○佐藤昭夫君 もう何ぼ聞いてもそういう答弁の繰り返しでしょうから。しかしあと時日が経過をしてから、
科学技術庁の指導上の責任が問われるようなこと、これがもし起これば大きな問題になるということをよくよくひとつ念頭に銘記をしていただいて、正確な
内容で国会でも議論をする、現地でも議論をする、こういうことをやっぱりきちっと貫いてもらうということが私は監督官庁として必要だというふうに思いますので、できるだけ早い機会にこの国会の場にも、仮に
封印という場合にはイメージはこういうことになる、その場合には
遮蔽工事やあるいはこの総
点検はこういうことになるということをきちっと提示をしてもらうということを重ねて強く要求をしておきたいと思います。
それで話を次に進めますが、私が昨年の十月、初めて国会へ出てまいりまして当委員会も
質問をし、当時の宇野
科学技術庁長官も全く同感だという表明をされたわけでありますが、
わが国の科学
技術の将来に向けての豊かな発展のためには
基礎科学を、
基礎研究をもっと重視をしていく必要があるというここの問題についてであります。これは昨年の暮れに出ました科学
技術白書ももう逐一引用をいたしませんが、科学
技術白書も随所にそのことを強調している問題であります。しかし実際、現実はどういう姿になっているだろうかということで、まあ私、個人的な事情で
質問の機会がなかったわけですけれ
ども、すでに
昭和五十三年度の予算案はもう可決、決定をしているわけですけれ
ども、たとえば科技庁の関係の
昭和五十三年予算、これを全体としてとらえてみた場合にどういう姿になっているかといえば、余りにもナショナルプロジェクトに偏っておるんじゃないかということで、私も少し
数字のそろばんを入れてみたわけですけれ
ども、
原子力、宇宙、海洋、この関係で科技庁予算の全体の八九%。科技庁予算の対前年伸び率は一二・一%、そのうち
原子力関係が伸び率一九・五、海洋が一八・一、宇宙が四・〇、これは五十二年度で三つの衛星の打ち上げのあの費用が莫大にかかっている、ですから五十二年が非常に大きかったということにすぎないと思います。片一方防災予算というのは一一・五ということで、こういった
数字見ても非常にナショナルプロジェクトに偏っているということが明らかです。あるいはまた、夏の概算要求に対する閣議決定で決まった予算がどういう
数字になっておるのかというのを見ますと、総予算は概算要求の九五・八%。
原子力は九八・九。動燃の予算に至っては概算要求に上積みをされておるということなんです。宇宙が九三・七、防災は七四・八。昨今非常に大きな問題になっています地震対策は六〇・八という、こういう姿で見てもおおよその私は今日的な性格が浮き彫りになっていると思う。さらに、これは五十二年度の予算しか入手できなかったわけですけれ
ども、たとえば
原子力研究所ですね。ここはいわゆるプロジェクトに関する多
目的高温ガス炉、これが対前年で一・四倍、核融合
研究が一・九倍。いわゆる一般
研究というのは
原子力研究所の予算の中の全体の六・四%だということで、きょうもいろんな人が触れております
原子力開発研究の本当にしっかり根をおろした自主的
研究の力をつくっていくという点で、これでいいんだろうかという不安を非常に強く感ずるわけです。国立大学の場合も同様であって、大学の場合には例の科研費とか、特別
研究費、大型
研究費、国際共同
研究費、いろんな種類ありますけれ
ども、一番
基礎的
研究になりますのは、経常
研究費というふうにいわれておるんですね。これが概算要求一二%アップの要求に対して結局予算で決まったのは六%対前年の上昇、ですから六%上昇というのは大体もういろんな
実験器具やら何やら電気ガス代、そういう物価値上げ、これにしか追いつかぬというもので、
基礎研究の充実強化のための予算が十分組まれたという形にはもうさらさらなっていない。同じようなことは国立の
各種研究機関、ここの
研究についても同様のことが
指摘できる。そういう点で
一つはこういう現実についてナショナルプロジェクト中心。防災というような分野が非常に世論的には大きく重視をされているんだけれ
ども、実際の面ではまだまだ位置づけが弱い、こういった点についてひとつはどういうふうな御見解を持たれるのか。
それからすでにこういう予算が決まってしまいましたからあれですけれ
ども、私は予算の執行上の問題としてはいろんな改善の余地はあるだろうというふうに思いますので、そういった点。あるいは円高対策、不況対策もかねてまた五十三年度も補正予算を組むかという話もあるんですが、私は補正予算を組むそのこと自体、このことについてはもっと慎重な
検討が要る、もっと抜本的にいまの財政の見直しを行う必要があるという意見は持つわけですけれ
ども、仮に補正予算を組むというような機会に、こういった
基礎研究を重視するという見地からの一定の改善を行っていく、そういう問題についてひとつ長官の御意見をお尋ねしたい。
——ちょっと長官に。