運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-06-07 第84回国会 参議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月七日(水曜日)    午後二時開会     ―――――――――――――    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     市川 房枝君  六月六日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     柿沢 弘治君  六月七日     辞任         補欠選任      案納  勝君     高杉 廸忠君      寺田 熊雄君     広田 幸一君      黒柳  明君     塩出 啓典君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 世耕 政隆君                 永野 嚴雄君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 高杉 廸忠君                 寺田 熊雄君                 広田 幸一君                 丸谷 金保君                 宮之原貞光君                 和泉 照雄君                 塩出 啓典君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 市川 房枝君                 柿沢 弘治君                 江田 五月君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        農 林 大 臣  中川 一郎君        運 輸 大 臣  福永 健司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        建 設 大 臣  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)      稻村左近四郎君         ―――――        会計検査院長   佐藤 三郎君         ―――――    政府委員        人事院事務総局        給与局長     角野幸三郎君        内閣総理大臣官        房会計課長兼内        閣参事官     京須  実君        総理府人事局長  菅野 弘夫君        警察庁長官官房        会計課長     大高 時男君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        経済企画庁長官        官房会計課長   及川 昭伍君        科学技術庁長官        官房会計課長   劔持 浩裕君        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁長官官房        会計課長     高橋 盛雄君        沖繩開発庁総務        局会計課長    永瀬 徳一君        国土庁長官官房        会計課長     佐藤 毅三君        法務大臣官房会        計課長      石山  陽君        外務大臣官房会        計課長      後藤 利雄君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵大臣官房会        計課長      村上 哲朗君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        大槻 章雄君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        大蔵省理財局次        長        川崎 昭典君        厚生大臣官房会        計課長      持永 和見君        農林大臣官房経        理課長      江上 幸夫君        通商産業大臣官        房会計課長    小長 啓一君        運輸大臣官房会        計課長      西村 英一君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省航空局次        長        松本  操君        郵政政務次官   宮崎 茂一君        郵政省経理局長  浅尾  宏君        労働大臣官房会        計課長      加藤  孝君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        自治大臣官房会        計課長      中野  晟君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第一局長   前田 泰男君        会計検査院事務        総局第二局長   藤井健太郎君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        会計検査院事務        総局第四局長   阿部 一夫君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本専売公社総        裁        泉 美之松君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本電信電話公        社総裁      秋草 篤二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その2)(内閣提出) ○昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書(その  2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和五十一年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提  出、衆議院送付) ○昭和五十一年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提  出、衆議院送付) ○昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和五十二年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その一)(内閣提  出、衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その一)(内閣提  出、衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その一)(内閣提出衆議院送付) ○昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月三日、喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として市川房枝君が選任されました。  また昨六日、野末陳平君が委員辞任され、その補欠として柿沢弘治君が選任されました。  また本日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  総理に対する質疑時間等につきましては、会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。大変窮屈な時間でございますが、質疑される方並びに答弁される総理大臣の御協力をお願いいたします。  それでは、これより質疑に入りますが、まず私が、各会派のお許しを得て、決算委員会委員長として若干の質問総理にいたします。  まず第一点は、会計検査に対する政府姿勢についてお伺いいたします。  憲法上の独立機関である会計検査院が行う会計検査はきわめて権威のあるもので、受検官署は、その検査の前には、率直にありのままを見てもらおうという姿勢がなければなりません。しかし、いままではともすると、会計財務についての不当性指摘されることを恐れているのではないか、また、なるべく不当性非違指摘を受けないようにしているのではないかと思われる節があります。今後とも一層政府受検姿勢を正し、財政資金効率的使用むだ遣いの排除に努めるよう、総理から特に各省庁に注意を促すべきではないかと思うんでありますが、いかがでございましょうか。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま委員長の御指摘によりますと、官庁において会計検査院検査を忌避する、そういうような傾向があるというような御指摘でございますが、受ける側の官庁にもいろいろ問題がありまして、先般国会で御指摘があった過剰接待の問題であります。この過剰接待問題に対しましては、これは各省庁そうあってはならぬという趣旨を徹底いたしまして、そのようなことは全部改められたと、このように考えております。  なおまた、その他のいろんな場面におきまして会計検査が公正に行われる、そのための受け入れ、これにつきましては、非違指摘があるからそれがどうもないようにというようなそういうことでなくて、公正に検査を受けて、そして公正な批判を受ける、こういうようにいたしたいとこのように考え、そのために必要な省庁への督励はいたすと、このように考えております。
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 第二に、本委員会において指摘された受検官署側の過剰な接待問題についての総理の御所見を伺います。  いまも少しお触れになりましたが、会計検査院職員実地検査に際して受検官署から受けた過剰な接待問題については、接待する側も悪いが、これを受けることも悪いと私は思うのであります。しかも、これが永年にわたって半ば慣習化してしまったという事例については、はなはだ遺憾と思うのであります。  私ども決算委員会は、非は非として追及はしましたが、単に当事者の責めを問題にしているのではなく、なぜこういうことが慣習化したのか、どうすれば是正されるのかを考えていかねばならないと思うのであります。  それにつけても、会計検査院職員、特に第一線の調査官等に対しては、給与手当等の処遇を手厚くし、検査に必要な経費のめんどうを見るということが必要であろうと思うのであります。旅費その他について本年幾ばくかの増額があったようでありますけれども、まだとてもこれでは足りません。ひとつそういう点を特に考慮して、今後会計検査が、する側も、受ける側も適正かつ国民からもっともだとうなずいてもらえるようなことが望ましいと思うんです。これについての総理の所信を伺います。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過剰接待問題は、これは考えてみますると、さっき委員長から御指摘がありましたが、検査を受ける官庁側がいろいろ検査院から指摘される、その指摘はお手やわらかに願いたいと、こういうような気持ちからそういうようなことになるのだと、こういうふうに思いますが、しかし、さらに御指摘にありましたように、検査院検査に要する費用等の点、そういう問題もあるかに思うのであります。そういうことを考えまして、予算編成に当たりましては、いろいろ措置はいたしております。  ただ、給与の問題になりますと、これは政府が決めるわけにはいかぬ。やっぱり人事院勧告、それを待って政府が決めるというたてまえになっておりますので、おのずから制約はありまするけれども人事院からそういう勧告があるという際には、これはもうその趣旨を踏まえて善処するというようにいたしたいと思います。  また旅費等につきましては、本年度予算でも配慮はしておりまするけれども、なお実績を見まして、不足であるというのでありますれば相当の処置をしなければならないと、かように考えます。
  7. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 第三に、決算審査についての政府の対応の仕方であります。  本決算委員会は、各会派の大変な御努力によってきょうで昭和四十九年度決算委員会審査を終了する予定ですが、もうすでに五十年度、五十一年度決算が付託されているにもかかわらず、今日までこれの審査に入れず、審査が大変おくれております。決算審査予算に反映させるためには、なるべく年度の近い決算が議了されていることが望ましいのであります。しかし、今日のように審査がおくれているのは、いろいろと本院全体の運営上にも原因があるのでありますが、政府関係者協力の仕方にも問題があるのではないかと思うのであります。たとえば関係大臣出席が思うようにいかないとか、要求資料提出などが事欠くとかといった点がございます。政府政府なりの事情があると思いますが、決算審査の尊重ということから、もっと政府の積極的な協力が要請されるのであります。この点について、ひとつ総理から、今後の決算審査についての、いま申しました点に対する対処方についての御決意を伺っておきたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国会における決算報告審査、これはこれから先々の非常に大きな国政運営参考になる、重要な参考資料になるわけでありますから、これはなるべく早く報告書提出され、また早く審査が行われる、こういうことになることが好ましいと、このように考えます。そういうふうになるように、政府といたしましては、国会並びに会計検査院に対してできる限りの御協力を申し上げるとはっきりお答え申し上げます。
  9. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 以上で私の質問は終わります。  続いて、質疑のある方は発言をお願いします。
  10. 野口忠夫

    野口忠夫君 総理にお尋ねしたいと思うんですが、大分接待問題でいまお話がございましたが、過剰接待問題をめぐりまして、会計検査院職員にいろいろな問題が出たわけでございますが、第一番に、こうした問題を出したことについて、今後の会計検査院のあり方について総理自身の積極的な姿勢をお望みしたいという立場総理に御質問申し上げたいと思います。  ただいま審議されております昭和四十九年度審査において、会計検査院職員に対して、その実地検査を受ける官署職員が高額の酒食を提供しあるいは接待に要する経費事業調査費によって支弁するなど、過度の接待を行っているという事実が指摘されたわけでありますが、会計検査院はこれについて検査を実施しました結果、建設省の十二の工事事務所、一技術事務所運輸省の一港湾建設局、二工事事務所、防衛施設庁の一防衛施設局、合計十七カ所の受検官署においてその事実を確認したと報告し、その他についても見直し検査を徹底して実施する方針であると明らかにしているのであります。私は、これは単に四十九年度にとどまらず、実は例年、決算会計監査の通例に行われてきた姿ではなかったかと思いますると、まさにこのことは検査院受検官署との問題にとどまらず、国会決算審査権威にもかかわり、国政に対する国民の信頼をも失なう重大な問題であると考えておるのでありますが、まず、この問題に対して総理にはどのようにとらえていられるか、お伺いしたいと思います。
  11. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いわゆる検査院に対する過剰接待問題、これが国会で御指摘を受けたという点はまことに遺憾なことであったと、このように考えます。これは検査を受ける各省庁側にも問題があるし、また、その接待を受ける会計検査院側にも問題があると、このように考えております。両者が相戒めて、そして今後このようなことがないようにというふうにいたしておりますので、今後のことにつきましてはひとつそのように御理解を願いたいと、かように考えますが、それにはそれなりのいろいろまた手当てを必要とするというように考えるのであります。  特に政府側におきましては、会計検査院検査に必要な経費が不足するということのないようにこれは気をつけなきゃならぬだろうと、このように考えておりますが、五十三年度予算におきましてもそのような配慮をいたしておりますけれども、もし、それでもどうも検査の適正な執行が不十分だというようなことであれば、この上とも何らかの配慮をしなければならぬと、このように考えております。
  12. 野口忠夫

    野口忠夫君 総理の御答弁で両者の間に問題があった。だが、そればかりではなくて、その財政的措置等も今後は十分考えていくようにしていると、こういう御返答があったわけでございますが、私どもは、この問題を提起した立場にあったわけでございまして、ぜひ雨降って地固まるというような姿でこの問題の終局を迎えていきたいと、こういうふうな考えでその後も調査を続けてまいったのでありますが、その私ども調査経過を明らかにいたしますと、やはりその発生原因は、根源的には、接待という社会的儀礼を利権の場に持ち込んで自己利益に結びつけることに悪いということを感じなくなった、何か今日の政治的、社会的体質にあると思うし、そうした体質に流された会計検査院の安易な態度は当然非難されるべきであろうと思っておりますが、ただ私たちの調査経過の中で、こうした体質に安易に迎合せざるを得なかった会計検査院の、独立を維持しながらその機能を発揮するためには、その機構上、その財政上の措置がまことに不十分であったという結果が明らかになっているのでありますが、このことは政府立場においても十分ひとつ考えていただかなければならぬと指摘せざるを得ないわけであります。  接待問題発生以来、その当局の会計検査院は、まことに積極的に新検査体制の確立あるいは機構の改革、こういうふうなことをやっていると思います。私は総理に、再びこのような不祥事を出さないその保証には、まずこの会計検査院のこうした姿勢にこたえて、やはりその十全の機能政府立場で保証してやる、あるいは特段の財政的な配慮をこれに加えてやるということが求められない限り、今日このままで流れていく会計検査院は、悪いことをしないためには検査をしなくなってくるという結果になるんじゃなかろうか。いわば十分な検査をするだけの財政措置機構上の整備というものがどうも十分になされていないと、私ども調査の結果は思うわけでございますけれども、私どものこの見解について総理はどう考えられるか。重ねてお尋ねしたいと思います。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過剰接待問題の根源で、機構上、財政上問題がありはしないかと、こういうお話でございますが、機構上は、とにかく会計検査院はこれは独立機関ということになっており、それをその立場を踏まえて行動がなし得るようになっておりますので、そうその問題はないというふうに考えておるわけでございます。  財政上の問題、つまり検査が十分に執行できるような財政措置がしてあるかどうか、こういう点につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますが、五十三年度予算におきましてもそのような配慮をいたしておりまするけれども、なお、その推移を見まして、もしそれで十分でないというような事情が出てまいりますれば、それに応じまして適正な措置をする、そして会計検査院検査機能というものが十分に働き得るようにいたしたいと、このように考えます。
  14. 野口忠夫

    野口忠夫君 総理会計検査院独立の権能というものをお認めになられて、これを尊重すると。そういう立場会計検査院の拡充を協力していきたいと。私は総理姿勢協力立場であろうというように思うわけであります。会計検査院は、御承知のように国の収入、支出の決算検査して、その結果について毎年決算検査報告を作成して内閣に送付し、内閣はこれを決算とともに国会提出しております。決算検査というのは、会計検査院内閣に対して独立地位を有する機関としてこれを実施していることはもうおっしゃるとおりであると思います。さらに、会計検査院意思決定機関である検査官会議を構成する三人の検査官は、衆参両議院の同意を得て内閣が任命して、天皇がこれを認証するという認証制になっているわけであります。院長は検査官の互選によって内閣が任命すると。まさに内閣に対して独立立場を持つ会計検査院、この地位について総理がいま言葉の上でそうおっしゃったのでございますけれども、果たしてこの独立機関を尊重するという立場にあるのかどうか、この辺の会計検査院に対する認識の問題がやはり今日の問題の根底にはひそんでいると、どうしても私はこの辺のところが大事なところではなかろうかというふうに考えるわけなんです。総理は当然そこは考えていっていると言うんだけれども、さらに一段とその点のところの認識を深めてもらって、積極的にお願いしたいと思うんです。  ただいま言いましたように、決算検査報告というのは、前述のように決算とともに国会提出される重要な文書でありますが、今回の昭和四十九年度決算とともに提出されました昭和四十九年度決算検査報告総理はこれをお目通しになられたと思いますが、もしお目通しになられたとすれば、その中にどんな不当事項があったか、どういう考えなけりゃならぬ問題が指摘されておったか、これをお聞きするんでなくて、総理はそれをごらんになったかどうかをお尋ねいたします。――ちょっと総理にお尋ねしているんです。
  15. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ四十九年度決算検査報告書につきましては私自身は見ておりませんです。
  16. 野口忠夫

    野口忠夫君 総理の揚げ足取って喜んでいるわけではございません。お忙しい体ですから、ごらんにはならないかと思います。  先ほど申し上げましたように、内閣に対して独立した機関である会計検査院が法に基づいて報告提出した重要文書、何かこれをやはり総理が見ないでおったということ、そこには、旧憲法下における検査院が、検査の結果を直接行政に反映させる方法がなかった時代のことが何か残っているような感じがします。こうしたような考え方で、会計検査院を見ていてはならないだろう。現憲法下においてはまさに内閣に対峠する独立機関としてあるわけでございまするから、これはもっと尊重された立場でやはり考えられなきやならぬと思うわけでございますが、どうぞひとつ、会計検査院がこうした大事な仕事をするに当たって、全国民から、決算検査の中にもお酒があった、ごちそうがあった、お金があったというようなことが払拭されていくための会計検査院のあり方について、新しいこの憲法下における考えの中で、ひとつ総理に特段の御協力をお願いしたいと思うわけです。何か揚げ足取ったみたいになって、お気を悪くなさらないでお聞き願いたいんですが、お忙しい体ですから仕方ないと思うんですけれども、それではいけませんよ、私はそう思って申し上げているわけであります。  そこで、ひとつ総理自身にわかっていただきました会計検査院の今後のあり方について、具体的に総理に御質問申し上げて、ひとつ総理自身の手で進めていただくようにお願いしたいと思うわけであります。  会計検査院というのは、内閣から独立した憲法上の機関として、国家機関政府出資法人、補助団体等の事業、及び経理の全般にわたって複雑多岐な事項を検査対象としているわけであります。これらについて、常に公正的確な調査検討を行うことを職務としている職員は、法律、財政、経済、技術と、広い分野にわたる高い知識と豊富な経験とを必要とするのがこの仕事であろうと思うし、さらに実地検査に当たっては高いモラルを要求される立場にある職員だと思うわけでありますが、総理は、会計検査院職員のこの職務の複雑性、困難性、さらには倫理性、こういうことを確立することなくしてはその職を務めていくことのできないような、困難な複雑な仕事に従事しているのが会計検査院職員だと思うんですけれども、こういう職務内容についてどう考えておられますか、お伺いしたいと思います。
  17. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話しのように、会計検査というものは非常にやりにくい仕事ではないかと、こういうふうに思うんです。他の行政と違いまして、非常にじみな仕事でございまして、その職務の執行、これに苦心を要するという点につきましては、私はお話しのようにまあ理解をいたしておるわけであります。  そういう中で、過剰接待問題という問題が起きてきた。それが指摘されるような事態があったということは、まことにこれは遺憾千万でございますが、今後そういうことを再びしてはならぬ、このように考えまして、過剰接待をいたす方の、いたした方の側ですね、つまり省庁に対しましては、厳重にこれを戒めておると。私は、再びこういうことが行われるということはもう今後あり得ざることになったと、このように考えておりますが、それはそれといたしまして、その過剰接待が起こった原因というものを考えまするときに、これは問題は、先ほども申し上げましたが、まあ検査を行う方、検査を受ける方、双方に問題はあったと、このように考えます。改めて両者ともまず姿勢を正すということが必要であると、こういうふうに考えますが、同時に、いま御指摘がありました、非常にやりにくい仕事だと、そういう仕事の性質、そういうことを考え、やりにくいがしなければならぬ大事な仕事でございまするから、その大事な仕事が円滑に執行されるように、この予算等の裏づけ、これが必要であると、このように考えておるわけでありまして、その点につきましては、万遺漏のないように今後とも配慮してまいりたいと、このように考えます。
  18. 野口忠夫

    野口忠夫君 非常に困難、複雑な職務を担当していると、こういう総理の御認識でございますから、この検査する職員の職務は、ちょうど検察庁の検察事務官、あるいは特許庁の審判官などの職務に似たような職務をやっているわけなんでございますが、先ほど総理人事院勧告に基づく給与という関係のお話がございましたが、私は人事院に対してやっぱり総理からもひとつ極力進めてもらいたい問題として、この会計検査院職員給与の問題について申し上げてみたいわけであります。  同じような職務内容を持っておりまする検察庁の検察事務官、特許庁の審判官というのは、一般職の職員給与に関する法律の中にある俸給の調整額というものをこれはいただいているわけであります。だが、会計検査院の、同じような職務内容の会計検査院職員の皆さんは、昭和四十四年度からこの俸給の調整額の支給ということを絶えず要求なすってきているんですけれども、職務の内容から言えばむしろその上にあるような複雑な仕事をしながら、給与関係で言うところの調整俸給額という特別な勤務をする者に対して与えられるという一般給与法の法律に定められたものが、他の同じような職務の者には与えられながら四十四年から要求していて会計検査院職員には与えられなかった。この問題は人事院勧告を待って給与は考えるんだという、給与はそちらに置くんではなくて、やはり独立機関として内閣と対立するこの問題についてこれを育てていくという、協力するという体制の中で、総理の方からも、私はひとつ調整俸給の支給について、他の職務内容の者と同じように扱っていくような取り扱いをしてもらいたいと思うんですが、これは早急にひとつ実明していただきたい。四十四年からの要求でございまして、総理のひとつよい御答弁をお願いしたいと思うんです。
  19. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 人事院立場からしますと、これは一般の行政職という範疇に属すると宛てきた会計検査院職員、これを特別のものに見るかという問題でありまするから、その行政職の中の横並びの関係を見ると、これはなかなか簡単な問題じゃないんじゃないかというような感じがいたします。いたしますが、とにかくこれは人事院勧告しなけりゃ政府の方ではどうにもなりませんから、人事院に検討してもらうという以外に道はないのです。ただ、会計検査に従事する諸君が職務執行に、たとえば旅費というようなもの、これは格段の配慮をする必要があるだろうと、このように考えるので、これは人事院の管轄という問題じゃございませんから、それにつきましては政府の方でこれはもう十分配慮すると、こういうつもりでございます。給与そのものにつきましては人事院に検討してもらうと、このようにいたすほかはないのであります。
  20. 野口忠夫

    野口忠夫君 私もそうだと思います。ただ、私が総理にこのことをあえてお尋ねするのは、同じ職務の者が公平な給与をもらってないという現実です。これはもう検察庁の職員、特許庁の職員、それ以上のやっぱり仕事の複雑性とあれを先ほどお認めになったわけですね。それなのに、この調整号俸は、会計検査院職員だけは四十四年から要求してきたがだめだという。十年近くなるわけです。こういう不公平をそのまま放置していて仕事をさせようとすることは、少し給与体系としてはまずいのではないかという考えの中で、ひとつ総理の頭の中によく入れていただきまして、そうした不公平は是正する方向でひとつ進んでいただきたいと、こういうふうにお願いしておきたいと思うわけであります。  次に、会計検査院の任務は当然検査活動でありますが、検査活動をするんですから、当然この検査活動の手当というものがなければその活動は全くできないということになると思います、会計検査院の職務内容それ自体は検査活動ですから。ところが、従来この検査活動に対して実は一銭の経費もなかった。わずかの何か手当のようなものはありましたけれども、これでひとつ検査をしなさいという、いわば予算上においてその仕事を裏づけた、そういう裏づけというものはなくてきたんですね、これは。それが結局は、検査に際して受検官署に便宜供与を仰がざるを得なかったという今日の状況の原因にもなっているんだというように思うんですが、たまたま接待問題を契機といたしまして、検査院受検官署に依存しない検査体制をとることとしまして、そのため検査活動費として今年度予算は一千七百五十六万六千円が認められたようでございますが、これはこの前の衆議院の決算委員会での総理の御発言によって実った問題だと思って私は大変結構なことだと思っておるわけであります。しかし、これがない前は、検査活動費のない検査会計検査院であったわけですね、その仕事を行うのに必要な経費がなかったわけでございますから。ただ、今年度予算にこれだけのものが計上されましたが、しかし、これは非常に急速に問題、予算化されたものでありまして、いま会計検査院は新しい検査体制ということを考えて、汚名を挽回しようと一雄懸命努力しているわけでありますが、どうもこの体制を維持するためには、この検査活動費というものは、それを維持するためには困難であるという見通しがどうもされているようであります。したがって、新しい検査体制をこれから維持してさらに検査の拡充をするためには、検査活動費というものはさらに充実を望まれるのではないかというように思うわけでございますが、そうした際には、会計検査院の本当の働きをさせるために、さらにこの検査活動費は充実してやろうというお考えで総理おられるかどうか、お尋ねしたいと思うんです。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ことしから新たに会計検査活動費という費目が予算に出てきたわけであります。これは御承知と思いますが、タクシー代でありますとか、資料代でありますとか、電話料でありますとか、そういうようなものを支弁をするための経費でございますが、この予算の実施の状況を見てみたいと思うんです。これでもなお会計検査活動、これがどうもうまくいかぬというようなことでありますれば、またこれを増額をするというようなことも配慮しなけりゃならぬだろうと、このように考えますが、いずれにいたしましても、会計検査活動が十分に行われるということはこれは大事なことでありまするから、これに予算上支障を来すというようなことはこれはなからしめるという考え方で臨んでまいりたいと、このように考えます。
  22. 野口忠夫

    野口忠夫君 総理の大変力強い御答弁をいただきましてありがとうございましたが、やはり会計検査院が本当に仕事をしていくためには、その仕事を進めるための予算というのができてくると思うんですね。そのできてきた予算というものをやはりこれを認めてやると、何か上からつかみ金を与えてやるんだという、そういうやり方ではなしに、今年度おまえらはどういうことをやるんだと、それについての予算はどうかというて、確かな基礎を持ちながら予算を計上してくるであろうその予算に対して、これをひとつ認めてやるという姿、そういう姿の中で会計検査院に対する財政措置というようなものも考えていってほしい、こういうふうに、これも要望でございますが、要望申し上げておきたいと思います。  次に、会計検査院の権限の拡大という問題についてお尋ねしたいわけでありますが、政府系金融機関及び事業団等が行う投資、融資及び債務保証は、いずれも一定の国家目的に沿って資金が使用されるものであって、特恵的な条件などによってコマーシャルベースには乗りにくいものを対象とするものであろうと思います。それだけ一般の関心も非常に高い。したがって、これらについて会計検査を及ぼす必要があるが、現在会計検査院には、住宅金融公庫及び沖繩振興開発金融公庫だけで行う住宅資金の貸し付けについて、その貸し付け先を検査をする権限があるだけであって、他の投資先、融資先、債務保証先等については、その権限は全くない現状にあるわけであります。これはひとつ改めまして、国家資金を使うその最後のところまで会計検査院が責任を持って、国民の血税を明らかにしていくんだと、こういうやっぱり検査院の権限の拡大というようなものを図っていくべきではないかと思うんですけれども総理はどうお考えでございましょうか。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府関係機関の投融資先でありますとか、債務保証先でありますとか、そういうものにつきましては、原則として会計検査院検査権限は及ばないと、こういうことになっておるのです。そういう状態で会計検査機能が十分発揮されるかどうかということにつきましては、これは会計検査院当局でいろいろいま検討いたしておるやに聞いておるわけでありますが、検討の結果、どういう結論が会計検査院から出てまいりますか、それを見まして政府といたしましては対処するというほかはないわけでございますので、会計検査院が速やかにその検討を了して見解を求めるということを期待しておると、このようなところでございます。
  24. 野口忠夫

    野口忠夫君 ただいま日韓大陸だな協定関連法案が国会に提案されまして、大変な問題になっているわけでございますが、この日韓大陸だなの探鉱事業を行う開発会社に対する国の投融資実施機関は計面上は石油開発公団であると考えられますけれども、その点は間違いございませんか。
  25. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 現在、いま審議されております大陸だな法案につきまして、いわゆる共同開発地区について日本側から出ます石油の開発につきましては、石油開発公団が融資をすることになっておるわけでございます。
  26. 野口忠夫

    野口忠夫君 この石油開発公団ですがね、これはワンパクトセットというのですか、一つ一つやっていくわけですね。その投融資先の探鉱事業が――時間がありませんから、具体的には申し上げませんが、まことに不成功に終わっているんですね。このまま推移していきますと、同公団が保有する不良資産というものはまことに累増することが、これは会計検査院の手によって明らかになっているわけであります。このような問題を抱えている上に、同公団は石油関税というものを原資としてやっているわけでありますので、会計検査をぜひとも及ぼすべきであると思うんです。不良資産を抱えて国税の、国民の血税を使っている開発公団のこのあり方について、やはり会計検査院国民の責任を負う立場でその検査の責任を負う、その権限の及ぶようなことが望まれると思うんですけれども、残念ながら会計検査院はこの開発公団に対しては責任が及んでいないわけなんです。ですから、会計検査院の責任は、権限が及んでいないわけです。非常に不安定な状態の中でいま開発が行われている、不良資産が蓄積されつつあるような今日の状態の中で、国の会計検査院がこれに権限が及ばないということは、日韓大陸だな――韓国における地下鉄建設の問題等をめぐっても非常に国民に疑惑を与えていくんじゃなかろうか。やはりこれを国民の前に明らかにする、明朗な財政措置、融資というようなものを行っていくこういう立場をとれば、石油開発公団に対して会計検査院検査を及ぼすことの必要性について総理はどうでございましょうか。私としては及ぼすべきだということを主張しているわけでありますが。
  27. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ただいまお話がございましたように、石油開発の問題は、当たる場合もございますし、なかなか当たらないために不良資産になることも多いわけでございまして、すでにこの五十一年度決算検査の結果も出ておりまして、それはそれぞれ整理をしておるところでございます。  なお、新しい共同開発地区に対しましては、石油開発公団が投融資をいたす予定になっておるわけでございますが、公団そのものに対しましては現在でも会計検査院検査は十分行われ得るのでございますけれども、先ほども申しましたように、住宅公団等を除きましては、投融資先につきましてはやはり普通の私的取引であるという理由からいたしまして、現在権限が及んでいないことは御案内のとおりでございます。その点の問題につきましては、先ほど総理がお答えになりましたように、それらの問題を含めまして会計検査院検査体制上十分であるかどうか、そして現在それが行われていない理由等を勘案いたしまして会計検査院の方で結論を出すことにしておりますので、それを踏まえまして最終的な処理をいたしたい、とこのように考えておるところでございます。
  28. 野口忠夫

    野口忠夫君 会計検査院の検討を材料として、会計検査院が融資先にまで及ぶような、そして国民の前に明朗な財政を見せていくんだということを検討しているというお話でございましたので、ぜひひとつそういう方向で御検討のほどをお願いしたいと思います。  時間がなくなりましたので、福田総理国会の問題で一つお尋ねしたいのですが、福田総理が政権の座につきましてからもう二年になろうとしておりますが、国権の最高機関である国会を尊重するというたてまえを堅持して、政府としては国会を最優先に考え、主権在民を具現する国会ですべてを決め、政府はこれに従う、そういう姿勢福田内閣姿勢であるということをまず再確認したいと思いますが、福田総理いかがでございましょうか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおり御確認いただきます。
  30. 野口忠夫

    野口忠夫君 政府姿勢として国会を尊重することに異存はないということでございますが、政府のこの国会を尊重重するということが口先だけであってはならないわけでありまして、実体が伴わなければならないのは当然であります。  国会は、国民の負託にこたえていくためには、私ども国会議員はその立法活動、国政調査活動など、議員としての行動が存分に行われるような国会の諸条件が整備されることが望ましいと思うのでありますが、この点についても福田総理の確認をいただきたいと思うのであります。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国会におきましては、議案の審査はもとよりでございますが、広く国政調査を行っておるわけでありまして、その御調査に対しましては政府としてできる限りの御協力をいたす、このような考えでございます。
  32. 野口忠夫

    野口忠夫君 ここで一点大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども財政法第十九条の法定の目的をひとつ御説明願いたいと思います。
  33. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 財政法第十九条は、いわゆる独立機関に対します歳出見積額を尊重すべき精神が盛り込まれておるわけでございまして、それをいやしくも減額するような場合についてはその理由を付すること、並びに国会で修正をする場合には財源を明示しなければならないということが書いてございまして、そのことはとりもなおさず、独立機関である、たとえば会計検査院あるいは国会、最高裁判所等の歳出必要額については尊重しなければならぬと、こういう趣旨の規定でございます。現在私たちはその問題を十分踏まえまして、各独立機関の歳出につきましては十分御要望をお聞きいたしまして、最終的には御満足のいけるところで大体編成さしていただいておる次第でございます。
  34. 野口忠夫

    野口忠夫君 財政法第十九条によって、内閣は、国会その他独立機関の歳出の見積もりを減額した場合には、その歳出見積もりの詳細を国会提出する予算に付記することによって、国会その他独立機関財政民主化の道を開こうとしているのが財政法十九条だと思うんですが、大蔵大臣に聞きますけれども、これ一体発動したことがございますが、いままで。
  35. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 古い話で、二十七年当時一回あったと聞いております。
  36. 野口忠夫

    野口忠夫君 一回だけあったというお話だそうでございますが、それは大蔵省は、そうすると、国会その他の独立機関が歳出見積もりを出したことに対して減額したことは一回もなかったと、たった一回あったけれども、ほとんどこれはなかったと、こういうことでございますか。
  37. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) そのとおりでございます。
  38. 野口忠夫

    野口忠夫君 減額したことはない、独立機関が出した予算見積書に対してこれを減額の措置をとったことはないと。予算見積書というのを出すんでしょう。そこには国会でも会計検査院でもこう予算を出していくわけでしょう。ところが、いままで財政法十九条を発動しなかったというんですから、減額したことがなかったということは、その出した予算どおりにいままでやってきたと、そういうことでございますな、いまの答弁は。
  39. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) もちろん予算の話でございますから、独立機関が必要とする経費をいろいろお出しになるわけでございます。財政当局といたしましてはそれを十分慎重にお聞きをし、また御相談申し上げて、そしてこの辺まではいかがであろうか、そういうお互いの相談をいたすことはこれはもう事実上あり得る話でございます。最終的には、抑えつけるというようなことではなくて、そして両者の意見が円満に一致いたしまして事実上無事に編成を見ている、その例外が二十七年一回ありましたと、こう申し上げているわけでございます。
  40. 野口忠夫

    野口忠夫君 時間が全くなくなりましたので。  大蔵大臣はお人柄がまことにごりっぱであろうと思うんですよ。ですから、私のいるうちはそういう抑えつけはしない、しかしこれ、予算の問題などを人柄で問題にするわけにはいかないだろうと思うわけでありまして、やっぱり法律が正しく運用されなければいかぬと思うわけでありますが、いま話し合いで何とか納得ずくでやったと、こう言うんですがね。どうももう時間がございませんで、具体的に少し申し上げたかったんですけれども、私は納得できません、それは。まあ現大蔵大臣になってからはそうであったかどうかわかりませんけれども、従来までの予算見積書提出の中における問題は私はそんなものではなかったのではなかろうか。やはり話し合いをしようが何をしようが、独立機関提出した予算を減額したことについては間違いないんですから、減額をしたということならば減額したで、なぜこの予算書と一緒に国会提出をなさらないのだろうか。国会は良識の府でございますから、膨大な要求をするようなことについて賛成するはずはございません。しかし、財政法十九条の精神というのは、独立機関財政的な枠づけの中で縛ってはいけないと、こういう法の精神が生きているんだろうと思うと、出す方の独立機関の皆さん方も精いっぱい自分たちで検討して、そしてでき得る限りのところで出してくると思うんですよ。そこから減額されていくということになるわけでございましょう。  先ほど私は、予算は承認するようにした方がいいということを申し上げましたけれども国会にその予算と一緒に、減額した予算と一緒に出して、何か大蔵省は国会における予算の審議権までもそういう話し合いということによって抑えつけてしまっているところがあるんじゃなかろうかというように思うわけでありますが、ぜひひとつ、先ほど総理は、国会は国の最高機関である、そこで働くわれわれの活動は尊重されなければならぬということをおっしゃいましたが、国会における職員の皆さんの協力なしにわれわれ国会も議員も十分な活動はできないということは御承知だろうと思うわけであります。そういう意味から言うと、国会独立機関というものを守るという立場では、私は話し合いでそれをやったのだからそれは削ったのではない、強制したのではないという言葉で終わってはならない問題ではないかというふうに思うわけでありますが、時間が五十六分までだそうでございまして、もうなくなりましてこれ以上できませんですが、まことに問題を残しましていつかまたこの点についてお聞きしたい。ぜひ大蔵大臣も腹を据えてひとつ出てきていただきたいというふうに思うわけであります。  終わります。
  41. 田代富士男

    田代富士男君 最初に私は、昨日、衆議院の委員会におきまして、金丸防衛庁長官が、衆議院の解散問題をただしたのに対しまして、大義名分のない解散には反対だ、署名もしない、こういう御発言をされております。こういうことはいままでの中にありまして非常に異例なことではないかと思うわけでございます。現在は不況対策、景気回復のために力を注ぐべきであるし、国民もそれを願っておると思うわけでございますが、こういうようなことが出てまいりました現在、私は、政治は党利党略のためにあってはならない、政治は国民のためでなくてはならないと思いますが、総理に、このようなことに対します御所信を伺いたいと思います。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政治は国民のためでなければならない、私も全く同感です。政治を党利党略に使う、そういうようなことがあってはならぬ、そのように考えます。金丸長官の発言についてお触れになられましたが、私はあの発言は、大義名分のない解散、これには賛成できない、こういう趣旨のように漏れ承っておりますが、これも当然のことだろうと思います。大義名分がない、名分のないということは、いま田代さんのおっしゃる国家国民のためでない、こういうことだろうと思いますが、そういう解散には賛成できない、こういうことは私はもう当然のことを言っておるのだ、このように理解しております。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは時間もありませんからまとめて御質問をしたいと思います。  最初に行政改革についてでございますが、五十一年の十二月に福田内閣が発足いたしまして、総理が東南アジアを歴訪されたその後、中央省庁の統廃合を中心に据えて行政改革を断行し、八月いっぱいまでにめどをつける、このように発表されました。ところが約束の日を二日経過いたしました五十二年の九月二日に基本方針と要綱が閣議決定されまして、その具体策が十二月二十三日に閣議決定されたのでございます。  そのような経過を経まして内容を見てみますと、総理行政改革の目玉に挙げられました、エネルギー省やあるいは住宅省など中央省庁の再編成問題というものは、官僚あるいは自民党内の強い反発で腰砕けになったような観を呈しているのでございます。また、五十二年の八月一日の衆議院の本会議におきましても、福田総理は、低成長時代に入った、国民も企業も姿勢を改めなければならないときに、政府が率先して姿勢を転換していかなくてはならないと、このような機構の統廃合は政治的判断を示されなくちゃならない問題であると強調されたのでございますが、しかし、現在は、事務レベルで話し合いのつくような無難な、そういう問題が具体策に上っておるわけでございますが、すべての企業が、深刻化する円高不況のあらしの中でいろいろ対策を講じている場合に、総理が掲げられました行政機構の改革ということは、これは大事なことではないかと思います。だから、具体的なこの施策を発表されただけで一件落着というのか、あるいは今後のスケジュールはどのようにこれに対処していかれるのか、お聞きしたいと思います。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話しのように、行政改革はこれはもう非常に大事なことだという認識でございます。つまり、高度成長時代が終わりを告げまして減速経済時代に入った。それに対しまして、国の機構、地方の機構、それからさらには企業の体制、また国民全体の生活のあり方、全部に変革というか、転換した新時代への対応が求められておると、このように考えるんです。そういう見地に立ちまして、昨年暮れに政府の方では行政改革の大綱を発表いたしました。これはさしあたりのものでありまして、これで一件落着というふうには考えておりません。なおこの上とも、そのような認識に立ちまして行政改革を進めてまいりたいと、このように考えておるんです。  さしあたりということで、昨年の暮れに発表いたしました行政改革要綱でありますが、これも相当のものが入っているんです。地方支分部局、これをまあ千カ所も廃止をする。あるいは公務員の定年制ですね、これの事務検討に入る。また、公社、公団、これにつきましても、十四の公社、公団、特殊法人につきまして整理を進める。さらに、その役員の給与について規制を行う。また有名な渡り鳥という問題がありますが、その際の退職金、これにつきましても従来の二割をカットするとか、それからもう本当に長い間の懸案でありました地方事務官につきましても、運輸省関係の分につきましては、この問題の解決を行うというようなことで、相当のものが入ってるんです。  ただ、いま田代さんがお話しありましたが、何かエネルギー省でありますとか、住宅省というような発表をしてそれを決めなかったと、こういうお話でございますが、これは別に発表したわけじゃないんです。私の口からは一言も言ったことのない問題ですが、ただ私は、これからエネルギーというものが非常に大事な問題になってくる、そういう際に、エネルギーに対する機構ということについて真剣に取り組む必要があることは感じておりました。それからこの住宅問題、これがこれからの内政の非常に大きな目玉になる。そういうときに、土地行政が建設省と国土庁に分かれておるという状態は妥当でないと、こういうように考えておったわけでありますが、そういう中央省庁の問題だけ解決されなかったんです。  しかし、事実上この問題は処理されておる。つまり、御承知のように、建設大臣をして国土相を兼務させるという形において、土地問題を統一的に考える、住宅問題を統一的に考えるという、この運営ができるわけであります。  それから、さらに対外経済活動が非常にまあ大事になってきたわけでありまして、それに備えて対外経済担当大臣を置きたいと、こういうような気持ちを持っておったわけでありまするが、まあこれも、国土相と建設相が一大臣で兼摂ということになりましたので、一大臣のポストがあくんです。そこで、それをまあ対外経済担当大臣に充てるというようなことにいたしまして、なかなかこれで現実的にうまくさばいているつもりなんであります。  しかし、この十二月のそういう決定をもって事終わりとはいたしません。これからも行政改革につきましては鋭意検討いたしまして、国民の期待にこたえてまいりたいと、このように考えております。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 いま総理の御答弁でもありましたが、行政改革に対してはいろいろやっておりますと、まず八月の段階では中央省庁の統廃合、この問題については建設省、国土庁、両省を一括して土地問題等の解決のためにもこういう対策をやり、一つの大臣のポストがあいだから、それを対外経済政策を機動的に推進するための大臣を設置したと、で、まあ現実的にはやっておりますよと、こういうことでございますが、昨年のこの八月の決意というものはもっとすばらしい決意であったのではないかと思うわけでございます。いま総理が申されたことも、これは全体観から見るならば進めることになるかと思いますが、八月の時点ではもっと中央省庁機構の統廃合というものには力を入れるというような、強いそういうリーダーシップを発揮されようとしていたのでございます。だから、いまの二つは、そういう点から奮ったならば直接の中央省庁の統廃合には関係はないのではないかと、私はこのように考えるわけなんでございます。だから、中央省庁の統廃合は、いま総理が申された程度で終わるのか、今後もっと、どのようなスケジュールを持っていらっしゃるのか。まあ国民の側からは非常に行政改革に対しまして期待をしておりまして、総理の決意、リーダーシップに期待をしておりましたけれども、現在のところでは、行政改革の意図はあってもリーダーシップがとれないのではないかと、こう国民が見ているわけなんです。そういうためにも、昨年八月決意されたと同じようなリーダーシップをもちまして、特に中央省庁の統廃合の問題等に対しましては、国民の納得のいく、そういうような具体的な方針を示すべきではないかと思いますが、もう一度具体的な方針をお示しいただきたいと思います。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ中央省庁の問題につきましては、特にマスコミ等におきましては相当関心を持っておったように思います。思いまするが、私の本当のねらいは、安上がりの政府といいますか、効率、能率主義の行政体制ということでありまして、そういう見地から言いますと、千に上る地方支分部局の廃止、これなんか相当のものだろうと、こういうふうに思うんです。また、特殊法人、これにつきまして先ほど申し上げました。これなんかも相当私はそういう趣旨に沿い得るものであると、このように考えておるわけです。中央省庁につきましても、ただいま申し上げたように、もう私が意図しておったこの実というものは、そういう運用によってもう片づいておるというような状態でございますが、なお、この行政機構の問題につきましてはこれは粘り強くやらなきゃいかぬです。これはもう、ただ単に簡単な努力というようなことでこれは片づくものじゃございません。粘り強く、また国会の御理解も得まして、ぜひひとつこれは推し進めていきたいと、そのように考えております。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 行政改革のもう一つの最大のねらいというものは、私が言うまでもなく、いかに公費を節約して行政を効率よく運営するかということではないかと思うわけでございますが、今回の改正案では部局の新設、公務員の定員増についてはこれを抑制されております。また、補助金等の整理合理化も一つの柱になっておりますが、特に行財政見直しの眼目とされます補助金の整理につきましては、廃止、減額、統合の必要は強調されておりますけれども、具体的な問題点の指摘、改革の方法というものは全く言及されておりません。だから、抜本的見直しを避けた改革は改革の名に値しないのではないかと思うわけなんです。五十二年度の補助金額は九兆五千億円にも達しております。財政を圧迫する大きな存在になっておりますけれども、この補助金の整理実態とわせて、この補助金の整理には、中央地方を通じての行政事務配分の問題にもメスを入れることが先決ではないかと思いますが、これらの方針に対する総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 補助金といわず、国費全体といたしまして不要不急のものはこれは抑える。そして、緊急にしてまた新たな緊切な需要を求められているものにつきましては、これは積極的に進めていかなきゃならぬ、このように考えておりますが、そういう中でいまお話しの補助金は、これはほうっておきますとマンネリ化しちゃうんです。そういうことで、毎年毎年兄直しをすべきものだというふうに脅えておるわけでありますが、特に五十三年度予算編成に当たりましては、この点に留意をいたしまして、補助金につきましては相当の大なたをふるったつもりでございます。つまり、陳腐化した補助金を廃止する、あるいはきほどまで補助金を必要としないというものにつきましてこれは減額をする、あるいは細かく分かれておる、そのために補助金としての機能が十分に生かされないというようなものについてこれを統合するとか、いろいろの措置を講じ、そのような配慮のもとに補助金の整理というふうに言われる額がどのくらいになりますか、千四百億円を上回っているということになるわけであります。この問題は、これはまあ五十三年度においてそれだけの大なたをふるいましたけれども、これをもってまた一件落着とは考えておりません。この上ともそのような方針で進んでまいりたいと、このように考えます。  それから、さらに田代さんから、中央地方の事務配分ということについて触れられましたが、これはやはり行政機構の改革の一つの方向でなければならぬと、このように考えております。これは地方行政調査会、そういうところなどで検討いたしておりますので、その検討の結果を踏まえまして、御趣旨のような方向で対処してまいりたい、このように考えております。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 次に、会計検査院検査報告書を通じまして、不当事項の批難金額等について質問したいと思いますが、これは時間がありませんから、総理の手元に私の手でいろいろつくりました図表を参事官室を通じてお届けしていると思いますが、届いておりますでしょうか。この資料、届けてあるはすですが。――ないですか。じゃあこれをちょっと持って行ってください。ちゃんと届けてあります、時間がないからもうまとめて一覧表にして。  これは、参事官室の人にも徹底しておきたいと思いますが、これを宵闇するからと渡してあるものが渡されていない、いまさっきの委員長の一番最初の質問にもあったとおりでございますから、これは注意をしておきたいと思います。  検査報告によりますと、四十二年から五十一年の十年間におきます不当事項による批難金額というものがどのくらい出ているかということを私なりに全部集計をいたしました、私の手元で。そうしますと、実地検査率八%で百八十億一千百九十五万三千六百六十七円、このように数字が出ております。これを十年間に推定いたしますと、いわゆる税金のむだ遣いというものが約十年間で二千二百億円以上に達するという数字が出ております。実に大きな数字でございます。二千二百億円。  また、仮に二千億円の金をどういうものに使えるかということを見てみますと、たとえば幼稚園、定員百名のところ、五百坪の幼稚園は約四千園を建設することができます。三DKの公営住宅一戸五百万円、土地は別といたしまして、この住宅は四万戸。また、サラリーマンの人たちの背広として、高い安いはありますが一着三万円平均の背広といたしましても六百六十六万六千着もの背広が買えるという、こういう勘定になるわけなんです。  このように、二千二百億円に上るこういう税金のむだ遣いといいますか、こういうものを総理としてどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 会計検査院から検査を願って、そして不当だというふうに指摘される件数が年々減っていくようになることを私は希望するわけであります。そのためには、やはり予算執行の衝に出たる職員の資質の向上、また綱紀の粛正、そういう面をさらに強く強く推し進めていかなければならない、このように考ておりますが、年々多額の金額に上る不当事項指摘があること、これはだんだんとそういうものが少なくなるようにということを念願してまいりたい、これが私の気持ちでございます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 いま総理が、こういうことは少なくなることを念願してやりたいと、こういうことでございますから、いま十年間の合計を出しましたが、十年間の合計を各省別にこれも私の手元で計算をして出しまして、ワーストファイブを件数と金額とで分けてみました。そういたしますと、不漁事件件数のワーストファイブ、これは大蔵省が七百十九件ありますが、大蔵省は四十四年から数字のとり方を変更しておりますから、これは七百十九件と飛び抜けて大きいですが、これを除いたといたしましても、第一位が農林省五百九十三件、第二位建設省三百四十六件、第三位通産省百五件、第四位文部省六十六件、第五位厚生省六十五件。今度は不当事項批難金額のワーストファイブを申し上げますと、第一位が大蔵省九十三億八千五百八万四千六百八十一円、第二位農林省十三億二千九十七万八百三十六円、第三位厚生省八億五千二百四十三万三千三百五十七円、第四位労働省七億四千三百四十四万五千八十三円、第五位建設省五億二千六百七十四万七千五百二十九円。  このように、件数のワーストファイブ、金額のワーストファイブをいま私は申し上げました。このどちらのワーストファイブにも入っているのが大蔵省、農林省、建設省、厚生省、こういうような実態になるわけです。総理は少なくなることを望むとおっしゃいますが、各省を統轄される総理大臣として、私なりに出しました。時間がありませんから一つ一つ取り上げてやりたかったんですが、数字としてまとめましたけれども、こういうことに対して今後どのように受けとめ、どのように改善をしていかれるのか、御答弁いただきたいと思います。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 田代さんが非常に精細に検査報告書を検討されましたその結果に基づきましての書面をただいま拝見いたしましたが、先ほど申し上げておりまするように、指摘事項がだんだん少なくなること、これを目途としてやっていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。思いますが、一つ一つの省庁、また費目、それにつきましては指摘の具体的な内容が報告誰には記載されておるわけでありまするから、それらは今後再びこういうことをしてはならぬというかんがみといたしましてきわめて重要な資料である、このように考えますので、今後経理の適正化というために重要な資料といたしましてこの報告を尊重してまいりたい、このように考えます。  また、報告書に記載されないものにつきましても、先ほどからるる申し上げておるとおり、指摘されるというようなことがないように、また現実の問題とすると、なるべくそれが少なくなるように格段の配慮をいたしてまいりたい、このように考えます。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 総理、この数字をここまでするのは、でき上がったのは簡単ですけれども、ここまで資料を集めまして十年間の分を縦、横するということは大変なことなんです、数字を合わすということは。そういうことで重要な資料にしていくということでございますから、これは生かしていただきたいと思います。  次に、補助金に関する不当事項としての批難金額はこの十年間で二十三億四千二百十四万一千三百六十六円になっております。これも実地検査率八%でございますから、十年間を推定いたしますと、三百億円もの補助金のむだ遣いがあると考えられるわけでございますが、いまさっきも補助金の問題を総理御答弁いただきましたが、過去十年間にもこういうことがあるわけなんですが、補助金の問題に対しましてもう一度どういうふうに対処されるか、お願いします。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十三年度におきましては、行政機構の改革と並行いたしまして補助金の整理、合理化、これにも格段の配慮をいたしたわけでありまして、整理した補助金の金額は実に千四百億円の多額に上る、そういう次第でございまするけれども、これは一挙にことしで全部そういう問題が解決したというふうには考えておりません。今後におきましても、補助の目的を達成してその任務が終了したというようなものも続々出てくるわけでありまするから、今後も毎年毎年補助金の整理につきましては粘り強くこれに取り組んでまいりたい、さような決意でございます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 次に、成田空港事件に関しましてお尋ねしたいと思いますが、これは私も運輸委員会等におきまして一この事件というものは内部の者でなければこういうことは考えられないというようないろいろな事件が起きております。それと同時に、三・二六成田空港、五・二〇成田空港ともにこの事件が起きておりますが、この検挙された人員が現在二百十五名、そのうち身元が判明している者が百五十八名おります。ここで問題なのは、身元判明者のうち公務員が三十四名含まれております。国家公務員十一名、郵政省関係が十名、文部省関係一名、公社等の職員が八名、電報電話局が五名、国鉄職員三名、地方公務員十五名、こういうような現在の逮捕者が出ております。こういう国家公務員あるいは地方公務員の中に過激派が多数含まれているという事態に対してどのように考えていらっしゃるのか、また、これらの対策を今後どのようにとっていかれるのか、お尋ねしたいと思います。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 成田のあの事件で、いわゆる過激派と言われる人の中に国家公務員、またこれに準ずる者が多数入っておったということが発見されまして、実は憮然というか、もう非常に驚きもし、また憂慮もいたしておる次第でございますが、やっぱりこれは各省庁の職務規律の問題、そういうところにつながった問題だと、このように考えて、各省庁における、また各政府関係機関における規律の確保、こういう問題についてこれはもう本当に格段の配慮をしなけりゃならぬなあと痛感をいたしておりますが、そのような方向でこの問題に対処してまいりたい、このように考えます。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 次に、総理が間もなく七月の十六、十七日でございますか、ボンで行われます先進国首脳会議出席されるわけでございます。このときには通貨の安定の問題とか、保護貿易主義の傾向の排除というような問題等も持っていかれるかと思いますけれども、この首脳会議に臨まれる総理としての方針、決意をまず第一点にお聞きしたいと思います。  それと同時に、こういう先進国首脳会議等が回を重ねるごとにこれが全世界にもこういうことが広がっていくかと思いますけれども、これがひいては国際関係の安定につながってくれるならばと願う者の一人でございますが、何をするにも、こういう場合にも一つの基本の理念というものを持って臨まねばならないと思いますし、次の首脳会議は日本でということも聞いております。  そういうことを考えれば、ちょうど先日国連におきまして軍縮総会がございました。このときの主要テーマが核廃絶のテーマが取り上げられました。ちょうど先進国首脳会議の中にありましても、この被爆国日本の代表といたしまして、私は先進国だけの首脳会議でなくして、核軍縮及び核廃絶を提唱するためにも、全世界の各国の首脳の責任者が一堂に会する全世界首脳会議、こういうものを提唱すべきではなかろうか。そうして核エネルギーの国連による管理だとか、あるいは核保有、非核保有国を問わずすべての国に核兵器不使用を義務づける協定の締結等も、一度にはいかないかと思いますけれども、次回は被爆国日本でも行われることでありますから、こういうような環境づくりもすべきではないかと思いますが、首脳会議に臨まれる総理の方針、決意をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま世界の経済情勢、これは非常に深刻な不安の状態でございます。昨年もそうであったんでありますが、とにかくインフレ、失業、そういう景気にまつわる問題があるわけです。それからもう一つの問題は、世界の通商問題、これに通商上の摩擦というものが多発しておる。その間また保護貿易主義というようなものがややもすれば頭をもたげようとしておる、こういう問題。それから、これは避けて通ることのできない南北問題、これをどういうふうに処理するかという問題。さらにはエネルギー、これにどういうふうに先進工業国は取り組むかというような問題。いろいろあったんですが、新たにその後出てきた問題は通貨不安の問題です、国際的通貨不安。この問題を抱えて先進国首脳会議が七月またボンにおいて開かれる、こういうような状態でありますが、私の基本的な考え方は、私は国内における政治姿勢と同じです。国際社会に対しまして協調と連帯、これを大いに説こうと思うんです。どの国もいま世界が混乱しているんですから苦しい。苦しいからといってお互いに非難し合ったんじゃこれはもう解決の道は出てまいりません。やっぱりお互い現状をよく分析し、またそれに対してどういう道を選ぶべきかということを発見する努力、これはしなけりゃなりませんけれども、一つの国が栄えてそしてという、そういう時期じゃありません。全世界が栄えて一国の繁栄、安定もあり得る、こういう時代じゃなかろうか。  そういう認識に立ちまして、わが日本といたしましても、とにかくわが日本は黒字が多過ぎます。この黒字、経常収支黒字の大幅な縮小、これにつきましては、国際社会に対する責任といたしまして、これはやってのけなけりゃならぬ問題でありまするが、同時に、世界各国に対しましても、ただいま申し上げましたような見地に立ちまして、諸外国のなすべきことにつきましても、これはもう正々堂々と要請をしなければならぬ、このように考えております。  それから核の問題につきましては、お話しのように、わが国は世界ただ一つの被爆国であります。そういう立場もあるし、わが国は非核三原則というものを国是といたしておるという、そういう立場もあります。そういう立場を踏まえまして、核の廃絶、これへ向かって私は行動を展開をいたしておるわけでございまするけれども、ただしかし、核廃絶といいましても、現実の問題としますと、すぐいま核軍備国が核を廃絶するかというと、これはなかなかそうはいかぬ。そこで、わが日本といたしましては、一歩一歩、核廃絶への道程を進める、そういう見地から、核実験の全面的禁止、これから入るのが現実的じゃないかということでそれを進めておるわけでございまするけれども、わが国は、まあとにかく、持たんとすれば核を持ち得る、そういう経済力と技術能力を持っておるんです。その立場は非常に、世界の平和の上から見まして、貴重な立場である。能力はある、にもかかわらずそれを持たない、こういう立場は、大変私は、世界平和のために、また核廃絶のために、軍備をお互いに縮小する、そういう上においてきわめて貴重な立場であろう、こういうふうに思いますので、その立場を踏まえまして最善の努力を尽くしてまいりたいと、かように考えます。
  59. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、最初に円高問題についてお伺いをしたいと思います。  今国会でも、急激な円高による差益の国民への還元問題というのが大変論議をされてまいりました。ところが、最近、関係企業の三月期決算、これの発表を見てみますと、その為替差益の大きさに、一層、国民への還元、つまり、原価が下がったんだから値下げをしろという声というのが非常に大きくなってまいっております。最近の発表を見ますと、電力九社では、直接の輸入差益だけで、五十二年度の下期決算は七百七十二億円、これらの電力会社というのは、直接差益だけではなしに、間接差益を含めますと、四千億に上るであろうということが、通産省の関係者からも言われておるわけでございます。また、東京瓦斯の五十二年度決算を見てみますと、九十億というのが為替差益になっておる。さらには、値上げ分等を含めまして、経常利益は三百四億、しかも前年度対比で五三・九%の増になると、こういうことになっております。また、きょうの新聞各紙が発表しておりますが、石油九社の三月期決算、これによりますと、総額五千五百六十八億円の差益が出てきている。まさに、これらの大企業の円高によるぼろもうけというのは、発表された数字を見てみますと、その大きさに驚くばかりでございます。  そこで、総理にお聞きをしたいんですけれども、円高による差益の国民への還元という問題につきましては、かねて、二年間値上げを据え置く、たとえば電力、ガス等、二年間値上げを据え置くとされてまいりましたが、原価が下がったんですから、この下がった分をぼろもうけきせるのではなくて、やはり、原価が下がったら、値段を、料金を引き下げよ、というのが国民の強い要求になっておるわけでございます。こういう国民の要求にこたえて、ひとつぼろもうけを吐き出させるというんですか、具体的には電力、ガスの値下げ、これを検討するべきではないかと思いますが、総理の御見解をお伺いをしたいと思います。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 円が高くなった、それによる差益、これを国民に還元をすべし、この議論につきましては私も大変熱心なんです。  ただ、わが国の輸入構造が、これは諸外国と違いまして八割が原材料、そこで完成品は二割だというので、もう非常に差益の判定がむずかしいわけです。その判定のやさしい完成品、それにつきましては、これはもう通産省初め所管省庁でこれらの品目別に手分けをいたしまして、輸入された物が為替の変動に応じて価格が訂正されておるかどうかということを精細に調べて、そしてそれが反映されていないというものにつきましては、これは統制経済じゃありませんからそうがっちりしたことはできませんけれども行政上の指導をしておる。  それから原材料につきましては、これはもう、たとえばいまお話しの電力、そういうようなものにつきましては、回り回って電力料金問題が出てくるわけです。これはお話しのとおりでございまするけれども、ただいまは、この円高問題がなかりせば、ことしは大体料金引き上げの年になってきておるわけなんです。しかし、そういう円高問題がありますので、その料金引き上げを取りやめるのみならず、来年もまたこれを差し控えるということにするということが実際的じゃないか。また、いま引き下げて――まあ引き下げるといいましても、各家庭でいいまするとごくわずかな額になるわけでありますが、それを引き下げをやって、そしてまた再来年になって引き上げをするというよりは、引き上げをしない、そういうことでいった方が実際的、現実的じゃないかと、こういうふうに考えましてさような措置をとったんです。  電力だとかガス以外のものにつきましては、これはもう政府が管理している事業じゃございませんものですから、なかなか円高がどういうふうに価格に影響をしてきておるかということが判定が非常にむずかしいんです。しかし、現実には円高の影響はかなり各企業においてその製品価格の面に反映されておると、こういうふうに見ております。それは卸売物価が、とにかく世界じゅうこういうインフレ化の傾向の強いときに、わが日本におきましては前年比一年間でとにかく上昇率がマイナスの状態だと、マイナス一・八というような数字が出ておるという状態でありますが、これはかなりその背景といたしまして円為替が強くなってきたということが反映されている、このように見ております。
  61. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 値下げをしないということを言うて、そういう対策をとってきておられるんですが、国民の声というのは、いま大変苦しい暮らしの中で、原価が下がったんだから当然五十円でも百円でも値下げをしてほしい、こういう強い願いというのが要求になってきているわけです。ですから、直接的な値下げを検討するということも含めて、やはり膨大な円高差益、為替差益については国民に還元をしていくという上で、もっと知恵をしぼるということができないんだろうか、それが国民の願いにこたえる道ではないかというふうに思うんですが、これはもう一遍簡潔にひとつ、何とか知恵をしぼって国民の期待にこたえてもらえないか、こういう立場でひとつ再度お願いをしたいと思います。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この問題は、沓脱さんの御指摘を待つまでもなく、私自身もずいぶん検討したんです。値下げをした方がこの際いいのかどうかということですね。これは公共料金でありまするから、そういうことができる電力、ガスという状況でございますが、ただ値下げは、差益の問題があり、その面から見ると値下げということにはなりまするけれども、他方、賃金の引き上げでありますとか、いろんな問題があるわけなんです。そういうものに消されるという面もあるし、また値下げをするにいたしましても、一つ一つの家庭にこれを還元してみますと、いま私は数字は忘れましたけれども、非常に瑣末なものなんです。ですから、そういう煩を避けて、値上げはほうっとけばしなけりゃならぬ、そういうときではありまするけれども値上げをしないということをやっていく方が実際的じゃないか、こういう結論に到達いたしまして、先ほど申し上げましたような処置をとることにいたしたわけなんで、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
  63. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはまあ国民の期待にこたえてもらえないと思いますので、これは何とか知恵をしぼって、国民の願い、期待にこたえてもらいたいと思うのです。  時間がありませんので、次に石油新税に関連してお聞きをしたいんですが、六月一日から御承知のように石油新税がスタートをいたしました。石油業界は純粋なコストアップ要因だから製品価格に転嫁するといって一斉に値上げ宣言を始めております。きょうの決算の発表によりますと、五千五百六十八億円という大もうけにもかかわらず、これは値上げだと言っているのであります。しかし、国会の審議の過程では、大蔵当局あるいはエネルギー庁等が、為替レートの動向を考えると、今日石油税ができたからといってそれが直ちに値上げに反映をするという可能性は少ないということを答えておられるわけですが、また参議院の大蔵委員会でも、これは石油税法の附帯決議にもこの旨が明記されております。ところが、最近通産省は、新税分の値上げは認めてやらないとということで業界の後押しをするというような姿勢を示してきているようであります。まことにけしからぬと思うわけでございます。  そこで総理、差益で大もうけをしている石油業界の実情、また国会審議の状況を踏まえて、石油新税を製品価格に転嫁することをやめさせるべきだと思うのです。この点についての総理の御見解を簡潔にひとつお伺いをしたいと思います。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、石油新税の設定に伴う石油業界における値上げの動き、これにつきましては聞いておりませんが、いま差益が出てきたというような状態、そういうことを見ますると、必ずしも値上げをせぬでも吸収し得るんじゃないかと、石油新税分の負担を吸収し得るのではないかと、こういうふうに思いますが、なお御指摘の次第もありますので注意してまいりたいと、かように考えます。
  65. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはぜひ対処していただきたいと思います。  時間がありませんから、次に公害、環境問題について簡単に基本姿勢をお伺いしたいと思います。  一九七〇年末の公害問題の激化した中で公害国会が開かれまして、公害対策基本法の改正がなされた。そうして公害対策基本法の第一条の「目的」から、経済の健全な発展との調和を図るというあの有名な経済との調和条項というのが削除をされた。そして国の公害行政の基本が定められて今日まで対策が進められてきたのであります。  しかし、八年後の今日、環境行政は急カーブで曲がり角に立って、環境行政に取り組む政府姿勢というのが問われるところへ来ているのでございます。今国会を見てみましても、アセスメント法の制定というは、これはもう歴代の大臣が必ず本国会提出しますと再三言明を、私ども委員会でも伺っているにもかかわらず、無残にも三たび提出が見送られた。それから瀬戸内海の環境保全、それから水質総勢規制等についても、深刻な赤潮に悩む漁民を初め、瀬戸内海保全を切望する多くの関係住民が強い期待を持っておりました瀬戸内海保全の後継法、それから水質の総量規制というのは、これは成立をいたしましたけれども、関係者の期待には非常にほど遠いものになってしまっております。  さらにまたいま最も問題になっておりますのは、いわゆる二酸化窒素の環境基準でございますか、これも数年来財界からの強い要望があったわけですが、今回大幅な緩和を図ろうという動きがございます。環境白書によりますと、大気関係の公害認定患者の数が六万三千を超す、一年間に八千人以上も患者の数がふえている、こういう状態でございます。まさに世論の言われるように、環境行政というのは非常に重大な段階を迎えておると思うのでございます。  そこで総理大臣にお聞きをしたいんですけれども国民の健康を守り、生活環境を保全するという公害基本法の第一条にうたわれているこの基本姿勢、これは変わらないのだと思いますけれども、まず、政府の環境行政の基本姿勢をはっきりとさせていきたいと思いますので、念のためにこの点について総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 環境問題について政府姿勢は後退しているじゃないかと、こういうような御所見を交えての御質問でございますが、政府の環境問題に取り組む姿勢は、これは公害対策基本法に決められておる、これをそのまま実行することである、そのような認識でございます。皆さんから見るといろいろの御批判もありましょうが、この方針でやっておることだけは間違いない。今後ともこの方針を踏まえまして環境問題には粘り強く取り組んでいく、このような考えであります。
  67. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 公害対策基本法の基本姿勢という、そういう立場に立つということでございますが、そこで具体的にこういう問題についてもその基本姿勢をはっきりさしてもらいたいという点を二つ申し上げたいと思うんです。  一つは、福田内閣のもとでこの環境アセスメント法の法制化、これは二回、しかも閣議で決定までされておりながら今回などは流産をさせられた。これはきわめて重大な責任があると思うんですね、総理は。今日御承知のように、景気対策を旗印にして大型プロジェクトあるいは大規模開発、こういうものをどんどん推進しているときに、開発に伴う環境破壊の未然防止に実効のある環境アセスメント法の法制化というのは急ぐべきだと思うんです。これについて一体どうなのかという点が一つ。  もう一つは、当面問題になっておる二酸化窒素の環境基準の問題でございますけれども、先ほども申し上げたように、公害認定患者というのは六万以上の人たちが現実に苦しんでいる。こういう状況のもとでは、これは環境基準というのをいま動かすべきではないと考えますけれども、これらの施策について、これは細かい問題について総理にお伺いをしようと思っておりませんが、これらの施策について、公害基本法の先ほどお述べになった基本姿勢立場で、いわゆる経済との調和という立場ではなくて、国民の健康を守るという立場、基本姿勢を貫くべきだと思うんですけれども、これらの施策に対して総理はこの基本姿勢を貫いていただけるかどうか。これはもう当然だと思いますけれども、この点もお伺いをしておきたいと思います。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま御質疑の二点につきましては、この処置は公害基本法の精神にのっとってやる、これは間違いない、このように御理解願います。  そこで、環境アセスのための法律案ですが、これはできたら今国会に御提案しようと思っておったんですが、何せアセスすべきその基準、これを科学的、合理的にまた客観的に決めるという作業、これはなかなか容易なことじゃないんです。  そういうようなことで、まあ今国会は見送らざるを得ないということになりましたが、まあしかしなりましても、公害基本法の精神がそれでなくなったというわけじゃないんです。現実の問題といたしまして何かアセスを必要とするという案件が出てきますれば、それは基本法の精神でそれに対処していくわけであります。今後必要な諸条件を詰めまして立法化の検討をさらにさらに進めたいと、このように考えています。  それから、二酸化窒素の問題につきましては、これも公害対策審議会、これの答申があります。それを踏まえ、また公害基本法の精神にのっとって対処をすると、このような方針でございます。
  69. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう時間がないんで、最後に総理の政治姿勢に関する問題を一つだけお伺いをしたいと思います。  これは、すでに参議院の地方行政委員会やあるいは参議院のロ特委員会において問題になりましたあの丸紅の経費台帳寄付金勘定一覧表によりますと、福田派の政治団体であります千代田経済懇話会、これは昭和四十六年の下期に三百五十万円、四十七年に六百万円の献金を丸紅から受けているというわけでございます。特に問題になるのは、そのうちの一回は四十七年十月三十日という、問題のトライスター導入の決定した日、こういうことになっておりますが、これは総理は御承知ですね。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、私の後援団体幾つかありますが、その経理の内容につきまして余り詳しいことは承知いたしませんが、しかし、丸紅も私の後援会の会員になっておるんです。ですから、会費を納入しておるということは、これは私はそのとおりあり得ることであると、このように考えておりますが、念のため申し上げますが、だからといって、私の政治行動が何かの問題について、丸紅に対して何か曲がったことをしたとかなんとかというそういうことは絶対ありませんから、何の御疑問もなく、後援会員としてただ単に会費を支払ったものであると、このように御理解をお願いします。
  71. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、これは総理一人ではなくて、何人かの閣僚が御関係になっておられまして、かつて四月の段階でロ特委員会あるいは地行でも問題になったんですが、安倍官房長官は、これはわが党の橋本委員の追及に対して、私に関しては十分今後注意をして献金がないようにいたしますと。で、私は絶対にありませんと総理がおっしゃられたので、そういうすでに丸紅やあるいは全日空というふうないまや真っ黒の犯罪会社、こういうところから、総理やあるいは総理の関係する政治団体が寄付を受けないという立場を明確になさる必要があろうと思うんですが、これは全閣僚を含めてそういうことをなさるという御決意があるかどうか、このことをお伺いして終わりたいと思います。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ私の後援会に対する丸紅の拠出ですね、これはただいま申し上げたとおり、公明正大、何のやましいところはありませんからね。別に私があなたから言われて、この寄付を――寄付というか、会費を納入をやめるという必要もないように思いまするけれども、なおよく、まあいろいろそういうようなことを言われちゃかないませんから、考えてみることにします。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕
  73. 三治重信

    ○三治重信君 三公社五現業の問題をお聞きしたいと思います。  公共企業体等基本問題会議の中山伊知郎座長の三公社五現業の経営形態の問題、それからスト権問題についての最終的なまとめが近く出そうだと、それに対して、年内にこの答申に対して政府が対処を決めるというような新聞情報が出ておりますので、ひとつこれは多年の問題であるわけなんで、ことに労働関係の方からお尋ねしたいと思うんですが、どうも調子を見ると、経営の方で、三公五現のうちでも民営に一部凄移そうと、あるいは国鉄のごとく、まあ分割といいますか、新しく公社を分離しようというようなのが新聞に漏れると。この経営形態のそういう経過の変わりによって労働関係がストを認めるということは、これはまあ民営に移せば一般の労働関係になるのはこれは当然で、そのために三公社五現の関係の労働関係を改善したということにはならぬと。で、三公五現の経営形態を変えないところにもやはり現在のような違法ストが毎年繰り返される状態に対してどうにも対処できない現行法では私はまずいんじゃないか。これを機会に、やはり労働関係も現在の公労法を、その違法ストが解消するような方向で対処して法改正に踏み切っていくべきじゃないかと思うんですが、その方向について総理は何かお考えがありましたら。
  74. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は毎年毎年いわゆる違法ストというものが行われておると、これは年中行事のような状態になっているということを深く憂慮いたしておるんです。法秩序の維持といいますか、社会秩序の維持といいますか、そういう角度から見ましてこれはゆゆしい問題である。何とかいわゆるこの違法ストの反復、これがやまらないものかと、こういうことを念じておるわけでございますが、いま御質問のいわゆる中山答申、これは近く政府の方に、まあ答申という形になりますか、意見書が出てくるわけなんです。それをよく踏まえていかなけりゃならぬだろうと、このように考えております。どんな形のものが出てくるか、まだ最終的に決まっておらぬというふうに聞いておりますけれども、それが出てきたと、そういう段階におきましては、十分これを熟読玩味いたしまして、政府は何をなすべきかということを決めたいと、かように考えています。
  75. 三治重信

    ○三治重信君 私は、特にこの違法ストというふうに国民も思い、また完全にそういうふうな状態でありながら、その事実を毎年繰り返されておるということは、やはり経営者または政府の方もそれに対して漫然と、何と申しますか、いわゆる違法ストに対して処分、処分に対して違法ストと、こういうことは繰り返すべきではないと、ただ一部のように違法ストをやっている限りにおいてはそのストライキ権を認めるわけにはいかぬと、まあこういう議論は総理もおとりにならぬと思いますが、やはりそういう労使関係において違法な状態を解消するということは、ただ事実問題もありますけれども、私は、やはりそういう問題に対して、国や国会は立法を変える、また、新しい立法政策を考えるべきだと、こう思うわけです。  その視点の中で、特に私はやはり民間とこの公共企業体との関係を見ますというと、違法ストがこれだけ長く行われていて、その違法ストに対して賃金が全然差っ引かれない。一部は差っ引かれても、大体において――民間がストをやればそれは三十分でも十分でもそういうストライキに対しては賃金カットが行われる。私はこの違法ストに賃金が引かれていない、それは片方ロックアウトを禁止されている、争議行為が禁止されているから、争議行為によって、ストライキによっての不就労に対して賃金を差し引く根拠がないんだと、事実、営業法なりその他給与の支給の規定の方からはノーワーク・ノー・ペイで引けるようになっているけれども、実際はそちらの方は適用していない。この問題を私は法的に解析していかぬと、結局ストライキはやり得になってしまう。ここにやはり問題があって、むしろストライキに対していままで一般に言われ、ことに政府・自民党が対処しようとするいわゆる刑罰、そういうもので対処していく方は私は逆効果をもたらすと。むしろ、民間企業のそういう現行の労使関係に近づけていくためには、ストライキが現実に行われた場合には、それは民間企業のストライキと同じように、違法ストにおいても賃金なりそういうものが差っ引かれて、労使関係それぞれ双方が痛むと、こういうことが実際に行われないといけない。むしろ、それを処罰でやっていく方は、なかなか両方が、何というのですか、感情対立になってうまくいかないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その点に対してどういうふうにお考えになりますか。
  76. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) とにかく違法スト、これが反復して行われ、これが常のごときものであるというふうに受け取られがちな情勢になってきておることはまことに私は残念なんです。何とかしてこの違法ストというものの反復を歯どめをすべきだと、労使双水においても努力をすべし、また同時に、政府、あるいは国会等においてもそれに御協力を願いたい、こういうふうに思う次第でございますが、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 いま御指摘の、ストライキ期間中に賃金をカットすべしという御所見、これにつきましては、そのようにやっておるというふうに私は承知しておりますが、なおよくチェックしてみまして、そういう状態はないというようなことであれば是正をしなければならぬと思います。
  77. 三治重信

    ○三治重信君 これは全然行われてないというわけじゃなくて、それはまあ形式的に行われていることは行われているわけですが、民間のいわゆるストライキに対する賃金カットのような一律的なことは行われていないことは事実でございますので、そういう労使関係のいわゆる争議行為に基づく違法ストでも、争議行為に基づくストライキに対しては、民間同様、そういう労使関係法によっての賃金カットが行われる、それがいま一般の労務管理あるいはは営業法関係から、そちらの方のほかの適用から賃金をカットしていく、そう理屈づけていくと、こういうふうな法体係になっているかと思うわけですが、そこを私は今度の改正で、正面から労使関係法でそういう場合に対応していく法改正をやっていくべきだと、こういうふうに思います。  それからもう一つは、この間の今度の春闘で、全逓というんですか、郵政省関係の全逓の方は郵便法によって、最高裁判所の判決もあって、郵便法によって違法ストが刑罰の対象になる。ところが、国鉄の鉄道営業法の方は明治の中年に至ってできたやつだから、そういう刑罰の規定がないために、同じ状態になっても最高裁のそういう解釈はとれない。同じようにとれていない。こういう問題も、やはり労使関係から見ると、営業法関係でそういう労使関係の問題を処罰の方へ持っていこうとすると、片方は、郵便法にはそういう罰則規定があるから処罰がやれる、片方はそういう営業法でないからやらぬ、こういうことが進んでいくと私は非常にまずい状態になっていく。労使関係法の方でそういう問題を解決していくような対策を総理は考えて、経常形態の問題とともに一緒に労使関係にも手をつける体制をぜひとっていただきたい、それを要望して質問を終わります。
  78. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御所見といいますか、御提言といいますか、それにつきましては、政府におきましても十分検討いたします。
  79. 市川房枝

    市川房枝君 総理、日本は、国際連合を初め、その関係機関に対して分担金とか審付なんかを払っておりますが、その全額が非常に少ないですね。特に、人道的な問題、子供や婦人関係は少ないんです。それで、いままで日本の代表として国連の会議出席しました人たちはみんな恥ずかしい思いをしていたようです。ユニセフに対しては日本は五十二年度には二百四十万ドルで九位だったんです。五十三年には二百六十万ドルにふえ、来年の国際児童年に対して二十万ドル寄付することになっているらしいので、幾らか順位が上がるかもしれませんが、まだこれでも足りないと思います。  難民救済については、五十二年には中東のパレスチナ難民について六百万ドルで五位。国連難民救済計画には八万ドルで十五位になっています。  婦人については、国際婦人年のメキシコ会議の費用に三万ドル寄付しただけです。国際婦人年は、国運婦人の十年となり、明後五十五年にイランで世界婦人会議を開催することになっており、その費用を加盟各国に寄付を要請してきているようですが、日本はまだ意思表示を全然していないんです。  これはILOの話ですが、米国が抜けたので、ILOの経済が苦しくなって加盟各国に寄付を要請したようです。ところが、そのILOの事務局会議で寄付の報告があり、いつもまだ申し出のないのはソ連と日本です、こう報告され、そのたんびに小さくなっていたというのです。このことについて私は大蔵委員会で労働省当局に質問しましたら、最近百万ドル寄付することを通告しました、ILOでは大変に喜んでおりますという返事だったんです。どうせ出すならそんなに一番ビリで、催促されして私は出すんではなくて、日本の経済に相当した金額を早く出せばいいんではないのかと。そうすれば日本の国際的なイメージが私は上がると思います。このことは担当各省が扱っておりますが、しかし総理から、日本のこういう国際機関への経済的な問題での態度はこうあるべきだということを私は決めてそれを励行させるようにしていただいたらいいと思いますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は国連中心主義外交、これを忠実に実行している国であります。そういう国柄といたしまして、国連に対する拠出分担ですね、これはもう非常に多いんですよ。これは市川さんがおっしゃるような状態じゃございません。アメリカ、ソビエト連邦、日本と、こういうような順位になるくらいわが国は拠出分担を多額にやっているわけです。その中身につきましては、これは総額はそういうふうに大きいわけでありますが、その中身につきましては、これは国連の各機関でやっている仕事の内容の問題でありますとか、それからわが国に対する国際社会の期待、そういうものを踏まえてやりまするから、とにかく恥ずかしいような状態ではない、大いばりでいい。そういう状態であることを御承知願いたいし、またILOのお話がありましたが、わが国はILOの追加拠出、これはもう世界で一番多額をいたしておる、こういうように御了知願います。
  81. 市川房枝

    市川房枝君 総理のおっしゃること、事実と少し違うようですが、それはまた別の機会にします。  次は、婦人問題企画推進本部長としての総理に一、二お伺いしたいと思います。  第一には、いま申しましたように、国連の国際婦人年に対する寄付を、前に三万ドルでしたけれども、国際児童年に相当するぐらい、またそれ以上の器付を早く決めて申し出てほしいと思います。どうせイランでの大会には日本の代表も出るわけですが、そういう人たちが肩身の狭い思いをしないようにお願いをしておきたいと思います。  それから次は、国内の国際婦人年に関する予算の問題ですが、総理の婦人問題企画推進本部の事務を担当しているのは総理府の婦人担当室ですが、その婦人担当室の正式の予算は、五十一年度から出ておりますが、最初は二千三百万円、今年度五十三年度には二千九百五十万円。これはドルじゃない、万円台なんで、私どもが希望しているような事業もできないという非常に弱い立場にいるものです。これを五十四年度には、いまの二倍なり三倍ぐらいにひとつふやしていただきたいということをお願いしたいのですが、これいかがですか。
  82. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 婦人問題についての費用といたしまして、いま約三千万円のお話がありましたが、これは婦人問題企画推進本部、これの本部の人件費、事務費、そういうものであります。これやってみて、これで支障があるというならばまたそのとき考えますが、婦人問題にこれはもう国費は相当使われておるわけでありまして、これ一々区分けをするというわけにもまいりませんけれども、いま御指摘の婦人問題企画推進本部の費用、これにつきましては、もしこれでどうしても本部の企画が進まぬ、こういうことでありますれば、その際は考えます。
  83. 市川房枝

    市川房枝君 最後にもう一つ伺いたいんですが、それは昨年の六月十四日に、総理、覚えていらっしゃるでしょうが、「婦人の政策決定参加を促進する特別活動の推進に当たって」という総理のお名前の文書が発表されまして、その推進の要綱が発表されたわけです。それからちょうど一年たつのですが、その中にいろいろ掲げておりますけれども、特に重要なのは、女子の公務員の採用、登用、その能力開発ということが出ておりますけれども、この面では私どもは何の進展もなかった、こういうふうに見ておるんです。審議会とか調査会なんかに婦人の委員をふやすことは、それは少しふえました。ふえましたけれども、それはもう大したことではないんで、いま申しました点が重要だと思うのです。婦人の大臣もできなかったし、あるいは事務次官も一人もできておりませんし、あるいは大使、公使も一人もなっておりません。――いや、いま公使が一人婦人のがおりますけれども、これは三木内閣のときの宮澤外務大臣が推薦されて実現したわけでありまして、福田総理になってからはだれも出ていないわけでございます。大使、公使の問題では、園田外務大臣は適任者があれば採用したいと委員会ではお答えいただいておりますけれども、適任者があったらというのじゃ逃げ口上になっちゃいますんで、これは適任者があるんです。それを見つけてぜひ実現さしていただきたい。これは福田総理に特にお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 婦人の地位の向上問題につきましてはこれは格別の配慮をしておるのです。いまそのような御認識であられますが、審議会への婦人委員、これは若干ふえてきておるわけでありますが、この上とも気をつけてまいりたい。  それから国家公務員の行政職で見ますと、四等級、五等級では女子が大幅に増加しております。また三等級以上におきましても、女子の増加は明瞭な傾向となって出てきておるわけです。  それから外務省では、上級職の女子を、二十年ぶりのことでありますが、二人採用に踏み切っております。それから、いまお話もありましたが、織方婦人公使が実現をするし、また総理府の婦人問題担当室長でありました久保田さんが国連の開発と人道問題センターの婦人の地位向上部長に就任しておると、こういうような状態であります。決して停滞しておるわけじゃございませんが、この上とも気をつけてまいりたいと思います。
  85. 市川房枝

    市川房枝君 総理、いま少し婦人の地位が上がったとおっしゃって、それは何等級が何等級になったぐらいのことはあったかもしれませんけれども、それは私ども婦人から見れば大したことはないんで、何かもっと大きな、みんながなるほどと思うようなことをひとつ考えてほしいし、織方さんの話が出ましたけれども、あれは福田総理は関係ないわけですよね。三木総理のときなんでありまして、だから福田総理総理としての時代にはっきりと、私どもがいつでも、これは福田総理のもとでできましたとちゃんと報告できるようにひとつしていただきたい。ひとつそれをお願いして私は終わります。  ありがとうございました。
  86. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 それでは総理に、最近、きのうの金丸発言以来、解散をめぐる問題がかまびすしくなってきておりますので、政局運営の考え方についてお伺いをいたしたいと思います。  先般本院の予算委員会で、三月十六日に私が、福田内閣はいろいろと公約は上げるけれども、なかなか決断をしていただけないということをとらえて質問をいたしましたところ、総理はいまに見ておれとおっしゃいました。そのお気持ちはいまでも変わっておられませんか。つまり、まだまだやり残したことがたくさんある、今後もやらなければいけないとお考えなのか、それとも、もうなかなかむずかしい、適当な時期があれば適当な人に譲り渡したい、そうお考えかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 予算委員会における管弁につきましては、少しも変わっておりません。
  88. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 それでは伺いますが、閣僚の一人が、いざ解散というときには著者を拒否することも辞さないとおっしゃっておられます。いま総理は、まあ言葉が足りなかったというふうにおっしゃいますけれども、閣内でそうした声が上がるというのは正常な状態ではない。その意味で、総理として閣内の意見を統一するための何らかの手をお打ちになるべきではないかと思いますが、その点についてどうお考えか。  そして同時に、党内でも、大平派、田中派、三木派でそれぞれ解散反対の署名を始めている、もうすでに始めたところもあるというふうに報じられておりますが、自民党総裁としてやはり党内の見解の統一を図るべきではないかと思いますが、その点についても重ねてお伺いをいたします。
  89. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほどもお答えしたのですが、金丸国務大臣の発言ですね、あれはもう当然のことを言っているのだろうと、こういうふうに思います。人から聞かれるということがあれば、私だってそうですよ。私が何かの内閣の閣僚であって、解散問題について意見を求められる、こういうことであれば、これは大義名分のない解散には私は反対しますと、そう答えますよ。そういう当然のことを金丸長官は言っているだけで、それで何か閣内の統一を必要とするというようなことには考えておりません。福田内閣は統一一体、これはもうどこのどの閣僚と私との間にも寸分のすきもありませんから、それはひとつ御安心を願いたいと、このように考えます。  それから、党内でいろいろ政治についての所見がある。これは、もう自由民主党ですから、幅広い政党ですから、いろいろあると、こういうふうに御了解願います。
  90. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 総理はそうおっしゃいますけれども、解散の場合には署名を拒否する、大義名分のない解散については署名を拒否するとおっしゃっているわけです、金丸長官は。つまり、大義名分のない解散を総理がお出しになるかもしれない。そうでなければ署名を拒否するという行為はできないわけですから、総理が発議をされるということが前提になっております。つまり、大義名分のない解散を総理がされるかもしれないという推定があってこうした答えが出てきていると思いますが、その点いかがでしょうか。
  91. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは必ずしもそうじゃないんじゃないでしょうか。これは質問者の方によく聞いてみなけりゃなりませんけれども質問者が、解散ということになったらどうしますかと、こう聞く、それに対して、大義名分のない解散には私は反対ですと、こういうふうに答えるのは、これは大体私は常識的なことであろうと、このように思います。
  92. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 その点は党内、閣内の問題でございますから、福田総理の指導力というものを期待をしたいと思いますが、その福田内閣の課題として幾つかのものが現在問題になっていると思います。  一つは、日中条約交渉。再開についての決意を固められた、先方に申し入れたということですが、私ども新自由クラブの訪中団に対しても、中国側からは、それは歓迎するけれども、再開と妥結、締結とは必ずしも一体かどうか疑問を持っている、総理の真意をまだはかりかねている部分があると思いますが、再開と妥結は一体だと考えてよろしゅうございますか。
  93. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、交渉をする、妥結を目的としない交渉なんというのは、これは無意味でありまして、そんな無意味なことを私は考えているわけじゃありません。私は、日本国を踏まえまして真剣に考えているんですから、そのように御理解を願います。
  94. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 御承知と思いますが、五月の十八日に上野の動物園でパンダが愛の結合に成功いたしました。これは四十九年、五十二年に続いて三度目でございます。今度子供が生まれなかったら国民はがっかりする。福田内閣のせいだと言うかもしれません。つまり、結合と受胎とは違うんだ。どうも結合はするけれども受胎能力がないのが福田内閣だ、こう言われかねない。その点についての総理の固い御決意をお伺いをして、受胎能力をぜひお示しいただきたい。
  95. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 笑って答えません。
  96. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 私どもは日中条約の妥結を、もちろん両国の合意に基づく妥結をアジアの平和のためにこいねがうものでございます。  第二の問題として、時間が少のうございますので移りますが、経済の問題がございます。最近の景気情勢を見ておりますと、これで将来景気回復は十分だという楽観的な見方もございますけれども、きのうの銀行大会での総理の御発言を読ましていただきますと、なお危機感-失礼いたしました。確かに明るい傾向はあるけれども、まだまだ問題である、今後の推移を注視したいとおっしゃっておられます。私どももまだまだ楽観は禁物だ、必要によっては補正予算の編成に早急に取り組まなければいけないというふうに考えておりますが、その点についての総理の御所見を伺いたいと思います。
  97. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気は、私は確かに明るい方向に動いておる、こういうふうに見ております。ただ、まだその傾向が定着したと、こういうふうな認定はいたしておりません。なおここ二、三カ月の動きをよく見て、もしこの傾向が定着しない、こういうおそれがありますならば、そのときの時点において最も適切な対策をとらなきやならぬ、このような所見でございます。
  98. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 二、三カ月と総理はおっしゃいましたが、いまから三カ月と言いますと、七、八、九で九月。九月の補正予算の是非という問題になってくるかと思いますが、つまり、秋の臨時国会の問題につながってまいります。その点について、総理は必要があれば臨時国会を開いて補正予算を審議していただく、こういうお考えと了解してよろしゅうございますか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 柿沢さんはすぐ補正予算、補正予算と、こうおっしゃいますが、経済運営の手段というものは予算ばかりじゃありませんよ。各般の手段があるわけですから、その時点におきまして何が必要かということを厳正に判断いたしましてそうして施策をとる、こういう考えであります。
  100. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 この秋の補正予算の必要性、さらには臨時国会の開会問題についてすら、これを解散と結びつけて議論をする向きがあるわけでございます。党内運営のためにいろいろな形で解散問題を意識的にもしくは流したり、放置をしたりということはあるかもしれませんけれども、これは党内――与党内がざわつくだけでなくて、野党までいまやざわめいております。こういうことでは円満な政局運営ができないと思いますけれども、そういう点をこの際思い切って総理として発言をしていただいて、解散問題は一切考えていないというふうに、この風を鎮静きせる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 解散は私は頭の中にありませんと私が言うと、またそれが逆な方の影響もあるというような昨今の情勢でございます。ですから、解散問題は私は余り触れませんけれども、いま私は、とにかく、いま柿沢さんが経済の問題に触れた、その一つをとってみましても大変な問題だと、こういうふうに考えておるんです。忙殺されておると、こういう状態でありまして、ほかのことは考えているいとまもない、このように御理解いただきます。
  102. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 それでは最後に、三月に、いまに見ておれとおっしゃいました。それは変わらないとおっしゃいましたけれども、いつもいまに見ておれが先に延びていくのでは困るわけでございまして、いま、いまを見てみろと、これが私の実績だというのをできるだけ早くお示しをいただきたい。私どもも、そのためにお手伝いをすることがあればいとうものではございません。どうぞ福田内閣の決断と実行を期待をいたしたいと思いますが、最後にお言葉があればいただいて終わりにいたしたいと思います。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまに見ておれと、こういうふうに申し上げましたが、ぞう、刻々見るべき問題が出てきておるじゃありませんか。十三年ぶりでとにかく成田空港は開港された、これにもひとつ目をみはってもらいたいんです。それから、日中条約交渉。これも、条約交渉をやりましょうと言ったのが六年前なんです。六年前そう言って、なかなか真剣な話し合いが始められなかった。それが今度始まるんですから、これもひとつお忘れなく覚えておいていただきたい、このように思いまするし、日韓間の大陸だな協定、これはぜひひとつ御協力を願いたい。御協力がありますれば、これも数日中に目鼻がつくと、こういうようなことでございまするし、景気の方だってこれは五年越しの問題、これも明るい傾向が出てきておるというんですから、これはいまに見ておれの方に属するわけであります。
  104. 江田五月

    ○江田五月君 ちょうど昨年の七月に本院の議員の半数が改選されて、間もなく一年になろうとしているわけでありまして、私はこの一年ほどの間、新人議員として議会の中でわが国の国会議員の活動をわずかではありますが経験をして、幾つかのことを考えたわけであります。そうしたことに関して、余りホットなイシューではありませんし、抽象的な質問になって申しわけありませんが、総理の基本的な物の考え方とか感じ方とかいうようなものを伺っておきたいと思います。いまの日本の議会制民主主義の状態、特にこの議会制民主主義に対する国民の信頼がどうも揺らいでいるんではないかというようなことについての総理の感受性というものをひとつ伺っておきたいからであります。  私が考えたことの一つに、いわゆる日常活動として、与野党を問わず、多くの議員が行っている行政に関する苦情等の処理の問題があります。多くの議員が選挙民の方々から行政に関して苦情を持ち込まれて、ひとつ口添えをお願いしたいとか、力添えを頼むとかいうようなことを頼まれていると思います。頼まれた議員は、一応その当否を調べはするのでしょうが、よほどのことがない限り、功を奏するかどうかは別として、しかるべき官庁の部局に連絡をするでしょう。これは議員の国民に対するサービスであって、それ自体直ちに悪いことではないのかもしれません。しかし、多くの場合は、事はどうもそれほど単純ではないようであって、頼まれた議員は少々無理な要求であっても、支持者の一票のために、強引に、道理が引っ込んでも無理を行政官庁にお願いするというようなことがあるように見受けられる。そして、ときにはその裏に、支持者から議員に対して、あえて黒とは言わなくても、灰色の報酬が動くこともあるように思われます。これは、大はロッキード事件に見られるようなケースでしょうけれども、小さな場合だと、日常の儀礼と変わらないようなものもありましょう。さらに、このようにして支持者の集団を維持しておくことが議員の活動のすべてになってしまうと、国とか国民とかということを考えるいとまがなくなってしまうという場合もどうもあるように見受けられて仕方がない。  ここにどうも本来国と国民全体のために働くべき議員が一地方だけの実力者となって、その人を頂点として一つの利益の体系を共有する集団ができている場合があるような感じがいたします。  一方、行政に携わる人々はこうした傾向を苦々しく思いながら、泣く子と地頭には勝てないと、腹で軽べつしながら無理を通しているということがあるように思います。  このために、多くの人々が議会制民主主義の有効性に少なからぬ疑惑を抱くようになっているのが現状ではないかと思いますけれども、そういう点について、総理、一体どういうふうにお考えになるか、お感じになっておられるか、伺いたいと思います。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、そういう問題につきましては政府は――政府ですよ、政府は毅然として立ち向かわなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思います。やっぱり圧力団体から圧力がかかったからそっちの方はうまくさばきができて、声なき声の方はこれは見送られたと、こういうようなことになったんじゃ私は本当の政治にならぬと思うんです。政府姿勢といたしましては、圧力には屈せず、同時に声なき声には耳を傾けるという姿勢でやっていかなけりゃならぬなあと、そのように思います。
  106. 江田五月

    ○江田五月君 政府の責任あるいは姿勢ということも大事でありますが、行政庁というだけでなくて、国の統治の機構全体の病理現象として私はいま問題にしたいと思っているわけです。こういう議員のごり押し――ごり押しと言うとちょっと悪いですけれども、議員の活動は、その背後に国政調査権を持っているわけでありますから、そうした日常のサービス的な仕事を圧殺してしまうことは得策ではないと思います。しかし、そうした国会議員が苦情を処理するシステムというものがもっと合理的で、無理を押し通すことのない、しかも透明度の商い、すなわちやみで処理されるのでなくて、一つの公認されたシステムの中で処理されるという方法を考えることができるんじゃないだろうか。  具体的にはどのような姿になるか、細目は別として、各国で採用されておりますいわゆるオンブズマン制度と言われるもの、つまり議会の授権による独立した行政監察官による苦情処理の制度、こういうものが、いま述べたような議員の活動との関連で言えば、特にイギリスの制度というのは検討に値すると思いますが、あるいはその具体的なことは御存じないとしても、そうしたことを考える必要がいまあるんではないかという点に関していかがお感じになっておられるか、伺いたいと思います。
  107. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、いま江田さんの御指摘の問題は、多分にこれは行政庁、それからまた国会、そのモラルというか、そういう問題、まお国会議員は国会議員として本当に適正な職務執行をする、こういう姿勢をとるか、また行政府は行政府としての正しい姿勢で、また勇気ある姿勢で問題に取り組むかと、こういうところに本質論があるんじゃないか、そのような感じがいたしますがね。新しい制度をつくったとて、私は魂を入れなけりゃ何にもならぬと思うのです。屋上屋、そういう弊害は出てきても、問題の解決にはならぬと、このように脅えますが、いま、外国のオンブズマン制、こういう問題に触れられましたが、これはまあ国会でも御検討願いたいと思うんです。思いますけれども、私が強調したい点は、本当に国家統治ですね、そういう立場から議員はどうあるべきか、行政官はどうあるべきかという点について、本当に確固とした、また勇気ある姿勢というものが打ち出されない限り、いかに機構をつくりましても私は無意味であろうと、このように考えます。
  108. 江田五月

    ○江田五月君 私がオンブズマン制度の導入を検討してみた方がいいんではないかと思っているのは、議員のモラルの問題だけではないんでありまして、いろいろな理由があると思いますが、一つには、法治国家というものは常に何か安全弁がなければいけないということがあろうと思います。つまり、法治国家の場合に、言うまでもなく法というのは一般的、抽象的な規範でありまして、それを定立する場合には、およそ予想もしないような事実というのが将来生ずることは当然あり得る。そうした予想もしないような具体的事実に法規範を適用しますと、その結果が、もともとの法が目標としていたものに反するような、あるいはそのもともとの法が目標、目的としていたことを実行するゆえんでないような結果が生ずることがあるんでありまして、合法であり適法ではあっても妥当でないということはしょっちゅう起こるわけです。それで国民が、法はいかに冷たいものか、氷のようなものかというようなことを感ずるというケースがあるんでありまして、わが国ではこういう場合に、ともすれば、事が公にならない間なら何とかかんとかうやむやにごまかしてしまう。公になってしまうと、法がそうであるからというので冷たく突き放してしまうという傾向があるんではないかと思うんですが、こういうようなところからも、ひとつ、こうした法治国家の一つの隘路というものを打開していく制度として各国がオンブズマンということを考えているんではないかと思うわけですが、そうした法治国家の現状というものに対する総理の一つの統治の責任者としてのお考えを伺っておきたいと思います。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府なり国会なりが、国民の声、それが那辺にあるかということを常に承知しておくことはこれは非常に大事なことであると、このように思うわけです。国会には国政調査権がありまするから、大いにこれを活用して、国民の声、それに耳を傾けてもらいたいし、また行政府におきましては行政相談委員制度というのがあります。これも、私かつて行政管理庁長官脅したこともありまして、ずいぶんこの相談委員の制度を活用したわけでありまするけれども、そういう制度がある。それから、各省庁に行政相談官というものもある。それでありまするから、それらを活用されて、とにかく国民の声というものが役所にもあるいは国会にも入ってきて、みんなそういう声について認識を深めておくということは、私は統治能力という上から見て大変大事なことであろうと、かように考えます。
  110. 江田五月

    ○江田五月君 行政相談委員の制度というのは、これは確かにある程度の役割りを果たしていることは間違いないと思います。ただ、行政相談委員のたとえば資格の問題であるとか、権限の問題であるとか、やはりいろいろと難点もあろうかと思います。国の運営というのは、特に自由な社会ではいろいろな制度が複雑に絡み合って、多魚釣にチェックをし合いながらバランスを保っていくものでなければならぬのでありまして、あの制度があるから、あれが動けばいいんだからといって、ほかのことを全然考えないというのはどんなものだろうかなという感じがいたすわけであります。  それはそれとして、ちょっとホットなことについて簡単に何っておきたいんですが、最近、ソ連の海軍が、最近といいますか、ついきのうきょうの問題であるかもしれませんが、捉択島の近海で相当大規模な演習をやっているということがロイター電によって伝えられております。政府は、先週ですか、ラジオ放送によって択捉島近海でソ連海軍が損料をするということが報道された際に抗議をなさったということでありますが、このきのうきょうの動きというのは、さらにそれがどんどん進んで、どうもこれ十分まだ見ていないんですが、相当の規模の部隊が択捉島に上陸をしているというようなことであるのかもしれませんが、事情は十分把握をされているんだと思いますが、総理自身いかなる指揮をおとりになったか、お知らせ願いたいと思います。
  111. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのお話は、私は初耳でございます。先般、日本の漁船が多額の罰金を課せられたという話は聞いておりますが、演習の話は全然聞いておりません。なお調べて善処いたします。
  112. 江田五月

    ○江田五月君 事実でなければ、誤報であればいいんですが、もし事実だとすると、総理が初耳というのはちょっと困ると思いますので、以後十分よろしくお願いをいたしたいと思います。
  113. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 福田内閣総理大臣、御退席していただいて結構でございます。  他に御発言がなければ、昭和四十九年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  115. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、案納勝君及び寺田熊雄君が委員辞任され、その補欠として高杉廸忠君及び広田幸一君が選任されました。     ―――――――――――――
  116. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) それでは、昭和四十九年度決算外二件につきましては、これを一時中断し、次に、昭和四十八年度決算につきまして、内閣に対し警告の議決を行いましたが、その警告に対し、内閣のとった措置などにつきまして説明を聴取いたします。村山大蔵大臣。
  117. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 昭和四十八年度決算に関する参議院の審議議決について講じました措置の概要を申し上げます。  政府は、従来から決算に関する国会の審議議決、会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率的使用、事務事業の通常の適正化、不当経理の発生の防止等について特に留意してまいったところでありますが、昭和四十八年度決算に関する参議院の審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめてその概要を御説明申し上げます。  一 自然公園及びその周辺地域における砂利採取、採石等の規制等につきましては、関係省庁からなる連絡協議会を開催し、自然公園及びその周辺地域における砂利採取、採石等の規制、管理等について相互の連絡協議を進め、自然環境の保全、治山治水効果の維持増進の一層の強化を図っているところであります。  二 私立医科歯科系大学の入学時寄付金の募集につきましては、昭和四十九年一月に寄付金の納入を条件として入学許可を行うことのないよう通知し指導してきましたが、今回の議決の趣旨にかんがみ、昭和五十二年九月の通知で改めて入学に関する寄付金の収受等の禁止及び入学者選抜の公正確保につき要請しますとともに、経営の健全化につき指導を行い、また、私立大学等の入学手続時における学生納付金の取扱いにつきましては、私立大学等に対しまして、昭和五十年九月にその改善を図るよう通知し指導してきましたが、今後ともこれらにつきましてなお一層指導の徹底を図ってまいる所存であります。  なお、私立大学の経営につきましては、私立大学を設置する学校法人がその財政基盤の強化を図るとともに、学生に係る修学上の経済的負担の適正化を図るよう自主的に努力すべきものでありますが、国といたしましても、私立学校振興助成法に基づき、私立大学の経営の健全性を高める等のため、私立大学等経常費補助金の拡充を図ってきたところでありまして、昭和五十三年予算におきましては、この補助金を前年度より二十三・一%増の千九百七十五億円に増領しているところであります。特に医・歯学部につきましては、教員経費の大幅な単価改定等により前年度予算に比し二十九・四%増の予算措置を講じ、入学時寄付金問題の改善と経営の健全化に資することといたしております。  三 救急医療体制の整備につきましては、従来の施策の見直しを行い、昭和五十二年度から新たなる構想のもとに、その体系的整備を図っており、昭和五十三年度におきましても、引き続き、1休日・夜間急患センターの整備、2在宅当番医制の充実、3病院群輪番制等の第二次病院体制の整備、4救命救急センターの整備、5広域救急医療情報システムの整備を計画的に推進することとし、所要の予算措置を講じている  ところであります。四 石油開発公団の投融資資産の経理につきましては、同公団の投融資対象企業のうち、探鉱事業に失敗し、鉱区の返還を行うなど、いわゆる休眠状態になった企業につきましては速やかに当該対象企業を解散するか、または清算するなど、石油開発公団の資産が不良資産化することのないよう指導しているところであります。この結果、昭和五十二年度末までに西社が解散し、一社について石油開発公団の保有株式を処分しましたが、さらに鉱区を放棄したその他の企業につきましても、順次解散等を行わせていく方針であります。  今後とも経理の適正化につきまして、なお一層指導を徹底してまいる所存であります。  五 日本住宅公団の未入居住宅及び未使用用地の問題につきましては、今回の議決の趣旨にかんがみ、建設省に公団住宅問題対策委員会を設けまして、未入居住宅に関しては住宅需要調査の充実、住宅立地の改善、住宅規模の拡大等を図り、未使用用地に関しては、その早期使用について地元公共団体等と早急な調整を図るよう、公団に対し指導を行い、すでに公団においてこれを実施に移しているところであります。また、住宅のバルコニー欠陥問題につきましては、欠陥判明後直ちに全住宅の点検を行い、補修の必要があると判断されるものについては、居住者と協議中のものを除きすでに補修済みであります。  今後ともかかる事態が発生しないよう、同公団に対する指導を一層強化してまいる所存であります。  なお、昭和五十三年度予算においては、住宅規模の拡大、住宅立地の改善、傾斜家賃制度の改善、関連公共施設等の立てかえ施行制度の拡充及び住宅宅地関連公共施設整備促進事業に対する補助制度の創設等の措置を講じております。  六 国及び公共企業体の発注する工事の下請関係の適正化につきましては、建設業行政を所管する建設省において建設業界を指導するとともに、国及び公共企業体においても、工事の発注に当たって請負業者の指導に努めてきたところでありますが、今後とも、建設工事標準下請契約約款の普及並びに不適正な条件による下請及び不必要な重層下請がなされないよう請負業者に対する指導に努めるとともに、建設業等の構造、下請代金の支払い状況等の実態の把握に努めることにより、より一層下請関係の適正化を推進し、また、下請契約に係る紛争事案等につきまして、個別の指導くより一層強化してまいる所存でございます。     ―――――――――――――
  118. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 先ほど一時中断いたしました昭和四十九年度決算外二件を再び議題といたします。  これより直ちに討論に入ります。  各党討論に入るに先立ち、理事会におきまして協議いたしました内閣に対する警告につきまして、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。  それでは、警告の案文を朗読いたします。   国の施策として実施される点にかんがみ、交通方法の変更によって生ずる諸問題については、極力、国の責任によって、適正な解決を図るとともに、関係行政機関の調整を急ぎ、交通方法の変更が、円滑に実施できるよう努めるべきである。  (6) 最近における我が国の牛肉の消費者価格は、諸外国に比べ高値にあり、一方肉牛生産者にあっては、輸入飼料価格の引き下げにもかかわらず、収益が好転しない事例も見受けられる。また、畜産振興事業団から売り渡された輸入牛肉の一部について、系統団体の経路で、末端食肉販売店へ届かず、食肉加工業者等へ供給されたなど、流通段階における問題点、及び指定小売店における販売上の問題点が指摘されていることは遺憾である。    政府は、畜産振興事業団の機能が有効適切な効果を発揮するよう、同事業団及び関係業界に対する指導監督を厳正に行うことはもとより、草地開発を促進するための助成事業を推進し、肉牛生産者が適正な収益を確保できるような道を開くとともに、いわゆる円高差益を含めた同事業団の輸入差益金を生産の振興、流通の改善に一層活用することにより、消費者への利益の還元に努めるべきである。  (7) 最近の厳しい経済環境において、中高年齢者、身体障害者、婦人は、ますます、雇用上不利な状況にあるが、そのうち、高年齢者、身体障害者については、雇用率が法律で定められているにもかかわらず、これを達成していない事業主が多く、また、身体障害者に対する職業訓練が、十分活用されていない事例も見受けられる。さらに、婦人については、若年定年、結婚退職制、賃金格差等、男女差別の事例が、跡を絶たない。    政府は、中高年齢者及び身体障害者の適職の確保を図るため、雇用機会の開発、職業訓練の充実強化等に、一層配意するとともに、身体障害者に対する法定雇用率がへ達成されていない事業主には、法に基づく雇入れ計画の作成命令制の活用を図るなどの措置を講じ、婦人労働については、明文、慣行を問わず、不当な差別の事実が、確認されたときは、遅滞なく、その解消のための指導に努めるべきである。  (8) 近時、日本住宅公団及び地方公共団体等が供給する公団住宅や、公営住宅等の建設は、多額の公的資金が投入されているが、遠隔、高家賃、狭隘という問題のため、新築当初から、相当の空き家が発生しており、とくに、公団住宅については、これらの新築空き家に加えて、未竣工の住宅の中にも、完成後は空き家になるおそれがあるものが見受けられる。    政府は、財政資金の効果的利用を図り、質的充足を求める国民の住宅需要に合致するよう、日本住宅公団等に対し、指導を行うとともに、積極的に、公的資金による住宅の家賃   算定の方式の改善及び公的援助の拡充について、検討の上、入居者の負担の適正化を図るよう措置すべきである。  以上であります。  なお、議決案はお手元に配付されているとおりであります。  それでは、討論をされる方は賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。丸谷金保君。
  119. 丸谷金保

    ○丸谷金保君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十九年度決算外二件に対し、これを是認することができないことを表明し、内閣に対する警告案に対しては、賛成するものであります。  以下主なる反対の理由を申し上げます。  わが国経済の現状は、いわゆる円高不況によって、家計においては消費意欲の停滞を来し、企業においては、主として設備投資の低迷により企業収益の大幅な減少となり、雇用はますます不安を増大し、日本経済は深刻な様相を呈するに至ったのであります。  このような厳しい経済環境にわが国を置くことになったのは、政府の四十九年度における経済財政の運営が支離滅裂だったことに起因するものであります。それは第一に、昭和四十八年秋に突然起こったいわゆる石油ショックにより、わが国経済は、生活物資の不足、ウナギ登りの消費者物価と、混乱の極に達しましたが、その対策として政府は、急速昭和四十九年から総需要抑制政策を実施したのであります。その政策の最大の目標は、狂乱物価と言われた異常なインフレを収束させ、消費者物価を安定させるということでありました。しかし、物価安定を重視する余り、他の政策目標であった福祉の充実、国際収支の安定等はなおざりにされてまいったのであります。  この総需要抑制政策は、大きな代償を支払わなければならなかったのであります。  その一つは、不況による倒産、失業の増大であり、他の一つは、歳入欠陥であります。不況による減量経営に悩む企業の大半は、輸出にその活路を見出して、せっせと外貨をかせいできたのでありますが、その結果は、国際収支上の黒字がたまり過ぎ、諸外国から注文をつけられたり、国内に過剰流動性という事態を引き起こし、一部投機資金として使われるに至りました。  また、歳入欠陥につきましては、四十九年度には、税収のいわゆる前倒しでつじつまを合わせましたが、その後の大幅な赤字公債発行の引き金となったことは御承知のとおりであります。  第二に、福祉財源についてであります。  減速経済のもとでは、雇用不安により、福祉関係の需要は増加するのが当然でありますが、問題は、その財源の確保にあります。政府は、歳入不足の折から、福祉財源に事欠くと言って、革新自治体が行ってきた福祉先取り政策を批判し、これを抑えるような姿勢に終始いたしました。政府の経済財政運営の失敗を福祉にしわ寄せすることは許されません。  第三に、課税の不公平を挙げねばなりません。従来から、クロヨンとか、トーゴーサンピンと言われているような徴税上の不公平が存在して、当然徴収すべき税を見逃してまいりました。税制そのものの良否は別として、法律で定められた税はきちんと徴収さるべきでありますが、それが実行されておりません。  また、制度上不公、平の最たるものの一つとして医師の優遇税制があり、国民の非難の的となっておりますが、この問題についても、政府は幾度も改善を約束しながら、一向、実行に踏み切れない状況にありますのは、まことに遺憾と言わなければなりません。  第四に、財政執行上の問題についてであります。これは会計検査院検査報告に掲記されている不当事項や、処置要求事項を見ますとき、毎年同じような状態が繰り返されており、政府の反省が足りないのではないかと思われます。特に、郵政省における職員の不正行為、また建設省あるいは農林省に多く見られる補助金の不適正使用等の問題には猛省を促すものであります。  最後に、今国会決算審査中において明らかにされ、警告案にもありますような会計検査院職員への過剰接待の問題は、厳正であるべき会計検査について、国民に対しきわめて不信の念を抱かせております。これは、会計検査院受検官署も共同の責任であります。今後こういう事態が起こらぬよう十分各省庁、会計検査院において自戒をすることを期待するとともに、特に政府に対し、会計検査院独立機関として十分機能し得るよう、その対策の強化充実を求めまして、私の討論を終わります。
  120. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 長谷川信君。
  121. 長谷川信

    ○長谷川信君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、昭和四十九年度決算外二件に対しまして、これを是認するとともに、委員長提案の警告決議案に対し、賛成の意を表明するものであります。  昭和四十九年度は、当初、四十八年秋の石油危機という外圧の影響でいわゆる狂乱物価が起こり、国民生活がパニックに襲われるという事態に追い込まれたのでありますが、政府は、とにかく物価の抑制と国民生活の安定に全力を投じました。そのためとられた総需要抑制政策と国民生活の安定の確保のための諸施策の効果は著しく、さしもの消費者物価も年度末までには鎮静化し、国民生活物資も円滑に出回り、これが安定成長に移る基礎になったことは言うまでもありません。このような財政経済運営は、同じく石油ショックを受けた欧米諸国から絶賛を浴びたところであります。また、特に中小企業などに見られる総需要抑制政策に伴う摩擦現象やひずみについても、雇用面や金融面できめ細かい配慮がとられたのであります。  このように、昭和四十九年度政府財政経済運営は、まことに時宜にかなったものでありました。  しかし、財政執行上個々の細かい事項について見ますと、本委員会審査の過程で明らかになった事項あるいは会計検査院から指摘された事項のように、留意反省すべき点があったことも事実であります。  政府は、この際、警告の趣旨を体して、今後一層財政運営の効率化と行政の適正化に努め、国民の信託にこたえられるよう、要望いたしまして、賛成討論を終わります。
  122. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 和泉照雄君。
  123. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は公明党を代表して、昭和四十九年度決算外二件を是認しないことを表明し、委員長の提案された内閣に対する警告に対しては、賛成の意を表するものでございます。  決算外二件を是認しない主な理由を以下申し述べます。  まず第一は、経済政策の失敗であります。  御承知のように、昭和四十九年度は、昭和四十八年末に始まった石油ショックに乗じた物価の狂乱をとにかく抑えようとしたのでありますが、当時の田中総理の日本列島改造型の大型公共事業と大量の公債発行によるインフレ促進などが、今日のインフレと不況という国民の深刻な生活難などの重要な原因をなしたものであります。その際、インフレを克服するという名目でとられた政府の施策としての総需要抑制は、不必要にいつまでもずるずると続けた結果が今日の不況を招いたのは明白でございます。その結果、昭和四十九年度は、昭和二十六年以来初めて実質経済成長率がマイナス〇・二%といういわゆるマイナス成長を記録する事態に至ったのであり、このため、政治、経済、社会の各分野において混乱と模索が続いたのであります。  第二の理由は、雇用と社会保障の欠陥であります。  身体障害者の雇用につきましては、わが党が再三にわたって指摘しているにもかかわらず、いまだに法定雇用率を達成していない事業主が数多く存在しており、しかも、政府が身体障害者の就労促進のために行っている職業訓練において、訓練生のたらい回しといったことが行われた疑いがあり、これは国費の浪費であるばかりではなく、それ以上に身体障害者の働く意欲を阻害する行為で、断じて許すわけにはまいりません。  また、保育所の措置費についても多額の不用額を生じ、かつ、不当な支出が指摘されております。このことは、財政執行が有効適切に行われているとは認めがたいのであります。  さらに、医療についても、僻地の医療対策、とりわけ離島における医療過疎について、まだまだ政府の対策は十分でなく、僻地の住民は医療面で不安な生活を強いられております。  第三は、環境破壊についてであります。  最近残留農薬の人体への影響が心配をされております。農薬によって人間に最も近いサルに奇形の発生という環境汚染の犠牲が大量に出たということが発表されており、人間世界にも発生するおそれが大きいと思われるのに、これに対する十分な対策が行われていないのが現状であります。こういうところにも、今日の政策が人命尊重を旨として行われていない端的なあらわれではないかと思うのであります。  第四に、地震対策の欠如であります。  地震予知を初めとした地震対策につきましては、以前からその緊急性が叫ばれていたのでありますが、これに対する政府の施策は遅々として進んでおりません。先般の伊豆大島近海地震が起こってから国民は不安な毎日を過ごしており、特に特定地域では社会的混乱を巻き起こすおそれもあるのでありますが、これに対する政府の対策は、観測体制の拡大、地震予知情報のあり方等についての具体的な面で必ずしも十分な対策が講じられているとは言えませんし、地震発生のための災害対策に名をかりて、災害が起こる前に自衛隊を出動させることによって平和時における総理大臣の自衛隊に対する権限の拡大をねらっているという疑惑が生じているのも断じて許すわけにはまいりません。  以上四点、反対の主な理由を述べ、昭和四十九年度決算外二件に対し反対をいたします。  警告については、政府がその趣旨を体し、反省すべきところは反省をし、あるいはその実現に万全を期することを強く要望をいたしまして、私の反対討論を終わります。
  124. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 沓脱タケ子君。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十九年度決算について、これを是認できないとする反対討論を行います。  昭和四十九年度決算は、前年度の石油ショックと狂乱物価に何ら反省を示さず、相も変わらぬ大企業本位の再度成長政策を温存したまま、二兆一千六百億円に上る公債の発行と、消費者米価や国鉄運賃等の公共料金の引き上げを見込むなど、インフレ、物価高騰を一層激化させるものでありました。わが党は予算編成の当時、この点を明確に指摘しましたが、その後の予算執行の結果は、事実をもってわが党の指摘の正しさを証明いたしました。  消費者物価は対前年比一二一・八%と、政府の見通しを大幅に上回り、勤労者の実質収入は年平均で対前年比マイナス〇・三%となりました。実質収入の減少は一九五一年以降初めてのことであります。  また、大企業本位の景気抑制政策と物価高騰による消費減退によって、中小企業は極度の経営難に陥りました。倒産が急増し、負債額一千万円以上の倒産件数は前年の一・四倍、負債総額は二・四倍に達しました。こうした状況のもとで、完全失業者は一九七五年三月には百十二万人にも上り、完全失業率も一九五九年以来最高の状態に立ち至ったのであります。  一方、地方財政を免れは、物価高騰と景気の停滞の中で地方財政危機はますます深刻化しました。単年度収支が赤字の都道府県は前年度の十六から二十八に急増をしたのであります。  次に、日米軍事同盟の堅持と亀岡主義の復活強化が進められた点であります。  防衛関係費の決算は、当初予算の伸び率一六・六%を大幅に上回る二七・五%の伸びを示し、初めて一兆円の大台を突破いたしました。航空機の新規契約は百二機、艦船の新規着工も、隻数にして前年度の一・五倍、トン数では三・九倍に達するなど、大幅な軍備増強を行ったのであります。アメリカのアジア侵略と日本独占資本の海外進出を助ける経済協力費は二九%も増額されました。  さらに、財政執行のあり方についても指摘しなければなりません。  会計検査院決算検査報告にあるとおり、四十九年度においても、田中元総理の金脈関係分冊百二十一万余円を含む租税徴収不足十億三千八百万円及び不当事項むだ遣いは十六億六千六百万円にも上っております。同時に、単にむだ遣いにとどまらず、たとえば田中金脈事件やロッキード事件で明らかになったように、自民党政府の金権体質が政財官の癒着を住み、財政の執行をゆがめているのであります。  しかも、多くの疑惑が指摘されているのに対して、それを全面的に解明して国民の前に真相を明らかにするのではなく、かえってやみからやみに葬り去ろうとする政府姿勢はまことに遺憾なことであります。  以上のように重大な問題を含んだ昭和四十九年度決弊はとうてい是認できません。  なお、この際、同和対策事業における不公正、乱脈な予算執行について特に指摘しておきます。  当委員会の一連の審議でも明らかになったとおり、一部の地方自治体において、ある特定団体だけを窓口にする、いわゆる窓口一本化の同和行政がいまなお行われております。不公正、乱脈な行政が新たな差別を生み、利権あさりをまで許すことになっております。政府はこのような状況を把握しながら、積極的に是正しようとせず、多くの補助金を交付しているのであります。当委員会における審議での指摘を受け、会計検査院はすでに調査を始めているところであります。政府は、従来の無責任な姿勢を改め、同和対策事業特別措置法の延長に当たって、このような事態を是正する措置をとることを強く要求するものであります。  最後に、内閣に対する警告決議案は、これに賛成の意を表明しますが、警告決議に対する政府姿勢について一言申し上げます。  周知のとおり、本委員会昭和四十七年度決算に係る警告の中で、田中金脈の最大の疑惑の一つである信濃川河川敷問題について疑惑を残さない処理を求める決議をいたしました。ところが、政府はこれを踏みにじり、廃川処分を決め、室町産業が巨額のもうけを上げる道を開いたのであります。これは明白な警告決議のじゅうりんであります。断じてこれは許すことができません。  警告決議について、今後このようなことのないよう、政府の誠実な実行を強く要求をいたしまして、反対討論を終わります。
  126. 三治重信

    ○三治重信君 私は、民社党を代表して、昭和四十九年度決算外二件について是認することに反対し、委員長提出の警告決議案については賛成の態度を表明いたします。  以下、反対の理由について申し上げます。  本件決算につきましては、本委員会において、予鈴及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうか、また、政府の施策が行政効果を上げているかどうかなどの観点から、鋭意審査に努めてまいりました。その結果、行財政の執行上、足正、改善を要する数々の問題が浮き彫りにされてきたのであります。そして、その一部は先ほどの警告事項として表示されておりますが、その他の点について若干触れてみたいと思います。  第一に、政府財政経済運営は、四十九年度を転機に大きく変わりました。四十八年度までの高度成長から一転して、マイナス成長、減速経済、減量経常という不況に覆われたのであります。以後、今日に至るまで政府の懸命の対策にもかかわらず、この不況から日本経済は立ち慣れず、倒産、失業は相次いでおります。  中でも中高年齢者の失業は、四十九年が二五%、五十年が二九・三%、丑十一年が三一・五%、五十二年が三〇・九%と、全体の失業者に占める割合も年々増大しており、人口の高齢化が欧米の四倍のスピードで准んでいるわが国においては、臨齢化社会における雇用のあり方は重大問題となっているのであります。  私は、この雇用回顧については、定年制のあり方、新しい職業の開発について、単に労働省だけでなく、政府が一丸となって取り組むべきものと思います。私は、今までにこの点の配慮が足りなかったことを指摘をしておきたいと思うのであります。  第二点としては、飛脚についてであります。  毎年の春闘の中でも、いわゆる公労協のストに対する国民の不満は年々高まっております。政府はこれに対し、一応責任者の処置は行っているものの、その対策については検討すべき問題点が残されております。  その他、私が本委員会審査の過程で取り上げた幾つかの行政七の諸問題とか、会計検査院検査報告によっても、政府姿勢には問題点が多いのであります。  わが党は、このような予算執行や、政策実績を見る限り、本件決算に賛成するわけにはまいりません。  政府は、警告の意図するところを十分わきまえるとともに、指摘された行財政の問題点に対し、実効ある対策の確立をされるよう期待して、この討論を終わります。
  127. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決に入ります。  まず、昭和四十九年度一般会計歳入歳出決界、昭和四十九年度特別会計歳入歳山決算昭和四十九年度国税収納金整理資金受払乱舞書、昭和四十九年度政府関係機関決算詳を問題に供します。  第一に、本件決算は、これを是認すると議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  129. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  130. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 全会一致と認めます。よって、昭和四十九年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決されました。  次に、昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算書を問題に供します。  本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  131. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。  次に、昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書を問題に供します。  本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  132. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件報告書につきましては、ただいまの本委員会の議決内容によりこれを作成することといたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、関係大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。安倍内閣官房長官。
  134. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 会計検査院実地検査に際し、一、二の省庁で過度の接遇が行われ、このため、国会において御指摘を受けましたことはまことに遺憾であります。政府としては、今後の接遇に関しては、本年二月、綱紀粛正についての総務長良通運を発して、各省庁の姿勢を正し、再びかかる事態を招くことのないよう、趣旨の徹底を図っている次第であり致す。  また、いわゆるサラ金等の貸金業問題につきましては、大変むずかしい問題でありますが、現在関係省庁において実態の調査、対策の検討を行っているところであり、御決議の趣旨に沿って適切な措置を講ずるよう、できる限り努力してまいる所存であります。
  135. 茜ケ久保重光

  136. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) ただいま御決議のありました当省関係の事項につきましては、従来からしばしば注意を喚起してまいりましたが、御指摘のような不祥事件が発生しましたことはまことに遺憾でございます。当省といたしましては御指摘の点を十分配慮し、再びこのような事態を生じないよう、今後さらに指導監督の徹底を図ってまいりたいと存じます。
  137. 茜ケ久保重光

  138. 稻村佐近四郎

    国務大臣(稻村左近四郎君) ただいま御決議のありました恩給制度の改善、戦地勤務に服した日本赤十字社の救護看護婦に対する処置、また、沖繩県の交通方法の変更に伴う問題につきましては、御決議の趣旨に沿って鋭意検討してまいる所存でございます。
  139. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 中川農林大臣。
  140. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) ただいま御決議のありました畜産振興事業団及び関係業界に対する指導監督につきましては、今後とも一層適切かつ厳正な指導監督に努めてまいりたいと存じます。  また、飼料基盤の整備を図る草地開発事業、生産流通改善への差益金の活用等につきましても、御決議の趣旨を十分尊重し、一層の推進に努めてまいりたいと存じます。
  141. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 藤井労働大臣。
  142. 藤井勝志

    国務大臣藤井勝志君) 中高年齢者、身体障害者、婦人労働者の雇用の促進及び職場における男女差別の解消を図るため、これまでも努力を重ねてまいったところでありますが、ただいまの御決議の趣旨を十分踏まえ、今後とも各種雇用奨励措置の積極的な活用、職業訓練の充実、行政指導の強化等により、さらに一層の努力を尽くす所存であります。
  143. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 櫻内建設大臣。
  144. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) ただいま御決議のありました公団住宅、公営住宅等の空き家問題等につきましては、住宅需要調査の充実、住宅立地の改善、入居者負担の適正化等、種々対策を講じてまいりましたが、御趣旨に沿って、今後ともより一層国民の住宅需要に合致する住宅を供給するよう努力してまいる所存でございます。
  145. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、佐藤会計検査院長から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤会計検査院長
  146. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 昨年十一月、国会その他において御指摘を受けました本院職員の出張先における接待問題につきましては、会計検査院に対する国会並びに国民の信頼を裏切る結果となりましたことを痛切に反省し、今後再びこのような事態を繰り返さないよう、直ちに各般の処置をとっているところでありますので、再び同種の事態が発生することはないものと固く信じておりますが、ただいまの御決議の趣旨を体しまして、今後とも厳正な綱紀の維持に努め、国民の信頼にこたえる覚悟でございます。  また、会計検査院といたしましては、現下の国家財政が国債の増発を余儀なくされているなど多事多難のときを迎えており、各位の強い関心が国家財政に寄せられておりますときに、みずからの職責の重大性を認識しておりまして、そのためには一層の会計検査機能の拡充強化に努めていかなければならないと考えております。  すなわち、会計検査院の権限の拡大と定員の増加は、その実現に努めなければならない重要な課題であります。一方、職員の職務の複雑性、困難性ないし勤務の特殊性に対応するような給与の改善のための俸給の調整額の支給などの問題も早急に実現しなければならない重要課題でありますし、会計検査を円滑に行うための検査活動費の増額についても積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。そのほかにも、会計検査機能の拡充強化のための施策は少なくないと存じておりますが、今後とも当委員会の御批判をちょうだいしつつ努力を重ねてまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  147. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外六件及び昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)、以上八件を一括議題といたします。  これら八件につきましては、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  まず、昭和五十一年度一般会計公共事業等予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和五十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調査(その2)、昭和五十二年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、昭和五十二年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その一)、以上六件を一括して議題に供します。  これら六件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  149. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 多数と認めます。よって、これら六件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十一年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)を問題に供します。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  150. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和五十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)を問題に供します。  本件について異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  151. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって異議がないと議決されました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれらの案件報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  153. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  それでは、昭和五十年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書につきまして、これより概要説明を聴取いたします。村山大蔵大臣。
  154. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 昭和五十年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会提出し、また、昭和五十年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額についても国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和五十年度予算は、昭和五十年四月二日に成立いたしました。  この予算は、引き続き抑制的な基調を堅持する方針のもとに、国民生活の安定と福祉の充実に配意するとともに、経済情勢の推移に対応して機動的、弾力的な運営を図ることを基本として編成されたものであります。  さらに、その後における経済の停滞等により租税収入等が大幅に減少する見込みとなったことに伴う措置を講ずるほか、経済情勢の変化等に伴い特に緊要となった経費について所要の措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十年十一月七日その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十年度一般会計予算は、歳入歳出とも二十兆八千三百七十一億五千七百八十七万二千円となりました。  以下、昭和五十年度決算についてその内容を数字を挙げて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入の決算額は二十一兆四千七百三十四億千六百五万円余、歳出の決算額は二十兆八千六百八億七千八百六十万円余でありまして、差し引き六千百二十五億三千七百四十五万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和五十一年度の歳入に繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十年度における財政法第六条第一項の純剰余金は二千百六十八億五千五百四十九万円余となり、その全額を公債または借入金の償還財源に充てることとしたわけであります。  以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額二十兆八千三百七十一億五千七百八十七万円余に比べて六千三百六十二億五千八百十八万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額五千七十八億千九十一万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十年度の歳入の純増加額は千二百八十四億四千七百二十六万円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入における増加額二千九百十七億三千六百四十三万円余、専売納付金における増加額三十四億四千六百五十万円余、官業益金及び官業収入における増加額二十三億九千四百八十五万円余、政府資産整理収入における減少額百二十七億三千四百五十四万円余、雑収入における増加額四百三十億八千七百十三万円余、公債金における減少額千九百九十四億八千三百十二万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二十兆八千三百七十一億五千七百八十七万円余に、昭和四十九年度からの繰越額四千七百八十七億二十五万円余を加えました歳出予算現額二十一兆三千百五十.八億五千八百十二万円余に対しまして、支出済み歳出額は二十兆八千六百八億七千八百六十万円余でありまして、その差額四千五百四十九億七千九百五十二万円余のうち、昭和五十一年度に繰り越しました額は二千五百九十三億千四百九十九万円余となっており、不用となりました額は千九百五十六億六千四百五十二万円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十年度一般会計における予備費の予算額は二千億円であります。その使用額は千七百八十三億五千八百四十六万円余でありまして、その使用につきましては、すでに、国会において御承諾をいただきましたので、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は七千七百九十九億千八百八十六万円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は七千三百四十一億八千八百七十二万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額六千二百八十五億九千三百七十二万円余を加え、昭和五十年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額五千六百七億八千三百四十七万円余を差し引きました額八千十九億九千八百九十七万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は八百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は二百七十八億三千四百五十一万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額百九十一億六千二百二十五万円余を加え、昭和五十年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額百九十二億九十九万円余を差し引きました額二百七十七億九千五百七十七万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  次に、昭和五十年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十四兆四千八百十一億七千八百四万円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は十四兆四千四百三十八億二千八十四万円余でありますので、差し引き三百七十三億五千七百十九万円余が昭和五十年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十年度政府関係機関決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十年度末における国の債権の総額は三十八兆二千四百九十五億六百八十六万円余でありまして、前年度末現在額三十兆八千六百九十二億二千九百六十二万円余に比べて七兆三千八百二億七千七百二十三万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十年度中における純増加額は千三百八十二億九千九百五十二万円余でありますので、これに前年度末現在額一兆三百六十五億三千四百八十二万円余を加えますと、昭和五十年度末における物品の総額は一兆千七百四十八億三千四百三十四万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和五十年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和五十年度予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、八十二件に上る不当事項について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算の執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  155. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書につきまして、その概要説明を聴取いたします。村山大蔵大臣。
  156. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第八十回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について申し述べます。  昭和五十年度中に増加しました国有財産は、行政財産三兆三千八百十五億二千七百九十万円余、普通財産一兆七千六百八十七億八百六十二万円余、総額五兆千五百二億三千六百五十三万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産四千四十二億八千八百十一万円余、普通財産千七百十六億五千百四十七万円余、総額五千七百五十九億三千九百五十九万円余でありまして、差し引き四兆五千七百四十二億九千六百九十四万円余の純増加となっております。これを昭和四十九年度末現在額十五兆八十一億九千七十三万円余に加算いたしますと十九兆五千八百二十四億八千七百六十七万円余となり、これが昭和五十年度末現在における国有財産の総額であります。  この総額の内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産七兆三千六百六十五億九千六百十七万円余、公共用財産二千六百六十九億五千九十二万円余、皇室用財産三千二百七十六億三千八百五万円余、企業用財産三兆七千二百四十八億五千百六十七万円余、合計十一兆六千八百六十億三千六百八十三万円余となっており、普通財産においては七兆八千九百六十四億五千八十三万円余となっております。なお、この普通財産のうち、六兆百十七億三千百五十六万一円余は政府出資等となっております。  また、国有財産の総額の内訳を区分別に申し上げますと、土地六兆六千三百六十三億八千五百三十五万円余、立木竹二兆三千二百九十七億七千二百三十三万円余、建物二兆二千七百二十九億六千三百八十万円余、工作物一兆六千六百六十億二千三百二十七万円余、機械器具九億三千六百二十一万円余、船舶三千七百一億五千八百四十一万円余、航空機二千九百十億九千九百三万円余、地上権等十一億三千三百二十九万円余、特許権等二十二億八千四百三十八万円余、政府出資等六兆百十七億三千百五十六万円余、合計十九兆五千八百二十四億八千七百六十七万円余となっております。  次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は五兆千五百二億三千六百五十三万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加した財産は一兆四千八百九十八億六百五十一万円余でありまして、このうち、購入、新営工事、政府出資等歳出を伴うものは一兆三千六百九十八億五千六百六十二万円余、現物出資、交換、寄付等歳出を伴わないものは千百九十九億四千九百八十九万円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって増加した財産は三兆六千六百四億三千一万円余でありまして、このうち、昭和五十一年三月三十一日現在において実施した国有財産の価格改定による増加は三兆四千三十五億三百五万円余、各省各庁または各省各庁の部局等の間における財産の移管等調整上の増加は二千一億千四百十二万円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の増加は五百六十八億千二百八十四万円余となっております。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は五千七百五十九億三千九百五十九万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少した財産は千五百六十五億九百七十万円余でありまして、このうち、売り払い、出資金回収等歳入を伴うものは四百四十八億五千四十四万円余、交換、譲与等歳入を伴わないものは千百十六億五千九百二十五万円余となっております。  第二に、国の内部における異動によって減少した財産は四千百九十四億二千九百八十九万円余でありまして、このうち、昭和五十一年三月三十一日現在において実施した国有財産の価格改定による減少は二千三百五十八億四千五百八十八万円余、各省各庁または各省各庁の部局等の間における財産の移管等調整上の減少は千七百五十七億六千九百三十九万円余、土地の実測、立木竹の実査等整理上の減少は七十八億千四百六十一万円余となっております。  以上が昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。  次に、昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書の概要について申し述べます。  昭和五十年度中に増加しました無償貸付財産の総額は二千二百五億四千三十七万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は五百四億八千百七十二万円余でありまして、差し引き千七百億五千八百六十四万円余の純増加となっております。これを昭和四十九年度末現在額千九百七億六千三百十万円余に加算いたしますと三千六百八億二千百七十五万円余となり、これが昭和五十年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産の総額であります。  この増減の内訳を申し上げますと、増加額についてはまず、昭和五十一年三月三十一日現在において実施した国有財産の価格改定による増は千六百六十三億九千四百七十二万円余であり、価格改定以外の増加額は、公園の用に供するもの五百二十八億七千百九十六万円余、墓地の用に供するもの五億二千八百四十万円余等であります。  次に、減少額について申し上げますと、昭和五十一年三月三十一日現在において実施した国有財産の価格改定による減は一億三十七万円余であり、価格改定以外による減少額については、公園の用に供するもの四百九十二億千五百九万円余、墓地の用に供するもの五億二千九百七十万円余等であります。  以上が昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書の概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書にはそれぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  157. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十年度決算中、日本専売公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。村山大蔵大臣。
  158. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 昭和五十年度日本専売公社収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、事業の概況について申し述べます。  たばこ事業におきましては、製造たばこの販売は二千九百四十八億本余、金額にして一兆三千百十六億三千百五十一万円余であり、予定に比較いたしますと、百十二億本余、金額にして二百十四億九千九百五十一万円余の増加となっております。  また、葉たばこの購入は、二十六万一千トン余、金額にして三千七十八億二千六百九十万円余であり、予定に比較いたしますと、三百トン余、金額にして二百二十三億七十九万円余の減少となっております。  塩事業におきましては、塩の販売は七百五十九万五千トン余、金額にして四百五十五億三千二百九万円余であり、予定に比較いたしますと、百九十八万三千トン余、金額にして百五十九億六千九十八万円余の減少となっております。  また、塩の購入は国内塩百六万八千トン余、輸入塩六百三十三万九千トン余、金額にして合計四百四十四億一千五百十九万円余であり、予定に比較いたしますと、二百三十三万一千トン余、金額にして百八十四億八千四百五十二万円余の減少となっております。  次に、決算の内容について申し述べます。  まず、収入支出について御説明いたします。  昭和五十年度における収入済み額は一兆三千五百九十九億九千二百九十九万円余であり、収入予算額一兆三千五百四十八億四千七百五十八万円余に比較いたしますと五十一億四千五百四十一万円余の増加となっております。  また、支出予算現額は一兆二千百九十六億九千四百八十四万円余でありまして、このうち支出済み額は一兆一千百六十六億四千四百六十七万円余、翌年度に繰り越した額は二百五十六億六千六百五十八万円余でありまして、差し引き不用額は七百七十三億八千三百五十八万円余となっております。  次に、損益計算について御説明いたします。  総収益一兆三千六百三十六億八千百二十四万円余から総損失九千六百十九億九千四十三万円余を控除した純利益は四千十六億九千八十一万円余であります。これから日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積み立てる利益積立金六百三十七億四千百三十万円余を控除した専売納付金は三千三百七十九億四千九百五十万円余であり、予定額三千三百四十六億五千七百八十一万円余に比較いたしますと三十二億九千百六十九万円余の増加となっております。  以上が昭和五十年度の日本専売公社の決算の概要であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  159. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十年度決算中、日本国有鉄道の決算につきまして概要説明を聴取いたします。福永運輸大臣。
  160. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 昭和五十年度日本国有鉄道決算書を国会提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度における日本国有鉄道の運輸成績は、対前年度比、旅客輸送人員及び旅客輸送人キロはそれぞれ約一%減、貨物輸送トン数及び貨物輸送トンキロはそれぞれ約一〇%減となり、収入においては、旅客収入において約一七%増加しましたが、貨物収入においては横ばいの状態でありました。  以下、収入支出の内容を勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきましては、収入済み額は二兆四千百八十五億八千百二十五万円余、支出済み額は二兆四千九百七十二億九千七百六十八万円余でありまして、支出が収入を超適すること七百八十七億一千六百四十二万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和五十年度の純損失は九千百四十七億三百十五万円余となっております。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入予算額二兆四千五百九十九億七百八十万円余に対しまして四百十三億二千六百五十五万円余の減収となっております。これは雑収入二百四十七億二千二百六十二万円余の増加に対し、運輸収入六百十億四千九百十七万円余及び資本勘定より受け入れ五十億円の減少によるものであります。  他方、支出は予算現額二兆五千九百八十四億七百九十八万円余に対しまして、支出済み額は一千十一億一千三十万円余下回っておりますが、そのうち、八百三十三億六千八百六十六万円余は翌年度への繰越額であり、残額百七十七億四千得六十四万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は一兆六千七百四十二億三千七百二十万円余、支出済み額は一兆六千九百三十六億三千六百二十一万円余であります。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額一兆六千四百四十七億円に対しまして二百九十五億三千七百二十万円余の増加となっております。  これは資産充当二百八十三億二千八百十六万円余の増加並びに鉄道債券及び借入金十二億九百三万円余の増加によるものであります。  他方、支出は予算現額一兆七千三百九十五億一千三百八万円余に対しまして、支出済み額は四百五十八億七千六百八十七万円余下回っておりますが、そのうち、四百五十億九千六百二十五万円余は翌年度への繰越額であり、残額七億八千六十二万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済み額は八千百二十九億八千百三十三万円余、支出済み額は七千八百七十九億四千六百四十三万円余であります。  この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額七千五百九十億四千九百二十八万円余に対しまして、五百三十九億三千二百四万円余の増加となっております。これは資本勘定からの受け入れが多かったことによるものであります。  他方、支出は予算現額九千百七十二億六千五百三十七万円余に対しまして、支出済み額は一千二百九十三億一千八百九十三万円余下回っておりますが、そのうち、一千二百六十二億六千五百八十六万円余は翌年度への繰越額であり、残額三十億五千三百七万円余は不用額となっております。  この工事勘定の内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、輸送力の増強、業務運営の能率化及び安全の確保等を図るため、昭和五十年度におきましては、新幹線二千七百四十六億三百三十六万円余、大都市圏輸送八百四十六億八千九百七十四万円余、幹線輸送一千七百十五億一千四百九十四万円余、安全・公害対策、合理化等二千五百七十一億三千八百三十八万円余、合計七千八百七十九億四千六百四十三万円余を投資いたしました。  最後に、昭和五十年度予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。  以上をもちまして、昭和五十年度日本国有鉄道の決算に関する御説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  161. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和五十年度決算中、日本電信電話公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。宮崎郵政政務次官
  162. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) 昭和五十年度日本電信電話公決算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度における日本電信電話公社の決算は、損益計算上、二千八百十二億二千百六十三万余円の欠損を生ずるに至りました。その主な原因は、景気の影響等による収入の伸び悩みと人件費、資本費用の増加とによるものであります。  収入支出決算の内容を勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は二兆七百八十三億九千五官二十一万余円で、予算額に比べ四百二十二億七千百七十八万余円の減収となりました。一方、支出済み額は、二兆七百八十四億三千八百五十七万余円でありまして、支出予算額二兆一千二百二十七億五千八百十一万余円に比べ四百四十三億一千九百五十四万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は一兆七千九百一億四千六百八十万余田、支出済み額は一兆七千九百三億三千七百四十三万余円であり、また、建設勘定におきましては、支出済み額は一兆四千百八十億七千九百三十万余円であり、これにより一般加入電話二百八十一万五千加入の増設を初めとする建設工事を実施し、年度末の一般加入電話の積滞数は前年度末に比べ五十万六千加入減少し、四十八万一千加入となりました。  最後に、昭和五十年度予算の執行につきましては、会計検査院から不当事項一件、是正改善の処置を要求された事.項として一件、合わせて二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の事例の発生を未然に防止するよう日本、電信、電話公社を指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして昭和五十年度決算の概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  163. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、会計検査院より、昭和五十年度決算検査報告並びに昭和五十年度国有財産検査報告に関する概要説明を聴取いたします。佐藤会計検査院長
  164. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 昭和五十年度歳入歳出決算は、五十一年十月十九日内閣から送付を受け、その検査を終えて、昭和五十年度決算検査報告とともに五十一年十二月十日内閣に回付いたしました。  昭和五十年度の一般会計決算額は、歳入二十一兆四千七百三十四億千六百五万余田、歳出二十兆八千六百八億七千八百六十万余田でありまして、前年度に比べますと、歳入において一兆九百四十二億九千二百六十三万余田、歳出において一兆七千六百十億八千五百二十二万余円の増加になっており、各特別会計の決算額の合計額は、歳入三十九兆五千十四億二千百八十四万余円、歳出三十三兆八千七百六十一億九千八百六十六万余田でありまして、前年度に比べますと、歳入において五兆九千八十四億千七百九十九万余円、歳出において五兆三千九百七億三千五百八十九万余円の増加になっております。  なお、国税収納金整理資金は、収納済み額十四兆四千八百十一億七千八百四万余円、歳入組み入れ額十三兆七千五百四十九億五千百七十七万余円であります。  政府関係機関昭和五十年度決算額の総計は、収入十二兆八千五百一億二千四百三十二万余円、支出十二兆六千四十五億八百五十二万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において一兆千八百九十三億八千四十四万余円、支出において一兆三千六百十五億五千六百九十九万余円の増加になっております。  昭和五十年度の歳入、歳出等に関し、国及び政府関係機関等から提出された計算書二十三万余冊及び証拠書類六千五百六十七万余枚につきまして書面検査を行い、また、三千四百余の局所等につきまして四万三千余人日をもって実地検査を行いました。  このようにして検査いたしました結果につき、その概要を説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計八十二件でありますが、これを収入、支出等の別に分類し、態様別の金額を概計いたしますと、次のとおりであります。  すなわち、収入に関するものは、五件、十二億五千五百万円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十一億五千五百万円、保険料の徴収額が不足していたものが二件、八千万円、その他貸付料が低額となっていたものなどが二件、二千万円。  支出に関するものは、七一件、五億八千二百万円でありまして、その内訳は、工事の実施計画及び役務の契約方法が適切でなかったため、不経済になったものが二件、二千三百万円、工事費の積算が適切でなかったため、契約額が割り高になったものが一件、七百万円、工事の監督、検査が適切でなかったため、施工が設計と相違していたものなどが二件、二千九百万円、保険給付金等の支給が適切でなかったものが二件、八千五百万円補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが六十四件、四億三千七百万円であり、以上の収入、支出に関するもののほか、繰りかえ払い現金について職員の不正行為による損害を生じたものが六件、三千三百万円ありまして、これらの合計は、八十二件、十八億七千二百万円になっております。これを前年度の八十六件、十六億五千九百万円に比べますと、件数において四件の減少、金額において二億千二百万円の増加になっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  五十一年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により意見を表示し是正改善の処置を要求いたしましたものは十一件、また、同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは一件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により意見を表示し是正改善の処置を要求いたしましたものは、農林省の漁港公害防止対策として実施する廃油処理施設整備事業の実施に関するもの、郵政省の予備発電設備の設計に関するもの、簡易生命保険契約の適正化等に関するもの、OCR用シートの購入方法に関するもの、建設省の遮音壁設置工事における支柱の工場製作費の積算に関するもの、日本国有鉄道の緩急車等の暖房用燃料積み込み作業に関するもの、特急券等の準備に関するもの、日本電信電話公社のC四六〇形標準局における予備電源装置の設計に関するもの、日本住宅公団の住宅建築工事における現場打ち鉄筋コンクリートぐい施工費の積算に関するもの、日本道路公団の高速道路等のトンネル新設工事におけるアーチ部覆工コンクリート等の施工に関するもの、年金福祉事業団の貸付けの適正化に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは、厚生省の血液代金自己負担金支給事業に関するものであります。  次に、本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、これを契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものが十件ございます。その内訳は、総理府の艦船の検査等工事における船底塗装費等の積弊に関するもの、液休酸素の調達に関するもの、農林省の管水路工事の設計に関するもの、運輸省の臨港道路新設工事におけるアスファルト舗設費の積算に関するもの、ケ-ソン製作工事における鋼製型枠費の積算に関するもの、建設省の磁気設備工事における屋内低圧配線の設計に関するもの、下水道工事における管推進工費の積算に関するもの、日本国有鉄道のテレビジョン受信障害対策工事の委託に関するもの、日本電信電話公社の無線中継所の道路工事における切り取り掘削費等の積算に関するもの、情報処理用磁気テープの購入に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、または今後の事業運営、経理執行等の参考に資するために、昭和五十年度決算検査報告において新たに掲記することとしたものでありまして、検査報告には、次の八件を掲げてございます。すなわち、厚生省の厚生保険特別会計の損益に関するもの、農林省の食糧管理特別会計の損益に関するもの、カドミウムによる環境汚染に係る米の処理に関するもの、国有林野事業特別会計の損益に関するもの、郵政省の郵政事業特別会計の損益に関するもの、日本住宅公団の用地の利用及び住宅の供用に関するもの、新東京国際空港公団の新東京国際空港の開港に関するもの、日本原子力船開発事業団の原子力船「むつ」の開発に関するものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省各庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省各庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。  次に、昭和五十年度国有財産検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書は、五十一年十月二十九日内閣から送付を受け、その検査を終えて、昭和丑十年度国有財産検査報告とともに五十一年十二月十日内閣に回付いたしました。  四十九年度末の国有財産現在額は十五兆八十一億九千七十三万余円でありましたが、五十年度中の増が五兆千五百二億三千六百五十三万余円、同年度中の減が五千七百五十九億三千九百五十九万余円ありましたので、差し引き五十年度末現在額は十九兆五千八百二十四億八千七百六十七万余円になり、前年度末に比べますと四兆五千七百四十二億九千六百九十四万余円の増加になっております。  次に、国有財産の無償貸付状況について申し上げますと、四十九年度末には千九百七億六千三百十万余円でありましたが、五十年度中の増が二千二百五億四千三十七万余円、同年度中の減が五百四億八千百七十二万余円ありましたので、差し引き千七百億五千八百六十四万余円の増加を見まして、五十年度末の無償貸付財産の総額は三千六百八億二千百七十五万余円になっております。  検査の結果、昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計弊害並びに昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十年度決算検査報告に記いたしましたものは次の四件であります。  不当事項といたしましては、農林省の土地の貸付料改定に関する処置が適切でなかったため、徴収額が低額となっていたもの、意見を表示しまたは処置を要求した事項といたしましては、郵政省の予備発電設備の設計に関するもの、本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項といたしましては、総理府の艦船の検査等工事における船底塗装費等の積算に関するもの、建設省の電気設備工事における屋内低圧配線の設計に関するものであります。
  165. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 以上で、昭和五十年度決算外二件に関する概要説明の聴取を終わります。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十分散会