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1978-05-10 第84回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)    午後二時九分開会     —————————————    委員異動  五月二日     辞任         補欠選任      竹内  潔君     植木 光教君  五月十日     辞任         補欠選任      植木 光教君     亀長 友義君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 稲嶺 一郎君                 志村 愛子君                 丸谷 金保君                 相沢 武彦君     委 員                 伊江 朝雄君                 亀長 友義君                 北  修二君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 川村 清一君                 二宮 文造君                 下田 京子君    政府委員        北海道開発庁計        画監理官     大西 昭一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        山本 義彰君        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        総理府北方対策        本部審議官    永山 貞則君        水産庁漁政部沿        岸漁業課長    鶴岡 俊彦君        水産庁漁政部水        産流通課長    黒木 敏郎君        水産庁海洋漁業        部長       松浦  昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (北方領土問題対策協会に関する件)  (北方領土返還運動に関する件)  (貝殻島のコンブ漁に関する件)  (日ソ漁業交渉に関する件)  (根室地域振興対策に関する件)     —————————————   〔理事稲嶺一郎委員長席に着く〕
  2. 稲嶺一郎

    理事稲嶺一郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  本日、岡田委員長には、都合により委員会に出席できないとのことでございますので、委員長の委託を受けまして、私が委員長の職務を代行させていただきます。  委員異動につきまして御報告いたします。  去る五月二日、竹内潔君が委員辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。  また、本日、植木光教君が委員辞任され、その補欠として亀長友義君が選任されました。     —————————————
  3. 稲嶺一郎

    理事稲嶺一郎君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査中、北方問題に関する件を議題といたします。  この際、委員長から申し上げます。ただいま理事会におきまして協議いたしましたところ、本日は、北方問題に関する件につきまして一部自由討議を行うことに各党の意見が一致いたしました。なお、自由討議終了後、本件につきましての質疑を行うことにいたします。  それでは、暫時自由討議を行いますので、速記をとめてください。   〔午後二時十分速記中止〕   〔午後三時二分速記開始
  4. 稲嶺一郎

    理事稲嶺一郎君) 速記を起こして。  北方問題に関する件につきまして、これまで自由討議を行ってまいりましたが、これより本件についての質疑を行いたいと存じます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 川村清一

    川村清一君 私、北方問題に関しまして二、三お尋ねいたします。  まず第一に、北方対策本部の方にお尋ねいたしますが、北方対策協会、いわゆる北対協の今年度予算は昨年度予算に比べて、ちょっと私いま資料を持ってこなかったので確かめたいと思いますが、大体何%ぐらい伸びていますか。
  6. 永山貞則

    説明員永山貞則君) ちょっと正確にはあれでございますが、一三%ぐらい、約三億五千万円でございます。正確には後で、もし必要ならばなにいたします。
  7. 川村清一

    川村清一君 どうしてこういうことをまずお尋ねしたかと申しますと、この間、委員会があったときに、どなたか委員が御質問になったときに、総務長官審議官かから、この北対協の方の予算もうんと伸びて、PRの問題が出たときですが、活発にPRする、それで北方領土返還の世論を喚起するというようなことのお話があったんで、それでお尋ねしたんですが、私持ってこなかったんですが、見たところによれば、それはもう一三%程度伸びじゃ、いわゆる日本の国の予算というものは御承知のように大変な伸びがされておるにもかかわらず、この北対協予算がちっとも伸びなかったと、こう言っても仕方がないようなそういうことで、一体、この間委員会で言われたようなことができるのかどうかという、これを確かめたいと思って、お尋ねしているわけです。
  8. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 先生お知りのとおり、金額的にはただいま申し上げました程度でございますが、内容的に、一つには、この前大臣お話し申し上げたかと思いますが、従来根室市が負担をしていた返還運動経費、そういうものを前々から国の方で見てくれという要望が非常に強かったわけですが、それに対しての特別な対策費というものを一つ計上しておる。それからもう一つは、いろいろな啓発活動をやっておりますけれども、特に五十三年度は大量なパンフレットを配るというところにかなり重点的にしぼってやっておりますので、金額的には申し上げましたとおりですが、そのやり方によってできるだけ先生の御要望にも沿うように、また、そういう効率のいい啓発をやるということでいま計画を進めている段階でございます。
  9. 川村清一

    川村清一君 これもこの間御答弁された事項であったと私記憶しておるんですが、各県においてこの係が、そういったような組織機構が整備されて、活発な運動を展開しておるというようなこと、これはかつて山中総務長官のとき、各県に窓口がないものだから——北海道知事部局はもちろんあります、相当の金を使ってやっておる。しかし、各県にないので、各県にそういう窓口をつくるべきではないかということを申し上げて、それが実現したんですが、しかし、その後、各県の総務部のどこかに一人ぐらい係官を置いてといった程度であったものですから、そんなことではしようがないじゃないかということもまた申し上げておったのですが、いま、一体、どんなような状態になっていますか、各県は。
  10. 永山貞則

    説明員永山貞則君) たしか、あれは四十七年ごろだったと思いますが、先生の御示唆等もありまして、各県に窓口課を設定しました。正直なところ、それから二、三年はそれほど活発な密接な連携が余りなかったんですが、昨年度から特に全国課長会議経費をとりまして、昨年の六月に各県の主管課長根室に集めまして、そこで二日間会議をいたしました。それから各県非常に積極的になっております。  もちろん、四十七県がすべて同じレベルというわけにいきませんけれども、一例を申し上げますと、たとえば愛知県は、いま私たち毎年北海道と共催で国民の集いのようなものをかわるがわる県をかえて実施しておりますけれども、ことしは愛知県にお願いしたところ、非常に積極的にそういう担当の課が中心になって、いま準備を進めている。そういう意味で、従来よりはずっとパイプが太くなってきている。ただ、まだまだ不十分でございますので、さらにその点密接に連携をとっていきたいというふうに進めている段階でございます。
  11. 川村清一

    川村清一君 それからもう一点、私非常に気にかかっていることなんですが、いまどうなっているかということでお聞きするわけですが、いわゆる北対協の事務所が二つあることは御承知のとおりです、東京事務所札幌事務所ですね。そこで、東京事務所の方はこの予算でやっているわけですけれども札幌事務所の方のいわゆる管理費人件費、これはもともとは昭和二十六年ですか、要するに旧島人に対する援護措置として十億の国債を発行され交付されて、その十億の国債から上がってくるところの利子によってこれを賄っておった。  そうすると、大体十億で六%——六千万程度のうち、最初のころは三千万近くを人件費管理費に使って、そして残りの果実を旧島人のいろんな援護措置に使っておった。それで東京事務所の方は国の予算から満額出ておる。これは非常に矛盾があるんではないか、当然、札幌事務所の方の管理費人件費というものも国の予算から出すべきじゃないか、それで、そこから出た果実というものは完全に旧島人援護措置に使わるべきじゃないかということをずっと主張してきたんですがね、その後、若干札幌事務所の方の管理費の方もこっちから回るようになりましたが、いまはどうですか。完全に北対本部のとった予算の中から札幌事務所の方のそういう管理費は出ておるんですか。やはりまた向こうの方も維持費を使っているのかどうか、これはどうなっていますか。
  12. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 先生指摘のような点がございまして、五十一年度から管理費に対しても補給をするという形で、全額ではございませんけれども、今後ふえる分については管理費補給という形でやっていく、したがって、その利子等に食い込むことはないという形に現在はなっております。
  13. 川村清一

    川村清一君 補給というのは、どの程度補給しているのですか、何%ぐらい。
  14. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 五十三年度予算で一千七十七万でございます。
  15. 川村清一

    川村清一君 そうすると、三分の一程度ですね。
  16. 永山貞則

    説明員永山貞則君) ちょっと正確にはあれですが、恐らく三分の一ぐらいだと思います。
  17. 川村清一

    川村清一君 いまはもう交付国債というものは、もちろんこれは現金化してしまって、それでどのくらい金が回っているか、最近余り委員会にも来ないし勉強していないのでわかりませんけれども、私の記憶では四億ぐらいの金が回っておる、こう思っているんですが、いずれにしましてもその交付国債を元にした利子からその管理費を食うということは確かに矛盾しているのですね、三分の一でも補給されるようになったことは進歩ですがね。  これはこれでいいんだということでなく、本当から言うと、いいですか、北方対策協会というのがあるわけですね、言うまでもなく。そして事務所東京事務所札幌事務所と二つあるわけですよ。そうすると、この事務所に働いておる職員というものは同じ資格の人なんですね。ところが、こっちの方の職員人件費は全部国の方から出る。で、こっちの方の働いている方々の給料とかそういう人件費はその交付公債利子から出ていく。その交付公債というその金そのものは、これは職員の金ではなくて、昔、北方領土に住んでおって引き揚げてくれた方々を援護するために国が十億の国債を交付したわけですから、そこから生まれた利子というものは当然これに全部使わなければ、旧島人に還元されなければならない。それを初めのころは六千万出る果実を三千万ぐらいそれに食ってしまっておった、ここに大きな矛盾がある。それがこう改善されてきたんですが、そこまできたことは評価しますけれども、もっともっとこれは国が出すように努力するのが私は筋でないかと思うんですが、いかがですか、それは。
  18. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 先生よく御存じのように、昭和三十六年の発足のころからは、初めがそういう形で公債の範囲内で全部賄うということで協会が出発しておりまして、四十四年にいまの対策協会になりまして、それで札幌東京両方事務所ができたことは御存じのとおりです。したがいまして、やはりその歴史的な流れがございますので、一挙になかなかおっしゃるような趣旨に変えにくいんですが、ただ、御存じのように、昭和四十七年からは銀行から借り入れて貸す、そしてその差の利子補給をやる、そういう利子補給の金をかなりつぎ込んでおりますので、したがいまして、おっしゃるような管理費に少し食われている面はあるかもしれませんけれども貸付枠等はかなりそれから伸びておりますので、したがって融資事業の拡大という点ではかなり努力しているつもりでございますが、なお先生の御意見等も参考にして今後考えたいと思います。
  19. 川村清一

    川村清一君 もう一点お尋ねしますが、札幌事務所が取り扱っている要するに貸付業務、これにはいま幾らの金が回っているかということと、いわゆる資金需要はそれ以上になっているんではないかと思いますが、それに対応してこれをふやそうとするような気持ちがないのかあるのか、そしてあるとすれば、そういうことを努力しているのかどうかということだけ一点ひとつ聞かしてください。
  20. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 活動の主としての大きさというのは貸付枠になると思いますが、最初はたしか数千万円から始まりまして、現在、六億の毎年貸付枠になっております。したがいまして、かなりそれはふえてはおりますけれども、まだまだ不十分という点もございますので、今後、その貸付枠の増大に関しては努力していくつもりでございます。
  21. 川村清一

    川村清一君 この問題についてはまた機会を見ていろいろと御質問申し上げたいと思いますが、きょうは北対協についてはそれぐらいでやめます。  今度は、開発庁せっかくおいでになっておりますので、お尋ねしますが、先ほど亀長大水会会長といろいろお話ししましたが、いわゆる第二貝殻島、これは昨年から始まったんですが、昨年はどのくらいの予算で、ことしはどのくらいの予算で、それで去年はもちろんコンブはまだついてないですからコンブ採取はできないわけですが、それはどのような状態になっておりますか。また、何年計画で総額どのくらいのコンブ礁をつくろうとしておるのか、その計画をちょっとお知らせいただきたい。
  22. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 先生いま御指摘のとおり、五十二年度補正から新貝殻島の予算を計上いたしまして、五十二年度事業費の規模で二億一千四百万でございます。それから、五十三年度、今年度の予算計画いたしております事業費で六億四千万程度でございます。五十四年度残事業として六億五千七百万程度が残りますが、計画としては五十二、三、四で新貝殻島の造成を完了したいというふうにいま処置いたしております。
  23. 川村清一

    川村清一君 水産庁沿岸課長がいらっしゃっておりますから、沿岸課長にお尋ねしますが、大体、いまの開発庁お話によるというと、五十四年で完了されるようですが、それで生産見込みはどのくらい見込んでいらっしゃいますか。
  24. 鶴岡俊彦

    説明員鶴岡俊彦君) 最近の貝殻島の採取量平均約九百トンぐらいだったと思いますが、その約八割、七百五、六十トン程度を目標にいたしております。
  25. 川村清一

    川村清一君 自然貝殻島はどのくらい取っておるんですか。
  26. 鶴岡俊彦

    説明員鶴岡俊彦君) それは最近で申しますと、平均で約九百トンぐらい取っていたと思います。多いときは一千トンぐらいだと思います。
  27. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、さっき亀長会長がおっしゃっておったように、余り向こうさんが高いことを言うなら、それはやめてしまって、これができたら、第二貝殻島で七百六十トンも取れるということになれば、そう高い金を払って向こうの方を取らなくてもいいことになりますな、どういうことですか。
  28. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 私の方からお答えいたしたいと思いますが、何と申しましても自然貝殻島といま先生おっしゃられましたコンブにつきましては、これはもう高碕達之助先生以来の悲願でございまして、何とかこの分につきましてもソ側との民間協定を締結したいという気持ちでございまして、たとえ第二貝殻島ができましても、またそれによりまして相当な生産が上がる状態になりましても、やはり根強く民間協定交渉は続けたいというふうに考えております。  ただ、先ほどからのお話のとおり、余り高い入漁料を払うということになりますと、これは零細な漁民方々生産でございますから、さような点はもう十分に考慮に入れて交渉はしなきゃいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  29. 川村清一

    川村清一君 水産庁長官がいらっしゃらないので松浦部長にお尋ねします。  先ほど亀長会長からお話しされたいわゆる合弁事業というか共同事業というか、これを聞いておってちょっと胸にさわるんですがね、それは魚種エビカニスケトウだというので、それでソ連の二百海里から去年の協定以来カニは締め出されてしまった、エビは締め出されてしまった。そのためにもう多数のいわゆる漁船が削減されてしまった、乗組員は職を失ってしまった。スケトウでもいままでは釧路にだけでも六十万トンぐらい揚がっておったスケトウがことしの協定では全部で三十四万五千トンと、そしてこの三十四万五千トンだって割り当ての漁区、海区ですね、一体、ここでとれるかとれないか、北緯五十度以北に上げてくれという主張が通らない。それでここでとれといって与えられた操業水域から割り当ての三十四万五千トンというものを果たして漁獲できるかできないかという問題がある。そこで、私がこれについて尋ねたら、前の岡安水産庁長官はなかなかめんどうだけれども漁獲努力をすることによって何とかそれをとりたいということをおっしゃっておった。  そういうような情勢の中で、今度は、日本の船、この船がどういう船かわからぬけれども商社の船、商社がチャーターするか商社が持っておる船を出すのかその辺はわかりませんよ、乗組員もどういうんかわからない。わからないけれども、それが行ってソ連共同でとる。とったものは二五%払うか知りませんが、これをまた日本に持ってくる。日本の方にはとらせないでおいて、そして専門にそれによって生業を立てておった漁船をボイコットして、それで今度は商社が行って共同でもってとってくる、それが日本に揚がってくる。こういうようなことはどうも聞いた限りにおいてはなかなかすとんとせぬ、胸につかえるわけですよ。  そこで最終的にこれを決めるということは、先ほどのお話によるというと、両国政府の承認を得なければできないということですから、これは水産庁としてどういう方針でいるかはわかりませんがね、またいずれこれはお尋ねしなければならないと思いますけれども、そういうことはもうすでに御承知だと思うんで、その承知の上に立って、現時点ではどのような一体お考えを持っていらっしゃるのか、もし松浦部長から御返事ができるならひとつお聞かせいただきたいと思うんです。
  30. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 本来、長官から御答弁申し上げることでございますが、私も長官一体で仕事をいたしておりますので私からお答えをさしていただきたいと思います。  確かに、ただいま先生おっしゃいましたように、胸にすとんと落ちないというお言葉でございましたが、私も四年間交渉をやってまいりまして先生のお気持ちはわかるわけでございます。  この話が具体化いたしましてから、国会におきましても、またいろいろな場におきまして討議がなされてまいりました。また、御意見がいろいろ出てまいりました。これにつきましては、大体いま、きょうのお話の中で尽きておったと思いますが、一つは、将来の日ソ交渉影響がないだろうかという御議論。特に余剰主義の原則というものからいってどうもこれが腑に落ちない議論ではないかというような御議論。それからまたその協定内容につきまして二五%という入漁料類似のものが取られる、これが将来のいろんな他国との交渉影響を及ぼさないだろうかというようなこと。あるいは現在までの経緯が各事業主体ばらばら交渉いたしておりますして、それがいわば商社主導型といったような部面もあったというようなことから、どうも経緯から言っても問題があるのではないかというような御議論がいろいろ展開されております。また、一方で、現在の日ソの交渉の現状から非常に現実的な判断をした場合には、将来、一体、このようなソ側の二百海里水域の中でなかなかとれなくなったそういう魚種につきまして、全く今後の漁獲のチャンスを失うということになってしまっても、これは適当ではないではないかという御議論もございます。さような慎重論あるいは積極論、いろいろな御議論が現在ございまして、私どもといたしましても、いまそのようないろいろな御議論を踏まえながら慎重に検討いたしているところでございます。  特に、私ども考えなければならないことは、まず第一の、交渉影響を及ぼさないだろうかということでございまして、これはイシコフ大臣に対しまして中川大臣からはっきり尋ねておられます、今回の交渉の過程でございますが、その際にイシコフ大臣も八十五万トンに影響させないということをはっきり言ったそうでございまして、その点は私どもそれを信ずる以外にはないわけでございます。さらにまた、ばらばらでいままで交渉してきた、そういうことにつきましてもこれは問題があるということを大臣は言っておられるわけでございまして、このようなばらばら交渉では非常に今後とも支障が出てくるという点から、大水窓口を一本化するということも大臣はおっしゃっておられるわけでございます。  さような事柄を基礎にいたしまして、私どもといたしましては、いま先ほど持ち上がってまいりました六件という話につきまして、その内容を精査いたしますと同時に、何らかのルールと申しますか、そういうものを考えまして、その中に適合するかどうかということを考えてまいりたいということで、目下、作業を進めている状態でございます。条件が整っているというものがございますれば、これは許可をするということになってまいると思いますけれども、現在はまだそのルールづくりあるいはそれに適合するかどうかということの検討が済んでおらないわけでございます。したがいまして、ソ側が五月十日という期限を言ってまいったわけでございますが、拙速でやってはまずいという気持ちは持っておりますので、その期限を延ばしてほしいということをソ側にただいま交渉中でございます。もちろん、このような非常にいろいろな問題を含んだ事柄でございますから、私どもといたしましては慎重な態度で処置をしなきゃいかぬということで、目下、作業を進めておる状態でございます。
  31. 川村清一

    川村清一君 今後、将来にわたっていろいろ問題を派生する要因になりますから、頭からいけないと言って私は反対しているわけじゃないんで、とにかく慎重にやっていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  もう一点ですけれどもね、これも原魚が少なくなったので当然そうなってくるということはわかるわけですが、それで北海道加工業者中心となって全国水産加工協同組合連合会原魚輸入ということを要望して組織的にも水産庁にいろいろ働きかけていると思うんです。これも連合会の立場に立てばようわかるのですけれども、この問題もよほど慎重にして考えないと、魚種だとか、それから価格であるとか、それが日本沿岸漁民の、要するに何といいますか、魚価から来る影響といったようなこと等々も考慮しなければなりませんので、これは慎重にやってもらわなければならないと思っておりますが、これもいろいろ水産庁に働きかけてよく御存じだと思いますので、現在の水産庁の姿勢はどんなようなものか、それを教えていただきたいと思います。
  32. 黒木敏郎

    説明員黒木敏郎君) いまお話のございましたスケソウでございますが、これにつきましては関係諸団体の間でいろんな議論なり、お打ち合わせがなりまして、一応、加工業界方々原料調達ということがずいぶん不如意といいますか窮屈になってきている、こういうような状況を背景といたしまして、加工用スケソウダラということで、いわば試験的に五千トン程度輸入するということで、御案内のとおりスケソウダラ輸入割り当て品目でございますので、そういうことで一応今回五千トンということで全水加工連窓口にして入れられる、そういうような扱いをすることにいたしたわけでございます。
  33. 川村清一

    川村清一君 全水加工連窓口に一千トンを入れるということを決めたということですか。
  34. 黒木敏郎

    説明員黒木敏郎君) 五千トンでございます。
  35. 川村清一

    川村清一君 五千トン入れるんですか。それはどこからですか。
  36. 黒木敏郎

    説明員黒木敏郎君) 輸入先であります国につきましては、グローバルということで、一応、割り当て制度上は国を特定していないということでございます。
  37. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、これは窓口一本ということではないんですか。たとえば、いままでもう全部だめになりましたけれどもソ連からニシンなんかを輸入しておりましたね、こういうのは皆北海道漁連を窓口一本にして入れておったですね。そういうことでなく、商社がまちまちに五千トン、スケソウを入れるということですか。どこか北海道の漁連を一本にするとか、あるいはどこか窓口を決めて、そこから入れるということではないんですか。
  38. 黒木敏郎

    説明員黒木敏郎君) 全水加工連が入れるということで割り当てをいたしたわけでございます。
  39. 川村清一

    川村清一君 私もいま初めて聞いてわかったんですから、すぐここでまとめて意見を申し上げるものがないのですけれども、これからいろいろ調べてまた意見を述べる機会があるかと思いますが、五千トン入れるということについて、そうすると、それは原魚は全水加工連ですから、そこで使うということになりますね。それからその全水加工連が、たとえば県の、北海道で言えば加工の盛んなところとしては釧路とか稚内とかありますね、こういうところの割り当てとかいうものは全部そこでやるということですか。
  40. 黒木敏郎

    説明員黒木敏郎君) 全水加工連は、先生御案内のとおり、水産物の加工業者全国団体でございますので、要するに加工原材料の調達ということでございますので、需要者でございます加工業者の方、これは全水加工連のいわば傘下の業者の方々でございますが、そこの団体におきまして適宜適正ないわば配分がなされていくということを期待しているわけでございます。
  41. 川村清一

    川村清一君 それはまたいずれお尋ねすることにして、また総理府の方にお尋ねいたします。  この間も、ちょっとこれは外務大臣に申し上げましたが、時間がないために具体的に申し上げませんでしたが、北方領土問題が解決しないために、これは日本人としてはわが固有の領土がなぜ返ってこないんだ、早く返れといったようなことで、わが国民的な感情でもってそういうことは皆だれしも思っているわけですが、特に経済的に大変な影響を受けているところは、言うまでもなく、被害者を一番抱え、そうして島と一番関係の深かった、そうしてまた北洋漁業がこんなような状態になったためにそのしわ寄せを一番受けておる町は、何といってもこれは根室市なんですね。  それで根室市はいままでずいぶん市のお金を使って、そして北方領土の早期返還、これをそれこそ国よりも以上に全国的にPRするとか、それから市長さんが親善を深めるために向こうの島へ行っていろいろ親善友好の仕事をするとか、いろいろなことをやってきておったわけですよ。ところが、いまのこういう状態の中から、市それ自体がもうどうにもならないような状態になってきたわけです。漁業はだめ、漁業がだめなら、あれは漁業の町ですから、もちろん水産加工もだめ。そこで市の経済は全く火が消えたような状態。もう市民の五〇%以上は何らかの形で魚に依存して食べていっていると言っても過言でない町なんですね。そして今日まで旧島民をたくさん抱え、この方々の生活の安定あるいは生業を何とかやっていけるような行政をやって努力してまいりました。この事態を迎えて根室市は全く参っております、市の財政そのものが。  それで、これは何とか救済措置をとってくれということで、恐らく市長さん初め市議会の代表者あたりが総理府の方においでになっていると思うのですが、審議官もお聞きになっていると思うのですが、これに対処して何かなされたのか、なさろうとしておるのか。これと関連して北海道開発庁ども、公共事業等を通じて、そういうような仕事をなされようとしておるのか。これらについて私はぜひ何か考えてやるべきだということを思いながら質問しているのですが、それに対してお答えいただきたいと思います。
  42. 永山貞則

    説明員永山貞則君) 先生の御指摘のとおり、根室がいままで返還運動に大変努力されてきた、先頭に立って活躍してこられた、非常に私たち感謝しておるところであります。また、最近の漁業等の不振で、町全体が問題を持ってきているということも十分承知しております。  そこで、それに対してどういう手を打ったかということについて、大きくは三つに分けまして、一つは、直接的な返還運動に市費を使ってやってきたということに対しましては、先ほどちょっと申し上げましたように、返還運動経費を国の方で実質的な肩がわりをするというような特別啓発費というのを組んだということが一つ。  それから二番目に、従来、根室が、では具体的にどういうことをやってもらいたいんだということに対して挙げてきた点が、先ほど水産庁の方で話の出ました第二貝殻島の建設であるとか、あるいは根室花咲港の重要港湾の指定の問題であるとか、そういう具体的な事例に関しましては、五十二年度補正あるいは五十三年度予算でそれぞれ関係省にお願いして対処してきたわけです。  それから三番目に、では今後どうするか、長期的な問題につきましては、これは北海道開発庁ともいろいろ相談をいたしまして、それでたしか三月に閣議決定になりましたいわゆる十カ年計画、新総合開発計画でございますか、その中に、一応、ただし書きとして北方領土が返還されないことに伴う関連する地域については特別な配慮が必要であるという条項を入れました。それをもとにいたしまして、今後、あの地域について長期的に一体どういう方向に持っていったらいいか、そういうことを計画を立てて、そういう長期的な見通しのもとに個々の具体策を乗っけていくということが必要ではないかということでございました。現在、行政的には根室の経済そのものは北海道開発庁等の部門の方がむしろ多いのでございますので、私たちはむしろ開発庁あるいは関係省と十分連絡をとって、長期的な計画のもとに対策を考えていきたいという段階でございます。
  43. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) ただいま先生から御指摘の点、あるいは総理府からの御答弁にもありましたように、根室地域北方領土返還の原点というふうな、そこの経済が非常に疲弊をするということでは、まさに今後将来にわたる北方領土返還の原点が崩れるというふうなことにもつながってまいりますので、その点を十分配慮しながら、あの地域の経済振興を図っていかなきゃいかぬというふうに私ども考えております。  で、この件につきましては、総理府からも昨年来御相談がありまして、実は、いま、いずれにいたしましても、その問題を具体的に長期的な計画をつくるというのは、地元市町村あるいは道庁が一つの素案をつくって、そのことについて政府サイドで一体どういうふうなことができるかというふうなことが次の段階で検討されなきゃいかぬというふうに考えておりまして、道の方にも、地元、特に根室市と十分相談の上、そういう今後の経済振興の方向について検討をしてくれというふうなことを私どもも依頼をいたしております。  それから、当面、昨年以来二百海里の問題で、漁業の町で大変大きな打撃を受けておるというふうなことにかんがみまして、五十二年度補正予算あるいは五十三年度の予算編成に当たりまして、開発庁計上の開発事業費につきましては特に根室に重点を置いてやっております。  一例を挙げますと、一番漁業に関係のあります、たとえば漁港で申しますと、五十二年度に対しまして五十三年度は一七二%、北海道全体が一三八という漁港の伸びですが、根室市にあります漁港の整備につきましては一七二というふうな非常に高い重点を置いて整備を進めておりますし、また、沿岸漁場整備開発事業におきましても、全道で約二〇〇%ですが、根室につきましては二六五%というふうな重点を置いて進めております。  なお、先ほど総理府からもございましたように、地元から大変強く要望されておりました根室花咲港の重要港湾の指定も五十三年度実現を見たわけであります。その他、道路、下水道、公園等につきましても、根室市につきましてはよそのところとは違った予算づけをいたしておりまして、年度平均よりはかなり高い事業の展開を五十三年度図っておる次第であります。
  44. 川村清一

    川村清一君 もう時間になりましたから、これでやめます。  それで、いずれ根室市から具体的にこういうことをやってくれ、ああいうことをやってくれというようないろいろな陳情もあろうと思いますので、ぜひ根室の実態というものを御勘案の上に立って、実現させるように努力していただきたいということを強く要望しておきます。  そこで、水産庁にただ聞いて終わりますけれども、これはいきさつは長々となりますから言いません。いわゆる旧漁業権補償の問題について、これは本当に長い歴史ですから、北海道水産界としてまとめて水産庁の方に来ているんでないかと思いますが、旧漁業権補償については、いわゆる水産庁としては、いままでの考え方は一切変わっておりませんか。
  45. 鶴岡俊彦

    説明員鶴岡俊彦君) 変わっておりません。全く同じでございます。
  46. 川村清一

    川村清一君 それじゃだめだな。いいです、時間ですから。
  47. 北修二

    ○北修二君 北方問題に関する点につきまして、特に北洋漁業ということは北方問題にとって重大な課題でございますので、きょうの政府の委員の皆さんをお見受けいたしますと、いずれも漁業に関しての方ばかりでございますので、漁業の問題を専門的に聞かせていただきたい、かように存ずる次第であります。  先立てて、先ほど亀長先生から大日本水産会会長の立場で北洋漁業の概況についてお聞かせいただきました。みずからソ連に行きまして交渉に当たり、はだに触れた北洋漁業の対策を身近な問題として一層その重要さを感じており、またその責任を感じておる次第であります。席を外して、おいででございませんが、亀長さんに対して心から敬意を表したい、かように存ずる次第であります。  まず第一に、サケ・マスの問題についてお聞きをいたしたい。御案内のようにサケ・マスにつきましては大変御苦労をちょうだいいたしたわけでございますが、イシコフさんのお話というように伝えられておるわけですが、アメリカが二百海里を、そうしてアメリカは日本をサケ・マスでは完全に追い出した、なぜソビエトにだけそういう申し入れをするのか、こういうような話があったということですが、事実ですか。それに対してどういうような対応をされたか、この点についてお聞きをいたしたいと思います。
  48. 松浦昭

    説明員松浦昭君) ただいま北先生の御質問になりましたようなそのままの内容でのイシコフ大臣からの質問あるいは考え方の開陳といったようなことはございませんでしたが、それにかなり近い発言があったことは、私も、大臣と御一緒いたしましたので、承知いたしております。  特に今回の交渉は、日米加の交渉と同時並行的に行っておりましたものですから、その結果、日米加の漁業条約に基づきますところのプロトコルにおきまして、新たにかなりの水域が禁止水域になったということから、そこでのサケ・マスの保護を念頭に置いてイシコフさんが発言をしておられたと思うのでありますが、そこの水域が特にソ連系のサケ・マスが多く回遊してくる、そういう水域について日米加の条約のもとにおいて日本が合意をしているという状況から考えてみると、ソ連に対してもやはりソ連系のサケ・マスがソ連水域内においてあるいはその公海部分において回遊してくる際に、これに対して保護を図るのは当然ではないかというような御議論から、それに近い御発言があったことは事実でございます。  私どもが申しましたし、また大臣からも強く申しました理由は、あなたの国が、と申しますのはソ連が去年二百海里内の水域につきましては、わが国の漁船によるサケ・マスの漁獲を禁止したわけでございます。これは去年のことでございますが、したがいましてアメリカ側が自分の二百海里内において操業をとめようということを言ってくるのはいわば当然のことであった、つまりむしろアメリカ側がソ連にならったんだ。しかしながら、非常にきつい交渉でありましたけれども、粘り強く交渉いたしまして、アメリカの二百海里の中は、一部でございますけれども、これを解除することができた、そういう意味では決してわれわれはアメリカに大きく譲歩したわけではない。これはむしろ原因はあなたにあったんですということまで大臣がおっしゃいまして、相当激しい交渉であったということは事実でございます。
  49. 北修二

    ○北修二君 先日、海洋法のいろいろ議論をしておる内容をお聞きいたしておりますと、ソビエトは来年度からはまだまだ厳しく母川主義を貫く、かようにこれを提起されて、農林大臣は、五年間の契約をして来年も四万二千五百トン、場合によっては豊漁年であるから五千トンぐらい上回るかもしれない、こうように五年間は若干の増減はあったといたしましても安定して漁獲ができるであろう、こういうように解釈をし説明があったわけでございますが、海洋法にソビエトが提起しておる内容から見ますと、ひょっとすると来年は全面禁止されるのではないかというような実は心配をいたしておるわけでございますが、この点についてそういう心配がないか、大臣が言われたように五年間は安定的に漁獲ができるのか、この点についてお伺いをいたしたい。
  50. 松浦昭

    説明員松浦昭君) まず、海洋法会議におきまして、ソ側がどういった提案をしているかということを申し上げるところから始めた方がよろしいかと思います。  御案内のように、海洋法会議におきましてはサケ・マスの条項というのが非常に重要な条項になっておりまして、統合草案と申しておりますが、現在までまとまってまいりました草案の中の第六十六条に遡河性魚類につきましての規定が置かれております。この規定は、まず第一に、遡河性の魚類につきましては母川国が第一義的にその利益と責任を持つということが書いてございまして、さらに二百海里の中でとるべきである。しかしながら母川国以外の漁業国、たとえば日本のような国々がその経済的な打撃あるいは社会的な打撃が非常に著しいという場合には、それを考慮して二百海里外でもとり得るんだという規定になっております。さらに加えまして、従来の操業パターンその他を考えて経済的な打撃を最小限にしなければならぬという規定も置かれておるわけでございますが、実は、この草案はカラカス会議以来もんでもんでもみまくってやっとつくった草案であったわけでございます。  ところが、昨年の海洋法会議の会期におきまして、ソ側は、非公式の提案でございますので内容をつぶさに申し上げるわけにはまいりませんのですが、ただいま申しました第二の問題、つまり二百海里外の漁業、一口で申しますと公海漁業と申しますが、その公海漁業はどのような理由があっても禁止すべきだという態度で出てまいりました。日本がもちろんこれに反対をいたしまして、いろいろな交渉の結果、昨年は統合草案の中にはこれが盛り込まれなかった、従来どおりだという形になっておったわけでございます。ところが、ことしのジュネーブの会議、第七会期でございますが、この会期におきまして、再びソ側はこの第六十六条につきましての修正の提案を出してまいりました。ところが、この提案は去年の提案から比べますと、かなりソフトな提案になっておりまして、これはいろいろな交渉の経過を踏まえてのかなりリアルなアプローチであったと思うわけでございますが、ただいま申しました二百海里外のサケ・マスの全面的な禁漁ということは撤回をいたしておりまして、ただいま議論をいたしておりますのは、一方において二百海里外における母川国以外の国々の漁獲は認めるけれども、同時に資源の保存とそれから母川国のサケ・マスへの依存の状況というものを考えて、この双方をバランスさせろという規定になっておるわけでございます。この点は一部の報道とは大分違いまして、実態を申しますと、去年よりもソフトな提案でございます。  しかしながら、その中をよく見ておりますと、場合によっては海上漁獲を禁止し得るかもしれないというような文言がなお残されておる状態でございまして、現在、私どもの方から直ちに審議官を派遣いたしまして交渉をやっておりまして、さような危うい文言が入らないように、実質的に問題が残らないような形でこの統合草案が修正されるか、あるいは統合草案をそのまま残すか、そのようなかっこうで現在交渉いたしておるわけでございます。そのようなことから、海洋法の会議状態から直ちに明年のサケ・マスの海上漁獲の禁止といったようなことにつきましては、そのような結果が出てくるというふうに私どもは思っておらないわけでございます。  むしろ、問題は、ことしの非常に厳しい当初からのソ側のサケ・マスの漁獲に対する態度からして、明年以降の漁獲がどうなるかということであろうと思います。この点につきましては、再三中川大臣が御答弁申し上げましたように、基本的に申しまして、今回の協力協定は五カ年間の協力協定でございまして、しかも、その協力協定の中の第三条の規定の中に毎年協議ということが書いてございまして、しかも、その協議の結果というものはプロトコル、議定書に盛られるということになっております。もちろん現在の議定書はことし限りの議定書でございまして、明年以降の問題につきましては何ら書いてはいない、また明年以降はだめだという議論もまたない状況でございます。そこで、私どもの考えといたしましては、これだけ資源論についてももみにもみまして、しかも相当なクォータあるいは三角水域の規制等につきまして相当もんだ結果、資源の保存ということも考慮いたしました結果の議定書ということになっておりますので、この程度漁獲というものは、当然、将来も続け得るだろうという判断をいたして大臣はお帰りになったということでございます。  ただし、これには、大臣が再三申し上げておるように、非常に重要な条件がついておりまして、資源の状況がまた非常に変わるとか、あるいは操業につきまして、いろいろまたトラブル、問題が起こるといったようなことがございますれば、当然、その場合には、その変化に応じましてまた非常に厳しい状態が出現するかもしれぬということでございまして、明年以降の交渉の基盤を確保いたしますためにも、とにかく違反その他の問題が起こらないようにするということと、いま一つは、資源をできるだけ大切にしてソ連の河川にも相当程度のサケ・マスが帰っていくという実態をつくり上げる、これが明年の交渉の基盤であります。そういう交渉の基盤のもとに明年以降の交渉を行えば、われわれは現状程度は続くという判断をしているわけでございます。
  51. 北修二

    ○北修二君 四時十五分まででございますから、大変あれですが、ノー・イエスでひとつお願いをいたしたい。  次は、十七億六千万の入漁料——入漁料とは言っていませんが、これは大日本水産会の会長の弁によると、大臣にも相談をして了解を得ておる、したがってこの十七億六千万について、支払いについては政府も責任を負ってもらえる、われわれも努力をするが、努力しても可能性のない場合は相当応援をしてもらえる、こういうように解釈をしておるが、大日本水産会の会長の亀長さんの解釈でよろしいのですか、その点をお伺いいたします。
  52. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 十七億六千万の機材供与の話でございますが、この点につきましては、実は、先方からリストが出てまいりました。そのリストの中身は、主としてサケ・マスの人工ふ化増養殖のための新しい機材のたぐい、それから自然産卵場の保護のために必要な機械類あるいは漁労の新しい装置といったようなものを向こう側からリストとして要求してきたわけでございます。  われわれといたしましては、このリストの中をよく検討いたしまして、その中で政府が持つ方がいいようなもの、こういうものにつきましては政府が負担をしていく、また民間が主として負担した方がいいというようなものはこれは民間が負担するといったような仕分けをいたしまして、それによりまして政府の負担を決めていくという考えでございます。したがいまして、わが方は、現在のところ、もちろんそういうことを前提にいたしました負担の考えというものを持っておるわけでございます。ただ、そのような精査の結果、何%持つか、これはただいまの検討の作業及び財政当局の話し合いの結果でございまして、現在の段階では、幾らぐらいまで持つかということは申し上げかねる状況であるということでございます。
  53. 北修二

    ○北修二君 サケ・マスについてはまだたくさんございますが以上であれしまして、いま稚内だとかオホーツク海地域の漁業協同組合の漁区、第七区漁区ですね、あの漁区は割当はされたが、非常に漁獲量がない。たとえば樺太地域の大泊の先端の方でございますが、従来五十一年まではタコをとっていたんですね、非常にいいタコがあるそうでございますが、こういう点ソビエトの交渉はできないか。あるいは樺太と沿海州の、七区にかわって、もう少し上にいってもらうと相当量漁獲があるのだと、その点、七海区ではちょっとその実態が満足いかない、こういう非常に漁民の希望がありますが、そういう可能性はあるのかどうか、この点についてお伺いします。
  54. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 確かに、昨年の春の交渉におきまして、第七区と称せられる海区でございますが、これにつきましては相当な規制を受けまして、その水域がかなり規制されたために、漁民方々が大きな打撃をこうむられたということはよくわかっております。それで、ことしの漁獲を決めますための交渉を昨年の末行ったわけでございますが、その際に、第七区だけではなくて、先ほどもお話のございましたカムチャツカ周辺の五十度のあたりの水域の拡大も含めまして、ぜひこれを拡大したいということで交渉いたしたわけでございます。また今後とも交渉をしようと思っております。  ただ、その際に一番問題になりますことは、もしもソ連の方の海域につきましてある程度の譲歩をとるということになりますと、逆に今度は日本の二百海里内につきましてやはり譲歩をよこせと、こういういわば相互主義の関係に立っておりまして、私どもとしては、その兼ね合いというのが非常にむずかしいわけでございまして、いずれもこれは北海道水域中心でございまして、非常にむずかしい交渉になっておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、もちろん今後とも交渉の努力を続けてまいりますが、両方の二百海里のバランスということを考えて交渉をせざるを得ないというふうに考えております。さような点から、去年、イシコフ漁業大臣はもう双方とも漁区その他の漁業条件についてはもう前年並みにしようということで、話し合いがついてしまったことでございますが、明年以降の交渉におきましては、さらにその漁区の拡大というものについていろいろ交渉してみたいということは考えております。
  55. 北修二

    ○北修二君 日ソ漁業共同事業の問題について、次にお伺いいたしたい。  先ほどのフリートーキングの中で私は強く感じたわけでございますが、日ソ漁業の共同事業の成否の問題であります。ことしは、御案内のように、ソ連の二百海里水域内でわが国への漁獲量は八十五万トンに圧縮され、干そう以上の減船を強いられておることは御案内のとおりであります。漁業者の経営も非常に苦しくなっているわけでございまして、その中でこの共同事業によって自国の漁獲量が増大することになれば、今後、わが国への漁獲量の削減につながるおそれはないか。これは私ばかりでなく漁業関係者が心配している点でありまして、わが国の権益確保に支障があってはならない、かように思うわけであります。   〔理事稲嶺一郎君退席、理事志村愛子君着席〕  このような点から、水産庁はいろいろ御苦労されておられると思いますが、わが国の権利と利益を守るために、権益確保のために、日ソ漁業共同事業に対する政府の施策をどう考えておられるのか、これについてお尋ねを申し上げたい、かように存じます。
  56. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 確かに、北先生のおっしゃられますとおり、八十五万トンの日ソの協定上の漁獲量というものに影響が出てまいりますと、これは大変なことでございます。新しい共同事業がいままでの日ソの協定漁獲量にプラスするというような状態が実現できて、しかもそれが通常の交渉では非常にむずかしいというような分野についてそういうものが実現できるということになりますれば、これはあながち否定すべき問題でもないというふうに考えられますが、万が一、八十五万トンの方に影響があるというようなことではこれは大変なことでございます。したがいまして、先ほどもお話し申し上げましたように、大臣もこの点をイシコフさんに特に確かめるといったようなことをなさったわけでございます。  私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、基本的にやはりただいまのような従来の日ソ交渉への影響の問題、これが一つございますし、また、ばらばら交渉するということは非常にまずいことでございまして、窓口を一本化するという問題がございますし、また契約内容につきまして入漁料その他の問題についても精査しなけりゃならぬということもございますので、私どもといたしましては、拙速をとうとばないという考え方で、目下ルールをまず考えてみよう、ルールづくりをやって、そこに適合するものがあれば、それを認めていこうという考え方でございまして、むしろ慎重な態度でこれに臨んでいるという状態でございます。
  57. 北修二

    ○北修二君 この日ソ漁業共同事業に関して報道がございますね。先ほどちょっとそっちで新聞を見ておったようでございますが、これは専門紙によりますと報道されておるわけでございますが、ソ連漁業省がわが国の民間企業あるいは団体、グループとの間に共同事業の合意を見たものもいる、あるいは折衝中だと、こういうように言われておるわけであります。  問題は、商社との問題でございますが、宝幸水産・丸紅グループのオリュートル海域というんですか、ズワイガニ。あるいは大洋漁業・森川商事ゲループ、これもズワイガニあるいはアブラガニですね。それから東北海道日ソ友好貿易協会・道東漁業者グループ、これはスケソウダラその他でございますね。あるいは横浜通商・日本海えびかご漁業協議会有志グループ、こういうのもございます、沿海州における赤エビだとかボタンエビですか。あるいは大陸貿易・北転漁業者グループのスケソウ。その他、六つあるようでございますが、具体的にすでに向こうとこういうような、何何でどこがというような話を相当しており、また折衝中だと言われておるわけです。  窓口を統制して、あるいは両国間で同意をしなければこれは許可しないんだと、こういうことでございますが、民間漁業といいますか、国は十分この指導をして誤りのないようにしていただきたいものだと、こういうように思いますが、   〔理事志村愛子君退席、理事稲嶺一郎君着席〕 これらの点、恐らく御存じだとは思いますが、これに対して国がどういうように具体的に対応をされるのか、その点ひとつお伺いをいたしたい、さように存じます。
  58. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 大体、ただいまおっしゃられましたようなことが私どもの知っている実態に近いということでございます。  この中にかなり話し合いも進んでいるらしいというものがあるわけでございますし、私どもも現在そのヒヤリングを行っている状態でございますが、どの契約を見ましても、すべて日本国政府の承認が条件であるということになっております。したがいましてソ連が民間と一方的に話をつけまして、その結果漁業が実施できるという状態になっているものはないというふうに私ども承知いたしております。したがいまして政府といたしましては水産庁中心になりまして、先ほど申しましたような形での精査をしているということが前提になり得る状態になっております。  ただ、商社の名前を幾つかお挙げになりましたのでございますが、私いろいろと聞きまして感じているところでは、商社の主導型によるものもございますけれども、また、民間の漁業者、業界の方々がやむにやまれず商社を通じて交渉しているという点もございます。と申しますのは、ソ連はああいう国でございますから、勝手にと申しますか、自由にあの圏内に入っていろいろな話をするというわけにいきませんという事情もございまして、あそこに駐在している商社を仲介にしていろいろ話をしているというケースもございます。したがいまして商社の名前が挙がっているから全部これが商社主導型であるというわけではないというふうに私ども思っております。  たとえば、先ほどもエビのことをちょっとおっしゃいましたけれどもエビのケースで申し上げますと、横浜通商のお名前もお挙げになったわけでございますが、このケースは先ほどの日本海の海区でベルキナ岬から東側に引きましてニシノトロ岬まで引きましたあの線から以南ではほとんどエビがとれなくなってしまっておりまして、そこで操業していた漁業者の中で残られた方々が何とかベルキナ岬から北に行きたいという気持ちを持っておられて、その方々の集まりが公的な団体を通しまして横浜通商にいわば仲介を頼んでおるといったような、そういう性格のものもございます。したがいまして、先ほどから申しましたように、必ずしも全部が商社主導型というわけでもないわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、先ほどから申しておりますように、個々のいま六つお挙げになりましたものにつきまして、いまどうこうするということを具体的に申し上げられる段階ではございませんけれども、先ほどから申し上げましたように、いろいろな角度からのルール、これをつくりまして、それに適合するかどうかということを精査をいたしました上で、慎重に最終的な態度を決定していきたいというつもりでございます。
  59. 北修二

    ○北修二君 ただいまいろいろ答弁がございましたが、この日ソ共同事業の五つなり六つの計画は、わが国の漁業が日ソ協定で許されていない漁場を利用できる大きな利点を持っていると思うわけであります。  問題は、この共同事業ソ連漁獲物の買い取りと日本船の入漁料支払いによる操業を組み合わせたものであるというように思うわけでございますが、これが商業ベースで取り進められる心配があるわけでございます。私は、これは初めての取り組みであると同時に、この日ソ漁業共同事業は、わが国の漁業者が一体になって北洋漁場の開発に当たりたいという態勢がいわゆる重要だと、かように思うわけであります。そのことがまた日ソ両国に利益するというものであって、ぜひそういう方向で、いわゆる漁業者中心の事業であるように私は念願をするわけであります。  そこで、ややもすれば商社主導型に陥りやすい体質を含んでおるわけでございまして、わが国の漁業者が一体になって北洋漁業の開発に当たって、この共同事業を通じて、日ソ両国に利益になるような事業にして推進をしてもらいたいものだと、ただいま申し上げましたように、政府の指導性が強く望まれるものと、かように思うわけでございますが、水産庁のこの日ソ漁業共同事業に対する決意をひとつお聞きをいたしたい、かように存じます。
  60. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 先生のおっしゃられるとおりでございまして、一部の人たちが駆け込みで入りまして利益を受けるといったようなことがあってはならないという気持ちでございます。したがいまして、何と申しましても、まず窓口の一本化ということを大臣もおっしゃっておられるわけでございます。さらに加えまして、やはり私どもが最終的には判断をいたしますが、その前に十分に漁業者の御意見も伺いまして、一致したコンセンサスのもとにこの事業が行われるというような環境づくりをしなければならないというつもりでございまして、漁業者から遊離したようなそのような共同事業の実施ということは考えていないということを申し上げたいと思います。
  61. 北修二

    ○北修二君 あと二分ぐらいあるわけでございますが、大西さんにひとつお伺いをいたしたいと思うんですが、先ほども議論がありましたが、根室中心に北洋漁業がこういうように停滞をしてきた、根室の今後の振興策という重大な問題なんですね。あるいは町が半減してしまうかもしれない、そういうような経済危機に襲われたと言っても過言でない。ぜひ根室中心にした広域振興対策をやってもらいたい。たとえば石炭振興対策というのがありますね、ああいうようないま漁業がこういうように衰退をしたので、ぜひそういう広域振興対策をやってもらいたい、こういう御議論があるわけでございますが、これに対してどのようにお考えになっておるかひとつお聞きをいたしたいと思います。
  62. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 確かに先生いま御指摘のような声が地元にあることも私ども承知いたしております。中には特別な立法処置によっていまの広域の地域振興対策をやるべきだというふうな御議論もあると伺っておりますが、私どもがいま考えております中で、できるだけ現在の総合開発計画の中で対応できるものは十分その中でそしゃくをして、いまのような趣旨が実現できる道があるんではないかというふうな感じがいたしますので、立法その他の問題になりますともっと別のサイドから検討がされなけりゃいかぬ問題であろうかと思いますけれども、いまの北海道全体の総合開発計画を展開する中で、特にいま御指摘のような点について根室地域の広域地域振興対策というふうなものを展開してまいりたいというふうに考えております。  その前提になりますのは、先ほど川村先生にもお答え申し上げましたように、やはり地元関係市町村あるいは道等が入りまして、どういう方向を長期的に考えるべきだというふうな一つの素案というものができますれば、それを具体的にどう展開するかというふうなことを私どもとして検討してまいりたいというふうなことを考えておりまして、その旨を道を通じまして地元にもいま内々御相談を申し上げておる最中でございます。
  63. 北修二

    ○北修二君 以上で時間になりましたので、終わります。
  64. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 日ソ漁業協力協定交渉に臨んでおられた松浦部長さんにいろいろお尋ねしたいと思います。  帰国をされてきての感想の中で、大変厳しかったけれども日本ソ連それぞれの立場から考えてみると、今回の交渉の結果はソ連も大変大きな痛手というか、完敗したという受けとめ方、それから日本も大変これは四万二千五百トンというふうに漁獲を激減され完敗したという受けとめ方、いわば双方の痛み分けだと、こういうわけで一方的に日本が押しまくられたわけじゃない、こういう御感想なんですけれども、私どもの素人目にこう映るあれとしては、せめてあの三角水域のサケ・マスの心臓部ぐらいの開放ということは何とかできなかったのかと、それができなくて同じ程度の痛み分けというにしては、ちょっと今回の関係者の人たちの痛手は大きかったのじゃないか、こういうふうに私どもとしては受けとめるんですけれども、いかがですか。
  65. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 七十五日間の交渉を通じましての感想を申し上げたわけでございますが、今回の交渉に当たりまして、非常にむずかしかった原因は幾つかございますけれどもソ連の出発点と日本の出発点が非常に大きくかけ離れていたというところにあると思います。  ソ連は、当初、私どもに申しましたのは、とにかく海上漁獲の一切の禁止というところから出発してまいりました。特にソ連の科学者あるいはエキスパートの人たちのお考えは、何とかして海上漁獲を全面的に抑止したいという気持ちがあったことは間違いないと思います。わが方は、少なくとも昨年程度漁獲の規制でとめたいというところから出発いたしましたので、その格差が非常に大きかったという点であろうと思います。  海上漁獲の禁止につきまして、ソ側が撤回の意思を表示いたしましたのは三月の二十四日でございまして、一カ月余の交渉の結果、ようやくその海上漁獲の全面抑止を撤回したという状態でございまして、さような面から見ますると、ソ側としましてはかなりゼロから歩み寄ってきた、こういう状態でございまして、特にソ側の内部におきましても、日本の海上漁獲を認めたということにつきましてはかなりのフラストレーションがあったのじゃないかというふうに思うわけでございます。また、わが方につきましても、先生指摘のように四万二千五百トンという非常に厳しいクォータあるいは三角区域の漁獲の禁止といったような非常に手痛い打撃を受けておるわけでございまして、さような面からわが方にとりましてもきわめて厳しい結果であったということでございまして、さような面からソ連側の見方からすれば彼らも相当譲歩したつもりだと、わが方の見方からすれば、これはきわめて手痛い打撃であったということで申し上げたということでございます。  決して私自身といたしまして、今回の交渉の結果が満足すべきものであったとは全く考えておりませんし、大臣も再三申し上げましたように、今回の交渉の結果はきわめて残念であり、また申しわけなかったという気持ちでいっぱいでございます。
  66. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 協力協定第三条で、サケ・マスについて毎年協議ができるということですから、交渉の余地は残っている。しかし、その協議を開いても、協議の結果、非常に資源の回復が思わしくないということで全面禁止ということもあり得る、協議はしても全面禁止もあり得ると、そこまで厳しく受けとめられるのか。それとも毎年協議をするということ自体は要するに今後五年間はある程度漁獲はできるのだ、こういう考え方なんでしょうか。
  67. 松浦昭

    説明員松浦昭君) この点につきましては、再三中川大臣から御答弁申し上げましたように、確かに協定の第三条におきましては、毎年協議、そして一年ごとのプロトコルという形になっております。しかしながら、今回の協議の実際の内容を振り返って考えてみますると、資源論を十分に闘わせました上で、三角水域の禁漁あるいはクォータの四万二千五百トンといったような状態で締結いたしたものでございますので、この程度漁獲というものは、これだけの議論の後でございますから、今後とも続いていくものであるという判断をいたして帰ってきているということでございます。  しかし、先ほどから申し上げておりますように、その条件といたしまして、実際に漁獲量や資源状態がどう動いていくか、あるいはわが方の漁船がどれだけきちんと操業のルールを守るかというところに今後の交渉の基盤があるというふうに考えておるわけでございまして、この基盤が変わってまいりました場合には、当然、もっと厳しい規制ということが起こり得るということは考えざるを得ないと思います。  ただ、一言申し上げておきたいわけでございますけれども、昨年の減船の結果、これは独航船にいたしまして二割から二割五分の減船をいたしたわけでございますが、これによりましてソ連沿岸に回帰してまいりましたサケ・マスの量は、マスが主体でございますが、二十四万トンまで回復してきておるわけでございます。この二十四万トンという数字は一九五七年以来二十年ぶりの回帰量でございます。またソ側沿岸でとりましたソ連漁獲量も十四万トンまで回復しておりまして、これも二十年来のことでございます。今回、われわれとしては涙をのんでさらにまた三割の減船を実施いたすわけでございますから、漁獲努力量の減少によりまして、当然、これは好結果が資源にももたらされるということが考えられます。したがいまして、私どもといたしましては、このような厳しい規制というものをきちっと守っていくという態勢がとり得ますれば、当然、資源も回復し、またソ連の信用というものを基盤にいたしまして明年の交渉ができるというふうに考えている次第でございます。
  68. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 松浦部長お話のように、今後、毎年の協議で一番問題になる点は、この資源保護、資源回復の状況だろうと思うわけですね。いまお話しのように、一九七七年ソ連沿岸漁獲実績は約十四万トンに達しておりまして、これは二十年来の回帰量だと、資源としては急速に回復している状況を物語っているだろうと思うんですが、そうしますと来年はある程度ソ連漁獲量はかなりよくなるんじゃないか、こういう一般的な見方ができますけれども、この資源の状態が毎年果たしてよくなっていくのかどうかという点についてはまだまだ心配な点もありますけれども、足場だけは確保できた、こういうように政府としてはとらまえられているんだと思うんです。  一番大事な点は、日ソでお互いに取り決めたその約束を守って適切な操業をすることだろうと思うんですけれども、特に、いまおっしゃったように、今後、日ソの信頼関係というものをよほど深くしていかなければ、いまでさえも大変長い期間かけて、もう漁期ぎりぎりになってようやく妥結するということでありますから、その点、操業区域だとかあるいは操業規模とか漁獲量等、この取り決めを本当に遵守する、厳守するということが非常に大事だと思うんです。  そこで、今回、違反については操業禁止も辞さないということで大変厳しい方針を政府としてはお出しになっておりますけれども、これは現実に水産庁の方から係官がそれぞれの出港基地に出向いておやりになったと思いますけれども、この点について漁民の人たち、関係者の受けとめ方、その辺どうなっているのか。また、もし違反が起きた場合には、当事者の責任もさることながら、やはりその指導監督の任に当たる政府当局の責任というものもかなり厳しく問われるんじゃないかと思いますが、その点について少し説明をお願いします。
  69. 松浦昭

    説明員松浦昭君) お答えを申し上げます。  ただいまも申し上げましたように、私どもは明年も現状程度の規模の操業が継続できるというふうに確信をいたしておるわけでございますけれども、その基盤は何と申しましても、一つは、きちんと漁業の国際的なルールを守るということにあろうと思います。そこで、今回の出漁に当たりましても、五月の四日に基地式独航船は出漁いたしたわけでございますが、その前日に、係官が一日かけまして十分に今回の操業のルールを徹底的に漁民お話をいたしたわけでございます。その受けとめ方は、やはり漁民方々もこの厳しい時代ということを十分にわかっておいでになってくださいまして、特に明年以降の操業の継続がこれにかかっているということも十分にわかっていただいておるというふうに私聞いております。  ただ、そうは申しましても、偶発的な事故その他がありまして問題が起こるといけないということから、われわれも監視船の配置は非常によく考えてやっておりまして、従来までは母船式操業だけしか監視をいたしておりませんでした一番優秀船の東光丸という船も、南の海域、つまり基地式独航の海域に回しまして監視に当たる。あるいは監視員と申しますか、わが方の監督官もベテランをそろえまして監督に当たるということにいたしております。  さらに加えまして、万が一不幸にしてわが方の責めになるような事件が起こりました場合には、これは大臣間ではっきりと話し合いがいたしてございまして、もしも違反がございました場合には、軽微な場合は除きまして、二週間の操業の停止、二回繰り返した場合には当該期間の操業は全くできないということで約束をいたしております。これはもう大臣間の約束でございますから、私ども責任を持ってそのような方針でもって処分をするということにせざるを得ないと考えておりまして、非常な決意を持ってこれには臨むつもりでございます。
  70. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そういう厳しい取り決めがあることを十分通達はされていると思うんですけれども、実際、また漁場へ行きますとつい操業に追われる、あるいはそばに監視船がいないとついついということもあり得ますので、わが方の監視船、巡視船の方から、たとえば毎日一定時刻に毎回同じ注意を繰り返していくというようなところまで徹底をされた方がいいんではないか、こういうふうに思いますので御忠告申し上げておきたいと思います。  それから、今回、裁判管轄権で旗国主義を貫いたことは大きな成果であると、こう言われておりますけれども、遡河性魚種の場合は第一義的には母川国主義、日ソでいきますとソ連に管轄権があるということでして、保存についても当然そうだと思います。ただ、お互いの取り決めで相手国との協議をするということになっております。そしてことしの場合は裁判権は旗国主義ということであって、また来年のときはこの件については改めて協議の対象になると思うのですが、漁獲の面とそれからこの裁判管轄権の問題とは全然別個のものでしょうか、それとも同じ方向で厳しくなって、この旗国主義さえも危うくなっていく、こういう見通しになるのか、その辺のところはどのように受けとめられておりますか。
  71. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 旗国主義を貫けたことは今回の交渉一つの大きな成果であったということでございます。  二百海里内のコントロールにつきましては、これは裁判管轄権が沿岸国に属する、これはもう一般的な国際法のルールになっておるわけでございますけれども、二百海里外の水域、いわゆる公海の水域におきましては裁判管轄権が旗国主義であるということの方がむしろ現在は国際法であるというふうに私どもは考えております。アメリカとの関係あるいはカナダとの関係におきましても、はっきりとそのことを規定いたしておりまして、したがいまして旗国主義というのは一つの国際法上のルールということで説明をいたしまして、ソ側もこれを納得したということでございます。  したがいまして、今回の議定書につきましては、確かに一年分の議定書でございまして、その中で旗国主義を書いているということで、明年以降につきましてのこの問題についての解決というものはしていないわけでございますが、これは漁獲量その他の漁業規制、これは資源の状態その他に見合ったものでございますけれども、旗国主義、裁判管轄権の問題は、これはいわば国際法そのものの問題でございまして、かようなことをソ側が一たんことし議定書でのんだ以上は、明年におきまして国際法が変わるわけはないわけでございますから、したがいまして明年も当然これは貫けるものというふうに考えておる次第でございます。
  72. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 次は、着底トロールの問題でお尋ねをしておきたいんですが、三月末に、一たんソ連が突然着底トロール漁法は認められないと通告してきて、わが方の漁船は漁期半ばで一時操業を打ち切らざるを得ないというようなことがあったわけですけれども、四月二十五日にソ連側がこの通告を撤回して一応の決着を見たわけなんですが、交渉の経過の中でどういうふうなことがあったのか、御説明いただきたい。
  73. 松浦昭

    説明員松浦昭君) この問題は、実は突如出てきたような御印象を受けておられるかと思いますけれども、この問題は私が三年前にカニ交渉をいたしましたときから実は出てきた問題でございまして、と申しますのは、着底トロールで操業をいたしますと、どうしても大陸だな資源をとるということでございます。  そこで、ソ連の国内法におきましても、一定の海域につきまして、特にカニその他の資源がありますところは着底トロールの禁示をしているということから、一般的に着底トロールをさような水域では禁示したいというのがおととし、三年前の交渉ソ側の申し出であったわけでございます。しかしながら、これにつきましては、もしも現在着底トロールを禁示するということになりますと、たとえばかけまわしの漁船もみんな操業ができなくなるということになりまして、特に九六型の零細漁船がみんなやられてしまうということで、そのとき私も非常に強く反対をいたしまして、そのときは実現しなかったわけでございます。しかし、さような考え方が非常に根深くソ連側には残っておりまして、ソ日、日ソの協定を結びましたときにも、着底トロールにつきましてはやはり禁示したいという意向がありました。そこで、いろいろと協議をいたしましたが、その際の文言が必ずしも明確でなかったといった点から、この問題が起こったということでございます。  そこで、ソ側が着底トロールにつきましての禁示を言ってまいったわけですが、いままでの交渉経緯を十分に説明いたしました。さらに、問題はやはり大陸だな資源を混獲でとってはいけないというところにございますので、大陸だな資源をうんととるような状態になりましたら、たとえば漁場を移動させるとか、あるいは大陸だな資源がとれた場合には、これを海中に返すといったような約束をいたしまして、さような観点からの資源保護ということを一方でわが方も約束をいたしまして、そのかわり着底トロールは認めるということをソ側から譲歩を得た、そういう形になっております。
  74. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一方、ソ連側も日本の二百海里内にある着底トロール禁示区域、これを外してくれということを強く求めてきたんですけれども、結局、それは撤回しましょうということで、今回は一応話はついたわけですね。しかし、ことしの秋、また来年度、七九年の日ソ、ソ日の二百海里内操業秩序を決める話し合いが行われると思うんですけれども、このとき、当然、またこの問題が起きてくると思いますけれども日本の場合は、従来どおりとったんだから、できるだけ大陸だな資源を痛めないようにするからとらしてほしい。それを許可するんなら、おまえさんの方でも少し禁示区域を外せという、またこの話になると思いますけれども、この見通しはどうでしょう、また、それに対する対策は今後どうしますか。
  75. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 非常にこれはむずかしい問題でございまして、今回の交渉はいわば漁期と申しますか、協定の期間途上の話でございましたから、かような話し合いがついたわけでございますけれども、また、この秋にソ日、日ソの協定の暫定協定の延長の問題が起こるわけでございます。その際に、恐らく向こう側は、ただいま先生指摘のように、現在、ソ日の協定東京協定の方で規定いたしておりますところの五百メーター以浅の着底トロールの禁示につきまして、これを解除することがいわば相互主義にのっとったものであるというようなことを言いまして、それを認めないならば日ソ協定の方、つまりソ連二百海里内における着底トロールを禁示するといったようなことをまた持ち出すのじゃないかという懸念は十分にございます。したがいまして、またむずかしい交渉をやらなきゃならぬということは事実でございますが、一応、今回、大陸だな資源というものを保護するという一方の約束のもとに、このような解決を見たわけでございますから、その線をさらに貫きまして秋の交渉もがんばりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ長期的な観点に立ちますと、着底トロールの問題を解決するためには、向こう側も、一遍底に着きまして、また上に上がるような瞬間的にしか下に着かないようなトロールは、これは着底トロールではない、こう言っておるわけです。ぐっと海底を引っ張る、そういうものが着底トロールであると言っておりますので、漁法の改良あるいは漁具の改良ということをやりまして、このような問題は長期的には解決していくというようなことを漁民方々の間でも研究をしていただきたいというふうに私ども申しておる次第でございます。
  76. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうしますと、ことしの秋の交渉日本漁船の着底トロール操業は認めさせる方向で努力をさせるということですけれども、もし、そういうつもりで交渉したけれども、どうしても禁示されてしまったというようなとき、これはかなり漁民としては痛手をこうむるわけで、その場合の休漁期間の補償というようなことは、その時点で考えられるそういう項目になりますか。
  77. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 私どもはあくまでも着底トロールの操業の継続ということを考えておりまして、それから外れましたような考え方は現在のところ持っておらないというわけでございまして、さような立場で交渉したいという考えでございます。
  78. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ぜひがんばってください。  それから、先ほどから共同事業合弁事業の問題が出ていますけれども、オリュートル水域ですか、ここでもうすでに何か五月にスタートするみたいな、丸紅・宝幸水産が総枠三千トンですか、これで五月にもうスタートするというような一部記事が出ているんですけれども、先ほどの話では、いまのところ政府として承認したといいますか、認めたものは一件もないんだということなんですが、それに間違いございませんか。
  79. 松浦昭

    説明員松浦昭君) そのとおりでございます。漁期が迫っておりますのでさような記事が出たかと思いますけれども、宝幸水産のソ連側と交わしました契約書の内容から申しましても、日本政府の承認がなければ操業ができないということでございまして、これはソ連側もそのたてまえでその契約を結んでいる次第でございますので、仮契約でございますか、結んでおりますので、私どもの承認もまだ下しておらない段階でございますから、さようなことは起こり得ないというふうに御了解をいただいて結構だと思います。
  80. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 一面、苦難の北洋漁業に活路を開く一つの方法だとは思いますけれども、同僚委員から種々御指摘があったとおり、ソ連側から日ソ漁業交渉に対するまた別の面の圧力をかけられる心配もありますし、また余りにも商社主導になりますと自分のところの利益ばっかりを図って国益を顧みないというようなことになりましても困るし、これは非常に強い指導、監視体制あるいは規制措置、こういうものが十分必要であろうと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それから、最後に、開発庁にお尋ねしますけれども、先ほど北海道総合開発計画にのっとって、地元から今後出されてくる根室管内の広域振興対策、これを十分取り入れながらやっていきたいのだということなんですが、具体的に地元から、いわゆる北方領土が戻らないために今日までこうむってきた経済的負担、あるいは今度の北洋サケ・マス漁業の激減によるところの経済的な痛手、そういうものをひっくるめて何とかこれを切り抜けなければならぬということで、いろいろと非常に幅広い観点から広域振興対策というものをつくられているようでございますけれども、これを現実に開発庁として中を検討して、いわゆる総合開発計画の中へすでに盛り込まれているもの、あるいはそれ以外に新しく出されているもの、それをどういうような調整を図りながら、開発庁としては、その地域の振興のために開発庁独自のプランというか、あるいは開発庁としての行政面の応援をしていくかということを具体的に取り組んでおられるのか、あるいはこれから取り組まれるのか、その辺のところをもう少し明確にしてほしいと思います。
  81. 大西昭一

    政府委員大西昭一君) 先ほど私どもが総合開発計画の中でそういう取り組みをしていきたいという姿勢を申し上げたわけでございまして、まだ具体的に道市町村は相談の上、こういう長期的な広域振興対策が望ましいという、そういうふうなものを拝見した上で、私どもは具体的な取り組みを考えたいというふうにいま考えております。したがいまして具体的にどういう取り組みをするかというような問題につきましては、今後の問題であろうかと思います。
  82. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間ですから、終わります。
  83. 下田京子

    ○下田京子君 本日の政府に対する質問は、大日本水産会の会長という肩書きで参議院議員の亀長さんの先ほどの自由討議でのお話に絡んで、第一に、さきに他の委員からもお話があったと思うんですが、貝殻島のコンブ漁の問題です。  六月の十日再開というふうなことにならないと、また昨年のような不安に追い込まれるということで、大変心配しているわけですね。そのことで地元のコンブ漁民の皆さんのお話なんですけれども、とにかく棹前コンブということで、あそこは特別に良質のコンブ全国的にも有名ですね。これが前浜のコンブと一緒に売られていくということだから、抱き合わせだからこそ売れるんだということなんですね。それがもうとれないと、また大変な収入減になる、四割からの収入減になるんじゃないかということを訴えておられます。で、一方で、入漁料というか負担金は、いままでですと一隻当たり五万二千円程度だった。ところが、今度は三十万円なんていうようなかっこうになるのじゃないかと思われる一五%の負担金、入漁料というものを出してきた。一方では入漁料が大変高くて困る。しかしながら、この入漁料一つの問題点になって、ことしもまたコンブ漁ができないというふうなことになったら、それこそ最悪の事態なので、その辺何とかもう早く妥結の方向をということで、きょうも大日本水産会の会長さんである亀長さんも含めて地元の皆さんは懇談ということなんです。政府としては、そういう事態にあって、どういう方向でいまこれらの漁民の声に対して答えようとしておられるのか、お聞きします。
  84. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 先生も御案内のとおり、貝殻島のコンブ漁は領土の問題がございまして、政府間交渉ができないという問題であることはよく御存じのとおりでございます。もしもそのような問題がなければ、私ども前面に立って交渉するところでございますが、残念ながらそういうことができない。そこで大日本水産会の会長たる亀長さんにお願いをいたしまして、ぜひこの問題を解決してほしいということで、今般もサケ・マス交渉と並行して交渉していただいたという経緯であります。  問題は、民間協定そのものについてはソ側も認めるということになりました。しかも水域漁船隻数その他も全部決まったわけでございますが、残念ながら入漁料の点について折り合わないということでございます。ただ、先ほどのお話にもございましたように、ソ側も考え直す、こちらの方も考え直すということで臨んでおりますので、目下、在京大使館を通じまして、具体的な交渉を大日本水産会にお願いしているという現状でございます。わが方としても一日も早く零細な漁民の方がコンブ漁を続けられますように、この交渉の妥結を希望いたしますと同時に、またそのような大日本水産会の御努力に対しまして御援助できる分がございましたら、援助したいというふうに考えている次第でございます。
  85. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまのお話の中で、民間協定でございますから直接政府がということにはならないけれども、大日本水産会あるいは直接漁民等に対しまして援助できる部分があれば援助したい、早期に解決の方向で願っているというお話なんですが、その援助できる分野の問題として、一つは、国の助成といいますか、入漁料に対する助成というようないろいろな形があると思うんですね。そういうふうないろいろな形を考えて、その中から選択をして、それでもう入漁料が問題で再開できなかったというふうなことがないようにひとつお骨折りをいただけるかどうかというその決意のほどと、それから第二番目には、あわせまして、新貝殻島ができるからいいんじゃないかというふうなお考えがあるやに聞く人もおりますけれども、問題はそれではやっぱり解決しないと思うんで、それにすりかえないで、本当に貝殻島のコンブ漁再開という点で政府としてもできる範囲の御努力、その決意を伺いたいわけです。
  86. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 確かに一五%の入漁料というのはきわめて高い入漁料でございまして、特にコンブ漁に従事しておられる方々の経営の実態から申しまして、これは非常に高過ぎる入漁料であるというふうに考えております。できるだけこれを引き下げるべく御努力を願っているわけでありますが、ただ政府の負担ということになりますと、これは単にコンブのみならず入漁料一般の問題にもなってまいります。さような面につきましては、現在のところ、これに助成をするという考え方は持っておりません。できるだけひとつ入漁料が安くなるような、そういうことでの交渉をお願いしたいというふうに考えております。  第二のお尋ねでございますが、第二貝殻島ができたからといって、決して民間協定の方を放棄するという気持ちはございません。できる限りひとつ民間協定を実現したいという気持ちでございまして、その点にはいささかも変わりはないということは申し上げられる次第でございます。
  87. 下田京子

    ○下田京子君 ひとつできる範囲の御奮闘をいただきたいと思いますが、ただ、国の助成というのは、入漁料直接というか、いろいろ形があるんじゃないかということは私申し上げておりますから、問題は、一五%になるか、あるいは前回三%程度だったからその倍で云々と、それが問題で解決ができなかったというふうなことにならないように、できる限りのいろんな形での国の助成ということを何らかの形で考えていただきたいという要望を申し上げておきます。  次に移りますけれども、先ほど北先生からそっちの方で新聞をお読みになってどうのこうのと言われた、そのいわゆる日ソの漁業共同事業に関してでございます。  新聞報道によりますと、きょうですか、日本の政府がソ連側にこれを受けるかどうかという回答をする予定だったけれども、その回答延期というふうなことを申し入れているという報道がございました。これが事実であるとすれば、具体的に日ソの漁業共同事業なる中身がすでに仮契約書等々を通して政府で把握していると思いますね。具体的にそのグループのお名前と、それからできましたら、新聞報道の範囲でも結構でございますから、仮契約書の事業、中身をお話しいただきたいと思います。
  88. 松浦昭

    説明員松浦昭君) この共同事業につきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、いろいろな御意見がございまして、拙速で事を処理するということは適当でないという考え方を持っておりまして、そのために五月の十日というタイムリミットがあった次第でございますが、これを延期するようにソ側交渉に入っておるわけでございます。  ただいまの御質問は、実際の共同事業の中身がどのようなものであるかということをここで明らかにせよということでございますが、何分にも基本的にはこれは私企業のお話でございまして、個別の案件をここで申し上げることは適当ではないんじゃないかというふうに考えます。ただ、先ほどからいろいろと新聞等での情報をお持ちでございますようでございまして、大体それで間違いはない、ほぼそれに近い内容のものであるということは申し上げておきたいと思います。  さらに、魚種につきましては、エビカニそれにスケソウでございます。さらに申し上げられますことは、その内容といたしまして入漁料的な部分がありまして、物によっては二五%といったようなかなり高額の入漁料になっているということと、それからいま一つは、ソ連との関係では、合弁事業ではなくて、共同で船を出しまして、その船を動かすことによりまして双方が漁獲をしてソ側漁獲物は日本に輸出の形になる。それから日本でとりましたものは一部無償の形でソ側に提供されるという形でございますが、結果的にはそれが入漁料的なものになる、こういう仕組みになっているということはお話し申し上げていいと思います。
  89. 下田京子

    ○下田京子君 グループ名についてひとつこれはつかんでいる点、まず明らかなところだけでもお示しいただければと思います。
  90. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 先ほど先生もちょっとお読み上げになりましたようなグループで大体合っております。ただ日本水産の名前が出ておりましたが、その点はちょっと違っております。
  91. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、この新聞報道を私の方で読んで確認いただくというかっこうになりますか——第一に出ているのが宝幸水産と丸紅グループ、これはオリュートル海域におけるズワイガニを共同漁業でやろうというお話。それから第二に出ているのが大洋漁業・森川商事グループ、これもオリュートルでのズワイガニとナワリンのアブラガニ漁業。それから第三に東北海道日ソ友好貿易協会・道東漁業者グループ。それに第四が横浜通商・日本海えびかご漁業協議会有志グループ。第五に大陸貿易・北転漁業者グループ。そのほかに日本水産・東京丸一グループも動いたと言われ、さらに一方、日魯漁業は深く潜行という報道でございます。このことについて間違いないということでございますでしょうか。
  92. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 先ほどから申し上げておりますように、一部違った点もございますが、大体それに近いところでございます。
  93. 下田京子

    ○下田京子君 一部違うというのはどこでしょうか。
  94. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 日本水産の名前が挙がっておりましたが、それは私どもは知っておりません。
  95. 下田京子

    ○下田京子君 日本水産の名前を除くとあとは全部同じだということでしょうか。
  96. 松浦昭

    説明員松浦昭君) おおむねそういうことであろうというふうに思います。
  97. 下田京子

    ○下田京子君 おおむねということは間違いないというふうな解釈もできるかと思うんですが、外交問題ですから、いろいろとその交渉の過程のむずかしさというのが絡むと思いますが、しかし、一方では、国会という最高機関であります審議の過程で新聞等で報道されている範囲においてお知らせ御報告いただくのは当然であろうし、また、それが今後の日ソの漁業交渉等に非常にいろいろと問題が絡むんではないかと心配されているわけですから、そこはもうひとつ奥歯に物がはさまった言い方ではなくって、仮契約書等もごらんになっているわけでしょうし、本来でしたら、本日その回答をソ連側に出すところだったわけですから、そうなれば当然国会の方に御報告等もあったかと思うわけですけれども、そういう絡みから言ってやっぱり心配するのは、これまた新聞報道と国会答弁等も絡めてなんですが、日ソの今後の漁業交渉等に差しさわりがない範囲で認めていきたいということなんですが、その差しさわりあるかないかのことなんですが、差しさわりない方向でというその保証は何をもってこう言われているわけでしょうか。
  98. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 先ほどからもお答えをいたしておりますように、今回の共同事業が行われることによりまして、たとえば日ソ交渉の過程におきまして出てまいりました八十五万トンのクォータ、こういうものがこのような共同事業を行うことによってさらに縮小されるといったようなことが起こると大変なことになるという点で、私どもはいろんな御意見も伺いましたし、また私どももそういうことがあってはならないというふうに考えているわけでございます。  この点は、大臣も非常に懸念をしておられまして、イシコフ大臣からこの問題がモスコーにおいて向こうから話し合いが出てまいりましたときも、まず大臣が聞かれましたのは八十五万トンに影響がないかということでございました。この点につきましてはイシコフ大臣は全くそのようなことはないということを回答していたということでございます。しかしながら、なお、われわれとしてはそのような懸念のある向きもございますので、十分に内容を慎重に精査いたしました結果、われわれの考えようとしているルールに適合するものであれば、条件を満たしたものとして、これを許可していくという態度でございます。
  99. 下田京子

    ○下田京子君 いまの日ソの漁業交渉にマイナス影響を与えるかどうかということでは、一つソ連側がマイナスの影響を与えないだろうと言われたからそうだと思うという面と、しかし、なおかつ心配もあるので検討していると、両方の答えがあったように思うんですが、ソ連がマイナス影響はないと言っても、しかし、なおかつ影響の心配があるんじゃないかという、そのあるんじゃないかという判断の根拠は、また問題点はどこを指していまお考えでしょうか。
  100. 松浦昭

    説明員松浦昭君) それは今後の交渉がどのような形で行われるかということにかかってまいりますので、いま即断いたしましてこのような影響が出るだろうということを申し上げるのは早計であるというふうに考えるわけでございますが、たとえば、どういう理由である魚種がクォータで減ったかということは、これは交渉の過程ではわからないわけでございます。したがいまして特にそのような交渉の爼上に上るような魚種というものにつきましてはやはり慎重な態度で処理をしなきゃいかぬのじゃないか。もちろんイシコフ大臣の言を信用しないわけではないですけれども、やはり念には念を押すというような形で処理をしていくべきであるということを申し上げた次第でございます。
  101. 下田京子

    ○下田京子君 ただいま出た魚種の問題なんです。心配される問題で、魚種ですでに暫定協定にもあるいは共同事業の中にも、新聞報道によれば、量に入っているのがズワイガニとスケソウですね。特にズワイガニの場合ですと暫定協定で一九七七年、昨年の実績からいけば日本海で二千三百トンあったかと思うのですね。ところが、今度の共同事業によれば、オリュートルの海域であるけれども、これは三千トンというふうなことになってくるわけですね、暫定協定漁獲高よりも多い、はっきりここでこの魚種がダブってくるわけです。そうしますと、本当に暫定協定の中で、日ソ間の交渉の中できちっとまとめられていたものがだんだんと逆にいけば崩されていって、それで共同事業なるもののようなかっこうでしぼられていく、そういう心配もあるわけですね。そんなところでしょうか。
  102. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 特にカニの問題につきましては、これはいろいろの角度からの議論がございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、現在のズワイガニの漁獲可能な水域というのはきわめて限定されておりまして、これは主として樺太の東側の水域中心になってしまっておるわけでございます。オリュートルはかつてわが漁船カニ協定のもとで入り得た水域でございます。しかしながら、この際判断すべき材料といたしましては、もう一度オリュートルの水域に入れるかどうかという判断もまた必要だろうと思います。  また、同時に、別な角度から申しますと、たとえばこのズワイガニの例をとってみますと、これは大陸だな資源でございまして、大陸だな資源は海洋法のルールから申しましても、いわゆる余剰原則というものが適用されないわけでございまして、一般的に国際法化しつつあるカニ、大陸だな資源のルールから申しますと、これは一方的な恩恵によってと言って過言ではないような状態で、その漁獲経緯上認められているというようなものでございます。そしてまた、その漁獲量も年々削減されているということでございます。  さようなものにつきましては、これはいろんな条件がありますけれども、その条件を満たすようなものであればいいではないかというような御意見もございます。そのような御意見もいろいろと踏まえまして、また、今後の交渉の予想というものも十分頭に入れまして、それで最終的な決定をいたしたいというのがわれわれの考えであるということを申し上げているわけでございます。
  103. 下田京子

    ○下田京子君 ただいまのお話のように、魚種とあわせて海域の問題も絡んでくるわけですね。で、かつてカニ協定なり暫定協定なりで入っていたところ、また現に操業が認められているところ、こういったところがすべて共同事業というところにしぼられていって、日ソの漁業交渉というところから公式に外されていくようなことになりますと、いろいろやっぱり心配ですね。かつて操業できたところに復帰できるかどうかということもあるわけですが、やはりこれからの双方の漁業のあり方等も、資源を大事にするということはもちろんですけれども、同時に、お互いに育てていくという立場から、これから大いに議論もしなきゃならないし、そう簡単に投げることがないようにひとつ十分に検討いただきたいというふうに思います。  それから同時に、もう一つ心配なことは入漁料の問題ですね。入漁料ということでは言ってないけれども、先ほど亀長先生お話にもありましたけれども、一〇〇とすると、そのうちの獲った二五についてはソ連側に無償で上げて、それを今度輸入するようなかっこうですから、結局入漁料と同じで、二五%の入漁料というものが国際的な形で、しかも日ソの、世界的にも漁業の大国と言われるそういう中で取り決められたということになれば、もうアメリカであれ、その他の国々であれ、影響がないと言い切れない問題があると思うわけです。いわゆる海洋秩序がそんな形で形成されていったら大変なことになるというふうなことがありますので、その点も含めてひとつ十分に検討いただきたいというふうに思います。
  104. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 入漁料類似の無償の一定の漁獲量の提供という問題につきましては、私どもも非常に慎重にこれは検討したい、こう考えておるわけでありますが、ただ先ほどもちょっとお話がございましたけれどもソ連もスペイン、その他の国々でそれに類似したような入漁料を取られておるということもございますし、また同時に、考えておかなければならないことは、アメリカの水域で主としてとっておりますものはスケソウでございますけれども、こういう魚種とそれからカニのような非常に高価な魚種、これの間の入漁料の差ということもやっぱり考えてみなければいかぬと思います。さような意味で魚種別の内容その他も十分考えまして、また国際的な影響も十分考えまして、その上で判断をしたいというふうに考えております。
  105. 下田京子

    ○下田京子君 いまの答弁ですと、ちょっとまた心配がございまして、カニのような高級なものについては入漁料ということが、スケソウなんかに比べたら、どうなのかなという検討の余地というふうなことでお話がありましたが、私は魚種の比較で云々でなくて、二五%という入漁料が国際海洋秩序の一つの形になっていくことを心配しているわけであります。しかも、同時に、カニについては現在のところはソビエトが操業の技術がないから共同事業というかっこうでも当面は何とか日本にとっても相手にとってもいいということもあるでしょうけれども、やがて、心配ですけれども、そういう技術獲得の後では、もうたくさんですよと言われたら、大陸だな資源だということだったら、なおかつ問題になるかと思うわけです。その辺を総合的に考えていただいて御検討いただかなければならないだろうということですので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  106. 松浦昭

    説明員松浦昭君) 私は、相対的に申しての話でございまして、絶対水準を申し上げたわけではございません。もちろん、そのような入漁料が国際的にどのような影響を持つかということにつきましても十分に検討の上、判断をいたしたいということを申し上げておるわけでございます。
  107. 川村清一

    川村清一君 最後ですけれども、資料をちょっとお願いしますから資料を提出してください。  それは各委員からいろいろ発言がありました入漁料の問題ですが、これはソ連だけでなく、日本漁船がアメリカへ行ってもカナダへ行ってもニュージーランドへ行っても、世界各国で入漁料を取られていますから、どの国でどれだけ取っておるか、魚種ごとに違えば魚種ごと。それと入漁料の世界的相場を知りたいので、ひとつ一覧表を出してください。
  108. 松浦昭

    説明員松浦昭君) わかりました。
  109. 稲嶺一郎

    理事稲嶺一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会