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1978-07-06 第84回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年七月六日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  七月六日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     案納  勝君     茜ケ久保重光君     穐山  篤君      粕谷 照美君     和田 静夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺田 熊雄君     理 事                 斎藤 十朗君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 長谷川 信君                 野口 忠夫君                 田代富士男君     委 員                 石本  茂君                 岩上 二郎君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 藤川 一秋君                 降矢 敬義君                 穐山  篤君                 案納  勝君                 和田 静夫君                 黒柳  明君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 三治 重信君                 江田 五月君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  砂田 重民君        通 商産業大臣  河本 敏夫君        運 輸 大 臣  福永 健司君        労 働 大 臣  藤井 勝志君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    加藤 武徳君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        警察庁刑事局長  小林  朴君        法務省民事局参        事官       青山 正明君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省銀行局保        険部長      貝塚敬次郎君        国税庁長官    磯邊 律男君        文部省管理局長  三角 哲生君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        資源エネルギー        庁長官      天谷 直弘君        中小企業庁長官  左近友三郎君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        郵政省電波監理        局放送部長    松澤 経人君        労働省職業安定        局長       細野  正君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道理        事        田口 通夫君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十年度一般会計歳入歳出決算昭和五十  年度特別会計歳入歳出決算昭和五十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和五十年度政府  関係機関決算書(第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第八十回国会内閣提出) ○昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十回国会内閣提出)     —————————————
  2. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、粕谷照美君、赤桐操君及び茜ケ久保重光君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君、案納勝君及び穐山篤君が選任されました。     —————————————
  3. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 昭和五十年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第二回を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 和田静夫

    和田静夫君 初めに国税庁に伺いますが、杏林大学使途不明金につきまして、昨年秋の臨時国会で私は二度にわたって質問をして、国税庁税務調査を行い、その結果について報告をしていただくことになっていました。ところが、新聞がこれを先に報道をする。私には、私がきょうの質問予告をしたといけ時点で事後報告がある。通常国会会期末にもちょうど同じようなことが国税庁長官との間に私はありました。国税庁長官は私のところにお見えになって、今後こういうことのないようにしたいと約束をされたのでありますが、まさに表現は悪いけれども、舌の根の乾かないうちに約束がほごにされた。答弁に立たれれば、恐らく報道には私たちが漏らしたんではないと答弁をされるのでありましょうが、そうはならないのでありまして、国税庁では、国会での要求について一体だれが責任を持ってどういう処理をされる態度なのか、まず伺いたいのであります。
  5. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) 国会国政調査権の行使に対する行政当局者の受けとめ方、それから種々そういった御要請に対するその実行というのはすべて国税庁長官が最終的な責任を持ってやっておるつもりであります。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 もうきょうは全体として時間がありませんから深くは申しませんが、この杏林大学の件について修正申告が行われた。三件ありますが、いつですか。
  7. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) 松田博青さんでございますか、杏林学園の副理事長松田さんに関する修正申告は三月の十日に行われました。これは四十九年から五十一年分につきましての修正申告でございます。それから五十二年分につきましては四月の七日に修正申告が出されております。まずそれが第一件であります。それから杏林学園そのものにつきましては三月の十八日に修正申告が出されております。それから東京都民建設産業株式会社からは三月の二十日に修正申告が出されております。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 前段との絡みでありますが、守秘義務があるとしても、税務調査が一段落をしたならば、国会要求があった以上速やかに報告をすべきだと思います。今後はそのことを旨としてもらいたいと思います。  さて、杏林大学をめぐって、この理事長、副理事長など大学関係者杏林学園維持後援会及びこの理事長の息子さんの経営する都民建設産業、この三つの税務調査の結果について御報告を願います。
  9. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) 修正申告の出された案件でございますので、恐縮でございますけれども、概略の数字答弁でお許し願いたいと思いますが、副理事長にかかります増差所得金額約一億六千万円であります。それから杏林学園、これは約六十六万円でございます。それから東京都民建設産業、これは約二千五百四十万円であります。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁、いま、昨年の国会資料をお渡しして調査要求いたしましたので、結果について報告を願います。
  11. 小林朴

    説明員小林朴君) 杏林大学経理をめぐる疑惑ということで、昨年、地方行政委員会先生から御指摘がありました点につきまして、私どもの方で提供いただきました決算書等関係書類の検討及び同大学関係者等から説明を受けました結果、同大学入学者から杏会に対して行った寄付金の額と、この杏会受入額から学校法人に繰り入れました額等につきましては、昭和四十四年以降、単年度で見ますと、全額学校法人に繰り入れていないように見受けられますが、これは通年いたしまして決算書等を対比いたしますと、昨年までは全額学校経理に繰り入れられており、不明金は見受けられないものでございます。  また、杏林学園八王子学生寮敷地購入をめぐる不正容疑等の数件の疑惑につきましても、それぞれ関係者説明を求めるなど調査いたしましたが、現時点でにわかに経理上の問題となるものが認めかねる状況でございます。  以上でございます。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、国税庁調査した脱税の件では、背任、横領などの刑事責任の問題が生ずると考えますが、これは警察庁、どうお考えですか。
  13. 小林朴

    説明員小林朴君) 個々の問題につきまして、もちろんこれ決算書の具体的なケースを一つ一つ検討すればそういう問題があるいはあったかとも思われるんですけれども関係の細かい明細書類がないわけでございます。また、その杏会に入る以前にあるいはそういう問題があったかとも思われるんでありますけれども、その点につきましてはどうも証拠が認められないというような、非常に捜査上は困難な状況がございます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 文部省からはたびたび説明をお聞きをして資料をいただきました。それによると、不正なことはないということであったのでありますが、国税庁調査脱税の件との関係考えてみれば、結果はそうではなかった。で、杏林大学側文部省に虚偽の報告をしたのであろうと思うのですが、文部省はこれをどうお考えになりますか。
  15. 三角哲生

    説明員三角哲生君) ただいまの御質問の件でございますが、これまで文部省といたしましては、いわゆる入学寄付金についての調査を行ったわけでございます。で、その結果につきまして先生にも御報告申し上げた次第でございますが、寄付申込書に記載された金額についてはそのとおり受け入れが行われており、かつ帳簿処理が行われたというふうに理解しておるわけでございまして、今回報道された事柄につきましては、果たしてそれが学校法人会計に直接かかわりのある性格のものであるかどうかということが問題であると思いますが、その点につきましてはなお実情をフォローしてみたいというふうに考えている次第でございます。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 やみ入学金が集められて不正に使用されたということはもう歴然としています、今日は。したがって、入学金を支払った父兄は、このやみ入学金部分返還を私は請求できるのではないかと思うんです。文部省はこの問題についてどう指導されますか。
  17. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 報道されましたお金性格というものが、なお、私どもはっきり明確な把握に至っておりませんので、返還といったようなことにつきましては、現在の段階ではまだ判断いたしかねると思っております。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆるやみ入学金部分というものが、したがってもし判断ができたとすれば、その返還は可能ですか。
  19. 三角哲生

    説明員三角哲生君) このお金性格につきましては、お金を出した方と受け取った方との間の御関係でございますので、その辺がわかりませんことには私どもとしてもちょっと意見をまとめることができないだろうと思っております。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 少し統一的な見解を一遍まとめて後ほど返事くれますか。  この問題の最後に、文部省から提出していただいた資料について若干だけ聞きますが、この入学寄付金の額は、文部省への報告では年々増大をしておりました。そうですね。ところが、昭和四十九年度は十九億円、五十年度は十一億三千三百万円、五十一年度は十六億百万円と、こう少なくなっている。そこで、この減少は私はまあ学債によるものと考えますが、決算学債分を加えてみましても、五十年度は十二億三千百五十万円、五十一年度が十六億二千百万円にしかならないんですね。これは文部省どういうことでしょうかね。
  21. 三角哲生

    説明員三角哲生君) 寄付金収納状況年度別入学者と対応して調査をいたしてみた数字では、必ずしも年々減るとかそういう状態は見られないようでございますが、寄付金の総額としては、五十、五十一年度が、いま先生指摘のように、若干全体金額が少なくなっているのは事実でございます。その内容、理由といったものにつきましては、必ずしも私明確には把握しておらない次第でございます。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省杏林学園への提供国有地についての資料、これ質問通告きのうちょっと忘れましたが、したがってここで求めませんが、後ほど出していただけましょうか。大蔵大臣いいですか。
  23. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いまちょっとはっきりわからなかったんですが、杏林大学に対して国有地提供をしておるその状況と、こういうことですか。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 そうです。過去において提供された国有地資料ですね。
  25. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) できるだけ調査いたしまして提出いたします。
  26. 和田静夫

    和田静夫君 東京国税局調査第二部門深沢龍郎調査官の略歴、懲戒免職の事由を説明してください。
  27. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) ただいま御指摘のありました件は、東京国税局間税部調査第二部門国税調査官深沢龍郎にかかわる事件処分と承知いたしておりますが、本人に対しましては五十三年三月十三日付で懲戒免職の発令をしたわけであります。その処分理由といたしましては、まず第一点には、本人職務関連のある渋谷区所在の蓄音機用レコード製造業を営む会社のある役席の人から、五十二年の二月の十四日から十一月十九日までの間に、前後三回に分けて合計六万六千円余りの酒食供応を受けたということが第一点。また、五十一年八月の十四日にその会社某役席の人から返済期限及び支払い利息についての何らの約定のないまま現金百万円を借用して事件が発覚するまで返済してなかったということ、それが職務関連のある不正行為としての懲戒免職対象になったわけであります。  なお、そのほか職務関連があるとは思えませんけれども、同人の友人が経営する会社数社の簿外資金を捻出するために、この深沢が実質的に経営しておりますところの自分の会社相手先といたしまして、架空手数料等を捻出させまして、それによってこの深沢友人の経営する会社法人税を免れるための幇助をしたというその事実であります。  以上をもちまして、国家公務員法第九十九条の規定に照らして、同法第八十二条第一号及び第三号の規定に該当するものとしまして、国家公務員法第八十二条の規定によって懲戒処分として免職としたものであります。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 日本ビクターの小会社RVCから百万円を借りたということでありますが、この借用書には金利期限など返済条件は書かれていないようであります。そこで、金利返済期限などが書かれていない借用書では営利企業のものとしては通用をしない。その意味では贈収賄の疑いがあるのではないかと思うんですが、警察庁、この件で深沢RVC、両者をお調べになりましたか。
  29. 小林朴

    説明員小林朴君) 昨年末、国税調査官クラブに出入りしておって業者と飲食をしておるというような風評がございまして、それに基づきまして内偵捜査をいたしましたが、これは把握いたしました事実については具体的な権限が結びつきませんで、直ちに立件するというようなことには至らなかったわけでございます、まあ現在継続捜査中でございますが。  先ほど先生の方からお話がございました、無利子、無期限で金を借るということが、たとえば涜職罪対象になるかということにつきましては、当然これが職務に関する不法な報酬であるならば賄賂という形で対象になると思います。  以上でございます。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 利益隠しのためのペーパーカンパニーアイシー、これは現在兼益と社名を変更したようでありますが、これは脱税容疑はありませんか、国税庁
  31. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) この問題に関連しまして税法上の問題としてはね返りますのは、この深沢友人が経営しておる会社四つ会社、それがこの深沢が実質的に経営するペーパーカンパニー相手方として架空手数料等の計上をしておるわけでありますから、その四つ法人脱税の問題がまず第一にございます。  それから、このペーパーカンパニーそのもの脱税の問題もあるわけであります。東京国税局といたしましては、この事件が発覚いたしまして、直ちにその深沢友人の経営する四つ会社につきましての調査をいたしまして、現在これはまだ最終的に局長の決裁を受けておりませんけれども、かなりの額の増差額を決定いたしております。  それから、この深沢が実質的に経営していますアイシーに対しましては現在調査中であります。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 私の調査では、この深沢上司である国税統括官のSという人も、この深沢一緒高級クラブを飲み歩いている。その結果——まあ飲むことを非難をしようと思いませんが、深沢にこの上司が加担をして税務調査に手心が加えられたのではないかと思われるんです。国税庁、この点はお調べになりましたか。また、このSという人が供応を受けた点についてはどういうふうに判断をされたわけでしょうか。
  33. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) Sという人の人物、それははっきりわかりませんけれども、一応私たちとしてもその頭文字に該当する職員についての心当たりがございますので、これは深沢につきまして私ども監察いたしましたときに、本人についても十分その点は監察いたしました。現在、われわれの方の監察の結果ではそういった事実はないと認めましたけれども、ただ、深沢に対する監督責任というものは免れないというところで、これについては処分をいたしたわけでございます。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、私はこういうことはないと思うんですが、伝えられるところによりますと、警察庁内では、この事件がわかったと、ところが立件ができる見込みがあると思われるにもかかわらず、国税庁警察庁とが捜査で互いに協力をする関係にあるところから、内分に済ませようとしたのではないかというふうにうわさをされています。もし事実であるとすれば、この捜査権を持つ両庁に捜査不可侵領域をつくるようなことになってなれ合いになる。仮にもそういう事実があったならば、私は国民の側としては許しがたいことになろうと思うんです。私のところへ来ている訴えによれば、警視庁機動隊長Iという人が深沢などと一緒に同じ高級クラブで飲み、供応を受けている。このために警視庁では事件内分に済ませようとしたのではないかと、こう言われているんですが、そういうことはありましょうか。
  35. 小林朴

    説明員小林朴君) 犯罪捜査と、それから特定の、たとえばIといまおっしゃいましたが、そういう者がたとえば容疑者になる人と交際をしておるということとは分けて考えていきたいと思うわけでございます。昨日、私実はそういう話をお伺いいたしましたので、捜査をやっております警視庁にも念を押したわけでございますが、この事件につきましては現在捜査中であると、したがって、きちっとした結末をつけますということを言っておりますので、そういう個人的な、何といいますか、友達関係といいますか、つき合いの問題は犯罪捜査とはもう全然関係なく考えていただきたいというふうに思います。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 まあいずれにせよ、厳正に捜査が進み、処置されることを望んでおきますが、私はこの事件調査をしましたときに、どうも事件内分に済ませようとしたところに問題があるというふうに思うんです、国税庁。正すべきは正し、納税者に非をわびるのが民主的な税務行政のあり方であると考えます。税務職員不祥事件というのは、贈収賄事件摘発で表ざたになるのが通例のようでありまして、最近では五十年一月の大阪国税局、五十二年三月の東京国税局、それぞれ調査官摘発をされている。しかし、これらは全体から見れば氷山の一角であって、今回のように、国税庁独自の調査行政処分対象になった職員も実は多いんではないかと思われるんです。処分のうち最も厳しい懲戒処分について、各年度ごと処分者名処分理由を挙げた資料提出をしてもらいたいと思いますが、できましょうか。
  37. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) ただいま私の手元に、最近におきます処分件数、それからその処分理由ごとに分離しました件数というのはございますが、個人的に何の何がしという名前のものはないわけであります。
  38. 和田静夫

    和田静夫君 いや、もう後ほどでよろしいですが。
  39. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) 個人的な名前は、行政処分段階でございますので、もしできましたら刑事処分の者だけにしまして、行政処分の者は件数だけにさしていただきたいと思いますが。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 それは後ほどいただけますね。
  41. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) はい。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 こういう国税調査官として常軌を逸した行為を長年にわたって行っていることに、厳しい監視機関を持っているはずの国税庁がなぜ気づかなかったのか。いわゆる職員管理に欠陥があるのではなかろうか。こういう今回の処分深沢という一個人にとどまるとすれば、これはトカゲのしっぽ切りと同様、事件の処置として十分であるかどうか疑問だということを私は考えますが、この深沢の担当であった物品税について、税務署ごと物品税協力会という組織がつくられていますね。説明会と称して頻繁に酒食を伴う会合が行われます。調査官統括官などが供応を受けている、あるいは分担金を少し払っているのかもしれませんが、たとえば深沢の担当した地域で言えば東京都の城南支部。ここでは会費は四百円であるが、一回の説明会で一万円程度の費用がかかっている。それから毎年忘年会や新年会をやって、昨年十二月の忘年会は箱根で宴会をやっている。  そこで伺うんですが、物品税協力会というのは何のために一体つくられているのですか。また、なぜ頻繁に税務職員統括官税務署長までが説明会に出かけ、数分の説明を行って長い時間にわたるところの宴会が必要なのか、その辺をちょっと説明してください。
  43. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) この物品税協力会について御説明いたします前に、前段といたしまして、私たち税務行政の問題について一言触れさしていただきたいと思いますが、御承知のように、現在の税務の執行というのは膨大な納税者相手にしてやっておるわけでありますが、それに対します税務職員の数というものは、この十年間ほとんど横ばいで増加してないわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、税務行政の柱を二つに分けておりまして、一つ調査一つ指導というところで、この指導調査というものを車の両輪としてわれわれの税務行政をやっておるわけであります。  この指導の面につきまして私たちが非常に心強く思い、またそれが非常な効果を上げておりますのが、たとえば直接税におきますところの青色申告会であるとかあるいは法人会、それから納税に  つきましては納税貯蓄組合、これは法律に基づくものでありますけれどもございます。それから間接税につきましては、ただいま御質問物品税協力会という任意団体があるわけであります。私たちは、こういった各種のいわゆる納税協力団体というものが納税者の間から自主的に盛り上がってきて、それによってそれぞれの納税者の中で適正な自主申告をするようにお互いに戒め合い、また税務に対する正しい知識普及をやっていただくということは私たち税務行政にとっても非常に心強い存在であり、これをやはりいろいろな面において守り立て育てていこうという方針があるわけであります。  この物品税協力会と申しますと、これは物品税納税者構成員とする民間団体でありまして、物品税に関する研修会説明会開催等を通じまして、正しい税知識普及活動を行っておる団体であると私たちは承知しております。したがいまして、こういったそれぞれの団体のいろいろな説明会であるとか、そういうときには、署の幹部はそこに出席いたしましていろいろと説明をし、また意見の交換、それから税務の執行に関します苦情あるいは注文、そういったことを謙虚に承ってきて適正な税務の執行のための参考としておるわけでありますが、こういった会合が置かれましたら、その席上で、その後やはりその内部でそういった総会の終了後のパーティー等に参加するということはあるわけでありますが、それ以外に、そういった協力会の役員等から供応を受けたりあるいは飲食をともにするというふうなことは私は承知してないわけであります。また、そのパーティーの参加は儀礼的なものでございまして、そしてそれによって税務の公正がゆがめられるということは私たち考えてないわけでありますけれども、ただ、これが行き過ぎたりいたしますと、やはりどうしてもその間の、団体税務当局との間の関係につきまして批判を受けたりするようなことがなきにしもあらずでございますので、その点については十分戒めるように、私たち、これは単に物品税協力会だけではなく、すべての納税協力団体につきましてかねがね戒めておるところでございます。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 物品税協力会の会員数、会費、説明会の回数、そういうものはわかりますか。
  45. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) これはそれぞれの会によって区々でありますけれども、たとえば東京で申し上げたいと思います。物品税協力会というのは、これは東京都で申しますと昭和二十三、四年ごろから税務署単位で設立されてきたものでありますけれども、これらの単位協力会を母体といたしまして、昭和四十六年に東京物品税協力会連合会というのが結成されました。現在ではその傘下に五つの地区別連合会と、さらにまたその下に署別に組織された四十六の単位協力会があるわけであります。その会員数は約九千二百名というふうに聞いておるわけであります。  それから、これは個々の協力会によりまして財政状態が違いますし、それからまた会員の数も違いますので、統一的な会費ではありませんけれども、末端会員の納入する会費は一人当たり月額三百円ないし四百円というふうに聞いておるわけであります。  それから、東京都の物品税協力会の最近一年間における活動状況でありますけれども説明会研修会等の開催の回数、これが延べ百五十七回、それから会報等の発行が延べ百六十五回というふうに相なっておるわけであります。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 私のところにはどういう統括官がどういうふうに述べられた、あるいはどういう統括官が酒席で聞き出したことをもとにしてどういう査察を行った、いろいろな訴えがあります。不幸にして、私は国会終了後昨日までちょっと外国へ出ておったもんですからその裏づけがまだできておりませんが、ともあれ、幾つかの具体的訴えがあります。国税庁長官の御答弁ではありますが、説明に要する時間は大変短くてその後の時間が非常に長い。そしてそのあとの分担金は会費以外、いわゆる三百円、四百円以外の会費、分担金として課せられてくる。私はこういう業者間といいますか、納税者との癒着の問題が深沢のような調査官を生む結果の一つになったのではなかろうか。いやしくも調査対象の業者から酒食のもてなしを受けるなどという癒着というのは今後一切やめて綱紀粛正を徹底すべきであろう、そういうふうに考えますので、そういう意見のみをきょうは申し上げておきます。  東京都新宿区四谷に株式会社アイチという金融業者があります。この会社には幾つかの子会社がありますが、それらを巧みに操って、幾つかの事件が起きているようであります。最近、サラリーマン金融、これは後ほど私は利息制限法やあるいは出資法との関係で、法制局長官、大蔵大臣と法の論議をしたいと思っていますので、前段の項をちょっと急ぎますが、このサラリーマン金融など貸金業者の取り締まりが問題化している折でもありまして、株式会社アイチをめぐって社会的に放置できない点を幾つかこの機会に指摘をしておきたいと思うのです。  まず大蔵省、この会社への出資、融資者名、金額を言ってください。
  47. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) お答えいたします。  株式会社アイチは貸金業者と思われますが、貸金業者は営業を開始する際に、東京であれば東京都に届け出があるわけでございますけれども、貸金業開業の届け出の場合には、御指摘のようなアイチヘの出資、融資者名、あるいは融資金額等は届け出事項に入っていないわけでございます。したがいまして、東京都としてもこのような数字は把握していない、このように聞いております。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 まあお述べにならなくたって私の方はわかっていますからあれですが、金融機関のうちに、アイチに対して限度外融資及び地区外融資をしているものがある。これは明確にあるんですから、銀行局長、その金融機関名及び法的規制を超えている額は述べられますね。
  49. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 個別の数字でございますので、調査をして実態を検討してみたいと思います。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、その実態調査については私に後ほど提示をされるということになりますか。
  51. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 金融機関との個別の取引でございますので、信用秩序維持上、細かい数字を申し上げることはお許し願いたいと思いますが、そのような違反の事実があるかないか、そういうようなことについて概略は申し上げられると思います。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 これは違反事実は明確にありますから、その報告に基づいて、限度外融資なり地域外融資をしている金融機関に対してはどういう態度で臨まれますか。
  53. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 信用組合の場合には、これは直接の監督は都道府県で行っているわけでございまして、そのような事実があるような場合には、都道府県知事に対して、金融機関に対ししかるべき指導を行うように指示することになると思います。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 この株式会社アイチは昭和五十年六月に一億二千万円に増資をしておりますから、信用組合の融資対象外になっているのではありませんか。
  55. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 信用組合の融資対象は組合員でございまして、資本金は一億円以下ということになっています。ただしかし、一たん一億円未満のときに融資をした場合に、その後、相手会社が増資をいたしまして一億円を超えたという場合には、これは直ちに融資を引き上げることは実態面から見て非常に無理でございますので、ある程度の期間を置いて抑制するというような方向で指導することになっております。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 これはおたくでもわかっていることでありますから、禅問答みたいにいつまでも時間をかけてやりませんが、融資額が逆に増大している信用組合がある。おたくの調査はもう終わっているわけですから、したがって、ここでこれ以上報告しろとは言いませんけれども、こういうものについてはやっぱり厳正な指導を所要の機関を通じて早くやる、そういうことが必要だと思います。  一つだけ私は挙げますが、永代信用組合は株式会社アイチに、社長同士が親しいこともあって十数年来の関係がある。永代信用組合は株式会社アイチを育ててきたと言ってもよいように思われるのですが、組合員のお金を預かる公的性格のある金融機関が、これからも質問をしてまいりますが、暴力団関係者などがつながっていると言われるような、そういう法網をくぐってさまざまな事件を引き起こしている業者の資金融通を担当してきたということは、これは社会的に見て問題があります。金融政策の統括的責任者である大蔵省として、これはどういうふうに対処されますかね、大蔵大臣
  57. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 金融機関は免許企業でございますし、一般の預金者の預金を扱っておりまして非常に公共性の高いものでございますから、御指摘のように、社会的に見て問題のあるような、あるいは批判を受けているような、このような企業に対して放漫に貸し出しを行うということは好ましくないわけでございまして、そのような事実がありますれば、これに対しては、そういう融資について自粛するよう指導をするべきことになっております。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 この永代信用組合の、協同組合による金融事業に関する法律第四条の二の違反について、大蔵省はどう措置されますか。
  59. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 永代信用組合についてのその事実はこれから調査してみたいと思いますが、仮にそのような事実があるとすれば、これは東京都に対して、永代信用組合に対し是正方を指導するよう指示することになると思います。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 株式会社アイチの森下泰道社長は、私の調べでは実刑判決を受けたこともあるのでありますが、この人物の逮捕歴、その容疑内容について説明できましょうか。
  61. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 個々の取引でございますので、そのような事実は大蔵省では把握しておりません。
  62. 和田静夫

    和田静夫君 警察庁ですか、四十二年九月の暴力行為、逮捕監禁の容疑というのは具体的にはどういうことでしたか。
  63. 小林朴

    説明員小林朴君) 私ども初めて聞くことでございますので、ちょっと材料を持っておらないのでございますが、もしそういうことで逮捕歴等が何だということでございますれば、後ほどまた資料提出いたします。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 それでは少し、いまの四十二年九月の暴力行為、逮捕監禁の容疑、それから四十三年二月の詐欺、私文書偽造、四十四年十月の出資法違反、この辺について教えていただきたい。それから五十年二月の恐喝の内容。  国税庁、四十四年には脱税でここは摘発をされ、追徴金を課しましたね。この内容はいかがですか。
  65. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) この森下泰道氏につきましては、国税庁といたしましては、所得税法違反容疑で東京国税局の査察部で強制調査いたしました。その結果、脱税の容疑を固めまして、昭和四十五年八月に東京地方検察庁の方に告発いたしております。その東京地方検察庁では、四十六年の二月に所得税法違反ということで起訴になりまして、四十六年の十月に判決が下っております。その判決の内容は、所得税法違反で懲役十カ月及び罰金八百万円に処すということで二年間の執行の猶予がついております。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 そこで私の調査によりますと、このときの脱税調査のときの調査官木村幸二氏が、この株式会社アイチの顧問税理士をしている。ここのところに何か不明朗なものを感ずるのでありますが、アイチのその後の脱税調査といいますか、そういう調査に遺漏はこのことによって起こっていませんか。
  67. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) ちょっといま御質問がわかりませんでしたけれども調査——その後の調査でございますか。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 はい。
  69. 磯邊律男

    説明員磯邊律男君) その後、この株式会社アイチということになって、森下泰道氏がその代表に就任したわけでありますけれども、その後税務調査をやっております。それは、最近におきます税務調査状況を申し上げますと、これは年一決算、一年に一回の決算でありますが、昭和四十八年二月期にこれは実地調査をいたしております。四十九年二月期が省略、それから五十年二月期に実地調査ということで、五十一年二月期から五十三年の二月期まではまだ調査の周期が到来していないために未処理ということになっております。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 私の得た信憑性の高い情報によりますと、広域暴力団がアイチに融資をして月三分という高利を取っている。いわば同社は、そういう意味では暴力団の資金運用の隠れみのとなって資金づくりに手をかしていることになる。こういう暴力的体質を持ち、たびたび事件を起こしている業者に対して、中小零細の預金を集め運用している公共的性格を持つ金融機関が融資をし、助長をしている。特に法的規制を超えた限度外融資をしているところさえある。これは大手銀行。まあ富士や東海などは融資をやめたようでありますが、住友銀行金沢文庫支店などはまだ取引関係があると私は仄聞する。大蔵省、金融政策の担当官庁として、こういうような金融機関のあり方は改めるべき点があると思うんですがね、これはどうですか。
  71. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 先ほども申し上げましたとおり、金融機関としては社会的公共性の非常に高いものでございますから、暴力事犯あるいはその他の事犯によって、社会的に批判を受けているような企業の営業を助長するような行為は好ましくないわけでございます。したがいまして、そのように社会的な批判を受けているような企業に対する融資については、これは厳に自粛すべきものと、このように考えております。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 警視庁防犯部で、山口系の根来組、根来興業、会長根来啓煕という人ですが、これらの幹部によるいわゆる香港ルート覚せい剤密輸事件摘発されましたね。この事件の概要をいま御説明できましょうか。
  73. 小林朴

    説明員小林朴君) この問題も初めてお伺いいたします。ちょっといまここでお答えするわけにまいりませんので……。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 この根来興業、後ほどこれちょっと事件の概要を教えていただきたいと思うんですが、根来興業に対して、中小金融機関が六千六百万円に上る融資をしておりました。その中には春木信用金庫が一千八百万円、永和信用金庫が一千二百万円の融資をしております。麻薬が絡んでいるだけに事は重大でありますが、これは大蔵省調べになりましたか。
  75. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) いま伺いましたので、実態を調べてみます。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 これは大蔵省、警察の側がここを覚せい剤密輸事件として摘発をしたのは明確に報道をされているんですよね。大阪の新聞では報道をされている。そうすると、こういう融資関係というのは、あなた方の方で、信用金庫は信用組合じゃありませんからね、信用金庫ですからね、大蔵大臣。こういうものについてはもっとしっかりした調査指導というものがあってしかるべきじゃないですか。私は、融資そのものは担保の点で一体妥当性があったんだろうか、ここは。暴力団に融資するという点について、一体どういうふうに大蔵省考えているのか、いかがですか。
  77. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 先ほども申し上げましたとおり、公共性ある金融機関として、暴力団関連の企業であることを知りながら、あるいは麻薬を扱っている人であるということを知りながら融資するとすれば、これはまことに許しがたい行為でございまして、厳重にそのような行為は戒めたいと思っております。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 東京信用金庫は元利金とも回収の見込みの立たない不良債権六十億円余、そのほかに六カ月延滞のもの百八十三億円余を抱えていると言われますが、これは事実ですか。
  79. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) その点については調査をしてみたいと思います。
  80. 和田静夫

    和田静夫君 この東京信金の昭和五十二年度決算によりますと、経常利益二億二千八百万円、前年度に比して七二・八%減、経常収支率九八・五四%、利ざやマイナス〇・一四%ということですが、この内容を他の信用金庫に比べまして格段と悪いわけです。大蔵省は、東京信用金庫のこの経理内容についてどう判断し、どのように指導されていますか。
  81. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 個別の金融機関の経営内容につきましては、信用秩序にかかわることでございますので、その内容について意見を申し上げることはお許し願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、この信用金庫の経営の現状から見て、預金者その他の取引者に迷惑を及ぼすような状態では決してないわけでございまして、今後とも経営内容の一層の改善について指導してまいりたいと考えております。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 利ざやがマイナスだというのは金融機関として基本的に問題ではないだろうかと思います。都内の他の金庫を見回してもここだけですね。東京信用金庫、例年婆経常利益率の悪さを不動産売却益など臨時収益でカバーしてきたのだそうですが、五十二年度決算でも有価証券の売却益が二十三億四千六百七十八万七千円が計上されています。五十二年度の場合これを十六億一千九百七十万八千円の貸出金償却が食ってしまっているのでありますが、こうした臨時収益が経常利益率の悪さをカバーする傾向はいつまで続くんでしょうか。
  83. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 現在、この信用金庫に限らず、金融機関の経営環境は非常に厳しくなっているわけでございまして、その背景には、かつての過剰流動性の時代からの金融緩和政策によりまして、公定歩合が五・五%引き下げられたのに対して、預金金利の引き下げは一年定期で三・二五%でございまして、その間のさやが金融機関の負担になっているという面もございます。  それから、このような金融政策という問題以外に、基本的に、最近の高度成長から安定成長への移行の過程におきまして、金融構造が非常に変わってまいったわけでございます。かつては金融機関の融資の七割を企業貸し出しが占めていたわけでございますが、いまはそれが四割程度に落ちまして、逆に公共部門への融資が四割程度に上がっておりますし、個人部門への貸し出しもふえておるわけでございます。このような公共部門の貸し出しは収益性の低いものでございますし、個人部門の貸し出しはこれまた非常にコストのかかるものでございますから、基本的に金融機関の経理状況というのはこの構造的な影響を受けているわけでございます。  したがって、今後金融機関はさらに経営努力が必要になってくるわけでございますけれども、ただ、今後の趨勢につきましては、先般行われました預金金利の引き下げの影響が次第に浸透してまいりますので、利ざやについては若干好転してくるのではないかと、このように考えております。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 昨年は、御多分に漏れず、大型の不正融資、暴力団との関係などが新聞紙上をにぎわしました。この東京信用金庫の経営責任の問題はこれはどういうふうに処理されましたか。
  85. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 東京信用金庫につきましては、御指摘のように、外部に報道されたような問題があるわけでございまして、この意味で、経営の責任者としては当然その責任の実を示す必要があると考えられるわけでございます。こういう観点から、責任者としての理事長が会長に退いたほか、給与面その他で責任をとるようなそれぞれの処置がなされたということでございます。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 東京信用金庫のことが話題になると、必ずと言ってよいほど問題になるのが浅野前理事長、この方個人の責任問題であります。それはゆえなしとしない。たとえばよく問題になるあの川治温泉ホテルへの融資の件、この件について、一昨年十二月の同信用金庫の総代懇談会において、浅野さん、当時理事長みずからが語っておりますように、お父さんを通じて融資の依頼があって、融資をしたところがおかしくなったので、弟さんの経営する丸彰という会社に川治温泉ホテルの株全額を引き取らせる。経営陣には金庫の職員を送り込んで再建を図ったというのでありますが、この川治温泉ホテルへの融資残高が十二億円を超えておりますよ。大蔵省はこの融資の良、不良についてどう判断され、指導されたんですか。
  87. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 金融機関の個々の具体的な融資の内容につきましては、企業の秘密あるいは信用秩序の維持にかかわることでございますので、申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、仮に御指摘のような問題があるとすれば、これは是正方につきまして厳に指導してまいりたいと、このように考えております。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 株式会社フエアーレンズへの貸し付け三十一億六千四百八十万円、東和土地建物株式会社への貸し付け十億円、丸磯ソイル株式会社への貸し付け十四億円等、これらを中心としたフエアーレンズ関連と言われる六十九億円余の貸し付け、この返済状況はいま説明できますか。
  89. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この点につきましても、恐縮でございますが、個別の取引の問題でございますので、申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、このような大口の融資につきましては大蔵省としても非常な関心を持ってその推移を見守ることにいたしております。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 そういう姿勢でもってここで答弁されなくても事件につながっていくので、私は何か具体的なことは何にも言えませんと、非常に関心を持っていますと、銀行局長答弁をし続けている間に暴力団関係の融資の問題などが明るみに出てくる。私はそういうあなたの姿勢そのものに問題が実はあると思っているんですよ。さっきから黙って聞いていますけれどもね。もっとやっぱり厳格に指導を強化をされなければ、不正融資暴力団関係融資で問題になったエヌエヌシーへの融資十五億八千万円、こういうような形のものが出るでしょう。出てからたとえば報道をされる、されてからあたふたと何かやる。こういう後追いばかりをやっているようではどうにもならぬじゃないですか。大蔵大臣、こういう姿勢について一体どうお考えになりますか。
  91. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 金融機関はとりわけ公共性、社会性の高いものでございますので、私たちは銀行検査を通じまして厳重に個々に調査をいたしておるところでございます。同時にまた、一般的な指導の金融機関の経営のあり方につきましても、今日的なあり方について十分指導しているつもりでございます。しかし、もしおっしゃるようなことがありますれば、適切な指導を行い、またそれ相応なやはり社会的責任をとっていただく場合もあるわけでございまして、いずれにいたしましても、おっしゃるようなことは事前の指導を通じあるいは事後の監督を通じまして厳重にやってまいりたいと思っております。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 ありますればじゃなくて、大蔵大臣、すでに先ほど言った暴力団関係融資で問題になったエヌエヌシーへの十五億八千万円という融資はこれはもう公になっていることですね。  そこで大蔵省、このうち回収可能金は何億円ですか。
  93. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 個別の債権についての回収可能額につきましては、やはりこれは取引上の秘密でございますので、申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 本年三月三十一日付で東京信用金庫は総額十六億円余、ほかに未収利息六億四千四百万円を償却、大蔵省はこれを認めたそうですが、これは事実ですか。
  95. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この東京信用金庫に限らず、一般に金融機関につきましては、経営の健全性という見地から、現在すでに抱いている不良債権につきましては極力これを償却するよう指導しているところでございまして、そのような不良債権をつくってしまった責任とは別に、現在の金融機関の経営の内容の健全性という点からこれを認めているわけでございますし、むしろそのような不良債権は極力速やかに償却するよう指導しているわけでございます。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 十六億円と一口で言いますが、これは大変な金額であります。大臣、これだけの額がそう簡単に償却されてよいものかどうか、われわれ素人は大変首をかしげますがね。同時に、こういう場合の責任というのはどういうことになるんですか。
  97. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほども申し上げましたように、金融機関はやはり高度の社会的責任を持っておりますし、とりわけ信用秩序の維持ということについてきわめて重い責任があると思うのでございます。そういう意味で、大蔵省といたしましては、先ほど申しましたような一般的な指導あるいは個別的検査を通じてやっておるところでございまして、にもかかわらず、やはり責任を何らかの意味でとってもらわなくちゃならぬという事態が発生した場合には、やはり全体のことを考えまして厳しく責任をとっていただくような措置を現に講じておりますし、今後もやっていく所存でございます。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 この十六億円余の償却債権の中に、株式会社ミキ通商分が六億七千四百万円、それから清和産業株式会社分が五億二千万円、計十一億九千四百万円が含まれておりますが、この二つの会社の貸し付けについては、昭和五十年十月の大蔵省検査の直前に、浅野前理事長の指示で、三好建設株式会社の定期預金約三億五千万円、商業手形約七億円が質権を設定され、担保に供された。この結果、ミキ通商、清和産業への貸し付けはこの検査で二分類と低く査定されたのですね。そうすると、五十二年六月に至ってどういうわけかこの質権は解除されました。提供された担保は三好建設に返還されておる。この結果、五十三年一月の検査で十一億九千四百万円が第四分類、回収不能の査定を受けた。償却されたわけですね。この担保提供がなされたいきさつ、そしてその後解除されたいきさつについて、大蔵省はどういう認識をされておりますか。この担保提供のあるなしには、償却を承認するかしないかを判断するところの大蔵省としてもそういう意味では無関心ではおられなかったはずでありますが、いかがですか。
  99. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 金融機関の不良債権の無税償却につきましては、税法基準に基づいて行われているわけでございまして、御指摘のような担保の処理の問題はこれとまた別の問題と考えられます。個別の担保処理の問題は個々の取引の問題でございますので、これについて意見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、ただ、金融機関の融資のあり方としては、預金者保護、健全性確保の点から、担保等の差し入れ等についても極力適切に行われるよう今後とも指導してまいりたいと思います。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 私は答弁大変不満ですがね。これは後ほど大蔵省に対しても言いますけれどもね。五十年十月の大蔵省検査を前にして急速第三者から担保提供をさせた。その後それを解除するという行為のうちに、検査での追及をかわすべく官庁を欺罔をする工作をする、そういう意図的な操作があったと判断をされますが、これはいかがなんですかね。こうした官庁欺罔行為には当然法律上の罰則が適用されるものと思われますが、東京信用金庫に対してそういう法適用をなさるおつもりなんですか。
  101. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 御指摘のような点につきましては、金融検査を担当する者も当然疑念を持っていろいろ検査をするわけでございまして、ただこの場合には、一応御指摘のような検査を欺罔するような意図でなされたのではないというふうに判断されたものと聞いております。  ただ、しかしながら、いずれにいたしましても、このような金融機関の融資のやり方は、金融機関の融資のしぶりとしてはいろいろ問題があるわけでございまして、今後とも委員の御指摘を踏まえまして、厳正に経営を行うよう指導してまいりたいと、このように考えております。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 私がいま申し上げた事実関係は、もう大蔵省は当然御存じのとおり、官庁欺罔工作について、先般東京信用金庫をおやめになった新山さんという理事、これは日銀出身の方だそうでありますが、この方がやめるに当たって都内の信用金庫にあいさつに回っていらっしゃいます。その際に、その存在を、いま私が申し上げたような事実関係というものを親しい人々に証言しておられますし、嘆いておられる。こういうことはやっぱり十分調査の上に、法に照らした厳正な措置というものが求められてしかるべきだろう。当然この信用金庫法第九十条に問われる、そういうふうに考えられますが、その辺はどういうふうに判断されていますか。
  103. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この経緯につきましてはただいま申し上げたとおりでございますが、先生の御指摘もございますので、さらによく検討してまいりたいと、このように考えております。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 千葉相互銀行の船橋北口支店で昨年七千万円の不正融資があった。宇田川係長、鈴木支店長が処分をされていますが、大蔵省は知っていますか。
  105. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 個々の金融機関からのそういう不祥事件報告につきましては、個々の金融機関の信用にかかわる問題でございますので、申し上げることをお許し願いたいと思いますが、またその場合の、役員につきましては異動について報告がございますけれども、個々の職員については異動についての報告はないことになっております。もっとも不祥事件がありました場合には、不祥事件についての処分の内容についてはこちらに報告が入ることになっております。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 警察はこれ御存じでしょうか。
  107. 小林朴

    説明員小林朴君) 千葉県警察といたしましては、実はこの問題は知らなかったようでございます。もちろん警察といたしましては、犯罪の容疑がございますれば捜査をするということになろうかと思いますが、以上のような経過です。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 徳田銀行局長昭和四十三年以来歴代の銀行局長と私の約束事は、決算委員会、大蔵委員会を通じて、どんな小さな事故であっても、内々で処理されることなく、関係監督官庁に報告するという形でとにかく私たちに明らかにする、それが歴代の銀行局長との約束事ですよ。あなたがこれから踏み外れるということにはならぬ。金融機関側の姿勢として、十分に、今後のこういう事故関係について報告が上がらないという、そういう状態についで、もっとあなたは反省があってもいいと思う。知らないで済まされる問題ではありません。  四十八年十二月だったと思うが、千葉相互銀行本店と北習志野支店との間の送金において、六百万円という金が紛失をした、これを千葉相銀は備品購入という形で処理している。大蔵省はこれ御存じですよね。
  109. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この千葉相互銀行の現金紛失に関しては、不祥事件としての特に報告はこちらに参っていないわけでございます。ただ、個別の事件につきまして、このようなことがあったのかどうかということについては、大蔵省として調査をしているわけでございますけれども、これはどうもそのような事実はなかったと、このように聞いております。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ私は問題提起しておきますが、千葉相銀では、印西支店の小田山という支店長、常盤平支店の吉岡という担当が事故を起こしている。最近では牧の原支店、本八幡支店、館山支店それから本町支店でも事故があった。この辺は両省でよく調査をしてもらいたいと思います。  そこで銀行管理の問題に入ります。  永大産業の倒産はさまざまなところでさまざまな話題を呼びましたが、一つ銀行管理という発想がどんなものであるかということを私たちに十分考えさせました。一般に、金を出し口を出すどころか人まで送り込む、そういうのが銀行管理であると言われますが、永大産業の場合、前々から金融機関対策上、大和銀行、東京銀行、日本生命などから役員を何人も迎えたことがありますね。そして、銀行出身役員に永大の経営、そして経理がゆだねられたのは、五十年十月、深尾照夫二代目社長が更送されて、木内正美社長が就任してからだと言われます。ここから永大が言葉の厳密な意味での銀行管理に入ったと言えるのでありましょうが、この銀行管理によって企業を再建するという場合に、何よりも肝心なことは、銀行から送り込まれた社長のリーダーシップだと私は思うんです。そこには、このリーダーシップを銀行側が支援してその社長に与える側面と同時に、その社長がその再建すべき企業の人になり切ること、その企業と名実をともにする、あるいは運命をともにするということでなければならぬと思うんですね。そのくらいの覚悟が銀行管理に乗り出す銀行側にも、あるいは送り込まれる役員その人にもあってしかるべきだと思いますが、そうでなければ銀行管理などすべきではないと考えますから。  しかるに今度の永大産業倒産で明らかになっている幾つかの中で、私たちにとって腑に落ちない点が幾つかあります。  その一つは、五十年十月以来、木内さん、川上さんと続いている大和銀行系から送り込まれた社長さんたち、倒産の時点ではこれは会長、社長という関係にあるお二方ですが、このお二方の個人財産が、永大産業の銀行借り入れに対する担保に供されていないという点ですね。深尾前社長の自宅はもちろんのこと、個人財産は担保に供されておりますね。子会社の社長のものまで担保に供されている。ところが、なぜ大和銀行から送り込まれた木内会長なり川上社長の財産だけが安泰なのか。この二人には永大倒産の責任がないというふうに考えるんですかね。いかがでしょう。
  111. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 銀行管理という言葉が適切かどうかは問題かと思いますが、いずれにしても、ある経営の困難に直面した企業に対して金融機関がこれを支援する場合、特にそれに人を送り込む場合には、まさに和田委員の御指摘のとおり、全力を挙げてその再建に当たるべきでございます。その意味では和田委員の御指摘のとおりであると思いますが、ただ、その全力をもって再建に当たるあかしとしてどのようなことが必要かということでございまして、確かに永大産業の場合には、当初からの固有の経営者の方はかなり財産もあったようでございますし、その財産を担保に入れたようでございますが、しかしながら、銀行から再建のために永大に行かれました方は、その固有の私有の財産を担保に入れてないということは御指摘のとおりでございます。  ただしかしながら、やはり固有の経営者と、傾いた、つまり経営の困難に直面してしまった企業に対して後からそれを再建のために入ってくる社長とはおのずから立場が異なると思いますし、また、それぞれの財産の所有量等も恐らく違っているのではないかと思います。したがいまして、財産の提供の有無ということは、それはむしろそれぞれの経営の衝に当たられる方の御判断の問題でございまして、問題はいかに誠意をもって全力を挙げて再建に努力したかどうかということであろうかと思います。この点につきましては、川上社長は再建のために非常に努力をされたという評価が高いということを聞いております。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 しかし、われわれこう横から見てみまして、こういう状態で、いわゆる銀行から乗り込んでいっていたところの会長や社長だけが財産が保有できるという状態で、世に言う銀行管理というものがいい結果を生むだろうかと考えてみると、大変疑問ですよね。私はそういう疑問を強く持ったということを申し上げておきます。  そこで、三陽ハウジング、三信ハウス等、永大の子会社への貸付金の担保として永大自身が押さえている資産が、昨年の後半に入って次々に大和を初めとした銀行団に押さえられていますね。これは情報と決定権を一人占めしている銀行の明らかな駆け込み債権回収なんじゃないですか。こういうことは他の債権者との関係で不公正を当然呼んでおりますよね。これは許されないことだと思うんですが、いかがですか。
  113. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 三陽サウジングと三信ハウスに関連しまして、永大産業がその両社に持っていた抵当権が転抵当として協融五行に移ったことは御指摘のとおりでございまして、その点だけに着目をいたしますと、和田委員指摘のとおり、何か駆け込みで事前に債権を確保したんではないかというふうにとられるわけでございますが、実はこれはそれ以外にいろいろ経緯があったわけでございまして、大和銀行から事情を聴取したところによりますと、五十年の九月から五十二年の十一月にかけまして永大産業は非常に資金が窮迫したわけでございまして、その資金の窮迫に対応するためには、金融機関貸し出しと同時に、永大産業の持っている資産を売却して資金繰りに充てるということが必要と認められたわけでございます。そこで協融五行は、いままで担保として押さえておりましたその担保物件を解除いたしまして、これを永大自体の処分に任したわけでございます。そのかわりとして、その金額は実は当初五行の押さえていた担保物件に比べると非常に小さな金額でございますけれども、大きな金額の担保物件を解除して全くそのままということにはまいりませんので、その一部の金額に充てるために、いま御指摘の三陽ハウジングと三信サウスに対する抵当権を転抵当としたわけでございまして、これはむしろ永大産業を再建の方向に持っていく、その資金繰りのために行われた行為であると、このように考えております。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと事実関係の認識の違いは別として、株式市場でのインサイダー取引と同様に、倒産についての事前情報を持ち得る立場にある者が駆け込みで設定した担保というのは、これは法的にその権利が認められないという学説がありますね。これはいかがでしょう。いかがに考えたらいいのか、これは法制局長官ですか。
  115. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 御指摘のような問題は、会社更生法上の詐害行為的な問題になると思われます。もし事実そのようなものがあれば、これから会社更生法に関しての手続が進む過程においてその点が明らかにされるんじゃないかと思います。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 説そのものについて、大蔵省はどういうふうに認識されるんですか。
  117. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この会社更生法の解釈につきましては、大蔵省は必ずしも申し上げる立場にないわけでございますけれども、やはり会社の更生がある、あるいは破産に瀕するという事実がわかり始めた時点におきましてとられた行為については当然問題が生じてくると思います。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、この点については私は質問を留保しておきます。今後の調査の課題にしたいと思うんです。  そこで、永大産業の子会社についての永大自身の貸付金の明細、これらの担保として押さえている資産の権利関係、それから銀行団名義に書きかえられた場合にはその年月日、これを示す資料、これは一覧表として提出できますか。
  119. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) これは直接永大産業と大蔵省関係ないわけでございますので、どの程度の公表された資料がございますか、その点を勘案しながら検討してみたいと思います。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 きのう質問通告して、けさちょっとある新聞を見たら、昨日何か大蔵省が結論を出したという報道になっていますから、そういう意味でちょっと確認をしたいんですが、生命保険会社が所有していた永大株が昨年末からことしにかけて大量に売られている。このことはまず事実ですね。これは事実として認めますね。
  121. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答えいたします。  永大産業の問題が起こりましてから、早速私たち関係生命保険会社にヒヤリングを行いました。言っている事実は先生のおっしゃるとおりでございます。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 事実であると。そこで、生保会社が持ち株を売るということは、一方において団体契約があるために、どう言いますか、生命保険会社の営業の抵抗があって大変だと思うんですね。その生保会社が昨年からことしにかけて大量の永大株を売った。で、何らかの情報を漏らした者があったのではないだろうか、これはだれでも当然そう考えます。ところが、けさの新聞報道によると、昨日皆さん方はどうもそんなようなことはなかったんじゃないかというような結論を出したように報道されていますが、しかし、どうも情報が漏れているのではないだろうか。  第一生命の場合を考えてみました。富士銀行に聞きに行って、昨年じゅうに六、七百万株処分してしまった。日本生命は、かつて永大産業に常務を送り込んでいたという関係もあって、直接聞いて昨年からことしにかけて一千万株を処分をした。そうすると、他の生命もこれは似たり寄ったりの関係だろうと思うんですね。生保会社の株式取得というのは、団体生命とバーターでありますから、昨年八月以前に買ったのはあたりまえのことでありまして、何か昨年八月以前に買ったから一いや、けさの報道によればですよ。昨日皆さん方が出された結論というのは、昨年八月以前に買ったから云々ということになっていますが、私はちょっと考えてみれば、いま言ったように、生保会社の株式取得というのは団体生命とバーターですから、昨年八月以前に買っているのはあたりまえだろうと思うんですね。  そうすると問題は、株式の保有率が一〇%以下だから云々というのが、何か灰色決着をつけたとある新聞が表題に書いていますけれども、そういうことにいった理由一つのようですが、しかし、株式の保有率が一〇%以下で法定許容範囲内であるとしても、いわゆるこれらの生保会社が永大の大株主であったという事実関係は否定をされるものではない。そうすると、その大株主が銀行の情報に基づいて株を売却をしたということでありますから、これは法的には確かに灰色であるにしても、インサイダー取引を禁止をした証取法の精神に反していることは間違いないと思うんですね、私は。いわゆる法律案の精神には反している、これは庶民感情として納得できるものではない。私はその点は反省を求める意味で、これテクニックの問題は別として、大蔵大臣、政治家としてこれどうですか。私の言っていることは筋通っていませんか。そういう意味で大蔵省の見解、大臣の見解を求めたいんです。
  123. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) いま個別の事案であったものですから、事情を聞いてみますと、そのようなことはないということだそうでございますので、そのように御理解願いたいと思います。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 そのようなことがないという結論を出されたという報道がけさあったのですが、私が昨日質問通告を具体的にした時点ではまだ結論が出ておったのか、出ておらぬのか知りませんけれども、けさの新聞報道を読んでみても、なお私は——大臣、これ聞いておってもらわなければ困るんで、言ってみれば庶民感情として納得できるものじゃない。情報を知り得る立場にあった者がとにかくさっさと株は処分してしまう、そうして庶民が持っておった株というのは十円台に落ちちゃって泣いているんだよ、これ。そうすると、大臣、お互いに政治家としてこの庶民感情が大切にされるということがもっと真剣に考究されていいんじゃないの。そこのところを私は聞いているんですよ。
  125. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 問題はいろいろあると思いますが、一つはインサイダー取引の問題でございまして、これはあるいは証券局の方からお答えした方がいいかと思いますが、われわれは生命保険を監督しております立場上、そういうインサイダー取引と離れて、生命保険会社が果たしてどういう動機で売ったか、これは非常に関心を持ちまして関係会社から調べたわけですが、結論を申しますと、われわれの判断といたしましては、事前にそういうことを知ったとかあるいはそういう通報があったというような事実はなかったというような結論に達しております。  じゃ、具体的にどういうことでそういう答弁をするのかと申しますと、まず個々の取引のことは差し控えますが、売った時期でございますね、それから売った量、それから生命保険会社が永大産業から受けている情報の度合い、そういうものを総合勘案いたしまして、われわれはいま申し上げましたような結論に達したわけでございます。
  126. 和田静夫

    和田静夫君 ただ、貝塚さんそう言われますけれども、売った時期と売った株のいわゆる額ですね、これは余りにもタイミングがいいじゃないですか。
  127. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 一般論で恐縮でございますけれども、生命保険会社というのは、和田委員御承知のように、保険契約者から保険料を集めまして資産運用いたしまして、その結果を還元することになっておりますから、財務運用の担当者というのは非常に神経過敏になっております。  それから御承知のように、生命保険会社というのは戦前はほとんど有価証券投資で六〇%やっておりましたが、戦後の高度成長のときには貸付金が非常に多くなりました。ところが、経済情勢がこういうふうになりましたために、また債券、株式、そういう有価証券の投資ということに熱心にならざるを得ない。そうなってまいりますと、ある会社が株式配当が無配になったときにじんぜん日をむなしゅうしては契約者に対しても申しわけない。あるいは六月にも行われておりますが、総代会に対しても十分にこれは説明できないということで、これはやはり資産運用の担当者といたしましては、そういった情報を一生懸命仕入れまして、そうしてあるタイミングで売るということはやむを得ないことだと思います。  それから売るタイミングの問題で、個々の会社のことは差し控えますが、無配になったのは五十年の十二月期でございますね。それからすぐ売った会社もございます。それからしばらく様子を見て、これはいかぬということで売った会社もございます。それから新聞に出ます決算報告決算公告でございますか、それを見てやったところもございます。個々ぱらぱらの事情で売っておりまして、先ほど私ちょっと申しかけましたように、量の問題も、一遍に売って株式市場に混乱を起こさないようにというような配慮で売っているところもございますし、われわれそういう各社から聞きました情報を判断いたしまして、先ほど申しました結論に達したわけでございます。
  128. 和田静夫

    和田静夫君 そうするとこれは、これでやめますが、いわれるところのインサイダー取引がなかったという判断をお持ちになったんですが、これはどういう調査の結果お持ちになったわけですかね。
  129. 渡辺豊樹

    説明員(渡辺豊樹君) インサイダー取引と申しますのは、証券取引法第百八十九条の規定にございまして、「役員又は主要株主」、つまり一〇%以上持っている株主でございますが、職務上知り得た秘密を不当に利用することを防止するために、六カ月以内に当該会社の株式を売買いたしまして利益を得た場合には、会社は当該役員または主要株主に対し利益の返還を求めることができるという規定がございます。これがいわゆるインサイダー取引に関する規定でございます。  永大産業の株式の売買につきましては、昨年の七月からことしの二月、二月には永大産業の株式は上場廃止になったわけでございますが、その間につきまして、東京証券取引所及び大阪証券取引所において調査をいたしました。その結果、百八十九条の規定に該当する事実はないという報告を受けております。
  130. 和田静夫

    和田静夫君 証券局長報告を受けているのはいいんですがね。私の言っているのは、たとえば私は具体的に言ったわけですから、私は生保会社が持ち株を売るというのは、先ほども言ったように、団体契約があるために生保会社の営業の抵抗があって大変なことなんだと聞いています。そこでタイミングよく永大の場合売られたわけですけれども、第一生命と富士銀行の関係において、いわゆるメーンである富士銀行から第一生命に情報の漏洩はなかったのか。あるいは日本生命の場合には、かつて永大に常務が行っていたから、そういう役職を通じての言ってみれば情報漏洩というものはなかったのか。判断の基礎にそれが置かれていて、いわゆる株主であるところの庶民は置き去りにされたのではないのか。その辺の調査関係というのはどういうふうに調査をされて今日皆さん方がお持ちになった結論をお出しになったのか。こういうことを聞いているんですよ。
  131. 渡辺豊樹

    説明員(渡辺豊樹君) ただいま申し上げましたように、インサイダー取引というのは証券取引法百八十九条の規定にあるものでございます。で、証券取引所が調査いたします場合には、これは売買のブローカーをしております会員である証券会社を通じて調査するわけでございまして、調査できますことは、そういう役員や主要株主が六カ月以内に株式を買いまたは売ったと、あるいは売ってから買ったということを調査することまでしか制度上はできないわけでございます。先生の御質問の点に十分お答えすることにはあるいはならないかと思いますけれども、百八十九条の規定に基づきまして、いわゆる限界はそこでございますので、御理解いただきたいと思います。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 いや、法との関係において理解しろと言えば理解せざるを得ませんが、大蔵大臣、これどういうふうに認識したらいいんですかね。とにかくメーンのバンクが、その関連の持ち株を多数持って、それは一〇%以上になっていないことは間違いありませんが、しかし大株主であるところの生命保険会社に対して情報漏洩をやると。それをもとにして、まあ保険部長の話によれば、株式全体が混乱をしない、そういう一つの良識も働かせながら、しかもぎりぎりのところまで売っていくと。しかし庶民の株主は置いてきぼりである、情報を知る立場にない。これは何かチェックすることが必要じゃないですか、今後。いかがです。
  133. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) なかなかむずかしい問題だと思います。いま御質問がありましたので、私もちょっと条文読んでみますと、六カ月以内という制限が法律上そのインサイダー取引について要件になっているわけでございます。いま証券局長の話を聞きますと、証券取引所は仲買人を通じて調べ、それはいずれも六カ月以内ではない、こういうことになっておるという答えであったと私は聞いたわけでございますが、いま委員がおっしゃっておるのは、仮にそうであったとしても、ある種の特殊の地位から情報を得た場合には一体どういうことになるか、こういう一つの仮定問題であるわけでございます。したがって、それは、法律問題としてではなくて、むしろ大株主としてのモラルの問題として一体いかなるものであろうか、こういうことであろうかと思うのでございます。もちろん、株主といたしましても、やはり利害関係者、本来の債権債務者あるいは株主の利益を、当然たとえば生命保険会社でも擁護する必要はございましょうし、したがって他者のためにどれだけモラルを持つべきかという非常に限界線のむずかしいところではないかという感じがいたしまして、やはりこういう問題は事実に即しまして常識的に判断し、もし必要であるならばそのような指導考えるべき問題ではなかろうか。経済問題でございますので非常に限界線のむずかしいところだと判断しているわけでございます。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 最後の問題に入りますが、いわゆるサラリーマン金融など庶民金融について、新立法などによって行政取り締まりを強行すべきであるという議論が盛んであります。私は、議論の前提に若干の疑問がありますので、利息の制限にしぼってきょう若干のやりとりをしてみたい。あと、大蔵委員会に引き継ぎたいと思うのです。  この分野の現行法上の制限について、行政サイドの理解というのはこれはどういうことになりますかね。
  135. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 現在、貸金業者に関しましての金利の規制は、利息制限法と出資の受け入れ等の取り締まり等に関する法律と二つに分かれているわけでございます。このうち、利息制限法は、貸し主が裁判所に訴えをもって請求し得べき利息の最高限度を定めたものでございます。一方、出資法におきましては、社会秩序維持の見地から、刑罰法規をもって臨むべき利息の限度を画したものでございまして、この両法は、民事、刑事両面からの規制によって利息抑制の実効を上げることを意図しているものと、このように考えております。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 言うまでもなく、資本主義社会では、私人間の経済取引、したがって金銭貸借も自由だ、国家が介入しないのが原則である。そうですが、それにもかかわらず法律で利息の制限を課す。そういう利息の制限を課しているというのは、暴利の契約を排除をする、あるいは経済的弱者を保護をする、そういうことによって近代市民法の理念の実現を目指す、そういうことが趣旨だろうと思うのですが、この点は法制局、そういうふうに認識しておいていいのですかね、これは。
  137. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) まさしく、ただいまおっしゃいましたように、金銭の消費貸借について約定利息をどう決めるかという点については、本来的にはこれは契約自由の原則という概念の中に入るのだろうと思いますが、ただ、放任しておきますと、ただいまおっしゃいましたように、社会的な不公正を招いたり、あるいは経済的弱者である零細な借り主が非常に迷惑するということで、民事、刑事両面から一定の制限を設けまして、そしてこの経済的弱者の経済的地位の保護に当たっている、こういうふうに御理解になって結構であろうと思います。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、昭和四十三年十一月十三日の最高裁判例、この判例を考えてみますと、利息制限法を超える超過利息の契約については貸し主に請求権がない、逆に借り主は支払い義務がない、こういうふうに理解できると思うのですが、この点、法務省ですかな、これ。いかがですか。
  139. 青山正明

    説明員(青山正明君) 利息制限法の第一条におきまして、そこに定められております利率を超える利息の契約が無効であるということになっているわけであります。無効と申しますのは、一般的に申しますと、法律行為が当事者の効果意思どおりの効力を持たないということでございますから、仮に利息制限法の定めております制限利率を超える利息の契約をした場合におきましても、貸し主はその制限を超えた部分の利息の支払いを請求する権利がない。反面、借り主はそれを超える利息の支払い義務を負わないということになるわけでございます。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 出資取り締まり法ですが、これは、極端な暴利には国家が刑罰をもって臨むということ、そういうことでいいですね、法制局。
  141. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) いわゆる出資法の第五条に、高金利の処罰という条項がございまして、ここに書いてある率つまり日歩三十銭以上の約定利息を持った契約をしてはいけない、また受け取ってはいけないということで、罰則をもってその励行を担保しておる次第でございます。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、利息制限法で制限を三段階、すなわち、元本十万円未満は年二割、それから、十万円以上百万円未満は年一割八分、それから、百万円以上は一割五分、こうした理由は、法務省、どんな理由ですか。
  143. 青山正明

    説明員(青山正明君) 現在の利息制限法は昭和二十九年に制定されたものでございますが、その当時におきます一般の金融市場の情勢などを勘案いたしまして、私法上の権利義務関係上ここまでは有効である、ここまでは無効であるという限度を画する利率としてこの程度が適当であるという判断のもとに定められたものというふうに理解しております。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 法務省、これ、数字の根拠を教えてもらいたいのですよ。
  145. 青山正明

    説明員(青山正明君) 利息の限度をどういう利率で画するかということは非常にむずかしい問題でございまして、国民の一般の意識というものとか、あるいは、先ほど申しましたように、一般の金融市場の水準であるとか、もろもろの要素を総合いたしまして決められるべきものであろうと思うのでございまして、数学的に何割が理論上適当であるというふうに割り切れる問題ではないのではないかというふうに思うわけでございます。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 数字的に割り切れない。そうすると、何というか、社会的、環境的に割り切る。そうすると、社会的、環境的には経済的、政治的変動が伴うから、これも変動をする。昭和二十九年のものでは古過ぎるなどということになる論理ですか。
  147. 青山正明

    説明員(青山正明君) 恐れ入ります、もう一度。ちょっと御質問の趣旨がよく理解できなかったのでございますが。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 数字的、科学的に割り切れないということになれば、それじゃ質問を変えますが、何で割り切るわけですか。
  149. 青山正明

    説明員(青山正明君) 先ほども申しましたように、もろもろの要素を総合して、立法政策上どういう利率で権利義務関係の規制をするかという総合的な判断によってなされるべきものであろうと思うのでございまして、やはりそういういろいろな事情が変更しますれば、おのずからまた変わってくる可能性はある問題ではないかというふうに思うわけでございます。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 そのもろもろのファクターの変わってくる可能性というのはどんなところにありますか。
  151. 青山正明

    説明員(青山正明君) この利息制限法を設けております趣旨と申しますのは、先ほど法制局長官からもお話がございましたように、この利息契約を自由に放任しておきますれば、非常な高利が行われて経済的な弱者が非常な不利益を受けるということがある、そういうことを防止しようということにあるわけでございますので、そういう観点から、どのくらいの水準で規制すべきであるかということから決まってくる問題であろうと思うのでございます。余り極端に低利に抑えますれば、実際それが守られないということも考えられるわけでございまして、ひいては庶民が金融を受ける道がふさがれるという可能性もございます。そういうようなもろもろの要素を考えて、まあ利率がいかにあるべきかということを政策的に判断して決めていくということになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 わかりました。そこはわかっているんですがね。昭和二十九年五月立法当時のもろもろのファクターから導き出された政策的な決定としてのこの数字は今日においても変わるべき要件は持っていない、そう認識をされているのですか、それじゃ。
  153. 青山正明

    説明員(青山正明君) 昭和二十九年から現在まで二十年以上経過しているわけでございまして、その間にいろいろ経済事情の変動もあったわけでございますので、果たしてこの利率が現在の段階でも問題がないものであるかどうかということはやはり検討しなければならない問題ではなかろうかと思うわけでございます。で、私どもの方ではそういう点もございますので部内では検討しているわけでございますが、いまのところはっきりとした結論を出すには至っていないのでございます。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 出資取り締まり法の年利一〇九%、日歩三十銭の根拠、これは大蔵省どうなんですか。
  155. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 法務省でよろしゅうございますか。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 法務省でいいんですか。
  157. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) お答え申し上げます。  出資法、正確には、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律と申すようでございますけれども、この第五条の罰則の根拠が日歩〇・三%というふうにされておるわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、この法律が制定されましたのが二十九年の六月でございまして、その当時の貸金業者等の実態をつきまして、関係省庁の協力も得まして詳細に検討いたしました結果、おおむねのところ日歩〇・三三%、当時で申しますと三十三銭でございますか、その前後で取引されているというふうな実態も踏まえまして、それと同時に、本来が民事の領域でございまして、私的自治と申しますか、契約自由の原則と申しますか、そういう私的領域に対する刑罰の介入というものは必要最小限度にとどめらるべきではないかという、まあ刑罰の謙抑性と申しましょうか、そういう面も踏まえまして、〇・三%、当時で申しますと日歩三十銭という現在の規制ができ上がったわけでございますが、この規制が今日の実情にマッチしておるかどうかということにつきましては、実態をさらに調査いたしまして改めるべき点は改めるということも必要ではなかろうかと考えております。  ただ、改めると申し上げますのは、高くするという意味ではなくて、おおむねの御意見は、大方の御意見はこれを引き下げてはどうかというところにあるようでございます。それはそれなりに一応貴重な御意見というふうに考えるわけですが、ただ、検討いたすべき問題もないわけではないわけでございまして、特に指摘しておきたいのは、現在の貸金業者の実態を調べてみますと、高金利違反ということでわれわれ司直の手に触れてくるものはおおむねのところが〇・六ないし〇・五程度のかなり高い金利を取っておるようでございます。もちろんこういう事案に対しましては、全国の警察、検察庁において厳正な取り締まりを行っておるわけでございますけれども、そういう実態から考えますと、この金利を〇・二五あるいは〇・二八程度に引き下げるということが悪質業者対策として一体いかなる意味があるのか、悪質業者なるものはもっと上の線をいっておるものでございますので、その辺のところがどうかということと、それから、これは貸金についての一般原則でございまして、特に業者だけを対象とした規定ではございませんので、極端な言い方をいたしますれば、私ども友人間の貸借にも、あるいは親戚同士の貸借にも適用のある規定でございますので、たまたま友人が好意的に金融の便を図ってくれたと、その謝礼として〇・二五程度の金利、謝礼を支払う、それが直ちに罰則の対象としていいのかどうかということも検討をさるべき問題ではなかろうか。現実問題といたしまして、全国の質屋さん組合というのがあるんだそうですけれども、いまのところ質屋さんというのは大体〇・二五から〇・二八程度の線で融資をしておるらしいのですが、質屋さんはそれなりに町の金融として大変長い歴史を持っておりまして、金融の上で、庶民金融の上で大きな功績を果たしてきたことも率直に認める必要があろうと思いますが、その辺のところとの兼ね合いもございますので、金利の引き下げ——金利と申しますか、この出資法五条の引き下げの点につきましてはより慎重な検討が必要ではなかろうかというふうに考えておる次第です。
  158. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、両省の関係、総じていまのあれではやっぱり慎重に検討されるとしても、ともあれ検討する、言ってみれば利息の制限については社会の情勢に応じて今日再検討の余地があると、こういうことが結論なんですか、やっぱり。
  159. 佐藤道夫

    説明員(佐藤道夫君) 出資法の関連だけで申し上げますれば、ただいま申し上げましたとおり、何か悪質業者の対策の一環として引き下げてはどうかという御意見に対しましては余り意味がないということを申し上げておるわけでございます。それと同時に、一般の庶民金融、質屋も含めた一般の庶民金融についてもさらに刑罰をもって介入するのが当然であるという世論がもしあるといたしますれば、それは世論を受けまして引き下げの方向で検討する必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
  160. 青山正明

    説明員(青山正明君) 利息制限法の関係につきましても、先ほども申しましたように、制定後非常に長年月がたっておりますので、いまの段階で果たしてどういう利率がいいのかということは検討すべき段階であろうと思うのでございますが、利息制限法の現在の利率につきましては、これが高過ぎるという御意見は、世論は余り聞かないのでございまして、むしろ現在ではこれを引き上げた方がいいのではないかという声もあるようでございます。そういうことでございますので慎重に検討してまいりたいということでございます。
  161. 和田静夫

    和田静夫君 次に、行政上の問題でありますが、言うまでもなく法律に基づく行政でありますから、遵法精神をもって行われなきゃなりません。  ところで、次のような文書ですがね、これ。簡易文書総第六号昭和四十四年十月十五日、「貸金業の届出受理の取り扱いについて」、大蔵省銀行局中小金融課結城茂、京都府商工部長あて、「利息制限法についての昭和四十三年十一月十三日の最高裁大法廷の判決に左右されることなく、当該届出はそのまま受理することとなる」、この文書は、出ていることは確認していいですか。
  162. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) そのような文書が出ております。
  163. 和田静夫

    和田静夫君 これは最高裁判決を無視することになるような気がしますがね。そうはならぬですか。
  164. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 貸金業が営業を開始する場合には都道府県知事に届け出をすることになっているわけでございますが、その届け出を行う文書の中には、その適用利息につきましても一応その記載事項になっているわけでございます。そこで、その届け出を受理するに当たりましての指導でございますが、これは日歩三十銭以上の、たとえば日歩四十銭であるとか日歩五十銭であるという記載があった場合には、これは日歩三十銭以内にとどめるように行政指導を行っておりまして、そういう趣旨を確認したものと考えております。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 そのさっきから問題にしている、最高裁大法廷の判決に左右されることなく云々というのがそういう趣旨ですか。
  166. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) いまいろいろ御議論がございましたように、利息制限法と出資の受け入れ等の取り締まり等に関する法律と、両方につきまして金利についての定めがあるわけでございます。利息制限法につきましては、先ほどいろいろ議論がございましたように、最高が二〇%ということになっておりますし、出資の受け入れ等の取り締まり等に関する法律につきましては日歩三十銭となっているわけでございます。そこで、このような判決が出ました場合に、届け出を受理する立場にありまして、どちらを基準にしていいかということが出先で迷うことが考えられましたので、受理に当たっては日歩三十銭以下に指導するという、従来からそのような方針でございましたので、そのような方針を確認したものでございます。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 今日のこのサラ金の問題は、不当利得とも言うべき高金利のために被害者が出ているところに問題があるんでしょう。したがって、高金利の抑制が問題なわけですが、この出資取り締まり法の刑罰を科されない範囲であればよいという、そういう行政サイドの対応が、ある意味では今日の事態を招いているんじゃないだろうかということを最近考えるんですよ。利息制限法によって庶民金融にも制限が課せられておるが、行政上は庶民金融だけこの制限を外されている。裁判によって、利息制限法の制限以上は請求権がない状態である。そうである以上、行政上も利息制限法の範囲内に抑えるようにすべきだと思いますがね。大蔵省どうですか、これ。
  168. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 現在、貸金業の金利の規制につきましては、先ほどいろいろ議論がございましたように、出資の受け入れ等の取り締まり等に関する法律と利息制限法と二本立てになっているわけでございまして、その二〇%と日歩三十銭との間はいわばグレーゾーンになっているわけでございます。法律的にこのような仕組みになっておりますので、このような法律を踏まえまして、実態面の行政を行う場合にも、両方の法律を踏まえて行政を行うことが必要になってくるわけでございまして、行政当局といたしましても、金利はもちろん極力低い方がいいにこしたことはないわけでございまして、極力利息制限法の範囲内におさめてもらいたいという希望は持っているわけでございますし、また事実、貸金業者の自主規制の助長に関する法律に基づきまして、各地の庶民金融業協会が定款で金利を定めているわけでございますけれども、現在、その定款の定めている金利は、高いところでは日歩三十銭、低いところでも日歩十銭となっているわけでございます。これに対しましては、極力この金利を下げていって利息制限法の範囲内におさめることが望ましいという通達を出して指導をしているわけでございます。ただ、先ほど法務省からもいろいろ御説明がございましたように、現在における貸金業の実情あるいはそういう小口金融に対する需要の実態等を踏まえますと、このような二つの法律の間を踏まえた指導にならざるを得ない、こういうことでございます。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、法律上はこの貸金業者の取り締まりというのは大蔵大臣責任でしょうね。
  170. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 御指摘のとおり、出資等の受け入れ等の取り締まりに関する法律におきましては、第一次的な権限は大蔵大臣になっているわけでございますが、これは同じく同法に基づきまして都道府県知事に委任されておるわけでございます。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 それで、しかし指揮監督権というのは、政令によって機関委任をされていても大蔵大臣にある、そういうふうに大蔵大臣は認識しているんでしょうね。
  172. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) その前にちょっと、表現の正確のために一言だけ申し上げます。  貸金業者に関する法律の規定大蔵大臣は指揮監督の権限ではございませんで、報告の聴取等の権限が規定されているわけでございます。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 いや、ちょっと機関委任事務というのは、法制局長官、何ですかね。
  174. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 突然の御質問ですが、やはり出資法の第七条で届け出を受理する権限は大蔵大臣に与えられておりまして、その大蔵大臣が、同法第十条の規定によって、「この法律の規定に基く権限の全部又は一部を都道府県知事に委任することができる」とありますから、これは通例のやっぱり機関委任事務の形で規定がされておりますので、私がいま見たところでは、これはやはり機関委任事務の一種であるというふうに考える次第でございます。
  175. 和田静夫

    和田静夫君 私も法制局長官と同意見なんですよ。大蔵大臣、そこの認識なんですね、私が大蔵大臣に認識を問うたのは。知事が国の機関として行っているのは機関委任事務でありますから、釈迦に説法ですが、最終責任大蔵大臣にあると、この認識はお持ちなんでしょうね、サラ金業者問題について。
  176. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この法律に書いてあるとおりに私理解しております。
  177. 和田静夫

    和田静夫君 じゃそういうふうに受けとめておきます。事実関係によって違ってきたらまた大蔵委員会ででも。  都道府県段階の行政も、利息制限法ではなく、出資取り締まり法内であればよいという判断で行われている。たとえば大阪府の発行している利息計算例のパンフレットは、日歩二十八銭、年一〇二・二%の計算例を挙げている。利息制限法の遵守を図るべきで、この点徹底すべきだと思うんですが、大蔵省、これどういうふうに考えたらいいんですかね、ここ。
  178. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 先ほども申し上げましたとおり、当然まあ社会的不公正というような観点から、出資の受け入れ等の取り締まり等に関する法律の制限を超えることはこれは決して好ましくないわけでございますし、さらには利息制限法の範囲内におさまることが現在の法体系のもとでは望ましいわけでございますけれども、先ほど法務省からのお答えにもございましたように、現実の貸金業者の貸し出しの実際の金利と申しますものは、先ほど申し上げました庶民金融業協会の定款等におきましても日歩十銭を上回り、特に小口のものは二十五銭から二十八銭程度が主体になっているようでございまして、そのような貸金業者の実態であり、またそのようにコストのかかる貸し出しを行っているという面もあると考えられますし、また、そういう資金に対して、現実に小口のいわば簡易な貸し出しについての資金需要もございますので、そのような実態を踏まえながら、実態と余りかけ離れた指導をすることは現実に即さないわけでございますので、そのような実態を踏まえながら、漸次利息制限法の範囲内に金利を誘導していくということを考えたいと思います。
  179. 和田静夫

    和田静夫君 地方団体から、現行届け出制を業務停止を含めた許認可制にしてもらいたい、二番目には、貸付最高金利については利息制限法と調整を図ってもらいたい、三番目には、指導監督の強化などをやってもらいたい、そのための法改正をやってもらいたいと、そういう要望が出されていますが、大蔵大臣、これはどんな検討をされてきましたか。
  180. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 貸金業の改善のために、いま和田委員が御指摘のようないろいろな改正案が出ているわけでございます。このような改正案も含めまして、今後の貸金業に対する立法を含めた対処の仕方につきまして検討する必要があると考えられますので、昨年の九月に政府部内の六省庁による連絡会議ができたわけでございまして、すでに十回にわたり検討を進めているわけでございます。さらにこの検討を精力的に行うことによって、御指摘のようないろいろな御提案を含めて、貸金業の改善、適正な運営、あるいは不正金融の防止ということに努めてまいりたいと思っております。
  181. 和田静夫

    和田静夫君 貸金業の開始に当たって業務方法書を知事に提出をしていますが、その中の貸付条件の利率というのは利息制限法内なのか、それともそれ以上で記載されているのか、これは大体概略おわかりですか。
  182. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 貸金業の開始の際の届け出につきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、利率を記載することになっておりまして、これは届け出でございますので、これを受理するわけでございますが、その受理に当たっては、行政指導として、日歩三十銭を超えるような利率の記載があった場合にはこれを日歩三十銭以内におさめるようにという指導を行っております。利息制限法を超えた場合についても受理はいたしております。
  183. 和田静夫

    和田静夫君 それでもなお超えているやつがありますね。受理しないという指導はしていないわけですか。これは受理しないという方法が私はあると思うんですが、それが法を遵守することになるとこれは法務省どうでしょうかね。
  184. 青山正明

    説明員(青山正明君) 貸金業の届け出をする際にどういう利率であれば受理するかどうかという、問題は私どもの所管ではございませんので、せっかくのお尋ねでございますが、お答えを控えさしていただきたいのでございます。
  185. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ大蔵省から聞きます、同じ点について。
  186. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) これは届け出の受理でございますが、届け出を受けた際には、日歩三十銭を超えるような金利の記載があった場合にはこれを日歩三十銭以下におさめるように行政指導するように都道府県知事に対して指示をしております。
  187. 和田静夫

    和田静夫君 業務方法書に反した利息をとっている場合は、これはもう明確に第十二条第一項、虚偽の届出をした場合に該当しますから、これは三万円以下の罰金が課せられることになっているわけですが、この条項は現在どれぐらい活用されていますか、わずか三万円ですからあれですけれども
  188. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) その辺の実態は、ちょっと手元に数字がございませんので、後日調べ委員に御報告申し上げたいと思います。
  189. 和田静夫

    和田静夫君 新聞報道によりますと、五十三年三月九日の日経でありますが、銀行局長は、「年利七〇−八〇%以上で貸す業者に対しては銀行の融資を自粛してもらう」と述べられましたね。これはどういう判断ですか。
  190. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) ただいま委員のお読みになりました数字はちょっとあるいは正確を欠いているかと思いますけれども、最近、委員の御指摘のとおり、貸金業者についての批判が高まっているわけでございます。本来金融機関の個々の融資につきましては、金融機関が社会的公共性の自覚のもとに良識を持って行わるべきものではございますけれども、特に貸金業者につきましては社会的にいろいろな批判も高まっておりますので、ことしの三月八日に、各金融機関の団体の代表者を集めて、「金融機関の貸金業者に対する融資について」の示達をしたわけでございます。その内容といたしましては、「最近、一部貸金業者の経営姿勢について社会的批判が高まっているが、金融機関の貸金業者に対する融資については、金融機関の公共的性格にかんがみ、社会的信頼を損なうことがないよう慎重な配慮が必要である」と、このように申しまして、それから次に、「特に、貸金業者の高金利による融資、過当な収益の追求その他利用者の利益を不当に害するとして社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資については厳に自粛を図られたい」、このように示達をしたわけでございます。
  191. 和田静夫

    和田静夫君 一例でいきますが、大手のマルイトという業者を例にとって考えますと、平均金利が五四%ですね、ここは。これに対して三菱信託銀行が八十億円融資していますね。そうすると、これは大蔵省指導方針から言って是正すべきなのですか、そうではないんですか。
  192. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 金融機関の個々の取引については申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますが、しかしながら、一つの貸金業者に対しましてその資金のかなりの部分を民間の金融機関が融資することは好ましくないと考えておりまして、これはその一つの貸金業者の資金のかなりの部分を融資することについては自粛が必要であると、このように考えております。
  193. 和田静夫

    和田静夫君 ちなみに伺いますけれども、この八十億円の三菱信託銀行の融資には、これは貸付債権が担保になっているんじゃありませんかね、
  194. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) これも個別の件については申し上げるのを差し控えさせていただきますが、一般の貸金業者の貸付債権を担保として取ることが適当かどうかということを含めまして、特に貸金業者に対する貸し出しについては、債権の保全についても十分に留意するようにこの三月八日の示達の際に申し添えてございます。
  195. 和田静夫

    和田静夫君 貸付債権が担保になっているとすれば、これは社会的に問題になっているものでありますから、是正を指導すべきだと私は思います。問題は利息制限法を超える暴利を銀行等が助長している点にあるわけでありますから、いま局長言われたように、貸し付けの自粛を強く指導をしてしかるべきでしょう。  ちょっとここで資料要求しますが、いわゆるサラリーマン金融を行っている業者数ですね、届け出数、うち実働数、それから貸付総額、平均金利、回収率、利用者数、庶民金融業協会加入者数、この資料を求めたいと思いますが、後ほどで結構ですが、よろしいですか。
  196. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 御指摘資料でございますが、いわゆるサラ金業者だけについての統計というのは、これは都道府県でもまだとっていないわけでございます。貸金業者全体の数字しかないわけでございますが、ただ、現在各都道府県で貸金業者の実態調査をしておりまして、その中ではある程度サラ金業を主体にしている者も分別できるような仕組みになっておりますので、その調査結果を待ちまして、極力委員の御意向に沿うような資料ができますかどうか、検討してまいりたいと思います。
  197. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃつけ加えておきますが、大手三十社程度の設立資本金、現行資本金、資本系列、店舗数、貸付残高の推移、そういう私たちに実態がわかる資料をあわせて御判断の上提出していただきたいと思います。
  198. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) いま大手三十社ということでございますが、その大手三十社をどのように選択するかが非常にむずかしいわけでございまして、全国的にどのような業者があるか、まだ実態も十分につかんでおりませんので、この資料を作成するのはかなりむずかしいのではないかと思います。
  199. 和田静夫

    和田静夫君 いや、あなたの方で判断の上で先ほど私が述べた資料について出されるとこう言われるから、したがってその三十社をどういうふうにピックアップするかも判断の上でという意味です。三十でなければならぬとは言いません。
  200. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) どの程度の資料ができるか、検討してみたいと思います。
  201. 和田静夫

    和田静夫君 次に、取り締まりについて伺いますが、全国で出資法違反で調査、検挙した数、そのうち金融犯罪取り締まり月間に検挙された数、これは警察庁おわかりになりますか。
  202. 小林朴

    説明員小林朴君) 取り締まり月間の状況はちょっとわからないんですが、昨年一年間に出資等の取り締まり法違反で検挙した件数は千二百四十五件、人員が千二百三十人ということになっております。
  203. 和田静夫

    和田静夫君 取り締まり方針でありますが、この出資取り締まり法違反の通報やあるいは取り立ての苦情については、どういう方針で処理をされるわけですか。
  204. 小林朴

    説明員小林朴君) 現在警察庁といたしましては、年間を通じまして重点の一つに挙げて取り締まりをしているという状況でございます。
  205. 和田静夫

    和田静夫君 次に、広告について伺います。  車内づり広告などに不当表示が目立ちますね公正取引委員会ではどういうような実態把握でしょうか、これ。
  206. 長谷川古

    説明員長谷川古君) お答えいたします。  私どもは、サラ金というよりは、従来から消費者金融につきましてかなり関心を持っていろいろ調べております。特に、従来はほぼ主として取り締まりの対象になっておりましたのは不動産の取引に関するローンでございまして、これにつきましての不当表示につきましてはかなりの数の件数につきまして排除命令を行っております。これは主として、銀行と提携しておらないのにさも提携しているかのごとく表示したり、あるいは実際上はかなり高い金利になるのにかかわらず低いような金利で借りられるように表示していると。これはほかの不当表示と一緒処理しておりますので、すぐ件数はちょっと調べ上げかねておりますが、かなりの数をやっております。  それからほかの消費者金融につきましては、昨年国民生活審議会の消費者部会等から、表示につきましての第一次答申案も出ております。また、さらに秋ごろ不動産等を含めた案が出るというふうなことを伺っておりますので、ことしになりましていろいろ調べておりますけれども、サラ金につきましての不当表示につきましては、いまの段階では、すぐこれは不当表示としてやれるというのはまだ見つけておりません。  ただ現在の表示の仕方にはいろいろ問題があるという認識を持っておりますのでいろいろ検討しております。ただ技術的にまだ検討を加えなくちゃならない問題もございますし、国民生活審議会の答申等も参考にしながら具体的な案を今後練っていきたいというふうに考えております。
  207. 和田静夫

    和田静夫君 電車の車内広告は大手私鉄で自粛の動きがあるようでありますが、国鉄を含め、あるいは指導の問題としてはタクシーなども含めてどういうふうにやられようとしているんですか、これ運輸省。
  208. 山上孝史

    説明員(山上孝史君) 先生指摘のとおり、現在国鉄とか大手私鉄等におきまして、駅の構内とかあるいは車内等にいわゆるサラ金広告、この掲載の例がたくさん目立つようでありますししかし、これらの鉄道事業者におきましては、すでに悪質であると認められるようないわゆるサラ金広告につきましては掲出をもうお断りしている。あるいは一層慎重に取り扱う。たとえば掲出基準につきまして、関係の向きと御相談の上基準を厳格にするというようなことで対処しております。運輸省といたしまししても、関係各省とも十分に協議いたしまして、悪質なサラ金業の認定の仕方等につきましてよく御相談をいたしまして、いわゆるサラ金広告の悪質なものにつきまして、鉄道事業者に対してその厳正な取り扱い方につきまして適切に指導してまいりたいと存じます。
  209. 和田静夫

    和田静夫君 テレビについて、直接的には民放連だそうでありますが、郵政省、これ同じ質問ですがどうです。
  210. 松澤経人

    説明員(松澤経人君) お答え申し上げます。  広告放送も放送番組でありまして、御承知のように、放送法によって放送番組の編集は放送事業者が自主的にみずからの責任において行うこと、こういうふうにされておりますので、郵政省としてこれに介入することは許されないところでございますけれども、各放送事業者が自主的に番組基準というものを制定いたしまして放送番組の向上に努めておるところでございます。御指摘のいわゆるサラリーマン金融、これの広告につきましても、全国の民間放送事業者が加入しております日本民間放送連盟の放送基準において取り扱われない、こういうふうにされているところでございます。
  211. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、利息制限法の問題でありますので関連して伺うわけですが、銀行系クレジットカードの実質金利というのはこれ幾らですか。
  212. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 銀行系クレジットカード会社の行ういわゆるキャッシングサービスの金利でございますが、これは現在の利息の取り方が、個々の具体的な日数いかんにかかわらず、一定の率、つまり三%で取っているわけでございます。これを利用日数を勘案して年率に換算いたしますと、利用日数が一番短い場合には二十五日、一番長い場合には五十五日になるわけでございますが、その場合の金利が一九%から四三%ということになります。
  213. 和田静夫

    和田静夫君 これ、大体いま言われたのは、一九・九%から四三・八%、平均二四・九%と理解していいですか。
  214. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 正確に申し上げますと、四三・八%と一九・九%の間でございまして、実際に利用している日数は平均四十日程度でございますので、それで見ますと二七・四%になります。
  215. 和田静夫

    和田静夫君 利息制限法を超えている会社については、これは当然是正すべきなんでしょうね。
  216. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 利息制限法につきましては先ほどいろいろ論議のあったところでございまして、大蔵省といたしましても、極力利息制限法の範囲内におさめてもらうことが望ましいとは考えておりますが、ただ、このクレジット会社の行っておりますキャッシュサービスにつきましては、十万円以下のきわめて小口の貸し出しでございまして、非常にコストがかかるということもございますし、それから一般の貸金業者の場合には、先ほどもお話し申し上げましたように、九〇%、一〇〇%というような金利を取っていることもございまして、そういうことを総合的に考慮いたしますと、もちろん決して好ましいことではございませんけれども、採算上現在程度の手数料、料率になっておるのではないか、このように考えております。
  217. 和田静夫

    和田静夫君 通産ですが、信販、チケット団体の実質金利もこれ利息制限法を大幅に超えている。是正指導をすべきですね、これは。
  218. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) お答え申し上げます。  信販会社、チケット団体、これは恐らく御質問のものは割賦購入あっせんの手数料の実質年率の問題だと思いますが、私ども承知しておりますところでは、これは割賦回数に応じまして実質年率が違ってまいりますんですけれども、信販会社の場合につきましては、カード、それから個品割賦購入あっせんとも、実質年率に直しますと一〇・七五%から一三・二五%という、これは割賦回数によりましてそんな程度になっております。  またチケット団体につきましては、これは中小企業の協同組合が行っているチケット事業の手数料でございますので、数も多く、手数料率も必ずしも同一ではございませんが、代表的なものを見てみますと、分割回数に応じまして大体一三・〇%から一五・七五%という範囲にあるというふうに承知いたしております。したがいまして、現在のところ、私どもつかんでおりますこのような実質年率の点からいきますと、利息制限法の範囲に大体おさまるのではないかというふうに考えております。
  219. 和田静夫

    和田静夫君 その一覧表は出していただけますか。
  220. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) はい、いまお答えしました資料、お手元に提出いたします。
  221. 和田静夫

    和田静夫君 どうもありがとうございました。
  222. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  223. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  224. 黒柳明

    ○黒柳明君 三大臣とも何か非常にお忙しいところを御出席いただいて、また御出席は当然と言えば当然なんですが、ありがたく思っております。また、国鉄の総裁、副総裁、理事の方、ゴルフ疲れのところと言っちゃ失礼かと思いますけれども、御出席いただきましてありがたく思っております。  私、ただ単に国鉄のゴルフと綱紀粛正と、こういう観点からこの問題を取り上げようと思っておりません。言うまでもありませんが、明後日には国鉄運賃の値上げ、運輸大臣が認可した、閣議決定している。こういう問題を控えまして、当然これは値上げのないことにこしたことはないわけであります。しかしながら、私も十三年間政治の中にいた者でありますから、値上げについてのある程度の理由もわからないわけではありません。しかしながら、これはまあ総裁あるいは運輸大臣がおっしゃっておりますように、三条件、企業努力。当然そういう努力をするその中心は、副業するよりも、企業努力するよりも、やっぱり幹部の姿勢というものがまず第一に国民に理解を得られるような姿勢から始まらなきゃ、どんな副業でこれから赤字を解消しようとか合理化でと、あるいはきのうの国鉄最高時速のリニアモーターが完成だと、国家的な予算をつけて企画をと、結構なことなんです。しかしながら、明後日に控えたこの国鉄運賃の値上げは法定制のまず第一回目、これから自動的に必要経費だけ上げればいいんだという国鉄総裁の姿勢でもないと思います。何とかやっぱりそこで値上げの率を抑えていかなければならない、こういう姿勢はありながら、やっぱり法定制の中で苦しい値上げを明後日するんではなかろうかと、私は私の善意でそう思わざるを得ない。  ところが、それもすべてやっぱり国民の皆さん方の理解、それを前提にしなければ、来年も値上げがあるだろう、再来年も値上げがあるだろう。その中において値上げするたびにやっぱり理解者がふえる、ちょっと矛盾みたいな話ですけれども、これはやっぱり公共料金というのは非常に問題があるわけでありまして、そういう努力もしなければならない。その中心は、何といってもやっぱり副業じゃない、一片の企画じゃない。それをつかさどる、つくる、やっぱり総裁以下幹部の姿勢にすべて中心、問題点があって、そこから発生するものだ、私はまあ若いながらこういうふうに考えているのです。  ですから、いま申しましたように、綱紀粛正というのは口を酸っぱくして言われております。ロッキードの一昨年の事件を出すまでもなく、そういう観点からひとつ両大臣に私質問したいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。  そこで、まず初めに官房長官、ちょっと古いことですが、私も十年前にこのゴルフの問題を国会で取り上げました。あるいは御記憶あるかと思いますけれども、これはそれを踏まえて昭和四十三年の十二月三日、当時の官房長官の通達なんです。「官庁綱紀の粛正について」、保利さんですね、この当時は。全部読むのは繁雑ですから、そのゴルフの分だけ読みます。こういうふうに書いてあるんです。これはお見せします。「2、常に公私の別を明らかにし、職務上利害関係のある業者等との接触に当っては、会食、贈答、遊技その他国民の疑惑を招くような行為は厳に慎しむこと。」と、会食、贈答、遊技、この遊技というのは、パチンコではありません。あるいはマージャンじゃないです。当時問題にされたゴルフを踏まえて遊技と、こう言った。「国民の疑惑を招くような行為は厳に慎しむこと」と、こういう通達があるんです。十年たって、官房長官若々しくなってもうフレッシュになっておりますけれども、この精神、通達というものは当然いまも将来も生かされるべきものだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  225. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまの黒柳委員の御指摘のように、官房長官といたしまして官庁の綱紀粛正について幾度か通達を出しておるわけでございますが、その一つとして、昭和四十三年十二月三日にも行っております。そして、いまお触れになりましたような内容を持った通達でございますが、これは現在もそのまま守らなければならない通達である、こういうふうに存じております。
  226. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然だと思います。  そこで、これはこれから七十五分にわたって審議するわけですが、一部新聞ですでに報道されておりますので、あるいは官房長官も御記憶、ごらんになったかと思いますけれども、たとえばの話にしておきましょう。官房長官は農林大臣もやっていらっしゃいました。また各省の次官もやっていらっしゃいまして、いまは政府の大番頭役です。たとえば農林省で農林省の幹部が——事務次官でも局長でもよかろう。その農林省とつき合いがある民間業者とゴルフをやったと、そしてそのゴルフの費用を庁費公費で払った。さらにそれは休日のみならずウイークデーもやっていた。さらにウイークデーに招待して庁費で払うのみならず、業者に農林省の幹部も招待されていた。さらに言うならば、農林省の幹部同士でもゴルフをやって、ウイークデー、祭日含んで、それを庁費公費でまた払っておる。こういうことがもしあったとしたら、これは許さるべきことでしょうか、どうでしょうか。
  227. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この通達にもありますように、やはり国家公務員としての立場、やはり国民に奉仕をしなきゃならない公務員としての立場がありますから、その立場を踏まえたやはり行動でなければならない、こういうふうに思っております。したがって、会食であるとか、贈答であるとか、遊技であるとかという点についても、そういう立場を踏まえて行動するのが公務員としての国民に対する義務ではないかと、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
  228. 黒柳明

    ○黒柳明君 行管庁長官、これは専門の分野じゃないですが、国務大臣としまして御見解を、同じようなことをお伺いしたいと思うんです。これは公務員ないし公社公団の準ずる職員、特になかんずく中心幹部、中心幹部というより最高スタッフ、そういう者が、この官房長官の通達を踏まえるまでもなく、ゴルフをやることが仕事である、仕事であるから公金を支出してもいいんだ、しかもそれが休日のみならずウイークデーもやる、しかも業者に呼ばれることはあたりまえ、さらに庁内の職員だけで部内ゴルフをやって、当然これも公費で払う。もしこういうようなことを公務員あるいは準ずる公社公団の職員がやっていたとするならば、これは福田内閣の国務大臣として、こういうものについてはどういう御感想をお持ちになるか、いかがでしょうか。
  229. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) ただいま官房長官が答弁したとおりでありまして、もしそういうようなことがあるといたしますれば、厳に綱紀粛正をすべきときに当たって厳然と正しくこれを処置していかなくちゃならない、こう思っております。
  230. 黒柳明

    ○黒柳明君 行管長官の方には、また行政監査の面でいろいろ御意見をお伺いしたいと思うんです。  運輸大臣、これも昭和四十二年の十二月二日、同じくゴルフが問題になったときに、当時の中曽根運輸大臣が通達を出しているんです。これもお手元にお持ちでしょうけれども、なかんずく、「業者の供応は辞退すること」、ここには「ゴルフ」と完全に書いてあるんです、遊技じゃなくしまして。「自己の費用負担によるゴルフ、麻雀についても、休日等を利用して行なう場合以外は厳につつしむこと。」と。「業者の供応は辞退」、これははっきりしています。「自己の費用負担によるゴルフ、麻雀についても、休日等を利用して行なう場合以外は厳につつしむ」、これは私はこう読めると思うんです。自分でたとえ費用を出してゴルフをしたとしても、 マージャンをしたとしても、ウィークデーにはやりなさんな、国民の疑惑を招きます、休日にやりなさい、自分で費用を負担しても休日以外にはやるなよと、こういうふうなこと、これは裏も隠しもないんです。またもう一つ言うが、公費じゃとんでもない話だ、ウイークデーに公費使うのはなおとんでもない話だ、さらに部内の幹部がやってそれを公費を使うなんというのはさらにさらにとんでもない話だ。さらにさらにそういうものがこれ幾らも、これから審議を詰めるんですよ。こういうことになるかと思うんですが、私の読みは間違っているでしょうか。
  231. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) おっしゃるとおりであると思うわけでございまして、その種のことを私みずからもちろんやったこともないし、周辺でもそういうことをやっているとは思っておりませんでした。はしなくも、このたびその種のことで新聞記事等を見まして、これはこれはと思ったような次第でございます。  これはこれはと思ったということは、そんなことは当然あり得べからざることだと思っていたからであります。したがって、そういうことでありとするならば、これは厳に対処する必要がある、こう考えておりますし、また国鉄の総裁等から私に対しても、これについては厳に慎むという意味で、後刻また当人等からもお聞き取りをいただきたいと思いますが、申し出ております。すでに過去においても運輸大臣たる者がその種の意思表現をしておりますが、それを待つまでもなく私は当然のことである、こういうふうに考えておりますので、今後もより一層そういう心構えで対処いたしたいと思います。
  232. 黒柳明

    ○黒柳明君 念を押すようでありますが、この精神は、いまも当然現福永運輸大臣の場合でも、将来もいくべきものであると、さらに、これは運輸大臣の通達ですから、運輸大臣の所管する省庁、公社公団全部これは適用するものである、こう理解してよろしゅうございますか。
  233. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 当然、さように私自身も理解いたしております。
  234. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで総裁、ゴルフでいろいろお疲れのところ恐縮ですけれども、きょうはひとつ——済みません。よく似ていらっしゃるので申しわけありません。総裁、厳にという運輸大臣の言葉がありました。もう大臣がそういう発言をするんですから、私は、総裁も相当腹を決めるなり、あるいは相当いろんなことを報告して臨まれていると思うんですが、これはただ単に新聞に出たことだけを追っかけていくのじゃ興味ありませんものですから、ひとつ総裁、新聞だけのことを聞くわいと、それはこう答えようとつくってきたもの、だめですよ、このストーリーは。ときどき変なのが入りますから、ひとつその覚悟で。  まず、一つずつ聞きましょう。いま申しましたように、これはもう八年前、十年前に指摘した点なんですね。これはいま言ったように、荒舩行管庁長官の方にひとつ監査ということをお願いしなきゃならないんですが、それはおくとしまして、いま現在国鉄が四十五カ所六十三口の法人会員権を持っていると、こう承っておりますが、そのとおりですか。
  235. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いま御指摘のとおり、四十五件六十三口を保有いたしております。
  236. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは将来どのように扱いますか。将来というのは、いまも含めてもう一刻一刻将来を刻んでいるわけですから、どういうふうに扱いますか、この件を。
  237. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私どもといたしましては、社会の誤解をかなり招いておりますので、できる限り全廃をしたいというふうに考えております。
  238. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、今度は総裁が答えてください。社会の誤解をかなり招いていると、何か社会が誤解していますか。正しい認識をしてませんか。正しい認識をするための材料提起が欠けていますか。誤解ですか、社会が。誤解じゃなくて、正確に国鉄の実態、幹部の実態をいま理解しているんじゃないですか、しつつあるんじゃないですか。どういうことでしょうか、誤解ということは。  それからもう一つ、徐々に廃止するということはどういうことでしょう。どういうことでしょう、いまの。——いやいや、総裁答えて。最高責任者。
  239. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 従来から、私ども企業がゴルフの会員権を持っておるということ自体が誤りであるという考え方は持っていないわけでございます。過去におきまして、この決算委員会等におきまして、十年以上前からそういう御議論をいろいろしていただきました。過去においてはその経理上の扱いが大変おかしいというふうな問題がございました。それを資産に計上するというような御指導もいただいたわけでございます。私どもも、そうした会員権を持っておるということ自体について、それ自体が誤りであるというふうには考えていないわけでございますけれども、しかし、その後の状況を見てみましても、どうもいろいろと使い方その他について問題があるわけでございまして、やはり単純にこの持つことがいいとか悪いとかいうことだけで考えますと、それ自体間違っていないと言ってみましても、やはりいろいろと問題を起こす可能性を内在をいたしておりますから、いま担当常務が申しましたように、これはなるべく速やかに処分をいたすということがよろしいというふうに考えておる次第でございます。
  240. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、八年前、十年前、専売公社持っていました。電電公社持っていました。国鉄、国会で取り上げました。すぐさまほかの電電、専売はやめたんです。破棄しました、脱会しました。いろんな公社公団の中でたった一つしか持っていない石油公団というのも、一株だけどだめだと、やめました。そして八年、十年たっているんです。二回やりましたから、国会で。いいですね。その法人会員権を持つことは悪じゃない。だけど、持つことと使うことと一体じゃなきゃ持っている意味はないんじゃないんですか。国鉄が法人会員権を持っていて、うまく使えばそれはいいんだということですか。どういう使い方ですか、うまく使うというのは。
  241. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) これは国鉄といえども、公共企業体ではございますけれども、同時に商売をいたしておるわけでございますので、その面ではいろんな交際がございます。そういう意味で、本来持っておってよろしい、そしてそれを上手に使えばいいんだということだと私は思っております。しかし、現実になかなか境目の問題がありまして、そうどれもこれもどの使い方もりっぱなものだというわけにもなかなかいかない、足をはみ出すということがございますので、かねて来先生の御指摘もございましたから、この際は処分してもよかろうというのが現在の考え方でございます。
  242. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、どう使えばいいのか、りっぱな使い方の例を言ってごらんなさい。過去においてりっぱな使い方の例。
  243. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私どもはやはり営業でございまして、お客さまに乗っていただく、荷物を運ばせていただくということで商売をいたしておるわけでございますから、やはり商売上のおつき合いはあるわけでございまして、そのためにいろいろお願いしなきゃならぬという場合もあるわけでございまして、そうした場合にお客様といろいろな形でおつき合いをするということは間違っていないと思っております。
  244. 黒柳明

    ○黒柳明君 さあ、三大臣とも。国鉄総裁だけが任期ついて八年、十年じゃないでしょう。任期ついて二年、三年でしょうか、高木総裁。だけど、代々破棄しないで、処分しないでやっていたんですから、これからその実態を言います。大体新聞で先行していますから、それだけじゃないですけれども、一応冒頭からそういう議論をしているわけですけれども。  官房長官、絶対うまくないとおっしゃった。国鉄総裁は、いや、こっちは商売なんだから、ほかの公社公団は、ほかの政府の関係は何やったっておれたちはやるんだと、この内閣官房長官の通達にはがんとして弓引いていますね、総裁は。  荒舩行政管理庁長官、専門の行管の監査の方はまた次に。厳にいけないと、とんでもないとおっしゃったこの通達に、国鉄総裁は、おれはそんなことはないと、弓引いていますよ。内閣官房長官、運輸大臣。運輸大臣通達はおれは守らないと、こんな通達なんかくそ食らえと——これはいまおっしゃらなかった。というようなことを言うような姿勢であったと。どうですか、官房長官、運輸大
  245. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 委員長……
  246. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと待ちなさい。いまこちらに聞いているんですから、待ちなさい。国会というところは国鉄と違うんだ、総裁の独断で何でもできるところじゃない。待ちなさい。大臣に聞いているのに、おまえ大臣か。いつから大臣になった。分をわきまえろ。——済みませんね。私、二年間余り大きい声出していないものですから、ちょっと大きい声出して済みません。委員長、申しわけありません。大臣に聞いているんですから、大臣が答弁する。あなたが大臣になったときは答弁させてあげますよ。いつかなりなさい、大臣に。どうですか、官房長官。
  247. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほども申し上げましたように、官房長官の通達は今日といえども生きておるわけでございまして、厳としてこれは守っていただかなければならぬわけでございます。そういう状況の中にあって国鉄がゴルフ問題でいろいろと問題が起こっていて、国民の疑惑を受けておるということは非常に残念でございます。ただ国鉄が、先ほど国鉄総裁がお答えになりましたように、ゴルフの会員権を持つことが営業政策——国鉄も公共企業体でございますから営業政策があるわけでありますが、この営業政策上、ゴルフの会員権は必要であるということで、節度を踏まえたこれが使用ということまでは、国鉄自体のこれは問題であろうと私は思っておるわけでございます。しかし、通達の趣旨は厳としてもう生きておりますし、節度を超えた国民の疑惑を受けるようなそうした振る舞いというものは、これは厳として慎まなければならぬ課題であると思います。
  248. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は、運輸大臣、答弁願いたい。節度を守ったやり方があるのかしら。いいですか、ゴルフが仕事の一環であって、これで公費を使うことができる、そういう節度をどうやって守った場合にいいのか、官房長官。いいですか、ゴルフは仕事の一環、それで公費でやるんです。どういうふうにしたら節度を守ったことになりますか。官房長官、もう一回。それでその後、運輸大臣の通達違反ですから、どういう対処をしますか。官房長官、どういうふうにやればいいんですか。ゴルフを業務、仕事の一環として公費を使ってもいいという節度のやり方は、どういうふうにすればいいんですか。やってもいいということを認めるよりほかないじゃないですか。いいんですか、それで。
  249. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私、常識的に見まして、国鉄がゴルフの会員権を持っていること自体がその通達に違反しているというふうには考えておりません。そのゴルフの会員権をどういうふうに使うかということは、これは国鉄自体の私は問題じゃないだろうかと思っておるわけですから、国鉄自体がその節度を越えたような使い方をするということは、これは厳として慎まなければならぬわけですが、あくまでも国鉄自体のゴルフ会員権の使い方次第である、こういうふうに考えるわけです。
  250. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先ほどから相矛盾するがごとき話も出ておりますが、私はこれらの話をこういうふうに理解をいたしております。  総理論的に考えた場合と現実問題としての処理、そういうものはよく分けて考えて、誤解の生ずる余地のないようにしなければならない、こういうように思います。国鉄総裁は、聞いておりますと、さっき国鉄も商売をやっている、営業をやっているから、まあときにゴルフを活用する、こういう言葉は使っておりませんが、私の物の考えようといたしましては、活用するとか善用するというようなこともあり得るような表現でありますが、世上、ゴルフをやっていろいろ取りざたされることというのは、そういう理論的には善用、活用であるというようなことは実際はなかなかむずかしいんだろう。そこで、私は運輸行政をやる責任者といたしましては、厳にさような誤解を生ずるようなことは避けるべきことが望ましいのである、こういうように思います。  よって現実的な問題といたしましては、方向はおおむね国鉄総裁もそういう方向へ向いたようなことを言っておりますが、これも向いたような向かぬようなというふうに解釈されてはいけませんので、この際、そのあたりを明確にする必要がある。私は、少なくとも運輸行政をあずかる責任者といたしましては、現実的にかく問題を処理すべきものである、こういうふうに考えます。
  251. 黒柳明

    ○黒柳明君 たびたび言うように、行管長官は守備範囲じゃないんですけれども、一大臣としまして。官房長官の方はちょっとおかしいです。ひとつまたあと最後までいてもらわなきゃならない。これは政府のやっぱり責任者ですからね。  どうでしょうかね。ゴルフ権を持っていること自体がもうこれは悪じゃないと。だけれども、公社公団みんな離したわけです。国鉄オンリーなんですよ、いま持っているのは。それで、やったことに正しい理由づけは何にもない。やったことがいいんだったら、こんな問題を十年後にまたやられる必要ないわけでしょう。持っていることに問題があったからいけないんじゃないですか。持っていることが悪いとは思わないという発想ですと、これからも持っていきますよ。じゃ、どうやれば国民の理解を得られるんですか。国鉄が営業だと言ってゴルフをやることを合理化、内閣官房長官がしたとなったら大変なことじゃないですか。やらないゴルフ会員権なんか何必要あるんですか。持つこととやることと一体と私言ったじゃないですか。官房長官、よく聞いてくださいよ。官房長官のはおかしいですよ、答弁が。持つことやること一体、そこにいいこともあった、悪いこともあった、だけれども悪いことがあったから、誤解を与えるからやめるんだと、こんなもんじゃないじゃないですか。あらゆる省庁、公社公団を含めて国鉄だけしか持ってない、国鉄だけしか。通達に違反してやってきた総裁、考えを持っている幹部もいない。いいですか、持っていることをいいとするなら、それをうまくやればいいならば、これからもうまくやっていくんだ、だけれどもまたミスが出ちゃった、誤解を与えた。繰り返しになりますよ。だから、直ちにいまこの時点でやめるべきだ、と同時に、過去に対する深い反省と責任を自覚しなきゃ、将来に対しての検討なんということはありません。この場で全廃です、そんなものは。検討なんてなまやさしいものじゃないんじゃないですか。と私は思うんですが、ひとつ賢明な荒舩大臣の見解をお伺いしたい。
  252. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 先ほど来、運輸大臣、いわゆる国鉄を監督する立場の責任者である運輸大臣の御答弁があり、私はそのとおりであると思っております。  しかし、国鉄総裁が言いかけておられて、途中から黒柳さんが余りでっかい声したもんだから、少しこう何て言うんですか、私は行政管理庁の立場といたしましては、やはりこれは国鉄自体が疑惑を受けたり、国民にいろいろな批判を受けたりすることはよす方がいいと思うんです。そうして、いまそれを監督している運輸大臣からの御発言があったんですから、私は一国務大臣としては、いまの運輸大臣の答弁が正しい、こうすべきだと、こう思っております。まだ国鉄はいろいろなことがあって、財政の建て直しをしなくちゃならないし、事故のいろいろな多発の問題もあるし、ゴルフなんぞやらなくたっていいときなんだ。まあそう言い切ってはまずいかもしれないが、国民に対してはもっともっと厳然たる立場でやってもらわなくちゃ困ると、こう思っております。私の、少し行き過ぎているかもしれませんが、そういう見解でございます。
  253. 黒柳明

    ○黒柳明君 総裁、長官から怒られた、総裁に話させろと。どうぞ話してください。
  254. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 先ほど来官房長官なり運輸大臣からお話がございますように、私どもは、持っておりますこと自体、あるいはまたそれによりまして土曜日、日曜日とか祝日であるとか、そういうような時期に、常識的な範囲内で、おつき合いをいたしております方々との間のおつき合いの一つの方法、手段として、ゴルフの会員権を利用させていただくということは間違ってないと今日まで考えておったわけでございますけれども、しかし、先ほど来先生から御指摘がございますように、その境目がどうかというような問題になってまいりますと非常にむずかしい問題がございますので、現在の今回御指摘を受けましたことでいろいろ考えまして、この際はおっしゃるようにひとつ速やかに処分をしてしまいたいというふうに考えております。この問題はそうした方が、理屈を言っているよりは現実問題として、いま運輸大臣もお触れになりましたように、現実問題としてその方がいい解決方法だと御指導、御指摘がございますので、そういうふうにいたしたいというふうに思っております。
  255. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は境目がどうだなんという質問をしたことないですよ。全部だめだと言っているんですよ。境目なんか別に言ってません。会員権を持つことがだめだと、そういうふうに通達があって、そういうふうにしているんだから、国鉄だけか営業——ほかだって営業いっぱいやってんじゃないですか。国鉄だけが営業だからということを理由にして、ゴルフをやりながらつき合いできる、つき合いできないんだ、そんなばかなことが許されますか。  アメリカの例を出すまでもなく、あのニクソンさんが百ドルの接待ゴルフ費を払わないで血祭りに上がったんですよ。長官知っているとおり、上院で。百ドル、当時二百六、七十円だから二万六、七千円ですよ。アメリカの大統領でも——ゴルフなんか日本の十倍の人口があるんです。まだまだ日本じゃ、そう言っちゃあれですけれども、そんなに大衆化されておりません。そのアメリカですら、大統領が百ドルの接待ゴルフ費を払わないために血祭りに上がったんですよ。民主主義の国というのは、自己の責任に対しては厳然と負う、だから自由なんです。  国鉄は逆ですよ。私は境とかなんとか言ってない、全部だめ。官房長官、国鉄に運用を任せるなんという発言はおかしい、国民が聞いたら。私はそういうふうに思います。官房長官、これからひとつじっくりやりますから聞いてごらんなさい、どれほどおかしいかということを。  さっき、くしくも日曜日、休日につき合いでやるならばという点を聞きました。順序がありますので、質問をつくってあるストーリーがありますので、私、逆にしちゃうと、ばかだからわからなくなっちゃうので、それをやりますから覚えておいてください。本当に日曜、休日に法人会員権を使って常識の範囲でできるかどうかということを指摘しますから。いま言いましたな、それならばいいと。そのことを言いますから覚えておいてくださいよ。  一つ一つ聞きましょう。  副総裁、副総裁——あれ、副総裁どうした。
  256. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 委員長、田口でございますが、御答弁いたします……
  257. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと待って。  それでよろしいか。
  258. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、副総裁と常務理事をちゃんと書いて出したでしょう、これこれしかじか。副総裁どうした。
  259. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 現在視察旅行中だそうです。
  260. 黒柳明

    ○黒柳明君 何を言ってるんだ。二週間も前から通告し、さらに混乱するからと言って、複雑なんで何月何日どこで何をやった常務理事と、名前出てますよ、呼んでください。副総裁一人っきゃいませんから、呼んでください。なぜ——きのうの遅くまで私は電話で話し合った。いつ立ったんですか。きのうじゅうには立てませんよ。けさ何時、どこに立ったんですか、副総裁は。
  261. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) いまの釈明をまずしてください。
  262. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) きのうの電話を私もそばで聞いておりました。副総裁は、前から仙台地方の地震で非常に復旧に努力をした職員を激励するとともに、復旧状態を視察をいたすために前から計画いたしておりました仙台出張を本日のけさ出発をしたわけでございます。
  263. 黒柳明

    ○黒柳明君 国会委員部としてはきちっと通告しましたね、二回、三回。総裁、運輸大臣、国会の院の通告というものを全く無視して行っちゃったんです。どういうことですか、これは。総裁、総裁の命令があったわけでしょう。総裁の命令を聞いて行ったわけでしょう。総裁の関知しないで行っちゃったんですか、副総裁は。国会の要請を無視して行ったんですか、副総裁は。どうですか、総裁のところには届けありましたか。総裁、許可しましたか。答弁。——総裁だ。あんまり大きい声出すと、ぼくも四十半ぱで血圧上がるからね、頼みますよ。済みません、総裁。  いや、これはもう再三再四通告しましてね、それで混乱するので、名前出てないんで、何月何日だれと——相手がいるんですゴルフをやった相手が。出してくださいと委員部にはちゃんと書いて出してます。副総裁が立て役者なんだ、総裁を補佐する。ずらっとやってるんだ。総裁、答弁させなさいよ。
  264. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) ただいま田口常務理事が申しておりますように、前々から仙台の職員の激励に行くことになっておりましたものですから、用務が二つ重なったのでどうするかということで、私の責任において、当委員会には私が参りまして御答弁申し上げるということにいたしたわけでございまして、その連絡その他不十分な点があったことを深くおわびいたします。
  265. 黒柳明

    ○黒柳明君 これ、資料をひとつごらんください。——これは副総裁か立て役者てしてね。これは副総裁が実際やってるんです。公費を使ってこんなに。国会議員も、某官庁の幹部もやってるんです。副総裁が十万も公費を使って、副総裁がですよ。いつですか、通告をしたのは。相当前でしょう。きのう改めてメモで出しましたね。再四やっている。さらに常務理事なんかでも、要するにここも常務理事でしょう。これも常務理事でしょう。わからないんです。十二月二十五日、国会議員とやった常務理事、こういうふうにちゃんと書いて出したんですね。それが二つ仕事があったからそっちとは、どういうことですか。どうしますか、委員長これ。二つ仕事があった、二つ仕事があったから国会おっぽって行っちゃったんだ。  運輸大臣、どうですか。二つ仕事があったから、国会の要請あったけど、おっぽって行ってちゃったんだ、仙台に。運輸大臣、これほどおかしい姿勢ないじゃないでしょうか。ことほどさように気が転倒しちゃってるんじゃないでしょうか。こういう人たちに運賃値上げなんかさしたら大変ですよ。まあこれは後でやりましょう、楽しみにしておきますから。いなくなっちゃった、副総裁。
  266. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際、黒柳君の発言について委員長の見解を申し上げますが、黒柳君の御発言はきわめてごもっともだと思います。ただ、現実に副総裁がおらぬのですから、副総裁の答弁を求めることは事実上不可能であります。そこで、やはり国鉄総裁が全力をふるってあたう限りの答弁をかわってするということを求めるほかにはないと思いますので、その失態は失態として、そのように質問を続行してください。
  267. 黒柳明

    ○黒柳明君 私も十三年国会におりますが、こういうふうに委員会がばかにされ、一個人の議員の権威というものが失墜されることは初めてです、後にも先にも。これからもないでしょう、こんなばかなことは。いいですね。これはもう先生方も聞いてのとおり、二つ仕事があったから、仙台へ行っちゃって国会をおっぽっちゃったんだ。委員部だったって、これはもう本当にあいた口がふさがらないと思う。せっかくの委員長の要請がありましたから、ひとつ全力を挙げて答えられて、答えられなかったら、直ちにこれは取りやめさしてください、当事者いないんですから。よろしゅうございますか。それだけ確認さしていただいて、総裁が答えられる範囲で答えていただく。私の質問で答えられなくなったら、当事者がいないんですから、具体的に通告したにもかかわらず。私の質問はこれで取りやめ、速やかにやっていただく、再開していただく。この約束していただけますか。
  268. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと最後の点、よくわかりませんので、もう一度。
  269. 黒柳明

    ○黒柳明君 速やかにひとつやっていただくと、もう一回。副総裁いませんものですから、それだけ約束していただければと。
  270. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) いまの黒柳君の御発言についてですが、まあきょうは国鉄総裁、あなたが誠意をもってできる限りの答弁をしてください。そして答弁し得ない問題については、黒柳君の御要請のように、あたう限り早い機会に、もう一度決算委員会を開きたいと思います。そのように計らいます。よろしいか。
  271. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまのが一つ。もう一つあります。いま申しましたように、少なくとも国会でこういうケースは初めてではないでしょうか。それに対して、委員長なりにひとつ、院の権威の失墜でありますから、私は一委員ですから、その通告じゃなくて委員長として通告されてるんですからね、委員部から。それが無視された。その委員長責任だなんて大それたことは私は言いません。その委員長の責務、責任の中で、ひとつしかるべく、所管大臣の運輸大臣に申し入れにとどまらず、当人に対する何らかの処分をしていただく、それを含めてひとつ約束してください。
  272. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際、運輸大臣の発言を許します。
  273. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 黒柳さんがこれからどういうように質問をなさいますかということは、私、必ずしも明らかにしておるわけではございませんが、恐らく御主張になるゆえんのものは、まあ大体常識的に一般的なことなら、総裁がおればそれで間に合うわけですが……
  274. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃないんだ。
  275. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) ところが、恐らくそれでなくて、副総裁本人に深くかかわり合いのあるような問題であって、本人がおらぬとぐあいが悪いと、こういうことだろうと思うんです。そういうことであるとするならば、きのうもお話があったというんですから、どうも副総裁、そういう中を、きょうは自分がいなくてもいいという判断か、何とかなると思った判断かであろうと思います。
  276. 黒柳明

    ○黒柳明君 何ですか、お話あったって。
  277. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) まさかわざわざ逃げるような男でもないです。
  278. 黒柳明

    ○黒柳明君 何にもないですよ、お話なんか委員部に、いま言ったように。
  279. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) そうですか。いや、きのう電話でどうとかといった……
  280. 黒柳明

    ○黒柳明君 電話で、何とか副総裁、常務理事ね、欠席を認めてくれないかと、それはだめだと、こういうことですよ。
  281. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) そういうようなやりとりがあったということを踏まえて考えますと、大体いてしかるべきものだと私は思います。
  282. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然そうです、あたりまえです。
  283. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) そこで、それがいないということ等につきましては、本人帰りましたら、しょせん、私の所轄するいわばなわ張りの中でよく調べ上げまして厳重に対処したいと、こういうように思っております。そこでどうぞひとつその副総裁がいないで間に合うようなところは御質問いただいて、このままこれでやまってしまうというと、大分あなたの質問に期待している人も国民もおりますから、これ続けていただきまして、それでどうぞひとつ審議に足らざるところを改めてやっていただくということに願えればというように、私は所管大臣として黒柳さんにお願いをいたしたいと思います。
  284. 黒柳明

    ○黒柳明君 きょうは行管庁長官にしかられ運輸大臣から激励いただき、非常に私光栄だと思うんです。国民の皆さん方、相当私に激励の電話、はがきがこんなに来てます。そりゃ反応は物すごいです。値上げを控えています。それじゃ総裁、全力で答えてください。答えられなかったら、いま委員長からありましたように、もういたし方ない。  昭和五十二年の八月の七日、官庁関係副総裁ほか一人が官庁の幹部二人とゴルフをやっています。我孫子ゴルフカントリー、九万八千円の公費を使っております。これはどこの官庁で、幹部の名前二人だれですか。
  285. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと黒柳君に伺いますが、常務理事でよろしいですか。
  286. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構ですよ。
  287. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 八月の七日、これは信義上の問題もございまして、こちらがお願いをして御招待を申し上げましたので、官庁の名前及び当人の名前は申し上げるわけにはまいりません。
  288. 黒柳明

    ○黒柳明君 信義上……。九万八千円の国民の税金を使っているんですよ。  それじゃ聞きましょう。これ当事者じゃないんで何とも残念なんですけれども、どういう目的で某官庁の幹部二名とゴルフやって十万の公費を使ったんですか、理由
  289. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いろいろと理由はあると思いますけれども、現実に表の仕事ではございませんので、こういう人間同士のつき合いとか、あるいは事務連絡とかというようなことで関係を深くしていくと、相互に国鉄のいろいろの面を理解していただくというようなことを含めましておつき合いをしたというふうに御理解を願いたいと思います。
  290. 黒柳明

    ○黒柳明君 さあ官房長官、こんなことを政府として許していいですか。もう私は繰り返しません。いまの答弁、こんなばかなことで国民の税金使えますか、許されますか。表の仕事じゃない、裏のことです、おつき合いでです、言えません、名前はと。だから、さっきの官房長官の答弁おかしいじゃないですか、考えてください。運輸大臣、どうですか、いまの答弁。運輸大臣。
  291. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 私もいまの話を伺っていて、黒柳さんのおかしいという御表現がございましたが、おかしく思います。しかし、よくよくのことで一生懸命にやったんだろうという、いささかの推測はできないでもございませんが、しかし、そういうことはなかなか通らないと思います。でございますから、私は私でなお、ここでのやり取りはこれはこれといたしまして、私は私で調査をしてみたいというふうに考えます。
  292. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官、いろいろお仕事があるということを聞いておりますのでね。要するに会員権を持つことはいいんで、後の運用——国鉄というのはおかしいんです。まだこれは初めで、これからいくんで残念ですけど、官庁の幹部です。それとゴルフをやって公費を出して、これは言えませんと、こんなばかなことがあったら国民がどう見ますか。それであさって値上げです。こんなばかなことが許されますか。だから会員権を持つことが悪だと、こういう発想でなきゃだめだとさっき言ったんです。これはまだ実態の一つですよ。もう一回再答弁してくださいよ。
  293. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 会員権を持つことによっていま現実的に非常に弊害が出てくる、国民の疑惑を招くというふうな事態が起こっておる、そしてその点について御指摘をいただいておるということはまことに残念でありまして、政府としては、やはり綱紀粛清ということは官房長官名をもって何度も通達をしておるわけでございますから、これはもう全公務員あるいは公共企業体についてもこれを厳として守っていただかなきやならぬわけでありますから、そういうふうな国民の疑惑を受けるような事態が明らかになっておるということになれば、これはもう会員権自体も直ちに全廃をしなきゃならぬ、そういう筋合いのものでなければならぬと、こういうふうに思います。
  294. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構ですよ。  国鉄総裁、このケースはあなたが是とするケースですか、正しい使い道とするケースですか。——いや、これはもう総裁のやっぱり判断でしょう。
  295. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 純粋の意味で商売とはちょっと言えない例ではないかと思います。
  296. 黒柳明

    ○黒柳明君 うまくない……。
  297. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) うまくない。
  298. 黒柳明

    ○黒柳明君 うまくないならば、さっきの常務理事の発言を撤回して、すぐ名前出しなさい。委員長からも言ってください。まずい例がここにあって公費が使われているなら、この名前を早く公表しなさいと委員長から要請してください。
  299. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 私もだれであるか知らないわけでございますけれども官庁関係であるとすれば、そういうことに使うのはうまくないと思います。ただ、どういう事情であったか私も存じませんので、友人関係その他信義の問題として名前を言うことは御勘弁願いたいという気持ちはおくみ取りいただきたいと思います。
  300. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) この際委員長から申し上げますけれども、公費を使ったということですから、プライバシーの問題を余りここで論ずることは適当でないでしょう、公の問題なんですから。別段業務上秘密というほどのこともないし、それは答弁してください。
  301. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いま委員長からのお話ももっともだと思いますけれども、この際やはり信義の問題もございますので、どうかこの場におきましては御勘弁を願いたいというふうにお願いを申し上げます。
  302. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 質問者としてはどうしても言ってほしいというんですからね。
  303. 黒柳明

    ○黒柳明君 委員長、さらに六月二十六日、常務理事、これはわかりません。その人を請求してあるんです、来ているかどうか。官庁幹部三名、九万二千円公費を使っています。この名前も言っていただきたい。
  304. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) この問題につきましても、先ほどの御指摘の問題と同じように、この際官庁名及び個人名を申し上げることは遠慮させていただきたいと思います。
  305. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) ちょっと委員長としてお伺いしますが、それは言えない理由というのは何があるか、信義の問題とか言ったな。
  306. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 委員長からの御指摘もございましたけれども、こちらがお願いを申し上げましてお呼びを申し上げましたので、どうかこの場におきましては官庁名と個人名を申し上げることを御勘弁をいただきたいというふうに考えます。
  307. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 委員長及び委員の皆さん、特に御質問者の御当人である黒柳さんにお願いしたいのでありますが、私は先刻この問題について、私自身も内容はかいもく知りませんが、ひとつまず私に調べさしていただいて、その上でひとつ御相談をさしていただけませんでしょうか。いまのお話で、答えなくてもいいということは、それは皆さんおっしゃるはずもないし、そういうことを申し上げることは私はいかがかと思います。
  308. 黒柳明

    ○黒柳明君 委員長からもいろんな提案がありました。大臣からも提案がありました。私も提案しましょう。  結構です。ただし、明後日の値上げについて非常に国民は関心を持ち、この問題を中心にして批判しているんです。いいですね。それについてこの実態を速やかに調べて、もし不適切な面があったら、閣議決定ですから総理大臣になりますな、値上げについてまでも考慮する、あるいは総裁、副総裁、幹部の進退出処まで考慮する、これは調べてくださいよ。調べた結果不適切ならそれをやるということを断言していただくならば私は結構です。
  309. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) ただいまのお話しの点は、ぜひこれから私が申し上げるように御理解をいただきたいと思います。  その調査があるので、運賃を上げる上がらぬということに、話によっては運賃値上げをやめるんだということになりますと、事また大変なことになりますししますが、そういうことを一部に心配しつつ調査をするというような事態であることをよく私は認識をいたしまして、厳重に調査をいたしまして、これに対してとるべき適切な処置は私は私としてとりたいと思います。調べないうちにどうしますということはとても申し上げることじゃございませんので、その辺はひとつ、私も私なりの性格でございますから、厳に対処したいと、こう思いますので、その処置をとることについて御理解をいただきたいと思います。したがって、いま別にそうおっしゃったわけではございませんけれども、明後日の値上げという問題を控えての時点においての大切なことでございますから、それを頭に置きつつ私は対処いたしますから、それはそれとして、明後日のことは明後日ということで進行させていただくように、私からもお願いを申し上げておきたいと思います。
  310. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、これは私ごときにお願いされる問題じゃありませんで、いま言ったように、閣議決定された問題ですから。だけど、これは素通りできませんよということです。と同時に、総裁以下の幹部の進退出処までも頭に入れてもらう。一番初めの答弁はそれを心配しつつと言ったから、もし調査の内容によってはという感じもしたんですけれども、いや、値上げは値上げだと、これはこれだということじゃちょっと私納得しかねる。
  311. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 黒柳さんのおっしゃる意味がよくわかるようなよくわからぬようなところがあります、あるいは私の頭が悪いのかもしれませんが。厳粛に私は考えて厳粛に対処したいと思っております。そこで、あとの半分は本当は黒柳さんのいまのお言葉からすると申し上げなくてもよかったのかもしれませんが、根が正直でございますので申し上げたんでございますが、そういうように厳しく対処いたしますということを申し上げ、それで本当はいいのかもしれませんが、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  312. 黒柳明

    ○黒柳明君 私もわかったようなわからない。半分わかったような半分わからない。まあ時間もありますので、ひとつこの問題、委員長からもう一回念を押して下さい。これはもう冗談事じゃ済まされない問題であるんです。くどいようですけれども、国民が明後日の値上げでどれだけ深刻にまた家計苦しめられるか、さらに物価が相当はね上がるか、もう知っての上で値上げする。それについてはやむを得ないものはあるでしょうから、委員長、いいですか、速やかに調査してもらう。そしてその速やかにというのは、あさってのことですから、きょうじゅうないしはあしたいっぱいまでにひとつ委員長報告してもらって結構、委員長が記者会見してもらって結構。それを委員会の場にかえて国民に教えてくださいよ。どうでしょうか、大臣。速やかに調査してもらって、進退出処も明後日の値上げも含めて、調査内容によっては厳とした態度をとる。それについては残念ながらきょうここではない。報告といったって一人一人できません。大臣から委員長報告してください。委員長はそれを何らかの手段で速やかに国民に知らせてください。それをこの場の委員会での再報告にかえたいと私は思うんですが、委員長、いかがでしょう。
  313. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 速やかに調査し、善処いたすことにいたします。
  314. 黒柳明

    ○黒柳明君 あしたいっぱいに。
  315. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) それでは福永運輸大臣に申し上げますけれども、だれとゴルフをしたというようなことがさしたるプライバシーにふれる問題でもありませんし、また特に秘匿を有する実質的な秘密であるとも言えませんし、余り深くこだわらずに、ことに国鉄総裁は、業務上そのようなつき合いをすることが本質的には国鉄の業務の上でいままでは悪いと思っていなかったとおっしゃっているわけですから、これは調査して速やかに委員長報告していただけますか。
  316. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 委員長に御心配をいただいております点は私もよくわかるわけでございます。ただ、国鉄の幹部諸君としては、国鉄がお呼びしてこういうことになったら名前を言われちまったんじゃ、今後、うっかり国鉄の言うことを聞いてごちそうになんかなったら大変だというようなことになったら、こいつもまたこれで考えなきゃいかぬと思います。しかし、いずれにしても、そういうことで疑惑を持たれること全体がいけないと思います。いま委員長のおっしゃいます点につきましては、国鉄の諸君も、恐らくは、こういうところでいままでのような経過でということになりますと、自分たちが非常に信義を疑われるということでつらいであろうということもわからぬではございません。そこで別途、私、調査いたしましてしかるべき方法をとらしていただきたいと思いますので、大体委員長及び黒柳さんのおっしゃる御趣旨に沿えるものと私は思います。
  317. 黒柳明

    ○黒柳明君 これはあと大臣、委員長にお任せしますよ。  そこで、まだ全貌にはいかないで時間どんどんたっちゃうんですけれども、会計検査院と長官にお伺いしたいんですが、内部でゴルフをやっているわけです。さらにいろいろな招待ゴルフ、公費を使う、あるいは招待されゴルフ、いろいろあるんですよ。これ一回——私の調査では全貌なんかつかみ切れないんです。ごくごく一部だけつかんでいるだけでも相当問題なんです。ひとつこれを会計検査院として検査していただきたいと、こう思うんですが、いかがでしょう。
  318. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 会員権を使用しまして部内だけでプレーをし、またこれを公費で賄うというような事実がありますとすれば、これは非常にゆゆしき問題でございますので、私どもも、ただいまの先生の御指摘を念頭に置きまして、今後この方面のことも厳重に検査していきたい、このように思っております。
  319. 黒柳明

    ○黒柳明君 荒舩大臣、この問題はいま始まったんじゃないんです、八年、十年前から国鉄はやっているわけですから。内部監査も——まあ福永運輸大臣が悪いということは言いませんけれども、いわゆる歴代の運輸大臣が内部監査をやってこなかったんですね。ですから、ひとつ行管庁長官としまして、これだけの事実を、まだまだいっぱいあるんですが、時間がありませんもので結論の方から先に持ってきちゃったんです。ひとつ行管庁長官として、要するに部内監査をやるべきだと、こういう勧告をしていただきたい、いかがでしょうか。
  320. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) さっきから御質問、いろいろの点でまことに聞いていても愉快でない問題でございます。まあ国鉄は大変な赤字をしょっておりまして、一体、国鉄どうするんだろうと、財政の立て直しはどうやってできるんだろうというような問題もある。いろいろ地震もある、事故もなかなかたくさんありますし、いろいろむずかしい問題があると思うんです。ですから、総裁がゴルフの会員権も売っちまうんだと、きれいにするんだという、まことに結構なわけで、しかし、これは国鉄自体の問題でございます。いかにわれわれが監査をする、また勧告をするといっても、国鉄自体でひとつ大いに考え直しをしてもらわなけりゃだめなんです。同時に、その監督をしているのは運輸省ですから、よく国鉄自体及び運輸省で御相談をいただいてひとつ大いに粛正をしてもらう。聞いていても気持ちの悪いような話で、私なんか気が弱いからそんな話を聞いていると胸が悪くなる。こんなときになぜそんな問題を、ゴルフなんかに招待して、また招待されたやつもされたやつで、そいつを発表しちゃ困るような人を招待するばかはないと思う、私は。それを発表できないんだと、何もかにも聞いていて胸くそが悪い。そんな時期じゃありませんよ、いま。ですから、ひとつ運輸省でよく案を立てていただいて、そしてその上でなおまずいときには私の方でひとつ行政監察の立場で大いにやると、それからなお、それがなかなか遅々として進まないというときには勧告もいたすことはやぶさかではございません。しかし、国鉄自体でひとつしっかりやってもらわなくちゃならぬ、また監督官庁の運輸省でやってもらって、そしてなおそれでもなかなかできないという場合には、もちろん、いまのお話のように、監査もいたしますれば勧告もいたすことをいたしますが、まず国鉄自体、運輸省、しっかりやってもらって、こんな話は二度とないようにしてもらう、そうして私の方は決断を下すと、こういうことでひとつ御了解を願いたいと思います。
  321. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間もありません。  国鉄総裁、さらに五十一年度はもう御存じのように、高崎、名古屋、それから千葉の鉄道管理局区内で、局長を中心にして、六月十日木曜日、六月十一日金曜日、七月八日木曜日、七月十日土曜日、七月十九日月曜日、八月五日木曜日、八月二十六日木曜日、九月八日水曜日、九月二十三日木曜日、九月二十四日金曜日云々。ウイークデーゴルフ、局長先頭、ビール会社を呼んで十六万もかかっている、あるいは銀行を呼んで十七万も使っている、あるいはさっき会計検査院言ったように、内部だけでやっている。管理局長と国鉄幹部三人でやって公費使っている、こんなことはとんでもないことじゃないですか。知っていましたか、こういう実態、総裁。
  322. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 五十一年度の問題は、さきに御指摘がございまして調査をいたした記憶がございます。その後かなりその当時厳重に警告をいたしたつもりでございまして、いましばしばいろいろ御指摘があるのは非常に残念に思っておる次第でございます。
  323. 黒柳明

    ○黒柳明君 残念だけじゃなくて、やっぱり通達違反した人は厳に処置するというんだから厳に処置しなさいよ。何も五十一年度から赤字が始まったわけじゃないんです。残念だとか何とか、そんな事態じゃないんじゃないですか。運輸大臣だって行管庁長官だってあきれて物が言えない。国鉄総裁が厳にしっかりしなさい。こんなウイークデーにゴルフをやって公費使うなんて、首にしちゃえばいいんです。あたりまえじゃないですか。何か荒舩大臣とぼくとばかに気が合うみたいでお互いにうなずきながらやっているんだけれども、二人だけの問題じゃないですよ。総裁、こんなウイークデーにゴルフをやって、国民の税金を使うような人は首にしちゃいなさい、管理局長、幹部は。ずらずらです、公費使って。大臣、どうです。もう処分しましたか、これを。ただ単に残念だけなんですか。
  324. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いま申しましたように、五十一年の問題についてかねて御指摘がございまして、当時処理をいたしたわけでございまして、自今そういうことはないと確信をいたしておりますが、しかし、先ほど来の御指摘もございますので、なお一層調べまして責任の所在を明確にいたしたいと考えます。
  325. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃない。この人たちは進退出処を明らかにしてないじゃないですか。何を処分しましたか。事実を知ってこのことについてどう当人に対して処分をしましたか。言ってください。高崎管理局長、どう処分しましたか。千葉管理局長、どう処分しましたか。名古屋営業部長、どう処分しましたか。
  326. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 当時調べまして処分をしたつもりでございますが、いまちょっとここで覚えておりません。この際間違ったことを言うといけませんから、それはいずれ御報告いたしましょう。処分いたしたわけでございます。また事実調べたわけでございます。
  327. 黒柳明

    ○黒柳明君 言ってください、どう処分したか。
  328. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 五十一年のは完全に、いろいろと調べますと、これは前提条件が私と先生とは違いますけれども、四十一年に石田総裁がゴルフに関しまして、まずゴルフは自分の時間でやりなさい、そして自分の費用でやりなさい、自分の負担でやりなさい、無理のない範囲でやりなさいという書簡を一万人の管理職に手紙を出しまして、今日までその指導でやってまいりました。たまたま五十一年の六月の十日、それから部内でやっております同じく七月十日は管理局長を部下職員でゴルフをやっておりますが、それぞれ休暇をとりまして、そして自分の負担でゴルフをやっておりますので、私どもは、あえてこの問題については、石田総裁の当時からの思想を持ち続けておりますので、処分をする必要はないと考えておりますし、それからこの中で名古屋の問題あるいは千葉の問題につきましては、それぞれ地元あるいは貨物関係の荷主さん、あるいは県庁関係等々グループができておりまして、特に荷主さん関係につきましてはこちらから……
  329. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がないから簡単でいい。
  330. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 「お願いをしたのが多いと思いますし、グループでやっておりますのはそれぞれ個人負担でやっておりますので、いまずっと御指摘をされました点につきましては、私ども処分をする必要はないというふうに考えて「おります。
  331. 黒柳明

    ○黒柳明君 何言ってるんですか。七月八日、千葉管理局長が千葉銀行の幹部八名を接待して十六万九千円公費使っているじゃないですか。七月十九日、同じく管理局長、国鉄幹部が某銀行幹部七名招待して十七万六千円使っているじゃないですか。はっきりしているじゃないですか、もう公費使って。  最後に入りましょう。先ほどペンディングのことがありました。休日に法人会員権使って、もうけさの新聞に出ました。六月十八日、総裁が要するに四名、副総裁天坂さんが四名、計八名の人を招待している。それは若狭得治、堀武夫さん、中村大造さん、高林康一さん、町田直さん、山田明吉さん、井上邦之さん、内村信行さん、全部前事務次官、副総裁、しかも一人は若狭得治、言うまでもなくロッキードの公判中の人、一人はあの新東京国際空港公団の総裁になる人。空ではヘリコプターでガソリン監視して落っこっちゃって亡くなった。その下では国鉄の総裁の法人会員権をもって招待されてコンペをやっているんですよ、この姿はいいですか。副総裁を先頭にしてやっているんです。OB、事務次官経験者、副総裁経験者、この姿はいいですか。
  332. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) その日の事情を聞きますと、歴代の運輸省の次官の方々と私どもの副総裁、歴代の副総裁の方々との間で年に何回か定例でお集まりをする会があるそうでございます。そこで、それぞれの方々が、場合によってはゴルフの会合のときもありますし、そうでないときもあるそうでございます。皆さんがそれぞれお持ち寄りでなさるということでございますので、私は、そのこと自体は結構といいますか、問題ないのではないかというふうに思っております。ただ、先ほど来のお話のように、それがいまの会員権を使用するというのは大変問題もございますので、そういうこともありますので、私はさっきも申しましたように、この際一切処分をいたしたいということを考えております。
  333. 黒柳明

    ○黒柳明君 わからないですな。そのこと自体というのは、高木総裁の法人格の会員権と副総裁の名義になっている法人権で八人を接待しているんですよ。一緒で、その姿を別々にするわけにいかないじゃないですか。これはさっき石田総裁の言、それが高木総裁のとき変わったんです。石田総裁のときには自分の金でやれ、自分の時間でやれ、やましいところは、もう疑惑を公務員に与えるなと。高木総裁のときになってがらっと変わっちゃっておかしくなっちゃったんですよ。まあ、それはそれでいいでしょう。法人権というのは総裁の金で買ったものじゃないですよ。副総裁の金で購入したものじゃないですよ。国鉄として所有しているものでしょう。それを自分のOBの仲間を呼んで、それでコンペしている。この姿が当然よかるべきはずないじゃないですか。法人権と、集まってOBがこう和気あいあいとゴルフしてやる姿と別々であるわけがないじゃないですか。あんたが呼んでいるんです、あんたの法人権で、あんたの名義の所有。その中にはロッキードの公判中の人もいるんです。いま言ったように、一番世間で注目している公団の成田空港の総裁になる人が悠々とやっているんですよ。持ち回りでどこでやろうと結構、そのことを言っているんじゃない。やりなさいよ、自分の金で、自分の費用で。それを招待したのは、幾ら持ち回りで国鉄の番だろうったって、あんたの法人権でやったんじゃないですか。副総裁の法人権でやっているんじゃないんですか。  それで、私の調べによると、公費十八万、上様一括で某所から払うようになって、まだこれは手続中。残念ながら領収は切れていないんです、大臣。だけど、この我孫子カントリーというのは全部いま指摘したように、もう公費でやっているところなんです。支配人が国鉄の天下り。アーツーのところなんです、国鉄専用のゴルフ場と言われているところなんですから。残念ながら十八日、二週間前だから処理されてない。請求が上様十八万で出ているんです。当然これは会費二万出しているわけないんです、副総裁いないんだもの。副総裁が領収もらっているか。もらっていやしません、そんなものは。まあそれはいいでしょう。この姿がよいはずはないじゃないですか。権と結びついてやっているんじゃないですか。これこそ通達にある国民に疑惑を与えるよという最たるものじゃないでしょうか。総裁、どうです。
  334. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 黒柳さん、私、実はさきにやめた事務次官がこの中に入っているということを聞きまして、けさほども本人に会いまして話を聞きました。連中ももうちょっと明確にしておけばそういう疑惑が生じなかったんだろうと思いますが、かつて次官をやったような諸君がときどき会ってということで、これ自体はやりようによっては何でもないことだと。私はまず、君たちは費用はどうだった、みんなで分担するんですと。幹事がだれだれだとか言っておりました。それで、まだ払ってないのでこれから割り勘で払うんだそうでございますが、たまたまそのゴルフ場、どのゴルフ場に行ったか、いま伺って、我孫子ということを伺ったんですが、この節、急に行こうったってゴルフ場があいているときとあいてないときとがあるから、ちょうどあいていたからというんでそこを頼んだというようなことではないかと思うんですが、そこいらが少し安易に過ぎるような気がするわけでございます。会員権を持ってなければそういう疑惑は生じないんですから、さっきからお話しのように、なまじそういうものを持っているから招待したんだと。きょうは関係者が言っておりました、国鉄に招待されたんでは全然ありませんと言うんですが、先ほど来聞いておりますと、黒柳さんおっしゃるように、やった場所がそこだと、やっぱりそういうようにあるいは言われるかもしれませんが、私がつまりけさほど聞いたところでは、まあいまのような話でございまして、関係者は非常に恐縮して、御心配かけて申しわけないと言っておりました。この種のことで心配させてはならぬと私は思っております。
  335. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ、やった当事者、談話をごらんになっているんでしょう、新聞の一日、きょうのも。やりました、悪うございましたとは言わないです、だれも。いや世間的に見れば悪いことはないけれど自粛しますと、そういう——大臣の前で、つい先だってまで事務次官だった人が、へえこれは公費でございます、へえこれは国鉄招待ですと言うわけないじゃないですか。そこらあたり錯覚しますと、先ほど言った、いままでの大臣の姿勢は私は非常に厳しいと思いますので、先ほどの答弁で了とした、いや断固としてやるなと思って。だけど、いまの、つい先だってまでの事務次官の方に言われたことをあれしたら大変ですよ。天坂、高木両氏の法人会員権でビジターとして行っているのです、四人ずつ。こういうこと、これは問題なんです。総裁の権じゃないんです。自分のポケットマネーで買った権ならいいでしょう。国鉄が買った法人権ですから、よろしいですね、それで元のグループを呼んでゴルフをやっているのですから。法人権でやると安いんです。ビジターだと二万のところが五千でできるんです。そうでしょう。そのために法人権買ったわけじゃないでしょう。百歩譲ったって業務のためでしょう。大臣、百歩譲ったって仕事のためならいいと。私はそんなことを許しませんよ。だけど、これは全くOBの遊びじゃないですか、業務じゃないじゃないですか。総裁、さっきの意見から言うと、業務ならいいと、業務じゃないじゃないですか。OBの懇親会じゃないですか、それを法人権でやったんじゃないですか。法人権があるからそうなっちゃったんだと、法人権は悪なんだと、そういう論理。あんたの法人権で呼んだんです。あんたこれを知っているかと言えば知りませんと、秘書がやったんでしょうと言うけれども、現にビジターとして、四人が総裁、副総裁のビジターとして来ている。いいですね、法人権なくせばいいだろう、そのとおり、きょうから。いままでに対しての反省と責任を痛感しなかったらこれからも大変ですよ、明後日の値上げを控えて。これはよくないでしょう、そういう観点から。どうですか、そこでもうおしまいだ、時間がないから。
  336. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) まさに御指摘のように、法人権をそういう形で使うというのは好ましいことではないわけでございまして、でありますので、先ほど来申しておりますように、処分いたしたいというふうに考えます。
  337. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません。五十二分のところでもう五分ばかり超過して済みません。  最後に、委員長が適切な処置をとっていただくというので、私は、ここで副総裁以下常務理事が国会要求を拒否して行った、それについての責任。いいですね、これをきちっとやってくださいよ、調べると同時に。  それから、先ほどのあさっての値上げ、さらに、こういう私の調査だと、年間三億円は下らないゴルフ費を使っている。国鉄でわかっているのは、十五億の食料費と十億の雑費その中六億がゴルフを含んで慶弔費や何かだろうけれども、膨大だから全貌わからない。そうだと思います。いまごろ一生懸命領収書を集めたってわかりやしない。私の計算では三億を下りません。そういう国民の税金を使って、片方はあしたから値上げをしよう。来年も法定制だから値上げになっちゃう。いまこういう問題が出たときに、本当に大臣も、あるいは国会が厳としてこういうものは審議して、閣議了解で、法定制になったとはいえ、さきの国会で、長官も覚えているでしょう。衆議院の建設委員会で、住宅公団の家賃の傾斜スライドが建設委員会で問題がついて、櫻内建設大臣は延期したじゃないですか。しかも、具体的な指摘がなかったんですよ。高い、遠い、狭い、そういうものでまたスライドだったら大変だと、これは待てということで、櫻内建設大臣は決断をもって三月間延期の処置をとったんですよ。いま、さらにそれは問題になっていますけどね、最終的には。これはあさって決まったんだからといって、そんなものでこれを糊塗したら大変なことです。先ほど言いましたように、総裁以下幹部の責任問題、明後日の値上げを控えての問題、この二つを踏まえて、責任、反省、していると思いますが、それを踏まえて、ひとつあしたじゅうに速やかに委員長にこの調査内容を報告していただいて、この国鉄幹部の進退出処をどうするか、明後日からの値上げをどうするか、それを報告して、委員長はひとつしかるべくこの委員会にかわって国民に明らかにしてもらいたい。このことを委員長に要望するのじゃなくて、最高責任者である大臣にお願いしたい、重ねて。  と同時に、総裁にもう一つお聞きします。  過去のことについては深い反省と深い責任を感じて、今後に対して一点の疑惑もない態勢をとつてこれからやるでしょうね、それだけもう一言。それから、最後に大臣にもひとつ締めくくり。まず総裁の方から、もう責任と自覚を感じていることを言ってもらわないと、これから……。
  338. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 直ちに会員権も処分いたしますし、それから、今後この種の公私の乱れを正すということをやっていきたいと思います。
  339. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 御指摘の点につきましては、厳しく私は対処いたしたいと存じます。これも速やかにそうすることが必要でありますから、委員長の方ともよく連絡をいたしまして、時期を失せぬようにいたしたいと思います。
  340. 黒柳明

    ○黒柳明君 どうも済みません。超過しまして、申しわけありません。
  341. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は政治資金の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、いま国会でも問題になっております勝共連合の政治資金の問題についてお伺いしたいと思いますけれども、最初に、一般的な件として、政治資金報告に虚偽の報告をした場合の扱いはどうなるか、どういう罪に該当するのかということを、自治省並びに警察庁にお伺いいたします。
  342. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) 御承知のように、政治資金規正法に基づきます政治団体は、収支の決算に関しまして報告をいたす義務がありますことは、御承知のとおりでございます。  そこで、自治省といたしましては、その報告を受理をいたし、なお、旧法に基づきます場合にはもとより都道府県の選挙管理委員会等が受理をいたしておるのでございますけれども、その収支の報告を受けまして、それを審査いたすのでございますが、その審査は形式的な審査にとどまりまして、記載をすべきところに記載がしてあるかどうか、またその記載が間違いであるかどうか、かような審査をいたすのでございますが、形式的な審査を行いまして、間違いがあります場合には訂正を命じましたり、また場合によっては修正の報告を求める、かような処置をいたしておるのが一般的なことでございます。
  343. 小林朴

    説明員小林朴君) 政治資金規正法の二十五条に、虚偽の記載をいたしますと、五年以下の禁錮あるいは罰金ということになっております。
  344. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はきょう勝共連合東京第一本部、ここを問題にしたいと思いますが、勝共連合東京第一本部が東京都の選管に届け出ております五十年下期の政治資金の収支報告書、ここには、千数百人の人から、五百円から二千円の寄付を受けたと記載して報告をしております。これは私の調査では虚偽でございます。私の調査では、千数百件のうちわずか数件を除きまして、すべて勝共連合などという団体に寄付したことはない、このように断言をいたしております。  たとえば、例を挙げさせていただきますが、これは住所も氏名もはっきりわかっております。しかし、いままでの例から見まして、こういうところで名前を挙げる、住所を挙げるということになりますと、非常に勝共連合の報復手段というものが恐ろしいというふうなことがございます。おたくの方で調査をしていただければ直ちにわかることでございますので、一応住所、氏名を伏せて申し上げますが、これは私、ここにこれだけのものを持ってきております。この中から一応抜粋をしたわけでございますが、これはある人は、勝共連合って何ですかとこちらの調査に言いまして、説明をいたしますと、寄付をしたこと一切ない。で、キーホルダーなどを持ってかわいそうな子供たちのためにというふうなことで物を売って歩いたりしておりますがと言いますと、そういうものは一切断ることにしており、一切しておりません、こう答えております。しかし、名前が挙がりまして、五百円を寄付したことになっております。  それからもう一件、うちは一切関係ありません、どうしてそんなに人の名前を使うのでしょう、赤い羽根募金はするが、その他一切そういう署名とか判こを押すようなことはしておりません、そう  いう家庭訪問を受けた記憶も一切ありません、こう答弁しております。  さらに、これは川崎市の方ですが、人違いではないか、私は親の代からそんなものにかかわった  ことはない、全然していない、私の家は全部私が財布を握っている、お父さんだって出すはずがな  い、私のうちの名をかたっているのではないか、名簿に載っているというなら取り消してほしい、  こういうふうに言っております。  また、ここでは勝共連合にはカンパしたことなどない、また、いろんな物を売りにきて買ったこともない、家の者も買ったという話は聞かない、ただ、かわいそうな施設の子供たちにと言って花などを売っているという話は聞いたことはある、こういうふうに言っております。  いま私が挙げましたのはごくこの中の一部でございますが、こういう点、いま挙げましたようなことは明らかに政治資金規正法、いまおっしゃいました二十五条、この違反になるのではないでしょうか、いかがでございますか。
  345. 小林朴

    説明員小林朴君) もしそういうふうに全然自分が寄付をした覚えがないのに寄付をしたことになっておるというようなことでありますと、二十五条もそうでございますけれども、その他の罪名に触れる場合もあろうかと思います。
  346. 安武洋子

    ○安武洋子君 その他の罪名というのはどういうことでございましょうか。
  347. 小林朴

    説明員小林朴君) 私文書の偽造とか、そういう一般刑法犯に触れる場合もあるんじゃないかというふうに思いますけれども、これも事実関係、私どもいま伺うのが初めてでございますし、私どもは、犯罪捜査というのはまず事実関係が決まってから、それが何罪に該当するかということになろうかと思いますので、一般論として、そういうふうに他人の名前をかたるということが問題になる場合もあろうかと思うわけでございます。
  348. 安武洋子

    ○安武洋子君 直ちに調査をしていただきまして、当委員会にいまのことを御報告していただきたいと思います。  さらに、私の調査によりますと、寄付をしたことになっている人、ここに持ってきておりますけれども、こういう人たちの中には、絶対お金を出していない——いま申し上げましたこの人たちですね。それから、勝共連合とは知らないで、というよりは全く知らされないでお金を出した人がいるわけなんです。  そのお金を取る手口といいますのは、私これも少し抜粋して申し上げたいと思うんですけれども、慈善事業とかそういう名目でお金を出しているわけです。   一人の人は、そういえば一、二回恵まれない子供たちのためにと言ってきたので、そのたびに千円渡していた、恵まれない子供たちにと言われるとついその気になって、ちっとも知りませんでした、と。  それから、これは品川の方の方ですが、そういえば、恵まれない身体障害者にということで、学生らしい人が来た、かわいそうなので五百円上げた、私はてっきりどこかの慈善事業からと思ったが、そんな団体なら取り消してほしい、こう言っています。  それから、これは多摩の方の方ですけれども、若い男女が身障者募金を集めに来た、花も売りに来た、そのとき、何だか忘れたが署名もしてくれということで署名した覚えがある、しかし、勝共連合というのは初めて聞く、その寄付が政治資金というのでは詐欺ですね、こう言っております。  それからこれは、勝共連合にはカンパした覚えは全くない、四、五年前鉛筆を売りに来たので買った、中年の品のいい五十から六十歳の婦人が売りに来た、名のった団体名は忘れたけれども、その婦人の言い分では、近くに新築中の家があるが、これが施設の建物で、そのために買ってほしいと言った、しかし、家が完成してみたら、施設ではなくてある農家だった、ことしに入ってつい最近お茶を売りに来たが、朝で忙しいときだったので何も話をせず帰ってもらった、こういうことも言っております。これはほんの一例なんです。  それから、こういうふうに、二年前の暮れに、若い背の高い男が福祉施設に寄付をするから五百円くれと署名を求めてきた、忙しいときで、いきなり五百円くれなどと言うのでおかしいなと思ったが、主人が病気のため福祉問題に関心があったし、役に立つならと、言われるままに五百円を渡し、署名もしてしまったと、こういうふうに言っているわけです。  このように、全く勝共連合だということを知らされもせず、知りもせず、これは福祉に対する慈善事業というふうなことでお金を出しているわけです。それを政治資金報告書の届け出をしているわけですけれども、政治資金報告書の虚偽報告、これに該当するのはもちろんなんですけれども、福祉関係お金だとこう偽っている。そして、相手もだまされた、詐欺だと、こう言っているわけです。私の調べたとおりだといたしますと——まだお調べになっていらっしゃいませんから、私が調べたとおりだとしますと、これは詐欺罪ということになるんではないでしょうか、いかがでございましょう。
  349. 小林朴

    説明員小林朴君) 一般的に申しまして、そういう行為がございますと、募金についての趣旨を偽ったというような形になるわけでございます。偽られた方がその趣旨に賛同して金を出したと、寄付したということになれば詐欺罪になろうかと思います。ただし、いや、そういうことをもうひっくるめて自分は勝共連合にとにかくお金を出したんだということになれば、これまた欺罔されたという形にはならないかとは思いますけれども、一般論としてはそのようなことではないかと思います。
  350. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまも申し上げましたように、この人たちは全く勝共連合というのを初めて聞いたと、知らないと言っておりますし、それなら詐欺じゃないですかとも言っているわけなんです。いま申し上げたのは、私が持ってきております中のごく一部なんです。この中でほんの数件だけが勝共連合だということを知っていたと。ほかは全く知らない。千数百件ございます。その中でほんの数件ということなんです。ですから、これは一度御調査をしていただきまして、私がこういういま申し上げたことどおりかどうかということで、これは当委員会に御報告願えますでしょうか。
  351. 小林朴

    説明員小林朴君) できれば、具体的にこういう住所の人ということを指定していただきますと非常にありがたいと思います。
  352. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が申し上げるまでもなく、全部こちらは政治資金でこれ登録してございますからね。私どももそれを抽出して調査をいたしましたんです。ですから、そのように御調査を願いますと、私が申し上げたことがうそでないということがはっきりすると思います。そういうことで御調査をしていただきたい。これは明らかにだまされたと、そして勝共連合などというところはもう全然知らなかったし、そういうところにお金を出した覚えもない。もう圧倒的多数の人、九九・九%の人がそう言っているわけですから、これを調べていただきたい。私は詐欺罪に該当すると思うのですよ。ですから、御調査いただいて御報告いただきたい、こういうことをお願いしているのですが、いかがでしょうか。
  353. 小林朴

    説明員小林朴君) できるだけそういうような形で一応抽出をいたしまして事情を調査いたしてみます。
  354. 安武洋子

    ○安武洋子君 御報告願えますね、調査結果。
  355. 小林朴

    説明員小林朴君) その結果が出れば御報告ができるかと思います。
  356. 安武洋子

    ○安武洋子君 六月の十三日に私どもの神谷議員が加藤自治大臣に御質問申し上げております、やはり勝共連合の問題で。そのとき大臣は、「福祉のために募金活動等をいたします場合には、もとより所定の手続が要るのでありますし、そしてまた募金をいたしました金は当然福祉に使われなければならぬ」、こういう御答弁なさっていらっしゃいます。それから、こういう御答弁なんですけれども、いま私が申し上げたことは人の善意を踏みにじるというふうなことで、福祉に名をかりたきわめて悪質な詐欺行為だと思うんです。それで国民の財産をかすめ取っているということで、全く許すことのできない行為ではなかろうかと思うわけなんです、勝共連合東京第一本部は、五十年の下期だけでこういうかっこうで百万円近いお金を集めているわけです。  これは単に一東京だけの問題ではないんです。自治省に届けられております収支報告書、これを見てみますと、勝共連合の大阪府本部、ここでも五十年の下期、十一月の二日から十二月の十六日まで小口百五十九件、これが挙がっております。それから奈良県本部五十年の下期、十一月の二十九日から十二月の二十一日、八十件、これ十一件は千円で、六十九件が五百円なんです。兵庫県本部でも五十年の上期に、四月二十三日から六月十日まで二十一件が挙がっております。これは一件が三千円、一件が二千円、二件が千円、そして十七件が五百円なんです。私この兵庫県本部の二十一件中九件に当たってみました。そうすると、ただ一件だけ、これは女の子が、身体障害者のためにかわいそうだからということで五百円を出しましたと、こうお答えになりましたけれども、あとの八件というのは、これは全部勝共連合などというところにお金を出した覚えも物を買った覚えも全然ないという、こういう御答弁なんです。わずかこれだけの中でもこういう結果が出ております。  ですから、この結果から推しはかりましても、やはりこれは全国的にいま勝共連合の、こういう花を売っているとか、あるいはボールペンを売っているとか、いろんなマスコットを売りにいっているというのは、私も先日淡路島に参りましたら、本当に各家、軒並みにそういう形で物売りがずっと入っている。そしてそれも慈善事業だというふうなことで、恵まれない子供たちのためにというふうなことで入っているわけです。ですから、これはやはり全国的な組織的なまさに犯罪行為ではなかろうかというふうに私は思うんです。  私どもの神谷議員の質問に対しまして、警察庁の森永保安部長でございますが、「警察の捜査の基本方針は個々の行為だけにとらわれないで、その背後にあるもの、そういうものを明らかにしていくということでございまして、」というふうにおっしゃっておりますけれども、私はまさにそうでなければいけないし、そのとおりだろうと思うんです。そしていま、「全国の都道府県警察に対しましても、この背後関係を明らかにせよ、特に上部を追及するようにということを指示をいたしておるわけでございます。」というふうにもおっしゃっておられます。そして、「私ども今後捜査上の工夫等いたしまして鋭意捜査を進めてまいりたい」、こういうふうに御答弁にもなっていらっしゃいます。それから、加藤自治大臣も、「ただいま十数件の事犯を御指摘になりまして、いろいろ御質問もあり、また答弁がございまして、中には詐欺的な行為と思えますような事犯等もございましたけれども、しかしさような金が地方公共団体に寄付されているとは思いがたいのでありますけれども、しかし調査をよくいたしてみたいと、かように考えます」、こう御答弁でございますね。私は、大臣にこういう御答弁をいただいて、その後どのように調査をしていただいているかということをお伺いいたしとうございます。それからまた、基本捜査、基本方針を踏まえまして、こういう背後関係についてもいままでお調べになっていらっしゃると思うんですが、どういうふうに捜査が進展しておりますでしょうか、その点もお伺いさせていただきます。
  357. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) ただいま御指摘がございましたように、先月の十三日だったと思うのでございますけれども地方行政委員会におきまして神谷委員から御質問がございました。御質問の内容は、これまたいまおっしゃいましたように、具体的な例を十数件お挙げになりまして、主として物品販売に関することであったと、かような記憶をいたしておるのでございますけれども、そして、物品等を販売いたしまして、その目的が、福祉のために使われる、あるいは地方公共団体等へ寄付をいたす、かような名目で物品販売等をいたしておった、かようなことであったと思うのでございます。そこで、福祉に使われておるといたしますならば、募金をいたしますのにはそれなりの手続が要るのでありますし、また物品販売等をいたします場合にも、その目的を告げておると思うのでございますが、その目的と異なりますような金の使われ方があるといたしますならば、それは困ることだ、よろしくないことだと、かような趣旨の答弁をいたしたと思うのでございます。  そこで、地方団体がどの程度具体的な事実を把握をしておるか、このことを調査をいたしておるのでございますけれども、幾つかの公共団体におきましては、その公共団体の広報などをもちまして、押し売り的なことに警戒をしなければならぬとか、あるいは迷惑販売等は断然これを拒否しなければならぬ、かようなPR等をいたしておる公共団体等もあるようなことでございます。またある県におきましては、県の出先等を通じましてこのことの調査をいたしておるような県もあるのでございますから、この点をさらに調査を進めてまいりたい、かように考えております。
  358. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまお伺いしたのに警察庁はお答えいただかなくていいですか。
  359. 小林朴

    説明員小林朴君) 先月の十三日の神谷委員の件につきましては、詐欺と訪問販売等につきましての件でございましたわけでございますけれども、今度の政治資金の問題は、これは私初めてなものでございますから、調査をいたさないことには何とも申し上げられないのでございます。
  360. 安武洋子

    ○安武洋子君 この勝共連合の問題は前々から出ております。いまおっしゃったように、確かに政治資金の問題はいま初めて私が申し上げたわけでございますが、神谷議員の質問に対して、その背後の問題、これも追及しなければならないということを基本方針としてお述べにもなっていらっしゃるわけなんです。神谷議員の質問に関して、どのように御捜査をいままでなさってこられたんでしょうか。そのいままでの進展状況をお伺いいたしたい、こういうことでございます。
  361. 小林朴

    説明員小林朴君) 恐らく、その個々の訪問販売をやっておる者の検挙ということにとどまらず、それを何か後ろで操って、要するに組織的に販売をしておるんではないかということが考えられるから、そういう答弁に恐らくなったというふうに思います。そういう形で、違法行為というのは、特に組織的な事犯と申しますか、というものは当然調べるべきものだと思います。現在恐らくそういう形で捜査が進んでおると思いますけれども、個々の事件につきましては一つ一つ解決をしていくというのが私ども刑事警察の仕事でございますので、そういう形で処理をしておるものはあろうかと思いますけれども、現在途中でそういうまとまった形の資料をとってはおりません。
  362. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は全国的にやはり調査をしていただいて、厳正に取り締まっていただかないといけないと思うんです。これはいま私が申し上げました慈善行為に名をかりた彼らの組織的な詐欺行為で、国民の本当に何十万、何百万という人たちがうんと迷惑をこうむっているわけなんですね。ですから、これをほうっておいていただいては困ると思うんです。神谷議員の質問の件についても、やはり背後関係もきちっと押さえていただきたいと思います。この神谷議員の質問の中でも出しておりますけれども、五十二年一月二十一日宣告の石井光治ら三名に係る神戸地裁の外為法違反の事件の件でございますね。この中に彼らの資金の面がちゃんと出ております。これは統一協会と勝共連合は組織上も関連するところがあるなどというふうなことで、ちょっと引用させていただきますと、熱狂グループというのがありまして、この「熱狂グループは、統一協会の信者、賛同者や勝共連合の会員、賛同者等において一〇年以上もの以前から統一協会や勝共連合の伝道、活動資金の収集を目的に全国各地で花売り、人参茶の販売、資金カンパ等の活動をしてきた者等の集団であって、全国各地の熱狂グループの収集した右資金は、すべて被告人石井のもとに集められ、被告人石井の管理のもとで勝共連合の活動資金や統一協会関係の活動資金に使用されてきたこと、そこで、少くとも右のような熱狂グループの資金収集活動及びその収集資金の活用を見る限りにおいては、統一協会と勝共連合の間に資金面の関連も否定できないこと」と、こういうふうに書いてございます。これは、一人一人が花売りをしたり、慈善事業だということでやっているのではなくて、明らかに全国的に組織的に行っているというふうなことなんです。ここにまでやはりメスを入れて調査をしていただきとうございます。  と申しますのは、いま申し上げました勝共連合、統一協会といいますのは、御存じのように韓国は神の国で日本はサタンの国だと、私ども本人はそういうことになりますとすべてサタンで、サタンからお金をとることはその人の罪をあがなうことになるんだというふうな教義を持っております。そして教祖の文鮮明という人は、これはアメリカのフレーザー委員会から喚問されて逃げ出したという人でございますけれども、この人自身が、法に触れても神の道に触れることはないと平気でこういう違法行為というものをしてもよいんだというふうなことも言っているわけです。私どもは、こういう教義を持っている団体であるからこそ、そして全国的に本当に善意の人が慈善事業だと思って五百円、千円というお金を出している。そういう善意につけ込んだ組織的な犯罪であるからこそ、こういう点にはぜひ厳重な取り締まりをしていただきたい、こうお願い申し上げるわけでございますが、この点大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  363. 加藤武徳

    国務大臣(加藤武徳君) たしか、ただいま御指摘になりましたような勝共連合やまた統一協会のことにつきましては、衆議院の地方行政委員会で私の考え方を述べた記憶がございます。もとより、法は厳正、公平に施行されなければならぬことでございますし、法には触れても神の道には触れないなどということは、私ども断じて了承するわけにはまいらない考え方でございます。そして先ほど来御指摘がございましたように、参議院の地方行政委員会等におきましても神谷議員から同様の御質問がございましたし、その席に私もおりまして、保安部長が答弁いたしたことを承知をいたしております。保安部長の答弁いたしました趣旨も、ただいま御指摘がございましたように、個々の現象を取り締まることもとより必要であるけれども、しかしその背後の組織等についてメスを入れなければならぬと、かような趣旨の答弁をいたしたような記憶がございまして、私もまた国家公安委員長といたしまして同様の考え方を持っておる次第でございます。
  364. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、ぜひ早急に全国的な調査をしていただきまして、そして厳重な取り締まりをしていただきたい、こういうことをお願いさせていただきます。よろしゅうございますね、そういう点では。
  365. 小林朴

    説明員小林朴君) 捜査をいたすのは当然のことだと思います。違法な行為があれば当然やるべきだと思いますが、ただ、犯罪捜査と申しますのは事実を固めていくということが先決でございます。そういう面の積み重ねということが、組織なり全貌を解明するということにつながるわけでございますので、その辺のところは御承知置き願いたいと思います。
  366. 安武洋子

    ○安武洋子君 私どもでも簡単に調査ができたことですので、そういう点は御信頼申し上げて、厳重にやっていただきたいということを重ねてお願いいたします。  次に、雇用の問題に移らせていただきます。  現在大変長期の不況の中で、完全失業者といいますのは五月には百二十三万人です。前年同月比十四万人増、潜在失業者というのは数百万人だと言われておりまして、求人倍率というのは〇・五三、四月は〇・五五でございます。非常に雇用情勢は厳しいわけなんです。昭和五十一年の六月に雇用対策基本計画が定められまして、それに基づきまして今日の雇用政策が進められてきておりますけれども、当時に比べますと、不況の長期化とかあるいは円高とか、構造不況問題、こういうふうなことで経済情勢が悪化しておりまして、その結果として深刻な雇用状態が生じているわけなんです。その中でも特に中高年の雇用問題というのはきわめて深刻な様相を呈しております。私は、きょうは時間が大変短うございますので、特に中高年の問題にしぼってお伺いさせていただきたいと思うんです。  政府も中高年については雇用の安定ということで対策をお立てでございます。しかし、雇用の安定ということになりますと、まず何よりも中高年の解雇ですね、これを防止するということが雇用の何よりも安定につながると思うわけです。しかし、この解雇を規制するという有効な手段、これを政府が講じていないところに私は中高年問題の深刻さがあるのではなかろうかというふうに思うわけです。特に中高年の問題につきましては、この問題を深刻にしているのは、一つは大企業の雇用の姿勢にあるのではなかろうかというふうに思うんです。私はこの大企業の雇用姿勢に対しましては、政府の強力な対策が必要だと思います。大企業の雇用は、大体年間計画を立てる。その中に自然減も見込んで大体年間計画で学卒者を雇うというふうなことで、中間採用というのは、たまにあっても、それは臨時的なものであるとかということで、中高年というのはほとんど採用しないわけなんです。一方定年とかあるいは再雇用の期間満了とか、それから事業主の都合とかというふうなことで中高年を吐き出していく。  そして一方中小企業の方はどうかといいますと、若年労働者はなかなか中小企業には来ない。ですから大企業の吐き出した中高年、これを雇用するというふうなことなんですが、それは数字にもはっきりあらわれておりますね。大企業、千人以上の企業をとって見ますと、高年雇用率というのは三・九%、全体の平均というのは五・六%です。さらに退職別の理由を見てみますと、これは大企業では企業の都合、まあ定年とか解雇とか再雇用の期間満了とかというふうなのが、これは全労働省労働組合の方でお調べになった数字を見てみましても七九・八%、八割までが企業責任によって失職をしているというふうな状態があるわけです。一方、二十九人以下の零細企業というふうになりますと四九・五%と、数字がうんと隔たるわけです。この大企業の雇用姿勢を改めない限り中高年の雇用問題というのは解決できないというふうに思うんです。  そこで通産大臣に私はお伺いいたしとうございますけれども、これらの企業に対して、企業の雇用における社会的な責任、それから高年齢者は六%という雇用率、こういうような国の一つの政策として出ているわけなんですけれども、こういう国の雇用政策に企業が協力するというふうな企業の姿勢について私はやっぱり御指導なさらなければいけないのではないかというふうに思うんですが、一体こういう大企業の雇用姿勢についてどのようにお考えなのでしょうか。どのように御指導をなさるんでしょうか。指導される必要があるというふうにお考えでございましょうか、お伺いさせていただきます。
  367. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 中高年齢者の雇用問題、非常に大事な課題でございまして、そのためにはこれを促進するために法律をつくってありまして、労働省の方でいろいろ御苦心をしていただいておりますが、なおその数字は満足すべきものではないということはいまお述べになりましたとおりでございます。やはりこの背景は景気が依然として低迷をしておるということ。でありますから、やはりこの景気をよくするということがもう何よりも肝心なことであろうと思います。景気の悪いままこの問題を解決しようといたしましても、なかなかむずかしいと思います。そこで、いまとりあえずは、私どもは労働省の法律に基づきましていろいろ進めておられます対策に対しまして成果の上がることを期待しておるところでございます。
  368. 安武洋子

    ○安武洋子君 景気がよくなるということは何よりもですが、私がいま申し上げましたのは、たとえ景気がよかろうと悪かろうと、いま数字でもお示ししましたように大企業——千人以上の企業ですね。それからそれ以下の零細企業と比べてみましたら、やはりこの中高年の雇用を深刻にしているのは大企業の雇用姿勢にあるのではないかということを先ほどくどくどと申し上げたわけです。大企業はやはり学卒者を雇用していく、年間計画を立てていく、そうして高年齢者を吐き出していく、こういうことをやっているわけなんです。ここをちゃんと指導しない限り、高齢者の六%というこの雇用率を軸にしていろいろと対策をお立てなんですけれども、それが達成できないんじゃなかろうか。国の政策である以上、通産大臣としてもやはり企業に社会的な責任を果たさすということが必要ではなかろうか。その点で大企業のこういう雇用姿勢について御指導なさらなければいけないんじゃないかということを御質問申し上げておりますので、もう一度恐れ入りますが、御答弁をお願いいたします。
  369. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま労働省の方で法律に基づきましていろいろ御苦心をしておられるのでございまして、私どもはその労働省の政策に対して積極的に協力をしていきたい、こう思っております。
  370. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、私がいま申し上げましたように、大企業が高年齢者を吐き出していくというふうな件につきましては、やはりそうではなくて、いまの労働省が苦心をされている高年者の雇用率、これを高めていくというふうに協力せよという御指導をいただけるということでございますね。
  371. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) そのとおりであります。
  372. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひ大企業に対してそういう御指導を通産大臣としてもしていただきとうございます。  そこで、労働大臣にお伺いいたします。  中高年対策といいますのは、特に高年の雇用率六%、これを軸にして動いているわけですけれども、これは単なる努力目標でございますね。身障者の雇用率というのは、これは義務化されておりまして、納付金を取るというふうなこともございますけれども、これはなぜ義務化をなさらないんでしょうか。まず何よりも大企業に対して、定年の延長をさせるとか、あるいは継続雇用を促進して解雇の規制を行うとか、こういうことが必要ではないかと思うんですけれども、その点の御見解をお伺いいたします。
  373. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) ただいまるるお話がございましたように、まさに雇用情勢は厳しい状況がまだ続いております。わけても中高年齢者の雇用問題というのは、雇用政策の中心課題であるというふうに私も理解いたしております。したがって、いろいろなきめの細かい手当てを現在もやってきておるわけでございまして、その中で私は、やはり定年制の延長ということについて、御指摘のごとく積極的にこれが行政指導において環境づくりをすべきである、このように思います。  ただ、定年制の延長というのは、御承知のごとく日本のいわゆる年功序列型賃金慣行というものがあるわけでございまして、やはりそこら辺の問題を労使がコンセンサスを得てそして問題の改善を図るという、これが私は伴わなければなかなか思わしくいきません。ただしかし、この定年制の延長については、相当不況の中でもだんだん延長の実績が毎年示されておるわけでございますから、ますますこの方向に向かって労働省は行政指導をやっていきたい。  で、いろいろお話がございました中に、この雇用率制度というのを義務づけたらどうかと、こういうことで、いわゆる身障者と同じような取り扱いという御提案もございますけれども、これは身障者の場合にはやはりきちんと一つの区切りがつきますけれども、中高年齢者と一口に申しましても、その人の健康管理よろしきを得れば、七十歳でもぴんぴんとしているという、こういうことだし、まあ六十歳前後になると相当健康が悪くなる、こういうことで、なかなかそこに区切りがつきにくい。だから、これはやはり行政指導によってできるだけ定年延長をするように、これが奨励金あるいは継続雇用奨励金、こういったものを推進していく。  同時に、一月の二十日、御承知だと思いますけれども、新しい雇用政策の一環として、中高年齢者を雇い入れる事業主に対して、中小企業の場合にはその三分の二、大企業の場合には二分の一、同時にまた中高年齢者の中の中年者、五十五歳以下の場合には三カ月間、五十五歳以上の場合には半年間、雇用創出といいますか、ジョブクリエーションといいましょうか、そういったことでひとつ雇用の拡大を図ろう、これも雇用対策に厳しい環境に置かれている中高年齢者の対策として現在進行しておる一つの雇用政策でございます。
  374. 安武洋子

    ○安武洋子君 六%というのが、私はこれは単なる努力目標、しかも、それに到達しようというふうなことであれば、解雇制限と解雇の規制というふうなものがなければどうしようもないと。大企業はほとんどこの六%を守っていないわけです。労働省としても、私は大企業などがいろんなところに事業所があるけれども、それは出先の安定所任せにしていて六%守りなさいと言っても、定年延長は出先だけでやるわけにいかないわけです。ですから、労働省が率先して大企業が六%守るように、一体いまのパーセンテージがどれぐらいになっているのかつかむとか、実情把握するとか、そういうことをやらなければだめだと思うんです。出先安定所任せではそういうことはできないというふうなことで、特に銀行など散在しているところもございますね、そういうところはもう労働省が率先して乗り出して、出先の安定所任せにしないと。そうして実情を把握し指導し、やっていく体制をまずお立てにならないと、この六%はだめだと、区切りがつかないから云々とかいうよりも、まずこの六%を達成するためにどうあるべきかということをお考えいただかないとだめだと思います。  それから定年の問題も、定年延長の問題をおっしゃいましたけれども、労働省は確かに定年延長でやっていらっしゃいます。これは定年延長奨励金制度ですけれどもね、これも非常にトップバッター方式——時間かないのてもうよく御存じですから御説明はいたしませんけれども、これを本当に運用しても最年長者の人にしか当たらない。ときにはたった一人しか適用にならないというふうに、大変魅力の少ないこういう制度になってしまっている。これではだめなんです。やはり実情に合わせて、せめて五年ぐらいの期間に、定年延長する人たち、そういう年齢に達する人たち、こういう人たちすべてを受給対象にしていくというぐらいの対策をいまお立てにならないと、定年延長に対して何か施策をしているというふうなことにも私はならないと思うんですけれども、その点ひとつ端的にお伺いいたします。
  375. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 最初に、解雇制限ということをやらないと実効が上がらぬではないかと。解雇制限ですね、解雇につきましては、労働基準法あるいは労働組合法によって、一定の理由がなければ解雇をしてはならぬというこういう規制があることと、それから判例の実例によって事業主が勝手に恣意的に解雇をするということはこれはできないという、こういう積み上げがある以外は、やはりどうしても企業の経営存立上解雇をしなければならない、人員の減少をしなければならぬ、減量経営しなければならぬというようなことになれば、これはやはり企業の実態の一番よくわかる労使が話し合いでこの結論を出してもらう、こういうことになるわけでございまして、定年延長の問題と、私はこの解雇制限の問題というのは、ちょっと結びつかない一つのも一のである。まあこれはそれができれば一つの方法かもしれませんけれども、いまのような、解雇制限に対しては一つのたてまえがあるわけでございますからそのようなわけにはまいらない、このように思うわけでございまして、大企業から出ていった人、これはいろいろ具体的な例がありましょうけれども、またいろいろ次への第二の出発ということで、その人自体の雇用問題ということについてはそう大きな問題でない場合も私は相当あるのではないか、このように思うわけでございまして、定年延長については、やはりこれからどうしても私は、いま五十五歳というような目安、大分前進しておりますけれども、少なくとも最も近き将来において六十歳の定年制ということはぜひゴールインしたい目標である、こういうことが主軸になって中高年齢者の雇用対策が改善されてくる、このように思っておるわけでございます。
  376. 安武洋子

    ○安武洋子君 論議がちょっと混線しているのですけれども、整理する時間的なあれがないのであれですけれども、雇用の安定ということになればまず定年の延長ということが一つあるわけです。これに対して、私がさっき御質問したのは、定年延長のいま労働省としては政策をお持ちだけれども、定年延長奨励金、これがとっても魅力のないものになってしまっている、実情に合わない、これに対して思い切った措置を講じられたらいかがですかというのが質問で、お答えをいただいていないわけです。  それからもう一つ、解雇の規制の問題につきましては、これは職安にそういう権限がありませんでしょう。職安の方では、私は野放しの解雇を規制することは必要だと思うのですけれども、雇対法の二十一条に基づく大量解雇の届け出の義務、これがありますけれども、この届け出義務を五十人から三十人以上に引き下げておりますけれども、この届け出——私、一度ちょっとお伺いいたします、ここでひとつ区切りまして。さっきの定年でお答えいただきたいのと、それからこの届け出。これは構造不況業種離職者法に基づくものを除いていただきます。一体受理件数どれぐらいございますか。
  377. 細野正

    説明員(細野正君) まず最初の、定年延長奨励金の強化というお尋ねでございますが、先ほど大臣からもお話ございましたように、この不況の中でも定年延長は非常に着実に進んでいる状況でございます。私どもとしましては、そういう実態を踏まえまして、それを奨励、刺激するという意味で、定年延長奨励金あるいは継続雇用奨励金、そういう制度を設けているわけでございますが、なおこの制度の周知徹底なり、また施行の状況を見ながらの制度の改善というようなことを今後とも検討してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから二番目に、大量解雇の届け出の点についてのお尋ねがございました。この点は、五十二年度について申し上げますと、これは五十年の九月から五十一年三月分でございますが、この間の事業所からの離職者数についての届け出は約七万人でございます。なお、この中には、御指摘のように、離職者臨時措置法による届け出は含んでおりません。これは別途四万人ほど提出をされているという状況でございます。
  378. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま、定年延長の問題についても検討をされると。それから、その中に出てきましたのは、継続雇用奨励金の問題です。検討なさるなら私はぜひこういう点も検討していただきたいと思うのですが、継続雇用奨励金の給付条件です。これを、六十歳以上という現行制度を私はどうしても五十六歳以上に引き下げること、これが必要だと思うのです。定年制がある企業ですね。これは、中小企業の場合、定年制という制度を持っていないところがあるわけなんです。こういう企業では、定年延長奨励金や継続雇用奨励金の支給対象にならないという非常に不公平な結果が出てまいります。ですから、奨励金に見合うような助成措置を講じる必要がある、五十六歳までに引き下げて実情に合わす、こういう二つの件を私は検討に加えていただきたいと思います。  それから、いま受理件数をお答えいただきましたけれども、実際問題として、これは現実には届け出ても届け出なくてもよいような扱いをされているということで、届け出を受けても、現行法では、解雇防止に対する有効な措置というのが何らとれないわけですね。とらなくてもいいようになってしまっている。使用者の責任で解雇を取りやめるというふうなことをさせたり、出てきた人数を縮小させるというふうな権限はないわけです。ですから、大量解雇に一定の歯どめをかける措置というものが講じられないということで、これは失業の防止ということには役立たないのではないか、こういうふうに思いますが、この点いかがなんでしょうか。
  379. 細野正

    説明員(細野正君) まず最初の、定年延長奨励金に絡みまして、継続雇用奨励金を五十六歳までに下げるべきじゃないか、こういうお尋ねでございましたが、私どもは、先生も御承知のように六十歳定年を普遍化させるということを目標にやっておりますので、そういう意味からいいますと、六十歳までの間はやはり定年延長というものに奨励をしでいくというふうなたてまえを貫くのがむしろ筋ではなかろうか。それからもう一つは、先ほどの先生のお話の中に、定年制のないところというお話がございましたが、これは非常に確認がむずかしゅうございまして、そういうところに対する奨励というのは非常に困難ではなかろうかと考えておるわけでございます。  それから、二番目の、届け出ておるだけでは規制にならないじゃないかというお尋ねでございますが、これは全くおっしゃるとおりといいますか、届け出制度そのものは、そういう大量解雇の届け出に対応して雇用、失業対策をとることをねらいとしてあの制度があるわけでございまして、規制をするために届け出をやっているわけじゃないわけでございます。その規制についていろいろ問題がある点は、先ほど労働大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
  380. 安武洋子

    ○安武洋子君 六十歳定年、延長は大変結構でございます。しかし、六十歳定年が現実に実現するまで、やはり私は実情に合わせれば、五十六歳までに引き下げるのが現状に合った雇用の奨励の仕方ではなかろうかという点は申し上げたいです。  それから、いま一番中高年の中で切実に望んでいるのは、職安が解雇の規制をする権限を何も持っていない。やはり職安がそういう権限を持ってほしいというのが一般の声なんですね。ですから、先ほど私は、この届け出で何も権限ないじゃないかと。そのとおりで、そんなものに権限はないのだとおっしゃいますけれども、何らかの形で労働省が、こういうふうに吐き出されてくる労働者に対して一定の指導、そして歯どめ、そういう役割りをやはり果たさなければならない時期に来ているのではないかと思うわけなんです。  時間がもうなくなってしまいましたので、私は最後に通産大臣にお伺いをさせていただきたいと思うのです。  いま、構造不況業種を抱えた都市の間で失業が多発いたしまして、地域全体の深刻な問題になっております。こういう地域の経済や雇用の面からの救済は緊急な課題で、どうしても措置をしなければならないと思うわけですけれども、通産大臣として、緊急な対策が必要だとお考えかどうかという点をお伺いさせていただきます。
  381. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 構造不況業種が地域産業の中核産業になっておる地域の中小企業、それから下請企業、こういうものは非常に大きな打撃を受けておりまして、一般の政策だけでは救済しにくい、立ち直りがむずかしいという状態になっておりますので、地域ごと、特別にそういう地域に対しましては地域指定をしまして、特別の対策を中小企業と下請企業等に対しては立てていきたいと思っております。
  382. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ最後に一つ。  そうしたら、労働省として、失業多発地帯に対しまして雇用の側面からの対策を特別に講じる必要、これがあるのではないかと思いますが、その点の御見解を聞きまして、それで、非常に時間がなくて、私きょういろいろとお伺いしようと思ったことをずいぶんと残してしまいましたので、また改めて御質問させていただくということで終わらせていただきたいのですが、最後にその点だけお伺いいたします。
  383. 藤井勝志

    国務大臣(藤井勝志君) 先ほどからいろいろ雇用対策について申し上げましたが、特に地域的に不況業種がその産業の主軸をなしているといったところでは、いわゆるこの公共事業の傾斜配分——特にことしは公共事業が相当ふえたわけでございますから、そういったことによって失業者の吸収率制度というものを活用して、大いにひとつ緊急措置として雇用の吸収、失業者の吸収を図っていくと、こういったことと、それからやはりこれは三月の末ごろでございますけれども、洋上石油備蓄の問題あるいは官公庁の船舶の早期発注の問題、これは造船に絡むわけでありますけれども、そういったいわゆる仕事をふやすことによって雇用の道を開いていく、このような総合的な経済政策を、関係官庁——まあ船の関係は運輸省でありますが、通産当局ともよく連絡をとり、建設当局ともよく連絡をとってそして推進していき、同時にまた地域では、地方自治体、職業安定所を中心にした地方の自治体と密接な連絡をとって、地域雇用対策連絡協議会と、こういったものをフルに活用して、きめの細かい雇用対策を推進していくという体制で現在進んでおるわけであります。
  384. 安武洋子

    ○安武洋子君 超過しまして済みませんでした。
  385. 三治重信

    ○三治重信君 大臣に何か重要な打ち合わせがあるそうですから、一つだけ御質問してまたほかの機会にしたいと思います。  きのうも大蔵大臣にお伺いして、大蔵省の立場の御説明を得たわけなんですが、私は、非常に今度の円高の問題で、貿易の収支を縮小する問題で通産大臣大変御努力されておりますが、それと並行してもう一つ私は、もう日本は貿易収支はどうしてもやはり相当合わしていっても若干の黒字という方がこの日本の産業構造からいっていいと、結果として。そうすると、やはりその黒字をどうして対外投資なり経済協力に使っていくかという方向にも相当力を入れていった方がいいと思うんです。そういう問題から、日本の経済体質を、やはり政府が、いままでのように日本は資源がないんだから貿易なり輸出でなければ経済発展がないんだと、国民生活も向上がないんだということ一点張りでいくやつを相当方向転換して、日本が貿易収支の黒字をある程度保っていき、それから外国から非難を受けないためには、相当積極的な対外経済援助、協力または海外投資というものを考えて、これを予算化していく方向が私はもういいんじゃないか。それにはいわゆる経済発展の途上国だと初め金を借りて、それから生産性が伸びて貿易収支が大体合って、それから新債権国。日本は第三番目のもう債権国になってきたという体質認識から、海外への経済協力、投資というものを考えていかなければならぬと思うんです。ことに日本でいくと、通産省関係がこういう対外経済協力並びに海外投資を、民間ばかりでなくて政府が、そういうものに予算として、また財投として相当外貨を使う予算を組む姿勢でないといままでの失敗を繰り返すんじゃないかと、こう思うわけなんですが、ぜひこれに対して五十四年度、また、通産大臣は五十三年度も秋の追加予算も必要だと、こう言われておるんですが、もしもやるとすればそういう海外投資、経済協力の予算もぜひ入れていくような方向で通産大臣ひとつ配慮してもらいたいと思うんですが、その御意見をお伺いしたいと思います。
  386. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま大幅な黒字が出ておりますが、これを少し分析してみますと、五十二年度はドルベースで日本の輸出は約二割ふえておりますが、数量で約六%、価格の上昇で約一四%ふえております。それから、五十三年度になりましてから、黒字を少しでも減らすということのために、輸出の方を数量で前年横並びということでいま行政指導をしております。むしろ四月、五月はやや数量的には減りぎみでございましたが、ドルベースの受け取り金額では非常に大きな数字になっております。これは新年度からは価格が平均二三%上昇しておる、その価格上昇は、円高のために手取りが減らないようにするためにはドルベースの価格を上げなければならぬわけでありますが、たまたまアメリカ初めヨーロッパでは、ドイツを除く各地域がインフレ傾向でございましたので、価格値上げ問題が比較的順調にいった、こういうところにいまの大幅黒字の原因がございます。したがいまして、日本だけの責任というわけにはまいりませんが、しかし、そんな言いわけばかりしておりましても一向に問題が解決をいたしませんので、とりあえずの対策といたしましてはとにかく緊急輸入を思い切ってふやそうと。それから本格的にはやはり景気の回復、本格的な景気の回復によりまして外国から物を買う力をふやしていく。これにはしかし若干時間がかかりますので、やはり思い切った緊急輸入の拡大。この二つの考え方をいま中心として進めておるわけでございます。  同時にもう一つ大事な問題が最近大きく議論になっておるわけでありますが、それがすなわちいまお述べになりました海外に対する経済協力、特に発展途上国に対する開発援助、こういうことでございます。ことしはGNPに対しまして〇・三%強、昨年はGNPに対して〇・二八%前後の予算を計上しておりますが、上半期は、まだ予算が通ったばかりでありますので、予算面でもたっぷり余裕がございます。しかし下半期になりますと、積極的に経済協力を進めてまいりますと資金が不足してまいりますので、当然下半期には追加措置が必要である、補正予算が必要だと、このように思っております。幸い、総理大臣も先般のカーター大統領との会談でこれを三年間で二倍にする、こういうお話がございました。御案内のように、いま世界各国の開発援助の比較は、その国のGNPに対して幾ら予算を組んでおるかということによって比較をしておりますが、ある国は〇・一%、ある国は〇・五%、ある国は〇・三%、それはGNPと予算との比率の比較でございます。でありますから、日本だけがこれを別の計算方法をいたしましてよその国と比較しようと思いましても比較になりません。したがって、総理大臣の言われた意味は、当然世界で共通する計算方法によって二倍にすると、そういう私ども意見だと考えております。  でありますから、やはり日本の置かれております現在の立場、そして日本として世界経済に対していろんな貢献をしなければならぬと考えておりますが、そういうことを考えますと、積極的にこの分野で予算というものを拡大していかなきゃならぬ。そうして発展途上国の経済を安定させることによって少しでも平和のために日本が貢献をする、こういうことになるのではないかと思っておりますので、御指摘もございましたので、一層の努力を重ねたいと考えております。
  387. 三治重信

    ○三治重信君 では、続いてこの問題を事務当局にお尋ねしますが、きのうの大蔵大臣答弁だと、いままでの海外のやつは、いまの大臣がおっしゃったGNPの比較では国際的にまだ劣っているけれども、予算の実額からいくとまだ使い残しがあるぐらいなんだと。きのうの説明だと、何年のことが出たのかわかりませんが、三割も使い残しがある。これはプロジェクトや何かの準備の手間暇がかかってそういうことも起きているんだと、こういう御説明があったんですけれども、通産省として、こういうプロジェクトや、いわゆる外貨を使うための対外援助、こういうようなものについて、使い残しよりはこれからさらに拡大のいろんな計画をどうお考えになっているか、まずそういうことについて、行政の立場としてどういう意気込みであるか。一遍ひとつ基本方針を御説明いただきたいと思います。
  388. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 手違いかと思いますが、私資源エネルギー庁長官でございますので、いまの御質問にはやや答えにくいのでございますけれども、予算に使い残しができるというようなことは、現在のように、海外投資を積極的に促進し経済協力を伸ばしていかなければいけない、それによって国際収支の過剰黒字も改善しなければならないというような時期におきまして、使い残しができるということはまことに適当ではないというふうに考えますので、今後とも各国等の事情をよく調査し、そういうことのないように努力しなければならないというふうに考えております。
  389. 三治重信

    ○三治重信君 いや、だからもっと具体的に、通産省の方、おたくの方で、海外投資なりそういう問題について資源の問題が一番重要だということで、きっと恐らくおたくの資源エネルギー庁長官のところに行ったんだろうと思うんですが、きのうの大蔵大臣答弁によると、そういうプロジェクトや資源開発の問題でいまの予算をなかなか使い切らなんだと、これは実際開発途上国やいろんなプロジェクトが出てきても、いざ実行となるといま手間暇がかかっていて、そしていままででは不足ということがないんだと、そういう問題についてもちろんこちらの方も相手のあることだと、こういうような御説明だったんです。いまの実際の通産省の資源エネルギー関係から、いままでの予算の使い方やプロジェクトの考え方で予算化がまだできない問題にこういうふうな問題があるとか、いろいろこういうことを基本方針として外貨を使うそういう資源開発問題があるというやつ、一遍それじゃ資源エネルギー庁の立場で御説明いただきたい。
  390. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) 資源エネルギー庁の方におきましては、申すまでもなく資源エネルギーの安定供給を確保するということが最大の任務でございます。で、これまで戦後かなりの期間は、資源エネルギーの需給がむしろ供給超過の傾向を示しておりましたので、スポットで市中から買うというやり方でも供給が比較的安定しておったのでございますが、石油ショックを契機といたしまして、資源の確保に不安が生じてまいったわけでございます。そこで、資源あるいはエネルギーの安定的供給を確保するためには、単に市場で調達するというだけではなくて、資源開発を日本の企業がみずから行う、あるいは外国の行う資源開発事業に日本の企業が参加するということを促進することが資源の安定的供給の確保に資するものと考えまして、それを促進をしておるわけでございます。  その方法といたしましては、現在石油天然ガスについては石油公団、石炭については石炭合理化事業団、非鉄金属につきましては金属鉱業事業団がございまして、基礎調査をみずから実施するとともに、また民間の海外資源開発企業に対しましては、探鉱段階については投融資、また開発段階については債務保証等の措置を講ずることによりまして、海外における資源開発の促進を図っているところでございます。  石油公団について申し上げますと、探鉱段階におきましては事業費の七〇%を出資する。したがいまして、自己負担は三〇%ということになりまして、成功払いということで、融資の場合は成功払いということにいたしておるわけでございます。それからまた開発段階、一応探鉱によりまして油があるということがわかった場合には商業的開発に入るわけでございますが、この開発に関しましては、公団が債務保証を行うということによりまして民間企業が資金を調達することができるような措置を講じておるわけでございます。実績といたしましては、五十二年度末までの累計探鉱投融資総額が三千三百億円になっております。また債務保証残高といたしましては二千三百二十五億円というような額に達しております。  それから金属鉱業事業団、この場合は鉱山会社に対しまして事業団から、探鉱段階でございますが、探鉱段階におきましては必要資金の出資または融資を行っております。五〇%まで投融資ができるということであります。それから開発段階になりますと、債務保証を行うことによりまして金融をつけておるわけであります。五十二年度末までの累計探鉱投融資総額は百二十三億円であり、また債務保証残高は三百四十億円に達しております。  この資源エネルギー庁の方で行っております資源開発投資は、経済協力というよりも、やはり日本のために安定的な資源供給を確保するということが主眼になっておりますので、民間企業が、ここならば探鉱すれば出てくるのではないか、ここは商業的開発をすれば採算に乗るのではないかというような目算のもとにプロジェクトを公団に持ち込みますと、そこでいろいろ審査いたしまして、でたらめではない、ある程度——もちろんこういう資源開発は非常に多くのリスクを伴うものでギャンブル性を持っておりますけれども、全然夢物語ではなくて現実性があるというふうに判断すれば貸し付けを行っておるということでございます。
  391. 三治重信

    ○三治重信君 いまの実績と、どれぐらいの事業が行われたかという御説明ですが、そういういまのベースで大体日本の資源の確保が将来とも安定供給確保ができるベースになっているのか、また、そういうものを思うようにもっと拡大してやる能力をつけるためにはさらにどういう手段が必要か、いまの日本の民間企業なり公団なりの規模、機構で、大体日本の産業構造のエネルギーや資源の確保がいくものかどうか、その点はどうなんですか。
  392. 天谷直弘

    説明員(天谷直弘君) これは非常にむずかしい御質問でございまして、どの程度一体みずから資源を開発すべきであるか、総所要量のうちの何割程度を自主開発すれば一体供給が安定的になるのかどうかということは一概には言えない問題でございまして、よくたとえば原油について言えば、三割程度を国産——国産といいますか、日本系の企業の開発したものにしたいというようなことが言われておりますけれども、その辺、一体何割がいいのかということを論証することはきわめて困難でございます。日本系企業の開発した油の割合をできるだけふやしていきたいというふうに努力はいたしておるところでございますが、現在までのところでは、アラビア石油、インドネシア石油等の若干の成功例があるわけでございまして、三割という目標にはまだはるかに遠いような状況でございます。  銅につきましては、たとえばザイールにおけるムソシ鉱山というような例もございますけれども、いまのところ銅の国際的な市況が暴落をしておりますために、こういう海外投資をした鉱山は非常な赤字を出しまして苦しんでおるというような状況でございまして、現在のところ、銅あるいは亜鉛等につきましては、新たに海外投資をしようとする意欲が現在の市況では欠けておるというようなそういう状況でございます。  外国の場合には、石油資源の開発は主としてメジャーがやっておるか、あるいはフランスの場合はフランス石油、イタリアの場合はENI、ドイツの場合はDEMINEXというような国家資本で運営されておる企業がございます。特に、御承知のとおりメジャーの場合はこれまでの膨大な利潤の蓄積というものがございまして、これによって非常に大胆なリスクインベストメントをやる態勢ができておるわけでございます。石油の開発で申しますならば、井戸を一本掘るのに二十億程度の金がかかりますが、大体百本掘って成功する率が三本というようなことでございますので、非常なリスクが伴いますから、日本の企業の場合にはなかなかこのリスクに耐え得ない。アメリカのメジャー等の場合は非常に大幅な危険投資をやっていると。したがいまして、今後の日本の原油の安定供給というようなことを考えますと、さらに一層政府による援助をふやしていくということが長期的な方向としては必要ではないかというふうに考えております。
  393. 三治重信

    ○三治重信君 資源のそういう海外投資開発は非常に熱心のようですが、きょう言ったのは、そのほかに、資源ばかりでなくて海外の投資の問題を通産省として積極的に考えてもらう体質の問題をちょっとやろうと思っていたんですが、大臣が帰られて、所管局長も見えていないようですから、その問題はまた後にして、もう一つお願いしていたのが、いわゆる円高に対しての中小企業の、何といいますか、対応策、それが昨年から今年行われているわけですが、やはり急激な円高によって、いろいろな対策が現在とられてはいるんですが、その結果どうなんですか。実際上、当時、昨年の七月ごろの二百八、九十円から二百六十円を切ったときには、これは大変だと、いまにも死にそうだと、こう言われていたのが、またたく間に二百二、三十円になってしまって、現在また二百円を切ろうとする。そうすると、これは円高、円高とこう言っていても、そういう円高のアップ率から今度は質の問題に入ってくるんじゃないかと、こういうふうに思うわけなんですが、こういうふうなことと、それから私はどうも二百円から行くというと、日本のトップクラスの自動車とか、鉄鋼とか、家電みたいなところはその二百円にある程度耐えていけるところがあるけれども、中小企業の、輸出産業でも生産性の低いところ、さらに国内産業でも、今度は東京ラウンドで関税を下げていくと外国から入ってくる、そうすると国内産業のいわゆる中小企業の生産も、そういう輸入品に対して相当シェアを、だんだん取られるならいいけれども急激にやられるということが非常に問題で、失業の問題が起こるわけで、そういうものに対する、今度は東京ラウンドで開放するやつについては、そうすると輸出産業ばかりでなくて、関税を下げる、輸入を非常に有利にするということからも、そういう輸入される商品が、農産物ばかりでなくて日本の国内の中小企業にも影響してくるんじゃないかと思うんですが、それをどういうふうに見通されているか。
  394. 左近友三郎

    説明員左近友三郎君) 昨年来の円高傾向につきましては、御指摘のとおり、中小企業には非常に大きな影響を与えておるわけでございます。中小企業庁といたしましては、昨年来、産地につきまして随時現地に人を派遣したり、あるいはその中間には電話で連絡をしたりということで、その対応状況、それから必要な施策に対する要望というものを聞いて対処してきたわけでございますが、やはり円高になりますと、ことに相場が動いておるときは、新しい新規の成約というものが商社なりハイヤーなりがためらうということがございましてしばらく成約はとだえる、で少し落ちつきますとまた成約があるということでございますが、昨年来、やはり成約量がその以前から比べて落ちておるということは事実でございます。  これに対応いたしまして中小企業がとり得る対策というのは、一つはやはり極力ドルベースの価格を値上げをするということによって円の手取りを維持するということでございますが、これについては、御指摘のとおり、発展途上国との競争のある品目についてはむやみな値上げはできないという問題がございます。それに対してはやはり技術開発等をやりまして、新製品とかあるいは製品の高級化をやるとかいうことでしのいでいくという努力を続けておりまして、昨年以来、累次の円の上昇がございましたので、その点については各産地とも非常に努力をいたしております。われわれもやはり各産地のそういう製品を、より何といいますか輸出力のあるようなものに変えていくというものについて応援をしてまいりましたし、今後も応援をしてまいりたいと思っております。  しかしながら、そういうことで成功しておりますものは、やはり全中小企業の産地を見ますとまだまだ数が少ないものでございます。そうしますと、結局ドル価格を上げられないものはコストを切り下げなければいけないということになりまして、結局利益は飛んでしまうというふうな問題が出てまいります。合理化を昨年来進めてまいりましたけれども、昨今になりますと、合理化も非常に限度が来ておるということで大変苦慮しておるわけでございます。  以上のような実情でございますし、それからいまちょっとお話がありましたように、実は輸出産地のみならず、内需向けの産地でも、円高によって発展途上国の競争商品が日本に流入してこれまた窮地に追い込まれる例も確かに出てまいっております。これに対してもやはり対策としては同じような問題になってまいります。  こういうことに関しまして昨年来やっております対策としては、やはりこの受注減というようなものに対してとにかく緊急に融資をしなければいけないということがございますので、昨年十月以来、中小企業為替変動対策緊急融資というものを設けまして、中小関係の三機関が別枠で低利の資金を貸し出すということをやってまいりました。さらに本年二月には、これは国会で制定していただきましたいわゆる円高対策法が施行されまして、それに基づきまして、その低利資金の貸し付けをさらに金利を引き下げて有利にするとともに、設備近代化資金等、そういういろいろな貸付金の返済猶予措置、それから信用補完制度の拡充、これはやはり資金が借りやすくなりますので、信用保険の方の制度を拡充いたしました。それからさらに税制上の特別措置、これは欠損の還付という制度を通常一年のものを三年に延ばすというふうな、三年まで繰り上げるというふうな制度をいたしました。  そういうことで対策を講じておりますが、この中でやはり中心になりますのは緊急融資制度でございますが、これについては非常に利用者は多うございまして、法律に基づきまして認定を受けました企業、その認定を受けた企業がいまのような有利な制度を活用できるわけでございますが、大体約二万五千三百件程度の企業が認定を受けまして、それに基づいていろんな融資等の対策を受けておるわけでございます。したがいまして、現在といたしましては、当面この対策で処置できると思いますけれども、なおやはり中、長期的に今後やはり輸出産地というものについては情勢に応じてより競争力をつける、あるいは内需に転換する、いろんな対策を講じなきゃいけないというふうに考えておりますので、実は来年度を目指しまして、輸出産地、その他中小企業の産地については何らかの態勢を強化する、あるいは場合によっては製品をも転換していくというようなものに対する対策を確立いたすべく現在検討中でございます。
  395. 寺田熊雄

    委員長寺田熊雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会