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1978-04-21 第84回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十一日(金曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     増岡 康治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 斎藤 十朗君                 田原 武雄君                 寺田 熊雄君                 和田 春生君     委 員                 浅野  拡君                 岩崎 純三君                 遠藤 政夫君                 熊谷  弘君                 戸塚 進也君                 成相 善十君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 久保  亘君                 矢田部 理君                 矢原 秀男君                 橋本  敦君                 秦   豊君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  金丸  信君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       宮澤 喜一君    政府委員        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        国税庁長官    磯邊 律男君        国税庁調査査察        部長       藤仲 貞一君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日亀長友義君が委員を辞任され、その補欠として増岡康治君が選任されました。     —————————————
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 矢田部理

    矢田部理君 私は、冒頭に、いわゆる灰色高官証人喚問野党側の再三の要求にもかかわらずいまだ行われていない、このことを大変遺憾に思います。特に、最近は当委員会すらなかなか開けないという状況自民党等の抵抗によってあることもロッキード解明にとって非常に障害になっているということを指摘しておきたいと思うわけでありますが、特に証人喚問を一つ妨げている事情として、裁判進行中であるということが言われております。私は、裁判政治は別だ、それぞれ目的を持ち、独自の立場でそれぞれの犯罪責任なり、あるいは政治的道義的責任の追及は別に並行的に行われたからといって差し支えない、裁判が動けば政治がとまるというようなあり方は断じてよろしくないというふうに考えるわけでありますが、関連して、法務省に伺っておきたいのは、とりわけ三十ユニット高官証人喚問については、現在立証中である、立証が終われば法務省側としての裁判支障はないというような話が伝えられているわけでありますが、その点についてどう考えておられるかをまず伺っておきたいと思います。
  5. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 国会で、各種国政調査の一環として証人喚問をされるということに対しまして、私どもとしてとやかく申し上げる筋合いではないのでございますが、お尋ねでございますので、あえて希望を申させていただきますと、一般論として、公判係属中に当該公判内容関係のある方が証人として喚問されることは、私ども立場としては好ましくないと言わざるを得ないわけでございますが、このロッキード問題という重要な問題について真剣に国政調査をなさいます国会のお立場を考えますときに、まあそんなことばかりも言っておれないのではないか。  ただ、私どもが現在最も率直に申させていただきますと、考えておりますことは、現在ロッキード公判は、御承知と思いますけれども、いよいよ立証核心に入っておりまして、たとえば、ただいま御指摘全日空ルートにいたしましても、起訴されました二人の被告人及びこれと密接不可分関係にある方々に対する金の流れが逐次明らかにされておる段階でございます。副馬証言伊藤証言等々によりまして、次第に明らかになっておるわけでございますが、検察側といたしましていま一番重要な事項だと考えておりますのは、流れました金の趣旨、あるいは職務権限との関連性、これが収賄事件立証上絶対に必要な事項でございます。この点についての検察官立証がいまだ十分尽くされているとは遺憾ながら認められないのでございまして、今後検察がどんな立証をしていくか、これは私どもの干渉すべきところではございませんが、私自身の経験に徴しまして、今後恐らくそういった証人に出た人たち検察官面前調書証拠申請していくようなことになるのではないか。で、そういたしますと、その検察官調書裁判所によって証拠として採用され、証拠調べが行われるかどうかということが今後の立証のハイライトといいますか、山になってくるのではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございまして、現在の私の立場といたしまして、訴訟は流動的でありますから、現在の時点での考えを申し上げさしていただければ、それらの検察官調書の採用、証拠調べ、この段階までは何とか、もしなろうことなら御勘弁願えたらと、こういう気持ちでおります。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 もう一問だけつけ加えて伺っておきたいと思いますが、検察側立証が済めば、検察立場としても証人喚問については異議がないと申しますか支障はないということのように受け取れるわけでありますが、大体もうすでに訴訟はそういう意味では核心に入ったということでありますが、時期的にはいつごろをめどにしておられるのか、これが第一点。  それから二番目には、そういう段階になれば、弁護側立証を待たずとも、現に被告人になっております田中、橋本ども含めて、三十ユニット高官については取り調べというか証人喚問異議がないと、こういう趣旨というふうに伺ってよろしいでしょうか。
  7. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず後段の方のお尋ねについてのお答えから申し上げますが、私ども国会のなされますことについてとやかく申し上げる立場にないということを前提といたしまして申し上げておるわけでございますので、異議があるとかないとか、そういう大それたことは一切申し上げるつもりはございません。ただ、少なくとも先ほど申しましたような段階までは、できましたら御勘弁いただきたい、こういうことでございます。  検察官調書証拠調べの時期等につきましては、弁護人側が、この供述調書を今度申請しましたときにどの程度特別信用情況その他を争って出るかということに関連いたしますので、私の口からいつごろということはこの席ではちょっと申し上げかねる……。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 およその見当。
  9. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 相手あってのことでありますから、なかなかちょっと的確には申し上げかねるところでございます。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 相手のあることであるから、それは考えないわけではありませんが、しかし大筋のめど、何月とかいつとかということではなしに、年内とか来春とかということを含めて、そのめどを一応見当つけているとすればお答えをいただきたいということが一つと、次の質問でありますが、灰色高官、とりわけ三十ユニット高官等については、いろいろ国会でも今日まで議論がありました。裁判でも、かかわる問題として全く論議にならないわけではないでしょうけれども検察側態度本人態度は全体的に見ますれば真っ向から対立しているわけです。この対立は司法の立場では最終的には真実は明らかにならない、解決しないまま終わることになるのは、これは常識だと思うのです。そうなると、当然のことながら国会でその真相なり真相に基づく道義的政治的責任なりを問わなければならぬというふうに考えるわけでありますが、検察側としては、要するに対立したままこれ以上真相を詰めることはなかなかむずかしいというふうに思われますが、いかがでしょうか。
  11. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 確かに理屈の上から申しますと、起訴されておられる二人の関係におきましては、裁判所はどっちかきちんと判断をすると思います。その余の方につきましては、裁判所はそういう判断をする必要がないわけでありますから、裁判上明白な決着はつけられない、こういうふうに思いますが、ただ、ほかの方々については裁判所検察官立証心証がとれない、しかし二人についてだけは心証がとれるということも、ちょっと常識的でありませんので、その程度の感触で受けとめるべきものではないか。ただいずれにいたしましても、裁判上お二人以外の方について白黒がきっちりするというような関係ではございません。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、私どもは当委員会役割りがそういう意味でも重要であるというふうに考えるわけでありますが、きょうは、なぜ証人喚問が必要なのかということを全員について述べるのは時間的余裕がありませんけれども、一、二の方について、私なりの主張をしておきたいと考えています。  一人は、たとえば福永一臣氏でありますが、この方は、金額は多少違うようでありますが、基本的に金銭の授受については認めております。趣旨否認という立場をとっておるわけですね。しかも、衆議院等では喚問に応じてもいいと言っているわけでありますから、当委員会としても、まず委員長にお願いをしたいのは、やっぱりその真相究明のために、灰色問題を詰めるためにそういう手続をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 各党いろいろ御意見がございますので、後刻理事会で協議します。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 これはぜひ当委員会参議院ロ特としても取り上げてほしいと考えているところであります。  それから二番目に、加藤六月氏の問題について若干問題を提起をし、かつ検察当局等状況を伺っておきたいと思いますが、全体のお金流れ検察庁は当然捜査対象にしたと思います。その中で、すでに指摘をされておりますように、四十七年の十月三十一日ごろでしょうか、現金二百万円を贈賄しているということを検察側国会に対する報告でも明らかにしました。問題はそれだけではなくて、また加藤氏だけではないかもしれませんが、全体的な当時の金の流れ、動き、それが賄賂性があったかどうかというのは最終の判断なり評価の問題になろうかと思いますが、等々については、政治献金も含めて調査あるいは捜査をしているでしょうか。
  15. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) すでに繰り返し申し上げておりますように、ロッキード事件捜査は、海外から流入いたしました金の行方を解明すること、これを中心に捜査を進めてきたわけでございますが、そういうロッキードから流入した金の行方捜査に関連いたしまして、そのわきにいろんな事実関係が関連して出てきておったはずでございまして、それらについては、検察としては、検察の本来のたてまえどおり犯罪容疑があるかどうか吟味をして、容疑のあるものは取り上げる、容疑のないものは取り上げない、そういう態度で厳正に臨んだものと思っております。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 容疑があるかないかは最終的には捜査進捗状況によって判断されるわけでありますが、一応いまの答弁は全体的な金の流れについてもそれなりに調べたように受け取られますので、それを前提としてお聞きをしたいと思いますが、ここに、加藤六月氏の全日空とのかかわりにおける疑惑を深めるものとして私どもの手元に有力な指摘がもたらされています。それは加藤氏の、私設ではありますが、元秘書新田拓一氏からのものであります。ロッキード疑獄があった当時も、あるいは加藤氏が運輸政務次官をやっておった当時もずっと秘書として密着しておった方からの指摘なのでありますが、次のように新田氏は言っております。  四十七、八年ごろと記憶している——当時新田氏は、加藤氏が所有しまた現に居住をしております「ホテル浜」というのが東京都の中野区にございます、その同じビル内に同居をしておったわけでありますが、したがって、家庭に対する出入りも非常に頻繁にしておったという関係にあるわけでありますが、たまたま加藤氏の自宅に伺ったときに、加藤氏の妻睦子さんという方から、一度は全日空振り出しといいますか、代表取締役若狭振り出し額面五十万円の小切手を預かりました。それからもう一回は、同じ内容でありますが、額面百万の小切手を預かりました。どういう意味で預かったかといえば、これを住友銀行中野支店に振り込んでほしいということを依頼をされたのです。その元秘書氏の言葉によれば、これはメモ等本人はしておるわけでありますが、当時住友銀行中野支店には、実質加藤のものでありますが、数名の架空名義口座が設けられていた。これは口座番号等も一々控えがございます。そこに振り込んでほしいと当時頼まれたということを私どもに知らせてきておるわけであります。もとより、当時の加藤氏の議員会館室等にはしばしば全日空人たち出入りをしておるということもつけ加えられておるわけでありますが、全体的な金の流れを調べるに当たって、捜査当局はこういうケース、こういう問題等について捜査対象にしてきたかどうか。してきたとすれば、そこからどういう状況を引き出したか、受けとめているかというようなことについて伺っておきたいと思います。
  17. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) いわゆる三十ユニットの金の授受をめぐりまして、これを立証するに必要な限度において所要の捜査を尽くしておると思いますが、ただいまここで伺いましたような事項につきまして、検察当局調査をしたかどうか、これは私自身承知をしておりませんので、まずもってその点からお答えしにくいわけでございますが、ただいまの仰せになりましたことは検察当局に連絡をいたしてみたいと思います。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 いま私が述べた事実、これは、先ほどから繰り返しておりますように、加藤氏の秘書を長くやっておった方からの話でありますけれども、もしこれが事実とすれば非常にやっぱり重大だと思いますし、また全体の疑惑解明にとっても重要な手がかりを提供するものというふうに私どもは受けとめているわけでありますから、それだけに、捜査の問題もございますが、同時に当委員会としてもぜひこの加藤氏を証人として喚問して、事実かどうかを含めて、やっぱり明らかにすべきではないかというふうに考えているわけであります。加藤氏は検察庁現金二百万円の問題の指摘に対しても全面的に否定をしております。それだけではなくて、自分はもともとロッキード解明推進者だったんだということすら衆議院では弁明をしているわけであります。また、ほかの場ではいろいろ自分なりの反論を口数多く語っている一人でもあると私は思うのでありますけれども加藤氏のためにも、当委員会に出てきて、証人として各党の尋問に答えるということを通して、やっぱり自分立場を明らかにすべきではないかと考えています。  同時に、つけ加えておきたいと思うのでありますが、先ほど申し上げました元秘書新田拓一氏は、国会喚問要求があるならば、自分も堂々と出ていってその事実をしゃべってもよろしいと言っているわけでありますので、ぜひ当委員会としても取り上げていただきたく、委員長に重ねてお願いしておきたいと思います。
  19. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で後刻協議いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  20. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 次の問題に、大臣も見えましたので、入りたいと思います。  まず、大蔵大臣に伺います。大蔵大臣は先般の地方行政委員会で、突然だったかもしれませんが、後援会である、あるいは政治団体であると言われる山紫会というのがある、そこで当時丸紅から政治献金を受けておったという事実についてどうなのかという質問に対しては、最終的にはお答えにならなかったようでありますが、この経費台帳丸紅経費台帳でありますが、の写しによりますと、四十六年十二月に五十万、翌四十七年十月三十日に百万を支払っているような記載があるわけですが、その事実関係はお認めになりますでしょうか。
  22. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この前、たしか地方行政委員会だと思いますが、志苫委員から突然のお話がございまして、ちょうど選挙部長がおったものでございますから、選挙部長に確かめながらお答えしたわけでございます。その後よく調べてもらいたいという志苫委員からのお話がございまして、調べました。調べますと、四十六年五十万、それから四十七年百万、確かにちょうだいいたしております。ただし、そのときに私の方はいわゆる政治団体たる後援会というもの、これは山水会という名前がついております。それから、山紫会というのは実は親睦並びに研究団体でございます。そして政治団体である山水会の方は、寄付金をいただいたものは全部そっちに計上しておるわけでございます。それで親睦並びに研究団体である山紫会につきましては、これは会費制度でやっておるのでございます。年額最低十二万円ということでございました。で、会計責任者から調べてもらいますと、五十万、百万いただいたのは事実でございますが、当時丸紅側は、これは臨時会費として処理をしてくれと、こういうお話でございましたので、山紫会の方に入れたわけでございます。当時のわれわれの会計責任者判断では、いわゆる会費というものは政治献金ではないと、こういう解釈でおったのでございます。ただし、五十一年一月一日から政治資金規正法が改められまして、会費はすべて番付金であるということになりまして、その法律が五十年の十月に出た、で、施行は五十一年一月一日からのようでございますが、法案が公布されたのは五十年十一月だということでございますので、施行前に、先立ちまして山紫会につきましても政治団体としてすでに届け出てあるわけでございます。  繰り返して申しますと……
  23. 矢田部理

    矢田部理君 簡単でいいです、時間がないから……。
  24. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ちょうだいしましたときには それはまだ政治団体でないと考えて、届け出をしていない山紫会会費処理として、向こうの御意向によりまして会費として入れた、そういう意味で受け取ったと、こういうことでございます。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 簡単に結論的にだけお答えをいただきたいと思いますが、丸紅山紫会会員になられたのはいつですか。
  26. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは私が選挙に立つ前から実は山紫会というものをつくっておったのでございますが、初めて当選する前から……
  27. 矢田部理

    矢田部理君 丸紅がなったのはいつですか。
  28. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 丸紅はその当初から会員になっております。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 あなたは、会費寄付金というものはどういう基準で区別していますか。
  30. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 当時の私たち解釈では、会費会費で定期的に入れるもの、寄付金というのは臨時政治献金の意図をもって入れるものと、かように解釈しておったわけでございます。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 この五十万あるいは百万のお金を入れたようですが、これはあなた方の方の要請に基づいて入れたのですか。それとも丸紅側申し出で受け入れたということなんですか。
  32. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私の方の会計責任者に聞きますと、いまだかつてこちらから要請したことは一回もないと言っております。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 そこで問題が明確になりました。あなたは旧政治資金規正法を読んだことがありますか、会費寄付をどういうふうに区別しているか。
  34. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 読んだことはあるようでございますが、いま明確に覚えておりません。私の会費寄付金に対する——寄付金といいますか、政治献金に対する解釈は、先ほど述べたような気持ちでおったわけでございます。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 あなたの方で、あるいは山紫会として幾らと決めて、年次会費幾らと決めて、あるいは規約に基づいて求めたものではなくて、丸紅申し出によって受けたということは間違いございませんね。
  36. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 先ほど申しましたように、規約上は最低年十二万円、こうなっておりまして、会費として処理するということは向こう側申し出に基づいてやったということでございます。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 はっきりさせておきたいのは、会費というのは、これはもう政治資金規正法旧のやつを読めばきわめてはっきりするわけでありますが、定款なり規約で決める、理事会なり役員会で会の意思として決める、これが会費ですよ。そういう手続はされておりますか。
  38. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) もちろん規約をつくるわけでございますから、会員のすべての承諾を得て決めておることは当然でございます。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、丸紅が五十万なり百万なり納めるのは、これは義務だったわけですか。
  40. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 最低年十二万と、こういうことでございますから、規約上で申しますれば十二万は恐らく最低額として規約で決まっておるだろうということでございますが、それ以上のものも、最低でございますから、臨時会費として受け取った、また丸紅側もそのように処理をしてくれということでございましたから、そのようにいたしたわけでございます。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとあなた、時間がありませんからあと五、六分で終わらなければなりませんが、全然取り違えている、あるいは故意に取り違えているのかもしれない。先ほどからあなたのお答えにあったように、会費というのは金額を定めている、いいですか、あるいは規約に基づいて納めるものです。ただ、以上と決めてあるから、たくさん納めてもそれは会費なんだという理屈にはならないわけです。  それならばもう一点だけ関連して伺っておきますが、あなたが政治家になる前からこの団体はあったということですが、そのときから今日まで丸紅会費を年間どのぐらいずつ納めてきましたか。
  42. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) そのお答えをする前に、私は会員たる資格において納めるのが会費だだろうと思っておるのでございます。  それから、丸紅は、幾ら納めたか知りませんが、始めから、私が政界に出る前から山紫会会員でございまして、納めないという事実は全然聞いておりません。多分ずっと継続して納めておっていただいたのであろうと思っております。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 問題は、会費寄付かを決める重要なメルクマールは、ほかの年がどうであったかということを明らかにしなければ、あなたの説明はだれも納得できませんね、まずは。これは全然わからないのですか。この年だけたまたま納めたのですか。それとも他の年はやっぱり同額程度納められているのですか。
  44. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 会費をずっと納めていただいたということは恐らく間違いないと思います。どの年に幾ら納めたか、私は会計というのは見たことがありませんのでわかりません。ずっと納めていただいたことは間違いないと思います。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 設立以来の納めた金額をいずれ明らかにしていただけますか。
  46. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) わかる限り明らかにいたします。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 丸紅はこのお金をどういうふうに扱ったか御存じですか。
  48. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) それはわかりません。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 あなたの言っているのと違って、経費台帳寄付金勘定から支出をされているのです。ほかに、会費等のための勘定が別のところの台帳にあるわけです。同じ台帳であります。その点でも、あなたの言っておるのはちょっと違うわけです。  それから二点目には、会費寄付金かを決める一番大きな法律上の基準は、義務の履行としてやったかそうでなかったかということがポイントなんですね。それは、会員であったかなかったかということは別の問題です。会員であっても、通常、義務の履行というのは、年間十二万円なら十二万円ということが決まっております。それから臨時に徴収する場合もあるでしょう、特別な事情があった場合。それも少なくとも会で決めなければならない。しかしそれも基本は会費である。それは義務の履行として当然納めるべき性質のもの。そうでないものを一般的には寄付金と言っているんですね。その基準に照らせば、あなたの説明は実質上は寄付金丸紅も、形式上も寄付金勘定の方に入れている。他に一般的に支出する勘定は別の勘定項目。組合諸会費勘定という勘定から一般会費は支出をしているのです。あなたは、後で考えてみたら政治団体として届けていなかったために——この間の地行の委員会ではそのことがいろいろ問題になったのでありますが、いまのような説明をして言い逃れしようとしているのじゃありませんか。もう一回答弁してください。
  50. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) この前私は地方行政委員会山紫会はたしか当時は政治団体でなかったのではないかと実は私ちょっと言いかけたのでございます。そしたら、そばに自治省の方の選挙部長がおられまして、いや山紫会政治団体になっておりますと、主管の部長がおっしゃいますからこれは間違いないだろうと思って、実は、それじゃ政治団体であったんでしょうと、こう申し上げたわけです。後で調べてみましたら、当時は政治団体になっていないということが明らかになりましたので、いま申し上げているのでございます。  それから、その法律的な解釈は、私は専門家じゃございませんけれども先ほど申しましているように、当時の山紫会会費の決め方は、最低年十二万円とすると、こういうことでございます。その決め方がいいか悪いか、それは別でございます、それについては御批判があるかもしれません。しかし、決め方としては最低年十二万ということでございますので、その会員たる地位に基づいて、十二万を超えても会費ではないということには直ちにならぬであろう、それは私法律の専門家じゃございませんけれども、そのように私はいま規定を読みまして思っているわけでございます。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 簡単に。
  52. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) そして、私の方の会計責任者に聞きますと、それは会費として処理してくれと、こういうことでございます。で、もとより、会費であろうがあるいは寄付金であろうが、どんな名前をつけましょうとも、それは恐らく会社の方の経理から申しますれば、当然、損益計算の関係では、通常の、政治団体後援会ないしそれに類似するもの、いまのたとえば山紫会なら山紫会ですね、それに対する会費はもちろん損金でないわけでございまして、普通の、企業会計原則によれば、当然それは寄付金であろうということはこれは容易に想像がつくのでございます。したがって、いまお話を聞いてだんだんはっきりするわけでございますが、会社経理では寄付金というものと会費というものを別にしておいた。私の方に対してはいわゆる寄付金で扱ってくれと言ったことも、その点からは私には理解できるように思うのでございます。
  53. 矢田部理

    矢田部理君 結論的な話を伺いますが、いずれにしても、あなたが会費だと主張されるのならば、会費というのは、他の要素として、ある程度定額性、定期性とかということが一つの要素としてあり得ると思いますので、そういうことを判断する意味でも、山紫会結成以来会員だったというのでありますから、今日までどういうふうにお金を納めてきたか、その関係を明らかにしてほしい。  それから、丸紅ロッキード問題では疑惑の焦点に立たされておるわけです。そういう団体から、会費であれ寄付金であれ相当額のお金をもらっていたということについて、ああいうことについてあなたはどういうふうにいまお考えになりますか。
  54. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 丸紅ロッキード関係にどのような関係をしておったかは、まだ裁判が進行中でございますので私にはわかりません。しかし私は、ロッキード関係しようがしまいが、それとは別の関係でございまして、古くから会員になっていただいておって感謝申し上げておるところでございます。
  55. 矢田部理

    矢田部理君 反省は全くする必要はない、こういう意味ですか。
  56. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) そのことは関係がないと思っております。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 地行ではそういうニュアンスとは違ったんじゃありませんか。
  58. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) だから、選挙部長がそばにおりまして、前から政治団体でございましたとこう言うものですから、それならそれを出さなかったのは申しわけありませんでしたということを申し上げたわけでございます。後で調べましたら、やっぱり、私の方の漠然とした記憶でございましたけれども、当時政治団体になっていなかったわけでございます。ですから、その当時の旧政治資金法上の正式の解釈がどうであるかそれは私はわかりませんけれども、少なくとも私はそのようなつもりで、山水会というのは政治団体政治献金だと言ったらそちら、会費だと言ったらこちらと、こういう仕分けをしておったということでございます。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 これはもう少し詳しく一つ一つの事実関係を洗っていかなければならぬと思いますが、現在ももらっているわけでしょう、そうすると。で、丸紅裁判の方だからわからぬということは、政治家としてはちょっと言いにくいんじゃないんでしょうか。少なくともああいう事件の中心であったことは、かなり社会的にははっきりしているわけです。裁判として有罪か無罪かはこれからの問題として、あるわけですけれども、そういう団体からも、それじゃわしは関係ないのだから依然としてもらっていくという態度なんでしょうか。
  60. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 事件が起きましてから、会費として、まあいまは会費であろうが何であろうが寄付金でございますが、納めておられるかどうか、それは私にはまだわかりません。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 いまどうですか。
  62. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) 私はそれは見たことがないからわからぬのでございます。調べにやわかりません。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 それがわかるかわからないかでなくて、その後ももらっていくつもりかと、こう言っている。
  64. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) これは向こう番付金でございますから、向こうの好意でもって、通常の会費、まあそれは寄付金、いまは寄付金でございますので、納めていただくものであれば、私は何ら差し支えないものと思っておるわけでございます。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 こういう事態が起きてもなおかつあなたはお金をもらっていく、くれるのであれば。こういう対応なわけですね。通常の政治家の良心があるならば、全日空とか丸紅がああいう忌まわしい事件の主役を演じたことは、社会的事実としては全体のものになっているわけでありますから、従来の経過は経過として、今後は一切もらいませんとか、政治の姿勢を正しますというのが本当じゃありませんか。
  66. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) それは気をつけて、もらっているかどうかわかりませんけれども現在、気をつけていかにゃならぬということは事実だろうと思います。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 気をつけて——気をつけてということはどういう意味ですか。
  68. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) だから、およそ誤解がないようにする、皆さんの誤解を受けるようなことがないようにしなくちゃいかぬ、それは事実であろうと思うのでございます。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 誤解がなけりゃいいというもんじゃないでしょう。  時間がありませんから、宮津さんに伺いますが、丸紅から政治献金を受け取っていた事実はお認めになりますか。宮澤さんというか、宮澤さんのかかわる団体であります備後会というのがございますね。その団体、組織が政治資金を丸紅から受け入れておったことはお認めになりますか。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 備後会というのは私を後援してくれるために友人たちが古くからつくった団体でありまして、いつか新聞に記事がございましたので、備後会の方に委託いたしまして調べてもらいました。そういう事実がございました。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 この政治献金の性格は、いま議論がありましたけれども、どういうものとして受け入れたんでしょうか。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは備後会の方のことでございますけれども、術後会が恐らく私の政治的な活動を助けるための金として受けたものと存じます。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 会費ですか、寄付金ですか。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 存じませんが、これは自治省の方に届け出てあるものでございます。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 私どもの調べでは、丸紅からの備後会に対する政治献金は届け出はなされていないのです。届けてあるというお話ですか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 御存じのように、毎年時期を決めまして、会費、特別会費等は総額を届けるということで、備後会はそれを怠ったことはないというふうに私は聞いてます。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、寄付金ではなかったわけですか。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そこのところ、私は備後会の当事者でございませんからよく存じませんが、会費とか特別会費とか、そういうことであったのではないかと思います。とにかく届け出をいたしてございます。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 会費としての届け出と寄付金の届け出はちょっと性格が違うんですね。とにかく届け出るという話だけでは説明にならぬのじゃないですか。寄付金としての届け出にはなっておりません。これは自治省、いればちょっと確認してほしい。
  80. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま具体のケースが話題になっておりますけれども、これについては御通告がございませんでしたので、私は承知しておらないわけでございますけれども一般論として申し上げますと……
  81. 矢田部理

    矢田部理君 一般論は要らない。
  82. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 昭和四十六年とか七年とかいう当時は、これは改正前の政治資金規正法、すなわち旧法時代であるわけでございます。旧法時代におきましては、寄付金についてはその明細を報告するが、会費、党費、そのたぐいにつきましてはほかの収入と一括いたしまして総額を届け出ればいいということになっておったのでございます。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、あなたが、宮澤長官が届け出たと思うというのは、寄付金には私が調べた限りでは載っていないんです、だから会費として届け出たものと、これは断言まではできませんが推認されるわけですが、あなたを支える政治団体としては、会費寄付金の区分けはどうしているのか、それからこういう金を丸紅からいつごろからどのぐらい受け取ってきているのか、それからこういうロッキード事件等が起こってからどうなったか、それから今後この問題についてどう考えるかということについて、まとめて伺っておきたいと思います。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そういたしますと、恐らく会費または特別会費として受け取ったものというふうに思います。その点は備後会が報告を総額としていたしておるということと思います。  それから、前後の関係を私案は存じません、従来どういうことでございましたか。ただ、備後会の理事者たちがあの事件が報道されました後集まりましたときに、まあ問題のありそうなことはやはりしない方がいいというようなことを皆さんで申し合わせたと、これは丸紅に限ったことではありませんけれども、そういうことを聞いたことがございますので、そういうことはその後は少なくともなかったのであろう——ないと思います。それ以前にもございましたかどうか、私ちょっとつまびらかでございません。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 備後会の人たち丸紅等の事件、ロッキード事件等があってからは慎んだ方がよかろうという、それは長官自身の考え方も同様でしょうか。  それから、従前どのぐらいずつもらってきたか、いつからそれを打ちどめにしたかというような事実関係をいずれ明らかにしていただけますか。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私自身は備後会の運営に自分で参加しておりませんので、丸紅と特定のことではございませんで、ああいう出来事がございましたから、まあよほど気をつけなければいけないなという話し合いがあったということを聞いております。私自身の意思というわけでは別にございませんけれども。それから、その以前のことは、記録がどうなっておりますか、わかりましたらまたお知らせ申し上げます。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 宮澤長官も内容がわからないということですが、政治家としてみれば、自分を支える政治団体がどういうお金の集め方をしているか、どういう運営をしているかということは、他団体だというわけにはちょっといきにくい政治立場にあるだろうというふうに私は思うわけです。それは越山会だって、田中さんの政治団体ではあっても、田中さん自身が形式的に入っているわけじゃないでしょうから、やっぱりその政治家の姿勢を全体的に見るものの一つとして重要な的になるわけでありますから、その点で、長官としての今後の政治姿勢を、そっちはそっちで決めるべきものだと、こういうふうに決めたんだというだけではなしに、自分を支える政治団体等のやっぱり姿勢も含めて、自分としてはこう考えるという見解を伺っておきたいのが一つと、それから、会費だというふうに、断定ではありませんが、思うというふうに言われるわけですが、会費だということになれば、さっき議論がありましたように、定額性とか定期性とかあるいは義務性とかということが重要な要素になるはずでありますから、前後の関係をやっぱり明確にされていただいた上で少しく議論したいと思いますが、その点をぜひ明らかにしてほしいというふうに思います。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 備後会は私の信頼する友人たちが運営してくれておりますので、私のふためになるようなことはやってくれないであろうということは私考えております。  それから、会費云々というようなことでございますけれども、私は今日委員長からともかく出てくるようにということで参上したのでございますけれども、私自身別に法律違反をしたとかなんとかいうことでございませんから、そう一々そういうことについてどう思うかというようなことを私ども申し上げなきゃならぬことはどういうことであろうかと、こう思います。わかりますことは調べてまた申し上げますけれども
  89. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点……。  まあ、きょう急に言われたから答えようがないというような御意見でありますが、さっきから繰り返しておりますように、丸紅寄付金台帳から出ているわけですね。寄付金勘定から出ているわけです。現にその一部は寄付金として届け出をしている人もいるわけです、政治家の中で。寄付金として受け入れたのか、会費として受け入れたのかというのの区別は定かでないわけですよ。当時の法律によれば、政治資金規正法によれば、寄付金は届け出をしなきゃならぬ、明細を付して。会費はよろしいということです。そうすると、特別会費寄付金か、特別会費かというか、会費寄付金かということは重要な問題になってくる。とりわけ番付金でもらったものを特別会費だということで一括してしか届け出なかったとすれば、刑事上の処罰規定も、虚偽記入としてあるわけです。単に便宜的に取り扱っていい性質のものではないはずなんです。私の感じとしては、丸紅寄付金台帳で、出方と受け方が違う。それから、丸紅がこれだけのお金を各団体に義務として、当然の義務としてやったという事情は出てこないわけです。加えて、特別会費を集めるためには特別の理由が存在し、そのために特別の、たとえば幹事会とか理事会を持って、会員の方に、財政難の折から少し定額以外に特別の費用を取り立ててほしいという決めをしなきゃならぬ、あるいは規定上の根拠を持たなきゃならぬということもありますので、そういう点についても実は疑問があるわけです。そういう問題を含んでいるだけに、自分を支える後援団体等についても、実は他団体ではありましょうが、自主的な運営かもしれませんけれども、やっぱり政治家として一定の見識を持つということは当然のことだろうと思いますし、とりわけロッキード事件の中核になった丸紅全日空にかかわる政治献金については、少なくともこういう事態になった以上慎重な上にも慎重を期すべきだし、それはまあ率直に言えば受け入れるべきでないというのが政治家の姿勢であってしかるべきだと私は思うわけです。だから、長官として今後はやっぱり受け入れない、それは個人も自己の属する団体も含めてというぐらいの決意は披瀝してしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 丸紅がどういう経理をされましたかは私どももわかりませんが、備後会としては法律違反のようなことをしておるはずはない。これは私の信頼する友人たちがやっておってくれますので、間違いないと思いますが、なお御指摘のような世間の誤解を招くことがありませんように、備後会の友人たちにも——そういう申し合わせはしたようでございますけれども、よく注意をしてもらうようにいたします。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ、まだ時間があるようでありますから、法務省に伺います。  法務省というか、ロッキード事件捜査当局は、丸紅経費台帳というものを証拠として押収をし、過日の公判で証拠請求をし、かつ証拠決定があったというふうに聞いておりますが、事実関係はどうなっておりますか。
  92. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 正確に申し上げますと、いまお尋ねをいただいているものと思われます経費台帳と称する丸紅の帳簿、これは当初警視庁において押収いたしまして、検察庁が引き継ぎまして、そういたしまして本年三月六日、全日空ルートの公判で裁判所証拠物としての取り調べ請求をいたしますとともに、同じころ丸紅ルートにおいても取り調べ請求をして、裁判所へ提出しております。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 この経費台帳というのは、何年から何年のものになるでしょうか。
  94. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 私ども検察当局から聞いておりますところでは、昭和四十七年の四月から昭和四十八年の三月までに至る分のようでございます。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 四十六年は入っておりませんか。
  96. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) ただいま申し上げたようなたてまえの帳面であるわけでありますが、中に四十六年の分も若干入っておるようでございます。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 その経費台帳には、いわゆる寄付金勘定とは別に、さっき議論になっておりましたような会費ですね、会費を取り扱う組合諸会費勘定というのが記載をされていると思いますが、いかがでしょうか。
  98. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 提出をしましたものを見ますと、三つに区分されておるようでありまして、交際費と寄付金と組合諸会費と、この三区分のようでございます。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 政治団体等の通常会費、普通会費といいましょうか、はその組合諸会費勘定の方に入っていると思いますが、いかがでしょうか。
  100. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) ちょっとお答えいたします前提として一つ申し上げておきませんとお答えしにくい事情がございますので申し上げさせていただきますが、この証拠物と申しますのは、公判へ提出いたします際に、先ほど申しましたような形で出したわけでありますが、その立証趣旨といたしまして、丸紅とそれから一定の政治団体との関係における寄付金の扱い方及び昭和四十七年十二月二十日料亭「木の下」における飲食費の支払い、これを立証する趣旨で出しておりまして、したがって、証拠調べされました内容も、西湖会の関係、越山会の関係、それからいまの「木の下」の支払い、この関係に限られておりますので、その余の部分は公判廷でも明らかになっていない事情にございますので、その点をお含みおきの上お尋ねをいただきたいと思います。と申しますのは、公判廷で明らかになっておらない部分についてはお答えをいたしかねると、こういう事情があるからでございます。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 先ほど村山大蔵大臣も述べておるわけでありますが、会費として受け取ったと言っている。ところが丸紅の方の台帳には寄付金となっている。そうすると、答えにくい問題なのかもしれませんが、つまり寄付金勘定以外についてそれじゃ伺っておきましょう。一般会費を別の勘定から払っているような形跡はあるかどうかという点について。
  102. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 公判廷で明らかになりました範囲で申し上げますと、たとえば西湖会の関係でございますと、寄付金という項目の中から五十万、五十万、百万、二百万というふうに出ております反面、組合諸会費の項におきまして六万、六万、六万というような金が出ておると、こういうことでございます。なお、これらを示されまして証言いたしました副島氏の証言におきましては、組合諸会費の方は銀行振り込みでやっており、それからたとえば西湖会に対するこの寄付金という項目から出ている金につきましては、小切手によって受け渡しがなされており、これらは丸紅としては当時特別会費というふうに認識しておったと、こう証言を一応しております。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 わかりました。  そこで問題は、特別会費かどうかということは依然として残ることは残るわけですし、会費寄付金の概念の違いから、私どもは、これは特別会費であれ、本質は会費でなきやならぬわけで、会費の性格を持っていなきやならぬわけでありますから、寄付金だというふうに判断をするわけでありますが、もう一つの問題点として、この寄付金を記載した経費台帳を見ますと、四十七年の十月三十日に、従来よりも特に特定の人物については金額をふやして支払う——十月三十日というのは言うまでもなく全日空がトライスターを決定した日、くしくもその日と一致をするわけであります。検察側としては、そういう意味のある日に、しかも従来にも増して多額に特定の人に支払われたことについて、捜査に当たって何か意味を感じませんでしたか。
  104. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) ただいま十月三十日に集中して出ておるというお話がございましたけれども、私どもは、まず前提におきまして、この経費台帳の中身に、十月三十日の項、たとえば十月三十日の項にどういうことが書いてあるかということを明らかにできないというたてまえでございますので、大変お答えに窮するわけでございますが、一般論として申し上げますと、さような経費台帳というような性格のものが検察の手中にあります場合に、詳細もちろん吟味しておると思います。したがって、一定の金額のまとまったようなものについては、その性格等について吟味をしたものと私考えておりますが、ただ考え方としまして、領収書を取って小切手で渡すというような形で一般的になされておるということになりますと、賄賂性の認定はむずかしいんじゃないか。それから、御承知のように当時の政治資金規正法は、会費というものは寄付金に当たらないとしておる反面、会費というものの定義を置いておりませんでしたから、会費というものの解釈が相当ルーズに行われておったのではないか。そういうことが一般的であったということになりますと、政治資金規正法の違反に問擬をするということもなかなかむずかしい事情もあったと思うわけでございまして、それらのことも踏まえながら、検察としては犯罪の嫌疑をかけるに至らなかったと、こういうことであろうと思います。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 丸紅筋は、本来はあれは、ここの表に出てくる限りでも盆暮れに払われているというのがこの表の上からは追認できるわけです。ところがこの年に限って十月三十日という、十二月ではなくて十月に払われている。しかも、一部の人について金額を増額している。その説明を、この年は暮れに総選挙があるので早目に金額を積み増して払ったというような説明も実は伝え聞くわけでありますけれども、どうもそれだけでは説明し切れないわけであります。つまり一つは、全体に、政治団体として丸紅会員として参加しているその政治団体全体にこの金額を積み増していないわけです。ある人のごときは、払われていない人もいるわけですね。四十六年段階では支払われておったのに四十七年のこの時期、十月から年末にかけてはゼロになっている人もいる。それから前年と同額の人も相当いる。ところがこの十月三十日に支払われた人を分類をしてみますと、大平派の政治団体、越山会、西湖会、宮澤さんの備後会、安倍晋太郎さんの晋友会、村山さんの山紫会、木村武雄さんの東南アジア政治研究会、塩崎潤さんの近代財政経済研究会などなどであります。ほかの人も多数出てきますが、どうもこういう人たちが特に増額をされている。これは丸紅と何らかの利害関係を反映しているものというふうに常識的には読めるわけでありますし、少なくとも推定してもおかしくないと思う。  なぜ増額をしたのか、なぜこの時期に支払われたのか。選挙があるならば、ほかの人だって選挙があるわけでありますから、一様に払われていいわけでありますが、払われてない人もいる。増額どころかゼロになった人もいる。何かここにお金の増額なり支払いの時期をめぐって政治的、社会的意味づけをしてもしかるべきだというふうに私たちは考えるわけですし、ましてこの政治資金規正法立場から見れば、果たしてルーズに運用されておったとはいえ、一応懲役五年以下という罰則もあるわけでありますから、寄付金なのか会費なのかということを詰めることも検察の任務としてあってしかるべきだと思うし、それからもう一つの特徴は、トライスターのためにいろいろ働いたということで、先ほど灰色高官ども出てくるわけでありますが、この方々たちは実はここに出てこないんです。これはまあ事のもう一つの半面でありますが、いわば裏金操作のルートに乗せられてきたのか、丸紅とのかかわりが薄かったのか、それはわかりませんよ。全日空との分担があったのかということもそれはわかりませんけれども、何かこの十月三十日に、特定の人についてだけ、いま名前を私が読み上げましたから、大方の方々はいろいろ目に浮かぶものが、あるいは心当たりを思いめぐらす人があるだろうと思いますが、こういう点について全くの疑問なり問題意識なりを感じませんでしたのでしょうか。
  106. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 検察の姿勢につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、いろんなことを考えながら慎重に対処して検討したと思います。  ただ、一つお断りしておきたいと思いますが、重ねてで恐縮でございますが、先ほど来書類をお持ちになりまして、ここにあるようにというふうに仰せになりますんですが、私ども公式の立場といたしまして、そのお持ちになっているものが証拠物の内容と一致しておるかどうかということを確認することはできませんということをまず申し上げたいのでございます。  それからさらに、去る四月十七日の全日空ルートの公判におきまして、裁判長から訴訟関係人に対しまして、裁判所の手中にある証拠物の内容が当事者以外のところに回るというようなことはきわめて遺憾であるから厳重注意されたいという御注意も受けておりますことを申し添えさしていただきます。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 内容が確認できないということであるなら、これをごらんいただきたい。(資料を示す)  それから、私がお聞きをした趣旨は、裁判上の扱いじゃなくて、この手のものを押収したとすれば、その全体的なお金流れをひとつ洗うというのが捜査の重要な柱だったはずでしょう。もちろんそれはロ社から来たかどうかということもポイントになるわけでありますが、その中でいわば賄賂性があるかどうか、あるいはあるかどうかの前提として、どういうお金流れが当時この丸紅なり全日空から政治家に動いたか。先ほど問題にしました小切手で別途に渡されたというような証言、証言というか情報もあるわけでありますけれども、総体的なお金流れの中からそれぞれについて意味づけをし、たとえばあるいはそのあるものについてやっぱり犯罪として立てていくということになったかと思うんでありますから、当然のことながら単に領収書がとられていたからというだけではなくて、とられていたとしてもやっぱり政治意味、あるいは場合によっては犯罪的嫌疑に高まるものもないとは言えないわけでありますから、当然捜査なりの対象にしたし検討したと思われるわけでありますが、そういう意味で、さっきの質問にもう一回答えていただきたい。
  108. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) ただいま拝見させていただきましたようなものがもし検察の手中に入ったとすれば、慎重に検討したことと思います。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 一応後の時間に留保して、さっきの関連……。
  110. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 関連。  私どもがこのロッキード委員会で徹底的に究明しようとするのは、日本の政治が汚れた金で左右されないようにというためだと思うんですが、汚れた金を政治家に贈ろうとする者が、簿外資金であるとか、あるいは受領証に工作を施すとかいうような傾向がありますね。と同時に、贈られた政治家もそれを秘匿するためにいろいろ工作することを見てきたわけですが、まあ秘匿したり工作をしたりということが、その金が不正なものであることの一つのメルクマールだと思いますが、私いま矢田部委員指摘しました、加藤元政務次官が全日空小切手、百万の金額と五十万の金額小切手を受領して架空預金口座に入れたということを当時の秘書が訴えておるということを矢田部委員が申しましたが、大体それと同じようなことなのですが、昭和四十七年の総選挙の直後、それから五十一年の総選挙の終了間際に、同じく加藤夫人が住友銀行岡山支店から住友銀行中野支店に、四十七年の総選挙の直後には二千三百万円、それから五十一年の総選挙の終了間際には五千万円という巨額の金を送金している。それはいずれも架空預金口座である。それで架空預金名義は、四十七年の場合は岩瀬七郎か西尾誠、これはいずれも架空人でありますが、そのいずれかでありまして、で、五十一年の場合は佐藤洋一か洋二の名義であった。これは自分が夫人と銀行に同行して現実に見ておることであるので間違いがないと、こう言うのであります。私もまあ裁判官なり弁護士を長くいたしまして、人並みにその訴えが真実かどうかというようなことを吟味をいたしまして、まあある程度心証を得るわけでありますが、これはやはり偽りではないというような印象を受けたわけであります。これは私どもの貧書生では二千三百万を架空名義で送るとかあるいは五千万円の巨額の金を送るとかいうことはちょっとなかなか常識では考えられない。その金は選挙の資金の余り金だということをその元秘書が言うわけであります。その五千万円の送金したものなどは間もなく東京証券というところでワリサイなどの債券にかえているという。そうだといたしますと、これは完全にプライベートなお金のようにも思われるんでありますが、国税当局はこの事実を把握していらっしゃるかどうか、まずお伺いしたい。
  111. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) ただいま御指摘の点は把握しておりません。ただいま御質問を受けまして初めて知ったような次第でございます。
  112. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まあ、いまの架空名義、それぞれその秘書は、いずれもその口座番号などをちゃんと控えておるので、ほかにもまだ二つほど口座番号があるのですが、架空名義の預金があるんですが、それもいずれも口座番号を控えておる。かなりの確実性を持っておるのではないかと思われるのでありますけれども、これは加藤さんの城山会という後援団体政治資金の届け出を見ましても、そういう巨額な届け出はないわけですね。それから、個人の所得についてはどの程度なのか、もしおわかりでしたら、四十七年ぐらいから現在に至るまで、おっしゃっていただきたいと思いますが……。
  113. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 加藤六月氏の公示されました所得金額を申し上げます。  昭和四十七年分一千九十三万円、昭和四十八年分一千二百三十六万六千二百五十円、昭和四十九年分一千一百九十五万三千八百四十八円、昭和五十年分一千二百十七万六千二百三十七円、昭和五十一年分一千二百八十八万六千五百七十五円。五十二年分の公示は来る五月一日に公示されますので、現在まだ公表されておりません。
  114. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうといたしますと、そういう五千万円もの巨額のお金を簡単に送金するというようなことはちょっと理解できないし、政治団体にもそういう届け出がないということになりますと、これは常識的な意味でかなりの疑惑を持たれても仕方がないということなんですね。  で、まあこの国会で法務当局から灰色高官としての指摘を受けていらっしゃる、それを非常に強い口調で否認をしていらっしゃる。そうなりますと、先ほど矢田部委員指摘いたしました全日空小切手を受け取ったと秘書が訴えてきておるというそういう事実、また、この架空名義に巨額の金を送金しているというふうな事実、そういうものを総合いたしますと、果たして法務当局の指摘したことが正しいのか。つまり、ある意味では、裁判所伊藤宏やそれから副島勲などの証言が真実なのか、それとも受け取った方の加藤さんのおっしゃることの方が誤りなのかということを明らかにする一つの資料になりますね。それがまた政治家政治的道義的な責任というものを明らかにする意味で非常に大切なことでもあるわけです。  ですから、私どもとしましては、やはり矢田部委員先ほど委員長にお願いをいたしましたように、この委員会加藤さんとそれから先ほど新田拓一という秘書、あえてその後に必要が起きますれば、いろいろ銀行なども、支店長なども申請する必要があると思いますけれども、とりあえずは加藤さんとそれから新田秘書、これはやはり当委員会証人として御喚問になるのが適当ではないかと思うわけです。加藤さんにいたしましても、そういう疑惑を晴らすということは政治家として大切なことでしょうし、そのいい機会ではないかと思うんですね。そういう意味で、先ほど委員長理事会で取り計らうということをおっしゃったわけですけれども、この点は委員長の特に御善処をお願いしたいと思うんですが。  それから、国税庁はいまのそういう架空預金口座ども大体明らかになり、送金の事実も明らかになれば、やはり税の問題が出てくると思いますが、これをやはり職権でお取り調べになるのが職責ではないかと思うんですが、どうでしょう。
  115. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 御指摘のとおり、私たちは適正な課税のために努力しておるわけでありますが、ただいま先生御指摘になりましたそういった資料というのは、私たちきわめて重要な資料であると受けとめておるわけでございます。
  116. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 時間が来ましたので……。
  117. 久保亘

    ○久保亘君 私は法務大臣の御出席を求めているのでありますが、御出席がありませんので、政府委員の方でまずお答えいただきたいと思います。  その一つは、政治家の人権と名誉にかかわる問題について、参議院の本委員会は、五十一年の十一月四日に、いわゆる三十ユニットにかかわる五名の人たちについて政治的道義的責任があるという認定を行った上、その事実関係について報告を求めております。これは秘密会で行われたのでありますが、その前後に、すでに衆議院においては該当者の弁明を求める機会に政府報告の内容を公開の席で明らかにいたしております。したがって、この問題についてはすでに公にされた政府報告と考えて差し支えなかろうと、こう思うのでありますが、今日ロッキード公判の過程でこのいわゆる灰色高官容疑事実について関係者の証言が次々に行われてまいりまして、この方々がそれに対して激しく反論をされているわけであります。私は政治的道義的責任があると断定をして政府にその内容を報告させた当委員会の責任という立場からお尋ねをしたいと思うのでありますが、五十一年の十一月四日に参議院、同月二日に衆議院に報告をされました政府側の三十ユニットにかかわる五名の政治家ロッキード事件に絡んだ事実関係は、その後の捜査の結果等も徴した上、事実誤認や訂正すべき内容が存在するのかしないのか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  118. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 政府当局といたしまして国会の秘密会で申し上げましたことを前提にしてお答えするのはつらいのでございますが、ただいま御指摘のとおり会議録として公開されておる関係がございますので、お答えをせざるを得ないと思いますが、当時申し上げましたことにつきましては、現在の公判段階におきまして漸次その資料が公判廷で明らかになっておりまして、すべてがまだ明らかになったというわけではありませんが、検察当局としては、御報告申し上げたとおりの事項を法廷でも明らかにし得ると確信を持って立証に努めておるところでございます。
  119. 久保亘

    ○久保亘君 そうすれば、当時報告をされました政府側の報告によりましても、当委員会委員長の宣言として政治的道義的責任があると認定をいたしましたその基準に該当するものとして五名の人たちを、時効による不起訴、それから、ロッキード社から流入した金員そのものの授受をしたことは認められるが証拠上職務に関する対価であることが認定できないために収賄罪の成立は認められないために起訴できない、こういう者が二名、こういうことで、その発表されております内容については、その後の捜査結果、あるいはその当事者からの事情聴取等もあわせて、検察当局としては、当時国会に報告した内容については今日も十分にその報告に責任を持ち得るもの、こういうことで確信されておる、こういうことだと思いますが、重ねてひとつお答えいただきたいと思うんです。
  120. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) お尋ねのとおりでございまして、去る五十一年十月十五日の中間報告を修正すべき要は全くないと思っております。
  121. 久保亘

    ○久保亘君 わかりました。そういうことになってまいりますと、私ちょっと委員長お尋ねをしたいと思うんでありますが、前委員長の大谷藤之助氏は、委員会を代表して、委員長としては三十ユニットの五名について政治的道義的責任があるものと認める、したがって、本院の立場から当委員会に政府からその氏名並びにその事情について説明を求める、こういうことを宣言されて、この委員会で政府に報告をさしたわけであります。しからば、今日その政府報告の内容については何らその当時の報告を訂正すべき必要もなく、当局としては当時報告したことについて確信をしている、こういうことでありますから、現委員長としても、当時大谷委員長が宣告されたその内容についてはこの委員会の責任ある立場として今日も踏襲をされておると、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  122. 梶木又三

    委員長梶木又三君) そのとおりでございます。
  123. 久保亘

    ○久保亘君 そうなってまいりますと、その政府の報告にも訂正すべき必要は全く存在しないし、当時報告をしたこの事実については検察当局として揺るぎない確信がある、ロッキード特別委員会としても、これらの公表された、発表された五名の人たちについては、ロッキード事件のいわゆる三十ユニットにかかわる金銭の授受が認められ、起訴をされるということにはこの時効や職務権限関係でならなかったけれども政治的道義的責任はあるというこの委員会の認定が下され、いまもそれが生きている、こういうことになってまいりますと、今日、これらの方々が公判の過程において関係者の証言で明らかにされたことに対して非常に強い反論をされていることは大変問題と考えなければなりません。しかもこれらの反論をされております中には、関係者の証言だけで一方的断罪をすることは全く暴力にも等しい、こういう反論もあるわけでありまして、しかも自分たちには、これが起訴されない以上、公判廷において黒白をつける手段がない以上は、われわれはどこにも発言のしょうがない、われわれにも当然その事情を聞いて明確にすべきものであったにもかかわらず、一方的に政治的道義的責任を問われたことははなはだ遺憾であるという立場がこれらの人たちの主張を貫いているわけであります。  そういたしますと、私は、これらの関係者に対して、今日われわれがいろいろな報道等を通じて知り得ますような反論が行われる以上、当然にこれらの方々委員会に御出席をいただいて、そしてこの事実関係について委員会として責任ある解明をなさなければ委員会は責任を持てないのではないか、このように考えるのであります。そういうような立場で当委員会にこの五名の三十ユニットにかかわる起訴されなかった方々について、証人として御出席をいただいて明らかにするということは、ただ単に当事者の問題としてだけではなくて、この委員会の責任となってきているのではないか。国民の側からいたしますと、ロッキード委員会国会の責任においてこれらの人たち政治的道義的責任があることを宣言をした。政府側はそれに基づいてその事実関係を報告した。しかも、今日なお当局はこの事実関係についてはいささかも変更するものはない、そのとおりである、こういう発言をなさっているわけでありますから、私は単に当事者の問題としてだけではなくて、この委員会の責任、特にこの関係者の人権と名誉に関する問題について一つの断定的宣言を行ったこの委員会の責任として、関係者の証人出席を求めて問題を明らかにする必要が今日改めて発生をしていると考えるのでありますが、この問題について委員長の御見解を承りたいと思うんであります。
  124. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 先ほども申し上げたとおり、理事会でまた御相談申し上げたいと思います。
  125. 久保亘

    ○久保亘君 理事会でいろいろ御検討いただくことはよいのでありますけれども手続としてはそうでありましょうが、私は委員長政治的道義的責任が存在をしているんだということを、いまも大谷委員長の宣告はそのままこの委員会の責任において生きている、こういうことでありますならば、それに対して強く関係者が反論をされていることについて、委員長はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  126. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 先ほど法務省からも御答弁があったように、公判続行中であり、いろいろ支障の点もあると思いまするので、やはり委員長としては理事会でゆっくり検討したいと、かように思います。
  127. 久保亘

    ○久保亘君 それは、ある面から申し上げますと、この委員会は非常に重大な責任回避を行うことになると私は思うのであります。少なくとも委員会がこの調査に基づいて、こういう事件にかかわった者は政治的道義的責任があるということを全会一致で明確にした以上、そのことに対して事実が相違するということで反論が当事者から行われる以上は、そのことについて解明をするのはこの問題にかかわったこの委員会の当然の責任であって、それを放棄していることは、私は委員会の責任を国民から問われてもやむを得ないことだと考えているのであります。特に今日は公判の中でいろいろと当時検察当局が発表をされました内容についての証言が行われておりまして、その証言に対して、否定をされているだけではなく、これらの反論を行われている方々は、国会が一方的に、ロッキード委員会が一方的に名前を発表させ、そして政治的道義的責任があるときめつけたことは問題である、そのようなことははなはだ遺憾なことだという反論も行われているわけであります。私は、それならばロッキード委員会の責任を明確にするためにも、当然にこれらの人々はこの委員会に出席されるべきであると思っております。もしも、この一方的な資料に基づく暴力にも等しい断罪が下されるようになったと私は受け取っております、などという関係者の反論がそのとおりであるとするならば、ロッキード委員会は速やかに当時の判断を変えなければならないのでありまして、また、そういう判断の根拠を報告をした法務当局の責任もまたこれは決して看過できないものとなってくるだろう、私はこう考えております。だから、ただ単に当事者に関する問題を解明するということだけではなく、この国会委員会判断に対して当委員会としての責任、そしてその判断の根拠を提示した法務当局の責任をも含めて、私はこの問題について当事者の出席を求めて解明を行うべき段階がいま訪れている、こう考えております。そういう意味では、すでに、秘密会でありましたけれども、いまやもう議事録が発表されておりますし、しかもこの秘密会における報告の内容は、最初に申し上げましたように、衆議院においては、当事者の弁明を求める際に委員長の方から反復してその内容は公開の席で述べられておりますから、この事実の公表はすでに公にされたものと、こう考えております。したがって、これらの問題に関しては、委員長としてはこの事件の解明、当事者たちの問題という立場だけではなくて、この特別委員会にかかわる重大な責任として、またこの事実関係について報告をされた法務当局の責任に関する問題として、当事者の証人喚問を求められるよう私は強く要請をいたすものであります。その点について理事会においてぜひ慎重に、しかも早急な結論に至るよう御検討いただくようにお願いをいたします。  以上で私の質問を終わります。
  128. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほども話が出ておりますけれども、当委員会の、国民の立場から見て、このロッキード疑獄、これが国民の前に解明をされていかなくてはならない、これは非常に重大なことであろうと思います。それだけに特別委員会の権威というものも考えていかなくちゃいけません。で、いま大臣席を見てもどなたもお見えになっておられない。いろいろの事情等が御報告ございましたけれども、やはり主管大臣である、私は、法務大臣が主管大臣であって、その他の大臣についてはいろいろの要求があれば出席をしていただく、そういう権威あるものでなくてはならないのに、こういうふうな形の中で審議が続けられようとしていることを非常に遺憾に思うわけでございます。そういう意味委員長に特にお願いしたいことは、今後、せめてどういう行事日程があろうとも主管大臣と思われる法務大臣は必ず最初から最後まで出席をする、こういう形のものを理事会で検討していただき、今後はこういう形にしていただきたいと思うのでございます。  まあ、私も考えてみますと、この事件が起きまして、二月の四日でございますか、日本で報道がございましたときに、ちょうどアメリカに私も行っておりまして、二月の十日にホワイトハウスでロックフェラー副大統領と会談をいたしました。で、そのときには大統領選挙の状態でございましたから副大統領しかおりませんでしたが、そのときに、日本の国民が、このロッキード問題、アメリカと日本にわたっておりますけれども、ぜひアメリカで協力をしてもらいたい、そうして日本の国民の立場から明快にしていただきたい、こういうふうに要請をしたわけでございます。そのときに副大統領の、一つは商行為としてある程度は許してもらわなくちゃいけないという話でございましたが、そういう問題と違う、政府高官、政治高官が関係する限りは政治的な道義の問題があるから、商行為ではなしにこれは厳しくやらなくちゃいけない、こういうふうに重ねて指摘をする段階の中で、日本の御要望があればそれに沿って米政府としても一生懸命やらしてもらいますと、そこまで言ったいきさつというものを私はいま追憶をするわけでございますが、いずれにいたしましても、このロッキード疑獄ということは、政治、財界腐敗のかたまりというものが、やはり大きな金権の、経済、金権政治、こういうふうな形の中で国民の不信を買っているわけでございます。そういう意味で、ただいま申し上げた第一点の、委員長、主管大臣である法務大臣が必ず出席をしていただいてこの権威ある特別委員会が今後開かれますように強く要望いたしますので、理事会で諮っていただきたいと思います。  なぜ私がそれを申し上げますかと言いますと、話がいままでに出ておりますように、政治的道義の問題という形はどうしても大臣に私たち質疑をしていかなくちゃいけない。この前も全日空ルートの第四十三回の公判があったわけです。そうして、副島元丸紅課長もいろいろと明かしておるわけでございますけれども、この全日空からの依頼により丸紅が、伊藤、副島氏の二人が分担をして元運輸大臣橋本登美三郎氏、元運輸政務次官の佐藤孝行——被告になっておりますけれども、そして二階堂進元官房長官それから佐々木秀世元運輸相そして福永元自民党航空対策特別委員長そして加藤六月運輸政務次官——灰色高官の疑いがいま出ておりますけれども、その四人に対してもリベートを贈ったことを明らかにしたわけでございます。そうして、その副島氏自身が佐藤氏、佐々木氏、福永氏、加藤氏のそれぞれに対して直接お金を手渡した、そういう具体的な状況というものが詳細に証言をされたわけでございます。そこで、国民の方々が報道機関のそういうニュース、テレビ、そういうものをずっと見ておりまして、副島氏は証言をしておる。ところが、肝心の福永さんにしても佐藤さんにしても加藤さんにしても佐々木さんにしても、それぞれ結論的には、副島は初めてだ、ああいう者は知らない、こういう形ですべてが否定をされて、稲永さんだけが一応受け取った、まあ、その趣旨は別といたしましても、こういう形で国民の前に明らかになっている。  そうなってくると、国民から見ても、副島氏が言っていることが、裁判の席上で言っている、確かにこれは正しいと思う、そういうふうに感じておるところへ、四高官は知らぬ存ぜぬ、こういうふうな形で、名も知らない、会ったこともない、これは元運輸相の佐々木氏。運輸政務次官加藤六月氏は、神聖な次官室でそういうことはあり得ないと、こういうふうにいろいろと反論が出ている。こうなってきますと、国民はどちらが正しいんだ、はっきりしてほしい、こういうふうな国民の声というのは私は当然だと思うのです。こうなってきますと、四高官の立場に対しては、私がいま法務大臣の出席をと言っておりますけれども政治的な道義の問題がまず前面に出るわけですから、どうしても主管大臣である法務大臣、そういう人を前にして、こういう方たちのあり方、今後どうするか、こういうふうなことの質疑が行われなくちゃいけないけれども、このように全然どなたもおられないというようなことでは全然話になりません。そういう意味で、まず一つの御要望をお願いしたわけでございます。  そういうふうになりますと、どうしても当特別委員会に、証人喚問という形の中でこの高官の方方にも出ていただいて、そうして正邪というものをはっきりしていただかなくちゃいけない、それが国民のやはり主体性のある政治というものに対する答えであろうかと思うわけでございます。  ですから、ここでまず委員長にお願いしたい第二番目は、せめて福永氏だけでも、喚問に出たいという話があったわけですから、参議院のこの特別委員会においても証人喚問に出ていただく努力を委員長から理事会に諮っていただいてしていただくこと、そうして、四氏の方々がみんな否認をされていらっしゃるわけですから、正々堂々とこの場に出ていただいて、そうして自分が正しいんだ、こういうことになれば、この場でやはり明らかにしていただくのがその人のためにもいいんではないか、こういうふうに思いますので、この高官の人たちに対して証人喚問という形でここに出ていただく、そういう努力を委員長にしていただきたいと思うわけでございます。その点いかがでございましょうか。
  129. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 先ほどお答えしましたように、後刻理事会で検討さしていただきたいと思います。  なお、法務大臣が出席されていないわけでございますが、これは委員長といたしましても遺憾と思いますので、今後法務大臣の出席を強く要求するように努力いたします。
  130. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、これが本当に国民の方々のはっきりしていただきたいという声である。ところが、昨年の決算委員会でございましたか、とにかく三木総理大臣、そして稲葉法務大臣、で、福田さんが副総理でございましたが、決算委員会——総理になる前でごさいましたが、出席をされた。ちょうどそこで、決算委員会で福田副総理に対して質問があったのは、加藤六月さんの灰色高官という名前が出たというふうなことで、かわいそうではないかというので激励会があった、そこで福田さんがその激励会に行かれた、その後にこの決算委員会があったのですが、その席上の質問に対して当時の福田副総理は、私はロッキードの問題は一切知りません。あれは三木総理大臣と稲葉法務大臣と二人でやっていらっしゃるので、私は全然知りません、そういうようなことで、加藤氏が気の毒だなというので激励会に出て、がんばれと、こういうふうな経過なんだという答弁があったわけです。私はそれを聞いておりまして、これだけ国民の大きな、非常に真剣な課題の中で、総理大臣と法務大臣しか知らないのだと言われたあの当時の福田副総理の発言、ああいう世界的な大きな問題になって、閣僚が知らない、そういうことが平気で公開の場で発言をされる。そうして福田総理大臣に任命されたときには、やはりきちっと解明していかなくちゃいけないという御答弁もある。キツネにだまされたような形で、本当に政府として一生懸命に国民の立場でこういうロッキードの腐敗というものを徹底的に解明をしていかなくちゃいけない、そういう政治的な責任を持っていらっしゃるのかと、心の中で。そういうふうに、すでに言っておられることが全然違うわけですね。  で、本日のこういう状態、福田総理の自民党総裁としての立場の中からロッキードに対する姿勢、そういうことを感じておりますと、はだ寒いものを感じるわけでございますが、先ほどからも話がございましたように、トライスター購入決定前後の丸紅政治献金などの一覧を見ておりますと、福田赳夫系の千代田経済懇話会、大平正芳系の新産業政策研究会、中曽根康弘系の新政治調査会、そうして三木武夫系の政策懇談会、こういうふうな——政府の中心になっているいまの村山さん、そうして安倍晋太郎さん、こういうふうなそうそうたる政府の中核のそういう方たちのメンバーが、トライスター購入決定前後の丸紅政治献金のそういう一覧を見ても、金額に高低があるけれどもずらっと並んでいる。これでは私は、政府の取り組みとしても、どんなに委員長が一生懸命がんばっても、政府がこういうふうに丸紅からこういう当時に一斉に献金を受けている——法的には私は正しいと思います、法的には、現行法律には。正しいからいいんだというのではなしに、こういうふうな疑惑の起きている丸紅から政治献金を、ああちょうど考えてみるともらっていたんだなと、これは急遽考えなくちゃいけない、そういう謙虚な反省が政治的な道義の中で出てくるのかということで、ただいま私は同僚の質疑——大蔵大臣やそうして宮澤さん、これらは自民党政治の中でも非常に清潔な方々である評価を国民の中にもいただいているわけですけれども、どういう御答弁かなと思っていま伺っておりましたけれども、法的には何も問題がないのだという立場の中でいささかの反省というものもない、こういうふうに私も受け取らざるを得ないわけです。  そうなってくると、これは相当この特別委員会委員長、そうして理事の方々、各政党政派を乗り越えて、本当に国民の立場で一生懸命やらないと、政治不信というものが非常にこれは大変なことになるのではないかというふうな観点の中で、ただいま委員長に第一点と第二点をお願いしたわけでございます。こういう点、よろしくお願いをしたいと思います。  では、法務省にお伺いをいたしますけれども、ちょっと年数的には古くなりますけれども、五十一年の十月の二十一日、法務省では、三十そして九十ユニットについての氏名公開、公表を記号であらわされたわけでございますけれども、現在においてそのお一人お一人についてはどのような御見解、そういうふうなものを、裁判が進んでいるわけでございますが、そういう立場の中で今日どういう御見解をお持ちであるかお伺いをしたいと思います。
  131. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 御指摘のうち三十ユニット関係につきましては、先ほど来他の委員が御指摘の秘密会で御報告申し上げたとおりでございます。九十ユニット関係につきましては、ただいま御指摘の中間報告において申し述べましたとおり、他のロッキードからの金と一緒に全日空の簿外預金、簿外資金の中に組み入れられまして諸般の用途に使用されたものと思われますが、そのうちの相当額が国会議員等十三名の方に行っておる。ただし、その性格は中元、歳暮、海外渡航のせんべつ、そういったものであって、航空機の売り込みに関する趣旨を含むものというものはなかったと、こういうことを申し上げておるわけでございまして、従来からお答え申し上げておりますように、政治的道義的責任の問題につきましては、法務大臣はもとより政府といたしましてはこれを判断すべき立場にございませんわけで、その点につきましては国会で御究明になると、こういうことになっておりまして、当委員会で真剣にお取り組みになっておるわけでございます。したがいまして、私どもは、国会におきまして政治的道義的責任のある方というのはこういうカテゴリーに属する方であるというようなことが明らかにされますれば、当該国政調査に御協力申し上げる意味におきまして、それらに該当します方々を私どもの把握しておる限りにおいて、また責任の持てる限りにおいて秘密会等において御報告申し上げることはやぶさかではないと、こういう立場でおるわけでございます。ただし、重ねて申し上げますと、三十ユニット関係方々と九十ユニット関係方々はその金銭の趣旨において全く異なっておりますので、その辺は申し上げるまでもなく国政調査の際にそれ相当の御配慮がなされるのでありましょうと、こういうふうなことで考えておるわけでございます。
  132. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 自治省にお尋ねをいたしますけれども、この九十ユニット分の金銭に対して、政治家が擁しておる政治団体政治献金として届け出をされておるのかどうか、この点いかがでございますか。
  133. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。  私ども自治省といたしましては、政治献金を受けました各団体からの収支報告を受け、これを公表すると、こういうことを職責とするものでございまして、ある特定の寄付者がどことどこにどういうふうに献金をしたかということについては承知する立場にないわけでございます。
  134. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、もう一度自治省にお伺いしますけれども、そういう立場にないとすれば、該当の省として、こういう形が将来の検討、懸案事項というのか、検討されなくてはならないなという、そういうものがあれば将来の参考までに、ただ単に、いや、うちはもう法律ではこういう形の守備範囲だけですから一切あずかり知りませんと、そういう冷たい答弁ではなくして、やはり政治そのものが国民が主役でございますから、そういう立場の中ですべての省庁、行政体があるわけです。そういう意味でやはりこういう点が将来の課題だなというふうなところがあれば答えていただきたいと思います。
  135. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま自治省はそういうものについて調査をする立場にないということを申し上げましたが、これは、公表事務を担当する自治省という行政庁が特定の徴候によりまして実質にわたる調査あるいは審査をするということは、行政庁が政治という分野に介入することになる、これはよくないと、こういう考え方から、法は自治省に対してそのような実質にわたる調査権とか審査権というものを与えていないわけでございます。この考え方はやはり一つの考え方ではないかと思うわけでございまして、将来どうするかとおっしゃいましたが、この考え方は妥当な考え方ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  136. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 確かにその点がやはり欠けているところに、事務的な手続の中で私は一つの大きな要因、すなわち今後の課題だろうと思うわけでございます。よくわかりました。  いま国民の最大の関心事は、灰色の高官名及び賄賂収受の事実関係、こういうことをもう少し明確にしていかなくちゃいけない、こういうふうに考えておられると思うわけでございます。これは法務省にお願いしたいと思うんでございますが、国民の知る権利というふうな立場になろうかと思いますけれども、刑訴法の第四十七条ただし書きの「公益上の必要」、刑法二百三十条ノ二の「公益」に当たるものと私は思うわけですけれども灰色高官の発表に関しては、これとの関係では現在どういう御見解というものをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  137. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず並木的には、検察当局の行います捜査と申しますのは、場合によっては人の名誉、秘密に関する事項承知いたすわけでございますし、ときとしてはその個人の恥部に触れた点まで真相究明のために御協力を願ったりするわけでございます。したがいまして、捜査内容につきましては、検察当局が過去、現在、将来にわたって信頼を受けており、また受けますためには、検察当局に漏らしたこと、これが一切秘密が守られると、こういう絶対的な信頼の上に立って捜査というものが万全を期し縛るものであろうと、かように考えるわけでございます。しかしながら、そういうたてまえで広く国民の方々の御協力をいただいて捜査をし、社会の諸悪を剔抉をしていくと、こういうことでございますが、一方におきまして、検察権の行使も行政権の一角を成すものでございますので、国会におきます国政調査という権能に対しましてはできる限りの御協力を申し上げなければならぬ、これもまた事実であろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては国政調査権に基づくお求めがありました場合には、ただいま申しました捜査に関する基本原則、さらには、公判を請求して公判中の事件につきましては裁判に対する影響と、こういうものを慎重に考えながら、私どもなりに両方の利益というものをはかりにかげながら、その範囲でできる限りの御協力を申し上げていく、これが、国会という場を通じて、国会国政調査権という権能を通じて国民に対して検察活動の内容を知っていただき、また御批判を受ける、こういう道ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  138. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 丸紅の元社員の伊藤、大久保、副島三氏が東京地方裁判所において、これはロッキード公判証人として、田中、二階堂、橋本、佐藤、加藤、佐々木、稲永各氏の名前を挙げて、金銭の授受に対し年月旧、場所、時間等を明確にして証言をされておるわけでございます。これについて、該当の人たち先ほど申し上げたような反論もしているわけでございますけれども、こういう観点の中で、これだけ伊藤、大久保、副島の三氏が明確に証言をしている、この事実をどういうふうに感じていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  139. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 検察当局といたしましては、受託収賄罪で起訴いたしました橋本、佐藤両氏の公訴事実を的確に立証いたしますためには、ただいま御指摘になりましたその他の方々に対する金銭の授受及びその趣旨というものが密接不可分関係にございますので、全体として的確に立証していこうということで努力をしてまいったわけでございます。検察官立証しようとしております事柄は、当初いたしました冒頭陳述で明らかにしました事柄であり、また、それは国会にかつて御報告申し上げたことの基盤をなす事柄でございまして、そういう観点からいたしますと、この冒頭陳述で検察官が明かにしました立証すべき事項は着々と立証されつつあるというふうに考えております。ただ、しかしながら、御指摘の三証人の証言によりまして明確になってまいりましたことは、それらの方々に対するそれぞれの金額授受というものが、これも新聞等で御承知かと思いますが、議員会館における面会証というような裏づけ証拠とも関連いたしましてほぼ明らかになりつつあると、こういうことであろうと思います。  あと残りますのは、それらの金がいかなる意味でやりとりされたかと、そこのところが残っておるわけでございまして、その点に関しましては、遺憾ながら一般の贈収賄事件の公判における例のように、証人として出ました伊藤、副島両氏らがぼやかしておりまして、はっきり述べておりません。そこで、このはっきり述べていないその金の趣旨の点について、検察としてはさらに立証を尽くすことによりまして、先ほど申し上げました冒頭陳述、さらにはそれを基盤といたしますかつての政府報告、こういうものがはっきりと確定できるのではないかと、かように考えております。
  140. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 確かにいま御答弁いただいたような形のものがやはり今後の大きな課題であろうかと思うわけでございます。  先ほども少し御答弁いただいたわけですけれども、結局衆議院ロッキード問題の特別委員会、参議院もそうでございますけれども、また先ほども同僚の方から質問がございましたけれども委員長の権限によって、秘密会において政治的道義的な責任として三十ユニットに対する金銭の授受に対しての灰色の高官の氏名、これは公表されたわけです。で、問題は九十ユニットに関する件でございますけれども、これもいま御答弁をいただきましたように、性格が少し三十とは違うというふうな形の御答弁をいただいておるわけでございますが、法務省としては、重ねてお伺いするわけですけれども、九十ユニットについては、もう少しこういう形の方向がいいのではないかというふうなお考えがあれば伺いたいと思います。
  141. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 九十ユニット関係と三十ユニット関係を端的に比較いたしますと、三十ユニット関係方々は、ロッキードの航空機の売り込みに関連したと認められる金を受け取ったとされる方々でございます。これに対しまして九十ユニット関係方々と申しますのは、なるほどもとを正すとロッキード社から来た金なんだけれども、それが丸紅の俗に言う裏金という、プールという、そこへ一回全部渾然となって入りまして、その中から、五千数百万円に金額は上るわけでございますけれども、十三人の方に渡っておる。しかしながら、その渡されたときの趣旨を一つ一つ見てみますと、航空機の売り込みというような意味で渡されたものは全くなくて、海外旅行のせんべつでありますとかあるいは盆暮れのお金でありますとか、そういうものばかりでございます。したがいまして、おわかりいただきますように、およそ犯罪に関連するという性質の金ではないという形で授受が行われておる。そういたしますと、検察当局といたしましては、その金の授受そのもの、が捜査対象にならないばかりでなく、およそ犯罪と関係がない方ということになりますれば、その名誉、秘密、こういうものを努めて秘匿すべき職責があるわけでございます。したがいまして、一般的にはそれらの方々の名前の公表は差し控えるのが適当であろうと、こう思うわけでございますが、先ほども申し述べましたように、国会におきましていろいろ御検討になりました上で、政治的道義的責任のあるものはこういう者であるというふうな御決定があり、その範疇にもしそれらの方々が入るようなことになってくると、こういうことになりますれば国政調査に御協力申し上げる、特に、このロッキード事件につきましては両院議長裁定もございまして、それに御協力申し上げるという当時の総理大臣のお約束もございますことでありますので、御協力を申し上げなければならないというふうに考えておりますが、重ねて申し上げますと、三十ユニット関係と九十ユニット関係との性格の違いというものを御配慮いただければと、こう思っておるわけでございます。
  142. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これは委員長にお願いをしたいわけですけれども、いま御答弁を伺いました。確かに三十と九十は性格が違う形があろうかと思いますけれども、またこれは逆な半面、やはり君の会社のところであればすべていろんな問題についても、ああそれは協力をしてやらなくちゃいけないというのは、やはりお金が動いてくればそういう面もあり得ることは、これは世間のいろんなあれを見ておりましてもそういう形のものも懸念をされるわけです。ですからこの際、政治的道義の立場から九十ユニットについても委員長の権限で秘密会かそういうものを設けて、せめて氏名の公表もする、こういうふうな形のものはどうでございましょうか。
  143. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 人権にも関する問題でございますから、慎重に理事会で検討したいと思います。
  144. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よろしくお願いしたいと思います。  で、丸紅の三人証言のうち、元運輸大臣の佐々木氏、それから元運輸政務次官加藤六月氏、元内閣官房長官の二階堂進氏、それから自民党航空対策特別委員長の稲永氏、それぞれ重要なポスト、職務催眠も十分備わっている、そういう職務に携わっておられたわけです。三十ユニットの領収書に見合う一部の金額を受託をしていることが証言の中でははっきりしているわけですね。政府も五十一年十一月四日の秘密会で出された、ロッキード社から流入したお金そのものの授受、これはあると認められるが、証拠上職務に関する対価であることが認定できないため収賄罪の成立は認められないが云々と。この点について丸紅の証言にあるように収賄罪が成立するのかどうかという疑問点がまた国民にはあろうかとも思います。それと同時に職務権限というものもかかわっているのではないか、そういう立場から見ると、収賄罪の成立というものが取りざたされているこれは一面もあるんではないかというふうに客観的に私たちもその点、いろいろと疑問点を持っているわけでございますけれども、この点はどうでございますか。
  145. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) いまさら申し上げるまでもないところでありますけれども、収賄罪が成立いたしますには、単に金銭の受領等があっただけではだめでありまして、さらに受け取った人が公務員であるという身分を有することが必要でございます。さらに、その公務員が自分の公務に関して金銭を受領するなどすることが必要になってくるわけでございますが、一般論としてたとえで申し上げますと、政党の役員としての立場で金をお受けになるというような場合には、多くの場合職務に関しない、たとえば国会議員としての職務に関しないと、こういうことになりますために、常識的にはたとえば国会議員の方がある物の売り込みに関して、あるいは払い下げに関して、工事に関して金を受け取ったと、こういうことになりますと、常識的には賄賂をもらったのではないかというような感じをお持ちになる方があるのではないかと思いますけれども、やはり国会議員なら国会議員の方が、国会議員としての職務に関係して金を受け取ったんではなく、たとえば政党の仕事に関して受け取られたということになりますと、職務関係がないという意味において収賄罪が成立しない、こういうことになるわけでございます。まあそういうわけでございますが、恐らく国会のお気持ちといたしまして私ども僭越ですがそんたくいたしますと、そういう一般的な常識論を念頭に置きながら、道義的政治的責任というようなことをお考えになっておられたのではないかというふうに愚考いたしておる次第でございます。
  146. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ここで委員長、またまたお願いしたいわけですけれども、そういうことになれば、私は加藤さんもやはりこういう席上にきちっと出られて、自分は無実なんだというふうなことを新聞では、記者会見では報道されていらっしゃいますけれども、やはり自分の人権、名誉等を非常に感じていらっしゃるということになれば、かえってやはり喚問に応じて、公開の場で、自分はシロであればシロなんだと、こういうふうにかえって私は加藤さんの立場から見てもきちっと出るところに出てやられたのがいいんじゃないかとも思うわけです。そういう意味で、委員長加藤さんに対して、自分がああいう形になっているけれども、正義であるならばきちっと出てもらって堂々と主張していただく、こういうふうに委員長からもお話をされた方がいいんではないかなと思うわけでございます。まあその点もお願いをしたいと思います。  いずれにいたしましても、このロッキード事件というものが結論的には非常に忌まわしいものである、国民の政治立場から見てこういう疑惑はもってのほかである、こういうふうなロッキード疑獄のこういう腐敗構造というものは断固としてなくしていかなくちゃいけない。そういう意味では、私は、半永久的なやはり政権というものが金権政治を生んで、やはりそこに政界、財界、官界、こういうふうな常時慢性的な汚職や腐敗、こういうものが発生して進行していった、これはもうそういう現象になることは当然だと思うわけでございます。だから、いまここでやはりおろそかにしておると、こういう疑獄の根というのは深いわけでございますから、そういう意味でも、私たちも該当の委員として、やはり正は正、クロはクロ、また疑問の問題については、やはりそういう該当の名前が挙がっておれば堂々と出ていただいて、そうして正邪を論じていただく。私はそれが国民の前に一番大事なことではなかろうかと思うわけでございます。だから私は三人の証言、これもやはり正しいと思うわけです。また灰色高官人たちも、いま委員長が言われているように人権の問題の立場から見て、私は受け取った、受け取らない、そういうことを知らないんだ、そういうことがやはり発言の中で出ているわけですから、私はこういう特別委員会の席上に出ていただいて、自分が正しければ正しい、こういう形で正しいんだと、そうしてまた率直に、間違いであれば、それは国民の前にやはりこういう点は政治的に見て非常に誤解を与えたというふうなことがあれば、それは率直にやはり言っていただきたい、こういうふうに感じるわけでございます。  きょうは各大臣方々も出席になっておられませんので、私もこの程度で終わりたいと思います。
  147. 橋本敦

    橋本敦君 まず法務省にお伺いをいたしますが、久しぶりにロッキード委員会が開かれまして、最大の課題になっていた、つまり児玉、小佐野ルート、この問題の解明が依然として十分でないという問題で、重大な関心を持っておりますが、現在の児玉、小佐野の健康状況、それからその後検察庁での取り調べの状況は現時点でいかがになっておりましょうか。
  148. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず、児玉、小佐野の病状について申し上げます。  児玉の関係についてまず申し上げますと、脳梗塞後遺症の病状は衆議院ロッキード委員会におきまして五月十八日に証人喚問を一回されたわけでございますが、そのころとほとんど同様の状態を維持しておりまして、依然として自宅での静養を必要とするということでありまして、公判も昨年七月二十五日の第二回から本年四月十三日の第十七回まで、その都度同様な診断書を提出して、裁判所の許可を得て不出頭のまま、大体月に一、二回の程度で公判が進められておる状況でございます。  次に、小佐野につきましては、高血圧症兼重症狭心症でなお安静加養を要するということでございまして、大体月一回の公判でございますが、前回の四月十三日までずっと出頭しておりますが、終始わきに医者がつき添いまして、一回の公判も病状を考慮してわずか三十分ぐらいの短時間で終わっております。この程度の時間でございましても、終わりに近づくと、高血圧症のためと思われますが、顔面が紅潮してきているように見受けられる由でありまして、なお、同人は公判廷においては終始沈黙したままであると、こういうような状況に報告を受けております。  それから、その後の取り調べでございますが、すでにお答え申し上げておりますように、一昨年十月の中間報告の時点におきまして、そのときまでに認め得る犯罪事実についてはすべて処理を終わったわけでございますが、その後、児玉については、証人不出頭の事件がございましたけれども、これを別といたしますと、他に新たな犯罪の容疑を見出すには至っておりませんので、児玉についての証人不出頭関係以外には同人らの取り調べはその後行われておりません。
  149. 橋本敦

    橋本敦君 なかなか病状という関係で困難だという事情が報告されたわけですが、二つだけ確認をしたいんです。  一つは、児玉へ入ったロ社の金の出は完全に解明されたかどうか。いままではほとんど解明されたということで、完全ではなかったまま推移しておると思います。それから第二点目は、いわゆる小佐野、児玉がP3Cの売り込み契約に関連をして報酬の引き上げをロ社に要求した、こういう趣旨の冒陳が出ているわけですが、小佐野、児玉がその報酬契約の引き上げを要求した趣旨。それから、その要求したとおりに引き上げがなされた結果、P3Cに関連をして二人がどのような行為をしたかについて捜査が進んだかどうか、この二点、お伺いしたいと思います。
  150. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 公訴提起後、若干の必要な補充捜査はもちろんいたしておるようでございますが、大筋におきましては公訴提起の当時の捜査状況によって得られた資料、これを公判廷において万全に顕出していこうと、こういう努力をしておるところでございます。  お尋ねの点につきましては、まだ、先ほど申し上げますような病状に原因があるわけでございますが、公判廷に顕出するまでには至っておりません。
  151. 橋本敦

    橋本敦君 公判廷に顕出するまでに至っていないということではあるが、捜査の観点として私が指摘をした二つの問題は、補充捜査として、病状好転という事情があればなお捜査を遂げる必要がある部分だと考えますが、この考えは間違いありませんか。
  152. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) すでに公訴を提起しまして公判中の被告人につきまして公訴事実についての調べをすることは、訴訟法の精神からいって適当でないと思いますが、そのほかに何らかの問題点、たとえば新たな犯罪の容疑、こういうものが浮かび上がってくれば、病状とにらみ合わせながら取り調べをするつもりでやっておるようでございます。
  153. 橋本敦

    橋本敦君 つまり私が言うのは、新たな犯罪の問題点にかかわる一つの道筋だから申し上げるわけですね。つまり、P3Cの売り込みに関して報酬契約の引き上げまで行った、そこまでは出ているとして、その行った結果、防衛庁もしくは政治家に具体的に契約に基づいて働きかけたという事実があり、そこに金が動いたという事実がありますと、新たな犯罪容疑ということが出てくる可能性がある一つの具体的な背景事実ですね、そういう意味で、いま局長がおっしゃった今後の新たな犯罪容疑が出てくればという——出てくるかどうかというために、いま私が指摘した第二の問題は重大な関心を持って今後捜査の観点で詰められなければならないのではありませんか。
  154. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず、すでに起訴してある事件の立証をさらに強化するという観点から、所要の情報等があれば補充捜査しなければなりませんし、それから、本人を調べるということは、被告人という立場にかんがみまして、軽々にすべきではありませんけれども、何らかの他の犯罪の端緒というものがあれば、取り調べることも必要であろうと思っております。
  155. 橋本敦

    橋本敦君 端的に局長に伺いますが、いま私が指摘した関係で、P3C関係について児玉なり小佐野なりが多額の報酬契約の要求までやってそれをロ社に認めさせたという事実から出発をして、防衛庁サイドもしくは国会あるいは政治家関係に働きかけを彼らはまるでしなかったと考えるのは、私は常識の点からいって考えられない。だから、この点の捜査は徹底的にやってもらいたい。これは国民の要求であり、われわれの要求である。これはむずかしい問題かもしれませんが、そういうことから全然彼らが働きかけなかったと検察庁はいまの時点で断定できますか。それは調べてみなければわからないということですか。
  156. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 従来私どもが申し上げておりますのは、P3Cの売り込みに関して防衛庁関係者とかあるいは政治家等に対して金が流れたことはない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  157. 橋本敦

    橋本敦君 じゃ、金が流れたことはないというのは、いままでの捜査の範囲でおっしゃっている問題ですね。私が言うのは、今後捜査をすればあり得ないわけじゃないと私は思うけれども、これは一つの想定にすぎないんですね。私がこういう想定をするのは、いま言ったように多額の報酬契約の引き上げまでわざわざ要求して認めさせたという事実があるからです。仮に金が流れなくても、何らかの働きかけなり工作を児玉なり小佐野がやった、金が流れなくてもですよ、この可能性までまるでないということは証拠上否定されるんですか。
  158. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) その点に関しまして詳細をただいま私自身記憶しておるわけではございませんが、報酬契約に基づいて何らかの行動に出たという関係につきましては、今後の公判においてある程度明らかになるであろうと思いますし、また、御指摘のように新しいそういう事実関係が出てくれば、公判の維持に有力な資料になりますから、さらに捜査をするであろう、こう思っております。
  159. 橋本敦

    橋本敦君 今後の公判である程度明らかになる事実があるということがわかりました。  そこで、防衛庁にお尋ねしたいんですが、P3Cに関して何らの疑惑がないということをかねがね言ってこられたが、いま局長のお話をお聞きになっても、私の意見を聞いても、当面公判の推移、あるいは児玉、小佐野の病状回復を待っての補充捜査、これの結論を見なければ、P3Cに関して政治的な疑惑を招く行為が一切なかったとは現時点で言い切れないのではありませんか。どう考えておられますか。
  160. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) P3Cの選定、導入に関しまして犯罪を構成するような事実はない、それから、いままでのところ金がそのためにどうこうされたということはないということは刑事局長の御答弁のとおりでございまして、そういう犯罪の事実ということを越えて、ロッキード社に関して完全に、P3Cではございませんが、ロッキード社に関しまして完全にシロになったということは、公判の終結というものを見なければならないわけでございますが、私どもの調べたところによりますれば、わが司法当局の言明、それから、私どもがこういう飛行機を選定する経過といったようなものは非常に厳密に軍事的、技術的な審査でございまして、それに関しまして私ども並びに私どもの上司というものに対して何らかの働きかけがあったということは全然ございませんでした。
  161. 橋本敦

    橋本敦君 それは防衛庁サイドで調べてそうだという結論ですが、一部分、あなたはいま、P3Cに関してではないが、公判の進行を見なきゃならぬということをおっしゃった。P3Cに関してではないが、ロッキードの問題は公判の進行を見なきゃならぬとおっしゃったのは、どういう意味ですか。P3Cに関しても、公判の進行状況、補充捜査いかんによっては、金は働いてないとしても、いろんな働きかけがあった事実が出てこないわけじゃないという状況があるんですよ。その点についてのお考えを聞いているんです。先ほどの答弁は明確じゃない。
  162. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 当時のロッキード社の働きと申しますか、動きといったようなものにつきましては、その公判が終結するというのが一番、シロかどうかわかりませんですが、一応の結論が出るということだろうとは思うわけでございますが、P3Cに関しましては、私どもとしていろいろ調査いたしました結果、あるいは法務当局の見解というものを総合いたしましても、全然疑いがなかったと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  163. 橋本敦

    橋本敦君 防衛庁だけが調査をなさっても、私どもは、ロッキード委員会立場としては、それでよろしいということになかなかならないんですね。たとえば局長、いま私が指摘をした小佐野と児玉がP3Cの売り込み、これは相手は防衛庁ですよ、ほかに売り込めないですから。これに対して報酬契約を多額に引き上げるような話をしてロ社にこれを認めさした、この事実は検察官証拠立証できる事実だとおっしゃっているんです。こういう事実があることについてどう思っておられますか。こんなことを彼らはやっているんだ、どう思っておられますか。
  164. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先生御指摘の児玉の手数料の値上げというやつは一九七三年十一月三十日付の児玉・ロッキード社間の修正契約第五号というやつで、その五千万円が五千六百万円に引き上げられたということは承知しておるわけでございまして、この差額と申しますか、そういうものがそのP3Cに使われたんではないかということだろうと思うわけでございますが……
  165. 橋本敦

    橋本敦君 そんなこと言ってない。P3Cに関して彼らはそこまでやっていることをどう思うのか。
  166. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) P3Cに関してそういう修正契約が結ばれたということは存じておるわけでございますが、それに起因いたしまして働かけがあったということはなかったわけでございます。
  167. 橋本敦

    橋本敦君 さっぱりかみ合わない。どう思っているかというんです。いやしくも防衛庁、自分に働きかけられるという立場で考えてごらんなさい。秘密代理人がそんなことを契約しておる、もってのほかだというのが本当じゃないですか。もってのほかだとも思わないんですか。そのことを私は聞いている。もってのほかじゃないですか、こんな契約。
  168. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 元来政府、防衛庁を含めましてでございますが、そういうものに対する売り込みに関して何か契約をするとか、金をもらうといったようなことはまことに苦々しい話だと思っております。
  169. 橋本敦

    橋本敦君 だから、まことに苦々しい話であるだけに、いやしくもロッキードともあろう会社とこういうことまでやったというこの事実について、防衛庁は防衛庁内部だけで調べるというのじゃなくて、一体小佐野、児玉は何の趣旨で、何の目的で、具体的に何をねらってこういうことまでやり、ロッキード社はどういうことでこういう契約を結んだか調べにやならぬ。  そこで防衛庁に聞きますが、ロッキード社にあなたの方は資料を出させて、P3Cの売り込みに関しては一切不正行為はなかったというような誓約書を取られた。何でこんな苦々しいひどい契約をロ社は承認したかお聞きになりましたか、ロッキード社に。聞いたか聞かないか、聞いたか聞かないかだけでいいですよ。
  170. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 直接聞いてはおりません。
  171. 橋本敦

    橋本敦君 そんなことでP3Cに関して全部クリアされた——絶対承認できませんよ、問題をきわめて軽視をしている。こんなことをやられて、聞かないという道理がどこにありますか。聞きなさい。聞いて報告書を当委員会に提出をする、ここまでやってもらわなければ承認できない。いかがですか。いまからでも遅くない。
  172. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 直接聞いたのはまた別の形で聞いたわけでございまして、日本国民に対してこういう迷惑を与えたという行為に対しておまえらどういうふうに思うかというふうに聞いたわけでございまして、それに対しましては、まことに申しわけないという書面が参っておる次第でございます。
  173. 橋本敦

    橋本敦君 一般的に申しわけないではだめなんだ。ロ社に対して、何でこのような契約をあなたは容認したのか、そこのところをはっきり事情調査をする、これを聞くということを約束してください。一般的に聞いたってだめだ。苦々しいと思っていたら聞けるでしょう。
  174. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) まあそういうことは私どもの仕事か——むしろ法務当局の仕事じゃないかと、こう思う次第でございます。
  175. 橋本敦

    橋本敦君 やらないというなら、全部クリアされたと言って、申しわけないとか一切の不正行為はなかったというロ社の誓約書を持ってきても調査不十分ということにならざるを得ませんよ。何で聞けないんですか。防衛庁は今度はロ社からP3Cを買うことを決めたんでしょう。違うんですか。そういう話を向こうとできるじゃないですか。やりなさいよ。やらない理由はどこにありますか。これ聞くのがこわいんですか、何でこんな契約をやって、ロ社が承認したのか。
  176. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 別にこわいわけでも何でもございませんが、もし何であんな契約をしたかと言いますれば、それは売りたいからだという返事が返ってくるのじゃないかと、こう思う次第でございます。
  177. 橋本敦

    橋本敦君 あなたがロ社の返事を答える必要はない。聞きなさいよ。あの契約締結の、何で、というのは理由ですひいきさつ、具体的に児玉、小佐野からロ社にどういう話があり、そしてロ社がどういう趣旨でこれを受け入れ、何をロ社はこのことによって彼らに働いてもらうことを期待したために金額のアップに応じたか、これを具体的に聞くべきですよ。そういう意味です、私の言っているのは。
  178. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) どういう経緯によって引き上げが行われたということは、冒頭陳述で明らかになっていると思う次第でございます。
  179. 橋本敦

    橋本敦君 どうにも自分でやろうとしないんだね。冒頭陳述で明らかになっているとおっしゃったが、それじゃ検察官がいかなる証拠に基づいてこの冒頭陳述を構成し、いかなる捜査証拠を持っておられるか知っているんですか。御存じのはずはないでしょう。検察官は絶対そんなことおっしゃらないですよ。自分で調べなきゃわからぬじゃないですか。どうなんですか。冒頭陳述でこの事実が出てきて、防衛庁は苦々しく思ったでしょう。けしからぬことをやるな。日本の政府相手に何という契約をやるんだ。徹底的に追及しなさいよ、ロッキード社を。これを追及しないで飛行機買ってやることないですよ。やるんですか、やらないのですか。防衛庁長官は後でお越しになるけれども、局長どうですか、長官に聞いてみなければ、相談しなければわからぬというなら、相談してください。
  180. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 追及いたしますれば、まことに申しわけないということは手紙でもらっておるわけでございますが、もう一回その……
  181. 橋本敦

    橋本敦君 調査です、調査
  182. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 調査と申しますと、私どものやれる限界というのがあるんだろうと思うわけでございますが、一応問いただしてみます。
  183. 橋本敦

    橋本敦君 当然防衛庁はやるべきなんです。こんな契約までやられて黙っている手はないですよ.。  それから裁判の方の問題で刑事局長に伺いたいんですが、私心配しておるんですが、検察庁がいろいろお調べになって証拠を固め、確信を持って起訴されて、三十ユニットについては、金銭の授受は具体的に検察官のおっしゃるような趣旨での立証が進んでいるように新聞報道でも見られるわけですが、ただ、問題はそのお金の受け渡し、つまり贈収賄の趣旨を否認をし、争うという状況がずうっと全般的に出てきている。   〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕 これは一つは私どもの予想されたことであります。ということは、検察庁も恐らく予想されたということが捜査の初めにあったろうと思う。こうなりますと、局長がおっしゃるように、公判廷の証人の供述との食い違いに関連をして、検察庁がおとりになった供述調書証拠として裁判所に採用していただくようなそういう方向になってまいるわけです。そうなりますと、公判廷で否認するにかかわらず、贈収賄関係趣旨等については検察官のおとりになった調書の方が任意性があると同町に信用性があるという立証が要る。これは当然のことです。今度のロッキード事件捜査では恐らくそういうような事態が起こるであろう。その場合でも、供述調書について十分の任意性と信用性の証明、立証検察官においてはできるという、そういうことを含めて十分慎重な捜査と配慮がなされて捜査をなされたと私は期待をしておりますが、いかがですか。
  184. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 確かに御指摘のように、ロッキード事件関係で出てまいります証人の中には、供述をあいまいにしたり、あるいは趣旨について否定的な証言をしたりする者が出ておるようでございます。ただ、私ども法務省立場としましては、一喜一憂するというようなことはいたしておりませんで、検察当局に対して大丈夫かというようなことを聞いたこともないわけでございまして、検察当局を信頼してその公訴組打を見守っておるわけでございます。私ごとにわたって恐縮でございますが、私自身検察の現場におきましては長年汚職犯罪と会社犯罪の専門検事でございましたから、相当数多くのこの種事件の公判を知っておるわけでございますが、贈収賄事件あるいは会社犯罪の公判の進行というものは、言葉が悪くて恐縮でございますが、大体こんなものだというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味では、私は自分の過去の経験に徴して、いまの公判経過を見まして、まあいい線を行っておるなと、こう思っておる次第でございます。
  185. 橋本敦

    橋本敦君 だからお言葉を返せば、これはまま往々会社犯罪その他であり得ることで、検察側立証、今後贈収賄事件の公訴事実の立証については検察官は十分確信を持っておやりいただいておるし、そうなるだろうと、こういうように承るわけですね。  ところで、話を変えて、あの三十ユニット関係に関連をして運輸省に伺いたいと思いますが、運輸省は、このロッキード事件が起こってからいままで、部内に総点検本部というのをおつくりになりましていろいろ調査をなさいました。その結果、いかがでしょう、運輸省がおとりになったトライスター導入に関する指導、監督等の運輸行政に関して、いま裁判で起こっているあの口疑獄のいろいろな動き、あれとの絡みで、運輸行政上、運輸行政がゆがめられた、こういう事実について具体的な反省点が出てまいりましたでしょうか。
  186. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。  ロッキード事件と当時の運輸行政とのかかわり合いにつきましては、たびたび衆参両院のロッキード委員会等に御報告申しているところでございますけれども、大綱において誤りはなかったというふうに考えておりますけれども、しかしながら、現実に運輸行政が舞台となりましてああいう事件が起ったということはもう厳然たる事実でございますので、そういった事件の起こりやすい体質があったんじゃないかと、そういうことで、いま先生お示しの行政総点検の仕事を始めまして、いろいろやってまいりました。その結果でございますが、今後はやはり行政処分のルールというものをできるだけ事前に明らかにして、そのルールに従って仕事をしていく、そしてまた、そのルールに従ってどういう判断をしたかという判断結果をできるだけこれも公表するということにしまして、いわゆるガラス張りの行政をするということを心がけたい。あるいは、そもそも許認可権限というものがそういう問題を招きやすい——これはロッキード事件だけではなくて、過去におきましてもいろいろ運輸行政をめぐって疑獄事件が起こっておりますから、こういったことの関連から、許認可権限の整理ということにつきましてもいろいろ検討いたしまして、不必要なものは整理するということで、数次の国会関係法案も出して、整理をしているところでございます。
  187. 橋本敦

    橋本敦君 ちょっと私の質問趣旨からそれて、今後の再発防止ということに力点を置いた御答弁になりましたね。  航空局長に伺いますが、当然運輸省は、あの三十ユニットに関連する丸紅ルート、ここで行われた検察官裁判所における冒頭陳述には重大な関心をお持ちになったはずだと思います。冒頭陳述をお読みになって、具体的に運輸行政上の問題として痛感されている問題はあるはずだと思いますが、いかがですか。
  188. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答えいたします。   〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕  冒頭陳述で運輸省のかかわりのある二つの大きな問題、グループがあるわけでございますけれども、一つは機種選定の問題、もう一つは企業体制の問題、この二つの問題にかかわっておりますが、第一の機種選定の問題につきましては、これは私どもは純粋に行政的な判断に基づいて行動をしてまいった。したがいまして、冒頭陳述にございますような事実につきましては、私どもは部内でいろいろ当時の人も含めて聞いてみましたけれども、冒陳にあるようなことを把握するに至ってないというわけでありますが、一方、企業体制につきましての冒頭陳述に書かれておりますいろいろの事実、これは私どもすべてを知っているわけでございませんが、あのようなことがあったかもしれないということを私どもも感じます。全部が全部あのとおりかどうかは別といたしまして、ああいったことが当時としてはあってもまあ半ば不思議ではないという感じを持っておりまして、それはやはり非常に成長期にある航空産業というものをめぐりましてああいったことがあったということは、まあそうかなという感じを持っておるわけでありまして、そういった意味では、今後の反省材料としては十分そこの点を踏まえて仕事をしているところであります。
  189. 橋本敦

    橋本敦君 私は、運輸行政の責任ということを明らかにする上では、局長のいまのとらえ方はまだまだ甘いと思うんです。冒陳で指摘された事実は部内で調査してもなかったとこう言いますが、部内で調査してないのに冒頭陳述で指摘された事実、これについて、冒頭陳述で指摘されたという事実をもっと重視して検討すべきだ。たとえば検察官の冒頭陳述では、エアバスの導入については、「四十七年度ころを目途として、」両社同一時期に「大型ジェット機の導入を認める方針で臨むこととした。」とはっきり書いている。ところが、これも四十七年度にそういう方針だというのはいままでの運輸大臣以下の答弁でも否定してきた。さらに、大型ジェット機の導入延期決定、これは決定的です。冒険お読みになったと思います。まさに若狭が全日空の利益のために、日航との競争の中で、日航との協議だけでは済まないから、運輸省の行政指導を通じて、全日空の利益を図るために、行政指導によって大型ジェット機の導入延期処置を橋本登美三郎に請託をした、これが中心課題です。いいですか。この事実は、そんな事実はなかったと、こう言ったって通りませんよ。いいですね。こういう重大な冒頭陳述がなされているときに、調べたけれどもそういう事実はないということで済まされますか。私は、いやしくも政府の一機関である検察庁が責任を持って強制権力で捜査をし、証拠を集め、はっきりとこう断定しているこの重大な事実について、運輸省は再度調査して、運輸行政にどのようなかかわりがあったかどうなのかという問題、どうゆがめられたかという問題、この問題を真剣にもう一遍私は調査をし直して責任の所在を明確にする努力をすべきである、こう思いますが、局長のお考えいかがでしょう。
  190. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) これは先国会でもその点が問題になりまして、私どもは、冒険に書かれておりますように大臣から指示がおりてきて、そのことがてこになって導入延期が行われたという事実については、従来そういう事実を把握してないということを申し上げたわけでございます。ただ、これは私どもが持っている権能の範囲内で私たちの当時の関係者に対して聞き取りを行った結果でございまして、検察官などのようないわば強制的、と言ったら言葉が悪いですけれども、われわれよりもより強い権限を持った方が調べたものと違いますので、私たちの調べた限りでは出てないということでございまして、したがって、出てないというだけでありまして、だからといって真実がどうかということを私どもが申し上げているわけじゃございません。私ども調査能力の範囲内ではどうしても冒陳を裏づける事実は把握できてなかったということでございまして、その後もたびたび御指摘が各委員会でございまして、重ねて調べたわけでございますが、そこのところだけはどうしても新しい事実を把握することができてないわけでございます。もちろんこれからも努力を続けたいと思います。
  191. 橋本敦

    橋本敦君 そうすると、局長の言葉によれば、この問題は公判で裁判所が事実を証拠によって確定をするというその状況にならなければ決定的に運輸省は反省するということにならぬということになってしまう。私は、事実の確定は裁判所がそういうようにおやりになるであろうが、少なくとも検察庁が確信を持って証拠によってこのような指摘をなされているこのときに当たって、運輸省の行政上の政治的道義的責任、この問題はもっと真剣に究明するという手だてはないのであろうか、運輸省自身として。裁判所が事実を確定なさったら、われわれはそこまで調査できなかったが、強制権限その他でおとりになった証拠によって認定された事実、それは認めた上で反省するというのは先の先になりますね。私は、運輸省がロッキード問題についてもっと真剣にお考えになって運輸行政上の責任をさらに明確にする一段の努力——努力をなさるといまおっしゃったが、もっとしてほしい。  たとえば、運輸省に伺いますが、全日空は簿外資金という帳簿外資金を利用して三十ユニットを配った、九十ユニットを配った、これは御存じのとおりです。簿外資金のほかに帳簿上の資金の政治献金もある。この二つを比べてみて非常に大きな違いがどこにあるか、どうお感じになりますか。そこまで検討されたことがありますか。
  192. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 私どもそういう二つを比べてみてやはり奇異な感じは持つわけでございますけれども、民間の会社がその気になってやろうという場合には、私たちの能力から見てなかなかその手が伸びないので大変残念だと思いながら見ているわけでございます。
  193. 橋本敦

    橋本敦君 法務省に伺いますが、端的に言って表の資金は国民協会その他へ寄付をされているわけですが、いわゆる帳簿外資金というのは、問題になった九十ユニット関係の金も含めまして、これは具体的に私どもがいう運輸族と見られる皆さん、そういうところへまかれているのが特徴である。ところが表の資金は、そういう個人ではなくて私の調べたところでは政治団体ということが多い。ところが九十ユニットは、御答弁があったように十三名を含む国会議員にまかれている。これはいわゆる運輸族と見られるような、そういう状況であることは検察庁理事会にお出しになった資料、肩書き等から見て出てくる。私は全日空はきわめて巧妙だと思います。丸紅がこの間から問題になったああいう一連の政治団体に対する特定寄付名義の膨大な政治献金をやっていると同時に、領収書もとらないでいわゆる三十ユニットの金をまいたというその違いにあるように、全日空は表と裏を使い分けて政治献金をやっている。この裏の金は法務省が行った中間報告では二億五千万を超えるわけですが、このうち明らかになったのがいわゆる十三人に関する五千万円。あとの二億円の簿外資金を全日空はこれはどういうように使ったんだろうか、これを使う権限を持っていたのは全日空のだれであろうか、この二点を明らかにしていただきたい。
  194. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まずこれを使う権限はだれにあったかという点は、まさに公判における争点になっておりまして、これから立証にかかるところでございますので、御勘弁を願いたいと思います。  それから数億に上る簿外資金、これの行方については、いわゆる外為法違反の立証に必要な限りにおいて検察当局で解明しておると思いますが、その使途一つ一つは、犯罪を構成するものでございませんし、各般の名誉とか秘密に関するものでございますので、お答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  195. 橋本敦

    橋本敦君 当ロッキード委員会としては、何としてもこの二億円に余る全日空の裏資金、これを調べなくちゃならぬというように思います。したがって、私は全日空に対し、この裏資金の二億円余りの使途について、すべての資料を当委員会に提出するよう委員長理事会で御協議願うことをお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  196. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議します。
  197. 橋本敦

    橋本敦君 運輸省に伺いますが、全日空がついに買いましたあのトライスター、あのトライスターの日本への売り渡し金額、金の中にロ社が児玉に払った秘密代理人の手数料、こういったものが全部上乗せされているということは御存じですか、航空局長。
  198. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 私どもとしては把握いたしておりません。
  199. 橋本敦

    橋本敦君 私が五十二年十一月二日に防衛庁の間淵さんにお尋ねをしました。問淵さんはこのようにおっしゃっておられます。ロ社のコンサルタント料がP3C価格に上乗せされないという措置をとっている、そういうようにおっしゃって、その次に、ロ社の申し立てによりますと、それは、つまり秘密代理人の手数料ですが、それはトライスターの価格の中で処理されておるという申し立てでございます。そういう申し立てが防衛庁に来ているというのです。局長初めてお聞きだということですが、ロ社が防衛庁に、児玉に払った手数料その他は全部トライスターに上乗せしたんだ、P3Cには一切乗せておりません、これは真実かどうか、私は究明しなきゃならぬと思う。そう言っておる。そういう申し立てが防衛庁になされたという事実は、間淵さんの答弁で明らかです。航空局長いかがでしょう。トライスターの価格にあの秘密代理人児玉に支払った価格が全部上乗せされておる。これは指導監督という立場で、児玉に払ったそういう手数料が入っておる、ひょっとしたら手数料以外の金も入っているかもしれませんが、そういう高いトライスターを全日空がやすやすと購入をして、そして運賃その他の計算でも機体の償却費その他が出てくるでしょうから、運賃等にかかわりはないとは言えない。この問題、調査なさいますか、調査要求しますが。
  200. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 購入価格は売り手と買い手の間で決められるものでございますが、私どもがその価格の中にいまお示しのようなものがどのぐらい入っていたかということを私どもの手で調べて、果たしてわかるかどうか自信がございませんけれども、できるだけのことはしてみたいと思います。
  201. 橋本敦

    橋本敦君 いま局長は調査を約束されましたが、防衛庁に伺います。児玉に支払った手数料等がトライスター価格に上乗せされているというロ社の申し立て書、これは運輸省の方に、調査をなさるということですからお見せいただけますか。
  202. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) お見せいたします。
  203. 橋本敦

    橋本敦君 厳重な調査をお願いしたい。どれだけの金額が上乗せされたか、ロ社のその申し立て書等によった調査の結果の報告をまたいずれロッキード委員会で求めるつもりであります。  そこで、防衛庁長官に、せっかくお越しをいただきましてありがとうございます。長官にお聞きをしたいと思うんですが、私は、先ほど防衛局長にお話をしたのは、あの例の児玉と小佐野が、ロッキード社が日本に、つまり日本の防衛庁にP3Cを売り込むのに、よし秘密代理人引き受けた、そのかわりにコンサルタント料をもっと値上げせよとロ社に要求をして、ロ社がそれをやすやすと認めて、コンサルタント料の値上げに応じて修正契約をつくった。これはもう事実なんです。検察庁が認定していらっしゃる事実なんです。そういうことまで彼らが策動をしたというこの問題に関して、防衛庁は、今度P3Cを導入されるについてロ社からいろいろ誓約書をお取りになったり、疑惑がないというクリアーをするための書類をお取りになりましたね。この問題の調査と究明が私は抜けているというのです。先ほど局長は、これは問い合わせてみますというようにおっしゃいましたが、このいま裁判で具体的に問題になっているこの問題も究明しないと、私は、一つはP3Cについて防衛庁は完全に国民に事実を報告して明らかにしたと言えないと思うんですが、長官いかがでしょう。これはロ社に調査はやっていただけますか。
  204. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) この問題につきましては、私は十一月二十八日に防衛庁長官を拝命したわけでありますが、前のことを知らないというわけにはいかないと私も思うわけでありまして、当然継続の責任はあると思うわけでありますが、いろいろ防衛局の幹部からきょうまでのいきさつを聞きまして、そして、P3Cというこの哨戒機はまことに優秀な飛行機である、しかしまことにいまいましい、これを買わなくちゃならぬのかと、こういう考え方で、いろいろ私も心を病めたわけでありますが、しかし、日本の防衛をするためにはこれにまさる飛行機はないということで、十二分な私も検討をして、内容、報告を受ける中でやむを得ない、買うべきだという判断をいたしたわけであります。
  205. 橋本敦

    橋本敦君 もう時間が参りましたが、長官、私の質問に直接お答えいただけなかったのですが、兵官、これはずっと問題になりまして、三原防衛庁長官も、このP3Cの導入という問題については、疑惑をすべて晴らして、国民の皆さんの前に明らかにして誤解のない体制をとって、国防会議でもしっかり議論をして、そういう立場を貫いた上で採否を決定するというお約束が答弁としてあるわけです。私はそこまで手続が尽くされたとは思っていないんです。いま私が要求した調査もその一つです。残っております。長官は、三原長官その他がお答えになったように、国民に対してP3Cに関する疑惑を完全に晴らすということをおやりに——これでもうできたとお思いですか。もっとやらねばならぬという立場でお考えですか。そこの点が伺いたかったんですよ。
  206. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 私の防衛庁幹部とのいろいろな話し合いの中で、いわゆる国民にもできるだけわかる手段は講じたと、こういうことでありますし、また、国防会議でもこの審議が足らなかったんじゃないかというようなきらいもあるというような御批判もあるわけでありますが、私はこの会議は五回、その中に真剣な討議をされた姿を、私も国防会議の議員の一人として聞き、ながめ、私も意見を述べる中で十分に尽くされたという私は感じがいたしますが、先生のいわゆる十二分に尽くされたかという点については、これは見解というものがあるわけで、あなたの方は尽くさないと言うし、私の方は尽くされたと言う。ただ、このような事件は、二度と為政者あるいはこれに携わる行政の役人も、すべてこういうものに対しては、二度とこういうことのないような、そして、国民にも十分に、より以上になるほどというだけのことをPRしなければならぬことは当然だと私は考えておるわけであります。
  207. 橋本敦

    橋本敦君 時間が参りましたから質問を終わりますが、私はまだP3Cの価格問題その他についてお伺いしたかったのですが、きょうは時間が参りましたので次回にいたします。いずれにしても、P3Cをめぐる疑惑について完全にまだ解明されていないということで、ロ特では今後も究明するために、きょうは質問を保留して、これで終わりたいと思います。  長官どうもありがとうございました。
  208. 秦豊

    ○秦豊君 法務省にまず伺っておきたいのですが、さっきから拝聴していますと、三十ユニットと九十は性格が違う、それに御留意をいただきたいと——当然なんですよ。しかし、事件をめぐって動いた金の全容にかかわる以上、精査しなければならない。これは私の印象だけれども、局長ね、何か九十ユニットについては捜査が深まってない、調べ方が鋭くない、こういう印象を私は持っている。一体精査する必要がないからなのか、あるいは精査する意思があっても、法務、検察としての体制がどうも不十分だから深まらないのか、その点をまず伺っていきたい。
  209. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 三十ユニットの金の行方につきましては、密接不可分証拠共通の関係がありますから、言葉が適当でないかもしれませんが、徹底的に捜査を尽くしております。  九十ユニットの金の流れについては、犯罪を構成する部分がありませんから、そういう意味では、いま御指摘のように、三十ユニットの金ほど捜査が深まっていないというふうに見てもいいのではないかと思います。
  210. 秦豊

    ○秦豊君 そこで、局長、この九十ユニットの中で、もらったと思われている人が十三人、これはもう肯定されている、朗らかである。ところが、その氏名不詳の人が恐らく七名いると思うのだけれども、その後の取り調べで、捜査でその氏名ぐらいは明らかになったのか、七分のXぐらいは。その点はどうですか。
  211. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 十三名の方すべてについて、初めから検察当局としては氏名はわかっております。
  212. 秦豊

    ○秦豊君 その氏名は——もちろんそういう質問をすると、人権、プライバシーと、答弁のパターンがあるから、重ねて聞かないけれども、じゃ全員は不詳ではなく、全員をつかんでいらっしゃる。しかるべき場であればそれは発表できる、たとえば秘密会、これは当然ですね。違いますか。
  213. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもは犯罪を構成しない事実につきましてこれを公表することは適当でないと思いますが、国政調査のお立場において、政治的道義的責任ありというもののカテゴリーをお示しいただいて、それにこれが当たるということになりますれば、秘密会等の方法によって申し上げることはやぶさかでございません。
  214. 秦豊

    ○秦豊君 関連して、自治省側に確かめておきたいのだけれども、この九十ユニットに絡みまして、十三人はもう氏名が明らかに割れている、いまの局長の答弁で。そうすると、少なくとも事件をはさんで昭和四十七年、四十八年の政治資金規正法に絡んだ把握は、あなたの手元ではどの程度明らかになっているのか。まず申告の有無、内容、いかがですか。
  215. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) いままでもお尋ねによりましてお答え申し上げておりますとおり、自治省は政治団体政治献金を受けました場合に、受けました政治団体からの報告によってこれを公表いたしておる……
  216. 秦豊

    ○秦豊君 それはわかっている。
  217. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) そういう役目でございます。したがいまして、その報告のあります金が寄付者の側からどういう金であるか、ただいまお尋ねの九十ユニットというお言葉でございますけれども、私どもではどういう性質の金であるかということについては承知をする立場にないわけでございます。
  218. 秦豊

    ○秦豊君 全日空の澤専務の証言の中に、私どもとしては裏金をつくらなければ云々と、こういう個所があるわけですよ。そうしますと、全日空のこれは俗に言って裏口座に当たると思うのだが、国税庁としては当然反応を鋭くして調査を行う、裏をとるということぐらいはせめてしていると思うのだが、裏金証言について全日空側への取り調べは、国税庁としてどの程度なされているのか、また、その結果どの得度のことが把握できたのか、また、それに対してはどういう措置をとったのか、あるいはとっていなければ、とるのかを含めて御答弁を願いたい。
  219. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) まず全日空似の澤証言による裏金の問題、これはデモフライトに関する費用の問題だと思いますけれども、この問題に関しましては全日空側の方から法人税としての修正申告が出されておりまして、まず全日空側の法人税の課税というものはもう終了していると申し上げてもよろしいかと思います。しからばそういった裏金によって支出された金がどこに流れておるかということになりますと、これは御承知のようにいわゆる使途不明金ということになっておりまして、われわれとしては、全日空側からはその使途先についての相手方というものをつかむことはできないわけであります。  また、事実国会の審議等あるいは中間報告等でわれわれが知り得ました受領者につきましては、すでに三年の除斥期間も終了しているというようなことでございますし、それからまた、それ以外の、たとえば昭和五十年になって受け取ったと言われておるような方もあるわけでありますけれども、われわれとしては的確にその氏名、それから確信というものをまだつかんでいない。したがって、課税上の処理はやっていない。ただ、今後の公判廷の推移等を見まして、これはその課税期間中に課税すべきものであるという確信を得た場合には税務上適正な処理をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  220. 秦豊

    ○秦豊君 法務側に伺っておきたいんですが、裏金証言に関しまして、当然検事調書が存在すると思います。こういう調書の場合には、やはりそれが証拠として万全に採用されている、保全するという段階があったら公表しても差し支えないというふうに一般的に認識されているけれども、この裏金証言に関する検事調書の中身を明らかにはできますか。
  221. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 公判廷に提出されまして証拠調べが終わった範囲におきまして、御要望があれば御報告申し上げられます。
  222. 秦豊

    ○秦豊君 もう一つあなたに伺っておきたいのだけれども、さっきから同僚議員に対する答弁を聞いていますと、児玉譽士夫、小佐野賢治の病状の最近のリポートがあったのだけれども、あれを聞いていると、児玉譽士夫は後遺症は去年の真ん中ぐらいと余り変わらない、で、次々に診断書を出す、不出頭という状態で、公判は不在地主のままで進んでいる、こういうことですよね。ところが、あの程度の病状であれば、たとえば出張審問くらいには耐え得るのではないかと当然思われるわけです。事は医学の領域にしても、それをなさらないのはなぜか。その必要をあなた方が認めていないためなのか。今後ともそういう状態をお続けになるつもりなのか。その辺をあわせて答弁してください。
  223. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 児玉譽士夫が裁判へ出頭しないことを許可していますのは裁判所でありますから、私どもがその関係お答えする限りではありません。ただ、御記憶のように、衆議院ロッキード委員会証人喚問に対して不出頭でございました。この事件の被告発人として取り調べる必要がありましたので、検察官は必要な限度において臨床尋問をいたしております。
  224. 秦豊

    ○秦豊君 いまから伺うことは、法務側とそれから官房側、つまり政府ですね、に伺いますが、官房長官の出席を待って後半はいたしましょう。  まず、法務、これは法務行政の一環だと思うから伺っておきますが、かねがね、これだけ時間がたちながらロッキード特別委員会調査能力は一向に拡充されない、強化されない。一番大きな原因は専門スタッフがいない、予備審査ができない、調査ができない。だから、アメリカの何々委員会のようないわゆる適確な対応に欠けるところがある。  ところが、あなたの担当範囲で言えば、検察庁が、人数の面でこれを聞いておきたいんだが、現在特捜部が二十二、三人だとぼくら思っているが、そのうちロッキード裁判の方に仮に十人とられているとした場合、ほとんどあとの人数ではこれ以上捜査を進めるとか手を広げるということは現実の問題としてはぼくはできないんじゃないか。これは第三者の、素人の意見ですよ。そうすると、全容はまだつかめていない、まだまだ調べねばならぬことが山ほどあるにもかかわらず、この体制で果たして対応できるのかどうか。さらに具体的に言えば、一人の検事に対して検察事務官も本当ならば三人くらいは必要ではなかろうか、分野ごとに。ところが、大体一対一ではないのか。こういう体制でこの膨大な、まだ氷山の一角しか明らかになっていないのに、今後対応ができるのかどうかということについて、刑事局長の見解を聞いておきたいし、現実にいま検察のメンバーというのは、人員というのは一割近くがいつも欠員じゃありませんか。
  225. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず検事の現状ですが、全国の第一線の地方検察庁に勤務しております検事が現在八百六十名おります。おかげさまでことしの四月に司法研修所から巣立ちました者が五十八名検事になりましたので、現在欠員ゼロという状態でございます。  で、検察庁と申しますところはきわめて特殊な組織をなしておりまして、検事総長の指揮が一たびありますれば、日本じゅうの検事がどこへでも応援に出るという体制になっております。現在お尋ねの順序で申しますと、公判関係につきまして、検事七名、検察事務官七名、合計十四名で公判に専従しておるわけでございますが、これは特捜部要員の外枠でございまして、特捜部の捜査に当たる者の人数は従前と変わっておりません。  なお、ロッキード事件の最中、最も繁忙をきわめました時期は、全国的に動員をかけまして、東京地検特捜部出身検事を中心として検事五十名、副検事六名、検察事務官百三名、合計百五十九名で専従したわけでございまして、その程度の動員は二、三日あればできるということでございまして、その点は御心配いただかなくても結構じゃないかと思っております。
  226. 秦豊

    ○秦豊君 願わくはその自信を裏切らざることを要望しておきましょう。自信満々で結構です。その割りに捜査のテンポが鈍いとお返しをしておきましょう。  運輸省航空局長いらっしゃいますね。  このロッキード事件をはさんで運輸省の行政指導を、きょうはとても話が煮詰まらないから、今後の追及の素材にしたいから、あなたに確めておくんだけれども、当初運輸省の行政指導というのは全日空、日本航空共通機種という指導の時期があって、論より証拠に第一号機はボーイング727、これがしばらく行政指導の中心だったですね。それから全日空が事故を起こした。どうも技術水準が低い、体制がなっていないというので、今度は技術提携という路線が敷かれた。これも行政指導の反映である。そこで、それから間もなくエアバス時代の到来があって、例のJALが747SRを導入する。そして、問題の全日空がトライスターだと。どす黒い金にまみれたと。こういう経緯があるわけですね。  それで、運輸省に聞いておきたいんだが、なぜ運輸省が当初の行政指導を緩めて、それぞれ各社単独の機種決定にゆだねたのか。もちろん、航空会社の自主性は知ってますよ。知っているが、行政指導というのが根元にあったんだから、それをなぜ緩めたのか、これを今後のために聞いておきたい。つまり、言いかえれば、JALが747SRを決めた経緯と理由は一体何であり、運輸省はそれをどのように位置づけ、割り切っているのか、この辺を答えていただきたい。
  227. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 727を買いました当時の航空企業のやはり体力と、エアバスを選定する時代の体力との間にかなりの差がついてきたということが基本的な原因であると思います。したがいまして、四十五、六年当時、これはもう航空輸送需要がかなり急激に上昇するというバックグラウンドもございましたし、そういった中ではもはや機種統一ということじゃなくて、むしろそれぞれの会社の路線の状況に応じ、輸送需要の実情に応じて自主的判断にゆだねるということが正しいと判断をして、727導入当時のような機種統一の強力な指導をしなかったんだろうと私は理解いたしております。そこで、747SRあるいはL一〇一一トライスターを選んだ理由、これにつきましては、それぞれの会社が機種選定委員会を開きましてそこで決定したわけでございますので、私どもは両社から選んだ理由として把握したものは持っております。それの御説明でよろしければ御説明申し上げたいと思いますが。
  228. 秦豊

    ○秦豊君 はい。
  229. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) それでは時間がありますので簡単に言います。  まず、日本航空が747SRを選んだ理由。三機種とも性能面あるいは運用特性面等々につきましては——三機種というのはSRとDC10それからロッキード一〇一一、この三つでございますが、そう大差はない。ところがSRにした大きな理由としましては、一つは整備の問題でございまして、日本航空は大体ボーイング系を使っておりましたので、SRを買う方が従来の整備体制の連続性というところから考えてこの方がすぐれているということを判断したことが一つございます。それからもう一つは輸送力でございまして、DC10あるいは一〇一一の方は三百人ぐらいの能力しかございませんが、SRは五百人ございます。そうすると、日本航空の幹線輸送需要に対応するためにはSRの方がよろしいと、こう判断したわけでございます。特に、国際線では747LRを使っておりますので、そういったこととの関連もやはり考えましてSRにしたというふうに会社では報告をいたしております。後にDC10を買うことになりますけれども、これはSRよりももう少し需要の少ない路線に対してDC10を選ぶということで、これはこれなりの理由で選んだと聞いております。  それから、全日空ロッキードを選んだ理由でございますが、全日空の路線は日本航空に比べますと輸送需要もそれほど大きくないし、わりと短距離な路線が多いと、そういったことでSRよりはし一〇の方が使い勝手がよろしいということ。あるいはL一〇に使っておりますロールスロイスのエンジンは非常にいいエンジンである、かつまた三軸型という、エンジンが三つついておりますが、これがいろいろの面で整備上、あるいは安全上よろしいと判断をしたこと、それから騒音の問題でございますが、騒音につきましてもし一〇の騒音は非常に低くて優秀であると、こういつたことがロッキードを選んだ理由であるというふうに報告をしておりまして、私どもこれらの選定理由についてはほぼ妥当なものと考えているわけでございます。
  230. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  231. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。
  232. 矢田部理

    矢田部理君 きょうは総理の出席を求めておったのですが、出席できませんということでありますので、官房長官に出席をいただきました。したがって、内閣としての立場についてお伺いをしたい点と、それから官房長官の政治家としての姿勢について伺っておきたいと思います。  時間がありませんので、簡単にお答えをいただきたいと思いますが、あなたの政治活動を支援する団体として晋友会というのがございます。その晋友会に丸紅から昭和四十六年と四十七年に政治献金がなされているようでありますが、事実でしょうか。
  233. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 晋友会というのは私の後援会でございます。新聞に出まして、早速調べたわけでございますが、晋友会に対して丸紅会員になっておりまして、会費を払い込んでおります。
  234. 矢田部理

    矢田部理君 丸紅はどういういきさつで、いつごろから会員になられたのでしょうか。年々の普通会費幾らになっているでしょうか。
  235. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) どういういきさつかはっきり覚えておりませんが、晋友会というのは私の友人同士が集まって私を支援すると、こういうことで後援会として政治団体の届け出をして発足してきておりまして、そういう中で友人たちがいろいろと奔走、協力して各方面から会員になっていただいておる。丸紅はその一つであろうと思いますが、昭和四十七年はたしか三十万円だと思っております。
  236. 矢田部理

    矢田部理君 年々の会費は。
  237. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 結局、年々といいますか、会費として三十万円いただいておるということだと思います。
  238. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとはっきりしないのでありますが、晋友会の規約によりますと、本会の会員は普通会員と特別会員と二通りあると。丸紅は普通会員ですか。
  239. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) たしか普通会員ではなかったかと思います。
  240. 矢田部理

    矢田部理君 普通会員は一口一万円でありますから、何口というふうに申し出等によって決められるわけでありますが、特別に、四十六年と四十七年を比べますと金額が三倍になっているわけでありますが、会として金額を増額してほしいという要請をしたことがございますか。
  241. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は直接タッチしておりませんからその辺のところはわかりませんが、会員としていただいておりますし、それは会費としてもちろん領収書を出しておりますし、会員会費をまとめて自治省の方にも届け出をしているわけです。
  242. 矢田部理

    矢田部理君 あなたは会費寄付の区別をどういうふうにされておりますか。
  243. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私がしているわけではありませんけれど、その規則によって会員ということになって、会費をその規則によっていただいておると、こういうたてまえになっておると思います。
  244. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと内容がはっきりしませんが、この三十万円というのは増額をされているわけですが、あなたの方のイニシアで増額をしたのでしょうか。それとも丸紅の方の申し出によってしたのでしょうか。
  245. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) それは私自身がタッチしているわけじゃないですからもちろん私は承知しておりませんが、晋友会がどういう形でだったのか丸紅等が会員になりましてそして会費を支払っていただいておるということでありますから、私自身がその間に直接話をしたとかそういうことはありません。
  246. 矢田部理

    矢田部理君 いつごろから会員になったか、晋友会の結成時からの、当初からの会員であったのかどういう関係であったのか全然わからない。丸紅と今日までいろんな面で、仕事の面なりその他で接触をしたことはございますか。あるとすればその具体的事実について。
  247. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 直接仕事の関係というようなものは全然ありませんが、政治家になりましてからいつの段階かはっきり覚えておりませんが、丸紅会員の一社として入会をしていただいてそれは続いておったんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  248. 矢田部理

    矢田部理君 御承知のように丸紅全日空と並んでロッキード事件の主役でもありました。従前はともかくとして、こういう事案が国内でも大変な問題になったという段階で、こういう献金をさらに受け取るという姿勢をとられるのか、それとも国民から指弾を受けるような企業からは受け取らないという立場をとられるのか、官房長官としての、あるいは政治家としての考え方を伺っておきたいと思います。
  249. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ああいう事件が起こってからは、もちろん会費としていただいてもいないと思いますが、やはり政治家として、自分を応援する団体ではありますが、しかし、いろいろな問題がある会社からは、やはり会費といえども受け取ることにつきましては、その会が受け取ることに対しましては、姿勢を正してこれに対応しなきゃならない、こういうふうに思います。
  250. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点、ちょっと前後しますけれども、この記録によりますれば、丸紅は野付金台帳から支出をしております。通常会費については別の勘定があるんです。ところがあなたは会費会費だと言っているんですが、少しく強弁ではありませんか。当時の政治資金規正法では、帯付金は届け出なけりゃならぬことになっておりまして、虚偽の申告は許されないわけですが、その点について、どうも受け取り方に食い違いがあるわけですが、どうお考えでしょうか。
  251. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私が受け取ったわけじゃなくて、晋友会という会が受け取ったわけですが、それはあくまでも会費として受け取って、それは領収書を会費として出して、そして会費として総額を自治省に届け出るということですから、これは会社の方がどういう形になっておるか私全く知りませんけれども、私の方は、会の方はそういうふうにきちっとしているわけです。
  252. 矢田部理

    矢田部理君 時間がありませんから詰めませんが、出は寄付、受け入れば会費というのも奇妙な話でありますが、これは後の問題に残すといたしまして、内閣としては、現在の閣僚、総理も含めて実に五名の方々丸紅から政治献金を受け取っている。特にトライスターを決定した時期であります十月三十日には、従来にも増して増額をされ、本来ならば年末に受け取るべきものを、くしくもその十月三十日に受け取っておるというところで、いろんな疑惑あるいは問題点を感ずる人たちがいるわけでありますけれども、五人もの閣僚が受け取っているということについて、今後内閣としてどう考えるのか。  それから二番目には、福田総理のというか、福田派の後援会政治団体と思われる千代田経済懇話会というのがございます。これがまた年間六百万ぐらいの政治献金を受け取っているようでありますが、その件について総理と話し合われたことがあるかどうか、あるとすればどういう考え方に立っておられるのか、まとめて伺っておきたいと思います。
  253. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはまあ会費とか政治献金というのは、もちろん本人の場合もあるでしょうが、後援会——いまいろいろと御指摘がある分は、皆後援会団体が受け取っているわけですから、直接その政治家とは関係がないわけでありますけれども、もちろん応援をするという団体でございますから、そういう意味においては問題はもちろんあるわけでありますが、法の許される中で正当な政治献金会費である以上は、これは私は別に差し支えはないのじゃないか。ただ、丸紅という会社、そしてああいう事件が起こった、そういうことを知って、あるいは事件が起こった後にということならば、それは政治家の姿勢として大いに反省をしなきゃならぬ点もあると思いますが、そういう事実が明らかになる前に、一般の会社と同じように正当な領収書を出して、そして法の範囲において正当な政治献金として受け取るということは、私は差し支えはないんじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。
  254. 矢田部理

    矢田部理君 福田総理の……
  255. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 福田総理とは、この問題については話し合ったことは一切ありません。
  256. 矢田部理

    矢田部理君 福田総理を支える政治団体に多額な政治献金がなされてきたわけでありますから、総理は国民に向かって、その事実なり、それを受け取ってきたことを今後どうするかということについて、みずからの姿勢を正す意味でも、明らかにしてしかるべきだと思いますが、全然あなたと口もきいておらないんですか、この問題について。それが一点。  時間がありませんから、もう一点つけ加えておきますと、やっぱり現職閣僚が五人も、人によってランクはありますけれども、相当額の献金を受けてきた。そういう点で、何らかのやっぱりかかわりを持ってきたことが——それだけではないと思いますが、今日の福田内閣が、どうもやっぱりロッキードに対する姿勢が後退に後退を重ねている、とりわけ福田総裁が率いる自民党は、野党のたび重なる要求にもかかわらず、証人喚問等には頑迷なまでに拒否の態度をとる、ここが実は政治姿勢の基本として問われているわけでありますが、証人喚問等については、それは国会で仕切るべきことであって、内閣の問題ではないかのような逃げをしばしば弁解としては出しますけれども、しかし政府なり自民党の政治姿勢そのものがやっぱり問われる問題として厳しく受けとめるべきだと考えますが、最後にその二つの点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  257. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 丸紅からその政治資金が出されたと、それを受け取ったと、現職閣僚ということですが、いま現職ではありますけれど、その当時は、閣僚であった場合もあるでしょうし、あるいは閣僚でない者もあるわけですが、ひとしく自民党の政治家であることは、いま御指摘人たちはもちろん、私も含めてそうでございますが、どうも政治資金規正法によって、これは領収書をきちっと出して、そして会費として自治省にも届け出る、あるいは政治資金としてきちっと届け出るということは、法に基づいて、法の許される範囲で政治活動を続けていく上においてその後援団体がやるのは、別に私は差し支えないことであるし、当然のことじゃないかと思うわけでございまして、たまたま丸紅ということでああいう事件が起こったということで批判をいま受けておるわけでございますが、ああした事件が起こった後にそういうことを続けていくということについては、これは反省をしなきゃならぬと思うわけですが、そういう事実を知らない中で、一般会社と等しくそういう法の許される中で堂々と受け取っておる、そしてそれはもうきちっと手続を踏んでおるということなら、私はそう非難される筋合いはないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけですが、しかしこれからの問題として、いろいろと批判をされるような政治資金等を受け取るということは、これは政治の姿勢として反省すべき点は反省しなきゃならぬと考えるわけです。  それからロッキード事件については、これは総理もしばしば申し上げておりますように、これの真相が明らかにされるということはもちろん当然のことでありますし、法廷においても逐次明らかにされておるわけでありますし、また国会におきましても、ロッキード特別委員会等においてこれが追及をされておるわけであります。政府としては、証人喚問等につきましては、これは国会のなさることでございますから、政治が、政府がこれに対して介入するということはないと思いますが、公判を進める上において障害のない限りにおいては、政府として協力すべき点は積極的に協力してまいるというのが政府の姿勢でありますし、これまでそういう立場で対処してまいったと、私はそういうふうに思っております。
  258. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 官房長官、いまもお話がございましたが、いま国民はロッキードの疑獄事件解明が遅々として進まない、こういうことで非常に心配しているわけですけれども、そういう段階で、いまお話がございましたように、大平さんの関係も、福田さんの関係も、あなたの関係も、三木さんの関係も、こういう重要メンバーがずらっと丸紅政治献金、こういうのを受けている。確かにいまあなたが言われていますように、法律的にも、そしてまた正々堂々と、間違いないんだからというふうなことなんですけれども、やはりこの事件が起きて、政治的な道義としてこれはいかぬと、やはりここだけは、明快になるまでは、解明されるまではストップして、やはり政治姿勢として、政治的な道義として、せめて政府の首脳陣のわれわれだけは姿勢を明らかにしていこうと、そういうお考えは官房長官を含めてトップの方になかったのかどうか、これがまず一点です。まずそれを伺いたいと思います。
  259. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ああした事件が起こることを知ってとか、あるいは起こって後に受け取ったということならば、これはまあ問題があると思いますけれども、しかし、そういう事態になるということなどは夢にも知っているわけじゃないわけですし、一般の会社と同じように、これはもうきちっと上場されておる堂々たる商社でありますから、一般の会社と同じように会員になる、あるいは会費を受け取る、あるいはまた政治資金を受け取るということは私はどこが悪いんだろうかと思うんですけれども、別に秘密にもらったとか何とかということじゃなくて、これはもう堂々とそれこそ領収書を出して、そして自治省にも届け出をしているわけですから、まあ後になってみれば、丸紅という会社がロッキードに大きく関連をしておったと、この点についてはその後はきちっとした態度で臨んでおることは当然でありますから、私はその辺がどうもまあ政治家として姿勢を正すところは正さなきゃいけないと私も思っていますけれども、いまの政治資金規正法によって、準拠してやるわけでありますから、どうもその辺のところが御指摘の点がわからないので、間違っておるとは思っておりません。
  260. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま国民は、ロッキードの疑獄事件の解明が進まない、そういう懸念を持っている方たちも、こういう政治献金の一覧を見て、ああここまで献金していただいていると、なれ合いというのか、情が移って進まないんだなという一面も国民はあります。そういうわけですから、私は、福田内閣はロッキードの疑獄事件についてはもちろん国民の政治不信、これを取り除くためにもその解明に全力を挙げていないのではないかという懸念性を持たざるを得ないわけです。  そういう意味で、官房長官、政府を代表して、ではそういうことが何もないと、もらうものは法的にきちっとしているんだから問題ないと、そういう立場であるならば、このロッキードの問題については、政府は今後遅々と進まない、きょうだって所轄の法務大臣もお見えになっていらっしゃらない、こういうふうなかっこうをもし国民が見ると、一体これはどうやっているんだということになるわけですけれども、政府は今後、この福田総理も前回の三木総理も、ロッキード問題は徹底的に究明すると、こういうふうに言われておるわけですけれども、今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、この席ではっきりしていただきたいと思います。
  261. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ロッキード事件真相というのはだんだんと私は解明されておると、これはそういうふうに思います。信じておりますし、公判等においてもこれは明らかになって、事実というものが究明されておることは事実でありますし、また委員会等におきましても、三年余にわたってロッキード委員会で着々と解明は進んでおる。ですから、政府がこれに対して怠っておるとか、自民党がサボっておるとか、そういうことでは決してないというふうに思うわけです。証人喚問等も行われましたし、委員会において事実等は次々と明らかになっておるわけですから、これは私は決して怠慢であると、こういうふうには思っておりませんし、今後とも公判でますます事実は明らかになるでありましょうし、委員会においてもいろんな事実がまた論議され追求されることは当然だろうと、こういうふうに思うわけです。
  262. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間がございませんので最後の質問に移りますが、官房長官言われていますけれども委員会も遅々として進んでいない。こういう現況です。  最後の質問は、福永氏も証人喚問に応じたい、こういうふうにも言われていたわけなんですが、そういう意思を無視して、自民党の役員会、総務会が喚問要求に応じないというふうな態度になっている。そうしてまた灰色高官についても、報道で見ますように疑義というものがいろいろ出ているわけです。そうなれば、証人喚問という場において人権も名誉というものも、やはりきちっとすれば、しゃべっていって黒白明確にすればそれははっきりするわけですから、耐水氏の場合も灰色高官といわれている人たちの場合も、やはり証人喚問に応じるべきであって、それを自民党の、福田さんが総裁ですけれども、含めて、役員会や総務会でなぜそういう喚問要求に応じないのか。そういう点の理由をお伺いしたいと思います。
  263. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は政府の立場で出席しているものですから、国会あるいは自民党の立場お答えをするわけにはいかないわけでありますが、そうした問題は、国会あるいはロッキード対策特別委員会処理されるべき問題だと、こういうふうに思います。
  264. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 最後に要望だけ。特に福田総理にもお伝えをしていただきたいわけですけれども、やはり政府も自民党のトップもやはり国民の立場から、国会の自由意思、いろんなことを言っても自民党は多数ですから、やはりきちっとしていただかないといよいよ政治不信はつのるばかりだと思うわけです。そういう意味で福田総理もきちっとやっていくと、こういうふうにいろんな場所で断言をされていらっしゃるわけですから、そのようにやはり力を入ていただかなくちゃいけない。こういうことを伝えていただきたい。要望して終わります。
  265. 橋本敦

    橋本敦君 官房長官に私もお伺いしたいと思うんですが、戦後数々の疑獄を生み、ついにロッキード疑獄という問題まで出てまいりました。私はやっぱりこれは政治と財界の癒着なり、政治の金権体質というものを根底からなくしていくためのよい機会だと思っておるんですが、そういう意味で、私どもの党としては、大企業、財界からの政治献金は一切やめるべきだということを申しておるわけです。しかし、これは官房長官にそう申し上げても先ほどの御答弁のように、なかなかそうしましょうという答えが出ないと思う。ただ官房長官、この丸紅という会社、全日空という会社、これは今日明白にロッキード疑獄の下手人であり、明白に黒であり、そして犯罪容疑者である。これはもうはっきりしましたね。だから先ほども官房長官は、あの事件が起こっておった後ならばともかく、知らないときにもらったんだからということをおっしゃった。もう今日では後も後もまさに真っ異な犯罪会社であることがはっきりした。そこで官房長官、今後この丸紅全日空、少なくともこの二つの会社からは、後援会や、あるいは政治団体、これは政治献金はいただきませんと、このことはここではっきりお述べいただきたいのです。
  266. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私に関しては、いま挙げられた会社からはそういうことは、もちろん後援団体ですけれども、十分厳重に注意をして、そういうことはないようにこれはやっていきます。
  267. 橋本敦

    橋本敦君 よくわかりました。私は当然そうでなくちゃならぬと思います。  そこで、官房長官は内閣の取りまとめとして重責を負っていらっしゃる。そこで私はお願いしたいのは、これは自民党のすべての皆さん、その他の皆さんに同じようにお願いしたいんですが、少なくとも官房長官というお立場にお立ちになって、いま問題が出ておりますように、事件が発覚する以前であるにしても、閣僚の中でもらった方もあるわけですから、この問題は官房長官のいまの御決意と御意思は閣僚の皆さんにも、少なくとも閣僚の全部は、あの全日空丸紅からは、それぞれの後援団体政治団体政治献金はもらわないようにするということは官房長官から皆さんにもお話しをいただいて、内閣としてはそういう姿勢だということをはっきりしてもらいたい。いかがでしょうか。
  268. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは政治家の個々の道義といいますか、モラルの問題じゃないかと思います。ですから、政治家として活躍、活動する以上は、そうしたことは当然今日の事態においては考えるものであると、こういうふうに思っておりますし、いま橋本さんがお話しのようなことについては、私もこういうことで私自身立場お話ししたということは名閣僚にも申し上げます。
  269. 橋本敦

    橋本敦君 その点は姿勢を正していただくということを期待をして、質問を終わります。
  270. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして本件に対する本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会