○沓脱タケ子君 これはこの通達は、顧問先あっせんはやめないけれども、国民からあるいは納税者から疑惑を招くようなことのないようにという注意、したがって顧問先あっせんはやめるという立場じゃない。ですから、大阪の国税局では、新しく着任をされました篠田
局長は、これは顧問あっせんはやめませんということを言明をされているわけですね。いま
局長がおっしゃられたように、辞退をされたという自粛例というものが出てきたというのは非常に私は大切なことだと思う。
この問題についての国民の反響というのは、実は私が予想をしていたよりも非常に広範でございます。これは新聞の報道あるいは私ども質問もいたしました経過、そういった
時点から実は私のところに対してもずいぶんたくさんの反響があった。実は驚いている。私のおります大阪では、これは集団的にいろいろな怒りの声や行為が起こっております。その一つは、青年税理士連盟という団体でございますが、四百人近くの方々が決起集会を開いて、そういうけしからぬやり方というのはやめろということで、国税局へ抗議のデモをやっておられるという問題。あるいは納税団体である民主商工会の皆さん方を中心にして、大阪では約八百人の方々が、大阪府下三十の税務署に対して、要求を掲げると同時に、幹部職員がそんな勝手なことをやっては困るということでの抗議の行動なども起こっているわけでございます。
同時にまた、
個々的ないわゆる内部告発的な問題というのがこれはもう無数にございます。ちょっと驚いたんですが、脱税の摘発と引きかえに顧問税理士の押しつけがやられているんだという点の本当に数々の告発がございました。その中では、これは
中小企業だけではなしに、大
企業に対してもずいぶんたくさん何階建てかのOBの顧問税理士が天下っておる。東京電力では十七人のOBの税理士がおる。そこでは税務対策室といって、いわゆる顧問税理士ばっかりの部屋までつくってある。近鉄では十数人OBがおって、しかも、これは本社並びに外郭団体、そういうところにも配置されている。ジャパンラインでも七、八人、ここでもこの
人たちのための税務室が備えられている、こういう調子でございます。
こういう点から言いますと、いろいろと私どものところに寄せられた情報からいたしますと、
先ほどからの
国税庁長官のその後の対処の
あり方との間には非常に大きな隔たりがあるんではないかというふうに思うんです。本当に長官は事態の
実態を把握された上で対処されているんであろうか、この点について深い疑問を感じているわけです。そのことの一端を、私が調査をした範囲でいろいろと申し上げますと主観が入りますから、私どもの方に寄せられております多くの内部告発的な文書によって
実態をひとつ御紹介を申し上げたい。
幾つかあるんですが、代表的なものをちょっと二つ持ってまいりました。これは私あてに来ているんですね。ちょっと読みますが、
私は二十年余り勤続する部内の職員であります。
これは新しい大阪国税
局長に対する建議をされたという内容なんですよ。ですから問題点を
指摘されて、このままでは世論の批判にたえられないから、せめてこうしたらどうだろうかという積極的な建議が書かれておるんですね。
御着任用々OBの顧問税理士問題でさぞ当惑されておられると存じます。局幹部よりの
報告は通り一辺で、それでは真実の
状態はわからないだろうということは既にお気付のことと思います。そこで全く粉飾のない現状を明らさまに申し上げ、よく知って戴いた上で内外共に納得のできるような対策をおすすめしようと思います。
これは全部読んだら時間がかかりますので飛ばしますが、
特別試験制度発足以来退職者による税理士の供給が増え続け、現在では概ね年所得が五百万円を超える程度の
企業には殆んど税理士が行き渡り、尚二階、三階建(新聞報道のように近畿相互
銀行では実に七階建)と、OBが溢れて居ます。そこへまだ年々局の公けのあっせん分百件以上、現職者の任意のあっせんも入れ千数百件以上を上乗せしていく訳です。二年契約の
云々と、こういうことで、
このように納税
企業の負担は近年大幅に増えて来ていることは否定できません。世間の風は想像以上につめたいとはOB達がしばしば漏らしている。供給既に過剰の
状況で顧問予約をとるとすれば、申す迄もなく圧力による押し付け、課税の減額の
方法を用いる他はありません。きれい事であっせんする等ということは最早夢物語りであるということは職員の常識となっています。現実にどういうふうにあっせんが行われているかを記しましょう。会社との交渉は、調査部では部門統括官主査が、署では副署長、統括官上席が主としてやって居ます。
やり方ですね。
先ず例年二月頃になりますと会社毎の顧問リストを元にして候補会社を選定し、未処理の事業年度のあるものは以後五月末位迄の間に
かなりの調査期間を見込んだ実地調査計画を盛り込みます。そして増差所得から相手方の反応次第で概ね一千万円内外から数百万円の減額をするのが普通です。又調査時期に至らない会社には幹部が訪れ、自後一年ないし二年の間調査を省略するとか、優良、準優良への格上げ等の取引条件を切り出す訳です。
きわめて具体的です。
それからさらに、そういうことがずっと、もっとひどいことの表現がありますが、具体的なところだけにします。
局長は、あっせんを止めることは職員の士気に影響するとも言われましたが、大部分の未だ長い将来のある我々職員にはこんな腐敗堕落しあっせんを続けることはやり切れない思いなのです。報道された内幕がすべて真実であることは、部内から憤激の声のかけらも出ず、只沈黙だけであった事実からしても推察願えると思います。今後もあっせんを続けるということは、とりも直さず圧力による押し付け、課税面での取引等の不正を続けるということに他ならないと職員も納税者も理解することでしょう。
ここまで書いております。内部の方ですよ。
一般の停年退職者がその後別の
企業に勤務し得られる程度の収入は、開業後自分の力で容易に得られる筈であります。多額の収入を濡れ手に粟で手に入れ優雅な顧問とならなければならない訳は何もない。そのような甘えは最早終止符を打つ時が来たと思うべきでしょう。今にして謙虚な反省をもって大改革に着手するのでなければ、我が国税庁は官庁としての評価さえも失い、私欲にむしばまれた只の権力集団との認識を植え付けることになりましょう。
したがって、具体的にこういうふうにせめてやったらどうだという具体策が書かれています。
もう一つは、これは非常に簡単ですが、これは議会での御質問を新聞で拝見して、何ら派閥に属さない下積みの者は涙が流れましたと、この人は調査部に長年勤務をしていた人だそうでございます。
六月ごろになると毎年いやでも耳にするのが顧問先のあっせんの話です。顧問先のあっせんと共に
申告是認、調査省略の交換条件が成立して数百万円の税金を脱税していても帳消しになります。大
企業でも、調査をしても、天下り税理士と統括官の談合で調査した税金も三分の一にされてしまうのです。
まあ以上の調子です。
そこで、私は、全く税務職員の皆さんは、幹部職員は別として、こういうふうな問題を具体的に提起をしておられる税務職員の皆さんはきわめて健全だと思うんですよ。しかし、
指摘をされているような、あるいは私どもに内部告発がずいぶんなされておりますが、大変重要だと思うので実は調査を開始しました。しかし、これらの調査を私どもがやるについてはきわめて困難を感じました。というのは、私の方も脱税を摘発された、しかし確かにいろいろやられたけれども、ある時期に顧問税理士をという話になって採用した。その話はいっぱい聞きますよ。しかし、私の方の名前を出されたら後がこわいから堪忍してくださいとみんなおっしゃる。きわめて困難です、調査するのは。そのうちのごく少数例でございますけれども、申し上げてみたいと思います。その一例です。
これは本社が奈良県の大和高田市にある寺田ポンプという会社。これはその地域では大きい会社だそうですけれども、株式会社としては一億円未満の会社で、ですから所轄の税務署が調査をされるんですね。
昭和四十九年の一月に葛城税務署が任意調査に入って悪質な脱税を摘発した。そこで、本税の三〇%を加算する、いわゆる重加算税の決定を行った。ところが、そこの署長は西浦という署長さんだったんだそうですが、三月末か四月の初めごろに、七月に退職勧奨をされた。これは大変だということになったんでしょう、顧問先探しということになったんだと思いますが、この重加算税の決定をされた寺田ポンプが、その後過少
申告加算税に変更した。これはもう御承知のとおり、三〇%の重加算税が五%の過少
申告加算税ということに変更された。しかもおまけがついている。七月におやめになった西浦という署長さんが退職後寺田ポンプの顧問になっておられる、顧問税理士になっておられる。
それからもう一つ、こういう例があります。西部石油株式会社。これは
昭和五十一年の一月に任意調査に入った。その任意調査の項目は何かというと、その一つは為替差益の扱いをめぐっての追及であった。その為替差益というのは七億前後の金額だそうです。それから二番目は社長の個人的な買い物、私物を買うのに会社の金を使っているという事実があるという問題。三つ目は、社長が病院へ入院した費用を全部会社で支払いをしておるなどという、三ないし四項目のことで任意調査が長い期間をかけてやられておったわけです、一月から。ところが、四月ごろになってこれが長い調査がなされていたのにぷっつりと切れた、そうして顧問税理士を引き受けさせられた、こうなっているわけですね。こういう問題。
それからもう一つは、これは立件をしているから御承知だと思うのでちょっと
報告をしてもらいたいんですが、
昭和四十七年に脱税で立件をされた大倉建設というのがございますね。これはどんな経過になっているか、ちょっと御
報告をいただいた方が正確だと思いますのでお願いをしたいと思います。