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1978-04-07 第84回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月七日(金曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      野口 忠夫君     松前 達郎君      野末 陳平君     柿沢 弘治君  三月二十九日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君     片山 甚市君  三月三十日     辞任         補欠選任      松前 達郎君     藤田  進君      安武 洋子君     内藤  功君  三月三十一日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     山本 富雄君      丸谷 金保君     松本 英一君      内藤  功君     安武 洋子君      三治 重信君     柄谷 道一君  四月一日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     降矢 敬義君      柄谷 道一君     三治 重信君      喜屋武真榮君     青島 幸男君  四月三日     辞任         補欠選任      藤田  進君     野口 忠夫君      片山 甚市君     寺田 熊雄君      松本 英一君     丸谷 金保君      青島 幸男君     喜屋武眞榮君  四月四日     辞任         補欠選任      柿沢 弘治君     野末 陳平君  四月七日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     渡辺  武君      安武 洋子君     橋本  敦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 三治 重信君                 喜屋武眞榮君                 野末 陳平君    国務大臣        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁長官官房        会計課長     佐藤 毅三君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁水資源局        長        飯塚 敏夫君        気象庁長官    有住 直介君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設大臣官房会        計課長      加瀬 正蔵君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        沖繩開発庁振興        局振興第一課長  河津 四郎君        大蔵省理財局国        有財産第一課長  秋山 雅保君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        建設省河川局河        川総務課長    吉沢 奎介君        建設省国土地理        院長       高崎 正義君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君    参考人        住宅金融公庫総        裁        大津留 温君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        大塩洋一郎君        日本住宅公団理        事        澤田 光英君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君        日本住宅公団理        事        櫟原 利嗣君        日本住宅公団理        事        今野  博君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、沓脱タケ子君及び安武洋子君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君及び橋本敦君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  野口忠夫君の一時委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、理事野口忠夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省と、それに関係する住宅金融公庫及び総理府のうち、国土庁決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑通告のない大津留住宅金融公庫総裁は退席しても結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 案納勝

    案納勝君 私は、今日まで、四十九年の九月から問題になっておりましたいわゆる田中金脈の最大の問題であります信濃川河川敷問題について、今日の段階では本決算委員会一定の方向を出すべきだと思います。したがって、私は今日までの経過整理をして、その問題点について幾つかお尋ねをいたしますので、大臣及び関係者の御見解を明らかにしていただきたいと思います。  まず、建設省が廃川処分をいたしたのは十一月一日であります。その後当委員会は十一月の二日、この廃川処分が果たして国民の納得する措置であったのか、その中身も含めて多くの論議がありました。これをいま私は繰り返そうと思いませんが、その後の経過について、今日的な時点でどのような経過で推移をされているのか、この辺についてまず承りたいと思います。
  9. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) まず、十一月二日の決算委員会の後に、昨年の十一月十四日及び十五日でございますけれども、当時の河川局次長でございました丸山良仁外一名が信濃川河川敷の廃川に関する現地調査を行ったわけでございます。  そのテーマは二つございまして、第一点は、室町産業株式会社利用されるとされている土地につきましての新潟県及び長岡市の利用に関する意向調査でございます。第二点は、長岡市が室町産業株式会社から譲渡を受ける価格などの調査でございます。  第一点の内容について要約して御説明いたしたいと思います。  まず、長岡市の意向でございます。長岡市としましては、長岡市が利用することとなっておる土地につきまして、老人福祉センター市営プール等長岡市が建設する施設敷地のほかに、県立普通高校あるいは美術館など、新潟県が建設する施設敷地及び長岡赤十字病院等公益施設敷地も含まれておると。したがいまして、長岡市の全体の公共公益施設配置バランス考えますと、この地域のみに公共公益施設をこれ以上集中することは望ましくないということで、長岡市が利用する面積は十分であるという回答を得たわけでございます。  なお、国の施設につきましても、この地域に誘致する適当なものがないという見解でございます。しかしながら、国からせっかく現地にも来ておるので、十分検討の上さらに速やかに回答いたしたい。  一方、新潟県の意向でございますけれども、当面この土地を県の施設敷地として利用する計画はない。しかしまた、速やかに検討の上県の意向を申し上げたいという結果を得ております。  その後、昨年の十一月二十九日に長岡市長から建設大臣回答が来たわけでございます。それをまた要約いたしますと、今後十数年にわたる長期的な展望に立っても、長岡市が利用するとされておる土地で、必要な公共施設につきまして十分充足し得る見通しであるという回答でございます。これの中におきましても、室町利用されようとされておる土地を仮に長岡市が取得するとしますと、土地造成を含めまして莫大な経費が伴うと。したがって長岡市としましても大きな財政の圧迫がある。したがいまして、先行しておく財政的なゆとりがないということでございます。さらに、やはり公益公共施設配置というものは全市的なバランス考えなければならないという立場から見ますと、この場所のみに集中し過ぎることは好ましくないということでございます。  一方、新潟県の知事からは、昨年の十二月二日に、種々検討したけれども当県としましては利用する計画はありませんという回答を得たわけでございます。  それで、その後、現在この中には九条地というのが含まれておるわけでございます。六十四人の関係者がおるわけでございますが、これは廃川処分したらもとの所有者に返すという土地でございます。これにつきましてすでに全員から下付申請が現在届けられておりまして、建設省におきましてはその内容を現在審査中でございます。  それから、長岡市が譲り受ける価格でございますけれども、これは具体的な折衝にまだ入っていないというふうに聞いてございます。  以上でございます。
  10. 案納勝

    案納勝君 それじゃもう一点重ねてお尋ねします。  一つは、長岡市は、もうこれ以上は、長岡市の財政あるいは公共事業の全体のバランス等考えて、河川敷について買収をして公共利用にするということについては困難だと、こういうふうに明確に回答したと受け取ってよろしゅうございますね。
  11. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そのとおりでございます。
  12. 案納勝

    案納勝君 同じく、県の側も同じような意向だということについて理解してよろしゅうございますね。
  13. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そのとおりでございます。
  14. 案納勝

    案納勝君 そこでもう一点。いま答弁ありました中で、六十四名の下付申請について、全員下付申請が届けられて検討中だと。本来、河川法から言うと、廃川処分によって旧地主に返還をするというたてまえをとるならば、これは当然その措置がとられるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  15. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そのとおりでございます。
  16. 案納勝

    案納勝君 本来、この河川敷問題については、先ほど私が冒頭申し上げましたように、俗に言う田中金脈問題の最も大きな問題であります。今日まで当委員会としてこの問題の処理に当たって一貫してとってきた態度は、これらの土地が政治的な影響力あるいは政治的な立場によって不当な利得を今後起こさせない、あくまで国民の納得する公共利用に資すると、こういう立場で原則的な立場をとりながら、過去建設省等の廃川処分等措置について要望してきたところであります。  そこで、いま私は今日までの経過を踏まえて今日時点考えますと、問題は三つあると思います。一つは、この内容が果たして今日までの経過を踏まえて適切な十分に充足した内容になっているのかどうか。もう一つは、今日の時点における十一月一日の廃川処分が適切な措置であったのかどうか。そしてもう一点は、現実的な課題として、長岡市と室町産業との契約にかかわる半分の公共利用土地買収といいますか、この契約について、この措置が本来の当委員会意向を充足をしたものであるかどうか、残りの土地をどうするのかというのが実はこの中には含まれていると思います。  私は第一点について、まず第一点は建設省の廃川処分の十一月一日のその処分措置が適切であったかどうかという点について大臣等見解をお聞きをしたいのであります。と申しますのは、いまここで私は今日までの経過を繰り返す気はありませんが、今日までの、四十九年九月からの経過についてはすでに大臣よく御存じのところであります。この信濃川河川敷の廃川処分について、衆議院では予算小委員会等が持たれてまいりましたし、当院では五十圧の六月六日の決算総括審査の中で異例警告決議が行われた、このことも十分御存じのことと思います。また、これらの経過の中で、三木総理または当時の建設大臣は、それぞれ、国民の納得いく処置をとる、慎重に対処をする、廃川処分に当たっては国の最高機関たる国会論議判断の最も重要な基礎に置く、こういう回答をしてきております。さらにこれは五十一年の九月の二十四日には、これらの討議を受けて参議院当委員会理事会の決定として、鈴木力当時の決算委員長から信濃川河川敷問題に関する申し入れというのが行われたのであります。この申し入れに伴ういま申し上げました警告決議申し入れを行うというこの一環の経過の中で歴代の大臣は、廃川処分に当たっては当委員会経過を踏まえて十分その意思を尊重して行うということを明らかにされました。最も重要な部分として判断をすると、こう答弁をしております。この裏には、廃川処分するに当たっては当委員会の了解を得るということが実は討論経過の中で明らかになっているのであります。  ところが今回の廃川処分に当たって、十一月二日の当委員会における十一月一日廃川処分についての論議の中でも、これらについての政府責任建設省責任というのは明確になっていません。このことは、私は今日の議院制内閣の中におけるこの制度の中で、国権最高機関である当委員会が、その論議の過程を通じて、しかも理事会決議によって行った申し入れ、全体の警告決議等経過を踏まえるならば、私は今日廃川処分措置をとったときの建設省態度というのは納得をすることはできないのであります。ある意味では、国権最高機関である当委員会を、いや当院を、国会を無視をしたと言っても言い過ぎではないのではないでしょうか。この辺について、単にこれは手続上の問題だということで私は見逃すことができない重大な内容を含んでいると思います。これは単に河川敷だけの問題ではありません。私は今日までの経過の中で、十一月一日の河川敷廃処分に当たって、なるほど儀礼的には決算委員長にお話があったかもしれません。しかし、この廃川処分をするに当たって、建設省として、建設大臣としてとるべき措置は、当委員会理事会に明確にその点についての意思を明らかにして見解を求めるという措置があってしかるべきだったと思います。私はそれが今日の制度の中における政府のとるべき措置だと思います。これらの手続——単に手続ではありませんが、これらの問題について建設大臣はどのようにお考えになっているのか、この廃川処分取り扱いについての見解をお聞きをいたしたいと思います。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま案納委員より御指摘の点は、私も長いこと国会議員をやっておりまして、もうそのとおりだと思います。ただ、当時の建設大臣がどういうふうな行動をとられておったか、その点についてはいま私としてにわかに判断をすることができないんでありますが、少なくとも、御指摘のとおりの五十年六月六日に異例警告決議委員会、本会議で行われておるということはこれは容易ならぬ事態である、これはもう当然この決議というものを尊重しなければならないと思います。また、越えて五十一年九月二十四日に本院決算委員長より当時の建設大臣への申し入れがあるということもさらに重大な事態であったと、こう思います。私も、もとより当時ずっと議員でございまして、これらの論議あるいは両院において問題になっておるということは十分承知をしておるのでございますから、当時の建設大臣においても恐らく十分その点は配慮をしつつ行動をせられたものではないかと。  四十九年九月から五十二年十一月一日の廃川処分に至るその間相当な期間もあるわけでございます。また、先ほど河川局長より経過報告を申し上げましたとおりに、この経過を聞いてみますると、直接関係のある長岡市あるいは新潟県の意向というものは、廃川処分をしてはいけない前提でなく、これは、御説明経緯というものは、廃川処分のできる条件にはなってきておると思います。  しかし、さて、この国会に対しての措置はどうであったかと。こういうことになりますと、冒頭申し上げたように、きょうの御指摘は、私としてそのとおりに受けとめなければならないと思うのであります。御批判のようなそういうことではなかったかと思うのでありますけれども、しかし、いま承れば、建設省において、当時の大臣国会との間にもし足らざるところがあったとすれば、これはまことに不本意なことでございまして、ただ、私として、当時の大臣行動についてつまびらかにしておりませんので、いま申し上げたような所見を述べさせておいていただきます。
  18. 案納勝

    案納勝君 まあ手続問題というふうには私は割り切っていませんが、これ以上追及をしようと思いません。  ただ、大臣、いよいよ廃川処分を決定するときには、確かに、十一月二日の決算委員会では当時の長谷川大臣は、院の決議等意向を無視したわけではありません、慎重に配慮しましたと。しかし、この手続の点については黙して語らずというのが実は前提です。ところが、それを一たん廃処分を決定してしまって、今日になって、かわられた大臣から、私は、いまも言われましたような陳謝といいますか、一応の見解を承りました。私は、いまの大臣の御見解を、本当に大臣がそういうふうにしんから思っておられると思って受けとめます。こういうやり方について、仮に裏から見た場合に、確かに院でいろいろいままでの長い間の経過論議をされてきた。この際やっちまえと、後から頭下げればいいじゃないかなんということにやられたとするなら私は納得できない。これは単に手続とは言えない。  今日までの俗に言う田中金脈というのは、まさに土地転がしを初めとする建設省行政自体についても、大きなやはり批判の目を国民から向けられた課題なんであります。そして、政治の信頼を、いまわれわれはどうやってこれらの問題、それに引き続いたロッキード事件等を通じて回復をしていかなくてはならない課題を抱えている問題、私は、それだけにこの取り扱いというのは、やはり政府として、しかも三木総理は、三木総理みずからがこのことについて国民の納得する方法をとる、こういうことを明らかにしてきた今日の経過を踏まえた場合に、単に、実はさきの大臣見解はよくわからぬがと、こういういまの御見解だけでは、本来なら納得できないところであります。しかし、現実今日の段階を迎えているわけであります。  私は、ここで明確にしておきたいのは、これは単に手続問題、河川敷問題だけではない。今後当院として、しかも委員会決議によって、その討論経過を踏まえて、一定申し入れ意思表示が行われたことに対する政府として責任ある態度を今後は明確にとってもらいたい。今回のようなことが繰り返しにならないように、明確にその点についての措置をとってもらいたい。この点を大臣に強く要望しておきたいと思います。大臣、いかがでございますか。
  19. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私は、もうただいまの御指摘を受ければ受けるほど、もし当時の大臣措置の上に御批判を受けるようなことがあれば、これは本当に申しわけないと思うのであります。国会決議に基づき、あるいは申し入れを尊重し、あるいは最直責任者たる総理の言に適応した措置が行われなきゃならないと思います。  私は、後任者といたしまして、先ほど触れましたように、この問題は重要であると、こういうことで、どういう前提で廃川処分になったかということにつきまして、その具体的な措置内容についての検討は、私としては、市なり県なりの意思表示あるいは国民世論動向、なかんずく最も直接関係のある長岡市議会などの動向からいたしまして、長い間の経緯のある問題でございますから、長谷川大臣がこういう前提によって決断をされたかなというふうに受けとめたわけでございますが、これだけの大問題に対しての国会での具体的な措置に対応して十分な措置がとられておらないといたしますならば、これはまことに遺憾至極のことでございまして、このようなことを今後繰り返すことは断じてならないと、こういうふうに考える次第でございます。
  20. 案納勝

    案納勝君 それでは、第二点目についての御見解を承りたいのです。  いま河川局長から報告がありました長岡市の公共利用に関する計画、そして長岡市の意向でありますが、これはもうすでに長岡市と室町産業との間に覚書が締結をされている、このことを建設省も是認した上でこれらについての措置を行う、あるいは廃川処分等判断の大きな材料になったと思います。これらの具体的な実行、あるいはこれらが具体的に動いていった場合に、建設省としてのこれに対する責任はどのようにお考えになっておられますか。
  21. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 先住おっしゃいましたように、長岡市長室町産業との間に覚書が交わされておるわけでございます。  それを簡単に申し上げますと、まず、この全体の土地は、いわゆる長岡市発展のために、また市民全体の利益を優先して行われるべきものであるというふうにその精神がうたわれておるわけでございます。  それから第二点としまして、いわゆる長岡市が譲渡を受ける土地につきましては、室町産業が取得する場合に支払った土地代金、それに補償料及びその後の利息、公租公課並びにその他の必要経費とすると。いわゆる原価で、実費で譲り受けるということが第二点にあるわけでございます。  第三点としましては、いわゆる室町産業利用されるとされております土地につきましては公共性の強いものを主体に計画すると、そうしまして、その利用計画の決定に当たりましては、いわゆる最初の第一点に申し上げました精神に基づいて、すべて事前に長岡市の同意が必要であるというふうになっておるわけでございます。  こういうふうな覚書が交わされておりますので、建設省としても、この土地が適切な利用が図られるということのもとに昨年の廃川処分を行ったわけでございます。  建設省としましても、この第三点の、市長さんが同意する場合には事前にその利用計画について建設省に協議してほしいというふうに、お互いに文書を交わしまして——お互いでございません、こちらから文書を差し上げまして、そして、そういうふうに建設省としましてもこの利用計画につきましては非常に重要視して考えておるという次第でございます。
  22. 案納勝

    案納勝君 この具体的な覚書に基づいての、たとえばいま指摘をされました土地の原価及び補償料及び公租公課、こういった算定については、建設省は直接これについての指導なり、あるいはこれらについての建設省側としての監督なりというのは行われるんですか。
  23. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) この土地代金あるいは補償料そのものにつきましては、室町産業がいわゆる農民から買い上げた、支払った原簿がございます。それに基づいて、長岡市ではそれに基づいて積算するということでございます。  それからさらに、この問題につきましては、市民の税金による、いわゆる長岡市が金を払うわけでございまして、長岡市議会の議決といいますか——を経るわけでございまして、建設省としましてはそこまで立ち入るべきであるかどうか、これはあれでございますけれども、この覚書の履行については十分注意してまいりたいというふうに考えます。
  24. 案納勝

    案納勝君 もう一点お尋ねしますが、この覚書の中には「その後の利息」と、こうなっていますね。そうなりますと、この利息はいろいろありますね。今日は戦後最低の公定歩合の引き下げなり、預金金利の引き下げ等もあって、その利息はきわめて下がっています。しかし、この利息が幾らに判断をされるのか、こういった点については、これは河川局長どういうふうに判断をされていますか。
  25. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 長岡市から具体的にその利息について承っておりませんけれども、いわゆる公的機関の利息がございます。たとえて申し上げますと、用地先行した場合の利息はどうするとか、したがいまして、そういう公に定められておる利息に基づいて行われるべきであるというふうに考えます。
  26. 案納勝

    案納勝君 それじゃ、もう一回お聞きしますが、室町産業河川敷で私人から収得をした面積、いわゆるこれは九条地も含めまして、面積は五十六・八ヘクタールですね。
  27. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 五十六・八ヘクタールでございます。
  28. 案納勝

    案納勝君 長岡市が利用する土地面積は、これ要するに室町産業から譲り受ける土地面積は何ぼになっていますか。
  29. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 約二十六・二ヘクタールでございます。
  30. 案納勝

    案納勝君 そうすると、残りということになりますが、三十・六ヘクタールが依然として室町産業土地として現存するわけですね。
  31. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そのとおりでございます。  ただし、全体で七十ヘクタールございまして、約半分を長岡市が譲り受けるということでございまして、それも、譲り受けの方法としましては、全体のうち北半分を長岡が受けるということでございます。ですからこの辺がちょっとあれでございます、調整は必要でございますけれども、そういう結果になろうかと思います。
  32. 案納勝

    案納勝君 そうしますと、この室町産業に残った、要するに三十・六ヘクタールの面積の土地については、いま河川局長からのお話によりますと、これを利用する場合も長岡市長に事前に協議をする、こういう一項がある。そこで、この一項については、十一月二日の決算委員会でもそうだったのですが、長岡市長がさらに建設省とも相談をする、そういう中で公益性の強い公共事業利用してもらうという条項があるので、これで歯どめになる、こういうふうに実はこの当委員会での論議の際の御見解を承ったことがあります。その場合に、果たして残った土地について室町産業が他に転売して投機的取引が行われないという、そういう歯どめが私はそれでできるのかどうか、大変心配になるんですが、その辺はどう受けとめますか。
  33. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 私は、この覚書というものの重みというものを非常に感じておる次第でございます。と申し上げますのは、この覚書そのものが、市長さんが、いわゆる市民の輿望をになって選挙を受けられた市長さんがまず結ばれた覚書である。  第二点としましては、この覚書を含めまして、この廃川処分の要請そのものにつきまして、市議会の各派代表者会議におきまして了承を得ておるということが第二点でございます。  それから、第三点としまして、いわゆるこのすべてにつきまして町内会長会議が開かれておるわけでございます。全体の八割以上の、出席した約三百九十人の町内会長さんの圧倒的な賛同を得ておるということでございまして、この覚書そのもの、この土地利用計画そのものにつきまして市民全体が非常な関心を持っておられるということでございます。したがいまして、この土地の適切な利用につきましては十分行われるというふうに確信しております。
  34. 案納勝

    案納勝君 もしこれによって、私は、いま指摘されたように、室町産業が他に転売して投機的な取引による利得を得るというようなことが行われるような場合は、建設省としてはどういう態度をもって臨まれますか。
  35. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 不当な利得といいましても、この覚書によりまして適切な利用が図られると考えておるわけでございますけれども、仮に、仮の問題でございますけれども、よそに売った場合にでも、その土地利用計画利用形態が第一に問題になろうかと思います。
  36. 案納勝

    案納勝君 大臣国会のこの信濃川河川敷問題の院としての意思は、先ほども私申し上げましたように、政治的な行為に伴って不当な利得が行われた国民のきわめて政治に対する疑惑を、国民の信頼を取り戻すために適切な処置を行う。それは、室町産業という田中ファミリーのそういう行為で行われた不当な利得をさせない。そのためには、この土地公共利用、公益の事業に供して、その上で国民の納得する措置をとっていく。これが実は国民の納得する、そういう政府のとるべき措置であることは、今日までの論議の過程で明らかであります。  そこで、今日までの経過でいま御見解等をお聞きいたしましたが、半分の土地については長岡市が、先ほど答弁ありましたように、きわめて重要な公共利用に、公益利用に資する、こういうことで一定覚書、あるいは室町産業との間に原価による買収等が進んでいることについては、私は院の全体の意向から踏まえて評価ができるところであります。私はこれはできるだけ速やかにそういう措置が、地域住民のためにも、あるいは全体の今日までの経過から踏まえても一番望ましい方向だと思うので、その指導措置をとっていただきたい。  ただ、残りの土地について、いま私お聞きしましたが、河川局長の答弁では、転売されても後の使用が問題なんだと言われますが、他に転売をし、投機的な行為によってさらに室町産業が利得をすることについて、実は田中金脈以来厳しい批判があっているわけであります。これは当時からの経過をいまここで振り返ったって意味ありませんから、もう大臣よく御存じのところだと思います。私はそういうものの歯どめというのが、いまの長岡市との覚書や、建設省等のこれに対する行政指導、監督というところの中では、私は十分ではないと、こう言わざるを得ない。心配になります。一番いいのは、大臣、一たんこれは河川法に基づいて持ち主に返されます。改めて国が——県が買わない、市はもう必要ないというならば、国がこれらの土地について買収をして、そして改めてこれらの公共利用措置をとる、公益的な利用に資するというような措置がとれないものか。私はそういう措置をとるべきではないかと思いますが、御見解を承りたいと思います。
  37. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 前段の御質問のお考えについて私もちょっと意見を述べさしていただきたいと思うんです。  室町産業がただいま御指摘の、問題のあとの二分の一、半分の土地利用について第六条で公益性の強いものを主体に計画するということが一つ。それから、その利用計画の決定に当たっては第一条の精神に基づきということで、この第一条の方をもう十分御検討のことと思いますが、市民全体の利益を優先して行われるべきものであると。要するに、この河川敷利用についての最も大事な前提があるわけですね。その前提に基づいて甲に協議し、その上に同意を得ると。協議の上に同意をする。さらにその甲はそういう場合に建設省にまた協議をすると。これはこの契約上には出ておりませんけれども、この譲渡に関する覚書からいたしますと、普通の場合の取り決めとは違う。やはりこれだけの問題であったということを十分踏まえて行われておると思うのであります。しかも、この問題に対して、一つには、その地域住民の意思を代表すべき市議会というものが、言葉が適切かどうかはわかりませんが、私がわかりやすく言えば、市議会そのものがこの問題を監視をしておると、そして、しかもこれらの協議につきましては地域住民の意思を十分踏まえて行われた事実については、先ほど河川局長から申し述べたところでございます。  したがって私は、歯どめがないということからの御心配でございますが、これだけの天下の大問題で、いま申し上げたような措置が行われておるといたしますと、当時、前大臣も、まあこれなら自分が決断してもいいという心境になられたものと思いますし、私もまたこの経緯からして、まずこれで歯どめになっているんではないか。もちろん御質問の御趣旨で念には念を入れ、しかも、これだけの問題になっておるんだからということについては、なお私も、また今後の建設大臣としても、その点は十分考えていかなければならない問題だと思います。  一つの御提案を最後にされておるんでありますが、これを国が買収してやる方法はないのかと、こういうことでございますが、室町産業の所有地に対して、しかし、その所有についていろいろ問題が起き、皆さん方の御批判を得てこういう覚書にもなっておる事態でございますが、それをおいでおいで何か措置ができないかと、こういうことでございますが、これ、私そこまでの十分な知識がございません。やれないとも言えぬし、やれるとも言えない。知識がございません。ただ、すでにこういう経緯をたどってきておる問題でございますので、私としては、これはそういう新たな提案措置考えるということの御意見はわかりますが、そういうことよりも、こういうふうな手順が踏まれてきたことでありますから、この手順に基づいて建設省としての責任ある監視をすべきことではないかと思います。
  38. 案納勝

    案納勝君 時間の関係もありますのでこのくらいで締めくくりたいと思いますが、先ほど大臣から御答弁をいただきました、いずれにしても院の決議について今日までのとられた措置についての一定の御見解もいただきました。今後については、責任をもって当委員会や各委員会等の意向については、これらについて適切な、しかも十分それにこたえていくやはり姿勢というのが、私はこれは手続上の問題でなくして、今日内閣、政府としての責任の問題だと思いますので、これはどうやら先ほどからの質疑の中で大臣見解が明らかになりましたので一応了といたします。  なお、いま申されました室町産業長岡市の覚書に基づくこれらの河川敷の速やかな公益公共化については、私はできるだけ早くこれらの措置が実行に移されるよう、建設省としても、しかも現下で言われるところの地域住民、市民社会の中で十分納得いく措置がとられるよう、御指導いただくように特段に要望しておきたいと思います。  なお、残った室町産業の所有にかかわる土地については、これは大臣いま答弁いただきましたが、私は今後の中でも、これらについての公共利用、公益利用についてのあるいは時と場合によっては国としてやはり何らかの措置をとらざるを得ない場面もあるかもしれません。しかし、いまそれらがすぐ想定されるわけではありませんが、私は国が責任を持って国民の納得できる措置をとるべきだ、これには国が一たん室町産業河川法に基づいてとった措置前提に立って、私はしかるべき、たとえば国が改めて国有地として買い上げるなり、それを通じて、先ほど指摘をしましたように、公益公共の利用に資するという、そういう措置が一番望ましいと思います。これらについての問題についてはなお今後意見を申し上げるとして、この信濃川河川敷問題についての質問を以上をもって終わりたいと思います。今後の建設省の指導等、十分な措置をとっていただくことをお願いをいたしまして、ちょっと御見解を承りたいと思います。
  39. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この問題に限らず、国会における貴重な御論議をわれわれが体して行政の執行に当たるのは当然のことでございます。特にこれだけの大きな国民的関心、もう一つ突っ込んで言えば、批判の上での関心の的であった問題はないのでありますから、われわれとしては行政府立場として、今後細心の注意を払いながらわれわれのでき得べきことは尽くしていかなければならないと思います。
  40. 案納勝

    案納勝君 それでは次の問題に入ります。  私は、住宅公団の業務運営について、特にきわめて重要な問題についてのその後の経過等を踏まえて、業務運営あるいは施策についてお尋ねをしたいと思います。  住宅公団の家賃値上げについては、二月二十七日の日に大臣の承認が行われて、昭和三十年住宅公団創立以来初めての継続入居者の値上げが行われることになった、九月から実施と。これはまあ総裁もよく御存じのように、この措置によって住宅公団の今日抱えている経営危機あるいは公共住宅のあり方を含めて、私は公団の運営の懸案が解決したことにはならないことは御存じのとおり。これは大臣も含めての十分な御理解を持っておられるところだと思います。私は今日住宅公団の置かれている原因というのは、三十年から今日まで二十三年にわたる、一つも時の流れや情勢や国民のニーズにこたえない、マンネリ化した、そういう中での私は公団のずさんな経営と、政府の住宅政策や都市政策の貧困さがある意味では大きな原因だと思います。そういう意味で、公団住宅の根本的な見直し、再検討の時期に今日あろうかと思っているわけであります。そういう意味で、以下この家賃値上げに伴って両院の建設委員会等で多くの論議が行われ、大臣にもそれについての要望、勧告等がなされております。これらの中のきわめて重要な部分について、時間の関係がありますので、簡潔にお答えをいただきますよう幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず第一に、ことしの二月二十八日、既設団地の値上げが決定をいたしまして、建設委員会等では幾つかの要望が出され、これを受けて大臣の認可がおり、いよいよ九月一日から家賃が引き上げになるという状態の中で、澤田住宅公団総裁は、国の方針を明確にしてくれ、こういう意味での新聞に対する発表がなされているやに報ぜられています。この中にはきわめて重大な問題があるんであります。国としての住宅政策、それから来る住宅公団の問題、こういう問題についての要望されている意見について総裁はこれはどのようなことを言わんとしているのか、総裁として住宅公団を運営をするに当たって、今日置かれている住宅公団の現状認識に立った上での御発言だと思いますが、これらについての総裁の見解をもう一回ここで明確にお聞かせいただきたい、こう思います。
  41. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 二月二十八日、毎日新聞でございますか、いろいろ記事になっておりましたが、まあすべてが正確に私の申したことに合っているというわけではございませんけれども、大方の趣旨は伝えておると存じます。  私、総裁に就任いたしまして六カ月を過ぎたわけでありますが、その間各方面からのいろんな御批判、あるいは国会におきましても厳しい御質疑が続いておったのであります。そういう勉強を通じましていろいろ考えたわけでありますけれども、二十年来公団が国の施策としての公的住宅の供給に努力した実績、業績というものは、私は公団の立場を離れて客観的に見てもかなり高く評価していいと思うのでありますけれども、御存じのように、最近数年間の非常な激動期に当たりまして、経済情勢の変化、あるいは住宅についても、数の上ではある程度の充足を見たけれども、質的なニーズの変化等非常に大きい変化がありましたので、そういう状況に対する適応姿勢が必ずしも的確にいかなかったという点は遺憾なところであります。そういうことを背景に公団はかなり難局に当面いたしました。いろんな大きい問題を抱えておるのは御承知のとおりでありまして、未入居住宅が多く出てくる、あるいは長期未利用土地が少なくない、あるいは二十年間家賃の改定が一遍も行われなかったというような問題、そういう大きい問題がたくさん出てきておるわけでありまして、私どもいま全力を挙げてその解決に努力をしておるのでございますが、何せ公団住宅、この供給、管理問題は国の施策と非常に密接につながるわけでございまして、こういう難問の解決に当たりましては、われわれの自己努力は当然でありますけれども、国の施策としても、そういう新しい変化の時代に対応したいろんな補助政策等をお願いしたいという気持ちが当然伴ってくるわけでございまして、いろんな例はございますが、たとえば家賃なり、あるいは供給価格なりに大きく影響いたします公共施設等について、これをデベロッパーである公団がどの程度負担するのが妥当であるかというような問題を初め、いろんな国の施策上お願いしなければならぬ問題がたくさんあるわけでございます。  そういう意味におきまして、私が申しましたのは、家賃の一斉改定というような、国民の負担を増すことを実施するときでもありますので、われわれが最大限の努力をいたしますと同時に、そういった国の施策もこれに伴っていろいろお考えを願いたい、こういう気持ちで申したような次第でございます。
  42. 案納勝

    案納勝君 そこで、建設大臣にお尋ねをしたいのでありますが、建設省及び住宅公団は、先月の三十日でありますが、五十二年度の公団住宅建設戸数を当初計画した六万戸から二万五千戸を返上して、五十一年度から繰り越された四千二百戸もあわせて削除するということに態度を決められた、財投資金二千二百十四億を国庫に返上すると決定されたと報ぜられています。それはどういう理由でそういう状態になったのか、私は明確にしてもらいたいと思います。  私の調べた中では、たとえばいままでもそういう例はあります。近々では、四十七年一万八千戸、四十八年二万一千戸ですか、四十九年二万戸、これらも計画から削除されています。このときの理由は、狂乱物価によって建設資材の暴騰のため、予算不足に回す、こういうことがこのときの理由になっている。それはそれなりに理由は立つ。五十一年では一万戸分が、これは住宅の国民のニーズにこたえるという意味で、質の向上という意味で設計変更をやる、計画変更と、こういう意味で一万戸分の資金をそちらへ回すということです。しかし、今回は、使い道がないままに返上されている。これらについて明確にしていただきたいんです。  念のため、私の意見をもう少し言いますが、今日、住宅公団の運営上の問題となっているネックは、一口によく言われています、遠いとか狭いとか高いとか、こういうものから発生をしてくる空き家の大量発生、あるいは休眠用地の問題、こういう問題がそのネックになっておりますが、これは従来とってきた住宅公団の戸数主義といいますか、戸数主義の、何とか予算をもらって、それをノルマを達成するために一生懸命それについての努力をしてきた、数さえ建てればいいといったやり方が原因ではないかと一つ考えている。そういう中でいまの公団の問題がありますが、しかし、今日、公団の曲がり角に来ている中でなおかつ必要なのは、まだ住宅難世帯が二百九十万も存在をしている今日、公団の住宅確保という面から、私はもっと質や量も含めてこの住宅政策というものを進めなくちゃならないという立場に立っても、今回の措置について合点がいかないわけであります。  さらにまた私は、今日、円高不況、四年間にわたる長期にわたる不況という中で、いま内需拡大、不況対策という意味で大型予算が通過をいたしました。しかも、住宅投資というのは、この景気浮揚率においては第一位を占める、そういう施策であります。そういう面から見ても、私は今回のとられた措置というのがどうしてもよくわかりませんから、明確な答弁をいただきたいと思います。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕
  43. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先生御指摘のとおり、昭和五十二年度の公団の計画を変更いたしまして、二万五千戸削減いたしまして三万五千戸といたしますと同時に、予算の減額を二千二百十四億カットしたところでございます。これは、まことに残念なことでございますが、先般来公団の未入居空き家の問題がいろんな御批判を得まして、その対策といたしまして、建設省の中にも次官を長といたします公団住宅問題対策委員会を設け、また、住宅公団の中でもそういった対策を昨年来とってまいりました。その対策の一環といたしまして、日本住宅公団が、現在工事中の、発注済みのものも含めまして、全般的な見直しを実施するというようなことをやったわけでございます。すなわち、約十四万戸にわたりまして、発注済みの住宅も含めまして、計画の変更等の見直しを昨年ずっとやってまいりました。まあ、これがようやく今年の一月ごろ見直し作業が終わり、したがって、そのため五十二年度の新規の着手というものがおくれたことは、これはまことに残念でございますが、やむを得ない仕儀であったんではないかというように考えているわけでございます。まあこれがやむを得ないとは申せ、先生御指摘の、いわゆる現在の不況対策の一環としてお役に立てなかったということは、住宅公団とともに建設省も反省せざるを得ない面があったんではないかというように考えている次第でございます。
  44. 案納勝

    案納勝君 このままいけば、第三次五カ年計画というのは変更せざるを得ないんじゃないですか、そうなると。
  45. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 第三期住宅建設五カ年計画におきます公団住宅の計画が三十一万戸ということになっております。したがいまして、五十三年度四万戸の計画を持っておりますので、五十一年から五十三年度まで通じまして約四〇%ちょっとの達成率になろうかというように考えております。まあそういった意味で、三十一万戸を一〇〇%達成することが可能かどうか、これはまあ公団とともに鋭意努力しなければならないところでございます。しかしながら、第三期住宅建設五カ年計画におきましては、その計画の中で、「計画の実施に当たっては、今後の経済財政事情、各事業の進捗状況等を勘案しつつ、弾力的に行う」というような字句もございます。また、全般的に第三期住宅建設五カ年計画の進捗状況を見てみますと、公的住宅全体といたしましては五十三年度まで六〇%ちょっとの進捗率になろうかというようなことで、公的住宅全体としてはまあむしろ計画以上に進んでいるんではないか、あるいは民間住宅を全部含めましても、大体計画のベースで私どもは進んでいるというように考えております。ただ、先生御指摘の公団住宅、あるいは公営住宅等につきましては、若干おくれていることは事実でございます。しかしながら私どもは、そういった第三期住宅建設五カ年計画が弾力的に施行するんだということを踏まえまして、いま直ちにこれを改定するという必要はないというように考えておりまして、せいぜい目標の達成に努力いたしたいというように考えている次第でございます。
  46. 案納勝

    案納勝君 私は、今日の国の住宅政策が持ち家主義に力点がかかって、それでそういう意味で賃貸しのこれらの住宅について、軽視とまでは言いませんが、大変ウエートが低くなっていることに住宅政策の根本的な誤りがあると思っています。いま言われた空き家あるいは現在使われてない膨大な土地の問題、用地の問題等々の問題の理由で今回の削除が行われたと、こう言われましたが、私はこれらの問題は別にこの計画を削ることによって解決する問題ではないのではないでしょうか。  私は、いま先ほどちょっと申し上げましたが、確かに全国的に世帯数よりも住宅数の方が統計上上回ってきつつあることは事実であります、住宅事情の中で。しかしながら、この統計をとる中でなお問題なのは、大変老朽した住宅世帯や同居世帯あるいは過密世帯、こういう中で住んでいる住宅困窮者がまだ二百九十万あるという事実は否定できない事実だと思う。持ち家を建てても、御案内のようにローンでみずからの首を紋め、自殺をしなくちゃならぬというところまで追い込まれている現状、そういう中で、もっとこれらの国民の住宅事情というものにこたえていくためには、もっと建設を拡大をし、量についても質についても充実させるという筋道を、賃貸しのこの住宅公団や公営住宅を充実させていく、こういう筋道をやはり私はもっと進めるべきじゃないかと。この空き家対策やあるいは未利用地の問題等については、私はもっと本質的にこれについての解決すべき方策は、そういう面ではない、別な面で考えなくちゃならないと思いますが、いかがでございますか。
  47. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 先生御指摘のように、まだまだ日本の住宅事情は世界のレベルに比較しまして非常に低いということは事実でございますし、数の上では世帯の数を上回っているとは申せ、まだまだ住宅に困っておられる方々が多いということも事実でございます。  そういったことを踏まえまして、私どもは当然持ち家を持ちたい方への住宅金融公庫等を通じての援助と同時に、公的な賃貸住宅の拡充ということに力を入れていかなければならない。現在公団、公営、公社の賃貸住宅約二百四十万戸程度を持っておりますが、そういったストックで私どももまだ十分であるとは考えておりませんし、今後ともこれを拡充していかなければならないというように考えております。  そこで、そういったことを踏まえて、未利用地あるいは空き家の問題は別途解決して、そしてこういった二万五千戸の計画を削減するのはおかしいではないかというような御指摘でございますが、私どももそういった計画を削減して、そして五十三年度に繰り越してまでやるんだというようなことも考えたわけでございます。ただし、先ほど先生御指摘になりました、現下のいわゆる不況対策といった面からも見まして、そういった資金を五十三年度に繰り越すよりも、むしろほかに使用して、五十三年度は五十三年度として新たにそういった資金をいただいてそして建設した方がいいんではないかという判断のもとにそういった削減をいたした次第でございます。
  48. 案納勝

    案納勝君 それではまず、未入居住宅と保守管理住宅についての対策について私は二、三お聞きします。  これはいま家賃値上げに伴って建設委員会等できわめて指摘をされた問題でありますが、この空き家については、五十二年の十二月末で三万九千戸に上っており、そういう状態に今日ありますが、五十一年の十二月末では一万二千戸、五十年では八千戸、私がいただいた資料の中でもそういう状態になる。要するに五十年八千戸、五十一年一万二千戸、五十二年に三万九千戸とどんどんふえていきますね。これらについて建設省等が公団住宅問題対策委員会等でいろいろ検討され、あるいは当院の建設委員会等でも多くの勧告や意見が出され、そういうものを受けて今日どのような対策が進められていますか。いわゆる対策委員会の暫定対策というのが幾つか出されていますが、この暫定対策の実施状況はどういうふうになっていますか。私はこういったものの取り組みが大事だと思いますが、この辺の状況についてお聞かせいただきたい。
  49. 澤田悌

    参考人澤田悌君) いわゆる空き家、未入居住宅の数につきましては、いま御指摘のとおりでありまして、昨年の十二月末約三万九千戸、これが二月末に三万八千戸ちょっとに少し落ちておりますが、この三月末はこれがまた若干ふえまして四万戸を若干超すという見込みで、いま集計中でございます。月によって若干ずつ違いますが、いずれにいたしましても、公団はこの問題を解決するために、公団におきましても経営改善推進本部というのを設けましていろいろの措置を積極的に推進しておるのでございますが、詳細は担当の理事からお答えを申し上げます。
  50. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) いま先生お尋ねの、建設省の公団住宅問題対策委員会で逐次示された暫定対策、これがどういうふうな状況であったかという御質問でございますので、先にその点についてお答え申し上げます。  昨年五月、いま申し上げましたように、建設省の中に公団住宅問題対策委員会というので、何といいますか、当面の未入居対策と、こういうことでいわゆる暫定対策というものが示されたわけでございますが、この中の骨子は、第一点が計画とか設計面で改善を加えなさい、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 こういうことでございました。それから第二点目は、入居基準の緩和措置というようなことでございました。そのほか三番目に、広報活動を強化せよというふうなことでございました。  こういうことで、私ども公団といたしましてもこれを受けまして、それぞれの団地につきまして所要の措置をとってきたわけでございますけれども、この措置によりまして、何といいますか、直ちに目に見えるような顕著な状況で空き家の状況が解消していくというふうなぐあいにはもちろんなっておりませんが、幾つかの措置の中で見ますと、たとえば賃貸住宅の小さなものを二戸を一戸にいたしまして、大型分譲住宅に改造していくとか、あるいは地域によりまして、賃貸よりは分譲の方がその地域になじむ、あるいは分譲よりも賃貸の方がなじむというふうなものにつきまして住宅の種別を変更していくとか、あるいは駐車場とか、運動施設とか、そういったものをつくっていくというふうなもの、またソフトの面におきましては、二DK以下の住宅につきまして従来世帯向けということでやってまいりましたものにつきましても、五十平米未満のものにつきましては単身者へも開放するとか、あるいは事業者向けの賃貸を行うとか、こういったこと等につきましては、私ども見ましてそれはそれなりに効果があったというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後ともこれらの実績を見ながら適切な措置を積極的にとっていきたいと、こういうふうに考えておりまして、なかんずく住宅の大型化への改造、それから場合によっては複数戸を賃貸あるいは分譲していくというふうなことも措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。  それから三番目の広報活動の強化ということで、私ども主なる未入居団地をとりまして、年に何回かハウジングキャンペーン等を行ってまいりましたけれども、首都圏におきましてこの三月にもやったわけでございますけれども、やはりそれなりの効果はございまして、通常の月に比べますと、そういう月間には受け付け件数とかあるいは照会の件数等も相当多きに上っておりますので、今後もこういう点を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
  51. 案納勝

    案納勝君 いま御説明をいただきましたが、結局、住宅需要に即応した魅力ある住宅への転換、あるいは入居基準の改定等の報告を見ましても、空き家防止ということで、私はこれは抜本的なことにならないんじゃないか、こういうように考える。この実績を見ても、見るべきものは余り見られないんじゃないだろうか。私は、先ほど申し上げましたように、今日の大量発生の原因は、もうすでに論議をされてきていますから、余り繰り返しませんが、俗に言われる、遠い、狭い、高いというところにあるわけですね。これは建築総数が少ないとか多いとかという問題じゃない。  で、この五十年、五十一年、五十二年のどんどんふえてきているのも、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは一時的な現象では今日ないんじゃないか、こういうふうに思います。いま首都圏では、先ほど御説明あったように、六万数千戸——六万何ぼかいま住宅建設中ですね。このうち、一万四千五百六十二戸、十四団地については、いただきました資料にもありますように、都心まで通勤時間が一時間半以上かかる、まあ遠隔地なんですね。会計検査院の資料を見ましても、五十一年末で、公団として発注しながらいろいろな理由で工事が抑えられているかあるいは着工できないでいる戸数が四万三千四百六十戸ある、こういう状態に今日私は公団の現状があると思う。この中で、今日まですでにもう大量の空き家が出ている団地に建設されているものがいま言った中でかなりあるわけですね。村上団地の場合もその一つのあらわれであります。そこで会計検査院では、ここにもおられますが、完成してもまだ空き家が多くなるんじゃないかとみなしている。となれば、私がいま言うように、この空き家の問題というのは一時的な現象ではない、こういうふうに今後も引き続いてふえていくというふうに考えなくちゃならぬだろう。私ここにも一番問題があると思いますが、今後五カ年計画、第三次で三十一万戸の住宅を建てるんですが、私は、この第三次五カ年計画の中にこれらの空き家の問題が今後どのように推移すると把握をされているのか、この辺をまずひとつ承っておきたいんです。このところは、まあ私は、住宅公団というのはいま大変な曲がり角に来ているだけに、大事なところだと思いますので、御返事いただきたいと思います。
  52. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 空き家問題の取り扱いは、ただいま先生がおっしゃいましたような筋が全くそのとおりでございます。有賀理事から御説明を申し上げましたのは、現在空き家になっておるものをどういうふうに対処をするかということでございます。しかし、私どもは、この空き家対策というのは、もっと、いまおっしゃられましたような、長期的といいますか、全体的な問題であるというふうにこの発生の時点からとらえております。と申しますのは、今後住宅公団の空き家をなくするようなこと、すなわちニーズに合った住宅を供給すること、これのためには、まず、これから新たに仕掛かるものにつきましては空き家を絶対に出さない、ニーズに全く合ったものを出すと、こういうようなことになるわけでございます。  そういうことから、実は、五十三年の数が減って四万戸になったり、五十三年の三万五千になったりということになるわけでございますが、この方はニーズに合ったものを出すということが一番の大前提でございまして、それを押さえておきまして、実は私ども工事中のストックを非常にたくさん持っております。それはたとえば、五十二年三月、すなわち空き家問題発生の間もないころでございますが、このころには十五万三千四百戸という工事中のストックを持っておりました。これは実は公団は、団地は大体三年でつくりますので、三年間の手持ちというものがこのくらいはある、やや多うございますが、さようなことでございます。三年前のニーズに果たして現在出てきて合うかという問題がございまして、この十五万三千四百の中から、できるたんびに空き家が発生するというおそれがあるものが相当ありました。  この十五万三千四百の当時の内訳を申しますと、会計検査院からも御指摘ありましたように、当時発注したけれどもいろいろな事情で未着工のもの、これが四万三千五百でございます。工事中のものが八万一千七百、屋外工事中のものが一万七百、保守管理中、すなわち建物はできましたけれどもまだまだ人を入れるに至らぬとか、あるいは先ほど先生おっしゃいましたように、同じ団地に空き家があるので需要調整上持っておる、こういうふうなものが一万七千五百でございまして、こういう内訳を持った十五万三千四百でございます。これは工程順にいま申し上げましたが、すでに相当でき上がってしまったもの、これは物理的に非常に直しにくうございます。したがいまして、有賀理事が先ほど申し上げましたような家賃の傾斜の問題とか、あるいは宣伝の問題とか、こういうふうなことでやりますけれども、このストックの形を直せるものはニーズに合うように直すということの全力投球をしたわけでございます。  で、実は昨年度の初めから、先ほど住宅局長申しましたように、おおむね年末あたりまでこれの見直しを全部やったわけでございます。すなわち、三年間の設計を全部やり直したようなかっこうになっております。いろいろと工程がございますから、大がかりにできたものもございます。特に未着工の四万三千五百につきましてはこれは契約をしておりますけれども、発注をとめまして全然見直すというふうなことをやりました。これは姿を新たにして出てくるということでございます。したがいまして、こういうものからは空き家の発生のおそれが少なくなっておる、こういうふうな状態でございます。約一年間そういうふうなことをやりました結果、この十五万戸のほとんどすべてについて設計なり計画なりというものが違ってきております。  したがいまして、契約更改とか契約変更、こういう手続もございますが、形の上での結果といたしますと、細かくて恐縮でございますが手元に資料がございますので、どういうことがやられたかという数字を申し上げますと、住宅の大型化、これが一万五百戸程度になっております。その内容は、工事中で直せるものは大きく直す、工事が終わりましてなかなか手がつけられないようなものでも、需要があるものは二戸を一戸にするというようなことをやりました。  その次に、二番目は戸数増でございます。これは実は高、遠、狭の高に関係をするわけでございますが、家賃が高いために人が入らないというおそれを除くために、いままでの団地の中をもう一回見直しまして、仕掛かり中も含めましてその中に戸数をふやしていく、すなわち土地の効率利用を行うということで六千二百戸程度の戸数がふえております。これによりまして原価がその団地では下がりまして家賃その他が下がってくる、かようなかっこうになっております。  三番目は、これは建物のかっこうを変える。遠くへ行けば低層庭つきのようなものが需要に、ニーズに合うわけでございます。ところが、いままでの計画と申しますのは、土地問題あるいは計画上から言って遠くへ行っても高層住宅などがございました。そういうことではニーズに合わないということで、できるものは高層住宅をやめて、遠いものは庭つき住宅にする、こういうふうなかっこうを変えましたものが一万二千余戸になっております。  そのほか大きなことは、実はこれは狭に関係するわけでございますが、二DKはすでに賃貸住宅としては不適でございますが、片や三DKも分譲住宅としてはもうニーズがございません。そこで、この三DKは、直せないものにつきましてはこれを賃貸住宅に切り変える、かようなことをやりました。そういうものが約一万五千弱でございます。そのほか細かいことはいっぱいございますけれども、おおむねさようなことにわたりまして、計画変更、設計変更をやりまして、ニーズに合わせるという作業を実はやったわけでございます。  そこで大事なことは、新たな建設計画にも関係するわけでございますが、どうやったらニーズに合うかという物差しを新たに私どもが持つことでございまして、この経過を経まして、私どもはいままでの物差しではだめだと、新たな需要に対応する物差しというものをつくり得たというふうに思っておりまして、その成果がここにあらわれて、今後はこのストックからいままでのような大量の空き家が発生してくるということが抑えられるんじゃないかというふうに思っております。  したがいまして、こういう見直しが終わりまして、新たに発注するものからはほとんど空き家は出ない。過去のストックからは空き家が抑えられるという経過を経まして、現在、先ほど総裁から申し上げましたように、四万戸を上下する程度のことでございますが、いましばらくは、十何万戸は出てまいりますので、四万戸は上下するかもしれませんが、この効果は次第に効いてまいりまして、漸減するという方向に向かうと思っております。
  53. 案納勝

    案納勝君 時間もありませんから、これはこの次さらに続けるとして、私はいま説明をされたことで空き家あるいは休眠用地の問題といいますか、空き家問題が解決をするとは考えられないんです。もっと実は課題を、もう少し見解をお聞きしたいんです。  個別原価主義家賃がいまとられていますね、私はこれらの中から見ても、今日まで公団が立地条件の悪い土地をたくさん買い込んで、狭い住宅を、しかも戸数主義でノルマを何としてでもこなすということから、大量に建設を続けてきて、今日までの経過をたどってきたわけです。これがすべて建設コストを家賃にはね返させる。それのために原価主義に足かせをかけられて、地価の高騰、そしてそういう中で家賃を抑えるためにはどうしても用地を遠くに求めなくてはならない。狭い住宅をつくらなければならない。しかし一方では、肝心の家賃も、建設費が高騰をしてくる、高額化してしまう、あるいは金利が依然として高金利のままに据え置かれてきている。私はここで言いたいのは、家賃金利の引き下げができないのかどうか、これも一つ課題でしょう。したがって、いま言ったように、今日の住宅公団の置かれておる中で空き家の問題というものがあるのは、これがなかなか解消しないのは、ニーズにこたえて部屋を広くするというだけでなくて、これらの土地政策や、これは物価対策にも関係をするんだが、個別原価主義というやり方というのを改めるべきときじゃないのか、限界に来ているんじゃないかと、これが。でなければ、私は片っ方では庶民の住宅困窮者が二百九十万もおる、今回の予算の中で、公営住宅の建設についてはある意味では微々たるものです。おまけに住宅公団の家賃はとってもじゃないが収入に追いつかない。傾斜家賃でこれを若干手直しをされたとしてももう払っていけない、団地は遠いわ、狭いわといったら、これは少々広くさしたって、これは団地に入ろうかというよりも、まず狭いけれども、同居世帯が多いけれどもと、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。私はこういう点について、従来の発想でなくして、住宅公団がこの際発想を転換をして、公団の施行規則の十条にも家賃についての適切な措置がとれる条項があるわけですね。  それからもう一つは、私はこれは大臣に特に要望をしたいのでありますが、五十年度の予算の中に、住宅対策事業費というのが三兆四千四百三十七億——端数は切り捨てますが、ありました。この中で国費充当分は四千三百七十四億程度であります。五十三年度のこの住宅対策費は、きのういただいた資料の中にもありますが、四兆三千六十五億、国費充当分は五千八百六十四億、これを道路整備費などと比較をしてみますと、道路整備費では国費が本年度の予算で一兆四千億になる。私はこの住宅政策の中で、いまの住宅公団の置かれている現状や、この空き家の状態、空き家対策としても、いや日本の住宅政策というものを抜本的に見直す時期が今日来ているんじゃないか。先ほど私は冒頭申し上げましたように、持ち家主義という、そういうことでは私は今日の国民のニーズにこたえることはできないという中で、住宅公団の役割りはどうなのか。今日住宅公団が空き家問題、そして休眠用地を抱えて根本的に見直さなくちゃならない、こういう中で、この国費の充当問題についても私は大臣、思い切った措置をしなければ、住宅公団の問題含めて住宅問題というのは解決をしないんじゃないか、こういうふうに考えるのであります。  さらに私は先ほどちょっと触れました家賃金利の引き下げ、これは今日でも相変わらず家賃金利は五%ですね、これは間違いだったら訂正してください。五十一年で高層団地の金利については若干の引き下げをやりました。しかし、今日の公定歩合等の引き下げ等の中で、この家賃金利についてはもう思い切ってそれに合わして引き下げるべきじゃないでしょうか。そういう中で、この個別原価主義家賃というもの、これを見直しながら国民のニーズにこたえていくというのも、もう一回ここのところから手を入れるべきではないか。  もう一つ大事なのは、御指摘がありました関連公共公益施設費をどうするかという問題であります。私はここであわせて大臣に、いまの国費充当分の問題とあわせてお聞きをしたいのですが、第三期住宅建設五カ年計画の実施に当たって、地方自治体の負担軽減対策として団地建設促進臨時特別税が検討されたとあります。検討されたと、このように私は承っていますが、これは三大都市及びその周辺事業所に課税するもので、人件費を年間約一億円支払った事業所は、その翌年に〇・二五%、二十五万円を国税として納入し、これを自治体に配分して関連公益事業施設整備費に充てるというものですが、こういうふうに私は理解をしていますが、これが依然として日の目を見ないというのはどういうことなのか、こういう点もあわせて私は今日とられている、関連公共公益施設費の対策としてとられている地域自治体との団地を建てるときの協議、あいまいな協議などのやり方を私は抜本的に見直し、変えていくという姿勢があるのかないのか、空き家対策の問題に関連をしてここのところを、時間の関係がありますからお聞きを——余り多くを申し上げませんでしたが、これだけ一つ個別でやるだけで相当時間がかかります。しかし、大臣見解をあるいは総裁の見解を、この辺について明確にひとつお聞かせをいただきたいんです、問題点は明らかなんですから。
  54. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変広範囲の御質問でございまして、あるいは落ちがあるかもしれませんが、第一が住宅公団のあり方に関連して、持ち家主義についての御見解があったと思います。住宅公団のあり方につきましては、先ほど来公団側から、現在の空き家対策なり今後に処するお考えが示されておるわけでございます。この住宅公団の戸数削減が、これが問題の焦点として御指摘になったわけでありますが、私としては、住宅公団の現状をこれ打開しなきゃならないし、また現在ある空き家あるいは未利用のもの、未発注のものもありますね、これらを改善したり、ニーズにこたえたりするように措置するということは、これは五十三年度に四万戸建てるんだということに、それだけのものは五十三年度だけで見れば供給増になるわけでございますから、鋭意住宅公団が過去の苦い経験にかんがみていろいろ対策を立てる、また建設省も、先ほど局長から申し上げたような対策委員会でよく検討して、そして時勢に合うようにしていくということで、極力改善すべきだと思うのであります。まあしかし、その間にあっても戸数が減ることについての御批判があったんでありますが、私はいま申し上げたように、そういう改善によって供給が五十三年度では相当ふえるんでありますから、これは御理解をちょうだいしたいと思うのであります。  そこで、持ち家主義についての御見解でございましたが、住宅金融公庫の低利融資などから見ますと、非常にこの方に対するニーズは強いと見ておるわけであります。現に、一月の前倒しの応募の状況を見ましてもそうでございますし、また五十三年度におけるわれわれの計画というものは、今回五十三年度の予算で条件を非常に——まあ非常によくと言うと、そうでもないという御批判はありましょうが、しかし、償還期限や据え置きやあるいはローン減税、いろいろ総合しますと、私は相当改善をされておるし、それに伴う持ち家志向というものは強いんではないかと、こう思うんであります。  今後の措置といたしまして、五十三年度が公団に対して出資百億、建設補助百六十九億、補給金三百五十九億、合計して六百二十八億円になっております。これをもっと国費の負担をやれと、こういうことでございますが、それは私どもとしても、住宅公団がいろいろ改善されてもっと供給をふやす方がよろしいと、こういうことになってまいりますれば、大蔵当局との間で財政措置をもう少し充実することは考えられることではあると思いますが、ことしは別枠の公共施設整備三百億もお願いしたというような状況にございますので、まあわれわれとしては精いっぱい国としてやれることを五十三年度はとっておる。しかし、この経験に基づいて、さらに五十四年度に向かって前向きに進んでいくということは、これは私どもとしては考えておるところでございます。  なお、住宅団地の臨時特別税のことについてお触れでございましたが、これ、私十分よく経過を存じておりませんので、そのほかを含めて、私の答弁の足らざるところは住宅局長よりお願いしたいと思います。
  55. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 局長、簡単にね。
  56. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま大臣からお答えしたとおりでございますが、最後の、住宅団地建設を促進いたしますための臨時特別税約八十億を昨年の予算要求のときにいたしたわけでございます。これは御承知のように、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、関連公共施設の整備のための特別な財源として要求していたわけでございますが、これを予算決定におきまして、三百億円、従来の公共事業費に加えまして、別枠で三百億円を計上いたしたところでございます。したがいまして、税制そのものとしては実らなかったわけでございますが、一般会計の中からむしろ当初要求の八十億を超えて三百億をつけていただいたということでございまして、私どもとしては結果としてはむしろ要求よりもふえたんではないかというように考えている次第でございます。
  57. 案納勝

    案納勝君 時間がありませんから、私は引き続いて、休眠用地対策やこれらの問題は総括質問の際にやらしていただくとして、大臣、一言だけ、一つ申し上げておきたいと思うんですが、いま公共住宅といいますか、これは全体で六・九%、イギリスあたりに比べますと、イギリスあたりは三〇%を占めておりますね。で、いま国民はある意味ではその支払い能力を、要するに、持ち家主義ということを盛んに政府もやっていますが、確かに金融公庫等について、今回相当のてこ入れをされています。しかし、御案内のように、公団から賃貸しを——金を借りて地代を償還をして、こういうことで持ち家を建てても、事実上債権奴隷化していくというのが実態じゃないですか。土地はなかなか買えないですよ、特に庭つきだとか言うと。今日の賃金とか、さらには賃金との関係、地価、建設費の高騰等の関係考えた場合に、もはや一般のサラリーマンたちは自分の土地を新しく自分で買っていくという状態は、今日の段階、まずないんじゃないでしょうか。ないとは言い切れませんが、きわめて厳しい条件にあるんじゃないでしょうか。そして、町ではこの間から指摘されたように欠陥住宅がはんらんをしておるという中における私は住宅公団の役割りというのはいま大変重要だと思うんであります。だから、賃貸し公共住宅というものについて、もっと政府自身ウエートを置いた施策というものが私は必要だと思います。これを私は改めて住宅政策全体の問題の中でもう少し突っ込んだ論議をしなくちゃいけないと思います。  しかしながら、私が先ほど申し上げたのは、大臣、いまの住宅公団の個別原価主義家賃というものについてこの際私は見直すべきではないのかと、こういうふうに実は申し上げているところであります。これに伴う、さらには地方における、要するに団地造成の際における地方の公共公益事業の施設に対するこれらの施設費の配分、分担の問題あるいは金利の問題、あるいは休眠用地対策の問題というのは、戸数を減らしたから空き家の問題が解決する、断定措置をやったから解決するという問題じゃなくして、本質的にいま言ったような問題というものに本格的にこれは取り組まなければ、私は今日の住宅公団の問題は解決しないんじゃないか、こういう面で申し上げておりますので、ぜひそういった点についての御検討をお願いをしたいと思います。  いずれにいたしましても、時間がありません。残念ですがこれをもって打ち切りますが、これらの問題について改めてまた総括質問等でやらしていただくということで終わらしていただきたいと思います。
  58. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  59. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、建設省と、それに関係する住宅金融公庫及び総理府のうち、国土庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  60. 増岡康治

    ○増岡康治君 本日は、四十九年度の建設省所管決算審査しておるわけでございますけれども、ちょうどいま問題になっております公的住宅の問題が、会計検査院が先般国会へ出されました決算検査報告書というものが参っております。これを拝見いたしますと、この問題が特記事項として掲起されておりまして、この問題を中心にいたしまして会計検査院と建設省に御質問いたしたいと思っております。  まず、検査院にひとつ御質問申し上げたいわけでございますが、この検査報告書の百七十一ページ、この項は、「公的資金による住宅の建設及び管理について」と、こういうテーマでございますが、「特に掲記を要すると認めた事項」として、昭和五十一年度決算検査報告書において指摘しておるわけでございますが、この内容を簡潔にひとつまず御説明をしていただきたいと思います。
  61. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 御説明いたします。  建設省では、住宅の建設に関して総合的な計画を策定し、適正な居住水準をみずからの力によって確保できない低所得者層あるいは都市勤労者層の中所得者層などに対して、公的資金による住宅の供給を援助を必要とする度合いに応じて行うものとしております。これを受けまして、地方公共団体、住宅金融公庫、日本住宅公団等が公的資金による住宅を直接供給し、または住宅建設黄金の融資を実施しておりまして、国はこれに対し補助金、補給金等の財政援助を行っておりますが、会計検査院におきましては、昨年、地方公共団体、地方の住宅供給公社、住宅公団等が四十九年度から五十一年度までに新たに供給しました住宅の建設及び管理につきまして認否をいたしたわけでございますが、その結果、新築の賃貸住宅、分譲住宅に入居者がいないいわゆる新築空き家が多数見受けられたのでございます。  すなわち、北海道外九県の公営住宅におきまして、新築空き家が二千百五十三戸ありました。この建設費は百五億五千百万円、うち国庫補助金相当額は五十一億八千八百万円でございます。また、長野県住宅供給公社外九公社等の公社住宅等におきましては、新築空き家が千三百二十二戸ありました。この建築費は百六十九億九千万円で、そのうち、住宅金融公庫の融資額は六十六億五千四百万円となっております。さらに、日本住宅公団の公団住宅におきましては、新築空き家が一万四千五百二十三戸、この建築費が千四百七十九億四千九百万円ありましたほか、住宅の用に供することができないまま保守管理されている未募集の新築住宅が一万七千五百三十二戸、この建築費が千四百三十八億五千四百万円というようなぐあいでございました。  しかも、これらの新築空き家や未募集の新築住宅は、住宅難世帯が特に多いのに公的資金による住宅建設がはかどっていない大都市を抱える都道府県及びその周辺の県において多く見られる状況でございました。  このような事態が生じておりますのは、地価が大都市周辺で著しく高騰したことなどにより、供給される住宅には通勤等に不便なものや、居住面積の狭いものや、家賃等の高いもの、いわゆる高遠狭のものが多くなっておりまして、立地、規模等の質的充足を求めるようになってまいりました近年の住宅需要に合致しないものとなっていることによるものでございます。そして、このような状況がこのまま推移いたしますと、公的資金による住宅の供給はなお必要でありますのに、住宅建設のために投入されました財政資金がその効果を発現しない事態が継続するものと認められました。  さらに、日本住宅公団におきましては、すでに発注しながら未竣工の住宅が十二万五千百九十九戸もありまして、これらの未竣工の住宅のうちには、先ほど申し上げましたように、多量の新築空き家や未募集の新築住宅のある団地に建設されるものも相当数ありますので、このようなものは、完成しても空き家となるおそれがございます。  また、同公団が前記のように新築空き家や未募集の新築住宅を保有していることによりまして、これらの管理経費としまして五十一年度中に合計八億四千六百万円を負担しておりますが、そのほか、新築空き家についての五十一年度分の収入減相当額は六十六億五千五百万円に達しておりまして、一方、未募集の新築空き家に係る完成後五十一年度末までの金利相当額は四十七億六千万円にも及んでいる状況でございます。  このような事態につきまして、問題を提起する意味で、特に掲記を要する事項と認めまして検査報告に掲記したものでございます。
  62. 増岡康治

    ○増岡康治君 ただいまの概要をお聞きしておりまして、この問題は非常に重要だと私考えておるわけでございます。特に第二期の住宅建設五カ年計画、四十六年から五十年の総決算的な意味で検査院の方でいろいろ調べられたと思うわけでございますが、この指摘の仕方が、従来私どもが非常に見なれた、耳なれたといいますか、言葉には、不当事項だとか、あるいは意見を表示し、または処置要求だとか、いろんなことをよく私ども存じ上げておるわけでございますが、今回のこの指摘は、特に掲記を要すると認めた事項という表現の中でこういう問題が詳しく書かれておるわけでございますが、こういう一つ指摘事項というのは、会計検査院におかれてどういう位置づけの中で行われておるのか、その目的がどこにあるのか、あるいは会計検査院法の中でどういうことなのであろうかということもちょっと私も聞いておきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
  63. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 会計検査院では、財政支出の国民生活に与える影響が大きくなっている現状に対しまして、かねてから総体的な予算執行の効果が発揮されていないなどの事態につきましても検査報告に掲記する必要があると考えておったところでございますけれども、これらの中で、高度の政策的判断による施策を講じなければ解決できないようなものは不当事項にもなじまないということでありますし、といいまして、改善の措置を要求し、または是正の、改善の意見を表示するという事項にもなじまないということでございまして、このような事態があった場合には、問題を提起しまして今後事態の進展を図り、または今後の事業運営、経理執行等の参考に資するために、会計検査院法施行規則第十五条、「その他必要と認める事項を、検査報告に掲記することができる。」という規定がございますが、この規定によりまして、「特に掲記を要すると認めた事項」という表題のもとに掲記したものでございます。
  64. 増岡康治

    ○増岡康治君 この問題を検査院で非常にじっくりやられたということはかねて聞いておったわけでございますけれども、非常にタイムリーな問題を調べるに当たっては、非常に当時は検査院の組織も、この住宅公団だとか、金融公庫だとか、全国の住宅供給公社たくさんの問題を相手にいたしまして、これを調べられるに当たって、官房審議室でみんな集まってプロジェクトチームまでつくって大変な苦労をなさったということを聞いております。まあ私もそのバックデータの一部をいただいておりますけれども、相当の作業であろうと私は思っておるわけでございますが、それによって非常に各省と、特に建設省と検査院のやりとりの中で多くの文書が行き来しておるわけでございまして、その経過が今日の第三期の住宅設計画を進めるに当たって非常に私は参考になったんであろうと実は思っておるわけでございます。そういうことから考えますと、非常に努力されたこの報告書がこういう形で出ておるということにつきまして、検査院の方から見られましてこの措置要求を建設省指摘したと、建設省初め各関係機関にどういうことを実は期待をされて出されたのか、もし差し支えなければひとつ聞かしていただきたいと思います。
  65. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) すでに御承知のように、検査いたしました結果、公営住宅それから公庫住宅、公団住宅におきまして投下されました財政資金がその効果を発現していない事態、すなわち新築空き家や未募集の新築住宅が多数見受けられたのでございますが、これらの新築空き家や未募集の新築住宅の解消を図るために、地方公共団体、日本住宅公団、地方の住宅供給公社等では、広報活動の強化とか、住宅規模の拡大とか、いろいろの施策を実施しているところでございますけれども、さらに特段の努力を要望するというところでございます。  今後新築空き家や未募集の新築住宅の発生を防止するために各事業主体が住宅需要の変化を十分に調査把握の上、需要者の要求に応じ得る、こたえ得る住宅の供給を進める必要があると考えておりますが、国の政策上の根本問題が絡んでまいりますので、建設省初め政府関係の方々がその対策を考究していただくという必要があるものと考えておる次第でございます。
  66. 増岡康治

    ○増岡康治君 ただいまの御答弁のように、こういうふうな指摘の仕方ということは、検査院は検査院の立場でございますので、余り行政に入ってはどうかと言いながらも、なお決算立場から見て何か大いに議論してほしいということだと私は解釈しておるわけでございます。そういう意味で、これから建設省の方へ、まず住宅局長の方へ質問したいと思いますが、けさほどは案納委員から住宅公団についてさまざまな御質問を私拝聴しておりましたし、かつて当委員会、建設委員会等で住宅公団の問題は、いろんな問題が出されておりましてよくわかっておりますが、私はこの公営住宅の問題についてこれから御質問申し上げたいと思うわけでございます。  まず第一に、公営住宅の新築空き家の問題がいま検査院の方から報告されたわけでございますが、これについて建設省の今後の方策について質問したいと思うわけでございます。  ただいまの報告のように、公営住宅の新築の空き家が北海道のほか九県におきましても二千百五十三戸というような話でございましたし、これには約五十二億円の国庫補助金が、その効果をしっかり発揮しないままでおるというような指摘もいまあったわけでございますが、それならば、現時点におきましてこの新築空き家戸数というものは全国的にどうなっておるのか。その概要を住宅局長から御説明をお願いいたしたい。  もう一つ、さらにこのような公営住宅新築空き家発生の原因というものが那辺にあるのかと。どういうぐあいに建設省の方では認識をしておるかという点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  67. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま会計検査院の方からも御説明ございました公営住宅につきまして御説明申し上げますと、北海道外九県におきまして二千百五十三戸という御指摘でございましたが、この五十二年三月三十一日現在、私どもが全国的にそのほかの都道府県につきましても調査いたしましたところ、約倍の四千六百三十戸の新築空き家があったわけでございます。この四千六百三十戸が昨年の九月三十日現在ちょうど半年後でございますが、どうなったかというのを調べてみますと、これが二千三百三十戸、ちょうど半分になっております。しかしながら、九月三十日には、五十二年度に入りましてから新たに募集しました分から空き家が若干発生しておりまして、トータルでは四千百九十五戸ということになっております。このような事態になっておりますのは、やはり公団住宅と同じように遠、高、狭ということで、国民の住宅に対するニーズの変化に計画がついていけなかったということに相なろうかと思います。こういった点は先ほどいろいろ御指摘ございましたように、国民のニーズあるいはそういった国の資金が有効に適切に使われていないというようなことに対しましては、まことに申しわけないというようなことを感じているわけでございます。これの対策といたしまして、私どもはこういった基本的には国民のこういう住宅に対するニーズというものを的確に地域別につかまえまして、そして立地、規模、家賃等、適切なニーズに合うようなものをつくってまいりたいというように考えている次第でございます。
  68. 増岡康治

    ○増岡康治君 もう一つは全体の達成率の問題からこれをながめてみますと、この報告の中に、いわゆる住宅難世帯が特に多いのは大都市でございますが、その大都市地域においてこの住宅建設五カ年計画が最も達成率が悪い。このような重要な指摘が書いてあるわけでございます。このことは、ひとり公営住宅のみが原因ではないわけでございますけれども、大都市地域において、現在の公営住宅の建設が住宅難世帯の住宅需要に応ぜられないのではないかということになるわけで、これもまあ事実であろうと考えておりますけれども、建設省としてはこの原因がどこにあるのか、大都市地域が非常に悪いということについての問題をいま考えておるわけでございますが、これについてひとつ御意見を伺いたいと思います。住宅局長で結構です。
  69. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 御指摘のように、東京都、大阪、神奈川県、埼玉県、千葉県といったようなところで御指摘のように住宅が一番不足し、住宅に対するニーズが高いところで公営住宅の建設が計画どおりまいっておりません。  この原因といたしましては、公営住宅の建設に伴いまして、地元の市町村におきます関連公共公益施設の整備を初めとしますいろんな財源難からまいります公共団体との調整難ということがございます。それから、公営住宅を建てます際に、地元周辺の住民の方々との環境問題、いろんなものを含めますそういった調整が非常に時間がかかるというような問題。それから用地の問題でございますが、これは土地はまだまだあるようでございますが、そういった家賃、立地、それからそういったことを総合的に判断いたしまして、公営住宅の適地ということになりますと、なかなかこれが簡単に手に入らないというような問題、そういったものがいろいろ原因しましておくれていると思います。  これに対しまして、私どもも地方公共団体と一緒にこういった隘路の打開策というようなことにつきまして、いろいろ努力してまいっておりますし、昭和五十三年度予算におきましても、御承知のように、住宅宅地関連の公共施設の整備を促進するために、従来の公共事業費の別枠として住宅対策費の中に三百億円を計上いたしましてこれらの促進を図りますと同時に、特に公営住宅におきましては、従来単年度事業としてその年度に土地を買って住宅を建てるというような仕組みになっておりましたが、いま申し上げましたようないろんな調整に時間がかかります。したがいまして、用地だけを先に整備しようということで、二万戸分のそういった公営住宅用地の先行的な整備事業を新たにつくらしていただいたという次第でございます。
  70. 増岡康治

    ○増岡康治君 ただいまのお話のように、この住宅難世帯の把握の仕方の問題も多少あると思うんです。これ非常にむずかしい問題でしょうけれども、大体大都市地域における公営住宅に対する需要というのはどういう考え方に立てばいいのか、こういう問題と、現在、公的賃貸住宅の充実が叫ばれておりますけれども、実際には大都市地域で公営住宅がなかなか建てられないという矛盾があるわけでございますけれども、大都市では既存の公営住宅の空き家があるわけですが、この募集の際の競争率はどのような調子になっておるのか、これをあわせて住宅局長からお聞きしたいと思います。
  71. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 第三期住宅建設五カ年計画におきましては、いわゆる三大都市圏におきましては、自力でそういった公団住宅等にお入りできない方をいろいろ統計的に算定いたしまして、改良住宅を含めまして約二十八万戸の需要をはじき出しているわけでございます。これは大体全国の過半に当たるわけでございまして、これを見ましても、やはり大都市地域でそういった特に公営住宅階層の需要があるということでございます。したがいまして、お尋ねのいわゆる募集の状況でございますが、まず新築の公営住宅の募集の状況を五十一年度で見てみますと、東京が圧倒的に倍率が高うございまして、約三十七倍というような数字が出てございます。あと大阪の七倍、神奈川の六・四倍、京都の五・七倍というようなことでございまして、大都市地域を平均いたしまして七倍、全国平均の三・九倍を大幅に上回っているという状況でございます。  それから空き家につきましては、全国平均が二・九%という倍率でございまして、これに対しまして東京都が八・三%、神奈川県で六・三%、福岡で五・二%、大阪で四・六%というように、やはり大都市地域の方がこれは当然のことながら倍率が高くなっているというような状態でございます。
  72. 増岡康治

    ○増岡康治君 ただいまのお話を聞いておりますと、やはり大都市地域におきましてはなかなか公営住宅の建設がむずかしい問題もあるというのはよくわかるのでございますけれども、これを決算面で見てみますと、今度は昭和五十一年度決算とこの五十二年度決算見込みとでは、この関係の予算の繰り越し等いろいろな問題が起こると思うわけでございますが、こういう点から見てどうなっているかということと、特にこの大都市地域での予算の執行状況がどうなっておるか、これをまず住宅局長からお聞きしたいと思います。
  73. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) ただいま申し上げましたように、従来その年度に土地を買ってそしてその年度に建設に入るというような仕組みで公営住宅の予算が組まれております。したがいまして、先ほど申し上げましたように非常に調整に最近時間がかかるようになったということから、残念ながら繰り越しがどうしても出ております。五十一年度の決算でございますと、予算現額二千五百四十八億円に対しまして繰り越しが五百六十五億円、二二%でございます。五十二年度の決算の見込みでございますと、予算現額の二千九百三億円に対しまして四百四十八億円、予算現額に対しまして一五%というような繰り越しになっております。そのうちで、いわゆる東京周辺の四都県、それから近畿の大阪、兵庫、京都の三府県、それから愛知県というこの八都府県の部分を見てみますと、五十一年度で二百三十六億円、五十二年度で二百十九億円というように、過半がそういった大都市地域で公営住宅の執行がおくれているところになっている次第でございます。
  74. 増岡康治

    ○増岡康治君 いままでのいろいろ御説明を聞いて、私もこの全国の公的住宅——いまは公営住宅にポイントを合わしたわけでございますが、各地方では非常に住宅公団の誘致が盛んで非常にありがたがっているわけです。いわゆる公営住宅どうまくリンクさして非常にうまくやっておられる。非常に評判がいい。この大都市周辺だけがどこからいっても空き家問題が出るし土地問題、いろんな問題が山積しておるわけでございまして、国会におきましてもこの住宅問題というのが最大の議題になっておる。これは単なる行政だけではないので、われわれ国会筋もこれは大変な大きなテーマであろうということで日夜勉強を重ねておるわけでございますが、今回は幸いにも、検査院が非常に努力されて十分な調査をなさったせっかくの指摘事項といいますか、文句は三ページぐらいのものでございますけれども、これに行き来した文書というものは相当なものでございまして、こういう一つの資料をぜひとも行政に反映してほしいと願うために本日質問さしていただいたわけでございます。けさほども案納委員からお話がございましたが、いずれにせよ、この住宅建設という問題は、時まさに景気浮揚の時期でございまして、そういう面からも、公営、公団、公社等を含めてこの住宅建設事業が円滑でしかも適確に執行されることが一番大きな国是であろうと思っておるわけでございます。従来のようにいわゆる執行残がずっと累積していくということではこれは大変だと、こういう気持ちがするわけでございます。  こういう意味から、これからのこういう公営住宅を含めましての住宅政策、これから大いに予算を消化しようという見通しといいますか、これについて最後に建設大臣の方からその決意のほどを伺って、私は終わりたいと思います。
  75. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほどから、局長の方から、公営住宅等の公的住宅に対しての状況について御説明を申し上げておるわけでございますが、用地の取得難であるとか、あるいは関連公共施設整備に係る地方公共団体の財政負担の増大であるとか、あるいは地元公共団体もしくは周辺住民との調整の難航等、いろいろな原因があるわけでございます。  また、きょうは増岡委員が会計検査院の指摘など非常に有益な点があるじゃないかと、参考になる点があるじゃないかというふうにいろいろ御指摘がございましたが、それらのことも踏まえまして、国民の住宅に対する強い要望、それは低所得者層におきましては公営住宅に、また中堅所得者と申しましょうか、それは住宅公団に、また一般的には持ち家に対する相当な要望があるわけでございますので、これらのそれぞれの希望の向きに対しまして、従来も行っておるわけでございますが、われわれとして住宅対策全般の積極的な推進を図ってまいりたいと思う次第でございます。  ただ、公営、公団の分につきましては残念ながら現状からして五十三年度建設戸数を減らさざるを得なかったのでありますが、これはもう住宅公団などの今後の経営改善あるいは現状に処する施策などによって、五十三年度はその面からの戸数もございますのでやむを得ない措置だと思いますが、持ち家政策に対しましては、低利資金を住宅金融公庫で諸条件を緩和して提供をすると、こういうことで住宅問題が国民の強い願望である、また同時に、御指摘のような景気対策に非常に強い関連のある施策であると、こういう観点に立ちまして積極的な施策を推進してまいる考えでございます。
  76. 野口忠夫

    野口忠夫君 三十分ほどの時間をいただいて御質問申し上げたいと思うんですが、本委員会は四十九年度の決算をするわけでございます。大分古い決算になっておりますが、四十九年度を振り返ってみますと、日本の経済というものがインフレの中でどうにもならないような狂乱物価を来したものは土地問題が中心であったと、こういうふうに私どもは考えているわけであります。  先ほども午前中に案納委員から質問がありましたが、信濃川等の問題に見られる、お金をもうけるためにはどんな手段も構わないというような方向で土地の値段がどんどんつり上げられて、土地の上に建てた建物よりは土地の値段の方が高いと、こういうふうに言われるような状態をつくった、その末期的状態の中で田中金脈問題としてこの点のところが取り上げられておって今日の問題になっているんだと私は考えます。  とかく政治というものは現実的な当面の問題の中で埋没をするおそれがあって、振り返ってみて何が抑えなければならないものであったか、何を進めなければならぬかというような意味で振り返ってみるということが必要であろうし、さらには将来の展望を持つというような、そういう立場で政治というものを進めなければならぬと思いますと、四十九年度に与えられた課題というのは、これからの日本の今日の課題、将来に向かって非常に重要なものを持っておったのではなかろうか。午前中案納委員指摘したこの問題は、今後再びあってはならないと、こういうような願いを込めての御質問であったと思うんですけれども、土地の値上がりの中に政治的なものが入って、その政治的な工作の中である特定の人々が不当な利得を得た。一億の国民がそのことを認識しながら日本の政治の将来というものを考えていくとすれば、四十九年代におけるこの問題というのは、これから長い間どんなときになっても、どんなことがあっても守らなければならない政治的課題ではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけでございまして、改めて国土庁長官は、その意味での責任立場にあられると思いますので、午前中案納委員のために深い決意をお述べになられましたけれども、私は決算というものを通して知っていかなければならない一つ課題に対して、再びこのようなことのないような決意で国土庁長官を拝命なさっていると思うんですけれども、御決意のほどをひとつ承っておきたいと思うわけであります。
  77. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 信濃川河川敷の午前の御質問を踏まえての、私に対してどういう責任を感じておるか、また今後の地価問題に対しての考えを問うという御趣旨のように承りましたが、四十七年、四十八年の二年、四十九年の時点まで、三〇%以上の地価上昇を示しておったと思うのであります。四十九年の最終的なこの辺から石油ショックなどで総需要抑制政策がとられたことは御承知のところだと思いますが、その辺からずっと今度はマイナスに転ずるわけで、この四十九年を契機としてそういう大きな変化が起きましたが、四十九年度までの地価の異常な上昇というのは何かと、それは過剰流動性に伴い、また多くの人々が土地に狂奔した。中にはその地位やあるいは時に政治権力を利用して土地の確保を考えた人もあったような状況でございます。ですから、そういうような事態が再び起きてはならないということは国土庁責任者としての当然の心構えだと思うのであります。  最近、若干の地価の上向きかげんのことがございまして、いろいろ御心配をちょうだいいたしておりますが、そうであればそうであるなりに、私としては再び狂乱物価当時のような事態の起きないように最善の注意を払っていかなければならないと思う次第でございます。  一応所信を申し上げておきます。
  78. 野口忠夫

    野口忠夫君 そこで、国土庁長官にお伺いしたいんですけれども、これは去年でしたか、五月に、行政問題に絡みまして、当時の石原環境庁長官、この方は大分いろんなことを新聞記事に書かれる人でございますが、記者会見で、国土庁というのは高度経済成長時代の所産であり、今日ではもう存在理由がなくなったという発言をして、環境庁との統合をにおわせる発言をして大分閣議を混乱させたというようなことがございます。国土庁が発足したのは昭和四十九年の六月でございますから、これを新しく設けようとした発想、これはやはり列島改造論の推進としてその機能を持たせられたものではなかったか、この発言の中でもそういうことを言っているわけです。ところが、この列島改造は、先ほど長官の言われるとおり、肝心の全国国土の均衡ある発展、過疎過密の解消とか、あるいは交通ネットワークの拡大とか整備等とか、国土の総合開発という言葉はありますけれども、全く異なる影響を与えてしまいまして、企業を初めとする土地投機が異常なまでに行われたというのは先ほどからでわかるわけでありますが、環境庁長官は「一億総不動産屋」などというような言葉を記者会見で言われたようですけれども、そういう弊害のみがこの列島改造で進んでしまった。国土庁はそうした経済環境の変化に対応して、国会でいろいろ問題が議論されたようでありますが、その末に、とりあえず国土改造にかかわる総合調整機能を持たせることで発足させたと私は見ているわけでありますが、昭和四十八年の石油ショックと昭和四十九年に入ってからとられた政府の総需要政策に見合ったように、姿勢を低くして、地価の安定だとか国土の適正利用だとかに、いわば発想の転換を行わざるを得なかったのではないかと思うんです。こう考えてまいりますと、国土庁の持っている機能あるいは国土庁の持つべき性格、どうもあいまいな点が少なくないと思うんでございますが、何か、本会議の質問で申し上げたんですけれども、建設大臣国土庁長官が兼務になられたというような姿を見れば、国土庁というものは一体何か、どんな機能を持つべきか、明確な点がどうも全体として把握されていないように思うんですが、現在のような低成長下において国土庁は一体何をしなければならないか、その点について長官の御所見を承りたいと思います。
  79. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 石原長官が当時所見を述べられて問題を起こしたことを私も記憶をしております。ただ、石原長官の本意は、列島改造で非常な行き過ぎがあって問題を起こしておる、そこへ国土庁が発足して同じようなことであっては、これは環境庁としても黙ってはおられないというような心境のものではなかったかと。ですから、私は同僚の当時の国務大臣の発言で、まあ石原君の言うようなことを国土庁で起こしてはいけないということは一つ前提に持っておるわけでございます。  また、野口委員は、列島改造でもなかなか言っていることはよかったんだが、それは全然違ったことになったんじゃないかということをちょっとお触れになりましたが、私は国土庁が持っておる使命として、これからの国土の均衡ある発展を願う、そのための施策をやる、国民が安全で安定した生活の確保のできるようにする、いわばこれからの日本の国土のあり方につきまして、いい物差しを用意したい、この物産しで諸施策について十分注意をしていく必要があるんではないか。そういうことで十年の長期計画を立てまして、二百四十兆ほどのこれからの社会資本を投じよう。また、経済成長率にしても、おおむね五十年代は六%ぐらいがよかろうということを言ってまいったのでありますが、五十三年度は景気回復を目指しまして、ある程度の前倒し政策が行われておるわけでございますが、国土庁のねらいとしては、三全総によりまして定住構想に沿って人間居住の総合的環境の形成を図るため、大都市圏の整備、また、地方の振興のための施策あるいは安定した国民生活に不可欠な土地の適正な利用、この点はいま野口委員も強調されておったのでありますが、あるいは地価の安定、水資源の確保のための施策の充実強化に努めますとともに、国土庁は災害に対しての大きな責任を持っておるわけでございまして、これらの災害の防止や、一たん事が起きましたときの万全なる対策を講ずる、こういうような点が主として国土庁の持っておる目的であると思うのであります。
  80. 野口忠夫

    野口忠夫君 国土庁の設置法三条によりますと、いま長官の言われたような国土庁の任務として「国土庁は、国土を適正に利用することにより健康で文化的な住活環境の確保と国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい地域社会の形成に寄与するため、国土に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」とあります。また、第四条を見ますと、四条の所掌事務の中には、所掌事務及び国土庁の持つ権限、国土庁に与えられた権限について、その第二号として、「地価対策その他土地に関する総合的かつ基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること。」とあります。すなわち、この地価対策というのは、国土庁の所掌事務であって、地価に対する一切の責任国土庁が持っている、国民が健康で文化的な生活環境を確保しで、豊かで住みよい地域社会の形成をなしていくためには、諸悪の根源とまで指摘されました法外な土地価格を抑制して、国民が少しでも安い土地を手に入れることができるよう絶大な努力を払うことが国土庁のなすべき責任であるということになるんですか。この責任を果たして国土庁としては全うしているかどうかについて伺っておきたいと思います。
  81. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 国土庁が誕生いたしましたゆえんのものの中には、この第四条の所掌事務及び権限に書かれておることもさることながら、自社公民四党共同提案による国土利用計画法の執行官庁としても生まれた次第でございます。国土利用計画法は、言うまでもない土地取引の規制について諸般の規定を示しておるところのものでございまして、国土庁行政事務の中では最も肝要な施策の一つではないかと思うのであります。私どもはただいま野口委員が特に強調された、「地価対策その他土地に関する総合的かつ基本的な政策を企画し、立案」することにつきましてはこれは国土庁が最も重要な立場にあると、こういう認識のもとに各般の施策を遂行しておるわけでございまして、良質かつ低廉な計画的な宅地供給を円滑に行うために、低金利資金の確保あるいは関連公共公益施設の整備促進のための諸施策を講ずるとともに、宅地開発公団、日本住宅公団等の公的機関による宅地開発の推進と優良な民間宅地開発に対する各種の助成施策を講じまして、御質問の御趣旨の線に沿って努力をしておるところでございます。
  82. 野口忠夫

    野口忠夫君 過去を振り返ってみて、高度経済成長がパンクしてしまった最大の理由は、地価に対する歯どめを失って、ただ建設、建設だけで進んでいったあの中での地価の高騰があのような状態に押し込んでいったということは、私どもとしては常日ごろ指摘をして、これに対する対策を怠ってはならぬと、まず歯どめをかけて、その歯どめの中で建設というようなものも考えていくべきではなかろうかと。しかし、そのことは入れられるところとなりませんであのような状態に終わってしまったわけですが、今日この地価を安定させるためにとられている一つの方法として、地価公示制というのがあります。去る四月一日国土庁の発表した昭和五十三年地価公示価格で見てみますと、地価は昨年一年間に全国平均で二・五%の上昇となっており、国土庁としてはおおむね安定的な基調で推移していると、これは新聞報道で報道されているわけでありますが、国土庁としては本当に安定的な基調で推移していると考えているのかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
  83. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お尋ねの安定的基調はどこをめどに、何をめどに考えるかということに私はなるんではないかと。この総需要抑制後に年間九・二%下落した後、若干今度は逆に地価上昇に向いたわけでありますが、五十三年の地価公示、本年一月一日の調査地点の二・五%の上昇というのを、私はこれは他の諸物価指数、消費者物価あるいは卸売物価の指数と対比して二・五%はどうかというところから、現状の物価状況からするとこの範囲は安定と言えるんではないかと。特に、これはもし私が間違っておったら後ほど訂正いたしますが、昨年の一月一日から十二月末、要するに昨年の一月の地価公示からことしの一月一日の地価公示の間の消費者物価を——これは暦年度というわけですから、でとってみると、八・一ぐらいになっておると思うんですよ。そうすると今度の場合は地価公示の方は二・五ということでございますから、だからその辺を考えてみて、まあ私は上がるということは好ましくないが、この範囲は安定と申し上げられるんじゃないかと、こういう次第でございます。
  84. 野口忠夫

    野口忠夫君 おおむね安定的な基調で推移していると、これはこの地価公示制による地価公示価格がそのようにあるわけでございますが、確かにあの昭和五十年ごろから地価は一応鎮静化の様相を見せているようであると思います。それはいま長官のおっしゃったとおり、国土庁の仕事である国土利用計画法による大規模土地取引の規制や地価公示制度、そのほか税金面での遊休土地への重課などが効を奏したとおっしゃるだろうと思うんですけれども、その努力は一応私も評価したいと思うんです。しかし、本当のところは、土地が値上がりしなかった一番の大きな原因は何か。これは政府側の失敗によって起こった不況のためと、地価がすでにもう庶民には手の届かないところまで上がってしまっていたことによるものであろうと思うんです。景気が悪いため、土地を必要とする事業は差し控えるし、宅地の欲しい庶民は手が出せないのであって、公示制度国土庁の行政努力の結果だけではないと思われるわけであります。  そこにもってきて今度の五十三年度予算で、四十九年には総需要抑制、今度は景気回復ということで膨大な公共事業だ、住宅建設などと大盤振る舞いをしようとするものでありまするから、すでにもう先ほど長官の言われたとおり宅地値上がりの芽生えが見られているのであって、それを安定的な基調で推移しているなどと気楽なことを言っておったんでは、国土庁の持つ責任としてこれはどうも危険ではないかと思うんですがね。何となく地価はあんまり上がらないんだ、上がらないんだということの中でいわば宣伝みたいな形でばかりやっているんじゃなかろうか。実際は地価は上がっていくのではなかろうかという危険性を考えながら国土庁として当たっていかなければ、もしそうなった場合手の打ちようがなくなってくるという自由主義経済の中でのあり方をまた経験することにならないだろうか。国土庁がなすべきことは、上げてはならない地価でございますから、これを必ず抑えつけていけると、こういう自信の中で見守っていく役目だと思うんですけれども、安定的に推移しているということになると、何となく穏やかな空気になってきて、そこに公共事業と、こういうことになってまいりますと、またぞろ地球の表面の土の値段というものが人間の労働で働いていく価値よりも高いようなものをつくり上げていくおそれは多分にあるだろうと思うんですよ。そのことに対して国土庁としては責任を持っていくべきだと思うと、どうもこの安定的な基調というような言葉での表現が何となく納得できないわけですけれども、本当に安定だとお考えになっているかどうか、お尋ねしたいと思うんです。
  85. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生のおっしゃいますとおり、現在の地価水準は相当高値感を持っておるということはわれわれも承知いたしております。しかしながら、高値感の上にさらに地価が高騰するということであっては決してならない、むしろこの安定的な値上がりにつきましてわれわれとしては今後も最大限の努力をして確保していかなければならないというふうに考えております。むしろ、その高値になりました地価の中で、どのようにして国民の皆さんに土地の供給等に努めるかという施策の方がむしろ問題であると思っております。さらに現在のように、地価を安定的基調で推移するというふうな政策を進めてまいりますと、やはり世間の諸物価等との間にだんだん時間がたつにつれて径庭がとれてまいります。私どもの考え計算をしてみますと、現在の地価水準は非常に高値安定ということでございますけれども、やはり消費者物価等の諸物価と、それから地価の指数的な問題を考えてみますと、ちょうど昭和四十五年の終わりごろの数字まで現在なっておるんではないかと思っております。さらに、われわれといたしましてはいろいろな施策を講じまして、地価の安定的な基調というものを確保するということに最大の努力を尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  86. 野口忠夫

    野口忠夫君 もう時間があと二分きりなくなりましたので、中途になってしまいましたがね。  最後に、これは新聞記事です。毎日新聞の「記者の目」というところにある記事でございますけれども、この方は、住宅が欲しくて土地を探しながら東京の町じゅう歩ったらしいんですね。その実際の体験談を、ここに切り抜いてきたんですが、ずっと書かれているわけです。実に不思議だというんですね。発表された公示価格の値段と不動産屋の店の前にぶら下がっている値段とは余りにも差があり過ぎる、一体これはどうしたことなのだろうか。公示価格というものがあるんだが、こういうような価格になって出ている。それは、計算してみると約二倍から三倍の価格に上がっている。公示価格で言うと一千五百万ぐらいのものが三千万から四千万という値段で出ている。  一体この公示価格というものと実勢価格、この間における開きというものはやむを得ないことなんでございましょうか。価格表示をしようとする何人かの方が、国土庁の中でこの価格を決定する方がいらっしゃいますね。私は、この価格の決定するときの基準が問題だと思うんです。やはり近傍土地とのつり合い、あるいはそのある場所によっての違いというようなことで加味される公示価格というものが、結果的には、この新聞記者の方は東京の町じゅう歩ったけれども、とてもじゃないけれども非常な差がある。この差のあるものを一体公示価格の中でどの程度に抑えつけていけるかという観念を——やはり土地をもって金もうけをしようとするような形に持っていかない。いわば、これだけの勤労する者がこれだけの所得があったら家は何年後には建てられるというような意味での公示価格というものになっていかない限り、この公示価格と実勢価格というものの差はなくならないし、土地をめぐっての大きな金もうけというようなことはなくなっていかないであろうし、結果的には、その土地を抑えて地価の抑制を図ろうとする国土庁の仕事も進まなくなっていくのではなかろうか。  もちろん自由主義経済でございますから、土地が売買されて若干の利益があることは当然だと思うんですけれども、最近新幹線も通るようになる、あるいは国土開発の高速道路というようなことも出てくる。一括それを一つの規制の中にはめようとしても、実際は手に入らない、それだけの値段を出さなければ。で、この新聞記者の方は、ついまだ家を建てないでいると。最後に結んでいわく、ひとつ公示価格を示した国土庁がこれから土地の販売の請負をやってくれないか、公示価格で売りましょう、ここを売るから来いと言えば、私は真っ先に飛んでいってその土地を買いましょう、そうすることによって景気はもののみごとに回復するのではなかろうか、あえて私は提言したいというて、このおしまいの方に提言までなさっているわけですが、一体この公示価格というもののあり方ですね。これは一体こんなにあの不動産屋の店に並んでいるものとの差があって庶民の手に遠いところにあるという、国土庁は、地価を抑えて安い土地を提供して、国民に文化的な幸せな生活を与えようとする役目を持っている限りにおいて、私はこの店頭価格というものと地価公示価格の差が二倍も三倍も開いていることについての一体この手の入れ方はどのようなことになるべきなのだろうか。なかなかむずかしい問題であろうかとは思いまするけれども、そうでなければ本当の意味での地価の抑制はあり得ないのじゃないかというような気がするわけですけれども、御返答いただいて、もう時間が来ましたので質問を終わりたいと思うんです。
  87. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公示価格は、独立性を有しております土地鑑定委員会が毎年正常価格ということで公示をいたすものでございます。  この公示価格の決め方でございますけれども、もちろん数名の鑑定者が関与するわけでございますが、それぞれの標準地におきまして、近傍類地におきます数多くの実際の取引事例の中から、特殊な事情のものをまず除いて、正常と思われる取引について参考にする。それからさらに、土地の収益から算定されます価格、それから造成原価の各要素、こういうものを織り込みまして判定する正常な価格でございまして、いわば売り手にも買い手にも片寄らない客観的な交換価値を示すものだというのがたてまえでございます。  現在、これは何に機能しておるかと申しますと、一つは公共用地の取得価格の決定、それから収用委員会の補償金の算定の場合に規準とすること、それから国土利用計画法によります土地取引の届け出制におきましても、これを規準として土地取引の規制を行うこと等が大きな内容になっております。  この場合に規準という言葉を使っておりますけれども、あらゆる基礎の基という字を使うのじゃなくて、御案内のとおり規という字を使った規準でございます。この規準とするという意味は、地価公示法にも特に一条設けておりまして、単に地価公示価格そのままで売買をしろというのじゃなくて、先ほど先生もおっしゃいましたように、そういうふうな標準地の価格一つの標準といたしまして、そこからの距離であるとか、それから敷地の広さであるとか、品質であるとか、土地の環境であるとか、そういうものを加味をいたしまして、その標準地とそれぞれの取引価格との間に均衡を保たせることが規準とするということだというふうに地価公示法で明示してございます。そういう意味に活用していただくというのが公示価格の使命でございます。  なお、その他の一般の土地取引におきましてもやはり指標としなければならないというふうに地価公示法には決めております。  で、毎日の記者の方とも実は私もお話ししたわけでございますが、やはりそういう国土利用計画法の運用によります届け出制度の網を外れましたものの中に若干そういうふうなものがあることは私は事実であろうと思います。しかしながら、たとえばその中にはいわゆるミニ開発——小さい宅地に建て売り住宅をつくりまして、土地だけでは分譲していないというふうなものもございます。したがいまして、そういうものにつきましては、先ほど申し上げました正常な取引事例の中からは排除をしておるというふうなことがその辺の乖離の一つの原因であろうかと思います。で、建て売り住宅を探したら適当なのがないというのがお話でございますけれども、そういう意味から申しますと、私はむしろそういうふうなものにつきまして、届け出制度を経ました適正価格で売買される民間の者をお呼びになったらどうかというようなことも申し上げてみた次第でございます。  しかし、いずれにいたしましても、地価公示価格がいわゆる標準的な地価ということでだんだんその意味を重くしてまいっておりますし、われわれといたしましては、土地鑑定委員会ともども、その正確さ、もしくは地点の選定の正確さ等につきましても今後万全の注意を払ってまいりたいというふうに考えております。
  88. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣国土庁を中心にして、大規模の地震対策要綱をまとめて、一昨々日ですか、閣議了解、本国会でこれは提出してこれから法案についての審議が始まることと思いますけれども、私は非常に特殊な法案なものですから、一回このことについてお伺いしたい。特に自衛隊との関係性、これについてお伺いしたい、こう思いまして、まずこの要綱、法案をつくるに当たりましての、ひとつ国民に認識を求めたいことあるいは訴えたいこと、俗な言葉で言えば目玉等について大臣からお話しいただけますか。
  89. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 第一は、いま東海大地震を懸念している向きがございます。そこへ震度の四、五程度の地震が各地に起きておるために、地震に対しての予知ができるのかできないのかというような点につきまして、   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕 今回の立法の中では、東海大地震はまずマグニチュード八ぐらいな大きな要素が考えられると。そういうものについては予知ができるかできないかと。これは大体いままでの学者の方々の意見からしてもまずできるんではないか、こういうようなことで、今度の立法の中では、まず第一が、専門家によるすなわち現在では気象庁にいろんなデータが皆まとまってまいりますから、気象庁の方から総理報告があれば、それに伴って総理が警戒宣言をするという順序を考えたわけであります。ただ、その間予報が外れた場合どうかということについて懸念をいたしたのでありますが、そういう場合には、おおよそそれは意外であったと、そのために迷惑を受けたとか、損害を受けたとかというと補償問題などが起きますので、その辺はどうかという点については、日本は地震国でもあり、そういう予知が外れた場合は、もうそういう要求をしないような大体の情勢、特に東海大地震の、この地域は危険だというところの世論というものがそこまで来ておりますから、これは空振りの場合は懸念しなくても済むということで、まず大きな柱として予知をすることを立てまして、そしてそういう予知があった場合の強化区域というものを考え、この強化区域に対する事前の諸対策を立ててもらおうと、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  90. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ警戒本部をつくって、総理が自衛隊に対して出動要請をするとか、そういうことも入っているわけでしょうけれども、くしくもいま大臣から予知のことが話されましたけれども、気象庁と国土地理院あたり、この法案といまの予知のむずかしさとの関係性みたいなもの、ちょっとお話しいただけますか。
  91. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  現在、地震予知の技術がどのレベルに達しているかということでございますが、この予知技術は実用化の域に入りつつあるとはいえ、現在なお研究開発の段階にあるわけでございます。しかし、これまでの研究観測成果を踏まえますと、ただいま国土庁長官も御答弁になりましたように、マグニチュード八クラスの巨大な地震につきましては、その発生の予想される地域に各種の観測網を密度高く展開いたしまして、その観測網から上がってまいります観測結果を集中いたしまして、それでそれを昼夜の別なく常時監視を行うということをやってまいりますれば、この法案の中に盛られておりますような地震予知情報につながる前兆現象は発見できるという段階に技術は現在達していると私ども判断しておる次第でございます。
  92. 高崎正義

    説明員(高崎正義君) ただいま気象庁の末広参事官からお話があったとおりでございまして、国土地理院では地震予知連絡会というものの事務局をしておりますけれども、これは地震に関する業務を担当いたしております国の各機関が集まりまして情報を交換いたしまして総合判断をするというような組織でございますが、過去九年間ほどそういう会議を続けてきておりまして、特に観測を強化すべき地域といったようなものを設定いたしまして、そこで、いま末広参事官からお話がありましたように、各種の観測を総合調整して、気象庁でそれをまとめるという方向で現在仕事を進めております。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 地理院の中の連絡会なんかには相当話があってこの要綱の完成になったんですか。何か一部マスコミによりますと、予知については全くつんぼさじきであったと、こういうおしかりのコメントが各方面から出ていたと、こういうことでありますが、一部マスコミの的確性は私は知りませんもんで、この席で聞きたいわけですから、地震予知連絡会あたりの意見は完全にこの要綱の中に盛られていると、こう了解してよろしいですか。
  94. 高崎正義

    説明員(高崎正義君) 事務局を担当しております国土地理院といたしましては、建設省として意見をまとめて国土庁とも十分話し合いを進めて今日の結果に至っているというふうに承知しております。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然そうだと思いますね。いま予知連絡会が始まって八年、九年、この間においては実用化の方向と。むずかしいことはこれは当然世界周知の事実ですけれども、実用化の方向、マグニチュード八くらいなら実用化。ところが、過去においてはそういうことは一回もないわけですね。何月何日、どこでという予知は一回もなかったわけですね。今後はそういうことはできるという参事官のいまの答えと、また院長のそういう答弁と私了解したんですが、今後はできるんですか、予知が。東海のマグニチュード八に限っては可能だということですか。
  96. 高崎正義

    説明員(高崎正義君) そうでございます。
  97. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、東海地震についていままで調査してきたその調査段階と、マグニチュード八という強力なこの震源、この二つをもって可能であって、どこか同じようなエネルギーの八なり、それに近いものがあっても、これは予知できないと、こういうことなんでしょうか。東海地震だけに限ると、完全に予知できると。それから直下地震はどうなんでしょう。
  98. 高崎正義

    説明員(高崎正義君) 東海地域に関しましては、地震予知連絡会の機構といたしまして判定会をつくりまして、ただいま末広参事官が申し上げたように、集中観測をいろいろな分野から強化しております。それで初めて可能であろうというような段階でございまして、他の地域に関しましても、十分な調査と観測網を張るというようなことが今後次第に行われてくるかと思いますけれども、そうすればほかの地域でも可能であろうかと思います。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、私たち非常に認識が浅かったんですけど、東海地方を含めて他地域においても、これからは大規模地震については全くまくらを高くして眠られる、事前に予知があると。そのときは国会も休みにしてうちに行って防空壕にでも入っている、こういうようなことになるわけですな。これは大丈夫なんですか。非常に私たちは、そんな地震予知なんてなことはできないんだと。中国あたりの、あるいは日本でも一部のナマズだ何だなんという、ああいう原始的なもの、あのぐらいに頼るよりほかないんだと。非常にいまの科学的な先生方が集まって積み重ねた知識というものがまだ予知には非常に、しかも、短期的には実用化にはいかないんだと。地震についての予知なんというのはもう全くお手上げなんだと、こういうふうに、これは私も素人なもんで、いままでのマスコミやなんかを通じて認識してたんですが、これからはそうじゃないんだと。東海地震に限っては——何回も、これで三回目で恐縮なんですけれども、あるいは他地域においても、経験と積み重ねと事前のその調査があれば予知はもう、完璧と言うかどうかわからないが、相当できる体制にあると、こういうことですか。
  100. 高崎正義

    説明員(高崎正義君) 私、国土地理院といたしましては予知連の事務局を担当いたしておりまして、お集まりの先生方、あるいは各省庁の機関の方の意見のまとめ役をやっている場所でございます。先ほど参事官ももちろんわれわれの有力なメンバーでございますが、ああいうふうに集中観測といったようなこと、あるいは繰り返しの測量といったようなことを頻度高く行えば、さっきのマグニチュード八といったような大規模なものに関しましてはかなりの程度までアクセスしているというふうに考えております。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構なことなんです。もうそうあってほしいわけでありまして、そこで大臣、私聞きたいのは、警戒本部長をつくるわけですね、予知に伴って。それが本部長は総理と、こういうことですよ。これなぜ総理でなきゃいけないでしょう、警戒本部長。ということは、要するに自衛隊に対しての出動要請ができるわけですね。その出動要請ができる権限を持っている人が総理大臣と、こういうことに決まっているわけですが、これ総理大臣でなきゃならない理由というのは何なんでしょうか。
  102. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 一たび災害が起きますと、大きな災害の場合には災害基本法によりまして緊急災害対策本部の設置がされるようになっております。その場合は内閣総理大臣が本部長になると。この今回の立法により強化地域が指定されて、マグニチュード八程度の地震の予知が行われると。で、警戒宣言をして警戒本部が設けられると、その警戒本部が即緊急災害対策本部に移る要素を持っておるわけです。  それから、なぜそれじゃそんなふうな考え方に立っておるかというと、これは大規模な場合に各省庁広範囲にわたるわけでございます。そこで、気象庁からの予知報告を受けた場合に、事前の準備なども命じなきゃなりません。先ほどから自衛隊の出動のことにもお触れになっておりますが、そういう措置も講ずると、こういうことになりますど、広範囲な各省庁に関係をすると。こういうことで、これはやはり総理大臣が本部長になるべきものではないかと、こういう考え方になったわけであります。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 対策本部の本部長、だれですか。
  104. 河野正三

    政府委員(河野正三君) マグニチュード八程度の災害が発生いたしますというと、関東大地震級になろうかと思います。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、別にマグニチュード八を前提にしなくてもいいの。
  106. 河野正三

    政府委員(河野正三君) そこで緊急災害対策本部が設置されることになりますと、本部長は内閣総理大臣でございます。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 警戒本部と対策本部はこう分かれるんじゃないですか。  さらにもう一つ私言いたいのは、対策本部のときには、県知事が——自衛隊に関してですよ、出動要請ができるのは地元の県知事ができるわけですね、出動要請を。もし、警戒本部と対策本部と連動するというならば、現法案で対策本部のときに県知事が出動要請できるんですからね、そのまま警戒本部だって県知事が出動要請したらいいじゃないですか。県知事の権限を警戒本部の中に移行したって全然文句ないじゃないですか。  なぜ私言うかというと、これは防衛局長がいらっしゃいます、専門家ですけれども。総理大臣は言うまでもなく自衛隊三軍の実際的な権限者ですよ。防衛出動、治安出動、これはもう総理大臣の命令しか言うこと聞かないわけですね。それが今度は地震の予知、それに対して総理大臣が三軍に、自衛隊に対して出動命令を下すわけですよ。そうすると、地震ということ、予知ということが前提である、これは私わかっての上ですよ。平和時においても三軍の自衛隊に対しての総理大臣の権限は自衛隊に届くわけですね。平和時にも総理大臣の権限というのは拡大されるわけですよ、拡大される。そうすると、私は、自衛隊についてはやはりただ単に排除するという意見だけを持っているのじゃないんです。ですけれども、やはりまだまだ自衛隊問題に対しては厳正に、なるたけ国民の疑惑を少なくして正しい世論というものを起こした方がいい、つくった方がいい、理解される自衛隊でなければならないと、こういうことは絶えず防衛庁言っているとおりなんです。総理大臣も繰り返しているとおりなんです。ところが、実際の有事のときに自衛隊に対して権限を持つ総理大臣が、予知ということを前提にして、しかも、その予知もどこまで的確にできるかわからないですよ。そういうものを前提にせよ、平和時において自衛隊に対して出動要請できる。  それじゃ防衛局長。地震予知があった、気象庁長官から総理大臣に。警戒本部をつくった。自衛隊が出て何をやるんですか。東海方面に自衛隊出た、何やりますか。伊豆の旅館がこの前倒れたから、その旅館の周りへ行ってこう警戒していると。あるいは、地殻の変動があすこにあったから、その断崖絶壁を一日じゅう警戒している。何をやるのですか、自衛隊は。出動の目的。予知があって、総理大臣を本部長にした警戒本部ができて、それで自衛隊を要請して自衛隊は何しますか。
  108. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ちょっとその前に。  緊急災害対策本部の方は、これは先ほど申したように、災害基本法で災害が起きてしまった後のことで、たとえば緊急災害対策本部でない、規模の小さいと申しましょうか、この間うちの有珠山とか伊豆大島沖の場合は、そういう場合は国土庁長官の私が本部長になっておる。そういう非常に広範囲の場合、災害基本法で総理ですね。そこで、今度の地震立法による警戒本部長の場合、やはりこれが各県に、また各省庁にまたがるので非常に論議をしたわけです。国土庁長官でもいいじゃないか、いや、そういうわけにいかないというようなことで、やはりこれは総理にお願いしようということになりました。  そこで、いまの御質問の中で、これは恐らく御同感が得られると思うのですが、自衛隊に対して総理が権限を持っておられますね。そこへ災害については別途今度は他の国務大臣が、防衛庁長官がおられるにもかかわらず、何か命令権限を持つというのもどうかなというようなことから、やはりこれはいわば御質問の趣旨から言うとダブった感じになりますけれども、しかし、これは大地震である、災害に至るまでの間の非常措置をとる警戒本部長である、そしてその任務についてやはり総理とするなら、総理が自衛隊の出動要請もできるということが妥当じゃないかというような、そういう考え方から結論に至ったと、こういうことを御説明申し上げます。
  109. 黒柳明

    ○黒柳明君 局長の答弁聞いてからあれしましょう。
  110. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいま大臣から御説明がございましたが、いま先生がおっしゃいました中で、いわゆる総理の命令で出動するというお話でございますが、これは総理の要請を受けまして防衛庁長官の命令で派遣をするという形になろうかと思います。したがいまして、従来、知事あるいは海上保安庁の関係責任者等がございますが、要請を受けるという立場からいたしますと警戒本部長からいただくということでございます。したがいまして、その指揮、命令権に基づいて行動するというのとは、防衛出動の際、あるいは治安出動の際とはいささか内容が違っているかというふうに認識いたしております。  そこで、この出動した場合に、この予知の段階でどういうことができるか。これは実はなかなか自衛隊として何ができるかということは、災害派遣と違いまして、現在そのすべてを網羅して申し上げるということはなかなかむずかしいわけでございまして、私どもこの法律に従いましてこれからさらに検討を進めなければならないと思いますが、災害派遣要請、八十三条に基づきまして実際に出て行いますような具体的な救援活動というものが直ちに行われるというものではないというふうに理解いたしております。  したがいまして、具体的なものといたしましては、まずその情報の収集、すなわちその地域における災害が発生した場合の救援活動その他に伴いますいろいろな情報の収集、地形の偵察等を事前にやっておくということ。それから必要な地方自治体との連絡のために関係機関に連絡員を派遣しておくというようなこと。それから、まあある地域が指定されます。そして予知が出てまいりますと、いま申しましたように、きわめて大きな災害が起こる可能性がございます。したがいまして、その付近の部隊だけでは十分な救援活動というものができない場合もあろうかと思いますので、そういう場合に、遠方の部隊から必要な人員を最寄りの部隊に集めておくというようなこと。あるいは、予知に関しましてあるいは警戒声明に関しまして、地方住民にいろいろな伝達事項を地方自治体でおやりになるようなときに、私ども航空機あるいは車両等を持っておりますので、そういうので御援助申し上げるというようなこと。あるいは医療品を緊急にその周辺に輸送するために、自衛隊の飛行機その他を用いてそういう対策を講じておくと、まあどちらかといいますと、災害が起きたときにできる限りの救援活動ができるような体制をとっておくということが重点になろうかと思います。  そんなことなら現在の災害派遣の条項の中の準備行動としてできるではないかという御意見もあろうかと思いますが、この点につきましては、八十三条に基づきます災害派遣でそういった準備行動というものが法律上認められているかということにつきまして、私ども国土庁あるいは法制局等といろいろ検討しました結果、八十三条ではそういった準備活動というものは少し無理ではないかと、したがって、いわゆる災害派遣の前の防災派遣といいますか、そういったものを法的にはっきりさしておく方がいいだろうということになったわけでございます。
  111. 黒柳明

    ○黒柳明君 まず大臣の方から聞きますけどね、要するに警戒本部が即対策本部になるかどうか、これはわからない。予知があったからすぐ災害、大地震起こるかどうかわからない。平時は大規模な緊急災害対策じゃなければ、長官が本部長になって、県知事が自衛隊に対して出動要請できると、こういう体制もあるわけですね。それに移行する可能性だってあるわけ。あるいはこの予知はあったけど、全く空振りだったということあるわけでしょう。よろしいですね、長官。だから警戒本部が即対策本部にいくんだと、それからすべて総理じゃなきゃ統轄できないということはないの。建設大臣が統轄するんですよ、平時においては。上平時においては統轄するんですよ。そのときには県知事が自衛隊だって要請できるんですよ。そういうものがあるんです、既成のものに。その既成のものがあるにもかかわらず、緊急の対策本部ならまだしも、警戒体制のときから——いまの局長がおっしゃったことだと、私ちょっと——まあその次、局長に聞きますけど、疑問があるんですけれども。平時においてですよ。平時において、さっきも言いましたように、自衛隊の直接の指揮者、これが正確に言うと警戒本部長である総理の要請を受けて自衛隊出動するの。で、防衛庁長官が出動させるの。だったって、そんなの、防衛庁長官金丸さん、福田さんのもとで頭上がんないよ。そんなことは常識的だ。そんなことは形だけのもんでありますけど、実際に自衛隊の三軍の指揮者は総理である。その総理が本部長になって要請するったって、要請という形はこの要綱、法案の中で明示されているけど、実際には要請したことを金丸さんがノーと言うわけにいかないじゃないですか。要請即ストレートにそれで出動すると、こういう体制であることは間違いないわけです。平時でありますから、有事や治安出動と違って、警戒本部長として総理が要請すると、こういう文言句々になっている。これはもう当然そうしなきゃならないでしょうね。  ということは、私はこの形態がどうなるかと、ちょっと飛躍しますけどね、局長。たとえばいま強化地域、これからまあ検討されて、東海がそうであるか、南関東がそうであるか、決まるわけでしょう。まあ東海が非常に可能性が強い。南関東だっていまこの観測の対象地域になっている。すると、南関東地域が、要するに予知の連絡会か何かによって、あるいは気象庁によってその強化地域に指定された、そうなった場合に、警戒本部ができた。そうすると、今度まあいまの時の問題だから言うわけじゃないんですけれども、成田の空港に対して自衛隊が出動できる。まあ金丸さん、きょうのこれまた某一部の新聞に、金丸さんは成田で自衛隊はできると言ったりできないと言ったり、口先が軽いなんておしかりを受けておりましたですけれども、そういう理論までいく可能性はあるんじゃないですか。  また、いまは自衛隊としては、大臣、自衛隊を使う場合には——使うと言っちゃ失礼ですけれども、自衛隊との関係においては、これから私災害と自衛隊の関係についてここでやるんですけれども、非常に問題だらけなんですよ。問題というより不備だらけなんです。それを踏まえて私はいまこう、冒頭に飛躍するようですけどと言って話すんですけど、東海地域があるいは南関東地域が現に対象地域になって、調査地域になって、それが指定地域になって予知警戒本部となったら、いま目玉になっている成田だって自衛隊の派遣可能なんですよ。そのときの目的も何もないんですよ、この状態じゃ。情報収集だ、これでいいわけでしょう。そういう懸念があるじゃないですか。私はこれ断定したくないの、大臣。だからと、こう言いたくないです。ですけど、自衛隊のことについては、何かこうエスカレートしてしようがないとか、こういう意見があるんですから、そんな疑惑を積み重ねちゃうまくないという、私はむしろ善意なつもりです。と同時に、非常に私自身警戒しなきゃならぬ、疑惑があるのです。  また後にやりますけど、自衛隊の災害対策が非常にずさんだ、こういうことも含めまして、こういう法案がこういう疑惑をたださないままに、ただ皆さん方善意なんだと、総理が全体統轄するからだと。既成のものだってできるんですから、そういうことについて。大臣だってその権限持たされているんですから、いざとなった場合にはですね。県知事だったって、自衛隊の出動要請できるんですからね。そういうものをおいて、災害対策に名をかりた、要するに総理が平和時に対しての自衛隊に対する権限の拡大だと、こういう疑惑が出てくる。これはしようがないんじゃないですか、大臣。いま言ったように、南関東地域がその指定強化地域に含まれた場合に、あの成田の空港に対して自衛隊の出動、情報収集、これできるでしょう。まあ仮定のことで申しわけないですけれどもね。
  112. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 法案提案後に——まだ提案の趣旨も十分御説明もしておりませんし、また私も、きょうは決算委員会のことで十分な勉強もしておらないので、先ほども要請を出動とかいうような言葉も間違ったりしておりますが、ただいまの御懸念の点は、強化地域を指定した、それが警戒本部との間にすぐつながるとは私は思わないのですね。
  113. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、ぼくがそれ言ったんじゃないの。いまつながるって言ったから、ぼくがそうじゃないでしょうと。
  114. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いやいや、そうは言っていないと思うんです。
  115. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、対策本部から、警戒から対策って大臣が言ったから、ぼくは必ずしもそうじゃない……
  116. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いやいや、それだったら訂正します。私はそういうつもりでなかったのですが……。  強化地域は、これはこの法案ができたら、強化地域の指定は、東海大地震のおそれがあるところは強化地域の指定をすると思うのですね。それで強化地域の指定をすると、事前措置というのがございますから、その方は防災計画とかなんとかやりますね。しかし、この警戒本部の設置は、予知が行われてそうして初めて警戒本部の設置になるので、この予知の行われる場合というのをもう少し専門的に後で御説明さしていいと思いますが、私の現在までの記憶では、一時間に相当数の回数の地震が群発しておる、そしてそれが二時間とか三時間とか続いておる、いよいよ地震のおそれがあると。それは短いときには予知をしたらもう二十分か三十分で起こる場合もあるし、あるいは二時間ぐらいの場合もあるし、あるいは最悪の場合は空振りの場合もあるしと、いろいろと情勢判断があるわけですが、しかし、少なくとも予知が行われると、相当もう緊急、切迫したときだけなんですね。その辺を御勘案くださいますと、ただいま南関東も強化地域になる、それは自衛隊の出動の要請ができると、そこまでは私どもはまずこの法案からは考えられないのじゃないかと、こう思います。
  117. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、予知というのは、もう緊迫した、切迫したこと。そうすると、時間的にはもう一両日中とか、半月とか一カ月なんということはない、きょうかあしたかあさってかと、そういうときに予知が出て、警戒本部ができると、こういうふうに理解していいんですか。
  118. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この間は、これは予知ということよりも、単純な伊豆大島沖地震についての情報が流れまして、その情報のときでも、情報があったおおよそ一時間半ぐらいのところで地震が起きておりますね、この間の場合。これはもうああいう震度の、今度の立法で考えておるような場合でないけれども、ある程度のまあ予測というか、その程度のことが行われたわけでございますが、いま御質問のとおり、予知の報告があって警戒宣言をするという場合は、きわめて短時間のおそれが十分あると、こういうことは申し上げられると思います。
  119. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、防衛局長のいまの理解はちょっと違いますな。本当の短期間じゃ何も情報収集なんかしている必要はない。予知が出て警戒本部をつくるときは、もうあしたかあさってか、まああしたかあさってかというのは形容詞にしましても、もう短期間で発生する、大規模になると。そうすると、ここに自衛隊集結したり、情報集めたり、あるいは薬をそこに集結するなんという期間もないと、こういうことですね。そうすると、防衛局長、まだ大臣すらも勉強してないんで、防衛局長はなおさら勉強してないと、こういうことで了解しておきましょうか、どうでしょう。こちらが答弁したようで申しわけないですけど、どうですか。
  120. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 実はこの法律に基づきまして計画ができるわけでございますが、その段階でその間に自衛隊が何をやるべきかということを具体的に詰めてまいりたいと思っております。ただ、先ほど御説明申し上げましたように、現在の八十三条の災害派遣という法律では、この予知の段階、警戒の段階で自衛隊が動き得る余地というものはないということがございます。非常に大きな災害が起きる可能性がきわめて強いときに、その間に自衛隊が実際の災害派遣活動を最も有効にするために何か参加できるのではないかというような観点からいろいろ検討がなされたわけでございます。  先生も御承知のように、私どももこの地震というものに対しては過去に経験がございます。大変この計画がずさんだというお話もいただきましたが、新潟地震のときなども、人員を四十八時間で七千人新潟市に派遣をしたというような経験もございます。私どもの経験からいたしますと、航空機、船等はこれは比較的楽に計画どおり進むわけでございますが、どうしても人員を派遣する場合の道路の問題ということになりますと、予知されて非常に危険な地帯ということになりますと、その付近にある程度前進させるということも、あるいはその災害派遣というものを有効にやる上で役立つんではないかという考え方もあるわけでございまして、そういう点を含めまして、いま先生が御指摘になりましたように、これから十分勉強してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  121. 黒柳明

    ○黒柳明君 自衛隊が災害出動に対しての活躍、せんだっての東伊豆では、これはマスコミの報道で知ったわけですけれどね。ある町長さんが自衛隊ぎらいだったのが、あの活躍ぶりを見て自衛隊大好きになっちゃったと。これはやっぱり接触した範囲、なかんずく災害についての自衛隊の義務ではあろうけれども、やっぱりそれを目の当たり見た人は、そういう感じを抱くことはこれはあたりまえだと思うんですね。  ただし、反面、いま言ったように、予知、警戒本部の設置される期間というのは非常に短期間であると、空振りがない限りですな。空振りがあった方がいいですけれどもね、空振りがない限りは短期間であると。それにせよ、いわゆるこういう権限を総理は、平和時に自衛隊に対して出動の権限を持つと。これについてはもう慎重の上でなお慎重でなきゃなんないと思うんです。これは、局長はこれから勉強してという言葉ありましたけれども、ある程度部隊を移動さしてなんといったって、これは確かにその予知については、相当厳しい、厳格な情報に基づいての知識に基づいて出すには違いありませんけれども、やっぱり自衛隊の出動となると、これは地域住民を守るということと、またうらはらに非常に不安というものを助長するということもあるわけですし、現にやっぱり平和時についての自衛隊については災害出動だけだったのが、平和時、災害が起こる前に自衛隊が出動するという問題になってきますと、これは非常にいろんなことに連動する可能性がある、疑惑を生む可能性がある、こういうことで、私はいま法案の審議の事前に、私なりに勉強した範囲でこれ言うんです。  それから、いまのことは氷解したわけじゃないんですけれども、時間がないんでね。これ、現代用語で言うとホットラインと言うんですかな。県知事と自衛隊の師団なり、県庁と自衛隊の師団あるいは部隊、連隊と、これはいわゆる直通電話、これはもうホットラインですね、現代用語で。これが北海道とか青森とか宮城とか、二十道府県にある、こういうことですね。これは何のためにこの直通電話使われるんですか、自衛隊と県のこの直通電話というのは。
  122. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、災害が起きましたときに、その災害の実態というものを自衛隊としても早く知りたいわけでございますが、何といいましてもその地方自治体の責任の部局には一番早くそういった情報が入るわけでございますので、そういった情報をもらいながら要請を受けて出ていくということ、いわゆる自衛隊が迅速に対応できるということを目的にいたしましてこの連絡をとれるようにしているわけでございます。
  123. 黒柳明

    ○黒柳明君 東京にないですね。京都にはないですね。これはどういうわけですか。
  124. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま確かに御指摘がありましたように、全部そろっているわけではございませんので、極力地方自治体と御相談申し上げながら、そういった連絡を密にできるような努力をしている状況でございます。
  125. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、そちらからいただいたこれね、二十道府県。これやっぱり革新知事のいるところはだめですな、自衛隊。やっぱり保守であったときにつくった。神奈川でも、これ長洲さんの前につくったんですね。ホットラインを。それから埼玉もそうだ。畑さんの前にホットラインをつくっている。いまそれを取ろうという意思もないでしょう。ということは、やっぱり東海地域の中に神奈川は入っていますからね。幾ら革新だって、これは県民、住民は保守も革新もないわけですから。だけど、やっぱり長い間革新知事がいた、そのところにやっぱり自衛隊とのホットラインがないですな。これはどういう意味ですか。要請はしているんですか。連絡会議はやっているんでしょうね、当然。要請はしているけれども、ノーと言うんですか、ホットラインつくることを。
  126. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは、防災会議には、それぞれの地方の代表者が加わって防災についての会議には出席いたしておりますが、ホットラインにつきましては、いま確かに先生がおっしゃいますように、あるところとないところとあるわけでございます。私どもはできるだけそういった連絡体制をとれるように指導はいたしておりますが、実現しているところもあり実現していないところもあるというのが実情でございます。
  127. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは自衛隊の責任であるか、地方自治体の責任であるか、私もどちらの責任かわからないけれども、もう災害については自衛隊も地方自治体もない。保守も革新もない。しかも南関東、それから東海地域は、これはいま言いましたように強化地域になる可能性あるわけです。それから調査地域であることは間違いないんでね。これはやっぱり一つの理由はどこにあると思いますかね。災害だけに使われる可能性があるんじゃないんじゃないんですか。さっき言ったように、これはやっぱり県知事として自衛隊出動もできるわけですね、要請が。それにもこのホットラインが使われると、こういうことも含めて——これがオールじゃないかもわかりませんよ、反対の理由になっているんじゃないんですか。これは局長のところまで行っているかな、こういう情報は。
  128. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) その反対の理由といいますか、設置されない理由というのは私も個々につまびらかにはいたしておりませんけれども、確かにいま先生が御指摘になりましたように、治安出動というのは県知事からの要請ということも法律では決まっているわけでございます。あるいは、いま先生がおっしゃられたようなこともその要素の中にあるのかということも考えられますけれども、具体的にそのためだというようなことは聞いたことはないわけでございます。
  129. 黒柳明

    ○黒柳明君 聞いたことはないというよりも、理由がわからないんですよ。理由は特別に、なぜ設置しないんですかということを聞いたわけでもない。それが、局長が真剣になぜ設置しないのかなと聞いたわけでも、情報とったわけでもない。何となくいまになってみると、確かに革新の座が長いところはないと。保守のところはあると。保守だって必ずしもあるかどうか。だけど、やっぱりないところはそんなに災害が起こりそうもないところですよ。南関東、東海地域はみんなあるわけですよ、太平洋沿岸ベルト地帯はね。やっぱり東北やなんかはもう全然ないと。こういうようなところでありまして、やっぱり人口密度が多いところはみんなこれがある。あった、つくった、保守政権のときは。革新政権が長いところはこれがないと。  建設大臣、中央防災会議の事務局長としまして絶えずこういう連絡はやってきたし、これからもやっぱりこういう大規模地震、訓練強化するという一項目、この中にもありますな、要綱の中にも。どうですか、やっぱりこれは保守とか革新とかいうものじゃなくしまして、災害というのは、このホットライン、先ほど局長がこういう災害については地方自治体がいろんな情報と言うけど、そうじゃないんですよ。本当はこれは官房長官にきょう出てもらうんだけれども、出てこなかったんですけれども、自衛隊が一番早いの、情報の収集は。この前の東伊豆のときにも、もう地方自治体が、失礼な言葉ですけれども、右往左往して持越なんかどうなっているかわからないとき、ヘリコプターはもう上空に上って全部握っているわけです。それから、ふだんからもう相当いわゆる陸幕の第二部というところは内調以上に情報を的確につかんでいる。これは私の想像ですけれども、間違いない。ですから、地方自治体以上にやっぱり自衛隊の方が情報も的確につかめる、早期に。そういう場合に、こういうホットラインがあることがこれがやっぱり——しかも太平洋沿岸ベルト地帯の知事あたりが、もし知事が責任があるとすれば——もしかすると自衛隊の怠慢かわかりません。私その原因がはっきりわからないんだけれども、ともかく地方自治体、革新自治体の反対の理由の一つはそうなんです。これは災害だけじゃないんだと、治安出動にも使われるんだと、こういうことも反対の理由の一つになっている。ここらあたりがいいかどうか私は判断できません。する立場にもありません。ですけれども、少なくとも中央防災会議の事務局長としまして、こういうホットラインぐらいは、治安出動という面にも使われる可能性もあるけれども、ひとつ災害ということについてもこれはより重視して何とかと。いままでこういうこと言ったことありますか、大臣。まあ大臣就任以来でまだ防災会議も開かれたことないと思うので、言う時間もなかったと思うんですが、どうですか、そういうお考えありますか。
  130. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 正直に言って、自衛隊と各県庁との間のホットラインということは私十分承知しておりませんでした。どの範囲に設けられておるかということをしさいに点検したことはございません。しかし、いま災害などで従来の実績から自衛隊が迅速に情報も得ておるということを考えますときに、そういうホットラインの必要というものはあるかと思いますが、五十三年度の予算の編成に際しまして、国土庁が災害を担当しておって、有珠山とかの問題を顧みて、国土庁が災害に対しての情報収集、それをホットラインと申してもいいんですが、そういうものをしっかりしたものを持つ必要があるんじゃないかと、こういうことで、いずれ国土庁がいまの場所から本格的な事務所に移動することがございまして、あすこにしっかりしたものをつくることについては大蔵省もどうかと、しかし、臨時の措置はとろうということで、国土庁中心の主として災害のための連絡無線のようなものを設けるように今度の予算でお願いしたわけでございます。そういう点からも考えまして、ただいまの黒柳委員の御所見につきましては、災害につきましてはどこの県とどこの県というものを差別するようなことのないことが好ましいことは言うまでもないと思います。
  131. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまのは国土庁とどこと無線をつけるというんですか。
  132. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 国土庁に災害についての情報収集のために無線装置をさしてもらいたいと。この無線装置というものを今後どういう範囲に使用するかということについては未知数でございますが、せっかくの御質問でございましたので、そういうことを考えておることを申し上げたわけであります。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 それはいつごろ庁舎ができて、すぐできるんですか、この無線設備というのは。
  134. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 大臣がただいまお答え申し上げましたように、昭和五十七年初めぐらいを目途に、新たに入るべき合同庁舎の建設に本年度かかるわけでございます。しかしながら、災害はいつ何どき起きるかもしれませんので、その間の暫定災害行政無線網というものを国土庁中心に中央官庁相互間に設けるということにしたわけでございます。
  135. 黒柳明

    ○黒柳明君 関係各省庁間に設けるというんでしょう。私言っているのは、自衛隊と地方自治体の中心とに設けると、こういうことなんですけれども、それも先ほどの大臣の答弁で前向きのようなあれがあって、また機会があればそういう発言もするかと思うんですが、それでいま各省庁間とと、こういう話があったんで、それを受けてちょっと局長の方と、飛びますけれどもね。  中央防災会議ができたのは三十八年、基本法三十四条、三十六条を受けて各省庁でその業務計画つくれと、これはどうなってますか。三十八年から五十三年だから、十五年たってますな。これ新庁舎も五十七年。災害はそれまで待ってくれない、だから緊急にと、こういうことですけれども、十五年たってますけれども、これ各省庁はつくったんでしょう。それをいまどうしているんですか、中央防災会議は。
  136. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 先生ただいまおっしゃるとおり、昭和三十八年の六月十四日に防災基本計画ができまして、その中で各省庁がつくるべき防災業務計画及び各地方公共団体がつくるべき地域防災計画において重点を置くべき事項というのを決めたわけでございます。その後、相当の期間がたっておりますが、各都道府県の地域防災計画は、全部と申してもいいかと思いますが、できております。関係各省庁によりましてはまだ防災業務計画ができていないところが相当あるように聞いております。
  137. 黒柳明

    ○黒柳明君 だからそこなんですよ。
  138. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 全然まだないんだそうでございます。
  139. 黒柳明

    ○黒柳明君 ないんだよ、全然ないんだよ。まあ、いいや、いいや。
  140. 河野正三

    政府委員(河野正三君) ないところが少し見られるそうでございます。
  141. 黒柳明

    ○黒柳明君 同じようなもんだ。ともかく十五年たったって、やっぱりそんなものなんですよ。まあ、いろいろ国会の答弁つくるのも忙しいんで、なかなか防災の方に手が回らないことはよくわかりますよ。だけど、三十八年にできて十五年間、関係省庁、業務計画つくれと、こう指示されたのが十八省庁あるわけでしょう。それで、まだそれすらつくってないんだ、長官。そうでしょう、大臣。ですからね、どんなりっぱなものをつくっても、起きないにこしたことはないんですけれどもね。いままで十五年間云々するよりも、これからのことを考えると、これは早急にやっぱり基本計画にのっとって、つくれと指示したんだからそれはつくらして、つくったところで調整しなきゃならないでしょう、各省庁間のを集めて。そういう段階にまだ十五年間至ってないわけですから、これは中央防災会議なんてあったって、プランがあったって、こんなの企画倒れ。ましてそのプランすらつくってないとなったら、もう何をか言わんや。それを無線電話だけつけたってどうするんですか、長官。——何かそこに答え書いてあるの。こんなこと書いてないよ、そこには。通告してないから書いてないよ、そんなことは。通告してないもの、書いてあるわけないじゃない。
  142. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) きょうの時点といたしまして、中央防災会議で——一体いままでは、この地震立法ができるまでは中央防災会議責任があるわけで、そこで政府の震災対策は、御承知だと思いますが、大都市震災対策推進要綱というのをつくりまして、都市の防災化、防災体制の強化、地震予知の推進に重点を置いて諸施策を進めてまいったわけであります。それから震災対策が非常に内容が広範多岐にわたりますから、多くの行政分野にお願いする面が多いんでありますので、中央防災会議事務局に関係十八省庁からなる大都市震災対策連絡会議を設置して現存に至っておるところであります。また、この連絡会議におきましては、震災応急対策に欠かせない緊急災害対策本部の設置運営要綱、震災時における情報の収集、伝達及び広報の実施のための計画については、おおむね成案を得ておるようなわけで、まあ、防災会議は防災会議として御批判もございましたが、大都市震災についてのある程度の準備は現在整えておるようなわけでございます。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 ある程度準備ったって、じゃ聞きますけど、被害想定というものをしてますか、長官。東海地域に大地震が発生したらその被害想定、南関東にあれしたら、被害想定というものをしていますか。
  144. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 東海地震を想定しました被害想定でございますけれども、実は国がしているのでなくて各県がやっておりますけれども、私どもが把握しておる範囲内で申し上げますと、たとえば静岡県が……。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、ちょっと時間ないから、わかった。それで結構。
  146. 四柳修

    政府委員(四柳修君) やっております。
  147. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは各県でやってるの。県でやってるの。それから自衛隊は自衛隊でまたやってるの。ばらばらなの。ばらばらなの、そんなこと。だから、さっき長官が言った、ばらばらなのを統括するために警戒本部は総理がと、こう言ったばかりじゃないですか。ばらばらなの。いいですか。プランがあったって、プランなんか企画倒れ。ということは、実際の想定ができないのですよ、そんなものは。いつどこで何が起こるか。だけれども地方自治体においては一応やっているのです。国は何もやってない、中央防災会議だとか、そんなものは。何もやってない。ですけれども、その中で、いい意味で一生懸命なのは自衛隊なんですよ。自衛隊なの、現場回って見て一番やっぱり十八省庁の中で。そのいい意味で一生懸命やっている自衛隊でもこういう状態だという、おしかりをこれからやらなければならないのでね。長官、ひとつ聞いていてくださいよ。  いまのは国でやっているんじゃないのだから、地方自治体でやっているんです。いいですね、地方自治体でやっているの。十八省庁は持ってない。これはいま長官、きれいごとを言いました。何か連絡会議をつくってなんて言ったって、いつまで長官がその事務局長をやっているかどうかわからないのですから、やめてしまえば、また人のことですからね。まあそんな無責任なことはないと思いますが、いまの自衛隊十三師団。まあ陸上だけでいいでしょう、海空あるが。一応災害計画をつくってますね、つくっているけれども、これは陸幕として総括したものじゃない。まして防衛庁として統括したものじゃない。完全に各師団長のまあ独自の策と言ったらこれは失礼かと思います、各師団長ごと。だから、各省庁やりなさいという業務計画が、防衛庁としてやってない。三幕でもやってない。だから結局、東京の練馬の第一師団、名古屋の第十師団、仙台の第六師団。当然大規模広域災害対策なんかゼロに等しい。地域にしたって、それこそその師団ごとに、まあ失礼だけれども、自分の頭の中で考える案しか、自衛隊なりに一生懸命だけれども、つくったものない。こういうことですね、間違いないですね、これは。
  148. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私もこの計画につきまして全部を読んでいるわけではございませんが、私がいままで調べた範囲では、確かにいま先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、この点につきましては、私ども反省しなければなりませんが、従来の災害派遣というのが、比較的規模的にいいますといま予知されるような大きなものがなかったものですから、その計画でまあ曲がりなりにもいっておったというような安心感があったような気がいたします。そこで、いま先生は陸上自衛隊だけをおっしゃいましたが、実際問題といたしまして、大きな災害になりますと、海、空を含めたような一つの基本方針のもとにつくられなければならないというふうに考えております。そういう点は確かに欠落した点だと反省いたしておるところでございます。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然ですね。これ防衛庁として三幕集めて——いまは師団ごとにできている。これは、シビリアンコントロールどこ吹く風ですな。御存じのように、かつて南関東地域災害出動計画、西の名古屋第十師団、それから北の仙台の第六師団、首都に五万が集まる。これを国会ではもろ刃の剣だと。要するに、これは治安出動にも通ずるじゃないかという野党側一部からの発言があったわけでしょう。まだ七、八年前ですよ。やっぱりそういうものについてもシビリアンコントロールがなければ、これはやっぱりそういう非難、危険性があると。これはそんなことなら、おれたちは一生懸命災害でやっているんだと。これはわかるんです、一部の者は。だけれども、相当多くの人は、まだわからない人がいますよ。勝手にいろいろなことをやって、いざとなったら、あっちも乗っ取り、こっちも乗っ取ちゃうのかと、災害に名をかりたというようなことになる。だからシビリアンコントロールと、こういうことになっているのが全くこの災害計画であろうと思います、私は。ない。  さらにこれ、師団ごとに言うと、この第七師団というのは、一回も地方自治体との連絡やってない。話し合いやってない、一回も。もらった資料ですからね。一番熱心なのはやっぱり名古屋の十師団、毎年十五回ずつやっている。その名古屋だけが、緊急時においてどういう処置をとるかというと、全部知事の要請で出動するのです。名古屋第十師団だけが、大雨警報発令すると、自衛隊の係員が名古屋県庁に出動するのです。それがやっぱり地方自治体との年間十五回の連携という中にはっきり出ているわけですよ。やっぱり絶えず地方自治体と話し合っている。自治体の熱心さもあるだろう。こちらが自衛隊の熱心さと相まつこともあるでしょう。どっちがいい悪いということは別にして、話し合いの中から、やっぱり大雨警報が出たら、第十師団の名古屋だけは、自衛隊の係員が県庁に詰めて、県庁にいて、自衛隊がいざとなったときの指揮をとる。あとは、十三師団のうちの北から南まで、ともかく法律にのっとって知事の要請があれば動きましょう、こう言うの。ひどいのは、もう一年間全然話し合いをしない。やったって二、三回。これはやっぱり自衛隊側の熱心さの不足もあるんじゃないでしょうか。自衛隊側というよりも、師団ごとに任しておるからですよ。陸幕として、防衛庁として、やっぱり一本的な指示が流れてないから、だからいままでの積み重ねで、熱心なところは地方自治体と相まって、やっぱりその延長線で熱心なんだ。熱心じゃないところは、業務計画、地方防災計画のあれが防衛庁には来たけれども、別に各師団ごとに来ているわけではないのですから、   〔理事野口忠夫君退席、委員長着席〕 業務計画つくれというのは。だから、一応つくってあるけれども、そんなものは地方自治体と連絡会議すらやってない。まして、県知事の要請が来るまでとちゃんと法律に出ているんですから、大雨が降ったからわざわざ愛知県庁まで出かけるなんという、そんなことはやるところはない。こういう姿勢にも出ているのじゃないでしょうか。長官。——長官は一人しかいない。——大臣、何か気にしてますね、そこ。僕も見せてもらおうかな、何が書いてあるのか。非常にいいこと書いてあるそうで。  いいですか、十八省庁の中で、私が調べた限りでは一番一生懸命やっていると見られている自衛隊でもこんなもの。まず局長から、この現状について反省だらけの反省の前向きの答弁。これはいっこういうふうに総括的に業務計画をまとめるのか、そういうことについてもまず聞きましょう。
  150. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いまお話を伺いまして、私は一つはやはり自衛隊の組織の中の中間司令部の存在というようなことをちょっと感ずるわけです。だから、七師団は行かなくてもいいとは言いませんけれども、たとえば十師団は中部方面でございますので、中部方面総監部が大阪にございます。したがって、直接の連絡関係であります愛知県庁とは密にしている。北海道では、まあそう言うと悪いんでございますけれども、北部方面総監部にゆだねて、その指示のもとに動くというような気持ちもあるんではないかというような感じを……
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなことはない。北部方面総監だって年三回しかやってない。同じこと。
  152. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ああそうですか。そういうような実態、いま先生が御指摘いただきましたような点は、確かに私どもといたしましても、十分に中央におきまして、陸幕あるいは内局におきまして実態を把握してないといった点がございます。その点は、先ほども御説明いたしましたように、比較的この災害派遣というのがいままでうまくいっておったという緩みといいますか、そういう点を反省しなければならないと思います。  先生も御承知のように、私も聞きましたところではこの災害派遣計画そのものがかなり古くなっているのがございます。したがいまして、現在持っている装備その他に基づいた計画になってないところもあるようでございまして、逐次その計画を改定しなければならない時期がもうとっくに来ているところもあるというふうに聞いておりますので、いま陸幕を中心に、あるいは内局の運用課を中心にその計画を進めておりますが、できるだけ早い機会、と申し上げるといつごろということでございますけれども、私も早速この問題に取り組みまして必要な改定をし、先ほど申し上げましたように、いわゆる幕僚監部あるいは内局が一体になって計画を指導するというふうにいたしたいと考えております。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 比較的うまくいっていたということを否定するわけではないけれども、もっと中央で適切な一本化の指示をしていればもっとうまくいっていたですよ。だから、いままで比較的にうまくいっていたというのはそれなりのうまさであって、いわゆる中央防災会議の指示のもとに、業務計画を庁として一本化して、それで、いろいろなものについて絶えず地方自治体との積極的な姿勢ですね。地方自治体がノーと言うならこれはしようがないけれども、もうノーと言うというようなところもないはずですよ、いままでは例外として。そういうことであって、比較的うまくいっていたというのはちょっと私は言い過ぎのような気がする。だから、その十三師団の計画を見ますと、これはもう御存じでしょう。北海道から中部、東海応援計画。九州からは計画になっていないんですね、これは。南関東大地震、東海大地震を想定して、北海道の二、五、七、十一は応援体制をつくっているわけですよ。ところが九州の四、八師団は何にも応援体制をつくっていない。これもおかしなものですよ。北海道より九州の方がより地続きであるはずでしょう。そういうものがもう不備だらけ、この一覧を見ると。これはつくってくれたんです、つくってくれたったって私が現場へ行っていろんな指示をしたからつくってくれたのであって、つくりやしませんよこんなものは。十三師団も統轄なんて、内局はこんなことはやりゃしません。私が現場へ行ってそしてやったから内局でもつくってくれた。これを見ますと不備だらけですよ。いい意味で早く熱心なことは結構なんです。いままでよかったことはなおよくしなければならない。本年中という約束だった。あるいはできるだけ早く一本化して、ひとつ各省庁あおっていただかないとだめですよ。  大臣、お聞きいただいたように、熱心であるかどうか、ほかの省庁はそんな知りませんけれども、まず私が個人的に調べた中では、自衛隊が、これはやっぱり自衛隊の要綱の中で、平時における災害対策というのは任務として与えられていますから、やることは当然なんです。だけれども、十八省庁の中では熱心であることは間違いない。にして全くばらばらなんです。不備だらけなんです。となれば、十八省庁が企画がどんなものであるか、つくったものがどう運営されているか、訓練されているか。これから各省庁の無線をつけるというのが十六年目でしょう。そんなもので、中央防災会議がありましたと言ってこの大地地震対策、法案つくったってだめじゃないかというのが私のきょうの趣旨なんです。大臣どうですか。もしそんなようないままで十五年間の姿勢で、いつ地震が起こるかわからないから、これから新庁舎が五十七年にできるそのときに無線をつけて、いやその前につけるんだなんて言っていて、各省庁がどういう対策を持っているのか、どういう訓練をするのか、それじゃだめだというのが私のきょうの結論なんです。どんなりっぱな法案ができたって、どんなりっぱな対策ができたって、想定はなかなかできるもんじゃない。いつ来るのかわからない。それに対しては万全の案をつくり、訓練をやっておかなければならない。呼吸を一〇〇パーセント、二〇〇パーセント合わせておかなかったら、いざがたがたっといまこの場で来てごらんなさい。一番先にここから逃げるのは、国土庁長官もわからないですよ。来てみなきゃわからない。来たらおもしろいですけれども、テストケースとして。案外そうかもわからないですよ。がたがたっと来たときに、ふだん偉いことを言っているのが一番先に逃げていっちゃったと、そういうケースもあり得る。地震なんというものはわからない。であれば、二〇〇パーセント、三〇〇パーセント完璧にして、そしていざとなったときにそれが五〇しか三〇しか発動されないという可能性があるわけでしょう。肝心な省庁を見ても惨たんたるものじゃないですか。  それをこういう大規模地震対策つくったってそのままではだめですよ。ひとつ十八省庁、速やかに訓練でも実施しなさいよ。ことしの秋あたり、九月一日の防災の日あたりにまず官庁からお手本を見せて、それで各地方自治体においてもプラン倒れじゃだめですよ、というような訓練でもすぐ各省庁集まってするぐらいのこと、どうですか、そういう意欲起きましたか。
  154. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変御激励をいただきまして感謝をする次第でございます。私も国土庁長官になりまして、国土庁のいろいろな仕事の中で災害を担当しているということにつきましては非常に責務を感じたのでありまして、そこへこの伊豆沖地震が起きる、あるいは有珠山の引き継ぎをするというようなことから、少し従来の防災対策ではいかがかというようなことがだんだんいまこう実りつつあるわけでございまして、まことに遅まきなことではございますが、しかし、ただいま御意見を交えていろいろお尋ねでございましたが、私としては非常に大事な点をいろいろ御指摘をいただきまして、私としてやり得る措置をとりたいと思っております。  中央防災会議につきましては、事務局長は私のところの政務次官が当たっておるわけでございます。それから、中央防災会議の長として総理がおられまして、総理の足らざるところを国土庁長官が補う、こういうたてまえでそれなりに私は責任を感じておるわけでございまして、きょうの御意見を体しまして、中央防災会議を初め関係者に対してよく徹底をいたし、早急にやると言ってもうそになりますから、私としてできるだけの、いざ災害という場合の対応につきまして諸準備を進めてまいりたいと思います。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 早急にといったってそれはうそになると思いますし、ですから、繰り返しますけれども、十八省庁まずこういう災害対策要綱をつくるわけですからね、国会で審議をするわけですから、やっぱりこの裏づけを、十五年間の各省庁の防災対策に対しての不備というものをここで反省させられたんですから、だからもう一回各省庁のプラン、その調整。さらに調整だけじゃなくて、各省庁、十八省庁だけで一回それなりの訓練をする、無線もそのときはできるんでしょうから。これを速やかに、これもすぐやると言うとうそになるんでしょうから、ひとつ秋の九月一日あたり。秋といったら、まだまだこれは夏になりませんからそんな早急ということはないから、そこらをめどに、そのころまだ大臣の座はあるでしょうから、ひとつやるということでどうですか。それはもう早急とは言えないんじゃないですか。そこらあたりをめどにやらないと、言葉だけで、へえ、聞きましたけれどもいいことをおっしゃってましたなんて——ぼくはだまされやすい性質なものですから、その場限りじゃうまくない。私もあっちこっち行って調べたの。これだけ自衛隊なんか一生懸命やっている姿も、また不備も調べたの。それできょうの発言になっているんですから。私はもう行政には全く力がないもので、やっぱり国土庁長官としてこれだけの法案をこれから全国的にあれして国民の生命、財産を守ろうというんですから、そのためには、十五年間の反省だけじゃない、やっぱり官から模範を示す。それを言葉だけじゃなくして、ここで実行するというお約束をしていただかないと、きょうの長官の、大臣の答弁は振り返ってみたらやっぱりうそだったじゃないか、こういうことになるんじゃないですか。ひとつそういう各省庁の連携、調整、それからまず訓練をやる、ここまで約束してくださいよ。
  156. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 昨年富士市で災害演習をやっておりまして、私、就任後その報告を受けまして、ことしは東海大地震のおそれのある他の地域でもそれをやらなきゃならない、同時に東京でも行いたいということを主張いたしておるわけでございます。いま九月はどうかと、私も大震災記念日前後にそういうことをやりたい、またそれをやるためにいろいろ準備もしなければなりませんし、またそれを機会に、きょうお話しの諸点につきましてできるだけ進めてまいりたいと思います。
  157. 橋本敦

    橋本敦君 私は公団家賃の問題でお伺いするつもりでおりますが、その前に、午前中も問題になりました信濃川河川敷問題、これも重要な問題ですから、大臣並びに河川局長にお伺いをしたいと思うのです。  まず第一は、この河川敷問題の問題の核心は何であったか、それは言うまでもありませんが、当決算委員会のこれまでの審議を振り返っても、あの室町産業が広大な河川敷所有地を入手した以後、霞堤が本堤になっていくというような経過をめぐって、まさに室町産業が巨利を博すために河川行政をゆがめたのではないかという、こういう重大な疑惑があった。そういう核心的な疑惑が本当に国民の前に晴らされたのかとこう言えば、決して完全に晴らされていないという状況のもとで廃川敷処分大臣が承認するという事態に至った、こういう経過を根本問題として見なくちゃならないと思うんです。この問題はきょうは時間がありませんから触れませんが、それじゃ建設大臣が廃川敷処分を承認したということをめぐって、一体事態はどうなっていくだろうか。この中で建設大臣として、建設省として、今後の処分をめぐる問題の中で、決算委員会警告決議その他を踏まえるならば、一番注意しなきゃならないし、指導しなきゃならない核心的な問題は何だとお考えでしょうか。
  158. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) この全部の土地につきまして適正な、適切な土地利用が図られるということが基本じゃなかろうかと思います。
  159. 橋本敦

    橋本敦君 そういう私は抽象的なことだけで終わるものではない。そのまず第一の問題として、例の田中金脈で著名な室町産業に不当な利益を得さしてはならないという、こういう要請がなければならぬと思うんですね。これは河川局長、間違いないところですね。いかがですか。
  160. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そのとおりだと思います。
  161. 橋本敦

    橋本敦君 そこで伺うんですけれども、室町産業とそして長岡市との間に覚書が交わされて、長岡市が公共的利用を図る土地については原価で売り渡しがなされるというように説明をされた。あなたがおっしゃっるこの原価というのは、これはどういう意味の原価と理解されておるんですか。
  162. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 当時、室町産業が買いました土地代金、それから払いました補償料、それが基本になりまして、その後の利息、公租公課、その他の必要経費とか、そういうものが積み上げられたものが、原価といいますか、実費といいますか、それというふうに理解しております。
  163. 橋本敦

    橋本敦君 そういう理解のもとで、あの公共利用土地の面積も決まっておりますが、推定幾らの金額が室町産業長岡市から支払われると見ておられますか。
  164. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) その点につきましては、まだ室町産業長岡市との間におきまして具体的な交渉がなされてないということでございますので、建設省としましては存じておりません。
  165. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、あなたが原価、原価とおっしゃるけれども、今後具体的な交渉の内容によって、いまあなたがおっしゃった客観的に確定している農民に支払った代金、それから補償料、これはもういまでも客観的に明らかですが、それからあなたのおっしゃる利息とか必要経費で幾ら上積みされるのか、これはわからぬというわけですよね。そうでしょう。だから建設省は推定もできない。そうなりますと、あなたは原価、原価とおっしゃるが、果たしてその原価ということが幾らぐらいに総体でなるのかということがわからなきゃ、適正な原価と言えるかどうか、問題あるじゃありませんか。たとえばいま局長がおっしゃったその他の必要経費といいますけれども、その必要経費は、室町産業がこういうものもこういうものもこういうものも要ると言った場合に、どの限度の必要経費必要経費と認めるか、これは問題がありますよ。不動産取引の実情を民間でもごらんなさい、必要経費だということでいろんな経費が入っていますから。そういう点のチェックは今後どうやるんですか。
  166. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) まだ具体的に必要経費とかあるいは利息の問題とか聞いておりませんけれども、原価そのものは、先ほど先生がおっしゃいましたように、いわゆる土地買収代金、支払い代金、こういうものがはっきり決まっておるわけでございます。しかも、この支出に当たりましては長岡市の財政から支出されることになるわけでございます。したがいまして、まず市議会におきまして、その点につきましては十分な論議がなされるというふうに解されます。
  167. 橋本敦

    橋本敦君 あなたは今後の手続上の期待的な観測のもとで物を言われているんだが、実際に本当に原価と社会的に相当と見られる範囲で処理されるかどうかについては、今後の成り行きを見なければ何とも言えない要素が残ることはあなた認められますか。たとえば利息と言ったけれども、この利息は幾らにするということは当事者が決めるんでしょう。どういう程度の利息があなたは適正かと言えば、公共用地の先行取得についての利息が適正だとおっしゃった。何%が適正ですか。
  168. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 私、先ほど公共用地の先行取得と申し上げましたけれども、これはたとえばということで申し上げたわけでございます。それで、その利息は幾らであるべきか。これはまあ当時の利息とか、その後の利息の変化とか、そういうものの実態に応じて積み重ねられるというふうに理解いたします。
  169. 橋本敦

    橋本敦君 というようなわけで、まだ本当に原価と言えるような相当価格において処理されるかどうかは全く不確定要素が多いということです。  もう一つ伺いますが、この広大な土地の中には国有地がございますね。国有地の処分の見通しについて、建設省はどう考えていらっしゃいますか。
  170. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 国有地の中に、九条地、それから旧堤敷地と、二つの種類があろうかと思います。九条地につきましては、現在六十四人の関係者から払い下げの申請が出ておるわけでございます。したがいまして、現在それにつきまして鋭意審査中でございます。それから旧堤敷の払い下げにつきましては、八月末をめどに、いわゆる大蔵省などに引き継ぐような段取りになろうかというふうに思います。
  171. 橋本敦

    橋本敦君 引き継いだ後どう処分されるかについて、建設省は関心をお持ちでありませんか。
  172. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 旧堤敷の問題につきましては、それが長岡市あるいは県が要望すればいわゆるそういう地方公共団体に払い下げられるというふうに解釈いたします。
  173. 橋本敦

    橋本敦君 県が要望する可能性は、調査に行かれた結果いかがですか。私はないと見ていますよ、あなたの報告を聞いても。
  174. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 旧堤敷の払い下げにつきましては、市の方ではそういうことを希望しておるというふうに聞いております。
  175. 橋本敦

    橋本敦君 市が希望する以外の残地がありますね。残地の中に旧堤敷の国有地が残るという部分についてどう判断されておりますか。
  176. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) ちょっといまの先生の御質問は理解しかねるわけでございますけれども、いわゆる新しく新堤をつくりまして、旧堤防が現存残っておるわけでございます。それにつきましては、すでに堤防としての必要性がないということで、それを大蔵省などに引き継ぎたいというふうに考えておるわけでございます、すべてにつきまして。
  177. 橋本敦

    橋本敦君 端的に伺いますが、室町産業が今後利用するという土地の範囲の中で、いいですか、九条地処分以外の国有地が残りますか、残りませんか。
  178. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 水路敷とか里道敷とか、そういうものは若干残ります。
  179. 橋本敦

    橋本敦君 その国有地の処分について、これは児が、そんなものはそんなものだけとしては利用できませんから残るわけですが、この国有地の利用あるいは処分について、当然室町産業にこれが申請があれば払い下げられる可能性があるんじゃありませんか。どう見てますか。
  180. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) これだけ国会でも論議され、いわゆる市民も国民も注目しておる問題でございます。したがいまして、これら残った国有地がいわゆる室町産業に払い下げられるということは考えられないと思います。
  181. 橋本敦

    橋本敦君 長岡市に渡す土地ですね、その土地の範囲の一部と交換分合その他によって室町産業の方には国有地が残らないというような、交換分合その他の処分によって、払い下げは長岡市が公共利用ということで国から国有地は受けたかっこうになるけれども、実際その前提として、交換分合で、残る室町産業の部分にはないようにしておいて、室町産業には結果的には国有地の払い下げはしなかったというかっこうをとろうと思えばとれないわけじゃないと私は見ているんですよ。そういう可能性がないと言えますか。
  182. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) ちょっと補足説明いたしますと、先ほどのは、水路敷とかそういう国有地につきましても長岡市が利用いたしたい、払い下げを受けたいという希望を持っておるわけでございます。それで、あの七十ヘクタールの広い面積におきましては、そういう国有地が入り乱れてあるわけでございます。旧堤敷地にしましてもずっとあるわけでございます。したがいまして、ああいう土地利用計画のいい姿を考えてみた場合に、全体の北半分は長岡市が利用するというふうになっておるわけでございます。しかしながら、長岡市が買います面積は二十六・二ヘクタールだと。いわゆるそういう国有地も含めて必要なやつがありまして、ですからそういうふうに入り乱れておりますけれども、最終的にはそれが室町の方に行く結果にはなっても、途中段階においては長岡市が払い下げを受けまして、そして適正な払い下げというものがなされるということでございます。
  183. 橋本敦

    橋本敦君 そこに大きな問題があるのですよ。国有地は室町には一つも払い下げなかったというかっこうが最終的にとれる可能性がある、交換分合その他いろいろなやり方によって。私はそういうことは、室町産業の残地について、ますます室町産業土地利用を一体として営利的にやりやすい状況をつくってやる結果になるということを、心配しているのですよ。
  184. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) もう少し詳しく御説明いたしますと、長岡市が利用されるとなっております土地の面積は約三五・三ヘクタールでございます。その内訳を申し上げますと、旧堤敷の全部の面積それからそれ以外の国有地の全体の面積、それを差し引いた残りが室町から買う面積でございます。したがいまして、この土地処分につきましては、もう国有地につきましてはすべて長岡市に行く。しかしながら、その利用計画の形態としましてはその後で交換分合というふうになるわけでございまして、室町がこの旧堤敷をもらって得するということはあり得ないわけでございます。
  185. 橋本敦

    橋本敦君 そうじゃないんだよ。私の言っている意味が局長、わかっていてそうお答えになったのかどうか知らないけれども、いいですか、長岡市が北半分利用するのでしょう。南の方にも国有地はあるのですよ、水路とかあなたがおっしゃった里道とか。長岡市はそれを使うと言うのだけれども、現状のままの位置で使えないのですよ、長岡市は。北半分使うのだから。だから、したがって国有地の払い下げは長岡市だけが受けられるように、それも利用しますと、こう言っておいて払い下げを受けて、交換分合をやって、そういうものも長岡市が利用しましたというかっこうにするけれども、実際は現状にある位置で使うのじゃなくて、南半分、室町産業の取得になる部分はきれいに国有地その他がないようなかっこうにして室町に渡されるということになると、こう言うのですよ。そうでしょう。だから、そういうことについて室町産業は、この土地については大変な利益を得るのだ、こういうことですよ、そうでしょう。
  186. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 少し先生誤解されているのじゃないかと思うわけでございます。と申しますのは、覚書に基づきまして北半分、二分の一を長岡市が使うというふうになっておるわけでございます。しかしながら、国有地としましては南半分の方にもあるわけでございますね。しかしながら、その室町から買収する面積は、いわゆるその国有地を除いた面積で買収するわけでございます。それで、それをしたがいまして後で交換分合して、室町産業が使うとされております土地に旧堤敷というものが分合の結果行きますけれども、その前提におきましては室町がもうけることにはならないわけでございます。しかも、この土地利用計画等を考えてみますと、いわゆる長岡市としましても、その旧堤の細長い土地が、利用しようと思っても使う上におきまして非常に不便でございます。やっぱりまとまって、まとまった土地があって、そこに県立高校とかあるいは市民プールとかあるいは老人福祉会館とか、そういうものに使う。そして、それ全体を公園的な利用にしたいということでございます。
  187. 橋本敦

    橋本敦君 わかっていますよ。わかっていますけれども、そういう国有地をきれいに整理するということの結果、長岡市は全体としてまとまって使える、それはそうですよ。そのかわり長岡市は、地積的に言えば、使用しない南半分の中にある国有地の部分まで面積だけを計算して利用するということで買い受ける面積に入れているのですよ。そして交換分合をやるのですよ。その問題、もうあなたと議論になって行きたがえがあるからいいですよ。  そこで、残った南半分、すなわち室町産業、これが公共的事業に使うという覚書どおりやるということをあなたは期待して、間違いないとこうおっしゃったんですが、室町産業という会社はいままで公共的事業をやった経過がありますか。どんな会社か御存じでしょう。実績がありますか、公共事業やった。
  188. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) そういう実績はあるとは聞いておりません。
  189. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、あなたが残り半分を室町は公益性の強い事業に使用すると、こう期待されるのは、契約書にそううたっているからと、こういうことですね。それだけの根拠ですね。そして、大きな世論の的になったからだと、この二つの理由ですね。
  190. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 室町産業がいままではそういう公共的なことをやってないというのは事実でございますけれども、今後また、室町産業がどういうふうにこの土地公共性の強いものを主体に利用するか、これは今後のまた推移もあろうかと思います。
  191. 橋本敦

    橋本敦君 私の質問に答えてないんだが、室町産業が今後どういうことをやるかと言うけれども、室町産業って、ペーパーカンパニーですよ。社員何人いるんですか。どこに本店があって、事務員何人いるんですか。決算委員会でさんざん議論になったですよ。社員なんていやしませんよ。事務員なんていやしませんよ。まさにペーパーカンパニー、田中金脈のまさにその中心となる幽霊会社とあれほど言われた会社だ。それがあなた、今後は何か公共的事業をやるだろうと、そんな単純に期待してよろしいんですか。たとえば聞きますが、この覚書で今後公益性の強い事業に使用するという、この覚書の趣旨に反して処分してしまった場合でも、その後の使用が公益性の強い事業に使われたらいいので、処分後の使用が問題だとあなたはおっしゃった、午前中。  そこで聞きますけれども、法律的に。この室町産業から南半分を取得した所有者は、いいですか、霊町産業と長岡市との間のこの覚書に基づいて、公益性の強い事業のために使用するというこの覚書の一項目、これについて当然法律上承継する義務がありますか。物権的権利は承継されるけれども、こういう債務上の権利は承継されないのが法律上の常識でしょう。いかがですか。
  192. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) この覚書は法的にも有効だというふうに考えます。
  193. 橋本敦

    橋本敦君 どういう理由で、買い受けた第三者にどうして有効になるんですか。
  194. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) やっぱり長岡市長室町産業との間に交わされました覚書というものは私契約でございます。
  195. 橋本敦

    橋本敦君 私契約でしょう。その私契約が新しい物権、所有権取得した者に当然承継されるという特約条項でもこの覚書にありますか。
  196. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 室町産業利用するとされております土地につきましては、覚書によりましていわゆるその公益目的に利用されるというふうにされておるわけでございます。しかし、それがよそに売られるということは禁止されてはいないわけでございます。
  197. 橋本敦

    橋本敦君 そうです。
  198. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) しかしながら、これを転売することにつきましては、仮にあったとしましても、それが利用計画の一環としてその利用の形態が正しければよいわけでございますけれども……。
  199. 橋本敦

    橋本敦君 よいというのは期待であって、そういう法律上の義務を承継しますかという私の質問に答えてほしい、法律上。
  200. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) この覚書は民事上の契約であるというふうに考えております。
  201. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 河川局長、ちょっとそこで協議しなさい、時間かすから。
  202. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) おっしゃるとおり、当然には承継されることはなかろうと思います。
  203. 橋本敦

    橋本敦君 そうですよ。法律知っている者はだれだってわかることなんだ。河川局長、たまたまそういうことで時間とっちゃったんですけれども、承継されないんですよ、取得した第三者には。しかもこの取得についても、長岡市が取得するように、局長がおっしゃったように、第一の重要な問題である、不当な利益を生むような価格での処分はさせないという歯どめもない。いいですか、処分について。こういうことで、決算委員会論議してきた経過を踏まえてこれでよろしいと言えますか。建設大臣、いかがですか。——建設大臣に聞きたいんです、私は。こういうことで、そういう歯どめが欠けておってよろしいですか。
  204. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この乙がどこか第三者に処分し、処分後のことをいま御懸念を持ってのお尋ねだと思うんです。
  205. 橋本敦

    橋本敦君 処分価格と、処分後の利用
  206. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ええ。ところが、それが処分に当たって、その処分ということは、この覚書から言えば室町産業としての利用計画になりますね。そうすると、この第六条で、そういう処分をするというときに長岡市に対して何らの相談なく処分は私はできないと思うんですね。したがって、第六条に、「第一条の精神に基づき乙はすべて事前に甲に協議のうえ同意を得るものとする」という事項にはやはり触れてくると私は思うんですね。その第一条は御承知のようなことが書かれておるわけですから、私は、こういう契約書に基づいて民間で行われる一般的な取引のほかに、これは何としても覚書当事者は長岡市という公共自治体であるわけですね。だから、おのずから私は普通の一般的な見方はできないんではないかと。  まして、いま売る価格についてはどうかと。しかし、それはやはりこの長岡市の背景になるところの市議会にしても、また市の執行者にしても、それぞれの責任があるし、その上に、この覚書の上には、文章には出ておりませんけれども、建設省に対してはこれらの処分をするときには協議をすることの約束になっておることは何遍もお答えをしておるところでございますから、歯どめというのを、何か一般的な契約の上から問題のないようにすべきだということとこの河川敷問題の場合とでは、私はおのずから違うんで、これだけ、まあ私どもの立場から言えば、市がおる、市議会がおる、それから……
  207. 橋本敦

    橋本敦君 簡単に願います、大臣
  208. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) その市長のそれに対する責任がある、その上に建設省関係する。そういうふうに非常に幾つもの段階がある中を、そこをくぐって何か勝手に処分して利益を得て、それでこの土地を勝手に利用するというケースは、私としてはほとんどまず考えられませんね。
  209. 橋本敦

    橋本敦君 大臣覚書の解釈でいま大臣は非常に重要なことをおっしゃったんですよ。まず、長岡市と契約した室町産業は、残余の南半分の土地について公益性の強い事業に使う、処分すると。処分するということについて覚書では書いておりますが、この覚書を、大臣がおっしゃるように、他に売却する場合も処分に当たる。その場合も長岡市と協議をし、そして長岡市及び長岡市議会室町産業処分する相手方について、価格について、原価相当性があるか、あるいは相手方が公益性の事業を行うという相手方でない場合は、長岡市はこの覚書に基づいて室町産業と第三者が結んだ売買契約を無効にし得る、こういうところまで効力があるかのごとくあなたおっしゃったんですよ、いま。本当に、この覚書が第三者に、そこまで効力がありますか。いかがですか、河川局長
  210. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) よそに売る場合におきまして、それが適正な土地利用計画であればそれはようございますけれども、先生がおっしゃいますように、転売の価格について覚書でチェックできるかどうか、これにつきましても承知はしておらぬわけでございます。しかしながら、先ほどから申し上げておりますように、覚書に基づいた契約がある、しかも、利用につきましては市議会の了承も得ておる。そのほか、本件につきましては、長岡市民を初めとしまして、広く国民が注視しておるところでございます。したがいまして、先生御指摘のようなことは起こり得ないだろうというふうに考えております。
  211. 橋本敦

    橋本敦君 これだけ国会論議になった問題を、そういう程度の期待感でやれないという心配を私言っておるんです、室町産業という会社の性格からしても、覚書から言っても。局長はいま第三者への処分について、この価格についてはチェックできないということをおっしゃった、大臣の答弁と食い違うんです。私は河川局長の答弁が正しいと思う。そして、第三者について、第三者が公益事業を行うということを口では言っても、その見込みがないなら、売買契約の取り消しまでこの覚書に基づいて長岡市はできるんですか。そんなこと、この契約のどこに書いてあるんですか。根拠を示してください。契約取り消し権が留保されておりますか。
  212. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 先生御存じのように、この契約におきましては、少なくとも室町産業は公益性の強い目的にこれを利用するということについては、長岡市との間に義務を負っておるわけでございます。したがいまして、仮にそれに反するようなことがあれば、少なくともその意味での義務違反にはなり、また長岡市は、それに対して何らかの措置は十分取り得るものだろうというふうに考えます。  また、先ほどのお話でございますが、この長岡市長説明によりますと、転売するということも、転売ということは、転売した先、どういう目的に使うかということも内容に含まれるわけでございますので、そういう意味におきまして、利用計画の一環でございますから、それについても長岡市長の同意を得ることになっておると。  それから、価格のチェックにつきましては、どの程度できるかということは法律的にも若干問題あろうかと思いますが、しかし、価格がどういうことになるか、先生御指摘のように暴利になるかどうかということにつきましては、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、広い国民なり長岡市民のチェックというものがございますので、そういうことに期待するということでございます。
  213. 橋本敦

    橋本敦君 まあ私、次の質問で公団総裁にわざわざ来ていただいておりますので、余り時間がありませんからきょうはこの程度にとどめますけれども、いまの局長、総務課長の答弁に私は納得がとてもできないということを申し上げて、さらに機会があれば、この覚書について私は質問したいと思います。  ただ、大臣にお願いしておきたいことは、河川敷問題はこれで終わったのでは決してなくて、これからが本当に建設省が、そしてまた国会が、本当にこれがあなたがおっしゃる適正な公共利用になるか、室町産業に不当な利益を得させないか、これからが正念場の大事な問題にかかってくるというように私は見ております。大臣、いかがですか。もう終わったとお思いですか、これからが大事だとお思いですか。
  214. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) もちろん、私はこの問題が終わったというふうには思いません。少なくともこの譲渡に関する覚書がどのように行われるのかということについては重大な関心もございますし、さらに、繰り返し申し上げますように、室町産業の半分につきましては長岡市が建設省に対して協議をする、その責任はあると思います。
  215. 橋本敦

    橋本敦君 これからも国会として、国政調査の上で監視をしていかにゃならぬと私は思っておりますが、質問通告がきょう急になりまして失礼をいたしました。どうも御答弁ありがとうございました。  それでは、公団の総裁お越しいただいておりますので、私ちょっと家賃の問題でお伺いさしていただきたいんですが、二月の二十七日に建設大臣は公団の家賃申請、これについて承認をされるという事態になりました。で、公団総裁にお伺いしたいんですが、この、建設大臣が、公団が申請した値上げ制度、これを承認されたというそのことは、これは即申請されたとおりの家賃が確定したということとは別の問題だと私見ておりますが、どう解釈されていらっしゃいますか。
  216. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 家賃をある一定の方式で引き上げたいということについて御承認をいただいたということでございまして、それによって個々の家賃は公団において決めると、こういう性質のものと考えておるわけでございます。
  217. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、個々の家賃については公団において決めると、こうおっしゃいましたが、それは、公団が申請の範囲内で、個々の団地及び個々の住宅について家賃改定をこの金額にしたいと、こういうことを公団内部で決めると、こういう意味ですね。
  218. 澤田悌

    参考人澤田悌君) その方式が大体かなり、御承知のように公営方式でございますから、そうまちまちになるものではございません。各団地ごとにそう性格の違うものでもないのであります。たてまえとしてはしかし、一定の方式によって公団が具体化すると、こういう趣旨を申し上げた次第でございます。
  219. 橋本敦

    橋本敦君 公団は、住居者との間に、日本住宅公団賃貸住宅賃貸借契約書という契約書を締結なさっていらっしゃいますね。したがって、私が総裁にきょう申し上げたいのは、家賃というのは、契約という面から言えばどこでどう決まるというのが正しい姿なのだろうかということを、公団はどう考えていらっしゃるかという問題なんです。つまり、公団が、家賃は今後五千円値上げをしてもらいたいということで通告をなさると。通告をなさったその家賃というものは、公団がお決めになった希望的価格であって、契約当事者間で確定された、つまり契約内容として確定された価格ではないというように見ていいんじゃないですか。
  220. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 公団法施行規則十条でございますけれども、これは、一定の条件のときに、建設大臣の承認を得て、家賃の改定をできるということに定められております。それと同趣旨の契約を入居者の方々と結んでおるわけでございます。したがいまして、値上げにつきまして大臣の承認を得まするというと、それを入居者の方に具体的な値上げ額を通知いたすことによりまして、その契約によってその通知をして、そして値上げに持っていくことができると、かように考えておるわけでございます。
  221. 橋本敦

    橋本敦君 そういう通知ができるということは、いまおっしゃった施行規則と契約五条にあるんですよ。公団は通知ができるんです。そこまでなんですよ。で、通知した金額が賃貸借契約内容としてそのとおり確定されたとは、その段階ではまだ言いがたいはずであると。  そこでまあ総裁、伺いますがね。公団が住居者とお結びになっているこの賃貸借契約は、民法及び借家法の適用を当然受ける契約だということは間違いないでしょう。いかがですか。
  222. 澤田悌

    参考人澤田悌君) そのとおりでございます。
  223. 橋本敦

    橋本敦君 なお私は、きょうは法律っぽいことばっかり言って恐縮なんですけれども、まさにそういう契約というものは、これは賃貸借契約にしろ、あらゆる民法上の私契約、これはやっぱり当事者の合意ということによって契約内容が形成されるわけですから、私がこれから問題にしたいのは、公団がそういう手続で通告をなさった、それが今後の五十三年九月以降の当事者間の賃貸借契約内容として確定された賃料だというようになるには、公団としてどうしたらいいとお考えですか。
  224. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 常識的に申し上げれば、これが妥当なやむを得ざる値上げである、改定であるということを居住者の方々が御理解くださって私どもの方の通知を受け入れていただくと、こういうことであろうと思います。
  225. 橋本敦

    橋本敦君 そのとおりだと思うんです。つまり、賃借り人である居住者の人たちが同意するということは、合意が成立するということです。それによって契約内容としての家賃が確定する。ところが、現在、三十六万世帯を超える多くの人たちは、今度の公団の賃料改定には同意しがたいという、こういう運動が起こっているわけですよ。だから、国会でも審議をされたし、これからも問題になっていくわけですが、公団は四月に通帳の切りかえ期ですから、近く一斉に通帳の切りかえが行われることになると思うんですね。今度通帳を切りかえれば、一年の通帳ですから、当然改定を予定されている九月以降の分も含む通帳になっていく。私はこの通帳についてちょっと質問をしたいんですが、総裁にちょっとごらんいただきたいんですが、いま公団が近く一斉に入居者に配付しようとしている新しい通帳というのは、私はそれだというように資料を入手しておるんですが、間違いございませんね。ちょっとごらんいただきたい。
  226. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 間違いないと存じます。
  227. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、総裁、今度の通帳には、特別のことが、いままでにないことが記載されておるんですね。「家賃等のお支払について」というところの第六項を見ますと、九月から改定になるわけですが、「改定月分以降の家賃について、この通帳に表示された家賃額以外の額(ただし、従前の家賃額以上の額に限ります。)をお支払になるときは、2にかかわらずこれを受領しますので、」支払ってくれ。このことは、「借家法第七条第二項に規定する家賃のお支払として、受領することとなります」と、非常にわかりにくいことが書いてあるわけです。これはどういう趣旨なんですか。
  228. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 御存じの借家法第七条ですか、その趣旨によりまして、相当と認める家賃を納めれば受け取ると、こういうことではなかろうかと私は思うんでございますが、間違っていたら、また訂正いたします。
  229. 橋本敦

    橋本敦君 そこで総裁、当事者間の合意がないまま九月を迎えて、九月から公団は値上げ額を納めてほしいと、こうなるわけですが、合意が成立しなかったらそうなるわけですが、その場合に、従前どおりの家賃は受領は拒否しますということの意思表示でもあるわけですか、従前どおりなら。——どうぞお座りになって、横へお座りになってかまいません。どうぞ御相談に乗ってあげてください。
  230. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 全く従前と同じということではいかがかと思うのでありますが……
  231. 橋本敦

    橋本敦君 受領しないという意思表示でもあるというわけでしょう。
  232. 澤田悌

    参考人澤田悌君) そういうことになろうかと思います。
  233. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、従前の家賃額以上の額ならば、公団が言うとおりの額でなくても受け取りますよと、これは借家法七条二項に基づいて受け取りますよと、こうおっしゃっている。そうすると、従前の家賃が一万五千円なら、一万五千円に極端な話一円足して一万五千一円お支払いしたら、これは受け取られるんですか。
  234. 澤田悌

    参考人澤田悌君) はなはだ極端な例で恐縮でございますが……
  235. 橋本敦

    橋本敦君 十円でも百円でも。
  236. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 理屈だけを申せば受け取るということでございます。
  237. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、一方、借家法七条二項で受け取りますと、こういうことですが、借家法七条二項は、賃料値上げを要求された借家人が賃料額について家主さんと意見が一致しない場合に、自分が相当と認める賃料を家主側に支払いとして提供してよろしいと、こういう法律ですよね。そうでしょう。そこで、借家人側にとって相当と認める額という中には、いままでの賃料に何ぼか上積みする額もあれば、いままでどおりの賃料が相当だと見る考え方も含んでこの法律は相当な額というのを言っておるわけですよ。こういう法律の解釈からすれば、従前どおりの家賃をそのまま支払って、なぜお受け取りにならないんですか、借家法七条二項を適用されるなら。これは公団、問題ですよ、法律上の。
  238. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 先ほど、ちょっと言葉が足りません。あれは「以上」という表現になっております。以上でございますと、同じ額でも受け取ると、正確に言えばそうなります。
  239. 橋本敦

    橋本敦君 そういうように言っていただきますと、一つはっきりするわけです。だから、従前どおりの額でも受け取る、「以上」の「以」の中にそれが入る、こういう意味ですね。わかりました。  だから、わかりやすく書けば、従前どおりの額が相当だと皆さんお考えで、それをお払いになるというならそれも受け取りますよと、こういうことですから、私、極端な話一円の例を出したのは、それをはっきりするためです。そういう必要はないんです。従前どおりが相当だと思えば従前額を支払えば公団は受け取ると、いまはっきりおっしゃった。これは総裁、私、心配するのは、公団が借家法七条二項でこういう通知を近く一斉にお出しになるということは、住居者から見れば——いいですか、住居者から見れば、公団がいずれ相当家賃が幾らであるかという確定訴訟を裁判所に起こして——いいですね、当事者間の賃料額に争いがありますから、公団が相当と考える額と皆さんが考える額と差ができた場合に、将来、賃料額の確定訴訟を公団が住居者に起こしますよという予告にも感じられる書類なんですよ、これは。そういうおつもりは公団にあるんですか、将来の賃料確定。
  240. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 予告と申しますと、私どもの気持ちとはちょっと食い違うのでありますが、私どもの方の、こういう家賃にいたしますからひとつお願いしますという通知、したがって、その通知がなければ、将来、仮に法的手続をとろうと思っても実はできないわけでございます。そういう意味は将来に向かってありますけれども、これは予告だという感じでは実はないような気持ちを持っておる次第でございます。
  241. 橋本敦

    橋本敦君 それなら、もっと親切な書き方がありますよ。これは法律家が読まなきゃわからないようなむずかしいことが書いてある。しかも実際は、将来、賃料額を確定する訴訟ということもやらねばならないことはあり得るというお考えはあるわけでしょう、予告ではないとしても。
  242. 澤田悌

    参考人澤田悌君) これはまだ実施まで期間もあることでありますから、これからも、皆さんにこの趣旨の御理解をいただくいろんな工夫をいたしまして、訴訟によって解決するというようなことまでいかないように、また、私どもはそこまでいって争うほどの値上げではないという感じを持っておりますので、ぜひこれは入居者の方々に御理解を得て、こういう訴訟に訴えるというようなことなしに問題をスムーズに解決していきたい、その努力を今後も続けるつもりでございます。
  243. 橋本敦

    橋本敦君 この新家賃通帳は近く一斉に何日ごろ配付されますか。
  244. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 四月中旬以後、半ば以後、十五、六日ごろから、一週間以上かかるかと思いますけれども、配るつもりでおります。
  245. 橋本敦

    橋本敦君 そういうことで、訴訟を起こしてでもというお考えがいまないとすれば、そういう趣旨も含めて親切に公団は住居者の皆さんにわかるようにすべきですよ。これをいきなり配付したら、いま私が言ったような心配と疑問と、いろんな問題が起こりますよ。  そこで、いま私が聞いたように、従前額の賃料をお支払いになっても受け取りますよということももっと明確にしたらいいですよ。いいですか。だから、そこで公団総裁、そういう問題も含めて、これを一斉に配付したらざあっと問題が起こりますから、あなたがおっしゃったように、訴訟に至らないで解決したいというお気持ちがおありなら、そしてまた契約上賃料というのは当事者の合意によって確定されるという契約の本来の趣旨に従って合理的賃料を確定したいとお思いなら、私は急いで公団の入居者の皆さん、公団自治協の皆さん、そしてまた公団ごとに自治会がありますから、その自治会の皆さんと、いま総裁がおっしゃった精神に基づいて積極的に協議をやられることが最も望ましいと思いますが、こういう協議を積極的におやりになっていただけますか。
  246. 澤田悌

    参考人澤田悌君) この問題につきましては、団地ごとに協議をして合意を得てくれとか、いろんな御希望が当初からございます。しかし、先ほど申しましたように、この一斉値上げというのが公団法施行規則、契約というような一連の手続によって、しかも相当全体に通ずる普遍的な方法によりまして、しかも急激な値上がりにならないような配慮をして工夫をしておるという性格のものでございますので、個々の団地等におきまして協議をして決めるというのにはどうもなじまない感じで、私どもは、御存じのように何回もパンフレットなり業務案内等で通知、お知らせをいたしまして御理解を願っておるのであります。また、自治協を初めといたしまして、何回も、この間私も二十七日でしたか、自治協の最高幹部の方々とお会いをしていろいろ話を伺ったのでありますが、そういうことも重ねてやっておりますし、また最近具体的に御通知を差し上げましたものですから、自分のところが幾ら上がるんだということを大体御存じになって、かなり理解を深めていただいたようにも思っておりますし、また、一回上げたらもう次々と毎年引き上げられるのではないかといったような御懸念も解消したようでありますし、いろんな点で理解が深まりつつあると。  と同時に、御通知に対して、私どもの支社ごとに係員をふやし、窓口、電話もふやしましたが、非常に御照会のお尋ねも多うございます。多いのは、支社では日に百本以上の電話が入るというような状況、あらゆる手を尽くしまして今回の値上げの無理からぬ点を御理解願うようにいたしております。今後もそういう努力を重ねて、九月までに円滑に実施に運べるように心がけておるような次第でございます。
  247. 橋本敦

    橋本敦君 最後に、時間がありませんから、さっきあなたができるだけ協議を進めたいということと、今度はちょっと矛盾することになった。あなたがおっしゃったのは、自分の方の立場を積極的にどんどんこれから宣伝するということをおっしゃっただけですよ。私は時間がありませんからこれ以上言いませんが、この問題については大変な大きな影響がある大事な問題ですから、公団が民主的に住民の皆さんと積極的に協議を進めて、契約本来の趣旨にのっとって、皆さんの協議の中で家賃を確定するという方向に努力をされるということを強く要求をして、きょうは質問を終わります。
  248. 三治重信

    三治重信君 私は公共事業の施行上の問題で、前に建設委員会のときに一度質問したことがございますが、非常に公共事業をやっていく上において、現地で、着工前あるいは着工途中でもいろいろのトラブルが起きている。その一番典型的なのは成田空港で、十二年たった今日においても非常な紛争が続いている。これではいかに公共事業をやって社会資本をつくるのだ、いろいろの善意はあっても、やはり非常に問題がますます複雑になり、極端なことを言えば国費のむだづかいにも発展をする、こう思うわけでございます。ことに国の予算の施行は利子がつかない。あるいはその収益性についてとかく世間から何も余り強い問題が出てこない。それは何かと言うと、会社ならば、事業をやる上において欠損が出れば会社がつぶれる。で、責任者がそれによって責任を負わなくちゃいかぬ。ところが、役所の方では、また政治の部面では、それは一応やる前にはいろいろ議論をされるけれども、それが予算がつき実際施行上になってくると、われわれも経験したことなんですが、それは別にそう深く問われない。   〔委員長退席、理事野口忠夫君着席〕 こういうことの次第で、今日のような非常に不況対策として公共事業が花形になってきても、そういう問題については余り議論されていないような気がするんですが、これについて建設省の方では、こういう大量に景気回復のために公共事業をやろうというのに、果たしてこういう問題のいわゆる効率性、またこういうトラブルについてどういうふうに考えておられるか。最近の傾向について概略的な御説明をまずしていただきたいと思います。
  249. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先生お話しのように、昭和五十三年度予算は景気刺激等のために公共事業が先兵となって働くわけでございますので、その円滑な執行を図ることはわれわれの最大の責務であると考えております。ただ、いまお話しのような、いわゆる公共事業を進めるに当たりまして、地元とのいろんな諸問題が発生している事例はございます。建設省といたしましては、やはり公共事業といいますのは公共的な利益のために奉仕する事業でございますので、土地所有者等の御協力を得なければならない。あるいは地元地方公共団体の御協力を得なければならない。さらに、地域住民の方の御理解を得なければならないというような問題との調整を図る必要があるわけでございますが、事業を進めるに当たりましては、計画段階あるいは用地補償の交渉の段階等におきまして、それらの御理解を得るように努めておるところでございます。  ただ、その過程におきましていろいろ御理解を得られない点もあり、またその交渉が長引くというような点もございまして、現在建設省の事例を申し上げますと、公共事業に着手しようとしながら未着手のもの、あるいは中断をしているものが直轄事業で五件、補助事業で三十一件、公団事業で五件、合計四十一件あるわけでございますが、これらにつきましては、われわれといたしましてはすべて解決できないとは考えておりませんで、極力、先ほど申しましたように、地方公共団体なり関係住民なり、土地所有者の御理解を得ながら、できるだけ早期にこれらの着工にあるいは継続に向かって努力をしていきたいというふうに考えておる次第です。
  250. 三治重信

    三治重信君 そうしますと、いろいろ事前に、着工の前に事業計画を都道府県に示して、その都道府県にそういう問題があるかどうかを確かめて、またあればそれが解決までは実行に着手しないというのが基本原則ですか。
  251. 大富宏

    政府委員(大富宏君) ただいま官房長からお話もございましたように、公共事業の大型化に伴いまして、確かに地元住民とのトラブルが三十年代後半ぐらいから逐次ふえておりまして、訴訟事件もずいぶんふえているようでございます。これの対策というのは、結局、一体どうしてこういう地元のトラブルが起こるのかという原因究明ともつながる話だろうと思いますけれども、これは御案内かとも思いますけれども、五十二年の二月に総理府で公共事業に係る世論調査をやったことがございますが、そのときに、やはり公共事業反対運動が起きた原因というのは何だということで四点ほど挙がってございます。一つは、やはり自然環境の破壊とか公害の発生するおそれがあったためと、これが世論では四三%ぐらい占めております。そのほかに事業の必要性等の住民説明の努力の不十分とか、あるいは計画についての住民の意思の反映がない、生活再建対策が不十分である、こういうのが大体出ておりまして、私どももやはりこういった地元住民の公共事業に対する一種のトラブルというものはこういうところにやはり起因するのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、これの対策といたしましては、ただいま官房長からのお話もありましたように、何といいましても、事業計画について事前に十分に地元に説明をするということが何より重要でございますし、さらには、四十七年の閣議了解もあります環境影響の事前調査というのが非常に重要でございます。建設省でも、四十七年以来ずっとこういう調査をやっておるわけでございますが、四十七年以来、すでにもう三千件ぐらいケーススタディーをやっているわけでございますが、用地買収段階にもやはり事業計画の十分な説明と、さらには生活再建対策まで手厚いきめ細かい配慮をするというようなことが必要だろうということで、事業施行者、第一線に十分そういう指導をいたしておるところでございます。
  252. 三治重信

    三治重信君 いま環境評価の問題が出たんですが、そうすると建設省は、ぼくはいままで承知しているのでは、環境庁の環境評価法には——公共事業の施行について余りそういうものをやってもらうと工事が着工がめんどうくさいから適用除外にしろというのが新聞に出ていたような気がするんだけれども、いまので言うと、環境評価を十分にやって、そしてトラブルをなくして工事に着工するんだと、こういう説明なんですが、そうすると、環境庁の環境評価法について建設省は賛成の方で、むしろそういうものを環境庁が事前にやってくれればその方が建設省としてもやりいいと、こういうような趣旨にとっていいんですか。
  253. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私ども、やはり公共事業の施行と環境との調和ということはもう不可欠の要素だと考えております。環境影響評価法が法律制度として確立されようがされまいが、やはり今後は環境影響の評価、事前調査ということは私は不可決の前提作業だと思うわけでございます。いままででも建設省といたしましては、環境庁起案の環境影響評価法につきましては、有効な、しかも合理的な法制度が確立されることについては全面賛成であるという姿勢をもってきたわけでございます。ただ、その法案の中身につきましては、御案内のように、都市計画法等でもうすでに住民参加手続を持っている法律もございますので、既存の制度との調整、すり合わせ、この問題を法技術上いろいろ環境庁と折衝した経緯があるわけでございまして、今回も新たな案を環境庁からいただいておりますけれども、基本的にはそういう姿勢で、有効合理的な影響評価法制度ができることについては、建設省は前向きで検討いたしておる次第でございます。
  254. 三治重信

    三治重信君 その折衝は効果を拝見したいと思うのですが、しかし、建設省としてこういう環境評価と別に、やはり私はそういうことまでの建設省のいまお考えであるならば、これだけの工事を国費を使っていくにおいて、それを、何というんですか、専門的にやる部局、またそういう専門家をつくらなければ、そういうことを言うならば口頭禅になるのじゃないか。そういうことについて、どうもいままで質問のときにはうまいことを言うけれども、実際においてそれを十分担当する、またそういうことについて第一線を指導指揮する専門家なり部局がいまのところないんじゃないんですか。そういうのはどういうところでやっているんですか。
  255. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 環境問題につきましては、先ほど計画局長が申し上げたように前向きで取り組んでおりまして、組織面におきましても、従来から道路及び河川には環境管理官というものを置いておったわけでございますが、五十三年度から、さらに計画局、それから都市局にも環境管理官を設置することになったわけでございまして、これらの環境管理官が中心になりまして環境問題についての勉強を進めておりますし、かなり専門家が養成をされたものと思っております。なお、同様に、地方建設局、実際に工事を担当する部局におきましても、それに相当する官職を置きまして当たらせておるところでございます。
  256. 三治重信

    三治重信君 わかりました。そういうふうに大分関心を持ってそういうことをやっておられるということがわかりましたんですが、確かに高度成長によっていろいろ開発の結果が必ずしも住民の利益や国土開発によかったということばっかしもなくて、やはり公害とか——公害といっても判断によっていろいろ問題がありますが、また問題が、建設省自身も、工事執行者としてやはりそういういままで抜かっていた自然保護や環境問題をもっと配慮すべき問題がたくさん出てきたと思うんです。そういうことについて非常に配慮をされて、また専門官も置かれてきたということですが、さらにそれに加えて、私はここでひとつ言いにくいことなんですけれども、それに便乗して事をさらに複雑にし、またそれによってごね得をしようという空気が相当出てきているように思うわけです。私の本日特に問題にしておきたいのは、そういう問題と、いわゆる本当の住民の利害関係者の環境公害についての心配というものを、やはり管理官なりそういう役所側がしっかり区別して対策を立てにゃいかぬと思うのですが、そういうことの配慮はどういうふうになっているのですか。
  257. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 先ほど来申し上げましたように、環境問題については十分考慮を払いながら建設省としては仕事を進めてまいるわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたように、環境の問題を論ずる場合に、いろいろ限界がやはりあるだろうと思います。それにつきましては、建設省としては環境庁とも十分連絡をしながら、守るべき環境は何かということをはっきりさせまして対処してまいりたいと思います。その辺につきましては、必要以上に住民の方から環境についての御要求がある場合も確かにあると思いますが、その点については守るべき限界というものを明白にして御理解を得るように努めてまいりたいという考えでございます。
  258. 三治重信

    三治重信君 その点でまだ今度の成田空港の問題なんかを見ていても、非常に役所の対応が解決にもっと真剣に取り組んでいれば今日まで至らなかったと、それは皆さん方が今日やっておられる問題についても、また現地においていろいろそういう問題があると思うんです。そういう問題について、本当にそこの土地の住民なり地主なり利害関係者と、そうでなくて、一般論なり原理、原則といいますか、一つ見解でいろいろのトラブル、まあ極端なことを占えば、トラブルメーカーに引きずられぬようにする対策というものをやはり私はやっていかないと、問題を甘く見られると申しますか、ますます複雑、かえっていいことが恨まれる対策になってくる。  どんなことをやるにしても、社会資本をつくっていくからにはマイナス部面がない事業というものは私は考えられない、いろいろなことをやっていく場合に。全然いいことが九〇%でも、一〇%は何かマイナスのことが出てくるわけなんです。それが四分マイナスでプラス六あればいいとかいう、そういう数字的なことで判断はできぬけれども、せっかく国が国民の税金なり公債でやると決めたことについて十分な理解をとらなければいけないけれども、そこについて、そういう利害関係人あるいは反対として、それがいつまでも処理が、住民の理解と納得が得られなければということでじんぜん日を送るとかえって悪化をする。こういう問題についての対処の仕方は、やはり一たん紛争ができたら、期限を切ってある程度結論を出していくという体制をぜひとつてもらいたいと思うんですが、そういう問題について——まあ期限をとってということで何でもすべて解決はできぬけれども、やはりそこに次からしっかりした解決の手段、方法を考えないと、ただ理解と納得という美辞麗句だけでは解決しない問題が私は出てくると思うんですが、そういう問題について見解を聞きたいと思います。
  259. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 公共事業は、公共の利益のために、地域住民の福祉のためにやる事業でございまして、じんぜん日を過ごしてはその早期の効果発揮ができないわけでございます。その間にかえって住民の利益が損なわれる、公共の利益が損なわれるという面もございますので、計画を立てまして、一応目標を立てて住民の方の御理解を得るように努めるということで進めてまいりたいと考えております。特に、住民の方の御理解を得るには、当該都道府県なり市町村の御協力を得るということが必要でございますので、そういう紛争が発生しました場合には、速やかにそういう公共団体と御連絡をとって早期解決を図ってまいる考えでございます。
  260. 三治重信

    三治重信君 そういうことしかいまの段階で言えぬかもしれぬけれども、そういうことを言っていて五年も十年もたっている工事現場がずいぶんあるわけだから、ひとつ腹をくくって第三の成田空港みたいにならぬようにやってほしいと思います。  その次に、これは大臣ちょっと聞いていただきたいんですが、もう一つは国土調査の問題で、国土調査法に地籍調査という問題がある。これは土地の正確な、いわゆる詳細な図面をつくることに所有関係まで入れるということになっておるようですけれども、しかも、これが二十六年に国土調査法というのができて、その後の進捗がうまくいかないので、これは議員立法で国土調査促進特別措置法まで三十七年に国会意思としてできた。それにもかかわらず、その後大分進捗されていますけれども、余り大した調査が進んでいない、こういうふうな状態なんです。  しかし、この国土調査の中でも地籍調査が、やはりいま申し上げた土地の紛争、利害関係人、ありとあらゆる問題の非常な基礎になり、しかもこういうことを先にやっておけば、測量に入らせないのなんのというようなことをがあがあやらぬでも、いろんな問題が入口で解決される問題が非常に多い。ことにこれは相当な人手も食い、そうして、何と申しますか、後々の、これをつくった後の土地利用の合理化とか土地の取引の経済効率を考えると、これははかり知れない効果を及ぼすものだと思うわけなんです。どうしてこういうことが余り積極的に行われないのか、非常に私は不思議に思うわけなんです。ことに、いまのような不況対策、景気対策、またこの不況対策、景気対策ばかりでなくて、私はもう一つやはり雇用問題という問題も考えた場合に、この国土調査というものは雇用に非常に役立つ調査である。じみな調査であるけれども、これを相当じみちにやっていけば非常に役立つ問題である。こういう意味において、不況対策ばかりでなくて、失業問題にも非常に役立つということで、いまなかなか不況から抜け出せぬ状態において、建設省として、また国土庁として、非常にこれにいままで以上に注意を喚起してほしいと思うんですが、それに対する御意見を伺いたい。
  261. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いま先生のお話しのとおり、国土調査、特に地籍調査等の進捗状況につきましては、鋭意努力をしておりますけれども、芳しくないのが実情でございます。その原因はどういうことかと申しますと、もう地籍調査は、先生のお話しのように、一筆ごとの地籍につきまして図示するというきわめて困難な事業でございまして、特に個人の土地の境界を確認するということ等に非常に時間を食う仕事でございます。そのために、大変じみな仕事でもございますし、先生がおっしゃいますように、きわめて絶大な効果があるわけでございますけれども、表面上は余り目にもあらわれないということで、なかなか実施主体である市町村等につきましていままでPRが足らなかったという点があろうかと思います。さらに、近年におきます地方財政の逼迫等によりまして市町村の方も予算の関係でなかなか計上できなかったというようなきらいもございます。しかし、その後十分啓蒙にも努めてまいりましたし、毎年調査単価の改善も行っております。それから補助率の引き上げ等にもずいぶん努力をいたしました。したがいまして、最近は次第に要望も高まっております。したがいまして、今後さらにこういう啓蒙なり予算の拡充等に努めまして大いに促進を図っていきたいというように考えております。  なお、先生いまおっしゃいましたように、仕事の内容といたしましては境界確定等の非常な問題がございますが、一部実際の測量の実施段階に入りますと、これは確かに余り専門職でない者もポールを持つ等の仕事があることは事実でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、地番、地目、境界及び所有者調査というようなものにつきまして、一々地元の立ち会いの人を求めながらやる非常に困難な仕事でございます。したがいまして、たとえばそういう効果が一部あるといたしましても、失業対策のためにこれを大いに伸ばすということはなかなか困難ではないか。しかし、できるだけそういう方向にも寄与するような調査の仕方をしていったらどうかというのが現在の考えでございます。
  262. 三治重信

    三治重信君 そこが、建設省のもう一つやろうと思ったけれどもやめたというやつが、いわゆる建設省公共事業をやるのは事業ばかりあんたたち考えて、雇用対策というような——失業者といっても安定所へ来た者を救ってやるというのが失業対策じゃないんですよ。全体の働く人たちの職場をどうしてつくるかというのが雇用対策なんで、失業対策というと、労働省がやっていたニコヨンの対策を失業対策と思っていられるのは、これは建設省も、不況対策というのは雇用対策なんだから、経済の全体のいろんな事業をやるというのは、全体の雇用機会なり、働く場所というもの、所得の場所というものをどういうぐあいにつくるかということが雇用対策なんで、失業対策といっても雇用対策といっても経済的な考え方は同じなんで、その失業者に対しては失業対策をやるというのは、まあ経済政策の上からいえば雇用対策ということなんで、そこはまあ言葉のあわだけで言われたことじゃないだろうと思うんだけれども、そういうひとつ雇用効果もあるということは、私は実際にいろいろやっていく上において、非常にこういうのは、何といいますか、人手で相当できる問題なんだから、そういう意味においてひとつぜひ考えていただきたいと思います。大臣、そういう意味において、これは議会でも促進法をつくられ、議員立法でつくられたぐらいなんだから、建設省の方は本当に今後の国土をつくっていく場合において本当に真剣になってやってもらわぬと、あらゆるトラブルのもとが所有関係やそういう土地の問題なんだから、地籍をはっきりすることが、先に建設省が、あらゆる納得をしてもうそういうトラブルのまず基本的な問題を解決する姿勢を示さぬことには、私は何かもとができてないような気がするんです。その一言だけ簡単に言っていただいて私の質問は終わります。
  263. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 大変恐縮なことを申し上げますが、私ちょうど二枚鑑札でございますのでよかったんですが、地籍調査の推進につきましては国土庁の方が担当しておりまして、それで国土調査促進特別措置法により、現に四十五年以降十カ年計画でまいっておりますが、残念ながら三六%の進捗率が昨年までの実績でございます。しかしことしは、非常に重要であるということから、実施予定面積も三千八百キロ平方メートルにいたしまして、五十三年度終了段階では四一%ぐらいまでにもっていこうと、調査面積の拡大、調査単価の引き上げ等をいたしておるのでございまして、御趣旨の雇用対策上も大いにやれという御激励でございまして、ただいま申し上げたように、ことしはある程度調査を拡大いたしておりますので、多少でも御趣旨に沿う次第だと思っております。
  264. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねします。  社会資本がどれだけ充実しておるかいないかということは、文化国家であるかないかというその評価のバロメーターになると思いますが、大臣いかがですか。
  265. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 社会資本が日本ではおくれておりまして、国土庁責任者といたしましては、できるだけこれが促進を図りたいと、こういうことでいろんな角度から検討をいたしました結果が、昨年十一月に第三次全国総合開発計画の閣議決定を見た次第でございまして、その中で、御承知のような十年で二百四十兆円の社会資本を投じようと、こういう考え方に立っておりますので、社会資本がおくれておるということは、それはやはり国家としての態勢がおくれておると御批判があってもやむを得ないと思います。
  266. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わが国は、高度経済成長が世界二位だとよく言われます。そういう立場から——多少これは認めておられますが、その名にふさわしく文化国家としての、経済的にも文化的にも肩を並べていく外国と比較して、何年したらその名に恥じない水準まで持っていけると思っておられますか。
  267. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまお答えをしたように、この十年で相当な社会資本の充実を行おうということは、それなりに日本の現在の状況というものを、文化国家と申しましょうか、地位向上のために努力をしようという目標を置いたわけでございまして、どこまでいったら真に文化国家であるかと、こういう御質問であるとしますと、これはいろんな社会資本が充実すればするなりにまた新たな構想というものも出てくることは当然考えられますので、比較いたしまして、いわゆる先進国と言われる諸国に恥じない状況に持っていくということが好ましいと思うのであります。その点からいたしますと、まだまだ日本の社会資本はおくれておると、こういうふうに認識しなければならないかと思います。
  268. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 具体的なお答えがないのは大変残念に思いますが、何を優先して吸い上げるかということは、国民要求を大事にしていくということが民主政治であると思いますが、いかがですか。
  269. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いま日本は民主政治のためにお互いに努力をしておるのでありまして、国民世論動向をしっかり把握して、それに対する施策を行っていくことは言うまでもないと思います。
  270. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私がいままで申し上げたのは、総理府五十二年二月調査、社会資本の整備に関する世論調査によりますと、いま国民が住んでおる地域を足場にして優先的に整備してほしいものは何であるかという世論調査が出ていますね。第一に整備してほしいのが道路、第二が福祉施設、医療関係施設、第三が下水道、四が公園緑地、こういうふうに幾つかこう出ておるわけなんです。国民要求を優先的に吸い上げて、それが具体的に実現されるところに本当の民主政治があり、国民本位の政治があると私は思うわけなんです。ところが、そういったことがないままに累積した結果、国際的に恥じない経済成長世界二位だと誇るならば、その裏づけの国民の文化生活を引き上げていくというその実績がなければいけないはずだ。  ところが、道路はどうですか。道路の舗装率を比較してみましょう。たくさんは挙げられませんが、イギリスは九七%いっているじゃありませんか。西独が九五%、フランスが八九%、アメリカが八〇%、日本が四〇%、半分以下であります。大事な社会資本の基盤の道路、しかも国民要求が第一位である。これがまだ半分以下であるということを情なく思うのであります。  もう一例挙げると、下水道の普及率がイギリスが九四%、西ドイツが七九%、アメリカが七一%、フランスが四〇%、日本はたった二四%じゃありませんか。四分の一じゃありませんか。どうです。まさに経済的には優位だけれども、文化生活という立場からこれをとらえるならばまさに野蛮生活の日本国民と言わなければいけない。  都市公園しかり。都市公園の一例を申し上げますならば、アメリカの四五・七平米、これはワシントン、イギリスの三〇・四平米、西ドイツの二六・九平米、フランスの八・四平米、日本が三・五平米じゃありませんか。  このような事実を見せつけられた場合に、経済成長優位だ、優位だと言う。国民は貧困、しかも野蛮な生活をさせておるところに、私は日本の政治の貧困、そうして社会資本の充実という面から建設省の使命まさに重大であると言わなければいけない。ここに、大臣このことをどのようにお考えか、もう一遍御見解をお聞きしたい。
  271. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 世論調査国民の要望も私承知しております。また、お示しの道路、下水道、公園等についての先進諸国に比較してのわが国のおくれも承知をいたしております。そういうことでありますので、今回公共事業を大幅にやるということにつきまして種々御批判はございましたが、建設省責任者といたしましては、社会資本の充実のよい機会であると、こういうことで、極力いま申し上げたような諸点については配慮をして今度予算をお願いしたようなわけでございます。ただ、残念ながら、まあ公園あるいは下水道を取り上げますと、いかにも大きくヨーロッパ諸国あるいはアメリカにおくれておりますので、非常に見劣りをいたしますが、しかし、予算としては相当なお願いをし、伸び率になっておるわけでございまして、今後とも、ただいま御指摘のとおりでございますので、私としても、いまおっしゃったような心構えで社会資本の充実に努めてまいりたいと思います。
  272. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 何も人のまねをして早くという意味じゃなくして、本当に文化国家、経済的にも優位であるということを言うならば、当然それは裏づけてしかるべきじゃないか。憲法二十五条に、すべて国民は健康にして文化的な生活を営む権利があると、こううたい上げられておるじゃありませんか。これを裏づけていただくことが本当の政治であり民主政治であると。そして、その立場からも建設省の使命というのは、大臣の使命というのは私は非常に重大であると、こう思われてなりません。ですから、早く名実ともに一億の国民が文化生活が営めるように社会資本の充実を図っていただきたい。がんばっていただきたい。もう一遍決意をお聞かせ願いたい。
  273. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) まことにありがとうございました。そういう心がけで今後もがんばってまいりたいと思います。
  274. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、水と光と緑は文化の三要素、源泉だと私はいつも思っております。その大事な文化の三要素の一つ、文化興隆の三要素の一つの水の問題、この水の面から、沖繩はいろいろ立ちおくれておりますが、不思議だと皆さんも驚きなさるでしょうが、いま沖繩では一日置きに断水なんです。生活用水さえも不自由をしまして断水をしております。この沖繩の水資源を、県民が飲める水を自由な量を与えていただくということは、これはもう当然政治の責任だと、こう思うんです。しかも沖繩は年間降雨量は日本一なんです。年間降雨量は二千三百ミリ、全国平均は千七百ですから。そうすると全国一雨に恵まれて降雨量があって、全国一水に不自由。ここに政治の貧困があると私は思われてなりません。大臣、沖繩県民にもひとしく他県の国民と同じように水を満足に飲める、こういう状態にしていただくのはいつの日ですか、計画を示してもらいたい。
  275. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 水需給計画を示せと、こういうことでございますが、私が申し上げるまでもなく、十分御承知のことと思いますが、沖繩の水需要、一日平均約三十五万立方メートルと思います。これに対し、ダムにより供給されている水が一日平均約十四万三千立方メートルということで、残りは渇水時には集水できなくなり得る不安定な河川表流水等に依存している現状であると。したがって、このとりあえずのところは、本島北部を中心にダムによる水資源開発が進められておるわけでございますが、今後ともダムを中心とする水資源開発を促進することが緊要なことであろうと思います。  なお、現状からいたしまして、地下水の貯留利用あるいは都市下水の再利用、海水の淡水化など、多角的な施策が必要だと思いますが、いま私の手元には、沖繩県のそういう状況に対する年度計画のようなものは現在手元にございませんので、これは後ほどでも、そういう計画がありますれば御提示申し上げたいと思います。
  276. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 開発庁見えていませんか。——それじゃ、開発庁に、一応この窓口は開発庁ということになっておりますので。  いま生活用水を中心に申し上げましたが、工業用水にしても、農業用水にしても、これは前途遼遠であります。この水資源の根本的な解決なくして、沖繩の開発も、すべての開発も、そして文化生活も、これは絵にかいたもちにしかすぎません。もう一遍申し上げますが、いまどき日本じゅうでどこの県に一日置きに飲む水を断水するという、こういう状態の県が一体どこの県にそれがあるか。沖繩にあるのです、いま。いま現在、一日置き断水ですよ。この水問題を一刻も早く解決してもらうかもらわぬかということは、これは沖繩県民の差別につながるんですよ。最優先して、せめて毎日安心して飲める水を政治の力によってやるべきことは当然の義務である。そこで開発庁に、いつまでに、どのようにその水問題の解決を計画しておるか、はっきり示してもらいたい。
  277. 河津四郎

    説明員(河津四郎君) 先生のおただしでございますが、お答えを申し上げます。  水資源の開発につきましては、先ほど建設大臣の方からお答えがあったわけでございますが、本島の北部のダム群の開発ということを主体に進めてまいっているところでございます。現在までの進捗状況を申し上げますと、昭和四十八年度に福地ダムを完成いたしまして、既得の水利二万五千トンを含めまして日量十二万五千トン、これを開発いたしました。それから五十一年度には例の北部三ダム計画の一環の新川ダムを完成いたしまして、日量一万八千トンの開発を行ってきたわけであります。いま現在におきましては、この北部三ダム計画の安波ダム、それから普久川ダム、それに調整水路の工事を促進しているところでございますけれども、本年度におきましては、これらの三ダムに辺野喜ダム及び福地ダムの再開発の二つの建設事業を加えまして、これらを統合運用するという形で、北部五ダム計画ということで、発展的な拡大した計画で水資源の開発を進めておるという現状であります。  細かいスケジュールでございますが、現在の予定を申し上げたいと思いますけれども、昭和五十四年度から、安波川の自流につきましては安波−福地間の調整水路を完成いたしまして、安波川の自流の暫定取水で日量二万五千トン、それから五十五年度には福地ダムの再開発、これはかさ上げでございますが、かさ上げの完成によりまして日量六千トン、さらに五十六年度には、安波ダム、普久川ダム等あるいは統合運用が完成いたしますので、さらに日量八万九千トン、合計いたしまして、これから五十六年度までに計十二万トンという新規開発を予定しております。これによりまして、実は先ほど建設大臣の方からお話しあったわけでございますけれども、現在三十五万トンというのが沖繩の本島の水需要量でありますけれども、五十六年度には約十万トンぐらい需要量が増加するだろうということが予想されますが、この十二万トン新規開発によりまして、大体平年、平水年でありますと需給がバランスするというふうな考え方をとっております。  なお、先ほど申し上げました辺野喜ダムは大体五十八年の完成、日量二万一千トンの新規開発ということを考えております。それから、そのほかに羽地ダムの実地調査、実施計画調査、これは継続実施中でございますが、新たに五十三年度から漢那ダムの実施計画調査、これに着手するということで、その後の水需要の増大に備えたいという考え方でございます。  なお、昨年の末から本年度につきましては、非常に雨の量が少なかった。平年でございますと、先生御指摘のように年間二千ミリ強というのが本島におきます平均雨量でございますけれども、昨年はそれが一千五百ミリ弱ということで、大体平年度の七割弱という降水量でございましたので、まあその結果大変断水等で御苦労をかけたという結果になっております。
  278. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が来ましたので、最後に、とにかく口をあけて待っております。一刻も早く安心して飲める水を、いつでも飲める水を与えてほしい、強く要望します。  次に、道路用地の問題について、昭和四十六年の閣議決定によって、復帰後五年をめどにして買収すると、こういうことが閣議で決められておるわけなんですが、国道、県道の買収状況は、買い上げ状況は一体現在どうなっておるか。おくれておるとすれば、そのおくれておる原因はどこにあるのか、まずこれを……。  いま特に問題になっておりますのは一級、二級の市町村道。それから、講和発効前に限る、二十七年前に限るという条件。これについては十分の八の補助率ということになっておるわけです。いまこれが大問題になっているわけなんですが、これをもしこの率でいきますと、市町村の負担分が約五百五十七億円になるんです。ところが、沖繩の全市町村の自主財源が三百五十七億しかない。そうすると、全財源をそれに投入しても足りないという、まさにこの十分の二を県民が、沖繩が負担した場合には市町村財政は崩壊に瀕するという、こういう実情でありますので、十分の十買い上げてほしいという、そういう要望があるわけなんです。これに対する御見解。そうしてさっき申し上げた賢い上げの状況がどうなっておるか、おくれておる理由は何か、いつまでに解消するかを明確に答えていただいて私の質問を終わります。
  279. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  まず、国県道のつぶれ地の買い上げ計画とその進捗状況でございますが、沖繩復帰対策要綱に基づきまして買収すべき国道、県道のつぶれ地は、面積で四百六十万平米、金額で約二千億に上るわけでございますが、その買収については復帰以来鋭意その促進を図ってきております。昭和五十二年度末までに面積で約四分の一、金額で約二割の進捗を見たわけでございますが、五十三年度予算では大幅な予算の増額を図りまして、さらに面積で三分の一まで持っていきたい、金額で四分の一強の進捗を図りたいというようなことで、逐次伸ばしてまいってきておるわけでございます。  なお、今後の計画といたしましては、昭和五十三年度から、本年度から発足いたします第八次道路整備五カ年計画の期間中にできるだけこれを進めまして、大体これらの買収を概成まで持っていきたいというようなつもりで考えております。  それから市町村道のつぶれ地でございますが、市町村道のつぶれ地の処理方針につきましては、現在実態把握調査を実施中でございますので、その調査結果を十分検討の上決定する予定でございまして、国県道並みのつぶれ地買収を直ちに行うことはなかなかむずかしいということを考えておりますが、いずれにいたしましても、調査の結果で考えてまいりたいと思います。そういう実状でございます。
  280. 野末陳平

    野末陳平君 詳しい説明は後でお聞きしますから、ぼくの質問に対しまして数字だけ先に答えてほしいのですがね。  建設省の職員の住宅が世田谷の等々力ですか、五十二年建設ということで聞きましたが、ここはいま月に幾らぐらいの家賃かと、これをお願いします。
  281. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 面積は六十二平方メートルでございまして、家賃は月額一万二千五百三十円でございます。
  282. 野末陳平

    野末陳平君 それは大体三DKですよね、そうですね。  そこで、同じ世田谷の、近くというか上野毛に今度は公団の住宅がありますね。これは三十年代に建てたやつでやや古いですが、ここは同じ広さで幾らになっていますか。
  283. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 面積は公団住宅の場合七十一平方メートルから八十二平方メートルまでございまして、家賃月額は三万四百円から三万七千二百円でございます。
  284. 野末陳平

    野末陳平君 三万七千円ですか。
  285. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 三万七千二百円でございます。
  286. 野末陳平

    野末陳平君 これは比較するべき対象かどうかは議論のあるところですけどね。民間のマンションがたとえば等々力あたりにあれば、当然もっと公団住宅よりも、あるいはまた建設省の職員住宅よりもはるかに高いというのは常識なわけですね。  そこで、別に建設省だけをお聞きするわけじゃありませんが、いわゆる公務員の住宅について民間から、住宅に因っている人からいろんな不平、うらやましいというか、声があるわけですが、都内の一等地において大体この公務員が入る住宅は幾らぐらいの家賃が標準なんですか。
  287. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) お答えいたします。  最近三年間ぐらいの範囲で都の区内に完成した宿舎、これを見てみますと、大体五十五平米程度の規格のもので宿舎の使用料は一カ月約一万一千円でございます。それから七十平米程度の規格のもので二万一千円、大体の値段でございますが、それから八十平米程度の規格のもので約二万五千円というところでございます。
  288. 野末陳平

    野末陳平君 赤坂にもありますね。これは去年ですか、港区赤坂、五十二年。去年の建設でなかなかいいのがありまして、あれは幾らですか。
  289. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 個別の宿舎の使用料につきましては、現に入居者がおりますので差し控えたいと思いますが、大体いま申しました基準と似通っていると、かように申し上げておきます。
  290. 野末陳平

    野末陳平君 基準はわかりましたけれども、赤坂なんていうと、二十三区という言葉で表現するにしては余りにも一等地だから、もうちょっと具体的に聞こうと思ったわけですね。でも入居者が、どういうわけですか、つまり困るんですか。
  291. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 個人が負担しているわけです。
  292. 野末陳平

    野末陳平君 いやいや、個人が負担しているけれども、負担額がわかるのが困るんですか。
  293. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) それは御本人の了解を得ないとちょっと……。
  294. 野末陳平

    野末陳平君 ちょっと待ってください。御本人の了解を得ないと公務員の住宅の家賃というか使用料はオープンにできないのですか。
  295. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 一般的に申しまして、どういう規格のどこの、それからどういう年数のものが幾らということは申し上げられると思いますけれども、各人が幾ら負担しているかということは差し控えたいと思います。
  296. 野末陳平

    野末陳平君 それならば、先ほどは建設省にお聞きしたわけですから、同じくくどいようですけども、じゃ、いま問題にしました赤坂の、個人じゃなくて大体一番多くあるパターンは幾らかと、これで答えてください。
  297. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 実は私ども直接管理しておりますのはいわゆる合同宿舎というものでございまして、赤坂にありますのは大蔵省の省庁別宿舎ということでございます。したがいまして、私どもでは実ははっきりしたことはわからないのでございます。
  298. 野末陳平

    野末陳平君 弱っちゃったね。そちらでわからなかったらぼくらはわかりようがないんで、これはどこに答えていただいたらいいんですかね。
  299. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 正確に申しますと、大蔵省ではございますけれども、私どもと部門が違います。
  300. 野末陳平

    野末陳平君 そんな、それはちょっと——ぼくの方では一応こことここの家賃ですか、使用料だけは教えてほしいということでお願いしたので、部門が違うから答えられぬと言われたら困りますね。大ざっぱな数字が先ほど出ましたけれども、大体ぼくの方で聞いたのは、三LDKぐらいで二万円ぐらいと聞きましたがね。じゃ、それが間違っているかどうかの見当はつくでしょう。
  301. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 三LDKというような見方ではございませんで、専用面積が何平米かということでございます。
  302. 野末陳平

    野末陳平君 それじゃ何平米。
  303. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) それでもって計算いたしますので、ちょっと合っているかどうか、ただいまわかりかねます。
  304. 野末陳平

    野末陳平君 いやまあむずかしいというか、われわれはすぐ二DKとか三LDKとか言うわけなんですが、じゃそちらの言葉に従って約八十平米ぐらい、その辺だったら大体幾らくらいと、それだけ言ってください。
  305. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 約八十平米ですと、先ほど申しました二万五千円というのがあれでございますけれども、大体二万五千円程度でございます。
  306. 野末陳平

    野末陳平君 一々家賃が高い安いということを言うわけじゃありませんで、どうもそういう数字ぐらいオープンにしてなぜ悪いか。どうせ一生そこに住まわれるわけじゃないんで、ポストが変わればまた移られるんだから、これは公の財産ですからね。わが国民財産と言ってもいいかもしれないけれども、それはそちらとは解釈違うでしょうが、もうちょっとオープンにしてほしいと思うんですよ。  そこで、いまの赤坂ですか、八十平米で二万五千円としますと、仮にこれを民間と比べる。比べるのは根拠が違いますけれども、負担するという立場で比べれば、八十平米ですと大体赤坂のいいところは坪——坪はちょっと使いたくないけれども、坪当たり一万から一万ちょっとぐらいで賃貸しますからね、普通。ですから、少なくとも八十平米でいけば二十万から三十万ですよ、民間なら。
  307. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 私どもの宿舎料、宿舎の使用料の計算の仕方をざっと申し上げたいと思うんですけれども……
  308. 野末陳平

    野末陳平君 それは後で聞きます。
  309. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) そうですか。お話はわかりました。
  310. 野末陳平

    野末陳平君 民間はそのくらいと思うけれども、あなたは専門家だからわかるでしょう。
  311. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 仰せのとおりだと思います。
  312. 野末陳平

    野末陳平君 ですから、これを比較して、いい悪いは言いませんよ。だけれども、どうも格安だなあと、あるいは格安過ぎるんではないかという印象を一般の人が持っても、これは不思議じゃありませんよね。
  313. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 仰せのとおりだと思います。
  314. 野末陳平

    野末陳平君 立ち入って聞きますが、そのいまの問題にしている赤坂にこだわるのは、余りにもいいところにあって、通ってみると、まあ豪華マンションだ。しかし、どこの住宅とも何も書いてない。どんな人が入っているかも何もわからないのに、実はこういう公務員の——公務員といいますか、国家公務員の、国の財産ということでこだわりたいわけで、これはどんな人が住んでいるんですか。どのくらいのレベル。余り詳しく言うとね、大蔵省と言ったんでしょう、大蔵省の人が全部住んでいるんですか、それ。
  315. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 住んでいる人は大蔵省の人と参議院の議員の方と聞いております。具体的にどなたが住んでおられるか、ちょっと私わかりかねます。
  316. 野末陳平

    野末陳平君 いや、具体的な名前を聞いているわけじゃないんです。どのくらいのレベルの人かなあと。いわゆるえらい人なのか、そんなことはないのか、その程度で。それについてあれこれ言う気は全くありませんよ。どうぞ気おくれなく言ってくださいよ。
  317. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 大体局長ないしはその少し下あたりのクラスではないかと思います。
  318. 野末陳平

    野末陳平君 そこで、先ほどから言っている使用料ですか、普通の人は家賃と言いますけれどもね。これは算定の根拠に土地代とか、それから建築費とか、そのようなものも当然含まれた上で出すものか、それともこういう特殊の使用目的のものは独特の何か根拠があってそれで決めているのか。どちらか、それだけ言ってください、余り詳しく聞いてもわからないから。
  319. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 土地とか建設費用、そういうものが主体となって計算されております。
  320. 野末陳平

    野末陳平君 そうしますと、安く仕入れた土地の上に建てれば家賃も安くなるし、高く仕入れた土地であれば高くなるとか、そういう民間と同じような感覚でこの家賃をとらえてもいいんですか。
  321. 秋山雅保

    説明員(秋山雅保君) 御承知のとおり、公務員宿舎と申しますのは全国にございます。したがいまして、全国には高い土地もあるわけでございます。一応土地代について申しますと、算定の仕方といたしましては、一応全国の平均的な土地代というものを出しまして、それから後で、都内であるとか地方であるとかということで、これは正確に申しますと四つの部門に区分しておりますけれども、高低をつけている、こういうやり方でございます。
  322. 野末陳平

    野末陳平君 そうですが、平均的にやっているわけですね。  そこでその決め方について文句を言うわけじゃありませんが、建設大臣大臣の管轄じゃないかもしれませんけれども、まあ常識的に見てどうも安過ぎると。国会議員の宿舎もそうですよね。やっぱり常識的に見て安過ぎるんですね。どういう理由があって安いかは別として、あるいは民間と比べて高い安いというのもまた乱暴な議論かもしれないけれども、しかし、余りにも格安な恵まれた住宅条件ということはどんなものだろうか、やはりたとえば先ほどから公団住宅の家賃値上げも出ていましたけれども、公務員宿舎も安過ぎるから、もうちょっと上げるのが当然じゃないか、その上げ幅もかなり上げてもいいんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。建設省の宿舎の話も一例挙げましたけれども、全体に見て、大臣
  323. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 野末委員のお考えのように、どの住宅もすべて同じようにこれがそれぞれの住まいとして提供をされるものである、その提供されたものには、公正な同じような計算による家賃を納めるべきである、こういうような前提を置けば、ただいまの御質問で、私も拝聴しまして、非常に差があるということは認めなきゃならないと思うんであります。ただ、もう御承知で御質問なさっておることと思いますが、公務員などの場合は、これが基礎になる法律に基づいて、いわば家賃という性格ではなく、使用料のような感覚で、公務員の職務の性格上、また給与の実態からして、こういう処遇をする、こういう程度の手数料を取るというようなことから見てまいりますと、おのずからそれぞれ論議がございますが、野末委員前提が私の申し上げたようなことであれば、そこには非常に差があり、また客観的に批判の余地も出てくるかと思いますが、いろいろ掘り下げて少し検討しなきゃならない点があるかと思います。
  324. 野末陳平

    野末陳平君 まあ要するに、特に都市は住宅に困っている人がたくさんいる、そういう人から見て、やはりこの不公平感というものをほうっておいていいかどうかということなんで、理屈を言えば、やはり一緒に比較をしてあれこれ言うのはおかしいかもしれない。しかし、いまやこの不公平感ですね、これに対して漫然としていていいかどうかということも考えないと、やはり公務員が余りにも恵まれているという批判が強い折ですから、やはり検討すべきだと思っているから御質問しているわけですがね。  じゃ今度は公団住宅と公団の職員の方の住宅というのを二、三お聞きしたいと思うんですよ。  横浜の洋光台にありますね、団地が。同時に、同じ敷地内というか、隣接して住宅公団の職員の住宅もありますね。このまず洋光台における一般の公団住宅とそれから公団の職員の住宅の家賃を比較してみてください。
  325. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 洋光台の日本住宅公団の宿舎につきましては、面積が七十平米、三DKでございますが、八千百二十円でございます。洋光台西というところにございます高層の三DKの住宅につきましての家賃は四万四千三百円ないし四万五千五百円と相なっております。
  326. 野末陳平

    野末陳平君 そうしますと、その両者の家賃の開きはわかりましたけれども、五倍ぐらいありますね。さっきの例は、先ほどの建設省それから大蔵省が入っているとかいう例の場合は、要するに民間と比べて十分の一ぐらいで、公団と比べては三分の一から五分の一ぐらいの見当だと聞いていたんですが、この場合は片や住宅公団の職員の宿舎である。片や一般のいわゆる公団である。これが約五倍あるいはもうちょっとの差があるように聞きましたが、一体これ、土地はいつ入手して、家はいつ建てたか。これ一緒にやったんですか。それとも土地は、片方はずっと前に手当てしていたんですか。それどういうことになっていますか。
  327. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) ここの場所は大体同時期でございます、土地の入手。
  328. 野末陳平

    野末陳平君 まだこれと似た例が幾つもあると思うんですが、とりあえずこの洋光台を例にとりますと、土地は大体一緒に入手した、建物が建ったのもまあ一年と違ってないわけですが、どうして片方の家賃が四万何千円で、片方が八千幾らであって、こんな五倍の開きが出ちゃうんですか、説明してください、簡単にね。
  329. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 先ほど建設大臣の答弁にもありましたように、まあ給与住宅として職員住宅は考えておりまして、いわば一種の福利厚生施設でございます。業務上の必要から保有しておるわけでございます。ですからこれにつきましては一般の家賃という考え方ではなくて、それに比べれば低い使用料で通常定めておるわけでございます。
  330. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、似たような理由でやはり我孫子の場合も言えるんですか。我孫子にも団地があって、また住宅公団の職員の住宅がありますね。その家賃の比較だけでいいです。理由は恐らく同じではないかと思うんですが、念のため、土地もほとんど同時期に取得したかどうか、その辺も。
  331. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 土地の入手につきましてはほとんど同時期でございます。我孫子の湖北台というところにございます日本住宅公団の三DKの宿舎は四千八百六十円でありまして、同じ三DKの中層の賃貸住宅は二万八千四百円ないし二万九千六百円となっております。
  332. 野末陳平

    野末陳平君 ここは六倍ぐらいになりますか、五、六倍ですね。倍率を別に問題にしているんじゃないですよ。さっきの洋光台と同じく、同じ時期に土地を取得して片方だけが高くて片方は安いけれども、その理由をお聞きしたらば、これは福利厚生であると。ですから一般のレベルに比較はできないんだと、こういうことですが、さて、公団の職員の住宅はこんな五分の一か六分の一の安さで、これはどうして採算がとれるんですか。一般の公団住宅は採算がとれないから値上げしなければなりませんね。でも公団職員の住宅はこんな安くて、福利厚生だから採算はとれてなくていいわけですか。
  333. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 採算の問題につきましては、これは公団の経理上の区分でございますけれども、この宿舎は宿舎費につきましては、公団の一つの固定資産として、公団の福利厚生の固定資産としての勘定の方に回っておりまして、計算の仕方もおのずから違っておるわけでございます。そういう資金の区分が別になっております。
  334. 野末陳平

    野末陳平君 固定資産で資金の区分が別であるならば、改めて聞きますが、じゃ土地を取得するときから、そして建物を建てるときから、全然資金の区分が別でやってきたわけですか。それはどうですか。
  335. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) これは予算上そういう区分を初めから立てまして取得し、建設し、それから家賃の決定をしておるわけでございます。
  336. 野末陳平

    野末陳平君 そうしますと、いずれにしても、予算上区分はなっていたけれども、その財源ということから考えると、やはり国庫からの金なんですか。それとも公団が民間の企業と同じく何かでもうけていて、それで資産ができたと、そういうことですか。そんなことないよね。だから、国からの金で要するにつくったと、しかし、つくるときに区分だけははっきりしていたと、こういうことなんですか。
  337. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) おっしゃいますとおり、この金は、先ほど申しましたけれども、経理上は国の財投から宿舎費として区分されて経理されているものでございます。
  338. 野末陳平

    野末陳平君 建設大臣ね、区分されているわけですから家賃の違いもいいですよ。理屈はそれは通るのかもしれませんがね。考えてみれば、公団というのは、要するに安い庶民の住宅というか、質のいい住宅を提供する仕事なわけですよ。で、そういうお金が出てくるわけですよ、財投からね。国庫からの金が来る。そうすると、同じ時期に土地買って家も建てて、片一方は商品だから高いと言っちゃ変だけれども、五倍ぐらいの家賃でまあこれ採算とれるように貸すわけだ。で、片方は福利厚生だからこれは安いんだと言って、商品は高くして身内には安くしてと。これはこれでいいのかもしれないが、区分がついていると言うかもしれないが、もとを洗えば、やっぱりどうなんですかね、何となく割り切れない気もするんですがね。公団の財産をつくるのに、やはり国の金を使って財産つくっているからね。何か民間の話と大分違うんでこんがらがっちゃうんだけれども、おかしいと思いませんか。
  339. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 私も公団に参りまして、この職員住宅の家賃というものを考えてみますと、これは実は五十一年に二九%の値上げを各公団、建設省管下の公団、五つですか、一斉にそろえて値上げをしたのがそうでありますが、それにしてもこれは理屈の上から、いままで御説明がありましたように、相当安くてしかるべき理由はもちろんございますが、しかし、ちょっともう少し上げてもいいんじゃないかという感じを実は持っておるわけでございます。しかし、これは各公団並びの問題でもありますし、いま福利厚生という性質の面がありましたが、これは労働条件にも関係するものでありますので、なかなかいきさつがございましてむずかしい面もあるようでありますが、職員住宅についても適正な引き上げ方をすべきじゃないかというふうに私は考えて、そういう方向で努力をしたいと考えておる次第でございます。
  340. 野末陳平

    野末陳平君 やはり上げるのは当然だと思いますが、上げる率も、もともとベースが低いんだから、同じ率で上げたって一向にその差は縮まらないわけですよ。その辺で総裁がもし上げるべきだと思われるなら、やはり職員にもうちょっと負担を求めてしかるべきだと思うんですよ。だって、福利厚生とは言うけれども、一般の公団住宅を低家賃で貸せるようなのがつくれなくてあっぷあっぷしている公団が、自分ところの職員には条件のいいのを先につくっちゃって、福利厚生を優先させるような結果になっているでしょう、現実に。しかも、もとを洗えばお金は同じところだ、出どころは。途中で区分しているだけという。何かこれは割り切れない。ですからぼくは、公務員が安い家賃のところにいてけしからぬとか、とんでもないから高くしろとか、そんなばかなことを言っているんじゃないんですよ。余りにも不公平感をもたらすような格差のあり過ぎる家賃を設定しておいて、それなりの理由があるからこれはこれでいいんだという考え方をなくしてほしいわけですよ。どんなに理由が通ったって、現実の負担の差というものは余りにもひど過ぎる、差があり過ぎる。そこで姿勢を正す意味からも、やはりもうちょっと負担してもいいんではないか。これは公務員全体に言えることですが、特に公団の場合は、このままほっといたらこれから公団の住宅政策そのもの全体にどうも影響があると、そういうふうに見ているわけですよ。ですから、もう理屈じゃないんです。それからまた理屈を聞きたいとも思わないですよ。大臣、いまやこういう現実の数字であらわれた、これについてどう対処するか。ほっとくならほっとくでいいというならそれも開き直りでいいかもしれない。しかしそうはいかない。  そこで総裁、もう一回聞きますよ。上げてもいいんじゃないですか、はっきり。
  341. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 私は上げた方がいいと存じます。ただ、五十一年度に三割近く上げたわけでございまして、しかし五十二——今度は五十三年度であります。できればこの辺でもう少し考えるのが私はいいのではないかと思っておりますが、これは労働条件の問題になりますので、一方的にということもできない。また過去のいろんないきさつがございます。その辺も考えまして御趣旨に沿った努力をいたしたいと考えております。
  342. 野末陳平

    野末陳平君 時間もないし、ですから本当は予算の面から職員住宅と公団住宅とのいろんな問題を質問したいわけで、それはそちらから正式な説明を聞いた後で質問することにしますから。  ただ一つ心配なのは、いまの洋光台と我孫子だけを例に挙げましたが、職員住宅の方とそれから公団住宅とに分けて家賃を比較しましたが、これどうなんでしょう。公団住宅の方がしわ寄せを受けているんじゃないかと、職員住宅の福利厚生を優先するがために結果的にしわ寄せがいっているんではないかという気もするんですよ。同じ時期に土地取得して、隣接したところに同じ建物が建って、片方が五倍の家賃、片方が五分の一という、これは片方にしわ寄せがいっているんじゃないかと、そう思うんです。そんなようなこともありますから、いずれ、あと二、三実例を挙げてお聞きしたいことがあったので別の機会にまとめますが、最後に、そういうことはまさかないでしょう、どうなんですか。ほれ、算定のときに福利厚生の分までちらちらっと——それは後で数字で説明してもらいますがね。それだけがないかどうか、それはひとつはっきり言ってください。
  343. 澤田悌

    参考人澤田悌君) それは御懸念ございません。これは原価により計算し、しかも多大の政府の援助を得まして入居者の負担の率をできるだけ抑えるという形で努力をいたしておるわけでございまして、こういったもののために家賃が左右されるという性格のものではないのでございます。
  344. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ、次の機会にまたやりましょう。
  345. 野口忠夫

    理事野口忠夫君) 他に御発言もないようですから、建設省と、それに関係する住宅金融公庫及び総理府のうち国土庁決算審査についてはこの程度といたします。  次回の委員会は四月十日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十九分散会      —————・—————