でも造成区画の四五・五%という非常に高い比率がデベロッパーの負担になっておる。これはひいては宅地価格、家賃にはね返るものにコストとしてなるわけでございます。これも御指摘のように非常に地価が上昇している過程におきましては上昇地価に吸収されて余り問題は表面化しなかったわけでございますが、石油ショック以来地価が幸いにも鎮静化し、横ばいになってきた。こういう段階では、こういう関公の負担費というものが非常に大きい開発者の負担になり、それがひいては最終需要者にはね返るという問題になってきたわけでございます。  したがいまして、私どもは常に、国会からの御指摘もあったわけでございますけれども、こういう開発者の負担になり、しかも本来公共公益施設管理者が持つべき関公の負担というものは、極力ひとつ地方財政の負担を軽減する意味でいろいろな措置をずっととってまいり、基本的には、こういった国庫補助の採択事業範囲になるべく採用するというのがやはり基本的な問題かと思いますが、あとは補助率をかさ上げするなり、あるいは立てかえ制度を充実するなり、あるいは地方債のかさ上げの利子補給、こういう施策をずっととってきたわけでございますが、さらに五十三年度予算につきましては、御案内のとおり従来の補助ベースとは別に別枠三百億というのを住宅宅地関連公共施設整備促進費として補助の新たな制度をつくったわけでございまして、なるべくこういった施策を講ずることによりまして関公負担を軽減していく、そして良質の住宅宅地を開発していく、そういうぐあいに指導いたしたいと思っているわけでございます。
  117. 赤桐操

    赤桐操君 いまのお答えの中で、デベロッパーに負担をさせるというお言葉がございましたけれども、デベロッパーはそういうものを負担しないんですよ。最終需要者に全部負担させているんですよ。私はデベロッパーが負担するという認識は誤りだと思うんですがね。これは必ず最終需要者がやっておるんですよ。デベロッパーはちゃんと自分で事務費も取っておるし、また利潤もちゃんと上げておるんです。そしてこういう公共負担分と称するもの、公益負担分と称するものは必ず最終需要者のところへこれは負担がかかっておるんです。入居者に負担がかかっているんですね。私はこういう認識なんですが、その点いかがですか。
  118. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、公的開発、民間開発を問わず、こういう負担は最終的には処分価格にはね返るものでございます。
  119. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、お伺いしたいと思うんですが、公共公益施設、二つになりますが、公共施設の中で一番大きな比重を占めるものはどんなものですか。
  120. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 街路も含めまして道路部分が非常に大きいウエートを占めております。
  121. 赤桐操

    赤桐操君 先ほど公庫住宅の場合で四五%ということを言っておられましたけれども、その四五%の中身をちょっと分析がわかりましたら御答弁願いたいと思います。
  122. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私が申し上げました四五・五%の負担は、公共施設負担及び公益施設負担、合計したものでございまして、その四五・五%という平均数値をとりました場合には、公共分が三〇・一%、公益分が一五・四%という数字でございます。
  123. 赤桐操

    赤桐操君 それは全国平均ですね、住宅金融公庫の。
  124. 大富宏

    政府委員(大富宏君) そのとおりでございます。
  125. 赤桐操

    赤桐操君 これを大変厳しい千葉県の例で申し上げまするというと、公共負担分が三九・四%、これは千葉県が最近つくってくれた内容なんです。これは県の方から出た資料をもとにして申し上げているわけですが、公益関係が小計いたしまして一四・五%になっております。要するに、両方合わせまして少なくとも五三、四%に至っておるわけですね。これが公共公益関係の施設分でございます。詳細に申し上げると、これは五三%ぐらいになりますかね、千葉県の場合では。この中で道路が大体二一・三%、公園が一三・七%なんです。これは住宅供給公社や民間の大きなやつを全部平均したやつです。だから、公的建設、民間建設の平均がこういうことだというように受け取っていただきたいと思うんですが、それが要するに合わせまして大体三五%が道路と公園になっておりますね。こういうぐあいに非常に公共負担分が大きいということがこれで明らかになっているわけでありますが、これがしかも地域によって、また各県ごとに大変な相違があるということはこれは大変大きな問題があると思いますけれども、こういうものについて、よりよい方向に引き上げていくということが当然の大体指向すべき方向であろうと思いますが、このアンバランスに対してはどのようにお考えになっていますか。
  126. 大富宏

    政府委員(大富宏君) かねてから、こういう開発指導要綱を千差万別であるのでひとつ統一的な指導をしたらどうかという御意見も承っているわけでございますが、住宅団地あるいは宅地開発に伴って必要となるところの関連公共公益施設、いわば社会資本整備をどの程度すべきであるかという議論になりますと、やはり開発されるところの立地によっても相当違うわけでございます。都心に近い、したがって社会資本整備がある程度整っているところにつきましては、やはりこういった関公負担がある程度低い。しかし、社会資本整備がほとんど整っていない遠隔地で地方でやるという場合には、素地価格の割りには関連公共公益施設の負担が高いという問題もございます。それともう一つは、やはりこういうのはデベロッパーの負担にということでございますので、当該地方公共団体の財政の規模によっても違う。それともう一つは、関連公共公益施設と申しましても千差万別でございますので、一概になかなかどの程度が開発者が持つべきものであり、どの程度が補助金として見るべきものか、一律に議論できない問題があるものですから、私どもといたしましては当該地方公共団体の実情なり、あるいは当該住宅宅地団地の開発のプロジェクトの中身によって個別に判断する以外はないだろう、統一的な基準というのは非常に作成が困難だと思っている次第でございます。
  127. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、指導要綱であっても、国の示す基準であっても、これはやはり一つの規制であり、ガイドラインだと思うんですね、これは。最終的な需要者はこれに基づいて行われていったものを求めることになるんですね。こういう事実関係を考えてみるときに、規制といいますか、一つの標準といいますか、そういうもので厳しく求めていくならば、当然これは一定の、ある程度までは何らかの助成なり、これに対するところの保護なりの施策が裏づけられなければならぬのではないか。  たとえば、この間の予算委員会においての質問に対する答弁として資料が出てきておりますが、ミニ開発の状態を見ますと、四十六年以降、毎年毎年高まってきておりまして、五十一年現在では大体もう五〇%を超える状態になっているんじゃないですか、ミニ開発が。全国のミニ開発がほとんど五〇%を超えるという状態というのは、私は重大な問題だと思うんですよ。このミニ開発にはこうした規制の適用がないんですね。だから、関連公共公益施設の負担がないから、いま申し上げた道路負担分だけでも三五%、公園と合わせまして三五%、これだけはないことになっちゃうんですね、端的に言えば。まして学校や何かのことも全部要らなくなるんですから、大体生産原価では半分になっちゃうんですよ、土地の生産原価のコストは。これはとてもじゃないけれども大変な不公平だと思うんですよ。それで、一方はまじめにガイドに示されたラインできちっとつくっていくわけですね。そういう形で忠実な町づくり、忠実な町づくりの中ででき上がったものを求めていくというこの入居者、大変な隔たりができてきていると思うんですね。  私はもう一つ参考までに伺いたいと思うんですが、大きくなればなるほどこの関連公共公益施設費の割合が高まってきているということを聞いているんですけれども、手元にお示しいただける数字があればちょっとお願いしたいと思うのです。
  128. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 開発する規模が大きくなればなるほど、やはりそこで確保すべき公共施設整備水準が高くなるものですから勢い大きくなるわけでございます。私が現在手元に持っている数字にいたしましても、五ヘクタールから十六ヘクタールの開発につきましては三二・一%、十六ヘクタールから三十三ヘクタールになりますと四〇・六%、三十三ヘクタール以上になりますと四六・一%、規模が大きくなるにつれまして負担率が高くなっていく、こういう状況でございます。
  129. 赤桐操

    赤桐操君 それは、それぞれのランク別の全国の平均だと思いますけれども、したがって、地域によっては有効宅地面積は五〇%を割る場合がしばしばあるんですよ。そういう実態だと思うんです。こういう状況から見ますと、これは大変な実は負担のアンバランスが出てきている。それが高度経済成長時代においては何とか受益者の方にも、ある程度物価のインフレ傾向の中で、あるいは土地の上昇ムードの中で吸収あるいはまた販売価格の中で解決ができたと思うのですけれども、今日の段階ではそれがもう不可能になってきている。しかもこうした指導あるいは高めていこうという町づくりのあり方、指向するもの、これはやはり正しい原則であるとするならば、これは何らかの対策をとらざるを得ないのではないか。  たとえば、いま民間の方から上がってきておりまするデータを見ますと、関東の各主要なところを八力点ばかり選んで出していただいた日本不動産協会の最近の資料がございます。ここには利潤等は見積もられておりませんから、そのままの価格として見て構わないと思いますが、東京周辺八カ所のいわゆる市街化区域の主要な地点を各県二カ所ぐらいずつ選んで、そしてつくったものが一つあるんでありますが、これでいきますと、大体公示価格で一応基準価格を押さえているわけですね、土地価格を。ですから、これはまあ標準になると思うんですが、それで仮にいま主要なところをとってみますというと、たとえば神奈川県で言えば平塚とか秦野、それから千葉県でまいりまするというと千葉市内、埼玉県等では行田、こういうようなところを大体標準にいたしまして八カ所を選定いたしております。大体これで計算してみるというと、買収用地で二万三千二百六十円という数字一つあります。そして工事単価が一万三千六百二十円、これを基礎にして計算をして、大体五年間で申請してから販売に至ると仮定するというと、でき上がったものが坪単価三十三万円という数字が出ておりますね。しかもこの三十三万円については、いろいろのその後の企業努力やあるいは申請の過程における申請期間の圧縮とか、そういう金利を圧縮する方法等をとっていく。  さらに、もう一つは、たとえば道路の設定にしても、一番標準道路として最低を六メーターにしているけれども、大きな団地の場合、奥の方は六メーター要らないじゃないか、これを仮に五メーターにした場合においてはどうなるか。メーン十二メーターを仮に奥の方は十メーターにしたらどうなるか、八メーターにしたらどうなるか、こういう若干のいろいろ設計がえをやって公共負担分の軽減を図って有効宅地面積を広くしていく、これを大体六〇%程度に持っていく。そういう二段、三段の努力を重ねて、最終的に可能であるというところまで大体見た数字がこれの二五%減ですね、ようやく。ですから、実際にはこの価格は大体二十二万ないし三万ぐらいに落ちると思いますね。これだけの努力をしても二十二、三万にしかとどめることができないです。これで大体五十坪平均でもし宅地をつくったとすれば一千万を超えることになるんですよ、宅地だけで。この一千万のうち半分が公共公益負担分だと、こういうことになってくる。特に道路と公園の負担分だけで三五%から四〇%になる。こういうことになるというと、これは三百万から四百万ぐらいのものが道路負担分であり、公園の負担分になるということになりはしませんか。そういうことでしょう、これは。  それで、問題は、村山大蔵大臣はこの間の予算委員会で、これからの新しい公共投資の対象として少なくとも道路やあるいはまた公園や、こうした環境整備に必要な面にこれからは対象がえをすべきではないかと、住宅の建設に対して金融だけ措置をしただけでもって家は建つものではない。その建設の基盤となる基本的な関連公共公益施設に対する投資を行わなければ、それはその上に家を建てていくということにはならないではないのかと、これがこれからの低成長時代、安定時代における新しい公共投資の対象ではないのかという質問に対して、その点についてはそのとおりだと、各省の中でそういう方向転換をしてもらうように御努力を願いたいと思う、こういう答弁をされたと思うんです。この考え方に従って私はいま申し上げるわけなんでありますが、そのときに村山さんは、金融公庫融資つき住宅については、一戸に対して二十一万円の金額を見ておりますと、このことをひとつ御認識願いたいということを繰り返し強調された。しかし、いま私が具体的に例示したこの例でいくならば、二十一万どころではなくて、一千万円の土地に対しては三百万から三百五十万、この程度は平均どころ、みんな持たなきゃならぬいわゆる道路と公園の負担分ではないかと思うんです。この点についてはどう考えますか。
  130. 大富宏

    政府委員(大富宏君) ただいまお述べになりましたとおり、今後の住宅あるいは宅地開発にいたしましても、もっぱら物理的な土地というよりも環境というのが重要になってくるわけです。デベロッパーはむしろ土地を売るというより環境を売るように努めなければならぬという言葉があるぐらいでございますから、やはり今後の居住水準を高める、その中心は居住環境は良好なものを確保するということになろうかと思います。  お述べになりましたとおり、確かにいま申し上げますように、四五・五%というように関連公共公益施設の負担が大きいのは事実でございますけれども、これはやはり先ほどもちょっと申し上げましたけれども、用地費あるいは宅地造成費、あるいは関連公共公益施設、金利、諸経費、こういうものの絡みでございます。いまお述べになりましたように、不動産協会のように、あらゆるものを本当に最小限度ぎりぎりに、たとえば開発期間も極力小さめにし、使うところの金利も安い金利を使い、それから公共施設もできるだけ最小限度の公共施設を整備するというようなあらゆる条件を切り詰めますと、確かに二五%ぐらいのダウンということもあろうかと思いますけれども、できますところの団地について良質の居住環境を確保するということであれば、やはりそれは立地によって相当違いますけれども、土地価格の非常に安いところは非常に関連公共公益施設の負担の支出を大きくしなければならないという立地条件もございますけれども、今後はやはりこういった関公施設に相当の金を出すということは非常に必要なことだろうと思います。ただ、その場合に、その関公費をすべて国サイドで持つのか、あるいはデベロッパーにおいて受益者負担というかっこうで持つのか。これは良好な環境を確保された土地であるから、最終的にはある程度最終利用者が持ってもいい部分も相当私はあろうかと思いますが、その負担区分のところが非常に問題でございます。いずれにいたしましても、環境について相当力を入れなければならないということは、私どもの宅地あるいは住宅団地開発に対する指導の姿勢には間違いはございません。
  131. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、やはり道路を狭めてみたり公園を縮小してみたりということは私は邪道だと思うんです。やっぱり積み上げてきた指導体制、その町づくりの原則をこれからも高めていくべきだと思うんです。そうでなければ町づくりの意味がないと思う。それから環境を売るなんということもできないと思う。そうだとするならば、やはり私はこれに対してそれだけの厳しい指導、それだけの社会的条件を課していくということであるならば、当然それに対し保証していくべき社会的な裏づけが必要ではないのか。  これをひとつ私はもう一遍具体的に申し上げたいと思うんですけれども、これは私が現実にこの中に参画してやってきたんです。千葉県の開発審議会の中で私は十五年間やりましたけれども……。大体千葉県の臨海工業地帯に一千社誘致をしております。内陸工業地帯は一千社を超えておりますけれども、この二千社を超える企業の誘致に当たってはいろいろの条件を企業に対しては与えているんですよ。たとえば、臨海部におけるところの土地の造成からして違うんです。土地造成については、県は民間のいわゆる資本を導入して、これを巧みにやりました。そうして物納で造成費を払っているわけですね。そうして残った土地が県有地になるわけです。この県有地についてはいわゆる原価主義でもって企業に対する売り渡しが行われている。ところが、民間に物納されたその代償となったものは、そのときの価格でもって一般の売買がなされている、こういう状態だったわけですね。その中で千葉県の四千五百万坪にわたる浦安、行徳の南岸から木更津沖までの埋め立てが完成された、こういうことになっておる。そこに企業が安い土地を求めて立地をする。その企業は、安い土地を求めて立地しただけではなくて、岸壁まで全部つくられているのですよ、港湾が。千葉港はこれは国の大きな国家事業として行われているはずであります。それからここに通ずるところの産業道路は全部これは国の事業として行われているはずだ。こういうぐあいにして、さらにその上下排水施設あるいはまた電話まで企業優先ですよ、これは。いわゆる民需の方は後ですよ。そうして企業が最優先でこの場合は全部してあるわけです。税金についても何年間か免除された時代もあった。こういう恩典があったから企業は銀行から金を借りて工場建設してもこれはやり切れたと思うのですね。ペイできたと思うのです。  しかし、ここに働く労働者や京浜地帯が飽和状態になって千葉県へずんずん流入してきているところの人口は、この人たちは、残念ながらこういう恩恵の中で生活基盤が与えられていない。産業基盤はそういうことに与えられたかもしれぬけれども、生活基盤は一つも与えられてない。これはいまこの数字の中で示したとおり、全面的に受益者負担で全部やられておるわけですね。だから、ここで働いて、ここでかせいで生産を上げる労働者は、全部受益者負担で環境一切のものを自分でやらなきゃならぬ。企業の方は、いま申し上げたように、あらゆる特典を与えられた中でもって企業立地を行ってきている、こういう経過だったと思うのです。  私は、率直に申し上げるのだけれども、これはやはり基本的に誤りだったと思う。このことを私はしばしば指摘したけれども、残念ながら地方の段階では解決できなかった。そうして高度経済成長時代から安定時代に入って、いよいよ住宅の建設までできなくなってきている。最終需要者は金がない、こういうところまで来ている。この段階になっても、なおかつこの生活基盤たる最も根本となるものに対して配慮がなされないということであっては、私は国の政治ではないと思うんです。ここには本当の意味における建設行政はないんじゃないかと、こういうように言いたくなるんですけれども、どうですか、この点は。
  132. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 現在、住宅宅地開発上のネックになっておるのに、いま御指摘のように関連公共公益施設の負担があることは御指摘のとおりでございます。それにつきましては四十二年の五省協定以来いろいろな施策を講じてきているわけです。先ほどもちょっと申し上げましたように、やはり一番重要なのは、こういった最終利用者に負担がかかる関連公共公益施設につきましてできるだけ補助採択をしていく、国の補助金をそこに投入していくということが非常に重要でございます。  それから、なかなか補助が追っつかぬという場合には、五省協定以来やっていることでございますけれども、立てかえ施行制度——とりあえず開発者においてやっておいていただいて、後から補助が追っかけていくという立てかえ施行制度の充実なり、あるいは地方債に対する利子補給をやるなりという施策を逐年充実して今日まで来ているわけで、まだまだ私どもはこれについて十分だとは思っておりません。今後も大いに努力しなければいけないと思っておるわけでございますが、さらにこの五十三年度につきましては、先ほど申し上げますように従来の補助ベースに加えて別枠の関公の補助を出したと、こういう次第でございまして、こういった施策もどんどん今後も続けていきたいと思っております。
  133. 赤桐操

    赤桐操君 三百億についてはわかっておるのですけれども、私はそれでは少し少な過ぎるのじゃないかと。道路にこれだけの大きな金を五ヵ年間で使うという計画をいま立てておりまするけれども、それにしてはばかにこういったものに対するところの施策が乏しいのではないか。この道路予算の中の大部分と言っても、これは言い過ぎになるかもしれませんが、かなりの部分をいまこうした課題に投入すべきではないのかと、こう思うのです、私は。そうでなければ、いかに金融をいろいろと図ってみたところで、とうてい私はこれからの自力建設というのはできないと思うのです。公的、民間を問わず、これからのネックになっているのはこれだと思うのですね。これの対策をとらないで、これからの住宅政策はあり得ないと私は考える。それから、この対策なくしては、本当の意味における建設行政というのはないんじゃないですか。新しい公共投資の対象はまさにこの辺じゃないのかと思う。計画局長じゃなくて、道路局長どうですか。私はそういう面に思い切った投資が行われていかなければ本当の低成長時代、安定成長時代を迎える建設行政ではないと思うんですよ。だから、私は道路予算の問題についても、もうこの辺で一つの転換期が来ているんじゃないかと、道路予算の内容についてもですね。地方道と国道、こうした差から見ていっても余りにもかけ離れ過ぎている。地方道全体の整備、さらにいま申し上げてきたようなこうした面に対する投資、こういうものこそ新しい時代の投資対象ではないのか、道路政策はそういう形でもって予算の配分を変えていくべき時代が来ているんじゃないのかと、こういうように私は思うんですけれども、いかがですか。
  134. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) まことにおっしゃるとおりだと思います。私どももそういう認識で新しい五ヵ年計画を組んでおるわけでございますが、新しい五ヵ年計画の中で、住宅宅地関連道路整備中心にいたしまして、そのほかにも下水道、あるいはダム、学校、圃場整備、鉄道、空港、工業流通団地といったような各種の公共施設を、公共投資を生かすための道路投資ということを十分今後考えていかなきゃならぬのではないかということで、こういった公共関連の道路整備を大幅に伸ばしていっているわけでございます。その関係の予算は新しい五ヵ年計画では二兆八千億を超えておるわけでございます。また、この中の一つの大きな分野を占めます、先ほど来お話しの住宅の建設あるいは宅地の開発に関連する道路でございますが、道路は確かに生活の場の基盤施設でございまして、大きな団地ができれば当然そこまで行く道路があってしかるべきものでございます。そういう視点から、これまでもかなりそういう点、意を用いてきたつもりではございますが、今後一層そういう関係道路整備を進めてまいりたいという考え方でございまして、昭和五十二年度には住宅宅地関連道路ということで三百二十四億の事業を実施しております。住宅建設あるいは宅地開発の円滑な推進に資するため、今後ともこの種の事業については関係機関と協議調整しながら事業の一層の拡充強化を図ってまいりたいということを考えておりまして、五十三年度予算につきましても、一般の道路の伸び率が一・三倍程度のものでございますが、これに対して住宅宅地関連の道路事業は一・九倍ぐらいに伸ばしたいというふうに考えておるわけでございまして、今後もそういう方向で道路整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  135. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、とにかくこの道路予算の使い方の内容をこの辺でやはり本格的に私は検討すべき段階に来ていると思うんです。それで、これだけの大きな負担を需要者に最終的にかけておるということは私は社会問題だと思う。そういう意味合いから、少なくとも事務当局でもこの問題に四つに取り組んでもらって、これからの検討課題として本格的にひとつ取り組んでもらいたいと、こういうことを要望しておきたいと思います。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、現在の提案されております法律案につきまして質問いたします。  最初に、この第八次道路整備五ヵ年計画は、昭和五十年代前期経済計画及び三全総と関連をさせてこれはよく検討されているとお聞きしますが、この三者の関係、そして位置づけをどのように考えてみえるか、お尋ねします。
  137. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  新しい第八次道路整備五ヵ年計画は二十八兆五千億の計画でございますが、これは全体規模を考える場合に、お話の五十年代前期経済計画、これが大体基盤になっております。五十年代前期経済計画では十九兆五千億という、公共投資再兆のうちの十九兆五千億が道路投資というふうに枠組みがなされておりますが、これをベースにいたしまして、現在価格に直し、さらにこれは二カ年間期間がずれておりますので、この期間のずれを修正いたしますと、大体二十八兆五千億というような数字になります。こういうようなことで、経済計画の枠組みの中あるいはその延長線でこの新しい五ヵ年計画が考えられたものでございますが、そのほかに昨年十一月に出ました三全総との関係でございますが、三全総につきましては、その作業段階で枠組みについて十分調整を図りながら一応全体の投資規模を考えたわけでございまして、これとの調整も図られておるわけでございます。  なお、中身といたしまして、三全総の定住圏構想と道路のこれからの整備のすりつけにつきましては、五ヵ年計画実施段階でこの定住圏構想が実現する方向で具体的に事業を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これはもうわが党の竹入委員長も代表質問で触れられておりましたけれども、現在の円高の情勢等によりまして、この昭和五十年代前期経済計画は当然これは見直しをしなきゃならない事態を招いておると私ども考えておりますけれども、その点、これは当然見直しをされたときには、この第八次道路整備五ヵ年計画そのものも見直しをされなきゃならないのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  139. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほど申し上げましたように、今度の五ヵ年計画は五十年代前期経済計画をベースにして決めたものでございます。したがいまして、公共投資百兆の投資は五十一年から五十五年までの投資枠として想定したものでございますが、新しく前期経済計画が見直されましてこの公共投資の枠等が大きく動くような場合には、当然新しい五ヵ年計画もその時点で見直すべきものだというふうに考えております。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、今回のこの改正でございますけれども、いままでこの道路整備緊急措置法は制定されてからたびたび一部は改正されてきましたけれども、この第一条の「目的」そのものがやはり改定されたということは、これは初めてじゃないかと思うんですが、改定を必要とした理由についてお伺いします。
  141. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 今回、御指摘のように、初めて道路整備目的を、表現を改定いたしたわけでございますが、まあこれは従来御承知のように道路整備目的は、従前の表現は、「自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与することを目的とする。」というような表現になっております。「自動車交通の安全」というような表現になっております。あるいは道路整備目的自動車だけでなく、やはり歩行者も自転車もあるわけでございます。そのほかの機能もあるわけでございます。この表現が非常に狭いということと、経済基盤の強化に寄与することを大きな目的として掲げておる、道路整備目的はこれだけではないんではないか。むしろ「生活環境の改善に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」というような表現が妥当なんではないかということで、従来やっておりました道路整備の考え方、中身をそのまま的確に表現した姿に直すという趣旨で改めたものでございます。
  142. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話をちょっとお聞きしたんですけれども、確かにこの条文の中に「生活環境の改善に資し」と、こうございますね。あるいは「国民生活の向上に寄与する」とございますが、具体的にどういう方向にこれが変化をしていくのか、もっと具体的にちょっとお話しいただきたいと思います。
  143. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) やや具体的に表現の中身と実際の事業の中身とを比較して申し上げますと、生活環境の改善に資するというような言い方をしておりますが、最近の道路整備に対する社会的要請の多様化を反映しまして、近年、道路交通の安全の確保とその円滑化という目的では律し切れないような、たとえば次のような道路事業が急増しております。すなわち、道路交通施設であるだけでなくて街区の形成だとか防災、美観、供給処理施設の収容等の生活環境を形成する多様な機能を持っておるわけでございますが、このような道路の持つ生活環境面の機能を増進するための道路事業を促進する必要がある。この事業の中身としましては、道路緑化対策、土地区画整理あるいは市街地再開発事業だとか、自転車、歩行者専用道路整備、あるいは避難路の整備、共同溝の整備といったようなものがあるわけですが、こういうものに大きく重点を置きながらやっていきたいということでございます。また、道路構造及び道路交通に起因する障害を防止または軽減させるために、沿道環境保全対策といったものを強化する必要があるわけでございます。この関係の事業といたしましては、バイパスだとか環状道路整備、あるいは沿道環境のための遮音壁、環境施設帯の設置、民家の防音工事の助成、あるいは緩衝建築物の設置といったような事業があるわけでございますが、これらも新しい五ヵ年計画の中では大きな重点を置いておるわけでございます。
  144. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、それではこの五十三年度を初年度として二十八兆五千億円という投資規模になっているわけでございますが、これはたとえば第七次計画に比較しますと、一般道路事業では一・四五倍で、有料道路事業では一・四五倍、このようになっておりますが、五十七年度末までに道路状況変化はどのようにとらえてみえるか、その点お尋ねいたします。
  145. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 五十七年度末、道路整備五ヵ年計画、新しい五ヵ年計画が達成された暁の整備率で申し上げますと、これは、整備率と申しますのはいわゆる混雑度一を超える区間については未整備という整理をいたしまして、この混雑度一以下のところを整備されたものというふうに考えまして混雑度の要素を入れた指標でございますが、それでいきますと、一般国道では五七%、道府県道が四二%、幹線市町村道が三一%、幹線市町村道以上の合計でいきますと三七%、一般市町村道が二三%、合計いたしまして二八%の整備率になるわけでございまして、もう一つ、改良率ということで考えますと、一般国道が九三%、都道府県道が六九%、幹線市町村道が四三%、一般市町村道が二三%、全体で三五%というような改良率になる予定でございます。
  146. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この計画を推進するための二十八兆五千億円ですけれども、この計画の遂行に必要な財源措置につきましては、一月三十一日の閣議了解によりますと、昭和五十四年度予算編成時までに所要の検討を行う、このようにありますけれども、この財源措置について内容を具体的に御説明願いたいと思います。
  147. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) この財源措置でございますが、第八次五ヵ年計画の事業の内訳、資金構成の詳細については、お話にございましたように現在検討中でございまして細かい数字はまだ出ておりませんが、たとえば要求時の国費率等によって概算いたしますると、特定財源比率は自動車重量税の国分の八割を含めて、おおむね八〇%程度になるというふうに見込まれます。それから、あとこの財源手当ての問題ですが、これは八次五ヵ年計画を遂行するために必要な財源措置につきましては、政府として昭和五十四年度予算編成時までに所要の検討を行うこととしております。五ヵ年計画の円滑な実施を図るためには財源の確保がぜひ必要な課題であるわけでございまして、特定財源の充実とやはり一般財源をあわせて確保しながらこの新しい五ヵ年計画を遂行していくことになろうかと思います。
  148. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 第七次に比較しまして、第八次はやはり生活基盤としての市町村道の整備に重点が移ったと私たち考えますけれども、この第八次道路整備五ヵ年計画の二十八兆五千億円のうち地方単独事業が約七兆五千億円、二六・三%これは見込まれております。これは第七次の十九兆五千億円における地方単独事業の四兆七千億円、これは二四・七%ですけれども、比べてみますと、やはり事業費及び比率がともに増加しております。また、予算財源の内訳を見ましても、国費と地方費における特定財源の占める比率というのは国に厚く地方に薄くなっている。このように私は思っておりますが、すなわち国費一兆六千五百八十億六円に占める特定財源の一兆二千九百九十億円、この比率は七八・三%、それに対して地方費の二兆一千十四億円に占める特定財源の八千七百九十二億円の比率は、これは四一・八%になっております。そのために、その他の部分では一兆二千二百二十二億円というのが一般財源と地方債で賄わなきゃならない、こうなってくると思います。これは財政の逼迫している地方自治体をますます圧迫してくることになると思いますし、建設省は地方債に対する利子補給ということを考えていたと言われますけれども、今後この地方財源に対してどのように考えておみえになりますか。
  149. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 地方の道路財源といたしましては、御承知のように地方道路譲与税、それから軽油引取税等の特定財源があるわけでございます。昭和四十年代の前半ではこの特定財源比率が大体四〇%程度でございます。これがその後徐々に比率を高めてまいっておりまして、途中の四十九年、五十一年度の税制改正によりまして地方の特定財源の充実強化がなされたわけでございます。その結果、最近では五〇%を上回る比率になっておるわけで、徐々に特定財源比率が高まって、特定財源を中心にして道路事業が行われているという事情は国、地方も同じような傾向だと思います。また、現行の七次五ヵ年計画の地方費の特定財源比率は、当初スタートするときには計画で三六%の特定財源比率であったわけでございますが、それが結果で見ますと五三%ということになっております。一方、第八次の五ヵ年計画につきましては、現在、事業内訳、資金構成の詳細について検討中ではございますが、仮に要求時の地方比率等によって概算しますと、大体六〇%程度というふうに見込まれますので、この七次と比べますと、計画、実績、いずれの場合も上回った数字でスタートするというような形でございまして、比較的安定的な特定財源に頼った形になっております。地方の道路財源の確保につきましては、地方の特定財源の充実を含めた地方財政全般の拡充強化の中でその対策を講ずる必要があるわけでございますが、今後十分検討してその具体的内容を五十四年度までに固めたい、五十四年度の予算編成時までに固めたいというふうに考えているわけでございます。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ、市町村道のことについてちょっと御質問しますけれども、わが国の市町村道の実態は、先ほども局長から話がありましたが、総延長では約九十万キロということです。ところが、自動車交通不能区間というのが二十五万キロあります。あるいは幅が三メーター五十未満、これが五十四万キロ、約六〇%強ありますが、本来この市町村道というのは各市町村、自治体の自由な意思決定によってこれが認定されるのではないかと思うのです。九十万キロのうち約二十万キロを、これは幹線市町村道として選定して重点的に整備促進を図ることとしておりますけれども、これはどのような基準で幹線市町村道を選定されたのでしょうか。
  151. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、市町村道は全体で九十万キロあるわけでございますが、そのうちネットワークとして重要な幹線市町村道を約二十万キロ選び出しておるわけでございますむこの二十万キロについて国庫補助事業により整備の促進を図るというような方針で地方の道路整備を進めておるわけでございますが、この幹線市町村道は大体主要な集落、それから公共公益施設、学校といったような施設、その他の幹線道路、こういった施設と他の幹線道路とを連絡する路線、そういった路線を重点的に選定しておるわけでございます。
  152. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その点で、市町村がこれを公共施設として、またはこの市町村道を将来管理していこうと、こうした場合に各地方自治体にそういった市町村道の認定の基準ないし、または内規というものがあった方がいいんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  153. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 市町村道につきましては、御指摘のように市町村道を認定する場合には大体市町村の意思で、市町村議会が決めれば認定できるという姿になっております。若干その辺は全国ばらばらな認定が行われているという実態はあろうかと思います。市町村道は道路網のうちの最小路線であるわけでございまして、地元住民の日常生活に密接な関係を有する道路であって、地元住民の意向を十分に反映させることが必要であると考えられるわけでございます。したがって、市町村道については一律に基準等によることなく、適宜認定できることとしておりますのが現在の実態でございます。したがいまして、各府県ごとに若干のアンバランスがあるわけでございますが、道路網の姿から言いますと、全体百七万キロの道路のうち八五%の九十万キロが市町村道でございます。市町村道延長というのはかなり長いわけでございまして、この中には、ちょっと農道程度のものとか、ほとんど人が歩く、何といいますか、小道程度のものというようなものから、大きいのは大きな都市の街路といったようなものまでいろいろあるわけでございます。中身は非常に種々まちまちでございます。そういうことから九十万キロに対する整備の姿勢として、やはりこの中で特にネットワークとして重要なものを選んでいかなければ、現実の問題として均斉のとれた整備ができないという考え方から幹線市町村道の二十万キロを選んでいるわけでございますが、この幹線市町村道につきましても、この中をさらに一級、二級というふうに分けまして、やはりそれぞれの道路の性格を浮き彫りにしながら、重点的に整備するものを前倒しで整備しておるというのが実態でございます。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 では、次に防災対策についてお聞きしますけれども、昨年の七月三十一日に建設省から防災総点検の調査結果が発表されましたが、これを見ますと、道路の危険個所というのは約七万五千カ所あり、対策費用は一兆一千九百億円、こうなっています。これは昭和五十一年度に実施をした落石等の危険個所の対策事業費に対しまして約十七倍の規模に相当すると発表されているわけですけれども、この調査結果は第八次計画の防災対策のベースになると思われるわけですけれども道路防災対策についてどのように策定していくお考えがあるのか、その概要についてお尋ねいたします。
  155. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 八次の五ヵ年計画におきます防災対策の概要でございますが、道路の防災対策につきましては、落石防止さくや落石防止網等の設置、コンクリートの吹きつけ、あるいはのり面の整正だとか、浮き石の除去といったようなことを実施しております。これらの工法では安全が確保できない個所については、従来落石覆い工を設置したり、危険個所を避けるためのトンネルだとか橋梁をつくりまして道路をつけかえているというようなことが従来からのやり方で、こういうやり方で重点的に防災対策を図ってまいったわけでございますが、この八次の五カ年計画におきましては、昭和五十一年度に実施いたしました防災総点検による落石、のり面崩壊等の危険個所七万五千八百カ所をおおむね昭和六十年度までに解消することを目途にしまして、五十七年度五ヵ年計画期間中までにバス路線にかかる個所とか緊急度の高い個所を四万八千四百カ所選びまして、この危険の解消を図るということを考えております。  その危険個所の解消に当たっては、危険の度合いを三つのランクに分けて、危険度合いの高いものから順次やるような考え方をとっておりますが、一番危険度の高いランク一につきましては、ほぼ対策を完了することを考えております。また、ランク二、三につきましても、その半数の対策を完了して、災害の発生をできるだけ未然に防止するよう努力する所存でございます。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、やはり道路の震災総点検というのを出されましたが、この震災対策はどのように策定されていますか。
  157. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 防災対策とあわせて震災対策を検討いたしたわけでございますが、この震災対策につきましては、御承知のように、橋梁、トンネル等の構造物が破壊された場合に特にその影響が大きいわけで、またそういう場合に復旧にも時間がかかるというようなことでございます。そういう観点から橋梁、トンネル等の耐震性の強化を重点的に図るということが従来震災対策の考え方でございます。従来は昭和四十六年の耐震性点検に基づく震災対策事業を推進してきたものでございますが、その後、周辺状況交通量の増加、都市化の進展、あるいは最近のような関東周辺に警告された地震の危険性といったようないろんな情勢を踏まえまして、五十一年度に、先ほどの防災点検の際に新たに総点検をあわせて実施しておるわけでございますが、その結果、全国で七千六百カ所、事業費にして四千六百億の対策を講ずる必要があることが判明したわけでございまして、この五ヵ年計画ではこの点検に基づく対策を一層強力に推進することにいたしまして、五十七年度末までに総点検による要対策個所の九三%、約七千カ所以上の事業を推進することといたしております。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この総点検に基づきました対策につきましては万全を期してやっていただきたいと思いますが、この震災点検結果の中に、特に東海地方の駿河湾を中心に、なかんずく静岡県の主要幹線道路については五十三年度中に所要対策を講ずると、このように特記されておりますけれども、具体的な施策内容はどのようになっていますか。
  159. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 静岡県の防災震災対策の中身でございますが、五十一年度総点検におきまして、静岡県は震災対策二百九十二カ所、防災対策三千七百五十一カ所が計上されたわけでございますが、このうち五十二年度末の見込みで震災対策は百五十カ所、五一%になりました。防災対策につきましては二一%に相当する七百七十七カ所の対策を完了する見込みでございます。これは全国平均の見込みの数字に比べますと、震災対策では全国が一九%に対して五一%でございます。約三二%ぐらい高いわけでございます。それから防災対策につきましても全国は一五%でございます。それに対して二一%ということでございます。六%高くなっているわけでございます。まあいずれも静岡県内につきましてはそういう事情からかなり重点的な対策を進めておるわけでございます。今後ともバス路線にかかる個所、緊急度の高い個所から対策を進めて、早急に危険個所の解消を図る所存でございます。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特に、静岡県の場合は、東海大地震も予想されておる段階でございますし、対策を急いでいただきたいと思いますが、特に伊豆半島の方におきましてはバイパスの要請等も非常にあるわけです。これは緊急避難道路としても必要な場合が出てくるわけですが、それに関連してちょっとお聞きしたいんですけれども、伊東市の方から百三十五号線の特別のバイパス、これの陳情がいま来ているわけですが、これは総工費八十億円ということですが、いままでに約五億円程度しか予算がつかないということですが、この進捗状況あるいは五十三年度中どの程度まで進むか、その点の御報告をお願いしたいと思います。
  161. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の百三十五号伊東バイパスでございますが、伊東バイパスは都市計画変更の必要を生じたわけでございますが、この手続が完了してないため、この問題区間を除いてそのほかの区間の鋭意事業を進め、運営を図っているところでございます。現在までに七・九キロのうち一・二キロだけ供用しております。昭和五十三年度はさらに事業を進めまして〇・五キロの供用開始を予定いたしております。御指摘のように、この事業は全体でまだ五十三年度以降の残事業が三十二億ぐらい残っております。早くこの都市計画の変更を進めまして、できれば五十七年度ぐらいまでには暫定二車線の完成を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど震災対策につきましては、橋梁、トンネル等の対策お話がありましたが、四十六年の五月十四日の参議院の災害特別委員会で地震対策に対する参考人の意見陳述がありました。その中で福岡氏が耐震工学の振興と耐震工学研究予算の増加ということを訴えられておりましたが、現状はどうでしょうか。
  163. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の耐震性点検に関する研究と申しますか、耐震性、耐震工法の問題でございますが、土木建築構造物の新しい耐震設計法の開発研究につきましては、建設省総合技術開発プロジェクトというのがございまして、これで鋭意研究を進めまして、昭和四十七年度以降五ヵ年間にわたり調査研究を行った結果、昨年の三月にその成果が新耐震設計法という形で取りまとめられたわけでございます。もうすでに報告されておるわけでございます。これは従来の土木建築構造物の耐震設計法に新しい考え方も取り入れて統一的に取りまとめた点で画期的なものだと思っておりますが、道路橋の耐震設計指針にはその考え方が一部すでに活用されているところであります。今後この新耐震設計法の考え方並びに今回の伊豆大島近海地震の被害状況の調査結果等を生かしながら、橋梁などの耐震性点検についての精度の向上のための研究を一層進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その御意見の陳述の中で、耐震工学の一環として、地中と地表の揺れ方の違いというものを構造物設計に取り入れるべきであると、こういうような意見もありましたし、あるいはアメリカにおいては、重要な構造物につきましては、たとえば学校の建築については特別なライセンスが要るとか、そういうことに言及されてみえました。その後、わが国においても少なくとも重要な構造物を設計する人に対ましては、この耐震工学の知識を持ってもらいたいと、こう考えるということを指摘されていましたが、こういう意見から考えてみましても、人命にかかわる耐震設計が必要な構造物においては、設計者の中に耐震工学の知識を持たないで設計している人もいるという疑問があるんですが、その点について建設省はどのように考えておりますか。
  165. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 道路構造物を設計する場合に、耐震性のチェックということは非常に重要なことだと思います。特にわが国のような地震国では一層その必要があろうかと思います。そういうことから、わが国の地震工学と申しますか、耐震設計を含めました地震工学の実力といいますか、水準は世界的にも評価しておられるわけでございまして、優秀な技術者が多数おります。ただ、現場に広くこういった技術的な力を持った人を必要なところに役立つ形で配置するというようなことについては、今後そういった技術者の養成も含めて十分対処してまいりたいというふうに考えております。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後に、建設大臣にお伺いしたいと思いますけれども、また先ほども同僚議員から道路予算の使用方法についての再検討というような話もありましたが、やはりいままでの道路行政というものを考えてみましても、国民生活優先の総合的な輸送体系というものが確立されてないんじゃないかと、こういう感じがします。今日の深刻な交通事情というのは、これは道路整備だけでは解消されないんじゃないかと思いますが、鉄道、モノレール、バス、トラック輸送など、そういったものが有機的かつ機能的に連携を保った総合的な輸送体系のこれは早期な確立というのを図る必要があるんじゃないかと思います。また、その中で道路の位置づけ、道路整備のあり方などを明確にしていく必要があるんじゃないかと思うんです。現状では鉄道との重複投資によって国民の血税を浪費しているというようなケースも見受けられるわけですけれども、また将来、国際的にも国内的にもエネルギー事情の悪化する中で、やはり省エネルギー及び環境保全のそういう観点から、今日のモータリゼーション中心主義の是正を検討すべきじゃないかと思います。この法改正によって多少の目的の変更等がありましたけれども、まだまだそれが十分じゃないと思うんです。その点、建設大臣の御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 今回の五ヵ年計画では、道路交通の安全確保とか、生活基盤の整備とか、生活環境の改善とか、国土の発展基盤の整備とか維持管理の充実などを大きな柱としてやっていく考えでございますが、大体この交通機関を考えてみまするときに、利用者が総合的に評価した結果定まってくると思うんです。機動性とか確実性とか経済性などの諸特性を勘案してくる。そういうことを実績で見てまいりますと、いま自動車中心に考えるのがどうかというお考えをお示しでございますが、五十年度の自動車分担率を見ると、貨物輸送、トンキロで三六%、旅客輸送、人キロで五一%を占めておりますが、昭和六十年度から六十五年度の自動車分担率が、この利用者の総合的な評価でどんなふうになっていくかと考えますと、貨物で三八から三九%、旅客で五五から五七%というような傾向を持っておると思うんであります。したがって、こういう傾向をも踏まえながら、ただいま申し上げた五つの大きな基本方針で今後の道路行政に臨んでまいりたいと、こういう考え方に立っております。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、提案されております法律案並びに関連した問題について若干お伺いをしたいと思うんですが、まず大臣提案理由説明の中で、大臣は冒頭にこうおっしゃっています。「現行の第七次道路整備五ヵ年計画昭和五十二年度をもって終了することとなりますが、わが国の道路整備水準は、なお著しく立ちおくれた状態にあり、また交通安全対策の強化、道路環境の保全、日常生活の基盤となる道路整備等道路整備に対する社会的要請はますます増大し、多様化しているところであります。」と、非常に道路整備については厳しい見方をされて本法案を提案をされている。そういう中で、投資規模が二十八兆五千億円という今回の第八次道路整備五ヵ年計画がいよいよスタートをしよう、こういう状況でありますけれども提案理由の中で整備状況について厳しい見方をされた大臣が、この出発に当たってどういう所信を持って臨まれようとするのか、総括的にお伺いしておきたい。
  169. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) わが国の道路整備が本格的に進められてからまだ二十年程度のことではないか、したがって、全国至るところに立ちおくれの場所が多くある、こう思うんであります。昭和五十二年度に総理府が実施した世論調査から見ましても、道路整備を望む国民の声が非常にきつい。こういうようなことから、今回の五ヵ年計画につきましては、それらの要望にこたえていこうと。また同時に、第三次全国総合開発計画の定住圏構想を進めていく上にも道路整備促進というものがきわめて重要であるというようなことから、今回の五ヵ年計画の考え方の推進になっておるわけでございますが、総額二十八兆五千億円は第七次計画当時のものを新たな価格水準で考えていきますると、まあこれは最小限度の水準ぐらいに思っておるところでございまして、ぜひともこの五ヵ年計画を一〇〇%近い達成をいたしたいと、こういう決意でおるわけでございます。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 最初のお気持ち、非常にわかるんですが、最後に一〇〇%近いというふうにやっぱり遠慮しておっしゃっているところに、この整備計画が果たして進むかどうか、冒頭から大臣は何かこう針を一本いただいているような気がするんですが、おっしゃるとおり、道路整備現状というのはちょっと拾い上げてみますと、幹線道路自動車が満足にすれ違える道路が半分、それから交通混雑の著しい区間が幹線道路の三〇%に及んでいる、これは政府の資料です。それから木の橋、老朽な橋、渡し船ですね、渡船など、早急に整備の必要のある橋梁が約四万三千四百カ所、歩道の整備が約半分、バス路線の半分が満足にすれ違えない、これが道路整備現状ですね。ですから、そういう中で第八次五ヵ年計画をいま出発をさせようというわけですけれども、こういう道路整備現状の中で、いろいろありましょうけれども、じゃ、八次計画の重点的な施策、その特徴というのは一体どこに置いているのか、お伺いしておきたい。
  171. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 第八次五ヵ年計画の重点的な中身といたしましては、先ほど大臣からお話のございましたような道路整備現状を踏まえまして、新しい安定成長経済の中で必要な事業を、緊急を要する事業を前倒し的にやっていくという姿で、昭和六十五年までの整備目標を立てたわけでございます。  その中身としては、五つの大きな柱を建てて考えておるわけでございます。その一つは、道路交通の安全確保のための事業。中身といたしましては、交通安全のための改築だとか、交通安全事業、それから防災震災対策、避難路の整備といったような事業。それから二番目の柱としましては生活基盤の整備。これらの事業の中身といたしましては、狭隘道路の解消だとかバス路線の整備といったような事業。それから先ほどお話のございました木橋とか、もぐり橋、渡船、あるいは老朽橋といったようなものの解消もこの関係の事業に含まれるわけでございます。それから三番目に生活環境の改善ということで、大きな事業としては、この中では、都市内に、人口密集地域に通過交通を入れないためのバイパスの事業だとか、あるいは緑化環境対策の事業だとか、鉄道高架化の事業だとか、そういったものが含まれるわけでございますが、こういった生活環境の改善のための事業。それから四番目には、国土の発展基盤の整備のための事業ということで、これには高速自動車国道から都市高速道路、あるいは大都市周辺の首都圏、あるいは中部圏、近畿圏に計画されております大規模幹線道路といったようなもの、あるいは本四連絡といったものもここに含まれますが、国土の将来の発展の基盤となるこういった大規模な道路についても四番目の柱として進めてまいります。それから五番目には、維持管理の充実ということで、道路の資産も逐次ふえてまいりますと、でき上がった道路交通に役立てるための維持管理体制というものの強化。でき上がった道路を最も効率的に役立てるということは、これはまた新しく道路をつくること以上に重要なことだと思います。そういうことから維持管理体制の充実ということも今後の非常に大きな柱になろうということで、これを五番目の柱に掲げておるわけでございます。  この五つの柱を掲げまして、これらの事業のバランスをとりながら、緊急を要するものを昭和六十五年までに整備を進めてまいる。それ以後につきましては、着実に質の高い道路整備を進めまして、二十一世紀初頭までに一応自動車道路——今後節度ある自動車利用ということを前提とした道路利用道路施設との双方がバランスする姿に持っていきたい。そういうような構想を描きまして、そのためのスタートの五ヵ年計画という考え方で組んだものでございます。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど太田委員から第一条の「目的」の変更だとか、それからまた三全総、それから経済計画前期経済計画との関連とか、市町村道の問題とかというような発言がございましたので、それを省略しまして、主要地方道ですね、主要地方道の国道昇格。これは従来四年ないし五年で一括して昇格の措置がとられてきたのですが、第八次のこの計画の出発に当たって主要地方道の国道昇格、この問題はどう考えられていますか。
  173. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 国道昇格は、大体五年ないし七年に一遍ぐらいのペースで、従来国道網の整備のペースに合わせて逐次拡大してまいってきたわけでございますが、これにつきましては、これは国道網の整備が進んだ段階で一応考えるということにいたしておりまして、前回は昭和五十年の四月に実施いたしておるわけでございます。その後は、五十一年四月に主要地方道の追加指定を行って——これは国道に昇格しますと主要地方道に穴があくものですから、そのあとの追加指定を行って、現在は一般都道府県道の再編成を実施している段階で、逐次国道昇格の後始末というような形で網の再編成をやっておるわけでございます。今後の国道昇格につきましては、道路整備の進捗状況、土地利用状況変化等を総合的に勘案しながら検討することといたしておりまして、五ヵ年計画の中身とは直接関連を持たせておりません。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の手元にちょうど五十二年八月、いわゆる概算要求のときだろうと思うのですが、そのパンフをちょうだいしております、「五箇年計画(案)」の。それを照合してみますと、五十三年一月三十一日の閣議了解を見ますと、一般道路事業で一兆二千億円減っておりますね。それから今度は地方単独事業が五千億円ふえて、予備費が七千億円ふえる、新たに計上されている。こういうふうに概算要求のときと閣議了解のときと中身が変わっております。概算要求のときに、やはり同じ資料で「施策別事業費内訳」というのをちょっと拝見しておりますが、これは一体どういうふうに変更になっていくものでしょうか。一部はこのまま概算要求のまま実施をしていきたいという考えもあるようですけれども、ならば、それはどういう項目についてそういうお考えを持っているのか、お伺いしたい。
  175. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、概算要求の時点と閣議了解の中身とは予備費の点で大きな違いがあるわけでございます。七千億予備費を計上いたしました分が、実質的にはほかの事業に食い込んでいくわけでございまして、全体として、七千億引いた二十七兆八千億で五ヵ年計画を策定することになります。  その中身としましては、当面緊急かつ計画的に一定の事業量を確保する必要があるものは、先取りで概算要求の時点の事業量をそのまま積み上げていきたいというぶうこ考えているわけでございまして、その中身として考えておりますのは、交通安全事業、それから防災震災対策、それから避難路、それから現道対策、緑化環境対策、除雪事業、住宅・ダム関連事業、それからバス路線関係等につきましては、要求しました規模をそのまま実施したいというふうに考えておるわけでございます。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、同じく概算要求のときには「財源内訳見通し」というのも添付されております。それが閣議了解におきましては、この財源の問題に触れまして、二番目に「本計画を遂行するために必要な財源措置については、昭和五十四年度予算編成時までに所要の検討を行うものとする」。そうすると、一体どうして概算要求のときにこういうふうに内訳を立てておったそれが、閣議了解で五十四年の予算編成時まで財源の内訳が持ち越されたその背景、あるいはまた問題点、そういうものはどうですか。
  177. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 財源の内訳につきましては、概算要求時点で考えたものと、現時点でも大筋においてはそう差はないわけでございますが、細かい数字まで云々するということになりますと、地方単独事業との割り振りの関係とかそういった関係が若干異動しております。それから有料道路のシェア、そういうようなことで国費等にいろいろ異動があるというようなことがございますので、そういった有料道路あるいは地方単独事業、それから一般道路事業、その中身というものが細かく決まってまいりませんと、それに必要な国費分が幾らになるとかいうようなことも細かい数字では固まってまいりません。したがいまして、現在そういうものも含めて、国費がどのくらいになるか、それに対する手当てはどうするかということも含めて、五ヵ年計画が決定した以後そういう計数を整理しながら、若干の時間をもらって、実際必要になりますのは、五十四年度の予算編成時にその中身が必要になるわけでございます。それまでに十分詰めたいということでございまして、大筋においてはそう大きな差があるわけでございませんで、先ほどの特定財源比率にいたしましても七八%という概算要求時点の数字が出ておりますが、これも大体八〇%程度にはなろうかというふうに考えております。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは、質問に当たりまして建設省側の説明をいろいろ伺っておりますと、最終的に国費で約二兆三千億円程度特定財源が不足をする、こういう勘定になるというふうな御説明をいただいたんですけれども、その特定財源というのは何といいましても道路整備中心財源です。これが特に揮発油税につきまして御承知のように一部転用論が出ております。そういう中で一体この特定財源をどう確保していくのか。相当通産あたりの攻勢は強いようですが、私どももたびたび援護射撃はしておりますが、石油の備蓄という本来のにしきの御旗を掲げて相当激しい分捕り合戦が始まる。冒頭に述べましたように、二兆三千億円も特定財源が不足をするかもしれぬという計算並びに揮発油税の一部転用論というものとあわせて、どういう見通しを持っておられるのか、お伺いをしたい。
  179. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 揮発油税等道路整備特定財源について、その一部をエネルギー対策等他の使途に振り向けろという論議のあったことはそのとおりでございますが、昭和五十三年度税制改正におきましては、現在のわが国の石油製品に対する課税が揮発油、石油ガス等、全石油製品の二割程度を対象としている実情からいたしまして、石油備蓄等エネルギー対策としては、むしろ広く石油製品全体に対して負担を求めることが適当という趣旨から石油税が創設されたのでありますから、したがって、今後におきまして揮発油税一部転用論が再び起こるとは私思いません。また、この揮発油税等道路特定財源につきまして、道路整備現状からしまして、利用者負担の観点から道路利用者に特別の負担を求めているものでございますから、今回の計画実施に当たりまして、この特定財源というものを私としてはもう必ず確保する、こういうことで臨んでいきたいと思うのであります。
  180. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に元気のいい答弁をいただいたんですが、なるほど石油備蓄の当面の問題はおっしゃるとおり新税の創設で一応かっこうがついたと思います、今年度は。ただし、問題はいろいろあるわけですよ。総合交通体系をどうするかという問題の中から、どうしてもやはり揮発油税だとか、そういういわゆる道路整備のための特定財源として充ててきたその財源を目当てにいろいろな議論が出てくると思います。大臣のいまの答弁は私は了とします。しかし、大臣がいつまでもいらっしゃるわけじゃありませんし、ひとつまあ遺言みたいにしておいていただいて——まだ大分時間があると思いますけれども。ちょっと脱線しましたが、議論は尽きてないと思います。恐らく財政の非常に窮屈なときですから各方面からの触手が伸びると思いますので、その点厳に姿勢を守っていただきたい。そうでないと、肝心の道路整備の方が、ただでさえおくれているものがなかなか進捗しませんので、この点は要望として申し上げておきます。  次に、本四架橋の問題について私はお伺いをしておきたいと思うんです。  いままでずいぶんいろいろな経路をたどって今日までまいりました。そこで、最初にいろいろの問題でその経過を確認をいたしておきたいんですが、まず四十八年の九月二十一日、建設大臣並びに運輸大臣から本四公団の総裁に指示しました基本計画の概要並びに全国新幹線整備法に基づく四国にかかわる新幹線網、これをひとつ、時間がありませんから概略で結構です、御説明いただきたい。
  181. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 公団の新幹線網については別途また御説明があるかと思いますが、前段の基本計画、建設大臣からの基本計画でございますが、この基本計画につきましては、建設大臣本州四国連絡橋公団の調査結果に基づきまして、昭和四十八年九月二十一日に道路について次のように指示したわけでございまして、その中身としましては、三ルートでございますから三つに分かれておりまして、神戸−鳴門ルートにつきましては一般国道二十八号で、区間、神戸から鳴門市まで、車線数が六車線、一部、大毛−鳴門間が四車線、設計速度百キロ、インターチェンジ十カ所というような中身で決められております。それから真ん中の児島−坂出ルートにつきましては、一般国道三十号線としまして、区間、岡山県の早島町から坂出市まで、車線数四、設計速度百キロ、インターチェンジ五カ所という中身で決められております。それから一番西の尾道−今治ルートにつきましては、一般国道三百十七号として、区間、今治市から尾道市まで、車線数四、設計速度八十、インターチェンジ九カ所というような中身で決められておるわけでございます。
  182. 山地進

    政府委員(山地進君) 運輸大臣が決定し指示いたしました本四連絡橋の鉄道に関する基本計画でございますが、これは神戸−鳴門ルートと児島−坂出ルートの二本でございまして、前者の神戸−鳴門ルートにつきましては、起点が神戸市垂水区、それから終点が鳴門市でございまして、これは新幹線規格ということになっております。それから児島−坂出ルートにつきましては、倉敷市南部から香川県の綾歌郡宇多津町に至る線でございますが、これは在来線の規格と、かようになっております。それから全国新幹線鉄道整備法に基づきます新幹線網、四国に関する新幹線網の基本計画でございますが、これは昭和四十八年十一月十五日決定いたしましたものでございます。四国新幹線といたしましては、大阪市が起点でございまして、これが終点が大分市。主な経過地といたしましては、徳島市付近と高松市付近、それから松山市付近、この三カ所が決定されております。それからもう一つは四国横断新幹線でございまして、これは起点が岡山市、それから終点が高知市と、かようになっております。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 整理しますと、これは両方一緒に整理してみたいんですが、神戸−鳴門ルート、昔はAルートと言っておりましたが、もう地名がついておりますからそのように申し上げたいんですが、神戸−鳴門ルートは道路、鉄道の併用橋だ、しかもその鉄道は新幹線、こう指示をされた。それから児島−坂出ルートは道路、鉄道の併用橋だ、しかし、主眼は在来線であって、縦断——横断になりますか、将来に備えて新幹線の規格も加味する、主眼は在来線だ。それから尾道−今治ルートは道路単独橋。そしてそれに前の二者に接続をして四国内に新幹線網を配置する、こういう構想であったと整理しましたが、これでよろしゅうございますか。
  184. 山地進

    政府委員(山地進君) 鉄道に関する分はそのとおりでございます。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 道路は。
  186. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) そのとおりでございます。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、もう一つ確認をしておきたいんですが、資金構成、言うなれば事業費の問題もありましょうが、時間の関係で全体の事業費というのは別にして、関係の府県あるいは市の出資金の分担比率、これはどういうふうに協議ができておりますか。また、この出資金の性格というものも教えていただきたい。
  188. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 道路分の資金構成につきましては、各年度の所要資金のうち自己資金によるものを除きまして、新たに調達を必要とする資金を出資金と借入金によって賄うことといたしておるわけでございまして、出資金については建設資金コスト、現在六・四%でございますが、これを定めますと必然的に出資金比率が決まりまして、自動的に出資金の額が決められるわけでございます。したがいまして、その残りが借入金という形になるわけでございます。また、この場合の出資金の国と地方の負担割合及び借入金の政府引き受け債と縁故債の割合、これはいずれも二対一の比率になっておりまして、お尋ねの地方公共団体の出資金及び縁故債の関係府県、市の分担比率につきましては、これは昭和四十八年二月の関係地方公共団体の協議によって定められました分担率に従ってそれぞれ地方公共団体が分担しておるわけでございます。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 確認しますが、神戸−鳴門ルートだけで結構ですが、あとは府県にまたがるのはそんなに大きくありませんので、神戸−鳴門ルートだけのいわゆる地方の公共団体の分担率ですね、これをひとつ確認をしておきたいんですが、兵庫神戸、大阪府、大阪市、徳島県、高知県、どういう分担率になっていますか。
  190. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 申し上げますと、兵庫県が三六・五%、神戸市が二二・二%、それから大阪府が八%、大阪市が八%、徳島県が二〇%、高知県が五・三%という比率になっております。
  191. 二宮文造

    ○二宮文造君 ずいぶん長い年月ですから確認する事項が非常に多くて恐縮なんですが、もう一点確認をしておきたいんですが、五十年の八月十五日及び十八日の二回にわたって関係閣僚間の協議でいわゆる一ルート三橋、要するに一ルートとしては児島−坂出の早期のあれを図る。それから三橋ですね、神戸−鳴門の間は大鳴門橋、それから尾道−今治は因島大橋と大三島橋、この三橋の建設方針が決定されましたけれども、この建設方針が決定された経緯、これはどうなっていますか。  それともう一つ、先ほどの地方公共団体の協議によって分担率が決まったとおっしゃっていますけれども、それは署名捺印をしたとかなんとか、そういう公的ないわゆる各地方団体がもう絶対守りますという何か公文書式な協定書みたいなものはあるんですか、ないんですか。ただ単なる申し合わせだけでは話が進まないと思うんですが。それを前ちょっと聞き忘れましたので、それと、それからいま言いました一ルート三橋という建設方針の決定の経緯、これをお伺いしたい。
  192. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 最初に、一ルート三橋の建設方針の決定経緯について申し上げますと、本四連絡橋の建設工事は、昭和四十八年九月に建設、運輸両大臣から本四公団に対して工事に関する先ほどの基本計画の指示があったわけでございます。公団は、これに基づきまして同年の十月に実施計画の認可を受けまして、三ルートに起工すべく諸準備を進めていたわけでございますが、その年の十一月、いわゆる石油ショックに絡む総需要抑制策の一環として工事着手の延期を指示したわけでございます。その後約二年たちまして昭和五十年八月、建設大臣と経済企画庁長官、国土庁長官の三大臣の協議によりまして当面の一ルー上二橋の建設方針が決定されたものであります。中身につきましては、先生御指摘のようなことでございまして、三橋としましては、地域橋として大鳴門、それから因島大橋、それから大三島の三橋に着工する。それから一ルートにつきましては第三次全国総合開発計画において決定する。それから中身としましては、鉄道併用橋というような中身が決められたわけでございます。  それから、御指摘関係地方団体が分担金を決めた場合の形でございますが、昭和四十八年に自治省が関係府県と協議して決定したものでございまして、公文書等は別にございません。
  193. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと前の質問に戻りますけれども、公文書等がなければ、それはどうなんでしょうか、地方公共団体は状況変化によってはやはりその負担割合というのは変わってくる性質のものですか、状況変化にかかわらずこの割合というのは守らるべきものですか。その点はどう御理解されますか。
  194. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) これは本四架橋に絡んで関係団体が合意のもとに決めた分担率でございますので、これを勝手に……
  195. 二宮文造

    ○二宮文造君 勝手にじゃない、状況変化
  196. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 状況変化に応じて一方的に変えるわけにはいかないと思いますが、その時点でまた関係団体が協議し、またそれを変えるべき根拠になるものが何か出てまいりますれば、関係各機関並びに地方公共団体等の協議によって絶対未来永劫変わらないものではないというふうには考えられます。
  197. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから鉄道の方、この一ルート三橋にかかわる鉄道の関係部分を説明していただきたい。
  198. 山地進

    政府委員(山地進君) 児島−坂出ルートにつきましてはそのまま工事をすることになっておりますので、鉄道部分は御説明は省かせていただきますが、大鳴門橋の方に関しましては、八月十八日の閣僚の協議の結果では、従来の方針で諸般の準備を進めるよう指示する、こういうふうになっております。したがいまして、併用橋の部分がついたままの計画で当面工事を進めると、かように決定されたものと思います。
  199. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、最初に基本計画が決まった、そして今度はいよいよ着工に入るときの方針もその基本計画のまま進んできた。したがって、これからこの協議決定に従いまして順次建設が進められてきたと思うんですが、じゃ、工事進捗の状況はどうでしょう。
  200. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) ただいまお話ございましたように、一ルート三橋建設の指定に基づきまして五十年十二月に大三島橋に着工いたしております。ただいま大三島橋は下部工事を完了いたしまして現在上部工の架設をいたしており、あわせて取りつけ部の道路工事を実施いたしております。上部工の進捗率は約六五%、道路部の進捗率は約五四%となっております。それから引き続きまして五十一年の七月に大鳴門橋に着工いたしております。この方はただいま下部工事を実施中でございまして、現在三六%程度の進捗を見ております。明くる五十二年に因島大橋の着工をいたしまして、現在下部工事を進めるとともに上部工の鉄材の製作等を行っております。進捗率は下部工で約五〇%、上部工におきまして約一〇%、かような状況でございます。
  201. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、公団にお伺いしますが、いまのお話のあった一ルート三橋ですね、これの完成目標の年次はそれぞれどうなっておりますか。
  202. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) 大三島橋につきましては五十三年度末を完成予定にいたしております。因島大橋につきましては五十六年度中の完成を期待いたしております。大鳴門橋につきましては五十七年度を完成予定といたしております。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところで、やっとこのごろに到達したんですが、去る三月の七日に建設、運輸、国土、この三省庁の事務当局者の話し合いで、神戸−鳴門間のいわゆるAルートですね、これの大鳴門橋を、ずっと進んできた道路、鉄道併用橋から道路単独橋に変更する方向で合意に達したというふうな報道がされておりますが、この件はどうでしょうか。
  204. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の点でございますが、新聞情報でそういうようなことが流れております。事実、事務当局間で会ったことはございますが、これは大鳴門橋の建設に絡みまして、先ほどもございました、従来併用橋ということで工事がずっと進んでまいっておりまして、いよいよ塔の発注時期を迎えておるわけでございます。ただ、鉄道橋併用問題につきましては後ほど御説明あると思いますが、新幹線問題についていろいろな運輸当局の考え方もあるようでございます。そういうことを絡めまして情勢分析をするために集まったわけで、その席で方針が決められたというようなことはございません。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、新聞報道はうそですか。困りますか、答弁に。
  206. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) うそというわけでもないんですが、話し合いをしただけのことでございまして、結論を確認したわけでも何でもないわけでございますので、結論を出したというようなふうに報道されるのは、ちょっと大げさな報道ではないかというふうに考えます。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと大臣にお伺いしますがね、この三省の事務当局者の会合というのは大臣承知の上で行われたんでしょうか、知らないうちに事務当局で話し合いしたんでしょうか。簡単で結構です。
  208. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) これは、私が指示をしたことのないことだけは事実でございますが、しかし、事務当局者間で必要があってそういう会合をしておる、それを私が不必要だということではございません。私が指示したんではないということは事実です。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、その事務当局の会合があった報告は大臣受けられましたか。非常に大事な問題でこういう三省の話し合いが行われたんですと、報告は受けられましたか。建設も国土も兼ねていらっしゃるんですから、どっちかから入るんじゃないかと思いますが。
  210. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 新聞報道をちょうど見た後に、ちょっとこの報道の真相は違いますと、三者が会いまして、いまの公共投資の、先行投資の必要があるので協議をいたしましたと、こういう報告を受けました。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 新聞等を見ますと、国鉄さんいよいよ登場ですが、新聞報道を見ますと、国鉄の方、いわゆる運輸関係ですね、こちらの方が一おりたで、採算上の理由で、非常に強硬な御意見でこの会合をリードされて、それがいわゆる道路単独橋に踏み切ったと、こういうニュアンスになったと思うんですが、鉄道側の事情、いわゆる道路単独橋に至る鉄道側の事情を、ちょっとでなく詳しく説明いただきたい。
  212. 山地進

    政府委員(山地進君) 国鉄が再三の財政援助を仰ぎながら毎年巨大な赤字を計上していることは先生方の御承知のとおりでございまして、昨年の運賃法定制度の緩和ということをやっていただいたのもその一連の助成の中の一つでございまして、五十年以降運賃を五〇%も値上げするというような非常にドラスチックなことをやったにもかかわらず年間九千億にも上る赤字を計上しておりまして、今回の運賃の法定制度を緩和したということを軸にする再建の基本方針というのは昨年の十二月の二十九日に政府で決定したわけでございますけれども、今後の国鉄再建については並み並みならぬ努力が必要だろう、これは政府の助成もさることながら国鉄自身の経営というものを立て直さなければならないという事態になったわけでございます。このような国鉄の再建というものを今後五十三年、五十四年にわたりまして五十年代中に何らかのめどをつけたいというような中でこの本四の架橋の併用部分を考えてみますと、四国新幹線、いまの大阪から大分に至る新幹線というのがいつできるかということについては非常に見通すことがむずかしい問題の一つになってきております。いま整備五線というすでに整備計画のできているものについても、一体これは財源問題も含めましてどういうことになっていくのかということで議論されているわけでございますが、その他の計画路線についてはさらに時間がかかる問題だろうと思うわけでございます。  こういうことを考えてみると、一体その併用部分の金というもの、まあ六百億ぐらいの負担を国鉄がせざるを得ないわけでございますが、これが四国新幹線ができない間、まさに何らの効果も生まないままに置くということは金利が毎年積み重なってまいりますので、これは国鉄、それから本四公団についても大変な圧迫要因になる。こういうことを考えまして、一体この併用橋というものについてもう一回見直すべきじゃないだろうかという議論をわれわれの方でいたしまして、今後も本四における鉄道部分というのは、新幹線で行くにしても併用橋であることが必要なのかどうかということで、とりあえず私どもとしては、単独橋の考え方というものは一体いままでの経緯から見て認められるものかどうか、かような観点で国土庁並びに建設省といろいろお話をしているというのが現状でございます。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 それと、いま国鉄さん——国鉄ですね。
  214. 山地進

    政府委員(山地進君) 私、運輸省です。
  215. 二宮文造

    ○二宮文造君 運輸省の方の説明をいただいて、それと符節を合わす問題があるんですが、それは大臣、三月のたしか十三日か四日だと思いますが、ちょっと日にちが狂っていますかもわかりませんが、経済対策閣僚会議、これに大臣も御出席になっていま説明のあったいわゆる新幹線の整備計画、五線の整備計画というのを景気対策の一環として鉄建の方にどうなるんだという指示をされたという報道が出ておりました。御存じでしょうか。大臣も御出席になっているんですから、そういう会合があったかどうか、いかがでしょうか。
  216. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 新幹線五線の整備計画について、たしか九月末までに検討するようにということを決めたことは事実です。
  217. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、その五線とは、すなわち東北新幹線の盛岡−青森、それと北海道、それから北陸ですか、東京から北陸を通って大阪に至る北陸、それから福岡から鹿児島、福岡から長崎とこの五線ですね。四国は外れていますね。経済対策閣僚会議でのいわゆる新幹線網五線という中には何ら協議されてない。また、鉄建に対しても指示が与えられてない。ちょうどいまの運輸省説明と同じような方向を経済対策閣僚会議も進んでいる、こう私は理解するんですが、確かに外れていますね、四国の関係は。
  218. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いわゆる整備五線というのは、いまお示しになったとおりでございます。
  219. 二宮文造

    ○二宮文造君 はい、わかりました。  それで、先ほど道路局長が、話し合いはしたと。話し合いはしたと言いますが、運輸省説明をいただくと、運輸省並びに国鉄の決意はきわめてかたいものがありますね。神戸−鳴門間に新幹線を併用しても今世紀は間に合わない、こういう結論を出している。とするならば、国鉄再建の重要な時期に差しかかっているいま、そういう投資ができないではないか、金利負担を考えますと。したがって、国鉄あるいは運輸省側の意見としては、もう道路単独橋に固まっているわけです。あなたはまだ結論を得たのではないと言うんですが、これは最終的には結論を出さなきゃならぬ問題。お話を聞きますと、大鳴門橋の完成年次は五十七年と置いておりますから、これはしかし最終的な方針は大臣いつお決めになるんですか。
  220. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 大臣お答えの前にちょっと御説明申し上げますが、先生御指摘のように、大鳴門橋は現在、先ほどのお話のように準備工事それから塔下部工工事を進めておるわけでございますが、上部工の工事の塔製作につきましては、五十年度中に併用問題について結論を得て着手の予定であったわけでございますが、現時点において鉄建審、これは最終的にはもし併用橋を単独橋にするということになりますと、鉄建審で決められることになろうかと思いますが、これは現地でまだ開催されない現状から、当初予定工期内の完成は非常に困難な状況にあることは事実でございまして、もうぎりぎりのところに来ているわけでございまして、建設省としてはこの問題早く結論を出していただきたいという気持ちでおるわけでございます。
  221. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣いかがですか。早く決めてもらいたい……。
  222. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私は、建設大臣、国土庁長官として、全般のいまの経済状況から見て、大鳴門橋の促進ということは、これは公共投資推進の上からいうと必要なことです。ただ、先ほど来御質問にありましたように、従来併用橋をということで進んでおりますのを、ただいま運輸省側からの御意見が出まして、恐らく早くやろうというのに対して、さて三者が寄ったときに、運輸省側から先ほどのような御意見があるいは出たんではないかと思いますが、しかし、私のところにはそういう細かい報告は受けておらないんであります。新聞の報道とは違います。先行投資などについて話し合いましたと、こういうことだけでございました。そこで、もしそういう意見があるとすれば、これは国鉄の現状からして出た御意見でありましょうから、これを国土庁の事務次官が間に入って調整をするという必要は出てくると思うんでありますが、私はその結果何か結論が出たということはいまのところ聞いておりませんし、またすでに単独橋になっているんじゃないかという御趣旨の御質問のようでしたが、そういうことについては基本方針が決まっておって、これを変更するには、ただいま道路局長の申し上げたように、鉄道建設審議会の議を経なきゃならない手順があると思うんですね。まだそういう手順も踏まれておらないという状況だと思います。
  223. 二宮文造

    ○二宮文造君 公団にお伺いしますが、五十七年に大鳴門橋を完成させるためには、いま議論してまいりましたタイムリミットというのはいつに置かれますか。
  224. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) 実はもっと早くやらなきゃいかぬと思っておりました。昨年末ぐらいを私どもは時期として考えておりましたけれども、それもいま言いましたような事情でなかなかまとまりませんので、せめてこの三月ぐらいには決めていただきたいということで、そういう意味で一日も早く決定を御指示をいただきたい、かように思っております。
  225. 二宮文造

    ○二宮文造君 運輸省にお伺いしますが、結論は、鉄建審に諮問をして、その最終決定を得て方針が決まると、こういうことですが、鉄建審への諮問はいつと考えていますか。また、やっていますか。
  226. 山地進

    政府委員(山地進君) 鉄道建設審議会にかける部分と言いますのは、先ほど御説明いたしました本州四国連絡橋公団法に基づいて基本計画を決めた神戸−鳴門ルートについて併用橋ということが出ておりますので、それを直すための諮問を鉄建審にかけなければならない。それからもう一つ、新幹線鉄道網の整備に関する法律の基本計画というのはこれは何ら変更がないわけでございます。したがって、こちらの部分は鉄建審にはかけなくてもいいと、こういうのが事情でございます。私どもとしては、できるだけ早く鉄建審も開いていただいてこの問題の結論を得たいと、かように考えております。
  227. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、早く開いていただいてというのじゃなくて、鉄建審を開かすためにはどういう手続が要るんですか。最終決定を下すための鉄建審を開くとすればどういう手続を必要とし、その手続を踏まれないがゆえに、公団の方からは、昨年の暮れには終わってもらいたい、でも、できれば三月と言っている。日にちを数える——大げさな言い方をしますと、分秒を争うような状況になってきて、鉄建審の諮問というものがまだ宙ぶらりんになっている。どういう手続を経なければ諮問ができないんですか。
  228. 山地進

    政府委員(山地進君) 法律的な手続というものは、しかくむずかしいものではございませんで、かような重大な問題を鉄建審にかけるためにはある程度の皆様方のコンセンサスというものを得てからかけるのが普通だろうと思いますので、そのコンセンサスを得る努力をいましております。
  229. 二宮文造

    ○二宮文造君 コンセンサスを得る努力というのは、具体的にどういう努力ですか。
  230. 山地進

    政府委員(山地進君) それに関連する関係の方方というのは非常に多いかと思いますけれども、当面、本四の架橋に関連のある方々については、皆様の御意見というものは非常に利害関係の多い問題でございますので、そういう方々を中心に伺うということにしております。
  231. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは運輸省のサイドで聞くんですか、あるいは建設、国土、何か一つのプロジェクトみたいなものをつくって、そしてそれでコンセンサスを得る努力をするのですか。運輸省サイドの単独のそういう手続でやろうとしているんですか、どちらです。
  232. 山地進

    政府委員(山地進君) 鉄建審にかける部分と言いますのは、本州四国連絡橋公団法に基づいて運輸大臣が決める基本計画の変更でございますので、これは運輸大臣が一義的に責任を持って進めるべき問題であると思います。ただ、これに関連いたしますのは、建設大臣の方も単独橋になったらばどうなるのかということで、まさに利害をお持ちになってくるわけでございますので、建設省あるいは国土庁、環境庁方面も含めまして、利害の関係を生ずる方々には一応御意見というものを承ってから審議会にかける、かように考えております。
  233. 二宮文造

    ○二宮文造君 水かけ論になりますが、大臣、分秒を争うと先ほど私申し上げましたが、そういうふうに事態は切迫をしておりますが、運輸省側の気持ちというのはもう明確になっておりますね、どうやら。ですから、最終結論を下す手続は鉄建審ですけれども、その鉄建審に諮問の手続をとってよろしいというゴーサインは国土、建設、この方面からのゴーサインがなければ出せないようですが、公団側のお話も聞いておられて、非常に時間がない、こういう段階で、大臣としては本問題について、いつごろまでに結論を出すというお気持ちがありますか、これをお伺いしたい。
  234. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私が建設大臣の立場からいたしますと……
  235. 二宮文造

    ○二宮文造君 国土。
  236. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) まず建設大臣の方から。公共事業促進ということで、いずれにしても早く着工をしてもらいたいということは尾之内総裁の気持ちと一緒でございます。それからまあ事務当局でいろいろ諸情勢を勘案しながら御指摘のような会合をした、これは先行投資問題などもあってこれをしたわけでありますが、たまたま私も推察するのに運輸省側の御意見も出ておる、そういうことですから、国土庁の事務次官としては私の意を受ける受けないにかかわらず、調整の立場もございますから鋭意努力をしておることと思うのであります。したがって、私としては早く結論を出してもらいたいと、こういう気持ちを持っておりますし、今後におきまして、ただいまのような御所見が他から出て、あるいは省内、庁内から出てまいりますれば、私は早く詰めろよと、こういう立場だと思います。
  237. 二宮文造

    ○二宮文造君 道路局長、大臣は、上がってくればいきますと。事務手続として、こういう方向で進んでいただきたいという大臣に報告をするのはいつまでにすると心に決めていますか。
  238. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お話にございましたように、この問題は私どもとしてはとにかく早くかかりたい、早く橋の発注にかかりたいという気持ちでいっぱいなんで、そのためにはこの問題を早く解決しなけりゃいけない、解決するまず最初の何といいますか、まずもとは……
  239. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、事務的にいつごろに終了すると、大臣の手元に渡せるかと私聞いているんです。
  240. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) これは、もとは鉄道を外すかどうかの問題をはっきり決めて、その相談があった時点で……
  241. 二宮文造

    ○二宮文造君 あったんですよ、もうすでに。
  242. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) いやいや、それはまだ話し合いとしてあっただけのことでありまして、こういうふうにしたいという正式な申し入れがあったということではございませんので、その辺がはっきりすればわれわれの意見を申し上げて、こういうふうに結論——これはまあ国土庁で調整をとっていただいておるわけでございますが、結論として固まった段階でそれぞれ大臣に報告して決めていただく、そういう段階を経なければ正式に決まったことにならないと思います。私どもといたしましては、希望としては四月中にもなるべく早い時期に橋の発注ができるような段階に持ち込みたい。したがって、鉄建審を早急に開いていただきたいという気持ちでございます。
  243. 二宮文造

    ○二宮文造君 道路局長、変えないんだったら鉄建審は開く必要ないんです、基本計画のまま行くんですから。早く開いていただきたいということは、何だか知らぬけれども、あなた、衣の下によろいが見えたんですよ。私なぜくどくこの問題を言うかと言いますと、関係地方団体が非常に迷惑しているんです。国の方では併用橋から単独橋に変わる、それで政治折衝があるからということでもたもたしていいんですけれども関係公共団体にとって見れば大変なことになるわけなんです。たとえば神戸市は新幹線網、いわゆる向こうの橋はまだまだかからない。しかも新幹線というものを排除して大鳴門橋が単独橋になるということは、いわゆる神戸−淡路間の橋も道路もかかるとしても、ですから神戸市は全く今度はメリットがなくなっちゃう。大阪府にしても私はないと思う。兵庫県は淡路島が若干かかっていますからスズメの涙ほど負担するでしょう。こうなってきますと、先ほどそれで、状況変化ということになると地方公共団体の分担の比率というのは変わりましょうよと私が質問したのはそこへ戻るわけです。  運輸省にお伺いしますが、すでに運輸大臣の手元には、国鉄並びに運輸省としての事務的な報告は運輸大臣もとにはされていますか、されていませんか、単独橋ということについて。
  244. 山地進

    政府委員(山地進君) 各省とこういうような話をしておりますということは御報告しております。
  245. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。大体、道路局長のお話を聞き、あるいは大臣の決意を聞き、また運輸省側のお話を聞いて、私の感触は、道路橋にしたいけれども、諸般の情勢が非常に複雑だからその調整を待っている、しかし、それも四月中ごろをタイムリミットとしてそういう方針に進みたいと、こういうふうな御意見のように私は整理をいたしました。  さて、問題は、そうなってくると、道路局長、関係の公共団体の出資金の分担比率は、ちょっと私が申し上げたようなメリットがなくなってきますから変わってくるんではないかと思いますが、この感触はどうですか。
  246. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、単独橋になりますと、従来道路併用橋で考えた場合の、道路分のアロケーションで考えた道路分の分担建設費と比べますと、単独橋になった場合には、道路側から言いますと、かなりそれだけふえるわけでございますが、そのふえた分について、それに見合う形の、現在のルールでいきますと、出資金の増高は出てくるわけでございます。ただ、本州四国連絡橋事業に関する地方出資金は、道路分に対して従来から出資されていたものでありまして、鉄道分は出資の対象になってないわけですから、これが外れたことによって、言ってみれば一番西のEルートの姿に戻るという形でございまして、メリットとしても、道路橋の負担金に対する——道路橋の負担金はやっぱり道路橋のメリットを主体に考えたものだというふうに考えられると思いますし、分担比率も基本的には変わらないというふうには考えられるわけでございます。
  247. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは、意見通りませんね。それは道路局長、通りませんよ。併用橋の場合は、鉄道部分は鉄道が負担するんだから、しかし、道路単独橋になると費用がかさ上げになるから、だから比率の方は関係がないとおっしゃいますが、大鳴門が単独橋になるのは、その背景に神戸−淡路間のいわゆる橋の架橋という問題がまだ未決定でしょう。あれがかかるんだったら鉄道だってまだ考えもあるわけですよ。要するに、大鳴門橋だけのいわゆる架橋だけしかいま考えられないわけです。ちょっと私の言い方が遠回しになってしまいましたが、従来は神戸からすっと橋がかかって徳島へ行けるということで、神戸市、大阪府、あるいは兵庫県、この分担比率というものが、道路部分についての分担比率を納得していたわけです。ところが鉄道が——併用橋が単独橋になる。その背景には、神戸−淡路間の架橋が非常に技術的に困難でしょう。そういう問題があるわけです、表には出ていませんけど。この橋がいつになるかわからない。鉄道はかからない。どうやら神戸−本土側の方はメリットが全くなくなっちまうということを前提にすれば、道路局長のおっしゃるような答弁では筋が通らなくなってくると思うんですが、どうでしょう。
  248. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 単独橋になった場合のメリット関係は、いろんな表面上のメリットとやっぱり間接的なメリット、いろいろあろうかと思いますが、一般的には先ほど言いましたような理屈で考えられると思います。しかし、まあこの分担比率の問題については、今度は単独橋になることに絡んでどういうふうに考えるかということについていろいろ議論があろうかと思います。それと、実際問題、この分担比率が従来よりふえるかどうかという問題は、現在の金利の問題と資金コストの関係で、最近金利が非常に下がっていることから、計算しますと、ほとんど今回のあれによって従来の出資金よりふえるということはないんじゃないかというような計算もされます。したがいまして、そういった問題も含めまして、やはりこの負担割合のあり方については議論があろうかと思いますので、やっぱり十分考えてみなきゃいかぬというふうに考えております。
  249. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。時間がありませんので、私は要望を込めて、またいままで伺ったことを整理しておきたいと思うんですが、仮に単独橋になった場合に、関係地域に対して、まあ政府、国の方で、あるいは国鉄の方で、運輸の方で考えている問題というので整理されておりますが、どこから聞いたとは言わぬでくださいよ。整理してみますと、こういう要望になるわけです。  とにかく、資金面での地元負担、これはやはり軽減措置を講ずる、この用意はいまもちょっとお話がありました。  それから、その明石海峡大橋、技術的に困難と私は聞いてるものですからそう言いましたけれども、明石海峡大橋の調査費を増額をして、何らかの形で早期着工という声明をして、そしてその関係団体の了解を得る方法。  それから四国新幹線、これは線はそのまま入っているということですから消えてない。調査費も若干ふやすというふうな、これは絵にかいたもちみたいなことになるんでしょうけれども、要するに四国の新幹線網というものについて、国鉄としてはやっぱり鋭意計画を充実をさしていく、そういう姿勢をとる。  それから、大鳴門橋と接続をする四国縦貫自動車道、これの計画を促進をする。  それから、国鉄側では阿佐東線ですか、あそこの高徳線からずうっと続いて高知県に入りますその阿佐東線の建設のスピードアップを図る。  こういうふうなことを私は整理として伺っているんですが、いかがでしょうか。否定するものがあれば、それはできませんとおっしゃっといていただいて……。
  250. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 地元負担の軽減の問題につきましては、これはまあ先生の考え方は一応お伺いしたんですが、御希望としてわれわれも十分受けとめたいと思いますが、私どもの考え方は、まあどうも理屈から言うと、鉄道、従来出資の対象となってない分が、本来出資の対象となったものから外れただけのことだから、もとに戻る姿が現状では妥当なんではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、明石架橋の調査の問題につきましては一これは当然調査を進め、単独橋になった場合には、まして従来やってなかった調査もやらなきゃいかぬわけでございます。やらなきゃいかぬ、重点的に進めなきゃならぬと思っております。  それから、四国の縦貫自動車道の促進の問題ですが、これはまあ従来からそういう方向でやっておりましたわけで、四国縦貫道はすでに定まっている整備計画がございます。これに従って鋭意建設を促進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  251. 山地進

    政府委員(山地進君) いま先生の御指摘になりました調査を進めるということは、恐らく四国新幹線が大阪から松山に抜けて大分へ行く。これは松山−大分間というのは橋がないわけでございます。それで、トンネルの調査ということが指示されておるわけでございます。したがって、今後もし単独橋になった場合、橋は通らないよということになって、かつ新幹線を通す方法というものについては何かあると思うのでございますが、そういうものについて調査をするということは十分考えられる方法だろうと思います。  それから、阿佐東線のお話が出たわけでございますが、地方のAB線の整備というものは、限られた資金の中で需給状況を見ながら決定しなきゃいけないものでございますので、たとえこの問題が非常に重要であったとしても、阿佐東線を何らかの調整みたいな形でするという考え方は余り筋が通った考え方ではないんじゃないか。ただ、阿佐東線につきましては、需給状況、阿佐東線の周りのお客の流動状況等から見て、それなりに促進ができるものと私は思っております。
  252. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、新幹線といわゆる併用橋と阿佐東線とは切り離して冷たく考えると、こういうことですね。答弁は要りません、そんなような話でしたから。  それで、ちょっとあとの児島−坂出の方が、若干環境庁の方も見えているんで、ちょっと話が長引きますので、一問だけ、尾道−今治ですね、これの大三島、因島大橋の完成年次は聞きました。全ルートが開通するというのは、目標年次を置いておられますか。それはいつに置いておられますか。着工のあれをもらってないから公団むずかしいかもわからぬが。
  253. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) いまのお話の点につきましては、私の方は建設の指針を与えられておりませんので御答弁できません。
  254. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) Aルートの完成……
  255. 二宮文造

    ○二宮文造君 E、尾道−今治。
  256. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) Eルートにつきましては、これは現在、当面の着工方針として一ルート三橋方針ということで、Eルートの二橋については地域開発橋として手をつけておるわけでございます。したがいまして、このルートの完成というのは、現時点ではまだこれは今後の経済情勢、社会情勢の推移を見て他の二ルートの問題は進展があろうかと思いますが、現時点では当面の着工方針を堅持しておるというようなことから、現時点でいつ完成ということは申し上げられない段階でございます。
  257. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから児島−坂出ですが、先ほどの一ルート三橋という児島−坂出ルートは早急に着工する、完成を図ると、こういう了解のもとに出発をしたわけですが、ところが、その着工については条件が二つある。いわゆる環境評価の問題、瀬戸内海の景観あるいは生活に与える影響、いわゆる環境評価の問題と、それから旅客船の航路事業に対する救済措置、この二つが解決のめどがつかなければ着工しないというふうな状況になっているようですが、さて公団の方は環境評価を発表しました。ただ、昨日でございましたか、環境庁から相当手厳しい環境庁の評価が発表されました。それで、環境庁の方、どなたでしたか、済みません、お待たせいたしました。長文のものですから概略で結構です。窒素酸化物とか項目別に概略で結構です。公団の評価に対して御意見を出されたようです。これを説明いただきたい。
  258. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) 本州四国連絡橋児島−坂出ルートの環境影響評価書案に対する環境庁の意見は、昨日環境庁長官から公団総裁あて提出いたしましたが、その概要について御説明いたします。  内容は大別して大気質と水質及び自然環境についてでございます。  まず、大気質については、大気質、騒音振動、交通管制、その他となっております。  これらのうち主要なものについて概略御説明いたしますと、二酸化窒素の予測、評価につきましては、環境基準とまず照合すること。WHOの指針を引用している点につきましては、一時間値の予測値で照合することに意味があるものであること。なお、二酸化窒素の予測、結果の評価については、公害対策基本法に基づく検討を終えた後、改めて意見を述べることとしております。  窒素酸化物濃度の予測につきましては、大気安定度について検討すること。窒素酸化物に占める二酸化窒素の割合を推計する方法について再検討すること。自動車排出ガス排出係数について今後調査検討すること。環境影響上不利な条件下における影響の予測、評価が必要とされる地域については、今後、局地気象の調査を実施した上、短時間値の汚染予測を行うこと。  騒音振動につきましては、鉄道の列車走行に伴う騒音振動については、鉄道の営業開始までの期間を踏まえ、騒音レベルにつきましては五ホン程度、振動レベルにつきましては五デシベル程度低減することを目標として鋭意技術開発を推進し、その結果を効果的に活用して沿線の生活環境への影響を極力軽減するよう努めること。道路交通騒音につきましては、最高値の検討を行い、環境保全目標を達成するよう対策すること。なお、対策を講じても目標が達成されない場合には、周辺対策について検討すること。低周波空気振動については、その軽減に十分な配慮をすることなどでございます。  交通管制につきましては、必要な協力体制等を検討し、その整備に努めること。  その他といたしましては、倉敷市稗田地区については、計画ルートについて慎重に再検討すること。坂出北インターチェンジについては、構造等について慎重に再検討すること。早島インターチェンジ及び坂出南インターチェンジ周辺地域については、土地利用計画の適正化が図られるよう地方公共団体と十分連絡をとっていくことなどでございます。  次に、水質につきましては、環境現況調査、工事による環境影響、環境管理計画についてそれぞれ意見を提出しております。  さらに、自然環境につきましては、現況の解析評価事業の概要、影響の予測、評価、保全計画、工事中の環境影響及び環境管理計画についてそれぞれ意見を提出しております。  以上でございます。
  259. 二宮文造

    ○二宮文造君 ありがとうございました。もうあと公団に伺えばいいですから、済みません。  非常に細かく環境庁からいま意見書の説明をいただいたんですが、これを受けた公団はどうしますか。たとえば公団の最終的な考え方は、架橋の意義の重要性から考えれば、周辺住民の受忍限度を超える環境破壊をもたらすものではないと、こういうふうに公団自身の評価書を結論づけております。そのように聞いております。ところが、いまお伺いしますと、一つ一つの項目について相当やはり人体に影響を及ぼすという判定あるいは自然環境の破壊につながる、景観の破壊につながるというような、特に厳しくは計画ルートの変更と、あるいは構造の再検討というところにまで意見は述べられているわけです。これはやはり公団としては無視できない問題ですし、鋭意これを検討しなきゃならぬと思うんですが、この点についてどうお考えになりますか。
  260. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) 私どものDルートの環境影響評価につきましては、昨年十二月末以来、地元から、また関係公共団体その他の団体からたくさん意見をいただいております。昨日、環境庁の御意見をいただきまして、大体意見は全部出尽くした状況でございまして、私どもただいま各御意見に対してどう対応するかということを項目ごとに検討いたしております。もちろんこれはいまお話しのありましたように、今後検討することというような、また現時点で的確な知恵が出ておらぬものもございますので今後検討しなきゃならぬ問題もございますが、といって、それを待っているわけにまいりませんので、なるべく早い機会にいま申し上げました多くの意見に対しまして対応策を出しまして最終評価書をつくるようにいたしたいと思っております。これにはもちろん環境庁あるいは各県といろいろ相談しながらやらなきゃいかぬと思っております。そういうように対処したい、かように考えております。
  261. 二宮文造

    ○二宮文造君 特に、私は、こういうふうに環境庁から意見が出されて、従来の公団の姿勢にやはり甘さがあったんじゃないかと思うんです。具体的に一つ取り上げてみましても、二酸化窒素の場合ですね。公団の方はWHOの緩い基準をとっている。ところが、現行の国の環境基準よりはWHOの方が緩いわけですね。そういうものをもって意見を述べる、評価をするという公団の姿勢がかえって住民の反発を買うんではないか。ですから、問題がますます複雑になってくる、こういうふうに私は端的に感ずるわけです。  それから大事なことは、この計画ルートの倉敷の稗田地区ですね。計画ルートを変更しなさい、これも必要ではないかというふうな大事な問題が提起されたんですが、これはどう取り組みますか。
  262. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) 稗田地区の問題につきましては、当初からいろいろルートにつきまして議論のあったところでございます。これはそういうような御意見もございましたので、関係岡山県とよく協議して最終的に決めたいと思っております。
  263. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、公団としては一応評価をし、縦覧に供しました。それから環境庁から意見が出ました。それで、それを手直しをして、もう一遍縦覧というふうな納得を得るという手続をとるんですか、それとももう縦覧はそれで終わったというふうに解釈されるんですか、どうですか。
  264. 尾之内由紀夫

    参考人(尾之内由紀夫君) 最終評価書をつくりまして、これを公示するということで一応手続は終わると、かように了解しております。それ以上の指導をまだいただいておりませんので、自後どうするかという指導につきましては、私どもはそこで一応終了する、かように考えております。
  265. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、いま公団は、非常に重要な問題で指示をいただいてない、指示をいただいてない以上は、これで終わりというふうな認識を述べられましたが、ちょっと私、先ほどから環境庁との食い違いについて問題を提起しているわけですが、私はこれだけの問題を住民の納得を得られないで着工に要する手続が終わったとは感じられないんですがね。いわゆる環境庁の意見というものを公団がもう一遍消化をして、そしてそれを住民の納得につなげる手続が必要だと思いますが、大臣の考えはどうですか。
  266. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 環境庁の御意見をいただいて、直ちにその内容を検討いたしまして、今度は環境影響評価書の中にその意見が適切に反映されるようにこれから建設省の立場は公団を指導していくことになりますが、影響評価書の中には、環境庁長官の意見ももちろんのこと、すでに各地方関係自治体、市町村から出されております各種の意見が出ております。そういうものを十分取捨選択しまして、妥当な環境影響評価書をつくった上でこれを公示して、手続は一応これによって終わるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  267. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと私いまほかのことを考えていて……。手続は終わったものとは考えるんですか、考えないんですか。結論のところがはっきりしなかった。
  268. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 環境影響評価書をつくって、一応これを公示して手続が終わるというふうに考えております。影響評価書をつくって、これを公示いたします。それによって一応手続が終わる。
  269. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、もう一方通行ですね。環境庁の意見を入れて、それでその環境影響評価調書、これを公示するだけですか、もう。それはまた今度は、それに対する意見の具申の道はあるんですか。それとも公示で終わりですか。
  270. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 環境庁からの御意見は、住民の意見も参酌して一応出された意見でございまして、その意見を十分橋の計画の中に取り入れるべきものは入れて環境影響評価書をつくった上でこれを公示するということで、すでに従来から、十二月以来、何回かの説明会あるいはそれに対する意見の聴取というふうな姿をずっととってきておりますので、これらを盛り込んだ形で最終的な結論を出すのが環境影響評価書でございますので、これを結論といたして公示するということで終わるように、従来から環境庁とのこの影響評価の事務手続の考え方はそういう考え方で合意されておるわけでございます。
  271. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ、環境庁のチェックはもう一回行われると理解してよろしいですか。
  272. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 手続として、形式的なものはそれで一応、特に改めてまた環境庁にこれでどうだというようなあれはございませんが、十分この環境庁の意見をしんしゃくする段階でいろいろ事務的な御意見はさらに聞きながらまとめるということになろうかと思います。
  273. 二宮文造

    ○二宮文造君 一応その程度で聞いておきましょう、時間が大分なくなってきましたから。  それで、もう一つの着工に至る手続として、旅客船の業者並びに、何といいますか、従事している人たちの救済措置、これが重要な問題になっているんですが、これの今後の見通し、これだけ簡単にお伺いして次の問題に入りたいと思うんです。
  274. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御承知のように、現在内閣に本州四国連絡橋旅客船問題等対策協議会が設けられておりますが、この協議会の中に懇談会を設けて、建設、運輸両省合同で関係者に寄っていただき、十回ほどすでに検討を重ねておるわけでございます。この懇談会で案が出ますと、協議会にかけまして、児島−坂出ルートの着工までに基本的方針についての結論を得たい。もちろんこの事業者及び従業者の対策に関し遺憾のないようにこの懇談会の結論を踏まえて対応していくと、こういう順序でございます。
  275. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、児島−坂出ルートの着工という時期は非常に急がれているわけですけれども、先ほどの環境評価の結論ですね、それから旅客船の事業者あるいは従事員の救済、こういうものを見ながら、この児島−坂出ルートの着工というのは大体いつと見通されておりますか。
  276. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 私どもはもう一日も早く本ルートの着工をいたしたいというふうに考えているわけでございますが、いつということが申し上げられませんので、ちょっと間接的な御説明になって恐縮なんですが、いま言いました環境問題、それから旅客船問題を一生懸命クリアいたしまして、できるだけ早い時期に着工したいという気持ちでございます。
  277. 二宮文造

    ○二宮文造君 五十三年度の着工は可能ですか。
  278. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 五十三年度は、もちろん、せひ着工しなければならぬというふうに考えております。
  279. 二宮文造

    ○二宮文造君 上と下に分けて、どっちですか。
  280. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) その辺がちょっと微妙なところでして、まだちょっと……、もうちょっとしないと、旅客船問題にいたしましても、それから環境問題にいたしましても、収束の時期というのはちょっと見通しがつきませんので、その境目ぐらいを一応、その辺がぎりぎりのところじゃないかというふうに考えております。
  281. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、本四架橋についてはまだちょっと細かい問題が残っていますけれども、時間の関係もありますので、問題を変えまして、高速道路の問題に触れたいんですが、これもいろいろ経過をたどりながらお伺いしたいと思ったんですけれども、部分的に引き出してお伺いしたいと思うんです。  高速道路の料金の問題につきまして、身障者に対する料金政策、これは前に請願もございまして、請願の取り扱いの報告も受けております。しかし、身障者の料金ですけれども、生活圏の拡大によりまして、脊髄の損傷患者、それから自動車を補装具とする身障者にとって通行料金の負担がきわめて重荷になってきております。関係団体からも国鉄運賃の減免と同様に通行料金の減免について措置すべきではないだろうかと、こういうふうな要望が強く出されておりますけれども、この点はどうでしょうか。
  282. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の点でございますが、建設省では心身障害者対策基本法の趣旨並びに昨年の衆参両院の有料道路料金減免措置に関する請願が採択された経緯も踏まえまして、またさらに地方公共団体、関係団体からの要望もございます。そういうようなことを踏まえまして、自動車利用する身障者に対する有料道路料金の優遇措置につきまして関係有料道路事業主体と調査検討を行っている段階でございます。しかしながら、中身といたしまして、有料道路の事業主体がいろいろまちまちであるということと、それから料金体系の問題、それから徴収方法の技術的な問題、いろいろございまして、その優遇措置が円滑に実施されるためにはなお検討すべき多くの問題が残っておるわけでございます。このため本年早々に道路局でこの検討委員会をつくりまして、諸問題の対応について検討を前向きで進めておる段階でございます。
  283. 二宮文造

    ○二宮文造君 前向きに進めていただいて大変結構なんですけれども、ただ、政府の受け取り方が、建設省の、身体障害者に対する有料道路料金減免に関する請願、これに対する政府の報告をみてみますと、ちょっとひっかかるんです。というのは、「政府としては、自動車日常生活において不可欠の生活手段となっている身体障害者の実態把握と併せ、」と、こういうような表現をとられているわけですね。われわれは身体障害者という、体の不自由な方というのを一括としてとらえて、そういう方々の生活圏、生活の範囲が広がっているわけです。だから、日常生活に不可欠というふうなとらえ方ではなくて、すでに生活圏が広がっているんだから有料道路の通行料金の減免を限定をしないで考慮していくべきではないかという提案をするわけです。条件をつけて、これこれ、これこれ、これこれという条件をつけてのやり方ではありませんで——国鉄の減免なんかそうなんですよ、手帳によりましてされているわけでしょう。ですから、そういうふうな生活圏が広がったという範囲でひとつ前向きに御検討願いたいというのが一点です。よろしゅうございますか。これは要望です、もう時間がありませんから。  それから次に、私、歩いておりまして、高架下の利用というのが非常にむだなように思うんですが、これは何かお考えになっていませんか。
  284. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 高架下の利用問題につきましては、従来から前向きで考えておりまして、日本道路公団の管理している高速自動車国道の高架下の利用状況は、昭和五十二年度末で利用可能面積が百八十四万平米ばかりあるうちで、実際利用されている状況といたしましては、道路管理者の道路管理用施設として六万平米、それから道路の占用による事務所、倉庫、あるいは駐車場、公園、通路、資材置き場として約四十二万平米ぐらいのものを一応使用しておりまして、利用可能面積の比率で見ますと二六%の利用率になっておるわけでございまして、その他、高速道路首都高速、阪神高速道については、利用率は九〇%を超える利用率になっている。せっかくの空間でございますので、十分妥当な姿で活用してまいりたいというつもりでございます。
  285. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、問題が変わってきますけれども、これはもう時間がありませんので一問ないし取りまとめ程度で終わりたいと思うんですが、都市部で新しい住宅地域が郊外に分散をしてきまして、住宅地とそれから鉄道や駅、そういうものを結ぶ通勤輸送の確保というのが非常に大きな問題になってきております。  そこで、各地で誘導装置を持ったいわゆる都市ガイドウェーですか、これの導入が考えられているようです。これは誘導装置を持っておりまして、道路部分として建設され、無人運転で運転をされ、いわゆる通勤緩和とか、それから郊外の遠隔地に住む人たちの足を確保する、また、モノレールやそれから鉄道に比べて費用が安く済む、建設が可能であるというようなことで、すでにもう着工している部面もあるわけですね。私は沖繩へたびたび行くんですが、沖繩も、あそこには国鉄もありませんし、道路事情もそんなに、国道が一本通っているだけで、沖繩本島では南部とそれから中部を通って海洋博の跡地のある北部、この連結が非常に問題になってモノレールとか鉄道とかという話が出ておりますが、そういう場面についても誘導装置を持ったガイドウエーというのは考えてよろしいんではないか。建設費の関係とか、それから比較的安易に安上がりといいますか、軽便に問題ができるということで私どもは積極的にこれを進めるべきだと思うわけですが、この辺の御理解はどうでしょうか。
  286. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 御指摘のとおりに私ども考えております。現在、すでに事業がスタートしておりますのは大阪、神戸、小牧の三市、それから五十三年度から筑波研究学園の中でスタートをする予定になっております。なお、お話しの沖繩を含めましてガイドウエー、モノレール、両方で約二十カ所現在調査をいたしております。
  287. 二宮文造

    ○二宮文造君 最後になりますが、そこで、都市モノレールについては、都市モノレールの整備促進に関する法律というものがありまして整備の促進が図られることになっておりますけれども、いま言いました新しい交通システムとしての都市ガイドウエー、これについても整備の促進ということを寄り寄り話し合って、議員立法のようなかっこうでも法を制定しまして促進を図るべきではないか、いわゆる都市部あるいは交通繁雑なところの地域の問題を解決するために促進をするための法律が制定されるべきではないかと、こう考えるんですが、この点について大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  288. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) そういう機運になりますれば建設省としてもまことに結構なことだと思います。現在、この都市ガイドウェーについてはインフラストラクチュア部分を道路の一部として軌道法でやっておるんだと思いますが、お話の御趣旨、大変結構だと思います。
  289. 二宮文造

    ○二宮文造君 終わります。
  290. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 初めに、道路整備緊急措置法、それから第八次五ヵ年計画についてお伺いしたいと思います。  今度、道路整備緊急措置法目的が初めて改正されるよう提案されていますけれども、改定を必要とする理由は何かということ、それからまた、この目的の変更に伴って第八次五ヵ年計画ではどのように道路政策が具体的に改められているのか、この点お伺いします。
  291. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 道路整備緊急措置法目的改正について、今度の五ヵ年計画とどういう具体的な関係があるのかということでございますが、この五ヵ年計画につきましては、目的改正の趣旨を事業内容にできるだけ反映していきたいというふうに考えまして、その中身をいろいろ重点的に積み上げております。たとえて申しますれば、道路交道の安全確保という表現が目的改正の中にあるわけでございますが、これにつきましては、事業内容としては道路の防災震災対策の推進、歩道、自転車道の整備、それから避難路の整備、それから踏切道の立体交差化等の交通安全を確保するための事業を積極的に推進するということを考えております。  それから、道路交通円滑化という表現がございますが、これにつきましてはバス路線の整備、それから木橋、老朽橋等のかけかえ、交通不能区間の解消、あるいは住宅宅地開発に関連する道路整備など、国民の生活上必要不可欠な生活基盤としての道路整備を推進するとともに、一方では国土の均衡ある発展を担う高速自動車国道等の幹線道路の建設を推進することを考えておるわけでございます。  それからまた、生活環境の改善に資するという表現がございますが、こういった中身といたしましては、道路交通機能ばかりでなく、街区の形成だとか防災、美観、供給処理施設の収容等、生活環境を形成する多様な機能を持っておりますので、このような道路の持つ生活環境面の機能を増進するための事業として、たとえば道路緑化対策、土地区画整理、それから市街地の再開発事業、共同溝の整備といったような事業を推進しますとともに、沿道環境保全対策等の事業といたしましてバイパス、環状道路整備、遮音壁、環境施設帯の設置等の一連の事業を推進することといたしておるわけでございます。
  292. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この昭和三十三年に制定された道路整備緊急措置法の「目的」、二十年たって改正なんですが、読んでみますと、まことに正直に書いてあって、「自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与することを目的とする。」となっていたわけですね。いまはっきり御説明されなかったけれども、この「自動車交通」を「道路交通」というふうに直した。それから「生活環境の改善」とか「国民生活の向上」ということが初めて入ってきたわけですね。そうすると、この二十年やってきたもと目的というのは、「自動車交通」それから「経済基盤の強化」ということだけが目的なんで、非常にはっきり書いてある。つまり、車優先それから産業基盤優先ということがはっきり書かれ過ぎていて、書かれ過ぎていただけじゃなくて、これで二十年やってきたんだと思うんですね。本来やはりこれは公害国会のときにこの道路の方の緊急措置法も改正すべきだったかと思うんですけれども、これは車優先、産業基盤優先で二十年やってきて生活道路や地方道路が非常におくれてきたり、あるいは道路公害、自動車事故など自動車公害ですね、これが非常に大きくなったということについてのやはり反省も込められた改正だと、そう理解していいですか。
  293. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いま局長の方から詳細御説明を申し上げたように、建設省としては従来から道路整備に対する社会的要請の多様化に対応していこうと、こういうことでございまして、まあこの二十年の間、ただ従来自動車優先、産業優先であったんだという御批判は少し厳しいんではないか。しかし、われわれがいま申し上げたようなそういう社会的要請にこたえていくということで、今回の目的を大きな五つの柱にしたということでございます。
  294. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣、そうおっしゃいますけれども、この二十年をしさいに点検してみますと、やはり車優先それから産業基盤優先だったことはもう否定できない事実だと思うんです。やはり幹線道路中心主義でこの二十年間道路投資がずっと行われてきた。そのために高速自動車国道や一般国道、それから主要地方道などの整備、これは優先的に進められてきたけれども、地方道だとか市町村道、いわゆる暮らし道路ですね。市町村道というのは九割のウエートを持っているにもかかわらず、いただいた資料を見ましても舗装率なんかまだまだ非常におくれているわけですね。こういうおくれの整備をもっともっと進めなきゃならぬということも大きな課題の一つだと思うんです。  それで、先ほど二宮委員指摘されましたけれども、この概算要求と閣議決定の表を見ますと、総額の二十八兆五千億円というのは変わらないけれども、削られたのがやっぱり一般道路事業ですね。一般道路事業は十四兆七千億が十三兆五千億、つまり一兆二千億円減っちゃった。有料道路は全く手を触れられていない。約一割の削減がやっぱり一般道路に持ってこられているわけですけれども、この中身がどうなるかということはわかりませんが、市町村道、これもやはり一割減らされることになりますか。それから、おくれている市町村道の整備、どういう計画なのか、この点お伺いします。
  295. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 一般道路事業が、閣議了解の中身で七千億の予備費のしわで若干圧縮されることになるわけですが、まあその中で市町村道をどういうふうに考えていくかということでございますが、市町村道としては従来ともかなり大きな伸びで伸ばしてきたわけでございますが、そのぺースを引き続き維持してまいりたいというふうに考えておりまして、今度の五ヵ年計画におきましても、市町村道の伸び率は全体で七次の計画に比較しまして二倍ぐらいの伸びになるように持っていきたいというふうに考えて、全体としてはかなり重点を置いてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、幹線道路といいますか、高速道路を含みます有料道路のシニアが余り減ってないのに一般道路が減らされているということでございますが、やはり高速道路と有料道路は、これは実は国費で見ますとわずかに数%の国費でやれる事業でございまして、大部分は借金で、借金したものを全部料金で返していくというようなシステムでやられるものでございまして、国費の使用率としてわずか数%にすぎない。したがいまして、高速道路を伸ばしますことによって、それほどほかの事業の圧迫にはならないわけで、そういうことから比較的圧縮しないで従来の形のままでやっておるわけです。しかし、国費がしぼられてきますと、やはりどうしても一般道路事業を圧縮せざるを得ない。その中で全体としては市町村道についてはかなりなウエートを置いてやっておるという姿になっております。
  296. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 生活道路、市町村道路、これの整備にぜひ力を入れていただきたいと要望しておきます。  先ほど私、車優先の問題に触れましたが、去年の二月二十二日の建設委員会でもこの問題を一度質問したことがあります。あのとき浅井局長は、私が、たとえば昭和六十年度には自動車保有台数がどうなるかということに対して、いま三全総の作業も踏まえまして検討中だと、作業段階では昭和六十年に三千九百万台という推計も出たことがあるということを言われました。それから一年たちましたが、現在の日本の自動車の台数、それからこの第八次道路五ヵ年計画の終了する五十七年には、大体どの程度の自動車台数になると考えておるのか、もう三全総も出たところなので、お答え願います。
  297. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 自動車台数の推計は、現時点では五十年度で二千八百三十六万台でございます。これが六十年度の推計といたしましては、先生おっしゃいましたように三千九百万台の推計をいたしております。比較的控え目な推計というふうに私ども考えております。六十五年度にはこれが四千二百五十万台というふうにかなり伸びが鈍化することを想定いたしております。
  298. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大変な数字を建設省は考えて道路計画を立てている。六十年度三千九百万台というわけですね。四千万台の自動車が日本じゅうを走り回るとどうもお考えになっているようで、しかも控え目だと言われる。いままでの道路の五カ年計画を見てみますと、第一次が四年ですね、第七次は五年。二次から六次までは全部五カ年計画を立てて三年で次の計画にいっているわけですね。なぜ五カ年計画が三年、三年になって新しい計画をつくらなきゃいけなかったのか。これは自動車がやっぱり予想外にふえ過ぎたからじゃないんですか。
  299. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 五カ年計画を三年で改定した理由は、まあ大筋で言いますと、やはり自動車交通が予測よりもかなり伸びたということと一緒に、その時点でいろいろな道路計画の見直しを一応しなきゃならない客観的な情勢もあったというようなことで途中改定をいたしておるわけでございますが、大筋はやはりモータリゼーションを道路整備が追いかけ切れなかったということではないかというふうに認識しております。
  300. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、五カ年計画がもう三カ年計画に次々に改定しなきゃならぬほど、省の見通し以上に日本のモータリゼーションが広がってきたわけです。一九五五年、日本の自動車八十七万台だったわけですね。いま、先ほど二千八百三十六万台、昭和五十年と言いましたが、去年の十二月で三千二百八十五万台。つまり、もう二十年間に三十数倍という物すごいモータリゼーションが進んできた。しかもこのモータリゼーションで、私、去年もここで質問しましたが、昭和二十一年から昭和五十年までに三十四万人の日本人が交通事故死をしている、宇都宮市と同じ人口ですね。けがをした人が一千百万人、国民の十人に一人はけがをしているということが生まれておりますし、しかもいまの円高で、いよいよ二百二十五円という数字も出ておりますが、輸出御三家の筆頭が自動車ですね。で、国民経済全体にこの自動車輸出というのが円高という危機まで生み出しているという大変な問題がある。だから、この道路公害の問題、後でも触れますけれども、やはり基本は、一体日本の自動車をどうするのかというところをもう少し本腰で考えないと問題の根本的な解決が出ない。これは私、去年も盛んに主張したんですけれども、もうなかなか建設省の態度は、この問題を正面から受けとめようとされない。  それで、私、もう一度お伺いするんですが、建設省側の理論は、まあ道路問題でいつも持ち出されるのが、日本は欧米諸国と比べて道路は非常におくれているんだと、だからどうしてももっともっと道路予算、道路投資をやらなきゃならぬということを言われるわけです。ここに、第八次五カ年計画の参考資料に「道路整備現状 道路整備の長期構想」、建設省道路局、都市局の資料、去年の八月のをいただきましたが、たとえば、ここにこう書いてある。「日本の道路整備水準は欧米主要国の1/2以下」だという言い方で書いてある。人口一人当たりの舗装延長で、フランスの十三・四メートル、西ドイツの七・二メートルに対して日本は三・五メートル、人口一人当たりに対して非常に低いということをまず挙げられてるわけですね。  そこで、私お伺いするんです。この人口一人当たりと言っても日本はフランスの二倍ですからね、人口というのは。そういうのでなくて、国土面積当たり道路延長ですね、国土面積当たり道路延長で一体日本は世界の何番目に当たっているか、御存じですか。
  301. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ちょっと手元に……。いま探しておりますんで、あると思いますので、後ほど。
  302. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは建設委員会調査室のこの法案に関しての参考資料です。これに外国道路という表があります。国土面積当たり道路延長で一番多いのはベルギーであります。国土面積一平方キロ当たり道路三千五十二メートルがベルギー。二番目が日本であります、二千八百四十五メートル。ですから、道路延長ということを言いますと、人口当たりであなた方は少ない少ないと言うけれども、国土面積当たり道路では世界で二番目なんですよ、日本の道路というのはね。これはもし反駁できるんならひとつ反駁していただきたいと思いますけれども。  二番目に建設省が挙げているのは、自動車一台当たりの舗装延長だと。これはフランスの三十九・七メートル、西ドイツの二十二・五メートルに対し日本は十三・三メートルにすぎない。だから、自動車一台当たりもこの舗装が少ないんだと、道路も少ないんだということをおっしゃりたいんだと思うんですけれども、これで皆さん方は自蔵車一台当たりフランスの三十九・七メートルまで持っていきたいんですか。そうすると、フランスの三十九・七メートル、日本は十三・三メートル、三倍でしょう。それでいま局長は、自動車はそのうち四千万台になると言うんだけれども、その自動車がふえるにつれてさらに自動車一台当たりの舗装延長を現在の三倍にするというようなことをしていきますと、これはもう自動車道路の悪循環ですね、これはもう途方もないところに広がっていくと思うのです。ですから、自動車一台当たりの舗装延長も少ない少ないという形で道路を延ばしていけば、また自動車もふえちゃうわけですよ。だから、どうしても日本の地理的条件の中で、一体日本の自動車ってどういう状況になっているかということをもう少し目を見開いて見ていただきたい。私どもが言うことを、どうも自動車を敵視しているかのようにごらんにならないで見ていただきたい。  私、去年もここで、こういう数字をよく学者の方も引用するんですけれども申しました。つまり、人間が住むことのできる面積当たり自動車が一体どのぐらい走っているかというのを言った。去年私が挙げた数字は少し古かったのですけれども、今度少し新しい数字、一九七六年の数字が入りましたので申しますと、百メートル四方の人間が住むことのできる面積、アメリカはそこに〇・三台の自動車が走っている。フランスは〇.六台、イタリアは〇・八台、イギリスが一・五台、西ドイツが一・六台。日本は今度二・七台になったんですよ、一九七六年で。つまり、日本じゅうの人間が住める面積の中で、百メートル四方という狭いところに約三台近い自動車が日本は走り回っているという物すごい過密のところにまで来ているわけですね。こういう問題点をはっきり見て道路政策を立てていただかないと、交通事故の問題も道路公害の問題も本当に解決できないと思うんですけれども、こういう問題についてどうお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  303. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ただいまいろいろ数字をお示しいただいてのお話なんですが、その数字を的確に私どもつかんでおりませんので話がすれ違いになるかと思いますが、若干説明させていただきますと、まず一番最後に言われました可住地面積当たり自動車台数ということになりますと、日本は確かに二・何で高いと思います。しかし、道路というのは可住地だけにあるわけではなくて、やはり可住地と可住地の間をつなぐ山を越えてつながれるものであるわけでございまして、自動車も可住地の中だけで動いているわけではございません。やはり日本全国を動き回っているような形でございますので、可住地面積当たり自動車台数の比較というのは、日本が非常に高密度の地域社会をつくっているという関係でやむを得ないと思いますが、必ずしもフランスのようなあるいは西ドイツのようにああいうフラットな地形の国と比較しにくい問題ではないかというふうに考えられます。  それから、先ほど述べました自動車台数当たりの舗装延長でございますが、これはいろんな指標がある中で、これが比較的多く使われておるわけでございますが、何といいましても道路というのは舗装されて初めて一人前でありまして、日本ではそういうことから昭和三十九年以降いわゆる現道舗装方式というようなことで、砂利道でも何でも、線形が悪いままでもとにかく舗装をして一人前の道路に早く仕上げようということで急いで舗装を進めてきたために舗装延長はかなり延びました。しかし、非常に線形が悪いところにつくる舗装ですので、いわば簡易舗装的なものが非常に多いわけでございまして、全体の舗装延長の六〇%はいわゆる簡易舗装でございます。ただ、表面に薄い層を敷いたという程度の舗装が多いわけでございまして、実質は非常に悪いわけでございます。そういうようなことも含めまして舗装延長は非常に足りない。結局、自動車が走りよい姿で通るためには、やはり舗装延長が自動車一台当たりにどのくらい持っているかということがサービス水準の一つのバロメーターになろうかということで、こういう比較をいたしておるわけですが、これだけで比較しているわけでもございません。  それから、日本の自動車台数が外国に比べて非常に多いということでございますが、乗用車の普及率から言いましても、日本は現状では欧米の半分でございます。それから日本の高速道路の実際の車の通っている状況を見ていただきますとわかりますように、通っている車の半分は大体ライトバンとか貨物を乗っけて走っているようなことでございまして、非常に生活に密着した交通がぎりぎりの状態で走っている。ですから、車使用については、欧米に比べて決してぜいたくな形で使われてはいないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。乗用車につきましても、普及率が欧米の二分の一だということだとしますと、今後やはりどうしても若干はふえることを予想しなければ現実に合わないんじゃないかということで、私どもは車のふえることをこいねがっているわけじゃありませんで、車はふえない方が道路をつくる立場からいうと非常にありがたいわけなんですが、しかし、どうしても利用者の選好からいってふえざるを得ない、また社会構造からいってふえざるを得なければ、やはりふえた自動車を最も効率的に快適に使えるような姿に道路施設をつくっていきたいというのがわれわれの目標でございまして、そういうことから言いまして、先ほどのような数字からいって、自動車台数としては控え目に見ながらもそのくらいのものは想定しなければいけないんじゃないか。しかし、なかなかそれには膨大な事業量になりますし、予算もかかりますので、まあ歩道、自転車道等を備えた質のいい道路を金と時間はかかっても着実につくっていきたいという姿勢で、新しい五ヵ年計画をスタートさせたいという気持ちで計画したものでございます。
  304. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも道路局長は、まだ自動車は少ない、ヨーロッパと比べて二分の一だと、また人口当たりということでしょう。そうじゃないんですよ。もう世界で二番目の自動車保有台数で、しかもこの狭い日本でね、どこへ行ってもわれわれの生活感覚からいっても、事実からいっても、本当に自動車があふれ返っているわけです。こういう状況になってきたのは、道路を延ばす、それで自動車がふえる、また足りないから道路を延ばすという道路投資ですね。先ほども読み上げたような車優先、それから産業基盤優先のこの法律に基づいて、また特定財源方式に基づいて悪循環が物すごく大きくなってきた。だから、この二十年間の道路投資というのは、私は特定財源方式に基づいて自動車産業の利益を主にしてと私あえて言いたいんですけれども、余りに莫大な道路投資が日本では行われ過ぎてきたと思うのです。一時GNPの割合が二・七%にまでいったことがあるんです。これは世界一ですね。いま若干減っていますけれども、いまでもGNPの中の道路投資の割合は一・九八%、約二%で、これも世界一です。それから自動車一台当たり道路投資の数字を見ても、世界でやはり一、二を争うところにまで来ているわけです。今度のも二十八兆円ということで、五で割りますと一年間に六兆幾らでしょう。これも私はいまの日本の経済状態からいって余りに規模が大き過ぎる、そういう検討をやはりすべき数字だと思うんですね。  それで、時間がありませんので余り数字は並べませんけれども一つだけやはり言っておきたいのは、建設省主管の過去二十年間の行政投資の数字を建設白書でわれわれ計算してみました。そうすると、道路投資は昭和三十三年から五十二年まで総額二十九兆四千三百十三億円、約三十兆円になります。住宅投資七兆五千八十九億円、比率は三・九二対一です。やはり四対一なんですね。これを見ても私は、国民があれほど住宅問題を要望しているのに、この比率はやはり道路投資に少し過大だということを明らかにしたい。それから道路投資でどんどん自動車がふえて、公共交通機関の体系から見ましても国鉄がだんだん大変な状況になっている。道路は国費でどんどんつくる。使用料その他、有料道路なんて取りますけれどもね。国鉄の場合には国家投資が非常に少ないために国鉄はあれだけ大きな赤字ですわね。そういう状況を見ましても、総合交通体系をどうするかという観点から見ても、国鉄に対する国家投資の比率と道路に対する国家投資の比率も余りにもアンバランスだった。住宅と道路についても余りにもアンバランスだったと、そう私は指摘せざるを得ない。  もうこの問題は去年もやりましたので、きょうは詳しくやりませんけれども、こういうことになっているのは例の特定財源方式ですね。この特定財源方式というのは昭和二十八年に臨時措置法がつくられて、翌年から第一次道路五ヵ年計画が始まるわけでしょう。この特定財源の臨時措置法がいまわれわれが審議している法律にその後改定されるわけですね。だから、道路をふやすと自動車がふえる、その自動車が使うガソリンがふえて、そのガソリン税がまた道路投資に行く、これはいつまでたってもこのままでは、どこかで打ち切らなければこの問題はやっぱり解決できないと、そう私は思うんですね。だから、日本の道路政策、それから自動車公害、道路公害に対する対策、それから公共投資全般についての観点から申しましても、どうしてもこの問題についてやっぱり考え直す時期に来ていると思うんです。道路局長は道路局長であるので、やっぱり特定財源としてどうしても確保したいと思われるんでしょうけれども、ひとつ建設大臣国務大臣として広い視野でこの問題を見直すべきだと思っておられないかどうか、お伺いしたいと思います。
  305. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) きょう本委員会で、第八次計画の高速道路も大幅に削減をしておる、国道の概成もスローダウンしておる御説明は申し上げたとおりでございますが、ですから、一概に自動車のための道路をどんどんつくっておるということでなく、五つの目的に沿った新たなる見地に立っての道路整備計画であるということを御承知いただきたいと思うのであります。  また、現在のこの特定財源についてのお考えをお示しでございましたが、いわばこの特定財源が道路にどれぐらい使われておるかということを御検討いただきますと、五十三年度の財源構成では、所要の国費一兆六千五百八十六億円のうち特定財源は一兆二千九百九十億円、一般財源を三千五百九十六億円と、こういうことになっておるわけでございまして、御批判がございましょうが、私の立場からいうと特定財源はやはり道路のために確保してまいりたい。しかし、同時に、歩道の問題あるいはこの自転車駐車場の問題等もございますから、一般財源もまた入れてもらいたいというのが偽らざるところでございます。
  306. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題をやっていましても押し問答になりますし、私は、もうすでに破綻しつつある、将来さらに破綻が大きくなるだろうということを指摘したいと思います。そういうやり方の結果、やっぱり道路公害問題、交通事故、交通麻痺、これが日本じゅうに拡大しているわけで、この問題に次に移りたいと思うんです。  この「道路公害と住民運動」という本によりますと、道路公害問題研究所が把握しているだけで、道路公害に反対している住民運動が、全国で二百七団体その運動が起きているということですね。そのぐらい大きな国民生活の大問題になっているわけです。この道路公害で最も有名なのが、西では訴訟まで起きている四十三号線ですね。東ではやっぱり東京の環七だと思うんです。環七は都道ですけれども、オリンピック道路として突貫工事でつくられましたし、非常に重要な道路でありますので、国も当然責任を負わなければならない問題だと思うんです。  建設省がいま沿道環境整備促進事業というのを行っておりますけれども、たとえば環七に沿道環境整備促進事業を適用して進める場合、どの程度効果があるとお考えになりますか。
  307. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) いまの沿道環境整備促進事業を環七に適用した場合どの程度の効果があるかという御質問でございますが、これは場所によるわけでございますけれども、たとえばこれは環七とは必ずしも限らないと思いますが、この事業を実施するために種々検討しました結果によりますと、たとえば緩衝性のビルをつくるというふうなことによりまして、その背後地の騒音が約十ホン程度減少するというふうな結果が出ております。環七の場合は、御承知のように大体要請基準が夜間六十ホンということになっておりますが、現状では特に西側の方が非常に騒音が激しゅうございまして、六十五ホン以上というところが大部分となっております。したがって、ただいまの促進事業に基づきまして、都の要請に基づいて緩衝性の建築物等に対して助成を行ってこれができるということになりますと、申しましたように要請基準以下に騒音を抑えることができるだろうというふうに考えております。
  308. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 対象家屋が二千五百五十戸ぐらいあると言われておりますけれども、どの程度進捗しておりますか。
  309. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 環七につきましては、昭和五十一年以来調査を続けてまいっておりまして、今後引き続き継続してまいる予定でございますが、事業につきましては昭和五十三年度に都の方と相談しまして、どこかで着手をしたいというふうに考えております。まだ場所は未定でございます。
  310. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査によりますと、その二千五百五十戸のうち三割ぐらいは条件によっては応じてもいいという考えのようなので、これは緩衝性ビルをつくればやっぱり効果もありますので、住民の意見もよく聞いて進めるよう援助していただきたいと思うんです。  ところが、住民の中にはやっぱりよそにどうしても移転したいという人もかなり多いんですね。ところが、移転したくても環七の隣に建っている家じゃだれも買い手がいないというので非常に困っているわけで、土地をぜひ買い上げてほしいという要望があるんですね。その際、道路用地買収並みの価格で買ってほしい、税金の優遇措置道路用地買収と同様にしてほしいという当然の要求があるわけですけれども、この環境整備促進事業として、こういう場合、土地の買い上げはできるでしょうか。
  311. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) いまのこの環境整備促進事業では、緩衝性のビルを建てるために、住宅が、そのビルを建てる人に土地を売り渡してよそへ出ていく、この場合に建物を除却する金、これの一部については助成をするということは考えております。しかしながら、用地の買収その他は、ビルを建てる事業者と当該現在の住宅及びその土地の所有者との間の問題でございますから、そういう場合に限りいま申し上げたような形での助成は考えておりますが、一般的な形で出ていきたいから買ってくれと、こう言われましても、これは買い上げるというふうな内容にはいたしておりません。
  312. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やっぱりいまの制度ではなかなかそういう場合にあれがないんでしょうね。ですから大臣、こういう問題、本当に環七の住んでいる人たちのぜんそくから、それから夜は眠れない、大変な苦しみなんですね。そういう苦しみに応ずるように、何かそういう場合の買い上げができるような制度ですね、これをひとつ大臣検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  313. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 御指摘のような問題があることは私ども十分認識しておるわけでございますが、ただ、この辺は土地の問題、土地利用計画と絡む問題でございまして、まあ端的に申し上げますならば、もちろん幹線道路に面して住んでおるためにこうむるデメリット、これは相当ございますが、反面にまたいわゆるドア・ツー・ドアという自動車の通行、あるいはそういう立地条件から起因しますところの土地の利用の仕方いかんによりましては、これは相当のまたメリットもあるわけでございまして、この辺のところは土地利用と幹線道路関係というふうな問題についていろんな議論を実はしてはおるわけでございますが、都市計画上の都市区画制限というふうな問題もあわせて考えなくちゃいけない非常にむずかしい問題があると思いますけれども、まず何らかの方法がないものだろうかということでいろいろ従来議論はしておるところでございますが、今後とも検討を続けてまいりたいと、そういうふうに思っております。
  314. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その検討をぜひお願いしますが、もう一つ、高速自動車国道の周辺では交通騒音対策として五十一年度から民家の防音工事をやっていますね、三公団でやっておると思うんですけれども、進捗状況、また将来の見通しについてお答えください。
  315. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、高速道路等の自動車専用道路周辺で騒音の著しい民家に対して防音工事の助成を実施しておるわけでございますが、防音助成の実績といたしましては、五十一年度の実績では防音助成が二億一千二百七十万、それから移転助成が千二百万になっております。それから五十二年度の予算では二十三億になっております。それから移転助成が四億、跡地の買い取りが九億三千二百万という数字になっております。
  316. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 現行制度では三公団が行っている高速自動車道に限っているんですけれども、この制度は一般道路にも適用して、夜間六十五ホン以上というような騒音で苦しんでいる民家の防音工事に対する助成ですね、これも当然行うべきだと思いますけれども、どうでしょう。
  317. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほども都市局長から一部お答えがあったのとダブりますが、現在、高速国道等の有料の自動車専用道路の沿道騒音が著しい住宅について、これらの道路が沿道の住民に直接便益をもたらさないということ等の理由にかんがみまして、五十一年度から緊急的措置として防音工事の助成を行っているわけでございます。こういった専用道路では沿道から乗り入れができない、その道路を直接利用できないということから、一方的に自動車専用道路周辺の人が被害を受けるというような形になるわけでございます。それに対して一般道路周辺の住宅に対しても防音助成を導入することはどうかと、こういうことなんですが、これにつきましてはやはり一般道路が日常その道路利用して出入りしているというような実態もございますし、そういうようなこともあって、またあわせて防音工事を実施した場合、土地利用が固定化されて、長期的に見て沿道の土地利用の転換を妨げるというようなものもあります。終局的には、やはり理想としましては沿道を共存できるような姿につくり変えていくというような方向に、これは現実の問題として非常に金もかかるし、大変な仕事ではありますが、方向としてはやはり道路も幹線道路も必要であるし、沿道にもいい環境で住みたいという両方のやはり方向を満足させるためには、沿道をつくり変えていくという、共存できるような姿につくり変えていくという方向でやはり物事を解決していった方がいいんではないか。その際にやはり防音助成で事終われりと、こういうふうにすることはやっぱり若干問題がある。それと、やはり出入りの問題等と絡めて、基幹道路に対する助成というのは、またこれ非常に一般道路に対する助成を始めますと非常に広範囲の問題になるわけでございます。その辺十分慎重に考えていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
  318. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんな悠長なことを言っておられないわけですよ、先ほど挙げた環七の場合なんかですね。ほんとに騒音が大変なんで、東京都は単独事業としてやっているわけですね。一戸当たり一室から二室についてやっているわけです。五十一年から五十二年、二百八十戸、五十三年で三百戸を予定しているわけで、五十七年までに済ませたいということをやっているわけですね。しかし、いまの地方財政の苦しみの中で大変なんだから、国としては一般道路、いまのところどうもおやりになる考えはないようですけれども、環七のような大変な問題で放置できないので地方自治体がやっている場合、こういう補助事業に対して少なくとも国がその一部を補助するという制度を設けるべきだと思うんですが、どうでしょう。
  319. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 東京都が独自にいま御指摘のような対策をとっておることは私ども承知いたしております。ただ、先ほどもちょっと私からも道路局長からも申し上げましたように、こういう環七のごとき幹線道路、都内の幹線道路に面して立地しておるということは、実は土地利用の方法いかんによりましてはこれは大変なメリットといいますか、があるわけでありまして、そういうふうな使い方、使われ方いかんによりましては大変に価値ある土地になるという考え方も反面においてはあるわけでございまして、したがって、この辺の問題は対症療法的にとりあえず……
  320. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 防音工事の問題を言っているんですよ。
  321. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 緊急避難的に都のようなことをなさることも一つの方法かとは思いますけれども、やはりこれは貴重な都心部に近いところの都市空間をいかに最も効率的に土地利用計画を立てて……
  322. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 民家に対する防音工事、これに対する国の補助、これを聞いているんです。
  323. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) という問題もございますから、これを住宅地として使用することを恒久的に前提にしていくのが是か非かというふうなところは一つの議論の分かれるところではないかと思います。  それからいま一つは、道路そのものの対策としましても、環七を通行しておるような通過車両その他の交通発生の原因を調べてみますと、これは場合によりましては湾岸線あるいは外郭環状線等の別のネットの整備によりまして、相当そっちに迂回させることができるというふうな問題も反面においてあろうと思いますし、ですから、現状で都のおやりになるような工事に対しまして直ちに国が助成していくべきかどうかは、なお相当慎重にいろいろな議論をしなければならないというふうに考えます。
  324. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東京都は、こういう問題の解決をする際、やはり住民との対話と協議機関、これをつくってやっておるわけで、どうも私は、建設省がこういう騒音問題、道路公害問題で、本当に住民の立場に立って進めていく、財政問題あるでしょうけれども、そういう姿勢が少し弱いように考えるんです。  たとえば、東京都では、環七の自動車公害等に関する対策会議というのを設置して、副知事、政策室長、都民生活局長、都市計画局長、公害局長、衛生局長、建設局長、住民代表五名で構成しまして年二回、幹事会月一回ということで進めているんです。こういう姿勢をこれからやっぱり道路をつくっていく際に基本に置くことが私は非常に大事だと思うんです。だから、こういう考え方をもっと進めて、ひとつ大臣、新しい道路を建設する際、都市計画などの手法によるだけでなくて、道路の管理者側と住民が協議して、事前に道路の構造やルート、道路環境整備などを協議していく、こういうことをやっていくことが第八次の五ヵ年計画を進めていく上で非常に大事なんじゃないか。そういう住民参加の道路ということを推し進めていく必要が非常に今日熟していると思うんですけれども大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  325. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま東京都の例をお挙げになってお話しのように、地方は地方での行政、中央は中央での行政のあり方があると思うんです。また、余り中央が地方に介入するということも恐らく住民にとってありがたくない面もあるんじゃないかと。ですから、これはやはり分担だと思うんですね。したがって、地方において東京都のような住民参加をしておる、それによって効果が上がって、他の地方自治体においてもこれを見習っていく。これについて中央からはわれわれがどうこうということはないわけでございます。
  326. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間がありませんので、もう一つ最後の問題に触れたいと思います。  最後の問題は、先ほど二宮委員も取り上げられました身体障害者に対する有料道路の料金の免除問題。これは三年越しに身体障害者の運転者の協会が取り上げている問題で、国会でも超党派的に何回も請願が採択されておりますし、建設省側でも櫻内建設大臣のお計らいで検討委員会ができ、懇談会も一月十八日にできたということを聞いておりますが、私はひとつこの優遇措置の中身ですね、この問題を質問したいんです。  心身障害者対策基本法では、第二十三条の「経済的負担の軽減」というところの第一項に、「公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。」ということになっていて、第二項に、国鉄については「運賃等の軽減」と書いてある。だから、一項、二項を見ますと、公共的施設の利用料などは「減免」と書いてあり、国鉄については運賃の「軽減」と書いてあるんです。だから、私は身体障害者の方々に有料道路についての優遇措置を考える場合に、法的には減免だから軽減もあり得るし免除もあり得るというように思うんですが、建設省側の見解はいかがでしょうか。
  327. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の問題は、現在、道路局で前向きに取り組んでいるというふうに先ほど御説明申し上げましたが、これは身体障害者の有料道路通行料金に関する検討会というのを道路局の中に今年早々に設けたわけでございます。この検討会の中で料金を免除すべき対象とか、それからまた免除すべきか割り引くべきかというようなことも含めまして、この優遇措置の内容をその対象と一緒に議論している最中でございまして、現段階でまだどっちというふうには結論づけられておりません。
  328. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四十九年に、七十二国会で、和田耕作議員の紹介で免除請願が採択されているのですね。「全国の公共有料道路・駐車場等の料金を免除するよう指導すること。」と、四十九年の国会でこういう請願が採択されていることは御存じですか。
  329. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 四十九年の御請願で、「全国の公共有料道路・駐車場等の料金を免除するよう指導すること。」というふうに書いてあります。
  330. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほどのお答えでも、検討会で、軽減にするか免除にするかということも含めて検討しているということですし、いまの私の質問で、四十九年の「免除するよう指導」ということについても御存じのようですので、ぜひその方向で前向きにお願いしたいと思うんです。  これは各党にも陳情が来ているので皆さん御存じと思いますけれども、やはり身障者の方々が、特別に私たちだけ頼むということを言ってるんじゃなくて、あの方々の生活実態、労働実態ですね、その中から、ようやく免許を取って自動車を使っている人々が、自分の生活の足としての生活の体験の中から、どうしてもこれを免除にしてほしいという声が強いわけです。  ある例を申しますと、群馬の館林に住んでいらっしゃる方で、奥さんが腎臓病にかかって東京の専門医に週二回透析に通っていた。東北自動車道を利用したら片道七百円で月一万五千円かかってしまったというので、透析もできなくなって一時病院に通うのをあきらめた、ようやく県内の病院でやれるようになったと、こういう例もある。それから、奈良在住の方は、大阪に就職口を見つけた。阪奈有料道路を使えば三十分で行ける、ところが片道二百五十円かかる、どうしても使えない、身障者の方はやっぱり給与も安いので。一般道路を使うと一時間半かかるというのでとうとう就職もあきらめたという例。  それから、車いすで乗れるのは新幹線だけですからね、そうすると、どこかへ行く場合に、新幹線以外のところへ行こうと思いますと、どうしても車いすで行けない。タクシーを使ったら高くなる。自動車持っている人は何とか自動車で行きたい。盆暮れには身障者の方はなかなか帰郷もできないということで、本当に生活、職業体験の中から、ぜひとも免除にしていただきたいという要望が非常に強いわけです。  こういう点、当然私どもは、身障者の方々のこの要望を免除の方向で検討していただきたいと思うのですが、諸外国の場合は、有料道路、身障者についてどういう措置をとっているか、御存じだったら教えてください。
  331. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 実は、日本道路公団が調査した結果があるわけでございますが、これは国際有料道路協会を通じて日本道路公団で調査しましたが、その結果では、若干はっきりしないところもあるんですが、関係する記録をチェックして、料金部門における何人かの専門家に連絡をとったところ、特別に割り引きされた料金が身障者に適用されたケースはないという報告を一応受けておりますが、調査がまだ十分でないので、あるいはそういうのもあるのかもしれませんが、いまのところ、調査した範囲ではそんなような結果があるようでございます。
  332. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この調査室の資料を見ますと、そのことは書いてないけれども、欧米各国の高速道路というので見ると、アメリカは大部分無料だと、西ドイツも無料だと、イタリーも無料だが、一部有料があるらしいですね。それからフランスは有料、無料があるということ。どうも外国の場合には高速道路というのはほとんど無料が多いらしいのでいまのようなお返事があったと思うのですけれども、ぜひ私は実行していただきたいと思います。  それから、これを実行する場合に、法的には建設大臣が定めることになっているので何ら問題ない。道路整備特別措置法の第十二条で、「料金徴収の対象」というところにただし書きがあって、「道路交通法第三十九条第一項に規定する緊急自動車その他政令で定める車両については、この限りでない」。政令で定めればいいわけです。政令、法施行令第六条で、「料金を徴収しない車両」というのは云々云々とあって、「建設大臣が定める」ということになっている。建設省の告示(昭和三十一年十月二十五日)では、一項目から八項目について、こういう自動車については徴収しないでいいということになっている。ですから、大臣がもう一つ第九項目に追加していただければこの問題は法的に解決できると思うので、ぜひお願いしたい。実施した場合、減収額は一体どのぐらいになるか、計算しているでしょうか。
  333. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 身障者で運転免許を取っている者が約七万人というふうに聞いておるわけでございますが、これらの方が各種有料道路をどの程度に利用しているか、ちょっと現在のところ調査をしていないために、料金を免除した場合、どの程度公団が収入減になるかはちょっとはっきりいたさないわけでございますが、今後、先ほど申し上げた検討会におきまして、これらを含めて調査検討したいというふうに考えております。
  334. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後に一問ですけれども、軽減の場合ですね、私は免除してほしいと言うのですけれども、また要望もそうですけれども、国鉄並みという言葉がよくありますが、国鉄の軽減は百一キロ以上ということになっているわけですね。高速道路で百一キロ以上というようなことになると、たとえば首都高速道なんかを毎日通勤通学に使う場合なんか全然入らないので、軽減の場合、そういうこともあり得ますか。国鉄並みという場合、百一キロ以上軽減なんというふうなことは。
  335. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 国鉄と高速道路と有料道路利用実態はかなり違うと思いますので、この百一キロというのが必ずしも参考にならないと思いますが、一応その辺の実態もよく調査した上で検討会で結論を出したいというふうに考えております。
  336. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後に、大臣、この問題について、福祉政策としても非常に重要な問題だと思いますので、御所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  337. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほど来道路局長の方から御答弁を申し上げておりますように、すでに検討会を設け、しかもこの検討会には関係の公団をも参加させて、そして検討をいたしておるのでございまして、私としては本年じゅうに、しかも速やかに早く結論を得て身障者の方々に対応いたしたいと、こういうふうに思っております。
  338. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 三月二十五日に円高対策ということで当面の景気、経済対策を決められたわけですけれども、そこの中の一番大きなものの一つが前倒し執行の再確認、上期に七〇%を成約しよう。今度はそれだけではなくて、さらに上期の前半分、そこに極力相当な部分を織り込むように努力をしようということが決まったようでありますけれども、そういったものをただいま議題道路整備ということで具体的に受けとめた場合に、どうやって対応されるのか。なるべく具体的に伺いたいんです。
  339. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 五ヵ年計画との関係でちょっと申し上げますと、総額二十八兆五千億で発足することといたしております第八次の五ヵ年計画の五十三年度は、その初年度でございまして、全体の予算といたしましては三兆三千十九億という非常に大きな額になっております。しかし、伸び率といたしましては、道路は前年度対比で一・二八倍ということで、ほかの事業に比べて必ずしも大きな伸びにはなっておりません。しかし、事業費としてはかなり大きなシェアを占めるわけでございまして、景気浮揚に資するように十分これを活用していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のような三月二十五日の経済対策閣僚会議で定められた当面の経済対策についての中身を踏まえまして、まず公共事業の実施促進については、上半期における契約済みの割合がおおむね七〇%となることを目標として、必要な執行体制等所要の準備を進めたいというふうに考えているわけでございます。また、中身に表現されております高速道路、本四架橋の事業の促進を図ることにつきましては、特に本四架橋の児島−坂出ルートについて、先ほど申し上げましたような環境影響評価等の諸手続を早く進めまして、早期着工を実施したいというふうに考えております。雇用対策といたしましては、地方公共団体との緊密な連携のもとに、地域の雇用情勢を十分配慮して公共事業の執行を行うこととしたい。こういったようなことで、三兆円に上る道路事業でございまして、十分その景気対策に沿うような姿で執行してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  340. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのお答えは、七〇%前倒しということを中心にしたお答えなんですけれども、それだけじゃなくて、第一・四半期に七〇%の相当部分を集中してもらいたいというのが新しくつけ加えられた。私が伺うのは、本当にそれができるのだろうかという観点から、なるべく具体的にケースを踏まえて御説明いただきたいと思います。
  341. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 第一・四半期に契約率をできるだけ高めたいということでございますが、高めることにつきましては、五十三年度の公共事業等の施行については、上半期契約目標率を、先ほど申し上げましたように、おおむね七割程度というふうに考えて所要の準備を進めておるわけでございます。第一・四半期におきましても、景気の速やかな回復に資するためにはなるべく前倒しで契約していくのが必要なわけでございまして、五十二年度第二次補正予算に引き続き契約の促進に努めてまいりたいというふうに考えておりまして、もうちょっと具体的に申し上げますれば、五十二年度上半期の実績では、目標が七一・三%、実績が七四・八というふうに実績がかなり上回ったわけですが、その際の第一・四半期の契約率は四七・四ということでございます。そういう実績があるわけでございますので、こういったことを一つの目標にして、できるだけ二次補正のペースをそのまま五十三年度の第一・四半期の契約率に持ち込むように考えたいというふうに考えておるのでございます。
  342. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 重ねて伺いますと、用地の手配の問題とか作業のいわば能力の問題とかというもので、特に大きな支障はない、昨年の努力を継続しながら、第一・四半期に相当の成約をすることができるであろうと、こういう考えでよろしいですか。
  343. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほど言いました数字、七〇%の契約率も、五十二年度一次補正、二次補正の後でございまして、事務的にはかなり苦しい面もございます。しかしながら、現在それをカバーするようないろいろな執行体制あるいは補助事業手続の簡素化等を考えております。そういうことで、かなり事務的にはこなせるというふうに考えておるわけでございます。また、用地につきましては、必要な用地については用地先行取得等によりまして相当部分はすでに確保されているわけでございますが、やはり後年度に仕事をつないでいくためには用地も必要なペースで確保していかなきゃならぬわけでございまして、下期等の工事に必要な用地等を含めてその手当てに万全を期してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  344. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では、全体の規模の問題で伺いたいと思いますけれども、いまのお答えでも、道路は必ずしも伸びが高くないとございました。最近、見ていると、公共事業費の中で道路整備費が占める割合というのが年々比重が下がってまいりました。昨今の計画を見ても、第八次道路整備計画が前の計画に比べて一・四六倍でありますけれども、第五次治水計画は一・八八倍だし、下水道計画は二・八八倍云々ということで、現在の公共事業関係の五ヵ年計画に比べてこの第八次というのは一番伸び率が低い。伸び率が低くていいんだろうかということで御意見を伺いたいと思いますけれども道路というのは切り離されてあるんじゃなくて、ほかのいろんな社会的な機能をつなぎとめていくいわば連結の役割りをするわけですから、道路と無関係に住宅投資を急げったってそうはいかない。公団つくれといってもそうはいかない。したがって、本当は社会福祉を高めるという観点からいっても道路整備というのは急がなければいけないんではないんだろうか。第八次道路整備五ヵ年計画が御提案になり、決まっていくわけでありましょうけれども、せっかく前倒しで上期七割と言うんなら、むしろ五ヵ年を前に引っ張り上げながら、施行を急ぎながらということで、道路整備のおくれというものを私は脱却する必要があるんじゃないかと思う。現在の道路整備の伸びについての御判断を伺いたいと思います。
  345. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほども大臣からお話ございましたように、二十八兆五千億という第八次五ヵ年計画の規模は、まあ私どもの考えでは必要最小限ということで考えております。したがいまして、この達成率はぜひ一〇〇%達成したいという気持ちでございます。  二十八兆五千億の積み上げ方は、先ほど申し上げましたように、二十一世紀初頭までの長期構想の中で、特に急ぐ事業について緊急を要する防災だとか、緊急を要するバイパスだとか、歩道の整備とか、そういったものをなるべく前倒しでやって、昭和六十五年までにそういう緊急事業については概成するという形で考えたわけでございまして、その六十五年の中期目標に対してすりつく姿の二十八兆五千億というようなペースで考えておるわけでございます。  この伸びを、一応二十八兆五千億の年度比の伸びを考えてみますと、五十三年度を初項にいたした場合には、年率約一〇%ちょっとで達成できる事業量でございます。まあ五十二年度を初項にいたしますと一六%ぐらいになりますが、そういうようなことで、二十八兆五千億は七次五ヵ年計画の実質八割ちょっとのものでもございます。まあそういうようなことで伸びとしては必ずしも十分でない。しかしながら、十分でないだけにその中身については十分選択して必要な事業を進めてまいりたいというような考え方でいるわけでございまして、全国津々浦々に道路事業が行われるということから、道路事業規模二十八兆五千億という数字だけを見て、まあ直観的に非常に大きいというふうに見られる向きもありますが、道路事業は全国津々浦々、これはもう市町村で道路事業のない市町村はないわけでございます。しかも日本のようなこういう地形では、山を越え谷を越えて道路をつくらなきゃならないということからどうしてもコストが高くなる、そういうようなこともありまして、どうしても建設費がかかるわけでございます。キロ当たりの単価等を考えれば非常に大きな金がかかるわけでございます。  しかしながら、これは時間がかかっても逐次国民の生活基盤として将来的には理想的な姿に持っていきたいというつもりで考えておるわけでございまして、そういうことから今回の五ヵ年計画を積み上げましたが、伸び率、規模から言いまして決して十分とは言えない、全国の道路事業に対する要望を満たす上にはまだ足りないというふうなことではありますが、安定経済成長の中で投資率を大体GNPの二%台ぐらいに抑えるのが妥当だろうというような判断から全体の規模を決めたものでございまして、まあ計画としてはほぼ妥当な線ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  346. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 確かにいまお話しありましたように、前の第七次を五十二年度価格で置き直しますと三十四・九兆だそうでありまして、これと比べると二十八兆五千億というのは八二%でしかない。必要最低限を満たしているかどうかは別にして、ずいぶんと下げた内容だと思います。  心配しますのは、片方では住宅投資を中心にして景気浮揚も含めてがんばっていこうじゃないかと、こうなっておりますけれども、住宅ができてくる、公団団地ができてくるということになると、それはそのまま、しかもこれから恐らく単価の高いであろう道路をつくっていかなきゃいかぬ。  そこで、この第八次計画というのは、昭和五十年代前期経済計画からいわば引っ張り出した数字だろうと思いますけれども、その後いろいろと経済情勢も変わってきた。今回の三月二十五日にしても、相当思い切って住宅をまたやろうじゃないかと励まし合っている姿から見て、私は二十八兆五千でスタートするのは、それはそれとして、これで足りるかどうかという早急な見直しをやはりなさるべきではないか、これが一つ。  それからもう一つは、よく足なし団地ということが言われましてね、同じ建設省の傘下であるわけですから、大変けげんに思うんでお尋ねするんですけれども、住宅は急がなければいかぬ、そうは言いながら、十分な道路がまだできてはいないんだという事前の内部チェックといいますか、そういうものができないんだろうか。また、それを広げて都道府県知事が建物の建設認可をするときに、ああ交通は大丈夫であるかということをあらかじめ調べて仕事をなさいという指導もしていかないと、これから足なし団地の問題、交通需要が発生してしまっても道路のキャパシティーがない。それはもう何とも言いようのない怨念になって、道路けしからぬと、こういうことになってくる。何とも解決の困難な心理的な悪循環が起きるんじゃないか。その意味でも私は事前の整合性のある取り組みが道路について必要だろうと思いますけれども、この点もあわせて伺いたいと思います。
  347. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 確かに、足なし団地の問題等考えますと、道路整備のあり方について、やはり十分慎重にやっていかなきゃならぬ面が多々あろうかと思います。先ほども説明いたしましたが、ダム関連あるいは住宅関連というようなことで、公共投資を生かすための道路整備というような形のものを今後重点的にやっていかなきゃならないんじゃないか。住宅宅地関連の道路ということでも、今度の五ヵ年計画では八千億以上のものを計画いたしておるわけでございまして、十分重点を置きながらやっていきたい。まあそういった足なし団地の問題は、道路計画のサイドからもやはりアプローチしていかなきゃならぬ。もちろん住宅団地そのものの立地選定の問題が主でありますが、道路サイドからも十分事前にそういうことで計画の調整を図っていかなきゃならないというふうに考えている次第でございます。
  348. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは全国どこにでもあるんですけれども、住宅団地をつくる場合には紙の上の計画路線を頭に置いて進めてしまう。計画路線はなかなか進まない。そこで、あちらこちらで交通渋滞が起きる云々ということになるわけでありまして、との問題、十二分な御検討をぜひお願いしたいと思います。  今度は見方を変えて、いまある道路をどうやって効果的に使うか。そう考えてみますと、これは御存じかもしれませんけれども東京都で一体自動車がどうやって使われているんだろうかと上空から全部写真を撮ったそうであります。とまっている場合、動いている場合はカラー写真で色が違うんだそうでありまして、非常に細かく集計をしてみると、その結果は、驚くほど車は動いていない、とまっているわけです。このとまっているのを一体どうするか、駐車場の問題だと思うんです。それから、車が通勤に使われて大変混んでしようがない。何で車で通ってくるんだと調べてみると、相当な部分が、実はこの車は営業用で必要なんだ、だけど勤め先に駐車場がない、しようがないから自分の家から車を持っていくしかない。本人の通勤というよりも車の通勤のようなかっこうが相当ある。  それやこれやを考えますと、駐車場をつくると、やあまた車がふえてと、こう単純に思われがちですけれども、本当は駐車場を整備することが道路の容量を高めていく。しかもこれから都市再開発にいやでも取り組まざるを得ないわけですから、駐車場問題については、従来の誤解を払って、思い切って取り組まなきゃいけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  349. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 駐車場整備の重要性につきましては、先生御指摘のとおり、私どもも全く同様に考えておるわけでございます。現在、駐車場整備に対する助成としましては三つばかりございまして、一つは、道路の付属物としまして地方公共団体が整備する場合、有料道路と同じような手法で無君子融資ということを道路特会からいたしましてこれを助成しております。二つ目は、都市計画駐車場としまして、同じく地方団体がこれを整備していく場合に、これに対しまして地方債を充当するという措置をとっております。それから三つ目は、これは民間が整備する場合でございますが、これは開銀あるいは北東公庫等から融資、助成措置をしておるわけでございまして、今後ともこのような各種の手法を活用しまして、この重要な駐車場の整備を一層促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  350. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これはなかなか他方自治体がその気になってくれないと進まないわけですけれども、駐車場法という法律があるようですけれども、実際にどの程度活用されているかというと、なかなかそうではない。これは丹念に相談をしながらになるんでしょうが、地方自治体に対して私は誤った錯覚が多過ぎると思うんです。  大体、もう御存じのことですけれども、ヨーロッパに参りますと、ローマ時代からの道路が依然として使われているぐらい昔からわだちの歴史だった。日本はどうかというと、膝栗毛でやってきたものですから道路に対する意識というのはほとんどなかった。しかも長いこと移動に対して大変警戒的な幕藩体制が続いてきた。その後で来たものですから、何か道路というと異物であって、何か感覚にざらざらするものが入り込んだという感じが何となく大衆感情化してしまいました。駐車場問題にしてもこれは相当な専門家も含めて誤解されている場合がある。したがって、建設省としてもその辺のところはしっかりと指導していただきたいと思います。  では、道路整備問題はそのぐらいで、あとは、宅地公団の方お見えになっていると思いますが、今度、宅地開発公団で新しい初めての自主開発事業ということになるんだと新聞で伝えておりましたけれども、日本ランドシステムから厚木にある二百七十ヘクタールの土地を買われた。新聞で理由を拝見しますと、日本ランドシステムが二百七十ヘクタールの開発がもうできなくて行き詰まっちゃった、そこでその肩がわりをして引き受けたんだということなんですが、事情はどういうことだったんでしょうか。
  351. 志村清一

    参考人(志村清一君) ランドシステム株式会社が去年の二月ごろに神奈川県知事の開発許可を受けたのでございますが、その後、開発に伴います関連公共事業、特に道路あるいは調整池、河川等等といった大規模な関連公共施設の整備を行わなければならぬということになりますと、負担が相当大きくなりまして事業遂行が容易でないということが一つございました。  また、ほぼ三百ヘクタールという大規模な事業でございますので、どうしても長期に期間がかかります。従来の各団体でやっておりましたのを見ましても、三百ヘクタールと申しますと十年以上かかる。それに伴いまして投下資金としても相当巨額に上るわけでございまして、現在のような経済事情から申しますと、なかなか手につきにくい。  また、このランドシステムというのは銀行系の関連会社でございまして、主務官庁からの指導によりまして、大規模な開発事業を営むことは余り適当ではないという御指導もあったかに聞いております。また同時に、地元の土地を提供した方々からは、せっかく提供した土地についていつまでもほっといてもらっては困る、早期に着工してもらいたい、こういうような要望が重なりまして、これを一口に申しますと、高度成長期、非常に地価が二〇%も毎年上がっていくというような時代から安定成長期に移り変わったことによるいろいろな問題かとも思われますが、さようなことでランドシステムは、私どもの方にこの事業をやってくれぬかという話が参ったというのが実態でございます。
  352. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 厚木市といろいろな協定、約束をして、緑地を六〇%以上残すとか、いろいろな付帯——下水道も含めて整備をするとかいろいろなものがある。これが重荷になったと書いてありますけれども、それは宅地開発公団が引き受けたとしても、その約束は守っていくわけだから、同じようになるわけですね。いま、御案内のとおり金融が緩んでいますから、十年だろうと何だろうと金ぐらい借りるのはそうつらいことじゃない。民間ができなくてどうして宅地開発公団ができるのか、その辺はどういう目算をお立てになったんですか。
  353. 志村清一

    参考人(志村清一君) 宅地開発公団は、法律上、公共事業の直接施行の権限を与えられておりまして、関連公共事業に関しましても自分で事業ができる。そういたしますと、それに対しまして補助金の直接の受け入れが可能でございます。また、民間デベロッパーの場合に問題があります裏負担につきましても、私どもの方で立てかえ施行をすることが可能でございまして、これは基金を設けていただきましたものでございますから、十年据え置き、無利子、二十年償還ということが可能のようなシステムになっております。そういったことによりまして宅地の処分価格に相当大きな影響が及びます、それだけ負担が軽くなりますから。また、私どもといたしましては、民間企業と違いまして金もうけをする必要がございませんので、また多くのこういった宅地開発に関連する技術者を擁しておりますので、いかに工事を安くして合理的にやっていくかというふうなこと等も検討いたした結果、私どもでもやれるんじゃないか、かように考えたわけでございます。
  354. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは、公団にお尋ねするのは筋が違うかもしれませんけれども、民間のデベロッパーが宅地を開発してもいいわけですね。だから、公団がいま協議されているいろんな条件、全部が同じとは言わないまでも、民間デベロッパーにも同じような支援を考えて当然いいんじゃないか。それがないということは不公正競争ということになりますね。宅地開発公団と民間デベロッパー、やっぱり競争しているわけだから。その意味で、逆に聞くと、宅地開発は急務なんだという点から言うと、もっと民間デベロッパーに対して資金の供与を含め補助金の受け入れも含めて十二分な体制をとっていけば日本ランドシステムだってできたわけでしょう。という点については、建設省はどうお考えになるんでしょうか。
  355. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 栗林委員のように前提を置かれて、同じような競争条件にすべきだという見地にお立ちになりますと、そういう御立論になるかと思います。しかし、現状はそうなってなくて、宅地開発公団は公団としての設立の目的と任務がございまして、それなりの政府施策が及んでおりますから、したがって、そこに差ができて、見方によってそれは不公正じゃないかという御批判も当たりましょうが、そういう公的な土地供給の必要性から公団ができておるということから、それは許容されるべきものではないかと、こう思います。
  356. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では、逆にお尋ねするわけですけれども、民間デベロッパーが立ち行かなくて、宅地開発公団が引き受けて公団としてやっていこうと、できるんだという状況をもう少し別な目で見ますと、日本ランドシステムというのは経済専門誌の伝えるところによると、経営難で本当につらいらしい。大体不動産会社はいま多かれ少なかれその憂き目を見ているわけです。それをどうやって救済するかというのがなかなか表には出ないんだけれども、本当の景気対策の一環にもなっている。そうすると、日本ランドシステムの土地を買ったことを皮切りにしながら、同じような状況にある大変苦境にあえいでいる——その原因は問いませんよ、あえいでいる民間デベロッパーの土地を次々とお買いになるんですか。
  357. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私ども宅地開発公団の任務は、先生御承知のとおり大都市地域において宅地需要が相当まだある、それに適当な価格で宅地の供給がなかなかむずかしくなっているという意味で、大量の宅地供給をやるように、それも個個の宅地供給では適当でなく、町づくりという意味で相当規模の宅地造成をやるように、ニュータウンの建設を進めるように、こういう使命でございますので、その使命に合致するようなものにつきましてはいろいろ検討をいたしております。私どもが民間デベロッパーから大幅に土地を買いましたのは今回初めてでございますが、適切な値段で、しかも立地上も適切なものであるということならば十分検討を進めてまいるということは私どもやってまいりたいと思っております。
  358. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうすると、値段はどのようなことでお買いになったんでしょうか。
  359. 志村清一

    参考人(志村清一君) 価格につきましては、二社に鑑定をお願いいたしまして、その鑑定評価額を下回る価格で合意に達したわけでございます。大体評価額の八〇%程度でございます。
  360. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、これは鑑定と言うからには時価評価だろうと思いますけれども、日本ランドシステムは、その土地はいつごろ買って、取得価格とのかね合いではどんな関係だったんでしょうか。
  361. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私が承知しているところでは、日本ランドシステムは四十三年から昨年にかけまして用地を取得したようでございます。ただ、原価につきましては、私どもは原価よりも適正な価格ということで鑑定評価額を基準にして、それを下回る、二割程度下回る価格で取得をした、かようなことでございます。
  362. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大変デリケートな問題ですけれども、やっぱり日本ランドシステムとすると、それよりも安い値段で入手をした。金利は外しますよ、長い期間寝かしていたというのは会社の責任ですからね。その低い値段で入手をしていたものを鑑定価格のマイナス二〇%で売ったからといって、何がしかの処分益は出るわけですね。だから、どういう理由でそうなったかということを問わないで、宅地開発公団が買い入れたおかげで日本ランドシステムは助かった。その助かり代としてマイナス二割でよかったんだろうかという話も本当はあるんじゃないでしょうか。
  363. 志村清一

    参考人(志村清一君) 日本ランドシステムがどの程度の価格で買って、そして諸経費等を考えて帳簿価格がどれぐらいであったとかいうふうなことについては、実は私つまびらかにいたしておりません。ただ問題は、だれが持ちましても適正な価格で、しかも安い価格でどなたが持っていても買えるということが一番望ましいことでございますので、その意味で現行の価格については鑑定評価額が適正な価格というふうに考えられますが、それをさらに下回る価格で買うということによりまして、私どもの仕事が進み、比較的適正な値段による宅地の供給ができるというふうに考えたわけでございます。
  364. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 くどく申し上げるようですけれども、何年寝かしていたという話は先様の経営責任ですから問いません。ただ、少なくも安い値段で仕入れて、造成をしながら市民に提供していく、そのときに提供できる価格と、それから時価の八掛けで買ったと、で、何だかしながら提供する価格とどっちが安いんでしょうか。土地の値段というのは上がってきますから、そのときの取引だから鑑定価格でいくしかないというのは私は一つの理屈だと思います。だけれども、あの一億総不動産屋時代で、狂乱物価のど真ん中で、しかも銀行経営の不動産会社ですよ。長期資金供給を使命としている銀行が、そのお金をなかなか貸す相手がないというので自分の子会社をつくっちゃった。二百七十ヘクタール買った。さあ今度不況だからどうにもならない、何とかまた国が助けてくれという味の悪さがどうしようもない。だから、今後ともこういった問題について適正な時価と条件が合ったら買うんだとおっしゃるんだけれども、本当にそれだけで済むんだろうか。まいた種は自分で刈れ、そのかわり政府としてできる限りの金融支援はしましょうというところにするのが、私はこの際筋ではなかったかと思いますが、大臣いかがお考えでしょうか。
  365. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いまこの場で具体的にいろいろ御指摘でございまして、私も別にこの調査をしたわけでもない、こういうところで感触だけでお答えするのは軽率ではないかと、こう思うんであります。  ただ、御質問及び宅地開発公団のお答えを総合してみまするに、宅地開発公団は、公団の趣旨と目的に沿って、こういうものを民間にかわって開発し宅地を供給することがよいと、こういう前提に立ったんではないかというふうに開いたわけであります。ただ、栗林委員の方は、民間の所有で民間がみずから開発できたんじゃないかと、何かそこに理解しかねる点があるという御指摘で、そういう点はよく調査してつまびらかにする必要はあると思います。
  366. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 どちらにしましても、宅地開発公団として前からの引き継ぎ事業ではなくて自分で手がける最初の事業なんですね。これ以上立ち入ったことはお尋ねしませんけれども、最初の事業にふさわしい、だれが見ても、最終的にでき上がったものを含めて、なるほどなと言える仕事をこれはぜひやっていただきたい。また、以降、その手のものが何ぼかあるんだと書いてありますけれども、当たっているかどうかは別にして、その点についてもやっぱり納得が得られる姿を求めながら慎重に対処をいただきたい。お願い申し上げて、質問を終わります。
  367. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 他に発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  368. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  369. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論をいたします。  反対理由の第一は、政府道路政策の基本が、高速自動車道など幹線道路を根幹とした交通ネットワークの確立という従来型の政策を改めず、引き継いでいることであります。  六〇年代から今日に至る道路建設を考えてみますと、昭和三十年、わずか八十七万台だった自動車が、四十二年一千万台、四十七年二千万台、五十一年には実に三千万台を超えて今日なお増加し続けているのに伴って、次々と道路投資をふやし、この二十年間の総額は実に二十九兆四千億円の巨額に達しております。これは同じ期間における住宅の行政投資額の約四倍に当たります。この結果、さらに車の需要を増大させ、いわゆる道路不足は解消せず、全国にわたって交通渋滞、交通事故、道路公害の発生、公共交通体系の破壊あるいは衰退をもたらすこととなりました。現行法の目的に明記されているとおり、六〇年代からの道路建設は、まさに「自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与する」ものでありました。実に恐るべき目的規定であったと言えます。今回の改正案により、「道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善に資し、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」と改められるのは、文字どおり改正であります。  しかしながら、法律の文言の改正にもかかわらず、この法律に基づいて作成される第八次道路五ヵ年計画の内容は、依然として自動車交通の安全の保持とその能率の増進を図るものでありますから、目的の改正はよしとしながらも、法律改正案に賛成することはできません。  第二には、わが国の建設行政は、即道路行政と言わしめている巨額な道路投資を可能にしたのが、この道路整備緊急措置法であることであります。  高度成長期における自動車保有台数の急増が巨額な道路投資を引き出し、この両者を結合させたものが道路特定財源方式でありました。ガソリン税収入の目的税化は、昭和二十八年制定の道路整備費の財源等に関する臨時措置法で根拠づけられました。同法が改正され、現行道路整備緊急措置法となっているのは言うまでもありません。モータリーゼーションによって国鉄の赤字、路面電車は姿を消し、公共交通機関は一斉に衰退させられているのでありますから、ガソリン税等を道路の特定財源とせず広く活用すべきであるという意見が国民の中に生まれているのは当然のことであります。道路の特定財源方式を改めない限り、道路建設が無限に車需要の増加の後追いをし、車と道路が雪だるま式にふえていく悪循環のメカニズムを断ち切ることはできません。  第三は、住民の利益を第一とする地方道、生活道路整備がきわめて不十分であり、高速自動車道路重点である点であります。  第八次計画において、一般道路事業は実質において第七次計画の実績を下回るのに反し、有料道路は事業量を増加させております。第八次五ヵ年計画生活環境の改善、生活基盤の整備にも目が向けられ始めたのは認められます。しかし、先ほどの環状七号線の質問でも明らかなように、具体的に道路公害で苦しんでいる住民の悩みが解決されるかと言えば、期待のできないものであります。  第四は、モータリーゼーションが野放しにされていることであります。  高度成長期における世界に類例を見ない車の激増と道路建設は、日産、トヨタなど自動車大企業に莫大な利益をもたらしました。この車の急増を可能にしたのは道路建設であり、この意味から道路行政が鉄、セメント、建設、石油資本とともに自動車産業の巨大な利益に奉仕してきたということは、決して過言ではありません。しかも、この道路投資は日本の交通問題を解決するどころか、かえってその矛盾を激しくしております。モータリーゼーションの放任助長や無秩序な都市の膨脹などによる社会的にむだな交通需要の発生を抑える対策を強め、国民本位の総合的な公共交通体系の確立を目指すことこそが必要でありますが、政府計画にはこの努力は見当たらないのであります。  以上が反対の理由であります。  最後に、高度成長型道路建設をやめ、住民参加のもとに住民の利益を第一にする地方道、生活道路建設に重点を置き、道路公害の防止に万全を期す、そういう道路政策の転換を重ねて強く要請して、反対討論を終わります。
  370. 坂野重信

    ○坂野重信君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党及び民社党の各会派を代表して、ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、賛成するものであります。  御承知のとおり、昭和二十九年度以来、七次にわたる道路整備五ヵ年計画に基づき積極的に道路整備事業が実施され、今日まで相当の成果が上げられてまいりましたが、わが国の道路整備水準は、いまだ国、県道の約半分が自動車の満足にすれ違えない幅員である等、なお著しく立ちおくれた状態にあります。しかも近年、道路整備に対する社会的要請はますます増大し、多様化しており、今後の道路整備は、事業の量的拡大を図りつつ、自動車交通を初め道路交通全般にわたる安全の確保と円滑化及び沿道環境の保全等国民の生活環境の改善を目標として、その積極的推進を図っていく必要があります。  このような情勢にかんがみ、今回、道路整備緊急措置法目的を改めるとともに、新たに昭和五十三年度を初年度とする第八次道路整備五ヵ年計画を策定し、これとあわせて奥地等産業開発道路整備臨時措置法有効期限を延長する等の措置を講ずることとしたことは、まことに時宜を得たものと考えられ、ここに本法律案に賛成の意を表するものであります。
  371. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  373. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  374. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、赤桐君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐君。
  375. 赤桐操

    赤桐操君 私は、ただいま可決されました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、第八次道路整備五箇年計画の策定にあたつては、地方公共団体の長の意見を十分に参酌すること。  二、長期的展望のもとに、総合的な交通体系の確立を促進し、第八次道路整備五箇年計画においては効率的かつ機能的な道路網の整備に努めること。  三、国民の日常生活に密接な関係のある地方道、とくに市町村道の整備を促進するため、国庫補助対象の範囲を拡大して、地方公共団体の財政負担の軽減に努めるとともに、事業推進体制の強化拡充を図ること。  四、道路整備事業の推進にあたつては、沿道の環境整備と環境保全に特段の配慮をするとともに、路線の決定、構造、施設についても当該地域住民の意思を尊重すること。    また、鉄道駅前自転車置場の整備について、財政措置を含め特段の配慮を行うこと。  五、道路の防災及び道路交通の安全性の向上を図るため、道路構造の改善、交通安全施設の整備道路監理員の拡充等道路管理体制を強化するとともに、危険箇所の点検に万全を期し、その解消に努めること。  六、大規模な震災にそなえ、都市の街路をはじめ、避難に必要な道路、広場の確保と整備拡充に努めるとともに、老朽橋梁等について、緊急に補強、改良工事を行う等耐震性の向上に努めること。  七、身体障害者に対する有料道路の料金については、自動車日常生活において不可欠の生活手段となつている者について、実態を把握し、減免の方向で配慮すること。    右決議する。  以上でありますが、何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  376. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいま赤桐君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  377. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 全会一致と認めます。よって、赤桐君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。  ただいまの決議に対し櫻内建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。櫻内建設大臣
  378. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 本法律案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま全会一致をもって議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
  379. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会      —————・—————