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1978-06-05 第84回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月五日(月曜日)    午後一時二十五分開会     —————————————    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     柿沢 弘治君  六月五日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     山本 富雄君      山崎 竜男君     降矢 敬雄君      熊谷  弘君     田代由紀男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 望月 邦夫君                 松前 達郎君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 亀井 久興君                 後藤 正夫君                 田代由紀男君                 玉置 和郎君                 永野 嚴雄君                 降矢 敬雄君                 安田 隆明君                 山本 富雄君                 小柳  勇君                 山崎  昇君                 吉田 正雄君                 中村 利次君                 柿沢 弘治君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        力安全局次長   佐藤 兼二君        通商産業政務次        官        平井 卓志君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    参考人        日本原子力研究        所理事長     宗像 英二君        日本原子力研究        所理事      村上 昌俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八  十回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力行政に関する件)  (核燃料物質防護に関する件等)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、野末陳平君、本日、中山太郎君、山崎竜男君及び態谷弘君がそれぞれ委員辞任され、その補欠として柿沢弘治君、山本富雄君、降矢敬雄君及び田代由紀男君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案についての質疑は、科学技術庁を初め、通産大臣及び運輸大臣出席を求めるとともに、参考人出席を求めて質疑を行い、また、商工委員会連合審査を行う等慎重審議を行い、質疑は尽きたものと理事会合意しております。  それでは、この際お諮りいたします。  質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認めます。それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております原子力基本法等の一部を改正する法律案について反対討論を行うものであります。  本来、原子力基本法は、数ある法律の中でも特に重要な基本的法律であって、その精神は平和・民主・自主公開の原則に基づき国民福祉向上のために原子力開発を行うことであります。しかるに、今日までの原子力開発における数々の問題は、必ずしも原子力開発原子力基本法精神にのっとって行われてきたとは言えず、ここに大きな反省が求められていることは国民すべてが認めているところであります。  したがって、私は、まず今日までのわが国原子力行政のどこに問題があったのかを十分反省検討し、現行法の中において最大の努力を行い、行政の姿勢を正すことが先決であって、行政が大きな壁にぶつかったからといって直ちに法改正を行って、その責任を逃げていこうとするやり方は、余りにも便宜的であり、全くの組織いじり機構いじりという非難を受けても仕方がないのであります。  今日のエネルギー事情見通しの中で、遠い将来石油エネルギーが枯渇するであろうといった見通しや、中東での国際情勢原油価格の高騰や石油戦略などの面から見て、わが国にとって原子力エネルギーが期待されるエネルギー一つであるといった見方に反対するものではありませんが、しかし、原子力開発は、将来、人間の生存に対し重大な脅威を与えるような結果にならないよう十分慎重に、しかも開発の正しい手順を踏んで行われるべきであると考えるのであります。また、最近の世界各国原子力開発の動向を見ても、あくまでも開発国民理解のもとに安全に行うべきであり、経済的な面からのみ考えて決して急ぐべきではないといった考え方が次第に支配的になってきつつあるのであります。私が本法案反対する理由の第一は、行政一貫化を図ることがその理由とされていますが、従来、総理大臣のもとでの科学技術庁原子力委員会による安全審査が、抽象的な基礎的設計に関する大ざっぱな審査のみに限られ、詳細設計工事内容審査機器類検査のような重要な部分は、通産省などに任されてしまっていることが問題なのであります。一貫化を図るためには、こうしたすべての必要な審査検査総理大臣のもとで、科学技術庁原子力委員会原子力安全委員会等によってこそ、一貫性をもって実施されるのであって、試運転や改造工事が完了するまではもとより、それ以後も検査改修等技術的な問題については、その責任権限のもとに置かなければならないはずのものであると考えるからであります。  反対する第二の理由は、原子炉設置に関する許可権を三つに分割するとする以上、また、今日の国民原子力開発に関する不信感をぬぐう点から、安心して信頼できる原子力開発にするためにも、原子力安全委員会国家行政組織法第三条機関とするのが適当であるにもかかわらず、第八条委員会として単に総理諮問機関としている点であります。ダブルチェック機能を十分発揮するためには、三省庁の長と同等以上の権限を持つ必要があり、それにより初めて国民は安心して原子力開発安全性についての問題を任せることができるようになると考えるのであります。  反対する第三の理由は、発電用原子炉をすでに完成された実用炉として考え、その許可権内閣総理大臣から開発を促進する立場通産運輸大臣に移管する点であります。発電用原子炉蒸気発生器のいかんともしがたい腐食の進行や燃料棒の破損、原子炉本体のノズルや冷却系統配管ひび割れ等が次々と発生する事実だけでも、今日の原子力技術はまだ実験的、試験的段階にあって、さらに一層の研究実験とともに着実な開発を行う必要があるのであり、当面する原子力政策を規定する法律は、これらの事実の上に立脚して過去を反省し、安全かつ確実な原子力開発推進し、発電用原子炉実用化商用化段階は、廃棄物処理微量放射線人体への影響など未解明のものも含めまだ先の段階であると考えるのであります。  反対する第四の理由は、原子力船むつ」の歴史的経過が示すように、原子力船についてはその心臓部である発電用原子炉開発完成段階ではないこと、今後近い将来に次々と原子力船の建造が行われるような見通しすら立たない中で、審査許認可具体的対象がないままに、発電用原子炉にならって舶用炉についてもその取り扱いを変えようとする点であります。舶用炉開発は、本来、小型実験炉あるいは小型試験炉として、まず陸上で十分な技術を確立し、その性能や安全性を確かめた上で船舶に搭載するべきであり、その段階までは法改正対象として考える必要がないと思うからであります。  以上、反対する幾つかの点を挙げましたが、本改正案は、結局は原子力開発促進のため、特に発電用原子炉設置許可権通産省が手に入れて、エネルギー需給計画にある原子力エネルギー開発促進目標から大幅におくれている実態を急いでカバーしようとする意図がうかがえるのであって、今日までの原子力開発の過程で最も大きな問題となっている国民不信、不安を解消し、原子力開発への理解を得ることに対し配慮がなされていない点を指摘せざるを得ません。  政府原案に対して衆議院において修正が行われ一歩前進はしたものの、本改正案に対して反対の意を表明して討論を終わります。(拍手
  6. 望月邦夫

    望月邦夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、原子力基本法等の一部を改正する法律案に対し、賛成討論を行うものであります。  資源の乏しいわが国におきまして、今後とも経済の安定成長を図り、雇用を確保し、もって国民生活向上福祉充実を図るためには、将来にわたってエネルギー安定的供給確保されなければならないことは言うまでもないところであります。しかしながら、わが国におきましては、石油にかわるエネルギーとして現実供給を拡大する可能性を有するものは原子力のみでありまして、原子力平和利用を強力に推進していくことが必要不可欠であります。  このためわが党は、従来から安全の確保に十分配慮しつつ、鋭意原子力平和利用推進に努めるよう政府に対し強く要請してきたところでありますが、必ずしも計画どおりの進展を見ていないのが現状であります。このような状況を打開するためには、原子力安全確保体制充実強化し、原子力に対する国民信頼確保し、国民理解協力を得るため、さらに万全の努力を払うことが必要であります。  このような観点から、政府においては原子力行政体制の基本的なあり方について、内閣総理大臣のもとに原子力行政懇談会を開催し、各界の有識者の御意見を伺う等、鋭意検討を進められた結果、原子力委員会から原子力安全委員会を分離独立させるとともに、原子力利用における安全規制体制一貫化を図る等、原子力行政体制抜本的改革強化を行おうとするこの原子力基本法等の一部を改正する法律案を作成、提出された次第であります。  わが党といたしましては、これらの諸措置により、原子力安全確保体制の一層の充実が図られることになり、ひいては原子力平和利用についての国民理解協力を得ていくための基盤が整うこととなるものと確信しておる次第であります。  以上述べましたように、わが党は本法案の有する意義は大なるものがあると評価するものであります。  以上の理由に基づきまして、本法律案に全面的に賛成の意を表明して討論を終わります。
  7. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっています原子力基本法等の一部を改正する法律案に対し、反対立場から討論を行うものであります。  本改正案は、従来の原子力委員会を、開発を担当する原子力委員会と安全を担当する原子力安全委員会に分離し、また規制行政一貫化して責任体制明確化を図った上、通産運輸等の各省の行った審査原子力安全委員会ダブルチェックを行うというような体制に改めようとするものであります。これらは、従来の安全規制行政に比し一歩前進と評価される点もありますが、なおかつ次のような問題が残されております。  第一は、原子力安全委員会国家行政組織法の第三条機関でなく第八条機関、すなわち諮問委員会となっている点であります。これでは原子力安全委員会の決定が必ずしも政府判断とはならない場合も考えられ、政府政治的判断によって左右される危険性が残され、原子力安全委員会権威を傷つけることになることであります。  第二に、原子力安全委員会原子力委員会の専属の事務局はほとんどなく、いずれも科学技術庁スタッフの兼任であるため、両委員会行政からの独立性自主性が保たれていない点であります。また、二千名以上のスタッフを有する米国の原子力規制委員会に比し、両委員会スタッフはまことに貧弱であります。行政の支配から独立した、しかも充実した独自の調査機関があってこそ両委員会が本来の使命を果たすことが可能であります。その点両委員会体制はまことに不十分と言わなければなりません。  第三に、原子力安全委員会のもとにある原子炉安全審査会のメンバーの任命は総理大臣が行うわけでありますが、地元関係市町村の議会の推薦する学者を加えるなどの規定がはっきりせず、政府の気に入りの学者等で占められる危険性があり、国民から信頼を得るに十分な体制となっていない点であります。  第四に、原子力安全委員会委員長委員の互選で決められるに反し、原子力委員会委員長科学技術庁長官がやることになっている点であります。科学技術庁長官内閣改造のたびに変更し、行政連続性から問題があり、一方、答申を受ける側の科学技術庁長官答申する側の原子力委員会責任者を兼ねることは、国民立場から見て原子力委員会独立性自主性を損なうものであります。科学技術庁長官原子力委員会委員長を務めることは理解に苦しむところであります。  以上、四つの理由で本改正案反対するものであります。  なお、本改正案根拠となりました原子力行政懇談会国家行政組織法の第八条機関でなく、私的な諮問機関でありながら、八条機関における答申と同様なものを出しており、それに基づいて本改正案が提案されていることは、昭和三十六年四月十二日、行政管理片行政管理局長通達懇談会等行政運営上の会合の開催について」の通達、またその後の国会答弁にも違反する疑いもあり指摘されました。政府として国家百年の大計に立つ原子力行政推進において、このような疑いを持たれることのないよう、厳重に注意してほしいことを強く要望しておきます。  最後に、今後の福祉社会の建設に欠かせないエネルギー需要増大に対処するため、原子力平和利用推進は不可欠の課題であります。しかし、現実原子力発電所稼働率の低下、各地における住民反対による原発立地難、さらにはカーターの核不拡散政策わが国への影響等、問題は山積しております。その上、低線量放射能人体への影響放射性廃棄物処理体制など未解明の問題も多く残されている現状であります。  政府としても広く衆知を集め、国民のコンセンサスを得ながら、慎重にかつ真剣にこれら諸問題の解決に努め、原子力平和利用推進努力されんことを心から願い、反対討論を終わります。(拍手
  8. 中村利次

    中村利次君 私は、民社党を代表して、原子力基本法等の一部を改正する法律案賛成をいたします。  今日の世界的な不況と雇用不安、私どもはその問題に立法府としても積極的に取り組んでおるつもりでございますけれども、この深刻な不況と雇用不安は、去る四十八年のオイルショックと称するエネルギー問題に端を発し、その後の石油価格のはなはだしい値上がりが原因であることを否定できる者はいないと思います。  ただいま、国際的に中期長期に見て深刻なエネルギー危機の問題が議論をされておりますけれども、特にわが国は、石油輸入量を、石油の九九・七%、あるいは九九・八%を海外に依存するというまきにエネルギー資源国であります。エネルギー中期長期見通しについては、これは国際的にも国内的にもほぼ合意ができて、エネルギーバランスが崩れるのが一九八〇年代の後半であろうという点については一致しておりますけれども、しかしながら、このエネルギー危機に対してどう対応するかという点については、残念ながら必ずしも国論は一致しておるとは思いません。しかし、新しい太陽熱あるいは核融合あるいは風力、潮力、その他火山国としての地熱の開発、いろいろな新しいエネルギー、私はこれはもうすべて賛成であります。原子力平和利用に積極的に取り組むべきであるという立場をとりますのも、やっぱり科学技術振興開発はすべて人類の幸せのためにこそあるべきでありますから、したがって、これが人類生命あるいは健康を脅かすようなことがあっては断じてならぬというのは、決定的なこれは大前提でありまして、そういう立場から原子力平和利用以外に、しからば代替エネルギー、新しいエネルギーが当面五年、十年、二十年先に、果たしてエネルギーバランスを満たすに足るようなそういう見通しがあるであろうかということを考えますときに、これは考えるんじゃなくて現実問題として、それにかわるべきものは見当たりません。したがって、私どもは、前提として、安全を決定的条件として原子力平和利用に積極的に取り組まなければならない、技術開発を進めなければならない。そういう意味から見ますと、この原子力基本法等の一部を改正する法律案は、安全審査についてダブルチェックをする措置を講ずるとか、いろいろ国家行政組織法上の問題はあるようでありますけれども行政懇等意見を十分取り入れて、少なくとも現行法よりも一歩前進をした改正を提案をしておるわけでありますから、私どもはこの法律案賛成をすると同時に、なお一層政府国民合意を取りつけ、原子力行政日本国民にとってあるいは世界人類にとって幸せをもたらすような、そういう光としての開発を進められるように積極的な御努力を要望するものです。終わります。(拍手
  9. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、本法案反対討論を行います。  まず、わが国原子力行政が始まって三十年来の大改正とも言うべき今回の法案について、判断すべき出発点は何でしょうか。周知のように分析化学研究所データ捏造事件原子力発電所や再処理工場での事故、故障の続発、そして原子力船むつ」の放射線漏れ事故等によって、原子力行政に対する国民不信は頂点に達しました。本来、原子力開発利用に当たって、国民安全確保が最も重要な課題であるにもかかわらず、政府原子炉施設安全審査、特に原子力委員会を中心とする安全審査が、人員、権限、予算のすべての面できわめて弱体であり、その審査範囲基本設計に限定され、責任の所在も不明確なままに安全無視開発優先行政推進されてきたことが露呈したのであります。  こうしてわが国原子力行政あり方をめぐって広範な議論が巻き起こり、学者、識者、関係団体、政党から多くの提言がなされました。ここでほぼ一致して指摘された問題は、開発機関安全審査規制機関を分離すること。いま一つは、原子炉施設基本設計から詳細設計及び運転段階まで一貫した行政権限を持つ安全審査機関を設置することでした。ところが今回の改正案は、これらの指摘に全く逆行し、一層開発優先行政一貫化を図ろうとしています。  このような原子力行政改革大前提である安全確保に逆行する政府態度は、当面の「むつ」に対する対処にも端的にあらわれています。私どもの再三の指摘にもかかわらず、政府は、わずか一回の検討にすぎない「むつ改修技術検討委員会の結論をもとに、核封印と称する核つき改修と何ら安全性の保障のない手抜き点検計画を、しかも母港も未定のまま展望のない改修を、佐世保重工の救済という政治的取引によってまたもや強行しようとしています。原子力行政改革出発点である「むつ」問題から何の教訓も学ぼうとしない態度と言わなければなりません。  ここにわが党が本法案反対する第一の理由は、本改正案が、科学的根拠もなしに研究用原子炉実用原子炉を区分けし、実用発電炉舶用炉について、これまでの内閣総理大臣許認可権通産運輸大臣という開発担当大臣に移管し、許認可前提となる基本設計安全審査権を、原子力委員会科技庁連合体制から通産省運輸省という開発官庁に集中させ、現在以上に開発本位の誤った一貫化を図っていることであります。  第二の反対理由は、通産省に移行する実用発電炉安全審査体制が、現行科技庁原子力委員会による審査体制より大きく後退していることであります。本委員会での質疑によって明らかとなったように、行政庁担当者人数の点でも、安全審査を担当する通産省技術顧問会現行原子炉安全専門審査会人数調査活動費と比較しても大幅に後退しています。さらに、通産省技術顧問会は非法定の権威のないものであり、いまだに名簿は公開されず、国民に開かれた行政とはなっていません。また詳細設計以降の安全審査安全規制担当官はほぼ現行どおりで、政府原発増設計画に照らしてもきわめて不十分なものであります。一方、運輸省に至っては、全くと言っていいほど本改正に対応を準備せず、もともと原子力船実用化は遠い将来のことであり、今回の法改正の必要はなかったことが露呈したのであります。  第三に、この欠陥を補うためとして、原子力安全委員会ダブルチェック機能が挙げられていますが、これもきわめて弱体かつ限定されたものです。安全委員会は依然総理諮問機関とされ、その事務局科技庁に属するというように独立の強力な機関ではありません。その権限は、法的には基本設計に限定され、しかも開発庁の行う安全審査に対して二義的なものにとどまり、原子力行政開発本位に改悪する本改正案目的国民の目からそらす以外の何物でもありません。  以上の理由により、日本共産党は本法案に強く反対し、国民本位原子力行政の確立を重ねて強調して、私の討論を終わります。
  10. 柿澤弘治

    柿沢弘治君 私は、新自由クラブを代表して、原子力基本法等の一部を改正する法律案賛成討論を行うものであります。  エネルギー資源の乏しいわが国においては、将来にわたってエネルギー安定的供給確保することは、国民生活向上のための基礎的条件であります。石油エネルギー供給の将来に不安のある現状を考えると、原子力エネルギー開発利用に努めることはわが国にとって必要不可欠であると考えます。しかしながら原子力エネルギーについては、その開発利用前提として、国民生命と国土を放射能の汚染の危険から守るために、その安全確保体制を確立し、広く国民理解と納得を得る必要があると考えるものであります。  今回提案されております原子力基本法等の一部を改正する法律案は、安全の確保を所掌する原子力安全委員会を新設するとともに、原子力安全規制行政における責任明確化を図るなど、原子力行政体制改革強化を行おうとするものであり、さきに述べた国民理解協力を得る上で一歩前進であると評価するものであります。  ただ、本改正法案目的が達せられるかどうかは、その運用のいかんによるところが大であり、特に関係省庁が十全の体制を整備するとともに、関係行政機関が情報の公開に一層の配慮をすることが不可欠であると考えます。  以上の理由から、新自由クラブといたしましては、関係者が本法案の適切な運用に最善を尽くすことを強く希望して本法案賛成するものであります。(拍手
  11. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  原子力基本法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  13. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  松前君から発言を求められておりますので、これを許します。松前君。
  14. 松前達郎

    松前達郎君 私は、ただいま可決されました原子力基本法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び新自由クラブの六会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     原子力基本法等の一部を改正する法律案     に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につい  て適切な措置を講ずべきである。  一、原子力安全委員会委員には、その任務の   重要性にかんがみ、専門的かつ大局的な見地   から権威ある安全審査を行い得る者をあてる   とともに、今後の情勢の推移に応じ、これを   補佐するスタッフ充実強化に努めること。  二、原子力委員会及び原子力安全委員会意見   を十分に尊重しなければならないという規定   の趣旨にかんがみ、原子炉の設置許可等に際   しては、両委員会意見を守って行政処分等   を行うこと。  三、原子力安全委員会の運営にあたっては、そ   の設置の趣旨にかんがみ、原子炉設置許可以   降の各段階において、関係行政機関が行う規   制全般についても、原子力安全委員会が必要   に応じ調査、審議を行うものとすること。  四、原子炉設置の許可から運転管理に至るまで   同一の行政機関が一貫して安全審査を行う体   制となることに伴い、今後の情勢の推移に応   じ原子力発電技術顧問会等の安全審査体制の   拡充強化に努めるとともに、顧問の選任にあ   たつては、原子力安全委員会の原子炉安全専   門審査会等の委員との兼職を回避する等ダブ   ルチエックの実効性の確保に努めること。  五、安全研究の推進を図り、安全審査のための   基準の整備に努めること。  六、原子力開発利用にあたっては、平和の目的   に限るとの原子力基本法の基本方針を堅持   し、国内保障措置体制の一層の充実を図るこ   と。   右決議する。  以上であります。  委員各位の御賛同のほどをお願い申し上げます。
  15. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいま松前君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  16. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 全会一致と認めます。よって、松前君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。熊谷科学技術庁長官
  17. 熊谷太三郎

    ○国務大臣熊谷太三郎君) ただいま、慎重御審議の上、本案を可決いただきましたことはまことに感謝にたえません。審議中、各委員から御指摘をいただきました諸点、特にただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして対処してまいりたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  18. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  20. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  21. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記を起こしてください。     —————————————
  22. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本原子力研究所理事長宗像英二君、理事村上昌俊君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  24. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 科学技術振興対策樹立に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  25. 源田実

    ○源田実君 本委員会における原子力に関する安全問題の調査は、いままで行われたところは、どう言いますか、いわゆる消極的な安全管理の問題である。悪意を持った者が特に安全を阻害しようとしたり、あるいは混乱を起こそうとしてやる行動に対する防御というものは、いまだこれは論ぜられたことがないのであります。しかしながら、つらつら現在の世界情勢を見ますと、皆さん十分御承知のように、現在ほどテロ活動が至るところで行われており、しかも、そのテロ活動に対する対策ははなはだ世界的において不十分である。ことにわが国においては、政府の対策もまたはなはだ不十分であって、どろぼうに追い銭という言葉を古人が言っておりますが、非常にもう、明らかに悪いことをしていま刑に服しておる者を解放してやって、それにまた今度はお金までつけたり旅券までつけるということは全く異常なことだろうと思うんですよ、こういうことは。しかしながら、いままでのこの安全を脅かすものはまだ範囲が小さかった。ところが、いまわれわれが考えるところ、非常に危ないものがある。一つ原子力放射能物質の問題てあり、もう一つは——きょうはこれは触れませんけれども、いま世界の一流国においては大体行われておる遺伝子の人為的な操作である。ことに、いま言いました遺伝子に対するマニピュレーションというものは、これは原子爆弾や水素爆弾程度のものじゃとうてい済まないほどの恐るべきものを持っております。これはしかしきょうは触れません。私も研究がそれほどまだ十分できてないので質問する段階までまだいきません。これはいつか機会を持ったらやろうと思う。しかし、きょうはこの原子力関係のいわゆる放射能物質に対する防御であります。  そこで、この防御に対してお伺いしたいんですが、まずこういうことを申し上げたい。わが国はハイジャックに対する対策を先へ先へと読んでやっておるのかどうか。やっていないです。——これはお答えは要らない。いつでも手おくれである。それから成田空港もこれも手おくれである。やられてから、ああ、ああいう者がおったとか、公務員の中にああいうのがおったのかなんということなんですよ。何とかの知恵は後からということを昔から言いますけれども、そういうことになると、わが国はちょっとばかじゃないかと思うんですよ。成田の開港日の問題、どうなんです。東京センターのあの地下ケーブルがやられたなんということは、これは偉そうなことを言うようですが、私は二日前に運輸省に警告を発しておいた。ああいうことは中にスパイがおらなきゃできないんです。スパイがおって初めてあんなことができる。あの日天気がよかったから、わりによかった。時間が早過ぎた、向こうが見当を誤って。だから大惨事が起きなかった。もし時間がもう数時間おくれて、天気が梅雨時のような悪い天気だったときはこれは恐るべき惨事が起きておる。これもすべて手おくれなんです。それよりもっと恐ろしいことがいま考えられる。もし、わが国で扱っておる核物質が、故意に社会の混乱を起こさせようとする者によって盗まれた場合——これは各国みな同じなんですよ。日本だけじゃない。しかしながら、一番いままでそういう関係で手おくれが多いのが日本なんです。したがいまして、そういう核物質が盗まれた場合のその惨事というものを考えると、とうてい「むつ」のあの放射線漏れみたいなあんなものじゃない。これは話にならない惨害が生ずる。これは社会的混乱になります。したがって、科学技術庁として、こういう問題に対して一体どういうぐあいに取り組まれておるのか、これをまず科学技術庁にお伺いいたしたい。
  26. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生御指摘の核物質を防護する問題につきましては、きわめて重要な問題であると考えておる次第でございます。現在におきます核物質の盗難等を防止する措置といたしまして、これは規制法に基づきまして原子力施設が保安のために講ぜなければならないこととなっておりまして、各施設者は防護規定を持っております。その防護規定に基づきまして核物質の防護につきます規定を備え、その実施を図っておるところでございますが、主要な具体的な防護の手段といたしましては、主要施設におきまして、その施設に出入りする者を厳重に管理すること。それから、物理的な防護手段としての機器等を十分整備するということを中心にいたしまして、設置者におきましては物理的に外部からの盗難防止の措置自主的に進めていくということを実施させております。その間におきまして、当然、暴徒等がその施設に対していろいろな行いがあった場合に、一義的には施設者が十分自分の施設を守るという思想でもって対応させておりますが、これに対しまして警察等に十分な連絡体制をとっておきまして、その防御体制をとっておる間に警察等にそれを排除していただくという二段構えの考え方で措置を講じさせているところでございます。したがいまして、この問題につきましては科学技術庁だけで対処できるわけではございませんので、常々関係省庁との連絡会議を設けて、先般来の成田の事件等も踏まえまして、これからさらにいままでの措置を十分なものとしていくようこれからの検討を早急に詰めて、その結論をまちまして設置者等のとります措置をさらに強化してまいりたい。  なお、原子力委員会の中にもこの核物質の防護についての基本的な考え方について審議いたします専門部会を持っておりまして、先般、わが国における核物質防護のあり方につきまして中間の答申をいただいております。これにつきましても、先ほど申し上げました諸検討とあわせまして現在鋭意検討しておるところでございます。  なお、国際的には、IAEAが中心になりまして国際間のこういう核物質の防護についてのあり方につきまして鋭意検討が加えられておりまして、場合によりますと、IAEAの検討の結果、国際条約になる可能性が非常に強くなってきております。  このような情勢を踏まえまして、われわれといたしましては国際的な問題としても十分対応できるような措置を今後関係各省と協力して進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  27. 源田実

    ○源田実君 わが国原子力の中央的な研究所ないしは原子力発電所なんていうのは、ほとんど皆これが海浜にある。そうすると、これは盗人というような程度のものでなくて、相当な集団暴力というものも、これは予想するというと非常に不吉なようだけれども、最悪の場合に対してわれわれは備えておかなければいけない。そういう面は、これは科学技術庁の範囲には属さないかもしれないが、科学技術庁はどういうぐあいに考えておられるか。それからまた、原子力研究所の理事長の方でどういうぐあいにお考えになっておるのか、これを科学技術庁からまずあれして、それから原研の方でお願いしたい。
  28. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 確かに先生御指摘のように、わが国原子力施設は海岸に設置されるのが多いわけでございます。そこで海岸線、非常に広い範囲で比較的弱い面を持っておるわけでございますが、この防護につきましては、施設者の方では可能な限りフェンス等を充実して、海域からの侵入を早く検知する方法を検討してもらっており、その整備を図っておるところでございますが、海域からの問題につきましては、海上保安庁等ともいろいろ御相談申し上げて、その強化あり方について現在いろいろ御検討いただいておるという段階でございます。
  29. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) ただいま先生から御指摘がありました核物質防護に関係することで、私ども原子力研究所も非常にこれには関係ございますし、それからいま先生が御指摘になった海岸からの問題、これはわれわれの研究所のうち一番大きな東海研究所あるいは大洗の研究所にしてもそうでございますが、海岸に近いところにありますので、海岸に対しての手を打たなければならないことはいま局長が申されたとおりでございますが、ともかくわれわれの方でも手を尽くして、そうしてこの核物質防護の問題については、これがわれわれのいまねらっております原子力平和利用推進する上できわめて重大な問題でございますので、非常に慎重に対処しております。原子力研究所としましては、所内に理事長の諮問機関として核物質防護検討委員会を設置しまして、核物質防護対策の検討を行うとともに、保安規定、核物質防護規則などの整備を行い、これに基づいて逐次施設、設備の整備及び組織体制強化を進めている次第であります。  すなわち、防護施設の整備に関しては、核物質防護上の重要度に応じまして防護区域の設定、物的障壁の設置、出入規制用の機器の設置、侵入の検知、区域監視システムの整備、異常通報システムの整備等を逐次実施している次第でございます。  また、組織体制強化につきましても、防護組織の設置、警備体制強化等に関して対策を立てております。原研の役職員は核物質防護の重要性を十分認識し、万全を期して研究業務等に従事しているところでございます。まだ、これから始めていく初期にございますので、いろいろ皆さんの御注意をいただいて万全を期したいと覚悟しております。
  30. 源田実

    ○源田実君 これは質問ではありませんが、最初に申しましたように、日本の国でやっておる対策というのは全部後手である。成田にしてもハイジャックにしてもすべて後手なんですよ。原子力関係の場合、これが後手を踏んだときにはもう救うべからざる災害が起きてくる。東京都あたりの全員が混乱に入るというようなことは簡単にできると思うんですよ。これはどうやればできるということを言うとぐあいが悪いから私は言いませんけれども、もうわけなく大混乱が起きるということが考えられます。したがいまして、これは一科学技術庁あるいは一原研だけでできることではない。しかし、政府機関それに必要な他の外郭団体をも含めて、いつ起きるかわからない問題なんで、世界的な、いわゆる世界を暴力によって現体制を変えていこうというそういうスーパーテロリストの団体がおることは御存じのようにはっきりしておるわけなんですよ。彼らが何をやるのかということを予想した場合には、幾ら十分に注意を重ねて対策をとってもやり過ぎたということはまずないだろうと思います。これについては、私は警告を差し上げたい。絶対に後になって、ああこうもやればよかった、こうもやればよかったということがないように、ひとつこの手はずを決めておやり願いたい。  次は質問ですが、それはどうもちょいと聞くところによると、原研の身分証明書が最近まで本人の写真がついてなかったという話だが、本当ですか、この問題。
  31. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 御指摘のように、原研ではこれまでのところでは写真がついていない身分証明書を使用いたしておりました。
  32. 源田実

    ○源田実君 これは、守衛とかいろんな警備の者が幾ら注意しても、写真なしでも、身分証明書があったら通さざるを得ないと思うんです。そこには非常に危ない点がある。そして、いままでのいろんな例を見れば、ことに成田の問題、とにかく中の状況が外にはっきり漏れておる。成田のコントロールタワーの中のどこが弱いかということまでわかっておる。全部がわかっておるとは言わないまでも、どこの窓が一番弱いということははっきりわかっておったですね。そういうように、中の状況はテロリストにわかっておるということがいままでの例で言えるんです。そうすると、こういうものは当然写真を貼付していなければならない。これについてはどういうぐあいに処置をされておりますか。
  33. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先ほども申し上げましたように、先生の御指摘のように、原研ではこれまで写真のつかない身分証明書を使用いたしておりましたけれども、これにつきましては、職員の間でも、写真のつかない身分証明書というのはいろんな面で不便な点がある、変えてはどうかというような意見が従来もいろいろございました。しかし、最近特に核物質防護対策の問題が非常に緊急な要請ということになってまいりまして、原研といたしましても、先ほど理事長が申しましたような核物質防護検討委員会というところで検討を重ねてまいりました中の一つに、身分証明書は写真つきにすべきである、ぜひそうすべきであるというような結論に達しまして、昨年の九月の二十九日、この委員会から理事長に意見具申という形で、ぜひ早く写真つきに直すようにという意見具申がございました。そういったようなことで、核物質の防護の面からも身分証明書に写真を貼付すべきであるというような結論になりましたので、それ以来準備を進めまして、予算的措置等を講じまして、年度がわりの四月から写真つきの身分証明書に変更した次第でございます。
  34. 源田実

    ○源田実君 ただいまの件はわかりました。その中にも、写真を貼付してもいろいろちょろまかすような手もあるかもしれない。それは私はまだ研究してないんですが、この点は十分に御研究になって万々間違いのないようにしていただきたい。  それから次に、この身分証明書というものは、これはいつも持ってなければ意味のないものじゃないんですか。
  35. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 身分証明書といいますのは、御承知のように、それが原研職員だという身分を即座に速やかに識別する必要があるような場合に備えまして常時携帯を、所持するように就業規程でもそのように義務づけておる次第でございます。
  36. 源田実

    ○源田実君 あるところから聞くと、原研の中の一部の者が職員から身分証明書を回収するという事件があったとかいう話ですが、これは本当にあったんですか。
  37. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 原研の労働組合からは、かねてから、核物質防護の問題であるとか、あるいは写真をつけた身分証明書に変更をする、こういったような問題につきまして、職員の同意を得てこれを行うべきであるというようなこと、労組と団体交渉を行うべきであるといったようなことにつきまして申し入れがございました。研究所といたしましては、労組が申し入れてまいりましたこれらの点につきまして、これは労働条件に関するものではないといったようなことから、団体交渉を行うべき事柄ではないというようなことを労組に回答いたしまして、何か具体的に労働条件にそういうことが関係するというような指摘がもし労組の側からあれば、もちろんこれは団体交渉をすることはやぶさかではないというように所の意見を表明してまいったわけでございます。しかるに労組は、この四月の二十日の日になりまして、中央執行委員会の決定に基づきまして、中央執行委員長の名をもって、原研に団体交渉を応諾させるため、組合員の各人が所持している身分証明書を回収するという旨の闘争指令を発しまして、相当数の身分証明書を集めてこれを保管をしたわけでございます。所といたしましては、再三にわたりまして、このような行為を早くやめて、直ちに身分証明書を各人に返却するよう求め、かつ予備交渉というものを労組に提案をいたしまして、核物質防護だとか身分証明書の変更の問題が労働条件に関するものであるかどうか、団体交渉になじむものであるかどうか、そういったようなことについて具体的に指摘するよう、その予備交渉の席上でいろいろ労組の言い分を聞いてみたわけでございますけれども、具体的にそのような指摘もありませんで、労組は身分証明書の返却も行わなかった。このような状態がその後約一週間ぐらい続いた後、四月二十七日になりまして、ようやく労組は集めた身分証明書を各人に返却をしたというのが経緯の概略でございますが、そういう事実がございました。
  38. 源田実

    ○源田実君 そうすると、いまの期間は身分証明書なしに出入りしたというわけですか。
  39. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) その間におきまして、幸いにしまして身分証明書を提示するといったような必要、そういう緊急な事態も起こらなかったので、一応組合に預けたままの状態で出入りをしておったということでございます。
  40. 源田実

    ○源田実君 そういう事態が起こらなかったというんですが、あとで、その間に何か原研の経営者の方でわからないように物がなくなっておるとか何とか、そんな問題はないんですか。
  41. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 現在までのところ、その間に何か物がなくなったといったような報告は受けておりません。
  42. 源田実

    ○源田実君 この身分証明書を、これは労働組合の幹部であろうか何であろうが、そういうものを回収するというのは、これは正当な行為とは言えないんじゃないですか。それはどういうぐあいにお考えですか。
  43. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 労働組合には、御承知のように争議権とかそのほかの団体行動権が保障されているということは言うまでもないことでございますけれども法律によって保護されますのは労働組合の正当な活動でございまして、違法不当な行為についてまで保障されるというものでないことも当然でございます。原研といたしましては、今回の身分証明書の回収行為といいますのは、組合活動の正当な範囲を逸脱したものである。正当性の範囲を逸脱したものであると考えております。
  44. 源田実

    ○源田実君 身分証明書はもちろん原研の使用者の方で発行しているわけですね。労働組合からじゃないですね。そこのところがはなはだどうも……こういうことが常時行われたりすると大変危ないことになるし、またこういうことが将来絶対起こらないように、これは注意していただきたい。そうなると、これは明らかに私は違反行為であろうと思うんですが、何か原研の方としまして処置をとられたんですか。
  45. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 先生が御指摘のように、身分証明書は原研が発行しております。で、一時的にせよ、相当数の職員が身分証明書を携行しないという状態が起こったことは、これはもしもそのときに先生が御心配のような緊急の問題が起こったりなんかしたときには大変なことになるわけでありまして、それでなくても、原研から発行してみんなに持つように就業規則で決めまして、そして渡してあるものをみんなが持っていない、一部の者が回収してしまったということは、これは大変な問題であります。で、いま村上から申しましたように、その間に幸いにして問題が起こりませんでしたけれども、しかしこれはいつ起こるかわからない。ことにきょうの新聞を見ますと、きのう原子力施設の方に、過激派かもしれませんが、何か仕掛けようということをきのう電話があったりなんかしまして、昨日は原子力研究所の中では非常体制をしいたわけでありますが、たまたま、もう身分証明書はみんなに持たしているようになっておりましたので、いままでお話を承っているようなことは、そのために起こる混乱はなかったわけでありますが、しかしこういう違法なことを研究所員がすることは、研究所を預っている責任者として大目に見ていることはもう絶対にできないわけです。この身分証明書を集めるというようなことは、これは恐らく日本でも、こういうことでいやがらせをするといいますか、それで経営者側に何か影響を与えようなんていうのは、いままで例のないことでありますから、こういう例のないことが飛び出してきたときには、もうやっぱりきちんとそれを処置して、こういうことが例にならないようにしなきゃいけない。これは私の、経営を預っている者として私はもうしんから確信しているところでありますので処断いたしました。ずいぶん慎重に処置をしまして、まず原子力研究所の中では表彰懲戒委員会というのがありますので、そこでよく検討しまして、その答申が理事長に来ますので、理事長はそれを受けて理事会で諮りまして、やっぱりこういうまだ珍しい新しいことが起こったものですから、例がないものですから、よく法律家にも聞きまして、二度も理事会を開いて、そして五月の二十六日に処置しました。で、指揮した職員は八人でありますが、一人いま休暇をとっておりますので、それが出てきたらその一人には処置することにして、七人に対しては五月二十六日付で本給の平均日額の二分の一を減給に処しました。そういう事情でございます。
  46. 源田実

    ○源田実君 これに対する処置は当然のことでありますが、その一週間か、何日間ですか身分証明書が……。
  47. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 一週間でございます。
  48. 源田実

    ○源田実君 一週間の間に原研の経営者としては、その間の不慮の事故に対してどういう処置をその間とられておったのか。それは何かとっておりますか。
  49. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) ただいま御質問のございました、この一週間の間につきましては、まずその身分証明書を組合が回収するということの闘争指令が出ました二十日の日、その日それを知りました直後に直ちに警告をし、その夕方にもまた文書をもって注意をし、先ほど申し上げました予備交渉といいます、二十一日並びに二十四日にこの労組の言い分を聞く特別の会合を開きましたが、そのときにも身分証明書は至急返せということを再三にわたって文書あるいは口頭で警告をいたしました。持っておるものを至急返させるということ。これが一番緊要なことであるし、また労組の側も、この二十一日並びに二十四日の予備交渉で、核物質防護の問題が団体交渉の議題にはなじまないということを連中もほぼ納得をいたしましたので、もうそういう線で、それならば至急返せというのですぐ返す処置がとられるものと期待をしておったわけでございます。  それから、先ほど私ちょっと御報告を申し上げました点の中で、先ほどの理事長の報告に関連をいたしまして、もう一つちょっとつけ加えさしていただきますと、先ほど理事長が昨日の正午過ぎ、そういう過激派らしきグループから水戸の新聞社の支局三社に対して、常磐線の鉄橋爆破とか、東海の原子力施設の核ジャックといったような電話の予告があったやに新聞にも出ておりますし、また私どもの研究所には東海研の方では勝田署の方から、大洗研の方では大洗の警部派出所の方から特別に連絡がございまして、緊急のそういう警備体制をとったわけでございますけれども、原研は早速職員を動員をいたしまして施設の点検だとか、出入の管理、チェック等を行いまして、その際には出入に身分証明書の提示を求めるというようなことを昨日などいろいろ行っておりますし、また日曜日でありますので、ふだんよりは若干少ないですけれども、日曜日も工事を行っておる業者などもいろいろあるわけでございまして、そういうところに一々連絡をいたしまして、そういう正当な人が入っているかどうか、来て工事をしているかどうか、あるいはこちらが予期しないような物が置かれていないかといったようなことのチェックなども昨日行われております。
  50. 源田実

    ○源田実君 その身分証明書が回収されて、その約一週間の間、その間の組合との交渉はもちろんのことでありますが、現場において、いわゆる盗難防止とかいろいろな妨害を阻止するとかいうような何かの処置はとられておったんですか、警護をふやすとかなんとかして。
  51. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) ただいま申し上げましたように、労組に対しましては再三にわたって返却を求めましたし、また予備交渉という特別の交渉を行いまして、労組と一日も早く解決するというその努力に専念をしまして数日で解決するものと、こう考えてそちらに重点を置いて努力をしてまいりました。
  52. 源田実

    ○源田実君 この原研ないし原発の、これはもう管理というより防衛という問題から考えると、いままでのハイジャックなら金で済んだりするんだけれども、こういうところで事故が起きたときは幾ら金を出そうが何をしようが、また犯人を後から縛り上げても——もちろん縛り上げなきゃいけない。しかしながら縛り上げてももうどうにもこうにもならない段階に陥る。そして全日本か——日本だけじゃない、諸外国まで大混乱に入るということが予想されるんです。どうやればいくということは私は知っているけれども、ここで言うわけにはいかないですね。言うわけにはいかないけれども、大東京ぐらいを混乱に陥れるのは朝飯前ですよ。したがって、後になって幾ら悔やんだってどうにもならない問題であって、そうしてこの問題はどんなことがあっても事前にこれを処置しなければならない、そういう考えで私はおるんですが、これについてはまず原研の理事長はどういうぐあいの考えでおられるか。また最後に科学技術庁長官にその決意のほどをお伺いして私は質問を終わります。
  53. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 先生のただいまの御指摘に対して、私は今回処分をしなきゃならないようなことになったことは非常に遺憾であると心から思っております。  私、原子力研究所をお世話してもう長くなりますが、何とかしてこの研究所の人たちが研究所員らしい仕事ができるようなふうにしむけたいと思ってずいぶん工夫しております。私、若干自負しておりますが、ずいぶん改良されたとは思います。しかし、まだ行き届かないところがあるのが非常に残念です。あんなりっぱな、世界にもまれに見るようなりっぱな研究施設の中で、やろうと思えば研究が幾らでもできる。研究といっても、ただ物知りになる研究、物知りになるのはこれは学習でありまして、こんなのはもう問題にならない。創造的な研究をしてやはり世界に貢献する、もちろん日本のレベルも高くするというふうにしなきゃいけないということはずいぶん口を酸っぱくして話しております。十数人あるいは二十人ぐらいずつ集めて、そして朝から晩まで説教めいたことをして、聞くのに疲れるかしゃべるのに疲れるかというそういうこともずいぶんやって、ずいぶん影響はあったと思います。しかし、まだ残念ながらどうしても及ばないところがあるんです。非常に残念なんです。しかし、まだ何とかしてこれを変えて、所員全体が団結して研究活動あるいは原子力平和利用のための動きに対しての反対のようなものがあったらそれに対してみんなで処置をするような、そういう体制をつくればこれは万全でありますから、そういうふうにしたいと思っているのですけれども、まだそこまでいかないのが非常に残念です。しかし、いまありましたことを一つの教訓にしまして、やはり研究所の中にはいろいろな人がたくさんいるんですから、ルールはちゃんと守られるようにして、ルールを守らないということがありますとこれは団体生活が乱れてしまいますから、そういうことのないようにして、そして研究所員としてりっぱな業績を上げるように指導していきたいということを日夜考えて、実は昨年も私自分で主張したものを著書にしましてみんなに一冊ずつ渡して、それを使ってテキストにして、私が経験してこうやれば発明ができたのだ、こうやればこういうものができたじゃないか、あなた方はただ本を読んで青白い顔をしているからできないのだ、もうどろまみれになって汗かいて一生懸命になって働いてごらんなさい、発明はできるのだ、もし大天才ならとにかく、われわれみたいに凡人でもできるのだということをみんなに強く言っているつもりでございます。まだしかし行き届きませんところがありますので、これからも諸先生の御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  54. 熊谷太三郎

    ○国務大臣熊谷太三郎君) 先ほど来、核ジャックの防護に関するいろいろの御懸念を表明される御発言があったわけでございます。私どももきわめて重大な問題だと考えております。  先般来、特に厳しくこの旨の処置についていろいろの方法を立てるように実は強く指示をいたしております。したがって、これに基づきまして、さらに一層防護体制検討も行い、また従来からのいろいろな防護体制検討も引き続いて行っていると思います。しかし、現状におきましては私はこの程度では非常に不安であると考えているわけであります。ただ、これをさらに徹底してやるというためには、まず核ジャックに対する、これは源田先生のような防衛の専門家でありませんからよくわかりませんが、しかしやはり防衛問題と同じように一つの想定をつくりまして、この想定に基づいて、こういう想定するいろいろな場合があっても、こういう防護体制によって大丈夫だという、いわば演習みたいなことを行わなければならぬのじゃないか。防護といいましても切りのない話でありますから、やっぱり早急に研究いたしまして、いま申し上げましたような核ジャック襲撃の想定をひとつつくって、これに対応して万遺憾のないようにしなければならぬ、このような考えを持っているわけでありまして、細かい点はまだ煮詰めておりませんが、そういうふうに考えておりまして、一日も早くこれに対するできるだけの安心できる処置をとらねばならぬと考えておるわけでございます。
  55. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、本日原子力研究所の宗像理事長にもお出ましを願って、原子力研究所のあり方をめぐる問題で大きく二つほど研究所側と、問題によっては科技庁側双方にいろいろお尋ねをいたしたいと思います。  第一の問題は、いまたまたま源田委員の方からも話が出ました身分証の問題、従来の身分証を新たに写真をつけるということで写真つき身分証というふうに呼んでおきましょうか、これの切りかえをめぐって労使の間で紛争が起こっているというこの問題について最初にいろいろお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどの村上さんの御説明にありましたが、五月の二十六日に処分まで行うという、ここへ労使紛争が激化をしてきているその原因としては、かねがね労働組合の方から写真につき身分証の問題について団体交渉の申し入れがあったけれども、所側としてはこれは交渉の事項ではないという、こういう見解に立って突っぱねてきた、そこから労働組合の方も写真つき職員証の回収というところへ進んでいったという、こういう御説明、これでよろしいんですね。——  それでお尋ねをするんですが、まずさっきの御説明に、所内に検討委員会を設置をして、この問題だけではないと思いますけれども、いろいろな方策について検討を行ってきた、これが昨年の九月検討委員会で結論を得ていた。で、今回この写真つき職員証のいわば一方的実施が行われるのは二月の十三日ですね、部長通達によって。そうしますと、この間約半年近い時日があるわけですけれども、なぜこの間に労働組合とこういった写真つき職員証に切りかえるという問題についての協力を得る話し合いをやらなかったんですか。
  56. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) ただいま先生お話のように、身分証明書に写真をつけるべきであるという原研の中の核物質防護検討委員会から理事長に意見具申が出ましたのは九月の二十九日でございます。それから、この切りかえるための準備というのが、たとえば予算措置等を含めましていろいろ準備をしてまいりまして、二月の段階から具体的に写真も撮り始める、そして四月一日に切りかえるということになったわけでございますけれども、この身分証明書の従来写真のついていないものに写真をつけるということにつきましては、これは就業規程そのものの変更でもございませんし、また労働条件とか労使間の規律に関する事項といったような労使の団体交渉事項ということではありませんので、組合と交渉をする事柄にはならないということできたわけでございますけれども、組合の方からこういう反対があることは全く予想もしていなかったというのが実情でございます。
  57. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 二月の二十三日にこの切りかえを行うんだという人事部長通達が出される。で、それが出されて若干の期間を置いて写真を撮るというやり方ではなくて、同日次々に職員を呼び集めて直ちに写真を撮ると、こういうやり方がされていますね。
  58. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 研究所は、御承知のように、本部、東海、大洗、高崎というように広く渡っておりますし、職員全部で二千人以上にもなりますし、短期間の間になかなか撮れませんで、実際には二月の二十日から三月の十六日ぐらいまでかけて写真を撮っておるわけでございます。
  59. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ですから、完了するのは相当の日数を要していますけれども、同日をもって部分的には開始をされておるということですね。  そこで、少し角度をかえまして科学技術庁にお尋ねをしますけれども科技庁としても原子力委員会のもとに核物質防護の専門部会なんかも設置をして第一次の中間報告も出してきたという作業も含めて、いろいろと指導的方向を練っているんだということでありますが、この核物質防護のためにどういうさまざまな処置をとっていくかということで、いわゆる身分証に写真を貼付をするという問題について、すべての原子力諸施設で、そこに働く従業員全員にこうしたことは法的に義務づけられておるという問題ではありませんね。
  60. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) この核物質防護に関連いたしまして、法的に各設置者に義務づけておりますのは、立ち入り制限等の規定を十分保安規定に盛り込ませることでございます。ここにおきまして、出入の管理を徹底させることがきわめて重要な案件になっております。しかしながら、それの具体的なやり方につきましては、法であるいは規則で写真つきの身分証明書を持たなくちゃいけないというふうな規定は設けておりません。
  61. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 具体的にはそういう形でそれぞれの施設の自主検討に基づく措置を期待をしているのだという御答弁だと思います。したがって、核物質防護のために行う措置の形態、方法、手段と言ってもいいでしょう、こういうものは、施設の性格それぞれにふさわしい形で自主的に創意工夫をされるべきだ。たとえば、わが国にはないということになっていますけれども、軍需工場の場合、民間会社の場合、あるいは研究所の場合、大学の場合、それぞれの核物質を扱う施設についてそれぞれの性格があるわけですから、その性格にふさわしい形態とプロセスがとられるべきだ。こういう点についてはどうでしょうか。
  62. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) ただいま先生の御指摘の点につきましては、先生の御指摘ではございますが、私どもはそのような考え方ではなくて、核物質の防護につきましては、その施設に持っております核物質がどのような種類であるか、どのような量であるか、このことが問題になるのでございまして、研究所等の性格がどうであるからといってその管理の仕方を変更するのは適当でないというふうに考えております。また、出入の管理につきまして、そこに働く方々が身分証明書を持つ、しかもそれが写真を張りつけてあるということは一番安易と申しますか、たやすい識別方法でございますので、そのほかの、機械的に指紋等を照合するとか、いろいろな最近は新しい技術もあろうかと思いますけれども、写真を貼付した身分証明書で出入を管理するというのはごく普通のことではないか、また必要最小限のことではないかと私どもは考える次第でございます。
  63. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それぞれの施設の、そこで具体的に核物質がどう扱われているかという態様に即してというのはもちろんの問題でありますけれども、たとえば、それなら角度を変えてお尋ねをしますけれども、私は何も核物質防護のための職員証の問題、そんなようなものは要らぬというような立場では言っていないわけです。必要だという全体の結論に到達をした場合にはそういうことも行っていく必要があるだろう。ただ、実際、すわ重大な問題が起こった、そういう場合には、そこの施設の職員がそれぞれ自覚をして、さっき理事長もおっしゃったように、団結の体制で、本当によく理解をし合い協力をし合い団結をし合ってそういう事態に対処をしていきませんと、核物質防護という目的が達せられないという性質の問題だと思うんですけれども、この点については理事長どうでしょうか。
  64. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 私は、先ほど申し上げましたように、そこに属している者みんなが一致してその仕事を、防衛なら防衛、それを自分の問題であるということを自覚するようにしなければならないことはもちろんでありますが、しかしこれ、私の方の例をとりますと、実情がまだそこまでいっておりませんので、やはり教えて、導いて、あるときは引っ張って教えるくらいにして、そしてそういうふうに協力体制ができるようにしなければなりませんし、私どももそれ以上に力を尽くして、できることをして、そちらに向かってくるようにと願い、また力のある限りそれを実施しているつもりでございます。そういうふうにして、全員がこぞって核物質防護体制、あるいは非常に対する体制、そういうものをつくるようにしなければならないということを確信しております。
  65. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 引っ張ってでも教えるのだというふうに言われますけれども、私も学校の教師をやっていましたから思うんですけれども、やはり教えてでも相手を理解をさせるというここまでの対話が必要ですね。こうだこうだということを繰り返しておるだけでなく、相手に理解をさせなくちゃならない。そういう点で、核物質防護という目的に照らしても、いわんや原子力研究所という研究活動をやっているわけですから、この研究活動、これはまさに一人一人の研究員の方々が自発的創意を動かして研究活動をやっていかなくちゃならぬ、この事業との両立を図っていく、こういう点でも、とにかくこれが大事だからこれに文句を言うな、こういうやり方では事の目的は達せられないと思うのです。その点どうですか。
  66. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 先生も御教職におありになって指導する立場に、教える立場におありになると思いますが、私も五十年、工場にそのうち三十年おりまして、工場の連中にどうやれば物ができるのだということをみずから教えて歩いたつもりでありまして、よく納得をしてそして一緒にやれば物ができていくのだということを体験しております。で、物事は、ことに日本の国では研究の仕事と勉強の仕事を間違えている、混同している。ここが、恐らく先生方の中にもそういう方が相当あると思うのですが、それについて少しお話をして……
  67. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、長い話はいいです。
  68. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) いや、ちょっと聞いてもらわなければ。
  69. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、いいですよ。いいです。
  70. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) 参考人に呼ばれて参考人意見を聞かれないのなら、私は帰りますよ。
  71. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私の聞いていることに答えてください。
  72. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  73. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記を起こしてください。
  74. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 質問者も答弁者も委員長の指示に従って応答をするということでありますけれども、そういう点で、さっき言われました、私帰りますよという、そのことは撤回してください。
  75. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) その前にひとつ、この前のときに帰れと言われて、私は帰りたくないから帰らないと申したことがあるんですよ。それで……。
  76. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなことと私と関係ないじゃないですか。
  77. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) いや、こういう場ですから、それだけはちゃんと確認しておいてから話します。
  78. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先ほどの佐藤先生のお話と理事長の申し述べようと思っておりましたところ、合っているところと食い違っているところがあろうと思いますので、ちょっと私なりに申し上げたいと思うんでございますが、研究所の運営をしていきます場合に、別に核物質防護の問題に限りませんで、どういう問題でもなるべく職員みんなのコンセンサスを得て実施をするということは、これは大事なことであろうかと思うわけでございますけれども、ただ、職員の理解を得るということと労組との交渉事項であるかどうかということとは、これは全く別のことでございまして、職員の理解を得て事柄を進めなければならないということは、これはきわめて大事なことでございますし、この核物質防護の問題をとりますと、核物質の防護の問題の重要性とか必要性とかということにつきましては全職員これは徹底していると思いますし、労組自体もそれはよくわかっておると言っておるわけでございます。しかし、事柄の性質上、余り詳細にわたって一般の公開の場で討論すべき事柄でもございませんので、必要に応じましてその組織体の各段階によりまして逐次詳細に、関連の組織とか担当者というふうに従いましてその細かい説明をするという段階になろうかと思うわけです。ただ、労組と交渉するかどうかという問題につきましては、これはあくまで労働条件に関する問題であるか、あるいは労使間の規律に関する事柄であるか、そういう問題に整理されて交渉されるべき事柄であろうと思っておるわけでございまして、その辺はちょっと分けて考えるべき事柄であろうかと思っておるわけでございます。
  79. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 事件がずっと進展をしまして、四月の二十六日に労使の間で確認書というのを交わされていますね。当局と労働組合の代表がこういう形で署名までをして確認書の交換をやっているということでありますから、研究所側の方も、やはり事前の説明不十分でいたずらに事が紛糾をしたという反省の上に立ってこういう確認書もつくられたのではないかというふうに私は理解をしているわけでありますし、その中で「研究所としては、組合員の労働条件に関わる問題及び労使間の規律に係る問題について、貴組合から具体的なテーマを示して交渉の申入れがあれば協議に応ずるものである」と、こういう表現とか、それから組合から提起があった、一つ「核物質防護対策に係わる服務管理、労働条件の変更については、労使協議する。」、二つ目「核物質防護対策の実施にあたっては、職員の基本的人権を守ること。」、こういうことで、「組合要求の第一項及び第二項について三月十七日の団交の際にも述べたとおり、核物質防護対策について組合員の労働条件に関するものとして具体的な指摘があれば、協議に応ずることは吝かではない。」という記載があるわけですけれども、まず私が引用をいたしましたこの部分は間違いではありませんね。この内容解釈はこれから御質問しますから。
  80. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先生がいま申されましたのは、確認書のそこに書いてある文章が間違っていないかという御指摘でございましょうか。
  81. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 はい。
  82. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) それはそのとおりでございます。
  83. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、どうでしょう。組合員といいますか職員の方の写真を一方的に撮る、肖像権の問題というのがいろいろ議論になっているということもある。そういう点から考えてみて、私は当然これは労働条件ないしは、この文書の用語を使うとすれば労使間の服務規律にかかわる問題、また基本的人権にかかわる問題ということで労働組合が交渉の要求をするというのは当然と思われませんか。
  84. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先ほど先生が御指摘のございました三月の十七日の団体交渉の際にも、研究所の側は「核物質防護対策について組合員の労働条件に関するものとして具体的な指摘があれば、協議に応ずることは吝かではない。」ということは、こちらが答えているとおりでございますんですが、写真のついていない身分証明書に写真をつけたという今回のその変更が、就業規程そのものでは身分証明書の様式まで決めておりませんので、その就業規程の変更になるわけではございませんが、写真のついていないものに写真をつけたということが、まあ肖像権とか基本的人権とかいうお話のように言われるわけでございますけれども、こういったようなことがどういうことで労働条件にかかわるのかと、そういったようなところが具体的に労組と話をしてもなかなか納得できかねる問題でございます。
  85. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 動燃事業団では同じように写真つきの身分証というのが行われておるわけですが、動燃事業団ではこの問題を実施をするに当たって労働組合と協議をしたというこの事実は御承知ですか。
  86. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 詳しくは存じません。直接そういうことについて聞いてはおりませんが、労使の慣行などといいますのは各企業によりましてそれぞれ違うところがあろうと思いますので、原研は原研の従来の慣行でやってきているところでございます。
  87. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もちろん労使で自主的に判断する問題ではありますけれども、おおよその常識的な判断の物差しというものはあるわけですね。しかも、動燃事業団以上に原研の場では、原研というところはその名が示すごとく研究所だと、研究事業ということとの関係からも、もちろん核物質防護というその目的を達するためにも十分事前の全職員の理解協力、このためになぜ話し合いをそんなに渋るのか。二月の十三日の日に人事部長通達と同時に写真の一方的撮影を始められるわけですけれども、労働組合が四月の二十日からいよいよ回収の闘争指令を出すまで約二カ月あるんです。この間労働組合から何回話し合いの申し入れがありましたか。交渉の申し入れが。
  88. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先生御指摘のように、こういう問題についても職員全般の理解協力を得ながらやることが大事であることは私どもも全くそのとおりでございますけれども、先ほども申し上げましたように、所といたしましては、所の職制を通じたいろいろな組織あるいはコミュニケーションの場があるわけでございますので、そういう場を通しまして従来もいろいろやってきておるわけでございますし、それが十分職員の中にも行き渡っていると、こう考えておるわけでございます。したがって、労組といたしましてもこの必要性、重要性は十分わかっていると、こう言っているようなことでございます。  それから、この団体交渉の申し入れというのを、いまちょっと正確に何回という数は数えておりませんけれども、恐らく十回ぐらいに近いんではないかと、こんなに考えております。
  89. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、一般論としては、あなたも何回も言われているように、核防護という措置をやっていく上で職員とのコンセンサスが必要なことは認めます、しかし労組との団体交渉はという、こういうことを繰り返しておられるんですけれども、ところが所内の検討委員会ではすでに昨年の九月に結論が出ておった、約半年経過をして、いよいよ実施をするというこの部長通達、そして直ちに写真撮影が開始をされる。この間せめて一回くらいの——労働組合とこの問題について話をしようという姿勢が一回もない。さらに、通達、写真撮影が開始をされる。直ちにもうその当日からこの問題について労働組合と話し合い、なぜこの写真つき職員証をやるのか、その説明を当局はしなさいという、説明をしなさいというこのことに対しても拒否をしたまま二カ月が経過をして、そして四月の二十日を迎えていくというこの経過。これは本当に口ではコンセンサスが大事だと言いながら、本当にこのコンセンサスを大切にし、それを基盤にして全体の理解協力のもとで事を進めようという、そういう姿勢をかたくなに拒否をしておるというふうに判断せざるを得ないわけですね。しかも、そう言いながら、四月の二十日から写真つき職員証の回収が始まると、明くる日の四月の二十一日から労働組合と予備折衝を始めますね。予備折衝というのは団体交渉の予備折衝でしょう。このことを主議題にした団体交渉の予備折衝ですね。そして四月の二十六日確認書をとるというところへいく。事が重大化をすると——重大化しない場合にはかたくなな一方的理屈だけで拒否をし、重大化をすると、しようがないから労働組合と話をしようかと。本当に理屈か通っているというんたったら——正々堂々とそのことで通すわけでもない。非常に矛盾した態度だと思いませんか。
  90. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 写真つきの身分証明書に変えること、身分証明書用の写真を撮るというようなこと、このこと自体がそれほど大問題になる、労使関係の労働条件そのほかの問題にかかわる問題であるとは私ども考えてもおりませんでしたし、むしろ写真のついている身分証明書の方が一般的、常識的ではないかと、このような気さえするわけでございます。現に、先ほど申しました二月の二十日から三月の十六日までというかなり長いような感じもいたしますけれども、これは出張をしておる人だとか病気そのほかもいろいろあったりいたしまして、長くかかった点もありますけれども、所内の組織を通しまして皆さんに話しました、部長会議なり事務連絡会議なりで説明をしましたのでは、その重要性なり必要性というのはすんなりのみ込んでくれまして、ごく一部の人を除きまして整々とこの撮影は行われたものでございます。  それで、先ほど先生の御指摘のもう一つの点の、四月の二十一日になって闘争指令を出して回収するという活動が始まったので、所は予備交渉というので交渉に応じたという言い方のお話がございましたが、先生が先ほどお読みになられました確認書の中にも、「三月十七日の団交の際にも述べたとおり、」と、こう言っておりますように、「核物質防護対策について組合員の労働条件に関するものとして具体的な指摘があれば、協議に応ずることは吝かではない。」ということは、もうこのときにもそうでございますし、機会あるときにいろいろ言ってきているところでございまして、この四月二十一日並びに二十四日におきましても、そういう今回の身分証明書の切りかえだとか核物質防護の問題が、労働条件であるとか基本的人件だとか組合活動に介入だとか人事考課にどうこうとかいったようなものに、具体的にどういうことがあると考えているのかということを、念のため労組の言い分をさらに聞く機会を持った方がよかろうということで設けたものでございまして、所の主張としましては、最初からそういう考え方に一貫をしているものでございます。
  91. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、いまあなたが読まれたように、この「核物質防護対策について組合員の労働条件に関するものとして具体的な指摘があれば、」ということで、労働組合の方は、一方的実施は困る、少なくとも事前の話し合いを経てやるならやるというこの点で、一方的実施、一方的写真撮影、肖像権の侵害と、こういうことも含めて労働条件にかかわる問題として提起をしているでしょう。  お尋ねをするんですけれども、労働組合としては決してこの身分証の問題を何も絶対否定しているわけではない。むしろ労働組合の方針書によれば、いろんな角度から労働組合として独自に核防護対策というのを検討をやって積極提案をやっていこうということの議論をやっておるということは御存じですね。
  92. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 組合のビラ等で見ますと、そういうようなことも書かれているようでございますが、先ほど先生のお話の中の、先生お読みになられました労使の間の四月二十六日の確認書の問題について、ちょっと敷衍さしていただきたいと思うんでございますが、研究所は労組が身分証明書を集める旨の指令を発しました四月の二十日に、事態を収拾するために、核物質防護問題であるとか身分証明書の問題が団体交渉になじむものであるかどうかということについて労組の言い分を聞くことにいたしまして、団体交渉の議題とするかどうかについて予備交渉を行うことを所が申し入れました。予備交渉は四月の二十一日と二十四日の二回にわたって行われたわけでございますけれども、この二十六日の確認書といいますのは、その予備交渉の内容の要点を記録したものでございまして、その骨子をかいつまんで申し上げますと、労組からの団体交渉の申し入れに対しまして、研究所の方から、労働条件、労使間の規律に関する事柄については団体交渉に応ずるが、労組からの申し入れに係る事項はこれとの関係が認めがたい、これらに関連するものとしての具体的な指摘があれば団体交渉をする旨を回答しまして、労組の方からは、将来具体的に問題が生じた場合は交渉を要求する旨の発言がありまして、研究所はこれに応じたというものでございまして、この二回の交渉によりまして、裏返して申しますと、それまでの核物質防護問題についての要求などについては、労働条件とか労使間の規律の問題について具体的な交渉事項として取り上げるべき事柄はどうもなかった。将来そういうものが出てくれば新たに提案をするから、そのときは応ずるように——所は応ずるよというのかこのときの話の要約でございまして、その辺は、この二回の予備交渉で労組の側も納得したはずでございますし、これが両者間で確認されて、両者の担当者の責任印が押されているというものであってみれば、今回のこの労組側の要求がそういう労働条件などと直接かかわりのあるものでないことを労組も認めたと、こういうような事柄であろうと解釈しております。
  93. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろ言われましたけれども、しかし、結論的には、四月二十六日の交渉というのは限定つきだけれども、所側としても、今後核物質防護にかかわるこれこれの問題については交渉をする用意があるということを所側も合意をして、したがって、労働組合は、この写真つき身分証の回収をやめてこれを全部返すと、こういうことで両者の間の合意ができたというわけですね。いわゆるそこで一件落着をしたわけでしょう、和解に達したわけでしょう。それをなぜその一月後この処分をやるという、そういう形でのまた新たな紛争を所側の手によってつくり出すんですか。  科学技術庁長官、お尋ねをしますけれども、長い間この参議院でも原子力基本法等の一部改正案、いろいろ議論をやってまいりました。まさに今日、安全確保原子力行政の最も重要な焦点になってきておるということで、この議論をるるやってきたと思うんですけれども、この原子力の安全研究を重要な使命としておる原子力研究所で、いたずらに紛争が長引くということについては好ましいことではないというふうにお考えになりますね。
  94. 熊谷太三郎

    ○国務大臣熊谷太三郎君) 実は先ほどから、核ジャック防御のためのいろいろな方法の一つとして、身分証明書に写真をつけて出すようにという研究所の方針があり、それがすんなり受け入れられないためにいろいろな折衝が行われ、あるいはいろいろなジャブが行われたというようなお話のようでございまして、この件につきましては、先般も私ちょっと話を聞きましたし、いまもこうしていろいろな問答を承っているわけであります。  別に原研に限りませず、所内にいろいろな大なり小なりの紛糾があるということは、これはいかなる場合も決して好ましいものであるとは思っておりませんが、しかし、身分証明書に写真をつけるとかあるいはつけないとかという、そういうことのために起きた紛争でありましょうか、紛糾でありましょうか、それにつきましては、先ほどからお話を聞いておりましても、この前の報告を聞きましても、私としてはどうも十分それを批判するだけのまだ細かい点が理解できないわけでございますので、そのような大変要領の得ない返事かもしれませんが、そういうふうなお尋ねに対しましては、そうお答えするよりほかにないかと考えるわけでございます。
  95. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 長官、問題が紛糾をしておる焦点をしっかり御理解いただきたいと思うんです。写真つき身分証の是非をめぐって紛糾をしているという問題ではない。紛糾をしておる焦点は、それが一方的に実施をされた、研究所という性格に照らしても、事前のよく理解協力体制が必要なはずなんだけれども、それが抜きに一方的に実施をされたという、ここが紛糾の焦点だと思うんです。  そこで、宗像理事長にお尋ねをします。  さっき長官にお尋ねをしたんですけれども、研究所の責任者をなさっておるそういう立場で、これ以上に紛糾が長引くということはお望みになってないと思うんです。一日も早く労働組合と話し合いをやって問題の解決を図る、そこに、労働組合にどういう回答を提示をしなさいというようなことは、私は何も干渉がましいことは言いませんよ。とにかく、安全研究という非常に重要な課題を担っておられる研究所で紛糾が長引いているということは好ましいことではない、一日も早くそれを解決するために労働組合と話し合いを持つ、こういう意思はありませんか。
  96. 宗像英二

    参考人(宗像英二君) いまお話がありましたように、私ども原子力研究所の任務、それからその使命の達成のために、先ほども申しましたように、私ども、組合の人たちも全部含めて、全員が協力一致していけるようにしたいということは、もう私は、先ほども申し上げたり、それからまた、みんなの中へ入り込んでいってですね、私が一緒になって話をしたり、それからみんなに、ただ傍観しているんでなくって、手を汚し、汗を流して一緒に働こうじゃないかという、そういう姿勢を示して、そうしなきゃだめだということを言って、一緒になってやろうということを言ってるんですから、それは私は確信を持ってそういう指導方針でやっておりますし、そういうつもりをしております。  で、そのためには労使の関係を正常化することが必要なんでありますけれども、しかし、そのためにはやっぱり、先ほども申しましたように、一定のルールがありまして、そのルールが守られなければそれができない。ですから、ルールを守るように、われわれの方も守りやすいようにしますし、また、やっぱりそのルールが守れるようにしなければならないと思うんです。  先ほどの確認書についてでございますが、これは交渉をすることに関係する者に、交渉の仕方に関係した確認書です。で、逸脱した行為をしているのに、それを大目に見るなんということは一つもこの中に触れてない。これをよく知ってもらわなければ困るのですね。ましてや、逸脱したものをただ放任しておくなんということは全然考えてない。それをしなければルールが守れないのですから、その点を先生もひとつよく理解していただきたいと思います。  で、研究所でも組合と争いをしようなんということは考えてない。繰り返して申しますけれども、とにかく一緒になってやろうという気持ちはこっちはずいぶんあるんですよ。しかし出て来ない人もある。こういうのは困る。一緒になって手を汚して汗をかいてやろうというんじゃなくて、何かちょっと本かなんか読んで、かじって知ったかぶりするのが多いんです。これは困るのですね。そういうのでないようにしたいと思っていま一生懸命努力をしているつもりなんですけれども、まだどうもその努力が実らないことは残念だと思います。
  97. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私はこれだけいろんな角度から理由を挙げて、研究所という、一つは同じ核物質防護といったって、それは写真つき職員証というのが法的に義務づけられている問題ではないだろうということやら、それから、この研究所の性格に照らして事前によく理解し合い、協力体制のもとに事を一つ一つ実施をしていくというこのプロセスが大事ではないかということやら、団体交渉事項になり得るのかならぬのかという問題について言えば、肖像権の問題もあるだろう、動燃の例もあるだろう、ここまで挙げて言っているんですけれども、依然としてかたくなな態度をとられているんですけれども、そんなことは決してわが国原子力行政にとって、また原子力研究所の研究の前進にとって有益な態度ではないと思うんです。  私は重ねて言っておきますけれども、もう一遍ひとつよく考えてもらって、この問題を前進的に解決をする、そういう賢明な態度をとってもらう必要がある、よく考えておいていただきたいと思うんです。また引き続いて次回に向けて質問をやりますから、時間の関係がありますので、重ねてそのことを要求をして次の問題に移ります。  次は、四月の段階で、原子力研究所の中島研究員の賃金カットにかかわる問題で若干の質問をいたしましたが、あのときは研究所からの参考人もお呼びしてなかったんですけれども、どういう大筋の質問を行ったかということは御存じですね。  それで、まず科技庁にお尋ねをいたしますが、当日一定の御説明を科技庁当局に求めたんですけれども、私の方から、たとえば分光学会への参加について中島氏は報告者の一人に入っておった、また前期の分光学会の会長として総会に一定の提案を行うという立場にあったということとか、研究所側の旅費が十分でないということともかかわって、学会の方から、場合によれば旅費を当方負担にしてもよろしいということも加えて出張の依頼が研究所にあったんだけれども、その事実を御存じかとお尋ねをしたら、存じませんという四月の段階では局長の答弁であったと思うんですけれども、その点で、まず科技庁当局、いま私が挙げました事実について調査の結果はどういうことになりましたか。
  98. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 中島氏の賃金カットの件につきましての事実関係でございますが、中島氏が所属しておりました原子炉化学部の分析センターの研究員である福島弘之氏が「光学スペクトル法によるリチウム同位体比の測定」という題目で五十二年の十一月二十二日の分光学会で口頭発表を行うことになっておりまして、中島氏はこの福島研究員の共同研究者であったという事実はございます。そこで中島氏から、五十二年の十一月の十日ごろ上司である小森分析センター室長に対しまして、分光学会への出席方について打診があったのでございますが、小森室長は、口頭発表予定者は福島研究員である、中島氏については出席は不要であるという旨を回答したところ、中島氏は、そうですかと言って了承した。したがって、中島氏は口頭発表を行った福島研究員の共同研究者ではあったが、分光学会での報告者には入っていなかった。なお、この点は分光学会の講演会のプログラムに発表者として登録されているのは福島研究員のみで中島氏は含まれていないということからも明らかになっておるということでございます。  以上でございます。
  99. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、時間の関係がありますから、問題の焦点をしぼってお尋ねをいたしたいと思いますけれども、問題は、原子力研究所のそこで仕事をなさっている研究員の方々の学会参加をめぐる問題について、前回答弁はありましたが、所属の長が認めた場合、学会の役員等として兼職許可を受けた者が学会運営に参加する場合、こういう場合は、これは私は研究所として旅費負担をして学会参加を認めるという場合の所内規程だと思うんです。当然そういうことだと思いますけれども、そうですね。
  100. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 原研としまして、研究員が学会に加入をしたり、その運営の活動に参加するということは望ましいことでございますし、できる範囲でこれを助長しておるわけでございますが、どういう場合に出張扱いにして出しておるかということにつきましては、前回局長から御答弁くださったような事柄でございますが、まず一つは、学会における発表、講演聴取等のための学会出席でございまして、所属長が必要と認めた場合、もう一つは、学会の役員として理事長の外部兼職許可を受けた者が学会の活動に参加する場合、大きく言いましてこの二点、こういったような場合に本人を学会に出張扱いで出すということにしておるわけでございますが、今回の中島氏の場合はこのいずれにも当たらないというのが結論でございまして、そのように御理解いただきたいと思います。
  101. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 結局いまの二つの項目、この場合に照らしてよろしいというときには旅費を負担をして研究所としての出張を認めると、こういう運営をやっているんだということだと思うんですけれども、また、その前段、いまの御答弁の中で、できるだけ研究員の学会活動については協力、保障をしていこうという、この精神に立っているんだという御答弁もあったと思うんです。そこで、問題は、研究所の予算が不足をしておる、十一月という段階で、年度の後半期になって予算も不足をしておる、こういう状況のもとで、旅費は学会側が負担をしてもよろしいという、ここまでの申し出が出されてきておるという、こういう現実を踏まえた上で、できるだけ研究員の方が、前回も言っていたんですけれども、学会に参加するというのは何も個人の趣味で行く問題ではない。学会というのは研究者の人にとってはいわば命にかかわるような問題だ。そこでいろいろ共同研究、共同討論し合ったこの内容を研究所の活動にも生かしていく。そういう意味で、できる限り研究所としては研究員の学会参加については協力をしていく、旅費を負担をするという、ここまで申し出があれば、それについて協力をしていくということは当然のことではないですか。その点の御見解を求めます。
  102. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) ただいまの先生の御指摘の点は、日本分光学会の近藤会長から十一月十一日の日付で私どもの東海研究所長あての文書に基づいた事柄についてのお話かと思うわけでございますけれども、この申し入れによりますと、「十一月二十二日に京都大学楽友会館において臨時総会を開催いたしますが、この総会に貴所職員(本会元会長)中島篤之助氏にぜひ御出席いただく」云々と、「旅費は当会で負担いたします」という申し入れでございますが、先ほど申し上げましたように、この学会の運営、特にこの総会に出席をするという問題につきましては、一般の職員の場合、所が出張扱いで参加をさしている事例は従来ございません。ただ、先ほど言いましたように、基準の二つ目の方の、理事長の外部兼職許可を得た者がその立場で学会の運営に参加する場合、たとえて言いますと、この中島氏が前には学会の会長であったときがございます。この現会長、現在会長であるといったような場合に、これは外部兼職許可を得ておる時期でございますので、そういうときには出張扱いで出しておりました。しかし、その会長を引いて、前会長、元会長、あるいは学会運営の前理事、元理事、あるいは学会の前委員、元委員といったような過去にまでさかのぼってすべての人に出張扱いで出すといったようなことは、所としては一応ルールを決めておりまして、現在外部兼職の許可を得ている人に限るというような扱いをしておるわけでございまして、中島氏だけを特別扱いするわけにはいかないというのが見解でございます。  旅費が向こうから出るか出ないかということは、これはまた別の話でございまして、旅費が向こうから出たとしても、服務の扱いは別の判断からいたしておるということを申し添えておきたいと思います。
  103. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 科技庁にお尋ねしますけれども科技庁が管轄をしておりますいろんな研究者の集団も、ほかに幾つか研究機関があると思いますし、またその他政府全体として見るならば、国立の研究機関も幾つかある。これらの諸機関において、研究者の人が学会へ参加をするという場合に、旅費が不足をしておって、実際は一人分の旅費しか出ないんだけれども、それだけの予算しかないんだけれども、二人行って、それは二人の間で相互に実際は分け合ってあとは自費でそこをカバーをしていく、こういう形になっている場合とか、あるいは学会が旅費負担をする、こういう形で学会に参加をする、政府の、役所の方としてはこの旅費が予算不足のため出せないという場合の学会参加の例というのは全くありませんか。
  104. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 学会への出張というのは、一般的に申しまして研究者側の事情だけで無制限に認められるというものではないというふうに考えておりまして、これはやはり各研究機関責任者が、業務上の必要とか、あるいは業務の繁閑度といったふうなものをあわせ考えて検討する問題だろうと考えるわけでございますが、この御質問の旅費につきましては、そのような判断をいたしました後、旅費の支給を研究所側がするか、あるいは先方が負担するかといったふうな問題が起ころうかと存じます。いま旅費の支給者いかんによって判断をした事例は過去にあるかないかという点につきましては、これは調査をいたしませんとわかりかねますので、ただいま即答はいたしかねます。
  105. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それはぜひ調査をしてください。私はそういう例は絶対ないという状況ではないと思います。私も大学の関係の方々に何人か知人がありますし、現にそういう実情というのはよく知っている。そういう状況のもとで原子力研究所がかたくなに規則を盾にして、何もこれがたくさん、五人も十人も行こうというそういう申し出が出たという事例ではないわけですね。しかも、前会長として総会に一定の提案をしなくちゃならぬという学会との関係においての仕事があったということでそれに参加をしたいと言う。しかし、旅費は学会側負担での出張扱いにしてくれという、こういう申し出をなぜかたくなに拒否をするのか、私はどうしても理解できません。特に研究所という性格に照らして、もっと学会活動について協力をすべきではないかということを強く主張したいと思います。  それで、もう時間が参りましたので打ち切らなくちゃならぬわけですけれども、さっきの実際の国立の各種研究機関政府が管掌をする各種研究機関、ここにおける学会活動の実情がどうなっているのか、実際はそれぞれが弾力的運用をやっていると思うのです、そういう状況も次回までに調査をしておいていただいて、再質問いたします。  本日は、終わります。
  106. 塩出啓典

    塩出啓典君 この際、関連をして二、三お尋ねをしておきたいと思いますが、前々から一度お尋ねしたいと思いながらその機会がなくて、きょうは原研の理事長、理事もお見えになっておりますので、お尋ねしたいと思います。  原子力研究所の果たす役割りは非常に重大であり、そのためには研究所の所員が本当に喜んで張り切って仕事に従事できるようなそういう環境をつくらなければならない。これは異論のないところであります。ところが、この原研の定年が現在五十五歳、運用で五十六歳まで雇用されているようでありますが、動燃は五十八歳、それから同じ科学技術庁傘下の特殊法人である理化学研究所や科学技術情報センターは六十歳の定年である、宇宙開発事業団は定年がない、こういうことで、前々からこれを是正をしてもらいたいという研究者の強い要望があり、当委員会でも問題になったことは御存じのとおりであります。  で、宗像理事長は、昨年の十一月十七日の科学技術特別委員会で、原研の定年は、科学技術庁全般の中で若干見劣りする状況にあるので、ぜひ延ばすようにしたいといつも願っている。いずれ近いうちにはそれを具体化させようと思っていると、こういう答弁をされておるわけでありますが、これはその後どうなったのか。私たちも、いつまでもこの問題は延ばすべきではない、やはり公平ということも大事でございますので、速やかに結論を出すべきだと思うのでありますが、それについての原研の現状と今後の方針、それに対するやはり科学技術庁としてどうなのか、どこに問題があるのか、その点についてお尋ねをします。
  107. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) ただいま御指摘原子力研究所の定年の問題についてでございますけれども、先生御指摘のように、確かに現在の原研の定年、実質上五十六歳というのは、特殊法人の全体の中でも低い方に属するということは御指摘のとおりであろうと思うわけでございますし、私ども、先ほど先生から言われました、昨年この国会の場で理事長が発言をいたしましたような、そういう趣旨の方向でいろいろ検討もいたしてきておるわけでございまして、具体的にはこの五十三年度につきましては、五十三年度に定年を迎える人から、現在の実質五十六歳プラス一年間再雇用というのを今年度から具体的に踏み出そうということを労組にも説明し、職員にもそういうように話をしているところでございますが、しかしながら、この原研の定年の問題といいますのは、人事給与制度全体の根幹にかかわる問題でございますので、なかなか一挙に大幅に改善ということは非常にむずかしい問題でございますので、徐々に、しかし前向きに改善の努力をしていく、具体的に五十四年度以降についてはさらにそういったような徐々に前向きの姿勢で検討をして、具体案ができればなるべく早く労組に提案をして協議をするということを話をしておりまして、そういうことで御理解を願うように努力をしているところでございます。
  108. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま村上理事から、定年制というのは人事管理全般に深くかかわり合いを持つ問題であるので、漸進的に善処方を考えてまいりたいという答弁があったわけでございますが、もちろんこの定年制延長問題というのは労使間の話し合いで決めるべき問題ではございますが、私どもといたしましても、できるだけ原研当局が本件につきまして前向きに対処されまして、五十四年度以降の措置について労使間でさらに話し合いが進められるということを期待しておるわけでございます。
  109. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはあれでございますか、原研で延ばしたいと思っても、延ばすわけにはいかないわけでしょう。やっぱり実際に改善していくには、いわゆる財政面の、予算面と申しますか、そういう点の制約があるんじゃないかと思うんですが、まあ一口に言って、理事長としては当然、原子力研究所の理事長ですから、自分の所員ですから、待遇をよくしたいと思うんですけれども、ほかとのバランスの問題でむずかしい点もあるんじゃないかと思うんです。どこがネックになるわけなんですか。どこがうんと言えばできる、あるいは法律改正する必要があるんですか、この点はどうなんですか。
  110. 村上昌俊

    参考人(村上昌俊君) 先ほど来申し上げておりますように、現在までの原研の人事給与制度は、定年は五十六歳というものを前提にいたしましてすべての制度が組み立てられている。そういったような基本の問題に手をつけるわけでございますので、関連するところは非常に多い。もちろん給与原資の問題もさることながら、私どものところの職員の年齢構成であるとかあるいは昇進、昇任などの頭打ちの問題であるとか、人事のローテーションの停滞の問題であるとか、そういったようなものがすべて関連をするわけでございますので、せっかく、定年を改善することによりまして、中高年層のそういう能力を活用するという面のプラス面があると同時に、事柄の性質から言いますと、いま申しましたような中堅職員どころ、そういうところの人事の停滞とかあるいはローテーションの頭打ちとか、昇任の頭打ちとかいったようなものが仮に出てまいりますと、逆にその辺のモラルダウンということになったのでは困る。その辺の兼ね合いをいろいろ検討しながらやっているところでございまして、一挙に大幅というのはなかなかむずかしいということを申し上げているわけでございます。
  111. 塩出啓典

    塩出啓典君 では最後に。  今年はさらに一年限り嘱託として退職時の本給の十分の六の待遇で再雇用すると、こういうようになり、来年はさらに一歩前進していくと、こういうことのようで、いろいろ問題もあるようでありますが、まあ科学技術庁長官にお願いしたいことは、やはり研究というのは、単なる肉体労働と違ってある程度経験が必要だと思うのですね。原子力研究所のような特に専門的な分野においては、まだ五十五歳や六歳では優秀な人もおるわけですし、まあぜひこの定年制の問題も速やかにすっきりした形で解決するように科学技術庁としても努力をしていただきたい、このことを要望いたします。御見解を承って質問を終わります。
  112. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましても、原研におきまして、労使間におきましてこの定年制問題というものの話し合いが円満にかつ早急に進められることを期待するものでございますが、先ほど先生が御指摘になりましたように、予算面等が制約になりまして、このようなことが他とのバランスを失してまで改善されないといったふうなことにならないように、私どもも十分配慮したいというふうに考えております。
  113. 熊谷太三郎

    ○国務大臣熊谷太三郎君) ただいま局長がお答えしたとおりでございまして、前向きに考えてまいりたいと考えます。
  114. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時七分散会