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1978-04-14 第84回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十四日(金曜日)    午前十時十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 望月 邦夫君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 岩上 二郎君                 熊谷  弘君                 後藤 正夫君                 永野 嚴雄君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 松前 達郎君                 森下 昭司君                 中村 利次君    国務大臣       国 務 大 臣       (科学技術庁長       官)        熊谷太三郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁振興        局長       杉浦  博君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        防衛庁防衛局調        査第二課長    長谷川 宏君        文部省大学局大        学課長      瀧澤 博三君        工業技術院総務        部総括研究開発        官        吉田 方明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力行政に関する件)  (総合エネルギー需給見通しに関する件)  (国際エネルギー機関に関する件)  (原子力船むつ」の修理港に関する件等)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 松前達郎

    松前達郎君 原子力船の「むつ」の問題について少しずつ明るい日差しが差してきたというようなことを言う人もあるようでありますけれども、佐世保港における原子力船修理に関して、最近になって原子炉封印というふうな問題が提起をされておるわけなんです。この封印というのは一体どういうことを意味しているんであろうかということなんですが、その点についてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) まだその内容については先方からお話がありませんので、詳細なことは私どもとして申し上げられる段階ではございません。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 政府の「むつ」の改修計画なんですが、この計画原子炉周辺遮蔽改修工事ですね、それが一つと、それからさらに制御棒駆動点検テスト、あるいは原子炉主要系統、あるいはそれに関連する機器の機能テストと、この三つが恐らく柱になっているんじゃないかと思いますが、いま計画されている改修計画というのはそういった内容のものでしょうか、どうでしょうか。
  6. 山野正登

    政府委員山野正登君) ただいま計画いたしております「むつ」の修理内容は、遮蔽改修原子炉プラントを中心といたしました安全性の総点検ということがその内容になっております。この安全性の総点検の中に先生が御指摘のような諸項目が含まれております。こういう状況でございます。
  7. 松前達郎

    松前達郎君 そういうふうなことであれば、先ほどちょっと申し上げました封印という問題ですね、これ何か漠然としてどういうところをどういうふうに封印するのかさっぱりわかりませんけれども、こういう封印という問題がやはりこの改修計画との関連においては相当意味——解釈によっては大分変わってくるんじゃないかと、こういうふうに私思うわけなんですが、密封をするということであれば、密封をした状態工事をするということは、先ほどお話しになった内容工事であるとすれば、これは完全にできないんじゃないかと、こういうふうに私思うわけなんです。遮蔽修理そのものには、この密封するというか、ここに手をつけないで行うとすれば相当大きな費用がかかるんであろうと、こういうふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  8. 山野正登

    政府委員山野正登君) 遮蔽改修あるいは総点検というのは、もともと原子炉を冷態停止した状態で行おうと考えておるわけでございまして、現在、長崎−地元で言っておられます核封印とかあるいは原子炉封印ということが具体的にどういう内容を持つものであるかということを詳細に伺いませんと、   〔委員長退席理事望月邦夫着席〕 ただいまの先生の御質問に的確にお答えできないというふうに考えております。
  9. 松前達郎

    松前達郎君 いずれにしましても、この原子力船修理という問題、これ大変な問題だと私思うんです。そうなりますと、やはりその辺をはっきりさせないとまたいろいろな問題が起きてくるんじゃないか。実は私ここにけさの新聞の切り抜きを持ってまいったんですが、たとえば長崎あたりですと、これに対して相当のリアクションがまた出てくるんじゃないか、こういうふうなことをこの記事に書いてあるわけなんですが、やはりその辺の、封印という問題ですね、要するに核燃料を積んだままやるかやらないかという問題と、それから技術的な問題として、封印をして果たしてできるものかという問題、こういう問題やはり相当真剣に考えておきませんと、またさまよえるオランダ人みたいなことになりはせぬか、こういうふうに私懸念をいたすわけなんであります。そういうことで、この新聞によりますと、これは勘ぐって言うわけじゃございませんが、熊谷長官久保長崎県知事との間に何らかの裏話ができているんじゃなかろうかというふうなことが書いてありますけど、まあまさかそういうことはないと思いますが、その点いかがでしょうか。
  10. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) そういうことは別にありません。ただ、いままでの経緯を簡単に申し上げますと、私が就任以来、また知事が選挙に臨まれる前また後を通じまして、現状において何とか政府目的としている修理が行われるように、何かお考えがあったらひとつぜひ御協力していただきたいと、こういうことを繰り返してお願いしておりますことは事実でございます。その内容については別段細かいことまで話し合ったことはありません。
  11. 松前達郎

    松前達郎君 その点はわかりました。この問題また新たな論議が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、その点については十分また慎重にひとつ配慮の上行っていただきたい、かように思うわけでございます。  「むつ」問題そのくらいにいたしまして、次にエネルギー問題なんですが、これについて若干の質問をさせていただきたいと思うんです。  昭和五十二年の六月だったと思うんですが、総合エネルギー調査会からエネルギー需給見通しが発表されたわけなんですが、これによりますと、五十年度の実績として石油換算で三・九〇億キロリットルである、こういうふうなデータが出ておるんです。その中で一体電力としては総需要がどれだけであったのか、五十年度の実績ですね。私のデータではこれ四千二百八十三億キロワットというのが出ておりますけれども、この点いかがでしょうか。
  12. 武田康

    政府委員武田康君) 昭和五十年度の電力の総需要でございますけれども需要といたしましては四千二百八十三億キロワットアワーでございます。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 四千二百八十三億キロワットアワーですね。そうしますと五十一、五十二年度これの総需要、これはどのぐらいだったんでしょうか。
  14. 武田康

    政府委員武田康君) 昭和五十一年度は四千五百九十一億キロワットアワー、それから昭和五十二年度は、これちょっと推定が入っている実績でございますが、四千七百九十六億キロワットアワーというような数字でございます。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 そういたしますと、通産省の五十二から五十七年度の計画、この計画によりますと、石油供給計画というのが五十三年度の原油輸入量が二億七千八百十八万キロリットルであると、こういうことを発表されていると思うんですが、これが五十二年度に比べまして五十三年度、いま申し上げた数字が〇・八%増であると、非常に少ない増加だということになってくると思うんです。五十七年度、これは三億三千三十八万キロリットルですか、これを見込んでいる、こういうことでありますけれども、このデータと同じような意味における五十一年度これについてちょっとお知らせいただきたいと思います。
  16. 武田康

    政府委員武田康君) 石油供給計画におきます昭和五十二年度、五十三年度、それに五十七年度の数字は、いま先生おっしゃったとおりでございます。そして昭和五十一年度の石油輸入実績は、LPGを含めまして三億七百万キロリッターでございます。そして五十二年度が、これは石油だけでございますが二億七千六百万、五十三年度が二億七千八百万という数字になっております。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 そういうことであるとしますと、昭和六十年度のエネルギー需給見通し、これは最初に申し上げました総合エネルギー調査会の報告なんですが、これがどうもこのようなことにならないんじゃないか、大幅に変更されるべきではないかというふうに私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  18. 武田康

    政府委員武田康君) 昭和六十年度につきましては、先ほどおっしゃった昨年の六月に暫定見通しということで需給バランスを二つ考えております。ただ、これは総需要同じなんでございますけれども、私どもとしては二つ考え需給バランスのうち、政府も民間も一致協力して最大限の努力をするという前提対策促進ケース目標として持っております。それによりますと、総需要が油に換算いたしまして六億六千万キロリッター、その中で油の輸入所要量が四億三千二百万キロリッター、それ以外のもので二億二千八百万キロリッター相当のものを賄おうということでございまして、目標が達成できるかどうかは、一に油以外のもの、水力とか国内石油天然ガスあるいは国内炭とか原子力とかLNG、こういったものが目標を達成できるかどうかということでございます。その点につきましては、私どもとしてはこれからもさらに努力を続けなければいけませんが、是が非でもその目標を達成したいということで、目下のところその目標の線に従って進行しているわけでございます。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、いまの需給暫定見通し、これは数字はいずれまた何かのチャンスに再検討をされるわけですね、この六十年度。
  20. 武田康

    政府委員武田康君) 何分にも七年先の数字でございますので、もちろんこれから二年たち、三年たち、五年たつうちに実績の方が変わってまいります。そしてそういう意味では、いま御指摘のように、いつかこういう数字がレビューされるチャンスはあろうかと思います。ただ、もしその数字のレビューがいま現在というような意味でございましたらば、私どもとしては目下その目標数字を変える必要はないというふうに考えております。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 こういう数字ですから、これは予測ですから、なかなか変動が激しいということもあり得ると思うんですけれども、なぜこういうことを言うかといいますと、やはり原子力の問題ですね、原子力エネルギー利用の問題にこれが非常に大きなよりどころになっているということですね。ですからそういう意味で、この数字が非常に大きく変わるとすれば、いわゆる原子力発電所設置計画についても相当大きな影響を及ぼすんじゃないか。そういう意味から質問をさしていただいたわけなんですが、その中でも、これもいろいろ論議あるかもしれませんが、石油究極採掘可能量というのも、これ何年も前からいろんな人が予測をしているけれども、ほとんど変わらないですね、何年たっても。たとえば石油探査技術が発達すればそれなりに新しい埋蔵予測が出てくるというその繰り返しですから、どうもその石油が将来何年ごろなくなるんだろうというのはその時点での話であって、年々歳々これも大分変わってくるんじゃないかと私思っておるわけなんですが、   〔理事望月邦夫退席委員長着席〕 いずれにしても、石油であろうと原子力発電のための核燃料であろうと、これは外国に依存するのが非常に多いわけですから、やはりそういった面でわれわれとしては国内エネルギー開発というものをこれから大きく促進していかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに考えたものですから、いまちょっとそういうことに関連して質問さしていただいたわけなんです。  しかし、原子力が有望であるとよく言われますけれども、これは確かに変わるべき中間的なエネルギーですね、そのつなぎエネルギーとしては原子力そのものは必要であろうと思いますけれども、どうも余りこういった数字が大げさに出てまいりますと、それを基礎にしてとにかくあわててやらなきゃいけないんだということになりがちなんで、やはりこの点も十分今後検討していかなきゃいけないと私は思っておるんです。また同時に、有望であるということは事実ですけれども、何も原子力ばかりがエネルギーの全部ではないわけで、補助手段としていろんなことも考えられる。それについても今後努力をしなきゃいけないんじゃないか。残念ながら、その努力をしようとしてなかなかこれがばらばらですから、その点新たな体系を組みながらやる必要があろうと、こういうふうに思っておるんです。  この前、実は西ドイツの社民党のシュバイツァーというのが参りまして、そのとき西ドイツ政府原子力発電に関する政策についていろいろと論議をしたんですけれども、やはり西ドイツあたりでも原子力発電についてはいままでは非常にあわてた感じでもって開発をしてきたけれども、今後は少しじっくりとこの点は考えていかなきゃいけない、こういうふうなことを言っておりました。わが国においてもそういった態度で今後検討を進めなきゃいけないと、私はそういうふうに思うんです。  まあ原子力行政そのものが、いままでいろいろな事情があったかもしれませんが、どうも無軌道——無軌道というのはむちゃくちゃだというふうな意味じゃなくて、一貫した一つの体制ができ上がっていないのがわが国現状だろうと私は思っておるわけでありまして、どうも基本的な技術的面の解決というのがなかなか行われていない。技術外国からとにかく買ってきてしまえばいいんだと、そういう考え方がどうも主流を占めておったのが今日までの状況だ、これを何とかしてわれわれの独自の技術を育成し、独自の原子炉をつくる、そういう方向に今後持っていかなきゃいけないんだろう、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、これは原子力船についても全く同じようなことが言えるわけなんで、早く船をつくって一日も早く動かしていこうという、その焦る気持ちはわからないでもないんですが、その反面、いろいろと問題を起こしてきたわけなんです。たとえばいまの原子力船に搭載してある小型原子炉ですね。これについて今後陸上でこういったものを完成さしておく。すべてあらゆる面の検討を終わってから船に載せてテストをしていく、そういうことは考えられないものかどうか、その点についてひとつ。
  22. 山野正登

    政府委員山野正登君) 現在原子力船むつ」に搭載されております舶用炉はいわゆる軽水炉でございまして、陸上原子力発電所で使われておるものと原理的には同じものを使っておるわけでございます。そういう意味で、別途私ども開発を進めております高速増殖炉とか、あるいは新型転換炉といったふうな全く新規の技術を使ってやるものとは違いまして、かなりな技術的蓄積のあるものでございまして、そういう実態を踏まえまして、私どもは当初から船にこの舶用炉を搭載して実験を進めるという道を選んだわけでございます。もちろん、先生がおっしゃいますように、あらかじめ陸上実験炉を設けましてそこで各種実験をして進めるという進め方もあろうかと存じますが、私どもはそういうふうなことをしなくとも、直接船に搭載して実験を進め得るというふうに判断をいたしまして現在の「むつ」の開発を進めておるわけでございます。  不幸にして四十九年に放射線漏れというトラブルを起こしたわけでございますが、その後各種委員会で慎重に御検討願いました結果、遮蔽改修と総点検を行うことによりまして十分所期目的を達成し得るという評価をいただいておりますので、従来の方針にのっとりまして引き続き開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 いまの原子力船に搭載されている小型原子炉ですけれども、これは陸上でコンパクトなものに仕立て上げてから、それから搭載をすれば放射線漏れとかそういう問題もある程度未然に防げたんじゃないかと思うんですが、これは何も原子力船に使うだけが小型原子炉役割りじゃないんですね。やはりコンパクトな原子炉というのは舶用だけではなくて、たとえば電力輸送相当問題が起こるであろうそういう地域に対する電力供給のためにも使われるんじゃなかろうか。せっかく原子力つなぎエネルギーであるともしか言うならば、やはりこういった面についても十分検討し、しかも開発をしておくべきじゃないかと私は思うわけなんです。そういう意味でちょっと申し上げたわけなんです。  その原子炉にしても、どうも燃料はほとんどが輸入に頼らざるを得ないんじゃないかと、こういうふうに私思うんですが、現在国内における燃料生産ですね、原子炉用燃料生産、この状況についてどうなっておるんでしょうか、その点ちょっとお伺いします。
  24. 山野正登

    政府委員山野正登君) 天然ウランというのは、これは先生指摘のように、残念ながら国内にはほとんど賦存量がございませんで、たかだか一万トン程度しか見込み得ないわけでございまして、将来の必要量はほぼ全量海外から輸入せざるを得ないという状況になっております。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、これも石油とほとんど変わらないんじゃないかと思うんです。とにかく国外から輸入せざるを得ない。そこに大きな問題が——戦略物資みたいなものですから、いずれまたそういう問題が出てくるんじゃないか、こういうふうに私考えるんですが、原子力平和利用ということではありますけれども、これらがやはり大きな問題に将来なるんじゃないか、こういうふうに思うんです。  そこで、原子力エネルギーによる電力生産をした場合、このときのコスト、これについてちょっとお伺いいたしたいと思うんです。
  26. 武田康

    政府委員武田康君) 原子力発電コストでございますけれども、これは実は発電所ごとに、つくりました時期が違ったり、あるいは建設費が違ったりというようなことで一概には言えないわけでございますが、仮に標準的な場所あるいは標準的な建設費、こういうのを想定いたしまして勘定いたしますと、昭和五十一年度にでき上がったというようなものにつきまして、これは計算でございますので数字に幅がある前提でお聞きいただきたいと思いますが、たとえば利用率を七〇%にすると六円前後というような数字が出ております。同様な計算石油についていたしますと、石油火力でございますが、そうすると九円前後のような数字が出ておりまして、二、三割安いかというようなかっこうでございます。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 六円。キロワット当たりですか。
  28. 武田康

    政府委員武田康君) 不正確でございました。キロワットアワー当たりでございます。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 キロワットアワー当たり六円。火力が九円。水力ですとどのぐらいになるんでしょうか。
  30. 武田康

    政府委員武田康君) 水力につきましてもまたいろんなタイプがございます。現在ございますような通常水力、つまり年間に四千キロワットアワーとか五千キロワットアワーぐらいの発電をするというような通常ケースを想定いたしまして、先ほどのような五十一年度にでき上がったと、これまた標準的な建設費考えて、そういたしますと十二、三円ぐらい、こんなような数字でございます。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 いま原子力発電所についての一キロワットアワー当たりコストでしたけれども、どうも最近稼働率が非常に悪いんですね。これは稼働率が一体どのぐらいとしたときの計算なんですか。稼働率計画どおりいったときの計算なのか、それとも——いま恐らく稼働率は五〇%割っているんだと思うんですけれども、そういうことまで勘案して計算された結果なのか、その辺をひとつ……。
  32. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど申し上げました数字は、石油につきましても原子力につきましても稼働率七〇%というベースの勘定でございます。先ほどおっしゃいましたように、昭和五十二年度非常に稼働率が悪くて、最終的に確定した数字年間を平均しまして四一・八%という数字でございます。四〇%というのはひどく低過ぎるわけでございますが、仮に四〇%稼働といたしますとそれだけ固定費部分が逆比例で高くなります。原子力固定費が高いものでございますからそういう勘定になるわけでございますが、先ほど稼働率七〇%で六円程度というような数字計算できるということを申し上げましたが、仮に、そのかわりに四〇%という前提を置きますと九円前後の数字というような勘定になります。ちょうどその時点での火力の七〇%稼働数字と大体似たような数字、こんなかっこうが標準的なものにつきましての五十一年度時点での計算でございます。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 原子力発電所については定期検査とかいろいろありますね。そういった、運転をとめなければならないような状況も定期的に出てくるんじゃないか。そういうものも含めてだろうと思うんですが、そうしますと六円というより九円ぐらいで見ておいた方がいいということだろうと私思うんです。そういうことで、発電コストからいくと、先ほどお話があったそのデータによれば火力水力よりも安いだろうと。これは、たとえば核燃料がいままでの値段で将来入ればそのままで続いていくということだろうと私は思うんですが、このコストについて、今度自然エネルギーの場合、これと比べてみると、自然エネルギー価格といいますか、一キロワットアワー当たり価格というのは比較的高いんじゃないか、こういうふうに言われておるんですが、これについて何か科学技術庁で最近推進を決議されて相当熱を入れてやられるということでありますけれども、これはまだやってみないからはっきりわからないかもしれませんが、たとえば波力とか、地熱はもうすでに稼働いたしておりますけれども地熱波力潮力あるいは太陽熱も、これサンシャイン計画の一部としてやろうとしておられる。こういった問題、さらに風力も新たに加えようとしておられる。これらについて、これはデータとしてはないと思いますけれども、大体予測コスト、それがおわかりでしたらひとつ……。
  34. 吉田方明

    説明員吉田方明君) ただいまの自然エネルギー研究開発が進められているもののコストはどの程度の見込みかというお話でございますが、実は自然エネルギー研究サンシャイン計画ということで四十九年の七月から出発したものでございまして、現在基礎研究からようやくプラント開発段階にまで進んできているというものでございます。実用化段階太陽冷暖房あるいは地熱への応用といったものは一九八〇年代の前半に予定されておりますが、その他のエネルギーにつきましては一九八〇年代の後半以降になる見込みでございます。そのコストにつきましてはいろいろな技術的、社会的、経済的な要因が絡んでおりまして、いまの段階で明確に予測することは困難でございます。しかし太陽冷暖房コスト、それから地熱コスト等につきましては、おおむね現在供給しているエネルギー供給コストに比較しまして、今後の政策にもよるわけでございますが、競争力を持たせ得るものと期待しているわけでございます。たとえば地熱発電につきましては、現在の蒸気発電がおおむねキロワットアワー当たり十円前後というふうに予測されておりますが、われわれが行っている地熱熱水発電あるいは深部地熱発電、こういったものについてもこれらに匹敵するようなコストにとどめて、研究成果の活用を、実用化を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 地熱は大体いま九州あたりでも動いておりますから、大体の価格は出てくるんだと思うんですが、そのほかについては試算されたことはありますか。たとえば波力潮力——潮力も何かいろいろと水車を入れて発電をするというふうな話が出ておるようでありますけれども、あるいは太陽熱——太陽熱はスイスあたりですと二十円から二十八円ぐらいの価格につくんではないか、また風力これも一キロワットアワー当たり二十五円ぐらいだと言われているんですが、それについて何か計算をされたことがございますか。
  36. 武田康

    政府委員武田康君) 先生指摘のもの、いずれも先ほど工技院の方から御答弁申し上げましたように、いわば研究開発段階でございますので、架空の試算と言いますとおかしいのでございますが、いろんな仮定をした上の試算というのを個人ベースではいろいろやっております。ただ断定的に申し上げるようなもので資源エネルギー庁なり工技院で勘定したものというのはございません。  ただ私どもいろいろ議論している過程で出ていることを二、三関連して申し上げますと、先生おっしゃいましたうちの太陽熱の利用、これは先ほどの工技院の話のように、あるしかるべき促進策をやれば引き合い得るようなところまで来ているわけでございます。しかし、これは太陽熱のみで全部賄うというふうに考えますと、まだちょっと先の話でございます。  それから先ほどおっしゃった海の利用でございますが、潮力につきましては、これは先生御承知のとおりでございますけれども、フランスにランスという発電所がございます。これは石油ショック以前につくったものでございますから、いまの勘定をいたしますともちろん油の値段と比べて引き合うわけでございますが、しかし、これからああいうものをつくるということでございますと大土木工事が必要でございます。そういった意味で、あれをつくりましたフランスの電力公社も経済的な意味でいまやや意欲を失っているようでございます。  それからもろもろの新しいエネルギーがございますが、これは風力等も含めましてあるいは波力も含めて世界じゅうで追っかけているわけでございます。追っかけている人たちは、これから十年、十五年、二十年の間にエネルギー価格的に油の値段も上がるであろうから、追いつき得るんだというようなことを考えておりますけれども考えておりますレベルは、いずれも現在の油の値段一バーレル十二、三ドル見当に比べまして、たとえば二十五ドルとか三十ドルとか、そんなようなものをイメージに描いてやっておるわけでございます。しかしもちろん技術開発段階のものでありますので、技術開発が非常にうまくいけばもう少しいいものになるというような想定ができないわけではございません。
  37. 松前達郎

    松前達郎君 いずれにしても、まだでき上がったプラントもないわけですから、価格についてはっきりしたあれは出てこないと思うのですが、いずれにしてもこれはさっきの原子力発電にいたしましても核燃料輸入しなきゃならぬということですね。そういう意味から考えると、この自然エネルギーというのはわれわれの持っているエネルギーですから、そういう意味ではいつかはこれらの開発というものが相当のウエートを占めてくるはずである。特に日本の場合、資源がない、エネルギーがないという国である、そういうことから考えると、こういったものの開発についても相当の熱意で当たらなきゃいけないということは明白だと私は思うのですね。そういうことで、たとえばIEAがきのうまでですか行われておったと思うのですが、この理事会においても、かつて日本のエネルギー関係についていろいろと論評をしたことがあって、たとえば省エネルギー関係の予算が日本の場合少ないじゃないかとか、そういう指摘をされたのが昨年八月だったと思いますが、そういうことがあったと思うのですが、サンシャイン計画の中で、省エネルギーという問題、これとの関連が非常に強いと思うのですね。エネルギーをとにかく節約しようじゃないか、こういうことでいろいろと計画をされておると思うのですけれども、これについて代表的なのがありましたら一つ二つお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 吉田方明

    説明員吉田方明君) 工業技術院では五十三年度から省エネルギー技術に関しましては、新しくいわゆるムーンライト計画という名前で省エネルギー技術開発についての総合的な研究開発計画を打ち出しております。この中の大きな柱になっておりますのは、熱効率を高めて発電を行いたいということで、具体的な省エネルギー技術開発のプロジェクトといたしましては、従来から行っております電磁流体発電——MHD発電でございます、高温燃焼ガスを強力な磁石の間に高速で通過させて直接電気を発生させる方法あるいは廃熱利用技術システム、すなわち工場等から放出される廃熱を効率的に回収し利用する技術でございますが、これらを従来から進めておりましたが、このムーンライト計画の中で引き続いて行うとともに、新しく高効率ガスタービン、すなわちガスタービンの入口温度を千数百度に高めることによりエネルギー効率のアップを図ると、こういったものをムーンライトの中で大型省エネルギー技術開発の大型プロジェクトということで取り上げておりまして、従来十億の省エネルギー技術開発研究費が工業技術院の中であったわけでございますが、おおむね五十三年度倍増の、約二十億の予算でもって省エネルギー技術開発の推進を図っていこうと考えているものでございます。
  39. 松前達郎

    松前達郎君 省エネルギーというのは、これはちょっと新しいエネルギー源を見つける問題とはまた全然逆ですけれども、これは非常に重要な問題だと思うのですね。そういう意味で、ひとつ大いに努力をしていただきたい、かように思うわけなんですが、それにしてもこの省エネルギー計画を実行するのにあらゆるセクションとの関連が出てくるわけですから、その辺がどうも現在の状況では余りばらばらじゃなかろうか、この辺についても何か工夫をする必要があるだろうと私は思っておるわけなんです。それと同時に、また今回のIEAの理事会ですか、これで新たに五つの新エネルギー開発研究ですね、これに関する協定に調印をされたということですけれども、これは全部でたしか二十五ぐらいあるといわれておると思うのですが、これについてあと残った部分に参加する意思があるかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
  40. 吉田方明

    説明員吉田方明君) 前半の問題、実は私担当でございませんが、実は今度五実施協定に新しく参加しまして、現在では十実施協定の十五タスクに参加しております。全体のタスク数が二十九タスクでございまして、日本はIEA加盟国十九カ国の中でかなり上の方にランクされる位置になったわけでございます。今後としましては、工業技術院の中では水素のタスクについて現在一つ入っておりますが、これにつきまして近い将来加入するということを検討しております。
  41. 松前達郎

    松前達郎君 こういった問題、非常に細かい問題かもしれませんけれども、どうもいままでのわが国の科学技術関係あるいはこういったエネルギー関係見てますと、ほとんどが後手後手に回っているわけです。とにかくでき上がったものを外国から金に任せて買ってくりゃいいんだという考え方ですが、そういうことじゃなくて、やはりわれわれの力で自分たち技術を養成し、独自の力でもって開発できるようなそういう体制はつくっておかなきゃいけない、かように思うわけなんで、非常に細かいエネルギーの話でございますけれども、そういう意味での質問をさしていただいたわけなんです。  そこで今度は、飛びますが、実験用の中型放送衛星「ゆり」が打ち上げられたわけですね、これについて若干の質問をさしていただきたいんですが、この予算が相当大きな予算を組んで、二百億以上の金をつぎ込んで計画をし、しかも打ち上げたと、こういうことに聞いておりますけれども、この中でのわが国独自の技術的なウエートというものですね、これが伝えられるところによると一五%ぐらいしかない。ロケットそのものは別として、衛星に関連して一五%であるというふうに言われているんですが、それが果たして本当であるかどうかということと、もしかそうであるとすれば、どの部分がわが国独自の技術開発されたのか、それについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  42. 園山重道

    政府委員(園山重道君) お答えいたします。  先生指摘のように、この実験用中型放送衛星の国産化率は一五%という数字になっております。これは特にこの放送通信等を所管いたします部門からの非常に強い要望がございまして、いわゆる衛星の技術開発というよりも、やはりその運用技術というものをできるだけ早く習得したい、獲得したいという要望がございましたので、国産というよりも、相当程度——まあ相当程度と申しますか、大部分をアメリカの技術によりまして、これを購入したという形になっておるわけでございます。したがいまして、国産部分といいますものも相当限られております。たとえば放送用のアンテナあるいはテレメトリーコマンドと申しまして、衛星と地上とのいわゆる連絡をいたします部分のアンテナの設計製作でございますとかというところが中心になっておりまして、ハードウエアの主たる部分というのは国産技術ではないわけでございます。しかしながら、この開発をいたします段階で、宇宙開発事業団あるいは日本のメーカー、現実にはこれは東芝が受注しておるわけでございますが、東芝がアメリカのGEをサブコントラクターとしてやったわけでございますけれども、この開発段階におきましてそういった宇宙開発事業団あるいは日本のメーカーの人間が向こうの連中と相当一緒に仕事をいたしまして、いわばそういった開発技術についても勉強をしたということの成果は非常に大きいものがあるかと思っております。
  43. 松前達郎

    松前達郎君 まあアンテナだったらどうということないんですね、これは。まあアンテナが重要な部分であることは確かですけれども、心臓部のもっと重要なところがやってあるのかと私期待したんですけれども、そうでもなさそうなんでちょっとがっかりしたんですが、しかしこれらの「ゆり」が実験的に一つのテクニックをマスターする基礎としてやられたと、そういうことでしたらまあいいと思うんですが、恐らくこれに引き続いて実用的な衛星の打ち上げという問題が将来出てくると思うんでちょっとお聞きしておくんですが、現在上がっている「ゆり」の寿命というのは一体どのぐらいでしょうか。
  44. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 三年後の残存確率五〇%ということでこの寿命が表現されております。
  45. 松前達郎

    松前達郎君 残存確率ということは、静止した状態でのという条件をつけてのことでしょうか。
  46. 園山重道

    政府委員(園山重道君) はい。所定の位置に静止した状態で機能を果たしている確率というのが五〇%と、このように理解しております。
  47. 松前達郎

    松前達郎君 この「ゆり」が今後六十万世帯に二チャンネル分の中継をする。特にわが国の場合ですと、離れたところ、あるいは離島、そういうところで国内の中にまだテレビ等の難視地域があるんだということで、これを解消するんだと、六十万世帯に二チャンネル分の中継をするというんですが、今度はこの地上局ですね、三十三局ぐらい地上局が必要だということですから、この地上局の設備とか建設費、運用費ですね、こういうものもまた金がかかってくるんじゃないかと思うんですね。それと「ゆり」の打ち上げの費用、「ゆり」以後の問題も、新たに今後考えられるべきであろう衛星の問題も含めて考えますと相当の経費がかかるんじゃないかと、こういうふうに私思うんですが、これらの費用をかけてでもテレビの中継をする必要があるのかどうかという問題と、もう一つは、たとえばそういう難視地域に有線とかマイクロとかそういう方法でもって解決する方法はないだろうか、その方の費用の方が安いんじゃないかと私思うんですけれども、そういった問題について何か御意見お伺いしたいと思うんです。
  48. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 今回の「ゆり」はあくまでも実験衛星でございまして、現実に現在のいわゆる難視聴地域の家庭に実用の番組を提供するという衛星ではないということでございます。で、これは郵政省が放送行政の一環として考えておられることでございますので、私の方が郵政省から聞いておりますところを申し上げますと、まず、単に難視聴のためにいま申し上げたように実際に番組を送るという目的ではなくて、放送衛星システムというものを技術的にも確立していきたいという段階実験衛星でございます。したがいまして、非常にたくさんの実験をこの三年間に行いたいという計画になっておりますけれども、その後の実用の計画についてはまだ郵政省ではこれを決めておらない、現在検討中であると、このように聞いております。ただ、先生指摘のように、残っておる難視聴地域六十万世帯というものに対してテレビ番組を提供するという場合に、従来のような地上のシステムの延長で行う場合と、それからこういった衛星を導入して行う場合ということを比較いたしまして、これは郵政省の方の見解では、いま残っている難視聴地域というのは非常にいわば遠隔地と申しますか、山奥でございますとかそういうところになりますので、従来の方式で地上の放送系を延ばしていくというのは非常に巨額の経費がかかる、かえって衛星を使った方が現実的であり経済的にできると、このように聞いておるところでございます。
  49. 松前達郎

    松前達郎君 はい、わかりました。  前に戻るんですけれども、これは武田審議官にちょっとお伺いしたいんですが、先ほどの原子力コストの問題ですね。この中に稼働率の問題私申し上げたんです。稼働率七〇%で計算すれば六円ということをおっしゃったんですけれども、このコストの中に、今度は稼働率じゃなくてたとえば環境の問題ですね、いろんな環境対策に金がかかるんじゃないかと思うんです。それともう一つ原子炉による廃棄物ですね、この処理についての費用も、これはやはり発電所がやるべき仕事だと思うんですけれども、そういったようなものも含まれているんですか。
  50. 武田康

    政府委員武田康君) 原子力発電所につきましての環境対策というのは、すでに相当なことをやっております。そしてそれは何らかのかっこう建設費の中に入り、あるいは運転費のうちの直接費の中に入るというかっこうで入っております。それから一方、核燃料につきましては、核燃料原子力発電所の中で燃えるわけでございますが、燃えた分に相当する価格というのは当然コストの中に入ってまいります。それからまたそれに伴いまして核燃料サイクルの関係でいろんな費用がかかりますが、これまた勘定の中に入っております。  で、ただ一言だけつけ加えさしていただきますと、先ほどは五十一年度にでき上がったものが、五十一年度にどうかというような標準的な数字でございます。したがいまして、たとえばこれから先燃料費が上がれば、あるいはウランの値段が上がればまた建設費も実は五十一年度にでき上がったものと、いま建設しているものということでは差がございまして、そういう意味で先ほど申し上げた数字がこれから先もその数字のままであるということではございません。したがいまして、周辺環境の変化あるいは核燃料サイクル関係のもろもろの問題の変化、一般の物価の変化というようなことに伴いまして変わっていくわけでございますが、ただ石油との相対関係で申しますと、先ほど申し上げましたような関係が数字、絶対値は違いながら相対的には似たような関係をたどっていくと、こういうように想定しておるわけでございます。
  51. 松前達郎

    松前達郎君 大体それでいわゆる電力コストですね、発電方式の違いによるコストというのは大体見当がついてくるわけですけれども原子力は比較的安いですね。ただいろんなまだ不確定的な要素がずいぶん入っておりますから、この金額もあるいはそれ以上安くなるということはないんじゃないか。現に稼働率が下がっておるわけですから、たとえば六円というのはもうそれ以上になっている、こういうことなんで、そういう原子力による発電コストと、それからさっきお話ありましたいわゆる自然エネルギー発電コスト、これについてもたとえば地熱ですとか、そういうものは比較的安いコストである、十円ぐらいだと、こういうことですから比較的安い、これは油より安いんじゃないかと私思うんですね。そういうふうなことで自然のエネルギー開発もやはりやらなきゃいけないし、それが時間がかかるとすれば、その間は原子力でつなぐという手も考えなきゃいけないだろう。しかし、原子力になりますと安全の問題が非常に重要な問題となってくるし、原子力に関しての技術的な問題の中で、特に基礎技術がまだ確立されないうちに原子炉の設置というものに走ってしまった結果がいろいろと問題を起こしている点もあるんじゃないか。ですからそういう面では原子力エネルギーを使うということに関してやはり基礎的な研究開発というものを並行して行っていくべきじゃないか、かように私思っておるわけなんですが、今回原子力基本法の改正ですね、これが出されてきておる。これの改正に関して、これは大ざっぱなことなんですが、発電原子炉については、大体技術的な面その他については実用化をされたものである、ほぼ完成されたものであるというふうに解釈をされて、その結果こういうふうな基本法の改正という問題が出たんだろうかどうか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  52. 山野正登

    政府委員山野正登君) 原子力開発利用に関連しまして、自主技術がきわめて重要であるということ、また基礎的な研究もあわせ行う必要があるということは私ども全く同感でございまして、現在定着化を進めております軽水炉というものにつきましても、この自主技術開発というものには特段の力を入れておりますし、また将来の実用炉を目指しております新型の動力炉の開発等も、そういう見地で進めておるわけでございます。で、現在の軽水型原子力発電というものは、私ども実用化されたものとして受け入れておるわけでございまして、なお非常に新しい技術でございますので、まだ円熟度が足りないという面で改良の余地はあろうかと存じますが、十分実用にたえ得るものというふうに理解しているわけでございます。  なお、今回お願いいたしております原子力基本法等の改正と申しますのは、これは現在の原子力発電立地推進等につきまして最も問題となっておりますのは、国民一般あるいは特にこの立地地域の周辺住民の原子力発電に対する漠然たる不安感というものが非常に大きなネックになっておるわけでございまして、私どもは安全の確保には従来とも格段の力を入れておるところではございますが、なお体制面で一層これを完璧なものにし、かつまた地域住民の方々にも、体制上も御理解しやすいものにしたいという趣旨でこの基本法等の改正をお願いしておると、こういう次第でございます。
  53. 松前達郎

    松前達郎君 その精神的な趣旨はわかるんですけれども、どうも、たとえば発電原子炉に関しては通産の方に何か大分持っていかれたような感じである、船に関して言いますとこれは運輸省である。もうすでに設備が完成されたものだというふうな考えが基本にあるんじゃないかと私思うのですね。ところが、どうも私は完成されてない、まだこれからやることは幾らでもあるんだと思うのですけれども、その辺が非常にまたせっかちに急いで分離していくという感じをこの法案については抱いておるわけなんです。その点、これはまたいずれ機会があると思いますから、そのときにすることにいたしまして、いずれにしてもエネルギー問題というのは非常に重要な問題だ、重要というよりも経済の基本を首ねっこ押さえておる問題なんだ、こういった問題については今後大きな努力をわれわれしなきゃいけない、かように思っておるわけでございまして、きょうは、そういう意味自然エネルギーを強調するといいますか、自然エネルギー開発についてもいまから十分やっておかなきゃいけないんだと私は痛感いたしておったものですから、そういう意味質問さしていただいたわけです。その点につきまして、今後一段とひとつ努力を続けていただきたい、かように思っております。  以上で質問終わらしていただきます。
  54. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、きょうは長期エネルギー見通しの問題についてお尋ねしたいと思いますが、昨年総合エネルギー調査会昭和六十年あるいは昭和六十五年を目標とするエネルギーの見通しを発表しておりますが、政府としては、エネルギー調査会の見通しの中で、いわゆる対策促進ケース、これをやはり政府の正式な目標としておると、このように判断をしていいのかどうか。
  55. 武田康

    政府委員武田康君) 昨年の暫定見通しでは対策現状維持ケースとそれから対策促進ケースと二通りの見通しをしているわけでございますが、私どもといたしましては対策促進ケースの線に沿ってこれを達成すべく官民一致して努力すると、こういうふうに考えているわけでございます。
  56. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま言われたことは閣議決定か何かされておるんでしょうか。
  57. 武田康

    政府委員武田康君) エネルギー関係の閣僚会議がございまして、そこでは御議論をいただいておりますが、閣議決定というような形式ではございません。
  58. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 総合エネルギー調査会というものがこういう見通しを立てたわけで、それは見通しは見通しであって、政府としてはこの方向で行くんだ、こういう点で私は閣議決定をしていかなければいけないんじゃないかなということは、その目標達成のためには各省の政府全体のやはり協力がなければできないわけでありまして、なぜ閣議決定などされないのか。
  59. 武田康

    政府委員武田康君) 総合エネルギー政策につきましては、昨年来通産省の総合エネルギー調査会でいろいろ検討していただいているわけでございまして、昨年の数字はいわばその中間報告のようなものでございます。しかしそれ自身、昨年の九月だったと思いますけれどもエネルギー関係の閣僚会議で御報告をし、そして政府全体としても対策促進ケースの線で努力しようと、こういうことでございます。ただ総合エネルギー調査会そのものの検討はことしまだ続いておりますから、いずれそれが本報告になることになろうかと思います。その後におきます取り扱いについてはその時点考えることになろうかと思いますが、しかし、閣議決定しようとしまいと、私ども政府全体としても対策促進ケースの方向で努力しようではないかということであり、そして同時に官民の総力を挙げてというようなことでございますので、政府のみでなくて関係の方々全体で一緒にこれを努力目標として達成に努力していく、こういうことであろうかと思います。
  60. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、これは閣議決定はされていないけれども、その内容においては政府各省が、各閣僚が責任を持ってこの対策促進ケースに向かっている、閣議決定されたのも同じような状況であると判断していいわけですね。
  61. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど申し上げましたように、昨年の九月にエネルギー関係の閣僚会議に総合エネルギー調査会暫定見通しあるいは中間報告ということで御報告し御検討をいただいているわけでございます。そして、こういったようなエネルギーの多様化そして同時に石油を確保していかなければいけないわけでございますが、省エネルギーもそうでございますけれども、こういう方向でやろうというようなことで、私ども事務べースでは関係の閣僚の方々皆さんこういう方向であると、こういうふうに思っております。
  62. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 科学技術庁としてもやはりそういう認識を持っていらっしゃるのですか。
  63. 山野正登

    政府委員山野正登君) ただいまの「長期エネルギー需給暫定見通し」につきましては、昨年九月総合エネルギー対策推進閣僚会議に報告されまして関係閣僚が了承しておるところでございまして、当庁としましてもこの暫定見通しの線に沿いまして努力をしておるという状況でございます。
  64. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それぞれ水力地熱あるいは原子力、石炭等各項目に分けて昭和六十年を一つのまず当面の目標にしておるわけでありますが、水力についてはいま大体どういう進捗状況であるのか、これをお尋ねします。
  65. 武田康

    政府委員武田康君) 昨年暫定見通しをつくりました段階では、昭和五十年度の実績が、水力発電——一般水力で千七百八十万キロワット、揚水で七百十万キロワットでございまして、五十二年度末の実績というのはまだ必ずしも全部明確になってない部分がございますので、両方で申し上げますと、五十一年度の水力実績は千八百万キロワットでございます。そして揚水の部分が八百二万キロワットということで、両方足しますと約百万キロワットぐらいふえているわけでございます。なお五十二年度の年間を通じまして十五万キロワット増加しているというようなことで逐次増加しております。  それから、先行きの見通しでございますけれども、現在電気事業者等で長期の計画をつくっておりまして、私どももそのデータの届け出を受けたところでございますが、これは対策促進ケースの方向に沿って——少しショートしておりますけれども、全体としても対策促進ケースに近いところで進展しているかっこうでございます。
  66. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは一般水力と揚水に分けておりますが、そしてその後に構成比として両方の中間に水力の構成比が載っておるわけでありますが、私の理解では揚水というのは、これは一次エネルギーというよりも二次エネルギーと申しますか、したがってこのエネルギーの構成比の中に占める割合は、これは一般水力だけでいいのか、あるいは揚水発電の中にも一般水力のような新規の発電も兼ね備えたものもあるのか、そのあたりはどういうぐあいになっておりますか。
  67. 武田康

    政府委員武田康君) 揚水発電につきましてもいろいろなタイプがございます。大分前にできているものあるいはいまよりも三、四年前ぐらいまでにできております揚水の相当部分は揚水の機能を持っておりますが、ダムに流れ込む自然の水もございまして、いわば揚水と一般水力の混合物というようなものが多かったわけでございます。そして現在つくっておりますかなり大規模なもの、百万キロワットクラスのようなものはいわば純粋な揚水みたいなものがかなり多くなっております。ここでは一般水力と揚水に分割しておりますが、揚水の中にはいま申し上げましたような混合揚水というようなものが入っております。  それで全体に占めます比率は、一般水力から出てきますエネルギーと、それから揚水のうちの混合揚水から出てくる、つまり一般水力に同等なもののエネルギー、この両方を足したものを油に換算いたしまして比率を出しているということでございます。
  68. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 細かいことは、時間もございませんので省略しますが、現在完成しているのが約二千五百万キロワット、それから着工しているものは大体七百五十万。そうしますと、昭和六十年までに八百五十万キロワット不足するわけでありますが、今後の見通しはどうであるのかですね、ちょっと計画がかなりおくれているように思うんですが。
  69. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど申し上げましたように、現在時点で各電気事業者が将来に向かってのプランをつくっており、私どもの方に届けのあったところでございます。それによりますと、昭和六十年度四千百万キロワット近くというような数字でございます。トータルにおきましては、対策促進ケース両方足しました四千百万キロワットとほぼ同じというようなことでございます。ただ、エネルギー量的にいきますと、一般水力のウエートが多いわけでございますが、一般水力につきましては、対策促進ケースに書いてございます二千二百五十万キロワットに比べまして、五十万キロか百万キロぐらいショートしたかっこうになっておりまして、その点につきましてはまだもう少し努力をしなければいけないわけでございます。
  70. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大体わが国のダムをつくることのできる地点というのはどのぐらい残っておるのですか。
  71. 武田康

    政府委員武田康君) 水力の地点につきましては、いろいろな調査をしておりまして、過去五、六十年間調査の合計でございますが、現在、包蔵水力というような表現をいたしておりますけれども、一般水力地点としては約三千二百万キロワットはある、それから混合揚水——揚水とまざった地点でございますが、これが二千万キロワットはある、合計いたしますと五千万キロワットというような数字が一応出ております。その中には開発済みのものあるいは工事中のものも加わっておりまして、五十一年度末のデータでございますが、その時点での未開発は約二千七百万キロワット、一般と混合揚水が半々でございます。ただ水力開発にも、ダムに伴います水没とかその他当該地域に及ぼす影響がございますし、また経済的な問題も別途ございます。ですから、先ほど申し上げました未開発の二千七百万キロワット、これが全部が現実にできるということでは必ずしもないわけでございます。しかし私どもとしては、少しぐらいの経済的な問題等々は何らかの手段で解決して、できるだけ促進していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  72. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私がいままでお聞きしていたのは、大体四百九十三地点、八百十一万キロワットで、しかもそのうち一万キロワット未満が二百六十六カ所である、これと大分数字が違うようでありますが、これはどういう違いがあるのか。できましたらいまの二千七百万キロワットの今後の開発可能な調査の詳細なデータを御提出をいただきたいと思うんです。
  73. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど両方足しまして二千数百万と申し上げましたが、わりに小さい水力も含めましてできるだけの開発をしようということで現実にプランを考えている、そういったもので考えますと数字は大分下がってまいりまして、五百万とか八百万とかそういった数字になるわけでございます。そして、そういったもののうち、より一層現実的なものを開発していって、六十年度までに四百五十万、六十五年度までに八百五十万というようなことで努力をしていくということでございます。したがいまして先生お話しの数字は、何といいますか、図面等々で全部を拾い上げた場合に幾らになるかといううちから、より一層技術的、経済的に現実的なものを拾い上げる、それもこれから十年、十五年という期間に開発していくというようなことで考えますと五百万とか八百万とか、こういった数字になっていくということでございます。
  74. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、まあ水力発電の将来としては、かなりいろいろ水没住民の反対もございますし、そう多くは期待はできない、しかもかなり規模が小さくならざるを得ない。そういう意味で、私はやはり今後の水力発電のあり方としては大規模な発電とともに、コミュニティー発電と申しますか、小規模なものをふやしていかなければならない、こういうのも一つの方向じゃないかと思うんです。そういう点で小型発電所を大量生産をして、そしてしかもコストを下げる、こういうようなことを大いに研究しなくちゃならぬじゃないかと思うんですが、そういう点は恐らくやっていると思うんですけれども、そういう点はどうですか。
  75. 武田康

    政府委員武田康君) エネルギー量としての水力につきましては、いま先生がおっしゃったとおり、比較的小さいもの、三万キロとか一万キロとかあるいは五千キロとか、そういったようなものを多数拾い上げていく、そして積み上げていくということしか現状ではないわけでございます。そういった意味で、コミュニティー発電というようなお話もございましたが、そういったものも含めまして、小さなものもできるだけ拾い上げていくというようなことで私どももいま努力しているところでございます。
  76. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それではその他の問題はまた次に譲りまして、次に地熱の問題ですが、昭和六十年百万キロワットを目標にしておるわけでありますが、現在は、私のいただいた資料では、昨年十二月で七・六万キロワット、建設中のものが鬼首あるいは九電の八丁原、東北電力、北海道電力等を合わせて十三万九千キロワット、合計して大体二十一・五万キロワット、これでは昭和六十年の目標である百万キロワットはかなりほど遠いのではないかと、こういう感じがするんですが、この点はどうでしょうか。
  77. 武田康

    政府委員武田康君) 稼働中のもの、建設中のもの、先生の御指摘のとおりでございます。そのほかに現在検討中のものと、それから環境調査とでもいうようなことでございますが、そういった意味のボーリングをしているというようなところも含めまして、これから六十年度までにどれだけできるかということでございますが、電気事業者のきょう現在のプランによりますと、追加されるべきものが約六十万キロワットでございまして、現在建設中のものまでの約二十万と合わせまして、六十年度約八十万という数字が現在電気事業者の方から出されております。で、私どもとしては対策促進ケースの百万キロワット、これをぜひとも達成したいのでございますけれども、現在その差額はこれからの努力ということでございます。なお、ただ電気事業者以外、自分で地熱の電気を使うというプランも別途ございますので、この部分は先ほどの差額二十万キロワットを幾らか埋めるという形になろうかと思っています。
  78. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 了解いたしました。国としても通産省で大規模地熱推進で二十五万キロワットの設備をつくるような計画を推進すると、こういうようなことを聞いておるわけでありますが、今年度としては、特に地熱関係ではどの程度予算を使って計画しておるのかお伺いしておきます。
  79. 武田康

    政府委員武田康君) いま御指摘の大規模深部地熱開発は、私どもとしては、当面さしずめその開発よりも前に、環境にどんな影響を与えるかというような意味の調べをしなければいけないわけでございますが、これをこれから五年間ぐらいでやりたい、その初年度といたしましてのことしは、予算的には十二億を計上いたしておるところでございます。
  80. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いわゆる電気事業者等からの計画につきましては、ひとつ地熱それから先ほどの水力を含めて、これは資料として御提出いただきたいと思います。
  81. 武田康

    政府委員武田康君) お出しできるかと思っております。
  82. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ地熱も、いまのところはおくれておるけれども、まあ何とかこの線に近いところまで努力をしていく方向である、そう百万というものは、百万はいかないにしても、かなり近い線までいけるんじゃないか、こういうような感じでございますか。
  83. 武田康

    政府委員武田康君) 昨年想定の対策現状維持ケースが五十万キロ、促進ケースが百万キロワットでございまして、いまその真ん中よりちょっと百万に近い方に行っておりますが、私どもとしてはできるだけ百万に近づける努力を今後ともしたいと思っております。
  84. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから原子力発電昭和六十年の三千三百万キロワットというものは、これは見通しはどうでございますか。大体いまのところ行けばどの程度まで行けますか。
  85. 武田康

    政府委員武田康君) 現在運転中、建設中それから建設の準備にかかっているものの合計が二千四百万キロワット弱でございます。あと差額約九百万キロワットをこれから電源開発調整審議会の議を経、安全審査を経、建設をしなければいかぬ、こういうのが目標を達成するための必要な量でございますが、水力地熱同様に、電気事業者からきょう現在のプランとして出てきております数字は三千二百八十数万キロワット、まあいわば四捨五入すれば三千三百万キロワットということでございまして、現在私どもはこれまた、これからもろもろの手続と工事を経て、六十年度までにというのはなかなかむずかしいことでございますが、最大限の努力をし、現在電気事業者が考えている三千三百万弱の数字、十数万キロワットショートでございますが、それをぜひとも達成したいというふうに考えている次第でございます。
  86. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 エネルギー調査会の長期エネルギー計画では、構成比の計算におきましては原子力発電所の設備利用率というものを何%として計算をしておりますか。
  87. 武田康

    政府委員武田康君) 昭和六十年度で六五をちょっと超えていた数字だったかと記憶しております。七〇をちょっと切っております。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は六五%で計算していると聞いているんですが、それでいいんですか。
  89. 武田康

    政府委員武田康君) 失礼しました。六五という数字でございます。
  90. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、これ実際、六五%でそして三千三百万キロワット、それで目標が達成するわけで、そういう点から言うと、いまのように四一%ぐらいではかなり現在においては計画が大幅におくれていると言わざるを得ない、このように思います。  そこで次に、国内石炭の問題でありますが、この間の当委員会のお話では五十二年度は千八百二十五万トンである。五十年が千八百六十万トンで大体二千万トンベースを維持していくという、こういう方針でありますが、低下をしてきておるわけでありますが、この理由はどういうところにあるのか、今後の対策、方針はどうなっておりますか、簡単で結構ですから。
  91. 武田康

    政府委員武田康君) 石炭の実績につきましては先生お話のとおりでございます。二千万トンの目標には百ちょっとショートしているわけでございます。石炭の増産はもちろん、生産維持というのは現在の日本の炭層の条件、採掘条件あるいはそこで仕事をされる労働条件等々から見まして、なかなかその維持も大変というのが実態でございまして、しかしやはり二千万トンペースは必ずぜひとも維持していきたいというようなことでございまして、私どもとしては今後ともできるだけの手当てをして、二千万トンベースの維持に努めていきたいということでございます。そして上積みできればそれに越したことはないわけでございます。
  92. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはまた別な機会にそれぞれ関係の方にお聞きをしたいと思います。  きょうは時間もございませんので次へ進みますが、国内石油天然ガスでございますが、これは昭和五十年三百五十万キロリットル、これを昭和六十年には一千百万キロリットルを目標にいたしておりますが、私のいただきました資料では昭和五十年も昭和五十一年も同じく三百五十万キロリットルで余り前進がないわけでありますが、日本周辺の探鉱状況はどうであるのか、阿賀沖とか常磐地方でかなりの埋蔵量が確認されているというけれどもどうなのか。また一千百万キロリットルはちょっと現状では無理ではないか、この点の見通しはどうですか。
  93. 武田康

    政府委員武田康君) 石油の探鉱というのは掘れば必ず当たるというものでは必ずしもないわけでございます。したがいまして断定的なことはちょっと申し上げかねるわけでございますが、五十三年度予算でも石油の探鉱開発につきまして従前にも増して政府もてこ入れをするということでございまして、実績はまだ五十一年、五十二年でそうふえているわけではございませんが、やはりこの対策促進ケースに沿いまして、これを達成すべく努力をしているということでございます。
  94. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いま日本周辺でいわゆる確認されておる埋蔵量というのは一体どの程度あるのか。私がいろいろお聞きした範囲では阿賀沖で一千万キロリットルと常磐地方で五百万キロリットル確認をされている。この程度ははっきり確認されている数で、日本の周辺には十四から十七億キロリットルぐらいあると、こういうお話も聞くわけですが、こちらの方は推定であって、これはいろいろな見方があってはっきりしないと思うんですが、かなりはっきり確認されている埋蔵量というのは一体どの程度であるのかですね。
  95. 武田康

    政府委員武田康君) 申しわけございませんけれども、私、数字を承知しておりません。後で調べまして御報告させていただきたいと思います。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから次に、LNGにつきましては、これは御存じのように、昭和五十年には年間五百六万トンであったものを昭和六十年には三千万トンにしていくと、こういうことで、現在のところは七百二十八万トンと、こういう状況でありますが、今後三千万トンを輸入するというためには、まず輸入先の確保の問題、あるいはLNGを国内で使用するためには国内におけるLNG基地をつくるとか、こういう体制がやはり必要ではないかと思うのでありますが、そういう点はいまどういう状況であるのか。昭和六十年三千万トンをもし必要とするならばやや計画はおくれておるんではないか、この点はどうでしょうか。
  97. 武田康

    政府委員武田康君) LNGにつきましては、先生お話のとおり、輸入先、国内基地、それから需要の問題等々いろいろあるわけでございます。現在確定しているものだけで言いますと原子力同様この目標に達しておりません。したがいまして今後ともそういった面で努力をしていかなければいけないわけでございます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 やはりLNGの場合は、これは輸入の確保の方はほぼ見通しはついている、そちらの方は余り問題はない、むしろ国内の方に問題があるんではないかと、こういうような理解でよろしいでしょうか。
  99. 武田康

    政府委員武田康君) LNGの用途におきまして一番大きなウエートを占めるのは電力部門でございます。で、先ほどの水力等と同様でございますが、現在、電気事業者がきょう現在計画を立てて私どもの方に届けておるところによりますと、LNG、LPGを含めましてLNG火力というのはほぼ目標を達成するようなプランでございます。そこがほぼ目標が達成できますと全体としてもかなりいい線にいくというふうに私ども考えておる次第でございます。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはエネルギー庁は担当ではないかもしれませんが、いわゆる専用輸送船の問題ですね。当然LNGを日本に運んでくるには輸送船が要るわけで、日本の国は非常にいままでタンカーに力を入れ過ぎて専用輸送船の問題については技術がおくれておるわけでございますが、私は、造船業界の現在の不況から考えても、特に長期エネルギー計画に従って当然LNGの専用輸送船も必要になってくるわけでありまして、やはりエネルギー庁としても計画を実施するためにはそういう船も必要なわけでありまして、そういう点にも関心を払ってもらわなきゃいけないと思うんですが、こういう点はどうでしょうか。
  101. 武田康

    政府委員武田康君) 先生指摘のとおりでございます。ただ、実は私自身LNG専用船のことにつきまして知っておりませんので、ちょっとここでお答えできないのは残念でございますが、御指摘のとおりLNGの専用船の確保が大切でございますし、また国内でもそれができるようにする、現に建設しているケースがございますが、そういった面でもこれから進めでいくことが必要だと考えております。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点はぜひエネルギー庁としても推進をしていただきたいし、この問題については次回に運輸省等も来ていただいてさらに詰めてまいりたいと思っております。  それから、海外の石炭の輸入状況でありますが、これはエネルギー計画では昭和五十年が六千二百三十四万トン、それを昭和六十年にはどうしても一億二百万トンにふやす、これだけ必要であると、こういう計画でありますが、しかし実際昭和五十二年の海外石炭の輸入量は昭和五十年よりもさらに後退をしておるわけですね。もちろんこの海外石炭が必要であるというのは、やっぱり火力発電所なりそういうものが稼働して初めて必要なわけでございまして、こういう点を考えますと火力発電所の建設が予定どおりいってないことにもなると思うんですが、昭和五十二年が昭和五十年よりも輸入が減っておる理由は何なのか。また昭和六十年一億二百万トンの石炭の需要に見合う計画の進行状況はどうなのか、それをお伺いしておきます。
  103. 武田康

    政府委員武田康君) 石炭の輸入につきましては、先生御承知のとおりでございますが、その大半が鉄鋼用の原料炭でございます。原料炭につきましては鉄鋼の生産といわば比例しているわけでございまして、五十年度、五十一年度比較しまして減っているのはむしろそちらの方が原因でございます。さて、鉄鋼以外で一般炭の需要があるわけでございますが、一般炭につきましては五十一年度約八十六万トンの輸入、五十二年度も最終数字出ておりませんが、ほぼ似たような数字でございます。したがいまして、それだけで見る限りでは五十年度に比べてふえているわけでございます。これは国内での石炭火力での使いっぷりがふえたというふうに考えていいかと思うわけでございます。そして、対策促進ケース昭和六十年度一億二百万トンでございますが、これを原料炭と一般炭に分けますと、原料炭が八千六百万トン、一般炭が千六百万トンでございます。八千六百万トンの方は鉄の方でどう使うかということに関連するわけでございます。一方、千六百万トンは、先生指摘のとおり電力でどれだけ使うかというのがほぼ勝負を決めるわけでございます。で、電力計画につきましては、先ほどの電気事業者のきょう現在の計画、私どもの方に届け出のあったものでは、大体その千六百万トンに見合うと考え暫定見通しにおける規模とほぼ同じものが出てきております。したがいまして、現在電気事業者が考えている石炭火力計画がそのまま進展すれば——これはぜひとも進展させなければいけないわけでございますが、国内炭のほか千六百万トンの海外炭輸入が行われるというような需要のめどがつくと考えておるわけでございまして、ほぼこれは達成できるであろうということでございます。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これも計画どおりいけば達成できるということで、火力発電所の建設にもいろいろな公害の問題等もあるわけで、いろいろ困難はあると思うんですが、ぜひとも政府の御努力をお願いいたします。  それで、石炭はやはり石油よりもかなり量も多いし、しかも油のように中近東のようなところに集中しないで分散をしておるわけで、そういう点からやはり石油にかわるべきものとして今後石炭もかなり重要な地位を占めることはこれは当然じゃないかと思うのでありますが、一方やはり石炭の場合は石油に比べて使用上の面にもいろいろ制限があるわけであります。そういう点から石炭の液化ガス化の研究が、これがサンシャイン計画の一還としても行われているように理解をしておるわけでありますが、この研究の見通し、状況についてはどうなんでしょうか。
  105. 吉田方明

    説明員吉田方明君) サンシャイン計画の中では、石炭の転換利用技術につきまして研究開発を進めております。石炭につきましてこれをガス化する方式について、低カロリーガス化と高カロリーガス化二方式、それに石炭の液化技術について取り組んでおります。現在、低カロリーガス化につきましてはパイロットプラントの運転に入っておりますし、それから高カロリーガス化は本年度実施設計に入っておりまして、明年から建設にかかる予定でございます。それから、石炭液化につきましては、現在、液化の一つの方法でございます溶剤処理液化、アスファルトに石炭を溶かす方法、ソルボリシス法という日本独自の方法でございますが、一トン・パー・デーのプラントを建設しまして、つい最近建設が完了いたしまして、現在運転に入りつつあるということでございます。これらはまだいずれも小さいパイロットプラントの段階でございますので、この建設、運転、評価が終わりました後、引き続きましてさらに規模を大きくしたパイロットプラントの建設に着手していく予定でございます。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この計画では、昭和六十年に新エネルギーとして二百三十万キロリットル、これは恐らく石油換算だと思います。そうしますと、わが国エネルギーの中の〇・四%を占める。さらに昭和六十五年に千三百万キロリットルで一・六%と、このような目標になっておりますが、昭和六十年と言えばあと七年しかないわけでありますが、大体いまの見通しとして新エネルギー二百三十万キロリットルの内容としてはどういうものが一番最短距離にあるのか、この点大体の見通しですね、これは先のことでわかりませんでしょうけれども、大体の見通しとしてはどうなんでしょうか。
  107. 吉田方明

    説明員吉田方明君) 先ほどの暫定需給見通しに、一九八五年には新エネルギーとして二百三十万キロリットル石油換算の量が見込まれております。これにつきましては、現在行っておりますサンシャイン計画の中の研究開発を積極的に推進するとともに、この成果を強力に普及していく施策を講じましてそのエネルギー量を確保していく予定でございまして、主として中身は太陽冷暖房・給湯システム、すなわちソーラーハウスの普及等によりまして二百三十万キロリットルの半分以上、さらに地熱利用技術につきまして、サンシャイン計画開発しました熱水利用技術あるいは深部技術、こういったものを含めまして、二百三十万キロリットルを新エネルギーとして確保していきたい、そういう予定になっております。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、地熱の場合は既存の技術で大体百万キロワット、今度新しい技術で、いま言った二百三十万キロリットルの油換算の半分ぐらいを目標にしていきたいと、こう理解していいわけですね。
  109. 吉田方明

    説明員吉田方明君) おっしゃるとおりでございまして、先ほど別な項に、地熱の浅部の蒸気発電が出ておりまして、それに加うるに、地熱につきましては、サンシャイン計画で熱水利用発電とバイナリーサイクル発電というのをやっておりまして、それの実用化と、それから深部地熱発電の初期の段階のものをカウントいたしまして、半分ほどに達しておりませんが、太陽冷暖房の方がまだ一九八五年の段階ではエネルギー量としては多うございますが、それに次ぐエネルギー量として地熱考えております。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 きょうは細かく内容まで論議することはいたしませんが、政府がいやしくも計画を立てた以上は、常にその中間においてその実施状況はどうであるのかそれを掌握し、また私たちもそれに対して、立法府として何が必要であるのか、そういう点も考えていく責任があるんではないか。こういう立場でお尋ねをしたわけでありまして、この問題につきましては、ひとつ具体的な電気事業者からの計画等、これは資料として御提出をいただきまして、次の機会にまた質問させていただきたい、このように思います。  そこで、最後に石油輸入の問題でありますが、先ほど松前委員からも質問がありました石油供給計画ですね。これは先般発表されたわけでございますが、それによりますと、昭和五十三年は、原油輸入量は〇・八%、五十二年度から〇・八%しか伸びていない。先ほどのエネルギー計画を見ましても、水力にしてもLNGにしてもあるいは原子力発電にしても、設備稼働率は四一%と、こういうことで、すべての計画がおくれておる、上回っておるものは何もないわけでありまして、それでありながら、一方油というものは備蓄をふやしていかなくちゃならない。九十日備蓄、さらには一千万キロリットルの国家備蓄をしていかなければならない、こういうような方針でありながら、五十三年度は〇・八%の伸びでいいと、これは大丈夫なんでしょうか。
  111. 武田康

    政府委員武田康君) 五十年から五十三年にいろいろ比較をいたしますと、確かに石油輸入量の伸びが〇・八でいいというのは、一見奇異な感じがするわけでございます。しかし、先ほどのお話の中にもございましたけれども、たとえばLNGの輸入というのを勘定いたしますと、五十年からべースにいたしまして大分ふえております。一方、原子力発電稼働率は確かに低いんでございますが、五十年時点から比べますとかなり伸びているわけでございます。で、そういったかなり伸びている部分が現実にもあるものでございますので、石油の消費量というのは、いわばそういったものを差し引いた残りの差額、できるだけ多様化という点で考えますと、そういうものが差し引きの石油消費量として出てくるわけでございまして、五十二年と五十三年の伸びが〇・八というような、一見奇異に見える数字は、そういったような差し引き勘案のしわが石油に寄ったというふうに御理解いただければと思うわけでございます。  そうして、先ほど来御説明いたしましたように、少しずつショートしているものもございますが、昭和六十年度につきましては、水力から海外炭あるいは新エネルギーに至りますまで、現在の段階では対策促進ケースの線に沿いまして努力をし、また、建設計画あるいは設備計画等の面では、そういったラインにほぼ乗っているわけでございます。もちろん、これからもそれを現実のものにするための努力が必要なわけでございますが、そういうラインに乗っているわけでございます。  そうして、この計画考えておりますように、これから先の昭和六十年度までの間におきましても、年間六%程度の経済成長、これは雇用の維持のためにも、福祉の向上のためにも、あるいは生活の向上のためにも、ぜひとも必要というふうに考えられる数字でございますが、そうなりますと、トータルの量は同じことでございますので、石油の所要量としても四億キロリッターを超すようなものになるわけでございますが、これはこれからさらに、現在のレベルに比べまして、一億キロリッターぐらい増加するわけでございまして、この確保もなかなか大変な仕事でございますが、これにつきましても、石炭・石油特別会計の予算等々を大分ふやしていただきましたので、そういったものを有効に活用してその実現にも努めていくと、こういうことで、それも含めまして対策促進ケースを目指して努力をしているし、またしていくということでございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回の石油供給計画の作成に当たりましては、当初は政府は、七%の経済成長を達成するためにそれに見合う石油を入れろと、業界は、昭和五十二年度が実際に計画ほど石油の消費が伸びなくてそのために非常にだぶついたから反対であると、こういうようなことが新聞等でも大分問題になっておったわけでありますが、結論的には〇・八%という、こういう伸びになった。私たちも、石油は有限の資源ですから、できるだけ少なくなるにこしたことはないと思うのですがね。ただ、これで計算しますと、政府は、昭和五十七年度に向けて三億三千万キロリットルを、それから後ずっと四%で計算しますと昭和六十年には三億七千百万キロリットル。そうしますと、これはLPGを除いた量としても、政府対策促進ケースの四億一千二百万キロリットルをかなり下がってくると、こういうことになるわけなんですけどね。  そこで、いわゆる高度成長から安定成長に入って、GNPの成長の内容というものもかなり変化をしてきているのじゃないか、したがって、当然そこでいわゆる油の弾性値というものも、いままでの計算式とはまた違った計算をしていかないと将来の見通しを誤るんじゃないか。こういう点で私は、長期エネルギー需給計画をもう少しこれは根本的に検討し直さなきゃならないのじゃないかと、こういう感じがするんですが、その点はどうですか。
  113. 武田康

    政府委員武田康君) この二、三年GNPの構成内容がいろいろ変わってきたと、それから弾性値というような計算をいたしますと、どうも従来の常識に余り合ってない、ばらばらな数字が出るというような点は、確かに御指摘のようにあるわけでございます。ただ、昨年暫定見通しをつくりました時点におきましても、そういったような四十八年以降の二、三年間がなかなかうまい数字に乗らないというような現象を認識しながらつくったわけでございまして、数字そのものは、これから二年たち三年たち、あるいは五年たちいたしますうちにまた変わってくる実績に伴いましてレビューをすべき時点がまいるかと思いますけれども、きょう現在の段階では昨年の暫定見通し、この数字のラインというのを特にレビューしなければいけないというふうになっているとは思っていないわけでございます。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういう点ですね、政府計画立てれば余りしょっちゅう変えると、それはメンツもあるでしょうけれども、しかし、やはり経済の状態がわれわれわからないように変わっていく場合もあるわけですから、そういうときにはやはり計画というものを速やかに改定をしていく、そういうことにしないと、いずれにしても政府計画というものはあらゆる産業界の一つの指針になっていくわけでございますので、そういう点はひとつ速やかに、常にチェックをしながら適正な対策を立てるようにひとつ努力をしていただきたい。  それから、今回の石油供給計画の中には、自主開発原油というものを一〇%必ず入れると、こういうような内容があるわけでありますが、まあ自主開発原油というものは、いままで日本が自主的に海外で開発しながらそれが日本へ入ってこなかったというのは、それは油の質が非常に重質油であったために日本の石油業界が余り喜ばなかった、そのために自主開発原油でありながらほかの方にいっておった、これをぜひ日本へ持ってくると、こういうことで今回の石油供給計画には自主開発原油一割を入れていくと、こういう目標が出されたと思うんですが、それとあわせて中国の油もこれから年々増加をしていく、これも私は重質油ではないかと思うわけでありますが、こういう点を含めて実際に一〇%というものは輸入することが可能であるのかどうかですね。国内においても十分それは消化できる体制にあるのかどうか。その点はどうなんですか。
  115. 武田康

    政府委員武田康君) 石油供給計画の詳細につきましては、私実は担当が違いますので承知しておりませんけれども石油供給計画、いわば先ほど先生おっしゃったようなローリングプラン的な意味でレビューをいたして毎年設定いたしております。そしていま御指摘のような自主開発原油なりあるいは中国原油というのを引き取っていく。そしてその過程では重質油の分解装置等を今後に向かいましては増設していかなければいけない等々の問題は確かにございます。しかし、せっかく開発した自主原油でございますので、これはぜひとも引き取り使っていくという方向で努力すべきだと考えておりますし、また石油供給計画そのものは、これは最終的な消費が変わりますと結果として変わってくることはございますけれども計画目標としては政府数字ではございますが、業界もそのラインに沿って同じ意味努力をしていくものであると、こう理解しているわけでございます。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、エネルギー計画の問題は、先ほどお願いした資料をまた御提出をいただきまして、もうきょうは余り細かい内容まで質問を通告してなかったわけでありますが、そういう点で答弁者の方もいらっしゃらないようですから次の機会に譲りたいと思います。  最後に、先ほども松前委員からも指摘がありましたいわゆるIEAの理事会において、このたび日本が新エネルギー研究に今回五協定八プロジェクトに参加したわけですね。したがって、いままでの五協定七プロジェクトを合わせると十協定の十五プロジェクトに参加をした。こういうことで、先ほど先進国では非常に上位であると、こういうような御指摘があったわけでありますが、私は新聞等で見ますと、米国はすべてのプロジェクトに入っている、西ドイツは十五協定二十二プロジェクトでですね、わが国よりもさらにより多くの協定に積極的に参加しているわけですね。わが国は経済力においてももうアメリカに次ぐ経済大国と言われております。しかし、一方エネルギーの面においては非常に海外依存度が高いわけでありまして、そういう点からすべての協定に積極的に参加すべきじゃないか、こう思うのですけれども、それは科学技術庁長官としてもそういう気持ちは一緒じゃないかと思うのです。しかし、これに参加すればいろいろな問題があるから参加できないんじゃないかと思うのですが、これはもっと力を入れるわけにはいかないものなのかどうか。どういう点に障害があるのか、予算上の障害なのか、あるいは人員、研究者の面の障害なのか、あるいはわが国にとって必要ないから入らないものなのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
  117. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生指摘のように、このエネルギー問題きわめて重要でございますし、国際的な機関で国際協力という場にもっと積極的に出るべしと、まことにごもっともな御指摘だと思うわけでございます。従来、日本はいろいろ国際協力による仕事になれてないというような面もございまして、なかなか出にくいところもあったわけでございますが、最近に至りまして非常にその反省がございまして、今回御指摘のように新たに五つの協定に加盟する。さらにその中には新聞等にも報じられておりますが、波力エネルギー利用につきましては日本が主導権を持ちまして実際にハードウエアをつくりまして、これに対してアメリカ、カナダ、イギリスが参加いたしまして、十海域の実験にも参加してきておるその結果の解析も一緒にやるというテーマを出しまして非常に評価されておるところでございます。  このエネルギー問題に関しまして、特に先生指摘のように海外に依存するところが大きいわけでございますので、これからやはり日本といたしましてはこういった国際協力の場に十分積極的に出ていく必要があると考えております。このためには、先生指摘のように予算の問題もございますが、そのほかにやはり実際に研究開発に携わっている人たちの国際的な共同の仕事というものになれていくという必要もございましょうし、またそれを科学技術庁といたしましては勇気づけて、やりやすい環境をつくっていくということに十分努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 よくわからなかったのですが、いまの状態で全部に参加できないというのはどういう点に障害があるのですか。私はもう全部やればいいじゃないかと思うのだけれども、やはりこういうところに日本が積極的にやっていく。特に今回入った波力なんというのは、日本は海洋国ですから当然やはりやっていかなくちゃいけない。それをもう今回ようやく、やいやい言われてその五協定に入ったわけでありまして、だからそれ以上進められない、進めないというのはどういうことなんですか。
  119. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 私もこの問題全般を担当いたしておりませんので、個々について一々の御説明ができかねるわけでございますが、恐らくはそれぞれの問題ごとにつきまして関係国との間の興味の焦点の違いの問題とか、あるいはそれぞれにつきまして加盟いたしますためには、やはり国内でのそれ相応の予算措置が必要でございますので、その辺につきましてまだ全部に加盟できるという状態ではないと、このように理解しております。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはひとつ長官にも、ぜひこういう研究の分野で日本も積極的に参加をし、日本のすぐれている点はほかの国へも教え、またほかの国のいいところはどんどん学んでいく、こういうことで、今回IEAの理事会においても日本に対するいろいろな勧告もなされているわけでありますし、そういう国際社会の中で日本が仲よくしていくためにはこういうところにこそ積極的にやはり出すべきじゃないかと思いますし、そういう点は今後その体制をつくるように科学技術庁としても予算をつけ、速やかにあらゆる分野で協力できるように努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。
  121. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 御趣旨はごもっともであると存じます。いまなかなか十分にそういう段階にありません理由は、あるいは人的な問題、環境の問題、まあいろいろございますが、そういう支障をできるだけ克服いたしまして、今後とも積極的にその方面に努力するようにいたしたいと考えます。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは最後に、きょうは主にエネルギーの長期計画の点でいろいろお尋ねしたわけでありますが、科学技術庁は直接こういうものを実用的に実施するところではないかもしれませんが、しかし、エネルギー関係の閣僚として科学技術庁長官もその責任の一端は負っていらっしゃるわけなんで、今後ともひとつわが国の長期エネルギーの確保に十分なるために、常に閣議においても長期エネルギー計画が着々と前進していくように、そういう点をひとつ努力をしていただきたい、常にチェックをしてどこに問題点があるかと、そういうことに絶えず目を通し、また国会にも報告していただきたい、そのことを要望いたしまして質問を終わります。その点一言御答弁いただきたいと思います。
  123. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) これまたごもっともな御発言でございます。特に、全般的な問題もありますが、原子力の平和利用の推進ということは当庁といたしまして直接担当する面でもございますので、特に原子力発電の推進、ことに将来の本命であります新型転換炉でありますとか高速増殖炉、そういうものの推進は当面の仕事でもございますし、全般の原子力発電所におきましてもいろいろな点からわれわれとしても考えている点もありますので、これらを含めましてエネルギー政策全般に関しまして、エネルギー関係閣僚の一人といたしまして十分この上とも努力してまいりたい、このようにお答え申し上げます。
  124. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会
  125. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それではまず最初に、アメリカの新しい核拡散防止法に伴う今後のわが国原子力開発への影響に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、この問題はすでに何人かの委員も触れられていますので、前置きを省略をして御質問をいたしますが、たとえば使用済みの核燃料、これの再処理をフランス、イギリスにわが国は現在委託をしているわけでございます。こういったものについてもアメリカの承認が必要とされるという問題とか、アメリカの技術によっている原子炉で生まれた使用済み燃料の再処理、これも新たにアメリカの承認を必要とするということとか、昨年の段階、東海村の再処理工場の再処理の方式をめぐる問題で、日米交渉の以降のそれの評価についてこの国会でもいろんな議論のあったところでありますけれども、いわゆるプルトニウムの単体抽出方式について新たな困難が生まれてくるということが予想されるかと思うのですけれども、それらの問題について科技庁はどういう見解ですか。
  127. 山野正登

    政府委員山野正登君) 幾つかの問題を提起されましたが、まずこの再処理につきまして、海外に再処理事業を委託する場合の影響はどうかという点でございますが、御承知のように現在の日米原子力協力協定におきましても、海外において再処理をいたします際には、その使用済み燃料の移転に際しまして米国の事前同意が必要なわけでございますが、そういう意味におきまして、今回の核不拡散法において求めておる事前同意というものは本質的に新しいものではないというふうに考えております。つまり従来と同じ方法でもってこれを規制するということであろうかと思います。その際に、御指摘のように、従来の規制対象に加えまして、米国から移転された施設でできたものも規制の対象になるというのは、これは新しい点でございまして、この点につきましては今後米国が移転された施設というものをどの範囲で考えておるか、これは今後恐らく将来起こるでございましょう日米の話し合いの場で明らかにされることだと思うのでございますが、その中身いかんによってわが国の影響というものはいろいろ変わってくると思われますので、いま直ちにとやかくのコメントはできないと思います。  それから東海再処理工場の運転でございますが、これは昨年の日米共同決定によりまして、当面の二年間の九十九トンというものは単体抽出法による運転が合意されたわけでございますが、これに引き続きまして、第三年目以降の運転をどうするかということにつきましては、同じく昨年の日米共同決定の中に、今後混合抽出法につきましてこれが国際核燃料サイクル評価の結果、並びにその後における研究開発の成果等から見て、技術的に実行可能であり、かつ有効であるというふうに日米両国政府が合意した場合には混合抽出法に切りかえようという合意があるわけでございます。これは裏を返せば、そういう合意がない場合には混合抽出法にはならないということになるわけでございますので、これによって三年目以降の運転方式というものは決められると思いますが、別途いま私が触れました国際核燃料サイクル評価の計画というものは、日米双方が参加をしていろいろ検討を進めておる問題でございますし、あるいはまた来るべき次の日米交渉に際しましては、今般の核不拡散法の立法の精神、まあ核の不拡散を強化しようという立法の精神というものに立脚して、当然米側はわが方に対応してくると思われますので、その辺総合的な観点から論議されるとは思いますが、いま直ちに先生おっしゃるように、三年目以降の単体抽出はこれによって不可能になったということは即断できないと考えております。
  128. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ずいぶん楽観的に事態を見ておられると思うんだけれども、ヨーロッパの各国との関係ではかなり大きな問題になってきておるというのが新聞にも報道されるところで、御存じのことですよね。質問をした第一点について言えば、従来と変わらないというふうに言い切っておられるけれども、ほんとに変わらないというふうに断言できますか。それから第二点は、新しい困難が生まれてくるということをいまの御答弁でも確認をされておりますが、第三点の関係について言えば、昨年の夏の日米合意の段階ではそういうことであったけれども、年変わって新しい核拡散防止法がアメリカの手によってつくられてきて、これをてこに、言うならアメリカの思惑のもとに世界各国の原子力開発政策を握っていこうというこの新しい意図がいま進行しているわけだけれども、そういう点で第三番目の質問をした点についても大丈夫というふうに言い切れますか。私はもうこれでだめになったというふうに何も即断をして……、新しい困難が生まれるんじゃないかと、こう聞いているんですが、どうですか。
  129. 山野正登

    政府委員山野正登君) まず第一点の、海外再処理委託の話でございますが、私が申しておりますのは、事前同意を求められるということ自体は何ら新しいことではないということを申し上げておるわけでございまして、この事前同意を求めることがむずかしいかやさしいかという点についてコメントしているわけではないわけでございます。今回の核不拡散法の内容を見ますと、第三国移転について米国内の申請手続というものの大筋が示されておるわけでございますが、これが今後どういった具体的な基準で運用されるかということはまだわからないわけでございます。で、この運用の基準いかんによっては、おっしゃるように従来よりもこの運用がシビアになるということは当然予想され得ることでございますので、そういう点も含めて何ら従来と変わりはないということを私は申し上げておるわけではございません。  それから東海再処理工場の三年目以降の運転について、まあ日米交渉をいずれ行います際に、米側が今回の核不拡散法というものをてこにしまして相当厳しい対応をするのではないかという点でございますが、これはふたをあけてみなきゃわからぬわけでございます。あるいは先生のおっしゃるような場面もあるかもしれません。あるかもしれませんが、私どもは基本的には米国の核不拡散強化という方向には賛成でございますが、しかしそれによってわが国原子力平和利用というものが不当に損なわれてはならないという立場でございまして、そういう点、わが国エネルギー事情を十分に先方に理解してもらいますとともに、それに伴ってわが国においては核不拡散の心配というものは御懸念には及ばないという点も十分に理解をしてもらって、わが国も満足できる、と申しますのはわが国の平和利用を貫き得るような解決策を見出さなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  130. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私が質問しております趣旨は、アメリカのやり方の不当性を日本の政府側に代弁を求めているわけではないんですよ。長官も政府委員の方も、午前中のほかの方の質疑の中でも、わが国原子力開発については本当に自主開発がもっと旺盛に、またしっかりと根をおろして進んでいく必要があるんだということはこもごも言われておるわけだけれども、そういう点で、世界各国の対等平等の原則から言ったって、アメリカが歴史的に核兵器ないしは核エネルギーの独占的優位を持っておるという歴史的経緯はあるにせよ、現時点では世界各国が対等平等にお互いに協力し合って人類の未来というか、それを目指して原子力開発を対等平等に進めていくという国際的原則が確立をされていく必要があるということは、これはどなたも否定をなさらないと思う。そういう点から見て新しい困難が多少なりとも将来予想されるということであれば、どういう困難があるかということを国民の前に明らかにして、国民が英知を合わせてそういう困難をどうやって打開をしていくかということについて、問題があるんだったら率直に問題があるということを政府から披瀝をして、どうやって国民が力を合わせてその困難を打開していくということを広く問題を提供するというか、呼びかけるというか、そういう姿勢をとるべきだというふうに私は思うんですけれども、ところが何か、予想される困難を過小評価をして、いざ問題がデッドロックに乗り上げたときには、さあ大変ということを繰り返してきたというのが今日までの経緯じゃないかと思うのです。だからそこら辺の問題の考え方について長官のちょっと意見を求めます。
  131. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 具体的ないろいろの問題では、先ほど大体お答えしたような内容になるかと存じます。いずれにいたしましてもどの程度の困難かはわかりませんが、まあ現在の段階では、さっき申し上げたようなことでありますが、しかし、もともとウラン資源のほとんど絶無に近い状態でありますから、まあそういういろいろな核不拡散といったような問題が強化してきますと、それなりの困難ということは、まあなければいいがと思いますが、やはりあり得ると考えております。ただその場合に処する覚悟としまして、いま局長からわが国は核拡散ないしは軍事利用といった問題には全然反対であって、本当の平和利用に徹しているという主張をひとつ貫いて、そういういろんな困難がありましてもわが国としてはそれを克服してまいらねばならぬ、そうすべきであるという考えの一端もあわせて申し上げたと思うわけでありまして、決してこのままで何にも困難がないというようなことはあり得ないと考えます。
  132. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私の尋ねておることに対する答弁がありませんけれども、それぞれの国が進める原子力開発政策については対等平等の原則を基本にした協力関係が打ち立てられなくちゃならぬという基本問題についてはどうお考えになるんですか。——長官、長官に尋ねている、長官です。
  133. 山野正登

    政府委員山野正登君) 先生のおっしゃいます対等平等の原則という中身、どういう御趣旨で使っておられるか、よくいま私理解しておるわけではございませんが、今後各国の進めます原子力政策と申しますものは、これはおのおのその国々固有の原子力政策というものが当然あってしかるべきでございまして、エネルギー資源に乏しいわが国にはわが国原子力政策があり、エネルギー資源の比較的豊富な米国には米国の原子力利用政策があるというふうに承知しておりますが、ただその際に共通して言えますことは、現在各国とも核の平和利用をすることによりまして核の拡散があってはならない、核の不拡散を強化しようという共通の願いを持っておるという点でございまして、今後世界的に核の不拡散を強化するということと、それから原子力の平和利用の推進を図るということの調和点を求める作業というものを、先ほども申し上げました日米双方も参加しておる国際核燃料サイクル評価計画という場でいろいろ検討しておるわけでございまして、これが約二年間の作業期間を予定いたしておりますが、この結果等を参考にしながら各国は不拡散と平和利用双方を車の両輪として進めていくことになるだろうというふうに考えております。  それから先ほどの大臣の答弁をちょっと補足申し上げますが、この核不拡散法と申しますのは、あくまでも米国の国内法でございまして、これが今後国際的に有効になるためには、米国は関係国と当然ながら外交交渉によりまして合意に達する必要があるわけでございます。そういう際にわが国わが国の立場を主張するでございましょうし、いま申し上げました国際核燃料サイクル評価の成果といったふうなものも十分に考慮しながら交渉を進めていくというわけでございまして、私どもはこの影響を過小評価もしておりませんが、また過大評価もしてない。米側の具体的な出方を待ってこれに適切に対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  134. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 時間が制約をされていますので、この問題ばっかりで議論するわけにいきませんが、原子力関係の法案も近い将来参議院で審議をされるという局面になるかもわかりませんし、またその機会に意見を述べるにいたしまして、いずれにしても、わが国原子力開発行政がアメリカの軽水炉、これに深く依存をした、そういうこの経験をたどっておるという点から見ても、それから日米原子力協定の内容自身を、協定文自身検討してみたって決して対等平等の内容にはなっていませんね。そうなっているんだったらあとから言ってもらいたいですが、そういう点から考えてみて、本当にいまここでわが国の政策として原子力行政をどう進めるかということについて、国際的には対等平等の関係、わが国の問題といえば自主的な立場をどう確立をするか、このことを本当に政府として真剣に考えてもらう必要があるということを強く提起をしておきたいと思います。で、また次回いろいろの角度から質問をいたします。  そこで、ちょっと問題を次に移しまして、そういったアメリカ追随ではなくて、日本としての自主的な立場をどう明確にするかという問題のもう一つの例として、中性子爆弾の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、この問題は、昨年の夏の臨時国会の代表質問以来、わが党としてはたびたびいろんな場で提起をしてきておる問題でありますが、私の理解するところ、いまだに詳しい情報、知識が得られないといったようなことを理由に政府としての……、この爆弾がどのような危険な爆弾なのか、その破壊力、人命殺傷力、こういった点で、詳細なことはともかく、基本的にこの爆弾をどういう性能のものとしてとらえておるか、この点について改めて見解を問いたいと思います。まず科技庁。
  135. 山野正登

    政府委員山野正登君) 御質問の中性子爆弾につきましては、新聞等で報道されております範囲においては私ども若干承知してはおりますが、その内容につきましては、先生御承知のとおり、私どもの担当いたしておりますのは平和目的原子力利用でございまして、このようなものにつきまして調査した資料等も持ち合わせておりませんし、内容については存じておりません。
  136. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 防衛庁おられますか。
  137. 長谷川宏

    説明員(長谷川宏君) 御説明いたします。  中性子爆弾の性能等についてということでございますが、中性子爆弾、これはもともと放射線強化弾頭ということが正確だと思いますが、この放射線強化弾頭は小型の熱核融合装置の核爆発によりまして生じます爆風圧あるいは熱効果、これを抑えまして、放射線効果、特に中性子線効果を強めることによりまして、戦場等における兵員の殺傷を主眼とした兵器であると考えられております。  それで、この兵器のデザインと申しますか、あるいは爆発の段階数とか性能等の詳細につきましては全く公式な発表がありませんので、巷間資料等によって知るのみであります。その範囲内で御説明いたしますると、先ほど爆風圧あるいは熱線効果が抑えられておるということを申しましたけれども、資料によりますると、爆風圧の方は、現有の「ランス」の五十キロトンの核弾頭に対比いたしますと、一キロトンの中性子弾頭の場合に、この範囲が「ランス」の場合に二千二百メーターという半径と言われておりまするところが二、三百メーターである、大体十分の一ぐらいになる。それから熱線効果の方でございますが、これは「ランス」の方が大体三千メーターまでが三度のやけどを生ずるそうでありますけれども、この三千メーターぐらいの影響があるというところを、中性子弾頭ですと、先ほど申し上げましたと同じ二、三百メーターになっておる。二つとも大体十分の一ぐらいに小さくなる。それから放射線効果の中で特に中性子線効果でありますが、これは「ランス」の場合が半径千メーターぐらいと言われておりまするところが千四百メーターぐらいというふうに言われます。そこまでがこれは四百レムの強さの中性子線が届く範囲ということで、それで調べた結果ではそういうふうになるというふうに、言われております。これは西ドイツの雑誌「シュピーゲル」とか、アメリカの「エア・フォース・マガジン」に出ている数字であります。で、この場合に中性子線と申しますのは……
  138. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、もうそれくらいでいいです。
  139. 長谷川宏

    説明員(長谷川宏君) よろしゅうございますか。
  140. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いま防衛庁の方から概略の御説明をいただいたわけでありますけれども、いまの御説明でも明らかなことは、物理的破壊力よりは人命殺傷に主たる効果を求める、そういう意味では人道的に見ても非常に凶悪な爆弾だということがこれはおおよその専門家の間での一致した見解だと思うのです。そういう点で国際的にも今日非常に大きな強い危惧を含めた注目を集めているというところだと思いますけれども、国際的なこの爆弾に対する非難の世論、そういうものの中で、当初はかなり早い段階でこれのいよいよ具体的な製造、配備に大統領の命令を出そうということで動いておりましたアメリカも、暫時それの延期をしているということは御存じだと思いますけれども、そういう国際的にも世論が高まっておるというこの時期であればこそ、また同時に、数々の場面で非核三原則というのはこれはもう不動の方針だということを繰り返し言明をされておる日本政府として、いまこそこの中性子爆弾の中止を求めていく国際的な働きかけを行うべきだ。もちろんすべての核兵器を禁止をする、このことを至上命題としながら、その中の一つとして当面のこの中性子爆弾の中止を求めていく、禁止を求めていく、そういう国際的な働きかけをやるべき時期だということを強く思うんでありますが、この点についてひとつ政府の見解を求めたいと思います。
  141. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) わが国が世界でただ一つ核爆弾の洗礼を受けた国として核の地上からの廃絶を要望する点ではいずれの国にも劣らない、最も声を大にして叫べる国であることはもちろんのことでございます。核の廃絶はいわゆる核軍縮の究極の目標であるわけでございまして、それが一朝一夕にして達成できればもちろん非常に結構なことであろうかと思いますけれども、現実にはなかなか一挙にそこまでいくことはいろいろ障害があろうかと思います。そこで、私どもとしましては、できますことから一歩一歩現実的な観点から実績を積み重ねていって、究極的には地上からの核の廃絶に達成する、こういうことを考えているわけでございます。ただ、これは申し上げるまでもございませんけれども、国際関係の安定を維持します上で、核兵器それから通常兵器のいわば総和からなる東西の軍事バランスというのが現実の世界では大きな役割りを果たしているわけでございまして、それから同時に、核兵器というものの開発は非常に高度の各国の軍事機密に属することでございますので、個々の兵器あるいは兵器体系がそれぞれの国の戦術あるいは戦略の中でどういうふうに位置づけられているかということはなかなか第三国としてはつかみにくい面があるわけでございます。したがいまして、わが国としましては、先ほど申し上げましたように、核の廃絶を目指して引き続き声を大にして叫ぶことは当然でありますけれども、特にいわゆる中性子爆弾なら中性子爆弾のみを取り上げて、つまみ出して、それだけを論ずるということは必ずしも適当でないというふうにも考えている次第でございます。
  142. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 核の廃絶は強く願望をしているんだけれども、中性子爆弾だけつまみ出して、あとすべて、ほかの各種核爆弾の関係があるからと、こういう言い方だと思うんですけれども、全くそれは詭弁だと思うんです。いま国際的に、さっきも確認——防衛庁の見解でも明らかになったように、物理的破壊力というよりは人命殺傷に主要な性能を置いたきわめて凶悪な人道的にも残虐な核爆弾だということがこれはもうおおよそ一致した見解だと、こういう認識の上に立って、もちろんすべての核兵器を禁止をするということを、これを強く主張をしながら、いま各国がこの問題についてどういう態度をとるのかということがある意味では国際的に注目をされておるといういまの局面だと思う。だから、そういう点でわが国としてこの中性子爆弾の問題についてどういう見解を持つのかということがいま問われている。そういう点でお尋ねしますが、閣僚の一員である熊谷長官、閣僚の一員として——さっき科技庁の説明では、中性子爆弾をどういうふうに見るかということについては科技庁の仕事ではありません……、そんなもの、どこの省や局も仕事にしているところはないと私は思う。科技庁、原子力の平和利用、これを主たる仕事にしておるのであればなおさらのこと、平和の概念に真っ向から対立をする中性子爆弾という問題について、科技庁には核物理を研究なさった人も相当数おられるわけだから、こういう問題については絶えず日常的に注目をしておってしかるべきだという問題が一つあると思いますけれども、そのことはいまは問わないにしても、閣僚の一員として、いま国際的にも各国この問題にどういう態度をとるかということが注目をされておる時期に、日本の政府として中性子爆弾についてどういう見解を持つんですか。危険なものだけれどもしようがないなと言うのか、こういうものは中止をしてもらうようにひとつ日本の政府としても動いていこうという態度をとるのか、その点ちょっとお尋ねします。
  143. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 言うまでもありません。しようがないなどというような考えは持っておりません。やはりこういうものはぜひともやめていただきたい、こういう考えを持っております。
  144. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いま熊谷長官の見解をお尋ねしましたけれども、ぜひお願いをいたしたいと思いますけれども、ひとついまの長官の意思を政府の統一見解として、できるだけ早い機会に日本の政府として、しかるべき場において、しかるべき形で、中性子爆弾には反対であるということを公式に日本の政府として表明をしていただきたいということを重ねてお願いをしておきます。  それでは次、時間も経過いたしましたけれども、「むつ」問題について一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  午前中、社会党の松前委員の御質問に対して、いま長崎県知事が発言をされておる核封印というのは、その内容がよくわからぬ、まだその内容が定かでないというふうに言われておるわけですが、端的にお尋ねしますけれども核封印は核抜きではありませんね。
  145. 山野正登

    政府委員山野正登君) 私ども新聞紙面で見ておるだけでございまして、新聞紙面で見る限りにおいては、先生指摘のような感じでございますが、これはやはり地元の話を具体的に聞きませんと、私ども核封印ということの中身はこうだああだというコメントはできませんので、その点は御了解願いたいと思います。   〔委員長退席理事望月邦夫着席
  146. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 核抜きではない。それはそうですわね、封印をしているんだから、核燃料棒が入っているのはもう自明のことですけれども、核抜きではない、しかし具体的なその様態がどういうことになるのか、そこがよくわからぬということですが、本当によく御存じないのかという私疑問があるんです。四月六日付の朝日新聞にもちょっと書いてあったと思うんです。二月の長崎県知事選挙後二回にわたって久保知事と熊谷科学技術庁長官と会談をして、ずっといろんな話をしてきて、そういう中で今回県知事の核封印という、こういう発言が出てきたということをかなり詳細に報道しています。ですから、科技庁が全然接触もない、知らない間に知事からだしぬけにこういう封印という話が出てきたということでは私は断じてないだろうというふうに思うんです。そういう上でお尋ねをしたいんですけれども、いよいよ「むつ改修に当たっての重大な問題である遮蔽工事それからいわゆる総点検、これが封印をしたままでできるというふうに判断をされるかどうか、そこをお尋ねします。
  147. 山野正登

    政府委員山野正登君) 封印をしたままで遮蔽改修ができるか、総点検ができるかという点でございますが、この封印ということの具体的中身というものがまだ不明確でございますので、これが明確にされませんと、封印をしたままで遮蔽改修ができるか、総点検ができるかという判断はできないと思います。
  148. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 二回にわたって会っているから知らぬはずはないというようなお話でございますが、私の方はとにかく現状のままで何とかして修理ができるように受け入れていただくように、こういうお願いを繰り返しているだけでありまして、そういう問題については話しておりません。  それから、いま封印のままで云々という話がありましたが、封印という言葉自体が不十分な言葉でありまして、いやしくもそういうふうに私どもがお願いしまして、そして果たして私どものお願いどおりに受け入れてもらえるようになるかならないかは別といたしまして、とにかくそういう私どもの要請に対して、何か受け入れられるような方途がないかどうかといって工夫、検討をこらしておられる段階であろうと思っているわけでありまして、その段階におきまして私どもが、そういう言葉をそういう問題についてかれこれ評価したり、この問題に触れるということは、私は現段階においてはいたしかねると考えるわけでございますので、その点はひとつあしからず御了承を願いたいと考えるわけでございます。
  149. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は政府として非常に無責任な言い方だと思うんです、現地で出ておるこの封印という話の内容がよくわかりませんからと。しかしこの話、新聞に報道されてから何日たっているんです。きのうおととい、まだ出たばかりの話でよくわからぬという話ではないでしょう。しかも知事が長崎県の漁協側に封印という案を出していろんな話し合いも始まっている。非常に不正確な内容の理解が土台になって議論が進展をしていって、そしていよいよという段階で、話が違ったというようなことになれば、またあの「むつ」のようなああいう事態になるんじゃないですか。原子力船のこの問題について責任持っているのは科技庁でしょう。仮に封印ということであればどういう姿になるんだということについて正確なイメージを設定をして——何も遠い遠いところじゃないじゃないですか。電話だったらすぐ通ずるわけだし、汽車で行ったってすぐ行けるところだ。ここがよくわからぬと言うんだったら、よくわからぬ点をただしたらいいじゃないですか。そういうことをただしてでも、封印という形でいく場合にはこういうイメージになるんだ、この場合にはこういうことになりますということを、漁協が相談をするんだったら相談をするで、その正確な青写真をもとにして漁協との討論もやってもらうということを、責任持ってそのことに必要な助言や指導をやっていくというのが科技庁の責任じゃないですか。わかっているけれども隠しているんじゃないですか。重ねて聞きます。
  150. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) この問題につきましては、先ほどお答えしたとおりでございます。大変無責任だというお話を承りましたが、必ずしもそうは思っておりませんけれども、無責任というふうに御批判を受ければ、それは甘受せざるを得ないと思います。
  151. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう何ぼ聞いてもそういう答弁の繰り返しでしょうから。しかしあと時日が経過をしてから、科学技術庁の指導上の責任が問われるようなこと、これがもし起これば大きな問題になるということをよくよくひとつ念頭に銘記をしていただいて、正確な内容で国会でも議論をする、現地でも議論をする、こういうことをやっぱりきちっと貫いてもらうということが私は監督官庁として必要だというふうに思いますので、できるだけ早い機会にこの国会の場にも、仮に封印という場合にはイメージはこういうことになる、その場合には遮蔽工事やあるいはこの総点検はこういうことになるということをきちっと提示をしてもらうということを重ねて強く要求をしておきたいと思います。  それで話を次に進めますが、私が昨年の十月、初めて国会へ出てまいりまして当委員会も質問をし、当時の宇野科学技術庁長官も全く同感だという表明をされたわけでありますが、わが国の科学技術の将来に向けての豊かな発展のためには基礎科学を、基礎研究をもっと重視をしていく必要があるというここの問題についてであります。これは昨年の暮れに出ました科学技術白書ももう逐一引用をいたしませんが、科学技術白書も随所にそのことを強調している問題であります。しかし実際、現実はどういう姿になっているだろうかということで、まあ私、個人的な事情で質問の機会がなかったわけですけれども、すでに昭和五十三年度の予算案はもう可決、決定をしているわけですけれども、たとえば科技庁の関係の昭和五十三年予算、これを全体としてとらえてみた場合にどういう姿になっているかといえば、余りにもナショナルプロジェクトに偏っておるんじゃないかということで、私も少し数字のそろばんを入れてみたわけですけれども原子力、宇宙、海洋、この関係で科技庁予算の全体の八九%。科技庁予算の対前年伸び率は一二・一%、そのうち原子力関係が伸び率一九・五、海洋が一八・一、宇宙が四・〇、これは五十二年度で三つの衛星の打ち上げのあの費用が莫大にかかっている、ですから五十二年が非常に大きかったということにすぎないと思います。片一方防災予算というのは一一・五ということで、こういった数字見ても非常にナショナルプロジェクトに偏っているということが明らかです。あるいはまた、夏の概算要求に対する閣議決定で決まった予算がどういう数字になっておるのかというのを見ますと、総予算は概算要求の九五・八%。原子力は九八・九。動燃の予算に至っては概算要求に上積みをされておるということなんです。宇宙が九三・七、防災は七四・八。昨今非常に大きな問題になっています地震対策は六〇・八という、こういう姿で見てもおおよその私は今日的な性格が浮き彫りになっていると思う。さらに、これは五十二年度の予算しか入手できなかったわけですけれども、たとえば原子力研究所ですね。ここはいわゆるプロジェクトに関する多目的高温ガス炉、これが対前年で一・四倍、核融合研究が一・九倍。いわゆる一般研究というのは原子力研究所の予算の中の全体の六・四%だということで、きょうもいろんな人が触れております原子力開発研究の本当にしっかり根をおろした自主的研究の力をつくっていくという点で、これでいいんだろうかという不安を非常に強く感ずるわけです。国立大学の場合も同様であって、大学の場合には例の科研費とか、特別研究費、大型研究費、国際共同研究費、いろんな種類ありますけれども、一番基礎研究になりますのは、経常研究費というふうにいわれておるんですね。これが概算要求一二%アップの要求に対して結局予算で決まったのは六%対前年の上昇、ですから六%上昇というのは大体もういろんな実験器具やら何やら電気ガス代、そういう物価値上げ、これにしか追いつかぬというもので、基礎研究の充実強化のための予算が十分組まれたという形にはもうさらさらなっていない。同じようなことは国立の各種研究機関、ここの研究についても同様のことが指摘できる。そういう点で一つはこういう現実についてナショナルプロジェクト中心。防災というような分野が非常に世論的には大きく重視をされているんだけれども、実際の面ではまだまだ位置づけが弱い、こういった点についてひとつはどういうふうな御見解を持たれるのか。  それからすでにこういう予算が決まってしまいましたからあれですけれども、私は予算の執行上の問題としてはいろんな改善の余地はあるだろうというふうに思いますので、そういった点。あるいは円高対策、不況対策もかねてまた五十三年度も補正予算を組むかという話もあるんですが、私は補正予算を組むそのこと自体、このことについてはもっと慎重な検討が要る、もっと抜本的にいまの財政の見直しを行う必要があるという意見は持つわけですけれども、仮に補正予算を組むというような機会に、こういった基礎研究を重視するという見地からの一定の改善を行っていく、そういう問題についてひとつ長官の御意見をお尋ねしたい。——ちょっと長官に。
  152. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 後でお答えします。   〔理事望月邦夫退席委員長着席
  153. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 基礎研究重視のことにつきまして、先生先般の科技特でのお話に引き続いてのことでございますので、一般的なことをお答え申し上げますが、実はいまもお話を伺っておりまして、基礎研究といいますか、それの基礎科学という意味のお言葉はよくわかるのでございますけれども基礎研究ということにつきましてはいろんな、何といいますか定義と申しますかいろいろな考え方がございますので、多少違うのかと思うんでございますけれども、実は私ども国立試験研究機関なり科学技術庁なりが扱っております研究は、基礎的なあるいは基礎研究というのはそんなにないものだというふうに考えております。いわゆる基礎研究というのは、大体大学が担当するところであろうと、こういうことで、大学、国立試験研究機関あるいは特殊法人ということについての分野はそういう意味合いでわりあいまず決まっているものであろうかと思っております。  それからもう一つは、たとえば核融合ないしはライフサイエンス、これは先生の言う一種のプロジェクト研究であることには違いないんでございますが、中身を見ますとこれは基礎研究の分野に入っておるというようなこともございますので、それこれあわせましていろいろむずかしいことがあるわけでございます。ただ、昨年お答え申し上げましたのは、いわゆる国がとっておりますところの指定統計でございますが、科学技術のいわゆる研究費の統計に従いまして、その数字で一応基礎研究あるいは応用研究開発研究ということでの分野での印象を申し上げておったわけでございます。そんなことで私ども基礎研究はこれからの未来を開いていく科学技術としては大変重要な分野だと思いまして、従来からその重視は先生指摘のように白書の上でもうたっておりますし、また科学技術会議におきましても六号答申ではことに力を入れて、今後の科学技術の発展のために非常に重要な分野だという指摘をしておるわけでございます。しかし、これらは主として私ども大学等において担当していく分野が多いのではないかとも考えておりますし、またそれぞれのプロジェクト研究の中でもそういうような基礎的な分野についての研究をしっかりやっていく必要があるんだと、そういう意味合いで言っておるわけでございます。
  154. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いろいろ具体的な点もおありであったかと思いますが、いま申し上げましたように、基礎科学とか基礎研究とか申し上げましてもなかなか区別の判明しにくい点もございますが、要するに科学技術の問題につきまして基礎的な研究の非常に重大でありますことはおっしゃるとおりであると考えます。予算措置その他につきましていろいろまだ不十分だというお話のように承りますが、私どもも必ずしも十分であるとは思っておりませんので、今後いろいろな機会にできるだけそういう基礎的な面に、科学であれ研究であれ基礎的な面に力を入れたいと、このように考えております。
  155. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう一般的所見はいただいたわけですけれども、それでちょっと具体的にお尋ねしているのは、そういう認識の上に立って執行上での改善なり、もしも補正予算編成という段階での改善なり、そういうことについてひとつぜひ考えてもらいたいというふうに尋ねているので、その点について答えてください。
  156. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 先ほど申し上げましたように、あらゆる機会を通じてということを申し上げましたが、その答えの中に含んでいるわけでありますが、ただしかし、どういう性格の補正予算が組まれますか、あるいは財源関係がどうなりますか、そこははっきりいたしませんから、いま必ず補正予算の中にそれを織り込んでもらうという確言はできませんが、可能な限りそういう機会をとらえて努力したいと、こういうことを申し上げるわけでございます。
  157. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 さらに、強調しております基礎研究重視の立場から文部省にお尋ねをしたいと思いますけれども、いわゆる研究を担っていく主体である人材養成の問題として、昨今社会的問題にもなってきてますが、オーバードクターの問題があると思います。一つは、このオーバードクターが現時点で増大傾向にあるのか減少傾向にあるのか。それから、私の見るところではいわゆる人文系よりも理科学系、ここのオーバードクターがますますふえてきているというふうに見ているんですけれども、そういった現状はどうかということと、このオーバードクターの解消策として、解決策として、私はせっかくのこういう有能な人材をいまこそ本当に土台の厚い日本の科学技術の豊かな発展を目指す、そういう分野に活用をするということを十分考えるべきだというふうに思うんですけれども、具体的なオーバードクターの解決策について文部省にお尋ねしておきます。
  158. 瀧澤博三

    説明員(瀧澤博三君) お答えいたします。  初めに、いわゆるオーバードクターと言われております、このオーバードクターと申しましても定義がはっきりあるわけではございませんが、私どもつかんでおります数字で申しますと、一つには、ドクターの課程を修了し医学位を取得してなお学内において研究を継続している者、それともう一つは、博士課程におきまして所定の年限と単位を修得し、学位を取得しないで、そういう状態で一遍退学をしてなおかつ学内において研究を継続している者、そういう方々で現に定職を得ておられない方というように理解をいたしまして数字を申し上げますと、五十二年度におきまして、私ども調査によりますと千四百五十一名ということになっております。この数は、ここ三年ほどの傾向で言いますと、若干でございますが、増加の傾向にあるということでございます。こういうドクターをせっかく御修了になり、有為な方々が非常に不安定な状況でおられるということにつきましては非常に憂慮をしているわけでございまして、この問題につきまして最も基本的には、私ども博士課程の修了者がもっと広く、企業等も含めまして社会の各界で求められるようになるように、ドクターにおきます研究指導のあり方自体にも工夫が必要であろうかと思いまして、そういう面につきまして関係者と寄り寄り御協議もし、いろいろ新しい大学院の設置等の施策も進めているわけでございますが、より直接的にはやはり国立大学等におきます研究者、教官の採用枠の問題があるわけでございます。この辺につきまして、逐年定員の増加につきまして努力はいたしているわけでございまして、御承知のように最近の非常に公務員の定員増の苦しい状況でございまして、なかなか十分な進展があるとは言えないかもしれませんが、五十三年度予算におきましても幸い国立大学におきます助手以上の教官増につきまして約千四百名の増員が認められているということでございます。今後もこういう面につきましては十分努力を続けてまいりたいと思っております。  それからもう一つには、ドクターを修了してそれぞれの地位におつきになる間研究を継続していけるようにということで、奨励研究員という制度を設けておりますが、これにつきましても五十三年度におきまして若干増員をいたしまして、三百五十名ということで措置がされているということでございます。これで十分ということはもちろん申せないと思いますが、今後ともこういう方向で十分努力を続けさせていただきたいと思っている次第でございます。
  159. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 文部省側からの現状と方策の答弁をいただいたわけですけれども、私、長官にお願いをしておきたいと思いますけれども、長官は科学技術会議の責任者もなさっているわけですし、ひとつこのオーバードクターの有効な方向での解決ですね、これについては文部省に任せるということではなくて、ひとつ科技庁も乗り出して、せっかくのこういう有能な人材をどういうふうに活用をしていくかという問題について鋭意文部省と相協議をして、ひとつ積極的な方策をぜひ考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  160. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 十分検討いたしまして善処させていただきます。
  161. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この後実は防災問題について御質問をしたいと思っていたんですけれども、もう大分時間たってきましたので、せっかく気象庁の方おいでいただいておるかと思いますけれども、これやり出しますとこれで大分時間かかりますので、まことに申しわけありませんけれども、本日割愛をさせていただきます。次の機会にまたお願いをしたいと思います。  それで、最後に、同じように基礎研究を重視をするという問題の一環として、研究者の研究活動の自由をどう保障するかという問題について実は御質問をしたいと思います。  こういう研究者の研究活動の自由の保障の問題というのは、これは大学などの純研究機関だけではなくて、国が指導監督をしておる特殊法人関係の研究機関とか、こういうところについても同様に必要なことだというふうに私は思うわけですけれども、ところで昨年の暮れに原子力研究所の中島篤之助研究員、この方が秋の分光学会に出席をしたということを理由にして当局が昨年の暮れに賃金カットを行うという問題が発生をしております。  そこで、お尋ねをするんですけれども、どういう理由でこの賃金カットが行われたかというふうに報告を受けておられますか。
  162. 山野正登

    政府委員山野正登君) 私どもの受けております報告の概要を申し上げますと、昨年の十一月二十二日に開催されました日本分光学会の臨時総会に中島篤之助氏を出席せしめることにつきまして、日本分光学会会長から原研に、出張扱いとするように依頼する旨の文書が提出されました。中島氏は、この文書を理由といたしまして、十一月二十一日と二十二日に学会出張の取り扱いをするように口頭で原研当局に要求をしたということでございます。  これに対しまして原研側の方で、従来から学会出張の取り扱いをいたしておりますのは、学会発表あるいは講演聴取といった目的のために学会出席をする場合であって、所属の長の認めた場合、あるいは学会の役員等として理事長の兼職許可を受けた者が学会の運営に参画する場合、この二つの場合であって、今回のような場合は該当しないということで、人事管理上の上司から本人に別の服務上の手続、たとえば年次休暇の届け出といったふうなことをとるように口頭で回答したということでございます。  これに対しまして、中島氏は何ら服務上の手続をすることなく、十一月の二十一日と二十二日に欠勤した。その後も格段の手続をとらないので、就業規程に従って無断欠勤として賃金カットをせざるを得なかったと、こういうふうな状況だったと報告を受けております。
  163. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 次のような事実を科技庁は御存じかという質問ですが、中島氏が、いまの分光学会ですね、この学会で研究報告者の一人に入っておった。また、前期の分光学会の会長として総会に一定の提案を行うそういう立場にあったという問題。それから、研究所の出張旅費不足が参加承認を渋る当局側の理由の一つにあったわけですけれども、学会側の方からは、場合によれば旅費を当方負担にしてもよろしいということも加えて出張の依頼が研究所側にあったと、こういう事実を御存じですか。
  164. 山野正登

    政府委員山野正登君) そのような事実は存じておりません。
  165. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は思うのですが、さらに重大な問題は、研究所と学会の協力関係ですね、研究所というところが本当に効果的な研究活動を進めていくために、研究者の組織である学会とどういう相互協力関係をつくるかということはもう論を待たないことだと思うんですけれども、いわゆる研究者の学会参加というのは、個人の趣味で参加する問題ではないことは、もうこれは言うまでもないと思います。そういう意味で、可能な限り研究所として、研究者が学会へ行こうというときにはそれに協力していくということが、長い目で見て研究所の研究活動、研究実績の発展に必ず寄与をしていくんだというふうに考えるべきだと思う。  それから分光学会というのは、これは原子力研究と無関係ではないと思うのですね。無関係だという理論があるんだったら言っていただきたいと思う。大いに関係がある。  それから、今回の原研当局のとった措置、いまさっき私が新たに挙げた事実には知らないということですが、最初御答弁をなさったそういう事情をお聞きになって、原研当局がとった措置というのは、まあまあ妥当だという見解なのかどうか。
  166. 山野正登

    政府委員山野正登君) 今回の中島氏に対する扱いというのは、原研当局がその内部規程によって判断すべき事柄でございまして、私どもが個々の処分に立ち入って論評するというのは妥当でないと考えますので、意見は差し控えさせていただきます。
  167. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 実はこの中島先生の問題というのは、かつて長崎県の「むつ」問題の研究委員会へ参加をなさったことで同じように紛糾をして、賃金カットが行われ、その後、当時の参議院の当委員会でも議論になって、原子力委員会の委員長代理が調停に入って、一応賃金カット問題については和解調停をしたという経過をたどっておる問題ですけれども、どうも私多分に、今回の原研当局の措置というのは、そのときのことやら、その後中島篤之助さんが、いわゆる原発問題講師としてわあっといろいろなところで演説をやっておる、これの遺恨晴らしという政治的報復ではないかという気がしてならないわけですけれども、しかし、今度の問題はそれ以上に私は影響するところ重大だと思うんです。  原子力研究所、確かに原発推進という立場で事業と研究をやっておられる研究所です。この研究所の方針に別に違反をするも何もない、純粋の研究機関としての分光学会というこの学会に参加をした。原発反対大集会に参加をしたとか——この問題でも賃金カットをやるのは、私はそれ自体不当な賃金カットを行ってはならぬと思う。いわんや、原子力研究所の方針と何ら背馳をしない、矛盾関係を来すものではない分光学会に参加をしたということ。このことで、それが当局が承認をしないものであったから、だから無届けだと、こういうことで賃金カットをやるというこのことが、今後国が指導監督をしますこの研究機関に、これが例となってずっとまかり通ったら一体どういうことになるだろうかということで、私は非常に、長崎県問題とはまた違った意味で、この問題は影響するところ重大だというふうに考えておるんです。  それで、ひとつ私は、さっき新しい二つ三つの事実を挙げましたら、そういう事実は承知してないということであります。それから労働組合もこの問題を取り上げていますけれども、労働組合側の見解も恐らく科技庁としてはまだお聞きになってないと思いますけれども、いずれにしましても、さっき私が幾つかの事実を挙げましたけれども、その事実を一遍具体的に調査をして、いまも言いましたように、各種研究機関における研究者の研究活動の自由、学会参加の自由に関する非常に影響するところ大でありますので、この問題について詳細に、事実と、それから必要であれば労働組合の見解なんかも聞くということも含めて、科技庁としての指導的見解を、次に私が質問をする機会までに、ひとつ提示をしていただきたいというふうにお願いしますが、どうですか。
  168. 山野正登

    政府委員山野正登君) 事実の調査という点につきましては、引き続き原研当局から事実の聴取をしたいと思いますが、この処分の内容に立ち至って意見を申し述べるということは、今後とも差し控えたいというふうに考えておりますので、その点は御了承をお願いいたします。
  169. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう時間ですからやめますけれども、原研側のとった人事上の措置については介入的な発言は控えたいということですけれども、事柄の性質がさっきから繰り返し言ってますようなそういう性質の問題だ、これは単なる労務管理上の問題にとどまりません。研究者の学会参加の自由をめぐる問題ですから非常に影響するところ大であるということで指導的見解を強く要求をしておきます。  以上で終わります。
  170. 中村利次

    ○中村利次君 最初に原子力船むつ」の修理問題について私も質問をしたいと思います。  これは何回か本委員会で私は政府の見解をただしたことがございますが、やっぱりもう一回おさらいをしてみたいと思うんですが、佐世保市は燃料つきの修理を受け入れるというんですよ。長崎県は燃料抜きの修理を引き受けようと、こういうことであったと思いますが、これは間違いございませんね。
  171. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 正式に御返事承ったわけではありませんが、決議の旨は伝えられております。
  172. 中村利次

    ○中村利次君 佐世保市の場合にはいいんですが、長崎県の場合には委員会に諮問をして、そしてその答申を受けて知事が決めたと、こういうことですか。
  173. 山野正登

    政府委員山野正登君) 長崎県とされましては、県知事の諮問機関として研究委員会というものを設けられまして、その場でいろいろ技術的な検討をし回答を得られたという経緯がございます。
  174. 中村利次

    ○中村利次君 これは、まあ科技庁にかかわりのないことですが、しかし修理をやらなきゃならぬという立場がございますから承知をされているだろうと思って質問しているんですが、その委員会の構成は、これは専門家の方たちですか。
  175. 山野正登

    政府委員山野正登君) 自然科学者を中心にした、学校の先生方が中心でございます。
  176. 中村利次

    ○中村利次君 私は、「むつ」の修理については燃料を抜こうと抜くまいと安全上は全く関係ないというのが、これが専門家の一致した結論だと思っているんですが、それは間違いですか。
  177. 山野正登

    政府委員山野正登君) そのとおりでございまして、私どもも今回お願いしております遮蔽改修、総点検につきましては、いわゆる安藤委員会でしさいに、燃料棒を入れたままで修理をする際につきましても確認をしていただきまして、安全に修理ができるというお墨つきをちょうだいしております。
  178. 中村利次

    ○中村利次君 どうも私はそれが……前にここで主張したことがありますけれども、世界で広島県と長崎県が唯一だか、唯二だかの被爆県である、そこで県民感情をそんたくをして、県民感情を考えてということが、事実かどうか知らぬけれども、したがって、燃料を抜いて入れろということになったと、報道されるところによればそうなんですがね、事実かどうか知らないけれども。これはもう科技庁も事実かどうかを確認されておらないと思うのですが、私は何回言っても同じ、前々からそう言っているのですが、そういう科学的根拠も何にもないようなばかげたことをやるから、だから国民の原子力安全性に対する印象、認識というものが正しい科学的な根拠に基づいた認識が生まれないと思うのですね。やはり核燃料を抜いてこいと言うからには安全上問題があるという、そういう認識をすると思いますよ。そして今度はいまになって、午前中からの質疑にずっと出ていましたけれども封印ですか、私はこれは本当にこういうことを言えば言い過ぎかもしれないけれども、何とか受け入れるために抜いてこいと言っちゃったもんだから、何とかこれは受け入れるための口実をつくらなければいけないというので封印というのが出たんじゃないかという気が私もするのですよ。それで、新聞等の報ずるところによれば、これは燃料つきでも燃料抜きでもない新方式だと言って御自慢になっているようですが、私は、こういうのは言い過ぎかもしれぬが、 ごまかしだと思う。この佐世保以外に何かほかのことをお考えになっているところございますか。むつなんかどうですか。あすこは、むつの市長が母港存置を選挙公約にしてむつの市民がこれを市長として当選をさしたのですが、どうですか、そういう点については何かお答えいただけますか。
  179. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) いろいろ御意見がございますが、御承知のように、理屈から言いますといろいろの意見も批判もあると考えますが、現実の問題としまして、むつにおいてはいわゆる四者協定によりまして撤去してもらいたいと、こういう現実になっているわけでございます。  そこで、初め母港を撤去ということでございましたが、昨年の十月でしたか十一月でしたか、私よくわかりませんが、そんな時分に母港と修理港とを一応切り離して、とにかく修理港をひとつ決めてそっちに行ってもらいたいというようなお話だったかと聞いているわけであります。したがって、政府としましてはどこか一刻も早く修理港をひとつお願いしなければならぬと、こういう立場にあることも御承知のとおりであります。そうした場合に、燃料棒を抜いてこいと言われましても、一体燃料棒に、いわばけちをつけられたそういう燃料棒をどこかで抜くということは技術的には何の問題もありませんが、実際上の問題としてそれを抜かせてもらうところもなければ、またそれを置かせてもらうところもないという、率直に申し上げればそういう現状でございます。  そこで、これも内容に入ればいろいろな御見解があると思いますが、何とかしてこの現状を理解していただいて、ひとつ受け入れを考えていただけませんかということを重ねて何遍も知事さんにお願いしました結果、いま新聞などで報道されているような現実の事態でございます。これにつきまして、新聞に出ていることを検討したことがあるかないかということ、あるいは検討の結果はどうか、こうかということは、昨日も衆議院におきまして、本日もただいまの御質問においてそういう御意見を承ったわけでありますが、いずれにいたしましても、いま私どもがお願いしました趣旨を現実の情勢において受け入れる道がないかという考えのもとで、検討なりあるいは工夫なりを重ねておられる段階でありますから、われわれはわれわれとしまして、こういう場合はこう、ああいう場合はこうという考えが決してないのではありませんが、いまこうである、ああであるという、その一つをつかまえまして、こうであるからこうとか、ああであるからこうだという、そういうことは一切慎むべきであるという私の考えでございます。
  180. 中村利次

    ○中村利次君 私も大臣のその立場は支持しますよ。佐世保で修理するということは賛成です。しかし、私がもう本当に血圧が上がるぐらいやっぱり憤激をするのは、原子力行政がああでもない、こうでもないということが言われて、あんたたちは常にひっぱたかれているでしょう。そんな安全上全く問題がないのにですよ、原子爆弾の洗礼を受けたから県民感情を考えて、それは抜いてらっしゃい、こういうことを言うこと自体がそれはもう原子力行政の足を引っ張っているんですよ、それはやっぱり、これは安全上問題があるんだろうと県民は思いますよ。ですからね、そういう姿勢を——私はこれはえらい無理なことを言っているように、円満に何とかしたいとお考えであるのに、よけいなおせっかいかもしれませんけれども、私に言わせると、そういう姿勢を改めて、安全なものはひとつ安全なものとして受け入れようじゃないかという、そういう県民合意を——私だって長崎県人ですからね、本籍は長崎県ですから。それはもうかっかしているわけだ。ですから、円満に問題を運ばれるのは結構。私は賛成です。しかし、やっぱり原子力の行政を正しく、それから原子力開発を正しく進めていかなければならぬという立場からすれば、原子力開発の足を引っ張るような、そういう間違った妥協は私はこれはとってもらいたくない。この点はお答え要りませんから、ひとつ強く私はこれは提唱します。  そこで、国際エネルギー機関の理事会がおとといときのうと開かれて、そして日本に対してもかなり、何と言うのですかね、深刻な勧告があったと報じられておりますけれども、これは政策全般にかかわるもの、あるいは省エネルギー等にかかわるもの、あるいはエネルギーの供給にかかわるもの等だそうですが、まあ灯油の価格だとか電気料金のあり方等についての勧告等は、これは日本側としてもそうそう単純にこれに応ずるというわけにもいかないんじゃないかと想像しますが、これは全般的に、政府としてはきのうのきょうあたり明確な答えをお出しになることもないんじゃないかと思いますが、しかし、少なくとも供給面で石炭利用の拡大だとか、あるいは原子力発電の建設について地元住民の合意を積極的にこれは求むべきである。そういう何というのですか、教宣というんですかPRというんですか、そういうことも勧告をされておるようですが、こういう点についてはどうお考えですか。私は、これは双方、石炭の利用の拡大についてもあるいは原子力の立地問題についても意見を持っているつもりですが、まず政府の御見解を伺いたいと思う。
  181. 武田康

    政府委員武田康君) IEA、国際エネルギー機関におきましては、各国がエネルギー政策についてどんなことをやっているかというようなことを調査し、レビューするというようなことを国別に逐次やっておりまして、日本のエネルギー政策のレビューについての報告というものがあったわけでございます。で、日本のエネルギー政策全般をレビューいたしまして、先生指摘のような部分も含めて、そういうようなポリシーリコメンデーションというようなことを行っております。私どもはIEAも考えておるように、いま先生指摘の石炭利用の拡大、あるいは原子力建設の促進、またそれに関連した地元住民の合意を得るために積極的にもっと活動するという点、いずれももっともだと考えております。ただ何分、昨日のリコメンデーションでございますから、これは細目にわたりましてはなお調べ、こちらとしてのレビューをしてみないといけない面が一部あろうかとは思っております。
  182. 中村利次

    ○中村利次君 それはまあそうでしょう。そこで、午前中からの各委員の質問も、このエネルギー問題等についてずっと続けられておりましたけれども、石炭利用の問題については、これは政府暫定見通し等でも、昭和六十年で一億二百万トンの輸入炭の中で、一般炭千六百万トンですか、ということは、その中で国産炭を含めて二千二百万トンを石炭火力発電でたこうと、こういう計画ですね、いまの三倍である。これは科学技術開発は大いに進めていかなければいけませんが、いま原子力であろうと石油火力であろうと、とにかくまあ反対反対が非常に強い。立地問題なんか至るところで行き詰まり状態です。何も発電所だけではありませんね、送電線、鉄塔、地下変電所の末に至るまで。これは私は電気事業者の姿勢がどうかしているんじゃないかと思う。変な話ですが、水道、ガスの工事なんかは隣り周辺の人たちがお茶まで持ってきてくれるそうだけれども、電気工事だといちゃもんをつけなければ損だというような、そういうムードがあるようです。実際に工事をやる零細な子請け孫請け曾孫請けという、そういうあれで工事をやっておるわけですから、そういう人たちなんかに会って話を聞きますと、そういうあれがある。この間も成田でああいう極左ゲリラの大事件があったけれども、その後の四月の二日には、七尾の火力立地点で重軽傷数名が負わされるという、そういう事件があったんです。これは石川県が去年の九月に埋め立ての認可をした。これは前々から反対があったわけでありますから、私は現地に二回も行っています。だから事情はよく知ってますが、初めは大気汚染から始まっていろんなことでやっぱり反対がいまもって尽きないでいる。そして県が認可をしたもんだから、話し合の猶予期間を置いて、その認可条件として四月十六日までが期限です。だから二日に着工をしようとしたら、作業船に対してまき網を張ってスクリューにこいつを巻かして航行不能に陥らしたり、長さ三メーターの柄のついたとびぐちで作業船の窓ガラスを突き破り、それからとびぐちを振るって、殺傷ではない、刃傷だな——をして数名の重軽傷者を出した。こういう事件で、至るところでこれはまあそういうことが繰り返されておるんです。そうなりますと、石炭をたくということになりますと、当然そこには脱硫、脱硝それから集じん、それだけではありません、そういう技術開発をし莫大な金を投じて設備をしなきゃならないというだけではなくて灰捨て問題が大変だ。こういう問題を計算をして二千二百万トンの石炭をたこうと考えていらっしゃるのかどうか、いかがでしょう。
  183. 武田康

    政府委員武田康君) 原子力発電所石油火力、石炭火力の場合も同様でございますけれども、いま先生指摘のように、安全、環境の保全に万全の注意をしながら開発しなければいけないわけでございますが、なお地元の方々の全面的な御理解、御協力というのを得られていない部分があるような、そういったようなことで難航している地点がたくさんあるというのは全く事実でございます。で、石炭の場合に、先ほどおっしゃいましたように、サルファを除く、あるいは脱硝をする、集じんもする、そういったもので相当なお金をかけなければいけない、こういうコストの問題もさることながら、同時にやはり当該地域の方々の御理解と御協力がなければいけないわけでございます。さてそれが昭和六十年度を目指して、昭和六十年度時点で約一千万キロワットの石炭火力を持つ、そうすると目標としているような石炭を使えると、こうなるわけでございますが、そういったものが全部クリアになっているかという点でございますけれども、実は現在電源開発調整審議会にこれから上程しなければいけないものが、必要な約一千万キロワットのうち約四百万キロワットぐらい含まれているわけでございます。したがいまして、その四百万キロワット分につきましては確かにアンノウンな要素がございます。ただ、それらの当該地点につきまして、いずれも当該電気事業者あるいは当該県等といろいろ御相談し、また主体は電気事業者でございますけれども、当該地域の方々の御理解を得られるような努力を続け、そしてできるだけ早い機会に電源開発調整審議会の議に持ち込みたいと、こういうことでございます。なお、それらの場所は全部の方というわけにはまいりませんけれども、当該地域の相当部分の方からこの地点で石炭火力がつくれないだろうかというふうな御提案のあった場所でございますので、ある意味で地域の方々の御理解と御協力を得られる素地はあるわけでございます。しかし素地はあると言いながら、それを確実なものにするための努力を本当にまじめに続けていかなければいけない。そうしませんと、実は石炭の消費量という点でも昭和六十年度の対策促進ケースを満足させる、あるいは達成させることができなくなるわけでございます。しかし私どもとしましては、先ほどのように、六十年時点のものにつきましてはある意味の地点の見当もつけておりますので、これを達成すべく電気事業者はそれなりの努力をし、また国もあるいは地方公共団体とも連携をとりながら同じように当該地域の方々の御理解、御協力を得られるような努力を続けるつもりでございますし、いま私どもとしては昭和六十年度目標というのはほぼ達成できるんじゃないか、またそうしなければいけないということで考えているわけでございます。
  184. 中村利次

    ○中村利次君 それは総合エネルギー調査会がこのエネルギー暫定見通しを立てる、これを政府のものとして何としてもやっぱり達成をしていこうとする。私は当然だと思う、まあ私が見たところでも、対策促進ケースは恐らく不可能と言えば悪いかもしれませんけれども、不可能に近いぐらい困難で、対策現状維持ケースぐらいのところが、現状維持ではなくてかなりこれは努力をしなければ達成できないんではないかと思うんですよ。しかし、このIEAの勧告にしろかなりこれはこういうものを承知の上で厳しいものがあるわけでありますから、何としてもこれはやっていかなきゃならぬと思うんですが、そういう意味では、われわれも含めてこれはやっぱり超党派でこういうものは達成できるように努力をするのが国民的、あるいは政党政治の政党の使命だとは思いますよ。しかし、これはいま言うように、私はこの二千二百万トンの石炭を昭和六十年にたくような設備をつくるということは、それは集じん、脱硝、脱硫技術開発、これは後ほど質問しようと思っているんですけれども、この暫定見通し前提となるGNPの伸びが五〇年代は六・一%ですか。それで、これはこの弾性値を低めるためにと言えば悪いかもしれませんが、総エネルギー需要量は五・四にして弾性値を〇・八九ですかにされているんですね。だから、そうなれば非常にこれは好もしい、私は好もしい。支持します。しかし、できるのかという立場から、よく政府がおっしゃる、自由民主党が責任政党で、政権はこの福田内閣に任しておけと言いますが、そういけばいいけれども、実際できるのかという立場からこれを検討しますと、いま言うように、果たしていまの三倍の石炭を七、八年ぐらいの間にたけるような技術開発、資金よりも技術開発、それから何か本当に……いま下北の開発だってえらい問題があるんですよ。あすこに行ってみてごらんなさいよ、あなた。そうすると、石炭をたいた灰捨て場、二千二百万トンぐらいあるいは三千万トンぐらいの灰捨て場は日本はどこにでもあるよと、こうはいきませんよ、これは。私はそれが実現できれば大賛成。石炭の利用はこれは液化ガス化をやる前に、石炭がたけて、原料炭としてもあるいはこの一般炭としても活用ができて、それが国民合意でできればエネルギー対策としてはかなり期待が持てるわけですから賛成ですが、なかなかそうはいかないんじゃないかというおそれのあるところに問題がある。これは本委員会でも参考人まで呼んでやりましたけれども、鹿児島県の川内原子力、あれは調査段階、ボーリングする段階なんか、この間反対派の参考人が来ていみじくも本音をおっしゃっていましたけれども、玄海に原子力をとられないで川内に原子力を誘致しようというので、それがもう川内市のムードであった、だからおれは監督者に隠れて、監督者はコアの差しかえはいかぬと言ったから、監督者に隠れてコアの差しかえをやったんだと、こういう参考人の速記録があるはずですよ。それがいまどうですか、町ぐるみ誘致派であったのが、いまはもう大変な、告訴騒ぎまで起きやしないかと思うぐらいになっておる。これは幾ら言ったって同じですからね。  それから地熱だって、私は現状維持ケースの五十万キロ、それから促進ケースの百万キロ、これは五、六十万キロぐらいなら私もそれはできない相談だとは言いませんよ。しかし、八十万キロぐらいは、あるいはそいつを百万キロに近づける努力をしていくという御答弁でございまして、確かに電気事業者も昭和六十二年に八十万キロという計画を立てておるようです。私に言わせると、電気事業者はむしろ政府の百万キロに歩調を合わして、できるかできないかわからないけれども、とにかく政府にはもう無条件で協力しなきゃならないんだから、やっぱり現実がどうあろうとも八十万キロぐらいのあれは一生懸命がんばらなきゃいかぬというのが私は八十万キロじゃないかと思いますよ。私も四十年ばかり電気の飯を食ってきているんですからね、幾ら事業者がどういうことを言おうと、エネ庁がどういうことを言おうと、自分の体験に照らしてそう私は間違わないと思うんですが、これなんかでも私はきわめてむずかしいと思います。  私がなぜこういうことを言うかといいますと、それは五十二年度の実質経済成長率を六・七%にすると言い、去年の暮れの臨時国会までできると言ってがんばっていたあれが、臨時国会が閉会になったら、それから何か幾日もしないで関係閣僚が集まって五・三%に下降修正をした。それはわれわれがその責任を追及しても別に日本がひっくり返えるわけじゃない。しかしエネルギー問題は、もしこういう計画を立てて、これが誤って、石油輸入計画どおりにはいかない、代替エネルギーも、あるいは地熱も、あるいは石炭火力も、原子力計画どおりにはいかないで、エネルギーが足りなくなった、その場合に、やっぱり五十年代は六%あるいは六十年代は五%になるか四%になるか、とにかく低い成長率で福祉国家が実現できるような産業構造、社会機構の改革をしていくことになりましょうけれども、しかしその四%、五%の成長すらエネルギー面での制約でできないということになれば、これは福祉国家もなければ、文化社会もなければ、国民生活もみんな飛んでしまうんです。いま景気の回復はどうだとか、あるいは失業者がどうだとか、雇用不安がどうだとか、まだまだ非常に深刻ではあっても、本当に昭和六十年あるいは六十五年ごろエネルギー面の制約でどうにもならなくなったという事態を想定すれば、それに比べればはるかに現状はまだぜいたくだ。だから、私はこういうことをもう繰り返し繰り返し言うんですが、この各項目について本当に私は不安でしょうがない、いかがでしょう。
  185. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほど先生地熱の例をおっしゃいましたけれども、たとえば地熱に例をとりまして、非常に悲観的に考えますと——非常にというのを抜きまして悲観的に考えますと、必ず、かたい数字はどうだろうと。そうすると、先ほど御指摘のございましたように五十万キロとか六十万キロぐらいなら必ずいけるだろうけれども、というような答えが出ないわけではございません。しかし私どもは、油の輸入量というのが今後そうふやせるものではない、そしてそれにかわるべきエネルギーを、ありとあらゆるものをつぎ込まなければいけない。で、リードタイムがございますので、何か一つやっただけでは、それで賄うわけにはまいりません。したがいまして、その地熱の百万と五十万の差は五十万キロワット、油に直しまして大体七十万キロリッター相当とかそんな数字でございますけれども、それ自身は〇・一%とかあるいは〇・二%というようなウエートにしかなりません。しかし、そういったものを最大限やらなければいけないということで、私どもは、政府政府なりの努力をいたしますし、それから電気事業者等の事業者も、やはり国が言うからというのではなくて、将来のエネルギーのバランスあるいは多様化が必要ということを考えまして、事業者自身も五十万で満足するんでなくて七十万、八十万と、できれば百万に引き上げたいというようなことで、いま努力してくれているわけでございます。ただ、確かに暫定見通しにもございますように、当時の現状程度努力では対策促進ケースは達成できないわけでございまして、実は本年度に、たとえば石油石炭特別会計関係でいろいろ大幅に予算をふやしていただきましたり、またそのほか省エネルギー関係でも予算なり財投税制というようなことでいろいろ手当てをする。それだけで十分ではございませんで、さらに来年以降につきましてもなお上積みの努力をする必要がございますし、また、先ほど電源立地に関連して先生から御指摘がございましたように、そういうエネルギー事情、しかもリードタイムがございまして、いまから手を打たなければ何年か後には大変なことになってしまう可能性がある、おそれがあるということも含め、一方で安全対策、環境保全対策というのも万全にしていって、ということで理解と御協力を得なければいけないという面もございますが、そういったような意味で、確かに先生おっしゃったようなどの項目をとりましても達成できないおそれももちろんあるわけでございます。しかし、そうではございますが、先ほど石炭火力の例で御説明申し上げましたように、対策促進ケース目標を達成するために必要な場所はこのぐらいの場所、そしてその地点につきましては、ものによりましては予備的な調査等々もすでにやっておりますし、またそのぐらいの数でございますと、当該地域の方々、多数の方々からここに石炭火力を立地しないかというようなお話もあるわけでございまして、全部が全部うまくいくということではございませんけれども、可能性としては、これからの努力次第で対策促進ケースのそれぞれの項目が、どんぴしゃりではないにいたしましてもそれに近いものを達成し得る。中にはそれをオーバーするものも一部出てき得るかなというふうに思っておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、必ず達成できるということが確実になっているわけではございませんので、政府の、私ども自身そうでございますが、それから関係の事業者の努力、そして先生先ほどおっしゃいましたように、エネルギーを使う、そしてそれによって雇用を確保するとか、福祉が向上するというようなメリットを結果的にもちろん受けるわけでございますが、そういった国民の全部の方々、これが、ある場合には不便を忍んでも御協力いただくというようなことが必要でございまして、またそういう御協力をいただけるように私どもとしてはエネルギーのポジション、それから安全なり環境問題について万全の配慮を払うという、あるいは払っているということを御理解いただくような御説明というのを今後ともより一層していかなければいけないと、こういうように思っているわけでございます。
  186. 中村利次

    ○中村利次君 確かにおっしゃるとおり、確実にできるものしか政策として掲げないというのはこれは愚の骨頂で、それは努力目標を掲げられるというのはこれは当然であって、そういう意味では私も大いに理解をいたします。ただ何としても、これはもし本当にエネルギーバランスが崩れちゃった場合には、そういう面から経済活動、それから国民生活が、これは直撃をするわけですから、これは待てしばしはない。で、エネルギーというのは、景気の手直し、経済成長の数字の手直しなんかで済むような問題じゃなくて、さあ足りなくなったから早く何とかつくれと言ったって、貯蔵できるものではなし、そんなに手品を使うみたいにつくれるものではありませんから、一般の製品と違いますから、ですからくどいぐらいに私はこういうことをしょっちゅう申し上げているわけです。  石炭の二千万トン出炭体制というのを、私はこれは努力目標としては当然だと思うんです。ですから、政府が政策として掲げられるのは、全く、それじゃ二千八百万トンにするのかって、そんなしょぼたれたあれはできないはずですから、しかしやっぱりこれもいま審議官もおっしゃいましたけれども、原重油関税の特別会計から毎年これは石炭につぎ込んでいる金というものはかなりのものですね。五十二年度で千二百億近いですね。五十三年度は千二百億を超えておる。そして出炭量が千八百万トンちょい。これは五十年が千八百六十万トンで、千八百十五万トンですか、二十五万トンか、幾らかで、これもやっぱり出炭量が落ちているわけですね。ですから、二千万トン出炭体制というものを政策にされるのは賛成です。しかしそれが実現できるかというと、きわめてこれはむずかしいんで、トン当たり単純計算でいきますと六千円余りもつぎ込んで、そうして国際価格に比べるとはるかに高い石炭を唯一の国内地下資源、エネルギー資源として一生懸命守っておるのが現状でしょう、石炭は。私はそういうものがなければ、唯一の国内地下資源、エネルギー資源であるということ、あるいは産炭地の地元の振興等の問題がなければ、こんなのなんか全部閉山にしちゃって、品質のいい安い石炭を輸入した方がうんといいと思うのだが、そうはいかない、やっぱりこれは政策を講じなきゃならないほど石炭対策というのは私は重大なものだと。しかし、二千万トン出炭体制が維持できるかというと、私はきわめてこれは困難だと思うんですよ。  それから地熱にしましても、先ほどあれはどなたが、塩出委員の質問でしたか何かのときのお答えでは、深部の発電がかなり期待できるようなあれを伺いましたけれども、これはあれでしょう。深部地熱資源なんというものはこれから探査、費用をかけて、それもかなり、千四、五百億ぐらいかけるんですか、昭和五十九年ごろまでかかってやろうということでしょう。そうですね。
  187. 武田康

    政府委員武田康君) 地熱の大規模深部発電でございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたが、これから五年がかりぐらいで、そのものをつくるんでなくて、その前に、そういったことが環境にいかなる影響を与えるかという、いわば事業者のやる前に国が、そういう開発をした場合、問題ないような開発のあり方は何であるかという、その下勉強といったらいいかもしれませんが、そういうことをこれから五年がかりで実施する。そして初年度は十二億、トータルでは百億程度のものになろうかと思いますが、それぐらいの資金をかけてそういうレビューをする。その結果が非常にいいものであれば、自信を持てるようなものでございますと、これは現実のものにアプライされていき得るわけでございまして、地点にもよりますが、その場合非常にその先もいいというめどがつきますと、たとえば二十万キロあるいは二十五万キロワットクラスというような地熱発電が、かなり深いものでございますが、現実のものになる。で、現実のものになりますタイミングは、そういうよい方で考えまして、五年がかりの事前調査でございますから、事前の要するに環境に与えるインパクトがおかしくないものであるということを確認するようなものでございますので、現実のものはその先また五年なり十年なりかかると、こういうことではございます。しかし、私どもとしてはそういうものができ得る可能性というものはもちろんあると思っておりまして、それで、それに見合うような調査をし、あるいは、研究開発段階であるかと思いますけれども、先ほど工業技術院の方から御答弁申し上げたような各種研究開発も、いずれも一生懸命やっているわけでございます。
  188. 中村利次

    ○中村利次君 そのとおりだと思いますよ。地熱発電なんかでも、日本は火山国だから、地熱発電なんというものはかなり期待ができそうな印象を国民に与えるようなことでは、これはとんでもないと思うんですね。いまおっしゃるように、どういう環境に影響を与えるのか。これはもう確かに、たとえば私は太陽熱の問題にしろ、地熱の問題にしろ、これからの新エネルギー開発していく場合、余りいいことばかり考えて、どういうリスクがあるのかということにはさっぱり触れないようなそういうやり方というものは、これはやっぱりとんでもないことになると思うんですね。ですから、私はいまの審議官のお答えどおり、これは本当にどういう影響があるのかという探査、あるいは最終技術開発等について十分の調査をされておやりになるということで、納得をしますよ。  そうなりますと、やっぱりこれはたとえば火山高温岩体発電等々にしましても大きな期待を現実問題として持てるのかどうかという点については、これはやっぱり余り大きな期待を持ち過ぎるとエネルギーバランスに影響がある。ですから、われわれは実現可能なエネルギー対策というものを常に用意しておかなきゃいかぬと思うんですね。ところがその実現可能なエネルギー政策というのは私はもうこれはずばり言って、石油がどうしても足りなくなるということになれば、石炭か、石炭の液化ガス化あたりがどうなんだろうか。それから石炭なんかは、これは世界的な埋蔵量はかなりなものであって、現在ただいまでは液化ガス化はまだ油よりもかなり高いですね、コストは。大体液化ガス化はどういうことになっておりますか。日本でなくても結構です。
  189. 武田康

    政府委員武田康君) 先ほどの地熱お話といまの石炭の液化ガス化のお話でございますけれども、先ほど地熱の環境について申し上げましたことは、現在やっておりますような地熱発電でなくて、もっと深くして、規模の大きいものにした場合の環境へのインパクトがどうかということでございまして、現在一万キロ、二万キロ、五万キロクラスの地熱発電を何カ所か運転しており、工事中でございますし、またこれから六十年までの計画の中に現実のものとして組み入れられておりますが、これらにつきましては、やはり還元井を先につくってお湯を先に戻してしまうとか、そういったような、ほかにもいろいろあるんでございますが、そういったような現実の環境対策をとって、そして環境との調和を保ちながらやっているわけでございます。そして太陽熱の利用等につきましても、これは太陽熱の利用は、仮に発電に使うという前提考えますと、火力原子力に比べましてかなり小規模のものにならざるを得ないというような自然的な条件がございます。で、定性的にはいろんな問題があろうかと思いますが、定量的に考えますと、またそういう使用の実態を考えてみますと、やはり現在の火力とか原子力というような環境問題とは違うと思いますが、何分にも技術関係であり、それから自然条件に支配されますので、大きなウエートになるわけでは必ずしもございません。しかしそれでも、一%、二%のものでも大切でございますので、一生懸命やらなければいけないわけでございます。そして石炭液化ガス化につきましては、これはすでに戦争中からそういう技術がございますが、現在たとえば南アフリカでは、石炭を使いましてガスにしたりというのが商業ベースで動いているケースがございます。しかし、もとの石炭代が非常に安いとか、そういうような特殊な条件があるわけでございまして、現在各国とも石炭の液化ガス化、日本はもちろんでございますが、一生懸命やっておりますけれども、きょう現在で言えば、石油にかわり得るようなお値段のものではございません。しかし、これから十年、十五年先を目指しまして大いに努力するということでございます。そして先ほど先生がきょう現在石油にかわり得るものは石炭、原子力というようなお話でございましたが、これから十年、十五年のタームで考えまして、仮に石油がない、何を使うんだと言って、かたがたコスト的に、現在の石油並みでなくても、それにほぼ近いというような前提を置きますと、世界的にも原子力と石炭の二つだけで、しかしその石炭は必ずしもガス化、液化するんでなくて、そのまま使うというような石炭であろうかと思います。そして、日本の場合には一つだけ特殊事情がございまして、海外からのLNGの輸入というのが石油と似たものだと考えれば別でございますが、石油と別カテゴリーと考えますと、LNGの輸入というのが五%とか一割とかいうオーダーで利用し得る、そういうことでございまして、しかしそのほかの地熱、太陽熱、それから水力もそうでございますし、石炭の液化ガス化もそうでございますが、パーセントオーダーの量で考え、あるいはそれがもっと、一〇%になるということを行いますためにも、これからの五年、十年の間に小規模といえども利用するというところに技術開発を進めて、結びつけて、そういう利用実績が出るようになりまして、かたがたコスト的にもある程度高くてもそんなにひどくないというものでございますと、それから先にもろもろの関連の準備をいたしますと、たとえばそれから十年たった時点では、現在時点考え得る原子力なり石炭をたく、あるいはLNGを導入するというような規模でエネルギー経済に寄与していく、寄与していく可能性が出る、そういうことでございまして、昭和六十年度のバランスで大したことがないので、それはまあやめておこうというようなことでございますと、それから先に向かいましても全くメニューに出てこないということになるわけでございます。したがいまして、そんなことでございまして、たとえば地熱にもいろいろ問題はあろうかと思いますが、現在五十万キロワットを八十万に、六十年時点で。あるいはできればそれを百万にという、微小でございますが、そういう積み上げをしたい。それがそれから五年先、十年先にもっと大きな規模で響いてくると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  190. 中村利次

    ○中村利次君 それね、私は賛成なんですよ。ただ心配なだけでね。新エネルギーの二百三十万キロリッター石油換算分というのも賛成です。そうでなきゃならない。しかしながら、これは具体的にそれじゃどういうものを石油換算二百三十万キロリッター分の新エネルギー開発ができるのかと言えば、これはかなり難問である。それは技術開発だけではない、資金問題だけではない、なかなかこれはもう難問だ。あるいは液化天然ガスにしても、私は三千万トン、昭和六十年三千万トンというのはそうこれは簡単にいくもんじゃない、あるいはなかなかどうしてどうして、二千万トンぐらいならあれでしょうけれども、三千万トンというのはかなりの努力をしなければ私はこれは実現可能ではないだろう。そこで、時間も参りましたから、そういうぐあいにずっとチェックをしていきますと、ほんとにこれは下手まごつくと昭和六十年前後あたりには、日本は、いまは景気の回復をどうするのか、雇用不安をどうするのかで政府も国会も振り回されておりますけれども、これが気楽であったというぐらいのきわめて深刻な事態になりかねないというおそれがあるんです。そこで繰り返しますが、本命は——石炭だってこれはやっぱり私は目先どうこうというもんではない。原子力も目先どうこうというものではありませんが、私はエネルギーの本命は原子力、いまの軽水炉から高速増殖炉、核融合と、二十一世紀のいつごろになるか知れませんけれども、それにつないでいくのが本命だと思う。だから、それ以外のエネルギー源が見つかれば、商業ベースの問題もありましょうし、環境その他の問題もありましょうけれども、よりベターなものがあればそいつに変えるというのは当然でありまして、私がいままでもう一時間ばかり言ってきたのも、やっぱり実現可能なものを用意をしておかないとえらいことになる。私はIEAの勧告も、地域住民に合意を求めるための努力をどうするかという、これはもうやっぱり開発の重要性についての認識を地域住民に与えなきゃならぬ、全くそのとおりだと思うのです。ところがそのことについても、これは二千二百万キロを、原子力約二千二百万キロのあれで午前中の答弁にありましたけれども、これは福島第二の2号、3号、それから先ほど例に引きました鹿児島県の川内原子力まで含めたあれで、約二千二百万キロワットとか、これはもうそれはほんとに間に合うんだろうか。川内なんか私は間に合うんだろうかと思いますよ。まだやっと原子力委員会のあれに基づいてゴーサインが出たばかりで、これからまたいろんな私は妨害があると思う。  そこで、最後にお伺いをしたいと思いますのは、いわゆる傷害ざたまで起きるような、立地問題は難航をきわめています。これをどう乗り切っていくのかがこれは決め手になると思いますがね、それには政府部内が各省庁のなわ張り争いをやめて、そして法律の数にして三十余り、許認可の手続にして六十以上もあると言われるこういう繁雑な現状に対してどういう手を政府として打っていくか。それは、通商産業省が、野党から産業寄りだ開発寄りだと悪口を言われながらも、私はエネルギー開発には、一番やっぱりよく承知をしておるし、それから結果的には国民の期待に沿うような努力をしていると思う。原子力行政については、科技庁あたりやっぱりこれはもうさんざんこずかれながら一生懸命になって私は国民の期待に沿うような答えを出す努力をされていると思う。しかし、私は毎々言い続けてきましたけれども政府というあれから見ますと、なわ張り争いがきわめて顕著であり、それから総合力をちっとも発揮していませんが、そういう点についてひとつ最後に、大臣から、これは本当に総合力を発揮してもらいませんと所期の目的達成はきわめてむずかしいと思うんですが、いかがでしょう。
  191. 熊谷太三郎

    国務大臣熊谷太三郎君) 先ほどから大変エネルギー問題につきまして御熱心な、しかも御共鳴できる多くの御意見を承っておりまして、御傾聴申し上げていた次第でございます。おっしゃるとおり一生懸命やっておりますし、われわれといたしまして気づいている点もありますので、いろいろな点をひとつさらに一層政府部内として、総合的な力が発揮できますようにがんばりまして、少しでも御期待に沿うように進んでまいりたいというふうに考えております。
  192. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会