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1978-05-12 第84回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十二日(金曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     片山 正英君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 望月 邦夫君                 松前 達郎君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 亀井 久興君                 熊谷  弘君                 後藤 正夫君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 山崎  昇君                 吉田 正雄君                 中村 利次君                 柿沢 弘治君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        力安全局次長   佐藤 兼二君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    宮脇 磊介君        科学技術庁放射        線医学総合研究        所遺伝研究部長  中井  斌君        科学技術庁放射        線医学総合研究        所環境衛生部長  市川 龍資君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八  十回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 吉田正雄

    吉田正雄君 十日の日の委員会では原子力基本法の主として委員会の分割その他についてお聞きをいたしたところでありますけれども、きょうは先般の質疑で残されたものを引き続いて質疑をしたいということでありますが、それに先立ちまして、昨日の新聞報道によりますと、東北電力角海浜原発建設に絡む汚職について報道がなされております。これについてはすでに通産、あるいは警察庁、これはもちろんこの摘発主管官庁ですから、当然この経過については御存じと思うんですけれども警察庁の方、お見えになっているでしょうか。その前に、一応通産の方ではこの汚職問題について、新聞報道以前に何らかの情報というものを入手をされておったのかどうか、そこをまずお聞きしたいと思います。
  4. 武田康

    政府委員武田康君) 巻原発の問題につきましては私も新聞報道承知したところでございます。私どもも調べたいと思っておりますが、現在司法当局によりまして調査が進められておるということを聞いております。
  5. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃ、警察庁の方にお聞きをいたしたいと思いますけれども、現在、新聞報道は簡単に東北電力側の二人の出先の幹部とそれから新潟県の巻町現職町会議員二人、しかもその二人が原発を誘致するかどうかのいわゆる原発対策特別委員長という前、元というこの原発誘致に絡んでの議会での中心的な責任者であったわけですね。この二人が収賄といいましょうか、もてなしを受けたという、新聞報道は簡単な報道なんですけれども、この点について、警察庁として送検をされるまでどのような捜査が行われ、また捜査内容がどのようなものであったのか、少し詳しくお聞きをしたいと思います。
  6. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) ただいまお話しの事件につきましては、昨年の、昭和五十二年の十一月三十日に告発がなされました。告発人長谷川義雄という人で、肩書きは巻町の原発対策特別委員会の副委員長でございました。被告発人——悪いことをしたということで告発を受けました者は、同じく港町の町会議員でありまして原発対策特別委員会委員長をしておる井沢一二という人であります。   〔委員長退席理事塩出啓典君着席〕  その内容はどういうことかと申しますと、井沢一二が巻町の議会原発対策特別委員長として、西蒲原郡巻町の角海浜の地内に東北電力建設計画している原子力発電所建設の可否について審議するなどの職務に従事していた昭和五十一年の六月、同町の料理店におきまして、東北電力新潟支店調査役ら二名の者から、同社が建設計画を予定しております原発建設につきまして、同委員会委員らに対して早期建設賛成が得られるように審議議決してもらいたいという趣旨のもとに接待するものであることの事情を知りながら、酒食等供応接待を受けまして、もって自己の職務に関して賄賂を収受したという内容告発でございました。  そこで、警察といたしましては告発を受理いたしまして、捜査を遂げましたら送付をするというふうに訴訟法上も定められておるのでございますが、捜査をしましたところ、さような状況でございましたので、今年の四月二十八日に検察庁の方に送付をしたという内容でございます。
  7. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの捜査結果によれば、単に料亭に招待をされたという内容だけでしょうか。
  8. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 贈賄側には建設賛成早期に得られるような意思ありとして、そういうことを収賄の側で知っていながら接待を受けたということで告発がなされたものでございます。
  9. 吉田正雄

    吉田正雄君 新聞報道によると、一人当たり一万五千円相当の酒食もてなしを受けたと、こういうぐあいになっているんですが、それだけの事実なんでしょうか、どうでしょうか。
  10. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 送付いたしました事案につきましては、そのとおりでございます。
  11. 吉田正雄

    吉田正雄君 このもてなした側というのは、御指摘のように新潟支店石川調査役と金子副調査役ということになっているわけですが、これは新潟支店においては幹部の役職にある人だと思うんですね。そういう点で、今回のもてなしというものがこの二人の個人的判断によって行われたのか、会社としての方針に基づいて行われたのか、その辺の調査結果はどうなっておるでしょうか。
  12. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) その点につきましては、捜査内容でもございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 吉田正雄

    吉田正雄君 捜査内容だとおっしゃるんですけれども会社指示によってやったのかどうかということを明らかにすることが特に今後の捜査支障を来すというふうな内容じゃないんじゃないですか、すでに送検をされたわけですから。さらに今後何か調査をしなきゃならぬという、調査続行中であるというふうなことであって、今後の捜査支障を来すんだという内容であれば別ですけれども、単にもてなしをしたことが個人判断によるものか会社方針に基づくものであるかどうかを明らかにすることが私は捜査上何か支障を来すような内容のものではないと思うんですが、その点どうなんですか。
  14. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 警察といたしましては、捜査を遂げましてこの四月の二十八日に検察庁の方に送付をいたしました。ただいま検察庁の方の段階に入っておりますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  15. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、警察としてはこの件に関する捜査はすでに完了したというふうに受けとめておいでになるんですか。
  16. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 本件につきましては、捜査を遂げ送付をしたということでございます。
  17. 吉田正雄

    吉田正雄君 告発内容なりあるいは警察調査によると、あからさまに誘致決議をしてほしい、早期誘致決議をしてほしいということを言って接待をしたことではないけれども接待をされる側は当然そのことを承知をしておったということで送検ということになったと思うんですね。で、よくあることなんですけれども、新しい役員が着任をした場合に、あいさつと称したり、あるいは自分の任務に関連をして関係各方面にあいさつをする、あるいはじっこんを深めるということで、まあ一杯飲みましょうということはよくあると思うんですね。で、一万五千円という金額は、今日の物価の状況からするとそんなに私は高額なものとは思えないと思うんですね。料亭で一杯飲めば一万五千円や二万円というのは今日すぐかかると思うんです。そういう点で、あえて送検をされたということはやはりもう少しきちっとしたものがあったんではないかというふうに思われるんですが、そういう話が表向き何にも出ないで、単に料亭で四人で飲み食いをしたというだけのことなんですか。
  18. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) そのとおりでございます。
  19. 吉田正雄

    吉田正雄君 そのとおりであるということになると、これはまたその程度のものでも書類送検に該当するということなんですね。
  20. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) ケース・バイ・ケースでございますけれども、ただいまお話しのように書類送検ということでございましたが、本件につきましては関係者を任意で取り調べておりますが、さような形で取り調べまして、捜査を遂げ送付をいたしたものでございます。
  21. 吉田正雄

    吉田正雄君 皆さんの捜査では、飲み食いの額が一万五千円という、常識からするならば普通大騒ぎをされるほどの額ではない、しかし事柄の性格上、金額の多少にかかわらず、原発誘致というものを決議をさせるという明らかに目的があって飲み食い、つまり接待が行われた、したがって、当然これはまあ贈収賄と言ったらいいでしょうか、地位利用等そういうものに明確に抵触するということで私は送検をされたと思うんですね。そのように理解をしてよろしいわけですか。
  22. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 先ほどちょっと言い落とした点もございましたが、いまの御質問とあわせてお答えいたしまするけれども告発人の副委員長長谷川義雄委員長告発いたしたわけでございますけれども、追って捜査の結果、その席に告発人そのものも同席をしておってもてなしを受けたという状況が出てまいりましたので、告発人もあわせまして被疑者といたしまして送付をいたしております。
  23. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、当初告発されたその内容に従って調べた結果、そのことが明らかになったという答弁がたしかあったと思うんですね。そうすると、明らかにこれは原発誘致町議会における早期決議というものを目的とした接待であったということが明らかになったということで送検をされたと思うんです。で、町議会における決議が行われたのはいつだったか、これは通産省の方で御存じかと思うんですが、これはいつだったでしょうか。
  24. 武田康

    政府委員武田康君) どうもおくれまして申しわけございません。  巻町の議会誘致請願を採択いたしまして建設合意決議をいたしましたのが昭和五十二年の十二月でございます。
  25. 吉田正雄

    吉田正雄君 警察庁にお伺いをいたしたいんですけれども会社指示でやったのかどうかですね。捜査上の内容だから答えられないということなんですけれども、この問題に関連をして、この巻だけでなくて、東北電力計画をしているものについては、たとえば女川とか、何カ所かあるわけですね。そういう点で、この巻町だけの問題でなくて、東北電力としてそのようなことがその他の自治体においても行われたかどうか等についての捜査はなさったでしょうか、どうでしょうか。
  26. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) この件に関連してということではございませんけれども原発誘致関連するこの種事案というものは他の地域でも発生をいたしております。
  27. 吉田正雄

    吉田正雄君 これはあわせて通産のまた考えもお聞きをしたいと思うんですが、こういう問題というのはとかく疑惑の目を持って見られたり、また、このような事態が発生することそのものが私は原子力平和利用にとって決してプラスにならないと思うんですね。そういう点で、これは警察摘発をしたのは今回が二回目、つい先般の三重県の中部電力の問題もありますけれども通産省としては、一体このような事態の防止について電力会社等に対してどのような指導といったらいいんですか、そういうものを一体今日までなされてきたのかどうか。これは私は警察庁にもお聞きをしたいと思うんですけれども常識的に、たとえばいわゆる俗に言う盆暮れつけ届けというふうなことがこのような電力会社から、とりわけ原発設置関係をする自治体の職員であるとか責任者であるとかあるいは自治体議会議員に対して行われるということは私は非常に問題があると思うんですね。個人的な単なる盆暮れつけ届けというふうなものではなくて、そういう企業が公的な地位にあるそのような人たちに対して行うこと自体すでに問題があると思うんですね。金額の大小じゃないと思うんです。ところが、現にこのことが行われておりますね、東北電力の場合には。だから、これは飲み食いだけの問題に私は限定をして捜査をされるべき問題ではなくて、この問題を契機にして、そのようなことがほかにも行われておったのかいないのか、あるいは盆暮れのそういうつけ届けというものが限度を超えたものであると私は思うものがあるんですね。ある問題についても私の方でははっきりしたものがあるんですけれども、そういうものを捜査段階で知り得ることができたのかどうか、また、通産省としてもそのようなことが行われているという、会社側からとっては、電力会社側からとっては従来の慣例というふうに言い逃れをされるかもわかりませんけれども、私は慣例として認めるべき内容ではないというふうに思っているんですけれども、そのような事実について通産としても承知をしておられたのかどうか、また、承知をしておられたならば、それに対してどのような指導というものを行われたのか、また、警察がそのようなことを仮に今回の捜査関連をしてわかったということになるならば、今後それについてはどのようにされるのか、お聞きをしたいと思うんです。
  28. 武田康

    政府委員武田康君) 巻原発の問題につきましては、現在司法当局によってその調査が進められているところでございますので、現段階で私どもとしてコメントを申し上げる段階ではないと思っておりますが、一般論といたしまして、私どもは、電気事業者立地を進めるに当たりまして、地元理解と協力を得るというようなたぐいの活動をすること、それはそれでいいと思っておりますけれども、しかしその活動行き過ぎがある、ないしは法に触れるような点が出てくるということではいかぬということで、これは前々から指導しているところでございます。いままで法に触れた例もあったわけでございますけれども、そういった場合におきましては厳重に注意し、また再度そういう行き過ぎ、法に触れるというようなことがないようにというような指導をするということをいままでもやってきたところでございますが、今後につきましても、地元におきます活動行き過ぎることについてはこれを戒め、また、いやしくも法に触れるようなことがないようにという指導は今後とも一層続けたいと思っております。
  29. 吉田正雄

    吉田正雄君 そういう方針方針でいいんですけれども、そういう具体的な事実があったということですね、現にあるということを通産省御存じでしょうかということを聞いているんです。たとえば盆暮れつけ届けということが現に行われておる。しかもある場合によっては、俗に言う慣行的な、あるいは世間常識として通用するそういう限度を超えたそのような内容のものであるとするならば、あるとするならばじゃなくて、そういう内容のものがあるわけですね。したがってそういうものについて通産省としては承知をされておるのかどうかということなんですよね。
  30. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど法に触れたようなケースということを申し上げましたが、実はこの一月に私ども承知したことでございますけれども中部電力芦浜の例がございました。それを私、頭に描きましてそういうことを申し上げたわけでございます。いま先生御指摘の点については私自身承知しておりません。
  31. 吉田正雄

    吉田正雄君 承知をされておらないならば、じゃお聞きをしたいと思うんですけれども、たとえば新潟の場合には、いま東京電力柏崎の、いわゆる柏崎刈羽原発誘致、すでにこれは許可になって工事に入っておりますし、巻の場合はまだ許可にはなっておらなくて建設計画段階であるということで、町議会決議をした。で、私は、東京電力のことは知りません、いまこの東北電力に限って言っているんですけれども、この東北電力が、たとえば県会議員であるとかあるいは関連したそのような自治体議会議員であるとかあるいは国会議員等に対して盆暮れつけ届けをすること自体はどのようにお考えになりますか。
  32. 武田康

    政府委員武田康君) 電気事業者地元立地ということに関連いたしましていろんな活動をするということはあることでございますけれども、これが行き過ぎるという点については、私ども行き過ぎのないように指導してまいりたいと、こう思っておりますし、従来もそうでございますし、今後もそうでございます。いま御指摘の件につきましては、私事実関係を知りませんので、ちょっといまお答えできません。
  33. 吉田正雄

    吉田正雄君 私はこれは非常に重要な問題だと思いますし、今後の、私は、単に原子力の開発あるいは平和利用というこの原子力の問題に限られたことではなくて、やはり企業と地方自治体とのあり方、あるいは自治体における決議機関である議会、その議会議員との間でそのようなことが行われること自体は私は否定をされなきゃならないと思うんですね。通常の単なる商行為に伴う慣例的なものとは私は認めがたいと思うんですね。明らかにそこには利益誘導的な、あるいは地位利用をたくらむという、そういうものが根底にあってそのようなことが行われると思うんです。現に行われておるわけですよね。だからもし通産承知をされていないということになれば、私はこれはまた大きな怠慢ではないかと思うんです。これはつい先般の国会でもずいぶん公務員のもてなしについても論議をされましたし、また、そのようなもてなしに伴っていろんな金品を受け取るということについてもこれは問題があるということは、国会で首相みずからも答弁をいたしておるわけですね。そういうのは厳に慎まなきゃいかぬし、今後はやめるべきだということも言われているわけですね。綱紀粛正ということを盛んに言われているわけですよ。ところが、民間企業からそのようなことが議会議員なり自治体のいわゆる管理者に対して行われるということになってくると、私はこれは大変な問題だと思うんですね。通産警察ではないからそんなところまで一々調べていないとおっしゃると思うんですけれども警察としてはあれですか、たとえば盆暮れつけ届けというふうなものが、そういう各級議員に対して、これも千円とか千五百円で、送り返すということになると送り返し賃の方がかえって高くなっちまうという問題ならいざ知らず、相当高価な品物が定期的に送り届けられるというふうなことになってくるならば、これは私は大変な問題だと思うんですけれども、そういう点については警察庁としてはどのようにお考えになっていますか。それは慣行として認められるというふうにおっしゃるんでしょうか。
  34. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) さような事案につきましては、個々のケースに応じて見ていくことになろうかと思いますが、御指摘のように通常慣行限度を越えたと認められるようなもの、あるいは特別便宜を図ってもらう意思がはっきりしているようなものにつきましては、厳重に見てまいりたい。また、警察はもちろん犯罪ありと思量される場合に捜査に着手するわけでございまするけれども、とりわけ汚職のように社会的公正を損なう性質の事案につきましては、重大な関心を持ってこれに当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
  35. 吉田正雄

    吉田正雄君 先ほど私は、単にもてなしを受けただけかと、この件に限っていうならばもてなしを受けただけなのかということについては、告発内容だけについて確認をしたというふうな言い方であって、その他余りないような言い方だったんですけれども、私が聞くところによれば、これは単に料亭でのもてなしだけでなくて、金品が動いたということも聞いておるんですよ。もちろん私がその場に居合わせたわけじゃないわけですから、確認はできません。確認はできませんけれども、それなりの人たちが、金品が動いたということを言っておるんですね。そういう点で、捜査段階では単にもてなしだけ調べられた、告発内容だけ調べられたというその程度捜査しかやられなかったのか、その辺はどうなんですか。
  36. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 先ほど申し上げましたような捜査状況でございます。
  37. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃあ納得できないんじゃないですか。告発に従って捜査をされた。しかし、捜査段階ではいろんなものが出てくると思うんですよね。だから、そういう金品の動きというものが捜査段階でなかったんならなかったとおっしゃっていただければいいわけですし、そこまでの捜査はやらなかったということなのか、捜査をしたけれどもそういう事実というものは捜査の中からは得られなかったということなのか、いまの答弁でははっきりしないわけですよ。で、そういう答弁ですと、またさらに私どもの方でもっと、金品、この問題だけでなくて、先ほど来言っておりますように、東北電力の問題についてはもうちょっと具体的なものも出さなきゃいけないかなあという感じもするんですね。そういう点で、具体的に詳細どこまでということは言いませんが、私が聞いたことに対する回答は別段捜査支障があるとかないとかということにはならぬと思うのですよ。答えられない何か理由があるのですか。
  38. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 巷間にはよくいろいろ黒いうわさなり、さまざまな、犯罪があるんではないかというような情報などあるわけでございますけれども警察といたしましては、犯罪内容のあるものについて捜査を行うということでございまして、本件につきましてはさような措置をいたしておるというふうに報告を受けました。
  39. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、こう理解していいわけですか。告発内容部分についてのみ調査をした、警察としてはその部分のみにしぼって捜査をした、金品の流れがあったかどうか等については告発内容に含まれておらないからその点に関しては捜査はしなかったと、こういうふうに受けとめてよろしいわけですか。
  40. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) その他の点につきましては、犯罪容疑となるものがその段階では認められておらないということでございます。
  41. 吉田正雄

    吉田正雄君 容疑として認められておらないというよりも、捜査をしなけりゃ事実が出てくるわけはないわけですからね。だから、私が繰り返し言っているのは、その面に関しては捜査をされたのか、ただ告発内容もてなしを受けたというだけのことで捜査をされたのか、その事実の確認しかされなかったのかということを聞いているんですよ。
  42. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) いろいろ巷間犯罪があるんではないかというようなうわさなり情報なりがある、そういう中から警察といたしましては、捜査に着手する段階の前に、内偵活動ですとかいろいろな活動を行います。今回の場合、県警の方でもさような基本的な手法に従いまして、段取りを経て捜査を遂げ送付をしたというふうに承知をしております。
  43. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、うわさはいろいろ流れておったけれども捜査をした結果はこの料亭におけるもてなしの事実しか警察としては突きとめ得なかった、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  44. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 少なくとも今日の時点では、そういうふうに理解をして結構だと思います。
  45. 吉田正雄

    吉田正雄君 長官に次にお尋ねをしたいと思うんですが、これは通産大臣にも実はお聞きをしたいと思っているんですが、きょうも大臣の出席を要請いたしておりませんので、これはやはり原子力委員会としても、この国の原子力開発利用に関してはやはり責任ある立場にあるわけですし、科学技術庁長官原子力委員長も兼ねておいでになりますから、そういう点では私はやはり原子力委員会の、これは一つの指導監督に含まれるんじゃないかと思うのですね。  そこでお尋ねをしたいんですが、いま通産の方でも警察庁でも、このようなもてなしなり接待なりが会社方針で行われたかどうかについては知らない、よくわからないとおっしゃっているんですよね。しかし会社方針で、これはまあ飲み食いというよりも一般的な接待なり、あるいは先ほど来私が言っております盆暮れつけ届け、こういうものについては、会社方針で行われていることはこれは事実なんです。そういう事実について、原子力委員長なりあるいは政府の科学技術庁長官としては、一体そのような事態というものを好ましいこととお考えになるのか、あるいは社会通念的にそれは許容されるべき内容のものだというふうにお考えになるのか。いやそうではない、やはり各級議員なりあるいは自治体管理者なりがそのようなものを受けるということは、無用の疑惑を招くものであるし、厳に慎しむべきである、また企業としてもそういうことはやるべきじゃないという考え方に立つべきだというふうにお考えになるのか。その辺は長官あるいは原子力委員長としてのお考えをお聞きをしたいと思うんです。
  46. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) ただいまいろいろ御発言、またお答えの内容を聞いておりまして、私も新聞でちょっと拝見したわけでございますが、まことにその事実に対しては遺憾であると、このように考えております。  それから、いま、個々の電力会社がそういうことをやるのはどうかと、好ましいと思うかどう思うか、盆暮れつけ届けとかなんとかやることはどう思うかというお尋ねであったと考えるわけでございます。ところが、こういう問題に関しましていま急に総括的なお答えはまとまりませんが、ただ、私は原子力委員長でもございますが、科学技術庁の長官でございまして、綱紀の粛正堅持ということは私は最も大切な問題であると、このように考えまして、就任早々部内にその綱紀堅持について厳しく要請をしておるところでございます。その要請の内容は、庁内及び下部機関についてはもう直接通牒の形式をもって、綱紀は厳に慎しんで堅持してもらいたい、いやしくも綱紀に違反する、そういうことは、もうあたりまえのことだけれども厳に慎しんでもらいたい、こういうことを要請しておりますし、それから外部に向けましては、役所から通牒というわけにはまいりませんので、役所としてはそれぞれの部署に対して、あるいは関係機関、下部機関に対してそういうことを改めて厳しく言っておるので、この方針に協力してもらいたいということを直接口頭なりあるいは書類なり、あるいは場合によっては電話でもいたし方ない面もあるが、そういう綱紀堅持に、関係先はこういう当庁の方針に協力してもらいたいと、十分ひとつ協力方を求めるように要請してほしいと、こういうことを言っているわけでございます。  だから、一電力会社に限らず、すべてやはりそういう関係のいろんな外部関係企業やそういうものはありますから、そういうもの全体に対しても、特に盆暮れつけ届けといったようなそういう個別的なことは言っておりませんし、そこの判断まで早急にすることはちょっとどうかと考えておりますが、基本的にそういう綱紀に違反するような、そういう限度を超えたようなものは、ということは当然含まれるわけでありますから、慎んでもらいたいということを言っておるわけでございまして、まあ、電力会社方針でそういうことがいいことか悪いことかと言われますと、中にはほんの儀礼的にといいますか、慣行的にといいますか、なかなか世の中のこともそう厳しく一々という、これは率直な話でございますが、わけにもまいりませんから、そういうことについての個々の批判というよりは、全体的にそういう方針で進んでいき、いやしくもその方針に反するようなことは好ましくないという考えを持っておりますから、いまお尋ねの点につきましても、そういう疑惑を招くようなそういうことは決してやってはいけないことであると考えております。
  47. 吉田正雄

    吉田正雄君 通産省の方にそれじゃ、このことについて調査をして、その結果を出していただきたいと思うのです。電力会社がいわゆる盆暮れ等の従来から慣行と称しておるそういう実態ですね、これがどのように行われておるのか。おわかりでしょうか、言っている意味。たとえば盆とか暮れ等において各自治体の長であるとかあるいは各級議員に対してそういうつけ届けというものを行っておるその実態について、私はやっぱり通産としても把握をしておく必要があると思うのですね。いま言ったように、限度を超えたものであったり、あるいは特定の意図を持って、いまここで摘発をされたようなそういう目的のもとに行われておるということになったらこれは大変なことですね。  私はこれは氷山の一角じゃないかと思っているんですよ、氷山の一角ですね。そういう点で、通産としてもその辺の実態を調べて、これは資料として出してもらいたいと思うのですね。私は何も世間常識上、慣行上許されるようなことまで、重箱のすみをつつくような意味で言っているわけじゃないですよ。限度を超えるものが現にあったからなんですね。これは私はよく承知をしているんです。私も含めてそういうことが行われてきたから私はよくわかっているんです。ですから、その事実調査をやられて資料として出してもらいたいと思うのです。そうでなければ、私の方でその事実についてこれは明らかにせざるを得ないと思うのです。だからそういう点で、資料を調査をして出してもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
  48. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほども申し上げたとおりでございますけれども電気事業者が当該地域の一員といたしまして、地域社会においていろんな意味で社会的活動をする、これはあり得ることでございまして、また、それは第一義的には電気事業者判断すべきことかと思います。私どもといたしましては、そういった活動が法律に触れる、あるいは社会的通念を超えまして行き過ぎになるというようなケースにつきましては、これを、事実を把握し、そしてしかるべき処置をとる、また指導をしていくというようなことをやっているわけでございまして、そういった意味では、いまのお話がすべての葬祭活動についてというようなことでございますと、なかなか私どもとしても調べるのが大変でございますし、御趣旨に沿えるかどうかという点につきまして検討させていただきたいと思います。
  49. 吉田正雄

    吉田正雄君 どこまでの金額のものが許容されるかなんかというのは、これは大体社会常識判断できると思うのですけれどもね。  ここまで話をしたんですから、これは警察庁でもよく聞いておいてもらいたいと思うのですが、皆さんも御承知のように、これはどう言ったらいいんでしょうか、新潟県でも小千谷縮みであるとかあるいは塩沢縮みであるとかというふうなものはきわめて高価なものなんですね、重要文化財とまではいかないんですけれども、小千谷縮みというものは、高価なものになれば一反何十万あるいは百万円を超えるものなんですね。通常のわれわれにはなかなか手に入らないんですよ。ところが、そのような高価なものが贈られるということになったら、これは大変な話ですよね。  率直に言って私のところへも送られてきたのですよ。私は、それは開封をしないでそのまま送り返したんです。そういうことが現に行われているんですよね。そのような高価なものをどういう目的で一体送りつけてくるのか。しかも印刷をされて、案内状には印刷文で来ているわけですからね、私個人、一人ではない。相当広範囲にわたってそのことが行われているわけですね。したがって、私は、送られてきたものを、封も切らずに、その案内状を見て、その上さらに包装して送り返したわけですよ。どんなに安いものであっても小千谷縮みといえば相当なものなんですね。その辺の三千円や二、三万円で買えるしろものじゃないんです。そのようなものを広範囲に贈る——広範囲といっても大体関係した各級議員であるとか、あるいは自治体の長であるとか、そういう人たちなんですね。行われているわけですよ、現に。私は、よほどそのときに、それを持っておいて返さないで、こういうものということで、現物証拠として実は取っておこうかとも思ったんです。思ったんですけれども、しかし、そんなことによって原子力行政云々というほどの、そういう曲がったことではないだろうと思っておったわけですから、私はただ送り返すだけで今日まで黙ってきたわけです。しかし、この新聞発表にあるように、東北電力はこのようなことまで行っている。しかも、議会で誘致をするかしないかという町民の意思を決定するという重要な町議会の対策委員会委員長——二人とも前、元の委員長でしょう。こういう人たち料亭に呼んで、早期誘致決議をせよというふうなことを頼み込むなんということは、まさに汚職そのものですよね。飲み食いをしないといっても、いま言ったような縮み一反といったら、これはどんなに安くたって、高価なものなんです。見ていませんから、どれだけの値段がつけられるか私わかりません。見てもまた、素人ですから、何十万のものか何万単位のものか十何万単位のものか、その辺はわかりませんけれども、少なくとも通常の人が簡単に買えるしろものでないことは確かなんですよ。しかも生産には限界といいますか、きわめて制限をされた生産しか行われていないわけですね。そういうものなんですね。ですから私は、この飲み食いというのは、単に出先のその職員が個人的な判断でやったなどというものでなくて、企業方針としてそのようなことが私は行われたと、こういうふうに推測をしてもこれは当然だというのですね、その推測は。現に私のようなところへまで送ってくるんですからね。こういう事実があるのですよ。  それを、通産もわからなかったとか、これに関連をした警察庁が、会社指示でやったのかどうか、企業ぐるみでそのようなことが行われているのかどうか調べていないということであれば怠慢であるし、調べておっても現在捜査続行中だから答弁できないというならわかるんですけれども先ほど来の答弁を聞けば、その面に関しての調査はほとんど行われていないということが明らかですね。これでは私は大変だと思うのですよ。  そして、時間もないですから、また、きょう会議もあると聞いておりますので、警察庁には最後に一言だけ私は要望しておきたいと思うんですが、そういうものに対する警察庁捜査というものは非常に手ぬるい面がある。ところが、この誘致賛成決議が行われた当日、私も現地に行ったんです。そのときの警察の過剰警備というのは大変なものですよ。座り込んでいる人たちをける、それからここの手にこう何か革でもって、何というんですか、手甲脚絆じゃないんですけれども、革の装具がありますね。これでもって座り込んでいる人間の顔を殴りつけている、こういうことが——しかも、この座り込みしておる人たちが抵抗しているわけでも何でもないわけですね。それをもう多くの機動隊員が機動隊の壁の中で座り込んでいる人たちを徹底的にけり、殴りつけるというまさに暴力行為が公然と行われたわけですね。それに対する抗議に耳も傾けようとしない。さらに、この町議会が行われているときに、反対派と目される、あるいは公然と反対だと言っている町議会議員町議会開会時刻にこの議会に来ても、しばらくの間機動隊が入場阻止をしたわけですね。こういう事実があるわけです。私はこの目でよく見てきたんですよ。  だから、一方において反対運動に対してはそのような警察権力を駆使をして、むしろ私に言わせるならば、暴力行為がそこに行われておる、片やこのような汚職に対しては非常に手ぬるい捜査しか行われていない、見て見ぬふりをするという、そういうふうに疑われても仕方がないんじゃないか、そういう印象を受けるわけですね。そういう点で、私は繰り返して申し上げますけれども、この問題は氷山の一角にしかすぎない。したがって、私はこれらの問題については警察庁としてもっと深部にメスを入れるべきだと思うのですね。そうでないならば、私は国のプロジェクトという言い方の中で、国の方針という言い方の中で、この原子力の開発利用をめぐって汚職というものが公然と行われるムード、雰囲気、またそれが見過ごされるという、そういう情勢というものを私はつくっていくことになると思うんですね。そういう点で私は警察庁にそのことを最後にお願いをしておきたいと思います。  それから、通産は何としても、いま言ったように、各電力会社が行っている盆暮れ等のつけ届けについてどのような実態か調査をされて、資料を出してほしいと思うのです。どの程度の基準かなんて基準があるわけじゃないですけれども、三百円や五百円の物が贈り物に入るか入らないかなんて常識的に判断ができると思うのですけれども、どの程度までの資料を出されるかは通産省判断をされて結構ですけれども、とにかく通産自体がそれらの実態をつかんでおくことは必要だと思いますし、また、私は原子力委員会や科学技術庁もそのような実態を踏まえて今後の指導に当たらなきゃならぬと思うので、まず何よりも実態を知っていただくという観点からも、その調査をこれは私は科学技術庁長官としてもぜひやられるべきだと思うんですね。通産と相談の上、ぜひひとつ実施をしていただきたいと思うのですが、その点どうですか。
  50. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) 十分ひとつ通産とも御相談いたしまして、善処いたしたいと思います。
  51. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま同僚の吉田委員が切々として実態を示しながら、この検証を求めています。私も近くこの法案についての質問をするように理事からの話があっていますから、次の質問の参考にもしたいので、私の質問する時期まで、あるいは一週間ぐらいかかるかわかりませんが、その間に警察庁からいまの実態を早急に調査して、その資料を私の方にもお出し願いたいと思いますが、いかがですか。
  52. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 御要望の御趣旨がちょっとはっきりいたしませんので、再度お願いいたします。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっとはっきり言ってください。はっきりわかりません、語尾が。はっきりしてください。
  54. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) いかなる資料を御要望なのか、その点がはっきりいたしませんので、再度お願いいたしたいと思います。
  55. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま古田委員がずっと実態をこういうふうに述べて、その資料などを要求しております。警察庁はこの実態は把握してありますか。
  56. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 捜査内容につきましては、   〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕 それを遂げまして検察庁の方に送付をしているということでございます。
  57. 吉田正雄

    吉田正雄君 警察庁の方ですね、いまの小柳委員の質問というか要請というのは、そういう実態を調査をして資料を出してほしいということなんですよね。この問題、巻の問題に関して捜査内容をいま明らかにしなさいと言っているんではなくて、私が繰り返し申し上げておりますように、各電力会社がいろんな盆暮れつけ届けをやっておりますそういう実態について、通産科学技術庁長官にいまお願いをしたところなんですがね、警察庁としても今後の捜査なりいろんな観点からそういう調査をされて資料が出せませんかという質問なんですが、その点どうなんですか。
  58. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) 犯罪関係のあるものにつきましてはこれを捜査するということでございまして、その他の問題等につきまして、事実上行うものにつきましては、いろいろ御趣旨にできるだけ沿うべく努力はいたしたいと思っております。
  59. 吉田正雄

    吉田正雄君 私は先ほど通産もよく聞いていてもらいたいし、科技庁もよく聞いていてもらいたいと思うんですが、小千谷縮みは一例なんですよ。たった一つじゃないんですよ。ですから、どういうことが行われているのか、通産なり科技庁としてもその実態というものを把握をして、今後原子力行政上やっぱり見過ごしてならないところや改めなきゃならぬところは指導しなきゃいかぬわけですので、そういう面からも主体的にやっぱり実情というものを調査をして知っておく必要があるということと、あわせて調査をして資料を出してくださいと、こういうことを言っているので、くどくど申しませんが、よろしゅうございますね。
  60. 武田康

    政府委員武田康君) 電気事業者がいろんな意味で立地等々に関連いたしましていろんな活動をし、その活動にいろんな支出が伴う、これは必要な場合があるわけでございます。ただ、それが行き過ぎたり、あるいは行き過ぎて法に触れるというようなことを厳に戒めるというのが私どものポジションでございまして、そういうような場合につきましては、私ども事実を調べ、それを承知し、必要な処置をとるというようなことを従来からやってきており、今後ともやるつもりでございます。いまの先生のお話、先ほど申し上げたとおりなんでございますけれども、御趣旨に沿えるかどうか検討いたしたいと思いますけれども、何分にも広範なお話でございますので、持ち帰って考えませんとなかなかむずかしいお話かと思っておりますが、先ほどの科技庁長官の御答弁にもありましたように、持ち帰って検討し、相談してみたいと思います。
  61. 吉田正雄

    吉田正雄君 じゃ、広範だ広範だとおっしゃいますので、盆暮れあいさつに限ってということで、それだけでも資料として出してください。余り広範でどの程度のものかわかりませんでしたなんておっしゃっても困るわけですから、盆暮れつけ届けがどのように行われているか、その実態だけでも調査をしてひとつ出していただきたいと思います。
  62. 小柳勇

    ○小柳勇君 私がいま発言している真意があるいはまだ理解、がないかもわかりませんが、実はテレビを見ていましてね、いま山口県で選挙をやっていますが、特に原子力の発電所の建設賛否など、これがたとえば町長なりあるいは町会議員の選挙の大きな争点になる、こういうことを見ています。いま私どもはエネルギーの問題は真剣に考えています。特に原子力発電について、石炭エネルギーにかわるものとして、あるいは水力にかわるものとして、その安全性さえ確立すれば原子力発電についても賛成していかなきゃならぬと思っているが、いまのところはまだその安全性が疑われている。そういうときに、たとえば県会議員やあるいは市会議員やあるいは児知事や町長、市長に対して、特別な意図を持って、特別な策を弄してその建設を促進してそういうような政策をとることは、私は反対です。それはやはり生命の危険性がなくならなければ採用すべきでないし、そういうときに一部の権力者に贈賄をしながら、会社の利益になる、もちろんそれはエネルギーの必要性はわかりますけれども、そういう方法で建設を進めることは反対です。それに非常に危険なことです。日本の将来にとっても危険なことです。したがって、吉田委員が言われたようなことがあれば、率直に事件としてこれを見てもらって取り上げてもらう。そして国会の審議の場に資料にして見せていただく。そうしませんと、ゆがんだ原子力行政、ゆがんだエネルギー行政がやられる、そう考えますから、一生懸命に吉田委員が切々とここでいま論議しています。恐らくこれは新聞報道もされぬでしょう。これだけの重要な資料を持って、しかもみずからの経験を生かしながら国会審議に生かそうとしていま訴えています。したがって、これをもう少し発展さして、吉田委員が言われたようなそういうことをやって強引にゆがんだエネルギーの行政を進めてはならぬと私思いますから、警察庁も腹を据えて、いま吉田委員が言っただけでもいいですから、早急に調査をして資料をこの委員会に出していただきたい、そういう意図でありますので、もう一問御答弁を願います。
  63. 宮脇磊介

    説明員宮脇磊介君) できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  64. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは、警察庁の方大変どうもお忙しいところありがとうございました。  当初予定したものと違うものが飛び込んできたものですから、またこのあと限られた一時間の中で予定をした質問がどうもきょう終わるか終わらぬかわからなくなってしまったんですが、十分審議を尽くすということで、きょう残された部分についてはまた次回に繰り越していきたいというふうに思っているわけです。  私は当初にお断りしておきたいと思うんですけれども、参議院における審議は今回が初めてなわけですね、基本法は。したがって、衆議院でも審議はされてきております。それなりに議事録も読んでおります。しかし、参議院としてまた十分確かめるところは確かめ、衆議院で審議が不十分であった部分についてはそこのところを補っていく参議院の任務があろうかと思いますので、そういう点で私はやはり十分審議を尽くして、その上でこの法案をどうするかということを考えていくべきだというふうに思っているわけです。  そういうことを前提にしながら、次に、この前からの引き続きといたしまして、機構、組織等についてお伺いをいたしたいと思うんです。この前いろいろ御質問もいたしまして、御問答もいただいたんですが、私の質問のやり方も悪かったりして、先回は十分理解できなかったんですけれども、その後関係担当者の方から丁寧なまた説明もいただきましたので、骨子について、あるいはその趣旨についてはおおよそ私なりに理解できたと思うんです。しかし、まだ不明確な部分が残されておりますので、その点についてお聞きをいたしたいと思うんです。  いままでの原子力委員会、今度改正案による原子力安全委員会の中に、従来どおり原子炉安全専門審査会というものが引き続き残されていくわけです。これは御承知のように三十九年に設置をされてきて、原子炉に係る安全性に関する事項の調査審議ということになっているわけですね。この前の説明では審査委員が三十人で、それを大体四十五人にふやすというふうな御説明であったわけですね。この会長は東大の内田秀雄先生になっているわけです。しかし、この安全専門審査会の中に審査委員三十人のほかに調査委員三十一人というものがあると思うんですが、これは専門審査会の委員ということになるんでしょうか。それとも、正式な専門審査会の委員というのは三十人であって、調査委員の三十一人というのはその都度臨時に委嘱をしていくものなのかどうなのか、その任期なり仕事の内容というのは一体何なのか、これをお聞かせ願いたいと思うんです。
  65. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) この調査委員の制度は従来からとってきたわけでございますが、この役割りとしては、私ども事務局を手助けし、専門的な事項について調査し検討いたしまして、必要に応じまして審査会にその調査した事項について事務局と共同して報告をし説明すると、その報告されあるいは説明された事項を審査会の三十名の先生が検討して結論を出すということでございますので、審査会の委員とは全く別のものでございます。この調査委員の数は法定で定められておるものではございませんで、予算的に、こういう調査委員をお願いする必要な予算を確保してお願いしておるというような形でございますので、定員はございませんが、現在約三十名程度の方を委員にお願いしておるわけでございます。
  66. 吉田正雄

    吉田正雄君 その次に、その下にという言い方は変ですけれども、これも安全専門審査会が安全に関して審査を行うということなんですが、原子炉施設等安全研究専門部会、これも四十九年の八月にできておるわけでして、これは原子炉施設等の工学的安全研究について国や民間を含めた総合的な検討を行うというふうなことで、安全研究計画の企画だとか立案及び調整、二番目として安全研究の成果の評価及び活用、三番目として安全研究に関する国際協力というふうなことが掲げられておるわけですが、これは二十二名、部会長が山田太三郎元原子力委員ということになっておりますが、いま申し上げたような設置目的委員の構成でよろしゅうございますか、その点は。
  67. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  68. 吉田正雄

    吉田正雄君 それからもう一つ、原子炉安全技術専門部会、これはこの前の説明では、安全性に係る基準及び指針等をここで作成をしていくんだ、あるいは問題点の技術的評価に関する事項とか国際的基準に関する事項その他原子炉施設の安全性に関して原子力委員会が必要と認めるもの等についてここでもって検討して作成をしていくというふうなことで、十八人で構成をされておるということなんですが、いま言ったような設置目的あるいは内容、それから構成員が十八人でよろしいのかどうか。それと、ここでの部会長はどなたになっておりますでしょうか。
  69. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生のおっしゃるとおりでございます。部会長は原子力委員の吹田先生にお願いしております。
  70. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、原子炉施設等安全研究専門部会の設置が四十九年の八月、それから原子炉安全技術専門部会の設置が五十年の二月というふうになっておりますが、きわめて新しいわけですね。ですから、これらのものができる以前では、原子炉のこれらの部会が担当してきたのはどういうところで担当してきたのかお聞かせを願いたいんです。それ以前ですね、いま申し上げました二つの、原子炉施設等安全研究専門部会と原子炉安全技術専門部会、いずれも設置が新しいわけですから、それ以前はどのようなところでどのような専門委員会があって担当してきたのかお聞かせ願いたいと思います。
  71. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) ただいま先生御指摘のとおりでございますが、四十七年以降は別の専門部会がございまして、名前を申し上げますと、環境安全専門部会というのを原子力委員会は持っておりました。そこで基準等の審査をやっておったわけでございますが、この原子炉審査に当たりましての基準の重要性にかんがみて、五十年度から原子炉安全技術専門部会を新設したわけでございます。環境の方は環境の方で独立させたということでございますが、それ以前につきましては、ちょっと手元に資料はございませんが、審査会みずからもこういう指針、基準の作成等をやっておったと考えております。
  72. 吉田正雄

    吉田正雄君 きのう実は資料もいただきましたが、この原子炉安全一技術専門部会がつくった基準、指針というものにはどういうものがあるんでしょうかね。きのうもらったんですけれども、いただいたものの中には、「原子力委員会指針」というのと「原子炉安全専門審査会内規」というふうなものがいただいた本の中にはあるんですけれども、この技術専門部会が指針とか基準をつくることになっておるということですので、そこでつくったものにはどういうものがあるのか、この資料集の中に載っかっているのか載っかってないのかちょっとわかりませんので、お聞かせ願いたいと思うんです。
  73. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) この基準等は逐次リバイズしておるわけでございますが、新しくつくりましたものといたしましては、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」、それから「軽水型動力炉の非常用炉心冷却系の安全評価指針」、それから「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」、それから「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」、それから「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」でございます。
  74. 吉田正雄

    吉田正雄君 長官がおいでになりましたのでお聞きをしたいと思うんですが、原子炉安全技術専門部会の部会長が実は原子力委員を兼ねておるわけですね。この点、私は原子力委燈の人選なりはどうあるべきかということで、前にも一般的抽象的には長官の考え方もお聞きをしたんですけれども、この問題と——これは後回しにいたしましょうか、もうちょっと審議を進めてから、じゃ後ほどまとめて長官のお考をお聞きをいたしたいと思います。  いずれにしても、原子力委員が安全技術専門部会の、実質作業をやるところの部会長を兼ねておるという点については、長官としてもひとつ注目をしておいていただきたいと思うんですね、これ。
  75. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) はい。
  76. 吉田正雄

    吉田正雄君 それから、いままでの原子力委員会の中には二つの安全審査会と七つの部会があるんですけれども、そのほかにもいろんな会、委員会のようなものが設けられておるわけですけれども、これほど安全審査会なりがある上に、私は屋上屋を重ねるんじゃないかと思うんですけれども、安全会議というのが設置をされているわけですね。メンバーが十人というふうになっておりますが、この設置の理由とそれから目的がどうなっておるのか。さらに、原子力委員会参与会というのがあるわけですね、これがたしかまた二十三人で構成をされておるんですが、これはいつから設置されたのか、設置の理由と目的。それから、科学技術庁参与会というのがまた三十二人ほどでつくられておるということで、本当にもう大変な、委員会、参与会とかいろんな会が設けられているわけですね。したがって、これらの各委員がいろんなところでダブっておるという感じがするんですね。安全審査会のメンバーと安全会議のメンバーというふうなものを見たときに、どちらの任務が一体どうなっておるのか、任務分担がどうなるのか、その辺の連絡がどのように図られておるのか、調整がどうなのかというふうな点で、いろいろ問題が出てくるんじゃないか、これらの会議はあるけれども、実は開店休業なのかどうなのか、その運営の実態等がどうなっているのか等についてもお聞かせ願いたいと思うんです。
  77. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) この安全会議は四十九年に発足いたしまして、原子力委員長代理の井上先生を部会長にいたしまして発足したものでございます。ここでは原子力の安全性に関する基本的な政策につきまして検討を加え、約二年の検討を加えて、現在は会議の開催を行っていないものでございます。
  78. 吉田正雄

    吉田正雄君 それと、いま一々十人の方のメンバーはお聞きをしておりませんけれども、私のほうでもある程度このメンバーの資料はあります。ありますが、財界代表なりあるいはいろんなメンバーを見ますと、こういうものが必要なのかどうか、いま現在は開催していないということなんですが、本当に必要があるのかどうかということと、もう一つ、二つお聞きしたのですね。原子力委員会参与会というのもありますね、このまたメンバーを見てみますと、安全審査会との関係で一体こういうものが必要なのかどうなのか、これもいつから設置をされたのか。同じく科学技術庁参与会、これが三十二人、これも一体必要なのかどうなのか、屋上屋を重ねているという感じがしないでもないんですけれども、この点についてもお聞かせ願いたいんです。
  79. 山野正登

    政府委員(山野正登君) この原子力委員会の中の参与会と、参与会に所属します参与と専門委員でございますが、専門委員の方は専門の事項、多分に技術的な事項等の調査審議に当たるために設けられておるものでございますし、それから参与会の所属の参与は、この原子力委員会の設置法施行令にございますように「会務に参与させる。」となっておりまして、より政策的な問題も含めて原子力委員会活動を補佐するという役目を持っておるわけでございます。  で、これまでの実績を見ますと、専門委員の方は、その活動は各種の専門部会等をつくりまして相当頻繁に開催されておりますけれども、参与会の方はその性格上、その開催頻度というのはきわめて少ないというのが実情でございます。
  80. 吉田正雄

    吉田正雄君 私たちがこの前から質問の中では、本当に原子力行政の充実、さらには安全確保という国民サイドの側に立ったそういう原子力行政というものはやっぱり充実をしていかなきゃいかぬということを述べながらも、しかし余りにもこれらの会議が、いろんな会というものが設置をされ過ぎて、そのためにむしろ機能しないという、あるいは連絡調整というものが十分つかないんじゃないか、   〔委員長退席、理事松前達郎君着席〕 そのことがまた今日の原子力行政を停滞をさせ、あるいは場合によっては部分的に混乱と見られるような原子力行政というものが推進をされてきたんじゃないかという感じがしますので、実態がまだよくわかりません。時間もありませんからこれ以上聞きませんが、そういう点では私たちの心配するようなことにならないような運営というものや、あるいは整理統合というものをやっていく必要があるんじゃないかという気もするんですね、それらの点について何か反省点なり、あるいは今後これこれの点で改善すべき点があるとかいうお考えがあるのかどうなのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  81. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) ただいま先生の御指摘のございました専門部会等のうち、安全委員会関係いたします専門部会につきましては、安全委員会が発足いたしましたときに当然見直して、新たに設置を決定しなくちゃならぬわけでございます。で、先生御指摘のように、重複であるとか、あるいは現在余り必要ないというような御判断をいただければ当然それの改廃が行われるものと思いますが、現在のところ安全委員会に引き継ぐ予定をしております専用部会は、私ども事務局の立場から見ますと、それぞれ目的がきわめて重要なものでございますので、私ども事務局の考えとしては、現在のものを引き続き設置していただいた方がいいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど答弁の中で間違った御報告をいたしましたので修正させていただきたいと思いますが、安全基準の検討におきまして、昭和四十七年以前は審査会の方で検討しておったと申し上げましたが、これは誤りでございまして、昭和三十三年以降安全基準専門部会というのを持っておりまして、ここで基準あるいは指針の審議を進めておったわけでございますので、この点修正させていただきます。
  82. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、原子力委員——長官を除く、委員長を除く原子力委員六人のうち、三人が常勤で三人が非常勤になっているわけですけれども、この非常勤三人の、宮島委員、御園生委員、村田委員の現職は何でしょうか。
  83. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 宮島委員は筑波大学の学長でございます。それから御園生委員は放射線医学総合研究所の所長でございます。それからさらに、村田委員原子力研究所の副理事長でございます。
  84. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、専門審査会と部会の開催状況についてお聞きをしたいと思うんですけれども、ここに出席をされております武田審議官は、安全審査会なり、あるいは何か三つの専門部会に所属をされておりますね。私は、これは担当官庁の特に担当者としては幾つかの専門部会に出て横の連絡調整を図るというふうな点では、これはまた当然だというふうな感じもするんですけれども、私は特にこれは局長なり長官にも十分留意をしておいていただきたい点があると思うんですけれども、部外のいわゆる行政庁の職員以外にお願いをしている非常勤の専門審査会あるいは部会の委員で三つも部会を担当しておるというふうな方が何人かあるわけですね。私は、これは実際業務といいますか、専門審査委員としての任務を遂行しておるのかどうかについては疑問である、というよりも、実は十分遂行していないという批判が出ておりますし、特に「むつ」問題に絡んで放射線漏れ問題調査委員会、いわゆる大山委員会の報告書の中でもこのことを厳しく指摘をしておるわけです。長官は、この「むつ」問題についてはいろいろ御報告も受けられ、あるいは大山委員会調査報告書もお読みになっておると思うんですけれども、再度記憶を呼びさましていただくという観点から、長い部分でありませんのでちょっとだけ読んでみます。それに従って、今後専門審査会の委員なり専門部会の委員の任命に当たっては、この指摘なり批判に十分こたえる、そういう人選をぜひ進めていただきたいと思うんですね。技術的には、私は、各原子力局なり安全局の方で担当されるわけですから、これは私は十分ひとつ頭の中にたたき込んでおいていただきたいと思うんですね。単に機構だけ、形の上だけ整えたけれども、実際の人選に至っては一体どこに法改正の趣旨が生かされたかわからぬというふうなことであっては困ると思うんですね。大山委員会ではこのように指摘をしているわけですね。   原子炉の設置許可は、原子力委員会の意見を尊重して、内閣総理大臣が行う。内閣総理大臣に対し、設置者から設置許可申請が出されると、その内容の是非について、内閣総理大臣は原子力委員会に対し諮問する。原子力委員会は、設置許可申請に対する原子力委員会の意見をきめるに際し、安全性に関する部分については、内部機構として設けられた原子炉安全専門審査会に調査審議を行わせる。同審査会は、原子炉などの基本設計について審査を行うが、詳しい設計・工事の方法の内容にまでは立ち入ることはない。  ということで、ここで問題を一つ指摘をしております。そして、   原子炉安全専門審査会の委員は非常勤と定められており、一般に大学、研究所の研究者がパートタイマーという形態で審査に当たっているので、必ずしも常に最も適当な専門家を当て得るとは限らない。したがって、審査の実態についても、申請された原子炉の安全性について、申請者側の計算を再計算によって確認することなどは事実上困難であり、また、原則として書面審査のみであるため、設置許可を決めた原子炉がその後どのように運転されているか、また、技術的に問題はないかなどを絶えず注意し、これを次の審査に反映させるという一貫した技術のシステムに欠けるところがある。いうならば、  ここからがまた重要ですが、   高名で多忙な学者、研究者にこのような実務的な作業を委ねること自体に無理があると言わざるを得ない。この結果、審議内容は往々にして、結果に対する責任と役割の限界をあいまいにしたまま、無難な結論が採用される恐れがある。  こういうふうに指摘をしているわけですね。そこで、現在三つもダブっている。そうすると、現職の一体大学教授の方はどうなっているのかという逆に心配も出てまいるわけですし、この前私は「むつ」問題の参考人を呼んでの意見陳述の際、安藤先生にも質問したわけですね、あなたは何回ぐらい出席をされましたかと聞いたんですが、そのとき半分出席したかどうかというふうな回答だったわけですね。そのようなこともありますので、私は本当にこの専門部会なり審査会が機能するためには、いま指摘をされたような点、十分に留意をしていくべきだと思いますし、この改正案を契機に、任期というものが特に定めてない限りは、私はここでそのような批判にこたえる人選というものを行うべきではないか、任命し直すべきではないかというふうに考えておるわけですね、この各専門部会の委員について。この点についてどのように考えられておるのか、長官と原子力局長、安全局長のお考えもお聞きしたいと思います。  もう一つ、これは長官にお尋ねをしたいと思うんです。先ほど私は原子炉安全技術専門部会の部会長はどなたですかとお聞きをしたところ、現原子力委員が部会長であるという答弁だったんですね。   〔理事松前達郎君退席、委員長着席〕  それからさらに非常勤の村田委員については、原研の副理事長であるということなんですね。そこで、私はこの前、原子力委員なり今度新しく設置をされる原子力安全委員の人選については、大局的見地から云々というふうな一般原則論というのがありますけれども、一体その基準をどうするのか、私はやはりこの法案の趣旨なりからして、超党派的に賛成が得られる委員というものを人選すべきではないかということも申し上げて、長官は中立的というふうなことを答弁されたわけです。  ところが、先般の参考人を呼んでのこの聴聞会で、私の方から有澤先生に対して次のような質問をしたわけですね。基準と言っても確かにむずかしいけれども、消去法というもの、つまり、これは条件としてふさわしくない、欠格条項のようなものを定めることによって人選をするのも一つの基準ではないかということを申し上げたわけですね。例として、たとえば学校の校長なり教頭なりが教育委員になるということは、政策を定め、それから現場を指導する教育委員に、指導監督を受ける側の校長、教頭が委員になるということは、これはそもそもおかしいんではないかということで、私は原子力委員というのは、そういう点ではすべての面からまさに中立的、自主的、独立的な機能を果たす面からも、自分が指導監督する下部機関の役員が原子力委員になるということは、みずから指導され指導するというきわめておかしな立場になるんじゃないか、これはおかしいんじゃないかという質問に対して、有澤先生は、当初はそうでありませんでしたと。ところが、最近だんだん乱れてまいりましたと。しかしまあ、政府が任命し、国会が承認したんだから、それ以上私どもは何とも言いようがないというふうな意見を述べられたわけです。  そこで、いま私がお尋ねしたところでも明らかなように、重要な基準なり指針というものを決める原子力委員会、まあ現行原子力委員会、今度は安全委員会になりますが、その諮問機関の部会長に原子力委員がなっている。自分でみずからつくった基準、指針を、今度は委員の立場でもって審査をして、これはよろしいという決定を下していくというのは、全くこれはおかしな立場になるわけですね。そういう点で、私はそのような人選は望ましくないと思いますし、また、原子力委員がそのような専門部会まで、部会長にまで、あるいは委員にならなければならないほど人材難だとは思わないんですね。そういう点で、まあそのようになった経過というものはあろうかと思うんですけれども、これからそのような人選をすべきではない。村田委員についても同様です。原子力研究所の副理事長である。原子力研究所というのは、要するに原子力委員会の指揮監督下に置かれる研究機関ですね。そこの副理事長が今度は指導監督する原子力委員であるというのは、全くこれもまたおかしなものでして、まあ有澤先生によっても、そういうのは好ましくないというのがこの前の御意見なんです。当初はそんなことはなかったとおっしゃっているんですね。最近乱れてきたとおっしゃっているんですよ。そういう点で、私はこの法改正を契機に、あくまでも原子力委員会なり安全委員会というものが企業に対しても、あるいは政治的にもまさに中立であり、自主、独立の判断を下し得る、そのように機能するためにも、また内部関係からいっても、自分の指揮監督する下部機関なり、そうう外郭団体の役員が兼ねるということはふさわしくないんじゃないかというふうに思っておりますので、この改正を契機に、ここでひとつ人選のし直しをやる必要があるんじゃないんでしょうかと、法の許す範囲内においてですね、思いますが、この点についての長官の御意見をお聞きしたいと思うんです。
  85. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 三つほどの御指摘でございますが、まず大山委員会関連での、多忙な学者が実際に審査に十分できないという御指摘の点でございますが、確かに多忙な学者あるいは研究者の方に非常勤でお願いしておるわけでございますので、私どもといたしましては、先ほども先生の御質問の中にございました調査委員という制度を拡充強化する。ここで実質的にいろいろ調査をしたものを報告するという形の制度を強化したわけでございます。それと同時に、事務局の安全審査に携わる人間を増強したということで対処しておるわけでございますが、さらに加えまして、本年度からは安全委員会が発足いたしますと、安全専門審査会の方の委員の数を三十名から大幅に、四十五名にするというようなことで、できるだけこういう先生方に過重な御負担をおかけしないということで運営をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから吹田先生の件でございますが、これは、安全基準をつくる専門部会というものはきわめて重要な仕事でございます。そこで、その専門審査会が報告をまとめ原子力委員会に報告されたときに、原子力委員会はそれを決定するわけでございます。そういうような重要な仕事でございますので、従来から安全審査の関係を御担当いただいておる吹田先生にこの部会長をお願いしておるということでございまして、決して——私どもとしてはこの仕事を重視しておるからそういう御担当をお願いしておるという考え方でございます。先生の御指摘ではございますが、若干私ども考えと違っておることは事実でございます。  それから、まあ人選に当たりましての問題は、私どもといたしましては、この安全委員会委員には、ぜひ厳正かつ中立の立場で高い立場から大局的な御判断をいただける方をお願いしたいと考えておることは、前にも御説明申し上げましたけれども、まあ先生の消去法でやってみたらどうかというふうな御指摘ではございますけれども、要は適材適所に人を得るということでございまして、そういう基準を最初につくって消去法でということには、人選の問題でございますので、なかなかしにくい。一概にそういうことで判断していったのがいいのかどうか若干の疑問もございますが、先生の御趣旨も十分体しつつ、今後人選を進めさせていただきたいと、さように考えておるところでございます。
  86. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原子力委員会委員の兼職の問題でございますが、科学技術庁の監督下の特殊法人の役員が非常勤の原子力委員を兼ねるという問題でございますが、これは、この所属する機関における職務権限、それから原子力委員会の非常勤委員としての職務権限、これは全く次元の異なる、しかも職域も違う話でございますので、基本的には別個の問題であろうかと思うのでございますが、全く仮定の問題としまして、人物も識見もまたこの分野の力量も全く同じ方が二人おられた場合に、片一方は関係の特殊法人の役員であり片一方はそうでないという場合には、後者を選ぶといったふうなことは、これはあり得ようかと存じますが、しかし、もっぱら属人的な問題でございまして、その方が非常に高潔な人格者であり、その両方の職務を混同しないといったふうなことが確実な場合には、これはやはり人材を有効に活用するという観点からも、お願いするケースはあり得るというふうに考えております。まあそういうふうな方針で政府の方で候補者を選びました上で、国会の方のまた御承認をいただくわけでございますので、まあそのような問題を全体総合的に御判断されて、また承認をいただくというふうに考えておる次第でございます。
  87. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) 私にもいろいろお尋ねがございましたので、私もそういう分野についてはきわめて非専門的でありますが、大体考えておりますことを申し上げたいと思います。いま吉田議員は大山委員会の報告をもとにされましていろいろなお尋ねがあったわけでありますが、大分長くなりましたので、あるいは取り違えて混同している面もあるかもしれませんが、大体そのお尋ねに対してお答えをいたしたいと考えます。  初め、まあいろいろこの原子力関係委員に人がダブっていて、そしてこんなたくさんダブっていてとてもまともに職務ができないではないかと、そういう点もあるではないかというお話でございます。理屈の上から申し上げればごもっともな点があると考えます。ただ、現状から推しまして、いい悪いは別としましてこういう状態でありますことは、言うまでもありませんが原子力につきましては、ほかの問題がないわけじゃありませんが、きわめて重要でありますが、ただ、これを専門に、しかも信頼できる専門的な知識を持っておられる方が比較的少ないという現状からも来ている。そして必ずしも一人で一委員会だけといったようなわけにもいかぬという場合もあるわけでありまして、どこまでも趣旨としましては理屈のとおりに沿ってやっていかねばなりませんが、現実におきましては、そういう場合もやむを得ず起きることもあるかと存じますが、そういうことで、今後やはりなるべくそういう、できることならば専門的な人が容易に出席して十分その審議に当たられるように努めてまいるということをやっぱり念頭に置いて今後さらに検討してまいらねばならぬじゃないかと思っているわけであります。  それから第二点かと思いますが、部会長と原子力委員とを兼ねているのはおもしろくないじゃないかという御意見がありましたが、これは大体いま安全局長あるいは原子力局長からお答えしたような事情かと思っております。  それから超党派的というようなお言葉も出ましたが、これはもちろん——超党派的ということがどういうことを意味するかは別といたしまして、特に安全委員につきましては、そういう中立な厳正な立場をとり得る人をお願いするということは、これはもう当然のことであると考えております。  それから、いまの原子力委員会につきまして、いろいろな人の問題で御意見がありましたが、これはいま現在のところ原子力委員会の中に安全審査ということも含まれておりますので、そういう点が特に強調される結果になっているかと思うわけであります。今回の法改正は、そういう点に対してさらにひとつそういうことのないように、一般からの御信頼もより強くなるように独立した機関にして、そしてたとえどういう人がおなりになりましょうとも、その職務を遂行する上におきまして毅然たる信念で安全委員会委員としての職務を遂行される人を選ぶということに、機構の上でも——人の上ではもちろんでありますが、機構の上でもそういうふうに分かれるようになるわけでございますので、その機会にさらにそういう趣旨を徹底してまいるべきであるというように考えるわけであります。まだお答え足らぬ点があるかもしれませんが、大体そういうことかと存じますので、一応お答えを申し上げます。
  88. 吉田正雄

    吉田正雄君 私はただいまの長官のお考えはおおむね妥当で、われわれもそう認め得るんじゃないかと思うんですね。ただ両局長の見解なり考え方、そのような考え方がまかり通るところに、単に見解の相違とか考え方の逢いだとか評価の違いということで済まされない問題が私はあると思うんですよ。極端な例で直接当てはまらないと思いますけれども会社の役員が会計の専門家であるがゆえに自分の会社の会計監査をやるなんていうことになったら、これは大変な話ですね。それとは違いますけれども原子力委員というものはまさに政策決定をやり、あるいは部会から上がってきた安全審査、あるいは指針なり基準というものを公正厳正に判断をしていく。そこに専門家が入るのは当然ですよ、これは。学識経験者の中からそれを選んでいく、特に安全委員会の場合には学識経験者の中から選んでいく、これは当然ですよ。しかし、その人が部会長になって、みずからつくった基準なり指針をまたそれを審査する、最終的に判断をするという原子力委員になっているということは、これはどう考えたっておかしいんですね。あるいはまた、指揮監督を受ける原研、原研における事故とかいろんな問題点が出てくる、そういう原研の副理事長が原子力委員になってどうなるんですか。原子力委員会の注意処分というものが原研に下された場合に、原子力委員の注意を受ける側にまた原子力委員が原研の副理事長として立つなんということはどう考えたってもうナンセンスですよ、これは。私はそのような発想がそもそも今日の原子力行政をこのような状況に持ち込んできたやっぱり基本的な原因じゃないかと思うんですよ。率直に言って、そのような考え方がもしまかり通るとするなら、これは大変なことだと思いますし、そのようなあり方については、実は内部にも批判がある、業界にも批判があるということを私は聞いておるんですよね。そういう点で、私はいま長官のおっしゃったお考えについては、私どもも原則的にその方向というのは賛成できると思うんですけれども原子力局長や安全局長が言っているような、兼ねたって構わないんだ、専門家を当てることは望ましいことだなんていう、そんな理由は何も——その人が専門家として不適格だと言っている意味じゃないんですよ、ほかにも専門家はおいでになるわけですよ。別の立場から判断すべき委員がみずからつくったものを判断する、審査をするなんていうことは考えられない話ですよね。  そういう点で、私はこれからの原子力委員の、さらにはいま言った専門審査委員会の人選に当たっては、ダブることのないように、特に委員の場合には、厳正にしかも中立的な立場、何物にも煩わされない立場から判断を下していくという観点で、縛られるような機関の役員を兼ねるべきじゃない。これはもう常識でしょう。これは何も原子力委員会関係に限らず、その他の官庁においても私はそうだと思うんですよ。官庁の長官なりが自分で指揮監督する審議会委員になるなんてばかげた話は考えられない話ですね。そういうのがまかり通ってきたところに、私は今日の原子力委員会のあり方、原子力行政が批判をされる非常に大きな問題点があったと思うんですね。その点ここで言ってみても、また考えの違いだなんていうことで水かけ論というか平行線になるおそれもありますが、しかし長官、言っている趣旨は十分御理解いただけていると思いますので、そういう方向で、やっぱり長官はまさに政治家ですから、そういう点で大所高所に立った判断というものを下してもらいたい。そのことを強く長官に要望して、この面についての質問は一応終わりにしたいと思うんです。  次に、通産に対してこれに関連をしてお尋ねしたいんですけれども、顧問会というのは原子力発電技術顧問会と環境審査顧問会の二つでしょうか。そのほかにもあったらお聞かせ願いたいと思いますし、この二つの設置日、それからおとといもしつこくお尋ねいたしましたが、原子力安全委員会の方の安全審査会との関係で、この技術顧問会が安全審査に主として当たるのかどうか、この辺もう一回お聞かせ願いたいと思いますし、そのほか委員会にいろんなものを何か設けておいでになるようですね。総合エネルギー調査会の原子力部会、さらにはその中に基本政策小委員会であるとか、発電・機器小委員会であるとか、あるいは核燃料小委員会、核燃料研究委員会、発電用新型炉等実用化調査委員会原子力発電設備改良標準化調査委員会、特にこの最後の二つについては、これが安全局の原子炉ですね、先ほど申し上げました原子炉施設等安全研究専門部会や原子炉安全技術専門部会との間にどのようなかかわりを持つのか。この二つの委員会通産としての実用炉の設計その他の基準、指針等がここで検討され従来つくられてきたのかどうなのか、その点科技庁との関係でどういう任務を帯びているのか、これをお聞かせ願いたいと思うんです。
  89. 武田康

    政府委員武田康君) 顧問会でございますけれども原子力の安全にかかわります顧問会は、先ほどお話がございましたうちの片一方、原子力発電技術顧問会でございます。それで、設置日は後で申し上げますが、これとその安全審査会との関係でございますけれども、きょう現在で申し上げますと、私ども詳細設計以降、原子力発電の安全に関する規制をいろいろいたしております。安全審査会の方の基本設計という言い方をさしていただきますが、でございますが、基本設計以外の分野でもいろいろ先生方の御意見を承りたいと、教えてもらいたいというのがございますので、そういう意味で活用してきているわけでございまして、きょう現在で言えば安全審査会とは別のファンクションを持っているわけでございます。ただ、新体制になりますと、私どもが一次審査から、基本設計から運転まで一貫して規制を担当することになります。  で、新体制になりました段階では、顧問会を拡充強化いたしまして、基本設計から運転に至りますまでの私どもがなすべき規制につきまして、あるいは規制内容について私どもとして判断に迷うこと、あるいはこれは先生方の御意見を承った方がいいというようなこと、そういったものにつきまして御意見を伺い、行政部門としての判断を間違いなくするというような役割りにしていきたいと思っておりますので、いわば許可段階の安全審査に関連して申し上げますと、現在安全審査会がなさっているような機能と同じ機能を、その部分について似たような機能を持たせると、こういうふうになろうかと思います。  それから、原子力発電技術顧問会を設置しましたのは昭和四十年の十一月でございます。十一月の省議決定でございます。  それから、総合エネルギー調査会の中にいろんな部会がございますが、原子力関係では原子力部会、その原子力部会の中に小委員会、御指摘のように幾つかございます。そういったものはいわば原子炉の設置の許可であるとか、あるいは原子力発電所の運転そのものとか、建設そのものの規制というものとは直接関係がございませんで、むしろ通産省として原子力関連して申し上げますと、総合エネルギー政策の中で原子力政策がどんなようなポジションを持つのか、それから、原子力政策の中でも、どちらかと言えば原子力の事業化といいますか、事業というような観点からながめて、どういうようなポリシーを考えるべきかというようなことをいろいろ御検討いただくような性質の委員会でございます。  それから、発電用新型炉の委員会あるいは改良標準化の委員会というのでございますけれども、改良標準化につきましては、この委員会でも何度か御説明申し上げておりますけれども、過去三年来軽水炉の改良標準化作業というのを私ども進めておりまして、まだ継続中でございますが、そういったことを進めますに当たりましていろいろ知恵を出してもらうと、それから、調べた結果についていろいろ評価してもらうと、そういったものをベースに私ども行政部門としてなすべき改良標準化を進めるわけでございますが、そういったようなことをやってもらうための委員会でございまして、原子力委員会の方にございます安全研究の委員会なり、それから基準を決める技術部会とはまた違った断面のものでございます。  それから新型炉の委員会は、新型炉で今後入ってくるであろうような新しいタイプを、特にこれは重水炉を頭に描いておるわけでございますが、そういったときにいろいろ細かい技術内密というものをあらかじめ考えておかなければいけないと、国のサイドで言えば、そういったものが入ってまいりますと、あるいは現実のものになりますと、いろんな意味の基準、非常に細かいものを含めまして考えなければいけないわけでございまして、そういったたぐいの勉強をあらかじめしておこうと、そういう勉強をする委員会でございます。したがいまして、ある意味では原子力委員会の方の技術専門部会と似たようなファンクションと見えるかと思いますけれども、私ども理解では、原子力委員会の方の技術専門部会は原子力委員会の、今後につきましては原子力安全委員会が基本的な基準をお決めになり、あるいは基本的な指針をお決めになるときに内容を検討していただくというようなファンクションを技術専門部会はお持ちである。で、私どもがやっております発電用新型炉の基準といいますのは、私どもが何分にも非常に細かい設計なり細かい運転のところまでを含めたことを考えなければいけないわけでございまして、基本的なものの、ある用途に限定した、それもさらに細かい部分、こういったものが勉強の対象になる、そういうようなかかわり合いでございまして、ファンクションは全く違うものとお考えいただければ結構です。
  90. 吉田正雄

    吉田正雄君 時間が参りましたので、この問題に関してはこれだけで終わりますので、ちょっとだけ最後にお聞きしておきたいと思うんですが、今回原子力委員会から安全委員会が分離をされるという趣旨は、規制と安全というものと開発というものを二元化をしていくという趣旨なんですね。そこで、安全委員会の中の、いま各種の専門審査委員会がありますけれども、それと顧問会とか通産関係のいろんな委員会がありますが、それダブるということは、いま言った分離をするという法の趣旨からするとやはりまずいんじゃないかと思いますので、現にダブっておる人があるやに聞いておりますから、これはこの法改正の趣旨からして、そこのところを是正をすべきじゃないかというふうに思いますので、その点だけお聞かせを願いたいと思います。  そしてあと、この前、項目をずっと申し上げておいたんですが、きょうもまた結局、巻の問題が飛び込んだりして、原子力委員会の所掌事務に関する補助金等あるいは環境放射線モニタリング業務であるとか、あるいは公開ヒヤリング、国家行政組織法との関係、さらに私はこの前は言わなかったんですが、当初、平和利用とその担保についてということでは長官にも若干お聞きをしたんですが、そこのところだけ聞いて私の質問は全体としては終わりたいと思っているんです。しかし、きょうまた時間がありませんで、いま言った項目についてはまた後刻に譲りたいと思いますので、きょうはいま申し上げたそこのダブっている人事についての是正についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  91. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 今回の法改正後新たに設けられることになります安全委員会の下に置かれます原子炉安全専門審査会、これはこの主要な任務が行政庁の行なう一次審査をダブルチェックするということでございますので、先生御指摘のように、通産省における顧問会とこの原子炉安全専門審査会の委員がダブることは法改正の趣旨から申しまして望ましいことではないと考えておる次第でございます。現在の原子力委員会のもとでの原子炉安全専門審査会と顧問会の関係はその基本設計を審査しましたあと、その知識を通産省の顧問会に反映するということで非常に意味があったことでございますが、今回は、ただいま申しましたようにダブルチェックという思想になりますので、当然ダブってはいけないものだというふうに考えておるわけでございまして、この辺につきましては、十分通産省ともお話し合いをして整理をするつもりでございます。
  92. 武田康

    政府委員武田康君) 新体制のもとで私どもやはり技術顧問会を設けていくわけでございますが、私どもが技術顧問の意見を聞いた上で判断しました第一次判断を安全委員会が新しい安全審査会の方々を使ってダブルチェックをされるわけでございます。そういった意味から、私どもとしても、私どもの顧問と安全専門審査会の委員とが重複するということは好ましくないものと考えておりまして、ダブルチェック制を設けた本旨を損なうことのないよう、科技庁とも御相談しながら、いま詳細の詰めを進行させようとしているところでございます。
  93. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃ、これできょうは終わります。
  94. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会
  95. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科半技術振興対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、きょうは前回に引き続きまして質問をいたしたいと思います。  きょうはまず最初に、低線量の人体への影響、安全性と、こういう点についてお尋ねをしたいと思いますが、まず最初に、いわゆるこの最大許容量というものは一体どういうものであるのか。私たちも最大許容量というのは、これまでは絶対大丈夫だというものではないが、まあほとんど無視できる、心配のない点が最大許容量であると、このように理解をしておるわけでありますが、最大許容量の考え方を御説明いただきたいと思います。
  97. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生の御指摘のとおりでございまして、最大許容量の中には、法規に定めておるわけでございますが、一般人の場合、従業員の場合等々で定められておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、放射線の影響がまずないといういろいろな各種の研究を踏まえましてICRPが勧告をしております。この基準の値というものは国際的にも認められておるわけでございまして、ほとんどの世界各国の国々がこの基準を守っておるわけでございます。したがいまして、日本におきましてもICRPの勧告の線にのっとりまして最大許容量を定めておるというのが実情でございます。しかしながら、ICRPの勧告にもございますように、しかしその許容量は示されておりますけれども、できるだけ放射線を浴びる量は少ない方がいいんだという基本的な考え方もICRPで言われておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、ALAPと申しておりますけれども、その精神をくみまして、規制を進めます場合には、たとえば原子力委員会の安全審査をいたします場合にも、それよりも低い目標値をつくりまして、その目標値以下に抑えるような努力をしておるのが現状でございます。
  98. 塩出啓典

    塩出啓典君 この科学技術庁からいただきました資料の中には、「ICRPはこの勧告を行なうに当たって、放射線の人体への影響については、まだ学問的に明確でない点もある、」と、したがって「次のように慎重な考え方をとっている。」一つは「微量の放射線にあたった場合、生体には回復作用があることは明らかであるが、この回復作用はいっさい考えないで、放射線の効果はすべて蓄積されるものとする。2、放射線の量がある値以下であれば、生体への影響が、あらわれない例も知られているが、ここではこのような値(しきい値)はないものとする。3、同じ線量でも一時に受けるより、少しずつ長期間に受ける方が影響が少ないことも知られているが、ここではこれは考慮せずに、一時に受けたものとして取り扱う。」と、このように書いておるわけでありますが、私たちもICRPの勧告がこの基準に基づいて行われたのであろうと、このように思うわけでありますが、科学技術庁としては、この勧告というものがこの三つの条件のもとに行われたことは間違いないと、このように断言できるだけの資料は持っているのかどうか、それともICRPはこう言っているんだから間違いないであろうという程度のものなのか、その点はどうなんですか。
  99. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 私ども、この考え方は、ICRPのこの基準等を検討いたします学者間の会議で、いろいろな世界各国の試験、研究の成果を踏まえた上でこういう考え方を示しておるわけでございまして、私どもはそれぞれの個々のものを持っておるかどうかということではございますが、実はこのICRPの国際会議が行われる場合にも日本からも専門家が派遣されております。それらの方々が会議に参加していろいろな資料等をお持ちになっておるわけでございます。したがいましてそういう方々、参加していただいている学者の方に放射線審議会等の場に委員になっていただきまして、世界各国のそういうもののデータあるいは考え方を披露していただいて、基準の制定等に当たりましてその意見を反映しておるというのが現状でございます。
  100. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、自然放射能、自然放射能というか自然の放射線ですね、それからまたレントゲン撮影のような医療用の放射線、そういうものを常に一般人であればそれぞれ受けておるわけでありますが、わが国において自然放射線というのは大体年間にどの程度受けるものであるのか。これはもちろん地域的なばらつきはあると思うんですけれども、平均を考えた場合に、大体日本人が一日、一年で受ける放射線の量というのはどの程度か。また主なる医療用の場合、たとえばレントゲンの撮影等はどの程度の放射線であるのか。大体の目安でいいと思うんですけれどもね。
  101. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 自然放射能の量につきましては、先生も御存じのことではございますが、日本におきましては、関西以西と申しますか、西の方が比較的高くて平均的に百ぐらい、百前後の値でございます。それから関東地方以北と申しますか、この地区はおおむね五十とか六十、六十から七十と申しますかの値でございます。したがいまして、平均いたしますと七十から百ぐらいの間とお考えいただいたらばよろしいんではないかというふうに考えられるわけでございます。大まかに言いますと百ミリレム程度ということではないかと思います。  それから、その他の医療用で受ける放射線の量でございますが、たとえば胸のエックス線写真でございますが、これが一回でほぼ百ミリレム、大体自然放射能と同じ程度の量を受けるわけでございます。それから胃がんなどの胃の透視によりまして受ける量は一・五レム、千五百ミリレム程度と言われております。まあがんの治療等の場合には非常に高い線量を何遍も受けるわけでございますが、一例としてはがんの治療では五十万ミリレム程度を受けるというふうなデータもあるようでございます。
  102. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、これは非常に初歩的な質問かもしれませんが、われわれはよく放射線とか放射能とかあるいは放射性物質とか、こういうような言葉をよく無意識に使っておるわけなんですがね、   〔委員長退席、理事松前達郎君着席〕 放射線と放射能と放射性物質というのは、これはどう違うんですか。
  103. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 放射能というのは放射線を出す能力を言っておりまして、言ってみれば放射性物質と同じような考え方でよろしいかと思います。で、そういうようなものから出されたものを放射線と言っておるわけでございます。
  104. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこでお尋ねいたしますが、市川という先生がいわゆるムラサキツユクサの突然変異の問題についていろいろ調査をして発表しておるわけでありますが、この先生の意見というのは、原子力発電所から気体の状態で排出される放射性物質が非常に超微量であっても、これはムラサキツユクサとか、そういう植物の中に移行して濃縮をされるために超微量でも突然変異を起こすんだ、そして原子力発電所の周辺にムラサキツユクサを植えて風下の方に多いとか、あるいは炉を休止しているときは起こらなかったけれども、炉を運転しているときには起きているんだ、こういうようなデータを発表し、ときどき一般の新聞にもそういう記事が載っておるわけですけれども、この問題については科学技術庁としてはどういう見解を持っておるのか、あるいはこの問題にはどう対処しようとしているのか、こういう説は検討に値しないと思って無視しているのか、あるいは同じような調査をやるつもりであるのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
  105. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 市川先生のムラサキツユクサに関します研究につきましては、先生の発表された報告書等を了知しておるところでございますが、いわゆる新聞に出ております原子力敷地、施設周辺においてムラサキツユクサを植えたらば、突然変異が非常に多く出たということにつきましては、私どもは非常に市川先生のお考えと見解を興にしております。この理由でございますけれども、確かにムラサキツユクサは放射線あるいは温度等の自然環境に対しまして非常に鋭敏な植物であるようでございます。変異を起こしますのは雄しべの毛の細胞が色が変わりますので、非常にそういう変化を観察しやすいという特徴があるようでございます。ただいま申し上げましたように、放射線以外の自然環境条件の変化あるいは化学物質によっても非常に鋭敏に変化する植物でございます。したがいまして、原子炉の発露所から出ております微量放射線による影響だと直ちに判断するのは非常に問題があるのではないかということを考えておるわけでございます。このような影響を調べるためには、先ほども申しましたような温度の変化あるいは自然環境、化学物質等のその他の要因を取り去った上で、純粋に放射線による影響によってこういうものが出ているのか出ていないのか、これをちゃんと仕分けすることがきわめて重要なわけでございます。現実には原子力発電所の周辺での線量レベルと申しますのは、これは環境モニタリングをやっておってよくわかっておるわけでございますが、たかだか一ミリレム前後でございまして、この程度の変化がムラサキツユクサに影響を与えるというような学術的なデータもそれほどあるとは思えませんし、私どもとしてはそういうその種の研究報告がすでに学会に出されておるということも承知していないわけでございます。したがいまして、そういうような関係でございますが、このムラサキツユクサの異常がもし仮にあったといたしましても、ムラサキツユクサというのは植物でございまして、人間との関係から考えますと、遺伝学的にも生物学的にもその影響の仕方は非常に異なるわけでございますので、それを直ちに人間にも影響が及ぶんだというふうに——新聞の報道でございますから、市川先生自身がおっしゃっておられるかどうかわかりませんけれども、影響があるんだ、あるいは遺伝に影響するんだというようなことでございますけれども、それを私どもとしては、直ちに人間に適用するということはきわめて問題があるんじゃないか、人間に適用できないんではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、これらの技術的な点につきまして、本日幸い放医研の中井部長がお見えでございますので、やや技術的なことにつきましては中井先生に御説明をささせていただきたいと思います。
  106. 中井斌

    説明員(中井斌君) それでは私より局長のいまのお答えに若干補足して申し上げたいと思います。  私どもの、これは私どもの研究ばかりではございませず、インターナショナルなレベルでのこの種のこの方面の研究からいたしまして、先ほど申し上げました局長の御答弁のように、結論といたしましては、市川氏の言っておる二つの問題、すなわち原子炉におけるムラサキツユクサの現象はすべて原子炉による放射線によっておる、放射性物質によっておるということと、それからもう一つ、ムラサキツユクサで見られました影響が人に対しても同じくあるというその二点につきましては、断定しがたいものと思われます。ただ、原子炉周辺の実際の実験データをとったということ自身につきましては、これは評価さるべきことであろう、私どもそのように考えております。  なお、もう少し敷衍をして申し上げますと、人の場合には、人のリスクを推定する場合には、これは動物でやっておるのが現在の学問の常識と申しましょうか、標準でございます。それによりますと、簡単に申し上げますと、ムラサキツユクサの場合とそれから動物、特にマウスでございますが、簡単に申し上げますとマウスの方がずっと強いといいますか、放射線に対して強い、一口で申し上げますとそういう状態にあるわけでございます。したがいまして、人に対する影響は、私どもの現在のレベルで考えますと、言っているほど大きくない、そのように考えております。  なお、ここでちょっと一言申し上げたいと思いますのは、影響があるかというその影響の意味でございますけれども、われわれが仮に放射線が全然ゼロであるといたしましても、いろいろな要因によって遺伝的な障害がわれわれ、もちろん日本人も含めて人間に存在するわけでございます。でございますので科学的に申し上げますと、影響はあるかという意味は、自然に存在しています障害の量に対して、放射線によって引き起こされる量が相対的にどのくらいであるのかというのがこれが科学的に申し上げます影響という意味であると思います。そのような意味におきましては、先ほどの局長の答弁のように、原子炉周辺における放射線による量というのは非常にわずかであると申してよろしいかと思います。
  107. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまの問題点は、一つはムラサキツユクサの突然変異の原因が果たして原子力発電所の気体廃棄物の中にある放射性物質によるものであるかどうか、こういう点ではそのように断定はしがたいと、そういうことはないともいまのところ言えないけれども、非常にそこまで結びつけるのはちょっと飛躍があるんではないか。それからもう一つの点は、じゃ、ムラサキツユクサがよしんば影響を受けたとしても、植物と動物という違いから考えて、人体には害はないであろうと、こういうような見解ですね。それいいんです、そのように理解いたします。  そこで、アメリカでやっぱりムラサキツユクサというものが放射線の影響で突然変異を起こすというものを実験室で研究をして、大体二百五十ミリレムとか三百五十ミリレムぐらいの放射線を受けるとやはり突然変異が起こる、そこに有意差が認められるというような、こういう研究があるやに聞いておるんですが、そういうのはあるんですか。
  108. 中井斌

    説明員(中井斌君) いまの御質問のように、その種の研究はございます。たとえば、最も代表的なのはアメリカのスパロー博士、これは先年亡くなりましたけれども、スパロー博士の研究が最も精密な実験であろうと思います。現在の段階では、数量的に申し上げますと、二百五十ミリレム付近までの実験データが得られております。
  109. 塩出啓典

    塩出啓典君 やはり放射線の影響が、非常に二百五十ミリレムとか、もっと高くなれば当然突然変異を、起こさせると、そういうことは言えるわけですね。ただ、いま言ったように、そのことが即——ムラサキツユクサはそれが即人間ということは言えないけれども、そういうことは言えるわけなんですね。
  110. 中井斌

    説明員(中井斌君) おっしゃるとおりでございます。
  111. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、市川先生が言うのは、いわゆる放射性物質というものが植物あるいは体内においては濃縮されるんだと。これは確かに、かつて食物連鎖と申しますか、有機水銀、水俣病のああいう有害金属、そういうものがプランクトンに移り、魚に移り、それがだんだん人体に入って、それが非常に濃縮されるわけですね。そういうようなことがあると、そういうことを言っておるわけですね。それで、先ほどのお話では、放射線という、まあ自然放射線ですね、それと原子力発電所から出るものは、これは放射線というよりもむしろ放射性廃棄物じゃないかと思うんですね、放射性廃棄物、核種というものがあるわけですから。そういうものが濃縮されるということはどういうことなのか。やはり自然放射線も濃縮されることがあるのか。その点が一つ。自然放射線あるいはレントゲンの放射線ですね、これがやはり植物に当たって濃縮するということはあるのかどうかということ。それと、いわゆる原子力発電所から出るいわゆる放射性物質ですね、そういうものが濃縮することはあるのか、そのあたりはどうなんですか。
  112. 市川龍資

    説明員(市川龍資君) 御質問にありました一番最初に、公害物質などがいろんな食べ物とかプランクトンから人体にだんだんに入ってきて、濃縮という言葉がずいぶん社会的に有名になりまして、その点で、類推されまして放射性物質の濃縮とか、あるいは公審という話がずいぶん出たように思いますが、実際、おっしゃるように、水の中でプランクトンとか魚とか、そういったものに水銀とかカドミウムとか、あるいはDDTとか、そういったものが百倍になるとか、千倍になるとか、一万倍になるとかいうのは事実でございまして、非常に有名なことになっております。で、放射性物質も同じように、水の中でかなりのいろんな種類のものが、魚とかエビ、カニとかプランクトンとか、そういうものに濃縮される。これは水中の濃度よりも魚の体の中の濃度の方がずっと高くなると、こういうことは知られております。しかしながら、いま問題になっておりますムラサキツユクサの場合、つまり植物の場合ですと、これは普通濃縮という場合に使っておりますのは、土壌から植物の中に吸収されまして、土壌中における放射性物質の濃度よりも、植物の体の中でそれが十倍になるとか百倍になるとか、こういうようなことを濃縮と呼んでおりますが、普通そういうことは、大体土壌は放射性物質を非常によく吸着しておりますので、植物の体の中に非常に筒濃度に放射性物質が濃縮されるということは余りないと思われます。むしろ、それよりもムラサキツユクサの関係で濃縮云々を市川定夫さんがお話になったのは、原子力発電所から排気筒から放射性沃素などが大気中に出まして、それがムラサキツユクサに何万倍も濃縮されてそれが危険であると、こういう論説であると思いますが、それは確かに空気中に放射性沃素が出ますと、その空気中の濃度に対しまして、われわれが牧革であるとか野菜であるとか植物であるとか、そういったものについては沃素がどのくらい蓄積するかということを評価しますために、空気中の濃度に対して、これは一CC当たりの濃度ですけど、それを野菜の一グラム中の濃度と、こういうふうに比較いたしますと十万とか百万とかいう倍率が出てまいります。そういうような高い倍率をもちまして沃素の空気中から植物への移行の程度を評価いたしたりいたしますから、ムラサキツユクサの場合も恐らくそういうふうに、植物中に、どれくらい空中の放射性沃素があればムラサキツユクサの問題になる部分にどのくらいの濃度になるかということを計算する場合には、そのような大きな倍率を使って計算してよろしいかと思います。問題は、そういうふうに濃縮されると、ではどうであるかという話になりますが、その点につきましては、影響の方は中井先生の方がよろしいわけですけれども、日本では放射性沃素、これをムラサキツユクサに添加いたしまして、どのくらいそこに吸収されるとどのくらいの染色体異常を起こすかと、そういうような研究も行われておりますので、どのくらい放射性沃素があればどのくらい染色体異常がふえるということは評価することは可能であるというふうに思っております。
  113. 塩出啓典

    塩出啓典君 自然放射線はどうなんですか。
  114. 市川龍資

    説明員(市川龍資君) 自然放射性物質も人工の放射性物質と性質が似ておれば全く同じ挙動をとりますので、空気中に漂っておりますたとえばラドンとか、そのラドンから出てきますいろんな自然の放射性物質がありますが、これも植物に同じように沈着しまして、濃縮という一般的な俗語を使いますれば、ヨードと同じように高い倍率でそこに存在すると、こういうことになります。それはムラサキツユクサに限りませず、植物体あるいは人体皆そうでございます。
  115. 塩出啓典

    塩出啓典君 特に原子力発電所から出る放射性沃素が非常に濃縮係数ですかね、それが非常に高いんだと、これは三百五十万倍とか一千万倍とか、こういうような説もアメリカではあるようなんですがね。大体科学技術庁としては放射性沃素が、たとえば葉っぱの中で、葉っぱに濃縮される場合は、大体何倍くらいに濃縮されると判断をしているわけですか。
  116. 市川龍資

    説明員(市川龍資君) 一応科学技術庁として基本的に使っておりますのは、軽水炉の安全評価における評価の計算であると思いますが、そのときに使っておりますのは、大気中の濃度に対しまして野菜その他の植物に対する移行比としまして十の六乗、百万倍という値を使っております。
  117. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、ほかに自然放射線なんかで、やっぱり百万倍も濃縮されるようなものはあるんですか。
  118. 市川龍資

    説明員(市川龍資君) 大気中にラドンという、この建物とか地面とかからどんどん出てくる気体の放射線、自然の放射性元素がございますが、これは気体ですから沈着いたしませんが、そのラドンから鉛・ポロニウム・ビスマスと言いまして、子供ですが、子供の放射性核種が幾つか出てまいります。これは空中に漂わずにだんだん沈着いたしますので、植物にもそのように、何といいますか、付着いたします。それらは沃素と同じように、そういう十万、百万という、空気中と植物と比べますればそういう濃度に沈着をすることになっております。
  119. 塩出啓典

    塩出啓典君 だからいわゆる市川先生の意見は、自然放射能、自然放射線、それは百ミリレム、五十ミリレムであっても、それは体外被曝だと、ところが原子力発電所から出る放射性沃素、放射性物質ですね、そういうものは結局植物の中に百万倍、二百六十万倍ですね、このあれで見れば二百六十万倍に濃縮されるんだと、そして体内被曝になるから微量だけれども突然変異を起こすんではないかと、こういうことを言っておるわけなんですね。その点、確かに百万倍も濃縮されればそういうことも起こるんじゃないかなという、私はかなり説得性のある説ではないかなあと、そのように感じておるわけなんですけれども、その点はどうなんですか。それは結果的においてやっぱり因果関係を調べる以外にないわけで、いろんなその条件はありましても、いろんな条件あっても、たくさんのデータをとれば、それでそれを結局分析をしていけば、やっぱり原子力発電所からの廃棄物と突然変異との間に果たして有意差はあるかどうかということは、たくさんのデータを挙げればぼくは統計学的にもはっきり出るんじゃないかと思うんですが、そういう研究をやったというのはないんですかね、おたくの方では。
  120. 中井斌

    説明員(中井斌君) おっしゃるとおりでございまして、原子炉から出てまいります放射線によるのかどうかということは、たくさんの数の植物を使いまして実験すれば理論的には可能でございます。ただし、これは非常に多くのファクターがかかわりますので、専門的に申しますとバリアンス分析をしなくてはまいりませんので、実行上はかなりの問題があろうかと思います。  ただ、私どもといたしましては、そのいろんな要因を一つ一つ解析するというたてまえで、たとえば原子力安全協会の委託費からいたします研究であるとか、あるいは東京大学にこれは委託しているものもございますし、あるいは農技研に委託している研究もございますが、そういった研究を通じましてこの問題の接近を試みているわけでございます。
  121. 塩出啓典

    塩出啓典君 それは大変かもしれませんけれども、これは市川先生の論拠も、やっぱりあの先生はそれなりに個人の力でやっているわけですから、それ以上のデータを持ってこうなんだと、こういうことをしていかなければ、あの先生の言うことはもう余り科学的じゃないんだと、こういうことで片づけるわけに私いかないんじゃないかと思うんですがね。そういう点で別にムラサキツユクサに突然変異が放射性物質で起こったからといって、そういうことがもし証明されたにしても、その対策を考えていけばいいわけなんですからね、それをもって、じゃあ原子力発電はやる必要はないと、そこまで私たちは考えてはいないわけなんです。というのは、ムラサキツユクサと人間とのやはり違いもあるわけですから、その点をやはりもう少し明らかにぼくはすべきじゃないかと思うんですが、そういう点はやっぱり科学技術庁としてもそういう必要は認めないわけですか。
  122. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 遺伝学研究の実験材料としてムラサキツユクサを用いました研究というのは政府としても進めておるわけでございまして、昭和四十九年以降農林省の農業技術研究所あるいは財団法人原子力安全研究協会といったふうな場におきまして、このムラサキツユクサに関する研究というのを進めております。で、これまでコバルト60を用いた外部照射による線量と突然変異率との関係、あるいは温度と突然変異率との関係、さらに突然変異率に及ぼす外部照射と温度の相乗効果の関係といったふうなものを農技研でやっておりますし、また沃素131の溶液をムラサキツユクサのつぼみに付着させまして、線量と突然変異率の関係という研究を原安協でやっておるわけでございまして、今後もこの種の研究というのは進めてまいりたいというふうに考えております。
  123. 塩出啓典

    塩出啓典君 いろいろやっているけれども、私の言ったように、原子力発電所周辺の試験はなぜやらないんですか。それはやる方向にあるんですか。やる方向で、その前に基礎研究をやっているのか。将来ともそういう原子力発電所の回りにムラサキツユクサを置いてやっても、温度とか湿度とかそういうほかの条件があるんだから、そういう研究は科学的に価値がないんだと、だからやらないのか、その点はどうなんですか。今後やるつもりがあるのか、やるつもりはないのか、そのあたりはっきりしてくださいよ。
  124. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 先ほど申し上げましたような研究をまず進めまして、それによって外部照射と温度といったふうなものはどのように絡み合って影響を及ぼしておるのかといったあたりを解明しまして、その結果によってお説のような実験をするかしないかといったふうなことは決めていくべき問題かと存じます。
  125. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃあ一歩一歩積み上げていく、そういうことで近い将来、それはいつのことになるかわからないけれども原子力発電所の周辺にムラサキツユクサを置いてそういう研究もやってみる方針であると、こう理解していいわけですね。——そうですね。  で、静岡県では、何か浜岡の発電所について県がそういう検査をやったというようなことをちょっと聞いたんですが、そういうことはあるんですか。そういうデータは来ていますか。県なんかでやったのはほかにはないかどうか。
  126. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 県当局がそのような研究をしたということはちょっと聞いておりません。
  127. 塩出啓典

    塩出啓典君 放射性沃素というのは原子力発電所から大体どの程度出るんですか。また、それがどこから出るのか。これをやはり防ぐ方法はないわけなんですか。
  128. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 原子力発電所から発生いたします放射性の核分裂性物質のうち気体になるものがあるわけでございまして、その中の沃素も気体廃棄物として放出されるわけでございますが、その気体廃棄物中の沃素の割合というのは約二万分の一程度でございます。したがいまして、沃素131だけをとりますと通常の発電所では年間一キュリー程度が出ておると試算されております。そのほかの大部分のものがキセノン、クリプトン等の希ガスが中心でございます。
  129. 塩出啓典

    塩出啓典君 それは燃料棒の被覆が破れなければそういう放射性廃棄物というものは外へは出ないんじゃないかと、そう理解していいわけですか。
  130. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) おっしゃるとおりでございます。どうしても非常に数多い燃料棒の中に非常に小さなピンホール的なものがときどき発生するわけでございます。そういうところから出てくるわけでございます。
  131. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま言ったように、気体廃棄物の大半はクリプトンとかキセノンで、その中の一万分の一が放射性沃素の廃棄だと、非常に微量ですね、これは測定はできないわけですね、結局。だから、まあそれぐらい非常にわずかですけれども、いま言ったように二百六十万倍にも濃縮されれば私はムラサキツユクサの突然変異もそういうところに起こるんじゃないかなと、そういう点で私はやっぱりこれは科学技術庁としてもやはり研究をしていかないといけないんじゃないかと思うんで、ぜひ私はこのムラサキツユクサの突然変異とやっぱり原子力発電所の廃棄物との因果関係についてはこれははっきりさしてもらいたい、そのことを要望いたします。まああしたやれということじゃないですけれどもね、その点長官どうでしょうか、そういう方向で努力していただけますか。
  132. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) 先ほどからいろいろ先生の御質問に対しまして専門家の諸先生の御答弁があったわけでございます。この問題につきましては、もちろんそういう問題についても徹底的に調査を、研究を進めるということにおきましては、これはもう異論のないところでございます。  ただ、この際、私の私見を申し上げますと、この非常につまり綿密な、したがって費用も時間もかからなければ本当の意味の学問的な結論に達するということはなかなかむずかしい、したがって、そういう方向に向かって研究は進めますけれども、なかなか簡単にはそう純学問的な結論は出てくるのはおくれるんじゃないかと、このように思っておるわけであります。ただやはり物事を追求していくということになりますと、ひとりムラサキツユクサの問題だけではなしに、この原子力関係にはいろいろの問題がありますから、まあ現在の研究の時点ではこうだと、これはムラサキツクムサには限りませんが、やはりそういう現時点における研究の成果ということも中間的にやはり明らかにして何らかの参考にしていくということも必要じゃないか、そういう意味合いにおきまして、これは私の私見でありますが、ムラサキツユクサに対しても中間的な一つの過程が入ってまいります、そうすれば、中間的なそういう研究の成果というものもやっぱりある時点では出した方がいいんじゃないか。あくまでこれは、これから先はまだ未確定ではあるが、この程度ではこうだというふうなことも現実の段階では必要でないかと、このように考えておりますので、そういう点についても考慮してみたいというふうに考えております。
  133. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま言った原子炉の燃料被覆がピンホール等があかないような、そういうものを研究するというようなことは不可能なんですか。そういうことはやはり科学技術庁なりエネルギー庁としては検討しているわけなんですか。
  134. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 一〇〇%ピンホールが出ない被覆管というのはなかなかむずかしいかと思いますけれども、事実原子力発電が始まりましてから現在までにピンホールが発生する率というのは年々下がってきておりますので、メーカー等におきます健全な燃料の研究が進められておりますので、最近では非常に減ってきておることは事実でございます。
  135. 塩出啓典

    塩出啓典君 ICRPの最大許容量というものは、当然このような放射性沃素等が植物の中で何百万倍に濃縮をされると、そういうものを人間が食べる場合もあるわけでありましてね、当然そういうものは甲状腺に集まると、当然そういうことも十分配慮して、そして現在の安全基準はつくられているんだと、こう理解していいわけですね。
  136. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生の御指摘のとおりでございます。
  137. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、私が申し上げたいのは、やはりいろいろな原子力発電所の安全性の問題について、非常に政府の立場に協力的な人もおれば、中には原子力発電所はやめるべきだと、こういう人もいらっしゃるわけですね。しかし、やっぱりそういう余りにもイデオロギー的に反体制的に反対する、そういう学者はこれは別としても、まじめに取り組んでいる人もいらっしゃるわけで、私は市川先生なんかはそういう非常にまじめに取り組んでいる学者の一人じゃないかと思うんですがね。そういう市川先生などには科学技術庁はどなたかが接近もし、そしていろいろ話を聞くとか意見を聞くとか、また科学技術庁の見解を述べるとか、同じ学者同士であればかなり論議もできるし、そう離れた問題じゃない、結論は私はそう別個のところにいかないのじゃないかと思うんですがね。そういうようなことはどんどんやっておるわけなんですか。
  138. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 科学技術庁、行政の立場の職員が直接市川先生にお会いしてこちらの見解等を述べるということは実はいたしておりませんが、先生の学術的に研究されました報告等についてはいろいろ承知しております。なお、放医研等が中心になりまして環境放射線の影響というようなシンポジウムが毎年開かれておりまして、市川先生も常々これに御参加になっておりまして、そこで行われる意見交換というのは公開されておりまして、私どもの職員もそれを拝聴する機会等を得ておるわけでございますが、そういう専門家同士でお話し合いになっておることは十分承知をしておるつもりでございます。
  139. 塩出啓典

    塩出啓典君 政府も原子力安全研究協会等でいろいろ低線量放射線の生物影響のこういう会合もやっておる。こういうときには市川先生なんか呼んでいるんですか、正式に招待をしてやっておるんですか。
  140. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 正式にどういうお呼びの仕方をしているか、ちょっと私ただいまは知りませんが、ことしのその会議にも市川先生お見えになって、中井先生その他と学術的な討論が行われたということは聞いて知っておるわけでございます。
  141. 塩出啓典

    塩出啓典君 私が聞いた話では余り呼んでないわけで、先生の方から研究のために半ば抑しかけていって——押しかけるわけじゃないですけれどもね、そして結果的にはいろいろ話はあったんでしょうけれどもね。そのときの討論の会議録というのは後で資料としていただけますか。
  142. 中井斌

    説明員(中井斌君) 昨年、いまおっしゃられたシンポジウムがございまして、それの報告が近々出版の予定でございます。その中には質問応答といったようなことも多分含まれる予定でございます。現在原稿がまだ一部集まっておりませんが、いま刊行の段階でございます。
  143. 塩出啓典

    塩出啓典君 ただ私は、科学技術庁として今岡の法案がもし成立をしてそういう体制になっても、やはり安全の問題について真正面から堂々と論議をしていく、そういう姿勢がぼくは必要じゃないかと思うのですよ。何も、はれものにさわるような必要はないわけでね。したがって、いろいろなそういう学者、意見の人とも、場合によってはテレビによる公開論争ぐらいやって、そしてどちらが正しいか、間違っておるのか、あるいは平行線であるのか、そういう点を明らかにしてもらいたい。どちらかと言うと、科学技術庁のぼくらの感じている姿勢では、できるだけうるさいやつとは平行線で、余り角を突き合わさずに事なかれ主義でいこう、こういうような姿勢を感ずるわけなんです。こういうことでは余りよろしくないのじゃないか。こういうことは今後の姿勢として要望しておきます。私のいまの意見については特に異論はないと思うのですが、その点どうでしょうか。そういう方向で努力していただけますか。
  144. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) いまの、事なかれ主義でいくべきではない、そういういろいろな御意見があれば十分その御意見を聞いてこれの解明に当たっていくということは大いに必要であろう、先生のおっしゃるとおりだと思います。ことに、地元の方々のいろいろ御理解と御納得を得るという場合は、やはり率直に言って、反対のいろいろな学説あるいはお考えを言われる人の御意見を聞いて、それに対する態度というものを明らかにするということが現実に地元の御理解と御納得を進める最大の道の一つではないかと考えるわけであります。もちろん、科学技術庁なり政府としましても、それをわざわざ、はれものにさわるようなことをして避けて通ろうというようなつもりは持っておりませんが、しかし、ある場合にそういう印象を受けるということがあるとしますと、それはまだ至っていない点でありますから、そういう点を検討いたしまして、そしてそういうような問題があったときには進んでいろいろな解明に当たるという態度を今後とも持っていくべきである。ただ、この際私児を申し上げますと、直ちに公開とかテレビとかというようなことも考えられますが、場合によってはきわめて学問的な話でありまして、こう言うと失礼ですが、われわれを含めまして学問的な素養のないものが聞きましてもどうも無味乾燥で、結論がはっきりしないような場合もありますから、そういう場合はそういう場合で、また学問的な場において、それをわかりやすくひとつ、翻訳と言うと適当でありませんが、わかりやすくして、どんどんそういう点を明らかにしていくということは原則としてきわめて必要である、塩出議員のそういう御趣旨のとおりであると私は考えます。そういうふうに努めてまいります。
  145. 塩出啓典

    塩出啓典君 安保条約が日本にとって平和のためにプラスかマイナスか、こういう問題は与党と野党が話し合いをしてもなかなかかみ合わないと思うのですね。実際にそれを実験データで何%かというのを試す方法がないのです。しかし、原子力発電所の場合の安全審査においては、それはもちろん重大事故が起こる確率は幾らかと、こういうことになってまいりますと、非常に一億分の一か十億分の一か、こういう問題はなかなか結論は出ないかもしれませんけれども、しかし、ムラサキツユクサの突然変異が放射性廃棄物によるのかよらないのかというぐらいのことは、これは科学者が集まれば、データさえ集まれば、そこにおのずと結論は一つしかないと思うのですね。そういう点で、ぜひ真正面から取り組んで、政府と違う考えの人の意見こそ聞いて論議を闘わしていく、その中から国民の世論もできていくのじゃないかと思いますし、そういう姿勢を持っていかなければいけないのじゃないか。そのためには、放影研等も、いろいろ限られた予算の中で大変だと思うのですけれども原子力平和利用を進める上においては放射線と人間の健康の問題は非常に大事な問題でございますので、ぜひ今後ともさらに努力をしていただきたい。このことを要望しておきます。  そこで、原子力安全委員会が発足した後いわゆる炉安審ができるわけですね、今度は定員がふえるそうですけれども。こういう学者の選定はこの法律によりますと総理大臣が決めるようになっておるわけですが、私は、こういうときに、余り政府に対して都合のいいことを言う学者ばっかり集めるのじゃなしに、忠言は耳に逆らうということわざもあるように、むしろ政府に対してどんどん痛いことをずばずば言ってくれるような人も、まあそういう人ばっかりじゃまとまらなくて困るかもしれませんけれども、そういう人もどんどん加えて、炉安審等の審議もそういう反対があっていろいろ論議が深まっていくんですから、みんなイエス言う人ばっかり集めたんでは——イエスマンばかり集まったんでは会社だってうまくいかないと思うんですね。いままでの炉安審が全部イエスマンばかり、だということを言っているのじゃないんです、私は詳細そういうものを知りませんが、政府に対して批判的な学者もこういう中に加えた方がいいのじゃないか。この点はどうなんでしょうか。
  146. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) 原則といたしまして、そのとおりであると考えます。ただ、もう賛成に決まっているというような人も困りますし、それから反対に決まっているという人も困るわけでありまして、何といいますか、なかなか、言葉で言いますと理想的な言葉になりますが、専門的な素養は言うまでもないとしまして、厳正中立に、是は是、非は非とする、そういう人を集めて委員会を構成すべきであるというこの考え方に変わりはありません。
  147. 塩出啓典

    塩出啓典君 現在、炉安審の委員は総理大臣の任命になっておるわけですが、私は、総理大臣が任命するのではなしに、原子力安全委員会が、国会で選ばれた原子力安全委員人たちが選ぶようにすべきじゃないかと思うのです。この点はどうなんですか。
  148. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 安全委員会は、この法律をお認めいただきますと、法制的には総理大臣のもとに置かれた諮問機関でございます。したがいまして、またその下部機構である審査委員でございますが、任命される審査委員はもう国家公務員になるわけでございます。   〔理事松前達郎君退席、委員長着席〕 こういうことを考えますと、内閣総理大臣が任命せざるを得ないのが現在の法律上のたてまえでございます。しかしながら、先生の御趣旨はこういうことで考えればよろしいのじゃないかと思っておりますが、いまもそうでございますけれども、実際上は、原子力安全委員会に十分御相談して私どもが候補をつくりましたものを委員会の御了解を得た上で手続的に内閣総理大臣任命の手続を進めていくという形をとっておるわけでございますが、そういうことを慎重にすることによりまして御趣旨は十分踏まえていけるものと考えておる次第でございます。
  149. 塩出啓典

    塩出啓典君 選ぶのはだれが選ぶんですか。最初のリストをつくるのはどこがつくるの。
  150. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 事務局と原子力安全委員会の先生方と相談しつつ決めていくということでございます。
  151. 塩出啓典

    塩出啓典君 そのときは原子力安全局長は全然ノータッチなんですか。
  152. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 事務的には私が関与していることになりますが、準備段階等は担当課長がいろいろやることもあると思いますが、責任は私が負って、事務局としての責任を負って、委員会と相談して決めていくということになろうかと思います。また、追加するような場合、これはまた審査委員長もおられるわけでございますので、審査委員長などの意見も十分聞きつつ、委員会で御検討いただいて決めるということになろうかと思います。
  153. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、結局、安全委員会が決めるといっても、安全委員会に選ばれた先生方、どういう学者がいるかなんということを調べる手足はないわけですよ。調べる手足は科学技術庁のあなたの部下なんですからね。出されてくるものがやはり結局科半技術庁の見方によって選ばれてくるわけですからね。そういう点で、私たちは、原子力安全委員会の本当の独自性を保つためには、せめて人選を、選んでくるぐらいの能力を持つものを科学技術庁と切り離してやるべきであるという、こういうことを前々から主張しているわけなんです。だけれども、どうもいまの予想ではそのように修正案が参議院でもいきそうにありませんから、このとおり通ったとした場合は、ひとつ科学技術庁原子力安全局長、科学技術庁としても、自分に都合のいい人ばかり集める、こういうことのないように、本当に公平に人選をしていただきたい。そのことを科学技術庁長官が責任を持って監視をする——長官に人選までやれとなると、これまたあれになりますから、そういう姿勢を、公平な姿勢で長官に監視をしていただく、長官にその御決意を承って、質問を終わります。
  154. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) ごもっともでございます。いま、原子力安全委員会ができたときにはいろいろ事務機構については委員会と事務局とが相談して決めていくということを申し上げまして、それにつきましてとかく事務局の意見なり選考なりが主になるのではないかというふうなお話もありましたが、選考する場合に技術的にはそうなる場合も率直に言いまして多いかと思いますけれども、しかし、そういう場合でありましても、やはり委員会としての御意見、事務局として考えていない人でもやはりどんどん御推薦いただくというようなことはもう当然のことでございますから、ある場合には、委員会で選ばれた人が事務局としてはこの点は不適当じゃないかという場合もありましょうし、また、事務局から選考しましたのが原子力安全委員会として適当じゃないという御意見もあるかもしれませんが、要するに、やはりそういう原子力安全委員会の趣旨が徹底するような選び方、組織をしてまいらねばならぬわけでございますから、その点は私、長官としても十分に考慮して善処してまいりたい、このように考えます。
  155. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生の御趣旨を十分体して進めてまいりたいと思います。     —————————————
  156. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として片山正英君が選任されました。     —————————————
  157. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 前回の委員会質疑で、終わりの部分で、現行の状態と法改正の段階で安全審査の体制がどういうふうに変わるのかという問題を少しお聞きをしておったのですが、その問題を引き続いていろいろお尋ねをしたいと思いますが、もう一回ちょっと再確認と、それから午前中の吉田委員の質問に対する御答弁と前回の御答弁と少し表現が違いますので、理解の統一を図るためにもう一遍お尋ねをしますが、現在原子力委員会のもとにある二つの専門審査会と七つの専門部会があるわけですけれども、まず、今度新しく原子力安全委員会ができる、設置をすることに伴って、この原子力安全委員会の方には、二つの安全審査会、それから六つの専門部会、これが所属をして、原子力委員会の方に長期計画専門部会、これがその傘下に入る、こういうことで理解はいいですか。
  158. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、原子力安全委員会の下部機構といたしましては、八つの主として安全サイドの専門部会が、両審査会を含めまして、安全委員会のもとに設置されると考えております。
  159. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、現在の原子力委員会で基本設計の安全審査を行っているのは、その専門スタッフとして原子炉の安全専門審査会の三十名、これに、前回の私の質問では、これの協力スタッフということで各専門部会から選ばれた約三十名、合計六十名が安全審査の作業をなさっているということですねと聞いたら、そうですというふうに答えられたかと思うんですけれども、午前中の吉田委員の御質問の答弁調査委員三十名というふうに言われていますけれども、ここの関係をもう一遍ちょっと整理をしておいてください。
  160. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 原子炉安全専門審査会の審査委員、これは現在三十名でございます。このほかに調査委員制度というのを私ども持っておりまして、これは事務局と審査会をつなぐ技術的な御相談をしたり、計算の下調べをしたりというふうな補助的な方々でございますが、これらの方が三十名おりまして、それぞれの専門のことにつきまして調査したものを審査会に御報告して御審議に供するという仕事をしておる方が別に三十人調査委員としているということを申し上げたわけでございます。
  161. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、その三十名の補佐役の調査委員の構成は、各専門部会に属されておる方々から三十名選んで集めるわけですか、別個にあるんですか。
  162. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 別個でございます。ただ、その方々の中にも、学識経験者でございますので、専門委員としてお願いするケースもないわけではございませんけれども、組織上は一応別個にいたしております。
  163. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それから、現行はそういう安全審査の体制になっておって、これが法改正に伴って、いまの安全専門審査会、これが四十五人に予算上ふやすという予算上の措置になっているんだということ、それから一方、科技庁の原子炉規制課ですね、これが基本設計の第一次審査が発電炉の場合であれば通産省に移行することなどに伴って四十名から二十名に減らすと、こういうことですね。
  164. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) はい、おっしゃるとおりでございまして、現在原子炉規制課というのが四十名おります。このうちの発電炉の審査をいままでやっておりました十三名は通産省に参ります。それから九名が、新しく私どもつくりました安全調査室、これは原子力安全委員会のダブルチェック等をいたします事務局になるものでございますが、そういう形で二十二名移るわけでございますが、そのほかに私どもとしては研究開発段階の炉の規制がふえるわけでございますので、定員を二名増加いたしまして、差し引き二十名城になるわけでございます。それから、安全調査室の方は、現在の規制課から移ります九名に加えまして二名の定員増を図っておりまして、十一名で新たに発足するという形にしております。
  165. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、今度は片一方通産省の側の体制、まず人数面の問題をお尋ねしますけれども、いわゆる技術顧問ですね、技術顧問の方は二十数名から四十数名という表現をされていますけれども、ここもちょっと正確に言ってください。
  166. 武田康

    政府委員武田康君) いま顧問をお願いしていますのは二十七名でございます。私どもいま考えておりまして詰めているところでは、それを四十五名までふやしたいと、こう思っております。
  167. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それから、通産省の側の体制で組織表もいただいているわけでありますが、まず現在原子力発電課とそれから原子力発個安全課、これが新体制で、安全課を第一課、第二課に分けるということでありますが、これの仕事の内容ですね。特にお尋ねをいたしたいのは、発電炉の基本設計、詳細設計、それから設立以降の運転段階における安全規制、こういう仕事をどこが担当するのかということでの仕事の内容を説明してください。
  168. 武田康

    政府委員武田康君) 現在、仮称でございますけれども、現在ございます原子力発電安全課を原子力発電安全第二課、原子力発電安全第二課と分けるわけでございます。それで、原子力発電安全第一課の一番大きな仕事は、いま先生御指摘ございましたけれども、基本設計の審査というのが中心になろうかと思います。それから一方、原子力発電安全第二課の方は、いわば運転管理の規制とでも言うんでしょうか、そういったような、いわば審査的な課と、規制といいますか、運転管理的な課と、こういうようなことでございまして、現在その細目の境界線等につきましては鋭意詰める準備作業をしておるところでございます。
  169. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 詳細設計の安全審査はどこがやるのか。
  170. 武田康

    政府委員武田康君) 現在のところ、いまの詰めの段階では、先ほど仮称で申し上げましたが、うちの安全第一課の方と考えております。ただ、詳細設計もいろいろ膨大なものでございますので、詳細設計と運転との厳密な境界線等々につきましてなお詰めの作業を進行しているところでございます。
  171. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、大まかに言って、基本設計並びに詳細設計の安全審査を担当する部門が原子力発電安全第一課、人数が三十人、それから運転段階の安全規制を担当するのが第二課、二十一人、こういうことですね。
  172. 武田康

    政府委員武田康君) きょう現在の段階での検討段階で申し上げますと、先生のおっしゃったとおりでございます。
  173. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしたら、第一課の三十人のうち、大まかに基本設計を担当をするのと詳細設計を担当をするのと、人数的にはどういうふうに区分しているんですか。
  174. 武田康

    政府委員武田康君) 事務部門が一部入りますので、微妙な境界線を割り切って申し上げますと、基本設計担当が十七名というのがきょう現在の検討段階の数字でございます。
  175. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、いままでずっと人数的にお尋ねをしましたことをもう一遍まとめてみますと、従来の原子力委員会が安全審査を行っていたその専門スタッフ、安全専門審査会、これは三十名、そしてそれに協力スタッフ、調査委員三十名ほどというこの体制が基本設計の第一次審さ、発電炉が通産省へ移る、通産省側のそういう専門スタッフの体制はさっきのあれで四十五名ですね。しかし、前から二十七名おられた。だから、基本設計の安全審査が新たに通産省側に出てくるということで、結局これ、ふえる人数十八人、ですから基本設計を扱うということでふえてくる技術顧問十八人、これは明らかに対比をしてみれば、三十プラス三十、六十でやっていた。狭く見ても三十でやっていた。これが、通産省側基本設計を第一次審査するのが十八名だと。それから行政部門ですね、行政部門。これが科技庁の原子炉規制課四十名まるまるではない、ほかの仕事もあると。しかし、少なくとも今度の法改正によって減る人数というのは、この科技庁の基本設計の安全審査がはずれるわけですから、ということで、大体二十名でやっていた、それが今度通産省の方では十七名でやるんだと、こういう対比になりますね。
  176. 武田康

    政府委員武田康君) 先生お話しになった限りでは、先生の御指摘のとおりでございます。ただ、一言補足させていただきますと、私ども理解するところで補足させていただきたいところを二点申し上げますと、科技庁の方では規制課で二十名減るというお話でございますが、私どもの方に、そのうち十三名というのが数的に通産になるわけでございます。その十三名が現に科技庁の方で実用発電炉の安全審査を担当されていた方々の数に相当するというのが私ども理解でございます。  もう一点、私どもの方の顧問の先生方でございますけれども先ほどお話の中で、増加分の十八名が基本設計を担当、残りが従来どおりというようなふうなことでございましたが、差し引き勘定を数字でいたしますとそういう計算も出るわけでございますけれども、お願いしています先生方はいろんな専門分野の方ではございますが、原子力の安全の確保という観点についての専門の方々でございます。で、私どもは、そのふやしたトータル、根っこからの四十五名の方に基本設計段階から運転段階までにわたりまして一貫して御相談をしたいということで具体的な内容をいま詰めているところでございます。
  177. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんな説明なさったって、それは子供だましの理屈でしょう。科技庁から、行政部門について言えば十三名通産省へ移って来られますから。だって、それは人事異動の問題であって、数字というのは厳粛なんで、通産省側が発電炉の基本設計の第一次審査をやるという新たな仕事が起こってくる、このことに伴って、行政——行政というか、開発官庁部門で、官庁部門で、それから技術スタッフの面で。どれだけの人数がふえる予算上の措置になっているかということを割り出したら、それが基本設計の第一次審査を新たに行うための必要な人的パワーの積算になっておるということは、これはもう否定できないじゃないですか。まあ一貫して全部込みで扱うんですと。しかし、込みで扱うというそのことのためにどれだけの人的強化が図られているかということで割り出せば、この顧問団について言えば十八人ふえる、それから行政部門について言えば十七名ふえる。これは明らかに従来科学技術庁が基本設計の審査をやってきた体制よりも人的に見て後退をしている。前進しているんですと、逆に強化されているんですというような何か根拠がありますか。そんなことは言えないでしょう。
  178. 武田康

    政府委員武田康君) 私どもの定員増十三名、科技庁からの移しかえという形での定員増十三名が……
  179. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 人事異動でしょう、それは。
  180. 武田康

    政府委員武田康君) いいえ、それが科技庁の中で従来発電用原子炉の審査を担当されていたということは、実は私どももそういう認識でございますが、同様に、こういう組織なり組織のファンクション、またはそれに必要な要員を扱う行政管理庁等々もそういう認識ということで、私どもそれで納得し、また実態的にもそうであろうと考えているわけでございます。  それから第二点の顧問の方につきましては、確かに一見いたしますと先生御指摘のとおりの数字になるわけでございますけれども、たとえば、顧問という方々は私ども職員と違いまして、年じゅう常勤ではございませんので、顧問の方々に御相談する回数であるとか何とかいうことも御考慮いただければと思うわけでございまして、予算的には実は従来詳細設計以下についてこれだけのことをお願いするんでということで、人数並びにその回数等を考えていたわけでございますが、それが基本設計もやるというような前提のもとで考えられるべき回数、数字というようなことで予算上も認められておりまして、私どもとしては、しかもなお個々の先生方はまだ具体的なメンバーは決まっておりませんけれども、いずれにいたしましても、原子力の安全の分野につきましての高度の専門知識をお持ちの方でございますから、せっかくお願いする先生方は、何もその基本設計だけ、詳細設計だけ、あるいは運転だけというような区分ではございませんで、もう少し知恵を働かせた区分で基本から運転まで一貫してごらんいただく、あるいは意見を出していただく、そういうような考え方の方が、より一層、今回の法改正での二つの大きな柱のうちの一つでございます規制行政面の一貫化、これは物別ではございますけれども、そういうような御趣旨に沿うであろうし、また、先生方の御意見を出していただくについても、より効率的でもあり効果的でもあるんじゃないかと思って、そういうことも内容的には御勘案願って数合わせの方も御判断いただきたいということで申し上げたわけでございます。
  181. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何回そんな説明をされたって、それは子供だましの理屈で、そんなものは通用をする話ではないです。  さらにもう一つ言いましょう、それならば。これ、科技庁、通産省どちらがお答えになってもいいんですけれども、法で定められている、要するに法定の、今度の法案修正で安全審査会は法定のものに変わりましたね。変わったんですけれども、法定のものと、この法定の専門委員とか顧問と、法定でないそういう専門委員と顧問、これとは重みはどう違うんですか。
  182. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 私どもの当初政府原案として出しました際には、原子炉安全専門審査会は法定されない原子力安全委員会の下部の専門部会と同じもので考えておりましたが、従来法定化されていたものを落とすのは格下げであると、その他の御理由もあろうかと思いますが、衆議院段階でそういう御主張をいただきまして、議員修正で法定化されたわけでございます。そういう点で考えますと、専門部会とどう違うのかということでの格の問題は、それほど差があるとは考えておりませんけれども、いまの案に修正していただきましたので、より重みがある審査会であるというふうに考えておるところでございます。
  183. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 法定のこの顧問なり専門委員という、そういう位置づけをする方が当然——これ、ぼくは知らぬから聞くんですけれども、たとえばいろんな仕事をしていただいた場合の日当とか手当、こういうものも多いんでしょう。したがってまた、いわゆる社会的責任も当然重みを持つということになるんじゃないですか。
  184. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) 確かに、現在の運用におきまして、安全専門審査会の先生方にお支払いいたしております日当と申しますか、それと専門委員の日当との間に若干の差はございます。しかし、それが必ずしも先生の御指摘のことによる差のみとは考えていないわけでございます。
  185. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いずれにしても、ことさら衆議院でああいう法定の審査会にするというこの修正が行われたというのは、重みを持たせようという意味で私はあの修正がやられたんだというふうに思うんです。ところで、どうなんですか、今度通産省の方の技術顧問団、なぜ法定になっていないんですか。
  186. 武田康

    政府委員武田康君) 私どもとしては、行政部門で判断いたします場合に、何分にも、部分的にも——部分にもよりますけれども、高度な専門的判断等々をしなければいけない面があって、それについてその御意見を伺いたいということで顧問をお願いしているわけでございます。そういったような意味でございますので、省議決定に基づきます通産大臣の私的な諮問機関ということで、通産大臣から顧問になることをお願いしているというのが現状でございまして、従来の詳細設計以下につきましての実績等を勘案いたしますと、そういう体制のもとで今回その法改正も基本設計、二十三条の許可に伴う審査というものをお引き受けするに当たりましての顧問としても同様なポジションのものでいいという判断をしているわけでございます。  なお、先ほど安全局長からもお話がございましたように、確かに法定の方が格が上でございますし、重みもある、また手当も若干の差がある、こういうようなことではございますが、私ども承知しております限り、また、いままでお願いしてきた限りでは そういう若干の差があるにもかかわりませず、やはり事が原子力の安全の確保という重大な事柄でございますので、お願いしている先生方もやはりそういう若干の手当の差、それから格の差、重みの差というものがあるにもかかわりませず、私どもの顧問会におきましても非常に厳正公平かつ専門的に高度な御意見を出していただいておるのが実績でございまして、まあそういう問題は、確かに格が違い、重みが違うという問題はございますが、しかし、審査の内容なり御意見を出していただく内容につきましては、先生方の方もいわば重要な意見を出すというような観点で今後ともやっていただけるんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
  187. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 通産省の方のそういう技術スタッフの位置づけ、審査体制、それが従前うまくいってたから今回それでいいんです、位置づけの仕方はそれでいいんですというのは、これは論法として通りませんよ。基本設計の第一次審査をやる、その通産省でやる第一次審査が開発優先になって、本当の第一次審査がおろそかにされるんじゃないかという、ここが今度の法案の中の一つの論点の中心問題、国民も注目をしておるところです。ですから、従前のやり方を研き継いだらそれでうまくいくんですということではない。人的にも強化をしなきゃいかぬし、原子力発電開発の一番出発、基本になる基本設計、ここを新たに通産省が担当するというんですから、組織の陣容立てとしても、人数、頭数、頭数自身も、さっき言っているように、不十分ですよ。頭数だけじゃなくて、組織的体制、その組織的位置づけ、これをもっと強化をしなくちゃならぬということは当然のことでしょう。そして、あなたたちがよく使う法の整合性という点から考えてみたって、最初の原案は両方とも法定のものになるわけだ。しかし、今度のこの修正で、通産省の方だけは依然として法定のものでない形が据え置かれるということについては理屈が通りませんよ。もう一遍答弁のやり直ししてください。
  188. 武田康

    政府委員武田康君) 今回の法改正の後の体制でまいりますと、私ども通産省は行政庁としての責任をもって安全の確保という見地からの規制を一貫して行うことになるわけでございます。一方、ダブルチェックの制度で、安全委員会の方は、有澤先生の表現をお借りしますと、国民の立場でというようなことでございますが、そういうまた広い、高度なお立場からダブルチェックをなさると、こういうかっこうでございます。  ところで、私どもも行政庁としての責任を持ってお引き受けする以上、私どもとして自信のある体制でないとお引き受けしがたいわけでございまして、しかし、その体制につきましては、過去十数年来私どもの方で、電気事業法体系のもとでございますが、原子力発電の安全に関します規制というのを担当し、そういう経験を踏まえ、また、いろいろ専門家の先生方の御意見も伺い、いろいろ知恵を出していただくというような積み重ねもし、その結果としまして、先ほど御説明したような要員と体制をもってすれば責任を持ってお引き受けし得るというふうにまあ考えまして、そういうようなことにしているわけでございます。そういうようなことでございますので、確かに、を変えたかっこうの数合わせでは別の答えをし得るような数合わせの仕方ができるわけでございますが、しかし、先ほど御説明いたしましたように、職員スタッフにつきましても、あるいは顧問の先生方につきましても、先ほどのような角度の、あるいは先ほどのような内容の充実でございまして、これで、現在まで原子力委員会、科技庁でなさっておられた個別発電用原子炉の基本設計の審査も含めた安全規制を行政庁として担当するに十分であると、こう考えているわけでございます。  もちろん、これが未来永劫十分ということでいま申し上げているわけではございませんで、今後とも原子力発電所の数はふえていくかと思いますし、また、私どもの行います規制というものの内容もいろんな角度で充実していくことかと思いますので、将来にわたりましてさらに充実の必要が毛頭ないということを申し上げているわけではございませんで、さしずめ本年度におきまして、従来科技庁、原子力委員会がなさっていた基本設計を引き継ぐには、いままで御説明申し上げたもので十分であると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  189. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 長い答弁なさりますけどね、少しも私の提起をしておる問題についての答えになってないと思うんです。しかも、前段で、いまのあなたの答弁は、私は重大なことを言っておられると思う。一つは、行政庁の責任で安全行政を進めますと。まさにそこが、そうなったら何のためにそれなら顧問団を置くんですかという問題が出てくるでしょう。やっぱり顧問団というのは大事なんでしょう。そういう専門スタッフを置いて、科学技術的な専門知識を十分組み入れて遺漏が起こらぬような行政が正確に進められるための、そういうための顧問団とか専門委員というものをやっぱり置くんだということだと思うし、それから二つ目には、原子力安全委員会の方でダブルチェックをしていただきますのでと、こんな論法を使ったら、そうしたら、それなら開発庁の方の第一次審査っていうのは何だと。結局、その安全委員会の方でダブルチェックしてもらうんだから多少弱さが出たってダブルチェックやっていただきますんで大丈夫ですといったようなことは、そんなことが政府答弁の中から出てきたら私は大変だと思うんですよ。  それから、将来に向けて充実を図りますというようなことをあなたは言われるけれども、どうなんですか、それなら、たとえば今後原子力発電所なんかはどんどんふやしていこうという、この政府の基本的方針になっていると思うんですけれども、この中期計画はどうなっているんですか。人員面で、この技術顧問団、それから行政部門の人員ですね、この両面について、通産省側はこれから来年、再来年、あるいは五年後、どういうふうにふやしていく構想を持っているんですか。
  190. 武田康

    政府委員武田康君) これから先原子力発電所がふえていくということを申し上げたんでございますけれども、総合エネ調のプランによりますと、目標でございますけれども、六十年度が三千三百万、六十五年度六千万ということでございまして、その数字でまいりますと、たとえば六十五年度には六十台か七十台ぐらいの原子炉があるというようなプランでございます。そういう状況を頭に描きますと、そんな状況におきまして五十三年度と同じ要員で処理できるかどうかというような問題が頭に描かれるわけでございまして、そういうような観点から、今後とも年々増強を図っていくというような趣旨で先ほどお答えをしたわけでございますが、具体的に毎年何人要員をふやすというような数字をきょう現在持ち合わせているわけではございません。  ただ、実績的に申し上げますと、こういう大きな制度改正がなかったときでございますけれども、たとえば昨年までは原子力発電課一課で原子力発電の関係をやっていたわけでございますが、昨年たとえば原子力発冠安全課を分離させた。それから一昨年、統括安全審査官という安全審査の責任者をつくったというようなことで、非常に大きな数字ではございませんけれども、毎年充実してきたところでございまして、今後ともそれは続けていく必要はある。そのもとになる理由は、先ほど申し上げましたように、発露所の数がふえたというのはちょっと単純過ぎる論理でございますけれども、そういうことと関連もいたしまして、私どもが処理すべき業務量がふえてきている、あるいは年々ふえている傾向にある、こういうことでございます。そんなこともございまして、長期的に今後とも充実していかなければいけないということは幕末的に考えているわけでございます。
  191. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私のいろいろ指摘、質問に対して逃れるために、将来に向けては増強を図りますということを言っていられるだけで、具体的にこういう増強計画を腹案としては持っていますということの答弁もできないわけでしょう。  どうですか、長官、ずっと質問をお聞きになっていたと思いますけれども、私が勝手な判断で、私の推測判断で、通産省側の審査体制が弱まるんじゃないかということを私の判断で言っているんじゃないんです。具体的に、さっき、いまの原子力委員会のもとでの陣容がどういう状況で、基本設計第一次審査が通産省へ移る、これが人的にどういう陣容になっていきますかということの政府側のお答えを聞いて、その数字を引き算をして、厳粛な数字、こうなりますと、また、安全審査会、これは法定だ、通産省の方のはこれは法定ではない。どの点見たって、通産省の第一次審査の体制は弱化を来しているじゃないか。長官、今回の提案の提案責任者として、こういう提案の内容をどう思われますか。
  192. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) いま通産省との応酬がありましたので、お話を聞いておりましたら急に私の方におはちが回ってきまして、どう考えておるかということでございます。これは通産省のいろいろお考えのあること、いまここで私がかれこれと……
  193. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、あなた提案者ですよ。
  194. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) 卒然として批判するということもお答えいたしかねますが、ただ、通産省のいろいろなこの法案に対する今後の処理に対する御決意、あるいはまた運輸大臣も運輸省もそうでございますが、その御決意はかねがね承っておりますし、それから衆議院の段階におきましても、私の面前におかれましてその決意を表明されておりますので、私どもとしてはその両大臣の表明を御信頼しまして、ここでどう思うかと言われれば、私は、さしあたってはそれで職責を貫いていけるものとお答えせざるを得ないわけでございます。
  195. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 えらい開き直った答弁なさるんですね。私の解釈で、どう見ても通産省へ移っていく、これは弱まるんじゃないかという解釈論言ってないと思うんですよ。実際に原子炉の安全行政を担当する行政部門が、いまの状況通産省へ移ってどういうふうになりますか、人数的に減るじゃないですか、技術スタッフもこれも減るじゃないですか、技術スタッフの位置づけについても後退をしているじゃないですか、このことをどう思われますかということで、これはしかるべき機会に通産大臣に出席してもらって、それはそれで私は尋ねなくちゃならぬと思っておるわけですけれども、法案の提案者としてこういう内容をどう思われますかということでお尋ねをしているわけです。私は、もう一遍練り直してもらいたい、これは。こんなことで原子力行政が前進をするんですというようなことは言えないだろう。いや前進するんですという根拠があったら言ってください、長官。
  196. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) お言葉を返してまことに申しわけありませんが、決して開き直ってこれこれ申し上げるということではありませんので、ただ、通産省としてお答えになっておりますことと佐藤議員の御質問とを比べてみてどっちが理屈があるかと言われるように聞きましたものですから、どうもそれは私がいま卒然として判断して、その判断の結果、たとえば通産大臣がはっきり責任を持ってこの今回の法成立に伴う仕事を進めていくと言われておりますことを承ってもおりますし、公然と承ってもおりますし、いろいろ承っておりますのに、ここでどうも、そのスタッフなり何なりの関係から直ちにこれはせっかくこの法案が成立してもうまくいかないじゃないか、提案者としてどう思うかと言われますと、どうもこれは通産省としてはまずいなというようなことも、あるいは佐藤議員の言われることがこれは当たってないということも、率直に言いまして、まあ批判ができませんので申し上げたようなわけでございまして、どうかひとつ、決して開き直っているような、そんな気持ちは毛頭持っておりませんので、その点はひとつ御了承をお願いしたい。ただ、いま両方の批判を考えてどう思うか、またこんな問答では提案者としてどう思うかと言われますと、やはりそれは、私が、ただこの答弁だけで、あるいはお答えだけで、通産省はやらないんじゃないかなという、卒然としたそういうお答えはいたしかねるというわけでございますので、大変くどいようでございますが、申し上げましたので、どうぞその点は御了承いただきたい。決して開き直ったりするような態度では、考えではないということ、だけは御理解願いたいと思います。
  197. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、とにかくこの問題については、せめて大臣か当局の人からは一言ぐらい「まことに御指摘のとおり不十分な内容になっておって申しわけありません、しかし将来に向けて増強を図りますから何とかひとつ御理解のほどを」、こういう言葉をだれか一人から出るかと思ってさっきからしきりに聞いているんですけれども、そういう言葉がただの一人も出ない。ぼくは、こういう態度というのは本当に当委員会に対する法案審議を持ってくる政府の態度としてけしからぬと思うんですよ。だから、この問題は早う済まそうと思ったんですけれども、済まないのですけれども、もうこれ以上やってもあれですので、ひとつお願いをしますけれども、一番いいのは、本当にだれが見たって人数的にもなるほど強化がされるなあというふうに理解できるような、そういう形にこの内容の手直しをしてもう一遍出し直してもらうというのが一番いいんです。さもなくんば、できるだけ早い機会にこういう形での、きょう私の指摘しておる問題に沿ってのこういう改善をやりますということを次回きちっと答弁できるように、ひとつ大庭もよく考えておいてください。
  198. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) わかりました。
  199. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ついでにお尋ねしますけれども、さっき言いました手当ですね。手当、日当ですね。ちょっとまあ話のついでで聞いておいた方がいいと思うんですけれども、法定のものと、それから法定でない専門委員、顧問、これどう違うのかという違いも含めまして、一つは、本当に忙しい学者の方々なんかがこの大事な原子力の安全行政にタッチをしていただく上で、遇するに適切な待遇になっているかという問題もありますからということで、あえてお尋ねをいたしますが、一つは、科技庁関係の法定のもの、法定でないものの手当、それから通産省の顧問団の手当、これどうなっているか、答えてください。
  200. 牧村信之

    政府委員(牧村信之君) この法定の審査委員と、それから専門委員の手当の違いでございますが、先ほども申し上げましたように、業務の内容を勘案して差がついておるというふうに私ども考えておりますが、予算単価で申し上げますと、審査委員の手当は一回御出席ごとに二万一千四百円、それから専門委員の手当は一万百円でございます。それから、先ほどちょっと調査委員ということを申し上げましたが、これらの方々は現在三千六.百円という額になっております。
  201. 武田康

    政府委員武田康君) 現在、私どもが顧問の方々にお支払いしているのは、単価は四千五百円でございます。
  202. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ついでにお尋ねしますが、この間から問題になっている「むつ」の安藤委員会なんかですね。こういうものはどういう手当になっていますか。
  203. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 委員の謝金としまして、単価六千円でございます。
  204. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう大分時間がたちましたので、実は、次は原子力安全委員会のダブルチェック機能の問題でいろんな角度からお尋ねをしたいと思っておったんですけれども、中途半端ですので次回に譲りまして、いま一度、前回もなおひとつ御検討を願いたいということで、強く長官にお願いをしてました「むつ」問題についてもう一遍お尋ねをいたします。  私の尋ねています観点は、繰り返し言ってますように、今次法案の目的である原子力開発の安全確保の行政をどう進めるか、この点で、国民の信頼をもとに原子力行政を進めていくという点での「むつ」問題の処理を、誤りのない処理をやらなくちゃならぬと、こういうことでお尋ねをするんですけれども、きのうの夕刊で見ましたけれども、核封印方式による修理をやるということを正式に長崎県側に再要請をする関係閣僚会議の決定はなさったんですか。
  205. 熊谷太三郎

    ○国務大臣(熊谷太三郎君) いたしました。
  206. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今後の大まかなスケジュールは、現地との話し合いも含めてのですね、どういうふうに考えていますか。
  207. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 本朝、関係閣僚によりまして再要請をするという方針が決められましたので、これを受けまして、明朝、関係大臣から長崎県知事並びに佐世保市町に、しかるべき条件を付した再検討方の要請というのをいたします。長崎県知事並びに佐世保市町は、この再要請を受けまして、再び御検討に入るものというふうに考えております。
  208. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、前回私が特に強調をしましたのは、今度の核封印方式というのは、科技庁が従来おっしゃっていた核つき改修よりももっと危険ではないかと。というのは、この上蓋を取り外して作業をやるんじゃなくてということに伴う、そういう作業上の危険度も伴う。だから、私どもの根本主張は、核つき改修ということでは万全な総点検はやれない、やっぱり燃料棒を抜いて全面的な点検をやる必要があるということを従来から主張をしてきておったわけですけれども、それに対して科技庁側の見解というのは核つき改修だと、この従来の主張よりもさらにいろんな危険あるいは将来への禍根を残すようなそういう改修方式ではないかという問題と、いまの時期にこそ全面的な総点検をやるべきだということで、次回もう一遍聞きますからよう考えておいてくださいと言うたんですけれども、その点はどうですか。
  209. 山野正登

    政府委員(山野正登君) まず、安全の確保はどうなるかという問題でございますが、所要の遮蔽の改修と総点検をするに当たりまして、事業団のつくりました原案を安藤委員会が従来ともよくチェックをいたしまして、そのあたりの検討をしておるわけでございますが、私どもの見解では、五十一年に地元にお願いしました修理の方法、いま先生が御指摘の観点から申し上げれば、核燃料を装荷したままでの修理ということで安全は確保できると考えておりますし、その際、安全確保という観点からではなくって、作業性をよくするという観点から、圧力容器の上蓋を船外に取り出して、圧力容器上蓋上部の遮蔽の修理をするという形で地元にお願いをしておったわけでございます。今回圧力容器の上蓋を取らないで遮蔽の修理をするとなりますと、作業性は確かに損なわれるわけでございますが、安全性の確保という点からは、これは従来とも安藤委員会が申しておりますように、何ら変化はないわけでございますので、今回の条件によりまして、従来考えておりましたのよりも危険が増したということにはならないと考えます。ただ、作業性が悪くなり、かつ狭いところでの作業でございますので、作業のミスがないように、作業員の訓練、作業への習熟というものは十分に行う必要がございますし、また、狭いところの修理でございますので、重要な機器等を傷つけないように慎重な作業が必要であるということは、従来に増して言えるかと存じます。  それから安全性の総点検というのは、これは御指摘のとおり、きわめて重大な、かつ重要な問題でございますが、これにつきましては、「むつ」の放射線漏れ以降、いかなる部分について安全性の総点検をしたらよろしいかということにつきまして事業団で検討しまして、その総点検項目というものは安藤委員会に出しまして、その御承認をいただいておるわけでございまして、このたび修理港において行おうとしております総点検は、これだけのものをやればよろしかろうというふうなことになっておるわけでございます。これはもちろん今後とも作業の進展に応じまして、作業項目の追加でございますとか、あるいはさらに将来定係港における試運転段階におきます各種の作業といったふうなものをこれから決めていかなきゃならぬわけでございますが、その際に十分に、この遮蔽改修総点検が済みましたあげくには、「むつ」の修理というものが安全性確保の観点からも十分な修理が行われるように格段の配慮をしなければならぬというふうに考えております。
  210. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 依然として従来の態度を一歩も変えぬという態度ですけれども、私は、そんな態度では、もしもまた今後重大事故が起こったときには一体だれが責任をとるのかということで、まだこれからどういう総点検をやるかという問題については検討の時間はあるんですから、これはもう繰り返しこのことは提起をいたしますから、ひとつよくよく考えてもらう必要があると思うんです。  もう一つ聞いておきますけれども、改修後の諸試験ですね。たとえば制御棒駆動装置の試験初め、いろんな原子力プラント機器の総合試験、出力試験、こういうのはどこでやるんですか。
  211. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 制御棒駆動試験等は、これは修理港において行うつもりでおりますが、今回行います遮蔽改修・総点検の結果、原子炉が運転状況になっても十分安全を確保し得る状況に改修されたかどうかという検査につきましては、これは今後決めます新しい定係港におきまして出力上昇試験を行って検査をするというふうに考えております。
  212. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その後の方の新定係港の構想どうなっているんですか。
  213. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 新しい定係港につきましては、従来も若干検討した経緯はございますが、修理港問題が決着し次第、本格的に新定係港の選定作業に入るというふうに予定いたしております。
  214. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうすると、その最初の制御棒駆動装置の試験なんかは佐世保でやると。当然、そのために必要な施設をつくらなければならぬですね、試験のために必要な新しい施設を。そういうものは予算措置はあるんですか。
  215. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 今後遮蔽改修並びに総点検に必要な予算につきましては、必要年次に応じまして年度を追って予算要求をして所要の経費を確保してまいりますが、いま御指摘の制御棒駆動試験というものにつきましては、格段大幅な装置等を購入して行うというふうな必要はない試験でございます。
  216. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなことないでしょう。そうしたらひとつ、この最後までの総合的な試験をやるためにどういう諸施設が要るか、順を追って、大体それが経費がどれくらいでできるのかというのを一遍資料で出してください。いいですか。  さらに根本問題は、繰り返し指摘をしておる、そういうずさんな改修、手抜き改修、これを無理やりやると。しかし、いよいよ最後の総合試験をやる母港が決まってない。持っていき場所がないじゃないですか、修理やったって。そういうこともはっきりしてない形で国民の目をだますようなずさんな改修計画をいちずに急ぐ、こういうやり方についてはどうしても納得できません。ひとつ、いま要求しましたこれからの改修後の諸試験の計画、それに伴う必要な予算措置、こういうやつを次回までに出していただいて、それをもとに次回さらにいろいろ質問をやります。本日は終わります。
  217. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) よろしいですか。
  218. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいまの段階で用意し得るだけのものを用意いたします。
  219. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会