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1978-03-23 第84回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      上田  哲君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鳩山威一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 亀井 久興君                 徳永 正利君                 永野 嚴雄君                 町村 金五君                 三善 信二君                 小野  明君                 小谷  守君                 田中寿美子君                 矢追 秀彦君                 立木  洋君                 和田 春生君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君    政府委員        外務政務次官   愛野興一郎君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        文化庁次長    吉久 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省国際連合        局外務参事官   小林 俊二君        文化庁文化部著        作権課長     小山 忠男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○許諾を得ないレコード複製からのレコード製  作者の保護に関する条約締結について承認を  求めるの件(内閣提出)     —————————————
  2. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会開会いたします。  許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりまするので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  3. 立木洋

    立木洋君 レコード製作者保護に関する条約についてですが、これは去年の四月でしたか、万国著作権条約審議を行った際にも問題になった点でありますけれども、当時、鳩山大臣から、レコード条約については前向きに条約批准するという趣旨答弁があり、今回、こういう形で提起されてきておるものと考えるわけですが、レコード条約が今回批准されるに至るまでの間、どういうふうな実害というか問題点があったのか、その点についての把握はどういうふうにされておるのか、文部省なり外務省なり説明をしていただきたいんですが。
  4. 小林俊二

    説明員小林俊二君) このレコード条約につきましては、昨年の国会の際に、立木先生の御質問に対していまお話のございましたような御返事を申し上げた経緯がございます。  このレコード条約を、その際、御質問のありました隣接権条約に先がけて批准することになりましたのは、何と申しましても、このただいま御審議を仰いでおります条約について加盟が進みまして、主要国、すなわち米国であるとかフランスであるとか、レコードに関しての主要国がこれに加盟して二十七カ国に達したという点でございます。  隣接権条約につきましては、いまその後加盟も進んでおりませんし、わが国国内におきましては隣接権に関する保護は万全の手配はいたされておりますけれども、国際的な義務として、あるいは関係者権利としての態様がはっきりしていない、それから主要国を含めた加盟国の数がふえていない、そういうことから、とりあえずこのレコードに関する保護の国際的な改正努力するという点を優先さしたわけでございます。
  5. 立木洋

    立木洋君 いま言われましたその同じときに、実演家及び放送関係の問題についても、いわゆるローマ条約ですね、質問した際には、鳩山さんが、これから検討しまして文部省とも十分連絡をとり努力をさせていただきたいという趣旨の御答弁があったわけですが、この一年間、検討された内容というのはどういうふうな内容だったのか。いまのお話では、全く一年前に言われたことと同じことしか言われていないんですけれども、どういう検討がなされたのか、検討された結果はどうなっているのか、その点について。
  6. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 文化庁といたしましては、いわゆる隣接権条約につきましても前々から検討いたしているところでございまして、御承知のように昭和四十五年の著作権法改正隣接権条約を下敷きにした新しい法律をつくりました以後、いまだ日が浅いわけでありますが、これらの施行状態につきましてつぶさに実情調査いたしますと同時に、関係当事者からの見解十分聴取をいたしておるところでございます。なお、諸外国状況等につきましてもいろいろ調査を進めていたしておるところでございまして、このような諸外国状況等を見きわめつつ、また国内状況等も総合的に勘案をいたしまして、現在、検討をいたしているところでございます。
  7. 立木洋

    立木洋君 調査した、あるいは検討したというふうに言われたんですが、その調査した内容でどういう点が明らかになったのかという点をお述べになっていないんですけれども、それでたとえばローマ隣接条約について、一年前とさらに進んだいわゆる認識というか考え方が政府としては持てたのか、全く一年前と変わらないのか、批准の問題に関する点で言うならば。  だから、一つは、調査したと言われたその内容ですね、調査してどういう実態が明らかになっているのかという点と、それから一年前と政府がこのローマ条約に対する認識の上で何らかの変化や発展があるのかどうなのか、その二点について。
  8. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) その点につきまして、国内状況等につきましては、昭和四十六年の法施行後、いろいろ著作権関係団体等における話し合い状況等も若干の変化はございますが、しかしながら、まだ全体としてこの法律施行後日が浅いという状況は依然として変わらないと存ずるわけでございます。  また、諸外国におきましての状況等につきましても、当時も申し上げたと存じますが、隣接権内容が必ずしも国によって一定していないという事情とか、あるいは米国等主要国動き等についても、その後、特段の変更がないという意味では、一年前申し上げた状況と格段の事情の進展というものはいまのところ認められないと申し上げることができようかと存ずるわけでございます。     —————————————
  9. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。     —————————————
  10. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) ただいまの立木委員の御質問でございますが、昨年の通常国会でも、立木委員から御指摘があったわけであります。  そこで、外務省といたしましては、文部省並び文化庁と実はその後十分協議はいたしておるわけでありまして、何と申しましても、いま説明をいたしましたように、この四十五年の著作権法改正隣接権を取り入れて以来まだ日が浅いということと、それから国内における著作隣接権制度運用実態をもう少し見きわめる必要がある。さらにまた関係当事者見解をずっとお聞きをいたしておるわけでありますけれども、まだ十分聴取をいたしておらない、こういう点もございますし、さらに先ほど文化庁の方からるる説明をいたしましたように、諸外国隣接権内容一定でないというようなことから、米国等主要国動きももう少し検討をしていく必要があるというようなことで、ただいま検討十分立木委員の御指摘も踏まえながら続けておるというのが実態であろう、こういうふうに思うわけであります。
  11. 立木洋

    立木洋君 昨年の十二月ですか、調査なさっているというのでおわかりだろうと思いますけれども日本芸能実演家団体協議会で、ローマ隣接権条約について批准されていないためにこういう問題があるというふうな調査がなされて問題が提起されているわけですが、この芸団協調査では放送局などが外国製レコードを無料で使用していることから、二百十七億円にもその使用料が上っておる、これを放置しておくのは文化国家としてふさわしくないんではないかというふうな見解を発表されていますが、これについては、政府としては、こういう調査実態についてどういうふうに検討なされたのか、また、この調査についてどういう見解政府としてはお持ちになっているのか、その点はいかがでしょうか。
  12. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 先生指摘の毎日新聞に出ましたこの調査中身につきましては、私ども承知をいたしておるところでございますが、この金額等につきましては、これはその中でも断りがございますように、スウェーデンの税金で換算した金額でございまして、これを正確にわが国実情に即して言う場合にはこれはどの程度になるか、これはまた別途の検討を要するかと思うわけでございますし、この調査中身やり方等につきましても、これは必ずしも正確なものでもないように伺っておるわけでございますが、しかしながら、こういうような一つ事態というものは私どもといたしまして十分認識をし、これをどのように今後改善していくかという課題は私ども持っておるわけでございまして、いろいろ国会等におきましても隣接権条約早期批准の問題の御指摘があっているわけでございますが、先ほど申し上げましたようないろいろな諸般の事情等考え、慎重に検討せなくちゃならない課題だと思っておるわけでございます。
  13. 立木洋

    立木洋君 ちょっと話が変わりますけれども、ここで言われている、この隣接権条約について「締約国は比較的少数国々に限られ」ているというふうに書いてありますが、締約国はいま何カ国になっておりますか。
  14. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 昨年十二月現在で二十カ国でございますが、そのうちいわゆる先進国と申しますか、工業国に属しますのはドイツ、イギリス、スウェーデンあたりでございます。
  15. 立木洋

    立木洋君 これはやはりここの外務省説明書き方ですがね、これはレコード製作者保護についての条約というのを先に批准してもらうという問題提起をなされる、それ以前のいわゆる隣接権条約についてはまだ批准しないということをいわゆる合理的に説明する背景としての述べ方が中心になっておる余り、ここのところはやっぱり「条約締約国は比較的少数国々に限られ」という表現の仕方というのは、もっと客観的に私は正確な記述をすべきだと思うんですよ。これを読む人が読むと「比較的少数国々に限られ」と、レコード条約がいま二十八カ国だと、二十カ国が「比較的少数」に限られて、二十八カ国というのは「比較的少数」ではないのかと、こういう言い方になりますので、ここの場合はやっぱり説明を読んだ人が誤解を生じないように、客観的に正しく事情が理解できるような背景説明というのが私は必要ではないだろうかというふうに思うんですが、この説明の仕方についてはどうですか、村田さん。
  16. 村田良平

    政府委員村田良平君) このように書きました理由は、隣接権条約の方は実は先生御存じのとおり一九六一年にできておるものでございまして、相当それから時間がたっておるわけですが、そのわりあいに加盟する国が少ない。それに反しましてレコードの方は一九七一年に作成された条約でございますが、現在、数年間のうちに二十八カ国ということで、かつその中身が、先ほど小林参事官が申しましたように、実質的に非常に大きい利害関係を持っている国という点から見ますと、レコード条約の方は米国フランス等も加えた主要先進国が入っておるのに対して、隣接権条約の方はそこまでいっておらないということでそのような記述になったわけですが、確かに御指摘のとおり、いまの説明書書き方でございますと、数そのものから言いますと三十対二十八ということで、そう差がないわけでございますので、その点は若干不正確な書き方であったということで反省をいたしております。今後、そういう点に間違いのないように留意いたしたいと思います。
  17. 立木洋

    立木洋君 この隣接権条約についてどうして批准しないのかという点で、この背景説明の中にも述べられているし、先ほど政務次官も述べられている点なんですけれども、つまり「著作隣接権内容は国際的には未だ一般的に確立されたものとは言い難い」という背景説明の中での指摘もあるわけですが、日本では商業用レコード、二次使用料を受ける権利を含む著作権隣接制度というのが事実上導入されている、国内的にはそういう条件というのは達しているわけですね。だから、どうしてこれを批准しないのかという、率直に腹を割ったところですね、どうして批准ができないのか。この批准をするのに反対する団体というのが国内にはあるのかどうなのか、あるいはこれを批准してはどうしても困るという問題があるのかどうなのか、その点についてもう少し説明していただきたいんですがね。
  18. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 文化庁が従来までのところ聴取した限りにおきましては、この隣接権条約批准につきましての意見といたしましては、いわゆる放送事業関係者につきましては消極的ないしは反対意見を持っているようでございます。さらに促進的な意見を持っておりますのは、芸団協あるいはレコード協会のように承知をいたしているところでございます。
  19. 立木洋

    立木洋君 いま言われたんですけれども日本著作権法の九十五条と九十七条でしたか、あそこでは放送などで商業用レコード使用されたときにはメーカー演奏家にその使用料を支払うことになっているというふうに国内の場合にはなっているわけですね。問題は、つまり外国レコードローマ条約批准していないために使用料が一銭も支払われない。だから、いろいろそういう意味から言って、世界音楽家から日本というのは一体何なんだというふうな指摘があるというふうなことが問題になっているんですけれども、この点について政務次官はどういうふうにお考えになりますか。日本国内ではそういうふうに整備されて第二次使用料が支払われるけれども外国の場合には支払われていないということから、いろいろと日本に対する指摘外国音楽家からあるというふうな点についてはどういうふうにお考えになります。
  20. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) 立木先生お話はまことにごもっともである、こういうふうに考えております。  ただ、隣接権条約反対とか、それからまた、それがいけないというようなことを申しておるわけではないわけでありまして、このレコード製作者保護条約についても、いまお話しのようなことを踏まえて、ただいま立木先生が言われておる隣接権条約もできるだけ早く批准をするように検討をしながら、レコード製作者保護条約を優先させていただきたいというお願いをいたしておるわけであります。  どうして隣接権条約に優先させていただきたいと言っておるかという理由を御説明申し上げますと、レコード製作者保護条約は海賊版の横行からレコード製作者保護する措置をとることの緊要性にかんがみまして作成されたものであり、その作成に当たっては、わが国の意向も十分反映されておる、こういうことから国内的にも特段の問題を生ずることのない条約である。また、レコード生産額第一位の米国を初めとする主要レコード生産国締結をしており、米国フランス等主要国がいまだ締約国となっておらない隣接権条約よりも、レコード製作者保護の観点からただいま御審議お願いしておる条約を優先させていただきたい、こういうふうにお願いをいたしておるわけでございます。
  21. 立木洋

    立木洋君 できるだけ早くそういうふうにできるように努力していきたいという趣旨お話ですが、国内的にはそういうふうな条件がもう達しているわけですし、つまり外国動きを見てどうこうするということよりも、やはり日本として主体的にこの問題に対してどう対処するのか、まだ数が少ないから入らないだとかいうふうな、そういうことだけではなしに、日本としての基本的な姿勢のあり方としてどうすべきかということはもっと明確に自主性のある形で対処していくようにやっぱり努力すべきだろうと思うんです。その点は要望しておきたいんです。  ちょっと話が飛びますけれども、今度のレコード条約の第四条のところに、与えられる保護期間については「二十年よりも短くてはならない。」という指摘、これも前回も問題になったわけですが、万国著作権条約の場合には二十五年よりその保護期間は短くてはならない、それからベルヌ条約の場合では死後五十年というふうな保護期間というふうな問題が問題にされていますけれども、この保護期間の問題については、それぞれこういう表現の仕方というのは違いがあるけれども、その点、運用上については問題がないのか、具体的にはどういう形で国内的には進めていくのかという点について、ちょっと説明をお聞きしておきたいんですが。
  22. 小山忠男

    説明員小山忠男君) 保護期間の問題でございますけれども、いまお話がございましたように、ベルヌ条約及び万国著作権条約におきましては、前者におきまして五十年、後者におきまして二十五年という基準をつくっております。それに対しまして、このレコード条約におきましては保護期間は二十年ということで、若干年数が短いということが言えますけれども、これはいわゆる著作権の場合の保護期間隣接権の場合の保護期間との違いという認識に立っておるわけです。それで日本著作権法におきましては、このレコード条約あるいは隣接権条約の立場を尊重いたしまして、国内隣接権者に対する保護期間は二十年というふうに定めております。
  23. 立木洋

    立木洋君 それから、これも前回あれしたわけですけれども、いわゆる録音録画に関する著作権の問題に関連して、著作権法の三十条の改正をしてほしいというふうな要望が団体から出されておるというふうな問題も前回問題になったわけですが、その後、新聞報道によりますと、文化庁としては、メーカー側に対して、この録音録画機具機材の普及がレコード業界実演家団体などに不利益になるかどうかについて実態を調べてメーカー側としての見解をまとめるようにというふうな要請がなされたというふうな報道があるんですが、そういう要請がなされたのか。それから要請されたとしたら、その結果、現在までどういうふうな事態が判明しているのか、その経過についてちょっと説明していただきたいんです。
  24. 小山忠男

    説明員小山忠男君) 録音録画著作権の問題につきましては、昨年の十月に、文化庁著作権審議会に第五小委員会という小委員会を設けまして、この小委員会に各界の関係学識経験者に御参集を願いまして、現在、検討を進めています。  それで、その審査の前提といたしまして、一昨年芸団協等の三団体調査をしました日本国内における実態につきましてのデータ等を参照しながら、現在、審議を進めておりますが、近いうちに、そのメーカー側でございます日本電子機械工業会の方でも、そういう実態調査をしたいということを考えているというふうに聞いておりまして、その実態調査の結果が出ますれば、そのデータにつきましてもこの審議会におきまして検討をしたいというふうに考えておるところでございます。
  25. 立木洋

    立木洋君 いま言われた第五小委員会というのが、昨年の十月ですか、発足してから、その中で問題になっている問題点、それから、いつごろまでに結論を出されるのか、その点はどういうふうになっていますか。
  26. 小山忠男

    説明員小山忠男君) 第五小委員会検討しております中心的な問題は、家庭等におけるテープレコーダー等々の機器使用、いわゆる私的使用の問題でございます。この問題を中心検討を進めておるわけでございますけれども、これに関連する問題もあわせて検討をしたいというふうに考えています。  審議期間としましては、当初一年半ないし二年ぐらいということを想定しておりまして、したがいまして昨年の十月からスタートしましたので、来年のうちには報告書が提出されようというふうに考えております。
  27. 立木洋

    立木洋君 新聞報道では、機械販売収入の百分の五の範囲内で補償金を請求できるという西独方式検討するというふうな記事があるわけですが、こういう問題についてもやっぱり前向きに検討するということにはなっているんですか、それはどうです。
  28. 小山忠男

    説明員小山忠男君) 西独において現在実施されておりますテープレコーダー等機器一定課徴金を課するという方式につきましても、その採用の妥当性につきまして検討したいというふうに考えております。
  29. 立木洋

    立木洋君 審議会の第五小委員会が発足されて、実際にはいま問題になっている問題点、これは前回の場合も、あれいつでしたか、文教委員会衆参とも附帯決議がなされて、この問題を解決するようにということがされてからすでに八年間たっているわけですし、この問題についても積極的にやはり正しく解決していくという努力を至急やっていく必要があるだろうと思うんですね。  今後、ますますこの問題に対する矛盾というのは新聞報道で見る限りでも大変な事態になっておりますし、この審議会が十分にそういう状況を踏まえながら、もちろん人類のそういう技術的な成長に国民が浴するというものをすべて否定するわけではないけれども、しかし、著作権の問題というのは権利として十分保障されるということが当然なわけですから、その点については正しく解決できるようにこの審議会が正しい結論を出すようなことがきわめて望ましいと思うんですね。そういう点では、この審議会審議経過を踏まえて、文化庁としても積極的な対応をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思うんです。じゃ時間があれですから、最後に、その点だけお尋ねして、終わりたいと思います。
  30. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) ただいまの御指摘の点につきましては、私どもとしましても積極的な検討をしたいということでございまして、すでに著作権審議会の中でコンピューター問題につきましては第二小委員会、これは四十七年から八年にかけていたしまして報告書が出てまいっております。なおビデオにつきましては四十七年から四十八年にかけまして、それから複写、複製問題につきましては四十九年から五十一年にかけまして、それぞれ検討をいただき、小委員会検討結果が報告をされておるわけでございますが、ただいままで申し上げましたように、録音録画問題につきましても、現在、第五小委員会検討をいたしておるわけでございます。  この検討におきましては、国内のいろいろなそういう諸要求、調査に基づく御見解等を十分伺いますと同時に、世界各国におきまするところの諸情勢というものも適時的確に把握をいたしまして、わが国としてどうするかという前向きな姿の中で検討してまいりたいというふうに思うわけでございますが、この問題の処理につきましては、もとより基本的には著作権者というものを保護すると同時に、新しい機器の開発に伴う公正な使用というものを十分検討いたしまして、わが国の国情に基づいた対策というものを立てるべく真剣な検討をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  31. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 午前の審査はこの程度として、午後四時三十分まで休憩いたします。    午前十時三十四分休憩      ——————————    午後四時四十分開会
  32. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  33. 戸叶武

    戸叶武君 この許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約は一九七〇年におけるユネスコの第十六回総会及びベルヌ同盟によってこの問題が総会で取り上げられ、そして一九七一年に条約がつくられたのでありますが、問題は、この海賊版を取り締まることに重点があるのでしょうが、日本として現在海賊版を取り締まらなけりゃならないレコードにおける必要というのは、東南アジアにおける海賊版の流行に対してアメリカも手を焼いているんでひとつ日本に手をかしてくれぬかというようなことから、これは問題になっているのかと思いますが、その間の事情は、大臣が説明しにくい場合には専門家の人からその間の事情を一応お聞きしたいと思います。
  34. 小林俊二

    説明員小林俊二君) お答えいたします。  確かにわが国にとりましては東南アジアにおける海賊版の製造ということが最大の問題でございます。したがいまして、厳密に申し上げますれば、これらの国々がこの条約加盟してくれなければその保護の実益を確保することは困難なわけでございますが、また逆にこの加盟国がふえるということによって世界的にこの条約への加盟国を増加する効果を期待し得るということでございます。アメリカから要求されて云々ということではございません。わが国におけるレコード製作者の実益が長い目で見れば非常に密接なかかわり合いを持っているということでございます。
  35. 戸叶武

    戸叶武君 現在、加盟国は二十八カ国ということですが、それはアメリカ、ドイツ連邦、フランス、イギリス等の先進国は全部加わっている模様でありますが、発展途上国においてこれに加わっている国はどのような国がありますか。
  36. 小林俊二

    説明員小林俊二君) ただいままでのところ、私どもが最も関心のあるアジア諸国はほとんどございませんで、ブラジル、チリ、アルゼンチンといった中南米諸国、一部のアフリカ諸国、それから共産圏といったところが先進工業国以外の加盟国でございます。
  37. 戸叶武

    戸叶武君 共産圏ではどういう国々です。
  38. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 共産圏ではハンガリーでございます。
  39. 戸叶武

    戸叶武君 いずれにしてもブラジルとかチリとかアルゼンチンとかハンガリーとかというのは音楽の盛んなところであります。東南アジアも盛んであるが、中南米諸国とは大分文化的な基盤に違いがあるように思われるんですが、一番海賊版が花を咲かせているところは東南アジアにおいてはどのような国でありますか。
  40. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 私ども承知しているところによれば、台湾及び香港、ある程度韓国もこれに加わろうかと存じます。
  41. 戸叶武

    戸叶武君 インドネシア、フィリピン、シンガポール等はどうです。
  42. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 数字を正確に申し上げますと、第一位がインドネシア、第二位がマレーシア、第三位がシンガポールということのようでございます。先ほど私の申し上げました台湾、韓国、香港は五、六、七位ということでございますので、訂正申し上げます。
  43. 戸叶武

    戸叶武君 インドネシア、マレーシア、その次は何ですか。
  44. 小林俊二

    説明員小林俊二君) インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、台湾、韓国、香港の順でございます。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 これらの国々においては麻薬取り締まりも非常に困難である。出入国の場合においてもずいぶん悩まされているんですが、レコードの海賊版の取り締まりの方法はどういう方法においてなされるのか知りませんが、大変手間のとれる仕事じゃありませんか、どうでしょうか。
  46. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) わが国著作権法によりますと、いわゆる著作隣接権の違反の事項につきましては、刑事責任につきましては百十九条で「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」というふうに相なっておりますし、そのほか民事上の損害賠償請求訴訟あるいは不法行為の差しとめ請求権等が認められておるところでございます。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 一番被害者はアメリカだということですが、日本は余り被害は受けてない模様ですが、どうですか、海賊版の問題。
  48. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) これにつきましては、先ほど外務省から御報告のあった数字は国際レコード・ビデオ製作者連盟の調査結果でございますが、これはいわゆる国際版の海賊版でございまして、日本の国のレコード製作者のつくったものの海賊版であるかどうかにつきましては調査上明確でございません。したがいまして、ここで詳細に正確に申し上げる調査はございませんが、私どものいろいろな聞き込み等によりましても、東南アジア、特に香港、シンガポール、マレーシア、インドネシア等におきましてのそういう事実についてのいろいろな情報は得ているところでございます。しかし、それはどの程度の額になるかということにつきましては、現在のところ、まだ調査はございません。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 これはいずれにしても国際的なおつき合いですから、やらざるを得ないでありましょうが、これによって日本の得るところは具体的にどのような得るところがありますか。きわめて現実的に打算的な質問のように見られますが、いつもアメリカペースで引き回される、ほかにやらなくちゃならないこともいっぱいあるが、そういう傾きが多いので、アメリカさんから声がかかればすぐにすっ飛んでいくというような形だと、いろんな点において今後まだやらなけりゃならない問題がある、ずいぶん漏れている面がいっぱいありますが、それは後で質問しますけれども、それはどうですか。
  50. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 確かに米国レコードの生産高におきまして世界一位でございますが、わが国はこれに次ぐレコードの生産国でございます。特に近隣諸国、すなわち韓国、香港、また台湾等におきましては、わが国で製作されたレコードの海賊版が作成されることが多いと承知しておりますので、ただいま文化庁の方からお話がございましたように、数字そのものは確認することが非常に困難でございますけれどもわが国レコード製作者の実益に結びつく点はきわめて大きいと私ども考えております。
  51. 戸叶武

    戸叶武君 今度は大臣に質問いたします。  これは文化庁の仕事のようですが、やらないよりはやった方がよいと思いますが、もっと私は文化庁の活動や何かでやらなけりゃならない点がずいぶんあると思いますけれども、それと比較してとやかく言うんではありませんが、本来の東南アジア工作において欠けているのは、留学生問題にしても、あるいは民族的な舞踊なり音楽の交流の問題でも、あるいはハンドワークの普及の問題でも、いろいろな点や細かい面があると思いますけれども、どうも外務省なり文部省のやっている仕事は、きわめて高級な文化というものを指さしておいて、日常生活に結びついたものに対する配慮がずいぶん欠けている、おろそかになっているという声が一般からは強いのでありまして、この問題でけちをつけるというのじゃないが、もっとどろ臭いといいますか、もっと発展途上国にプラスになるような面のことをもこの問題に関連しながら、やはりもっと配慮してもらわなけりゃ困るという声もありますので、そういうことを外務大臣に、あなたは大分苦労人だから伝達しておくと同時に、この問題のような一つのことはユネスコその他の関係からも文化交流の点においても重要な問題であるが、これだけではない、もっとやっぱり大衆の生活に結びついたものにおいてプラスになるものを、もっとどろ臭いものを取り上げていってもらいたいという感じが私もしますけれども、大臣はどういう見解ですか。
  52. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 御意見のとおりでありまして、ASEAN諸国を回りますると、現地の人からよりも在外公館の責任者から、もっと映画とかあるいは伝統芸術とか、そういう普遍的な大衆が非常に喜ぶもの、こういうのをもっとどんどん送ってくれ、これが一番効果がある、こういう話を聞いております。したがいまして、外務省としては、型に決まったいままでのやり方じゃなくて、もっとお互いに喜び合うような伝統芸術であるとか、あるいは歌であるとか、あるいは民謡であるとか、あるいはわかりやすい映画であるとか、そういうものをお互いに交流をすることが必要だと思って、そういう方面に検討を命じておるところであります。  なお、こういうものを総まとめにして、この前、総理が行きましたときに、ASEAN各国が力を合わしてそういう文化交流のセンター、こういうものをつくってくれ、こういう話がありまして、これに日本からも協力する、こういうことでいま具体的に話が進んでいるところでありますが、いまのようなことについては特に注意しながら、今後、もっとやわらかく喜んで話すうちにお互いの相互理解ができるというふうにしたいと考えております。
  53. 戸叶武

    戸叶武君 外務大臣も同感のようでありますが、発展途上国の人々の大衆の生活に密着したものから具体的に取り上げていくような努力をしないと、サロンのみにおけるところの一つ考え方だと、本当の大衆の心を私はキャッチできないと思うので、あえてそういうことを提言するのであります。  とにかく、いま東南アジア工作というのは、中国問題を片づけた後において一番重要な問題になってきますし、あの複雑な民族構成の中において中近東と同じようなトラブルを起こしたならば、アジア・太平洋はめちゃくちゃになるので、その共同の責任を中国なり日本、アメリカは持たなくちゃならないんで、そういう点において日本一つの新しいモデル、新しい試みというものをやってもらいたいことを外務大臣に、あるいは福田さんにもこの際お願いしておきたいと思いますが、大臣はそういう意図のもとに努力しておられると思いますが、いかがですか。
  54. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そのとおり努力をする所存でございます。
  55. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいま議題となっておりますレコード著作権条約につきましては、特段質疑がありません。せっかく時間を与えられておりますので、別件について若干この機会にお尋ねを申し上げたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。  昨日、飯倉公館におきまして、政府首脳協議が日中問題を中心にして行われたことが伝えられております。ようやくエンジンがかかったといいましょうか、まさに機熟したという印象を強く私ども持っているわけでございます。すでに衆議院の内閣委員会におきまして、外務大臣の訪中の時期についてもいろいろ示唆が行われたようでございますが、ここまで煮詰まってきたその機会、これはもうやはり一つのチャンスであろうと思いますし、これを逃がす手はないというのが一般的な理解ではなかろうかというふうに思うわけであります。ただ、いろいろいままでも取りざたされてきましたように、特に政府・与党の慎重派を唱える方々に対する根回しの仕方いかんということが一つのネックになっているようにわれわれは受けとめているわけでございます。  すでに外務省は、何日前かわかりませんけれども、日中条約の今日までの経緯という趣旨のパンフレットをおつくりになって、そして特に与党の、あるいは外交調査会か総務懇談会のメンバーの方々かわかりませんけれども、お配りになって、推進を図る一環としての手順を踏まれたというふうに伺っております。で、そうした与党内における一つの問題が障壁ということになりますと、これは非常に残念なことではなかろうかと思うのでありますが、その辺についての今後の交渉に取り組む障害の要素になり得るものなのかどうなのか。もうすでに十分な理解を取りつけておりますので、後はもう交渉の場所と時期に待つだけだというのか、その辺はいかがでございましょうか。
  56. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 本朝の新聞で各社それぞれ書いておりますが、これは全く推測の記事でありまして、昨日午後四時、飯倉公館で総理を中心にして、まず第一に総理訪米の首脳者会談の日程、議題等の勉強会をやったわけであります。それが終わりましてから、日中友好条約締結交渉に向かっての外務省のいろいろな具体的な案を総理に報告をし、検討をしたわけでございます。なかなか微妙な時期で、詰まれば詰まるほど、いま渋谷さんがおっしゃったような段階でございますから、なかなか発言しにくいところでありますけれども、おっしゃるとおりに、機はまさに熟して、動き出す一歩手前に来たということは御推察のとおりでございます。  そこで、これにつきましては、今後いよいよ動き出すとなると、手順、段取りが具体的にいろいろ出てくるわけであります。まず、与党の方の御理解、お許しをいただく問題、それからまた、いろいろ機は熟したと言いながら、各党の方々や国民の御理解と御協力を願わなきゃならぬ重大な問題でございますから、総理としては、ある時期が来たらいかなる方法かによって各党の方々の御意見なり御指示も賜りたいというお考えをお持ちのようであります。それが済みますと、後はいろいろ細々とした問題が出てくるわけでありまして、いまそれを内容を御報告申し上げることはお許しを願いたいと思いますが、もう推察される段階にまいりまして、渋谷さんの推察はいつも当たっているわけでありますから、その御推察によってこれ以上の御答弁はお許しを願いたいと思います。
  57. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 外交の日程といいますか、もうすでに伝えられておりますように、これから予測されるスケジュールといたしましては、ラーマン大統領の訪日、それから福田総理の来月下旬からの訪米、こういう一連の事柄を考えますと、国会の会期もだんだん短くなってまいりますので、そうした時期に決着をつけなければならないだろうし、また政府首脳のお立場としても何とか決着をつけたい、そういう一つ考え方で進んでいるんではないかというやはりこの受けとめ方がきわめて常識ではあるまいか。私はあえて九日から十六日までなんていうことはこれはどういう示唆かわかりませんけれどもね、しかし、いま申し上げたように、常識の上からこう考えますと、どうやらその辺にやっぱり落ちつきそうな可能性というものは十分にあるのではないかということが一つと、もう一つは、でき得べくんば今国会条約批准というものの可能性はいかがなものであろうかという、もう一つの私どもにとっても期待感というものがありますだけに、その辺は明確にお答えになることは大変むずかしいだろうと思いますけれども、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
  58. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまからそれぞれ御理解なりお許しを得るわけでありますから、内容もさることながら、問題はどのような手順で相談するかということは非常に大事でございまして、渋谷さんにしても、何かあったときにまずあなたに相談すればよしと胸をたたかれる可能性が非常に多いわけでございますので、ここで私の日程など具体的にまだ決まっておりませんが、検討した案を申し上げることは、これはかえって障害になると存じます。それからさらに最後になりますると、相手の国とも具体的な詰めをやって両方で合意をした上で発表するのが礼儀でございます。しかし、渋谷さんの推理はいつものことながら大体見当を外れていないんじゃないかと、そううまくいけばいいなと私も思っているわけであります。
  59. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その点はもうこれ以上お伺いしないつもりでありますが、ただ、重ねてくどいようでありましょうけれども、与党側の合意というものはこれはもう間違いなく得られると私ども判断してよろしゅうございましょうか。
  60. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) これはいまから相談することでございますけれども、方針なり交渉の基本要綱等を説明して誠意を持って御相談をすれば、お許しはいただけるであろうという希望を持っております。
  61. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにいままで強硬というようなありさまから慎重というふうに若干その辺の力的な関係が変わってきたようにも思えるのですけれども、そのことのためにこれが先に延びるということになりますと、これは日本の将来にとっても非常に大きな弊害になるおそれがありはしまいかということを私も心配いたしますので、その辺は十分御考慮もなさっておられると思いますし、そのコンセンサスの取りつけというものは必ず取りつけられるであろうし、また、われわれが納得するような方向で条約交渉へも臨めると、外務大臣として、そういうことが明確に言い切れるといういまの御心境でございましょうか。
  62. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 大体、いままでのところは、既定方針どおりに進んできておりまするし、進捗状態も大体予定どおりに進んでいるような気がいたします。昨日も既定方針どおりに進むという改めて確認をしたわけでございます。
  63. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 恐らく手順についても、それから内容の問題についても、もう衆参両院を通しましていろんな角度から議論されてきた経過があるわけでございまして、矢野訪中がもたらした波及効果というものもあるいはどんな形でそれがあらわれてくるのか、われわれいま静観しながら見詰めていかなければならないという状況でございます。恐らくその辺の詰めが、最後の段階として日本政府考え方というものが中国側にとってもある程度の歩み寄りといいましょうか、得られて合意に達する、それは決してむずかしいことではないだろう、そのようにも判断する以外ありませんので、どうかそういう方向に向かって強力に推進の労をぜひおとりをいただきたい、こう思うわけでございます。  ただ、こうした問題が進めば進むほど、それに反比例するかのように、ソビエトの出方が非常にやはり気になる点が実はございます。サケ・マスの漁業交渉を一カ月にわたって続けられてきたにもかかわらず、見るべき成果を得ないまま松浦代表は帰国をしなければならない。その見通しというものは必ずしも明るいとは言い切れないものがあるんではないだろうか。こうしたところにもソビエトの要するに報復と言えるのか、またそういう言葉を使った方がいいかどうかは別問題といたしましても、何らかの形で日中条約成立へひとつ歯どめをかけようというような動きが今回のサケ・マス漁業交渉を初めとして出てきはしまいかという心配が残るわけでありますが、その点はどのように受けとめられておられるのか。  もちろん、かつて外務大臣が訪ソをされましたときにも、中国問題については十分の理解を与えてきたはずだというわれわれも認識を持っているわけでありますが、その後、ポリャンスキー大使の発言といい、今日のいま申し上げた漁業交渉の非常に先行き不安を感じさせるような問題、これに思いをはせますと、果たして大丈夫かなという一方における不安感、どこの国とも仲よくしていきたいという政府の基本的方針というものが果たして貫かれるのかどうなのか、この矛盾、この辺はわれわれはどのように整理をして受けとめたらよろしいものか、政府としてのお考えをこの機会に改めてお伺いをしておきたいというふうに思うわけであります。
  64. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいま発言されました漁業交渉はなかなか厳しいものがございます。松浦代表は二十五日に一時帰国をいたします。しかし、この帰国はこれによって交渉が中断されたわけではございません。一時帰国をして、交渉の経過について政府報告をし、今後のとり進め方について協議をするために帰国するわけでありまして、その間は専門家レベルの政府交渉が続くわけであります。  何にしてもサケ・マスは最も重要な問題でありますが、漁業操業問題でこの交渉が早期に締結されるように努力をする所存でございますけれども、問題は、しかし、日中友好条約の進め方によってその報復手段としてこれが取り扱われることはあり得ないと私は想像しておるわけでございます。もちろん、ソ連は、紛争を起こしておる中国と日本が友好条約締結することは好ましいことではないと存じますけれども、その締結される条約が特定の第三国を敵国ときめつけたり、あるいは両方共同して敵対行為をとるようなものでないということがはっきりすれば、ソ連の方でも不愉快ではあっても、世間が納得するようなものであれば、ソ連の方もまたこれに対して理解のできないような行動をされることはなかろう、このように想像しておるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、締結後はきわめて大事でありまして、ソ連に対する友好関係というものは外相会議、経済閣僚会議等それぞれ話を進める種はあるわけでありますから、こういう問題を進めていかなきゃならぬとは考えております。
  65. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その辺のくだりも日本側の立場はわからぬわけではございませんけれども、すでにもう漁獲期を迎えておるという御存じのいま事態に入っているわけですね。この交渉が停滞している限りサケ・マスはとれない、この受ける被害というものはわれわれ素人が考えましても大変なものに上るであろう。しかも交渉再開は留保されている、それも伝えられておりますね。ソビエト側もそれは合意している。けれども、果たして交渉再開された後において、いま差し迫ったそういうような問題というものが解消できるんだろうか、あるいは日本側がこれ以上譲歩する余地が残されているのかどうなのか。譲歩されないとするならば、果たしてどういうところで決着点というものが見出せるのかどうなのか。すでにもう過去一カ月経過しているわけです。ソビエト側も十分にその辺は承知をしているはずだと思うんですね。  そういう背景考えるときに、やはりまたぞろ日本側の誠意がなかなか通じないというのか、あるいはこちらの折衝の仕方にまだ不備な点があるのかということになりますと、だんだん今度はわからなくなってしまう、端的に申し上げますと。ソビエトの外交交渉というのは大変むずかしいということは、忍耐を要するということは何回もここで話題になったとおりでありましょう。しかし、このままどうなのかということについては、また、どういう手を打ついま準備をされているのか、これをあわせてこの機会にお聞かせをいただければと思うわけであります。
  66. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 農林大臣初め農林省当局及び特に代表団一行というのは全力を挙げて努力をしているわけでありますが、見通しとしては相当厳しいものがある、それをどう打開するか非常に苦慮しているところでございます。
  67. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 現在の段階では、その見通しは全く立たないと見た方がいいんでしょうか、近い将来、必ずその突破口が開けるというふうに判断したらよろしいのでしょうか。
  68. 宮澤泰

    政府委員(宮澤泰君) ソ連との漁業交渉は、過去におきましても例年大変長く時間をかけまして、資源の評価、規制措置等について議論した上で漁獲量を定めておるわけでございます。ことに、ここ一両年は、世界の二百海里漁業水域設定という新しい環境、それからそれと関連いたしましてソ連側が遡河性魚種に対する主権の行使というような新しい要素が入ってまいりました。御承知のとおり、このサケ・マスの沖取り全面禁止という線は昨年夏の国連海洋法会議ですでにソ連が大きく主張をしておりますところでございますので、今度の漁業交渉が非常に難航するであろうということはそのころから私ども予想しておったところでございます。  現在まで何をやっておったかと申しますと、いろいろなこともございましたが、端的に申しますと、サケ・マスの漁獲資源が沖取りによって減っておるのかおらないのか、こういうことで双方の科学者がデータを寄せ合って議論をしておるところでございます。日本側の科学者のデータによりますれば、必ずしもソ連側の言うような減り方はしておらない。ただいままでそういうようなデータの突き合わせをしておりますわけでございますが、これからいよいよ後半の交渉に入りますときに、日本側は人工増殖その他のこれを増殖する方法、それから規制措置の合理化というようなことで持続的な再生産性は保持できるという主張を掲げて最後の交渉に入るわけでございます。ただいまのところ代表団は全力を挙げてかかっておるところでございます。
  69. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 また、この問題は、次の機会に譲りたいと思います。
  70. 立木洋

    立木洋君 レコード製作者保護に関する条約に関連して、私は、午前中、大臣おいでになりませんでしたけれども政務次官に幾つかの問題点をお尋ねしたわけです。ですから、改めて全部繰り返してお尋ねするというようなことはいたしませんけれども文化庁の方ですね、午前中お尋ねしましたローマ隣接権条約、これはつまり著作権保護するという観点から見て、日本としてもやっぱり当然締結すべきだというふうに考えておられるのかどうなのか。これはそういう必要がないというふうに、文化庁としてはどういうふうに判断されておるのか、その点ひとつお伺いしておきたい。
  71. 吉久勝美

    政府委員吉久勝美君) 文化庁といたしましては、この隣接権条約につきましては、すでに国内法の整備の段階で十分隣接権条約を下敷きにした法律を制定し、その後、これの国内法の運用の万遺憾なきを期しておるところでございまして、したがって、そういうような考え方の延長といたしましても、将来、隣接権条約加盟をするということは当然必要だというふうに考えておるところでございます。  ただ、午前中申し上げましたようないろいろな情勢がございますので、そういう点を慎重に勘案しながら、どのような状態においてこれに加盟するかという時期の判断といたしましては、今後、大いに検討していく課題だというふうに申し上げておるところでございます。
  72. 立木洋

    立木洋君 それで、大臣、このローマ隣接権条約の問題に関してですが、昨年、前にも、私、これを鳩山大臣の時代にお尋ねしまして、引き続いて検討努力をしていきたいというふうなお話をいただいたわけですね。  その後の事態を見てみましても、これはいま言いましたように国内的な条件というのは整備されておる。ですから、国内法、著作権法によりましても、いわゆる商業用レコード使用された場合には、二次使用料が支払われるというようなことがなされている。しかし、外国レコード使用する場合、これをローマ条約批准していませんから使用料は一銭も支払わなくててもいいというふうな形になっている。こういうことから世界音楽家の中からは日本としては一体どういう態度なんだというふうないろいろ批判が出されているというふうなことを午前中も申し上げたわけですが、こういうふうな状態になっておる。  で、このローマ条約批准に対して賛成をしていない団体があるのかという質問に対しては、放送局関係者ですか、からやっぱり一部反対があるというふうなことも出されたわけですが、実際には実演家の方々やレコード製作者あるいは放送局関係者ですか、三者がみんな一緒になって結局それを進めるということになればいいでしょうけれども、しかし、一部の人の反対があるからといっても、国際的にこういうふうな批判を受けるような状態、特に著作権を守るという観点から見るならば、当然、これは批准を進めるべきだろう。先ほどの参事官のお話によりましても、レコード製作者保護に関する条約の場合でも、これは相手国が批准していないとなかなかむずかしいという面があると。とすると、今度日本ローマ隣接権条約批准していないとすると、外国から言わせるならば、同じようなことが言われることに結果はなるだろうというふうなことから考えるならば、この問題において、少なくとも発達した資本主義国としての日本としては、このようなローマ隣接権条約というのは至急締結する方向に外務省としては努力すべきではないだろうかという趣旨のことをいろいろお尋ねして、政務次官答弁をいただいたところ、できる限り速やかに検討したいという趣旨の御答弁をいただいたのですけれども、この問題に関しての大臣の見解をお尋ねしておきたいと思うんです。
  73. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) この問題は、御指摘のとおりに、八十回国会で御指摘を受けて以来、外務省文部省文化庁検討を進めてきておるわけでございます。ところが、これは御承知のとおりに著作権法改正隣接権を取り入れてからまだ日がたっておらぬわけでありまして、各国の実態もなかなか十分にまだつかみ切れない。調べてみると、諸外国においてもどうも隣接権内容一定していないという状態であり、国内著作隣接権制度運用実態ももう少し研究してみる必要がある。こういうことで他国の模様等も見きわめつつ早急に検討を続けるつもりでございますが、まだ結論は出しておりません。早急に検討いたします。
  74. 立木洋

    立木洋君 けさの政務次官お話では、隣接権条約については日本としてはもちろん反対ではございません、速やかに検討して努力したいという趣旨のことですけれども、いまの大臣のお話では若干後退したみたいなニュアンスの違いを感じるんですが、もちろん大臣としても、そういうふうな批判的なことを外国から受けるような事態というのは一刻も早く解決しなければならないし、著作権保護という観点から見るならば前向きに検討する努力がなされてしかるべきだと思うのですが、その点はよろしいんですか。
  75. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 私の物の言い方がまずかったんでしょうけれども隣接権条約実演家レコード製作者放送機関に対して著作権に類した権利を与えて、これを広く保護しようとするものでありますから、その考え方については当然賛成であります。私が検討と言いましたのもそういう前向きで検討するという意味でございまして、政務次官よりも後退したわけではございません。
  76. 立木洋

    立木洋君 私、この問題に関してはもうこれで質問が終わりなわけですけれども、まだ時間が五分ほどありますので、御了解を得て二点だけ、ちょっと別の問題ですが、質問させていただきたいと思うのです。  これはもちろん、先ほど日中平和友好条約の問題、手順やそれのいろいろなしかるべき方法、段取り等々については先ほど大臣が言われたわけですから、それ以上その点についてはお尋ねいたしませんけれども、いまの段階で覇権条項の問題、これは交渉に入る前ですから、なかなかお述べになりにくい点もおありかと思いますが、可能な限りで覇権問題に関するいまの大臣の基本的な考え方といいますか、ということを一点ちょっとお尋ねしておきたいんです。それが一点です。
  77. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 当然、条約の交渉が始まると、いまの覇権問題の取り扱いが第一に出てくると思います。これについては、私が国会で外交方針演説を申し述べ、総理が施政方針演説を述べたとおり、日本は軍事大国とならない、いかなる国をも敵としない、こういう方針に従ってこれを処理すべきであると考えております。
  78. 立木洋

    立木洋君 それから、もう一点。  先ほど言われました日ソ漁業交渉で首席代表が一時帰国していろいろ状況を聞き、将来のあり方について検討するというお話ですが、先ほど渋谷議員もお尋ねしたわけですけれども、いままでの交渉の状態というのの厳しさといいますか、難航している点については、どの程度までの厳しさというふうに判断なさっておられるのか。それから、その打開の見通しについてはどのようにお考えになっているのか。この点もう一点お尋ねしておきたいと思います。
  79. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 厳しいと申しますのは、先ほど宮澤局長から申し上げたとおり、ソ連は前々からああいう主張をしているわけでありますから、その決意は相当かたい。したがって見通しは相当厳しい。こういうこと以外には、折衝中でございますから、それ以上は申し上げられません。
  80. 立木洋

    立木洋君 後は次回にします。
  81. 戸叶武

    戸叶武君 資料請求をいたします。  自民党の方に配った資料は、参議院の外務委員会にもいただきたいと思っております。  今後においては、私は、二十八日に日中問題に対する質問をしますが、きめ細かい質問をしないと、条約に対しては内閣にすべてゆだねられておりますからいろんなことの細かい注文はいたしませんが、一度条約を結んでからはなかなかそれを動かすことは困難なので、一覇権問題だけでなく、いま日中関係政府の構え、与党の構え、いろんな点においてこれは新しい記録がここに出てくるのであって、われわれは政府の決断待ちになっておりますが、日中関係というものは隣国であって一番悲劇的な日華事変以後の悲劇を生んでいるので、それを乗り越えて、日本のもう再び戦争をしない、軍備も持つまいというような平和憲法もできているのだし、大正三年におけるソ連と連携する前における孫文先生のアジア主義の神戸における演説、あるいは大隈内閣における加藤高明の二十一カ条、それは日本で受けとめているのとは違って、日本の帝国主義的な行き方というものが中国のナショナリズムというものを刺激し、そうして逆に反日の原点になった。そういう一つ背景があって日中のいままでの抗争もあったのであるが、今回すべてを水に流して明日を築き上げようというのには、イデオロギーや国家性格は違っても、一覇権問題だけでなく、そこに共通の理念の躍動がなければ、この条約の成果というものはない。  いろいろな解釈ができるというようなあいまいの点が残ったのではかえって後で禍根を招くおそれもあるので、私たちは、慎重というのではない、みずからの主体性が確立しない、党内の意見も明確に取りまとめることができないような状態で条約を結ぶというような内閣にわれわれは外交をゆだねることはできないというぐらいな一つの厳しい眼をもって、国民にかわって、いまの自民党の動きを監視しておるのです。これは日本だけじゃないです、世界が見ております。  どうぞ、そういう意味において、外務大臣は、内閣総理大臣も非常に慎重でしかも決断していると思いますが、これは政治生命をかけての闘いという認識のもとにひとつ善処してもらいたい。われわれもそういう意味において協力はするが、あいまいもことしてえたいのわからないような姿勢で条約を結ぶというようなことがあったならば、われわれ自身も共同の責任を感ずるので、これからの外務委員会における質問というものはひときわ厳しくやらなければならないと思います。どうぞ与党のごきげんだけをとることに夢中にならないで、高い、ハイモラルを持って明日の世界、二十一世紀に向かって、アジアにおける日本と中国が何をなすべきか、これを明確に示していかなければ、世界の人々に単なる権謀術策と受け取られたんではそれは遺憾な点があると思います。そういう点を用意して二十八日には改めて私は質問しますから、ひとつ資料の提出もお願いしたい。
  82. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 資料の提出というような話がありましたが、多分新聞に書かれた根回しのために外務省が配付した資料ということをおっしゃっているんだと思いますが、実は、あれは外務省が出したペーパーではなくて、自民党の一議員が従来の経緯を勉強したいから教えてくれと、こういうことで、口頭説明を概略的にまとめたもので、条約内容や方針等は書いてございません。過去の経緯とそれから現在の大体方向ぐらいを書いたものでございますが、これは外務省の正式のペーパーでございませんので、これを外務委員会にお出しするという、そういうものじゃなくて、もっともっと粗末なものでございますが、いかがなものでございましょうか。
  83. 戸叶武

    戸叶武君 外交には与党も野党もありません。私は主権者である国民から選ばれた一議員です。そういう謙虚な形において、お粗末であろうが与党の議員に出した資料は私たちも目を通したいという、意地悪じゃなく、与党と野党の区別をして資料を求めるという態度でなく、やはりどうせ粗末と言うからには粗末な点があるでしょうから、それを種にしてどうこうというんじゃありませんが、参考資料として私たちの方もいただきたいと思います。
  84. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 与党に渡したものを委員会に出せないという意味じゃ決してございません。それはもうおっしゃるとおりでございます。
  85. 戸叶武

    戸叶武君 一議員として同じようなものを……
  86. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 一議員として渡したもので、きわめて過去の経緯を説明した程度のもので……
  87. 戸叶武

    戸叶武君 その程度でよろしゅうございます。
  88. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 外務委員会にお出しするほどのものじゃございません。
  89. 戸叶武

    戸叶武君 多くを望みません。
  90. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 出した後でおしかりを受けるようなことがあったら……
  91. 戸叶武

    戸叶武君 いや、粗末で結構です。
  92. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) それじゃ、よく事務当局と相談をして……。
  93. 戸叶武

    戸叶武君 それは一歩も譲りません。どうぞ粗末なものを出してください。
  94. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  許諾を得ないレコード複製からのレコード製作者保護に関する条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  97. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) この際、委員長より申し上げます。  最近の国際情勢の複雑化に伴い、国会未提出条約が増加していく傾向の打開について理事会で協議を重ねてまいりましたが、本日、次のとおり協議が整いました。     条約の提出促進に関する件   近年、国際関係の緊密化を反映して、多数の  国際条約が作成されており、このため国会未提  出の条約が増加しつつある。   よって政府は、未提出の条約を速やかに検討  選別の上、国会に提出し、政府作業の遅延渋滞  による状況の解消に努めるべきである。  以上であります。  よって、政府においては、右の趣旨を勘案されて、未提出条約の処理につき早急に善処するよう要望いたします。  本件について外務大臣の所見を求めます。外務大臣。
  98. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) ただいまは締結承認をいただいて、ありがとうございました。  ただいまの委員長の御発言において指摘されましたとおり、近年、条約の作成件数が着実に増加しつつあり、このような趨勢は今後一層強まるものと考えられます。すでに作成された多数国間条約わが国として締結することが適当と考えられながら、国内法制との調整の必要性、限られた事務体制から来る制約等の理由により、国会への御提出に至らないまま推移しているものが少なくありません。しかしながら、今後一層緊密化する国際関係わが国が効果的に対応していくためには、理由のいかんを問わず、未締結条約山積の現状をこのまま放置しておくことは許されません。政府としては、ただいまの委員長の御発言の趣旨を踏まえ、関係条約についての検討をさらに促進し、その締結が適当と考えられる条約については新規の条約及びすでに採択済みの条約の双方につき、今後逐次できる限り速やかに国会の御承認を求める手続をとるべく努力してまいる決意であります。  また、本件につきましては、さきに衆議院外務委員会においても、同趣旨の御要望がありましたので、当委員会のただいまの御要望とあわせ、可及的速やかに改善措置が講じられるよう政府部内に本趣旨の徹底を図りたいと考えております。  なお、申すまでもなく、条約締結促進に当たり、立法府及び行政府が果たすべき役割りはあたかも車の両輪のごときものでありますので、条約締結促進のためにも、今後とも、当委員会の御理解ある御協力をこの機会をおかりしてあわせお願いする次第でございます。
  99. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会