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戸叶武君 それを百も
承知の上で、
総理から信頼されているか信頼されていないか、もことしてわからない状態にある
外務大臣の苦悩をもくんで、私はあえて
外務大臣に
質問するのであります。
園田さんは紳士だから、どうもこういう点は黙して語らずで、がまんするのでしょうが、国民はがまんできないところまで怒りが心頭に発してきているということだけを福田さんにも、あなたにも、この際伝えておくことにします。
そこで、
領土とは何ぞや、
平和条約の中においていつもむずかしい問題は、
戦争と平和の発火点、危機をも招くのはすべて
領土問題の取り扱いの軽率さから起きるのであります。中ソ論争ももう二十年も続いておりますが、その発端は
領土問題であるとはっきり共産圏で述べてくれたのはユーゴスラビアの歯に衣を着せないで物を言える政治家チトーだけでありました。チトーだけはやはり普通の共産党の政治家とちと違う
一つの見識を持っておりますが、ほかの人は皆
園田さんのように黙して語らず、うっかり口を開いたら大変だというので、たとえばスースロフやミコヤンのような人にも幾ら聞いても、あなたのように、いつ
日本で座禅を学んだのか、黙して語らないのであります。語ったのはフルシチョフだけですが、語った途端に彼は吹っ飛んでしまったんです。それほどやはり私は
外交官にとっては、この問題に対する発言は命がけの問題で、フルシチョフは少し軽率だから自分の力の限界を知らないで発言して、最高の地位から奈落へ落とされたのだと思うのでありまして、はっきり物を承った私が大変悪いことをしたと思って、後では反省しておりますが、なぜそういう不明朗な政治が二十世紀の後半各国を
支配しているのか、これは明らかに権謀術策の政治であります。権謀術策の政治というのは、権力を持った者が自分の我説だけを押し通して、力任せに押していくのが権謀術策の政治であります。
そこで、この
領土問題はおのおの違うと思いますが、具体的な事例で
尖閣列島、
竹島、
北方領土の国後、択捉の問題、それに対してやや明確のようで明確でなく、はっきりしているようではっきりしない答弁がアジア
局長の先ほどの答弁であるというのは、これは
秦野さんがすでに認めているところでありますが、与野党ともに私は宮仕えをする人はつらいと思いますが、こんな答弁をしておって、あなたはわかるかもしれないけれ
ども、国民はわかりますか。相手国の
ソ連でもあるいは
中国でもわからないからこういう騒ぎが起きるんじゃないですか。わかったようで、暗やみで盲あるいはいざりがいざり寄って話し合うような始末で、何が何やらわからないのが今日の
外交の状態で、自分では大体わかっているが相手には通じない、通じてもしらばっくれることもできる。
あいまいもこたるふざけた
外交を
日本は
日本流に、
中国は
中国流に、
ソ連は
ソ連流にやっているんですが、まず、とりあえず
尖閣列島は
日本の
領土なりという明快な私は信念を持っているし、いかなる者に対しても回答をこれははっきり物を言うのですが、なまはんか歯に衣を着せちゃってふんがふんが言っているから、台湾でも
中国でもわからないので、台湾という国とは別にかかわり合いがないのにもかかわらず、割り切ってしまったのに、
外交権を持っている
政府を支えている自民党の台湾ロビーたちは、蒋介石には大変お世話になっているからなんて、余り知ったやつはいないらしいが、そうやって台湾回りをやって、そうして次の蒋経国が台湾の総統の座についたが、少しこのところ、もんでがんばるからなあなんていうことをささやいているのに相違ないと私は思うんですが、こういう形で一体だれが
外交をやっているんです。
自民党では今度ちょうちん行列を国民にやらせて、ひとつ福田さんの顔とおえら方の中曽根さんとか灘尾さんという顔を少しさすってよく見ないと、この人たちは何を
考えて何をやって、どこの国に属しているのか、どこの
政府に属しているのか、これは一度手探りででも当たってみないとわからない状態だと思うんですが、これでいいんでしょうか。こんな国家はどっかにありましょうか、おもちゃの国家ですか、憲法を守っているんですか、
政府を守っているんですか。揺すぶり専門じゃありませんか。東海地震どころの話じゃなくて、福田内閣ももう今日においては、地震に取り囲まれてノイローゼになっているのが福田内閣の
現状じゃありませんか。私は国籍はどこだとまでは言いたくないけれ
ども、
中国あたりで見りゃ一体
日本には
政府があるのか、
外交権はだれにあるのか。おれの方もひとつ揺すぶってみようと、こういういたずらっ気がどこかからでも起きないということは言えないと思うんです、こういう状態じゃ。われわれの目は相手を見るために外敵に備えて目があるから自分のことは見えないが、だれでもやはり相手を見ると、
日本の
政府の顔は漫画にもならない、お化けにもならない、えたいの知れない物にしか見えないじゃないですか。これは
中国の態度は間違っているという前に、一体、
日本は何を
考え、何を奮言わんとしているか、何を行わんとしているか。
多少相手あっての
外交で、その相手に言うだけでも通ずるような
姿勢がなければ、
竹島に
韓国が既成事実を出せば、おれの方はそのときには軍隊はないんだ、
戦争手段には訴えられないんだと言って既成事実を黙認する。そういう習慣がついてしまったなら、今度はおれの方も既成事実をつくって、それを黙認させようという企てをどこの国でもやらないということは言えないじゃないか。それを進めさせているのは
日本じゃないかという言葉がはね返ってきたときどういう答弁ができるんですか、
竹島に対して、あるいは
尖閣列島に対して、あるいは国後、択捉に対して。共産党に問うまでもありません。これはわれわれ
政府の
姿勢がはっきりすれば、いまの共産党あたりはずいぶんユーロコミュニズムのように傾いて聡明になっているからそんな無理なことはやらなくなっています。やはり
日本の
固有の
領土だ、
領土だということを明確にして、ヤルタ協定なんという
戦争中のインチキ協定、軍事謀略協定はわれわれは認められないんだということをはっきり
ソ連にもわかるように言えば、
ソ連もああそうだったかと、そういう余りそれた返事はしないと思う。やはり物をはっきり言わないからわからなくなっちゃうんで、私らはクレムリンの宮殿に行ってそれをはっきり言ってきた。だから
戸叶さんは
日本人だということが
確認されて、あとで成田さんみたいにいじめられることはない。右に左に意見が異なると、クレムリンで言った発言と
北京で言った発言は違うじゃないか、一貫性がないというのが
国際外交における信義違反の根源になるんです。わが党においても成田さんは責任を
感じてやめてしまいました。やはり福田さんも成田さんがやったようなあの聡明さを私は今日の政治家としては進退の上において発揮してもらいたいと思う。みずからやはり裁くというのが政治家の使命です。
自分で責任をとれないやつがいつまでも責任ある位置にかじりついているというのは官僚の悪い習性であって、いやしくも政党政治家となって、自民党のフク総裁というのは名字が福田だからフク総裁だというわけにはいかないんで、やはりその点はあなたは忠実な福田さんの協力者であって、松野さんも逃げちゃった、あなたも逃げちゃったといったら福田さんにはだれもいなくなっちゃうから、本当に気の毒だけれ
ども、そうしないためにも、私ははっきり瀬戸際の重大なときであるから、言いづらいことも、さすが
園田、言いづらいことを言って、その後で割腹したわいというと、これは乃木将軍以上になるんで、私は政治家はそのくらいの土性骨がなけりゃ、いまの武器なき国における政治はやれないと思うんです。これはひとつ言いづらいことだけれ
ども、あなた言ってください。言えなかったら、私が今度は福田さんに直言することにしますけれ
ども。私は、そういう
意味において、この
尖閣列島と
竹島の問題、どうもアジア
局長は宮仕えをする人で、政治的な発言をあの人から余り聞きただすということは残酷だから遠慮しますけれ
ども、ここいらのけじめをはっきりしてもらいたい。
それから、
北方領土の国後、択捉でも、社会党の社会主義協会というちょんまげマルキストの人たち、あるいは共産党のやはり長い間の習性で、プロレタリアの祖国と
考えている人——私たちは祖国は
日本以外にないと思っているんですから、
日本において政権を取ろうとするならば、国民が
主権者であってプロレタリアの独裁でないというのはもう共産党も認めたし、ユーロコミュニズムの世界でもそういう独裁形態は否定したんですから、ちょうど共産党の変わり目の転換としては
歴史的な転換にもなるから、そういうことはやっぱりはっきりさせた方がすべてこの機会に私はいいと思うので、国会において——先ほどなかなか前の警視総監だけれ
ども、勇気があって野性味があるが、彼が言ったように、やはり
政府がこういうしらばくれた
政府であることはわれわれの不明からきたんだから、国会決議でもやって、
主権者に忠実なる国の最高機関たる国会の意思がこうだというのをぶち上げて、そうして福田内閣なんかは吹っ飛ばしていった方が、
日中平和友好条約は——大体、法律の形式だけにとらわれておって、だれが法律をつくったか、だれがための憲法かということを忘れているような、主人公を忘れたような
政府と国会、このぶざまな状態をぶち破っていくのには、これぐらいの勇気ある着想と行動がなけりゃ、いまの政局の転換を図ることはできないし、
戦争へ入っちゃってから待ってくれじゃ間に合わないから、
戦争のかわりにいまひとつ肉弾戦で国会からまずそういうぶちかましが始まらなけりゃ、いまのような性根のない
政府、国会をも含めて、みずから反省の実を示さなけりゃならぬところにきている。
中国を批判することは楽です。だけれ
ども、
日本のぶざまな状態を見れば、だれでもやっぱり小石の
一つもぶつけてみたくなったり、揺すぶってみたりするのはあたりまえです。子供にいたずらするなと言うのが間違いで、子供がいたずらするような仕組みになっている
政府の態勢なり政治の態勢に問題点があるんだから、禍根はそこにあるということをはっきり示せば、国民も黙っちゃいないです。殺すというんじゃないから、しばらくお休みというんだから、やっぱり
政府であろうが国会であろうが、場合によっちゃ眠らせてしまうことが必要です。不必要なものにはやっぱり冬眠をとらせる。春になってもやっぱり冬眠をとらしておいた方が無難で、まだ生きている気配だけあればいいんだと思うんですから、そういう点において抜本的な治療をやらなけりゃ、いまの政治、
外交なんというものは変わらないと思います。
北方領土の問題に対しても、ひとつわれわれの方でも、もう少し慎重に、国会の出方や
国際情勢の動きを見ておりますが、だめだというときには、これ以外にやはり荒療治はありませんから、国会の決議をやるなり、あるいは解散要求の、
主権者の国民に呼びかけて、そして政治、
外交を国民の手に奪還する運動を起こす以外に、憲政擁護などというなまぬるいことでは、もう憲法があっても、憲法を無視した与党があり
政府があって、憲法ははいま冬眠状態でありますから、こういうふざけた状態の
日本の国家体制の中に荒療治をやることがいまこそ必要だと思います。
それで、この
領土の問題ですが、この三つを簡単に、
外務大臣言いづらいでしょうが、どこいらからどうやってやっていくのか、その手順だけでもひとつ示してください。