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1978-04-25 第84回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十五日(火曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      田代富士男君     和泉 照雄君  四月十二日     辞任         補欠選任      金丸 三郎君     伊江 朝雄君      内藤  功君     宮本 顕治君  四月十三日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     亀長 友義君  四月十四日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     伊江 朝雄君      宮本 顕治君     内藤  功君  四月二十一日     辞任         補欠選任      和泉 照雄君     田代富士男君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    参考人        東京大学教授   平本 文男君        日本船主協会会        長        永井 典彦君        全国造船機械        労働組合連合会        中央執行委員長  土居 山義君        全日本造船機械        労働組合中央執        行委員長     畑田  薫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (造船不況問題に関する件) ○連合審査会に関する件     —————————————   〔理事三木忠雄委員長席に着く〕
  2. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、金丸三郎君が委員辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 運輸事情等に関する調査のうち、造船不況問題に関する件を議題といたします。  本日は参考人として、東京大学教授平本文男君、日本船主協会会長永井典彦君、全国造船機械労働組合連合会中央執行委員長土居山義君、全日本造船機械労働組合中央執行委員長畑田薫君、以上四名の方々をお招きいたしております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日はお忙しいところ委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  本日は、造船不況問題に関する件について忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。議事の都合上、御意見をお述べ願う時間はお一人二十分程度にお願いをいたしたいと存じます。  なお、参考人の御意見陳述の後で各委員から質疑がございますので、お答えいただきたいと存じます。  それではこれより順次御意見をお述べ願います。まず、平本参考人にお願いいたします。
  4. 平本文男

    参考人平本文男君) 私は平本でございます。  私は、工学部で商船の設計といった方面を担当いたしておりまして、船に対する海運側や、あるいは物資の流通の面からの要求がどのようにして出てくるのかというような問題について、いわゆる船舶設計の源流としてとらえまして考えているわけでございます。したがいまして、海運はもちろんのこと、造船業につきましても十分な知識は持っておりませんし、それから、直接そういう業界関係している者でなくて、いわば局外者として見ておりますので、非常に視野の狭い、わりあい単純きわまりない考え方を申し述べることになるかと存じますけれども、まあ私なりの考え方を一応申し上げたいと存じます。  御存じのように、わが国はここ十数年の間、毎年世界の五〇%程度の船をつくっておりまして、しかもその六〇%ぐらい、あるいは最近は七、八〇%が輸出船でございました。したがいまして、日本造船業を考える場合に、世界海運であるとか、造船だとか、その辺を考えてみなけりゃならないというふうに考えております。昔から海運とか造船とかいうものは、ほぼ十年くらいの周期好況不況が回ってくるものだというふうにされております。そうして、その原因は一体何だろうというふうに考えてみますと、私は主な原因が二つあると存じます。その第一は、海運側から造船側に出される新造船発注のパターンの問題であると思います。それから第二は、造船個別受注生産でございますので、受注から船の完成、引き渡し、それから実際の稼働開始というまでに早くても一、二年、長いと数年かかるという船腹に対する需要供給の時間的なおくれが非常に大きいということだと考えます。この点をもう少し詳しく申し述べてみたいと存じます。  新造船発注というものは、投機的な要素、その他の要因ももちろん絡んでまいりましょうけれども、基本的には海上輸送需要、つまり海上輸送貨物トンであらわしたものと輸送距離マイルであらわしたものの積で、何億トンマイルというような値であらわせる海上輸送需要とそれから海上輸送供給力であります船腹量との関係によって決まるものであると考えます。海運市況というものも非常に大きな変化をいたすものでございますが、わりあい長期間の平均をとってみたり、流動平均をとってみたりいたしますと、海運市況変化というものもほぼ同じような動きをいたします。そうして、需要供給関係、簡単に申しますと、たとえばトンマイルであらわした需要量船腹量で割った値、これから何回か出てまいりますので、需給比とでも申しましょうか、それと発注量との関係を調べてみますと、決してなだらかなカーブを描くとか、あるいは直線的な関係にあるというようなものではなくて、需給比がある程度以上の値になりますと、急に立ち上がりまして発注意欲が盛んになります。落ち込んでくると非常に落ち込んでまいりますいわゆる過熱現象を起こすわけでございます。このため需給比の大きい好況のときには造船能力をはるかに超えた発注が出てまいりまして、手持ち工事量がどんどんふえる。そうしますと、さきに申しました需要発注船腹としての供給とのタイムラグも大きくなるということでございます。そうして、それがある程度限度を超えますと今度は造船サイド造船能力拡張、拡大が行われるわけでございます。一方、こういうふうな時間的なおくれをもちまして船ができ上がりまして、そして船腹に加わりますと、先ほどの需給比が今度は下がるわけでございます。そして、新造船発注量も減ってくる。しかしながら、船の建造は、先ほど申しましたように、時間的におくれがございますから、需給比が低下してもどんどん出てくるということで、ますますその建造意欲を減らす、低下する、そして造船手持ち工事量がどんどん減少するということであると思います。  たとえばこの関係は、海上輸送需要がきわめて安定した成長率伸びていると仮定いたしましても、適当な計算モデルをつくって計算させてみますと、大きな山谷がほぼ十年程度周期で起こるものでございまして、どんな動きをするんだというのを大まかには数量的に示すことができると存じます。まして今回のオイルショック以後のような輸送量減少あるいは停滞がある場合には、海運造船に与える影響は非常に大きいのは当然でございまして、しかもかなり長く続くというふうに考えます。  今回の海運造船不況というのはオイルショック造船能力の過大が原因であるとよく言われておりますけれども、それは、それならばどっちがどの程度効いてきているのかということを一応調べてみることも、今後のことを考えてみるのに役立つんじゃないかと考えている次第でございます。  船と申しましてもいろいろあるわけでございますが、まず一番大きなマーケットでありますタンカーマーケットを考えてみますと、一九六五、六年以降、原油の輸送量は、量もふえております。それから平均輸送距離もかなりふえております。そして、一九七三年ごろまでは年平均一八%の伸びを示しております。一方、タンカー船腹伸びの方でございますが、これは年平均大体一〇%程度でございまして、先ほど申し上げました需給比と申しますか、あの値は連続して大きくなってきておりました。そして、先ほどの発注あるいは景気で見られますように、一九七〇年以後というのは大体過熱した状態にあったんだと私は考えておるわけでございます。ところが、それが一九七三年のオイルショック以後、船腹伸びの方は、前からの大量受注を抱えておりますものですから、以前の一〇%に比べまして一二%から一六%くらい伸びております。それにもかかわらず、輸送需要伸びの方は七三、四年で五%、七四、五年でマイナス九%ということになりまして、需給比が急に低下しまして、多量の係船であるとか、減速航海であるとか、発注済みタンカーのキャンセルであるとか、それからタンカー発注したけれどもほかの船種、まだもう少し状況のいいほかの船種への振りかえだとかというようなことが起こったのだと考えます。もう一つの大きな分野であります鉄鉱石輸送船あるいはバルクキャリアといった部門では、船腹伸びが毎年一八%ぐらいございました。そして、これに対しまして、バルクカーゴー、それらの船が運搬しますバルクカーゴー伸びは大体一二%ぐらいで、船腹伸びの方が五%ぐらい大きかったんでございますが、それがどうして海運市場が好調に推移したかということは、要するにそういうふうな工業原材料であるとか穀物であるとかそういう多量輸送貨物専用船で運ばれるという方面への移行が急速に行われていたために、結局、需給比では六八年以後比較的高い水準にとどまりまして、それからオイルショック後も、輸送需要伸び減少いたしましたけれども、石油と異なってマイナスにはならず、船腹も、タンカーをたくさんつくりましたものですから、バルクキャリアの方の完成量はわりあい減って、前の一三%ぐらいに対しましてその後は八%ぐらいでございます。それで、海運市況に与えた影響も、かなりその部門では緩和されたということだろうと思います。  それから、次に日本造船能力について申し上げますが、わが国造船能力は年間千八百万総トンとも二千万総トンとも言われておりますし、生産実績最高というものも、千七百万から八百万総トンぐらいという記録を残しております。そして、世界造船最高生産額というのは、約その倍ということでございます。  しかしながら、造船業生産というのは、これは御存じのように設備と労働力とそれから建造いたします船の種類、それからさらに経営ポリシーとして売上高を大きくしたいんだか利益率を高めたいんだかというようないろいろな考え方によってかなり変わるものでございまして、まして先ほどの千七、八百万総トンなんという実績は、まあ最適の船種を、わが国について言えば超大型船ですが、それを最大の労働力、たとえば残業時間を極限まで使うとか、協力業等最大限利用とか、そういう状態、それから建造期間も非常に短縮しまして生産量を上げるといったようなことでできましたものでして、生産レベルを下げるということについては、かなりいろいろな障害はあるとは存じますけれども、船の種類労働、それから生産期間——時間でございますね、そういうものをそれぞれ二〇%ぐらいずつは下げることができるんじゃないか、比較的大きな混乱を起こさずにですね。そういたしますと、生産量で大体三分の二ぐらい減るはずでございます。そのくらいまでは余り大きな摩擦なく引き下げられると考えます。それが昭和五十一年度の起工量が大体一千万トンといったところに来ていた、その数字だと思います。  しかしながら、その後の造船不況はますます進みまして、昭和五十一年の六月に海造審の答申がございまして、五十五年における船舶需要の見込みを六百五十万トンと見込んだわけでございますが、どうもそこまではとても達成されそうもないと。それから、その後の建造需要回復についても、かなり悲観的な意見も出されております。  こうなりますと、数年は続くでありましょう不況の底を乗り切るためには、手持ち工事量をなるべく長く食いつなぐといいますか、その必要が出てくるわけでございます。そうしますと、分子になる工事量が少ないわけですから、分母に相当します建造能力を小さくいたしますと、二重に効いてくるわけでございまして、要するにそんな手を何とかして打って、何年分という値であらわせる手持ち工事量減少を極力防ぐということをしなければならない状況に来ていると存じます。手持ち工事量が余り減ってまいりますと、ひもじさの余り、余りぱっとしない契約に飛びついて手をやくということも起こりましょうし、いろんな副次的な悪影響が出てくると存じます。そしてその実施がおくれればおくれるほど状況は悪化するわけでございます。ただこの場合、海運造船界というのは、初めに申しましたように、大きな波が何年か周期で来るわけでございますから、その回復期になりましたときに、日本造船国として残るべきなのか、それからいろんな状況から残ることができるのかということを大所高所から見きわめて、造船能力にいたしましても、先ほど申しましたようないろんな要素がございますので、そのどこを押さえたらいいのかということは慎重に判断する必要があろうかと存じます。先ほど申しましたようなことを踏まえまして、今後の造船がどんな状況にあるのかということを一応考えてみておるわけでございます。そして、造船需要予測なんてものは海造審でもいまやっておりますし、それから造船工業会等でも行われておりますので、そんなものを公には使うべきだと思いますが、たとえばわれわれのような立場になりますと、そういうような予測が当たるか当たらないかという推定の精度はそれほど大きく要らないけれども、大きな長い波、谷の状況はどうなるんだろうというふうなことにかなり興味がございまして、数年前、例のローマクラブが「成長の限界」という報告を出しましたが、あれと同じような手法で計算機使って計算してみますと、造船海運産業以外から与えられるたとえばGNP伸びであるとかOECDGNP伸びであるとか、それから輸送構造変化によります平均輸送距離だとかいうようなものは外から与えなければなりませんけれども、それらの値はある権威のあるところでなされたものを使ってみますと、やはり一九七八、九年あたりがボトムで、それから漸次上がってくる。そして計算上は一九八四、五年になりますと、一九七〇年時代、七〇年の初めくらいのかなり好況にといいますか、ハイレベルなところに来れるんじゃないかというふうなことも考えられます。ただし、この計算というのは過去の業界動きなり何なりというものが基礎になっておりますから、今回の不況にこりまして、あつものにこりてなますを吹くなんというようなことがかなり効いてまいりますと、その回復テンポは大分おくれるだろうし、それからいろんな要素はもちろん効いてくると存じます。そういうようなことを考えまして、やはり造船業能力の削減といったようなことはどうも欠くべからざることのようには存じますけれども、先のことも十分考えていきたいというふうに考えます。  簡単でございますが、終わります。
  5. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に永井参考人にお願いいたします。
  6. 永井典彦

    参考人永井典彦君) 日本船主協会会長をいたしております永井でございます。  わが国海運育成強化につきましては、かねがね一方ならぬ御指導、御高配をいただきまして厚く御礼申し上げます。本日は、造船業不況に関して意見を述べよとのことでございますので、その関連におきまして海運現状につき申し述べさしていただきたいと存じます。  改めて申し上げるまでもございませんが、海運造船は深い相関関係にあり、海運がよくなればおのずから造船工業量もふえるわけでありますから、この観点に立ち海運現状につき御説明申し上げ、御理解を得たいと存じます。  日本は御承知のとおり島国であり、その上資源が非常に乏しいので貿易立国でいかねばならぬ宿命を負っており、物資輸送の大動脈としての海運業は欠くべからざる基幹産業であり、同時に経済安全保障観点からも日本海運は重大な国家的任務を負っていると自負しておる次第でございます。  ところで、海運業なかんずく外航海運は、世界経済動向に直接的な影響を受けます。特にタンカー不定期船運賃市況世界経済動向に極端に左右される特性を有します。オイルショック以降の世界的規模経済停滞は深刻であり、わが国を初めOECD諸国を中心とする各国政府のたび重なる景気浮揚策にもかかわらず、いまだ本格的回復の兆しが見られぬことは御既承のとおりであります。これがため世界海上荷動きは低位に推移しておりまして、他方高度成長期に大量発注されました船舶オイルショックの後も相次ぎ就航してきたために船腹需給バランスが大きく崩れており、その回復の目途がなかなかつかず、世界海運過剰船腹の重圧のもとに未曽有の大不況のさなかをさまよっておるわけでございます。  かかる客観情勢の中におきまして、日本外国船くつわを並べ裸の国際競争をしておりますが、残念なことには近年日本海運国際競争力はとみに減退してきており、われわれとしては世界的海運不況日本海運固有の問題としての国際競争力低下という二重の苦しみにあえいでいる現状にあります。  まず、海運不況の実態を部門別に見てみますと、第一は定期船部門でございますが、この部門は他の部門に比べますと、これまで日本輸出に支えられ比較的安定はしておりますが、円高影響も次第に顕在化しつつあり、先行き憂慮材料となってきております。他方、期待されている輸入も内需の不振により目立った増加はなく、今後は定期船に多くを期待することはできない状況であります。  こうした海上荷動き量停滞に加え、定期航路秩序に関しても深刻な問題を抱えております。すなわち、いわゆる海洋自由の原則は多くの発展途上国貨物留保等措置により侵害されつつあり、他方東欧圏諸国海運の一部はこの原則最大限に乱用いたしまして、海運同盟に参加しないまま大幅な運賃値下げによる非商業的盟外船活動を行い、既存の国際海運秩序に脅威を与えております。前者につきましては昨年対抗法を御用意いただきましたが、定期船部門の今後の安定のためには後者の非商業的盟外船活動についても時機を得た御措置をいただきたいと願っておる次第でございます。  次にタンカー部門でございますが、昭和四十八年のオイルショック前にはペルシャ湾から西ヨーロッパVLCC成約運賃最高——VLCCというのは二十万トン以上の巨大タンカーのことでございますが——タンカー運賃指標ワールドスケールで申しまして四一〇であったものが、昭和五十年前半には約二十七分の一の一五にまで低下し、現在は二〇程度で推移しております。  同様にペルシャ湾から日本の例でも、好況時にはワールドスケール三五〇に達したものが現在やはり約二〇程度にまで低下しておりまして、これを二十三万重量トンVLCCの例で金額的に見ますと、ペルシャ湾から日本、往復約四十日の航海で、好況時には一航海当たり最高運賃収入約十三億円、費用約三億円、差し引き約十億円の収益を上げましたが、現在は同じく一航海当たり運賃収入約一億一千万、費用、少し上がりまして三億五千万、差し引き約二億四千万の赤字となり、いかに海運市況が乱高下し、かつこのなべ底に張りついたまま約四年を経過した現在の海運不況が、長くかつ厳しいかを御理解いただけるかと存じます。  現在世界タンカー船腹量は、本年末で約三億三千万重量トン、兼用船、すなわち油でも鉱石でも積める兼用船が五千万重量トン、合計約三億八千万重量トンに達すると推定されますが、五十三年、すなわち本年のタンカー船腹推定需要量は約二億八千万重量トン程度と思われますので、総船腹のおよそ二六%、すなわち約一億重量トンが過剰であり、それに対しまして現在約四千万重量トンを係船したり、その他減速航海する等の工夫で対処しておりますが、それでも年々膨大な赤を累積しているわけでございます。船腹の調整以外には市況回復はあり得ないと申しても過言ではなく、要は、いつ船腹需給バランスがとれてくるのかという点にありますが、昨今の世界経済の低い成長率恒常化の観があり、次に述べる悲観材料を勘案いたしますと、ここ当分楽観は許されません。  今後の好材料といたしましては、アメリカの石油国家備蓄の増進がありますが、他方悲観材料といたしましては、北海、アラスカ、メキシコ、中国等至近地の油田の開発、増産、さらにはタンカーにかわるパイプライン利用スエズ運河拡張等船腹需要減殺要因がございます。このような事情により、タンカー船腹需給バランスいたしまして市況回復に向かうのは昭和五十七年から五十八年、すなわち一九八二年から八三年ごろではないかと考えております。  次に不定期船でございますが、この分野におきましてもタンカーと同様の傾向が見られ、たとえば北米東岸ハンプトンローズというところがございますが、ハンプトンローズ日本への石炭輸送を例にとってみますと、昭和四十九年に最高トン当たり二十五ドル五十セントしていた運賃が現在約七ドルのレベルで推移しておりまして、採算点を大きく割っております。これをパナマックス型バルカー——パナマックスと申しますのは、パナマ運河を通れるマキシマムの型ということでございますが、パナマックス型バルカー、すなわち五万トンか六万トンぐらいの重量トンバラ積み船で金額的に見ますと、ヨーロッパ揚げ切りハンプトンローズ日本約四十八日の航海で、好況時には六万重量トン最高航海当たり運賃収入約四億二千万円、費用が一億六千万円、差し引き二億六千万円の収益を上げ得ましたが、現在は運賃収入約九千万円、費用約一億八千万円、差し引き約九千万円の赤字となっております。  市況低迷原因は、タンカーと同様に船腹過剰にありますが、これは高度成長時の落とし子である新造船の竣工と、タンカー不況によるタンカー新造の取りやめに伴う船種変更代替建造等の結果もたらされた船腹増ドライ貨物海上荷動きの鈍化が重なったことに起因しております。  現在世界バルクキャリア船腹量は、本年末で一億三千八百万重量トン推定され、これに対しまして本年の推定船腹需要量は約一億七百万重量トン、すなわち兼用船の流入を計算外といたしましても、約三千万重量トン強が過剰となっております。  他方荷動きを見まするに、鉄鉱石石炭穀物の三品目世界ドライ貨物荷動き量の約三四%、これをトンマイルベースに引き直しますと、約半分の五〇%に相当いたしますが、主要国景気停滞により鉄鋼消費量は減退しており、そのため日本ヨーロッパ鉄鉱石石炭輸入減少傾向にあり、昭和五十二年は前年度に比し三品目とも海上荷動きが目減りしている次第でございます。これがため、現在一千二百万重量トンの船を係船する等の措置がとられておりますが、海上荷動きの低迷は相当長期にわたると思われますので、その間市況も現在のどん底からなかなか抜け出しがたく、これが本格的に改善してくるのは船腹需要バランス回復するであろう昭和五十六年から五十七年、すなわち一九八一年から八二年ごろと思われます。  市況がこのような状況でございますので、海運の企業経営はいよいよ深刻かつ厳しい状況となってきております。このため海運企業においても倒産が生じておりますことは御承知のとおりでございますが、五十三年度以降資金繰りがさらに窮迫してくるであろうことは避けられないことと存じます。  このような不況世界海運に共通する問題でありますが、前段において触れましたとおり、日本海運は、これに加えまして固有の問題といたしまして、国際競争力の減退という致命的な難問を抱えております。まずこれを一船当たりの国際競争力の面から見ていきますと、就労条件、船員制度、賃金水準の上昇等の要素のために、予備員の費用も含めた一船当たりの船員費がきわめて割り高となったために、欧州先進国海運と比べても日本船は国際競争力を著しく欠いてまいりました。さらにこの傾向は円為替レートの高騰により、ますます深まってきております。日本海運の健全な発展のためには就労条件、船員制度等を見直して再び日本船の国際競争力回復することが不可欠であり、またこの解決は雇用の安定にも通じますので、目下労使間にて鋭意自主努力を傾注しております。  次に、企業としての国際競争力の面でありますが、さきにも述べましたとおり、海運市況変動が他産業に比較いたしまして極端に激しい産業であり、各海運企業が好況時に企業内部に利益を十分蓄積し、経営を安定させ、市況下落時に備えねばならないという宿命を持っております。この蓄積力の大小が国際競争力不況抵抗力となってあらわれます。わが国海運企業の場合、昭和二十九年の再建整備法に基づく集約により自立体制を固めつつあったのでありますが、しかしながらその後の国民経済の急激な伸びにより高まってまいりました船腹需要に応ずるために、ほとんどすべて借入金による船隊拡張を余儀なくされた結果、他の先進国海運と比べた場合基盤が脆弱なために、現在の不況下において企業としての国際競争力の弱さを露呈しております。われわれといたしましてもあらゆる努力を傾注してこの至難な経営危機を乗り切り、将来にわたり海運に課せられました使命遂行に努めたいと存じておりますので、先生方におかれましても何分の御理解と御支援を得たいと願っております。  海運の現在の状況は以上概観してまいりましたとおり、世界的規模においても、またそれにもまして日本海運として深刻な難局に直面しております。冒頭において申し述べましたとおり、海運造船は深い相関関係にあります。特に、日本海運の場合は、今日まで一貫して、わが国造船所において、一〇〇%船腹建造してきたという世界の先進国海運の中においても他に類を見ない歴史を有しております。こうした密接な関係からも、われわれは造船不況の実態を十分認識しておりますので、でき得る範囲で極力造船不況対策に協力したいと念じております。しかしながら、海運自体が非常事態下にある現在、海運世界的規模において不況を克服し、かつ日本海運国際競争力回復することこそが新しい船舶建造に結びつく造船業の根本対策になるわけでございますので、今後諸施策の御検討に際して、すでに沈みかけており、何とか浮上しようと努力している海運に新たな負担となるのでなく、逆に両業界双方に魅力があり、双方を浮上させるに役立つというものになるよう御高配いただきたいと思う次第でございます。  ありがとうございました。
  7. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、土居参考人にお願いをいたします。
  8. 土居山義

    参考人土居山義君) 造船重機労連の土居でございます。造船不況に関しまして格段の御高配を賜りましたことをまずこの機会に厚くお礼を申し述べたいと存じます。  さて、わが国造船界昭和三十年以来今日まで世界の第一位の建造量を誇ってまいりました。四十年以降は五〇%のシェアを占めるまでに成長いたしたのであります。その背景はわが国が四面海に囲まれ、きわめて好立地条件にあったということ、さらには省力化による近代設備が整ったということ、さらに私はあえて言わしていただくならば、勤勉な労働力がそれに裏づけされたということがその大きな背景であったのではないかと思っておる次第でございます。しかしながら、石油ショックを契機といたしまして、海運市況停滞をし、船舶需要は著しく減退をしてまいりました。今日では明らかに構造不況産業と認定せざるを得ないのであります。  こうした事情、背景がありまして、去る五十一年六月に海造審におきましてわが国における昭和五十五年度の建造需要を従来の約三分の一、六百五十万総トンを見込み、操業度は四十九年ピーク時の六五%程度と見込んでいたのでございます。これを前提といたしましてわが国造船能力の調整をしなければならないということを試算した答申が出されました。しかしながら、現状昭和五十年の新規受注量は八百五十一万総トン、キャンセルは六百九十五万総トンで、差し引きわずかの百五十五万総トン。五十一年度は受注が八百四十二万総トン、キャンセルが七百五十九万総トン、実質的には八十三万総トンでございます。五十二年度は、本日の新聞報道によりますると、四百九十四万総トン受注に対しまして、キャンセルは二百七十九万七千総トン、実質二百十四万二千総トンと、このように大量のキャンセル並びに急激な円高による輸出の制約、第三勢力の追い上げ、EC諸国の国家助成策、これら悪条件が重なりまして、五十三年度の操業度はわずか三〇%台にとどまっているのが現状であります。五十四年度は現在時点ではわずか四%台であります。手持ち工事量も今年度は七、八月ごろで底をつくという状況にあります。したがいまして、先ほど申し上げました昭和五十一年六月の答申は、これに基づく運輸省の操業短縮勧告は現実には空文化しておるのが実情だと思うのであります。  こうした悪条件の中で、造船界は四十九年以降今日まですでに四十社が倒産をいたしております。特に五十二年度に入りまして二十五社が集中的に倒産し、その深刻度をますます高めているのでございます。このまま推移すれば、先ほど申し上げました手持ち工事量が底をつく秋口から来年にかけて倒産が激増するのではないかと心配をいたしておるものでございます。また四十九年十二月末に、下請関連工業を含めまして三十六万一千人の従業員がいたのでありますが、五十二年十二月末には五万一千人が減少をいたし、現在三十一万人となっております。わが造船重機労連組織内におきましても、三社の倒産を含めまして、希望退職の募集やあるいは勇退奨励制度等によりまして、すでに十四社が雇用調整に入っておるのであります。今日までこれに応募しました総数は五千七十三人でございます。五月末には恐らく七千人を超すものと私は予想いたしておるのでございます。問題は、これらの退職者がいまだ全体の一割も再就職しておらないということでございます。特に中高年層はその受けざらが皆無に等しく、休業補償等が打ち切られた時点が大変心配でございます。御承知のとおり、造船産業は労働集約産業であり、すそ野の広い地場産業であるだけに、地域経済に与える影響はきわめて大きいと存じます。すでに函館、佐世保、今治等の例に見られるごとく、地域の社会問題へと発展しつつあります。  さて、私どもは早くから造船産業の先行きを憂えまして、昭和五十年ごろからすでにこれを予見し、企業が矢継ぎ早に提案してくる構造改善諸施策に対しまして、労働者に一方的なしわ寄せのない限り、多少の犠牲は甘受しつつも今日まで積極的に企業改善対策に取り組んでまいりました。今後といえどもこの姿勢を変える、放棄する意思はありませんが、今日の厳しい状況下では、産業、企業内の労使間の努力のみではおのずから限界があると断定せざるを得ないのであります。したがって、ここ当分の間財政措置による内需の拡大が緊急課題だと存じます。具体的には、今日まで政府並びに各党に対しまして、具体的な政策内容を整えまして数回にわたる陳情を繰り返してまいりました。その内容の一端をこの機会に披瀝したいと存じます。  まず一つは、公共事業の優先発注等、政府及び地方自治団体において配慮願わなければならないと考えております。  その二つは、官公庁船の拡大と代替船建造の促進を図ってもらいたいということでございます。  第三点は、仕組み船の買い戻しとスクラップ・アンド・ビルド政策による建造の促進でございます。とりわけこの項は、中小造船は御案内のとおり資力もなければ技術力も大手に比べて低うございます。したがいまして、国内新規需要状態がその企業の死命を制すると言っても過言でない現状下にあります。なかなか陸上部門、他業種に転換をするという財政余力がないために、この制度の促進ということが当面課せられた最大の課題であると言っても過言でないのであります。  次に、国内船LNG年の建造体制の早期確立の問題でありますが、幸いにしてイランのカリンガス問題が話題になっておりますし、五十一年度に調査費が五十億程度計上されておりましたが、現実には未執行の状態にございます。しかしながら、イランのこのカリンガスを契機といたしまして具体的な動きが表面化しつつありますし、この機を逃して国内建造は不可能ではないかと思うのであります。したがいまして、格段の御配慮を賜りたいと思う次第でございます。  五番目に、環境保全のため既存船のSBTあるいはCOW設置の法制化を促進をしてもらいたいということでございます。  六番目に、石油の備蓄、浮体構造物、公共海洋開発の促進を図っていただきたいということであります。今日話題になっております空港問題も高松空港を中心に具体的な動きが顕在化しつつございます。何とぞこれらに対しましても格段の御配慮を賜りたいと思います。  七番目に、開発途上国への経済援助として船舶の供与を促進されたいということでございます。  八番目に、中小造船対策としての長期低利の事業資金の融資、設備の買い上げ、債務のたな上げ等抜本的な措置を講じていただきたいのでございます。  最後に、この機会に特定不況産業安定臨時措置法案についてその見解の一端を述べたいと存じます。  造船重機労連といたしましては、以下の要望意見を付しましてこの法案に賛成をしておるものでございます。言うまでもなく、私どもの基本理念は雇用確保がすべてに優先することは論をまたないのでありますが、過剰な供給力の削減は雇用問題に影響いたしますので、財政措置による内需の拡大と受けざら体制の確立が急務だと考えておる次第でございます。  また、安定基本計画の策定と実施に当たりましては、関係組合代表の意見を反映していただきたいと思うのでございます。特に設備の廃棄、凍結等については労使間の事前協議として義務づけたいと思います。これは大手関係においてはすでに労働協約上でこの種の問題は協議の対象になっております。中小企業手においてこれらの問題が協約上まだ不明確のまま締結されておるのが実情でありますので、われわれ自身も積極的にこれらの問題について使用者側の理解を得たいとともに、国会における御協力もお願いをしておきたいと思う次第でございます。  次に、特定不況産業の信用基金の増額の問題でございます。現在予定されております基金では、事実上その運用はきわめて極限されると思うのであります。また裏保証の関係についても改善をしていただかなければ、企業の努力が非常に過大に押しつけられておるきらいがございます。返済期間の延長等につきましても、弾力的に運用願えればまことに幸甚だと思う次第であります。  以上、造船重機労連の立場としてその概括について所見を述べたのでありますが、冒頭申し上げましたように、この会議において、特別に造船不況対策について御審議を願います諸先生に対しまして、重ねて格段の御高配を賜りますようお願いを申し上げまして私の意見を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  9. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、畑田参考人にお願いいたします。
  10. 畑田薫

    参考人畑田薫君) 全造船畑田でございます。私は、労働組合の立場から、雇用問題を中心に意見を述べたいと思います。  造船労働者の雇用、失業問題は一層深刻化しているのであります。造船危機が言われた昭和四十九年以来の倒産は三十八社に上り、このうち昨年一年間で二十社が、さらに本年に入りましてからもすでに五社が倒産をしておるのでありまして、現状のままでは今後さらに倒産が続出をする状況にあるのであります。これら倒産企業の労働者は、下請労働者も含めまして一万五千人でありまして、家族を含めますと約三万人以上の人たちが現実に失業と雇用不安にさらされ、生活の危機に直面をいたしているのであります。  さらに、倒産企業だけではなく、大手企業を初めとする各企業の徹底的な人減らし合理化が進められ、昨年十二月末現在では、本工、下請関連労働者を含めまして五万一千人の人員削減が行われているのであります。こうした人員削減が、今年に入りましてからは各企業が競うがごとく大量の希望退職、定年切り下げ、雇用延長の打ち切りなど、直接的な首切りという形で全般的に出されてきているのであります。  また、ある倒産企業では、会社更生法による保全管理下に置かれているにもかかわらず、再建計画も明らかにされない中で、全員解雇という衝撃的な事態さえ発生をしているのであります。こうした造船業の倒産、失業問題は地域社会、地域経済に大きな影響を与えているのであります。  労働集約型である造船業は、中小造船といいましても数百、数千人という雇用規模でありまして、しかも同一地域に造船所が集中しておりますから、関連工業を含めますと、地域的には大きな社会問題となる要素がきわめて大きいものであります。四国の今治地区を例に申し上げますと、今治の湾内を中心に十二の造船所がありますが、すでに半数の六社が倒産をし、造船関係の失業者は約四千人に達していると言われているのであります。かつて繊維のタオルと造船の町と言われた今治地区は、繊維の不況とも相まちまして失業地獄と化している現状にあるのであります。こうした状況は、単に今治地区だけではなく、造船所が所在する他の地域でも全く同じ条件下に置かれているのであります。  このような雇用情勢のもとで、私たち労働組合としては、完全雇用を基本とした雇用対策が緊急の課題であり、これを前提とした政策の確立が必要であると考えているのであります。そうした立場から私ども全造船機械は、三年前から雇用保障と産業政策の要求を掲げまして、その実現の努力をいたしてきたところであります。そこで私は、これまでの要求と緊急対策を含めまして、五点に分けて意見を述べたいと思います。  まず第一点につきましては、設備廃棄を前提とした構造改善論についてであります。現在、特定不況産業安定臨時措置法案が審議の過程にありますが、すでに造船の場合は、この法案を受けた形で、運輸大臣の諮問機関である海運造船合理化審議会の造船施設部会で、設備廃棄を前提とした構造改善の審議が進められており、業界筋では、設備廃棄率五〇%の意見すら出されている状況にあります。  こうした構造改善の議論が、今日の事態を招いた原因、政策推進者としての業界、政府の責任と反省が十分なされないまま、当面の行き詰まり状況、環境条件の悪化したことだけを取り上げて議論されている傾向に、大きな疑問を感じているのであります。  かつての高度成長下で、果てしない設備の拡張生産拡大にのみ奔走をしてきた結果が、船のつくり過ぎ、設備の過剰という事態を招いた大きな原因ではないかと考えています。こうした政策を促進してきた主体の責任、反省を前提にして従来の政策体系を見直し、国の経済的中期計画の中で日本造船業をどう位置づけるかを明確にしていかなければ、緊急避難的な設備廃棄論だけでは根本的な解決にはならないのではないかと考えます。特に造船業の場合は労働集約型でありますから、設備廃棄は直ちに労働者の解雇につながるおそれが多分にあります。現在すでに仕事量不足を理由に首切り、出向、配転、賃金カット、期末一時金のストップ、定年切り下げ、雇用延長の打ち切り、諸手当、福利厚生費の削減、下請関連労働者の整理など、軒並みに合理化が出されています。今回の構造不況法案が制定されますと、これをにしきの御旗にして、一層人減らし、合理化に走り、造船労働者の雇用問題がさらに深刻な事態を迎えることになるのではないかと、大変心配をしているのであります。  衆議院段階では、本法案に対し、雇用の安定と労組との協議など一定の修正議決を見ましたが、労働者の雇用安定と保障について一段と御努力をお願いをしたいと存ずる次第であります。  第二点は、中小分野の確立と過当競争の排除についてであります。かつての造船業は、大型船は大手、中型船は中手、小型船は中小手という建造分野がつくられ、その範囲で企業競争が行われてきたのでありますが、大型タンカー船腹過剰ということとも相まちまして、最近の造船需要が中・小型船にかわり大手企業が中小分野に進出して、限られた中・小型船の受注にしのぎを削る状況から中小造船が倒産、経営危機に追い込まれているのが現状であります。最近の例で申し上げましても、石川島播磨重工が三百九十トンの油回収船を、三菱重工が六十五トンの漁業調査船を受注しているのであります。しかもこの船は官公庁船であります。このように、大手が五百トンや百トン足らずの小型船までとりまくる状況では、造船専業である中小造船は全部つぶれてしまうのではないかと危惧するものであります。これまでのような高度成長が望めない状況からして、大手企業は総合重工業として、企業余力もあり、新たな需要開拓、創出に努力をすべきであり、造船事業である中小造船分野を守り、保持すべきであると考えます。したがって、建造許可段階において、これまでも要求をいたしてきているわけでありますが、船台及びドックの建造能力に応じた船舶建造を基準にチェックをし、造船業の事業分野の確立を図るべきであると考えます。また、現在実施している同時複数建造の規制は引き続いて徹底する必要があると考えています。  二つには、新造船建造許可に際しては、船種、船型別に工数をチェックをし、従来プラス一〇%以上の所要工数でなければ建造許可を与えず、また船価のダンピング防止に強力な行政指導が必要であります。昨今の造船需要量の落ち込みから、各企業間の受注競争は激しく、ダンピング競争に走っている実情にあります。こうした結果がコスト対策としてさらに人員削減、労働時間の延長、定年切り下げ、雇用延長打ち切り、賃金、労働条件の切り下げなど、労働者の雇用と生活を一層深刻なものにしているのであります。こうした企業行動は全体としての需要量をふやすことにはならず、限られた受注量の食いつぶしであり、みずから墓穴を掘る時代逆行の行為であると言わなければなりません。低成長に向けての対応は、需要の創出を図るだけでなく、仕事量を食い延ばし、雇用機会の創出と拡大に努力すべきであります。そのために、いまこそ労働時間の短縮と同時に、一割の工程繰り延べによるゆとりある労働を実現することだと考えます。したがって、一〇%の工数付加及びダンピング防止の行政指導を強く求めるものであります。  次に、第三点は需要創出についてでありますが、私どもも労働者の雇用確保、拡大のために一定の需要創出が必要であると考えております。これまでも主張をいたしております要求は、船舶の安全と海洋汚染防止と関連をして、タンカーの二重底、SBTの実施、LNG船、工場・作業船などの建造促進、また新たな需要開拓としてエネルギー、資源、海洋開発など、総合的政策とその研究開発であります。しかし、これらの需要が現実の工事量に結びつきませんので、ここ一、二年がきわめて厳しい状況からいたしまして、緊急対策として老朽船のスクラップ・アンド・ビルドの実施、また船舶整備公団の予算拡大による代替建造、海上保安庁の巡視艇など官公庁船の中小造船への優先発注を実施してもらいたいと思います。  第四点は、雇用保障についてでありますが、深刻化している造船の雇用情勢については先ほど申し上げたとおりであります。中でも不況のしわ寄せを最も受けておる下請への対策として、従来の工事発注率の維持継続をさせ、親企業の責任で下請労働者の雇用保障を図るよう行政指導、監督を強化をすることと、またこれは所管が違うかもしれませんが、本工、下請関連を問わず、労働者の雇用確保のために労働時間の短縮、週休二日制の実施、解雇制限法の制定、政、労、使三者による雇用対策委員会の設置など一連の雇用保障対策が必要であると考えます。今日の雇用問題は社会問題となっており、企業の雇用責任と同時に、政府の総合的な雇用保障の施策をとってもらいたいと存ずる次第であります。  最後に、倒産対策についてでありますが、先ほど申し上げましたように、中小造船の倒産が相次ぎ、これからも続出する状況にあります。この倒産防止のための緊急対策が必要であります。これまでの倒産企業の内容を分類してみますと、一つには受注減により前受け金が入らず、運転資金が逼迫をしたこと、二つには受注船のキャンセルやクレームが発生をして赤字の発生と資金回転に支障を来してきたこと、三つには設備投資後売り上げが低下し、金利負担と返済資金の捻出が困難となったこと、四つには円高による差損が発生をしたこと、五つには船主会社の倒産により代金の回収ができなくなったこと、六つには、赤字船工事が積み重なったこと、七つ目には放漫経営の要素があったこと、これらの点が挙げられますが、実際の倒産時点ではこれらの要素が幾つか重なっているのでありますが、直接的には銀行が造船の先行き判断からの選別融資ということが倒産になっているのであります。したがって、運転資金の逼迫による金融上に問題があると考えます。倒産は直接雇用問題につながっているわけでありまして、地域的、社会的問題に発展をいたしますので、倒産防止のための金融対策として、政府主導による信用保証基金の設立、設備資金、金利などの返済猶予、金融機関の選別融資を排除するなどの行政措置並びに指導を緊急に講じる必要があると考えるわけであります。また、造船には多くの関連工業がありますので、連鎖倒産の可能性が大きいわけでありまして、これらの防止のための施策も強く望むところであります。さらに倒産をした企業では、雇用不安にさらされながらも労働者が企業再建に向けて必死の努力をしているところもあるわけであります。したがいまして、倒産した企業に対しては、工事受注の保障と緊急融資国、自治体による公共事業の優先発注、あっせん、さらには労働債権の確保などの対策に万全を期してもらいたいと考える次第であります。  以上の点について諸先生方の一層格段の御協力をお願いを申し上げまして、私の意見を終わりたいと存じます。
  11. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳を終わります。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 平本先生にちょっとお伺いいたしますが、先ほど日本船主協会永井先生のお話でも、大体昭和五十七年から五十八年段階では前向きになって何とかなるだろう、ことしから来年にかけてどん底だと、こういう話があったんですが、しかし、一面では第三国の台頭、あるいはECの政府助成などによって、いわゆる外国の海運というか造船といいますか、そういうものも非常に台頭してきている。そうなりますと、国際的な問題だという関係になりますとなかなかむずかしいかもしれませんが、日本世界造船界の五〇%の能力を持つということが果たして国際競争力の公正な造船海運ということを見た際に、それを維持するという戦略目標でいまから立て直すのがいいのか、あるいは何か国際的な会議を持って、やはり造船海運というものをある程度各国の、日本なら日本、ECならEC、あるいは第三国なら第三国も含めて大体お互いに共存できる調整といいますか、そういうようなものを持った中である程度の展望をつかまないと、景気はよくなった、また投資する、またダウンするという、十年に一回ずつという波と必ずしもかみ合わない過当競争が出てくるんじゃなかろうか。その辺の調整をどうするのかということについて、先ほど海運審議会ですか、海運造船審議会の段階でも、慎重にやっぱりここまで落ち込んだ段階で見直しをすべきじゃなかろうかと、こんなふうに聞いておるんですが、専門家である平本先生と船主協会の永井さんの意見をちょっと聞きたい。  それからもう一つは、ペルシャ湾から日本へ来るまでに、好況時には大変な純益があったわけですね。会長は低めに言いましたけれども、ある本によると、一航海やってくると十五億から十九億ももうかった、そういう本当にわが世の春があった。しかし、その純益は次の輸送需要のためにどんどん投資の方に回して足りなくて借金でやったと、こういう説明なんですが、ジャパンラインと三光汽船を見ますと、五十二年三月の段階では三光汽船は資本金が千二百億、特別引当金が四百億円、これに対して、問題になったジャパンラインは資本金が三百八十億、特別引当金が二百九十億と、この両、三光汽船とシャパンラインを見ますと、余りにももうけた金に対する使い方が、先越しにかけをしたといいますかね、放漫な投資、あるいは運輸省の指導もその辺を見通さないまま、それやれそれやれと言ってどんすかどんすかやってしまった、いわゆる設備過剰というものをみずから招いた一面があったんではなかろうかという気がするんですよ。船主協会会長としてその辺の、いわゆる造船投資のあり方にやっぱり見直すべき点があるのではないかなあというお気持ちを持っているかどうか、今後のこともあるので聞きたい。  それから労働組合の両方の委員長さんに、現在特定不況対策であるとか、雇用保険法の改正であるとか、この一年間いろいろ不況業種をやってこられましたね。しかし、現実の造船不況で失業者が出ている、倒産が出ているとなりますと、現状の失業諸立法で十分なのか、現状の諸立法ではどうにもならぬから造船に対する特定の特別時限立法ですか、そういうものをつくってもらわなければどうにもならないということなのか、簡単に言えば現状の充実か別な単独時限立法か、そういうことについて、失業と倒産についてどういうお考えをお持ちか、両委員長にお伺いしたい。簡単で結構ですからお願いします。  以上です。
  13. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) まず、平本参考人にお願いいたします。
  14. 平本文男

    参考人平本文男君) お答え申し上げます。  日本造船世界的なシェアが五〇%というのが適当かどうかという点でございますが、五〇%のシェアを持っていたということは、その当時の船に対する需要大型船が多かったということと、それから日本大型船への進出が非常に早かったという、その結果だろうと私は思っております。そして今後は、御承知のように、いままでは日本とECですか、その辺で半々ということを一応目安にしていたわけでございますが、第三国の台頭というのが非常にきつうございまして、どう考えましても、いままでの二人の競争から三人の競争になってきて、しかも新規加入の三番目が非常に切り札を持っているといったような感じがするわけでございます。それで、いろんな国際会議の場なんかでも強制的に第三国を引き入れることはかなりむずかしいかもしれないけれども、それをぜひ仲間に入れて話し合わなければいけないんだという風潮が出ているように伺っておるんですが、今後はそういうふうなことで、日本のシェアがどの辺になるかはよく存じませんけれども、まあ三〇%ぐらいというところに落ちつくような気はしておるということを考えております。
  15. 永井典彦

    参考人永井典彦君) 目黒先生の御質問の最初の点、すなわち昭和五十七年、五十八年ぐらいになったら好況になるかもしれないということに関連いたしまして、海運というものは国際的によく協調して、そのときに備えていろいろ協調する必要があるんじゃないかというのが最初の御質問だと了解いたします。  五十七年、八年になったら好況が来るだろうとわれわれは考えておりませんで、逆に五十七年、八年までは好況は来ないだろうというふうに、ちょっと悲観的に考えております。もちろん、その好況というものは黙っていて来るものではないかもしれませんので、国際競争下にある海運といたしましても、できるだけ国際的に協調を図りまして一刻も早く海運不況から抜け出すように努力しなければいけないわけでございまして、一応その努力は続けておりますが、何分、国によりまして法律、制度も違います。すなわち、独禁法の非常に厳しい国とそうでない国、それからまた海運がその国の総生産の中に占める位置の大きい国、大きくない国、いろいろ立場立場がありまして、なかなか一様な国際協定ができにくいのが現状でございますが、できるだけのことはしようとしております。定期船運営には昔から運賃同盟という国際組織がございまして、そこでお互いに国際的な協議に諮って航路の安定を図っております。これは今後も続けていくつもりでおりますが、ただ、先ほども申し上げましたように、非常にこれに対しましても、いわゆる雇用自由の原則を乱用するものあるいはそれを無視するものが出てまいりまして非常に困っております。  乱用するものの代表的なものは、いわゆる東欧圏の一部の国でございまして、既存の運賃同盟があってもそれを無視いたしまして割り込んでまいりまして、同盟に入らずに安い運賃でその同盟をかき乱す営業行為をやっている。それもコストのないような状態でやってまいりますので、われわれとしては据えかねておるというような状況もあるわけでございますが、したがいまして、運賃同盟の存在をも揺さぶるような世界的な動きがございますので、それについては対抗法の立法をぜひひとつ御考慮願いたいというふうに考えております。  そういう意味で、定航船に関しましては、運賃同盟を強化することによりまして国際協調を図りますが、タンカー不定期船につきましては、国際協調が非常に図りにくいのが現状でございます。  その次の御質問の、好況期にタンカーが一航海十九億円ももうけたというお話、これはそんなにもうかったとは思えないのでございますが、私の方の計算では約十億、船の大きさにもよると思いますが、約十億ぐらいの収益は上げ得たわけでございます。その利益を放漫に使い過ぎたんじゃないかという御指摘。この放漫、何が放漫かということなんですが、船をやたらにつくったということ。これが見方によってはいまのような不況を来したわけでございますから、使い方としてはまことに放漫であったというふうに言えるかもしれませんが、海運企業は、本当はこれだけ利益が上がりますと、それを社内留保いたしまして、来るべき不況に備えなければいけない。したがいまして、各社が一航海十億ないし十九億、ちょっと大き過ぎると思いますけれども、十億ないし十九億の利益を一航海で上げたならば、それを全部蓄積しておれば、こういういまのような不況でもびくともしないような体質ができたと思います。しかしながら、現在の税制ではそれを許してくれません。ほとんど全部が税金に取られてしまうわけでございますので、何かこれを投資しなければいかぬということで、船の建造に走ったというのではないかと思われます。  また、そういうように走らせたもう一つの原因は、先ほど申し上げましたように、海運というのは裸で国際競争のもとにさらされている産業でございますので、一つの契約がありますと、それを日本船がしないとほかの国が取ってしまうというわけで、われわれとしてはそれは忍びないので、船を建造してそれに対抗してその荷物を取ったということもございます。  それからもう一つは、そうやっておけば、将来の経済拡張に伴う船腹需要に応じられるんじゃないかという期待もあったということでございます。それがオイルショックというものが突然に起きまして、海上の荷動きが激減いたしましたために船の過剰が生じたということでございますので、見方によっては、確かに結果としては放漫というそしりも免かれないかもしれませんが、いま申し上げましたような意図でやったということでございますので、御事情御了承願いたいと思う次第でございます。
  16. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 三光とジャパンラインの関係なんです。この自己資本。自己資本がね、五十二年三月の決算で、ジャパンラインが三百八十億、ところが三光汽船という、これは若干問題になったね、三光汽船は千二百億の自己資本を持っておった。だから、ジャパンラインと三光汽船のやり方が一つの対象的な会社経営のやり方を示しておるので、もう少し三光汽船的な感覚を投資その他で持っておったならば、あるいはもっと事態の打開が図れたのじゃなかろうかということなんです、具体例として。
  17. 永井典彦

    参考人永井典彦君) ああそうですか。これは非常に各社の経営方針に対する批判になりますので、余り軽々には申し上げられませんが……
  18. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いいです、それはわかりました。
  19. 土居山義

    参考人土居山義君) 平本先生もおっしゃいましたように、恐らく造船回復期というのは、一九七八年から七九年が底で、八〇年から漸増傾向にあるであろうということは、OECD段階においても共通の認識であります。最近になりまして、やや一年ずれるのではないかと、こういうような状況でありますから、造船の時間的ずれ、少なくともいまのような小型船を建造するためにも、実際にコースに乗るのは早くて一年後ということになりますと、一九八二年ぐらいになるわけでありまして、そういうことから考えますと、特定不況業種に対する雇用保険の特例条項をさらに延期していただかないと、実際問題として、現在四十歳以上で九十日間の延長なんですが、欧州の事例等で見られるごとく、失業保険が場合によっては三年間も支給されるというような処置が講じられております。そこまで行くのは無理としても、少なくともこの関係では延長をぜひともお願いを申し上げたいと、このように考えておる次第であります。
  20. 畑田薫

    参考人畑田薫君) 現在、それぞれの雇用保険その他の取り扱いがされているわけでありますけれども、やはり保険給付額の問題とかあるいは給付期間の問題、こういう点については、先ほどの御意見もありましたが、不十分だというふうに考えております。そういう点では私どもも、この給付期間の延長の問題あるいは給付額の問題等をもっと実情に即した方法を考えていただきたいというふうに考えているわけであります。  しかし、そうした離職者対策も必要でありますけれども、私どもとしては、何としても失業者を出さない、いわゆる雇用確保をどうしていくのかというのが最も大切なことではないかというように考えているわけであります。そういう点では現状が、先ほど意見の中で申し上げましたように、非常な過当競争、特に大手と中小分野関係、こういうようなものがあるわけでありまして、特にそういうことで、中小造船の倒産、経営危機というのが現実としてあらわれてきているわけでありますので、そういう点では、やはり倒産をこれ以上出さないということのためにも、中小分野法の制定とか、きわめてむずかしい問題ではありますけれども、そうした秩序確立を図るような措置が考えられないのかどうか、この点を最も強く私どもは望むわけであります。  もう一つは、一体、今後需要回復がいたしていきますにいたしましても、従来のような二年分、三年分も受注するというような、そうした高成長は望めない状況にあるわけでありますので、いわゆる今後の低成長下における雇用確保あるいは雇用機会の創出をどのようにしていくのかというのが最も大切だというふうに考えますし、そのためには、先ほどの意見の中で申し上げましたように、この際は、時間短縮あるいは週休二日制等々のやはり法的な措置等も考えて、あるいは現在の労働密度を緩める、工程を繰り延べて、ゆとりある労働の中で、限られた仕事量の食い延ばしをしながら雇用をやはり確保していくということを考えていかなければならない。そういう意味では、雇用対策については従来の発想を転換した立場でやっていく、そういう点で必要な法的措置も考えていただきたいということを強く望んでいるわけであります。
  21. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 船主会長さんね、一つだけ申すと、特にいま専属会社、オーナーというやつでありますか、このオーナーというやつがちょっと問題になりそうな関係あるんですが、仕組み船との関係もありますけれども、まあ仕組み船は大分国会で議論しましたからわかっていますけれども、オーナーの関係についてはどんな見通しを持っていらっしゃるか、参考に聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  22. 永井典彦

    参考人永井典彦君) オーナー、すなわち船を自分で持っておりまして、それを運航業者に貸すというのを仕事としている会社でございます。これははるか昔の時代には、オーナーというのは非常に大体自己資金の豊富な方が多くて、それで船をつくって、その船を運航業者に貸していたというのがもともとのあれであろうかと存じますが、それから運航業者の方でも、たくさんオーナーがいらっしゃった中で、自分の最も望む船を一番安く貸してくれるところから借りたということであったと私は考えております。といいますのは、海運業の荷動きはしょっちゅう変わりますので、それを全部社船で持っていくにはちょっと経営的に硬直化いたしますので、この需要のうちの七割ぐらいを自分で持っておりまして、残りをオーナーから適当に借りて輸送需要に応じたというのが昔のオーナーの発生した状況だろうと思います。  ところが戦後、最近になりますと、自己資金で船をおつくりになるオーナーの方も非常に少なくなってまいりましたし、それからオーナーと運航業者との間がいわゆる系列化といいますか、非常に確定してまいりましたので、だんだん昔のようなオーナーさんの性格が薄れてきております。それで、極端に言いますればオーナー不要論というようなことも出てきておるわけでございますが、しかしながら、オーナーさんにはオーナーさんの非常にいい半面がございます。すなわち非常に適当な量の船を保有されておりまして、その船、船員につきまして、全部いわゆる目が届くといいますか、非常に目が届く経営をされますので、大オペレーターが何百隻も持っている船と違って、非常に素質のいい船の提供をオペレーターにすることができるという非常にいい点もございますが、オペレーターとしても幾らそういういい系列関係にありましても、一般マーケットよりも高い用船料でそれを借りるわけにいきませんので、だんだんだんだんオーナーの経営が苦しくなってきております。したがいまして、オーナー対策というものがいま海運界にとりまして非常に大きな問題になっておるわけでございまして、いずれこれもいま開かれております海運造船合理化審議会で各界の皆さんからの御意見が開陳されまして、いずれそれによりまして一つの政策を樹立していただきたいと考えております。
  23. 田代富士男

    田代富士男君 時間も限られておりますから、まとめて質問をしたいと思います。  最初に平本参考人にお尋ねをいたします。海運造船のシステム・ダイナミックス・モデルについて研究会を持たれまして、その中で今後の展望をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。また、いまも問題になっておりましたが、一九七〇年代の後半から回復し始めまして、一九八〇年代後半で大好況を迎えると、こういうようなことが述べられておりますけれども、そこらあたりをもうちょっと詳しく御説明願いたいと思います。  第二番目には、現在の不況に対応するために造船設備の廃棄が検討されておりますが、こうしたことが長い目で見た場合果たして合理的なのかどうか、あるいは不経済になりはしないのか。もしそうだとしたら、長期対策を展望しながらの短期対応の措置を考えなくてはいけないのではないかと思いますが、所見をお聞かせ願いたいと思います。  三番目には、これからの安定成長下におきまして、設備のあるべき量は幾らと考えていらっしゃるのか。まあ裏を返して申し上げるならば、現在の不況対策としての設備廃棄の適切な量は幾らと考えていられるのか。つまり七・二%程度成長があるとした場合、この七・二%自身もむずかしいという見方もございますが、まああるとした場合に、それを前提とした造船需要量がはじき出されると思いますが、それはどれくらいであるとお考えになっているのか。大幅に削減しなければならないという認識なのか、あるいは小幅でよいと見られるのか、この三点を平本参考人にお尋ねしたいと思います。  次に、永井参考人にお尋ねをいたします。  第一点は、造船不況対策として仕事量の確保が最大の課題である、いまもお話しになったとおりでございますが、造船界はその一つとしてSB方式を打ち出していらっしゃいますけれども、これに応ずるとした場合の船主協会としての条件は何であるのか。  第二番目の質問は、スクラップをするとした場合、船の減価償却がまだ済んでいないもの、まあつまり船の簿価が高いということから、スクラップ価格と簿価との差額を埋めてほしいということでありますけれども、その補てんがなされない限り応じられないということであるかどうか。補てんの具体的な中身を述べていただきたい。  第三番目には、六百万トンスクラップして、四百五十万トンをビルドするということでございますが、その四百五十万トンの新造船国際競争力を備えたものでなければならないのでございますが、いま仕組み船がふえるのは、一つは船員費の安さからと思われますけれども、仕組み船のゆえにまた予備員がふえ、結果としては、全体的にはコストアップになるのではないか、まあそこらあたりをどのように調整しつつ進めていこうとされているのか、お聞きしたいと思います。  次に、土居参考人畑田参考人、お二人のお立場からお聞きしたいと思います。  第一に、労使一体で解決しなければならぬ問題ではないかと思いますが、労働側は春闘のベアを凍結をしたと、このようにもう承っておりますけれども、このような状況であるから、それぞれの立場の人にそれぞれの要望があるだろうと思います。いまもいろいろ申されましたけれども、国に対して望む最も大事な点は何か、いろいろありますけれども、端的にお聞かせいただきたいと思います。  第二点は、組合として需要創出についての意見、たとえて言うならば海洋構造物、海洋開発研究、その他いろいろありましょうが、いろいろ出されておりますけれども、この中の一つでも具体化するために何か手を打たれたのか、労働組合としてはどういう働きかけが可能なのか、お聞かせいただきたいと思います。  第三に、造船産業が技術集約産業であり、その職種は五百種類ぐらいに及ぶと、このように承っておりますけれども、産業構造の転換が叫ばれ、みずからも模索しておられると思いますが、この五百種類からの技術が今後の産業転換において生かされる道は何なのか具体的に示して、産業転換政策への提言をしていただきたいと思います。  以上、時間がありませんからまとめて質問しましたが、順次お願いを申し上げます。
  24. 平本文男

    参考人平本文男君) 御質問に対してお答え申し上げます。  御質問の第一点は、われわれのグループでやっておりますシステム・ダイナミックスという手法による展望でございますが、これはいままで造船海運予測というものが各所でなされているわけでございます。しかし、結果は正直に言って余り当たってない。大体外れる傾向にあると思いますが、それはあたりまえのことでございまして、予測なり何なりというものは、一遍やっただけでそれがいつまでも長持ちするわけではございませんで、絶えずめんどうを見ていかなきゃならぬ。それはどんな手法を使っても同じことだと存じます。ただ、これは手法はわりあい後のめんどうの見方が簡単であるという理由があるわけでございます。それからその場合の、今後どう見るのかと申しますのは、先ほど申し上げましたように、海運造船界の外から、一般経済情勢なり何なりから入ってくる大きな流れがどうなのかということに非常に関連いたしまして、たとえばほかのことは固定しまして、経済成長を四%と仮定いたしますと先ほどのようなことになりますが、三%と仮定いたしますともう全然十年や十五年では浮き上がらないといった答えが出てくるし、五%と仮定しますと非常に乱高下が起こる。要するに海運造船というものは元来が非常に不安定なものでございまして、よそからの影響が非常に大きく効いてきて、中だけの対策ではどうにもならないと言うと語弊がございますが、なし得る範囲が非常に少ないといったものでございます。したがって十年先、七、八年先にはかなり回復するだろうと申し上げましたのも一つの計算例でございまして、そこら辺はもう少し毎年毎年詰めていかないと、上がってくるということは確かだと思うんですが、どの程度上がってくるかということは非常にむずかしい問題だと存じます。  それから不況対策と設備の廃棄量との問題で、長期的な展望をしながら短期の対策をしなければならないという御指摘、まさにそのとおりでございまして、短期の見方というものは、ここ二年とか三年とかの問題はどんな手法を使いましてもそう間違いなく出るものだと思います。しかしながら、それから先は上がってくるだろう、漸次上がってくるだろうという見込みもこれはどんな手法でも出てくると思いますが、さしあたり短期的にどういう手を打っていなければそこで頓死してしまうかというような判断になりますと、どうも私のわかる範囲の問題ではございませんので何ともお答え申し上げかねるとお答えをすべきだと存じます。  それから七・二%の経済成長というお話がございましたが、私ども考えておりますのは、一番初めに申し上げましたように、世界的な規模の中でどのぐらいを日本ができるのかということを押さえてそれで当たってみようといたしましたものですから、たとえば世界規模の話でございまして、日本の規模の話の問題はまだ全然手がけておりません。日本の規模となりますとかなりいろいろな性格の違った問題が出てくるのだと思います。たとえばよく話の出ているスクラップ・アンド・ビルドなんという問題も、世界的な規模でスクラップ・アンド・ビルドをやりますと、たとえば世界造船界に対しては確かにプラスになりますが、平均して申しますと海運界に対しては大して利益になるところはないんじゃないか。ところが競争力の非常に強い海運を持っているところでは非常に利益になるというふうにも考えますわけでございまして、そこら辺につきましても安定成長下で設備量はどのくらいかということでございますが、恐らく一時的には、たとえば世界で一千万総トンあるいはそれより減るかもしれない。そうすると、先ほどのお話のように、日本はせいぜいやってその三分の一、そうなりますと船が小型になりまして、自国の船は自分のところでつくろうやということになりますと、あるいは四分の一というオーダーに、世界マーケットから受けるのはそうなると思います。それをプラスするのはいろいろお話が出ております国内需要のもの、それを幾ら積めるかという問題で、とにかくそういう状態で三年なり四年なりを乗り切っていくためにはどうしておいたらいいのだろうかということと、それから先の問題が、回復期に対処するためにはどういう手を打っておいたらいいのか、休ましておくというようなことだとかいろいろな問題があると存じますが、そこらの考え方も具体的には何も私の商売柄から申し上げられないということで、お答えになりましたかなりませんかわからないような御返事でございますが、よろしくお願いします。
  25. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 参考人の方にお願いいたしますが、なるべく簡潔にひとつお願いします。
  26. 永井典彦

    参考人永井典彦君) 田代先生の御質問にお答えいたします。  スクラップ・アンド・ビルドの船主協会としての条件は何かという最初の御質問に対するお答えでございますが、船主協会として機関にかけた条件設定はまだございませんが、いろいろな御意見を私なりにまとめた条件といたしましては、まず、スクラップする場合に簿価との差を補助していただきたいということ、それからスクラップしてビルドする場合に、スクラップしたらビルドしなければならないという義務であってはぐあいが悪いので、スクラップしたらビルドする権利ということにしていただきたいということ、それからその場合でもスクラップした時期とビルドする時期との間にタイムラグを設けていただきたい、これもできるだけ長い方が海運界としては望ましいことでございますが、タイムラグを持たしていただきたいということ、それから、そういうふうにしてでき上がりました船は国際競争力を持った船でなくてはいけないということ、それが船主協会の大体の条件でございます。  それから二番目に、スクラップした場合に簿価との差を埋めてほしいという希望だが、これができない場合にはスクラップ・アンド・ビルドをしないのかという御質問に対しまして、いま大体の船主は非常に不況でございますので、償却が済んでおりませんので、いまの安いスクラップ価格で処理いたしますと簿価との差が出てまいります。すなわちこれが処分損になるわけであります。この処分損は実質的にその次でき上がってくる船の船価にプラスになるわけでございまして、それだけ新しくできる船のコストが高くなるというふうになります。これは社内的にそういう取り扱いをいたします。これが非常に高くなりますと、その船が国際競争力を持たなくなりますので、程度によりますが、全然補助がないとスクラップ・アンド・ビルドというものは最初から考え直していただかなきゃいけないと存じます、もちろん程度の問題でございますが。  それから六百万トンスクラップして四百五十万トンをビルドする場合に国際競争力を持った船でなければいけない、それは船員費をどうしたらいいかというようなお話でございますが、確かにいままでの船員費と申しますか、船員コストが高いので、われわれは仕組み船という方法を考え出しまして、そっちの方に逃げたわけでございますが、そういたしますと、ますます予備員の数が大きくなりまして、その予備員費がまたコストに加算されまして、結局かえってその方が高くつくというような状態もなきにしもあらずと言えると存じます。したがいまして、仕組み船をつくるのもある程度の限度があるわけでございますが、こういう状況の場合で新しい新造船の場合の船員問題につきましては、これは日本船でつくった場合にはもちろん日本船に乗っけなきゃいけないわけでございますが、このときは全日本海員組合とよく話をいたしまして種々協力を求めるつもりでおりますが、そのポイントといたしましては、定員をできるだけ少ない定員でやってもらいたいということをまず依頼したいと考えています。現在でも日本の船には日本の船員はほかの国と比べてそれほどたくさん乗っているわけじゃございませんが、しかしながら、日本の船員は非常に優秀でございますのと、一人一人の給料は相当高いわけでございますので、高能率を発揮していただかなきゃやっていけないと思いますので、そういう意味でできるだけ少ない定員でやっていただくことと同時に、また現在あります休暇制度の改革を検討していただきまして、少ない——少ないといいますか、いまはちょっと多過ぎると私考えておりますので、それを少し減らしました適当な日数の休暇でやってもらうようによく話をして、これがうまく話がつきますと、こういう形で新しい船がつくれるんじゃないかというふうに考えております。もちろんこの船をできるだけ機械化いたし、超合理化することは私の方で考えている次第でございます。  以上でございます。
  27. 土居山義

    参考人土居山義君) いまわれわれが一番望むものは、仕事量を確保したいということが一番大きな望みであります。  ちょっと補足させていただきますが、現在の国際関係では、実は新規受注はほとんどおぼつかないというのが現状であります。その最たる理由は、EC諸国において国家助成策が非常に手厚く行われてきた。従来二〇ないし三〇%のコストの差があったものが、たとえば西ドイツにおいて二八%の船価並びに建造補償を行っており、スウェーデンにおいては四五%も行っておるということでありますから、民間が主体となる西ドイツとの関係においてそれだけの補償があり、しかも円高があるという状態で、いま国内の大中小企業の競争ではなくて、国際的に一時的に国家助成によって競争力を失っておる。したがって、どうしても仕事をとるためには国内需要を喚起しなければならない。国内需要を喚起するためにはもちろん官公庁船の問題についていままで要求をしてまいりましたし、これではとうてい間尺に合いませんから、私たちが当面一番大きな問題としてはスクラップ・アンド・ビルドについて前向きに取り組んでもらいたい。そのためには船主に対する助成というものが伴うことは、これは当然である、このように考えておる次第であります。  では、一体今日までスクラップ・アンド・ビルドに対してどのような手を打ってきたかということでありますが、御案内のとおり、海員組合と造船重機は同一組織内にありますが、利害関係は実は相反するわけですね。したがいまして、海員組合との関係では労働組合が今回初めて自主的に政策懇談会なるものを設置をいたしまして、そこで冒頭に申し上げましたように、スクラップ・アンド・ビルドということで仕組み船を買い上げることによって老朽化したその船を近代化船に切りかえていくと、こういうことで海員の雇用問題も確保しながら、実際の仕事量として、特に中小企業等はもうのどから手が出るほど欲しいのがこの政策確立であります。このような手を現実に打ってきておるのでございます。  それから造船技術を生かすには何かということでありますが、端的に言いまして海洋構造物関係、さらには鉄鋼構造物関係、さらにプラントの単体関係等については造船技術をもって十分に対応できると、このように考えておる次第であります。
  28. 畑田薫

    参考人畑田薫君) 国に対して何を特に要望するかということでございますけれども、先ほどから意見の中あるいは目黒先生に対するお答えの中にも申し上げましたように、何をおいてもこれ以上失業者を出さぬと、失業予防についてこれを政策的に進めていただきたいと、すでにもう百三十六万人の失業者がおりますし、造船関係でもこれからいろいろ失業が続出するような状況等が出ておるわけでありますけれども、何としても失業の予防、雇用確保のための諸政策をぜひ推進をしていただきたいというふうに考えますし、そのことのためには、先ほど目黒先生にお答えしましたようなことなどをひとつぜひ実現するようにお願いをしたいと思います。  さらに需要創出の問題については、これまでも私ども先ほど来申し上げておりますように、運輸省、関係省に対してそれぞれの要求をいたしてまいっております。しかし、いま一番困難なのは、造船専業メーカーである中小造船が非常にいま困難な状況にあるわけでありまして、造船と申しましても、大手関係造船の割合は三〇%ないし五〇%台、あと陸上部門機械部門その他を抱えている総合メーカーでありますから一定の余力もあると思うわけでありますけれども、中小造船の場合は造船不況をもろに受けているわけでありますので、この中小造船専業メーカーに対する施策を緊急の課題として対応してもらいたい。そのためには、やはり官公庁船の優先発注の問題とか、あるいは地域経済においても大きな影響がありますので、地方自治体等の公共事業その他の優先発注等もひとつ働きかけていただきたいというふうに思います。特に内航船、小型船等々をやっております船舶整備公団の問題につきましても、中小に対する優先発注をぜひひとつお願いをしたいというふうに思いますし、これらはやろうと思えばできる問題ではないかというふうに考えておる次第であります。  これは技術の問題あれこれいろいろあるわけでありますけれども、それぞれ構造転換についてどうかということでございますが、大手企業の関係は先ほど申し上げたようにありますし、またこれから海洋構造物あるいは海底資源の開発その他のいろいろな面で新たな需要を創出していくということ等についてのいろいろな取り組み、あるいはそれに対する技術的なものは十分大手の関係はあると思います。しかし、中小関係はそういう点では転換が非常に困難な状況にあるわけでありまして、これら中小造船をどのように転換をしていくかということについては、今後海造審等でいろいろ議論はされるだろうと思いますが、これらが一番問題になってくるのではないだろうかというふうにいま考えているわけであります。  そういうことで終わりたいと思います。
  29. 内藤功

    内藤功君 まず土居参考人畑田参考人のお二人、労働組合の執行委員長でいらっしゃいますから率直なところをお伺いしたいんですが、私もこの間、佐世保重工を初めとする長崎、佐世保方面調査に行ってきたわけですが、佐世保重工では約八百人の退職募集に対して、約二倍の方が応募をした、こういう実態がありました。そのほか、関係者の方にお聞きすると、これは佐世保重工だけじゃなくて、ほかにも大分そのようなところがある。そこでお伺いしたいのは、こういうような一種のなだれ現象というものが今日の造船労働者の中では一般的な傾向だというふうに見ていいのか、あるいは佐世保の特殊な例だと見ていいのかという点の御両人のお考え。  それから、率直に言いまして、労働組合も予想できなかったようなこういうふうな多くの希望退職者が出たという、そこのところの背景ですね、表面的にはいろいろ新聞には書いてありますけれども、労働組合の最高責任者としてのお二人が見ておられるところ。それから、そういう予想し得なかった数が出てきたそういう労働者の状況といいますか、そんな点についてちょっと突っ込んだお考え、御判断があればお聞かせ願いたいと思うのですが。
  30. 土居山義

    参考人土居山義君) 希望退職の募集枠に対しまして、具体的に佐世保の関係で御指摘がありました。最近の傾向を見ますと、非常に残念ながら募集定数より上回っておるという傾向を示しております。これは函館の場合もそうでありますし、御指摘のありました佐世保の関係もそうでありますし、なお二、三の事例も出ております。私、この一番大きな背景というのは、実は私も当初予想しておらなかったんです。たとえば函館の場合は、造船界というのは御案内のとおり、地場産業ですから地元の方々が就業しているというのがほとんど大勢を占めておりまして、半農、半工、半漁、こういう形でお勤めになっている事例が函館の場合は概して多いのであります。したがって、多少函館の場合は場合によって定数を上回る傾向を示すのではないか、そういう土地柄の背景から言って。ところが、佐世保の場合はああいう環境地でありまして、私は上回る予想はしておりませんでした。したがって、そういう意味からいけば、私個人の予想からいけば函館の場合は予想を上回ったと、このように判断をいたしております。  では一体この背景は何だろうかということでありますが、御案内のとおり、造船不況が叫ばれ出したのは、実は具体的にはあの仕事量をいっぱい持っておった四十九年ごろから先行きぱたりと新規受注が減退をしてまいりまして、しかも既受注船が矢継ぎ早にキャンセルになってくるということで、先行きが大変だということがすでに当時から予見をされてまいりまして、いろいろ合理化対策を講じてまいりました。たとえば具体的には新規採用のストップだとかその他配転とか、こういうものが行われてまいって、四十九年の暮れから五十年、五十一年、五十二年にかけて、そういういわゆる不況に対応する具体的な諸方策に対して日常のごとく問題の解決をしなければならなかった。こういうことがひいては組合員の心情として造船先行きに対する不安がだんだん蓄積されていった、将来性を危ぶむ空気というものが造船界の中に出てきたということは、背景として否定できない事実ではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。  そこで、最近の労働者の心情として、そういう先行き不安ということから、これも御承知のように、希望退職を募る場合に、非常に苦しいところ、当面もうにっちもさっちもいかないところは別として、これから削減計画を漸次進めていかなきゃならぬというところは、退職金プラスアルファをつけておりますね。中高年層が退職期間との関係で退職金プラスアルファの相関関係計算しながら、定年に至るときの雇用所得の関係と退職金プラスアルファされた場合の雇用所得の関係、そういう個人による利害関係計算上働いたことも高年齢者層には、私、あったと思います。そういう心情は私は潜在的にあったと思います。若年者におきましては、先ほども言いましたように、若年者層の第三次産業への転換というのはまだある程度可能な面がありますし、さらに心情的には、独身者層の造船界に対する就労の熱意と言いますか、就労に対する意欲と言いますか、そういうものがだんだん、工事量減少に伴って従来のような自由濶達な仕事ができない、配転もしなきゃならぬ、こういうような職場環境の変化等にやはり心情的にそぐわないという感情が出てきたことも私はその背景の一つにあると思うのであります。そこで退職者の事例を見ますと、バランスが結果的にとれているわけですね。若年層もやめ、中高年層もやめるというような、こういう実態が実績の上で出てきたのであります。  以上、きわめてずさんな内容でありますが、終わります。
  31. 畑田薫

    参考人畑田薫君) 希望退職の傾向でありますけれども、先ほど土居さんの方からもありましたが、確かに私どもが予測している以上に応募者が出てくるという状況にあります。私どもの関係では函館笠戸の場合、予定しておりますよりも大体五割増しという状況になっているわけでありまして、それらの背景といいますか、応募してくる実情についてもいろいろ調べているわけでありますが、当初は確かに応募者の大部分は中高年層が大体ほとんどだったのです。そういうことからいたしますと、やはり退職金の割り増しその他というものとの一応の計算上の関係があるのじゃないかということ等もいろいろ考えているのでありますが、笠戸の場合、私どもの関係では初めてでありますけれども、二十歳から三十歳代、若い人が半数以上を占めておるという状況等も出ております。これらの点については、造船の先行きその他に対する不安、あるいは新たな再就職の道を求めるという何もあっているんではないかというように考えるわけでありますが、しかしもっと突っ込んでそれぞれの事情調査してみますと、やはり生活上の問題が一番大きな原因になっているというふうに私ども見ているわけであります。このことはローンの返済であります。住宅持ち家政策その他なんかが進められまして、住宅のローンの返済あるいは自動車購入ローンなど、そういう耐久消費財を初めとする月々のローンが大体平均四万から五万という状況にあります。これがここ一、二年の造船不況ということの中で——造船の場合は時間外労働恒常化しておりまして、その時間外労働収入が大体三万から五万円ぐらいの収入であります。これが今日仕事量不足ということの中で一切の時間外労働が打ち切られる、あるいはこれが縮減されていると、こういうことの中で時間外労働収入三万ないし五万というのがなくなってきた、こういうことからローン返済が非常な負担になり、生計費を圧迫しているという状況であります。そういうことから、この際希望退職に応じて、これでローン関係を一括清算をして——新たな再就職をしましても従来より比べれば名目賃金は大きく下がるかもしれない、そういうことにおいて支出面から一定の実収入というものを確保していく、こういう点が共通的に出てきているわけでありまして、これは単に雇用問題希望退職というものが単に雇用ということ以前にこの労働者の生活実態、生活問題というのにかかわっているということが非常に大きな問題ではないかと、これらについて私どもといたしましても、労働組合の立場からもっともっとこの労働者の生活実態というものに即した立場をとらなければならないだろうというふうに考えておるわけであります。
  32. 内藤功

    内藤功君 次に、私どもの九州方面での調査でも、中手、それから小手の業界から強く要望されましたし、また、さっき畑田参考人がちょっと言われましたが、大手の造船のいわゆる官公庁船、それから小型船、さらに漁船の分野への進出というのがちょっとわれわれの想像以上にやっぱり出てきているんじゃないか。大手の造船は、先ほどもどなたか言われましたが、陸上機械、原動機なんかもやっているところも多くて、これは総合重工業と言った方が適当なところが多いわけです。そういうところでは需要を創出していくという方法があるでしょうが、専業度の高い中小ではこれは大変だろう思うんです。私、これは海事新聞だと思いますが、具体的に書いてありますから申しますと、長崎県の水産試験所の漁業調査船六十五総トン、さっき言われたのはこれだろうと思うんです。これが三菱重工が落札をしている。地元の漁船造船所である長崎造船より約八百万円応札船価が低いということが記事に出ておるわけですね。これは二つの問題、つまりこういう六十五トンというような小型の船へまで進出してきている。しかも、国の船じゃなくて県の水産試験所の漁業調査船ですな。しかも長崎造船所という地元の造船所より八百万円低い価格だと、これは非常に深刻な問題だと思うんですよ。私は、まあこれは時間がありませんから簡単で結構ですが、東京大学の平本先生と、それから土居畑田参考人、お三人の方に具体的にこれに対する分野規制ですね、あるいはまあ調整でも結構ですが、どういう具体的な方法でやっていったらいいのかという点をずばり最後にお聞きしたいと思うんです。
  33. 平本文男

    参考人平本文男君) 私、いま例示されました六十五トンの漁業調査船という話はうかつにも初めて伺ったところでございますが、これは三菱重工の長崎造船所でやったのか、あるいは三菱重工の中に下関という工場がございまして、あそこはああいうふうな小型船あるいは調査船などの……
  34. 内藤功

    内藤功君 長崎造船でございます。
  35. 平本文男

    参考人平本文男君) 長崎でございますか——。長崎でどういうあれでそういうところまで手を出さざるを得なくなったのかということはまことに了解に苦しむというか、全然わからないのでございますが、あそこの設備を使って六十五トンの漁業調査船をやって引き合うとはどうも考えられないのでございますが……。
  36. 内藤功

    内藤功君 一般的な規制についてのお考えはどうですか。
  37. 平本文男

    参考人平本文男君) 一般的には、船の種類によりまして、かなり小型船でも高度の技術力というか、そこを得意としている部門はあると存じます。そういうものについては、ある程度前からの受注実績なり何なりという信用度の問題が絡んでくるかとは存じますが、一般的になかなか言い切れないようにも思うのでございますが、よろしゅうございますか、どうも……。
  38. 土居山義

    参考人土居山義君) 私も長崎造船で水産試験所の六十五トンですか、これを受注したというのは寡聞にして知りませんでした。問題は、この六十五トンの船がどういう機能を持つものであるかということが明白になればもっとはっきりした答えは出ると思いますが、私自身実は三菱出身でありますが、これが単純な六十五トンの単純船であれば御指摘の問題ありと私も見ています。  それから、分野調整の問題について触れたいと思うんですけれども、分野調整の問題は、いま平本先生もおっしゃったように、大手の中に中級クラスの造船所が実はあることを見逃していただくと困るわけでございます。これは長崎におきましても、あの三菱におきましても、石播におきましても、三井におきましても、日立におきましても、中・小型船をつくる造船所を持っております。御案内のとおり、こうした事業所は半独立採算的な運用を行っております。したがいまして、どうしてもそこで受注し、工事量を消化しなければ——そういう中小造船所は一〇〇%造船事業所なんです。小さい事業所は陸上機械はやっていないわけです。したがいまして、そういう範囲も含めて分野調整という問題については、私はこれだけ貧してくれば弱肉強食の憂えが出てきますから、したがいまして、ある程度調整は必要であるというように考えておるのです。私自身も調整は必要であると考えております。ただ、先ほど畑田さんもおっしゃったんですが、いま国内船で国内における受注競争というものがまだあることは事実なんです。低船価で受注競争をやっておることは事実あるわけでありますが、少なくとも国際的には、去年の西ドイツの集中発注豪雨的な状況と異なりまして、完全にいままで国際的にはわが国の国内の造船所がお互いに低船価で競争し合ったんです。ところが、今日の段階においては、国内の企業の競争ではなくて、国際的な競争になっているという転換された事実を私はまず理解をしていただかないと、去年のイメージ、ことしでもって国際的な競争でなおかつ日本同士が足を引っ張り合っているのだという、そういう被害観では私は判断の誤りがあるのではないか。したがいまして、国内船関係について先ほどおっしゃいましたような関係については、分野調整ということは検討に値する課題であると、このように考えております。
  39. 畑田薫

    参考人畑田薫君) 分野調整を具体的にどのようにやっていくかということについては、なかなかむずかしい問題があります。先ほどから言われておりますように、トン数でやるのか、船の種類別でやるのか、いろいろあると思うんです。しかし、それらをどのようにしていくかは、非常に具体的にはむずかしい問題があるわけでありますけれども、しかし、いずれにしても先ほど申し上げたような例等からいたしますと、余りにも極端でありますから、このままの状態を放置したのではもう中小造船はつぶれていくということになってしまうわけであります。したがって、当面とりあえずは、私どもこれまで運輸省とかなり交渉をしてきたわけでありますけれども、やはり運輸省自体においてそれぞれ建造許可をしているわけでありますから、建造許可段階でそれぞれチェックをして、いまの中小造船の実情というものを考えに入れた中で一定の規制をしていくということは、やろうと思えばできるわけでありますからやるとか、あるいは先ほど長崎等の例が出ておりますような、漁業調査船その他、これは水産庁等々の関係がありますし、あるいは油回収船等は建設省との関係がありますから、それぞれの政府の関係省においても、中小への優先発注というものを一つの行政指導において考えていくということでやっていただく必要があるんではないか、というふうに考えておる次第であります。
  40. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に、平本参考人の方にお聞きをするんですが、先ほど海運造船は十年周期でもって好、不況がめぐってくるんだというお話があったんです。で、一つのパターンの御説明があったんですが、その範疇にいまのこの造船不況というのが入るのかどうかですね。といいますのは、そういうことで予測が立つならば、海造審においても、あの石油ショックの前に一つの見通しを立てて、何らかの規制ができたと思うんです。また、あの石油ショックが起きた後も、産業構造審議会でもって、もう従来のようなことではだめなんだからと言って、産業構造の転換が審議されて答申が出されているわけなんです。もう従来の産業構造から転換するんだと言って、あの四十九年九月に出された産業構造審議会の答申でも、昭和五十五年の日本造船能力は二千九十万総トンにするんだという答申を書いているわけなんです。全くいまの現状とはもうかけ離れてしまっているんです。ですから、そういう点から言って、従来のこの十年周期という、そこに私は当てはまらないような今日の構造不況だと思うんですが、もう一回そこの点だけお聞きしたいんです。
  41. 平本文男

    参考人平本文男君) お答え申し上げます。  確かにいまの不況というのは、十年周期にあるいは入らないかとも思います。しかし過去の例から模型をつくりまして動かしてみますと、七三年——前の大量発注と、それからその後のドロップというのは、先ほど申し上げましたように、主に効いてきたのはGNP伸びなんですが、GNP伸びと、それから各輸送資材の弾性値が変わってきたという、その数字的な説明は一応つじつまが合っているんでございます。ただ、回復がどうなのかということになりますと、先ほど申し上げましたように、過去における経営者なり国なりの行動がそのまま当てはまるとは思いませんし、そういたしますと、非常に行動が慎重になると申しますか、そうすると先行きいいだろうというのは非常に危ない見通しであるということは十分存じております。まあ過去のものがそういうふうなことで説明できたというにとどまりまして、確かにこれから先の見通しの中にこういうこともあり得るんだということをひとつ入れておく必要はあると存じますが——上がるかもしれないということですね、入れておく必要はあると思いますが、計算結果なり何なりが出てきて、それをうのみに信ずるということは非常に危険だというふうには存じております。
  42. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、永井参考人にお聞きをいたします。  先ほど運賃市況関係ペルシャ湾いろいろ出てきて、景気のいいときと違って、いまはもう大変な赤字なんだという御説明があったんですが、もう一つ定期航路のニューヨーク航路ですか、ニューヨーク航路の定期で、現在の運賃市況がどうなっているのかということを、これは簡単でよろしいですからお聞きしたいことと、それからタンカーが、先ほどのお話で、現在一億トンから過剰になっているというお話だったんですが、この数字というのは、かなり前の数字ではないのかと思うんです。私が最近調べたのでは、大体デッドウエートでもって五千万トン。ですから、その辺のところはもう一回お聞きしたいと思うのです。  それからもう一つの点は、この間、海員組合と、そこにきょう参考人に出ております土居さんの造船重機労連から「国内LNG船の建造体制の早期確立について」ということについて申し入れを受けました。で、こういうカリンガスの問題もだんだん話が進んでいくわけなんで、船主協会の方としてこの国内LNG船について現在どういうお考えをお持ちなのか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  43. 永井典彦

    参考人永井典彦君) お答えいたします。  まず運賃市況の問題で、ニューヨーク航路の運賃市況でございますが、ニューヨーク航路はいわゆる定期航路でございますので、運賃タリフ、運賃表によりまして同盟船は全部やっておりますので、不定期船のような運賃の変動は特にありません。したがいまして、運賃問題についてのトラブル、悩みは、ニューヨーク航路にはございません。ただ一般の不定期船が非常に不況になってまいりますと、この定期航路秩序を保っていた航路にアウトサイダーが侵入してまいりまして、そのアウトサイダーがこの運賃タリフを若干乱すということがございますが、それ以外は運賃は安定しておると言っても過言ではないかと存じます。  それからタンカー不況に関連いたしまして、過剰が五千万トン程度というお話でございますが、これはなかなかつかみにくいのでございまして、私どもがいまつかんでいるのは、先ほど申し上げましたように三億八千万トン、それで要るのが二億八千万トンぐらいで、一億トン余っているというのが私どもの調査した資料によります数字でございます。  ただ、これがどういう状態にいるかといいますと、これは係船されているものもございますし、それから航海スピードをうんと遅くいたしまして、それで過剰船腹を消化しているというのもございますし、いろいろ形を考えまして、これを消化しているわけでございます。一億トンと申しましても、一億トンがずらりと並べて係船しているわけじゃないわけでございますけれども、計算上一億トンの船が余分だということは言えるんじゃないかと思いますが。  それから国内LNG船の問題でございますが、船協といたしましては、これに積極的に取り組みたいと考えております。LNGは、将来日本にとりまして最も重要なエネルギー源になるという認識でわれわれおりますので、この輸送につきましては日本船としてもぜひ参加したいと思いますので、われわれとしては積極的にこれに取り組みたいと考えております。
  44. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう一つ、そのいまの係船の問題は、私の調べたのも、係船しているのがデッドウエートで三千万トン、それからいまのスピードダウンさせているもの、それが換算をしてみるとほぼ二千万デッドウエートトンだというのがつい最近の調べだったものですから、それはもうわかりましたのでよろしいです。  それで、いま、もう一つお聞きしたいというのは、先ほど船員費の問題が出されました。国際競争力の云々と。で、この船員費の関係で、世界のといいますか、あるいはヨーロッパとの比較でもいいんですから、大体どのくらいの違いがあるのか。ごく大まかなところでよろしいです。余り細かい数字は要りませんので、その比較を聞かしていただきたい。
  45. 永井典彦

    参考人永井典彦君) 船員費と申し上げましたが、船員コストでございます。一つの船に付加されます船員コストの問題でございます。これは船主協会で調査いたしましたものでございまして、昨年の五月に海運造船合理化審議会に提出した資料でございますが、これによりますと、中核六社の平均の船員コストは、一万トン型の在来の定期船におきましては一年間で平均約三億四千五百万円でございます。イギリスの場合におきましてはそれが一億七千万円。このイギリスの場合と申しますのは、全部イギリス人が乗った船員費の合計が一億七千万円、それをたとえばオフィサーはイギリス人でクルーはインド人とか中華人のような場合はそれが一億四千三百万円になる。それからノルウェー船は一億四千七百九十万円。それからイタリア船の場合は一億四千七百万円。ギリシャ船の場合は、これは主として外国船員と混乗しておりますが、したがいまして全部ギリシャ船員じゃございません、混乗形式でやっておりますが、これが七千三百万円。それから東南アジアの船員で計算いたしますと一億一千四百万円になります。
  46. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう一つ、今度は土居参考人の方にお聞きするんですが、さっき五十三年度の操業度が三〇%で大体この七月、八月ごろで底をつくんだというお話がありましたが、この底をつくというのは、大手も含めまして、そしてほとんどがそういう状態になってしまうことを指しているのか、それとも中小手クラスのその辺のところでそういう見方をしているのか、その辺もうちょっと詳しくお聞きしたいんです。
  47. 土居山義

    参考人土居山義君) 三〇%台と申し上げましたのは平均でございます。五十三年度以前はむしろ中小手の方が若干上回って、おったんでありますが、五十三年度の予想は中小手が若干下回りまして二七、八%台になろうかと思います。それから中小手関係で一番持っておるのは、来年の三月ぐらいまで持っております。他は大手関係おしなべまして、大体三井さんを除きまして七、八月ごろに、大手の場合もこのまま推移すれば底をつく状況にあります。
  48. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  49. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  50. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  特定不況産業安定臨時措置法案について、商工委員会に対し、連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      —————・—————