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1978-08-31 第84回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月三十一日(木曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月七日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     丸谷 金保君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 永野 嚴雄君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 穐山  篤君                 丸谷 金保君                 和泉 照雄君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 喜屋武眞榮君                 江田 五月君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 安倍晋太郎君         ―――――        会計検査院長   佐藤 三郎君         ―――――    事務局側        事 務 総 長  植木 正張君        常任委員会専門        員        道正  友君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  西村 健一君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  山崎 宏八君    国立国会図書館側        館     長  岸田  實君    説明員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       三島  孟君        宮内庁次長    山本  悟君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        外務省アジア局        北東アジア課長  佐藤 嘉恭君        外務省経済協力        局外務参事官   中村 泰三君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        名本 公洲君        大蔵省主計局次        長        禿河 徹映君        大蔵省主計局次        長        吉野 良彦君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省理財局次        長        迫田 泰章君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省銀行局保        険部長      貝塚敬次郎君        国税庁長官    磯邊 律男君        厚生省環境衛生        局食品化学課長  宮沢  香君        建設省河川局水        政課長      安仁屋政彦君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第一局長   前田 泰男君        会計検査院事務        総局第四局長   岡峯佐一郎君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本専売公社総        裁        泉 美之松君        日本専売公社総        務理事      小幡 琢也君        日本専売公社塩        事業本部部長   塚原  健君        日本専売公社塩        事業本部塩技術        担当調査役    加峯 正美君        日本国有鉄道事        業局次長     大西 克巳君        日本電信電話公        社業務管理局長  浅原 巌人君    参考人        国民金融公庫総        裁        佐竹  浩君        日本開発銀行総        裁        吉岡 英一君        日本輸出入銀行        副総裁      中村  進君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月七日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました国家財政の経理及び国有財産管理に関する実情を調査し、もって昭和五十年度決算外二件の審査に資するための委員派遣について、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますが、口頭報告は、これを省略し、本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 次に、昭和五十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費国会会計検査院大蔵省と、それに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 質疑通告のない山本宮内庁次長植木参議院事務総長岸田国立国会図書館長山崎裁判官訴追委員会事務局長西村裁判官弾劾裁判所事務局長佐竹国民金融公庫総裁吉岡日本開発銀行総裁及び中村日本輸出入銀行総裁は退席していただいて結構でございます。  なお、佐藤会計検査院長は後刻再び出席していただくことにして、一時退席していただいて結構です。  それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 まず最初に、大蔵大臣に御質問申し上げますが、実はつい最近に、不二サッシ粉飾決算が大きく問題になってきております。佐世保重工その他、政府はきわめてそうした企業に対しては、社会不安その他も考えて、それぞれできるだけの配慮をいたしてまいっておりますけれども、この問題についてはどのように対処するお考えか、御見解をお願いいたす次第でございます。
  9. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 不二サッシの問題につきましては、過去数年度にわたりまして証券取引法上の粉飾決算の事実が判明いたしました。そこで、時効にかからない分につきましては、当該法律に基づきまして先般告発いたしました。今後は検察庁とともに強制捜査の段階に入りまして、真相を明らかにした上で検察庁処置に任したいと、かように考えておるところでございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 五十年度の決算が出てきておりますが、恐らく粉飾決算をしておったのでございますから、その間利益を計上して法人税等の納入はしておるかと思います。これらが粉飾決算というふうなことで架空利益であった場合に、こうした問題に対して大蔵当局としてはどういうふうな措置をするお考えで対処しているか、お伺いいたしたいと思います。
  11. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 現行の法人税法申告納税制度をとっているわけでございます。したがいまして本人――その会社側利益があるといって申告いたしますと、それで納税義務が確定するという仕組みになっているわけでございます。したがいまして、還付その他のことはないであろうと、かように思っております。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、事実の関係はどうあろうと、申告納税制度である以上、過誤納その他の還付ということは起こり得ないというふうに判断されるわけですか。
  13. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまの問題につきましては、当該年度申告税額分につきましては、先ほども申しましたように、申告納税制度でございますので、本人申告によって決まるわけでございます。本人側といたしましては、申告しておりますから、訂正をするという――いま主税局長おりませんので私の心覚えを申しますと、恐らく本人側からは訂正をしてくれと言う権利はないであろうと思います。進んでそれを減額訂正をするかどうかという判断行政官庁に任されていると思いますが、万一減額訂正をいたしますれば、繰り越し控除という関係が起きるのではなかろうか。やるかやらないかということは行政官庁の方の裁量権に任されている、かように理解しておるところでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 本人側からはそういうことがないであろうというふうに推定しておりましても、これは今度は多くの債権者の問題がかかってまいると思います。いわゆるそういう債権者側が、権利確保の形で、第三者としてそれらの債権確保、救済というふうな形でまいったものについては、これらは遡及して国としては考慮しなくてもよろしい、行政官庁裁量権のみで行うと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  15. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 第三者側のその点に関する請求権という問題は起きない、かように理解しております。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変今後社会に及ぼす影響も大きいことでございますし、しかもまた、これが正常な決算でなく、刑事事件に発展するような企業の問題についてでございますので、十分御留意を各面にわたっていただくと同時に、こうしたことに対する大蔵当局の厳に監督をしっかりやってもらうようにひとつお願いをいたして、この問題を置きたいと思います。  それから、公定歩合が引き下がってまいりました。特にドル安というふうなことに関連して、国内の公定歩合がどんどん下がってまいりまして、それに従って各金融機関がそれぞれ短期、長期ともども金利を下げてまいっております。しかし、長期の問題について、どういうわけか、政府の出資している、たとえば中小企業金融公庫であるとか環境衛生金融公庫というふうなところでは、その時期その時期での金利は下げておりますけれども、長期の分においては依然として年九分というふうな高金利のものがそのまま据え置かれております。そして、これに対しては、それぞれの金融機関においては、原資を出しておる大蔵の方の意向が、原資の方を下げてこなければそれぞれ下げることができないというふうな状態のようでございます。その反面、市中銀行等では、住宅ローンその他も、長期の分について金利を下げております。恐らく銀行局としては、市中銀行等については長期ローン等金利も下げるような行政指導をしておると思いますが、いかがでございますか。
  17. 徳田博美

    説明員徳田博美君) お答えいたします。  民間金融機関に対する長期金利引き下げでございますが、これは金融機関原資あり方によって違うわけでございまして、先ほど先生指摘のように、政府関係機関の場合には、運用部からの確定金利による長期借り入れ原資として固定金利によって貸し出しが行われているわけでございますけれども、民間金融機関につきましても、その原資につきましては固定的な比較的長期金利原資について適用しているものと、原資について金利変動制をとっているものと両方があるわけでございます。  この場合におきまして、長期の固定した金利原資としている金融機関、たとえば長期信用銀行につきましては、貸出金利につきましては過去にさかのぼって引き下げることをしないわけでございますが、一般普通銀行、それから信託銀行につきましては、原資それ自体が変動的な金利になっておりますので、これは長期貸し出しにつきましても直ちに引き下げを行うというような体制になっているわけでございまして、それぞれの金融機関原資あり方等に関連いたしまして長期金利引き下げについて指導しているわけでございます。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 銀行局で、いわゆる一般市中銀行等については、長期貸し出し等についても現在の状況に見合って金利を下げるというふうな行政指導をしておると。しかし、一方で政府機関については、金利が上がってきたときも上げないんだから、下がってきたときに下げられないというふうな状況のもとに金利が据え置かれており、非常にアンバランスが出ております。これもわずかのうちはいいんですが、たとえば昭和五十年の四月の基準金利が、それぞれ中小企業金融公庫等では九・四%です。そうすると、いまの実勢から言いますと、これはもう二%も、市中銀行との割合におきましてもそれ以上に差が出てきております。どうもこれほどひどく差ができてさましたら、何らかの配慮を行っていかないと、せっかくの政府が行いました貸し出しというふうなものが、実際に景気浮揚その他、長期低迷から抜け出そうとしている中小企業の足を引っ張ることになっているんじゃないかと思う。  ですから、ここはひとつ、まあ上がってきた場合になかなか上げられないというふうな政府機関の問題もありますから、不況業種でもって行っておりますように、当分の間利子を免除すると。余りにも民間との格差で、政府機関の方が安いのが当然なんですから、広がり過ぎているものについてはそういう配慮があってしかるべきと思うんですが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  19. 徳田博美

    説明員徳田博美君) 先生指摘のとおり、最近の長期金利引き下げに伴いまして、既往の高い貸し出し金利と現在の新しい貸し出し金利との間にかなり格差があるではないかという問題が出てきたのは御指摘のとおりだと思います。  ただ、しかしながら、先ほども申し上げましたように、政府関係機関の場合には、運用部からの確定金利による長期借り入れ原資として貸し出しをしているわけでございまして、したがいまして、これに対しまして既往金利まで一律に引き下げをするということになりますと、一つにはかなり巨額の財政負担が必要になるわけでございます。それから二番目には、黒字かなりもうけている企業に対しても財政負担をしてまで既往にさかのぼって金利を下げることが適当であろうかどうかという問題がございます。それから第三番目に、過去の引き締め期金利が非常に上がったわけでございますが、その時期においては、むしろ長期設備投資等を抑制する意味で金利を上げたわけでございまして、それにもかかわらず、いわば国全体の方針投資を抑制すべきであるという方針が打ち出されていたにかかわらず、なお高い金利の金を借りて設備投資を行った対象に対しまして、後で全体の金利が下がったときに金利が下がってしまうということになりますと、そのような引き締め政策効果自体が損なわれるという問題もあるわけでございます。このような問題がございますので、このような政府関係機関長期資金につきましては、既往金利にさかのぼらない、引き下げを行わないという原則をとっているわけでございまして、例外的に、個々企業実情に応じて、実態が非常に苦しいものについては債権保全の見地から金利引き下げを行っていたというのがいままでの実情であったわけでございますけれども、先生指摘のように、現在のように長期金利が非常に下がってまいりますと、既往金利との間にかなりアンバランスが生じてきたわけでございますので、今回特別の措置といたしまして、昨年十一月から、過去の引き締め時におきましてかなり高い金利で貸し出されていたものに対しまして、不況業種に属する赤字企業につきましてはこれを既往にさかのぼって金利の軽減を行うということを実施したわけでございまして、最高は過去九・二%のものが中小国民公庫の場合には八・一%まで、つまり最高一・一%までの引き下げが行われているわけでございまして、これは政府の施策として例外的に既往金利引き下げを行うという場合における最大限の措置ではなかろうかと、このように考えているわけでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 お話もよくわかりますが、しかしどうも、私も金融機関にいたことがございますので、ちょっとそれでは説明としては納得がいきかねるのです。たとえば原資金利が高いからこれは引き下げられないんだと。ところが、長期というのは皆年賦償還で、少なくともたとえば十年であればもう五年払っているんです。原資の半分は払っているんですから、総体のいま国がそれぞれの財政投融資機関から侮り上げて貸し付けをしている原資そのものも、一年一年どんどん金利の高いやつは戻っていっているんですよ。ですから、いまのような御答弁にならないんです。たとえば昭和五十年の時点の、いま決算でわれわれが調べておる五十年の四月、九・四%、環境衛生金融公庫等についても五月時点では八・九%、こういうふうな高金利、それを特に環衛法関係の六団体等についてはもう毎月払っているんですよ。そうしますと、それは設備資金なんかの場合に原資が高いからということは、十年年賦のうち五年たったら原資が高いから下げられないんだという状態ではもうないでしょう。その点、いまの局長の御答弁ではちょっと納得しかねます。全部が全部その当時の原資でないんですから。  それから、実態に応じて不況業種等利子を免除するという政策をとっていると。その実態なんですがね。確かに、利益の出ているところまで対象にするということはないですが、中小企業やあるいは環境衛生に関連するところのサービス業その他の業界、これはいま不況の一番のあおりを食っているんです、どこへ行っても。恐らくそうだと思うんです。しかし実態は、たとえば北海道で調べてみましても、中小企業金融公庫の場合でも、直接公庫から借りているのは約二千件でございます。それから銀行その他の代理業務を通じているのが約四千。六千です。そのうち不況産業対象になっているのはたった八十社しかないんです、この程度やっていてですよ。じゃ、あとの五千九百二十社はもうかっている産業だと言えますか。そこら辺もう一度ひとつしっかり答弁してください。
  21. 徳田博美

    説明員徳田博美君) 確かにいま、現在とられておる措置は、不況産業に属している赤字企業ということが一般的な措置になっているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、個別の対応といたしまして、個々企業につきましても、業況が悪化して債権保全金利を下げないと非常に債権保全自体が困難になるというものにつきましては、個別の問題として金利を下げているわけでございます。先生も御指摘のように、黒字でもうけている企業にまでは金利を下げる必要は必ずしもないと思われますので、その面で、こういう個別の事案につきましての判断につきまして現在弾力的に対応するように各金融機関に指示しておりますが、この点につきましては、さらにその点につきまして配意を行うように今後とも指導してまいりたい、このように考えております。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 この点についてひとつお願いしたいんですが、われわれいま五十年の最高金利の高いときの決算の審議をしているわけなんです。しかし、実態と大変合わなくなっていることはただいまの御答弁の中でも明らかなとおりでございます。ですから、この長期のやつを、いまの実態に合うのと繰り上げ償還をさせて借りかえをさせるというふうな、そういうことが、私はやっぱり大蔵当局がそういう形の行政指導をしていけば、少なくとも五カ年たって原資の半分返ってくる分については、二%下がっているうちの一%は理論的にも原資も安くなっているんだから下げられるはずなんです。そういう点についてのひとつ配慮ができないものかどうか。私はこれできるんじゃないかと思うので御提言いたしますが、見解をお願いいたします。
  23. 徳田博美

    説明員徳田博美君) 先生指摘の繰り上げ償還の問題でございますが、繰り上げ償還につきましては、これは融資先からそのような申し出があった場合にはこれに対して弾力的に対処するように各機関に対しては指導をしております。ただその場合に、繰り上げ償還して新たにまた同じ性質の金をその金融機関から、政府関係機関から貸すということになりますと、これは新たな貸し出しになるわけでございまして、それぞれの融資目的があるわけでございますので、その融資目的に照らして判断をする必要があると、このように考えております。したがいまして、借りかえという形での繰り上げ償還というのはこれはむずかしいのではないか、このように考えます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、当面の形としては、実態としてなかなか高い金利政府の金を借りた人たちを、ごく一部を除いて金利を下げるという方法はないということですか。何かいい方法があったらひとつ教えてくださいよ。ちょっとかわいそう過ぎると思うんですよ。もう半分返しているんですからね。
  25. 徳田博美

    説明員徳田博美君) ただいま申し上げましたように、過去の高い金利借り入れを行っている中小企業につきましては、現在黒字でもうけている企業は別といたしまして、赤字を出しておりまして非常に経営が苦しいと、そのために金利を軽減しなければ経営自体が問題になってくるというような企業につきましては、個別の問題として弾力的に対処するように考えているわけでございまして、本当に経営困難に直面している中小企業につきましては、この面の処置によりましてかなりのものが救われるのではないかと、このように考えておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げました繰り上げ償還につきましても、これは早く、現在非常に金融が緩和されている時期でございますので、もしほかの金融機関から安い資金を調達してくるということで、高い政府関係機関の過去の貸し出しを返済したいということであれば、これはもう弾力的に対応するように、これもこのように指導しているわけでございます。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 ほかの金融機関から借りて払える人は、もう払っていますよ。ですから、そういうふうにしたらいいというふうなことにならない人たちのことを言っているのです。しかし、個々の問題としてはめんどうを見るということでございますので、そういう点で、ひとつできるだけそういうひずみの中にある人たち、こういう人についての配慮をお願いいたしたいと、かように思う次第でございます。  次に、専売公社に御質問申し上げます。  ただいま配られました決算書によりますと、塩の専売において、五十年度に約百七十億ほどの赤字が出ております。これは、たばこの方で相当の利益、これは当然上がっておるので、差し引きしますと公社決算としては黒字でございますけれど、塩の方で百七十億の赤字というのは、その業態の規模から言うと、それはもう大変な金額だろうと思います。したがって、これが恐らくオイルショックというふうなことでこうなったんだというふうに考えているかもしれませんが、しかし、昭和四十六年当時、塩業の整備の特別措置法が出た段階で、実は国会答弁の中で、この中で園部説明員がこういう説明をしております。今回の整備の場合、「単に七千円の価格が実現すればいい」、これはだんだん近代化によって下げていくという、塩の買い入れ価格を下げるということでありますが、「七千円になったら、とたんにその後の物価上昇で七千円が上がっていくというような体質のものではほんとうの近代化」とは言えないと。要するに、オイルショックその他の物価上昇があっても、こういう経理というのは、そうそのことによって変えていかなきゃならないようなことがあったんでは本当の近代化と言えないから、いまわれわれが提案しているこの法律が通ると、そういうことにならないようにするんでございますという説明をしております。四十六年三月二十四日の大蔵委員会における質疑でございます。それから言いますと、どうもこの赤字の大きな原因が、国内産の塩を高く買っているというところにあるように思いますので、一体このときの答弁はどうなっているのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  27. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 昭和五十年度の塩事業の赤字百七十九億でございますが、どうしてこういう大幅な赤字が出たのかという御質問でございます。  確かに塩事業というのは公益専売でございますので、財政収入を上げる目的でございませんで、ずっと収支とんとんで運営してまいったわけでございます。そこで、四十六年に塩業特別整備を実施いたしまして、昭和五十年度にその塩の収納価格を国際価格水準に近づけるということで、トン当たり七千円を目標価格として、それに向かって下げていくというような方針を立てたわけでございます。  したがいまして、その計画以前はトン当たり一万二千五百円でありましたものを毎年千百円ずつ下げていこう。それで五十年度には七千円の目標に到達したい、そういうことで発足したわけでございますので、それが四十六年、四十七年、四十八年と予定どおり毎年千百円ずつ下がってまいったわけでございますが、四十八年に至りまして、四十八年末の石油ショックに端を発しました異常な物価、労賃の高騰によりまして、その予定の路線が――路線といいますか、引き下げができなくなったわけでございます。もちろん四十六年の御指摘国会答弁にございますように、当時といたしましては、通常の物価アップであれば、この七千円というのは、当時策定いたしました各企業の事業近代化計画の内容から見ましても十分達成可能であると、こういうことでたしか四十六年御答弁申し上げたと思いますけれども、それが何分あの四十八年末の異常な物価騰貴によりまして、通常のアップどころではないということで、これが不可能になったわけでございます。  それでも公社といたしましては、何とか消費者価格の引き上げを抑えたいということで合理化の努力を重ねてまいりまして、少しでも収納価格の引き上げを少なくしたいと、こう念願いたしたわけでありますが、結果といたしましては、遺憾ながら毎年引き下げどころか、少しずつ上がるということで、昭和五十年度においては、実に七千円の目標のところを一万五千百円と、実は八千百円も予定よりも上がってしまったと。八千百円でございますので、国内塩に関係いたしますのが約百十三万トンございますので、百十三万トンに八千百円を掛けていただけばわかりますように、それだけで九十二億円というのがずれている。  それが生産面でございますが、そのほか、公社ができました塩をそれを輸送いたしまして、それを消費者の手に渡すまでの経費がいろいろございます。そういった経費につきましても、運賃を中心といたしまして四十八年、四十九年と大幅な運賃アップが民間でもございましたので、そういうことで、遺憾ながら相当の赤字が生ぜざるを得なかったというのが実情でございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 いいですか。「七千円になったら、とたんにその後の物価上昇で七千円が上がっていくというような体質のものではほんとうの近代化というわけにはまいらぬかと思います。」と、そういうことで、近代化を進めるための臨時措置法と多額の財政資金によるところの企業の整備が行われたわけですね。そしてこれだけのことを言っておるのですから、少なくとも五十年の決算でそういう見通しが全く狂ったとなれば、決算説明のどこかに、国会に対してああいう口をきいたけれども、まことに申しわけないというくらいのことがあっていいんじゃないですか。何にもないじゃないですか、これは。あたりまえのような、それだったらこんな説明するべきでないと思うんです。物価の上昇や何かがあったって上げなくて済むようにやるのですというふうにここで大きく言っているのですよ。どうなんです、その点については。もう少しそういう国会答弁に対する責任を持った後の説明なり考え方というものがあってしかるべきじゃないでしょうか。
  29. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 四十六年の国会答弁におきまして園部総務理事からそのようにお答えをしたという点につきましては、先ほど小幡本部長から申し上げましたように、当時の近代化計画におきましては、ある程度の物価変動があっても、国際価格水準にさや寄せするという近代化をやっていけばそれに耐え得るという考えであったと思います。ただ、それが御存じのようにオイルショックによりまして、重油の値段が四倍になるとか、包装代も三倍を超えるとか、これは非常に異常な状態でございまして、当然四十六年当時そういうふうな物価上昇を予想して申し上げたものではございません。したがって、五十年度に百七十九億円の赤字を出したことにつきましては、当時の予測と全然違った事態が生じたせいであります。  しかし、この赤字を出したことにつきましては、まことに申しわけない気持ちでおります。いま御指摘のように、決算書にそういうことを書くべきではなかったかと言われますれば、そのとおりだと存じます。まことに申しわけなく思っております。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで赤字のこの原因を、その後五十二年度は黒字になっているまた別な要因もございますが、赤字の原因が、オイルショック、オイルショックというふうに言っておりますけれども、公社の内部における企業努力なり姿勢というふうなもの、そういうことでここをこうすればよかったと。これはその以後塩の値段を上げて収支のバランスをとっておりますけれども、それだけでなくやることが私はあったのじゃなかったかと思うんです。  たとえば、百七十億赤字を出したその年、もっぱらこれは製塩業界から国が買いつけている塩、そして国に売ることによって事業の成り立っている会社関係では、昭和五十年度のそういう会社の決算を見ますと――会社の名前は言いません。一番上にあるのを一つとってみますと、資本金が十億くらいの会社で二億五千万くらいの利益を計上しているのです、一つだけとってみても。その他みんな相当の利益を出しているのです、五十年で。いいですか。そしてこれらの専売公社に塩を売っている会社の利益は、五十年度トータルして六億もあるんです。それで専売公社の方は大変赤字だと。専売公社に塩を買い上げてもらっている方はみんな黒字決算をやっている。  それからもう一つ、五百万トンを超す外国からの輸入塩、これは公社が手数料としてトン三十円ずつ取っております。このトン三十円というのは昭和三十七年から変っていないんです。しかし、実際に五百万トンかける三十円というと一億五千万です。そうですね、一億五千万ですね。しかし、これはただのいわゆるペーパー手数料じゃないんです。検収をしたり検査をしたり、相当公社としてはこの手数料三十円については経費もかかっているわけです。その経費の分として負担してもらっているんだろうと思いますけれども、昭和三十七年当時にこれだけの――その前の四十円をどういうわけか十円下げておりますけれども、経費がかかる。そういうふうなことを勘案して決めた三十円。五十年になってもまだ三十円というのはどういうわけです。その間に検査をしたり検収をするところの人件費だけでも十倍以上になっているんです。  こういうほかの要因の中での努力をしないで出た赤字について、こういうところは全くそのままにしておいて、オイルショックだから赤字が出たというだけでは私は済まないと思うんです。この点いかがなものです。
  31. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 御指摘の、ソーダ工業塩を自己輸入いたします場合に公社がトン当たり三十円を徴収いたしておりますが、これは公社の職員が着港に参りまして、現地で数量の確認とかあるいは品質、成分の検査、鑑定をいたしますもろもろの経費でございまして、これもこの塩事業の損益上明確に区分経理しておりますが、それによりますと、大体昭和五十年度、五十一年、五十二年度、三十円ちょっとというようなことが実際の姿でございます。  ところが、御指摘のように、以前、昭和三十二年から三十七年まではトン当たり四十円でございます。これを、それでは物価アップがあったにもかかわらずなぜ下げたのかということになるわけでございますが、これにつきましても数字はいろいろございまして、三十七年十月に三十円に下げることができましたのは、やはりソーダ工業塩の取り扱い数量が非常にふえて、トン当たりに直しますとトン当たり経費の額が少なくて済むんだという問題が一つ。それからもう一つは、輸入数量がふえたほかに船が大型化した問題、荷揚げ能力の問題、それから荷揚げの荷役の日数が非常に減ったという問題、それから入着の本船の数も、船が大型化したわけですからかなり減ったわけでございまして、そういったものをいろいろ勘案いたしますと、結果といたしましてトン当たりのその実費が前よりも減ることが可能になった、そういうことでございます。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは三十七年に下げたときの話でしょう。五十年のオイルショックでどんどん諸物価が上がる、しまいにはどうしても百七十億も赤字が出たんだからということで塩の値段を上げておりますわね。そういう中でなぜこういうことが見返りされないのかということと、もう一つ、五十年度の決算で百七十億の赤字を出しながら、公社が塩を買い付ける相手の会社は全部黒字決算をしている、一体これはどういうことなんだと、そういうことなんです。
  33. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 前段の御質問は昭和三十七年当時のトン当たり経費でございますが、これが大体三十二、三円でございましたが、以後ずっと毎年の実績がございますが、四十年からずっと大体三十円台、三十二、三円から三十五円、昭和五十年は三十三円ぐらいということで、結局これは職員二名が立ち会うその回数とかそういった旅費、それからちょっとした物件費というものでございますので、そう物価アップには余り影響なかったということではないかと思います。  それから各商社それぞれ、公社赤字であるにもかかわらず決算は黒ではないかという御指摘でございますが、この問題につきましては、公社といたしましては輸入商社を選定いたします場合にできるだけ……。  失礼いたしました。生産七企業につきましては、これは収納価格を一定に決めておりまして、その中に通常の利潤を織り込んでいるわけでございまして、その利潤の分が結果といたしまして多いところもある、少ないところもあるということで、現在のところは赤字ではない、そういうようなことだと思います。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、昭和三十七年以降の手数料というのは、現況でもそれほどそのときの計算の実態と変わりがないから変えていく必要はない、こういうふうにお考えでございますか。
  35. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) このソーダ工業塩が日本の港に着いたときに、公社が瞬間タッチで買い上げて売り戻すという措置をとるときに、検定料あるいは分析のための経費としてトン当たり三十円を徴収いたしておるのでありますが、その後の経過を見ますと、まあ三十三円ぐらいにはしてもいいというような数字は出るんでございますが、余り端数でございますので、現在のところまだ改定を見るに至っておりません。しかし、その後の情勢を考えますと、そうした実費は償ってもらわなければならない、それの実費を償われないでは公社としても困りますので、実費を償ってもらうような程度にまでは何とかして引き上げたいという考えを持っておるのでありますが、まだその機が熟しておらないのでございます。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題で余り時間をとりたくないのですが、輸入塩のシステム全体についていろいろ問題があると思いますね。どうも輸入商社というふうな大きな企業に対しては、何かこう実費、実費というふうなことですが、しかし、これ本来塩の専売は国に全部属するんですから、瞬間タッチ方式で経費がかからないから実費だけ徴収すればもういいんだというふうな考え方にも多少問題があると思いますけれど、先に進ませていただきます。  実はいろいろ問題もありますけれども、公益専売というふうなことを唱えておる塩の専売でございます。昭和四十六年当時、当時の福田大蔵大臣が――当時審議会では塩の専売について廃止の方向で再検討せいという答申が出ております。これに対する竹本委員の質問に対して、いろいろな利害得失があるけれども、「それじゃ専売にしておいてどこが悪いのだろうということにつきましてまた積極的な決定的な理由というものも私はまだ見つからないように思います。」と。これはひとつ大臣にお答え願いたいと思いますが、「しかし、いろいろ議論のあるところでございますから、なお検討いたしましてその方針を決めたい、」と、当時の大蔵大臣はこのように答弁しております。それから、同じ専売の問題につきまして、今度は昭和五十年になりますと、昭和五十年の四月十五日に大平大蔵大臣が、これは衆議院の高沢委員の質問でございますが、「現在の塩の専売の仕組みは今後も続けていくというふうに考えてよろしいですか、これは大臣からひとつ。」というのに対して、「そう考えております。」と、こう大平大臣は答えております。そうしますと、四十六年に福田大臣のときに、いろいろ議論もあるから検討します、検討させますと、五十年に、塩の専売は続けていくというふうに考えてよろしいかというのに対して、「そう考えております。」と大平さんが言っておるんですから、これはこの間に四年あるんです。検討をした結果塩の専売は続けていくということになったと。四年間検討したんですから、そういうふうに大平大臣が答えたと、こう理解してよろしいでしょうか。村山大蔵大臣ひとつ。――これは二人とも大臣の答弁なんで、私は大臣に、大臣の答弁をそういうふうに理解してよろしいかどうか、お願いしたいと思います。
  37. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この間の詳細な事情はわかりませんが、私が承知しているところでも、いま丸谷委員がおっしゃったとおり、四十六年の当時の国会答弁では、当時の福田大蔵大臣が、今後検討してまいりたいと、こういうことでございまして、五十年の国会におきまして大平大蔵大臣が、いまの専売制度を続けていった方がいいんじゃないか、こういう趣旨の答弁をしていることは承知しております。その間の経緯につきましては私は詳細には存じませんが、恐らく大蔵省としては、専売公社ともどもいろいろ検討した上でそういう答えが出たのではなかろうか、このように想像しておるところでございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、実は公共企業体等基本問題会議の意見書が六月に集約されて出てきております。この中では、塩専売につきましては「専売制度を維持する理由に乏しいと考えられる。」と、こういう答申が出てきております。この点について大臣はどう受けとめておられますか。
  39. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまの私の方で最終的に公共企業体等基本問題会議の意見書をちょうだいしておるんでございますが、その中途の段階でいろんな話が、いま言ったような趣旨のことが出ていることも承知しておりますが、最終的には、「塩事業の経営形態については、当面、現行の専売制度を維持することとし、」と、こう一遍言っておりまして、「国内製塩企業の自立体制が確立する時期において、流通機構のあり方を含め、その廃止について検討すべきものと考える」、こういう答申をちょうだいいたしているのでございます。これが公共企業体等基本問題の方の最終答申だと存じておるわけでございます。目下大蔵省といたしましては、この最終答申の趣旨に従いまして努力をし、また今後の検討をいたしたい、かように思っておるところでございます。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、昭和五十三年六月十九日に出された基本問題会議の意見書というのは過渡的なものだ、最終結論ではないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  41. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いや、六月十九日、これは最終答申だろうと私は理解しておるわけでございます。そこで言っておりますのが、いま委員のおっしゃっているのと私が手元に持っているのはちょっと違うわけでございまして……
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 三十三ページを私は言っておるんですよ、「塩専売事業の経営形態について」。
  43. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは途中の議論でございまして、集約的な結論が三十五ページの方に出ているわけでございます。「以上を総合的に判断すれば、塩事業の経営形態については、当面、現行の専売制度を維持することとし、国内製塩企業の自立体制が確立する時期において、流通機構のあり方を含め、その廃止について検討すべきものと考える。」と。議論がいろいろあったようでございまして、それらを全部勘案してここに集約的に総合判断が述べられておるわけでございますので、われわれといたしましてはこの判断の線に沿って検討を進めてまいりたい、こういうことでございます。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、四十六年から検討を始めて、五十年にはもう検討を終わって専売制度をやるというふうに決めて、また大臣がかわるたびにもう一回検討し直すんですか。
  45. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 四十六年のかつての濃厚方式の製塩時代からの転換のときに、先生指摘のような問題がございまして、福田大臣がお答えになったわけでございます。その後検討をるる重ねてまいりまして、本年に至りまして、また改めてこの公共企業体等基本問題会議という場におきまして、別途の観点から、塩の専売制の問題について取り上げられたわけでございます。それで、ここにまた別途の観点からいろんな議論が行われ施策が行われているわけでございますので、政府といたしましては、これを受けまして閣議了解いたしましたように、この趣旨を尊重しながら再度検討を重ねてまいるという立場にあるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は四十六年のときには塩業審議会の意見を受けて検討したわけですわね。そして五十三年の六月に塩業審議会も開かれている。塩業審議会の方ではすでにこの問題は検討されて、五十年答弁を受けておるということだと思います。ここでは今度はもう専売の問題に触れておりません。そして今度は基本問題会議の方では、冒頭では「維持する理由に乏しい」と、これちょっと何かおかしいと思いますがね、後では検討せいと。しかし、これはあくまで廃止する方向で検討せいということなんですよ、ここで検討せいと言っているのは。冒頭で制度を維持するのは理由が乏しいと言って、なおかつ検討せいと言っているのですから。これ、ぼくは大変な政策の転換だと思う。しかも一方で塩審議会の方は、当時答弁をした大平さんも、社団法人の日本塩工業会の会長として審議会の中の名簿にあるのですよ。これ出席されたそうですね、このとき。そういう中で片方の方ではもうその問題は済んだこととして触れてない。一遍答申して、大平さん自身がそんなこと考えませんと言って答弁したのですから。いいですか。その人が入っている審議会、これの方はそういう問題は触れないで、一体大臣はどっちを重要に見るのですか。もちろんこれはもう塩審議会、これは大臣の諮問ですからね。大蔵大臣が諮問してつくった委員会の答申を重要に見るのだと思いますけれど、確認の意味でひとつ御答弁願います。
  47. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 塩の方のさきに設けられておりました審議会は専売公社総裁の諮問機関でございます。今度答申が出ました公共企業体等基本問題会議の方は内閣に設けられた会でございまして、御案内のように、スト権ストに端を発しまして、その問題と絡みまして全体のこの種の三公社五現業等のあり方につきまして総合的に検討をいたしたわけでございまして、ひとり塩専売についてだけでなくて、国鉄につきましても電電につきましても、また国有林野のあり方等につきましても、それぞれの部会において検討し、そして総合的なものとして答申をいただいているわけでございますので、私といたしましては、今度の公共企業体等基本問題会議、この答申の線に沿って今後われわれは検討してまいるつもりでおるわけでございます。  その内容でございますが、先ほど書かれました総合的な判断というところに集約されておりますので、その線に沿いまして今後検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうするとあれですか、大蔵大臣は、前大臣が答弁したことはもう大臣がかわったのだから別だというようにいま御答弁なさったかと思うのですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。一遍、この問題はわれわれはけりがついていると思ったのです。塩審議会から出て、福田さんはいろいろ検討すると。四年間、だから検討したと思うのですよ。そうして次に大平さんが、これは専売はそのまま続けるのだということ、そう考えていると、こう答弁したら、国会としては、この問題は専売制度を維持するという方向で一応政府方針としては決まったというふうに受けると思うのです。それからまた事情が変わったから、大蔵大臣がかわればまた変わると、そういうふうなことが一体許されるのですか、答弁が。国会答弁というのはそんなものなんですか。
  49. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) もとより制度という問題につきましては、これは一般的に申しまして絶えず検討を加えていかなければならぬと思うのでございます。そしてまた客観情勢も絶えず動いておるわけでございますので、その答弁というものの底に流れておる客観情勢の変化、そういうものをわれわれは頭に置いていかなければならぬと思っております。大平大臣が恐らく言われましたのは、塩審議会の意見を踏まえまして、あるいは討議の結果を踏まえまして、大平大蔵大臣としての御見解を述べたものと、それはその意味で私はそれなりの評価すべきものと思っております。しかしながら、先ほど申しましたように、スト権スト等の問題と相関連いたしまして、公共企業体を別の角度から、つまり政府の三公社五現業というような政府経営全体のあり方を通じて、今度は塩専売だけではなくて、全体を総合的に考えてみる、これはまた一つの考え方であろうと思うのでございます。そういう意味で、今度相当の期間をかけまして基本問題会議が出しておるわけでございますので、その間客観情勢の変化もあり、また専門の各方面の方々が入っておるこの基本問題会議でございますので、私はこの審議会の答申を尊重し、この線に沿って検討していくことはそれほど朝令暮改というようなことではないんではないかと、このように私自身は考えておるのでございます。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 国会答弁されたことが、審議会のあり方、その他によってその都度変わっていくというふうなことは大変遺憾なことだと思いますし、この問題はさらにまた今後論議を深めて、やはり公益専売ということを言っているんですから、公益優先という政治の大道から言って、専売制を堅持していく大平大臣の意見というふうなものを十分尊重してこれからやっていっていただきたいと思う次第でございます。審議会のあり方その他の問題はございますが、時間がもう余りございませんので、具体的な問題に入らせていただきたいと思います。  先般来塩の工場、各地域見学をさせていただきました。川崎工場、これはいろんなものをつくっておりますが、ここでつけもの塩というのを――このつけもの塩というのは、見ておりますと、原塩を、メキシコあるいは豪州から運んできた輸入塩を、表面の水洗いをしてそのまま使用している、こういう状態でございます。そうしますと、外国から輸入した輸入塩というのは、この結晶物の中にごみと異物が混入されているということで直接食用には供せないというように理解しておりました私は大変意外な感じをいたしました。これが一体衛生上問題とならないのかどうか。とりあえずその方法、工程等について御説明をお願いいたしたいと思います。
  51. 塚原健

    説明員(塚原健君) つけもの塩の製造の工程でございますが、輸入した原塩を洗いまして、それを粉砕して、リンゴ酸、クエン酸等一部添加しておりますが、包装した、こういうものでございます。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういたしますと、それがそのままつけもの塩として使用されるということになると、精製塩とか食卓塩というふうにして、一般の食塩というのは、異物があるから一遍水に溶かして再製しなきゃならないというふうなことになっている。つけもの塩というのは、そうすると食物に関係ないんですか。
  53. 塚原健

    説明員(塚原健君) 一般に売られております食塩とか精製塩でございますと、直接口に入れることになるわけでございますが、つけもの塩の場合はつけものを洗って口に入れるようになりますので、若干の異物等がありましても差し支えない、このように考えます。
  54. 丸谷金保

    丸谷金保君 あなたはつけものは全部洗って食べますか。どうなんです。つけものというのは全部洗って食べるんですか。お宅ではどうなんです。洗わないつけもの、ないんですか。
  55. 塚原健

    説明員(塚原健君) 家庭ではぬかみそとかそのほかのつけものを食べておりますが、洗わないものもございます。
  56. 丸谷金保

    丸谷金保君 厚生省、来ておりますね。食品衛生上どうなんです。洗わないで食べるといま答弁しているんですが、そういうのもあるんですか。いいんですか、それ。
  57. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) 先ほどのつけもの塩の話でございますが、どのような異物が入っているか、私は詳細に存じませんが、食品衛生法では四条で、有害なものを混入してはならないと、そういうふうな規定を持っております。
  58. 丸谷金保

    丸谷金保君 ほかの食塩については、輸入塩には有害なものが結晶体の中に入っているから、一遍水に溶解して再製しなきゃならないと言っておりますわね。そうでしょう。
  59. 塚原健

    説明員(塚原健君) 輸入塩に有害なものが入っているということはございません。ただ輸送の途中で鉄粉その他というようなことはございます。
  60. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、食塩だとか特殊塩というのも水洗いだけでいいんですね。そういうことになりませんか、有害なものが入っていないんなら。
  61. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 輸入塩につきましては、外国から参りました塩、これをユーザーが業務用に使います場合に……
  62. 丸谷金保

    丸谷金保君 業務用を言っているんじゃないんですよ、業務用を。
  63. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) もちろんつけもの塩の場合も同じでございますけれども、工程におきましてできるだけ異物がないように異物を取るということを一生懸命やっておりまして、できるだけそういうものはないようにしていることは事実でございます。現に川崎の日食、私、見学いたしましたときも一生懸命取っております。
  64. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっとすれ違いになっているのでもう一回申し上げますが、つけもの塩でも水洗いをしないでつけものを食べることがあります。いいですか、わかりますね。それから、特殊塩とか食卓塩とか食塩というふうなものは、ほかのものについては、外国から入ってきた輸入塩は結晶の中に異物があるから、全部水に一遍溶解して精製し直さなきゃだめだという指導をおたくの方でしているんでしょう。その問題だけに限ってひとつ答弁してください。どうしてそういうことになるんですか。片方では、水洗いをしたら異物がないと言ってるんだったら、特殊塩でも何でもそれで許したらいいでしょう。
  65. 塚原健

    説明員(塚原健君) それでは、技術の方の専門の加峯調査役から御答弁申し上げます。
  66. 加峯正美

    説明員加峯正美君) 異物自体につきましてもかなり少なくはなっております。それから、ただいま説明申し上げましたように、異物を取ることも極力いたしております。同時に、その異物とおっしゃっている中身でございますが、砂とかどろとか、大きいものはつけものの中へ侵入するということはございませんから、実際洗われなくてもお気づきになることもありましょうし、洗われなくても害がない、その程度のものは在来から使われておったわけでございます。
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の言うのは、その程度のものは在来使われていたし、公社のつけもの塩は、そういうことで結晶体そのまま、水にもう一回溶解しないで食用にもなるものとして売り出しているわけですわね。だったら、特殊用塩を、全部水洗いしなきゃ結晶体の中に異物が入っているからというふうなことを言うのはおかしいんじゃないかと言うんです。それだったら、同じように水洗いして出してもいいということになるんじゃないですか。
  68. 塚原健

    説明員(塚原健君) 特殊用塩のつくり方は、公社の方で指示しているわけではなくて、こういう塩をこうやってつくりたいというつくり方を業者の方で決めまして、それで申請してくるわけでございます。
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで申請してくると言っても、水でもって完全に溶解したのでないと許可しないんでしょう、おたくで。するんですか、それじゃ特殊用塩もつけもの塩と同じように水洗いをしてきれいにして同じような形で。これのためにコストが非常に高くなっているんです、特殊用塩は。要するに、そういう申請だから許可しているだけだというお話ですね。おたくの方で、それでなきゃだめだということは言ってないんですね、そうすると。
  70. 塚原健

    説明員(塚原健君) そういうことは言っておりません。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変これ重要な問題なんです。私たちがいままで調査したところでは、これが水洗いだけで済むんだったらずいぶんコストの安い塩を一般に提供できるといって特殊用塩つくっている人たちはみんな言うんです。そういうことはないんですね。もう一回確認いたします。つけもの塩と同じ方法でいいんですね、原塩は。ほかは、まぜるものは別ですよ。原塩の取り扱いとしては、衛生上つけもの塩でやっているんだから、ほかもそれでいいということになると、特殊用塩の価格というのはうんと下がるんです。
  72. 塚原健

    説明員(塚原健君) それは差し支えないと思います。ただ、コストの面につきましては、塩を水洗いいたしましてつけもの用塩の程度にまでいたしますと、これは大変高くつく可能性はあるかと思います。
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはもう大変、従来の特殊用塩のメーカーその他、関係者については本当にありがたい御答弁をいただいたと思っております。いままでだめだということでやむなくみんな一遍水溶してもう一回つくり直すというえらいコストのかかる方法でやっていたので、この点につきまして明快な御答弁をいただきましたことをこの機会に厚くお礼を申し上げておきます。  それから、今度は、別な、イオン交換膜でつくっている製塩工場を視察いたしました。その中に脱硫装置があるんです。これはその工場で聞きますと、いや、これは石油を使うので、それを流すのには脱硫装置をつけないと海を汚染するからそういう点でやっているんだと、こういうことなんです。それから工場の図面で全部見ますと、後から見たんですが、どうもその工場の脱硫装置のあるという場所は、確かにそれは石油を使用するための脱硫装置なんですが、そのほかに、イオン交換樹脂膜の工場の中の方で脱硫の装置があるんです。われわれも残念ながら素人でよくそこら辺はちょっとわかりかねるので御質問いたしますが、脱硫装置と、イオン交換膜がずっと自動化した計器が並んでいる中に脱硫というあれがあるんです。そこで、実はこの点はっきり、もしもそういうことで硫酸等を製造工程で使っているとすればこれは大変な問題だと思いますので確認したいと思うわけでございますが。
  74. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 私どもの調査したところでは、そのような脱硫装置はほかにはないということを聞いております。  それからもう一つは、製塩工場でそういった硫酸を使っているところは現在ございません。ただ、中和剤といたしまして海水の前処理に塩酸を使うことはございます。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 ある政党の新聞の中で、毎日二・五トンの硫酸を製塩工場に運び込んでいると、こういう記事がございます。そして、これは県の段階では問題になったようでございます、四十七年の四月ごろのことでございますけれど。それで、これは専門家のいろんな意見によりますと、海水というのはPHで七・九から八・二くらい、それからそこで聞きました塩は大体七%くらいのPHだったと聞いております。しかし、実際にイオン交換膜を使って海水から鹹水を取る場合にPHが五・五くらいの方が通りやすい、こういう点で塩酸あるいは硫酸というふうな化学物質を使っているんじゃないかと、こういうふうな意見もございます。しかし、この製造工程のそういう細かいことの公表がないので、いろいろそういうことの専門家もわからないと、私が聞きましたところそういうことでございます。一体これはどうなんでしょう。
  76. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 薬品を使います場合、現在塩酸を使っておりますが、これはイオン交換膜に炭酸カルシウムが付着して、スケールといいますか、通りにくくなるような物がつくわけでございますので、そういうことが起こらないようにするために中和剤として塩酸を使っているということでございます。  それからPHの問題につきましては、排出海水のPHを苛性ソーダで現在中和するということをやっておりまして、硫酸は使っておりません。ただ過去に硫酸を使った例があるかどうかを調べてみましたところ、昭和四十六、七年ごろ、ある一社でそういうものを使って問題になったことがありますので、その後、県当局その他と協議いたしまして、もう硫酸を使わないようにしたという経緯はございます。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、こういういろんな疑点が出る、疑惑が生じてくる問題というのは、工場を一般に公開しない。少なくとも専門家その他については、これは食品の工場ですから、まあ食品と言えるかどうか問題ですけれど、もう少し一般に公開して製造工程なり何なりを明らかにしていく、こういうふうな行政指導はできないものですか。実は、これは専門家の中から大変いろいろそういう点で苦情が出ております、どこも見せてもらえないと。
  78. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 製塩工場におきましても特に公開を断っているということはないと聞いております。ただ、企業秘密の部分がありとしますれば、その部分だけは御遠慮願うというような取り扱いをしているんじゃないかと思っております。
  79. 丸谷金保

    丸谷金保君 いまのつけもの塩の問題なんかでも、いままで見た人はいないんだそうです、専門的には。私と一緒に同行した人は初めてだと、いままで何度もお願いしたけれども見せていただけなかったというふうな実は話が実際にあるんですから、そういうことのないように、ひとつ、特別なそれが特許に属する企業の問題は別ですが、一般的にわれわれに見せられるようなことであれば、見せるようにひとつ行政指導をお順いいたしたいと、かように思う次第でございます。  それから次に、自然塩、いわゆる特殊用塩の関係でございますが、どうもイオン交換腰になって――当時の国会で多少論争がございましたけれども、いわゆる微量要素がなくなることによって人体に対する問題がまだ解明されていないということ、そういうことをいまでも相当著名の学者の方も公式の席で発表しております。しかし、それらがとにかくそういう問題よりも、どうも最近の塩はまずくなったというふうな消費者からの強い突き上げで、政府は次々と、政府というより専売公社は次々と、自然塩というふうな形でいわゆる特殊用塩を許可をして、相当出回るようになりました。しかし、これが余り出回り過ぎると公社塩と競合するということになるわけかどうか。いわゆるいま言ったようにPHを下げるために塩酸を使っているんだというふうなこともほとんどの人は実は余りよく知らないんです。それから、イオン交換膜法でもってこれがつくられているというふうなことについても、もうほとんどの国民は実際には知っていないんじゃなかろうか。  この二十七日、私は伊東で講演を頼まれて、約百五十人ほどの静岡県の若い人たちと話をしてきました。そこで、いまの日本の食塩というのはどういうふうにつくられているか知っているかと。だれも知らないんです、百五十人ほどの人が一人もイオン交換膜というふうなものに変わったということ。しかし、これは赤穂へ行って旅館の女中さんに聞いたらわかっていました。これはもうあそこは現に塩田がなくなっておりますからわかったんだと思いますけれども、ほかではほとんど知られておらないんです。こういう点について、もう少し、いまの塩はこういうものですよというふうなことを公社としては国民に知らせる義務があるんじゃなかろうか。自然塩、そしてそういう自然塩とは全然違うんだと。  ところが、逆なことが行われているんです。これは私はもう大変遺憾だと思うんですが、これは東京都が発表して出しているあれです。「あなたも消費者No.30」の「塩」というパンフレット、この中で専売公社と括弧して名前が入れてあります。「現在、「自然塩」として売られている塩は、公社から買受けた並塩(イオン交換膜法によってつくられた塩)を真水にとかして、場合によっては、ニガリを加える、一種の加工塩で、形状や水分含有量に多少の差をつけたものにすぎません。」と、いわゆる公社のイオン塩とそんな違うものでないですよと。こういう間違った宣伝を公社がしたんでは私はけしからぬと思うんです。ちゃんと書いてあるんです、日本専売公社と括弧して書いてあるんですから。そこからじゃちょっとお見えにならぬでしょうが、後で見てください。  一体これはどういうことなんです。しかも、専売公社のまたこれは「塩のしおり」、この中では、そういう製造工程が、こういうふうにして塩田でなくて、いまはみんなイオン交換膜という、そういう化学式によるところのPHを下げるために塩酸も入れたり、いろんなことをしてやっているというふうなことをこの公社のしおりにも書いてない。そして、そういういわゆる公社のイオン交換膜のあれではどうも人体にも問題があるし、味も違うしというような消費者のニーズによって起こってきた自然塩に対しては、水をかけるような宣伝を公社がするというのはどういうわけなんですか。
  80. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 公社としましては、事実に違うような宣伝はしていないはずでございますので、その辺は調査いたしますが、ただ、公社のPRが従来不足ではなかったかという御指摘に対しましては、最近特段の力を入れるということで、昨年度から大々的に各現地の地方部局を督励いたしましてPRをするということをいたしているわけでございます。
  81. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃあと一問だけ。  そういう宣伝の中で、たとえば自然塩、特殊用塩をつくっている人たちが、公社の食塩とそれから特殊用塩の中のそれぞれのメーカーの食塩とで、アサリとかキンギョとかで実験をした。そして、これは明らかにイオン交換膜でつくった食塩は、アサリその他が潮を噴かないというふうなことをパンフレットにして――実際なんですから――宣伝したところ、公社は、そういうふうなことを宣伝をして、実際ではあるけれども、公社の塩について批判をするようなところには許可を取り消すというおどしをかけて、パンフレット等一切そういうものを回収させたと、こういう事実があるんです。これは事実があるんです。  それで私も、それは話だけではわからないというので、昨日私の会館の部屋で、東京で売られているアサリじゃだめなんで、とりたてのアサリを千葉から取り寄せましてやってみました。明らかに違うんです。これは新聞社の方も立ち会っておりましたし、そのほかにあなたたちの関係者の方も見ておりました。そして、おたくたちの関係者の人は、これは水分の比重が違うから同じ入れ方じゃだめなんだといって、わざわざ二回目、もう一回専売公社関係のある人がはかり直してもう一回やりましたけれども、やっぱり違うんです。こういうふうに違うということを国民に発表することが、なぜ公社としては許可を取り消すようなことにつながるのですか。
  82. 小幡琢也

    説明員(小幡琢也君) 特殊用塩につきまして、公社は業者にこの製造、再製加工を委託するという手続をするわけでございますが、申請がありまして委託する場合にいろいろ内容を審査いたします。そのときに、その特殊用塩をつくられる業者の方が、その宣伝につきまして公社の塩を著しく誹謗したり、あるいは消費者をミスリードするようなことがないようにということを指導しているわけでございまして、まあそういうような文言があった場合には、やはり直していただくということをしているわけでございます。それで、御指摘の点は、そういうことはないと思いますが、要するにアサリやハマグリが公社の塩を使ったのでは開かない、だから公社の塩は悪いんだというような、ちょっとどぎつい書き方をしたので、それを直すようにと言ったのではないかと思っております。  それから、ハマグリ、アサリの問題についてはなかなかむずかしい問題でございますが、もちろん公社の方でもこれをいろいろ実験をいたしております。過去何回か実験をいたしております。その結果、確かにアサリ、ハマグリというものは、これはやはり海に生息しているものでございますので、できるだけその環境が海水になじんだようなものの方がやはり貝は口をあけやすい、それで砂を出す、そういうことは事実でございます。したがいまして、海水とかあるいは海水に近いような食塩水であればそうなるわけでございますが、公社の塩は純度が高いものでございますから、その公社の塩でやった食塩水につけましたところ、なかなかなれるまでに時間がかかりますので、貝は結局開くわけでございますが、ほかのものに比べまして若干時間がかかる。それは否めないことでございまして、それを絶対公社の塩では貝は口を開かぬと言われますものですから、恐らく担当者はそれは困るということをしたんではないかと思っております。
  83. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間がもう来ておりますので、要望だけにしておきますが、いまの答弁は納得がいかない。私は実際にやってみたんですから、若干の違いなんていうものじゃないんです。片方は五分もすれば開くんですが、一時間たってもかすかに口をあける程度ぐらいの違いがあるのです。それは純度が高いと。しかし全部海水と同じように三・五%にはかって、要するに濃度三・五%、全部同じようにつくったんですから、純度が高い、辛過ぎるということにはならないわけです。中に入っている微量要素から何から全体が違うと。だから私が言いたいのは、ここに書いているように、同じようなものだということではないんだということなんです。これは同じようなものだと書いてありますけれども、同じではない、全く違うものだと。そういう事実をその事実のままに発表するということに対して、けしからぬというふうなことはないようにお願いいたしたいし、さらにまた生体実験の問題、これら等についてもいろいろありますが、いずれまた別の機会にそうした問題を、もう少し塩の問題を掘り下げて御質疑申し上げることにいたし、きょうはこの程度で終わらしていただきます。
  84. 穐山篤

    ○穐山篤君 最初に官房長官にお尋ねをしたいのですが、御承知のとおり、私は昨年初めて国会に議席を占めたわけです。で、八十四国会におきまして、昭和四十九年度の決算が承認をされた。いま昭和五十年度の決算審査をやっている。現実はすでに昭和五十四年度の予算編成の準備に入っているわけですね。一国民から国会議員になってみまして、非常に決算について奇異に感じたわけです。これは私一人だけではないだろうと思うのです。通常の会社あるいは労働組合、法人、諸団体というのは、当年の決算というのは少なくとも翌年に行う。当然これは利益金の処分ということもありますので、時間的にしりが限られているわけです。ところが、国会決算というのは非常に遅い。これは非常に私は驚いたわけであります。  で、過去のことについて調べてみますと、なるほど財政法に決められておりますように、政府国会に対しまして、次の常会――大体十一月ないし十二月に出しておりますから、理屈から言えば、おれたちには責任がないというふうに言われると思います。そこで私は、過去のことをもはや言ってもしようがないと思う。国民の期待、あるいは予算委員会でも相当議論をし、総理大臣も出席をしてその年の政策予算というものについて精力的な審議をしている立場から言うと、決算の審議のあり方というのは非常に問題が多い、こういうふうに考えるわけです。そこで、決算をできるだけ早く進めて、少なくともこの時期には昭和五十一年度の決算が終わっておって、ことしの十一月ないし十二月の通常国会では五十二年度の決算報告を受ける、こういう手順がごく常識的だし、あるいは憲法や財政法に占める手順だというふうに思うわけなんです。  そこで私は、官房長官に指摘をしたいのですが、委員会側に全く責任がないとは私も思っておりませんけれども、やはり決算に対する政府の責任あるいは熱意というものが、決算審査を迅速に進めるということの一つであろうというふうに思います。  中でも、閣議の長であります総理大臣の出席の問題であります。過去、議事録で調べてみますと、予算委員会におきます総理の出席というのは、五時間とか六時間とか、必要によっては七時間というふうに、非常に長い時間総理が態度表明をしております。これは当然のことだと思うのです。しかし、決算について、最近余り総理大臣の出席がない。これは、私は決算に対する軽視ではないかというふうに思います。したがって、積極的な決算に対する政府の責任を明らかにするためにも、総理大臣を含めまして各大臣の積極的な出席ということがこれから大いに役立つのではないかと思いますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  85. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 決算審査の重要性にかんがみまして、従来から、関係閣僚の出席につきましては、求められればこれに応ずるという基本姿勢で対処してまいったわけでございますが、これはいまもお話がございましたように、非常に重要な決算というものの審査が行われている委員会でございますから、今後とも総理大臣も含めて閣僚の出席につきましては、さきに申し上げましたような基本方針で、できるだけ御要請に応じて出席をいたしまして決算審査の推進に寄与していかなければならない、こういう考えは変わっておりません。
  86. 穐山篤

    ○穐山篤君 ぜひ確認をしてもらいたいと思いますのは、少なくとも決算を始めます総括の質問、あるいはその年度の決算のまとめの総括の質問、それからその途中で非常に特徴的な問題やあるいは非常に重要な課題については総理大臣が出席をするというふうなことがなければ、少なくとも決算の重要性から言ってみて適当ではないというふうに考えるわけですけれども、答弁としてはできるだけ出席ということは言っておられますけれども、どうも本当に出席してくれるかどうかという確証が得られない。ぜひ私が申し上げた、少なくとも総理大臣の最初と最後と途中のきわめて重要な政策課題について出席をする、そういうことについて、官房長官の責任において出席方が得られるかどうか、もう一遍はっきりしていただきたいというふうに思います。
  87. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは決算審査というのが重要であるということは、政府としてもよく承知をいたしております。したがって、総理大臣の出席もこれまでしばしば行われてきたところでありますし、関係閣僚はもちろん、委員会から要求があればこれにできるだけ応ずるという姿勢で終始をしておるわけでございます。  ただ、総理大臣の出席につきましては、穐山委員もよく御承知のとおり、各委員会との関係もございまして、これまで国会の方で総理大臣の出席につきましてはいろいろといわば慣例といいますか、そういうものができておるわけでございます。そういうものを踏まえながら、しかし、重要な案件につきましては出席はできるだけするということでございます。
  88. 穐山篤

    ○穐山篤君 それから、決算委員会を魅力あるものにするという側面から見まして、衆議院にしろあるいは参議院でも、警告決議が幾つか行われています。警告決議に対する政府側の取り扱いというのは報告書でも出されておりますけれども、これまた余り迅速な措置がとられていない。決算委員会でどんなことを言ってみてもこれはしようがないじゃないかというふうな気持ちを起こさせるとするならば、これは余り意味がないというふうに思います。  最近の事例でありますけれども、昭和四十八年度の決算でも指摘をされたわけですが、住宅公団の問題、あるいは昭和四十九年度の決算で取り上げられましたサラ金の問題、これは非常に重要なんです。ところが、積極的に政府がこれを政策の上であるいは行政指導の上で迅速に行っていないために、決算委員会を、まあ投げやりにするとは言いませんけれども、決算委員会の権威というのが下がってきてしまう。したがって、この警告決議に対して本会議ではそれぞれの大臣が十分に頭は下げられますけれども、具体的に国政の中に生かされていない。この弱味が現実にあるわけですね。後ほどまたサラ金のことも指摘がされるでしょうけれども、一番政治問題、社会問題になっているサラ金の問題について、国会があれほど指摘をし、審議会で審議をされているにもかかわらず、言われなければ政府が対応を示さないというふうなことが決算委員会の審議をまた弱めている一つの私は原因じゃないかというふうに思います。この警告決議に対する政府の決意といいますか、態度といいますか、こういうものをもっと明確にしてもらいたい。
  89. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 国会の決議に対しまして政府がこれを尊重するということは政府の責任でございますので、これまでしばしば行われました決議につきましては、政府としてはできるだけこの決議の線に従って対処してまいるということで行っておるわけでございますが、中には非常にむずかしい問題もあるわけでありまして、直ちに決議があったからといって結論が出せないというふうな問題もございます。いま御指摘のサラ金の問題にしても、いま政府部内におきまして、これは関係各省にまたがっておるわけでありまして、関係各省で数回にわたりましていま検討を重ねておるわけでございます。そしてこれについては何としても一つの方向を出さなければならないということで、いま鋭意作業を進めておるわけでございますから、決して決議をなおざりにしているということではなくて、政府の姿勢としては決議は尊重し、決議の線に従って進めていくという基本的な姿勢は変わっておりませんし、今後ともそれはそういう方向でやりたい、こういう基本方針でございます。
  90. 穐山篤

    ○穐山篤君 ちょっと話題が変わりますけれども、いま与野党折衝中でありますけれども、政府の決意といいますか、腹をお伺いしたいんですが、臨時国会を中旬に開く、あるいは下旬に開くというのが出ておりますね。私どもの都合を申し上げることもないと思いますけれども、余り紆余曲折をしておりますと、やっぱり国民が国会を見る目というのが変わるわけです。そこで、政府としては、臨時国会に提出する予算、中には関連法案、まあ日中条約もあるわけですが、最終的にいつ閣議として確定をされるのか、そして臨時国会政府の決意としていつお願いをして、期間もいつまでにするのか、そのことについて最終的な態度をもうお決めになっていると思いますので、お伺いします。
  91. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 政府としての基本的な考え方は、補正予算を一日も早く提案をして、そして御審議をお願いをして成立をさせ、これを実施して、そうして景気の振興を図ってまいりたい、確実なものにしたいということでございますし、同時にまた、補正予算に関連する不況対策法案があるわけでございますが、これらも急を要する問題でございますから、同時に国会に提出して成立を図ってこれを実施させたいということであります。また同時に、日中平和友好条約につきましても、すでに中国側は批准を終わっておるわけであります。したがって、わが国としても一日も早く批准を終えたい、こういう政府考えでございますので、したがって、臨時国会につきましてはできるだけ早く開きたいということで、現在国会の方と御相談を申し上げておるわけでございます。国会の方の御都合もございますので、いまその辺で折衝をいたしておるわけであります。まだいつ召集をするか、あるいはいつ予算案を提出するかということについては最終的には決まっておりませんが、政府としてはできるだけ早くという線で国会の方にお願いをしていま折衝を進めておる、こういう段階でございます。
  92. 穐山篤

    ○穐山篤君 まあぴったり来ませんけれども、しようがないですな。  官房長官ありがとうございました。  次に大蔵大臣にお伺いをしますが、五十三年度の予算編成に当たりまして、国会の決議として戻し税方式の減税がありました。約三千億円。それから、それとあわせて、低所得者対策として一時金で約四百億円程度の決議が行われ、すでにその措置も済んだわけです。済んでいないのは財源措置ですね。この財源措置について、大蔵省としてはどうなされるおつもりでしょうか、まずお伺いをいたします。
  93. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま穐山委員の述べられました四百億の福祉関係の問題と、それから三千億の戻し税の問題の財源手当ての問題でございますが、福祉関係の四百億につきましては、すでに予備費支出で済んでおるわけでございます。巨額に上りますその三千億の問題がまだついていないのでございますが、今度の臨時国会におきまして、ほかの景気対策であるとか、あるいは構造不況業種の問題であるとか、あるいは、恐らく経済援助の問題その他もろもろの緊急の問題が臨時国会の補正予算の問題として出てまいると予想しているわけでございます。それらの財源手当てをどうするか、その一還といたしまして、この三千億の戻し税の財源もその際あわせて措置してまいりたい、この臨時国会で決着をつけたい、かように思っておるところでございます。
  94. 穐山篤

    ○穐山篤君 臨時国会で決着をつけるということなんですが、その方向として、約四百億円の一時金については例の予備費三千億円の中から支払いをしているわけですね。予備費の性格から言えばそのとおりだと思うんです。したがって、決着をつける方向として、予備費で行うのか、あるいはその他の方法で行うのか、この点ははっきりまだ腹を決めていないんですか、決めているんですか。
  95. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 四百億の問題については、金額の関係から申しまして予備費で手当てをさしていただいたのでございますが、三千億につきましては、とうてい一般の予備費では賄い切れない。現在の使用状況、それから残から申しましてできないと思います。したがいまして、今度の補正予算におきましてもろもろの歳出があるわけでございますが、それらの財源を何で一体調達するか。その際にあわせて、戻し税のすでに減収になっている分でございますが、その追加財源をやはり補正予算で総合的に考えてまいりたいと、かように思っておるところでございます。
  96. 穐山篤

    ○穐山篤君 予備費の性格から考えてみて、当初予定せざるものが発生をしたというところから、低所得者の四百億は予備費でセットしたわけですね。そうしますと二千六百億は残っているわけですね。それから公務員賃金の五%と三・八%との差ですね。詳しくはよくわかりませんが、七百億前後と言われておりますが、そういうものを合わせれば財源的にないということはない。しかし、予備費を使うかどうかという決意といいますか、決断ですね。これは政策判断の問題だと思うんですが、この種のような問題が生じたときには、本来優先をして予備費を使う、あるいは残余の金が出た場合に、後ほど申し上げますけれども、あるものについて一般会計に一遍戻してこれをまた使うというふうな予備費使用優先の原則というのはないんですか。
  97. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 二つのことをお答え申し上げたいと思いますが、三千億の一般予備費の現在までの使用状況でございますが、その福祉関係の四百億のほかに、漁業交渉におきまして、サケ・マス等のいろんな補償の問題、その他もろもろのものがもうすでに出ておりまして、現在では三千億のうち恐らく二千億を切っておる状況であろうと思うのでございます。したがいまして、金額的に見まして三千億というものを賄うことはできない。予備費で賄うということはできない状況にございます。  それからなお、第二点といたしまして、ちょうど補正予算をお願いすることになると思いますが、補正予算も、予備費と同様に、当初予算においてやはり予見し得ざる歳出の追加が出てまいることに伴いまして補正予算をお願いするわけでございます。したがいまして、それを予備費――仮に予備費があったとしても、予備費でやるのか、あるいは補正予算でやるのかということについては、画一的な、どちらでなくちゃならぬということはございませんで、むしろ、国会の審議等をいままで私が踏まえておるところでは、やはり補正予算という形で正式に御論議願った方がいいんじゃないかというのが各委員の方々のお考えのようでございます。したがいまして、私たちも、今度いま予備費が二千億切っておりますし、今後予想されますところの災害その他に備える予備費、あるいはまだ漁業交渉に伴う追加支出等が予定されておりますので、これを使うというわけにはまいらぬであろうと思います。もちろん、そのうちの一部を、場合によりますと補正予算の中のを使わしていただくということはあり得ると思いますけれども、通じて申しますれば、三千億の戻し税の財源というものは、やはり今度の補正予算の際に、あわせて財源対策の一環として、その追加需要の一つの大きな項目の中に入れて総合的に御審議を願いたいと、かように考えておるところでございます。
  98. 穐山篤

    ○穐山篤君 大臣、少し歯切れが悪いのは、予備費は使いたくないと、こういうことが非常に気持ちの上で優先をしているために別な方法を実は考えているのだということだろうと思うんですね。別な方法というのは幾つかあると思うんですけれども、ごく安易な方法としては、公債を発行して帳じりを合わせるとか、それを含めて補正予算の中におさめるとか、こういうやり方が仕組みの問題としては考えられるわけですが、方向として予備費を使いたくないという片側には、いま私が指摘をしましたように、三千億の財源を賄うために公債の発行をしたいんだと、あるいはするんだという気持ちが働いてそういうふうにおっしゃられているのか、はっきりひとつ物を言ってもらいたい。
  99. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 予備費を使いたくないということではございませんで、いま、先ほど申しましたように、一般予備費についてはすでに二千億を残額が切っておる状況でございます。現在までにすでに出ておりますいろんな案件、あるいは今後起こることを考えますと、そのうちの相当程度は留保いたしませんとやはり予備費としての機能を果たせないと思っているのでございます。したがって、申し上げますと、今度の補正予算のときに、残りの二千億をことごとくいま当面補正予算で必要とする財源には使い得ないであろうと、こういうことが第一にあるわけでございます。  それから第二番目に、もろもろの追加需要がございますが、一つは景気対策上の事業費を一体どういうふうにするか、そのうち国費が一体どうなってくるか、あるいは構造不況対策の問題やあるいは経済援助の問題であるとか、その他もろもろの問題がいま起きていることは御承知のとおりでございます。そういった追加需要につきましてはこれから各省と鋭意詰めるところでございまして、追加需要の総額が決まりますれば、それに対応する今度は財源をどうするかという問題になるわけでございます。もちろん、御承知のように一般公共事業予備費というものが二千億別にございます。これをやはり使うというのも一つの方法でございます。それからそのほかに、先ほど指摘になりました、人事院の勧告とそれから五%あらかじめ積んでおります差、あるいはさらには一般的なこれからの行政経費の節約というような問題、そういったもろもろの財源を考えまして、そしてこれらを賄いたいと思いますけれども、それでもどうしても賄い得ないということになりますと、結果といたしまして公債の発行ということも必要最小限度、事によると出さざるを得ないかもしれぬと。  ただ私たちといたしましては、再々この委員会でも申し述べておりますように、今度の国債の依存度は五十三年度で実質三七%にも達しております。その償還計画等についても厳しい御審議をいただき、われわれも全く今後の償還計画について憂慮しておるところでございますので、仮に国債をある程度財源にせざるを得ない場合でも、極力圧縮してまいりたい、そういう考えで補正予算の問題をいま詰めておるところである、このように御了承願いたいと思います。
  100. 穐山篤

    ○穐山篤君 いま詰めているというのは当然だろうと思いますが、新聞にも出ておるわけですが、九月の二日になれば当面の経済政策、あるいは国会に提出する補正予算の骨組みを最終的に決めるんだと、こういうふうに報道されておりますね。あす、あさってですよ。それを前にしたきょうですから、三千億の減税に対する財源措置について予備費は使い得ないであろうということになると、その他の道を考えざるを得ない。一部新聞にも出ておるわけですけれども、これは公債発行で財源に充てるというふうにも報道されているわけですね。まあわれわれも、方法として、技術的にはそういう手もあるだろうというふうに思っておりますが、これは政策上重要な問題になるわけですが、いまの答弁で言うと、最小限度の公債発行を考えるかもしらないし、考えないかもしらないというふうに非常にあいまいですね。あす、あさって、最終的に政府が施策を決める直前になってもまだそういう態度が現実の姿である。すでに私は大蔵省は腹を決めてるんじゃないかと思うんですけれども、もっとはっきりその点を言ってもらいたいと思うんです。
  101. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 九月二日に総合対策を大体決める予定になっておりますが、これは総合対策の骨格を決めるのでございまして、まあ恐らく中心問題は今後の景気の見通し、それと七%成長との関係においてどれぐらい事業費を総額で出さなけりゃならないか、あるいは国際収支の見通しをどういうふうに立てていくか、それに関連して緊急輸入をどういうふうにやっていくのか、その他円高差益の還元の問題であるとか、構造不況の問題であるとか、こういう大綱が決まるのであろうと思います。  補正予算の骨格につきましては、その後やはりしばらく時間をいただきまして、臨時国会が開かれるあるいは直前ぐらいまでには何とか決めなくちゃいかぬだろうと思いますが、九月二日ではとうてい予算の全体のフレームは決まってこないのじゃなかろうかということを実は昨日も総理に申し上げておいたわけでございます。したがって、今度の九月二日は全体としてのとるべき総合対策、こういうことを中心に行う、補正予算の問題はそれと並行しながら詰めてまいりますが、最終的にはかなりおくれたところで詰まってくるであろうと、こういうことでございます。いま、そういう問題といたしまして考えておりますところを先ほどるる申し上げたわけでございます。
  102. 穐山篤

    ○穐山篤君 さて、昭和五十二年度の決算、いずれ公式に国会報告書が出るわけですが、現状で大蔵省としてはつかまれていると思うんですが、この前の国会で減額補正をいたしました。さてそこで、十分な資料を見ていないんですけれども、いわゆる自然増収、減額補正をした後の予算に対していわゆる自然増収というのがおおむねどの程度五十二年度決算としては見込まれておりますか。あるいはほぼ数字が出ていると思いますが、具体的な数字いかがでしょう。
  103. 吉野良彦

    説明員(吉野良彦君) ただいまの税収につきましてのお尋ねでございますが、五十二年度におきまして補正後の税収予算額に対比いたしまして決算額で申しますと、千九百八十九億円が歳入予算額を上回ります税収の収入になってございます。
  104. 穐山篤

    ○穐山篤君 まあおおむね二千億ということですね。  さて大臣、この前の国会決算調整資金という法律案を審議しました。私どもはその必要性はない、その緊急性もないということで反対をしました。あのときの決算調整資金というのは二千億円計上しまして、これはもうどんなことがあってもこの程度のものは必要だ、もしそれで足りなければ基金の方から年度を限って借りるんだと、こういうふうに御答弁があって国会は議決をしましたが、この自然増収二千億円が――まあこれは結果ですから評価はむずかしいと思いますが、決算調整資金の二千億円と自然増収の二千億円とがほぼ均衡しているわけです。これは私どもが指摘をしたとおりに、必要性も緊急性もないということを明らかにしたようなものではないかというふうに思うわけです。  そこで、私は、政府が少なくとも国会で決めた三千億円の減税財源に対して安易な公債発行の道をとる前に、いろんな、ありとあらゆる財源を考え措置をするというのがごく常識ですけれども、その一環として、こういった決算調整資金というのも考えてもいいんじゃないか。取り扱いとすれば一遍一般会計に戻してやるということになるかもしれませんけれども、大臣、そういうふうに、もう予備費を使うことはとてもむずかしいんだというふうにごく簡単に決められておりますけれども、もっともっと広い範囲でこの財源の問題について、増税だとかあるいは公債発行というふうな安易な道をとる前に、ありとあらゆる財政的に考えられる道をとるつもりはないんでしょうか。今回の三千億の場合についても、私がいま指摘をしたとおり、政府の決断によっては財源確保ができるというふうに思いますが、いかがでしょう。
  105. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) お説のとおり、とうとい財源でございますので、各種の財源を考えてみたいと思っております。  ただ、決算調整資金につきましては、この委員会でもあるいは大蔵委員会でも申し上げたと思いますが、この制度は今年度限りの問題ではございませんので、制度として必要であるということを提案理由の中でもるる申し上げたわけでございます。決算剰余金が出た場合にその処理の仕方については国の会計法関係は持っておりますが、が不足するとき一体どうしたらいいのか、歳入が不足するときにはその制度はなかったわけでございます。今後の経済、それに伴う財政状況考えますとこれは片手落ちである、したがって恒久的制度として決算調整資金の制度を設けさしていただき、そして二千億いただいたわけでございまして、すでにその分は歳出として繰り入れられているわけでございます。したがって、今度の補正予算に、このような恒久的な、しかも制度としてお認めいただいたその資金を使うことは私は個人としてはいかがなものであろうというふうにいま考えておるところでございます。
  106. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間の関係がありますので、いずれそれは補正予算の中で改めて議論をしたいと思います。  さて、いまもお話があったわけですが、公債発行です。昭和五十年度が五兆四千八百億円、二六%というふうに非常に大きい公債発行です。その五十年度を境にして、公債発行というのは年々巨額になり、五十三年度では十兆九千八百億円と、約倍になった。利付国債十年物でぽんぽん売れておった、あるいは消化されておったときはまあまあよかったんでしょうけれども、最近の傾向でいきますと、公債の消化が非常に困難になってきた。この状況は御案内のとおりであります。消化をするために、証券界にいたしましても銀行にしましても、いろんな苦労、努力が行われておりますけれども、結果として四月から八月分、七月分までのものにつきましても売れ残りがある。それから、世話会の決定を仄聞しますと、約三千億円下げて公債を発行する、こういうふうに非常に公社債市場としては厳しい状況になっています。この原因ですけれども、ある者は一過性のものだというふうに指摘をしている者もありますし、それから、これは大変な事態だから恒久的な対応をいまから示さなければなるまいというふうに、二通りの見解があるわけです。この点について、まず大蔵大臣の情勢分析といいますか、現状をどう見られているか、お伺いしたいと思います。
  107. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 八月までの公債の消化の実績を見ますと、総額におきまして昨年度の公債消化の額を上回っております。しかしながら、御指摘のように、最近になりましてやや国債の消化について気迷いの模様が出ております。それはやはり何といっても国債の流通利回りが上がっておるということ。つまり言いかえますならば、国債相場が下がっておるというところに端的にあらわれておるわけでございます。これにつきましてはいろいろ両説ございまして、それは一過性のものであるという考え方もございますし、しかしまた一方におきまして、それはやはり金利の底入れ感が出てまいりますと、運用する側から申しますればやはり短期のものにできるだけ回したい。だから、資金はどちらかというと短期の方にずっと回っていきまして、長期の方はやはりちゅうちょしがちになってくる。そういうものとして公債、国債の利回りが上がってきたんだ、こういう分析をする方もあるわけでございます。  それは、その両論われわれは承知しているわけでございますが、それはいずれにせよ、実際問題といたしまして、やはりスムーズな消化をしていかなければいけません。したがいまして、私たちは今後国債の発行の仕方について、やはりいまの市場の実ニーズに応じたようにその発行の仕方をこれから考えていかなければならない、さように思っておりまして、これからどういうふうにやっていくかということをいま鋭意検討しているところでございます。
  108. 穐山篤

    ○穐山篤君 その原因についてはなかなか分析がむずかしいというふうには思いますが、しかし、現状として公債が評判が悪い、消化が十分に予定どおり行われていないということは現実的には変わりないわけですね。仮に今度の臨時国会で何兆円かの補正を組んだとしましても、それは政府主導の財政ですね。民間資金の活力を生かしていくということを期待をすることは非常に私はむずかしいというふうに思います。そうしますと、考えられますのは、公債の消化ができないということはそれだけ国の収入が減っていくということになるわけですから、公債の消化を支えるためにいろいろな手が加えられなければならないというように思いますね。たとえば日銀が引き受けるとか、あるいは財投持ちにするとか、あるいは極端なことを言えば、一船会計等の収入、つまり増収、税金の増大というふうなことをしないと帳じりも合わなくなるのです。まあもうすでに私は帳じりが合わなくなってきているというふうに思うわけです。  そこで、当面の対策として国民のニーズに合うものを発行したいというお話ですが、前回の大蔵委員会でも、中期物あるいは短期物について検討したい。現に三年物を出しているわけですけれども、これ以外にもっと短い一年物であるとか一年半物であるとか、こういうふうなものを含めて新しい公債を発行する計画はお持ちですか。あるいは最初から、十兆九千八百億円の公債発行を決意をしたときに、短期物についてやらなければならないというふうに政策的に方向を決められて、とりあえず証券界に三千億の短期物を渡したかどうか。このことは私は非常に疑問だと思うんです。  時間がありませんから先へ急ぎますが、ニーズに合わして売るということも一つの方法でしょうけれども、問題になりますのは、償還計画と合ったように消化がされるかどうか、その自信を、ことしの十兆九千八百億円について、大臣、お持ちですか。その点をお伺いします。
  109. 田中敬

    説明員(田中敬君) 穐山委員指摘の国債の市況でございますけれども、本年度の発行予定額十兆九千億円につきましては、この九月の発行額がすでに決まっておりまして、九月分まで含めますと年度間発行予定額の五六%を消化することになっております。年々、大体各年の上半期におきまして五五%程度の消化の実績からいきまして、本年度の消化の実績がおくれておるということはございませんので、その面から見ましての御心配は要らないと思いますと同時に、御指摘のように、国債市況がこうなった段階で今後下期における消化が可能か、償還計画表に合った消化ということは、そういう意味で満額消化ができるかという御趣旨の御質問かと存じますが、その点につきましては、私どももただいまの国債の市況が一過性のものであるのかあるいは構造的なものであるのか、特に九月という決算月を控えまして、決算資金手当てへの需要で国債が売られて国債の相場が下落したとかあるいは七月、八月に円建て外債が非常に大量に発行されまして、これが公社債市況に影響を及ぼしたとか、いろいろ偶発的な一過性の原因も多分にございますので、この九月以降、十月以降の公社債市場が現状のままで続くとは考えておりません。しかし、発行環境というのが厳しくなることは当然あろうかと思いますので、御指摘のようにニーズに合った国債ということになりますと、当然現状ではそのニーズというものは短いものに向いておりますので、今後の発行手順といたしましては十年物の長期債にあわせまして、三年の中期債あるいはまた御指摘のありましたようなもっと短いものというようなものも検討を加えながら、これらをかみ合わして消化していくことによりまして本年度の消化は十分できるという確信を持っております。
  110. 穐山篤

    ○穐山篤君 まあ確信があればいいんですけれども、さてそれで九月までの発行額は決まっていますけれども、十月以降の品物で、いまお話がありましたように、三年以下の短期物、具体的にたとえば二年とかあるいは十八カ月とか、一年というふうな三年以下の短期物をすでに検討されているんですか。それと同時に、自信があると言っているんですけれども、公社債市場を見ますと、いまもお話がありますように、供給過剰になっておるわけですね。この状態はしばらく続くと思うんです。そういう中に短期物を落としていけば、ある時期には魅力はありますけれども、しかし、これも恒久的には飽きられる品物ではないか。そうすると、抜本的に公債の発行を含めて管理政策というものを十分整理をしなければ、整備をしなければ、私はこれだけ莫大な公債の消化というのは非常にむずかしいというふうに考えます。具体的なお答えは、三年物以下、具体的に何年物をどの時期に発行するお気持ちがあるか、その点ひとつお伺いをしたいと思います。
  111. 田中敬

    説明員(田中敬君) 国債の多様化の検討というものはかねがね進めておるわけでございまして、五十一年度におきましてはその観点から五年物の割引債というものに、まず五十二年、昨年一月それを発行いたしたわけでございますけれども、引き続きまして、三年債というものを本年度実現をいたしまして、これら五年割引債、三年利付債というものを検討いたします段階で、私どもには常に二年物とかあるいはそれより短いものというものは検討課題としてはございましたし、現にそれを検討いたしております。ただ、それが本年度下期におきまして果たして実現できるかどうかということは、いろいろいまの国債を引き受けます市場との関係で問題がございますので、それらの問題点に調整を要する点が多々ございますので、年度内にそういうものが可能であるかどうかということはお答えをいたしかねますけれども、研究課題としてはさらに今後一層これを推進の方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
  112. 穐山篤

    ○穐山篤君 そういう非常にむずかしい消化状況にあるわけでありますので、次の臨時国会あるいは昭和五十四年度の予算編成に当たって、前々から大臣も言われているわけですが、できるだけ特例公債は発行したくないと、その気持ちは変わりがないと思いますけれども、私が冒頭指摘をしましたように、少なくとも三千億円の減税に対して、その財源を特例公債に求めるというふうなことは全く時宜に適していないし、政策的に間違いだというふうに思います。いろんなことを研究されていると思いますけれども、次の臨時国会では私が心配をし、あるいは指摘をするようなことはないだろうと思いますけれども、その点いかがですか。
  113. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほどからるる述べておりますように、追加歳出総額はどうなるか、その場合にあらゆる財源対策を考えまして、国債につきましては極力圧縮したいと思っております。仮に、国債がある額やむを得ないといたしましても、赤字国債による分はさらにその中で極力圧縮してまいりたいという念願には変わりございません。
  114. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間がありませんので、最後の問題として、日韓定期閣僚会議が来月三日、四日行われるわけですね。もう審議するところがありませんので、この委員会でぜひ御質問をさしていただきたいと思います。  問題は、私は二つ指摘をしておきたいと思います。第一は、この九月の時期に開催される閣僚会議というのはその性格上重要な意味を持っていると思うのです。また、従来と変わりまして日中平和条約が締結をされた直後でもある。それから、ドル安、円高によって韓国の経済というのはずいぶん変わりましたね。現に猛烈なインフレ経済になっているという状況であります。それから、韓国側からもあるいは共和国側の方からも統一問題が指摘をされている、そういう時期の閣僚会議でありますので、従来のようなものであってはならないというふうに思います。  そこで第一は、そういう状況にあるわけですから、韓国との経済協力について見直しをする時期ではないかと私は考えます。それと同時に、せっかく韓国あるいは共和国側が交流、対話、統一問題を双方とも取り上げている段階で、片方の韓国だけに政府民間ベースを含めて異常とも思えます経済協力関係を続けていくということは非常に不自然だし、またなじまないというふうに思います。もっともっと事態を深刻に考えるとするならば、朝鮮半島の緊張を激化さしている一つの原因に、日本が韓国に対しまして大変大きな、巨額な経済援助協力体制を示しているというふうにも言えるわけであります。ですから、今度の定期会議というのは従来と違った様相の中で行われるわけですから、大蔵大臣あるいは外務省も出席されるわけですけれども、この点について気持ちを変えていただかなきゃならない時期だというふうに考えます。その点をまず第一にお伺いをします。  それと同時に、私は見直しをするというふうに申し上げたわけですが、とかく国会でも議論されておりますように、逆の話があります。私は具体的にきょうは申し上げませんけれども、見直しをする段階でありますので、ぜひこれは理事会でもお諮りをいただきたいのですが、今日まで日本が韓国に対しまして政府ベースあるいは民間ベースでいろんな形の援助、協力、借款を行っているわけですけれども、その内容について具体的にひとつ報告書を提出をしてもらいたい。  それから二つ目は、竹島問題です。これはさきの国会でも、日韓大陸だなの協定批准特別措置法をめぐりまして大いに国論を沸かした問題で、少なくとも日中平和条約の交渉の過程の中で、尖閣問題については一定の方向が出た。与党の中では、尖閣の問題について方向が出なければ、平和条約そのものもだめだという強硬意見があったほど、領土問題につきましてはお互いに日本国民として十分に配慮しなければならぬ点は同じだと思う。しかし、事、竹島問題につきましては、率直に申し上げて政府のとっている態度は優柔不断と言わざるを得ないと思う。今度の閣僚会議の中に、正式な議題として取り上げるか、あるいは例の交換公文に基づいて、閣僚会議の議題とは別に積極的に取り上げて問題の解決を図ろうとするのか、非常に重要な時期だけに、また国民の関心も、竹島問題についての帰属、安全操業については大変注目をしているわけです。せっかく九月に閣僚会議があるわけですから、竹島問題あるいは安全操業の問題について避けて通れない政治問題だというふうに考えますけれども、外務省の見解をお伺いしたいと思います。特に私は外務大臣に出席をお願いしたわけですが、出られておりませんので、事情は了解しますが、私の指摘をしたことはぜひ大臣にも十分に伝えていただかなければならない。竹島問題というのは少なくとも緊急解決すべき日本の問題だ、私はそういうふうに強く指摘をして質問を終わります。
  115. 中村泰三

    説明員中村泰三君) 韓国に対する経済協力の取り組み方でございますが、一九七三年の十二月に開かれました第七回の日韓定期閣僚会議におきまして、今後の対韓経済協力は政府ベースのものから民間ベースの協力を主体とするものに移行するであろうということにつきまして、両国の間に意見の一致を見ました。わが国といたしましては、今後はこういった基本的な認識のもとに対韓経済協力を進めてまいりたい。特に政府開発援助につきましては、韓国の開発のおくれた分野を中心としてケース・バイ・ケースに慎重に検討してまいりたいというふうに考えています。  第二の対韓経済協力の実績に関する資料につきましては、後ほど資料を作成いたしましてお届けいたします。  竹島問題につきましては、担当の者から答弁させていただきたいと思います。
  116. 佐藤嘉恭

    説明員佐藤嘉恭君) 穐山先生のただいまの竹島問題についての御指摘につきましては、外務大臣にそのままお伝えするようにいたしたいと思います。  第一に、今回九月の三日、四日に閣僚会議が開かれるわけでございますが、実は昨年もこの九月の五日、六日に東京で閣僚会議が開かれておるわけでございます。大体一年に一回開くということになっておるわけでございますが、その後いろいろ話し合った結果、この三日、四日に開くということに合意を得たものでございます。  竹島問題についての日本の基本的な政策あるいは立場というものは、先刻もう先生十分御承知のことでございますので、繰り返す必要ないわけでございますが、いずれにいたしましても、歴史的事実に照らしてもあるいは国際法上の原則に照らしましてもわが国の固有の領土であるということでございまして、その基本方針にのっとりましてかねがね韓国政府との折衝を続けてきたわけでございます。今般、竹島問題につきましては、全体会議ということもございましたですが、まあ閣僚会議の中の一環として開かれる外務大臣の個別会談という席を利用いたしまして、外務大臣からこの問題を冒頭に申し上げました基本的な考え方に立ちまして取り上げるとともに、またこの問題は平和的に解決されなければならないというのも日本政府の基本的な政策でございますので、そういう意図のもとにまず粘り強い話し合いをしてまいるというふうに考えております。
  117. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) それじゃ資料は提出されるわけですね。
  118. 中村泰三

    説明員中村泰三君) はい。
  119. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十三分開会
  120. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十年度決算外二件を議題とし、皇室費国会会計検査院大蔵省と、それに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  121. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、国有財産の中の廃川敷地の管理問題について建設省並びに大蔵省にお伺いをいたします。  この本件については、会計検査院が、昭和三十九年における河川法の全面改正によりまして廃川敷地となったものについて事後における処理の状況を検査したところ、建設省では、その処理期限が昭和四十五年三月三十一日までのところを五十年三月三十一日まで延長して、さらに未処理であったので五十一年三月三十一日まで二度も再延長しながら、五十二年三月末現在でもいまだに未処理のままになっているものが数多くあるということで、このために普通財産としての有効な利用が妨げられているだけではなくて、使用料さえも徴収されていない事態が生じていることは、国有財産管理上適切を欠くとして、これら未処理分の処理促進や使用対価の徴収に努めるよう、建設省に会計検査院の方から要求したものでございます。  そこで建設省にお伺いをいたしますが、建設大臣が面接管理する河川区域の場合、処理すべき七百九十八万平方メートルの廃川敷地に対して、五十二年三月末ではその四三%に当たる三百四十八万平方メートルしか処理ができず、いまだに四百五十万平方メートルもの廃川敷地が、普通財産でありながら大蔵省への引き継ぎ等も行われていなかったわけでございますが、当初四十五年三月末までとした処理期限を、五十年、五十一年と再度延長して五十一年三月末までと定めたのは建設省自身であったはずであります。ところが建設省は、大臣管理区間であるものの処理についてみずからこの時点までと延長したのは、同省としても、河川法の施行上、これ以上に、しかも三度も延長することは不可能である、また、この時点を最終期限と定めても、それまでに完全に処理ができると見込んだからではないかと思うのでございますが、その点はどうなのか。  あるいはまた、そうではなくて、河川法の施行上、何らかの処理期限を定めなければならぬということで、処理できる見通しもなく一応形式的に定めたそういう期限であるのか。五十一年三月末までと定めた理由はどこにあるのか。お答え願いたい。
  122. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) みなし区域の処理期限を二回にわたりまして延長しました理由としましては、当初四十五年まで、あるいはその次延ばしまして五十年までということで、その区間に処理するつもりでスタートしたわけでございますが、何分にも膨大なみなし区域がございましたこと、それから官民境界の確定につきまして相当の時日を要したこと、それから占用さした物件、あるいは不法占用の対象になった物件もございますが、そういったものの処理に時間がかかりまして、当初、期限内に処理できずに二回にわたって延長をお願いしたと、こういうことでございます。
  123. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いずれにしても、最終期限を一年も経た昭和五十二年三月末でも、なおこのように大臣管理区間内にある廃川敷地でさえ大量に未処理となっている原因は、いまおっしゃったとおりいろいろあろうかと思いますけれども、しかし私はその反面では、これらの普通財産となった廃川敷地について、その引き継ぎ処理を求める建設省とこれが引き継ぎを受ける大蔵当局あるいは財務局等との間で、この種財産の管理権限のあり方等についてかねてから意見の調整ができずそのまま推移したことも、引き継ぎをおくらせ、このように大量の未処理の事態をもたらしたものではないかと考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。  つまり、建設省では、これら廃川敷地は廃川の公示と同時に普通財産となり、その後十カ月閥は河川法上の法定管理期間として建設大臣が管理をするが、それ以後は国有財産法上大蔵大臣に引き継がれ、大蔵省がこれを管理すべきものであると主張しているのに対して、大蔵省側では、同省が建設省から引き継ぎを受けるまでは建設省が管理をすべきものとの見解に立っておるようであります。そしてまた、大蔵省としては、この引き継ぎを受けることができる廃川敷地は、不法占用などをなされていない、直ちに処分ができるようなすっきりしたものでなければ引き取れないなどというきびしい限定をしているようであります。  それゆえ、今後、検査院から指摘された四百五十万平米もの廃川敷地を処理するに当たっては、まず両省の間でこのような管理、引き継ぎ体制について早急に合意するように努めて、引き継ぎの基準や条件等についても確立をしておくことが大事だと思いますが、この点についていかがあるべきか、両省の御見解をお知らせ願いたいと思います。
  124. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 廃川敷地を普通財産として大蔵大臣にスムーズに引き継ぐということはきわめて重要なことでございます。先生いま言われましたような見地に立ちまして、その引き継ぎの取り扱い基準等につきまして大蔵省と鋭意協議しました結果、本年の三月に両省閥で合意が成立いたしまして、これにのっとりまして、目下処理を急いでいるところでございます。
  125. 迫田泰章

    説明員(迫田泰章君) ただいま建設省の方からお話があったとおりでございますが、相当大量な処理未済ができておるということは、一時にこのみなし河川というものが大量に発生したということがございまして、それが大きな原因だろうと思います。  先ほど先生のお話の中にも、大蔵省としてはきれいなものしか引き継がないんではないか、こういうお話がございました。具体的に引き継ぐ場合には、引き継ぎ財産について明確なものを引き継いでいただきたいというのが大蔵省の立場でございます。そういう点を中心といたしまして、建設省といろいろ協議を重ねた結果、本年三月に合意を見たわけでございまして、その線に沿いまして現在引き継ぎ事務は円滑に処理をされておると、こういうふうに考えております。
  126. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 会計検査院の方で指摘をされたそういうような両省の方の意見の相違というものが、いまのお話ではうまくいっているようなお話でございますけれども、じゃ具体的に、条件とか管理体制というのはどういうようなふうに合意されたのですか。
  127. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 両省で合意されました具体的な内容について簡単に御説明申し上げますと、引き継ぎの通知は建設省におきまして次の措置を講じた後速やかに行うとしまして、その要件でございますが、官民境界を明確にし、隣地所有者との境界確定協議書及び実測図をつくる、それから引き継ぎ対象財産と引き継ぎ対象外財産との境界を明確にする、それから、第三者に使用されている財産につきましては、使用者の住所氏名、使用者ごとの使用面積、使用目的あるいは使用経緯、こういったものを明らかにしますとともに、廃川前に河川法の規定によりまして占用の許可を受けていたものにつきましては占用の条件等を明示する、こういった手続を経ました上で大蔵省に引き継ぎの通知をする、そういう合意に達しておるわけでございます。
  128. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 お聞きしておりますと、いままでと大体同じようなことで、大蔵の方の境界がはっきりし、不法占用されていないようなそういうやつは引き継ぎをやる、それまでは建設の方でいろいろと処理をせよと、こういうようなふうに私は聞き取れるのでございますが、そうなると、先ほど私が指摘をしたことと何ら一歩も前進をしていないようでございますが、建設省の方はそれでいままでの未処理がスムーズに進捗するかどうか、その辺のところの見通しをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  129. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 直轄河川につきましてちなみに数字を申し上げますと、昨年の七月一日現在では、大蔵引き継ぎ分のうち、通知をし、こちらから通知をしたけれども受領は未済であるというもの、それから建設省から通知自体が行っていないもの、こういったものが合計二百七十八ヘクタールございました。これを本年の七月、一年たった本年の七月でございますが、それについて調べますと、通知済みで受領未済が五十六・五、通知自体の未済が四・三、合計六十・八ヘクタールということで、一年間に約二百二十ヘクタールの処理が進捗した、こういう状況でございます。
  130. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 会計検査院の方の指摘によって、建設省がその照会によって会計検査院の方に提出をされた回答書によりますと、建設省から大蔵省に引き継ぎ通知を出した廃川敷地のうち、昭和五十二年の十月二十日現在では、約百四十万平方メートルもの敷地が引き継がれないで処理未済のままになっているが、これはどのような事情によったのか。  昭和五十二年の十月二十日現在、百四十万ヘクタールもが通知をしても未処理になっているのはどういう事情によったのか。いろいろと大蔵の方でおっしゃることは、みなし区域の方のそういうやつが期限が切れて一遍に殺到したので事務処理上非常に停滞を来した、こういうようなことをおっしゃっているようでございますけれども、そのほかに原因があるんじゃないか。引き取りにくいような、そういうような直ちに引き取ることができないようなものが多量にあったということが原因ではないんですか。どちらでしょう。
  131. 迫田泰章

    説明員(迫田泰章君) 先ほど申し上げましたように、一番大きいのはやはり大量に生じたということでございます。しかし、引き継ぎ対象財産の中には、不法占拠者がいるとか、あるいは占使用の権利関係が不明確なものがあるとか、あるいは境界がはっきりしない――官民境界でございますが、そういうものがあるとか、そういういろいろな問題がある財産もあったということで処理がおくれたということにも一つの原因はあろうかと思います。
  132. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、建設省の検査院に対する回答書によりますと、昭和五十一年の十月、同省では引き継ぎ通知を発したものについて、引き継ぎが完了せず、遅滞している原因について調査した結果、建設省側に遅滞する原因ありと認められたものについては、各地方建設局にその是正方を指示をした。大蔵省側にその原因があると思われるものについては、大蔵省にこれが是正策をとられるように申し入れをしたと、このように回答書にあるようでありますが、どのような原因から引き継ぎ遅延が生ずることになったのか、その主要因についてはっきりお答え願いたいと思います。
  133. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) やはり一番大きな原因は、一時的に大量の引き継ぎ通知を発したということでございますが、まずそのほかに、いま大蔵省の方から言われましたように、まあこちらとしては、引き継ぎ適状であると考えて送ったけれども、協議の結果、やはりまだ熟してないと、そういったような状態にある県もあったようでございます。その二つが主な理由でございます。
  134. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また検査報告によりますと、建設省では、これらの未処理になっている大臣管理区間にある廃川敷地のうち、約百五十八万平方メートルのものについては、従来行政財産として占用料等を徴収していたのに、廃川敷地となって、その法定管理期間の十カ月が経過した後は、同省にはこれらの普通財産となった敷地についての管理権限はないという立場から、自後使用対価の徴収を行っていないと指摘をされていますが、これによる未徴収額は、五十二年三月末までをとっても約二千二百万円に上ると言われております。  このため検査院では、建設省に対して、大蔵省とその取り扱いについて協議の上、今後はどちらの省がこれを徴収すべきかを決めるべきであると指摘をしておるようであります。これらの廃川敷地は現に第三者によって継続して使用されているのでございますから、このように両省間の権限問題から使用対価として徴収すべきものを徴収していないという事態は、国の会計行為として著しく私は無責任ではないかと思うわけでございます。この中には使用期限が切れていたのに、使用許可の更新をなされないまま放置されているものも数多くあるはずであります。それゆえ、これら廃川敷地の使用対価の徴収については、両者間で早急に協議して直ちに実施すべきものであると思いますが、今日まだ実施可能な段階になっていないのはなぜか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。また、今日までの未徴収分については、今後どの程度これを徴収可能なのか、お答え願いたいと思います。
  135. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 法定管理期間経過後の財産につきましての使用の対価の徴収でございますが、会計検査院指摘を受けまして大蔵省と協議しました結果、先ほど申し上げました今年三月でございますが、その合意に達したわけでございます。  その内容としましては、その使用料徴収につきまして、御指摘のような空白期間の生じないように、建設省から大蔵省への引き継ぎが完了するまでの間は、まあ過渡的措置でございますが、過渡的措置といたしまして建設省において既往の使用の対価を徴収するということにしております。まあこれは管理期間経過後、そこにさかのぼりまして徴収するということでございまして、現在、従前の占用者等と協議をしておりまして、ことしの秋ぐらいから現実に歳入として入ってくるという予定になっております。未徴収の使用の対価の徴収につきましては、全力を挙げてそれに取り組みたいと、このように考えてございます。  それから貸し付け契約ができていない、まあ占用期間経過後そのままになっているという御指摘がございますが、建設省といたしましては、大蔵省引き継ぎまでの間はあくまでも過渡的に維持的管理を行うという立場をとっておりますので、特に貸し付け契約といったものは結ばない、そういう考えでございますが、いま申し上げましたように、既往の使用の対価の徴収につきましては全力を挙げて取り組むと、こういう姿勢でございます。
  136. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いろいろ答弁をされましたけれども、この百五十八万平方メートルものこの廃川敷地は、かつて行政財産として占用料を取っておって、だからその面積とか使用状況というのはあなたの方で的確に把握をされておったはずだと思います。だから、そのまま廃川敷地になっておれば、大蔵の方にいろいろな状態を即刻通報をして普通財産に移行ができるはずであるのに、いわゆる引き継ぎ処理が非常にやさしい状態であるのに、それをなぜ放置してそのままに、使用料を徴収できない状態にしておったのか。  これらの廃川敷地は、いろいろと見てみますと、利用価値の高い土地であるだけに、大蔵省が引き継げば、従来の使用料の収入の何倍もの、普通財産としての多額の貸し付けの収益のほか、払い下げ処分による売り払いの収益も上げられるのに、そういうことがなぜできなかったのか、そこらあたりをもう少し明らかにしていただきたいと思います。
  137. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) まあ最初に、引き継ぎ処理がおくれました理由について申し上げましたが、改めて詳しく申し上げますと、このみなし区域という河川区域は、現在では河川の状態を呈していない区域でございます。そういったことで、長年の間にわたりまして占用関係というものが醋綜し、また不法占用といったものが生じたわけでございます。それから、官民境界といったものに混乱が生じまして、これに関する裏付け資料といったものが不足しました関係で、隣接地所有者となかなか意見が合わない。それから、河川の状態ではございませんので、利用価値の高い土地が多くなってきたわけでございますが、そういったために、隣接地の所有者あるいは占用者で、その土地に対する執着と申しますか、要求が非常に強い、そういった通常の廃川敷地とは異なります要素がございまして、いま申し上げたようなむずかしい問題で事務処理に時間がかかったということでございます。  さらに、このみなし区域の中には、旧所有者へ下付すべき土地の百三十ヘクタールがございましたが、これが下付の対象者であった旧所有者、それからその相続人等の承継人、こういった者の確認に多くの時日を要したということ。それから先ほども申し上げましたが、大量の廃川敷地が一時に生じたというために、建設省及び大蔵省の負担能力に多大な負担がかかったと、こういった状況でおくれたわけでございまして、先生の言われた、指摘されたような遺憾な状態を生じたということにつきましては、私ども十分反省しておる次第でございます。
  138. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、大臣管理区間にある四百五十万平方メートルの未処理分について、地域的に見てみますと、関東地方建設局内での未処理面積の割合は、たった八%ぐらいしか処理されないで、九二%も未処理で残っておるようであります。これに対して、廃川公示面積がほぼこれと同じような北陸地方建設局内での未処理面積は五十五万平方メートルで、その処理比率というものは七六%処理ができて、二四%残っておるにすぎない。これはどのような理由によってこのような状態になったのか。  これは恐らく関東地方建設局管内の場合は、都市河川として廃川敷地の需要価値が高く、それだけに権利関係も複雑していることが主因ではないかとは思いますけれども、この原因についてお答え願いたいと思います。  それから、そういうことであればなおさら、この廃川敷地の処理というのは時間の経過とともにより困難となってくるのではないかと思います。したがって、今後はこれらを重点的に計画的により早期に処理していくべきであろうと思いますが、ところが、この処理に要する所要の経費というのは、処理期限の過ぎた五十一年度からは予算上打ち切られたために、治水特別会計の河川事業調査費から細々と捻出されているのが実態でございます。普通財産の有効利用の見地からも、所要経費は早急に予算措置をすべきではないかと思うのでございますが、この点についてはいかがでしょう。
  139. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 御指摘のとおり、北陸地建に比べまして関東地建管内の処理状況が大分おくれておりますが、その理由といたしましては、関東地建管内におきましては、土地柄と申しますか、その性格上、市街地あるいはその隣接地区にかかわるものが多うございまして、そういったことで官民境界の確定が非常に難航するケースが多かったということでございます。それから、やはり土地柄によりまして占用者が多い。特に農用地で、土地改良区あるいは市町村、こういったものに一括占用をさしたケースもあるわけでございますが、こういった一括占用地につきまして、引き継ぎに当たって個々の耕作者ごとに区画割りをするといったような占用関係の事務処理が繁雑であった、こういった理由によりまして北陸に比べ関東がおくれたということでございます。  先生指摘の、こういった地域は放置すればますますむずかしくなるということはそのとおりでございまして、鋭意その処理に当たりたいと、このように考えております。  ただ、ちなみにことしの七月一日、五十三年の七月一日現在の未処理の状況を調査いたしますと、関東地建も九二%から現在――現在と申しますか、七月一日では四一%にまで減少しております。北陸はこれに対して二四から三%まで減ったと、そういうことで着々努力はしておるわけでございます。  それから、予算措置でございますが、やはり廃川敷地の処理に当たりまして一番大きな問題は、先ほどからも申し上げましたように、隣接地所有者あるいは占用者との交渉といったものがむずかしい点にございますので、そちらの方に大いに意を注いでおるわけでございます。予算関係の問題につきましては、既定経費の運用により重点的にそちらに充てるということで処理できるものと考えておるわけでございます。
  140. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 大分処理の進捗率が上がっているようでございますので、ひとつ、鋭意今後も国有財産の移管という進捗率をアップしていただくように努力していただきたいと思います。  大蔵大臣、お疲れのところを、この後の方で質問をいたしますので。  地震保険についてお伺いをいたします  地震保険が創設をされたのは、昭和三十九年の新潟地震が契機となって、昭和四十一年五月に成立をした地震保険に関する法律に基づいてこれができておるわけでありますが、それまでは、できるまでは、地震の損害に対しては保険金を支払わなくてもよい、すなわち損保会社の免責となっていた地震災害に対しても、種々の制限はあるにしても、とにかく保険金が支払われるように、そういう保険ができたということは前進であったと評価をしなければならないと思います。  しかし、先ごろの宮城県沖地震では、この保険金の支払いをめぐって多くのトラブルが発生しているということを聞いております。せっかくの地震保険の内容がよく理解されておらず、また、地震に対する補償というこの保険が持つ特殊な内容が、被保険者である被災者心理とかみ合わぬなどのこともあって、この保険については再検討しなければならなくなっていると思われるので、この際、問題点の若干についてお尋ねをいたします。  まず第一点は、この保険の契約上の問題でございますが、この地震保険についても、普通の火災保険などと同様に、被害に応じて保険金が支払われると思っている契約者が少なくないようでございます。しかし実際は、法律第二条第二項第二号に、「地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による全損のみをてん補すること。」と規定されており、一部の損壊の場合は全く保険金が支払われないことになっておるのが実情でございます。このことは損保会社の約款にも確かに記載されております。ところが、契約者の中にはこのことを理解していない者が少なくないというのは、契約者の早のみ込みもあったでありましょうけれども、損保会社側の、特に外交員の応待の不親切、不十分さが原因と思われるのでございますが、このように、地震保険としては最も重要な点について説明が不親切、不十分であったとするならば、損保会社側の怠慢は当然責められるべきでありまして、監督すべき立場にある大蔵省指導が適切さを欠いていたと言わざるを得ないと思いますが、この点について大蔵大臣の釈明をお聞かせ願いたいと思います。
  141. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 一般的な問題をまずお答えいたします。  まず保険でございますが、特に大衆保険、地震保険も当然これに入りますが、大衆保険につきましては、契約者に十分に納得を得た上で契約するようにということで大蔵省はかねて指導しております。  具体的には、約款は大変むずかしいと。まあ約款は、これは余りかみくだいちゃうと問題がありますので、せめてしおりをつくって、あるいはイラストを入れたり、非常にやさしいしおりをつくって、契約のときには必ず配付するようにということを従来から指導しております。  それから地震保険につきましては、特に地震保険のしおりでありますとかリーフレット、これは必ず携行するように義務づけております。それのみならず、それに基づいて十分な説明をするようにと大蔵省はかねて指導をしておりますが、実は宮城沖地震の後、私現地へ参りました。それで関係者に相当の数当たってみましたが、率直に申しまして残念ながら説明不十分と言われても仕方がないんではないかという印象を受けて帰ってまいりました。この点について保険の責任であります私といたしましては大変反省しております。  以上であります。
  142. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま保険部長が申し述べたとおりでございまして、これは新潟地震が三十九年に起きまして、その後各党の要望もあり、われわれもまた要望してできた地震保険であります。当初からいろいろな問題があったにもかかわらず地震保険を創設したのでございますけれども、いま保険部長の話を聞きまして、まことに残念に思っておるわけでございます。今後いやしくも、少しもそういうことがないように十分普及徹底してまいりたいと、かように考えているところでございます。
  143. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 確かに説明の不十分、外交員の不親切といいますか、そういうようなことの監督指導の立場の大蔵省の方で、今後もこういうことはひとつ徹底して指導していただくよう、特に要望しておきます。
  144. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 実は今度の宮城県沖地震を契機といたしまして、私どもの方の指導で損保業界に特別な委員会をつくりました。地震保険の委員会でございます。その検討項目は非常に多方面にわたっておりますが、すぐに実施できるものとしては、パンフレットあるいはPR、こういうものがあると思います。私、実はパンフレットを見たのでございますが、もちろんパンフレット、こういう項目は必ず書きなさいということは従来から指導しておりますが、どうアレンジするかとか、どういうものをつくるか、細かいことまではやっておりませんでしたが、各社のものを見ましたら、中には非常に不親切といいますか、血が通っていないようなものも見受けられました。たとえば、全損というのがさらっと書いてあるわけでございますが、せめてこれ、ゴシックにしたり赤字にしたらいいじゃないかということも可能であると思います。それから、代理店の講習のテストなんかも、これも非常に平板に書いてありますので、この点もう少しアクセントを持たしてやったらどうかと。それから、私たち従来の指導で、免責といいますか、払えないものと払うものと一覧表にしろということを指導しております。先生、パンフレットをごらんになればおわかりだと思いますが、支払う場合、支払わない場合と書いてあるわけですが、全損を支払う場合の方に書いてあって、支払わない場合に書いてないのは、これは理屈はそうかもしれませんけれども、やっぱり不親切じゃないかと。この点細かく私は指導しておりますので、もうちょっと時間をかしていただきます。
  145. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次に、保険金の支払い額の限度額について伺いたいと思います。  この地震保険の保険金については、法律第二条第二項第四号において、「保険金額は、附帯される損害保険契約の保険金額の百分の三十に相当する額(その額が政令で定める金額をこえるときは、当該金額)とすること。」と決められており、その政令で定める金額は、建物については二百四十万円、動産については百五十万円と定められております。この金額が、家の全損という大きな被害の補てん金額としては余りにも少ないのではないかという不満の声が現地では多いようであります。保険というのは、万一の際に備えて掛けるものであるからには、できる限り損害を補い得るところまで補償されなければ意味合いが薄くなり、大したメリットがないとの契約者の不満がつのるのも無理がないという気がいたします。もう少しこの額を上げることはできないのか、せめて損害金額の五〇%ぐらいまでは持っていくべきだと思いますが、この点についていかがなお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
  146. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答えいたします。  地震保険に関する法律を国会に提出いたします前に保険審議会にかけましたが、一番の問題はこの点でございました。保険金額全部を払うということは、民間の損保会社はとうていできませんし、政府の財政力もとうていこれにたえるものではないということで、どのくらいの割合にするのが適当であるかということもずいぶん議論いたしました。いまの三〇%が決まった経緯につきましては、集積損害がどのくらいになるか、民間の担保力がどのくらいになるか、国の財政力がどのくらいかということとともに、契約者の保険料の負担ということも考えなければいかぬということでございます。御指摘のように、確かに保険制度としては理想の姿にはるかに遠いものであることは認めますが、これを五〇にたとえば上げますと、保険料負担ということは当然増してきます。ですから、保険料を負担しても、給付を受けられるのがいいかどうか、これは大いに議論の分かれるところでございまして、現在は、いま言った観点で三〇に法律で決めております。  これにつきましても、先ほど申しました全面的な見直しを行っておりますので、大いにわれわれも含めて議論しておりますが、率直に言いまして、これを上げる自信は私はちょっとございません。どうしても保険料が高くなるということと、いろいろな意味で大変むずかしい問題であるということでございますが、しかし、せっかく損保の方で委員会もつくりまして鋭意検討しておりますので、その点も含めまして検討する方針でございます。
  147. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ぜひひとつ前向きで検討をお願いしておきます。  最後に、この地震保険の場合、わが国のように昔から地震の発生が多く、また近年のように大都市化が進んできますと、地震が起こったときの災害の大きさは想像するだに慄然たる思いがいたします。それだけに、確かに地震に対する保険制度にはむずかしい面もあり、損保会社の保護や保険金支払い上の種々の制約があることも仕方のないところであると思います。しかし一方、このような地震多発国であるからこそ何らかのこうした被害に対する保険制度が必要と言えるわけで、今回のこうしたトラブルを教訓として、この保険の改善が図られるべきだと思います。  その一つの方法として、大蔵省と損保会社との間で見舞い金構想が検討されているやに聞いておりますが、この見舞い金構想はどのようなものなのか。そしてまた、そのほかに何か全損以外救済ができない人たちを救済する方法をお考えなのか、ありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  148. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 先ほども御答弁を申し上げましたように、いま、大蔵省指導で損保業界で委員会をつくっております。それで、いま検討している中で一番大きな問題は御指摘の分損の問題でございます。分損というまず定義からいかないとこれは非常に紛糾を招くので、一体分損というのはどういう範囲にするかということももちろん検討しますが、まだわかりませんが、将来分損を持つようになった場合にでも、いまのような一定率でいくのか、あるいは一定額でいくのかということは問題になっております。議論に上りました。そうすると、一定額というと、まるでそれじゃ見舞い金と同じではないかというふうな議論をする人がおりましたので、その言葉、その見舞い金という言葉が先生のお耳に達したのではないかと思いますが、分損の一形態としてあるいはそういうことも考えられないかということはいま議論しております。しかし、申しましたように、全体の整合性もございます。保険料負担の問題でございますとか、査定の問題でありますとか、そういういろいろ問題がありますので、これはまだ煮詰まっておりません。見舞い金ということがもしお耳に入ったとしたら、そういうことからきているのではないかと思います。
  149. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ぜひ見舞い金ということでなくて、分損という立場から、今回の方々の救済を前向きでぜひ実現をしていただきたい。この点はいかがでしょう。
  150. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) ちょっと聞き漏らしましたが、今度の宮城沖にでございますでしょうか。
  151. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そう。
  152. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) それについては、ちょっとここではできるという答弁はできないと思います。
  153. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、次はサラ金の問題で若干お尋ねをいたしますが、サラ金の規制立法問題についてでございます。いわゆるサラ金の問題が大きな社会問題となっておることは御承知のとおりで、その実態については、この決算委員会でも、同僚議員からこれまでしばしば質疑のあったところでございます。わが党でも、独自に規制のための法案を明らかにしているところでございます。こうした中で、腰の重かった政府も、ようやく規制のための立法作業に本気で取り組むことになったようでございまして、過日の衆議院大蔵委員会でも論議のあったところでございますけれども、私も重ねて二、三お伺いをしたいと思います。  サラ金の法規制については、関係する省庁が、大蔵省を初め自治省、法務省、警察庁など数省庁にわたっているために、縦割り行政の悪い面が出て一向に進まなかったわけでございますが、現在になってようやく具体的に検討をする姿勢が見えてきたことは、遅まきながら結構なことだと、このように思います。ところで、サラ金問題は、事、金融の問題であり、大蔵省としては、もっとイニシアチブをとって積極的に、一日も早く法規制によって現在のようなサラ金悲劇をなくする努力をすべきであると思います。大蔵大臣は、この法規制の問題では関係各省庁の先頭に立つべきだと思います。先般も閣議の際には法務大臣がイニシアチブをとったようでございますが、このようなことがないように、この先頭に立つということについてどのような気持ちをお持ちであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  154. 徳田博美

    説明員徳田博美君) サラ金問題は、先生指摘のように大きな社会問題になっているわけでございますが、ただ、現在問題として取り上げられておるものの内容を見ますと、いわゆる金を貸すという金融的な問題よりも、むしろ高金利であるとか、あるいは暴力的な取り立てであるというような、いわば反社会的行為が問題になっているわけでございまして、この点で、いわば社会的秩序の維持という観点に照らして取り締まりを行うことが当面の問題の解決の大きな中心になるのではないかと、このように考えられるわけでございます。  したがいまして、純粋の金融の問題として、つまり大蔵省の守備範囲の問題よりも、むしろ他省庁にわたる問題の方が大きいわけでございますので、先生指摘のとおり、六省庁の連絡会議ができまして、総理府の主宰のもとにそれぞれの省庁の担当する問題につきまして急速にいま検討を進めているわけでございまして、すでに十一回にわたり会合が持たれまして、法律改正を含めまして精力的な検討が行われているわけでございます。  大蔵省といたしましてもこの連絡会の一員として大蔵省の立場からこの問題の早急な解決に向かっていろいろ作業を進めてまいりたいと、このように考えております。
  155. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 サラ金の一番の問題になるところは高金利であるということと、その取り立てが非常に非人道的であるということが問題になっておるようでありますが、出資法というのは、たしか高金利の場合、一〇九・何%という年利になるということが出資法の金利の上限になっておるようでありますが、これはたしか大蔵大臣が所管をし、地方の都道府県の知事に届け出を委嘱しておることはあっても、やはり元締めは大蔵大臣でございますから、そういう意味合いから、こういうサラ金の問題はイニシアチブをとるべきであるとぼくは主張するわけでございますが、そういう点はいかがですか。
  156. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 大蔵省が積極的にやっていないということではございません。私たちも、このサラ金問題につきましては各種の委員会で御発言がございまして、われわれといたしましては、通常国会までには何とかこの問題に対処する立法措置を含む措置をとりたいということで鋭意努力しているところでございます。  ただ、問題は非常に広範でございまして、大蔵省所管というよりも、もちろん大蔵省関係する部分もございますけれども、先ほど銀行局長も言いましたように、高金利の処罰に関する条項がございまして、日歩三十銭以上やりますと、これは刑罰の対象になります。御指摘のように、その部分は出資法の中に規定してありますが、その条文は実は法務省の問題でございます。出資法は共管になってございますけれども、いわゆる貸し金業者の届け出、それから実態調査ができるということが規定されております。この辺が大蔵省の所管でございまして、指導監督の権限は実はないのでございます。いわば自由営業の分野にいまのところは属しておるわけでございまして、大蔵省の持っておりますのは実態調査ができるということでございます。  問題になってなっておりますのは、委員も御指摘のありましたように、非常に高金利であるということ、しかも一般にそれを利用される主婦の方々とか、そういう人がそういうことを知らないでつい借りてしまう、その後の取り立ての状況というのが暴力行為その他を伴うようなやり方をやっておる。むしろ警察取り締まり的な問題が大きな問題になっているわけでございます。したがいまして、いまの出資法の最高金利というものを――あれはたしか昭和二十九年当時のまだ金利の非常に高いときに設定されたものでございますが、一般刑罰の対象としてあの当時の金利水準でいいのかどうか。そうして現在の処罰規定は業者だけに働くわけではございませんので、一つの刑罰規定でございますので、一般私人間の貸借関係についても適用があるのでございます。  したがって、サラ余問題を解決するときに、いまのような法体系をそのままにしておいて処罰規定の金利だけを妥当なところに下げていく、そういう一つの考え方もありましょう。それにしても、利息制限法とのその中間につきましては、いわゆるグレーゾーンの問題が発生することは当然でございます。片や、一般的に申しまして高い金利で貸しているものについては、サラ金もありますし、いわゆる中小企業に貸しているものもあるわけでございます。したがってその辺、どの辺だけ今度は対象にしていくか、サラ金だけにしていくのかあるいは中小企業に対する町のものも対象にすべきかどうか、その辺もやはり考えていかなければならない。  さらにまた、そういう金利引き下げとか、処罰規定の適用のある金利引き下げとか、暴力行為だけの取り締まりで足るのか、それ以上に何らかの行政指導が必要であるのか、この辺がなかなか問題になってくるところであろうと。行政指導と申しましてもこれを指導育成するという方向でやるのか、むしろ取り締まりの方向でいくのか。これは当然のことでございますけれども、預金を扱っているわけではございません。現在のところ自由営業になっているわけで、いわば自己資金でやっているわけでございますから、そういう業法的なもの、一部の政党でいろいろないま御意見が出ておりまして、小口金融業取締法みたいな形でやったらどうかとかいろいろ出ているわけでございますが、そういうふうに非常に込み合った問題をいま抱えているわけでございます。先ほど申しましたように、十一回ばかり会合を開きまして、実態調査の結果が九月中に大体済むと思っておりますので、その後になりますと、各党がこれに対する対処案というものをそれぞれ出し合いまして、そして鋭意今後の打開策を見つけていく。そして最終的には臨時国会において決着をつけたいと思っているのでございます。  大蔵大臣が余り熱意を持っていないということは、実はそういうことではございません。閣議の後の雑談のときにたまたま法務大臣――法務大臣は金利の方の責任者でございますので、非常にそういうことを強調された。私も同感であるわけでございまして、いずれにいたしましても、通常国会までには閣僚各省庁力を合わせましてこの問題の決着をつけたい、かように考えているところでございます。
  157. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまおっしゃったとおり、出資法というのは、大蔵大臣としては実態調査の権限はあるとおっしゃるのでございますから、私はそういう意味合いから、速やかに実態調査をされて、国民があのようにいろいろなことで苦しんでおるんですから、イニシアチブをとって促進をしていただきたかったということを申し上げておりますので、いま一生懸命おやりのところに決して水をさすようなそういう気持ちで申し上げているわけじゃありませんので、大いにひとつハッスルしてやっていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。  次は、法規制の案ができるまでの間の当面の措置として、大蔵省はサラ金業者に対して指導監督を強化することを決めたと、このように新聞は報じておるようでありますが、その一つとして貸出金利の年利表の表示を求める、第二項として返済金の計算明細書は交付させる、三番目は店内での貸し付け条件の明示、以上の三点について、全国にある庶民金融業協会と、同協会員以外の業者については都道府県に通達を出して指導させるとのことであるけれども、もう通達をお出しになったのか、また、この通達によってどの程度の効果を期待しておられるのか、銀行局長にお伺いをいたします。
  158. 徳田博美

    説明員徳田博美君) 先生指摘のとおり、サラ金業者をめぐる社会的ないろんな弊害というのは、これから、大臣の申し上げましたとおり立法について検討しているわけでございますが、それ以前の段階においても放置することを許されないような状態になっておりますので、この点につきまして行政面ででき得る限りの措置をとりたいと考えておるわけでございます。現実にいろいろな被害の起きておる状況を見ますと、サラ金業者からの情報提供の不足、特にたとえば金利等につきましてはピース一箱にすぎないとか、そのような表現をしてみたり、あるいは貸し付けに当たっての計算書を交付しないとか、あるいは貸付金の返済があった場合にも明細を渡さないというようないろんな問題点がございますので、こういう点につきまして指導を行いたいと考えているわけでございます。対象といたしましては全国の庶民金融業協会連合会、これは大蔵省の所管でございます。それから庶民金融業協会は各都道府県の所管でございます。この両者に対しましては大蔵省あるいは都道府県から指導を行うわけでございますが、それ以外の協会非加盟の貸金業者に対しましても、都道府県知事に対し極力指導をするよう依頼をしたいと思っております。  通達についてはいま作成中でございますが、一応骨子として考えておりますことは、一つは貸付利率、これは実質年率によるわけでございますが、返済方式等の貸し付け条件を店内に掲示すること。それから貸金業についての広告に貸し付け条件を掲げる場合には実質年率を併記すること、そのほか誇大あるいは不当な字句を掲げないことということでございます。それから三番目といたしましては、貸し付け契約を締結したときには貸付金額、それから貸付利率――これは実質年率でございます――それから返済の時期、方法等を記載した書面を顧客に交付するということ。それから四番目に、返済金を受領したときには領収金額を元本と利息に分けて記載した書面を顧客に交付するということ。それから五番目には、安易な貸し付けや他の業者へのあっせんを自粛すること。これは書きかえ、借りかえということがかなり頻繁に行われておりまして、利息を含めて書きかえ、借りかえを行いますと、実質複利に働くわけでございまして非常に高金利になるわけでございます。ですから、この点についても自粛を要請すること。大体このようなことを骨子とした通達を早急に出したいと考えておるわけでございます。  なお、この効果でございまなが、先ほど申し上げましたように、連合会及び庶民金融業協会はそれぞれ貸金業者の自主規制の助長に関する法律を踏まえた指導を行うわけでございます。それからこのような庶民金融業協会に加入していない一般の貸金業者に対しては一般行政指導、こういうことになるわけでございますが、いずれにしても、都道府県あるいは大蔵省の出先機関である財務局財務部を通じまして極力その効果が上がるように指導してまいりたい、このように考えております。
  159. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 局長が非常に努力をしていらっしゃることはよくわかるわけでございますが、しかし、そのような行政指導だけでは、現在のサラ金問題の根本にあるものの解決にはほど遠いと言わざるを得ないと思います。  新聞報道によりますと、次期通常国会をめどに、出資金法の上限金利を現行の日歩三十銭を日歩二十銭から二十五銭程度に引き下げる法改正を行うような方針を決定されたようでございますが、大蔵大臣の真意を伺いたいと思います。  また、悪質業者を追放するために、開業の際の届け出制を登録制にして厳しくチェックすることなど、一日も早く法規制を行われることを希望するわけでございますが、こういうことはいつごろになる見込みであるのか、これもあわせてお答え願いたいと思います。
  160. 徳田博美

    説明員徳田博美君) ただいま先生指摘金利の規制でございますが、これは先ほど大臣からお答え申し上げましたように法務省の所管でございますが、この改正につきましては、これが貸金業者だけではなくて一般の私人間の貸借をも規制するものであるということ等のこともございまして、いろいろな問題点はあるようでございますが、この点につきましても法務省において一応検討が行われているものと聞いております。  それから、登録制の問題でございますが、これも一つの考え方とは思われますけれども、現実の問題といたしまして、まあ十五、六万もある業者につきまして一々審査の上登録することということになりますと、大変な事務量を要することになりまして、行政能力上それが可能であるかどうかというような問題もあるわけでございますし、また十分な行政能力がなくして登録制に踏み切りますと、あたかも一般金融機関と同じように大蔵省の監督を受けているというふうに一般の国民に誤解されまして、かえってそのことが弊害を生むということもございますので、この点については慎重に検討する必要があるんではないか、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、大臣から申し上げましたように、次の通常国会を目途といたしまして、法改正を含めましてこの対策を早急にまとめてまいりたい、このように考えております。
  161. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は減税及び増税についての大蔵省考え方についてお伺いしたいと思います。  まず第一に、景気回復との関係でございますが、昭和五十年以来、政府は景気回復のために幾多の財政金融政策を行ってきておりますが、思ったように景気回復は進んでいないと言えるのではないかと思います。特に本年度においては、公共事業を大幅に拡大して、これで景気は一気に回復すると気炎を上ずておられるようでございますが、政府が宣伝するほど景気は回復していないのが実情と言えます。こうしたことは、これまでの政府の景気回復策が、財政面では公共事業の拡大、金融面では公定歩合引き下げという、この両面からのみと言ってもよいようなやり方で進められており、景気回復に重要な役割りを果たす個人消費の拡大を図るための措置がほとんど考えられていないためではないかと思われるのでございます。  個人消費の拡大を図るためには国民の所得がふえなければならないわけでございますが、ことしの春闘の賃上げ、公務員に対する人事院の勧告を見ても、きわめて低いアップ率であって、これではとても個人消費の拡大などおぼつかない。さらに私たちは、この際大幅な減税を行い、それによって個人消費を拡大すべきだと主張するのでございますが、減税は個人の消費拡大につながらないとして、大蔵大臣は減税反対の立場でがんばっておられますが、このようなことでは景気回復はおぼつかないと思います。また、九月二日の経済対策閣僚会議でまとめる総合経済対策の中で盛り込まれる景気テコ入れ策の中に減税は織り込まないと報道されておりますが、景気回復を願いながら減税に強く反対しているのはどういう理由なのか、大蔵大臣のお考えを伺いたいのでございます。
  162. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この点は通常国会におきましてもしばしばお話し申し上げたわけでございますが、御案内のように、いまの日本の財政事情を見ますと、普通歳入がこの十年間に歳出の伸びの半分に足りない、つまり税収の伸びが非常に足りないわけでございます。そして、今年度におきましては、臨時異例の措置とはいいながら実質三七%の公債によらざるを得ない。各国の財政事情を見ますと、やはり公債の発行にはきわめて厳しいものがございまして、フランスあたりではいままでゼロでございましたが、ようやく二%程度、いままでやっておりました国でも漸次下げてまいりまして、日本を除く先進国は大体一二、三%程度、それくらい財政というものが将来の経済に及ぼす影響についてはきわめて慎重であるわけでございます。片や、その意味で今後政府のいろんな意味でのサービスの向上ということが望まれるといたしますならば、当然のことでございますけれども、中長期的に見ますと、何らかの一般的負担の増加を必要とするということは、これは恐らく内外ともにそう御異論のないところであろうと思うのでございます。  片や、第二点といたしまして、租税負担の現状という点から言いますと、日本の所得税負担、住民税を含めまして、先進国の大体平均で申しまして二分の一でございます。特に課税最低限は世界で最高でございます。ですから、サラリーマンの大体普通のところの夫婦子二人当たりで見てみますと、先進国との比較ではまあ二分の一から十分の一ぐらいのところに位しておるわけでございます。そういうことを考えてみますと、いま景気刺激のために消費をふやすために減税をもしやったといたしますと、その分は、当然でございますけれども、赤字公債の増発によらざるを得ないのでございまして、財政の再建が望まれる、それをいよいよ困難にするという問題がこの両者から出てくるわけでございます。  それから第二番目の問題といたしまして、一体同じ金額を使ってどちらが経済成長に効果があるか、これはいろんな点でこの委員会においても議論されたわけでございますけれども、やはりまあ広い意味での公共事業――一般公共事業だけではございません、文教であるとかあるいは社会福祉施設であるとかあるいは住宅とか、こういったものの方がやはり景気上昇効果が多い、特に初年度を問題にする場合には速効性において特にすぐれていると、こういうことが一般的に言われているわけでございます。そういった見地からいたしまして、やはりこの際日本が仮に追加措置をとるにいたしましても、やはり減税によることは不適当であろうと、このように考えておることは通常国会のときお答え申し上げたとおりでございまして、現在におきましてもそういう考えにおいては変わりがないということを申し上げておきます。
  163. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 景気が回復をしないのはやはり内需の喚起という問題が私は非常な問題だろうかと思います。それは公共事業の拡大ということは、あるところにはいっておると思うんですが、庶民のところにいかないところに問題があるので、それをどういうふうに普遍的に財政のそういう恩恵を浸透させていくかということをお考えになることは私は当然じゃないかと、そういうような考え方を持っております。  また次の問題に移りますけれども、このたび電力、ガス料金について円高差益の還元を行うことを決められたようでございますが、これまで円高差益の還元に消極的だった政府が一転して還元に踏み切ったのは、これで減税の肩がわりをさせようという腹ではないかと、このように勘ぐらざるを得ないわけで、円高差益の還元と減税は全く別の問題であり、差益還元とは別に政府は、私が先ほど申し上げたとおり減税を実施すべきである、このように主張するわけでございます。円高差益を減税問題にすりかえるような虫のよいやり方では、政府の掲げている七%の経済成長の達成などはとてもおぼつかないと言わざるを得ないと思いますが、御見解はいかがでしょうか。
  164. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 二つの点で申し上げたいと思います。  今度、二日の日に総合対策を決めまして追加措置を講じますのは、やはり七%成長との関係でございまして、いまの見通しでいきますと非常にむずかしくなってきたという判断をしているわけでございます。その原因は、内需の拡大が予定より少ないという理由ではなくて、主として円高に伴いまして輸出数量が激減しているわけでございます。片や、輸入数量はかなりふえておると。そのことは、言いかえますれば成長に対しましてはこれはマイナス要素になるわけでございまして、やがて四-六のQEが発表になると明らかになると思いますけれども、かなりその海外経済余剰の方が、いままでは経済成長にプラスになっておりましたけれども、今度は逆にそれがマイナス要素になっておる。その分を補わないとなかなか七%にいけないというところが問題の中心であろうと思うのでございます。多分、私たちが承知しておるところでは、現在の四-六の内需の拡大の瞬間風速は八%ぐらいいっているんじゃなかろうか、内需だけで申しますれば。しかし、海外経済余剰の問題の方でやはり相当のマイナスが出るので、そこで追加策が必要だと、こういうふうに理解いたしておるのでございまして、そのために何をやったらいいかと、こういう問題意識でございます。  それから、第二の問題の円高差益の問題と減税の問題でございますが、円高差益の還元の問題はこれは主として通産省の問題でございますが、私が伺っている限り、別に減税とすりかえてやろうなどという考えを持っているわけではございません。かねがね円高差益という問題は、市場原理を通じて何らかの形で国民に還元さるべきもの、これについてはすべて異論のないところでございます。  ただ、その還元の仕方として、従来、電力料金等については、電力料金というような基礎的な価格がそのたびごとに上がるのは一体どんなものであろうか。つまり、還元の方法として、本来ならば上がるべき、ことし、来年上げるべき料金を円高差益を利用して据え置くという形で還元することを通産省は従来言っておったようでございます。それも一つの還元の方法であろうと思うのでございますが、今般言われておりますのは、いわば五十三年度分は料金を据え置くということ。ただ、その後また今年の四月以降円高になりまして新しい差益が出ておりますから、恐らくその部分についてやはり国民に還元していくと。言いかえますならば、二段構えで、料金据え置きという形における還元の仕方とそれから直接還元の、この二つをいま通産省は考えているのではなかろうかと思っておるのでございます。  いずれにいたしましても、この問題は九月二日の総合対策を決める段階ではっきりさしてまいりたいと、かように考えているわけでございまして、減税のかわりというようなものは初めから考えていないところでございます。
  165. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 政府は減税をしないというのではなくて、かえって増税をしようとしているのが現状ではないか。三〇%を超す国債に依存する財政を立て直し、社会保障等の充実を図っていくためには、国民の負担額を増加することは仕方のないところだという、そのことが理由のようでございます。  しかし、現在のような経済情勢下における増税不可避という政府の姿勢は、経済を一層沈滞させ、国民の個人消費をますます冷え込ませる結果になると思います。財政再建を急ぐ余り増税路線を推進するのは避けるべきであり、もっと景気が回復するまで、あらゆる努力をして増税は避けるべきだと思います。また、大蔵大臣としては、歳出のむだを省くなり、あるいはまた不公平税制の是正とかこういうようなことを考えて、そして増税ということは回避すべきだと思いますが、この辺についての御見解をお答え願います。
  166. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほど申しましたような財政事情から見、また国民の政府なり自治団体に対するサービスのニーズから申しますと、長期的に見まして、あるいは中長期的に見まして、負担の増は避けられないところであるということは一般的に言われておりますし、私もそのように考えておるのでございます。ただ、そのタイミングをいつどの程度にするか、その問題はまた別個の問題でございまして、そのときどきの情勢に応じまして考えざるを得ないと思っております。来年度の問題について具体的に申しますれば、やはり予算編成の時点で、一体将来の展望を持ち、そしていかような中長期的に必要であるとしても、この際必要であるのか、必要であるとしてもどの程度にすべきか、あるいはこの際は避けた方がいいのか、これはやはりそのときどきの情勢に応じて導入の時のタイミングを図るべきものであろう、このように考えておるところでございます。  それから、景気との関連でございますが、この前も申し上げましたけれども、一般的に申しますと、増税というのは非常に心理的に問題がございますが、一つだけ申し上げておきたいのは、仮に負担増を求めましても、それを政府はため込むわけじゃございませんで、全部使うわけでございます。したがって、どのようなところからいただいてどのようなところに出すか、それが実は決定的な景気に対する実質的な私は影響を持つと思っておるのでございまして、その点もあわせて慎重にやっていきたい、このように考えております。  それからなお、一般的な負担の増加を求めるときに、当然その前にやっておくことはありはしないか。もうごもっともなことでございまして、税制調査会におきましてもその点は強く指摘されております。いわゆる不公平税制、人によりまして内容は違うかもしれませんが、いわゆる国民感情から見まして不公平税制というようなものは当然その前に是正されるべきでありましょうし、また制度も見直しをし、いやしくもむだな歳出はその前に切り捨てるというようなことが一般的な負担増加をお願いするときの当然前提条件になろう、こう思いまして、鋭意その点についても努力を重ねているところでございます。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、最初に国税庁の幹部職員の天下り税理士問題と言われていた問題についてお伺いをしたいと思います。  七月五日に、本委員会におきましてこの国税庁の幹部職員の天下り税理士問題というのを取り上げましたが、そのときに、本委員会実態調査を含めて善処方を、これは国税庁長官も、また大蔵大臣も表明をされておられます。その後どのような措置をなさったのか、報告を最初にお伺いをしたいと思います。
  168. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) 本委員会におきまして、いわゆる税務職員の天下り問題といいますか、御指摘を受けまして、それから、さらにまた他の委員会におきましてもそのことが論議され、また新聞紙上等においてもいろいろと御批判の記事が載ったということ、これは私、重々存じておりまして、国税庁といたしましてはこれを謙虚に受けとめまして、今後のわれわれの新しい施策の指針としておるわけでございます。  その後どういうふうにしたかということでございますので、御報告申し上げますと、まず八月一日に臨時の国税局長会議を招集いたしまして、この問題がいろいろと批判を受けているということを国税庁側から説明をいたしました。それに対します各国税局長の意見というものを聴取したわけであります。そういった議論を踏まえまして、八月三日に国税庁長官通達をもって、就職あっせんあるいは就職そのものにつきましての注意通達を出し、その後さらに、いまの予定といたしましては十月に全国の総務部長会議を招集する予定でございますけれども、それまでに各局の就職の実態、問題点等を整理させまして、各局からその状況報告を受け、それによって改めるべきところは改めるということで具体的な方針を決めて、来年度以降の就職あっせん問題に反映させていきたい、かように考えておるわけでございます。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 八月の一日に国税局長会議を開いて、その後八月の三日に通達をお出しになったと。この通達を拝見いたしますと、2に、「退職職員に対する顧問先あっせん等に当っては、納税者等から批判や疑惑を招くことのないよう十分留意するとともに、部下職員に対してもその趣旨の徹底を図ること」、3には、「退職職員の税理士開業等の実態のは握に努め、上記1及び2の観点から是正すべき点については、早急に所要の措置を講ずること」と書かれていますね。
  170. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) はい。
  171. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 この「是正すべき点」、それから「早急に所要の措置を講ずること」と、これはどういうことですか。
  172. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) それはその通達の1、2にございますように、もちろん国家公務員法あるいは総理士法違反という法律違反のようなことがあってはならないということは、これは通達で注意するまでもないことでありますけれども、そういった法律違反ではなくても、その法律違反をしているのではないかというふうに疑われるような顧問先の獲得ということ、こういったことはもちろん改めるべきことであります。それからまた同時に、その顧問先をあっせんするに当たりまして、職務権限というものを利用して就職の押しつけをするとかあるいは顧問先のあっせんをするといったような、国民から税務の執行の公正さを疑われるといったような行為はこれはやめるべきであるというのが、抽象的に申しましたらそのことであります。  これは現に、この国会等で問題になりまして、今年の七月に退職いたしまして一応顧問先等が内定していた職員の中でも、やはりこういったことは法律違反ではないけれども、この際、こういった顧問先に入ることは辞退した方がいいだろうというふうなことでみずからこれを辞退していったケースもその後出てきておるということも、私、報告を受けております。
  173. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはこの通達は、顧問先あっせんはやめないけれども、国民からあるいは納税者から疑惑を招くようなことのないようにという注意、したがって顧問先あっせんはやめるという立場じゃない。ですから、大阪の国税局では、新しく着任をされました篠田局長は、これは顧問あっせんはやめませんということを言明をされているわけですね。いま局長がおっしゃられたように、辞退をされたという自粛例というものが出てきたというのは非常に私は大切なことだと思う。  この問題についての国民の反響というのは、実は私が予想をしていたよりも非常に広範でございます。これは新聞の報道あるいは私ども質問もいたしました経過、そういった時点から実は私のところに対してもずいぶんたくさんの反響があった。実は驚いている。私のおります大阪では、これは集団的にいろいろな怒りの声や行為が起こっております。その一つは、青年税理士連盟という団体でございますが、四百人近くの方々が決起集会を開いて、そういうけしからぬやり方というのはやめろということで、国税局へ抗議のデモをやっておられるという問題。あるいは納税団体である民主商工会の皆さん方を中心にして、大阪では約八百人の方々が、大阪府下三十の税務署に対して、要求を掲げると同時に、幹部職員がそんな勝手なことをやっては困るということでの抗議の行動なども起こっているわけでございます。  同時にまた、個々的ないわゆる内部告発的な問題というのがこれはもう無数にございます。ちょっと驚いたんですが、脱税の摘発と引きかえに顧問税理士の押しつけがやられているんだという点の本当に数々の告発がございました。その中では、これは中小企業だけではなしに、大企業に対してもずいぶんたくさん何階建てかのOBの顧問税理士が天下っておる。東京電力では十七人のOBの税理士がおる。そこでは税務対策室といって、いわゆる顧問税理士ばっかりの部屋までつくってある。近鉄では十数人OBがおって、しかも、これは本社並びに外郭団体、そういうところにも配置されている。ジャパンラインでも七、八人、ここでもこの人たちのための税務室が備えられている、こういう調子でございます。  こういう点から言いますと、いろいろと私どものところに寄せられた情報からいたしますと、先ほどからの国税庁長官のその後の対処のあり方との間には非常に大きな隔たりがあるんではないかというふうに思うんです。本当に長官は事態の実態を把握された上で対処されているんであろうか、この点について深い疑問を感じているわけです。そのことの一端を、私が調査をした範囲でいろいろと申し上げますと主観が入りますから、私どもの方に寄せられております多くの内部告発的な文書によって実態をひとつ御紹介を申し上げたい。  幾つかあるんですが、代表的なものをちょっと二つ持ってまいりました。これは私あてに来ているんですね。ちょっと読みますが、  私は二十年余り勤続する部内の職員であります。 これは新しい大阪国税局長に対する建議をされたという内容なんですよ。ですから問題点を指摘されて、このままでは世論の批判にたえられないから、せめてこうしたらどうだろうかという積極的な建議が書かれておるんですね。  御着任用々OBの顧問税理士問題でさぞ当惑されておられると存じます。局幹部よりの報告は通り一辺で、それでは真実の状態はわからないだろうということは既にお気付のことと思います。そこで全く粉飾のない現状を明らさまに申し上げ、よく知って戴いた上で内外共に納得のできるような対策をおすすめしようと思います。 これは全部読んだら時間がかかりますので飛ばしますが、  特別試験制度発足以来退職者による税理士の供給が増え続け、現在では概ね年所得が五百万円を超える程度の企業には殆んど税理士が行き渡り、尚二階、三階建(新聞報道のように近畿相互銀行では実に七階建)と、OBが溢れて居ます。そこへまだ年々局の公けのあっせん分百件以上、現職者の任意のあっせんも入れ千数百件以上を上乗せしていく訳です。二年契約の 云々と、こういうことで、  このように納税企業の負担は近年大幅に増えて来ていることは否定できません。世間の風は想像以上につめたいとはOB達がしばしば漏らしている。供給既に過剰の状況で顧問予約をとるとすれば、申す迄もなく圧力による押し付け、課税の減額の方法を用いる他はありません。きれい事であっせんする等ということは最早夢物語りであるということは職員の常識となっています。現実にどういうふうにあっせんが行われているかを記しましょう。会社との交渉は、調査部では部門統括官主査が、署では副署長、統括官上席が主としてやって居ます。 やり方ですね。  先ず例年二月頃になりますと会社毎の顧問リストを元にして候補会社を選定し、未処理の事業年度のあるものは以後五月末位迄の間にかなりの調査期間を見込んだ実地調査計画を盛り込みます。そして増差所得から相手方の反応次第で概ね一千万円内外から数百万円の減額をするのが普通です。又調査時期に至らない会社には幹部が訪れ、自後一年ないし二年の間調査を省略するとか、優良、準優良への格上げ等の取引条件を切り出す訳です。 きわめて具体的です。  それからさらに、そういうことがずっと、もっとひどいことの表現がありますが、具体的なところだけにします。  局長は、あっせんを止めることは職員の士気に影響するとも言われましたが、大部分の未だ長い将来のある我々職員にはこんな腐敗堕落しあっせんを続けることはやり切れない思いなのです。報道された内幕がすべて真実であることは、部内から憤激の声のかけらも出ず、只沈黙だけであった事実からしても推察願えると思います。今後もあっせんを続けるということは、とりも直さず圧力による押し付け、課税面での取引等の不正を続けるということに他ならないと職員も納税者も理解することでしょう。 ここまで書いております。内部の方ですよ。  一般の停年退職者がその後別の企業に勤務し得られる程度の収入は、開業後自分の力で容易に得られる筈であります。多額の収入を濡れ手に粟で手に入れ優雅な顧問とならなければならない訳は何もない。そのような甘えは最早終止符を打つ時が来たと思うべきでしょう。今にして謙虚な反省をもって大改革に着手するのでなければ、我が国税庁は官庁としての評価さえも失い、私欲にむしばまれた只の権力集団との認識を植え付けることになりましょう。 したがって、具体的にこういうふうにせめてやったらどうだという具体策が書かれています。  もう一つは、これは非常に簡単ですが、これは議会での御質問を新聞で拝見して、何ら派閥に属さない下積みの者は涙が流れましたと、この人は調査部に長年勤務をしていた人だそうでございます。  六月ごろになると毎年いやでも耳にするのが顧問先のあっせんの話です。顧問先のあっせんと共に申告是認、調査省略の交換条件が成立して数百万円の税金を脱税していても帳消しになります。大企業でも、調査をしても、天下り税理士と統括官の談合で調査した税金も三分の一にされてしまうのです。 まあ以上の調子です。  そこで、私は、全く税務職員の皆さんは、幹部職員は別として、こういうふうな問題を具体的に提起をしておられる税務職員の皆さんはきわめて健全だと思うんですよ。しかし、指摘をされているような、あるいは私どもに内部告発がずいぶんなされておりますが、大変重要だと思うので実は調査を開始しました。しかし、これらの調査を私どもがやるについてはきわめて困難を感じました。というのは、私の方も脱税を摘発された、しかし確かにいろいろやられたけれども、ある時期に顧問税理士をという話になって採用した。その話はいっぱい聞きますよ。しかし、私の方の名前を出されたら後がこわいから堪忍してくださいとみんなおっしゃる。きわめて困難です、調査するのは。そのうちのごく少数例でございますけれども、申し上げてみたいと思います。その一例です。  これは本社が奈良県の大和高田市にある寺田ポンプという会社。これはその地域では大きい会社だそうですけれども、株式会社としては一億円未満の会社で、ですから所轄の税務署が調査をされるんですね。昭和四十九年の一月に葛城税務署が任意調査に入って悪質な脱税を摘発した。そこで、本税の三〇%を加算する、いわゆる重加算税の決定を行った。ところが、そこの署長は西浦という署長さんだったんだそうですが、三月末か四月の初めごろに、七月に退職勧奨をされた。これは大変だということになったんでしょう、顧問先探しということになったんだと思いますが、この重加算税の決定をされた寺田ポンプが、その後過少申告加算税に変更した。これはもう御承知のとおり、三〇%の重加算税が五%の過少申告加算税ということに変更された。しかもおまけがついている。七月におやめになった西浦という署長さんが退職後寺田ポンプの顧問になっておられる、顧問税理士になっておられる。  それからもう一つ、こういう例があります。西部石油株式会社。これは昭和五十一年の一月に任意調査に入った。その任意調査の項目は何かというと、その一つは為替差益の扱いをめぐっての追及であった。その為替差益というのは七億前後の金額だそうです。それから二番目は社長の個人的な買い物、私物を買うのに会社の金を使っているという事実があるという問題。三つ目は、社長が病院へ入院した費用を全部会社で支払いをしておるなどという、三ないし四項目のことで任意調査が長い期間をかけてやられておったわけです、一月から。ところが、四月ごろになってこれが長い調査がなされていたのにぷっつりと切れた、そうして顧問税理士を引き受けさせられた、こうなっているわけですね。こういう問題。  それからもう一つは、これは立件をしているから御承知だと思うのでちょっと報告をしてもらいたいんですが、昭和四十七年に脱税で立件をされた大倉建設というのがございますね。これはどんな経過になっているか、ちょっと御報告をいただいた方が正確だと思いますのでお願いをしたいと思います。
  174. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) ただいま御指摘の大倉建設株式会社にかかる査察調査の案件でございますが、これは大阪国税局が当会社に対しまして昭和四十五年五月二十八日法人税法違反嫌疑で査察に着手いたしまして、昭和四十六年一月二十九日大阪地方検察庁に告発、同年二月十五日に起訴され、同年七月十二日に大阪地方裁判所において第一審の判決がありましたが、これに対しまして検事控訴が行われ、さらに二審におきまして昭和四十七年五月三十日大阪高等裁判所において二審の判決があり、いずれも有罪で判決が確定しております。  有罪判決の内容は、第一審におきましては、行為者罰に対して罰金五百万円、会社に対する責任罰三千万円でございましたが、第二審におきましては、行為罰といたしまして懲役十カ月、執行猶予二年、責任罰三千万円ということに相なっております。その有罪となりました内容といたしましては、昭和四十二事業年度におきまして、法人所得二億六千四百六十一万六千円を秘匿したという事実。さらに、四十三事業年度におきまして一億五千五百七十三万四千円を秘匿したという、その二つの事実によって有罪となったものであります。
  175. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは四十三年、四十三年事業年度で合わせて四億二千万円、四億円余りの脱税の規模を持つ悪質な会社なんですが、これは立件をして起訴されて結論が出ているわけですから、まあ大体悪質な会社だという烙印が押されているのですが、ここのこういう悪質企業に対してOBが顧問に次々と入れられている。そして、そこの会社では大体資本金十億以上の会社ですから、公認会計士もおるのだから税理士は要らぬけれども、まあ大分痛い目に遭うたからというので雇っているわけですね。ところが、幾らでも次から次と来るので、顧問税理士の内規というようなものまでつくっているのですね。いかに押しつけられているか。  内規にどう書いてあるかというと、この内規を見て驚いたんだけど、六十歳以上は新規採用しない。五十二歳以上は二年ごとに更新する。それから六十歳以上の人については一年ごとに更新する。内規をつくらにゃならぬほど押しつけられている、こういうことです。これは脱税と引きかえというより、脱税は立件されたんだからまともかもわかりません。しかし、そういうところの弱みにつけ込んでと言われてもしようがないでしょう、内規までつくらにゃいかぬほど次から次にやられるのだから。私は、これ一つ一つについてきょうは解明をする時間もありませんし、恐らくお聞きをしても守秘義務等でお答えをいただけないと思うので、まず会計検査院にお聞きをしたいのです。  会計検査院では、これは決算検査報告等を拝見いたしておりますと、毎年大蔵省の分野では租税の調査をなさっておられる。そして、租税の徴収検査をおやりになって、過不足の調査をなさって不当事項などというのを毎年こういうふうに報告をされているわけでございます。私がいま指摘をいたしました点については、これらの企業について明らかに徴収不足があることはもう明らかです、大倉建設の場合は別ですが。こういう点について、指摘された点については、具体的に検査を会計検査院としてはなさるべきではないかと思うのです、一つは。  それから、前回私指摘をした点でやはり問題点になった、たとえばこれは大阪ですが、元直税部の次長の山村秀雄氏という方が、やめてすぐに持っておった顧問先、日商岩井とか、京都新聞、青木建設、関西相互銀行。それから、元調査部次長の川城照利氏という方。この方は大林組――この人に至っては七月にやめて八月から大林組では顧問税理士になっているんですよ。この大林組あるいはミノルタ、近畿相互銀行などを指摘いたしましたが、これらの指摘した分も、同じような手口の疑いが濃いわけです。会計検査院ではそこの企業を調べるというのは無理だろうと思うから、企業を担当する大阪国税局あるいはそれぞれの税務署の検査、これもあわせて行うべきではないかと思いますが、御見解をお伺いしたい。
  176. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) 言葉は悪うございますが、天下り税理士さんがおられる、そういったところには特に注意をもって検査すべきではないかと、こういう御質問かと考えてよろしゅうございますか。それでようございますか、いま先ほどおっしゃいましたのは。
  177. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、ちょっと正確にとらえていただきたいのは、私は会計検査院は天下り税理士があるのかないのか、検査の中ではわからぬでしょう。しかし、私が指摘したケースは、明らかに徴収不足が考えられる、その疑いがあるんだから、これは税の徴収について検査をなさる必要がありはしないか、こういう立場です。
  178. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) ただいま御指摘になりました二社、それからこの前御指摘になりましたのも、かなり先生内容を具体的に御指摘なさいまして、こういう点を御指摘されたと思います。こういう御指摘がございまするから、われわれの方としては検査いたします。
  179. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは検査するんですな。
  180. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) はい。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ次に、法務省にちょっとお聞きしたいのですが、こういうケースというのは贈収賄罪の疑いがあると思いますが、どうですか。
  182. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えを申し上げます。  一般論として申し上げますならば、公務員に対しまして、その職務行為の対価として将来の公私の一定の職務上の地位の提供を約束するというものにつきましては、大正四年の六月一日だったと思いますけれども、大審院判例以来の裁判所の一貫した判例の態度でもございます。したがいまして、当該公務員が職務行為をするあるいはしないということに対する報酬として、将来の職務上の地位の提供を約束したという場合には、一般的には収賄罪が成立するというふうに考えております。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、私の方で具体的に指摘をした分については御調査すべきだと思いますが、いかがですか。
  184. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) ただいまは一般論として申し述べましたが、ただいま先生のお述べになりました事案につきましては、その具体的な事実関係の詳細を私把握しておりませんが、いずれにいたしましても、国会の御論議等につきましては、所管の検察庁あるいはまた警察当局が、それぞれ所要の注意を払って、犯罪の捜査を開始するに足る嫌疑があるとお認めになりますれば所要の措置をとるということになろうかと思います。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後に国税庁長官、これは私本当は法務省などに意見を聞きたいとも思わないのですよ。しかし、ここまでしなければならないほど国民の不信と疑惑というのは広がっている。こういう事態を、明確に私ども具体的に指摘しているんだから、もっと事態を明確に調査をなさって、姿勢を正すべきときだと思うのです。これは、企業の中では、脱税――あるいは税を払うか顧問を雇うか二者択一だと言われている。ここまで意見が出てきている。  私は前回から引き続き長官のお話を伺って、退職職員の生活保障のために、品位を汚さない程度に、一人二カ所ずつはあっせんいたしますと言っているんですね。しかしそれがこんなことになっているんですよ。私が言っているのは氷山の一角ですよ。退職者の利益擁護といって、これは退職者の利益擁護も大事だと思います。しかし、どういう状態でこういう利益擁護をしているかということをもっと冷厳に見る必要がありますよ。  私はあれ以来いろいろ調査の資料を集めてみましたが、元大阪国税局管内の指定官職にあった者で、退職後税理士業を開業して、この昭和五十年、五十一年、五十二年、三年間にいわゆる公示所得一千万以上の所得を上げた者はどのくらいおるかと思って調べてみた。大阪では、指定官職でこの三年間に退職をした方は百三十五名です。そのうち百三十一名の方が税理士に登録をしておられます。そのうち三年間の間に一遍でも一千万以上の所得があった者は二十三名です。  これは大阪国税局の専売特許ではないんですよ。東京国税局の同じく指定官職にあった者で税理士業を開業した者、そうして公示所得のあった者、同じ五十年、五十一年、五十二年、百七十五人が退職をされて、東京の場合には税理士業をやられたのは、登録をされたのは百二十七人、そのうち公示所得のある者が十六人、しかも個人別に調べてみたら役職が非常に偏っている。これは注意をして調査をなさる必要がありますよ。たとえばこれは元東京国税局管内の指定官職にあった者の具体例を全部拾い上げてみた。そうしますと、調査第三部長というのが歴代毎年、やめたその年あるいはその翌年も含めて、たとえば五十年七月にやめて五十二年の公示所得が千七百六十三万六千円、これ調査第三部長ですわ。それから五十二年七月にやめた人が五十二年の所得が、これも調査第三部長ですが、千二百七十一万円と。それから税務署長でも、どこの人も、どこの署でもそうなっていない。神田税務署長というのは歴代ですな。神田税務署長は、五十年七月にやめた署長はその翌年に千百八十一万、翌々年の五十二年には千二百二十七万。それからその次の年の五十一年七月にやめた神田税務署長は、五十二年度の所得が一千万を超している。日本橋税務署長、京橋税務署長、こういう税務署でも、東京でもいろいろたくさんあっても、出ているのが顕著です。いわゆる優良法人の非常にたくさん集まっている行政区の税務署長というのは非常にはっきりしている。  大阪もそうなんです。大阪も、調査部次長というのは、これは皆この前も指摘をいたしました具体例も調査部次長でしたが、調査部次長というのもこの調査の中では四人挙がっている、ごく少数の調査の中で。それから大阪の税務署では南税務署長、北税務署長、いわゆる優良法人の集まっているところでは歴代がそうなっている。こういうことになっているわけですからね。まあ退職職員云々とおっしゃるけれども、ごく一部の人のためにだけやっているにしかすぎないということなんですよ。そのことが助長されて国民、納税者からひんしゅくを買い、不信と疑惑の広がるようなことになっている。  さらに退職者の生活擁護と盛んにおっしゃるけれども、これら指定官職の皆さんが退職をされるときの給与というのは、退職金というのは二千万以上でしょう。年金は年間二百五十万から三百万ぐらいあるんでしょう。ちゃんと説明報告してくれと言うたけれども、余り具体的に報告がない、こういう状態なんです。  私は前回にも言いましたけれども、国民がいま置かれている雇用状態というのはどんなことになっているか、これは改めて数字をもって申し上げておきたいと思いますが、ことしの三月の総理府統計によりますと、完全失業者は百四十一万人、男子の定年等による離職者は七五%を占め、失業期間が長い、しかも完全失業者のうちの四〇%は全く収入が何もない、こういう調査が出ている。しかも、就職をしたくても有効求人倍率は、五十五歳から五十九歳、この方々の年齢に該当するところではわずかに〇・一八だと。百人中十八人しか就職ができないという状況になっている。  こういう中で、私は、税務行政の公正、特に納税者の疑惑や不信を払拭するためには本当に実情を調査をして姿勢を正すべき時期に来ていると思うんです。内部の職員の方が御指摘のとおりだと思います。そういうことをやってこそこれは国税庁として国民に疑惑を晴らす責めを負うべき立場を果たすことになろうと思うんですが、その点どうですか。はっきりするべきときだと思うんです。
  186. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) ただいま先生の方からいろいろと御指摘並びにいろんな実態の方のお話ございまして、私も謙虚にいま拝聴したわけであります。私自身の手元にも、やはり先生の手元に集まったようないろいろな情報であるとか、それから今後の考え方といったような貴重な意見が集まっております。私はそういったことに対しまして謙虚に受けとめて今後のわれわれの施策に反映さしていきたいという考えでありますけれども、ただ、ただいま先生の御指摘になりましたような、あるいは税金の課税に手心を加えて、その引きかえに顧問先を引き受けさせるとか、あるいは無理やりにその弱味につけ込んで顧問先を引き受けさせるといったようなこと、これはあり得べからざることでありまして、私は重々ないと思いますけれども、もしそういったことがあれば、まさに過日国税庁長官通達で指摘いたしましたように、即刻取り上げるべき事実であります。こういったことに対しましては事実をさらに調査いたしまして、そういった税の公正な執行に疑惑が持たれることのないように謙虚にわれわれは努めてまいりたいと思います。  それからもう一つ申し上げたいと思いますのは、ただいま先生指摘になりましたような個人の税理士の人、やはりこれは多くの中の本当の一部分であります。大部分の税務職員は、やめていった後で顧問先にまいりましても決してそういった一千万円を超えるような高額所得者ばかりそろっているわけじゃないので、それは特定の人であります。したがいまして、その特定の事実をもって退職税務職員がすべてそういった状態であるというふうな御認識はしていただかないことをお願いいたしておきます。  それから同時に、特定のポストの者が非常にそういうふうな高額な所得になっておるということ、これは私は見方によりますと、そのポストによってそういった高額所得の契約書を結んだというよりは、やはりそういった優秀なポストに行った人の個人的な税務に対する能力、そういったものもかなり私は影響しておると思いますから、顧問先とそれからポストというものはストレートに結びついて御判断されるのもいささか私としては性急ではないかというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、この顧問先のあっせんの問題につきましては、御承知のように税務の職場というものの人事の刷新をし、それから同時に、行政能率の効果を上げるためには、一定の年齢に達しました場合にはどうしても後進に道を譲るべく退職してもらわにゃいかぬ、そういったことがここしばらくいわゆるこの税務の職場には中高年齢層を抱えて大きな問題となっております。したがいまして、しばらくの間はやはりそういった人たちに勇退してもらう。そのためには退職後の生活というものに対してやはりある程度の安定性を与えていかねばならないということがございまして、たびたび御指摘で恐縮でございますけれども、やはり第二の人生のための生活の安定を図るためのわれわれの努力というものはやっていかなければならないというふうに考えておるわけであります。  ただ、繰り返し申し上げますけれども、その際に、ただいま御指摘のようなきわめて好ましからざる、またあり得べからざるような方法によってそれをやるということは厳に戒むべきでありますし、それからまた、全般的に納税者から税務の公正な執行に対して批判なり疑いの目をもって見られるようなことに対しましては、これはもう完全にわれわれとしては自粛し、それをやめるつもりでおります。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは私時間があればもっと具体的に言いたいんです。少なくとも私は、職員の皆さんはきわめて健全な感覚をお持ちだと。何だかんだうまいこと言い抜けしているけれども、事態を本当に直視するという立場をおとりにならないのはこれは幹部の皆さんじゃないかと思うんです。長い間国のために税金を集めてきてやったんだから、退職後ぐらいは優雅な暮らしをして何が悪いんだという感覚があっちゃ困るんですよ、本当に。その点は厳に戒めていただきたい。そして国民、納税者に真にこたえる立場を厳正にお取りいただくことを重ねてお願いをしておきます。  ちょっと大蔵大臣、一言なかるべからずですな。
  188. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほどから沓脱委員のお話よく承っておりまして、私も、いま国税庁長官が謙虚に言っておることと同じ考えを持っているわけでございまして、さらに、私も含めまして国税庁ともども自粛してまいりたい、かように考えております。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと時間がありませんので、あと私サラ金の問題で、これはいろいろともうすでに質疑がなされておりますし、ごく簡単に具体問題だけ聞いておきたいと思うんです。  まあ、サラ金被害というのは、毎日、新聞で一家心中、自殺等が依然として報道されない日はない。地方自治体の職員、あるいは国鉄やあるいは電電公社、この間では警察官、しかも幹部警察官まで関与して犯罪まで起こる。まさに重大な社会問題になっています。これは私どもの党でも一月から七月までの間に相談を受けた件数が四千二百件というんだから、これは氷山の一角だろうと思うので、大変膨大に国民の被害というのは広がっていると思うんです。が、そのわりあいにしたら政府の施策というのはテンポが鈍いというのは先ほど同僚委員からも御指摘のあったとおりです。  そこで、大蔵省は余り関係がないんだという話も先ほどございましたから、大蔵省の御関係のあるところをひとつ聞きたいんですね。さっき和泉議員に対して話があったのは、庶民金融業協会にはもう通達を出したとおっしゃったんでしたかな、これから出すとおっしゃったんですか、どっちだったんですか。ちょっと聞き漏らした。
  190. 徳田博美

    説明員徳田博美君) 通達についてはいま成案を作成中でございます。なるべく早急に出したいと考えております。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 早くやっぱり出してもらいたいと思うんですね。  実態調査をこれは大蔵省の所管でやっていらっしゃると、こういうお話でございましたが、これはいつごろまとまるのか知りませんが、これも、私はまとめて聞きますが、私、貸金業者に関するアンケートという実態調査の中身を教えてくれと言うんだけど、大蔵省はさっぱり出さぬですな。何で出さぬのかなと思って、たまたまこれは府県がやっているもので、府県へ行ってもらった。くれぬはずでもありますよ、これ。ちょっと中身を見て驚いたんだけど、これ何を調査するのかなと思ってね。いろいろありますけれども、問いの十四というところにどう書いてあるかといったら、「最近におけるあなたの年間税込み収入は御記憶の範囲内でおおむねいくらですか」、これはあなた業者をばかにしていると思いますよ、業者の側から言ったら。御記憶の範囲でおおむね幾らですか、これが調査資料に書いてある。こんな調査をして、本当にこれだけ国民が広範な被害を受けておる実態調査をしてどのくらい実効が上がるかと、私は項目を見てちょっと驚いた。いまさら細かいことをやらなくたって、問題点になっているのは利息が高いこと、むちゃくちゃに高いこと、それから届け出制でだれでもやれることだと、暴力的、脅迫的徴収をすることだと、こんなものははっきりしているんですよ、国民の被害の実態で。  で、私はきょうは時間がありませんのでかれこれ言おうと思ってないんですが、重大な社会問題であるという認識に立つならば、できることから何でも解決を図っていくということがまず大事だと思う。  そこで、一つは電電公社にちょっと聞きたいんですがね。電話帳を調べてみたら、サラ金の広告出ていますな。いっぱい出ているんですわ。それで、これおたくの方の広告の基準というのがありますわな。品位を保たなければいかぬとかなんとか書いてあるんだけれども、これは品位を保つのに役に立ちますか、これ、電話帳の広告。
  192. 浅原巌人

    説明員(浅原巌人君) 先生指摘のとおり、私ども電話帳の広告を、業者の方の生活なりあるいはビジネス用のガイドとして使われるような電話帳をつくりました。それに広告を募集いたしまして載せているという形で運営をさせていただいております。その広告を集めさす場合に、私どもにおきましても八項目からなります広告掲載基準というものをつくりまして、中身は一々申し上げませんけれども、真実を伝えるものでなければならない、法令に違反するものであってはならない、公序良俗に反するものであってはならない、その他五項目ほどございますけれども、そういう趣旨で、広告の内容につきまして、私どもの公社という立場からいたしますと特定の業種について広告を載せないという立場にはなりませんのでございますけれども、内容につきましては、いま申しましたような考え方で掲載基準を決めまして設定をしているわけでございます。  サラ金関係の広告につきまして御批判があるわけでございますと思いますが、それにつきましても、今後ともこの掲載基準の運用につきまして配意をいたしまして、業者の方の誤解をされることのないような努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  193. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これ、電電公社がはっきりしないんだったらまた逓信委員会でも聞くけれども、いまごろやめませんなんて言ったら世論から袋だたきにされますよ。あなたのところの広告基準にこう書いてありますよ。電話帳広告の品位と社会的信用を維持するために広告内容の適正化を図っております。「広告は、公の秩序または善良の風俗に反するものであってはならない。」と、「電話帳の品位をそこなうものであってはならない」ということなんだから、これはもうローンの広告みたいなものはやめなさい。広告料に大して影響ないです。  それからもう一つは国鉄さん、同じなんです。これは私調べてみたけれども、サラ金の広告というのはおたくの広告収入のうちのわずかの一・五%。これ大阪環状線皆調べてきたんですわ。そしたら十七の駅のうちに九つの駅ではでかでかと広告出てますよ。灰皿とか――これ写真も撮ってきてある。後で見せてあげますわ。灰皿、それから安全取得器――線路へ落ちたやつを取る器械、それを入れてある箱、これにべたっと出ておる。それから広告用看板。こんなものあなた、大阪駅、環状線の駅とか、鶴橋とか、これは見たらぞっとするような広告ですよ。  少なくともやめようと思ったらやめられるんだから、重大な社会問題になっておるやさきだから、やれることは直ちにやるという姿勢をとるのかとらないのかということはきわめて重大なんですよ。その辺をどういうふうに、国鉄さんにしても、電電公社にしてもどういう態度をおとりになるかということがいまきわめて国民から問われているところなんです。大阪市の地下鉄がやめるということを言うた。やめた。大阪市民のアンケートは七割以上があたりまえだと、賛成だと言っているんです。それがいま国民の世論です。その立場でどうですか。
  194. 大西克巳

    説明員(大西克巳君) 国鉄でございますが、先生のただいま御指摘の大阪地区でございますが、大阪としましては、大阪市交通局、その他私鉄とも話し合いをいたしまして、実は五十三年度契約済みのもののみ現在扱っておりますが、来年度から取りやめるということで、地域ともども協議して取りやめることで決定いたしております。  国鉄といたしましてはそういうように地方の事情もございますし、鉄道広告のみの規制では、サラ金という被害の問題は大変なことでございますが、全国一律に全面的な中止というようなことまでは現在考えておりませんが、非常に憂慮すべき問題だと受けとめて、現在地域によって、先ほど申したところ並びに名古屋、門司局等、漸次規制をしていく姿勢で現在おります。
  195. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 頼りないな。あっさりやめたらどうですか、こんなもの。大して収入に影響せぬ。時間がありませんが、えらいすみません、あと一言です。これは電電公社もはっきりしてもらわぬと困りますよ。  それから最後に私会計検査院にお聞きをしておきたいと思いますのは、昭和四十九年度の決算審議の中でたびたび私御指摘申し上げました、同和対策事業における国庫補助金についての質問を申し上げて、これについての調査を約束をされておりますが、その結果の報告だけを簡単にお伺いしておきたいと思うんです。それで最後です。
  196. 岡峯佐一郎

    説明員岡峯佐一郎君) 私、厚生省の検査を担当いたしております第四局長でございます。まず、私がお答えいたしまして、引き続き第五局長からもお答え申し上げます。  先先十分御承知のように、厚生省の検査は非常に多面にわたっております。先生お尋ねの大阪市につきましても、大阪府下の検査の際に、一連の検査の中で検査を実施いたしました。  大阪市の同和事業につきましては、本年五月の二十四日と二十五日の両日、調査官三名を派遣いたしまして検査を実施いたしまして、その際、先般来お尋ねのことを頭に置きまして検査を進めてまいりました。その結果につきまして御報告申し上げますが、まだ検討を要する点もございますけれども、率直にお答え申し上げたいと存じます。  私に対する御質問の一つは、同和対策特別保育事業費補助金についてでございます。具体的には大阪市立保育所におきます服装整備費の使途の問題でございます。大阪市では、この補助事業を執行するに当たりまして、同和地区保育所児童に対する服装品及び保育用品購入費助成金支給要綱というのを制定いたしておりまして、これによって実施をいたしております。  すなわち申し上げますと、大阪市内に十二地区の協議会がございますが、そこでまず購入報告書を出します。それを促進協議会でまとめまして、促進協議会が市に対して精算報告書を出します。これに基づきまして大阪市は助成金を交付しているわけでございますが、その内容を見ますと、要綱の内容でございますが、購入報告書にも精算報告書にも、単に人数、単価、合計金額があるだけでございまして、問題の、購入の事実を明らかにする領収証でありますとか請求書といったものは添付されておりません。したがって、現段階におきましては、先生指摘のような事態も一部ではございますが心証として得ております。今後はまず何よりも市の要綱におきましてこの点を改めてほしいということをお願いしたところ、市におきましてもそのように改めたいという答弁に接しております。  私に対しますもう一点でございますが、それは社会福祉施設整備費補助金でございます。具体的には浪速第六保育所の設置の問題でございます。  この浪速第六保育所は、定員百三十名でございまして、五十二年十月に契約され、五十三年八月に完成の上、この九月から開設の予定ということで、五月の検査の段階では建設中でございました。浪速区栄小学校区内の同和保育所の収容定員について見てみますと、五十一年七月に閉所になりました第一保育所を含めた定員は五百五十名でございまして、これに対します五十二年四月現在の措置数は三百六十三名でございまして、先生指摘のような事態でございます。  そこで、いま申し上げましたように、五十一年七月から第一保育所の百八十名が閉所しておりますこと、それから、定員四十名でございますが、乳児保育所が、国道四十三号線の関係から来年の三月に廃止になります。そういったことを考慮をいたしましても、先生御懸念のようになお六十七名の空き定員があるわけでございます。この空き定員につきまして、浪速地区保育所の整備状況等から調査をいたしましたところ、就学前児童に対します保育所定員、すなわち整備状況は、浪速地区は二九%でございまして、大阪市全体の同和の関係の比率四〇%に比べますと若干おくれている気がいたします。それから、第六保育所の隣に現在百六十六戸の住宅がすでに完成しております。で、そのほかにさらに百五十戸の建設が予定されておりまして、その用地も確保されております。また、先ほど申し上げました乳児保育所に隣接します浪速第三保育所を見ますと、これは定員百三十者でございますが、高速道路の近くにございまして、これにつきましては騒音等の問題がございまして、環境が悪化しておりますと、こういった事情を伺ってきたわけでございます。  したがいまして、私どもといたしまして、いま直ちにこの第六保育所の地点につきまして早急にはっきりとした結論を出すことは非常にむずかしいのでございますが、大阪府に対する検査といたしましては毎年実施しておりますので、先生指摘の点を十分踏まえながら、今後とも引き続き入所状況等をトレースをしてまいりたい、このように考えている次第でございます。  簡単でございますが、私の所掌について御報告申し上げました。
  197. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 私は、中小企業振興事業団と大阪府が融資いたしました浪速地区の小売商業店舗共同利用事業について御報告申し上げます。  本件難業につきましては、五十三年七月十日から十五日まで、私どもの調査官三名が、中小企業振興事業団の大阪府下の貸し付け分について検査を実施いたしましたが、その一環として本件事業についても調査いたしました。  本件につきましては、先生先般御指摘のとおり、本年六月オープンの予定でございましたが、三十名の入居予定者のうち二十四名が辞退をいたしまして、現在入居者が確定しないまま遊休しているという状態でございました。これにつきまして、私ども検査に参りました者が遊休の事態を指摘し、貸し付けの目的を達してないということを注意いたしましたところ、大阪府といたしましては、本件につきまして事前の審査が十分でなかったということを反省しておりますし、今後本件事業の目的を達成するように努力したい、このように申しておりますので、いましばらく私どもはその推移を見守りたい、このように存じております。
  198. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は問題の余りにも多発している沖繩を舞台に、幾つかの問題をお尋ねいたしたいと思います。  まず第一に、沖繩の交通変更の後遺症を中心にして、いまいかなる問題が起こっておるか、その原因が何であるか、そして責任ある国はどういう対策を講じようとしておられるか、このことについて具体的にお聞きしたいんですが、残念なことに持ち時間がわずかでありますので、きょうの質問は、その点から二つにしぼって具体的に問題を提示したいと思います。  まず、いろんな現象が起こっておるわけなんですが、一番いま県民を挙げてこれでは大変だと騒いでおるのが交通渋滞であります。この交通渋滞も起こるべくして起こったという、こういう結論を私は持っております。なぜかといいますと、たとえば最近変更しましたスウェーデン、そして首都のストックホルムを中心に、どういう対策がなされたかということを一、二例を申し上げればもう明確でございます。  まず第一点は、六七年の九月三日午前六時に向こうは切りかえておりますが、高速道路の一部使用を六車線全開使用にこの午前六時を期して展開したということですね。第二が、幹線道路に新しい橋で連絡しておる。第三に、新しい多面交差点を設けておる。第四に、新しい地下鉄延長線を設置しておる。そして、その午前六時を期して都電を全面ストップしておる、廃止しておる。このように緻密な具体的な計画が三カ月前までに事前にちゃんと手が打たれておる。そして結果的に総括しますと、全体の交通循環パターンのスペースが一層よくとれるようになったと、こう総括されておるのであります。  ところが沖繩は、大混乱、混迷その極に達しておるというのが現状であります。一国の切りかえでさえもそのようにスムーズにいっている。考えようによっては、沖繩県一県である、しかも本土から切り離された離島一県であるから、国の施政によっては私はスムーズにいくべきであったとこう思うんですが、それはともかくといたしまして、そこで私もこの前帰りましてもう唖然としたんですが、私、中部の沖繩市に住んでおりますが、那覇空港からふだん三十分ないし四十分なのが何と二時間以上かかりました、唖然としたのは。そこでその交通渋滞の根が、那覇空港から五十八母線を通って、そして牧港、牧港川がありますが、その間の渋滞がもう大変であります。そこをどう緩和するかということが問題であります。  そこで、私、具体的に提示します。これが五十八号線です。これが安謝川であります。ここは一応市内は別としてとっておきまして、まず具体的に提示します。この安謝川に橋をかけて、そしてこの五十八号線と並んで海岸寄りにこの路線をこの港川まで抜ける、こうすることによって、私ははっきり交通が緩和されると、こう見ております。ところが、この途中は基地内でありますので、そこで建設省に対しては、第六次計画の中に位置づけてこの問題を取り上げてもらいたい。そして開発庁が窓口として、また施設庁がその基地の庁として、基地のこれは開放にも関係します。そういう土地だから、ひとつ全力を挙げてこの路線を実現してもらわない限り、この後遺症の最たるものの交通渋滞は解決できないと、こう思っておりますが、いかがでしょうか。ぜひひとつこれを取り上げてもらいたい。要望と同時に政府の御見解を承りたいと思います。
  199. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 建設省といたしましては、先生指摘の例の安謝交差点が非常に込んでおりますことに関しまして、ただいまお話のございました海洋側に別ルートの道路をつくりたいという話が現地から出ておることを十分承知いたしております。ただ、ただいま先生指摘のように、基地の中の道路を使うという問題もあるようでございますし、また、この安謝川の周辺につきましてはいわゆる高潮の防除のための堤防等もあるわけでございまして、この川の改修計画との整合性といった技術的な問題等も考えなければいけませんので、開発庁と協議をいたしまして、そういった問題を詰めるべく、いま一生懸命やっていただいておるということでございます。
  200. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはどんなことがあってもひとつ前向きに取り上げて解決を急いでいただきたい。これはもう実現できるものと私受けとめて、次に移ります。  次に、スクールゾーンの標識設置、特に交通弱者の立場、子供たちを守るという立場から、スクールゾーンの標識設置を一刻も早くこれまでの話し合いに基づいてやっていただきたい。  といいますのは、聞くところによりますと、このスクールゾーンにおける標識は、総理府と開発庁の責任においてこれを実現すると、こういう話し合いであったと思うんです。ところが、諸条件の整わないままにいわゆる見切り発車をしたわけですね。混乱、混迷は当然だと思っています。たとえば那覇市に一例をとりますと、全部で五十四カ所の、右から左に変わることによって道路交差点を改修しなければいけない。その五十四のうち二十二が完了で、三十二が残っておる。三十二のうちで二十四が目下工事中、八つは地主の交渉がもたもたしておる、これにはまた理由があります。これはもう触れません。とにかく土地が求められない。そこで、毎日グラフにも、未完成のまま押し切られている状態であると報じられております。土のうをこうして道に積んでおる。もうこれを見ただけでもいかにお粗末に未完成のまま押し切ったかということがはっきりしておるわけです。  しかも、その中でスクールゾーンの施設というのは、総理府や開発庁では注意喚起標識で間に合わせてくれと言っておるそうですが、これはもうとんでもない沖繩をばかにした話であります。なぜかというと、このスクールゾーン標識は、学校安全会の法に基づいて、国の指示に従って地方末端の自治体がこのように実現しておるわけです。ところが、交通切りかえに伴う二つの確認条項があったはずであります。交通変更に伴う費用の一切は国が責任を持つと、それから、七・三〇の事後に起こるいろんな問題に対してはケース・バイ・ケースで処理していくと、この二つの前提があったことは御承知だと思います。  しかも、この問題に触れて私は憤りを感じてならないのは、このように覚書も取り交わされているんですよ、覚書も。沖繩県の副知事の野島武盛氏と内閣総理大臣官房交通安全対策室長の三島孟氏との覚書も取り交わされている。その覚書の中に、「スクールゾーン内の標識等の整備について」、このようにやっておることがほごにされる。いわゆるその場限りで何とかごまかして踏み切って、そうして後はまあまあこれで済ませておけと、こういう言い分をいましておるわけでありますので、この問題を約束どおり解決してくれないならば、断じて私は承服できません。そうして、協議会を初め、県民が約束を守らすように私に激励をしておるわけです。  このスクールゾーンの標識、これがいままでのスクールゾーン標識であります。これが一般の、しかもこれはただ単なる立て札であります、単なる。責任者もない。これにはちゃんと市町村名の責任の主体がはっきりされておる。しかも、数で一千百本、金額で約二千二百万円、これだけのことを無理に押し切っておいて、まあまあこれでごまかして間に合わせてくれと言えた義理はないはずであります。このことについて明確な御答弁を願いたいと思います。
  201. 三島孟

    説明員(三島孟君) スクールゾーンの標識の問題につきましては、前に先生からの御質問がございまして、私、スクールゾーンの標識の移設につきましては正式には予算措置は講じられておりませんわけですけれども、やっぱり交通安全対策上、実質的に支障がないように関係省庁と御相談して措置申し上げるというふうに御答弁したわけでございます。  いま先生指摘のとおり、この標識につきましては、警察の方におきまして、ただいま御写真お示しになられましたけれども、通学路を明示する標識を必要な数、学校周辺に設置いたしまして、それで事実上の措置を講じていただいたわけでございます。実はスクールゾーンの標識といいますのは、標識令に基づく標識ではございません。要するに、学校が近いから運転者に注意しなさいということを示す、言うなれば注意喚起のための一つの印といいますか、そういう筋合いのものでございます。ですから、国でこういうふうにおつくりなさいよという設置基準を示しているわけでも何でもございません。そこで、今度警察の方でつくっていただいた標識といいますのは、これは標識令による通学路の標識でございます。運転者に学校や幼稚園や保育所が近いから注意しなさいという標識がございまして、その中のデザインとそれから通学路という文字をそのまま表示いたしました標識でございます。これを、数から言いますと、現在スクールゾーンの標識が千百本余り立ってございますけれども、それと同じ数、千百九十一本を学校周辺に設置して、事実上交通安全上支障がないように措置していただいておるわけでございます。
  202. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは何と弁解されようが、七・三〇以前にはちゃんと市町村の苦しい財源をあれして交通弱者の子供たちのためにこのように――このとおりにちゃんとやってくれというのが市町村、自治体を初め学校の切なる要望であります。これにはぜひこたえてもらわなければいかぬ。それをこれで間に合わしていくということは、これ承服なりません。私も承服しませんが、沖繩の教育界あるいは市町村もぜひこれに――それを御検討願いたい。いかがですか。
  203. 三島孟

    説明員(三島孟君) この標識の問題につきましては、関係省庁と十分に検討したわけでございますけれども、ただいま御答弁申し上げましたように、警察の方におきまして、こういう標識を立ててくれたわけでございます。私どもこの標識は、これまでのスクールゾーンの標識がいままでの場所に立っておるわけでございます。大体それに見合う反対側に、必ずしも全部が全部対応した場所ではございませんが、必要な場所に、警察の方で判断した必要な場所に今度の標識を立てておるわけでございますから、今度の標識とこれまでの標識とあわせまして考えますと、スクールゾーンであることをはっきり示すためには支障がないんじゃないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  204. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはひとつ再検討願いたい、強く申し入れておきます。ああそうですかといって私、これを下げるわけにはいきません。何でこのような――何億の金がかかるんだったら、これ予算の関係上、たとえ予算が何億かかろうが、この切りかえは国の押しつけによってかえたのでありまして、県民自体の要望であるわけではありません。それをこれぐらいの金額をああだこうだと渋るということ自体がまんなりません。ひとつ再検討願いたい。よろしいですね、申し入れておきます。  それじゃ、時間のようですから、あと一括して申し上げたいと思いますので、それぞれに対して回答願いたいと思います。  次に、交通切りかえに伴う特別事情に関連して、六十億の金を政府から出してもらうことになっております。ところが、その使途について政府側と県側とに受けとめ方の相違があるわけです。裏金として使えるのか使えぬのか、その真相がはっきりいたしませんのでそれをはっきりさしていただきたい、これは大臣です。  次に尖閣列島の調査について、これは大蔵大臣にもまとめて後で報告していただきますが、その前に関係者の方から述べていただきたいんですが、尖閣列島が日本の領土であるということはこれは一貫したわれわれの主張であるわけです。そしてその尖閣列島が沖繩の八重山、石垣市に籍があるということも御存じのところだと思います。ところが、日中平和友好条約調印の機会に、園田外務大臣、鄧小平副主席の間で、園田大臣から、尖閣列島は現に日本が実効支配をしている、こういうのに対して、鄧副主席は、二度とあのような事件は起こさない、ということは、例の中国漁船団が領海侵犯をした騒ぎ、二度とああいうことをしないということの受けとめであの問題は解決した、こういうことだと思いますが、しかし、何かしらまだ不安で、はっきり、すっきりしない面があるわけなんです。ところで、聞くところによりますと、その実効支配の条件裏づけとして、尖閣列島の地形、地質あるいは周辺海域の海流等の総合調査をするために五十四年度予算計上をする、こういうことを聞いておりますので、そういう計画がなされておるか、またこれは当然なさるべきだと思うわけなんですが、大蔵大臣としてこの問題をぜひひとつ前向きで受けとめて、この実効支配の実績を一日も早くつくっていただきたい。要望と、またその計画の有無をお聞かせ願いたいと思います。  次に、琉球大学の創設費、詳しいことについてはあした文部省への質問がありますので、そこで詰めていきたいと思いますが、創設準備費も五十二年度、五十三年度でついております。五十四年度では当然創設費をつけて、そうして計画としては、五十四年の秋に開学をして五十六年に学生の受け入れをするというこのスケジュールも聞いておりますが、それが順調に運びますように、そのためには五十四年度に予算が計上されなければいけない、上がってくると思いますので、計上されてくると思いますので、ひとつ大蔵大臣、すいすいと通していただきたいと思います。このことを申し入れておきます。  次に、最後に、放棄請求権、これは沖繩の戦後処理、復帰処理の大きな問題の一つでありますが、この放棄請求権につきましても、今日まで十三回にわたって要請がなされております。過去にさかのぼれば四十七年ですか――四十八年の八月十六日だったと思いますが、もう六年になるわけなんです。六年一日のごとくに十三回にわたって要請しております。その件数が十一万八千六百三十七件、金額にして一千七億二千一百二十九万三千二百四十二円、こういう金額でございますが、これも去年実はその一部、漁業補償が十億計上されまして、ことしは当然陸上補償の分が計上される、こう期待いたしておりますので、この点関係省庁、計上のことについてはどうなっておるか。また計上されましたらこれも具体的に、幸いに連絡会議も結成され、前向きで検討されつつあることも知っておりますので、必ずこの問題は取り上げていただいて、そうして大蔵省でぜひ実らしていただきたい。  以上申し上げまして、大臣初め、関係方の回答、そうして大臣の所見を伺いまして私の質問を終わります
  205. 三島孟

    説明員(三島孟君) まず、沖繩の交通方法変更に伴う特別事業の問題についてお答え申し上げます。  沖繩県からの御要請のございました特別事業につきましては、沖繩県の要請の趣旨を踏まえまして、これを実現させるに必要な金額を総理府から一括して予算要求することとしたわけでございます。この事業の内容につきましては、沖繩県において記念事業として、その趣旨にふさわしいものを計画実施していただくことにしたわけでございまして、そしてこの事柄の性質上、当然に金額は裏負担には使えないと、裏負担には使ってもらってはいけないということを総理府としては当初から県にはっきり御連絡申し上げておるところでございます。
  206. 禿河徹映

    説明員禿河徹映君) 私の方に三点の御質問がございましたので、それぞれ順を追ってお答えいたしたいと思います。  第一の尖閣列島の総合調査費の件でございますけれども、これは私どもきのう新聞で実は拝見をいたしたところでございますが、まだ沖繩開発庁の方から具体的な要求として伺っておりません。要求のいわば締め切りが本日でございますので、あるいはもう出ておるかもしれませんが、まだ具体的にお話を聞いておりませんが、その要求の中に入っておるということでございますならば、私ども五十四年度予算の編成の過程におきまして十分検討いたしたいとかように考えております。  それから、第二の琉球大学の医学部の創設の問題でございますが、私どもといたしましては、従来から医大の置かれていない県、いわゆる無医大県の解消計画の一環ということで検討をしておるわけでございまして、五十二年度には琉球大学に医学部の創設準備室というものも設けられておりまして、医学部の基本構想の作成に着手いたしているわけでございます。そういうことで創設の準備は進められておるところでございますが、これも五十四年度予算でこの問題をどういうふうに取り扱うかということにつきましては、文部省の方とも、その要求を受けまして、これまた十分予算編成の過程におきまして検討をさせていただきたい、かように考えております。  それから第三の、いわゆる対米放棄請求権の取り扱いの件でございますが、これにつきましては、昭和四十六年に閣議決定を見ております沖繩復帰対策要綱、そこにおきまして、実情を調査の上田において適切な措置を講ずると、こういう基本方針が定められております。先ほどお話がございましたとおり、漁業関係の事案につきましては、被害の額とかいうふうなことが明確になりましたので、五十三年度におきまして特別交付金を計上するという措置をとったところでございますが、そういう漁業関係以外のいわゆる陸上分につきましては、先ほどもお話がございましたが、十三項目にわたりまして、その件数も十一万八千件を超えるという非常に多くの件数を抱えております。その内容も大変複雑でございまして、これから解明すべき点も多々あると思われますので、私どもといたしましてはこの調査を進めていくということでいま取り組んでおるような次第でございますし、この関連におきまして、ことしの五月には関係省庁によります連絡会議も設けられて、これまで四回の打ち合わせをやっておる、こういう状況でございます。  こういうことによりまして、どういうふうに処理するかの方針等、総合的な検討を進めておるような状況でございますので、私ども大蔵省といたしましては、これらの調査あるいは連絡会議の検討結果に基づきまして、具体的な要求という形で出てまいりました段階におきまして、十分協議をいたしまして適切な措置を講じたいと、かように考えている次第でございます。
  207. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま四項目、喜屋武委員から御要望がありまして、それぞれ担当者の方からお答えした実情にあるわけでございます。したがいまして、私といたしましてもそれらの問題を十分踏まえまして、来年度予算編成の過程において十分検討してまいりたいと、かように思っているところでございます。
  208. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は明九月一日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会      ―――――・―――――