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政府委員(
大澤弘之君)
資源調査会が断熱の
調査をいたしましたのは、五十一年の十月に
資源調査会の資料というのを出しておりまして、「省
資源・
省エネルギーに関する
調査」ということでございますが、
住宅で暖房用の
エネルギーがどのぐらい
断熱材を使用すると
節約になるものかということを全国規模で推計をしてみようということでやった
調査でございます。
これのつまり推計と申しますか、計算をしていく上におきましてはいろんな仮定をたくさん置いていかなきゃならないわけでございます。簡単に申しまして、たとえば家に住む人は何度で住むのか、あるいは外気の条件がうんと寒いときもございましょうし、風の吹くときもありましょうしとか、そういうことによりまして家全体で見ました断熱
効果というのも非常に違ってくるわけでございまして、大変めんどうな計算でございますが、
一つのモデルを考えましてやりました結果の結論だけを申し上げますと、全国ベースの一年間の暖房用
エネルギー——冷房は実はこの時点ではやっておりません。暖房用
エネルギーの
節約の量は約五五%になるということでございます。この五五%というのはどういうものかと先にちょっと申し上げますと、
断熱材を使用しない場合の暖房
エネルギーはどれだけになるかというまず量を出します。それから
断熱材を使ったときの使用の
エネルギーはどれだけになるかということを出します。それからもう
一つは
断熱材自身を製造するための
エネルギーというのが要ります。つまり製造する
エネルギーと、それから使用した場合の
エネルギーを使用しないものから引いたものと、その使用しない場合の
エネルギーの比と、こういうことで出たのが五五%と、かなり
効果があるということでございますが、仮定といたしましては、全国を日照が多いところとか、寒いところとかいうことで四地区に区分をしております。それから
住宅は一応三種類の
住宅を考えるというようなことで、わりあい私
ども小まめな勘定かと思っております。五十一年でございますが、かなり断熱の
効果はあるのではなかろうかと思っております。
ちなみに数量で申し上げますと、この報告の中では、
日本全国の
節約の総量は千八百八十五万キロリットルという
数字が出ております。これは現在の
石油の全
消費量が約三億キロリットルでございますので、それとの比較で千八百八十五万キロリットルというような量で、かなりの
節約効果が、これはまあ全国の家がこういうある
程度の断熱の構造をとった場合という非常に理想的な計算でございます。
それからもう
一つお話がございましたソーラーハウスでございますが、ソーラーハウスというのは御承知のように俗称でございまして、いわゆる太陽熱を家庭
エネルギーに
利用する家ということでございます。これは
科学技術庁あるいは工業
技術院のいわゆるサンシャイン計画ということでもなされておりますが、
科学技術庁の分につきまして概要を申し上げますと、
科学技術庁のソーラーハウスは四十九年からの四カ年計画で、太陽熱の家庭
エネルギーへの有効転換
技術に関する
調査ということで総額約四千七百万円を使いまして五十二年度で終了をしたという
調査でございます。いままでまだ五十二年度のデータの整理が十分に済んでおりませんので、五十一年度までの
調査の結果で申し上げますと、私
どもつくりましたソーラーハウスでは、冷暖房、それから給湯ということにこの
太陽エネルギーをどれだけ使えるかということを、代替できるかということをやったわけでございます。
住宅は実験
住宅をつくりましたので、ただいまの
断熱材等、つまり
省エネルギーのハウジング
技術をその時点ではできるだけ取り入れた家で、御承知のように、屋上にいわゆる太陽熱を吸収する装置をつけまして、それの熱
エネルギーで冷房もし、かつ暖房もする、さらには給湯もする、それからそれを補う意味でヒートポンプもするという、まあかなり設備としましては非常に
一般に必ずしもすぐできるようなあれじゃございませんで、
エネルギーがどれだけ使えるかということを試してみようと、こういうことでございますので、ぜいたくな設備で実験をしたわけでございますが、その結果は冷暖房、給湯、まあそれぞれにいろいろございまして、特に冷房の
利用はやはりいろいろまだ代替率が十分でないというようなこともございますが、平均で見ますと四九から五七%というのは
——年度によりまして日照時間その他が違うものでございますから幅が出ておるんでございますが、ごく簡単に申しまして約五〇%、半分は代替ができる。この居住の条件は大変実はいい居住条件でございまして、たとえば暖房に関しましては二十四時間暖房でございますので、いま
日本の通常の家では夜は必ずしも暖房しないということでございますけれ
ども、朝起きたときでもいつも同じ温度になるような、そういう大変理想的な
住宅での実験で代替率が五〇%ということでございます。ただ、この経済性の方から申しますと、ただいま申し上げましたように大変、何というのですか、大がかりな設備をいたしておりますので、この設備を現在の電気料金とか
ガス料金とかいうもので回収をいたしますと、十一年から十八年かかるというようなことで、その面だけから見ますと、実はいますぐ使えるといいますか、経済的に使えるということにはかなりまだ問題があるような結果が出ております。しかし、私
ども、この
利用効率はもう少し今後は上がっていくでございましょうし、量産をすれば設備というものは相当安くなるだろうしといったような期待をかけて、これをコストの面に考えますと、これはまだ余り計算が十分にこういうことがなかなかしにくいんでございますので、数値としては何も計算してないんでございますけれ
ども、ソーラーハウスの将来の実用化ということについては期待が持てるものと、こういうふうに
調査の結果考えておるわけでございます。