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1978-04-26 第84回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十六日(水曜日)    午後一時四十六分開会     —————————————    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      森下 昭司君     吉田 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 望月 邦夫君                 松前 達郎君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 亀井 久興君                 熊谷  弘君                 後藤 正夫君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 吉田 正雄君                 中村 利次君    衆議院議員        修正案提出者   小沢 一郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        安全局次長    佐藤 兼二君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君    説明員        警察庁警備局警        備課長      若田 末人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八  十回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院送  付) ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力行政に関する件)  (原子力発電安全性に関する件)  (国際エネルギー機関に関する件等)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る二十二日、森下昭司君が委員を辞任され、その補欠として吉田正雄君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。熊谷科学技術庁長官
  4. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  資源の乏しいわが国におきまして、将来にわたってエネルギー安定的確保を図ってまいりますためには、原子力発電中心とする原子力開発利用を強力に推進していくことが不可欠でございます。  このため、政府といたしましては、安全研究推進原子力安全局設置など安全の確保に十分配慮しつつ、鋭意、原子力開発利用推進に努めてまいったところでありますが、必ずしも期待どおりの進展を見せていない状況にあります。  このような状況を打開いたしまして、今後とも原子力開発利用を円滑に推進してまいりますためには、原子力に対する国民信頼を一層確保し、国民理解協力を得るために、さらに万全の努力を払うことが必要であると考えます。  このような考えから、原子力行政体制の基本的なあり方について検討するため、内閣総理大臣の下に原子力行政懇談会を開催し、各界有識者の御意見を伺うとともに、内閣原子力行政体制改革強化推進連絡会議を設け、鋭意検討を進めてきたところであります。  その結果、原子力の安全の確保に万全を期しつつ、原子力に対する国民の十分な理解協力を得るためには、安全の確保に関する事項を所掌する原子力安全委員会設置及び安全規制行政一貫化を図ることが必要であるとの結論を得ましたので、原子力基本法等の一部を改正する法律案を提出いたしました次第でございます。  次にこの法律案内容を述べさせていただきます。  第一に、本法律案では、原子炉設置等に関する安全規制等原子力に係る安全の確保に関する事項を所掌する原子力安全委員会設置することといたしております。  第二に、本法律案は、行政機関における安全規制行政一貫化確保し、その責任体制を明確にする必要があることにかんがみ、実用発電用原子炉については通商産業大臣実用舶用原子炉については運輸大臣試験研究用原子炉及び研究開発段階にある原子炉については内閣総理大臣がそれぞれ一貫して原子炉設置及び運転に関する規制を行うように改めますとともに、これらの改正に伴う所要整備を行うものであります。  なお、衆議院におきまして、原子力基本法原子力開発利用基本方針に「安全の確保」の字句を加えるほか、原子力安全委員会強化等につきまして所要修正がなされております。  以上、この法律案提案理由及びその内容を御説明申し上げた次第でございますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、本案衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員小沢一郎君から説明を聴取いたします。小沢一郎君。
  6. 小沢一郎

    衆議院議員小沢一郎君) 原子力基本法等の一部を改正する法律案衆議院における修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正要旨は、第一に、原子力基本法において、原子力開発利用は、「安全の確保を旨として」行うものとすることを規定したこと、第二に、原子力安全委員会に「原子炉安全専門委員会審査会」及び「核燃料安全専門審査会」を置くことを法定したこと、第三に、原子力委員会及び原子力安全委員会は、関係行政機関の長に対し、「報告を求めることができる」旨の規定を加えたこと、第四に、原子力委員会及び原子力安全委員会の決定または意見尊重義務規定中、「尊重」をすべて「十分に尊重」に改めたこと、第五に、原子力安全委員会設置に関する規定施行期日を「公布の日から三月以内で政令で定める日」に改め、原子炉規制体制一貫化に関する規定施行期日を「公布の日から六月以内で政令で定める日」に改めたこと。  以上であります。  この修正は、原子力安全委員会の権威と権限をより高めること等によりまして、原子力開発利用における一層の安全の確保を図ろうとする趣旨であります。  よろしく御審議をお願い申し上げます。
  7. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 以上で本案趣旨説明及び修正部分についての説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  8. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 科学技術振興対策樹立に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 後藤正夫

    後藤正夫君 エネルギー問題につきまして、いろいろな面から伺いたいことがたくさんございますが、本日はそれらの問題の中から原子力エネルギーの問題、その安全性問題等中心にいたしまして、幾つかの点について伺いたいと思います。  石油エネルギーにつきましては、本会議において総理から御意見を述べられております。私もそのとおりであると思います。有限の資源である石油、その石油の寿命というのは永久的なものではなく、十五年、二十年後にはいまよりもその供給はかなり少なくなることを覚悟しなければならないと思います。しかし、そのころ、われわれは高速増殖炉の完成、その高速増殖炉による発電の範囲の拡大等期待されますので、これに大きな期待をかけておるわけでありますけれども、それまでの間のつなぎをどうするかということは、われわれの生活を維持するためにきわめて重要な問題であると思います。  そのためには、現在の開発されつつあります水力発電のさらに規模拡大であるとか、あるいは地熱の開発推進であるとか、あるいは太陽熱の利用であるとか、あるいは潮の干満の差の利用であるとか、潮流の利用であるとか、あらゆる方法でその不足の分を補っていく努力はいたさなければならないと思いますけれども、それでもなお足りない分については、現行原子力発電エネルギーに依存せざるを得ないと思うのであります。わが国エネルギーを安定的に確保するためには原子力期待するところがきわめて大きく、原子力発電所開発をできるだけ促進しなければならない。もちろんその安全性についてはさらにさらに努力をしなければならないと私は思いますが、政府としては、わが国エネルギー供給に占める原子力の比重と申しますか、これをどのように見込んでおいでになるか、伺いたいと思います。
  10. 山野正登

    政府委員山野正登君) 将来の原子力発電開発規模につきましては、ただいま原子力委員会におきまして、原子力開発利用長期計画見直し作業というのをいたしておりまして、この夏を目標にこの作業を終了する予定でございますが、その時点で新しく明らかにされるというふうに考えておりますが、昨年の九月に開かれました総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、総合エネルギー調査会需給部会中間報告というのが報告されまして、これが了承されておりますが、それによりますると、対策促進ケースという場合で見ますと、大体昭和六十年度において三千三百万キロワット程度の規模に持っていき、さらに昭和六十五年度において六千万キロワットの規模に持っていくというふうになっておるわけでございます。この六十年度三千三百万キロワットと申しますのは、その時点におきます所要エネルギーの約七・四%、また総発電設備容量の一八・八%に相当するというふうになっております。
  11. 後藤正夫

    後藤正夫君 そのように重要なエネルギー確保ということのためには、今後の原子力発電所立地をやはり促進する必要が私はあると思うんですけれども、残念ながら現在の状況はかなり立地が停滞をしているように思われて大変心配であります。将来のエネルギー安定供給という点から本当に憂慮にたえないのでありますけれども政府はこの問題についてどのように認識されておりますか、その点を伺いたいと思います。
  12. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 原子力発電所の特に立地問題について、目標を達成するためには非常に不十分であるが、これに対してどういうふうな考え方政府としては持っているかというようなお尋ねかと思います。これに関しましては、主として私ども立場から考えていることを二、三申し上げたいと考えます。  お言葉のように、また申すまでもないように、原子力発電推進いたしますためには、どこまでも安全性確保、安全第一ということを主眼としなければならぬわけであります。たびたび申し上げておりますように、何事もそうでございますが、特に原子力に関しましても、完全に安全であるとか絶対に安全であるとかということは、これこそ完全に絶対にあり得ないことでありまして、したがって、ふだんの安全性研究は少しもゆるがせにしてはならぬ、そしてその安全性確保に取り組んでいるという姿を国民方々に少しでも広く深く理解していただくということは第一に考えていかねばならぬ、これがやはり地元対策の第一の問題であると考えております。  それからもう一つ、これにつけ加えまして、私どもの特に痛感いたしておりますことは、このように、安全性は決して絶対のものでもなければ完全なものであるとは言えませがん、しかし現在推進されております安全性確保に十分留意し、十分慎重に運転してまいりますならば、まず実用段階においてはさほど心配したものではないという考えのもとに、いまこの原力子発電開発が進められているからだと考えるわけであります。ところが、その点がなお住民方々の間に十分御納得がいかない点があると考えております。これは住民の方のサイドではありません。やはり政府としての十分な手だてがまだ行われてないと、このようにわれわれは思っております。そのために、私どもは最近考え、また実行に移しております面は、これもたびたびお耳を汚したかと思いますが、原子力発電所を受け入れていただいております府県あるいは市町村、つまり地元でありますが、地元方々原子力発電所に対するいろいろな御要望、それから疑念、そういったものに対する政府としての答えがまだ十分に出ていないと考えております。これはたとえて申し上げますと、毎年立地関係府県やあるいは市町村の団体の方々から同じような要望要請、陳情が出ておりますけれども、これが毎年、出たきりで同じようなことが繰り返されていて結論が出ていないといったような問題が、まあ少なからずあると思っておるわけでございます。したがって、こういう地元行政責任者であられます府県あるいは市町村方々のこういう御要請をまずもって真剣に取り上げまして、そして実行すべき点は直ちに実行する、あるいはその趣旨は十分にお認めさしていただいても、いま即座に実行に移すことができない面については、その点を御理解願って漸次ひとつ改善していくというようなこと、またそういう場を通じまして、政府としても御理解をひとつ地元の方にお願いしたいと思う点もなきにしもあらずでござげいますが、そういう懇談を重ねまして、政府と受け入れていただいております府県ないし市町村との間に間隙をなくしていくということが、この原子力発電立地に関する御理解を進めていく一つのこれは大切な方法ではないかと考えているわけであります。  そこで、科学技術庁といたしましては、本年に入りまして原子力立地関係立地推進懇談会、ちょっと名前が少し——そのとおりてないかと思いますが、いわゆる原電懇というふうな俗称で言っておりますが、そういうものを設けまして、一月以来それに取り組みまして、そして従来からの懸案を一つずつ解きほぐしてまいりまして、そして受け入れ府県なり市町村との間のそういうギャップを埋めていって、すきのない形にしていこうと、こういうことを進めているわけでございます。立地問題につきましては、まだいろいろの点がありますが、かいつみまましてわれわれとして考えております主要な点を申し上げたわけでございます。
  13. 後藤正夫

    後藤正夫君 原子力安全行政体制の問題について幾つか伺いたいと思っておりましたが、本日は次の一点だけ伺いたいと思います。  原子力安全性に関する国民信頼確保を図るということは、これは政府としての基本的な考え方としてお持ちになっていること、またその御努力をなさっていることはわかっておりますが、それにもかかわらず、原子力安全行政体制には従来いろいろの批判があったように思います。したがって、原子力安全行政体制にどこに一体問題があるというようにお考えになっているか、その問題についてひとつお考えになっていることを伺いたいと思います。
  14. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 原子力安全行政体制につきましては、従来から種々の御批判を受けておるところでございます。特に原子力船「むつ」の問題を契機といたしまして、各方面からの種々な指摘を受けたことはもうすでに御承知のことと存じますが、先ほども大臣から御説明申し上げましたように、まず一番の問題といたしまして、行政体制責任の所在が、現行体制では不明確であるということが特に強く指摘を受けたわけでございます。それから、現在原子力委員会が行っております安全審査、それからその後の詳細設計以降の審査等につきまして、特に原子力委員会安全審査基本設計審査のみにとどまっておるというような点等々があるわけでございます。それに対応いたしまして、現在法律の御審議をお願いしておるところでございますが、安全委員会を新設するということ、それから規制行政責任を一体化して規制行政を行うということを骨子とする法案をお願いしておるわけでございますが、特に今回の法改正におきましては、一次の審査行政庁が実施することになるわけでございますので、その審査をいたしましたものを安全委員会が中立的な立場で厳正にダブルチェックをするという体制考え法律改正をお願いしておる次第でございます。
  15. 後藤正夫

    後藤正夫君 次に、問題をちょっと別の問題に変えまして伺いたいと思いますが、原子力安全性ということについては、現在も政府としていろいろ御努力をなさっておりますけれども、従来考えられておりますその安全性という問題のほかに、発電所施設であるとか、あるいは核物質貯蔵のための施設であるとか、あるいは輸送機関等盗難から守るというような、いわゆる破壊活動から防護するということは、原子力開発安全運転重要性と同じようにきわめて重要な問題であると思います。今後核物質使用量というのはますますふえていくと思いますし、また貯蔵量もふえるでありましょうし、また輸送をする回数や量もますますふえていくであろうということが考えられます。したがって、開発面安全性ということに加えて、防護面安全性——フィジカルプロテクションの問題です、PPの問題、これがきわめて大切であると思いますけれども、この問題について政府のお考えを伺いたいと思います。
  16. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のように、こういう破壊活動であるとか盗難防止という面につきましては、日本のみならず世界的にも非常に問題にされておる事柄でございます。そのような観点で、わが国におきましても、発電所あるいは核物質輸送あるいは貯蔵施設等の物理的な防護につきましては、かねてから原子力委員会でもいろいろ御審議いただきまして、わが国の対処する方針を示しておるところでございます。実はこのPPにつきましては、国際的にはIAEA——国際原子力機関がすでに勧告を出しておりまして、核物質防護のためのレベルを定めておりまして、各国ともこれをできるだけ守るようにしてほしいという趣旨勧告がございます。それで、欧米諸国並びに日本におきましても、その線に沿って着々と整備をしておるところでございます。  そういうことではございますが、最近におきますこの問題の重要性から、原子力委員会では、先般、核物質防護につきましての審議中間報告を出しておりまして、さらにその整備を進める必要性を強調しております。それで、現在私どもの方としてその専門部会意見を受けまして、法制面整備、それから対応体制整備、関連する研究開発推進国際協力推進と、この四つのことについてさらに行政庁として検討せよという御注文でございますので、それぞれの問題点について整備を図るべく検討を進めておるところでございます。  まず法制面整備につきましては、現段階におきましては、原子炉等規制法の枠組みの中でこれを活用して整備していきたい。具体的には、核物質防護の要件を同法に基づきます規則の中に取り入れることを検討しております。  それから、応急対応体制整備につきましては、すでに関係事業者に対しまして、所轄の警備当局十分連絡をとるような指導をしておるところでございますが、さらに緊急時の場合にどうするかというようなことにつきまして、関係各省庁が集まりまして懇談会を持っておりまして、いまPP強化に伴います対応あり方検討しておる、こういう段階にございます。  それから、関連の研究開発につきましては、動力炉・核燃料開発事業団等一番問題になるところでございますので、ここを中心にいたしましていろいろな監視システム開発等を進めさしておるところでございます。  それから、国際協力の問題でございますが、このIAEAにおきまして、最近、国際条約をつくろうではないかということでの検討が進んでおりまして、それに対しまして、日本科学技術庁としても職員を派遣するということで、積極的にこの審議に参加しております。行く行く国際条約ができ上がりますと、またその線に沿っての必要な法整備等が必要になってまいるものと考えておる次第でございます。
  17. 後藤正夫

    後藤正夫君 ただいま御説明になりました中のIAEAの問題につきましては、また後にもう少しその問題について伺いたいと思います。  その前に、外国では原子力防護のための要員と申しますか職員ですね、職員について、国によっては国家試験を行ったり、あるいは特別な訓練を行って養成をしているということを耳にいたしております。また、原子力に関する企業でも、技能や行動力等に関する長期間の専門的な訓練を行っているということを聞いておりますが、わが国におきましても、PPの効果的な運用のために、警備要員教育訓練ということをしっかり行う必要があるのではないかと思いますけれども、現在の状況はどうなっているかということを伺いたいと思います。
  18. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生指摘のように、特にわが国PP対策といたしましては、外国におきますと警備員銃砲等を所持できる国が多いわけでございまして、非常に防護体制がかたいわけでございますが、日本の場合にはそれが許されておらないわけでございますし、そういう体制の中で防護をすると申しますと、一時的に、できるだけそういう暴徒等の侵入に対しまして体を張って守っておる、そこで、できるだけ緊急的に警察に御連絡をしてその暴徒を排除していくということでございまして、その警護のための人間養成というのはきわめて大切な問題であろうと考えております。そういう点につきまして、実は、これは原子力発電所の場合でございますけれども、特別な警備保障会社を設立いたしまして、十分原子力の知識を持ちつつ防護をする会社を設立しておりまして、そういう方々施設防護をやっていただくというような試みもなされております。  また、動燃事業団等におきましても、民間防護警備保障会社等協力を得つつ、常々教育訓練をいたしまして緊急時に備えるというふうな体制をとっておる次第でございます。
  19. 後藤正夫

    後藤正夫君 外国原子力防護の問題について、たとえば、核兵器などの場合は、軍が直接防護のために働いているということであろうと思いますけれども、軍以外の原子力いろいろ施設、あるいは原子核燃料輸送等の場合に、個々の国についてはそれぞれその国でいろいろな方法をとっていること、わかること、わからないこともあると思うのですけれども、一般的にはどういう方法がとられているか、おわかりになっていることがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  20. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) まず、外国の場合に、それぞれ国情によりまして違うのは当然であろうかと思いますが、アメリカの場合を申し上げますと、これは民間施設中心考えておるPP対策でございますが、アメリカはこの問題に対しましては非常に積極的でございまして、関連する規則もすでに防護規則等整備しております。防護人間は、武装警備員を配置する、一たん緩急あるときには、FBI、あるいは州警察、こういうところの応援を得るというふうなことで対処しておるようでございます。また、基準といたしましては、先ほど私御説明申し上げましたIAEA勧告した基準、これを必要最小限度基準として行っておるようでございます。したがいまして、IAEA基準よりはさらに厳しい基準で行われておるというふうに承知しております。  それから英国でございますが、英国の場合には法律的には原子力施設法防護観点規定があるようでございます。警備人といたしましては、非武装警備人を配置しております。外部の応援体制警察並びに軍隊の応援を得るようなシステムになっておるようでございます。  それから西独でございますが、法律的には原子力平和利用及び障害防止に関する法律に必要な規定を盛り込んでおるようでございます。警備員武装した警備員を配置しておるようでございます。それから外部の応援体制といたしましては、州警察、国境警備隊等に依頼するというような体制で進めておるようでございます。  以上でございます。
  21. 後藤正夫

    後藤正夫君 そこで、きょうは警察庁からもおいでをいただいておると思いますので、警察庁の方に伺いたいと思います。  いま政府の御説明をいろいろ伺っていたのでありますけれどもわが国におきましては、新しく原子力防護会社もつくられているということでありますが、その防護会社の場合も、あるいは個々の原子力施設の場合も、そこの施設職員が警備に当たるか、あるいは民間のガードマンを雇って警備に当たるということだろうと思うのでありますけれども、その場合、いずれもいわゆる武装をしていない、武装を持たない警備員だということであると思います。したがって、日本の場合は、原子力発電所、あるいは核物質貯蔵所、それらを破壊活動から守るためにはどうしてもいまのそういうやり方では限界がありますので、警察の力によらざらを得ないだろう、そのように考えられます。  そこで現在の警察の力といいますか、力という中には人員の問題もあり、あるいは予算の問題、あるいは装備の問題、あるいは原子力に関するいろいろな知識の問題あるいは原子力に関する情報の収集の問題とか、そういうことを含むのでありますけれども、今後の原子力発電所、あるいは関連の施設を守り、あるいは輸送中の盗難等を防止するのに現在の警察の力で十分であるかどうか、そういう点についてのお考えを伺いたいと思います。
  22. 若田末人

    説明員(若田末人君) 現在の核防護の実態につきましては、直接の防護関係につきましてはただいま先生指摘のとおりでございまして、各事業所、あるいはそれに関連いたしましての特別のガードマン会社等を電力会社等ではつくっておるようでございまして、そういうものを指導いたしまして直接は防護に当たっておる状況でございます。  ただ、警察といたしましても、御指摘のとおり、最近の核防護重要性の増加に伴いまして、これに関連をいたしまして警察も直接関与するというようなことになりまして、そのためにわざわざ一つの派出所をつくっておるところもございますし、所轄の派出所から巡回連絡等に参りますというようなこともございますし、それからまた、輸送につきましては、それぞれの事業所なり科学技術庁から事前に連絡をいただきまして、パトカーなり、情勢によりましては機動隊等をつけるというようなやり方をやっておるわけでございます。現況といたしましては、こういう形で、十二の県にまたがりまして二十の警察署、全国の警察署管内にございます。  そういうことで直接的には——直接と申しますか、いま申し上げたように、日常はそういうことでやっておりますけれども、一たん極左等から破壊活動なりその他の妨害を受けるというようなことになりました場合には、警察本部から直接機動隊が応援にかけつけるというようなことで連絡体制を十分とっておるところでございます。また、細かいいろいろな情報等についても随時連絡会議をもって情報をいただいておるところでございますし、その他それに要する人員あるいは予算等につきましては、また相手方もあることでございますので、この席では御了承いただきたいと思います。
  23. 後藤正夫

    後藤正夫君 一応いまの御説明で、これ以上この問題について伺うことはやめますが、今後の原子力防護という問題について、警察庁としても積極的な体制整備して、絶対に破壊活動などが起きないように防護するということについての努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
  24. 若田末人

    説明員(若田末人君) 御指摘のとおりでございまして、従来この種の問題につきましては、危険物的な立場で保安部というところで扱っておりましたんですけれども、こういう核防護重要性が一層増してまいりましたので、警察庁の所管も、核防護につきましては、いわゆる機動隊等を扱っております警備局で所管するようにいたしまして、体制を非常に強化をいたしておるところでございます。御指摘のとおり、今後ますますその重要性が増してまいりますので意を尽くしてまいりたいと思っております。
  25. 後藤正夫

    後藤正夫君 警察庁はもうこれで終わりますからお帰りいただいて結構です。  長官にもしお答えいただけたらお願いしたいと思います。もちろん私は原子力に関する施設等の破壊活動があるだろうというようなことは、なるべく考えたくないことなのでありますけれども、今日の世界の情勢から見ましても、また日本の実情から見ましても、そんなことは起こらないだろうというような希望的観測をしていることはもうできないような感じがいたします。いままでも恐らく諸外国でも小さないろんなそういうトラブルは起きていたのだろうと思いますけれども、幸いに大事に至っていなかっただけのことだろうというように考えられるわけでございます。私は未来予測の専門家から申すわけではありませんけれども、この原子力に関する破壊活動の危険というものは非常に大きいということが大変心配でございます。原子力発電所はもとより、原子力に関する重要な施設を破壊から守ること、また、核燃料物質の輸送中の防護、こういうことについては特に今後力を入れるように御指導願いたいと思います。また、原子力については特に関心の高い日本の社会事情であるという点からも、破壊活動盗難事件を絶対に防がなければならないと思います。もちろんこのことは、いたずらに戦々恐々としてはいけないということは当然でございますが、予想されるあらゆることを考えて、それに対する対応手段というものを考えておくということが私は絶対に必要であると思います。もし、一たびこういう事件が起きますならば、開発面はもとより、これまでの努力も水泡に帰してしまうということになりますので、こういう点につきまして政府の格段の御努力をお願いしたいと思いますので、これについての長官の御意見を伺いたいと思います。
  26. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) この原子力発電所に対する破壊活動あるいは盗難等の問題、まことに御心配のとおりであると思っております。これにつきましては、いま政府委員からいろいろ具体的な面につきましてお答えをいたしましたとおりでありまして、万全の処置をとっているつもりでございますが、さらに将来一層そういう厳密な警備体制をさらに進めてまいりたい、このように考えておりまして、そういう道をひとつ推進したいと考えております。
  27. 後藤正夫

    後藤正夫君 次に、先ほど原子力安全局長の御説明の際触れておられましたIAEAのことについて少し伺いたいと思います。  去る四月十日から二十日までウイーンのIAEA核物質PPに関する国際条約をつくるための会議が開かれたということを聞いておりますが、この会議で各国間の調整がかなり難航したために、条約の草案が完成に至らなかったというように報道をされておりますが、この会議内容等についておわかりになっておりましたら、簡単で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
  28. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在出ております案文は、国際輸送時におきますPP規定、それから各国の国内におけるPPに関する規定、それからこういうPP問題にかかわります国際協力を進めるという規定、それから不法行為についての罰則規定等が盛り込まれる予定になっております。先ほども先生の御指摘もございましたように、先進国と後進国との意見の違い等もございまして、今回の会議では完全合意には至りませんで、また引き続き検討が進められるということになっておるわけでございます。  それで、若干主要点を申し上げますと、対象となるものはすべてのプルトニウム、ウラン232、濃縮ウラン等でございます。それから、締約国は核物質の盗取等を防止するために国内法の枠内で適切な処置をとるというのが中心となりまして、先ほど申し上げましたそういう不法活動をやった犯人等の勾留義務であるとか、人権保護の規定あるいは犯人引き渡しに関する問題、こういうものにつきましてもあわせて規定されるというふうに了解しております。
  29. 後藤正夫

    後藤正夫君 この国際条約は、大体政府としてはいつごろ条約が締結されるというような見込みをお持ちでございましょうか。
  30. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 次回は一応九月に一部予定されておりまして、ここで今回合意にならなかった問題等を詰めまして、さらに全体会議を来年の二月ごろ行う予定になっておるようでございます。したがいまして、早くまとまれば今年度末というようなことになろうかと思っております。
  31. 後藤正夫

    後藤正夫君 この条約については、政府はできるだけ速やかに締結され、この条約に加盟をされるという考え方でおられますか。
  32. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 基本的にはそういう態度でいくべきであろうかと思います。しかしながら、国内法の整備が当然必要になってまいるかとも思いますが、こういうものを整備した上で加入するということになろうかと思います。
  33. 後藤正夫

    後藤正夫君 ただいまの国内法の整備というのは、この条約が発効するときに新しい国内法をおつくりになるということなのか。それとも現行法の範囲でやれるというふうにお考えなのか、その点はどうでしょう。
  34. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 定められます内容にもよることでございますが、特に問題になりますのは、不法行為に対する罰則規定等がどういう扱い、どういう体系でつくられるかと、条約の内容によりまして新しくなる場合も考えられるんじゃないかとも思っております。
  35. 後藤正夫

    後藤正夫君 いろいろ伺いたいことがありますけれども、きょうはこの程度にとどめ、最後に政府に対して要望いたしたいと思います。  日本が地球とともに長く豊かに生き残れるかどうかという、そのかぎを握るのが私は科学技術であると思います。今後の科学技術の発展というものに私は大きな期待をいたしておりますが、その中で特にエネルギーに関する科学技術というのは最も重要であると思います。したがって、諸外国とも緊密な協力をしながら科学技術の政策を推進するためには、科学技術庁長官はもとより、総理大臣も、全世界の最新の科学技術とその政策等に関する情報をいつも把握されている必要が私はあると思います。アメリカなどの場合についてよく聞きますことは、大統領が世界の最新の科学技術の情報をいつも集めて、それを持っているということでありますが、わが国の場合もそういう点に格段の努力が必要なのではないかと思います。今後は、科学技術庁だけでなく、科学の研究、技術の研究、工業開発研究等に関する国内外の情報を総合的に把握されて、今後の日本の科学技術の力を養うための重要な一つの資料にするといいますか、そしてこれを政策に強く反映するような体制をつくっていただくように、科学技術庁に、政府にお願いをいたしたいと思います。
  36. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いま御発言のありました趣旨につきましては十分御了承申し上げまして、そういう方向に向かってさらに一層努力いたしたいというふうに考えます。
  37. 後藤正夫

    後藤正夫君 終わります。
  38. 中村利次

    ○中村利次君 私は、原子力行政を進める上での科学技術庁の基本的な姿勢というか、認識といいますか、そういうものについて疑義を生じましたから、まず最初にその点から質問をします。  確かに、日本原子力発電が実用化されたというか、営業運転を始めてから十二年になりますけれども、いろんなことがございました。いろんなことという中には、もうもろもろのことを含みますけれども、しかし電力用原子炉について——原子力船「むつ」の問題は一応除いてもいいですけれども政府が、科学技術庁が、原子力開発について自信を喪失するような何か事件だとか事実がございましたか。それからまず伺います。どなたでも結構ですよ。
  39. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 大変むずかしい御質問でございますが、私ども一貫して、原子力開発利用に当たりましては、安全の確保ということが常に一番大事なことであるというふうに考えて進めてきておるわけでございます。したがいまして、その自信が揺るいだことがあるかという御質問でございますが、ただ、非常に御批判を受けたことがあるわけでございます。そういうような御批判につきましては謙虚に反省をして、さらに国民理解を得ていくというのが行政の姿勢であるかと存じておる次第でございまして、いろいろなそういう事象に対しましては対応策を立て、あるいは体制整備し進めてきておるというふうに考えております。
  40. 中村利次

    ○中村利次君 私は、行政が一歩下がって物を見る、物を考える。これは賛成です。政府は、通産省も科技庁も、やみくもに原子力開発に突っ走るものであるという批判、非難、あります。これは私も承知しておる。原子力開発に反対する人たちは、そう言うんです。きのうは、四国の松山で一審の判決が出た。これに対するコメントを読んでごらんなさい。まるでどうも権力の弾圧みたいな——これは反対派はそう感ずる。それは成田の極左ゲリラは、ああいう破壊的暴力行為をして逮捕されて、黙否権を使って、やっぱり体制権力の弾圧であると思っていますよ。立場によって違うんだ。だから、そういう点を政府が、国民の利益を守る、国のかじ取りをやるという、そういう何というんですか責任があるんだから、そういう立場からのいろんな非難、攻撃、激励、批判、そういうものに対してどういう姿勢をとるかということは、これはやっぱり大変に重大なことですよ。ですから、そういう点では、たとえば私は毎々言っておるけれども原子力船「むつ」の問題にしても、それからいままで発電原子炉でもありましたよ、いろんなことがあった。たとえばピンホールの問題があった。ひびの問題があった。あるいは水漏れの問題があった。あるいは一ミリレムの被曝と称する作業員のね。まあ本院の予算委員会あるいは本委員会等についても、いろいろな起きた事象について、これを大変だ、危険だというショッキングな取り上げ方をして、そして政府原子力行政の進め方についての攻撃も加わったことも、速記録を見れば明らかです。私はその都度言っておる。たとえば一ミリレムの被曝事件と称して、えらい国会でも大騒ぎになったけれども、それを追及されますとね、直ちに調査をしてお答えをいたします、と。私に言わせると、一ミリレムの作業員被曝というものは報告の義務があるのかと言ってきたわけですよ。ありますか、お伺いします。
  41. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 規制法等によりまして、従業員の被曝線量につきましては、報告を徴収しております。したがいまして、放射線下の作業をする従業員につきましては、すべて報告されておるわけでございます。
  42. 中村利次

    ○中村利次君 一ミリレム出た。それは一々報告するんですか。
  43. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 定期的に取っておるわけでございますが、作業員のゼロから幾らまでが何人と、そういう仕分けがございまして、その中に人数として出てくるわけでございます。許可の基準以上の人は個別に出てまいりますが、以下の人は、個別に出てくることではなくてトータルの数字として出てまいります。
  44. 中村利次

    ○中村利次君 そうでしょう。それを、一ミリレムの被曝が大変だという、そういう指摘に対して周章ろうばいして、まあ周章ろうばいという言葉が悪ければいつでもこれは撤回しますがね、とにかく速記録を読んでごらんなさい。御指摘の点については直ちに調査をして……。それは調査はいいですよ、調査はいい。どんなことに対してでも、それは国会で取り上げられたものに対する調査をするのは私は否定しない、すべきでしょう。しかし、そういう事件については一々報告の義務は法的にもございませんと、これはあたりまえですよ。そんなあたりまえのことを言うのをはばかって、いかにもミスをやったみたいな……、そういうのは新聞に報道されても、国会の会議録として残っても、原子力行政を正しく進めるものにつながらないで、むしろ国民の不安、疑惑、不信、そういうものにつながるんですよ。  ですから、私は、行政府の姿勢というものは大事ですよ、大事ですよということをもう本当にくどいぐらい申し上げてきた。例の原子力船「むつ」の修理問題でもそうですよ。燃料棒つきと燃料棒抜きの問題で、当然燃料棒を抜かなければ安全上問題がありますよというのだったら、燃料棒抜くか抜かないかという——抜かないのなら安全上どういう安全対策をするか、こういう議論が行われるのは私はあたりまえだと思う。ところが学者、専門家は、燃料棒つきであろうと抜きであろうと安全上は何の関係もない、これはさわったっていいんだと。それをあそこの知事さんは、長崎は世界でただ二つの被爆県であるから、そういう意味での県民感情を考えて、核抜きでと、こうおっしゃって、これはその後幾らか進展したようですがね。こんなものに対して科学技術庁がどう対応するのか、いいかげんな妥協をしてはいけませんよと言ってきたんです。私だって自主技術の開発については十分でないという批判を私自身も持ってますよ。だから、そういう批判に対しては謙虚にこたえるのは結構ですよ。しかし、ひびが——これはタカ派的な発言のようだけれども、何だってそんな……。それから五十二年度の四一%ちょぼぐらいの操業度がいいとか悪いとか……それは確かによくありませんよ。それは六〇%、七〇%ならばその方がいいに決まっておる。しかし、それが原子力安全性国民の生命、健康にどれほどの影響があるのか、あったらこれは大変ですよ。定期検査をやる。そして神経過敏なぐらい安全性については神経を使って、何も削り取らなくてもまだいい、そういうひび部分まで削り取って、それからアメリカで同型炉で何かがあったというと、安全上これは絶対問題があってはいかぬというので、日本政府原子炉をとめて点検する。そういう安全上神経過敏なぐらいのところに五〇%、四〇%という操業度があると、私はこう認識をしておるのですが、誤りですか、これは。
  45. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いま政府委員からお答えさすべきかと思いますが、先ほど来の御発言に対しまして、一応私からも答弁さしていただきたいと存じます。  科学技術庁といいますか、政府原子力行政に取り組む姿勢が非常に自信がないように見えるじゃないか、これでは国民が安心して政府信頼することができるかどうか、自分も少し疑念を持ってきたと、こういうような御趣旨であったかと思うわけであります。もしそういうお考えを持たれるといたしましたならば、それこそわれわれとしましては、私どもの舌足らずと申しますか、あるいは表現のまずさといいますか、という点から来ているわけでありまして、この点は非常に遺憾に考えるわけであります。先ほどもちょっとほかで承りましたが、反省するということについて、どうも少し反省し過ぎるんじゃないかというような御趣旨のことも漏れ承っているわけでございます。これはやはり私のいま申しました舌足らずでございまして、そういう誤解を招くとしますと、これまたまことに申しわけないわけであります。  ただ、私どもの気持ちをこの際さらに敷衍して申し上げますと、これは原子力行政だけではありませんが、すべていろいろ施政に対する、施策に対する御批判、御意見の中には、われわれから見ますれば、あるいは当事者から考えれば、いろいろさまざまの御意見があると思いますが、その御意見が一般に考えればどのような内容でありましょうとも、その中に、もって範として取り上げなければならぬと思う点が皆無ということは、私は多くの場合ないと考えているわけであります。したがって、反省という意味はそういう意味でありまして、全部のすべての点を反省するというような趣旨で言っているわけでもありませんし、決してわれわれの、そう大した自信でもありませんが、一応の考え方、一応の信念が決して崩れているわけではありませんので、そういうことも御了承願いたいと考えるわけであります。  ことに、この原子力船「むつ」の問題でございますが、これに対して一般に行われておりますいろいろな批判、その批判については、われわれもさらにそれに対する批判も持っております。さらにまた、一般の批判にあらわれない面に対する考え方も多分に持っております。それからまた、例に出されました美浜の燃料棒の折損をひた隠しに隠してきたと言われるような問題につきましても、われわれ自身としましては反省もありますとともに批判もあるわけであります。  ただ、しかし、いまの日本原子力発電に対する一般の理解の度合いを考えてみますと、これを克服してまいりますということは、いままでのあり方では私はなかなか困難ではないか、なかなか一応のことで、このように大幅な幅のあるそういうものを、一つのある程度常識的な線に求めていくということはなかなか言うべくして困難ではないか。いままで原子力安全性必要性については口が酸くなるほど叫ばれ、あるいはいろいろの宣伝、広報によってそれが普及されておりますけれども必要性ということは比較的理解されやすいと思いますが、安全性に対する取り方については、頭ではわかっても、そういう認識は私は非常に薄いんじゃないかと考えているわけであります。やっぱり物事に対する理解というものは頭で感じた、わかっただけではいかぬわけでありまして、言葉は適当でないかもしれませんが、はだで感ずるぐらいのそういう強い認識、理解がありませんと、それが一般に定着するもとにはなっていかないと考えているわけであります。  こういう現状を考えますと、こういうムードを、われわれの考えている良識的なムードに持っていくということはなかなかむずかしい。従来のあり方だけではなかなかむずかしいのではないか。としますと、やはり非常に回りくどい話でありますけれども原子力発電所というものを現地に受け入れ、そしてそれが本当に人間なりあるいは周囲なりに悪い影響があれば直ちにそれが自分自身に関係してくるというような、そういう、はだでいろんなことを感じ得られます地域におきまして、原子力に対する正しい、あるいは安全性に対する正しい認識を持っていただいて、そしてそういうものが自然に広まっていくという、はだで感じた原子力に対する認識が広がっていくという、そういうムードを打ち立てていくことが、私は非常に回りくどいようでありますけれども、間違いのない方法ではないかと考えているわけであります。  したがって、これはほんの一例を申し上げたいと思いますが、いまの一ミリでどうとか、五ミリレムでどうとかというお話がありましたが、現在の段階におきましては、それもむろん大切でありますけれども、実際、住民が、まあ公開でありますから、どんなことだって、どんな小さなトラブルでも公開すべきでありますけれども、先ほど申しました原子力立地懇談会での内容としまして、地元の方にも御理解を願いたいことがやっぱりあるということを申しておりますが、たとえばそういう場合におきまして、あらゆると言っちゃちょっと大げさですが、いろいろな場合を想定しまして、こういう問題はもう別に隠すわけではないが一々明らかにしない、したがって、それが後でわかっても、それは別に隠したのでもなければ、もちろん住民なり周囲なりに影響を与えたことにはならないというような一つの線を決めまして、これ以下の影響の度合いのもの、あるいはこれ以下の数値に対しては、これは別にそういういろいろ安全協定を結ぶとか、あるいはそういう中身は伝えていかない。これだけはどうしても安全協定をするとか、あるいは安全協定にかわって国がそういう地元に御迷惑をかけないように全責任を持つ体制を持つとか、そういうことにして、地元で、つまり安全性に対する本当の、はだで感じたそういう認識をつくっていく。そしてそれを、大分いま各地に原子力発電所もできておりますので、そういう地元の正しい認識を核といたしまして、じみちな、もっと地に足のついた原子力に対する認識を広めていくということを私は考えているわけであります。  いろいろ申し上げたいこともございますが、いろいろ舌足らずな点があるとしましたら、それは今後そういう点も、それこそ反省いたしまして、改めてまいりますが、ただ反省ということを申し上げましたことは、いろいろな意見の中でとるべき意見一つや二つは多くの場合あるんじゃないか、そういう点は、なお私どもとしては取り上げて善処してまいりたいという趣旨で申し上げたということを御理解いただければ幸いでありますとともに、私どももそういうような考え方をひとつ進めてまいりまして同じ原子力安全性に対してピンからキリまで大きな開きのあるこの認識、それは中には飛び離れたようなことをするような考え方を持つ人もありますから、それはやむを得ませんが、まあ十人中七人、八人まではまずまずという合意のできる、そういうひとつ認識を打ち立てていくということを進めまして、そして原子力ないし原子力行政に対する信頼感を実をもってひとつ打ち立てていきたいと、このような考えでありまして、十分意を尽くしませんが、そういう考えでありますので、中村議員の御趣旨もよく私も身にかみしめまして、味わいますとともに、そういう考えでありますので、どうか舌足らずであった点は御勘弁をいただきたい。また、そういう私の考え方にいろいろな場合で御指導や御鞭撻をいただければ大変幸いである、ありがたいと考える次第でございます。
  46. 中村利次

    ○中村利次君 大臣の大演説伺ったんですけれども、これは理解すべき点は理解しますよ。しかし、私はくどいぐらい申し上げているのは、やっぱり行政の姿勢というものが大変に影響する。それで私は率直に言って、原子力国民の皆さんにわかれと言ったって無理です、これは。ほとんどわからない。それから長年にわたって反対の急先鋒として原子力紛砕を続けてこられた方たちは、それじゃそういう方たちは私はかなり勉強して御存じであろうと思うと、意外と何かのときにまるでイロハのイも御存じにならないみたいな、失礼だけれどもお粗末な原子力に対する知識で、そして危険だ危険だと言って国民にアピールをし、アジって反対をされている。だから、それほどむずかしいということだと思うんですよ。だから、原子力反対だという攻撃が加わるのに対して、それこそ反省は結構ですがね、何も御存じにならない国民から言わせると、たとえば、まあ原子力船「むつ」に例をとってもいいですよ。知事さんが燃料を抜いてこいとおっしゃるんだから、やっぱり燃料つけてくると安全上問題があるんだろうなという受け取り方しか県民はしない。やっぱり被爆県としての県民感情を知事さんがずいぶんこれは考えてくれたんだという受け取り方しますか。だから、この水漏れなんてのは、とんでもない危険なことがあったと新聞はでかでかと書き立てて、えらい原子炉は危険であるという印象を国民に与えた。それに対して、しからば科技庁はどう対応したかというんですよ、政府はどう対応したか。私はこの委員会の内外で言ったつもりですが、現地の調査にわれわれ各党行ったんです。私も行って、それで人間が裸になってその水につかったって別に関係のないような水が漏れて、確かに建屋の外に出て幾坪かの土にしみ込んだ。これはドラムかんに入れていまもとってあるんですから、私が言うレベルの水でない、高レベルの水だとおっしゃるんだったら、そのドラムかん引っ張り出してきて、いまチェックしてみればいいと言うんだ。国会の議論なんというものは速記録でこれは永久に残るんです。ところがまた不思議なことには、インチキな攻撃をやっても政府は頭をお下げになるけれども、そのインチキの攻撃が何年か、十何年かたって、客観的にそれは間違いであったということがわかっても、ちっともこれ責任とらないんだな。結構なもんですよ。ところが、結果してそのことが国民の利益をはなはだしく侵害するとしたら、これは私は結構な問題じゃ済まないと思いますよ。いま問題になっておるエネルギー問題は、これはいろんな見方もありましょう。私は、アメリカエネルギー戦略あるいはいろいろなエネルギーバランスが崩れるというのは、ある意味での謀略であるという点に耳をかしてもいいです。  しかし、国際機関のほとんどすべてといっていいぐらい、やっぱり一九八五年から九〇年ごろにかけてエネルギー危機が来る、エネルギーバランスが崩れると、そういう警鐘を乱打されているのに、エネルギー対策を誤っちゃって、結果してエネルギー不足を招来した場合、いまけしからぬけしからぬという、そういうやり方、それに押されっぱなしの行政姿勢でもしあるとするなら、そういう関係者はすべてこれは客観的に国民の利益をはなはだしく損ねるということになるわけですから、どうですか、そういう点については。
  47. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 先ほど大体申し上げたとおりでございますが、非常に言葉がまずかった点もありますけれども、しかし私どもといたしましても、原子力行政を進めます点におきまして、譲るべからざる点につきましては、いかなる御発言に対しましても決して譲っておりませんし、また主張すべき点については十分主張いたしますし、またその主張を実行いたすつもりでございます。これ以上余り実例まで申し上げますことは、非常にまた舌足らずで誤解を招いてもいけませんから申し上げませんが、おっしゃいます御趣旨は十分に了承いたしております。
  48. 中村利次

    ○中村利次君 私は、やみくもの開発ということは毛頭考えておりません。当然国民の健康なり国民の生命におそれがあるようなことは断じてやるべきではありませんから。そこでやっぱりすべてが私は国民の合意であり、社会的に何と言うのでしょうか、選択というんですか——飛行機がある、飛行機は事故は絶対起きないのか、これは森羅万象ことごとく絶対というのはないでしょう。私が絶対死なないのか、次の瞬間ぽっくり死んじゃうかもしれない。飛行機は絶対事故はないのか、絶対はありませんよ。列車はどうだ、自動車はどうだ、船舶はどうだ、絶対はないでしょう、これは。ですから、飛行機が人類の、人間の生活に対してどういう利益があってどういう不利益があるのか、どういう利点があってどういう危険があるのか、それをやっぱり社会的な良識で選択をするんでしょう。ですから、そういう意味では、その選択をするのを国民に求める場合、そして国民の合意を形成する場合に行政府がどういう役割りを果たすべきか。私は、やっぱりちゃんとしてなければむしろ不信感を持たれると思うのですがね。これはまたちょっとくど過ぎますか、話題を変えますか。  それじゃ、きょうは通産省の審議官もお見えになっておりますから……。これほど問題にしなければならないほどのエネルギーの現状と将来、中期的で結構ですよ、何も二十年三十年先の、あるいは五十年先の核融合まで考えなくても。まあエネルギーの当分の本命は、これはもちろんまだ石油であって、それから将来にわたっては石炭をどう利用するか。これは埋蔵量が石油なんかとまるで違いますからね、確かに大変な課題である。しかし、何といってもいまの軽水炉から高速増殖炉にどうつないでいって——二十一世紀もかなり先でしょうけれども、核融合につないでいくのが、これがやっぱりエネルギーの本命だと私は確信して疑わない。  そこで、省エネルギーだとか代替エネルギー開発という、いろんなそういうものが回りについてくるわけですが、そういう点についての認識はいかがでしょう。
  49. 武田康

    政府委員(武田康君) いまの中期的なのにしぼらせていただきますと、現在七割近く、七割方依存しております石油が、十年十五年あるいは二十年ぐらいの間で考えますと、五割まで減らすのはなかなか大変であるというのが基本でございます。したがいまして、そういう意味では、おかしな話なんですけれども、油をいかに確保するかというのが一番大切なことでございます。ただそれだけでいいのかという点では、やはりこれから十年十五年の間に、ちょうど油の新規埋蔵量発見とそれから消費量というのが、消費量の方が上回ってしまう。したがって、累積埋蔵量がだんだん減っていくというようなことが予想されているわけでございまして、仮に現在のアメリカ、それも陸上で考えますと、大体埋蔵量が十年分十一年分と言われておりますけれども、そんなこともございまして生産横ばいでございます。世界じゅうが全部そういう状態になると考えますと、油にさらに量的に依存するというのはなかなかむずかしい。したがいまして、油にかわるべきものを考えなければいけないわけでございます。  さて、この中期十年二十年というタームで考えますと、現実に日本でもそうでございますし、諸外国全部足してもそうかと思いますが、エネルギー需給バランス表の上では、たとえば一割というようなウエートを占め得るものが幾つあろうかという点では、現在の日本では四つでございまして、先生おっしゃった石炭と原子力もこのうちに含まれております。  それから、ちょっとこれは生産ではございませんけれども、省エネルギーというのが十年二十年というタームで考えますと、一割分ぐらいの節約にはなり得るという候補者でございます。  それから、これは世界バランスとはちょっと違った問題かと思いますけれども石油と天然ガスが違うものであると、こういうふうに考えますと、日本の場合には液化天然ガスを輸入すると、これが四番目の候補者でございまして、あとたとえば水力をもっと開発しよう、これは国内でございますし、それから太陽熱を大いに利用しよう、それから地熱もそうだと言っても、これから十年でございますと、何分にも水力はかなり開発してしまいましたし、それから一方、太陽熱とか地熱、風力等々もございますけれども、こういったものは現状がいわば実質ゼロでございまして、ゼロのものを十年二十年で一割オーダーまで仕上げるというのは、エネルギーの場合にはなかなかむずかしいことでございます。そういったような意味では、先生おっしゃるように中期的には原子力、石炭それから省エネルギー、あと強いて言いますとLNGに頼ると、こうなろうかと思います。そのうちで、石炭はやはり輸入品でございます、LNGも同様でございます。ですから、自前でできるものは一つは省エネルギーでございまして、これはしかしなかなか節約というのは大変でございまして、細かい積み上げでございます。しかし大いにやらなければいけないことは事実でございます。一方、原子力の核燃料もこれは輸入品でございますけれども、しかし単位の目方当たり非常に大きなエネルギーが出る、あるいはFBRにつなげるということによりまして、それが十倍、数十倍にそのエネルギーを量的に拡大できるというようないろんなメリットを考えますと、セミ国産というとちょっと少し言い過ぎであるかもしれませんが、セミ国産的な考え方をとることができようかと思います。そういったような意味では、先生おっしゃるように原子力というのは、やはりこの十年二十年のある意味の本命と、こう言っていいんではなかろうかと思います。  一つだけマイナスの方をつけ加えさしていただきますと、残念ながらいまの技術では、原子力でできるエネルギーは電気だけでございます。高温ガス炉というようなあれもございますけれども、そういったような意味では現在電力ウエートが総エネルギーのうちの三分の一、三割とか三分の一というウエートでございまして、したがいまして原子力だけでさしずめ十年二十年で、これを仮にしゃにむにとにかくやる、フランス式のやり方をいたしましても、やはり三分の一の問題の解決でございまして、残りの三分の二は燃料を燃やすかわりに電気を使うというポリシーをとるか、そのポリシーはなかなかむずかしいかと思いますので、やはり油なり石炭なりLNGなり、そういったものでカバーしていかなければいけないと、こういうことでございます。しかし、電気をつくるのに原子力を使いまして、現在電気をつくるために使っております油をほかのものに回すというようなことが可能でございますので、そういった意味では原子力を本命と言っても間違いではないと、こういうふうに考えております。
  50. 中村利次

    ○中村利次君 これはまさにおっしゃるとおりでして、確かに石炭を液化、ガス化してこれをどう利用するのか。液化天然ガスをどう輸入量をふやしていくのか。これは開発に対してどれだけの資金の投入をし、あるいは技術的な問題もいろいろありますから、これは。そこで石炭の液化、ガス化ですね。いわゆる採算ベース、いまのところかなりこれはまだ高いわけですから、油の量及び価格、これは将来必ずそれは問題になってきますね。そことの兼ね合わせで石炭の液化、ガス化の技術的な問題とそれから価格の問題、こういう点について実用化される見通し、これはどこら辺に置いていらっしゃいますか。
  51. 武田康

    政府委員(武田康君) 石炭の液化、ガス化につきましては、日本でもやっておりますけれども、世界各国いろいろ研究をしておるところでございます。したがいまして、完全な情報を持っているわけではございませんが、きょう現在におきまして私の知っております限りでは、たとえば南アフリカではガス化、液化両方であったかと思いますけれども、現に商売が成り立っているようでございます。  かつての例で申し上げますと、戦争中、戦前でございますか、たとえばドイツはガソリンをつくったとか、日本でもドラムかんにガソリンをとったというような例がございます。ただ、戦争中の話は、技術的には可能である、価格の問題では、価格を考えない状態でございますので、ちょっと例にならないかと思います。  これから将来に向かってでございますが、現在の、たとえば日本とかアメリカ研究で申し上げますと、パイロットプラントのもう一つ前と言いますか、テストプラントと言ったらいいか、モデルプラントと言ったらいいか、そういうようなレベル、たとえば日量百トンを処理しようとか、日量三百トンを処理しようというようなあたりに取りかかりかけているというのが現状でございます。実際、石炭を何百万トン、何千万トンというオーダーで使うことを考えますと、そういった意味でガス化も液化もかなりなスケールアップ、これからツーステップなりスリーステップなりのスケールアップが必要かと思われます。  それから一方、価格につきましては、石炭の値段は単位目方当たり油より安いわけでございますけれども、かたがたカロリー換算しても山元では安いかと思います。しかし、ガス化し液化する場合には歩どまりの問題がございまして、技術の内容にもよりますけれども、たとえば歩どまりが七割であるとか、カロリー量でございますか、そういったような歩どまりの問題があり、それからガス化し液化するために相当な施設が必要であって、そのための固定費がかかると、こういう問題がございます。日本に持ってまいります場合には、船での輸送が油よりめんどくさいというような問題もございます。いろんな計算があるようでございますが、たとえば十年二十年先には、油に直してバレル当たりたとえば二十五ドルぐらいになるだろうとか、三十ドルぐらいのレベルまでガス化、液化のコストが下がるだろうというような試算もございます。しかしこれはもう少し技術開発が進展しないとはっきりしないわけでございますが、いずれにいたしましても、油の限界が目に見えてまいりますのが十年、十五年という想定のもとで、その次につなぐのはさしずめは原子力と石炭というようなのが世界的なコンセンサスにかなり近いものであろうかと思いますので、油の値段がだんだん上がっていくといたしまして、その時点で油の値段に対応できるような技術をつくっていかなければいけないというようなのが現状でございまして、現在私どものつくっておりますエネルギー需給バランス表というのは十年十五年先まででございますので、そこでかなり大きな量を液化、ガス化に期待するというのはまだ無理で、仮に紀元二〇〇〇年の需給バランス表をつくるとしますと、そこではもし期待するとすればかなり大きな期待ができるかもしれませんし、悲観的に見るとやはり十年、十五年先と変わらないと、こういう幅のあるものであろうかと思います。
  52. 中村利次

    ○中村利次君 確かに石炭はこれはエネルギー源として非常に期待が持てるものですけれども、まだまだかなりこれは研究開発をしなければならない余地があるし、あるいは液化、ガス化する場合にどういう影響があるのかということも、いろいろやっぱりこれからの課題ですね。しかし何といっても石炭、これはエネルギー源として大変将来の貴重な資源であることは間違いない。しかしこれとても、わが国の場合は輸入に頼る以外どうしようもないわけですから、千八百万トンちょぼちょぼぐらいの出炭では、どんなにがんばってみたって、これはエネルギー源として日本が、何かため息が安堵に変わるなんというそういうことは断じてあり得ないわけですから、ですから海外からの輸入に頼らなきゃならないんですが、その場合、将来構想を余りいまお伺いするのもどうかと思うんですが、私はこれはやっぱり十年十五年二十年先結果して、日本エネルギー国民生活はめちゃめちゃ、雇用なんというものはもうどうにもならぬと——いま雇用国会あるいは不況脱出の国会なんという看板かけてやってますけれども、これは十年十五年二十年たってエネルギー不足が客観的に出てきた場合みんな吹っ飛んじゃうわけですから、したがって余り将来のことをほじくり回すのは何か変ちくりんみたいですけれども、これは国会がやらなければ、あるいは政府がやらなけばれもうえらいことになる。そういう意味で、将来構想として石炭も固体として輸入をして液化、ガス化を日本でやるおつもりなのか、あるいは液化、ガス化された製品を輸入なさるおつもりか、そういう点はまだ全然お考えになっていませんか。
  53. 武田康

    政府委員(武田康君) 現在の十年十五年想定で考えております石炭輸入は、固体のかっこうで輸入して、それをたとえば発電所でそのままたくと、こういうようなかっこうでございます。ただもっと先にいきますと液化なりガス化ということをしなければいけない。それを現地でするのか国内でするかでございますが、これは現在のところ両方の考え方のミックスがあるかと思います。まだ選択できないでいる状態でございます。一方、油とまぜて運んでこようと、こういうような考え方もございまして、その三つが現在併存しております。
  54. 中村利次

    ○中村利次君 これは確かに五年、十年ぐらい液化の問題はそう具体的に議論の対象にはならないと思う。固形で輸入をして石炭火力をたかせようという話でしたが、確かに暫定見通しではそうなっています。昭和五十三年度に入ったわけでありますから、昭和六十年で二千二百万トンの石炭をたかせる計画のようですけれども、これはどうですか、審議官。いまあなた、原子力から火力だって、本当に低硫黄分の油をたく火力だって反対。液化天然ガスを——もっともこれはいわゆる何でもかんでも反対ということになりゃ、大気汚染ゼロの火力でもいま反対されているわけでありますから、これは体制反対なのか何だかしらねけれども、そういうことになると、あんなのなんか、何も反対のための反対に対して、どんなことやったって同じだということになるかもしれませんが、しかしやはり私は石炭を固形——固形といったって、ミキサーにかけてあれするんですけれども、しかしその場合はやっぱりNOx、SOxですね。それから集じん、その技術開発、いま大容量のやつはまだ問題があるわけですが、それとやっぱりもう一つ心配なのは灰捨て場、灰捨て場なんていったって簡単に言いますけれども大変なことなんですよ、二千何百万トンという石炭をたく場合。果たして何とかこれは消化できるとお考えですか。まあ反対運動は、これはらち外に置きましょう。こんなのなんか反対するのは、どんなことしたって反対するんだから、そんなのほっといて、どうですか、その可能性。
  55. 武田康

    政府委員(武田康君) 十年先に二千万トン強をたくと、それでそのために必要な発電能力、約一千万キロワットでございます。一千万キロワットという範囲で考えますと、やはり従来石炭をわりに使っておられた地域もあれば、あるいは従来から石炭火力発電所がございまして、その扱いにもなれてれば、当該地域の方もなれているというような場所がございます。もちろんそういう場所におきましても、先ほどおっしゃいましたNOx対策、SOx対策、あるいは灰捨て場を探すと、こういうような問題がございますが、約一千万キロワットのめどということでさしずめ考えてみますと、これは現在のところ十分立地の可能性があって、それでやはり中には石炭火力をこの地域でつくれないだろうかと——もちろん公害対策をした上でございますが、というようなお話のある場所もございます。したがいまして、そういう候補地全部が全部成功するかどうかという点はございますけれども、そういう候補地の中で、先ほど申し上げました一千万キロワット、約二千万トン強のものをたくということは現実問題としてもできるんじゃないかというふうに考えています。ただ、何分立地問題というのはいろんな角度で、環境問題その他の問題が話題になることでございますので、どの地域がつまずくかというようなことも、どこかの地域がつまずくということもあろうかと思いますので、一〇〇%間違いなくぼんやりしててもできるということはございませんが、最大限の努力をするという前提のもとではその程度のものはつくれるし、また消化できると、こういうふうに思っております。
  56. 中村利次

    ○中村利次君 最大限の努力をして私は可能かどうかが非常に心配であるということを言っているのでして、確かにそれは何とか実現しなきゃならないというのはわかりますが、現状で——何回言っても同じですけれども、ローサルファの油の火力発電所を建設しようとして、住民パワーと称するそういう抵抗がどういう状態であるかという事実認識、そうして石炭をたく場合にはSOx、NOxの対策から集じん対策、まあこれは関東や近畿、中部あたりでは灰捨て場だって大問題ですけれども、それは北海道や九州に行けばあるいは何とか消化できるかもしれない、あるいは具体的にそういう計画があっちこっちであるということも承知をしています。わりといまのところは小部分的には何とかなるんじゃないかという感じもありますよ。しかし二千二百万トンの石炭をたくということはいまの三倍ですからね、現有設備の。これを十年足らずで実現をするということはきわめて容易でなかろう。  そこで私はもう時間もほとんどなくなりましたから、これはもう要望として、地方自治体の行政指導を含めて、そして政府が各省庁のなわ張り争いをするなとは言いません。これは役所の体質ですからね、そんなのはやめなさいと言ったってだめだから。事立地問題についてはぎりぎりの協力をして、そしてこっちでは推進するけれども、こっちではへ理屈言って法規を盾にとって足を引っ張るというような、そういうちぐはぐがないように、ぜひこれは科技庁だって、通産省だって関係省庁ですから、地方自治体の行政指景も含めて強力な推進期待をしたいと思います。これはひとつ科技庁の長官、お人柄からいっても大変に慎重に国民の皆さんの合意を取りつけながら原子力行政進めていきたい、——基本的姿勢としては結構です。しかし態勢を見てごらんなさい。この本委員会でも私も申し上げたけれども原子力船「むつ」の母港としてのあのむつ市、あの〇・二の放射線漏れのときには目がつり上がっちゃって大変だった、出ていけ……私もそのことは十分承知をしておりますけれども、全く科学的根拠はなかった。出ていけという……感情ですよ。ところがどうですか、あんた、母港存置を公約にした市長が選挙で勝った。ほんの非常に近いところでは、きょうは二十六日ですか、四月の二十三日、原子力のサイトの島根県の鹿島町の町長選挙、終わりましたよ。これは原子力誘致派と原子力反対派の対決だと言われた。大差でもって原子力を誘致しようというのが勝ったじゃないですか。だからどんな言い分にも確かにそれは理屈はあります。ごもっとも、ありますよ、それは。福田総理じゃないけれども、盗人にも三分の理。ですけれども、そういうものを仕分けをして、国民のためのちゃんとした誤りのない私は原子力行政を進めていってほしいと思います。これはもう御答弁要りません。終わります。
  57. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十七分散会      —————・—————