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1978-05-10 第84回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)    午後二時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 望月 邦夫君                 松前 達郎君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 亀井 久興君                 熊谷  弘君                 後藤 正夫君                 安田 隆明君                 小柳  勇君                 吉田 正雄君                 中村 利次君                 柿沢 弘治君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        力安全局次長   佐藤 兼二君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        環境庁企画調整        局環境管理課長  望月 美之君        運輸省船舶局首        席船舶検査官   赤岩 昭滋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八  十回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは、先回に引き続きまして幾つかの点について御質問を申し上げたいと思うんです。  なお、本日の時間もきわめて限定をされておりますので、次回ということもありますから、一応きょう用意したものできょうやれないものが当然出てまいりますから、そういう点では事務当局の方でも、お聞きをする項目だけ最初に申し上げておきますので、きょう終了しなかったものについては、次回までにひとつ御用意をしておいていただきたいというふうに思うわけです。  お聞きをしたい点は、きょう予定したものでは六点ございます。これは大きな項目ですが、一つ原子力委員会の二分割をされるに至った趣旨ですね、その点についてお聞きをしたいということです。  大きな第二点といたしましては、原子力安全委員会所掌事務についてそれぞれお聞きをいたしたいというふうに思っております。  それから第三点といたしましては、今日までの安全審査の各項目日時専門委員出席状況、これはきょうすぐ出していただかなくて結構なんです。これは内容でなくて、いま申し上げましたように項目ですね、どういう項目にわたって安全審査が行われてきたのか。それと日時委員出席状況。同じくこの安全審査に関連をいたしまして耐震設計、あるいはその審査状況ですね、こういうものについて全発電所の今日までの審査内容ですね、これを資料として出していただきたいというふうに思っております。  それから第四点といたしまして、環境放射線モニタリング業務についてお聞きをいたしたいというふうに思うわけです。  それから大きな五点といたしましては、国家行政組織法との関係についてお聞きをいたしたいというふうに思っております。  それから第六番目といたしましては、委員選任のあり方について、これは第一回目のときにも長官にもお尋ねをいたしておりますけれども、先般の参考人に対する討議等も通じて、さらにこの点についてお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  きょう、一応この六点を予定をしてまいったんですが、予定時間が若干少なくなった関係もありますので、やれるところまでやりたいというふうに思っているわけです。  原子力委員会の二分割に至った経過は、るるこの意見書なり提案理由の中に書いてありますけれども、さらに不明の点がございますので以下お聞きをいたしたいと思うんです。  推進と規制の分離、あるいは規制面に比して開発面にウエートをかけ過ぎているという国民批判という原子力行政懇談会答申精神にこたえる面からは、この原子力委員会というものを二分をしてさらに安全委員会を設置をするという、そういう趣旨についてはこれは肯定できるわけです。ただ二分割というだけでは必要条件であって十分条件ではないわけです。まあアメリカでは確かに実施されておりますし、そういう点でアメリカ実施状況というものが大きな参考になっておると思うんですけれども、しかし形式的なものでなくて、本当に二分をされたその趣旨を生かしていくという行政機構のあり方なり、あるいは必要な人材というものを果たしてそろえることができるのかどうか、こういう実質的なものが備わらなければ効果は上げ得ない。逆に言うと、いままでの安全行政に対する批判というものを形式的にかわすという、そういう機構いじりに終わる危険性があるんじゃないか、またそういうそしりを受けるおそれがないのかどうかということを思うわけです。  そこでお聞きをいたしたいんですけれどもアメリカ安全規制委員会の構成が一体どうなっているのか。これもいまいきなり申しますので、直ちにとは申しませんが、その資料を出していただきたいと思いますが、しかしある程度のことは御存じだと思いますが、大体現在わかっている事務局スタッフ人数が一体どれくらいになっているのか、主要な任務だけでいいですが、それとスタッフ人数、こういうものについてまずお聞きをいたしたいと思います。
  4. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) お答えいたします。  アメリカでは、先生御存じのように、NRC、原子力安全委員会でございますが、その職員が二千五百二十九人でございます。原子力委員会委員は五名でございます。そこで、その中にACRSという一つ諮問機関がございまして、そこは十五人の非常勤の委員がおる機構になってございます。そこで、二千五百二十九人という人数でございますが、これは御存じのように、アメリカにおきましては軍事的な利用もあるわけでございます。また発電所の数も非常に多いということも言えるかと思います。  わが国の場合のその点の比較でございますけれどもわが国がなおそれでアメリカと比べて必ずしも十分であるとは言えない面もあろうかと思いますが、科学技術庁並び通産省、また運輸省等人数等を勘案いたしますと、原子力発電所一基当たり等に換算するといたしますと、必ずしも少ないものではないというふうに私どもは考えております。
  5. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃ先ほどお願いしたように資料いただきたいと思っているわけです。  それから有澤私案あるいはこの答申の中にも述べられておるんですけれども、要するに、今回の改正案趣旨を本当に生かすというためには、原子力委員会あるいは同安全委員会とも行政実務から機能的にやっぱり独立した、質量ともに十分なスタッフというものを抱えていることが必要なんだということを言っておりますし、さらに私案の中では、将来各省庁の上に立った、少なくとも中立性、平等の立場を保持をしていくということからも、一元的な原子力行政を行うという意味で、そういう省庁構想というものを持ったらどうかということが私案段階では述べてあるわけですね。答申の中でも「当面は、」というふうな言い方事務局機能強化ということが盛んに言われておるんですけれども長官としては、将来原子力行政というものを本当に一本化をしていくということと、さらには原子力委員会というものが日本における原子力開発利用の最高と言ったらいいでしょうか、政策を決定するきわめて重要な任務を負っているという面からも、一元化をするという観点に立っての一本化構想というものは必要じゃないかと思うんですが、この点については一体どのようにお考えになっているのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  6. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いま原子力行政の一本化というお話でございますが、私も十分その御趣旨についてちょっとわかりにくい点がございますんですが、原子力委員会原子力行政二つのいま改正になりますとなるわけでございますが、そういうことを含めての一本化でございましょうか。大変失礼ですが……。
  7. 吉田正雄

    吉田正雄君 原子力行政懇談会答申が出されておりますし、それに先立っては有澤私案なり中間答申なり、まあ中間答申というものが最終的には答申になっておるわけですけれども、この私案なり答申の中でも原子力行政一元化ということが言われておるんです。ただ答申段階と、それから現在の改正案内容を見ますと、一元化という言い方はしておりますけれども実用炉許認可等についてはこれは通産だと、それから船舶炉については運輸省である、研究炉等については、研究段階では科技庁であるというふうなことが言われているわけですね。そうして安全規制等についても、第一次的にはそれぞれの関係省庁が行って、安全委員会は二次的にダブルチェックを行うんだというふうなことが改正案趣旨だと思うんですね。そういう意味では本当の一元化ではないじゃないか、各省庁ばらばらにまたがっているという点で。そういう点ではここの私案に述べられておる内容というのは、将来、こういう言い方をしているわけですけれども、一々読まなくても私案内容はわかっていると思うんですがね、そういう点で「当面は、」という言い方答申は述べているわけですけれども、将来一元化という構想ですね、たとえばいまの科学技術庁というものを原子力と言ったらいいんでしょうか、原子力省なり庁なり、そういうふうなものにして、それぞれ分散をしているそういうものを一元化をしていくという考え方があるのかどうかということをお聞きをしているのです。
  8. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) ごもっともな御質問でございますが、なかなかこれはむずかしい問題であろうかと、私の私見としては考えます。したがって、ここで一元化した方がいいか、あるいは現状でもう少し実際の状態を見た方がいいのではないか、これについては私もここで簡単に一元化がいいとも、あるいはそれが絶対のものだということもちょっと申し上げかねるような、率直に覆いまして、段階でおります。
  9. 吉田正雄

    吉田正雄君 その次に、この前、資料として原子力委員会及び原子力安全委員会組織というものと、安全行政体制というふうなもの、これまあいただいたんです。この説明を若干受けたんですが、時間がなくて十分お聞きできなかったので、きょうお聞きをいたしたいということにしてありますので、その点についてお聞きをいたしたいと思うんですが、この組織図といいますか、これを見ると、法改正ができた後の新しい組織図があるわけですね。これについて御説明を願いたいと思いますけれども、御説明を願う観点として、次の点に特にお答えを願いたいと思うんですが、この組織図とそこに書かれておる配置をされたスタッフの数、専門委員の数というものを見ますと、私は果たしてこれで十分に安全行政体制というものが確保されるのかどうかという点できわめて疑問に思うわけです。特に通産省運輸省にお聞きをいたしたいんですけれども、少なくともここで示されておる案を見る限りにおいては、非常にスタッフとしては脆弱と言っちゃなんですが、余り強力ではないんじゃないかという感じがするんですね。口の悪い人はよく、今度の法改正がなされても本当に必要な専門的なそういうスタッフというのがなかなか得られないんじゃないかと、特にここに書かれてあるような専門委員の数ですね、こういうものでは今日の国民批判にこたえるとか、国民の側に立ったという安全行政体制としては力不足ではないかと、まあこれはまたこの行政組織法との関係もあるわけですけれどもお茶くみ職員だけふえたんでは困るんじゃないかという実は声も聞いておるわけですね。私もこの案を見て、このスタッフではまだ不十分だという感じを免れないわけです。そういう点で、特に第一次的に実用炉許認可権を持っておる、またそのチェックをする大きな責任を負っておる通産省運輸省としては、この改正案で十分にやっていけるのかどうなのか、そのことをお聞きをしたいと思うんです。  それからさらに、この安全委員会所属スタッフというものと、これは専門委員を含めてですけれども、とりわけ専門委員の場合にその点が私は重要だと思うんですが、通産なり運輸省なりの関係機関職員なりスタッフ専門委員とダブるということは、これはもうダブルチェックをするという精神からしても極力避けなけりゃならないし、またそうあってはならないというふうに思うんですけれども、この点についてどういうふうな配慮が行われるのか、その点についてお聞きをしたいと思うんです。そういう点で、「むつ」問題で指摘をされておったように、形式主義というものを避けて、本当に実効の上がるこの機構の整備、人材確保ということが私はきわめて重要だろうというふうに思うんですね。まずこの点についてお聞きをしたいと思うのです。
  10. 武田康

    政府委員武田康君) 新体制のもとでの通産省体制を御説明さしていただきます。  通産省におきましては、従来から安全規制体制強化に努めておりまして、これは従来から詳細設計以降、運転に至るまでの安全規制担当していたという経緯からでございますけれども、昨年七月には原子力発電安全課というのを新設いたしまして、そしてまた増員も図ってきたところでございます。  さて、今回の法改正に伴いまして、安全規制行政体制一貫化ということで、実用発電炉に関します安全審査は当省の責任で行う——第一次審査でございますが——ということになるわけでございますが、それに伴いまして、私どもといたしましては、現在ございます原子力発電安全課をいわば二つ分割いたしまして、これは仮称でございますが、第一課、第二課ということで課をふやし、また現在、安全審査担当統括安全審査官というような、いわば課長クラス責任者でございますけれども、これが現在一人おりますが、今度の一貫化に伴いましてこれを三名増員して四名にする、そのほか安全審査官等につきましても増強を図りまして、合計十六名をふやしまして、現在四十八でございますが、それを六十四と、これは原子力発電関係担当中央におきます総数でございますが、というような要員の充実を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。なお、いま十六名の増員ということを申し上げましたが、実は勘定の上ではそのうち十三名が、現在科学技術庁において実用炉安全審査担当されているメンバー——審査関係でございますが、それに相当するということでございまして、いわば振りかえのようなかっこうでございます。したがいまして、今年度ということで考えます限りにおきましては、現在原子力委員会科技庁でなさっておられます安全審査業務を、頭数という点だけに着目いたしますと、十分対処できる数でございます。ただ、将来に向かって申し上げますと、来年以降、原子力発電所の数もふえていくことかと思いますし、また安全の確保という面につきましては十分な努力をしなければいけないわけでございますから、これで組織なり頭数、定員の拡充が皆将来に向かって完了であるということではございませんで、業務の実態の増大に応じまして今後とも一層の充実を図っていかなければいけないというのは当然でございます。  なお、安全審査、先ほどのように、課の数がふえ、総括審査官責任者の数がふえ、また、安全審査会の数がふえるという数合わせのみでは十分なことができないわけでございます。そういったメンバーのいわば能力向上が必要でございまして、これにつきましても、過去十数年来、私ども詳細設計以降、それから安全審査の一次審査につきましても、原子力委員会科技庁のなさっている審査内容につきましてフォローしてきたところでございますが、一方、発電所の現物につきましてもいろいろ勉強し、また監督してきたところでございます。そういった経験を踏まえ、またいろんな、能力向上、研修の機会等々を利用いたしまして、いままでも努力してきたところでございますが、今後ともそういった人材の養成というのにつきましては、一層また努力していかなければいけないと考えているところでございます。  そのほか、原子力の安全問題は非常に専門的な高度の問題もございます。したがいまして、従来からも専門先生方にいろいろお知恵を拝借するというようなことでやってきたわけでございますが、その点につきましても、今後とも充実していきたいというふうに考えておりまして、以上総合いたしまして、この改正法が通り、実用発電炉につきましての規制一貫化された状態におきまして、現在科技庁原子力委員会がなさっておられます一次審査も含めて、それから従来私どもがやってまいりました建設以降運転に至ります規制につきましても、それも含めまして十分自信を持って対処していけるというふうに思っている次第でございます。
  11. 吉田正雄

    吉田正雄君 科技庁所管の方の原子力安全委員会では幾つ専門委員会というものが設けられておるわけですね。総計で百七十五名という一応予定を立てておいでになるようなんですけれども通産ではあれですか、専門委員会、これは第一次のこの安全審査をやって許認可をやろうというわけですから、少なくとも原子力安全委員会の抱えておると同等のそういう機能というものがなければいけないわけですから、それらの各専門委員会についてはどのようなことになっておるんですか。
  12. 武田康

    政府委員武田康君) ただいま先生の御指摘各種専門部会は、恐らく原子炉安全専門審査会とか、あるいは核燃料安全専門審査会原子炉安全技術専門部会放射線モニタリング中央評価専門部会等々をお指しになっているかと理解いたしますけれども、そのうちの大部分につきましては、いわば今度の法改正の後では原子力安全委員会が、きょう現在では原子力委員会がそのお仕事としてなさっているものが大部分でございまして、ただ、今回の法改正に伴いまして通産省の方で責任を持って一次審査をやる原子炉安全審査につきましては、これは、私どもとしてそういうファンクションを持っていなければいけないわけでございまして、それに相当いたしますのは原子炉安全専門審査会、これは現在もそうでございますし、法改正後の名前もそうでございますが、それに相当する組織であろうかと思います。それにつきましては、先ほどの御説明で非常に簡単に申し上げたので不十分でございましたけれども、従来から、高度の専門知識をお持ちになる学識経験者の方々二十数名の先生方、私ども詳細設計以降運転に至りますまで、いろいろな問題点が起こってきて、その問題点行政部門として判断いたしますときに、知恵が足りないという部面につきましていろいろ知恵を拝借している顧問先生方がおられるわけでございますが、そういった機能、これがちょうど安全専門審査会先生方能力にいわば相当するかと思いますが、そういった部面につきましては、先ほども申し上げましたように、顧問会充実強化を図っていく。そうして、一次審査につきましても十分カバーし得るような体制にしていきたいということで、現在その細目を詰めているところでございますが、これが相当するわけでございまして、現在二十数名の方にお願いいたしております。私どものいまの考え方といたしましては、今度規制体制一貫化ができますと四十数名にしたいということで考えておりますが、これが相当するわけでございまして、その人数というような点でいきますと、ほぼ同等なものではないかと、こう考えているわけでございます。
  13. 吉田正雄

    吉田正雄君 人数が多いだけがいいということを私は言っているわけじゃないんですけれども、しかし、少なくとも、第一次審査を行って許認可をやろうという通産としては、現在二十数名の専門員の方を委嘱をしてある、これを倍程度にふやすということなんですが、いまそこのお手元にもあるような、安全委員会の方のこれだけの専門審査会があるわけですが、これにそれぞれ匹敵するような専門委員会なり、審査会というものを想定をされておるんですか。いまの説明ではちょっと内容がはっきりしない。私はこれにそれぞれ相当するものが通産としても構想せられるべきではないかというふうに思うんですけれども、その点はどうなっているんでしょうか。
  14. 武田康

    政府委員武田康君) 私の理解しておりますところでは、先ほどの各種専門部会の中に、たとえば放射線モニタリング中央評価専門部会だったかと思いますが、そういったもの、いわば放射線モニタリング評価というのは、これは実はちょっと担当が違いますので、あるいは私誤解があるかもしれませんけれども、いわば横断的に適切な基準を決めて評価し実施すべきものがモニタリングかと存じますけれども、そういった業務は、今回の法改正に伴いまして通産省に移管されるというものとはちょっと違っておりまして、従前どおり原子力委員会、今度でいえば安全委員会でございますが、そういうところがそのお仕事としてなさるものではなかろうかと理解しておるわけでございます。そういう区分をいたしまして、今回の安全規制行政一貫化に伴いまして、原子力委員会科技庁から当省が責任を持って引き継ぐべき事項に該当するような部門につきましては、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、同等のいわば先生方をお願いするというようなことに現在段階で考えておりますし、また、なっておる、こう思うわけでございます。  一方、ただ、原子力委員会、あるいは今回できます安全委員会各種部会がいろいろ御検討になって定められる基準、あるいはその考え方というようなものは、規制体制一貫化が行われましても、現在でも同様でございますけれども、私どもとしては十分尊重してその趣旨に従って個別の規制行政等々をやっていくわけでございまして、そういったところで検討なさいました成果、これは私どもとしてもそのまま利用さしていただく。これは実用発電炉について通産省責任を持ってアプライしなければいけない部分についてでございますが、これは当然でございまして、もちろん成果は活用さしていただくわけでございますが、私どもがみずからの責任でみずからやらなければいけないという部分につきましては、現在のところ私どもとしては、いま考えております体制自信を持ってお引き受けできるんじゃないかと、こう思っておるわけでございます。
  15. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの説明ではちょっとやはり不十分じゃないかと思うんです。通産がやる場合に、何も原子炉だけであるとか、燃料だけであるとかだけではなくて、やはり放射性廃棄物の処理が最終的にどうなされるとか、初めから終わりまで一貫したものを通じての審査でなければいけないと思うんですね。そういう点から見ると、いまの説明では不十分ですし、それからお互いに得られた技術というものを相互に交流をしていくという点については、当然なされなければいけないと思うんですが、そのことと、安全委員会が独自の立場からさらにダブルチェックをやっていくということになるならば、やはり通産通産として、第一次的に全部のそういうものをやり得る体制というものが私はなければいけないんじゃないかと思うんです。科技庁のものを借りてきて何かやるというふうなお仕着せ的な部分があったのでは、本当の意味での自主的なという点、あるいは安全委員会自身のその中立性なり独立性というものが失われていくんじゃないかという点で、どうもいまの説明聞いておっても、まだはっきり構想が何か固まってないような感じがするのですけれども、まだ法案が通らないんだから、法案が通った後でじっくり考えていくというお考えなのかもしりませんけれども、もうちょっとわかりがいいような、何かこういうふうなものがあるのですか。たとえばどこには何人くらい——これは科技庁にもお聞きしたいと思うのですが、原子炉安全専門審査会核燃料安全専門審査会については人数書いてありますが、あとのところには人数書いてありませんね。総計が百七十五名。これは後で説明をお聞きすればわかると思いますが、また主管課がどこになるかもあわせてお聞かせ願いたいと思うのですけれども、そういう点でもうちょっと——私の質問もどうも悪いようでして、なかなかのみ込めていただけないと思うのですが、のみ込みの悪い私に、もうちょっとわかるような説明をやっていただきたいと思うのです。
  16. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 若干私の方から補足させていただきますが、原子力安全委員会が発足いたしますと、ただいま先生指摘になられた、あるいは通産省の方から出ておりました環境モニタリングのあり方、あるいは廃棄物の処理の方針であるとか、こういうものは安全委員会が安全を確保する政策として方針を決定いたしまして、その決定するまでには、先ほど御質問の中にございました、安全委員会専門委員等を使って技術的な検討を踏まえた上で決定をするわけでございますが、それを各省庁が行う施策の方針として示すわけでございます。その方針につきましては、ただいま通産省が御答弁しましたように、環境モニタリングのあり方について電力会社を指導する、また科学技術庁においては、科学技術庁の所掌する研究開発段階にある炉等のものにアプライしていく、そういうような行政の流れになっていこうかと思います。  したがいまして、安全審査上のいわゆる行政庁の行う安全審査につきましては、通産省あるいは運輸省、また私どももそうでございますけれども、行政ベースとして安全審査をまずいたすわけでございます。そこで必要な技術的な知恵を、私どもの場合は専門委員等を活用できるわけでございますが、通産省の場合は顧問会というのを設けて、そこにお知恵を拝借しておるというのが実情でございます。また安全委員会の方は、その審査が済みましたものをダブルチェックするということで、安全専門審査会、これは法定にさせていただいておりますが、そこでダブルチェックをするという形になるわけでございます。したがいまして、通産省等がダブって安全専門審査会以外の専門部会を持つことは、当面私どもは必要ないというふうに考えておるわけでございます。  安全委員会のそういうような専門部会の事柄を、全省庁を統一して安全委員会がそういう仕事をするのが、安全委員会の権威を高め、また今回規制一貫化ということで三省庁に権限を分けたわけでございますが、その安全の規制確保を図る、斉一化をするというようなところにおいて、安全委員会の重要な役割りが、こういう下部組織を持つことによって、また安全委員会の活動が十分行えるということで、斉一化を図っていくというふうな趣旨で私ども体制を考えておることをちょっと補足させていただきたいと思います。
  17. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの説明を聞きますと、私は非常におかしいことになるんじゃないかと思うのですね。実用炉の場合には、通産なり運輸省なりに、一次的な安全審査の問題からそういうものを全部行わせるということなんですから、   〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕 それはそれぞれ個別に行われるということなんですよね。何も原子力安全委員会通産省にかわって、肩がわりをして審査をやるということじゃないわけですからね。したがって、通産通産なりにそれなりのスタッフを持って、それなりの審査というものをやっていくということになるのですが、いまのまた牧村局長の話を聞いてますと、何か通産原子力安全委員会の持つ専門審査会のようなものをダブって持つ必要はない——ということになってくると、一体どこでだれがそういう審査を行うのですか、通産としては。これは説明の聞き方が悪いのですか、どういうことなんですか。もうちょっと詳しく言ってください。
  18. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 説明があるいは悪かったのかもしれませんが、通産省安全審査をいたしますときに、顧問会というのを持っておるわけでございます。そこで学識経験者の方の技術的な知恵を拝借しておられるわけでございます。こういうものを持つことは必要であろうと思っております。しかし、私が申し上げましたのは、その他の環境モニタリング専門部会であるとか、廃棄物の対策を考える専門部会というようなものは、安全委員会業務としていろいろ検討して方針を出して、それを行政庁に示されたときに、その方針に従って各行政庁が行う、そういうような仕事安全委員会はいたします。したがいまして、原子炉安全審査につきましては、安全委員会審査会とは別に、各省庁がそういう組織を持つということは必要であろうと思います。その他の横断的に児なくちゃいけないものがあることをちょっとつけ加えて申し上げたわけでございます。
  19. 吉田正雄

    吉田正雄君 安全委員会が安全に関する基本的な政策や、指針や、基準等を統一的につくるということはだれも否定していないし、そうなきゃいけないわけですよ。しかし、その安全審査委員会がつくった基準に基づく具体的な審査は、それぞれいま言ったように通産、運輸と分かれてやるわけでしょう。分かれてやるわけですから、それぞれの省庁において責任を持ってそのことを行い得る機構なりスタッフが必要ではないですか。したがって、ダブルチェックという言葉じゃないですけれども機構的に見た場合には、あるいはむだがあるかもしらぬけれども、ダブりの同じくやれる体制というものが通産省なり運輸省なりになければいけないのじゃないかということを私は言っているのです。  そういう点で通産と運輸にお願いをしたいのですけれども科技庁の方からは大体こういう組織図というものをもらっているわけですよ。だから、先ほどの説明では、顧問会であって、二十人が今度は四十人ぐらいにふえるとか、何かどうもまだはっきりしないのでして、どこまでのことをやられるのか、もうちょっとわかりのいいように、次回までに、こういう図式化をしたものでひとつ説明をしていただきたいと思うのですね。どうもいま幾らやりとりをやっても何か抽象的ではっきりしない面があるんでね。私の質問がどうもおかしいのでしょうかね。
  20. 武田康

    政府委員武田康君) 後でそのわかりやすいような図をつくりたいと思います。  なお、一言補足させていただきますと、先ほど先生指摘の新しい安全委員会にできる六つの専門部会、八つでございましたか、そのうちの私どもダブルチェックに直接関係されるのは原子炉安全審査会であろうかと思います。そのダブルチェックに直接関係される原子炉安全審査会に相当する組織は、私どもでは顧問会と、こういうわけでございまして、対応する組織を持つわけでございます。  なお、ほかにいろいろな部会、専門部会等々で——先ほど先生指摘がございましたその基本的な指針なり、フィロソフィーなり、そういうものを安全委員会がお決めになるわけでございます。その基本的な指針なり、フィロソフィーなり、それは私どもにも与えられまして、そのもとで私どもは実用原子炉、実用発電原子炉にかかわります第一次安全審査を当通産省責任で行います。その責任で行う過程で顧問会先生方の意見を聞く、知恵を借りるということでございまして、その結果は安全委員会に提出されまして、そして安全委員会の方では、安全委員会並びに安全専門審査会ダブルチェックをなさるということの対応ができているわけでございます。
  21. 吉田正雄

    吉田正雄君 一つだけ幾ら聞いてもあれですが、具体的に聞きますと、たとえば原子炉安全技術専門部会というのが従来も原子力委員会の中にあったわけですね。今度の安全委員会の中でもそのまま設置をされていくわけですけれども、これと同じような専門審査会専門部会というものを通産では持たないわけでしょう。
  22. 武田康

    政府委員武田康君) 私ども同じ名前の専門部会を持っておりません。ただ、私どもが行政上の処理をいたします場合に、いろんなかっこうで技術基準を、これはまあ法律のもとでの省令でございますが、技術基準を持っております。それから一方、原子炉に関して申し上げますと、原子力委員会、きょう現在では原子力委員会がお決めになったもろもろの指針、それをもっと具体的にブレークダウンしなければいけませんが、そういったものをベースにして、そして審査をいたすわけでございます。したがいまして、私どもはその部会を持っておりませんけれども審査のベースになります指針なり、これは基本的なのは安全委員会でお決めになりますが、それをもう少しブレークダウンしたものを私どもなりに持ち、それを具体的に言えば、物によりましては省令で決める技術基準というようなものになったりするかと思いますが、そういうものをつくることは必要でございまして、そういうことをつくるというようなために必要な措置はもちろんいたすわけでございます。しかし、先生の御指摘のような専門部会という名前のものを持っていくということではございません。
  23. 吉田正雄

    吉田正雄君 運輸省からも見えておりますでしょうか。——運輸省ではどのような考え方に立っておいでになりますでしょうか。
  24. 赤岩昭滋

    説明員(赤岩昭滋君) 運輸省におきましては、原子力船の安全確保、これは非常に大事なことだということはわれわれも重々存じておるわけでございます。御審議願っていますこういう法案が成立いたしますと、実用原子力船につきまして、原子炉規制法に基づきます安全審査運輸省の方で一貫してやるということになるわけでございます。これに対応して、運輸省といたしましても万全の体制をしいていかなければならないと考えておるわけでございます。  現在、「むつ」が建造途中で放射線漏れの事故を起こしているわけでございますが、この「むつ」につきましては、原子力安全委員会にお諮りした上でのことになりますけれども、これは研究開発段階原子炉を積んだ船であるということになりますので、原子炉規制法での規制科学技術庁の方で一貫して行われるということになろうかと思います。したがいまして、「むつ」の後に出てまいります実用原子力船というものが運輸省で一貫して担当するということになろうかと思いますが、そういう原子力船が出てまいりますのには若干これから——いま直ちにということでもございませんので、本日、現段階で、このための組織ができているというわけじゃございませんが、原子力船の具体化してまいります段階で、この安全規制審査等の新しい任務に十分対応できるような体制を整え、人員の整備を図っていくというふうにしたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、体制を整備するに当たりましては、何といいましても、それに従事いたします職員といいますか、要員の確保が非常に大事だと思いますわけでございますから、この関係人材の養成につきましては、運輸省といたしましても、従来から原子力研究所とかあるいは海外への留学というようなことで、設計専門の研修を行わせるとか、あるいは科学技術庁原子力部局との間の人事交流をやって具体的な原子力行政の実務の経験を積ませるというような対策を講じてきておるわけでございますけれども、これにつきましても、今後とも一層この充実を図って人材の養成を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  25. 吉田正雄

    吉田正雄君 いままでの通産とそれから運輸省の答弁を聞いておっても、十分な安全審査が行い得る体制というものをどうもつくれないんじゃないかという不安をぬぐい切れないわけですね。本当に第一次的に通産なり運輸がやるんだということになるならば、安全委員会が持っておると同等機能というものを持たなければ私は十分だとは言いがたいと思うんですね。基準をつくる等ということについては、それはこの安全委員会の方で統一的につくるということはいいですよ。しかし、とにかく許認可権を持つわけですから、安全審査を第一次的に行うわけですね。そういう点ではそれなりのスタッフというものをやっぱり抱えて、それなりの機能というものを持たなければいけないと思うんですね。だけれども、どうも先ほど来の説明を聞いている限りでは、多くの部分安全委員会におんぶをしていくという部分が私は見られると思うんですね。そういう点でいささか不安が残るわけですね。  そこで、私は長官にお聞きをしたいと思うんですけれども、いま言ったような通産運輸省体制のもとで、許可というものとそれから規制と安全というものの両方を兼ねてやるという点については、やはり問題が残るんじゃないかと思うんですね。そうして、さらにダブルチェックという言い方だけれども、大部分のこの安全審査については安全委員会の方にゆだねる、科技庁の方にゆだねるというどうも傾向になっていくようにうかがえるわけですね、いままでの話を伺っておりますと。そういう点で、やはり一元化と言いながら、通産や運輸に安全審査をも任せるということは、むしろ、一元的でなくて、二元的になっていくという危険性があるんじゃないか。また、原発推進の立場に立っている通産運輸省そのものが規制の面もやはりあわせ備え持つということ、このことがいままで批判をされてきたわけでしょう。批判をされてきたから、安全行政についてはもっとしっかりしたものにしようという趣旨であったにもかかわらず、現実に出された改正案では、そこのところがまた、かえって、もとのもくあみというよりも、批判とは逆の方向に行く危険性というものがあるんじゃないかというふうに思うんですね。この点については、長官としてはどのようにお考えになりますか。私は妥当ではないと思うんですけれどもね、その点……。
  26. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いろいろ、先ほどから、お尋ねやら答弁を承っていたわけでございます。  私どもといたしましては、当面、一元化ということで、それぞれの通産省なり運輸省なり、ないしは科学技術庁なりにおいて、一応この安全審査を行うということに考えているわけでございますが、これについては、私どもとしては一応通産省運輸省を御信頼いたしまして、必要な万全の体制をとっていただくように考えているわけであります。  いま具体的にどれだけのスタッフが必要であるかないか、これらについては私も明言はいたしかねますけれども、もしこれでは不足であるということが私どもの判断で明らかになれば、これは、御承知のように、われわれ原子力行政担当する責任的な役所といたしまして、そういうことのないように必要な充足はしてもらって、一応完全な安全審査ができるように努めてまいるということも考えておりますので、   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕 そういうことで支障なく一次的な安全審査をやっていただく、こういうふうに考えているわけでございます。  それからいま一点は、開発専門というか、どちらかと言うと開発を推進する立場にある通産省等の官庁、行政機関が安全審査をするのは適当でないというような批判、あるいはそういう批判の余地が生まれてくるということでございます。これは従来いろいろなことも問題に取り上げられたようでございますが、しかし現在の段階におきまして、いやしくもこの原子力発電所の問題を取り上げます以上は、これは何といっても安全の確保ということがもう基本的な大前提でありますことは、これはもう、適当な言葉ではありませんが、天下等しく認めているところであり、認めなければならぬ点でございますから、開発ということを担当する行政官庁でありましても、その安全審査につきましては、このような基本的な認識をやはり第一に持ってこれに当たっていただくものと、こういうふうに私は理解いたしますので、その点も私は、御心配がないとは言いませんけれども、そういう御懸念のないように——ないと思いますが、御懸念のさらにないように、われわれやはり原子力行政立場から厳にそれを担保できるように努めてまいらねばならぬ、そういうふうに一応考えて差し支えないと考えるわけでございます。
  27. 吉田正雄

    吉田正雄君 改正案が実際に成立をして、具体的に動き出した状況を踏まえて、この問題についてはさらにまた論じていきたいというふうに思いますが、私の心配についても十分御理解はいただけると思っておりますので、そういう点ではまさに行政懇の答申なり、そういう立法の精神というものを本当に生かす機構というものにぜひやっていただきたいと思うんですね。  それに関連して、次にまたお聞きをしたいと思うんですけれども、軽水炉については確かに商業用段階には入っておりますし、実用段階には入っておりますけれども、しかしいまだ完成されたものではないということは、いままで多くの故障なりが起きてきたという実情からも明らかなとおりですし、技術的にも多くの問題点指摘をされているわけです。したがって、研究開発分野というものがいまだ多く残されているわけですね。つい最近のGEと東芝、日立の共同研究開発というふうなことも、現在の軽水炉というものがまだ必ずしも安全性が十分でないというところからきておると思うんですね。そういう点からいたしまして、単に行政面のみで一元化をしたとか、一本化をしたというふうな今回の機構改正だけでは、私は十分この課題というものをフォローし切れないと思うわけです。そして、そのことは多くの識者からも指摘をされておるだろうと思うんですね。  特に私は科技庁の皆さんにこの点についてはお願いをしておきたいと思うんですけれども、原研なりあるいは動燃事業団なりというところで働いておる多くの現場科学者の意見というものが十分に一体吸い上げられてきたのかどうなのか、必ずしもそうじゃなかったんじゃないか。私が聞いているところでも、原研——動燃の方はよくわかりませんが、原研等でも労働組合もできておるようですし、科技庁当局にもいろんな意味でいままで要求書等も行ったんじゃないかと思うんです。私はいままで残念ながらノータッチできたんで、その辺の詳しいことはわからないんですけれども、しかし、私がちらっと聞く程度でも、現場の人たちの意見というものが果たして十分反映をされたかどうか、そういう点疑問に思うわけですね。  一例としては、良心的な発言をした人であるとか、あるいは原子炉の事故例等報告をしたというふうなゆえをもって、まあ不当な取り扱いといいますか不遇な処分を受ける、あるいは行政処分までには当たらないけれども厳重注意を受けるとか、こういうふうなことが行われて、現場の人たちの伸び伸びとした意見というものが抑えられてきたということがよく言われているわけです。そのことは、私はやはり自由な交流であるとか学問の進歩発達とか、あるいは安全行政体制の確立にとって決してプラスにはなっていないと思うんですね。  そういう点で、それらの指摘について、一体どのように受けとめておいでになるのか。いやそんなことはなかった、十分現場に働いておる人たちの、現場科学者の意見も十分尊重してきたということなのかどうか、いやまだ不十分であったということなのかどうか、その辺どのように受けとめておいでになるのか、まずその点お聞かせ願いたいと思うんです。
  28. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原町半価、動燃当局と私どもとは、定期的に連絡会を持ちまして、いろいろ情報交換等をいたしておるわけでございまして、原研並びに動燃の組織内における外種の意見といったふうなものは、そういう連絡会の場を通じて私どもの耳にも入り、また私どもの意見もその連絡会を通じまして両組織に入っていっておるというふうに考えておるわけでございますが、御指摘のような、良心的な発言をしたために不当な扱いを受けたといったふうな事例というのは、私ども直接思い当たるものはないわけでございますが、この両機関における職員というのは、服務規程に従って律せられておるわけでございまして、この原研の理事者側がそういったふうな規程にかかわらず不当に研究者等を扱ったといったふうなことはないのではないかというように考えております。
  29. 吉田正雄

    吉田正雄君 私の聞いているところでは、そういう例があるということで、原研首脳部はその点をやはり反省をすべきじゃないかというふうなことを現場の人たちは言っているわけですね。それが科技庁にまで上がってきていないということになると、そこにもうすでにパイプが詰まっているような私は感じがするんですけれども、この点については私も具体的にここでいまどうこうという資料も持っておりませんから、これ以上その点については触れませんが、しかし、そういう声があることはこれ事実ですので、そういう意見というものを今後十分ひとつ行政の中に生かしていただきたいということを、これはぜひお願いをしたいと思うんですね。  それに関連をいたしまして、私は特にこの資金という問題に関しまして、科技庁としてといったらいいでしょうか、原子力委員会としていったらいいんでしょうか、いろいろなことが指摘をされてきておりますね。行政懇談会でも、四つの点を挙げて、安全体制は必ずしも十分でなかったということを言っているわけです。そういうことで、政府として今日までのこの安全体制がどうであったのか、どういう問題点があったのかという、総合的な調査研究というものを行われて、そういうものが取りまとめられておりますでしょうか、どうでしょうか。
  30. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 主として行政懇で出ました意見等についてどういう処置をとったかということでお答えいたしたいと思いますが、確かに「むつ」問題等々の問題からいろいろ反省を求められておるわけでございます。  その一番大きな問題として、原子力安全行政上における行政官庁の責任体制が不十分であるということがまず一番大きく挙げられたかと思います。  それから、わが国原子力の開発利用を進める元締めである原子力委員会が、ややもすると開発に偏り過ぎておるのではないかと、そういうような観点から、安全性がなおざりになっておるかもしれぬというふうなことでの国民の御理解を得る上での問題点指摘された。この二つの点が一番大きいかと思っておりますが、このことにつきましては、まさにいま御審議をいただいております安全委員会の設置、あるいは行政への一貫化ということでの法案にして出しておるわけでございます。  そのほか細かい点につきまして、安全上の問題で申し上げますと、「むつ」問題で端的にあらわれました点に関しまして、従来原子力委員会が設置の許可の安全審査をしておるわけでございますが、これが基本設計の段階だけしかやっていないという点が非常に大きな問題点であったかと思います。この点につきましては、すでに行政懇等の指摘を受けまして、現在の原子力委員会におきましても、基本設計の審査をして、設置許可をした段階以降の重要問題につきまして、すなわち発露炉でございますと、通産省が行政をそれ以降やっておるわけでございますが、その重要なものにつきましては、すでに原子力委員会におきまして、重要事項を指摘したものについては通産省から報告を受け、またその審議をする、あるいは、かねて軽水炉に多発いたしましたトラブル、故障等につきましても、逐次報告を受けて安全審査会において検討をするというふうな経過的な措置もとっておる次第でございますが、今後におきましては、安全委員会設置後は、そういうふうな点につきましては、すでに衆議院の方で御審議いただきましたときに附帯決議等をいただいて、設置許可以降の重要事項についても十分安全委員会として審査すべきであるという御指摘もいただいておることを踏まえまして今後、万全を期してまいりたい。そのほか事故、故障の発表、あるいはそのような事態が起きたときの地方公共団体との連携、そういうような問題につきましても、かねてより安全局長名、あるいは原子力委員会の指示を受けて、所要の措置を設置者等にして安全の規制強化を図る、あるいは地域住民の理解を得るための必要な措置をより十分していくというようなことでの行政指導を強めておるつもりでございます。そのようなことを踏まえて、今後も十分な安全規制体制を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 吉田正雄

    吉田正雄君 その説明説明でいいんですけれども、もう一つ私が聞きましたのは、政府として今日までの原子力の安全性のいろんな問題等について取りまとめをされましたかということを聞いているんです。私は前の、ずっと前になりますが、例のエネルギー収支について、そういう資料があるかどうかというふうなことをお聞きをして、政府ではそれは取りまとめてなくて、政策科学研究所でその取りまとめが行われておったということで、その資料についても二種類——二種類じゃないんですけど、中身は同じなんですが、要約した結果だけと、それにバックデータをある程度つけたものと、こういうふうなものができておったわけですね。これは科技庁の委託によって行われたものかどうか、多分そうだろうと思うんです。ですから、そういう民間の研究所なりでいろんなものが行われておる。ところが政府がそういう調査について必ずしも行ってないということでは、私は一国の原子力行政をあずかる当局としては、ちょっとまずいのじゃないかという感じがしたわけですし、また、その資料についても私たちが欲しいと言っても、秘密でもないと思うのですけれども、なかなか資料というものがわれわれのところへ回ってこない。まさに公開の原則に反しておるし、民主的な運営に反しているんじゃないか。しかもそこに国の研究助成費というものが流れておるならば当然に公開をすべきなんですが、公開もよくされてないということなんですね。もちろん私はいただきました。最終的にはいただきましたけれども、そういうことがあるわけです。したがって、いまお聞きしているのは、そういう安全性についての総合的な調査、研究というものを科技庁として行われて、そういうものが取りまとめられておりますかということを聞いているのです。取りまとめたか、取りまとめないか、その点だけまずお聞かせください。
  32. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生の御指摘趣旨が必ずしも私どもつかみ切れないでおるわけでございますが、私お答えいたしましたのは、いろいろな安全性についての御批判等を承ることにつきまして、政府の責任として改正しなくちゃいけないような問題点につきましては、できるだけ直ちにそういうような貴重な意見等、あるいは指摘等については改善するような努力をしておるということを申し上げた次第でございまして、個々のものを必ずしも全部取りまとめてみるというような調査活動をしておるわけではございません。ただ、科学技術庁といたしましては、むしろ科学技術庁よりも原子力委員会としては、毎年原子力年報というものを刊行しております。そこにおきまして、過去一年間原子力委員会が行いましたことにつきまして、安全上の問題も含めまして取りまとめて公表するというようなことで、先生のおっしゃる一部のことについては、外部にそれを発表するということで取りまとめられていようかと思いますが、すべてのことを調査したということはございません。
  33. 吉田正雄

    吉田正雄君 そうすると、民間の研究所なり団体なりでそういう調査研究が行われて、一応まとめられているということについては御存じですね。
  34. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 事安全研究の問題につきましては、原子力委員会の中に安全研究を推進する機関を下部組織としてつくっておりまして、産業界、原研、動燃等の各界、あるいは国立の研究機関の専門の方々に集まっていただいておりまして、それらの研究等は十分評価していただいて、それを踏まえて次年度以降どういうふうな研究を進めるかというようなことでの審議が行われておりますので、そういう場で集約されて、次の新しい計画、あるいは計画を進めるに当たっての反省をしておるというふうに私どもは考えております。
  35. 吉田正雄

    吉田正雄君 これは後ほどまた出てくると思いますから、この問題はこの程度にしておきたいと思うのですが、これは科技庁だけでなくて、通産に対しても私は言いたいと思うのですけれども、秘密のないところにかえってすべてのものを秘密にしていくという、そういう行政の性格というものがあるのですね。本当に秘密を持っている行政という場合には、それ以外のものというのは公開をし、文書等についても別段どうということはないのですけれども、秘密が余りないところに限ってあらゆる文書というものを秘密にするという、そういう悪いどうも習慣があるようなんです。そういう点で私は、特に原子力行政の場合については、少なくともまだ研究段階であるというふうなものはとにかくとして、すでに取りまとめられた文書等については、当然資料請求があればこれは公開をしていくべきだと思うんですね。その点についてはどうですか。
  36. 武田康

    政府委員武田康君) 私ども原子力行政の一部を扱っているわけでございますけれども、一例を申し上げますと、たとえば原子力発電所の事故、故障、トラブル等で新しい事象等起こりますと、これは事象を兄、それからデータを調べ分析し評価しまして、物によりましては原子力委員会まで御報告するようなこともございますが、あるいは私どもだけでまとめてしまう場合もございますけれども、いずれにしましても評価し、結果をまとめまして、まとめたものについては公表する。公表の手段はいろいろございまして、たとえば新聞に流すというような公表の仕方もございますし、あるいは何かメモのかっこうでまとめてどなたにでもというようなこともございますし、いろんなやり方ございますけれども、そういうようなことをこの二、三年来、より一層確実にといいますか、広く広げてきたのが実績でございます。これは一つの例でございますけれども、たとえば何かよそとのネゴシエーションをしているという過程で取引上——取引と言うとおかしいんですが、駆け引き上の問題等があるような場合に、これはとてもちょっと公表というわけにはまいりませんけれども、ある結果がまとまりましたような段階で、まとめてできるだけ広く国民の方々にわかっていただくというような意味でオープンにしていくというようなことを従前からやってきておりまして、今後につきましてもそういうやり方をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  37. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いま大体通産省からお答えしたところでございますが、ことさらに秘密にしているというようなことはないかと思いますが、しかし、一部にそういうふうな印象を受けるような点があるとすれば大変遺憾であると考えるわけであります。どうもいろんなたくさんの事例でございますのでなかなか徹底しかねる点もあるかと思いますが、秘密は一部のきわめて限定されました企業関係であれば、これはあるいは理由を示しましてその由も申し添えますが、大体なるべくひとつそういうものは明らかにして、そして秘密にしているんだという印象、そういうことは積極的にそういう印象をお与えしないような今後とも道を進むべきではないか、このように考えておりまして、私どもに関します限りはそういう御印象を与えるようなことはしないようにさせていきたい、このように考えております。
  38. 吉田正雄

    吉田正雄君 それでは次に大きな二番目として、原子力安全委員会所掌事務についてお伺いいたしたいと思います。  まず第一点として、原子力利用に関する政策のうちの安全の確保のための規制に関する政策に関することですね、これはどのような内容、範囲になっておるのか、日本の場合には、アメリカ原子力委員会やあるいは規制委員会等に比較をして、非常にまだいろんな指針なり基準というものが整備をされておらないということを聞いておるわけです。したがって、現在ある指針であるとか基準であるとか、そういうものが一体どういう種類のものがあるのか、これを明らかにしていただきたいと思うんですね。たとえて言うならば、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」というふうなものが原子力委員会から出されているわけですね。さらにこれらに類似をしたいろんな基準なり指針というものがあると思うんです。そういうものが一体どれだけあるのかということと、その資料というものを実はいただきたいと思っておるんです。そのことは安全行政なりあるいはいろんな技術向上、そういう点にとって、もちろんこんなものは秘密でも何でもないわけですから、そういうことでこの資料というものを出していただきたいと思うんですが、まずその点についてお聞かせを願いたいと思うわけです。
  39. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 安全審査基準あるいは指針というものについての整備の状況でございますが、これは原子力委員会が発足後常にこの整備について努力をしてきておるわけでございます。したがいまして、アメリカと比べて云々と、まだ不十分ではないかという御指摘ではございますけれども、その点につきましては軽水炉が輸入の導入炉であったという点もあろうかと思いますけれども、今後はたとえば安全性の研究というものをいま盛んに強化しております。それらの成果を入れましてその基準強化を図っていきたいと考えておりますし、新しくできる安全委員会の非常に大きな役割りだと考えておる次第でございます。  そこで、いままでのすでに原子力委員会が決めました指針につきましては、七つの基準あるいは指針が原子力委員会決定で行われておりまして、それらのものにつきましては原子炉等の安全審査におきまして十分活用されておるところでございます。また、この中身につきましては、すでに委員会の決定のときに公表しておりますと同時に、外部の方の便のためにも本になって刊行もされておる次第でございます。したがいまして、先生の御要請あればいつでもお手元にお届けできるものでございます。  そのほか、原子力委員会の下にございます安全専門審査会では、まだ指針になっていない段階ではございますが、一つ審査の内規と申しますか、まだ部内的な基準、そういうようなものを幾つか持っておりまして、これは逐次いろいろなデータが重ねられますとそういうものが指針になってまいるものもございまして、審査ではそういう内部的な指針的なものも含めて安全審査を進めておるということを一言申し添えさせていただきます。
  40. 吉田正雄

    吉田正雄君 この指針なり基準というものをつくっていく際の手順とか手続とか、そういうものについてちょっとお聞かせ願いたいんです。
  41. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在の体制で御説明申し上げますが、現在原子力委員会の下部機構として原子炉安全技術専門部会というものを持っておるわけでございます。ここで学識経験者専門委員を集めまして、ここで安全審査に必要な基準類の検討を行っておるわけでございます。
  42. 吉田正雄

    吉田正雄君 今度両委員会に分かれるわけですね。したがって、統一した安全に関する基準等については、これはまあ科学技術庁といいますか原子力安全委員会でつくられるということになるわけですけれども、これは通産、運輸と関連して、たとえば原子炉に関するこの安全審査以外の基準とかあるいは指針というものが必然出てくると思うんですね。そういうものと、この安全審査委員会の方のそれらの指針なり基準というものが事前に十分相談をされるとは思うんですけれども、矛盾するようなものが出る心配がないのかどうかですね、いやもともとそんな基準とか指針というのは通産や運輸はつくらないんだということなのかどうか、その辺も含めてお聞かせを願いたいと思います。
  43. 武田康

    政府委員武田康君) いまのお話の中で、安全審査以外の基準ないし指針というお話でございましたので、ちょっと私誤解があるかもしれませんが、私の理解するところに従って申し上げますと、従来の原子力委員会あるいは改正後新たに新体制に移って以降の原子力安全委員会では、基本的な指針なり基準なりはお決めになるであろう、こう推定しているわけでございます。ところで、当通産省のケースで申し上げますと、今後担当いたしますのは、基本設計、安全審査から始まりまして運転まででございまして、いわば基本的でない細かいことになる、私ども何らかの物差しを持たないと判断できないようなケースが起ころうかと思います。すでにそういった部分につきましては、現在でも私ども技術基準と称するものを持っておりまして、たとえば原子力発電所のこのパートはこういうような構造でなければいかぬ、こんなような強度を持っていなければいかぬというようなことがその中で考えられているわけでございます。そういったような意味では、今後とも原子力安全委員会がいろいろ検討なさる基本的な指針なり基本的な基準なりというものをある意味では非常にブレークダウンしたようなもの、これは私ども自身がつくっていかなければいけないケースが起ころうかと思います。そういった場合に、それが基本設計の審査にそのままアプライされるかどうかは、これはちょっと物によって違うかと思いますけれども、仮に基本設計から運転まで一貫して相互にフィードバックするものでございますので、相互に影響すると仮定いたしましてお答え申し上げますと、ある意味で、先生指摘のように、安全委員会が考えている以外のもの、形式的には以外のもの、それで私ども安全委員会の基本方針の範囲内と理解するもの、こういったような物差しを私どもが使いましていろんな判断をする、こういうことが起こり得るわけでございます。その場合に、それじゃ困るかどうかという点でございますけれども、私どもの意図は、基本的に違うものができるということでございませんで、ただ私ども安全委員会のように大所高所から御判断になるのと違いまして、個別の現物を扱わなければいけないので、現物を扱う意味でそういうものを持たなければいけない。考え方としては安全委員会の基本的なその考え方の範囲内でございますが、基本設計段階でもし食い違いが起こるといたしますと、これは私ども行政部門として第一次審査をいたしまして、許可をしようとするときには安全委員会の御意見を伺うわけでございまして、その段階で、おまえたちの考えていることは安全委員会で考えている基本的な考え方と食い違いがあるという御指摘をいただくことになるだろうと思います。御指摘をいただければ、その御指摘に従いまして私ども考え方を直すというようなことが起こり得るかと思います。ただ、私どもそういうことが起こることを目標にやっているんではございませんで、今後私どもがやるべきことは、仮に安全委員会が基本的な考え方はこうであり、基本的な指針はこうであるという御判断をお示しになれば、その趣旨に、沿った、もし必要であればその趣旨に沿った細目を自分たちで用意するということで、食い違いの起こらないかっこうのものが——事柄が安全の問題でございますので、食い違いの起こらないかっこうのものを私どもがつくることになると思います。  ただ現実問題として、もし私どもの理解が、不十分なところがあれば、先生指摘のように、食い違った面が起こる可能性がゼロではございません。それはダブルチニックの過程で、実用発電炉のみでなく、全体をごらんになる原子力安全委員会から、当然私どもに間違いという御指摘があり、あるいは直せというお話があり、それに私どもは従う、こういうかっこうでございます。やや仮定の話で申し上げたので、非常にわかりにくい答弁だったかと思いますが、私どもはそういうことが起こることを期待しているわけじゃございませんで、起こらないことを期待してはおりますが、しかし私どもに思い違いがあれば、そういうことが起こり得るということを申し上げただけでございます。
  44. 吉田正雄

    吉田正雄君 時間の関係もありますので、いま七つの指針、基準があるというふうにおっしゃったんですが、その七つというのはあれですか、第二号で言う「核燃料物質及び原子炉に関する規制のうち、安全の確保のための規制」ですね。こういうものや、あるいは「障害防止の基本に関すること。」、さらには「放射性降下物による障害の防止に関する対策」、これらのものひっくるめて七つということじゃないと思うのですけれども
  45. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま私申し上げましたのは、原子炉安全審査基準でございます。したがいまして、先生おっしゃいましたことは、別にいろいろなものが、別の基準なり、指針なりは当然ほかにあるわけでございます。たとえばモニタリングの指針というようなものも別にあるわけでございます。
  46. 吉田正雄

    吉田正雄君 そこで、特にこの障害防止の場合ですね、現場労働者の被曝の問題が盛んに言われておりますから、これらの問題についても、より厳格なものをこれからつくっていく必要があるんじゃないかというふうに思いますので、この二号、三号に関するこれらの資料等についても後ほどいただきたいと思うんですが、特にこの「放射性降下物による障害の防止に関する対策」についてですけれども、これは私は単に一発電所としての観点のみから考えていくと、これは大きな誤りを犯すことになるんではないか。これからどんどん世界的にやはり原子力発電所というものがふえていくというふうな傾向を考えますと、やはり全地球的な立場に立っての考え方でないとよくないわけですし、さらにまた、現状だけではなくて、この放射能の半減期がどれだけである等を考えますというと、将来の、きわめて長い将来にわたっての蓄積するその放射線被害というものを考えていかないと、これは人類の生存という面から見ても非常に大きな問題を残していく。将来の人数という観点から考えるならば、やはり安易な基準というものは許されない、そういうふうに私は思うわけです。そういう点で、現在の基準というものが、まあ一昨日の参考人を呼んでの意見陳述の中にも若干その点について触れられておりましたけれども、現行基準で私は十分だとは思わないんですけれども、この点について検討され改善をしていくというお考えがあるのかどうか、まずお聞かせ願いたいと思うんです。
  47. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 主としてわが国の放射線の被曝の線量基準について御質問であったかと思いますが、当然、国際放射線防護委員——ICRPの勧告を踏まえてやっていくという姿勢は今後も——国際的にも認められた機関の勧告でございますので、その姿勢を崩す必要はないものと思っております。ただ、ICRPの勧告の中にも、先生指摘のように、できるだけ国民の受ける被曝量は少ない方がいいんだということを言っておるわけでございまして、そういう線からは、すでに基準とは別に目安線量というようなものを、たとえば原子力発電所の場合は周辺の一般住民の許容量は五百ミリレムではございますが、たとえば軽水炉でございますと五ミリレムに抑えるとかいうような、いわゆるALAPの思想と申しますか、できるだけ少なくしていくという思想は当然とりつつ、安全審査等に当たってその考え方を進めておるわけでございまして、そういうような観点からの目安線目黒あるいは指針というものを技術的な進展に応じて逐次改正し、できるだけ被曝量を減らしていくというふうな努力は今後も安全委員会の重要な仕事であろうかというふうに考えておる次第でございます。  また、先ほどの御指摘の中に、全地球的にも考えるべきだということでございますが、直ちにそういうようなことを日本独自でやることが可能かどうか、いろいろな問題があろうかと思いますが、すでに国連の科学委員会では、こういう国際的な場を踏まえまして、全地球的な原子力の平和利用に伴います問題をすでに審議している場もあるわけでございます。積極的にわが国としてもこれらの機関に専門家を派遣するなどいたしましてその活動に参画する、また、その成果を十分注意して見ながら安全規制の方にフィードバックするというような姿勢は、これからも安全規制担当する安全委員会におきまして、恐らく国際的な見地からもそういう点を重視して御活動をいただけるものと確信しておる次第でございます。
  48. 吉田正雄

    吉田正雄君 一昨日、佐藤委員からもちょっと触れられたんですが、温排水についての基準ですね、まだできてないというふうなたしか答弁だったと思うんですね。それはいつまでに一体つくられるのか。実は私、この温排水の影響について調査をしたある学者から詳しく話を聞いたんです。ちょうど私たちが原研へ視察旅行に昨年行ったときにも、いや、温排水が出たらかえって魚がよけい寄ってきたなんという話もあったんですが、確かに調査によれば、特定の魚が寄ってきて特定の魚がいなくなるということがその結果でも出ているんですね。私が聞いた学者の調査結果でも出ている。ただし、それは高級魚がいなくなっちゃって安い魚が寄ってきたような悪い例なんですね。さらに、どの程度の一体放射線が出ているのか、影響があるのかという点について、実は漁民の代表からも、その結果を正直に発表しちゃったら、そこの魚というのが全部売れなくなってしまうということで、その調査結果はむしろ発表できないんだというふうなことも言われておるわけなんですね。そういう点で、この温排水の問題というのはこれから非常に重要な問題だと思うんですね。とりわけ最近、これは何も原発だけじゃないんですが、海洋汚染というのが云々されておりますし、この間のテレビ放送にもありましたように、南極のペンギンが魚がいなくなっちゃって、いわゆる海洋汚染による——これは何も原発だけでなくて、いろんな汚染なんですけれども、魚がいなくなっていまペンギンの絶滅が心配をされているというふうな、非常に大きな海洋汚染の問題というのがいま出てきているわけですね。そういう点からも、私はこの温排水基準についてはやはり早急につくっていくべきだろうと思いますし、それは一地域のみでなくて、やはり海洋全体汚染というものを考えてのやっぱり基準設定でなければいけないんじゃないかというふうに思っているんですね。その点についてのお考えをお聞きしたいと思うんです。
  49. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 温排水の問題につきましては、先生指摘の点、確かに重要なことであろうかとわれわれ認識しておるわけでございますが、原子炉から排出いたします温排水による熱の影響につきましては、これはただいま先生もおっしゃられましたけれども、火力発電所であるとか、その他の工業プラントであるとか、そういうものと共通する問題でございまして、確かに原子力発電所からもそういう点では温排水が出ておるわけでございますが、いまの法律のたてまえから申しまして、原子炉規制法による安全審査につきましては、この温排水というものが対象になっていない。ただ、温排水にまじりますごく微量の放射線に対する影響を審査するたてまえになっておるわけでございます。この点につきましては、環境庁と申しますか、公害対策基本法の関連の法規でいろいろなされており、その関連におきまして基準の問題が決められるべくいろいろ研究が進められておるというふうに承知しておるわけでございます。しかしながら、原子力発電所をつくる場合には原子力施設として当然その温排水の影響というのが問題になるわけでございます。いまの行政の進め方からいきますと、その点につきましては通産省の方で環境審査が行われておるわけでございまして、それを公等基本法絡みの法令で処理しておるのが実情でございます。したがいまして、現在のたてまえで原子力委員会におきましてはそれをなおざりにしておるということではございませんで、そういう別の体系の法規に基づきます通産省の行いました熱の影響につきましての審査の状況というものを十分聴取いたしまして、それが地元に受けられるものというようなことの確認を得た上で安全審査の結論を出すというたてまえにしておる次第でございます。この関係は、したがいまして原子力安全委員会が発足いたしましても、その関係は変わらないわけではございますが、われわれの規制法上の問題としては、温排水に含まれる微量の放射性廃棄物等の影響、これはなおざりにできませんので、それにつきましての影響の調査あるいは必要な研究開発、これは今後とも強力に進めて万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  50. 吉田正雄

    吉田正雄君 この安全規制チェックについて、従来は設置許可の段階までしか安全審査はタッチできなかった、しかし今度は設置許可から運転管理まで一貫してチェックをするという体制ができるわけなんですけれども、たとえば、これは原子炉の事故だけでなくて、温排水の問題等も含めて大きな問題が出たときに、単なる勧告と言ったらいいんでしょうか、運転を中止することが望ましいというふうな状況が出たときには、一体第一次的にはだれが判断をし、また科技庁というか安全審査委員会がそういう判断をしたときに、その勧告というのは、衆議院の附帯決議によれば、勧告というのは、そういう意見というのは尊重しなきゃならぬ、尊重するということはその勧告なりというものを守っていくことだというふうなことがあるわけですね。したがって、その運転中止等の極端な場合ですけれども、そういう場合は安全審査委員会としても出せるのかどうなのか。これはやはり通産なり運輸省なりになるのかどうなのか、その点お聞かせ願いたいと思うんです。
  51. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のように、従来基本設計段階審査によりまして設置許可を与えまして、それ以降原子力委員会審査をしていなかったことは事実でございますが、「むつ」問題以来のことを踏まえまして、行政懇の指摘もございまして、現在、詳細設計以降の重要な事項については報告を受けられるようなシステムをつくっております。で、この法律改正におきまして、衆議院段階でさらに強い報告徴収の権限を安全委員会並びに原子力委員会に与えられたわけでございますので、十分その辺の、運転までにまたがります重要な事項についてはチェックすることになるわけでございます。そこで、いろいろなトラブルと申しますか、事故等が起きて、これは原子炉をとめた方がいいというような、そういう事態が起きましたときには、その技術的な内容は当然安全専門審査会で議論され、それが安全委員会に上がってこようと思います。その際に安全委員会がとめた方がいいというような御判断をもしお持ちになり御決定があれば、当然そういう意見を各省庁に申し述べるという形になろうかと思います。その際、当然それは各行政機関において十分尊重され、また尊重されなくちゃいけない問題だと、かように考える次第でございます。
  52. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃ時間が参りましたので、残された部分は次回に回すとして、当初に申し上げましたように、三番目の資料だけは、これは出していただけますね。今日までの安全審査の各項目日時、それから専門委員出席状況というものと、耐震設計基準というものと全発電所審査内容、こういうものをいただきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  53. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) できるだけ——できるだけと申しますよりもお出ししたいと思います。ただ、どういうふうにまとめるかとか、いろいろ御指摘の中身には細かい点も含まれると思いますので、その点につきましては先生に御相談しつつ提出させていただきたい、かように考えます。
  54. 吉田正雄

    吉田正雄君 それじゃ私、時間参ったようですから、一応きょうの分はこれで終わります。
  55. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、まず最初に安全局長にお尋ねいたしますが、今回の原子力基本法の改正の主眼点がいろいろあるわけですけれども、主なる点は二つの点があると、このように衆議院でも答弁をなさっていると聞いておるわけですが、その二つの点とはどことどこであるのか、簡単で結構ですから。
  56. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 大きく分けまして、現在の原子力委員会を二分割いたしまして、新しい原子力委員会原子力安全委員会、この二つに分けることでございます。それで、原子力安全委員会原子炉等の規制に関する業務を中心に安全確保関係業務を所掌し、その他は原子力委員会が所掌するということでございます。  もう一点は、現在の原子炉等の規制は基本設計の段階での審査を行いまして設置許可という行政行為がございますが、これを内閣総理大臣が行いまして、その他の詳細設計審査以降の許認可につきましては行政庁が行っておるわけでございますが、それを設置の許可から詳細設計以降の許認可に至りますまで、それぞれの炉の区分に従いまして主務大臣が一貫して安全規制を行うということでございます。その際、新しくできる安全委員会は行政庁の行う安全審査ダブルチェックするという仕事の流れをつくりまして、安全規制に万全を期するというふうな体制に変えることが今回の主要な改正点でございます。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私はこういう今回の原子力基本法の改正などは、一つの手続論的な観点からの改正であると。しかしそういう手続的な問題と、それともう一つは、やはり原子力発電あるいは原子力の平和利用そのものの本質的な未解決の問題、こういう大きく分ければ二つの問題があるんじゃないかと思うわけであります。したがって、今回の改正はそういう手続の上の改正であって、これによって原子力発電のいろいろ本質的なこれから解決をしていかなければならない問題が解決したわけではないと、私はそのように理解をしているわけでありますが、科半技術庁の見解はどうでしょうか。
  58. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のとおりであろうかと思いますが、制度を変えることも私どもは非常に重要なことだと思っておるわけでございます。たとえば「むつ」の問題が起きましたときの行政責任のあり方ということで、現実問題としていろいろ世間の批判を受けたわけでございますので、少なくともそういうようなことを今後はなくしようというのがこの法制の非常に大きな改正でございます。  なお、こういう制度ができたからといって、それがうまくファンクションしなければ何にもならないという御指摘に近いお言葉かとも思いますが、それはおっしゃるとおりであろうと思いますので、私どもこの法案が通りました暁には、科学技術庁科学技術庁なりに、安全委員会事務局としての立場あるいは研究開発段階原子炉規制立場、これは使い分けて仕事を進めなければなりませんけれども、全力を挙げて新しい体制が十分機能するようにいたしたい。また設置の権限が通産、運輸に移るわけでございますが、その両省におきましても、私どもと同じような考え方で進めていただけるものと思いますし、またその辺の統一的な指導等は安全委員会が十分行わなければいけない問題だと、かように考えておる次第でございます。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回の法律案は、そういう手続の改正でございますので、本日はこの法案を中心にいろいろ質問したいと思うわけでありますが、しかし同時に、本質的な未解決の問題の解決もそれ以上に重要ではないかと思うのであります。  今日まで温排水の問題とか、あるいは稼働率の問題とか、いろいろなことが当委員会でも議論されてきたわけですが、私は現在の原子力の平和利用の上で、最も科学技術庁として政府として取り組んでいかなければならない問題は何かと、これはいろいろあると思うのですがね、現在の科学技術庁として最もその中で必要であると考えている問題はどういう問題であるのか、それだけちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  60. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私、安全局長の立場から、大変むずかしい御質問なので、お答えさしていただきたいと思うんでございますが、この原子力開発につきまして、いろいろ御理解をいただいてない状況にあることが、一つ重要な原子力開発に当たりましての大きな問題だろうと思います。その理由の中に、やはり原子力の安全に対する国の姿勢と申しますか、国の安全対策あるいは規制の仕方、こういうものにつきましていろいろな御批判があることも事実でございます。これはこういう入れ物と先生おっしゃられましたけれども組織改正によりまして十分それに実を入れることでございますが、そういう十分な国が責任を持つで安全の規制を進めていく、またそれに対応して、設置者等が十分な配慮をもって施設の建設、運転をやらせしめるようにする、こういうことによりまして、原子力発電所でございますれば原子力発電所というものが十分に規制されて、安全に動きその実績を上げておるということを実証すると申しますか、ということが国民の理解を得る上での一番の近道ではないかと、かように考えますので、私どもこの法案の成立をまちまして、ぜひそういう形での責任を十分感じつつ万全な規制体制をとり、規制業務に励んでいきたいと、かように考える次第でございます。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点は原子力局長はどうですか。
  62. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原子力の平和利用を進めるに当たりまして、国内問題と対外問題と両面あろうかと存じますが、まず国内問題につきましては、現在審議をお願いしておりますような、この規制体制等の整備を含めまして、原子力の安全という問題について、いま一段国民の理解と協力というものが必要なわけでございますので、この面につきまして、このような体制面のみならず、あらゆる施策を動員して一層の推進を図る必要があると考えております。  それから、最近の原子力平和利用問題の非常に大きな特徴というのは、むしろ、国際環境への適切な対応を図らなければならないという面にあろうかと存じますが、米国の核不拡散法の制定でございますとか、あるいは現在進められております核燃料サイクル評価の計画といったふうな、わが国原子力平和利用というものが、核不拡散強化という大義名分のもとに——これが、大義名分の間はよろしいのでございますが、いささか行き過ぎまして、不当にわが国原子力平和利用というものが損なわれてもまたいけないわけでございますので、こういった国際的な動きに対して、核不拡散強化という国際社会の一員としての責務を果たしながら、しかも適切に対応していく、これは最も重要な問題ではないかというふうに考えております。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま両局長が言われたことは、間違いではないわけですが、私の認識とはいささか違うわけでありまして、やはり住民の協力が得られない——まあしかし、なぜ協力が得られないかという本質的な問題をやっぱりもう一回考えていかなければいけないんじゃないかと思うんですね。それは手続論もあるけれども、それだけではないものもあると思うんです。先般、当委員会で参考人の方のお話を承ったときに、核アレルギーという言葉に対しまして、ある参考人は、こういうことはよく注意して使ってもらいたい、核アレルギーというのは、あのビキニ事件のときにアメリカにおいてダレスが、日本人は、久保山さんが死んだのは放射能の障害だと言うけれども、それは肝臓障害で、日本人は核アレルギーになっているんだと。その根底には、やっぱり、原子力というものは本当は安全なんだと、無知な人が反対をしているんだという、こういう言葉がその裏にあるから、核アレルギーという言葉を軽々しく使うな、ということを参考人の人が言われたんじゃないかと思うんです、がね。  私は、いまの両局長は、いずれも、住民の理解、協力が必要である、また国際的なそういう問題、これも確かに大事なことだと思うんですがね。しかし、たとえばこの低線量放射能の人体への影響の問題、あるいは廃棄物処理をどうするかという問題、こういう点がまだ言うなればはっきりとわからない点が非常に多いわけで、こういう点において本当に住民の方々に理論的にすぱっとやはり納得させるような、そういう論理がまだないわけで、ちょっと突かれると非常に痛いところも私はあるんじゃないかと思うんで、このあたりをやはり解決していくことが非常に大事であると、私はそう思うんですが、その点についてのそういう認識はあるのかどうか。その点はどうでしょうか。
  64. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 確かに先生指摘のように、低線量の人体に及ぼす影響、これは学問的にすべて解決されているわけではございません。しかしながら、原子力利用が当初はX線の利用から始まりました歴史を持っておるわけでございますが、この問題が起きましたときから、先ほども申し上げましたが、ICRP——国際放射線防護委員会でございますか、これは放射線を利用するということでの非常に長い人間に対する影響を審議してきた世界的な学術機関でございまして、そこで原子力利用に伴います人間に対する放射線の影響問題を勧告なりしておるわけでございます。私どもの基本的な立場は、ICRPの勧告されたそれぞれの目安線量と申しますか許容線量というものは、それなりに非常に長い歴史の研究の上に立った問題ではございます。しかしながら、御指摘のように、ごく微量の放射線の人間に対する影響がなお解明されていないということでの問題点があるわけでございます。したがいまして、できるだけ私どもの方は法的な基準を定めておりますけれども、それでその基準はいいんだという姿勢をとるべきではないというのが現在の考え方でございまして、可能な限り技術的に、あるいは若干の経済的な不便はあっても、技術的に可能な限りそれを低めたもので規制していくという考え方をとって安全審査あるいはその他の規制に留意しておる次第でございまして、万一にもそういうことで地域住民の方に放射線による影響を及ぼすということはないものと確信しておるわけでございますけれども、なお学問的にそういう状態にあるわけでございます。これはほかの公害物質等よりも非常に研究はされておって、しかも非常に厳しいところで規制されるようになっておるわけでございますけれども、その点の御理解が全般的に得られていない面も実はあるわけでございますが、まあそれはそれといたしまして、先生指摘のように、その辺の研究をさらに十分進めるということをしつつ、なお技術的には地域住民の方々にそういう影響が及ばないような体制規制上とっていく、あるいは技術上といっていくという姿勢で御理解をいただくようにしてまいりたいと考える次第でございます。
  65. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題はきょうは次回に譲りたいと思いますが、ただ、今後公聴会もやる。やはり原子力発電所に反対をする人の中にはいろいろな人もいるわけでありまして、もちろんすぐれた科学者の陣営も抱えてそれなりの論拠に基づいてやってくるわけですから、ただICRPがどうのこうのということだけでこれからのそういう問題に本当に太刀打ちしていくにしては、私がいままで聞いている説明の範囲では非常によくないんじゃないか、こういうことでは結局は一つの権力によって、圧力によって推進していかなければいけない、こういう危険性が非常にあるんではないか。こういうことで、特に科学技術庁としても、廃棄物処理の問題あるいは低線量の放射能の人体への影響の問題等々についてさらに力を入れて解決に努力をしていただきたい、このことを要望しておきます。  それで、最近の新聞報道によりますと、アメリカの議会におきましても、廃棄物処理の方法がはっきりしないうちは原子力発電所の建設はすべきではない、こういうやはり報道もされておるわけなんですけれどもね。私は、こういう動きも謙虚に受けとめていかなければならない、そのためにも廃棄物処理対策等も確立すべきである、このように思うんですけれども、その点についての長官の決意をこの際承っておきます。
  66. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 先ほどから両局長が塩出議員の、大変失礼な言い方ですがメンタルテストを受けまして、余り及第点でも十分でなかったようでございまして、私も果たして先生の御満足いただけるようなお答えができるかどうかわかりませんが、お話のように、原子力発電所に関する現在特に重要な問題は何かというお尋ねでございまして、これにぴったりと当てはまるような適切なお答えはできないかと思いますが、やはり私どもの持論としております、これはもう先ほどからお話がありましたように、どうしても学問的に、絶対ここまでということの究明はさしあたってはむずかしい問題がたくさんあるわけであります。微量の放射能の人体に及ぼす影響といったような問題に関しましても、なかなかこれ絶対にこうだというふうな学問的な結論が生まれていない。また廃棄物の処分につきましては、当分はこれで差し支えないというふうに考えられても、これは決して絶対にそういうものであってはならぬので、もう十分どの点から考えても心配がないという研究の結果が早くあらわれなければ十分でない、こういうふうな点もあるわけであります。したがって、この安全性という問題につきましては、しばしば申し上げておりますとおり、この研究はもうこれでいいという段階はないわけでありますから、いろいろな研究の実績を踏まえまして、次から次に新しい、より安全な研究を推進していく、またいろいろな処置の研究というものを進めてまいらねばならぬ、これが第一であると考えておるわけであります。もちろん、住民の方々の、特に関係の地元の方々の御理解や御納得のいく方法につきましても、さらに十分いろんな点を検討しまして進めてまいらねばならぬと考えております。  それからいまの、アメリカの下院におきます廃棄物の処分が決定するまでは云々という決議でございますが、これも決してあだやおろそかに考えるべきではないわけでありまして、まさに塩出議員の御発言のとおりであると考えております。これにつきましても、十分えりを正して検討いたしますとともに、またこれに対するアメリカの対応と政府並びに関係筋の対応といったものにつきましても、今後資料をできるだけ早く集めまして、そしてわれわれとしての参考にしていかねばならぬ。要するに、謙虚な気持ちで安全性の確認、安全性の追求ということを進めていく、これがお答えになるかどうかわかりませんが、私の気づきましたことを申し上げる次第でございます。
  67. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 本改正案の成立によって先ほど二つの点が主眼であると、こういうようなお話でございましたが、私先般、当委員会における参考人の方々の意見等もお聞きして、この法案の内容等も研究してみますと、どうも機構いじりというか、余り体制は変更がないんじゃないかと、こういうような感じがするんですが、この法律が成立したときにいままでと違って一番変わるのは、非常に前進するのはどういうところですか、もう端的に言って。簡単でいいですから。
  68. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 端的に申し上げまして、原子炉安全審査につきまして申し上げますと、行政庁の行う審査安全委員会ダブルチェックするということでございまして、そういう意味安全委員会という非常に強い権限を持った諮問機関が政府の上に立つと申しますか、行政の外においてダブルチェックをするということが非常に大きな点でなかろうかと考えます。従来の設置許可を内閣総理大臣がいたしますときには、私ども原子力安全専門審査会が一体になってその業務を進めておりまして、そういう意味では、ある意味では何と申しますか、ダブルチェック的な機能が働いていなかった点がございます。そういう点等々も反省いたしました改正の大きなメリットでないかと、かように考えておる次第でございます。
  69. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、安全委員会というのは独立したものでなければならない、行政庁からも一つの距離を置いて、そして国民の方々から信頼されるものでなければいけない。今日までいろいろ原子力発電所の安全性の点について問題になってきたのは、安全を一体だれが判定するのかと、政府が幾ら安全だあるいは魅力会社が安全だと言っても、それ自体を住民が信頼をしなかったというところに問題があるわけで、そういう意味で行政庁から一歩離れた安全委員会ダブルチェックする。それならば、いままでの原子力委員会もやはり諮問委員会としてこれはやはり別個にあったわけでしょう。諮問委員会という点では安全委員会も前の原子力委員会も一緒だと思うのですが、それが一歩前進したというのはどこなんですか。
  70. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のとおり、いまの原子力委員会も新しくできます原子力安全委員会、確かに形の上では同じ地位にあろうかと思います。そこで先ほど私御答弁申し上げましたのが若干足りなかったかと思いますけれども、行政責任という問題を仮に考えた場合に、設置の許可は内閣総理大臣、それ以降は、発電炉でございますと通産省にいくわけでございまして、行政責任を明らかにした上で今度は一本化いたしますので行政責任が一本化するわけでございます。そういう組織をつくった上で、行政の上に立つと申しますか、横においてダブルチェックをするという形がとり得るようになったということでございます。そういう点を申し上げたつもりでございます。いままで原子力委員会で行っております安全審査は、科学技術庁とべったりひっついてやっておったのが現状でございますので、その辺の反省を申し上げたつもりでございます。
  71. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、通産省が行う原子力発電所あるいは運輸省が行う原子力船の認可ですね、これは確かに原子力安全委員会は、これは省が別ですからね、ところが科学技術庁がやはり試験炉は審査するわけでしょう。それをやはりダブルチェックするのも原子力安全委員会。そうすると、確かに原子力委員会から安全委員会が独立したわけですけれども、そのもとは、やはりその手足は科学技術庁職員ですから、一方においては科学技術庁長官の命令も受けなくちゃならない。そうなってまいりますと、しかし一方においては、やっぱり科学技術庁長官の方が——その人のポストを将来課長にするとか局長にするとか月給を幾ら上げるとか、そういうものは大体科学技術庁長官の方の線が強いわけですから、原子力安全委員会委員長の部下だといっても、やっぱり原子力安全委員長がそういう今後の待遇、身分の問題についてもチェックするんではないわけで、そういう点考えますと、私は一歩進めて、前々から言うように、安全委員会の独立性をさらに前進さすためには、科学技術庁職員が兼務するんではなしに、たとえば公正取引委員会のような、行政委員会にするとかは別としても、ともかくそういうある程度の専属のスタッフが必要ではないか。そうせいと言うのじゃないのですけれども、それはもう予算があるわけだから、それは局長がそうしたいと言っても、それはなかなかできないわけだけれども、その方がベターであるということぐらいは素直に発言してもいいんじゃないでしょうかね。
  72. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生の御指摘の問題につきましては、この行政改革を議論いたしました行政懇におきましてもいろいろ議論があったところでございます。そこで、私どもはその意見も取り入れて、いまのような案で法律の御審議をいただいておるわけでございますけれども、ここにおきまして、確かにダブルチェックをするところのファンクション、これはおっしゃるように、どこの役所にも属さないところがやった方がベターであるのはわかるわけでございますが、原子力安全委員会の所掌業務といたしましては、そのほかにも数々の重要な問題があるわけでございまして、その辺との、科学技術庁が所掌します仕事との非常に重複があるわけでございまして、現在のような行政機構の簡略化というような政府の方針のもとでございますので、なかなか新しい機構をつくるのもむずかしいことも事実でございます。  そこで、私どもいろいろ内部的な議論をいたしまして、少なくともこのダブルチェックをする仕事、それから安全委員会審査に当たりましての指針等をつくる仕事、これについては、科学技術庁機構の中ではありましても、できるだけべったりと安全委員会業務に密着する組織をつくりまして、ここには私どもの行う行政的な問題を処理させないというふうなつもりで、実は本年度の予算に、私どもの局の中ではございますけれども、安全調査室というのを認めていただきまして、法律改正後は直ちにそれが発足して、特に安全委員会が行いますダブルチェック業務はここにお任せする、われわれの行います規制は別の課で行うというようなことでの姿勢を示したつもりでございます。確かに、その辺、同じ役所の中にございますので問題を御指摘受けるかとも思いますけれども、そのほかの仕事は安全局がまた安全委員会のバックアップをしていかなくちゃいけないという事務局のこともありますと、行政効率上はそういういまの考え方で当面十分ではなかろうかというのが私どもの見解でございます。  おっしゃるように、御指摘の点よくわかるわけでございますが、それを行政の中の組織としてどう、何と申しますか、人数が大幅にふえないというようなことも考えつつやろうとした結果がこういう結果になっておるということも御了解願えればありがたいと思う次第でございます。
  73. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この問題は論議しておっても平行線でございまして、私としてはもうちょっと素直に、確かに塩出委員の言うとおり、そのとおりだと、しかしなかなか予算の関係でそうはいかないんだからこのあたりでひとつ勘弁してくれと——勘弁してくれというんじゃないけれども、現実の問題としてこの程度にとどめて一歩一歩将来に向かって強化していくと、アメリカ原子力委員会のように、先ほどのお話ではかなりスタッフも多いわけでございますし、そういう方向に努力するという、そういう率直な御答弁をいただいても何ら問題はないんじゃないかなと、ぼくはそう思っておるわけなんですがね。まあ安全局長の考えている意図もそう遠くはないと、そのように理解をして、もう時間がございませんので次へ行きたいと思います。  そこで公開ヒヤリングの問題ですが、やはりこれは法制化はしない、様子を見て法制化していく、こういうことなんですが、しかし私は、やり方等においてはそれは政令で定めて、きちっと法律で決める必要ありませんけれども、公聴会をやるということはこれは法制化をすべきではないか。いままでは実際は公聴会が、地元の知事さんからも再開をしないでほしいというような、そういう要望もあって中止になった例もあるわけなんですけど、私はやはり法制化をすべきである、こういう意見なんですが、これはどうなんですか。
  74. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在のような社会的な情勢下におきまして、でき得れば公聴会と申しますか、公開ヒヤリングというものは法制化すべきことであろうかと思いますが、先生ただいま御指摘のようなこと等もあって、私どもの方の公聴会の開催の仕方、あるいはそれをするに当たりましての地元の関係者とのお話し合いが十分でなかった面もあろうかと思いますが、不幸にして公聴会が開けなかった例もあるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、安全委員会発足後は、設置許可をいたしますときには、すべての炉について公聴会を行いたいというふうなことで、この安全委員会ができますと同時に、公聴会のやり方というようなものも非常に重要な仕事のうちの一つとして考えておりまして、ぜひそのやり方につきまして御決定をいただき、個々の発電施設における具体的な公聴会の進め方を一件一件、地区の特殊性もあろうかと思いますので、地元の方々とお話し合いしながら公聴会を進めていくというようなことを積み重ねまして、大体こういうことであれば公聴会というのはすべてのものに問題なく開けるというような、何と申しますか、固定化した段階でぜひこの公開ヒヤリングの制度を法制面に盛り込んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  75. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私がいただきました資料では、原子力発電所を設置する際には、すべて次の二次にわたる公開ヒヤリングを実施し、その定着化を図りたいと、そうしますと、たとえば再処理工場、あるいはウランの濃縮工場と、こういうものは原子力発電所とは違うと思うんですけれどもね。当然この原子力発電所という意味の中には、そういう放射性物質を扱う原子力発電所のアップストリーム、ダウンストリームも含めてすべて公聴会を開催すると、そういう方針であると理解していいわけですね。
  76. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のように、重要な他の原子力施設、再処理工場であるとか、濃縮工場でございますとか、新しく、いつごろできるかはまた別でございますが、当然その制度にならいましてやってまいりたい。ただ、そのやり方につきましては、法律体系の違い等も出てきますので、一次、二次をやるかどうか、その辺はいろいろあろうかと思いますけれども、それぞれの施設の特殊性に応じて十分な公開ヒヤリングをやってまいりたいと、かように考えております。
  77. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、一次、二次というのは、これは原子力発電所の場合は電調審というのがありますから、その電調審の決定の前に一回やる。それから電調審の決定した後にやる。最初の方は通産省が主宰をし、後の方は原子力安全委員会が主宰をしていくと、こういうことですね。  そうしますと、この原子力発電所の安全性という点から考えますと、立地というものが妥当であるかどうかということも、これは当然安全性の上の重要な、問題ではないかと思うんですね。そこで、通産省が主宰をしてその場所を決定をする、その後、原子力安全委員会が主宰の公開ヒヤリング等が行われるわけですね。そして、さらにそれをもとにして原子力安全委員会がその安全性について判断を下すわけですがね。その場合に、いわゆる電調審の決定が覆される場合もやはりあり得るわけですね。あるかないか。
  78. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) それぞれ独自の判断でやるわけでございますので、当然最悪の場合にはそういうこともあり得るかと存じます。
  79. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 本当にあるんですか。私は実は法律は余りよく知らないのですが、そういう場合はあり得るんですね。
  80. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) あり得ようかと思います。
  81. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、やはり公聴会の場合は、やはり公平な第三者が中心でなければいけないんではないか。いままで福島とか新潟柏崎等においていろいろ問題になったわけですが、公聴会開催そのものに対する不信感というのがあるわけですね。一つにはやっぱり通産省と電力会社というのは別個なんですけれども通産省から電力会社に天下りなんかしているし、どうしても、これはそういう例もあるわけでしょう。どうしても通産省は庶民の味方よりも電力会社の味方ではないかという——これは実際はどうか知りませんよ、そういう考えがあるわけでね。そういう意味で、公平な第三者が中心でならないとこれはうまく行かないんではないか。そういう点で、私は原子力安全委員会が第二次の公開ヒヤリングの中心になるというのは、まあ原子力安全委員会が不十分であるにしても、一応公平という立場から見ていいんですけれども、第一次の方はちょっとどうかなという、こういう感じがするんですがね。その点はどう思いますか。
  82. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生のただいまの御指摘ではございますけれども、私どもはいま考えておる方法が一番いいんではないかと思うわけでございます。  そこで先生の御指摘は、公聴会をやる人間が第三者の方がいいということではございますけれども、私どもはそう考えませんで、原子力に関する公聴会を、でき得べくんば対話方式をも含めてやりたいというふうに考えておりまして、そのためには、そういう地元の利害関係者からいろいろな御意見を承る者は、第一次の場合には設置許可を行う通産省が当然行うべきではないか。それから第二次は、原子力安全委員会が遊離省の諮問を受けて意見を主務大臣に出すわけでございますが、その審査を行う者が地域住民の意見を十分聞く、しかも、そこに対話を含めるというふうな形が一番いいんではないかというふうに考えておる次第でございまして、第三軒がやるというよりも、この方がむしろよろしいんではないかというふうに考えておる次第であります。
  83. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  この原子力基本法が成立した暁には、こういうものを実施するんですね。これはもうすぐやるんですか。それは決めるのは科学技術庁が決めるんですか。どういう形で、省令の形で決めるのか、その形と、それからいつ、いつからでもすぐやるのか、ある程度もう煮詰まっているのかどうか、まだこれから検討せなければいかぬということなのかどうか、その点どうなんですか。簡単で結構です。
  84. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私どもいま検討中でございまして、大まかな骨子は、行政懇談会からの考え方を受けて、大まかな形を現在検討中でございますが、これを決めますところは安全委員会がその実施要領と申しますか、を決めていただくというふうに考えております。それに基づきまして一次と二次の公開ヒヤリングをやっていくというふうに考えております。
  85. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 時期はいつごろになるんですか。
  86. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私ども事務局側考え方としては、安全委員会ができ、一貫化の法律が施行になった以降に、設置許可をしなければいけないものにつきましてはやってまいりたいというふうに考えております。ただし、すでに電調審などが終わっての問題につきましては、また特例等で考えなければいけない問題もあろうかと思います。
  87. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もう実はきょうは時間がございませんので、環境庁の方にも来ていただいておりますので、環境アセスメント法ですね、これはもう非常に二年も前から問題になりまして、私たちも、ぜひこういう環境を平前に予測評価をする、その内容を住民へ公開をし、しかも公聴会などによる住民参加、そういう意味の環境アセスメント法を早く成立すべきである、そういうことで公明党としても案をつくっておったわけでありますが、政府案はかなり後退に後退を重ね、公聴会などもだんだん削られて、しかも今国会どうなるかということで、どうも新聞紙上では、通産省ががんとして反対をしておる、こういうことのようでありますが、そのあたり通産省の御意見もまた後日、きょうは時間がないのでお聞きしませんが、環境庁としては今国会でアセスメント法は出せる見通しであるのか、その点はどうですか。
  88. 望月美之

    説明員望月美之君) 大変御心配いただきまして恐縮でございます。環境庁といたしましては、この国会にとにかく法案が出せますように、いま関係省庁の皆さんに非常に御真摯に御検討を賜って調整を急いでいるところでございます。私どもといたしましては、事務のレベルではいま最終の調整というような域を迎えておろうかというふうに思っておりますけれども、何といたしましても、やはり各種の開発事業に共通いたしまして、事前に調査をし、予測し、評価する、先生がお触れになりましたようなその結果を公表し、それに対する意見を求める、こういうふうな環境影響評価の手続面を定めたいとする発想のものでございますものですから、当然にこれの事業に共通して行われる手続がやはり実効が上がるようにいたすためには、現在あります各省庁さんのそれぞれの多岐にわたる事業手続があるものに何とかこれが織り込んで遂行できる、こういうことが一つ必要があるわけでございます。  もう一つは、やはり各種のすでに諸法がありまして、事務、事業が行われているわけでございますので、そういう法網度との調整ということも十分図る必要がある、そのことが結局実効のある制度になるのではなかろうかと、こういうふうな考え方でいま事務レベルで日夜調整に努めておるつもりでございます。  関係省庁さん、いずれもこの環境影響評価の必要性ということにつきまして、私どもとして見ますと、不定するところはないと思っておりますけれども、ただいま申し上げましたように、やはり法律制度という域になりますと、さらに詰めるべき点もまた多々あるところでございますので、鋭意私ども考え方も申し上げ、また各省庁さんのそれぞれ意のある御意見ということも十分お伺いいたしまして、これの調整を遂げ得るように努力をしておるというのが状況でございます。何とか御審議賜れますように、さらに帰りましても努力をしたいと思っておる状況でございます。
  89. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 時間がちょっと過ぎましたので、まあ、ひとつ通産省、環境庁、また科学技術庁等も協力をして、やっぱり本来の環境アセスメント法が速やかに成立をし、法制化されるように努力をしてもらいたい。このことを要望して質問を終わります。
  90. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、前回に続いて、今次法改正に先立つ問題として、政府が行う原子力行政国民の理解、国民的合意をどうつくり上げるかという問題が何といっても前提だと思いますし、そういう角度からいま一度「むつ」問題について幾つか御質問をいたしたいと思います。  前回以降の新しい事態として、先日来新聞にも報道されてますように、八日の日に「むつ」の総点検・改修技術検討委員会、いわゆる安藤委員会が核封印で「むつ」の修理可能だという答申を出されたということになっているわけでありますが、まず最初に、ちょっと基礎的なことをお尋ねをしておきたいんですが、いつから何回ぐらいこの検討委員会が開かれてきたのか。それからこれの委員出席状況ですね、いつもよく問題になりますので、ちょっと。
  91. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 今回の圧力容器の上蓋を撤去しないで総点検・改修を行うことの検討につきましては、五月の八日に一日検討したわけでございますが、その際に全委員が十五名のうち二名欠席がございまして、十三名が出席でございます。
  92. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、正式のこの検討委員会が開かれたのは一回だけということなんですね。  今回のいわゆる上蓋を撤去しない、核封印による改修というのは、従来科学技術庁が中心的に、何といいますか、提唱をしてなさった核つき改修とはどの点が改修工事としては違うのか、そのポイントですね、それをちょっと念のため……。
  93. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 従来長崎県地元に検討をお願いしておりました修理の方法と申しますのは、今回との比較において申し上げますと、圧力容器の上蓋上部の遮蔽改修の工事の進め方でございまして、従来申しておりますのは——圧力容器上蓋上部というのは非常に空間的に狭いところでございます。また各種の機器がいろいろ入り組んでいるところでもございますので、その作業性を考えまして、圧力容器上蓋上部の遮蔽改修をするに先立ちまして、上蓋を圧力容器から取り外しまして、船の外に持ってまいりましてこの上部の改修をする。そして上部の改修が終了した後に、上蓋を再度圧力容器の上に取りつけるという手順を考えておったわけでございます。  今回の新しい方式と申しますのは、この圧力容器の上蓋を遮蔽改修工事に先立って取り外すということをやめまして、大変狭い空間ではございますが、そこで圧力容器の上蓋をしたままで容器上蓋上部の遮蔽改修工事をする、こういう作業の工事の進め方の違いという点が唯一の相違点でございます。
  94. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうしますと、ただいま御説明になったような上蓋を外部へ一たん取り外す、その点の違いが出るということでありますが、実はかつて昭和五十一年の六月、長崎県側の質問事項に対して、科技庁運輸省の連名でかなり分厚い幾つかの質問事項に対する回答書を出されておりますね。その中の十九ページなどにも書いていますけれども、いまも触れておられましたように、圧力容器の格納容器の内部は原子炉の機器が複雑に入り組んで配置をされており、空間的に非常に狭いということで、「作業ミスによる他の機器の損傷防止」、「工事に必要な作業空間の確保」、こういう点に特別に留意をしなくちゃならないということで、「圧力容器上蓋を船外に取り出して、特定の区域で、追加遮蔽体の設置作業を行う。」ということが特に強調されてきた点でもありますし、また今回いただいておりますこの安藤委員会の結論の末尾に、当然従来そのようなことを主張をしておったこととの関係で、「機器の損傷を防止するため十分な措置」を講ずる必要がある、また「作業者に対する作業の習熟」を図る必要があるということが特別に付記を今回もされておるというふうに思うのですが、どうなんでしょうか、八日の検討委員会の検討の中で、従来とそういう作業手順が、工事の手順が変わるということに伴う事故防止という点で、十分な措置を講ずるその具体的内容ですね、あるいは作業の習熟を図るその具体的な内容、そういう点ではどういう点が話の中で出ておるのですか。
  95. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 御指摘のように、この委員会の結論に、「作業者に対する作業の習熟」とかあるいは「作業管理等には特に留意する」ということがうたわれておりますし、またこの委員会が承認いたしました事業団の検討の内容におきましても、施工上留意すべき点ということで大体同じようなことが書いてあるわけでございますが、これにつきまして、たとえばモックアップ等をつくって作業の習熟を図るとか、あるいは事前に訓練期間を設けまして作業員の訓練を図るとか、あるいは異物の落下等を防ぐために作業管理上ネットを張るとか、そういったふうなことをいろいろ検討して講ずべきであるといったふうな意見が出ております。
  96. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 異物の落下のためにネットを張るという話は出てますけれども、特別の訓練というのはどういう訓練をやるんですか。これ具体的に、実際に作業をやるどきにどれくらいの空間があるんですか。これはもう御存じのように、この報告書にも図示がされておるように、かなりのいろんなパイプが通っておるわけですね。非常に狭い空間。人間が同時作業をするのに、何人ぐらい同時作業ができる空間があり得ると思っておりますか。
  97. 山野正登

    政府委員(山野正登君) この胴の内径が約一メーター七十。それから高さが五メーター六十ぐらいございます。まあかなり狭いところでございますが、この作業自体、それほど多くの人間が密集して作業を行うといったふうな状況ではございませんで、恐らく三名ないし四名の人間がこの作業を行うといったふうなことになろうかと存じますが、その程度の人員ははいれる空間であるというふうに考えております。
  98. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 三名ないし四名、これ、はいれますか。実際に図を書いてやってみましたか。ここにも出てますように、この制御棒駆動軸の案内管の数が十二本、熱電対の取り出し管四本、ベント管一本。いっぱいパイプが立っておるという空間ですよ。
  99. 山野正登

    政府委員(山野正登君) この圧力容器上蓋上部の機器のうち、この遮蔽改修工事をするに先立ちまして、若干の機器というものは取り外すわけでございますので、現在のままではございません。上蓋は撤去しませんけれども、その上にある機器というものは若干撤去するものもあるわけでございますので、その程度の人員ははいれるというふうに考えております。
  100. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この問題だけ話しするのが目的ではありませんけれども、そうであれば、当初の核つき改修を行うという場合に、上蓋を一たん搬出をして工事をやった方がいいんだと、こういうことが当時かなり強力に主張されるということになぜ一体なったのか。わざわざ経費の上でも、それから作業量の上からいっても、そのことによる特別の負担が伴うわけですけれどもということで、どうも合点がいきませんけれども……。  もう一つの問題ですが、長崎県知事が、いわゆる制御棒駆動装置の電源スイッチのかぎを漁連の会長に預けるんだというふうに新聞に報道されておりますね。そういうことで、蓋をして封印、かぎをかけるんだから安全だと言わんばっかりの言い方がされているわけですけれども、この問題について、一つは、技術的検討もそういうことが安全確保の決め手の問題かという問題と、それから実際にかぎを漁連会長に預ける、この問題の可否の問題については検討があったのかどうか、その点どうですか。
  101. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原子炉運転モードスイッチのかぎとそれから制御棒駆動盤のかぎとは、これは現在県当局が話しておりますのは、県知事に管理保管していただこうという線で話をしておるわけでございまして、漁連会長に預けるということではございません。  それから、本件につきましては、これは、私どもはこのようなかぎをあえて第三者に管理保管をしてもらわなくとも、原子炉は冷態停止に保っていくつもりでございますので、何ら心配はないとは思っておりますけれども、しかし現地におきまして、さらにこの冷態停止という条件を安心をして確保していくという観点から、特に知事はかぎの管理保管をする方が地域住民の方々の理解が得やすいという御判断に基づいてそのような条件を言っておられるということでございます。  なお、本件——そのかぎを県知事に管理保管してもらうということにつきましては、八日の検討委員会では検討の対象になっておりません。
  102. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう、住民感情との関係での心理的手法にすぎないということですけれども、私もまさにそう思うんですが、いまのこの回答書の八十二ページ、ここにも詳しく手順を書いているように、実際に中央制御盤のグループ引き抜き回路、これ、取り外してしまうわけですね。今回、核封印のこの方式でいく場合でも、このグループ引き抜き回路は取り外して、新しく防護回路を取りつけるというこのやり方でいくわけですね。
  103. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 制御棒駆動軸——制御棒の駆動試験をする際は従来と同じ方法でやるわけでございまして、ただ、その際に、知事が管理保管しているかぎを返してもらって、そうして行うという点が違うだけでございます。あとは何ら変わっておりません。
  104. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ですから、この問題は、いわゆるこのかぎをだれが預かるか預からぬかというそのことは、何も今度のこの改修に伴う安全確保の問題とは関係のないものだということで、いわば住民感情をだますためのペテンのような話がある。かぎを預かれば今度の改修に伴う安全がどうか保たれるんだといったような論法がもし出るとすれば、これは非常に科学的に欺瞞をする非常に正しくないやり方だというふうに思うんですけれども、その点はどうですか。
  105. 山野正登

    政府委員(山野正登君) これは、県御当局がそういうふうにする方が地域の方々の理解が得られやすいということでございまして、実態を率直に説明をしておられると思いますので、欺瞞をするとかだますとかいったふうなことでなくて、かぎというものは修理の期間中は県知事が預かっております、したがって、この事業団も冷態停止に保つと言っておるけれども、かぎは知事が預かっておるんだから、絶対冷態停止を外れることはありませんよということは、それはそれなりに地域の方々は理解しやすいのではないかというふうに私どもは考えております。
  106. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、この確認を、科技庁専門家の方ですから再度お尋ねをしておるわけですけれども、かぎを知事さんが預かれば——知事さんか漁連会長か、どっちでもいいんです。かぎを預かれば、これは安全だという問題ではないということは技術的にはっきりしているわけですね。
  107. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 安全だとか安全でないという問題とは違う問題だと思うのでございます。
  108. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうでしょう。
  109. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 要するに冷態停止に保つということについて、どういう形で冷態停止に保つかという問題でございまして、安全が確保されるかされないかという問題とは違う次元の問題であるというふうに考えております。
  110. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どうも何か知事の気持ちをそんたくをしてなかなか歯切れの悪い答弁ですけれども、繰り返しあなたの言われているように、かぎをだれかが握っていたら、そのことによって——握ってなければいつどんな暴発が起こるかわからない。だれかかぎを握っていたらその暴発が食いとめられて、技術的に安全が保たれるんだという問題ではないということははっきりしていると思うんです。ですから、かぎを握る云々というここの議論に科技庁が巻き込まれるということは非常に……、今後地元の住民の皆さん方がいろんな議論をなさっていくと思うんですけれども、そのことによって安全が保たれるというような錯覚が住民の中に生まれていくとすれば、これは要らざるそういう理解を広げていくわけですから、その点は正しく科学的に、科学技術庁の名にふさわしく対処をしてもらう必要があろというふうに思いますが、そこの対処の基本態度、かぎ問題に科技庁は立ち入らないという態度についてはどうですか。
  111. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 私どもは、五十一年の初めに県当局並びに佐世保市当局に要請しました修理の方法でもって十分に安全に修理は行い得るということを確信いたしておりますし、またそのことは長崎県下の各回の方々に十分に説明をしてまいったつもりでおります。  そういう意味で、今回さらに安全を確保するためにかぎをどうするこうするというふうな話を申し上げておるわけじゃございませんで、政府はそういう考えでおりますけれども、なお受け入れの検討を要請されております県知事とされては、それに加えて、このような条件を政府が検討してのめるのであれば、要請の受け入れについてさらに前向きに検討したいという御意向でございますので、それを政府がのめるかのめないかという検討をしておるところでございまして、先生指摘のように、こういうふうなことによって地域の方々を欺瞞しようといったふうな気持ちはさらさらございません。五十一年の初めにお願いをしました方法できわめて安全に修理ができるということは明確であろうかと考えております。
  112. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、もう一つお尋ねをしますが、この「むつ」の核燃料は昭和四十七年の秋に燃料の装荷をしたまま、その後一度も点検がやられていないということで、今回のこの改修に伴ういわゆる総点検に当たって、前から私、持論として言っているわけですけれども、もうすでに七年経過をしている。それで改修三年ぐらいの予定ということが世上言われているわけですが、そうしますと、十年大体想定をされるということからいって、核燃料自体の点検あるいは圧力容器内部の点検、長年月推移をしておるということからのいろんな損傷が起こってきていないか、それからイオン交換樹脂の核種分析、こういう問題をこの機会にひとつもう一遍総点検をしてみようということは議論に上っていませんか。
  113. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 「むつ」の中に装荷されております核燃料体の健全性につきましては、この核燃料を製造いたします各段階で厳重な検査をいたしておりますし、それからまた炉内に装荷いたします段階でも検査をいたしております。  それから、その後一次冷却水の検査というのは定期的に行っておるわけでございまして、その検査結果によれば、自然水と変わらない状況に一次冷却水は維持されておるということでございますし、また水質管理が厳しく行われておりますので、これによって特に問題となるような腐食は起こり得ないであろうというのが事業団並びに私どもの考えでございまして、この考え方というのは、安藤委員会において了承されております。  したがって、現在予定いたしております修理・総点検の期間の間に、この核燃料体を現在行っている以外の方法によって、たとえば原子炉上蓋を取って中を点検するといったふうなことは予定いたしておりません。
  114. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 一次冷却水は何回か検査やっているんだというふうに言われますけれども燃料自身が燃えていないんですからね、稼働をしていないんだから、ただそういう状況のもとで何回かの冷却水の点検をして、そのことだけで判断するということは誤りですし、それから機器の損傷も起こり得ないだろうと言われているんですけれども、しかし起こり得ないことが起こっているじゃないですか。原子力委員会がいままで安全審査で安全だという太鼓判を押して、そして発車をした原子力発電所が、いろいろなひび割れが起こってみたり、「むつ」の問題でも、あんな低出力でああいった事故が起こるということは、そもそも考えてなかった。そういうことで私は、こういった点検作業というのは、こんなもの莫大な費用がかかるわけじゃないでしょう。格納容器なり圧力容器を根本的に一遍ばらして、もう一遍つくり直せという話なら、このことのために莫大な費用が要るという、そういう問題だけれども、しかし、いま国民が注目をしておる、今度の法案の提案理由にもなっておる、本当に安全確保を第一に置いていくんだという、この趣旨からいって、それほど莫大な費用がかかるわけでもないこの問題を、提起をしておるこの問題を、なぜもう一遍この機会にこの総点検をやってみようという議論が起こらぬのか、私はそこがどうしても合点できないわけです。思うのは、核を、核燃料棒を抜けないからでしょう。抜く場所がありませんね、いま、法的に抜ける場所が。その点どうですか。
  115. 山野正登

    政府委員(山野正登君) もともと長崎県に修理・総点検をお願いしました時点で、いかなる修理をするか、いかなる総点検をするかということは明確に記載してあるわけでございますが、その中にこの原子炉の圧力容器の内部を検査するということはもともと入れてないわけでございますので、今回予定いたしております修理期間中は、お説のような検査をする予定はないということでございまして、もう将来、未来永劫に炉内検査はしないんですということを申し上げておるわけではないのでございますので、あるいは場合によりましては、現在予定いたしております修理港で修理・総点検をしました後、新しい定係港におきましてそのような検査をするかもしれません。それは今後の問題でございます。
  116. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 現在のお願いをしておる佐世保でそういう内部までの総点検をやるという計画はありません、それはまあ確かにありません。私聞いているのは、核燃料棒を抜いて全面的な燃料棒の検査もやる、それから内部の検査もやる、イオン交換樹脂の、これの核種分析もやるということをやろうと思っても、燃料棒を抜く場所が、いま法的に認められる場所がないから、それが残念ながらできないわけですね。できないわけでしょう。ほんとを言えば「むつ」の四者協定に基づいて六カ月以内に母港ができていたら、それは堂々とやれるわけなんだけれども、それができてないから、現在やれないわけです。だから、法的にやれないわけでしょう。
  117. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 現在、核燃料棒が抜けないということは、お説のとおりでございますが、ただ、この検査をしないのは抜けないからしないということではなくって、先ほど申し上げましたような理由によりまして、現在そのような検査をする必要はないという判断のもとにやらないということでございますので、その辺は混同なさいませんようにお願いしたいと思います。
  118. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それは何も私は混同していない。あなた方の方が意図的にそういう論法をなさっているに過ぎないんだ。本当はだれが見たって、それほど莫大な費用が要るわけではない。国民の、何とか安全の確保をという、この国民的注目にこたえていこうと思えば、総点検をやった方がいいなあというふうにだれでも心の中では思っておると思うんですよ。しかし、燃料棒が抜けないから、そして修理を早く急ごう、修理を早く急ごうという、このことだけが先行をして、核つき改修だとか今度の核封印改修だとか、こういうところヘひた走りに走っている。しかし、どうですか、こんなやり方で進めていって、さていよいよ制御棒の駆動試験、あるいは出力上界試験というこの段階になって、やっぱり起こったと、そういう事態が発生をしないというふうにあなたたち、ここで断言できないでしょう。私はいまのようなこういう改修のやり方というのは、今回この原子力基本法一部改正の提案をなさっている根本趣旨である原子力開発の安全確保を第一にするという、この根本趣旨との関係で、国民が注目をしておる、この国民の期待と関心にどうこたえていくかという見地からの「むつ」の改修のやり方の問題としては、非常に手抜き点検、点検という言葉は使っているけれども、きわめて手抜きな手抜き点検にすぎない。こんなやり方ではまたどんな大事故が起こるか。  そういう点で、私は、長官お尋ねをしたいんです。本当を言えば、一遍燃料棒を抜いて総点検をやるということが必要と思いませんか、どうですか。
  119. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 該博な知識を持っておられます佐藤議員に対して、専門家でない私がお答えすることでございますから、十分なお答えはできないかもしれませんが、現在の段階におきましては、そこまでの必要はないと思っております。将来の問題、いろいろお尋ねのようでございます。これはまあ直接お尋ねにあったわけではございませんが、いま現在としては、現在の段階においてお答えできるだけのことしかお答えできませんので、そういうふうにお答えせざるを得ないということでございます。
  120. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 現在というそのインターバルをどの辺にとるかという、このことにも関係しますけれども、いま直ちにと言ったって、まだ佐世保へ持っていけるかどうかという、ここさえ結論出てないんですからね、何もそういう意味で現在というふうに私は言っているわけじゃありません。しかし、本当に国民の注目、期待、ここにこたえるという意味で、もっといろんな学者、関係者が指摘をしているそういうすべての諸項目について将来総点検を加えるという問題を、ぜひ科学技術庁でも、またしかるべき委員会でも、ぜひとも検討していただきたいと思います。この点はっきりしないと、何ぼ今度の法律改正で、機構いじり法改正を出してみたところで中身が伴わないのです。なるほど今度の法改正によって、この原子力開発の安全確保仕事が、こういうふうに安全が確保されていくんだという保障がない。もうきょうこれ以上聞いても、やりましょうというふうにはならないので、ひとつ次の、またあさっての委員会がありますけれども、一遍持ち返って相談をしていただいて、次回もう一遍聞きますから、ひとつよくよく考えておいていただきたいと思います。  「むつ」で大分時間をとってあれですけれども、少し法案の問題でお尋ねをいたしますが、吉田委員がいろいろお尋ねになっていましたけれども、もう一遍ちょっと再確認の意味で私お聞きしますが、現在の原子力委員会の、そのもとにおける二つ審査会と七つの専門部会がございますね。この原子力年報によりますと、資料編のところの二百四十六ページから四十七ページ、ここに一覧表が出ていますが、この二つ審査会と七つの車町部会、今度の法改正によって組織並びに人員で変わるところございますか。
  121. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 原子炉安全専門審査会につきましては、組織は変わりませんが、三十名から四十五名の増強を図りたいと考えております。  それから核燃料安全専用審査会、これは現在三十名であったかと思いますが、これを四十名に増強したいと考えております。  それから、その他の専門部会につきましては、引き続き新しい原子力安全委員会ができましたときに改めて設置の決定をいたしまして、それぞれの増強を図りたい。なお、そのほか事務局の方でいろいろ私どもも検討しておりますが、他に必要な専門部会を新たに設けるというようなことも当然あり得ると考えております。  そこで、専門委員の増強の状況でございますが、現在の原子力委員会専門委員は、安全審査会の三十名を除きまして百七十名でございますが、今回の予算の成立に伴いまして、安全委員会のみで百七十五名の専門委員をもって、これらの専門部会を運営していくつもりでございます。
  122. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 通産省、さっき吉田委員との御説明の中で、ちょっと私何と言うか、誤解を与える説明があったのじゃないかと思うので、再確認の意味でただしておきますけれども、従来の原子力委員会のもと、今度は安全委員会になりますけれども、そのもとでの審査会ないしは専門部会、ここに相当するあれとして顧問会というものが通産省の方にはある。これが現在二十数人から四十数人にふやしますと、このことが一つあるわけですね。それから通産省原子力発電安全課、これが四十八人から六十四人にふえますという言い方をされたと思うのですけれども、それはそうじゃないんでしょう。原子力発電課を含めて、原子力発電課が十二人、それから原子力発電安全課が現在三十六人、これが新体制原子力発電課十三人、発電安全課五十一人、トータルで言って現行の四十八人が六十四人になる、こういう数字でしょう。
  123. 武田康

    政府委員武田康君) お答え申し上げます。  先ほど、課の点につきまして、安全課を二分割という点だけ申し上げましたので、あるいは誤解を招いたかとも思いますが、現在、原子力発電課、原子力発電安全課という二課がございまして、安全担当が今度もう一課ふえまして全部で三課になるわけでございます。増加人員は三課全部を足しまして十六人でございまして、現在の五十三年度の四十八から五十三年度六十四ということでございます。
  124. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、最初に質問をいたしました点との関係で、二つ審査会と七つの専門部会、何人かの人間が、ずっと人数が配置されておるわけですけれども、現在の原子力委員会原子炉安全審査にタッチをしておる組織人数はどういうところですか。
  125. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) お答えします前に、先ほど私の答弁で百七十名と申しましたのは百七十五名の誤りでございまして、二つ審査会並びに専門部会の人数を全部足したものが百七十五に御修正いただきたいと思います。  それから、ただいまの御質問原子力安全審査関係しておる人間、人数と申しますのは、安全委員会の方では安全審査委員が三十名でございます。  それから、行政府の方を若干申し上げますと、現在私どもの方に原子炉規制課という課がございますが、そこが四十名の定員をもって安全審査……
  126. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、課じゃないんです、専門部会。
  127. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 専門部会でございますか、専門部会は直接審査に直に関係しておりませんけれども、非常に密接な関係を持っておる専門部会といたしましては、原子炉安全技術専門部会、ここで安全基準であるとか安全指針、審査指針を検討しておるわけでございます。ここの専門部会が最も関与しておるところでございまして、ここの定員は、構成員は現在十八名になっております。ただし、この専用部会の構成員の十八名というのは別に定員はございませんし、ほかの部会と兼務しておる方もおられるということでございますが、現在のところ十八名でございます。
  128. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう時間が来ておりますので、ちょっとまとめて、こういう理解でいいかという形のお尋ねをいたしますけれども、私衆議院の委員会の方でのずっと議事録を調べてみたのですけれども、いわゆる基本設計の安全審査に今日までの原子力委員会のもとで審査会並びに専門部会のメンバーとしてタッチをしてこられたのは、おおよそ原子炉安全審査会のさっき言われておる三十人、それから原子炉安全技術専門部会のいま言われている十八人を初めとして、若干その他の専門部会から多少それぞれ関与して、そこらで三十人、合わせて六十人ほどの技術スタッフが従来原子力委員会の基本設計安全審査にタッチをしてきた。これが今度通産省のいわゆる顧問団に行くわけですね。もちろんダブルチェックはありますよ。ありますけれども顧問団と対応するこれが四十数名。こうなりますと、明らかに従来の原子力委員会のもとでの組織体制よりも後退が起こるんじゃないかというこの問題が一つです。  それから事務局部門事務局部門原子力委員会の方は、私がいただいている資料では従来原子炉規制課四十人、現在。これが新体制原子炉規制課が二十人になるということで、原子力安全委員会の側の事務局体制は半分に減るという問題が起こる。こういう数字の理解でおよそいいんですね。という点から考えてみて、決して組織体制上安全確保に向けての充実が図られておるというふうには言えない、吉田委員も、その他の専門部会、これと相対応するものが通産省側の方につくられないんじゃないかという、ここの問題をいろいろ言われた。この問題も一つあるでしょう。同時に、ストレートに安全審査にタッチをする科技庁側と通産省側のここの組織体制を比較をしてみただけでも、数字的に明らかな後退が起こっているのではないかと思います。  次回またいろいろ質問します。以上で終わります。何か答弁ありましたら……数字を確認されたから、もういいです。
  129. 中村利次

    ○中村利次君 行政懇が取りまとめられた意見を尊重して今度の基本法の改正案がただいま審議されておるわけでありますけれども、私は、これはやっぱり明らかに前進であると評価をします。特におととい四先生参考人としてお呼びをして、私はこれも非常に本当に参考になりましたよ。有澤先生なんかは、やっぱり行政懇の責任者としての考え方というものをきわめて明確に説明をされましたし、賛否は別にして、どういうことを考えておるのかということがよくわかりました。あるいはまた、道家先生とか藤本先生はそのお立場からのいろいろな参考御意見がございました。これも非常に私は参考になりました。   〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕  そこで、短い時間ですけれども、いろいろな角度からの質問をしたいと思いますが、最初に、これが立法化されますと、通産省運輸省が実際にこれは発電炉あるいは船舶炉安全審査をやるということになるのですが、これにはいろいろな議論がある。確かに事業実施官庁がその規制権限も同時に持つというのはおかしいんではないかという議論もあるわけですけれども、そういうあれから言って、果たして対応できるのかという議論もあるわけなんです。私はこの基本法の改正案趣旨から言っても、それから、当然のことを——これはもう原子力の平和利用だけじゃなくて、いつも言うように、何事も人類の福祉、人類の幸せのためにあるのに、生命や安全、健康にいささかの憂いもあるというようなことをやるなんてばかげた話はないわけでありますから、安全があくまでも絶対的な前提であるというのは、これはもう当然ですね。ですから、そういうことからすれば、果たして今度は安全審査も行う通産省だとか運輸省あたりは体制があるのか、あるのかという、私はそういう何というか確かめというか、だめ押しは当然出てくると思う。しかし、そこで私はまた逆に考えなきゃいけないのは、通産省はこれは発電炉ですから、法律ができますと即応体制がなきゃならないわけですな、これは。ですから、先ほど審議官のお答えでも、二課を三課にして十六名の増員があるのだと、それはやっぱり即応体制だと思うんですよ。ところが運輸省の方にいきますと、これは船舶炉というのはまだ実用炉としての運輸省安全審査というのは当面ないわけですから、特に「むつ」のトラブルで実用炉としての審査運輸省担当されるのがかなりおくれたと私は思うんですよ。そうなりますと、体制があるのかあるのかといってやられるものだから、それに応じて必要でない機構をつくられたり人ぶやしをされたのでは、これは国民世論はいまの景気状態あるいは財政状態からして、歳入を図ると同時に歳出のむだをどう抑えるかということが、これはもう決定的な国民の要望であって、行政機構の改革なんかでもずいぶんうるさく出るけれども、これは一回つくった機構を減らす、人減らしをするなんてことはほとんど不可能に近い。内閣の一つ二つぐらいつぶしたってそんなことは私は非常にむずかしいと思うから、だから安易に私は機構をつくったり人をふやしたりすることは慎まなきゃならぬ。ですから、安全審査に万全、完璧を期する、権威のある安全審査ができる体制をとる、国民に対して責任が持てるということと、必要でないものまで——運輸省の場合には当面機構をつくります、体制をつくります、そんなことは私は明らかにむだだと思う。そういう点について、くどいぐらい繰り返しますけれども、権威のある安全審査ができる体制を必要に応じて持つということ、国民に対して責任がとれるということ、何か空騒ぎをすることとは、これは別ですから、そういう点についての認識をまず伺いたいと思う。通産省運輸省はもうそれだけですから。
  130. 武田康

    政府委員武田康君) 私ども先ほど来御説明申し上げておりますけれども、現存原子力発電の関係担当二課を三課にいたしまして上要員十六名を追加いたしまして、現在原子力委員会科技庁でなさっていらっしゃる実用発電炉につきましての基本設計の安全審査、これは完全にお引き継ぎするというような自信を持って対応策を考えているところでございます。  関連いたしまして一言だけ補足させていただきますと、十六名増員のうち、課長もおりますけれども、課長を抜きにしまして、統括安全審査官という安全管理の責任者、これは三名でございますが、それからそのほか安全審査官が八名、ほかにそのほかの事務担当というようなかっこうになっておりまして、十六名のうちの統括安全審査官三名を含みます十三名は科学技術庁からの数合わせ的には移しかえでございます。で、十三名が現在実用発電炉につきまして科学技術庁担当されている人数に相当するという理解を持っております。ただ、事務処理等がございますので、さらに何人か追加するということは私ども自前で考えているわけでございます。一方顧問先生方も増加充実していって、現在個別の発電炉についての審査担当なさっておられます原子炉文金審査会メンバーに相当するようなお仕事はしていただく、ただし基本的な基準等につきましては今後とも原子力安全委員会がおやりになることになろうかと思いますので、そういった基本的な指針、基準はこれを使わしていただく、そういう意味で、実は技術専門部会、これに相当する名前のものはきょう現在考えてないわけでございます。ただ、従来からも、技術専門部会でございますか、ここでおつくりになった指針なり基準なりをベースに、個別の発電炉——そのほかのものもそうかと思いますが、——審査をなさっていたと伺っておりますので、私どもはすでにそういうでき上がっております基本的な基準なりあるいは指針というものは、これはそのまま使わしていただくし、また安全委員会の方でそういったものを直すべきであるというようなお話でお直しになれば、直したような状態のもので使わせていただく、こういうようなことを考えている次第でございます。
  131. 赤岩昭滋

    説明員(赤岩昭滋君) 原子力船につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、現在具体化しているという段階でございませんわけでございますが、実用原子力船が出現するという時期になりますと、運輸省におきまして炉規制法に基づいて一貫して安全規制から運転管理までやるということになるわけでございます。非常にその責務は重大だとわれわれも理解しているわけでございますので、これに対応して万全の体刑を整備していくという必要があろうかと思っております。具体的には、実用原子力船の計画が具体化してまいりました段階で、安全審査体制、新しい責務が果たせるような組織あるいは人員の拡充、充実というようなことを図っていきたいと思っております。  それで、まあ組織は要は人でございます。人はすぐに養成できるというものじゃございませんで、要員の確保というものについては今後とも十分やっていかにゃならぬと思っております。従来も人材の養成につきましては、各種の研修に行かせるとか、あるいは科学技術庁関係の部局との人事交流を行うというようなことでやってきたわけでございますけれども、今後ともそういう人事交流あるいは研修を通じて人材養成に当たって万全の体制をしいていきたいというふうに考えている次第でございます。そういう具体化までの期間につきましては、部内のその対策を検討する組織をつくりまして、人材の養成あるいはいろいろの各種の基準についてどう考えていくか、あるいは具体化したときの組織を、いま考えているものよりもさらによくするにはどうしたらいいのかというようなことも含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  132. 中村利次

    ○中村利次君 これはひとつ通産省運輸省——まあ運輸省はしばらく先のことでしょうけれども、とにかく安全審査を今度のこの法改正によってやるということになりますから、ひとつ権威のある安全審査ができる体制を確立されることを強く要望いたします。  それから、おとといの参考人の方々の御意見を拝聴していて、いかにも時間が短いものですから、いろいろ伺いたいことも中途半端になって、ずいぶん伺えないことが多かったものですから、科技庁質問をするのが当たるのかどうかこれはしれませんけれども、たとえば道家先生あたりが、自然から受ける放射線の四分の一、これは先生の恐らくお考えだと思うんですね、そういうことが定著したものではなくて——道家先生としては、四分の一を許容線量にすべきであるとお考えのようですが、これにはしかし医療用のあれを含むということになると、ほとんどないんだというようなあれがございました。しかし私は、個体差でずいぶんこれは違うんじゃないですかということを申し上げましたが、個体差だけじゃなくて、そのときも例に出した関東と近畿、中国ではこれはもうまるで違いますね。それからインドやブラジルなんかではこれは日本の何十倍。そうなりますと、たとえばムラサキツユクサの話も出た。微量線量の影響の話も出ましたよ。ところが、話があっち飛びこっち飛びするようですが、東北大学の放射線基礎医学教室の粟冠教授を中心とするグループの方たちが、微量放射線のがんや白血病との関係について長い間——新聞報道によると二十二年観察をして発表をされたものが先月、四月の十六日の朝日新聞に載っておるんですが、これはお読みになりましたか。
  133. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま先年の御指摘の記事については拝見しております。  概要を申し上げますと、自然放射線の地区による違いによってがんとか白血病等の発生の頻度に関係は認められないという研究の発表であろうかと思います。そういう点については一応新聞の報道等を通じまして了知しておるわけでございます。
  134. 中村利次

    ○中村利次君 これはかなり権威のあるものという認定ができましょうか。
  135. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 非常に多くのデータ等をもとにいたしまして御調査をなさったものでございますので、私ども、いままでのこの程度の自然放射線の違いによってこういうがん、白血病の違いがないというふうに考えておりました点を明確に調査されたものとして評価されるものではないかと考えておる次第でございます。
  136. 中村利次

    ○中村利次君 私も、これをやっぱり大変に興味を持って、関心を持って拝見をしたんですけれども、これはインドやブラジルの千ミリ、二千ミリあるいは三千ミリという自然から受ける放射線の地域でも、たとえばがんや白血病が非常に多発をしたかとか、   〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕 あるいは平均寿命がどうなんだということを見てみた場合でも、何らそういうものは関係してないということは言われてはいましたけれども、とにかくわが日本で、それもやっぱり東北大学の放射線基礎医学教室という、私どもが単純に考えてもかなり権威を持ったところで、長年にわたって、そして非常に綿密な観察、調査をおやりになっておるということが報じられておるわけでしてね。なお、その上に、いま安全局長もおっしゃったように、自然放射線の強さと白血病の死亡率との関係があるのかということを加えて調べられて、全くこれは関係がないということが具体的に示されているんですがね。ところが、何というんですかね、これは実際のモニタリングで、サイトで一ミリか二ミリの放射線のところでムラサキツユクサが反応する。これはもう遺伝的にもえらいこっちゃみたいな議論もあるわけです。道家先生のおとといの御意見では、このムラサキツユクサ問題については、自分としてはこれはやっぱり根拠のあるものという見方はいまのところとっていないということでありましたけれども、これは科技庁あたりはこの関係なんかどういうぐあいにお考えになっておるんですか。
  137. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 市川先生のムラサキツユクサの御研究、これは非常に基礎的な、たとえばムラサキツユクサのたしか雄しべ毛の単細胞が放射線にあたって、そのために非常に敏感に変化を来すということの御研究でございまして、これは非常に基礎的な研究としては貴重なものであろうかと思うのでございますが、ただ、原子炉周辺にムラサキツユクサを植えまして、あるいははち植えにしたものを持っていって、それによって周辺に持っていったところが非常にその変化が大きかったという御発表につきましては、ムラサキツユクサというものが非常にその環境、たとえば温度であるとか、何と申しますか、海辺に持っていきますと潮の影響とか、その他非常に外気の公害物質による影響というようなもろもろの環境条件の影響に対して非常に敏感な草でございます。そういうような特性を持った草でございまして、原子力周辺にただ単にある程度持っていって、多かった少なかったというような発表をされた部分があるわけでございますが、これは原子力発電所から出ます微量な放射線による影響であると直ちに決めつけておるところ、ここが非常に私どもには納得できないところでございまして、決してそういうふうな実験で原子力発電所の放射線の影響がムラサキツユクサに起こったと、どうしても私ども関係する専門家にお聞きいたしましても解せないところでございます。したがいまして、その基礎的になさっておる研究に対しましては、私ども非常に大事な研究だと思っておりますけれども、それを原子力周辺に直ちにアプライしてデータが出たのをあたかも放射線の影響であると決めつけておられるその新聞等による発表に対しては、どうしても納得できないところでございます。
  138. 中村利次

    ○中村利次君 これはこんなことを言っておるだけでもう半分以上過ぎましたからこれでおしまいにしますけれども通産省にしても、私は要望をしたいと思いますけれども、たとえば、まあ、原子力の開発で電力会社は悪であると、それで通産省はこれに癒着をして国民立場に立ってないという議論がありますよ。こういう議論はしかし、これはまあ事実をもって立証する以外にはないと私は思うから、だから、先ほども安全審査を今度はおやりになる場合、権威のある答えを出して、そしてまともな国民の信頼を得られるような、そういうことをやっていただきたいということを要望しましたけれども、これは通産省にしろ、科技庁にしろ、行政の責任立場ですから、そういう点は批判批判、これはいろいろな批判があると思う。しかしやるべきことは私はそういうものにひるまないでやっていただかないと、これは日本の国民生活そのものがおかしくなるわけですから、改めてこれは強く要望をしておきたいと思います、通産省であろうと、科技庁であろうと。お答えは要りません。  そこで、これは衆議院の修正によりまして、安全委員会には原子炉安全専門審査会核燃料安全専門審査会、これは法定されました。私は、これは安全確保の上から歓迎すべきことだと思いますけれども、同時に、国際的な核不拡散の問題の推移及びエネルギー事情の見通し等から言って、安全委員会のこの重大性、もうこれは当然ながら、原子力委員会もこれはやっぱり重大な役割りを果たさなければならない。だから、そういう点について安全委員会には非常に手厚いことがやられて、原子力委員会は何かこう軽視されるようなことになったんでは、これはやっぱりこの法案の持つ本来の性格から言って、いわゆる安全を前提とした開発を進めなきゃならないという立場から言ったらどんなものであろうという気がするんですが、何かそういう点について原子力委員会の、何というのですか、スタッフというか、機能強化というか、そういう点についてどういうぐあいにお考えですか。
  139. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 原子力委員会は、新原子力委員会が発足いたしましても引き続き原子力平和利用の推進を担当してまいるわけでございますけれども、この下部組織といたしましては、特に法定はいたしませんが、現在も現原子力委員会のもとで活動いたしております長期計画の専門部会でございますとか、あるいは核融合会議でございますとか、さらに新型動力炉の開発懇談会でございますとか、そういった現在重要な原子力委員会の下部組織として機能を果たしております各種の専門部会のようなものは引き継がれるわけでございますので、これらが法定されていると否とにかかわらず、中心的な活動をこれらの専門部会の助力のもとにやっていくというようなことになっておりますので、特に安全委員会の方で、専門審査会等が法定されたからといって原子力委員会の方がお粗末にされたといったふうなものではないというふうに考えております。
  140. 中村利次

    ○中村利次君 その点はよほどしっかりと確認をしておきませんとね。  それからダブルチェックについて、これは私は有澤先生から実に明確な考え方が示されたとは思いますが、藤本先生からは、専門的にはダブルチェックというのはないんで、専門的にはクロスチェックなんだというようなことでしたが、私は、ダブルチェックであろうとクロスチェックであろうと、通産省運輸省安全審査も、それから安全委員会チェックも、やっぱり何というのか、主体性、独自性を持って、権威のある、国民に対して責任が持てるというチェックをやれば、これがやっぱりイコールクロスチェックになると、有澤先生考え方を聞いてそう思ったんですが、改めてこれは政府にお伺いをしますけれども、そういう認識でよろしいですか。
  141. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先般の参考人の方からの御意見での、クロスチェックが正しいんではないかという御指摘等もあったわけでございます。ただいま先生の御指摘のように、それぞれが権威を持って行うべきことはもちろんでございます。  それから、ダブルチェックを行います際に、藤本先生のあれは、単に書類審査だけで同じ書類を使ってチェックするんじゃ何にもならないという御趣旨であったかと思うんでございます。  そこで、現在の原子力委員会における安全審査においてもそうではございますけれども、今後のダブルチェックといたしましては、書類審査だけではなくて、場合によりましては、環境問題、たとえば地盤の問題であれば当然審査委員が現地に行って視察をする、それから、安全評価をいたします場合に、場合によりましては原子力研究所の解析部のお力をかりまして、電力会社が行った数値以外の数値を入れて安全解析を計算し直してみるというようなことも、十分いまも行っておりますけれども、今後もそういう線を、体側を強化してやっていくというようなことで、いわゆるクロスチェックと申しますか、の実を上げるということは当然のやらなければいけないことだと考えております。
  142. 中村利次

    ○中村利次君 私も、いまの安全専門審査会チェックについては、やっぱり権威があり、信頼すべきものと認識をしています。今度は新しい体制になるわけですから、なお一段とひとつ権威のあるものにしていただくように、努力というよりも、ぜひそうしていただきたいと思います。  それから、これはどなたにしても、究極は人であるということが言われておりますけれども、この発足としては、これは原子力安全局が安全委員会事務局として発足するわけですね。そうですね。−参考人の方々の御意見を承ったところでも、原子力安全局が事務局としての役割りを果たせるのか、あるいは新たに独自の事務局を持たなきゃいけないのか、こういうのはすべり出してみて、運用によって決まってくるんだということでございます。そういうことですか。大臣、これどうですか。
  143. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いまそういうことですかということでございますが、さしあたっては、いま考えておりますような体制でよろしいかと思っておりますが、しかし、その考え方は決して固定した考え方ではなくして、十分今後の情勢、事情とにらみ合わせて、きわめて融通無碍な態度で臨むべきじゃないかと思っております。
  144. 中村利次

    ○中村利次君 なお、原研や放医研あたりから非常勤でそのお知恵をかりたらどうかと、これは道家先生でしたか、そういう点、お考えになりますか。
  145. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 原子力委員会安全審査会には、すでに原研あるいは放医研の方が委員として参加していることは当然でございますが、その他の専門部会におきましても、それぞれの専門分野に応じて数多くの方に御協力をすでにいただいておるわけでございます。しかも、いま原子力研究所ではいろいろな安全研究を進めておりまして、安全基準の制定というようなことで安全委員会がいろいろな審議をするときには、現場で研究された方の知恵をさらに今後もますますいただかなければならないわけでございますので、私どもとしては、可能な限りそういうような点について原研、放医研等のお知恵を拝借したい。これは当然専門委員等の資格でございますので、非常勤ではございますけれども、常時そういう御意見を賜りたいと思っておりますし、また、先ほどもちょっと申し上げましたけれども安全審査に必要な仕事をお願いするというような体制も逐次整備してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  146. 中村利次

    ○中村利次君 これは通産省運輸省に私は要望いたしましたように、科技庁に対しても、やっぱり安全審査に対して出す答えに対して権威を持てるような体制を持つということと、そのことがとにかく、やたらと人を並べて、並び大名みたいに並べて、これが権威であるというのとはもうまるで違いますから、そういう点については、運輸、通産両省に私が先ほど申し上げたのと同じ気持ちです。ただし、私はおととい大変に何か感ずるところがあったのは、藤本先生なんか私は原子力開発反対の急先鋒という認識があったら、速記録読んだって、さすが学者でして、実にごりっぱ、道家先生にしても。とすれば、やっぱり私は、むだをすることはないけれども、尊重すべき意見は素直に——政府はなかなかどうも素直さがないんで、それは余り素直に意見を聞いていたんでは身がもたないから当然でしょうけれども、そういうものを私は、むだでない権威を持たせるために必要なそういう意見を聞くということは、姿勢として非常にいいんではないかと思いますから、特に申し上げたわけです。  最後に、公聴会の問題にちょっときのうも触れましたが、私は、原子力委員会でこの公聴会を持ったのは明らかに失敗であったと。それはやっぱり公聴会をやる——有澤先生じゃありませんけれども、公聴会を闘争の場とする、そういう社会情勢のもとでは、公聴会は本当に地域住民の皆さんの期待にこたえられるような、そういうものではないということがもう明らかにこれはなったわけですから、むしろ紛争の場、闘争の場としてとらえられた経験を福島と柏崎で持ったわけですから、ですから、これはよっぽどしっかりわきまえてこの問題に取り組んでいただきませんと、たとえば安全性、これは公聴会を原子力委員会で運用上やろうということをお決めになるときにも私はくどいぐらい言ったんだが、国民の皆さんが原子力を理解するぐらいの科学的知識を持てと言ったって、これは無理な話です。そして、本委員会で私は資料も出したこともありますけれども、広島、長崎の悲劇を繰り返すなというような、全く何と言うんですか、地域住民の皆さんをおどかすような旗振りまで現実にあるんですから、だからそういうものに影響されて、平和利用であっても原子力はこわいものだ、大変なものだ、危険なものだと。確かにそれは多量の放射能を原子炉の中には持っているわけですから、一たんこれが外に流れ出たらえらいことですけれども、しかし、とにかくやっぱり何か広島、長崎に落ちた原子爆弾と同じものであるというような印象を与えて旗振りをやる動きだって確かにあるわけですから、だから、そういうものに影響された地域世論なんてものを正すためにはどうすればいいのか。それから、そういうものによって開かれる公聴会、安全性の議論なんてものは、私はまさにこれは地域住民の皆さんにとっては無縁である。むしろ、専門家の、反対なら反対の専門家、あるいは開発すべきであるというなら開発すべきであるという専門家、専門家同士が中央において堂々と安全性の議論をしてそれを公表する、こういうことを提唱したんですが、これは無視された。  最後に、簡単に、時間もなくなりましたから、公聴会に対する考え方について所信を伺いたいと思います。
  147. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 確かに、原子力委員会が持ちました公聴会、特に最近におきましては福島問題あるいは柏崎では地元の知事から、混乱が起こるので開き得ないというようなことで、公聴会によらず書面による意見の陳述を求めまして、それに対するお答えをしたというようなことで、正常な開催が不可能だったわけでございます。安全委員会になりましてからは、先ほどからも申し上げておりますように、二度にわたる公開ヒヤリングと申しますか、対話を含めた公聴会をやりたいと考えておりますけれども、これは原則としてそうやることにいたしまして、その地区それぞれのいろいろな事情もあろうかと思います。その地域の自治体あるいは利害関係者の方といろいろ意見を交えながら、ぜひ実現したい、とにかく対話の持てるように何とか持っていきたい、こういうようなことを試行錯誤しながらやっていきまして、だんだん定着すれば法制化をしたいと、かように考えておる次第でございます。  もう一点の、学者間による公開の討論、これは私ども現在あきらめておるわけではございませんで、なお学術会議が現在返事をしていただいていないわけでございますけれども安全委員会体制が整いましたときには、場合によりましては再度お願いするというような努力をすべきことではないかと考えておりまして、できればそういうものも持ちたいものであるというふうに考えておるところでございます。
  148. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 これからの原子力の安全確保にとって問題点は、この原子力安全委員会における基本設計の認可、それの審査体制の問題が一つ参考人の方からも、書類審査、書類チェックだけでは必ずしも十分な安全性の確認ができないではないかという指摘がなされましたけれども、その点についての確認を一つしておきたいということと、同時に、基本設計以後の詳細設計、さらには運転管理の面でのいろいろな問題点について安全委員会が十全の審査体制といいますか、チェックできる体制になっているかどうか、その二点にしぼってお伺いをいたしたいと思います。  まず、基本設計の認可、審査体制でございますが、いま局長からもお話がありましたように、各専門部会に専門委員を置いて、百七十五名ほど考えていらっしゃるようですが、その百七十五名の専門委員によって技術的なバックをしてもらう、審査をしてもらうというような話でございました。その点に関して、先般の参考人の意見でも、原研とか動燃の研究員、技術者の知識を十分使うべきだというお話がありましたけれども、現在、原子炉安全専門審査会その他の専門部会で、これも百七十名ぐらい専門委員がいるわけですけれども、その中の構成というの、わかりますでしょうか。原研、動燃等の研究所の研究員がどのくらいか、それから大学の研究、学者の方々がどのぐらいいるのか、それから民間の企業の研究員というものもその中で活用していらっしゃるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  149. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在の原子炉安全専門審査会以外の各種専門部会の構成の比率につきましては、ちょっと手元に数字がございませんが、原子炉安全専門審査会の構成、三十名の構成の内訳をお答えいたしますと、三十名のうち十四名が大学の関係者でございます。それから十名が原研、動燃等の科学技術庁、国立研究機関も含めましての方々でございます。それから民間が二名でございます。これは電中研等の研究所の方々でございます。それから行政庁から四名参画をしております。このうち完全な行政職は二名でございまして、他の二名は国立の試験研究機関等の学識経験者としての二名と承知しております。
  150. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そういたしますと、しばしば指摘されるような、わずか数名の、安全委員会が十一名ですか、科学技術庁の中の事務系といいますか、これも技術屋さんだと思いますけれども事務局に支えられて審査をするのでは不十分だという意見に対しては、この専門委員の方々が十分技術的にバックアップをしているんだというふうに考えてよろしいわけでございますね。
  151. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 安全審査は、現在の専門審査会三十名が予算的には四十五名に増加を認めていただいておりまして、この四十五名の安全審査委員の方々が中心にダブルチェックをしていただくわけでございます。それに対応いたします事務局のお手伝いをする人間は、安全調査室十一名をもって充てたいと、そのほか、基準づくりであるとか、そういうものもこの十一名のうちの何人かが当たるという形で行うわけでございます。で、百七十五名の非常勤の先生方、これは、そのうちの四十五名以外は直接関与するわけではございませんけれども、たとえば基準をつくる専門部会は、そこの成果は、当然安全委員会がその結果を決定いたしますと、安全専門審査会にお下げ渡しになって基準になっていくというような形でバックアップするということでございまして、そういう意味では先生のおっしゃるとおりでございます。
  152. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いろいろな方からも、すべては人の問題だというふうに言われましたけれども、このいまの専門審査会専門委員の一三十名の方、もしくは増員される四十五名の方、これはそれぞれの安全審査の分野での、日本での超一流の専門家の方というふうに考えてよろしゅうございますか。それから、これはある意味では権威ある方なのか、それとも、それよりももう一クラス若いといいますか、本当の実務上最先端をいっていらっしゃる方なのか、ネームバリューを中心に選んでいらっしゃるのか、それとも最先端の技術を持っている中堅を選んでいらっしゃるのか、その辺をちょっと聞きたいと思います。
  153. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 原則的には、原子力安全を審査いたしますときに、それぞれの専門の分野があるわけでございますが、そこのできるだけトップクラスの方をお選びしたいというふうに考えておるわけでございますが、ただもう一点、先生の御指摘とどう絡むかはわかりませんけれども安全審査先生方はできるだけ長い期間携わっていただきたいということを考えますと、どうしても若い方と申しますか、そういう意味では、ある狭い範囲では非常に専門家かもしれません、そういう若い優秀な方も随時供給していかなくちゃいけないというようなことを考えまして、私ども本年度の予算で三十名を四十五名にしていただくような努力をしたわけでございます。そういうことによりまして、私ども今度の人員を拡充さしていただきまして、できるだけ優秀な方に来ていただいて、長いこと、何と申しますか、権威が保てるような運営をぜひしていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  154. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま中村委員からも御指摘がありましたように、ただネームバリューといいますか、だけで並び大名のように並んでいるのでは意味がない。そういう意味では、むしろ私のお願いは、中堅の若手の方々といいますか、そういう方々をどんどん起用をして実際の審査の中で有効に使っていただくということが大事ではないかということを指摘をし、そしてさらに、人選の上でそうした形で生かしていただくようにお願いをしたいわけでございます。人選されましたらまたそのときに教えていただきたいと注文をつけておきますけれども、そうした形で、実際に活動できる中堅、若手の方々を選んでいくということを心がけていただきたいと思うわけです。  それと同時に、そうした方々が実際の最先端の技術を生かして審査に当たっていくためには、その方々の属している大学とか研究所の研究体制というものが一人一人の専門委員を十分バックアップしていくという体制が必要だろうと思います。その点で、原研や動燃等の研究を十分に活用していくという必要があろうかと思いますけれども、従来といいますか、いままでの安全審査の中で原研や動燃の安全研究がどういうふうに生かされているのか、その辺をひとつお伺いをしたいと思います。で、具体的に、従来の安全審査の中で、書類審査だけではなくて、審査の過程で、原研等でのたとえば小規模な実験とかデータの収集とか、そういうものを行って認可をしたケースとか、そういうものがあるんでしょうか。どのくらいあるんでしょうか。
  155. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 安全審査に有効に結びつくような安全研究というのは、先生指摘のように大変重要な問題でございまして、従来は、原子力委員会のもとにございます原子炉施設等安全研究専門部会というところでこのような研究を含めた、長期的な研究のあり方というものを決めていただいておるわけでございます。そのうち特に政府機関が中心になってやっておりますものは、安全基準でございますとか、あるいは安全の審査の指針、解析モデルといったふうな、国の安全判断のために必要なデータを得るための研究というものを中心にやっておるわけでございますが、原研、動燃において行っておるものというのはそういった研究が中心になっておるわけでございます。  従来の具体的な例としまして一例を挙げてみますと、原研にNSRR、原子炉安全性研究炉というものがあるわけでございまして、このNSRR計画によっていろいろ安全研究を進めておるわけでございますが、従来、原子炉反応度事故についての安全審査というのはアメリカのNRCのガイドに基づいて行われておったわけでございますが、このNSRRが設置されてこの関係の安全研究が進められまして、その成果によりまして、最近におきましては別途定量的な審査の内規というものがこの研究の上に定められたといったふうな実績がございまして、十分に国内の安全研究によってこのような安全審査に有効に活用し得るデータが蓄積されつつあるということは言えようかと存じます。
  156. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま安全研究の安全審査への反映というのは原子力局長からお答えいただいたわけでございますが、個々の安全審査でどのようなことが原研に頼まれているか、その代表的なものを申し上げますと、例の非常冷却装置の安全解析でございますが、従来は米国の計算コードを使ってその解析がやられておったのが実態でございましたが、最近におきましては、原研でこの評価のための計算コードを開発していただきまして、最近の原子炉審査におきましては、メーカーがやってまいります安全解析評価の数値等と、原研のコードを使って原研にお願いして計算してもらったものを比較して、それぞれクロスチェックをするというようなことでの審査を実施しておるわけでございます、このような活動を逐次ふやしていきたいというふうに私ども考えております。
  157. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま両局長から御説明がありましたけれども、これからの基本設計に関する安全審査、それの信憑性といいますか、信頼性を高めていく上では、輸入炉の場合でもそうですし、技術導入の場合でもそうですが、アメリカなり先進国のデータをそのまま信用をして、書類審査をして済ませてしまう、その場合に、えてして後でいろいろな問題が起こるわけでございますから、やはり事前にそれぞれの技術、安全基準、その他について、わが国独自の研究なり実証なりというものがバックにあるんだということをしっかり持っていく、それを国民の一人一人に説明できるような体制にしていくということが必要ではないかと思うわけです。それでお伺いをしたわけですが、いまのNSRRとか非常冷却装置の問題、そうした問題をさらにその原子力研究所なりの中で充実するために、原子力研究所をたとえば原子力安全研究所というものに一つ分離をしていくとか、もしくは原研の中の安全研究部というものを独立させるとか、そういうような原子力研究所の体制の整備といいますか、そういうものは考えられないものでしょうか。
  158. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私ども安全を担当する立場からいたしますと、ぜひそういう安全審査等をバックアップしてもらえるような組織をもう少し明確にしてほしいと思っていることは事実でございます。しかし、これは原子力研究所の御方針もあると思いますし、原子力研究所を担当しておる原子力局の意向も十分加味しなきゃいかぬわけでございますが、私どもとしてはそういう希望を持っておるし、今後そういう点について関係の部局とよく相談していきたいと思っておる次第でございます。
  159. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 研究の内容を安全の研究と開発目的の研究と截然と二分するというのは大変むずかしい問題でございまして、研究開発はすべて原子力の場合は安全性の確保という大前提にあるわけでございますから、開発の研究即安全研究という場合が大変多いわけでございます。まあそういう意味で、原研は開発目的のための研究と安全研究のための研究というものをやっておることになっておりますが、そういうふうに分けるのは大変むずかしいわけでございますけれども、なおかつ現在は、同所内に特に安全基準等の設定に必要な研究をする部局をまとめまして、一つのセンターのような活動をさしておりまして、先生指摘のように、別個の組織にする、別個の研究所にするといったふうなことはいたしておりませんけれども、ただいま先生が御指摘趣旨に沿ったような活動をしておるわけでございますので、今後ますますその面の研究に力を入れていきたいというふうに考えております。
  160. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 一つ技術体系の中で安全技術だけを取り出して分離するというのもなかなかむずかしいことかもしれませんけれども、いま申しましたように、やっぱり安全審査に対する信頼性というのを高めていく上で、やはり一つの独立したといいますか、別個のバックアップ体制技術的なバックアップ体制があるというのは非常に望ましいことではないかと思います。その点で、これはまだ来年の組織の問題になろうかと思いますけれども、研究所の中での安全研究体制充実、これに一体科学技術庁としてどう取り組んでいくのかというのを今後の課題として皆さんにお願いをして、またもう一度改めていろいろその後の経過を伺いたいということで、宿題にしておきたいと思います。  それから次の問題は、そういう形で基本設計の信頼性を高めていく、それにもかかわらず、さまざまな参考人の方がおっしゃっておりましたように、未知の技術である原子力については、その後の工事の段階、もしくは運転段階で予期せざる事故が起こってくる、これは避けられないことだと思います。そういう意味で、詳細設計運転管理の面への原子力安全委員会の関与といいますか、それが非常な大きな問題になろうと思うわけです。衆議院での修正で「報告を求めることができる」という修正が第二十条に入りましたのもそういう意味だと思いますし、衆議院の附帯決議でその点についてはさらに念を押されている形になっております。しかし、もしそこまで言うのであれば、「報告を求めることができる」のではなくて、やっぱりルーチンとして、行政の流れとして、詳細設計運転管理についても、十分原子力委員会に自動的に報告が来て、チェックができる体制というものが必要なんではないかというふうに思うわけですけれども、その点についてこの法案が必ずしも十分とは言えないというふうに思いますが、科学技術庁のその点についての御意見を伺いたいと思います。
  161. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘の根拠法規がないということ、確かにおっしゃるとおりでございますが、そのような重要な問題については、詳細設計以降やることについて、先ほどお話もございましたように、衆議院段階で附帯決議等でそれを明確にされておるそのことを実施したいと考えておるわけでございますが、設工認であるとか使用前検査等の確認行為のうち重要なものをやるということではございますが、この件数は非常に膨大でございます。したがいまして、それらの個々の問題につきまして、そのうちの重要なものを法文上選び出して書くということも非常にむずかしい面もありますし、そのすべてを行うのは当然委員会の業務の遂行に非常に支障が生ずるということでございます。したがって、委員会が指定した重要なものについて、十分その報告を受けるという運用面の体制を十分にいたしまして対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  162. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 その点に関しては、すでに原子力行政懇談会の中間取りまとめを受けて、五十一年七月十三日に、「原子炉安全専門審査会の運営について」という、これは通達ですか、出しておられますし、その後、ことしの三月の「原子力安全委員会による原子炉の基本設計許可後の安全審査等について」という文書も見せていただいているわけですが、この五十一年七月の通達の線を今後も引き継いでいくということになるわけでございますか。それとも、この線以上のものを報告として求めるということで、さらに安全委員会に対する報告要請を拡大するつもりでございますか。
  163. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在のところ、私どもは、いまの原子力委員会考え方でほぼ十分であろうかと思っておりますが、新しい原子力安全委員会ができましたときに、改めてその前の原子力委員会の御決定を十分検討していただきまして、また、原子炉安全専門審査会先生方の御意見も聞きまして、衆議院段階の附帯決議等の御要請を十分踏まえられるようにいたしたいと思っております。したがいまして、必要があればもっと強化するということもあろうかと思います。また、事務的な関係につきましても、通産省とよく協議しつつ、新しい体制における連携の仕方を考えてまいりたいと、かように考えております。
  164. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 現在の原子炉安全規制の手続を見ますと、基本設計については原子力委員会、今後の、改正後は原子力安全委員会が絡んでくるわけですけれども詳細設計以後は所管の大臣ということになっておりますし、しかも、それが原子力関係の法令によっての審査ではなくて、発電用原子炉の場合には電気事業法による検査になっておるし、船の場合には船舶安全法による検査になっている。その意味で、原子炉規制法の七十三条では両者についての原子炉規制法の適用除外の規定があるわけです。私は、これは逆ではないか、原子炉に関しては、発電用であろうと、舶用炉であろうと、むしろ電事法や船舶安全法の適用除外にして、原子炉規制法の適用対象にする、そうした形で原子力安全行政の中に取り込んでいくということが運転段階での国民の信頼性を高めるために必要だというふうに思いますが、まさに実施官庁が原子炉規制法の適用除外の中で検査権限を持っているというのは、原子力の安全の面から見ると逆立ちではないか。もちろん、事務的に大変だとか、いろいろのお話はあると思いますが、どうせどこかで検査なり審査はやっているわけですから、それを実施官庁が電事法や船舶安全法の根拠条文に基づいてやるか、原子炉規制法の根拠条文に基づいて安全審査立場からやるかということで、おのずからやはり内容が変わってこようと思うわけです。そうすれば、ひた隠しに隠すとかいうようなこともなくなるかもしれませんし、その意味で、もっと公開の実が上がる、国民から見た信頼性が高まるというようになるのではないかと思いますけれども、その点について科学技術庁の御見解と、それから通産省運輸省それぞれの御見解を伺っておきたいと思います。
  165. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私ども、今回の改正によりまして、ただいま先生が御指摘になりましたような詳細設計以降が適用除外されておるものを踏まえて一貫化のあれをしておるわけでございますが、その第一の考え方として、実用の発電炉、あるいは舶用炉の場合も同様でございますけれども、これは原子炉ではございますけれども電気工作物の一構成要素であるということから、規制法の必要な詳細設計以降のものが立法当時から適用除外になっておったわけでございます。このように、そういう電気工作物の一構成要素でございましたので、全体を統一して整合性ある規制をするという観点からそういう措置がとられたわけでございます。したがいまして、今回の規制を変更するに当たりましても、その精神は、やはり全体としての整合性ある規制を行うという観点から行っておりまして、何ら変更する必要がないだろうというふうに考えております。これをまた、先生指摘のように、規制法の方へ取り込んでまいりますと二重行政になるおそれがあるわけでございまして、余り好ましくない。したがいまして、通産省が一本化してこういうことをやっていただければ規制法の精神は十分に行い得るものであるということで考えております。  なお、そういうふうに考えたもう一つの大きな点は、原子力安全委員会というのは規制法だけを見る安全委員会ではございません。原子力の安全をカバーしておるわけでございまして、規制法だけの所掌について云々するわけではございませんので、十分原子力安全委員会としては電気事業法における原子炉の安全のダブルチェックはできる権限を持っておりますので、何らこの形でやっても弊害は起きないというふうに現在考えておるところでございます。
  166. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 時間も余りありませんので、通産省運輸省の方の御答弁をいただく前に、つけ加えて質問をしたいと思いますが、もし通産省運輸省詳細設計以後について一応責任を持っていくということであれば、やはりそれは役所の人たちによる検査だけでは、技術的な意味で、技術的な面で不十分な面が出てくると思うんです。そうしますと、原子力安全委員会の中の専門部会のような形で、さまざまな分野の専門家の知識といいますか、知識を活用して検査をしていくということが必要になる場合も出てくるわけですが、現在の体制の中で、もしくは今後の体制の中で、通産省運輸省もそれぞれこの安全委員会の中の専門部会の専門委員のような、安全審査体制もしくは安全検査体制でのそれぞれの分野で最先端をいくような人たちに非常勤の委員を委嘱をして、それによっていろいろ検査の体制を整備をしていくというようなことを考えていらっしゃるのかどうか。それがないとすると、やはり日常的な、行政的な検査に堕してしまう——堕してしまうと言っては失礼ですけれども、おそれがある。その中で重要な問題がチェックされずに通ってしまうというようなことがあるのではないかというふうに懸念をするわけですけれども、その点も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  167. 武田康

    政府委員武田康君) まず第一のお話の規制法適用除外問題でございますけれども、実は、どうも私ども通産省の一般に対する御説明等々が不行き届きのために誤解を与えている向きがあるのかもしれませんけれども、電気事業法は、電気事業の健全な発展、それから電気をお使いになる使用者の利益の保護というような、いわば事業の規制とともに、電気工作物の工事なり、維持なり、運営なりを規制いたしまして安全を確保する、あるいは環境の保全、公害の防止を図る、こういうふうなのが大目的でございまして、いわば事業の規制と、それからその施設にかかわります安全の確保、そしてそれが公衆に影響を与えないというようなこと、二つの大目的がありまして、その体系で、もともとでき上がっているものでございます。したがいまして、原子力発電所以外の、たとえば火力発電所なんかについても安全の確保を図る、公害の防止を図るというようなことを現実にやっているわけでございます。そういったようなことでございますので、実はもともと、発電所のデザイン、あるいは工事、それから運用等につきましての安全規制というようなことをやっていたわけでございます。そんなようなこともございまして、かたがた原子炉は、発電所、電気工作物を構成する一部でございます。そういったようなこともございまして、一構成要素のみを電気事業法体系から抜き出しまして、それでそこは規制法体系で見るということをやりましても、全体の整合性等々で問題がある。それから一方、規制内容といたしましては、規制法体系におきます詳細設計以下運転に至る、運転といいますか、検査に至る規制内容と、電気事業法で定めておりますそういったことと関連する規制内容というのが全く同等でございまして、そんなような意味で、詳細設計、使用前検査あるいは定期検査といったようなものにつきまして、従来からも電気事業法の体系で扱ってきたわけでございます。  安全委員会との関係につきましては、科技庁の方からお話がございましたように、安全委員会原子力に関する安全をお扱いになりますので、これは詳細設計の認可なり検査なりが電気事業法体系で行われましても、これは原子力の安全に関する問題でございますので、重要なポイント等につきましては、すでに現在でも原子力委員会に必要なものを御報告する、あるいは常時連絡をとるというふうな体制ができておりますし、これは新体制になりましても同様なことが行われていくということであろうかと思われます。  それから第二点で、役所メンバーのみでそれができるのかという点でございますが、現在までの実績で申し上げますと、詳細設計チェックをする、これは、役所といいますか、通産省責任を持ってチェックするわけでございますが、しかし、私ども知恵の足りない面がございます。で、先ほどの説明の中でも申し上げたことでございますけれども、従来から学識経験者顧問の方を二十数名お願いして、その方々に、たとえば詳細設計で、こう判断するんだけれどもどうだろうか、あるいはどう判断したらいいだろうかというようなことをいろいろ御意見を伺って、それをベースにして判断してきたわけでございます。それからまた、事故等がございまして、これが行政部門のみでなかなか判断できない場合もございます。そういったものにつきましては、その評価等々につきましても、場合によれば調査の調べ方につきましてもいろいろ専門家の方の御意見を承り、あるいは知恵をお借りしてやってきたわけでございまして、今後におきましても同様なことはもちろん行うことでございまして、なお一層拡充の要が——安全審査の一次をさらに受け持つわけでございますから、拡充の要があるわけでございます。  ただ、たとえば検査の実務そのものにつきまして、特に専門家の人に、そういう学識経験のある人に見てもらうというようなことは、ちょっとまた違う面がございますので、これはまあいわば私ども行政部門の人間がそのままでやっているという体制がいままで続いてきております。しかし、ずっと将来に向かって考えますと、それなりの専門屋にいろいろお願いするというようなことがいろいろ出てくる可能性はあろうかと思いますが、これは今後の検討問題でございます。なお、現在でも一部きわめて定型的なものにつきましては、それはそういう人たちを使いまして、そういうデータをチェックするというような、そのデータを事後的にチェックするというようなやり方はもちろん採用しておりますが、先生のおっしゃったような、全面的にというような感じで私受け取ったものでございますから、これはまだしばらく先の検討課題であろうかと思います。
  168. 赤岩昭滋

    説明員(赤岩昭滋君) 船舶安全法でわれわれ各種の検査をやっておるわけでございます。安全法の目的といたしますのは、海上におきます人命の安全、それから財産の保全というようなことが目的で、船の安全を確保することを目的につくられている法律で検査を行っておるわけであります。一般の船——原子力船も原子炉を積んだ船という限りにおいては船舶でございまして、船舶を製造いたします場合には、製造いたします段階から製造検査というようなこと、それから竣工間際に第一回の定期検査というようなことで、図面段階、それから材料の段階、それから各種の施工の段階に応じて検査を実施してまいりました。その途中段階で、それぞれ前にやったこととふぐあいがあるところが出てくるような場合には、またさらに戻ってそこでやり直していくというような形でやっていくわけでございます。最終的には海上における試運転というものが終わりまして全部検査が終わるわけでございます。  原子力船につきましても、先ほど申し上げましたように、原子炉を積んだ船でございます。原子力船の場合に原子炉だけの安全ということは考えられない。やっぱり船である以上、海上におきますいろいろな条件に合ったときに船としても安全であるということがなければ原子炉自身の安全というものはあり得ない。私どもといたしましては、安全法の中で全体の船という中での検査を進めていくということが原子力船の安全を確保する上で一番いいのではないかと考えております。で、実際の内容といたしましては、規制法に盛られています内容と同じものを船舶安全法の原子力船についての検査でも実施していくということになっております。  それから専門家の意見を聞くべきだという御意見、これは確かにもっともでございまして、われわれ船の検査をやっております過程で、いままでもいろいろと菱洋丸等のタンカーの事故でいろいろの問題が出るし、あるいは二千メートル潜水調査船のいま建造計画が進んでいる、あるいは日の浦丸の使用済み核燃料運搬船の建造というようなことで、従来の船と変わったような船が出てきますたびに、われわれだけでなしに、学識経験者先生方にお集まり願いまして、いろいろ御意見を承って実施してきているわけでございますが、原子力船につきましても、今後ともこういうような方法を講じて、学識のある方々の御意見を反映さして進めていきたいと、このように思います。
  169. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 じゃ、時間が来ましたので、いまの問題を締めくくらせていただきますが、私いままでいろいろな御意見なり議論を聞いておりまして、基本設計の充実以上に詳細設計並びにその運転段階での安全性の確保チェックというものが大切なんじゃないだろうか、その意味で、できたら原子炉規制法で一括して安全性のチェックをしていくということが原子力技術の安全性に対する国民の信頼を高めるために大切だというふうに思っているわけです。もちろん、発電所発電所としての一つ技術であり、船は船としての一つ技術ですけれども、その中の原子炉部分というのは、原子力技術の未熟さといいますか、さらには未成熟といいますか、さらにそれへの国民の中にあるアレルギーというものを考えれば、慎重に慎重を期して審査をしていくということが大切だというふうに思いましたので、むしろその部分だけ取り出して特別の審査をするということが大切ではないだろうか。発電所発電所として検査をしていただいて結構ですけれども、もし必要なら、適用除外をしないで、ダブルチェックでもいいじゃないか。安全局長は二重行政とおっしゃいましたけれども、そもそも原子力安全委員会が二重行政、ダブルチェックを意図しているわけですから、この部分だけ二重行政は困るということではない。別の観点からやはり見てもらうということが私は一つ意味があるというふうに思っております。  それからさらに、その運転段階詳細設計段階で起こった問題、トラブルというものが、やはり基本設計の安全審査の中へもう一度リサイクルして生きてくる、こういう形の技術の循環がなければいけないのではないか、そういう意味で、基本設計以上に、その後の運転段階や工事段階の安全性のチェックというものが大切だ、そこからの情報が自動的に上がってくるようになって基本設計の審査に生かされていくという形で一つ技術のリサイクルと言いますか、安全技術のリサイクルというのが行われるのじゃないだろうかというふうに考えたわけでございます。それを、制度の問題であると同時に、やはりそれを今度運用されます担当者の方々や、その方々の仕事の仕方と言いますか、運用の仕方に大きく依存をいたしますので、その点ではこれからの運用をぜひ見守っていきたい。仏つくって魂入れずということにならないように、ぜひ魂の方を充実させていただきたいということをお願いをいたしまして、質問を終わります。
  170. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十八分散会