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1978-03-23 第84回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十三日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  二月十四日     辞任         補欠選任      高平 公友君     宮田  輝君      内藤  功君     橋本  敦君  二月十五日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     高平 公友君  二月十六日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     内藤  功君  二月二十二日     辞任         補欠選任      内藤  功君     神谷信之助君  二月二十四日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     内藤  功君  二月二十八日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     中村 利次君  三月一日     辞任         補欠選任      内藤  功君     宮本 顕治君      中村 利次君     柳澤 錬造君  三月二日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     内藤  功君  三月二十二日     辞任         補欠選任     茜ケ久保重光君     赤桐  操君      内藤  功君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 赤桐  操君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 田代富士男君                 渡辺  武君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君        建 設 大 臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  櫻内 義雄君    政府委員        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁大都市圏        整備局長     国塚 武平君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君        海上保安庁次長  向井  清君        郵政政務次官   宮崎 茂一君        建設省都市局長  小林 幸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    加藤  晶君        郵政省電波監理        局放送部長    澤田 茂生君        労働省職業安定        局雇用保険課長  望月 三郎君        自治省財政局財        政課長      関根 則之君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      篠原  治君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君    参考人        日本住宅公団理        事        澤田 光英君        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本施策に関する件) ○特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(第  八十二回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院  送付)     —————————————
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、内藤功君及び茜ケ久保重光君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君及び赤桐操君が選任されました。     —————————————
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本住宅公団理事澤田光英君を参考人として出席を求めることを、また特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案の審査のため、必要に応じ、新東京国際空港公団の役職員参考人として出席を求めることとし、その人選等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 内田善利

    委員長内田善利君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 大臣国鉄総裁にお伺いしたいと思いますが、昭和五十三年度の国鉄予算案によりますると、運賃改定収入が五十三年度分として二千五百五十億円増となっておりますけれども運賃値上げについてはどのように考えておられますか。
  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 予算におきまして、御指摘のような数字を挙げておりますが、この問題はいろんな面からきわめて慎重に取り扱う必要がございますので、現在まだ、いつからどれだけ上げるということを決めておるわけではございません。そのうちにこの点について何らかの処置をしなければならないということは考えておりますが、いま申しましたように、努めて慎重に対処いたしたい、こう考えております。
  8. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもといたしましては、ただいま参議院で御審議になっております予算で、二千五百五十億円の歳入追加ということで予定されておりますので、その予算の御審議の経過を踏まえつつ、しかるべき時期に運賃改定をやはりお願いをいたしたい。具体的にどういう案にいたすかということをただいま内部におきまして準備作業中でございます。まだ、いつ私ども運輸大臣の方にどの程度内容を持ったものの認可申請をいたすかということは、私自身まだ決めておらないわけでございますが、内部でいっでもそういう事態に対応できるように準備を取り進めておるというのが現段階でございます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、二千五百五十億円というものを予算案としては提示したけれども、これも架空数字であるというように理解してよろしゅうございますか。
  10. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 予算は、私どもが原案をつくった、そして政府お願いをしたものでございます。その意味では五十三年度の国鉄経営を考えますと、やはり運賃改定を避けることはできないのではないか。相当運賃改定をさしていただいて、それによって収入増加を図りましても、なかなか巨額な赤字が消えないわけでございますので、もちろん企業努力もいたしますし、昨年五十二年度に比べまして千億弱多い助成金をいただくことになっておるわけでございますけれども、それでもなおかつ単年度の経営成績はあんまりよくなる期待を持ってない現状でございますので、はなはだ残念ながら、やはり改定をお認め願うように政府お願いをしなければならぬだろうというふうに考えておるわけでございまして、その意味架空ということではなくて、それを一つ目安とした改定お願いせざるを得ないだろうという心境になっております。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 総裁大体、いま言われたように、何も考えてないというようなことをあなた言われたり、いまのところまだ考慮中と言われたり、二千五百五十億円という数字があるにもかかわらずこの問題についてはまだ検討中だと。で、大臣とも何もまだ話してないということになると、全くの白紙だというように考えられるし、しかも二千五百五十億円そのものについては私は根拠をもって提案されていると思うのでありますが、その点いかがですか。
  12. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、そういう前提予算お願いしているわけでございまして、その結果来年の経営収支は大体八千億ほどの赤字に残念ながらなるという前提でございます。したがいまして、この改定がもしありませんと、またますますこの経営状態が悪くなるということでございますので、やはり改定お願いしなければならないと思っております。  ただ、冒頭に申しましたのは、具体的にいつからどういう内容改定お願いするかということがまだ決断をいたしてないという意味において決めてないということでございまして、もう三月も中旬過ぎておりますので、近々それを決めましてお願いをいたさなければならぬというように考えておるわけでございます。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、いつからどれだけ上げるかということについては、ひとついまから考えるということだそうでありますけれども、二千五百五十億円の根拠についてはすでに検討して決定されたものである。権威ある予算案が決定されるという段階において具体的数字も出てきた。そうすると、これから値上げの時期やパーセントについてはまだ考えてないということと矛盾しやしませんか。
  14. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私は必ずしも矛盾しないと思うのでございます。基本的な考え方としては、やはりことし予算に示されました二千五百五十億というのは一つの重要な目安でございますが、その重要な目安念頭に置きながら具体的な案を立てなければならぬ、また立てたいというふうに考えております。  ただ、その中での作業相当進行はいたしておりますけれども、しかし現状において、今日ただいまの段階において何日から、そしてどのぐらいの上げ幅でということを決断をいたしておらぬという意味でございまして、そういう意味で御理解をいただきたいと思います。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 もう少し私ははっきり言った方がいいと思うのですよ。いろいろ前回の委員会等でも議論いたしましたし、あれだけ激論を闘わして決定されたものでありますから、そういう点については、大体、十月から上げた場合には幾らになるのか、あるいはまた八月ではどうかと、六月ではどうかと、四月ということはもうすでに困難だと思いますけれども、そういうことでいきますと、われわれ素人だって大体パーセンテージ等についてはわかってくるわけですからね、その点についてひとつ——まだ考えてないということでございますか。
  16. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その点につきましては、予算の問題として御説明いたしておりますように、仮に六月から改定をさしていただいて、そして年間を通じて二千五百五十億円の収入増加を図るということでありました場合には、総体といたしまして——と申しますのは、運賃料金あるいは旅客運賃、それから貨物運賃の総体つっくるみで一四%の改定率になる。これは計算上、そろばんの上でそういうふうなことになるわけでございまして、二千五百五十億円という数字と、改定をしない場合の収入見込み額とを比較いたしますと、六月一日から仮に改定をしたならば一四%になるという、これは計算上はそうなっておるわけでございます。ただ、具体的に六月のいつからお願いするようになるかということ、あるいは七月にかかるかどうかというようなこと、あるいはまた中身といたしまして、旅客貨物関係をどうするかとか、あるいは運賃料金関係をどうするかとかいうことをいま煮詰めているところでございまして、やはり予算でそういう数字が示されております以上は、またそれをお願いいたしました以上は、私どもとしてほぼそういった水準の改定お願いいたしたい、そういう内容認可申請運輸省の方に提出いたしたいというふうに考えております。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 そういうことを言ってくれれば理解しない人はいないと思うんです。現状というものについてはよくわかっているわけですけれども、まだ考えてないということを権威ある委員会に言われたんじゃね、総裁、これはやっぱり二千五百五十億円というものを出しておりながら、まだ考えてないなんということを言われたんじゃ、これは委員会に対する冒涜だと思いますよ。そういう点から、これらの関係等についてはむずかしい点があるかもしれないけれども、しかしやはり具体的にいま言えないにしても、いま言われたような点については、やはり率直に言っていくべきだというようにぼくは考えますので、そういう点で要請をしたわけであります。  それから、いよいよ春闘の時期に入ったわけでありますけれども国鉄関係は、各公労協も各官公庁、その他民間産業問わず、今日のこの現状の中で、組合員アンケート調査等消費者物価に対する要求なんかを根拠にいたしまして、長引く不況や雇用不安、あるいはまた今日政府が決定いたしました再度公定歩合の引き下げ、これは預金金利との連動にもなりますので、そういう点から非常に生活は苦しいと、しかも、減税問題等については欧米各国とわが国との対応の仕方、考え方というものは全くこれは違っておりますので、そういう点からどうしてもひとつ三万二千円程度上げてもらいたいというような要求が出ておると聞いております。その点について政府はいち早く、不況下だから賃上げについては自粛すべきであるという、またぞろガイドラインのような方式を打ち出しているわけでありますけれども運輸大臣はこれを自主決定に任すということを、この際言ってもらいたいと思うんでありますけれども、この点いかがですか。
  18. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま青木さん御指摘の点につきましては、一部労働大臣等の立場においてこれはこれでお答えしなきゃならない部分があるわけでございますが、私どもは昔その種のこともやりましたし、いまおっしゃりますことが私は私なりに理解ができるわけでございまして、私としては努めて労使交渉を尊重して、いたずらに押しつけるというようなことは考えておりません。先ほどからお話しのようなことを念頭に置きつつ善処いたしたいと考えております。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 私が申し上げたことについてよくわかったということでございますけれども、いま民間産業不況状態を考えなきゃいけないということは、たとえば今度国会に提案されております特定不況産業業種の問題ですね、造船やアルミや平電炉やその他の不況業種のことを考えつつ、これに準拠するなんということはおよそ考えておられないと思うんですけれども、この点いかがですか。
  20. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 法律それぞれ目的とするところがございます。ことに特定不況業種に関するもの等はこの時点における特殊の事態に対処してのことでございます。おのずからそれはそれなりの目的を持っているわけでございまして、何もかも一緒にしてということを考えておるわけではございません。ただし、いまとしてはどう考えるかということは、これはある程度は必要でもあろうかと思います。その点をよく考えて対処いたしたいと思っております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 私はまだここで細かく詰めていくという考えは持っておりません。ただ、賃金を抑えればいいんだということは、その逆現象としてさらに消費購買能力を減退させますし、それから消費購買能力がどんどん減退することは、これはもちろん在庫調整機能にもそごを来しますし、あるいはまた投資関係に対するマインドがさらに冷え切っていくということになると思うんでありますので、その点について、政府公共投資ばっかりやればいいんだという考え方でなくて、大いにひとつ、大臣大物大臣ですから、その点は閣内でひとつ大いに主張していただきたい。このままいったら減税は全く超ミニ減税だと、しかも物価だってこれは上がっているわけですから、その点の今日の生活苦の状態というものを考えたときに、このまま行きますと実質賃金相当程度低下するだろうということは、これは朝野一致した意見でありますし、またこれは経営者サイドにおきましても、やはりこの際、減税については思い切って減税やってもらいたい、また思い切ったこの際、賃上げ等についてもやるべきじゃないかという声を私たち相当耳にいたしておりますので、その点についてひとつ大臣の御所見をもう一度お伺いいたしたいと思います。
  22. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 大物でもございませんが、お話しのこと等を体しましてせいぜい努力をさせていただきたいと存じます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 昨年末の臨時国会で、国有鉄道運賃法の一部改正とともに日本国有鉄道法の六条改正がなされました。国鉄投資事業範囲が著しく拡大されまして、国鉄関連事業はどうなるのかということについては、いま関心の的となっているわけでありますが、大臣法案提出大臣としてこの問題についていかに考えておられますかお伺いいたします。
  24. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 国鉄法改正とともに、なるほど改正したかいがあったというような実を上げることはぜひ必要でございまして、そういう意味でいろいろの対処をしていかなければならないのでございますが、いまお話し法案につきましても、過去にもいろいろの経験等を経て今日に来ているのでありますが、それぞれ問題は確かにございます。ございますが、法律趣旨に従った善処をいたしたいと思うわけでございまして、やや具体的に、この点につきましては政府委員からお答えさせることにいたします。
  25. 住田正二

    政府委員住田正二君) 昨年の法律改正国鉄関連事業範囲を拡大させていただいたわけでございますが、今後の国鉄の再建を考える場合に、運賃につきましては毎年経費上昇額ということでそういう制限を受けておりますので、運賃で現在の赤字体質を改善していくことは非常にむずかしい。したがって、今後は一方では国鉄営業努力ということがきわめて重要になるわけでございますが、その中でも、やはり関連事業収入というものに期待しなければならない分野がかなりあるのではないか。国鉄は非常に多くの財産を持っているわけでございますので、そういうものを十分活用してもらいたいと。まだ関係政令が成立いたしておりませんけれども政令の制定に当たりましては国鉄の方で考えておられる計画が実現できるように十分配慮いたしていきたいと思っております。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 総裁はどう考えていらっしゃいますか。
  27. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま政府側から御答弁がございましたように、私どもといたしましても、従来に比べまして一層土地等を活用した関連事業収入を上げ得るようにいたしたいと思っております。ただ、そうは申しましても、いままで余りそういう点に力を入れてまいりませんでした関係上、職員等におきましてもまだそうした仕事に取り組むのにふなれでございますから、法律改正していただきましたけれども、直ちにたとえば昭和五十三年度からそれによる収入に多くを期待いたすということもできないわけでございまして、少し長い目で見ていただきたいと思っております。昨年の秋以降、地方の管理局におきましても、こうした仕事を担当する部局を整備し、人員を整備しつつあるところでございまして、いまやっと各管理局から新しい取り組みの芽といったようなものか出てきつつあるところでございます。心組みといたしましては相当力を入れていかなきゃならぬと思っておりますが、それが経営改善数字の上でつながってくるにはなお相当の時間がかかるものというふうに見通しをいたしております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、いま国鉄改正前の六条で行っている関連事業に対する投資並びに最近の関連収入実績について、簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
  29. 篠原治

    説明員篠原治君) 現在時点におきまして国鉄が出資いたしております会社は五十六社でございます。その五十六社の会社成績ということでございますけれども、五十六社ございますうちの半数貨物関係でございます。臨海鉄道でございますとかその他の会社でございます。半数弱がいわゆる旅客ターミナル施設並びに乗車券代売をいたしておりますところの交通公社等でございます。この五十六社は、設立の趣旨からまいりまして、投資と違うものがあると考えます。二つに大別されると思います。貨物関係につきましては、これは収入を期待すると申しますよりも、国鉄貨物輸送の代替と申しますか、そういうような性格である。したがいまして、ここからは配当を期待するというような性格ではないとわれわれは理解いたします。私たちが考えておりますのは、旅客ターミナル施設、これはもともとスタートの時点から、この会社から国鉄構内営業料金を収受するとともに、会社成績が向上いたしました時点においては配当をも期待するということでございます。  いまお尋ねの点を公社にひとつしぼってお答え申し上げたいと思います。公社の方の関係でございますけれども、現在駅ビルにつきましては二十七社出資いたしております。二十七社出資いたしておりますけれども会社ができまして二、三年というところでございましてまだ営業に至っていないものが約半数ございます。ことしの春から次第に営業を開始をする、オープンをいたすという段階でございます。一番早くオープンいたしましたものにつきましてもまだ開業後四年というところでございまして、その時点において会社から配当を期待するということは非常にむずかしい。ただし、構内営業料金会社が設立されました時点からこれは構内営業料金適確に収受いたしております。それと、配当につきましては、ただいま申し上げましたように、まだ配当に至らぬと。ただ、駅ビルのうち二社からはすでに配当を収受しているということでございます。  何回も申し上げますけれども構内営業料金的なものとして駅ビルからは約十億を出資会社の一部からは収受し、配当金は一億三千万収受していると、こういうことでございます。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 いまのお話にありましたように、そんなにすぐさまもうかるものではないということはよくわかるわけでありますが、今回の国鉄法改正で特に認められたといいますか、論議されました中心は、業務の運営上必要な場合におきましてはこれはもちろんだけれども、これは特に財政上必要な場合も投資することが実は認められているわけであります。投資対象等についても業務委託事業とか運輸関運事業のほかに、資産の高度利用ということが保証されているわけでありますが、そのほか、営業線利用の促進に関する事業ということが追加されておりますけれども、いまこれらの点についてどう考えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  31. 篠原治

    説明員篠原治君) 今度の六条の改正によりまして新しくわれわれの方にやらせていただくことができるようになりましたのは、いまお話しのように高度利用営業線利用の促進でございます。高度利用につきましては、私どもがただいまの時点で考えておりますのは、貸しビル業でございますとか、あるいはホテル業でございますとか、あるいは住宅——これは賃貸の方もございましょうし、分譲の問題もございましょうし、いろんな形態はあると思いますけれども、住宅関係あるいはスポーツ、あるいはレジャー関係、バスターミナルあるいは駐車場もございましょう。その他さまざまなものをわれわれ実は考えているわけでございます。具体的にどこにどうというところまで確定はいたしておりませんけれども政令改正を待ってスタートできるように事前の準備はただいま進行中でございます。  営業線利用促進につきましては、観光地におきますところの宿泊施設でございますとか、あるいはSLホテルでございますとか、そういうものを考えておりますし、あるいは観光レクリエーション施設といたしましても、スポーツ施設でございますとか、あるいは保健休養、文化施設、あるいは自然公園等々ただいま考えているところでございます。これにつきましても、具体的にどこというところまではまだ至っていないというのが現状でございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 いま言われたように、非常に広範囲事業投資することができるようになったわけでありますが、運輸省はこの点については先ほど住田鉄監局長から国鉄の考えているようなことについてはこれを運輸省としても応援をして認めていく方向で努力していくというお話があったわけでありますが、どうお考えになりますか。
  33. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、いま国鉄といろいろ協議中でございます。できるだけ早く政令化をいたしたいと考えているわけでございます。
  34. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私、素人臭いことを申し上げますが、せっかく青木さんがそうした御意見を御開陳いただいておりますので、まあ私は民間人等として考えていた際に思いますことは、国鉄のようなああいうところはそれなりのマンネリズムもあろうかと思いますので、いまいろいろ抱負を述べられたが、同時に広く部外の人、国会等方面からの御意見等も伺いつつ、余りどこでもやっているようなことばっかりやって民間企業を圧迫するというようなことの非難を受けてもこれも余り上手じゃないと思います。しかし、ある程度はやむを得ないかと思いますが。そこで日本にいままでないような、世界には幾らも例のあるような例がたくさんございますから、広く知識をそういう方面に求めて、なるほど国鉄が新しくうまいことをやったなと言われるようなことを、これは妙な話でございますけれども高木君がきょう来ておられるので、この席で聞いておいていただいてひとつ新機軸も開いていただきたい、こういうように考えます。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 大臣がせっかくそういう話ですから、じゃあ聞きますけれども、イギリスの国鉄で、ホテルの経営に対して一〇〇%出資の英国運輸ホテル会社が設置されているんであります。これは二十九のホテルと、別のホテル会社に貸している一ホテルを加えて三十のホテルがあります。こういうような関係投資していく中におきまして、国鉄ホテルはスコットランドへの観光客と海外のビジネス客の誘致などに力を入れて、対前年三二%増の実績を上げ、収益を伸ばしたと、こういうような問題等が具体的にあります。これらは約一万人の国鉄職員によって運営されているわけでありまして、ビクトリア駅のグロスベノールホテルの経営をグランド・メトロポリタンホテル会社から取り戻し、国鉄のホテル経営のリーダーとしての地位を強化した。一昨年の夏行われた世界四大タイトルの一つ全英オープンゴルフのひのき舞台となったターンペリーゴルフ場は、この会社経営になることは注目すべきことだ、というようなことも実はあるんであります。関連事業としては、運輸白書で、道路運送の見直しを含めた全体的な交通政策の中で、鉄道の財政の建て直しを提案しているけれども、情勢は厳しいけれども、鉄道工場や船舶やホーバークラフト、港湾やホテル、非常業財産の貸し付けなどを鉄道事業と切り離して事業部制もしくは一〇〇%出資の子会社公社形態で経営しているんであります。こういう点について、いま大臣がせっかく言われたんで私いま出したんでありますけれども総裁どういうふうに考えますか。
  36. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 各国ともそのような努力をいろいろいたしておられるようでございまして、ただいま示されましたイギリスの例も非常にわれわれの参考とすべきものと思います。ただ現実問題といたしましては、やはり余り一挙に拡大をいたしますと、たとえばホテルであれば民間のいろいろホテル業界から非難を受けるということになりますので、長い目で見てうまくいきますようにいたしますためには、一つには、関係業界ともよく意思の疎通を図りながらだんだんと広げさしていただくということにしなければならぬと思いますし、また、地域の方々との間で摩擦を起こすことも長い目で見て私どもお願いしたいことが実現できなくなりますので、一方において何とか速やかに発展をしていきたいという気持ちを持ちながら、なおかつ待て待てという気持ちで十分引き締めてやってまいりたいと思います。ただいまお示しのようなことも私どももよくひとつ勉強をいたしまして、いわば他山の石として大いに活用をさしていただきたいと思っておりますが、なかなかその辺の、どの程度のスピードでどの程度御了解を求めながらやっていくかというあたりが、現実の実施の問題としては難問中の難問であります。それを何とかうまく切り抜けてまいりたいと思っております。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 私はこの問題については、六条改正はなされたけれどもちっとも施行令が出てこない、一体どうしているんだろうなと思っているんでありますけれども、まだまだ政府閣内においても、あるいはまた担当の局長、課長の段階でもまだ議論はされておらないように実は見受けているんでありますが、施行令はいつ出すのか、それから投資額については大体どれくらい見ているんだと。  ここに各国のものを実は持っているわけでありますけれども、いま考えている、総裁が民業圧迫、大臣も民業圧迫はいけないと、こう言われました。しかし、いままでは、東京から実は出かけていって大手が全部それを占領してしまうなんという考え方を持ったら、これはもう大変なことだと思うんでありますけれども、地元の中小企業や中小商工業者との関係というものを十分整合性を持った形で出資の受け入れ、あるいはまた誘致というようなことで議論していったら、少しもこれは地元との関係であつれきを生ずることはない。ただ東京からぽこっと持っていったりするものですから問題が起きたりするんでありますけれども、この点についてどう考えているか。しかも出資額については大体いまどれくらい考えておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  38. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほども申し上げましたように、せっかくこういう新しい行き方になったときに急いでその体制を整えていかなきゃならないことは、これはもう当然だと考えます。  いまいろいろ御鞭撻をいただいて恐縮に存じておりますが、施行令にいたしましても、全くお話しのとおり、急遽これをつくらなきゃならないわけでございます。確かに、先ほど鉄監局長申し上げましたようにただいま鋭意作業中でございますが、幾ら鋭意やっても、これが表面にしかとあらわれてくるのでないと、何をしているかというおしかりを受けるのは当然でございます。せいぜい急がせたいと考えております。いまもちょっとそばで、いつごろ出すようになるかと言っていたんですが、頭をかしげておるところを見ると、またもうちょっと待ってもらいたいということなんでございましょうが、いずれにいたしましても、私といたしましてもせいぜい督促をいたしましてこれに対処するようにいたしたいと思います。  先ほど青木さんおっしゃった投資額につきましては、いまの予算では三十億ばかり見ているわけでございますが、これはどうも新しく制度が変わったにしては、いままでもたしか二十五億ぐらいはあったんだろうと思いますから、そのぐらいじゃ新しい体制に対処するゆえんではないんじゃないかというようにおしかりを受けるかもしれません。私も、実は私自身がそういう気持でおるわけでございます。これにつきましては、いろいろ進めてみて、必要がある場合にはまたそれはそれなりに考えていく方法もあろうかと、こう思います。いずれにいたしましても、この点等については、せっかくやるからにはもっと積極的にやらなきゃならない、こういうように考えている次第でございます。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 いま三十億という話が出たんでありますが、日本全国で、国鉄関連事業として、しかも私鉄並みにやろうとするときに、三十億ぐらいの出資金では、民業圧迫どころか民業から嘲笑されると思うんです。その点について、鉄監局長、具体的にはどんなふうに考えておられますか。
  40. 住田正二

    政府委員住田正二君) ただいま大臣からお話しいたしましたように、五十三年度予算案では三十億円でございます。従来は二十五億円でございまして、なおかつ使い残しが出ていたというような状況でございますので、五十三年度予算案では三十億円程度でやむを得ないのではないか。しかし、青木委員指摘のとおり、三十億円では確かに少ないとわれわれも考えています。しかし、いずれにいたしましても、これは国鉄予算でございまして、国鉄の方でここまで使えるという腹案がございませんと、いたずらに額だけふやしても使い残しが出てしまうということになるわけでございまして、やはり国鉄の方で十分計画をつくって実現できるような予算を五十四年度以降考えていただきたいというように考えております。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄経営改善計画の資産活用の第一弾としまして、駅周辺の遊休地の暫定利用策として打ち出した中古車販売場あるいはまた住宅展示場、レンタカー経営に参加しようというような点等について、いち早く中古車販売業界等からクレームがついたというような意見も聞いているわけでありますけれども、私はやっぱり地元の業界やあるいはまたその対外的に各国のやっている実情なんかをよく見てみたわけでありますけれども、駅の構内はまるで盛り場のようだと。しかし、日本の鉄道は行ってみると冷たいホームとそれから線路があって、そこには空っ風が吹いておる。で、とにかく早く駅を出なきゃいかぬという気持ちになる。外国へ私も何回も行ったわけでありますけれども、外国へ行くと、国鉄の駅へ行けば、理髪からあるいはまた酒場からいろんなみやげ物品からすべて間に合うので早く駅へ行ってひとつ買いたいと思うと。それから町へ行けば私のうちの出店が駅にあるから、駅へ行ってひとつ用達してくれと、こう言うんですね。そういうような関係でやっていくことが一番正しいと思うんでありますけれども、それらの点でこれからいろいろとためにする宣伝からあるいはまた好意的な宣伝からいろいろな悪意のある宣伝からいろいろあると思うんですけれども、主管大臣としてちゃちな三十億ぐらいの出資でもってやるいわゆる関連事業の拡大と言っても、これは関連事業の継続であって、六条改正に伴う関連事業の拡大ではないと私は思うんですけれども、それらの関連を含めまして、これから少しはやっぱり大臣のところにいろんな非難や中傷やクレームがついたりするんでありますけれども、その点は大臣やっぱり毅然として方針を貫くと、その前提は中小企業者を圧迫しないという前提のもとに、特に地元との整合性を持った形でさらに資本の拡大というような問題について考えていくべきときにきていると思うんでありますけれども、いかがお考えですか。
  42. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろ御鞭撻をいただきまして恐縮に存じます。まさに御指摘のごとく二十五億が三十億になったというようなことでは、これはとても新制度に、ないし新事態に対処する道とはちょっと言いにくいと、私自身もそう考えます。そこで今後に対処する方途といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、ただいまの予算はこういうことでございますが、いまのような考え方でいよいよやろうという確信ができるような段階になりましたら、またかいもく手がないというわけじゃございませんので、何らかの手段を講じてそういうことを可能ならしめるように私どもいたしたいと思います。まあ、ちっとの非難や何かは意に介せずにやれというお話もいただきました。私も三十年近く国会におる古ダヌキとは申しませんけれども、古い人間でございますから、非難等はあえて意にする者ではございません。一生懸命に御期待に沿うようにというように考えております。  なお、先ほどもそういう種類のことを申して恐縮でございましたが、こういうようなことになりますと、国鉄もいろいろよく心得てはおるけれども、広くいろんな御意見等を拝聴して対処できるように、何か仰々しい名前でなくていいんだが、衆知を集める方途を、ことに民間人等ではそういうことに堪能な方々が多いので、そういう方法を特に講じてもらうことを私はこの席をお借りいたしまして、ここで申し上げるということは、そうしたいということを広く明らかにしていくという熱意でございますので、御了承をいただきたいと思いますが、そういうようなことで今後に対処したいと考えております。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 私は意見は一切合財気にするなと言っているんじゃなくて、いままではたとえば駅なんというところはいい場所だもんですから、どうしても東京からどかっと支店をつくっちゃうんですよね。そういうような点が地方の民業を圧迫するという意見としてはね返ってくる場合が非常に多いわけです。ところが、全国各地で地元のいろんな業界の皆さん、中小企業の皆さん、メーカーまで含めた皆さんとよく相談をしていくと、それらの皆さんに支えられてそして民業圧迫にならないという事態というものをよく私は知っておりますので、それらの関係で出資の関係等やその他についてもひとつ広く受け入れていくべきであると私は考えているわけであります。  そこで、国鉄にお伺いいたしますけれども、五いるようでありますけれども、ことしは一体何をやるのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  44. 篠原治

    説明員篠原治君) 五十三年度は五百三十二億の関連事業収入予算で計上されております。本年の実績見込みから考えますと、かなり大幅な増額でございまして、相当努力をしなければとうてい達成できない数字でございます。関連事業収入を上げますにはいろいろございますけれども、新しく開発してまいるというものは、これは一つございます。いま一つは、いままでありますものからどうして収入を上げるかということでございます。それは二つに分かれるわけでございまして、固定料金をちょうだいいたしておるものにつきましては固定料金値上げをするというのが一つございます。売り上げ歩合制料金になっておるものにつきましては、売り上げ自体がふえなければ料金が入ってまいりませんので、その関連事業をやっております事業者が売り上げを伸ばすように督励をする、そういたしますれば当然売り上げ歩合制によって料金がはね返ってまいります。三つございますので、私どもは新たにこの六条改正によって新しくできますものと、いままでの六条でできますものとございますけれども、新たに開発を強力に展開してまいりますとともに、いま申し上げましたように、既存の事業につきましては固定料金の適時適切なる是正でございますとかあるいは売り上げの増大を期待できるような督励、こういうものをやってまいりまして、五百三十二億円を達成いたしたいと、かように考えているわけでございます。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄関連事業の拡充強化を図るということで、すでに部外の有識入からなるところの資産活用懇談会を設置したと聞いております。それからその懇談会を有効に活用しているということを聞いているわけでありますけれども、従来までに議論された問題の焦点は大体どんなところにあるんだろうか、どんな意見があったのかということと、それから関連事業関係の部内組織の強化を図ってきたと聞いておりますけれども、どうなったのか、この点をお聞きいたします。
  46. 篠原治

    説明員篠原治君) 第一点でございますけれども、資産活用懇談会の審議の経過でございます。一昨年の暮れに懇談会を設置いたしまして、ただいままでに十二回懇談会を開催いたしました。大体議論も最終の詰めに入っている段階でございます。その十二回は、いろんな各種の議論をやっていただきますと同時に、現地の御視察も何回もしていただきました。私どもの方から議論の内容を申しますと、まず国鉄の資産の現状からどういうふうに活用すべきであるか、いわゆる総論と申しますか、国鉄の資産の活用についての理念と申しますか、そういうことについての御議論をいただいております。  それから今度は、個々の問題といたしましては、特に大きな問題を取り上げまして、こういうものについてはこういう考え方はどうか。最近よく問題になりますような線路の上空利用の問題でございますとか、東京駅でございますとか、そういうものにつきましては、個々の問題としても御議論をいただきました。あるいは本格的な活用に至らない以前の段階といたしましても、暫定利用についての考え方はどうあるべきか。本格的活用、暫定利用、こういうように分けて御議論をいただいております。  なおまた、これから開発を促進いたしますための一つの体制でございますとか、制度でございますとか、そういうような体制なり制度についても、こういうような考え方でやったらどうだろうかというような具体的な御提案もいただいております。いずれにいたしましても、相当貴重な御意見をちょうだいいたしつつあると考えております。  なお、組織でございますけれども、本社につきましては、昨年の春に関連事業本部長というのを設置いたしましたし、本社におきましては、同時に開発局を新設いたしました。かつては事業局一本であったわけでございますが、開発局を新設いたしました。  地方におきましては、従来は東京三局と大阪、いわゆる一番大きい四局のみに管財部というのがありまして、字の示しますように財産を管理する性格でございまして、開発という性格じゃなくて管財という感覚に基づくような管財部という組織が四局にございます。今度はそれを改めまして、四局につきましては、二つに分けましていわゆる事業部と開発部。事業部と申しますのは昔の管財部的性格も残しておる。開発部というのは、前向きに開発する一方という意味で、四局につきましては二つに分けました、事業部と開発部に。あと九局、札幌、仙台、千葉等々でございますけれども、次に関連事業の対象となるべき候補地が多くありそうな九管理局につきましては、事業開発部というのを設置いたしました。それらの局につきましては、かつては大体事業課という営業部の中の一つの課でやっておったわけでございますけれども、その九局につきましては、事業開発部というものにしたということでございますので、組織といたしましては、本社、地方を通じまして相当な拡充強化をいたしたというふうに考えておるわけでございます。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 わかりました。  やっぱりこの関連事業の拡大という問題は、六条改正されたという原点、意義の原点に返ってやるしかないというように考えているわけでありますが、従来のように、たとえば場所を貸したからその水揚げに対して何%よこせといって事務的に処理できる問題ではない。いまの事業局と開発局に分けた、あるいは地方にも開発部をつくったというようなことは、前だれかけを提げて、そして事業に取り組むというような姿勢こそ必要だというように考えておりますので、いずれ国鉄の小委員会を私たちは提案いたしておりますので、細かな点についてはそこでひとつ詰めていくようにいたしてまいりたい、こう思っているわけであります。  さらに、飛び地の活用とか、その他高度利用に処する関係というのはいろいろ聞いておりますけれども、何といってもやはり旅客ターミナルが私は一番花形であるし、議論されてきた焦点も実はそこにもあるわけでありますが、この点については大阪で五百億の投資をして、そして大きなひとつターミナルをつくろうというように聞いておりますけれども、その計画の大体方向について、時間がありませんので、一言お伺いしたい。
  48. 篠原治

    説明員篠原治君) 本年度開発をいたします予定のうちの最大のものが大阪でございます。地下三階地上二十五階の駅ビルを予定いたしております。工事費概算五百億でございます。駅ビルの総床面積が約十二万平米、その使用方といたしましては、十二階までが大体デパート、上の方がホテルというように考えております。なお、完成は五十八年の春を予定いたしております。  以上でございます。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 それから国鉄が所有している遊休地の活用策として住宅建設が論議されているわけでありますが、国鉄当局は住宅公団と協議を重ねているけれども、最近いろいろ各地の情勢を聞いておりますけれども、住宅公団としては、きょう御出席願ったわけでありますが、国鉄との共同で住宅の開発をする、住宅建設の問題について積極的に取り組むという考え方がありますか。
  50. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 結論は、まさに緊密な連絡をとって共同していきたいと思っておるのでございますが、御存じのように、その背景となります事情は、私どもの公団はただいま非常に厳しい問題を抱えております。その中でも空き家問題の反省からいたしますと、やはり住宅は都市の中へ帰ってこなければいけない。これから建てますものは帰ってこなければいけない。かようなかっこうで都市の中の宅地というものに対して私どもは非常に熱望を持っておるわけでございまして、たとえば工場跡地だとか、ある国公有地——国鉄の場合もこの国公有地に入るわけでございますが、特に国鉄の用地は駅の近くにございます。そういうことで、私どもはこれの利用ということは大変重要なことだと考えておりまして、国鉄さんの方の高度利用と私どもが合致いたしますれば、でき得る限りこういうものを利用していいところに住宅を供給したいという基本的な姿勢でございまして、かなり前から緊密な連絡をとりまして計画をいろいろ検討しておる次第でございます。  ただ、こういう便利な場所にそういう建物を建てるわけでございまして、国鉄さんの方の活用の条件、あるいは私どもの方の住宅政策上の条件、こういうことが合致しなければ成立いたしません。さらには都市計画との関連などが出てまいりまして、なかなか手間がかかっておりますけれども、逐次こういうものを実のらせて私どもは大いに活用させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 住宅公団と国鉄が一緒に組んでやるという場合には、やはり庶民を対象にしてやるということが本筋だと思うのであります。そのほかに金が余ってしょうがないという人については高級マンションを活用する、建設するということもあるでしょう。その点はやはり国鉄独自で考えればいいと私は思うのです。  高橋常務にお伺いしたいと思うのですけれども、東北新幹線の国鉄乗り入れ問題と、それから東京駅を改築するという話が伝わっているわけでありますが、丸の内の開発計画等については大体どんなふうになっておりますか、乗り入れ関係等についてひとつ関連して説明してもらいたいと思います。
  52. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) お答えいたします。  東北新幹線は、東京駅に乗り入れということで大臣の御承認をいただいております。したがいまして、東京駅に乗り入れるということですべての工事を進めておるわけでございますけれども、昨年上野にも駅をつくるということで、この点も御承認をいただきまして、したがいまして、上野駅と東京駅との相互が補完し合いながら東京における新幹線のターミナルということで計画を進めているわけでございます。上野に駅ができますと、従来私どもが東京駅だけで考えておりますと、相当早い機会に東京駅のホーム等が足らなくなるというようなことを頭に描きまして、早く東京駅の全体の計画、いまの駅本屋を含めた計画というものも考えなくちゃならないというふうに考えておりましたけれども、上野に駅ができるということになりますと、若干その早目というのが少し時間的には余裕ができたというふうに考えております。昨年東京駅の丸の内本屋等を改築するということが一応新聞紙上等に出てまいりましたけれども、私どもいま具体的にどうしようということまで決まっているわけではございません。ただ、いずれ——ただいまの丸の内本屋は非常に老朽化いたしておりますし、それから保守に非常に困難をいたしております。またお客様の流動から見まして非常に使いにくいというような実態でございますので、そういう意味からの一つの改築という問題、それから東京駅自体は日本の玄関であるということで、駅前広場等の関連においてどうこれに対処するかということも、東京都等といまいろいろその点でお打ち合わせをいたしておる段階でございます。丸の内本屋だけでなくて、新幹線が参りますと、北口の方にも改良が必要でございます。また八重州方についてもそれとの関連においていろいろ考えなくちゃならぬ問題がございますので、それらを総合的に考えた案というものをただいま内部的に検討をしているという段階でございまして、具体案はまだ成案を得ておりません。ただ、東京駅を保存をしてくれという声が非常に多くあることもよく存じておりますので、いろんな面から検討して成案をつくっていきたいというふうに考えております。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 東京駅の改築は、いまお聞きいたしましたように、東北新幹線が乗り入れるということになれば、ただでさえ狭隘ないまの新幹線のホームが、線が五つだか六つあると思うんでありますが、これらの関係やあるいはまた、そうすると今度は湘南電車等の関係やあるいはまた長距離寝台、現在線の関係等も出てくるでしょうし、また観光会館の裏あたりには相当古びた建物が建っていると思うんでありますが、これらとの関係もいろいろあるでしょうし、いろいろあると思うんでありますけれども、問題はこれらの計画をいま聞いたわけですけれども、今度はその上に、先ほどもどなたかのお話にありましたように、線路の上空の空間を利用するというふうなことは考えるべき時期に来たんじゃないか。特に日本で一番のいいところなんですからね。その点もひとつ考慮していただきたい。これは要望です。  それから、住宅公団の澤田参考人にお伺いしたいと思うんでありますが、私はかつて予算委員会のときに、住宅公団のつくっておる建物は遠くて、高くて、狭いということを言いました。今日、計画の中で空き家になっているのか相当あるわけでありますけれども、特に私はいま時間がございませんけれども、たとえば坪三十万の土地に家を建てた場合に、二DKで大体幾らぐらいの家賃になりますか、お伺いしたいと思います。
  54. 澤田光英

    参考人澤田光英君) 坪三十万でございますれば、恐らく六万円ぐらいになろうかと思います、住宅全部で使いますれば。したがいまして、私どもがねらっておりますいわゆる中堅階層のやや下の方、この辺には大体すりつくんじゃないか、いま一息ですりつくんじゃないかと思います。それ以上高くございますと、たとえば百万円のようなところでございますれば、やはりそれに近いところまで利用の空間を取りまして、下の方に商店なりなんなり入れて、そこにお持ちいただいて上に乗せていく、かようなかっこうになろうかと思います。いずれにいたしましても、坪三十万円だとその程度のことでやっと需要に入ってくるところだというふうに感じております。
  55. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄の宿舎で見るも無残なようなところに住んでいるのがたくさんあります。これは終戦後建てたバラックの中に依然として雨漏りのするようなところに住んでいるんですが、これはみじめだと私は思います。十万戸ぐらいあるようですけれども、これを改築すると同時に、いま住宅公団と提携して新しいマンションで共同開発するというようなことは考えておりませんか。
  56. 澤田光英

    参考人澤田光英君) ただいま先生のおっしゃいました方法につきまして、実は先般から国鉄の方から相談がございました。この考え方は大変結構だと私ども思っております。ということは、ただいま国鉄の宿舎は平家でございまして、土地の利用効率が大変低いところでございます。しかもいい場所でございますから、建てかえるにつきましては、これやはり立体化をして利用効率を上げるのが筋だと思います。その場合に、私どもがもし共同して作業いたしますとすれば、立体化いたしますれば効率が上がりまして、同じ百戸でも土地がたとえば半分になる、国鉄さんの宿舎の半分になる、あとの半分を私どもの方で利用なりお譲りいただきまして、そこに公団住宅を便利なところへ建てる、かようなかっこうで両者で相談が進められております。さようにいたしますれば、国鉄の方の土地の活用も図られますし、私どもの方の土地問題の一助にもなる、かようなかっこうで計画を進めておる次第でございます。
  57. 青木薪次

    青木薪次君 いろいろ聞いてきたわけでありますけれども、私はやはり住宅開発等についても、ヨーロッパの関係等におきましては非常に前進を実はいたしているわけであります。特に広告や不動産やあるいはまた住宅会社等についても、国鉄が住宅会社等に参画をしている。これはむしろ積極的にもうけるということもあるでしょうけれども、私はやはり赤字体質をなくしていくと同時に、少しでもやはり財政を立て直して——しかもいつもねらわれるのは、職員が非常に合理化でどんどん人を減らされていく。国鉄は人が集まっているようですけれども、私は国鉄出身ですけれども、きわめて厳しい労働条件下にあるんですよ。そういうことを考えてみたときに、景気のいいときにもやはり働く者が一つの犠牲になっていくと、それから不景気になればなおさら働く者が、賃金を上げない、人は減らされるといったような状態になっていくことがいま非常に問題化されているわけでありますので、そういう点についてさらにその救済の一助、労働条件の一改善という問題等についてもその一助になることを私は期待し、しかも国民の国鉄として将来ともひとつ国民とともに発展をしていくというための国鉄になるように、今後さらにひとつ各委員会で詰めていくようにいたしてまいりたい、こう思っておりますので、きょう議論いたしましたことを、大臣、最後にひとつ所信の表明を簡単にしていただきたいと思います。
  58. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 大変有益なお話をたくさんお伺いいたしまして、これらを大いに将来にも生かしたいと考えるところでございます。どうぞこの上ともよろしくお願いいたします。
  59. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、航空問題と国鉄問題、それから時間が許せば造船の問題について、基本的な問題を伺っておきたいと思うんです。  まず最初に航空問題でありますけれども、いま非常に世上にぎやかになっておる黒字減らし対策の一環として、航空機の輸入問題が非常に話題になってきているわけです。これは通産、大蔵、それから運輸、また経企庁と、こういう関係——きょうは時間が限定されておりますので他省に及ぶことは省きたいと思っておりますけれども運輸政策の、また航空政策の上から、この航空機輸入問題をどういうような観点でとらえているかという点で伺っておきたいと思うんです。まず、運輸大臣、この航空機の輸入問題についてどういうふうな考え方を基本的に持っているのか、その点について。
  60. 福永健司

    国務大臣福永健司君) わが国の航空事情いろいろございますが、近く成田も開港するというような情勢等も控えているわけでございますし、さらに世界の経済情勢等もいろいろ動いております。この中でどういうようにするかという問題非常にたくさんございますが、三木さんお話しの航空機を日本としてはどういうような考え方で買ったり利用したりしていくかということにつきましては、これ日本のみならず欧米諸国等も深い関心を持っているところでございます。したがって、われわれは日本の立場を重々考えつつ、またこれが世界の中に生きる日本として他の国の事情もあわせて考えていくということもある程度必要であろうかと思います。  そこで、最近この問題につきましては、民間航空会社の最高責任者等にも来ていただきまして、いろいろ話をいたしました。この中で貫いておりますことは、政府はいろいろ考えなきゃならない、けれども、航空機の購入等については航空機会社の責任者たちが考えることを重視して対処しなければならない、ほかの事情のために民間航空業界等を圧迫するというようなことがあってはならない、こういう考え方でやってきておるわけでございまして、ある程度進行を見つつありますし、諸外国は盛んにいろいろ私のところにも言ってまいります。率直に申しまして、飛行機ではいろんな体験がございますから、私自身の体験じゃございませんけれども政府としても国民全体がながめる中でなるほどということをやりつつ、しかもある程度よき評価をしていただけるようなことにしたい、こういうようなことを考えつつ今日対処いたしておる次第でございます。
  61. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 航空会社の航空機の輸入計画というものは、購入計画というものは、五十一年には提出をされているわけですね。この問題と、最近運輸大臣が航空機購入計画を航空三社に要請したという、この問題との関係はどういうふうにとらえているわけですか。
  62. 福永健司

    国務大臣福永健司君) もともと計画はあったということではございますが、飛行機等でございますと、要る物を注文してすぐ買うというような事情ではなくて、注文してから実際に飛行機ができて納められるまでには相当の歳月がかかる、そういう一点をとらえてみましても、買う方売る方それぞれに将来のつながりを保ちつついろいろ対処していくということがございます。そこで、買う方にしても売る方にしてもやや時間を置きつつ将来に備えるということのために、できるだけ慎重にやるということの一面において、ある程度将来の目安があればそれぞれ関係者は非常に便利であるというようなことから、外国等からも少し先のものについてぜひこの際何とかこれを決定するなり、ないしは決定するめどがつくなりというようなこともある程度してもらえぬかという希望等もあるわけでございます。そういうようなことも考えまして、注文した最初のときに全額払うわけではもちろんない。二割なら二割というような金を払って契約するというようなことからいたしますと、必ずしもびっくりするほどドル減らしに影響するというほどのことではございませんけれども、いまの世界情勢の中で日本がどうするかということと関連いたしましては相当意味を持つということ等もございます。  そういうことでございますので、いま三木さんお尋ねのもともとの計画と、それから私が今度航空機会社の責任者等に会ったような、そういう動きとの関連はどうかというお話につきましては、もちろんいままでの計画を無視するような態度で私たちはいるのでは決してございません。ございませんが、傾向がわかったようなわからぬような程度でまだ明確にされていない部分がいろいろございます。そこいらについていずれは明らかにしなきゃならないことであるから、世界のいまの情勢の中で幾らか早くそういうことを明らかにし、先方もこれに喜んで対処するというようなことになればと、こういう点もあわせ考えまして、従来の計画にあわせまして、これからしばらくの間計画、これを整合させつつ、政府としても善処することが必要であろう、こういう観点からの動きであることを御理解いただきたいと思います。
  63. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 日本の経済情勢あるいは世界の中における日本の実態というものを私たちも決して否定するわけじゃないんですけれども、いつもこの黒字減らしの基本的な対策を誤ってそして何か航空機の輸入の方に、この前もそうだった、今回もまたこういうふうな例がある。こう考えますと、航空機のこの輸入促進が黒字減らしになるというような考え方が日本に定着するような考え方になってきますと、これは全体的な金額から見ればそうとは言えないかもしれませんけれども、そういう観点になってくると、黒字減らし対策に日本がいや応なしに飛行機を買わなきゃならないというような感じを持たざるを得ないような結果に追い込まれるんじゃないかという——私は外務省やあるいは通産の都合で航空行政が曲げられるような感じがするんです。言い過ぎかもしれませんけれども、そういう点はやはりこの黒字減らしと航空機の購入、輸入という問題はやはりよく観点を違えて考えなければならない問題じゃないかと私は思うんですね。  私、ちょっと伺いたいと思いますが、やはり航空機を購入する以上は路線の問題が絡んでこなけりゃならないわけなんですね。ただ買ったって宝の持ちぐされをするわけじゃないわけです。こういう点を考えたときに、やはりここで運輸大臣はやはり閣僚協の中で航空政策上のためにどうしてもこの輸入が必要なのかどうか、あるいは購入がですね、この時点で早めることが大事なのかどうか、こういう点をやはりよく考えていかなければならないと、こう私は申し上げておきたいと思うんですけれども大臣にお聞きしたい。
  64. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 御指摘の点まさにそうでございまして、これは人によって見方いろいろでございましょうが、一部からはなかなか運輸大臣が言うことを聞かぬと、こういうようにも見られてもおります。これはどう見られてもいいんでありますが、いまお話しのようなことをよく心得て、本末を転倒してはならぬということは私強く貫いているつもりでございます。そこで正直申し上げますと、まあチョコレートやワインをどんなに買ったところで大した金額ではない。そこで飛行機飛行機という話が出ます。出ますが、先ほどお話しのように、必要があって買うのでなくて、その必要といってもドル減らし等の対策上要りもしない飛行機を買うというようなことであっては断じてならない、そう思います。そこで私は、この手順といたしましても、民間航空機会社の責任者等の意見を徴するというようなことを、かなり慎重にというか、度重ねていろいろの手順を経たつもりであります。この種のことを怠りますと、買うことばっかり頭にあってということになりますと、まさに御指摘のようなことを生じやすいんです。この点には重々念を入れているつもりでございますし、関係航空機会社等はその意味はよくわかっているようでございます。率直な話、あんまり急いで買おうとすると、まけるところもまけないで買わなけりゃならぬようなこと等にもなりますので、その辺はよく対処していかなければなりません。  路線等について言及されましたが、これらにつきましても微妙な段階でございますから、買ったら路線を認めるんだというようなことが伝わったらこれは大変でございます。そういうことは考えておりません。まさにもう一度申し上げますが、本末は転倒しないように考えていきたいと思います。  ただ、羽田がああいうような事情で今度成田に新しく空港が開かれるということでございますが、これらと関連いたしましてまあ路線等につきまして考慮する余地が出てきたということは、いままでも必要なんだし、認めてもらいたいという話等がいろいろあったこと等につきましても、これも外国のもあるし日本のもありますが、そういうときにどうするか、これはこれでおのずから心得があるべきでございますが、そういうことでいろいろいままでやろうと思ってもできなかったことが、十分とは申せませんがある程度できるようになってきたということと関連をいたしまして、本来を転倒せずしてその諸要請をよく整合せしめつつ対処できるという事情もできてまいりました。そこいらを間違わないように今後対処していきたいと存じます。
  65. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、航空局長にちょっと伺いたいんですけれども、五十二年から五十七年までの三社の購入計画からいきますと、いま黒字減らし対策といろいろうわさになっていますけれども、大体何機ぐらい購入しなければならない計画になるんですか。
  66. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 昨年の暮れに予算要求に関連いたしまして各社からとりました数字は、五十三年度、四年度、二年度の間に契約をしたいと考えております航空機が二十六機ほどございまして、これは大小取りまぜてでございますが、総額約十億ドルという数字が昨年の暮れにございました。いまでもその数字大きく変わっておりません。この約十億ドルのうち、おおむね半分ぐらいはすでに契約が済んでおります。あと半分ぐらいはまだこれから本契約をする段階でございます。
  67. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、成田開港という条件のもとに、路線の配分の問題はこれからいろいろ検討されるんでしょうけれども、この二十六機にプラスアルファをやるという考え方に立つんですか。
  68. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 先ほど大臣がお答え申し上げました線に沿いまして若干敷衍いたしますと、二つの側面があると思います。私は、二十六機、約十億ドルぐらい買いたいというトータルの規模は余り変わらないと思うんです。といいますのは、エアラインもやはり成田の開港があれば当然国内線の増便はあるだろうということをあらかじめ想定をいたしまして、それでそういった計画を立てているんだろうと思うんであります。そうしますと、多少ふえるかもしれませんが、二十六機、十億ドルという数字は余り大きくは変わらないんだろうと思うんであります。  それでは今度のことでどうなってくるのかといいますと、一つの問題は、ある航空会社は昨年の集計のときに大型機という名前しか書いておりません。大型機をたとえば五十五、六年ぐらいには五、六機投入したいと、そのために五十四年度末までにはその五、六機の発注をしたいというのは書いてございまして、大型機というものの中身は書いてありません。それが今度の私どもから聞いておりまする話の答えといたしまして、具体的に名前が出てくるかどうかという点が一つの問題でございます。そうしますと、これは機数なり金額としては余り変わらないけれども、具体機種が出てくる。機種の名前次第によってはいま非常に日本との貿易関係で問題になっている国との関係で、その両者間の関係が改善されることがあるいは期待できるというふうに考えておりますが、ただむずかしいことには、一方の機種をノミネートいたしますともう一つの方の機種をつくっている国がまたこれやきもちをやくというようなこともございまして、非常にむずかしゅうございます。その辺のところは大臣お話し申し上げましたように、具体的な機種をここで決めてしまうと値段交渉ができないということもありますので、これは経営者としてはやはりこの際、てんびんにかけると言ったらいけませんけれども、そういうことを配慮しているということも聞いていますが、具体的にどういう答えが出てきますかわかりませんが、そういうことをあるいは考えているのかもしれないと思います。  もう一つの側面は、たとえばわが国にまだ騒音対策上好ましくないと申しますか、かなり高い騒音の飛行機がございます。これは具体的にはDC8とかあるいは707というふうな航空機でございますが、こういったものについては早晩国内でも使いにくくなる。国際線についてもアメリカなんかは、数年後に、国際線のDC8はもう音が高過ぎるので、低騒音に改造しない限り入っちゃいかぬというふうなことも言っているわけであります。低騒音に改造する費用が非常に高くなるということもございまして、それならばいっそのこと、たとえばDC8の場合でございますとDC10という機材にかえようかというふうな考え方もあり得るわけであります。そのときに多少、DC8という、非常に、償却もかなり済んでおるし使い勝手もいい機材をDC10ということにかえるのであるとすると会社としては経済的に相当の負担になる。したがって、もしも政府がここで外貨減らしということの一環として輸入金融等を有利な条件にしてくれるならば、この際経営判断としては、彼此勘案いたしまして損にならないんなら、どうせ買うんなら早目に低騒音機材を買おうかということで、さきに出した二十六機の中身を変えてくると、また機材をかえますと、恐らくDC8とDC10とでは値段も違いますから若干金額がふえてくるということがあると思います。  その他の問題につきましては、やはり経営リスクとの見合いで計画していますので、政府の方でそういう一般的な情勢を説明いたしましても、そこはやはりそれぞれの経営判断ございますから、そう目に見えて外国の人がびっくりするようなものが出てくるのはなかなかむずかしいという情勢でございます。
  69. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ECエアバスとDC10がいまいろいろうわさをされているわけです。政府がこの航空機購入の問題を決めますと、民間会社がいろいろ選択しながら、あるいはまたいろいろ値交渉の間に歯どめがかかってしまうような感じになっちゃうわけですね。そういう点もやはりこの問題は慎重に扱っていかなければならないんじゃないか。  それから機種の選定の問題について、たとえばECエアバス等の問題については相当選定作業は進められてきたんですか。その点についてはどうですか。
  70. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これはエアラインの中のことでございますので、私どもつまびらかに承知いたしておりません。当然、いずれかの機種を選定してくるにつきましては、それなりに会社の中で専門家の間で議論をしてきた結果だと思いますが、詳細は存じておりません。
  71. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから運輸大臣もう一つ。リース会社の問題が出ているわけですね。航空機のリース方式を導入して、それで東南アジア等に貸し付けると、こういうふうな案が突如として出てきているわけですけれども、この問題については運輸大臣どう考えておられますか。
  72. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 率直に申しまして、運輸省はこの話は先に立って言っている側ではございません。ございませんが、うまくいけばこれまた大いに考慮しなければならぬことだと私は思いますが、話が出ました最初に私自身の意見として申しましたことは、これやり損ないますと、日本の国内航空機会社に悪い影響を与えることがないとも限りません。もちろんそういうことを考えて言い出しているわけじゃございませんけれども、そういうことをよく考えなければならないし、日本が飛行機のリース屋になること等については、これはよほど考えていかなきゃいかぬ。いま三木さんお話しのような方面にそういうことをなにするとしますと、日本の近くでございますと、これまた日本との間において路線関係等についての問題が起こり得る場合もありましょうし、それはひいて日本の航空機会社営業とも関係なしとはしないと思います。そういうようなことをいろいろ考えまして、まだまだ問題はたくさんあると思いますが、これを要するに、これをうまくやるためにはいろんなことをよく考えて対処しなければならぬ。そういうことも運輸省としては申しておりまして、そうしたことに配慮を行った上で、なるほどということがまとまればこれを進めていくと、こういうことであろうと私は考えております。
  73. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは具体的にもう一つ詰めておきたいんですけどね、リース方式にやると、まあこれ私、素人で専門的にはわかりませんけれども、リース会社をつくりますと、やはり東南アジアと路線問題がまず第一点絡んでくると思うんですがね。それから航空機の輸入の問題について、やはりEC諸国とか銀行団とのいろんな問題が出てくるんじゃないかという一部の意見もあるわけですね。それからリースになるとやはり国籍は日本籍になるわけでしょう、そうするとハイジャックの問題とか起こった場合にはやはり日本が責任を持たなきゃならぬという問題が絡んでくるという話も一部聞いているわけです。こういう点の問題点、その他いろいろあると思うんですけれども、そういう点を考慮した場合に、日本の航空会社を守る意味からいっても、外貨減らしの一環としてこういう方法が果たして妥当な方法かどうかということ、航空機の輸入という問題からそういう発想がいろいろ出たんでしょうけれども、私はこれは航空行政上はあんまり芳しい方法ではないんじゃないかという見解を持っているんですけれども、その他いろんな問題点があれば具体的に、航空局長からでも結構ですから答弁願いたいと思うんです。
  74. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まず、私からお答えいたしますが、いまもお話がございましたようなこと、その他いろいろございますので、私はこれに対処する方途はよく心得ていかなきゃいかぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。と言ってそういうことが何だからこれはやめるということを先に立って言っているほどではございません。ほどではございませんが、聞く人によっては多少私がブレーキをかけているように思っているかもしれません。私はブレーキをかけるという意味ではなくして、この種のことをやるとするならばなるほどというやり方をさせたいと思うから言っておるわけでございまして、そういう態度で今後もありたいと思っております。まああんまり将来のことについてここで私自身が想像してどうこうというのもなんでございますけれども、よほど考えませんと、下手なことをして、勝ちたいばっかりに、どうもさっきのいろいろ話が出ておりますような本末転倒というようなことにでもなっちゃ大変だと思います。しかし、決して私は、だからもうこんなことはやめとけと言っているんじゃございません。せっかく内閣がそういう幾つかの柱のうちの一つとして打ち出しておることでございますから、大事なことは念頭に置きつつ今後推進していきたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  75. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大臣お話しした以上につけ加えることはございません。
  76. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから、路線の問題ですね、牛場さんが路線の問題さえ解決すればECから八機、九機ぐらいは輸入できるようなことを述べているわけですね。そうしますと成田の開港に伴ってやはり路線問題が航空機の購入の問題と絡まなければならないということは常識的にわかるわけですね。したがって成田空港の開港に伴って何便ぐらい増便をし、羽田にどういう方式で路線の割り当てを行っていくのか、この基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  77. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私の後でやや詳細にも答えさせますが、成田につきましても、何もかもその条件が整ってうまくいったときにはという数字は実はあるわけです。あるわけでございますが、私といたしましては、あんまり初めからたくさん便数を認めたりしてやり損なっちゃいかぬと思います。初めはやっぱり多少内輪にスタートするということになると思うのでございます。しかし、それはそれとしてある程度ふやしていかなければならぬと思いますし、またそういうことによっていろんな国との調節がうまく進むようにしなければならない。私、実は就任いたしましたら、早速諸外国の大使とか大臣とかいう諸君が来て申しますことに、成田が開港になったら認めてやろうということだったから、いよいよ開港が近いから、もう数日ないしは数カ月ぐらいでうちの路線は認めてくれるだろうなと言って新しく入る国、これが三十人ぐらい希望が来ております。そういうのと、それからいままで入っているところで、今度はこれこれぐらいは増してくれるでしょうなというようなことを言うので、そういうことは違うと、ぼくが言ったんじゃないと、だけども前に責任者が言ったのは、成田が開港したらという意味は、成田開港後の適当な時期にという意味であろうと、それをあんたたちは、開港したらすぐさま認めるというように思っているんだが、そういう意味ではないと、そう簡単なものではないと言って、いろいろこういうわけでそうだということを説明すると、なるほどとは思うらしいのですけれども、当てがはずれたというような顔つきをしている者が相当ございます。そういう現状にかんがみまして、私どもはよくその事情を説明しつつ、理解も得ていきたいと、こういうように思っているわけでございますが、一面そういうように、日本へうんと入りたいというところがたくさんあるということは結構なことでもあると、こういうように思います。いまお話しの点等を重々留意しつつ、今後対処してまいりたいと考えております。
  78. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  私は羽田の方の問題について御説明申し上げますが、現在、羽田には一日約四百六十発着の飛行機が出入りいたしておりますが、成田ができますと約三分の一——百五十発着ほどが成田へ移ります。国内線が三百になるわけでございます。そうすると、当面百五十分の余裕ができたということでございます。一方、羽田の将来を考えますと、私どもはいまの羽田の滑走路では騒音問題からも問題でありますし、それから能力的にもやはり遠い将来を考えると、あれではやはり足らないのではないかというところから、できればもう一本平行滑走路をつくりたいと思っております。ただ、これには地元との関連、東京都との調整、埋め立て問題等でございまして、そう簡単にいきません。そういたしますと、私どもは今後早くても七年あるいは十年ぐらいの間はいま羽田空港のあのままの施設で運用しなきゃならないかもしれない。そうなりますと、百五十の余裕をすぐ食ってしまったんではすぐ羽田が過密になってしまうという心配がございますので、これは大事に食い延ばしをしたいと思っております。そうなりますと、勢い非常に厳選された路線しか増便あるいは新免等が与えられないわけでございますが、考え方といたしましては、国鉄の問題もきょう問題になるようでございますけれども、私どもはやはり国の総合的な交通政策の観点から、航空の特性を発揮できるような路線、つまり脊梁山脈越えあるいは離島、海狭、内海越えあるいはたとてば五百キロ以上に及ぶ長大路線、こういうところはやはり総合交通的に見ましても航空にふさわしい路線であると思います。そういった路線あるいは新幹線がなかなかまだ建設できなくて困っている日本海岸ですね、四国の太平洋岸、こういうふうなところ、事実またそういうところの県からは非常に強い要望が出ておりまして、まあ極端に言えば毎日一回ずっと言っていいぐらい、各県の知事さんあるいは商工会議所会頭さんたちから成田開港になったら増便をしろ、あるいは東京直行便出せという御要望がございます。そこで、私どもはそういう全体の交通政策の観点から重要な路線、そういったものをまあ総合的に評価いたしまして、緊急度の高いものから逐次増便をしていきたい、こう思っております。どのぐらいまでするかはまだやってみないとわかりませんけれども、先ほど申し上げましたような、小出しにしたいということから申しますと、百五十の余裕を年内にせいぜい食っても一割か二割であろう、後は来年以降はうんと小出しにしていくと、こういうことでしかあり得ないんじゃないかと思います。もちろんジェット化が進みますと輸送力がふえますから、必ずしも便数だけの問題では議論できませんけれども、一般論として羽田はかなり長期に向かって食い延ばしをする必要がある、こういうことでございます。  そういった問題の中で、いわゆるダブルトラックの要望というものも出てくるわけでございますが、これについてはすでに航空機の路線ができ上がっているところについて、一社がいわゆる独占的な形でやっていると、そういうところにもう一社入りたいという要望が出てくると思います。これがダブルトラッキング問題でございますが、このことは具体的にどこの会社がどういう要望をしたという問題じゃなくて、私どもはやはり行政の基本原則として、需要のたくさんあるところを一人の供給者が独占いたしますと、どうしてもいわゆる独占の弊が生まれてきて、利用者に不便をかける場合があり得るんじゃないか、これはどこの交通機関でもそうだと思いますが。そういったことはやはり戒めなきゃならない。そこで需要の太い路線はできれば複数の会社によって公正競争いたしまして、利用者に便益を増すようにするということが正しいと思うんであります。実は、このことはいまから数年前に航空問題に関する運輸政策審議会の議論等にも出ておりまして、答申に書いてございます。需要の太いところは複数企業の運営によってダブルトラッキングをせよと書いてございますが、いままでは羽田空港の限界があるためにできませんでした。そういったことを、羽田空港の過密が解消された暁におきましてはそういう方向もやはり一つの方向として考えていきたい、こういうことでございます。
  79. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この問題はここで時間かけてやる時間がありませんので、要望で私とどめておきたいと思うんですけれども、やはり離島であるとか、山越えであるとか、やはり鉄道で行けば五時間、七時間かかるようなところ、こういう不便なところはやはり路線を拡大していくという公平な原則というものは貫いてもらいたいと、こう思うんです。  もう一つ、航空問題の最後にしておきたいんですけれども、円高メリットの問題ですね。昨年十二月、五%下げたんですか、二百九十何円かになっているわけですけれども、現在の二百三十円の上下をしている段階から考えた場合に、航空運賃はもっとやはり下げられるじゃないかという国民の強い期待があるわけですね。この点についてどう考えていますか。
  80. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 昨年十二月に四%下げたのでございますが、円の高い安いだけから言いますと、そんなこっちゃない、もっともうかっているんじゃないかというようにこれは普通考えられるのでございます。私もそういうように考えたのでありますが、しかし、たとえば日本航空をとらえてみますと、円で入ってくる金が多いのは多いのでございますが、同時に円で支払っているというような事情、大部分を支払っているというような事情等がございますので、必ずしも円高、その数字だけでうんと違うというわけにもいかぬようでございます。ようではございますが、いずれにしてもある程度円高のメリットがあるわけで、とりあえずそういう措置をとらしたのでございますが、いまもお話ございますように、その後さらに円高傾向でもございますし、そのうち、これもいつからというとまたいろいろ問題が出るんで何でございますが、考えて対処したいと、こういうように私は存じております。
  81. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 考えて対処したい——具体的にもう少し詰めたいんですけれどもね。いろいろな話は私も一部伺っているんですけれども、やはり早急にこの問題は結論を出すべきだと思います。やはり国民の感情的に言っても、何か二百九十四円でいまやっているというんですか、こういう段階ではちょっと後追いのような感じがするわけです。その点を運輸大臣の明晰な判断でひとつお願いしたいと思います。  それから時間がもう限られているので、国鉄総裁に一、二伺っておきたいんですけども、この間の新聞で、訪中されるようですけれども、中国の問題含め、あるいは世界各国から鉄道の海外技術交流という問題からいろいろ話題になってきているわけですね。したがって、この訪中とあわせてブラジルとかアメリカとか、あるいは諸外国から鉄道技術の交流問題が話題になっている。この問題に対し、あるいはさらに鉄道建設についてどういうふうな考え方総裁として持っているのか、端的に伺っておきたいと思います。
  82. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在までに諸外国からいろいろな形で協力といいますか、知恵をかしてくれというような話が出ております国の数が大体十カ国ぐらいになっております。その場合の依頼のあります内容は、システムとしての鉄道を自分の国に適用するとなればどういうことが問題であろうかと、具体的な線区についていろいろ教えてくれということが多いわけでございます。基本的にはそういうお申し出に対しましては、できるだけ私ども技術陣を派遣をいたしましたり、あるいは先方の技術屋さんをわが方の研究所であるとか、あるいは現場であるとかに受け入れまして、どんどん知識を供給するという気持ちでおります。で、特に新幹線というような技術はかなり世界的にも高い水準のものであると確信をいたしておりますので、そういうものを諸外国、先進国と言わず、後進国と言わず、諸外国が使いたいということであれば、大いにお手伝いをしてよろしいのではないかと思っております。ただ、イギリスでありますとか、フランスでありますとかという国は過去において植民地でいろいろ仕事をしております関係がありまして、日本の場合とはかなり違いまして、国鉄自身がよその国へ出かけていって一種の商売としていろいろなことをやるという積極性を持っておるわけでございますが、現在私どもの場合には、国有鉄道法のたてまえからいいましても、やや受け身になっておるわけでございまして、一体これでいいのかどうかということを少しこれから考えていかなければならぬのではないかと、現に私どもはいわば受託事業というような形でよその国からの御依頼を受けてやるということでございまして、いわばこちらの国鉄あるいは日本の政府の負担においてお手伝いをするという、積極的にそれを進めていくというところまでいっておりません。基本的には大体先方が手伝ってくれということであれば、では、先方さんに金を持ってもらって、そして手伝うというようなことになっておるわけでございまして、その辺のスタンスでよろしいかどうかということは今後緊急に検討しなければならぬ問題ではないかというふうに思っております。  なお、中国の問題につきましても、まだきわめて内容ははっきりしないわけでございまして、とにかくひとつ一遍見に来てくれということでありまして、それが将来どんなふうに発展するのかということはまだかいもく見当がついておりませんが、まあ各国からそうやって呼びかけがあれば、私どもとしてはできる範囲内において積極的にお手伝いをしたいというのが、私のいま持っております考え方でございます。
  83. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私はこれはシステムをいろいろ考えるということは非常に大事だと思うんですね。いまも総裁が受託システムができてない、受け身になってやっているという感じになっているのをやはり積極的にやるべきじゃないかという意見も一部あるわけですね。私もそういう輸出入銀行との外貨貸し制度なんかもつくって、これは総裁の方が専門ですからね、いろんな方法で黒字減らしの一環としても国鉄のこの問題は解決できるいろんな方法があるんじゃなと、私はきょうは細かく詰める時間ございませんけれども、これもやはり一環として積極的に国鉄の技術を全世界に売り込んでいくといったら語弊がありますけれども、PRしていくべきじゃないかと私は考えているんです。  それから運輸大臣、もう時間がありませんので、端的に伺っておきたいんですけれども、新幹線の整備五線の問題、これをどういうふうに、財源問題を含めてどう対処していくのか、これは私はこの前の法案のときにも、今後建設される新幹線あるいは鉄道の新幹線建設の問題等については、やはりこれを誤っちゃうと、また運賃のいろんな絡みに出てくる重大な問題であるので、やはりこういう問題は財源の目当てをはっきりした上で対処すべきだということを主張しておったわけです。この問題についてどう考えているのか。  それともう一つは、時間がありませんので、まとめて言いますけれども、公共割引の問題がこの前から保留になっているわけです。今回の予算のときにもいろいろ審議はされたんでしょうけれども、この閣僚協議会を開いて公共割引制度の問題についていろいろ検討するという前向きな答弁があった。しかしこれはこのままになっている、これに対してどう考えるのか。  それからもう一つは、やはり運輸行政の中で国鉄を初め地方の地下鉄ですね、公営企業あるいはまた私鉄、中小バスとか非常に赤字になっているわけです。こういう点でやはり総合交通会計を、特別交通会計をつくるべきじゃないかという私たちの主張でありますけれども、この問題について運輸大臣はどう考えるのか。もう時間がありませんから端的に答えていただけたら結構です。
  84. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まず新幹線の点につきましては、一口で言いますと、率直な話ハムレットの心境でございまして、一方においてはやれ、やれ、やれと言われるし、無理やりにやるようなことでは、ここに来ております高木君を初めとして、国鉄はますます赤字を出してとんでもないということでございます。そこで、まあしかし政治というものは、その種の、一見相矛盾するがごときことを調和せしめていくというところにも任務があるわけでございますから、その辺いま苦労しているところでございますが、一口で答えろというお話になりますと、これなかなかむずかしいんでございます。一面においてはやりたいが、一面においては赤字は出したくないということで、いませっかく苦労中でございますが、といって何にもしないでいるというつもりではございません。もうしばらくお待ちをいただきたいと、こういうように申し上げる次第でございます。  公共割引の点につきましては、これまた急いで何とかしなきゃならない。まあほかの国家目的等のために、国鉄にかなり犠牲を強いているというようなこと等は、これは大いに考えてやらなければならぬわけでございまして、非公式には若干閣僚間では話をしているのでございます。まだ正式に話を決めてどうというところへ行ってはおりませんが、いずれにいたしましても、これは運輸省それ自体としてもなるべく早く進めて国鉄の負担等を少なくして——ということは、国全体としての合理性を保たせるということでございます。そういうように進めたいと考えております。  交通政策全体から考えての総合特会の考え方、これなかなか、考えそれ自体としては大変私は耳を傾けなければならぬものであると思いますが、実現ということになりますとなかなか骨が折れます。これまた、ぐずぐずしておってしかられている問題でございますが、まあ何というか、私も就任早々いろんな厄介な仕事がたくさんございました。一部ずつ漸次片づきつつありますので、この問題につきましてはぜひ遠からず何とか前進をさせたいと、こういうように考えておる次第でございます。しばらく御猶予をいただきたいと思います。
  85. 渡辺武

    渡辺武君 私は、造船不況に関連した地域の問題について伺いたいと思います。造船不況に関連して各地に倒産、失業などの多発している地域がいまふえているわけです。私も若干の地域を現地調査しましたが、非常に深刻です。  そこで、まず労働省に伺いたいんですが、労働省が最近特定不況業種離職者臨時措置法の第二十条第二項の規定によって、室蘭、尾道、今治、長崎、佐世保の五地域を指定しましたけれども、この地域指定によってどういう効果が生まれるのか、時間がないから端的にひとつお答えいただきたい。
  86. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) 昨年の暮れに成立いたしました特定不況業種離職者臨時措置法に基づきまして、先生おっしゃるような地域指定をやりまして、不況業種からの離職者につきまして、四十歳以上の者につきまして、本来の失業給付のほかに九十日間の延長をする特別措置を現在実施しておりますわけでございます。
  87. 渡辺武

    渡辺武君 あれですか、失業者の吸収率四〇%と、公共事業についてのね、それも入っていますか。
  88. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) 「公共事業についての配慮」ということで、同法の二十条に規定がございます。
  89. 渡辺武

    渡辺武君 そこで、その四十歳以上ということですけれど、現地を見ますと、確かに、中高年の失業がかなり多いんです。多いんですが、それ以下の失業者もかなりいるんですよ。それで、この中高年の雇用促進法ですね、これが制定された昭和四十六年の五月の十八日、この参議院の社労委員会で、この法案についての附帯決議がついて採決されているんですね。その附帯決議によりますと、対象者の年齢の範囲、運用等については弾力的に運用せよ、という趣旨のことがはっきり書かれているわけです。したがってこの年齢についてね、もっと引き下げる措置を講ずべきだと思いますが、どうでしょうか。
  90. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) おっしゃる御趣旨は、特にこういう不況でございますのでよくわかるわけでございますが、失業保険といたしましては一応年齢別に相当給付日数の長短があるわけでございまして、それからさらにその中で個別延長という制度がございます。これにつきましては、一応年齢は取っ払って、本当に困る方、給付が切れちゃって困る方につきましては個別認定をして個別延長をするというかっこうになっております。ただ不況産業の場合は、これは特にそういう指定業種だけについて、まあ一律四十歳ということでございますが、まあ中高年の定義の四十五歳よりは五歳下げたつもりで、これは与野党一致してこれでやろうということで下げた経緯がございますので、その辺もひとつ御配慮をいただきたいと、こう思うわけでございます。
  91. 渡辺武

    渡辺武君 あのね、失業と倒産が非常に多発していて非常に深刻なんです。後から実情ちょっと申しますがね。だからそういう地域について、せっかく地域指定をして、中高年雇用促進法も適用していくわけでしょう。失業者の吸収もやっていこうと、こういうことですから、せっかくの措置がもっと効果が発揮できるように、やはり年齢の引き下げ、これは先ほど申しましたように、中高年の雇用の、雇用促進法の制定のときの附帯決議にちゃんとついているわけです。その点はひとつぜひ今後の検討事項として考えてほしい、これが一点。  それからもう一点は、いま言った個別指定などで、給付期間の延長をやるということになっておって、地域指定という概念がないんですね。この際やっぱりせっかく地域指定をしたんだから、失業者と倒産の急増している地域については給付期間を延長するという点もぜひ検討していただきたい。なぜかといいますと、これは大臣よく御存じだと思いますがね、いまもう失業者がずいぶん出ているんです。尾道なんかは大量の失業者がもう出ていて、そうしてこの失業者の雇用保険の給付の期間が切れることしの秋ごろですね、この頃が一番深刻になるんじゃないかと言われているんです。大変な不安を持っているわけですよ。そうしますと、やはりそういうこの地域指定をした特定のこの地域について、特別にやっぱり雇用保険の給付期間を延長するという措置も現実にあわせてやっぱり検討してほしいと思うんです。この二点どうですか。
  92. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) おっしゃるように、一定の地域に非常に離職者が集中して、非常にお困りの地域もあるかと思います。これに対しまして、私どもはいまの現行制度では広域延長制度というのがございまして、その地域から他の地域へ移転した場合には保険の給付日数も九十日間延長するということになっておりまして、まあこれと、それからその地域で雇用創出をすることと、それからやはり職業指導あるいは職業あっせん、それから職業訓練というものを大いに併用いたしまして全力を挙げてやりたいということでございますが、ただ地域に雇用の場がない場合に、おっしゃる気持ちはよくわかりますが、そこで延長をしても失業者の滞留をさらに長期化するというそのマイナス面もあるわけでございます。したがいまして、そういうことは政策的にどうだろうかという一つの配慮もしなければならぬということでございまして、私どもは先生のおっしゃる趣旨は非常によくわかるんでございますが、そういう効果が出ないようなことになったらいかぬというような点も考慮しなければならぬと思いまして、いま一生懸命いろんな職業訓練を特に織り込んでいくというところに重点を置いてやっておるわけでございます。
  93. 渡辺武

    渡辺武君 大臣にぜひお願いしたいんですがね、いま労働省の答弁でよく実情わかっているという趣旨ですが、やはり造船不況に関連しての特に因島なんか、あれ島なんですね、島といっても市ですよ。そこで私調べてみましたら、有効求人倍率〇・〇七とか八とかいうような状態なんです。つまり一万人の求職者について求人がわずかに七人とか八人とかこういう状態なんですよ。造船関係の労働者の四人に一人が失業者だと、こういう状況なんですね。今後これは長期化することは私は不可避だと思う。ですから、運輸省の方からもひとつ労働省にいま私が述べたような趣旨をよくひとつ話していただいて実現できるように御尽力いただきたい、これが一点。  それからもう一つは、四国の今治には出先の国の機関が対策本部つくっております。そうして地方自治体や地元の商工会議所などと協力しながら、いろいろ関連中小企業対策とか等々やっているんですね。せっかく労働省も失業の多発地域として恐らく指定したと思うんですが、そういう地域についてやっぱり今治のように対策本部をつくると、いろいろやっぱり地元の問題について国が積極的に解決に乗り出すということをぜひやってほしいと思いますが、どうでしょう。
  94. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 労働省が所管することにつきましていまのお話でございますが、うまくいけば私どももありがたい話でございます。ぜひ労働省とも協議をいたしまして、いまお話しの点等について対処してまいりたいと存じます。また今治の例を挙げて対策本部等をというお話でございますが、人員等もそう無制限にいるわけではございませんけれども、しかし非常に大事なことであり、どういうようにするか、早速検討させていただくことにいたします。
  95. 渡辺武

    渡辺武君 それから自治省からおいでいただいていると思いますが、こういう失業と倒産が多発しているという深刻な状態で、労働省も地域指定したと。ここで公共事業を起こす場合、失業者の吸収率は四〇%という制度を適用することになるわけですね。それらの地域で今後、公共事業ですね、特に私、やっぱり地元の住民の生活に密着した公共事業ですね、これをかなり起こして失業者を吸収する必要があると思うんですね。捨てておけば、従来の公共事業範囲で終わっちゃうわけですよ。ですから、いま自治省が人口急増地域とか過疎地域にそれぞれの実情に応じて補助のかさ上げ措置をやってますね。そういう措置をこの失業の多発地域、倒産の多発地域、これを指定してやるように御検討いただきたいと思うんです。どうですか。
  96. 関根則之

    説明員(関根則之君) 過疎地域等に対する補助率のかさ上げの問題につきましては、それぞれその補助事業の所管の各省庁においてそういう措置がとられてくるわけでございますので、自治省の方で補助金を持っているわけではございませんので、自治省サイドとして補助率のかさ上げを一挙にやっていくということは非常にむずかしい問題ではないかと考えております。しかし、現下の深刻な失業の状況の中で、いろいろな対策を政府部内で各省連絡をとりながら現在進めておるわけでございますので、またそういう話につきましても関係各省間で話題にはなってくると思うわけでございます。
  97. 渡辺武

    渡辺武君 これもひとつ運輸大臣運輸省の方からも積極的に推進方をぜひお願いしたいと思うんです。  それからもう一点、きょう建設省からおいでいただいていないんでこれも大臣お願いすることになりますが、ちょうど尾道−今治というのはこれは本四架橋のルートなんですよ。ところが、実情を聞いてみますと、広島県の商工会議所は、あの工事で地元に何にも仕事がこないといって、地元に仕事をくれという要請を出しているんですね。私、因島を現地調査しましたところが、大手の建設業者が労働者を引き連れてやってくるんですね。地元の失業者は、道路整理の旗振りぐらいの仕事しかないというんですよ。何とか本四架橋の関連した仕事、これを地元におろしてほしいという要望が非常に強いんです。私、建設省から伺いましたら、本四架橋の仕事で中小企業に対する発注率はわずかに三・五%だというんですね。これじゃとても地元の仕事にならぬのです。  それからもう一点、石巻である造船所が倒産して、それで市長さんやなんかが非常に努力しまして、河口に橋をかける、その仕事を造船所が引き受けたというような例もあるんですね。それは船をつくらないで陸へ上がるということなんですが、そういうことも勘案しまして、この本四架橋の仕事が、これが地元におりるようにぜひひとつ御努力いただきたいと、この二点。
  98. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 最初の点につきましては、私も努力をさせていただくことにいたしますが、あとの本四架橋等と関係してのことでございますが、実は私もこれ何かうまくいかぬというようなことで、きょうは見えておりませんが、建設大臣とも相談をいたしましたし、建設大臣も積極的にあの方面へ、いずれは公共事業をたくさんやるんだから、渡辺さんがお話しのようなそういう失業等の多発地域、特に私どもといたしますと、造船関係が非常に深刻でございます。そういうようなことをやっていた諸君が役に立つような仕事をと、公共事業の中でも橋等についてはやっぱり造船の技術が大変必要であります。そこで、そういうような仕事をなるべくそういうところでやるというふうなことで、現実にも進めてくれているはずのところがあると思いますが、ないしは新年度に入ってからということになるかと思いますが、そういう必要があろうと思います。これはほんの一例でございますけれども、せいぜいいまお話しのようなことを心得て対処していきたいと存じます。建設大臣にもよく伝えるつもりでございます。
  99. 渡辺武

    渡辺武君 今治の波止浜造船の倒産などのように、中小造船が倒産をして、そしてその地域が深刻な状態になったという例もありますけれども、さっき申しました尾道や因島の場合ですと、あすこは造船関連の中小下請業者がたくさんあるんですね。そうして、いままで大手その他から仕事をもらっていたけれどもその仕事が打ち切られて、そのために非常に深刻な状態になったという、いわば典型例みたいなところなんですね。それで私、造船下請の全国団体である日本造船協力事業者団体連合会、これがつくった資料をいただいて調べてみましたところが、こういうすごい数字なんですよ。造船大手各社の下請工の切り捨ての状態なんですが、ピーク時、昭和四十九年ごろですね、大手八社の下請で働いていた労働者は四万三千十五人いた。ところが五十三年一月現在ではこれが二万八百六十五名に減ってしまった。半分以下になったんですね。そうして、五十三年八月、これは推定ですけれども、恐らく一万九百七十五名に減るだろう、ピーク時の四分の一に減るだろうと、こういう見通しを出しているのです。非常に深刻な状態なんです。しかも造船不況だ、造船不況だと言われて、普通はそういう状態が起こるのが当然かなあと思っておられる人もあるだろうと思いますけれども、私どもが手に入れた資料で調べてみますと、大手造船所がいままで下請に出していた仕事を、いわゆる社内化と称して取り上げて自分の社内でやる。これが非常に大きな原因でこういう事態が起こっている。たとえば三菱造船の場合、広島工場ですと、上部構造製作工事、それから長崎造船の場合は艤装工事、これいままで下請に出していたやつを取り上げたというんですね。あるいは日立造船の因島の場合には、ハッチ・コーミーング・カバー、それから川重の坂出、これは艤装、塗装、こういうようなことを下請に出していたやつをみんなもう本社が、親工場が取り上げてしまってそうして下請がこんな深刻な状態になっている。これで因島はさっきも言いましたけれども、非常に深刻ですし、尾道の場合ですともう市内の造船関連下請、わかっているだけで十八社が倒産したと、こういうような状況なんです。  で、私はやっぱりこれはちょっと不当じゃないかと思うのですね。運輸省としてもこうした大手造船所の不当な下請切り捨て、これについてやっぱり規制をするということをやってほしいと思いますが、どうですか。
  100. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船の仕事の全体が急激に減っておりますので、造船各社その態勢に応ずべくいろいろ努力をしておるわけでございます。先生御指摘の大手造船業の下請の仕事の打ち切りにつきましては、私ども数字で見ますと、確かに四十九年のピークから比べますと、昨年の九月末まで約三年間で見ますと、全体で二万五千人、これは七社でございますが、そのうちで本工が約九千五百人、社外工が一万五千五百人と、こうなっております。ところが最近の一年半、五十一年の三月から五十二年の九月までをとりますと、逆に全体で六千五百人減っている中で、六千五百人の中で本工が五千二百人、社外工が千三百人という現象が出ております。そういう意味で、私どもとしましては大手造船業も造船工業のための一つの大きな柱でございますので、これの仕事が中小造船所に過大のしわを寄せないようにということで、操業率規制のときの配慮、それから大きなドックで並列建造を禁止する等の措置をとってきております。そういう意味でこれからはいろいろ構造改善の議論が出ております過程でいよいよ厳しくなるわけでございますが、不当に下請にしわが寄らないという点は今後も配慮してまいりたいと、こう考えております。  それから、もう一つ指摘のございましたいわゆる構外下請に対します外注の問題でございますが、私どもとしては、これは両面ありまして、一つは操業度規制をしておるわけでございますから、余りどんどん一つの造船所が外注に出すことによってその造船所全体の仕事量がふえて他の中小造船所に対する影響が出るという逆の面と、それから外注工事に依存する下請企業の仕事の確保と、こういう二つの相反する問題がございますので、この点については、操業度短縮の勧告におきまして、構外下請に対する外注比率は従来と同程度に維持するように指導をしておる状況でございます。しかし、先生御指摘のような一部外注に出しておりました部門を内作に切りかえているという例も見られることは事実でございます。いずれにいたしましても、これから造船業構造改善を含めた対策を確立していきます過程におきまして、中小造船所あるいは下請に対する配慮が十分行われるように検討してまいりたいと、こう考えております。
  101. 渡辺武

    渡辺武君 私はもう少し造船会社の大手の実態をよく見てほしいと思うのです。と申しますのは、いままで国の至れり尽くせりの補助も受けてきているわけですね。私はここに日本輸出入銀行融資の五十二年三月末の貸付残高の数字を持っておりますが、船舶に対して七千三百四十六億円の貸付残高があるが、そのうちの九三・二六%——六千八百五十一億円は大手八社に行っているんです。金利も輸出入銀行の金利ですから通常金利よりはるかに安い金で使っていたわけですね。それだけじゃないんです。造船不況だ造船不況だと言うけれども、大手造船所の内部留保は非常にふえている。私から運輸省の方で計算していただいたんですが、貸し倒れ引当金、退職給与引当金、海外投資等損失準備金、価格変動準備金、海外市場開拓準備金、資本準備金、利益準備金、これだけの項目で計算してもらって、昭和四十八年の三月が二千百九十二億六千五百万円、五十二年の九月になりますとこれが四千三百七億六千万円で、約二倍に内部留保がふえている、こういう実情なんですよ。しかも不況不況だと言うけれども、実際、大手造船所は、造船の方は確かに受注は減ってきているけれども、陸へ上がって陸上部門の仕事をふやして全体としては仕事量がふえているというのが実情なんです。  もう時間がないから、私はたとえば日立造船の例だけ一言申しますが、四十八年三月期と五十二年三月期を比べてみますと、総売上高は千九百七十三億五千八百万円から三千三百二十四億二千三百万円にふえているんです。船舶部門はどうかと言いますと、千三百九十七億四千六百万円から二千十五億七千二百万円に若干ふえている。しかし、陸上部門がそれよりもはるかに急増して二二二倍近くになっているという状態で売り上げ全体は伸ばしている。  これは受注残高について三菱重工のがここにありますけれども、受注残高も確かに船舶部門は減っているけれども、しかし陸上部門はふえて、全体としては受注残高もふえているというのが実情なんですよ。それにもかかわらず、仕事があるのに下請に仕事を出さないで打ち切ってしまう。これは私は社会的にも許されないことだと思う。下請中小企業振興法というのがありますが、そういう法律をかつぎ出すまでもなく、私はやっぱり運輸省として適切な行政指導をすべきだというふうに思います。この点どうでしょう。
  102. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 一つ内部留保の問題とそれから陸上と船舶との関係かと思いますが、内部留保の計算に当たりまして私ども退職給与引当金等を除きますと、大手七社で総資産に占めます内部留保の額の割合は逐年減ってきておるとこういうことでございまして、退職給与引当金を入れれば確かにふえておりますが、その点が内部留保という点で企業の経理を考えました場合には退職給与引当金等を引いて通常やるわけでございまして、逐年減っているというふうに見ております。それから、全製造業に比べましても約半分ぐらいということで、この点は御理解をいただきたいと思います。  それから、陸上部門への転移の問題でございますが、確かに大手造船所と中小造船所あるいは下請事業との問題につきまして、陸上部門を持っているということについてのメリットをどう見るかということでございます。この点は全体の造船の量が減っていく過程におきましては、当然他部門への転換ということを私どもも積極的に推進をしているわけでございますので、今後の議論におきまして、大手の陸上部門の転換の促進をどのように講ずるかという点についても、近く現在開いております海運造船合理化審議会等で十分御議論いただきまして、今後の構造改善の対策の確立の際には、この点も十分改慮をして考えたいと、こう思っております。
  103. 渡辺武

    渡辺武君 大臣もう少しそういう方面、強力に指導してほしいと思うんですが。  もう一点、最後に伺いたいんですが、いま官公庁船を中小造船所に回してほしいという要望が非常に強うございます。ところが、私、海上保安庁から資料をいただいてみましたところが、九六・三七%までは大手八社に仕事が行っているという状況で、中小造船所に回っているのはほとんど少ないというのが実情だと思うんです。もちろん大手から中小に下請で行っているということもあろうかと思いますけれども、しかし、たとえば今治なんかですと、もう六社が昨年の暮れからつぶれているでしょう。あと十何社の造船所が残っています。みんな中小ですよね。いつつぶれるかわからぬという風前のともしびの状態です。大手の直接系列化にあるものはこれは仕事がもらえるでしょうけれども、ないところはいつつぶれるかわからぬという深刻な状態なんです。それで海上保安庁にまず一つ。こうした二百海里で船の建造が急増するわけですから、これを中小造船に優先的に回すということをぜひやってほしいし、運輸大臣の方も海上保安庁とひとつぜひ交渉をして、中小造船、特に倒産寸前なんというようなところに優先的に回すという措置を緊急にとってほしいというふうに思います。
  104. 向井清

    政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの件でございますが、まず前提といたしまして、当庁の巡視船艇と申しますのは、非常に悪い海象条件、気象条件の中で働かなければいかぬというようなこともございまして、構造、性能上非常に高度のものが要求されておる、それらに応じまして船型、船種等ができてくるわけでございますが、したがいまして、そういうような高度の性能、構造に対応できるような造船所をやはり選んでいかなければならぬということで、大手の造船所並びに中小造船所それぞれに発注がなされておるというのが結果的に出ておる姿でございます。ただ、この発注の仕方といたしましては指名競争入札でございまして、制度上はそれによってやっておるということでございます。ただ、いまお話ございましたような中小造船所の経営危機というような問題も最近出てきておりますので、やはり大手造船所と組んで中小造船所が実際の船舶の建造ができるような道というものについての門戸を開くということについては、今後ともひとつ前向きに検討していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 海上保安庁の答弁も、むずかしいけれども一部何とかなるような話にも私は聞きましたのでございますが、いずれにしても何とかしたいものだと私はもう強く考えておるところであり、またいまの話を聞いておりますと、特殊の技術等も必要である、ないし施設等も必要であるような印象も受けるのでございますが、いままではそういうことに欠けておった中小造船も、そういうことは全然できないということでもなかろうと思う。そこいらをみんなで研究をいたしまして、できるだけいまお話があったようなこと等について対処するの方途を発見していきたい、こういうふうに存じます。
  106. 内田善利

    委員長内田善利君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      —————・—————    午後一時五十二分開会
  107. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間もあんまりありませんので、要点的なことでといいますか、若干基本的な点で御質問してまいります。  最初に国鉄総裁にお聞きするのですが、国鉄法案が昨年の十二月に成立をいたしました。もう三カ月たったわけなんですが、再建が軌道に乗ったんですか、どうなんですか。その点です。で、具体的にどういう点を重点にいまそれを進めておられるのかということをお聞きしたい。
  109. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 事が非常に複雑かつ深刻になっておりますので、なかなかいま御指摘のように法律が通りました後も、まだまだ再建が軌道に乗ったということは言えないと思うのでございます。ただまあ、十二月の二十九日に閣議了解をされました、これからの再建についての基本的な考え方というものが明らかになったわけでございますけれども、この考え方は、従来何遍となく立てられました再建要綱というようなものに比べますと、ある意味では、いままでのものよりはかなり現実的なものとして私どもとして受けとめていけると思っております。  再建にはいろんな問題がございますけれども、一番大事なことは、やはり職員諸君が積極的に仕事に取り組んで、意欲を持って仕事をしていってくれるかどうかということでございまして、私は、かねがね一番悪いときの状態よりはだんだんよくなりつつあるという認識を持っておるということを国会でも申し上げたことがございますけれども、その認識は変わってはおりませんが、しかし、なかなか思うように——だんだんよくなるという、そのだんだんという程度がなかなか望むほどにはなってまいらないわけでございまして、いろんな面でまだ改善されるべき点がたくさんございます。しかし、方向はそういう方向に行っておると思いますが、めどがついたかと言われますと、いや、ちょっとまだそこまではまいっておりませんと申し上げざるを得ない現状であろうかと思います。
  110. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 総裁、具体的にね、こういう成果が上がったなんていうところへそれはとてもじゃないけれども、三カ月じゃいかないと思うんです。ただ、そっちに向かって、レールに乗ってその再建の方向に走り出すことができたんだろうかどうだろうかということを心配するわけなんです。それで、何だかんだ言っても、いまのお話の再建の基本方針の責任ある経営体制の確立ということ、本当に昨年も私言いましたけれども、そういう国鉄内部経営に対する責任体制が確立することができたのかどうだろうか。  それから、もう一つの大事な点は、やっぱり労使関係、大変よくなってきたんだということは、前回も総裁から御発言があったんですが、本当にその辺が再建に労使が一体で取り組むような体制になってきているのかどうだろうか。特にこの二点について、もうちょっと突っ込んでお聞きしたい。
  111. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 全体としての経営の責任体質というものにつきましては、なかなか現場に浸透するにはまだ十分でないと言わざるを得ないと存じます。長年の体にしみついた体質というようなものがございますので、もう少し経営的感覚といいますか、責任を明らかにしていくという感じが現場現場で出てこなければいけないと思いますが、これはしかし、まだまだ一年も二年も、さらに三年もかかる話でございまして、しかし、方向としてはそういう方向に向かいつつあるということは、ごく限られた事例をもってすれば推察がつくわけでございますけれども、まだしかし、それを胸を張って申し上げるほどの状況にはなっていないと言わざるを得ないと思います。  それから全体としての問題でございますけれども、たとえばことし一年の、車がしばしばいろんなかっこうで御迷惑をかけて、運休になりましたり遅延をいたしましたりはいたしておりますけれども、地震がありましたとか、あるいはまた架線事故がありましたとかというようなこともございますけれども、それ以外のことで、残念ながらときどきトラブルがあるということについては、どう評価してよろしいかという問題でございますが、少なくとも昨年、昭和五十一年度一年間と五十二年度一年間を比べますと、五十二年度の方がいろいろな面で成績が向上いたしております。たとえば全体の列車がおくれました遅延時分でありますとか、あるいは職員の責任に起因いたします、いわゆる責任事故と呼んでおりますものの件数でございますとか、あるいはまた、不注意から起こります職員のけがといいますか、死亡を伴うこともございますが、傷害事故というようなものも減ってきておるということは、数字の上で出ております。傷害事故が減るということは、それなりにやはり職場で緊張して仕事をしているということのバロメーターでもございますので、そういう意味では、多少ともいい方向に動いているということを証明する資料はお示しできると思います。しかし、それでは現状でいいのかというと、そうではないのでございまして、もう少し速いスピードで改善が進まなければうまくいかないというふうに考えております。
  112. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 前向きでいい方向に向かっているんだという、そのお言葉で私も理解したいと思います。  細かいことでいろいろお聞きしたいことがありますけれども、そういう点を省いて、先ほど午前も運輸大臣から何というのですか、新機軸を出してやっているという大臣の御発言があったように、運輸省の方で困るくらいにやっぱり総裁の方から再建について、こういうアイデア、ああいうアイデアというものを持ち込んでいって、それでもう運輸省の方できりきり舞いするぐらいにやっていただきたいと思うのです。私、それでなかったら、とてもじゃないが、あれだけの大きな国鉄の再建なんというものはできない。やっぱりあの法律ができましてから従来とは違ったのだということがあの中に働いている、総裁から四十何万の全従業員がその認識、自覚に立ったときに、私は本来の方向に行くと思うんです。そういう方向になったら、問題はやっぱり運輸大臣を通じてこれ持ち込んできて、そのたびにいろいろ力を貸してくれ、手を貸してくれということがあっても、それは私はこの委員会でもみんなよろしいと言ってやると思うんですから、そういう点でせっかく再建に取り組んでいるんですから、ぜひともそれは成功させていただきたいという、これは要望を申し上げておきます。  二番目には、これは運輸大臣の方へ。この前の所信表明の中で特に造船業と海運業の不況対策、大臣の所信表明の中でもかなりの項目を取り上げてこの点について御指摘になっていますので、私も感謝を申し上げたいと思うんですけれども、要はどうやって思い切った対策を講じるかだと思うんです。ですから、そういう点でもっていろいろいっぱいあるんだけれども、当面緊急に何をしようとしているのかという具体的な点で、幾つかの点を取り上げてのお話をお聞きしたいと思うんです。
  113. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいまお話しの、どういうことをということになりますと、これ特に取り上げるようにというお話でございますけれども、いまやっておりますことといたしますと、従来もうしばしば言っている幾つかのことがあるわけでございますが、そういう点については何もかも御承知の柳澤さんに一々申し上げるのもかえっていかがかと思いますが、従来、対策につきましてはいろいろ申し上げておりますこれらを、いずれも進めていかなければならないわけでございます。それについては、類似の産業に共通するような問題等もたくさんあるし、船プロパーの問題等もあるんでございますが、私が特に申したいと思いますのは、どうもわりあいに、当然と言えば当然ではあるが、ありきたりの話が非常に多くて、それも大事ではございますが、何としても仕事をふやすとか新しい分野を開いていくとか、要するにいますぐに画期的にとまではいかなくても、しばらくがまんすれば先は明るいんだという、そういうことに対する施策というものが強力に進められることが、私はもうここまで来た造船とかあるいは海運とかというようなものについては、そういうことがぜひ必要だ。そういうことになりますと、必ずしも完全な対策ではなくても、多少それにまだ考慮を必要とするとか、きずがあるとかというようなことがあっても、そういうことは後で直していくどして、新たなる着意なり、新たなる努力なりということにさらに一層重点が注がれていかなければならないんじゃないかということを、私強く感じておるわけでございます。そういう意味から、運輸関係全体について例を挙げますと幾つかあるわけでございますけれども、いずれにしてもこういう産業全体について将来への展望が明るいものたと思わせるような措置——せめて素人の私がなったんでございますから、そんなことにでもぜひ役に立ちたいというような考えでございます。したがって、関係の諸君にもそういうことをいろいろ申しているというような状況でございます。
  114. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 大臣、いま言われました将来の展望が明かるく見れるような、そして完全な対策でなくてもやれるところはやっていきたいというそのお考えでぜひお進めをいただきたいと思うんです。  それで、午前も倒産の話なんか出てましたけれども、いまの状態のままでいったならば八月、九月になったら大変な事態が起きると思うんです。それで、えてして政府の方なんかも、何というか、山一証券とか、最近で言えば永大産業とかと言っている。倒産しますとこれは大変だと言ってそれはいろいろ手は打つんです。その一歩手前の状態でアップアップしているというときになると、なかなかそれに対しての対策というものが、ああでもない、こうでもないでおくれてしまうんです。まあ言うならば、慎重を期さなきゃならないときもありますけれども、いまの造船の関係なんか見たときに、かなりその辺は迅速にやらなくてはならないんだという感じをいたしますので、これはもう大臣も十分おわかりだと思うんですから、そういう点でぜひお進めいただきたいと思うんです。  それであと、海運局長の方にもちょっとお聞きしたいことは、近海船問題、これは予算委員会でも私が質問したときに、まあ言うならば、五万トン程度のものをスクラップ・アンド・ビルドで行くという考えを持っていることのお話も聞いたわけですが、これは大臣もお聞きしておいていただきたいんですが、結局、近海船問題というのは、船腹が過剰になりまして、これじゃとてもじゃないけれどもということで、日本においてはもう大分前から新造船の建造をストップしたわけなんです。そして日本の船は、ですからそういう点で細かい数字は申し上げませんけれど、かなり減ったわけです。日本船が減る以上に外国の船がそこに入ってきて、全体のトータルでは逆に従来以上に船腹がふえて過剰になってしまう。で、そういう競争力が激しくなってきた中でもって、結果的に日本船がどういう状態に置かれたかと言うならば、新しい船をつくることをとめたわけですから、みんな老朽化したわけです。ぼろ船になってしまった。経済性も悪くなってしまった。そういう点で、いまではもう国際競争力の上でも太刀打ちできなくなってしまった。ですから、そういう点から考えて、これを何とかやはり国際競争力を持って取り組めるようにしなくてはならないと思うんです。そういう点についてどういうお考えでいるかということをお聞きしたいんです。
  115. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御指摘のように、近海船につきましては、過去におきまして建造規制ということをやりまして、日本の船会社で近海船を建造を希望する人が仮にありましても、法律の運用によって近海船に通常に就航する一般型貨物船については建造を行わない。日本のトレードに就航しないとか、あるいはもっと遠くの海域で商売をするとか、いわゆるそういったようなことが明らかにされた、しかも輸出船の形式をとった船については建造を許可する。あるいは日本の船であっても、日本籍の船であってもそれが市場の秩序というものを撹乱しないような特別の説明がつくわずかの船についてだけ建造を許可するというやり方をとってやってまいっておりますし、先生御指摘のように、その結果として、日本籍の近海船というものがこの五年間に約三百隻程度の減少を見て今日に至っております。  で、これから先これをどうするかにつきましては、ただいま御審議をいただいております五十三年度の予算におきまして、船舶整備公団を通じてスクラップ一・三あるいは海外売船一・五トンに対して新造一トンというスクラップ・アンド・ビルド方式に基づいて新造する近海船については、いま申し上げております建造規制方式を解きまして、新たなる建造を認めるという方式で、いままでやっていなかった船舶整備というものを進めたいと考えておりますが、しかし、この場合にもやや若干のまだ問題が残っているのでございまして、ことに近海船につきましては、日本の海運が最近に至って非常に新しい問題として抱えるに至りました国際競争力の他国との差というものが歴然としております。で、船の型が近海船の場合は小そうございまして、したがって船価が一隻当たり小さい。したがってコストに占める資本費の比重が小さい。逆に申せば、船員費その他のそういったコストの比重が非常に大きい。そういう構造の船の場合には、昨今の近隣諸国の船員が船を動かしている場合にかかる船員費と、日本の人が船を動かしている場合の船員費との間に格段の差がございました。それが運航コストで非常な差になっておる。したがって近海船を新たにつくりまして、これに日本の人を乗せて動かすという場合には、用船者が通常の用船料でそれを用船した場合に、船員費が、あるいは船費がとうてい賄えない状態になる。したがいまして、今後つくります日本の新しい近海新造船につきましては、その国際競争力というものが他国に対して拮抗できるような条件を成就しなければならぬと思っております。そのために、従来とは違いまして、船舶整備公団の持ち分を大きくするとか、あるいは利子を若干従来に比べて下げるとか、そういった手は打っておりまするけれども、やはりこういったことによる資本費のコスト減というものはわずかでございまして、やはり近海船についての船員制度というものについての労使間の話し合いというものがさらに格段の進展を見ないと、せっかくのこのスクラップ・アンド・ビルド政策も競争力のある日本船をつくることにならない。したがいまして、今後の近海船のスクラップ・アンド・ビルド政策を進めるについては、政府としてもなおかついろいろ知恵をしぼりますけれども、労と使の間でさらに突っ込んだ話し合いが持たれることが期待されているところでございます。
  116. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いまのお話に出ました船舶整備公団で、現状は四千五百トン以下が対象だと思うのです。いまの近海船問題で、そういうことからいったいろいろ国際競争力を考えたときに、一万トン以下という形にそれをもう少し引き上げて、そしてもうちょっと大きな船がその対象でやれるような、そういうお考えはございませんか。
  117. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。  ただいまの船舶整備公団のいわば援助の対象になる船の型につきましては、ただいまのところ運輸省令で四千五百総トン未満ということに決められております。これはただいまの船舶整備公団によりまして、資金調達困難な比較的零細な中小船主というものの船舶整備というものについてこの公団が協力し助力する、支援するという目的を持って設立された公団として、その目的に応じたような、船型としてはいろんな歴史がございますが、ただいまのところ四千五百総トン未満の船ということに省令で定められているところでございます。  また大型船につきましては、これと全く歴史、いきさつを別にいたしまするけれども、開発銀行による計画造船方式というものが別の形で、いわば政策融資の対象とされて今日に至っておるということでございまするけれども、また一方で、これまでのところそういった船型の制限に対しまして、実際のビジネスの世界から、これでは少し困るんだといったような声も聞かれませんで、四千五百トンというものが踏襲されて今日に至っておるという事情でございます。これは考えてみますと、必ずしも現在の四千五百トンというトン数ですべてが今後のあらゆる事情にミートし得るかどうかにつきましては、今後の問題としてはその是非についてさらに検討をさせていただきたいと思っております。
  118. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そこの辺はぜひ御検討いただきたいと思います。  それから、もう時間がないから、これはもうこちらの考えだけ申し上げておきます。仕組み船の輸入がいまのドル減らしか何かでもって、これはきのうか何か、夜のニュースで私は見たのですけれども、これはいろいろ一長一短ある問題で、ただ、もう時間がございませんので、先ほどの国際競争力で労使間の話し合いを待つと言われたのですが、それと同じで、この仕組み船を輸入するということについても十分に労使の間で話をするようにして始末をしていただきたいという、この要望だけ申し上げておきます。  次に海上保安庁の方にお聞きしたいのは、二百海里法が制定されて日本が支配する海洋面積がうんとふえたわけなんです。私の記憶では、たしかソ連より広いはずなんですが、それだけの海洋面積が広くなって新海洋秩序を保つ上に、これは大臣も言っているわけだけれども、かなりそこに従来と性格が変わってきている。じゃ実際にそれだけの、二百海里法が制定されてから海上保安庁としてはこういうふうなことで考え方が変わって、こういう政策を取り入れてやるんですというものが見当たらないので、その辺のところをお聞きしたいんですが。
  119. 向井清

    政府委員(向井清君) お答え申し上げます。  いわゆる新海洋秩序の時代ということで、昨年の七月一日から漁業水域に関します暫定措置法が施行されまして、拡大な漁業水域というものに対する監視取り締まり体制の責任が海上保安庁に負わされたわけでございますが、面積的に申しますと、国土面積の約十一倍に達するという広大な水域でございます。  それで、これに対応いたします海上保安庁の勢力といたしましては、御承知のとおり、現有勢力三百十二隻の船艇、三十六機の航空機ということで、全国百十六の部署並びに十三の航空基地等に配備されているわけでございますが、これらを非常に有効的に駆使いたしまして、いわば全国的な応援体制をしくという体制のもとに、昨年来、監視取り締まりを行ってきたところでございます。最も重点を置いております北方海域、すなわち南は銚子沖から北は北海道南岸という広大な水域におきますところの取り締まり状況を申し上げますと、毎日のように十隻前後の巡視船が張りつけられておると、常に警備に当たっておるということでございますし、また二、三日に一回は飛行機を飛ばして空からも監視をいたしておるということでありまして、結果といたしましては二百件を超えますところの立ち入り検査を行い、十五隻を検挙しておるという警備実績が上がっておるわけでございます。いわば現在のところは全国的な能力をフルに活用いたしまして、いわば緊急対策的な体制のもとにこのような成果を上げて一応事態に対処しておるわけでございますが、やはり先生もおっしゃいますように、今後の問題といたしましては、恒久対策というものを確立せにゃいかぬということで、これも御承知と思いますが、五十二年度予算から本格的な整備に着手いたしまして、五十二年度予算並びに五十三年度予算案におきましては、ヘリコプター搭載型の三千八百トンの新鋭巡視船三隻、一千トン型のこれも新鋭の巡視船十隻、三十メートル型三十ノットの高速巡視艇八隻、大型飛行機——YS型てございますが——三機、それから中型の優秀なヘリコプター十機というものをすでに計上されておりまして、整備増強の途についておるということでございます。これらの船艇、航空機、いずれも本年から来年にかけまして続々と完成いたすわけでございまして、現状から比べますと、やはり警備体制格段の進歩ということに一応相なるわけでございます。  今後の問題といたしましては、やはり最も留意すべきところは客観情勢の推移ということでございまして、いままで初めてやってまいりました取り締まりの状況、それから各国の漁船の出漁状況、操業状況というものを十分分析して将来を推しはからなければいかぬ。それからさらに最も重要な問題といたしましては、俗に二百海里体制と申しますけれども、二百海里海域のいわば性格づけというようなものもまだ国際的に海洋法会議の審議等におきましても固まっておらない。これがやはり徐々に厳しい規制を要するような海域に変化してくるということも考えられますので、そのような推移というものを十分考えていかなければならぬ。そういういま申しましたような客観情勢の変わり方というものを勘案いたしまして、今後の体制の整備をどう持っていくかということを逐次検討いたしまして万全を期してまいりたい、こういうような決意を持っておる次第でございます。
  120. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 終わります。
  121. 山田勇

    ○山田勇君 連日の円高に見られますように、わが国を取り巻く経済情勢は大変厳しいものになっております。景気回復への道は政府や民間の切実な要望にもかかわらず、トンネルの中で低迷をしております。所信表明の中で大臣は、国民生活と経済活動の基盤である運輸交通の分野において、輸送需要は総じて伸び悩みの傾向を示していると述べられておりますが、今後の見通しといたしまして、わが国の輸送需要はどのような線を描くのか、まあ景気とこれは関連している問題でございますので、簡単で結構でございますので、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  122. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いまお話しの点は、そういう悩みがありますということを表現しましたが、その悩みは依然として今後もなお続く可能性があると見ざるを得ないわけでありますが、しかし、いろいろの施策を進めて経済の諸般の事情を幾らかでもよくしていくことと並行いたしまして、漸次よくなっていくことを衷心期待していると、こういう次第でございます。
  123. 山田勇

    ○山田勇君 さて、大臣、所信表明の中で幾つかの重点項目を挙げておられますが、その第一点、国鉄の再建問題を持ってきておられますが、われわれ国民にとっとも国鉄は最大関心事であります。まあ昨年の十二月に国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法改正が行われたわけですが、国民にとってやはり一番気になるのは運賃がどのように改定をされるかということであります。二月十七日に第一回の運賃問題懇談会が開かれ、その後二回ほど開かれているようですが、この会合の中でどのような問題が具体的に現在まで話し合いが行われてきたかをお知らせ願いたいと思います。
  124. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 運賃問題懇談会は、私ども国鉄の中のいわば御相談相手ということでつくっていただいたわけでございます。今日までに三回会合を開いていただきまして、延べ八時間ぐらいのお話し合いをいただきました。そこでの御議論は、まあ運賃の問題というのは非常にむずかしい技術的な問題であるので、われわれ素人にはわからないけれども、国民に運賃負担の増加を求める以上は、もっと国鉄自体がサービス精神に徹した運営が行われなければならないのではなかろうか、あるいは現在国鉄が置かれているポジションというものは、他の輸送機関との競争関係の間に非常に厳しい条件に立たされておるので、そういう条件のもとで何とも経営が成り立たぬというのであれば、われわれも陰ながらいろいろな形で応援をするから、どこでどういうふうに困っているんだというようなことをはっきり言いなさいと。それからまた、運賃の中身につきましていろんな御意見が出ておりますが、かなりの多くの方から、全国画一運賃制度はこのままではぐあいが悪いので再検討すべき時期が来ているのではないかというような御議論、さらに長距離トラックの過積み問題というようなことについて、もう少し実態を明らかにすることによって、鉄道側としてトラック側にいろいろ言うべきことを言うべきではないかというふうな御意見というようなことで、直接に当面迫られております五十三年度の改定問題に入ります前の周辺の問題といいますか、より基本的な問題といいますか、そういう点についてきわめて活発な御意見が各委員方から出されておるという現状でございます。
  125. 山田勇

    ○山田勇君 運賃改定は、昨年の十二月九日の運賃法改正により毎年の経費増加分を補うことになっておるわけですが、午前中の青木委員からの質疑の中に、予算計上されている二千五百五十億、運輸収入、雑収入等の合計二兆六千百三十二億ですか、この中に含まれているとされておりますが、予算案の枠の中で改定を考えているといたしまして、まあ旅客貨物それぞれ具体的に予算枠内で計上されている分ですと約何%の値上げになるんでしょうか。
  126. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまお示しの二千五百五十億というものを、仮に、これは仮にでございますが、六月一日からの改定で引き上げさしていただくといたしますと、改定がない場合の予想運賃収入に対して一四%になるということでございます。これは旅客貨物運賃料金、その他すべてを込みで見ました場合の改定増収率と申しますか、改定率と申しますか、しかもそれは仮に六月一日から改定したとした場合の六月以降の運賃差というものが一四%であるということでございます。
  127. 山田勇

    ○山田勇君 そこで総裁、この改定案の申請は大体いつごろになる予定でございますか。
  128. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 法律の施行日が三月三十一日でございますから、四月に入りましたならば、なるべく早くお願いをいたしたいというふうに考えております。
  129. 山田勇

    ○山田勇君 私は、去る一月二十六日の政府施政方針演説に対する代表質問をさしていただいたわけですが、そこで福田総理が政治理念の重要なポイントの一つに人づくりの大切さを挙げておられることについて、私は人づくりの原点は乳児期にあるんではないかという観点から質問をいたしました。戦後の日本の母親は子供を母乳で育てなくなってしまった。ほとんどがミルクにかわってしまった。人間が人間の乳で子供を育てなくなった。一億七千万年の前から続けてきたことを三十年前に突然やめてしまった。赤ちゃんと母とのスキンシップがなくなった。子供が母から肌で感じる愛情が失われたのではないかというような質問内容をさしていただいたわけですが、これは一々いま申し上げれば長くなりますので割愛さしていただきますが、乳児の健康面からも母乳の大切なことは医学的にも立証されているわけでありまして、総理の答弁も、最近の動きではございますけれども、地方自治体や関係団体の協力を得まして、母乳育児運動というのが展開されております。政府におきましても大いにこれに協力していきたいという御答弁をいただきましたが、しかし現実にはいろんな問題があり、特に戦後の風潮の中で、人前で母親がおっぱいをわが子に与えなくなった。戦前、戦後間もないころでは大ぴらにどんなところでも、たとえば列車の中でも乳房を出して母乳を与えていました。ほほえましい風景があちこちで見られたもんでございますが、女性にどのような意識の変革があったのか、風俗にどのような変遷があったのか、その論議は別といたしまして、外出先での授乳が非常に困難であると、場所的にも。母乳からミルクへ移っていった一つの原因と考えられます。  幸い、先に申しましたが、代表質問がきっかけとなり、関西の方では百貨店の中におっぱいルームといいますか、そういうものを設けられたり、先日そういう母乳運動を展開なさっております岡山の団体等が中国鉄管理局内でいろいろ陳情申し上げました中で、列車内の車掌室を一時的に使用することは許可されたりしておりますが、特にこれからの長距離列車、新幹線などに積極的におっぱいルームを設置することが母乳育児推進に大いに役に立ち、ひいては総理の申される人づくりの一助にもなるんではないかと思いますが、これはいますぐにと言って非常に無理な問題かもしれませんし、御答弁しにくい点があろうかと思いますが、これからの長距離列車に対する車両改造等、そういうものを含めた上でひとつ前向きの御答弁をぜひいただきたいと思いまして質疑をさしていただきましたが……。
  130. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 拝聴しながら非常におもしろいと言っちゃ悪いんだけれども、われわれとして関心を持つべき御着想だと思います。なかなかこの種のことを言い出すということは勇気も要ることであり、したがって、われわれ行政に当たる者も、これを受けてどうするかということについてはいろいろ考えなきゃなりませんが、私はいいことは積極的に考えたいという性分の方でございます。いろいろこれに関しては問題もございましょうが、ぜひ研究さしていただきたいと存じます。
  131. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、総裁、車掌室を一時的にも使用許可されたんですが、まあ車掌室の使用というのは、乗客が気がねしてしまいますもんで、先ほどぼくも新幹線の車いすのルームがかなり広いスペースでつくっていただいて、非常に車いすの皆さん方も喜んでおられると思うんですが、あのスペース等をちょっと拝見させてもらって、あそこにとりあえず二人ぐらいかけるようないすか何かを設置してもらえないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  132. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) ただいま先生御指摘になりましたように、現在の車を改造するというのはなかなかむずかしいわけですが、新幹線のひかり号は徐々に、取りかえの都度、身障者用のルームというものをつくっております。で、その身障者の専用の個室も現在、九十九編成中五十編成までできておりまして、これが一、二年の間には八割から九割ぐらいになるだろうということで、この部屋はかなり多目的に使えるんじゃないかということで、われわれもそういう考えをいたしておりますので、あの部屋は現在でも腰かけてやれるし、あるいはかぎもかかるということでございますので、こういった部屋が一つ使えると、それから十六両で一ヵ所ではどうかというようなこともありますが、非常にそういう際には車掌にお申し出になって、便宜ほかの部屋を使っていただくということで、ここ何年かたちまして、昭和六十年ぐらいまでなりますと、いまの七号車の専用室というものが全部完備されると、その過程でできるだけわれわれとしてもそういった点を考えていきたいというふうに考えております。
  133. 山田勇

    ○山田勇君 まあ総裁も申されましたように、国鉄再建の中には、やはり国民の御理解をいただき、そして国鉄が一体となってサービスの向上を図り、そして国鉄の再建に取り組むということでございますので、これはもう全車両なんということは無理でございますので、十本に一本ぐらいはひとつおっぱい列車というような名称はついてもよろしゅうございましょうし、何かそういう形でほほえましい列車をぜひ車両改造の中にもひとつ組み入れてもらって、ぜひ今後つくっていっていただきたいと思います。これは強く私も要望いたしまして、次の問題に移ります。  次に、身体障害者用として、東京駅に車いすの利用旅客に対する専用待合室がオープンしましたが、これまでに新幹線内の車いすの専用座席、また専用トイレなど、いろいろと身障者に対する対策が行われておりますが、五十三年度のこれらに対する予算内容というものをお知らせいただきたいと思います。
  134. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 身体障害者の設備につきましては、たとえば新幹線の車両を新造するというような場合につきましては、これはその都度そういう設備を織り込んでいくということも考えておりますし、あるいは新幹線の工事をやる際、あるいは大きな駅の工事をやる際というような、新しい列車の改良、新設をします際にも織り込んでいく。ただ、身体障害者のいろんな施設の場合には、小さなものがたくさん考えられます。たとえば誘導ブロックでありますとか、あるいは点字テープ、あるいは点字の運賃表というように、一つ一つの件名でとってみますと、額は小さいんですけれども、かなり数が多く必要である。しかも、それがその駅、あるいはその地域に、どういう時期に、あるいはどういう形でやるのがいいとかいうことは全国いろんなケースがございますので、この身体障害者のそういった小さな工事につきましては管理局でやらせるようにしております。したがいまして、五十三年度のどの程度の予算でどの程度やるかということにつきましては、その予算管理局におりまして、その中の施策ということで二、三ヵ月後に決まっていくという形になりますものですから、現在のところ、私の方で五十三年にどれだけということは、つかんだ数字ではまだ持っておらないわけでございます。そういうことであります。
  135. 山田勇

    ○山田勇君 次に、国鉄の安全対策についてお尋ねをいたします。  今年の事故は事故防止対策の推進、輸送基盤の整備、また職員の努力などにより逐年減少の傾向にあることは大変喜ばしいことでございますが、一歩横須賀線の列車妨害事件のように、線路上に重さ二十キロのコンクリートブロックを置いたり、車内のトイレ、洗面所に放火したり、悪質なケースがふえているようでございます。これはもう成田空港関係の過激派による妨害は別に考えるといたしまして、横須賀線以外でも全国的に見て列車妨害や投石などの事故の発生状況はふえております。そういう状況がどうなっているのか、また国鉄としての防衛策、また犯人の検挙などはどのようになっておりますか。警察としても一つ間違えば大きな事故につながることでございますんで、いろいろ問題があろうかと思いますが、どのような対応をしているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  136. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 鉄道妨害件数でございますけれども昭和四十七年度までは毎年度一万件を超えておりましたわけでございますが、それ以後、各年度によって増減はございますけれども、一応一万件以下ということで、長期的にみますと減少傾向になっておりまして、現在でも九千件強という形で、五十二年度も恐らくそういう形でおさまるんじゃないかということでございます。  なお、検挙率ということになりますと、まあ約五十数%、六〇%を超えた年次もございますが、五十一年度は五七%ということでございます。
  137. 山田勇

    ○山田勇君 線路上に物を置いたり、走行中の列車に物を投げたりする妨害は危険きわまりない行為ですが、イギリス等でも過去十年間に、年間一万六千件から三万三千件と、二倍以上に列車に対する妨害件数がふえているそうですが、この種の列車妨害は、マスコミ等に発表すると逆にそれを助長するようなことになり、その対策に苦慮しているようですが、またこれらの犯人は七歳から十五歳ぐらいの少年とされていますが、わが国においても同じような傾向でこういう犯罪が起きているのかどうか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  138. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 日本の場合を申し上げますと、五十一年度と五十二年度の上半期で申し上げますと、たとえば置き石は、発生件数は五十一年度で千九百七十九件でございまして、検挙人員がそのうち千五百八十七名検挙いたしておりまして、四十歳未満がそのうち九八・一%でございまして、十四歳以上が一・九%という形になっております。それで五十二年度の上期でございますけれども、置き石で例を申し上げますと、千百十六件発生いたしまして、検挙人員が九百六十三名、そのうちの十四歳未満が九八・二%、ほとんどが十四歳未満でございまして、残り一・八%というのが十四歳以上ということでございます。
  139. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、これは当然、余り線路から、沿線から離れた小中学生の犯罪とは思えませんので、どうでしょう、国鉄として何かこうPR機関といたしまして、沿線にありますそういう学校等について強い国鉄安全輸送のPR的なものをやられてはどうか、まあ現在やられているようにも聞いておりますが、その点、どうなんでしょうか。
  140. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) ただいま御指摘のような地元あるいは小学校、幼稚園等に対するPRの必要は、もともと御指摘のとおり必要でございまして、私の経験から申し上げましても、各地元に密着いたしております現場長あるいは運輸長というような職務の者が小学校に行きましてお話を申し上げたり、あるいは地域によりましては鉄道を守るいい子の会というようなものができておりまして、日曜日には東京付近でございますと交通博物館に連れて行って鉄道の実態を見てもらうというような努力をいろいろやっておるわけでございます。
  141. 山田勇

    ○山田勇君 これで最後です。  こういうことで、いろんな問題がたくさん国鉄にも絡んでおりますが、こういう安全輸送ということに関連した、これはいまのところは大きな大事故につながってはいないんですが、いずれはこういうことが、傾向がどんどんと出てくれば大きな事故にもつながる大変な問題でございますので、今後こういう問題について最後に国鉄と警察はどのような姿勢でこういうような問題を対処していくのか、決意のほどを伺って私の質疑を終わります。
  142. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもといたしましては、やはり大変苦慮いたしておるわけでございます。公安官の仕事といたしまして、各駅におきますいろいろなトラブルに対応するとか、あるいは車内におきますいろいろな犯罪予防に当たりますとかいう仕事と同じような意味で、線路の安全を確保する仕事に公安官としては相当力を入れておりますし、それから、施設職員が各線路の保守に当たっておりますので、その諸君が同様にやはり注意を払っておるわけでございます。相当その学校等にもお願いはいたしておるのでございますけれども、どうも統計的に見まして顕著にいい結果が出ていないわけでございます。今後とも学校やら父兄の方々やら、あるいは市町村の方々にお願いをして、ぜひともいろいろ御理解をいただき、御協力をいただき、広報活動に加わっていただくということを通じて、大変気が長いやり方しかないと思いますが、じわじわとそういう努力を積み重ねていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  143. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) 列車妨害事件は、御指摘のとおり列車の脱線転覆にもつながるということもございますし、一般に国民に非常に大きな不安を与える、こういう悪質な事件でございますので、警察といたしましてもこの種事案につきましては、国鉄当局その他関係機関と連携を強めまして、まずそういう防止、警戒、これに努めますとともに、もしこういう事案が発生いたしました際は、犯人の早期検挙のために体制を組みまして徹底した捜査を行うということにいたしております。
  144. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  145. 内田善利

    委員長内田善利君) 次に、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福永運輸大臣
  146. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま議題となりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年におけるわが国の航空の発展はまことに目覚ましく、いまや航空は、国際旅客輸送におきましてはもちろんのこと、国内の長距離旅客輸送におきましても重要な役割りを果たしており、その公共性はきわめて高いものであります。  ところで、最近における航空機のジェット化、大型化と運航回数の増加は、時間距離の短縮、旅客の大量輸送等輸送サービスを著しく向上させてまいりましたが、その反面、空港周辺に及ぼす航空機騒音の影響を著しく拡大させることとなりました。一方、空港周辺は一般的に空港と都心部との交通網が整備される等の要因により宅地化が進展する傾向にありますが、特に都市圏内にある空港周辺におきましてはこのような傾向が顕著に見られるところであります。  このような事情から、特にジェット機が就航している空港の周辺におきましては、航空機騒音をめぐる地域住民との紛争が激化し、航空機騒音問題は、いまや深刻な社会問題となっております。  政府といたしましては、このような状況に対処し、航空機の騒音基準適合証明制度の確立等の発生源対策や、周辺への騒音の影響を減少させるための空港構造の改良対策を初め、住宅、学校、病院等の防音工事に対する助成、移転希望者に対する損失補償及び土地の買い入れ、緑地帯の整備等の空航周辺対策を積極的に進めてまいりました。  しかしながら、これらの発生源対策や空港構造の改良対策にはおのずから限界がありますし、助成措置を中心とする従来の空港周辺対策では、空港周辺において住宅の新たな建築が行われることを抑制することができず、航空機騒音問題の根本的な解決はきわめて困難な状況であります。  このような事態を解決するためには、昭和四十九年の参議院運輸委員会の決議においても指摘されているところでありますが、宅地化の進展が予想される空港周辺につきまして、健全な街づくりの一環として住宅等の建築を制限するとともに、生活環境施設、産業基盤施設等の施設の整備の促進のための措置等を講じ、航空機騒音による障害の防止に配意した土地利用を誘導促進することにより、航空機騒音による障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図るための制度を確立する必要があります。  このため、航空審議会の同様の趣旨の答申をも尊重し、この法律案を提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、第一に、その周辺について航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められる空港を政令で特定空港として指定することといたしており、この指定があれば、特定空港の設置者は、おおむね十年後における当該特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及び当該地域における航空機の騒音の程度等を示して、当該地域を管轄する都道府県知事に対し、特定空港の周辺について次に述べる航空機騒音対策基本方針を定めるべきことを要請しなければならないことといたしております。  第二に、都道府県知事は、特定空港の設置者の要請があったときは、特定空港の周辺について、航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区の位置及び区域に関する基本的事項、航空機騒音により生ずる障害の防止に配意した土地利用に関する基本的事項並びに航空機騒音障害防止施設、生活環境施設、産業基盤施設等の施設整備に関する基本的事項を内容とする航空機騒音対策基本方針を、関係市町村長、関係住民等の意見を聞いた上、運輸大臣及び建設大臣の同意を得て、策定するものといたしております。  第三に、都道府県知事は、特定空港の周辺で都市計画区域内の地域においては、航空機騒音対策基本方針に基づき、都市計画に航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区を定めることができることといたしております。  第四に、都市計画決定された航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区内においては、住宅等の建築については、必要最小限の制限を行うものといたしております。その制限の内容は、航空機騒音障害防止地区内において住宅等を建築する場合には、防音構造としなければならないこととし、航空機騒音障害防止特別地区内においては、都道府県知事が許可した場合を除き、住宅等の建築をしてはならないことといたしております。  第五に、このような航空機騒音障害防止特別地区内における住宅等の建築の禁止により通常生ずべき損失は、特定空港の設置者が補償しなければならないこととするとともに、住宅等の建築の禁止によって土地の利用に著しい支障を来すこととなる場合に、当該土地の所有者が当該土地を買い入れるべき旨を特定空港の設置者に申し出るときは、特定空港の設置者は、当該土地を時価で買い入れるものといたしております。  第六に、航空機騒音障害防止特別地区に現に所在している住宅等については、特定空港の設置者が、移転希望者に対し、移転補償及び土地の買い入れを行うことができることといたしております。  第七に、特定空港の設置者による地方公共団体に対する援助として、特定空港の設置者が買い入れた土地を地方公共団体が公園、広場等に利用するときは、無償で使用させることができることとするとともに、地方公共団体が航空機騒音対策基本方針に適合し、かつ、航空機騒音による障害の防止に資する施設の整備を行うときは、その整備に要する経費の一部を補助することができることといたしております。  第八に、国は、航空機騒音対策基本方針に適合する施設の整備を行う地方公共団体その他の者に対し、財政上及び金融上の援助に努めなければならないことといたしております。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  なお、本法律案につきましては、政府提出原案の附則中にあります本法律案の法律番号に関する公布年の昭和五十二年がすでに経過いたしておりましたため、衆議院におきましてこれを昭和五十三年に改めることとする修正が行われております。
  147. 内田善利

    委員長内田善利君) これより本案に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  148. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は午前中、予算委員会におりましたんで基本問題に対する質疑などについては話を聞くことができませんでしたので、ダブる点があったらおわびいたしますけれども、ひとつ本法案について若干の質問をしたいと思います。  本法案は、いま成田の空港の問題あるいは花巻の空港の拡張問題などなど、現に紛争を生じておる問題にさらに新しい問題点を加えるような、運用によっては大変なまた血なまぐさい運動なり社会問題を起こす可能性を抱えておる法案であります。したがって、私はまず、大臣も毎朝新聞を見ていると思うんでありますが、きょうの朝日新聞の「論壇」で成田の一農民の土井さんという方が成田の問題の解決のために政府と農民は話し合いをすべきだという論文の投稿をしておるわけでありますが、これごらんになったでしょうか。
  149. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私、まだ見ておりません。実はけさ大変忙しくて新聞のすみずみまで目を通すいとまがなかったので、大変申しわけないことですが、まだ見ておりません。
  150. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ空港公団の総裁、どうですか。
  151. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私も、題目だけは見ましたが、内容をまだ読む時間がございませんので読んでございません。
  152. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 刑事局長どうですか。
  153. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) 私、きょうは朝早くからこのあたりにおりまして、まだ詳細新聞を見ておりません。
  154. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 開港まであと一週間とかというキャッチフレーズで毎日毎日テレビ、新聞、雑誌を使って大騒ぎをしておるのに、肝心かなめの空港問題の「論壇」に目を通さないというのは、私は率直に言って、国家権力さえ持っていれば農民のこと、住民のこと、それについては問答無用と、そういう私は姿勢のあらわれではないかと、こう思いたくなるわけでありますが、大臣いかがですか。
  155. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まあ目黒さんのような見方もあり得ると思います。見てないという点だけからいたしますと、その種のお話があるのも無理からぬことであると思うのでございますが、実は私はそういうものも見ている暇がないほどちょっとけさいろいろに忙殺されておりまして、お話しの成田の対策につきましては、われわれもその種のことに関するものはできるだけ目を通し、そういうことに関心を持つべきことは当然でございまして、まさにそういう心境にあるのでございますが、たまたま私見てなかったことを大変残念に思います。かてて加えてほかの二君も同じようなことを言うものでございますから、いよいよもって目黒さんにおしかりを受けなきゃならないようなことですが、決して等閑視しているからそうだということではなくて、一生懸命やっているということはこれは誓って申し上げられることでございまして、御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  156. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は後でじっくり見てもらいたいと思うんですが、幾つかの問題点を提起しているんですよ。これは毎日成田の空港のそばにおる農家の方ですね、ここ十年近く、とにかく血なまぐさいことも含めてじっと見てきたけれども、あと一週間後に控えた成田空港の問題で流血の惨事を起こしたくないと。これは私は刑事局長にもわざわざ聞いたのは、恐ろしいことには、警察陣の方から血なまぐさい状況をつくることを望んでいるように農民の目には見えるという表現使っているんですよ。これも私は大事なことだなと。その警察の誘導作戦に農民はもう一回じっとがまんをして乗らないでほしいということを農民に呼びかけているんですよ。このまま機動隊とやったら負けると、じっとがまんしてほしいと。そのかわり政府に対しても、大臣みずからが現地に乗り込んできて、やっぱり虚心坦懐に話すべきじゃないか。大体、運輸大臣はこの問題が始まって以来、どの大臣も現地に来たことはないと、これだけの空港という大騒動が起こって、担当大臣が一体現地に乗り込めないなんというそんな異常な問題については、一体何を考えているんだ、政府は、というきわめて厳しい提案をしているんですよ。ですから私はそういう点から見るとやっぱり、投稿をしているんですから、いま大臣の言ったことについてはもう時間がありませんから私は追い打ちいたしませんが、少なくとも重大な段階でありますから、私は特に空港公団の総裁が見られないなんというのはもってのほかですよ、あなたは。あなたはもちろん新聞の社会面を見て、そしてやっぱり一人でも二人でも農民なり地元の皆さんの意見を、やはり解決しようと、そういう誠意がやっぱりあなたとして一番あれじゃないですか。予算委員会で適当な答弁したって、きょうは許しませんよ、そういうことは。あれは空港公団の姿勢として基本的にやっぱり考えを改めてもらいたいと。今後もあることですから、ひとつあなたの考えをもう一回聞かしてください。
  157. 福永健司

  158. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いやいや、大臣はいいですよ。
  159. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 目黒さんもういいと言っていただいておるのでございますが、実は私も事実だけをちょっと申し上げておきたいと思います。  私は、目黒さんおっしゃるとおり、当然われわれは行くべきものでありまして、私はよく人の目にといいますか、若干の人に会うような形でも行ってまいりましたし、そうでなくてこっそり行ってきたこともありますのでございますが、しかし、現地で会った人以外は来たのか来ないのか余りよくわからないので、来ないというように表現されるのもこれ無理からぬことであります。したがって、多くの人が来た、来たと思うほど頻繁に行けばいいのでございますけれども、なかなかそういうわけにもまいりません。なお農民の方等につきましても私若干お目にかかっております。しかし、どういう方にお目にかかってどういう方にお目にかかってないというようなことを申しますと、これまたそのこと自体が別の問題を生じますので、お目にかかったことはもちろんあるのでございますが、さらに多くの人々とそういう話し合いができていればということはこれは言えないことはないんで、われわれは心すべきことであると、こういうように考えます。ただいまのお話は重々心に銘じて今後にも対処したいと思う次第でございます。
  160. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 心がけとしましてはまさに目黒先生のおっしゃるとおり私も心がけておるつもりでございますが、何しろ開港を一週間後に控えまして非常にあわただしいものでございますから、けさはほかの新聞も大体三つぐらい一応目は通しましたけれども、題目だけを見て、内容を読む時間がなかったということでございます。今後できるだけ時間をつくりまして見るようにいたしたいというふうに思っております。
  161. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 刑事局長にお伺いしますが、この投稿にもあったことと私は軌を一にするかどうか知りませんが、東山さんの事件の不起訴というのが二、三日前決まりましたね。そうしてずっと私も注意深く社説を読ましてもらいました。やっぱり社説が共通している点は、非常に事実認定に疑問がある、その疑問がある、ないというやつはこれは法務委員会でも議論することですから私はここで主題にいたしません。ただ、私はあなたなり法務大臣も含めて聞きたいのは、成田空港というのはいろんな問題はあってもこぎつけようということでお互いに努力する。私も動労出身で、国鉄の燃料輸送という問題についてはずいぶん言いたいことがいっぱいある。いっぱいあるけれども、やはりこの問題は一つの国際的な至上命令だということであれば、私も心を鬼にして可能な点は政治家として私は努力してきたつもりでおるし、現に自分自身が矛盾の中にあって、しかし打開しようという努力はしておる。そういう政治情勢の段階で、この東山事件という問題がこの時点で不起訴ということになればどういう現象が誘導されるかという点については、私はやっぱり皆さん方も百も承知だと、こう思うんですよ。だから、あなた方自身が五千人も一万人も警官隊を動員して一体いつまで続くんですか。やっぱりいつかは農民なり反対同盟の諸君と話をして、あるいは燃料輸送の問題でも話をして、平和裏に空港の運営ができるという条件つくりをする社会的な責任がわれわれにあるんじゃなかろうかと、そう思うんですよ。そういうときにこの不起訴の決定発表ということはきわめて政治的な判断だ、むしろ挑発するものだと、こう私はもう断言せざるを得ないし、すべてのマスコミが疑問点と挑発という点でやはり論陣を張っている。現にこの投稿も、むしろ警察側が血なまぐさいことを誘発している、その可能性が十分あるという点を成田の人が農民の目で見ている。こう考えますと、私は、あなたはやっぱりこの段階でこの東山事件と警備の問題と今後の問題について所信を国民の前に明らかにすべきだ、そして疑問を解くべきだと、こう思うんですが、いかがですか。
  162. 伊藤榮樹

    政府委員(伊藤榮樹君) まず最初にお断り申し上げておきますが、ただいま御指摘になりましたけさの投稿につきましては、私どもの参考になることが載っておるようでございますので、仕事が終わりましたら早速精読させていただきます。  それから、東山氏の死亡された事件の不起訴の問題、時期の問題でございますが、検察はすぐれて政治あるいはその他の諸情勢から独立して仕事をしておるわけでございまして、捜査が終わればなるべく早くその結論を出すというのがその使命でございまして、千葉地方検察庁において鋭意捜査をいたしておりましたところ、やっと結論が出たというので不起訴処分ということにしたわけでございまして、検察がいろいろな社会的な諸条件を勘案しながら処分の時期とか内容を決めるということそれ自体が検察の本来の使命からはみ出すものではないかと思っておるわけでございます。  なお、警備の問題等につきましては、私、警察当局に対して指揮権も何もございません。所管がございませんので、何とも申し上げかねるわけでございますが、いま御指摘いただいたような趣旨は、われわれといたしましても踏まえて常に行動すべきものであろう、こういうふうに思っております。
  163. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 通り一遍に言えばそうなんでしょうけれども、案件によって変わるのも検察陣の姿でね、これ。それは私は何も言いません。ただやっぱりこの成田問題がさらに血を呼ぶようなそういうことだけについては、政治の全体として私は慎重にしてほしいし、そして避けるべきだ、こう思うので、この点に対しては私は要望として言っておきますから、お願いいたします。  それで大臣、私こういうようなことを考えますと、この法案はやっぱり私権の制限になるのですよ。強制立ち退きということも出てくる。そうしますと、私は花巻空港に行ってみると、花巻空港でもいま農民が雪をかき分けながら妨害の鉄塔をつくっているのですよ、妨害の鉄塔、花巻空港が。だから第二の成田だ、こう言っているのですよ、地元の問題も。航空局と岩手県知事と地元とのいろいろな約束がほごにされたという点もいろいろあるようですが、それはきょうは本題でありませんから触れません。ただ、やっぱりこの法案は、こういう私権の制限、強制執行、こういうことをはらむものですから、私はこの法案のまず審議に当たって、この執行の任に当たり運輸大臣が、この前赤桐同志の予算委員会での質問に答えてあなたが言っておったように、やはり原則としては十分に住民の意向を聞いてそして血を流すような強制執行はしない、あくまでやっぱり話し合いで進めるのだ、そういう立法に当たっての基本的な考え方をここでやっぱり私は表明してもらいたい。その表明がないとどんなに技術論やっても最終的には成田空港の二の舞をやられてしまうということになりかねませんから、ひとつその辺の運用に当たっての基本的な考え方を聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  164. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まさに話し合いを原則といたすべきものでございまして、私どもはできるだけ強行的な方途に出ることをいたしたくないということが本旨でございます。
  165. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 やっぱりたてまえは、原則は住民とよく話し合って納得ずくで物事を進めるということを基本にしてもらいたいと、こう思うのですよ。その関係が全然この法案の中にはないし、審議に当たって私は当該大臣の答弁としてきちっと明らかにしてから内容に入りたいとこう思うので、改めてお伺いいたします。
  166. 福永健司

    国務大臣福永健司君) お話しのように、納得ずくでいくということが基本であるべきことは当然と私は考えます。過去長い間の経過の中にはいろんなことのあった成田の経験等は将来に向かって生かしていかなければならないと、こういうように考えるわけでございまして、本法案提出に当たって私どもはさらにそういうことに思いを新たにして臨みたいと存ずる次第でございます。
  167. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ぜひそういう気持ちで法案の運用に当たってもらいたいと、こう思います。  それからもう一つは、私、この法案を読ましてもらって、やっぱり一つ片手落ちがあるんじゃないかというような気がしたんですよ。それは空港の騒音、飛行場の騒音についていろいろ規制することも結構ですけれども、やっぱり飛行機そのものの騒音の規制、そういうこともやっぱり考えるべきではなかろうか。たとえば新幹線なら新幹線でどうにも振動が防止できなければスピードを落とすとか、あるいは排気量をコントロールするとか、やはりいかに航空機が時代の技術革新の花形だと言っても、無制限に私はやる必要はないと思う。したがって、いま羽田の問題でも、発着回数とか時間とかという問題も常に問題になっておりますし、けさの新聞についても成田のしりぬぐいを深夜便では羽田にさせられると。私も羽田に住んでいますから、深夜便になると夜中ビーンという音で起こされると、空港の近くですから。それは別として、やっぱり飛行機そのものの騒音の規制、発生源の規制、あるいは回数、時間帯、こういうものを立法をして同時に出すべき性格のものではないのかということをこの法案を読んで感じました。したがって、若干この提案の中には政府努力らしいものも触れているようにありますけれども、こういう立法の問題については、やはり大臣としてはどんな考えか、基本的な問題ですから聞かしてもらいたいし、ぜひそうあってほしいとこう思うんですが。
  168. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 後で政府委員等からも補わさせていただきたいと思いますが、まさにいまお話しのようなことについては世界じゅうが考えなければならないところに来ていると思います。わけて日本は、特にそういうことに留意しなければならぬと思います。したがって、夜はどのぐらいで発着をやめさせるようにするとか、あるいは飛行機そのものはいままでどおりの飛行機であってよろしいかというようなことで、これはいろいろ問題もあり、われわれも考えているところでございます。ただ、いま直ちに立法的にどういう飛行機でなければいかぬというようなそういうような措置はなかなかむずかしいわけでございますが、実は最近ほかの問題等も考えて、わが国が飛行機を購入するというようなそういう過程の中にあってもできるだけ騒音等が低い飛行機にしなければならぬのじゃないかということが関係者全体の中でも頭の中にございまして、できるだけそういう騒音等の程度の低いものに買いかえようとかなんとかというようなことも一部進行いたしておりますが、これとてまだ十分とは言えない、今後大いに検討してまいらなければならぬところであると、そういうように考えておる次第でございます。
  169. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私どもが現在航空機の騒音問題についてとっている施策のあらましをごく要約して御説明申し上げます。  三つ対策がございまして、発生源対策が第一であります。第二が空港構造の改良の問題。第三が空港周辺対策の問題。  発生源対策といたしましては、いま先生も御指摘のような機材の改良の問題があります。音の低い機材にしていくということで、もう世界的に研究者が一生懸命開発をいたしております。そして私ども先進国におきましては、音の大きい飛行機は使わせないという制度をつくっておりまして、ただどうしても技術上音を低くする工事がなかなかできないというものはやむを得ず除外していますけれども、原則として騒音適合証明制度をつくりまして、その試験にパスしなければ飛んではいけないということにいたしまして、できるだけ音の大きい飛行機を排除することを講じております。それから発生源対策の二番目としては、やはり便数の問題等でも、たとえば大阪空港周辺などにつきましては、すでに便数制限をいたしております。またあるいは、発着時間の規制等もいたしておるわけでございます。それから、さらに運航方式につきましてはできるだけ早く上へ上がってしまう、そして地上に降りかかる音を少なくするというふうな運航方式の改良につきましても、航空機の安全運航に支障のない限度におきまして指導をしているところでありまして、現に各空港でこれは行われているわけでございます。  それから、第二番目の柱で、空港構造の改良、これにつきましては、基本的には騒音問題が発生しないようなところに空港をつくるのがいいわけであります。たとえば、海上空港等が理想でございますが、なかなか立地的にそういかない場合もございますので、そういった場合には緩衝緑地を周辺に設けるとか、あるいは防音林、防音堤などを設けるというふうなことで、空港構造の面から配慮をいたしております。  それから第三の点は、空港周辺対策でございまして、この中に事前的なものと事後的なものとございます。事前のものといたしましては、きょう御提案申し上げております法律のように、将来必ずそこの地域は空港騒音が大きくなって社会問題になるということがわかっている地域につきましては、もうこれ以上住宅等が入ってくるのを何とか抑えるべきではないか。これはかつてこの当運輸委員会におきまして附帯決議いただきました線と同じでございますが、そういうことによりまして空港周辺の土地が新しく市街地化していくことを未然に抑えよう、こういうことでございます。従来このことがございませんでしたので、みすみす指をくわえて見ておったということでございまして、今回この法案が成立いたしますれば、そういう予防的なことが可能になるわけでございます。それから事後的な方法として、すでにもう空港もあり家もあるというところにつきましては、空港周辺の家に対しまして防音工事をいたしまして、それを国家あるいは公団のお金で補助をするということとか、さらに非常に騒音激甚の地区からは、やはり音の少ないところに引っ越していただく、その場合に移転補償等をお出しする、そういう仕事をいまやりまして、発生源、空港構造の改良、周辺対策、この三本柱によりまして各空港ともやっております。成田空港につきましてももちろんでございまして、こういう方策によりまして総合的に対策を講じていくことといたしたいと思っております。
  170. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 だからいま述べた五点のうち、後の二点の方は法案として今回出されているわけですよ。だから前段の方の三点のやつは、やっぱり毎回問題になることですから、ですから私はそれを一体化した法律をつくって、この両面からやっているんだということを明らかにして協力をもらうという対策が必要だと。技術開発の問題については、自動車の排気規制だっていろんな問題を生みながら、やっぱりそれなりに技術開発をやっているんですから、ですから相手は技術でありますから必ずしもスムーズにいかない場合もありますが、せめてそういうことに向けて、両面から努力するんだということを考えると、私は今後の課題として前段のいま航空局長が言った一、二、三などについて立法化の検討をぜひ今後進めてもらいたいものだと、このように考えますが、いかがでしょうか。
  171. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いまの点でございますが、たとえば機材を改良し、騒音適合証明制度に合格しないものは使えないというふうなことは、すでに航空法の体系の中で担保されております。それから便数調整等は、これは空港管理上の問題といたしまして、たとえば大阪空港でございますれば、大阪空港の設置管理者である国が、あれを使う航空会社に対して規制をかぶせておりますので、これも航空法または空港整備法上の可能な措置としてやっておるわけでございまして、したがいましていわば法律によりまして、どうしても強制権を伴わなければならないという点につきましては、従来ほとんど全部措置をいたしておりまして、きょう御提案いたしておりますこの事前的に予防するための立地規制の問題だけが抜けておったということでございまして、それ以外のものは従来既存の法律の体系によりまして全部担保をしておるところでございます。
  172. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 法律がばらばらにできておって、その運用がばらばらになるからいろいろな問題が起きると思うんですよ。いま航空局長の言うようなことがあったら、なぜきょうの読売新聞のような問題が起きるんですか。きょうの読売新聞を見たでしょう、深夜便。だから私は、あっちこっちあることは、それは拡張解釈なり運用解釈すればいろいろあるでしょう。しかし、それを一本化して、やっぱり騒音対策という一本化した法律をつくって、事航空に関する限りは、航空の騒音はこれを見ればわかるんだというぐらいに、やっぱり政令を単純化して、国民の協力を求めるということがいいではないか、ということで私の考えを提案しているんですから、これは検討として私から要請をしておくこと、こういうふうにいたします。  それから法案の問題点では、大分衆議院では継続審議などやりながら議論されてきた問題ですからダブるかもしれませんが、やはり何といっても五条一項、二項、三項と、この罰則関係、この関係がやっぱり私権の侵害だということで大分問題になっているようです。これらの問題について、やはりこういうことを制定した根拠、都市計画法などはある程度環境がよくなるというメリットもあるんですが、これは騒音のばらまきであって、今後新しく家を建てる人は一歩下がってと考えたにしても、現に居住している方にとっては大変なこれは条文なんですよ。そして、この条文に従わなければ罰金がかけられると、こういうかっこう、仕組みになっておりますんで、このことについてはやっぱりこの際一応見解を明らかにしてもらいたいと、こう思います。
  173. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この法律をつくるに当たりまして、かつて参議院運輸委員会の附帯決議の線に沿っていろいろの法律技術上の検討をしたわけでありますが、なかなか、従来わが国の法律体系でなかったようなスタイルの私権の制限ということを伴う法律であるわけであります。自分はうるさいのをがまんしてここの土地に家を建てて住むんだという人に対しまして、いや住んじゃ困るんですということを言う法律でございますので非常にむずかしかったわけでございます。  そこで、いろいろ検討をいたしました結果、そういったことを現行の法律でやるとすれば都市計画法の体系がある。これは先生も御存じのようなやり方で、一つの都市のよき居住環境といいますか、そういったものをつくるために、都市の中をいろいろ目的別に地域地区制によりまして区別をいたしまして、全体としてその町の発展を図るということで、したがって、そのことによって制限を受ける方も、全体としての町の発展のためにがまんする、また一方、その規制は強制されますので罰則を伴う、こういう法律になっておるわけでございます。  で、今回のこの空港周辺の立地問題につきましても、私どもはやはり、これは空港を取り巻く一つのいわば空港都市ということであると考えまして、この空港とその周辺の都市というものが調和のある発展をしていかなければならない。また、空港の騒音にさらされる地区というものが、ほっておかれたんではやはりそこの地区は、いかにそこに住む人が自分はうるさいことをがまんするといっても、それはそういうものでもないんじゃないだろうか。やはりそのことがたくさん集まれば一つの社会的な騒音問題になりますし、また末来永劫にわたってそこに騒音問題の種が残るということは、やはり国家的、社会的には問題があるんではないかというところから、私どもは、空港周辺の地域に対しまして都市計画考え方を援用いたしました。都市計画の地域地区制ということをこの際適用して、騒音防止地区あるいは特別地区ということを考えたわけでございます。そして、法律案にもございますように、防止地区というのは比較的うるさい中でも音の少ない方、特別地区は非常にうるさいところと分けまして、うるささの度合いの少ないところは家屋に防音構造を義務づけるという程度にしよう。それから、うるささのひどいところにつきましとは、新しい土地に新しい家が建てられるのをこれは禁止をする。もちろん、その地区としてどうしても必要な郵便局とか駐在所とかは別でございますし、また農家の息子さんが家を建て増しするというふうな場合は除外するような配慮をいたしたいと思っておりますけれども、このねらいはあくまでも、空港周辺というのは土地が比較的確保しやすいし、また交通が便利になりますのでかなりいい土地になるおそれがあります。そうするともうすぐに都市から大規模な宅造業者が出てまいりまして空港周辺の土地を買いまくりまして、そして建て売り住宅などをつくりまして劣悪な住宅地をつくり、そして、そこに住む住民の方々は永遠に航空機の騒音障害を受けるということになるのを何とか悪循環を断ち切りたいというところから、これから新しくそこへ住むようになる人たちを制限しよう、それもいわゆる宅造業者などの進出を抑えようというところが一番のねらいでございまして、したがって従前からこの地区に住んでいらっしゃる方につきましては、もちろん立ち退き強制はいたしません。しかしながら、どうしても自分はもう音がうるさいからよそへ行きたいとおっしゃる場合には適正な買い上げ等をすることにいたしておりますけれども、そういったことでございまして、決して強権発動というふうなことでするつもりは全くないわけでございます。  ただ、一つの規制でございますから、やはり防止区域にしましても防止特別地区にいたしましても、そこで行われる一定の行為につきまして規制がかかります。その規制に違反した場合には、都市計画法のほかの制度との横並びもございまして、最小限度の罰則はかけなければならないということでございます。強制があるので罰則も裏にあるということでございますけれども、もちろん実際の運用面につきましては、都市計画法におきましても恐らく罰則を食らったという実例は余りないと思うのであります。すべて話し合いでやっておるわけでございますから、この法律の実際の運用はもちろんそうなると思いますけれども法律の体系としてやはり罰則なしの規制というのはあり得ないという法理論から罰則は残してございますけれども、衆議院でもかねてたくさんこの辺で御議論ございました。私どもはそういった点を勘案いたしまして、前々から住んでいらっしゃる方、新しく住む人じゃなく前々から住んでいらっしゃる方につきましては、その方々がこの地域に家をお建てになって防音工事等をなさる場合には、それは防音工事の費用を助成さしていただこうということで、経済的な負担の助成ということで実質的な御援助を申し上げる、こういうことで附帯決議等をおつけいただきまして衆議院では一応御了解願ったような経緯でございます。  罰則の問題につきましては御議論あることはよくわかりますけれども一つ法律のたてまえといたしまして罰則抜きの規制はあり得ないという、都市計画法の他の規制との横並びからどうしてもこれは置いておかなければならないということを御理解いただきたいと存じます。
  174. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ仮の話ですがね、この罰則なくとも、逆から言えば二十万円なら二十万円の罰金を納めればそこに居座ってもいいと、こういうことなのか、罰金を取った後に居座ったら強制執行して家をぶっ壊してしまうということなのか、あるいは逆に私は罰金なくとも、この防止地区、特別地区に家を建てればこの法律を盾にとって強制執行して壊してしまう、壊してしまった後に罰金云々なんということは、これはナンセンスでね。だから、その辺から考えると、私はこの都市計画法の問題をここに法体系として持ってくるなんということは次元が違う問題だよ、あなた。都市計画法は環境をよくするという一つの前向き、公害というのはこれは飛行機のためにばらまかれて、そして立ち退き食ったほかに罰金取られるというのは、何だか私みたいな学のない男でもちょっぴり納得しないんですよ。ですから、私はこの罰金問題についてはこの際やっぱり撤回をすべきだと、こういうふうに考えるんですが、いまのような場合に局長どういうふうに扱うんですか、教えてください。
  175. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 規制の裏で罰金がついているわけでございますが、現実問題といたしましては罰則で強制してということは余り策の上なるものではないと思うのであります。お話しのように、罰金さえ払えば居座っていいかというふうなことにもなりかねませんし、そこはやはり私どもはあくまでも話し合いによりまして、それで解決をしていくのが適当であると考えております。いまの御指摘のように、もう罰則をかける前に家をぶっ壊してしまってというふうなお話がございましたけれども、それはもう絶対に法律上もできませんので、そういったことは私どもはやれません。したがいまして、違反建築をされた場合には、まずやはり期限を定めまして、変更命令を出すというふうな手順を踏みまして、話し合いによってそれを立ち退くことをお願いするということでやっていきたいと思っているわけであります。
  176. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ぴんとこないけれども、罰金は了承できないということだけ明らかにしておきます。  それから防音装置、これは何ですか、防音装置の問題でいろいろ議論されておるようでありますが、これは法律をつくってやる限りは、防音装置にもいろいろの方法論があることも聞いておりますが、やはり法律をつくるぐらいなら各部屋ともきちっと防音装置をさせてその費用は国が負担すると、助成なんというみみっちいことを言わないで、やっぱり防音の施工工事は一定の基準をつくって、そしてその費用については国があるいは公団が全額これを補償するというぐらいに元気のいいところを、前の方は元気がよかったから、こっちの補償の方も元気を出して助成なんという言葉を取って全額国庫負担と、こういうふうにすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  177. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 防音工事の内容でございますが、私ども考えておりますのはいわゆるアルミサッシによる窓枠などを考えているわけでございます。もちろんこれは政令ではっきりした基準を出すわけでありますが、アルミサッシでもいろいろこれは性能がございますが、音のレベルでいきまして、これWECPNLというレベルがありますが、町で言われている七十ホンとか八十ホンとかというホンということと置きかえて御説明し、御理解いただいてもそう大きく違いませんので、ホンでいきますと、五ホンぐらい下がればいい程度のアルミサッシを義務づけたいと思っております。そこで、現在私どもの家をつくる場合でも同じでございますが、木の窓枠をつくることというのは、むしろ木材の値段の高騰、それから職人さんの手間を考えますと、最近非常にぜいたくな細工になりまして、このごろつくられる家はもうアルミサッシの方がずっと安いということになりまして、現実にこれは統計によりますと、全国的に九七、八%まで新築家屋はアルミサッシにしているという事実があるわけでございます。そういたしますと、ここの防止地区でのアルミサッシ構造というものは、たとえば法律に書かなくってもいわばどうせ九十何%はアルミサッシ構造にするわけなんでありますが、ただここで基準で示しますような五ホン下がる効果のあるアルミサッシ構造にするというふうなことが、ほっておいてもアルミサッシにしちゃうという場合よりも金がかかるというのであるならば、やはりその差額というものは当然この法律の制度によるための負担でございますから、それにつきましては助成をしなければならないだろう、こう考えているところでございます。そういうことで、この法律の防音構造というものの義務づけというものが、これからおつくりになる家に対しましてそう大きな御負担をおかけすることにはならないと思うんであります。もちろん、いままで住んでいらっしゃるお家でそのままお住みになる場合には何ら強制はございません。新しく建築をする場合、建て増しをする場合等の問題だけでございますから、いままで住んでいらっしゃる方が木の枠のやつを壊してアルミサッシにしなさいという強制はこの法律ではいたしませんので、そう大きな御迷惑をかけることにはならないかと存じております。
  178. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ、国会ではそういう答弁をしておるんですがね、大阪空港に絡むあの地区の方々、問題点、私もあすこの三回ほど現地を歩きまして、現に騒音も聞かしてもらったりした。で、運輸省がやっているいろんな基準に伴ってやっておる家に入ってみてもやっぱり依然として問題が残っていて、自分で金を出して手を加えているという現状で、いろいろ話すると、いや予算がないから、法律がないからと、こう言われて今日まで来たわけですよ、予算がない、法律がないと。せっかく立法するんですからね、この立法するときぐらい防音装置に絡む問題、新しい場合もあるいは現におる者も含めて防音装置ぐらいは、この際住民にいろいろ御迷惑をかけるんだから、防音装置ぐらいはやっぱり国の責任でやってやるというぐらいの私は大上段を、一つぐらい法律の中にいいところがあっても私はいいと思うんですよ、私権の制限をするんですから。ここできちっと立法を、そういう全額負担の立法をして、それに伴う運輸省予算を計上すればいいんじゃありませんか。そういう私はやっぱりこの航空騒音問題では、この際立法するんだから抜本的な解決を図るというぐらいの前向きな姿勢をぜひ示してもらいたいと、こう思うんですがね、これは衆議院が通ってしまったから参議院しようがないと、こういうんでは私は困るんですよ。やっぱり参議院は参議院のいいところあるんだから。やっぱり参議院でこの際この法律ではここだけがいいところだというふうに大臣が太鼓判を押せるような点は、まあ第一点はここしかないんですよ。この騒音の完全国庫負担、新旧含めて、大臣どうですか、もう少し前向きにね、やっぱり自民党政府もいいことあるわいというぐらいやっぱりやるようにこれはがんばってくださいよ、この辺は。
  179. 福永健司

    国務大臣福永健司君) だんだんお話を伺っておりますと、いろいろ参考になることを言っていただいているのでありますが、まあそういうことでほめていただけるように取り入れることはちょっと困難でございます。まあ、局長が申し上げておりますことを私が繰り返すべきではございませんので、これはこれなりにある程度ゆえあるところをまあ御理解を願いたいと思うのであります。せっかくのお話、まあいろいろ伺いつつ、いま答えを求められたのでありますが、と申しましてそういうように改めますというところまでいかぬことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  180. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) ちょっと補足さしていただきたいのですが……
  181. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いや、いいですよ。まあ、私権の制限をやるんですから、私は少なくともいま大臣が苦しい答弁していますけれども、私は多少大臣が苦しい答弁してもこの姿勢だけはやっぱりこの法案をつくる以上はぜひ貫いてもらいたい、貫くべきだという私の主張は変わりありませんから、ひとつきょうはやりませんから、さらに検討をしてもらいたいということをつけ加えておきます。  これと同時にもう一つ、問題になりますのは、この第八条との関係もありますが、移転をする際にそこの現に住んでいるところの時価で計算された場合と新しく——まあ本人の欲もありますけれども、新しく移っていくところの土地ということに大いに差があるわけですね。差がある。これはまあこの点のやつがなかなか公害で移転する場合に住民との間に合意点に達しない一つの人間的な臭みもありますけれどもね、この点が往々にして残ると思うんですよ、時価の評価という問題を含めて。したがって、この問題等については、やはりいままでの大阪空港におけるいろんな経験も踏まえて、まあこの法案の運用に当たってどういう考えを持っているか、この際見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  182. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) このお売りになる方から私どもがお買い上げ申し上げる価格と、その方が今度新しい土地をお求めになる場合の価格とがなかなかうまくバランスしない、場合によっては逆ざやになってしまうというようなことのために、たとえば大阪空港周辺で移転のなかなかはかどらない事実があることはもう先生十分御承知のとおりでございまして、私どももその経験に十分かんがみまして、新しい法案のこの運用につきましては配慮するつもりでございます。  時価でございますけれども、いわゆる不動産鑑定士によって正当に評価された価格を幾つか平均をして求めることになると思いますが、空港のすぐ横の土地だけをとりますと非常に値段が低い場合がありますので、許される範囲におきまして空港から離れたところの土地もやはり対象の土地として評価をして、それを平均したいと思っております。御承知のように、空港は縦に長いものですから、飛行機の出入りする方向に従っては騒音問題がうるさいために地価が下がりますけれども、横の方向は意外と音が広がらないために地価はそう下がりません。したがって、できるだけ横方向に基準になる場所を求めまして、そういった二点とか三点とかの場所を評価いたしました結果を平均などいたしまして、できるだけ、言ってみれば目いっぱいそろばんを乗っけまして補償をするということで運用をしたいと思っております。大阪空港でも現にそういう運用をいたしておりますので、新しいこの法律の適用される場合におきましても、そういった運用をいたしまして、できるだけ土地をお売りになる方の御要望に沿えるような線を出したいと考えております。
  183. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いろんな経験をしていることですから、これは運用の妙味と言いますか、その点が大分問われる点ですから、いま局長が言ったことも含めて、さらに衆議院における坂本委員の質問などの答えも含めて十分な運用方を要請しておきたいと、こう思います。  それからもう一つは、法案関係で、三条四項の基本方針を公表して意見を求めるという場合に、「二週間以内」と、こう書かれているのですね。これは私は花巻空港問題のとき実際に当たってみて、あんな小さいと言っちゃ岩手県の方に怒られますが、あの規模の空港でも意見をまとめるのに大変な苦労をしているのですよ。それで意見がまとまらない。おたくの方では許可をおろすために強引に公聴会をやる、公聴会をやると警官隊が出てぶつかる、ぶつかるとまたさらに不信感がつのって、今度は鉄塔をつくって徹底抗戦をやるぞと、非常にエスカレート化していってしまう。こういうことでせっかくまとまる可能性を持っている案件も、こういう時間的にきちんきちんと規制することが返って逆に問題を起こす。こういうように考えますと、私は少なくとも意見の提出は一ヵ月程度置いてもいいじゃないか。先を急ぐ余り締めくくりの方で成田のような二の舞をやっては何にもなりませんから、やっぱり基本計画を提案して、この基本計画について皆さんはどういう意見があるかということを、やっぱりじっくり一ヵ月程度時間を置いて意見を聞く、こういうことが私は必要だ。  同時に、私はもう一つ大事なことは、公聴会なりあるいは意見書、そういうものが航空行政にちっとも生かされない。こういう意見がありました、こういう意見がありましたということで、ほとんど右から左に聞き流される。そういういままでの行政から考えますと、意見書や公聴会で出た意見は必ず生かさなければならないというふうに、やっぱり意見書、公聴会の位置づけを立法の段階できちっとしておくということも私は必要ではなかろうかと、このように考えるわけです。ですから、成田問題なり、そういう問題を含めて、先ほど大臣が従来の経験を生かすと、こういうことを言えば、せめて意見を聞く期間なり、あるいはそういう意見書、公聴会の位置づけなどはきちっとこの中で生かす、そういう立法の追加が必要ではないか、あるいは一部修正が必要ではないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  184. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  確かに第三条第四項におきましては、二週間以内に意見書提出ということになっているわけでございますが、事実上、案ができる段階までには、私は実際の問題といたしまして、どういう案になるかということは、すでに関係地域の住民は全部御存じだと思うのであります。この二週間というのは、いわば形式的な手続期間というふうに実際は運用されるのであろうと思うのであります。この五項をごらんになりますと、関係市町村長の意見を聞いて方針を決めろということにもなっておりまして、関係市長村長というのは、当然そこの地域の住民の御意見については十分耳を傾ける立場にありますので、もう住民の方は、この二週間という短い期間の意見書提出というものだけを当てにせずに、むしろ常時この関係市町村長に対して意見具申をしておく、要すれば市議会等で議決をしておくというふうにしておけば、都道府県知事が関係市町村長の意見を聞いたときにその住民の方々の意見は十分反映されるという担保があると思うのであります。したがって、二週間以内の意見書提出というのはほんの一種の儀式みたいなこととして運用する方がいいんじゃないか。事実上はこの第五項を活用いたしまして、市町村長を中心に十分地元の意見を聞いてから案をつくるというふうに運用することを私どもは考えなければならないと思っているわけでございます。  なお、これも衆議院の附帯決議でございますけれども、こういった各種の問題がございますので、地元に住民代表あるいは関係地方公共団体等関係者によりまして協議会をつくるということを附帯決議いただいておりまして、私どもは、このことは大変結構な御趣旨でございますので、法律が施行になりまするならば、これは知事に対しましてこの協議会設置を要請いたしまして、知事の主宰のもとにそういう住民代表等も入った協議会ができまして、そこでいま申し上げたようなことも時間をとっくりかけて納得いくまで議論が闘わされるということを期待しているわけでございます。
  185. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 表面をずっと言われれば、それは局長の言うとおりのこともあると思うのですよ。しかし、空港問題ずっと十年ぐらいの歴史を見てみますと、ほとんどと言っていいくらいその拡張問題設置問題で紛争が起きているのですね。紛争が起きているというのは、いま言った町村会あるいは市会あたりで議決しても、この議決そのものが混乱の中で議決をする、あるいは警官隊の導入の中で議決をすると、そういう歴史を繰り返しているのですよ、成田だけでなくて。なぜそうなのかというところにメスを入れないと、やっぱり私は強権発動、流血の惨事の積み上げの中にわが日本の飛行機が飛ぶということを繰り返すだけじゃないか。だから、私はやっぱり念には念を入れて、もっと極端に言えば、私は少なくとも市議会なら市議会の四分の三なら四分の三、できれば満場一致、少なくとも四分の三の規制をして、議会の四分の三以上の同意がなければこの問題はだめだぞというぐらいの規制をしていただくくらいの私は気持ちがあるのですよ。そこまで時間をかけて話し合いをしながら、合意を得ながらやっぱり拡張する、防音装置をする、そういうことがほしい。ところが、そこのところが抜けているから、私は、いつも紛争の繰り返しだと、こう思うのですね。  やっぱりこの期間の問題——いまの協議会も結構ですけれども、この協議会といっても、結局は詰まるところ、強行突破しないということが本当に忍耐強く待てるかどうかという根本になってくる。そうすると、くどいようだけれども、やっぱり期間を延ばす、あるいは意見書、公聴会の意見、そういうようなものは必ずこれを生かす、法案の中に生かす、あるいは行政の中に生かすという保証がないと、やはり時間に追われちゃってもう形式論になってしまう。こういうふうになりかねない。こういう可能性を持っているということでありますから、もう一度私はこの期間の問題については、運用の事前に協議会で諮るということがありますけれども、やはり意見書、公聴会の意見は必ずこれを保障すると、こういうことについて一項を加えるべきだと、こう思うのですが、いかがですか。
  186. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 法律の規定によりましても、都道府県知事は、この意見書が出されますれば、当然これは尊重する立場にあるわけでございますし、私どもは国の立場といたしましては、第六項で「都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の同意を得なければならない。」と書いてございますが、同意を当然求めてくるわけでございますが、そのときに、その基本方針の決定に至るまでの案の公表あるいは意見書提出、その辺の経過につきまして私たちも十分配意をいたしまして、何と申しますか、住民の人たちの意見を踏みにじるような、そういった一方的な協議があった場合には、当然この同意の問題のときに私どもは十分都道府県知事に対して行政指導をするということが可能であると存じます。  法律問題はそうでございますが、一般的な一つの行政の考え方といたしまして、私は、多少個人的見解になるかもしれませんけれども、従来私ども航空行政の当局者は時とすると、航空というのはきわめて特殊な交通機関であるために、何か特別扱いをしてもらうのは当然であるというふうな錯覚に陥りまして、机の上で計算をした輸送需要に基づいて、机に広げた地図を開いて、ここのところに空港が要る、どのくらいの大きさのものが要る、そうすると、全国的にこういうネットワークができるというふうなことをやりがちであった、そういう方向に傾きがちであった、いわば空から見て空港を決めるという態度をとりがちであった。そのことがやはり各地におきまして、空港周辺の地域社会と大変な混乱を起こしている一番基本であるんじゃないかというふうに反省をいたしているところでございます。私は、したがって、二年前いまのところへ参りましてから、空港をつくるときは空から見ないで地面におりて、地面から見ろと。その地面に立って、この土地に空港をつくって果たしてやっていけるかどうかということを考えて、そしてやっていければつくろうということでいくべきじゃないかという考え方で、従来の考え方をかなり転換をして努力をしているところでございますが、やはり私は、この法律の問題でも何でもそうでありますけれども、幾ら法律に書きましても、これを実施する、運用する人間が違ったことでの気持ちで運用したらば何にもならないわけでありまして、むしろ法律の規定というものはそう手足をしばるというふうなことだけでなくて、通常の範囲内にしておきましても、やはりそれを運用、実施をする人間の魂の問題が大事であるというふうに考えますので、そういった点につきましてはこれからも私どもいろいろ勉強いたしまして、また国会の御議論等も十分念頭に置きまして運用さしていただくということによってこの法律は必ずや、従来先生御心配のような事態を起こさないように運用するということをお約束いたしたいと存じます。
  187. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 とりあえず、成田空港の開港後の問題であるとか、いま言っている花巻空港の問題などで、いま航空局長が言ったことがどれほど具体的に裏づけされるか、なかなかかみ合わないようですから見守りたいと思いますし、私が言ったことが守られないためにまた新しい流血の惨事が出るというようなことがあったら、私はやっぱりいま提案した大臣なり航空局長なりにそれなりの政治的な責任をとってもらうというぐらいの覚悟がないと、この問題については簡単にそうですがと言うわけには、私は引っ込むわけにはまいりません。したがって、そういうことについてあなた方、私がいま言ったような気持ちを含めてやっぱり運用をしてもらうということを強く要請をしておきます。  それから、これとの関連で、成田関係で、若干時間がありますから関連でやらせてもらいますが、空港公団総裁にお伺いしますが、参考人に。この前予算委員会で私が提起したら、いや、そんな心配はない、こう言って、じゃ資料をちょうだいと言って資料をもらってこう当たってみたら、やっぱり四千メーター滑走路は五、六年あたりで飽和状態になるということをあなた方自身が計算をして私によこしたんですがね。そうすると、あの成田空港はまあ七、八年が精いっぱいであると、現状のままではね。いわゆる横風用の滑走路をつくるとか別な関係でやるとかいうのならいざ知らず。そういうふうに現状認識をしていいかどうか、改めて総裁の見解を明らかにしてもらいたいと、こう思うんです。
  188. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 成田空港の航空需要との見合いの問題で、いつごろまでもつかということでございますが、滑走路につきましては大体十三万回程度の発着回数までは大丈夫でございますので、これは当分そう心配はないというふうに思います。  ただ、ターミナルビルにつきましては、おっしゃられますようにあと数年たちますと、いまのような航空需要の伸びというものが続きますと、現在のターミナルビルではそろそろ狭くなってくるという状況になりまして、どうしても第二期工事としての工事を始めさせていただかなければいけないということになります。
  189. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 さようなことなので、この前予算委員会で若干すれ違いの議論がある程度現実問題として浮き彫りにされたわけなんです。ですから、第二期工事をどうするか、あるいは羽田空港の見直し論なんというキャッチフレーズも週刊誌や新聞に出てくるんですがね。何はともあれ、現状のままではどうにもならぬ。あと七、八年だと、こういうことについては現状が明らかになったんで、運輸大臣として、この法案は十年先を見越してと、この法案も十年先、十年先と、きわめて再三使っているんですがね、少なくとも運輸大臣として、いまや開港されんとするものが七、八年と、こういう段階で一体運輸大臣はどういうふうに処理しようとされておるのか、改めて大臣の見解を聞きたいと、こう思うんです。
  190. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 今後どういうように変化していくか、これは必ずしもいまから明らかではないと思います。大塚君はターミナルビルについてお聞きのような考え方、見方を申し上げたのであります。  見直しという言葉が出てきたのでありますが、大きく見直すかちっとは見直さなきゃならぬかによって、これは大分違うのでございますが、ターミナルビルの方の話は、私聞いておりながら、これはとてつもない大きな見直しというほどのことではなさそうで、もっとも責任者がそう言うのにそうでないと言うのはおかしいんですが、私の印象でございます。  まあ滑走路等については、その方が見直さなければならないというんじゃ大変だなあと思って私聞いておりましたら、その方は見直さないでもいいということでございますので、私といたしますと、まあ成田に関することでは七、八年後にはどうにもしょうがないんだとは、私、そういう印象は受けておりませんが、しかし、それはそれといたしまして、せっかくつくった空港であり、またこういうことと同じような関連する問題も他にも生じてくるのでありますが、こういうことに対しましては、いろいろ御注意等もございますし、十分気をつけて今後に対処しなければならぬ。で、いまの話は、それはそれといたしまして、将来に備えることは、これはもう大いに考えていかなけりゃならない、こういうように思います。ただ、現在できました空港を七、八年ですっかり何とかしなけりゃならないというほどの——私はまあそういうようには考えてはいないわけで、ではございますが、せいぜいいろいろ気をつけてまいりたいと存ずる次第でございます。
  191. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 若干苦しい答弁だろうけれども、いろいろな問題を含めて、成田空港の位置づけという点については、おのおのの見解があると思うんですが、やはり新しい空港をどうするかという点についても、やっぱり早急に議論検討する情勢にあるということだけは、多少のニュアンスの差があっても、私は十年先を考えると、あると思うんです。したがって、そういう際には、ここに瀬谷先輩などもいらしゃいますけれども、社会党が長い間提案してきたやはり内陸の空港についてはもう非常に問題があると、海に浮かぶ空港とかいう話もいろいろありますが、そういうことについても、まあ不景気対策というわけではありませんが、そういうことを含めてやはり検討されんことを要望しておきます。  それから、赤桐先生がいろいろ地元の問題をやる予定でありますから、私は若干細かいことになりますけれども、成田空港について、羽田の関係者といろいろ空港公団の総裁以下副総裁、皆さんが窓口になって、運輸大臣も中に入って交渉されてきた幾つかの問題について、細かいようですけれども、見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。  まず第一点は、これも衆議院で若干言われましたけれども、成田空港内における組合活動の保障ということについてどうもジグザグになっている、こう思うんですが、私はむずかしいことは言いません、原則的に羽田の空港で行われておった労使関係の従来の慣行は守る、こういうことについて空港公団総裁の見解を聞きたい、こう思うんです。
  192. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 成田につきましては、御承知のように特殊の事情がございます。今日の警備を必要としなければならぬというような過激派の行動というようなものがございますので、そういうものに対して私どもとしてはある程度の準備といいますか、根拠というものを持ちたいというふうに考えておりますが、正当な組合活動としておやりになることについて、羽田以上に厳重にこれを規制するというような考えは毛頭ございません。
  193. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、現在の羽田の空港管理規制第十八条ありますんですが、これでいいということですね。この空港管理規則十八条の遵守事項、それからおたくの方が出している第六条ですか、これはずっと読んでみると、運用のいかんによっては組合運動を弾圧する、制限するというふうにとれるんですが、これはやっぱり従来の慣行を生かすということになれば、空港管理規則の第十八条、これを基本としてやるというふうに考えていいわけですか。
  194. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私は羽田の方の空港管理規則を実は詳しくあれしておりませんで、字句の問題までここで承知いたしておりませんが、字句の点に多少違いがあるとすれば、先ほど申し上げました成田の特殊事情というものに対してのものでございまして、組合活動に対しては羽田の場合と全然違いがないというふうにお考えをいただいて結構でございます。
  195. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、いろんな空港関係者の、羽田の皆さんの文書とか交渉の経過など見ますと、どうもやっぱり活動を制限するという意図がありありとおたくの方の回答なりこの文書を見れば出てくるんですよ。ですから、いま総裁が言ったいわゆる過激派対策については特段の措置をするが、一般の従来の組合関係の行動については従来と変わらない、従来の慣行を保障するということを確認した上で具体的にこの文書とかあるいは労使関係で話し合いをするというふうに確認していいですか。
  196. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 結構でございます。
  197. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ確認しますからそのように関係規則、労使間でお願いします。  それから二つ目には、乱気流の問題がいろいろ言われている。それでこの前私も空港に行って聞いた段階では、いや乱気流は大したことはないですよと、こういう話があったんです。ところが日航のパイロットの皆さんにいろいろ聞くと、やっぱり乱気流は問題じゃないか、こういう話になる。目黒さんそれは表に出してくれるな、おれが言ったと言わないでくれ、何でやと、こう聞くと、私は機長であって管理職だから私が言ったとなると職制にすぐやられてしまうから、危ないことはパイロットとして言えるけれども、何のたれべえが言ったということは労使関係で私は非組合員であるからそこまで言わないでくれ、こういうことがあるんですよ。ですから、私は乱気流の問題、そういうパイロットが自由に安全問題について物が言えない、そういうままで成田空港が開港になってしまうという点には、非常に私も住民の端くれとして安全については危惧を持っているんです。安全にはもう二回、三回チェックをしてもチェックし過ぎることはないんですから、この乱気流の問題と、やっぱりパイロットが十分に自分の意見が言えるような労使関係の確立というものについて総裁考え方を聞きたいし、これは航空局長にも関係があることですから、航空局長の見解をこの際聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  198. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 乱気流の問題は新聞がトップ記事で扱いましたものですから、大変御心配をおかけいたしまして申しわけないと思っておりますが、これは私どもが昨年の秋空港の管制検査をするときに運輸省のYS11で飛ばしましたときに、私どものパイロットも経験をいたしております。しかしながら、このパイロットは日本じゅうの空港をフライトチェックをして回っているパイロットでございますが、格別他の空港に比べて問題にするようなものではないという見解でございました。その後ことしに入りまして日本航空、全日空等のパイロットが路線資格を取るための慣熟飛行をいたしました。この方々の慣熟飛行を終わってからのコメントによりまして事実が新聞に報道されたわけでございますが、私どもこの方々の報告を聞きますと、百五十人の人が全体として慣熟飛行を受けたわけでございます。これは航空局のパイロット、日本航空、全日空、日本アジア航空、合計百五十人のパイロットが飛びまして、このうち激しい乱気流があると言った人は二人でございます。中程度というのが二十四人、軽い程度というのが六十人、全然なかったが六十四人あるわけでございます。もちろん飛んだその日の気象条件等によりまして多少違いますから、この数字をもって全般を律するつもりはございませんけれども、いろいろ調べてみますと、成田の空港は御承知のように丘と谷が入りまじっているいわゆる北総丘陵地帯にございますので、地上近くの空気は風が強いときはこの丘や谷の起伏に沿ってうねりを起こして流れるということがございます。したがって、飛行機が地上近くを飛ぶとき、つまり離着陸のときにそういう地上の風のうねりに乗って、乱気流という言葉というほどではないんですが、多少がたがた揺れるときが何秒かあるという状況でございます。で、このことは日本の内陸空港、大体まあ丘陵地帯にございますので、ほぼどこでもある現象でございまして、特に成田空港について激しいというわけではない。気象庁の研究者の論文等もございますが、これによりますと、南風の強いときにひどく起こるようだというふうな論文もございまして、気象庁でもこの点についてはまだ全体として調査が済んでいないので、一予報官の論文にすぎませんが、そういう論文もございますが、それらのデータ等見ましても、このことが成田空港の航行の安全に支障があるという程度では絶対にありません。したがいまして、私どもこれは安全上問題とは考えておりませんけれども、やはりなれない外国のパイロットなんかがおりてきたときに、たまたま南風が強くてがたがた揺れるということになりますと驚くといけませんので、十分周知徹底をさせるという意味で情報として流しております。もちろん開港後やはりある一定期間のデータによりましてはっきりこのことは「航空情報」という航空関係の世界的な官報みたいなものがございますが、それに載せる必要があるとなれば載せることといたしますけれども、当面は情報を提供するという程度で支障なく運用できるというふうに考えております。
  199. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つの問題は、よく言われる百里自衛隊の基地との空域のダブルパンチがあるんじゃないか、第二の雫石が起きる可能性をはらんでいるんじゃないかという点を問題にされ、われわれも余り専門家ではありませんから十分にわかりかねる点もあるんですが、この点については、やっぱり最大限の安全の保障措置というものについてやってほしいと、こう思うんですが、これは自衛隊も含めて、防衛庁も含めて見解を聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  200. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) このことは成田を計画している段階から問題視されたことでございますので、私どもも、開港を迎えるに当たりまして防衛庁当局と慎重に検討を重ねたところでございます。要するに、成田の北、百里空港の南、これが相互にぶつかるわけでございますので、そこで、この両方の空域をうまく調整しなければならないということの問題でございます。それぞれ運航する航空機の型式も違います。性能も違います。そういった点を考慮いたしまして出発、進入するルートを平面的に分離する方法と、それから高度的に、上がどちらか下がどちらかという高度的に分離する方法、いろいろ方式を組み合わせまして十分安全な分離飛行ができるように防衛庁当局とも専門家同士かなり時間をかけて検討いたしましてやったところでございます。  なお、両方の管制機関にレーダーがございますので、こういったレーダーによって監視もできますし、異常があれば直ちに連絡調整をするということもできますので、この点につきましては防衛庁当局とも完全に合意に達しておりまして、両方の管制官同士が専門的立場から、いまこういったことで実際に開港になった場合の訓練もしているということでございまして、御心配のような事態は起こらないと存じております。
  201. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 防衛庁とも十分連絡をとってあるということですから一応信頼をして、雫石事故の第二の発生などないように、ひとつ最大の配慮をお願いしたいと、こう思うんです。  それから次の問題は、燃料輸送に絡む安全対策という点について何回か私も交通安全対策委員会なりあるいは去年の運輸委員会国鉄側に要請をしておったわけでありますが、この線路の補強、踏み切りの補強あるいは特殊タンク車の完備、こういうものについて国鉄側としては開港に当たって十分な準備ができたかどうか、国鉄側の見解を聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  202. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘のありましたまず区間から申し上げますと、現在、総武線千葉まて、津田沼——千葉間複々線増をやっておりますが、その過程で幕張——千葉間につきましては、路盤につきましては強化路盤化いたしておりますし、道床は新しい道床をどんどん入れておりまして、またレールは、少なくとも五十キロ以上の重量化をいたしておりますし、それが現在の切りかえ線ですべて使われておりますので、この区間は完了というふうにお考えをいただきたいと思います。  それから、その他の区間のレールの重量化につきましては、すべて四十キロ以上のレールを使用いたしまして、現在、重軌条化は完了いたしております。したがいまして、三十七キロ以下の軽量レールはございません。  次に、道床厚の増加でございますけれども、これは全体計画といたしまして、蘇我から幕張、幕張から成田、成田から鹿島、北鹿島、全区間で四十五キロメートルの長さにわたりまして道床厚を増加するという計画でございまして、五十二年度、今月の終わりまでに十六キロメーターを完了するつもりでございます。  それから、コンクリートまくら木化につきまして、これは直線部分のコンクリートまくら木化でございますが、いま申し上げました区間で二十七キロメーターを計画いたしておりますが、今月末までに十一キロメーターを完了いたします。  したがいまして、五十三年度以降は道床厚増加については残り二十九キロメートル、コンクリートまくら木化は十六キロメートル、引き続いて着実に実施をしてまいるつもりでございます。  それから踏み切り対策でございますけれども、五十一年度から五十二年度にどういうことをやったかと申し上げますと、場所は後ほど、御要求がございますれば細かい場所を資料でお示ししたいと思いますが、三種から一種にいたしましたのが三カ所、四種から三種にいたしましたのが四カ所、整理統合で廃止をいたしましたのが五カ所という形でやってまいりまして、現在の踏み切りは全部で百二十一カ所ございます。そのうち一種は九十カ所、三種が十一カ所、四種でも全部これは交通規制を行っておりまして、四種が二十カ所でございますが、こういう形でやってまいりましたのと、五十三年度引き続いて四種の三カ所を三種化いたしてまいりますという形で踏み切り対策を十分進めていっておるつもりでございます。  最後に、貨車でございますけれども、これはこの前、委員会で御指摘ございました御指摘に対しまして私回答いたしましたとおり、全部タキの四〇〇〇〇型式を現在配置いたしておりまして、構造は先生の御存じのとおりでございます。予定どおりやっております。
  203. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 はい、わかりました。  それから、時間がありませんから、空港で働いている皆さん、羽田で働いている皆さんがこっちへもう移る、成田の方にね。それで、いろいろ話をされておって、これは必ずしも労使関係だけでは解決できない幾つかの問題があることを私知りました。たとえば住宅の問題。住宅も、当初の計画から比べると非常に住宅が困って、しかもない。高い。独身者の競争率が、住宅公団で三倍以上の競争率だという話も聞きましたし、それから通勤の時間ですね、通勤時間が非常に、発着の問題と通勤の問題がなかなかかみ合わないという点も、これは日本航空とか空港公団と組合の皆さんだけではどうしても話がつかない、運輸省が一枚かんで電車のダイヤの調整に、やっぱり皆さんが合うようにしてやる必要がある、こういう問題もありましたので、これらの問題については、やはり私は、前向きにひとつ運輸省が仲介の労をとって努力してもらいたいという気がいたします。時間がありませんから細かいこと言いませんが、住宅、通勤のダイヤの問題、それから駐車場の問題、こういう問題がどうしても問題があります。  それから、私、もう一つ一番大事だと思うのは、この成田に移動に当たって、従来羽田で働いておる皆さんが、下請の皆さん、ざっくばらんに言えば成チョンという話がいまあるんですよ、成チョン。成田に移動することによって従業員が首になっちゃう、下請を含めて。それで千葉の方には、現地の方には労働力があるものですから、むしろ羽田で働いていたやつを整理をして、そして成田で新しく雇用するという、この雇用の不安というのがいっぱいあるんですね。これは国内線、国内の問題もちろんのこと、パンアメリカンとかノースウエストとかという外国航路の方々も特にはなはだしい。でありますから、私はこの際、大臣に見解を聞きたいのは、やはり雇用を確保する、どうしても移動が必要な場合には、現に羽田に残る方々については新しい職場を国の責任なり公団の責任でやっぱりお世話をする、それぐらいな私は、雇用の安定ということがなければ移動する方も大変かわいそうだし、あるいは成チョンなんていうことはもってのほかだと、こうなりますので、やはり雇用を確保するという前提で具体的な問題について運輸大臣なりあるいは航空局長なりあるいは空港公団もやっぱり一枚かんでそういうものについては最大の努力をすると、そういうことが必要だと、こう思うんです。そういう紛争については本当に誠意を持って、政府がやったんですから、まず政府が誠意を持って対処してやるということが必要だと、こう思うんですが、大臣なり、あるいは航空局長なり、あるいは大塚総裁のひとつ決意のほどを聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  204. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 長い間かかりましてようやくここまで来たわけでございますが、なお何日か大事な日を残しておるわけでございますが、いまいろいろ目黒さん御指摘のようなこと等につきましては、長い間御協力いただいた皆さんに対する礼といたしましても成田が一応開港というところまでいったという、そういう時点において、それは心から念願するものでありますが、そういう時点においてお話しのような、そのゆえに非常にお気の毒なことが生ずるというふうなことがあることは私はもう、これはもう全然そういうことは考えておりませんし、成チョンでなくて成り上がりというとおかしいが、まあ言葉が、日本にまずい言葉があるからでございますが、要するに成田へ移ったのでよかったというようなことになるようにということをひたすら念願しておりまして、いまお話がございました転任等につきましては、私ども以下関係者誠意を持ってこれに対処いたしたいと存ずる次第でございます。
  205. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 公団。
  206. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) ただいま運輸大臣がおっしゃられましたのと同じ気持ちで、及ばずながら公団としても努力をいたしてまいりたいと考えております。
  207. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 特に大臣お願いしたいのは、公団にも関係すると思いますが、いろんな構内営業に関する認許可があるわけですね。認許可がある場合では、いま大臣が言ったとおり成チョンなんていう言葉のないように、成田が開港して首になって生活が困るという労働者が現に発生しないように、私はやっぱり認許可をする際に前提条件として近々やれよと、さすれば大臣の判こ押すよという、声というものを常にやっぱり念頭に置いた行政指導をぜひやってもらいたいと、こう思うんです。また、聞くところによると、日本航空とかそういう国内の会社はある程度まだ運用ができても、外国会社ですね、ノースウエスト、パンアメリカンとかそういうところの方々は、きょうの新聞などを見ますと、成田移転の話し合いもまだ今日段階でされていないと、労使関係でね。ですから、私たちは一体どうなるのだろうということに心配する方がいっぱいいらっしゃるという新聞記事も見ました。ですから、これは外国航路で大変でしょうけれども、やっぱり成田に入る以上は同じようなやっぱり責任と連帯を持ってもらうということについて大臣からやっぱり厳しく言ってもらう必要があると、こう思うんでこれをぜひお願いしたいと。  それから最後にもう一つここに見たんですが、「急患寝かせるベッドなし」と、これは空港公団と関係市町村が救急医療に関する合意書を結んだと、こういうことがあるんですが、それが真実かどうか。そしていざ事故の場合にどういう救急体制があるのかどうか。現に私はあの辺を見てみると一発事故起こったら大変なもんだなあと、こう思っているんですが、救急医療体制についてどういう取り組みなり、対策を持っているのか、これらを聞かせてもらって私の質問を終わりたいと、こう思うんです。  前段の方はぜひ大臣からもう一回、これは国際空港に関係することですから、大臣の決意のほどを聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  208. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 外国航空会社等についてお話がございました。そういうのは極端な事例だろうと思いますけれども、それにしても間が抜けた話だと私しみじみと思います。私どもの方でも気をつけまして、従業員——恐らく目黒さんおっしゃるのは日本人たる人々についてであると思います。日本人でなけりゃ心配しないというわけじゃございませんけれども、何としましてもその方が特に意を注がなきゃならないところでございますが、私どもせいぜい気をつけて対処いたしたいと思います。
  209. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 よろしくお願いいたします。
  210. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 救急医療の問題につきましては、できるだけ周辺の病院と公団で協定を結びまして万全を期すべく、目下努力中でございます。
  211. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これまだ結ばないんですか。新聞は結んだと書いてありますが、これは三月十九日、日経。あればそれ参考に見せてもらいたいと思います。
  212. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 結んだそうでございます。
  213. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それは原本の写しを参考までに出してください。
  214. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 後ほどお届けいたします。
  215. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、私も引き続いて成田問題を中心としてお伺いをいたしたいと思います。  まず、国土庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、成田空港が設置されておりまする千葉県というのは、昭和二十六年から実は工業開発が行われ、以来幾たびか総合開発計画が重ねられて今日に至っております。国土庁といたしましてどのような認識をお持ちになっておられるか、まずその点からひとつ伺いたいと思います。
  216. 福島量一

    政府委員(福島量一君) 千葉県は東京に隣接した大都市圏域に属する県でございまして、同時に農漁村とかなりの広がりを持つ県でございます。そういう意味で、かなり多様な性格を持つ県であるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、大都市圏に属するという意味で、わが国の全国的あるいは国際的な活動の中心を担います首都圏機能の一端を持つという性格と同時に、その地域特性に応じまして、たとえば三全総で示しておりますような居住環境の整備という方向を、それぞれの地域に合わせて方向を定めていただきまして、それに従って整備を進めていくべき地域であると、またそうあってほしいということを期待しておるわけでございます。
  217. 赤桐操

    赤桐操君 それでは私から概要をひとつ申し上げて、千葉県のいま開港されようとしている成田の置かれておりまする実態をひとつ申し上げておきたいと思いますが、いまお話があったとおり、確かに首都圏における大変重要な一翼を担っておるわけでありますが、千葉県の場合には昭和二十六年の一月に川崎製鉄の工場の溶鉱炉に火がともされました。これが千葉県の工業開発のスタートであったわけであります。以来幾たびかにわたる五カ年計画が繰り返されながら今日に至っておるわけでありますが、その後の今日までの経過を申し上げるというと、臨海におきまして、いわゆる臨海工業地帯というものを設定をいたしております。これは東京都に接近しておりまする浦安、行徳の南岸から木更津、富津の沖合いに至るまでの、実に八十キロに及ぶものであります。そして幅約三千ないし四千メートル、総面積にいたしまして実に一万五千ヘクタール、四千五百万坪、こういう大変大きなものでございます。この広大な臨海工業地帯の造成、これと並行いたしまして、さらに問題は内陸部にいわゆる内陸工業地帯というものをずっと造成してきております。これが大体六千ヘクタール、坪数にいたしまして実に千八百万坪、合計いたしますると、臨海・内陸部で、実に二万一千ヘクタール、六千三百万坪に及ぶというものでありまして、これは私は世界の各国の中での工業開発、こうしたものの中でも数少ないものの一つであろうと、こう実は考えるものであります。  そこで、そういう一大工業地帯がつくられてきているわけでありますが、それではここに誘致されている企業はどのくらいあるかといいますというと、臨海部が大体一千であります。内陸部が若干一千を超えるという状態、合計二千社に及んでおるわけでありまして、さらに京浜地帯、この辺が飽和状態になっておりますので、ここの流れが大変人口的に流入をしてまいりまして、今日ではこの一大工業地帯に結集した労働者とその家族、さらにまた京浜地帯から飽和状態で京葉地帯に流入してきた人口と合わせまするというと、四百三十万人に及んでおるというのが実態であります。こういう実は大変な人口増を来しておるわけでありますが、千葉県における昨年、本年におけるところの、さらに今後の昭和六十年次を展望する開発計画、こういうものによりまするというと、人口六百万を抑えるということは大変な努力を要するとされているようであります。それほど実は増大の状態に置かれておるわけでございます。まあそういう状況の中で、千葉県の位置づけというもの、首都圏における位置づけというものは大変な実は私は大きなものがあろうと思いまするし、特に新全総から三全総に移りまして、いま新たな全国の総合五カ年計画が樹立されている、進められようといたしておるわけでありますが、この定住構想下における三全総との兼ね合い、こういう面からいたしまして、千葉県の状態をどのように認識をされ考えられておられるか、国土庁長官の見解を承りたいと思います。
  218. 国塚武平

    政府委員国塚武平君) ただいま千葉県の現況の御報告がございましたが、先生仰せのとおりの臨海工業地帯あるいは内陸工業地帯の造成の状況でございますし、また人口増、世帯増という状態がございまして、市街地の非常な膨張を来しておるというのも仰せのとおりだと思います。私ども首都圏整備計画の上におきましては、この千葉県を二つの地域に分けて考えなきゃならぬと思いますが、臨海工業地帯を含めました東京都心から五十キロ圏域内のいわゆる近郊整備地帯の再整備の問題と、それから近郊外郭地帯としての周辺地域の整備の問題、二つに分けて考えられるところだろうと考えますが、近郊整備地帯につきましては、いわゆる東京湾岸を取り巻く大都市地域を形成しておるわけでございますので、首都圏整備計画上の近郊整備地帯としての整備を図っていかなきゃならない、とりわけ先生仰せになりましたような急激な都市化現象がございまして、その過程で生じました環境のひずみということは否定できないと考えておりまして、今後その環境のひずみの是正を図る、人口増、世帯増に対処いたします市街地の計画的な形成といったようなことがとりわけ必要だと考えております。また、人口集中地域あるいは人口急増地域がございまして、三全総にうたっておりますところの大都市特有の環境整備の問題が非常に大きな課題だと考えております。それから周辺につきましては、これは周辺地域の大都市近郊としての特性を生かす必要があるわけでございますが、農業生産、工業生産等の地域の特徴を生かしながら、社会的にも文化的にも水準の高い地域形成を目指さなきゃならない、こういうふうに考えているところであります。
  219. 赤桐操

    赤桐操君 この千葉県の実は開発は、全国総合開発計画が進められる前に、実はある意味においてはテストケース的な役割りを果たしたと思うのですね。そうした形の中で、千葉県の工業開発を中心としたいわゆるコンビナート地帯の造成ということを中心として、私は千葉県のいわゆる開発が行われたと思うのです。この間においては、国は産業基盤整備のために相当の私は金を投じたと思うのです。そしていわゆる世界でも数少ない臨海工業地帯、内陸工業地帯の大きなまとめのためにかなりの力を果たしてきた。同じように今度の新全総のいまの御説明によりますると、今度はさらにそれと並行して、いままでのひずみに対して本格的なフォローをしていきたい、そして将来展望の中で、千葉県におけるこうした工業開発の前進と、さらにここに集中する多くの定住のための諸対策を講じたい、こういうことでありますが、これはいま千葉県が指向するその方向に総合的な支援を与えているものである、あるいはまたプッシュをしていくものであると、こういうように理解してよろしいかどうかですね。
  220. 国塚武平

    政府委員国塚武平君) 千葉県の現在置かれておる状況及びその展望というようなことでお尋ねでございますが、私どもの方の第三次総合開発計画あるいは整備計画は、過去の千葉県が果たしました高度成長時代のひずみを是正する方向で新しい千葉県の圏域整備、とりわけ関係都市の整備、農業地帯の整備といったようなことで、それをその方向に沿うものとして努力をしたいというふうに考えております。
  221. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  そこでひとつお伺いいたしたいと思うのは、これはひとつ運輸省の方の関係公団総裁の方にお尋ねしなきゃならぬと思いますが、成田がいま開港になる、そしてさらにこれが昭和六十年次を展望してこれからいろいろと動きが出てくると思うのでありますが、たとえば便数の状態であるとか、あるいは客数の状態であるとか、あるいはまたその他総合的なアクセスや関連各種施策、こうしたものについては、現在の状況からさらに昭和六十年次を展望してどのように展開をしていくものであるか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  222. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 空港公団といたしましては、国の第三次空港整備計画というものにのっとって現在工事、事業を進めておる段階でございまして、現在までにオーソライズされたものとしてはそれでございますが、さらにその先も公団としての見通しを立てまして、まだオーソライズされた計画というところまではいっておりませんが、われわれなりの推定を行っておるわけでございます。   〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕 それによりますと、旅客の数でいきますと、昭和六十年には約二千百二十万程度に国際旅客数がなるだろうというふうに見ておりますし、貨物につきましては百十二万トン程度になるだろうということを考えまして、それに対応した施設その他の計画を進めなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  223. 赤桐操

    赤桐操君 便数はいかがですか。現在百五十二便と聞いておりますが、この点についてはいかがですか。  それから客数についても当初計画のものと、貨物についても、同様、当初計画数字をひとつお示し願いたいと思います。
  224. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 便数につきましては、六十年で大体十三万六千回程度というふうに考えております。  それから現在の旅客貨物等の数字でございますが、五十一年が、これは羽田の実績でございますが、六百九十三万。それから貨物につきましては二十八万八千トン、発着回数が五万五千回という状況でございます。
  225. 赤桐操

    赤桐操君 いまお話承ると、大変大きく空港の将来展望を持っておられるわけでありますが、その中で、たとえば便数なんかにいたしましても、これは大体現在の倍くらいになりますね、おおむね。
  226. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 現在五万五千回余りでございますが、それが十三万六千になりますので、三倍まではまいりませんが……
  227. 赤桐操

    赤桐操君 二・五倍……。わかりました。  こういう形で大きく伸びていくことを考えておられるわけでありますが、運輸大臣は、この成田空港の将来展望を、そういう形でこれから強力にお進めになるということでございますが、そういう場合には、これはやはり便数だけを伸ばすということもできないでしょうし、さらにまた、客数、貨物数、総合的なものが必要になってくると思います。こうした面で総合対策をお立てになるだろうと思いますか、それについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  228. 福永健司

    国務大臣福永健司君) お話の点は、まさに総合的に検討をしていく、対処していく必要があろうと考えるわけでございます。いたずらに便数のみにとらわれてもならない、こういうように存じます。
  229. 赤桐操

    赤桐操君 いま国土庁の方から、さっきのお話によりますると、定住圏構想のもとに、広範な千葉県におけるところの総合的なこれからの対策をひとつフォローしていきたい、そうしてまた、工業地帯の造成と人口集中等を整合性のある形でひとつ将来を期したいと、こういう実は一方におけるお話がありました。しかし一方、運輸省並びに公団のお話によりまするというと、この国際空港は、現在の少なくとも二・五倍程度の機能にまで高めようと、こういうことになってくるわけでありますね。便数もふえることはもちろんだけれども、総合的に全部拡大されてくることになる。これはやはり相当な、私はいまでさえも大変な実は問題だと言っているわけですが、これが二倍半の増大をもたらすということになると、これは、ちょっといま想像つかないような大きな問題を引き起こすのではないだろうかと、こう思うんです。  したがって、長い間にわたった千葉県の工業開発のひずみを直して、整合性のあるそういう町づくりや農村づくりをしようと、こういう国土庁の考え方と、運輸省並びに公団のいま考えておられる昭和六十年次を展望するお考えというものは、大変私はある意味において矛盾をしているものがあるのではないだろうか。昭和六十年次になりますると、千葉県の人口は大体六百万と想定しなければならぬことになる。現在の五割増しになりますね。それで、しかもいま国土庁から明らかにされたとおりに、いわゆる東京近郊地区とそれから北総地区を中心として——北総地区というのは成田周辺も言うんですが、大体この北総地域にかけた一帯に、これらのいわゆる五割増しの増大する人口が集中をしていく、こういうことに想定しなければならない状態にある。したがって、現在の、当初の状態ではない、将来六十年次においては、二倍半の騒音であろうと何であろうと、大変なことになると思うんです、範囲も広がると思いますけれども。こうしたものをこれらのほとんど千葉県における人口集中、企業集中の中心的な地域にかぶせていくことになるんですね、成田空港そのものが。このことは私は大変実は大きな問題だと思うんです。国土庁が構想を立て、あるいは千葉県が構想を立てているものとは相反する形のものがこの計画の中で出てきている。これは、いずれの行政の面からいたしましても、大変な実はお互いにぶつかり合う問題になるだろうと思うんですね。これは常識的に考えても、こういうことはちょっと、まことに私たちはとり得ない対策だろうと考えるのでありますが、将来展望の中において二律相反するこの実態、こういうことについて福永運輸大臣はどのような御認識をお持ちでございましょうか。
  230. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 赤桐さん御心配の点は、確かに一つの見方であろうと思います。   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕 人口が過度にふえるということは大変な悩みでございます。私、埼玉県の者でございますが、埼玉県もすでに五百四、五十万ということでございます。長い間、千葉県よりは少し少ないということでずっときましたが、このところ何年かで、福岡県なんかよりも多くなったということで、それなりに悩みを持っております。そういう経験等からいたしまして、極端にふえていくということは大いに戒めなければなりませんが、千葉県の場合を考えますと、赤桐さん御指摘のような事情がございますので、いま話に出ておりますことも考えなきゃならないが、私は、やりようによっては、これ、そういう大きな伸びていく千葉県というものが、二律相反するという、そういう結果にならないように、両者が相補うようなことでますます繁栄を遂げていくというようになれば大変結構だと、こう思うんですが、これは、そう簡単に申し上げてはごきげんを損なうかもしれませんけれども、私は、対処方策によってはあるいはそういう方向へも行き得るのではないか。日本国全体がまあ部分的にはそういう現象を呈しているところもある、こういうような気がするわけで、そういうことを何とかしなければ日本はどうにもならぬ現状でございますが、私ここ数年来あの空港地帯等をしばしば自動車等で通ってみまして、日本にもこういう広々としたいい所があるなあという感じを実は深くしておるわけです。だからしたがって、そのままでおくのがいいということも一つは確かにございましょうが、もうちょっと入ってもまだまだ安心だなあという感じもしないでもございません。そこいらにつきましては、私ども運輸当局といたしましては、まあ千葉県のあの地帯について御迷惑をかけるばかりが能ではないので、まあ今度成田も開港になって、あの地帯の繁栄につながるようにわれわれももちろん考えていかなければなりませんが、国土庁の方もこれで弱ったことになったと思っておられるどうか、私はその辺はまあ立場が違うのでそれぞれ考えがございましょうが、そういう観点からいま赤桐さんが運輸大臣はどう思うかとおっしゃるので、まあ感じを率直に申し上げて大変恐縮でございますが、容易ではないようではございますが、同時にこのことがいよいよもってその地帯が繁栄することになるようにということを、それをひたすら念願する次第でございます。
  231. 赤桐操

    赤桐操君 大臣は成田の地域へ行かれて、日本にもこんな広々とした所があったかと言って感心されたそうでありますが、もう一歩先へ出て太平洋をながめていただくともっと広々としておりますよ。  そこで、私はひとつ、これもう十数年近い以前の話になりますけれども、これは実際に私が当時の千葉県知事との間にやりとりをした経過がございますので、その事実経過をひとつお話ししてみたいと思うんです。  私の立場は、明確にしておきますけれども、千葉県における労働組合の一労働界の代表として私は出席をいたしております。もちろんこの当時は三里塚、成田という段階に至らないで、千葉県におけるところの八街、富里というこの地域を空港に選定しようじゃないかと、こういう時代であったんですね。それと並行して出てきていたのが、どこかほかに一、二カ所ございましたけれども、これは他県のことでありますから、私から申し上げる必要はございませんが、とにかく千葉県では八街、富里の時代でございました。このときに一体これ千葉県でこの空港を受け入れるべきなのか反対すべきなのかという大論争が県民の中で大きく高まっておりました。もちろん私の各それぞれの労働界においても大きな問題でございました。  そこで、私はいろいろの問題等を含めまして、地元の皆さんや、そういう方々と一体となりまして、この問題に対するいろいろの対策を実は考えたわけであります。まあこの八街、富里の問題については、御承知のとおり、これは労働団体の応援などをいただかなくても、地元の八街、富里の皆さん方が鎧袖一触、この問題はけ飛ばしました。これは実にみごとであったと思うんですね。まあ当時漏れ承りまするというと、国の考え方としては茨城県の霞ケ浦を埋め立てするのも、千葉県におけるところの北総台地を使うのも、大体これは労働団体の反対闘争は同じくらいだろうと、しかし経費の面からすれば埋め立てするよりもこちらの方がはるかに安上がりだと、こういう結論だったということを私は運輸関係の方々から伺いました。したがってこれは間違いなかったと思うんです。そういうことで、八街、富里の問題が具体化したと思うんでありますけれども、結果的には、これは鎧袖一触。それで、三里塚に御料牧場がございましたので、これを実は中心にしていまの成田空港問題に発展をしていったというのが実態なんです。その実は、八街、富里問題から成田に移るその間の中で、私どもは実はいまの千葉県知事とのやりとりが行われているわけです。  それは、私からはこういう質問をいたしています。知事さん、あなたはいま千葉県の総合開発計画を続けていらっしゃる、これは将来県下に予定のとおりの臨海工業地帯と内陸工業地帯をおつくりになるんでしょうか。私は断じてこれはやり抜きますと、こういうことが明らかにされた。それでは、八街、富里問題から、どうも様子を見るというと、空港設置の強行対策がとられるのではないかと、こういう実は県民は危惧の念を持っているけれども、これに対してあなたは断固として阻止をいたしますかと、こういう質問をしましたのに対して、いや、それは私としては大変迷惑なことを持ち込まれましたと。これさえなければ、私もまずまずほめられなくてもあたりまえな知事として自分の任務を全うできたかもしれぬが、えらいことを持ち込まれましたということをしみじみ述懐をされている。それならばこの空港問題については断固として反対したらどうですか、こういうことを言ったら、それがなかなかと、こういう答えなんですね。そこで私は、私は内陸空港については反対であると、これははっきり申し上げ、立場を明らかにしておきたい、しかし百歩譲ってあなたと一応同じ土俵に入って話し合いをするといたしましても、これは少なくとも両立はしないだろうと、六百万の人口を擁するということは、将来構想として当時もうすでに千葉県においては樹立されておりました。この内陸工業地帯と臨海工業地帯をつくり上げて、千葉県に六百万の人口を擁するそういう状態をつくり上げていくことになるならば、その一番人口集中、企業集中の中心的なところへ空港というものを持ってくるということは、どだいこれは考えられないことだろうと、だからこれが国家的な仕事として空港が必要であるとするならば、これは百歩譲って千葉県につくられるということになるかもしれぬけれども、その場合には、この開発計画はおやめになりますか、六百万人口をここに流入させるということについては、断固として阻止をするかどうか、あるいはこの開発計画を遂行されるとするならば、あなたが成田の空港を反対する以外にないのではないのかと、どちらをおとりになりますかと、こういう問題で実は話し合いをしたことがございます。これは私が個人でやったんじゃなくて、いま申し上げた立場でやったんであります。これに対して当時の千葉県知事はまさにそのとおりだと、私も御説のとおりだと思いますと、こういうことを表明をしておられました。したがってそういう立場、考え方でやっている以上は、成田の空港問題については断じて千葉県としては受け入れることはできないはずだ、このことについても同感でございますと、こういう意思表示をされた一幕があったんです。  私はね、正常な良識と正常な認識を持つ人であるならば、これが普通だと思うのですよ。この人は、もちろんこの知事さんは保守の方であります。私は革新の人間であります。革新の人間であろうと保守の人間であろうと、そんなことも、現実、千葉県というこの実態を見詰めて、この問題に対してどうあらねばならぬかということを真剣に考えるならば、私はこういう二律相反するいわゆる行政の遂行ということは、これは考えられないんじゃないですか。私はいま、恐らく十二、三年前になると思いますけれども、この実は話し合いの経過をひとつここで率直に福永運輸大臣に申し上げておきたいと思うのですね。あなたなら私はこの心境を理解されると思うのですが、いかがですか、お考えは。
  232. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 非常に貴重な御経験をお話しいただいたのでございます。私ども、実はちょうどそのころ千葉県では川島正次郎氏などとともに党の役員をいたしておりました。で、そのころに、どこに空港をつくろうか、どうしてもつくらなきゃいかぬが、つくるかというときに、確かに千葉県のみでなくて、ほかにもどうだろうかという話が出た所がございます。私の埼玉県にもございます。私どもの方の話は、まあいまほかのことに使っておりますし、当時米軍が使っておりました飛行場等につきまして、あれを返してもらってつくるのも一つじゃないかということは、私ども当時人口がいまのように五百四、五十万になるというほどのときでもございませんでしたものですから、はるかに少なかったときでございますから、もうちょっと来てもいいわというような気持ちも多少あった。あったのでございますけれども赤桐さんがおっしゃったように、内陸のものはどうかという点につきましては、私も毎年外国へ行って大きな都会における空港の位置を考えた場合に、なるべくなら一つの空港とは気象条件その他が違っているようなところを選定するという例がかなり多うございます。したがって、私は羽田の場合、ほかに別の空港を置くとするならば、羽田とは大分違ったようなところがいいという、まあ専門家的な知識ではございませんけれども、私は私なりの考えで、その種の意見を当時党内では言っておった一人でございます。そういうことから、埼玉県の山の方に近いところあたりは相当違うところだから、いろんな条件がよければ考えてもいいんじゃないかなあという考えを持った一人でございます。当時社会党の議員さんで、いま立場は違っております方も私と話をして、実は正月の対談か何かのときに、私よりもむしろその方が埼玉県に国際空港を考えてもいいんじゃないかという説を出したことがある。これはこれなりに理由がある。私自身も実はそのときにはともに考えようというようなことを言っておったわけでございますが、この方はいろいろのことでそこを採用するということではなくなりました。  そこで、いまの赤桐さんのお話の何につきましても、八街、富里のことも私多少その当時伺っておりまして、その話も立ち消えになりましたが、現在のところについては、当時いろんな関係者の人々の御尽力等もあって、初めはわりあいにスムーズにいくような話でございました。私どももそういう意味で確かに賛成をいたしました一人でございます。いまにして思えばなかなかいろんな問題があるだけに、これは物事は一概に言えないと、こう思いますが、ただいま赤桐さんがこういう経過等を示されてどう思うかとお思いになりますことについては、いろいろあの時代においてすでにいろんなことをお考えになった赤桐さんに私は深い敬意を表します。敬意を表しますが、いろんな条件を総合してあそこに決めたということも、だから間違いだというわけにはいかないと、こう思うんです。これはこれなりにいろんな理由から、ここがよかろうという当時の判断はこれはこれなりに理由もあったと、こう思うわけでございます。そういう意味から、この種の問題の処理に当たりましては、まあいろんな点から深く考えて対処しなければならぬと、こういう感じに強くつながっていることは正直に申し上げます。お話を伺って当時から一貫してのお考えに対して、私は私なりの敬意を表しますが、さりとて成田を選んだということについて、これは大ぜいでそうしたわけでございますけれども、であるからこれが間違いだというようにも私は考えておりません。そのことを率直に申し上げたいと思います。
  233. 赤桐操

    赤桐操君 私は、言いたいことは、少なくともこれだけの工業地帯というものは世界でも数少ないのですよ、千葉県の工業開発というものは。こういう一大工業地帯に、しかも六百万人もの人口を擁するということが将来もう明らかになっている。水の問題までいろいろ対策をとっておるわけですね、この人たちのために。首都圏におけるところの千葉県の位置づけも、さっきの国土庁からのお話でも明確になっているわけですね。そういう千葉県というもの、この人口集中、企業集中のどまん中に持ってきてこういう空港が少なくとも活動を開始するということについては、これはやはり世界の各国ではこの種の飛行場というものはつくらないと思うんですね。  去年の秋、大臣とブルガリアで御一緒でありました。少なくともあのとき、フランスも御一緒でありましたが、フランスのシャルル・ド・ゴールにいたしましてもあれは大変な広大なものですよ。そして、あそこでほとんど騒音は包み込んでしまって、その空港の領域以外にはこれを出さないという形でもって処理されているじゃないですか。モントリオールに私はまだ行っておりませんが、ここはもっと広大だそうでありますね。アメリカのダラスのすぐそばにまた一つできたようでありますが、これもまた同じような規模だと言われておりますね。そして、イギリスやアメリカ等におきましては、ロンドンの第三空港やあるいはニューヨークのケネディ空港の拡張等については騒音等との関係からこれを中止をしたということまで明らかにされております。これらのいま申し上げた各空港は、この成田空港と同じ時期にみんなそれぞれ論議された時代であったと思う。当時はいわゆるダグラスの従来型のあの飛行機からもっと大型へと発展しようという段階であった。そういう展望の中で各国とも大きな飛行場をつくろうとしたと思う。日本もその一つであったと思うんですが、しかし、いずれの空港を見ましても、でき上がったものについてはこういう無理したものではないと思うんですね。それからまたさらに言うなれば、計画はしたけれども千葉県のこの成田における状態、恐らくこれほどひどくはないと思うのですけれども、ロンドンの第三空港それからケネディ空港の拡張の問題、こうしたものについてもいずれも中止をしている。こういう状況等から見れば、国際常識に反したものだろうと、こういうふうに私は実は考えています。  それで、千葉県全体から見ていっても、これはやはり空港の問題について一定の制限をするか、あるいはまた開発計画に一定の制限をするかしなければ、開発に伴うところの大きな増大していく将来展望というものと空港の将来展望というものはこれは必ずかち合うわけでありまして、それほど近接した地域ですから、将来にどうにもならぬものが出てくると思うのですけれども、この点については、当時の友納千葉県知事との私の話し合いの経過もあるわけでありますが、運輸大臣は両方ともおやりになろうとなさるわけですか、それともいずれかを規制するかストップするか考えなきゃならぬとお考えになりますか、いかがですか。
  234. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 成田がまさに開港せんとする一週間前に、この歴史的時点において過去を振り返りつつ、この種の論議があるところは私は将来に対して非常に意義深いと思います。ただ単に、やりかけたんだからもう理屈抜きじゃというようなことだけではいかぬと思います。したがって、赤桐さんのただいまのような御意見は、現時点でより一層意義深いと私は理解をするわけでございます。  そこで、私の立場といたしますと、これは空港の方とそれから大工業地帯とを両立させることはこれは無理だと、こういうように私は理解をいたしておりません。東京のような状態を考えますと、これははるかにまだまだふところの広い、いろいろの施策が講じ得られる地帯でありますだけに、私はむしろここまできたこの事態を、一方において大変大きな工業地帯、そしてそのほど遠からぬところに日本では一番の大空港ができて、この組み合わせが将来施策よろしきを得て、恐らくうまくいけば、これは日本一の地帯になるであろう、私はそういうふうになるであろうことを考えますと同時に、ひたすらそれを念願するものでありまして、そのためにはいろいろなことが必要でありましょう。国はそういうことに大いに力を合わせるべきである、こういうように考える一人でございます。したがって、いまおっしゃいましたように、なかなか困難はございます。この困難を克服してすばらしいところにするということについて、関係者は、私どももゆえあってというか、まあ縁があってというか、こういう立場にしばらくなったわけでございますが、この二つの大きな物の考え方、これが両立して、両々相まってますます世界に誇るものができ上がること、でき上がるようにわれわれみんなが協力すること、そういうことでぜひありたい、こう考えております。
  235. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、この話し合いはこれで終わりにいたしたいと思いますが、私はこの二律相反する行政は必ず将来になお大きな割れ目を来す、招来するであろう、こういうように主張するものです。福永運輸大臣は両方ともこれは差し支えがないんだ、両方ともこれはひとつ将来に向けて発展させていくんだ、両々相まっていくんだ、こういうお考えのようでございますが、これは明確に考えの相違があるようでありますから、この相違していることを事実として明らかにして、今回はひとつこの問題にピリオドを打ちたいと思います。  次に、私は少し実際の、各それぞれの自治体あるいは地域の中から出ておりまする問題点を幾つか前段で拾いまして、全部ではありませんが、幾つかの問題をひとつ提起をいたし、お尋ねをしておきたいと思うわけでございます。  成田市が空港公団の実施いたした騒音テストに基づきまして、騒音あるいは電波障害に関する住民のアンケート調査を実施した。これが昭和五十二年の八月の末に公表されたものでありますが、これによりまするというと、六割以上の人々が航空機騒音がうるさい、電波障害が起きた、こういうように答えを出しておるわけであります。成田の中にもいろいろございますが、いわゆる騒音地区と称する地域の人たちと、そうではなくて、騒音地域に指定されてない地域の人たちがございますが、この騒音地域に指定されていない、いわゆる遠山地区というところがありますけれども、この地域の人たちのアンケートによっても、八六%の人たちがうるさい、こういう回答をいたしております。電波障害については六七%が影響があった、こういうように言っているわけであります。これが成田市が明らかにした昨年の八月の内容であります。問題は、その騒音テストは開港後の飛行条件と違うということでいろいろ厳しいものでありまするけれども、この騒音対策について開港後どんな考え方をお持ちになっているか伺いたいと思います。
  236. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 騒音対策につきましては、御承知のように、国の環境基準というものを目標にいたしまして、とりあえず中間目標を達成するということで私ども努力をいたしてきたわけでございます。これがことしの五十三年の十二月で中間目標の時期が参りますので、その後は最終目標に向かっての騒音対策を実施していかなければいかぬというふうに考えております。したがいまして、そうなりますと、現在の騒音区域というものが、現在は御承知のように八十五WECPNL以上の区域が騒音区域ということになっておりますが、これが七十五まで広げられるということになるわけでございまして、そうしたまずコンターの見直しといいますか、ということをやらなければいけない。したがって、現在騒音区域に入っていないところもそれに従って新たに騒音区域に入るというようなことになろうかと思います。そしてこれらに対しては、従来のように、移転補償費というようなものから、民家の防音工事あるいは学校の防音工事あるいは共同利用施設の設置というような事柄、それから電波障害に対する対策というようなことを進めていく。ことに電波対策につきましてはどうしてもやはり実際に飛んだ後、個々の家につきまして電波の障害の実態を確かめて、これに対してフラッター防止の施設をするとか、そういうふうな対策を講じてまいらなければなりませんので、どうしても開港後スタートをする。まあ調査は何地点かで先日やりましたけれども、これはやはり単なる何地点かの調査でございまして、実際に開港になった後は、その区域に入ると思われるすべての家について一戸一戸現実に調査をして対策を講ずる、こういうふうなことにせざるを得ないというふうに考えております。
  237. 赤桐操

    赤桐操君 それからもう一つ伺いたいと思うのは、飛行コースに付随するいわゆるこの滞空空域というのがございます。待機空域といいますか、これがあるようでありますが、これは三カ所あるようですね。成田空港の南東、それから蓮沼沖、銚子沖等にあるようでありますが、こういういわゆるホールディングエリアの下では各種の公害が予想されるわけでありますが、こうしたものについてはどのような措置をとられるか。関係市町村が二十を超えるんじゃないかと見られますけれども、この点について説明を願いたいと思います。
  238. 松本操

    政府委員(松本操君) お答えを申し上げます。  いまおっしゃいましたホールディングエリアでございますが、これは千葉県とのお約束等もございまして、努めて海上に出すということにしてございます。いまおっしゃいました銚子沖合い、これは銚子の数キロ沖合いでございますので、ホールディングをいたしました場合に陸上部分に全くかからないようにしてございます。それから蓮沼の沖合い、これもちょっと私、記憶が正確でございませんが、たしかコース・ウェーという名前のところで、これも九十九里浜の沖合いの海の上でございますので、ここのホールディングエリアにおける影響というものも地上には全く及ばない、こういうふうに考えております。  なお、そのほかおっしゃいました地点として、たとえば霞ケ浦の南の端のレークポイントでございますとか、そういうふうなところにNOTAM上はホールディングポイントが書いてございます。これはしかし東京管制部及び成田の進入管制所が航空機と航空機の間の間隔をとりまして安全に飛行機を入れてまいります場合に、何らかの事情によってどうしても二機の飛行機の間の間隔が狭まってしまって、どうにか処置をしないと管制の基準違反になる、あるいは安全上危険を生ずるおそれがある、こういうふうな場合に、後から追いついてまいりました飛行機を一回回して間隔をとるという場合にどうしてもやらなきゃならぬ場合にはいいかげんなところでやってはいけないのでここでやりなさいという意味で、たとえばいま申し上げましたレークポイントというふうなところが指定してあるわけでございますので、まず通常の管制の状態においてはそういうふうなことは起こり得ない。また、起こったといたしましても、仮に年に一回か二回かあるかもしれません、絶対ないとまで私申しかねますが、仮に起こったといたしましても、六千フィート、約千八百メートル以上の高度で、ここではホールドをさせる、こういうことを厳守させるようになっておりますので、騒音の問題その他直接的に影響が地上に及ぶということはまずないのではないかと、こういうふうに思いますが、それにもまして原則としては陸上の上でそういうことをしないという考え方で管制をしてまいる、こういうふうにいたしております。
  239. 赤桐操

    赤桐操君 それで、大分、各それぞれの自治体がいろいろとテスト飛行、二回にわたるテストによる結果をいろいろとそれぞれの立場でデータを出したり、将来に対するいろいろの配慮をしたりいたしておるわけでありますが、時間の関係がありますので要約して伺いたいと思うのですけれども、いわゆる騒音対象地域として指定されていない地域、これはいまの公団総裁のお話でもう一遍コンターのやり直しをするそうでありますから、その中に入るかどうかわかりませんが、恐らくそれにも入らない地域があるんじゃないかと思うのですけれども、たとえば東庄であるとか、それから小見川、山田町、これは恐らく一般の方々おわかりにはなりませんが、これは言うなれば飛行場の裏側の方でありまして、これこそ大変実はそばづえを食う地域だと思うんですね。こういう地域、これが結構相当のホン数を出している。それからさらに六千フィート以下のところでは、ですから千八百メートル以下になりますが、これは蓮沼、松尾、横芝、下総、こういうところの自治体が大変実はこれからの騒音問題について苦慮をしていると、こういう状況であろうと思います。いま申し上げたこの蓮沼、松尾、横芝、下総こういう地域は、直進上昇、直進降下が義務づけられている下でありますから、こういう地域についてはかなり大きな問題があるのではないだろうかと、こういうように考えます。  それから、さらに自治体で一つの例でありますが、たとえば横芝町等におきましては、年間予算十七億五千万円の当初予算の中で、四億七千万円が学校防音工事に充てられておる。この町の場合には、民家の防音措置は全然ないと。公団から三億一千万円の補助金が出されているけれども、町負担分が借金となっている。防音校舎の維持管理、これが月、相当の多額なものに上っているということが訴えられるておるようであります。もちろん、これは学校なんかにいたしましても、騒音地域でありますから、当然夏なんかも窓を開けて勉強するわけにいかないでしょうから、当然これはやかましいときは閉めなければならない。そうなれば、冷房の費用なんかも当然かかってくるでありましょうし、こうした実態が訴えられておるということについては、公団の方でも把握をしていらっしゃると思いますが、さらにまた騒音地区内の民家防音工事、これについて千葉県の方から二十八項目の要求が出まして、そのうちの一つになっているのでありますが、全額を国の費用で賄うということで了承を得たことになっておるようでありますが、これは全室であるのか、限られた部屋数を一応予定しているのか、その辺がどうも明らかにされていないように思います。  以上、申し上げたこれらの対策についてひとつ伺っておきたいと思います。
  240. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) いまの数点の問題についてお答えいたします。  まず、騒音地区外と申しますが、現在の騒音地区は先ほど総裁からお答えしましたように八十五WECPNLでございます。ただ、学校等につきましては、現在でももちろんいまの御指摘の蓮沼、松尾等では民家防音地区は入っておりませんが、学校等では約七十WECPNL以上は学校防音やると、それから共同利用施設でやると、こういうようになっておりますので、騒音地区に入っておりませんけれども、そういう騒音対策は現在でもやっておるわけでございます。  それで、いまのいろいろな自治体の負担金の問題でございますけれども、これもいろいろ種類がございまして、防音工事そのものですと全額私の方が負担するわけでございますけれども、木造校舎等でそのままでは防音工事できないということで、鉄筋コンクリートに改造する場合がございます。こういう改造工事につきましては、一級工事、二級工事と、いろいろ騒音の程度に応じて区域がございますけれども、大体一割から二割五分地元負担があるわけでございます。それにつきましては、大体これは地方自治体では国とか県から借金するわけでございますけれども、一応しかし、現実にその金を地方の財政からすぐ出すということではございませんので、これの償還について非常に問題があるわけでございます。ただそれにつきまして、要するに今度空港周辺特別交付金いわゆる燃料譲与税に該当するものが制度化されまして、これを各そういう騒音のいろんな対策を講ずる地域に配分するわけでございますが、そういう償還金、あるいは先生御指摘がありましたそういう冷暖房の維持費等々含めまして、そういう防音工事をやりました学校の数とか、そういうものも算定基準の中に織り込みまして、いわゆる騒音区域に入っておりませんけれども、そういう工事をやったところにはそれを算定基準に入れますので、いわゆる蓮沼とか横芝とか松尾等につきましても、額はこれ成田、芝山等に比べてそう多くはございませんが、それに見合うものを五十三年度から交付いたしたい、そういうもので、そういう自己負担の償還とかあるいは維持管理に充てていただきたい、こういうように地元市町村にお願いしておるわけであります。
  241. 赤桐操

    赤桐操君 私は、成田の飛行場ができなければこんなことしなくてもいいんですよ。各それぞれの学校でもやらなくても済むし、子供たちも窓をあけてきわめて健康的な授業を受けることができるのですね。また町当局も、そんな補助金を受けていろいろ無理なことをしなくても済む。それにもかかわらず、まあできたためにこういうことをしなきゃならぬわけです。これは私は補助金とかそういう小切ったやり方でなくて、結果的には自治体に負担をかけることになるわけですから、そういうことはやはりりこの際ひとつ思い切って、先ほどの目黒委員からのお話ではありませんが、自治体やそういう教育面などに迷惑はかけないように、これはやはり公団としてお考えいただくべきことではないでしょうか。特に角坂さんの場合には、長く千葉県でおやりになっておられまして、千葉の実態についてはもうよく御認識のとおりでありまして、私から申し上げるまでもないわけですから、その点ひとつ総裁を補佐されて、県下のそういう自治体に負担をかけないように、自治体の立場に立ってひとつ御配慮をいただくべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  242. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 空港ができなければそういうこともする必要がないという先生の御指摘わかりますし、なるべくそういう方向にということは考えておるわけでございますが、そういう学校の防音工事あるいは改築等に対しまして全額助成するという現在の制度でございませんので、できるだけそういう方向へ向かっていくように考えることにはやぶさかでございませんが、いますぐここでそういたしますという御返事ができないことは残念でございますが、そういう点で御了解願いたいと存じます。
  243. 赤桐操

    赤桐操君 これはひとつ重ねて要望いたしておきたいと思います。御検討願いたいと思います。  それから、ちょっとここで伺っておきたいと思うのですが、テストをやる飛行機というのはいろいろの種類でやられているわけでありますけれども、たとえばDC8型機の例で伺いたいと思うんですが、これはお客を全部乗せて最大積載量でありますというと自重とあわせてどのくらいのトン数になるのですか。
  244. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) いまDC8の御指摘ございましたが、DC8は、いわゆる最大離陸重量といたしましては百五十一トンでございます。
  245. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、この間の第二次テストでおやりになったこのDC8型機のこれはどのくらいの重量でおやりになったんでしょうか。それで最大積載トン数の場合の騒音を出す度合いと、この間のDC8型機の実際に使った場合の状態において出された騒音との差といいますか、状況というものを比較して御説明を願いたいと思います。
  246. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 先般やりました騒音テストでございますが、これはどうしても飛行場の性能上いわゆる最大着陸重量以上でおりるわけにはまいりませんので、DC8につきましては、この最大着陸重量が九十八トンでございますから、先般の騒音テストもこれでやったわけでございます。したがいまして、いわゆるまあ遠くへ行く飛行機と申しますか、そういうもので百五十一トンで飛ぶときと九十八トンで飛ぶのは確かに重量が違いますから飛行に多少の変化はございますが、ただ九十八トンの重量で飛びます飛行機も、東南アジアとかあるいはソウル等の近距離に行くのは大体この程度の燃料で飛んでおりますので、そういうところへ行く飛行機の実際の騒音とは同じ騒音が出ているはずでございます。こういう飛行機が現在羽田に約五五%ございますので、いわゆるモスコーの直行便とか、あるいは太平洋航路のように遠距離に行く飛行機の重量はございませんが、近距離航空の飛行機の重量で飛んでおりますから、五割ないし六割は実際の騒音が出ておる。したがいまして、遠くへ行きますときにはやはり重いですから、急に上に上がれませんから、いわゆる滑走路の端の方に——端といいますか、滑走路の延長上の遠いところに及ぼす騒音は、そのときとは違うことは事実でございますので、そういう重い飛行機が飛ぶときにはこれよりも高い騒音が出ますということは地元によく御説明いたしておる次第でございます。
  247. 赤桐操

    赤桐操君 それはわかりました。  そうすると、そういう立場に立って再度ひとつテストの中ではいろいろと御検討をいただくことになると思いますので、これはひとつ念を入れてお願いしなきゃならぬと思います。  それから成田市によりまするといわゆる騒音コンターですね、線引きの問題ですか、これについて開港と同時にその見直しのための作業をやるべきじゃないかと、こう言っているわけですが、公団はどういうお考えですか。
  248. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 公団といたしましても、全便が離発着するようになりましたら早急に騒音の調査をやりまして、それに基づきましていわゆる実際の騒音コンターと申しますか、そういう地区につきまして、もしもその結果いわゆる事前に発表いたしました地域で修正する必要がありますれば、これは当時、千葉県並びに各地元市町村に対しまして、実際開港してから実態調査をやりまして、もし修正する必要があれば修正するという了解事項のもとにお認め願っておりますので、そのようにいたしたいと存じております。
  249. 赤桐操

    赤桐操君 これは開港と同時におやりになりますか。
  250. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 同時と申しますか、なるべく早くやりたいと思ってますけれども、いろいろな相当調査でございますから、開港と同時という、同時という字句の問題だと思いますが、三十日、一日からやるというわけにはまいらぬと思いますが、なるべく早くやりたいと思っております。
  251. 赤桐操

    赤桐操君 地元の皆さんのお話によると、何か大分一カ月以上も先になってからやるようなお話だということで、大分不満を持っておられるようでありますが、これはやはりこういうことはなるべくもう同時作業開始というくらいの誠意を持つべきだと思うんですね。  それからもう一つ伺いたいと思うことは、先ほどの御答弁がないんでありますけれども、民間防音工事を全室ということについて、これは千葉県の方から二十八項目の一つとして要望が出ておると思うんですけれども、全室とは文字どおり全室であるか、ある程度の制限があるのか、この点伺っておきたいと思います。
  252. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 全室防音工事につきましては、そういう方向でいろいろ検討中でございますが、現在のいわゆる一室、二室の改造並びに防音室の増築等と違いまして、それぞれ家にいろんな大きさ、あるいは条件が違いますので、現在数カ所のモデルハウスを使いまして、その設計それから防音効果等を大至急施工をいたしまして、その結果によりまして、全室という言葉の表現でございますが、いろいろな大きさの問題ございますので、どういうふうにするか、その施工の結果によりまして一つの基準をつくっていきたい、かように考えております。
  253. 赤桐操

    赤桐操君 どうも余りはっきりしない御答弁なんですが、実際問題として、これはやはりもう全室にしなければ耐えられないんじゃないかと思うんですね、この問題は。そういうやっぱり小切った物の考え方でなくて、これは空港によるところの犠牲の一つですから、こういう問題に対してはやはり全室なら全室やるべきだと思うんですね。このことを一つ申し添えておきたいと思うんです。  それから五十一年度末の報告では聞いているんですけれども、民家の防音をやった戸数ですね、済んだ戸数、それから移転補償の済んだ戸数、これらについてはその後どういうことになっておるか。
  254. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 五十二年、昨年の十二月末では民家の防音工事が残っておりますのが二百九十二戸で、移転のまだ済んでない方が四十五戸でございます。
  255. 赤桐操

    赤桐操君 開港を目前にという形で、いろいろあわただしくおやりになっているようでありますが、これは大変重大な問題だと思うんですけれども、これはどういうように今後対処されますか。
  256. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 移転並びに民家防音工事の残っているものにつきましても、鋭意お勧めにあがっているわけでございまして、ただ両方とも、率直に申しまして、実際開港してから音を聞いてから考えるという方が非常に多うございまして、私どもの方はお願いするわけでございまして、ひとつ相当の音がいたしますからぜひ移転してくださいと、あるいは民家を防音工事をやってくださいというようなことをお願いするわけでございますが、なかなか全部の御同意を得られないので、それでも十二月末でこれぐらいでございますが、その他一月、二月につきまして、民家防音工事でも約二十数軒の方が御同意してくれました。それから移転の方も、現在も交渉中でございますが、三戸ばかり、じゃひとつ移転しようかというような、まだはっきり書類的な契約にはいきませんですけれども、そういう同意をいただいておりますので、開港までには二週間ということでございますが、これは開港時点にかかわらず、引き続きひとつお願いをして、円満な合意の上にひとつ早く御移転並びに民家防音工事をやっていただくように、私以下関係者一生懸命にやっているところでございます。
  257. 赤桐操

    赤桐操君 それでは次に、テレビ関係の大変障害が出ているようであります。これに対しまして、空港公団はどういうような処置を今日までおとりになってきておるか伺いたいと思います。
  258. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 電波障害は、一つはいわゆる音に対します難聴とそれからいわゆる画面の揺れるフラッター現象でございます。騒音テスト並びに慣熟飛行等でいろいろテストを、試験をやったわけでございますが、フラッター防止につきましてはつい最近結果が出まして、これにつきまして先ほど総裁からお答えいたしましたように、大体の傾向はつかめるわけでございますけれども、やはり慣熟飛行でございますので、実際の開港後の飛行機と大分違うわけでございますので、ある程度——約百三十六地点て一応調査したわけでございますけれども、その時点でやはり大体百二点ぐらいは揺れるとかいうような回答が参っております。もう少しよけいやらなければいけませんが、個々の、ただ図面の上だけじゃなくて、やはり地形上によって大分違いますので、フラッター防止につきましては、その準備は、体制はできているわけでございますが、開港と同時にすぐ着手いたしたい。  それからもう一つは、いわゆる音に対する難聴対策でございますが、これは大体いまも準備ができまして、御案内と思いますが、ほかの空港と同じように二分の一の聴視料の減免あるいは四分の一の減免というようなことで、近く各市町村とも大体どの範囲を入れるかというようなことで打ち合わせも大体済みまして、それに対しまして開港と同時にそういう措置をやっていきたいと、かように考えております。
  259. 赤桐操

    赤桐操君 どうも公団側が成田市の議会空港対策特別委員会で説明された内容によりまするというと、成田、山武郡の芝山、それから横芝、松尾、香取郡下の下総、茨城県に参りまして河内村、これらの六市町村において約五千戸を対象として受信料の減免等の対策を行いたいと、こういうように説明をされたそうでありますが、こういうことになっておりますか。
  260. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 大体いまのところ約五千六百世帯ぐらいになると思います。まだこれ概数でございますので……。
  261. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、実は三月二十日の読売新聞の報ずるところによりますると、成田電波障害は深刻だという見出しで、「七千戸」に及び「羽田以上の難視」と、こう出ているんですが、そうするとちょうど空港公団が成田で説明をされた前後になるわけですが、いまの御説明とどうもこの出ている内容とが違うんですが、これはどういうことですか。もっと広がるんじゃないですか。
  262. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) いまの数字は、五千六百世帯というのは要するに減免でございまして、いわゆるフラッター防止、あれはもっと広がるかもしれませんです。その辺が一緒になりまして、だから減免するのとフラッター防止と両方やる世帯もございますし、フラッター防止だけで済む世帯もあるかと思いますが、そういう意味でいわゆる何世帯といいますのは——ただ、私申しましたのは、五千六百というのはいわゆる減免の世帯でございまして、フラッターの世帯はこれからやってみますとまた広がる可能性がありますので、まだ数字ははっきりここで申し上げる段階に至っておりません。
  263. 赤桐操

    赤桐操君 まあいずれにいたしましても、とにかく五千六百なり七千なりという戸数を対象として大変な実は難視聴なり、画像のゆがみなり、いろいろの電波障害が発生していることは事実だと思いますね。これは確認をしなきゃならぬと思うのです。  そこで問題は、公団はこれに対する最終態度としては、減免等の処置でこれはひとつ大体処置をされるというお考えなんですか。
  264. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 音のやかましいのはもうこれ減免よりほかにございませんが、フラッターの方はこれは防止アンテナ、それからどうしてもフラッター防止アンテナができない場合には集合アンテナ等々のことを考えなきゃいけませんと思いますけれども、いま御指摘の減免だけでいいのかという意味、ちょっと私はっきりしないんでございますが……。
  265. 赤桐操

    赤桐操君 それでは今度郵政関係——郵政省、次官が来ていらっしゃるようですね、お伺いしたいと思うんですが、テレビというのはラジオと違って、出てくる電波が天井にぶつかって雲からはね返ってくるようなわけにいかぬようでありまして、これは何かにぶつかればそれでとまるというのが実情だろうと思うのですね。そういう意味でこの難視聴地域についての対策というものは、私はこれはただの減免だけでは終わらないんじゃないのかと。少なくともここに中継基地をつくるなり、キーステーションをつくるなり、そういった対策をとって幾つかに中継設備を施していくところまで持っていかなくてはこの問題の解決にはならないというように私は思うんですけれども、そういう対策というものについては郵政省側は何か考えておられますか。
  266. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) 郵政省におきましては、この種の電波障害を解消するというようなことにつきましては、原因者において負担をするというたてまえになっておりまして、そのように関係者を指導をいたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまのお話はもっと、何と申しますか、障害を解決するに技術的な面で、公団なりあるいはまた運輸省に協力するということはやぶさかでございません。しかし、いまお話しのように、中継基地をつくるとか、そこまでまだ私ども考えていないわけでございます。
  267. 赤桐操

    赤桐操君 局長来ていらっしゃいますね。——電波局長来ていらっしゃいますか。
  268. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) 逓信委員会の方に行っておりますので……。放送部長は来ております。
  269. 赤桐操

    赤桐操君 ちょっと専門的な点で伺いたいと思うんですけれども、これはやはりこれだけの五千戸から七千戸に広がってくるとやはり一つの社会問題だと思うんですよ。で、いま政務次官から、これはやはり相当強い指導をしなきゃならぬというお考えが示されておりますけれども、具体的にということになれば、やはりいまのキーステーションなり中継基地の設定ということにせざるを得ないと思うんですけれども、設定するとすれば六市町村ないしはもうちょっと広がっていると思いますが、どのくらい必要になるか伺いたいと思うのです。
  270. 澤田茂生

    説明員澤田茂生君) どの程度の地域にどういう現象が起こるかということは、私どもまだ正確に把握をいたしておりません。その点につきましての調査はこれから開港後公団の方で行うというふうに聞いておりますので、それに対する対策といたしまして中継局を置きまして措置をするということで解決がつくのかどうか。と申しますのは、フラッター現象と申しますのは、これは出てくる波が飛行機にぶつかってさえぎられたりというようなことで障害が起こるわけでございますので、それを波で解消することが可能なのかどうかという問題もございますし、また地域によりましては共同聴視施設というような形で対策を講じた方がよい場合も多いんではなかろうかと、こういうふうに考えますが、いずれにいたしましても具体的な地域、状況等を勘案しなければ、どういう解決が適当であるかということは、現在ただいま申し上げかねるところでございます。
  271. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、住民側からは当然これは減免だけじゃ話にならぬので、きちっとした対策を樹立しろと、こういう要求が出てくるのは当然だと思うのですね。また政治的にもこれはこのまま放置すべき問題ではないと思うのです。だとすれば、郵政省としてもこれに対する行政上の指導なり対策なりをいち早く樹立をされることがたてまえだろうと思いますが、この点いかがですか。
  272. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) この飛行場関係のこういった受信障害の問題、そのほかにも大都市のビルの建設に伴う問題もございます。つまり、いままで見えておったのがそれがある種の原因によって見えなくなるとか、あるいは非常に見にくくなる、こういったものにつきましては、全般的に原因者負担ということで指導をしておりますので、それで技術的にそういった方法でできるのかできないのか、まだ公団の方でもいろいろいままで慣熟飛行でテストされたそうでございますが、これからもまだ調査されるということでございますから、十分その調査結果を見て、いま放送部長からもお話ししましたように、技術的な問題として協力をしていきたいと、かように考えております。
  273. 赤桐操

    赤桐操君 これはビルなんかの問題とちょっと違って、これは羽田以上の難視なんですよ。そういう実は批評が出ているわけですね。事実五千、七千ということになれば羽田以上じゃないかと思うんです。なぜ羽田以上、成田は難視聴地域を出してくるのか、こういう問題もひとつあるんですが、専門的な立場で解明をしていただけませんか。
  274. 澤田茂生

    説明員澤田茂生君) 私、羽田と成田空港、空港関係の立地条件というようなことについて詳しくないわけでございますが、まあ考えられますのは、一つは羽田の場合は海というものを控えておるということによって、世帯数というものがかなり違うんではなかろうかというふうに考えられます。
  275. 赤桐操

    赤桐操君 どうもいろいろの情報等の報道するところによるというと、羽田の場合は成田の場合よりも電波が非常に強力であると、NHK東京営業局でも成田周辺は東京タワーの強力な電波が入る羽田周辺と違って、電波が弱く、障害も大きくなるという話をしているというように実はここで報道しているんです。この真偽は伺わなければわからないんですけれども、いずれにしてもやはりこれは一つの事実だと私は考える。そういうことからすれば、電波の強化を図る以外手はないと思うんですよね。そういうことになると思うんです。だとすればキーステーションなり中継基地をつくる以外にはないわけなんであって、これは私も千葉県下においてかつてUHFの難視聴地域に対するところの対策をとった経験があるので、そういう観点からお話をしているわけですけれども、この問題の解決方法は、私はそういう解決以外にはないと判断をするんです。ですから専門的な立場で早く検討を加えて、これに対する対策を公団に対して指導すべきではないのかと、こういうことを申し上げておるわけなんですがね。そこでひとついま私が申し上げたような形で、大体まあいろいろあるんですけれども、これは専門的な立場でなお公団の方の検討に従っていろいろな資料も出てくるでしょうから、郵政省側もいち早くこれに対する対策をとっていただいて、五千戸から七千戸に及ぶところのこういう地域に対しては速やかなる私は解決の方法をとるべきだと、こう思うんですが、次官いかがですか。
  276. 宮崎茂一

    政府委員(宮崎茂一君) ただいまのお話のように、公団の方でせっかくこれからも試験を、調査をしようということでございます。私どもも積極的にその調査に協力をいたしまして、でき得る限りのことをいたしたいと考えております。
  277. 赤桐操

    赤桐操君 公団側のひとつ考え方を伺いたいと思いますが。
  278. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 先ほど来申し上げておりますように、できるだき早く各個別に調査をいたしまして、その結果をまとめまして、公団限りでできるアンテナあるいは共同施設というようなものについてはできるだけ早くやりたいと思っておりますし、先ほど来お話しの出ております、場合によってはUHF局に切りかえていただかなきゃいかぬというふうなことをNHKさんにお願いをしなきゃならぬというふうなことになりましたら、これはわれわれの方からもお願いをいたしますし、また主管の郵政省さんにも御指導をひとつしていただきたいというふうに考えております。
  279. 赤桐操

    赤桐操君 まあいろいろの各種施設が見切り発車の中で行われてきているんですけれども、これもまた同様だろうと思うのですよ。ひとつ本格的に取り組んでいただかないと、やはり一つの大きな問題になりますので、これだけは強くひとつ要望しておきたいと思います。  それから一つ伺いたいと思うのですが、排気ガス対策なんですけれども、飛行機がだんだん大型化していく、待機している間にもドラムかんに一本や二本たいてしまう、こういう状態の中で、排気ガスは非常に多量に排出されていくだろうと思うのでありますが、成田地域というのはいわゆる内陸部でありまするから、朝晩特にこの飛行機の発着時期等におきましては、かなりの霧やもや、そういう現象が発生すると思うのです。そういう中で、光化学スモッグ等の問題等が当然これは出てくるわけでありまして、これらの大気汚染との関係等々をどのようにお考えになっておられるか、環境庁側からひとつ伺っておきたいと思います。
  280. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) 排気ガスの問題でございますが、これはあそこに飛行機が発着いたします、まあ確かにその途中で放出をする量はふえるということは事実でございます。現在はかっているステーションがあの周辺に幾つかありまして、そこの濃度そのものは現在余り大きな問題になる数字ではございません。今度飛行機がおりてくると、その周りがどれぐらい汚れるかということでございますが、これは大阪空港で詳細に実は予測をして、また実際はかっておりまして、ほとんど感度のうちに入らないというのが地上の濃度に対する影響でございます。ただこの排気ガスで悪臭を感じるという例が大阪にございましたが、これはもう全然成田と条件の違うような配置でございまして、成田の場合にはそのような問題はまず考えられないのではないかと思います。  光化学スモッグ対策のことでございますけれども、これは従来かなり千メートルの高層までのところでいろいろオキシダントやNO、等はかっております。そういうデータがございますが、航空機に関連して光化学スモッグに影響があるということはまだ全然つかまれていませんし、またロサンゼルスが非常に大きな空港でやっているわけですが、そこのいろいろレポートを見ましても、航空機そのものが非常にポテンシャルを持って影響するというレポートは出ておりません。ただ放出がふえることは事実であるということで、やはり東京湾沿岸全体として、環境庁は光化学関係のメカニズムの解明をずっと続けておりますので、そういう中でそういうものも頭に置きながら調査、研究をするというようなことが基本的であろうと思っております。
  281. 赤桐操

    赤桐操君 それではこの法案の中に二、三お尋ねしておきたい問題がありますので伺いたいと思いますが、土地の利用につきましては、すでに都市計画法によって今日まで一定の線引きも行われてきておりまするし、実効も上げられてきている、こういう状況でありまして、成田周辺においても市街化区域、市街化調整区域等が非常に明確にこれはなされております。都市計画法の運用さえ私は厳格に行って、きちっとした行政官庁の指導が行われていくということであるならば、あえてその上にこういう網をかぶせる必要はないのではないかと、こういうように実は判断をしているわけでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  282. 櫻内義雄

    国務大臣(櫻内義雄君) 赤桐委員十分御承知のように、市街化調整区域は無秩序な市街化を防止するため市街化を抑制する区域であるわけでございます。そこで成田に、恒久的に、広範囲な空港周辺地域について市街化調整区域を設定しておくということは困難ではないかと思うのです。また、市街化調整区域においても、一定の開発行為あるいは建築行為は許容されていることなどから、空港周辺における住宅等の立地規制に関して市街化調整区域の指定だけでは十分な効果が発揮できない、そういうことから新たな地域地区として航空機騒音障害防止特別地区等の制度を設けることとしたものでございます。
  283. 赤桐操

    赤桐操君 まあ通り一遍、そういうごあいさつだろうと思いますが、実際には都市計画法というのは大変よくできておりまして、大体私は目的を達すると思うんですね、これだけのものがあれば。各条文を見てみますと、そういうことを感ずるんです。これほどまで、私権の制限をしてまでやらなきゃならぬ理由はどこにあるんだろうか、こういうことまで実は考えているわけです。考えざるを得ない。あえてこの辺の住民を追い出して、そしてここに別途のいろんな構想を立てるということに、これはもう考えられるわけでありまして、そこまで何もやる必要はないのじゃないか、こういうように考えるんです。この点はいかがですか。
  284. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 御指摘のとおり、住宅等の立地規制という点では、都市計画法とこの法案は類似しておるわけでございますが、都市計画法の市街化調整区域は、これは当面市街化を抑制するというために線を引いた区域でございまして、市街化区域内の整備が十分進みまして、なおかつ線引きを拡大する必要があるという場合には、場合によりましてはこれを拡大するということもあり得る地域でございます。したがって、立地規制につきましても、これを恒久的に規制するということを目的としたものではないわけでございますが、ところが、この法案によります騒音防止の特別地区等は、これはいわゆる良好な市街地の形成という点から申しまして、恒久的に立地を規制する必要がある、こういう観点が違う点であると考えております。それならいま一つ、調整区域につきましては、たとえば次三男が分家して、家を建てなきゃいかぬぞと、あるいは病院、学校等を建てなきゃいかぬと、こういうような場合には、いま大臣も申しましたように、あるいは許可を必要としない、あるいは届け出だけで済む、あるいは許可を必要としますけれども基準に合っておればこれは許可する、というふうな仕組みになっておりまして、この法案で考えておりますような恒久的に禁止するというような点で、やはり特別の規定が——都市計画法の規定たけては不十分という点で、こういう規定を設けたというふうにしたわけでございます。
  285. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、さらにいろいろございますが、時間の関係がありますのではしょりたいと思いますけれども、第三条の三項ですかな、これは——二の三項になりますか、この中の「障害の防止のために必要な施設、生活環境施設、産業基盤施設」というのは、具体的に言うとどういうことになりますか。
  286. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  たとえば防音林とか緩衝緑地帯のようなもの、これが「障害の防止のために必要な施設」でございます。「生活環境施設」は、通常のいわゆる上下水道などの、つまりそういったものでございます。それから「産業基盤施設」と申しますのは、空港機能と調和して立地していけるようなもの、つまり、流通団地とか工業団地など、あるいは農業基盤施設、こういったものでございます。なお「政令で定めるもの」という中では、観光施設、スポーツ施設などを予定いたしたいと思っております。
  287. 赤桐操

    赤桐操君 さらに伺いたいと思うんですが、第八条の土地の価額の問題でありますが、先ほどの御答弁によりますというと、近傍類地の価額を基準として買い上げると、こういうことを言っておるわけでありますけれども、その売りたいという人がどこか適当なところへ代替がほしいという場合等においては、どうなさるんですか。
  288. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この法律考え方では、やはり買い入れはあくまでお金で、時価によって買い入れまして、そのお金でその方が新しい土地をお買いになるということになると思います。大阪の空港周辺の整備事業では、空港周辺整備機構というのがございまして、空港周辺整備機構が移転補償をお出しして、同時にまた空港周辺整備機構が土地を造成していますので、代替地を提供する。したがって、勘定は差し引き勘定になることもやっておりますけれども、空港公団におきましては、一応これは時価で買い入れるというところが原則でございますが、公団がたとえば代替地を持っているというような場合は、これは差し引き勘定でやることも可能だと思います。
  289. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、どうもお話のぐあいをお伺いいたしまするというと、そういう場合に対しては補償の理念ということは基本的にはおとりになっておられないようですね。
  290. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) ここの第八条は補償という条項ではなくて、「(土地の買入れ)」という条項でございます。ここは別にそこの土地を持っていることを、その地権者がお持ちになっていることをこの法律では何ら禁止はしてないわけでございますけれども、そこをお持ちになっていても新しい住宅の建設が原則として困難であるというふうなことから、いわゆる「用益の制限」という言葉がここに書いてございますけれども、家も建てられないし、ほかへなかなか売ると言っても買ってくれる人も相対ではなかなかむずかしいと、こういう場合にもう持っていてもしようがないからこれを売り放したい、こういうときに適正な評価によりまして時価で買い入れる、こういうことにしたわけでございまして、損失の補償等を規定いたしました第七条の精神とはこの立法の趣旨が若干違うわけでございます。
  291. 赤桐操

    赤桐操君 この問題ばかり余りやっている時間がありませんので、終わりにしたいと思いますが、いずれにしてもそういうように売らざるを得ない状態にこの法律は追い込んでいるということなんですよね、全体から見ていって。これは否めない事実だと思うんですよ。したがって、この法律は余りいい法律ではない、こういうように私どもは感じているわけであります。少なくとも先ほどの公団側からの御説明の中にもありましたけれども、やはりある程度はそうした温かい、できる限りの努力をするという姿勢というものが、この空港の関連の中から出てくる犠牲に対しては行われていかなきゃならない、この基本姿勢が皆さん方にないからこれだけの大きなもめごとになっているんですよ。このいまの第八条の説明、基本的なその中に見られる姿勢、こういうものにも端的にあらわれているように私は思う。これについての回答はもう要りませんが、とにかくいずれにしても私はそういうような形でもってこの法律の運用というものは行われていくべきものではないということだけ申し上げておきたいと思います。  続いて国際線のダイヤ編成が終わったようでありますが、これについての説明をいただきたいと思います。
  292. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 成田に関連する国際線のダイヤにつきましては、申請が出ている段階でございまして、まだ私ども認可はいたしておりません。もちろん開港が迫っておりますから、なるべく早く認可をするといたしておりますが、来週半ばごろには認可をしなければならないと思っています。
  293. 赤桐操

    赤桐操君 この間、テレビでは放送されておりましたね。一応の案はでき上がっているんでしょう。できているとするならば、その案に基づいて変更はあるといたしましても朝夕の状態等、一応の御説明願えませんか。
  294. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 私どもテレビに出ましたあのものは見ておりませんけれども、これは関係航空会社がダイヤ調整会議というのを会社同士でやりまして、そこで一つのお互いに相談し合った案をまとめて出すという慣習があるようでございまして、それがテレビに出たものだろうと思いますが、たとえばこれによりますと、問題になりますところの夜の便でございます。午後九時以降に発着する便、これは成田への移転が完了してフライトスケジュールが安定するのは四月の末でございますけれども、そのころの状態で一週間合計で午後九時以降の発着便が二百二十五便、こういう申請内容になっております。かつ二十二時三十分、つまり午後八時三十分出発の便が最終便となっているということでございます。この週合計二百二十五便という九時以降のダイヤの合計数字というものは、現在羽田のダイヤと比べますと二十二便の減少になっております。したがって、成田の方が羽田よりも深夜にはより少ない便になっております。このことはいろいろ外国エアラインにも行政指導をいたしております。その趣旨をある程度取り入れまして申請したものと思われます。
  295. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、将来もこれは増便しないでこの状態を維持しようとなさいますか。
  296. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 将来の増便につきましては、大臣もこの委員会でたびたびお話を申し上げているとおりでございますが、私ども新しい国からの乗り入れ、あるいは現在乗り入れている国からの増便の要求等がございますけれども、なかなか成田空港にも羽田と違った制約がございます。端的に申しまして、燃料の供給体制が必ずしも無制限でないという点がございまして、増便も思うにまかせぬ状況でございます。もちろん全然しないわけにいきませんけれども、少なくとも開港後三年間の暫定輸送期間、つまりパイプラインができずに列車で運んでおります暫定期間につきましては、一日に運びます油の量の制約から、周辺の騒音問題等をさらに大きくするような増便ということは、まあ幸か不幸かわかりませんが、望むことがむずかしいという予測でございます。
  297. 赤桐操

    赤桐操君 これは九時以降といいますが、この二百二十五便は九時から何時までになりますか。
  298. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 成田は二十三時まで運用できる空港でございます。したがいまして、私どもは二十三時以降になったらば、もうあの上空に一切飛行機が飛び交わないということを原則として指導しているわけでございますが、そういたしますと、この九時以降といいましても、先ほど申し上げましたように出発便で申しますと、二十二時三十分——さっき私計算違いいたしました。十時三十分出発の便が最終便であります。
  299. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  成田芝山地区から夜間、早朝の運航についての要望が出ておると思いますが、これについて御説明願います。
  300. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 空港の直近の周辺の成田芝山から御要望が出ておることは、私どもも十分承知しているわけでございますけれども、何せやはり成田空港は羽田と同じように国際空港でございますものですから、成田だけの時間によりまして、運用時間を羽田よりも短くしてしまいますと、結局外国の相手方空港の運用時間に影響を与えるというところから、大変残念なことながら羽田と同じ朝の六時から晩の二十三時までの運用ということで、私ども地元には御回答申し上げたわけでございます。そのかわり羽田におきましてはときどきあると聞きます、人によっては恒常化しているとも聞きますが、二十三時以降の出発、到着便につきましては、航行安全上の例外的な場合を除きまして、原則として禁止する厳しい指導をするつもりでございますし、これを何らの理由がないのに常習的に破るような航空会社に対しましては、別途航空法上の制裁をかけるというふうなことも考えなければならないと思います。そしてまた同時に、先ほど来お示しのような騒音対策を万全にいたしまして、早朝深夜の騒音障害から住民をお守りするということでいかなければならないと思っております。
  301. 赤桐操

    赤桐操君 成田芝山からは、九時以降の便と早朝の便だけはやめてもらいたいという厳しい要請が出ているはずであります。  そこで伺いたいと思うんですけれども、いま日本には、国際空港というのはどことどことどこなんですか。
  302. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま国際線が出入りしている空港は、北の方から申しますと、現在、羽田それから名古屋、それから大阪、それから福岡、長崎、鹿児島、それに新潟、七つでございます。
  303. 赤桐操

    赤桐操君 大阪空港もこれはその中の大きな、羽田に次ぐところの空港の国際空港としての一つだろうと思うのでありますが、この大阪空港につきましては、騒音問題をめぐりまして昭和五十年の十一月に、御承知のとおり、いわゆる裁判問題がございまして、その判決が出ております。この判決の内容は、第一審を退けて、これに対するところの、申し立て人によるところの差しとめ、夜間におけるところの飛しょう、こういうものについての禁止をいたしておるわけでありますが、これをどのように受けとめておられますか。
  304. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大阪空港の訴訟問題につきましては、国としては上告をしているわけでございますけれども、私どもは上告理由の問題別といたしまして、とにかく高等裁判所の判決によりましてああいうものが出ましたので、行政的に対応できるものは上告審の結論いかんにかかわらず早く実施しようということで、上告をいたしますと並行いたしまして、自発的に大阪空港につきましては、朝の七時から夜の九時までを運用時間にいたしたわけでございます。これは御承知のように大阪空港周辺は大変人家稠密の地帯でございまして、まさに町の中に空港があるという感じでございまして、その及ぼす騒音被害というものも非常に大きいというところから、緊急避難的に高等裁判所の判示に従いまして七時から九時ということにしたわけでございます。  なお、大阪空港と羽田空港を比べますと、国際線のウエートがやはりかなり違いまして、昭和五十一年の着陸回数ですから、発着ですと倍でございますが、着陸回数の統計では、東京は国際線七十六回、それから発着では百五十二になるわけですね。それに対しまして、大阪では国際線が着陸二十三回、両方で約四十六回ということでございまして、大阪は東京の三分の一という状況でございます。また、そこに出入りする路線のウエートも大阪と東京ではやはりバックグラウンドであります町の性格も違いまして、東京に入ります飛行機と大阪に入ります飛行機とでは恐らく路線の性格も若干違います。そういったことで考えますと、数の点からいいましても、質の点からいいましても、大阪空港で七時から九時までということができるんだから、成田でもというわけには簡単にはまいらないというふうに考えたわけでございます。  それから先ほど国際空港で長崎と申しましたのは間違いでございまして、長崎はまだ要望はありますが、入っておりません。沖繩の那覇でございます。
  305. 赤桐操

    赤桐操君 時間が参りましたので、これでとどめたいと思いますが、大阪がそうであったからといって成田はそうはいかない、こういう答弁でありますが、この高裁の判旨というものは私はそうではないと思いますよ。現代における航空機による輸送の不可欠性、特に中枢をなす空港の重要性というもので、今日までは即公共性ということに結びつけてすべてのものが解決されてきたと思う。しかし、この高裁の判旨というものはそうではなくて、必ずしもこれはそういうわけにはいかない。そこには公共性に限界を画すべきだということを論旨として出しているはずなんです。こうなってまいりまするというと、これは必ずしも私は大阪と成田とはこれは比重が違うという物の考え方でこの問題の解決ができるという考え方は安易ではないだろうか。地元住民その他からもこの問題に対しては相当の今日までの経過、不満の中で開港されようとしている。今後も必ずこの問題については大きく尾を引いていくだろうと思いますが、こうした問題についての考え方について、いささか新しい時代の物の考え方、そうしたものについて運輸当局としても考えられるべき時期が来ているのではないでしょうか。  私の質問を終わります。
  306. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時十九分散会      —————・—————