○源田実君 本
委員会における
原子力に関する安全問題の
調査は、いままで行われたところは、どう言いますか、いわゆる消極的な安全管理の問題である。悪意を持った者が特に安全を阻害しようとしたり、あるいは混乱を起こそうとしてやる行動に対する防御というものは、いまだこれは論ぜられたことがないのであります。しかしながら、つらつら現在の
世界情勢を見ますと、皆さん十分御承知のように、現在ほどテロ活動が至るところで行われており、しかも、そのテロ活動に対する対策ははなはだ
世界的において不十分である。ことに
わが国においては、
政府の対策もまたはなはだ不十分であって、どろぼうに追い銭という言葉を古人が言っておりますが、非常にもう、明らかに悪いことをしていま刑に服しておる者を解放してやって、それにまた今度はお金までつけたり旅券までつけるということは全く異常なことだろうと思うんですよ、こういうことは。しかしながら、いままでのこの安全を脅かすものはまだ範囲が小さかった。ところが、いまわれわれが考えるところ、非常に危ないものがある。
一つは
原子力の
放射能物質の問題てあり、もう
一つは——きょうはこれは触れませんけれ
ども、いま
世界の一流国においては大体行われておる遺伝子の人為的な操作である。ことに、いま言いました遺伝子に対するマニピュレーションというものは、これは原子爆弾や水素爆弾程度のものじゃとうてい済まないほどの恐るべきものを持っております。これはしかしきょうは触れません。私も研究がそれほどまだ十分できてないので質問する
段階までまだいきません。これはいつか機会を持ったらやろうと思う。しかし、きょうはこの
原子力関係のいわゆる
放射能物質に対する防御であります。
そこで、この防御に対してお伺いしたいんですが、まずこういうことを申し上げたい。
わが国はハイジャックに対する対策を先へ先へと読んでやっておるのかどうか。やっていないです。——これはお答えは要らない。いつでも手おくれである。それから成田空港もこれも手おくれである。やられてから、ああ、ああいう者がおったとか、公務員の中にああいうのがおったのかなんということなんですよ。何とかの知恵は後からということを昔から言いますけれ
ども、そういうことになると、
わが国はちょっとばかじゃないかと思うんですよ。成田の開港日の問題、どうなんです。東京センターのあの地下ケーブルがやられたなんということは、これは偉そうなことを言うようですが、私は二日前に
運輸省に警告を発しておいた。ああいうことは中にスパイがおらなきゃできないんです。スパイがおって初めてあんなことができる。あの日天気がよかったから、わりによかった。時間が早過ぎた、向こうが見当を誤って。だから大惨事が起きなかった。もし時間がもう数時間おくれて、天気が梅雨時のような悪い天気だったときはこれは恐るべき惨事が起きておる。これもすべて手おくれなんです。それよりもっと恐ろしいことがいま考えられる。もし、
わが国で扱っておる核物質が、故意に社会の混乱を起こさせようとする者によって盗まれた場合——これは各国みな同じなんですよ。日本だけじゃない。しかしながら、一番いままでそういう
関係で手おくれが多いのが日本なんです。したがいまして、そういう核物質が盗まれた場合のその惨事というものを考えると、とうてい「
むつ」のあの放射線漏れみたいなあんなものじゃない。これは話にならない惨害が生ずる。これは社会的混乱になります。したがって、
科学技術庁として、こういう問題に対して一体どういうぐあいに取り組まれておるのか、これをまず
科学技術庁にお伺いいたしたい。