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1978-02-28 第84回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 正示啓次郎君       奥野 誠亮君    片岡 清一君       坊  秀男君    渡部 恒三君       井上  泉君    木島喜兵衞君       中西 績介君    原   茂君       藤田 高敏君    横路 孝弘君       草川 昭三君    二見 伸明君       宮井 泰良君    大内 啓伍君       山本悌二郎君    瀬崎 博義君       藤原ひろ子君    兼務 小川 省吾君 兼務 吉田 之久君  出席国務大臣         文 部 大 臣 砂田 重民君  出席政府委員         文部大臣官房会         計課長     西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省学術国際         局長      井内慶次郎君         文部省社会教育         局長      望月哲太郎君         文部省管理局長 三角 哲生君         文化庁長官   犬丸  直君         文化庁次長   吉久 勝美君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         消防庁予防救急         課長      荒井 紀雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     木島喜兵衞君   横路 孝弘君     栗林 三郎君   二見 伸明君     草川 昭三君   大内 啓伍君     山本悌二郎君   寺前  巖君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     原   茂君   栗林 三郎君     中西 績介君   草川 昭三君     宮井 泰良君   山本悌二郎君     大内 啓伍君   瀬崎 博義君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   中西 績介君     横路 孝弘君   原   茂君     井上  泉君   宮井 泰良君     鍛冶  清君   藤原ひろ子君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     水田  稔君   鍛冶  清君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     村山 富市君 同日  辞任         補欠選任   村山 富市君     藤田 高敏君 同日  第五分科員小川省吾君及び吉田之久君が本分科  兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算  (文部省所管)     —————————————
  2. 正示啓次郎

    ○正示主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算文部省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島喜兵衞君。
  3. 木島喜兵衞

    木島分科員 毎年、たとえば地方、在京の交響楽団補助金を出しておるのでありますけれども予算通ったならば日本フィルにはことしもまた出さないという方針ですか。     〔主査退席片岡主査代理着席
  4. 砂田重民

    砂田国務大臣 出さないという方針を決めているわけではありません。昨年もそうでありましたように、日本フィルに対しまして補助金を出したい、こういう気持ちで基本的におります。ただ一つ、これはもう木島先生よく御承知でございますが、困っておりますことは……(木島委員「それは弁解だよ」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。御承知のようにフジテレビ等訴訟になっております。その訴訟内容にちょっと困っておる。それは雇用契約関係存在確認等請求裁判になっておるものですから、日本フィル側がこの裁判で勝ちますとフジテレビ社員になるわけでございます。そのことを訴えておられるものですから、日本フィルの皆さんがフジテレビ社員になられますと、しかもさかのぼって給料が払われるようなことになりますと補助支給対象にならない、それが実は文化庁の悩みでございます。ただ、仲に立つ人もあり、和解というお話日本フィルからも直接伺ってもおりますし、どうなりますか見守ってまいりますが、予算としては準備をいたしておるわけでございます。そういう行政的立場に立って余りにも法律解釈だけで冷たいという御批判があるかと思いますけれども、やはり補助金性格上ここの一点にひっかかりがありますために現実に補助金支給ができない、そういう状態にあるわけでございます。
  5. 木島喜兵衞

    木島分科員 私あえてこの委員会でこの問題を真っ先に取り上げたのは、音楽大変造詣の深い砂田さんでありますから、そして私は安達さん、安嶋さんが文化庁長官のときにもずっと折衝をしてまいりました。しかしあえて私は委員会で取り上げてはこなかったのであります。ただ、いまそういう御答弁でありますから、そしてこのような委員会性格でありますから深追いはいたしません。ただ、なぜ地方交響楽団補助金を出すのか、音楽というのは元来大衆の歓喜の叫びやあるいは慟哭やあるいは悲鳴というようなものから出発したのだろうと私は思いますけれども、それが体系化されて、そして王侯貴族、そして現在は資本援助ないし資本に雇われなければ音楽というものは経営できないという状態だと思うのです。しかし、その流れは必ずやまた再び国民のものになるであろうし、その過程を通っておる。しかし、今日ではそれでは経営ができないから資本の中にある。だが、それではいけないから国民税金でもって補助をしておる。そのことは、ことに地方交響楽団はその思想中心であります。東京都が交響楽団を持つのも、都民税金という意味では資本から離れて都民というそこに基点を置いているという方向は否めないと思うのです。とすれば、いま資本の支えなり資本雇用の中にあればおのずからそれは労働問題というものが起こってくる。楽団員といえども労働法上の労働者でありますから当然それは起こる、そのことでいろいろな紛争が起こる。しかし、その紛争に事寄せて出さないという思想文化庁にきわめて強い。私は文化に対するきわめて非文化的対応文化庁だと言っていいだろうと思うのです。ですから、私は細かいことは言いません。そしてわりあい細かいことまで知っておるつもりでおります。いまおっしゃったことも、それはずっと一貫して言っていることです。そして少しも進歩がないのです。けれども、ある文化庁長官と私の間ではぎりぎりまで、もうすぐに解決とまでいったのでありますが、その後長官がおやめになられまして解決しなかったことがあるのであります。そういう限りでは、いまおっしゃったようなことは実は公式的な言い方でしかありません。そういうことを厳密に言うなら、たとえば管理能力等もおっしゃることもあった。しかし、地方交響楽団はそういうものに適切であるかどうかということは、個々にはいろいろ問題があると思う。そういうことを抜きにして、音楽造詣の深い砂田さんでありますから、その辺を含んで前向きにあなたのときに解決するところの御決意はありますか。
  6. 砂田重民

    砂田国務大臣 フィルハーモニーオーケストラについての御見解は、私も全く同じ見解を持つものでございます。また日フィルがりっぱな演奏活動をしておられることも十二分に承知いたしておりますので、あれだけの価値のある演奏活動をしておられる日フィルということも十分認識をいたしまして、私も多くを申しません。ひとつこれは私が文部大臣をやっております間に積極的に検討させていただきたい、積極的に検討をいたしますということをお答えといたします。
  7. 木島喜兵衞

    木島分科員 では、もうその問題はやめましょう。  いま野党予算修正で、審議がとまったわけですが、そのためにまたきょう私がピンチヒッターにならなければならぬし、これは結果的にどうなるかわかりませんけれども、その中に教育減税というものがあります。いま野党案を言うのではありませんけれども大臣教育減税というものについて、一般論としてどのように御認識になっていらっしゃいますか。
  8. 砂田重民

    砂田国務大臣 就学費、また勉強のための費用負担ができるだけ少なかれと願いますのは文部大臣として当然のことでございますから、私も文部大臣就任をいたしましてから教育減税検討を早速いたしました。何かうまい税制上の手段がとれないかということを勉強をいたしましたが、二つの壁にぶつかりました。その一つは、公正を期した教育費減税あるいは就学費減税というものが非常にむずかしいということでございます。どうしてもまた新しい不公正を生んでしまうというおそれを持たされてしまったのがその一つでございます。いま一つは、私学振興助成法に基づきます財政上の措置が、私学関係助成はずいぶん以前から始まっておりましたけれども法律に基づいてということになりますと、やっと三年目でございます。せっかく私学振興のためのいろいろな補助助成等が、いろいろな細かい柱ではありますけれども財政的に定着をしかけたばかりと言ってもいいかと思います。せっかくそのように財政支出によって私学助成が定着しかけておりますその柱柱が、減税ということを新たに打ち出すために崩れるおそれがあるということが第二点の壁でございます。御承知のように、私の就任は十一月のもう末でございます。これ以上教育減税深追いをしてみてもこれは予算編成にも間に合わない、そういうふうなことから、この二つの壁を突破することがむずかしいという判断を私自身がいたしまして、私学教育内容充実、そして就学費負担軽減、これを財政措置でより一層定着し、それを充実させるということ一本にひとつしぼってやっていこう、そういう判断をし、決断をいたしたわけでございます。
  9. 木島喜兵衞

    木島分科員 一般論で言うと、そういう問題はおっしゃるとおりだと思うのです。  そこで、いまの前段の減税においては公平を欠くおそれがありはしないかという点、まあ野党案がどうなるかわかりませんけれども野党案というのは所得減税なんですね。そうすると、所得税を納めておらない者は一体どうなるかという点が、たとえばいまおっしゃる意味ではそうなるのであろう。したがって、もしもそこに焦点をしぼれば、今回は所得税を納めておらない高校生対象にしていますね、そして、公立と私立の差額を三万円、こう言っているわけですね。そうすると、所得税を納めてない方々には、言うなれば負の所得税というようなものがあればいいわけです。しかし、そのことは大変に大きな問題でありますから……。  そこで、一つ奨学資金というもののあり方が、工夫によっては可能な道もあり得る。たとえば、所得税を納めてない高校生奨学資金で三万円までを出すという道もあるわけであります。そういう工夫が私はいま必要なのだろうと思うのであります。ただそこで、奨学資金でいきますと、その場合であれば、またそれ以外でもそうであります。これはまた奨学資金全体の問題でありますけれども、いまの日本育英会法というものが大変邪魔になるというのでありましょうか、逆に言うならば憲法教育基本法思想から検討されねばならないにかかわらず、まだ放置されているのが日本育英会法ではないか。これは昭和十九年にできたものでありますけれども、旧憲法下育英会法が現に存在し、そのことによってなされているところに一つの問題があるのではないかと私は思うのです。これば第一条だけ見ましても「日本育英会ハ優秀ナル学徒ニシテ経済的理由因リ修学困難ナルモノニシ学資貸与其ノ他之が育英必要ナル業務ヲ行ヒ以テ国家有用ノ人材育成スルコトヲ目的トス」、「育英」という言葉育英会の「育英」という言葉、そこに教育機会均等という思想ではなしに「優秀ナル学徒」、「学徒」という言葉は今日の教育法制上の言葉として存在するのかということもあります。同時に「優秀ナル学徒」ということに限定するあるいは「国家有用ノ人材」というものに限定をする、このことは憲法二十六条の第一項の「國民は、法律の定めるところにより、その能力に鷹じて、ひとしく教育を受ける権利」あるいは教育基本法の第三条の第二項によるところの「奨学方法を講じなければならない。」というその思想からすると、大変に離れておるという感じがするのです。この第一条というものをもとにしてやっている限り、実質的にはこのことを超えてやっていらっしゃることではありますけれども、しかしこの法律運用する限りにおいては、この第一条というものがどうしても問題になってくると思うのです。この点いかがでございましょうか。
  10. 砂田重民

    砂田国務大臣 広い意味奨学制度、これは二つ目的があることは御指摘のとおりでございまして、いわゆる育英奨学、この二つがあるといわれております。育英は学力その他の資質能力を重視をして比較的少数の英才の教育を図る、それを意味することに間違いはございません。また奨学は、能力があり、かつ意欲を持つ者が経済的な理由のために進学を阻害されることのないように経済援助を行って、いわゆる教育機会均等の実現を図ることを目的とする、こういわれているのでございます。御指摘のとおりでございます。日本育英会法の第一条は確かに育英目的として掲げておりますけれども、現在の日本育英会運用につきましては小さい範囲の意味奨学制度に反しない運営をしているわけでございます。その選考に当たりましては、経済的条件のみではなくて、学業を条件とはしておりますけれども、一般的な教育に適応する資質能力を大幅に上回る、そういう能力を要求しているものではなしに運営をいたしております。教育基本法第三条の「能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学方法を講じなければならない。」という現実的な日本育英会運営をしているわけでございます。
  11. 木島喜兵衞

    木島分科員 いま大臣育英という面と奨学という面と、とおっしゃったのでありますけれども育英という面を出していくとこれは教育減税というものになじまなくなりますね。減税をすることは優秀か優秀でないか決めてみょうがないわけでありますから、そういう意味では育英というものを中心に置いたのではならぬだろうと思うのであります。今日確かに、おっしゃるように、育英会法第一条にかかわらず憲法基本法方向運営をしようという気持ちはわかるのであります。そしてまた国立私立大学で言えば、あるいは高校でもそうでありますが、奨学金の額を私立に少しではありますけれども高めておることもそういう意味を含めているのだろうと思うのです。けれども人数で言いますと、国立が大変に高くて私立が大変に低い。この現状は一体何かと言えば、しょせん、国家有用の材という明治初めに東大をつくったときの思想がそのまま流れておるわけでしょう。でなかったら国立私立で、奨学資金を受ける子供たち人数がそんなに差が出るわけがない。それはなぜかというと、明治以来の伝統が今日まで続いているからでしょう。そこを破らなければならぬと思うのです。そういう意味で、奨学のためにという考え方でやっておるというのでありますけれども、しかしこのことが壁になって、旧憲法下育英会流れというものが今日まだ続いておるわけです。そこで大臣は、だから私学助成という問題をおっしゃるのでありますけれども、そうするとまた大変幅が広くなりますからそれはそれで別にしまして、そういう意味でも、やはり第一条というものが、今日の日本育英会そのものが見直されなければならないし、その見直しから育英事業奨学事業全体を洗い直さなければならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  12. 砂田重民

    砂田国務大臣 私学助成ということを別に置いてとおっしゃいましたけれども、別に置きますと、私学国立のいまの比較論が大変しにくくなるわけでございます。明治以来の伝統的なというお言葉でございましたが、私は、日本育英会運営の仕方は、ただいま御説明をいたしましたが、日本育英会の問題だけではなく、私学助成というものが、私学振興助成法の精神というものは御承知のように経常経費の二分の一までということが明示されておりますが、そこまではまだ達していない。できるだけ早い時期にそこまで達する努力をいたしますことが、私は現行制度の上で私どもが果たさなければならない大事な役割りだ、かように考えているものでございます。
  13. 木島喜兵衞

    木島分科員 大臣、私、私学を別だと言ったのは、たとえば今日の私立医科大学国公の差をなくすとすれば、果たしてどこまでできるのですか、私学助成で。これはやらなければならぬことでしょう。しょせんあの裏金というのは、授業料の限界がある、国庫助成は大変に足らない、とすれば、どこかから何か入れなければ経営できないのですよ。ですから、そういう意味では私学助成は私は別にして、こう言っておるのです。理論的にはそうなりますよ。けれども、実態ではそうならない。けれどもだんだんと格差が開いていっているんだ、国公私の間には。したがって、私はいま別に育英と言われる奨学資金制度というものだけでも直さなければならぬじゃないか。第一条を直すつもりはありませんか。
  14. 砂田重民

    砂田国務大臣 日本育英会法の第一条を直すというところまで、まだ今日直ちに決断はよういたしません。ですけれどもいまおっしゃった医科歯科大学についての奨学制度、こういうものをもっともっと拡充をしていかなければならないということは当然考えているところでございます。日本育英会とは別の事業といたしまして、私学振興財団からそれぞれの私学において行っていただきます奨学金制度が五十二年度は大変不成績でございます。いろいろな事務的な煩瑣等があって私学がこれを余り利用していただけなかったかと思いますが、五十三年度はこれをある程度拡充もいたしまして、私学、特に歯科医大系私学についてはこの奨学金制度も十分御活用をいただきたい、このような努力をしなければならないと心得ております。
  15. 木島喜兵衞

    木島分科員 大臣、私が言っているのは、昭和十九年に育英会法ができたのです。旧憲法下にできたのです。そして憲法二十六条、それから基本法第三条。それに基づきまして学校教育法で言えば二十五条及び四十条ですか、小学校、中学校では義務教育については、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」これができたのです。いろいろなことやっておるのですね、生活保護及び準保護者には。ところが、高校以下は義務でないから、ないのです。それを育英会がやっておるのです。それはさっき言いますように、優秀なる学徒にして、もって国家有用の人材ということなんですよ。だから教育法体系からいってこれは直さなければならない運命にあったものを、そのことを放置して、そしてただ運用でもってやってきたというのが現状でしょう。これに手をつけないというのはおかしいのです。日本教育法体系からおかしいのですよ。それをおやりにならないのですか。
  16. 砂田重民

    砂田国務大臣 御指摘のとおりに、日本育英会法の第一条がありながら、運用でやってきたということは事実でございます。したがって、そこのところを木島委員からそういう御指摘がございますと、育英会法第一条がありながら運用教育基本法第三条の方に偏った運用をしてきたことが事実でございますから、率直にお答えいたしますが、日本育英会法第一条と教育基本法第三条の関係を私ども検討をしなければならないこととは考えております。
  17. 木島喜兵衞

    木島分科員 昭和四十七年に予算委員会で私がやはりこの問題を取り上げたときに、高見文部大臣は「昭和四十八年に取っ組めという提案がされております。私どもは、ことしからこの問題に取り組みます。」と答えておるのです。以来今日まで五年間。いま大臣最初は取り組むつもりはないとおっしゃったし、いま、これからやりましょうかというお話でございますが、この五カ年間、文部省は取り組んでおらなかったのでありましょうか。
  18. 佐野文一郎

    佐野政府委員 育英制度の改善の問題につきましては、ただいまの育英奨学関係ももちろんいますけれども、それ以外にそもそもこれだけ拡充をした高等教育規模のもとにおきまして、制度全体の規模をどのようにとらえ、あるいは対応額の水準をどのようにするか。あるいは現在一般会計にのみ求めている原資をいままでどおり一般会計に求め続けるのか。それ以外に原資を求める方法はないかというようなことを含めて問題があるわけでございます。それがやはり日本育英会法の現在の他の条文にも及ぶところがあるわけでございます。そういったことを含めまして、育英会制度をどのように整えるかということについては私ども検討してきておりますけれども、現在結論を得ているわけではございませんし、当面は現在の制度をどうやって充実をするかということに努力をしておるわけでございます。
  19. 木島喜兵衞

    木島分科員 そう言わざるを得ませんな。しかし、いまおっしゃった、いろいろ問題があるという問題は、これを言ったときにすでにそういう問題というものを出して議論をして、そしてこれから取り組むと文部省は言ったのです。五年間、問題を出して解決できないということは、大臣がこれから検討しましょうと言ったって、しょせんまた五年、十年できないということじゃないですか。しょせん、質問があったときには適当に検討をしますでもって逃れておれば、やがて木島は忘れるであろうと思われちゃいかぬから、きょうあえて取り上げたのでありますが、最後の答弁をお願いします。
  20. 砂田重民

    砂田国務大臣 木島委員の非常に的確な御指摘でございますから、いずれは木島委員は忘れるだろうなどとは毛頭考えておりません。一遍食いついたらお離れにならない方であることも承知をいたしておりますから、真剣に取り組んでまいります。
  21. 木島喜兵衞

    木島分科員 終わります。
  22. 片岡清一

    片岡主査代理 次に、原茂君の質問に入るのでありますが、同君の質疑に際し参考人として日本道路公団理事吉田喜市君が出席になっております。なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。原茂君。
  23. 原茂

    ○原(茂)分科員 きょうは、長野県の諏訪郡の原村に阿久遺跡という遺跡発見がございました、この問題は相当緊急を要する事態になっていますので、この機会大臣のお考えも含め、文化庁長官にもお答えをいただきたいと思います。  最初にお伺いしますが、この阿久遺跡という遺跡発見がされていま問題になっていることを大臣はお聞きになっていますか。
  24. 砂田重民

    砂田国務大臣 聞いております。
  25. 原茂

    ○原(茂)分科員 そこで、この阿久遺跡というのは、正確には五十一年の五月十七日、縄文前期集落跡であるということが学者その他で確認をされたわけです。現在までにこの遺跡からは関山併行期のいわゆる住居祉三十三カ所、それから黒浜併行期住居祉七カ所、諸磯併行期住祉十三カ所が発見されて現在に至っております。これは縄文時代前期あるいは前半期集落跡である、こういうふうに明らかにされているわけであります。このうち、現在までに最も発掘が進んでいる関山併行期住居祉群及びその同時期の方形配列土墳群というのが遺跡西南部一帯にかけて分布をしておりまして、それは径約百メーターほどの環状または馬蹄形集落を形成するというふうに見られているわけです。全部これが出たわけではありません。しかしながら、ほとんど間違いない、そういう予測が成り立っております。この時期の集落としてはその規模と形態について、長野県内はもちろんですが、全国的にも例がない非常に貴重な遺跡だというふうに判定をされています。  さらに、このいま調査できた部分とまだ調査がしていない未調査の部分ですが、これに埋没しているだろうと見られています黒浜期それから諸磯期の住居祉群、あるいは関山期の集落と雁行するような状態馬蹄形集落を形成しているということもほぼ間違いなく推測されているわけです。この阿久遺跡というのは、少なくとも中部高地地方中心とした縄文文化、特に前期から中期への文化の動態や、ひいては縄文時代史全体にわたって研究や理論に一つの転機を画するに足る貴重なものだ、重大な考古学上の価値を有する遺跡であることは疑いない、こう言われておるわけであります。このように学術上も他をもってもかえることのできないような重要な遺跡であることが、学界、研究者等によって確認をされております。  その現状に、きょうも道路公団からおいでいただいておりますが、工事がいま進んで、一時休止の状態になっているのですが、長野県考古学会はもちろんですが、考古学研究者の良心において本阿久遺跡の国の指定の史跡化、それから全面現状保存、これを早期に推進していきたいというのが、学術、文化の研究途上にある日本の研究者全体の要望で、今日までいろいろな機関に向かってそういったお願いやら陳情やら、ぜひひとつ現状保存が完全にできるようにということを強く要求して今日に至っているわけでありますが、文化庁は一体これにどう対処しているかをこれからお伺いするわけでございます。  まず私、初等中等教育局に、教育委員会というもののこの種の事案におけるかかわり合いあるいは役割り、ないしはこれに対する対応の仕方、教育委員会はどうあるべきかということについて、最初教育局からお伺いをしたいわけであります。  私の考えでは、この種の問題が起きたときに教育委員会というものは大切な文化遺産をどうして守るか、また住民に対するその重要性の啓蒙と保存に対する理解を深めるようにすること、そういうことにまず全力を傾注すべきだと思うのですが、一体私の考えと教育局の考えはどう違うか、お答えをいただきたい。
  26. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 文化財保護における都道府県教育委員会の位置づけといたしましては、文化財保護法上きわめて枢要な任務を帯びるものと考えておるわけでございまして、埋蔵文化財の届け出等につきましても、都道府県教育委員会が経由庁に相なっております以上に、都道府県教育委員会でいろいろな県内における発掘に伴う開発事業との関係の協議なり指導等につきましても、文化庁長官教育委員会に指示をし、教育委員会からそれぞれの関係方面にその旨を伝えると同時に指導するということに相なっておりますし、また都道府県教育委員会はみずから発掘体制を整備いたしておりまして、たとえば公共事業等におけるところの開発に伴う発掘につきましても、都道府県教育委員会がこれを実施する、また市町村教育委員会が行う場合におきましても、都道府県教育委員会が十分指導する、ないしは市町村教育委員会が発掘体制をまだ整備できていない段階におきましては、都道府県の教育委員会がむしろそれを補完する、あるいはみずからかわって実施するというような機能を与えておるわけでございまして、都道府県教育委員会文化財保護についての責務は文化庁と全くうらはらなり、相一致協力してこれを適正な状態で実施をするというように考えておるわけでございます。
  27. 原茂

    ○原(茂)分科員 もちろんいまおっしゃったことが正しいと思いますし、長野県の教育委員会も恐らくその線に沿って努力をしているのだと思う。ところが現在まことに遺憾なことには、教育委員会が道路公団とか開発業者、こういったもののお先棒を担いで、いま言った本質的な路線から外れて教育委員会の態度がどうもおかしい。現状保存というものに対して、あらゆる難関を突破しながら追求していこうという態度よりは、もう当初において部分保存でなければ不可能だ、現状保存はちょっとむずかしいといったような態度だけじゃなくて、ある集会でそれと同じような意思表示をしているというようなことがだんだん仄聞をされて、この関係者からは教育委員会のあり方はおかしい、どうもお先棒を担いでいるような感じがしてならぬというような誤解あるいはいわれなき非難といいますか、そういったものがもうすでに非常に多く出ていて、そのうわさ、誤解等に基づいて研究者のグループやあるいはこの保護をしていきたいと考える多くの人々の集会で正式に教育委員会の態度を改めてもらう必要がある、教育委員会に抗議を申し込むというような事態まで実は起きて、すでにそれが実行されているのですが、そういうことを聞いていますか。
  28. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 長野教育委員会文化課当局の今回の問題に対する処理の仕方につきまして、いろいろな方面から先生御指摘のような指摘があるということは伺っておるところでございます。しかしながら私どもといたしましては、この中央高速道の計画の当時そのものから長野教育委員会と十分な連絡をとり、また指導をいたしておりまして、そのような一部の御批判等につきましては、これはそういう事実はないものと考えておるところであります。なお、そういうような御批判があるとすれば、そういうことのないように今後とも十分注意をいたしたいというように考えるわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)分科員 ということは、私がいまこういうことがありましたといったようなこと、お先棒を担いでいるのではないだろうかと言われるようなことは厳に慎むべきだ、こういう指導をされているわけですね。  ついでに、教育委員会の態度をもう一度確認をしたいのですが、やはり徹底的に困難を排して、この種の文化財の現状保存というものを追求していくという態度を持っていかなければいけないと思いますが、この点はどうでしょうか。
  30. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 その点につきましても先生の御指摘のとおりだと存じております。
  31. 原茂

    ○原(茂)分科員 そこで今度は道路公団にちょっとここでお伺いをしておきたいのですが、前々から県の考古学会が、多分五十三年一月八日ごろ県を通じておたくに要求をしている技術的検討資料と称するものですね、こういうものを要求されているわけですが御存じでしょうか。それが一つ。  それから提出をしたことがありますか。
  32. 吉田喜市

    吉田参考人 県の考古学会から初めて私たちの方へ話がありましたのは、いま先生のおっしゃる期間と若干違いまして、昨年の十月の三十日です。これに県の考古学会から私の出先の、現実に仕事をしております名古屋建設局長に対して要望書の提出がございました。その時点においては、発掘調査を委託いたしております県の教育委員会から阿久遺跡の調査結果と申しましょうか、学術的な価値判断、こういうものについての報告をまだ受けてなかった、かような段階でございまして、これはそのまま御要望を承った、かような姿になっております。  その後また十一月二十八日、日本考古学会の埋蔵文化財保護対策委員会、この方からやはり保存対策についての要望が当方の名古屋建設局長に出ております。その時点におきましては、私たち県の教育委員会と相前後いたしまして、十一月三十日に県の教育長から私のところの出先の名古屋建設局長に、ひとつ保存方法について検討していただきたいという申し出がございました。したがいまして、この考古学会の保護対策委員会に対しては、十二月二十四日に長野県の教育委員会から、現在協議中である、ひとつ御了承願いたい、しばらく待っていただきたい、かような返事をいたした、このような結果でございます。
  33. 原茂

    ○原(茂)分科員 そうですか。多少日のずれはありますが、私が言ったよりはもっと、二カ月も早く要求が出ているのですね。いまだに研究中で資料は出していない、そのことを県の教育委員会にも正式に返事をしている、こういう答弁でございますか。
  34. 吉田喜市

    吉田参考人 いまの資料の件でございますが、十一月三十日に県の教育長から検討方の申し出があった。そこで、現地といたしましては、長野県の御当局とそれから県の教育委員会、それから文化財が所在しています。包蔵されています原村の教育委員会、それから当方の道路公団の名古屋建設局、この五者で現地でいわゆるこの対策について協議をいたしております。これはいわゆる五者協議会と称するものです。その五者協議会の際には、いまの工事の進捗状況と申しましょうか、この工事は昭和四十一年に私たち建設大臣から施行命令をいただいております。それで、いろいろ埋蔵文化財の分布調査その他を県の教育委員会にしていただき、その結果、四十五年十二月に路線発表した。その後、文化庁長官から、四十八年二月には、ともかく事前に発掘調査をしろ、それから重要な遺構を発見した場合には、設計変更などにより当該遺構の保存に留意されたいというふうな文書をいただいている。そういうことで五十一年八月に工事を始めましたが、工事を始めるに先立ちまして、五十一年五月、それから五十二年と、二カ年にわたって約一万一千平米のものの発掘調査を行いました。費用にいたしまして約八千三百万の調査費用をかけておるわけでございます。したがいまして、工事は五十一年八月、まだ調査と並行して工事を発注したわけでございますが、これはやはり中央道の早期開通といいますか、供用を望む声が非常に強い。少なくとも五十五年度には全線を開通いたしたい、かように考えておりまして、ぎりぎりの線で五十一年八月に工事をいたしました。そして現状は、先ほどお話がありましたように、この文化財の包蔵地の約二百メートルの区間を除きましてほとんど概成をしておる、かような姿になっておるわけでございます。  そういうふうな現実を踏んまえまして、先ほど申し上げました五者で協議をしたわけでございます。その際、やはりその線形を、この包蔵地を全面的にかわすということになると、平面線形を変える。これはその付近に八ケ岳の遺跡群があるようでございまして、一体その辺のどこをかわせればあるいは遺構にぶつからなくて通れるのか、この辺が非常にあいまいでございます。したがいまして、平面線形を変えるということもまた新しい問題を提起するんじゃないかという問題この辺も一つの問題がある。  それからもう一つは、縦断線形を変える、あるいは橋やあるいはトンネルにするという問題、こうした場合には、現在でもあそこは約四メートルぐらいの切り土の区間でございます。ほとんどゼロから四メートルぐらいの切り土の区間でございます。したがって、これをさらにトンネルにするということになると、現在の地表からマイナスの十メートルあるいはマイナスの三十メートルまで下げなければならぬ。となりますと、前後の切り土区間がうんとふえてまいりまして、要するに、八ヶ岳の周辺の地下水に大きな変化を来す。したがって、今度は灌漑用水と申しましょうか、水田の用水問題その他の新しい問題が、土地利用面から水問題が非常に出てくるのではないか、あるいは交差構造物、特に河川については河床の切り下げを行わなければならぬ。こういうふうなことを行いますと、またこれが利水に関係してくるだろう、こういうふうなことなどを含めまして、やはり現状では中央道の本線そのものを変えるということは非常に困難である。いま私が申しましたようなことをもう少し詳しく技術的資料をつけてその五者協議会に話をしている、かような姿でございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)分科員 きょうは時間がぴっしゃり三十分しかないんですよね。私が質問したことだけに答えてください。いまおっしゃったことなんかみんな百も承知の上ですから、知った上で必要なことを聞いているわけであります。ずばっと答弁の核心だけを言っていただくように。  もう一遍聞きますが、いわゆる検討すべき技術的な資料の提出を求められているものを、現在どこにも出していないか、いるか。
  36. 吉田喜市

    吉田参考人 出しております。出しておりますところは、県の教育委員会、いまの五者協議会、それから文化庁長官への上申の書類、この文化庁への上申は県の教育委員会を経由して出すこと、恐らく現在県の教育委員会から……
  37. 原茂

    ○原(茂)分科員 要求した一つに、資料の中心的なものは、県の教育委員会ではなくて、県の考古学会が要求を出しているんですよ。そこへなぜ出さないのですか。
  38. 吉田喜市

    吉田参考人 文化財の調査は、私たちが委託をしているのは県の教育委員会に委託をしておるわけです。あくまで窓口は県の教育委員会であります。
  39. 原茂

    ○原(茂)分科員 だから、県の考古学会から要求されたんだが、それは県考古学会には出さないで、教育委員会に出しました。すると、県の考古学会が要求したものに対しては、教育委員会が窓口だから、そこへ出しておくからあとは知らない。県の教育委員会へいつ幾日に出しましたというような返事も、県の考古学会へは出さないでいいと考えていますか。
  40. 吉田喜市

    吉田参考人 先ほども申し上げましたように、県の考古学会から話がありましたのは昨年の十月三十日でございまして、まだその時点では県の教育委員会からも文化財の調査報告を聞いていなかった、こういうふうないきさつがございます。その後に、先ほど申しました十一月に日本考古学会から話があって、考古学会には県と協議中でございますと、こういうような話をしたわけでございます。  御指摘のように、県の考古学会に、若干時間的に後先がございまして、返事をしてなかったというのが実態でございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)分科員 何か、さっきのお先棒を担ぐ話じゃないけれども、常識で考えたら、県の考古学会が昨年の十月に要求していたら、その後から要求された教育委員会に出すときには、当然その県の考古学会に対して、おまえさんの要求は教育委員会に出しておるから、あっちから聞けとか、要求があれば別途にやるとかというようなことをやるのが親切な行政ですよ。そんなことが痛くもない腹を探られるもとなんです。あなた方が仕事をやっていたって、部下に対していまのようなことを平気で認めていたら、行政なんてうまくいきませんよ。今後気をつけてください。絶対すぐ出してもらう。  それから聞きたいのは、三つばかり重ねで聞きますから答えてもらいます。  県の考古学会に同じ資料をすぐ出してもらいたいが、いつ出せるか。  それから公団では保存すべきかどうかに言及する立場にはないと思うのです。したがって道路敷以外の部分も調査してみたり、本当に大切なものかどうか、保存に値するかどうか、こういうものが全部わからなければ、公団としてはそんなことは全然わからない。これは当然だと思います。結論がいつごろ出せそうかはどうですか。公団として、いま要求されていることに対する結論がいつごろ出せそうかということが二つ目。  もう一つは、結論が出て、文化庁の決裁によってこうするということが決まるまでの間、いま工一事が中途半端になっていますね、したがってこの工事、結論が出るまでに時間がまだ相当ある、早期にやらなければいけないところもありますね。これ以上、埋蔵されているであろうと推測される遺跡の破損をしないようにしながら、しかも土地における農道を利用する農家の皆さんに迷惑がかからないようにしながら、しかも中央道をつくるというようなことを考えなければいけないのですが、何か工夫がなければ、おれは勝手にどんどんやっていくんだ、文化庁の結論が出るまで工事は進めなければいけないからやっていくんだというような態度でもしあったら、えらいことになりますから、したがって、そのことに対してどう考えているか、三つずばり答えていただきたい。
  42. 吉田喜市

    吉田参考人 第一点の県の考古学会への資料提出でございますが、これはすでに各方面に出しておるものがございますので、これは早急に出します。  それから第二点の——ちょっと前後いたしますが、第三点の工事の進め方でございますが、現在県の教育委員会からの御指示で、ことしの二月十一日付で文化庁長官に先ほどの文書をもって再協議の書類を出しております。したがいましてそれで文化庁あるいは教育委員会と御協議をして進めてまいりたいと思います。その結果に基づいて対策をし、工事を進めていく、こういうような形で、しばらく工事をストップせざるを得ない、かように考えております。
  43. 原茂

    ○原(茂)分科員 文化庁に最後に、全国的に研究者は阿久遺跡の全面保存あるいは国指定の史跡化、こういうものが絶対必要だと言っています。文化庁の態度も、やはりあらゆる困難はあるでしょうが、絶対に現状保存、かつてないような縄文前期遺跡だから絶対に保存したい、どんな困難があってもやりたいという考えを貫き通しながら一々いろいろな問題に対して対応していくようなことをぜひ考えていただかなければいけないと思いますが、どうお考えでしょうか。  それから関越高速道の群馬県の日高、あそこに対しては長官がすっ飛んでいって、そして非常に重要な懸案だったのですが、要求どおり全面保存ができたわけですね。私は、この阿久遺跡も日高と同じように長官が出ていって現地をごらんになって、そうしてこれの決裁に対する資料を現に目で確認をしていただく、それで日高と同じようないい結論が出るようにすべきだと思うのです。いつごろでもいいから大至急行って、見るべきだと思いますが、いかがですか。
  44. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 この種類の建設計画あるいは開発計画と文化財との関係につきましては、望ましいことは、事前に十分連絡がとれまして、計画の段階から遺跡を保存できるような形でいくのが大変望ましいのでございますが、今回の阿久遺跡の場合におきましては、いろいろな客観的な事情もあったと思われますけれども、非常に貴重な遺跡であるということが発見される時期がおくれてしまっておりまして、大変困難な状態になっておると考えております。しかしながら、これは非常に大事な遺跡であるようでございますので何とかこれを守るように、これは、その付近の全体の遺跡が大分あるようでございますので、そういったものとの総合的な関係も考えなければいけません。それで、いままで県の教育委員会を通じて道路公団と折衝していただいておったわけでございますけれども、私どももまた中に入りまして、積極的に何らかの方法を見出すように努力いたしたいと考えております。
  45. 原茂

    ○原(茂)分科員 長官が出ていって見るということについてはどうですか。
  46. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 状況によっては、いつでも私は参りたいと思っております。
  47. 原茂

    ○原(茂)分科員 これで終わります。
  48. 片岡清一

  49. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 私はまず危険校舎の改築の問題について伺いたいと思います。  今度の五十三年度予算に関連して、小中学校の危険校舎問題で、従来の耐久度の限界を千点拡大しているわけでありますけれども、その主な理由はどういうところにあるわけですか。
  50. 砂田重民

    砂田国務大臣 従来とも一般地域では四千五百点という危険点数で、それを危険校舎とみなして補助してまいりました。ですけれども、大体一年に七十万ないし八十万平米の危険校舎が新しくできてくるわけでございます。この際公共事業重点の予算が組まれる時期でもございますので、道路がきれいになり、橋が直り、そのそばで危険校舎が残されることは許されることではありませんから、積極的に危険校舎解消と取り組みたい、こういう考え方で危険点数の緩和を図りまして、いままで五年間の計画でやってまいりましたものを、三年間の計画というものを文部省自身で持ちまして、各市町村段階にも、三年で現在ある危険校舎の解消を図る御計画をそれぞれ市町村にもお考えいただいて取り組んだわけでございます。
  51. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 それでは、いろいろ財政困難な折から、地方自治体においてこういう文部省の姿勢に対応して積極的にこういう制度の拡大を利用して建てかえをやろうというふうな申請、申し出があれば、これには積極的に対応する、こういうふうに考えてよろしいですね。
  52. 砂田重民

    砂田国務大臣 設置者であります市町村が改築計画を持っておりますものを、第二次補正と五十三年度予算の十五カ月予算で初年度としては全部受け入れたわけでございます。
  53. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 これは一例なんですけれども、滋賀県の草津市というところがあるのです。ここは昭和二十九年三万二千人であった人口が四十五年四万六千、五十年六万四千、五十二年七万一千という、県内では一番の人口急増自治体なんです。そのために現在三小学校、一中学校、計四校を新築、それから二小学校、一中学校の三校を増築中という現状になっております。だから、もちろん市の財政は火の車なんであります。そこへ今度のこういう政府の施策に対応して、新たに老上小学校の講堂、笠縫小学校の講堂、草津小学校の講堂、常盤小学校の校舎と屋内体育館、四校いずれも木造で五千五百点未満であります。これを四つ一遍にどうしても建てかえ、危険校舎を解消したいという計画を立てたわけですね。その理由は、第一に、非常に人口急増地域だから、鉄筋の新設校が数の上では多くなっているわけです。その中にこういう古い校舎が取り残された形になって新旧格差が非常に目立って、市民からも強い批判が出る。子供の教育上もよろしくない。これを何とかこの際解消したい。これが一点。  第二は、五十四年に高校総体、五十六年国体が滋賀県であるのです。そういうところから、どうしてもその練習とか、市民のスポーツ熱も高まる。いいことなんですね。そのために、草津ではこういう要望にこたえて、体育館兼用のものについては、一週間のうち四日間、父母や市民に開放しているわけですね。そういう意味では、こういう老朽講堂で、現在開放しようにもできない部分を何とか建てかえて、社会運動施設として活用したい。これが第二点。  それから第三点は、四校が、一校は四千五百点以下があるのですが、やはり建てた年代等によって、むしろ今度の五千五百点に拡大された中に入る方がみすぼらしいのがあるので、私、四校全部見てきたんですね。そういう点では、やるんなら四校同時にやるか、やらないんなら全部見送ってぼちぼちやっていくかどっちかしないと、かえってまた不公平のそしりを免れぬ。特に十五カ月予算の特別な措置ということで、もしここで建てかえの落ちこぼれが出ますと、これがまた来年、再来年すぐ拾われるという見込みがなくなってくるので、一つだけまた長期に取り残されることになったらなおさらのこと、これはやはり教育環境上もよろしくないというので、何としても、無理は承知の上だけれども四校同時だ、こういうことを強く市長、議会、市民が希望しているのですね。先ほどのお話から言えば当然こういうものは優先されると思いますが、こういう特別な事情を持っている場合には、一つの市に一遍に四校というのはある意味では偏ったように見えるけれども、こういう事情には特別な配慮は払っていただけるわけですね。
  54. 砂田重民

    砂田国務大臣 草津市当局からのお話は、私、直接伺っておりませんけれども、伺いますと、人口急増のための増築、新築、それと危険校舎の建てかえ、改築も同時に来ておりまして、財政的にも市御当局も大変御苦心になっておられると思いますが、それぞれ全国の小中学校の設置者であります市町村に三年の計画をお立ていただいて、それを全部受けていこうというたてまえを基本的にいたしておりますので、五十三年度の予算が成立いたしました後具体的なお話を伺って対処をしてまいりますけれども、いま御質問の中にありました、長い間待たされるというような事態というお話がございましたけれども、その御心配はございません。三カ年の計画を市町村でおつくりくださいと申し上げているわけでございますから、少なくとも、そんな長くほうりっ放しになることだけはございません。
  55. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 いや、草津市の場合はそういう無理を押してでも、いま申し上げましたようないろいろの条件が絡んでいるために、ここ五十三年度に文部省が認めさえするならば四校の建てかえをやりたい、こういうふうにすでに申請も多分出していると思うのですね。こういう場合の特殊な事情というものは十分くんでいただけますね、こういうことなんですが、いかがですか。
  56. 砂田重民

    砂田国務大臣 当然配慮はいたします。
  57. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 いまの大臣答弁からいきますと、五カ年の計画を三カ年に短縮して危険校舎の建てかえを完了するんだ、こういうことなんですが、そうしますと、五千五百点に耐久度を拡大したこの制度は、つまり来年、再来年と続くもの、こう考えていいんですか。あるいは、今年度五千五百点以下というふうに認定されておれば、五十三年度に建てかえしなくても五十四年、五十五年には当然また予算がついてくる、こういうふうに考えていいんですか、いかがでしょうか。
  58. 砂田重民

    砂田国務大臣 これは法律に基づいて決まった補助ではございませんし、財政当局との一応の話は十五カ月予算に限ってということになっておりますけれども、あとは文部大臣のがんばりです。当然やらなければならない仕事だと、文部大臣はその責任を重々感じているのですから、お任せいただきたいと思うのです。
  59. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 それからもう一つは、四千五百点という従来のいわゆる耐久度、危険度ですね。これ以下のものがずいぶんと残っているようですね。大体いま、小中合わせまして全国に何校、何平米くらいありますか。
  60. 三角哲生

    ○三角政府委員 四千五百点以下の昨年末の状況でございますが、面積で申しまして、小中学校合わせまして六百八十三万九千平方メートルー……(瀬崎分科員「学校の数でいきますと」と呼ぶ)これは、学校の校舎はいろいろむねに分かれておったりいたします関係もございまして、学校数ということではとらまえてはおりませんのでわかっておりません。
  61. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 大体、現在の文部省の見通しで、いまおっしゃった六百八十三万平米の四千五百点以下の危険校舎のうち、どのくらい今年度改築されそうですか。
  62. 三角哲生

    ○三角政府委員 いま申しましたのは全体のいわゆる四千五百点以下の面積でございますが、その中でも、たとえば児童生徒数が減少いたしますとか、将来移転の計画があるといったような事情で、必ずしもこのすべてを改築しなければならないというふうには市町村当局もとらまえておりませんで、その中で改築を要する面積、いわば要改築面積というものは約五百四十万平方メートルでございますが、その中で、やはりいろいろな御都合で近い将来実施をするという面積がさらにしぼられてまいりますが、五十三年度の、いわゆる五十二年度二次補正を含めまして、四千五百点以下のものにつきましては約百六十万平米余りを解消しよう、改築を実施しようという計画でございます。
  63. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 大臣、ここにも一つ問題があると思うのですね。先ほど滋賀県の草津市の例を挙げましたが、これは非常に無理なんだけれども、それでも積極的にやってやれる自治体なんです。しかし、やはり農山村の方へ行きますと、実際には改築をしたいのだけれども、とてもじゃないが財政の見通しが立たないためにできないところもあるわけですね。現在の補助率が三分の一ですかね、起債充当率九五%と一応なっておりますけれども、まあ子供や住民の要望にこたえれば超過負担が出てくるとか、あるいはこの補助率がやはり低いとかいうふうな事情のために改築に踏み切れないのが多いわけですね。それがいまの数字にあらわれておると思うのです。だから、確かに耐久度を広げられたことは、これは積極的なことで、われわれ評価したいと思いますが、同時に、やはり財政力の弱い市町村も必要な危険校舎の改築ができるような処置も積極的に文部大臣の方で考えられるべきじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
  64. 砂田重民

    砂田国務大臣 いま管理局長から、四千五百点以下を百六十万平米とお答えいたしましたが、四千五百一点から五千五百点までをさらに七十万平米、合わせまして二百三十四万平米と取り組むわけでございます。十五カ月予算では。これがやはり私が、いままで五年でやっておりましたのを、三年の計画を文部省地方自治体とで一緒に組んでやっていこうという考えも、できればもっと初年度でやりたいのでございますが、やはり地方公共団体、市町村の財政の事情もあるものですから三年の計画にまとめたわけでございまして、補助は確かに三分の一でございます。これはやはり市町村の永久財産ということから補助率はそうなっておりますが、裏起債も、政府資金による起債を自治省で相当大幅に見てくれておりますし、その起債を償還をいたします年限に参りましたならば、元利償還もまた自治省で考えて措置をしてくれておりますので、あとは当面の資金の運用の問題が市町村に残るわけです。そういうことを勘案をいたしながら、実は三カ年の計画で、三カ年で六百五十二万平米までひとつ解消してしまおう、三年でやれば、従来五年でやっておりましたように毎年新しく出てくる七、八十万平米のものが後へ後へ残ってふえていくという状態がまさに改善されるという決断で、市町村の御理解も得ながら取り組んだわけでございます。
  65. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 公共事業といえば道路や橋をかけることだけではない、今後とも大いに教育施設の整備をしたいという大臣の決意を地方自治体が実行に移せるような措置を強くとってもらいたいと思うのです。  次に、非行の問題について伺いたいと思うのです。  私どもにとっては非常に残念なことなんでありますが、去る二月十二日に滋賀県の野洲村というところで、中学生の殺傷事件が発生したわけであります。私も心を痛めている一人であります。教育関係者ばかりでなく、中学生の子供を持つ父母にも、これは非常に大きな衝撃を与えたわけであります。特に私が本当に心配しますのは、教育委員会や教師のお話を聞きますと、野洲中のことは他人事ではない、他の中学校、高校でも同じような問題の起こる可能性はある、こういうふうにおっしゃっていることなんですね。そういう点で、改めて非行をなくすための取り組みの重要性を痛感しているわけであります。  私も、あの事件が起こりました直後に、地元のことでもありますし、県内を回って、いろいろな先生の御意見も聞いてみたわけであります。こうした悲劇の起こってくる原因として共通して言われましたことは、二つありまして、その一つは、非行の背景、土壌として、社会の文化的、道徳的な退廃のあること、それから地域社会の崩壊が原因になっていること。それからいま一つは、過酷な受験競争の中で、必ず全部というわけではありませんけれども、いわゆる落ちこぼれが生じてきて、これが非行につながりやすいこと。この二つが共通して指摘されているわけです。  そこで、文部大臣にお伺いしたいのは、この野洲中事件の重要性をどのように考えていらっしゃるのかということが一つと、それから、こういうことの起こってきた原因としていま共通して指摘されている二点について、どのように文部省は考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  66. 砂田重民

    砂田国務大臣 野洲中学の問題は、常識で考えられないような事態が現実に起こったわけでございまして、きわめて遺憾なことでございます。特に、問題のあった生徒の同級生諸君はちょうど受験シーズン、その心情を思いますと、本当に心の痛むことでございます。  この背景、原因等、教育委員会から直接文部省も詳細報告を受けたわけでございますが、そして指導、助言を行っているところでございますけれども、野洲中学の今回の問題は、あの当該生徒自身に問題があったということを担当の教員もある程度察知をいたしておりまして、その教員も、家庭との連携を持ちたいと考えて両親との接触を図ったわけでございますが、何回も家庭訪問をいたしましても、夜遅くまで待ってみてもお帰りにならない。とうとう両親との接触がない間にこういう事態が起こったわけでありますが、やはり率直に申しますと、家庭におきます過度の甘やかし、放任、あるいは先生も御指摘になりました社会の生命軽視の風潮、こういった問題が複雑に絡んでいるように考えるわけです。  学校の教育におきましては、教師が、一人一人の児童生徒の抱える悩みや問題につきましてそれを十分に把握をして、問題行動の早期発見、早期指導、こういったことに努めますとともに、学校生活のあらゆる場合を通じまして、教師と児童生徒及び児童生徒相互間の望ましい人間関係の育成を図ってまいらなければなりません。これは肝要なことでございます。文部省といたしましては、各学校におきます生徒指導、生命尊重の教育充実を図りますとともに、学校と家庭との間、そして学校と地域社会の間の連携の強化のために一層の指導を強めてまいろう。野洲事件、これはおっしゃるように人ごとではございません。二度とこんな問題を繰り返してはなりませんので、全国の都道府県教育委員会を通じまして徹底をさせたいと考えまして、通達を出す準備をいたしているところでございます。
  67. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 私は、きょうは限られた時間ですから、そのよって来る原因を根本的に論じようとは思わないのであります。しかし、いま各都道府県に通達を出そうと準備中だとも言われましたから、どうしてもこういう点だけは強調しておきたいと思うのです。  それは、私がずっと野洲中学校の近辺の学校の先生方の御意見を聞いて回った中で、これも共通しているのですが、いま大臣の言われたことが、中には当たっていることもあるし、当たってないこともある。われわれの同意できることもあり、同意できないこともあります。しかし、きわめて一般的、抽象的な指摘で非行というものが直せるものじゃない。それぞれの学校の置かれている条件、生徒の条件、そういうものに合わしながら具体的な実践が必要なんだ。そういう点では、現にこういう事件が起こった機会に、改めて非常に困難な教育環境の中で非行をなくすための取り組みを実践して、一定の成果を上げて、そのことが父母からも非常に喜ばれているという例がある。これにまず目を向け、また、そういう学校や先生方の声をよく聞いてみることが大事だ。そしてそういう教訓を広げることも大事だ、こういうことなんですね。  その一つといたしまして、野洲中のお隣に近江八幡市というのがあります。ここの市立の八幡中学校が、五年前から本格的な非行問題との取り組みを開始した。ここも五年前までは、男女生徒の無断外泊、万引き、窃盗、暴行や喫煙などが年間五十件も起こっていたということであります。  努力の第一は、初めは、担任の先生が担任の先生の責任において、問題生徒の非行について一人で対処するということであったけれども、いかに悩み、努力してみても、なかなか効果を上げ得ない。むしろ逆に先生が押される。そこで職員会議での討議を重ねるとか、あるいは合宿までしていろいろ論議をする。その末、これは集団で取り組まない限り解決しないということに到達して、いまでは、問題行動を起こすような生徒の指導については、担任教師の問題だけにしないで全校、学年で対処していく、こういうことを実行に移しているそうであります。  努力の第二は、喫煙や家出にしても、家庭での甘やかし、これは確かに大臣の言われるところですが、放任に起因している面が強い。家庭との連絡を密にし、家庭での指導を強化することや、それから地区PTAに生徒指導への協力と援助を依頼し、問題行動を起こした地区においては特別に地区懇談会を具体的に開いて協力を求めているということであります。  第三の努力は、問題になる行動を起こした生徒に対して、その他の多くの生徒は、自分に直接的な不利益がない限り自分の問題としてとらえない。また、そのことによって全体の利益が阻害されておっても、そのことを知らないか、あるいは知っていても取り組むすべを知っていない。そういうところからだんだん利己的になっていく、こういう傾向があるということがわかった。これをやはり戒めるためには、同じ仲間の生徒からお互いに注意をし合うようなムードを学校につくろうということを生徒指導の課題にして、具体的には、生徒の自主性を尊重しながら、生徒自身が迷惑防止運動というのを二カ月に一回ずっとやっているそうですね。  努力の第四は、特に八幡中では学力のおくれ、とりわけ読み書き、計算の、俗に言う基礎学力のおくれが落ちこぼれを生み出し、非行への条件を強めていくことを確認いたしまして、その基礎学力向上のために毎日二十五分ずつの特別校時を設定して、いわゆる補習授業ですね、国語、算数、この二科目について、奉仕的に学校の先生が補習授業を続けているわけです。  私もこうした話を聞き、学校の中を見せていただきながら胸の熱くなるのを覚えるような真剣さ、努力、これが一方ではようやく実ってきているとはおっしゃっていました。しかし同時に、では、これだけやって非行がなくなるかというとそうではない。やはり起こるというのですね。先生方は必死になって防戦している、こういう表現が当たるのではないか、こうおっしゃっていました。  そこで、大臣に伺いたいのは、こうした現場の先生方の努力を、まず文部省として知る努力をしていらっしゃるのかどうか、これが一点です。それからもう一つは、非行をなくすために政府のとるべき態度としては、法的な取り締まりの強化に力を入れることではなくて、まさに非行克服のこういう先生や学校の実践にまず目を向け、ここから学び、これを激励し、これを普及し、そして先生方の自主的な経験交流や研究活動、こういうものを大いに援助する、これがいま必要なのではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  68. 砂田重民

    砂田国務大臣 全く同感でございます。いま例示的にお挙げになりましたような対策が、まさに情熱のある教育との取り組み方の典型的なものであると、私も全く同感でございます。  全国に通達を出すと申し上げましたが、家庭との連絡、地域社会との連絡、そのほかにやはり担任の——野洲の場合は、担任の先生が一人で大変苦労をなさり苦悩されて努力をされた、しかし残念ながら全学級的な問題にはなさっておられなかった、そこらにも一つの問題点があったという反省の上に教育委員会でもお立ちになっているようでございます。委員がいま御指摘になりましたような方向で私どもも従来も指導をしてまいりましたが、さらに、そういう情熱を持っての取り組み方の先生方の御努力、そういう方向で指導もし、また御援助もしていきたい、かように考えるわけでございます。
  69. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 私は、時間があれば、もう少しこういう先生方の努力を紹介したかったのですが、一つだけつけ加えれば、さらにそのすぐお隣りに蒲生中学校というのが、これは組合立なんですが、ありますね。ここでは蒲生中が軸になりまして、やはり校区内の幼稚園、保育園、小学校、高校の先生方が協力をし合いながら蒲生中学校区教育推進協議会、校区協と略していらっしゃるのですが、こういうものを結成して、地域の子供の教育をどうするかということの、最初は先生方の実践交流、意見交換をされておったのですが、これにPTAや地域の父母なども参加されるようになり、現在ではすっかりこれが定着してきたそうです。そして、昨年からは特に中学生を守る会、こういうものもつくって積極的に父母と先生方の協力関係がつくられている。その中では、なるべくすべての父兄を結集する努力をまずやる、それから教育の課題を率直に提起していく、それから単におつき合いするというだけじゃなしに、必ず何らかの申し合わせをし、その実行を約束し合う、こういうことに努めているということを聞いております。  そういうことで、いま大臣も、私が報告したそういう先生方の努力を高く評価されたわけですから、それをくみ取った内容で通達を出すなら出して、実際にすぐれた実績を全国に交流されるようにしてもらいたい、これが一つ。  それから、やはり先生方の強い要望としては、中学校の教職員の定数をふやしてほしい、国会決議にもなっているのだから、ひとつ四十名学級を実現してほしい。それから、小学校からの特に基礎学力の充実が非常に大事だ、ここでおくれてくると中学は大変困難だとおっしゃっていました。そういう小学校の教職員の充実を図ってほしい、定数もふやしてほしい。それから、共働きの家庭がふえていることから、どうしても社会教育施設、児童館とか学童保育、こういうこともいまは切実な問題になっている、こういう点をぜひ私を通じて文部大臣に強く要望してほしいということであったのであります。最後に大臣のこれらに対する答弁を求めて、終わりたいと思います。
  70. 砂田重民

    砂田国務大臣 中学校、高等学校で学習におくれをとる子供たち、事の起こりが小学校の低学年に始まることは御指摘のとおりでございます。学習指導要領の改定もまた、そこに着目をして行ったわけでございます。先ほどからお述べのような、先生方の情熱のある教育の取り組み方がしやすい形の学習指導要領の改定を私どももやってきたわけでございます。  文部省として果たさなければならない責任、当然懸命に努めてまいる決意でございますけれども、同時に、やはり教育という事柄について、政府も社会も、両親も教師も、同じ目的を持たなければ、これの完成はできません。私は、私としての責任を果たしつつ、御両親にも教員にもお願いするべきところはお願いをしてまいりたい。このような非行が皆無になりますことを目途といたしまして努力をいたします。  それから定員増につきましては、法律に基づく、あるいは児童の増に基づきます教員の定員増の長期計画を五十三年度で終了するわけでございますから、その次をどうするかは、実は文教委員会理事会等でもお話し合いをいただくことになっておりますので、私ども検討を続けてまいりたい。ただ、学級編制のお話でございましたが、児童生徒はこれからの数年間、百二、三十万人ふえることもございますので、これに対応もしなければなりません。非常にむずかしい問題もあわせ抱えておりますことは御理解をいただきたい点でございます。
  71. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 終わります。
  72. 片岡清一

    片岡主査代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  73. 正示啓次郎

    ○正示主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。二見伸明君。
  74. 二見伸明

    二見分科員 きのうの分科会文部大臣は、職業教育につきましてわが党の武田委員の質問に答えて、職業高校の受け入れ体制のみではなくて、高学歴社会の打破、学習指導要領の改善、進路指導の充実等々の必要性を述べられたというふうに理解いたしております。もし私の聞き間違いだったら御訂正いただきたいと思いますけれども、私はきょうは、職業高校あるいは高校のあり方について二、三お尋ねしたいと思いますし、また大臣からも積極的な御意見をいただきたいと思うわけであります。  きのうの御答弁の中で、高学歴社会の打破ということがありました。確かに高学歴社会の打破というのは、入学試験をどうするかという技術的な問題ではなくて、文明論的な背景を持った根強いものだと私は思います。父兄、社会、企業、学生の意識にかかわる問題だろうと思います。しかし、そう言っても何とかしなければならぬということであります。  前の文部大臣の海部さんは、そのための一つの突破口として指定校制度を廃止してもらいたいという意見を強く述べられて、そうした立場で推進されてこられたと思いますけれども大臣としてやはりこの指定校制度については、今後ともあらゆる機関に呼びかけて廃止する方向努力されるのかどうかということと、去年一年間のこの指定校制度廃止に対してどのような実績、効果があらわれつつあるのか、これをまず冒頭にお尋ねをしたいと思います。
  75. 砂田重民

    砂田国務大臣 御指摘のように、海部前文部大臣が、石田前労働大臣の協力を求めつつ経済団体に要請をしたわけでございます。これを受けまして経団連も参加企業団体に、指定校制度を廃止することが望ましいという通達を出してくれまして、それからことしの新卒の採用試験が始まったわけでございます。  私が就任をいたしましてから、御指摘のようにこれは大事なことでございますし、われわれの力が微力で、たちまちにして様子を変えてしまうということはたとえできなくても、前海部文部大臣のともしましたともしびは断じて守っていかなければならないことでございますから、藤井労働大臣の協力を改めて私からも求めまして、次にどういう手を打つべきかということを御相談をしたのでございますが、海部前文部大臣の申し入れを非常に強く経団連も受けとめていてくれますので、その結果を詳細一遍調査をしろということで、二千五百ばかりの企業で働いておられる、毎年入社された、古い方から新しい方まで、個人をも対象とした調査票をお送りして回答をお願いをしているところでございます。三月いっぱいにそれを集約できますので、これは公表をすることにいたしておりますけれども、その結果を見て、ここまで改善をしていただきましてありがとうございます。なお御努力をお願いしたいと申し上げるのか、一向効果が上がらなかったではありませんか、指定校制の廃止にもっと御協力をいただかなければ日本の社会全体として問題がありますというお願いをするのか、次にどういう経団連との接触を持つかということは、この調査結果を踏まえて具体的な手段を考えよう、こういうことで労働大臣とも一意見の一致を見ておりまして、いまそれを集めているところでございます。
  76. 二見伸明

    二見分科員 いずれにいたしましても、高学歴社会というよりも、むしろこれは実態的には、大学卒業、しかもそれが特定の大学に集約した卒業証書信仰の社会だろうと思います。そうした意識は一日も早く打ち破らなければならないし、去年一年間の指定校制度廃止の文部省の姿勢が少しでも前進した結果が得られることを、私は期待をいたしております。そして、そうしたことが結局は、大学ではなくて、その以下の高校、中学、小学校の学習なりなんなりにひずみになってあらわれてきているのだろうと私は理解をいたします。  それで、もう一点お尋ねをいたします。これは大臣も御存じのように、都立烏山工業高校が三年間で百人の生徒を退学させなければならなかったという報告が、沖繩の日教組の研修会で発表になりました。これに対しては、教師として手を差し伸べなかったではないかという批判もありますけれども、私は、百人の者を退学させなければならなかった烏山工業高校の先生の言い知れぬ苦しみというものがわかるような気がいたします。それで、職業高校がどうあるべきかということではなくて、こうした処分については大臣はどのような受けとめ方をされているのか、お尋ねしたいと思います。
  77. 砂田重民

    砂田国務大臣 御指摘の問題の工業高校では、学習指導の上で種々問題のあります生徒について、学校側といたしまして学校生活に適応させるべく努力をいたしましたのにかかわらず、学校生活を続けることが大変困難と認められる生徒に改めて進路変更を勧めたわけでございます。その結果、多くの退学者を出すに至ったと聞いております。  職業高校の実態は地域によってさまざまでございますけれども、これらについて一律に論じることはむずかしゅうございますが、やはりこれも高学歴化の傾向を反映して一部に職業高校軽視の風潮があることを指摘する向きもあるわけでございます。高等学校におきます職業教育については、一昨年の教育課程審議会の答申等を踏まえまして、実験、実習等の実際的、体験的学習を重視しつつ、やはり基礎的な、基本的な内容に重点を置く方向でこれからの改善を図ってまいらなければなりませんが、中学校の進路指導にやはり大きな問題があると思います。できのいい子から順番に普通高校へ、中学校で学習が少し劣っている子供たちを職業高校にという、いまの中学校の進路指導の方法そのものにも非常に重大な問題点がある。小中学校の学習指導要領の改定もそのことを踏まえてやっているわけでございます。早急にこれの解決は望まれなくても、その解決へ向かって一歩一歩前進をいたしますために、せっかく改定をいたしました学習指導要領の、特に小中学校の低学年におきますこれの改善も、教科書はまだ間に合いませんけれども、移行措置が適切に行われていくように、先生方の御努力とわれわれの指導を続けてまいる決意でございます。
  78. 二見伸明

    二見分科員 鳥山工業高校の問題これは一つには職業高校のいま抱えている問題は、いま大臣も御指摘になりましたように、中学における進路指導に大きな問題があると思います。  私の友人にも工業高校あるいは農業高校の教師をしているのがおりますけれども、たとえば工業高校の入学試験で数学が五点きりとれない者が平気で入ってくる。しかも、その子供たちは工業高校で学ぶことをいやがっている。にもかかわらず無理やりに工業高校を受験させられて、おまえはここきりはいれないのだからといって受験をさせられて、工業高校へ送り込まれてくる。だから学校に行くのがいやになって、おもしろくなくなって非行に走るという例も事実あるわけであります。聞くところによりますと、静岡県のある工業高校では、中学校を回って入学説明をして、そして要するに、手に負えないような子供を職業高校、工業高校に進学させるという考え方だけはやめてくれといって中学校に入学説明をしているところがあると聞いております。また、私の知っている工業高校では、入ってきた高校生に対して、中学校、小学校以下にまでレベルダウンをして特別に授業をしなければ、要するに工業高校では生徒を教育することができないという実態だそうであります。  私は、こうした問題を考えれば、小学校、中学校の学習のあり方に大きな問題があることは当然でありますし、そのために文部省としては学習指導要領を改善するわけでありますけれども、そうした根っこの問題は根っこの問題として、それはまた別に議論しますけれども、そのひずみ、しわ寄せが中学三年における進路指導ということになると思います。しかし、中学校の先生方も、すべての先生ではなくて、そうした実態を心に苦しんでいる教師がたくさんいるだろうと私は思いますけれども、成績でもって輪切りをしてしまう、点数のよい子から高校をランクづけていってはめ込んでしまう。これは進路指導としては間違いであろうと思います。そうしたことをやりながら九三%以上の進学率を誇っているというのは数字の魔術であって、中身、実態的にはやはり憂うべきことだろうと私は思いますけれども大臣はいかがお考えになりますか。
  79. 砂田重民

    砂田国務大臣 私も間違っていると思います。また、そういう子供たちを職業高校へ送り込むような進路指導をしておられる先生自身も、大変な悩みをお持ちになりながらやっておられることだと思うのです。やはり学歴偏重社会というものに非常な個人的な反発を、学校の教師の皆さんも持っておられる。しかし、その社会の風潮にはもう流されざるを得ない。こういう状態に今日の中学校、高校があると思うのです。みんなが流されてはならないことでございますから、まさにその進路指導をやる責任が文部省にあると私は思うのです。ドン・キホーテだと言われましても、この進路の、どう言うのですか、変更に最善の力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  80. 二見伸明

    二見分科員 五十六年から実施される予定の中学校の新しい学習指導要領、これには進路指導について、「学校の教育活動全体を通じて、個々の生徒の能力・適性等の的確な把握に努め、その伸長を図るように指導するとともに、計画的、組織的に進路指導を行うようにする」こうあります。現行の指導要領ですとここのところが「適切な進路の指導」、表現が変わっているわけですけれども、これは表現の違いで、同じことを意味しているのか。むしろそうした進路指導のあり方の実態に着目をして、もっと生徒の個性なり能力に従った、あるいは志望に従った方向での何か新しい考え方を打ち出そうとしていることになるのか。この「計画的、組織的に進路指導を行う」ということと、現在の「適切な進路の指導」とは具体的に同じなのか。違うとすればどういうふうに違うのか、その点はいかがでしょうか。
  81. 砂田重民

    砂田国務大臣 いまお読みになりましたのは、まさに文部省教育界で使う専門用語が書き並べてあることを御指摘になったわけでございます。私は、私が考えておりますことを率直に二見委員にお答えしたいと思います。  小中学校の教育というものが人間性のどういうところに価値を見つけて導いていくかということを間違えてはならないと思うのです。それは一文部省だけではありません。政府も社会も両親も教員も、皆が同じ考えの上に立ってくれなければできることではありません。この前、総括質問二見委員からも御指摘のあった点でございますけれども、生徒の各様の態様を的確に教師がとらえる。たとえ数学の理解力が少し弱い、ついていけない、それを十把一からげに落ちこぼれという言葉でこの子供を考えては絶対にならない、私はそのように思うのです。そして、その児童生徒たちがどういう特色を持っている子供たちなのかという実態をとらえて、その上に立っての進路指導を学校の先生方にしていただきたい。学歴を確保するための進路指導であってはならない。やはり人間的な値打ちというものをどこに置くかということの上に立った児童生徒の判断、その判断の上に立っての進路指導をやることが一番大切なことであると考えております。
  82. 二見伸明

    二見分科員 大臣のおっしゃる気持ち、私もよくわかるのでありますし、方向としては私もその方向は賛成でありますけれども、実態的には、九三%以上が高等学校に行かなければならない。行くというよりも、子供の率直な気持ちは、行きたい者もいるだろうし、行きたくない者もいるだろうと思うのです。しかし、周りが行くから、親の方も、できなんか悪くてもいいからともかく高卒の資格だけは取っておけ、ということで押し上げられてくる生徒もかなりいるだろうと思います。それも、中身があろうとなかろうと、中卒と高卒では将来いろいろな違いが出てくるという意識がありまして、多様な選択を理想としながらできないんだろうと思うのです。そうすると、結局、中学校の上に乗っかった高校でそれは処理をしなければならない。ですから一面からいくと、大学と中学の間にはさまれた高等学校というのは一体何なんだろうということになると思います。高等学校とは何ぞやというめんどうくさい議論はいたしませんけれども、生徒の多様な進路に合わせた、要望なり志望なりに合わせた進路指導ということになると、具体的には、結局はそれは高等学校でそれをやらなければならないということになるだろうと思うのです。  そうしますと、ことしの五月か六月に文部省で発表される予定になっている高校の学習指導要領の改善版も、そうした実態を踏まえた高校の学習指導要領の中身になるのでしょうか。たとえば普通高校へ行きながら、いままでと違った、自分なりに一つ高校に入っていて、その高校の中で多様な選択ができるようなバラエティーに富んだものに高校を持っていくような形での改善が行われるのかどうか、ここら辺はどうでしょうか。
  83. 砂田重民

    砂田国務大臣 お話しのような観点からの高等学校学習指導要領改定と取り組んでいるわけでございます。やはり小学校も中学校も、基礎、基本ということを非常に重視した学習指導要領の改定をいたしましたが、高等学校も、やはり高等学校の低学年においてはもう一度基礎、基本なんだということを徹底する、そして高等学校の中高学年においては選択制も含めた各種各様の態様のある子供たちに対応のできるそういう高等学校あれかしということを基本に置いた高等学校学習指導要領の改定といま取り組んでいるところでございます。
  84. 二見伸明

    二見分科員 私も余り技術的なことばわからないのですけれども、九三%の生徒が高等学校に行くということになりますと、一つの高等学校の中にも、極端に言うとトップとボトムと両方いるわけですね、一つのクラスか一つの学年の中に。そうすると今度の指導要領では、低学年の間はそれを一緒くたにしてしまうのか、ある程度個人の能力に応じてクラス編制ができるかどうかわかりませんけれども、トップの方は高校の一学年の学力は十分あるけれども、下の方は小学校六年生くらいだ、こういう格差が出てきますね。そうすると、ここら辺も内容を違えるわけですね、同じ歴史を教えるのでも、同じ英語を教えるのでも。そこら辺も加味した、学校で自主的に判断できるような、子供の能力に応じて判断できるような仕組みになるのでしょうか。そこら辺はどうでしょうか。
  85. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学習指導要領自体としては、およそ高等学校教育において国民的に必要とされる基礎的な内容を国語なり数学なり理科について勉強するわけでありますが、これは一つの水準を持った内容でなければいけないと思うわけであります。ただ、御指摘のように、進学率の非常な高まりによって生徒の資質能力が極端に多様化したというその現状に対応するのは、むしろ教育の教え方あるいは教える仕組みの問題でございまして、現在でも、国語とか数学とか英語といったような教科については、子供を能力的に見てグループ分けをして教えるというようなことをやっておる高校も相当あるようでございますし、今日になってはそういうのは差別だというようなことは言っていられない。現実に非常に違うわけですから。私どもも、そういう教え方についてはいろいろな工夫をしてもらって、そして、おくれたグループにあっても、能力がまたついてくれば先のグループに入れるというようなことをしながら、教え方あるいは教える仕組みというものを能力の多様化に対応したようなやり方で工夫していただく、こういうことで今後も対応してまいりたいと思います。
  86. 二見伸明

    二見分科員 時間がありませんので非常に結論的な質問になりますけれども、総括質問のときにも、新自由クラブの西岡さんだったと思いますけれども、六・三・三・四という学制を改革してもいいじゃないかという御提言がありました。新自由クラブの言う六・五・五がいいのかどうか、これはまあ検討しなければならぬと思いますけれども、私はその点についてやはり文部省方向を教えていただきたいのです。  中教審の答申として、先導的試行というのがありますね。この先導的試行にはいろいろな問題が提起されておりますけれども、「先導的な試行という方式は、学問的に根拠のある見通しに立って現行の学校体系の中ではじゅうぶんに検証することのできない人間の発達過程に応じた新しい学校体系の有効性を明らかにするため、学校制度上特例を設けて、将来の学校改革の基礎となる新しい試行を積み重ねようとするものである。このような試行は、その成果を見きわめるために必要な期間としてほぼ十年程度にわたり実施するものとし、その学校体系を全国的な学制改革にまで拡大するか、現行制度と並列的なものとして制度化するかなどについては、その間における成果と各種の事情とを考慮してあらためて判断すべきものである。」こうなっております。いずれにしても、いまの六二一丁三・四が万全ではないという認識のもとに先導試行は行うのだろうと思います。しかし、答申が出たけれども、これは実際には行われておりません。  私は、これに関連して二つお尋ねをしますけれども文部省としてのいまの六・三・三、特に後ろの方の三ですね。ここに焦点を当てて六・三・三・四のいまの学制を検討すべき段階に来ているという御判断をお持ちになっているのかどうか。先導試行で答申が出ました。文部省がいろいろやりますと、上からの統制だとかいろいろな問題が起こりますので、地方自治体、県の教育委員会なり市町村の教育委員会に、ひとつ新しい試みとしてどんどんやってみろというようなことはできないのかどうか。また、新聞報道によりますと、愛知県では、今度は公立の中、高、三年、三年を一貫した教育でやろうという試みが行われるようでありますけれども、そうしたことについても文部省はどういう御判断をされているのか。まとめた質問になりましたけれどもお答えいただきたいと思います。
  87. 砂田重民

    砂田国務大臣 六・三・三・四のいまの制度を何かの形で変えなければならないということを前提にしての検討というのは、なかなかむずかしゅうございます。しかし、いろんな場所でいろんな方からいろんな御議論があるわけでございますし、こういった学校制度の全体的な改革というのは国民の将来に大きな問題になってくるわけでございますから、やはりそれはそれなりに、児童生徒たちの発達段階がどう変化してきているかという学問的な裏づけもまた必要でございます。六・三・三の制度そのものを改革するということを前提にしてではなくて、児童生徒の発達段階にどう合っているかという現実の問題の検討はしたいと考えておりますし、いままでも続けてやってきているところでございます。
  88. 二見伸明

    二見分科員 六・三・三・四の現行の制度を改革するという前提での検討はむずかしいというお話でありますけれども、もう少し白紙の立場でいろいろな検討を積み重ねていきながら——文部省も恐らく現行がいい、これがオールマイティーだという認識は持っていないだろうと思う。ただ、これにかわるべき新しいものがあるかどうかということで、だから踏み切るのがむずかしいんだというのが偽らざる気持ちのような感じがするわけであります。いろいろな試行を重ねながら、いろいろ検討を重ねながら、検討の結果によっては六・三・三・四も、それは私はことしとか来年とか短い期間ではないと思いますけれども、いろいろな意見を聞きながら、将来においては変わることもあり得るというふうな認識は、文部省はお持ちなんですか。それとも、これはあくまでも固定的に行きたい、運用面で変えていこうという認識なんでしょうか。いかがでしょうか。
  89. 砂田重民

    砂田国務大臣 学習指導要領の改定をしながら教育充実を図っていくというのは、現行制度の中ででき得る改革をやろうということでございます。一番最後におっしゃった点でございます。六・三・三制を変えるというならば、それではどう変えるか、何がよりベターであるかということ自体、まだ見当がついたわけではございません。六・五・五を主張なさる方もあれば、いろいろな制度を御主張なさる方もあるわけでございますから、そういった児童生徒の心理的な面、発達段階の学問的裏づけ等を検討した上で、よりベターだと国民の大方の方もお考えいただけるような結論を得られましたときには、そのときに考えたいということでございます。引き続いて勉強をさせていただきたいと思います。
  90. 二見伸明

    二見分科員 時間があと三分しかありませんので、お尋ねいたします。  きのうも議論がありました養護学校の義務化の問題であります。この義務制移行ということについては、きのうも井上一成委員からいろいろ御質疑がありましたので余りダブりたくありませんけれども義務化ということでこれを固定してしまうことが果たしていいかどうかということに私たちは疑問を持っています。ある程度父兄なり生徒なりに選択権を与えてもいいんじゃないか。きのうの御答弁でも、局長の方はかなり義務化にこだわっていられる、大臣の方はケース・バイ・ケースということである程度の選択権を与えられるようなニュアンスで、両方あるわけです。私は、養護学校を設置することは、もうすでに設置義務がありますから設置されるのは構いませんけれども、行くか行かないかの判断は、やはり父兄なりその生徒に与えられてしかるべきではないかなという率直な気持ちを持っております。  というのは、一般学校で教育を受けている、幼稚園で一般の普通の子供の中で生活してきた、隣近所でも隣近所の普通の子供の中で生活をしてきて小学校に通っているという者が、義務化によって画一的にそこへ行かなければならないということは、私はこれはやはり問題だろうと思うのです。また、健康な子女にとっても、自分たちの仲間の中にいろいろ不自由な者がいるんだ、だからということでめんどうを見なければいけないという、こういう言葉で言っていいのかどうかわかりませんけれども教育では期待できない効果もあるだろうし、そういうことを考えると、お互いに助け合っていこうという世の中をつくる、世の中  にはいろいろなハンディをしょった人もいるんだ、ハンディをしょっているけれどもみんなで手をつなぎ合っていくのが世の中なんだということをわかるためにも、画一的な隔離政策というのは  一考してしかるべきではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。これで終わります。
  91. 砂田重民

    砂田国務大臣 私はレアケースのケース・バイ・ケースの問題を昨日お答えをいたしました。局長は原則をお答えしていたわけでございます。  私は、養護学校の義務化ということは二つ義務があると思います。一つは養護学校へ通学させる父兄側の義務一つは養護学校を設置しなければならない公共団体の義務でございます。この二つ義務がありますことを、原則としてまずお答えをいたしました上で、いま二見委員の御指摘の点も、いま普通の学校に通っている子供というレアケースの場合を御想定になっての御質問だと思う。それはやはりケース・バイ・ケースがあってしかるべきだと私も考えます。ただ、いまも養護学校で勉強している子供たちがいるわけです。そして養護学校出身者もいるわけです。養護学校を卒業してみごとに社会に復帰をしている青少年たちもいるわけなんです。そこら辺のところをひとつ御理解をいただきたいのですが、画一的に養護学校へ入れてしまったら、それは社会復帰がかえってむずかしくなると、初めから決めてかかることも、また間違いではないかという気持ちがいたします。  そこで、私は、レアケースとしては、やはり就学指導委員会があることでございますから、そこに専門家もいることですから、御両親の御意見も聞き、学校側の意見も聞き、そういったレアケースにおきましては就学指導委員会が妥当な判断をして、教育委員会がそれに基づいて決定をする、その場合にどちらがいいかというのは、子供の幸せという立場に立って御判断いただければいいものと考えます。原則は原則でございます。
  92. 二見伸明

    二見分科員 終わります。
  93. 正示啓次郎

    ○正示主査 次に、小川省吾君。
  94. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、過去何回かにわたって、文部省に対して、学校事務職員の問題をお尋ねいたしてまいりました。本日も学校事務職員の問題についてお願いをいたしたいと思うのでございます。  まず、処遇の改善と任用制度の問題についてでございますが、学校事務職員の処遇の改善については、以前から問題を提起してまいりましたが、改善の方向で配慮をされていると思いますけれども、私が見聞をしている限りにおいては、一向に進捗をしているとは見受けられません。  御承知のように、学校教育は、さまざまの職種の専門制による協業で成り立っておりましてその目的が達成をされるものでございます。とりわけ事務職員は、教育職員の教育活動を推進するために、教育環境条件の整備を図るための管理部門を担当いたしております。その職務内容は、人事管理事務、情報管理事務あるいは財務管理事務等を広範に掌理をし、学校教育の中枢的な役割りを果たしていると、思うのでございます。  現在、学校事務職員の職務は重視されてきているにもかかわらず、教育職員や行政職員より社会的、経済的、身分的な格差が生じておると思うのでございます。職務の重要性やあるいは責任性、複雑性を考慮したときに、現在の処遇では勤労意欲に影響を及ぼしかねないと思います。これを解決するための格別の御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。  まず、任用制度の改善について。全国的に採用基準が、大学卒、短大卒でも初級職選考のみの県が多いのでございます。大卒や短大卒の任用者もかなりの数に上っている現状にありますので、中級職や上級職の選考制度を取り入れて人材確保を図るべきではないかというふうに思っておりますが、いかがですか。
  95. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学校事務職員にどういう資格の職員を求めるかというのは、それぞれの任命権者の判断によりまして、職務への対応を考えてやっておることでございますから、一律には言いがたい点があろうかと思います。  また、私どもの方としては、実態を詳細につかんでおるわけではございませんが、実は事務職員の処遇の改善に資するために昨年来、詳細な実態調査を実施いたしておりますので、その分析の過程におきまして、いま御指摘のような点も考えてみたいと思うわけでございます。そしてまた一面、事務職員についても、やはり御指摘のように能力の高い職員を採用するという必要がございますので、今後も、そういう趣旨に基づいて、いま申しましたような実態の検討の上で指導してまいりたい、かように思っております。
  96. 小川省吾

    小川(省)分科員 また現職員、現在いる職員の処遇の改善についてでありますけれども、教職調整額や、また人確法の教育職員への適用で、事務職員と教育職員との給与格差が著しくなってまいっております。勤労意欲にかなりの影響があると思います。人確法の次は事務職員の処遇の改善だと常々文部省は言ってこられたわけでありますけれども文部省の事務職員の処遇の改善についての考え方はいかがですか。
  97. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学校の事務職員につきましても、その職場が学校であるというところからしまして、教育職俸給裏の適用のある教員と同じような考えに立って特別の俸給表を考えたらどうかという主張、あるいは教員と同様な調整額等の支給を考えたらどうか、あるいは考えてもらいたいという声もあるわけでございますが、これらの点につきましては、人事院におきます考え方というのもありまして、事務職員は事務職員としての基本的立場があるということを考えますと、学校の事務職員についてのみそういうふうな特別な扱いをするというのは非常にむずかしい課題があるわけでございます。  そこで、いまわれわれが考えておりますのは、先ほども申しましたような実態調査の結果を見まして、その結果で、同じ学歴あるいは同じ経験年数の学校の事務職員と教育委員会等の事務職員との俸給上における比較というものを詳細にいたしまして、事実、学校の事務職員が教育委員会等の事務職員に比べてその処遇において劣るという実態が明らかになりました場合には、それは一般の事務職員と比較しても均衡上放置し得ない課題でありますから、少なくともまず一般の事務職員と同じレベルに引き上げるように、そういう方向で指導してまいりたいということを、この事務職員の処遇改善の当面の課題として考えておるわけでございます。
  98. 小川省吾

    小川(省)分科員 教職調整額が実施をされる前、あるいは人確法に基づく教員の給与改善が実施されるその前においても、学校における給与については調和がとれておったというふうに文部省は言うわけですから、教職調整額が実施をされ、あるいは人確法に基づく処遇改善が教員に行われる、こうなれば、当然調和のバランスは崩れたと思いますが、崩れていないわけですか。
  99. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ただいまも御説明で申し上げましたように、事務職員と教員とを直接比較いたしますれば、これは現在の給与体系において教員の方が有利なのは明らかでございます。そこで私が申し上げましたのは、そうではなくて、学校の事務職員と一般の教育委員会等の事務職員の均衡がまずどうなっているか、これがちょっと落ち込んでいるのではないかという実態があるように思いますので、その実態調査の結果に基づいて、少なくとも一般の事務職員と同じレベルに上げるということが課題でありまして、学校の教員と事務職員の均衡の問題は同時に並行して検討はいたしますけれども、いま申しましたような課題をまず考えてまいりたい、こういうことでございます。
  100. 小川省吾

    小川(省)分科員 学校事務職員というのは、いわば義務教育の学校では大体一人のところが多いわけですね。そういう意味では、職務の特殊性というものを十分に配慮をした上で処遇の改善を図っていっていただきたい、こう思っておるわけであります。  それから処遇改善の一環でしょうけれども、超過勤務手当の増加要求を文部省に対してされたと思うのですね。それを大蔵省で削られたと思うのですが、そういう削られたという現実の中で、恐らく処遇改善に資するという意味で超過勤務手当の増額要求をしたのだろうと思いますけれども、削られた現在の段階でどのようにお考えですか。
  101. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 超過勤務の実態につきましては、現在国が先生の給与費、事務職員の給与費も含めて半額を負担する。その負担をする半額というのは、実績の半額である。こういうたてまえになっておりますので、事務職員につきましては、いま申しましたような、教員との給与レベルの差ということもあって、かねてから超過勤務の支給については実態に即して支給をしてもらいたいという指導をしてまいりまして、今日の段階におきましては、おおむね各都道府県におきまして事務職員の時間外勤務手当は実態どおり支給されておるというふうに把握しております。
  102. 小川省吾

    小川(省)分科員 大蔵省に要求したでしょう。そうじゃないのですか。
  103. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 この事務職員の給与、時間外勤務の予算の積算というのは、各県一応のめどを立ててしておるわけでございますが、それが現在では六%、高い県は六・八とか、七とかいう県もありますが、おおむね六%で実施をいたしておるわけでございますが、これをもう少し高くしてくれという要望があることは事実でございますが、これは今後の課題としてひとつまた検討し、前向きに考えてまいりたいと思っております。
  104. 小川省吾

    小川(省)分科員 まあいいでしょう。  次は、学校事務職員の全校配置の問題について伺いたいと思うのであります。学校事務職員の定数については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律第九条によって規定をされておりますね。この算定によれば、私の群馬県の場合では、昭和五十二年度は、小学校十学級以上、中学校八学級以上の規模の学校に配置をされ、それ以下の学校では事務は教員やその他の職員によって処理されておるわけであります。学校事務は、このような形で処理すべきではなくして、事務を専門に担当する事務職員がいてこそ効果的に処理をされ、教育環境条件が整備をされ、教育活動がよりよく推進をされるはずであります。そのためには、このような小規模校にも必置の職員とされなければならないと思うのでありますが、学校教育法第二十八条第一項のただし書きは削除をしていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
  105. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学校教育法のたてまえは、確かに全校必置でございますが、やはりいかなる種類の職員をどれだけ配置するかということは、財政状況等と密接に関連いたしますので、当分の間はそのたてまえに例外を認めておるわけでございます。そして、実態におきましては、御承知のような標準法の年次計画によりまして、逐次配置率を上げてまいりまして、三十三年、標準法が実施されました最初の当時におきましては、事務職員の配置率は二四、五%程度であったわけでありますが、今回の五十三年度で終わります五カ年計画におきましては、全国平均で言いますと、その事務職員の設置率は七五%弱ということになる予定でございますので、それらの実態を踏まえた上で、今後の問題としてはさらに事務職員の拡充について努力してまいりたい、このように考えております。
  106. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、何も分校にまで置けということを主張しているわけではないのですが、基準定数の八学級とか十学級とかありますね。それに準ずるような、六学級、七学級というような学校に置かれていない。こういうのは、事務を運営するのに非常に効率を悪くし、適切ではないというふうに思いますので、順次そういう形にして、配置定数をふやしていくようなことを早急にやっていただけるのですか。
  107. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 義務教育学校の教員及び事務職員の定数の配置につきましては、御承知のように、従来も五カ年を一区切りといたしまして年次計画を立てて、その五カ年の最終の年までにこれだけ職員を計画的にふやすのだという目標に従って増員をするという計画で進めてまいっております。現在は、いま申しましたように、四十九年から五十三年度にかけての五カ年計画でございます。そうして、五十三年度の最終年度において、全学校の約四分の三の学校に事務職員を設置させるというところまで来たわけでございますので、次の年次計画を立てます際に、そういう点を十分念頭に置きながら、さらに前向きに検討したいというふうに考えております。
  108. 小川省吾

    小川(省)分科員 また、義務制の学校の事務は量的にも質的にも、高等学校のそれと異なっているとは思わないわけであります。そういう意味で、高等学校に行きますと、大体六、七人くらい普通いるわけですが、そういう意味では適正な複数配置もまた義務制の中で必要だと思うのです。そういうことで初めて、近代的な事務体制で効率的な学校運営教育活動が保障されていくと思うのですが、いかがですか。
  109. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 一般的に高等学校の場合には学校規模も大きい、そして教員の数もよけいおりますし、また、学校の組織等も複雑になっておりますので、事務を担当する職員も複数となっておるわけでありますが、小中学校、特に規模の少ない場合には一名の配置も一やむを得ないと思うわけでございます。ただ、交付税の積算基礎から申しますと、十八学級以上の小中学校については事務補佐という形で一名の職員を置く積算がされておるわけでございまして、それによって正規の事務職員にプラスして事務職員を置く等の措置をとっておるところもあるわけでございます。
  110. 小川省吾

    小川(省)分科員 いずれにしても、高校との差があり過ぎると思うのです。義務教育ですから数が多いわけですので、一概にそういうふうにいくとは思いませんが、交付税の積算は、これはやはり最低限のものですから、一それを上回って置けるような指導をやっていくようにぜひお願いをいたしたい、こう思っておるわけでございます。  それから、最後になるのですが、事務職員の産休や育児休暇の代替制度の確立についてお尋ねをいたしてまいりたいと思うのであります。  学校教育の現場においては、所によってその八割以上が女子職員によって占められています。ある県によっては九割以上という県もあるそうでありますが、そういうのが実態ですね。ですから、産休代替制度はどうしても確立されなければならないと思うのですが、確立をされていないために、学校の運営に支障を来しているという現状がそこここにあるわけであります。産休の代替についてし、県単で産休補助事務職員制度を実施をしている県もありますけれども、必ずしも十分とは言えないと思うのであります。現状では、休んだ事務職員の家庭に仕事が持ち込まれたり、多数の教員が事務を分散処理をして、教員は授業を放棄をするといいますか、犠牲にしているようなこともなきにしもあらずでありまして、近代的な学校経営や学校の近代化とはほど遠いという状態だろうと思うのであります。  いずれにしても、このような実態は学校事務の軽視によるものだというふうに思うわけであります。学校事務の性格から見ても代替職員の任用が必要であり、人材確保に万全を期する対策が要請をされると思うのであります。その具体策としては、学校事務の実態、職務の特殊性、事務職員の定数、資格、経験等から考え合わせて、単独法によって解決を図っていくべきだと思うわけでありますが、育児休業についても同様であります。ここでもいわゆる人材確保法と同じように事務職員だけが除外されるということはどうも納得ができないわけであります。どうしても産休、育児休暇の代替職員を置くようにしていくように解決を図るべきだと思いますが、その点についてはいかがですか。
  111. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、これまでもたびたび国会で御論議があったように記憶するわけでございます。  学校そのものをとらえて、教員は育児休業給、産前産後の期間中、有給休暇の期間中、代替職員を置くことが制度上認められておるのに事務職員にないというのは、運営上も適切でないという御指摘は理解できないわけではないのであります。しかしながら、たびたび申し上げますように、事務職員という点に着目しまするならば、それは教員という職務に着目して設けられた産前産後の代替なりあるいは育児休業給というものに直ちに学校事務職員を同様の扱いとすることといたしますと、それならば学校における給食の調理のための職員はどうであるかとか、あるいは他の教育委員会等の一般の女子事務職員はどうであるかとかいうような他職種の女子職員の処遇との均衡という問題が起こってまいりますので、文部省としましては、従来もそうでありましたけれども、事務職員についてのみ教員と同じような処遇をするということについては、直ちにそちらの方向で考えようかということにはなかなかなりにくい実情にあるわけでございます。
  112. 小川省吾

    小川(省)分科員 いま局長の御答弁にあるように、私は、それはわかりますよ。学校の給食調理の職員にも代替職員をという考え方はわかりますが、やはり学校事務をどうも文部省自体が軽視をしているのではないかというふうに考えます。そういう意味で、教育があらゆる業種の専門制によってその効果が上げられるとするならば、少なくとも事務職員には、少なくとも調理にはという段々はあると思いますが、少なくとも教員についてそういうものが考慮されてくれば当然考えていかなければならない。段階性はあると思いますが、そういう点も十分配慮して、心の中にとめておいていただきたいと思います。  いま御承知のように、参議院で産休代替職員の法案が議員提案で審議をされておりますが、これに対して文部省としてはどうお考えになりますか。
  113. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ただいま、たしかあの法案は継続審議になっておるかと思うのでございますが、まだ今国会になりましてから具体的な審議をなさってはいないようでございますが、私どもといたしましては、いま申し上げたような考え方を従来も持っておるわけでございますので、今後の委員会における審議の経緯等を見守らせていただきまして、また文部省としての考え方というものをいずれ申し上げる機会が来ようというふうに考えております。
  114. 小川省吾

    小川(省)分科員 大臣、いま局長と私との間で学校事務の重要性や、やはり学校事務を軽視してはいかぬということでいろいろやりとりがあったわけですが、お聞きになっておって、大臣の感想を一言お述べいただきたいと思います。
  115. 砂田重民

    砂田国務大臣 御意見拝聴いたしました。学校の事務職員の実効ある処遇改善を実現いたしますために、各都道府県におきまして給与実態調査を実施いたしまして現在集計しているところでございますので、この資料等をもとにいたしまして、少なくとも同一学歴、同一勤務年数の一般公務員より学校事務職員の給与というものが不利に扱われることのないよう、先生のお言葉をかりますれば、軽視されるようなことのないように十分注意をいたしまして都道府県を指導してまいりたいと思います。  それから最後の御意見でございましたが、参議院で継続審議になっておりますので、まず参議院の御意思、委員会の御意思等を承りながら対処してまいりたいと考えております。
  116. 小川省吾

    小川(省)分科員 特に教育問題について造詣の深い、理解の深い大臣がおられるわけですから、ぜひ学校事務職員の問題について、配下を督励指導して処遇の改善について万全の措置をとっていただけることを特に要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  117. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、中西績介君。
  118. 中西績介

    中西(績)分科員 私は同和教育問題について、この分科会で、特にその中でも同和教育に必要な教員の配置、加配の問題を中心にお伺いをいたしたいと思います。  ただ、その前に、昨日の分科会におきまして稻村総理府総務長官答弁の中で基本的に大きな過ちを犯す答弁をされています。この同和問題のとらえ方の中で最も根本的な問題である差別、この差別を————というとらえ方をしておるということが明らかになったわけであります。ということになりますと、この同和問題に関する法案を主管する、指導する総理府総務長官がそのようなとらえ方をしておったということになりますと、いまこうして論議されております同和問題全般にわたって、政府のとらえ方の中に、本当に現在の内閣の中での意思統一が、これに向けての行政措置をどうするかということの基本的な思想的なものも含めてどうなっておるだろうかということを大変私は危惧をいたします。そういう意味で、今回のこういう事態があっただけに、この問題に関しての基本的な姿勢が文教行政の中でどうとらえられなくてはならないかということがいま問い直される時期ではないかということをまた改めて痛感をいたした次第です。そういう意味で、この問題について文部省はどうとらえておるのか、そしてこれから行政を進めるに当たっての基本的な姿勢をまず冒頭にお答えいただきたいと思います。
  119. 砂田重民

    砂田国務大臣 総務長官の発言は、けさの新聞で私は見ただけでございます。本人の御意向等もその後承る時間がございませんから、これに対するコメントはきょうの段階ではお許しをいただきたいと思いますが、少なくとも文部省の姿勢、文部大臣の姿勢について中西委員がお尋ねになりましたことだけは明確にお答えをしておきたいと思います。  人間に差別が元来あっては絶対なりません。もしも社会に、あるいは青少年、児童、生徒たちの中にいささかでもそういう間違いがあるとするならば、積極的にそれが過ちであることを指摘して、そのような事態を排除いたしますのが文部大臣の重大な責務であると心得て対処をしてまいります。
  120. 中西績介

    中西(績)分科員 同じ内閣の大臣としての一員である総理府総務長官の発言に対する見解についてはお伺いできなかったけれども文部省の姿勢としては、あくまでも差別をなくすという方向での施策を遂行しなくてはならぬということについてはお認めになるわけでありますから、そこで、現在の同和加配の現状がどうなっておるのか。特に文部省は同和加配数を設定をして各県に向けて配置をしておるわけでありますから、この加配数とあわせて、昨年の文教委員会でも私指摘をいたしましたけれども、府県単費の同和加配数がどうなっておるのか。そして、特にまたその中でも、もしわかれば——いろいろ内容的に分かれる部分があります。というのは、いま申し上げた府県の単費で支払っておる分、加配をしている分と、もう一つは小中学校の教員定数配置をしておりますけれども、その中から割いて、一般の教員定数に入れるべきものを同和教育のためにということでもって、県によってはそれを減じて差し向けておるという実態があるわけであります。この点についてどうなっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  121. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 同和加配につきましては、現在の標準法、それから四十四年から四十八年までの標準法と、二度の五カ年計画にわたって加配を行ったわけでありますが、そのような加配を行う場合の基準といたしましては、第三次の五カ年計画におきましては、その学校の児童生徒のうち、同和地区の児童生徒の割合が二〇%以上の場合一名ということで、これが五百三十八名ございました。それから第四次、つまり今期の五カ年計画におきましてはその基準を少しく下げまして、当該学校の児童生徒の中に占める同和地区児童生徒の比率が一五%以上の学校一名加配、一五%以上または百人以上、つまり比率と同時に人数も多い場合は二人加配、こういうことでいたしまして、この五カ年計画におきましては六百二十四名、合わせまして五十三年度をもって千百六十二名の加配増員を、対象県としては三十府県になりますが、実施をすることといたしたわけでございます。  そこで、昨年も先生から御指摘がありました、実際はこれだけじゃないのだぞ、相当県単でやっておるのだが、その実態はどうかということで、それにつきましては調査をしましてと申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、五十三年度をもっていまの五カ年計画が終了しますので、その実施状況、特に過密県の定数配置状況等も詳細に検討いたしたいというふうに考えておりまして、その点は先般の文教委員会でも一申し上げたかと思いますが、その調査の際に、いま申しましたような県単職員の数がどのくらいあるかということもあわせて詳細に調査をしたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、いま御指摘のように、標準法の規定によって県に割り当てられました定数と実際の県単との使い方はどうか、標準法上の定数を同和等の加配に回しておって一般の教育に影響があるような実態はどうかというようなお話でございますが、それらの点については、一人一人の定数に色がついているわけではございませんので、結局標準法上の定数と県単がどれだけあって、それが実態上どうなっているかということを総合的に判断するよりしようがないのじゃなかろうかと思うわけでございまして、いずれにいたしましても、明年度早々の調査を待ってその辺のところは検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  122. 中西績介

    中西(績)分科員 問題は、この二度にわたる五カ年計画の中で一千百六十二名ということになりますと、五十三年度には予算措置の中には今度これに加えるということはあり得ないわけですね。そこで問題は、調査すると言われました県単の部分でありますけれども、私が調べた調査の資料によりましても、二千五百から二千七百程度県単で配置をしておるという状況にあるわけです。加えて、いま一般の教員の定数の中から回して同和教育を推進する、あるいは一学級の生徒数を減じて困難校については特別に措置をしておる等、いろいろあるわけでありますけれども、これが一千二百を超えるのではないかと考えられます。ですから、これを合算いたしますと、大体三千七百から九百程度の同和教育に対する教員配置が別途なされておるという実態がここにはあるわけであります。ということになりますと、この千百六十二名と比較いたしますと、約三倍強の教員がそこに配置をされておるということがこのことからわかるわけであります。このことをひとつ十分認識をしておいていただきたいと思うわけです。この地域で、財政的に困難な中でいかにこのような措置がなされておるかということを文部省十分認識をしない限り、この同和教育を推進するということを公言することすらできなくなってくるのではないかと考えます。  そこで、問題はもう一つあります。基準が低いために、たとえば、私九州ですから九州の例を挙げますと、長崎あるいは佐賀の例をとりますと、文部省の基準がそぐわないために、ここでは配置はゼロになっておるはずです。ところが佐賀県一つをとりましても、現在配置されておる者が一般の教員定数から回されておる者六名、そして県単で措置されておる者が四十八名です。そしてその中身は、先ほども申し上げましたように教育困難校に対する配置、そして三十人学級あるいは四十人学級というものをそこには設定をして強化をしておる、あるいは推進教員として配置をする、こういう状況が出ておるわけです。  そこでお聞きしたいと思いますが、このような基準が十分でないために配置されておらなくて実際にはこのようにして実施をしておる県は、どこがそういう状況になっておるのか、明らかにしてください。
  123. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先ほど申し上げましたように、当該学校の同和地区の児童生徒の比率を基礎としたわけでありますが、その調査のもとになりましたのは第四次の五カ年計画、つまり五十三年で終わる五カ年計画につきましては、四十六年度の総理府調査によっておるわけでありまして、その後五十年にさらに総理府が調査を行っておるようでございますので、この同和関係の調査につきましては、御承知のように総理府が主としてやっておりますので、これも一つの資料になろうかと思うわけでございます。そしていま御指摘のように、佐賀、長崎の例を挙げられましたが、そのほかにも中四国あるいはそのほかの地区でも、要するに同和地区はかなりあるけれども、その地区における総児童生徒数が少ないといったような地区をどうするかということが一つ検討課題でありますので、その点につきましては、今後さらに検討してまいりたい。先ほど申しましたように、現在のところ加配をしております県の数は三十府県でございますから、あとそれをどういうふうに考えていくかということは今後の課題にいたしたいと思っております。
  124. 中西績介

    中西(績)分科員 総理府の調査は四十六年にもあり、そして四十六年を基礎にしてこのような第三次あるいは第四次の配置がなされたと答弁があったわけですから、五十年の調査があったにもかかわらずその後の是正なり措置はされておらないということを言っておられるわけですね。この点をはっきりしておきたいと思うのですが、どうですか。
  125. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 やっておりません。
  126. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、この県単によって配置されておる教員の数、それから一般教員から配置されておる教員の数、こういうものについては調査がされてない。加えてこの同和地区の実態がどうなっておるかという新しい資料に基づく措置がされておらないということになってまいりますと、この教員の教育困難校に対する配置だとか、いろいろ条件はあるわけでありますけれども、そういうものに対する配慮は文部省としてはしておらないということをここで確認してよろしいですか、大臣、ちょっとお聞かせください。
  127. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ちょっとその前に……。五十年の調査があるのにその計画を訂正、改善しないのは何もやらぬことではないかという御指摘のようでございますが、御承知のように標準法の年次計画は五カ年計画であらかじめセットをいたしておりますので、その過程においていろいろ新たな検討課題がありましても次の計画のときまで延ばすというやり方をしてまいったわけでありまして、その点はひとつ今後の改善の課題として十分念頭に置いておくということを御理解願いたいと思うわけでございます。  また、県単や他の一般定数を回しているという実態がまだ明らかでないじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては、いま申しましたように、五十三年度早々において大々的な悉皆調査をいたしますので、その機会を待って一緒にやって詳細、的確な資料を得たい、こういう計画でございますので、これもひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  128. 砂田重民

    砂田国務大臣 ただいま御指摘の県単の数が三千名を超す、あるいは一般の教員の中からそちらへ回しているという実態の御意見を承りました。調査すべきものは調査をいたしまして、また第四次の改善計画が五十三年度で一応の完結をいたしますので、それに伴っての各府県別の実態調査をいたしますから、その機会も利用をいたしまして、実情に対応できるような体制をとります。
  129. 中西績介

    中西(績)分科員 もうここまで来ましたから申し上げますけれども大臣の出身の兵庫県が一般教員からそういう措置をとっているのです。私の出身の福岡もそうしてあるわけです。これはもう代表的なものなんですね。いわゆる措置を全然せずに一般の教員からそういう措置をする、こういう特殊な例なんですね。これはもう私は断固許されない、こう思うからであります。ですから、いままでこのようにしてサボってきたことに対しては、文部省としては十分責任を感じなくてはならぬと思います。この点は後でまた答弁していただきます。  そこで問題は、文部省のこの同和加配に対する目的です。どういうこととどういうことに配置をしようとしておるのですか、その点を明らかにしてください。
  130. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 一般的に申しますならば、同和地区の児童生徒についていろいろ環境上の問題その他があって学業の進度がおくれておるというような子供さんもおられるわけでありまして、そういう子供に対して教師の配慮を十分行き届かせて、個々の子供の能力、適性に応じた教育ができるだけ行われるようにという趣旨のもとに、そういう学校については教員の加配を行いまして、いわばきめの細かい教育ができるように配慮しよう、こういうことでございます。
  131. 中西績介

    中西(績)分科員 きめの細かい措置をするということであるわけですから、その点で、ある農業高校の教職員加配に関する陳情書なるものがここにありますが、これを見てみますと、どういうことが書かれておるかというと、たとえば本校生徒の学力について、これは以前こういうことはなかったと思うのだけれども現状では大学区になりまして、ふるいにかけられかけられして、大変層の薄い、いわゆる学校社会の成り立たないような状況に立ち至っている学校の一つの例です。  これを見ますと、これは高等学校ですが、数学に関して小学校の問題が一割以下しかわからない生徒が一七%、中学校の問題が一割以下しかわからない生徒が三四%、こうなっています。それから国語ですが、小学二年から六年に出てくる教育漢字の読みの正解答率が六七%、書くことで正解答が五〇%、それから小学校五年と六年の書き取り問題になると正解答率が二五%に落ちている。そして英語でありますと、約半数の生徒がアルファベットを十分に書けなかった、中学初級の問題の正解答率が三七%でしかなかった、こうなっています。  そこで問題は、このような実態の中で、現場の教師、教員がどのように苦労しているかということなんですけれども、これを救うとすれば、育成していこうとすれば、高等学校の教育内容をどう熟知させるかということに必死に取り組む前の段階として、小学校段階からの特別な教育課程を組まなければならぬわけです。これはまた一つ障害があるのです。何かというと、指導要領、これに沿った線でやらなければならぬということで、県教育委員会がいろいろこれに対して十分な指導をなし得ぬでおるという状況が一つあります。高等学校のでなくてはならないということを言うわけですね。実態に即応しないようなことを平気で言っています。これは文部省は十分考えなければならぬ点です。拘束性があるとかなんとかいうことを盾にとって振り回しますと、いまのような行政的な拘束が出てくるからであります。  そういうことは別にいたしましても、ここでやっておりますのは、四十名の定数を二つに分けて二十名でやっておるという実態、そのことによって効果が具体的に出てきているわけですね。そのかわり教師の持ち時間は倍になるわけでありますから、大変な量であります。ですから、一個人教師によって授業を成立させようといっても、肉体的にも精神的にもできない。しかもこれを見ますと、ものすごく学区が広がったために、家庭訪問するのが大変なんです。家庭訪問を一人の生徒に対して平均五回以上しておるわけです。これはもう大変なことですね。このことは十分おわかりだと思います。こういうような努力をしておるという実態が所々方々にあるわけなんです。そうしたときに、もしこれから調査をするということになれば、だからこそこの学校では定数を倍ぐらいにしてほしいという要求の陳情がなされておるわけだ、県教委なりいろいろなところになされております。  ですから、そのことを考え合わせていきますと、先ほどからお聞きしておりますと、この調査については、五十三年度になって新たに詳細にわたっての調査がされるということであるようでありますが、この点についてはその対象方法、これが大変重要になるわけですね。何か変なところばかりピックアップして調査した日には、全く相反する結果が出るわけです。この点についてひとつ明らかにしてほしい、これが一つ。それから二つ目に、この小規模しか同和地区がないという地域におきまして、先ほど言いましたように一五%そして百人以上、こういう基準があります。こういうところでは検討すると言っておるが、大体の目安なり何なりがあれば教えてほしいということが二点目。そして三点目に、高等学校の場合にこれは該当しませんね。ということになると、こういう高等学校は相当数に上るはずですから、したがって、これに該当する県等に対する特別交付金なり何なりの措置を考えていこうとしておるのかどうか、時間がありませんから、簡単に答えてください。
  132. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 五十三年度の調査は、小、中、高等学校、悉皆調査をいたしまして、簡単に申し上げますと、学級編制の実態、教職員配置状況の実態等について調査をいたしたい。部分的な調査ではないというふうに考えております。  それからもう一つは……(中西(績)分科員「小規模の同和地区の」と呼ぶ)これはまだこれから検討する課題でございまして、具体的なプランを持っておりません。  それから三番目に、高等学校に加配の問題でございますが、先ほどのお話で農業高校の子供さんが非常に学力が低い、そこで中学校あるいは極端に言えば小学校段階のことも教えようとすれば指導要領違反だと言って教育委員会にしかられるから、それも困るというお話でございましたが、この問題は、先生は大変だろうとは私は思いますけれども、本質的にはもっと小学校、中学校の段階で基礎、基本をやっていただくということでいくだろうと思うのです。先般の沖縄における日教組の教研集会でも、高等学校の先生から、もっと小学校において基礎、基本をしっかりやってもらわぬと困るではないかというような意見も出たというふうに参加された方から私も伺いましたけれども、根本はそこに置きながら、これからの高等学校の実態というものに対応して教員配置をどういうふうにするかという点につきましては、私は、小中学校と同じように教育困難ということで加配するのがいいのかどうかということもあろうかと思いますので、なお検討さしていただきたいと思います。
  133. 中西績介

    中西(績)分科員 時間が来ましたので、最後に締めくくりたいと思いますが、こういう状況については、教員定数問題一つをとりましても大変問題があるということについては大臣もお気づきになったと思います。そこで、この問題は、いま申し上げましたように具体的な問題についての回答はできておりません。ですから、少なくともこういう問題があるということの認識の上に立って、大臣の決意を一言お伺いしたいということが一つ。  それから、加えまして、同和教育振興法をこの措置法に基づいて——教育ということが大変重要な課題であるということ、この同和問題を考えるときにこのことをおいては考えられない、そのこともおわかりだろうと思いますだけに、この同和教育振興法なるものは、産業教育振興法あるいは理科教育振興法、離島振興法など、いろいろありますね、そして昨年海部文部大臣はこのことについては検討を約束しておる課題であるだけに、このことに関して最後にお願いを申し上げると同時に、あわして基本法であるこの措置法を強化し、延長するということに対する見解、決意をひとつ申してください。
  134. 砂田重民

    砂田国務大臣 御指摘の御意見を伺っておりまして、実態をよく私は承知をいたしました。兵庫県が行っております実態も私にはよく理解ができるわけでございます。せっかく悉皆調査をいたすわけでございますから、当然にきめの細かい調査にしなければなりませんし、同和地区の問題も手抜かりなく調査を進めまして対応いたしてまいります。  最後の御質問でございますけれども、昨日総務長官から措置法の延長問題答弁があったようでございます。延長の方向で担当者であります総務長官も取り組んでくれておるようでございますので、当然私もそれに同調して協力をしてまいりたいと考えます。  なお、教育についての新たな立法については、海部文部大臣検討途中でかわられたわけでございますので、私はそれを引き継ぎまして検討を進めてまいりたいと思います。
  135. 中西績介

    中西(績)分科員 以上で終わります。
  136. 正示啓次郎

    ○正示主査 次に、吉田之久君。
  137. 吉田之久

    吉田分科員 私は、きょうは少し変わった質問になると思いますが、ローマ字の問題について御質問を申し上げたいと思うのです。ローマ字の教育指導は文部省がやっておられるのだろうと思ってこの分科会質問をお願いしたわけですが、いろいろ聞いてみますと、いま文化庁文化部の国語課でやっていらっしゃるということを聞きまして、一つ認識を新たにしたわけでございます。  どうもいろいろ専門家の話によりますと、今日このローマ字の功罪をめぐってかなり論議が深刻に発展しているようでございます。文部省は訓令式と称するローマ字を教育指導をしておられるわけでございます。もちろんヘボン式というのもわれわれ昔から存じ上げております。大臣砂田重民とおっしゃるわけでございますが、ローマ字でサインをなさる場合、スナダは、これは簡単でございますけれども、シゲタミのシというのはどうお書きになっているのでございますか。
  138. 砂田重民

    砂田国務大臣 ヘボン式で書いております。
  139. 吉田之久

    吉田分科員 そうでございますか。文部省が指導しておられるのは訓令式でございますが、大臣みずからがヘボン式をお使いになっている。主査をなさっている正示先生のショウジというのも、  これは私間違ったらいかぬと思いまして、小学新国語四年の上というところにちゃんとローマ字訓令式が出ておりますが、ショウジという名前は、訓令式に書きますとsyoziと、こうなるわけでございますが、恐らく先生はそうはお書きになっていない、shojiとこうお書きになるのが普通でございます。  事ほどさように、一方では訓令式を教えながら、われわれ日本人が平素使っているローマ字というのは、ほとんどヘボン式でございます。この辺に大きな混乱が現に生じていると思うわけであります。こんな紛らわしい、そしてその後の英語教育に百害あって一利ない訓令式というものは、この際やめたらどうか、あるいはこの際中途半端なローマ字というものを全廃したらどうか。いやいや、ローマ字というのは、やはり大変必要なんだ、英語へのアプローチとして日本人の教育に欠かせない問題だ、しかし訓令式をやめてヘボン式と申しますか、あるいはさらにいろいろ検討を加え工夫をして、新ローマ字というもので改めて教育を始めてはどうか、いろいろな学説が区々としてあるようでございますけれども、この際、大臣あるいは文化庁のその衝に当たっておられる方々が、こういうローマ字問題をめぐっていまどんな要請を受けておられるか、また現にどう研究、対応しようとなさっているか、その辺のところをまずお伺いいたしたいと思います。
  140. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 お答えいたします。  ローマ字のつづり方につきましては、先生も御承知のとおり、戦前、戦後を通じた長い間の論議と審議の結果、昭和二十九年に、いわゆる訓令式を原則とするが、しかしながらヘボン式ないしは日本式につきましてもこれを差し支えない、使用することができるという現行の体制になったわけでありまして、私ども文化庁といたしましては、また国語審議会におきましても、現在のところ、これにつきましてどうこうするということを直ちには考えていないところでございます。  いろいろの方面から御意見があるところは十分承知いたしておりますが、戦前、戦後を通じた長い期間の結果、二十九年にそう決まりましたことにつきましては、これは相当の審議の結果なったわけでありまして、これを尊重していく態度で現在はおるわけでございます。
  141. 吉田之久

    吉田分科員 余り確たる方針を打ち立てないままに推移を見守っておられるというふうな感じに受け取りますが、私どもの考えでは、やはりローマ字というものは大変重要な役割りを果たし得るものではある。しかしそれは相当慎重に配慮して教え込まないと、先ほども申しましたように非常に大きな弊害を生ずる。  私どもも子供のころにこのローマ字というのを、たしか下敷きみたいなものに書いてありまして、それを覚えたら、非常に図式的ですぐに覚えられました。かたかな、ひらがなと同じように、これほど覚えやすいローマ字というのがあるものか、何かそれで書いてみると、日本語が急に英語的になったようで、一つの感動も覚えました。非常に覚えやすい図式的な現在のローマ字、特に訓令式はそのまま幼少年時代に日本人の頭にこびりついてしまう、その幼少年時代にこびりついたものは永久にそれが影響を与えていくわけでありまして、それが今日英語を読んだり語ったりするのに非常に弊害を生じているというふうな気がするわけでございます。  そこで、まず町の様子を見ますと、いま大臣みずからもおっしゃいましたように、ほとんどがヘボン式を使っているようでございます。たとえば不二家というのはFUJIYAとこうなっております。決してヘボン式の言に始まっていないわけであります。huで書きますと、hujiyamaというのがヒュージヤマというふうにしか外国人には読めない。これでは通用しないものでございますから、お互いに生活の知恵でヘボン式を使っているようでございます。  そこで、私はそういう点をさらに詳細にいろいろ聞いてきたわけでございますが、siですね、これを訓令式ではシと読ましておりますけれども、これは英語で発音いたしますと、スにイをつけたスィだそうでございますね。私もローマ字の弊害でどうも発音がうまくいかない方でございます。したがって、たとえばsick、これは本式に読めばスィックだそうでございまして「病気の」という訳になりますが、これを日本人はそのまま全部ローマ字式に読んでシック、その病気というのがシックと、日本英語になってしまっているわけでございます。これが諸外国では全く通用しない。  それから、銀でございますけれども、sil−ver、スィルヴァーですが、これが全部ローマ字式にシルバーで押してしまって、日本では銀はシルバーということになっておりますが、これも全く通用しません。  一番笑われるのは、座るという意味のsitでございますけれども、これは英語ではスィットと読まなければならないけれども、われわれはこれはもうシットになります。だから、ハロー・ウエルカム・シット・ダウンとか——シット・ダウンと言うと、トイレへ行って排せつする行為をシット・ダウンと言う。ですから、客を迎えるなり「トイレへ行って用を足してこい」こう言うものですから、日本人というのはばかじゃないだろうかと外人は驚くようでございまして、この辺にも大変な不便が生じていると思います。  したがって、今後日本人がそういうことに苦労しないで済むためには、先ほどシゲタミのシはshiだとおっしゃいましたけれども、やはり文部省みずからが、文化庁自身がシというローマ字はshiが一番適当なんだというふうにきちんとお決めにならないと、いまおっしゃっているように、まあ訓令式でもヘボン式でもどちらでもいい、適当に使っていればいいだろうというふうなことでは、これはもう国民にとりまして、まして幼少年の子供たちにとりましては迷惑千万なことでございますので、いろいろそういう角度から見ても、シという発音をローマ字に直すこと一つをとりましても、この際それはshiに変えるべきではないか。  それから同様の弊害が随所に出ておりまして、時間の関係でことごとくを申し上げるわけにはまいりませんけれども、たとえばti、これをチと読め、こう訓令式で教えているわけでございます。これは英語ではどうしてもティでありまして、チにはならないようであります。したがって、たとえばチケットと言っております。切符のことでございますけれども、これはtichetでありまして、ティケット、それがチケット、チケットということで、日本では通用いたしますけれども、もう一歩外に出れば何のことか全然わからないという弊害が生じております。したがって、チというこの発音もchiというふうに変えるべきではないか。ローマ字で並べてみますと、確かにタ行にchが入るということはなかなかいやなことではございましょうけれども、しかし後で迷惑するよりはむしろそのように教えた方がいいのではないか、私はそう思います。ツもそうであります。tuではツにならないようでありまして、tubeはチューブでありまして、ツとするためにはtsuにしなければツとしては今日英米語社会では通用しないと思われるわけでございます。  その他、特にハ行のヒュでございますけれども、これが非常に混乱をいたしております。先ほど申しましたように、フという発音はhuではなしにfuにしてやらないとこれはヒュになります。ヒューマンのヒュになってしまいます。したがって、これはやはりfuに変えるべきではないか。  それから一番おかしいと思いますのは、われわれの持っております一万円、あるいは千円でもそうでありますけれども、円がyenとなっています。これはどこから始まった言葉か知りませんけれども、こればイェンでありまして、イェンで結構ですが、現に円高と称されておりますわれわれの通貨が訓令式を使っておりませんで、yenというのでエンと読ませているわけでございますから、考えてみましたら、文部省が教えながら、しかも役所は、大蔵省はまず訓令式を使っていない。国鉄へ参りましたら、運輸省の方は全く訓令式を使っておりません。全部ヘボン式でありまして、私もそうかなと思ってきのう東京駅へおりてじっと見ましたら、新幹線と書いてありますが、畳でございます。丸の内のチはchiでありまして、これは文部省の威令行われないことおびただしいと思うわけであります。  余り長々と同じようなことばかり言ってもおかしゅうございますが、ともかくそういうふうに現に政府みずからの各出先で使っておりますのがヘボン式なのでございまして、文部省がいつまでも訓令式にこだわるのはまさに時代錯誤ではないかというふうに思いますが、大臣はいかがお考えでございますか。
  142. 砂田重民

    砂田国務大臣 大変な御勉強にまず敬意を表しておきます。  ただ、文部省は御指摘の第一表の訓令式にのみこだわっているのではございませんで、ヘボン式によってもあるいは日本式によっても差し支えないということでございますから、国鉄の駅名もヘボン式でありますし、外務省が発行いたします旅券の名前もまたヘボン式を使われているわけでございます。現在の内閣告示、訓令は、過去二度大変な論争があったわけです。これはもう吉田先生よく御承知のところでありますが、いろいろな識者によります専門的、理論的な審議を経ました結果、国語のローマ字のつづり方として広く行われている方式、その三つの方式それぞれに根拠、特色、歴史がございまして、そのいずれのつづり方もにわかに使用を禁止するとか無視することが現実問題としてできないものでございますから、第一表によるとしながらヘボン式、日本式もこれを認めるということでまとめられて、現在はそういうことでいっているわけでございます。  ただ、お話を承っておりまして感じましたことは、ローマ字の使い方を間違って教えているから日本人の英語の発音が悪いという御意見でございます。お言葉を返すようでございますが、これは私はちょっとうなずけない点がございます。チケットだとかスーパーだとかいうことの御指摘がございました。英語のsilverはローマ字でシルバーと書いてあるから、スィルヴァーを日本人はシルバーと言ってしまう。これは英語の正しい発音ではない。チケットもまたそうだという御意見でございましたけれども、その英語にいたしましても、同じ英語であっても英国で通用する発音、アメリカで通用する発音、オーストラリアで通用する発音がまた違うということから、いまの若い世代の皆さんはローマ字がシルバーと書かせるからといって銀のことをシルバーとは発音していない。やはりいまの若い世代の人たちの言葉としての英語というものは、私どものゼネレーションの者が発音する英語よりははるかに通じる発音をいたしてくれております。アメリカで、駅でチケットを買おうと思って幾らチケットと言っても通じない、テケツと言ったら通じたというふうなこともまたあるわけでございます。ローマ字の使い方と外国語の発音の仕方を直ちに結びつけるのはちょっと御議論に飛躍があるような感じもいたすわけでございます。訓令式をたてまえとしながらヘボン式、日本式も認めているといういまのいき方、日本人の寛容の度のあるところでもあるのではないかという気もいたすわけでございます。にわかにこの中でどれをとめるということは、それぞれまた歴史的な背景もあることでございますので、当分はこのままでいかせていただきたい、かように考えるわけでございます。
  143. 吉田之久

    吉田分科員 大変造詣、良識深い大臣でございますから、それは何式を習おうとも英語は英語、発音は発音、こなせる者はこなせるのだ、それはお説のとおり、私も一否定いたしません。しかし、やはり言葉というものはできるだけなじみやすく、たとえば過去の時代は別としていまや日本の接する大部分の外国社会というのは英語社会でございまして、ドイツ語、フランス語ももとより重要でございますけれども、その相手側の語る言葉の大部分が現に英語であるということ、まあ英語自身にもいろいろとスラングがありましてずいぶん発音に悩まされることはわかっておりますけれども、しかしそうだからといって、そういういろいろな方言や俗語を全部教えるわけにもまいりません。一番最大公約数的な標準に近いものを教えなければならない。だとするならば、趣味でいろいろやる場合は別でございますが、いやしくも日本のすべての国民、特に若い層を指導していく文部省としてはどういう方式で数えることが一番ノーマルに近くてかつ効果的であるか、その辺を考えないでおっしゃるということは余りにも大臣自身の持ち合わせておられる教養が邪魔になり過ぎてかたくなにおなりになるのではないかと私は思います。こういう事例があるからすぐにことごとく訓令式をやめてヘボン式にしろと申しているわけでは決してございませんけれども大臣ともあろう人ならば私が一言、二言言えばすぐにもお察しくださるだろう、いろいろお考えくださるだろうと、かなり期待を込めて立ち上がったつもりでございますが、いささか幻滅でございます。  そこで、もう少し時間があるようでありますから申し上げたいのでございますが、この言葉というものはやはり一つの生き物でありまして、時代とともに変わっていくわけでございます。理屈から申しますと、本当に正しい発音を表示するためには発音記号ででも書けば一番確かでございますけれども、しかし発音記号なんというものは発音にとどまるわけでありまして、一般日常にこれを転用しようと思ってもつづりようもない、続けようもないというふうな気がいたします。あるいはエスペラント語を使えばという学者もおられます。確かに万国共通で非常に論理的なんでございましょうけれども、それはしょせん一部の学者やそういう人たちの中にとどまっておって、実際の言葉としての生きる力を持っていない。  私はそういう点から考えますと、理屈はともあれ、いま日常社会でどんどんヘボン式と申しますか、訓令式でない、そういう形のものが一般化してきているということは事実でありまして、それはそれなりの正当性を持っていると思います。大臣が何とおっしゃっても、現場の先生たちが教えるのに非常に困って、しかも、どちらを教えてもいいというふうな感じでございますけれども、現場に至りましたら、どちらを教えなければならないか、どちらは付録として教えればいいのか、その辺が大変選択に混乱をしているはずでございますし、また混乱しなければおかしいはずであります。文部省の威令というものはそれほどいいかげんなものかということになるわけでございます。  私は、そういう点で、やはりローマ字というものがこの辺であらゆる角度から本気で検討されていいのではないか、これは単なる一つの歴史的産物としての言語学の骨とう品であってはならないと思うわけでありまして、その辺文化庁の方のお考えはいかがですか。
  144. 砂田重民

    砂田国務大臣 御意見よくわかるのです。私のゼネレーションの者には、訓令式というものは実はどうしても一読めない。huと書いてフとは読めない。ヘボン式に子供のときからなじんでおりますから、自分の名前を書くのでも、重民はshiだと思い込んでおります。しかし、先ほど申し上げましたような事態がございますし、いまの教え方の点もございましたので、初中局長から教え方のことについてちょっと答えさせていただきます。
  145. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学校教育の場でローマ字を教えるというのは、御承知のように小学校の国語でやるわけでございます。したがって、そこで訓令式のローマ字のつづり方をするわけですが、それはどういう根拠でやるかと言えば、たしか昭和二十八年ですか、九年ですかの内閣告示で、その内閣告示は国語審議会の建議を受けてなされたものと承知するわけですが、その内閣告示で、一般に国語をローマ字であらわす場合には別表の一によるのだ。それがいまの訓令式。そしてその他の場合、特に外国と関係ある文書等の場合にはヘボン式、第二表だ、たしかそういうふうになっておったと思うのですが、そういう前提がありますから、やはり告示といえども、いわば国民にローマ字をつづる場合の原則はこういうふうな使い方ですよという政府の意思を示したものと考えられるわけです。したがって、教育の場ではやはり訓令式をまず小学校四年くらいから教える。ですから、先ほど教科書をごらんくださいましたけれども、教科書でも訓令式があって、それで物によっては同時にヘボン式も教えておるようですけれども、一応国語の場ではそういうことをする。そして中学校へ入って英語を勉強するようになりますと、英語の中に出てくるローマ字は、先ほど御指摘のように、富士山ならマウントフジというのをhuとは絶対書かないで、これはヘボン式で表記をする、こういうやり方をしている。  そこで、ちょっと実情に合わないじゃないかとか、あるいは混乱をするじゃないかというような御指摘のあることは承知いたしますし、そういう面があるということも事実だと思いますけれども、いま申しましたような内閣告示があって、わが国のローマ字というものはこういうふうなたてまえだということでありますと、教育の現場としてはそれを反映してやらざるを得ない、こういう実態でございます。
  146. 吉田之久

    吉田分科員 何せ二十八年、二十九年、古いですね。だから、それは文化庁にすれば、そういう過去の権威ある決定があれば、それを簡単に覆すわけにはいかないと思います。しかしそれを察知して、ひとつ内閣としてもう一度時代に即するようにしようではないかと判断されるかどうかは、挙げて大臣の仕事でありますし、責任でありますし、判断でございます。昭和二十八年、九年ごろの日本と今日五十三年の日本とは、もう二十数年間の隔りがあるわけで、国際社会もどんどん変わっているわけでございます。現に、大臣が何とおっしゃろうとも、現場で教えている先生方が、この訓令式ほどどうにもならぬ厄介なものはない、日本の、英語になじむための道筋で本当に大きな障害になっていることは、もうすべての現場の人たちが身にしみて告白しているわけでございますから、大臣も、かなり片意地な方のように思いますけれども、ひとつこの際によく下部の事情も研究してあげていただきたい。  それから特に、おっしゃるとおり四年生の本にはヘボン式の方は全く書いてございません。しかし一番先に頭に入りますものはこれでございますよ。その次に、六年生の参考書をちょっと持ってきたわけでございますが、確かにその第二表には、特別な場合だけ使うとして、シャとかシュ、ショ、そういう場合、あるいは先ほど問題のシなんというのも旨を使っております。チもchiを使っております。特別な場合だけと、ただこれだけあるだけなんです。どういう場合が特別なのか、特別でなければやはりこちらを使えということになるのです。そしてほとんどの国民は特別な方を使っているわけなんです。これはまさにゆゆしい問題でございます。  それから特に第二表を見ますと、dyaですね、これをジャ、dyuをジュ、dyをジョ、こう教えてあるのです。日本語でジャ、ジュ、ジョというそういう発音を特にこういう字で教えなければならないかどうか。  それからもう一つ奇妙に思いますのは、最後にw、これをヲと、こう教えているんです。どの場合にwを使ってヲと発音させる日本語の必要があるのか。これはもうわれわれ全然わかりません。それよりも、子供たちは野球の王選手の背中にOHと書いてあるので、あれがオだ、こう思っています。訓令式が何と言おうと、現実の社会は動いているわけでございますから、どうかひとつその辺は、これを契機に、本当に日本子供たちがかわいいとするならば、そして日本が今後いよいよ国際社会の中で華やかに活躍できる、そういう言語的な土壌をつくってやろうとする気持がありとするならば、私は、大いに検討を進められなければならない問題ではないかということを強く要請いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  147. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、草川昭三君。
  148. 草川昭三

    草川分科員 草川でございます。私の方は、まず第一番に海外子女の教育充実についてお伺いをしたいと思うわけであります。  海外子女というのは、御存じのとおり最近日本の産業構造が非常に高度工業国家になってまいりまして、輸出に関する業務が非常に多くなってまいりまして、それに従事をする日本人も多くなってきたわけでございます。しかもまた最近、国内での需要もさることながら、海外におきましてかなり大型プロジェクトが組まれるようになりまして、一般の現地の作業員の方々も大量に諸外国の方に移られまして、そこで長期間にわたって作業をするということもかなりふえてまいります。こういうように、一つの国際交流というんですか、海外派遣に伴いまして両親とともに海外に行かれる子女というのが非常に増加をしておるわけでございますが、その子女に対する教育の体制の不備というものが非常に大きな問題になってきておるわけです。そのことについて、私はいまから前半少し御質問をしたいと思うわけであります。  いまどういう点が問題になっておるかと言いますと、まず派遣教員の数が非常に不足をしておるということ、あるいは資質の問題だとか帰国子女への教育関係の未整備など、緊急の問題も多いと思うのですけれども、ひとつ現地の教育問題あるいは帰国後の教育あるいは残留子弟の問題の三つに問題点をしぼって御質問するわけです。  まず、義務教育に相当する年齢の児童が海外に現在何名くらいいるか、そこからお伺いしたいと思います。
  149. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 御指摘のように、近年わが国の国際的諸活動の進展に伴いまして長期間海外に在留する日本人の数が急速に増加しまして、これに同伴する子女の数も急増してまいりました。昭和四十六年に約九千人でございましたが、昭和五十二年度におきましては約二万人ということに子供たちの数は相なっております。
  150. 草川昭三

    草川分科員 四十六年の九千人からいま二万人でございますから、かなり急速な伸び率だと思うのです。そこで、現地に日本人学校といわれる学校数はどの程度あるわけでございますか、そこを第二番目の御質問としたいと思います。
  151. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 現時点におきましては日本人学校と呼ばれるものが約五十校でございます。
  152. 草川昭三

    草川分科員 そのわりには世界は広いわけですから、特定の地域という分布の問題もございますけれども、そればさておきまして、大体そういうことだというのが概略的にわかったわけですが、そのほか日本人学校というのができないところでは、週一日だとかあるいは週二日だとか、補習学校というのですか、そういう程度で何となくカバーをしてみえるというのもあると思うのでございますが、全日制のところとか補習学校、あるいは現地学校で同化してやっておみえになります。何かパーセントというのですか、分布の状況がわかればお教え願いたい。
  153. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 先ほど義務教育相当年齢の子女の数が五十二年度で約二万人というふうにお答えいたしましたが、この二万人の義務教育相当年齢の子女の分布しておる状況を見ますと、北米が約三三%、アジア二四%、欧州二二%、中南米約一一%、こういうふうな分布に相なっております。ただいま御指摘ございましたように、これらの子女の教育のためにこれまで主としてアジア等の発展途上国を中心日本人学校が設置され、北米、ヨーロッパ等先進諸国には補習校がそれぞれ設置されてまいったわけでございますが、その現状の割合は、日本人学校に在籍する者が全体の約四割強、その他の者は現地の学校で教育を受けながら日本語による補習授業校に通っておりますが、これが約四割弱、日本人学校にも補習授業校にも通わないでもっぱら現地の学校で教育を受けている者等が二割強、割合は大体そのような分布に相なっております。
  154. 草川昭三

    草川分科員 いま現地の学校だけでも約二割の方々がみえる。それから補習が約四割というそれぞれの分布がいま御説明になったわけですが、結局ここで言葉の問題だとかあるいは教師の問題が出てくるわけだと思うのです。たとえばいま、九千人から二万人にふえてきたというようなことを言われたわけですが、当然日本人学校自身も校舎の数が非常に足りなくなるわけです。そこで増築ということになるわけだが、政府の予算も少ないわけでございますし、大体日本人学校というのは、現地の場合は義務教育なのかどうかという問題も一つ出てくるわけでございますが、このことについてもお答え願いたいと思うのですが、実際予算が足りませんので、海外交流振興財団というものを輸出関連の業界の方々がつくってみえて、海外交流振興財団がバックになりまして、学校の新築だとか増築の要求をしておるようでございますが、御存知のとおり円高問題になってまいりまして、輸出業者の場合は各企業も円高差損という問題がありまして、あるいは輸入業者の場合もみえますけれども、とにかくお金がつき合い切れぬという問題があるんですね。海外交流振興財団からいろいろと寄付というのですか、そういうものの要請があるけれども、つき合い切れぬというようなことを言っておるわけですが、一体そのあたりはどういうふうにお考えになってみえるのですか。
  155. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいま日本人学校建設のための在留邦人の負担の問題等にお触れになったわけでございますが、日本人学校の問題につきましては、憲法に言う、わが国内における義務教育と同じ体制には、やはり国外でございますのでなりません。それぞれの国の扱いもあるわけでございますが、しかし日本国民の育成を目指す重要な課題でございますので、やはり憲法の精神なり趣旨を生かす見地から、国としてもできる限りの施策は講じなければならぬだろうという基本的な観点に立っておるわけです。日本人学校のとらまえ方といたしまして、海外におきます邦人の保護と申しましょうか、外務省の領事事務の関係の側面、それから文部省義務教育をやはりできるだけ子供たちに与えてやらなければならないという観点、その二つの観点があるわけでございます。それで、日本人学校建設の資金面でございますが、現在のところ日本人学校の校舎建設または校舎借り上げに対します援助、この点は、外務省の方が在留邦人保護の一環として、現地邦人の自助努力を基本として、これに国が側面からできるだけの援助をするという考え方で対応いたしておりまして、校舎建設費につきましては所要額の二分の一までを分割払い、校舎借り上げにつきましては学校の規模に応じて五〇%から一〇〇%の範囲でそれぞれ国が援助し、五十三年度予算で申しますと、外務省の方に約六億四千万円の金額が計上されておる状況でございます。
  156. 草川昭三

    草川分科員 さらに、いまようやくことしの段階、五十三年度の予算の段階でそのような助成、というのですか、ということをやるようになったわけでございますけれども、実際いま小学校、中学校は対象でございますけれども、やがて高校進学という問題も出てくるわけでございまして、高校進学が将来、高校進学と言うよりも、高校生対象にする助成だとか、指導についてどのようにお考えになっておられるのかお聞きしたいと思います。
  157. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 海外におきまする日本人学校の問題と、海外から帰国いたしまする子女の受け入れの問題、この二つの問題が相呼応いたしませんと、どうしても海外における日本人学校の教育そのものも非常に問題を生じてまいるわけでございます。それで、帰国子女の受け入れの問題ということに相なるわけでございますが、文部省におきましてもいろいろ関係者等の意見も伺いながら検討をとり進めておるところでございますけれども、特に日本の小学校、中学校段階で帰国される方は小学校、中学校で受け入れていくということでございますが、高等学校段階の人につきましてはやはり何らかの特別の措置が必要なんじゃないか。特に帰国子女の受け入れにつきましては高等学校の問題が非常な問題と私どもも考えておる次第でございます。そこで、従前から小中高を通じまして若干の受け入れ体制は持っておりましたが、特に帰国子女受け入れの高等学校の新設という問題が出てまいりまして、特別助成を五十二年度から始めさせていただきまして、国際基督教大学の高等学校、それから五十三年度は国際基督教大学の高等学校に対する助成にプラス新たに暁星の方で国際高等学校をまずつくっていただく、こういうことで、両者に対しましての特別助成を行うということでただいま予算をお願いいたしておる次第でございます。
  158. 草川昭三

    草川分科員 いまの御質問は、実は現地の高校相当の生徒をどのようにやるかということを私はお聞きしたかったわけでございますが、実際問題としてはなかなかむずかしいわけですよ。それですから、現地学校に入られる方はそのままになるわけですが、言葉の問題が出てくるというので、いま御答弁がございましたように、帰国の問題になると思うのです。帰国の問題をちょっと聞きますが、その前にもう一つ、実は現地の学校の先生の問題でございます。  これは都道府県から選ばれてくるわけですね。都道府県の推薦で、その先生がそれぞれブラジルだとかアメリカだとかヨーロッパへ派遣されるわけですが、たとえば一つ日本人学校へ東京、大阪、九州のそれぞれの教育委員会採用の方がお見えになると、全部条件が違うわけですね。これは間違っておったら御訂正を願いたいのですけれども、たとえば東京都の方々は休職になって、賃金は七〇%保障という場合があるわけです。片一方の教育委員会は一〇〇%支給で先生がお見えになるわけです。そういう点、休職扱いのところがあると思えばそうでない扱いのところがある。ですから、日本人学校の中でも先生の労働条件が全部違うというのは非常に問題があると私は思うのですね。もちろん、いまの教員の任命という人事の問題から言えばそうなるわけですけれども、私は、文部省として責任を持って海外の子弟教育ということについては統一的な対策を立てなければいかぬし、いわゆる処遇の安定ということを図ってもらわなければいかぬと思うのですが、その点についての御答弁を願いたい。
  159. 砂田重民

    砂田国務大臣 私も海外の日本人学校を幾つか回りまして承るお話の中、どこの日本人学校からも御要望のあるのがいま御指摘の点でございます。都道府県によって扱いが異なりまして、休職で派遣される方、研修で派遣される方、これでは帰ってこられましてから大変な格差がつくわけでございます。これは改善を図らなければなりませんので、海外へ派遣される教員につきましては、通常の地方公務員であります教員の給与の半分を国が負担しておりますのを、海外派遣の教員に限っては全額国庫負担ということで五十三年度から改善を図ったわけでございます。当面五十三年度では三分の一がそういうことになりますから、大体三年を限度に派遣をされておりますので、三年目には全額国庫負担ということに相なりますから、ただいま御指摘のありましたような、先生によって、出身地によって待遇が違うということはすべて改善をされるわけでございます。
  160. 草川昭三

    草川分科員 いま文相の方から三年計画で全額へという御答弁が出ましたので、私はそれをできる限り早目に、前倒しの形で現地の方々の立場に立って実施をしていただきたいとお願いを申し上げるわけであります。  時間がございませんので、次はこれは要望になりますけれども高校相当、高校に入学される年齢の方が日本に帰った場合、あるいは高校生になってからでもいいわけでありますが、去年ICUですか、国際基督教大学、あるいは五十三年度からは暁星国際高校で受け入れるというお話がございましたが、最近離島振興などで特別に扱われております都立の秋川高校、いわゆるボーディングスクールというのですか、寄宿舎、全寮制の高校というのを将来ぜひつくっていただいて、そこへ入学をしていただいて、両親なら両親が現地へ派遣される、そういう全寮制の学校を東京だとか大阪だとか九州だとか、全国的にある程度は分布をして、安心して行かれるようなことにしませんと、日本の基本的な教育が御存じのとおりの教育になっておるわけでございますから、これから安心して海外派遣ができないということになってもいけないと思うので、それをまず私は非常に強く要望しておきたいと思うのです。将来展望について何かお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  161. 砂田重民

    砂田国務大臣 文部省もある時期にボーディングスクールという考え方を持ったわけでございます。ところがやはり子供さんを離して置いていこうという方が非常に少なかった。ボーディングスクールができましたけれども、いま御指摘のような、子供さんの入学希望が非常に少なかったという時代にぶつかってしまいまして、秋川高校も今日性格が変わってきてしまっているのでございます。やはり私どもといたしましては海外での日本人学校の充実、特に帰国子女の高等学校での受け入れ体制を拡充していくということにいまの時点では努力を集中してやりたい、そういうふうに考えます。
  162. 草川昭三

    草川分科員 私がなぜそのことを申し上げたかといいますと、最近ある企業が企業自身でその種の受け入れを考えようじゃないかという例をちょっと聞きましたものですから、そのことも含めてこれからの対策をお考え願いたいと思うのです。  では次に、愛知県の話になりますけれども、愛知医大というのがございます。御存じのとおりのいろいろな経過があるわけでございます。大変問題があったわけでございますが、学内の若手の研究者の中に、いまの私立医大の運営が非常にむずかしいことはよくわかる、非常によくわかっておるのだけれども一体どうなるんだろうという、基本的な財政的な問題だとか私学経営の困難さがわかるだけに、非常に不安感を持っている研究者の方がおみえになるわけでございますが、この愛知医大の今後の指導について、経営的な面も含めまして一体文部省としてどうお考えになってみえるか、お聞かせ願いたいと思います。
  163. 三角哲生

    ○三角政府委員 愛知医大については、御承知のように昨年来非常に遺憾な状況があったわけでございますが、その後学校の中の体制を刷新されたり、入学についてのいろいろな従来の不明朗なやり方を改めるとか、それから昭英高校といったような存在がございましたけれども、これとの関係も、従来特別な取り扱いをやっておったようなことを一切やらないというようなことを明確にいたしましたりして、これまでの文部省の指導助言並びに私立医科大学協会で定めましたいろいろな新しい体制、そういったものにのっとりまして新しい自治体制による改善措置を確立してまいっておりますので、私ども文部省としてはその状況を見守っておるところでございまして、やはり医科大学が今後健全な発展を図っていただきたいと思いますので、必要に応じて今後とも私立医科大学協会とも密接な連絡をとりながら、指導助言をしてまいりたいと思っております。そういった再建体制を確立していただいた上で、私どももその状況に応じて必要な援助措置をどうするかについては十分に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  164. 草川昭三

    草川分科員 簡単に御答弁願いたいのですけれども文部省として、愛知医大は今後経営的にやっていけると思っておみえになりますかどうですか。
  165. 三角哲生

    ○三角政府委員 これは新しい体制のもとで理事会において慎重に検討が行われておりますので、長い目でそういう見通しをお立てになって、いろいろと学校自身も予算その他の計画をお考えになっているというふうに拝見しております。
  166. 草川昭三

    草川分科員 じゃ大体見通しはあるというような立場でございますが、補助金について、いろいろな経過があって今年度は辞退をされたわけでございますが、次年度からは、もし学校が要求をしてきたら従来どおり補助金支給されるお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  167. 三角哲生

    ○三角政府委員 いわゆる経常費補助金の問題につきましては、やはりあれだけいろいろな問題を生じた学校でございますので、本当に新しいきちんとした体制が、構えとしてのみならず、これがどのように実際の成果として出てまいるか、及び実行していただけるか、そういうことにつきましては私ども十分注意して見てまいりたい。その上で、補助金の業務を管理しております日本私学振興財団ともよく協議をして検討してまいりたいと思っております。
  168. 草川昭三

    草川分科員 先ほど局長の方から、大体いまのままなら、各理事の方も一生懸命やってみえるし、また愛知県の場合も地元の知事だとか、各銀行なんかも債務のたな上げだとかいろいろな応援をしておるようでございますけれども、再建の見通しはあるというようにお聞きしておるわけでございますが、一応前向きの形で支給をされる気持ちはあるのかどうか、もう一回お聞かせ願いたいと思います。
  169. 砂田重民

    砂田国務大臣 この大学は、昨年の問題は教学側の人に問題があったと思います。新理事体制もりっぱに発足なさいまして、管理局長お答えしましたような改善策等みずから努力をしておられますから、私どもは期待もしておるところでございます。私立医科大学協会とも連絡をとりながら、また助成のことにつきましては私学振興財団等とよく御相談をいたしまして、できるだけの御指導をしてまいりたい、期待の上に立った指導をしてまいりたい、かように考えております。
  170. 草川昭三

    草川分科員 いまの大臣言葉を前向きのものとして理解をしながら、とにかくあれだけのりっぱな施設を持っておるわけでございますから、やはりきちっとした管理体制のもとで、引き継ぎも円満にいくように進めていただきたいと思うわけであります。  次に、これも同じく愛知県の話になりますけれども、御存じのとおり国立美術館の設置について、東海地方というのは文化の谷間だと言われておりまして、この国立美術館の設置については地元では大変盛り上がりがあり、受け入れ体制があるわけでございます。ひとつこの点について、この誘致運動についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  171. 砂田重民

    砂田国務大臣 愛知県から国立美術館建設の非常に強い、御熱意のある御要望を私どもも承っております。ただ、いま草川議員御指摘になりました、東海地方文化の谷間だという御意見でございましたけれども、美術館となりますと、日本全体が文化の谷間と言われるような残念な状態にございます。公募展をやる美術館を国がどこにも持っておりません。こういうことも含めまして、美術に関する国立文化施設の整備について、五十三年度予算委員会を構成をいたしまして、どこにどういう種類のものをどういう規模で配置をするかということを御検討いただくことにいたしております。  なお、名古屋ではオリンピック誘致というふうなお話もございます。御承知のようにオリンピックのときには美術展が行われるわけでございますから、そのことも含めまして、その委員会検討をしていただくことにしております。
  172. 草川昭三

    草川分科員 オリンピックの問題等を含めまして、委員会で特に一応の調査費、全国的な調査費というのもついておるわけでございますので、ぜひひとつ愛知県下にこれが実現できるようにお願い申し上げたいと思うわけであります。  最後になりますが、同じく昨年から陶磁資料館というものが瀬戸地方に建設が進んでおるわけでございますが、やはり同じように継続的に国庫補助助成ということを続けていただかないとこれも問題があると思うのでございます。現在、産業展示棟から始まっておるわけでございますが、この点についてのく後の御指導方、御援助方を含めての御意見をお願いしたいと思うのであります。
  173. 砂田重民

    砂田国務大臣 非常に特色を持った文化拠点となります大規模な施設でございます。特別な補助を五十二年度でも行ったわけでございますが、五十三年度予算におきましても引き続いて、特別文化施設整備費として、この愛知県の陶磁資料館に対しまして二億円の予算を計上しておるわけでございます。
  174. 草川昭三

    草川分科員 どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願い申し上げます。
  175. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、井上泉君。
  176. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣にお伺いするわけですが、私は文部行政というものは、十年、二十年、三十年、五十年先の日本の政治を大きく左右する重要な使命を持った行政だと思うわけです。そのことはやはり行政に一貫性がなくてはならぬわけですが、歴代文部大臣は——これは自民党の政府が社会党とかわれば別といたしまして、従来の自民党政府がやってきた文部行政というものについて、それを継承し発展をさせていくというお考えで文部行政というものを見ておるのか、歴代文部大臣が言うてきたこと、あるいは国会で約束したこと、それを推進していくという考え方で文部行政というものを担当さされておるのか、あるいは砂田文部大臣としては、従来はどういうふうな構想であろうとも、新しい見地から文部行政というものを見直して、それで砂田文部大臣色というものを打ち出して、後世の日本の国力に相応した国民をつくる、そういう考え方に立っておるのか、その点をまずお伺いしたい。
  177. 砂田重民

    砂田国務大臣 井上分科員、大変むずかしい御指摘でございますが、何党の内閣であろうと内閣に継続性のあることはもう御承知のとおりでございます。歴代文部大臣がお約束をしてまいりましたことは、当然私もその責務を負ってまいるのが原則でございます。私もその姿勢を貫かなければなりません。同時に、やはり時代が変わりますから、新しく打たなければならない手は刻々私も考えてまいろうと思いますが、いま井上さん御指摘のとおりに、文部行政というものは、こうと言ってあした様子を変えられるものは数少のうございます。しかし、たとえば永井文部大臣、海部文部大臣子供たちの立場に立ってともしたともしびは絶対に消さないで、そしてまた新しく考えなければならないことば私も勇敢に新たな柱を立てて取り組んでまいりたい、このことだけは申し上げておきます。
  178. 井上泉

    井上(泉)分科員 私は、その大臣の考え方に対しては結構だと思うわけです。その考え方の上に立って大臣に御意見を承りたいのですが、いわゆる塾の問題について大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、まず塾そのものに対する大臣としての考え方を承りたいと思います。
  179. 砂田重民

    砂田国務大臣 なぜ塾がたくさんできて乱塾時代などという言葉が生まれるか、いろいろな問題がございますけれども、私は塾にもいろいろその内容が異なった対応があるということを承知の上で、いまのような余りにも数多い塾のあり方については間違っている、これを改善するために文部省が果たさなければなりません責務を果たしていかなければならないと考えております。
  180. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは、前の永井文部大臣も海部文部大臣も、七十五回のときの私の質問に対しても、あるいはまた五十二年、昨年の文部省所管のこの分科会でも、そのような類似の答弁をされている。ところが、五十一年のときに私が永井文部大臣質問したときに、塾の調査ができてないじゃないか、なぜしないかということに対して、塾は行政の対象外というように、その当時の政府委員が答弁されたけれども、さらに私は、それは行政のらち外というようなことではないじゃないかということから、文部大臣が調査をするという答弁をされたわけです。そこで、五十二年では、当分科会で私が質問した翌々日に、文部省が調査をした実態調査の報告書が出されたわけです。この報告書を大臣はごらんになって、詳細にごらんになるいとまもないかもしれませんけれども、少なくとも塾の全貌というものはある程度調査でわかるわけです。そうなると、けいこごとで通う、つまり絵を習うとか字を習うとかというものと、基礎学力、基礎的な数学とかあるいは国語とかそういうふうなものを小学校、中学校で習っておるのに塾へ通っておる生徒が相当数あることが、文部省の調査によっても明らかにされておるわけです。そうすると、いま大臣の言われるように、そういう塾の状態に対して文部省としてはもうここらあたりで対策を立てなければいかぬ。去年は調査が出たから、ことしはそれに対する対策が生まれてこなければならないと私は思うわけですが、それに対する対策を今年度はどういうふうに進められるお考えであるのか、承りたいと思います。
  181. 砂田重民

    砂田国務大臣 今日の塾の状態、私もあの調査を見ております。それの対策というお話でございますが、塾に通わせるのをやめろと言うだけでこれが改善されるものではありません。やはり相当広範にわたります総合的な対策を一貫的にとってまいりませんと、この事態の改善はむずかしいと思います。それは余りにも偏った学歴偏重社会の改善に始まり、大学の入試の改善、これから五月ごろに結論を出そうとしております高等学校の学習指導要領の改定、すでに出しました小中学校の学習指導要領の改定、そしてまた、この学習指導要領を教育現場の学校におきまして教員の皆さんが創意、工夫を生かして基礎、基本をまず身につけてもらうことから始めていただくという教員の努力、そしてまた、教育の価値観をどこに置くかという両親のお考えのあり方、また広く申せば社会一般の各種各様の風潮、こういうもので総合的に取り組んでまいりませんと、今日、いわゆる受験地獄という言葉から発生をしておりますようなこの乱塾の状態は改善されるものではない。私どもの五十三年度予算、また予算に絡みます。文教委員会におきまして文部大臣として所信表明をいたしました、こういう仕事に取り組んでまいりますという一連の各種各様の対応の仕方、そういう総合的な対策をとってまいりませんと、こういう塾の状態は改善されるのはなかなかむずかしい。そのために文部省といたしましては、できる限りの努力を尽くしてまいろうと決意をいたすものでございます。
  182. 井上泉

    井上(泉)分科員 永井文部大臣もこういうことを言われたのですが、基本的な学科については学校で安心ということが少なくとも義務教育段階においては達成されるということが目標である、これは私は、大臣も同じ考え方だと思う。  そこで、昨年海部文部大臣は、そうしたことが当然であるから、その上に立って、この「学習指導要領の中で基礎的、基本的なことは一体何なんだろうか、義務教育段階できちんと身につけてもらう基準というものは何だろうかということで、いまの学習指導要領の改定作業を行っておるさなか」であると、そのときにはこういうふうな答弁であったわけですが、いま、その小学校、中学校の学習指導要領というものは、この方針に基づいてもうでき上がったのですか。
  183. 砂田重民

    砂田国務大臣 すでに小中学校の学習指導要領の改定は公表いたしました。
  184. 井上泉

    井上(泉)分科員 そのことによって、塾へ行かなくとも、当然学校教育のいわゆる義務教育段階においては十分な基礎学力がつけられるようなものになっておるかどうか、大臣の感触をお聞かせ願いたいと思います。
  185. 砂田重民

    砂田国務大臣 学習指導要領の内容につきましてはまた後ほど政府委員からもお答えさせますが、やはり基礎、基本を身につける、ゆとりのある学校生活、こういうことをねらいとした学習指導要領でございます。この学習指導要領の新しい教育課程の基準は、小学校では昭和五十五年度、中学校では五十六年度から教科書となって実施されるのでございますけれども、それまで待つわけにはまいりません。そこで、新教育課程のねらいができるだけ早く各学校に取り入れられますように、五十三年度から移行措置についての配慮もいたしまして、すでに通達も出したところでございます。  同時に、高等学校の学習指導要領改定とも取り組んでおります。これは五月末ごろには作業が終わることと思いますが、こういう一連の、小学校から高等学校に至りますまでの学習指導要領の改定と相まって、私は、いまのような受験技術を身につけるとか、あるいは学校で教えてもらうことだけでは、学校の授業内容だけでは上の学校に進みにくいんだというような風潮が是正されてくるものと期待をいたしておりますし、その努力をしてまいります。
  186. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういうふうにならねば、これは塾へ通う者は——文部省の調査でも、塾へ通っておる者と塾へ通ってない者の家庭の環境、家庭の状態というものをお調べになってないからおわかりにならないと思うわけですけれども、私どもの周辺で、塾へ通っておる子と塾へ通ってない子との家庭というと、やはり比較的裕福な家庭の者が塾へ通っておるわけです。これはもう大臣も、大正の小学教育を受けられた方であるから、恐らく、大正から昭和の初期にかけて塾なんかで勉強なんということはおよそ想像もできなかったのじゃないか。大臣なんかは結構な家庭ですから、あるいは余分な勉強もたくさんされたと私は思うわけですけれども、大方の家庭の子供は小学校、中学校とも、塾なんかに通うようなことはなかった。また、そういうものもなかった。そういう状態の中であるし、少なくとも教育機会均等、そしてまた義務教育は、国の責任と親の責任、子供としての当然の義務ということからなにすれば、義務教育程度は、少なくとも基礎学力だけは塾に通わなくともやれるような教育環境を整備しないと、これはいろいろやられましても、結局いま言われる受験受験という形の中へ追いやる中で、特定の人だけが進学コースの中で教育の恩恵を受けるというようなことになるので、少なくとも塾というものの弊害と、それから小学校、中学校の子供がそうした塾へ通わねば基礎学力をつけることができないようないまの教育のあり方を抜本的に改革することが前提となっての学習指導要領ということになれば、昭和五十五年あるいは昭和五十六年からこれに移行するということによって何年か先のお楽しみということにならざるを得ないわけですけれども、いまの段階でも最小限、小学校、中学校の子供を塾に通わす、塾教育の中に精力を集中さすようなやり方については、府県の教育委員会等の指導の面からも、これについての規制とか指導とかいうようなものは文部省は全然やっていないのか。あるいは塾へ通うことがなくとも、学校教育で十分ひとつ創意工夫をこらして基礎学力を身につけるようにやりなさいという指導をなさっておるのかどうか、その点承っておきたいと思います。
  187. 砂田重民

    砂田国務大臣 学習指導要領が教科書の改定となりますのは、五十五年、五十六年になるわけでございますけれども、現行の教科書を使いながらも、今回改定をいたしました学習指導要領に従った教育内容に移していただくという移行措置を、五十三年度から始めようとしているわけでございます。  先生、塾というのは、塾をやめろやめろと言うよりは、塾というものが必要ないというように教育内容充実をしてくれば、自然に塾というものはなくなっていく。やはり暖かい風を吹かせばマントを脱ぐということが一番好ましいのではないだろうか。私も実は、私の小学校時代、大正初期と言われましたけれども大正中期でございます。初期ほど私はじじいではないのです。塾はありませんでした。しかし、数学が、いまの言葉で言えば落ちこぼれであったかもしれませんが、学校へ残されまして、先生がついて数学を追いかけさしてくださったことをいまも思い出すわけでございますが、塾をできるだけなくしていく。学習指導要領の今日のこの趣旨を学校の現場現場で生かしていただいて、塾というマントを暖かい風を吹かして脱がしていっていただくのが、私どもがとらなければならない手法だというふうに考えます。
  188. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは非常に結構な考え方だと私は思うわけですが、指導要領の内容がどうか、私は専門家でもないし勉強も不足でありますからわかりませんけれども、少なくとも基礎学力を塾に頼らなくともひとしく勉強ができるような、いま大臣も言われたように、数学が弱ければ、その担任の先生が数学についてはおまえはこうだおまえはこうだと、こういう温かい指導の手が差し伸ばせるようなそういう環境をつくっていくことによって、父兄に対して、塾に通わすことの無意味さというか不必要さというものを認識さすことが大事だと思うわけですが、果たしていまの現場の教師の労働条件というものが、そうしたことができるような条件にあるのかどうか、これは直接文部大臣おわかりにならないと思うわけですが、わかっておれば大臣から、わかっていなければ局長から答弁願いたいと思います。
  189. 砂田重民

    砂田国務大臣 ゆとりを持ってほしいと思うのは、子供たちに対してでございます。学習指導要領の改定も、まさに子供たち、児童生徒たちにもう少しゆとりを持ってほしい、詰め込み詰め込みで知識の量ばかりを与えていくような教育ということの反省の上に立っての学習指導要領の改定でございます。しかし、教員の方々には、その処遇なりあるいは定数につきましては可能な限りの努力をしてまいりますので、この学習指導要領の改定は、教員の皆さんにゆとりを持っていただくためのものではない。教員の方々には、この学習指導要領を生かして児童生徒たちの教育指導に当たっていただきますための創意工夫、そしてまた一度教壇に立っておられる方がさらに研修の場に来られる、そういう御努力はやはり教員の皆さんには、文部省としてはお願いをしたいことでございます。
  190. 井上泉

    井上(泉)分科員 私の言うゆとりというのは、教師が、いま四十五人ですか、それほどの生徒を受け持って、そこで子供にゆとりのある、また温かい思いやりのある行き届いた教育ができる、そういう労働条件であるのか、こういうことです。私は、先生の担任の生徒数というものはもっと少なくしなければいかぬのじゃないか、こういうように思うわけですが、どうですか。
  191. 砂田重民

    砂田国務大臣 学級編制基準の問題は、いろいろな方々から御指摘のあるところでございます。ただ、これからの数年間、百二十万ないし百三十万の児童生徒増がある、しかもそれが人口急増地帯に集中しているという現実の問題にぶつからなければなりません。それに対応してまいりますことも、教育上また財政上、現実の問題としてそれに受けこたえしていかなければなりません。そういう意味から、いま直ちに学級編制基準の四十五名をどうこう変えるということは非常に困難なことでございますことは、御理解をいただきたいと思うのでございますけれども、ただ全国平均をしてみますと、全国平均では四十五人になっていないわけでございます。全国平均では三十六名ばかりになっているわけでございます。全国一律に四十五人ということで考えていくかどうかということもこれからの検討課題だと思いますが、当面の措置といたしましては、百二、三十万のここ数年の児童生徒の伸びに対応していくためには学級編制基準をいま直ちに変更することは非常に困難であるということは、ひとつ御理解をいただきたい点でございます。
  192. 井上泉

    井上(泉)分科員 学級編制基準の変更がいま直ちに困難であるということは、将来は絶対的に不可能なものではないという理解の仕方に立つわけですが、平均して三十六人、こう言われますけれども、これは日本の地形から考えて過密と過疎とがあるということ、その過疎地においては、たとえ生徒が十人、二十人でも、その級で一人の先生がいるわけです。ところが、その過疎地域の先生というのは、これまた、過疎地域では学校というのが一つ文化のセンターのような役割りをしているのですから、そういう先生も、社会教育の場で、村人との接触とかいろいろな形で必要な教育というものをやっておるわけです。だから私は、過疎地における定数と過密地における定数を四十五人で一つの基準にするということは、これは過密地域の四十五人というのが非常に酷であって、全国平均すれば三十六人になると言っても、過疎地においてはそれだけの使命を学校教育の場で果たしておるのだから、それを持っていって全体的にやるのではなしに、やはり都市における編制基準というものは弾力的に考えなければいかぬじゃないか、こういうように思うわけですけれども、どうですか。
  193. 砂田重民

    砂田国務大臣 井上委員の御指摘の点は私にもよく理解ができることでありますけれども、やはり現実問題として、ここ数年間、問題の過密地域に百二、三十万もの児童生徒がふえる、それに対応しなければならない。やはり教育上、財政上ということも無視してかかるわけにもまたまいらないことでございます。全国平均三十六人ならば、それは将来問題としては考えられるという御指摘については、私はまさにそのとおりであるとお答えをしておきたいと思います。
  194. 井上泉

    井上(泉)分科員 私は繰り返すようですけれども、学習塾が必要なら、少なくとも義務教育で、金持ちもない貧乏人もない、みんなどうしても小学校、中学校は行くわけですから、小学校、中学校だけは、金があるから、家庭が許すから塾へ通うとかいうことのない教育環境をぜひつくっていただきたいということを強く要望します。大臣もその見解であるそうですから、これからの文部行政の中で、父兄に対して、小学校、中学校ではもう塾に通わなくても十分な基礎学力がつきますよという安心感を与えるような文部行政を進めていただくように強く要望しておきたいと思います。  時間がありませんので最後にしますが、一つは、この間ある新聞に載っておったのですが、日本のドル減らしの中で、学校の先生を海外研修にもっと出したらどうか、たとえば一万人の先生を一年間勉強に出すとかいうことによって、かえってドル減らしになって、そしてまた教育の効果を上げるためにも非常に結構なことではないか、こういう話が新聞に載っておって、私も、これは非常に結構なアイデアだな、こう思ったわけですが、その点についてはどうですか。
  195. 砂田重民

    砂田国務大臣 余り大勢の先生が海外へ行かれて、その留守中のこともございますので……。しかし、教員の海外研修というのは非常に有意義でございますから、五十三年度予算におきましても、従来の五千人という数を確保いたしたわけでございます。
  196. 井上泉

    井上(泉)分科員 まあ無制限にというなにではないですけれども、やはりこの経済不況の中でドルをどっさり蓄え込んでいる日本としては、雇用の拡大の面からも海外で勉強をさせていくということは、私は非常にいいことだと思うわけですが、なおその点については、ことし五千人ということなら一歩前進、こう評価をして、なお一層その点については検討していただきたいと思います。  最後に、教育の面で、大臣も自分の選挙区に同和部落が存在しておることですから、同和問題については識見も多いと思うわけです。  そこで、いま問題になっております同和対策特別措置法、これが五十三年で期限が切れるわけです。ところが、今日の同和行政の現状、差別問題の現状から見て、特に教育問題に関連して、これは塾の関係でも、同和地区の子供なんか、もう塾へ行っている数なんか非常に少ないのですよ、大臣の所在するところの地域はどうかは知りませんけれども。そういう点から考えても、私は、教育というものの中でもやはり同和教育というものをもっと充実をさせにゃいかぬじゃないか。教育の面から考えても、同和対策特別措置法というものは、ことし期限が切れたからといって、それで別の道に移るとかということではなしに、やはり措置法を延伸をして、さらに充実を図るような体制をつくっていかなくてはならないと思うわけですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  197. 砂田重民

    砂田国務大臣 私も先生の御指摘と全く同感でございます。昨日、同和対策特別措置法を延長するかのニュアンスの答弁を総務長官分科会でなさったそうでございます。私も歓迎をするところでございます。
  198. 井上泉

    井上(泉)分科員 たまたま私は法務委員会で法務大臣にもそうすることをお尋ねしたところ、法務大臣もそういうふうな意向であったわけです。特に教育行政を預かっておる文部大臣としてそういうお考えの中におられるということば、私は非常に力強いものを感ずるわけであります。  教育というものは非常にじみな困難な仕事でありますけれども、前段私が申し上げましたような、今日だけではないのですから、将来の日本の国のあるべき姿の上に立っての教育の実態でありますので、私は自分が大学へ行っていないから、大学のことは余りよう言わぬですけれども、少なくとも義務教育だけはもっともっと、どこの学校で受けようとも差別のないような、そういう条件をぜひつくっていただきたいということを要望し、大臣の御返事を承って、私の質問を終わります。
  199. 砂田重民

    砂田国務大臣 先生御指摘の線に沿って努力をしてまいります。特に小中学校の学習指導要領の改定をいたしまして、ゆとりを持ってもらう学習指導要領ということを願って改定をいたしました。そのゆとりの中で、余りにも偏り過ぎた知識の偏重が是正をされていって、いい意味で、もっと子供たちが遊べる時間が持てるように、また、おっしゃるとおりの、教育義務教育におきます機会均等を目指して働いてまいります。
  200. 井上泉

    井上(泉)分科員 どうもありがとうございました。
  201. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、宮井泰良君。
  202. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは、私はまず最初に、文化財の保護についてお伺いをいたしたいと思います。  もう具体的に最初からお伺いいたしますが、史跡の、山口県防府市にございます周防国衙跡、この整備につきまして、今日までどのぐらいの事業費を使ってきたか、その総額ですね。それから、昭和五十三年度事業計画とその費用はどのようになっておりますか、まず御説明をいただきたいと思います。
  203. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 防府市にあります国衙遺跡につきましては、すでに三十九年、四十年ごろから逐次公有化を進めたり、あるいは発掘調査を実施したり、あるいは環境整備を実施してまいっておりまして、五十二年度までのところにおきましては約六億円の事業を実施いたしまして、そのうち国庫補助としましては約四億円を支出して、順次整備を進めてまいっておるという状況でございます。  なお、五十三年度につきましては、県を通じまして防府市の計画等を現在ヒヤリングを実施しておるところでございまして、まだ決定はいたしてないわけでございますが、従来の線に引き続きまして、さらに予算等にらみ合わせながら、できるだけの整備を進めてまいりたいということで検討いたしておるわけでございます。
  204. 宮井泰良

    宮井分科員 いま五十三年度のヒヤリングをして、まだ決定してない——恐らく、もちろん決定はしておりませんが、大体このぐらいの線で、事業計画と予算はこういうふうなぐあいに予定しておる、こういうことはわかりませんか。
  205. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 ただいまのところ、申請の額といたしましては、土地の公有化につきまして約二千万、それから環境整備につきまして約五千万という状況でございますが、先ほど申し上げましたように、これの審査につきましては現在実施中でございますので、しばらくお時間をいただきたいと思うわけでございます。
  206. 宮井泰良

    宮井分科員 その中で、発掘調査についてはどのぐらいの事業費の予定をされておりますか。
  207. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 発掘調査につきましては、先ほどの御答弁でちょっと落としまして、失礼でございますが訂正をさせていただきたいと思うわけでございます。先ほどの七千万の上に、さらに二千百万の発掘調査費の申請が参っておるわけでございます。失礼いたしました。
  208. 宮井泰良

    宮井分科員 そこで、他の県にもこの周防国衙跡に類似した史跡があると聞いておるわけでございますが、その県名、またその名称、それから事業費など教えていただきたいと思います。
  209. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 防府市の周防国衙のような、いわゆる国衙跡といたしまして現在文化庁で史跡指定をいたしておりますのは、周防国衙のほかに五件でございまして、全体で六カ所であります。
  210. 宮井泰良

    宮井分科員 その六カ所を、具体的に県名と事業費を教えてください。
  211. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 国衙、それに郡衙も入っておりますが、茨城県の新治郡衙跡、それから近江の国の国衙跡、滋賀県ですね。それから大阪の嶋上郡衙跡、それから出雲の国の国府跡、それから小郡官衙遺跡、これは福岡県でございます。そのほかは周防の国衙跡でございます。以上六件でございます。  なお、周防の国衙跡以外の五カ所につきましては、本日資料を持っておりませんので、必要でありましたら、また後から御報告させていただきたいと思うわけでございます。
  212. 宮井泰良

    宮井分科員 そこで、これら一連の事業費の補助率についてでございますが、地方自治体におきましては特に財政難の折でもございまして、何かと負担が多いときでございますので、中でも市の負担なども相当大幅なものになってくる、したがいまして思い切った予算の要望ができないという面もあるようでございますが、この補助率の見直しというようなことはできないものかどうか、この点をお伺いします。
  213. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 補助率につきましては、いわゆる史跡の土地買い上げにつきましては八割補助をいたしております。それから発掘調査と環境整備につきましては、いずれも二分の一の補助でございます。文化関係につきましては、いわゆる基準単価という考えをとっておりません。実額の八割なり二分の一の補助でございます。  なお、市町村の負担につきましては、私ども方針といたしまして、たとえば土地公有化の場合、八割の残りの二割につきましては、あとの二分の一は県で持つように指導いたしておりますし、山口県におきましてもそのようなことが実施されているはずでございます。発掘調査なり環境整備につきましては原則二分の一でございますが、中には、いわゆる財政力の指数の悪い財政貧困僻地市町村等におきましては、これは個々的に判断をいたしまして、大蔵省当局と御相談の上、若干の上積みをすることも従来やっておりますが、県と市町村と話し合いにより、その負担できない点につきましては都道府県等で十分検討していただくようなことを要望いたしておりまして、防府市の場合につきましては現在つまびらかにいたしませんが、そういう状況につきましては十分事情聴取の上、山口県等をも指導いたしたいというように考えるわけでございます。
  214. 宮井泰良

    宮井分科員 この補助率の見直しという点と、いまお答えがありましたように、財政の悪い個所におきましては若干の上積みをする、こういうことでございますから、市当局などの要望をよく聞いていただきまして、その点の御配慮を要望いたしておきます。  それから、土地の買い上げとか環境整備等もあるわけですが、特に発掘調査などは、国の貴重な資料にもなるわけでございますので、特に発掘調査の事業費の補助率をアップできないものか、こういうふうに考えるわけですが、その点いかがで一しょうか。
  215. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 発掘調査費につきましては二分の一の補助ということを申し上げましたが、これは現に要する経費の実額の二分の一の補助でございまして、あとは県あたりと市町村との話し合いにより措置をするということでまいりたいと思うわけでございます。市町村の財政力の問題等もございましょうが、二分の一というのはかなり高率の、しかも実績の所要経費の二分の一の補助でございますから、私どもといたしましては、この二分の一の補助、残りは県と市町村との話し合いということでやってまいる体制を続けてまいりたいと考えるわけでございます。いろいろなケース等はあるかと思いますが、市町村等におきましても、埋蔵文化財保護体制の重要性にかんがみまして御協力賜りたいと思っておるわけでございます。
  216. 宮井泰良

    宮井分科員 この点については文化庁だけでもいかない、大蔵省当局等との話し合いもあると思いますから、大臣からも、この文化財の発掘調査などの補助率について大蔵大臣等とも十分協議していただきたい、こういうように思うわけでございますが、一言御答弁をお願いいたします。
  217. 砂田重民

    砂田国務大臣 こういった史跡の保存は非常に重要なことでもございますし、幸いにいたしまして、国衙の場合は土地はもうほとんど市有地になっていると伺っております。将来この遺跡を史跡に即して史跡公園的に整備しようという計画を市でもお立てになっているようでございますので、できるだけの御協力はしてまいる、かように考えております。
  218. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、国衙史跡、この種のものは、非常に学術的な面もありましてむずかしいと思うわけでありますが、ほぼ何年ぐらいでこれが終了するものか。もちろん公園化もありましょうし、あるいはいまから拡大をして発掘していくという面もあるでしょうし、そういっためどは、昭和何年ということをはっきりすることはむずかしいと思いますが、大体のところがおわかりになったら教えていただきたいと思います。
  219. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 この周防の国衙遺跡につきまして、防府市といたしましては五十二年度から五カ年計画で整備を終わるというふうな計画は立てておるわけでございます。五年で終わるかどうかにつきましては、発掘調査の関係とかあるいは史跡買い上げの関係、その他諸般の状況もございますので、果たして五年で終わるかどうかにつきましてはもちろん問題がなきにしもあらずでございますが、私どもといたしましては、地元の市におきまして計画的に実施をしてまいるということを推奨いたしておりまして、予算の範囲内で十分その計画的な施行につきまして協力はいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  220. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは次に、まあ文化財の保護ということは、先ほど大臣からもお話しございましたように大変大事なことでございまして、国の方の見地からいたしましてもその事業を遂行していかなくてはならない、このように思います。もちろん、その史跡をどのように活用するかということは、地元の県、市の計画が必要であろうと思いますが、その他の事業については、地方自治体にのみ任せておると——地方自治体だけに任せておりません、このようにおっしゃると思いますが、もちろん最初から目を通されていろいろとアドバイスをされておると思うのですが、地方自治体のみに任しておりますと国の方針と違う方向に行く可能性もある。その点は、先ほども萌しましたように、文化庁の方でも抜かりなくやっていると思いますが、ともすれば原因者負担ということになりがちになって、いろいろな事業をやりたい場合には費用なども原因者負担の原則で地元でやっていきなさい、こういうふうになると思うのです。その点のお考えをお聞かせ願います。
  221. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 私どもは、埋蔵文化財の保存対策を進めるに当たりましては、埋蔵文化財が埋蔵されたままで保存されるのが最も良好でございますので、それらに対して外部から影響を与える行為をしようとする開発行為につきましては、いわゆる原因者負担という考え方で埋蔵文化財の処置をするという考え方をとってまいっておるわけでございますが、史跡としてすでに国が指定したものにつきましては、地元の市町村、県の場合もございますが、所有者等が非常にたくさんに分かれておりますので、これを史跡としてのまとまった一本化した適正な管理をするためには、当該市町村に管理団体をお願いをいたしておるわけでございまして、この国衙につきましても防府市が管理団体に指定をされております。管理団体が十分史跡の性格及び史跡内の住民の方々との話し合いを通じて適正に管理保存し、また整備してまいるということを推奨しておるわけでございまして、この国衙につきましても周防国衙跡保存対策協議会というものをつくって、住民の意見も入れながら、またその史跡史跡に応じた管理なりあるいは整備計画を立てておるわけでございます。したがいまして、先生のただいまの御質問のような、いわゆる原因者負担という考え方はこの場合にはとらないわけでございます。史跡としての管理上必要な責任ある処理を図ってまいるという考えをとるわけでございます。
  222. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは次に、これは文化庁と、それから大臣にもお伺いしたいのです。  文化財の保護については、国の学術的な面から進めていかなくてはなりませんし、それを遂行していく。一方、市の方といたしましては、長期的な市民の生活環境整備のための開発ということも計画がされておりまして、この両面の兼ね合いということが非常にむずかしい問題だと思うのです。開発の地点が、あるいは民家でありますとか、あるいはそこを市がどうしても道路を舗装していきたいとか、具体的に言いますとこういう両面のむずかしい点があると思うのですけれども、その点についての御見解をお伺いします。
  223. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 先ほども申し上げましたように、史跡という指定をすでにいたしております関係上、史跡として指定した土地につきましては文化財保護をできる限り優先をさせたいという考え方でおるわけでございます。ただし、所有者である住民の私権あるいは生活権、こういうものも当然尊重すべきでございましょうから、したがいまして、史跡地においてたとえば新築をするというような場合に、当然文化庁長官に許可申請をし、許可を得てしなければならぬのでございますが、しかしながら、史跡としての関係上新築が不適当な場合には、私どもとしてはそれを許可しないという態度に出ざるを得ないわけであります。その場合には当然、代償といたしまして土地の買い上げということになるわけであります。そういうことで私権と文化財の保護との調整を図るということにいたしておるわけでございます。そういう点で、民有地の買い上げ等につきましても従来から実施してまいりまして、今年度で約六二%の公有化を図っております。今後とも住民の方々の御意見を聞きながら公有化を進めてまいることによって、文化財保存と私権との調整を具体的に図ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  224. 砂田重民

    砂田国務大臣 文化財保存と私権との兼ね合いというのは非常にむずかしい問題があると思います。私ども文化庁といたしましては当然文化財の方に重点を置いて、それを完全な形で保存することに偏らざるを得ないわけでございますが、そういう私権制限をいたします場合に、その住民の方の御満足のいくような形で、話し合いのもとにお互いに納得いく形で、ケース・バイ・ケースの問題として取り組んでまいりたいと考えております。
  225. 宮井泰良

    宮井分科員 もう一度最後に文化庁の方にお伺いします。  個人の所有の私権ということはいまのお話でわかったのですが、市の開発などに関連する問題ですね、これとの兼ね合いについて一言お伺いします。
  226. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 市がいろいろ計画をなさるというものにつきましては、当然公共的性格はまた私権の場合と別個の判断を要することも多いと思うわけでございます。これにつきましても、やはり文化財保護の必要性と当該公共事業の公共的性格、他にかわる措置があるのかないのか、いろいろなことを総合的に判断をいたしまして、私どもといたしましてはできる限り文化財を保護するという見地に立ちながらも、公共事業の公益性との調整については十分配慮しながら適切に進めてまいりたいという考え方でおるわけでございます。
  227. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは、文化財の点については以上で終わりまして、次に、問題は違うのですけれども一点だけお伺いいたします。  それは学校建設の補助金についてでございますが、特に、人口急増地域に指定されている地域と未指定地域では補助率が違うようでございます。しかし未指定地域でも、市全体としての児童の増加は少なくても、部分的に見ますと一部地域に人口が集中してきているためにその地域にどうしても学校建設が必要となっている、そういう場合も多いわけでございます。  これは一例でございますけれども、山口県の新南陽市で私調べてみましたら、市の方は四十八年に二千九百七十五人でございましたのが、五十二年には三千六百十二人、これはプラス六百三十七人ということで一・二〇倍。この市の中の福川地区という一地区に限定しますと、四十八年に八百六十六人でございましたのが五十二年には一千二百二人、プラス三百三十六人ということで一・三九倍、このように増加をいたしておるわけでございます。したがいまして、福川地区というところでは市の五〇%以上を占めておるわけでございます。さらに、この地域は五十六年に団地ができることになっておりますので、一層の増加が見込まれております。  このように一部地域の児童の増加で学校建設が必要となっておりますが、補助率が低いために地元負担が大きく、財政を圧迫するという結果をもたらしております。義務教育の学校建設をいたします際に、人口急増地域あるいはそうでない地域でこのように補助率を違えるという点について、やはりいろいろな面を勘案して統一していくべきではないか。また、時代の流れによりまして都心部から郊外へとドーナツ現象も起こりまして、過密、過疎などの変化も多く見られます今日、これらの社会的変化に対応して文部省の施設行政のあり方も再検討すべきときに来ているのではないか、こういうふうに思うわけですが、御答弁をお願いいたします。
  228. 三角哲生

    ○三角政府委員 児童生徒の急増市町村の校舎の新造築事業にかかる負担割合につきましては、これは昭和四十八年度から当初五年間の時限的な処置として行っているものでございますが、やはりあくまで一定の基準に照らしまして、児童生徒の急増によりまして非常に大きな財政負担を必要とする市町村に対しますいわば臨時の特例の措置として実施しているものでございまして、人口急増の傾向がなお続きますので、さらにこの措置の五年間延長を今国会でお願いしょうとしているものでございます。  したがいまして、こういう措置を広げるにいたしましてもやはりある基準でいたしませんと、すべての市町村にこういう措置を適用するということはできないわけでございます。したがいまして、その一つの基準の緩和の方法といたしまして、昭和五十二年度におきまして指定要件の緩和を行いまして、市町村の範囲の若干の拡大を図ったところでございます。従来、小学校では、人口増加数が既往三年間につきまして五百人以上の場合は増加率が一〇%以上、それから増加数が千人以上の場合は増加率五%以上、その両方の数と率の要件を同時に充足したものについて指定をしていたわけでございますが、五十二年度からは、いわば周辺的町村で増加数が少ない場合、たとえば基準で申しますと、三百人以上という場合には増加率が一五%以上であればこれを緩和をして、この市町村も高率の負担率の適用があるというふうに直したわけでございます。その結果といたしまして、五十二年度は小学校につきましては六十三市町村、中学校につきましては五十市町村が新たに指定市町村の中に繰り込まれたという状況でございまして、当面はこういった措置で対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  229. 宮井泰良

    宮井分科員 それじゃ時間がございませんので簡単に大臣から、こういう特殊な地域なども急増しておるという点の配慮をしていただきたいという点につきまして、一言お願いいたしたいと思います。
  230. 砂田重民

    砂田国務大臣 この特別措置はまさに特別な措置でございまして、あくまで児童生徒の急増に対処するために大変大きな財政負担を強いられる市町村に対するいわゆる特別な措置でございますから、これらの措置をすべての市町村に適用するということは大変むずかしいことでございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  231. 宮井泰良

    宮井分科員 終わります。
  232. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、藤原ひろ子君。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 一昨年の一月六日でございました。私の出身地であります京都市の平安神宮で火災が発生をして、拝殿が焼失したという事件がございました。この事件は、京都の市民だけではなくて全国的にも大きな反響を呼んだことは、まだ記憶にも新しいところでございます。また、昨年も平野神社とか城南宮など国民に親しまれてまいりました建築物が、相次いで火災に見舞われております。これらの火災は、そのほとんどが発見も早く、不幸中の幸いということで大事に至らなかったところでございますが、幾つかのところでは所有しております文化財を焼失してしまったという、まことに残念な状態になっているわけでございます。  私は、これらの事件に心を痛めております国民の一人として、文化財の保護と防災の問題について、きょうは質問をしていきたいと思います。  文化庁が編集していらっしゃいます「文化財保護の現状と問題」によりますと、「文化財」とは「第一には文化的な価値をそなえることである。文化財は文化的財産であるが、同じ財産といっても精神的な価値をになうものとして評価される。」こうおっしゃっております。「第二には歴史の厚みのあることである。文化財は長い歴史の過程において人間がつくり出し、祖先から伝えられた民族的な遺産である。われわれはこれを通して歴史上の事実、過去の人々の生活や社会の仕組み、あるいは個人や時代の美意識などをうかがうことができる。」「第三には公共的な意義をもつことである。文化財はまた国民的財産である。文化財を守りかつ役立たせようとするゆえんも、それが国民全体にとって公共的な意義と価値とを持つからである。」というふうに明記されているわけでございます。  文化庁としては、文化財保護行政についてはどのような角度から今後とも保護を進めていかれようとなさっていらっしゃるのか、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
  234. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 私ども文化庁といたしましては、先ほども先生お読みになりました文化財としてのかけがえのない価値にかんがみまして、これらを後世の子孫のために残すと同時に、また、それらを国民の皆さんが活用していただくように持っていきたいということで、その保存と活用に努力をいたしておるわけでございます。すべて文化財というものは国民の貴重な遺産であって、これを後代に残すことが今日に生きるわれわれの崇高な任務ではないかというような考え方で実施をいたしているわけでございます。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 私は、文化財保護の問題を考えますときに、災害から文化財を守る、とりわけ火災から守るということは大変大切な問題であると思っております。京都を例にとってみますれば、文化財のほとんどはお寺や神社に関係しているわけですけれども、京都市の消防局の調べによりますと、市内の社寺火災の原因は、その第一位が放火です。第二位が火遊びこうなっております。さらにこの中で文化財を所有しております社寺だけについて見ますと、第一位が放火で五〇%、そしてたき火が六・八%という結果になっているわけです。驚くべきことに、半数が放火によるものだ、こういう実態です。一般に、神社仏閣は人が比較的自由に出入りできるし、しかも敷地も広く監視の目が行き届かないということと、特に文化財を所有する社寺は有名でもありまして、人が集まりやすいという状況があるわけです。そこが一つの盲点になっているというふうに私は思うわけです。  そこで、消防庁にお尋ねをいたしますが、文化財を火災から守るという点から見て、どのような対策をとっておくことが必要だとお考えになっておられるでしょうか。
  236. 荒井紀雄

    ○荒井説明員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり文化財を火災から守ることにつきましては、消防庁といたしましても、従来から積極的に消防機関を指導してきたところでございます。特に何が大事かということでなくて、やはりすべて大事でございますけれども、何といいましてもやはり火を出さない、出火防止ということが第一でございます。  そのために、特に文化財につきましては、これはもちろん所有者の方あるいは管理者の方の責任でもございますけれども、単にそれだけではございませんで、さっき先生がおっしゃいましたような放火が多いということに照らしましても、やはり広域的ないわゆる文化財周辺の地域ぐるみの防火体制、あるいは文化財の参観者等、出入りする方々一般の文化財愛護思想、それから防火意識の高揚、そういったものが大切であるというふうに考えております。  また同時に、現地の消防機関によります適切な消火の体制もゆるがせにできない問題だというふうに考えておるところでございまして、特に消防に対しましては、消防計画の作成なり、あるいはまた文化財の周辺を含めました、たき火あるいは喫煙の禁止区域の制定でありますとか、あるいは立入検査等につきましては、特に火災報知機等につきまして厳重な検査をするようにというふうな指導をいたしております。  それから次に、仮に不幸にいたしまして出火いたしました場合におきます。この出火の被害を最小限度に食いとめるための措置でございますけれども、常日ごろから防火訓練の実施等もやっておるところでございますけれども、やはり何といいましても、社寺文化関係者の方々の自衛消防組織の確立、あるいはまたさっき申しましたような、火災を自動的に発見して報知するいわゆる自動火災報知設備などを中心といたしました消防設備を法令どおり設置していただくと同時に、やはり一たん緩急の際に役に立ちますような維持管理というものを徹底していただきたいというふうなことをお願いいたしたいと思います。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 消防法では、第十七条で文化財の防災設備の設置と保守点検、これを義務づけております。これは火災が起きたときに速やかに対処すること、延焼を食いとめて被害を最小限度にとどめるというところにその基本があるというふうに思うわけでございます。京都では、石づくりや適用外とされております建物を除きますと、政令で防災が義務づけられている建造物のうちに、所有者数で見ますと、百二十二、むね数では四百十九むね。それから比率に直しますと、所有者数で八八・四%、むね数では九四・四%、こういう建物に自動火災報知機が設置されているわけです。全国平均が、所有者数で七五・七%ですから、京都ではかなり普及してきているということで、全国一の指定文化財の所有数を誇ります京都の自治体や消防局あるいは関係者の方々の意気込みがうかがわれるというふうに思うわけです。私は、この所有者と住民と行政、こういったところが一体となって文化財を火災から守るということを常日ごろから行わなければならないというふうに思うわけなんですけれども、この自動火災報知機などの防災設備のおかげで、火災が起こっても床板を焦がしたとか柱の一部だけを焼いただけで済んだとか、大事に至らずに済んだのが、あの有名な清水寺であるとか大徳寺であるとか、そういうところから報告をされているわけです。  ところで、自動火災報知機などはかなり精密な機械です。私も機械を直接見せていただいたわけでございますが、たとえば空気管作動式分布型感知器というのですか、これは大変細かい金属製の管を天井とか床にずっと張りめぐらしまして、一定の熱気に至りますと中の空気が膨張して作動して知らせるというふうな仕組みになっているわけです。しかし一番大事な点は、これが非常時に作動するかどうかというところだと思うのです。十分設置はしてある、しかし肝心のときに作動をしなかったら、それは観賞用であって実用にはならないというふうに思うわけです。  そこで消防庁にお尋ねいたしますが、文化財の総合防災ということが言われておりますが、これは一体どういうものなのでしょうか。また、この総合防災というものは全国でどれぐらい整備をされているのでしょうか、お答えをいただきたいと思うのであります。
  238. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 私どもが総合防災と申し上げておりますのは、いわゆる自動火災報知設備と消火設備と、それから避雷設備、この三つを総称して申し上げておるわけでございます。  先ほど先生御指摘のように、自動火災報知機だけについて見れば七五%の設置率でございますが、この三つ全体、総合防災を備えているかどうかという点から申し上げますと、むね数にいたしまして約六〇%のむねが備えているという状態でございます。さらに部分的に一つないし二つ備えているというのが二六%でございまして、また三つのうち一つも備えていないというのが、むね数で申し上げましてまだ一三%あるという状態でございます。これらにつきましては、私ども文化財建造物の所有者側と都道府県等との話し合いを十分してもらいまして、計画的にこれが整備されるような方向で現在努力中でございますが、現在のところ、まだそういう状態でございます。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 文化庁は、昭和四十八年八月一日付で各都道府県の教育委員会あてに「重要文化財建造物等の防災施設の点検について」という通達を出しておられますね。これは昭和四十七年度から実施した文化財総合防災緊急調査ということによって、既設の防災施設の作動の不良個所が発見されたために、その日常的な点検の必要性が明らかになった、こういう理由で防災施設の点検を行いなさいという内容だと理解をいたしております。ところが、実際に古文化保存協会や府の文化財保護課、市の消防局、幾つかの神社仏閣、こういったところを回って聞いてきたわけですけれども、自動火災報知機等は設置されているわけですが、これが本当に作動するのかどうか、業者と保守点検の契約を結んでいるのか結んでいないのか、定期的にちゃんと点検に来てもらっている状態にあるのかどうかということを調べてみますと、うち六十六しかないわけです。これはわずか五四・一%、約半数という状況なわけです。つまり、文化庁が総合防災を言い出して保守点検を言っておられるわけですけれども、ここまでしか到達していない実態なわけですが、これでよいのでしょうか。なぜこれが一〇〇%に進まないのか、その原因はどこにあるとお考えになっているのでしょうか。  消防庁にお聞きをいたしますが、総合防災、言いかえれば施設の保守点検ということになると思いますが、これにかかる費用は幾らぐらいになるというふうに試算をしておられるでしょうか、お尋ねいたします。
  240. 吉久勝美

    ○吉久政府委員 ただいま先生から京都府下の保守点検の施行状態につきましてお話を承ったわけでございますが、私どもといたしましてもその点については常に関心のあるところでございますが、詳細な原因の調査までいたしておりませんので、明確なところはこの際申し上げかねますが、いろいろな理由があるようにも考えるわけでございます。  一つには、言われておることといたしましては、保守点検料がかなりかかるから、その経済的負担に耐え得ないというようなことでございますが、それ以外にもまたいろいろな理由があるのではないか。特に私どもといたしましては、防災設備をしたということで安心をして、日常の管理に手落ちがあるということでは有事の際に間に合いませんので、文化財防火デーというのを毎年一月二十六日に設定をいたしまして、この日に総合的に都道府県等から呼びかけて点検をするとか、あるいは十一月三日前後の文化財保護強調週間内でそれを実施するとかいうことで、励行をお願いいたしておるところでございます。  まだいろいろ理由があるかと思いますが、そういう点につきましては、さらに今後十分調査をしながら対策を進めてまいることにいたしたいと思っておるわけでございます。
  241. 荒井紀雄

    ○荒井説明員 点検にどれくらいの費用がかかるかということでございますが、避雷針の方は私どもの所管外でございますので、消火器、自動火災報知設備、それにあと漏電火災警報器というもの、消防法によって義務づけられておりますこの三つにつきまして調べてみますと、これは実は点検資格者といいまして、消防庁長官が一定の試験をいたしたものでございますが、これに関係者が点検を依頼いたしたとしました場合に、労務費でありますとか、あるいは間接経費等も含めまして調査をいたしまして、その平均を求めてモデル化したものがございます。そういったもので仮に料金を算定をして積算をいたしますと、これは建物の面積等によっても大分違うのでございますけれども、仮に延べ面積千平米というふうに仮定をいたしますと、消火器、自動火災報知設備、漏電火災警報器を含めまして年間約二十二万から二十三万程度というふうな計算が出ております。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 最初に器具を取りつけますと、一年間ぐらいはアフターサービスをしてくれる。しかし、それが過ぎますと、無料の保守点検契約と有料の保守点検契約を業者と結ばなければならないというわけです。私が調べてみますと、この費用は小さな建物でも一回について五、六万かかるわけです。大きな社寺になりますと、八十万から百万かかるというお話でした。これを半年に一回、年に二回やらなければならない。しかもこれには国からの補助もない。全くの自費でやらなければならない。こういう中で、私が訪れました先でも、ずいぶん保守点検の費用に困っているのだという訴えを聞いたわけです。また、文化財の所有者の中には、勤めに出なければ生活できないという方もいらっしゃるわけです。そんな方は勤めに出ながら細々と文化財を守らなくてはならない。先ほど述べましたように、小さなところでも一回で五、六万、年に十万ぐらいの出費になる。不況とインフレの中で毎日の生活に追われながら、やりたくてもとてもできない、しかし大変心配だ、こういうふうにおっしゃっているわけです。  所有者の方々は、財政負担が大変だということでできないわけですから、全国消防長会で、昭和四十九年七月以来、消防庁長官文化庁長官あてに「文化財防火の強化充実に関する要望について」という文書を出しておられますが、これを見ますと、「保守点検費に対する補助制度を新設する必要がある。」というふうにおっしゃっております。また、全国重要文化財所有者連絡協議会でも一生懸命陳情をしておられるわけです。こういったことが行われ、実際には先ほど申しましたような状態になっているのですけれども文化庁としてはこの点どう考えていらっしゃるのでしょうか。保守点検に対して補助しなければならないというふうにお考えになっているのでしょうか。いかがでしょうか。
  243. 犬丸直

    ○犬丸(直)政府委員 文化財の防災につきましては、いまいろいろな面で私ども国庫補助の増大に努めております。本質的には、個人の所有にかかる建物、財産の保全措置につきましては、ある程度の責任を管理者自体、所有者自体に負っていただかなければならないのでございますが、事柄の性質上、国の文化財ということでございますので、いろいろな面で私ども補助の拡大に努めておるわけでございます。  それで、実は防災施設そのものの普及がまだ完全でございませんで、要防災施設千余りの中で五百幾つかが完成しておりますが、未設置の場所もございます。さしあたりましてはそういったところで防災施設をつくるということに力を注いでまいっております。いま御指摘の点検の費用というようなものも、確かに場合によりましては大変所有者の方の負担になるという面もあろうかと思いますけれども、なかなかそこまで手が回らないでおるというのが実情でございます。今後の課題として慎重に検討してまいりたいと思っております。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 京都府の教育委員会では、府下にあります重要文化財を対象に試算を出しております。それによりますと、外観及び機能点検で約六百二十万円、総合点検では六百八十万円、これはいずれも年一回として計算した場合です。これは年二回にしましても、国から考えましたらそんなに物すごいお金ではないと思うわけですが、全国の重要文化財のほとんどは京都にあるわけです。奈良も多いですけれども。しかし、全国的に見ても一番多いところでこれだけだというふうな状況の中で、文化庁が発行しておられるこの冊子の意義を見ましても、これはぜひとも補助してちゃんと守っていかなければならないものではないかというふうに私は考えるわけです。  文部大臣にお尋ねをしたいと思いますが、文化財というものは単に古いというだけではなくて、最初に申し上げましたように、重要な意義を持っているというふうに文化庁はおっしゃっているわけです。また、現代的な意義としても、「文化財保護の現状と問題」の三ページに非常に重要なことが書いてございます。続み上げるには時間がありませんので読みませんけれども、私はこれを読んで大変感動したわけです。そういうふうに、文化財を守ることは大変重要だ。所有者の方々は日夜苦労しておるけれども文化財保護の一つとして、国が防災施設の維持管理というための費用、点検のための費用、これの一部を負担する、援助するという、こういうことがあってこそ完全にできるのではないかというふうに思うわけです。文部省が主張しておられます総合防災であるとか日常の点検が、補助をすることによって促進がされるように思いますが、ぜひともこの道を開いていただくように御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  245. 砂田重民

    砂田国務大臣 文化財を適切に保存することは非常に重要な問題でありますので、防災施設の整備につきましては、全国平均いたしますと大体七五%くらいの補助率になっておりますが、これの補助をいたしまして、すべての文化財施設がこういう施設のできますことを期待をしながらその仕事を続けてまいっております。維持管理費につきましては、文化財保護法上、文化財の管理の責任はその管理者にあるたてまえから、いままで維持管理費を補助いたしておりませんことは御指摘のとおりでございます。また、こういった経費について新たに国の補助対象とするということは、他の管理的経費にいろんな問題がございますので、むずかしいことではありますけれども、大変重要なことでありますし、かけがえのない国民の財産と言って差し支えない文化財のことでございますから、ひとつ検討させていただきたいと思います。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 ぜひとも御検討いただき、次の予算には実現できるというふうに御努力いただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。  もう一つ、ぜひともお願いをしたいのですが、最近子供たちの中に近視が非常にふえているわけです。その原因は、学習をしたり、あるいはテレビの見過ぎであったりと、いろいろあると思いますけれども、京都府の宇治市と久世郡の先生方が子供たちの視力調査を行いましたところ、昨年度は三三・九%の子供が視力異常者だったのです。それが五十二年度には三四・九%とふえてきているわけです。専門医の話によりますと、仮性近視というのは、ほっておけば進行して斜視になっていく、そして手術もしなければならない状態が起こってくる、こうおっしゃっているわけです。どうしてもやはり子供はしっかり勉強してもらうということが大事ですし、子供の本務であるというふうにも思うわけですけれども、目の悪い子供たちはめがねを買ってもらわなければ見えないわけですね。しかし、準保護家庭にある子供なんですけれども、めがねが高いので買えない。先生が、めがねをかけなさいよ、あなたは目が悪いですよ、近視ですよ、仮性近視だからいまのうちにかけなさいと、こう指導するのですが、いつまでたってもかけられない。原因は何かというと、就学補助を受けている家庭の子供たちがそういう状況にあるというわけですね。じゃ、めがねは幾らするのかというと、一万円はするわけです。そういうことですので、ほっておく中で、子供たちは見えないまま毎日を過ごしているわけですから、勉強がおもしろくない、そして学力は落ちてくる、わからない授業ということで、落ちこぼれあるいは非行に走るというふうなケースもなきにしもあらず、先生たちも大変心を痛めているわけです。  そこで、文部大臣にぜひお願いをしたいことは、就学援助法に基づいて、このめがねも支給できるというふうなことを検討工夫していただきたいということをお願いを申し上げたいわけです。教育基本法の第三条を見ましても、教育機会均等ということで「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学方法を講じなければならない。」と明記されているわけです。小中学生は義務教育であるわけですから、この目の悪い子供たちに学習権を保障するという意味からも、就学援助のこの法律の中で、めがねなどの支給どもできるというふうなことをぜひ工夫していただき、御検討いただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  247. 砂田重民

    砂田国務大臣 藤原委員御指摘補助対象となる学用品は、児童または生徒の所持に係る物品で、各教科及び特別活動の学習に直接必要な学用品ということになっておりまして、めがねはこの学用品の範囲に入っておりません。なお、厚生省で所管をいたしております準要保護児童よりも経済的に困窮していると考えられる生活保護法に基づきます教育扶助においても、めがねが入ってないわけでございます。仮性近視がふえてまいっておりましたけれども、最近仮性近視の子供たちの率が減ってきているようにも伺ってもおりました。いま宇治市の例を御指摘になりましたが、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 いま大臣おっしゃいましたように、私もいろいろ調べて、何とかこれは入らないのかと思っておりましたが、大変いまの状態ではむずかしいわけです。しかし、工夫をしていただければ、こんなことぐらいと申しましたらあれですけれども、やはり将来を背負って立つ子供たちです。一人も落ちこぼれがないようにという、とりわけ文部大臣の先日来の御発言でもあれば、めがねを学用品として指定せずとも、ほかの名目なり何なりでできるのではないか。検討するというお答えをいただきましたので、ぜひとも早期に実現するようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  249. 正示啓次郎

    ○正示主査 続いて、山本悌二郎君。
  250. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 大臣にまずお伺いいたしますが、子供の問題というのは親にとっては非常に重要な問題ですし、それから日本の将来を背負って立つ青少年というものが、本来なら一人も非行がなくて済めば一番いいことなんですが、これがたまたまいろいろなことで非行を起こす。大人の社会から見ればそれほど大したことではないと思うし、また子供が伸びていくためには仕方がないこともあるのですけれども、ところが最近、これはどうも私たち大人社会から見ても許されないようなことがしばしば起きておる。人殺しに始まって自殺、これも当然ですが、先般、実は新潟でありますけれども、私が住んでいるすぐ近く、しかも、後ほど申し上げますが、私PTAの会長を長くやっておりましたところの学校で、中学校でありますけれども、中学三年生になる子供が、バイクじゃないです。自動車に乗って、そして何台も何台も、とにかくガソリンのある間じゅう乗って走っていって、それを乗り捨てて、その台数が十数台に及んでいる。とにかく子供だから、むろん無免許ですよ。グルーブは四人でございますけれども、それが発覚したのです。大問題になっているのです。  そこで、その主犯になる子供は私のすぐ近くの家なのでよく知っているのでありますけれども、お父さんがつい最近亡くなりまして、そのお父さんが生前、生きているときに、小学校五年のときに運転を教えたというのです。最初は自動車は珍しいものですから一生懸命、ギアはこうして入れるのだ、アクセルはこうして踏むのだと教えた。子供だから覚えるのが早いのですね。小学校五年でもう覚えちゃった。父親がいるときはしなかったらしいのですが、父親は二、三年前に亡くなったから、無論母親だけでございますし、母親は父親がいないものだから勤めに出ている。そうすると学校から帰ると、今度は自分の仲間に車の運転を教えたわけですね。そうして十数台乗り回して、乗り捨てたところでわかったのです。つかまったのです。こういう問題が起きてきている。私は、これから自動車という問題は非常にわれわれの身近な問題でございますし重要なことでございますけれども、中学生が自動車の運転をして、しかも乗り捨てていたというこの事実は大変なことだと思うのです。一つ間違えれば大変な事故を起こしますし、この地域では大変な問題になっているのであります。  そこで私は思うのです。私のいまいる地域に青少年育成協議会というものが、これは県条例でできておりまして、そして私はその地域の会長を引き受けて青少年問題を取り上げていろいろやっているのです。そこで、こういうものが全国的にあるのかどうか、まずお伺いしたいのです。そこからひとつ……。
  251. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃっている青少年育成協議会というのは、恐らく総理府の青少年対策本部でやっております青少年健全育成事業の一環といたしまして、中央に社団法人の日本青少年育成国民会議というのがございまして、それと即応いたしまして各都道府県あるいはそれぞれの地域にやはり類似のそういう協議会を置いていただきまして、それで青少年の健全育成の仕事につきましてそれぞれ地元の、いろいろな社会の実態あるいは青少年の実態に通暁なさっておる、しかもかつ青少年の健全育成に深い御関心のある方々にお集まりをいただきまして、社会が挙げて青少年の健全育成のための機運を盛り上げまた活動をしていく、そういう趣旨で設けられているものではないか、そういうことでございますので、各都道府県その他市町村にもこういう類似のものが設けられていると存ずる次第でございます。
  252. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 全国にありますか。全国津々浦々にあるというわけじゃないですね。
  253. 望月哲太郎

    ○望月政府委員 私、全国の市町村にはほぼ類似のものが置かれていると思いますけれども、全部の市町村かどうか、ちょっといまはっきりお答えいたしかねます。
  254. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 そのことが重要なことではないのです。前段の方のいわゆる高校生の非行から中学生の非行の方までだんだん下の方にエスカレートをする。エスカレートというのは上に上がるのだけれども、だんだん小さくなっていくという問題を大臣どうお考えになっているか、文部省としても重要な問題だと思っているのですが、そこからお尋ねしたいと思います。
  255. 砂田重民

    砂田国務大臣 やはりこれは教師、いま御指摘がありましたような山本委員が会長をしておられるそういう社会的な団体、家族、みんな力を合わせて取り組んでいかなければならない。最近特にその非行の問題が低学年に移ってきている。しかもそれが警察の調べ等によりましても遊び型非行が非常にふえてきているわけでございます。  私は、お父さんが小さいお子さんに車の運転をお教えになることには反対いたしません。しかし、運転を覚えた子供たちがその技術をどう使うかということを、まだ事のよしあしのわからない年齢の子供たちにそういう技術があるのだということと、使ってはならないことであるということを教える。それはたとえば先般も非常に意外なことを私は聞いたのですが、あるところの調査で困ったことやら自分の一身上のことについて相談する相手はだれだということを子供たちにアンケートをいたしましたら、友達に相談するというのが一番圧倒的に多くて、(山本(悌)分科員「八七%」と呼ぶ)両親でも非常に少ない。学校の先生に相談するというのは一割もない。やはり学校の教員と生徒の間に、お互いの信頼感というのですか、心の通じ合うものが欠けてきている。もしもその運転をして乱暴した子供さんに仲のいい学校の先生がいれば、お父さんがこういう運転技術を教えてくれたということを当然話していたと思うのです。そのことはいい、将来君の役に立つよ、忘れないでいろよ、しかしいまは君は車を運転する資格はないのだよという適切な教育指導が先生からあったならば未然に防げたという気持ちがするのです。  そういう生徒と教師の間の信頼感というものをどうしても取り戻したい、また山本委員が会長をなさっておられるそういう団体が、そういうことにも子供の立場に立って役立っていただきたい、そのために文部省として果たさなければならないことを責任を持ってやっていく、こういうことでないと、やはり政府、社会、教師、家庭、一緒になって力を合わせて取り組まなければなかなかこれはむずかしい問題だという気持ちが非常に強くいたすわけでございます。
  256. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 そのとおりであります。私はそういうことで、一地域のことで大変恐縮なんですけれども、それも重要な問題だと思って、まあこれはいわば身銭を切ってやっているのです。  いま大臣から話がありましたように私のところあるいは新潟市、県はやったことはないと思いますが、市内では調査をいたしますと、小学生の場合は親に相談するのは大体六〇%から七〇%くらいの間でございますね。これが中学にまいりますと四〇%から五〇%、あとは皆お友達です。先生に相談するのはせいぜい一〇%程度。高校に行くともう全く逆であります。七七、八%から八〇%以上は友達に話す、親には一〇%程度、こういう実態なんですよ。  これは、私はしょっちゅう口を酸っぱくして言うのですけれども一つは家庭に問題がある。学校の先生にもありますよ。学校の先生にも大きな問題がありますけれども、家庭にも大きな問題がある。大体共かせぎが主になる。それから今度は、中学、高校になると生意気盛りになって、親が何を言っても聞かない。親もめんどうくさいから一杯飲んで帰ると、何を言っても聞かないというような調子で、どうも親子の対話が最近少ないのです。そこへテレビというのが入っているのですよ。  これは本筋ではございませんけれども、最近のテレビを見ていますと、たとえば昔は勧善懲悪といって、いろいろな事件物を取り扱っても勧善懲悪が主であったのです。チャンバラ物を見ましても、大岡越前だの何とか水戸黄門だのというわりあい視聴率が高いのは、最後にいいのが出てきて勧善懲悪でやっつけるから年寄りはよく見るのです。子供はこれを好まないのです。ところがスリラー物とか推理物になるとしょっちゅう見ている。その手口、またこれはなかなか微妙でございまして、こういうものはひとつ文部省から何とか言えないものだろうか、もう少し教育的なものをやった方がいいのじゃないかと私は思うのです。教育的というのは勧善懲悪であった方がいいと思うのです。おもしろおかしく、事件そのものが最後にならないとわからない。無論それは非常に興味があります。そしてその興味がある手口が、まるっきりいま起きている事件の問題あるいはいろいろな問題にひっかかっていく。これは一つは、先ほど申し上げたように親子の対話をテレビを通じてなくしていくし、子供は興味を持って見る、そしてそれが脳裏に残っていていつかのときにそれが出てくる、こういうことなんです。大臣、ひとつこの点はお願いを申し上げておきます。  それからいま申し上げました育成協議会というのは、これは総理府なんですけれども、できれば全国的にこれをつくっていただきたい。これはPTAの活動だけではできないのです。御存じのとおりでございますけれども、PTAの中に補導部というのがありまして、大体町内にも補導部というのがありますけれども、こういうのがやるのですけれども、私はPTA会長をしているときに補導部という名前をなくしたのです。補導というのはだめだ、補導というのはおかしい、それは悪いことをした子供を導いていくのだ、導く必要がないので、指導しなさい。指導部に変えさせたのです。子供の悪さというのは、いろいろな限界があります。いまのような自動車の問題とかあるいは人殺しとか、けんかとか万引き、置き引き、いろいろありますけれども、その程度のいわゆる犯罪になるようなものはいたし方がないといたしましても、普通ちょっとしたことで補導するだの、あるいは何かと言うのは、私はやめていただきたいと思うのです。そして、地域社会がこれだけ発達してきておりますから、地域に育成協議会のような、若い子供たち、小さな子供たちを育てていく会というようなものをできるだけつくらせられたらいいのではないか。  私の例を申し上げますと、新潟市では年間たった千五百円しか出さないのですよ。ところが、私どもでやっている町内というのは七十二町内ございまして、そして学校区が、小学校区が四校区、まあ中学校が主になっているのですけれども、それで一年間で千五百円でございますね。予算は四十万近く組むのでありますから、結局寄付なりあるいは各学校から出してもらうなりPTAの御援助をいただくということになっているのですが、制度化することは無理かもしれませんけれども、その方向に少し御検討願いたいということなんであります。お願い申し上げておきます。  きょうの私の二つ目の質問。私は出身は佐渡が島であります。いわゆる離島、過疎地であります。新潟県というのは非常に過疎地域が多いので、いわば人口過疎になりつつある。そして、そこの教育というのは、最近は先生が多いものですから過疎でも僻地でも皆行きますけれども、なかなか充実されないのですね。見ておりますと、非常にぎくしゃくしております。そこで、過疎地域の校舎が、過密地域の校舎から見ると非常に悪いのです。危険校舎に対して文部省としてはどのぐらいの援助なりあるいは手当てをしておるのか、まずそこからお伺いしたいと思うのです。
  257. 西崎清久

    ○西崎政府委員 本年度の公立文教施設整備につきましては、特に危険改築につきまして、大臣の御意向もあり、重点を置いた次第でございます。従来五カ年ぐらいかかるところの危険改築については、これを三年ぐらいで改築を実現していこうということで、約二百万平米の面積を計画しておる次第でございます。改築については、五十三年度予算では非常に重点を置いておるというふうに私どもは考えております。
  258. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 何か私も正確なことはよくわからないのですけれども、国庫の負担率が、たとえば小学校の危険改築校舎を改築する場合には、三分の二か何かですか。
  259. 西崎清久

    ○西崎政府委員 危険改築につきましては、従来から負担率は三分の一でございます。ただし、離島につきましては、離島振興法によりまして、三分の二の補助をいたしております。
  260. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 わかりました。  それで、小学校が三分の一、それから小中学校の新増築の場合は二分の一ですか。  それから、もう一つ申し上げましょう、小中学校の屋内運動場を何か増設する場合は二分の一ですかね。離島とそれからいわゆる過疎地とは違いますか。
  261. 西崎清久

    ○西崎政府委員 新増築事業につきましては、原則として校舎につきましては二分の一でございます。ただし、人口急増地域で指定市町村につきましては三分の二の補助をいたしております。  離島につきましては、大体全体の表がございますが、小中学校の新増築につきましては、校舎、屋体、僻地集会室、宿舎、すべてにつきまして三分の二の補助をいたしております。
  262. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 そこで、過疎地域でもそれから離島でもそうですけれども、恵まれないところで勉強をしているのでありますから、できるだけごめんどうを見ていただきたいということであります。私の出身地の佐渡が島なんというところは学校はよくできているのですよ。大変ありがとうございます。お礼を申し上げます。人口は八万七千人しかいないところで高校が六つあるというのですから、相当なものです。かつては十二万いましたのですからね。本当にありがたいのですけれども、自分の地元のことだけを申し上げているわけじゃございません。新潟県内にはもっと途中の山の中とか、あるいは上越の山の中とか大変山間僻地もありますので、要望がありますのは、この三分の一を四分の三にしてもらえないだろうか、あるいはまた二分の一を三分の二にしてもらえないだろうか、こういう要望が早くから来ておるのですけれども、こういうところをひとつできるだけめんどうを見てやってもらいたいということであります。それは私が言葉を費やさなくたっておわかりだと思うのですよ。さりとて予算がないから仕方がないと言うのですけれども、公共投資にかなりの金をつぎ込もうというのだから、ここなんか実際私はいいと思うのですがね。ぜひそういうことでひとつお願いを申し上げたいと思います。  それから僻地の教育でございますけれども、山間僻地、あるいは離島も含むのでありますけれども、合併教室があるわけですね。たとえば一年から三年まで見ているとか、三年から六年まで一緒に見ているとか、こういうことで、非常に先生方御苦労なすっておるのですが、この手当というものはどんなになっておりますか。
  263. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学校の先生の定数と学級編制をどういうふうにするかというのは、大体昭和三十四年から五カ年を一区切りにして、その期間における改善目標を立てて、法律に即して改善をしていくということをやってまいりまして、三十三年当時でありますと、ごく僻地ですと四個学年の複式とか五個学年の複式というのがあったわけでございますが、それを順次解消してまいりまして、昭和四十九年から五十三年度、つまり次の年度までの五カ年計画では、三個学年の複式というのはもう解消されまして二個学年の複式ということが残ったわけですが、その二個学年を複式で授業をする場合にも、成長発達の違う子供を一つのグループにするわけですから、一つのクラスの最高定数、子供の数というものを低く抑えまして、一年生と二年生の複式学級の場合は十二人まで、それからそれ以外の二個学年の複式の場合は二十人まで、中学校の場合は二個学年複式の場合は十人が最高ということでおりますので、相当改善されてきているのではないかというふうに考えております。  それで、そういう複式の学級を担任する先生はそれだけいろいろ御苦労も多いわけでございますので、二個学年の複式を担当する場合には多学年担当手当というのが、制度上はこれは特殊勤務手当になります。特殊勤務手当として支給されることになっておりまして、特殊勤務手当ですから一日幾らという積算になるのですが、現行では一日二百三十円ということで、月に直しますと五千七百五十円というものがそういう先生には支給されている、こういうことになっております。
  264. 山本悌二郎

    ○山本(悌)分科員 私のお聞きしたいところはまだありますけれども、だんだんもう帰ろうかなというふうな気持ちも起きてまいりましたので、松鶴家さんじゃないけれども、そろそろやめますが、大臣、最後にお願いをいたしておきます。  一つは、これから予算が出て公共投資がいくと、学校とかあるいは幼稚園とか、そういうふうに回りますね。私は、本籍は地方行政でありますけれども地方行政の方から見ますると超過負担が多過ぎるというので、非常に悩むところなんです。仕事はしたい、そしてまた、そのことによって後で負担をする方の地方団体が困る、こういうこともありますので、これを十分ひとつ加味していただきたいと思います。  二つ目は、たとえば日本の周りでは北海道、四国を除けば佐渡が一番大きい。その次は、大臣の前にあります淡路島なんです。三千三百だか三千五百だかの島があるそうですか、かなりの島があるのです。そういう大きな島のところに大学があっていいのじゃないだろうか。端的なことを申し上げますと、佐渡が島に六つ高校がありますが、六つ高校は要りません。欲しくてつくったのでありますけれども、いまにしてみますと、だんだん学級が少なくなっていく、そして子供の数が減る。しかし、そのうちの八十数%がみんな大学へ出ていくということです。ほとんど東京、新潟に出ていく。新潟あたりは文科系がございませんから、国立以外にないということで東京、関西に出るのですが、何とか離島にもそういう恩恵があっていいのじゃないだろうかということを最後に申し上げまして、最初一つ、青少年の育成問題と、それから辺地、僻地、離島の教育問題にお力をかしていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  265. 正示啓次郎

    ○正示主査 次回は、明三月一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後五時五十三分散会